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1997-02-20 第140回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 木村 義雄君    理事 亀井 久興君 理事 岸本 光造君    理事 熊代 昭彦君 理事 古屋 圭司君    理事 河合 正智君 理事 河村たかし君    理事 伊藤 忠治君 理事 矢島 恒夫君       佐藤  勉君    斉藤斗志二君       坂井 隆憲君    園田 修光君       竹本 直一君    中川 昭一君       野田 聖子君    野中 広務君       山口俊一君    吉田六左エ門君       赤松 正雄君    石垣 一夫君       遠藤 和良君    神崎 武法君       永井 英慈君    原口 一博君       北村 哲男君    山花 貞夫君       石井 郁子君    横光 克彦君       小坂憲次君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 堀之内久男君  出席政府委員         郵政政務次官  野田 聖子君         郵政大臣官房長 天野 定功君         郵政省郵務局長 内海 善雄君         郵政省貯金局長 品川 萬里君         郵政省簡易保険         局長      金澤  薫君         郵政省通信政策         局長      木村  強君         郵政省電気通信         局長      谷  公士君         郵政省放送行政         局長      楠田 修司君  委員外出席者         公正取引委員会         事務総局経済取         引局企業結合課         長       鵜瀞 恵子君         外務省大臣官房         報道課長    兒玉 和夫君         大蔵省主税局税         制第一課主税企         画官      川北  力君         郵政大臣官房人         事部長     安岡 裕幸君         郵政大臣官房財         務部長     濱田 弘二君         郵政大臣官房国         際部長     長谷川憲正君         労働省婦人局婦         人労働課長   草野 隆彦君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ————————————— 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件(郵政行政基本施策)      ————◇—————
  2. 木村義雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。亀井久興君。
  3. 亀井久興

    亀井(久)委員 堀之内郵政大臣には、御就任以来、郵政行政並びに郵政事業推進に対して積極的な御努力をいただいておりますことに、まずもって敬意を表したいと思います。  私は、本日は、前回の委員会大臣が所信を述べられました、そのことにつきまして、限られた時間でございますけれども、若干の御質問をさせていただきたいと思います。  今、申し上げるまでもなく、国の最大の政治課題行政改革ということでございまして、一生懸命このことに取り組んでおるさなかでございますけれども、その行政改革の背景として、やはり何と申しましても財政の事情、言ってみれば今日の財政危機と申しますか、そういうものがあるわけでございます。そういう議論をいろいろ進めてまいりますと、どうしても国の行政スリム化と申しますか、大きな政府から小さな政府へということになっていかざるを得ない。そしてまた、地方分権ということが一方では言われますけれども、やはり中央の行政改革だけではなく、地方行政改革というのも当然進めていかなくてはいけない、そういうことになるわけでございます。  そういう中で、いわゆる国の出先機関とかあるいは地方行政の仕組みというものも、不採算部分、またむだな部分をどんどん切っていこうというようなことになってくれば、都会は、大都市はそれほど被害はないかもしれませんが、地方、特に過疎地におきましては、住民人たちの不安というものはますます強くなってくるわけでありまして'とにかくますます生活が不便になってくる一方だ。そういう中で、過疎化高齢化少子化というところで非常に苦しい生活をしているわけでございます。そうした地域人たちからすれば、郵便局の存在というものは非常に大きいわけでありまして、とにかく郵便局に行けばいろいろな物事が処理できる、そういう姿が実現できれば、そういう思いも大変強いわけでございます。  全国に二万四千六百という郵便局ネットワークがあるわけでございますから、これを地域人たち生活の向上のためにいかに役立てていくか、どういう新たな役割をそこに持たせていくかということは、行政改革にむしろ資するものではなかろうか。行政改革に決して逆行するものではない。特に、これから均衡のとれた国づくりを進めなくてはいけないということが言われながら、行革ということが逆の方向に向かっていく可能性もあるわけでございますから、その意味で、郵便局役割というものが非常に大きくなってくるわけでございます。そのことについての大臣所見をまず伺いたいと思います。
  4. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま亀井先生から御指摘いただきましたが、私も全く同感でございまして、亀井先生、あるいは私どもの宮崎県の農村圏を考えますときに、これからの将来を非常に、行政的なサービス低下というものを心配をいたしておるわけでありますが、私は、行政改革あるいは地方分権というものは、やはり国民本位住民本位でさらにサービスを充実していくということがこの改革目的であろう、こういうふうに考えております。  御指摘ありましたように、我々のこの郵便局は、全国津々浦々約二万四千六百の郵便局の持ったネットワークを通じまして、郵便貯金あるいは保険サービスはもちろんでありますが、そのほか国庫金支払いとかあるいは年金、そしてまた恩給等支払い窓口として、地域に最も身近な国の窓口機関として、高い信頼をいただき、また親しまれておる、高い評価を受けておるものと考えておるわけであります。  そしてまた一方、もう先生の御出身のところと同じように、私ども地域もそうですが、非常に高齢化が進んでまいります。そして少子社会でありますが、こうした事態を考えますときに、高度情報国際化という大きな環境変化にも対応していくためには、この国民共有の財産であります郵便局ネットワークをさらに一層幅広く活用していくことが大事だ、こういうように考えております。  したがって、今後の郵便局サービスあり方につきまして幅広い議論をいただくという立場から、先般、郵政審議会に対しまして、「二十一世紀を展望した郵便局ネットワーク及びそのサービスの在り方並びにその実現のために講ずべき方策について」ということで諮問をいたしておるところであります。今後、審議会の御意見を十分踏まえながら、郵便局ネットワークの活用を通じて国民が豊かで安心できる生活を享受できるように、そしてまた行政改革地方分権推進にも役立つように、今後全力を投球してまいりたいと思っております。
  5. 亀井久興

    亀井(久)委員 今、大臣から、これからますます郵便局を充実させながら地域のために役立てていきたいという御所見を伺って、安心したわけでございます。  もう既に、郵便局として、いわゆるワンストップサービスというのをやっておられるわけでございますけれども、ほかの国でも同じようなサービスというものがあろうかと思いますが、日本のこれからのワンストップサービスヘの取り組みというもの、特にこれから福祉面の充実が非常に望まれるわけでございまして、そういう福祉サービス的なこと、あるいはまた地方自治体との連携をもっと強めながら、地方行政サービスということについても取り組んでいくべきだと思いますが、ワンストップサービスの現状とこれからの取り組みについて、簡単に事務当局から例えればと思います。
  6. 内海善雄

    内海政府委員 現在、先ほど大臣お答えいたしましたように、各種の公金を取り扱っているということで、国の行政機関の一つの窓口になっておるわけでございますが、さらに、郵便局に来られたお客様が、郵便あるいはファクシミリなんかを通して、郵便局を通しまして自治体にいろいろな申請書を出して、自治体から申請書の交付を郵送されるという、そういうようなサービスも現在やっております。ただ、それは、郵便を通じて送られてくるということで、まだ不便なところがございますので、もっと便利なサービスに改善していきたいと考えておるところでございます。  諸外国では、例えばアメリカだとかマレーシアだとかあるいはイギリスだとかいうようなところが、やはり同じように郵便局ネットワークを活用して国の行政窓口になろうというようなことでいろいろな施策を行っておりますが、いずれも、新しい情報通信ネットワークを有効に活用して、郵便局へ行けばいろいろなことが各行政機関とつながりまして、その場でサービスが受けられるようにということを志向して、そういうことを、将来のサービスということを考えて取り組んでいるところでございます。  私どもも、平成九年度の予算政府原案の中にはそういうサービスを、実験として、どんなものができるのか、どんなネットワークをつくったらいいのかというようなことを織り込ませていただいておるところでございます。
  7. 亀井久興

    亀井(久)委員 申し上げるまでもなく、郵政省は、郵便貯金保険という三事業を持っておる現業官庁でありますけれども、それと同時に、電気通信電波放送という、新たな、非常に発展の著しいそういう分野を所管する政策官庁でございまして、その役割が極めて大きくなってきていると思います。  したがいまして、私は、電波放送電気通信といったそういうものと、三つの従来の仕事とを一体化をもっと促進をいたしまして、いわば電気通信政策の中に郵便局ネットワークを取り込んでいく、また電波放送行政の中に、その政策の中に郵便局ネットワークを取り込んでいくという、そのことが地域利便性を高めていくことにつながっていくと思いますけれども、その辺の取り組みについてはどのように考えておられますか、ちょっと伺いたいと思います。
  8. 濱田弘二

    濱田説明員 先生指摘のように、郵政省は、情報通信主管庁といたしまして、今後とも事業行政がさらに連携を深める中で、これからの我が国情報化推進ということを大きな視野にも入れて先導的役割を果たしてまいりたいと考えております。  また、具体的に、今の御指摘郵便局ネットワーク関係につきましては、まずもって郵便局の中をマルチメディア時代対応情報通信装備、これを強化いたすことがファンダメンタルなところで必要なわけでございますが、それとあわせまして、具体的には、先生ただいま御指摘ございましたけれども郵便局ワンストップサービスの拠点にするとか、あるいは地方自治体と光ファイバーでもって接続をしていくとか、そしてまたインターネットに電子郵便局開設をする、九年度で百局の開設を予定させていただいておるわけでございます。  また、そういう電子郵便局においては、現実の郵便局窓口ロビーに、もうキーボードもさわらなくてもいい、あるいはマウスすらさわらなくていいタッチパネル式マルチメディアパソコンというのを置きまして、そして利用者の方にそれを実際に使って体験していただこう、こういうようなこともいろいろ考えてまいりたいと思っておるわけです。  いろいろな施策を陸続として講ずる中で、郵便局地域の中でより広く、より深く連携を保っていけるように、今後とも鋭意施策推進に取り組んでまいりたいと思っております。
  9. 亀井久興

    亀井(久)委員 次に、財投のことを少し伺いたいと思うのです。  行政改革を進めていく中で、財投がいかにあるべきかというこの議論が既に始まっているわけでございますが、今やっております議論は、主としていわゆる財投出口論と申しますか、財投投融資先であります特殊法人、それの見直しということが始まっておるわけでございまして、むだなものを省いていこうとか、不採算な部門は切っていこうとか、そういうことに当然なってくるわけで、整理統合とかいうことが進んでくると思います。  そうやって財投出口が狭まってくるということになれば、当然のことながら財投計画そのものが小さくなってくるということで、いわば財投無用論というものも一部にあるわけでございまして、財投なんかやめたらいいというような話もあるわけですが、私はそうは思わないわけでございます。  今、日本欧米の国々と比べてみて、やはり何と申しましても社会資本の蓄積がまだ少ないということはよく弱点として言われておると思います。下水道一つとりましても、欧米と比べてみればまだまだ普及率は低いということでございますから、今、公共事業あり方というものもいろいろ議論になっておりますけれども、私はやはり公共投資というものは主として地方にもっと積極的にやっていくべきときではなかろうか、そのことが均衡のとれた国づくりにつながっていく、そういうように受けとめておるわけでございます。したがいまして、財投が今直ちに必要ないということについては、大臣も恐らく同感、同じ御認識だろうと思っておりますけれども財投は必要である、しかしむだなものはやめていくという、これは当然のことだと思っております。  そこで、財投計画が仮に小さくなってくるということになりますと、郵便貯金運用ということについてもおのずから新しい議論が出てくるだろうと思っております。郵政大臣を務められた小泉現厚生大臣年金自主運用というようなことを言われ始めているわけでございますけれども、郵貯の方も、財投に回す、資金運用部に預けるものが縮小されてくるということになれば、結果として自主運用部分が広がってくるという、そういう可能性も出てくるわけでございまして、現に金融自由化対策資金というものが、これは六十二年度からだったと思いますが、運用されておるわけでございます。やはり国民自主努力による貯蓄というものをしっかりと支えていくということは、これはまさに郵政省の大きな責任でございますから、その意味で、いわゆる自主運用の拡大という、そのことについてどのような認識をしておられるのか。また、金融自由化対策資金の今日までの成果と申しますか、それの運用状況、また将来への取り組み、そこらをお伺いしたいと思います。
  10. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から財投についての基本的な御指摘がございましたが、私ども預金者の大切なお金をお預かりしておる立場からいたしますと、ぜひこの財投の中で有効に、預金者の方々からもいい使い方をしてもらっていると言っていただけるようにさらに改善方がされればと願っている次第でございます。  さて、お尋ねの金融自由化対策資金の件でございますが、先生方の大変な御支援と御指導を賜って発足したこの資金も、今年度で誕生以来十年を迎えることになりました。その間、年々、おかげさまで予算の査定の中で運用額も適切に確保できまして、今年度末には四十兆一千五百億円の運用額となる見通しでございます。  したがいまして、平成七年度末の概況でございますけれども郵便貯金残高、二百十三兆円ございますが、これのトータルの運用状況ということを見ますと、いわゆる一般財投等運用額が百七十五兆円、そして金融自由化対策資金、いわゆる俗に自主運用と申しておりますが、これが三十五兆円、これは七年度末の数字でございますが、このような状況になっておると申し上げることができようかと思います。  今御指摘ございました金融自由化対策資金のいわゆる自主運用成果でございますけれども、これはもう先生方承知のとおりでございますけれども資金運用部からその時々の預託金利に応じまして借り入れまして、これを国債、地方債というものを運用対象にいたしまして運用してきているわけでございますが、この十年間、単年度すべて黒字を計上し、当然、その結果、累積でも黒字を上げておるということで、この自由化対策資金の所期の目的はひとまず達成できているのではないかというふうに思っております。  今後のことでございますけれども平成九年度につきましては、十年前の六十二年度に借り入れました二兆円の初の償還期を迎えることになりました。もし、今御審議いただいております予算案でこの新しい借入額もお認めいただきますと、平成九年度末の運用残高は四十五兆六千五百億円になる見込みでございます。  さらに、今後の私どものこの自由化対策資金運用、いわゆる自主運用というものの考え方でございますけれども、やはりこれは、運用額というものは安定的に確保されていくということが、運用する立場でも、また市場にとっても大変大事なことと言われておりますので、この辺の財源の確保につきましては、安定的な確保最大限努力をしていきたいと思います。  それから、運用範囲でございますが、これから金融情勢が大きく環境も変わっていく中で、どのような運用対象がこの郵便貯金自由化対策資金運用等の観点から望ましいのかよく見きわめて、その辺も検討してまいりたい。最終的には、この金融自由化対策資金というのは、健全な郵便貯金経営確保というのが使命でございます。それから、あわせまして、財投への資金源として、日本の国富と申しますか、社会資本の形成に有効に御活用いただく、この二つ使命を十分達成していけるように対処してまいりたい、このように感じております。
  11. 亀井久興

    亀井(久)委員 御承知のように、今日本でも、イギリスの例に倣って、日本版ビッグバンという、金融市場の思い切った自由化というものを二〇〇一年に向けて進めようとしているわけでございます。証券、保険、銀行、こういうものの垣根を外していくとか、あるいは為替管理のさまざまな規制を緩和していくとか、相当大きな変化が出てくるわけでございまして、そのことによって日本金融市場というものが大きく活性化をしていくということになるわけで、そのことは大変結構なことでございますけれども、ますます金融市場というものが国際化し、そして非常に複雑になってくる。そういう中で、新たな、金融派生商品と申しますか、いわゆるデリバティブというようなものも生まれておるわけでございまして、オプションであるとかスワップであるとかあるいはさまざまな先物取引、こういうものが行われている。いわばマネーゲームのような面も非常に強くなってきているわけでございます。  こういう中で、郵政資金自主運用という、そのことはおのずから、今の答弁にもありましたように、健全な運用というものが第一でございますから、運用対象を広げていくということにおいても、とても危ない運用はできないだろう。それは当然のことだと思いますけれども、大きく金融市場そのものが変貌していく、そういう中で自主運用というものを考えていくためには、やはりさまざまなこうした国際的な勉強も大いにやっておいていただかなくてはいけないと思います。その意味での人材の育成というようなことも非常に大切なことだと思いますが、そのことについてはどう取り組んでおられるのか、伺いたいと思います。
  12. 品川萬里

    品川政府委員 ただいま先生から、これからの金融情勢につきましてお話を承ったわけでございますが、私どもも大変大きな環境変化があるだろうと認識しております。  それでやはり何によらず人材が第一であるということは言われることでございますけれども金融分野におきましても、政府といわず民間金融機関といわず、すぐれた人材確保ということが極めて重要になると認識しております。  私どもも、先ほど申し上げましたように、あくまで健全な経営確保に資するという目的のもとでの自由化対策資金運用でございますが、幸い、十年間にわたりました運用の経験の中で、しかるべく技能知識というものも職員も身につけてきております。しかし、これから大変大きな環境変化があるということは十分予想されるわけでございますが、金融にとりまして何といってもやはり信用ということが大事でございますから、金融世界信用という、いわば金融世界倫理観というものに十分裏打ちされた、そしてその上での深く広い知識技能を身につけた職員を育成してまいりたいということで、今、貯金局といわず、省を挙げて取り組んでまいりたい、このように感じております。
  13. 亀井久興

    亀井(久)委員 金融市場自由化が急ピッチで進んでいくということと同時に、電気通信市場というものの自由化国際化というものがますます進んでいくわけでございますが、先般WTO基本電気通信交渉がまとまったということは大変結構なことだと思っております。  日本の場合に、NTTKDDを除いて、無線局免許を含めて全面開放、そういうことになるわけでございますけれども、いわゆる通信主権というものがどういうようになってくるのかという危惧も私持っているところでございます。仮に第一種の電気通信事業者の株式にいたしましても、自由に外国企業が買える、外国企業どころか、その国の政府機関あるいは政府そのものが買うというようなことも決してあり得ないことではないわけでございまして、やはりそういう中で通信主権をしっかりと守っていくということは大切なことだと思いますが、そのことについての大臣の御所見を伺いたいと思います。
  14. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま御指摘のとおり、先日WTOがめでたく妥結を見ましたことは、大変喜ばしいことでございます。これで、各国とも市場が開放されることによりまして、競争が促進され、また料金の低廉化あるいはサービス多様化等のメリットを利用者にもたらすものとして大変喜ばしく思っておる次第でございます。  また、今回の合意においては、各国とも完全な自由化ではございません。米国、EU、カナダ等々の主要国もまだ相当な規制を持っておるわけでありまして、日本が一番今回の妥結においては、先生指摘のように、NTTKDDの二〇%以外は全部日本規制を外しておるところであります。したがって、御指摘のとおり、今後ともこの点は十分配慮をしながら、今後のそれぞれの交渉に臨んでまいりたい、こういうふうに思っております。
  15. 亀井久興

    亀井(久)委員 次に、NTTの問題でございます。  NTT改革、長年の懸案であったわけでございますが、ようやくNTT郵政双方合意ができて、郵政省の方針が決まって、前進を始めたということであります。いろいろまだ解決すべき問題はあろうかと思いますけれども大臣の積極的な取り組みを進めていただくことによりまして、何とかこれを前進をされていくべきだと思っておりますが、大臣の御決意を伺いたいと思います。
  16. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 このたび、NTTの再編成は、長い間の政府懸案でありましたが、NTT並び郵政省との話し合いが円満にまとまりまして、一応御案内のような方向で再編成を進めることになったわけであります。これは、日本情報通信市場全体の活性化からいって大変喜ばしい限りでありまして、我々も、我が国通信政策上重要な意義を持っておると認識をいたしております。  この再編成に当たりましては、御承知のように、持ち株会社制度並びに税制上の特例、この二つの条件があるわけでありますが、現在鋭意政府内の調整を進めていただき、また、与党三党においても積極的に意見調整を進めていただいております。  この法案の準備あるいは関係省庁調整が早急にまとまるように、私ども事務方を今督励をいたしておるわけでありますが、何としても今通常国会法律案を提出したい、このように考えておる次第でございます。
  17. 亀井久興

    亀井(久)委員 大臣の御決意を伺いましたが、さらにまた積極的な御努力をぜひお願いをしたいと思います。  もう時間がなくなってきてしまいまして、電気通信のことを少し伺いたかったわけでございますが、次回に譲ることにいたします。  最後に、このたびのペルーの大使公邸の人質、ゲリラによる占拠事件、これはまだ解決していないわけでございまして、大変私どもも憂慮いたしておるところでございますが、御承知のように、今般、テレビ朝日系の記者が無線機を大使公邸内に残してきた、このことが明るみに出たわけでございまして、このことは、事件の社会的な影響、また事件そのものに対する影響、さらに報道のあり方、モラルの問題、放送取材のあり方について多くの問題を含んでいる大問題だと私受けとめておるわけでございますが、その点につきましての大臣の御所見を伺いたいと思います。
  18. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 先般報道されましたように、在ペルー大使公邸人質事件については、人質の全面解放、事件の平和的解決に向かって関係者がいろいろ努力をされておる中であります。その中で、テレビ朝日が無線機を置いてきたこと、そしてまた、これが報道されるまで皆さんに報告しなかったことはまことに遺憾なことであります。不測の事態を招きかねず、こうした問題は報道機関の倫理問題として、私どもは極めて遺憾に存じておるところであります。
  19. 亀井久興

    亀井(久)委員 終わります。
  20. 木村義雄

    木村委員長 岸本光造君。
  21. 岸本光造

    ○岸本委員 自由民主党の岸本光造でございます。今亀井理事の方からもお話がございましたが、私はペルー人質事件とテレビ朝日の取材姿勢について、若干の質疑を行いたいと存じます。  ペルーの人質事件もニカ月を超えまして、きょうで六十五日目ということになるでしょうか。人命第一にしたペルー政府の粘り強い交渉が今日も続けられております。そして、MRTAは、これはテロ集団でありまして、テロは絶対に許さない、こういう立場、それから人命尊重という立場、この二つ立場を原則として、ペルー政府関係者は神経をすり減らして今対応を展開してくれておるわけでございまして、今度の場合は、人質の人命をいかに無事に救出するか、平和的に救出するか、これが至上命令であります。それ以外はすべてこれは邪道であります。この一点に今心血が注がれておるわけでありますが、取材といえどもこのルールを飛び越えることは私は今度の場合はできないのではないか、こういうふうに思うわけでございます。  もちろん、私は、民主主義社会というのは自由が存在することが前提でございまして、そういう意味では取材の自由、報道の自由、これが保障されておることが民主主義社会であるということはよく存じておりますし、それは当然のことでございます。もしこの自由が圧迫されるということになれば、私も身命を賭して闘う一員であります。しかし、そのことを確認した上で、なお今回のテレビ朝日の一連の行為はまさに邪道であるというふうに私は断言できる、こう思います。  それで、幾つか事実確認をしながら、参考人の招致の問題についてお願いをしたい、委員長に永お願いをしたい、こう思うわけでございます。  実は、一月八日に人見記者がペルー大使公邸に突入するには、直接この大使公邸に突入したわけではなくて、何軒かの民家を渡り歩いて入っていっておりますよね。そして、これは、だから不法侵入にならないように何らかの謝礼を置いたという情報があるのです。それは私のお金で一万円や二万円とかあるいは千円、二千円というようか単位のお金ではなしに、かなり大量のお金を協力金として、謝礼として渡したというような情報もございます。これは人見記者個人が出せるようかマネーではないわけでございまして、このときから背後に何かがあるのではないかという気はいたしておりました。それから、無線機は一体どこの物であるのか。残置してきた、残して置いてきか無線機はどこの所属で、人見記者個人の物なのか。それから、これは幾らぐらいかかる無線機かのか。借りておったというような情報もありますし、いろいろな情報が入り乱れております。  この一月八日にともかくいずれそういうプロセスを経て突入した人見記者に対して、郵政省がテレ朝を呼びまして、こういう事態が起こらないように注意を喚起しておりますね。しているかどうか、その辺も事実確認ですが。そうすると、テレ朝の方は、これは突発的な記者個人の単独のプレーで局は何ら関与はない、こういうコメントを局は出しておったように思いますが、この辺の事実関係はどんなものでしょうか。
  22. 楠田修司

    ○楠田政府委員 先生指摘のようなことがありましたので、一月九日、テレビ朝日の社長に、こういうふうな非常に、人質事件の関係であり人命救出が大事である、こういう時期にそういう突入されるという行為はいかがなものかということを申し上げましたことは事実でございます。
  23. 岸本光造

    ○岸本委員 そのときテレ朝は、これは個人の問題で関係ないよ、いや今後しません、こういうことになったわけですね、今のお話だと。そのときには無線機を残置してきたということは言わなかったのですか、言ったのですか。
  24. 楠田修司

    ○楠田政府委員 無線機のことは一切言及がありませんでした。
  25. 岸本光造

    ○岸本委員 それで、それがどんな経過を経て明らかになったのかわかりませんが、二月八日に外務省がテレビ朝日を呼んで注意を、これは大変な交渉だから、神経をすり減らして心血を注いでいる大変な交渉だから余分なルートをつくらないでくれというようなことを、人命尊重の立場で、外交の立場で外務省が二月八日にテレ朝に言っておるわけであります。  その前に、大臣にちょっと聞いておきたいのですが、一月八日からこの二月八日に外務省が騒ぐまで、外務省が発言するまで、郵政省は何も知らなかったということですな。簡単に言うたらあほにされていたということですな、郵政省は、監督官庁として。大臣、どうですかこれは。
  26. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま御指摘のとおり、郵政省はこけにされておったということでありまして、これも私が率直に申し上げますと、国会のある先生から郵政省は通知を受けたのです。それから初めて調査に入ったわけでありますが、外務省自身も、一月二十八日に家族に全部人質の状況というのを報告しておるわけです、それから外務省の方に照会があって、外務省も驚いたというのが実態であります。だから、全く、今回のテレ朝のこうした報道関係については、私ども郵政省も残念ながら何ら知らされなかったということであります。
  27. 岸本光造

