運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-05-13 第140回国会 衆議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月十三日(火曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 穂積 良行君    理事 谷  洋一君 理事 平林 鴻三君    理事 宮路 和明君 理事 山本 公一君    理事 古賀 一成君 理事 富田 茂之君    理事 田中  甲君 理事 穀田 恵二君       石橋 一弥君    久野統一郎君       下村 博文君    滝   実君       中野 正志君    西川 公也君       西田  司君    平沢 勝栄君       持永 和見君    渡辺 具能君       今井  宏君    斉藤 鉄夫君       笹山 登生君    島津 尚純君       白保 台一君    松崎 公昭君       矢上 雅義君    葉山  峻君       古川 元久君    春名 直章君       畠山健治郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   白川 勝彦君  出席政府委員         警察庁長官   関口 祐弘君         警察庁長官官房         長       野田  健君         警察庁長官官房         総務審議官   金重 凱之君         警察庁生活安全         局長      泉  幸伸君         警察庁刑事局長 佐藤 英彦君         警察庁警備局長 伊達 興治君         自治政務次官  久野統一郎君         自治大臣官房長 谷合 靖夫君         自治大臣官房総         務審議官    嶋津  昭君  委員外出席者         法務省刑事局刑         事法制課長   渡邉 一弘君         地方行政委員会         調査室長    黒沢  宥君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十三日  辞任         補欠選任   川端 達夫君     島津 尚純君   福留 泰蔵君     斉藤 鉄夫君   鰐淵 俊之君     矢上 雅義君 同日  辞任         補欠選任   斉藤 鉄夫君     福留 泰蔵君   島津 尚純君     川端 達夫君   矢上 雅義君     鰐淵 俊之君     ――――――――――――― 五月九日  地方債の借換債の発行及び繰上償還条件の緩和  に関する陳情書  (第二六八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  暴力団員による不当な行為防止等に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第八四号  )      ――――◇―――――
  2. 穂積良行

    穂積委員長 これより会議を開きます。  内閣提出暴力団員による不当な行為防止等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中野正志君
  3. 中野正志

    中野(正)委員 おはようございます。自由民主党の中野正志でございます。  暴力団対策法の一部を改正する法律案、この問題に入ります前に、暴力団あるいは不良外国人、このごろよくマスコミをにぎわしておるわけでありますけれども、それらの介入が問題でありますパチンコ関係二点、プリペイドカードの問題、それから裏ROM問題について、まず質問を申し上げたいと存じます。  びっくりしたのでありますけれどもパチンコ産業は今や三十兆円の産業だそうであります。就業者が約三十万人、事業所で約一万八千ということでありますから、大変なものだなと思っております。ちなみに、自動車産業が二十兆円、就業者が十八万。また、チェーンストア関係が十六兆円、就業者が二十一万、事業所が約八千五百。言ってみれば、それらの巨大産業以上の産業形態をとっておるということでありますから、現実の国税たる所得税を含めまして税の問題、これもまた私たちは無視できない存在で理解をしていかなければならないと思っております。  まず、パチンコプリペイドカードにかかわる問題をお尋ね申し上げたいと思います。  この二月ごろだったでしょうか、大商社、三菱商事株式会社の子会社日本レジャーカードシステムという会社があります。売上高が三兆円強で、利益が五十億円、言ってみれば超優良法人ということになるわけでありますけれどもプリペイドカード事業から撤退かということでうわさをされましたが、最終的には事業継続という御判断をされたようであります。報道によりますと、偽造変造プリペイドカード被害は一日数億円のときもあった。最近はハウスカード化、言ってみればその店でしか使えないプリペイドカードにしたので、大分被害も減少したということはお伺いをいたしております。  この日本レジャーカードシステムが、九十六年九月末時点で、被害額は約七百三十億円、累積欠損額累積の債務ですか、約四百六十億円と実は発表されております。これは一社だけでありますけれども、こういったカード会社は三社あられるそうであります。トータルして、今日までの被害額は幾らになるのか、まずお伺いをいたしたい。  同時に、こういったプリペイドカード、私も実はきのう、パチンコファンではないのでありますけれどもパチンコ屋さんに行ってまいりまして買い求めたのであります、これがプリペイドカードかと。PAQY三〇〇〇とあって、三千円のカードでございます。このカード導入に当たりましては、警察庁あるいは国税庁が合作で、とかく脱税ワーストワンと言われるパチンコ経営パチンコ産業に、所得をしっかり捕捉せしめるのでなければならない、またもうかったらちゃんと税金で納めていただかなければならないというような行政目的もこれあり導入を図られた、そうお伺いはいたしておるのでありますが、そういう認識でいいのかどうか。  同時にまた、このプリペイドカード被害実態について、私は私でパチンコ屋さんからきのうお伺いはいたしたのでありますけれども、詳しく承知をしたい。  なお、お伺いいたしますと、このプリペイドカードを使って店ぐるみで、パチンコをする人ではなくしてむしろ店の方でそういった不正行為を働いて巨額の利を得ている人たちもいるということも聞いておりますけれども、その辺も含めまして、実態についてまずお伺いをいたしておきたいと思います。
  4. 泉幸伸

    泉政府委員 プリペイドカードについてのお尋ねでございます。  パチンコプリペイドカード変造事犯について、それの被害の額がどれぐらいかというお尋ねにつきましては、パチンコプリペイドカードは、御指摘のように主として三社、あるいは新規参入で四社ございますが、二社に集中して大きな被害が出ております。七年度の被害額が、今御質問にもありました日本レジャーカードシステムが約五百五十億円、日本ゲームカードが約八十億円ということでございます。八年度につきましては、被害が前期に集中しておると見ておりますが、年度合計いたしますと、日本レジャーカードシステムが約二百三十五億円、日本ゲームカードが約三十五億円というふうに承知いたしております。なお、そのほかの二社については、大きな被害はほとんど出ていないというように聞いております。  次に、パチンコプリペイドカード導入されたときの意義等についてのお尋ねでございました。  御質問にもありましたように、パチンコプリペイドカードシステムは、パチンコ営業に特有の現金管理業務を軽減し、事務処理効率化経営合理化に有効であると同時に、経理の明朗化にも資するということで、業界健全化関心を持ちます警察庁といたしましては、業界健全化に効果を発揮するものとして、その導入を推奨してきたものでございます。現在、カードセキュリティーに問題があったため変造カード事犯が多発しておりましたが、今後セキュリティー向上を図られることによって、今申しましたそのシステムのメリットは十分に発揮されていくものと考えております。  パチンコプリペイドカードにつきましては、偽造事犯については私ども認知しておりません。すべて変造事犯でございます。変造事犯行使状況ということで、当初は使用済みカードパンチ穴、使用いたしますとカードに穴があきます、その穴をふさいだ上に、カード上の磁気情報を入力して、書きかえて変造する。その変造カードを使って、パチンコホールで玉を借りて、遊技するなり景品に交換するという手口が一昨年の夏ごろから増加して、昨年の検挙は八百七十事件検挙人員一千八十九人という状況でございました。本年になってからは、四月末現在で本年当初から十一事件検挙人員は二十八人と大幅な減少を見ておりまして、発生状況を反映したものと考えております。  変造カード事犯の大半は単発的な、客がホールにおいて行使するということでありますが、中には集団で他の遊技客を威圧するような形で行う事犯、あるいは単独あるいは少数で店の目を盗むような形で行う事犯というのが出ております。さらに、御指摘のように、パチンコホール自身変造カードを用いまして、深夜等に自分の店から玉貸し機を使って玉を借りるという形で店の売り上げを増加させる、ひいてはカード会社との契約で、そのカード使用料という形で利益を得るというような事犯も発生しておりまして、現在までに検挙された店ぐるみのうち、十七事件でございますが、昨年十月以降十一事件、十七事件のうち十一事件がこれに該当いたしますので、むしろ最近においては、私どもはこの店ぐるみ変造カード事犯について注目し、取り締まりを強化しておるという状況でございます。
  5. 中野正志

    中野(正)委員 業界健全化ということで導入をしたにもかかわらず、そういった不正行為、幸いに最近は減少している、今数字でもあらわされましたけれども、いずれにしてもまだまだ大変残念だな。今日まで警察庁もしっかり対応いただいてきたのだとは思いますけれども、今後ともこういった犯罪というのは、言ってみれば知恵比べ、テクニックの闘いとでもいうのでしょうか、そういう展開になるのでもあろうと思います。  実はこの間、前払式証票発行協会それからNTT、この協会は百七十五社加盟で、三越の社長さんが、坂倉さんが会長をやられておるようでありますけれども現行刑法では、有価証券偽造変造外見で判断することが前提で、目に見えない磁気データ変造には必ずしも対応していない、同時にまた、有価証券流通性を損なわないように、偽造物を持っているだけでは罪に問われない、実はこういった抜け穴があられるようでありまして、パチンコカードあるいはテレホンカードなどの磁気プリペイドカード偽造変造が今日大変急増している。そういった現実にかんがみて、中身偽造変造を取り締まることとし、使用目的で所持していた場合はカード外見によらず処罰の対象にすべきだという提案をされたのですね。直接的には法務省ということになるのでありましょうけれども、しかし警察庁としても犯罪未然防止、予防という観点からも、こういった提案も一考されるべきではないのかなと思っております。  いずれにしても、変造パチンコカードへの今後の取り締まり強化策、その見通し、決意、あわせお伺いをいたしておきたいと存じます。  何につけ、そういった変造団偽造団というのでしょうか、それから何よりも暴力団あるいは外国系マフィア、これは徹底排除いたしてまいらなければならないという考え方を持っておりますし、またパチンコファンがそういうことでパチンコ離れをする、このことはよくないことだ、率直にそう思っておりますので、御見解をお聞かせをいただきたいと思います。
  6. 泉幸伸

    泉政府委員 御指摘前払式証票発行協会からの要望につきましては、私ども承知しておるところでございます。御質問にありましたように、刑罰法令改正を求める趣旨のものであると承知しておりますが、直接的には刑法改正等を所掌する機関において検討されているものと思っておりますが、取り締まりに限定して議論を申し上げれば、非常に有効であろうというふうな認識を持っております。今後とも、関係機関あるいは関係者の動向に私どもとしても関心を持って見守っていくと同時に、この種事犯に対する取り締まりというのは一層強化していく所存であります。  なお、変造カード事犯全体に対する対策でございますけれども、これも先ほどの御質問にもありましたように、このセキュリティー向上のためにそれぞれいろいろな施策をとってきております。  一つは、カードシステム全体を変えるという新カードシステムへの切りかえ、現在、この春から最終段階、それぞれの切りかえが行われておりまして、かなりのセキュリティー向上がなされております。それから、先ほどありましたように、カード自体システムではありませんが、全体のシステムの変更ということで、ハウスカード方式ということを一時的にやっております。それから、犯罪の誘因となる高額券の停止というのも昨年の秋に実施しております。  いろいろな技術上の課題というのは出てきて、またそれは先ほどのお話のように犯行を行う者とのある意味での競争ということでございますが、関係者において懸命にその努力をしておるところであります。  なお、先ほど御質問にありました店ぐるみ変造カード事犯というのは、まさしくこの健全化のために向けたカードシステム営業者自身が逆手にとるというような犯罪でありまして、非常に悪質だというふうに見ております。これらについては、所要の刑罰法令で厳格に取り締まると同時に、行政処分上も十分に反映させた厳しい対応をしてまいりたいと思っております。  先ほど申しましたように、カード会社に対しましてはセキュリティー向上をなお要請し続けておりまして、カード会社においてもその旨の努力をしておるところでありまして、現在推進中の諸対策によって当面の被害を最小限に抑えておりますが、さらなるセキュリティー向上により、現在の変造手口に対処できるセキュリティーの配備を早急に完了いたしまして、この被害をなくすべく努力をしておるところでございます。
  7. 中野正志

    中野(正)委員 そういう総合的なセキュリティー向上策、ぜひこれからも関係業界協議の上、さらに強力に推し進められるように期待をいたしておきたいと思います。  そういう意味で、変造カード現実大変厳しくなった。今度その分、実は裏ROMと言われる問題がマスコミ含めてパチンコファンに話題になっております。これまた主流は、正重言いますとアジア系外国人を含む、我が日本暴力団もあり、こういうことであります。  私の地元の仙台市内パチンコ店でありますけれども、パチプロ集団に客が監禁されるという事件が実は起こりました。暴行も受けております。この集団が、あらかじめ裏ROM入りの台を知っていた。ところが、何も知らないで入ったお客さんは、その細工した台に座ってやっておったら、どけろと言われた。結果的に連れていかれて、八時間後には解放されたようでありますけれども、その過程の中で五百万円用意しろとおどしもされた事件もありました。  また、古川というところでありますけれども、五人の外国人パチンコ台を取り囲んで台をいじくっておった。不審に思った従業員が事情を聞きに走っていったら、ナイフで切りつけられてけがをした。こういう事件もございました。その古川パチンコ台は合いかぎであけられて、ROM封印シールがはがされていたということでありますから、裏ROMをつけようとしたのだろうと思うのであります。  いずれにせよ、この二つ事件は別々のグループによる犯行だ。しかし、東京でいろいろな新聞を見ますと、まあ全国各地でこの種の事件が実は多発をして、折々新聞をにぎわしておるわけであります。  この裏ROMには、実は二種類あるのだそうでございまして、プリペイドカードとある意味で同じなのですが、一つは、店側加害者になるケース、不正な電子部品を使っての改造、イカサマ機械ということですね、それを使ってお客さんから金を召し上げる、こういうことになるのだろうと思います。  二つ目は、実は店側被害者になるケース。今多いのは、この店側被害者になるケースだ。推定の被害額は五千億円とも一兆円とも実はささやかれておりますけれども、全部これはノータックスのお金なのですよ。まだまだ検挙という状況にはほど遠い現実があられるようであります。これもきのうパチンコ屋さんで見させていただいたのです。基板にビスが二つついていまして、それをぱっぱっと外して、ROMを外して、自分ROMを入れる、わずか一分弱で作業は済むというのですね。ですから、これは大変だな、実はそう思いました。  それで、この不良外国人暴力団が絡んだ裏ROMの問題で、一つには、夜のうちに侵入してチェンジする。その場合に、防犯用赤外線感知器をクリアするためには消防服がいいのだそうでございまして、消防服をまとって夜中の間にチェンジをするというケースがある。それから二つ目には、パチンコ台メーカー下請段階不正行為が行われるケースもある。それから三つ目には、そのパチンコ台の輸送中、もう犯人グループはちゃんと目をつけていまして、途中のドライビングサービスエリアで運転手を買収して、その間にチェンジをするというケースもある。あるいは四つ目は、パチンコ台の取りつけの段階で、その取りつけの作業に当たっている従業員といいますか作業工を買収して、後でもうけの何割やるからどうだ、こういうことでやるケースもある。あとは、五つ目は、店主そのものがやるのか店長がやるのかわかりませんが、店側と結託してやる。そんな事例が実は報告されております。  侵入ということであれば、防犯システムをもうちょっと考えられれば店側としてもそれは対応できるな、あるいは監視カメラをもうちょっとしっかり配置をすることで店側としては防止できるなとは考えるのでありますけれども、しかし、さっきの古川の例で見られるように、全国ネット、全国をまたにかけて悪事を働いている連中でありますから、せっぱ詰まったときに何をするかわからない。ナイフで切りつけるぐらいならいいのでありますけれども、青竜刀なんか出されたのではとてもじゃないがたまらない、そういうケースも予想されるところであります。そういう意味で、私たちの宮城県警察本部は、そういう不審な外国人があらわれたら、ちょっとおかしなことをしたらすぐ一一〇番しなさい、こういう指導を実はされているやにも聞いております。  そういう意味で、パチンコ店はあくまでも健全な遊び場でなければならない、大衆娯楽として今以上に客離れをさせないようにしなければならない、そう思っておるのでありますけれども警察庁として、五千億円とも一兆円とも言われるこの裏ROM問題の実態、それでどんな対策対応をしてこられたのか、これをまずお伺いいたしておきたいと思います。
  8. 泉幸伸

    泉政府委員 ただいまの御質問にもありましたように、委員承知のとおり、パチンコ台は現在コンピューター制御でなされております。それで、その正規のいわゆるROMを交換することにより、法で認められた以上の射幸性を発揮するような台に変えるというような形が一つございます。これについては、ホール経営者ROMを交換することによって法で認められた以上の射幸性を持つ機械として営業に供することによって客を集めて利益を得ようというような形の、いわゆる不正機という問題がございます。  それからもう一つ形態は、今お話にありましたように、店ではなくて、店が知らない間にROMをひそかにかえまして、特定の打ち方をすると玉がよく出る、そういう仕掛けのもとに客が不正に大量の品玉を獲得して利益を得るという形で、それを取りかえる方法につきましては、ただいま御質問がありましたさまざまな手口のほかに、遊技中に店のすきを見てROMを取りかえるという手口もございまして、今御質問裏ROMで不正な品玉を得るという遊技客違法行為につきましては、このような、前夜忍び込んでROMを店の知らない間に交換して取りかえるということと、遊技中にやるというようなことがございます。  それぞれの事件につきましては、窃盗罪その他で取り締まりを行っておるところでありますが、なかなか全国的にまだ根絶はできていないという状況でございまして、取り締まり以外の対策としまして、現在、私ども遊技機メーカーに働きかけまして、基板上の部品を交換できないように構造上、例えばかしめと言っていますが、破壊しないとふたがあかないような機械にするというような対策もどって、この種事犯根絶を図るという対策をとっております。来月にもこのような対策を施された遊技機が出回るということでございます。  いずれにしましても、そういうふうな対策も含めまして、ホール側協力も得て、違法行為の客については厳しく取り締まるというような形で対処してまいる所存であります。
  9. 中野正志

    中野(正)委員 今、メーカーとの協力で、構造基板があけられないようにという話でありましたけれども、例えばこれが基板だとすれば、さっき言ったように二つねじだったのですね、これをがちんことあけられないようにするということなのですか、構造上。そう理解してよろしいでしょうか。
  10. 泉幸伸

    泉政府委員 より正確に申しますと、今は、機械をあけた場合に、わかるように封印シールを張っております。これを巧妙にはがしてシールをもとへ戻すというような手口で、実際にはあけられているのだけれども、あけた痕跡が残らない、わからないというような状況がありますので、特殊なねじを用いまして、あける必要が出てくる場合もありますので、あけた場合にはあけた旨が明らかにわかるというような仕掛けが、先ほど申しましたものでございます。絶対あかないということではなくて、あけた場合にはあけた痕跡が明らかに残る。これは、正規のものであれば、なぜあけたか、本来あけることがないはずのものがあけられたということがわかりますので、そこから中身が取りかえられたりなんかしているのではないかということがわかる、そのような構造のものでございます。
  11. 中野正志

