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1997-06-04 第140回国会 衆議院 逓信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月四日(水曜日)    午前十時開議 出席委員   委員長 木村 義雄君    理事 亀井 久興君 理事 岸本 光造君    理事 熊代 昭彦君 理事 古屋 圭司君    理事 河合 正智君 理事 河村たかし君    理事 伊藤 忠治君 理事 矢島 恒夫君       石崎  岳君    川崎 二郎君       佐藤  勉君    斉藤斗志二君       坂井 隆憲君    園田 修光君       竹本 直一君    野田 聖子君       野中 広務君    山口 俊一君      吉田六左エ門君    赤松 正雄君       石垣 一夫君    遠藤 和良君       神崎 武法君    永井 英慈君       原口 一博君    北村 哲男君       山花 貞夫君    横光 克彦君       小坂 憲次君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 堀之内久男君  出席政府委員         郵政政務次官  野田 聖子君         郵政大臣官房長 天野 定功君         郵政大臣官房総         務審議官    濱田 弘二君         郵政省簡易保険         局長      金澤  薫君  委員外出席者         郵政大臣官房首         席監察官    結城 淳一君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ————————————— 委員の異動 六月四日  辞任         補欠選任   中川 昭一君     石崎  岳君 同日  辞任         補欠選任   石崎  岳君     中川 昭一君     ————————————— 五月三十日  NTTの分離分割・五万人削減反対に関する請  願(石井郁子紹介)(第三三九八号)  同(大森猛紹介)(第三三九九号)  同(金子満広紹介)(第三四〇〇号)  同(木島日出夫紹介)(第三四〇一号)  同(児玉健次紹介)(第三四〇二号)  同(穀田恵二紹介)(第三四〇三号)  同(佐々木憲昭紹介)(第三四〇四号)  同(佐々木陸海紹介)(第三四〇五号)  同(志位和夫紹介)(第三四〇六号)  同(瀬古由起子紹介)(第三四〇七号)  同(辻第一君紹介)(第三四〇八号)  同(寺前巖紹介)(第三四〇九号)  同(中路雅弘紹介)(第三四一〇号)  同(中島武敏紹介)(第三四二号)  同(春名直章紹介)(第三四一二号)  同(東中光雄紹介)(第三四一三号)  同(平賀高成紹介)(第三四一四号)  同(不破哲三紹介)(第三四一五号)  同(藤木洋子紹介)(第三四一六号)  同(藤田スミ紹介)(第三四一七号)  同(古堅実吉紹介)(第三四一八号)  同(正森成二君紹介)(第三四一九号)  同(松本善明紹介)(第三四二〇号)  同(矢島恒夫紹介)(第三四二一号)  同(山原健二郎紹介)(第三四二二号)  同(吉井英勝紹介)(第三四二三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  簡易生命保険積立金運用に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第五九号)(参議  院送付)      ————◇—————
  2. 木村義雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石垣一夫君。
  3. 石垣一夫

    石垣委員 新進党の石垣一夫でございます。  まず、本案の審議に入る前に、現在、我が国の金融機関は、二〇〇一年のビッグバンに向けて、フリー、フェア、グローバルを三原則とした大改革に取り組んでいることは御案内のとおりであります。簡易生命保険を含む郵政事業もこの流れに逆行できない、このように思います。  去る四月に郵政審議会から三事業にかかわる答申中間報告が出されております。六月には最終答申が出される、このように聞いておりますけれども、この最終答申の概要についてお伺いしたいと思います。
  4. 天野定功

    天野政府委員 お答え申し上げます。  二十一世紀を展望した郵便局サービスあり方につきまして、国民本位の視点で幅広い立場から御議論をいただくために、先生ただいま御指摘のとおり、去る二月六日に郵政審議会に諮問いたしまして、四月二十二日に中間報告が出されたところでございます。  この中間報告では、郵便局国民共有生活インフラであり、情報安心交流拠点として社会的に活用されるべきではないか。また、このための方策として、ワンストップ行政サービス生活設計型の自助支援サービスの実施などがこの中間報告骨子として提言されているところでございます。  現在、郵政審議会では、こうした中間報告骨子に沿いまして最終答申案審議が進められているところでございますが、その内容につきましては、現時点では公表されていませんので、ここでの御説明は控えさせていただきたいと存じます。
  5. 石垣一夫

    石垣委員 今、官房長から答弁がございましたけれども、この中間答申報告を受けて、郵政大臣として、今後の郵政事業経営形態についてはどのようなお考えを持っておられますか。
  6. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 先生も御案内のとおりでありますが、また、当委員会でたびたび御答弁は申し上げてきたつもりでありますが、今、郵政事業におきましては、全国津々浦々に、約二万四千六百の郵便局ネットワークを通じまして、郵便、貯金あるいは保険サービスに限らず、年金の支払い等、公的な窓口業務を含めまして、国民日常生活に欠くことのできないサービスをあまねく公平に提供をいたしております。したがって、国民の信頼、高い評価を受けておると考えておる次第でございます。さらに、郵政事業は、独立採算のもとで、税金を一切投入せずに健全経営を確保をいたしておるところであります。  ただいま官房長から答弁いたしましたが、先般の郵政審議会中間答申におきましても、今後、このネットワークを活用して、ワンストップ行政サービス提供しながら、そして、行政効率化、あるいは国民利用者の利便の向上に貢献すべきだという中間報告がなされておりますが、私どもも全くそのように考えておる次第でございます。  今後とも郵政事業は公共的な使命、役割を果 たしていかなきゃなりませんが、そのためには、現在の国営・非営利の、そして三事業を一体とした経営形態を堅持していくことが国民の期待にこたえる大きなゆえんだ、こういうように考えておる次第でございます。
  7. 石垣一夫

    石垣委員 かねがね大臣の持論は、現事業を継続する、いわゆる国営だと。今、民営化の論議が高まる中で、それは所管の大臣としては十分そのお気持ちはわかるのですけれども、七つのいわゆる提言中間答申でなされておりますね。この各項目にわたってお尋ねしたいのですけれども、時間がございませんので、特に、きょうの法律関係がございます第五点目の「日本版ビッグバンヘ対応」という提言があります。この提言に対して、郵政当局としてはどういうふうなお考えを持っておられますか。
  8. 天野定功

    天野政府委員 この中間報告の中では、先ほど申しましたように、郵便局がこれから二十一世紀を展望した場合に、情報拠点安心拠点交流拠点という三つの拠点としての方向性を示しておるわけでありますが、この情報拠点の中に、先ほど申し上げましたワンストップ行政サービスともう一つ郵便局オープンネットワーク化という提言がされておるわけであります。この郵便局オープンネットワーク化と申しますのは、現在の郵便局ネットワークを広ぐ民間金融機関にまで開放しまして、相互に接続することによって民間サービスをも支援していこうということでございます。  具体的に申しますと、金融ビッグバンが、いよいよ来年の為替の自由化からスタートして、二〇〇一年に向けて順次進行していくことになろうかと思われますけれども、その中で、民間金融機関の中では非常に競争が激しくなるわけでありまして、そういう中で、民間側では、リストラの一つとして、例えま店舗を縮小していくというようなことも検討されておりまして、現に一部はもう進んでおるわけであります。  そうなりますと、現在くまなく張りめぐらされた郵便局を通じまして、金融ビッグバンの中で新しく生まれてくるであろう金融商品ハイリスク・ハイリターン商品、こういった民間商品郵便局ネットワークによりまして、民間店舗が十分でないような田舎の方でもサービスができるようにするには、これをオープンネットワークとして接続することによって、ビッグバンの恩恵を広く国民に共有できるようにするという意味大変意義があろうということで、私どもは、この中間報告にいただいております郵便局ネットワークオープンネットーワーク化を非常に重要な課題というふうに受けとめております。
  9. 石垣一夫

    石垣委員 法案の関連で質問申し上げますけれども、本法案趣旨説明の冒頭に、「この法律案は、金融経済環境の変化に適切に対応し、」云々とあります。まさにこの対応が問われている、このように私は考えております。したがって、問題点は、第一点はいわゆるディスクロージャー、それから第二点はリスク管理、こういう二つの大きな問題が今後問われてくる、このように考えておりますけれども、今回は、いわゆる債券貸し付けを、信託業務を営む銀行または信託会社への信託を通じて行うことができることとするもの、こういう法案でございますけれども簡保保有国債に対して十分なニーズが市場にあるのか、この点をお聞きしたいと思います。
  10. 金澤薫

    金澤政府委員 債券貸し付け取引でございますが、これは、債券を相手方に貸し付けましてそれに対応した貸借料をいただきまして、それによって収入を得る、そういう貸し債取引でございますが、そういう貸し債取引平成元年市場が整備されたところでございます。その後、取引額がどんどんふえてまいりまして、平成八年十月現在の月間取引高は約百六十三兆円という大きなものとなっております。  それで、簡保保有国債が約十兆円ぐらいございます。この国債市場に放出することによりまして、安定的に貸し債市場が存立し得るということになろうかと思います。そういう意味で、簡保保有国債貸し債市場にぜひ放出してほしいというような要請は非常に強いものというふうに考えているところでございます。
  11. 石垣一夫

    石垣委員 では、今保有国債をすべて市場に投入するのか、投入する国債の額については今のところどうなっておるのか。
  12. 金澤薫

    金澤政府委員 簡保保有しております十兆の保有国債の中からどの程度有価証券信託により運用していくかということでございますが、これは、一挙に放出いたしますと貸し債市場へ非常に大きな影響を与えますので、段階的に実施していく必要があるものというふうに考えているところでございます。  その額を決定するに当たりましては、現在、信託銀行等によってどのように貸し付け運用が行われているかというその状況、それから市場動向、それから、簡保本体で今法律的には貸し債運用ができることになっておりますが、その規模等を総合的に勘案してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  13. 石垣一夫

    石垣委員 市場への影響を勘案して順次ふやしていきたい、こういうことなのですけれども最終的には十兆円全額を投入されていくのか、これが一点。  第二点は、いわゆる委託する金融機関ですね。今、第一勧銀を初め野村証券、非常にいろいろ問題が提起されております。こういう金融機関の選択について、どういう基準をもって選択されるのか。
  14. 金澤薫

    金澤政府委員 最終的にどの程度まで保有国債運用してまいるのかということでございますが、これにつきましては、短期運用分国債を除いて最終的にはすべてこの有価証券信託により貸し債をやっていきたいというふうに考えております。そういたしますと、大体九〇%ぐらいを市場に出していきたいというふうに思っておるところでございます。  それから、金融機関信用リスクの問題でございますが、これは二つございまして、一つ有価証券信託を行います信託銀行リスクの問題、それからもう一つ信託銀行貸し付け貸付機関リスクの問題というふうにあるわけでございます。  このリスクの問題につきましては、当然財務状況等をきちんと調査いたしますし、それから、今、ムーディーズとかS&Pとか、民間評価機関が非常に発達してまいっておりますので、その評価の模様等々を参考にしながら、きちんとしたリスク管理を行ってまいりたいというふうに思っております。  信託銀行リスクについては、信託業法によりまして、自己の保有財産信託財産というのはきちんと分別管理しろというふうに規定されておりまして、信託銀行が倒産した場合においても、破産財産として信託財産が含まれるということはございません。当然それは信託財産として、別のものとして私どもとしては引き取ることができるという仕組みになっておりますので、信託銀行との間でのリスクはないというふうに考えております。
  15. 石垣一夫

    石垣委員 先ほど具体的に名前を挙げましたけれども、現在簡保取引している金融機関の中で、第一勧銀野村証券、これに対する対応はどうなっていますか。
  16. 金澤薫

    金澤政府委員 野村証券につきましては、現在告発されまして、司法当局が捜査中ということでございますが、実質的な取引は停止しております。行政処分が出た段階で、最終的な簡保としての取り扱いを決めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。  第一勧銀につきましては、まだ、どのような状況になるのか推移を見きわめる必要がございますが、現在のところ取引については見合わせているところでございます。
  17. 石垣一夫

    石垣委員 ところで、簡保自体が現在国債貸し付け運用をやっておられると思うのですけれども、今度はこれを信託銀行に依頼すると、いわゆる二重構造で進まれるわけですね。  これについて、今後こういう方向で行かれるのか、それともそれは信託に全部委託してしまうのか、こういう点はどうなんですか。
  18. 金澤薫

    金澤政府委員 御指摘のように、現在簡保特会本体貸付事務貸し債事業を行っているところでございますが、それにつけ加えて、今回有価証券信託という制度を導入しようとしておるわけでございます。  なぜこのような制度を導入したかという理由にもなるのですが、現在行っております簡保特会による貸付事務は非常に煩瑣でございます。  例えばどういうことをやらなければいけないかと申しますと、まず、注文債券が私どもの手元にあるかどうかという有無の確認をする必要がございます。それから、取引限度額がどの程度のものとして決定する必要があるかということがございます。これは、相手の信用リスクによりまして取引限度額を、信用のないところにそんなにたくさん貸すわけにいきませんので、それをある程度決定する必要がございます。それから、貸付条件とか担保条件もきちんと設定する必要がございます。それから、貸付債券の名義の移転手続担保をとる場合には質権登録手続等々の手続も必要でございます。  非常に貸付事務が煩瑣でございまして、それに対して人手を要するということでございます。私どもは、そういうことから今回、信託銀行信託いたしまして、その煩瑣な事務信託銀行にやっていただこうという考え方に立っているわけでございます。  すべて信託銀行に委託すればいいのかということでございますけれども、これは、相対取引によります消費貸借取引で実際世の中で行われておりますので、市場から完全に撤退いたしますと市場状況が全くわからなくなるということもございますので、私どもとしては、簡保特会による直接の貸し債事業も当然今後ともやっていきたい。そのことによりまして債券貸借市場動向を把握するとか、有価証券信託信託会社パフォーマンス分析に役立ててまいりたいというふうに考えているわけでございます。  結論的に申しますと、将来とも両方式を併用してやっていきたいということでございます。
  19. 石垣一夫

