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1997-06-12 第140回国会 衆議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十二日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 穂積 良行君    理事 谷  洋一君 理事 平林 鴻三君    理事 宮路 和明君 理事 山本 公一君    理事 古賀 一成君 理事 富田 茂之君    理事 田中  甲君 理事 穀田 恵二君       石橋 一弥君    久野統一郎君       下村 博文君    滝   実君       中野 正志君    西川 公也君       西田  司君    持永 和見君       今井  宏君    川端 達夫君       白保 台一君    福留 泰蔵君       松崎 公昭君    鰐淵 俊之君       葉山  峻君    古川 元久君       春名 直章君    畠山健治郎君  出席政府委員         地方分権推進委         員会事務局長  東田 親司君         自治政務次官  久野統一郎君         自治大臣官房長 谷合 靖夫君         自治省行政局長 松本 英昭君  委員外出席者         参  考  人         (地方分権推進         委員会委員長) 諸井  虔君         参  考  人         (地方分権推進         委員会委員長代         理)         (地方行政体制         等検討グループ         座長)     堀江  湛君         参  考  人         (地方分権推進         委員会委員)         (行政関係検討         グループ座長) 西尾  勝君         参  考  人         (地方分権推進         委員会専門委         員)         (補助金税財         源検討グループ         座長)     神野 直彦君         地方行政委員会         調査室長    黒沢  宥君     ――――――――――――― 六月十二日  北朝鮮の船による覚せい剤持ち込み問題に関す  る請願(寺前巖君紹介)(第四六七五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月十一日  自治体病院の経営安定に関する陳情書  (第四〇七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治及び地方財政に関する件(地方分権の  推進について)      ――――◇―――――
  2. 穂積良行

    穂積委員長 これより会議を開きます。  地方自治及び地方財政に関する件、特に地方分権推進について調査を進めます。  本日は、参考人として地方分権推進委員会委員長諸井虔君、地方分権推進委員会委員長代理地方行政体制等検討グループ座長堀江湛君、地方分権推進委員会委員行政関係検討グループ座長西尾勝君、地方分権推進委員会専門委員補助金税財源検討グループ座長神野直彦君に御出席をいただいております。  この際、参考人各位一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  皆様御承知のとおり、地方分権推進委員会は、平成七年七月に設置され、以後、精力的に審議を重ね、昨年十二月には第一次勧告を出され、現在、第二次勧告に向けて御努力されていることに敬意を表する次第であります。  まず、諸井参考人地方分権推進委員会におけるこれまでの審議状況等についてお述べいただきます。よろしくお願いいたします。
  3. 諸井虔

    諸井参考人 地方分権推進委員会委員長諸井でございます。  先生方には、常日ごろから地方分権につきまして格別の御支援を賜りまして、まことにありがとうございます。また本日は、当委員会地方分権推進委員会活動状況につきまして御報告する機会を与えていただきまして、感謝申し上げる次第でございます。  今、私どもの委員会三つ検討グループ中心に動いております。それできょうは、今委員長から御紹介いただきましたように、行政関係検討グループ西尾座長、それから地方行政体制等検討グループ堀江座長、それから補助金税財源検討グループ神野座長、三人の方々ともども出席をさせていただいた次第でございます。  最初に、昨年の十二月二十日に出しました第一次勧告のおさらいといいますか、要点だけをちょっと申し上げさせていただきます。  まず第一に、明治以来、我が国中央集権型行政システム中核的部分を形づくっておりました機関委任事務制度廃止をするということといたしまして、従前機関委任事務につきましては、事務自体廃止するもの、それから、原則的にはこれをいわゆる地方自治事務仮称でございますが、そういうことにする。それからなお、やはり国が直接執行するべきもの、あるいは国から地方に法定受託するべきものというふうに事務を分類をしていくということで、原則自治事務という考え方をとったわけでございます。  それから二番目には、機関委任事務制度における包括的な指揮監督権にかえまして、自治事務あるいは法定受託事務ごとに許容される国の関与、それの基本類型設定いたしまして、国は、この類型の中から必要最小限関与を行うということにしたわけでございます。  それから三番目には、地域づくり町づくり、それに福祉、教育などの暮らしづくり、これらに関する個別の行政分野につきまして、国から地方への権限移譲、国の関与廃止縮減を行うことにした、この三点が第一次勧告要点でございます。  それから、このときに同時に、補助金税財源に関する中間取りまとめ中間報告の形でこの問題についての報告を出しております。  それで、この第一、次勧告を終わりました後、ことしの一月から調査審議を再開いたしまして、おおむね週二回というペースで会合を持っております。五カ月間で、これは延べでございますが、委員会部会検討グループと百十七回の会合を重ねております。  それから、委員会審議の進め方としましては、先ほど申し上げましたように、三つ検討グループごと検討課題設定しまして、そこでまず改革に向けての試案素案等調査検討作業を進めております。親委員会と二つの部会は、検討グループとの合同会議におきまして、それらの試案につきましての審議検討を行う。そして、最終的には委員会取りまとめをして結論を出す。そして第二次勧告を出す。これは大体今、七月の上旬ごろというふうに予定をしておるわけでございます。  検討グループは、ほとんど連日のように、各省庁その他有識者等ひざ詰め談判の形でいろいろ検討、討議を続けておるところでございます。  第一の行政関係検討グループでの検討状況でございますが、ここで今一番大きな仕事になっておりますのは事務区分と国の関与の問題でございまして、機関委任事務制度廃止に伴う事務区分と国の関与整理については、第一次勧告機関委任事務のうちの約三割の整理を終えたところでございますが、例外的に法定受託事務とすべきものを除きまして原則として自治事務、そういう第一次勧告考え方を堅持しつつ、引き続き事務区分整理を進めております。  この振り分け作業は、法律の数で五百六十一と言われておりますが、一つ一つ法律の中にまた幾つもの項目もございまして、まことに膨大な数でございまして、これをできるだけ具体的に類型化していくという作業をやっております。また、それぞれの国の関与を決めていくということで、これは大変な時間を要しておるわけでございます。  それから、国と地方関係調整ルールでございますが、第一次勧告で骨格の部分を示したわけでございますが、引き続きまして、国の関与手続等基本的考え方、それから国と地方公共団体との間の紛争処理手続、特に第三者機関構成等につきまして、関係者等意見を聴取しながら具体的な検討を進めております。  地方分権推進委員会としては、自治事務法定受託事務、いずれも仮称でございますが、これの区分を行いますとともに、この調整ルールの仕組みを確立することによりまして、機関委任事務制度廃止に伴う国と地方との関係を、中央集権型の上下の関係から対等協力関係に変えていきたいというふうに考えておる次第でございます。  それから三番目には、都道府県市町村の新しい関係という問題でございまして、対等協力基本とする新たな関係を構築する、これは国と都道府県関係と同じでございまして、都道府県市町村においても対等協力基本とする新たな関係を構築するために、都道府県市町村それぞれの性格に応じた相互役割分担市町村に対する都道府県及び国の関与あり方等を明確にしていくという作業をやっておるわけでございます。  そのほかに、団体委任事務に係る国の関与。我々機関委任事務の問題をずっとやってまいりましたが、それをやってまいりますと、やはり団体委任事務に既になっておるものでもかなり厳しい国の関与のある部分があるということで、この問題は、やはり検討しませんとバランスを欠くのではないか。あるいは、市町村に対する権限移譲についての調査審議を行っております。また、地方事務官の問題につきましても、当委員会平成八年三月に示しました中間報告における論点を踏まえまして、機関委任事務制度廃止に伴う事務区分等とあわせて検討を進めております。  それから二番目の、地方行政体制等検討グループでございますが、ここではまず、地方行政改革等の問題がございます。  地方行政体制整備確立に関する課題のうち、まず地方公共団体行政改革については、厳しい財政事情のもとで一層強力に推進する必要があるというふうに考えております。このため、組織機構見直し、適正な定員管理等を行うことによりまして、簡素で効率的な行政体制を実現するための方策について検討をいたしております。  また、地方分権の実を上げるためには、これまで以上に重要となります人材の育成、あるいは国と地方地方公共団体相互の間の人材の交流、これらについても適切なあり方検討しているところでございます。  それから二番目に、広域行政の問題でございます。  住民日常生活圏等拡大あるいは行政サービス高度化専門化、これらに対応するとともに、市町村行財政能力を充実強化するために、市町村の規模の拡大能力向上が非常に重要な課題である、そして市町村自主的合併推進されるような環境整備をしなきゃならぬ、その具体的な方策あり方について検討をいたしております。  また、従来からの一部事務組合広域連合などによる広域行政も一層進める必要があるというふうに考えております。  それから三番目に、地方議会活性化の問題でございます。  地方議会につきましては、地方公共団体が多様な行政需要に的確かつ機動的に対処できるよう、自主性、主体性を拡充しその活性化を図るという観点から、議決案件拡大等議会機能強化あるいは議員定数の問題、常任委員会数あり方等について検討を進めているところでございます。  それから、その次に住民参加の問題でございますが、住民参加につきましては、地方自治活性化に資するための重要な課題であり、現行の直接請求制度の要件の見直し、あるいは住民投票あり方等について検討しているところでございます。  その次に、地方行政の公正の確保透明性向上の問題でございますが、地方公共団体行政の公正の確保透明性向上についての課題といたしましては、情報公開制度導入行政手続条例制定促進が挙げられます。いずれもすべての都道府県政令指定都市で既に導入されているほか、一般市町村でも導入が進みつつあると聞いておりますが、早急に全国的に整備する必要があるとの視点検討を進めております。  それから、必置規制整理合理化の問題でございます。  これがまた大きな項目でございますが、必置規制につきましては、地方公共団体の固有の機能である自主組織権人事管理権に対する非常に重大な制約である、そこで、それによらねばほかに方法がない場合等に限定するという観点から抜本的に見直すべきではないか、そういう基本的な考え方のもとに、第一に職員配置基準それから専任職員資格職名の義務づけ、こういったような問題、それから二番目に行政機関行政組織行政施設、これらの設置義務づけ、それから三番目に各種審議会等附属機関設置義務づけ、これらの問題について具体的な見直し検討を進めております。これも個別に各省庁といろいろ話し合いをしているところでございます。  それからもう一つ、国の地方出先機関の問題がございます。  地方分権推進によりまして国、地方を通ずる行政改革に寄与するためには、国の地方への権限移譲関与廃止縮減に伴う国の地方出先機関あり方見直しも重要でございます。フロック機関につきましては、フロック機関限りで事務が完結せず、本省との間での二重の事務負担になっておるという点、それから府県単位以下の出先機関につきましては地方公共団体との二重行政になっているのではないかといったような視点検討を進めておるところでございます。  それから三番目のグループ補助金税財源検討グループでございますが、ここでは、まず第一に国庫補助負担金整理合理化を取り上げております。  国庫補助負担金整理合理化につきましては、まず国庫補助負担金をその性格に応じまして国庫負担金国庫補助金とに区分をしまして、それぞれの区分に対応して整理合理化を進めるということを考えております。  すなわち、国庫負担金につきましては、真に国が義務的に負担を行うべきと考えられる分野広域的効果を持つ根幹的な事業に限定する一方、奨励的補助金につきましては、政府が行った地方分権大綱方針、これは平成六年十二月に閣議決定をしておられますが、その閣議決定の中で「基本的に縮減を図っていく」ということとされていることを踏まえまして、その具体的な整理合理化を進める方策について鋭意検討しているところでございます。  また、国庫補助負担金廃止縮減を行いましても、引き続き当該事務を実施することが必要な場合には、地方税あるいは地方交付税等の必要な地方一般財源確保すべきものというふうに考えております。  それから二番目に、存続する国庫補助負担金運用関与改革でございますが、例えば補助負担金を統合メニュー化する、あるいは交付金化するというようなこと、それから二番目に補助条件等適正化あるいは緩和をする、三番目に補助対象資産有効活用、特に転用でございますが、補助金等適正化法見直し等を含めて検討しているわけでございます。  それから三番目に、地方税財源充実確保の問題でございますが、自主財源である地方税充実確保のための基本的な考え方方策、それから課税自主権の尊重という観点からの地方税に関する国の関与見直し、それから地方交付税算定方法簡明化、また地方債制度運用見直し、これは認可というような点でございますが、これらについて鋭意検討を進めております。  なお、この補助金税財源の問題につきましては、六月三日に閣議決定をされました「財政構造改革推進について」、この中でも取り上げられておりまして、これとの整合性についても十分留意をしながら、分権委員会としても検討を行っていきたいというふうに考えておるわけでございます。  以上が検討グループごと検討課題審議状況でございまして、全体的に見ますと、現在、改革案作成のための最終的な詰め段階、七月上旬に出す予定でございますのでもう一月を割っておるわけでございます、そういう最終的な詰め段階に入っておるわけでございます。  最後に、一言お願いを申し上げる次第でございますが、地方分権推進は、平成五年六月の衆参両院地方分権推進に関する決議が採択されたことに始まったわけでございます。そして平成六年暮れの地方分権大綱方針閣議決定、さらに平成七年五月の地方分権推進法制定、そして当委員会の第一次勧告により、新たな段階に入ったと考えております。当委員会といたしましては、今回の地方分権推進を、我が国地方制度にとりまして、明治維新それから戦後改革、これに次ぐ第三の改革として位置づけておりまして、引き続き第二次勧告に向けて渾身の力を込めて調査審議を進めてまいる所存でございます。  この地方分権推進を実のあるものとするためには、何よりも国会における強力な御支援、御協力国民各位の御理解、御支持が必要と考えるところでございますので、切にお願いを申し上げまして、私の説明を終わりたいと存じます。  どうもありがとうございました。(拍手)
  4. 穂積良行