    中野(正)委員 そういう基板ROMが出回るということであれば、大分セキュリティー確保上いいのかな。いずれにしても、これからなお、さらにそういった意味摘発強化もお願いしたいと思いますし、店側への防犯指導も徹底していただきたいと思います。  私たちが心配するのは、パチンコ店というと、正直、いかにもいろいろな問題が今日まで喧伝をされてきましたし、暴力団だ、あるいはそういった外国系マフィアと直接のつながりがあるのではないかと懸念されるところもあるし、逆に仕掛けられるという懸念のところもありました。  この問本を見ておりましたら、電子的にパチンコ台を遠隔操作する補助システム、こういった導入を考える経営者もある。それもあるいは一つなのかなと思いますけれども、どちらにせよ、パチンコ産業を取り巻く問題というのは余りにも多過ぎるなと。私たちもそういう意味では、正規の、ノータックスではない、しっかりと所得を納めていただきますためにも、まだまだ御指導申し上げなければならないとも思います。  ただ、問題は、パチンコ業界、換金の問題もありますし、あるいは、前にパチンコ台廃棄処理の問題でいろいろ提起がされた問題もありました。あるいは、パチンコホール自体の問題として、これまたいろいろな問題がある。例えば、主婦だ、あるいは普通のサラリーマンの方が、通称のめり込みと称しまして、ずっとパチンコを毎日毎日ということで人生を狂わせてしまう人たちもいる。いろいろな問題もありますけれども、改めてそれは議論をさせていただきたいと存じます。ありがとうございました。  それでは、本論に戻りまして、この暴対法の一部を改正する法律案についてお伺いをいたしたいと存じます。  現行法平成三年に成立して平成四年の三月に施行されてから五年が経過をいたしました。従来の刑法などでは取り締まりが難しかった部分、それをしっかりと新たな規制措置を講ずることにして、大分に成果もあらわれたことであろうと思いますし、ちなみに、私ども仙台市では国分町という飲食店街があるのでありますけれども、ここの例えば女性経営者の方が、通称みかじめ料とかということで要求されたり、何か買えと言われたりすれば、暴対法ができたのだから警察に言うわよ、こうやると、そちらの関係の方はそれ以上のことはしなくなった。  そういう意味では、暴対法の中身、言ってみれば法律中身は知らなくても、暴対法というのは市民の味方なんだと理解をされておるということは、警察庁あるいは県警察含めて一生懸命市民の方々に啓蒙された成果なんであろうなとは思っております。そういう意味で、この五年間の総括と成果についてまずお伺いをいたします。
  12. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 いわゆる暴対法施行後、順次暴力団をこの法律に基づきまして指定をしてまいりました。そして、五年が経過をいたしまして、現時点におきましては二十三団体を指定をいたしております。現在、全暴力団員が四万六千人というぐあいに私ども把握いたしておりますけれども、この指定によりまして、約八八%の暴力団員をこの法律の適用下にしたということでございます。  その結果、この法律におきましては、中止命令あるいは再発防止命令というものを出すことができるようになっておりますけれども、再発防止命令百五十五件を含めましてこの五年間で四千八百四十件の命令を出し、この法律で規制されている行為の中止等を確保いたしております。  その結果、今委員指摘のとおり、いわゆるみかじめ料の徴収でありますとか、いわゆる民事介入暴力と言われるような、民事にかかわっていく、そういう不当な行為というものを抑止することができているというぐあいに理解をいたしております。  また、この法律に基づきまして暴力追放運動推進センターというものを設置いたしておりますけれども、ここに毎年年間約一万件の相談が参っております。警察には約二万件ぐらい参っておりますけれども、合わせて三万件の私人からの相談を受けておりまして、その相談をそれぞれ相談委員対応等によりまして解決をしてきているところであります。  さらに、この法律は、初めて暴力団というものを定義いたしました。御承知かと存じますけれども暴力団といいますのは「その団体の構成員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体」というぐあいに定義をしていただきました。その結果、「暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体」ということでありますから、これは社会的に是認できない団体ということでございましょう。つまり、翻して申し上げれば、暴力団は反社会的集団であるというぐあいにこの法律によって規定をしていただいたというぐあいに言えようかと存じます。  その結果、御承知のように大変な暴力団排除の国民的な運動が起きてまいりまして、暴力団は非常に孤立感を深めているというぐあいに考えております。  さらに、この法律が制定をされました平成三年より前の平成二年までの状態では、暴力団の対立抗争事件が毎年三十件ぐらい起きておりました。一つ事件で何回も攻撃をし合いますので、それの倍する以上の抗争が行われるわけでありますけれども事件としては約三十件ほど起きておりました。それが、この法律が施行されるまでの、成立をいたしましたその時点以降、極端に対立抗争が減りまして、現在ではこの五年間で十件前後で推移をしているということでございます。  このように、万般この法律の効果というものが年を追うごとにあらわれてきているというぐあいに私どもは理解し、大変感謝申し上げているところでございます。
  13. 中野正志

    中野(正)委員 今報告にありましたように、暴力団が、私も以前申し上げました問題も含めて、大変悪質な犯罪を繰り返している。  ちなみに、このごろは台湾で、あの世界に誇る治安がよかった台湾で、大分に殺人事件やら誘拐、監禁事件が起きている。梶原一騎さんといえば、私もあの人の漫画は大変好きだったのでありますけれども、あの人のお嬢さんがああいう形で死亡するということでありますから、台湾の暴力団も本当に険しくなったものだなと。今、台湾の国民の抗議の嵐で、実は政権を揺るがすまでになっております。  最近の我が日本暴力団犯罪中身、あるいはその特徴についても、局長さんにお伺いをいたしておきたいと思います。
  14. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 暴力団と言われた言葉の遠因は、やはり暴力的な行為というものを日常的に行うというところにあったかというぐあいに思いますけれども、しかし、暴力団はそういう暴力的な行為を用いて何をしようとしているかといえば、しょせんは、金を得よう、そういう集金マシンと言っていい不法な団体だというぐあいに言えようかと思います。したがいまして、金のあるところに暴力団はその活動の触手を伸ばすということでございまして、経済の情勢変化と極めて密接に関連していると言ってよろしいかと存じます。  したがって、バブル以前の段階では、民事の行為へ介入するということでこの暴対法もつくっていただいたわけでありますけれども、バブルが崩壊をいたしまして経済が全体的に落ち込んできたということから彼らの資金も非常に苦しい状況になり、他方で取り締まりやあるいは世論が厳しくなってきたということから、最近では、経済活動に入ってくる、しかも、表立ってではなくて企業の装いをかぶって入ってくるというような形で形態を変えてきている、これが主流であろうかと思います。  しかし、他方で、現在もなお対立抗争のときにけん銃をほとんどの場合に発砲いたしておりますし、また、白昼路上におきまして一般市民の目前でけん銃を撃ち合うというケースも、減ってきてはおりますけれども皆無ではないというようなこ とにかんがみますと、やはり暴力団の本質は暴力そのものであるというぐあいに言ってよろしいのではないかと思います。
  15. 中野正志

    中野(正)委員 そういう意味で、従来、暴力団は、みかじめ料の実入り、あるいは覚せい剤、賭博なども資金源としていた。このごろは、申し上げましたように、パチンコ関連だ、あるいはピンクチラシの売春行為だ、あるいは競馬ののみ行為だ、いろいろ集金マシンがうわさされるのでありますけれども、最近の暴力団の資金獲得活動とでもいうのでしょうか、どのような変化が見られるのか、それを一つ伺いをいたしておきたいと思います。  それから、来月六月、上場企業を初め株主総会が多数開催もされるようであります。そういう意味では、野村証券の利益供与事件を初めとして総会屋に関する報道が頻繁に行われていますけれども、総会屋があるいはイコール暴力団というケースもないわけではない。地下に潜ったと言われるそういった総会屋の動向を、警察庁取り締まりの方針も含めて、あわせお伺いをいたしておきたいと思います。
  16. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 資金源の活動についての変化につきましては、ちょっと先ほども申し述べましたことが根幹になっておろうかと思いますが、最近、いわゆる経済やくざ化しているということでありますけれども、ここ数年の顕著な傾向といたしましては、不良債権の回収、これが政府の重要課題になってきているぐらい現実には非常に厳しい状況があるわけでありますけれども、その回収過程に暴力団が介入してきている。これは妨害もありますし、回収に関与することによってその手数料名下に資金を不当に得ている、金融・不良債権関連事犯と呼んでおりますけれども、こういうことを資金源としてきている傾向がございます。  また、非常に奇異に感じますけれども暴力団が最近は窃盗に手を出してきておりまして、非常にその件数がふえてきております。これは、暴力団自体が非常に資金源に困窮してきているということの証左かなというぐあいに思います。  また、御指摘のように総会屋につきましても、総会屋としての純粋な活動というものは最近は非常に少なくなってまいりまして、暴力団ないしは暴力団と軌を一にいたしまして、総会屋自体が暴力団化の傾向を強めているということは言えようかと思いますけれども、現在私どもが把握いたしております総会屋は約千名でございます。そのうち一割ぐらいが暴力団員、つまり暴力団の構成員あるいは準構成員と言われる者でございます。  これらは、最近取り締まりが非常にきつくなったということと、企業に対する働きかけ、あるいは企業の、やはり世論を見て企業行動をとらなければならないという、そういう企業に対する規制要因、これらがありまして、最近は株主総会の総会現場におきましての違法行為というものは激減をいたしておりますが、しかし、個々に企業に訪問をいたしまして、引き続きいろいろな名下に資金を要求しているという事案がございます。昨年中でも二十二件、三十名検挙をいたしておりますけれども、商法違反もございましたし、今後これらについての取り締まりを引き続き強化をしてまいりたいというぐあいに思っております。
  17. 中野正志

    中野(正)委員 不良債権の回収トラブル、これもよく耳にするところでございますけれども、処理機構との連携を含めまして、厳重にひとつ対応していただきたいと思います。  また、今、個々に企業回りで集金というお話もありましたけれども、残念ながら野村の利益供与事件の後も次から次にうわさをされる企業が出てまいりまして、日本の資本主義、こんなことではだめだな、企業倫理も地に落ちたなとつくづく感じております。これは別な機会の議論にさせていただきたいと存じます。  そういう評価の中で、総括の中で、今回の暴対法の改正、その大きな趣旨、そして要点といいますか、それを改めて御披瀝もいただきたいと思いますし、聞きますと、警察庁では、指定暴力団員の不当な要求によるやり得をなくし、被害回復を促進するための供託命令制度を暴対法に盛り込むべく検討していたという報道も見られたのでありますけれども、これが今回の改正案には盛り込まれていないなという気持ちでありますが、盛り込まれなかった理由は何なんでしょうか。とりあえずこの二つ、お伺いをいたしておきたいと思います。
  18. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、この暴対法の成果というものははかり知れないものがあるというぐあいに考えておりますけれども、この五年間の運用を反省をいたしてみますと、やはり検討すべき事項が散見をされました。  例えて申しますと、この法律は、あくまでも個人の行為を規制するという従前の日本の法体系の中で制定をされたことがありますので、あくまでも個人の行為に着目をしているということであります。したがいまして、指定をされました暴力団の構成員、いわゆる指定暴力団員、これの行為について基本的には規制をするということになっております。  そうしますと、同じ被害者に対しましてある暴力団員が参りまして、中止命令をするなり再発防止命令を出しますと、同じ組の別の組員が同じ被害者のところにやってくる。そうすると、またその者に対して同様の命令をしなければならないということで、入れかわり立ちかわりやってくる者に対する対応というものに追われる、そういう被害者あるいは公安委員会というものが出てまいりました。これを何とかできないかということが一つございます。  また、指定暴力団員でありますから、自分でやりますと規制を受けるということで、自分が指定暴力団員でない者、自分の所属する指定暴力団員でない者に対して同じ行為をやらせるということが出てまいりました。いずれにいたしましても、規制逃れが出てきたということであります。  それからまた、準構成員というものがございまして、これはもう暴力団と変わらないような活動をしている実態にございますけれども、この準構成員たちがその親しくしております暴力団の威力を用いまして同様の行為をする。これは自分自身の利益のために行っている、あるいはその一部を上納している場合もありますけれども、これもまた規制ができないというようなことで、こういうところに目をつけて被害者に対して資金を要求するというようなことが出てまいりましたことから、これを何とかやはり解決をいたさないとしり抜けになるというぐあいに考えまして、今回、大きく申し上げますと四点の改正を考えさせていただいたわけであります。  一つは、指定暴力団にはやはり業務というものがございまして、業務といいますと何か普通の観念で考えがちでありますけれども、これは法律用語でございまして、その社会的地位に基づきまして継続的に行っている事業等を業務と呼んでおりますけれども、こういう業務のもとに活動している暴力団員であれば、別の暴力団員がやりましても規制ができるように、その上位の者に対して禁止を命ずるというようなことにできるようにしたい。  二つ目は、暴力団の周辺にある者が同様の行為をしたときには、一定の条件のもとで規制をできるようにいたしたい。  また、対立抗争が起きました場合に、現在、事務所の使用制限をしていただけるようになっておりますけれども、これが同じ指定暴力団の中における別の集団同士の対立抗争の場合には適用できないような規定になっておりまして、これらにつきましても補正をお願いをしたい。  そして最後が、先ほどもちょっと触れました、最近、債権の回収問題が出てきておりまして、この債権の回収に暴力団が介入してきているということから、不当な債権取り立て行為を規制できるようにいたしたいというぐあいに考えた次第でございます。  それから、供託命令の関係でございます。  確かに、年当初まではこの供託命令制度というものを考えまして、これは、暴力団が不当に得た資金、不正収益というものを、税金も払わない、あるいは被害者にも返さないという状態で、得たままの状態、いわばやり得と言ってよろしいかと思いますけれども、これを何とか解消させたい。それから、本来はそれは被害者に返されるべきものでありますから、被害者がその資金を回収できることを何とか支援できないかというぐあいに考えたわけであります。  本来、被害者は、その不法行為によって失ったものについての取り返しは、民事の裁判を起こしまして、ないしは和解等によりまして回収をするというのが法律上の仕組みでございますけれども、この手続に入るということは、実際上、対暴力団の場合にはなかなか難しいという現実もありまして、何とかそれを支援できないかというぐあいに考えたわけであります。  その結果、暴力団が不当な行為によって得ました不正収益、それが、被害の相当額というものが認定できますならば、その額というものを公安委員会暴力団に命令をいたしまして供託所に供託をさせる、そして、その供託金につきまして、被害者が回収可能な額というものが現実に目に見えますので、その時点で民事訴訟を提起する等の、本来の、法律上予定された手続をとることができるようなインセンティブをつくりたいというぐあいに考えたものでございます。  ただ、あくまでも、これは指定暴力団員による被害に限定されることになります。ちょうど、この問題を私どもが考えました折に、法務省におきましても、被害者一般についての救済を迅速にし、あるいは確保することができるような、そういう仕組みというものを考えなければいけないということで検討に入っておりました。そうだといたしますと、私どものやろうとしております指定暴力団員被害者というのは被害者の一部でございますので、全体の被害者対策というものを検討していく中でその暴力団員による被害者というものについての救済に関する手当てというものを考えていく方が、よりいいものをつくることができるのではないかというぐあいに考えるに至った次第でございます。
  19. 中野正志

    中野(正)委員 ぜひそのようにお取り進めをいただきたいと思います。  時間がありませんからちょっと進みますけれども、第十二条の三で、指定暴力団員が、当該指定暴力団等の指定暴力団員以外の者に対し、準暴力的要求行為、言ってみれば、指定暴力団等の威力を示して一定の不当な要求行為をすることを要求、依頼、または唆してはならないとしているが、具体的にはどういうイメージを私たちは持ったらいいのか、御説明くださいますか。
  20. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 この法律は、団体規制になってはいけない、しかるに効果的であらねばならないというような難しい要請のもとにつくられたものですから、大変わかりにくい規定になっております。  今御指摘の十二条の三は、指定暴力団員が人に対しということでありますので、自分以外の者、こういうことになりますけれども、「当該指定暴力団員が所属する」、つまり暴力団員が所属すると同じ暴力団の威力を用いまして準暴力的要求、これはすなわち、暴力団員以外の者が、同じような行為を準暴力的要求行為と定義をいたしましたので、やることを要求してはならない、こういうことであります。具体的に言いますと、暴力団員が、自分の組に所属する者以外の者、これは他の暴力団である場合もありましょうし、暴力団員でない者である場合もあると思いますけれども、ただ、いずれにいたしましても、その要求に基づいて暴力団員の威力を用いるわけでありますから、暴力団の周辺者であるに違いないのでありますけれども、そういう者にいわば間接正犯のような形でやらせる。自分がやりますと規制を受けますから、自分がやらずに、自分以外の者にそれをやらせる。自分以外の者でも、同じ組員だと規制を受けますから、これは十条という規定がございまして規制を受けますので、別の組員ないしは組員でない者を使うということを規制しようというものでございます。いろいろなパターンがあり得ようと思いますけれども、骨格はそういうものでございます。
  21. 中野正志

    中野(正)委員 それから、改正案で、指定暴力団員ではないが、指定暴力団員と一定の関係にある者が指定暴力団の威力を示して一定の不当な要求を行うことを禁止することとしておりますけれども、その意味合いですね、それがまず第一点。  もう一つ、この改正案において、すべての準構成員による準暴力的要求行為が規制することとされているわけではないが、この準構成員の取り締まりについても、暴力団員と同様に力を入れていくべきであると考えますけれども、いかがなものだろうかなと。さっきちょっとお話はありましたけれども、実は、ちょこまかと小間使に走っておりますのはそういった準構成員なんですね。そのことにかんがみますと、この準構成員の取り締まりについてもがしっと力を入れていくべきだと私は考えておるのですが、以上二点、お伺いをいたします。
  22. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 最初のお尋ねでございますけれども、この行為というのは、何を規制するかといいますと、結局は、現行法の第九条に掲げております、現在十四種の行為が書かれております。例えば、寄附金でありますとか賛助金の名目でみだりに金品を要求するものでありますとか、あるいは、交通事故の示談にかこつけまして、介入をいたして金品を要求する等々の行為でありますけれども、この行為であります。  現在は、指定暴力団員がこれをやりますと、暴力団の威力を用いてやりますと規制されるわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、指定暴力団員以外の者であれば規制を受けないということでありますので、そういう準構成員でありましても、暴力団の威力を使って、自分は所属員じゃないのでありますけれども、その親しくしている組の威力を用いて九条各号に掲げている行為をやりますと、それは被害者にとっては同じことでございますし、将来また指定暴力団員がやってくるかもしれないという恐怖感を持つことにおいては変わりないのでありますから、これを規制しようというものでございます。  それでは、その準構成員全体を取り締まってはどうかということでありますけれども、それはもう御指摘のとおりでありまして、現在私どもは、犯罪の捜査という方法での取り締まりと、暴力団対策法の適用ということによる取り締まりと、大きく言いますと二つ取り締まり手法を与えていただいているわけでありますけれども、この犯罪の捜査の方で見ますと、毎年約三万三千人前後検挙をいたしておりますけれども、そのうちの約三分の二は準構成員でございます。ということは、準構成員というのは、現実には、暴力団員暴力団の構成員と質的には異ならない実情にあるということであろうかと思います。ただ、暴力団対策法の適用は現時点では受けないということですので、これを受けられるようにしていただきたいというものでございます。
  23. 中野正志

    中野(正)委員 時間がありませんから、あと一点だけにいたしますけれども、いずれにしても、今回の暴対法の改正、市民サイドに立てば、まごう方なく大前進の形になります。先ほども報告がありましたけれども、今までは対立抗争に限定されておりましたのが、内部抗争と。抗争に市民の方々が巻き込まれて、発砲事件で亡くなったり、あるいはけがをしたり、あるいは子供を含めて、その地域に大変な恐怖感、威圧感を与えてきたなどということもありますから、私はなおさら、心から拍手をお送りをいたしたいと思っております。  最後ですけれども、どちらにしても、この暴力団を含めて組織犯罪対策というのが、今、大変重大、重要であります。とりわけ、この暴力団対策が重要だというのは先ほど来お話があったところでありますけれども、改めまして、二十一世紀を見据えながら、警察庁として暴力団対策に覚悟を 決めて頑張るという決意を御披瀝をいただいて、私の質問を終わります。
  24. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 暴力団取り締まりの歴史には大変長いものがございます。それで、暴力団がこれまで、戦後一番数が多かったのは昭和三十八年と言われておりまして、そのときに約十八万人強いたというぐあいに記録されております。そういたしますと、現在は四万六千でございますので、四分の一に減っているわけであります。したがって、一年あるいは二年という短いタームではなかなかその成果というものを推しはかることはできませんけれども、この三十数年という期間でとらえますと、着実にその取り締まりの成果というものはあらわれているというぐあいに思います。  したがって、私は、暴力団取り締まりの要請は何かといいますと、拙速を求めずにやはり粘り強く継続をしていく、そして着実な成果というものを求めて地道に活動を行っていくということが大事ではないかというぐあいに考えております。御指摘のように、現在、全体といたしましては、組織犯罪、特に国際的な組織犯罪というものが大きな課題になってきておりますけれども、その中核は、我が国ではやはり暴力団であろうと思います。引き続き、決意を新たにして、この取り締まりの強化に努めてまいりたいというぐあいに思います。
  25. 中野正志