    ○岸本委員 そうしますと、外務省はどんな状況でこれを知り得たのか、ちょっと一遍教えていただきたいと思います。
  28. 兒玉和夫

    ○児玉説明員 お答えいたします。  外務省は、本年の一月下旬から二月の上旬にかけて、テレビ朝日系列人見記者が、現地時間で一月七日公邸に侵入した際、携帯無線機を置いてきたこと、そして同じ一月二十四日にテレビ朝日がこれを利用して公邸内と交信したという断片的な情報に接しました。それを受けまして、私どもとしては、日本時間の二月八日から十三日までの計五回、八日、十日、十一日そして十二日、十三日にわたりまして、外務省はテレビ朝日に対して先ほどの申し上げた事実関係を照会いたしました。その過程で、テレビ朝日側は、人見記者が無線機を公邸内に置いてきたこと、そしてその無線機を使って現地テレビ朝日チームが現地時間一月二十四日に邦人の人質の方と交信をした事実を認めました。  外務省としましては、そうしたテレビ朝日からの事情聴取の際、テレビ朝日が無線機を残置してきたという行為は、ペルー政府とMRTA側との対話の行方に重大な影響を与えるおそれがあって極めて遺憾である旨テレビ朝日側に伝えるとともに、公邸内の無線機との交信を不能とするように要請した次第でございます。  以上でございます。
  29. 岸本光造

    ○岸本委員 それで、二月八日に今説明のあったとおりで外務省が知った。それで、それから五回にわたって外務省は、人質の問題であるし、ペルーの努力もあるし、そういうことはやめてくれというお願いをテレ朝にしたけれども、これはナシのつぶてで、一つも聞いてくれなかった。ところが二月の十三日になって 午前に、郵政省が、テレ朝はそれではいかぬじゃないかと言って怒った。そうしたら午後になって、やめました、交信不能にいたしますと言って外務省へ回答があった。  こういうふうに事実関係を私は確認をしておるわけですが、そのとおりでございますか。ということになれば、外務省のメンツなんて全くないわけですな。国家を代表して外交をやっているというような存在価値がないじゃないですか。そう思っているのですが、どうですか。
  30. 楠田修司

    ○楠田政府委員 二月十三日に朝十一時半にテレ朝に来ていただきまして、そのとき初めていろいろ事情をお聞きしたわけですが、その中で、向こう、相手側と交信をしたということでありました。外務省の方からもこういうことは問題だということをテレ朝に言っておられるということも知りました。そういう中で、我々としても、やはりこういうようなことは問題でないでしょうかということで懸念を申し上げたということであります。そして、その日の午後、電話でありますけれども、午後三時に、使用しないということが連絡があったというのは事実でございます。
  31. 岸本光造

    ○岸本委員 はい、わかりました。  そうしますと、二月八日から二月十三日まで六日間なんですが、この六日間の間に交信しておったということはほかにないですか。二回だけというふうに指摘されていますが、二回以上の交信は確認できてませんかどうか。ほかに何かやっておりませんか。
  32. 楠田修司

    ○楠田政府委員 それ以外に対する内容につきましては、何も説明はございませんでした。
  33. 岸本光造

    ○岸本委員 いやいや、何も説明じゃなしに、確認はできているか、できていないか。今できていないということですか。
  34. 楠田修司

    ○楠田政府委員 何か向こうと交信をしているのではないですかというふうに聞きましたら、わからない、こういうことであります。
  35. 岸本光造

    ○岸本委員 わからない、今の発言は大変重要でありまして、やめろやめろと言っているのに、やっていたかもわからないし、やっていなかったかもわからぬ、これでは話にならぬというふうに思います。  大体そもそも今度の事件は、当初は、一月八日に人見さんという記者が突撃をして、勝手に自分のスタンドプレーで取材に入っていった、テレ朝は全く関係ありませんよとコメントをしておったわけです。ところが、この残置無線機が出てきて初めて、これは局も承知しておった、何ら問題ではない、配慮に欠けるものではないというようなコメントを、テレ朝の報道局長名でコメントが出ております。  それで、初めから、それだったらこれは会社ぐるみでやっておったことと違うのかという気がするわけでございます。社会的にもうこれははっきりうそを言っておったということにもなりますし、しかも国際問題の中で、そういう人命がかかわった問題でうそを言っているということは、これはもう大変重要な問題であって、まあこれは放送されておりませんが、取材も含めて、この問題は電波法、放送法との関係ではどういうふうなとらまえ方をしたらいいのか教えていただきたいと思います。
  36. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 これまで外務省並びに放送局長からも御答弁申し上げましたが、一連の今日までの状況を考えますと、どうもテレビ朝日のいろいろ報告をされたことを全面的には信用できないという、これは大方の意見だろう、こう思っております。  最初に報告されたとき、人見記者が帰ってこられて、そのときに果たして無線機の話がなかったのかどうか。会社の方は、なかった、こう言われておりますから、そう言われればそれを信用する以外にありません。ただし、また今日無線で、私は無線機の知識が余りありませんが、中で放送をやめるということにした、連絡をやめることにしたといっても、向こうの無線機を壊したわけではないし、出口の、受信の方だけがとめたといっても、これはもうほかの無線機とも十分連絡が可能というようなことも考えられます。したがって、これから先の問題は、やはりテレ朝の良識にまつ以外にない、こういうように思っております。
  37. 岸本光造

    ○岸本委員 大臣の答弁の中で、大方の見方としてテレ朝をこの件に関しては信用していない、こういう発言が冒頭にございましたが、局長、何かこれに関して発言ありますか。なければ次に行きますが。——ありませんか。  そうしますと、大方の人が信用していないテレ朝の良識にまつといったって、これはまてないですよ。これは良識があると思いませんよ、私は。だから、そういう意味で、この事実関係を明らかにするために、これは一遍テレ朝の社長それから報道局長関係者を当委員会に参考人として招致をいただき、事実関係を一遍すっきりさせる必要がある、こう思います。  それと、民放連の会長もここへ来ていただいて、この問題を民放連としてどう受けとめるか、テレビ界全体の問題としてどうするか、こういうこともやはり私は参考人に呼んで論議をしたらいいかと思いますが、民放連をもしお呼びいただくのなら、それは皆さんでお決めいただくことですが、テレ朝の関係者と民放連は別なところで、別な格好で意見を聞かせてもらうということにしていただきたいなと、気兼ねしたり遠慮をしたりして物を言わんならいかぬですから、私は、そういうことを参考人招致については要望しておきたいと思います。委員長においてお取り計らいをお願い申し上げます。
  38. 木村義雄

    木村委員長 ただいまの岸本君の申し出につきましては、後刻理事会にて協議をいたします。
  39. 岸本光造

    ○岸本委員 人質事件は、人命にかかわり、国家主権が絡み、ペルー政府の血のにじむような努力も続いているわけです。しかも、相手がテロリスト集団である。これは大変な外交の努力も要るわけですが、芸能界のスキャンダルあるいは交通事故、火事現場、こういうものを突撃取材に行って、突撃して取材をしてくるということとはわけが違うわけで、この区別が、事件や事故の問題とペルーの今度の人質問題と区別がつかないところにテレ朝の悲劇があったのではないかと私は思います。だから、こういう問題に関しては、ヒューマニズムに裏打ちされた倫理観というものがやはりなかったら、記者そのものになかったら、社そのものになかったら成り立っていかぬと私は思います。  椿発言事件があったし、オウムの坂本弁護士事件があったし、松本サリン事件があったし、昨今では國松長官狙撃事件の問題がありますし、久米宏が、その突入をした晩のテレ朝のニュースステーションでこの記者を容認するような発言をしております。こんなことを見ていきますと、今、局の中に番組審議会一審議機関があるのですね。ここでいろいろ、ええ放送やとか悪い放送やとか倫理の問題を振り分けをして、注意をしているようですが、これは形骸化して、一つも機能していないのじゃないか。大体大臣からテレ朝を大方の人は信用していないと言われるようなテレ朝なんですから、だれだってこんなもの機能しているなんて思いません。私ども、そう思っていますけれどもね。みんなそう思っているのですよ。  そこで、私はやはり、テレビそのものに自主的、自律的に自浄能力がないとするならば、これは人権侵害とか経済的な損害を与えられた苦情の処理という意味で、第三者による苦情処理の法的な機関が必要ではないか、こういうふうに思うのですが、これについて郵政省、考えがあれば述べていただきたい。これは、言論の弾圧とかそんなものじゃないですよ。ヒューマニズムに裏打ちされた倫理の問題でして、私は聞いているわけです。
  40. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 後で局長から答弁させますが、私の先ほどの答弁の中で、信用できないと言ったことはちょっと取り消しをさせていただきまして、信頼性において疑問を感ずると。それは、局長が報告をしたのが私が信用していないということになるようでありますから。私が直接聞いたわけでありませんので、局長の報告並びに今までの経過について信頼性に疑問を感ずる、こういうことで一応訂正をいただきまして、あと局長の方から答弁をさせていただきます。
  41. 楠田修司

    ○楠田政府委員 放送番組の適正化の問題に関しましては、これは非常に重要な課題と認識しております。そして、放送番組の審議機関でありますけれども、これも放送番組の適正を図る上で本当は非常に重要な機能を有しているものでございます。ところが、御指摘のとおり、現状においては必ずしも十分機能していないというふうな声も多く、そういうふうに認識をしているところであります。  例えばどういうことかといいますと、具体的に、放送番組審議機関の活動内容というのは、外からなかなかわからない、本当にやっているのかどうかわからない。あるいは、例えば視聴者から苦情があった場合、こういうような問題が真剣に取り扱われているかどうかもわからない、こういうようなこともいろいろ指摘されておるわけであります。そういう中で、この放送番組審議機関の活性化を図ろうということで、現在必要な法律改正を検討をしているところであります。  なお、先生指摘の第三者機関というものでございますが、これは、この番組審議機関というのは放送の内部にあるわけですが、第三者機関といいますと、放送内部だけではやはり十分審議し切れない、だから放送事業者から独立して、そこから第三者の意見を、第三者を入れて第三者が判断するといいますか、考えて、例えば放送に対する権利侵害のような問題について取り扱う機関が必要であるというのは、昨年も御紹介しました多チャンネルにおける視聴者に関する懇談会の中でも指摘されたところでありまして、何らかの形でこういうものが必要であろうというふうに考えております。  ただ、この設置の方法につきましては、法律に基づいてやるのか、あるいは自主的なものにするのか、自主的といいましても彼らだけがやるんじゃなくて、自主的に彼らがつくって外部の方を入れてその意見を聞くというような形にするのか、いろいろな考え方があろうかと思います。現在郵政省として検討をしているところでございます。
  42. 岸本光造

    ○岸本委員 大臣信用してなくてもいいんです、疑問を持っているということは、それはもうやはり信用してないと同じことなんですから。私もそう思うんですよ。  だから、そういう意味で放送全体がやはり、今申し上げた幾つかの事件ありましたね、人命にかかわっているんです、全部。あるいは捜査の秘密にかかわっている問題ですよ。そういうものは、やはり火事現場の取材とか交通事故の取材と違うわけですから、芸能界のスキャンダルを徹夜で追っかけるのとはわけが違うんですから。そういう意味で、倫理観というのがないんじゃないんですか。だから、今局長から答弁ありましたけれども、苦情処理の第三者の法的な機関というのはやはりきっちりつくってやる必要がある、私はこう思うんですよ。だから、そういう意味でそれは強く要望しておきます、そういう方向で。   私が言っていることわかっていますか、局長。それでは、ほかにもちょっと発言したいことがありまして、まだ時間がありますから、次に行きます。  WTOが、二月十五日に基本電気通信交渉妥結いたしました。これはニュースでも知ったわけですが、これは大変な作業であったとこの衝に当たられた人の御労苦に敬意を表したいと思いますが、今その電気通信産業市場規模というのは、大体六千億ドルというふうに言われています。これが、この交渉の成功によって二〇〇〇年には急増して一兆二千億ドルになるだろう、こういう見通しがあるわけでありますけれども、これは日本にとって大体具体的にどんなメリットがあるのか、これは来年一月一日から発効するわけですが、具体的にこれはどういうふうに展開していくのか、ちょっと専門的過ぎてなかなか新聞記事の解説だけではわかりませんから、ちょっと教えていただきたいと思います。
  43. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 今回の合意におきまして、我が国NTT及びKDDを除く第一種電気通信事業者につきまして、無線局も含めて一切の外資規制を撤廃するということを約束いたしております。  この合意が実行されますと、国際通信あるいはCATVを用いました通信サービス分野などにおきまして、外資系企業の参入が予想されますことから、競争が一層促進されまして、料金の低廉化サービスの多様化など自由化成果利用者にもたらされる、そういう意味での利用者メリットが期待されております。  また一方、今回の合意におきまして、諸外国におきましても外資規制の緩和を含め電気通信自由化が進むことが期待されておりますので、このことは、我が国事業者ことりましてま新しいビジネスチャンスが拡大するということを意味するわけでございまして、我が国事業者がこれを積極的に活用して、海外市場におきましても多角的な事業展開を図り、あるいは海外の事業者と提携をいたしまして、海外に対しても利便性の高いサービスを提供するとともに、我が国事業者としても十分な活躍の場を持つことを期待いたしております。
  44. 岸本光造

    ○岸本委員 ところが、この交渉の決め事の中に、外資規制二〇%が入っていますね。先ほどもお話がございました外資規制二〇%。これはアメリカ側からいえば——アメリカが世界の今四割近くのシェアを持っていると思うのです。あとは二〇か三〇がEUでありまして、日本が一七ぐらいのシェアだったと思います。だから、この三つのエリアで大体世界のシェアの七〇%を押さえているわけですね。その中で、やはり熾烈な競争をやるのは日米だ、こういうふうに私は認識しております。そこで、この日本の二〇%の外資規制、これはアメリカが目の上のたんこぶみたいにして、これはやっつけなくちゃいかぬという動きが私は出てきていると思うのです。  だから、そうなってまいりますと、ある意味では今度の妥結はアメリカの市場制覇のための戦略の一つであったという意見もあるぐらいですから、そういう意味で、この外資の二〇%の規制というのは今後どういうかかわりが出てくるのか、一遍教えていただきたい、こう思います。
  45. 長谷川憲正

    ○長谷川説明員 委員指摘のように、アメリカが、日本の今度の交渉の中での提案に関しまして完全には満足をしていないという趣旨のことをたびたび言っております。  新聞の報道でのみ承知をしているところでありますが、交渉締結後もアメリカのUSTR代表候補のバシェフスキー氏が、日本とまた交渉をしたいというようなことを言ったというのも新聞で拝見をしておりますが、私どもには直接そのような話は今のところ来ておりません。  仮に、WTOの今度の合意内容に関しまして疑義があるということで交渉を求められたといたしますと、委員承知のとおり、このWTOの紛争につきましては、紛争解決のための協定というものがきちんとでき上がっておりまして、これにのっとって行われるということになっております。
  46. 岸本光造

    ○岸本委員 その紛争が起こったときに、紛争を解決する紛争パネルですか、解決するためのパネルというのができているような話は聞いております。  しかし、ここへ持ち込んでもう長い時間かかったら、そんな即結論が出ない問題でしょう。どうせ紛争パネルに持ち込まれるものは長い時間かかるに決まっているんです。その間はどうなっていくのか、これは非常に心配、危惧するところなんです。それについてはどうですか。
  47. 長谷川憲正

    ○長谷川説明員 このWTOの紛争解決に関する協定におきましては、紛争があった場合に、二国間で話し合いを始めるわけでありますが、このときにWTOに通告をいたしまして、そして一定期限経た時点で紛争が解決しない場合には小委員会を設ける、そしてこの小委員会で審議がなされまして、これまた一定期間内に結論が出されまして、それが勧告という形で当該国に出されるということでございまして、手続とともに期間についても明定がございます。
  48. 岸本光造

    ○岸本委員 これは二十一世紀のリーディング産業でありますから、日本が生きるか死ぬかというような運命もかかっておる分野の一つであると思います。したがって、しっかりこの外資規制二〇%の問題も含めて努力を続けていただきたい、こう思います。  最後になりましたが、テレビ朝日の参考人招致、ぜひ理事会でお取り上げいただき、決定いただきますようお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  49. 木村義雄

    木村委員長 理事会にて協議いたします。  赤松正雄君。
  50. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 赤松正雄でございます。大臣予算委員会、随分長い間、まだきょうは続いておるわけですけれども、大変御苦労さまでございます。  予算委員会における大臣に対する質問というのは、全部正確に掌握したわけではありませんけれども、私が若干見ましたところ、加藤自民党幹事長を初めとしてたしか四人ぐらいの方が聞かれたと思いますけれども、その四人の皆さんと大臣とのやりとり、あるいはまた、大臣がさまざまな機会に記者会見をされたりしている部分、また、先日のこの委員会におきますところの所信表明、そういった発言を軸にしまして、参考にさせていただきながら、きょうは質問をさせていただきます。  ところで、自民党御出身というか所属の郵政大臣というのは三年余りぶりという、後ろに我がグループの神崎元大臣もきょうは座っておりますけれども、就任後、十四年ですか続いたNTTについて、先ほども亀井代議士に対する発言の中にもございましたけれども、一つのめどをつけられた。さっき一応とおっしゃっていましたけれども、そういうめどをつけられた。あるいは、かなりの予算増をかち取られた。実力者ぶりを発揮しておられるのかなというふうにも思うわけですけれども、就任後三カ月、大臣をされてのまず手ごたえというか感想というか、その辺のあたりからお聞かせ願いたいと思います。
  51. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 私は、昭和五十一年の十二月に国会に出てきたわけでありますが、最初に配属された委員会がこの逓信委員会でございまして、ここの委員会でありますが、先ほどから席から眺めておるわけでありますが、当時、私ども自民党の与党というのは、逓信委員会委員に若い代議士はほとんどならなかった。私と渡辺秀央君と二人が押し込まれて、私も逓信委員会希望しなかったわけですが、ここは長老ばかりなのですね。野中先生のような大臣経験者とか議長経験者とかいう長老ばかりでありましたが、その後六年間、私はこの理事をしておりました。一年生からもう理事なんです。なる人がいなくて、加藤常太郎先生が筆頭理事ではありましたが、そういう時代であります。  しかし、六年後、私は防衛政務次官になって、そして帰ってきたときは、今度は非常に希望者が多くて、若い世代の人たちが逓信委員会に入られるようになりました。今日、こうして委員会席を眺めてみましても、大変若い先生方が、この委員会で活気ある委員会を運営されておる姿を見まして心強く思いましたが、全くそのとおりで、ほかの問題等もそのとおりであると思います。  私ども郵政事業、これは昔も内容は余り変わりませんが、量というものが非常にふえてまいりました。しかし、その当時は、何といっても労働問題が一番大きくて、昭和五十三年は年賀状の配達拒否をやりまして、結局、相当な処分者を出した時代であります。その後、お互いに反省をしながら、労使協調して、今日の郵政事業が非常な発展をしておることに改めて感銘をいたしました。  そして、ほかの、放送行政、通信行政といえば、もうほとんど放送といえばNHKの難視聴解消というのが一番の課題でありました。そして、通信行政といえばNTTだけで、しかも、加入者の積滞解消並びに遠近格差の是正、これがもう大きな課題であったと思っております。  ちょうど十五年たちまして、今度また郵政大臣を拝命いたしまして、三ケ月間勉強させていただきましたところ、郵政事業は、内容そのものは変わりませんが、しかし、新しい時代のニーズに応じて、サービスの強化、そしてまたいろいろな、ふるさと小包とかいう新しい制度を持ちながら進んでおられることでありますが、一番大きな変化を遂げたのは放送行政であり、電気通信行政である、こう思います。  このような急激な変化というか発展をいたしまして、しかも情報通信、放送産業が今や日本のリーディング産業として大きな役割を果たしておる姿、平成八年度の実績を見ましても、大体約四兆六千億の投資が行われると聞いておりますし、自動車産業が約一兆六千億ですから、約三倍、まさしく日本のリーディング産業との位置を高めつつあるこの通信産業を見ますときに、隔世の感がある、こう思っております。  今や内閣といたしましても六つの改革を考えておりますが、その一つである産業構造改革の一翼を担っていくのがこの情報通信産業であり、放送行政であると思います。言えば、全く大きな政策官庁に転換した、こういうように考えております。  先ほど先生からも予算は言われましたが、ことしはほかの省と比較いたしまして初めて三二・三%も大幅な予算を認められましても、予算全体はわずかに八百三十七億であります。こういう数少ない予算でありますが、これを十分活用しながら、今後政策官庁として大きく努力をしなければならない、そのかじ取りをしなければならぬという大きな責任を感じておるところであります。
  52. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今大臣から率直な御感想を述べていただきましたけれども、枠組みとして、時代の変化の中でこの郵政行政というものの重要性というものが一段とクローズアップされたということだろうと思うのです。  そういう中で、中身をそれに見合ったものにしなければいけないということがこれから問われてくるわけですけれども、先般の大臣の所信表明の中に、郵政行政は極めて大きな岐路に立っている、そういうふうに認識せざるを得ないという発言がございました。そういう発言にかんがみまして、さらにこの大きな岐路というものの具体性、どういうふうな認識をされているのかということが一つと、それからあわせて、それと関連をしてくると思いますので続けて聞いておきますけれども、情報通信とかあるいはこの郵政事業そのものにつきまして、審議会に二十一世紀に向けての取り組みのありようというものについて対応ぶりを検討する、こういうふうな表現が先だっての所信表明の中にもございました。この審議会郵政省の中におけるというか、郵政大臣が諮問をされる対象としての審議会の数、それから今までいろいろな歴史があろうかと思いますけれども、最も最近におけるところの審議会にどういう答申をされたのか、このあたりにつきまして聞かせていただきたいと思います。
  53. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 具体的にお尋ねの点につきましてはまた局長から答弁させますが、世間にはこの行政改革という問題でいろいろな御意見があることはもう私ども承知をいたしておるわけであります。  しかし、どういう改革がなされようと、現在、今二万四千六百の郵便局ネットワークを持ちながら、全国津々浦々まで国の末端の、最先端の出先機関として大きなサービスを提供しておることだけは間違いないわけであります。  したがって、行政改革なり、先ほどのほかの委員の御質問でもありましたが、地方分権がいかに進められようが、私はやはり今日これだけの貴重な財産を生かさない手はないと思っておりますし、仮にこれが統合なりあるいは民営化ということが起これば、これはやはり採算という問題が出てまいりますと、民業となればどうしても不採算地域はカットしていく、これはもう当然のことであります。  今、私どもがこの二万四千六百のネットワークで十分なサービスを提供しながら、そしてまた国民の信頼をかち得ておるこの立派な制度というものは、私は堅持していかなきゃなりません。特に、我々のような農村地帯になりますと、あるいは過疎地域になりますと、郵便局あるいは農協しか頼るところはないわけでありまして、全国過疎地域の金融機関の配置を見ましても、七五%が郵便局であります。金融機関はわずかに二五%しか配備していないわけであります。そういうような状況を考えましても、今後少子 高齢化社会に向かってまいりますれば、ますます郵便局の果たす役割は大きい、こういうように考えざるを得ません。  したがって、今後の少子・高齢化に対応いたしてまして、ワンストップ行政サービス等も検討しながら、あるいは福祉面において十分な協力ができるかどうか、そうしたものの検討を来年度の予算で計上して、検討すべくお願いをいたしておるところであります。  そして、今後、私どもはやはり郵政審議会に対しまして、二十一世紀の郵政事業あり方について御諮問をいたしておりますが、この点、後で局長から答弁させたいと思います。  また、情報通信、放送行政というものは、この三カ月を振り返っての先ほどの御質問でも申し上げましたが、リーディング産業として日本の産業基盤の構造改革に大きな役割を果たしておるわけでございますので、そうした高度情報通信社会の構築を図っていくための新たな政策の確立が必要だ、こういうように思っております。  そうした意味で、この今後の高度情報通信化の問題等については、電気通信審議会に御諮問を先日いたしたところであります。こうした審議会等の御意見を踏まえながら、今後の新しい郵政事業の展開を進めてまいりたい、こういうように思っておるところであります。
  54. 天野定功

    ○天野政府委員 郵政省所管の審議会の御質問がございましたので、担当しております官房長の私からお答えさせていただきます。  まず、郵政省に設置されております審議会は四つございまして、具体的に申しますと、郵政審議会電気通信審議会、電波監理審議会電気通信技術審議会、以上四つでございます。  その次に、今申し上げましたそれぞれの審議会におきまして最近諮問されました大きな諮問並びに直近の主要な答申事項についてでございますが、最近における主な諮問事項といたしましては、郵政審議会に「二十一世紀を展望した郵便局ネットワーク及びそのサービスの在り方並びにその実現のために講ずべき方策について」という諮問を二月六日の日に行いました。また、同日に電気通信審議会に「二十一世紀初頭に向けて推進すべき情報通信高度化のための総合的な政策とこれにより実現可能な未来像について」、それぞれ両審議会に諮問を同じ日にさせていただいたところであります。  次に、最近各審議会から答申いただいている主要な答申事項でございますが、まず、郵政審議会関係では、平成七年八月三十日答申の「新郵便番号制の導入について」でございます。  電気通信審議会関係では、主なものを二つ挙げておきますが、平成八年二月二十九日の答申にあります「日本電信電話株式会社の在り方について」、副題としまして「情報通信産業のダイナミズムの創出に向けて」という副題がついております。もう一つ、平成八年五月三十日答申で、「高度情報通信社会構築に向けた情報通信高度化目標及び推進方策」、副題としまして「西暦二〇〇〇年までの情報通信高度化中期計画」というものがございます。  次に、電波監理審議会関係では、平成八年五月十七日答申でありますが、「放送衛星三号を引き継ぐ次期放送衛星の取扱に係る放送普及計画の一部変更について」というものでございます。  もう一つ、電気通信技術審議会関係では、平成八年五月二十七日、「技術創造立国に向けた情報通信技術に関する研究開発基本計画について」が答申されているところでございます。
  55. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今お聞きしておりますと、審議会に対して諮問されたと。二十一世紀に向けての、どういうふうに日本の情報通信あるいは郵政事業あり方があるべきかという、そういう諮問の仕方というのは過去にはなかったんですか。今回が初めてというか、本格的なものは初めてということでしょうか。あるいは近過去にあったのかどうか、その辺に絞って。
  56. 木村強