    穂積委員長 ありがとうございました。  以上で諸井参考人からの御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  5. 穂積良行

    穂積委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  理事会の協議により、まず私から本委員会を代表して総括的に質疑を行い、その後、委員からの質疑を行います。  まず、諸井参考人にお伺いいたします。  御説明がありましたように、第二次勧告につきましては、最終の詰めの時期が近づいているとのことでございますが、この勧告をまとめるに当たって最も御苦労をされている点は何か、また、残されている主な課題はどのようなものであるか、改めてもう一度お伺いいたします。  それでは、諸井参考人からお願いいたします。
  6. 諸井虔

    諸井参考人 お答えを申し上げます。  先ほど申し上げましたように、第二次勧告に向けての重要な課題というのは、要約しますと、第一に、従前機関委任事務制度廃止に伴う事務区分と国の関与あり方。第二に、国と地方公共団体関係調整ルール、これは第三者機関を含めたものでございます、この問題。それから第三に、国庫補助負担金整理合理化、そして地方税財源充実確保の問題。それから第四に、行政改革視点も含めた地方行政体制整備確立の問題、これは合併問題等を含みます。それから第五に、必置規制整理合理化の問題。それから第六に、地方事務官あるいは地方出先機関見直し、こういうものが重要な課題であるというふうに考えております。  そして、苦労している点ということでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、何しろ非常に膨大な量の作業でございまして、しかも、我々としては抽象的な勧告というような形でなくて、できるだけ現実に即した具体的な指針を出して、政府行動計画作成がスムーズに進むようにというふうに考えてやっておりますものですから、結果としては非常に膨大な量の仕事をそれぞれのグループがやらなくちゃならない。  そこで、一方では期限が迫っているということで、時間との競争が一番大変なところでございます。内部でも、延ばしたらというような議論もあるわけでございますが、既に委員会が発足しまして間もなく二年を経過するわけでございまして、我々が勧告を出しました後、政府行動計画をつくるのにも恐らく一年ぐらいを要すると思いますし、そのまま実行をしていかれなくちゃならぬということで、おくれればおくれるほど全体の進行がおくれていくということで、私は、この二年あたりが一つの限界ではないかと考えております。したがいまして、この残る日数、とにかく死に物狂いで頑張って、できるだけ全部まとめて出したい、こういうふうに考えております。よろしくお願いいたします。
  7. 穂積良行

    穂積委員長 ありがとうございました。  次に、西尾参考人にお伺いいたします。  地方分権を進める中で、地方公共団体と国の、役割分担が変化することに伴い、両者の円滑な関係を実現するためには、しっかりした関係調整ルールを設けることが必要であると言われておりますが、この点について、第三者機関設置問題も含め、検討状況はどうなっているか、お伺いいたします。
  8. 西尾勝

    西尾参考人 お尋ねの、国と地方公共団体との関係調整ルールにつきましては、さきの第一次勧告におきまして引き続き検討すべき課題としたところでございますので、現在、国の関与手続ルール、国と地方公共団体間の紛争処理手続紛争処理に当たる第三者機関設置構成などにつきまして、私が座長をしております行政関係検討グループ中心になって検討を進めているところでございます。  具体的には、まず国の関与手続ルールにつきましては、書面主義原則基準設定など手続の公正、透明性確保のための措置標準処理期間設定など事務処理迅速性確保のための措置などを中心検討を進めているところでございます。  また、国の関与をめぐる国と地方公共団体との間の紛争処理手続及びこれに関連して必要となります第三者機関設置につきましては、第三者機関による裁定手続やその後の裁判の仕組み、また第三者機関の位置づけ、構成などといった問題につきまして、関係省庁の御意見を初め、内閣官房内閣法制局などの御意見をお聞きしながら議論を深めているところでございます。  これからの分権型社会におきまして、国と地方公共団体との関係対等協力なものとして築かれていくためには、両者間の関係調整ルールを明らかにすることが重要だというふうに認識しておりますので、第二次勧告に向けましてより一層検討を深め、成案を取りまとめたいというふうに考えているところでございます。
  9. 穂積良行

    穂積委員長 ありがとうございました。  次に、堀江参考人にお伺いいたします。  地方分権推進するに当たっては、市町村合併など地方行政体制整備を図ることが重要ではないかと言われており、また、地方公共団体行政体制整備する上で、いわゆる必置規制や国の地方出先機関をどうするかなどが問題と思われますが、これらの検討状況はどうなっているか、お伺いいたします。
  10. 堀江湛

    堀江参考人 ただいま御質問のとおり、地方分権推進するに当たりましては、地方行政体制整備確立必置規制整理合理化あるいは国の出先機関見直し等について、これが非常に重要な問題でございますので、私が今座長をしております地方行政体制等検討グループを本年一月に委員会内に設置いたしまして、今、このグループ中心に鋭意検討を進めているところでございます。  まず第一に、地方行政体制につきましては、分権を担うにふさわしい行政体制整備確立を図るという観点から、第一に行政改革等推進、第二に広域行政推進市町村合併、第三に地方議会活性化、第四に住民参加拡大多様化、第五に行政の公正の確保透明性向上、こういった諸課題について具体的に検討を行っているところでございます。  このうち市町村合併につきましては、自主合併を積極的に推進するために、現行合併特例措置見直し等の実効ある合併促進策について検討を進めているところでございます。  また必置規制につきましては、地方公共団体自主組織権人事管理権に対する制約でもあるために、それによらなければ他に方法がない場合等に限定して、そういう見地から、職員配置基準専任資格職名等の義務づけ、行政機関組織施設等設置の義務づけ、各種審議会等附属機関設置の義務づけ、こういった諸項目について今具体的な見直しを進めているところでございます。  このほか、地方出先機関につきましても、地方公共団体事務との関係、国の関与国庫補助金との関係、この両面から具体的な見直しを進めているところでございます。  これらの課題につきまして、現在関係省庁等から意見聴取なども行い、鋭意検討を行っており、いずれも第二次勧告において取りまとめを行いたい、かように考えておるところでございます。  以上でございます。
  11. 穂積良行