    中野(正)委員 現場を含めて頑張ってください。  終わります。
  26. 穂積良行

    穂積委員長 古賀一成君。
  27. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 それでは、引き続きまして、新進党の方から、きょうは二人質問させていただきたいと思います。  まず、私、冒頭、一人目として、総論といいますか、この暴対法をめぐるいわゆる国際情勢あるいは国内情勢、そういったものに焦点を当てて質問をしたいと思いますし、二番バッターの松崎議員の方から、いわゆるこの暴対法改正そのものを中心としまして、二人でコンビを組みまして質問を申し上げたいと思います。  ただいま局長の方からも、これからの暴力団対策の要請といいますか、最後に、地道に焦らずという話もございましたし、一方で、これからの国際化といいますか、そういう問題が非常にポイントであるという話も出ました。そこら辺をまさしく私も意見を一にするわけでございまして、質問を申し上げたいと思います。  この委員会で冒頭質問した折に、私もかつて警察に奉職したことがあるということで、経験を持っております。そういう面で、本当に現場の警察官の方が、昼夜を分かたず、事あらば夜を徹してでもやるという、その真摯な姿というのは、私も二年半にわたり経験しております。それを十分承知の上で、この暴対法をめぐる諸環境について、大きい立場からといいますか、あるいは幅広い立場から、こういうことも考えてほしいという点を中心に紹介をさせていただきたいと思います。  まず冒頭に、今もお話ございましたけれども、この暴対法の一部改正そのものについては、私は大変警察庁努力を多とするということを申し上げたいと思うのです。大体、法律ができまして、できてしまえば、まあこれでよかろうということで五年、十年経過する、あるいは法律が全く機能しなくなってもそのままにほっておくということが間々ある中で、大変この法律、五年前に大きい世論を喚起した法律でございます。五年たって再度、時代の変化を見据えた上で警察庁がこの法案を出されたということは、大変私は評価を申し上げたいということをまず冒頭申し上げます。  さはさりながら、しかし、本当にこれでこれからの治安あるいは暴力団対策というものが万全だろうかということに思いをめぐらしますと、私は若干異論がございます。  かつて、暴力団というものは、いわゆる賭博に始まり、博徒、テキ屋に始まり、売春暴力団あるいは港湾暴力団、かつて九つの分類でスタートしたという話をどこかで聞きました。ところが、時代は変わりまして、今や、後ほど申し上げますけれども、国際化あるいは情報化、コンピュータライゼーション、恐るべきスピードで経済社会の実態は変わりつつあるわけでありまして、金をめぐって、一番生き延びたいという、この気持ちを持った暴力団がそちらの方向へ必死の思いでシフトしているのではないか。そういう面から見ると、博徒、テキ屋という発想からだけでは律し切れない重要問題がこの問題の背景にはあるだろう。  そうしたときに、今回の暴対法は高く評価するものでありますけれども、どちらかというとそういう過去の博徒、テキ屋云々の流れからきたような感じもする。思い切って発想を転換して、将来の暴力団の活動形態というものを予測した中で私はこの対策というものを講ずべき時期じゃないか、かように思っております。  それは後ほど質問申し上げますが、まず、そういうことで冒頭に、最近の我が国の治安あるいは国民の安全という問題に関して、陰りが見えるといいますか、そういう感じを私自身も持っておりますし、国民の皆さんも持っておるだろう、こう思うのですね。  例の阪神大震災がありました。これは天災でございます。しかし、その後の国民の対応というのは、非常に賢い面もあったけれども、逆に行政あるいは政府、あるいはもっと言うなら危機管理という面で本当に大丈夫なんだろうかという思いもあった。そしてさらに衝撃的なことは、あのオウム真理教でございます。あれだけの世の中をにぎわした、選挙まで出て世の中をにぎわしたあの団体が、何と武器の密造もやっていた。そして、あの恐るべきサリンも工場でつくって、あれだけの殺りく行為を実行をした。こういうことから見て、本当に日本の最近の治安情勢あるいは安全神話というものは国民の中で陰りを見せておる、私はかように思います。  基本的に、日本の安全、社会の安全性というものについて、私は、警察庁としてあるいは制服として、基本的に最近の日本の治安、安全の状況をどう見ておられるのか、まず大臣にそこら辺の総括的な所見をお伺いしたいと思います。
  28. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 私は、就任以来、我々が世界一良好だと信じ、かつまたそれはそう大きな違いはなかったわけでありますが、治安に対する言うなれば絶対の信頼というようなものが揺らいでいる、仮に揺らいでないとしても、間違いなく陰りが出てきていることは事実である、この認識を私は持っております。  ただ、同時に、現在のような状況ならば、決してまたこの治安が悪化の一途をたどり、とめどもなく悪くなっていく、こういうふうには認識していない。今ならばまだこの治安の悪化を食いとめ、もとのような治安状態に戻すことが可能である、こういうまた一方では認識を持っておりまして、だから警察の役割が大変大事なんだということを、機会あるごとに私は警察官諸君に申し上げております。  ですから、やはり何といっても、警察は強い警察で、一つ一つ事件を的確に検挙していかなければいけない、挙げていかなければならない。そういう面では、強い警察であってほしい、頼もしい警察であってほしい、こう私は事あるごとに申し上げております。ただ、同時に、本当に強い警察、また大きな実績が上げられる警察というのは、国民の信頼を得て、国民の協力を得られる警察でなければならない。このことをくれぐれも念頭に置いて、常に国民の信頼と協力が得られるような警察活動に邁進してほしいと訓示いたしておるところであります。
  29. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 私もその面で大臣の意見と全く一緒でございます。後ほど申し上げますけれども日本の治安情勢、日本の賢さといいますか、そういうものからやれば、再度、いわゆる安全なる日本というものは維持できるという自信も御披露がございまして、私もそう思います。そうあらねばならぬと思いますが、でもやはりこれは大変厳しい環境があると私は思っております。  それは後ほどるる申し上げますけれども、先ほ ども申し上げました国際化、いわゆるボーダーレス化あるいは恐るべき情報化の進展、いわゆる国境がない中でインターネット上をいろいろな情報が飛び交うという時代の中にあるわけでありますから、ほっておけばますます日本の治安維持というものは難しい時代が来る。それならそれで対応すればいいのですけれども、ところが一方で、今般の薬害エイズの問題、そういう問題、いろいろございました。そういう恐ろしい、国際的な波をかぶる以前に、何か日本の行政というか、あるいは内部秩序というか、みずからがいわゆる崩壊していっているというような感じも持つわけでありまして、私はこの面が一番怖いのだろうと思います。そういう面でも、警察庁が五年の施行後これを出したということは、旧制に堕することなく一つの新しい道を選んで法案を出されたということは、私は高く評価するわけであります。  それで、第二問目として、暴対法施行後の経緯、成果といいますかそういうものをお聞きしようと思いましたが、今、中野議員の方から質問がございました。この中で、いわゆる暴力団をこの法律によってカバーしたパーセンテージ八八%、いろいろな相談も三万件に及んだ、対立抗争事件も三分の一に激減してきている、これはわかりました。  私は、ここでお聞きしたいのは、暴対法が施行された、時代も経済社会の環境も変わりましたけれども、この五年の成果の中で、暴対法ができたとかそういう環境の中で、暴力団がどういうふうに変わってきたのかといいますか、あるいはその形を変えてきたのか、その点が私は非常に関心があるわけでございます。暴対法施行後五年の重立った動きで結構でございます、暴力団がどういうふうに変わってきたのか、その点について警察庁の御見解を聞きたいと思います。
  30. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 この五年の変化の中で一つ申し上げておきたいことは、確かに対立抗争等も減りましたし、細々した非常に日常的な問題の解決の道は開けたわけでありますけれども、他方で、この五年間で私どもの働きかけによりまして、あるいは暴力追放運動推進センターの働きかけによりまして、離脱をいたした暴力団員が三千百五十人に及んでおります。そして当然のことながら、彼らに対しては就職の世話をする、そして就職を受け入れてくれる企業をお願いをいたしまして、いろいろ要請を行って今日に至っているわけでありますけれども、そういうようなこともあり、また先ほど申し上げましたような、暴力団というものが反社会的集団であるという位置づけをいただいたということ等の結果、この五年間で暴力団員は一万人減りました。先ほど三十八年との比較を申し上げましたけれども、この五年間で一万人減ってきているということであります。  その結果と言ってよろしいのかと思いますけれども、全体が減ってきた中で、いわゆる山口組、稲川会、住吉会という大きな三団体、これも減ってきているわけでありますけれども、全体が減ってきているということからこの三団体の占める比率というものが結果的には高まっている、いわゆる寡占化と称している状況が生まれております。そして、昭和三十年代の後半ぐらいから暴力団の肥大化というのが進んでまいるわけでありますけれども、今日の暴力団の肥大化、寡占化は、従前の、自分たちに近しい組織というものを吸収することに加えて、従前は疎遠であったあるいは全く地域が離れていたそういう団体までも吸収をするという、いわゆる一家が違うというそういう組を吸収して今日に至っているというぐあいに認められます。  その結果生ずることは、大きな三団体とそれ以外の暴力団との間に、吸収あるいは吸収されまいとするそういうモメントが働いておりますし、肥大化した暴力団の中にやはり矛盾が生じてきている。先ほども申し上げましたように、しょせん彼らは金で結びついている集団であります。したがいまして、金の切れ目が縁の切れ目という団体であると言ってよろしいかと思います。そういう意味におきまして、大きくなればなるほどスケールメリットはございますけれども、そこから生じてくる矛盾というものもまた拡大をしてくるということで、私は、現在の暴力団はそういう中で非常にいろいろな問題を大きくはらみつつあるというぐあいに受けとめております。  したがって、一方で経済の情勢に対応して金を求めるということでありまして、今日の日本の経済情勢は御承知のとおりでありまして、彼らもそのあおりというものを非常に受けているということであります。したがって、流れとしては非常に苦しいということでございます。  したがって、我々の取り締まりあるいは暴力団を包囲をする国民の目というものがさらに厳しくなっていくことが客観的には極めて求められているというぐあいに申し上げてよろしいのではないかなというぐあいに思っております。
  31. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 ただいま局長の方から、この五年の成果及び集中化、寡占化、そういうものが出ました。そして、暴力団そのものは大変苦しくなってきている、先ほど中野議員の質問に対しまして窃盗までやるという話が出ましたけれども、恐らくそうでしょう。  ただ、暴力団に関する限り、暴力団の数が減ったあるいは暴力団が苦しくなっているということは、普通は相手が苦しくなってきたらそれでよし、こういうことになるんですけれども暴力団という組織そのものは苦しくなればなるほどまた巧妙に、したたかに、あるいは場合によっては国境を越えてまでも何かをしてかす、必ずこういう道を選ぶわけです。暴力団が苦しくなったからといって実は安心できない存在、それが私はこういう集団だろうと思うのです。  そういう面で、後ほど申し上げたいと思うのですけれども、例えば今度香港が七月一日に返還になる。きのうの新聞にも載っていました。香港マフィアが、この一月間で十五件の殺人、放火等々があった。私も世界各国いろいろ行きますし、私自身も外国に行ったときに、私自身なり周りの人が必ず事件に遭うのです。そういう面から見て、今後暴力団が世界経済の動き等々から見てどう行動してくるんだろうかというものを、数が減ったから安心できるという発想ではなくて、苦しいからこそもっと厳しいことをやってくるだろうという発想に立って私は大変心配をいたすわけであります。  これは予測になりますからちょっと答えにくい質問かもしれませんが、寡占化した山口組、稲川あるいは住吉連合、とりわけ山口組の集中化が激しいようでございますけれども、ここら辺を中心に、今後暴力団の質的変貌というものはどういうことが予想されるのか、ひとつ予測がございましたらぜひ参考までにお聞かせを願いたいと思います。
  32. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 ただいまのお尋ねはまことに難しいお尋ねでございまして、委員冒頭に御指摘のように、過去ではなくてこれからの将来の彼らの変化というものをにらんで、それを先取りした取り締まりといいますか、規制といいますか、そういうものを進めるべきだという観点からのお尋ねかと存じます。  そういうお尋ねでありながら、なかなか明確にお答え申し上げることができないのが非常に遺憾でございますけれども、先ほども申し上げましたように、確かに暴力団は売春でありますとか港湾労務でありますとか手配師でありますとか、あるいは興行に関するものでありますとか、時代時代に応じましてその資金源を動かしてまいりまして、それに着目して暴力団の性格づけというものをやってまいりました。  ところが、終戦直後の混乱期から暴力団というのは一変したというぐあいに言われております。これはやはり戦後の混乱の中で利権を求めて暴力団というものが再編をし、糾合をしてきた。それが三十年代に肥大化をいたしまして、三十年代から四十年代の高度成長、そしてオイルショックを経て組織というものは大きくまた傾くわけでありますけれども、五十年代に入りまして山口組が大きくなって、そして山口組が分裂をし、大対立抗 争が起きるわけでありまして、そして全体として勢力が弱まっている過程で、先ほど申し上げたようなことでございます。  したがって、的確に申し上げることはできなくて申しわけないのでありますけれども暴力団がどこに生活の資金を求めて依拠していくのか、そういう経済の動向といいますか、あるいはそれぞれの業界の動きというものをやはり我々も勉強しなければいけないというぐあいに思いますし、やはり彼らの動静というものをもっと的確にとらえるべく、そういう情報収集というものをも行わなければならないというぐあいに感ずる次第であります。  まだ手段のところしか申し上げられなくて恐縮でございますが、御容赦いただきたいと存じます。
  33. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 今の局長の偽らぬ答弁をいただきまして、それはそれでいいのですが、私は、ここで要望でありますけれども、後ほど関連していろいろな話を質問という形でいたしますけれども、間違いなく暴力団、とりわけ指定三団体を中心に今後いろいろな意味での武装化をして、そういう高度な、これまで予測できなかった、つまりテキ屋とか博徒とか、そういったいわゆるやくざの概念では思いもつかなかった行動に出る可能性が大いにあると思うのですね。  その教訓はもう既にあるわけですよ。例のオウム真理教ですよ。あのオウム真理教という宗教団体に、工学なり医学なり薬学なり、あれだけの専門家が現に集まったということであります。私は、これは本当かどうか知りませんが、数年前に冗談半分で、ある人から聞いたのです。今東大法学部を出た一番優秀な人間は山口組にスカウトされていくそうじゃないですかなんという話を聞いたことがあるのです。いや、本当に、案外そういうのも起こっておかしくない時代じゃないか、そういうふうに思います。  だから、あのオウム真理教ですらああいう行動をとったわけでありますから、今後コンピューターのプロ、情報管理のプロあるいは法学のプロ、いろいろなプロがそういう暴力団の傘下に入って、世界をまたにかけていろいろな金の搾取というか、あるいは合法的を装った企業をやっていくということは、十分今までの世界の例から見てあり得ることでございまして、先ほど言いましたように、過去からのやくざの概念、暴力団の概念というものを一回捨てて、あと十年後、五年後のいわゆる日本経済、国際社会のあり方から見て、金を求めての暴力団のどういう変質、変貌があり得るのかということを私は一度ぜひ警察庁内部で検討をしていただきたい、かように思います。それは要望として強く申し上げておきたいと思います。  次に、私はやはり暴力団の行動の最大のインセンティブといいますか、モチベーションというものは、先ほど局長がおっしゃいましたように、まさしく金だと思うのですね。そして、民事介入や資金源犯罪の推移というものがあったのだと思います。  ある新聞、これはことしの二月十六日の毎日新聞でございますが、世界の犯罪組織が麻薬取引など各種犯罪で稼ぐいわゆる犯罪総生産、こういう概念があるそうですね。グロス・クリミナル・プロダクト、略してGCPというそうでございますが、この世界の犯罪総生産が一兆ドルを超えたと。時のレートでいいますと百二十四兆円ということでございます。その一兆ドルのうち、半分、五千億ドルがいわゆるアメリカ、とりわけ麻薬絡みのアメリカの犯罪総生産だったそうでございます。これはあるオランダのコンサルタントが東欧マネーロンダリング会議というところで発表した資料だそうでございます。  これが正しいかどうかは私は知らないのですよ。こういう数字があったというので大変関心を持ったのですが、日本はその一兆ドルのうち約百億ドルということでございますから、シェアでいえば一%。日本のGNPの世界シェアというのがもう一五%を優に超えていますから、そういう面ではこの数字が本当であるならばまだ日本は健全というか、要するにアメリカが大き過ぎるということなんですね。こう言えると思うのです。  私は、これもなかなか統計はとりにくいと思うのですが、いわゆる暴力団員の数、暴力団の推移、検挙件数あるいはけん銃の押収の数等々、これは統計で大体わかるのです。いい方向にあるのじゃなかろうか、こう思うのですが、でも実際、経済のアングラ化といいますか、ブラックマネー化といういわゆる隠れた部分、そういうものについて警察庁は把握しておられるのか。もちろん細かい数字があるはずはないのですけれども、いわゆる定性的にでも結構でございますが、いわゆる暴力団の資金調達、富の蓄積というものについてどういう判断をしておられるか、ぜひお聞かせ願いたいと思います。
  34. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 その後、私どもは調査を全国的にはいたしておらないのでありますけれども平成元年の調査によりますと、先ほど委員指摘になったような手法でいきますと、一兆三千億円ぐらいあるであろうという推定をしたことがございます。これは個々の暴力団員にアンケートをとって、その結果を推計していったものであります。  ただ、これを把握いたしたといたしましても、これが我々といたしましては暴力団の悪性といいますか、そういったものの一つのあらわれといいますか、徴憑として見るという以上のものではないと存じまして、その後同様の調査はしておらないのであります。  ただ、例えば上納金という制度がございます。先ほど言いましたように、暴力団の本質というのは金でありますから、普通は組織では金は上から下へ流れるのかもしれませんけれども暴力団の組織では下から上へ流れる。だから集金マシンというぐあいに申し上げているわけであります。したがって、それは上納ないしは自分のところには入らずに幹部にすべて出す、そして幹部から多少おこぼれをもらうというのが末端でもありますけれども、いずれにしても上納をやっている。  この上納金について見ますと、山口組、稲川会、住吉会、この三団体についての最近の私どもの推計でいきますと、この三団体で、一番トップの、山口組の本家、稲川会の総裁、そうしたところに集まってくる上納金の総額は、年間七十八億というぐあいに見ております。そういたしますと、これは三団体だけでありますから、それ以外の暴力団もある。それからその傘下の暴力団、無数の暴力団があるわけでありますけれども、それぞれのランクの組長のところにまた別途上納金というのは入っているわけでありますので、暴力団全体としての不法の収益を恒常的に組織が得ているということは想像にかたくありません。  したがって、私どもとしては、これらは剥奪すべき収益であるというぐあいに考えて、何とかこれを捕捉できないかということを考え、また関係機関とも協力をしてその実を上げるように努力をしてまいっているところでありますけれども、そのようなところからある程度推しはかることができるかなというぐあいに思います。
  35. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 私もこの世界は詳しく知りませんのでよくわかりませんけれども、先ほどの、パチンコ三十兆円産業と言われる中で、そういう話もございました。いろいろ経済のアングラ化というものが進んでいるのではないか。そして例の住専、六千八百五十億円のいわゆる国庫金の投入もいたしました。聞くところによりますと、住専から融資をされたその資金が債権回収されるのではないか、これは暴力団の名義にして、あるいは暴力団に頼んで無理やり賃貸をして債権の回収を妨げよう、こういうような事例も実際新聞にたくさん載っているわけですよ。  こういった流れがあって、実は七十八億円ところの数字じゃないだろう、かように私は思うわけでございますけれども、要は資金源だと思うのですね。この根本について、暴力団員の数とか暴力団の数とか、それももちろん重要でありますけれども、この資金的な面について、警察庁警察庁 を挙げて把握し、その根源に鉄槌をおろすというような視点が今後欠かせないだろう、かように私は思います。ぜひひとつこの点を念頭に置いていただきたいものだ、かように存じます。  それで、時間も刻々と参りましたけれども、先ほど来るる申し上げておりますが、私は、本当に暴力団というのは時代の変化とともに変貌していくだろう。しかも、変貌してきた。これからの暴力団をめぐる環境というものあるいは条件というものは刻々と変わっていく、そういうものを強く感じます。  それで、冒頭申し上げました話でありますけれども、暴対法の今度の改正というものは、先ほど局長に答弁をいただきましたけれども、将来の姿から見て暴力団対策をこう講ずるべきだという発想よりも、やはりこれまでのトレンドの中で、こういう現象が起きたからこれに対応しようということだと思うのですね。この点、今改正は私は子といたしますけれども、今後、暴力団対策というものに対して基本的にどう取り組もうとしているのか。この暴対法の改正で、実は、不法収益の供託制度というものが法務省との関係で盛り込まれなかったという経緯もあるわけでございますが、そういった点も含めまして、今後警察庁として、変貌していく暴力団に対して、調査でも結構です、この暴対法施行後、さらに大きいトレンドでのシナリオをお持ちかどうか、お聞かせを願いたいと思います。
  36. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 私ども暴力団対策としてこれまで、やはり十分ではないといいますか、やり切れていないというぐあいに反省をしておりますのは、今御指摘の彼らの不正収益の剥奪であります。  先ほども申し上げたように、多額の金というものが恒常的に入ってくる。それで、例えば上納金一つをとらえますと、上納ということは、Aという組からBという組へ上がる、次にBという組からCという組に上がって、そしてトップへその何割かが納まっていく。これを毎月繰り返しているわけであります。つまり、これは何を隠そうマネーロンダリングであります。これは暴力団の組の中におけるマネロンでありまして、暴力団といたしましては、金融機関を用いて、あるいは経済取引を用いてあるいはそれに藉口してマネーロンダリングをやっているというぐあいに認められます。また過去の検挙事例で、仮名口座によって多額の不法資金というものを隠匿し、そしてそれを私ども取り締まりで発見、押収することができた事例もございますが、しかし、それを発見し捕捉することはなかなか困難でございます。これはひとり暴力団対策ということではなくて、やはりマネーロンダリング対策あるいは組織犯罪対策全般としての取り組みという問題と軌を一にして考えていかなければ、現実には仕組みの問題としては解決することが難しいのではないかというぐあいに理解をいたしております。  したがいまして、この懸案の課題というものを解決すべく、私どもとしてもさらに検討してまいろうというぐあいに思いますけれども関係機関が検討されていること、あるいは現在諸外国におきまして日本に対し要請を求められている事項が幾つかございますけれども、そうした問題との関連をにらみながら、我々としてはさらにこの問題を何としても解決をすべく努力を続けてまいりたいというぐあいに思っております。
  37. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 今マネーロンダリングの重要性を御指摘になりました。上納金システムそのものがあの世界におけるマネーロンダリングの先駆みたいなものだと。  これはちょっと通告はしておりませんけれども、マネーロンダリングについて、今政府部内で検討の動きというものはございますでしょうか、もしわかれば教えていただきたいと思います。
  38. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 この問題は、諸外国の指摘によりますと、我が国は極めてその対応がおくれているというぐあいに言われております。そして現在ありますのは、私の知るところでは、いわゆる麻薬特例法、この中に、不法に得た収益というものが隠匿をされあるいはそれを別の人間が収受をするということについて別の犯罪を構成するというぐあいにいたしておりますし、またそのような資金であるというぐあいに疑わしいものについては金融機関に届け出をすることを一応義務づけているというようなことなどがその対策として申し上げることができるものなのかなというぐあいに思いますが、しかし、あとは余り整備されていないのかなというぐあいに思います。  ただ、現在、私どもも仄聞いたしておりますところによりますと、法務省において、法制審議会に対し、それらを含めた組織犯罪対策の法制について諮問をされているというぐあいに承知をいたしておりまして、それらの審議の過程あるいは立案の過程でさらなる仕組みが整備されることを期待をいたしているというところでございます。
  39. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 今、法務省の名前が出ました。  それでは、次の質問に移りますが、この暴対法改正につきまして、当初一番新聞をにぎわしたのは、例の供託命令制度といいますか、暴力団による不法収益を供託させるんだ、こういう点でございました。土壇場でこれが、先ほど言いましたように撤回になったということでございますけれども新聞では読んでおりますけれども、これがなぜ今回の暴対法の柱から落ちたのか。私自身の個人的見解から言えば、いわゆる債権の消滅時効が民法の一般論と比較してどうだとか、あるいは憲法の保障する財産権はどうなるんだとか、こういういわゆる一般論がこれを阻んだような感じがいたします。  でも、こういう民法全体のいわゆる債権システムというか、そういうものを待っておったのでは間に合わない問題であるし、まさにこれは特例なんですね。民法の一般原則をつくる前にこういう特異な分野で突破口を開いていくという発想で、まずこの暴対法でこれを入れるべきではなかっただろうか、それが事柄の筋道ではなかろうか、こう私は個人的には思っておるわけでございますが、今回見送りになった理由というものをお聞かせ願いたいと思います。
  40. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 この問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、いかに暴力団が不正に得た収益を、やり得を認めないようにするかという問題、それから暴力団被害者については被害者一般よりも立場としては非常に苦しい立場に立つという現実、これらにかんがみて構築したプランでありましたけれども、しかし、そもそもいずれの問題につきましても、現行法のもとでいろいろ検討すべき課題の多い仕組みであることについては疑いがございません。したがって、これは暴対法を当初お願いいたしました平成二年から三年にかけましても、私どもとしてはずっと検討してまいった課題であります。  ただ一方で、先ほどもちょっと触れましたけれども被害者というもの一般について、我々捜査機関、あるいは国民と日々日常の活動で接することを常態といたします警察としてどうあるべきなのかという反省が他方でございました。性犯罪被害者でありますとか、あるいは殺人事件被害者の遺族でありますとか、あるいは今回のサリン事件のように、多くの方々がサリンを吸っていまだにその後遺症に悩んでおられるというような現実、しかしほかのどこからも手が差し伸べられないというように、被害者と言われる人たちにはいろいろな態様、実情がございまして、この問題というものに我々としては必ずしも積極的に対処してこなかったのではないかという深い反省がありました。  そういう中で、その一つとして暴力団員による事件等の被害者という問題を考えたわけでありますけれども、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたように、ちょうどそのときに、法務省におきましても被害者一般に関する刑事手続あるいは刑事施策に関して検討を始められた。我々はやはり被害者全般を考えるべきだというもともとの姿勢がございました。そうであるならば、全体を考えた上で、指定暴力団員あるいは暴力団員被害者については別個何かやるべきかということを考え ていく方がよりいいものができるであろう、そこはそうに違いないというぐあいに思いました。  しかし、もう一方、不法収益をいかにして剥奪するかという問題、これもまたあるわけでありまして、これらについては引き続きあわせて考えていかなければいけない。やはり非常に根幹にかかわる制度でございますので、早くできればそれにこしたことはございませんけれども、つくった以上は朝令暮改は許されないという見地に立ちますと、もっともっと検討しなければいけないというぐあいに考えたからでございます。
  41. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 法務省の方でいわゆる法制審議会等にもかけながら、債権の回収といいますか、あるいは供託制度というものを考えていく、こういうお話でございましたけれども法務省にお伺いしたいのですが、大体いつごろまでにそういう改正案をまとめられる予定かというのが一点。  もう一つ、いわゆるRICO法という法律がございまして、これについて、法務省も関連の、もちろんRICO法という法律の名前になるはずはないのですが、後ほど説明申し上げますが、アメリカにあるRICO法というものに思いを一にした法律も検討されているやに聞きます。これがどういうスケジュールでつくられようとしているのかということをぜひお聞きしたいのです。  それで、質問をしましたけれども、バックグラウンドを申し上げますと、かつて、この暴対法が当初五年前施行されるに当たりまして、警察庁幹部の方は、不正収益の剥奪と被害者救済の仕組み、これが整備されて初めて暴対法は完成するのだというコメントが新聞に載っておりました。また一方、警察庁が去年十二月に被害者にアンケートをとられた。その結果を見ますと、被害が全部回復できていないという方が六割以上、あるいは訴訟提起や示談交渉すら何も行っていないという人が大半である。そしてその理由は、独力ではできない、仕返しが怖い、それから組員が支払ってくれるはずがない、こういうところで大半があきらめをしている。そこに実は暴力団がしめしめと思う、つまり、やり得、おどかし得という暴力団存続の温床があるわけでありまして、結果から言えば、こういう暴対法の完成、つまり不正収益をいわゆる取り返すという点そのものがなければ、結局暴力団の存続とおどかし得を許すということにつながっていると思うのです。  だから、私は、先ほど局長中野議員の質問に答えられましたように、金がポイントだと思うのです。この点についてはぜひ、法務省の方で御検討ということでございますけれども、どういうシナリオ、スケジュールでこの検討を行いつつあるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  42. 渡邉一弘