    石垣委員 おっしゃることはよくわかるのですけれども新規事業として貸付信託を活用しての事業を行うわけでございます。では、その比率を大体どういうふうに考えられているわけですか。
  20. 金澤薫

    金澤政府委員 先ほど申し上げましたように段階的に実施していく予定でございますので、今確定的にどの程度比率というふうに申し上げることはできないわけでございますが、例えば平成七年の実績で申し上げますと、年度末残高が六千五十二億四千八百万でございます。簡保特会としては保有国債が十兆円程度ございますので、現在その程度運用しているということでございますけれども、今後はそのような比率をある程度念頭に置きながら、段階的に実施していく中で判断してまいりたいというふうに思っているところでございます。
  21. 石垣一夫

    石垣委員 そこで、ディスクロージャーの問題が最近非常にクローズアップされてきておるのですけれども簡保事業財務状況等に関する情報は、官報インターネットによって公開しているようでございますけれども、それを知っている方はほとんど一部にすぎないのですね。民間生保業界に比較して非常に簡易保険ディスクロージャーはおくれている、こういう指摘があるのですけれども民間生保に比較してどうなんですか。
  22. 金澤薫

    金澤政府委員 簡易保険民間生保ディスクロージャー状況を単純に比較するということは、制度が異なりますし、運用対象も異なりますためになかなかできないわけでございますけれども基本的事項につきましては、ほぼ同程度内容のものを現在開示しているところでございます。  簡保につきましては、さまざまな手段を利用して開示しておりまして、例えば官報郵政事業財務諸表を掲載しておりますし、それからディスクロージャー冊子、「みなさまの簡易保険」というのを四十七万部発行しておりますし、「ご契約者のみなさまへ」というパンフレットも千百万部発行しているところでございます。また、新聞広告もやっておりますし、インターネットも活用してその内容の周知を図っているところでございます。
  23. 石垣一夫

    石垣委員 実質的に内容はそう変わらない、こういうことなんですけれども簡保顧客である加入者配当金の額を通知していない、このように聞いておりますけれども顧客サービスを選択しやすい情報を得るためには開示項目の拡大、こういうものが必要ではないか。いわゆる顧客情報不足の改善に努めるべきではないか、こう考えるのですけれども、いかがですか。
  24. 金澤薫

    金澤政府委員 お尋ねの、簡保顧客である加入者配当金の額を通知していないのではないかというふうなお話でございますが、これにつきましては、平成九年度から全契約者に対して配当金保障内容等契約内容制度改正等情報を毎年定期的にお知らせしたいということで、これは民間と全く同様になったということでございます。  それから、開示項目につきましても、資産運用を中心にしてさらに追加項目を現在考えておりまして、なお一層のディスクロージャーをやっていきたいというふうに基本的に考えているところでございます。
  25. 石垣一夫

    石垣委員 そこで、いわゆる資金運用がどういう状況にあるのか、これを顧客としては一番知りたいわけですね。これがまた生命保険を選択する重要な基準となる、こういうふうに私は考えるのですけれども簡保資金運用事業に関するディスクロージャーの現状についてお伺いしたいと思うのです。
  26. 金澤薫

    金澤政府委員 簡保資金運用ディスクロージャー重要性につきましては、先生指摘のとおりでございます。私どもも非常に重要なものと認識しておりまして、今後ともこれを充実していきたいというふうに思っております。  具体的な話でございますが、資金運用につきましては、私ども簡保積立金運用計画というものをつくりますが、それを資金運用審議会に付議しております。それから、五年以上の長期運用につきましては、予算時に国会で御承認をいただいているところでございます。また、決算書類につきましては、財務諸表国会に提出しているところでございます。  それから、運用関係だけの開示項目民間と比較してみると、運用対象が異なりますので、私ども不動産投資ができないとか、民間に対する貸し付けができないとか、そういう点についての開示項目の差はございますけれども、基本的には民保と同じようなものを開示しているということでございます。  現在、民保が開示いたしておりまして簡保が開示していない項目が約八項目ぐらいあるのですが、これにつきましては、八年度の決算時からすべて開示してまいりたいというふうに考えておりまして、これが行われますと、民保簡保との差は全くないということになります。
  27. 石垣一夫

    石垣委員 ディスクロージャーについては随分努力される、このように理解をいたしますけれども簡保の主たる運用先一つである財投機関については、その事業必要性採算性経営健全性などの観点から今非常に多くの問題点指摘されております。  これら機関については、現在そのあり方について見直しが行われておりますけれども簡保として、資金提供者という立場から、これらの運用先機関に対して情報開示をさらに求めていくことが加入者に対する責任と考えますけれども、この点いかがですか。
  28. 金澤薫

    金澤政府委員 財政投融資につきましては、社会資本整備など、将来ともにその必要性が認められるわけでございますが、その資金配分に当たりましては、公的資金にふさわしい分野に限定して活用されるべきだというふうに考えております。 今後資金需要が見込まれない分野、あるいは民間資金でも対応が可能な分野というところからは簡保資金は撤収いたしまして、できるだけスリム化を図ってまいりたいということでございます。対象範囲を常に見直してまいりたいという考え方でございます。  こういうふうな考え方のもとに、簡保財投機関に対して資金を配分しているわけでございますが、この機関に対しましては、定期的にヒアリングを行い、事業運営状況を厳しくチェックいたしております。  財投機関は、国の政策目的に沿って事業を実施する公的な機関でございますので、財投機関そのものディスクロージャーを行うということは私どもも必要だというふうに考えているところでございます。透明性をできるだけ確保すべきだというふうに思っております。私どもは、財投機関に対しては債権者という立場に立つわけでございまして、そういう債権者としての立場から、一層の情報開示を求めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  29. 石垣一夫

    石垣委員 平成九年度の積立金運用計画によりますと、財投機関への融資が厳格になっている、あるいはまた運用対象から外されておる、こういう機関がございますけれども、どのような政策基準でこの運用計画を策定されたのか、答弁願いたいと思います。
  30. 金澤薫

    金澤政府委員 先ほども申し上げましたように、公的資金にふさわしい分野に限定して活用されるべきだという考え方のもとに、今後資金需要が見込まれない分野とか民間資金でも対応可能な分野につきましてはスリム化を図っていくというのが基本的な考え方でございまして、資金運用部資金財投全体といたしましても三%ほどのスリム化を行っているところでございます。  そういう前提を置きまして、個々の財投機関につきましても、事業計画それから資金需要、償還の確実性というふうなものを厳格に見きわめた上で、その運用を行っているということでございます。  平成九年度運用計画の策定に当たっては、こういう基本的な考え方のもとに行ったわけでございますが、ただ、簡保資金全国あまねく津々浦々から集められた資金でございますので、その資金趣旨にかんがみまして、国民生活に非常に密接なかかわりを持つ分野とか、それから社会資本整備を推進する分野等につきましては、重点的にその資金を配分したところでございます。
  31. 石垣一夫

    石垣委員 では、具体的に聞きますけれども平成九年度の運用計画から中小企業事業団、雇用促進事業団、国鉄清算事業団、船舶整備公団、鉄道整備基金、この五つの機関が外されておりますけれども、この理由はいかがですか。
  32. 金澤薫

    金澤政府委員 鉄道整備基金と中小企業事業団でございますが、これは九年度は全額資金民間から調達するということとしておりますので、当然私どもの対象から外れたということでございます。  それから、雇用促進事業団の関係でございますが、これは勤労者財産形成促進法上、財形貯蓄積立保険等の残高に見合った資金の拠出義務があるわけでございますが、今回簡保資金に対する新規の資金需要がございませんでした。その点でここに資金運用をしなかったということでございます。  それから、船舶整備公団でございますが、平成九年度に民間資金を導入いたしまして、財投計画に対する資金需要が非常に少額となりました。このために、簡保資金運用部の二本立てということではなくて、これをすべて資金運用部に一元化したという経緯がございます。  それから、国鉄清算事業団の件でございますが、これは平成八年末に予定されていた本格的な債務処理等の策定が平成九年度に先送りされたというようなこともございまして、つなぎ資金的な融資ということにつきまして、今回事業団に対する運用を見合わせたということがございます。  以上でございます。
  33. 石垣一夫

    石垣委員 同時に、住宅金融公庫を初め、それから住宅・都市整備公団、日本下水道事業団、あるいはまた本州四国連絡橋公団等々が大幅に縮小しておりますけれども、この理由は。
  34. 金澤薫

    金澤政府委員 基本的には、資金需要ということを念頭に置きながらやっているわけでございますが、住宅金融公庫につきましては、平成七年度において多額の不用額を出しました。八年度においても、不用額の発生が見込まれるなど簡保資金運用を行うに適当でない部分もございますので、運用額を縮小したという点がございます。  それから、住宅・都市整備公団につきましては、同公団の分譲住宅の建設が、都市再開発等の場合を除きまして財投対象から外されたということがございます。したがいまして、財投に対する資金需要が減少した、したがいまして私どもの融資額も減少させたということがございます。  それから、本州四国連絡橋公団でございますけれども、これは神戸−鳴門ルートの開通を控えまして償還計画の見直しが予定されているということでございまして、その将来見通しを明らかにした上で融資していきたいというふうに考えているところでございます。現在は、償還見合いの額を融資したということでございまして、減少したと  いうことでございます。  以上でございます。
  35. 石垣一夫

    石垣委員 融資を全面的に中止する、あるいはまた減額する、こういうことを今具体的に挙げられましたけれども、本来、簡保の運営の大原則は確実、有利、公共の利益、この三原則だと思うのですけれども、もちろん公共の利益という面については財投は当てはまるのですけれども、確実、有利というこの前提からいけば、私は、財投に対する融資は、今おっしゃっているように適当でないというような判断が出てくるということ自体が非常に問題がある、こう思うのです。したがって、先ほどお尋ねいたしましたけれども、相手先のいわゆるディスクロージャー、これをやはり簡保としては、加入者立場に立ってもっとはっきり求めていく。私は、これをやらなかったら加入者としては納得できないと思うのですよ。この点はどうですか。
  36. 金澤薫

    金澤政府委員 先ほども申し上げましたが、財投機関ディスクロージャーというのは非常に必要なことだというふうに私どもも判断しております。ただ、私ども債権者としての立場ということでございまして、加入者の利益を代表しているわけでございますので、その立場から情報開示を求めていきたいというふうに考えている次第でございます。
  37. 石垣一夫

    石垣委員 だから、加入者の利益からいわゆるディスクロージャーについて、相手先にどういう形でそれを求めていくのか。やはり基本ルールをきちっとつくって、これこ抵触する機関に対してはこれは貸さない、控えるというぐらいの強硬な姿勢かなかったらいかぬと私は思うのですよ。この点はどうですか。
  38. 金澤薫

    金澤政府委員 財投というのは、簡保だけではなくて、資金運用部資金財政投融資の大半を占めているわけでございまして、この点につきましては、当然大蔵省との調整等々関係機関との調整が非常に必要でございますので、先生の御趣旨も体しながら、さまざまな分野での調整を行ってまいりたいというふうに思っております。
  39. 石垣一夫

    石垣委員 日本の行政の金にまつわる問題は、何でも全部大蔵省の許可、あるいはまた指示がなければ動けない。これは実際、もうがんじがらめになっておるのですね。だから、今大蔵省の改革問題が大きく取り上げられておられますけれども、やはり簡保は、大蔵省に顔を向けるのでなくして、加入者に顔を向けてやってくださいよ、国民に顔を向けて、これが原点だと思うのですよ。  だから、大蔵省なんか必要ないですよ、こんなもの。独立性を発揮して、私はやはり国民が納得するディスクロージャーを求める、これはやはり郵政省として国民にこたえる行政の原点だと思うのですけれども、いかがですか。
  40. 金澤薫

    金澤政府委員 先生趣旨をも体しながら関係 方面と調整してまいりたい、努力してまいりたいと思っております。
  41. 石垣一夫

    石垣委員 次に、リスク管理に関連してお尋ねいたすのですけれども、いわゆる外為法の規制がとれて、いよいよ二〇〇一年のビッグバンに向けて金融自由化が始まってくる。こういうときに、いわゆる外債投資ですね、これが私は今後の簡保資金運用の大きな焦点になってくると思うのですけれども、それに伴ってリスクも同じようにやはりついてくるわけであります。こういう点について、これから簡保の外債投資についてどういうお考えでございますか。
  42. 金澤薫

