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1997-04-16 第140回国会 衆議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月十六日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 木村 義雄君    理事 亀井 久興君 理事 岸本 光造君    理事 熊代 昭彦君 理事 古屋 圭司君    理事 河合 正智君 理事 伊藤 忠治君    理事 矢島 恒夫君       小此木八郎君    佐藤  勉君       斉藤斗志二君    坂井 隆憲君       住  博司君    園田 修光君       竹本 直一君    中川 昭一君       野田 聖子君    野中 広務君      吉田六左エ門君    赤松 正雄君       漆原 良夫君    遠藤 和良君       神崎 武法君    永井 英慈君       原口 一博君    北村 哲男君       山花 貞夫君    横光 克彦君       小坂 憲次君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 堀之内久男君  出席政府委員         郵政政務次官  野田 聖子君         郵政大臣官房長 天野 定功君         郵政大臣官房総         務審議官    高田 昭義君         郵政省放送行政         局長      楠田 修司君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   齊藤  曉君         参  考  人         (社団法人日本         民間放送連盟専         務理事)    酒井  昭君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ————————————— 委員の異動 四月十六日  辞任         補欠選任   川崎 二郎君     住  博司君   山口 俊一君     小此木八郎君   石垣 一夫君     漆原 良夫君 同日  辞任         補欠選任   小此木八郎君     山口 俊一君   住  博司君     川崎 二郎君   漆原 良夫君     石垣 一夫君     ————————————— 四月十五日  放送法及び有線テレビジョン放送法の一部を改  正する法律案内閣提出第七三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  放送法及び有線テレビジョン放送法の一部を改  正する法律案内閣提出第七三号)      ————◇—————
  2. 木村義雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出放送法及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。堀之内郵政大臣。     —————————————  放送法及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 放送法及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、視聴覚障害者利便増進を図るためテレビジョン放送事業者等字幕番組等をできる限り多く放送するようにしなければならないこととするとともに、放送番組審議機関活性化に資するため放送事業者が行う報告及び公表に関する規定整備するほか、衛星放送技術の進展に伴う有料放送役務料金に関する制度合理化を図る等の改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案概要を申し上げます。  まず、放送法の一部改正内容でありますが、その第一は、テレビジョン放送における視聴覚障害者利便増進に関する事項についてであります。  テレビジョン放送とは、静止し、または移動する事物の瞬間的影像及びこれに伴う音声その他の音響、文字、図形その他の影像または信号を送る放送をいうこととする等に定義規定を改めるとともに、テレビジョン放送事業者は、国内放送による放送番組編集に当たっては、字幕番組及び解説番組をできる限り多く設けるようにしなければならないこととしております。  第二は、放送番組審議機関に関する事項についてであります。  放送事業者は、放送番組審議機関答申または意見を尊重して講じた措置内容訂正放送制度実施状況及び放送番組に関して申し出のあった苦情その他の意見概要放送番組審議機関報告しなければならないこととするとともに、放送番組審議機関答申または意見内容その他放送番組審議機関議事概要放送番組審議機関答申または意見を尊重して講じた措置内容公表しなければならないこととしております。  第三は、有料放送に関する事項についてであります。  通信衛星無線局により行われる多重放送以外の有料放送役務について、認可制事前届け出制に改めるとともに、有料放送料金を除く役務提供条件について標準契約約款制度を設けることとしております。  その他、所要規定整備を行うこととしております。  次に、有線テレビジョン放送法の一部改正内容でありますが、テレビジョン放送に係る字幕番組及び解説番組放送努力義務に関する放送法規定並びに放送番組審議機関答申または意見を尊重して講じた措置内容等放送番組審議機関への報告義務放送番組審議機関答申または意見内容その他放送番組審議機関議事概要等公表義務その他の放送番組審議機関に関する放送法規定は、有線テレビジョン放送について、準用することとしております。  その他、所要規定整備を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が、この法律案を提案いたしました理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  4. 木村義雄

    木村委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 木村義雄

    木村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本放送協会専務理事齊藤暁君及び社団法人日本民間放送連盟専務理事酒井昭君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 木村義雄

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  7. 木村義雄

    木村委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  本日の議事の順序についてでありますが、齊藤参考人酒井参考人の順にお一人十五分程度意見をお述べいただき、その後委員かもの質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。  それでは、齊藤参考人、お願いいたします。
  8. 齊藤曉

    齊藤参考人 NHK齊藤でございます。  ただいま議題となっております放送法及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案に関連しまして、改正の柱となっております字幕番組解説番組に関する放送制度改善放送番組審議会活性化につきまして、私どもNHK基本的な考え方現状、さらに今後取り組むべき課題などについて概略を申し上げます。  まず、字幕番組解説番組に関する放送制度改善についてであります。  社会情報化が進展する中で、視聴覚障害者は十分な情報を享受する機会を得ることが難しい状況にあり、字幕解説番組充実を求める声は一段と高まっております。当国会におきましても、昨年六月、衆参両院テレビ字幕放送拡充に関する請願が採択され、また、さきに御審議をお願いいたしましたNHK予算に対する当委員会附帯決議にも、視聴覚障害者高齢者向け字幕放送解説放送の一層の拡充番組内容拡充を求める一項が盛り込まれております。  さらに、昨年四月に出されました郵政省視聴覚障害者向け専門放送システムに関する調査研究会報告では、特にNHKに対して、教育テレビ衛星第二テレビヘの字幕放送導入が望まれるとする御指摘も受けております。  このような幅広い御要望、御指摘に対して、NHKの果たすべき役割は極めて大きいものがあると考えております。もとより、放送を通じて文化向上がもたらす恩恵を国民があまねく享受できるようにすることは、公共放送としてのNHKの重大な責務であります。  こうした認識に立って、NHKは、平成七年度以降の事業運営具体的指針であります中長期経営方針におきまして、障害者向け番組拡充を取り組むべき重要課題一つとして位置づけますとともに、耳の不自由な方々のための字幕放送手話ニュース放送、また目の不自由な方々のための音声による解説放送などに取り組み、限られた財源と要員事情の中で最大限努力を払ってきたところでありまして、放送時間なども基本的には毎年度着実にふやしてまいりました。  ただ、近年、国会等で、施策拡充年次計画をもって着実に進めるべきであるとする御指摘があったことも踏まえまして、昨年度、局内に障害者向けサービス検討プロジェクトを設置いたしまして、拡充に伴い必要となります経費、機器の整備要員技術開発の見通しなど、総合的な検討を行い、具体的な拡充計画を取りまとめました。  この中で、字幕放送につきましては、総合テレビで、今年度、週三時間増、約二十一時間といたしましたけれども、さらに、三年後の十二年度までには、総放送時間の一八・五%に当たりますおよそ三十時間まで拡充することにいたしております。  また、現在字幕放送をしていない衛星第二テレビ教育テレビでも放送を開始することといたしました。このうち、衛星第二テレビにおきましては、難視聴解消サービスの一環として字幕放送を今年度の後半期から、また教育テレビにおきましては、国民の生涯学習に資するよう、主に児童、高齢者対象として、来年度じゆうにそれぞれ開始する予定にしております。  これらの施策につきましては、今回の放送法改正を待って実施に移してまいりたいと考えております。  一方、手話放送につきましては、今年度から「NHK手話ニュース」を五分拡充しまして十五分放送といたしましたけれども、十二年度までには新たに子供向け手話番組開発検討することといたしております。  解説放送拡充につきましては、既にステレオ放送、二カ国語放送実施している番組がその対象となることが予想されるため、視聴者理解を得ながら進めていきたいと考えております。  さらに、さきの阪神・淡路大震災の例を引くまでもなく、災害等の緊急時に際しては、視聴覚障害者などの方々への正確、迅速な情報提供公共放送の大きな使命であると考えておりますが、NHKでは、いわゆる波の役割として、教育テレビとラジオ第二放送視聴覚障害者向け放送と位置づけまして、きめの細かい情報提供に努めることにいたしております。  NHKとしては、今後とも、公共放送の果たすべき使命を認識しつつ、障害者方々放送を通じて世界の動きや多様な文化に触れることができますよう、不断の努力を続けていく所存でおります。  次に、放送番組審議機関に関する制度整備についてでございます。  NHK放送番組基本は、簡潔に申し上げますと、表現の自由と放送番組多様性確保放送番組編集に対する放送事業者の自律、そして視聴者意向最大限の反映ということでございます。  このうち、視聴者意向は、それを真率に受けとめて放送に反映させることが視聴者の信頼と期待を得ることにつながかまして、ひいては、それが公共放送としてのNHKを支える確固たる基盤となると考えております。  NHKには毎日視聴者からの問い合わせや意見、疑問、要望などが数多く寄せられております。その総数は年間五百六十万件に及んでおりまして、一報道機関としては世界にも例がないと言われております。  そうした国民各層からの広範な声にお答えするため、NHKは、新たな試みとして、昨年、視聴者NHKとを電話、ファクスで結ぶ生放送経営広報特集番組「あなたの声に答えます」をスタートさせましたが、今年度からは、特集番組とは別に、これを定時番組といたしまして、切れ目なく視聴者の声に直接お答えできるようにいたしました。  また、このまか、視聴者との結びつきをさらに徹底するため、さまざまな取り組みを行っております。その重要な柱の一つが、ただいま議題となっております放送番組審議機関、つまり放送番組審議会の活用であります。  NHK放送番組審議会は、放送番組の適正を図るため放送法に基づいて設置されておりまして、中央放送番組審議会国際放送番組審議会、それに八つの地方放送番組審議会で構成されております。それぞれの審議会は、各界各分野から学識経験豊かな方々委員をお願いしておりまして、毎月一回、定例の会議で、国内放送番組編集基本計画国際放送番組編集基本計画地域放送番組編集計画など、諮問に応じて審議し、答申をいただきますほかに、放送番組全般にわたりまして示唆に富んだ有益な御意見をいただいております。  また、審議会で出されました意見要望は、制作現場にフィードバックいたしまして、番組制作に生かす努力をしておりまして、審議会は有効に機能していると考えております。  とはいいましても、いわゆる放送倫理の問題を初め、視聴者放送に向けられた視線が一段と厳しさを増しており、放送番組審議会機能充実活性化には引き続き取り組まなくてはならないと考えております。  番組審議会の今後の運営に当たりましては、審議内容公表放送番組に関する視聴者からの意見苦情などの概要報告訂正放送倫理委員会活動審議会への報告委員選任に当たって番組審議会委員の側から御意見を聞き、調和のとれた委員構成を目指す、必要に応じてテーマを設定して、より多角的な審議を行う、意見の部内へのフィードバックを徹底する等々が放送番組審議会活性化のために欠かせない事柄であると認識しております。それぞれの事項につきまして、さまざまな工夫、改善に努めつつ現在実施しているところでございます。  いずれにいたしましても、放送番組審議会機能活性化につきましては、今後なお一層努力を傾けてまいりたいと考えております。  以上、字幕番組解説番組に関する放送制度改善放送番組審議会活性化について、NHK基本的な考え方取り組み現状を申し上げました。委員各位には、よろしく御理解を賜りますようお願い申し上げます。
  9. 木村義雄

    木村委員長 ありがとうございました。  次に、酒井参考人にお願いいたします。
  10. 酒井昭

    酒井参考人 日本民間放送連盟専務理事酒井でございます。  本日の議題となっております放送法及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案に関しまして、放送法関連テレビジョン放送における視聴覚障害者利便増進に関する事項、それに、放送番組審議機関に関する事項有料放送に関する事項につきまして、私ども民間放送事業者立場から基本的な考え方を申し述べさせていただきます。  最初に、テレビジョン放送における視聴覚障害者利便増進に関する事項についてでございますけれども字幕番組解説番組必要性については、改めて申すまでもなく、視覚障害者聴覚障害者方々放送番組を楽しんでいただくため、我々はできるだけ多くの放送を行いたいと考えております。特に、日本が二十一世紀に向けて高齢化社会となる中で、番組を補助する字幕解説といった手段が有効なことは、申すまでもないことだと存じます。  ただ、実際には、字幕放送実施している民間放送局は一割強、平成八年四月現在で百二十三局中十四局というふうに、ちょっと残念でございますけれども、こうした字幕番組解説番組がなかなか放送をされていないという実態がございます。それには幾つかの理由がございますけれども、まず、字幕番組解説番組を行うには、放送局、さらには中継局一つ一つについて多重放送免許が必要であり、民放事業者にとっては経営的になかなか実現が難しい面がございました。  ただ、今回の法改正ではこの点が改善され、通常のテレビ放送免許によりまして字幕番組解説番組放送が可能となったこと、これは、私ども民放連といたしまして、長年要望してきた点でございまして、キー局からの字幕放送解説番組ネット局でもそのまま受けて放送できるようになったことは、事態改善の大きな進歩であるというふうに考えてございます。  また、今回の法改正では、字幕番組解説番組をできる限り多く設けるようにしなければならないという規定が設けられましたが、各民放事業者の関心も大変高くなっているところでございまして、性急に番組量的確保を図るということよりも、まず最初の一歩を踏み出すところを重視してまいりたい、かように考えております。言いかえますと、できるだけ多くの地域民放字幕番組解説番組放送されることが第一の目標となり、続いて、字幕番組解説番組の増加が順次図られていくものと期待しているところでございます。  ただ、民放ローカル局経営にとりましては、経営的に経費増の問題が決して小さいものではございません。したがって、字幕番組とか解説番組制作への助成措置字幕番組関連設備投資への税制の緩和措置字幕番組制作のための新技術開発など、民放事業者だけでは対応が難しい問題につきましては、引き続き積極的な御支援をお願いしたい、かように考えております。  二番目に、放送番組審議機関に関する事項についてでございますが、現在、番組審議会は、放送番組の適正を図るという放送法趣旨に沿って、民放各社とも、視聴者の代表である委員出席のもと、年間十回ないし十一回ほど開催されておりまして、この中では活発な議論が展開されております。その機能は、私どもとしては、十分に発揮されているというふうに考えております。  実際、各局とも社長みずからが毎回この番組審議会出席いたしまして、委員から出された意見は整理し、その都度現場担当者にフィードバックしたり、番組制作や組織のあり方検討する上での貴重な意見として活用しておりまして、番組に対する単なる合評会にはなっておりません。また、番組審議会に対しましては、放送局に寄せられた苦情意見などについて報告が行われているほか、局によっては、訂正放送実施状況についても番組審議会報告されております。  今回の改正案では、番組審議会答申意見を尊重して放送事業者が講じた措置内容訂正放送実施状況、さらには、放送番組に関して申し出のあった苦情意見概要番組審議会報告するよう義務づけるということになっておりますけれども、こうした規定は、本来、有識者で構成されている番組審議会放送事業者の自主的な判断にゆだねるのが原則であるというふうに私どもは考えております。しかしながら、こうしたことは既に現実にかなりの社で行っておりまして、立法化されたとしても、放送事業者自主性、主体性を著しく損なうものではないというふうに受けとめてございます。  次に、番組審議会活動公開性向上についてでございますが、多チャンネル時代における視聴者放送に関する懇談会でも意見が出されるなど、時代の趨勢として一層の目配りが必要であると認識しております。  実際に、番組審議会は各局独立したものでございますけれども、系列内あるいは地区のブロック内の他局審議会委員との交流を図るなど、幅広く意見交換を行い、より望ましい番組審議会あり方について研究、論議を行っているところであります。さらに、在京、在阪局はもとより、ローカル局でも番組審議会審議概要を自社の番組公表する局がふえてきておりまして、既に二十局近くがそうした番組を持っております。このように、番組審議機関公開性という点につきましては、各社とも真剣に取り組んでいるところであります。  しかしながら、今回の法改正では、番組審議会活動に対して具体的にどの程度公開性を求めるか、これは省令にゆだねられておりますので、現時点でままだ不明確のところがございます。多チャンネル時代における視聴者放送に関する懇談会で一部の委員発言にありましたように、公開公表のデメリットとして、審議会審議内容を詳細に公開する、あるいはどの委員がどのような発言をしたか公開する、こういった方法ではかえって委員の自由な発言を阻害し、自由闊達な議論を妨げる可能性があり、こうした点を考えると、放送事業者として、今回の法改正について全く不安がないというわけではございません。  繰り返しになりますが、今まで述べてきましたように、今回の法改正については、視聴者立場を考えるとやむを得ないというふうに考えますが、放送の健全な発達と表現の自由の確保という観点から考えますと、こうした活動はあくまでも放送事業者が自主的に行うのが基本であり、過度に法律で定めることは好ましいことではないので、今後省令で具体的な内容を定める際には、放送事業者自主性最大限尊重されるように希望したいというふうに考えております。  三番目の有料放送に関する事項でございますが、これは簡単に申し上げます。  今回の法改正は、衛星放送事業者からの要望が受け入れられたものととらえておりまして、規制緩和方向で進展していることは一歩前進であるというふうに考えて、望ましい方向だと思います。  以上でございます。
  11. 木村義雄

    木村委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     —————————————
  12. 木村義雄

    木村委員長 これより質疑に入ります。  参考人に対して質疑を行います。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。亀井久興君。
  13. 亀井久興

    亀井(久)委員 自由民主党の亀井でございます。  齊藤酒井参考人、お忙しい中をありがとうございました。  今お二人の御意見を伺っておったわけでございますが、NHK公共放送というはっきりとした性格がございますし、また、民放コマーシャル収入偉よって基本的には成り立っているというその辺の差がかなり、今お二人の御意見を伺っておりまして、はっきり出てきておるな、そんな感じで受けとめておったところでございましく特に民放連酒井さんの方が、自主性ということを非常に強調されておった。  報道の自由、表現の自由、これは当然のことながら守っていかなくてはいけないと思いますけれども、最近、テレビ朝日椿事件に始まって、TBSのオウム報道であるとか、あるいは松本サリン事件における河野さんのいわば被疑者扱いということによる人権問題、それに最近、ペルーの日本大使公邸テレビ朝日系の記者が無線機を置いてきたというような事件、こういう事件が相次いでおりまして、やはり国民報道に対する、また放送に対する批判が今日ほど高まっているときはないのではないかというように思うわけでございます。  また、本委員会においても、こうしたことについて附帯決議等が過去においては行われているわけでございまして、政府それなりに、そのことは踏まえて今日まで放送行政をやってきていると思いますけれども、こうした国民から大変強く批判を浴びておるような出来事が起きたときに、個々の放送事業者それなりにやっておられると思いますけれども民放連全体として、今日までそれぞれに対してどういう対応をとってこられたのか、そのことを酒井参考人にお聞きしたいと思います。
  14. 酒井昭

    酒井参考人 亀井委員の御指摘どおりでございまして、本委員会でも附帯決議ということで、放送番組の一層の適正向上を図る、そういう方策について広く意見を求めて検討を行うことということは私ども十分承知しておりまして、放送番組の質的向上は、放送事業者にとって最大の課題でございまして、常に努力を続けているということは御承知おきいただきたいと思います。  私ども民放連のレベルとしては、特に平成八年度、昨年度になりますけれども、取材、放送倫理向上のための具体的対応策として主なものを申し上げますと、昨年の七月の三日には取材・放送あり方に関する公開シンポジウムも開催しておりますし、九月の二十八日にはNHKさんと共同で民放連と「放送倫理基本綱領」を制定してございます。これは広く新聞でも取り上げられたので御承知かと思いますが、あえて放送倫理基本というふうに申し上げますのは、各社それぞれ番組基準、放送基準ございますけれども、全体を律する憲法的な性格を持ちたいということで「放送倫理基本綱領」というふうにネーミングいたしまして、制定してございます。  それから、私どもでは、昨年の十月一日に視聴者電話応対室というものを設置いたしまして、今五人のスタッフが尾話を受け付けて、いろいろ苦情の処理に当たっているということでございます。  それから、ことしになりまして二月の十三、十四日の両日、報道研修会を開催いたしました。これは全国から報道の現場の人たちを対象に、取材のあり方について論議いたしました。  それから、三月の十四日には、各社の考査セクション、それから番組審議会の事務局、さらには視聴者電話応対室の合同責任者会議を開催してございます。この三つを一緒にやりましたのは今回が初めてでご奇いまして、考査とかあるいは番組審議会の事務局、それから視聴者電話応対室というのは、それぞれ共通する放送基準に関する問題もございますので、三者合同で初めて開いたということがございます。  このほかへ全国のテレビ番組制作社連盟、略称ATPといいますけれども、ここと共催によるシンポジウムを年三回開いておりまして、放送倫理向上のためにいろいろディスカッションするということを行っております。  なお、現在は、民放連レベルとして取材と報道に関するガイドラインの作成を進めておりまして、さらにはNHKさんと共同で自主的な組織としての苦情対応機関の設置を急いでいるところでございます。  今後とも、取材、放送倫理向上のために必要な方策を積極的に取り組んでまいる所存でございますけれども各社レベルでも、御承知のように取材、報道の指針の作成、あるいは社内の倫理委員会の強化または設置、それから自己検証番組の新設など、積極的に進めているところでございます。  以上でございます。
  15. 亀井久興

    亀井(久)委員 与えられた時間、ごくわずかですので、余り多くのことを聞けないのですが、今それなり民放連としても対応してこられたということを言われたわけですが、報道、取材の倫理というのが一番最終的には問題になるわけですが、そのことが本当にきちんとされていれば逆にこういう問題も起こってこなかったわけでございますから、その辺、まだまだ私ども十分だとは思っていないわけでございまして、今、私ども自由民主党の中にも、苦情対応機関ということについて、やはり法律に基づく第三者機関をどうしてもつくらなくてはいけないのではないかという、そういう議論も一部に大変強くあるわけでございます。  私ども聞いておりますのは、NHK民放とが共同で、第三者機関的な性格の強い、中立的な性格の強い、そういう機関をつくるために準備を進められておるというように聞いておるわけでございますけれども、いかに中立性、客観性というものを確保するかということが非常に問題になるわけでございまして、これがもしうまく機能しなかった場合には、だから言ったじゃないか、やはり法律に基づくそういう機関が必要ではないか、そういう議論がまたさらに強まってくるおそれもあるわけでございますが、その辺についての決意、それから、中立性をいかに確保するかという、例えばその委員の人選とか、そういうことについてどういう考え方をしておられるのか、NHK民放連、それぞれに簡単にお聞かせいただければと思います。
  16. 齊藤曉

    齊藤参考人 いわゆる第三者苦情処理機関、第三者という言葉を重く考えておりまして、いわゆる放送事業者の直接息のかからない形でこの処理機関を民放さんと共同で立ち上げたいというふうに考えております。第一義的には、苦情はそれぞれの放送事業体が誠意を持って対応すべきことと考えておりますけれども、そこで解決できない問題がここで審議されるということになります。私どもは、ここでの見解あるいは勧告について重く受けとめて、誠意を持って対応したいと考えております。  全体の客観性をどうやって組織上確保するかということでございますが、実際の委員につきましては、広く憲法学者とか、その他人権等に深い理解を持っている方、あるいは国際的ないろいろ視野の広い方、こういう方を委員として七、八名お願いしたいと思っております。これはNHKあるいは民放さんが選ぶのではなくて、まず評議員会というのを、これは放送事業者が選ばせていただいて、その評議員の方々が実際の委員をお選びするという形で客観性を確保していきたいというふうに思っております。
  17. 酒井昭

    酒井参考人 今NHK齊藤専務が答弁されたのと全く同じでございまして、私としてはつけ加えることはございませんで、これで御容赦いただきたいと思いますが……。
  18. 亀井久興

    亀井(久)委員 時間になりましたので、終わります。
  19. 木村義雄

    木村委員長 遠藤和良君。
  20. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 おはようございます。私、新進党の遠藤和良でございます。  きょうはお忙しい中、お二人の参考人の皆さんには本当にありがとうございます。また、委員長初め理事の皆さんには、こうした機会をつくっていただきましたことに対して心から感謝をいたします。  最初に、手短にお聞きしたいんですけれどもNHK民放連の方に、今回の法律改正、特に放送番組審議会に係る事項改正について、賛成なのか反対なのか、一言でお願いします。     〔委員長退席、亀井(久)委員長代理着席〕
  21. 齊藤曉

    齊藤参考人 放送番組審議会は、放送番組の適正を図るために放送法によって設置されているということは御承知のとおりでございます。また、その審議会活性化のためには審議内容公表視聴者からの意見苦情などの概要報告、あるいは訂正放送倫理委員会活動審議会への報告などが欠かせないことだと考えておりまして、今回の法改正もそうした趣旨を受けたものと理解しております。
  22. 酒井昭

    酒井参考人 番組審議会への報告とかあるいは番組審議会審議公開性の拡大ということは、本来的に放送事業者の自主的な努力で可能なものでございまして、実際にも、近年、特にそうした努力が払われているということは御承知かと思います。したがって、法律で義務づけることは本来好ましいことではないと思いますけれども、今回の改正はその目的、趣旨社会情勢に照らしてやむを得ないというふうに考えております。  ただし、繰り返しになりますけれども公開の方法等に関して省令レベルで改正検討されているわけでございますが、これにつきましては、放送事業者自主性最大限に尊重されるように配慮していただきたい、かように思っております。
  23. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 本来、やはり放送番組審議会活性化というのは、自己責任で放送事業者が行うというのが私は筋だと思いますね。法律改正放送事業者番組審議会への報告を義務づけるとか、あるいは細部にわたって公表を義務づけるというのは、かえって管理された放送こなってしまう心配があるわけですね、そういう懸念がある。こういうふうな感じがします。特に民放は、民放五社の番審委員長さんは、この法律改正に反対だ、こういうことをはっきり言っているわけですけれども、それについての御意見はどうですか。
  24. 酒井昭

