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1997-02-27 第140回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十七日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 穂積 良行君    理事 谷  洋一君 理事 平林 鴻三君    理事 宮路 和明君 理事 山本 公一君    理事 古賀 一成君 理事 富田 茂之君    理事 田中  甲君 理事 穀田 恵二君       久野統一郎君    下村 博文君       滝   実君    中野 正志君       西川 公也君    西田  司君       平沢 勝栄君    持永 和見君       渡辺 具能君    今井  宏君       笹山 登生君    白保 台一君       福留 泰蔵君    松崎 公昭君       鰐淵 俊之君    葉山  峻君       古川 元久君    春名 直章君       畠山健治郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     白川 勝彦君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       野田  健君         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         警察庁生活安全         局長      泉  幸伸君         警察庁刑事局長 佐藤 英彦君         警察庁交通局長 田中 節夫君         警察庁警備局長 杉田 和博君         大蔵大臣官房審         議官      尾原 榮夫君         大蔵省主計局次         長       溝口善兵衛君         自治政務次官  久野統一郎君         自治大臣官房長 谷合 靖夫君         自治大臣官房総         務審議官    嶋津  昭君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省行政局公         務員部長    芳山 達郎君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 湊  和夫君         消防庁長官   佐野 徹治君  委員外出席者         環境庁大気保全         局自動車環境対         策第一課長   小沢 典夫君         運輸省自動車交         通局技術安全部         技術企画課長  下平  隆君         地方行政委員会         調査室長    黒沢  宥君     ————————————— 委員の異動 二月二十七日  辞任         補欠選任   志位 和夫君     春名 直章君 同日  辞任         補欠選任   春名 直章君     志位 和夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の  一部を改正する法律案内閣提出第一七号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第三八号)      ————◇—————
  2. 穂積良行

    穂積委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。滝実君。
  3. 滝実

    滝委員 自由民主党の滝実でございます。質問の機会をお与えいただきまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。  地方交付税法等の一部改正法律案、そして地方税法等の一部改正法律案の具体的な質疑に先立ちまして、交付税制度あるいは地方税制の現在置かれている問題について幾つかのお尋ねをまずさせていただきたいと存じます。特に、地方税制につきましては、私のかつてかかわりあったことからの反省も込めて申し上げるつもりでございますので、お許しをいただきたいと存じます。  まず、地方交付税の問題でございますけれども、かねがね地方交付税というのはこんなにいい制度はない、こういうようなことで受け取られてきた制度でございまして、私も交付税制度というのは世界に冠たる財政調整制度だというふうに認識をいたしている者の一人でございますけれども、しかし、交付税制度については批判がないわけでもございません。その代表的な批判について、まず財政局長の御意見を承らせていただきたいと思うのでございます。  代表的な批判の中の一つは、この制度は、とにかくじっとしていても、どんなに財政窮乏している地方団体にも交付税というのが交付される、こういうことから、どうも最近の行政改革というか、そういうような時代の流れに地方団体がどちらかというと冷ややかじゃないだろうかな、こういう欠陥はこの交付税制度のせいだ、こういうような批判一つございます。  それからもう一つは、交付税というのは、最近の制度の中では仕事をやればやるほど交付税がふえる、こういうような仕掛けもその中にあるものですから、どちらかというと高度成長型の財政運営に終始している、現行のように多少右肩下がり経済の世の中ではいささか問題があるんじゃないだろうかな、こういうような二つほどの代表的な批判がございます。  まず最初の、行革インセンティブ行革に対する取り組みが地方団体は弱い、その責任交付税制度だ、こういうような御批判について、財政局長のお考えを承らせていただきたいと存じます。
  4. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今滝委員から御指摘がございましたように、地方交付税制度地方財政財政調整基本をなすものでございますが、基本的な性格として、地方団体が国の法令等によりまして各分野仕事を、水準も含めていわば責任を義務づけられておるということとの裏腹で、地方税財源を貯えない部分について地方交付税財源調整的な機能を果たしておるわけでございまして、まず基本的な性格として国と地方役割分担とのいわば表裏一体の関係にある、そういう性格のものでございます。  今、その中で、一つは、交付税というのは黙っていても来るではないか、こういうお話でございますが、今申しましたような性格からいって、地方団体責任を義務づけられている性格の事務についてはそれを果たしていくだけの財政措置をする必要があるということがございますので、どうしても客観的な基準でその財政需要を捕捉して算定せざるを得ないという面が一つございます。  それから、行革インセンティブというお話もございました。そういう一定基準でもって交付税は計算いたしますけれども交付税性格は言うまでもなく一般財源でございますので、また、交付税算定しております世界は、基準財政収入額につきましても市町村の場合には七五%まで税の捕捉をした上で算定をいたしておりますので、その二五%分というのは当然、地方の独自のといいますか、交付税の外の財源ということになっておりますし、一般財源でありますから、地方は、それは交付税というのは非常に大事な財源でございますけれども、何に充てるかということについては地方団体がそれぞれ考えてやっていただくという性格のものでございますので、そういうことを十分踏まえて、行革努力するべきところは努力していただけるものというふうに考えておるところでございます。
  5. 滝実