    金澤政府委員 先生指摘のとおり、リスクの軽減の観点からは運用対象の分散ということが非常に必要でございまして、運用対象を多様化する手段として外債投資というのは有効であるというふうに考えているところでございます。これにつきましては、従来からも積極的に努力してきたところでございますが、現在の為替レートのもとでは、外債投資は平成八年度末で評価益を出しているという状況でございまして、私どもとしては、この分野に対する運用というのは非常に重要であるというふうに考えている次第でございます。
  43. 石垣一夫

    石垣委員 外債投資については、平成六年度で約九千億の赤字を出したということで大変大きな騒ぎになったと思うのですけれども、これは為替レートの関係がございますから、平成七年度ではいわゆる二千億の赤字にまで減少したということで、平成八年度現在ではどうなっておりますか。
  44. 金澤薫

    金澤政府委員 平成八年度末の為替レートが百二十四円程度でございます。そういうことから、かなりの評価益が出ているというふうに考えておりますが、具体的な数値は、まだ最終的に決算を行っておりませんので、ここで申し上げるというわけにはまいらないというふうに考えているところでございます。
  45. 石垣一夫

    石垣委員 いや、そんなもの、今コンピューターに入ったらすぐ出るのと違いますか。それは三月末現在で、あの時分はレート百二十四円ですからね、今はもう変化しておりますけれども。今は百十六円ですから、かなりマイナスということは考えられるのですけれども、三月末現在の時点ではっきり数字が出ていると思うのですけれども
  46. 金澤薫

    金澤政府委員 何度も申し上げて恐縮なんでございますが、平成八年度末の為替評価損は、決算前ということでございまして、正確な数字をお答えできる段階にはないということでございますが、大体百二十四円というものを念頭に置いて考えますと、二千億近い評価益が出ているのではないかというふうに推定されます。
  47. 石垣一夫

    石垣委員 いわゆる投資先の外国債の内訳はどうなっていますか。
  48. 金澤薫

    金澤政府委員 外国債の内訳でございますけれども、まず、外国債を行う場合にはカントリーリスクというものを考えて実施しているわけでございまして、さまざまな国に投資をしているところでございます。国際機関も当然あるわけでございます。  それから、外国債の通貨別の運用状況を見ましても、さまざまな通貨で運用しているということでございます。  以上でございます。
  49. 石垣一夫

    石垣委員 いや、今、カナダ、アメリカ、フランス、それからドイツ、イギリス、フィンランドその他、こういう外国債に投資をされていると思うのですけれども、その内訳についてお聞きしているわけです。
  50. 金澤薫

    金澤政府委員 外国債でございますけれども、御承知のように昭和五十六年から運用を開始いたしまして、平成九年二月末現在で四兆二千六百六十三億円というふうになっております。運用資産全体の四・四%を占めているわけでございます。  運用先でございますけれども、カナダ、アメリカ、フランスなど二十の国へ運用しているところでございます。それでは具体的に何%程度なのかというようなことですが、ちょっと細かくなりますけれども、例えばカナダ一四%、アメリカ一〇・一%というふうな形で運用しているところでございます。  それから、運用通貨も、米ドル、カナダ・ドルなど十六通貨に分散投資を行っておりますけれども、これも少し細かくなりますけれども、例えば米ドルが二四%を占めている、カナダ・ドルが一一%を占めているというふうな状況にございます。
  51. 石垣一夫

    石垣委員 今、平成七年度末の運用状況を見ますと、カナダが一四%で一番多いわけですね。私どもは、カナダ債が、規模からいって、流通の場面からいっても大口投資家の対象としては極めて難点があるのではないかと思うのです。世界的レベルでいけば、やはりアメリカ、ドイツの国債が、流通機構からいっても大口投資家の立場からいっても運用先として一番対象になるのではないか。レートは米国債、ドイツ債に比べて高いという利点があるにしても、いざ売却するときに売れないということになるとどうにもなりませんから、そういういろいろなことを勘案して、今後の運用のいわゆる相手先として、やはり一つ方向性を軌道修正しなきゃいかぬのか、私はこう思うのですが、いかがですか。
  52. 金澤薫

    金澤政府委員 外国債をどういうスタンスで運用していくのかということでございますが、外国通貨で運用するということは当然あるわけでございますが、為替リスクのない円貨建て債というふうなものもございます。そういうものもやっていきたい。それから、多数の通貨にもちろん分散投資してまいりたい。米ドルだけに集中するとかというようなことも好ましくございませんので、そういう意味で多数の国の通貨に分散投資してまいりたいということでございます。  それから、どういう国に対して運用していくかということでございますが、もちろんカントリーリスクというものがございますので、その点については格付機関がございますから、その格付機関を参考にしてまいりたい。それから、債券についても債券格付というものを参考にしてまいりたいということでございます。基本は、信用度が高くて、先生がおっしゃいますように、流動性といいますか、売りたいときにすぐ売れるものというのが望ましいわけでございまして、そういうふうな信用度とか流動性の高い国債とか国際機関債等を中心に運用してまいりたいということでございます。  もちろん、利子を稼ぐという点もございますので、高利回りのものも当然運用対象に加えていくというふうなことでございます。全体のアセットをどういうふうにアロケーションしていくかということが問題ではないかというふうに思う次第でございます。
  53. 石垣一夫

    石垣委員 もう一つお伺いしたいのは、簡保が株式運用の手法として活用しているいわゆる単独運用指定金銭信託状況でございますけれども、指定単を運用している簡保事業団に近年赤字が発生している、このように聞いておりますけれども、今後、これについてはどう対応されていくのか。
  54. 金澤薫

    金澤政府委員 今の単独運用指定金銭信託運用の方法は、簡保特会から簡保事業団に対して資金貸し付けるという行為がまずございます。その貸し付けられた資金をもちまして、簡保事業団が指定単契約を結び、それによって運用がなされているということでございます。指定単の収益というのは、実績配当ということになっております。近年の非常に低金利の状況、それから株式市場の低迷等によりまして、運用収益が伸び悩んでいるということがございます。一方、調達コストは高金利時代のものが大きなウエートを占めているということから、収支の逆ざやが発生いたしまして、赤字決算が続いてるということでございます。  これに対してどう対応していくかということでございますが、長期的な観点からの資金運用を行わせるという考え方によりまして、従来の財投金利による貸付制度を変更いたしまして、株式配当利回り並みの低利な運用寄託制度という新たな制 度を平成六年度に導入したところでございます。この運用寄託制度の導入によりまして、調達コストは今後減っていくというふうに考えております。数年以内に累積欠損は解消するというふうに考えている次第でございます。
  55. 石垣一夫

    石垣委員 数年以内に解消する、こういう答弁でございますから、それを一応御信頼申し上げたい、このように思うのです。  簡保のいわゆる資金運用に占める財投の割合は、平成九年度の運用計画では四割以下、こういうふうになっておりますね。市場運用比率が高まっておるが、いわゆる金融機関に対する今後の取引基準についてどのようにお考えになっているのか。  最近の日債銀等に見られるいわゆる金融機関信用リスク、非常に大変ですね。こういうところから、今後簡保としてはどういうふうな基準でいわゆる金融機関の選択を行うのか。
  56. 金澤薫

    金澤政府委員 簡保でございますが、国内の証券会社、それから国外の証券会社、銀行信託銀行等、現在約八十の機関取引を行っているところでございます。  その取引機関の選定に当たりましては、当該機関の財務内容というものを重視して決定しているところでございます。  具体的には、自己資本比率が一定数値以上あることというような問題がございます。それから、収益率が増大している。減少傾向にないこと。それから、ムーディーズとかS&Pの格付が上位にあること等々を比較検討しながら取引機関の決定を行っているということでございます。  第一勧銀とか野村証券につきましては、こういう財務内容という問題ではなくて、むしろその行為の違法性ということが問われているわけでございまして、そのような機関に対しましては、現在取引を見合わせているということでございます。
  57. 石垣一夫

    石垣委員 いわゆる確実、有利という原則が一つの大前提になると思うのですけれども、くれぐれも慎重に選考していただきたい、このことを要望しておきます。  最後に、平成六年十月のいわゆる「簡保資金運用に関する提言」という中で、第二章の中に不動産の運用というものが挙げられております。  これを読んでみますと、不動産運用必要性、不動産の投資環境と長期保有必要性簡保不動産運用の具体的な方針と今後の課題ということで、今後の簡保運用こ対して不動産投資に対する提言がなされておりますけれども、これについてはどうお考えですか。
  58. 金澤薫

    金澤政府委員 簡保資金の不動産への運用でございますけれども、これごつきましては、私ども政府部内でも検討しているところでございます。ただ、不動産に対する運用と申しますのは、価格変動リスクが非常に大きくて運用対象としてふさわしくないという意見もございます。バブルの時期の様子を見ればこの点はよく御理解いただけるものというふうに考えております。それから、国が運用を目的として不動産投資をするというようなことは好ましくないというふうな意見もございます。  ただ、ポートフォリオ上いろんな資産を保有することはより資産運用を有利にいたしますので、その点からは不動産投資も投資対象の一つとして考える必要があるものというふうに考えておりますが、さまざまなことを現在考えておりまして、まだ結論が得られていないというのが正直なところでございます。今後、財政当局と慎重にその対応を検討してまいりたいというふうに考えております。
  59. 石垣一夫

    石垣委員 バブルで不動産が失敗したからといって、何でも不動産は悪だと決めつけること自体が私はちょっとおかしいと思うんですよ。長期的には不動産というのはある一定の水準で上昇しているわけですから、投機に走らなければ十分投資価値がある。だからこそこういう、研究会のメンバーがわざわざこの大きな三つの視点を挙げた中で、第二章として不動産の運用ということについて具体的に提言をされているわけですから、ぜひ今後の運用一つの中に、十分研究に値する、しかもそれに対してこれを採用していく、こういう積極的な前向きの姿勢が必要ではなかろうか。簡保資金は長期投資でございますから、短期ではないわけですから、長期投資の不動産のレベルというのは、水準はかなりアップしていくわけでございますから、そういう観点から、短期投資ではだめだと私は思います、しかし長期投資の簡保資金というのは、当然投資の対象の大きな材料だ、このように考えるんですけれども
  60. 金澤薫

    金澤政府委員 余り不動産投資のデメリットばかりを強調したかのような印象を与えたとしたら申しわけないのですが、先生おっしゃいますような不動産投資におけるメリットというのも当然ございます。したがいまして、私どもとしては、メリット・デメリットを総合的に勘案して今後慎重に検討してまいりたいということでございます。
  61. 石垣一夫

    石垣委員 今後の研究課題ですから十分ひとつお考えいただきたい、このように思いますね。  それから、またもとに戻りますけれども、いわゆる外債投資に対するヘッジの問題、これについてはこれからますます私は重要な要素をなしてくると思うんですね。いわゆる先物予約とかオプションとか、こういうことについて十分対処しなきゃいかぬ。ましてこれからは、先般も日経新聞を読んでおりますと、「激動ビッグバン」ということで、「勝つのはだれ」「「先行の利」攻める外資」ということで、こういう記事があるわけです。「この島国には、爆発的な成長機会がある」これはウォールストリート・ジャーナルに載った広告の見出しということで、「公告主は米国最大の証券会社、メリルリンチである。」こういうふうに書いております。「デビッド・コマンスキー会長は「ビッグバンに伴って日本市場の魅力は飛躍的に増す」」こういうふうに、いわゆる米国系の証券会社が虎視たんたんとビッグバンを大きな進出のチャンスとしてねらっているわけです。  こういう中にあって、これからまさにしのぎを削った金融戦争が行われる、当然この簡保もその中に巻き込まれていくわけでございますから、そういう点に対する万全の体制、研究、こういうものを怠ってはならない、私はこう思うんですけれども、いかがですか。
  62. 金澤薫

    金澤政府委員 外国債というのは、非常に高利回りでございますが、為替リスクとか信用リスクの問題があるということでございます。私どもとしては、リスク管理方針といたしましてはへ先ほども申し上げましたが、投資通貨を分散するとか、カントリーリスクを勘案するとか、債券の格付を利用するとか、さまざまな方法で為替リスクを回避しているところでございます。  個々のリスク管理でございますが、個々の銘柄についてのリスク管理は、平成七年に先物外国為替ができることとなっております。この先物外国為替によるヘッジを行うというふうなことを行っております。また、円貨建ての外国債に対する運用も行うというふうなことも行いまして、さまざまな為替リス久回避方法を講じているところでございます。  経営全体に対するリスク管理は、ALMというふうな新しい手法を導入してやっていこうというふうに今考えておりますが、外債に限定して申し上げますと、そのような方法でリスクヘッジを行っていきたいというふうに考えている次第でございます。
  63. 石垣一夫

    石垣委員 今、リスク管理にALMという手法がございましたけれども、これについてひとつ説明してください。
  64. 金澤薫

    金澤政府委員 ALMと申しますのは、アセット・ライアビリティー・マネジメントということでございまして、資産と負債を総合的に管理するという手法でございます。  この手法は、リスク管理におきまして非常に有効な手法であるというふうに言われておりまして、私どもとしてもこの手法を導入したいということから、現在、簡易なシステムでございますけれどもそれを構築いたしまして、初歩的な第一段階を実施しているところでございます。このシス テムはさらに更改してより基本的なシステムにしたいというふうに考えて現在努力しているところでございます。
  65. 石垣一夫