    木村政府委員 官房長が申し上げました電気通信審議会にお諮りをいたしました情報通信関係の諮問案件につきましては、三年前の平成五年に「二十一世紀の知的社会への改革に向けて」、副題といたしまして「情報通信基盤整備プログラム」ということで、二十一世紀を展望した諮問、答申という経過はございます。
  57. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 その九四年五月に、「二十一世紀の知的社会への改革に向けて」という、こういう格好でもう既に出されているわけです。それが不十分だったということがあるのかもしれませんが、若干、審議会頼りというか、審議会に頼り過ぎる傾向が、郵政省だけではなくて全体的に、今の日本の政治全体にあるんじゃないのかなという気がしまして、その辺のことを確認したいという気がしたわけでございます。  つまり、審議会が次々と、屋上屋を重ねるような格好でさまざまなことを提起されるのはいいんですけれども、要するに、郵政省自体の物の考え方というものをオーソライズされるために審議会という機関を使っているんじゃないのかなという気がしてなりません。  さっき大臣の御発言の中にも審議会の話が、聞いたから出てきたわけですけれども、もう一方でこういう国会議員が所属する委員会でのいろいろな議論、私、初めてこの逓信委員会に所属させていただいて、過去におけるさまざまな先輩の皆さんの発言を、ざっとですけれども見させていただきましたけれども、いろいろな意味で提言、問題提起、さまざまなチェック、いろいろな発言があるわけですから、そういうものをもっと効果的に生かしていくということも考えていかないと、何か重要な場面で常に審議会ということで、政治家の役割って一体どこへ行っちゃうんだろうなという感じが、特に私たち野党にいますと、そういう気がしてならないわけでございます。その辺の位置づけについて、ぜひともしっかりさせていただきたい、こんなふうに思います。  今、話には出ませんでしたけれども、今回の諮問の中で、郵政事業のいわゆる経営あり方、民営化に向けてさまざまなところから、さっき私余り個別に聞きませんでしたけれども大臣からお答えが若干ありましたけれども、そういう郵政事業の民営化について、大きい二十一世紀の流れの中でこの問題をどうとらえていくのかというふうな形の諮問というのはないんですか。
  58. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 諮問の内容等については、先ほど、審議会頼りで余り委員会意見を尊重されないんじゃないかというような内容かなと思いましたが、我々は、委員会のこうした先生方の御意見というものをやはり十分尊重申し上げて、そして諮問案というものをつくるわけであるし、また、予算編成に当たりましても、委員会のこうした御審議というものを十分踏まえながら取り組んでおるということを、まず御理解賜っておきたいと存じます。  今回の諮問の内容でありますが、二十一世紀の郵政事業あり方について、特に最近、行政改革あるいは地方分権、さらに一方では民営化と、さまざまな意見が出ておりますので、この機会にそうした審議会の御意見をお聞かせいただければと思っております。  行政改革ですから、郵政事業がJRみたいに大きな赤字を出して国民に大きな負担をかけておればこれは別として、現在は三事業とも一円の税金の投入もありません。言えば優良企業であるわけです。これを民営化してどこにメリットがあるのか。国民に不安を与えるだけじゃないのか。恐らく、農村地帯の国民に、郵便局がなくなるんじゃないかというような、かえって不安を与える心配もあります。  だから、そういう意味で、私どもが考えておるだけではなくて、そうした審議会委員先生、まあ国会の先生方の御意見はもうほとんど承知をいたしておるつもりでありますし、一、二の方が大変な発言をされておることはもう御案内のとおりでありますが、そうした意見審議会やあるいはまた国民の皆さんが賛同されるのかどうか。まあ一部財界ではその御意見はあります。だけれども、私どもは、やはり国民意見を広く承る、そういう意味では、審議会にこうしたことを御諮問申し上げることが一番ベターじゃないか、こういうように思って、二十一世紀のあり方について御諮問申し上げました。  また、電気通信事業は、これほど急激な変化があるという業界はないと思います。先ほど局長から、三年前に諮問したと言いますが、もう三年前とことしとは全然違う。そしてまた、恐らく三年先の発展というのは想像がつかないぐらい、そういうような伸び方をいたしております。インターネットにいたしましても、あるいは携帯電話とか移動通信の伸び方もこれほど急速な変化でありますから、そういうものに対応できるような形で、今後それぞれの専門家の御意見を承ることも大事だと思って御諮問を申し上げたところであります。
  59. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 ですから、その諮問の中に、そういう幅広い観点からの見直しというのは入っておるわけですね。  それで、大臣と小泉厚生大臣との予算委員会におきましての、我が党の議員の質問に対していわゆる変形した論争といいますか、郵政事業民営化の問題についてのお二人の考え方を聞かせていただいて、なかなかおもしろかったわけですけれども大臣の考えというか基本的なことは先ほど来るる聞かせていただきました。  一言で言うと、基本的な物の考え方というのは、要するにあの予算委員会でもおっしゃっていましたけれども、田舎は唯一郵便局金融機関なんだ、小泉さんの横須賀が大都会だとおっしゃっていましたが、それはいかがかなという感じもしますけれども、そういう、田舎で唯一の金融機関である。もう一方で、加藤幹事長とのやりとりの中で、いや応なく田舎にもインターネットが進出してきている、要するに、田舎というか農村においても新しいメディアが利用できるんだ、こういうことをおっしゃっていますね。  つまり、私は、今言いたいのは、二十一世紀というこれからの大きな社会の発展の中で、かたくなに田舎というのは金融機関は郵便局だけなんだ、ほかには何もないから、もうこれだけなんだということを言いながら、一方では、先ほど大臣もおっしゃったように、田舎であろうが何であろうが、そういう地域を超えて、パソコン、インターネット、こうしたいわゆる電子メディアというのはどんどん進んでいく、流布していくというか浸透していくわけですよね。だから、それは、下水道が完備していないところは私ども地域でもいっぱいあるのですけれども、光ファイバーというのはそういうものを乗り越えていってしまうという、そういう、いわば田舎と都会の認識大臣のお話を聞いていると、何か郵政事業に関してはかなりかたくななことをおっしゃっていて、一方では、そういうものを飛び越えていってしまうと言う。もう少し柔軟な発想をしていただきたい。  小泉さんと堀之内さんとの認識の違いはわかりますけれども大臣御自身の中に、郵便局郵政事業とそれから電気通信と、その辺の認識の違いがおありではないのかなということ、そういうことを抱いてしまうような感想を持っています。つまり、私は、ここで言いたいのは、要するに、余りかたくなな態度ではいけないのじゃないかということでございます。
  60. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 私はそんなかたくなとは、私がいつも申し上げていることが常識的な考え方であろう、こう考えております。  私は、この前も、与党の、国会の、銀行、金融関係をやられる先輩でありますが、堀之内君、おれは何も財政金融をやっておるからといって銀行寄りじゃないよ。おれのうちは東京のど真ん中なんだ、郵便局がなくなったら困るというのがこの人たちだ。先生方のところはありますじゃないですかと言ったら、いや、郵便局はふだん着てちょこちょこっと行けるけれども、銀行になるとちょっと着がえていかなきゃいかぬ、そういう気軽さ、親しみやすさというものを考えると、やっぱり郵便局かなと。これはもう私どもも、田舎でも思います。  だから、やはりこの点は、今何といってもこれは、国が支払ういろんな公的資金年金あるいは恩給、こういうものになりますと、どうしても田舎のおばあちゃん、じいちゃんたちが遠慮なく行けるのが郵便局です。  つい先日の、これはおかしな世論調査なんですが、日本経済新聞が調べた、去年の十二月でしたか発表されたのを見て驚きましたのは、金融機関で、相談しやすい、親しみやすい、非常にサービスがよい、この面が全部郵便局なんですね、一番が三番が信用金庫、三番が農協、四番、五番が都市銀行の名前が書いてあります。私はこれを見て、郵便局職員は末端でよくやっておるなと思いました。  私は、どこでも、よくこういうように評価をされる、しかも日経新聞が評価をするんだから、これはやはり大したものだと思います。そういう意味でも、私は、偏見的な考えではなくて、実際に今郵便局というものが国民に信頼され、親しまれておる、こういうように理解をいたしております。
  61. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 大臣の、郵便局がいかに地域社会に密着しているかという今の話はもうよくわかっておりますのでいいのですが、同時に、一方で、要するに、これからの時代の変化の中で、郵便局とかあるいは銀行とかというものを超えたメディアの発展というものはあるんだよ、その辺に対する見通しというものを郵政大臣には持っていただがないと困るなという気持ちがしたので言っているわけでございます。  特に、私、この間テレビを見ておりましたら、これは富山県の山田村ですか、本当に山間僻地というところでありますけれども、ここで、村全体に、各家庭にパソコンを与えて、その中でおじいちゃんと親と子供と、三世代にわたってパソコンについて一生懸命勉強したり、あるいは実際に動かしているという姿をテレビで見まして、非常に感動いたしました。今、こういう形を通じて、三世代、特にいわゆる大正生まれの世代と、それから平成生まれの世代が一緒にやっているというのは本当にすごい時代だな、そういう感じがするわけでございます。  何とぞ、もう大臣郵便局大事というのはよくこっちも、私は何も郵便局をすぐなくせと言っているわけじゃないのですけれども、そういう遠い先を見越した、そういう視野を持った上で郵政行政をしていただかないと困るということを言っているわけでございます。同時に財政投融資の見直しという問題もあるわけですし、それが完全に結びつけられるのは困るということを予算委員会でおっしゃっていましたけれども、そういう立場はわかりますけれども、もう少し柔軟な姿勢を持っていただきたい、こういうことを指摘して、この問題については終わります。  次に、郵便事業財政ということでございますけれども、消費税率五%引き上げに伴いまして、今回郵便料金に転嫁をしない、今回はそのままにするということをおっしゃっています。ただ、累積黒字であるからといっても、私はすぐに厳しくなるという状態だと思う、かつて私たち細川内閣のときに、神崎大臣だったのですけれども、そのときに値上げをしたわけでありまして、そのときの恩恵に今は浴しておられるのじゃないのかなというふうな感じがいたします。  いつまで累積黒字を続けていく自信があるのかどうか、その辺について。
  62. 内海善雄

    内海政府委員 先生指摘のとおり、郵便事業というのは大変人力に依存しておりますので、賃金といいますか、ベースアップがありますと、非常にそれは直、郵政財政に影響を及ぼすところでございます。  そういう中で、現在は非常に財政事情がよい状況にございますけれども、できるだけ安い料金で、さらに便利、確実なサービスを提供するというのが我々の使命と思っておりますから、いろいろな効率化、合理化を図りまして、経費が削減できるようこ、そういうことを考えております。特に、人力に依存する分をできるだけ少なくして機械化を進めていく。そういう意味で、従来、郵便番号制あるいは自動読み取り区分機というようなことを導入しまして、局内作業を合理化してきているのですけれども、今度七けたの郵便番号を導入させていただきまして、局内の作業の全行程を機械にできるだけ置きかえていく、そういうことを考えております。  そういうような仕組みを盛りまして、できるだけ経費削減をしまして財政事情を維持し、そして現在の料金、安い料金体系をできるだけ維持していきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  63. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま局長の方から答弁いたしましたが、これからも郵便料金においては、まあ神崎先生大臣のときに英断を下していただきまして、御指摘のとおりそれが大きなプラスになったということは、もう当然黒字の大きな影響はそこだ、こう基本的な認識をいたしております。  せっかくしかしこうした経営成績を上げておる段階でありますので、局長が申しましたように、なるべく黒字がずっと継続できるように、さらに将来また七けた区分機等が入れられ、合理化の方向を一層コストの削減を図りながらやりまして、現在の郵便料金がずっと維持できるような体制を確立をしていきたい、こう思っておるところであります。
  64. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 ずっと維持していきたいというお話ですけれども、そのずっと維持していくための手だてというのは、先ほど局長がおっしゃっていたいわゆる郵便番号の七文字化ですか、拡大、新しい七けた、このことだけによって立つわけですか。
  65. 内海善雄

    内海政府委員 新郵便番号の導入は一つの効率化、合理化の例でございますけれども、従来から、例えば鉄道輸送を自動車輸送に切りかえることによって大変大きな合理化を図っているとか、あるいは取り集めだとか小包配達、一部民間に委託した方が非常に安くできるような部分については部外委託を行う。あるいは、郵便は非常に深夜帯に仕事をやっておりますので、その深夜帯の勤務形態のあり方というのが非常に効率化、合理化に影響するわけですが、そういう勤務形態の見直したとか、そういうことをやってまいりましたけれども、さらに、郵便というのは非常に波動性が高い作業がございますので、できるだけ波動性がないように、仕事を平準化することによって効率化を図る。あるいは、大口の郵便物につきましては、お客様が事前に区分をしていただきますと、私どもも料金を低くする、ディスカウントさせていただくような、そういう形で、お客様と共同作業をやることによって効率化を図っていくとか、あるいはここ二、三年お願いしておりました短時間の職員というような制度を導入いたしまして、ピーク時のところを短時間の職員で賄っていくとか、そういういろいろな施策を考えまして効率化、合理化に努めてまいりたい。  その中でも、先ほど申し上げました新郵便番号制度の導入というのは、全プロセスを大きく変えていきますので、郵便ネットワークの大きな変革が起きて、それを中心としていろいろな合理化、効率化が行われる、そういうようなことを考えているところでございます。
  66. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 その点は、ぜひともおっしゃるような格好で合理化、効率化の路線を進めていっていただきたいと思います。  郵便貯金あり方でございますけれども、先ほど来若干の話がありましたけれども、きのうですか、福祉定期貯金の延長、これは当然ながら望ましいことだと思うんですけれども、一年の延長というのは少しいじましいかなという気がいたします。  またさらに、多様化はわかりますけれども、ATMの相互接続に対する調査研究費、あるいは貯蓄奨励手当を支給してまで貯金を集めようというそういうやり方を見ていますと、いささかやり過ぎじゃないのかという感じがいたします。巨大な郵便貯金を集めるという拡大路線をどんどん進めていこうとされるのは、先ほど来私が申し上げましたように、二十一世紀の大きなスパンの中で、基本的な生き方というものをきちっと確定しない状況の中で、どんどん郵貯拡大路線を突っ走るというのは行政改革に逆行する姿勢じゃないのか、一方的に大きい政府につながっていく行き方じゃないのかという指摘がありますし、私もそのような懸念を持つわけでありますけれども、その点についてお考えを述べていただきたいと思います。
  67. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘ございましたATMの相互接続の件でございますが、おかげさまで来年度の予算政府案としましては実証実験ということについて予算が認められたわけでございます。  若干経緯にさかのぼって恐縮でございますが、実は九年度の予算要求に至ります前に三年ばかりのいわば前史がございまして、平成六年度の予算要求で実は、実証実験までいきませんけれども、研究をしたいという要求を出しました。残念ながら三年間認められませんでした。平成六年度というのも、振り返ってみますと、ゴア副大統領のGII構想というようなものが出された時期かなと思っておりますが、いわば時代が、まさに先生指摘のようにインターネットの時代になってきた。そうしますと、まさに郵便貯金のオンラインも一つのネットワークでございますから、これをいかに有効活用していくかということからそのような調査研究の要求がなされたというふうに私も聞いております。  それで、九年度に至りまして、予算要求に当たりまして、いわば調査研究、ペーパーワークではなくて実際につないで、相互開放をしたいという予算要求をいたしましたのは、大変時代の進展が速うございまして、もうこれはペーパー上でいろいろ研究している段階ではない、人によりましてはもうことしの予算要求は遅きに失するくらいだというお声もある中で、このような要求を政府案としては認めていただいたわけでございます。  このATMの相互開放というものにつきましては、私どもはこのような角度から御理解いただければと思っております。  一つは、何よりも利用者の利便向上になるということでございます。今、金融機関に来るお客様の八割はこのATMを御利用になっているということでございます。私どもの二万数千のATMの機器、それから民間のかなりのネットワーク、これが結ばれますと、本当にまずは利用者の利便向上になるだろう。  それから、私どもの郵貯オンラインシステム、国営事業として国民の共有財産と言ってもいいものでございますから、郵便貯金利用者だけではなくて広くいろいろな方に御利用いただく、いわば国民共有財産の有効活用という点。  それから、三点目は、民間の金融機関の方々にも新たな消費者との接点を提供することにもなるのではないかということ。  四点目は、これは阪神・淡路の地震の際に、貴重な、大変な犠牲の上で私ども学んだことでございますけれども、今やATMのオンラインシステムもライフラインになりつつある。被災された方は相当の方々がカードをお持ちになって避難されたということも伺っておりまして、いわばこの磁気カードあるいはオンラインシステムというのもライフラインになりつつあるのかな。  こういう角度からATMの相互接続というものを御理解いただければ、預金をふやすということではなくて、このような観点からの施策であるというふうに御理解賜ればと存じます。いわばATMの世界のインターネット化、まさにインターネットというのは文字どおりネットとネットの間をつなぐということでございますから、そのように御理解いただければと存じます。  それから、手当の件でございますが、これもそもそもになって恐縮でございますけれども、公務員の勤務評価なりあるいは職員管理というのは、一言で申しますと成績主義あるいは能率主義というのが基本になっておりまして、私ども郵政職員も国家公務員でございますから、基本的にはその精神で勤務評価なり処遇というものも考えられる。私どもの給与は給与特例法によりまして労働組合等との団体交渉によって結ばれるものでございますけれども、基本的な考え方は今申し上げたような成績主義あるいは能率主義というものがベースになっておるわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、独立採算経営しておるわけでございますが、ぜひ健全な経営を維持しなければならない。そのためにはやはり職員が意欲ある仕事ぶりを発揮してもらわなければいかぬわけでございまして、そういう観点から、努力に報いる、努力した職員には相応の処遇をというのがこの手当の考え方でございます。したがいまして、健全経営職員の意欲の確保というところがこの手当のポイントと御理解いただければと存じます。  しかし、これから大きな、人事制度なりあるいは給与制度というのは年々時代の環境とともに変わってまいりますから、その辺の推移というものを十分見きわめながら、私ども職員の処遇のあり方につきましても、運用のよろしきを得るように十分研究、考究してまいりたいと存じます。  以上でございます。
  68. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今インターネットの話が出ました。情報通信関係についてに移りますが、日本の情報通信の、世界における進展度といいますか、外国との比較を含めて情報通信の分野における日本の位置づけというものがわかる数字といいますか、そういうものをちょっと挙げていただきたいと思います。
  69. 木村強

    木村政府委員 お答えをいたします。  先生今御指摘ございましたように、情報通信をはかる数字ということでありますけれども、まさにマルチメディア時代ということでさまざまなメディアがありまして、これを計数化してイコールフッティングの中で比較をするということは非常に難しいというふうに考えますが、一般論として、国民の皆様あるいは企業あるいは諸外国との関係でどんな数字を見れば情報化の進展度合いがわかるかということで例を挙げてみますと、携帯電話の普及率、これが一つございます。  我が国の加入数、これはことしの一月末でありますが、PHSを含めまして二千四百十万台。この数字は米国に次ぎまして世界第二位であります。米国は、昨年の六月末でありますけれども、三千八百二十万ということで第一位であり、これは米国に次いで第二位であります。ただし、この一年間の伸び率という点で見ますと、私どもの携帯電話というのは昨年度比一五七%の増だということで、これはもう主要国の中で一番バッターである、最も高い伸び率を示しておるということでございます。ただ、人口当たりの普及率ということで見ますと、私どもは一九・三%でありまして、北欧諸国では二六%でございますので、こういった北欧諸国よりは低いということでありますが、米国は一七%、米国を抜いておるということで、指標のとり方でありますけれども、携帯電話は、伸びとしては今我が国が爆発的に最高のランクで伸びておると言えようかと思います。  それから、最近急速な普及を見せておりますインターネットにつきまして申し上げますと、我が国の接続ホスト数ということでは、この一月末で七十三万台であります。米国は一千十一万台ということでありますから、絶対数からいけば世界第二位ということでございますけれども、例えば人口百万人当たりで換算をいたしますと、我が国は五千九百台ということで、世界全体で十七位というふうに位置づけられるというようなことでございます。また、経済規模から接続ホスト数を、例えば接続ホスト数をGNPで除した数字で比較をいたしますと、米国、英国、ドイツのほか、ニュージーランドであるとか南アフリカ共和国といったところが我が国よりも高い水準になっておるというような状況であります。  情報通信分野の先進国であります米国との比較では、例えばパソコンの出荷台数などを見ますと、我が国は米国の五分の一程度だということで、得意不得意の分野がございますが、やはりインターネットという観点ではアメリカの経緯ということで相当進んでおるのではないかというふうに考えております。
  70. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今の局長のお話ですと、アメリカに次ぐような感じで進んでいるという指摘がありましたけれども、必ずしもそうは言えないのではないか。単位時間当たりの情報処理能力、MIPSというのですか、パソコンの能力だろうと思うのですが、これは十七位。インターネットの普及率の対GNP比は世界三十六位。先ほどのいろいろな計数のとり方によって違うという話で、局長のお話の中にもそれに近い順位の話が出てきましたけれども、さまざまな分野というか、さまざまなメディアがあって一概に言えないわけですけれども、私は、情報通信分野におけるすさまじい今の状況というのは油断ができない、日本も必死になって取り組まなくちゃいけない重要な分野である、こんなふうに思います。  先日、これもテレビの話ですけれども、元NHKの日高義樹さんはワシントンリポートというのをあるテレビ局でやっていますけれども、宇宙産業で世界を制覇するというアメリカの意気込みを非常に感じて、すさまじい内容でもありました。九八年の予定で地上七百メートル上空に六十六個の小型通信衛星を打ち上げるということで、世界どこからでも電話がかけられる、コンピューターによる通信が可能になるという、そういうアメリカの意気込みをテレビを通じて見まして、日本の体制というものが十分なのかどうかという非常に強い懸念を持ちました。  大臣は、さきの予算委員会で、この情報通信というのは国家戦略として位置づける、積極的に取り組みを展開している、こういうふうにおっしゃっていましたけれども、この情報通信の分野における国家戦略として情報通信を位置づけるというのは、いつごろからそういう位置づけをされて、また、今、概括的なイメージの話になってしまいますけれども、その進捗状況がどれぐらい、こんなふうに考えておられるのでしょうか。
  71. 木村強