    酒井参考人 在京の番組審議会委員長会議、これは四月八日に自主的に開かれたものでございます。私どもの民間放送連盟とは直接の関係はございません。郵政省の多チャンネル懇談会報告書で、番組審議機関が十分機能を発揮していない、外部に対して不透明であると指摘されたことを受けて、自主的に在京の委員長会議が開かれたわけでございますが、今回の放送法改正案国会に出されることについて、委員長の先生方は、法改正しなければできないことではない、だから賛成できない、番組審議機関の実態が正確に受けとめられていない、事前に意見を聞いてくれなかったことはまことに残念である、あるいは法律によらない自主対応可能性を探るべきであったという考え方が提示されております。  これらの意見は、私どもも、根底においては自主自律を基本とするという民放連考え方に通じるものでございますが、各先生方はそれぞれ自発的に御自分の意見を述べたということでございまして、それはそれで一つ考え方かなというふうに思っております。
  25. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 そういう意見があるのは十分わかるけれども国民の皆さんからの放送に対するいろんな苦情とか意見もあるということで、今回の法律改正は、本来賛成じゃないけれども、やむを得ない、許容の範囲である、こういう理解だと受けとめます。ただ、御懸念は、細かいことを政省令で定めるものですから、それを定めるに当たってはぜひとも放送事業者意見も聞いてほしい、こういうふうなことかなというふうに考えますが、そういう整理でよろしゅうございますか。(酒井参考人「はい」と呼ぶ)  それで、私、最近、報道の姿勢と申しますか、特に取材をされる記者の皆さんの姿勢に対してちょっと申し上げたいのでございますが、どうも記者クラブとか記者会見に頼り過ぎちゃって、自分の足で取材をするという苦労をみずからしない、安直な取材というのが少しあるのではないかなという心配をしているわけです。  例えば、最近アンケート調査票というのが私どもの会館にしょっちゅう来るんですが、ファクスで、このことについてイエスかノーか答えてくださいというような質問がいっぱい来るんですよ。それも、鋳型に入った質問なんですね。あなたは保・保連合について賛成ですか。保・保連合って一体何だという定義も何もなくて、賛成ですか、反対ですか。あるいは、脳死状態の人から臓器を摘出することに賛成ですか、反対ですかというような話があるわけです。脳死状態というのは本当はないんであって、脳死か生者か。脳死者から臓器を提供することに賛成ですか、反対ですか。あるいは、脳死者じゃないけれども、生者、脳死状態、脳死に近づく生者から臓器を摘出することに賛成ですか、反対ですか。そういうふうに分けた質問ならわかるのですけれども、非常に漠然としているような、そういうふうな質問が多いのですよ。しかも、それをいついつまでにファクスで回答してください、こういう話、横着だと私は思いますよ。昔は丁寧に取材に来られました、あるいは返送用の切手を張った封筒を入れてきました。そういうふうな取材が横行していまして、いついつまでに返事がない場合は氏名を発表しますとか、何かそういうふうな、取材について現場のトップの人たちは理解をしているのかどうか。そういうモラルの欠如があるものですから、ちょっと安直になっちゃってもうおれたちが天下だというような感じになっているものですから、ちょっと国民から遊離してしまった報道になるんじゃないか、こういうふうなことを私は懸念しているんですが、このことについてどう思いますか。
  26. 酒井昭

    酒井参考人 取材のあり方は当然放送倫理向上につながるものでございますが、従来から、記者、それは新聞記者、放送記者を含めまして、足で歩いて御意見を聞くなり状況を判断して記事にしたり放送するというのが本来のあり方でございますけれども、最近そういうアンケートがあるとすれば、これは大変遺憾でございますので、各局に対しまして、私の方から報道関係者に今先生おっしゃられたことをお伝えして、そういうことのないように十分配慮をさせていただきたい、かように思います。
  27. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 新聞ばかりじゃなくてテレビもいっぱいあるんです。特集番組を組むから意見をおっしゃってくださいというのがあるんですね。ぜひお願いしたいと思います。  それから、テレビのキャスターですけれども、「のようだ」とか「らしい」とか「と思われる」とか、こういうふうな報道が多いんですけれども、その観測をする根拠というのを何も明らかにしないでそういうふうに言っている人、多いですね。これは、もしそれが外れた場合は、本当に責任とるんですか。責任をとる場合はだれがとるんですか。会社がとるのか、キャスターがとるのか。いや、あれはらしいと言ったのでと、逃げるということもあるわけですね。非常にそういうところが、国民をミスリードしている部分があるんじゃないかと思うのですが、こういうことについてどのような認識を持っていますか。
  28. 酒井昭

    酒井参考人 多分、ニュースキャスターの特定の個人のことを先生想像されておっしゃっているのかと思いますけれども、らしいということは、それは推測のうちに入りますから、報道として事実を伝えるときには、らしいという推測はむしろ排除すべきである。一般的に憶測としてこんなことが言われているかもしれないということであれば、それは個人の範囲の見解といいますか、放送事業者がそこまではタッチしていると思いません。  ただ、キャスターの発言につきましては、最終的に放送事業者が責任を負うというのが普通でございますが、局によっては、らしいとかだろうという推測は、タレントといいますかキャスターに任せてしまっている面もないわけではございません。それを今、報道の責任者と、それから放送事業者、最終的には社長でございますけれども、その辺の責任について明確にしていきたいとそれぞれ検討しているところであります。えてしてコマーシャルの前に、らしいとかだろうというふうな形でお話しする場合もないわけではないんです。それは私どももかなり論議しておりますので、これからも十分注意してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  29. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 ちょっと、最後です。  松本サリン事件の河野義行さんがこう書いているんですね。「マスコミは一人の人間に容易に灰色の色を塗ってしまう。人に色を塗る。人の一生を左右してしまう恐ろしさを真剣に考えてほしい」ということを言っていますよね。報道と人権という問題につながる話だと思うので、余り自分の先入観で物を見ないようにぜひしてほしいと思います。  それから最後に、ちょっと聞きたいんですが、悪貨が良貨を駆逐するという言葉がありますね。マスコミの世界では、悪貨が良貨を駆逐するのか、良貨が悪貨を駆逐するのか、どういう方向に自主的に番組の質というものを考えていきたいのか。この辺について、これは法律の問題じゃないと思うんですね。マスコミのモラルです、報道の姿勢の問題だと思うんですけれども、そこのところを伺って終わりにしたいと思います。
  30. 酒井昭

    酒井参考人 放送番組は、最終的には、良貨が悪貨を駆逐するというふうに私は思っております。一つの尺度として視聴率がありますけれども、視聴率至上主義でない、それを補完するものとして、視聴率を補完するものとしては視聴質というものを考えていかなければいかぬ。  番組の充足度調査というのを、私ども研究所でしたことがあるのですが、一般の視聴者番組を見るときに、評価の基準として、ドラマであれば、感銘を受けたとかあるいま登場人物の中に自分を一体化したとか、見たことによって安らぎといいますか精神的な満足を得たとか、そういう尺度がいろいろあるわけで、その辺のところを勘案しながらドラマづくりの人はやっていると思いますので、いい番組をつくっていけばつまらない、つまらないと言うと語弊があるかもわかりませんが、そういう番組は自然に視聴者から飽きられていく。これから多チャンネル時代になりまして、いろいろな放送が出てきますけれども視聴者、一般大衆というのは、やはりよく番組を見ているというふうに私は思います。したがいまして、つまらない番組は自然に淘汰されていくのではないか一これは、先生御指摘のように、放送番組に関しては、良貨が悪貨を駆逐していくというふうに考えております。
  31. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 ありがとうございました。
  32. 亀井久興

    亀井(久)委員長代理 北村哲男君。
  33. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 民主党の北村でございます。  両参考人、きょうはどうも御苦労さまでした。  私は、最初酒井さんにお伺いしたいと思うのですけれども、いわゆる番審、番組放送審議機関と今設立が検討されております第三者機関との関係でございます。  先ほども最初の質問者の方から出ましたけれども、私の観点は、この二つが何か混同して考えられている気がするという点でございます。というのは、先日の四月九日の新聞で、「民放“ご意見番”初会合」というところで、放送番組審議会の五局の委員長さんが、清水英夫さんほか五人が集まられて、「苦情処理は別機関で」云々という記事がありました。そこでは、例えば、三浦さんという方はテレビ朝日の番審の方ですけれども、この人は「第三者機関の設置は望ましくないが、設立されるならあくまで自主的なものが望ましい」とこの日の意見を集約して、「番審も第三者機関の役割を積極的に担っていくべきとの考えを示し、番審の性格付けとして「権力の干渉に対する防波堤になると同時に、問題があればテレビ局に対して軌道修正を迫る役割が求められる」」ということを一方で言っておられます。片や清水英夫さんは「番審は番組を良くするためにある。苦情処理まではカバーできない。別の機関があたるべきだ」というふうに第三者機関と番審を別に位置づけられておる。片や三浦さんは一緒にそこでやるべきだと。  かつて、この第三者機関が問題になったときに、ジャーナリスト議員連盟というところがある声明を発表しておりまして、それはこう言っているのですよ。番組内容に関する苦情や権利の侵害に対しては、放送事業者番組審議会機能強化など、自主的かつ現実的な解決を図る体制を整備すべきである。これは、ごっちゃにしておるのですよ。一緒にしておりますよ、番審で全部やるべきであると。このあたり、先ほどの第三者機関と番審との役割分担。  もう一つ、今回のこの改正案にも、寄せられた苦情公表する、あるいは報告するというふうなことになっております。やはり苦情ということがある。  私は、かつてこの第三者機関については、苦情処理ではなくて、もうはっきりと人権侵害に限るべし、そういう委員会に限るべしというふうに主張しました。でなくちゃおかしくなるのではないですか、一緒になるのではありませんかというふうに主張したのですけれども、そのあたりの役割分担についてはどのように考えておられるか、お願いしたいと思います。     〔亀井(久)委員長代理退席、委員長着席〕
  34. 酒井昭

    酒井参考人 今御指摘の、番審委員長の番審の役割についての認識の差というのはお二人の間にあるのかと思いますけれども基本的に番組審議会といいますのは、放送番組の適正を図るために、原則として放送事業者ごとに設けられておりまして、視聴者代表としての委員が、当該放送局番組基準、放送番組編集に関する基本計画などを審議いたしまして、その結果をその放送局放送番組に反映させるといった役割が主でございまして、機能としては、個別的ではありますけれども番組向上自体に今主眼が置かれているわけで、清水さんが区別して考えるべきであるというのは、私どもの認識と一致しているところであります。  苦情対応機関の方は、放送法令、番組基準にかかわる重大な苦情、特に権利侵害にかかわる苦情などを扱うということでございまして、先生御指摘の人権の問題は、当然そこに入ってくるわけでございます。  これは、申立人、苦情を申し立ててくる人と苦情対応機関が直接の関係を持ちまして、その権利救済などのために苦情内容を一応審議し、その結果を見解としてまとめまして、申立人、放送局に伝え、それで同時に公表するということになっております。これによって具体的なおかつ実際的に問題を解決していくということでございまして、私ども考え方としては、先生御指摘のように、番組審議会苦情処理機関は明確に一線を画するというふうに考えております。
  35. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 齊藤参考人、今の点ですが、簡単でよろしいのですけれども、そうすると、苦情の中でも、特に人権侵害ということについては第三者機関でやるべきであるということは大体わかるのですが、では、一般の苦情は、かなり多くの苦情、ほとんどの、九〇%以上苦情があると思うのですよ。これは番審が受けてやるのか。それに対する番審の役割、性格からいって恐らく違うと思うのですね。恐らく、局自体が受けて、自分で処理して、中には、重大なものは諮問するでしょうけれども、そのあたりの、多くの苦情は一体どういうふうにしているのかという観点から、簡単でよろしいのですけれども役割分担について御意見をお願いします。
  36. 齊藤曉

    齊藤参考人 視聴者からの苦情につきましては、第一義的には、放送担当者を中心に誠意を持っておこたえするということにしておりますけれども、昨年来のいわゆる人権侵害とか放送倫理の問題の視聴者の関心の高まりという流れを受けまして、私どもは、昨年からこの番組審議会に、そうした苦情について、どういった苦情があって、どういう傾向かということを報告することを我々自身で決めました。ですから、番組審議会でそういうことについて、苦情者の苦情について多いのは、番組審議会委員立場からいろいろな御意見やらお話があろうかと思いますが、その辺は、私どもは、また報告をした上で、いろいろ番組の上で生かしていきたいと思っております。一義的には、私ども対応することと思っております。
  37. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 次に、この番組審議会委員の選考基準というか、どういうふうな基準で選んでおられるのか。先ほど、学識経験者とかいう言葉もありましたけれどもNHK名簿とか民放の関係の名簿をさっと見ますと、先ほど言った清水さんとか三浦さんとか秋山ちえ子さん、当代の超一流の方々がずらっと顔を並べておられまして、その方々は、もうありとあらゆるというか、何十といういろいろな委員会のトップに並んでいる方ばかりなのですよ。地方もそれに右へ倣えで、地方の名士あるいは会社の経営者とかそういう方ばかりで、これからの新しい時代のいろいろな多様化に対して、果たしてそれで対応できるのだろうか、要するに、お偉いさんを並べておけばいいのだろうかという感じがしてしようがないのです。例えばボランティアの代表とか学生の代表とか、あるいは障害者の代表の方とか、そういう人たちを入れることによって新しい時代対応できる意見もできるのじゃないか、それも番審の役割じゃないかということを一番言うのですが、あるいは、参考人の人たちは、そうじゃなくて、本当にトップのオピニオンリーダーだけの話を聞いていればそれでいいんだというふうなお考えかもしれませんけれども、その辺については、もう残り少ないのですけれども、御意見があればお伺いしたいと思います。
  38. 齊藤曉

    齊藤参考人 お話の趣旨は私どもよくわかります。  それで、ある一定の学識経験を有する方にお願いはしておりますけれども、その幅を広げる、あるいは年齢の幅を広げる、あるいは女性の方にもどんどん入っていただく。もちろん女性の方にも今入っていただいておりますけれども、昨今の人権への関心が高い中で、弁護士の方を積極的に委員としてお迎えするとか、いろいろ幅を広げることには努力をしております。
  39. 酒井昭

    酒井参考人 番組審議会委員の人選につきましては、放送法の五十一条の二項で、学識経験を有する者のうちから、当該放送事業者が委嘱するというふうに規定されております。また、八五年の十二月二十六日付の当時の森島放送行政局長名の文書には、「放送番組審議会運営について」というのがございまして、ここに、「放送番組審議会のメンバーは広く各界から募るとともに、できる限り現実に自社番組を視聴可能な人を選考すること」という文書がございます。各局は、こうした規定とか指導に一応沿いまして人選を行っているのが現実でございますけれども、先生御指摘のように、視聴者意見番組づくりに反映させるということもございますので、視聴者代表として、最近は女性を加えたり、あるいは番審の下に大学生ぐらいの若者の組織を置いて意見を反映させるというところも出てきてございます。  委員が固定的になっているのではないかという御指摘は、ある程度そのとおりかと思いますけれども、徐々に変化があらわれているということでございますので、御了承いただきたいと思います。
  40. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 終わります。どうもありがとうございました。
  41. 木村義雄

    木村委員長 矢島恒夫君。
  42. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私は、まず最初に、番組審議会についてお聞きしたいと思います。  先ほど来お話もありますとおり、番組審議会というものが、視聴者を代表する方々から意見を聞く、そして放送局がその視聴者意見放送に反映させるということに意義があると思います。言論、報道の自由、あるいは放送の自由、これは国民の知る権利を保障するための自由であると思います。そういう意味からして、視聴者国民意見番組審議会を通して放送内容に反映させていく、このためにはどういう論議がされたか、あるいは出た意見に対して放送局が本当に真剣に対応をしているのか、それともなおざりなのか、そういう実態がよくわかるようにする必要があると思うのです。これは、放送法の五十三条や、あるいは放送法施行令の五条、こういう規定があるとかないとか、こういうことにかかわらず、放送事業者としては当然の責務であろうと思うわけです。  そこで、番組審議会内容公表する、こういう点で、酒井参考人にお聞きしたいのですが、次の二つの点なのです。  一つは、キー局委員長が、現行法でもできる、こういうふうに言われました。ある意味では非常に心強い発言だと私は思います。当事者が、やればできる、こう言っておられるわけですから、放送局がその気になりさえずればできるのだ、放送局側の対応などを公表できる、あるいは番組審議会でどのような議論がされていたかが公表できる、こういう御意見だろうと思うのです。  ところが、調べてみますと、ある程度そういう部分をやっておるところもありますが、少なくない放送事業者が、郵政省には報告はしている、しかし視聴者には公表していないという部分が残されている。なぜ現行法で可能なことができなかったのか、その点、何か御意見があれば一つはお聞きしたい。  それからもう一つの点は、既に公表している部分もありますが、それらも含めて、その公表というのは視聴者にわかりやすくやってもらいたいということなんです。できるだけ目に触れる形で公表していただくということが必要だろうと思うのです。  例えば、今の中で、早朝の番組の中でそういう部分の放送はありますが、なかなか目に触れるというか、一部の人は見ますが、余りにも早い時間過ぎるというようなことだとか、あるいはここに「月刊 民放」というのがありますが、番組審議会の模様も出ています。「議題一覧」というのがあります。大体、二行から三行の内容になっているのですね。こういうほんの数行の形で公表したということで事足りるというようにしていただきたくないということなのです。  ですから、公表されるのは一回限りではなくて、できたら視聴者がいつでもアクセスできるように、例えばインターネットのホームページだとかこういうものを利用するとか、あるいは直接放送局の方へ出向いたときにコピーをいただくことができるとか、ぜひ民放連としても、全国の民放各社公表された議事録、こういうものなども民放連へ行けばそれが閲覧できるとか、そういうような手だてもぜひ考えていただきたい、この二つの点で御意見がありましたらお聞かせください。
  43. 酒井昭

    酒井参考人 公表という問題につきましては、前の放送法改正のときにも省令で私どもいろいろ意見を申し上げたことがあるのですが、社報というのが各社にございますが、あれはせいぜい二千部程度である。そうしますと、一般の人の目に触れない、公表のうちに入らないのじゃないか。それから、PRのための雑誌などを出しておりますが、あれもせいぜい一、二万部であろうということからいいますと、公表という概念はその地域における県紙ですね、それか、あるいは自社媒体を使用して報告すべきであろう。ただ、そのときの放送法改正は、番組審議会に対して放送事業者が諮問し、答申した場合とか、あるいは意見が一致した場合にはそれを公表しなければいかぬということでございまして、一般的な審議内容公表するというところまではいっていなかったわけですね。  ただ、青森放送、ラジオでございますけれども、これは十数年前からRABラジオの中で番審の話とか、それから自社の番組のPRとかいろいろ視聴者に対して公表してきたという事実がございまして、これはローカル局ですから一般には余り知られていないのですけれども、まず民放で先駆的な役割を果たしたのはRABラジオさんであった。テレビの方は、先ほど早朝からというお話がございましたけれども、「週間フジテレビ批評」ということで、フジテレビさんが在京の場合はトップである。最近も、先ほど申し上げましたように、二十数局がやっているということでございまして、この公表の仕方については、例えば山形放送などは、番組審議会の中に……
  44. 木村義雄

    木村委員長 参考人にお願いいたしますが、各弁は簡潔にお願いいたします。
  45. 酒井昭

    酒井参考人 ああ、そうですが。  それで、公表の点については、これからも各局は出ていくと思いますし、インターネットの問題につきましては、これから民放連サイドで研究させていただきたいというふうに思います。
  46. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひ公表の仕方についても御研究いただきたいと思います。  もう一つだけ。字幕放送についてお尋ねしたいと思います。  今回の改正の中でもその柱になっているわけですが、字幕放送を含めて、各放送局が決めることだということについては民放連に権限があるわけではないということは十分承知しておりますが、民放では、東京キー局が直接放送している関東地区でも字幕放送は全体放送の大体一%ぐらいだと思います。アメリカの七〇%はもちろんですが、イギリス、カナダの民放に比べて極めて大きな立ちおくれがある。字幕がついているのは、各キー局で調べてみますと、一ないし四番組、こういうのでは立ちおくれというよりはほとんど手がついていないというような状況ではないか。  そこで、酒井参考人の御意見を伺いたいのですが、なぜ字幕放送がふえないのか。先ほど一部御意見の中にもありましたけれども、その障害はどこにあるのか、さらにそれを解決するにはどうしたらよいのか、御意見をお伺いします。
  47. 酒井昭

    酒井参考人 まず、やはり基本的には経費の点だというふうに考えております。民放連でもネット番組の伝送についてこれまで技術的に検討を行ってきたわけですが、百二十局を超える民放テレビ局は、御承知のように規模も千差万別でございまして、すべての局が対応設備を整えるには時間がかかるということがございます。その辺のところをお酌みおきいただきたいと思いますし、各局とも字幕放送の重要性については十分認識しておりますので、これから徐々に設備も改善されていくというふうに考えております。
  48. 矢島恒夫

    ○矢島委員 全部の局を合わせればいろいろな問題を抱えていることはわかりますが、東京キー局の場合、実際に今言ったように一%前後ではとてもとても字幕放送を行っているとは、それが経費の点だと言われる点があれば、大体字幕放送の制作費というのは一時間で四十二万とおおよそ言われております。大体民放キー局の一日の番組制作費というのは二億から三徳かけているのじゃないか、こういう報道もあります。そうすると、一日十二時間分の字幕放送をつくっても五百四万円になりますか、そうすると二億から三徳かけるうちの、それだけの額というのが、大きいと考えれば大きいでありましょうし、実際に、視聴覚障害者のためと、障害者の側に立てば、十分対応できるものじゃないかと思うのです。  そういう意味では、東京キー局が率先してまずそれを進めるという方向でぜひ取り組んでいただきたいし、今度の放送法改正の中で免許の問題もあわせてやったわけですから、ここでやることが大いに全国的な聴力障害者の皆さん方や視覚障害者の皆さん方のためになると思いますので、ひとつ御努力いただきたいということで、時間になりましたので、その決意だけ一言おっしゃっていただきたい。
  49. 酒井昭

    酒井参考人 おっしゃることは十分理解いたしましたので、在京社の社長を初め放送事業者にできるだけ努力するように、私の方から伝えさせていただきたいと思います。
  50. 矢島恒夫

    ○矢島委員 終わります。
  51. 木村義雄

    木村委員長 小坂意次君。
  52. 小坂憲次

    ○小坂委員 まずもって、齊藤参考人酒井参考人にはお出ましをいただきまして、御意見を述べていただきましたことに感謝を申し上げたいと存じます。  幾つか質問がございますが、時間の都合もございます。それぞれの委員からの質問で、大分私の疑問も解消いたしてまいりました。ここでは、放送による権利侵害等に対する苦情を取り扱う苦情対応機関について御質問をさせていただきたいと思います。  NHK民放連が共同で自主的に設置をすることとなりました今回のこの機関でございますけれども、まず苦情対応機関で取り扱う苦情の範囲でございますが、これはどのようなものなのでしょうか。放送による人権侵害があった場合は当然といたしまして、放送前の取材活動の段階で起きたトラブルに対する苦情、こういったものも取り扱うのでございましょうか。
  53. 齊藤曉

    齊藤参考人 そうしたトラブルが起こらないようにということで昨年来取材等のモラルについては一層強化しておりますけれども、実際にそういうケースよりは、苦情処理機関としては、人権侵害、実際に被害を受けたケースについて取り扱うというのが基本でございます。そのほかに当然この処理機関についてはいろいろな苦情が来ると思いますけれども、これは事務局の方で、審議すべきか、あるいは、一般放送事業者あるいはNHKが現場で対応すべきかを判断して、きちっと対応するということにするつもりでおります。
  54. 酒井昭

    酒井参考人 今、斉藤専務がおっしゃられたことと全く同じでございまして、基本的には、放送番組放送されて、人権侵害あるいは番組の基準の重大な侵害というふうなところに限定してございます。  放送される前の取材のあり方については、取材の倫理の問題でございますので、私どもの方では、先ほども申し上げましたように、研修会を開いて、報道記者のモラルの問題としてできるだけ真摯に取り組むように、それを徹底するように今努力しているところでございます。
  55. 小坂憲次

    ○小坂委員 それぞれ御意見を賜ったわけでありますが、しかし、取材される側に立ってみますと、番組報道された後の人権侵害はもちろんでございますが、取材段階におきます問題も、やはり各局で真摯に対応していただいてもなかなか解決が進まない。それではいきなり提訴するかといいますと、そこまでいくというのはなかなか推しいのでございまして、そういう意味から、この新しい機関、自主的こおつくりになる機関がそういった問題にも前向きに対応して実績をつくっていただくことが、法に基づく公的な機関、第三者機関をつくるというような話にならずに、自主的な機関で十分に運用されているということにもつながっていくと思います。  その点について、もう一度、どちらか代表して御意見をいただけますか。
  56. 齊藤曉

    齊藤参考人 取材過程でも当然起こり得ることだと思いますけれども、第三者処理機関、苦情処理機関、さっき権利侵害を中心にと申し上げましたけれども、現実にはいろいろな苦情が多分寄せられるのだろうと思います。運用を開始しましてからしばらくの間は、どういうふうに対応するのが一番的確に対応することになるのか、実際に誠意を持って対応しながら、研究を重ねて一番いい形にしたいと思います。
  57. 小坂憲次

    ○小坂委員 私は、そういった民放連NHKで共同しておつくりになる機関が十分に役割を果たすようになってくれることと同時に、やはり最近NGO、NPOというような形の機関が大分育成されてまいりました。そういった形で番組全体を、全く独立した機関としてそういうようなものを取り扱うところもだんだん育ってくるのではないかと思っております。そういった両面からこれらの対策を進めていくべきと思います。  あわせて、多チャンネル化時代と言われて、CS放送あるいはCATV、こういったものがふえてくるわけでございまして、この苦情処理機関はそういったものについても取り扱う、カバーしていくというふうなお考えはあるのでしょうか。
  58. 酒井昭