    ○渡邉説明員 お答えいたします。  先ほど来委員指摘のとおり、我が国におきましては、暴力団による暴力事犯にとどまらず、暴力団その他団体による各種犯罪、さらにはオウム真理教の事件のような大規模な凶悪事犯、あるいは会社など法人組織を利用した悪徳商法等の大型経済犯罪等の各種の組織的な犯罪が多発しているわけでございます。こうした情勢にかんがみますと、委員指摘のとおり、幅広い観点から法整備を行う必要があるものと考えているわけでございます。  法務当局といたしましては、そのような観点から、まず刑事分野におきまして、早急に整備を図る必要があると考えられる事項に関しまして、昨年の十月、法務大臣から法制審議会に諮問を行ったところでございまして、現在、精力的に審議をいただいているところでございます。  その諮問事項の中には、まず、組織的な犯罪の大規模化にかんがみ、それについて、一定の犯罪について刑を加重すること。それから、今問題になっております犯罪の収益等が正常な経済活動に影響を及ぼすこと等にかんがみまして、犯罪収益等による事業支配等の処罰やマネーロンダリング罪の処罰、その犯罪収益等の没収、追徴の拡大等犯罪収益の規制を図ること。それから、組織的な犯罪の実情に照らしますと、捜査手法の面におきましても相当の手だてが必要であるというふうに思われますことから、裁判所の令状による通信傍受を可能とすること。さらには、一定の場合には証人保護を図ること等の事項が含まれております。  法務当局といたしましては、法制審議会の答申を得た上で、できる限り早期に法案を国会に提出したいと考えております。  それから、先ほど被害者の問題についてもう一遍御質問がございましたけれども、先ほどから再三述べられておりますように、犯罪被害者は任意に被害回復を受けられない限り民事手続により被害回復をしなければならないわけでございますけれども、その間には、財産の散逸やあるいは被害者による証拠資料の収集の困難というような事情から、迅速な被害の回復を受けることに種々の問題があるということは否定できないと考えておるわけでございます。  そのために、法務省の刑事局におきまして、以前からこの種の問題を重要な問題として考えておりまして、刑事手続との関連において被害回復の実現を図る手続などについて検討を行ってきましたが、やはり民事法上の債権平等の原則とか、あるいは民事手続との関連において解決しなければならないさまざまな問題がございまして、現在、法務当局の中で、民事局等関係部局をも含めまして、共同して種々の角度から集中的に検討を行っているところでございます。  以上であります。
  43. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 今、法務省サイドの御答弁がございまして、法務大臣が去年十月に諮問されたこと、三点ございましたけれども、これはまさに時宜を得た、本当に必要なポイントだろうと思います。まさにこれは一種の日本版RICO法という発想そのものだと私は思います。  そこで、法務省警察庁、そして大臣おられますが、このRICO法というのは、ラキティア・インフルエンスト・アンド・コラプト・オーガナイゼーション・アクトという法律でございます。要するに暴力団に影響された不正組織法というもので、一九七〇年ですか、いわゆる組織犯罪防止法の中に組み込まれた法律でございまして、この法律は私も、去年例の住専問題があって、一部から、何十兆のうち下手すると暴力団に兆という単位の金が残るのではないか、これが日本の経済システムを侵すのではないかということで、ぜひ勉強してくれという話がございまして、一部勉強いたしました。  大変これは粗っぽい法律だと思うのですね。一つ違法行為のパターンというものを概念づけまして、詳しくは申し上げませんが、十年間にそれを二回やったら要するにある法の適用があって、例えば民事賠償は、一億円被害を受けたら三億円、三倍取り戻せるというような法律なんですね。これはロバート・F・ケネディが司法長官のときに、アメリカの社会への地下経済の、あるいは暴力組織の浸透というものを恐れて、これではアメリカが危ないということでこの法律を立法したという話もございます。一方、レーガン大統領もこういう言葉を発しているんですね。地下の無法帝国の存在を許しておく我々は一体何であろうか、こうレーガン大統領は発言をし、そして暴力団、マフィア対策に本当にやる気を示した。  今、法務省でそういう立法的な作業といいますか、法制審等での諮問、答申の作業を行っておられるということでございますが、これは法制審の民法に関連した云々じゃなくて、私はそれをちょっと心配しておったのですけれども、まさにRICO法の発想で諮問が行われておるということで、それは多とするところでございます。やはり政府を挙げて、レーガン大統領のこの言葉にあるようなこれだけの強い意思で、特に暴力団対策については急ぐという姿勢で私は政府部内での作業をぜひ進めていただきたい、かように思います。要望をいたしておきたいと思います。  それで、あと、いろいろ質問を用意していましたけれども、時間が大変短くなってまいりましたので、ちょっと途中をはしょりまして質問をしたいと思います。  最近のいわゆる治安で一番の問題となったというか世界を驚かせたのは、例のペルーの日本大使公邸占拠事件であったことは、もう言うまでもないと思います。私は、テレビを見ていまして、あるいはその後の新聞を読んで、非常にこれは参考になるなと思った事例がたくさんございました。  これは本当かどうか、もし御存じでしたら警察庁の方から教えていただきたいのです、あるいは外務省でも結構ですけれども。  例えば、驚いたのですけれども、インターネットを利用してあのゲリラは日本政府首脳の動向といいますか基本的考え方を把握しておったのではないか、こういう話があるのですね、これは一回申し上げたかと思うのですが。日本の記者クラブであるいはぶら下がりの新聞記者の皆さん方に、橋本総理がちょっと心境の一部を吐露した、日本人は一人たりとも死んでもらっては困るとか、仮にそういう話をした場合、恐らく日本で発言した政府首脳というものは、まさか日本の地で言ったってゲリラはそれを知るはずがないと思っておったと思うのですが、一部新聞によりますと、あのゲリラはインターネットというものを通じて日本の世論の反応、マスコミの書き方、あるいは政府首脳の心のうちまでつかんだ上で対応を考えておったという話も新聞に書いてあったわけであります。  私は、本当に恐ろしい話だ、油断もすきもならない。インターネットというと、皆さん、本当に大変だ、容易なことではないだろうと思うのでしょうけれども、私も今コンピューターを一生懸命やっておりまして、もう恐るべき機械だということが日に日にわかって驚いておるわけでございますが、いとも簡単に世界の情報がとれるわけであります。  それを含めて、もう一つ傑作だと思ったのは、これは意図してそうやったかどうかは知りません。意図してやったら大したものだと思います。サッカーボールを、あれはペルー政府が上げたのかどうか知りませんが、少なくともミサ用の聖母像、マリア像ですか、あれを渡して、ちゃんとそこに盗聴器が仕掛けであったとか、ポットの中にも仕掛けであったとか、あるいはわざと電源を切って公邸の電気を全部暗くして懐中電灯を差し入れをして、そこに盗聴器が仕掛けであったとか。サッカーボールなんというのをもしペルー政府が与えれば、長引けばみんな退屈もする。運動不足、サッカーに興すれば手りゅう弾も外す、本当にあれが意図してやられたものであれば大したものだ、こう思うのです。  私は、日本犯罪対策、とりわけ災害対策、これは阪神大震災のときに予算委員会で一回やったのですが、日本のそういう危機管理というか災害対策、そういうものについてはマニュアルがない。あっても、極めてそれは抽象的であります。私は、阪神大震災のときの神戸の地域防災計画というのを全部読みました。これは何一つ役に立たないですね。もう噴飯物といいますか、何がこれが地域防災計画かと。地震が起こったときに何一つ参考になる情報はないんですね。当たり前の、つまり火事が起こったら逃げましょうというような程度しか書いてない。そこに日本のいわゆる安全保障、セキュリティーに関する日本人全体ののどかさといいますか、そういうものがあるんだろうと思います。  それで、ちょっと長くなりましたけれども、私は、阪神大震災のときも予算委員会でるる政府に、あるいは国土庁に、関係省庁に聞きましたけれども、今度のペルー日本大使公邸事件というもので、外務省及び警察庁はこれを教訓として今まとめておられるのか、あるいは今後まとめて一つのマニュアル化といいますか、そういうものをしていくような方針というものがあるのか、そこら辺をぜひお聞かせを願いたいと思います。
  44. 伊達興治

    ○伊達政府委員 議員おっしゃられますように、今回のペルーの公邸人質・立てこもり事件につきましては、私ども、さまざまな教訓を得られると思っております。殊にこの種のテロ、ゲリラ事犯というのが国内で起きた場合、どう対処しなければならないかということで、私ども、その対処について痛切に感じているところであります。  先ほど来インターネットの利用とか盗聴器の配備だとか、いろいろおっしゃいましたけれども、こうした点については、私ども、まだ十分把握ができておりません。今後ともそうしたことも含めて内容をつかんでいきたいと思いますが、今いろいろ分析中であります。  この種の事案につきましては、内容を余り表に出しますと手のうちをさらすような形にもなりますので、細かい部分は外に出せないかと思いますが、大まかな部分は、やはりまた国民の理解も協力も得ながら対策をとっていかなければいけないと思っておりますので、そうした面についてはまだ整理する機会があるかと思います。  阪神大震災につきましてもいろいろな教訓を得ております。いずれにしましても、こうした教訓をもとにしまして、いろいろ体制を充実させて、今後の危機管理に万全を期していきたいと考えておるところでございます。
  45. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 私ももとは役人をやっておったからよくわかるのですが、やはり、概して役所の文章というものは論理的であるし、演繹的であるし、抽象的なのですよね。ところが、ゲリラとかこういう事犯事件絡みの対応というものは、本当に具体的な、即応的なマニュアルというものが私は不可欠だと思うのですよね。  それはもう阪神大震災のときも本当に痛感をいたしました。例えば、各地域に国道がある、橋がある。そこにちょっとした更地があったときに、そこに川があって、最近、川は大体みんな浅いのですよね。でも、そこにたった一メーターなり五十センチの穴ぼこを掘っておくだけで、そこから全部給水できるわけですよね。単なる浅瀬だけだったら、これは消防自動車は水を吸えない。しかし、その橋の下にたった五十センチのくぼみを設けるだけで、実は河川の水が吸い込めるわけですよ。  今度の阪神大震災のとき、愛知県から消防車が行くということでございました。ところが、何と満タンにして行ったのですね。それは、水がどこでとれるかわからない。例えば、一つ例をとれば、各主要河川の国道に交わったところにはそういう緊急時の河川から水をとるというシステムを、本当に細やかな知恵なのですけれども、それを全部配置しておけば、それはもうざあっと空で高速で走って、その水がとれる。これは本当にささやかな知恵なのですけれども、恐らくそういう具体的なマニュアルというものが、きょうは災害は関係ありませんからとやかく申し上げませんけれども、災害なりこういうゲリラ事犯、占拠事件、こういうものに一番欠かせないのはこの部分の情報だと私は思うのですね。  私は、要望でございますけれども、阪神大震災あるいはオウム真理教そしてこのペルー事件事件が立て続けに続いております。それをやはり教訓として、そういう具体のマニュアルをつくるということを、別に我々に公表してもらう必要はございませんけれども、即時に対応できるマニュアルというものにひとつ私は日本の行政がもうちょっと真剣に取り組んでいただきたい、こういうことを申し上げて、時間が過ぎましたので、終わらせていただきます。  まだあと数問ございましたけれども、ちょっと質問できませんでしたことをおわび申し上げ、次の機会に譲らせていただきます。どうもありがとうございました。
  46. 穂積良行

    穂積委員長 松崎公昭君。
  47. 松崎公昭

    ○松崎委員 新進党の松崎公昭でございます。  ただいま古賀先輩からお話が出ましたので、この法案の審議に入る前に、たまたまペルーの問題が出ましたものですから、特に最近話題になっておりますテロ対策の特殊部隊の問題にちょっと触れさせていただきたい、そう思っております。  日本大使公邸人質事件で、ペルーについ最近橋本総理も行かれたわけでありますけれども、その十一日の向こうでの記者会見で、テロ対策の上で警察の特殊部隊の強化を表明をされました。非常 に、日本の危機管理体制に関しましてはいろいろな形で御批判も含めて言われているわけでありますけれども、今回の問題は、SAT、日本の中で七つの都道府県に配置されておりますが、この隊員を、海外での合同訓練をしたり、SATそのものの強化をしようではないか、そういう御意見が総理大臣みずから出されております。この辺に関しまして、国家公安委員長として、どのように大臣は受けとめていらっしゃいますでしょうか。
  48. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 総理がどういうつもりで言ったのか存じませんが、基本的には、私は、日本は昔から、武門のことは武門に任せろ、昔から北面の武士とか、そういうのがあります。警察庁警備局を中心に、今起きているいろいろな問題についてだれよりも深刻に考え、どういう道をとるか真剣に考えております。  私は、彼らがいろいろ研究し、こういうことをしたいということを最も大事にしてあげたいと思いますし、行政改革その他で非常に厳しい中であります。一時的に、テロ対策ということで、では、そんなに皆様方は無条件にこの問題について予算を伸ばしてくること、人員を伸ばすことをお認めくださるのでしょうか。そういう厳しい条件の中でもあらゆる任務に対応できるように頑張ってほしい、私はそう言っております。
  49. 松崎公昭

    ○松崎委員 ということは、彼らとおっしゃるのはSATそのもののことなのかどうかわかりませんけれども、昨晩の官房長官の会見でも、かなり、自衛隊の武器を使ってもいいのではないかと。それから、その前に、二月五日の衆議院の予算委員会では、杉田前警備局長さんは、相手国の同意があれば国内法の枠内で可能である、つまり現行の警察法のもとでも海外派遣ができるのではないかという見解をお述べになっているわけであります。確かにSATは国内を想定し、海外へ出すということは想定していないと思います。また武器も、小型武器の、いわゆる軍事行動のようなテロ行為を想定したものはできていないと思います。また、多分大臣のおっしゃる海外派遣へのいろいろな問題点、そういうことをお考えの上で今の御答弁だと思いますけれども現実的に、警察庁さんでは二月五日にそのような答弁もされておるようであります。  そしてまた昨晩の梶山官房長官の前向きなというか、警察法の改正まで含めてどうなのだろう、そしてSATそのものの装備の強化、自衛隊とともに連携もする必要があるのではないか、装備は使わせたらどうだ。国内では、サリンの事件で自衛隊の防毒マスクを実際に警察の方は使っているわけでありますね。また、きのうも村田防衛事務次官も、技能、経験を生かすべきだろう、そういう前向きの御答弁もされております。  こんなようなことで、私たちとしては、即座に海外へ行っていいかどうかという問題、いろいろな問題があることは承知をしておりますけれども、やはりこれはSATそのものをしっかりと強化をして、日本の警備あるいは危機管理に対してどうだということをそうそうまたまた言われないように今からしておく必要があると思いますが、今の各長官やら事務次官さん、そういった考え方を含めて、これは大臣でなくても結構でありますけれども、よろしくどうぞ。
  50. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 総理、官房長官、いろいろ述べることは自由でございますが、日本の警察、警備の問題は、私を中心に五人の国家公安委員会、そして日本の警察が一義的に全知全能を傾けて、そして全責任を持ってやっております。また、そこのところであらゆる議論をしているところでございまして、最近、危機管理という言葉がちょっと私は多過ぎるような気がいたしますが、危機管理のために何でもできればいい、国の所轄、所管を関係なくこういうことをしゃべってもだれも文句を言わないということ自身が私は大変問題だと思っております。だから、先ほど申し上げたとおり、武門のことはまず武門に任せてくれということを申し上げたわけであります。
  51. 松崎公昭