    木村政府委員 当委員会で先ほど大臣が所信の中でも申し述べましたように、情報通信というものは、自動車産業を設備投資の額で見ましても大きく上回って、我が国の将来を担うリーディング産業を形成する分野である、あるいはまた、さまざまな新規産業を創出する分野であるというようなことをお述べになっていただいております。そして、経済構造改革推進するための原動力である、こういう認識でございます。原動力という言葉は、昨年のリヨン・サミットの中でも、情報通信技術というのはこれからの経済成長と繁栄の原動力であるということで、エンジンという言葉が初めて情報通信にかぶせられたわけでありますけれども、そのような世界の動きの中で、かつ我が国におきましても、今申し上げましたように、情報通信産業というものがこの低成長の中で景気を引っ張っておる一つの大きな牽引力であるということは、事実としてそういう状況が現出してきております。  こういった状況を受けまして、私どもといたしましては、やはり二十一世紀に向けて我が国の喫緊の課題でございます、緊急の課題でございます経済構造改革推進であるとか、あるいは高齢化社会を展望しながら、これが、うまく情報通信というものがこの中に生かされていって、今までフットワーク社会ではハンディーのあった方々がネットワーク社会ではうまく生きていけるのだという、こういった情報通信のメリットを持たせるように、国を挙げてこの情報通信の高度化に取り組まなければいけないということでございます。  この認識は、既に平成六年の八月に、総理大臣を本部長といたしまして郵政大臣を副本部長といたします、その他全閣僚によりまして構成をされております高度情報通信社会推進本部が設置をされたという段階で、そのような意識統一というのが政府として図られてきたというふうに私は認識しております。  さらに、昨年の八月の段階でありますけれども平成九年度に向けました概算要求基準の決定に際しましても、厳しい財政事情のもとではございますけれども、二十一世紀に向けて活力ある日本を築いていくための経済構造改革特別措置というものが閣議了解で設けられたわけでありましたけれども、この中で、情報通信基盤というものが基礎科学研究と並んで重要施策だということで位置づけられたところであります。  情報通信を担当しております役所といたしましては、このように閣議了解の中で明文をもって、情報通信基盤というものがこれから本当に重要な施策なんだということが明文化してうたわれたということは初めてでありまして、このとき私は大変感激をしたわけであります。  いずれにいたしましても、明文化で、閣議了解でこのような文言が書かれた、入れられたということは、日本政府として情報通信の高度化を、非常に財政は厳しい中だけれども、国としてやはり一つの大きな重要課題として、戦略分野であるとして取り組んでいくのだということを数字をもって内外に示した、文言をもって内外に示した、こういうことであろうかというふうに認識いたしております。  このような気持ちでございますので、土十一世紀を展望して、アメリカはもちろんのこと、東南アジア等、あるいはヨーロッパの各国も、やはりいろいろな情報通信基盤の整備のためのプログラム、計画をぶち上げながら、国の予算も投入して手を打っておるという状況でございまして、二十一世紀に我々が世界に伍して活力ある日本国を建設していくためにも、戦略的な気持ちを持って情報通信というものを見ていくという視点がぜひ必要だろうということで、大臣もかつての衆議院予算委員会で国家戦略というお言葉を使われたというふうに認識いたしております。
  72. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 局長の大変な意気込みが感じられたわけですけれども、あくまで、今そういった内閣を挙げて、日本国を挙げての取り組みとしての情報通信の国家戦略というもの、今おっしゃったような角度でうまく展開していけばいいがと思います。  一方では、郵政省と通産省との関係のさまざまなあつれきとか、要するに予算のいわば分捕り合戦のような格好で、そういった省庁とのあつれきというものが指摘をされたりいたしておりますし、そういう部分が結局国際競争力の低下に直結しないのかどうか、あくまで郵政省がしっかりとそういうリードをしていくのか。何となく言葉として、情報通信を国家戦略として云々というのはありますけれども、実際に具体的な展開の場面ではなかなかばらばらになっていってしまうという懸念を感じるわけでございます。  そういう中で、私、実は昨年、マレーシア、シンガポールへ行ってきたわけですけれども、そういった国は、いわゆる発展途上国、既存のものが余りありませんから、しがらみがないということで、日本のような大きな歴史を持った国とは違って一律に比較はできないわけですけれども、かなりこういう分野に対する取り組みの意気込みというか、その辺に対する強い情熱を感じました。特に、マレーシア・マハティール首相は、なかなか意欲的な方でございまして、大臣とほぼ同世代。マハティールさんは、一九二五年生まれと言っていましたから、大臣より一つ下ですか、七十歳にしてパソコンをマスターしたと言っておりましたけれども大臣がどれくらいパソコンに対して習熟しておられるか、ちょっとその辺を……。
  73. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 先生の、先ほど一番最初に御質問がありましたように、私が逓信委員時代というものは、こういう近代的な情報通信ではなかったわけで、初めて大臣に就任するまでに、いろいろインターネットとかマルチメディアという、言葉はよく承知をいたしておりましたが、大臣になって初めてこういう大きな役割を果たしておるということを承知をいたしました。  七十の手習いということで、今、大臣室と会館の事務所において、一生懸命今マウスを使って勉強をいたしておるところでありますので、あと一、二カ月すれば十分使えるだろうと思います。
  74. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 きょうの私の質問は、大臣を盛り上げることに何か大分貢献をしているような感じがいたしますが、次に、NTTあり方につきまして、若干時間がなくなってまいりましたので、簡単にお聞きします。  先ほど大臣は、同僚代議士の質問の中で、一応という方向でという、こういうふうなおっしゃり方をしておりました。持ち株会社による長距離一社と東西の地域会社に分離するための前提条件として、持ち株会社、連結納税制度及び譲渡益課税の減免ということについて、私は三条件と思いますが、さっき大臣は二条件、二でも三でも実質的には同じであろうと思いますが、これがすべてクリアされないと、この方向で進めることはやらないということなんでしょうか。白紙に戻すということなのかどうか。現状について若干考え方を申し述べていただきたいと思います。
  75. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 事務的な内容でございますので、私から御答弁をさせていただきます。  今回のNTTの再編成の円滑な実施のためには、御指摘のとおり持ち株会社制度の導入でございますとか、税制上の特例措置を実現していくことが必要と考えておりまして、現在、政府内の調整を鋭意進めているところでございます。  この持ち株会社制度の導入につきましては、昨年十二月の「経済構造の変革と創造のためのプログラム」と題しました閣議決定の中で、独占禁止法の一部改正法案をこの通常国会に提出するということが決定されておりまして、これを踏まえて独占禁止法の改正法案の提出が今国会に行われますことを前提といたしまして、現在公正取引委員会調整を進めているところでございます。  それから、税制上の特例措置につきましては、今回のNTTの再編成が、特殊会社でありますNTTにつきまして国が通信政策上の観点から法律に基づいて行おうとしているものでございまして、そういう趣旨に基づきまして、特例の必要性について関係省庁の理解を求めているところでございます。  いずれにいたしましても、このNTT法の改正法案につきましては、政府内の調整を鋭意進めてまいりまして、この国会に提出をすべく今最大限の努力を行っているところでございます。
  76. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま局長から御答弁申し上げましたが、先ほどからいろいろ、情報通信産業がおくれておるのではないかというお話がありました。私も全くそのとおりに思っております。何といっても、日本NTTというのは巨大産業であり、相当な技術力を持っておりながら、国内通信だけであります。そしてまたもう一方、KDD外国、国内は参入禁止、こういうことになっておるわけでありますので、この際、何としても再編成をいたしまして、そして、おくれたこの十年間を取り返すというためには、やはりNTTの再編成が必要であります。  したがって、今回の持ち株会社並びに連結納税の問題は、国が政策として、国家戦略としてこの通信再編成を今日までまとめ上げてきたわけでありますので、ぜひとも、今後政府内の調整を終わりまして、また与野党の皆様方の御指導や御協力をいただきましてこの再編成を実現していきたい、こういうように思っております。
  77. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 終わります
  78. 木村義雄

    木村委員長 午後一時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時四十三分開議
  79. 木村義雄

    木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。原口一博君。
  80. 原口一博

    ○原口委員 新進党の原口一博でございます。九州の大先輩であります堀之内郵政大臣、そして県議時代から友人であります野田政務次官の御就任に心からお喜びを申し上げます。また、先日予算委員会大臣がお話しこなりましたように、私は、強い人間が自由競争で勝つだけであればこれは政治は要らない、地方の声を国政にお届けいただいていることに深甚なる敬意を表しまして、質問に入らせていただきます。  これからの私どもの目標は、恐らく二十一世紀においては、民族や宗教、国家というものを超えた意識、これをつくっていくことだというふうに思います。ただ、その前に我が国がやるべきことは、この国の顔をつくっていく、この国のアイデンティティーをつくっていく、そのことが大変大事なことだというふうに思います。新しいマルチメディアの進展が世界をどんどん小さくして、そして人種や国境の違いを超えた連帯やあるいはそれぞれの貢献がなされていく。しかし、そこで一番必要なことは、一体あなたは何なんですか、日本人というのは何なんだ、いわゆるアイデンティティーが必要だというふうに思います。  長い間、東西のイデオロギーの時代がありました。その時代には、自由主義陣営は、中央に一回お金を集めてそしてそれを分配する、そのことでもって自由主義を守ってくる、こういう構造がありました。しかし、東西のイデオロギーの対立がなくなった今、私たちは財の再分配によってこれまでと同じような政治をやっていくことはもう許されないというふうに私は思います。  ある勉強会で地方の県議さんがおっしゃっていました。あるところに三億円の水路をつくると。その三億円の水路をつくって、そしてどんなにいいことがあるんですかということを聞いてみると、年のうちに三回そこの川掃除をやっているけれども、それが一回ぐらいで済むのかな、やらなくて済むのかなと。しかし、その三億円は中央から来るお金である、このお金は地方にとっては大変大事なお金だから、私たちはこの効果に目をつぶってこの予算を認めていくんですよという話をされていました。  この今までの分配型の政治が行き詰まってしまっている。そして私たちは、政治の中に費用対効果、特に私は大臣にぜひ求めていきたいのですが、アウトカム、この予算がどんなに国民のためになっているのか、そのことまで検証して、単にこの予算が正しく使われているか、そのことだけではなくてその効果まで検証して初めてこれからの行政改革の実が上がるというふうに思っております。  まず第一点目に、私は、そういう情報をまずみんなに公開すべきだと。一部の人たち、一部の、たくさん当選回数を重ねた人たち、よく選挙のときに中央とのパイプということを言います。一部の人しか知り得ない情報でもって国民に利益誘導をやっていく、こういう政治そのものが問われているんだという問題意識から、今お手元に一つの資料を配らせていただきました。委員長ありがとうございます。  これは特殊法人の貸借対照表、損益計算書、九十二ある特殊法人、この特殊法人がどういう情報公開をやっているかということでございます。中には、貸借対照表、これは法律でつくらなければいけないと決められているところもあれば、そうではなくて任意でつくられているところもある。あるいは決算報告書に至っては、これは全部皆さんごらんになっていただければわかりますが、その作成の義務やあるいは公告や備えつけ、その義務さえも法律に明記されていないことがある。  私は、こういった情報をだれでもどこからでもアクセスできる、そしてそのことを国民すべてがチェックをしていける、そういう状況をつくっていくことが大事なのではないかというふうに思います。  私は郵政省が中心になってぜひこのことをお進めいただきたいと思いますが、大臣、そして若いフレッシュな感覚で政務次官をお務めの政務次官に続いてお尋ねをしたいというふうに思います。
  81. 濱田弘二

    濱田説明員 最初に私の方から簡単に技術関係を御説明させていただきたいと思います。  郵政省では、事業行政に対しまして国民の皆様の御理解を深めていただくよう、情報の提供、先生おっしゃいました前段の段階になるわけですが、これについては積極的に取り組んできておるというふうに思っております。  まさに先生指摘の提供の方法、この電子化につきましても、もう既に、省庁の中で最も早く、平成六年の段階で白書をCD−ROMで提供し始めた、そしてまたインターネットでもってホームページを設定したというのも郵政省でございます。  先生今御指摘の損益計算書あるいは貸借対照表の関係でいきますと、もう平成七年から郵政事業をインターネットに掲載しておるところでございます。  今日ではディスクロージャー雑誌というのを、それぞれ郵便貯金保険と毎年出しておるわけですが、この全部またはその要約をインターネットに掲載をしておるということでございます。  それから、昨年からは郵政行政統計の年報と月報、これを、十二月でございますけれども、すべてインターネットの掲載にかえた。  それから、もう一点だけお話しさせていただきたいと思いますが、本年に入りましても、これも役所の中で最初でありますけれども事業者の方に対しまして入札の公告、これは一般競争入札でございますけれども、これを二月に郵政本省としてインターネットのホームページに掲載して、そして三月には地方局にもこれを拡大していこうと。これは省庁間でも初めてでございます。  それから、先生指摘の情報提供の電子化というものにあわせまして、電子化すればペーパーレスが図れるというところの効果もやはり情報通信主管庁としては考えておるわけでございまして、例えば、今申し上げました郵政行政統計年報、月報の紙による配付を廃止しまして、インターネットに掲載することによりまして、A4換算でございますけれども、年間で約三百万枚の紙が不要になるというような効果も見込んでおるわけでございます。  今後とも引き続きまして、先生指摘の情報の提供を幅広く、また、その提供の方法については電子化を最大限に取り入れていくというところに力を入れていきたいと思っております。
  82. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 原口委員の御質問で、今部長の方で答弁申し上げましたが、もう全くそのとおりでありまして、郵政省は積極的に、まずこの情報公開というか、公開できるものはあらゆるものをホームページに入れて利用者の利便を図っております。幸い、私が高度情報通信本部の副本部長でありますから、まだ情報公開法ができておりませんけれども、公開できる範囲内においてでもやはり各省に働きかけて、今御指摘になったようなことは、やはり国民に広く知ってもらうという形で努力をしてまいりたい、こう思っております。
  83. 野田聖子

    野田(聖)政府委員 御指名ございましたので、お答えさせていただきます。  私も大臣と同様でございまして、電子化に向けては一生懸命取り組んでまいりたいと思います。  郵政省は、先ほど部長の答弁にありましたとおり、先駆けて今白書のCD−ROM化とかホームページをやっておりますし、パソコンをお持ちでない諸先生方または国民の皆様方には、郵政省の一階のフロアでそのディスプレーを見ていただくことができますので、ぜひともお出かけいただきたいと思います。  以上です
  84. 原口一博

    ○原口委員 ありがとうございます。  郵政の情報だけではないのですね。例えば、またお手元に資料を配らせていただいていますけれども、これは郵政省にお願いをして、書状料金、はがき料金の内外価格差について教えていただきました。これは日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、いわゆる主要五カ国でありますが、私たちが政策の基盤となっているその材料を官庁が加工して持ってきていただく、これは大変ありがたいことだけれども、しかし、本当に必要なことは生のデータ。私は、海外のテクノクラートの人たちと話をしていると、皆さんオプションを示します、政策の材料を政治家に示します。ところが、日本の官僚機構は大変優秀で、落としどころを示していただきます。つまり、結論はこっちにありきということで示してくる。これは何も与党とか野党という関係ではなくて、政と官の関係。私たちは皆さんに政策材料を出していただきたい。そして、それを国民全部に開示ができて、そして、だれからでも、どこからでもアクセスできるような、そういう電子化あるいは文書の公開、国民の知る権利に基づいた文書の公開、それを郵政大臣に中心となって進めていただきたいと思うわけでございますが、決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  85. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいまの原口委員の御質問の趣旨がちょっと私わかりかねましたが、ただいま、先ほど委員のお配りいただきました書状、はがきの料金の比較等、拝見いたしました。このことは私も十分承知をいたしておりまして、これは国際的に見れば封書は高い、あるいははがきはまあまあ何とか世界並みかなと思っておりますが、ただ、私どもが物価比較をするときに、一つだけをとらえて比較することは間違いだと思うのです。全部の、賃金なり、あるいはほかの物価、こういうものを比較していかないと、やはりこれから郵便番号コードの区分機なんかを入れたりしますと、相当の電気料を使うわけです。その電気料一つをとってもアメリカの一・五倍とか、こういう高い料金では、幾らコストを下げろといっても、こっちが問題がある。  したがって、私は、この物価比較は、いろいろな物価をあわせた中でどの程度高いか、こういうことを考えなければなりませんが、しかし、やはり国民は、この一つを取り上げていろいろ批判することは当然でありますから、私どもとしては、今後もこの区分機等を導入しまして、精いっぱいのコストダウン、合理化を進めて、少しでもサービスというか、低料金になれるような方向努力をしていきたい、こういうように思っておるわけでございます。  もしこれだけで答弁が足らなかったときは、再度御指摘を賜りたいと存じます。
  86. 原口一博

    ○原口委員 私は、はがきの国内料金が高いとか安いとかいうことを申し上げているのではありません。私たちの政策材料となるその情報が、一部の官庁の中でまだディスクローズされていない。例えば、厚生省のあの郡司メモみたいなものも、それは連立政権の中で追っかけていって、郡司メモが見つかって、ああいう状況になった。そういったものを郵政省が中心になって、新しいメディアの時代の先導役ですから、なさってください、すべての省庁の。そして、国民の知る権利に基づいた電子化を進めてください。このことをお願いしているので、何も郵便料金についてどうのこうの、まあ郵便料金を下げていただくのだったら非常にありがたいわけですけれども、そのことを申し上げているのではないので、もう一回答弁をお願いします。
  87. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 先ほども答弁申し上げたつもりでありましたが、これからやはり我々も閣僚懇談会もありますし、さらに事務次官会議その他あるようですから、それぞれの会議において、十分各省に、できるだけ公開できるものはそういうホームページに載せて、国民の知る利便を図っていくように今後話し合いを進めていきたい、こういうように思っております。
  88. 原口一博

    ○原口委員 これから検討していただくということ、前向きの発言をいただいたということで、ただ私は、郵政省、特に郵便貯金国民の大事な貯金を預かって、そしてそれを有利に運営する、その責任をお持ちの郵政省ですね。今お示ししたように、特殊法人、郵貯を原資にしたその使い先、この使い先について、その決算さえも出ていない。このことは、資金運用審議会というのをつくって、これからいろいろな議論をされるということでありますが、少なくとも郵政省としては、もっときちっと公開しなさいよ、もっと郵便貯金を預けている人たちが安心して預けられるように公開しなさいよと言う義務があると思うのですか、いかがでしょうか。
  89. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  財投につきましては、私ども法律の預託義務に基づきまして預託しておるわけでございまして、午前中も御答弁申し上げましたけれども先生おっしゃるように、やはり預金者財投の中でいい使い方をされているということを本当に実感していただけるような財投運用を願っておるわけでございます。  これは、財政当局において、いろいろ先生の御指摘のような努力をされていると私どもも承っておりますし、それから、財投運用というのは、まず各省の予算要求で成り立っていくわけでございまして、それも最終的には国会の御審議を経て適切な運用が図られている、また、さらに改善されていくというふうに承知しておりますが、さらに先生おっしゃるような方向で、財政当局においても、あるいは関係省庁においても努力されていくものと私ども考えております。
  90. 原口一博

    ○原口委員 その方向でぜひ進めていただきたい。財投を、何も有利なところばかりに投資しているわけじゃありませんね。国鉄いわゆるJR、そういう赤字の清算事業団、そういったものにも投資をしてきている。私は、ここに思い切ったメスを入れない限り行政改革の実は上がらないということを申し上げて、次の質問に移らさせていただきたいと思います。  二番目に、大臣それから所管の局長さんにお尋ねしたいのは、ペルーでテレビ朝日系列の人見記者が公邸内に無線機を残してきた、まずこの事実関係について。  午前中、幾人かの委員が詰められましたけれども日本時間の一月八日午前七時、公邸を出る際に、ゲリラ側代表者セルパから無線機を残していってもよいと言われて、テレビ朝日の取材本部と無線で相談した結果、残しておけと言われ、セルパに渡したということでございますが、これは事実でしょうか。
  91. 楠田修司

    ○楠田政府委員 二月十三日午前十一時三十分、郵政省がテレビ朝日から聞いた内容で、先ほど先生指摘の、日本時間一月八日午前七時、人見記者が公邸を出る際にゲリラ側代表者セルパから無線機を残していってもよいと言われ、テレビ朝日現地取材本部と無線で相談した結果、残しておけと言われて、セルパに渡したというふうに報告を受けております。
  92. 原口一博

    ○原口委員 セルパというのはテロリストですね。そうすると、この無線機はだれの管理下にあったのでしょうか。当然セルパの管理下にあったのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  93. 楠田修司

    ○楠田政府委員 正確に言いますと、だれの管理下にあったかということにつきましては聞いておりません。
  94. 原口一博

    ○原口委員 午前中の質疑の中で、郵政省はこけにされたと大臣はおっしゃいました。そのこけにされた、この言葉はいかがなものかと思うのですが、しかし、人命がかかっている、そしてその中で、そのことについて聞いていない、これで許されるのだろうか。  次に質問しますが、では、このテレビ朝日、これは系列の記者ですね。系列の記者で、入るときは独断で入った、独自で入ったということでございました。世界のマスコミからも世界の国々からもひんしゅくを買い、何ということをしてくれるのだという話でありました。郵政省は御存じなのか、テレビ朝日がこの事実を知ったのはいつなんですか。
  95. 楠田修司

    ○楠田政府委員 人見記者は、一月八日に公邸を出るときに現地取材本部と無線で報告しておりますから、現地の取材本部は、この事実をもう既にその時点で当然のことながら知っていたということであります。  では、テレビ朝日本社、東京の本社がいつ知ったのかということでありますが、日本時間でありますが、一月十四日に人見記者が日本に帰ってきております。そのときに報告を受けておりますので、その時点で、無線機が向こうの公邸の中に残されてきたという事実は知っておるということであります。
  96. 原口一博

    ○原口委員 それはテレビ朝日の社長から事情をお聞きになっていますね、十二百ですか。そのときにそういうふうにおっしゃったわけですか。
  97. 楠田修司

    ○楠田政府委員 おっしゃるとおりでございまして、一月十三日に社長に聞いたときに、そういう報告を受けているというふうに聞いております。ただ、そのときの報告では、向こうで置き忘れてきた、こういうふうな報告になっております。
  98. 原口一博

    ○原口委員 そのときに置き忘れたと今おっしゃいましたね。それが、置き忘れたものが、その後はこれを使って二回交信しているのですか。そのうち、日本人人質のうち、一月二十五日ですか、大使館関係者を除く十一人の民間人から無線機を利用して家族にあてたメッセージが届いたということでありますが、それを、置き忘れたと認識したとテレビ朝日はおっしゃったわけですね。それを追認してきたということ、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  99. 楠田修司

    ○楠田政府委員 テレビ朝日の本社が、こういう交信があったということを具体的に知ったというのは一月二十五日。日本人の人質のうち大使館関係者を除く十一人の民間人から、無線機を利用しまして家族らにあてたメッセージが届いた、それが東京に連絡されて、ではこれをどうするかというときに具体的な事実を知ったわけでありまして、無線機が向こうに残っていたことは知っていたわけですが、その後どういうふうな交信がざれた、そういうことはその時点では知らなかったのではないか。これは私、推測ですのでちょっと申し上げられませんが、具体的に、事実は、二十五日にそういう交信があったことを知ったということを報告を受けております。
  100. 原口一博

    ○原口委員 十四日に人見記者が帰ってきて、そしてその場で、忘れてきたと言って、そして二十五日に交信があって、テレビ朝日はそれが使われていたということがわかったということでございますね。今の説明はそういうことだと思います。  私は、人質の人命、そしてゲリラに、その間、例えばこの無線機を使って交信が、人質の安否を知らせる、そのことだけじゃなくてほかのことに使われた可能性もあるのではないか。そのことはテレビ朝日は御存じないでしょうし、そこの大使公邸の中でたくさんの人たちが、今、自分の命の危険の中で、多くの人がもううつ病になるぐらいな不安の中で過ごされている。日本におられる家族は、いつかいつかという形で待っている。余りにも無神経な状況じゃないかというふうに思いますが、大臣、このことについていかが思われますか。
  101. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 これまでの経過につきましては、先ほどから局長が答弁申し上げておりますが、今回の件については、ペルー政府を初め関係者が、人質の全面解放、事件の平和的解決に向けて努力している中での問題でありますので、こうしたことが不測の事態を招きかねないと私は思います。そういう立場から考えて、まことに遺憾なこと、だと思います。  やはり放送業者は、高い公共性と社会的使命を十分に認識していただきまして、国民や視聴者の信頼を失うことのないように努力をすべきものと考えております。
  102. 原口一博

    ○原口委員 私も大臣認識を同じにします。  ところが、これはある新聞の記事でありますが、テレビ朝日の広報部長の話として、公邸内を取材する目的で無線機を置いてきたものなのだから問題はないんだという報道がなされていますが、このことと、さっきおっしゃった忘れてきたということは全然違うじゃないですか。十四日から二十五日の間、全く放置をしてきた。これは本当は、無線機を置いて、そしてその中の情報をとって、今熾烈な視聴率の戦いをなさっているその放送業界の中で一歩でも先に出よう、そしてそれを組織的にやっていこう、その意図があったのではないかというふうに思うのです。そういうふうに推測されますが、いかがでしょうか。
  103. 楠田修司

    ○楠田政府委員 二月十三日、テレビ朝日に対しまして、先ほど大臣からも申し上げましたような趣旨で遺憾の意を伝えたことは事実であります。ただ、その際に、本件に関するテレビ朝日の見解といいますか、そういうものは伺っておりません。したがいまして、先まど報道記事でおっしゃいましたけれども、それは、私どもとしては、直接には聞いていないということでございます。
  104. 原口一博

    ○原口委員 見解をお伺いになっていない。先ほど大臣は、こけにされたとまで言われたんですよ。このことについてどんな姿勢で臨まれたのですか、そのことぐらいは国民に明らかにする義務があるんじゃないでしょうか。郵政省は何をお聞きになっているのですか。  十三日から二十五日の間に、その無線機がどんなことに使われたかもわからない。そして、それが国民の命を、いやそこの人質の命をどれだけ危険なものにするかわからない、それは大臣がおっしゃったとおりであります。テレビ朝日からそんなことは聞いていない、どんなふうにおっしゃっているかわからないということであれば、監督官庁は何のためにあるのでしょうか。
  105. 楠田修司

    ○楠田政府委員 当日、遺憾の意を私ども申し上げたわけであります。それに対しましてテレビ朝日の方から、これこれしかじかという、いろいろ事実は聞いたわけでありますが、これに対するテレビ朝日の正式の見解というものは向こうからはなされなかったということを申し上げたわけであります。
  106. 原口一博

    ○原口委員 全く、これだけのことがなされて、何で僕がこんなことを質問するかというと、報道の自由、私たち政治家は言論や報道に踏み込んではならない、そのことを厳しくいさめなきゃいけない、しかし、余りにも常軌を逸した行動、余りにも商売中心のそういうことが起こったときには、それを利用して政治権力が報道やあるいは言論の自由の中に入り込む、そういう危険性を感じるからであります。  私は、今の局長の答弁をお伺いしておりますと、なぜそんなことをやったのか、はい忘れてきました、忘れてきたと認識していました、それで済むのだろうかというふうに思いますが、大臣、今私と局長のやりとりをお聞きになって、どういうふうにこのことに対処されるのかお尋ねをしたいというふうに思います。
  107. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいままで放送局長からテレビ朝日との交渉の経過については御報告申し上げ、御答弁申し上げたとおりでありますが、私の立場から申し上げますと、先ほど御答弁申し上げたように、ペルー政府初め関係者が、人質の全面解放、そして事件の平和的解決に向けて努力をしているさなかでありますから、幸いに不測の事態がその間起こりませんでしたからいいものの、こうした問題は、これは普通の常識から判断して極めて遺憾だと思います。  特に、先ほど委員も御指摘になりますように報道の自由ということがあるわけでありますが、そうしたことがある以上、なお一層放送業者は高い公共性と社会的使命を十分認識をしていただいて、国民や視聴者の信頼を失わない、やはり報道というものは正しくそして国民の信頼を得ることによって初めてその報道の正確が期せられるわけでありますから、そういう意味から申しましても、今後とも放送業者が十分そうした視聴者の信頼を失わない行動をとっていただくように最善の努力をしていただきたい、こういうように思っております。
  108. 原口一博