    石垣委員 ALMの導入については既に取りかかっているということでございますけれどもリスク管理が非常にこれからの簡保資金運用について必要不可欠という立場に立って、今後とも十分ひとつ瑕疵のないように慎重に運用されることを希望して、質問を終わります。
  66. 木村義雄

    木村委員長 北村哲男君。
  67. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 民主党の北村でございます。  私は、まず大臣に三つの点を順次伺いたいと思います。一つは、郵政事業民営化の問題であります。二つ目は、財投の廃止あるいは縮小論に対する見解でございます。三つ目は、平成九年度の財投運用はどのような方針で策定されたのかという問題であります。  まず、第一点目につきましては、昨年十月十五日ですか、社会経済生産性本部が、簡保事業についての、東西二地域に分割して民営化すべきだという提言を行いました。また、生命保険協会が簡易保険事業の改革への提言というものを出しまして、縮小、廃止あるいは民営化という提言をしております。この理由には、簡保事業は一般の金融機関に比べて一千八百億円ぐらいの税金の優遇措置がなされているんだということで、不公平だというふうな理由。また、最近では、通産省の産構審ですかね、そこで、簡保民間ならば二千三十二億円の税収があるのに、民間より優遇されておるんだとか、そういうふうな形で民営化論が非常に高まっているということについて、この簡保事業について大臣はどのようなお考えを持っておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
  68. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま先生指摘のとおり、社会経済生産性本部というところの、これは民間の研究機関と承っておりますが、加藤先生が主宰されておりますが、この方は、もう保険だけではなくて、郵便貯金は十二に分割すればいいのだ、こういうような提言をなされておりますので、どのような根拠から、どのような将来性の展望を持って提言されたのか、全く根拠が示されておりません。だから、私どもは、こういうものをどうこう批判する必要はありませんが、そういうものであるというように承知をいたしております。  そしてまた、民間保険会社等がいろいろ簡易保険に対して批判をいたしておりますが、これ自体、民間保険というのはやはり都市部中心でありますから、まず出先の事務所というものが全国でも限られて、ない市町村の方が半分以上で、多いと私も承知いたしておりますが、そういうものと今の簡易保険と比較するということ自体が問題があると思います。  我々は、いつも申し上げておりますように、二万四千六百というネットワークでもって全国津々浦々まで郵便局が配置されておりますが、そうしたところで、しかも簡易保険というものは、無診査、即時払い、そして国民がだれでも簡易に利用できるサービス提供しておるわけです。このことは、もう国民生活の中において、生活の保障手段として国民の強い支持を受けておる、こういうように私は理解をしておりますので、これからもやはり現在の経営形態を堅持することが私は国民のニーズにこたえるゆえんだ、こういうように思っております。
  69. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 私も、大筋においては大臣の意見と同感でございますので、この事業国民のために維持すべきだと考えております。  二番目に、財投の問題でございますが、近年、金融自由化の進展に伴って、これまで公的金融財投などで対応してきた領域でも民間対応できるとして、あるいはまた社会経済の構造転換によって公的金融財投の役割は終わったとか縮小したとして、その廃止あるいは縮小を求める議論が方々で起こっていると思います。  ところで、その財投の見直し論議に関連して、簡保について大臣はどのように考えておられるのか、その御見解をお伺いしたいと思います。
  70. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 財投財政投融資資金につきましては、それぞれの機関で今見直しの検討が行われておると私も承っておりますが、私どもは、簡保資金は直接郵政大臣管理運用をしておるわけでございまして、財投資金運用一つということで、一つの手段としてみずからの判断で実施をいたしておるわけであります。  財政投融資につきましては、社会資本の整備など将来ともその必要性は認められる、私はこういうように考えておりますが、その資金配分に当たりましては、公的資金にふさわしい分野に限定して活用されるべきだ、こう考えております。今後、資金需要が見込まれないあるいはまた民間資金でも対応可能な分野については、スリム化を図っていきながら、対象範囲を見直していくことは当然だというように考えております。  個々の財投機関に対する融資についても、各機関事業計画資金需要、償還確実性等の観点から、常に厳しく見直していく所存であります。
  71. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 次に、二十一世紀の社会を展望したときに、高齢化社会に備えての生活基盤整備とか高度情報化社会に対応する情報通信基盤の拡充、こういうものはより重要になってきていると思いますけれども平成九年度の財投運用というものはどのような方針に基づいて作成されたのか、その御見解を伺いたいと思います。
  72. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 平成九年度の財投運用につきましては、先ほども申し上げましたが、資金需要が見込まれないあるいはまた民間資金対応が可能な分野に対しましては、思い切ってスリム化を図ってまいったところであります。  簡保資金は、全国加入者からお預かりした大事な資金であるわけでありますので、社会資本の整備を推進する分野、例えば日本道路公団、あるいはまた国民生活に密接なかかわりを持つ分野ということになると、国民金融公庫、中小企業金融公庫など、また地方公共団体等の政策的にも必要性が高い分野に対しましては、重点的に配分をしたところであります。
  73. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 どうもありがとうございました。  次に、簡易保険の問題に移りますが、まず、簡易保険の剰余金の問題であります。  この剰余金の額が年々低下しております。資料を見ますと、平成三年度は一兆一千三百五十五億円あったものが、平成五年度には八千四百三十四億円ぐらいですか、そして平成八年度にはその半分の四千五百十五億円というふうにどんどん減っておる。どんどんというか極端に減っておるようなのですけれども、こうなると、平成八年度以降の見込みは一体どうなるのだろうかという不安があると思います。  また、こういう調子でどんどん減ってくると、将来損益がマイナスとなって、加入者への配当ができなくなるのではないかというふうな不安にも駆られると思うのですけれども、そのあたりについてはどのように考えておられるのか。あるいは、こういうふうにどんどん減っていった原因は一体どういうところにあるのか。このあたりの御説明、御解説をお願いしたいと思います。
  74. 金澤薫

    金澤政府委員 御指摘のように、簡易保険の剰余金発生額は年々低下しているところでございます。  平成八年度の剰余金発生額は、前年度五千二百四十一億円と比べまして、約一割減の四千六百億円程度というものが見込まれるところでございます。これは、保有契約件数それから資金総額というものは着実に増加しているわけでございますけれども、近年の低金利の影響を受けまして、運用利回りが非常に低下しているということがその大きな原因でございます。  将来どうなるかということでございますが、将来の運用利回りを今予測するということは非常に難しいわけでございますが、運用利回り以外の要因、例えば死亡率につきましては安定的に推移している、それから経費率につきましても、効率化によりまして徐々に下がってきているというふうなことがございます。それから、平成八年四月に 予定利率を二・七五%に引き下げました。こういうことによりまして、私ども試算したところでは、平成九年度以降も剰余金は十分確保できるというふうに考えている次第でございます。
  75. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 数字だけを見ると、加入者にとうては大変不安な材料があると思いますので、どうすればいいかということの質問は特に私いたしませんけれども、今のお話ですと、将来加入者への配当ができなくなることはないというふうに聞いてよろしいのでしょうか。
  76. 金澤薫

    金澤政府委員 そのとおりでございます。
  77. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 阪神・淡路の大震災がありました。通常の民間生命保険の場合は、今回は特別だったのですけれども、約款によると地震災害の場合は支払いをする必要がないのです。簡保の場合は当然支払いが必要だと思うのですが、そのような場合、ああいうふうな大事故というか天災です、天災、地震、そういうものがあった場合の簡保経営というのはどういうふうに影響を受けるのだろうかという問題です。  まず、阪神・淡路の場合の一時引き出しというものはどのくらいあったのだろうかという問題、それから、こういう場合のリスクヘッジということについてはどのようにお考えなのだろうか、この点についてお答え願いたいと思います。
  78. 金澤薫

    金澤政府委員 阪神・淡路大震災でございますけれども平成七年末で死者・行方不明者が六千三百十人、消防庁の発表でございますが、非常に大きな災害でございました。それで、簡易保険の支払い額でございますが、死亡保険金が約百七十一億円、それから特約保険金が約四億円、総額で約百七十五億円ということでございます。  簡易保険では、将来の保険金の支払いに備えまして責任準備金というものを積み立てておりますが、現在は八十五兆円ございます。したがいまして、阪神・淡路大震災程度の災害があったとしても十分対応できるというふうに考えている次第でございます。しかしながら、健全経営ということは私どもに要請されていることでございますので、通常の予測を超えるリスクが発生したらということも念頭に置かなければいけませんので、平成九年度決算から危険準備金というものを積み立ててまいりたいというふうに考えております。危険準備金というのは、実際の保険事故の発生率が通常の予測を超えることによりまして発生する危険でございまして、保険リスクが大きなものでございますが、この災害のような、通常の予測を超える死亡者が出た場合に備えて危険準備金というものを積み立ててまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  79. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 ただいまの危険準備金というのは、大体どのぐらいの額を準備あるいは予定しておられるのでしょうか。
  80. 金澤薫

    金澤政府委員 具体的な額につきましては、現在検討中でございます。
  81. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 それでは次に移りますが、長寿福祉社会の実現に向けて、簡易保険として、商品サービス面でこれまでいろいろな取り組みを行ってこられたと思います。その概要といいますか、全部言えば大変なことになると思いますので、長寿福祉社会向けにつくられた特徴のある商品あるいはサービス面の取り組み状況、そして、今まではどういうふうにしてきたかということについて伺いたいと思います。
  82. 金澤薫

    金澤政府委員 これまででございますが、まず、商品につきましては、平成三年に保険、年金一体型の終身年金保険付終身保険というものを新設いたしました。また、夫婦年金保険付夫婦保険というものも新設いたしました。平成五年四月には、病気やけが等の保障ニーズの多様化、増大にこたえますために、特約制度を改善して、特約の保障を改善したということがございます。それから、平成七年四月に、要介護状態になった場合に年金を割り増しして支払います介護割増年金付終身年金保険というふうなものを新設したということでございます。  また、サービスでございますけれども平成三年四月に、寝たきりの独居老人等に対する年金の居宅払いというものを開始したところでございます。また、平成七年三月からは、高齢契約者に対しまして、契約内容を忘れていらっしゃることが非常に多いということから、情報提供を開始したというところでございます。  以上でございます。
  83. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 それでは、今、商品あるいは福祉サービスについても御説明があったと思うのですが、平成九年度において最も力を入れて取り組もうとしておられるケアタウン構想というものがあるようですが、その概要について御説明を願いたいと存じます。
  84. 金澤薫

    金澤政府委員 簡易保険では、平成九年度、御指摘がございましたようなケアタウン構想というものに積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。  ケアタウン構想というのは、具体的には何をやるかということでございますが、ホームヘルパー養成研修三級課程というものがございますが、そういう三級課程をお受けになる方がございますれば、その費用を助成していきたいというふうに考えております。それから、車いすとか特殊寝台などの体験実習を行うために必要となります機器、これをお借りになります場合には、その借料を助成してまいりたいというふうに考えております。それから、医療施設、公的福祉施設等の施設名、所在地等に関する情報提供してまいりたいというふうに考えております。それから、外務職員による、六十五歳以上の独居老人に対する健康情報誌の提供というふうなものも考えているところでございます。もちろんこれは郵政省が独自で行うということではなくて、地公体と御相談申し上げながら、施策として推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。  実施地域につきましては、先般五月二十六日に千葉県の岬町とか神奈川県の逗子市など五土地域を選定し、公表したところでございます。実施は十月一日以降というふうに考えておりまして、現在、先ほど申し上げましたように、市町村と具体的内容を鋭意詰めているという状況にございます。  また、ケアタウン実施地域のうち、群馬県館林市におきましては、カーナビゲーションの原理を応用いたしまして、行方不明になりました高齢者の位置を探索いたしますシルバー・ナビ探索システムというものをここで実施しようというふうに考えておりまして、NTTデータ通信それから館林市等々とあわせて御協力しながら実施してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  85. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 ちょっと前にさかのぼりますけれども加入者福祉施設の設置、運営という問題でさまざまな福祉サービスを実施しておられるようですけれども、現在行っておられる福祉サービスというかその概要については、先ほどもちょっと触れられましたけれども、この施設の設置、運営について改めて聞きたいと思いますが、いかがでしょうか。
  86. 金澤薫