    ○松崎委員 公安委員長さんの最終的なそういう考え方でありますので、これ以上は申し上げませんけれども、ただ、国民の側から見ますと、やはり何もかも一緒くたにすることはいけないと思います。しかし、油の問題があった、何があったというと、どうしても日本人というのは流されますから、全部一まとめで危機管理が悪いのだということになる。それは国民的な一つの性格で、これはまた一つの今後の課題になるとは思います。  ただ、我々見ていましても、もしこういう危機管理の問題があった場合に、部署、部署でしっかりやっているからいいのだということでは納得できないのが、最近の幾つかの問題が集約して出てしまったということでありますので、今の委員長の御答弁を非常に前向きに、また希望を持って聞かせていただくということで、終わりにさせていただきます。
  52. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 危機管理という言葉にちょっと最近いろいろなものがごちゃまぜになって、そして、危機管理が弱い、だからこうしろああしろという議論が、きちんとした今までの歴史等を踏まえずに余りにも言われ過ぎるのではないかということを私は懸念しているわけでございます。  自衛隊、警察、消防その他いろいろなものは、危機管理のために多額の予算を擁してやっているものでございますが、自衛隊は国で一元化する、警察は都道府県単位というところで責任を持つ、消防は基本的には市町村単位、このように我々の先輩が分けたのには分けたなりの理由があるわけでございまして、分けていれば、それは一体の例えば国家警察に比べて障害があるのは当たり前であります。当たり前でありますが、国家警察というのが我が国においてあるいは世界の中で逆にどういう弊害もあったかという中でそういう仕組みをつくったということを我々はもう少し考えながらやっていかなければならないし、少なくとも、例えばテロ対策というような問題は、一義的には警察庁が今までもやってまいりましたし、現在も全力でもってやっているわけでございまして、国家公安委員長、国家公安委員会が知らない中で、とんでもないところでいろいろなことが行われることには、私は率直に言って、もう少し冷静に考えてほしいと申し上げているわけでございます。
  53. 松崎公昭

    ○松崎委員 御答弁いただいたので、それではもう一言。  おっしゃるとおりであります。ただ、これは大臣の哲学というふうに私は受けとめさせていただいておきます。ただ、今おっしゃるのは、日本の歴史とかいろいろなことを考えますと、実におっしゃるとおりであります。私もそれは賛成です。  しかし、ボーダーレスになり、先ほどの御質問でも、情報化が激しくなり、国境がない時代、これから御質問もしますけれども、海外からもいろいろ不法の人たちが入ってくる、今までのレベルでは考えつかない時代になっています。私も、国家的なテロ対策の、あるいはもっと強力な部隊ができ過ぎるということは問題があると思います。しかし、今、状況が変わっていますから、やはり多少それは、国民が不安に思うようなことはどうやって取り除くか、それは大臣の指導力において内閣の中でしっかりやっていただきたい、そう思っております。  次に、本題に入りまして、暴対法は、今までの議論の中でも、まさに暴力団が徐々に追い詰められる、そして今回の法改正でも、幅広くもう少し周辺までしっかりと範囲を広げて抑え込もう、そういうふうに受けとめますので、この法案の改正はそれなりに意義がある、そんなふうに思っております。  御質問でありますけれども、確かに、用心棒でありますとか示談でありますとか、そういう古典的な方法に関してはよろしいと思うのですけれども、これからの時代の変化に応じた、潜在化している暴力団、あるいは右翼の看板をかけかえたり総会屋と連携していくというようなボーダーレス化でありますとか、あるいは経済事犯が進んでいく、あるいは企業テロがふえるような、非常に変化をしておりますけれども、その実態をもう少し教えていただきたいと思いますので、今の古い形のものでない形でどのように暴力団が変容してい るか、簡単にお知らせいただきたい。
  54. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 やはり、暴力団には両面があろうかと思います。  先ほども申し上げましたように、しょせんは資金を求めて諸活動を行う団体でありますから、どんどん現在の経済情勢、社会情勢に彼らの立場で適合した手法をとろうとしている、これは間違いございません。例えば企業活動というものに藉口して、あるいは彼らの言葉で言う企業舎弟というものを使っていろいろな経済活動にかかわっていくということがありましょう。  しかし、もう一方で、やはり暴力団の本質というのは暴力であります。これが私は諸外国の暴力団類似の団体と違うところだと思うのでありますけれども日本暴力団は、自分暴力団員であるということを示すことによって、相手に威力を感じさせてその目的を達しよう、そういう集団だろうというぐあいに思いまして、どの現在する暴力団におきましてもその特徴点というのは共通であります。彼らが地下に潜らないゆえんというのは、そういう日本暴力団の特性に基づいているというぐあいに思います。したがって、苦しくなればなるほど、もとへ戻って暴力に訴えるということをやはり考えなければならないだろうというぐあいに思っております。  その意味でいろいろな変容は予想されるわけでありますけれども現実にどう動くかということは的確に現時点ではとらえることができておりませんけれども一つの兆候といたしましては、外国の犯罪組織との連携というものがあり得るであろう。その徴憑みたいなものは見てとれる。しかし、それが絶対的なところにまで進展しているかといえば必ずしもそうではないであろうというぐあいに思いますけれども、そういった外国の勢力との連携あるいは企業的な活動への深まりというような方向、それぞれ、暴力と経済に合わせた両様の方向における変容というものがあり得るだろうというぐあいに思っております。
  55. 松崎公昭

    ○松崎委員 私たちの日常の中に実は暴力団との関係のある方が結構いらっしゃるわけでありまして、今、最終的には暴力と言ってはおります、もちろんそうなのですけれども、むしろ今問題にするのは、フロント企業とか、一般の形をとりながら実は極めて関連の深い、この辺を今回対象にして法改正もあると思うのでありますけれども、このフロント企業というのは、取り締まりの対象にしてどのくらいの効果が期待できるのか。また、そのフロント企業というのは、山口組系なんかも東京へフロント企業として相当どんどん進出している、そういうこともございます。ですから、どんなような形に今なって、把握をされているか。  それから、ちょっと教えていただきたいのですけれども、十二条の二に、指定暴力団員が代表者であり、または運営を支配する法人、これもフロント企業のことかもしれませんけれども、これも含めて、どんな実例、どんな状況かお知らせください。
  56. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 俗にフロント企業と申しておりますのは、暴力団が設立をいたしました企業で、現にその経営暴力団が関与しているというもの、あるいは暴力団の準構成員が経営をいたしておりまして、そして暴力団に資金提供だとかさまざまな支援をしている、そういう企業をとらえてフロント企業というぐあいに呼んでおります。  したがいまして、これはもう千差万別でございます。明らかに暴力団がつくり、実体的な経営は行わずに、経済活動は行わずに、それをペーパーカンパニーとして利用しているというものもありますし、実業を持っている会社もありますし、先般検挙いたしましたけれども、立派な企業であったものが知らず知らずのうちに暴力団に乗っ取られまして、代表取締役を除いて役員皆暴力団員というぐあいになってしまった企業もございます。  それで、近年の推移だけ申し上げますと、この平成六年、七年、八年の三カ年を見ますと、おおむね二百五十前後のフロント企業を検挙いたしております。ただ、企業のことでございますので、人が変われば、法人としての企業は存続しますけれども、その内実は変容する。暴力団に乗っ取られるものもありますれば、暴力団が手を引いて正常な企業活動に移行する企業もございますので、なかなかフローでとらえることは難しいというものであろうと思います。  それから、十二条の二の関係でございますけれども、この規定は、指定暴力団員がその業務に関しまして、その配下の暴力団員がいろいろな活動をしているというときに、その個々の暴力団員ではなくてそのいわば親分と言っていいような、支配力を持ってその社の業として行っているような、そういう者に対し直接命令を加えるようにしようというものであります。そして、今御指摘の部分につきましては、四号という規定がございまして、「当該指定暴力団員の上位指定暴力団員の業務であって、収益を目的とするもの」、あるいは二号という規定がございまして、「指定暴力団員がその代表者であり、又はその運営を支配する法人」これの中に企業が入ってこようと思います。こういうものがフロント企業というぐあいに現実には適用することができるだろうと思いますし、ちょっと委員お触れになりませんでしたけれども、十二条の五の準暴力的要求行為の中にも、いわゆる企業舎弟等も含めて規制することのできるような規定を置かせていただいております。
  57. 松崎公昭

    ○松崎委員 問題は、一般社会の中にやはり暴力団的な発想で最終的には何らかの力を、効果を持たせていこうというような、一般人の中にも相当伝統的にあるのかな。それが、余り詳しく言うと差し支えがありますからあれしませんけれども、我々の方の地域でも、それぞれの地域でかなりの人が、不動産屋さんの形をとって、社会的に地位のある方も、そういう方々が暴力団といろんな形で関連を持ちながら活動をしている、それが最終的には暴力団の資金源にもなっているというのが相当ありますね。それは社会全体の問題なんですけれども、これは警察でどうこうは言えないかもしれませんけれども、実は大変多いわけですね。昔は、今はないでしょうけれども、政治家の関係でも随分いたように私は思いますし、警察としてどうこうは言えないかもしれませんけれども、民間人の経営者たちにもその辺の意識を持たせる、これが必要だろうと思います。  次に、やはり同じように暴力団に最終的に行き着いていく問題に、覚せい剤等の問題がありまして、これはもう、特に青少年の方あるいは主婦の方にも今入ってきております。  けさ、たまたまNHKでちょっとやっていましたですね、平成八年の高校生の覚せい剤の使用が前年の二・三倍になった。五〇%ぐらい全体で増加している。千四百三十六人というのは、これはたしか去年の数字だと思いますけれども、この若い人たちの覚せい剤の汚染、これは、ファッション感覚、遊び感覚でやる、疲れがとれるからというのが四〇%、頭がさえるから、三八%、やせるから、二二%、こういう数字をけさ言っていました。実に安易に使う。また、これが最終的には暴力団の方に資金源になっていく。この辺、覚せい剤は、使うと同時に使った人も犯罪者になるということであります。  それからもう一つは、きのうでしょうか、覚せい剤のお客さんつきで携帯電話を売っているとか、いろんな手を変え品を変えて覚せい剤汚染は進んでおります。この辺の問題はしっかり頑張っていただきたいと思っておりますが、低年齢化、この辺、特に学校教育に関しても、警察として相当、教育宣伝活動のために文部省との提携も必要だろう、そんなふうに思います。  同時に、今、覚せい剤関係の海外も含めた密売ルートの摘発状況と、それから青少年に対する教育の面からのそういう機関との提携、この辺はどういうふうになっているか、せっかくお見えでございます関口長官、お答えいただけますか。
  58. 関口祐弘

    ○関口政府委員 先生御指摘のとおり、二十一世紀を担うべき青少年の間に覚せい剤汚染等が拡大をしつつあるということでありまして、まことに憂慮をすべき状況であろうというふうに思います。  このため、警察といたしましては、本年四月に、政府の薬物乱用対策推進本部において決定をされました青少年の薬物乱用問題に対する緊急対策というものがございますが、こうしたものを踏まえまして、少年に薬物を供給している来日外国人、これはイラン人が多いわけでございますが、こうした来日外国人等の密売組織の取り締まりや薬物乱用少年の早期発見、補導の強化のほか、薬物の危険性、有害性につきまして少年自身や家庭、地域に徹底するための広報啓発活動等の諸対策を緊急に実施していくこととしております。  推進に当たりましては、学校や教育委員会との協力関係を強化をいたしまして、例えば警察職員が学校に出向きまして薬物乱用防止教室というようなものを積極的に開催していくのを初めといたしまして、取り締まり、広報啓発活動等の各般の分野におきまして、関係機関、団体との連携の強化に努めてまいる所存でございます。
  59. 松崎公昭

    ○松崎委員 青少年の問題は、余りにも安易に、先ほど言いましたように疲れがとれるとか頭がさえる、こういう薬のつもりで使っているような青少年が多いとしたら大変問題でありますので、これは教育の面、あと社会教育の面でどうするかということも重要だと思いますけれども、ぜひ頑張っていただきたい、そんなふうに思っております。  なお、今お話しのように、外国人、イラン人を含めて、最近は窃盗団ですか、組織窃盗団、こういうものが、非常に安易にと言いませんけれども、非常に楽に入ってきている。これは、先ほど冒頭の危機管理というか、その辺との関係もあるわけでありますけれども、随分日本日本へと来ている。それがほとんど犯罪組織あるいは犯罪と結びついて、そしてそれが最終的には暴力団との関係も出てきているのではないかと思います。最近とみに多いですね。オートバイの、フィリピンかどこかのオートバイの窃盗団でありますとか、ベンツの香港窃盗団でありますとか、イラン人の覚せい剤はもちろんのこと。  この辺の、海外からどんどん入ってくるそういう不法入国者の犯罪化、この辺はどのように警察としてとらえていらっしゃいますか。もう一つありましたね、蛇頭ですとか。これは密入国を手引きする団体ということでありますけれども、この辺の、日本が入りやすいのか、それに対してどう対応しているのか。そして暴力団との関係を非常に心配するわけでありますけれども、この辺はどのようになっているか。それから密入国対策、これはきっと違うのかもしれませんけれども、海上保安庁とかそういうことかもしれませんけれども、密入国の対策、この辺お答えいただきたいと思います。
  60. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 まず、来日外国人による窃盗事件の問題でありますけれども、これは急増いたしております。五年間を比較いたしますと、平成四年の検挙件数は四千二百件強でございました。それが、昨年一年間では一万六千件弱であります。  これは、件数が非常にふえておるのでありますけれども検挙人員というのは三千、四千人前後で推移しております。つまり何かといいますと、この数年で外国人の窃盗団というのは個人から集団に変わってきた。そしてそれが頻繁に事件を打つ、それを直ちに外国へ出すという、そういう手口に変わってきたということであります。これまで日本の窃盗といいますのは個々人が、せいぜい数人がグループを組んでやるというものでございましたけれども、これらによります窃盗は、百点以上のものをごそっと持っていく、壁を破ってそこから突入するということで、日本にはない手口のものでございます。  そして他方で、暴力団につきましても、先ほどもちょっと触れましたけれども件数がふえておりまして、暴力団も組織的な窃盗を敢行しているというぐあいに認められております。その間でも連携がございまして、現に検挙いたしましたのは、暴力団幹部が輸出をいたしまして、そしてロシアのマフィアが受けるというようなことで、決済の方法も特殊な決済方法をとった、そういう自動車の窃盗及び密輸事件もありました。これは百三十件余りで、三億を超す被害でございました。  さらに蛇頭の問題でありますけれども、蛇頭とは何かというのは必ずしも判然としないのでありますけれども、現在、中国人あるいは台湾人がリーダーとなりまして、密航希望者の勧誘でありますとかあるいは送り出し、運搬あるいは受け入れというものをそれぞれ分担をし、あるいは組織的に行っている、そういうものを蛇頭と称しているというぐあいに承知をいたしておりますが、これにつきましては、昨年一年間で警察が検挙いたしましたものは、中国人に係るものは十四件集団密航事件検挙いたしております。そのうちで、暴力団がかかわっているということが明らかになっておりますのは三件でございます。あくまでも明らかになったものという意味でございます。  なお、外国人の密入国の問題につきましては、これも今社会問題となり、また政府の重要課題ということで、関係機関こぞって今水際作戦を展開をし、また摘発をし、あるいは関係の外国機関に対しましてその抑制についての要請をいたしているというような措置をとっているところでございます。
  61. 松崎公昭

    ○松崎委員 もう時間がないようですから、簡単に最後に、九条の暴力的要求行為の追加の関係で、不当債権取り立て行為です。  これで管理機構の業務遂行にも相当影響は出ているようにも聞いております。これは、管理機構の場合は国がしっかりやらなければならないということでありますけれども、これに暴力団やフロント企業、こういったことが絡まり合いながら妨害をしている。逆にこれが目的で今回改正されたのかもしれませんけれども。  管理機構絡みの暴力団の妨害とか、この辺は実際どのようになっているか。そしてまた、中坊代表にも関口長官は会っていらっしゃると思いますけれども関係者の安全確保、こんなこともかなり真剣な問題だろうと思っていますけれども、その辺、わかりましたらお知らせください。
  62. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 まず、一般的に不良債権の取り立てにかかわってくる暴力団の活動というものがございまして、その中に住管機構の問題も位置づけられようかと思います。  これまで金融・不良債権の検挙につきましては、平成五年から七年まで三年間で百十五件検挙をいたしました。そのうち、暴力団がかかわっていたものは三十四件でございました。それが、昨年一年間でそれとほぼ同数の百七件を検挙し、かつ暴力団はその半数以上を占めます五十五件でございました。  そういうようなことで、本年に入りましても引き続き強化をいたしておりますが、これにつきましては住管機構と緊密な連携をとってその取り締まりを行っておりますし、支援活動を行っております。ただ、暴力団手口は、競売決定がありましたそういう不動産等に対しまして、勝手に物件を建てたり、あるいは街宣車を回したり、あるいは立て札等を立てて自分の支配にある旨を明示したり、そういうものでございまして、若干住管機構の職員に対して脅迫等を行うというものもございました。これらにつきましては、いずれも住管機構から告発を受けまして、直ちに検挙をいたしておりまして、今後も協力をしてその回収目的の達成に資してまいりたいというぐあいに考えております。
  63. 松崎公昭

    ○松崎委員 終わります。どうもありがとうございました。頑張ってください。
  64. 穂積良行

    穂積委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ————◇—————     午後二時一分開議
  65. 穂積良行

    穂積委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中甲君。
  66. 田中甲

    ○田中(甲)委員 民主党の田中です。どうぞよろしくお願いします。  平成四年三月の画期的な暴対法本法の施行から五年余りたちました。本法の周知が徹底され、効果があらわれているという認識を冒頭お伝えをさせていただきたいと思います。  しかしながら、この改正の中あるいは今回の法改正以外でもその関連としてまだまだ不十分であると思われる点もございますので、その点について、いただきました四十分間の質疑の時間で御質問をさせていただきたいと思います。  最初に御質問をさせていただきますのは、基本的な今改正における事項でありますけれども暴力団の潜在化が今問われている。先ほど申し上げましたように、平成四年の本法施行後、指定暴力団取り締まり対象となりました暴力団が、今度は元暴力団員や偽装離脱者等いわゆる準構成員に暴力的行為を要求し、そして暴対法を逃れるというケースを随分と皆さん方は認識されての改正ということであろうかと思います。  準構成員による犯罪検挙状況はどうであるのか。また、実際に取り締まるに当たりまして準構成員の認定が困難と思われる点がありますけれども、その点がどうであるか。あわせて、暴走族が準構成員となっていることが多いと思われますけれども、青少年の非行防止の観点から今後このような対策というのをどのようにお考えになられているか。以上、あわせて御質問をさせていただきます。
  67. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 準構成員の検挙状況でございますけれども、構成員と準構成員合わせまして暴力団勢力というぐあいに呼称いたしておりますけれども、その全体は、先ほども申し上げましたように、おおむね年に三万三千人前後を犯罪の被疑者として検挙いたしてまいっております。その中で、準構成員は、昨年平成八年中では二万一千四百六十人余り検挙いたしておりまして、これはおおむね例年この程度の数字の検挙をいたしております。  したがいまして、検挙いたしております暴力団勢力のほぼ三分の二が準構成員だということでございます。つまり、一般国民にとりましては、その人が暴力団員であるかあるいは準構成員であるかというのはにわかにはわからないわけで、また、そのような活動実態にある者を我々は準構成員としてとらえているということでございます。しかし、そこにはおのずから他の人々と違う行動様式があるわけでありまして、その識別というものも、組員との違いと同様、明確にすべきということで私ども努力をいたしているというところでございます。  それで、そもそも準構成員とはどういうものかといえば、構成員ではないのだけれども、しかし暴力団との関係というのは持っている。そして、その暴力団の威力というものを用いて不法な行為を行い、あるいは暴力団に対して資金や武器等の提供を行うなどでその生計を維持し、あるいは暴力団協力しているということでございます。そういう活動というものをとらえて我々は準構成員であるなどいう認定をいたしているわけであります。そして、今回の規定改正をさせていただくことによりまして、そういう暴力団員とともに行動していた過去の経歴を持つ者、こういった者をリストいたしまして規制をいたすことにいたしております。  なお、お尋ねの暴走族の問題でありますけれども、暴走族一般が必ずしもそういう暴力団員とつながっているというぐあいには言えないのだろうと思いますけれども、しかし一方で、いわゆる暴走族が暴力団の予備軍になっているという実態もこれまた事実であります。また、多くの場合、暴走族には少年が含まれているということもございますので、少年の健全育成という見地を見失うことなくしかし他方で不法行為は許さないという観点から、このあたりの認定については厳格に行ってまいる必要があるだろうというぐあいに考えております。
  68. 泉幸伸