    ○原口委員 私は、こういう状況が起こったときに、郵政省が聴取をされているから、そのことについてはきっちり事実関係を把握してください、そのことを申し上げておるわけであります。  私は、個人の中傷、あるいは例えば亡くなった方の写真をメディアで流す、あるいは暴力の場面が子供たちにまで家庭の中で見られる、このことに心を痛めている者の一人であります。シミュレーションシンドローム、あの忌まわしいオウムの事件が起こりましたが、あれは私たちが小学校のころにあるテレビ番組でいろんな怪人が出てきて町に毒物を流す、そんなことを子供のころから日常茶飯事に見ている、そのことの仮想現実と現実とがわからなくなってきている。特に今テレビゲーム全盛の時代の中で、心がメディアによってささくれ立ってしまっている、このことを放置していてはならない。しかし、これは何回も何回も申し上げますが、政治の力、政治の圧力あるいは監督官庁の圧力、そういったもので報道の自由や言論の自由が圧迫されてはならない。  ある時期でございましたが、ある党の要職にある方が、あるテレビのスポンサーにまで圧力をかけろなんということをおっしゃった、そういう事件があったように記憶をいたしています。そんなことがないように、自主的な自己規制、それをやっていただくようにお願いをしたいのですが、ぜひこのことについて前向きに答弁をしていただきたい。  先ほど、テレビ朝日の関係については国対の中でまたいろいろお話があって、そして事実関係について調べていくということでありますので、次の質問に移らせていただきます。しかし、大臣、もう一回申し上げますが、あなた、こけにされたとまでおっしゃったわけですから、このことは真摯な態度で対処をしていただきたい。  次に、通信の国際競争、自由競争の時代、先ほどから質疑をお伺いしておりまして、これは予算委員会で尾身委員が引用をされましたが、日本の通信は他の国よりも十年おくれてしまった。このことの原因はどこにあるのか。他の国より十年日本の国の通信がおくれた。おくれたと認識されているのか、それともそうではないと認識されているのか、あるいは、もしおくれたとしたら一体その原因はどこにあるのか、そのことについてお尋ねをしたいというふうに思います。
  109. 木村強

    木村政府委員 午前中の先生の御質問にも、日本情報化が進んでいるのかどうか、後進国か先進国か、その数字みたいなものがあるのかというような御質問をいただきました。イコールフッティングの中でこのものずばりを評価する数字というのはなかなか難しゅうございまして、その国の生い立ち、状況、発展度合い等によりまして差異はあるということであります。  基本的に日本の情報通信はどうかということで見ますと、私どもは、決しておくれをとったというような意識は持っておりません。ただ、国を挙げて、日本の情報通信政策といいますのは、戦後は、日本電信電話公社ということで、戦後の国を興隆していこうというために電話の積滞解消と自動即時化というのがある意味では大きな電気通信行政目的でございました。これが昭和五十三年あるいは五十四年に、やっと積滞解消あるいはダイヤルの自動化が電電公社の手によってなされたということで、ひとまず大きな国家の目標が達成され、その後、情報通信技術がどんどん進展をして、進歩をして、これを国民生活の中にどう還元をしていくかという意味で、郵政省行政範囲がある意味では競争原理を導入し、そういう方向行政を展開してまいったわけであります。  そういう意味では私どもは、時代の流れに即した、情報通信の技術をいかにスムーズに国民生活に還元をしていくかという意味での行政役割は果たしてきたというふうに考えておりますけれども、これには情報通信基盤の整備、新しい時代に向かって新しい情報通信技術の時代をつくっていくにはやはり国と民間の役割があろう、その意味での基本的な考え方は競争原理によって行うということを昭和六十年の段階で決断をしたわけでありますけれども、その後の情報通信の展開というのは、我々としましては民間で積極的に行うというのが基本方針でありますから、それに従って一定の成果を上げてきたというふうに考えております。  ただ、国がこれを援助していこうという分野は、アメリカの例などを見ますとやはり相当、アメリカは情報通信そのものに予算を大きく取り入れるということではございませんでしたけれども、軍の中に、例えばインターネットであれGPSであれ、今のカーナビゲーションなどに使われておりますああいう測位衛星、これは皆アメリカなどは国防のために情報通信の投資というものを軍の予算として国の金を投入してつくってきた。そういう面では、日本というものは民間を中心にインフラ整備等を行ってまいりました結果、例えば午前中にもお話が出ましたインターネットというようなもの、これは軍が開発をした技術が今民生転用ということで展開されておるわけでありますから、そういう面では、日本は一応数字の上ではおくれたなという感じはいたします。  しかし、午前中にもお話が出ましたように、情報通信基盤の整備プログラムということで、二〇一〇年までに一〇〇%の光ファイバーを敷いていこう、あるいは二〇〇〇年までには三百の自治体にアプリケーションを行って、国民の皆様方が情報通信を使った利活用、医療、行政、教育、こういった身近なところで情報通信の恩恵を受けていこうというような政策は展開をなされておるわけであります。  そういう面では、これから、まあアメリカと比較いたしますと、インターネット、あるいは大きな、グローバルな衛星関係というようなものでは確かに私どもそこまで思いをいたさなかった部分はございますけれども、国もこの情報通信の基盤整備については、経済構造改革特別措置ということで、政府としても明文化をして、これに取り組んでいくということをあえて表明されたところでありますので、そういう意味では、それぞれの特徴を生かしながら、おくれないように、世界に伍して二十一世紀に情報通信基盤をベースにして活躍できる国として生き残っていくための方策というものは、私ども先生方の御支援もいただきながらこれから取り組んでいけば、そう世界に負けることはないというふうに確信をいたしております。
  110. 原口一博

    ○原口委員 強い決意は午前中お伺いいたしました。  今通信分野市場というのは六千億ドル、二〇〇〇年には一兆二千億ドルまでになる。その中で、日本はおくれたわけではないということでありますが、今率直にお認めいただいたように、アメリカとの情報化格差、これは電子メールで、単位は万でありますが、アメリカが四千万だとすると日本は三百十三、インターネットのホストで六千五十三だとすると日本は二百六十九、パソコンの出荷台数一千八百四十に対して三百二十五と、さまざまな指数でおくれをとっている。  その中で、私は、世界の、日米英の主なキャリア、いわゆる通信を主な事業としているところが海外投資をどれぐらいやっているのかということを考えると、今情報通信分野において、BTとMCIの合併など、巨大通信事業が国の枠を超えてさまざまな分野で合併をして、そして大競争時代を迎えようとしている。日本はよほど腹を据えてやらなければいけない。  その中で、もちろんこれまでKDDNTTNTTは海外の分野については今まで規制があってできなかったわけですから、これから海外に向けて展開をしていかなければいけない。ただ、我が日本にとっても、資産を見てみると、AT&TよりもNTTのお持ちの資産の方が高い。もちろんBTやGTEよりもNTTがお持ちの資産の方が高い。圧倒的な体力を持っているにもかかわらず、今までの規制日本の国内にNTTを中心とする日本の通信産業が押し込められてきた。この押し込められてきた日本の通信産業が今やその足かせを外して世界に飛び立とうというわけでありますから、私たちは温かい目でこれを見守っていきたいというふうに思います。  そこで、必要なのは世界の大競争時代に向かう戦略だというふうに思いますが、大臣は所信表明の中でも述べておられますが、我が国としてはどのような戦略でこの大競争時代に立ち向かおうというのか、そのことについての所信をお尋ねいたします。
  111. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 先ほど通信政策局長から答弁は申し上げたわけでありますが、立ちおくれをしておるという問題についてはそれぞれ見方もあろうと存じます。私も大臣就任前には通信政策局長に電話して、十年ぐらいおくれているのじゃないかというようなお話もしたことがありますが、私はやはり、日本の場合規制緩和がおくれたと思うのですね。そして、早くNTT等の民営化を進めて規制緩和をやっておれば、あるいはまた日本の情報通信産業は大きく進展したのじゃないか、こういうように思っております。  橋本総理も、今のこの再編成に当たりまして、ちょうど当時の行財政調査会長でありますから、やはりそのときに考えておけばよかったというような話も漏らされたことがありますが、やはり我々は、ようやく今度NTTの再編成ができます。しかし、先ほど委員のおっしゃるように、BTやMCIが一緒になってやろう、こういうことでありますが、このアメリカの通信会社というのは、今から十三年前にAT&Tが、七分割でしたか、七つの区域に分割をされました。その後激しい国内での競争で今日のアメリカの情報通信の発達が生まれたもの、やはりこういうふうに私は考えます。  そのときに、今NTTの再編成そして国際進出ということ、あるいはKDDの国内進出という、新たな競争相手をつくり上げるということになりますと、先ほど御指摘のように、技術的にも体力的にも日本NTTは大きいわけでありますから、その点、今後国際戦略の上で十分太刀打ちできるのじゃないか、こういうことを考えております。  したがって、この再編成を十分なし遂げて、そしてNTTあるいはKDDの皆さんが規制緩和の上に立ってこの国際競争に打ちかっていただけるように、我々もこれから情報通信基盤の整備を図ってまいりたい、こういうふうに思っております。
  112. 原口一博

    ○原口委員 昨年の暮れにNTTの分割を郵政省NTTの間で合意されて、その中のいろいろな条件についてもきょう御議論があったわけでありますが、一つだけお尋ねしたいのです。  連結納税制、昨日ですか、三塚大蔵大臣は、NTTだけにこれを認めるわけにはいかないのだ、税というものは公正であって、そしてそういう特例を認めるわけにはいかない、税はだれにでも平等であることが大事なポイントだということをおっしゃっています。  このことについて、私は、今まで特例政治がたくさん行われてきた。昨年の住専のことについても、法律で破産をしたところ、そして採算がとれないところ、これは本来はもう清算をしなければいかぬというルールがあるにもかかわらず、また特例をつくる。また今度も、郵政省NTTの間で分割の合意があって、そして連結納税制度というのが一つの条件のように言われておりますが、この事実関係についてはいかがでしょうか。
  113. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 NTTを再編成していくということの意味につきましては、先ほど来先生指摘のあったようなことも踏まえて、ぜひとも推進しなければならない政策だと考えておるところでございますけれども、その際に、この再編成は、そういう意味で、特殊会社たるNTTにつきまして国が通信政策上の観点から行わなければならないと考えているところのものでございます。  このNTTに対する税制上の特例措置を関係省庁に今お願いしておるわけでございますけれども、この趣旨は、このような国の政策によります再編成の結果、従来より税負担が増加したり、あるいは新たに発生したりいたしまして、そのことによりまして国民利用者あるいは株主の方々に影響を及ぼすことを防止したいという考えによるものでございます。これらの税制上の特例措置につきましては、こういったNTT編成に当たりましての特殊な事情に基づくものと私どもは考えておりまして、そういう趣旨について関係当局に今御説明をしているところでございます。
  114. 原口一博

    ○原口委員 今の説明、大蔵大臣意見とは違うわけですね。郵政省としては、NTTを早く分割しなければいかぬ、だからその合意に基づいて特例を認めてくださいという立場に立っているという御説明だと思いますが、大臣、どのようにお考えでございますか。
  115. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 先ほど谷局長から答弁申し上げましたが、今回の場合は、国が戦略的に、政策的に分割・再編成というのをやらせるわけです、国策として。そのために、国に今まで収納していただいておった税金が分割したおかげで少なくなれば別ですが、そうじゃなくて、今まで納めておった税というものは確保できるわけですから、だから、たまたま三つに再編成したときに一つが赤字を出して、あとは黒字を出して、逆に、一方は赤字で税金はいたしませんが、黒字を多く出したところは余計税金をしなきゃいかぬ、三社全体では一社であったときより大きな税金を払わなきゃいかぬという形が出てくるわけです。その場合に三社一体のときと同じ税金に当分してくれというのが、今回の連結納税の、ほかの場合とはちょっと違うわけですよね、赤字会社を全部子会社に持ってきて黒字会社の黒を減らしていくという連結納税とはちょっと違う。そういう意味で、今後もしこれができなければ今までと同じ税金が入るというだけのことなんですね。だから、そういう意味では何ら国としての損失というのは、どちらにしても変わらないわけです。そういう意味で、私どもは、何としても最終的には、それはもう大蔵大臣のおっしゃることはよくわかるのです。これはだれだって、もしほかがどんどんできればそういうことになるかもしれないし、あるいは特殊会社がずっとそういう形でたくさん生まれてくれば新たな税制というのも検討しなきゃいかぬと思う。今はこれが一社しかないわけですから、今のところ。だから、それで特例ということをお願いしておるわけでありまして、将来、多数の会社が生まれるということになれば、その時点でまた検討すべきだ、こういうように思っております。
  116. 原口一博

    ○原口委員 私は、NTTは、一方で海外において競争しなきゃいかぬけれども、国内においてはまたはかの同種の会社と競争をしているわけです。そことの競争条件の公正さということも大変重要なことであるというふうに思います。  それともう一つ、私は、郵政省にぜひ問いただしていかなきゃいかぬのは、アプリケーションの問題、新しいメディアを使って一体それじゃ何をやるのですか。これは、民間でやれるものと、アメリカのメディアの場合は、さっきインターネットの説明もありましたけれども民間でもってずっと進んできた、一つの大きな企業やあるいは一つの政府が主導してきたわけではありません。民間で新しいメディアが広がっていく、この部分も大きい。しかし、政府でなければできないところも同時にあるというふうに私は思います。それは、郵政省と例えば厚生省、今度も所信表明の中に入れていただいておりましたけれども、遠隔医療、離れたところでホームケア・サポート・システム、そういったものをつくって、これからの医療費の増大、そしてさまざまな健康の不安、そういったものにこたえられるようにぜひ郵政大臣が中心となって進めていただきたい、このことをお願いさせていただいて質問にかえさせていただきます。真摯な御答弁ありがとうございました。
  117. 木村義雄

    木村委員長 伊藤忠治君。
  118. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 まず初めに、私は、NTTの再編成問題についてお聞きをいたしたいと思います。  同僚議員からも議論がございましたが、一二・六合意事項、このように呼ばせていただきますが、十二月の六日に両者合意をなさいまして、その合意事項に対する認識の問題でございますが、私は、ちょうどNTTが民営化されましたあのときの論議に幸いにもかかわることができまして、一連の論議に参加をさせていただいたわけですが、早いもので、振り返ってみますと、あれから十二年間歳月が過ぎまして、今般の一二・六合意事項が実ったわけであります。したがって、長い間の分離分割論議だったと思いますが、この合意事項でもって一連の長期間にわたります。その論議は終止符を打つものだ、このように私自身理解をいたしております。両当事者にとってみれば、今日の情報通信を取り巻きます内外の情勢を踏まえられて、我が国の国策を確立しなければならない、こういう立場からも両者が英知を絞られて、その結果の到達点であったのではないか、このように私は受けとめているわけでございます。  したがいまして、この九項目にわたります合意事項は、どの項目一つが欠落をしてもこれは体をなしませんし、すなわち九項目の実現がセットであって、そのことが前提条件である、こういう認識を持っているわけであります。このことについて、郵政大臣認識が合うのかどうか、まず明らかにしていただきたいと思います。
  119. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 私からお答えさせていただきますけれども先生指摘のように、この件につきましては、大変我が国通信政策を左右する重要な問題として多年にわたって議論が行われてきたところでございまして、昨年春の閣議決定を踏まえ、最大の関係者でありますNTTとも十分意見を交換しながら詰めてまいりまして、その結果として昨年十二月六日にああいう政府としての方針を出したわけでございます。  この内容、九項目から成っておりますけれども、これはいずれもこのNTTの再編にとりましては大変重要な事項であると認識しておりまして、御指摘のとおり、これらを一体的に実現していく必要があるものと考えております。
  120. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 認識の問題について今局長のお答えをいただいて、認識が合う、こういうことでございます。  それでは、それを前提にしまして次にお伺いをいたしますが、郵政省は、この合意事項を実現するために今日までも大変な努力をいただいておりますし、これからも、関係省庁等に対して精力的に取り組んでこられたし、取り組んでいかれると思うのです。そのことについては私たちも敬意を表したいと思っておりますが、いずれにしましても、時間がございませんで、この国会で法制化をして問題を完結することができると考えておりますが、その点についての認識が合うのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  121. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 先ほど局長から答弁申し上げましたが、NTTと確認いたしました九項目は、これは絶対に守らなきゃならない条件だ、こういうふうに認識いたしておりますが、私どもは非常に長い期間を要して、ようやくこうした再編成ということが実現の運びになったわけであります。  したがって、この九項目、特にその中でも持ち株会社、連結納税、この二つが大きな問題でありますが、私ども政府側においてもそれぞれ事務当局で鋭意検討を今進めておりますし、また、与党三党においても精力的にこの煮詰めを進めていただいておるところでありますので、ぜひとも今国会に法案が提出できるように私どももこれからも最善の努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。  何といっても情報通信は二十一世紀の戦略産業、こういうことで、世界各国ともこの情報通信産業に大きな重点を置きながら努力しております。いわゆる大競争時代を迎えることを考えておりますときに、NTTが、本体はぴしっとしておりながら、そして今までの長い技術力そして豊富な資産、これを、三つが力を合わせて努力いただくならば、おくれておると言われる情報通信も必ず取り返せる力がある。したがって、この機会を逃してしまえば、私は、やはり、さらに日本の情報通信産業が立ちおくれをしてくる、こう思いますので、我々、大臣を先頭にいたしまして郵政省を挙げて努力をいたしたいと存じますので、委員の皆様方のお力添え、御支援もお願いを申し上げておきたいと存じます。
  122. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 大臣から非常に熱のある答弁をいただきまして感服しておるんですが、いずれにしましても、この国会で所要の関係法令というのですか、やはりきちっとこれを法制化をしてかからないと進めませんので、その点を大臣もおっしゃったんだろうと思いますから、認識は合うと思っております。  次に、橋本総理が、八年の七月ですか、国際通信分野におきます我が国の参入状況について随分御危惧をされたと思います。NTTの進出を促進をする旨を指示をされたという経過がございますが、そういう点からいきましても、今も郵政大臣が再三にわたってお答えになっておりますとおり、国策だと思うのですね。非常に急がなきゃいけないし、そういう新たな体制に組みかえて、我が国としても進んでいかなきゃいけない。それが二十一世紀に向けて情報通信産業を本格的に発展をさせる道だということをおっしゃっていただいているわけでございますが、まさにそのとおりだと思っております。  ということになれば、これは現内閣にとっても極めて重要課題であります。これも大臣が再三お触れになりました。したがって、当然のことながら、行政一体論の立場に立つならば、関係省庁の本問題に対するスタンスは一緒でなければならない、私はこう考えているわけであります。でなければ、問題の解決もまた、さまざまあるわけですから、それをトータルに解決を図ることが難しいと思っておりまして、そのような考え方で関係省庁もこの問題に当たられるんでしょうねということをお聞きしたいんです。郵政省だけではございませんで、大蔵省さんもそれから公取委もお見えですが、公取委は若干違うかもわかりませんが、大蔵省の方についても、基本的なスタンスの問題ですから、ひとつこの場ではっきりその辺を表明いただければありがたいと思います。どうでしょう。
  123. 川北力

    ○川北説明員 大蔵省でございます。  NTT日本電信電話株式会社の税制上の特例の検討状況について御報告申し上げます。  今回、NTTの組織の再編が検討されているということでございまして、それに関連しまして税制上の特例措置が必要だという郵政省の御主張は伺っております。現在郵政省から、政府の意思でこの会社は分割されるんだという政策判断を税制上も受けとめるべきだという御主張をいただいておりまして、一方私どもの方は、課税当局といたしまして、当然税制として適切、妥当なものでなくてはいけないんだという立場から議論をさせていただいております。  特に、言及ございました連結納税制度につきましては、これは一般的な税制の課題といたしまして、現在の商法が個別の法人ごとに権利義務を規定しているというようなこととの関係もございまして、非常に難しい課題だというふうに認識しておるものですから、慎重に、時間をいただいて研究すべき課題なのかなという受けとめでこれまで連結納税制度については考えてきたところでございます。  ただ、これに対しまして、郵政省の方から繰り返し、今回の再編成の特殊性を十分配慮すべきではないかという御議論もいただいておるところでございます。  現段階では、まだ政府としての結論が出ておりませんので、ここで詳しく御説明することができませんが、現在鋭意検討させていただいているところでございます。
  124. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 政府として結論が出ていないので大蔵省としては鋭意検討しておるという答弁、どういうことですか、これは。前向きということですか。どうぞフランクにお答えになってください。あなたのところが判断しないことには、この税制の問題は、郵政省に判断せよと言っても無理でしょう。
  125. 川北力

    ○川北説明員 同じことを繰り返し申し上げることになりますが、税制上の特例措置はほかにもいろいろございます。過去、税制上特例措置が全く講じられていないということでもございませんので、今回の再編成が、その特殊性あるいは必要性が十分税制上からも説明できるものかどうか、そういうところを現在議論させていただいておりまして、前向きかどうかという点につきましては、結論が出たところで御報告させていただきたいと思っております。
  126. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 私、理屈をここで戦わせるというような、そんなつもりで尋ねているんじゃありません。つまり、合意事項の中には、きちっと、「譲渡益課税、連結納税等の税制上の特例措置について、政府内の調整を進める。」もちろんこれは両者合意。しかも、所管庁の郵政省がどうしたってその中心になってというのはよくわかるんですよね。  しかし、これは、今申し上げましたように、前提条件がございまして、これは郵政省がやったんで大蔵省は知らぬという代物じゃないんです。国策としてこれはやるわけですからね。そのことを私は前提の合意事項の認識で言っているわけですよ。だから、その認識が全然違うと言うんだったら、これは話は別ですから。私は決して強制していませんし、フリーにお答えいただいたらいいんですから、そういう議論の場だと思っておりますので。  ただ、前提はそういうことなんでしようということになれば、この合意事項の八項では、具体的にそういう「税制上の特例措置について、」云々という表現でここに明記をされておるわけですね。ですから、この部分は大蔵省管轄でしようと思いますから、大蔵省さんにおいでをいただきまして、この点は一体どうなっているんですかと。そうすると、解決をしなければいけないという姿勢についてははっきりしているが、実際の話では、これは制度化するとなったらさまざまあるということを私たちもわかりますので、そのあたりは難しいけれども、いずれにしても特例措置であることは間違いがありませんからね。そういうふうな立場で引き続き大蔵省も、もう時間がないから努力をして、この国会で決着ができるように努力をしていく、そういう姿勢なんだということがここでお答えになれますか。私、無理言ってないと思うんですよ、行政は一体ですから。大蔵省はこっち向いているわ、ベクトルが全然違うというんじゃ話になりませんから、その辺を聞いているんです。
  127. 川北力

    ○川北説明員 繰り返しになって恐縮でございますが、今回、郵政省の方でNTTの改正法案を御準備されているということで、これが今国会に提出、御審議されるという予定で進めておられるということは十分承知しております。その過程で、税制上の特例措置についてぜひ必要だ、今回の再編成の特殊性あるいは国策としての必要性を十分配慮すべきであるという御主張は繰り返し伺っておりまして、そういう御主張をよく受けとめて議論させて、進めさせていただいているところでございます。
  128. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 いずれにしても、そういう立場で積極的に大蔵省としても対応していくんだ、こういうことなんですね。——返事がありませんけれども、いいんですか。どうぞこちらへお出になって声を出してください。記録に残りません。
  129. 川北力

    ○川北説明員 現在、税制の前提となりますいろいろなスキームにつきまして、法文の詳しい内容ですとか、あるいはこの先の収支の見込みですとか、あるいは資産の動向などもヒアリングさせていただきまして、毎日鋭意議論させていただいておりますので、全体の法案の御議論が進む過程で、税制の方もそれなりの結論に政府部内で到達していきたいというふうに私は思っております。
  130. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 私はそれ以上は触れませんけれども郵政大臣も言われていますように、とにかく現在納めている税額と変わらないようにしてくれというのが、一言で言えばそういうことなんですよね。ですから、もちろんそれは全体に影響するような方法での改正もあるでしょうし、そうでない特例の特例というやり方もあるでしょうし、そこのところは選択の問題だと思うのですよ。今日の情勢の中にあって、大蔵省の置かれた立場があるとするならば、選択の問題だと思いますよね。ですから、そういう点も、情勢も踏まえて、いずれにしてもこの国会で一連決着で問題の解決を図る必要がありますから、これは大蔵省としてもしっかり頑張ってほしいということを言っているんですから、その辺の真意はおわかりいただけると思いますし、おたくの方としても前向いて対応いただきたい、こういうことなんでございます。  それでは、大蔵省には、譲渡益課税、連結納税の問題を含めまして今私は質問したつもりですし、それに対する御答弁だということで確認をさせていただいて、公取さん、ちょっと聞かせていただきたいのですが、これも純粋持ち株方式を合意事項は明記されているものですから、どうしても公取さんにお聞きをしたいなと思ってお越しをいただいたわけでございますが、公取さんの立場について、どうぞフリーに意見をいただければいいと思っております。
  131. 鵜瀞恵子