    金澤政府委員 簡易保険事業では、創業当時から加入者の健康の維持増進、それから、心身の保養を図るために、保険給付事業と並びまして加入者福祉事業というものを実施しているところでございます。  この加入者福祉事業でございますが、従来は、保養センターとか総合健診センター等の設置、運営を中心に実施してきたところでございますけれども、近年、高齢化問題への関心も高まりましたので、さまざまな高齢者に対する対応施策を実施しているところでございます。  具体的には、平成三年に介護機能つきの終身利用型加入者ホーム、カーサ・デ・かんぽ浦安というものを設置いたしました。それから、平成四年にカーサ・デ・かんぽ浦安を基地といたしまして、巡回入浴サービスを実施しております。それから、平成五年にはかんぽ健康増進支援事業という新たな事業を起こしまして、健康づくり事業、成人病等予防事業、介護支援事業というふうなものを実施しているところでございます。また、平成 七年には、かんぽ健康電話相談サービスとか、医療、介護関連情報提供サービスも実施しているところでございます。それから、平成八年には千葉県の旭保養センターでの要介護高齢者に対応した客室、浴室の設置に着手してまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  87. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 具体的な法案関係についての質問に移りますけれども、先ほどの新進党からの御質問と重複する部分もあると思いますが、簡単で結構ですけれども、順次お伺いしたいと思います。  まず、債券貸借取引市場規模はどのくらいかということで、簡保貸借の実績はどの程度であるかという問題についてお伺いしたいと思います。まずそれだけお願いします。
  88. 金澤薫

    金澤政府委員 債券の貸借取引というのは相対取引でございますために、市場規模に関する正確な統計はないわけでございますけれども、日本証券業協会が発表いたしました平成八年十月の月間取引高を見てみますと、先ほど申し上げましたが、約百六十三兆円というふうになっております。月末残高は二十四兆九千億ということでございまして、その後も順調に推移しているということでございます。
  89. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 これは、今のは全体ですよね。それで、簡保の貸借実績はどの程度ですか。
  90. 金澤薫

    金澤政府委員 過去三年間の貸し債の実績と収益でございますが、平成五年度は、実績が約十三兆二千億円で収益が二十億円上がっております。平成六年度は、実績が約四兆三千億円で収益が約十六億円ということでございます。平成七年度は、実績が約二兆円で収益が約二億円ということでございます。
  91. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 ちょっと聞き漏らしたかもしれませんが、平成五年度は十三兆、それで平成六年度が四兆、平成七年度が二兆というふうに、これは極端に下がっているわけですか。これはどういうわけでしょう。
  92. 金澤薫

    金澤政府委員 これは不祥事があったということなんでございますが、平成七年二月末、御記憶にあることかと思いますが、ベアリングズ証券の破綻事件が起きました。簡保は同年四月から八月まで貸し債取引を停止していたということがございます。
  93. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 さきの質問に関連するのですけれども平成五年に十三兆もの取引をやっておられて、今たしか二兆円ぐらいというのですが、十三兆の取引をおやりになる能力がおありになるのであれば、何も今さら、今この時期に信託銀行に、事務が煩瑣であるからお願いするというふうなことをしなくていいのではないかという疑問がちょっとここの場で浮かんだのですけれども、それはどういうことでしょうか。二兆円ぐらいの取引事務が煩瑣でかなわない、持っている国債が六兆円ぐらいあるのにそれを全部運用できなくてことしは現在の取引額が六千億ぐらいだ、そういう規模であるので煩瑣で仕方がないので信託銀行にお願いするのだというふうなことがどうも御趣旨のようなんですけれども、私、今初めて聞いたのですが、過去に十三兆もの取引をやっておられる実績があるならば、そんなことしなくていいのじゃないかというふうに素朴に思うのですけれども、それはいかがなものでしょうか。
  94. 金澤薫

    金澤政府委員 貸し債運用の実績に増減があるということは御承知のとおりでございますけれども、私ども、どの程度市場運用していくかというふうなことを考えます場合に、全体でどういう規模で運用されているかということが非常に重要でございます。  そういう意味で、当然年度ごとの増減はあるわけでございますけれども、自己取引、自分で運用する場合以外に、有価証券信託により、より多様な運用をしていきたいというふうに考えている次第でございます。それによりまして、職員にかかっております負荷もより軽くなるというふうに考えている次第でございます。
  95. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 簡保保有している、有価証券信託を行うことが可能な国債の額はどれくらいか、そして有価証券信託を予定している額はそのうちどのくらいか。先ほども御質問のあったことの重複ですけれども、もう一度お願いしたいと思います。
  96. 金澤薫

    金澤政府委員 平成七年度末におきます簡保国債保有残高は六兆八千七百三十九億でございます。  この保有国債の中からどの程度有価証券信託により運用していくかということでございますけれども、これは、一挙に放出いたしますと貸し債市場へ非常に大きな影響を与えてしまうということから、先ほども申し上げましたように、段階的に実施していきたいというふうに考えている次第でございます。
  97. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 今、信託銀行は非常に不評といいますか、どこかのランクづけの調査によっても、中央信託あるいは安田信託、あるいはもう一つ、ちょっとど忘れしましたけれども、ワーストファイブに入っているぐらい非常に評判の悪いのが信託銀行でありますが、今なぜ信託銀行か。そこにお願いをして、あるいはそこに委託をして債券の貸借をするということが、保険加入者にとうて非常に、どうしてこういうことを今さらやるんだろうかという不安を覚えるような感じがするのです。  そういうことで、この信託銀行債券の貸付先、この貸付先についても、今銀行あるいは金融機関がいつつぶれるかわからないという状態が非常に続いているのですけれども、その場合に、条文にある契約書について、貸付先を限定するようなことが果たしてできるのか。あるいは、その危険防止策はどうなっているのだろうかという点。  特に、信託銀行については、先ほど説明がありましたけれども、貸付先が倒産したような場合は、一体この関係はどうなるのだろうかという点について、時間がありませんが、その点についてだけお伺いしたいと同時に、もう一つ、過去にどれくらいのこういう貸付先が倒産したりして焦げついたことがあるのかどうか、その点についても一言お願いしたいと思います。
  98. 金澤薫

    金澤政府委員 焦げついた事例はございません。  それから、貸付先の信用リスクの問題でございますけれども、貸付先の信用リスクは、もちろんさまざまな判断材料、例えば財務状況とか、部外評価機関評価等々を参考にいたしまして、信用度の高いものとしか取引はやらないわけでございますけれども、それを信託会社との契約の中にも入れ込むわけでございますが、ただ、もっと安全を確保したいということがありますと、担保をとるという制度がございます。例えば質権設定をするとか現金担保をとるとかということでございまして、信用状況こ応じまして担保をとってまいりますので、信用リスクの問題はないというふうに考えているところでございます。
  99. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 終わります。
  100. 木村義雄

    木村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十分休憩      ————◇—————     午後一時四分開議
  101. 木村義雄

    木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。矢島恒夫君。
  102. 矢島恒夫

    矢島委員 私、まず最初に法案についてですが、この債券貸借市場といういわゆる貸し債市場ですか、金融自由化の中で一九八九年から債券のショートセール、いわゆる空売りが解禁されたことによって、簡保も翌年の九〇年から法改正を受けて貸し付け運用を開始したわけです。この法改正のときに郵政省は、二百億円運用して一億円の運用益、こういうことを説明していたと思います。  最近の数字で、先ほど局長も答弁の中で言われておりましたけれども平成七年、九五年度で約二兆円運用して二億円の収入である。当初の状況 と大分著しい開きが出てきている。特に、先ほどの局長の答弁の中で、平成五年、九三年度というのは約十三兆二千五百億円、それから平成六年が四兆二千七百億円、それぞれの運用収入というものが二十億円、約十五億五千万円、こういうお話がございました。平成五年と平成六年、先ほども出ておりましたけれども、大変違いが大きいわけですね。運用実績それから運用収入、それぞれほかの年度と比べて大分違いがあるわけです。単純に低金利の時代とかそういう問題では説明できないわけですが、私の聞きたいのは、先ほどの運用実績の方ではなくて、これはお答えいただいておりますので、運用収入の方で、平成五年で二十億、平成六年十五億五千万、ところが平成七年が二億、前にさかのぼりますと平成四年が四億六千万、乱高下しているわけなんですね。なぜこういうことが起きるのか、御説明いただきたい。
  103. 金澤薫

    金澤政府委員 先ほど御指摘ございましたように、平成五年度には十三兆円の直接貸し付けの実績があったということでございます。この当時は長期的な債券貸し付けを無担保で効率的に行っていたということがございます。しかし、その後平成七年のベアリングズ証券の破綻を契機といたしまして、債券貸し付けリスクが顕在化したということもございます。それから、金融自由化の進展の中で、金融機関信用リスクが非常に高まってきたということもございます。さらに、国債の決済期間が非常に短期化してまいりまして、債券借り入れニーズの短期化が進んでいるということでございます。この債券貸し付けに際しましては、短期的な取引に対しまして、その都度貸付先の信用リスクを調査したり、取引限度額を設けるとか、それから信用リスクが高いと考えられるところからは担保をとるとか、リスク管理に万全の注意を払わなければならなくなってきたということがございます。  もともと非常に事務手続としては煩瑣だったわけですが、このような諸事情が加わりましてますます難しくなってきたということもございまして、取引額が急減してきたということがございます。さらに、今後は効率性の向上のために、効率性というのは、債券市場にどの程度債券を投入していくかという問題と、債券の回転率といいますか稼働率をいかに上げていくかという問題と両方あるわけでございますが、それぞれ専門家のノウハウを活用することが適当であるということもございまして、信託銀行に委託することを考えたところでございます。
  104. 矢島恒夫

    矢島委員 いろいろ理由を言われましたけれども金融機関リスクの高まりというのもありました。私、非常に不安定な市場であるということがこの間の運用実績と運用収入とにあらわれていると思うのです。そういう意味からしますと、まさにこの市場は、巷間言われておりますとおり、日本版レポ市場というような状況だという指摘もあるわけです。アメリカではこのレポ市場に対して、財務省やあるいはFRBあるいはSEC、証券取引委員会ですね、それとか商品先物取引委員会、CFTCですか、あるいはニューヨーク連邦銀行等が市場監視のワーキンググループを構成している。このレポ市場を含む国債市場というものを非常に厳しく監視していると聞いております。  この日本版レポ市場簡保保有国債を、先ほどの局長の答弁ですと、段階的ではありますけれども最終的には短期国債を除いて九〇%まで拡大する方向だという答弁がありました。現在は一割程度ですから、九倍の運用額になるわけです。しかし、この運用収入で見ますと、簡保全体の運用益から見ればほんのわずかなものだ。私、計算してみたわけですが、九五年度でいえば、簡保全体の運用益に対して〇・〇〇五%にすぎないということ、これが九倍になったとしても、単純に、だから九倍に運用収入もふえるというわけではありませんけれども、単純計算でいったとしても、〇・〇四五%という極めてわずかなものにしかならない。  法改正の結果として、この債券貸借市場、日本版レポ市場とも言われているこの市場簡保保有国債を大量に出していくことになるわけです。運用収入の拡大というこの法改正の目的、あるいはまた、煩雑な事務手続等の簡素化等言われておりますけれども、私は、この債券貸借市場の育成というのがこの法案の目的ではないかと思うのですが、そのあたりはどうお考えですか。
  105. 金澤薫

    金澤政府委員 簡易保険につきましては、剰余金はすべて配当金という形で加入者に還元されるわけでございます。したがいまして、いかにして剰余金の額をふやすかということがポイントでございまして、そのためには運用利回りを上げていく必要があるということでございます。国債を単に保有していただけでは利益を生まないわけでございまして、国債債券市場に投入いたしまして貸借料を取ることによって運用利回りを上げたい、それによりまして加入者還元を果たしたいというのが基本的な目的でございます。
  106. 矢島恒夫

    矢島委員 この法改正を行ったときの議事録を見ますと、当時、やはりいろいろな目的を言ってはおられましたけれども、たしか、郵政省として、平成二年六月十四日の逓信委員会ですけれども、やはり債券貸借市場の育成ということが言われているわけです。確かに、配当をふやすためのいろいろな手だて、運用ということをお考えだと思いますが、実際、先ほど私が申しましたように、簡保全体の運用益から考えてみたら極めて微々たるものだということが指摘できると思うのです。ですから、なぜここに入っていくのかということについては、その法律をつくった平成二年の逓信委員会でもそういう一つ方向というものが出されているわけで、引き続きそのことが今度の法改正の一つの目的であるなというように私は判断したわけです。  郵政省は、この市場での運用を、信託銀行を通じて貸す、そして、先ほど来、午前中の質疑でも、安全だということを強調をされておりました。しかし、簡保積立金運用法の第一条というのは、この積立金運用というのは、「確実で有利な方法により、」もう一つ、「公共の利益になるように」運用するんだということが書かれていると思うのです。だから、自分のところの国債が安全であればいいというだけではないというのがその精神だと思います。  まさにアメリカでは、レポ市場というのは急速に拡大しておりますが、同時に、危険なものとして政府などが厳重に監視している。我が国にはそういう体制はございません。こういう市場に大量の簡保保有国債貸し付けることが果たして公共の利益になるのかというところが大きな問題だろうと思うのです。  銀行などの民間金融機関が、自分の持っていない債券を空売りする、そういう市場をどんどん大きくする、それに簡保資金がどんどん使われる、そして、現在の九倍も投入していこうという方向にあるわけです。これで民間金融機関資金運用とどこが違うのか、民営化してもいいのではないかなんという声まで聞かれるようなこと、そういうことになりかねないわけです。  そこで、大臣にお聞きするわけですが、簡保資金運用に当たっては、安全、確実とともに、公共の利益、こういうことが重要だとされている。民間機関投資家などと言われるいわゆる大銀行や証券会社、今、野村証券第一勧銀の問題で反社会的行為、こういうものが問題になっておりますが、簡保資金運用というのはそれとは違うのだ、こういうことを鮮明にしていく必要があると思う。大臣、この点についていかがお考えか。
  107. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 簡保資金は、保険金等の支払いに備えまして積み立てられた加入者の共同準備財産でございます。したがって、この簡易生命保険積立金運用に関しましては、法律に基づきまして、確実、有利、公共の利益を三原則として運用を行っているところであります。一方、民間生命保険等については、営利企業でありますから、有利運用を中心として運用なされておるわけであります。  簡保資金は、そうした意味で、国の事業を通じて全国加入者から集められた大事な資金である わけでありますので、国会等で審議あるいは御承認いただいている財政投融資計画に基づく財投運用のほかに、国債、政府保証債、地方債等に対する運用が大半を占めておるわけでございます。一方、民間生命保険会社の方は、企業貸し付けや、あるいは、株式、不動産等への運用が中心となつております。  そういう意味で、簡保資金民間資金との違いというものは、そこでおのずと、運用そのものにおいてもはっきりその使命というものが位置づけられておると考えております。
  108. 矢島恒夫