    滝委員 私もただいまの御答弁のような認識を持っているのでございますけれども、やはり地方団体関係者皆さん方には、これからの財政事情考えた場合には、ただ単に黙っていても交付金が来るからということで済まない事態になっているんだろうというふうに思いますので、その辺のところは、改めて行政改革に対するPRというものを自治省自身地方団体向けにおやりいただく必要があるのじゃなかろうかな、こういう感じがいたします。  もう一つ交付税制度というのは、今の仕掛けの中では事業をやればやるほど交付金がふえるという面がございます。それは事業費補正もそのうちの一つでございますし、それからまた、この七、八年の間に特に顕著になってまいりましたものに特別地方債元利償還を後で交付税で算入する、こういうようなことで町づくりをやってまいりました。そういうようなことに着目いたすならば、事業をやればやるほど交付金がふえるという面が交付税仕掛けの中にあるわけでございまして、そういう意味では、とにかくスリムな行政ということを目指すべきなのに、ともすればそういうような事業を拡大する傾向がずっと続いている。高度成長期にはそれにふさわしいシステムであったかもしれませんけれども経済状況が停滞をする、あるいはこれから多くの成長が望めない、こういう時代にあっては、そういう交付税仕掛け地方団体緊張感を失わせる、こういう批判があるわけでございます。これについて財政局長の御意見をお聞かせいただきたいと思うのです。
  6. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 先ほど、ただいまの点につきまして答弁が若干漏れて失礼いたしました。  地方交付税算定に当たりましては、基本的には客観的な数表でもって算定をするというのは基本でございますが、特に投資的な経費につきましては、地方団体財政規模が小さいということもございまして、例えば学校の建設を行うとか、あるいはごみ処理場建設を行うとかいったような大型の投資的事業を行います場合にはどうしても地方債に頼らざるを得ない、あるいは地方債に頼ることの方がむしろ後年度の世代との負担の公平がとれるという側面がございまして、そういう要素をどう交付税算定に織り込むかというのが交付税算定上の一つ課題でございました。  そういうことから、客観的な数値でもって静態的に算定をするものに加えて、そういう実際の事業量に着目をして、動態的な算定というふうに私ども言っておりますけれども、そういうものを加えることによって交付税算定財政上的確にとられるということを求めてきたということは確かでございます。  また、その一つの別なあらわれとして、単独事業につきましても、地方団体創意工夫を凝らして単独事業を行えるというふうにするため、いわゆる補助金待ちという行政から地方自主性を高めていくためという観点から、単独事業につきましても地域総合整備事業債というものによります単独事業財源措置を行ってきたということも確かでございます。  そういう要請をもって行ってきておりまして、実際に、例えば地域総合整備事業債について申しますと、元利償還で算入いたしておりますものは発行いたしました地方債の三〇%ないし五〇%というレベルでございまして、実際の地方債充当率から計算をいたしますと、全体の事業費に占める元利償還の率というのはいずれも五割を下回るというふうなものでございまして、その他のものはやはり自己財源でやっていただく必要があるというようなことでございまして、事業を行います場合の財源のカウントという意味では、そういう財源措置の節度といいますか一定のラインというものは十分頭に置いた上で財源措置をしていく、基本的には、その交付税算定を静態的なものと動態的なものとを組み合わせて行ってきたということであることは御理解いただきたいと思います。
  7. 滝実