    鵜瀞説明員 持ち株会社につきましては、現在独占禁止法第九条において禁止されておりますが、事業支配力の過度の集中の防止という独占禁止法の目的を踏まえて解禁することといたしておりまして、改正法案を今国会に提出することとしております。  独占禁止法において、具体的にどのような持ち株会社を禁止することとするかなど改正の具体的内容につきましては、現在検討を行っているところでございますが、既存の会社を分社化して持ち株会社グループを形成するいわゆる純粋分社化は、事業支配力の過度の集中の防止という観点から問題ないものと考えております。  NTTの持ち株会社化につきましても、純粋分社化の形で行われるということであれば、今回の独占禁止法改正を前提とすれば問題とならないというふうに考えております。  いずれにしましても、この問題は独占禁止法改正についての議論の流れの中で対応するのが自然であると考えております。
  132. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 伺います。今国会、実現の見通しはどうでありましょうか。
  133. 鵜瀞恵子

    鵜瀞説明員 持ち株会社の解禁につきましての独占禁止法の改正の考え方につきましては、現在与党の中で議論をいただいているところでございますので、その推移を見ながら私どもとしても対応してまいりたいというふうに考えております。
  134. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 あえてもう一点聞かせていただきたい。もしこの独禁法改正が手間取って、何か見通しが立たないというような状況になった場合には、この合意事項はどうなるのですか。
  135. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 独禁法の改正案の今国会提出につきましては、昨年末の閣議決定でもその方針が出ておりますし、また、ただいま公取から御答弁ございましたように、当局におかれましてもその準備を進めておられるということでございますので、私どもといたしましては、そういった法案提出がなされますということを前提といたしまして、NTTの持ち株会社化の問題を考えておるところでございます。
  136. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 前提で対応されているということですが、前提条件が不透明、おかしくなりますと、全く不透明なんですな、そうすると。  私はこう思っているのですよ。不幸にして独禁法改正が、もしこの国会で日の目を見ないということになりますと、この合意事項は吹っ飛ぶのか、いや、そうではないだろう、事態は許されない。そうしたら、これも特殊会社ですから、そういう格好でいくのかなというふうに思っているのですが、ちょっと考え過ぎですかね。
  137. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 言い過ぎがあったらお許しいただきたいと思うのでございますが、当初私どもこの方法を考えましたときには、まだ独禁法の動きはございませんでしたので、通信政策上の特殊な必要性というふうに考えておりましたけれども、しかし、その後閣議決定も行われ、関係当局においてもその準備を進められておるわけでございまして、先生指摘のように政府一体ということでございますれば、ただいま政府といたしましては独禁法改正法案を今国会に提出するという前提で作業が進められておりますので、私どもといたしましては、その中でこの内容を実現していきたいと考えております。
  138. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 次に移りますが、NTT法と事業法の改正が提出予定の郵政省の資料の中にも提起をされておりまして、当然そういう運びになっていくと理解をいたしております。どのように中身が改正をされるんだろうかという点では私たちも判断のつかない部分が結構多いわけですが、先んじてここで質問をさせていただくようなことになりますが、どういうのでしょうか、ポイントを挙げるとするならば、これはNTT法改正の中に入るのでしょうか、人事の問題だとか事業計画の問題だとか。あるいは事業法に属するのでしょうか、需給調整の問題だとか接続の問題だとか。あるいは、加えて料金、サービスの問題、業務委託の問題、事業変更の問題、まだほかに挙げれば切りがございませんが、そういうふうなポイントをピックアップして、問題点があるのかな、こう私はイメージをしているわけであります。  こういう諸点について、当然このN法ないしは事業法の改正の中で扱われていくことになろうと思いますが、その基本的な考え方は、基本に据わるものは原則自由、例外規制、これが基本に据わってのこれら問題点の改正がN法や事業法の改正に実っていくのだろう、こう理解をしているわけでありますが、その点の認識について、合いますかどうか、お尋ねをいたします。
  139. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 ただいま御指摘いただきましたように、今国会に同じく提出を予定しております電気通信事業法の一部改正案の中では、参入許可の際の過剰設備防止条項の削除でございますとか、相互接続の円滑化のための措置を盛り込んでおります。委託等につきましては、既に私どもの措置としまして昨年に措置を講じております。料金等につきましても、必要な措置は、一昨年の法改正を受けて、昨年いろいろな種類のものにつきまして緩和を図ってきております。  そして、これらの基本的な考え方でございますけれども、法令によります規律につきましては、そのときどきの社会の実態に応じまして必要最小限なものについてこれを定めていくということが基本であるというふうに考えております。
  140. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 人事だとか事業計画をちょっと言ったのですけれども、これは、もしあればという話なんですが。
  141. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 事業計画につきましては、NTTの再編成につきましては、現在は、今の日本電信電話株式会社法の一部改正という形で法案を提案させていただきたいと思っておりまして、この中で事業計画の問題を取り扱うことになります。  それから、人事とおっしゃいましたのはどのような意味かちょっとはっきり把握しかねるのでございますが、公正競争的な観点からくる再編各社間の人事の問題という御趣旨かとも思いますが、これら法的な措置のもの、それから法的措置以外の公正競争条件確保のいろいろな条項につきましては、今、法案作成と並行いたしまして、NTT意見も聴取しながら検討を進めているところでございます。
  142. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 この両法案、あえて両法案と言わせていただきますが、N法も事業法も、これはいずれもこの国会で改正を行う、つまり決着を図る、そういう理解でよろしゅうございますか。
  143. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 ただいまお答え申し上げました電気通信事業法の一部改正、それから、現在政府内で調整を行っておりますNTT編成にかかわりますNTT法の一部改正、それから、一連のものといたしましては、このほかにいわゆるKDD法の一部改正もあるわけでございますけれども、それから、規制緩和ということになりますと電波法の問題もございますが、これらあわせて今国会で御審議をお願いしたいということで、今政府内部の調整を進めておるところでございます。
  144. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 明確に答弁をいただきまして、いわゆる関連する法案を提示をいただいて、この国会で改正を行うということでございまして、私たちもその立場議論に参画をさせていただきたい、こう思っております。  次に、外資規制について伺いますが、午前中の議論でも出ておりました。つまり、現在二〇%外資規制だと思っておりますが、この電気通信事業国際化が進展をする中で二〇%規制というのを持続していくということが、果たしてこれは耐えていけるのかどうかということもありますし、それはいずれ撤廃を考えなければ、国際競争ということには対応し切れていかないのだろう、こういうふうに私は思っているわけです。  しかし、この問題といいますのは、国際的な公正競争の立場からするならば、相手国との相互主義がベースにならないと具体的にはこの問題の解決は図れない、こんなふうに理解をするのですが、その点の考え方について、郵政省認識が合うのかどうか。どうでしょう。     〔委員長退席、亀井(久)委員長代理着席〕
  145. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 先般、WTO交渉合意に達しまして、その中で、日本といたしましては、NTTKDDにつきましては五分の一規制があるわけでございますけれども、それ以外の一種事業者、現在三分の一規制でございますけれども、これは、その保持する無線局の免許も含めまして、一〇〇%開放するということを提案いたしました。  私どもといたしましては、この内容は世界の中でも最も進んだ自由化であると考えております。アメリカにいたしましても、事業者の保有いたします無線局につきましては、直接投資二〇%の規制がかかっておりまして、主要な電気通信事業者はほとんどすべて無線局を所有いたしますので、日本でいえば、一種事業者はほとんど二〇%直接投資、外資規制がかかっておるということでございます。ヨーロッパ等の国におきましては、いろいろな形でこれ以上の規制がまだ残っていると考えることができると思います。  私どもといたしまして、国内的に考えますと、NTTKDDはいずれも、実態上、国内における主要な事業者でございまして、大変重要な位置づけにあるものでございますから、こういった外資規制の必要があると考えておるところでございますけれども、将来的な問題につきましては、御指摘にありましたように、世界全体においてどのような状況になっていくか。それは、一対一で、二国間の問題としてではなく、世界の多くの国々が同時にこういった問題について、開放、自由化を進めていくという方向が一番望ましいと考えておりますので、そういう中で全体的に判断していく問題ではないかというふうに考えております。
  146. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 基本的な考え方というのはおっしゃるとおりだと私は思うのです。  ところが、実際には、我が国と三つも四つもの国と多国間の交渉をやる場合、そういう場合というのはケースとして多いのでしょうか、少ないのでしょうか。多いというよりも少ない。そうすると、どうしたって二国間協議だとかそういう、摩擦の問題を含めて起こりますよね。そうなりますと、今、すべてWTOで、普遍化した国際的な合意の場にということだけでは、これは午前中の議論にもありましたけれども、問題の解決というのはだんだんと長引きまして、つまり問題の解決がなかなか思うように適宜適切にいかない、結局事業展開もできないということがやはり起こるのじゃなかろうか。  私、アメリカのことをとやかく余り言うつもりはありませんが、大体これまでの交渉の流れを見ましても、日本の方がどちらかといったら受け身というか紳士というか、相手の方はどんとかぶせてきて、それから交渉が始まるというようなケースが多いわけですから、そういうのを見ていますと、WTOの話が、合意事項がどうあろうが、二国間の場ではまた自分のところの考え方に基づいてどんと出てくる。どうせもめるであろう、そうしたら向こうへ行けというような格好でたらい回しを食らうような格好になりますと、結局、交渉のイニシアを果たしてどちらがとるのかなというようなことで、随分御苦労が多いと思うのです。  そういう点を考えるものですから、ちょっと言い方は遠回りしている場面もございますが、そういう点も含めて、相互主義、二国間あるいは公正競争というようなことを言ったのでございまして、その辺がクリアしていける、十分即決でいける、余り時間もかからぬ、やっていけるということであればいいのですが、私はその辺を随分懸念をするわけでございます。
  147. 長谷川憲正

    ○長谷川説明員 先生指摘の点につきましては、御紹介もありましたように、先ほど、つい先週でございますが、WTO基本電気通信交渉がまとまりまして、要するに、電気通信各国間の協定ができた、自由化のための協定ができたということでございます。これが各国で批准をされますと、来年の一月一日から発効するわけでございまして、その状況になりますと、二国間で紛争が生じた場合には、二国間だけで交渉することは許されないということになっておりまして、WTOの紛争解決手続を踏まなければいけないということになっております。  確かに、おっしゃいますように、アメリカは、まだ日本あるいはカナダの外資制限が十分開放されていないというようなことを言っているようでございます。しかしながら、これは、今申し上げましたように、WTOの手続を踏むということになりますので、最初もちろん二国間で話をすることになりますが、同時にWTOにその模様が報告をされまして、紛争が解決をしないという段階で小委員会というものがWTOの中に設立をされまして、そして、その中で議論をされたものは勧告という形で両国に出されるということになっております。これは、小委員会の設置から勧告までは七カ月というような時期も決まっておりまして、一方的にこれを遅延するということはできないようになっております。  おっしゃるように、できたての協定でございますから、これから運用上もいろいろ問題が生じてくると思いますけれども、私どもはこういう多国間の枠組みの中で問題を解決をしていく努力をしていきたい、このように思っているところでございます。
  148. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 心配はない、こういう御答弁だと思います。そのようにあってほしいと思います。いずれにしても、外資規制の問題は、今御答弁のあったような立場で対応していく、しかし、あるべき姿については私が発言をさせていただきましたこととそう変わらない、このように理解をさせていただきます。  次は放送倫理の問題なのですが、これまでも同僚議員の皆さんの指摘が幾つかございました。それで、私はこういうふうに思っているわけです。最近、マスコミ報道のあり方をめぐって論議が非常に盛んになっていると思います。それはある意味では当然なのかなと思っているのです。なぜかといいますと、情報化社会、だんだんと本格化してきているということの世相の反映なのかなと思うのですが、具体的には、多チャンネル化が進みますし、事業者が多くなれば当然、これは経営という側面がございますので、競争が激化するということがいろんな問題をさまざまもたらしますよね。だから当然そういうケースが多くなる、こういうふうに認識しているわけです。  今回のペルーの日本大使館の人見記者の問題ですか、これが取り上げられているわけですが、その前にも幾つかございました。オウムの坂本弁護士さんのビデオの問題だとかいろいろありました。問題なのは、よく番組のことだけを特定して議論がなされるように私思っているのですが、そうではなくて、今回のこの無線機の残置の問題ですか、こういうのなどを見ていますと、記者、ジャーナリストとしての使命感というのですか、これは非常にあると思います、非常に悲劇が生まれているわけです。戦場に飛び込んでいってジャーナリストとしてそこからニュースを送る、そのために自己を犠牲にしてしまうというような、本当に我々にしてみれば危険を顧みず現場に飛び込むという勇気、これはもう敬意を表したいと思っておりますが、しかし、今回のこのペルーの日本大使館のあの問題なんかを見ておりますと、やはりそこでは、置かれている状況というのは非常にリスキーな部分が多いわけですから、やはり慎重な判断があってしかるべきだったというふうに、常識的に考えてそう思います。  ですから、報道のためには手段を選ばないということではないと思うのです。そこのところを何か切り離して議論がされていくということになりますと、全然これは私は問題の認識を誤ってしまうのではないのか、こんなふうに日ごろ考えております。もちろん、取材の自由や報道の自由というのは、これは守っていくことは当然なんですが、だからといってどんな場合でも、あるいは無制限に、与える影響がどうあってもというわけにはいかない、そういうことは許されないという認識、自己認識というのですか、そういうマスコミとしての一つの見識というのですか、そういうものが私は要請されているのではないのかな、こんなふうに思っているわけです。  実際の話、これは私自身も含めてそうなんですが、経験者の一人ですけれども、放送関係はもちろんですが、新聞、雑誌含めてマスコミ全体を見た場合、プライバシーの侵害やあるいは人権にかかわる問題というのが陰の部分として随分あると思います。  しかし、言うならば被害者というのでしょうか、そういう立場に立たされた人が、一体この救済措置はあるのだろうか、それはどこで救済してくれるのだろうか、名誉はどこで回復してくれるのだろうかというケースは結構ふえていると思います。じゃ、それは司法制度の中で、名誉毀損で訴えればいいじゃないかという反論や意見も聞きますが、しかし、そういうことだけではなかなか対応し切れていかないということだと思うのですね。  だから、当然、これは法的にも番組の審議機関というのが設置できるようになっておりますけれども、しかし、聞くところによりますと余り機能していないというふうなことでして、なぜそれは機能しないのだろうか、なぜ形骸化しているのだろうかということについて私はかねてから疑問を持っているわけで、その点について郵政省認識の問題と、この番組審議機関ですか、とりあえずはそれしかないのですが、そこの運用状況なり現状はどうなっているのかということについてお伺いをしたいと思います。
  149. 楠田修司

    ○楠田政府委員 現在、放送番組の適正化を図るということで法制度の中で設けられておりますのは、先生指摘のとおり、放送番組審議機関でございます。しかしながら、御指摘のように、現状においては必ずしも十分な機能を発揮していないという意見が多うございますし、我々もそのように認識しているところであります。  具体的には、この放送番組審議機関の活動内容がなかなかわからない、あるいは視聴者からの苦情、そういうようなものも審議の題材として取り扱われていないというふうな問題点が指摘されております。  それから、ちょっと御紹介いたしますと、例えば東京のキー局を見ましても、番組審議会というのはほぼ平均年十回、月一回ぐらいは開かれておりまして、委員も約七割から八割の方が出席しております。しかしながら、法律上この審議機関というのは、放送会社の諮問事項に答える、あるいは番組基準とかそういうようなものがつくられたときにそれについて意見を言う、こういうことになります。事実上、諮問することがほとんどない。それから、番組基準というのは放送局がつくられたときにいじりますが、それ以降余り変わらない、変えないということになりますと、事実上、個人はいろいろなことを審議会意見を言うのですが、審議会としての意見を言わない、審議会意見を言いませんとこれは外に発表されない、こういうふうな問題があるのではないかというふうに思います。  そういう中で、では、やはりこの番組審議会は非常に重要でありますから、これの活性化をどのようにすべきだろうかということ、これにつきまして、一昨年の九月から、多チャンネル時代における視聴者と放送のあり方に関する懇談会というのがありまして、いろいろな側面はありましたが、その中で議論していただきました中で、やはりこの活動内容を一層公開できるようにするという何か法的措置ができないか、あるいは番組審議会活性化につながるような審議の題材というものを、例えば法律の中でこういうことを審議しなさいというようなことを決められないかというふうな議論がございました。  そういうことで、できる限りこの番組審議機関が外から見えるように、あるいは審議が活性化して意見が出されるように、何かこういう法律上の措置ができないか、ちょうど今検討しているところでございます。
  150. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 これは番組審議機関でしょう。すると、ここでは例えば今言ったような被害者の問題がもっとふえますよ、僕はそう思うのです。これはそうならざるを得ないのです、情報化社会ですから。事業者はどんどんふえるのですから、これからも。チャンネルがどんどんふえるということは、そうでしょう。キャリアがどんどんふえるのですから、当然そうなりますよ。もちろんそうなってはいかぬわけですが、世の中の流れはそうだと思う。そうすると、そういう陰の部分というか被害者がどんどんふえる。じゃ、そういう皆さんを救済をするところというのは、審議機関でやるのですか、どこでやるのですか。
  151. 楠田修司

    ○楠田政府委員 先ほど私が御説明申し上げましたのは、番組の適正化を図るための番組審議機関の話でございます。  先生お尋ねの、例えば人権侵害なりあるいは権利侵害のような苦情をどうすればいいのかという課題も一つの大きな課題でございまして、現在、放送による苦情というものは、各放送事業者がそれぞれ各個で受け付けております。  苦情も広うございまして、激励のような苦情あるいは番組の問い合わせを含めますと、NHKでは数百万件年間あるといいます。これは苦情といいますか、意見というのがいっぱいあるわけですね。その中で、本当の苦情というのも中にはあるわけでありまして、基本的にいきますと、そういう苦情は放送会社のやりとりの中で解決されるという仕組みになっておりまして、どうしても解決されないのは、現状ではこれは司法の方へ行く、こういうことにならざるを得ないわけですね。  ところが、日本の場合は、司法というのは非常に時間がかかる、お金もかかる、何となく行きたくないというような、非常に難しい問題があるということも先ほど申し上げました懇談会の中で議論されまして、そうすればどういうものを置いたらいいだろうかということになりまして、放送会社の中の苦情だけではどうしても満足できない、納得できない人、一義的には放送事業者に行くにしても、納得できない苦情をどう扱うかということが一つの大きな議論になりました。こういう中で、その放送事業者から独立した第三者の意見を聞くというふうな機関の必要性が論議の中で出てきたわけであります。  具体的には、このような苦情対応の機関というものは、一義的には放送会社でありますけれども、それでまとまらないのをどこかでやるというのは、放送事業者が例えば共同で外につくって意見を聞くという意見もありますし、いや、国が公共的なものをつくれという意見もあります。それから、例えばそういう事業者がつくったものにやはり何らかの権威を与える、法的な根拠を与えるというような意見もあります。それから、こういうものは一切必要ないという意見もあります。いろいろ分かれたわけです。  国がつくるということに関しましては、こういう苦情処理に関しましても、最終的にこの苦情処理の裁定力という、法定裁定力は裁判に行くものでありますから、そういう意味で、国がつくるということは、そういうことも含めてやはり言論、表現の自由にかかわる問題なのであるから、これは少し慎重にという声もございます。  それから、自主的に今のままでやらすというのはやはり皆さん問題であろう、さすればその中で、じゃ自主的に第三者の意見を聞くものをつくるのはどうか、その中でどのように考えるかというのが最終的な、結論というのはなくて、こういう四つの意見が示されたわけですが、そういう意見が多かったというふうに私は承知しております。  そういう意味で、この中で、こういうふうな何らかの、例えばですが、今の放送会社から少し独立して、外部の方が入って何人かの委員で、そういうふうな意見を聞いて、そしてその中でいろいろな苦情に対して一つの解決の策を出す、これは必ずしも司法のような裁定力は有することはできないと思いますけれども、放送会社がそれを聞いて解決をする、それでどうしてもまとまらないもの、これは最後はやはり裁判にならざるを得ないというふうに思いますが、そういうことが必要だろうというふうに思っております。     〔亀井(久)委員長代理退席、委員長着席〕
  152. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 いずれにしても、現在は番組審議機関も形骸化しているというふうによく言われていますし、それはそれでもちろん充実されなければいけないわけですよね。  ところが、これは内部チェックの機関みたいなものですよね。言い方としてちょっと適切じゃないかわかりませんが、そうだと思うのですよ。この自浄機能、実際にそれが果たされていかないと、やはり今の話で、拘束力を持ったというところへ行ってしまうと思うのですよね。  ですから、これは放送事業者の皆さんですか、その辺はやはり真剣に取り組んでもらわなければいかぬと私は思っておるのです。一足飛びにそこへ行ってしまうと、また公権力がどうのこうのというような議論になってしまいますから、そうではなくて、どんどんこれからはやはりそういう情報化が進行するわけですから、この種の問題はどうしても出てくる。それを、一刻も早くそういうものに対応していけるようなものをまず各社なら各社、民放全体で、NHKを含めて、倫理綱領ですかできたわけですから、それだったらあれに基づいてそれを処理していくような、言うならば自前でも結構ですから、そういうものを早く置くという行動を起こしてもらわないと僕はいかぬと思うのです。  これは、私は番組そのものももちろんそうなんですけれども、言うならばその被害者の救済に焦点を当てて言っているわけですが、そういうものの救済機関はまさにそうだと思いますよ。これはだんだんふえると思いますよ。それは、一人一人の記者の皆さんとか関係者は心しているとは言いつつも、やはりこれは起こってしまうという場合があると思うのですよ。ですから、そういうふうな立場に私は立っていますので、何としてもそういう観点からこの問題の解決に当たっていかなければいかぬのかな、こう思っております。  ですから、非常に神経を使ったそういう機関というものにしなければいけないのでしょうが、自前でできないとなったら、どうしてもそちらへ行ってしまうし、今局長がおっしゃったように、それは事業者がお集まりいただいて、これだというものをじゃ一遍発想してもらって、そういうものを積極的にやる、見ていてくださいと言えるようなものを踏み出していただく必要があるのかな、こんなふうに私は思っているわけですが、もし郵政省としての御意見がございましたらお聞かせをいただきたい、こう思っております。
  153. 楠田修司

    ○楠田政府委員 まず、番組の問題も若干先生おっしゃったと思いますが、番組につきましては、それぞれの各社が自分の中で考査とかいろいろな部門を持っておりますから、自分たちの中でやはり自主的に放送倫理も決めておりますから、そういう中でチェックすべきものと思っております。  その次の苦情の問題の第三者的な機関というものは、最近若干放送事業者の方でも、第三者的なものをみずからつくろうという動きがございます。詳細はまだ承知しておりませんが、そういう動きも踏まえつつ、本当に独立して第三者的な考え方が出される機関がつくれるかどうかということを見ていきたいというふうに思っておるわけでございます。
  154. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 最後になりますが、お聞きしていまして、ペルーの今の問題のときも大臣の答弁も含めてお聞きしておって感じたのですが、郵政省は、この放送問題になれば今の局長だと思いますけれども、そういうマスコミのキャリアの皆さんと日常のそういう話というのまされているのですか。こういう場合にはこうした方がいいじゃないかというふうな話し合いというのは結構やられているのですか。そういうことは余りないのですか。むしろ、遠慮をせずに、郵政省としても相談に乗るとか意見交換をするとかということがあった方がいいと思うのですが、そうやられているのですか、それともほとんどないのですか。その辺どうですか、最後にお聞きします。
  155. 楠田修司

    ○楠田政府委員 それは内容によると思うのですが、基本的に郵政省は放送法によりまして対処しているわけでありますから、放送法に関することに関しましてはいろいろ申し上げます。しかし、放送法で、放送事業者というのは番組編成の自由ということがうたわれておりますから、それぞれの番組に、この番組はどうのとか、こうあるべきだ、どうのということは基本的に言っておりません。したがいまして、何かこういう場はあるかといいますと、そういうのはないということでございます。  ただ、こういう今回の懇談会がありましたように、苦情処理の問題であるとかそういう権利処理の問題、こういうことにつきましては、我々としても、やはりこういうものがあった方がいいのじゃないかという意見は申し上げております。
  156. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 よくわかりました。苦情処理の問題だと思いますよね、その部分について日ごろそういう話し合いはやられているというのを聞いたので安心したのですが、むしろもっと進めていただいて、これはやはり視聴者の立場に立っても望んでいることですし、放送だけに限りませんから、マスコミ全体に関することにもこれから敷衍させていきたいと思いますので、ぜひともそういう立場で御努力をお願いを申し上げたいと思います。  ちょっと時間が早いと思いますが、切りがよろしいのでこれで終わります。ありがとうございました。
  157. 木村義雄