    矢島委員 大臣も申されましたように、国民から預かっている簡保資金運用です。そういう意味では、本当に公共の利益という点を重視してやっていただきたいと思います。  そういう中で、三月二十五日の参議院逓信委員会での局長の答弁ですが、その一部ですので、局長も、前後をやればそういう気持ちではないかと思いますけれども、「いかなる手段を用いてもその運用利回りを上げていく」、このいなかる手段ということがどういうことかというので、それでいいのかということを指摘しておいて、次に、その簡保への勧誘の問題でお聞きしたいと思います。  簡易保険事業についてお聞きします。  郵政事業については、大臣も、午前中の答弁で、民営化の問題ということに対していろいろとお答えがありましたが、今、非常に重要な時期を迎えていると思います。こういうときこそ、事業の公共性、そして、国営・非営利、こういう事業として国民に零細で簡易な保険提供する、こういうことによって信頼を広げていくということが求められていると思うのです。  ところが、大変残念な事件が愛知県で起きている。  浜松郵便局保険課長、前の職場は名古屋の瑞穂郵便局保険課長が収賄容疑で愛知県警捜査二課に逮捕された。報道によりますと、この課長は、簡保の団体割引制度を悪用して、個人加入で扱うべき加入者を、あの地域の青色申告会ですが、昭和青色申告会、そこの団体加入扱いにして、この団体に手数料が集まるように便宜を図った、その見返りとして百数十万円のわいろを受け取った、こういう容疑だと思います。  この事件について、具体的な事実関係、それから郵政省の受けとめ方について聞きたいのですが、まず、昭和青色申告会の団体加入とすべきでなかった件数はわかるのか、あるいは意図的にこの団体保険に加入を勧誘した件数はどれくらいあったのか、こうした不正はどれくらいの期間やられていたのか、このことについてお答えいただきたいと思います。
  109. 金澤薫

    金澤政府委員 このような事件が発生したことにつきましては、まことに遺憾に思っております。  今お尋ねの点でございますけれども平成六年、七年、八年度の青色申告会の団体払い込みの件数がわかっておりますので、まずそれをお示ししたいと思いますけれども、瑞穂局の昭和青色申告会の団体払い込みの契約件数は、平成六年度五百十二件、平成七年度千八十一件、平成八年度千三百四件というふうになっております。  それから、団体加入とすべきでない者を加入させたかどうかという問題、それから、会員外を勧誘したようであるがその件数はどの程度かというふうな問題につきましては、本件につきましては、現在愛知県警によりまして捜査中でございまして、郵政省としては、本件についての事実関係を把握していないという状況にございます。
  110. 矢島恒夫

    矢島委員 そういうことで、細かいことは現在把握していらっしゃらないようですけれども、たしかこの課長が瑞穂郵便局に在任していた期間というのは、平成六、七、八年、今局長が答弁された五百十二、千八十、千三百幾つ、こういう期間だろうと思うのです。  非常に数字からいえばふえているけれども、私がお尋ねしたことがわからないということですから、その中で、実際には青色申告会に入っていないサラリーマンが団体加入で入るというのが何件あるかということについては、今のところわからないということだと思うのです。  しかし、どう見ましても、長期にわたってこういう不正があった、二年なり三年なりあったのだろうと思うのです。しかし発覚しなかった。このことが非常に重大な問題だと思うのです、中身はわからなくて結構ですが。わいろを受け取っていたかどうか、これはわからないかもしれません。本人が認めない限り、あるいは周りに言いふらさない限りはわからないと思います。しかし、団体保険に個人加入者を入れてしまう、こういうことが長期にわたって発覚しなかった。郵政省、このことをどう考えていらっしゃいますか。
  111. 結城淳一

    ○結城説明員 本件につきましては、平成八年の十月から平成九年一月にかけまして、先生指摘の前瑞穂局久保保険課長に関する匿名の投書等もございました。東海郵政監察局においては、投書内容を踏まえまして、本人及び関係者について調査をいたしました。供応でございますとか金銭を受けたといった犯罪に絡むようなものはなかった、認められなかったということでございます。
  112. 矢島恒夫

    矢島委員 いや、私のお聞きしているのはそういうことじゃないのですけれども、後でまた聞きましょう。  捜査中だということで、郵政省としてのいわゆる自浄努力、みずから、悪いことをした、これを明らかにする勇気、これが必要だと思うのですよ。  今、民営化問題が重要な時期を迎えております。簡保事業の存立さえ危うくするようなものだと私は考えるのです。というのは、地元のマスコミが一斉にこれを取り上げておりますが、その中には多くのマスコミが民営化論議と絡めた報道をしているわけですよね。だから、捜査当局任せというわけにはいかないのだ、たとえ郵政省として表に出ては都合が悪い、こういうふうに思えることでも明らかにして自浄能力を発揮をするということは、後になって重大な事実が明らかになるよりはよっぽどましたと私は思うのです。  この事件で大変気になることがあるのです。その一つは、保険課長単独ではこんな不正はできないということは、常識的に見ても、また皆さん方が考えてもそのとおりだと思うのです。既に報道の中にも、この課長が部下にやり方を指示し、保険課の課ぐるみで昭和青色申告会の団体保険への加入を勧誘した、こういう報道もあるのです。今犯罪の事実はなかったということを、結城さんですか、お答えになりましたけれども、こういうことは課長一人で秘密裏にやれることではない。  団体保険については以前からいろいろな問題がありました。私もここで取り上げたことがあります。郵政省としても、母体団体の適正化、こういうものに取り組んできたはずです。団体加入にすれば保険料が割引になる、実体のない団体をでっち上げた、そして加入させる、こういうことまで起きたわけですね、過去に。この是正というのは郵政省も力を入れてきたはずだと思うのです。ですから、保険関係の全職員にこれは徹底されているはずだと思うのです。  逮捕された課長がわいろを受け取っていた、報道では自分で要求した、こういう報道もあります。しかし、そういうことは多くの職員は知らなかっただろうと思うのです。大っぴらに部下にわかるように、わいろを要求したよなんてことを言うわけはありませんから。私は、そのことを問題にしているのじゃないのです。問題は、日常の業務として団体保険として扱ってはいけないことを、これを団体保険にしてしまっていた、昭和青色申告会の団体保険に普通の会社員も加入していました、それも一人や二人ではないということは事実だろうと思います。青色申告会という、もちろんこれは自営業者の納税のための一つの団体であります。この自営業者の団体保険関係のないサラリーマンを加入させるなんてことは、これは業務上やってはならないこと、こういうことは保険の外務員であれば常識の部類であると思います。ところが、この瑞穂局では、職員が本来やってはならないことを課長の指示でやっていた、課長の不正な指示を、おかしいとも言えずに従ってしまった。ここのところが非常に問題だと私は考えているのです。  これはとても重要な問題だと思うのです。つまり、現場での自浄能力がなくなっていたということです。収賄事件にまで発展してしまった。そして、過去の収賄事件と比較しても、この点では大変特異なものだということが言えます。ですから、これから教訓とすべきことは何かということをきちんと踏まえる必要があるし、なぜ課ぐるみでこういうことが起きたか、現場に自浄能力が欠如してしまっているのじゃないか、この点について局長のお考えをお聞きしたい。
  113. 金澤薫

    金澤政府委員 簡易保険の団体に関する取り扱いについて、今回のような不適正な取り扱いはあってはならないことだというふうに考えております。事実関係を解明し、事実が確認された時点で厳正に対処してまいる所存でございます。  ただ、現在愛知県警が捜査中の案件でございますので、その推移を見守ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  114. 矢島恒夫

    矢島委員 先ほど結城首席監察官の方からの答弁がありました。内部告発があった、それで郵政監察が捜査した、逮捕された課長本人からは二度事情聴取をしている、にもかかわらず保険に関しては犯罪に当たる事実はなかったという結論になったという先ほどの答弁です。  そして、この保険課長については、保険課職員であるにもかかわらず、切手の方のこと、つまり不自然な形で切手を不適切に取り扱ったことがわかり、この件で始末書をとった、こういうことが報道されていますが、これが事実なのかどうか。それから、この監察の捜査で、先ほど犯罪になる事実はなかったというけれども、その後、青色申告会への団体保険の加入の問題は明らかにならなかったのかどうか。
  115. 結城淳一

    ○結城説明員 私どもの調査の過程の中で、犯罪に絡むような事実は認められませんでしたが、保険の周知物品である切手につきまして、その取り扱いに不適切な行為がございましたので、先ほど御指摘ありましたように、本人から始末書を徴取した次第でございます。  それからもう一点の、払い込み団体の組成の問題、構成員への勧誘の問題等につきましては、今回の申告または投書の中にはこの点が触れられておりませんで、私どもの方としてま、この点は調査をしておりません。  以上でございます。
  116. 矢島恒夫

    矢島委員 団体保険に加入させることが問題であるようなことが行われておれば、こんなことはすぐわかるわけです。わいろのことはわからなくたって、もしそこで気がつけば、調べればすぐわかることです。投書になかったからそのことまで気がつかなかったということですけれども、実際に報道の一部には、郵政監察がこの問題を隠したのじゃないかなどというのがありますけれども、今の答弁で、気がっかなかったということだと思います。  この事件の教訓をどうするか、大変重要なことだと思うのです。私は表面的な成績主義の横行というのがこの事件の背景にあるのではないかということを感じるわけです。現場で課長が不正な業務指示をしたわけですよ。しかし、その課の人たちはそれを正すことができなかった。本省の方針に反して個人加入者を団体加入者にしてしまう、こういうことが長期間、しかも課ぐるみで行われていながら、是正することができなかった。そこには、課長の言うことに対して、これに物を言うことができないという雰囲気があるのではないかということ。個人加入を団体加入にしてしまえば、先ほど言いましたように、保険料は割引になるから契約がとりやすくなる。目標達成というこの大命題のためには少々不正なことをしても仕方がない。そういうことをしなければ目標は達成できない、こういう意識があったのではないか。こういう成績主義をやめること。この際、徹底的にメスを入れてほしいということ。  それから、局長及び大臣に最後にお尋ねしておきますが、この事件の報道の中には、愛知県警の捜査二課はこういうことを言ったということが報道されている。「事件の背景に、郵政事業民営化をにらんで保険料集金などの事務合理化を図りたい郵便局側と、収益維持を目指した青色申告会側の思惑があったとみている。」とか、あるいは「団体取り扱い加入者を増やすことは、民間保険との競争力の強化を目指す郵便局全体の考えとも一致したとみられる」と、朝日などが報道しております。  この際、きちんと、この簡易保険事業はそんなことは目指していないのだということを、とにかくどんなことをやっても契約をふやせばいいのだということとこの簡保事業が目指す公共的役割とは違うということをはっきりさせていただきたい。最後に、ぜひ局長と大臣のお考えと決意をお聞かせください。
  117. 金澤薫

    金澤政府委員 少子・高齢化が今現在急速に進展している中、簡易で基礎的な生活保障手段である簡易保険の役割は今後ともますます高まってまいるというふうに判断しているところでございます。このため、簡易保険は、品位と節度を保ち、職員一人一人がお客様第一主義に徹し、広く国民に質の高いサービス提供していく必要があるというふうに考えているところでございます。  このような考え方に基づきまして、今後とも営業につきましては、その適正な営業を推進するよう図ってまいる所存でございます。
  118. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 本件のような事件はあってはならないことでございます。この件については厳正に対処する方針でございます。  今後とも、国民に信頼される簡易保険事業となりますように一層の努力をしてまいりたいと存じます。
  119. 矢島恒夫