    滝委員 交付税というのは、高度成長とともにその下支えを地方団体に対してしてきた、こういうふうに理解できるわけでございますけれども、肝心の交付税算定基礎になる国税の方が、やはり落ち目になっているということがあるわけでございます。  特に税制構造の上では、例えば所得税累進性を抑え込む、こういう改正をこの数年来やってまいりました。今まで累進構造を大変細かくやってきたものを、累進構造を抑えて簡略化する。今所得税では五段階でございますか、それから住民税では三段階、こういうことで、音はその倍ほどあった累進刻みをなだらかにしてきている。  こういうことに見られますように、国税税収構造そのものが、成長に合わせてそれの一・一四倍にも飛躍するほどの税収にはね上がる、こういうような仕掛けが失われてきているということからいたしますと、交付税もとになる国税そのもの収入伸びが悪い、そうしますと、今まで成長期に見られるように、交付税に頼っていればいいんだというようなことでは地方財政は済まなくなってくるんじゃないだろうか、こういう感じがいたします。片や所得税では、そういう累進構造がなだらかになっている。  それからもう一つは、それにかわって消費税が出てきているわけでございますけれども消費税は、安定的な税源ということをもともとねらいにいたしておりますから、景気に対してもそれほど敏感に伸びない、こういう性格のものでございます。  そういうことからいたしまして、もとになる、基礎になる国税伸びがそれほどこれからは伸びない、そうしますと交付税もおのずから伸びに限界がある、こういうことからいたしますと、私は、事業をやればやるほど交付金がふえる、こういうようなことで地方団体財政運営をいたすということになりますと、交付税がどちらかというともう制約があるという中で問題があるのではなかろうかという感じがするのでございます。  そういった交付税の全体のいわば収入構造と申しますか、そういう点について財政局長はどう考えているか、お示しいただきたいと思います。
  8. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 確かに、御指摘のように、今の交付税もとになっております国税は、正税で成り立っておりまして、その中には所得課税法人課税消費税というふうな大きなものが入っておりました。景気に対する変動というものは、当然それぞれの税目で異なってまいりますし、今御指摘がございましたように、所得税税率構造が変わってきているということから、いわば弾性値で見た交付税伸びというものがこれまでと若干変わってくるということは、確かにそういう要素はあるだろうと思います。  いずれにいたしましても、これから地方交付税全体をどういうふうに考えていくかということは、片方で今地方分権を本格的に議論をして、地方団体の果たすべき責務をふやす方向でいろいろ議論をされておるわけでございまして、そういうこととの兼ね合いで、どういう形でその裏づけとなる地方税財源を確保するかということとあわせて検討する必要がある事柄だと思います。  一番最初交付税基本的な性格で申し上げましたように、地方責任分担をするということが分野ごとにその水準も含めて法令で決められている分野が非常に多い。そういったような基本的な国と地方との役割分担構造といいますかその仕方というものについて、これから地方分権の大きな方向の中でそういうものをもう少し緩和をしたり、あるいはその義務づけの程度をもう少し緩めたりして、地方の方が行政水準を、基本的な教育、福祉その他含めての話でありますけれども、そういうものをもう少し弾力的に選択できるような方向に持っていくこととあわせて、今のような財源調整あるいは国による財源保障あり方というものの全体の一環として、今お話しになりましたような税率構造の変化を含めた交付税の今後の見込みといったようなものとあわせていろいろな角度から検討をする必要がある事柄であるというふうに考えております。
  9. 滝実

    滝委員 とにかく交付税というのは、地方団体財源を保障する唯一のと言っていいほどの制度でございますから、これに対する批判ということに対して、恐らく財政局におかれましては、まあそんなことを言っても、こういうような気持ちもおありになるだろうと思うのでございますけれども、しかし、交付税万能主義と申しますか、そういうことであってはならない、こういう感じがいたします。  確かに交付税は、地方団体からいたしましても地方固有財源だ、皆そういう認識をしているわけでございますけれども、やはり交付税というのは地方団体が自分で汗をかいて納めてもらった税金とは違いますので、多少距離がある。そういう中で、何でもかんでも交付税でいいんだというようなことになってはこれはいかがだろうかという感じがいたしますし、また、ただいま申しました交付税に対する、それほど多くの批判はありませんけれども、今のような批判に対しては、そういう交付税あり方に対して時代に合わせてそういうものを吸収していくという、やはり批判批判として謙虚に耳を傾けていくだけの姿勢が必要ではないだろうかな、こういう感じがいたします。  そこで、次に地方税制について御意見を承らせていただきたいと思うんです。  今申しましたように、どちらかというと地方団体の方は、とにかく税収が減ったって交付税があればいい、むしろ交付税の方が楽だ、こういう気持ちも多分にあることは否定できないと思うのでございますけれども、やはり住民地方団体を結ぶ唯一パイプは、何といっても税が最大のパイプだろうと思うんですね。納税者の方も税を納めているから地方団体に物が言いやすい、こういうことになりますし、地方団体関係職員納税者にはそれなりの敬意を払う、こういうような関係があるわけでございます。  そこで、今まで、地方分権地方税関係からとらえてまいりますと、地方税は大事だという一般論はとにかくあるわけでございますけれども具体論になりますと、どうしても、地方税財源が普遍的でなければ地方税として成立しない、要するに社会活動が低調な地域も活発な地域もひとしく税収の恩恵にあずかるような税でなければ地方税として成立しない、こういうことが言われてまいりましたものですから、新しい税を起こそうとすると直ちに批判として、税収偏在している、こういうようなことで、地方税を確保するということは長い間の懸案であってもなかなか難しい、こういうことでございました。  ところが、最近はいろいろ意見が出てまいりまして、昔風の財源偏在論をむしろ乗り越えるべきだ、こういうような議論があちこちで目につくようになってまいりました。昨年の暮れにも新聞に出た議論でございますけれども、今の所得課税のうち低い所得の方を全面的に住民税に移管したらどうか、国税所得税の中から低いところを住民税に移管していけばもう少し地方税が確保できるのではないか、こういうような議論新聞に載ったのでございまして、当委員会におきましても前回の議論の中でそういうような披瀝もございました。そういうことを考えてまいりますと、やはり税源偏在を恐れずに新しい地方税を確保する、こういう道を探る努力が必要ではないだろうかなという感じがいたします。  まず、税務局長お尋ねをさせていただきますけれども、要するに、現在の住民税刻みは、一番低い税率が五%、それから所得が上がるにつれて一〇%、一五%という三段階刻みになっているわけですね。地方税税率は、道府県民税市町村民税合わせますと、五%、一〇%、一五%、こういう刻みになっているわけでございます。片や所得税は、一〇%の刻みから出発して一〇%ごとに上がっていく、こういうような刻みになっているわけでございますけれども、そのうち所得税の一〇%なんかは、その部分は要するに住民税に移管してしまえ、こういう議論でございますね。五%、一〇%、一五%の部分はそっくり住民税に移管して、国税は一五%を超えるところから所得税として課税すべきだ、こういう議論がございますけれども、こういう議論に対して税務局長はどういうふうにお考えになっているか。税務局として御判断をするとなるとこれは大変なことでございますけれども感想として、どういう感想をお持ちなのかをお聞かせいただきたいと思います。
  10. 湊和夫