    泉政府委員 少年の非行集団暴力団との関係についてのお尋ねでございます。  警察では、少年に対する暴力団の影響を排除して少年の健全育成を図る、また暴力団への人的供給とその資金源を遮断するという二つの目的で少年を暴力団から守る活動を推進しております。  暴力価対策法を活用して、少年に対する加入の強要や離脱の妨害への中止命令等を積極的に発出するほか、暴力団の影響下にある非行集団の解体、暴力団が関与する福祉犯の取り締まりによる被害少年の救出・保護、離脱した少年に対するアフターケアの実施や少年相談の充実、あるいは一般的に暴力団の恐ろしさや勧誘の手口を周知するための広報啓発活動の推進などの活動を推進しているところでございます。
  69. 田中甲

    ○田中(甲)委員 今回の改正案では、下位の指定暴力団員の不当な行為に対して上位の指定暴力団員に行政命令で縛りをかけることができるようになるなど、指定暴力団行為に対する対策が充実したということを私たち認識をしています。しかし、指定暴力団以外、指定にかからない暴力団の問題が残っているのだろうと私は思います。  まず、指定暴力団以外の暴力団実態、その問題点とその対策に対してはどのように考えられているか、お伺いをいたしたいと思います。
  70. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 現在この法律によりまして指定をいたしております暴力団は約八八%というぐあいになっております。つまり、残りは一二%ぐらいということであります。全体の暴力団員数、構成員数が四万六千ということでございますので、指定されていない暴力団員は約五千五百名ということになろうかと思います。そういたしますと、この残りの暴力団といいますのは、おおむね構成員せいぜい三十人ぐらいという小さな暴力団が指定されずに残っているということであります。  といいますのは、委員承知のように、暴力団として指定をいたします指定暴力団は、暴力団、つまりこの法律では、集団的にまたは常習的に暴力的不法行為等を行うことをその組構成員に対して助長するおそれがある団体、こう規定しているわけでありますけれども、その中で特にそのような不法行為等を行うおそれの強い団体を指定いたしておるわけでありますので、私どもとしては、現在日本におります暴力団の中にあっては、おおむね、特にその悪性が強いと言ってよい暴力団は指定をいたしているというぐあいに考えております。  しかしながら、ただそれはいわゆるこの暴力団対策法の適用がないというだけでありまして、暴力団であることには変わりございません。つまり、その構成員が集団的にあるいは常習的に不法行為等を行うおそれのある団体に変わりはないわけであります。したがいまして、犯罪を犯した場合には当然厳しく捜査をするということで、これらにつきましては、指定団体であろうがなかろうが変わりはないということでございます。  したがって、従前どおり、彼らについての違法行為を看過せずに取り締まりを行っていくということで対処してまいりたいというぐあいに考えております。
  71. 田中甲

    ○田中(甲)委員 全体の八八%が指定暴力団ということで大半を押さえている、その他に対しても暴力行為であることには変わりがなくしっかりと取り締まっていくという答弁をいただきました。ぜひともお願いをしたいと思います。  私は、この暴対法の強化ということと同時に、経済状況の中から、バブルの崩壊、いわゆる暴力団はその資金源となるものが極めて厳しい、徴収するのが厳しい状況になっていく中で、暴力団もいわゆるリストラをせざるを得ないという状況に今なっていると思います。  ただ、この暴力団からはみ出していく、いわゆる任侠道ということがもし当たるならば、その世界からはみ出していきアングラの世界に入っていってしまう、こういう暴力団の無差別な犯罪状況というものを一面危惧をするものでありますけれども、その予測というものはいかがでしょうか。
  72. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 現に委員指摘のような実態というものは散見をされております。  つまり、どういうことかと申しますと、従前の暴力団といいますのは、その組織の中においては彼らなりのおきてというものがございまして、そのおきて破りに対する懲罰というものは、厳しい懲罰を科しているように思います。もっとも、戦前といいますか、昔の暴力団にあっては、かたぎに手を出してはならぬというおきてがあったようでありますけれども、現在の暴力団はそのようなおきてはどうもなさそうでありますから、おきての中身も変わってきておりますが、しかし現在は、そのおきてすら遵守されないという状況も出てきている。  具体的に申しますと、暴力団もいよいよ困って窃盗に手を出してきている、ないしは、困ったということではなくて新たな資金源を求めて組織的に窃盗を行っているということが顕著だということでございますけれども、その場合に、同一の暴力団に所属していない組員同士が窃盗団グループを組んで犯行を行っているという事例が目立っております。また、他の暴力団の組長を別の暴力団の下の者が強盗をするとかあるいは拉致をして身の代金を要求するというような、そういう状況も出てきておりまして、暴力団の中における一定のたがの緩みといいますか、そういった状況というものは見受けられるようになってまいっております。
  73. 田中甲

    ○田中(甲)委員 暴力団の組織が、その枠組みが必要悪とは言いません、しかし、その枠内にいるから、その中のルールによって一定の警察の対応の指針というものが出されてきた。ところが、今はそれが崩れてきて、どういう犯罪が発生するかわからぬという部分が出てきている。非常に対策の面で難しい面があるんだろうと私は思います。  例えば銃器の問題ですが、たしか一昨年のはずであります、銃刀法の改正が行われました。これも強化が行われたんですけれども、この銃器使用による凶悪事件発生状況ということを簡単にお聞きをしたいと思いますし、その対立抗争事件、発砲事件の件数なども事前にお聞きをしたいのであります。  あわせて、暴力団が銃器というものを一般市民に流出していくような状態というのがあの銃刀法の強化の後に発生しました。その辺の御認識というものを聞かせていただきたいと思いますし、一般の市民へ銃器が拡散していく状況というものは、まさに暴力団の中で銃を持っている、あるいは町中で銃を発砲することによってさらに厳しい規定になった、あるいは経済の状況の中からリストラをしていかなければならない、足を洗いたい、そういうときに銃器を警察の方に届け出ることという弾力性を持った法改正を行ったんですけれども、残念ながら、その法改正というものは意図するところが十分に果たされたとは思いません。一般の市民に流出するという現象が起きたことをどのように受けとめられていらっしゃるか、御答弁をいただきたいと思います。
  74. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 ちょっと冒頭にお触れになりました対立抗争あるいはその際の発砲の状況について簡単に申し上げた上で御答弁申し上げたいと思いますが、平成八年、昨年一年間におきます対立抗争事件というのは九件でございました。この一つ事件で数回のいわゆる出入りがございますので、その回数というのは、昨年の場合二十九回に及んでおります。そして、その間二十五回ほどの銃器の発砲がございました。ただ、これを三年前あるいは四年前と比較してみますと、発生回数というのはかなり減少してまいっておりますし、発砲の回数も減ってきております。  他方で、けん銃の押収状況からちょっと見てみますと、昨年一年間で、暴力団から押収をいたしましたけん銃は千三十五丁でございました。それを含めまして、全体のけん銃の押収丁数というのは千五百丁強でございましたので、約六七%が暴力団からの押収ということでございます。  ところで、お尋ね暴力団から一般人へ流れているという御指摘の件でございますけれども、確かに数年前、そのようなことが顕著に見受けられたことがございました。しかし、昨年あるいは本年に入りましての捜査の結果を見てみますと、必ずしもそのようには言えない、言えないと申しますか、そのようなことは必ずしも顕著ではないというぐあいにも感じます。ただ、実態のところは私ども必ずしもつまびらかではございませんので、不正確かもしれませんけれども。  また、仮に一般人に流れているといたしましても、その一般人は、いわゆる一般人ではございませんで、やはり暴力団の周辺にある音ないしはその周辺にある者とのかかわりがあるからそこに流れるのでありまして、その意味では、トータルとして私どもは銃の摘発並びに監視をしていくべきだというぐあいに考えております。
  75. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございます。  こうした事件のもとになる銃器の売買ということを厳罰化すべきである、そんな思いも持たせていただいております。御検討いただきたいと思います。  改造けん銃が、密輸のけん銃かということになりますが、けん銃に関してそういうことを申し上げたんですけれども、近年、我が国においても犯罪の国際化ということが随分と顕著になってまいりました。先ほども答弁の中に触れられておりましたが、外国の例えばスネークヘッドのような犯罪集団実態がどのようになっているか、あわせて、外国の犯罪集団日本暴力団とが一緒になって、どのような犯罪実態というものが今つくられているか、御答弁をいただければありがたいと思います。
  76. 伊達興治

    ○伊達政府委員 外国人による組織犯罪でありますが、中でも、スネークヘッドと言われましたけれども、蛇頭等による中国人の集団密航事案でありますが、本年に入りまして二十五件、四百五十五人を検挙いたしております。これは、昨年一年間の十四件、百七十九人という検挙件数、人員を大幅に超えておりまして、こうした蛇頭というような外国人による組織犯罪が国内の治安に与える影響は極めて大きいと、深刻に受けとめているところでございます。  警察のこれまでの捜査によりますと、こうした事案のほとんどが蛇頭というような密航請負組織が関与しておりまして、国外あるいは国内においてお互い同士で事前に綿密な連絡をとり合い、事案を敢行しておる、こういう実態が明らかになっているところでございます。このため、密航事案の捜査に当たりましては、このような蛇頭というようなものの組織実態の解明をしていくことが何よりも大事なことだということでありまして、専心努力しているところでございます。
  77. 田中甲

    ○田中(甲)委員 犯罪の国際化、多様化など、対応する警察庁も大変だと思いますけれども、ぜひ全力で十分な対応のできるように努力をしていただきたいと思います。  次に私は、先に質問をされた委員の皆さん方が多方面にわたっての充実した質問内容でありましたので、少し質問の趣旨を変えまして、我が国日本では、物質面では昭和五十五年に制定された犯罪被害者等給付金法という、これはアジアで初めての補償法であるそうでありますが、この物質的な補償法と同時に、これから我が国日本は、被害者の心の問題、その精神、心理的な悩みに対する施策の立ちおくれということを認識して、今後検討を進めていかなければならないと考えています。その検討状況について、もし御答弁をいただければまず簡潔にいただきたいと思うのですが。
  78. 野田健

    ○野田(健)政府委員 委員指摘のように、犯罪被害者、特に殺人事件の遺族あるいは性犯罪被害者という方々は、精神的に極めて大きな被害を受けておられるところで、援助を必要としているというふうに認識しております。警察は、最初に被害者と接触することが多うございますし、公的機関として濃密に被害者とかかわり合う機関でもあります。  そういうことで、個々の、特に名刑事と言われるような方々は、今までもそういう意味での精神的な支援もしていたと思いますけれども、必ずしも制度としてやっていたわけではない、また、被害者の心理についての知識が不足しているという ようなことで、不用意に精神的に傷つけていたというようなこともあるのかもしれないという認識に立ちまして、昨年の二月から全国警察挙げて、被害者対策ということで、こういった面での取り組みをしているということでございます。  具体的には、精神的なケアについての施策といたしましては、部内において、まず被害者への対応に必要とされる基本的な知識の習得を図る、それから被害者に対しては、性犯罪被害一一〇番等の相談窓口を設置しまして、相談業務に応じている。これらの相談窓口には専門家の心理カウンセラーを配置しているという県も出てきているという状況にありまして、被害者の要望にこたえた精神面の対策を推進してまいりたいと考えております。
  79. 田中甲

    ○田中(甲)委員 これは、もうぜひともさらに力を入れて検討していただきたいと思います。人員というものは十分に整って、十分確保ができていると言えますか。その辺にもし御要望があれば、私たちにもお話をしていただきまして、立法府も協力をさせていただきたいという思いを持っています。  さらに、いわゆるストーキング犯罪についてでありますが、この際、お聞かせをさせていただきたいと思います。  被害者からは、なかなか警察は動いてくれないという声を、私も人口が急増している地域に生活しているものでありますから、それらの被害者の声を聞きます。殺されたり、あるいは犯されたりするかもしれないという恐怖心が募っている。そんな中で、これはまさに被害者にとっての精神的なレイプとも言える。このようなストーキング犯罪に対する、現段階における警察庁の検討状況というものをお聞かせいただきたいと思います。
  80. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 これは、たしか以前委員から、これに関連いたしましたお尋ねをいただいたことがございました。  それで、私どももこれまでの例えば殺人事件なりあるいは性的な犯罪なりという事件を振り返ってみましたときに、その中に御指摘のような一般の動機に基づく事件とは違う事件があったのではないかというような、そういう反省を込めてこれまでの事件を振り返り、あるいは現に発生している事件の捜査に当たっては、そのあたりを念頭に置いてまいろうというぐあいに考えております。  そこで、とりあえずやはり実情というものをつかんでみなければならぬということで、これは実態の調査というのは難しいのでありますけれども、といいますのは、ストーキングというものが一体どういうものであるかということについてかなり人によりまして受けとめが違う、あるいは被害者によっても違いますし、あるいは加害者になっている者におきましても違うというような、そういう状況があるようでありまして、一義的にその内容を確定することが難しいような、そういう概念のように思いますけれども、しかしそれはそれといたしまして、さらに実情を知ろうというような努力を現在いたしているところであります。  思いも寄らない動機によって犯罪被害を受ける、ないしは、我々が捜査をいたしますときにそういうこともあり得るという観点に立つならば、さらに捜査の範囲というものを的確に広げて実行することができるかもしれないという問題もありましょうし、いろいろな観点から現在考えさせていただいているところでございます。
  81. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ストーキング犯罪の概念がまだ明確でない、それはまた、答弁の際に少しにこやかな顔をされていたようでありますが、これは本当に凶悪犯罪につながるというものでありますから、真剣に受けとめていただきたい。  アメリカでは、五十州のうち四十八州で既にストーキング犯罪防止法というものが制定されています。なぜ立法されたかということを考えるならば、既存の法令ではストーキング犯罪の防止、取り締まりができないということがあったからであります。刑法、軽犯罪法あるいは迷惑防止条例といった、我が国日本における現行の法令でも取り締まることが難しいという事案について、今後、しっかりとした取り締まりができるような、そういう対応というものに前向きに努めていってもらいたいと思います。  あわせて私は、警察が市民から信頼される姿というものをつくるために、後手に回ってはならぬということを思っておるのです。現在は、サイバーストーカーですとか電脳ストーカーですとか、これはテレビではもう既に取り上げられているのですけれども、インターネットのホームページ上に、中傷の文章とともに女性の電子メールの番号やその他住所といった個人情報が記載されて、その女性のもとにまさにえたいの知れない脅迫というものが送りつけられてくる。その女性は精神的に障害を受けるようになったそうでありますけれども、こういう犯罪も、もう既に高度情報社会の中における見えないストーカー犯罪として広がりつつある。こういうものもぜひ警察庁の方が認識をして、対策をつくっていただきたい。御答弁がありましたら、ぜひお願いいたします。
  82. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 先ほども官房長から御答弁申し上げましたけれども、現在、警察挙げて被害者の問題について対応いたしております。そういう中の一つとしても、御指摘のストーカー、いわゆるストーカー犯罪に係る被害者という問題を考えていくことができるのだろうというぐあいに思っておりまして、今御指摘のような方向で、被害者の立場に立った警察活動というものを行うべく努力をいたしておるところでございます。
  83. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございます。  立法府でもしっかりと考えていかなければならないのだろうということを私は常々考えておりまして、ぜひ警察庁とも話し合いを進めながらストーキング犯罪防止に対する対策というものをつくり上げていきたい、そんな考えを持たせていただいております。  さて、暴力団が参入しやすい営業としてどのようなものが挙げられるか、風俗営業についてはどのようにお考えになられているか、御答弁をいただきたいと思います。
  84. 泉幸伸

    泉政府委員 委員承知のとおり、風俗営業はいろいろな種類の営業の規制をしておりますが、あえて通じて認められる性格というふうな表現をいたすならば、人間の基本的な欲望といいますか、そういう基本的な部分におけるものに関する営業を規制しておるわけでありまして、暴力団は、先ほど来の御答弁の中でも刑事局長等から申し上げておりますが、いろいろな形の営業に今や関与してきておりますが、人間の基本的な欲望に関する部分というのは暴力団の介入、関与を受けやすい業種であるというふうに考えております。
  85. 田中甲

    ○田中(甲)委員 昨年の十二月にこの地方行政常任委員会において、私の風適法改正に関するダンスの風俗営業からの除外の主張に対しまして、局長は反論として暴力団の参入の危険性を挙げておられました。現在、この参入に対してどのような危険性があるとお考えになられているか、そして、ダンス営業を行っている場所に対してほかの現行法での対応というものはできないのか、この考え方を持つのですが、いかがでしょうか。
  86. 泉幸伸

    泉政府委員 昨年十二月五日の当委員会における御質問のことだと記憶いたしておりますが、ダンス教授所について風適法から除外すべきだという御議論の中で、御承知のとおり、現在、風適法上は、風俗営業に関しまして「集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪」云々という表現で、いわゆる暴力団経営を行ったり、あるいは暴力団が役員をしておる法人が経営すること、あるいはダンス教授所について申すならば、ダンス教授資格について、今申しましたいわゆる暴力団がそれに入ることのないような規制をしておりますので、現時点ではそのような事例は私ども承知してないところであります。  逆に言いますと、こういう規定をなくしてしまいますと、そういうおそれは十分あるのではないかという認識を持って、前回の委員会でそのような御答弁をした次第であります。
  87. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ですから、前回の質問を行ったあの十二月の段階と、そして現在、御認識を新た にされたという点はありませんかという質問であります。  ダンススクール並びに、ダンススクールはイコールダンス教授所でありますけれども、あるいはダンスホールは本当に今、暴力団が介入をしてくるというような危険に置かれているのでしょうか。私はそうは思いません。  そして、ビリヤード場が、昭和三十年に第二十二国会で、風俗営業から外された場合、賭博性があるのではないかという質問がされました。その際に、当時の齋藤さんという警察庁長官でありますけれども、玉突き場を風俗営業から外してもいいのじゃないかと考えております、賭博罪で取り締まればよろしいのですということを明確に答えられた。  今回、暴力団がダンスホールに介入してどういうことをするというのですか。そして、現行の法律ではそれを取り締まることができないのでしょうか。簡潔に御答弁いただければありがたいと思います。
  88. 泉幸伸

    泉政府委員 昨年の委員会での御指摘、御質問を受けまして、またそれと並行いたしまして、風俗営業に関する対象業種の検討を行ってきております。その中で、現状についての判断ということで、ダンススクールにつきましては、昨年の委員会で風俗営業としての許可対象から除外すべきでないかという御質問もいただきました。また、警察庁としても関係団体の意見を聴取しつつあるところでございます。  また、この間におきまして、実は議員立法により、このようなダンススクールを風適法の許可対象外にというような動きもあるというふうなことを承知しておりますが、そのような動きを十分踏まえた上で適切に対処してまいりたいと思って、現在検討中でございます。
  89. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございます。  実は、同じく昨年十二月の地方行政常任委員会で白川国家公安委員長から、この風適法の改正のことをお話しさせていただいた際に、国会で決められた法令を厳正に、厳粛に執行していくのが本来の警察の職務であると。立法府の議員である、貴重な御意見、どんどん進めていただきたい、各党各会派で早急に御意見をまとめていただき、警察庁としてもそのときまた自分たちの意見を述べさせていただきますが、国会で決まったものに日本国の警察はとやかく言うべき筋合いにありませんということをぴしゃりと国家公安委員長が御答弁してくださいました。  その後、二月に、今度は超党派で議連をつくって審議を進めていきたいということを御報告した後、現在六十名が参加してくださるダンススポーツ推進議員連盟というものを結成して審議を続けてまいりました。  そこでできたのが、ダンススクール並びにダンスホール実態というものをつぶさに調べまして、飲食を伴わない、これは風営法の第二条第一項の第四号は外しても、現在の風適法の中で暴力団が介入して問題が起きるという危険性はないという判断を持ちまして、風適法の一部改正の議員立法の提出の準備を進めてまいりました。閣法で提出したいという意向も警察庁からあり、その検討ということを現在話し合っているところでありますけれども、ぜひとも議員立法で提出してもらいたいという方々が三十七名、賛成議員として今賛同をしてくれています。  これから警察庁がどのようにこの問題に対して、新たに閣法で出されてくるその法案の中でしっかりと現在の問題点ということを改正してもらえるかどうかというのが、正直申し上げまして、ダンススポーツ推進議員連盟の、今最も私たちが考え、そして危惧をしているというのですか、問題としているところであります。  ダンスというものは風俗ではなく文化である。青少年においては教養であり、そして競技につながり、二〇〇四年のオリンピックでは正式種目になろうとしている。さらには、高齢に至っては生涯スポーツである。このダンスというものを風俗営業から、風適法から外すということをもう一度局長から御答弁いただき、確認をさせていただきたいと思います。
  90. 泉幸伸