    酒井参考人 苦情処理機関、対応機関は、NHKさんと民放連でつくったものでございまして、民放連加盟社ということですから、現在の地上放送それからWOWOWというふうな感じでございまして、現在のところは、多チャンネルになって、CS放送のところは考えてはおりません。
  59. 小坂憲次

    ○小坂委員 その点についてお願いでございますけれども、やはりCSあるいはCATVのそれぞれの関係者とお話し合いをいただきまして、将来的にはそれらも中に入っていただいて一緒にそういった機関を育てていただければ、出す側の視聴者の側からすれば、これがCATVなのか一般の放送なのかという区分けはなかなか素人には難しいのでありまして、見たものは全部そこへ電話する、こういうことになってまいりますから、そういった意味で幅広くカバーできるような組織的な拡大をぜひとも今後御検討いただきたい、こう思うわけでございます。  あと幾つか申し上げたいことがありますが、苦情対応機関が国民視聴者の信頼を得るためには、やはりディスクロージャー、公表が非常に重要だと思っております。この点についてどのように考えていらっしゃいますか。先ほど来若干御意見ありましたけれども、もう一度お願いいたします。
  60. 齊藤曉

    齊藤参考人 苦情処理機関で実際に行われました審議については、審議の過程と結果について、これは公表していただく。それから、放送事業者がどういう対応をすべきか、あるいは視聴者に対してはこの件についてはこういうふうに考えるという、両方にそれぞれ勧告なり意見の開陳があるということで、それを私どもは重く受けとめるということでございます。
  61. 小坂憲次

    ○小坂委員 今おっしゃいましたように、苦情処理機関、対応機関が出す見解、それらを放送事業者が尊重して初めてこれは有効に機能してくるわけです。尊重するということをこの場においてそれぞれ決意のほどを表明していただけますか。
  62. 齊藤曉

    齊藤参考人 この苦情処理機関、放送事業者視聴者、それからいわゆる有識者を含めて各界世論、すべての方々に納得いただけるような形とそれから結果を出すことがやはり重要だろう、そういう意味で、私どもは、この勧告そのものは、出た段階で重く受けとめて、きちっと誠意を持って対応したいと思います。
  63. 酒井昭

    酒井参考人 私ども理事会でもそのことは周知徹底しておりまして、各社の社長も真摯に受けとめるということでございますので、重く受けとめた上で、その見解なり勧告を尊重しながら実行していくということで、これは必ず守らせていただきます。
  64. 小坂憲次

    ○小坂委員 最後に、先ほど齊藤参考人意見表明の中で、NHKが、災害発生時の緊急番組についても十分対応していく、障害者に対するものはNHKの第二あるいは教育テレビというものを主に対応しているということを御報告いだだきましたけれども、発災時には、やはりテレビも使える台数は限られておりまして、特に避難所のようなところに行きますと、一台のテレビをみんなで見るということになってまいります。そういった点から、やはり総合の方でもそういう障害者に対する配慮をぜひともあわせて行っていただきまして、その方はもう別のチャンネルでやっているからということではなくて、そういった状況も想定しながら対応をぜひともお願いいたしたいと思います。  時間が参りましたので、以上で質疑を終わらせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
  65. 木村義雄

    木村委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。  参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時二十三分休憩      ————◇—————     午後零時三十一分開議
  66. 木村義雄

    木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  政府に対して質疑を行います。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。竹本直一君。
  67. 竹本直一

    ○竹本委員 今回の放送法及び有線テレビジョン放送法の一部改正法律案でございますが、もちろん中身は非常に納得できるものでございます。要は、これが現実的にどのように、こういった新しい要請を受けて、一般国民が、みんながこういったテレビに親しめるようになるかということがこれから大いに考えなければいけない問題ではないかなと私は思うわけでございます。  多チャンネル化とかデジタル化とか、あるいはCS放送、CATV、こういったいろいろな新しい言葉がどんどん出てきまして、実は私自身はCS放送を聞いております。BBCワールドはよく聞くのですけれども、なかなかこの契約にこぎつけるのに迷いまして、パーフェクTVというのも最近ございますし、どれとどれが一緒なのかさっぱりわからないというのが現実なのです。私をもって平均的な日本国民のレベルとすれば、一般の人が非常にアプローチが難しいのです。何枚も手紙をやりとりして、二重契約をしていたり、送られてまた書き直す、これが一般的な人の反応だろうと思うのです。郵政省の担当者は、こういうことは非常によくおわかりだから、次は何だ何だとおっしゃるかもしれませんけれども、我々一般にとっては非常にわかりにくい。  したがいまして、こういう新しい技術開発、またそういったものについてのいろいろな施策を施されるのは結構でございますけれども、一般国民が容易に親しめる郵政行政というか放送行政といいますか、そういったことにぜひ大臣の強力な御指導をいただきたい。高齢化社会で、そもそも電話の扱い方一つわからない、最近いろいろな機能がついておりますから、そういうお年寄りがたくさんふえております。そういう中で、こういうテレビを見ようとしたときに、昔のテレビのように簡単に、チャンネルが六つぐらいだったらまだいいけれども、今のようにめちゃめちゃになってきますと、わからない。年寄りは見られない、若い人たちが楽しんでいる、これは本来の放送行政あり方としてはいかがなものかと思います。  したがいまして、全国民が容易こアプローチでき、容易に親しめる、そういう放送行政が一番理想だと思いますけれども、全体を御指導いただいておる郵政大臣の、二十一世紀における放送行政あり方、そういったものについての大きいお考えをまず冒頭にお伺いいたしたいと思います。
  68. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 ただいま先生の言われたとおりでありまして、先生は何といっても、標準とおっしゃいましたが、一般的よりは大変レベルが高いと私は認識しております。私も郵政大臣を拝命するまで、郵政省に行ってみて、放送行政、通信行政がこのような大きな変化、発展をいたしておったということに改めて深く感銘をいたしておるわけであります。  したがって、今お尋ねの件につきまして、今までは限られたチャンネルで全国あまねく総合的なサービスを提供するということを目的の政策としてまいったわけでありますが、しかし、今後多チャンネル化、こういうようになってまいりますと、多様な放送サービスが提供されるようになりまして、また一般国民視聴者の選択というものも非常に重視されるようになると思います。  そこで、私どもは、放送がどのように変わっていくのかわかりやすいビジョンというものを示す必要がある、こういうように考えておるわけであります。今、二〇〇〇年を目標に現在の地上のアナログ放送をデジタル放送が可能となるようにやっていきたいということを先般発表いたしたところでございます。  また、BSにつきましても、御案内のとおり間もなく先発機を打ち上げをいたしますが、これは現在のアナログでありますが、二〇〇〇年以降に打ち上げますBS後発機はデジタル放送とアナログ放送が同時放送できる体制に持っていきたい、こういうように先般また答申をいただいておるわけでございますので、そのような方向にしていきたいと思います。  また、CSデジタル放送、これも御案内のとおり、昨年の十月からパーフェクTVが放送を開始いたしましたが、今年度じゆうにディレクTVが放送をいたしますと、大体二百チャンネルとなります。恐らく来年、今計画されておるマードックさんのいわゆるJスカイB、この放送が開始されますと約三百チャンネルということになります。これは全部デジタル放送ということになります。  また、改めて今のCATV、いわゆる地上のケブルテレビのデジタル放送が二〇〇〇年には可能になるような方向で今見通しを持っておるところであります。  このようになってまいりますと 視聴者の保護というか利益をどのように守っていくかということが一番大事であります。したがって、これからは、当分というか、BS後発機を上げましても、あるいは地上放送がデジタル化されましても、現在のテレビ視聴者が視聴できるような方向でいかなければなりません。そのためには、いわゆるサイマル放送と言われる同時放送をいたしまして、恐らく十年間ぐらいは、現在のテレビの寿命があるまでというか、大体その付近を見通して同時放送を行って視聴者を守り、あるいはまたCS放送等においては、アダプターを取りつけることによって視聴可能な方向で政策を指導していかなければならぬと思います。  また、このアダプターも値段が余り高いのでは視聴者に大変迷惑をかけるわけですから、このアダプターが低廉な方向になりますようにそれぞれメーカー等を指導しながら視聴者の保護をしていきたい、どういうように考えておる次第でございます。
  69. 竹本直一

    ○竹本委員 ありがとうございます。  技術は日進月歩するものでございますので、常に新しい技術を求めて、またその開発に努めることは当然必要でございますが、それが必ずしも国民一般に即応用できるというものではない。また、技術進歩についていけない方もたくさんおられるわけでございます。  今、郵政大臣、お答えいただきましたように、あらゆる階層の人がこの放送の便益を享受できるように、ぜひ一層の御努力をお願いいたしたいと思います。  さて、法律改正案でございますが、ちょっと各論に入っていきたいと思います。  まず、字幕放送関係でございますけれども、今回の法改正の中に、字幕放送、それから解説番組に関する放送制度改善がございます。これは視聴覚障害者テレビ放送を視聴するため不可欠なサービスでございますが、こういった改革は非常に結構でございます。特に、字幕放送の普及、その利用状況が必ずしも徹底していない、広がっていないという話をよく聞きますので、ぜひともこのことはやっていただきたいというふうに思うわけでございます。  そういう意味で、放送ソフトの制作、それから流通体制の充実がぜひ必要だろうと私は思うわけでございます。映像が基本であり字幕は従であるというような感じはいたすわけでございますが、諸外国のいろいろなテレビを外国へ行ったときに見ますと、特にアメリカなどは縦横にそういったものが入ってきておりますし、そういった中で情報を十分視聴者が享受する、またそれに基づいてすぐ電話とかファクスで放送局に問い合わせをするとかいったようなことが現実に行われております。こういった放送関係の先進地域のことを参考にしながら、我が国がこれからどのようにこういった視聴者のための放送番組の制作、流通体制の整備を行っていこうとしておられるのか、少し具体的に詳しく御説明いただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
  70. 楠田修司

    ○楠田政府委員 先生御指摘のとおり、これからデジタル技術が発展いたしまして多チャンネル化が進んでまいりますと、放送番組といいますか、良質な放送ソフトが多量に必要になってくるわけでございます。そういう場合、一つ考え方は、これまで発表の場のなかったソフト、放送番組というものが、多チャンネル化によって場が与えられるということで、ある意味ではソフト産業の花が咲くという一面がございます。これは、産業的にも非常に大きな、あるいは視聴者にとっても非常に有意義な面がございます。それと同時に、それでは視聴者にとって本当にいい番組ばかりが出てくるのか、あるいは字幕番組が十分充実するのか、これをどう充実させていくかというのはこれは別の問題で、どう政策的にこれをしていくのかというのが出てくるわけであります。  基本的には、放送でありますから、民間放送事業者が、こういう経済の中で競争しつつ発展させていくということが基本でございますが、その中で、政府が、あるいは行政として必要なことといいますと、例えば字幕放送に関しましては、今回御提案申し上げております放送法改正して字幕放送をやりやすくするということ、あるいは一定の補助金をつけて字幕放送をふやすというような施策をとるということがございます。  それから、いろいろな放送番組をつくる方々で、小さな放送会社もございます。ケーブルテレビなどではなかなかお金がかかってできない、人材がないというときには、この人材をどう育成するかというふうな面が一つありまして、こういう人材育成事業ということを政府の方で融資なり出資なりして、そういう機関を地方につくっていくということも一つ考えておりまして、これは実際に動いているものでございます。  それから、もう一つは、今度、放送ソフトで非常に重要なのは、放送ソフトをやろうとするときに、番組をつくるときにお金がない、担保がないということで、一般の企業と違ってなかなかこれはできないわけであります、見えないものをつくるわけでありますから。そういう意味で、放送とか、こういうようなアプリケーションの、番組とかこういうようなものをつくるベンチャーの方々にお金を貸す、融資するというふうな制度とか慣習ができないかということが今大きな課題でございまして、こういうことにつきまして、現在、そういう関係の方々に集まっていただきまして、いろいろな方の意見を聞こうということで、研究会といいますかそういうことをやっておりまして、五月を目途に報告を取りまとめて今後の施策に資していきたいと思っております。  それから、最後に問題になりますのは、今度、放送番組をつくり、流通させるときに、著作権の問題がございまして、放送関係の著作権の処理というのが、日本では、二次使用といいますか、一回放送したら後はなかなか使わないという安上がりの処理をしておりまして、権利者とそれから使う人の間の調整というのがうまくいっておりません。こういうことを、これから場をつくって、お互いに譲り合って解決していかないと、十分いい番組ができないというふうに思っております。これにつきましても尽力していきたいというふうに思っております。
  71. 竹本直一

    ○竹本委員 わかりました。  次に、有料放送に関して御質問いたしたいと思います。  実は私も、BS放送それからWOWOWは見ておるのですが、特にCS放送などはいろいろなチャンネルがありまして、結構楽しんでおります。また語学勉強にもなるわけですけれども、これの中身についてちょっと具体的に申し上げますと、例えばCSでBBCワールドというのを私よく聞くのですが、ほかのチャンネルでは、例えば衛星劇場というのがありまして、これは、いろいろな昔の日本の映画とかやっておりますが、アダルトもまたやっておるのですよね。そうすると、青少年がとても見れないような、見させるべきじゃないようなものをやっておりますから、それを消すようにスクランブルでごまかしておるのですが、どうもなかなか思春期の子供が家庭にいるようなところでは、こういったものを導入すると、自分では契約していないから映らないのだけれども、何かそれらしいなというようなふうに映ってしまうのですよね。だから、なかなかそういう契約はそういう家庭ではしにくいという話をよく聞きますし、うちの子供がやはり思春期のがおりますから、なかなかそういうのは使えない、そういう問題があるわけなんですよね。  だから、契約しない場合は全く映らないようなそういう工夫ができないものかというふうなことを思うのです。結局、契約しておればきっちり映る、契約していなければ映らないのですが、大体どの程度のものかというのがわかるようになっています。それを、こういった特別なものについては特に完全に消すとかいうようなことを工夫されないと、何でもどんどん家庭に放送していくということになると、いろいろ青少年の教育の面においても非常に問題が出てくるのではないかというふうに思います。恐らく、いまだそういったCS放送を聞いている人がそう多くないからいいですけれども、これが今の十倍ぐらい人口がふえてきますと、必ずそういう問題が起こるのではないかなというふうに思うわけでございます。その辺はひとつ工夫をしていただきたいなというふうに思うわけでございます。  それで、もう一つ、今回、放送法の関係の中で、料金届け出制の導入を行っていただいておりますが、有料放送規制緩和ということで非常に結構でございます。  そこで、今申し上げた一つの例と関係するわけですけれども 簡単に契約できるようになれば非常にいいけれども、同時にそれは、簡単にできるということはだれでもできるということでございますから、そういった教育上の問題も発生する可能性がある。したがいまして、単に放送技術の問題だけでなく、この及ぼす効果あるいは結果について、例えば文部省といったようなところとも十分御連絡の上、こういった規制緩和を図っていっていただきたいなというふうに思いますが、この点に関しまして担当省の責任者の御意見を伺いたいと思います。     〔委員長退席、亀井(久)委員長代理着席〕
  72. 楠田修司

    ○楠田政府委員 CSの多チャンネルの放送が出てまいりますと、スポーツ番組から映画、娯楽、それから外国のニュース、あらゆる分野の放送が出てまいります。これがCSデジタル放送の特徴でもあるわけであります。  その中で、先生御指摘のように、娯楽番組でいわゆるアダルト的な番組、映倫とかそういう刑法にひっかからないけれども、やはり青少年、子供たちに見せるには問題だという番組もこれはあるわけであります。一方で、これをやはり見たいという要望もあるわけでありまして、完全にこれを否定することはなかなかできない。こういう中でこれをどうするかということでございまして、我々、このCSデジタル等の放送事業者が出てきたときには認定ということをやります。その認定の作業の中には、一応、番組といいますか、そういうことに行政は介入できないということになっていますから、余り詳しく、これはだめだ、いいと言うことはできないのですが、そういう中で、それではそういう青少年の保護のために何か措置をとっているかということを一つの目安にしたいということでやっております。  その一つがペアレンタルロック、親のかぎというシステムでございまして、これは契約した大人がこれを見るときには暗証番号でかぎを解かない限り見られないというふうにして、そういう方たちだけが見るという形でやりたいというふうに思っております。これはアメリカ等でも開発されておりまして、実際に動いているものでございます。ただ一方で、では子供たちがこれをすぐ覚えてあけるじゃないかという心配もあるわけでありますが、このかぎは固定ではなくて随時変えることができる、親の方が変えることができるというふうなことが最低限の手段かなというふうに思っております。  契約の段階でこういうものがわからないじゃないかということでありますが、これにつきましては、こういうCSの放送をやる場合は、今例えばパーフェクTVでは、これはいわゆるプラットホームという会社でありまして、プラットホームというのは放送する会社ではございません。こういうものの契約とか集金とかを扱っておるという会社でございまして、そういうところが番組内容の紹介ということ、広くPRしてこれを売り込もうとするわけであります。そういうところを通して、中身についてできるだけ明確にさせるというようなことが必要かなというふうに思っているわけでございます。
  73. 竹本直一

    ○竹本委員 ペアレンタルロックの装置というのは聞いておりますけれども、それはそれで一つの防御手段になろうかと思いますが、私が先ほど質問で申し上げましたのは、そのスクランブルをかけて消す消し方が、特にアダルト等については完全に消さないとやはりよくないのではないかな、そういうことを思うわけでございます。これは郵政省の仕事なのかどこの仕事なのか僕はよくわからないけれども、ぜひそういったことをやっておいていただかないとおかしいのではないかなということでございます。  次に、放送番組審議機関のことについて御質問いたしたいと思います。  これからの放送番組の成功、不成功という問題は、いろいろ視聴者から苦情もありますから、そういったことを受け入れる機関として放送番組審議機関が設けられているわけでございますけれども、私は二面があるというふうに思うのです。  審議機関にかかるのは、一つは質の問題でございます。どういうものであればいいか、どういうものは極めて問題か。例えば差別があってはいけない、あるいは先ほどから申し上げているようなアダルト等、性教育に関して過度に家庭に放映されるようなものであってはいけない、あるいは極めて間違った放送をされてはいけない。こういったいろいろな問題は当然あろうかと思いますけれども、私は、その質の問題と同時に量の問題もまた、魅力度という点においては非常に大きい要素であるのではないかなというふうに思います。  CNNとBBCワールド、ともに二十四時間放送しているのですよね。我が日本の、例えばNHK衛星放送、WOWOWにいたしましても、夜僕らが十二時ごろ帰ったら放送していないことが多い。月による食のため放送中止とか、何かそういうのが非常に多いのです。それから、たまに放送しておってもどこかで見たようなもの、つまり再放送が結構あるわけでございます。  そういったものを見ておりますと、片やそれは日本放送衛星放送あるいはCS放送、片やCNNとかBBCワールドなんというのはともかく二十四時間やっているわけですね。しかも、それを見ておってもなかなか飽きないような立派な内容がたくさんある。  だから、日本放送番組が必ずしも質が悪いとは私は言わないのですけれども、量が全然違うじゃないですか。この地球化時代、どこに出張しなきゃいけないことがあるかもしれないわけですから、日本放送がこの地球上に常時二十四時間流れているとなると、随分これは日本文化世界各国に理解され、また放送の果たす役割というものが非常に大きいものと認識されてくるわけであります。そういう意味において、どうしても質ともに量ももっと流していただくようにしないと、いわゆる通常のテレビのチャンネルと余り変わらなくなってしまうのではないかなというふうに思うわけでございます。  特に、私の偏見かもしれませんけれども、BBCなんかはあれだけ二十四時間放送をやっておりまして、単なるニュースのみならず、いろいろな環境問題、労働問題、人種差別問題、あるいはこ れからの地球の、宇宙のあるべき姿、どうなるかという予測、そういったもろもろのものについて大変な特集番組を組んでおりまして、それを全世界にイギリスの編集で流しておるということは、本当に尊敬さえしたくなるような雰囲気があるわけでございます。  それに比べますと、世界に流れているかどうかは別といたしまして、二十四時間放送までは全然いってない。加えて、再度の、二回放送するのを何というか知りませんけれども、そういったものが結構多く見受けられるということになりますと、この審議機関において、質のみならず量ということもまた念頭に入れた審議というか、番組の指導をやはりしていただいた方がいいのではないか。そういうことが法律上できるかどうかは別といたしまして、一つの希望としてお尋ねしたいなというふうに思うわけでございます。よろしくお願いします。
  74. 楠田修司

    ○楠田政府委員 放送番組審議機関は、基本的には放送番組を適正にするような^向上を図るという趣旨でございますが、その中ではいろいろな意見が出されるわけでございますので、当然のことながら量的なものというのも含まれようかと思います。  特に先生御指摘のことは、国内の放送は今ほぼ二十四時間放送に近づいてきておりまして、NHK等も大体二十四時間、それからCS放送は大体二十四時間、まあ再放送も非常に多いわけですが、やっております。ただ、本当にいい放送が二十四時間やられるかどうかということは、これは別問題でございます。  もう一つは、外国に日本放送を流す、これはつの大きな課題でありまして、現在NHKではできるだけたくさん、特に英語でもって外国へ放送するということも含めてふやそうということで考えております。ただ、民間放送の場合は、まだまだこれにつきましては収益が上がらないということで、余り積極的ではないという中で、現在少しずつ、外国に法人をつくって日本番組を売り込んでいこうというふうな動きがございます。  ちなみにこの五月には、シンガポールでJETというふうな、日本番組をアジアに配信する会社が生まれます。商社を中心としまして一部の放送事業者とともに立ち上げまして、シンガポールで情報通信大臣等を呼んで大きなパーティーをやるというようなことをうわさに聞いておりますが、そういう中で、アジア、ヨーロッパ、アメリカ等へ日本番組等を広げていただきたいというふうに思っております。  それと同時に、日本のニュースを広げるということが最後の課題であろりかと思います。日本語でやりますと日本人しかわかりませんので、英語でどう流すかということも、欧米に比べまして語学的なハンディがあるわけですけれども、それをどう克服していくかということを大きな課題ととらえておるわけでございます。
  75. 竹本直一

    ○竹本委員 いろいろな側面で放送あり方、あるいはこれからやろうとしておられること、特に今回の法律改正において目指されることをお聞きいたしてまいりました。  要は、一方でコンピューター等いろいろな新しいメディアが発明されてそれが日進月歩している、他方、そういったものに非常に縁なく生まれ育ってきた高弟者がたくさんいる。そういった両極端を相手にして放送行政というのはこれから行われなければならないわけでございます。  私は、いろいろ諸外国に参りますと、例えばアメリカのSPANというのですか、ああいう議会の議事を、二十四時間だと思いますけれども、ずっと放送しているのを見ますと、やはり日本の政治もこうなるのかなというような感じがいたします。今のところはそこまでいっておりませんけれども、そういった、社会において行われている重要なことについて時々刻々、できれば二十四時間放送すると同時に、何度も申し上げますが、そういったものに余り縁のない人たちも自由にアプローチして放送を楽しめる、そういった姿というものが一番放送行政の理想ではないかなというふうに思うわけでございます。  冒頭申し上げたことに返るわけでございますが、我々専門の者がデジタル放送あるいはCS放送あるいはBS放送云々と申し上げておりましても、一般の方はなかなかわからない。したがいまして、そこに対してよく御説明いただくような工夫を常に怠らずやっていただきたいと同時に、今申し上げましたように、諸外国、イギリスやアメリカのいろいろな放送のソフトに十分対抗できるような、そういうソフトの充実を質、量ともにやっていただきたいなと願う次第であります。  そういった思いを最後にいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  76. 亀井久興