    湊政府委員 これからの地方税あり方考えます際に、これまでの議論の中でも絶えず大きな障害になってきたといいますか、今御指摘にありましたように、一般論としての地方税充実確保についての議論については皆さん御納得いただけますけれども、具体化した段階ではなかなか、偏在議論税源偏在し、そのことが地方団体財政力格差をかえって増す、税源充実すれば一部の富裕な団体に対する税のみが逆に強化されてしまうということになるのではないか、絶えずこの両論がございます。  そういう意味で、地方税考えます際には、もちろん量的な拡大と同時に税の構造そのものを、全体の構造も含めて絶えずこの偏在議論にどう対応していくかということを私どもは研究していかなきゃいかぬというふうに思っているわけでございます。今回、新聞等に出ておりました神野教授論文のことをお指しになっておられるというふうに理解いたしておりますが、この御提案は、そういう偏在からくる地方税の拡充に対するある意味批判的な意見に対する一つの大きな問題提起をするという形になった論文であったかというふうに思っております。  今お話がございましたように、所得課税はどうしてもやはり累進的な構造でこれまで税をいただくという形でやってきておりますので、全体的に見れば、地域的に経済力の強いところ、そうでないところの税収の差がどうしても出てくるというものでございます。それが抜本改正の際に、今御指摘になりましたように、県、市町村合わせますと三段階になりましたことによって、かつてのような累進性に基づく偏在の問題も一部解決されてきたもの、こう思っておりますし、また、六年度の改正の際にこの三段階の中でさらに適用刻みを変えだということも、この偏在等に対する議論一つこたえたものにもなっておるというふうにも理解をいたしております。  それをさらに進めますと、神野教授が言われますように、もっと均等割に近いような形で、一定率で課税するという仕組みが考えられるわけでございます。この具体的な提案の現実の適用の問題についてはまだいろいろな検討すべき課題があると思いますけれども問題提起として、必ずしも所得課税だから偏在の問題があって地方税としてその充実が不適なんだということではないという御指摘については、私どもも重大な問題提起だということで、十分参考にさせていただきながらこれからも研究をさせていただきたいというふうに思っております。
  11. 滝実