    穂積委員長 ありがとうございました。  次に、神野参考人にお伺いいたします。  地方分権推進し、地方公共団体自主性自立性を強化するためには、補助金等整理合理化するとともに、その基盤となる自主的財源を確保するという見地から、国からの税源移譲を含め地方税等の充実を図ることが重要ではないかと言われておりますが、諸井参考人からの概括的な説明がございましたけれども、これについての具体的な検討状況はどうなっているか、お伺いをいたします。
  12. 神野直彦

    神野参考人 ただいま委員長から、極めて重要な論点を御指摘いただいたというふうに認識させていただいております。  昨年末に第一次勧告を発表いたしました際に、補助金税財源に関する中間取りまとめを行いまして、国と地方公共団体の財政関係見直し基本的な方向として、三つの点を指摘させていただいております。つまり、第一に国庫補助負担金整理合理化をするとともに、第二になお存続する国庫補助負担金運用関与改革を行いながら、そして第三に地方税地方交付税などの地方一般財源の充実を図っていくという三つの方向を指摘させていただいております。  先ほど委員長からも御説明をいたしましたように、国庫補助負担金整理合理化につきましては、国庫補助金国庫負担金という区別を明確にいたしまして、そういう性格に応じて整理合理化を進めていくということが必要だというふうに考えております。そうした考え方に基づきまして、地方公共団体事務として既に同化し、定着化し、そして定型化しているものにつきましては一般財源化を進め、そして国と地方公共団体との役割分担に合わせて、真に必要なものに限定していくということなどによりまして、積極的に国庫補助負担金整理合理化を進めていく必要があるというふうに考えております。  なお、財政構造改革会議の最終報告におきましても、補助金の削減や合理化の方針が決定されておりますので、これらとの整合性等も留意しながら進めていく所存でございます。  こういうふうに補助金などを整理合理化するだけでなくて、先ほども申し上げましたように、地方税地方交付税などの地方一般財源充実確保を図ることにしておりますが、地方税におきましては、地方の歳出の規模と地方税収入との乖離が現在非常に大きく存在しているわけでございまして、その格差をできるだけ縮小するという観点に立ちまして、課税自主権を尊重しながら充実確保を図っていきたいというふうに考えております。  さらに、地方交付税につきましては、財政調整機能というのは非常に重要なものでございますので、その点にかんがみまして、総額を安定的に確保しつつ、地方一般財源の充実を図っていくということが必要だというふうに考えます。その際、地方公共団体の自主的な財政運営を妨げないように、地方交付税算定方法簡明化したり、それから地方債の許可制度やその運用見直しについても検討しているところでございます。  こうしたことによりまして、財政面での地方分権の確立ということに資するように、現在第二次勧告取りまとめに向けまして精力的に審議検討を重ねておる次第でございます。
  13. 穂積良行

    穂積委員長 ありがとうございました。  最後に、諸井参考人にお伺いいたします。  地方分権推進する上で画期的な役割を果たすこととなると思われます第二次勧告に向けて、報道によれば、特に関係省庁との調整に大変御苦労なさっているやに伺っておりますが、これらも含めまして、委員長の御決意のほどを最後にお伺いいたします。
  14. 諸井虔

    諸井参考人 ありがとうございます。  この関係省庁との調整でございますけれども、私どもは、先ほど申しましたように、勧告で非常に抽象論的な形ではなくて、やはりなるべく具体的にきちんとした勧告をしていきたいというふうに考えております。したがいまして、中央省庁から出てくるいろいろな疑問とか問題点の指摘に対してはやはり誠実に対応して、説明できるものは説明し、あるいは彼らの言い分が正しいところはこちらもそれをのみ込んでいくというふうな形でやっていくべきではないか、そのことがまた、実際に政府行動計画をつくって地方分権を進めていかれるそのプロセスをスムーズに進める非常に重要なポイントではないかというふうに考えております。  したがいまして、先ほど申しましたように、確かに量的には大変な時間を要するものでございますが、やはりここは何としても克服していかなければならぬ。ただ、エゴとか組織防衛のような話は、これはやはりきちんと排除していかなくてはならぬというふうに考えておるわけでございます。  決意のほどということでございますが、先ほど申しましたように、これは第三の改革というふうに我々は考えております。ここをきちんとやりませんと、二十一世紀にわたっての日本の地方の体制というものができないのじゃないか。さらに、今現在の内閣あるいは国会が進めておられます大きな日本の構造改革、これの非常に重要な一環であるというふうに認識をしております。できる限りの力を尽くしまして第二次勧告をまとめてまいりたいと思っております。何分よろしくお願いいたします。
  15. 穂積良行

    穂積委員長 ありがとうございました。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。滝実君。
  16. 滝実

    ○滝委員 自由民主党の滝実でございます。  参考人の四人の先生方には、質疑の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。時間が限られておりますので、早速具体的な問題について順次質問させていただきたいと存じます。  まず、神野参考人にお尋ねをさせていただきます。  国庫補助負担金整理合理化の問題、これにつきましてはただいまも神野参考人からお話がございました。どちらかといいますと、補助金負担金の問題は、いわば古くて新しい、地方自治にとっては永遠の課題のようなところがあるのでございますけれども、当初に諸井参考人がお述べになりましたように、今回の改革は、明治維新あるいは太平洋戦争直後、それに今回と、第三次の改革だという大変強い決意のもとに臨まれておいでになる。しかも、昨年の十二月二十日の第一次勧告を拝見いたしますと、そのような熱意が具体的に既にあらわれているところでもございます。  私は、そういう意味で、今回の国庫補助負担金整理合理化の問題につきましては、そういう流れの中で、従来とは違った流れの中でお考えをいただいている、こういうふうに理解をさせていただいているわけでございますけれども、過日閣議決定されました財政構造改革におきます補助金等の扱いにつきまして、これは分権推進委員会に対して枠をはめるのじゃないか、こういうような実は心配の声もあるわけでございますので、その辺について神野参考人はどういうふうに認識されていらっしゃるか、伺いたいと思うわけでございます。
  17. 神野直彦

    神野参考人 ただいま滝先生からいただきました御質問は、国庫補助負担金整理合理化という観点から、財政構造改革会議報告をどう評価するかということだろうと存じますが、財政構造改革会議報告は、財政の極めて危機的な状況を勘案いたしまして、財政構造改革推進によって、国、地方を通じて健全な財政構造の構築を目指す政府の強い決意を示したものというふうに理解しております。この報告におきまして、補助金整理合理化についても重要な課題として位置づけられ、社会経済情勢の変化、官と民及び国と地方役割分担あり方などの観点から、聖域なく見直しを行うというふうに位置づけられているところでございます。  言うまでもなく、国庫補助負担金の合理化は私どもの委員会の重要な審議検討テーマの一つでございまして、今後、財政構造改革会議報告内容にも十分留意しながら、先ほども申しましたように国庫補助金国庫負担金区分を明確にするとともに、それらの性格に応じて整理合理化を進めていくという原則をいわば明確にした上で、地方分権という観点から第二次勧告取りまとめに向けて最大限の努力をさせていただいて、御指摘のように、いつまでも永遠の課題と言われないように少しでも進めたいというふうに努力させていただきたいと思っております。
  18. 滝実

    ○滝委員 ありがとうございました。  引き続き神野参考人にもう一点お尋ねをさせていただきたいと思います。  ことし四月から実施に移されました地方消費税につきましては、諸井参考人あるいは神野参考人中心とする先生方の御尽力で地方消費税が成立したわけでございますけれども、この十二月二十日の第一次勧告を拝見いたしましても、また先ほどの神野先生の御意見を拝聴いたしましても、とにかく偏在性ができるだけ少ないものを中心にして地方税体系を組むんだ、こういうようなことも御指摘されているわけでございます。私は結果的には当然そうあるべきだと思いますけれども、これからの人口動態を考える場合に、果たして税源の偏在性の少ないもので地方税が充実できるのだろうかということについて大変大きな疑問があるように思っているわけでございます。  過日発表されました厚生省の人口問題の統計の数値を見ますと、今後大変な人口の減少地域が大幅に広がってくる。人口が増加するのはわずかに沖縄と関東周辺と、それから近畿では私の地元の奈良県ぐらいだ、こういうようなことでございまして、大方の地域では人口の減少が相当見込まれる、こういうようなことでもございます。  この偏在性の問題から地方税にアプローチするとなかなか、従来の枠にとらわれた議論に終始するのではないかなという感じがするのでございますが、神野参考人は私見として既に、所得課税を中心として地方税源にすべきだ、こういうこともお述べになっていますけれども、その辺のところの作業状況をお聞かせいただきたいと思うのでございます。
  19. 神野直彦

    神野参考人 名医は病人の生死を予知し、名君は事の成否を明察するというふうに申しますが、地方税財源の充実に情熱を傾けられ、先ほどのお言葉を返すようですが、私どもというよりも滝先生の偉大な御業績としてそういうことが成立をしたわけでございまして、そういう地方財政の名医、名君を前に何をか言わんやということになるわけでございますけれども、先ほども申しましたように、御指摘の偏在性、地方税原則というのが古来言われておりまして、偏在性の逆と申しますか普遍性を含む地方税原則というのが唱えられております。そしてまた、世界の地方税を見渡しましても、伝統的に財産税ということを中心に行ってきたイギリスや、あるいは北欧諸国のように所得税を中心地方税構成してきた国もございます。  今のところ私どもの委員会では、地方における歳出規模と地方税収入の乖離をできるだけ縮小するという観点に立ちまして、地方税充実確保を図っていくということを検討しておりますが、その際には、できるだけ税源の偏在性が少なく、そして税収の安定性を備えた地方税体系の構築を配慮すべきであるというふうに考えておることは先ほども申し述べたとおりでございます。  ただ、お尋ねの中心になるかと思いますが、その具体的なあり方につきましては、補助金税財源検討グループにおきましてさらに議論を深めていく必要があると思いますので、本日、名医、名君を前に大変失礼とは存じますが、本日の段階では確たるところを申し上げる状態にはございませんので、差し控えさせていただければというふうに存じます。
  20. 滝実