    矢島委員 終わります。
  120. 木村義雄

    木村委員長 小坂憲次君。
  121. 小坂憲次

    ○小坂委員 私は太陽党の小坂憲次でございます。  本日の議題であります簡易生命保険積立金運用に関する今回の法改正の趣旨といいますか一番のポイントは、この信託運用に回される債券が、いわゆる債券市場にどのような影響を与えていくのか、そして基本的な考え方であります加入者の利益増進のために真に役立つ方法なのか、そしてまたその意味からすると、確実な運用そして有利な運用を期待されているこの法改正が、そのとおりになっていくのかどうか、こういうことを検証していくことが今回の審議の役割だと思っているわけであります。  そういう点からしまして、まず最初に、今も若干のお答えがありました、簡易保険というのは簡易で基礎的なものである、その簡易という部分、これをもう少し具体的こ、なぜ簡易という名前がついたのか、要するに診査が簡単なのか、どういうことなのか、まずこれをお答えいただけますか。
  122. 金澤薫

    金澤政府委員 簡易保険の簡易という意味合いでございますが、これは無診査ということが一つございます。それから、限度額が一千万までに制限されているということがございます。それから、即時払いということでございまして、請求がございますと、民間と異なりましてすぐお支払いするということがございます。そういう点を合わせて簡易というふうに称しているわけでございます。
  123. 小坂憲次

    ○小坂委員 ありがとうございました。  そういった性格のものであって、民間生命保険よりは非常に加入しやすく、だれもがそういった保険の、みずからその保険に加入しやすい環境のもとで生活の安定を図っていく、そういうことを国家として支援をするのを目的として設立されたものだと思うのですね。したがって、民営の保険を圧迫するようなことを目的としたものではないし、まだそういう意味で、広く国民に加入をしてもらう結果、その運用に当たっては、公共的な利益に資するような運用をしていかなければいけないし、またその確実性も要求されるということ であります。  もう今までにも大分お答えはあったと思いますが、今回の信託運用に回す債券の規模と種類、それから今回の改正によって、いわゆる最近非常に活発化しております国債レポマーケットと言われる、現金担保つき債券貸し付け、貸借取引とでも訳したらいいのでしょうか、この運用に回していくに当たって、今回の法改正の理由に、事務が煩瑣で低い稼働率となっている、こうありました。  この事務が煩瑣でというのは、一体、具体的にはどのような煩瑣な事務があるのか、そしてそれを解消するためにはこういった信託が一番いいのか、そういう点をさらに明らかにしたいと思うわけでありまして、規模と種類並びに市場に与える影響、こういうものも踏まえてお答えをいただきたいと思います。
  124. 金澤薫

    金澤政府委員 まず債券の種類でございますが、現在債券貸借市場取引されております貸付債券は、そのほとんどが国債でございます。制度上は地方債もできますし、金融債、外債、それから特殊法人の債券というふうなものも対象にはなっておりますが、市場は実際は国債がほとんどでございます。したがいまして、簡保としても有価証券信託運用国債を中心にして行いたいというふうに考えております。平成七年度末現在でございますが、簡保は、保有国債が約七兆円ございます。  有価証券信託を行う国債の規模でございますが、これは一挙に行うと市場の混乱要因になりかねないというふうなこともございまして、市場への影響を見きわめながら段階的に実施していきたいというふうに考えているところでございます。  それから、さまざまな事務処理手続が煩雑だということで、一つの理由としてこういう制度を導入しようとしているわけでございますが、実際は、貸し付ける相手の信用リスク評価していくということが非常に難しくなっておりますし、それから、信用リスクに基づきましては担保もとらなきゃいかぬということでございまして、質権設定の一連の手続もあるというふうなことでございます。  そういうふうなさまざまな手続がございまして、事務処理にかなりの要員を要するということでございまして、有価証券信託により信託会社にこの業務を行っていただきたいというのが今回の改正の趣旨でございます。
  125. 小坂憲次

    ○小坂委員 今規模について伺ったんですが、平成七年度国債保有高が約七兆円とおっしゃいました。統計資料によりますと六兆八千億円をお持ちだ、保有しているということでありますが、平成七年まそのうちの一兆九千七百億円ほどを貸し付けのマーケットに運用した、こういうことになっておりますが、今回の改正でその規模は一体どのくらいになるんですか。今どのくらい使ったということも全然お答えありませんでしたが、この一兆九千七百億をどのくらい拡大していく目標があるんですか、段階的にとおっしゃっても。
  126. 金澤薫

    金澤政府委員 最終的には、短期の保有国債を除きまして、すべてを貸し債市場に導入してまいりたいというふうに考えているところでございます。  ただ、この額につきましては、どの程度債券市場に投入するかという話と同時に、それをどのような回転率で稼働させていくか、両面がきいてまいります。今のところ市場の様子を見ながらやってまいりたいということでございまして、現時点で確定した数値を申し上げることができないということでございます。
  127. 小坂憲次

    ○小坂委員 大臣に伺いますが、大臣としては、こういうものはうんと拡大した方がよろしいとお考えでしょうか、それともその市場規模を生み出すのはどのくらい、この辺はやはり最終的な判断は大臣がなさるんだと思うんですが、この点について大臣の御見解を伺いたいと思います。
  128. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 もう先生も御案内のとおり、国民からお預かりいたしました資金については、法律による運用の三原則に従って有利な運用をいたすわけでありますが、その中で有価証券信託運用国債を中心として今まで行っておるわけでございます。先ほど局長が答弁申しましたように、現在国債を約七兆円持っておりますが、有価証券信託を行うことによって幾分なり有利な運営をしていくということを考えますときに、市場動向を見きわめながらこれは段階的に行っていくべきだ、こう思っておりますので、現在、どの辺までやればいいかという数量的なものについては今の段階で申し上げる段階ではない、こう思っております。
  129. 小坂憲次

    ○小坂委員 これ以上聞いても数字は出てきそうもありませんので、次の質問に行きたいと思います。  こうやって運用していくには、やはり公共の利益に資するということを先ほども言われました。新たな運用方式を導入するわけですが、これも含めてこの運用にかかわる情報公開というものがしつかりされないと、やはりマーケットに与える影響も大きく、また混乱も招きかねない、こう思うわけであります。この情報公開をどのようにしていくのか、この点についてお答えをいただき、なおかつ信託先の選定基準、どういうような基準で行われ、また、大体何社ぐらいにこの運用を任せるつもりなのか、お答えをいただきます。
  130. 金澤薫

    金澤政府委員 情報公開の話でございますが、私ども簡保ディスクロージャーにつきましては、事業の現況を国民に理解いただく上で非常に重要なものというふうに認識しております。これは先生おっしゃるとおりでございます。それで、現在は冊子とかインターネットとかさまざまな媒体を利用いたしましてディスクロージャーをやっているという実態がございます。  開示項目をどうするかということが非常に重要になってくるわけでございますが、現在、もちろん制度の相違がございますから、簡保不動産投資もできませんし株式投資もできないというふうな制度の相違を差っ引きまして民保簡保開示項目を比較したところ、民保開示項目として挙げておりまして簡保が開示していない項目が全部で八項目ございます。今後平成八年度の決算に向けまして、私どもとしてはその八項目をすべて開示するというふうに考えております。これによりまして、民保開示項目と私ども開示項目はすべて同じになるということでございます。ディスクロージャーというのは非常に重要でございますから、なお一層努力してまいりたいというふうに考えているところでございます。  それから信託先の選定をどう考えるかということでございますが、有価証券信託取引の相手方となる信託銀行につきましては、まず、信用度の高い信託銀行を厳選する必要がございます。信用度の判断をどういう基準で行うかということでございますが、これは、財務状況経営基盤、部外評価機関、これはムーディーズとかS&Pとかございますが、その公表格付というふうなものを参考にしながら信託銀行の選定に当たっていきたいというふうに思っているところでございます。  市場で現在有価証券信託を行っている信託銀行は、平成七年度末で三十一社ございます。私どもはこの中から選定していくわけでございますが、現時点では信託先が何社になるかということは未定でございます。
  131. 小坂憲次

    ○小坂委員 これはリスクを分散するという点からすれば、ある程度数を増した方がいいんでしょうけれども、しかし、そう確実なところがたくさんあるとも思えない。今のところ三十一社中幾つかはお答えできない、こういうことでありますが、しかし、これは法律は公布の日から施行されるんですね。ですから、そんな考えでいる時間はないんですよ。一体どのくらいなんですか。もう一回答えてください。どのくらい考えていますか、大体でいいですよ。
  132. 金澤薫

    金澤政府委員 三十一社のうち何社ということでございますが、それはそれぞれの社が扱っている貸し債の量にもよりますし信用度にもよりますので、現時点で即座に何社と申し上げることは、まことに申しわけございませんけれども、お答えできないということでございます。
  133. 小坂憲次

    ○小坂委員 質問していて時々無力感を感じるのは、質問取りにいらっしゃる方に大体答えが言えるんですよ。私がこう聞いたら多分こういうふうにお答えになるだろうけれども、もう少し具体的なものを答えてくださいねとよく言うんですが、どうもお役所の方の答弁は、それはもう決まり切っている話でして、もう少し踏み込んで、三十一社中ですが、まあ現在検討のところ五社ぐらいはあれだとか、十社ぐらいはとかありそうなものですが、どうしても答えたくないというんですね。これじゃ情報公開も本当にしっかりやられるのかちょっと心配になりますが、こんなことばかり言っていると時間がなくなってしまいます。  今、不動産は許可されておりませんしとおっしゃいました。生命保険の場合には不動産運用というのはかなり大きな割合を占めております。これは利率も、まあバブルがはじけて大変ひどい目に遭ったところも多いわけですが、不良債権をつかんで苦労しているわけですが、しかし、うまく節度を持って運用すれば、これも確かにいい運用先だと思うんですよ。将来不動産にも拡大したい、こういう希望を出してくる可能性はあるんでしょうか。一
  134. 金澤薫

    金澤政府委員 先ほどの何社ぐらいという話でございますが、これは信託契約を結ばなきゃいけませんので、相手方の同意も必要とするわけでございまして、私がこの場で何社と言うのは非常に難しいということもぜひ御理解いただきたいと思います。  それから不動産投資のことでございますけれども不動産投資については政府部内でも非常に検討してございます。私ども、大蔵省とその点について何度も議論しているわけでございますけれども、不動産の運用は、先ほど申し上げましたように、価格変動リスクが非常に大きいということでございまして、その点どう評価するかという問題がございます。それから、国が運用を目的として不動産を所有することについてどうかというふうな問題もございます。ただ、ポートフォリオ上は、債券、それから株式、不動産というふうなさまざまな分野に分散投資した方がリスク上は非常にいいという点もございます。そういう点を総合的に勘案いたしまして、どうするか決めてまいりたいと思っているところでございます。
  135. 小坂憲次

    ○小坂委員 おっしゃるとおり、リスクを分散し、かつ有利なものにその時々のマーケットの状況に応じて傾斜していくというのはやはり運用の基礎だと思うのですね。今回は、そういう意味では、コンサルタントも入れて、こういう運用についてのノウハウを、外部のアドバイスも入れていくということでありますから、そういうアドバイスを入れていくと、やはりどうしても、確実有利な運用をするためにはもう少し拡大した方がいいという意見が出てくるかもしれません。それで聞いてみたのですが、今のところ考えていないというふうにお答えになったと考えてよろしいのでしょうか。——そういうことでしょうね。  今、不動産は価格変動も非常に激しいものでとおっしゃいました。同じように外債も変動リスクは非常に大きいのですね。でも今まで外債をやつ  てきているのですよ。  この外債の分を見ますと、外債保有に伴う評価損が、平成六年度では九千四十二億円、平成七年度末は二千二百三十九億円以上あったと思うのですね。これが、うまいぐあいといいますか幸いにも円安になりまして、急速に圧縮されてきたので、こんなに変わってきた。そして、現在では逆に含み益が出てきて、この間の新聞にはたしか一千から二千億というふうな数字も紙面には見出しが書いてあったと思うのですが、現在の状況はどのようになっているか、もう一度お答えいただけますか。
  136. 金澤薫

    金澤政府委員 平成八年度末の為替評価損は、決算前ということでございまして、まだ正確な数字をお答えできる段階ではございません。  しかし、現在、平成八年度末の為替レートで見ますと百二十四円程度になっておりまして、為替評価損は解消して、評価益が発生しているということでございます。どの程度評価益かということでございますが、二千億程度ということでございます。
  137. 小坂憲次

    ○小坂委員 まだ決算になっていませんけれども、大体そのぐらい出てくるのでしょうね。大分円安になったので救われたのですが、またここへ来て急激に円高になってきましたね。今百二十四円とおっしゃいましたけれども、きょうは、けさの日経を読んだくらいしか現在のマーケットは聞いていませんが、百十六円近辺で推移しているのでしょう。そういうことからすると、大幅に変わっております。  五月中の変動幅が、きのう、新聞に発表されていましたね。五月一カ月で十五円円高になった、こういうふうに書いてありました。それから、きょうの日経には、一月以降の発行された外債を個人で保有されて、今その評価を見ると、証券業界の評価では約一千億の評価損が出ている、したがって、これがもうそろそろ期限が来て、六月ぐらいに決済しなければいけなくなると、これはみんな、個人は非常に困ってくるという状況にあります。このように、外債はリスクが非常に大きいと思います。  本日のお答えの中に、外債、現在、二十カ国十六通貨で運用しておって、カナダが一四、米国一〇%程度でありますというお答えがあったのをメモしておきましたが、今後、しかしそうはいうものの、外為法が改正になって、この外債マーケットというのは活発化してくると思うのですよ、いろいろな人が参入しやすくなった環境になりましたから。そういうふうな活性化してきたこの外債マーケットに、今後とも、簡保としては、やはり運用先としてはこれは十分に考えていきたい、慎重ながらも十分活用していきたい、そういう方向にあるのでしょうか、それとも、どうもあつものに懲りましたから、しばらくおとなしくやります、こういうことなのでしょうか。
  138. 金澤薫