    亀井(久)委員長代理 吉田六左エ門君。
  77. 吉田六左エ門

    ○吉田(六)委員 日本全国春真ただ中、桜前線はまさに北上中というきょう、けさテレビを入れましたら、私ども新潟の鳥屋野潟の湖畔の桜の様子が目に入りました。これから北に向かって、秋田は知事選でありますけれども,ずっと行くんだな。そんな中で、また別なチャンネルで、新潟、関東の国境の奥只見の丸山のスキー場はこの連休からオープンする、こんな絵も出てまいりました。しかし、どの絵にも、衛星からの電波を受けとめるための、ちょっと大き目のなべのふたみたいな各戸用のBSアンテナが入るんですね。もうあれが一つの景色になりましたね、日本の。ああ、時代が変わったんだな、そんな思いがします。  そして、私は今度の選挙で当選させていただいたんですが、あちこちで人様に会いますと、六さん、何委員会なんだいって新潟弁で聞かれるんですね。はい、私は逓信委員会でやらせてもらっています、そして大蔵と災害特別で、こう申し上げますと、いいところにいるね、これからの一番先端の委員会じゃないかと褒められるんですね。この人、逓信委員会がこれからの先端なんてわかっているのかなというような御仁まで、これからのメディアだなんて言ってくれます。  新潟で六さんと呼ばれるのは、田中角栄さんの次に私ぐらいだと自負をしているんですけれども、こんな時代に逓信委員会で質問をしたり、勉強したりさせていただける自分の幸せを常に感謝をしながら、しかし、本当に変わるんだなという思いを強くします。鉄腕アトムのひげ博士にしても、はるか月までロケットで行って帰ってくるところ、あるいはリニアモーターに近いああしたものが町々をつなぐトランスポーテーションになるだろうというあたりは想像をしても、宇宙に飛んでいる人工衛星に反射させた電波でみんながテレビを見たり、あるいは通信網をより精密に完備したりというところまでは感じ得なかったと思うんですね。  私は、大臣に、大変御苦労さまでありますと申し上げたいんです。それはどういうことかというと、大きな変わり目に大臣を務めておられるということなんですね。後ほど御質問させていただきたいど思っているアナログからデジタルなどについても、それから、先ほどちょっと大臣触れられた、いわゆる二〇〇〇年以降の通信、テレビ、これらにかかわることを思っても、ちょうど今のここの変革期、これを正確にやり遂げられることがこれからのすべてを占う、そのように私は感じまして、この御苦労を多として、精いっぱいいい議論をしていきたいな、こう思っているんです。  まず、大臣にこんな大事な時代に、政治には国を守る部分ですとかあるいはいろいろな味わいを持った省がたくさんありますけれども、逓信委員会、これはどちらかというと民という部分が強い部分だと思うんですね。国民あるいは世界じゅうの人たち、こうした感性が強いと思うんですね。こういったものを踏まえて、新しい時代の大事な出発点の発射台から数十キロというあたりを今まさに担当される大臣として、どんなふうな思いでおられるのかなと、この辺を少しお聞かせけただきたいと思います。
  78. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 ただいまお尋ねの件でありますが、最初、質問の通告にありませんでしたので、あるいは十分な答弁にならないかと思いますが、先生御指摘のように、今郵政省の事業というものが、私も先生と同じように、誇りを持つ、立派な政策官庁だ、こう思っております。  というのは、私も昭和五十一年から逓信委員をしております。逓信委員会理事であります。一期生から理事でありましたが、というのは、逓信委員会というのは、自民党でも社会党でもほとんど年寄りばかりだったわけです。若いのは私と渡辺秀央君と二人だった。そして、公明党は皆さん若い議員の方が多いものですから若い方でしたが、社会党も皆もう現役を引退された方々ばかりであります。  その当時をちょっと考えると、郵政省というのは郵政三事業が花形産業であります。一部放送がありましたが、これはもう難視聴解消をすることが先決。そして、通信というのは電話のNTTだけで、しかもこれが、遠距離が高いということで、これを下げることばかりがここの委員会議論されてまいった時代を考えます。  そして、私も六年後、防衛政務次官になって、また今度は帰ろうと思ったら、ようやく、五十七、八年ごろからというのは若い代議士の皆さんがこの逓信委員会に所属されました。それを見ますと、やはり時代が変わりつつあるのかなと思ったんですが、今回郵政大臣を拝命いたしまして、放送情報通信、このような急激な変化と発展をいたしておることに、改めて、驚いたと言うと非常にこれは幼稚になりますが、大変すばらしい発展に敬服をいたしております。  また、郵政省そのものも、私がやるころは電気通信局も通信政策局もありません。そのころは人事局、経理局というのがあったわけですが、これが今のあれにかわっておるわけであります。  そういうことを見ましても、内容を見ましても、大きな政策官庁に脱皮をしておる、そして、今や今日の社会の花形産業である情報通信を取り仕切る政策の役所だ こういうことを考えまして、改めて私自身誇りに思っておるわけであります。  今日、情報通信があらゆる産業のリーディング産業として、あるいは放送行政が大きな変革をして、また新しいデジタル化の時代ということで、これまた日本の将来の産業に大きな活力を与えると思う次第でございます。そうしたことを考えますと、今後、委員会の諸先生方の御指導、御鞭撻を賜りながら、大きくこの責任を果たしていかなきゃならぬ、改めて強く感じておる今日であります。
  79. 吉田六左エ門

    ○吉田(六)委員 知り得なかった歴史的な古い時代の様子も御披露いただいてありがとうございました。  かつてここで、質問で、ときに大臣はしかし何かやるのかというような御質問のときに、おくればせながらしっかりと今勉強中だという御答弁も伺って、力強く思っています。  きょうの主たる、放送法及び有線テレビ放送法の一部を改正する法律案、これは、本会議趣旨説明の折に見せていただいた文書でありますけれども、まずこれにのっとって、視聴覚障害者対応、このことが今度の法律案説明の順番からすると一番前に来ておりました。重要さ、頻度はともかくとして、私、これ、かつて自由民主党の部会の中で、大事なことだ、ぜひやってもらいたいというようなことを申し上げ続け、大勢の方がまたそのことに私以上の思い入れを見せて、また、委員会で各党の皆さんの御理解もちょうだいして予算化された経緯、これが、出てきて初めての思いであります。そうした中から、もっともっとこれがやりやすいようにと、今度は法律的な後押しをしようということだと思います。まさに、我が意を得たりの思いなのであります。  この法律を改めることによって、予算的な部分も含めて、どのような効果が具体的に出てくるのかな。あるいは、言いにくいことかもしれませんが、このたび九年度予算につき込まれたこれらにかかわる予算は、大臣にとって、まあまあこのぐらいでいたし方ないなと思われる程度のものだったのかどうかという点をお聞かせいただければなと、また応援のしがいもありますものですから。
  80. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 ただいま先生御指摘のとおり、字幕放送は、日本の場合は大変おくれておるわけでありまして、ちなみに資料で見てみますと、アメリカの場合は、四大ネットワークが約七〇%ぐらいの番組放送をしております。英国で、BBC放送あるいは民放も大体三一二%でありますが、我が国の場合は、NHKで大体一五・八%、あるいは民放では一・一%、こういうことでありますから、聴覚障害者に対しましては大変御不便を与えておった。もちろん、この放送というか、情報の提供あるいは放送を通じて娯楽を楽しむ上からは大変これは御迷惑をかけておった、こういうように考えておるわけであります。  したがって、今回は、法改正をいたしまして、なるべく字幕放送をしていただくことを義務づけるというか、強くお願いするという立場からこの放送法改正をお願いいたしておるところであります。  しかし、このことは、やはり放送業者だけに負わせるのではなくて、政府としても何かしなければならぬということで、予算として、平成八年度から五カ年計画で、効率的な字幕放送技術研究開発を進めたところでありまして、平成九年度の予算では、一億九千二百万を御承認いただいたところであります。そして、字幕番組の制作に対する助成費として、これは初めてですから、私ども、大きな予算を要求したわけでありますが、一億二千六百万円が一応御承認をいただいたということで、多いか少ないかは、これはもう金額的にいけば、国全体の予算から見れば非常に小さいところでありますけれども、しかし、財政の厳しいとき、ゼロから初めてこうして認めていただきました。これも、それぞれの先生方から大変なお力をいただいて認められたものであります。  今後とも、これらの施策を総合的に推進することによりまして、民放における字幕放送の全国的な普及の早急な実現を図りますとともに、字幕番組ができるだけ多く放送されますよう、これからも字幕放送充実最大限努力をしてまいりたいと考えております。
  81. 吉田六左エ門

    ○吉田(六)委員 はい、私もそのように思います。  最近よく話題になりますいわゆるグローバルスタンダード、日本世界に通じるスタンダードたろう、この改革の中にも、やはり世界並みにやりたいな、こう思います。  と同時に、字幕スーパー、これがふえるというのは、具体的に、マイノリティーあるいは年をとられて若干もう耳が遠くなられたという方々に対しては、絵しか見えないのが、音が聞こえないのが今度は内容がわかるわけですから、ダイナミックに理解度が増すわけですね。  そうしたものと、もう一つよいことがあると私は思うのです。それはどういうことかというと、政府あるいま国が政治という立場国民と相対峙するときに、今、改革の真っ最中ですから、どうしてもあれもやめよう、これもやめようという、特に福祉の問題だとかあるいは弱者に対しての部分までも詰めなければいかぬかなという状況の中にあって、いやしかし、やれることだけは温かくあなた方の方向に向けてもいるのですよということを表現する何よりもよき好機なのではないかな。いわゆるこんな付加価値も思い合わせることができるものですから、ぜひひとつ、今後とも世界並みのレベルになるまで御尽力いただきたいな、こう願うばかりであります。  次に、放送番組審議機関についてでありますが、どうもこのことが、今どんなふうに行われているのかなと。このことにかかわる苦情意見は我々もちまたでよく聞きます。ニュースなど、もっと素材のままに聞かせてもらえばいいので、あの一番最後にかじふん曲げるような説明など要らないのだよ、彼のコメントを聞きにチャンネルを合わせているのじゃないのだからというようなものもあったり、あるいは、もっともっといい映画を、古いものも見たいというような意見だとか割と耳にするのです。実際にそれらのものを集約して、そして放送の中身、内容をすべからく向上させていこうというこの機関が余り活躍していないのではないのかなという思いがしまして、また、それらに思いをめぐらせてのことかとも思いますけれども、この辺、ちょっとお聞かせいただきたいなと思います。
  82. 楠田修司

    ○楠田政府委員 先生御指摘のこの放送番組審議機関、番組審議会といいますか、それらの活動状況をちょっと見てみますと、平成七年度で、在京のキー局五社について見ますと、開催回数は平均年十回、大体月に一回やっております。少ないとは思いません。それから、出席率も七二%ということで、かなりの方が出ておられます。そういう意味で、会自身は開かれておるわけですけれども、では、この番組審議会が、どうして今回いろいろな形で活動していないという意見が幾つかあったかということになりますと、この法律制度のもとでいきますと、この番組審議会というものが、やはり番組とかそういう問題についていろいろ意見を出さなければならないのですが、公式の意見というのが出されておりません。個人が番組審議会の中でいろいろ意見を交換しますけれども、こういうことで意見をしようというのがないわけです。  それから、一方でまた民間放送会社は、諮問するということでありますが、これがほとんどなされていない、事実上ゼロでございます。諮問することがないということになりますと、悪く言えば番組に対する意見の交換会ということでは困るということが出たわけでありまして、そういう中で、ではどうしたら活性化するだろうかということであります。そのためには、やはりある程度こういう番組について意見を交換しなさいということを考えた場合、やはり苦情があった番組とかあるいは訂正放送を要求されたような番組というのは、これはいろいろな意見があると思いますが、いずれにしてもこれは問題のある番組で、よきにつけあしきにつけ問題のある番組、そういうものについてやはり意見交換をしていただいて、それについてできれば意見を出してもらいたいという趣旨のものが必要ではないかということで、この番審の活性化を図ろうということが法律の中で具体的に議題等を加えさせていただいたという理由でございます。
  83. 吉田六左エ門

    ○吉田(六)委員 大体わかりました。各テレビ会社で毎月一度ずつ、そして出席者の数もまあまあだということなのですが、その中身がやはり問題だったからだと思うのですね。  私は、その内容、どんな人たちがそこの機関に名を連ね、議論をしているのかというあたりが少し興味の対象になります。それらのことにまでここで触れようとは思いませんけれども、一般的によくこうした審議委員とかなんかというと、学識経験者とか名刺の肩書きの数とか、そういったことが話題になりやすいのですね。  私は逆に、これは極言かもしれませんけれども、いわゆるオタク的な感性の人たちも、オタクという言葉がもしこの場で差し支えれば「いわゆる」という前置詞をつけさせてもらいますけれども、もっとこういったところで、とりあえずほかのことはともかくこれらに対してのスペシャリストですから、議論の中に入ってもらうことも必要なのではないかな。いわゆるテレビを見る、あるいはそこに放送されるものに対する民間のエキスパート、他のことは余りともかくとしてしかしこのことについては、というような気がします。  これは中身を聞かずに申し上げているわけでありますので、当たっているかどうかはわかりませんけれども、ひとつこの委員会での意見として、これから法律まで改め、かくして活性化をしていこうということですから、お願いをしたい。このように申し上げる理由一つは、余り意見が出ていないというようなこともたまに耳にするものですから、意見をたくさん出す者を集めた方がいいのじゃないかという簡単な思いであります。よろしくお願いを申し上げます。  そして次に、先ほど順番を入れ間違えたものですから皆さんに笑われたいわゆるアナログ放送、そしてデジタル放送に移行していくこのときということなのですが、これも私は想像してみますのに、大変ダイナミックな変化だと思うのですね。  東京オリンピック、そして今の天皇陛下が美智子さんと御結婚されたとき、あれを機にカラー放送というのが立場をきっちりと固めたように私は思います。大学を卒業したすぐだったものですから。あれは色がついただけの変化だったのですけれども、当時としてはそれこそ目を見まがうごとく、あるいは競ってカラーテレビを買わなければだめだといってカラーテレビを買われたのを覚えています。  ですから、今度のアナログからデジタル化というのは、あのような変化ではないわけですね。今度は内容面でもずっと変わってくるわけです、豊かさも含めて、チャンネル数その他。そうすると、そのときに、さっき大臣が少し私がお聞きしたいなと思っている部分に触れられて御答弁がありましたけれども、同時に両方をラップさせて、アナログも放送しながらデジタルもやるのだ、それからアナログの機械でデジタルに移行したい人はその補器を何か開発していこう。こうしたこともわかるのですけれども、なかなか高いものですから、ぜひその辺で公平さを欠かないように、できるだけ低廉に、国民みんなが新しく国家で開発した新技術の恩恵をこうむられるような、そんな方向にお考えいただきたいな、こう思うのですけれども、先ほどちょっと御答弁いただいたようですが、それに何か付加するものがあれば伺いたいなと思います。
  84. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 先ほども申し上げましたように、大体二〇〇〇年を目標にデジタル化の方向にいろいろなものが進んでいくだろうと思います。  したがって、これからの時代はデジタル化、こういうことになるわけでありますが、しかし、我々国民視聴者としては、アナログ放送テレビを持っておるという者も恐らく相当数いらっしゃるわけであります。しかし、いっかはこういう切りかえの点というものに踏み切っていかざるを得ない時代が来るわけでありますので、時代の趨向としては、どうしてもデジタル化。したがって、このアナログ放送視聴者がこの点で大きな損害というか被害をこうむることのないように、視聴者の利益保護という立場でこれから私ども郵政省としても、アダプターというのだそうですが、こういうものの研究開発が、今もあるそうですが六、七万するそうですから、これを相当の値段に引き下げられるように大量生産をしていく、あるいは研究をさらに積み重ねて、より安いものが提供できるというような方向で今後努力をしていかなければならぬ。したがって、私ども郵政省としては、それぞれ関係メーカーの皆さんにもそうした方向で指導をいたしながら、さらに積極的な御支援もしていきたい、こう思っております。
  85. 吉田六左エ門

    ○吉田(六)委員 ありがとうございました。ぜひひとつそういう方向で御努力をいただきたいと思います。向かうこれからの新しい時代、逓信委員会、ここが牽引車になるのだ、そんな思いで務めさせていただきますので、何分ともひとつ御努力、御指導いただきたいと思います。  きょうのこの席にはいささか、方向的には間違っていないのでしょうけれども、射程が長過ぎるかもしれませんが、いろいろなことを思い浮かべながら、どんどんと電力を消費する機器が開発される、便利になる。これは逓信とは関係ないですけれども、トイレに行きますと、終わったあと洗ってくれるような機械まで電力消費ということなんです。こうしたものがどんどんと開発されていく、その中で私たちが議論している電波、電気通信、テレビ、ラジオ、こういったものにかかわるものも大きなシェアを占めるものですから、原子力発電所設置、これらのためにナショナルコンセンサスあるいは地域のコンセンサスをもらう難しさ、そんなものを思いに入れながら、消費税とは違う、こうしたおかげをこうむる機器からも、そのもとをなす電力の供給のための税と言っていいか、何かをもうそろそろ考えていかなければならない時代になるのかなと。そんな思いが、このたび質問をさせていただくに当たっていろいろと思いをめぐらせている中でふと頭をよぎったものですから、六左工門委員そんな思い胸にありということを一言御披露申し上げさせていただいて、大変いい時間を授かって、ありがとうございました。  終わります。     〔亀井(久)委員長代理退席、委員長着席〕
  86. 木村義雄

    木村委員長 遠藤和良君。
  87. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私、質問時間を八十分ちょうだいいたしましたので、きょうは丁寧にお聞きしたいと思います。  最初に、放送番組審議会のことでございます。  午前中にも参考人の皆さんからお聞きしたのですが、今度の改正は、郵政省といたしましては、番組審議会活性化するためのものだ、このように言っているわけでございますが、本来これは、法律改正して活性化を図るというよりも、自己責任で活性化していくのが本当の姿じゃないかなと私は思うのですね。  そういうところも踏まえて、活性化のポイント、それから、活性化して、その効果というものを郵政省はどういうふうに考えているのか、まず基本的なスタンスからお伺いしたいと思います。
  88. 楠田修司

    ○楠田政府委員 この番組審議会というのは、放送事業者が自分の中で、法律に定められておりますが、自主的に置きまして、そこに番組についていろいろ御意見を伺う、それで出された意見に従って番組を適正化していくということが基本でございます。そういう意味でありますから、番組審議会の方がどんどん意見を出して、こういうことをしなさい、あるいはそれを世間に発表するということがどんどん行われれば、これはある意味では非常に番組の適正化に役立ったと思います。法律趣旨はそうであります。  しかしながら、これまでの法律の中ではそういう形になっておりますが、実際問題として、諮問事項というのが全然出てこなかった。それから、意見も、先生方の個人的な意見は出るのですけれども、それはあくまでその意見にとどまりまして、審議会として、公式の意見として放送会社に言うということがなかった。  どうしてそういうことになったのだろうかということになりますと、やはりそこで議論される題材というものが特定されておりませんから、だんだん惰性になって、かなり活発に議論されているというふうにおっしゃる向きもありますし、そうされておることも事実だろうと思いますが、その中で、問題についての厳しい議論がされたのかどうかというのは疑問だという意見懇談会等でも出たわけであります。現に、多チャンネル時代における視聴者放送に関する懇談会の中には、番組審議会委員の方が二人おられまして、委員長も一人おられたわけでありますが、そういう意見が出ました。  では、どうしたらいいだろうかということになりますと、残念ながら、これはやはり法律の中で、何か題材を入れてそれを議論するようにしむけないといかぬのではないだろうかということが一つのポイントであります。  それから、それをやったとしても、やはり外から見られないと本気でやらないのではないか、やはり外からウォッチすることが必要だ。これがディスクロージャーでありまして、そういう意味で、やったことを公表する、世間の方々に見ていただくということを通じてこの番組審議会活性化することが必要だろうということになりました。  そういう二つのポイントが今度の番組審議会活性化ということに役立つということで考えておる次第でございます。
  89. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 本来、放送事業者が自分の責任で、よい放送になるように、よい番組になるようにこの番組審議会活性化していくというのが本当だと思うのですね。それがいいことだと思うのですが、法律改正して、要するに、放送事業者番組審議会への報告を義務づけたり、あるいはその結果を公表するという形になるわけでございますが、公表したものは郵政省としては何か御意見を言うのですか。
  90. 楠田修司

    ○楠田政府委員 例えば現在の仕組みを申し上げますと、番組審議会でなされた議事概要等は、法律に基づきまして、政令によりまして、一応郵政省の方に報告をしていただくことに既になっております。だから、今のものは報告をいただいておるわけであります。  それで、今度は、いろいろな形で外へ公表するという事項が広がるわけでありまして、公表するということは、当然ながら同じように、なされたことでありますから、報告をいただくことになると思います。  しかしながら、郵政省といたしましては、この放送番組審議会運営あり方とか仕組みとか、そういうことについては、余りに回数が少ないと、どうでしょうかというようなことは申し上げることはあるかもしれませんけれども、その審議会で行われた中身自身については意見を申し上げるつもりはございませんし、まだそういう仕組みにもなっておりません。
  91. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 そこが一番私も懸念をしているところなんです。報告を受けて、番組審議会の中身にまで至って何か行政官庁が意見を言うということは、これはやはり放送の中立性、報道の自由というものとかかわってきますよね。  もう一点の問題ですけれども、何を公表するかというのは政省令にゆだねられているわけですが、例えばだれがどういう意見を言ったとか、こういうことまで政省令に書く予定なのかどうか。先ほどの参考人質疑の中でも、もろ手を挙げて賛成じゃないけれどもこの程度改正はやむを得ない、許容範囲だ、しかしながら、政省令については、余り細かいことまで全部役所の人が決めてやるのについては大変慎重である、不安である、そういうような意見があったわけでございます。  政省令でどの程度細かいところまで決めるのか、あるいは政省令を定めるに当たって放送事業者意見を聞くのかどうか、この辺を確認したいと思います。
  92. 楠田修司

    ○楠田政府委員 番組審議機関がこれから公表する事項というのは今回の法律改正で定めるわけでありまして、法律事項でございます。意見を言ったこととか、あるいは訂正放送のあったような問題、あるいは苦情のあったような問題について報告をして、それについて議論しなさい、こういうことで、議題になる、これは法律事項でございます。  省令によりますのは、現在検討しておりますのは、この公表の仕方でございます。公表の仕方をどのようにするのか、例えば放送会社に備えつけるだけでいいのか、自分の放送で必ずやらなくてはならないのか、あるいは新聞等でやらなくてはならないのか、この辺のところがある意味では非常に重要でございまして、この辺のところにつきましては、まだ十分こ検討しておりませんけれども、やはりできる限り一般の方によく知られるように、かつ、それほど大きな放送事業者の負担にならない形でどのようにするかということを考えていきたいということで、放送事業者意見等も十分聞きながら、かつ効果的な方法というのを省令で定めたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  93. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 先ほどの民放連の方の御意見の中では、いろいろな意見を言うのですけれども、特定の個人の名前、だれがこういう意見を言ったということを公表を義務づけられてしまうと自由な議論ができなくなる、こういう懸念があったんですが、その点はどういうふうに考えているのですか。
  94. 楠田修司

    ○楠田政府委員 委員の個人名をこの省令で決めるかどうかということになりますと、これはいろいろ問題があろうかと思います。まだ正式にこう決めたわけではありませんが、やり方としては、A委員とかB委員とかいうふうなやり方もありましょうし、あるいは審議会の方で名前を出していいということであればそれも可能であろうと思います。それはあくまで審議会の意思を尊重するのが正しいのではないかというふうに思います。
  95. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それぞれ放送事業者は自分のメディアを持っているのですから、自分の方の会社の番組の中で公表するというのが一番自然な形じゃないかなと私は思いますね。そこで、国民の皆さんに公表したことに対して国民の皆さんが直接意見を言う、それを番組に反映する、それで自己完結していく、これがまず自己責任の社会じゃないかと思うのですね。それに対してやり方が十分でないとかいうことを行政当局がいろいろさしがねを入れるというのはおかしいと思うのですよね。やはり国民の中に意見をきちっと公表し、あろいは国民から意見を吸い上げて、その放送事業者が自己完結して物事をよりよくしていく、こういう社会にしていかなければいけない、基本的な認識はそれでいいのですか。
  96. 楠田修司

    ○楠田政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  97. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 法律というと、日本人はどうしても太政官令以来、国民を制約するというイメージが強いのですね。要するに、郵政省がつくった法律は、放送事業者を制約する、こうしろ、ああしろ、こうしなければならないという概念の法体系、いわゆる統治機構の一環といったらいいのでしようか、人の支配じゃなくて法の支配ということは大切なんですけれども、もう一つの側面からいうと、法律というのま、やはりマグナカルタ以来、人民の権利を保障するという側面があるわけですね。  ここの審議は、大体束縛する方の法律審議が多いわけでございますが、これはやはり報道の自由とか人権の自由とかいう法の世界での話ですから、非常に慎重でなければいけないと私は思うのですよ。何でもかんでも役所に報告しろというのは、どうも管理をしていくという発想じゃないか、監督をしていくという発想ではないか、もう少し自由に伸び伸びとやれて、しかもその中身がよくなっていく、こういう方向基本的には目指していくべきではないのか、こういう認識を私はしておりますがね。  そういう方向で、やはり放送も自由濶達に、しかも国民から見て喜ばれるような中身になっていく、こういう姿で育ていくというのでしょうか、見守っていくというのでしょうか、基本的にそういうスタンスであるべきだ、私はこう思います。その辺について、ちょっとこれは大臣の見識も一言聞いておきたいのだけれども、どう思いますか。
  98. 楠田修司

    ○楠田政府委員 まず第一に、今回の法改正によりまして、審議の題材というものを広めまして、提起をして審議を活発化していく。それを公表するというのは、一般の市民に公表するということが基本でありますから、これは必ずしも行政が介入するということにはならない。特に、この放送法に関する場合ですと、これは番組編集の自由ということがありますから、こういう公表することが何らかの形で番組編集に介入するとは考えられませんので、私はそれには当たらないというふうに思っています。  ただ、こういう番組の関係とか、いろいろ放送法にありますから、そういうことにつきましては、放送法におきまして報告すべき事項というのは政令で定めるということになっておりまして、その辺のところはかなり制限的にやっていることは事実でございますが、今回のこの件についてはそういう懸念は全然ないというふうに考えております。
  99. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 ただいま放送局長が答弁したことに尽きるわけでありますが、今回の法改正は、何といっても報道の自由ということを、これは当然侵してはならないわけであります。この報道の自由を尊重しながら今回の番組審議会活性化法改正をお願いするわけであります。  ただ、私は、この自由とあわせて、やはり報道社会に与える大きな影響というものもこれは見逃すわけにはまいりません。したがって、放送業者はその倫理に従って秩序ある放送確保してもらう、そういう立場から、番組審議会活性化しながら、お互いにその目的を達成いただく、こういうことになろうかと思います。
  100. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 NHK民放が共同で苦情処理機関をつくろうということで今計画を進めておりますが、これについて詳細な実態というものはもうお知りになっているのでしょうか。
  101. 楠田修司