    滝委員 とにかく地方税偏在論というのが常にネックになって具体的なところまで議論がまとまらない、こういうことでずっと終始をしてまいりました。そういう意味では、この所得税の低い刻みのところを住民税に移管するというのは今までにない議論一つじゃないだろうかな、こういう感じがいたします。それがいいというところまではなかなかにわかには結論できないと思いますけれども一つ考え方でありますし、そういうような提案もとにしていけばかなり新しい地方税分野が開拓できるのじゃなかろうかなという感じがいたします。  ことしの四月から実施されます地方消費税も、最初議論段階では、消費というのはどうしても大都市あるいは都市部に集中するという考え方が強いものですから、地方消費税は要するに大都市偏在する、こういうような議論が盛んに行われたわけでございますけれども、恐らく今の時点ではそういう議論は影を潜めているのだろうと思うのでございます。恐らく税務局でもいろいろな試算はされていると思いますけれども、まだ具体的に個々の都道府県がどれだけの積み上げをしているかわからない段階では何とも、この地方消費税が具体的に四十七都道府県にどういうふうに分布するかというところまでは数字はまだおつかみになっていないと思うのでございますけれども、少なくとも、この地方消費税、新しい税ではございますけれども、東京や大阪に偏在する、こういう非難は回避できるのじゃなかろうかなという感じがいたします。  つきましては、この新しい税につきましてできるだけ早い時期に数字を集めていただきまして、これからの分権のための税制論議に速やかに役立つような、そういうような御努力をいただきたいというふうに考えている次第でございます。  そこで、もう一つ税制に関連してこれから心配になってくる議論がございます。それは何かと申しますと、法人課税の問題が昨年の末にも政府の税制調査会の小委員会で取りまとめられたと思うのでございます。中身は二つほどございます。  一つは、もともと議論でございますけれども、日本は先進諸国の中では法人課税が比較的高い国である、したがって、各地方団体も心配いたしております産業の空洞化も、日本の高い水準にあるこの法人課税を嫌って諸外国へ逃げていくのだ、こういうようないわば考え方があるわけです。  そういう中で、法人課税を諸外国並みに下げるべし、こういう議論がございまして、その際にやり玉に上がりますのは、日本は地方税で法人税を課しているから、法人課税のウエートが高いから、その分だけ要するに諸外国と比べて高いのだ、こういうような気持ちも多分にあるわけでございます。  こういった法人課税に伴う地方税と申しますか、地方税の立場からこの辺のところをどういうふうに税務局としては考えていくのか、その点についてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  12. 湊和夫

    湊政府委員 御指摘ありましたように、地方税における法人課税あり方の問題は、今御指摘のありました政府税制調査会で検討される際も主要な事柄一つとして御議論をいただきました。  それで、小委員会の結論の中でもその点について触れていただいておりますけれども、やはり税の国際比較を単純に、形式的な、地方税として法人があるかどうかだけで、あるいはその量がウエートとしてどうかというだけで比較することは基本的に間違っている。それは、税は歳出、それも国と地方役割分担というようなことも踏まえた歳出との関連でやはり考える必要があるというような視点に立ちまして、地方税につきましても、現在地方法人課税が果たしている役割については、それはそれなりの意味があるのだ、そういう位置づけをいただいておるところでございます。  ただ、全体として法人課税の引き下げの問題が議論されている中で、政府税制調査会では、基本スタンスとして、課税ベースを拡大しながら税率を引き下げることについての検討は従前からやってきてまいっておりまして、そういう観点からの取り組みを今後行う場合には、税収中立の観点から、地方税についても同じような取り組みが必要であろうということについてはお触れになっております。  私どもも、そういう観点からの研究をこれからもしていきたいというふうに思っております。
  13. 滝実

    滝委員 いずれにいたしましても、この法人課税の問題もこれは近々の問題でございますし、とにかく地方税充実という観点から、時代は変わっている中で、税務局におかれましても御努力をいただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思うのでございます。  そこで、一般論はさておいて、今回の税制改正について、まず税の問題から幾つか御質問を申し上げたいと思うのでございます。  一つは、前回も当委員会で御意見がございましたけれども、特別地方消費税の問題でございます。三年後に廃止する、こういうことでございますけれども、この問題は、代替財源をどう考えていくかということになりますと、なかなかややこしい問題があるように思います。  やはり今までの特別地方消費税というのは、いわば観光地を中心にした料飲税、料理飲食等消費税の変形したものでございますから、特定の地域に限定される、こういう性格のものでございますし、交付税で直ちにその穴埋めをするというようなわけにもなかなかいかないのじゃないだろうかな。特に、観光地の財政需要考えた場合には、単純に交付税で穴埋めできるのかどうか、こういうことでございますけれども、この代替財源については税務局としてはどういうふうにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  14. 湊和夫

    湊政府委員 特別地方消費税の廃止に伴います代替財源についてでございます。  御指摘ございましたけれども、特別地方消費税の税の賦存状況といいますか、全国でどういう形で特別地方消費税が取られているかといいますと、今の特別地方消費税の税の配分は、御指摘にもございましたけれども、観光地としていろいろ地域の振興を図っているようなところにこの税が帰属するというような形で、ある意味で一般的な経済力とは多少違った形の、逆に言えばかなり偏在性のある形で展開されておりまして、この税の身がわりで、何か新しい税でこういった偏在に見合った形のものをまたつくるというのは、率直に申し上げて技術的にも当面なかなか難しいことだというふうに思っているわけでございますけれども、いずれにしても、地方団体全体が財政運営に支障があるようなことではいけないというふうに思っているわけでございます。  ただ、今後の検討に当たりまして、やはり現在地方分権推進ということから、推進委員会の勧告を今後踏まえまして、地方税財源全体の今後の方向も見定めていく必要があると思っております。  それから一方で、財政再建という課題に対応して、財政構造の改革といった角度から議論がまた進められておりまして、そういった観点からの歳出の状況とか今後の税収の動向なども考慮しながら、こういった問題に対応する検討をしていく必要があると考えております。  今の段階で具体的な方向性を申し上げることはできませんけれども、先ほど申し上げましたように、各団体財政運営に支障がないように適切な対処を一生懸命これから検討していきたいと思っております。
  15. 滝実