    ○滝委員 恐らくは相当な結論が用意されているのではなかろうかということを御期待を申し上げさせていただきたいと存じます。  次に、これは西尾参考人グループになろうかと思うのでございますけれども、市町村への権限移譲について議論されているわけでございますが、現在も個別の法律によりまして市町村の規模別にいろいろな権限が決められている、こういうものが随所に見られるわけでございます。  具体的な例を申しますと、例えば建築確認でございますと法律上は人口二十五万人以上の市が建築主事の必置規制でございますので、二十五万人以上の市は建築確認を市がやるということでございますので、事務処理が大変スピーディーにいくということがあるわけですね。片や二十五万人以下と申しますか建築主事が置かれていない市町村は、これはその間市が一応事務的な処理をして最終的に県がおやりになるということですから、いわば二重行政みたいなものが現実にあるわけでございます。  建築確認は、どこに何があるかというのはやはり市町村が固定資産税を通じてかなり把握しておりますし、また建築確認をする際には必ず市町村の消防当局が現場を確認をしていざというときに備える、こういうことでございますから、実際問題として確認する作業に当たっても市町村がどうしても主体になる。それから、その後のフォローアップですね、例えば違法建築なんかのフォローアップもなかなか県ではできにくい、やはり市町村でないとこれがわからない、こういうことでございます。  そういうようなことからいたしますと、住民サービスそれから法律の趣旨の徹底、効果を期待するという観点からいっても、できるだけ市町村に移すんだ、あるいはもう少し規模を下げていく、こういう努力が必要じゃないだろうかなということも片や考えながら申し上げるのでございますけれども、どうしても仕事の中身によるわけでございますが、もう少し大々的に市町村の規模別にこういう権限配分をされていくという方向づけが必要だろうという感じがするのでございますけれども、分権委員会の中でどういうような作業をされているのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思うのです。
  21. 西尾勝

    西尾参考人 お答え申し上げます。  市町村への権限移譲方法といたしましては、私たちは二つの方向で考えております。一つは、全国的な制度として、全国すべての市町村に画一的に移譲できるものがないかということを引き続き検討しております。それともう一つ方法は、先生から御指摘がございました市町村の規模、能力に応じて権限移譲を進めるというやり方でございます。  御指摘のとおり、この規模、能力に応じた権限移譲のやり方といたしましては、現在政令指定都市制度があり、さらにこれに準じてつくられた中核市制度というものがございますけれども、それ以外にも、個別法に基づきまして市町村の規模に応じて事務が委任されている、あるいは委任することができることとされているものがいろいろとあるわけでございます。  そこで、私たちといたしましては、各省所管の個別の事務事業ごとにどのぐらいの人口規模、能力市町村ならば移譲が可能なのかということを少し詳細に意見聴取をしているところでございまして、それに沿ってできる限り移譲を進めていきたいと思っておりますけれども、例えば人口二十万とかあるいは人口十万以上であれば移譲できるというものが一塊まとまって出てきたというようなことになりました場合には、これは、現在の中核市の要件を緩めて対象を広げるとか、あるいは、中核市にさらに準じた第三の類型設定してまとまった事務移譲をするというようなことも必要なのではないかという考え方で現在検討しているところでございます。  以上でございます。
  22. 滝実

    ○滝委員 ありがとうございました。  市町村合併議論がされる際に、財政的な優遇措置でありますとかあるいは議員定数の据え置きの問題とか、こういうことが必ず議論されるわけでございますけれども、私はやはり、今後の市町村合併に当たりましては、市町村の規模別に、段階別にいろいろな事務が、権限が明確に違うということがもう少し徹底されることによっておのずと市町村合併の機運が出てくる、そういうようなことが期待できるのではなかろうかな、こういう感じがするのでございますけれども、この問題につきまして、堀江参考人に御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  23. 堀江湛

    堀江参考人 ただいま滝先生が御指摘のとおりでございまして、これからの分権型社会において市町村というものの持つ重要性というのは極めて大きいかと思います。そして、分権を進めていく上で住民の支持と理解を得るためには目に見える住民サービスの向上というものがなければならない、そのためには思い切った市町村合併推進ということが必要になろうかと思います。そしてその場合にも、先生御指摘のとおり、市町村の規模に応じた分権といったようなことを考えていかなければならないのではないかと思うわけであります。  市町村行財政能力を高めていくという上においても、先ほど来御指摘の、あるいは西尾委員がお答えしたような、そういった規模別による権限移譲ということを考えていく必要があろうかと思いますので、私ども、例えば大都市圏、あるいは地方中心都市とその周辺の非都市地域ないしは過疎地域等々に分けまして具体的にそういった権限移譲を考えていく必要があろうかと思います。そして、そういうことが具体的に住民の理解を獲得するゆえんでもあろうと思いますので、ぜひ第二次勧告において、全国的な制度としての市町村の規模あるいは組織体制等に応じた権限移譲の仕組みを考えて、そして合併促進していきたい、かように考えております。
  24. 滝実

    ○滝委員 ありがとうございました。  時間がもうありませんので最後の御質問になろうかと思いますけれども、その前に、堀江参考人の先ほどおっしゃった中で議会の活性化の問題がございました。いろいろな角度から分権委員会では御検討されているだろうと思うのでございますけれども、一つだけ私の個人的な意見として申し上げさせていただきたいと思うのでございます。  現在の市町村議会、その議員さんの構成が、やはりどうしても昼間、長期的に拘束される、こういうこともございまして、職業が限定されていく嫌いが相当にあるというふうに思うわけでございます。端的に言うと、普通のサラリーマン階級はなかなか議員には出にくいということだろうと。したがって、いろいろな職種がある中で、大方の職種の方々は市町村議会の議員の中に反映されない、あるいは、普通のサラリーマン家庭の生活実態を反映する議員さんがなかなか得にくい、こういうことだろうと思いますので、市町村の議会の活性化議論される際には、そういうようなことも恐らく議論されているのだろうと思うのでございますけれども、できましたらそういうような角度からの議論も取り上げていただきたい、こういうことを御要望だけ申し上げておきたいと思います。  それから、一番最後になりましたけれども、諸井参考人に御意見をお伺いしたいと思うのでございます。  現在まで、この五カ月間で百十七回の会合をおやりになったということでございますから、恐らくこの二年間では相当な回数をおやりになり、また地方での公聴会もおやりになっているわけでございますから、それなりに、それこそ幕末の志士ではありませんけれども、相当全国を駆けずり回ってのいろいろな広報活動にお努めいただいているわけだと思うのでございます。  問題は、次の第二次勧告を見守っております地方団体の立場から、第二次勧告、第一次勧告をもとにして地方団体がどういうように対処すべきだというふうに分権委員会御自身がお考えになっているのか、そういうことを最後にお尋ね申し上げたいと思うのでございます。原則自治事務、限定的に法定受託事務、こういう格好でまいりますと、地方団体は相当に努力して人材養成をしてまいらないといけない、こういう問題がございますので、ひとつそういうような観点から最後に諸井参考人の御意見を伺いたいと思います。
  25. 諸井虔

    諸井参考人 お答え申し上げます。  やはり、地方公共団体の自発的な、本当に一生懸命な取り組みなしには、いかに我々がいろいろな制度を考えても成果は上がらないと存じます。それで、今まで私どもも、地方六団体その他、いろいろな方の御意見などを伺っておりますが、地方の自治体は、いろいろ全国的な、具体的な例を集めたり、大変努力はしていただいていると思います。  しかし、おっしゃいましたように、地方分権が行われた後、やはり住民のニーズと申しますか、住民の意向というものを地方行政の中に十分取り入れていく、最終的には住民自治が目的ではないかと思いますが、そういう努力とか、あるいは、やはり創意工夫を凝らしてどういうふうにその地域というものをつくっていくか、そういう創意工夫の努力とか、当然、一方で行政改革をやりながら行政の資質を向上していく努力、こういったものはやはり不断に続けていただきませんと、せっかくの地方分権というものが実らないのではないか、こういうふうに認識をしている次第でございます。  よろしくお願いします。
  26. 滝実

    ○滝委員 ありがとうございました。終わります。
  27. 穂積良行

    穂積委員長 鰐淵俊之君。
  28. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 私は、新進党の鰐淵と申します。よろしくお願いいたします。  きょうは、参考人として御出席をいただきまして大変ありがとうございました。また、先ほど委員長からの御質問によりましてそれぞれ御意見も伺ったわけでございます。  私自身は長い間地方自治に携わってまいっておりまして、諸井委員長が昨年総理大臣に手渡したときに委員長談話を発表されておりますが、その理念というのは、私ども、全くそのとおりだと敬意を表しておりますし、地方分権がこれによって新しい時代を迎えるのかな、大変こういう期待も持ったわけでございます。そしてまた、ただいま伺いましても、膨大な検討項目の中で大変長時間審議に御苦労されておりますことを、皆様方に本当に心から敬意を表する次第でございます。  さて、質問の第一点でございますが、今もお話がございましたように、この改革は、総理を初め政府も、言ってみますと明治維新、戦後、第三の改革平成改革というくらいな気概で取り組む、こういうことで申されているわけであります。  私も、自治大臣とあるいはまた自治省の皆さんとのいろいろな質疑の中では、基本的には、今の地方自治制度、いわゆる国、都道府県市町村都道府県は四十七、市町村は相当な数、三千三百ほどございますし、市にいたしましても六百六十。先ほど来規模の話がありますように、同じ市でも、北海道の歌志内なんというのは六千か七千、八千くらいでしょうか、一万以下の市もありますし、何百万という市もある。こういうことで、一概に六百六十市を一つ取りまとめても、これは全然規模も財政事情も違うわけですね。  そんなことで、まずは基本的に、地方制度を二層制にしたということについて、どうも、革命的な地方分権をやるということは非常に難しいのではないか。したがって、戦後五十年積み重ねられた今のいろいろな地方自治や国と地方との関係が、ずっときたわけでありますが、これが制度的な疲労を起こしておるので、抜本的な改正といいましょうか改革、改善でなくて改革だ、こういうぐあいに私どもは期待をいたしているわけであります。その中で、そういう革命的な、基盤の地方制度そのものを改正していく、改革するということは難しい中での議論をなさっていますから、理念や総論の中ではもう環境は整備されたと思います。地方分権というのは、世論も支持しておりますし、これについて反対をするというような声というのはそんなに大きくない。しかし、現実、進めていくということになれば、真の地方分権を確立するということは、今いろいろお話がございましたように、なかなか難しい点もあろうかと思います。  その一つは、今、機関委任事務基本的にはこれを全廃する、こう言われましたが、これは法定受託事務という中で国の関与が、各省庁のヒアリングの中で、これもやはり地方に任せられない、これもやはり国が見なければならない、これも国が見なければならない、各省庁、そういうことが非常に多いと思うのですね。したがって、私は、これから進められる中で、この法定受託事務というのは相当ふえて、本来の基本的な原則が崩れていくのではないか、こういうぐあいに懸念しておりますが、その点についてお伺いをしたいということ。  それからもう一つは、この第二次勧告は、間近に迫って今大変な努力をされておるわけでございますけれども、やはり分権推進委員会が思い切った勧告を出さなければ、それに基づいて政府分権推進計画を立てるわけでございますから、その勧告そのものが、理念や総論、理想から遠い、遠いと言ったらちょっと語弊がありますが、その理念とは少し離れたような形の次元での勧告になってしまいますと、それがベースになって、私どもの期待する思い切った地方分権が実施されないのではないか、こういう不安が、心配がございます。  そういったことについてどのような御意見をお持ちでしょうか。委員長さん、並びに、これは機関委任事務ですから西尾先生でしょうか、よろしくお願いしたいと思います。
  29. 西尾勝