    泉政府委員 現在の風俗営業適正化法で対象業種としておりますのは、先ほど申しましたような業種の性格にかんがみ、その時代時代で正常な風俗環境を保持するために必要と認めて規定されておるものであると理解しております。  しかしながら、時代の変化により状況は変化してまいりました。それぞれ現時点においてなお規制の必要があるかどうかということについては、関係者の意見も広く聞きながら判断してまいるべきものと考えております。  先ほども御答弁申し上げましたように、昨年御質問いただきましたいわゆるダンススクール、ダンスを教授するというダンススクールにつきましては、私ども、現時点での判断でございまして、まだ作業途中でございますが、風俗営業の許可対象外とすることができるのではないかという判断を一応持っております。  なお今後とも、関係団体、関係者の意見を広く聞きながら、また地元住民の意見も伺う必要がございます、そういう作業を詰めながら、適正に対処してまいる所存でございます。
  91. 田中甲

    ○田中(甲)委員 局長、ありがとうございます。積極的な御答弁をいただけたものと認識をいたします。  しかしそこには、もう一つ、風適法から外すときに、ここだけはしっかりと同じように改正をしてもらわなければならないという点があります。それは、国家公安委員会規則に基づく特定の団体を優遇するという措置を行わないということであります。つまり、国家公安委員会規則のもとでダンス教師資格者登録証というものを発行している現在のスタイルを継続するならば、風適法から外されてもダンス界はひとり立ちできないということになると思います。この点についてはいかがでしょうか。
  92. 泉幸伸

    泉政府委員 ただいま御指摘の制度につきましては、昭和五十九年改正の際に、ダンス教授所に年少者の立ち入りを認めるということとした際に、業界の要望も受けまして、その範囲を明確にするために、各県のダンス教師協会が行っていたダンス教師資格の認定を受けた教師が置かれていることを、十八歳未満の者の立ち入りを認める要件として定めておるものであります。先ほど御答弁申し上げましたが、これについて今回見直し作業を行っております。  善良の風俗等を害するおそれがないものとして風適法の許可対象外にする措置をとった場合に、健全な営業の確保のために、一定の資格を有する教師が置かれていることを基準の一つとすることが必要不可欠であるのかどうかということにつきましては、先ほど申しましたように、業界全体の御意見を聞きながら検討していくこととしております。
  93. 田中甲

    ○田中(甲)委員 最後の質問であります。  その時期を、どのような時期までに改正するとお考えになられているかをしっかりと御答弁をいただいておきたいと思います。  そして今後、超党派六十名を超えるメンバーでつくっていますダンススポーツ推進議員連盟は、会長が自民党の島村宜伸衆議院議員であります。新進党の小沢辰男衆議院議員も顧問として、しっかりと対応するようにということを常に事務局である私に申し伝えられているところでありまして、どうかこれから細部にわたって詰める際には議連の方にもしっかりと確認をしていただき、歩調の合った改正ということをさせていただきたいと御要望申し上げ、時期の問題の質問を最後にさせていただきまして、私の質問を終わります。
  94. 泉幸伸

    泉政府委員 委員から何回かにわたり御指摘を受けている問題であり、また関連する業界の中には強い希望を持っておられるという状況もございます。私どもとしては、こういう作業につきましては、時を徒過することなく早急に所要の作業を詰めて、できるだけ早い時期に実現するよう努力してまいりたいと考えております。
  95. 田中甲

    ○田中(甲)委員 終わります。
  96. 穂積良行

    穂積委員長 穀田恵二君。
  97. 穀田恵二

    ○穀田委員 日本共産党の穀田です。  暴対法の審議の際に、法の目的と関連して大きな焦点となったのは、暴力団壊滅の問題でした。当局は当時、鈴木良一警察庁長官でしたが、「十分に活用して暴力団の壊滅のために努力をしなければならない、」こういうふうにおっしゃっていましたし、さらに、当時の國松刑事局長は「私ども暴力団取り締まりの究極の目的は、暴力団そのものをこの社会に存在を認めない、それを壊滅すること」と同じく答弁していました。暴力団を壊滅するということが主要な警察庁の仕事でもあるし、また、この暴対法に関連して、そういう点での認識は変わらないのでしょうか。その点をまずお聞きしたいと思います。
  98. 関口祐弘

    ○関口政府委員 警察におきましては、長年にわたりまして暴力団対策につきまして地道な努力を重ねてきているところでございます。その成果は、例えば暴力団勢力の減少という点に見られると思うのであります。しかし、今なお暴力団が現存をしているというのは事実でございます。  警察では、暴力団の解散、壊滅へ向けまして、暴力団犯罪取り締まり、そして暴力団対策法の効果的な運用、暴力団排除活動の推進を三本の柱といたしまして、暴力団総合対策を推進しているというところでございます。
  99. 穀田恵二

    ○穀田委員 今お話にありましたが、三つの柱で総合的な対策を行っていく、こういうふうに大体いつもパンフレットその他に全部書かれています。  そこでお聞きしたいのですが、私は、社会の悪として、つまり存在を認めないという強い立場で対処が求められていると思うのです。  その審議の際に、続いてこうもおっしゃっているのですね。この法案をお認めいただきました暁には、我々全体の体制なり取り締まりのやり方なり、あらゆる点について真摯に検討を加えまして新たな出発点として暴力団壊滅に向かって努力してまいりたい、このようにおっしゃっています。  だから私は、先ほどるるいろいろお話があって、三つの柱に基づいて対策を行ってきた、こういうお話がありました。問題は、暴力団そのものをこの社会に存在を認めない、つまり壊滅の視点の立場に立って、この五年間を経ての現在の暴力団に対する取り締まりというものをどのように総括しておられるか。要するに、壊滅という視点から見た場合にどうだったのだという点を、長官にちょっとお聞きしたいと思います。
  100. 関口祐弘

    ○関口政府委員 ただいま私が御答弁申し上げましたように、私どもの最大の眼目というのは、暴力団を壊滅するということでございます。その一つの手段と申しますか、そうしたものとして暴力団対策法を御制定願ったわけでございますが、今現在そうしたものを有効に活用させていただいているところでございます。  例えば、暴力団取り締まりという面で申しますと、資金源の封圧、金の問題というのが非常に重要なことだろうと思いますが、私どもは、そうした資金源の実態に応じまして、各種法令なりこれにまつわる取り締まりを徹底するということとともに、暴力団対策法を効果的に運用いたしまして、暴力的要求行為等に対する行政命令というものを迅速かつ積極的に発出する等によりまして、徹底して封圧を行っていく、そのような考えで進めているところでございます。
  101. 穂積良行

    穂積委員長 委員会開会中ですが、白川自治大臣からメモが入りました。鹿児島県薩摩地方において、本日十四時三十八分ころ震度六の地震が発生したということでございます。緊急に、委員会途中ですがお知らせいたします。  それじゃ、穀田君。続けます。
  102. 穀田恵二

    ○穀田委員 そうですか。被害のないことは祈っておきたいと思います。  壊滅すべきは暴力団ということで、最大の眼目だということだけはお互いの認識になったので、これは当然だと思うのですね。  そこで、要するに、五年間ということからしますと、確かに、先ほども刑事局長や警備局長からお話があったように、減っている、そういうことはありますよ。それから、逮捕もふえているとか、検挙をふやしているとか、そういうことはあるんだが、問題は、暴力団の組織としての威嚇力効果、これは増大しているのじゃないかという点を私は思っているのですね。その点での、今日の五年間を経ての状況というものについてどう認識されておるのかということについてお聞きしたいと思います。
  103. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 確かに御指摘のように、全体としては暴力団員数あるいは準構成員を含めまして暴力団勢力が減少し、また山口組、稲川会、住吉会という大きな団体の構成員も減少いたしておりますけれども、その中におけるこの三団体の占める比率が高まっているというような問題もあって、御指摘のような暴力団の威力が高まっているのではないかという御疑問が生ずるのだろうというぐあいに思います。  それは、私は二つに分けて考えることができるのではないかというぐあいに思っております。  一つは、対国民との関係であります。確かに、大きな比率を占める暴力団となったということは、彼らにしてみますれば、そのブランドに対する価値が高まったというぐあいに受けとめましょうから、その威力を一人一人の国民に対し大きく見せることができるという意味において威嚇力が高まったということはあろうかと思います。  しかし、私は他方で、そしてむしろこちらが主ではないかと思うのは、したがって暴力団全体の中におけるこの三団体、特に山口組に対するその他の暴力団の恐怖心といいますかが高まる、そういう他の暴力団に対する大きな団体の威嚇力が高まる、そちらの面が、実務的に見ますと大きいのではないかというぐあいに感ずるのであります。  したがって、現在は、警察の取り締まりあるいは暴対法の適用、さらには国民の暴力団排除運動の高まりの中で、ある意味では彼らは逼塞をいたしているわけでありますけれども、その暴力団の中における内部の抗争といいますか対立といいますか、そういうものは、目に見えませんけれども、激烈なものがあるというぐあいにうかがえるのであります。したがって、我々警察としては、その威嚇力というものが国民に向けて生ずるものとならないように、あらゆる活動を展開しなきゃいかぬというぐあいに考える次第でございます。
  104. 穀田恵二

    ○穀田委員 威嚇力が一定増大した、それが二つの面からということで、対国民との問題と、今二つお話がありましたね。私は、先ほど長官からお話がありましたように、最大の眼目というのは壊滅だ、こうしますと、暴力団全体は確かにお話のように減ったとかいろいろあるんだけれども平成三年から、九一年ですか、ずっと見ますと、三団体の暴力団勢力というのはそんなに減っているわけじゃないのですね。いただいた資料によれば、五万六千百名から五万三千二百名、平成六年、平成七年、九四、五、六ということでいいますと、ふえているのですね。しかも、その比率は増大をしているということも確かだ。相対的にはこの三団体が比率をさらに高めており、当時、法制定の折には大体暴力団の中における三団体の比率は四〇%台だったものが、六六・六%にまで上がる、こういう点は、まさに威嚇力の増大以外の何物でもないと思うのですね。  ですから、ここなんですよ。暴力団の威嚇力が拡大をする、その背景として、比率が高まっている。しかも暴力団を、一方ではこれは壊滅する対象である。こうした場合、結局のところ、暴力団を壊滅するという視点に立つならば、結果としてはいわば一定の指定暴力団だけがふえてしまって、一番でかいワン、ツー、スリーが大きくなっただけだったということの側面があって、ここをつぶすということが極めて大事じゃないですか。その辺はどうお考えですか。
  105. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 現時点におきましては、まさしく御指摘のとおりだと思います。ただ、この五年間で全体として約一万減少した、三団体でも七、八千減少したというだけではございませんで、我が国の戦後の歴史で暴力団が一番活発化いたしましたのは昭和三十年代の後半でございました。そして、三十九年から第一次頂上作戦というものを実施するわけでありますけれども、その前年の昭和三十八年におきます暴力団の数は十八万でございました。それと比較いたしますと四分の一に減少させているわけであります。  これは、ひとり警察のみの力ではございませんけれども、やはり息の長い対策というものがこれからも引き続き必要かというぐあいに考えるものでございます。
  106. 穀田恵二

    ○穀田委員 昭和三十八年から比べたら減っているというのは、それはだれもが知っていますよ。ただ、問題は、今私お話ししたように、じゃ暴対法をつくるときにどんな議論になったかというと、こういう議論をしているのですよ。暴力団の寡占化の問題があったのが、一つのいわばこの法律を成立させる上で重要な引き金となっているのですね。例えば、当時警察庁刑事局付の吉田英法氏はこう言っていまして、暴力団が名前を告げるだけで相手方を威嚇できる威力を増大させ、既存の刑罰法令では必ずしも有効な取り締まりができない、だからこういうことが必要だという一つの側面を訴えているのですね。  つまり、昭和三十八年の話をしているのじゃなくて、この法制定の際の出発点から見た場合に、この法律の施行に伴ってどういう効果があらわれて、そのとき目的とした内容がどう結果として達成されて、しかもそれが全体として見れば暴力団の壊滅という眼目に沿って集中的にやられたのかということが問われているのですね。だから、そのことを私は聞いているわけなんですね。  だから、そういうふうに見ていただかないと、昭和三十八年の話をしたって、それは、この法をつくったのが何せ六年前ですから、それに伴ってどうだったんだ。しかも、その法律の目的の議論の際に壊滅ということについて訴えたときに、結果として三団体だけがふえたというふうなことについて言うならば、これはまずいのじゃないか。  先ほど頂工作戦というお話があった。その後、私どもは山口組なり住吉会なり稲川会なりに対して集中的打撃を与えてこんな作戦を打ったというようなことを、みんなが知っているというようなことは余りないのじゃないですか。それぐらいやはり、結果としてはそこだけが肥大化したということについて、私は非常に残念に思っているし、その点での、やはり壊滅というのであれば——前も議論になっているのですね。その際に、「山口組壊滅せず」という本まで出たように、当時の議論でもそういうことをわざわざ引用し、そういう指摘の雑誌もある。警察への不信感だとか、それからこの対応のおくれ、国民は率直に感じていると。だから、この暴力団壊滅という問題を私はわざわざ言ったわけなんですね。  ですから、こういう角度から見た場合、国家公安委員長は、暴力団の壊滅という立場から見た場合の指導的立場で、この状況についてどうお考えでしょうか。
  107. 穂積良行

    穂積委員長 ちょっと、大臣からの答弁の前に、先ほどの地震についての続報を申し上げます。  なお、穀田委員質疑時間は、この時間はカウント外ですから。  震度六弱、川内市。五弱、阿久根市。震度四、八代市、鹿児島市、都城市、人吉市など。震源の深さ二十キロメートル、マグニチュード六・一と推定されている。なお、津波の心配はなしとのことでございます。  なお、続報が入り次第、委員会質疑を中断して御報告をいたします。これも危機管理の一つと思いますので。  それでは、質疑を続行いたします。白川国家公安委員長。
  108. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 暴力団を壊滅するというのは大変大きな目標だと思います。そして、国民のだれもが願っているわけでございますが、一方では、長い間組織の中に巣くっているというか、そういうものでございまして、一つ法律をつくったからといって直ちに壊滅というのはまた難しいところがあろうと思います。  例えば、およそ暴力団ならばだれでもひっくくれる、一生刑務所に入れておけるというような法律でもつくれば別でございますが、なかなかそうはいくものではありませんので、具体的に、暴力団員刑法を犯したときに、あるいは暴対法でできたような、刑法をストレートに犯しているわけではないけれども、それの前の行動というのを的確にとらえて、させない、した場合は罰する、こういうような中で、日本の警察当局が全力を挙げて取り組んでいるわけでございます。  その営みに対しての御批判はあろうかと思いますが、大変大きな組織との間で、それぞれの暴力団対策の警察官は文字どおり命がけでやっているわけでございますし、さらに取り組んでまいりたいと思いますが、率直に申しますが、さらに、暴力団は絶対に許さないという国民全体の不退転の決意というようなものが社会に満ち満ちていないと、暴力団壊滅というこの大事業はまだまだ困難が伴うのではないだろうか、こういうふうに私は考えております。
  109. 穀田恵二

    ○穀田委員 先ほども白川大臣からお話があったように、危機管理という問題については非常にもう少し限定してやる必要があると自治大臣おっしゃっていましたよね。ですから、私はどうも、この審議のときに一々それについて報告されておる、危機管理だから必要だというふうな見解に余り立たないのですね。  確かに、地震の問題として住民がどうなっているかということについて御報告いただくのは当然だと私は思うのですが、それはお互いに正確に使いたいなと私は思います。  それの上で、今お話ありました国民全体が許さないという決意、これが大事だということも、私も同様だと思います。  そこで、一つお聞きしたいのは、警察当局は警察白書で、暴力団の資金源対策として、膨大な収入に対する適切な課税措置が重要だと一貫して指摘してきました。平成元年版では「その強化が望まれる。」として、その年の報告は「六十六億円の課税通報を行った。」とあり、翌年版では「極めて重要である。」として「五十一億円の課税通報」、さらに翌年版では「資金源を涸渇させるために」として九十二億円、翌年は百五億円、こういうふうに課税措置の問題を重視してきました。  ところが、その後白書に記述がなくなっており、どうなっているのだろうかということを私はずっと思っていました。今ありましたように、国民全体がそういうことをやっていくという場合、資金源の面からも攻めていくということは非常に重要な内容です。それを三年間連続して重要な問題だと指摘したにもかかわらず、その後ぷっつりなくなっているのはどういうことなのか。効果があるのだったら、こういうものは引き続きやるべきことではないかと思うのですが、いかがですか。
  110. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 白書の記載は別にいたしまして、この課税通報の重要性については、いささかも変更をするものではございません。  ちなみに、昨年、平成八年中におきます税務当局に対します課税通報額は、警察庁に報告があった分に限りましても約九十億円でございます。
  111. 穀田恵二

    ○穀田委員 わかりました。そういうふうな課税通報というのは積極的にこれからやっていただくということになりますね。よろしいですね。  あわせて、今、国民全体がということで、どうしてもやらなくてはならないのは企業の対策ですね。野村証券が総会屋企業へ利益供与を行っていた事件と関連して、少しお聞きします。  きょうの新聞によりましても、証券取引等監視委員会があすにも告発すると報道されているわけですが、さきの大蔵委員会に参考人として出席した酒巻前社長が、次のように発言をしています。簡単に言いますと、利益供与をしていた総会屋、小池元代表とのかかわり合いは二十七年に及んでいるということを言っています。そうすると、暴力団稲川会会長石井進との関係が問題になったときにもその関係は続いていたということになるわ けですね、当時。  これまた当時問題になった折の、衆議院証券・金融問題特別委員会の証人喚問の席で、田渕会長は、総会屋との関係について、昔は随分総会屋が出入りしていたが、現在はないと思うという証言をしています。そうすると、これは全くうそだったということになるわけですね。  この当時といえば、企業に対する暴力団の介入が非常にふえてきて、警察庁長官も、暴力団と手を切るように業界に要請を行った時期でもあります。もちろん皆さんも御承知のとおり、総会屋と暴力団というのはこの間ほとんど何らかの形で関係を持っているということは御承知の上で話をしているわけです。  そこで、警察庁の文書によりますと、その文書は、証券取引における暴力団の介入の排除についてということなのですが、その中には、「ところで、最近、金融・証券取引を場とした暴力団による資金活動が明らかになる一方で、証券会社及びその系列金融会社暴力団に対し融資・斡旋を行うなど、暴力団の活動を助長するような事態が明らかになった」ということを指摘して、「一、暴力団の反社会的活動を助長する行為の自粛」をということで要請しています。  これに対して、当時業界は周知徹底を図るということを答えながら、その実、裏で要請が全く無視されていたということ、この一連の経過、今お話ししたようなことを見ますと無視されておったということになると思うのですが、このような企業側の対応について、先ほど国家公安委員長は、国民みんなが立ち向かうということだ、許さないということだと言いましたけれども、まさに国民みんなが団結して立ち向かうと同時に、企業に対して、こういうことをやってはならぬ、冗談じゃないと言うことが私はとても大事だと思うのです。その辺の御見解はいかがでしょうか。
  112. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 連日、野村証券の事件が報道されているわけでございますけれども、多分、アメリカ等でもしああいうことがあれば、野村証券はたしか業界ナンバーワンだと思っていますが、直ちにその信用を失墜するものだろうと思っております。  委員質問がありましてから、学生時代に読みましたマックス・ウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」というのを、けさから改めて実は読み直しているわけでございますが、日本の企業というものは、残念ながらまだ近代企業としての一番大切なものを忘れているのではないだろうかな。確かに、業績は世界一になった、利益は一番上げている、規模は大きいと言われているけれども、肝心かなめの倫理性あるいは思想性という点においては、残念ながらまだ日本の一流企業と言われているところも寂しい状況にある。また、建設関係を取り巻くいろいろなものもありますが、これなどを見てもそういう気がいたします。そこからたたき直していかぬとこういう問題はなくなっていかぬだろう、こう私は思っております。
  113. 穀田恵二