    滝委員 この問題は、特に私自身の反省も含めてお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、固定資産税の評価がえについてお尋ねをさせていただきたいと思うのでございます。  今回の固定資産税の評価がえに当たっての改正内容を拝見いたしますと、幾つかの画期的な仕組みが出てきているというふうに考えられるわけでございまして、固定資産税について前回の評価がえ以来大変厳しい批判が続いてきたわけでございますけれども、そういう批判を考慮して、なおかつもう少し踏み込んだ改正内容になっているのかな、こういう感じを受けるわけでございます。しかし、一般的にはどういう内容かというのは余り国民の皆さんの前には必ずしもPRされていない、こういう状況でございますので、そういうことも含めてお尋ねをさせていただきたいと思うのです。  今までの固定資産税の評価がえの批判は、一つには、土地が値下がりしているのに課税標準額が上がっているじゃないか、こういう批判がございました。それから、公示価格の七割をめどに評価をする、こういうことでありながら、なお地域によってばらつきが余りにも多過ぎた、こういう二つの批判があったわけでございますけれども、今回の改正におきましては、とにかくばらつきをできるだけなくすように持っていっている、こういうことが一つうかがえますね。それからもう一つは、土地の値下がりをしているところはそれなりの評価をしている、こういうようなことがうかがえるわけでございますけれども、もう少し具体的に税務局長の方からお示しをいただきたいと思います。
  16. 湊和夫

    湊政府委員 平成九年度が評価がえの年に当たっておりますことから、平成九年度にスタートいたしまして三カ年の今後の固定資産税のあり方につきまして、今回の税制改正で御提案させていただいております。  今回の改正におきましては、従前の負担調整の仕組みと考え方を幾つか変えまして、新しい仕組みというものを入れさせていただいております。  その背景は、今御指摘ございましたけれども、評価額の点からいいますと、地価の下落に対応してかなり評価額が下がる。しかし一方で、従前からなだらかな負担調整をやってきたために、評価額は下がったけれども、なおかつ従前の課税方式をとれば税額としては上がっていかざるを得ないという、そんなことが背景にございました。  もう一方で、実際に税負担をいただいております課税標準額と新しい評価額の比率、これを新しくは負担水準というふうに法律でも呼ばさせていただいておりますけれども、それを見ますと、市町村の中でも、あるいは県内でも、あるいは全国的にもかなりばらつきが生じておるということでございました。  評価の方は、おかげをもちまして、平成六年度の改正、平成九年度の改正でかなり全国的にも、あるいは地域的にも、市町村の中でも均衡のとれた評価が実現できるようになってきたというふうに私ども思っておりますけれども、一方で、最終的に課税にとって重要な税負担の面から見ますと、負担水準がばらついているということはやはり大きな課題であるというふうに思っておりまして、今回は、この負担水準のばらつきをできるだけ将来に向けて均衡化していこうということを最重点に置いた新しい仕組みを取り入れさせていただきました。  そのために、従前でございますと、ほとんどの土地がなだらかにすべて上昇カーブを描いて税負担をいただいておったわけでございますけれども、今回は、税負担の上限を実質的には新しい評価額の八割にするというようなことを入れまして、負担水準の高いところの税負担の引き下げ、あるいは据え置くという措置を講じながら、一方で税負担水準の低いところについてなだらかな税負担の上昇をいただくという形で、宅地の中でも商業地等はいわゆる評価額に基づいて最終的にその評価額課税に移行するんだという従前の発想を変えて、基本的に負担水準の均衡化の方向に向けて、上からと下からと均衡化に向けた取り組みをするということを最大の柱として入れさせていただきました。  また同時に、こういった措置と並行いたしまして、地価の下落が大変著しい地域大都市を中心にしてございました。そうした地価の下落が非常に大きいところの納税者の負担感ということも勘案いたしまして、これも税負担水準一定のもの以上のものにつきましては、地価の下落の大きいところは税負担を据え置く措置を講ずることの措置も入れさせていただいておるところでございます。  こういうことによりまして、より公平な課税に向けての取り組みが、また新しい角度から一歩できることになったのではないかというふうに思っております。
  17. 滝実