    西尾参考人 法定受託事務がふえていく傾向にあるのではないかという御質問でございます。  第一次勧告におきましては、地方自治法別表に掲げられております五百六十一項目のうちの百六十五項目について、制度開始後の事務区分を具体的に示したわけでございます。  その後は、まだ残っております機関委任事務のうち、関係省庁の方から、これは法定受託事務とすべきなのではないであろうかというふうに持ち上げられてきましたものについて、個別に検討を重ねて、これは自治事務とすべきものではないかというような御議論を重ねているところでございます。  最終的にどういう結果になるかはまだ私どももよくわかっておりませんけれども、私どもの基本的な姿勢は、原則として自治事務とする、事務の性質上どうしても例外的に扱わなければならないもののみを法定受託事務とするという線で、各省と交渉を続けているところでございます。
  30. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 先ほどいろいろお話がございましたが、中央と地方を考えましても、先ほど言いましたように、分権、いわゆる権限移譲する、こういっても、町村の方々、あるいは、市でも割合と人口の少ない市では、権限をいただいてもとてもこなし切れない、こういうような首長さんも結構おられるわけでございます。ある一定規模の市以上、例えば二十万程度の市以上ですと、スタッフもありますし、そういうところの首長というのは、できるだけひとつ権限移譲してほしい、自分たちだけで、だけと言ったら語弊がありますが、自分たちにもっと自主的に行政をやらせてほしいと。そして、住民のサービスが要求されれば、その要求されることに従ってやはり負担も伴う。したがって、そういう地方税という問題も出てくると思うわけですね。  そんな中で、どうも、中央と地方観点からいいましても、先ほどお話ししましたように、二層制ということを是認した上での今の分権あり方ということになりますと、行政経費の非常に思い切った節減ということにならず、やはり、今の国、都道府県市町村ということになりますと、行政手続事務、これは莫大なものがあるわけですね。だから、そういうことの簡略化が、私は、思い切った費用の節減にもなり、経済効果も生むと思うわけです。私は、都道府県を要らないとか市町村を要らないというのではなくて、この地方というものについて、もう少し単一化をして思い切って一定の規模にするということ、そういう中で行政を進めていけば、まだまだ地方分権の本来の理念や目的にかなったものになっていくのではないか、こういうぐあいに思うわけです。  こういった基礎自治体の再編という考え方について、地方行政体制堀江座長さんにお伺いしたいと思います。
  31. 堀江湛

    堀江参考人 ただいま鰐淵委員からの御質問でございますけれども、私も、地方分権というものが基礎的自治体の強化ということに進まなければいけないというふうに考えておる点では、全く同感でございます。  ただ、現実には、先ほど鰐淵委員が、かつての行政のさまざまな御経験を通じて、例えば市にも規模によって行財政の能力に非常に差があるという御指摘がございまして、全くそれが現実であろうかと思いますので、まず第一段階といたしまして、そういった市町村の足腰の強化といいますか行財政能力の強化ということを進めることが必要ではないか、かように考えるわけであります。その点から、市町村自主合併の積極的な推進ということが何にも増して必要ではないかと思います。  そして、いわゆる二層制、さらに、委員御出身の北海道の場合は三層制と言った方がいいかもしれませんが、そういった現実は、やはり市町村間に非常に大きな格差の存在する段階においては、直ちにこの二層制の問題に手をつけるということは、分権ということの推進という見地から、いささか性急に過ぎるのではないかという気もいたしますので、まず第一に、基礎的自治体である市町村の足腰の強化、行財政能力を与え、しかる後にそういった抜本的な日本の地方自治組織全体の見直しに進むのが筋ではないかなという気がいたしております。
  32. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 一つは、この委員会でもいろいろ町村合併について質疑が行われておりますが、私も自治大臣にお話を申し上げたわけですが、自治大臣初め自治省のお考えは、やはりあくまでも自主 的な住民の意思による合併ということで、例えば合併促進法など法律制定されても、実際は合併促進されておらないわけですね。何カ所かありますけれども、いわゆる合併協議会をつくっても、今度は議会で否決になったり、遅々として進まない。したがって、こういう合併を進めるというのは、地方自治体においても、実際は住民の中にはあるのですが、それが議会とか首長になるとなかなか腰が引けるわけなのです。  昭和二十八年でしょうか、大合併をして一万の自治体が三千何百となった。あのときは、内閣総理大臣が勧告まで出したわけですね。そういう強い、強いといいましょうか、思い切った形によって合併が進んでいったということで、私はやはり、余り住民自主性自主性ということについて期待しても、なかなか進まない。したがって、これは渡辺委員も質問しておりましたが、思い切った、住民投票などではっきり決めまして、そしてそれを促進していく、こういう方法などをとって、やはり末端の、住民に一番近い基礎自治体の行財政能力を高めていくといいましょうか、そういうことが必要ではないか。  指定市だとか中核市とか広域連合とか、それから一部事務組合とか、これは一つ方策としてありますが、今言ったように、末端の町村まで至りましたら、なかなかそれはないわけなのです。したがって、これらの思い切った合併方策をやはり勧告の中にも盛るべきではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  33. 堀江湛

    堀江参考人 鰐淵委員のお考えはよく私もわかります。  ただ、かつて昭和二十九年から三十一、二年にかけて行われたいわゆる市町村合併における後遺症というものも、まだ現実には随分残っております。そして、現実にいよいよ市町村合併が進むというときに、都道府県知事のお立場を考えるというものが大きな力を持つとは思いますが、しかし、地方分権ということ、あるいは分権社会における県と市町村対等関係といったようなことを考えますときに、そういった、国が、あるいは総理大臣が勧告をする、あるいは都道府県知事が積極的に市町村合併についてイニシアチブをとることを勧告に盛り込むということを表に出すということは、私、この分権という本来の趣旨から考えて、多少ちゅうちょするところがございます。  むしろ、現在行われているさまざまな市町村合併合併策がさらに一段と機能するような、そういった積極的な誘導策といったものを考えるのがまず先ではないかなという気がいたしております。そして、最終段階において、例えば都道府県のいろいろな事実上の協力ということは当然であろうかと思いますが、まずそういった自主合併促進する。  そういった意味では、広い意味での行政、あるいは市町村合併に伴う旧町村と新市との間のいろいろな権限調整上の自治における関係、さらには財政という側面からも、広範な徹底した検討見直しが必要だろうとは思います。
  34. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 ちょっと誤解があったかもわかりません。総理や何かが勧告を出して進めろということではなくて、自主的に住民合併促進できるような体制の一つ方法住民投票制度というのは、これはあくまでも上の、上といいましょうか都道府県とか政府がやることではなくて、あくまでこれは住民サイドがやることですから、そういう制度を取り入れても大いに合併をすべきだ。  やはり、首長、市町村議会を含めてそういう議会が抵抗する意味は、例えば合併しても、そこの町村から今まで二十人いた議員さんが一人しかならないとか、そういうごく卑近なものが大きな影響を持っているわけなので、そういう意味で、この市町村合併が自主的に促進できるような制度といいますか、そういうものをもう少し取り入れなければ、やはり受け皿の方が遅々として進んでいかないと幾ら地方分権をやっていってもできませんということになるわけでございまして、私らとしては、そういったことを勧告案の中に盛り込んでいくことは、上からどうのということではなくて、住民の自発的な、自主的なものに焦点を当てるということですので、何ら矛盾しないのではないかと思っています。  時間もなくなりました。最後でございますけれども、私は、この地方分権、いろいろな形で御検討され勧告を出されるわけですが、それを実行に移す段階では、やはり補助金、これはどうしてもひもがつくわけですね。ですから、補助金があるということは、これはやはり地方分権を相対的に阻んでいくことになると思います。これはもう、厚生省のああいう不正事件が起きたとおり、補助金とそういう国の関与というものは表裏一体のものでございます。幾ら理想を言っても、これは必ずそういうことになってまいります。ですから、補助金、交付金というのは、そういう問題で、地方分権に対しては非常にマイナス効果をもたらすものである。  その次は、やはり国の関与で許認可ですね。私は、この許認可は、できるだけ住民の中に、任せるものは近い自治体に許認可権を与えるということが大事ではないかと。それから、今言った必置規制ですとか必置義務ですか、あるいは通達等におけるいろいろな関与ですね。  ですから、地方自治体そのものが自主的な行政が行えないような状態になってくる、こういうことでございますので、時間がないようですが、この第二次勧告に向けまして、委員長さんの決意は先ほどお聞きいたしたわけでございますが、私が今数点お話しした中で、どのように今感じておられるか。  最後に、読売新聞に、十二州、三百自治体という提言をしております。こういったことは将来に向かって非常に示唆のある提言ではないかと私どもは思いますが、そういう点も含めて御答弁いただければ幸いだと思います。
  35. 諸井虔