    木村委員長 石井郁子君。
  158. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。  逓信委員として初めての質問でございますけれども、まず最初に郵政事業の基本的な問題について、いわゆる民営化論について、大臣はいろいろ御発言でございますけれども、基本的な認識をちょっとお聞きしたいと思います。  郵便事業については、民間参入と競争原理の導入などということが言われているわけでありますが、この場合、民間がどのように参入してくるかということが大変大きな問題だというふうに思います。  郵便事業は、言うまでもなく全国均一料金ですね。北海道から沖縄へのはがきでも、ここ永田町から霞が関へのはがきでも同じ五十円、こういう料金体系だからこそポストヘの投函という簡便な手法ができると思うのです。東京都内の通信と北海道から沖縄への通信にコスト差があるのは当然ですけれども郵便事業というのはそれを前提とした事業だというふうに思います。国際的にもそうだというふうに私たちは思います。  ところが、このコスト差を利用して民間参入が起きたらどうなるでしょうか。大都市、とりわけ一度に数万とか数十万というような大量の郵便物を引き受けるのと一通のふるさとへの便りとはコストが違うわけです。大都市での大量の郵便物は安く配達します、こういう民間参入が起きたら、そのほかのサービス、すべての国民が利用するユニバーサルサービス、公共的なサービスへの悪影響が出ると思うのであります。この点で、まずどのようにお考えでしょうか、大臣に伺いたいと思います。
  159. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいまの御質問にお答えいたします。今までたびたびお答えはいたしておりますが、基本的には、郵政事業は独立採算のもとで三事業とも健全経営をいたしております。税金の投入は一円もいたしておりませんし、民間でいえば優良企業、こういうことになるわけであります。そして、郵便事業と言われますけれども、ほとんど信書の八十円とはがきの五十円以外は全部自由化なんですね。小包もみんな自由化しておるわけです。だから、そういうことを考えると、果たしてこれを自由化してメリットがあるのかどうかですね。ただ、先ほどもお尋ねがありましたが、八十円が国際的にはちょっと高い、五十円は大体人並みだ、こういうぐらいのことなのです。  そこで、八十円で民間にやったときに、稚内から与那国島まで運べますか。今は全国津々浦々まで、南大東島まで運んでいるわけですよ。だから、そういうことを考えるときに、もし信書を自由化したら、恐らくいいとこ取りでつまみ食いになってしまうと私は思うのです。いいところだけはどんどん民間がやるけれども採算の悪いところは一切やらない。  そのことは、昨年の十一月四日に、こういうあれがあるのです、宅配便に偽りありと。これは行政監察局が出したわけです。私も、昨年の九月でしたか、ある宅急便会社の、いわゆる行政改革のところで、自民党本部にその会長を呼んで、いかに宅急便が理想かという話の講演を聞きましたときに、全国津々浦々まで全部、離島まで小包配達をいたしておりますという話だったけれども、その話と行政監察局のこの監査とは全然違うわけです。  もう一つ調査がしてあるのです。これは、実際、雪がこんなに十二月に降りますと、これは再配達、自分たちは配達しないのです。郵便局にみんな持ってくるわけです。どの会社も、どこの会社とは申し上げませんが、現実にそうしたことが起こっておるわけです。私がわざわざ気づいて調べろと言ったわけです、調査を指示したわけですから。というのは、こういうものも今度行政監察局に一応してもらう。再配達を郵便局にお願いする、それが現状なんです。それは、四キロも五キロも雪の中を一個提げていくよりは郵便局に投げ込んだ方がよほど安上がりだ、こう思います。  そういうようなことを考えると、私は、やはりこの現在の郵便局が果たしている役割というのは極めて大きいと思います。そういうことがあるから、国民の信頼、親切でありサービスがいい、こういうように評価をされておる、こう確信をいたしております。だから、これからも私どもは、諸先生方の御協力をいただいて、この二万四千六百という大事なこうした財産を守って、国民の期待にこたえていかなければなりません。  世界のどの国も、郵便事業で、アメリカのあのような進んだ国でも国営ですから、ヨーロッパも皆国営なんです。それぐらい、信書ですから、これはやっていく、ほかのものは自由化しても。だから、そういう意味で、一部政治家の中でそうした意見の異なる人もおられますが、私は、そういう日本全体ということを考えるときに、この事業はぜひ守っていきたい、こういうように思っております。
  160. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 大臣のはっきりした決意をお聞かせいただけたわけですけれども、民間が参入して競争が大きければ万事がよくなる、競争でサービスがよくなるという議論が非常に単純にされているわけでありまして、私たちはやはりそういう議論にくみするわけにいかない。競争の形態によってはサービスが逆に悪くなる、値上げが起きるという点からも、この点は非常に重視をしていきたいというふうに思っているところです。  さて、二つ目の問題ですけれども郵便局の夜間労働と夜間の勤務体制について質問をしたいと思います。  まず初めに、昨年十二月二十四日横浜の集中郵便局で、四十一歳の職員が仮眠室のベッドで心筋梗塞で亡くなるという事件が起きております。二十一日の未明に亡くなったまま、何と三日間わからなかった、二十四日になって遺体が発見されるという信じられないような事件でございます。まず、この事件の経過、全容についてお聞かせください。
  161. 安岡裕幸

    ○安岡説明員 お答えを申し上げます。  先般、横浜郵便集中局で職員が死亡をされたということでございまして、このような形で発見されましたことについてま、まことに残念だというふうに思っています。今回の件につきまして、発見までの経緯についてちょっと詳し目に申し上げたいというふうに思います。  死亡した職員は、平成八年十二月二十日の金曜日でございますけれども、ニュー夜勤業務についておりました。午後十時四十五分ごろでございますけれども、管理者に対しまして、風邪を引いてぐあいがよくない、今から帰宅したい、こういう申し出がございまして、その後職場を離れたということでございます。二十一日土曜日は勤務明けでございまして、二十二日は週休、こういうことでございます。  二十三日になりまして、この日日勤という指定を受けておったわけですけれども、出勤してないということで自宅に電話をしたということでございます。それから、午前と午後に一度ずつ、管理者が二名で職員の自宅を訪問したということでございます。しかしながら、玄関の電気がついているものの応答がなかった、こんな状況でございました。  それで、翌二十四日でございますけれども、午前中に自宅と実家の秋田の方にも電話をしまして、午後には管理者が二人で再度また自宅の方に訪問をしたということでございます。管理人の方に開錠を求めましたけれども、委任状がないということで断られたわけでございまして、ただ、その日はニュー夜勤勤務ということでもございましたので、局に早く出勤してないのかということで局舎内を捜したということでございます。そうしたところ、仮眠室のベッドで亡くなっていたというのが経過でございます。  私ども、本人が風邪を引いてぐあいが悪いということで、早く、今から帰宅したいという申し出が出まして、職場を離れたことを踏まえまして、当局としては十分いろいろな連絡をとるなどしまして、一応手は尽くしたというふうに考えておるところでございます。
  162. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私はことし一月になってこの事件を聞いたわけですが、国の施設でしょう。郵便局の仮眠室で職員が亡くなっていた、しかも三日間も放置されていたということでは、とても信じられない思いでした。  一月の九日に共産党として横浜集中郵便局調査に行ってまいりました。仮眠室なども見させていただいたのですけれども、何百人もの方が二十四時間体制で働いているという横浜集中局ですね。どうしてこういう悲惨なことが起こるのかということです。  大臣にちょっと伺いますけれども、この事件の報告をいつお聞きになったのでしょうか。また、今お聞きになってどのような御感想をお持ちでしょうか。率直にお聞かせください。
  163. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいまの件につきましては、私も細部聞きましたが、私は、郵政省の局の皆さんがやった処置は一つも手落ちはなく、間違いなく十分やっておった、こう思っております。  満点ということになればどうかと思いますが、しかし、本人はもう十時にちゃんと、体のぐあいが悪いから帰りますということで暇をもらっておるわけですから、だれでもみんな帰ったものと思っておるわけです。まさか夜勤の、そういう非番の場所に行って休むとは思っておりません。  しかし、本人は独身なんですね、四十何歳まで。だから、独身さんで、うちに帰ってもどこにおっても一緒だという考えがあるいはあったのかなと我々は考えますが、しかも、ちゃんと網をかけて休んでおるのに、掃除婦の方々が見られるのでも、その中を、掃除婦の方は女性ですから、男性の寝ておるところをあけて見るということはこれはちょっとできないだろうし、そういう意味では、私はいろいろ十分事情を聞いてみましたけれども、まあようやったわいということで、家庭まで何回も訪問したりしておるわけですから、そこまでやって、いよいよその日、三日目でしたか、出番の日にどうしてもまだ来てないということからいよいよ仮眠室を一回、もう見るところがなかったから、自分のうちの、里まで何か電話されたのだそうでありますが、そこまでやって見つからなかった、ところが仮眠室で見つかったということですから、役所側としての、郵便局側としての処置は、私ままず手落ちはなかった、こういうように思っております。
  164. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 それは私は、そういう御答弁ではとてもじゃないけれどもいかぬなというふうに思うのですよね。  この方は、今お話しのようにニュー夜勤に従事されている。十一時から始まるのですよ、仕事は。十時四十五分に、きょうはもう相当ぐあいが悪い、だから帰らせてほしいと言ったのは確かかもしれません。しかしこれも確かめようがありませんけれども、そのときに、はいそうですかと、それじゃ家にもう帰ったのだ、こういうことで済むのかということを、これから後でまた質問しますけれども、まずそれが大きな最初の問題なのですね。  問題は、この郵便局のニュー夜勤、ここに従事している職員のこうした形での突然死、これが相次いでいるということなんですよ。  ことしに入っても、仙台中央郵便局では五十歳の方が亡くなっています。この方も、年末年始連日出勤をされて、やはり一月三日夜勤明けで帰って、これはおうちに帰られたのですが、その後亡くなって、発見されたのは六日です。だから、自宅で三日間やはり発見されていない、こういうことが相次いでいるわけでしょう。  私はあえて申し上げたいのですけれども郵政産業労働組合の調査では、この九三年三月にニュー夜勤が導入されてから三十三人の方のこういう突然死、いわば過労死が相次いでいると発表がされていますね。ちょっと読み上げたいと思うのです。それは、昨年一年間の分だけでも実は十四人の方が亡くなっているのですが、私は全部本当は申し上げたいぐらいですけれども、ちょっと二、三申し上げます。  昨年一月、東小倉の輸送で四十四歳の方、やはりニュー夜勤明けの翌々日、日勤中に倒れている。脳幹出血です。それから新東京では五十二歳、これも勤務中クモ膜下出血で倒れて六カ月後死亡です。新大阪では五十一歳の方、ニュー夜勤明けの翌々日、肝不全で死亡後発見。東京中郵も、四十七歳の方です。自宅で脳内出血で倒れて死亡です。十数時間後発見。東京小包で五十四歳、ニュー夜勤明けの翌々日、自宅で心筋梗塞で発見云々とあるわけでありまして、実はこの導入後、九三年、九四年、九五年の三年間で十八人なんですけれども、九六年で十四人の方なんですね。もうことしに入ってもあるでしょう。だから、明らかに急激にやはり死亡の方がふえていらっしゃるという問題なんですね。  それで私は、やはりこういう勤務体系に大変無理があるのではないかという問題です。もう時間がありませんので本当に残念ですけれども、夕方五時に出勤して夜中の二時間の中断を挟んで次の日の朝の九時三十分まで十六時間三十分の拘束時間ということなんですね。今までは、十六時間勤務でも仮眠時間というのが三時間ありましたけれども、今は二時間。これは、二時間では眠れないとおっしゃるのですよ。だって、横浜の集中局もそうですよ。仮眠室は階が違うのですよ。仕事が終わってからそこに行ってこうするというよりも、すぐばたんと横になるようなところが欲しいというところで休憩して寝ていらっしゃるということもあります。  そういうことで、実質二時間なんか眠れない。これは私も医者や生理学関係の研究者の方にも聞きましたけれども、二時間眠れれば回復が多少できる、人間の睡眠にレム睡眠、ノンレム睡眠があるのは御存じのとおりで、そういう点でも最低二時間眠りたいということがあるのですね。ところが、この二時間の中ではもう本当に回復はできないという問題です。  ですから、私は、最低でも三時間の仮眠時間を保障すべきだということですね。私は逓信委員になって日も浅いのですけれども、現場の痛切なお声を聞いているわけでありまして、この改善をまず第一に求めたいというふうに思うのです。どうですか。
  165. 安岡裕幸

    ○安岡説明員 ニュー夜勤の勤務条件でございますけれども、これは改めて申し上げますけれども、労働基準法等の関係法令、それから労働組合との協約、それから就業規則等で定められておりまして、郵政省はそれらを遵守しているということでございます。  それから、ニュー夜勤の導入によりまして、先ほど労働条件の話がございましたけれども、これによりまして完全週休二日制の導入ということも可能になりましたし、あるいは非番日の暦日付与とか、それから夜間労働の軽減が十六勤のときよりもかなり平均的には少なくなっている等々ございまして、私どもとしては、労働条件は相対的に改善をされているというふうに思っていまして、健康上、これが原因ということで特に問題だというふうには考えていないということでございます。  さはさりながら、私どもの方も健康管理の問題につきましては、職員に対しましては年一回定期健康診断というのをやりますけれども、このニュー夜勤の従事者については、年一回の定期の健康診断とそれから特別の健康診断をやるというようなことをやっておりますし、さらに人間ドッグを三十五歳の方については無料で受けられるということ等々いろいろ配慮しておりまして、これからもそういう健康管理の面について重々配慮してまいりたいというふうに考えています。
  166. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 健康管理を十分行うのは当然のことでありますけれども、しかし、先ほどの横浜で亡くなられた方は、年二回の健康診断でも特に異常がないというふうに出ているのですよ。だから、そういう中身ももっと検討しなければいけないのですが、私は、今こういうニュー夜勤を導入して問題がないというあなた方の認識では、これだけの問題が起きているじゃないですか、全然それは現場と合わないというふうに思います。だから、職員の命や健康と引きかえに、今こういう勤務体制で業務が行われているのだということだというふうに思うのですね。  それで、実は亡くなった方だけじゃないのですよ。倒れて一命を取りとめたというケースもたくさんあるでしょう、私は、そういう数も本当は調べたいぐらいですけれども。ことし一月十七日は、仙台中央郵便局で五十七歳の方は脳梗塞で倒れていらっしゃるのですよ。だから、これはおわかりのように、脳梗塞とか心不全とか、いわば本当に突然死ですから、いろいろな勤務のそういう過剰が影響しているということはあると思うのです。  この過酷な勤務が導入されてもう四年です。現場では大変疲れがたまっているのですね。四十代、五十代の方が特に深刻だと思います。本当に寝入ったら起きれるだろうか、奥さんがそのようにさえ思うという状況ですよね。ですから、私はやはりぜひこれは見直しを図るべきだというふうに重ねて要望しておきます。  ちょっと時間がありませんので、私は具体的な問題としてもう一つあるのですね。それは、勤務中に体調が悪くなったときへの職員の対処なんです。横浜郵中の場合はこれがうまくいかなかったのじゃないでしょうか。先ほど大臣は、手落ちはなかったと言われましたけれども、それは出勤されなかったから、出勤してくるべきときに来なかったからその後訪ねていっているだけの話なんですよ。職場の中でぐあいが悪いといったときに、帰れるかと聞いたら、帰れますと言ったら、ああそうかと帰らすのですか。これはないだろうというふうに私は思うのですね。  労働安全衛生法の二十三条、同法施行規則の六百十八条では休養室の設置が義務づけられているはずであります。同法七十一条の二では努力規定とされている休憩室はありました。また、仮眠室もありました。しかし、それと別に休養室というのは必要なんじゃないですか。私ども横浜に伺ったときにも、休養室はどこかと伺いましたら、医務室を案内されるのですよ。その医務室はかぎがかかっていました。職場でこういう勤務体制でぐあいが悪くなるということはあり得ることでしょう。どこへ行って休むのですか。ちょっと答えてください。
  167. 安岡裕幸

    ○安岡説明員 ただいまちょっと申し上げましたけれども、ニュー夜勤というのはあくまでも夜間帯における勤務の形でございます。そこは、仕事をきちんと回していこうという中で、仮眠を、一種の勤務時間の解放という格好で仮眠をとっていこうという趣旨でございまして、その辺のところは今後ともその中で考えていかなければいかぬと思いますし、職場の中でいろいろな、これは別に集中局だけじゃなくて、健康上突然ぐあいが悪くなるというケースというのは当然あるわけでございますけれども、そういったことについては、私ども当然管理する責任として、直ちに救急車等を手配して、職員の安全確保に努めるというようなこともやっていくことをこれからまた徹底しなければいかぬと思っています。  今回のときに、仮眠しているときに、仮眠を妨げないという意味でカーテンを閉めているのですね。勤務を離れているという意味がありましたので、勤務を離れた人が例えば仮眠室を仮に利用するといった場合に、管理の体制としましてそういうことを把握していこうということで、少しそういう面での配慮を考えていきたいな、こんなふうに思っています。
  168. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 今御答弁のようなことは、それは配慮としてはあってもいいのですが、しかし、私は現場に伺って現場からもお聞きしましたけれども、仮眠室では休んでいる風が見られないのですよ、実は。仮眠室というのは使われていないということがわかりました。だから、カーテンを閉めているとかなんとか言われますけれども、そこでは休んでいないのですよ。そこに行くよりも同じフロアの休憩室で横になっている方が楽というか、そういう使い方しかできないということでして、だから仮眠室をもって休養室だなんて言ったらとんでもないですよ。法律をあなた方はちゃんと守っていないじゃないですか。  だから、ニュー夜勤という、こういう過酷な勤務を導入しているのですから、休養室は絶対つくりなさい。どうですか。それはやはりつくると約束しないと、本当にこれから現場は大変だというふうに思うのですね。これはぜひ、大臣いかがですか。  もう一つ、私はこの「郵政研究」も見ましたけれども、これも驚きました。郵便局職員の意識調査の結果が発表になっておりますけれども、疲労感ですけれども、毎日疲れを感じる、または時々疲れを感じるという職員が八五%と出ているのですね。これは一般の職場がそうです。さらにこのニュー夜勤というのはもっとひどい、という点で言うと、大変な職場になっているのじゃないかというふうに思います。ちょっと時間がありませんので、一言、大臣お願いします。
  169. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 先ほどから人事部長が答弁申し上げておるとおりでありますが、このニュー夜勤制度は何も我々当局側が一方的に組合に、職員に押しつけたものではないわけです。ちゃんと全逓労働組合、全郵政労働組合と十分話し合いをして、そしてお互いの理解の上でこれは今進めておるものであります。したがって、先ほど申しましたように、週休二日がぴしゃっととれる、非番の日がぴしゃっととれる、今の方がいいと大部分職員がおっしゃるから、もし変えたいのであれば組合の方から勤務体制は変えてほしい、こういうことが要求されてこなければ何とも私の方で一方的に変えられるものではない、こういうように思います。  また、休養室の問題については、そういう病気が出たときに仮の、休養室というのが必要なのかどうか、その辺はその職場職場によってよく検討をしてもらうし、御指摘のように仮眠室がほとんど使われていないのであれば、その近くをまた一部休養室にすることも考えられぬことじゃないわけですから、その辺それぞれの職場で前向きに検討していただくようにまた労働組合の方とも相談したい、こう思います。
  170. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 組合の方というか、労働者の方から要求が出ていないというのは全然違うと思います。郵産労という組合は中央交渉どもしていまして、その中では、やはり十四勤ということも可能ではないかという何か政府側の答弁もあるようですよ。ですから、要求は強く出ていますよ。それはちゃんとまともに受けとめていただきたいというふうに思います。  時間がありませんので、私は最後に具体的な問題で一つお尋ねいたしますが、私は大阪なんですけれども、ちょっとこれは名前を出しますが、大阪の貯金事務センターがございまして、郵政省全体が今非常勤職員を大変採用しておりますけれども、ここのパート職員の待遇問題なんですね。本当に正規職員との差が非常にはっきりしておりまして、このままでいいのかという問題なんです。  私は、これは具体の問題であると同時に、やはり非常勤職員の全体の問題でもあるというふうに思うものですから質問したいと思うのです。例えば、やはり休養室が使えない、それから食堂が狭い、作業着の支給がないだとか、更衣室もないとか、お茶が飲ませてもらえないとか、いすも机もない、原簿庫の中でちょっといすに座っているだとか、こういうことがあるのですね。こういうことを国の機関としておいでおいていいのかという問題で、きょうは私はパート職員について、ちょっと労働省にも来ていただいています。こういう状態をどう見るのかという点でちょっと伺いたいと思います。
  171. 草野隆彦

    ○草野説明員 お答えいたします。  休憩室や更衣室についての扱いでございますが、これは短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律、通称パート法と言っておりますが、この三条一項におきまして、事業主の責務といたしまして、短時間労働者について、その就業の実態、通常の労働者との均衡などを考慮して、福利厚生の充実などを図るために必要な措置を講ずるよう努めるというふうにされております。  また、この法律を受けまして、労働大臣が指針を定めておりまして、その指針の中におきましては、福利厚生施設の利用については、「短時間労働者に対して通常の労働者と同様の取扱いをするように努めるものとする。」というふうになっております。この福利厚生施設の中に、休憩室や更衣室も含まれるというふうに解釈しておるところでございます。  ただ、このパートタイム労働法は、いわゆる公務員については適用のない、民間労働者を対象とした法律ということになっておるわけでございます。  以上が、法律的な制度でございます。
  172. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私は、パート労働者の問題ということでちょっと取り上げましたのは、やはりこの点でも女性労働者が多いでしょう。  これは、労働省の婦人少年局長発の一九七〇年「女子パートタイム雇用に関する対策の推進について」というのを引っ張り出してみたのですけれども、本当に、労働時間が違うだけであって、雇用形態が違うというだけであって、それ以外ではフルタイムの労働者と変わるところはないということですよね。  だから、国が適用除外と言うのは、国がそんなことをやらないのは当然だということで言っているだけであって、私は、ここの中でもありますように、パートタイマーを法の適用除外に置かれているかのごとく誤った考え方がありますから、やはり国として、こういうことはもう直ちに是正をすべきだということを強く求めたいというふうに思うのですね。  そして、大臣もこの所信表明では、活力ある職場づくりに特に力を入れたいという一項もございましたので、私は、こういう今の実態、実はきょうは、一私は「郵便局のヒミツ」もちょっと読んで、営業活動の問題などにも触れたかったのですが、もう時間がなくなりまして、公務労働者として、郵政職員の誇りを傷つけるような実態が一部にあるのではないかという点は大変懸念をしているところでして、ぜひこの問題の是正と改善は至急やっていただきたいということで、ちょっと最後に大臣に御答弁いただいて、終わりたいと思います。
  173. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 御指摘の非常勤職員については、現在、職員全体に占める割合が二割となっておりますが、郵政事業の効率的な運営を図るためには、今後とも積極的にその活用を図っていく必要がある、こういうふうに思っております。  非常勤職員については、本務者と必ずしも同じ扱いとすることができない面もあることはもう御承知いただかなければならないと思いますが、生き生きとした職場づくりは、事業にとって重要な課題でございます。  非常勤職員もともに快く働けるような、そしてまた、その福利厚生面の充実を初めとする職場環境の整備についても今後とも努めてまいりたいと思います。
  174. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 終わります。ありがとうございました。
  175. 木村義雄

    木村委員長 横光克彦君。
  176. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  質問させていただきます。同僚議員の質問と多々重複するところはあろうかと思いますが、確認という意味で御理解をいただきたいと思います。  同僚議員の質問の中で、行政改革、あるいはまた郵政事業経営形態のあり方等の質問がございましたが、私も、まずそこのところから質問させていただきたいと思います。  行政改革行政改革と、行革という言葉があらしのように吹き荒れているわけでございますが、もちろん私、行政改革を否定するものではございませんし、むしろ、今こそ行政改革は積極的に取り組むべき課題である、このような認識の上に立つ一人でございます。  ただ、そうはいっても、やみくもにあらゆる分野行政改革をやればいいのか。あるいは慎重に進めなければいけない部門もあるのではないか。そういったことも同時に論議する必要があろうかと思っております。  かつて、政治改革という大変な大きなあらしが吹き荒れたわけでございますが、そのときに、政治改革に反対の声を上げた議員は、守旧派であるというレッテルを張られたというようなことがございまして、結果的には、政治改革は、私たちが本来望んでいた政治改革とはかなり違った形の改革でしがなかった、できなかったという苦い経験もあるわけですね。そういった意味で、この行革という潮流に安易に乗ることによって大変取り返しのつかないことになるおそれもある、そういった心配もあるわけでございます。  郵政事業経営形態のあり方がどうあるべきか。これはもう一に、国民の利益になるものは何かというところから私は決められるべきだと思うのですよ。ところが、現在の経営形態のあり方の論議の中には、国民の利益という観点の分析が欠けているように私は思う。国民の声が無視されているのじゃないかという気がいたしております。  先ほどから大臣がお答えになられておりますように、国民の中から、現行の形態を変えよとか、あるいは変更せよとかいう声が出ているとは思えないと大臣もおっしゃられておりますし、今の形態が国民にとっては大事なんだというお答えもいただいております 私も同感でございます。  民営化、民営化という提唱の声は、私は国民の声とは思えませんし、これは国民の声と違ったところから出ているわけですね。郵政事業は、全国津々浦々にわたって三事業が一体になって運営しているところに国民にとって大変大きな経済的利益がある、このように考えております。  そういった中で、この三事業郵便貯金保険、これは一見して共通性がないように思えますが、私は決してそうではない。ナショナルミニマム、シビルミニマム、いわゆる国民あるいは市民として、最小限享受すべき利便という点では、全く共通項でございます。  郵便は、とりわけ、先ほどからお話がございましたように、全国一律でございます。そしてまた、物にそれぞれの人の意思を表示して、そして現物がそのまま届けられるという、本当に大昔からの伝達方式であり、まさに、素朴な、基本的な通信事業として国民に利便を図っている、私はこのように思っております。  また、貯金もそうですよね。本当に、日常の財布がわりとして、いざというときに必要なまとまったお金を預け入れ、そして、それを有利に安全に運営することによって国民の利便を図っている。  さらに、保険は、当然のごとく、生命、身体の安全という、保障サービスという点で利便を図っている。  このように、この三つの事業は、私は、それぞれ国民生活の中に深く密着して、大変に利用をされていると思っているわけでございます。  二万四千六百という郵便局が、全国津々浦々にわたって、ナショナルミニマム、シビルミニマムの主要なものを提供する組織であり、建物である、そういうふうに位置づけることができると思うわけでございます。本当に、国民にとっては大変期待されているところが大きい、このように受けとめております。  そういったサービスの中で、一つ例を挙げてみたいと思うのですが、「郵政研究」という小冊子があるのですが、これのことしの一月号の巻頭にこういった文章が載っているのでちょっと読ませていただきます。   一九九六年五月十四日の「朝日新聞」の「声」欄に神奈川県川崎市の主婦Mさんの「独居の母結ぶ郵便局員さん」と題する投書が掲載されていた。内容は、大分県の田舎に 実は、私、大分県の選出でございます。  大分県の田舎に一人で生活している年老いたお母さんに地元の郵便局員が配達ばかりでなく、投函などにも便宜をはからい、親切にしてくれていることへの感謝の気持ちを述べたものであった。  Mさんは「母からは何度も郵便局の方の優しさを電話で聞かされました。」と述べ、「これからも「ばあちゃん、元気にしてる」という声をかけていただければ本当にうれしいです。」 こういうふうに結ばれているわけでございますが、これはかつて全逓の大分地区がいわゆる触れ合い郵便というアイデアを出したわけで、それがこういった形になって親しまれ、喜ばれているのではなかろうかと私は思っております。今では省の施策として、各自治体調整しながら全国的に拡大していると私はお聞きしているわけでございます。  こういったサービスのほかにも郵政省ではいろいろなサービスが行われているわけですが、その中で福祉サービス、これは一体どういったものが現在行われているか、ちょっと説明していただきたいと思います。
  177. 内海善雄