    滝委員 そうしますと、今の御答弁にもございましたように、上限を評価額の八割のところで抑える。もともと公示価格の七割を目指して評価をする、こういうことで来ているわけでございますけれども、その七割を八割で抑える、こういうようなことになるわけですね、上限は。一方、下限は、数字から見ると四五%、平均値が四五%ですから、四五%ぐらいのところで下限を置く。要するに、四五%から八〇%の間ぐらいでばらつきをおさめるようにしていこう、こういうような御意向のように承るのでございますけれども、そういう理解でいいんでしょうか。
  18. 湊和夫

    湊政府委員 ただいま申し上げましたように、今回の負担の求め方は、負担水準の高いところについて、今御指摘ございましたように、負担水準、要するに評価額に対します平成八年度の実際に税負担の基礎になった課税標準額の割合でございますけれども、八割を超えるものはいずれにしても八割まで引き下げようということにいたしておりまして、それから、負担水準が六割を超えて八割までのものについては、税負担を据え置くという措置を講じております。  そして、御指摘のございました四五という水準は、宅地の中の商業地の今の全国平均の負担水準の状況でございます。必ずしも、四五から八〇の間におさめるという言い方が適切かどうかでございますけれども、いずれにしても、先ほども申し上げましたが、負担水準の高いものをも一方で抑えるという仕組みを入れながら、今後の負担の均衡、公平ある課税、こういったものに取り組んでいきたいというふうに考えておるところでございます。
  19. 滝実

    滝委員 余り税ばかりやっていますと、今度交付税の方もお尋ねする時間がなくなりますので、この辺で税についてはとどめておきたいと思うのでございますけれども、固定資産税については、先ほど申しましたように、この評価がえについてPRが必ずしも十分でない、こういう問題がございます。  それから、これは御注文でございますけれども、固定資産税の納付書を受け取っても、自分のどこの土地、その土地の面積がどれだけ、何平米という格好で税務当局がつかんでおるのか、そういうような情報が納税通知書に記載されてない、こういう問題がかねてからあるわけでございます。いまだに納税通知書に具体的に固定資産税の土地、家屋を特定するデータが入ってない市町村が圧倒的に多い、こういうことでございますので、この評価がえを機会にそういった点についても地方団体から住民の方に周知徹底するように、むしろ自治省の方から地方団体にそういうような働きかけをもう少し強めていただきたい、こういうことをお願いを申し上げておきたいと思うのでございます。  それからもう一点、都市計画税の今度の扱いは、今までの評価がえの場合の都市計画税の扱いと大分違っておりますね。  都市計画税は、今回の改正では、要するに各それぞれの地方団体で固定資産税に準拠して自分でどうするかを決めてくれ、こういうようなのが今回の都市計画税の改正内容のように認識をいたしておるわけでございますけれども、やはりこの都市計画税の性格、要するにその地域の都市計画事業事業費を都市計画税で賄うという本来の姿に立ち戻って考えるならば、当然地方団体の中で都市計画税のあり方についてお決めいただく、こういう今回の改正は本来の姿に沿うものだ、こういうことで私は高く評価をさせていただきたい、これだけを申し上げておきたいと思います。  御答弁していただきますと時間がありませんので、私の方から一方的に評価だけを、感想だけを申し上げさせていただきたいと存じます。  次に、交付税について若干お尋ねをいたしたいのでございますけれども、これもお尋ねいたしておりますと時間が足りなくなるものですから、一つだけお聞きをしておきたいと思うのです。  一つは、非常に細かいことで恐縮なんでございますけれども地方財政計画では今回、地方単独事業を前年並みに据え置く、こういう基本方針を置いているわけでございますけれども、実際の単位費用のところを見ますと、地方単独費の伸びが数%ずつ、あちらこちらに出てきております。単位費用では、そういうふうに単独事業費の単位費用が伸びている。その辺のところの関係をひとつ教えていただきたいということが第一点でございます。  時間がありませんので、まとめて申し上げたいと思います。  二点目は、これは消防に関連することでございますけれども、今回の交付税法の改正で、携帯電話によって一一九番通報ができるようなことを考えていく、そのための経費を単位費用に盛り込んでいる、こういうように聞いておりますので、これについては消防庁長官の方からお答えいただきたいと思います。  それから三点目は、公共用地の先行取得について、国土庁でこのほど、土地の有効活用のための閣議決定をいたしているわけでございますけれども交付税の方ではこの公共用地の先行取得についてどう考えているのか。  以上三点を、一番と三番は税務局長から、二番は消防庁長官から、それぞれお答えいただきたいと思うのです。
  20. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 単独事業、平成九年度、今お話にございましたように、当初の単独事業につきましては、八年度と同額の伸び率ゼロということにいたしました。片方で、借入金の依存度を引き下げたいということで、それもまた地方財政対策の一つの主眼にいたしました。そういたしますと、投資的経費に充てる地方債が減ってまいりますので、地方交付税の単位費用に織り込む分はその裏腹でふえてくる要素があるということで、それぞれ若干ずつの伸びが出ておるということでございます。
  21. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 携帯電話等の受信システムということで、市町村分の常備消防費の関係につきまして、平成九年度におきましては全国の需要額といたしまして、これは使用料及び賃借料の項目でございますけれども、約二億四千万円、基準財政需要額に算入されているところでございます。
  22. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 公共用地の先行取得でございますが、さきに閣議決定されました新総合土地政策推進要綱におきましても、公共用地の先行取得、土地の有効利用の促進という観点で先行取得を進めていくべきである、特に地方公共団体においてもそういう方向努力をするべきだということを決めたわけでございまして、そういうような方向に沿いまして、公共用地の先行取得は従来から進めておりますが、私ども三つの方法でやっております。  土地開発公社を活用した先行取得、土地開発基金、地方団体が持っております基金を活用した先行取得、それと地方団体が本体としてやる公共用地の先行取得の事業債による、地方債による先行取得でございまして、交付税措置につきましては、その先行取得債による先行取得に対して交付税措置をしているわけでございまして、従来の措置は景気対策等の観点からやってまいりましたが、八年度で切れたわけでございます。平成九年度から新たな観点で、基幹的な公共用地を地方団体が取得する場合に事業債の許可額の、今、価格が低下しているためにどうしても先行取得が進まないわけでございますので、利子補給をし、利子の助成をしようということで、二%、三年間について交付税で利子をカウントしていくという方法で先行取得の促進をしているところでございます。
  23. 滝実