    諸井参考人 お答え申し上げます。  我々も、やはり補助金に絡んだ国の関与、あるいは許認可の問題とか、いろいろな指示、通達、従来はほとんど手とり足とりというような形で国がやってまいった、これをできる限り排除して、地方の自主的な体制、そして最終的には住民自治という方向へ持っていきたいということで、できる限りの努力をしてまいりたいと思っております。  それから、読売新聞の十二州、三百自治体でございましょうか、これもなかなかおもしろい御提言であろうかと思っております。  ただ、私ども、先ほど堀江座長が申しましたように、三千三百の自治体をいきなり国に結びつけるというわけにはまいりませんでしょうから、やはり当面は二層制でいくのではないかなと。しかし、委員会としても、地方自治体の御出身の方々もたくさんおられますが、やはり合併はいいことである、特に市町村合併は進んでいくべきである、国が強制するというのは問題があるかもしれないが、その合併ができない理由をできるだけ排除し、合併が進むような方策を何かやはり編み出して提案をしてまいりたいというふうに考えております。  どうぞよろしくお願いします。
  36. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 どうもありがとうございました。
  37. 穂積良行

    穂積委員長 葉山峡君。
  38. 葉山峻

    ○葉山委員 第二次勧告に向けていよいよ大詰めを迎えておられまして、諸井委員長初め委員の皆様方には、大変な御苦労を推察いたしますとともに、その御尽力に心から敬意を表します。  ところで、勧告取りまとめ作業も相当に難儀なものになるのではないかと推測いたします。先ほど諸井委員長のお話でも、事務区分については三割方いっているというお話もありましたけれども、何せ五百六十一ということでありますから、一体、第二次勧告で宿題のすべてを処理することができるのかどうか、私どもがとても気にかかるところでありますが、第二次で最後になるのか、それとも第三次があるのか、その辺の見通しについてまずお尋ねをさせていただきたいと思います。  また、機関委任事務廃止を受けまして、膨大な事務区分について各省庁とのひざ詰め談判による作業を続けておられるとも伺っております。そのためか、外にいる私どもには分権作業のプロセスがなかなか伝わってこない印象を持っております。昨年の中間報告ぐらいまでは、この情報公開ということでは、我々は非常にわかったようなつもりでおったわけでありますが、ヒアリングを始めた以降になりますと、なかなかわかりにくい。ましてや地方の人たちはその点を非常に注意深く本当に見守っていると思うわけでありますが、そういう印象を持っているところでございます。  勧告に向けての地域での公聴会の開催とか、勧告後でも結構でありますから、審議経過の公表を行うなどにぜひ取り組んでいただき、開かれた推進委員会としての姿を示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。諸井参考人にお尋ねいたします。
  39. 諸井虔

    諸井参考人 第二次勧告で全部出せるのかという点でございます。  先ほど来申し上げておりますように、非常に膨大な量と、それから短い時間ということで悪戦苦闘はしておりますが、現時点では、何としても第二次勧告に全部盛り込みたい、そういう意気込みで頑張っております。一〇〇%そうなりますとお約束はできないわけでありますが、主要な部分について、私は、第二次勧告に全部盛り込みたい、そういう覚悟で現在進めております。  実は、その作業で、各グループ省庁と毎日のように午前午後あるいは夜とやっておりまして、その経過がどうもなかなか外へ出てこない、これは私も実は大変気にしている点ではございます。ただ、現在やっているやりとりがもうほぼ煮詰まりかけているとしても、煮詰まってしまわないときに外へ出してしまうというわけにまいりませんものですから、大変気にはなっておるのですが、ちょっとその点は、時間との競争をやっている関係でお許しを願えないだろうかというふうに思います。  ただ、現実には、毎回、委員会を開きましたときは必ず記者会見もやっておりますし、いろいろな資料等も公表しております。それから、実は議事録が、毎日ほぼ速記録に近いものを出してはおるのですが、これが事務処理の都合で大分おくれておりまして、その辺も私は大変気にしております。いずれにしても、これは必ずすべては出すつもりでございます。  それから、勧告の直前ぐらいになりますと、大体今の詰めも済んでまいります。できるだけ早く表へ出したいと思いますし、また、勧告が済みました後も精力的にいろいろ説明をする、あるいは地方へもお伺いをするというようなことはやってまいりたいと思います。どうぞ、ひとつお許しを願いたいと存じます。
  40. 葉山峻

    ○葉山委員 西尾参考人に御質問させていただきます。  第一次勧告では、これまでの中央、地方関係を国と地方対等協力関係にさせなくてはならないと明言されておりますが、私は、この点こそ分権社会実現の重要な決め手だと思います。しかし、そのためには、やはり国と地方との間の明確な関係ルールの設定と、第三者機関としての紛争処理機関の設置を欠くことができないと思うわけであります。行政機関同士の紛争処理について蓄積も浅く、大変難しい点も多いことと思われますが、ぜひ第二次勧告でその方向をすっきりと示していただきたいと思います。民主党としてもこの点については提言したいと考えているところでありまして、これらの点についての西尾先生の姿勢と基本的なお考えをお尋ねしたいと思います。
  41. 西尾勝

    西尾参考人 先生御指摘のとおり、国と地方との対等協力関係を築いていきますためには、国と地方との間の明確な関係ルールを設定することと、万が一紛争が生じたときにこの紛争を処理する手続というものを明確に定めておくことが不可欠だというふうに考えております。特に、これまで機関委任事務制度のもとで包括的な指揮監督を行うということがずっと定着をしておりましたので、この制度廃止した場合、これにかわる新しい制度をつくる上では、紛争処理機関とその処理手続ということを定めることが不可欠の要素であるというふうに認識しているところでございます。  しかしながら、この点につきましては、冒頭委員長からも御質問に対してお答えいたしましたように、現在さらにその具体案を詰めている段階でございます。関係省庁からもさまざまな御意見がございますけれども、内閣の諸機関からもさまざまな御意見がございます。問題は、大きく分けて法理論的な側面と実態的な側面とに分かれるかと思いますけれども、御指摘のありました事柄について一点一点細かく考えまして、関係省庁あるいは内閣の諸機関の御不安、御疑念を一つ一つ解消するような成案にたどり着きたいと思って鋭意努力しているところでございます。
  42. 葉山峻

    ○葉山委員 神野参考人に御質問させていただきます。  分権は単なる事務配分にとどまったのでは絵にかいたもちになると、よく権限、財源、人間という三ゲンの論議がされるわけでありますが、ともあれ財源の問題というのは非常に重要だ。そこで、第一次勧告に引き続きまして国と地方との間の事務区分に大変御苦労されておると承知しておりますけれども、やはり最終的には税財源の配分が決定的だと思います。  そこでお尋ねいたしますが、現在までの作業状況を伺う範囲では、税源配分にまで及んでおられない、現在の地方税制に対する縛りを緩やかにする程度の話が中心になっているのではないかと懸念をしておるわけでありますが、その点どうなっているのか。神野参考人基本的にまず、先ほどもお話がありましたけれども、財産税とか所得税とか、そういう点でのお考えをお聞きしたいというふうに思っております。よろしくお願いします。
  43. 神野直彦

    神野参考人 ただいまの御質問は、地方自治に情熱を傾けてこられた葉山先生の御指摘として私の心に深く刻ませていただきたいというふうに存じます。  御指摘のように、地方分権推進していくためには、機関委任事務廃止とか、あるいは必置規制整理合理化とか、そういうことを進めるとともに、国と地方公共団体の財政関係についても基本的な見直しを行っていく必要があるということは十分認識しております。  お尋ねの中にございましたように、地方税制に対して縛りを緩やかにするという問題も現在検討しておりますが、これもなかなか大変な問題でございまして、現在、私ども課税自主権の尊重という観点から、法定外普通税の許可制度あり方とか、あるいは法定外目的税の創設とか、それから標準税率をどうするか、制限税率のあり方、そういったものなどについても検討を加えているところでございます。  しかし、それだけでは不足するということは重々承知しておりまして、基本的には、日本の場合には地方における歳出の規模と地方税収の乖離というものが非常に大きい、それをできるだけ縮小するという観点に立ちまして、事実、確保を図っていきたいというふうに考えておりますし、その際には、できるだけ税源の偏在性が少なくて税収の安定性を備えた地方税体系を構築するということに配慮すべきであると考えております。  先ほども申し上げましたが、具体的な問題について現在検討中でございますので、この場ではちょっと差し控えさせていただければというふうに存じますので、御了解いただきたいと思います。
  44. 葉山峻

    ○葉山委員 堀江参考人に御質問させていただきます。  堀江委員におかれましては、地方行政体制あり方というテーマで、このテーマはまさに地方自治の姿を問う大変な作業となるものと思われます。  私は長らく湘南地方の市長を務めてまいりました。特に、地域の行政体制がどのようなものになるべきかという問題について最も配慮しなくてはいけない点は、これからの地方制度あり方について、画一的にならずに、人それぞれにそれぞれの顔があるように、実に個性ある多様性と地域の自主性を尊重することだと考えるのでありますが、この点についての堀江先生のお考えをぜひお尋ねさせていただきたいと思います。
  45. 堀江湛