    ○楠田政府委員 現在、NHK民放連の方で、どのような形で苦情処理機関をつくろうかということで協議中ということで伺っております。したがいまして、まだ、こうなったというふうなものにつきまして我々は情報は得ておりません。
  102. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私お聞きしたところでは、大体名称がまだ決まっていないのですが、権利侵害に関する対応委員会などの名称が浮かんでいると。それから、事務局というのを八名程度でつくりまして、ここは、要するに放送事業者から人員を配置する、あるいは直接採用する人もいるようですけれども理事会というのがあるのですね。理事会が、NHKから四人ですか、放送事業者から四人出して、これは、財源の確保とかそういう問題があるものですから、理事会をつくって会の運営をしていくと。財源については、一年間で大体−億六千万円から一億八千万円の財源を考えている、その分担拠出の割合は、NHKが三分の一、民放連が三分の二と。この理事会が評議員というのを選出するのですね、五人一評議員の方が委員を選出するのですね。こういうふうになっておりまして、実際、この機構というのは法律で定めた第三者機関ではないのですけれども、具体的に、財源は両者で分担をして、しかも、理事会は内輪の人が構成をして、その方がこの評議員を選出し、評議員が委員会のメンバーを選出するとなると、これは完全な中立機関とは言いがたいのではないかなという心配をしているのですが、どういう感触を持っておりますか。
  103. 楠田修司

    ○楠田政府委員 きょうの午前中にも、民放連NHKからも若干御説明があったというふうに承知しておりますが、一番大事なのは、この苦情処理機関は、裁定といいますか、勧告等を出す委員会でございます。委員会を、例えば民放連とかNHKが直接その委員を選ぶということになりますと、これはやはりどうしてもそこに何らかの色がつくといいますか、可能性があるということは皆さん考えることであります。それを避けるために、それを選ぶ評議員会をつくられるということでございますから、そこで一段クッションがある。その評議員を理事会等で選ぶ。何らかの形でだれかがそれを選ばなきゃならぬわけですから、そこのところで、できる限りそういう第三者性をつくろうという意思はあろうかと思います。  あとは、これが本当にそういうような形で運営されるかということをやはり見守っていくことが大事だろうと思いますので、その結果、委員会が十分独立性を持って、はっきりした意見を言って裁定なり勧告をしていけば、これはいい機関になるだろうというふうに思いますが、そうでない場合は一また何らかの改善を加えなければならない場合もあるかもしれませんけれども、要するに、これはやはりうまく動いていただくことが大事だというふうに思います。
  104. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 今の、そうでない場合は何らかの改善という意味は、法律で第三者機関をつくるという意味ですか。
  105. 楠田修司

    ○楠田政府委員 そこまでは申し上げませんけれども、もともとこの第三者機関というものを考えたときには、懇談会の中では、法律で定めるべきだという意見もございました。いや、自主的にやるべきだという意見もございました。そういう中で、民放連NHKがまず自主的にやろうということで動き出したわけでありますので、それが自主的に動き出して第三者的に本当に機能を果たせば、それはそれで目的は達せられるというふうに考えているわけであります。
  106. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私は、法律で第三者機関をつくるということについては心配しています。基本的には、やはりみずから自己責任できちっとしたものをつくっていくべきだと思います。  もっと理想的な話をすれば、放送事業者がお金を出してやるというのではなくて、民間の非営利法人ですね、そこに寄附金が集まって、その寄附金を控除してあげる制度を別につくって、そのNGOがこうした機関になって議論をしていくというのが本当は理想だと私は思うんですね。そういう仕組みをやはり日本の国にもつくっていかなければいけないんじゃないかと思いますよ。ただ、今そういう仕組みになっていないものですから、放送事業者がみずからの責任でやりましょう、こういうことでございますね。  番組審議会との関係で聞きたいんですけれども苦情処理機関と言ったらいいのでしょうか、この機関は、番組審議機関一つとして考えているのか、全く別のものとして考えているのか。これによって法律の適用を受けるか受けないかという問題があるんですが、ここについてはどう整理されていますか。
  107. 楠田修司

    ○楠田政府委員 この番組審議機関苦情処理機関は性格の違うものでございます。  番組審議機関は、現在の法制のもとでは、放送会社が自分の中に第三者の外部の方を入れて番組審議会をつくって、そこで番組の適正化、番組向上のための審議をしていただくことでございます。したがいまして、例えば、苦情があったといっても、苦情を言ったらそこを、苦情をやるのではなくて、苦情のあるような番組を通してその番組向上を図るということが議題になろうかと思います。  一方、この第三者的な苦情処理機関というのは、あくまでも苦情を処理して、人権侵害とか権利侵害を回復することを目的とするものでありまして、本来、苦情がありますと、その放送事業者と、文句といいますか、苦情を申し立てた人との間で解決を図られるのが常でありますが、解決されない場合、現在では裁判に行くしかないというときに、こういう機関をつくって中立的に解決していただこうということであります。これは明らかに苦情問題あるいは人権とか権利侵害の問題を扱う機関ということで、番組そのものによるそういう権利侵害を扱うということであります。番組そのものではなくて、その中で番組のことは審議になると思いますが、権利侵害があくまで対象だというふうに考えております。
  108. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 この点はわかりました。番組審議機関とは別に、本来は各放送事業者個々に苦情処理機関をつくって、そこで結論が出ない問題についてはこのNHK民放連が一緒になった機関のところに持っていく、こういう二段階構えで処理をする、こういうふうな形になるということですね。わかりました。  報道と人権の問題について、午前中の質疑の中でも、私、報道の取材のあり方とかキャスターの報道姿勢とか、そういうことをいろいろと申し上げたんですけれども日本は人権に対する感覚が少し弱いのではないか。特に名誉毀損罪ですね。名誉毀損罪について、日本の刑法では最高刑が五十万円の罰金ですよね。米国では大体五十万ドルから百万ドルですよね。  ですから、これは郵政大臣に聞くんじゃないんだけれども、堀之内大臣に聞きたいんですが、ちょっと人権とか名誉毀損とかそういう問題に対して、私自身は、やはり民法、刑法を改正をしてもっと厳罰主義にした方がいいんじゃないかなという認識をしているんですけれども、これについて何か所感がありましたら教えてください。
  109. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 私もただいまのこの問題は専門ではありませんので、なかなか適当な答弁ができぬかと存じますが、人権の尊重というのは、もう民主社会の大原則であります。したがって、先生が御指摘のように、名誉毀損に対する考えが日本では軽く扱われているんじゃないかということになりますと、これは日本の民主社会の将来について大変憂慮すべき問題だ、こう考えるわけであります。  しかしまた、我が国の現状が、刑法や民法を改正して厳罰主義にすべきほど憂慮すべき状況なのかどうか、そのような厳罰主義が適当かということになりますと、これは社会においてもう少し幅広く御議論をいただくことが必要な問題ではなかろうかと考えておるところであります。
  110. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 特に、報道関係者は人権の問題に配慮をしなければいけないと思うんですね。  私、午前中の質疑でも、松本サリン事件の河野義行さんの著作の中から申し上げました。「マスコミは一人の人間に容易に灰色の色を塗ってしまう。人に色を塗る。人の一生を左右してしまう恐ろしさを真剣に考えてほしい」こういうことを言っています。  いろいろ反省点はあると思うんですけれども、やはり慎重な上にも慎重に取り組んでいかなければいけない問題であると思うんですよ。  それで、じゃ、河野さんのその発言について、郵政大臣の所感を言ってください。
  111. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 私も、松本サリン事件における河野さんのいろいろあっちこっちで訴えられておられる状況はお聞きをいたしておりましたが、その中身について詳しく私は存じ上げておりません。しかし、放送というものがいかに大きな社会的影響を与えるかということは、もう国民の皆さん御案内のとおりであります。  したがって、今後、放送による名誉毀損等の人権侵害があった場合には、本当に被害が大きいわけでありますし、非常に深刻であります。したがって、今回、放送事業者等が、特にこうして第三者機関を設置しながら自主的に人権問題等について検討をしていただく、これはもう非常に大事なことであるし、それでまたもし解決がつかないということになれば、これはもう最終的には裁判ということにならざるを得ないわけでありますが、そういう意味では、今回の第三者機関の設置というのは一歩前進だ、こういうように私どもは評価をいたしておるところであります。
  112. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 放送番組審議会の問題についてはこの程度にいたしまして、有料放送についてお伺いしたいのですが、今度の法改正で、要するにCS放送有料放送認可制を届け出制にするという改正をするわけでございますが、いろんな将来の姿が述べられているのですが、例えば、二〇〇〇年には恐らく三百番組ぐらいになるんじゃないか。これは衛星ばかりじゃなくて地上波も全部入れての話でございますけれども、その多チャンネル化時代における有料放送の割合というものをどういうふうに考えているのか。  それから、有料チャンネルということになると、やはり一つの普通の家庭で有料放送料金を払う程度というのはどの程度が妥当なのか。  それから、テレビばかりじゃなくて、これからインターネットもあるし、通信・放送に係るコスト負担の話がありますね。そうすると、多くのメディアが、たくさんあるんですけれども、それにアクセスできる人とできない人とが出てくるのではないかという心配があるのですね。ですから、有料放送を届け出制にするということは、ある意味では市場の原理に任せるという話になりますから、そうするともう競争社会の話でございますから、一般の家庭では、払える人はすべてのものにアクセスできますけれども、払えない人は、せっかくチャンスがありながらアクセスできない。  そうすると、これ、国民にとって多チャンネル時代というのは幸せなことか不幸なことかという議論にもなるんですけれども、その辺の問題について、大体こういうことを描いているという構想があったらぜひ示してください。
  113. 楠田修司

    ○楠田政府委員 これから多チャンネル化時代になった場合、どれぐらいが有料放送になってどれぐらいが無料放送になるかという想定は、正確な想定はなかなか難しいわけでございます。  現在起こっている状況を若干申し上げますと、例えば、今のCSデジタル多チャンネル放送のパーフェクTVというのがございますが、これは六十八チャンネルございまして、そのうち有料チャンネルが五十八、無料チャンネルが十ということになっております。この割合でいきますと、かなり、八割ぐらいが有料チャンネルというふうになっておるわけであります。  これから特にふえてまいりますのは、多チャンネル放送は大体有料専門放送ということが中心でありますから、確かに中心は、有料で、お金を払わなきゃ見られないということは事実であります。しかし、多チャンネル化しまして非常に競争が激しくなりますから、ただ三百チャンネルあったからといって三百チャンネル皆さん見るわけではなくて、その中で自分の好きなものを選ぶという中で、料金がどの程度になるかということは一つの大きな課題であります。  それから、もちろん無料チャンネルもこの中にあるということです。これまで続いております巨大な地上放送、これはこのまま恐らくコマーシャル放送として続くことは間違いない。たとえデジタル化にしても、この大きな広告放送市場というのはなくならないと思いますので、これはこのまま続くということでありますから、両方相まって、それからNHKもございますが、こういうことが相まっていろんな選択ができるということで、確かにお金を払わないと見られないものは出てきますが、その中でどのように選んでいくかということは、いろいろ、それは全部無料にすべきじゃないかという考えもありますが、それはなかなか不可能でありまして、非常にふえていく中では、これをできるだけ安く、しかもアクセスしやすいようにするということであります。なお、技術的なアクセスというのはほとんど、衛星放送でありますから、地域の格差というものはない、どこでもアクセスできる、こういうことでございます。  それから、通信との関係もございまして、それぞれの家計というのはなかなかお金の限界がございまして、その問題はあろうかと思います。  ちょっと数字だけ申し上げますと、現在放送関係でどのぐらいお金を使っているかといいますと、これは平均でございますが、平成七年度の通信利用動向調査によりますと、四千四百五十七円というふうな数字になっております。通信の方はどうかといいますと、これが六千六百二十九円となっておりまして、足しますと一万円ちょっと超えるぐらいということになります。大体三・四%ぐらいであります。  ただ、これは移動通信が入っておりませんで、移動通信がかなりのお金でありまして 九千円以上になります、ただ、これは二千万ぐらいの世帯でありますが。これがどんどん広がっていきますと、全体は一万よりもかなり大きな額というものが情報通信に支払われているということでありまして、これまでに比べると、放送も含めた情報通信に家計の払う割合というのはふえていくという傾向がございます。
  114. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 現在の時点から若干の近未来を見たお話だったと思うんですね。二〇〇〇年だとか二〇一〇年とか、そういうマルチメディア時代に対して、放送も通信も、すべての情報メディアの、例えばコストダウンが図れるような競争政策をとっていくとか、規制緩和政策をとっていくとか、まあコストを役所が決めることはできませんけれども、コストダウンの誘導政策というのでしょうか、これはとれると思うんですね  だから、そういうふうなものを大胆に打ち出して、全体のコストをダウンして、できるだけたくさんの方がアクセスできるような社会にしますよ、このぐらいのことは大臣一言言ってもらわないと、国民は不安を持つ工いると思いますよ。だんだんだんだん有料放送ばかりふえて、それはありがたいことなんだけれども、本当にみんなが利用できるのかなという不安がありますよね。思い切って、例えば現在の二分の一とか三分の一とか、そういう目標数値といいますか、そういうものをコストダウンを図ります、それはこういうふうな政策誘導によって図ります、こういうことを情報通信の担当大臣としてはやはり決意を述べるべきじゃないでしょうか。
  115. 楠田修司

    ○楠田政府委員 大臣の前にちょっと一言。  先ほど申し上げましたのは、近未来を今の数字で積み上げたらこうなるということでありまして、ちょっとコストダウンのことを言い忘れました。  もちろん、技術革新がありますと、衛星のコストもどんどん安くなる、あるいは競争があると、それぞれのものがどんどん下がってくる、あるいは電気通信の方も、携帯電話も恐らくもっと下がるでしょうし、電話も下がることは当然のことでありますから、その点をちょっと申し忘れましたが、ただ、それの数字というのは今持っておりませんので、下がることは間違いないのですけれども、できる限りそれを推進していくということは申し上げておきたいと思います。
  116. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 ただいま局長が答弁申し上げましたとおりでありますが、私は、一つの例から考えてみますと、十二年前に、いわゆる通信の民営化を始めまして、それぞれたくさんの規制緩和をして、多数の事業者が参加をされました。先ほど私が申し上げましたように、十二、三年前は、遠距離通信七百円であったわけですが、それがわずか十年間で六分の一まで下がってきたわけであります。  恐らく、多チャンネルになりますと、有料放送が主力でありますから、これは私は、やはり業界の皆さん方の切瑳琢磨によって、努力をしながら、お互いに料金の引き下げをし、そして視聴者利便を図っていくだろう。行政の立場で二分の一にするとかいう、これはなかなかできる問題ではないと思っておりますし、またその当時になりましても、NHKでやはり四チャンネルですか、そういうように、あるいはまた今の地上放送へこういうものもそのまま十分見られるわけでありますので、そういう有料チャンネルになりました場合には、それぞれ優秀な番組を選択するという方向でいけば、私は自然と料金も引き下げにつながっていくのじゃないか、こういうように思います。
  117. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私は、行政マンとしての大臣の見解を求めたのじゃなくて、政治家としての見解を求めたわけでございまして、やはり高度情報化社会、マルチメディア社会というものと国民との観点ですね、それからいうと、やはりコストダウンを図る。それは私の感触では、今のまま推移していくにしてもコストダウンはできると思うのですよ、ずっとコストダウンの傾向が続いていますからね。しかし、もっと政治的に、いろいろな規制緩和を断行するとか、あるいは競争政策を取り入れるということによってそのコストダウンのスピードを速めることは可能だと思いますよ。だからそれを、二分の一か三分の一かわかりませんけれども一そのぐらいを目指して頑張ります、こういうことを言うと、これは私は政治家の発言になると思うのですが、いかがですか。
  118. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 今国会で、後でまた御審議賜る予定で今法案の準備をいたしておるところでありますが、先般のWTOで一応この通信衛星放送関係において大きな妥結を見ました。この件におきましては、日本が一番外資規制を今度緩めるわけであります。もうNTTとKDDの二〇%以外は全部外資の一〇〇%出資も認めるということをいたしました。  したがって、私は、そういうことになりますと、内外のいろいろな業界、事業者が参加いただきまして、お互いによりよい番組、そしてよりよいコストダウンを図った放送の提供をいただける、そのことが自然と料金の引き下げにつながっていくのじゃないか。今後とも私どもは、積極的に規制緩和を進めていきたい。恐らく、この通信放送行政が、いわゆる電波に対する規制緩和が、我が国政府全体でも一番進んでおるのじゃないか、こういうように私どもは自負をしておりますが、これからもできる限りのそうした規制緩和を進めながら、努力をさせていただきたいと思います。
  119. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 規制緩和することは本当にいっぱいあると思うのですね。特に今回は、例えばCS放送のみ届け出制にしたわけですけれども、本来はやはり料金は全部届け出制でいいというところまでいくべきだと思いますね。特に、この標準約款は、契約約款というのを行政がつくって、それに合うものはもうみんなみなすというふうになっているのですが、標準約款の中に料金が含まれていないのですよね。これは別の話で一きちっと認可制のものとそれから届け出制のものに分けているわけですけれども、本来やはりCSもBSも地上波も有料放送は全部届け出でいいよ、こういうふうにした方がいいのじゃないかと思うので すが、どうでしょう。
  120. 楠田修司

    ○楠田政府委員 今回の改正は、デジタル放送の開始によりまして、CSが特に多数の有料放送事業が出るということで、この料金認可制から事前届け出制にした。それから、約款につきましても標準約款制にして、それは届け出にするということでやったわけであります。  このほかに、有料放送といいますと、BS放送がございます。BS放送で現在はWOWOWというものが、二百二十万人ぐらいもう加入者はありますが、一般的にこのBS放送というのを考えてみますと、これは既に一千万世帯が視聴可能であります。WOWOWは二百二十万ですが、一千万の畑がある。CSはゼロから始めるわけでありまして、そうしますと、少し考えますと、このところでやはりBSの方が非常に有利な立場にある、これが一つございます。  それから、BSはまだ一社しかないわけであります。やはり、競争が中で出ないと料金というのは届け出にできない、こういうことでBSにつきましてはそのままにしておるわけですが、いずれにしましても、このBSもそのうち競争が出てくる、あるいはほかの放送でも競争が出てくるということになりますと、当然CSと同じようなことは考えられるわけでありますが、現状は以上のようなことでございます。
  121. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 では、字幕番組についてお伺いしたいのですが、今度の法律改正によりまして、いわゆる先ほどもちょっと話がありましたが、民放で、要するに字幕番組のための許可がないから、実際に中央のキー局から字幕つきで流していてもそれを放送できないというのはなくなるわけですね。ですから、今は全国都道府県、二十八府県ですかで字幕番組ができていないわけですが、今度の法律改正をすることによって、要するに中心のキー局から全国に流すことは可能であるということになると、これは日本全国どこの府県も全部民放番組字幕番組で見られるようになる、このように理解してよろしいですか。
  122. 楠田修司

    ○楠田政府委員 先生御指摘のとおり、これまで字幕をやる場合には文字多重放送の免許を取らなければならなかったわけでありまして、これが免許手続、免許手数料等で障害になっておりまして、これを取り除くことが第一だということで、今回の法改正によりますと、今テレビジョン免許を持っている人は字幕解説放送についてはこの免許は必要でなくなるわけであります。少なくとも、免許を取る手数あるいはその費用は要らなくなるということでございます。  ただ、字幕放送をするということになりますと、これはそれなりの機器というものが必要でございますから、それを備えつけますと、例えば中央のキー局から字幕がついているものが流れてきますと、これはもう自動的に字幕放送ができる、こういうことでありまして、ただ、今のままでできるかどうかとなりますと、そういうハード面の準備が必要になってくるということは申し上げておきたいと思います。
  123. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 法律的にはできる、あとは設備投資をしていただく必要があればしていただいて、全国あまねくできるようにする、こういう体制であるということですね。  それから、ちょっとこれと違うのですけれども、見えるラジオのことについて聞きたいのですが、今回の法律改正の中にも、超短波放送の文言の中に、「又はこれに伴う文字、図形その他の影像若しくは信号」ということが入って、要するにFM放送の文字多重放送ですか、これがFM放送の免許があればできるという形になると思うのですが、NHKの見えるラジオというのは今のところは全国で見えないのですよね。NHKのFMの話ですが、NHK公共放送なんですから、やはり見えるラジオも全国展開をするべきではないか、こう思いますが、どういう認識をしていますか。
  124. 楠田修司

    ○楠田政府委員 今NHKのFM多重がどの程度いっているか、ちょっと手元に数字がないので御説明できないので申しわけございませんが、この見えるラジオというのは東京の民間放送局から始まりまして、NHKはその後逐次広げているところでございまして、これにつきましては、FMの多重免許を取って進めていくということで、逐次増加していくというふうに考えております。
  125. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 民放の場合は、これはそれぞれチャンネルが違うのですが、見えるラジオはほぼ全国で見られるのですよ。ところが、NHKの方は、私が調べたところでは、東京と神奈川と埼玉と千葉しか見られません。あとの地域は見ることができません。これはやはり公共放送としてはちょっとちぐはぐになっているのじゃないかな、こういう認識をしているのですが、どうですか。
  126. 楠田修司

    ○楠田政府委員 NHKのユニバーサルサービス義務というのがどこまでかかるかということにつきましては、若干意見があろうかと思いますが、NHKが一部の、東京で見えるラジオをすれば、当然のことながら、やはり全国的に展開するのが必要であろうというふうに思います。  ただ、これにつきましては、やはりそれなりの手続と費用がかかるということで、一気にというわけにはいかなくて、現在逐次進めているのではないかというふうに考えております。
  127. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私、NHKに確認したら、今の放送行政局長と同じ答弁が返ってきましたよ。やはり設備投資にお金がかかるという話ですね。  でも、今度の法律改正で、聴覚障害者用に字幕番組を多くしろという話で、いろいろ放送事業者努力義務をつけているわけですね。それをできるだけたくさん放送できるようにと言っているわけです。FM放送は歴史がちょっと違うわけですが、私も実際にこの見えるラジオを見ておりまして、大変短いニュースなのですけれども、ラジオは携帯できますし、聴覚障害者の方が、見ることによってニュースにも早く接することができるし、ニュースばかりではなくて、天気予報だとかビジネストレンドだとか、いろいろな情報が流れてきておりまして、大変聴覚障害者にとっては重宝なものではないのか、こう思いますので、聴覚障害者の皆さんのためには、ぜひこのEM放送の文字多重放送もできるだけ全国展開をしていくべきだという努力義務をつけるべきではないのかな、私はこう思っておりますが、どうでしょう。
  128. 楠田修司

    ○楠田政府委員 このFMラジオ、NHKと民間放送と若干違うと思いますが、NHKの場合、これを文字多重で現在一部やっておるわけですから、これは努力義務を別につけなくても、当然のことながら努力すると思います。  一方、民間のFMラジオの努力義務でありますが、今回の法改正での努力義務というのは、その一方で、補完的なものについてはこれまでの免許で文字多重ができる、こういうことにしたわけですね。そうしますと、この文字多重を考えた場合、テレビですと、これは画面を見ておりますから、耳の不自由な方が文字を見ると非常こ便利になるということで意味があるわけですが、このFM放送はもともと音の放送でありますから、テレビと若干違った性格でありますから、音に対して文字が出ても、音が聞こえないと文字の意味がないわけであります。そういう意味で、補完という意味は我々余り想定していなかったわけです。絵については補完はあるけれども、音に対して補完はない。  ただ、一方、文字多重放送として、ニュースであるとか、私も重宝しておりますが、非常に便利なのです。それは、非常に聴覚障害者にとって役立つものであります。しかしながら、だからといってこれを、FM放送の民間放送事業者努力義務を課するということは、若干今回の法改正趣旨と違うところがあろうかと思います。  ただ、そういう非常に便利なものでありますから、民間のFM事業者もかなりの速度でこの文字多重というのを進めております。現在、もう百万台以上受信機が売れたというふうに聞いております。非常なヒットでございますので、いずれは全国的に広まっていくだろうというふうに思っておるわけであります。
  129. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 今の説明、大変よくわかるのですが、ただ、確かに重宝なものなのですね。です から、重宝なものはできるだけ日本全国どこにいてもそれにアクセスできるようにしてあげることがいいことですね。そういう意味で、やはりもう少しいろいろな配慮をするべきではないのか、こういう意見でございまして、今回直ちに加えろという話ではありませんが、今後の課題としてぜひ念頭に置いていただきたい、こういう要望を申し上げたいと思います。  それから、文字放送受信機の話ですけれども、最近は内蔵型の受信機もふえているようですが、チューナーをつける、内蔵型、二つあるようですが、それを両方足して、平成六年の調査で、日本では九十三・二万台ですか、全テレビの二・七%という数字がありますが、アメリカに参りますと、十三インチ以上のテレビは文字放送の内蔵を義務づけているということなんですね。  日本で、せっかく放送はあるのだけれども、受信機の普及がないから実際に利用できないという人もいるようですが、この辺について、普及の方策、手だてというものについてどのようなお考えか、聞きたいと思います。
  130. 楠田修司

    ○楠田政府委員 テレビジョンの文字多重放送の受信機の普及台数ですが、現在の数字を申し上げますと、平成八年末で約二百十万台になっております。  この文字多重放送の受信機ですけれども、普及当初は非常に伸びが悪くて、年十万程度の伸びでございました。それが、昨今に至りまして、メモリー等のLSIが非常に安くなりまして、平成六年以降年約六十万台のペースで普及しておりまして、かなり普及の速度は速くなってまいりました。  なぜ今まで文字放送の受信機が普及しなかったかということですが、これは鶏と卵のような関係でありまして、日本放送会社が文字放送をやらないから受信機が売れない、受信機がないから文字放送をやらない、こういう両すくみでございました。ある意味では、今度の字幕放送法改正によりまして字幕放送が広まるということになりますと、これはやはり、受信機が売れる、ふえるということの一つのきっかけになろうと思います。  それで、これまでどういうことをやってきたかということですが、やはり何とかこの文字放送をふやして受信機もふやしたいということで、かねがね文字放送普及推進協議会というのを平成五年から設置しまして、メーカー、それから放送事業者等に集まっていただきまして、やはりこれはふやそうということでお互いるいろいろな懇談をやってきまして、いろいろな部会をつくってやってきたという、かなり努力してきたことはございます。そういう意味で少しずつ伸びてきたということであります。  それと、これから伸びていく一番大きなことは、こういう文字放送がふえるのは、やはりメモリーが安くなったということ、このことがこれからほとんどの受信機にできれば内蔵していただきたいという希望をかなえられる大きなきっかけになろうかというふうに思っております。
  131. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 法律による規制緩和と言ったらいいのでしょうか、こういう手だてとともに、もう一方は、助成措置が必要ですね。これは既にあるわけですが、障害者利用円滑化法の助成状況、これはうまくいっておりますか。
  132. 楠田修司