    ○穀田委員 今、国家公安委員長からお話がありましたが、全く私もそのとおりだと思うんですね。ですから、そういう指導的な発言、立場で仕事をしていただいて、それにこたえて警察庁努力をしていただくことを特に希望したいと思います。  先ほど議論もありましたけれども、こういう企業の方々が実は暴力団員不当行為防止法運用調査小委員会というのが設置された際に来ているんですね。参考人として業界の方々はお見えでした。そのときに、銀行業界や証券業界の人に参考人として意見を聞いています。その際にこんなふうに言っているんですね。  銀行協会の専務理事は、融資先を見きわめてするのが原則だ、この点はノンバンクといえども変わりがない、「たまたま一、二問題を生じたことがあったかと思いますけれども、ノンバンク、特に銀行の系列のノンバンクにつきましては資金的にも人的にもつながりがございます。そういう面を通じてしっかり業務活動を行うよう親銀行の方が指導を行う、こういうことによって是正されていくということを期待いたしたいと存じます。」こんなことを述べているんですね。今や住専で、ほとんどのところで、特に関西の方面でいえばノンバンクなどというのが実際はどこに貸しているかというのは、大方が、私らが名前を聞けば、ああこれはそういう暴力団の関係のところだなとわかるぐらいのことなのにもかかわらず、こんなことを当時言っているんですね。  さらに、証券業協会の専務理事も、「証券会社の融資の行為がそれに伴って発生をいたします制度上の信用取引、これはもし暴力団員ということがわかった場合は一切やらないようにしようではないか」と考えている、ここまで言っているんですね。  だから、今から考えるとこの発言は何だったのか、当委員会の設置した小委員会で発言した内容がこういう発言だったということをぜひ思い起こしていただいて、今後の暴力団排除の取り組みと決意をただす意味で、両業界の代表を参考人として呼んで当委員会としてその取り組みをただしたいというふうに思いますので、委員長におきましてはお取り計らいをお願いしたい。
  114. 穂積良行

    穂積委員長 後刻、理事会の際に協議いたします。
  115. 穀田恵二

    ○穀田委員 最後に、関口長官にお聞きします。  私は、この委員会で再三にわたってオウム犯罪における警察の捜査のあり方に対して疑問を呈してきました。前長官が行った記者会見、内容は、オウムの捜査で、一つは誠実に反省、検討する、二つは初動捜査のミスの指摘に検討を加え、反省、教訓を披瀝するというものでした。私は、その都度その都度区切りの段階で長官にそれを求めましたが、結局、お答えが得られないまま職を退かれました。  それで、今でも新長官は、その一定の区切りがついた段階で、今お話しした二つの点について報告をするということに引き継いでおられるのかどうかをお聞きしたいと思います。
  116. 関口祐弘

    ○関口政府委員 ただいまの委員指摘の点につきましては、私自身議事録等で拝見をし、十分に承知をしております。  一連のオウム真理教事件に対しましては、警察は組織の総力を挙げましてこれらの事件捜査に取り組み、教団代表以下信者多数を検挙するなどによりまして、多くの重要事件検挙、解決を見たところでございます。しかしながら、その過程におきましては捜査が多くの困難に直面したものと認識をしております。  その中で得られた主な反省教訓事項ということでありますが、おおむね三点ほどに集約されるのではなかろうかと思います。  その第一は、高度な科学技術についての知識が不足していたということ、それからまた第二には、特殊な閉鎖的犯罪組織についての情報が不足していたこと、そして第三には、都道府県警察の管轄区域外の権限に制限があったということであります。  これらの反省教訓事項を踏まえまして、警察におきましては、装備資機材や鑑識、鑑定機器の一層の充実、科学的知識、技術を有する捜査員の育成、特殊犯罪担当審議官の設置等によりまして科学捜査力の強化に努めているところでございます。また、警察庁内に特殊組織犯罪対策室を設置するなど、情報収集体制の一層の強化を図っているところでございます。さらに、オウム真理教関連事件のような広域組織犯罪等に対して間隙を生じることなく適切に対処できるよう、警察法の一部改正がなされたところでございます。  以上申し上げたとおりでございますが、各種反省教訓事項を踏まえまして改善措置をとっておりますけれども、現在、オウム真理教関係につきましては、警察庁特別手配被疑者というものを、三名がまだ未検挙状況にございます。そうした追跡捜査に全力を挙げているところでございまして、これらの捜査の結果を見まして、さらに改善すべき点があるならば、引き続き検討してまいりたいと存じます。
  117. 穀田恵二

    ○穀田委員 時間ですのであれですが、今の話では、私は、当時の長官が記者会見でお話しされた内容とちょっと違うと思うんですね。  といいますのは、捜査上の根本的な問題について大枠としてそういうものは、科学捜査だとか特殊捜査だとかそれはあったでしょう。しかしそれは、捜査が終わらなくても言えた問題なんですね。捜査が終わらないと言えないというふうに当時長官がおっしゃっていたのは、とりわけ、初動捜査のミスの指摘に検討を加えるという話をしていたんです。ところが、警察白書の八年版を見ますと、「オウム真理教関連事件を回顧して」と、いわば新しい総括を書いたみたいな話だから、私ふと疑問に思ったんですよ。これを見ると「初期捜査」とわざわざ書いているんですけれども、そこに別に反省も見られなければ教訓も見られないんです。しかも、ここにありますように、「同弁護士宅にプルシャが残されていたことなどから、」なんて書いていますけれども、このプルシャだって別に警察が発見したわけじゃないんですよね。そういうふうなことだとか、当時、裁判で証言された現職の警察官が異様な実態をやはり感じたと言われるほど、これは大事な、誘拐ないしはそういった事件じゃないかと思ったということまで言っておられるんですよ。そういったことにおける捜査が足りなかったという問題を私は何回も指摘したんですよ。その問題を言ったときに、この問題については初動捜査のミスという批判もあるので検討する、こう言ったんですよ。  その後詳しく報告がないから、そのことについては引き続いて長官は、私との議論を今後するわけでしょうけれども、その際は明らかにしてくれるんでしょうねということを最後聞きたい。一言だけ。
  118. 関口祐弘

    ○関口政府委員 初動捜査云々でございますが、坂本事件につきまして申し上げるならば、当時、神奈川県警が大変な努力をいただいたということを承知しております。  ただやはり、その事件が解決した後におきましてはいろいろと反省、教訓とすべき事項もあろうかと思います。そうしたものを一つ一つまた今後とも検討を重ねてまいりたい、かように考えているところでございます。
  119. 穀田恵二

    ○穀田委員 終わります。
  120. 穂積良行

  121. 畠山健治郎

    ○畠山委員 今度の暴対法の一部改正につきましては、さらに規制を強化しながらさらに取り締まりを強化するというような方向で、特別私どもからどうこう申し上げることは何もございません。  観点を変えまして、国家公安委員会のあり方等について少し大臣にお尋ねを申し上げたいというふうに思っています。  警察行政の政治的中立性と民主性を保障する手段として、国家行政組織法第三条に基づき国家公安委員会は設置され、警察庁を管理しておるわけでありますが、しかし一方では、国民の中には、国家公安委員会あるいは都道府県の公安委員会の警察に対する管理能力が具体的にどのように発揮されておるのか疑問視する声も少なくないところでございます。この点についての国家公安委員長としてのお考えをお尋ねをいたしたいと思います。
  122. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 二面からお答えしたいと思うんですが、私自身、国家公安委員会を主宰し、出席いたしまして半年間になりますけれども、本来与えられた役割をそれなりに一生懸命発揮しているという気がいたします。  それから私も、機会あるごとに、都道府県にお邪魔したときは、そこの県警本部長よりもまずそこの公安委員の先生方とお会いしたいということを当局の方に言っておりまして、できるだけお会いをし、一生懸命努力をしている姿を拝見しております。また、この前は、首都圏ということで、千葉、埼玉、神奈川、東京都の公安委員の先生と御懇談を申し上げたいという御案内をいたしましたら、それこそ一人残らず全員が参加してくださいまして、自分たちがこういう活動をしているということを大変熱心に語ってくれました。  ですから、人間のすることでございますから、一〇〇%これで百点満点かということについては、私は率直のところ反省すべき点もあろうかと思いますが、決して、世間が思うほど国家公安委員会も都道府県公安委員会も形骸化はしていないという姿を見て安心をしております。  ただ、その姿を国民が知っていてくださるか、国民に十分アピールしているかというと疑問でございます。例えば、私は国家公安委員長という肩書を持っているわけでございますが、一体これは何をしている大臣なのかというのを本当に国民に裸で聞いたら、半分以上がわかっていてくださるのかな。例えば、警察大臣と言えばわかると思うのでございますが、国家公安委員長というと消防庁長官と同じぐらいなのかなということもなきにしもあらずでございまして、おっしゃるとおりだと思います。  国家公安委員会並びに都道府県公安委員会が一生懸命努力をしている姿をもっともっと大勢の皆様に知っていただき、そして、こういうことを公安委員の先生方にやってほしいという対話がもっとあった方が、公安委員の先生方もより以上に役割を果たせるんじゃないかな、こう思っております。
  123. 畠山健治郎

    ○畠山委員 そうした疑問の生ずる原因として、私なりに考えますと、国家公安委員会の活動内容がやはり国民に十分に知られるというようなチャンスも極めて少ないということではないかと思われます。  そこで、所掌事務に関して国家公安委員会は何を議題とし、調整し、決定したのか。また、決定の際には、警察法第十一条とのかかわり合いで公安委員会はどのような意思表示を行ったのか。そうした国家公安委員のもろもろの活動内容に関する国民のアクセス権が問題かというふうに思うのです。その辺のところをどうお考えなのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  124. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 一つは、国家公安委員会にしろ都道府県の公安委員会にいたしましても、この委員会が行動したり、犯人を逮捕したりするわけではないわけでございまして、やはり本来的な仕事は、警察行政のあり方をチェックするというところに一番大きな存在があると思うわけでございます。ですから、あれしました、これしましたといって、そうほかの行政委員会のように声を大にして報告すべきことが適当なのかどうか、御意見はわかりますが、ちょっと疑問に思います。  ただ、いずれにいたしましても、国家公安委員会がどういう活動をし、大事な問題についてはどういう意見を警察当局に申し、そして、警察当局はどういうふうにそういう点については配慮したか、こういうふうなことについては、捜査中のことについては難しいと思いますが、差し支えないときにできるだけ明らかにしていくということは大切だ、こう思うわけでございます。  国家公安委員会につきましては、会議の終了後、毎回、警察庁長官から、報道機関に対しては出席者、審議結果等について報告しているところでございます。
  125. 畠山健治郎

    ○畠山委員 国民が警察行政全般を知る上で警察白書の果たしておる意義は、それなりに十分理解できるというふうに思っています。しかし、警察庁を管理する国家公安委員会の活動内容が、この白書によってすべて代替されておるとはとても思えないというふうに言わなければいけないと思います。制度として存在しているだけでは存在意義を示していることにはならないというふうに思います。  そこで、積極的に存在意義を示すことが必要で、警察庁の管理主体としての国家公安委員会がみずからの活動内容を年次行政報告として国民に示すことは、国民にとっても、警察庁にとっても、公安委員会にとっても大変大事なことではないだろうかと考えますが、いかがでしょうか。
  126. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 御指摘の点については、大変重要なことだと存じます。  しかし、結論から申しますと、国家公安委員会を例にとりましても、この専従の事務局はありま せん。強いて言うと、私の秘書官とその補佐する者と女の子、女の子と言ったら怒られるのでしょうか、女性職員が一人おりまして、三人が言うならば私を補佐している。また、五人の公安委員を補佐する立場で、さあ、年次報告をこの事務局に書け、こう言われてもいかがかと思います。そういう面では、警察の総務課あたりが全体として国家公安委員会をフォローしてくれているわけでございます。  これらをどうしていくかというのは別でございますが、ただ、それぞれの公安委員の先生を中心に一生懸命やっていることは事実でございますので、独自の年次報告は、どうするかは別途今後の課題とさせていただきまして、国家公安委員会あるいは都道府県の公安委員会がどのように活動をし、どういうことを処理し、どういうような活動をしながら警察行政をチェックしているかというようなことについては、可能な限りやはり明らかにして、これを国民に知っていただくということで、警察白書の中に何らかの形で、一項を設けるという形で、毎年毎年、まず多くの国民の皆様に公安委員会制度を理解していただくと同時に、活動の内容を御紹介してまいりたい、こういうふうに私は事務当局に指示をいたして、そのようにしてまいりたいと思っております。
  127. 畠山健治郎

    ○畠山委員 御案内のとおり、国家公安委員の任命は国会の同意人事でございます。そういう観点からも、やはり何らかの形の国家公安委員会報告が必要ではないかというふうに考えます。  今、大臣、前向きに、警察白書の中の一部を利用してでもというふうなお話がございましたので、ぜひひとつ、その点も含めて御検討いただくようにお願いを申し上げたいというように思っております。  次に、視点を少し変えて御質問を申し上げたいというふうに思います。  このとおり、あらゆる場面で規制緩和ということが叫ばれておる今日でございます。そういう立場からすると、経済規制原則廃止、社会的規制必要最小限、こういうことで動いておるわけであります。が、先ほども田中議員からの議論もありましたように、やはり住民の安全、安心、快適な生活環境を保持する、あるいは青少年の健全育成を図る環境を保っていく、こういう観点からすれば、社会的規制はきっちりと必要なことは今さら申し上げるまでもないというふうに思います。  そういう観点で、風俗営業法について少しお尋ねをいたしたいと思います。  先ほどのお話もあるように、ダンスホールやダンススクールについて風営法の許可対象から除外すべきだとの要望を一部私どもも承っておりますが、現在、同法に基づいて許可されているこれらの事業の数、これらにかかわる業界団体の現況あるいは業界間の関係等々がおわかりだったならば、お知らせいただきたいと思います。
  128. 泉幸伸

    泉政府委員 平成八年十二月末現在で、ダンスホールその他、客にダンスをさせる営業、いわゆる四号営業の許可件数は二千百三十五件でございます。そのうち、年少者の立ち入りが認められておりますダンス教授所の基準を満たす営業所は千五百五十でございます。  ダンススクール等ダンスを教授する営業について、業界の団体につきましては幾つかの団体がございまして、必ずしも一本化されていないという状況にありまして、私どもの聞く範囲におきましても、風適法の許可対象から外してほしいという要望を強く持たれているところもあれば、このままの規制をしてほしいという団体もございます。  そのような状況でございます。
  129. 畠山健治郎

    ○畠山委員 ダンスホール、ダンススクールがこれまで同法の許可対象とされてきた理由は、今さらあえて申し上げるまでもなく、先ほど私が申し上げました内容かというふうに思いますが、これまた許可対象から除外された場合、それぞれどのような問題が発生する可能性があるのか、今考えられることをお尋ねをいたしたいと思います。
  130. 泉幸伸

    泉政府委員 客にダンスをさせる営業は、その性質上、営業の行われ方いかんによっては、他の風俗営業と同様、善良の風俗と清浄な風俗環境を害し、または少年の健全な育成に障害を及ぼす行為が行われるおそれがあることから許可対象としてきたところでありまして、現在の営業者の多くが健全に営業を営んでいることは承知しております。  仮にこれを風適法の規制対象から除外した場合には、ダンスホールも含めまして、だれでもどこでも深夜でも、いかなる営業方法でも営業できるということを意味するわけでありますが、特に、ダンスホールを除外した場合には、不特定多数の客とのダンスを行うことが可能な営業所に少年の立ち入りを認めることによる少年の健全育成に対する影響、あるいは、生バンド演奏を伴う営業所が住宅街に出現するということによる生活環境の悪化、あるいは、照明を暗くしたり、個室や著しく狭いフロアなどを設けてダンサーなどによるいかがわしい行為をさせる営業の出現の可能性が懸念されるところであります。  ただし、先ほど別な議員の御質問にもお答えしましたが、ダンススクールなどダンスを教授する営業につきましては、ダンス技能の向上という目的意識を持っており、悪質な営業者の参入による問題営業の生ずる可能性はダンスホールに比べて小さいと考えられますので、騒音、振動の発生や住宅街や病院、学校の近辺の営業についてダンスホールと同様の問題があると考えますが、今申しましたダンスホールとは性格を異にするというふうな認識をしておるところでございます。
  131. 畠山健治郎

    ○畠山委員 ただいまの答弁からしますと、ダンスホールについて除外するには問題は多いが、ダンススクールについては一定の条件が整えば除外しても構わないというふうに受けとめてよろしいのかどうか、確認をしたいというふうに思います。  また、そうした法改正を行うに当たりまして、文化、スポーツ振興にダンススクールが一層貢献するためには、これら業界の自主的、主体的な努力も必要と考えられるが、警察庁としてはどのような自主的努力を期待しているのか、今後の法改正の見通しも含めてお知らせいただきたいと思います。
  132. 泉幸伸

    泉政府委員 先ほども御答弁申し上げましたとおり、ダンススクールについては、社交ダンス自体がスポーツとしての要素を持っており、かつ従業員と客が教師と生徒という立場で接するということで、この点において他の風俗営業とは異なっておると思っております。  したがいまして、現在の営業が健全に行われておるということを考えますと、一定の基準を満たす優良な営業者については必ずしも許可を要することとしないことも可能であるというふうに思っておりまして、警察庁としては、現在、条例において営業制限地域や騒音、振動などの規制を定めておる都道府県の意向なども踏まえ、善良の風俗及び少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれのないものとして定める一定の基準を満たすダンススクールについては、これを風俗営業の許可対象から除外することを検討しておるところでございます。  なお、その場合に、住民の良好な風俗環境を保持するためにどのような規制が必要なのか否かということもあわせて検討しておるところでございます。  なお、健全なダンスとして発展するために、業界に対していかなる自主努力を期待しているのかという御質問でありますが、現在、ダンス教授所の制度では、ダンス教授の資格を得て一定の資格を持つ者が存在するのをダンス教授所ということで、特定の条件を緩和しておるところでございますが、この教授資格の認定に当たりまして、いろいろ問題があるということで業界からの苦情も寄せられておりまして、私どもとしては、そのような苦情の出ないような公正な資格認定というのが必要だろう。また、そのほか、地域住民に対します騒音だとか、そういうものについての苦情が出ないような取り組みを業界団体としても行っていただく必要があるのではないかというふうに考え ております。
  133. 畠山健治郎

    ○畠山委員 重ねて、住民の快適な生活環境の維持、それから青少年の健全育成の環境保持、こういう点に十分配慮しながら検討を進めていただくように特に希望して、質問を終わります。
  134. 穂積良行

    穂積委員長 これにて質疑は終局いたしました。     —————————————
  135. 穂積良行

    穂積委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  暴力団員による不当な行為防止等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  136. 穂積良行

    穂積委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  137. 穂積良行

    穂積委員長 この際、本案に対し、山本公一君外四名から、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。山本公一君。
  138. 山本公一

    ○山本(公)委員 私は、この際、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の五会派を代表し、暴力団員による不当な行為防止等に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。     暴力団員による不当な行為防止等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点に留意すべきである。  一 本法の運用に当たっては、所期の目的達成のため万全を期すとともに、国民の人権の侵害につながることのないよう特段の配慮を払い、職権の濫用のないよう十分留意すること。  二 最近における暴力団をめぐる諸情勢にかんがみ、偽装暴力団化等の防止策を一層強化するとともに、暴力団の解散・壊滅のための総合的かつ有効な対策を推進すること。  三 暴力団の資金獲得活動及び組織運営の実態等の把握・解明に努め、その取締り等を強化するとともに、暴力団に係る不正収益について、関係機関との協議・連携を図りつつ、その剥奪及び被害者被害回復のための強力で総合的な法的仕組みを、速やかに検討すること。  四 来日外国人組織による広域窃盗事件暴力団による組織的な拳銃使用犯罪及び薬物の密売事案など組織を背景とした犯罪が我が国の治安に重大な脅威を与えつつあることにかんがみ、これら犯罪の組織化・国際化・高度情報化に対応した総合的施策の構築を検討すること。  五 本法の施行に当たっては、事前に、改正の趣旨及び内容について、国民への周知徹底を図ること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたしたいと思います。(拍手)
  139. 穂積良行

    穂積委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  山本公一君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  140. 穂積良行

    穂積委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、国家公安委員会委員長から発言を求められておりますので、これを許します。白川国家公安委員会委員長
  141. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 暴力団員による不当な行為防止等に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、大変熱心な審議をいただき、速やかに採決いただきましたこと、厚く御礼を申し上げます。  政府といたしましては、審議過程における御意見及びただいまの附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、暴力団対策の推進に万全の措置を講じてまいる所存でございます。(拍手)     —————————————
  142. 穂積良行

    穂積委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 穂積良行

    穂積委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  144. 穂積良行

    穂積委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十二分散会