    堀江参考人 ただいま葉山委員の御質問でございますけれども、我が国のこれまでの地方自治制度というものが、全国的に一定の行政水準と申しますかナショナルミニマムを確保するという観点から、全国一律の色彩が非常に強うございましたし、さらに個別の行政分野におきましても、行政機関職員設置などについて一律の必置規制が課せられておる等、画一性の極めて強いものでございました。  当然、御指摘のように、分権型社会においてはあくまでも、何よりもその担い手である各市町村が、それぞれ創意工夫を生かして住民のニーズや地域の実情に的確かつ柔軟に対処することが必要であろうかと思います。  そこで、私ども地方行政体制等検討グループにおきましては、地方議会活性化策あるいは住民参加拡大多様化等々も含めて、地方公共団体の多様なあり方について検討を進めておりますし、地方公共団体自主組織権を拡充するという見地から、必置規制等につきましても必要最小限のものにとどめるように、ただいま各省庁グループヒアリングを重ねているところでございます。  そういったことで、できるだけ御趣旨に沿うような形で私どもも具体的な検討を進めていこう、かように考えております。
  46. 葉山峻

    ○葉山委員 どうも大変ありがとうございました。
  47. 穂積良行

    穂積委員長 穀田恵二君。
  48. 穀田恵二

    ○穀田委員 日本共産党の穀田です。本当に委員の皆様には御苦労さまです。  西尾参考人から先ほど第三者機関というものについてお話があったときに、法理論上の問題、実態的側面というお話がございました。私も、第三者機関ができなければ画竜点睛を欠くといいますか、そういった問題意識を持っています。  したがいまして、端的に申し上げて、省庁との関係でどの辺がネックになっていて、委員長としてはどういう方向で最終、詰めていこうとお考えなのか、その辺だけ最初にお伺いしておきたいと思います。
  49. 諸井虔

    諸井参考人 肝心な西尾先生がやむを得ざる用で退席いたしまして、まことに申しわけございません。  やはりポイントは、国の機関の一つである第三着機関が、国の省庁が分担しておる事務について違う考え方を出してくる。さらにまた、それを裁判で争うというようなことがいかがなものかという点であろうかと思います。  それで、我々もそれに対していろいろな修正案等も用意をしておりますし、また今いろいろな議論を進めております。法制局、法務省等も含めていろいろ議論を進めております。何とか皆さんの御心配を解決してクリアをしたいものだという考えでおりますし、その可能性も十分あるのではないかというふうに考えております。  いずれにしましても、この問題につきましては、中間報告でも第一次勧告でもずっと続けて申してきたことでありまして、これを丸ごとなくしてしまうというのは、全体の構成として極めて不十分なものになってしまうのではないかと思います。何とかクリアをしてまいりたいという努力を重ねておるところでございます。ひとつよろしくお願いいたします。
  50. 穀田恵二

    ○穀田委員 今お話がありました、西尾参考人がお述べになっておられるのですが、地方分権地方自治という問題で、これは余り事前にお知らせしていなかったのですが、これまで先生は、特に住民自治の視点が欠けているという批判が少なくないということについてまた反論を出されたりしておられまして、今、住民自治の核心に触れるテーマについて、特に住民参加の拡充方策を初め地方議会活性化といった問題を議論なされていますね。  そこで私は堀江参考人にお聞きしたいのですが、特に市町村合併の問題が取りざたされています。ヒアリングその他の報告を見ますと、例えばこんなふうにありますね。百六回の審議概要を見ますと、「財政力の弱い小規模団体における事務の効率化の状況はどうか。また、小規模な団体においては合併が必要なのではないか。」こういう問いに答えて、町村会は「小規模団体だから権限を委譲して事務を任せられないというのはおかしい。まずは任せてほしい。また、例えば、福祉の面において、施設に人を収容しなくて済むような方策はむしろ小規模団体の方が行いうる。」こんなふうな討論をなさっています。  合併という問題について、自主的合併、それからそれを誘導する、こう次々と段階を経てみますと、全体としては、昭和の大合併ではありませんけれども、自主性ということと地方分権ということの趣旨からしますと、一歩踏み込んでも、さらに二歩三歩踏み込んだ内容が出てきているやに私はどうも受け取れるわけですね。本来の趣旨からしますと、団体の規模の問題は、それぞれについてはそれぞれのところが決めるべき筋だと私は思うのです。  ただ、そういうふうな意向との関係で、住民自治の核心についての皆さんのお考えといいますか、その辺をさらにどういった点で深めようとされているのか、ぜひ堀江参考人に、大まかな話の基本的なお考えをお聞かせいただければと思います。
  51. 堀江湛

    堀江参考人 まず最初に、分権委員会が昨年までは余り市町村合併等々に触れていなくて、最近それについて非常に言及しているのはどういうことなんだ、こういうおしかりというか御批判かとも思いますが、地方分権推進ということは、地方公共団体の自己決定権と自己責任の拡大を伴うことでございます。したがいまして、地方公共団体もその役割を担うにふさわしい行政体制整備確立に努める責務があるのではないか、こういうのが私ども委員会の考えでございます。  すなわち、まず第一段階として、国から地方への権限の大幅な移譲ということが必要になってまいりますが、権限移譲が行われる以上は、それに対応する地方公共団体の足腰の強化、移譲された権限を十分に活用できる体制をつくる必要があるのではないかということで、第一次勧告におきましても、市町村自主的合併を一層強力に推進することが必要であるという旨、勧告にうたわれております。それに基づいて、正月以降、この問題について検討を進めているわけであります。  市町村合併等と住民の問題という御指摘がございましたが、例えば現行住民発議制度にいたしましても、合併協議会設置の請求ということについて、首長さんがそれを各議会に協議会設置の議案をかけるということは、かける、かけないは首長さんの権限となっております。しかし、合併関係市町村から合併協議会の設置等の請求があった場合には、これは必ずこの議案を各議会にかける、付議することを義務づけるなどというような一つの問題も、必要なのではないかといって目下検討しているところでございますし、合併促進するという観点で、いずれかの段階において住民投票制度導入するというようなことについても工夫していく必要があるのではないかというふうに考えております。  むしろ、そういった住民の積極的な参加という見地から、しかし、基本的には日本の地方自治は間接代表制をとっておりますので、間接代表制という枠組みを堅持しながらも、そして、それがさらに活性化する補完機能としてのそういった住民参加というものを積極的に活用する方策等々を勧告の中にぜひ盛り込んでいきたいということで、目下研究を進めておるところでございます。
  52. 穀田恵二

    ○穀田委員 最後に、神野参考人にもお伺いしたいと思います。  推進委員会は、第一次勧告で、機関委任事務廃止という現行制度の転換を打ち出したわけです。そこで、国と地方のこれまでの関係を抜本的に変革し、財源の面でも本当に地方自治が拡充されるという、そういう内容の勧告をされるべきだと私は思っています。  二つだけお聞きしたいのです。補助金の問題もついでに言っておきたいと思うんです。  財源問題で、地方自治の脆弱性の例として、よく国と地方を比較して、歳入では国が二に対して地方が一、歳出は国が一に対して地方が二という歳入と歳出のギャップが挙げられます。こうした実態を抜本的に改革する思い切った勧告をなされることを期待したいと思います。その点、いかがかということが一つ。  もう一つだけ、補助金整理合理化について、私は、やはり肝心の問題は、これらが自治体の自主性を阻害している現状に着目して、その自主性を阻害する要因を除去するものでなければならないのではないかと思っています。その点での御見解をお伺いして、私の質問とします。
  53. 神野直彦

    神野参考人 ただいまの穀田先生の御質問にお答えさせていただきます。  第一の点は、先ほど来私の方からも申し上げましたように、日本では、地方の歳出とそれから地方税財源の格差が非常にあるのだけれども、それを抜本的に解決することを考えてはどうかという御質問だろうというふうに考えております。  私どもも既に中間取りまとめて、単に国庫補助負担金整理合理化をするだけではなくて、地方税それから地方交付税など一般財源の充実確保を図るべきだという基本方向を示しまして、鋭意検討をしているところでございます。  それから、第二点目でございますが、これは国庫補助金とか国庫負担金に対して極めて関与が多い、その点を改革すべきではないかというお話でございます。  この点につきましても、先ほど来申し上げましたように、三つ基本的な方向のうちの一つで、補助金整理合理化した上でなお存続する国庫補助負担金につきましては、その運用関与地方公共団体の自主的な財政運営を妨げないように改革をしていくということを一つの重要な基本的な見直しの方向として位置づけて、そして、具体的には、委員長からも御説明がありましたけれども、メニュー化とか統合化とか交付金化とかを含めて、鋭意検討をしております。
  54. 穀田恵二

    ○穀田委員 最後に、委員長一言だけお聞きしたいと思うんです。  最近、分権推進委員会が、一番最初の受け皿論という問題、いろいろありまして、それで、ずっと経過を見ていますと、それを前提としない、つまり横に置いてというような議論の出発であったかと思います。ところが、全体としてこういうふうな話が、今お話をずっとしていまして、地方行政委員会でも、実は先日の一般質疑中心市町村合併オンパレードでした。自治省の松本行政局長は、自治体の行政規模、財政規模に応じてどういう権限移譲できるか、そういうことを分権推進委員会検討している旨の答弁をしていました。  先ほどもそういう形で、どの規模にどれか、こういうふうな話がございましたが、私は、その点では私の意見はもちろん違うわけですけれども、その内容と、第二次勧告にそれが盛り込まれるのかどうかだけ、最後、時間の範囲内でお聞きしたいと思っています。
  55. 諸井虔

    諸井参考人 第二次勧告に、先ほど来申し上げておりますように、なるべくこの点も含めて出したいというふうに考えております。  ただ、ちょっとやはり、この部分検討がややおくれているのは私も気になっている点でございます。しかし、何とか今の時点ではこれを盛り込んでまいりたいということでやっておりますので、よろしくお願いいたします。
  56. 穀田恵二