    金澤政府委員 外国債につきまして、為替リスクをヘッジできる手段というのがかなり整備されてきております。  まず、平成七年五月に簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部改正を行いまして、先物外国為替ということができるようになりました。これは、円高が進行した場合に発生する為替差損を軽減できるヘッジ手法ということになります。それから、為替リスクのない円貨建て債というふうなものもございますし、分散投資をやるということも考えられます。  いずれにしても、簡保が行う外債投資というのは、信用度が非常に高くて流動性が非常に高い国債とか国際機関債等を中心に運用してまいりたいというふうに考えております。その際には、為替リスクというものを十分念頭に置きながら対応してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  139. 小坂憲次

    ○小坂委員 そうしますと、こういった運用先を決定するについては、投資顧問会社のアドバイスも今度は聞いてというような話も聞きました。それから、先物予約でヘッジをしておくということも聞きました。  まず、それでは、投資顧問会社を使うというのがこの間新聞に出ていたのですが、これは一体どこを使うのでしょうか。それから、その投資顧問会社から受けたアドバイスに基づいて最終的に判断されるのは、金澤局長のところになるのでしょうかね、実際にはどなたが最終判断を下されるのですか、それでいけというのを。
  140. 金澤薫

    金澤政府委員 先物外国為替について投資顧問契約を締結しておりますが、これはモルガン・スタンレー・アセット・マネジメント投信というところでございます。  それで、為替リスク考えながら外国債をどの程度今後買っていくかという問題をだれが決定するかということでございますが、省の組織としてはもちろん郵政大臣最終的に決定されるということでございますが、実務上は私ども簡易保険局で決定していくということでございます。
  141. 小坂憲次

    ○小坂委員 ということは、局長がそういった為 替の動き等に常に目を光らせて、そういう状況をしっかり把握しておかなければいかぬということでありますから、ひとつ耳を大きくして、目を広く向けて、頼みますよ、加入者の利益が全部かかっているのですから。  そうすると、こんなことは質問では事前には考えておりませんでしたが、モルガン・スタンレーに投資顧問を依頼する、マーケットの事情を見ながら運用量は決めるということでありました。それで、外債をどのくらい振っていくか、こういうことも、いろいろな国債運用、それから外債の部分、こうやってやってくるわけですね。簡保資金量というのは物すごく莫大ですから、投資顧問会社もこれをうまく活用すれば、逆にこのマーケットの先行きがある程度予想がつくようになりますね。その点はどうですか。
  142. 金澤薫

    金澤政府委員 先ほどの情報開示にもかかわるわけでございますけれども運用情報が世間に漏れますと、それだけで株が値動きしたり債券が値動きするというふうなものもございまして、私どもは、その運用については慎重の上にも慎重を期していかないと、さまざまな問題が生じる可能性があるということでございまして、現在の運用体制の中では、その点については十分周知し、すべての職員がそのような考え方で慎重に対応しているところでございます。
  143. 小坂憲次

    ○小坂委員 最近、インサイダーの取引について株式市場では大変うるさく言っております。今回、投資顧問会社もモルガン・スタンレーを使うということでありますが、こことの契約の内容を私は存じませんけれども、そういった、この運用が外部に漏れないための二重三重のセキュリティーをしっかりしておいていただかないと、これだけの簡保資金量を動かすのですから、これは大変なことでありますので、その辺には十分に注意をしていただきたいと思います。  さて、次の質問へ行きたいと思いますが、財投の話がきょうも出ておりますけれども財投に関しては、最近、融資決定に際しての採算性評価が非常に甘いのではないかとか、かなりむだが多いとか、不必要なものにつき込んでいるのではないかとか、評判が余りよろしくないのでありますが、過去の財投関係の金額を追っていきますと、最近減ってきていると思うのですね。減額しようとしているのは、意思を持って、局の方の意思で減らしてきているのか。それとも、最近若干財投機関が減りました。減りましたというか、外れたものがありますね。例えば中小企業事業団とか鉄道整備基金とか、こういうものは財投機関外になったと思うのですが、こういうことの影響によるものなんでしょうか、その辺、教えてくれますか。
  144. 金澤薫

    金澤政府委員 簡保財投に対する寄与度でございますけれども、これにつきましては、財投機関資金需要というのが基本でございます。今のところ非常に減ったように見えておりますけれども、基本は不用残が非常に立ったりして資金需要が減ってきたというところでございます。その他、さまざまな問題がございますけれども、それが基本になっております。
  145. 小坂憲次

    ○小坂委員 それでは、今後、基準としてはどういうような基準でこの財投の方針を局としては決めていらっしゃるのですか。また、どのような方向を目指していらっしゃるのですか。
  146. 金澤薫

    金澤政府委員 私ども財政投融資につきましては、社会資本整備など、将来ともその必要性があるというふうに認識しているところでございます。ただ、その資金配分に当たりましては、公的資金にふさわしい分野に限定して活用されるべきものというふうに考えております。資金需要が見込まれない分野にただ金をつぎ込むとか民間資金でも対応可能な分野について金をつぎ込むとか、そういうことは問題があるというふうに判断しているところでございます。したがいまして、そういう視点から十分スリム化を図った上で、対象範囲を常に見直してまいりたいというふうに考えております。  個々の財投機関に対する融資につきましても、各機関事業計画資金需要、償還確実性等の観点から常に厳しく見直してまいりたいというふうに考えております。
  147. 小坂憲次

    ○小坂委員 それは、言葉だけではなくて本当に常に厳しく見守っていただきたいと思います。  この簡易保険事業に関して、民間と同じように税負担を行った場合、九千四百億円優遇されることになりますよ、これは、産業構造審議会、通産相の諮問機関ですけれども、その産業資金部会が試算をしたのですね。これを詳しく見ますと、もし税金を払うなら、郵貯で七千三百九十一億円、簡保で二千三十二億円の負担増になる、こういうふうに指摘がされております。  これを見まして思ったのですが、公共の利益に資するという観点からすると、税金を払ってもらった方がいいかなと思うぐらいですが、そうはいかぬのです。であれば、それにかわることを、簡保を国がやる以上、国がやっているからこういうことになる、こういうことになるからその分をやはり何らかの形で還元をしていきたい、公共のためにもつと使っていきたい、こういう意思を当然お持ちだと思うのですね。税負担にかわる役割としてどのようなものを考えているか。要するに、これからの時代の介護の面を支援するようないろいろな事業に取り組んでいくとか、あるいは保険分野でも、そういった介護の、あるいは高齢化社会に適応できるような環境整備のために使っていくとか、そういうものがあると思うのですね。この点について、これは大臣からひとついただきましょうか。
  148. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま通産省の試算について御指摘がございましたが、これは、我々役所同士という立場から見てまことに遺憾なことだと私ども考えております。したがって、すぐ私の方からも大臣にも申し入れをいたしたわけでありますが、事務当局段階でもそうした話が行われたようであります。もともと、通産省の産業構造審議会の委員の方々から、この委員の中には民営化賛成論者が非常に多いわけでありまして、そういう人たちが、通産省の役人の皆さん方も、余り、よその役所のことだということで大分お話ししたようですが、聞き入れられずにそうした意見を述べられた、こういうように承知をいたしております。  私ども、この試算の内容を簡単に見てみますと、六社の資産額と簡保の資産額との対比だけを行って、そして税負担額を推計した、こういうことになっておるようです。したがって、向こうは六社で百二十七兆円、我が社は九十四兆円、ただそういう資産だけで、資産額をもって批判をされております。ところが、御承知のとおり、我々の簡保事業というのは、全国あまねく、そして二万四千六百という、農村地帯とか、いろいろな費用というもの、事業費というものが相当要るわけでありまして、その点の実態が加味されておりません。  現在、郵政省でも、税負担額がどの程度になるか、詳細な試算をさせておるところでございますが、ちょうど郵政審議会の方からもこの点の指摘がなされておりましたので、近く郵政審議会に御報告を申し上げなければなりません。したがって、きょうのところは金額について発表は差し控えさせていただきたいと思っております。  今後、簡易保険は、こうした郵便局を通じまして、不採算地域を含め全国あまねくサービス提供して、無診査、即時払いという簡易な取り扱いを特色といたしておりますので、今後もこのようなサービスを通じて、民間では到底提供できないわけでありますので、この体制を堅持していく必要があると思っております。特に、これから高齢化社会になりますので、なお一層国民生活情報安心交流拠点としてこのネットワークを有効に活用していきながら、今後も、信頼される、そして安心される簡易保険サービス提供してまいりたいと思っております。
  149. 小坂憲次

    ○小坂委員 時間が参りましたので質問を終わりたいと思いますが、今大臣は、御自身の主張がありますから、お気持ちが前面に出てそうおっしゃっておりますけれども、よその省が言ったからそ れに抗議を申し込むのではなくて、やはり自分たちでも試算してみて、それだけある意味で固定資産税、法人税、そういったものもかかってこないのだから、この分をどこかに役立てなければいかぬな、そういう意味の指針として役立てるような試算をしていただきたい。そして、二万四千六百の全国の局長の頂点に立つ大臣でございますから、皆が自信を持って、簡単に、すぐに入れて安心が手に入る、より大きな保障を求めるのであれば民間保険をあわせて掛けていくんだ、ただその基礎的な部分は簡易保険でまずは担保しろ、こういう役割の認識のもとにそれぞれの役割を果たしていく、そういうお考えで今後とも御努力をいただきたい。  切にお願いを申し上げ、利用者の利益増進になお一層御努力いただくことをお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  150. 木村義雄

    木村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  151. 木村義雄

    木村委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。古屋圭司君。
  152. 古屋圭司

    ○古屋委員 私は、自由民主党、新進党、民主党、社会民主党・市民連合及び太陽党を代表いたしまして、簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。  我が国の老年人口は二〇二〇年には三千万人を超え、総人口の四分の一近くを占めると推計されるなど、世界に例を見ないスピードで人口構造の高齢化が進展しており、豊かで活力ある長寿福祉社会の実現のため、国民の自助努力を支援するという簡易生命保険事業の役割は、これからますます重要なものとなってまいります。  こうした状況の中、将来、保険金等として支払われる貴重な準備財産である簡保資金は、金利の低下、株価の低迷などにより、その運用環境はまことに厳しいものがありますが、加入者利益の向上のため、少しでも有利な運用を図ることが求められております。  簡易生命保険特別会計の所有する国債等については、その貸し付け運用平成二年度から開始をいたしておりますが、市場において債券貸し出しに対する需要が極めて大きい状況にあるにもかかわらず、要員が限られ、事務が煩瑣であること等もあって、現在、債券貸し付けば低い稼働率にとどまっております。  今回の改正は、債券貸し付け運用信託銀行等への信託を通じて行おうとするものであり、それによって資金運用事務が軽減されるとともに、保有国債等の貸し付け稼働率が高まり、市場ニーズにも対応しつつ、運用収益の確保が期待できることとなり、加入者利益の向上に資するものと考えます。  以上の観点から、本案による改正は必要かつ妥当なものと考え、賛成の意を表するものであります。(拍手)
  153. 木村義雄

  154. 矢島恒夫

    矢島委員 私は、日本共産党を代表し、簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部改正案に反対の討論を行います。  本法案に反対する理由は、国民の預託金という公的資金である簡保資金を、債券の空売りなどという投機を促進する債券貸借市場で、さらに大規模に運用するものだからであります。  債券貸借市場は、金融自由化推進策の一つとして、債券の空売りの解禁と一体で銀行や証券会社などの機関投資家の債券流通を促進するために設立された市場であり、日本版レポ市場などと言われるように、その投機性は非常に高いものであります。  郵政省は、本法案成立後は、この市場運用する簡保保有国債を、現状の一割程度から九割程度まで大きく拡大するとしています。その一方、この市場での運用益は、全体の運用収入から見ればわずか〇・〇〇五%にすぎません。この改正は、投機性の高い市場簡保資金運用を飛躍的に拡大することが目的であり、この日本版レポ市場を拡大、育成するために簡保資金を使うためのものと言わざるを得ません。  民間機関投資家、特に大銀行など大手の民間金融機関の利益追求の債券貸借市場を育成するために簡保資金を活用するということは、たとえ簡保保有債券を貸すだけだとしても、本法律の第一条に明記されている公共の利益のために運用するという大原則に反するものであります。  簡保資金運用は、国営・非営利の事業にふさわしく、公共性に徹する必要があります。運用益が上がれば何でもいい、運用でも民間並みを目指すというのでは、みずから簡保民営化を準備しているということになってしまいます。この点を最後に強調して、討論を終わります。
  155. 木村義雄

    木村委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  156. 木村義雄

    木村委員長 これより採決に入ります。  簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  157. 木村義雄

    木村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 木村義雄

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  159. 木村義雄

    木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時十四分散会