    ○楠田政府委員 障害者利用円滑化法による字幕番組の助成の状況でございますが、これは、通信・放送機構内の衛星放送受信対策基金の一部へ十億円を使いまして、その利子でもって字幕番組の制作をやってきたわけでありましくちょっと数字を申し上げますと、平成六年度が二千九百二十万、平成七年度が千八百五十万、平成八年度が一千八百八十万と、これは非常に金利が低くなったということで、この助成というのは非常に少なくなってきたということでございます。  今回、この字幕番組の助成で新たな助成金というのを大蔵省に要求して認められましたのは、こういうこともありまして、そういう形で余り金利に左右されないでやっていきたいということで約一億三千万の予算をつけていただいた、こういうふうに思っております。
  133. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 BS4の後発機の問題でございますが、この後発機はデジタル化するという決定をしたということですが、今まで郵政省はアナロダのハイビジョンをずっとバックアップして推進をしてきたわけですね。行政の継続性という問題点との絡みですけれども、全面的にBS4後発機についてはデジタル、BS4がそれですから、恐らくBS5もあるとすれば全部デジタルになると思います。そうすると、この継続性、今までやってきたものと不連続なところが出てくるわけですね。ここについてどういうふうに措置していくのか、この対応を聞きます。
  134. 楠田修司

    ○楠田政府委員 先生御指摘のとおり、行政の継続性といいますか安定性というものは基本的に必要と考えておるわけでありますが、その中で、このBS4後発機のあり方につきましては、これをアナログ方式からデジタル方式に変更したということが果たして行政の継続性があるかどうかということが一つあろうかと思います。  それで、これは、技術の方針を変えたわけでありまして、当初はBS4の後発機もアナログでやるというふうに決めておりまして、放送普及基本計画も決めたわけでありますが、ただ、それを決める段階の前において、これを決めた段階ではデジタル化というものがこれほど早く進むという想定がなかったということがありまして、技術が大きく変わったときは変えることありという趣旨の文言が入っておりました。それが、この数年の間に非常に大きく変化したというときに、行政の継続性ということにこだわっていていいのかという意見がありまして、その中で、やはりデジタル化の中で後発機からはデジタルにすべきだということになったわけでありますが、そういうことが一つありまして、継続性は必要だけれども、必要な場合はこれは変えなくてはならないという点が一つございます。  それから、もう一つは、ハイビジョンの問題がございまして、ハイビジョンがアナログでございますが、アナログで先発機でやってきた、後発機になるとハイビジョンはどうなるのだ、こういうことがございましたが、今回の電波監理審議会に諮問申し上げている中身では、アナログのハイビジョンというのはもちろんデジタルから変わりませんが、ハイビジョンでありました高精細、千百二十五本、いわゆるきれいな画像というものは日本技術でありますから、これをデジタルでも使おうという意味では、ある意味ではこの高精細という面につきましては継続性が保たれている、こういうふうに思っております。  それから、もう一つは、今度は視聴者の関係でありまして、アナログの受信機で聞いている人が、デジタルになったら、これはぱたっと消えていた、もしデジタルになったら大変ではないかという問題がございます。これにつきましては、先発機というのがございます。BSの先発機を間もなく上げますが、それには今と同じものを約十年間続ける、これは継続性があるわけでありまして、後発機をデジタル化にしたものにつきましては、デジタルを聞く場合は、今度は安価なアダプターをつければ今のアナログの受信機も見られる、プラスアルファでありますから、アダプターを買わなきゃなりませんけれども、安価なアダプターをすればある意味ではその継続性は保たれる。かつ、デジタルの後発機の方もサイマル番組というのをしまして、先発機もそのまま映すということで、円滑にアナログからデジタルに移そうという措置もとっていくということでありますから、これもある意味では継続性が保たれるというふうに考えておる次第であります。
  135. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 デジタル化というのは、放送衛星あるいは通信衛星だけではなくて、地上波放送もデジタル化していく方向にあると思うのですね。そうすると、要するに、消費者の側から見ると、今アナログの受信機なんですけれども、確かにチューナーをつければそれはデジタル放送も見れる、あるいはサイマル放送もあるということなんですが、日本人の消費傾向として、やはり新しいものが来ると新しいものを買うというところがあると思うのですね。ですから、アダプターを買わないで完全に新しいものに切りかえてしまって、アナログの受信機はもう捨ててしまいましようということも考えられるわけですよね。そうするとこれは、壮大なごみ問題が起こりますね。今の受信機が、全部とは言わないけれども、アダプターを使う人もいるかもわかりませんけれども、もう新しいものができたのだから新しいものにしましょうというふうになってしまえば、使えるアナログテレビもごみになる。こういうふうな話になってくると、そのごみはそれではだれが処理するのでしょう、地方自治体が処理をするのでしょうか、あるいは製造業者に処理を義務づけるのでしょうか、あるいはそれは一般廃棄物の場合はこうで、産業廃棄物がこうでという議論になるわけでございますが、郵政省は、この問題について、例えば厚生省とか環境庁とか通産省と勉強会のようなものをおつくりになる考えはありませんか。
  136. 楠田修司

    ○楠田政府委員 アナログがデジタルになれば壮大なテレビのごみが出るのではないかという御指摘でありますが、例えばアナログの受信機を買ったとします。二〇〇〇年にデジタル化になりましても、デジタルになって約十年から十五年間というのは必ずサイマル放送が行われるわけでありますから、そうすると、そのアナログ受信機は十年以上使えるわけであります。大体寿命まで使えるということでありますから、基本的にはそれを使える。  ただ、新しく出たデジタル放送でサイマル以外のプラスアルファがあった場合、このプラスアルファを見るときは、やはりデジタル受信機を買うか、アダプターをつけるか、こういうことになるわけであります。そのときにアダプターをつけた方は、デジタルも見るしアナログも十年以上見る、そして期限が来たら捨てる、こういうことは今までと同じことであります。それでは新しくデジタルを買った人はアナログは捨てるのじゃないかという御指摘だと思いますが、はっきり言いまして、そこまで本当に捨てるのかどうか、そんなにデジタルになった途端にアナログを捨てるかというと、それはちょっと考えられないのではないか。そういう人も確かにいると思いますが、やはり二台あってもいいわけですから両方持って、ただ、アナログの受信機が寿命が来ていれば、それはデジタルにかえればアナログの受信機は捨てるというふうに思います。  したがいまして、正直申し上げますと、まだ通産省、環境庁と事務レベルでこういう問題について勉強会をやるということは想定しておりませんでしたけれども、具体的にそういうような問題が起こるということになれば、場合によっては考えなきゃならぬ大きな問題かなというふうには思います。
  137. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 実際にそういう勉強会を開始したとなると、逆に言うと、今度は消費者はびっくりしますよね。政治的な意味合いはありますよね。だから、技術の革新というものと国民生活というものは、非常に難しいのですよね。どんどんどんどん革新されることはいいことなんですけれども、やはり痛みを伴うところも出てくる。やはりチューナーを買わなきゃならない、あるいはチューナーじゃなくてもう新しいのにしますというと、今度はごみの問題が出てくるという話になるわけでしょう。そうすると、技術革新というのは、古いものから新しいものへという時代変革に至るわけですけれども、その国民の痛みというものを最小限にとどめる努力というのは、やはり政治の責任であり、行政の責任だと思うのですね。そういうことをやっていかなきゃいけないわけですよね。ですから、例えばその間サイマル放送をするとか、アダプターを低廉な価格で入手できるようにするとか、いろいろな方法はあると思います。ごみが出てきてもそんなに大騒ぎしないでちゃんと処理できる、危機管理と言えるかどうかわからないのですが、そういうふうなことも考えている、全方向でいろいろと考えている、全方位的な用意といいますか心構えというか、そういうものはやはりとっておかなければいけない問題じゃないかな、こう思うのでございますが、これは行政の話であるとともに政治の問題だと思うので、大臣に聞きたいのですけれども技術革新の時代国民の痛みという問題について、政治家としてどういうふうな判断をされていますか。
  138. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 先生、先ほどからも御指摘いただいておりますように、今この放送情報通信の技術革新というものは、もう本当に、日進月歩というよりは、大変な革命を行っておるのがこの業界だと思います。  ちょうど三年前に、私ども郵政省で、放送行政局長がハイビジョンをデジタル化すると言ったら大問題になって、そのためにやめたわけじゃありませんでしたが、そのときは挙げて業界が反対をされました。ところが、今回私どもが、いよいよ二〇〇〇年に向けてデジタル化にあらゆるものを進めます、こういうことでやりました。特に放送関係はデジタル化を二〇〇〇年を目標に進めますと申し上げても、何ら、大きな反応というか反対というか、そういうものはなかった。もう当然な姿だ、こういうようなことで、それぞれ、メーカーもあるいは放送業界も受けとめていただいておる。  それぐらいこの技術革新が急速に進んでいくわけでありますが、これは世界の流れでありますので、我々もそれに立ちおくれしないようにこれからも積極的に進めてまいりたい、こういうように思っておるわけであります。  今後も、デジタル放送の導入に当たっては、先ほどから御指摘いただいておりますように、アナログ放送視聴者に混乱をもたらさないように、そしてまた、視聴者の保護というものが極めて大事である、重要であると認識をしております。ただいまも先生から御指摘ありましたが、サイマル放送実施や低廉なアダプター、これはもう何といっても、大量に生産をいただき、あるいはまたこれの研究開発も積極的に進めていけば、思い切った価格提供ができるもの、こういうように思っております。  今後とも、郵政省としては、そういう面で技術革新におくれないようにすると同時に、また国民に、視聴者に大きな負担にならないような方向努力してまいりたいと思います。
  139. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 放送大学学園の話ですが、この放送は今地上波でやっているんですが、BSでやるのかCSでやるのかまだはっきりしていないですね。これは放送大学が決めることなんでしょうけれども、どちらかに決めればどちらにでも対応できる、こういうふうなスタンスですか、郵政省は。
  140. 楠田修司

    ○楠田政府委員 放送大学学園の放送でありますけれども、昭和六十年から関東地方を対象にやっておりまして、全国の地上波はまだ使えていないわけであります。関東は電波でやっております。  したがいまして、放送大学としては、何としても全国的にやりたい。これは、もう衛星放送が一番適切なわけであります。BS放送については、この点については、なかなか、電波の波の関係もありまして、決まっておらなかったわけであります。一方で、CS放送は、先にデジタル化で多チャンネルが出たということで、放送大学としては、CSでとにかくやるということは一応方向を決めたわけであります。その関係の法律改正も現在お願いしているように聞いております。  一方で、BSでありますが、BSも今度デジタルになるということにしまして、ハイデフィニションを中心にやるわけですが、放送大学がもしお使いになるというのであれば、全然できないわけではない、BSでやる可能性もあるということで報告書をいただいております。  したがいまして、これは放送大学が、やはりCSもBSも地上もやるというなら、放送大学というのは一体どういう放送で、どう教育するのかという全体像をやはりおつくりにならないと、これはお金もかかる、予算もかかることでありますから、そういう意味で、関係者がこの点についてどういうふうな方向を出されるか、合意をされるかということを、郵政省としてはその結論を待っておるという意味で、ある意味では全方位でお待ちしておる、こういうことでございます。
  141. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 今NHK研究所で、ハイビジョンの受信機を活用しまして、それをマルチメディアの端末にするという研究が進んでいます。私も見てまいりましたが、この端末にあらわれるのは、放送の分野のものもあるし、通信の分野のものもありますね。例えば、ビデオ・オン・ディマンドだとかあるいはインターネットだとか、そういうものが全部一つの画面の中に、放送の分野のものもあれば通信の分野のものもあります。コンピューターの画面とテレビの画面が一緒になったような画面ですね。こういうふうなものがこれから恐らく各戸に普及していくんじゃないかなと思うんです。  その場合、放送と通信とが限りなく融合していって、垣根が低くなって、最後になくなるという話になるんじゃないかなと思うんですが、今の法律の体系では、例えばNHKは通信の分野の仕事はできないですよね。研究はしているけれども、それを実際に全部NHKがやるということはできないと思うんですね。あるいは、そうすると法律の体系も変えていかなきゃいけないことだし、郵政省の内部部局もそれに対応して変えなければいけないという問題が出てくるんじゃないかと思うんです。  通信と放送の融合の時代はもう現実には来ているという認識でいいんじゃないかと思うんですが、そういうふうな、時代を先取りする形で法律改正とかあるいは郵政省の内部部局の再編成とか、そういうものは考えていますか。
  142. 楠田修司

    ○楠田政府委員 先生御指摘のように、近い将来、家庭にあるいわゆるテレビの画面が、テレビの画面であると同時にコンピューターの画面にもなるということは、例えば、アメリカで現在コンピューター業界とテレビ業界がその規格基準をめぐって非常に争っているというか、競合してきているというのは、家にある画面というものをどちらがとるかということは、これは融合してきている、こういうことでありますから、デジタル化になりますと、必ずこういうことが起こってまいるのは現実でございます。これが通信と放送の融合と俗に言っているわけでありまして、これはますます強くなってくると思います。  じゃ、この中で、法体系のあり方についてはどうするのかということでありますが、これは郵政省の中でも、通信と放送の融合に関する懇談会ということで、各界から幅広く御意見も聞いております。  ただ、法律をどうするかということは、これはアメリカでもなかなか苦しんでいるわけですが、アメリカは一体と言っております。通信法と一体の中に放送も通信も一緒に入っている。ただチャプターが違うだけでありまして、別に融合しているとも言えない面もあるわけです。日本は別々になっておりまして、まだ放送の概念と通信という概念が分かれておりまして、その真ん中のようなものが出てきたところをどう法制化するかということは、これは必要性はわかるんですが、具体的にどうするかということはなかなか整理が難しいという状況であります。  なお、これはいろいろな実態が出てきた中でどう扱うかという個別の対応の中で考えることもやはり必要かと思います。そういう中で非常に重要な課題として考えておるということであります。  それともう一つは、融合といっても、今度は事業者の融合というのがございます。今、例えばNTTというのは、これまで電気通信に限られて、放送とかそういうのはできない、こういう世界であります。NHKNHK用の法律によって放送しかできない。これはそれぞれの個別の法律によっています。それから、ほかの事業者については、ほとんど自由化で両方ともできる。こういうふうな事業者の融合というものは、法律より先に出てまいる可能性がございます。  これは、そういう意味では、事業者の融合、それから概念上の、通信と放送という概念の融合、こういうような論点があろうかと思うんですが、それは非常に重要な課題として認識しているということだけは申し上げたいと思います。
  143. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 内部部局の話は。
  144. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 ただいま放送局長が詳しく答弁申し上げましたが、全くそのとおりでありまして、私どももこうした技術革新におくれをとらないように、それぞれ審議会あるいは懇談会の御答申をいただいて、今後十分対処してまいりたい、こういうように考えておるところであります。
  145. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 いや、大臣には郵政省の役所の中の機構をどうするかという話を聞いたので、これは審議会意見を聞くまでもなく、みずから決めればいい話ですよね。  行革ということが言われているわけですが、私は行革という視点ではなくて、時代を先取りするという視点でやはり考えなければいけないと思うのですよ。それが行革を先取りすることになるのではないかと思うのですがね。  今の行革というのは、要するに何となくリストラしましょう、ただそういう話の発想が強いと思うのですが、そういう意味ではなくて、通信と放送の融合の時代を先取りして、郵政省の内部ではこういう構想を考えています、こういうことをやはり大臣の発言としてぜひ聞きたい。
  146. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 再度の先生のお尋ねでありますが、今の役所の機構を今からどのようにしていくかということを、やはりこの審議会懇談会の御答申をいただいて、そしてこの新しい技術革新の時代に即応した体制を構築していくことが大事でありまして、今の時点で、政治家としてでもですが、なかなかこのような役所の機構がよろしいと言うわけにはいかぬのではないか、こういうように思っております。
  147. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 時間が参りましたが、楠田さんに一つだけ聞きますが、放送事業者と通信事業者が、それぞれ放送の分野を超えて通信を行う、あるいは通信の分野を超えて放送を行うということは考えられるわけですね。例えばNHKが通信の分野も行う、その場合は法律改正が必要ですね。  今度NTT法の関連で出てくるNTTの長距離会社、これは法律が通れば純粋民間会社ですよね。ですから、法律改正をしなくても純粋民間会社は自由に仕事ができるわけですから、それは通信だけでなくて放送もやりたいということであれば、放送をしたいということを郵政省に言ってくるでしょう。その場合は許可しますか。
  148. 楠田修司

    ○楠田政府委員 具体的に長距離NTTからそういうような考えがあるとは聞いてはおりませんが、長距離NTTは純粋な民間会社ではございますが、その株式のすべてを特殊法人である持ち株NTTが保有しているという面がございます。  それで、法律上考えてみましても、放送で、例えばNHKは、では通信に行っていいかということになりますと、これはやはりNHKに関する考え方法律がありますから、いろいろ問題があろうと思います。  普通、通信会社が放送をやるということは、今自由化でありますかち全然問題ないわけでありますが、NTTにつきましては、これはやはりドミナントなキャリアでありますから、例えばこれがケーブルテレビに出るということを考えますと、ほぼ一〇〇%、九十数%自分がハードのラインを持っておるへ光ファイバーを持っておりまして、これにソフトの放送をやるということになりますと、これはやはり本当にそれでいいのかどうか、どのようにするかというのはやはり検討すべき事項でありまして、そういう意味で長距離は地域キャリアとは違いますけれども、株の面でそこのまだ一体性があるということでありますから、なお検討すべき事項はたくさんあると思います。
  149. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 この問題は、NTT関連法の審議の中でお聞きしたいと思います。ありがとうございました。
  150. 木村義雄

    木村委員長 北村哲男君。
  151. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 民主党の北村でございます。  私は、まず、今回の放送法改正において活性化のための措置を講じられる放送番組審議機関NHKあるいは民放連が設立しようとしている苦情対応機関との関係、特に役割分担についてお伺いしたいわけですが、これにつきましては午前中の参考人にもかなり聞きましたし、また前の遠藤先生の御質問にもありまして、そこでもかなり明確になってまいりました。  私は、ここで確かめていきたいのは、その明確になったというのは、私が午前中指摘しましたように、ジャーナリスト議員連盟の方々が、例えば苦情や権利侵害に対しては放送事業者番組審議会機能を強化するなど自主的かつ現実的な解決を図る体制を整備すべきであるというふうに言われたり、あるいは番組審議委員であられるさる先生が同じようなことを言われたりして、番審と苦情処理ないし第三者機関を混同しておられるのではないかという指摘をしました。それについては郵政省NHKも、あるいは民放連も明確に違うというふうに言われておるということははっきりしましたが、そこで浮き彫りになってきたのは、確かに番審は、番組をよくするために諮問に応じて意見を出すというところが番審であります。そして、今つくろうとしている第三者機関というのは、これは主として人権侵害、特に先ほどの遠藤先生のお話ですと、権利侵害に対する何とか機関というふうな名前まで既に上がってくるということで、ネーミングも明確にされておる。私もそれを主張しておるわけですけれども、それではっきりします。  そうすると、浮き彫りになっているのは、これでは肝心の、年間五百六十万とかいいましたかね、何百万という苦情に対する対応機関というのが一体どこにあるのだろうかということが不透明な感じがするのですね。これが、今までは各所でどなたかが受けて、その中で処理をしておられる。それが全然見えない。番審かというと番審ではない。第三者機関であるかというと、それはもう権利侵害に限られる。そうすると、さまざまな例えば番組に対するものではなくて、さる記者がひどいことをしたとか、あるいはこうしているとか、あるいはやらせをしたとかという苦情もいっぱいあると思うのですけれども、それが当事者と局との間で、人の見えないところで処理されておるような感じがするのですね。  そうすると、局の自律性を保つには、その苦情処理機関が、体制的に、世の中に対して、私たちはこういうふうに自律的に処理しますという形で見えるようにして、そして、あなたの苦情を私どもが処理して、公正に判断して、自分たちの悪いところは悪いところで引き締めますということがわかるようなものにしなくてはいけない。ですから、前にも私が言ったように、例えば会社においても社内あるいま債権者に対して苦情処理機関というのを設けて、労使協議会において対応しているところがあります。あるいは弁護士会においては綱紀委員会とかそういうもので、さる弁護士が悪いことをしたから何とか助けてくれというのは、司法機関に行く前に、自律的な団体として受けてそれを処理して、その人にきちっと説明する機関がある、だからこそ自律が保たれていくということがあると思うのです。そういう意味で、その役割分担はわかりました。  そうすると、肝心の多くの苦情処理についてどのようにやったらいいんだろうか、どういうふうに処理すればその自律性が保たれていくんだろうかという観点から、役割分担とその問題について御意見を伺いたいと思います。     〔委員長退席、古屋委員長代理着席〕
  152. 楠田修司

    ○楠田政府委員 先生、非常に厳しい点をお突きになっておるわけでありまして、放送法趣旨から申しますと、放送法放送事業者というものの番組編集の自由というのを認めまして、むしろ外部からの介入、権力からの介入を排除するような法制になっている。だから放送事業者というのは、報道というものは本来正しくあるべきものであって、という前提に立ってできておりますから、法制的にはそういうふうになっておるわけです。しかし寸実際はいろいろな問題を起こすということでありまして、それを、一つの方法として、内部から放送番組審議会にいろいろな意見を言ってもらって正すという方式をとっておる。  そして、それではなかなか解決できないので、いろいろな苦情があるわけでありまして、皆非常にフラストレーションを持っている。ちゃんとまともに聞いてくれない。ただ、自分に関連することで間違った問題であれば、これは訂正放送制度として要求する法制度がありますが、そうでないことになりますと、事実上回復されない。かつ、非常に大きな問題であると泣き寝入りになる、裁判まで行かない、それをどうするかというので、今度は苦情処理ということで第三者的なものをつくろうということになったわけであります。  そうしますと、一般に放送に対するクレーム、この番組はおかしいとか、そういう問題は、今のところは放送視聴者センターに対する御意見しかないわけでありまして、それを放送会社がいかに真摯に対応するかということでございます。  したがいまして、そういう問題を少しでもすくい上げようということで、番組審議会に、どういう番組苦情があったかということを番組を通じて審議してもらうという、今回の番組審議会会議で少しでもそういうことを議論していただこうということを考えたわけであります。それ以外のところで何か第三者的に、番組についていろいろクレームを言うところをつくるべきじゃないかという意見は、実は懇談会でもそういう話がありまして、それは結局、視聴者の団体、アメリカなんかには随分たくさんの団体があるわけでございまして、そういう視聴者の団体が育って、そういう放送とかマスコミ機関にどんどん意見をぶつけていくという仕組みがなければだめだなという議論でありますが、これは行政としてどうこうするということはなかなか難しい問題でございますので、そういう議論があって、そういうものが育っていろいろ意見が行けば、そういう問題も視聴者意見として聞いてもらえるようになるんではないかというふうには思っておるわけでございます。
  153. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 だんだんによくなっていくだろうとは思いますけれども、それだけの苦情が寄せられているにもかかわらず、どうもやみからやみというふうな感じを世間では受けるんではないかという疑問がありますので、私は、今、ちょうど中間で不透明だと申し上げた苦情処理機関を、それぞれの局内あるいはどこかで、人権侵害に対する第三者機関とは別に、中で整備されることをさらに望みたいと思っております。  それで、次に、多チャンネル懇の中に、複数の放送事業者による番組審議機関の共同設置ということが指摘されております。それは、番審は、放送区域が重複する場合は複数の放送業者による共同設置が可能であり、衛星デジタル多チャンネル放送は小規模の放送業者も多いところから、番審を共同で設置することも考えられる、と言っておりますけれども、今回の、番組審議会のいわば活動の範囲を広げるということと、この共同設置ということについてはどのような関係があるのか、そしてこれについてはどういう方向に動いているのかについて御説明をお願いしたいと思います。
  154. 楠田修司