    ○穀田委員 終わります。
  57. 穂積良行

  58. 畠山健治郎

    ○畠山委員 第一次指針勧告によって、懸案でありました機関委任事務制度廃止基本的な決着をつけ、それにとってかわる新しい事務概念と、具体的に事務区分がなされたことは、地方分権史上画期的なことでございます。私は、ここに至る推進委員会の皆様の御努力に心から敬意を申し上げたいと存じます。とともに、七月に予定されております第二次指針勧告に大きな期待を寄せるという立場から、幾つか御質問申し上げたいと存じます。  地方分権は、法律で定められた五年のうち既に二年が経過しており、これまでの経緯からして、時間的にも、内容的にも、最も優先度の高い改革課題と考えます。しかし、他方では、中央省庁の再編あるいは外郭化の流れが先行する嫌いなしともいたしません。そうした事態となれば、少数に再編された巨大な省庁の出現によって、地方分権は遠のいてしまうのではないかと危惧されます。  諸井委員長は、橋本総理の諮問機関である行政改革会議のメンバーでもございます。あらゆる改革が同時並行化されておることで、逆に事柄の優先順位が軽視されかねない現状についていかがお考えでしょうか、お伺いいたしたいと思います。
  59. 諸井虔

    諸井参考人 お答えをいたします。  地方分権推進というのは行政改革と非常に密接な関係がございまして、もちろん、分権権限が自治体におりていけばそれだけ中央の省庁はスリムになっていくということではないかと思うんですね。それから、一方、現在行政改革会議等で、中央の省庁をなるべく政策の企画立案に純化して、その上で大ぐくりにしていこうというふうな議論が行われておるわけでございますが、このプロセスで、当然規制緩和と並んで地方分権がまた進んでいくというようなことで、地方分権行政改革というのは非常に、車の両輪と申しますか、あるいは一体のものであって、両方が進むことがまた両方にいい影響を与えていく。  全体として今進んでいる改革というのは、一つの大きな流れでございます。その流れの中に両方ともきちんと位置づけられるものであると思いますので、むしろ、同時並行して進められることによって両方が促進していく、私はそういう認識をしております。
  60. 畠山健治郎

    ○畠山委員 同様なことは、先般閣議決定されました財政構造改革との関係についても言えるのではないかというふうに思っております。  確かに、財政構造改革では地方分権にも言及をいたしまして、大きな改革の一環として推進する、こう言われておりますが、財政収支の改善が先行する中では、財政上の地方分権はこれまた軽視されかねません。  こうした状況を踏まえるならば、第二次指針勧告ではぜひとも財政の分権化策を具体的に勧告することが極めて重要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  61. 諸井虔

    諸井参考人 まことにおっしゃるとおりであろうかと思います。  現在進んでいる改革というのは、例えば分権委員会だけでやれるものでも、行政改革委員会だけでやれるものでも、あるいは行政改革会議だけでやれるものでもなくて、それぞれの会議とか審議会とかいろんな機関が並行して、協力して進めているというのが現状ではないかと思うのです。  そういう意味で私どもは、財政構造改革会議制度補助金という概念を導入されて、補助金整理の方針を出されたということは大変ありがたいことである、心強いことである、こういう方向と我々の方向とをなるべく合致させていきたいというふうに考えている次第でございます。
  62. 畠山健治郎

    ○畠山委員 機関委任事務制度廃止した場合の従前機関委任事務の取り扱いについて、中間報告並びに第一次指針勧告を見ますと、機関委任事務制度廃止にかわる自治事務法定受託事務区分において法定受託事務の範囲が拡大し、さらに国の関与拡大されたとの批判がないわけではございません。各省庁との調整によるやむを得ざる結果と考えないわけではありませんが、この点について委員長はどのようにお考えでしょうか。
  63. 諸井虔

    諸井参考人 確かに、中間報告段階から非常に後退しているのではないかとか、思ったより法定受託事務が多いじゃないか、あるいは自治事務に対しても、例えば合意つきの事前協議といったような国の関与が非常に大きいじゃないかというふうな御批判があることはよく承知をしております。  ただ、よく考えてみると、機関委任事務制度のもとで行われていた事務の中で、本来国がやるべ きであるが住民の便宜とか効率性の観点から地方に委任していたというふうな事務もあります。あるいはこの時点で考えて、むしろ国が直轄でやる方がいいんじゃないかというふうな事務もあろうかと思うのです。私どもの仕事というのは、機関委任事務制度でやっていた事務を全部自治事務にするというのが目的ではなくて、これを本来あるべき形に持っていく、本来あるべき姿に分離をしていくというのが我々の仕事なんだと思うのです。  日本の場合には、連邦制の国は別として、中央集権の形をとっているイギリスとかフランス等に比べて、機関委任事務制度を撤廃して今度の分権を実施していきますと、かなりのものが地方へ移っていく。考えようによっては、世界でも一番分権の進んだ国。現在、例えば財政の面から見ても、国、地方を通しその歳出の三分の二を地方が支出しているということは、三分の二の仕事地方が実際はやっている。これは、現時点では機関委任事務のもとに国の指揮監督を受けてやっているわけでございます。そのかなりの部分自治事務になっていくということは、結果としては非常に分権が進んだ形になるのではないか。それをさらに、本来の住民自治の形まで持っていく、そういう体制づくりをやるというのが我々の仕事だと思っております。  したがいまして、今のような御批判は確かに承っておきますし、できるだけそういう方向で努力はいたしますが、私は、今我々がやっている仕事の中身がかなり進んだものなんじゃないかというふうに認識をしているわけでございます。
  64. 畠山健治郎

    ○畠山委員 西尾参考人がいらっしゃるつもりで予告をしましたが、いらっしゃらないわけでありますから、私の意見として申し上げておきたいというふうに思っています。  対等、平等な中央、自治体関係を保障する行政紛争処理委員会設置についてでありますが、多くの省庁は、主任大臣の行政権限に優越する裁量権をこの委員会に認めることは内閣法あるいは国家行政組織法の考えとは相入れないなどの理由で反対しておるようでありますが、私は同意はできない、こう申し上げておきたいというふうに思っています。  また、中央労働委員会、公害等調整委員会など裁定権限を持つ委員会は現実に設置されており、これら委員会の裁定に関して、これまで主任大臣がクレームをつけることはないはずでございました。法制上からも実態的にも機能しておるこれら委員会を見れば、行政紛争処理委員会設置を妨げる法制上の障害はないと私は考えます。  伝え聞くところによりますと、国と自治体間の紛争について裁判所による解決手続導入するにしても、まず第一義的に行政内部において解決手続を設け、そこで解決が図られない事案に限定してこれを認めるべきだと、法務省は法政策上の見地から行政紛争処理委員会設置を容認しておる、このように私は承っております。ぜひひとつ、そういう前向きの方向で御努力をいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  そこで、国と自治体間が特に緊張関係をはらみながらも共同して最終意思決定をする。行政紛争処理委員会は、対立調整のみならず、積極的共同意思決定の場、あるいは広義では自治体の国政参加的機能を持つ場として国にとっても有益ではないかと考えます。その意味で、これは立法政策の領域であり、そうした政策を豊かにするためにも、推進委員会にはぜひとも具体的な勧告を期待してやまないというふうに思っています。委員長の決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
  65. 諸井虔

    諸井参考人 今畠山先生がおっしゃった論点は大体我々の論点でもございまして、そういう趣旨で各省庁と鋭意折衝をしております。それから、法務省の見解もおっしゃったとおりでございます。  ただ、何といっても新しい制度をこれからつくるわけでございますから、これはやはりあらゆる角度から十分に検討して、誤りなきを期してまいりたいというふうに考えております。  ただ、先ほども申し上げましたように、これを欠いた場合には、全体のシステムというものがやはりかなり問題を生ずるというふうに私は思いますので、ぜひともこれを実現したいという考えでおります。何分よろしくお願いいたします。
  66. 畠山健治郎

    ○畠山委員 堀江参考人にお尋ねいたしたいと思います。  住民の自己決定権の保障、そこに地方分権の重要な意義があるわけでありまして、それだけに地方行政体制整備に関する勧告については大いに期待をいたしております。  そこでお伺いをいたしますが、既に実施され、あるいはこれから行われる、新潟県の巻町あるいは今度行われる予定の岐阜県の御嵩町の住民投票について、地方分権における住民参加拡大との関係でどのように評価をなさっていらっしゃるのか、お承りをいたしたいと思います。
  67. 堀江湛

    堀江参考人 住民投票制度あり方については、先ほど来申し上げましたように、現行の日本の地方自治組織が代表制民主主義という形をとっておりますので、第一義的にはこれを重視していかなければいけない。しかし、同時にまた、住民投票制度といったようなものが住民地方自治に参加する極めて重要な制度であるということも、これもまた申すまでもないことでございますので、したがって、地方公共団体の重要事項について、殊にそれが条例で定められているといったようなものについて、例えばこういった住民投票制度をどのように活用するかというようなことについては今後十分研究する必要があろうかと思っております。  ただ、第一義的には議会の活性化を図ることがまず先決問題ではなかろうか。つまり、住民の意思と地方自治を結ぶ上で、住民の意思を議会が十分反映して、それを市町村政あるいは県政に反映させるということのための議会の活性化検討するということが第一義的にと申しますか、あわせて検討する必要があるのではないかと思います。  また、いわゆる直接請求の問題等でありますけれども、これも要件の緩和等々は十分検討に値するものと思いますが、一方において、殊に議員等に対する、これが乱用のおそれがないような、そういったことも十分留意しながら、こういった問題について検討する必要があろうかと思っております。
  68. 畠山健治郎

    ○畠山委員 最後になりますが、自治省の役割並びに地方自治法の問題についてでありますが、地方分権が全面的に進展しても、地方行財政に責任を持つ省の存在は必要と考えます。その場合でも、現在の自治省が持つ役割、機能は見直される必要があろうかと思います。また、地方分権は、最終的には現行地方自治法の全面的な見直しをもって初めて完結するのではないかと考えます。その場合、地方自治法は、理念的にも、内容的にも住民の権利義務から発した内容、構成に取ってかわるべきではないかと考えます。このことを私の意見として申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  69. 穂積良行

    穂積委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位一言御礼を申し上げます。  参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御札を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三分散会