    内海政府委員 郵便関係事業で福祉的なサービスというものは、従来からの盲人の方への郵便物を無料扱いにしましたり、あるいは心身障害者、聴覚障害者用の書籍小包の料金を減免するようなサービス、それから天災その他非常災害があった場合の救助用郵便物の料金免除だとかあるいは被災者自身の郵便物の料金免除、こういうようなものをやってまいりました。それから、先生おっしゃいました過疎地域における郵便配達時の高齢者への励まし、声かけ運動もかなりの地域でやっているのが現状でございます。
  178. 横光克彦

    ○横光委員 そういった形で、大変国民の皆様方助かっている部分が多いわけですが、もし仮に民営ということになれば、こういった福祉サービス、とりわけ過疎あるいは僻地の人たちにとってこういったサービス事業がそのまま維持されるかどうか非常に心配されるのですが、郵政省はどういうふうにお考えですか。
  179. 内海善雄

    内海政府委員 民間企業の行動原理というものは、私ども承知している限りでは、やはり利益を追求していくというのが行動原理でございますので、先生お尋ねのこの福祉サービスに限らず、もっとその前の段階で、郵便の場合は先ほどからいろいろ御議論ございますユニバーサルサービス全国津々浦々ヘサービスをする、これはもうコストに関係なく均一料金でサービスをするということでございますから、これを利益追求という形で経営するならば、そのユニバーサルサービスの維持すらできない。ましてや福祉的なサービスをやっていくというのは民間企業の経営理念とは非常に相入れないものであるというふうに考えております。
  180. 横光克彦

    ○横光委員 これは仮定の話ですからそうでしょうけれども、恐らく私もそうだと思います。やはり公的機関であるからこそこういった全国津々浦々にサービスできるのだろう。そしてまた、先ほど言いましたように、この経営形態のあり方というのは、国民の利益はどこにあるのかということを考えたときに、もし民営化になったら企業の利益はどこにあるのかということにウエートが置かれてしまうんじゃないか、そのような気がいたしております。  このように、国民生活に深く密着して国民の支持も受けているわけで、そういった事業経営形態のあり方を問う声もまた一方にはあるわけでございます。このことに対しまして郵政省のお考えをお聞かせください。
  181. 天野定功

    ○天野政府委員 本委員会では午前中から郵政事業につきまして民営化等の御議論もあったわけでございまして、多少繰り返しになるかもしれませんが、改めてもう一度整理して申し上げますと、郵政事業は、独立採算のもとに、税金から補てんは一切受けずに健全な経営を維持しております。また、採算地域、不採算地域を問わず、全国すべての市町村に設置されました二万四千六百の郵便局を通じまして、郵便貯金保険のみならず年金支払い等の公的な窓口業務を含めまして、国民の日常生活に欠くことのできないサービス国民にあまねく公平に提供するということを使命としているところでございます。  さらに近年におきましては、社会的な弱者の方々にとりまして利用しやすいような各種の福祉関連サービスども提供しているところでございまして、このような郵政事業サービスにつきましては、これまでの長い歴史の中で国民の暮らしの中に定着しまして、今日では国民の多くの方から高い信頼を得ているものと考えているところでございます。  一方、郵便貯金や簡易保険で集められました資金は、民間では提供困難な長期、低利の資金としまして効率的、安定的に供給して、財政投融資という仕組みを通じまして社会資本の整備や国民生活の向上に貢献しているわけであります。  以上の郵政事業の公共的な使命とか役割といいますものは、今後とも維持されるべきであると考えておりまして、郵政事業の現行の国営・非営利の経営形態は最も国民の利益にかなうものと私どもは考えております。
  182. 横光克彦

    ○横光委員 行政改革の中で、財政の支出の削減という観点から、公務員削減の声もあるわけですね。郵政事業職員の皆様方は、今お話にございましたように独立採算制でやられている、税金によって賄われているわけではないわけですね。ところが、このことを意外と国民の皆様方は知らないのですね。やはり国家公務員であるということで、税金で郵便局人たちは給与をもらっているというふうに思っている方が多い。  今こういった民営化という逆風が来れば、それに立ち向かっていくためには守るだけではなくて、私はある程度攻撃すべきだ、要するに、こういったことをもっと国民に知りていただく、こういったことも必要ではなかろうかと思うのですが、その点どうお考えでしょうか。
  183. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 これは今委員が御指摘のとおりでありまして、我々郵政当局が悪い。いま少しこうしたPRをしっかりやっておればこれはよかったわけですが、私が着任しましたから、今度は必ず国民の皆さんに税金は一円も使っていないということをしっかり宣伝をいたしまして、昔のJRみたいにみんな考えでおられるものだから変な意見が出てきておると思います。  そして、おもしろいことにこういう、先週の金曜日にある新聞が出ました。民営化なら二十三兆円金が成る、そのときに郵政特会は十兆七千億の収入になると出たから、加藤寛先生は余計なことを書いたものだと思って私はびっくりしたのですが、ところが、これは二年前にやはり加藤寛先生が出した試算なんです。二年前のある新聞が出したものですよ。ある新聞が出したものをそれをそのまま出して、そしてこういう新聞を出して、これを売れば二十兆円の売り上げができる、こんなことを、私はマスコミの良識を今度は疑いたい。何でわざわざ、自分で試算した記事ならいざ知らず二年前のよその新聞の記事を出して、そしてこれでやはり私自身が惑ったわけですから、だから私は、役所に対して一体これはどうしたことかと言ったら、いや、これは二年前の記事ですよと。  だから、こういうことになると、いかにもそういう立場で宣伝されるといけませんので、我々は、そういう独立採算でやっておる優良企業であるということについて、これから努力をさせていただきます。
  184. 横光克彦

    ○横光委員 本当に力強い積極的なお言葉、大事なことだと思うんですね。これから国民にもっともっとそういったことを理解していただくということは非常に大事なことだと思います。ぜひ御努力をお願いしたいと思います。  実は、ドイツでは九五年に三分割されて、二万あった郵便局が一万七千になって、三千の郵便局は大体地方郵便局がなくなっていって、大変な問題になっているということをお聞きしておりますが、それ以外にも、諸外国でこの郵政事業を分離分割あるいは民営化した例と、その際の、国民にとってどのような弊害が起きているのか、もし実例がございましたら御説明ください。
  185. 天野定功

    ○天野政府委員 お尋ねの諸外国の実例でございますが、近年、今先生指摘のドイツそれからニュージーランドにおきましても、もともと一体で経営されておりました郵便貯金それから電気通信の業務を分離しまして、特殊会社化するなどの経営形態を変更したところがございます。  しかしながら、これらの国におきます経営形態の変更の背景を見ますと、経営が赤字続きである、あるいはサービスの質の問題などがありまして、現在の私どもの独立採算経営のもとでやっております、しかもサービスに対する国民の評価が極めて高い我が国郵政事業とは、その背景や事情が非常に異なるというふうに私ども見ております。  なお、これらの国におきましては、経営形態の変更の結果、郵便局の削減など国民に対するサービスの低下が見られるところでございます。
  186. 横光克彦

    ○横光委員 やはり今のような諸外国の先例もあるわけで、そういったことをむしろ私たちは教訓にしていくべきだ、このように思います。  いずれにせよ、やがて二十一世紀でございます。この新世紀に向けて郵政省郵便局におけるサービスあり方を考えておられるわけで、郵政審議会にも諮問されたと聞いておりますが、大臣に、どうぞ、これからのサービスあり方についてどのようにお考えになっておられるか、最後にお聞かせください。
  187. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 これまでたびたびお答え申し上げておりますのであるいは重複するかと存じますが、先般郵政審議会に、「二十一世紀を展望した郵便局ネットワーク及びそのサービスの在り方並びにその実現のために講ずべき方策について」と、非常に長たらしくなっておりますが、こうした議題をもって御諮問を申し上げたところであります。  何といっても、全国津々浦々二万四千六百のネットワークを生かしながら、そして郵便貯金保険サービスを提供することはもちろんでありますが、国庫金の受け払い、あるいは各種年金恩給等支払いなどを行うなど、地域における最も身近な国の窓口機関として今日までも広く親しまれ、また信頼されておるわけであります。こうした評価を大事にしながら、これからも進めてまいりたいと存じます。  また、先ほど官房長からも答弁申し上げ、先生から御指摘いただきました諸外国の問題も、やはり私は、過疎になればなるほど郵便局に期待するところ、一番大きいわけでありますので、この点のサービスという郵便局あり方も十分踏まえて、私どもは、今後少子・高齢化でますます環境変化が起こってまいると思いますが、これに対応できるように、さらに重要な課題として今後取り組んでいきます。  さらにまた、郵便局は、今こういう高度情報化と言われながらも、なかなか我々の農村地帯、特に過疎地帯になりますとその恩恵は受けられないわけでありますから、私どもは、郵便局がマルチメディアの先端を行くそうしたサービスを提供できるような方向で、今後鋭意検討を進めてまいりたいと存じます。  今後、審議会の御答申をいただいたところで、さらに充実した郵政行政を展開していきたい、こういうように思っております。
  188. 横光克彦

    ○横光委員 全国各地で郵便局が、今大臣のお話ございましたように、高齢化の時代あるいは情報化の時代の要請に十分こたえながら頑張っていただきますことを期待しまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  189. 木村義雄

  190. 小坂憲次

    ○小坂委員 太陽党の小坂憲次でございます。  きょうは大臣所信に対する質疑ということでございますが、三つほど通告をいたしておりますが、持ち時間が短いものでございますから、できるだけ手短に御回答いただけたら幸いに存じます。  まず最初に、在ぺルー日本大使公邸人質事件に関連して、テレビ朝日記者の取材活動がございましたが、その中での疑問点について若干お尋ねをいたしたいと存じます。  質問に先立ちまして、大臣にお伺いいたしたいと存じます。  郵政大臣が放送事業者に対して持っている指導監督権限といいますか、そういうものはどういう範囲であるというふうに御理解をされているかということをまずもってお伺いしたいのです。電気通信事業法、放送法等にいろいろ記載はございますけれども、どういう範囲というのはなかなか明確じゃないのですね。  放送法の規定によりますと、その「目的」の中に、「目的」の第一条の第三号は「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」と放送の目的を書いてございます。  大臣、いかがでしょう、どの範囲、どういうことについて郵政省は、電気通信事業者、第一種通信事業者、放送会社ですね、放送局のようなものを監督されているとお考えでしょうか。
  191. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま小坂委員から御指摘ありました件は、今回のぺルー事件は放送法には触れないというような解釈のようであります。したがって、大臣の権限というか、その放送行政に対する監督権というか、この問題についてはちょっと私も十分理解をいたしておりませんので、放送行政局長から答弁をさせます。
  192. 楠田修司

    ○楠田政府委員 まず、放送に関してでありますけれども郵政省としては放送法を所管しております。  放送法では、第一条で放送の「目的」ということになっておりまして、「左に掲げる原則に従って、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。」記でありますが、一つは「放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。」それから二つ目が「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。」それから三つ目が、先生今御指摘の「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資する」こういうふうに書いてあるわけであります。  一つ目は、放送の普及が最大限でありますから、NHKであるとか民放にできるだけ放送を普及していただきたいということを我々日ごろからやっておるわけであります。  それから、放送の不偏不党でありますが、これはどちらかといいますと、放送会社に対して不偏不党及び真実、自律を国が保障する、むしろ放送会社にそれを保障するという、放送の自由といいますか、そういうものを、表現の自由を保障するという立場でできている、こういうことであります。  その中で、放送法の三条におきまして放送の番組編集の自由があり、それから三条の二におきまして、しかしながら公序良俗であるとか政治的公平であるとか報道の真実、こういうことは守らなくてはならないというのが一方ある。こういう意味での郵政省の監督といいますか権限はある。  それから、職員の職責というのは、これはどちらかといいますと、由来からいきますと、NHKは公共放送でありますから、NHKの職員の職責が放送法ではたくさん書かれておる、こういうように私は承知しております。
  193. 小坂憲次

    ○小坂委員 私がお聞きしたがったのは、具体的に放送の目的とかなんとかではなくて、放送法の中には主にNHKの項目が多くて、いわゆる民放と呼ばれる事業者がいろいろな活動をする中で、どういうことを郵政省が監督する必要があるのかなというのがなかなか明確じゃないのですね。  ですから、もっと具体的にお聞きしたいのですが、営業活動の範囲とかそういうものについても、これはどこへ行ってもいいわけじゃないですね。国内放送事業者が外国へ行っていろいろな営業をする、そういうものもいろいろ見られるでしょうし、取材活動についても、何でもかんでも取材の自由があるからといってほっておくわけじゃないと思うのですね。それはそれなりに、どういうことをやって、どういう番組になっているか、番組の内容については一切監督はされないでしょうけれども目的に沿った中で、認可した事業者がどういう活動をしているかについては、やはり郵政省には監督指導の権限とともに義務があると思うのでありますが、具体的に、要するに取材の範囲とかそういうことについては一切ノーコメントなんでしょうか。
  194. 楠田修司

    ○楠田政府委員 放送法におきましては、番組基準とか、番組のことにつきましては先ほども申し上げましたように規律がございますが、取材活動、営業活動等については一切規定はございません。
  195. 小坂憲次

    ○小坂委員 その規定がないことが私は問題だと思っているのですよ。ですから、郵政省は、それでは放送事業者に対して全く指導監督は行えないのでしょうか、するとしたらどういうことでしょうか、お答えください。
  196. 楠田修司

    ○楠田政府委員 郵政省が放送事業者について指導できますのは、番組準則、番組基準に関する問題、それから番組審議会に関する問題、こういうふうに考えておりまして、先生指摘の取材の問題あるいは会社の中の職員の問題、こういうものにつきましては、放送法では一切ノータッチという形になっております。
  197. 小坂憲次

    ○小坂委員 放送法ではとかなんとか聞いているのではなくて、郵政省として聞いているのですよ。  それでは具体的に言いましょう。放送事業者が、取材に当たってその担当記者が不法行為を働いた、これは単に警察がかかわるだけであって、郵政省は一切関係ないのですか。
  198. 楠田修司

    ○楠田政府委員 郵政省は、その問題については一切関知いたしません。ただ、もしそういう問題が放送会社の、放送の中での問題であったというような場合は放送法に関しますけれども、それ以外の、例えば刑事事件とか詐欺事件とかそういうことを起こしても、それは我々としては一切ノータッチであります。それは会社の問題であります。
  199. 小坂憲次

    ○小坂委員 もう少し聞かせてください。番組を制作するための取材活動の中で、その取材活動と一連の行動の中で疑義が生じた場合はどうですか。
  200. 楠田修司

    ○楠田政府委員 放送の規律につきましては、放送法の三条の二によります番組準則によりまして規律しておるわけでありますが、これは、基本的には、放送されたものが公安及び善良な風俗を害するとかあるいは事実を曲げているとか政治的に公平でないとかいうことが問題になりますが、取材の段階はまだ放送されておりませんので、それはこの放送法には当たらないというふうに解釈しております。
  201. 小坂憲次

    ○小坂委員 以前に、オウムに関連してTBSが取材活動を行ったけれどもその放送予定番組を放送しなかったというケースがございましたね。その際にも、郵政省は何らか発言があったと思うのですが、それに関連して、郵政省は何にも関係なかったのですか。
  202. 楠田修司

    ○楠田政府委員 TBSの事件の場合でありますが、TBSはビデオを見せていないということを番組で流したわけでありまして、番組で流したことは放送でありますから、その点で問題になったということでございます。
  203. 小坂憲次

    ○小坂委員 では、ちょっと角度を変えましょう。  今回の、ペルーで記者が公邸内に取材のために立ち入った、これは記者個人の行動と認識していますか、それとも局の関与した行動と認識していらっしゃいますか。
  204. 楠田修司

    ○楠田政府委員 認識というよりも、テレビ朝日から一月九日に協力要請したときの報告では、個人で入ったというふうに聞いたところでございます。
  205. 小坂憲次

    ○小坂委員 聞いたということで、それを信じている、こういうことですか。それとも、先ほど大臣から午前中に、テレビ朝日は信用できない、こういうお話もございましたが、これは取り消されたことですから、信用性に疑いがある、こういう訂正をされておられますが、そういう認識で、言われたけれども信頼してないのですか。
  206. 楠田修司

    ○楠田政府委員 信用するしないということにつきましては、コメントを差し控えさせていただきます。そういう事実を聞いたということは確かでございます。
  207. 小坂憲次

    ○小坂委員 その後、郵政省から私はその取材の経緯について聴取した説明書をもらっておるのですが、この中に、テレビ朝日社長を呼んで事情聴取するとともに、再発防止について協力を要請した。こういった経緯の中で、人見記者は、まずもって一月八日の日も無線機を残していってもよいかと聞いたようなんですね。そしたら、それに対してセルパの方からは、残していってもいいよと言われた。それに対して記者は、無線でテレビ朝日の現地取材本部と連絡、相談をした結果、残しておけと言われたので渡した、こうなっているのですが、これについても聞いていらっしゃるのではないですか。
  208. 楠田修司

    ○楠田政府委員 本件につきましては、午前中にも御説明申し上げましたとおり、聞いております。
  209. 小坂憲次

    ○小坂委員 こういう形で一問一答をやっていると聞いている本旨が全くわからなくなってしまうのですが、要するに、人見記者個人の行動だというよりは、これは本部にも相談して関与しているのですから、局としての認識もあったとまず考えたくなりますね  余り時間がないところで細かいやりとりをやりたくないのですけれども、それでは、この無線機はどういった無線機なんでしょうか。これは、電源等がなければ、携帯無線機であればすぐに電池が切れたりなんかするのでしょうけれども、そういうようなものがちゃんといつまでも使えるように大分準備したように思われるのですが、その点についてどうですか。
  210. 楠田修司

    ○楠田政府委員 この無線機は充電式のものでありまして、現地において調達された簡易型無線機、いわゆるウオーキートーキーというものであると聞いております。大体交信範囲が二キロメートルぐらいのものでございます。
  211. 小坂憲次

    ○小坂委員 そうすると、充電器も渡しておかなければこれはだめだったのだから、きっと充電器も用意して渡したのでしょうね。そして、その後たびたび交信をして、局を通じて家族にその内容を伝えていますね。したがって、これはそういうことも踏まえて持ち込んだのかなと、わかりません、事実は、聞いてみなければ。大臣も、どうもこういう報告がなくてわからぬで、放送法の規定にないから全然調べられぬのだ、郵政省はこけにされた、こうはっきりおっしゃっているわけでございます。  そういう観点からすると、やはり責任ある立場の方に、この委員会に来ていただいて参考人としてその事情を教えていただいた方がわかりやすいかなと思います。そんな点から、テレビ朝日の責任ある立場の方にこちらに来ていただいて、また理事会等でどういう方についてかは御相談をしたいと思いますが、そういう方に来ていただいて参考人として意見を聞く必要がある、こういう認識でありますので、委員長にお取り計らいをお願いいたします。
  212. 木村義雄

    木村委員長 理事会において後ほど協議いたします。
  213. 小坂憲次

    ○小坂委員 次の問題に行きます。  それでは、少し大きな視点から、郵便が社会に果たす役割ということをちょっと一言やってみたいのです。  郵便事業は、全国一律の均質、公平かつ安価なサービスの提供によりまして、我が国経済の発展はもとより、政治、芸術、文化の向上、普及発展に非常に大きな役割を果たして国民生活を支えてきたと私は認識をいたしております。  近年、電気通信技術の飛躍的な発展によりまして、コミュニケーション手段も多様化しましてそしてファクスの普及やインターネットなど、マルチメディアコミュニケーション手段の登場によって、より低廉な通信手段も利用可能となってまいりました。そんな意味で、郵便、封書あるいは印刷物、こういうふうに送る場合も、封書であれば八十円、しかしファクスであれば電話代プラス紙代、減価償却も入れてもそんなに高くないですね。安い手段も出てきたのですよ。  しかし、多数のページを持ったものとか保存を必要とするようなもの、こういう印刷物、あるいは広範な範囲に同時に読んでもらうために配布をしなければいかぬ、何万部というようなものですね、こういうものは郵便で送るのがやはり適しているのですね。そういう意味で、今後とも郵便の必要性というのは非常に高まっていくのだろう、決してマルチメディアが普及すると郵便事業というのは衰退してしまうものじゃないと思っているのですよ。  そんな観点からお話をするのですが、もう一方で申し上げますと、我が国の急速な高齢化と多様化した社会構造を支えるためには、いわゆるNPOとかNGOとか言われる民間の活力をもっと社会構造の中に取り込んでいって、そして、お互いに助け合う構造の中で二十一世紀の明るい社会づくりをしていかなければいかぬ、こう思っているのです。  そういう観点で考えますと、このNGOとかNPOは、必ず有料購読だけを前提として物を配っているわけではないのですね。無料で配布する印刷物も多いのですよ。ところが、たくさんの人に読んでもらいたいと思ったときに、これは郵便料を負担してもらうのはなかなか大変ですね。  第三種郵便というのがございますが、これは、日本の文化、政治、経済、それぞれの向上、普及発展を目的として購読者の負担軽減のために安い料金を設定したんですね。ところが、この第三種郵便という規定の中に、その構成要件の中には、定価を付したものと書いてあるのですよ。購読するのに有料でないとこれが使えないようになっているのです。  この点どうですか。この定価を付してという部分を削除して、こういったNPO、NGOの活動を支援するような枠組みをつくっていただきたいのですが、いかがでしょうか。
  214. 内海善雄

    内海政府委員 先生から郵便事業に対する力強い御支援を賜りまして、大変ありがとうございます。  近代国家の建設というのは本当に郵便事業から始まった、全国均一料金で基本的な通信手段を提供するということから始まったと私どもも思っておりますし、これからもますますその役割というのは重大なのではないかなというふうに認識しているところでございます。  無料で配布するような刊行物についても第三種郵便物のような制度をというお話なんですが、無料で刊行するというものは、いろいろないいものもあるのでしょうが、差出人が一方的に無料で送りつけるという、こういう性格のものでございますので、一般的には受取人が必ずしもそれを必要としているというわけではないし、さらにまた、無料のものでございますから、経費的にもさしたる経費、だれがそれを、郵送料を負担するかとかいろいろあるかもしれませんが、経費的には大したものでない。  そういうことになりますと、一般の郵便利用者の負担でもって料金を軽くするという話でございますので、先生おっしゃるような無料で配布される刊行物にまでそういうふうな料金を安くする施策というのはいかがなものかなというふうに考えているところでございます。
  215. 小坂憲次

    ○小坂委員 それも一つのお考えかもしれませんが、第三種の規定は、有料購読者に送るという意味じゃないのですよ、これは。その書物が、印刷物があまねく多くの人に読んでもらいやすいように購読者の負担を軽減するのですよ。その端的な例は、新聞は第三種ですね。とっている新聞、ありますね。その新聞、例えば百十円で購入しますね。自分が読み終わった後に自分の友人にそれを渡したい、読ませたい。これに帯封をして第三種扱いを申請したらどうなりますか。
  216. 内海善雄

    内海政府委員 大変難しい御質問をいただいたのですが、第三種扱いになるということでございます。
  217. 小坂憲次

    ○小坂委員 そのように、要するに第三種になるための要件は、そのものを有料で買ったかどうかじゃないのですよ。要するに、その印刷物の内容を、文化、芸術あるいは政治、経済、日本のそういったものの発展のためにあまねく読ませたい、そのことが日本社会の発展につながると思うから郵政事業の中で割引をすることにしたのですよ。  ですから、そういう観点も踏まえて、このNGO、NPOの活動が活発になる時代に、支援策の一つとしてぜひともそういうことも考えてください。これは何でもかんでもオーケーになるわけじゃない、組織内の通信事項を主たるものとしたものは最初から要件から外れてしまうのですから。そういうことも考えて、前向きに御対処いただくように心からお願いをして、最後にこの点について大臣から言いただいて終わりにいたしたいと思います。
  218. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 新しい提案でありますので、これから十分検討をさせていただきたいと思います。
  219. 小坂憲次

    ○小坂委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  220. 木村義雄

    木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十七分散会