    ○楠田政府委員 放送法におきましては、放送事業者の規模の大小にかかわらず、放送番組審議機関の設置は義務づけられております。一方、放送区域が三分の二以上重なるような場合につきましては、この放送番組審議機関運営に伴う負担といいますか、これを軽減することができるようにということで、番組審議機関を共同設置ができるというふうにしております。  ただ、実際は、番組審議機関の共同設置というものは余り例がございませんでした。ほとんどの放送事業者は、みずから番組審議機関をつくるというのがこれまでの実情でございます。  しかしながら、先生御指摘のように、多チャンネル化が進んでまいりまして、一つ衛星から何チャンネルもの放送がおりてくる。これは衛星放送ですから、同じエリアをカバーしておりますから重なるわけでありまして、そういうふうなCSの小さな放送の場合、こういう趣旨からいいまして共同設置というものが出てくるんではないかというふうに考えております。  共同設置はまだそうたくさんないわけでありますけれども、メリットがあるとしますと、こういう経費負担の面とともに、若干、客観性といいますか、こういうものもあるんではないか。法律等には書いていませんけれども、何社かが集まって共同設置すれば、それはある意味では第三者性というものが高まるんではないかという意見もございます。  いずれにしましても、多チャンネル化の中で、非常にチャンネルがふえる中で共同設置というものは進んでいくんではないかというふうに考えております。
  155. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 ただいまの点はわかりました。  次に、これは郵政省にお伺いして果たして適当かどうかはわかりませんが、常々考えていることについて、もしお答えになれればという限度で結構でございます。  CMの問題でございますけれども民放がCM放映によって成り立っていることは十分承知をしておるのですけれども、このCMも放送の一部であると思いますけれども、これが番組審議機関対象になっているんだろうか、そしてそのCMについての放送時間とか内容に関する基準は一体あるんだろうか。  それは、例えば新聞においては、四〇%以上広告が入ればもう新聞と認めない、第三種郵便なんかの対象にならないというふうな基準が一つあるというふうに聞いております。  そうすると、例えば、私が時間をはかってみたところ、非常にファンの多いと言われる「世界の車窓から」という番組があります。これは、番組棚によると午後九時五十四分から十時までの六分というふうになっておりますが、CMが非常に多くありまして、実際は五十四分十秒から五十六分四十秒までのたったの二分三十秒しかありません。しかも、その間にさらに十秒も入っているから二分二十秒。じゃ、私たちが新聞を見て六分あるなと思っても、実際は二分二十秒、半分以下だというふうな割合でしかやってない。それがだんだん多くなってきて非常に煩わしい。煩わしいという言い方は大変申しわけないんですけれども。  そういうことについてはもちろん直接郵政省の関与することじゃないかもしれませんが、しかし総合的な監督官庁として、そういうふうなことについてはどのようにお考え、見解をお持ちなのかお聞きしたいと思います。     〔古屋委員長代理退席、委員長着席〕
  156. 楠田修司

    ○楠田政府委員 若干法律くさい話になりますが、放送法第二条で「「放送番組」とは、放送をする事項の種類、内容、分量及び配列をいう。」というふうな規定がありまして、そういう意味ではコマーシャルも放送番組の一部だというふうになります。したがいまして、放送番組審議機関議論対象になります。実際、番組審議会でコマーシャルのことが話題になった例はございます。ただ、これはコンクールで非常に優秀な賞をとったコマーシャルを話題にしたという例でありますけれども、そういうこともあるということを申し上げておきたいと思います。  それで、コマーシャルに対する何か基準はあるのかということでありますが、これは、民間放送連盟におきまして非常に細かく基準は決めております。放送基準というのがございまして、その中で、放送時間、例えば一週間のコマーシャルの総量は、総放送時間の一八%以内とするというふうなことを決めております。あるいは内容につきましても、「事実を誇張して、視聴者に過大評価させるものは取り扱わない。」とか、あるいは「児童の射幸心や購買欲を過度にそそらないようにする。」というようなこと、あるいは医療、不動産、金融等の、業種によりましては細かいコマーシャルの入れ方を決めております。また、スポットというようなコマーシャルがありまして、余りスポットがありますと番組が非常に見づらくなるわけで、これにつきましても、何秒の間に何本とかそういうようなことを放送基準の中で非常に細かく決めております。
  157. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 わかりましたが、今度はコマーシャルの内容で、例えば、先ほどの御説明ではいいコマーシャルの話をされましたけれども、悪いコマーシャルというのはしばしばあって問題になると思います。私つくる人、僕食べる人なんていうのはセクハラだからやめたという話がありましたけれども、例えばお酒とかたばこについてのCMが若干変わってきている。がんがん飲んでゴクゴク音を立てるのはどうもよくないらしい、あるいはたばこについてはおいしそうにすぱっと吸っている場面はよくなくて、ただたばこだけを出せばいいというふうな形で、どんどん進んでいるような感じもあるんですけれども、そういうコマーシャルの傾向。  それからもう一つは、我が国では公営のギャンブルが行われておりまして、代表的なものとしては競馬とか競輪、競艇またオートレースなんかがありますけれども、これらのCMには二種類あって、一つは、何月何日、どこでやるという告知番組と、ほかは、映像技術を駆使してグレードアップしたおなじみのもので、有名なタレントを起用しているものもある。  後者に共通しているものは、その競技ないしシステムを、限りなく美化して偶像化している点でありますが、それはそれとしても、これは青少年に対する影響というのを、これはテレビの場合ですからすべての視聴者対象にします。そうすると、ギャンブルを助長しているような感じもしないでもないんです。例えば通常のギャンブル場には、学生とかあるいは生徒、未成年が購入したり、あるいは譲り受けてはならないという旨の警告とかそういうものがいろいろあるんですけれどもテレビについては全くそういうものがないんですが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
  158. 楠田修司

    ○楠田政府委員 まず、たばこと酒のコマーシャルから申し上げますが、たばこ、酒のコマーシャルにつきましては、民放連の先ほどの基準におきまして、「未成年者の喫煙、飲酒を肯定するような取り扱いはしない。」というふうに定めております。  実際上は、たばこの方を申し上げますと、スポンサーである日本たばこ協会でも、これは自主的にテレビ広告を行わない時間帯というのを決めておりまして、午前五時から午後十時五十四分までの時間帯は行わない。それから、行う場合も、テレビコマーシャルの最後に、未成年者の喫煙禁止や吸い過ぎに関する注意の文言を下に載せるというふうなことを実行しております。  これはスポンサーの方でありまして、これらの関係も、平成元年は午前五時から午後八時五十四分だったのですが、だんだんこれを長くしてきておりまして、かつ平成七年十月以降、土曜、日曜については終日たばこの広告を行わないというようなことも決めておるようでございます。  一方、競馬、競輪等の各種ギャンブルでございますが、これは直接に決めたものはございません。あえて、間接的といいますか、こういう問題は、子供たちの射幸心をあおらないようにという意味では、「児童および青少年の人格形成に貢献し、良い習慣、責任感、正しい勇気などの精神を尊重させるように配慮する。」ということを適用してこういうことを考えるかどうかということでありまして、そういう面については、放送事業者あるいはスポンサー等に十分配慮を求めたいと思いますが、これは、行政は実はこういうところにまだいっておりませんで、自主的にやられておるという実情でございます。  なお、ちょっと蛇足になりますが、競馬につきましては、競馬のチャンネルも実はありまして、ギャンブルもありますけれども、競馬というのはある意味では非常に健全なスポーツだ、競輪も競艇もいろいろありますが、そういう見解もあります。広告とそれから番組という面がありますが、番組では、これらの放送番組というのは、特に専門放送として今出てきておりますので、それはそれとして認めていっているということでございます。
  159. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 今の点は、どうもありがとうございました、結構でございます。  あと残りの時間で、今まで余り質問のなかったCATVの話についてお伺いしたいと思うのです。  今回、法律改正を行う有線テレビジョン放送は、多チャンネルメディアとしても重要と考えるわけですが、その普及はアメリカに比べて非常におくれているのですが、そのあたりについて、どうなっているのだろうか。特に、CATV、一般のものと最近の都市型CATV、例えばジュピタテレコムあるいはタイタス・コミュニケーションズなどが新しくできているように聞くのですが、その違いと、普及状況あるいは欧米との関係。米はわかりました。イギリス、ヨーロッパなどとの関係について、少しく御説明を願いたいと思います。
  160. 楠田修司

    ○楠田政府委員 ケーブルテレビの普及状況は、米国では、平成八年七月末現在の加入世帯数が六千四百万という大きな数になっております。対テレビ視聴世帯加入率というのは六六・一%でございます。これに対しまして日本では、難視聴解消のみを目的とするようなケーブルテレビを除きまして、いわゆる自主放送ということをやる比較的大きなケーブルテレビの加入世帯が、平成八年九月末現在で四百三万世帯でございまして、対全国世帯加入率が九・一%でございます。  確かに、アメリカに比べますと非常に数は少ないわけでありますが、ただ、米国の普及が成熟期に達しておるのに対しまして、我が国では、例えば衛星関係のCSデジタル放送等を受けてソフトがふえてくるというふうな環境、それから、先ほど先生の御指摘にありましたジュピターとかあるいはタイタスというようなMSO、大きなケーブル事業者が規制緩和の後出てまいりまして、こういうものがどんどんふえているということで、加入世帯率の伸びが毎年二けた台、三〇%ぐらい平均で伸びております。非常に大きく伸びているということでありまして 今後 この調子でケーブルテレビが普及いたしますと、二〇一〇年ごろには米国並みの六〇%ぐらいまでいくのではないかというふうに考えております。  CSとケーブルテレビは競争と共存という面がありまして、相まって伸びる可能性はある。それから、電気通信の業務もこれからやることになりますので、そういう意味では、発展性があるというふうに申し上げたいと思います。
  161. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 続いて、CATVの関係なのですが、ケーブルテレビについては、将来のマルチメディア化に備えて光ファイバー化を進めておるということです。その光ファイバー化についてはどうなっているか、現状と今後の問題。さらに、デジタル化も重要な課題であると考えておりますが、その双方についてはどのようになっているのかについてお伺いしたいと存じます。
  162. 楠田修司

    ○楠田政府委員 まず、ケーブルテレビジョンの伝送の光ファイバー化の問題でありますが、事業者に対しまして実態調査をいたしまして、推計しますと、現在、ケーブルテレビ全体の三%程度が光化されております。これは、平成八年四月に二百二十八社に質問しまして回答を得たものでございます。  その中で、近年、新設のシステム、新設のケーブルテレビを中心に、幹線に光ファイバーを用いまして、分配系、各家庭に行くところに同軸ケーブルを用いるという、光・同軸ハイブリッドと言っておりますが、ハイブリッド方式のシステムが非常にふえているという状況でございまして、平成八年度に許可したケーブルテレビのうち、三十一施設がこのハイブリッド方式であったというふうに聞いておりまして、非常にこれがふえているということであります。  それから、デジタル化でございますが、デジタル化につきましては、昨年の十二月にまず技術基準を決めました。したがいまして、技術基準に沿いまして、基本的な行政の役割は終わっておるわけでありますが、これを今度、設備でどうするかということで、ケーブルテレビの団体であります技術協会でこの設備に関する民間レベルの標準化、規格化が行われているところでございます。  これが終わりますと、実際にデジタル化していく業者といいますか、これが出てくるということでありまして、現在のところ、九年末までに三つぐらいデジタル化するのではないかというふうに言われておりまして、東京の東京ケーブルネットワーク、それから杉並ケーブルテレビ、それから甲府にあります日本ネットワークサービス、こういうところがデジタル化の計画を持っております。これは、全部デジタルにするというのではなくて、空きチャンネルがございまして、それをデジタル化して、例えば四チャンネルまだ使っていないのがありますと、これをデジタルにしまして、数倍のチャンネルにして使うという形でふやしていく、こういうような形で徐々にふえていくという予定でございます。
  163. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 さらに、先ほども多少お触れになりましたが、有線テレビ、すなわちケーブルテレビが電気通信事業をあわせ行うところもあるやにお話しになったようですけれども、現実にこのCATVが電気通信事業をあわせて行っているところが実際にあるのでしょうか。そして、どういうことを、その内容を簡単に触れていただきたいと思います。
  164. 楠田修司

    ○楠田政府委員 いわゆる第一種電気通信事業の許可を取得したケーブルテレビ事業者は、昭和六十一年の長野県諏訪市のエルシーブイ株式会社を初めに、平成七年度には五事業者、平成八年度には十二事業者と、急速に増加をしております。現在、二十一事業者が第一種電気通信事業者の許可をとっておるということであります。  どういう業務をやっているのかと申し上げますと、専用サービスが七事業者、それからデジタルデータ伝送サービスが十四事業者、この十四のうちの九事業者はいわゆるデジタルの伝送サービスのインターネット接続、それから電話をやっているのは二事業者、こういうふうなものでございます。具体的なイメージでいきますと、水道の検針とかホームセキュリティーというようなこと、専用サービスでやるということであります。
  165. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 多少まだ時間があるのですけれども、ほぼ私の用意しておったものは終わりますので、最後に大臣にお伺いしたいのですが、有線テレビジョン放送の高度化ということについて、今後の取り組み状況について、大臣の御所見をお伺いしたいと存じます。
  166. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 有線テレビ放送の高度化に向けての郵政省取り組みについてお尋ねであります。  先ほどから局長も答弁申し上げましたが、ケーブルテレビ地域情報化を進める上で不可欠なメディアの発展という立場からも大きく成長してまいるものと思う次第でございます。このような最近の技術革新によりまして、多チャンネルの伝送、双方向機能が一層充実し、放送サービスだけではなくて、インターネットや電話等の通信サービスをあわせて提供することが可能な高度情報通信基盤としての発展が極めて期待されておるわけでございます。  したがって、このような動向を踏まえまして、ケーブルテレビの新たな展開の可能性を一層拡大するために、デジタル化の促進、そして光ファイバーのための超低利融資制度を活用いたしましてこれの充実を図っていきたい。さらに、高度なアプリケーションサービスの充実のための補助金制度、これはまだ四市町村ぐらいしかやっておりませんが、これの充実をさらに深めていきたいと思います。そして、ケーブルテレビ間の相互の接続等について研究開発を推進してまいりたいと思っております。
  167. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 終わります。どうもありがとうございました。
  168. 木村義雄

    木村委員長 矢島恒夫君。
  169. 矢島恒夫

    ○矢島委員 まず、番組審議会の問題でお聞きしたいと思います。  番組審議会議事録の公表の問題ですけれども、現行法では、午前中にも私申し上げましたように、放送法の五十三条の八と放送法の施行令の五条によって決められております。番組審議会の「議事概要並びにその答申又は意見に対して採った措置に関する事項」、放送事業者から郵政省報告されることになっているわけです。  そこで伺いますが、郵政省報告されている番組審議会議事概要、それから答申意見に対してとった措置、こういうものについて、放送事業者が既に自主的に公開しているものはどれくらいあるのか、また、公開されていないもの、非公開とされているものはどれくらいあるのか、わかりましたらお答えいただきたい。
  170. 楠田修司

    ○楠田政府委員 現在、放送番組審議機関議事概要を自主的に公表している放送事業者は、NHKがございます。NHK議事概要を従来からその開催ごとに記者クラブ等へ提供しておるということであります。それから、民間放送及びケーブルテレビ事業者につきましては、テレビジョン放送事業者、これはラジオ兼営社も含みますが、百二十三社中四十七社でございます。それから、ラジオ放送の事業者、これは単営社に限るものでありますが、これは五十八社中十三社でございます。それから、ケーブルテレビ事業者は、これは自主放送を行っている社に限っているわけですが、百五十三社中四社が新聞または自社の放送により公表しているというふうに承知しております。
  171. 矢島恒夫

    ○矢島委員 議事概要についてはわかりましたが、答申意見に対してとった措置というものについてはどういう状況でしょうか。
  172. 楠田修司

    ○楠田政府委員 ございません。
  173. 矢島恒夫

    ○矢島委員 午前中も私申し上げたのですが、やはり番租審議会というのは、その存在意義というのは、国民視聴者を代表して放送番組について意見を述べる、そして放送の中にそういう国民のあるいは視聴者意見、これを反映させる、そのために存在する、こう考えるわけですが、その議事内容が、郵政省にはすべての放送事業者から報告されていながら、国民視聴者には少なくない部分が公開されていない、こういう現状があるわけです。まさに逆立ちしているのじゃないかと思います。番組審議会内容は、何よりも国民視聴者報告されなければならない問題である。そういう意味で、今まで郵政省だけに報告されたものがこの法改正によって視聴者公表される、これは、今度の改正はそういう意味では前進であると評価するわけです。  ところで、この改正案に対して、午前中にもいろいろありましたけれども、東京キー局番組審議会委員長からいろいろな意見が出ている、重複するので避けますけれども。  そこで、一つ気になるのは、郵政省の多チャンネル時代視聴者放送に関する懇談会、いわゆる多チャンネル懇、ここの報告の中にあるわけですけれども、「番組審議機関は、番組の適正を図る上で、重要な機能を有しているが、現状においては必ずしも十分な機能を発揮していない。」「その一層の活性化を図っていくことが必要である。」こういう文章があるわけですけれども、実は午前中の酒井参考人発言されたわけですけれども、この問題で事前に意見を聞いてくれなかったのは残念だという意見もあった、こういうことだったと思います。当事者である番組審議会からヒアリングさえしていないという状況の中で、不活発だとか活発だとか機能を発揮してないとか、そういうことが言われているわけですが、この法改正に向けての準備段階、あるいはまたこの多チャンネル懇で、番組審議会の当事者からヒアリングは行わなかったということですね。
  174. 楠田修司

    ○楠田政府委員 懇談会の方では、NHKの会長、民放連会長から番組審議機関現状等についての説明を受けました。番組審議会のだれかからヒアリングしたということはございませんが、なお申し上げますと、この懇談会の座長の有馬先生はNHKの中央香容の委員長でございます。それからもう一人、清原桂子先生も番組審議会委員でございまして、中に二人の番組審議会委員の方がおられたということは申し添えておきたいと思います。
  175. 矢島恒夫

    ○矢島委員 番組審議会委員長の会合の中でいろいろな発言があったわけですけれども、同時に、この多チャンネル懇の報告を読んでみますと、番組審議会への不信といいますか、もう少し活性化しろとかいろいろと出ておりますが、と読めるわけであります。活性化を求めるというのに、当事者の、実際にこういう法改正をしていくのだ、この法改正についてどう考えているかというような意見は、そこに一応メンバーが入っていたということは言えても、具体的にそういう方法で意見が聞かれてない。やはり、こういうのが不信を持たれるのじゃないか。郵政省のそういう手法への批判があるのも事実なのですね。  番組審議会は、先ほど申しましたように、広く国民視聴者意見を聞いて、そしてそれを放送内容に反映させることということが重要な役割ですけれども番組審議会にはどうも、政府郵政省のやり方というものに対して、番組審議会を通した統制的な意図があるのじゃないかというような反発が根底にあるということもまた事実なんですね。一方、放送局の側にも、番組審議会を飾り物にする、こういう傾向がないわけではないと思うのです。  そこで大臣にお聞きしたいのですが、放送番組の問題は、やはり言論、放送の自由と直結する問題だと思うのです。それは民主主義の大原則である国民の知る権利、これを守り保障する、そのためのものであると思うのです。それだけに、行政あるいは国家から手を出すことは、そういうことで解決しようとしても解決するものではないと思うのです。やはり視聴者あるいは国民意見放送にどのように反映するか、こういう点にかかっておると考えるわけですから、郵政省としてもこのことをしっかりと踏まえていただきたいし、いやしくも言論、表現の自由を侵すようなことがあってはならないと考えているわけですけれども、この点についての大臣の御意見を。
  176. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 憲法第二十一条で、結社、表現の自由、通信の秘密ということがうたわれておりますが、そういう立場からしましても、放送の自由は、言論、表現の自由にかかわるもので、大変重要なものであると認識をいたしております。  しかしまた、憲法第十二条で、その権利の保持の責任と乱用の禁止ということがうたわれておるわけでありますが、そうした立場から、放送の自由も公共の福祉に反しない範囲内のものであり、今日の放送社会的影響力の大きさを考えます場合は、放送を公共の福祉に適合するようにするため、最小限のものとして放送法の規律は必要なものであると考えておるところであります。  そこで、放送事業者は、放送法の規律を遵守するとともに、法律以前の問題としてさらに放送倫理の確立に努めることも大変重要だと思っておるところであります。
  177. 矢島恒夫

    ○矢島委員 十分その点を留意してこれから進められることを要望して、次に進みます。  字幕放送について何点かお聞きしたいと思います。  今回改正された内容は、昨年当委員会で請願採択、あるいは障害者の皆ざん方が長い間粘り強い運動をされてきた成果が実ったもの、大きな改善であると私は思います。  ただ、免許制度改善、いわゆる字幕放送というのは、テレビ放送の免許にこれを含めてしまえば、民放テレビの地方局でもわざわざキー局字幕をつけてあるものを取り外すなんということは必要ない。こういう不合理を私どもが本委員会で取り上げたのは、たしか四年前ぐらいのことだと思うのです。この程度の免許制度改善に随分と時間がかかったな、こういう気はいたします。先ほど大臣も御答弁になりましたように、字幕放送がアメリカやイギリスに比べて大変大きく立ちおくれてしまっているという要因の一つがこういう行政のおくれにもあるということを私は指摘しておきたいと思うのです。ぜひこの法改正を機に、おくれた状況を一気に取り戻すということが極めて重要だと思います。  そこで、昨年の四月に視聴覚障害者向け専門放送システムに関する調査研究会、そこの報告書が出ております。この報告書もこの法改正の大きな力になったと思うのですが、この報告書に打ち出してある方向から見ると、今回のこの放送法改正は、不十分というか割引されたというか、そういう部分があると思うのです。  例えば、この報告書の中に、第五章になりますけれども、「視聴覚障害者向け放送充実方策」という中でこういう文章があるわけです。「原則として、地上放送に係るすべてのテレビジョン放送事業者に対して、字幕放送の開始を義務付ける方向検討を行うことが適当である。」こういう報告書の内容がございます。  実は、今度の法案でいいますと、先ほど大臣が義務づけるというかお願いするということで大変あいまいな言い方をしたわけですが、法案そのものを見ますと、できる限り多くしなければならない、つまり開始の義務づけはなくなっているわけなのです。  昨年、本委員会で採択されたところの請願では、「耳の不自由な人達や子供たちに対するテレビ字幕放送法律で義務づけること。」こういう文言になっていたと思うのです。この報告書においても、また請願の中身においても、字幕放送テレビ免許に含めることといわばセットになって義務づけということになっていた。  ところが、今度は努力規定になった。なぜこういう後退が起きたのか、その間の事情を御説明いただきたい。
  178. 楠田修司

    ○楠田政府委員 確かに先生御指摘のとおり、視聴覚障害者向け専門放送システムに関する調査研究会報告書では、原則として義務づける方向という報告書が出たことは事実でございます。  その中で、法律化する場合にいろいろと検討したわけでありますが、日本現状を見てみますと、字幕放送が地上民間放送事業者において百二十四社中十四社しか実施されておりません。いろいろ理由はあろうかと思いますが、普及が進んでいない。それから、放送時間にしましても、関東地区においても全放送時間の三%しか実施されていない。残念ながら非常に少ないわけでありまして、そういう中で義務づけというふうにした場合、果たしてこれが一気に実現できるかどうか、初年度からできるか、なかなか難しい問題でございます。お金のかかる問題でもございます。  ちなみにアメリカの場合、義務づけ規定を設けましたのは、かなり字幕放送が進んで六〇%、七〇%になってこれを義務づけ、それから機器の義務づけもやった、こういうふうに伺っておりまして、残念ながら、そこまでいかない段階で義務づけというのには、理想としては非常によかったのですけれども、実際上はなかなか難しかったということであります。ただ、努力義務でありましても、これによりまして、これを根拠に民間放送事業者が、そしてまたケーブル放送、ケーブルテレビ字幕放送を始める大きな契機になる、また行政がこれをいろいろ指導する場合にも一つのきっかけになるという意味で、今回は努力義務ということでこれを支えにできる限り早くまず第一歩をやっていただいて、それから少しずつ、少しずつというか一気にできればいいのですけれども、ふやしていただきたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  179. 矢島恒夫

    ○矢島委員 いろいろ事情があるということでお話になったわけですが、そういう事情、いろいろな事情を百も承知で報告書が出ているのではないかと思います。  いずれにいたしましても、字幕放送の普及という面で、ぜひ今局長が言われたような、努力目標といってもこれは一つの義務づけに近いものであるという観点で推し進めていただきたいし、今後も引き続き進めていっていただきたいと思います。  次に、先ほどの報告書でガイドラインの問題が出てきているわけですね。この問題について、こんなふうに書かれているわけです。  「字幕放送解説放送放送時間の拡充方策」という中で、「ア」として、「放送時間に係るガイドラインの設定」という項目があります。「放送事業者への負担にも配慮しつつ、これらの放送放送時間数について最低基準を定めることを含め、その計画的な拡充を図るためのガイドラインの設定について検討することが必要である。」こういう文章になっていると思います。  放送事業者の負担については、今年度の予算で約一億三千万円の補助金がついた。十分な額ではないけれども、これまでの基金の運用益というものを助成に充てていたのと比べれば、大きな前進であると思います。  そういう意味で、私は、このガイドラインの問題として、イギリスでは、たしか来年でしたか、一九九八年までに、民放もBBCも全番組の五〇%以上に字幕をつけるという目標値を設定していると思います。多分一九九〇年の放送法だったと思います。  我が国の現状については、大臣が先ほど述べられたように、NHKで、総合や教育や衛星二波、テレビ放送全体に対しては三%弱ですが、総合だけ取り上げれば約一割を超えている、しかし民放東京キー局は一・一%という状況。これを拡充していくためには、やはり計画的に進めなくてはどうにもならないのじゃないかなというのが私の考え方なのです。計画を持つということは、やはりやる気を示す第一歩でありまして、計画を持てないということでは普及はままならないのではないかなと。  郵政省、局長、お伺いしますが、このガイドラインの設定ということをどのように考えているのかと、このまま、無計画、無目標のままずっといくのかどうか、その辺についてのお考えを。
  180. 楠田修司

    ○楠田政府委員 字幕放送あるいは解説放送拡充を図るために放送時間の目標のようなものを定めて計画的に拡充を図っていくということは、やはり有効な方策の一つと考えております。  しかしながら、拡充目標を定めるにしても、NHKや在京キー局のように既に字幕放送実施している局と、地方ローカル局のようにこれから始める局、また、衛星放送やケーブルテレビなどのようにこれからどうするかという局など、いろいろな段階のものがございます。それぞれのメディアや放送事業者の実情にもやはり配慮する必要があろうかと思います。  今後、これらの放送事業者意見も聞きつつ、具体的な目標のあり方やその設定方法等についても研究してまいりたいというふうに思っております。
  181. 矢島恒夫

    ○矢島委員 目標を設定するのは放送事業者みずからがやるのが当たり前のことだとは思いますけれども、今局長述べられたように、条件の違ういろいろな事業者がいるわけですが、ぜひそれぞれそれに合った方向で、拡充を進めるという方向での取り組みをしていただきたい。同時に、このガイドラインを設定するということについても引き続き研究をしていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。  次に、この字幕を制作するに当たって、どうして字幕放送が普及しないかということの幾つかの内容、午前中に私、民放連にお聞きしたのですが、一つは、制作費の問題であります。同時に、字幕の制作能力といいますか、こういう問題もあると聞いているわけです。字幕制作に非常に時間がかかるということですね。番組が完成してから中四日かかる、大体こんなふうに言われていました。これだと、実際の番組完成時から放送まで時間がかかり過ぎますから、特に情報系の番組などということになりますと、字幕がつけられないということになってしまう。  この問題では、いろいろ、日本語を文字に変換する技術だとか、あるいは音声入力ができるようにしたらどうかとか、技術開発というものが一つ課題とされていると思います。  もちろんこういう技術も大切だと思うのですが、今の技術字幕制作の時間をもっと短縮できるのではないかなと、私、現場を見る中で思ったのですが、どうでしょう、郵政省、どんなふうに考えておりますか。
  182. 楠田修司

    ○楠田政府委員 日本語の場合、アルファベットに比べまして、字幕を制作するのに非常に時間と人手がかかります。先生御指摘のように、一時間番組で通常四日間程度かかる、お金も大体四十三万円かかるということで、アメリカとかカナダに比べますと非常に費用と時間がかかっているわけで、これが一つの隘路でございます。  それで、先ほど御指摘ありましたように、一つは、これを機械で、コンピューターで何とかできないか。これは、大臣の方からも御説明いたしましたように、五カ年計画で予算をとりまして、できれば機械で速く作成するというのを早く完成させたいと思います。  それからもう一つは、やはりこれを入力する人材でありまして、アルファベットのようにはいかないですけれども、できるだけ速く入れられるような人材の養成というのは確かに必要でございまして、現在、字幕制作共同機構等ございますから、こういうところでのOJTといいますか、職場訓練ということで養成されておりますが、これはぜひ自主的に進めていただきたいというふうに思っております。  ただ、それでなく、こういう人材をどのように養成していくかということは、今後字幕放送がふえる中で一つの大きな課題だというふうに思います。
  183. 矢島恒夫

    ○矢島委員 字幕制作共同機構に私先日お邪魔しまして、現場を見せていただいたのです。確かに、中四日かかるというのは、紙と鉛筆の世界なのですね。放送番組ができ上がると、この字幕制作機構にビデオが持ち込まれてくるわけです。これを、字幕をつくる人たちが自宅に持ち帰るわけです。それで、いわゆるテープを起こすということをやっていって、せりふを要約し、画面に当てていく、こういうことを実際に原稿用紙と鉛筆でやっているわけなのです。この原稿をまた字幕制作機構に持って帰ってきて、今度はパソコン入力するわけです。それで、画面に入れていく。これだとやはり四日ぐらいかかるのかなと思いました。  しかし、この機構の方々説明を聞いたら、私たちはこれに安住しているわけではない、紙と鉛筆だけではなくて、画面と台本を見ながら直接パソコンに入力していく方法というので時間短縮に取り組んでいるのだというので、その場面も見せていただきました。まだ練習の部分もあるので、実際にすべてがそっちへ行くというわけではないけれども、確かに大分スピードアップされるというのを見てまいりました。説明によりますと、中二日とか、場合によっては一日だってできますよという話も聞いてきました。法改正と補助金の創設が今度行われれば、さらにこの字幕制作というのが増大するだろうというので、新しい機械を導入しようとか、フロアも手狭でしたが、これを二倍以上に広げるという計画もありますと。こういうことで、先ほど人材養成の問題がありましたけれども、やはり一定の技術というものが必要ですから、熟練というのが必要になるのだということです。  私、もう一つ、この文字番組でいろいろやっていらっしゃる、もじもじランドというボランティアグループの方々、兵庫や大阪の方でつくっていらっしゃいます。学校で使う映像の教材や学校行事のビデオなどに字幕を入れているのです。伊丹市から助成を受けております。字幕を入れる装置などは、大体そういう市の補助で備えてあります。  お母さんたちがそれぞれ自宅にパソコンを持つているのですね。それで、分担をして字幕をつけて、電子メールでやりとりをしながら作業をしている。私も実際にでき上がったソフトを見たのですけれども、まるっきり素人だったわけですね、お母さん方。だけれども、画面と字幕のずれなんというのはほとんどない、全くテレビ字幕放送と遜色ないできばえだというように私は見ました。ですから、今の技術でも字幕制作の時間を短縮するという、いろいろ改善できる点もあるだろうし、新しい技術開発されるという点もあるだろう。  この調査研究会報告の中でも、例えばこんなふうなのがありますよね。放送局字幕制作機関の間をネットワークで結んだらどうかというのが提言の中にあります。現状ではVTRを人が運んでいる状況なのですね。マンパワーの育成だとかネットワークを初めとして字幕制作現場への郵政省としての支援や援助をぜひ進めていただきたい。先ほど、人材育成事業の具体化の問題、融資や出資ということがありましたが、現段階ではどの程度具体化になっているのですか、この人材育成事業というのについては。
  184. 楠田修司

    ○楠田政府委員 現段階で字幕関係の研修という形での実現されたものはまだございません。ただ、スキームといたしまして、電気通信基盤充実臨時措置法に基づきて「人材研修事業を行う者」というのがありまして、北海道テレコムセンターとか幾つかのセンターがございますが、字幕の関係はまだやっておりませんが、こういうようなものを使ってやることが将来できるだろうということであります。
  185. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひそういう方向でも取り租んでいただきたいと思います。  さて、最後に大臣、今ずっと字幕放送問題でやりとりをしてまいりました。先日NHKの予算審議をしたときに、川口会長も、字幕放送は諸外国に比べて相当低率であるごとを率直に認めながら、法改正を受けて新たな覚悟で臨んでいく、諸外国が進んでいるところの地位まで早く到達するように努力する、こういう答弁がございました。郵政省としても一日も早くそういう水準に到達するようぜひ取り組んでいただきたいわけですが、そのための障害を取り除くということもこれまた重要だと思います。  いわゆる字幕放送に係る制作費の問題は午前中の参考人のところで触れたわけですが、時間がありませんので、その程度にしておきます。  例えば、アメリカの字幕放送を見ますと、大体スポンサーがついているのが多いわけですね。そういうスポンサーは非常に企業のイメージアップにもつながってくるわけなので、広告業界にそういうスポンサーになれという働きかけをひとつ積極的に進めてもいいのではないかと思いますけれども、そういうやり方なども含めて、字幕放送拡充、普及、これに取り組んでいく大臣の決意を最後に聞きたいと思います。
  186. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 日ごろから矢島先生には字幕放送についていろいろと御指導、御鞭撻をいただいておるところでありますが、この字幕放送が、我が日本は、アメリカ、イギリスに比較いたしまして大変立ちおくれいたしておるわけであります。この点は、技術革新が非常に進む我が日本としても、当然アメリカ、イギリスがこのような進み方をしておればもう少し努力すべきであった、こういうように思っております。  現在、郵政省は、そうした意味で、今回放送法の一部改正もお願いしながらこの字幕放送充実努力していきたい、こう思い、または放送業者にも努力義務をお願いするところであります。また、免許の問題についても、簡素化を進めていくところであります。  こうして、業者にお願いすると同時に、我が郵政省といたしましても、八年度から五カ年計画で字幕番組の効率的な制作技術研究開発ということで、今年度の予算に一億九千二百万をお認めいただいたところであります。また、全体としては非常にささやかな補助政策になりますが、字幕番組の制作に対する助成費として一億二千六百万を計上し、御承認をいただいたところであります。これから鋭意こうした予算の充実努力してまいります。  民放における字幕放送の全国的普及を早急に進めるとともに、字幕番組ができるだけ多く放送されますように、これから研究機関そしてまた放送業者一体となって、早急にアメリカあるいはイギリスに追いつける体制を確立していきたいと思っております。
  187. 矢島恒夫

    ○矢島委員 終わります。
  188. 木村義雄

    木村委員長 小坂憲次君。
  189. 小坂憲次

    ○小坂委員 太陽党の小坂悲次でございます。  本日の審議、大変に順調に進んでまいりまして、私の用意してきた質問は、それぞれの委員がほとんどお答えをいただいているようにも思いますが、また若干別の角度から質問もさせていただきたいと思っております。  まず第一は大臣にお伺いしたいと思うのですが、最近の放送番組を見ておりますと、日本のよき伝統、節度といいますかモラル、あるいは文化、そういったものがだんだん失われていく、そういうような番組をよく見るような気がします。報道の自由、表現の自由は、もちろんこれを尊重するものでございます。しかし、これらのよき伝統を継承してこの日本文化を発展させるには、やはりそこには何らかの基準というものを持つべきだと思いますし、表現の自由、報道の自由を大切にする余り我々のよき伝統を失ってしまっては何にもならない。そこに、国の関与というものが余りあり過ぎてももちろんいかぬわけでございます。しかし、その国の伝統を守るのもやはり政府の責任であろう、こう思っております。  そんな意味から、今の番組の質の向上を図るために大臣としてどのようなことを考えていらっしゃるか、まずお伺いできますか。
  190. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 非常に放送の当然のこととしての御指摘をいただきましたが、放送の自由は確保する、これは当然憲法で保障されました第二十一条の問題で、言論、表現の自由は、まず根本にあると存じます。しかし、さらにまた、憲法第十二条の権利保持の責任とその乱用の禁止という立場で、公共の福祉に適合するために最小限の放送法の規律が必要である、こういうように考えております。  そういう意味で、私どもは、やはり放送の果たす役割と責任というのは極めて大きいと思います。今後、放送によりましての我が国の文化、伝統、そして倫理観の形成等、これに果たす役割は非常に大きいと思っておるわけであります。  今後も放送法に示された最低限のものを守りながら、そしてまた放送倫理に従って適正な放送が確立されることを望んでおるところであります。
  191. 小坂憲次

    ○小坂委員 最近我々政治家は、どうもテレビを見る時間がなくて、むしろ有権者の間を回っていてテレビに対する評判を聞いたり、あるいは日曜日の討論にしても、逆に我々の方が外へ出ていて、有権者の皆さんから、きょうはこういう政治家がこういう話をしていたよと教えられるような場が多いのですが、大臣は一日どのくらいテレビをごらんになりますか。
  192. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 ただいま小坂先生が指摘のように、昼間はほとんど見ないわけでありますから、朝四十分、あるいは夜は大体一、二時間ぐらい見るかもしれませんが、これもやはり飲んで帰ればだめでありますし、そういう意味では、一日の視聴時間というのは極めて短い、恐らく一般の国民から教えられることが多いと思います。
  193. 小坂憲次

    ○小坂委員 私は、先ほど申し上げたように、最近、どうもよき伝統文化が失われ、またモラルも大分低下したような番組が多いな、こういう印象を持っていますが、大臣の印象はいかがですか。
  194. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 一概にどうと言えませんが、私は、テレビで教えられることが非常にいい、最近は放送内容充実したなというように評価をするところであります。
  195. 小坂憲次

    ○小坂委員 結構な回答でございます。  国民共有の財産であります電波を有効利用して公平に配分をしていく、これが電波法の目的でもあり、また放送法趣旨でもあり、郵政省が日ごろから心がけていただいているところでありますが、その電波の有効利用、公平な配分というものには、やはりそれなりの評価基準というものが必要になってまいりますね。  私は、自由化をされる中でも、オークション制度議論とかいろいろなものを経て考えるに、高く落札をするところに使わせればいいじゃないか、そうもいかぬ、そうやっていろいろ考えていくと、やはり放送の場合をとって言うならば、視聴率というのがありますが、どうも最近の番組の構成とか、そういうものをいろいろと関係者から風聞するに、今、視聴率至上主義なんじゃないかなと思われる節があるのですね。視聴率に余りに偏重して、視聴率の高いところは有効利用しているのだという評価をすると、これは間違いかなと。しかし、それも調査機関というものがあるはずでありまして、昔、ビデオ・リサーチ、ニールセンという会社がありまして、私も宣伝の方を担当しておりましたので、いろいろとその数字を参考にしたことがありますが、今はどうなっているのでしょうかね、ちょっと局長、教えてください。
  196. 楠田修司

    ○楠田政府委員 先生御指摘のように、確かに電波は有限でありますので効率的に使っていただきたいのですが、これは、やはり効率的に使うものと視聴率は直接関係ないと思います。例えば教育的な番組であっても視聴率は低いかもしれないということで、視聴率は参考にならないと思います。  ただ、お尋ねの視聴率というのはどうなっているのだろうということでありますが、視聴率には世帯視聴率というのと個人視聴率というのがございます。世帯視聴率というのは、テレビ所有世帯のうちのテレビを視聴していた世帯の割合を示す、個人視聴率というのは、個人の単位でどれだけの人がテレビを見ていたかということを性別、年齢別に区分されたグループの中で調べる、こういうことでありまして、また、細かくなりますが、調査方法としては、機械式調査とかあるいは日記式調査とかいうような形で行っておるわけであります。  なお、調査を行っているのは民間の会社でございまして、大きく二つございまして、世帯視聴率を中心であったと思いますが、ビデオ・リサーチ社というのが昭和三十七年からやっておりまして、これは、大体日本は、電通、民放はこのビデオ・リサーチ社でやっていたというように承知しております。それから、米国資本でニールセン・ジャパンというのがありますが、このニールセンの方は、両方やりますけれども、個人視聴率を中心に調べていたというふうに承知しておりまして、この二つが大きな視聴率調査の会社だというふうに承知しておるわけでございます。
  197. 小坂憲次

    ○小坂委員 昔から視聴率を猫の視聴率などとやゆしたこともありまして、テレビの前に座っているのは実際は猫であって視聴者ではない、しかし数字はちゃんと出てくる、その数字の上がり下がりを、非常に〇・何%を勝負しながらテレビのディレクターやプロデューサーたちはしのぎを削っておる。  今局長おっしゃっていただきましたけれども、その視聴率の高さ低さで番組の質は論じられない、そのとおりであります。私もむしろそれを申し上げたいわけであります。教育番組等は、視聴率が低くてもこういう大切な番組であります。しかし、一方、テレビ世界ではそれが非常に重視をされておりまして、偏重をされていると言った方がいいぐらいに重視をされておりまして、ほかに基準がないからこれこ頼ってしまうというのが現状なんです。  やはり、これは、ビデオ・リサーチ、ニールセンという会社は、大変それぞれに伝統もあり優秀な会社だと思いますが、サンプル数はいずれも五百とか六百とか、そういった数でありますし、関東全域で五百ということを考えれば、大体、統計指標というのはそういうものだといえばそれまでなんですね。しかし、それは、全体的な流れを見れば、どの局がよく見られている程度のものならばいいかもしれませんが、何時何分に最高視聴率を記録したとか、それほどに細かくなってくると、その五百台で何十万世帯、いや何百万世帯をはかるには、余りに指数としては問題があるのではないか、これは業界でもずっと議論をされていると思うのです。  やはりこれは、ある程度電波を監理する側の方でもそういったものの育成をしていかなきゃいかぬのじゃないか。この二社がずっと今までやってきていますが、これにかわるものを育成して別の角度から新たな指標を設けるようなこと、すなわち、番組の視聴の度合いあるいは人気度といいますか、そういった嗜好度という意味のものを、何か第三者機関的に中立な公平な立場でそういうものを育成していくことが必要だと思うのですが、郵政省、何かこの点についてのお考えありますか。
  198. 楠田修司

    ○楠田政府委員 視聴率の問題についてはいろいろ話題があるわけで、先ほどニールセンとビデオ・リサーチ、ちょっと申し上げましたが、両方とも世帯、個人ともやっておるということでございますので、ちょっと訂正させていただきます。  それと、サンプル数が少ないのでいろいろ問題があるとか、精度を上げる必要があるとかいうような議論もございますが、先生御指摘のように、これは、精度とかそういうふうな問題ではなくて、要は視聴率をどう使うかという問題であろうかと思います。視聴率については、とり方によるとか、いろいろ問題があるとか、いろいろな批判もありますし、幾ら精度を上げたからといってどうなるという問題もあろうかと思います。  それでは、そういうことで国の方とか行政の方で何らかの公平なといいますか、第三者的な視聴率の把握をしたらどうかということでありますが、視聴率ということになりますと、これはどうしても放送番組そのものをはかる問題につながるわけでありまして、こういうふうな視聴率の問題を、国とかそういうことがやるのがいいのかどうかということについてはいかがかなと思いますし、世界各国でも、国が視聴率について何らかの形で関与しているということは、私の方では承知しておりません。
  199. 小坂憲次

    ○小坂委員 何というか、頭がかたいと言いたいくらいですが、私は決して国がやれとは一言も言っていない。そういう機関を第三者機関として育成するようなことが必要じゃないでしょうか、そういうものを育成していかないと、これに偏重をされているのではないでしょうかと言ったのみでありまして、精度が云々という話もありましたけれども、この精度が上がればそれにこしたことないのですよ。各テレビ局だってそれは喜びますし、視聴者も、ああなるほど、自分の嗜好と一致している、そういうことでそれに対する信頼も高まってくるのでしょうし、そうすればスポンサーも喜ぶでしょう、スポンサーも客観基準を得ることができるわけですから。今は、スポンサーもあるいは広告代理店も、放送局も、それぞれに客観基準が持てないままこれに頼るのみということできていると思うのですね。その精度が上がる方法があるならば上げてほしいというのがむしろ業界の要望だと思います。  そういう点で、やはり電波その他の有効利用という観点も踏まえながら、何らか客観基準をつくれないものかなという質問をしたのみでございます。考えはないということで結論なんだろうと思いますが、また後日に譲りたいと思っております。  さて、本日も同じような質問がもう出ましたけれども字幕放送を推進するについては技術的な開発によってそれをもう少し推進するようなことができないのかという話を私もしようと思っておりました。矢島委員が質問しましたと同じように、音声入力とか、あるいはいろいろな方法があると思います。  大体においてドラマのようなものはシナリオがあるわけですから、シナリオのせりふをそのまま打ち込んでしまえばいいわけで、せりふを、一回しゃべったものを、全部本番で録画をしたものをまたビデオから書き起こして、そしてそれをまた字幕をそのシーンに当てはめていくという全く逆の作業をするのは効率が悪いに決まっているわけです。やはりこれは、テレビ局がやらなければいかぬと思えば、それに踏み込んでいくわけですね。義務化されればやらなければいけないのですから。  そうすれば、義務化されたのなら、ではそれに対応して何とか効率よくやろう、となればせりふの段階からやる方法を考えよう、こうなりますが、そうでなければ、やはりそれぞれの仕事は、もちはもち屋、それぞれに分担でやろうということで、一気に進むことも難しくなってしまう。  ですから、この辺は、努力目標でいくのがいいか、義務化してしまった方がいいか非常に微妙なところですが、今回はその中間である、こういうお答えでもあろうと思いますから、できるだけ義務化というような意識を局の方には持ってもらって、そして局内で有効な手段はできるだけ活用して、多くの番組字幕が出るような、あるいは解説番組には解説が入るような、そういうことを努力をしてもらうように指導をしていただきたいと思います。  苦情処理について、私も参考人に質問をさせていただきました。放送による権利侵害に対する苦情を取り扱う苦情処理機関について、いろいろ議論はあったわけですが、今般NHK民放連で共同いたしまして自主的に設置することになったというふうに聞いております。もう四月からスタートするというふうにも聞いておりますが、この苦情処理機関について、郵政省としてはどのように評価をされていますか。
  200. 楠田修司

    ○楠田政府委員 今般、NHK民放連が、放送による権利侵害等についての苦情を扱う第三者的な機関、これを共同で自主的に設置するということに決めて作業を進めておられます。このような動きは、苦情、重大な苦情が幾つかあるわけでありますが、これを解決するための第一歩である、こういうふうに考えております。  郵政省としましては、この機関が視聴者にとって本当に有効に機能することが大事だということでありまして、これからの運用を見守っていきたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  201. 小坂憲次

    ○小坂委員 今おっしゃった、有効に機能、信頼をされるためには、では基本的にはどういうことが必要ですか。どういうことを見守られますか。
  202. 楠田修司

    ○楠田政府委員 この機関が有効に機能するということは、視聴者から見てこの機関が非常にいい判断を示してくれるということでなければならない。そういうふうな判例といいますか、実例の積み重ねによって信頼が増して、また機能も発揮されると思います。  そういう意味で、重大な権利侵害以外にもいろいろな問題があるわけで、それを、この中の委員方々が、そういう意識を持って処理されて、勧告なり見解を出される。そしてそれを放送事業者がどのように守っていくか、実現していくか、こういうふうな結果が出ないと形骸化するというふうに思いますので、そういうふうな動きが非常に重要であろうというふうに思っております。
  203. 小坂憲次

    ○小坂委員 そうしますと、今のはNHK民放連でございますけれども、多チャンネル化時代、CS放送あるいはケーブルテレビ、こういった非常に多くの局が出てまいりますが、これについての苦情はどのように処理されるべきでしょうか。
  204. 楠田修司

    ○楠田政府委員 本来であれば、今回の苦情処理機関にCS放送であるとかケーブルテレビも入った方がいいのではないかと私は思います。  ただ、これは出発に当たりまして費用もかかることでありますし、現実にまだいろいろな問題を起こしておるのま地上放送でございます。大きな放送局が大きな影響を与えておるわけでありまして、そういう意味で、とりあえずそういう主なところからこういう機関をつくって実現していただいて、近い将来、CS放送あるいはケーブルテレビもここに、言い過ぎかもしれませんがジョインするような形にされるとか、あるいはみずから自分たちでもそういう機関をつくるとか、いろいろな選択肢があると思いますが、何らかの形でそういうふうなものが実現されることが望ましいのではないかというように思います。
  205. 小坂憲次

    ○小坂委員 視聴者の側から見ますと、自分が今見ている放送が、いわゆる民放連加盟の放送局なのか、CS放送局なのかというのは余りよくわからぬのですね。ですから、そこで何か不都合があった場合には、そういう苦情処理機関ができれば、そこへ言えば何でも解決してくれるだろう、とりあえずは取り合ってくれるだろう、こう思うわけですが、そこへ言うと、その局は民放連に加盟しておりませんからだめです、こう言われてしまうわけです。ぜひとも今おっしゃったような方向へ持っていけるように、業界の皆さんとお話をしていただいて、業界の主導においてそういうことがなされるように御配慮をいただきたいと思っております。  今のCS放送、ケーブルテレビジョンというのは、今まで余り苦情が出てこないのは、一つは大規模な取材をしないからでもあるのだと思うのですね。大概が映画とか既存の番組の二次利用とか、そういうものが多い局でありますから、そういった苦情が直接それらのCSあるいはケーブルテレビに出てくることは少ないかもしれません。しかし、これからだんだんそういう番組がふえてくればそういうことも起こってきますから、今申し上げたような方向でぜひとも御検討、御指導をいただきたい、このように思っております。  さて、二回ほど前の委員会でしたか、放送法の話をしたときに、やはり放送法表現の自由はあるけれども法律の条文の表現はもう少しわかりやすくしましょうということを話したこともあります。ぜひとも放送法改正までには間に合わせてほしいと思いましたが、時既に遅しで、今回もテレビジョン放送とはという定義については変更は加えられませんでした。  前にも申し上げたので、もう一度申し上げておきますが、テレビジョン放送とは、こうお聞きしましたときのお返事ですけれどもテレビジョン放送とは、放送法第二条の五で規定しておりますが、「静止し、又は移動する事物の瞬間的影像及びこれこ伴う音声その他の音響を送る放送をいう。」と。超短波放送とか短波放送とか、周波数が幾つから幾つまでの放送をいうとかというのは非常にわかりやすい。ただ、テレビジョン放送といったら大体みんなもうその概念ができているわけですから、それをわざわざ解説する必要はないのではないかなと。近代的な放送という分野において余りに旧態依然としたものを取り扱うのはいかがかな、こう思っております。
  206. 楠田修司

    ○楠田政府委員 確かに先生御指摘のように、私ども趣旨説明を読んでおりまして、何とわからない言葉だろうというふうに思うのは事実でございます。  ただ今回は、字幕放送を何とか今の免許のままでやろうというのを解決できないかということでいろいろ探ったわけでありまして、そうしますと、技術的にこのようにするのが一番近道である、これ以外をやりますとなかなか法律改正ができないという結果でございました。その辺のところは、目的がまず第一ということでございましたので、法律の形、いろいろあろうかと思いますけれども、御容赦願いたいと思うわけであります。
  207. 小坂憲次

    ○小坂委員 確かに、今回の法改正よ、この委員会でも議論されたことあるいは請願、決議等を具現化する意味で迅速にやっていただきたいということで、条文を早くつくっていただきたかったですから、今回まいいかもしれません。しかし、ここにおいでの皆さん全員がおかしいと思っていると思いますよ。  ですから、その字句修正について、余り議論が出るとも思いませんので、将来考えていただいて、もう少しわかりやすい、近代的な法律に変えていただきたい、放送法というものを変えていただきたいと思っております。放送法に限らず、最近出てくる法律に若干そのようなものが見られますので、一般の人にわかりやすい法律、守ってもらいやすい法律をぜひとも心がけていただきたいと思っております。  二十分までという当初の予定でございます。重複の質問も無用と思いますので、以上で私の質問を終わりたいと存じます。
  208. 木村義雄

    木村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
  209. 木村義雄

    木村委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  放送法及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  210. 木村義雄

    木村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 木村義雄

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  212. 木村義雄

    木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十一分散会