    滝委員 ありがとうございました。  もう少し交付税については基本的なことをお尋ねしたかったのでございますけれども、時間がありませんので、交付税あるいは地方税につきまして、技術的な点でございますので政府委員皆さんからお答えをいただきましたけれども、最後に、大臣から御感想があれば、ひとつ大臣の御意見を承らせていただきたいと思います。
  24. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 大変、長年の経験に基づいた緻密な議論でございますが、私も正直言って、この地方交付税とか、もともと税法というのは余り愉快な法律じゃありませんが、法律家でございますけれども、ちょっと読む気がいたしません。話だけ聞いて大体こういうことかということにいたしているわけですが、それなりに緻密なガラス細工、あるいは緻密な芸術品と言っていいのかもわかりませんが、地方分権ということを踏まえて、その土台が大きく革命的に変わろうと、あるいは変えていかなきゃならないという中で、地方税を含めた税のあり方ということも、新しい物の考え方に立ってこの際これまた革命的に変えていかなきゃならないときなのかな、こう思います。そういう面では、そういうときは政治家の議会であるところで活発な議論がなされることは非常に必要だ、こう思っております。  それから、一般論のその税制のあり方とは別に、私どもは今百四十七兆円、平成九年度末に百四十七兆円になるという、地方財政も大変多くの借入金を持ってしまったという現状、それからもう一つは、四割近くの地方公共団体が一五%以上の公債費負担を現に持っているという、こういう、理想論だけじゃなくて現実に対処していかなきゃならないという視点も一方では踏まえていただきたいと思うわけでございます。  ただ私は、一方では悲観ばかりしてないので、飲み食いしてそして放蕩して、気がついてみたらこんなに大きな借金ができてきたということじゃなくて、景気対策のために強力な、地方でも景気対策ということでいろいろな事業をやってまいりました。それから減税もしてまいりました。そして一方で、ほかの委員会でもたびたび言われますとおり、ちょっと地方はぜいたく過ぎるのではないかというようなことを言われておりますけれども、それに見合う社会資本も一方では整備されているわけでございます。ですから、私は、ただ放蕩をして、結果として借金が出てきたという事態とは違うわけでございまして、厳しい中でやった、しかし豪華過ぎると人に言われようが、そのぐらいのものでなければ百年先でもその地域の財産にはならぬわけでございますので、そういうものをきちっとつくったということにも自信を持って、全体としてこれからの財政再建というようなものを、そう余り感情的にならずにきちんとやっていけばいいのじゃないかなと思います。  きのうも二時間半ぐらいにわたりまして閣僚だけの財政構造改革の議論をいたしたわけでございますが、とにかく平成十七年、西暦で言うと二〇〇五年までの間に、国、地方を通じて単年度の公債依存度をGDP比三%にまずしようという大きな目標を立てて、しかもこれはやれない話ではないだろうと思っています。そして、総公債費をそう遠くないうちにGDP比六割にも持っていこう、これも経済成長率いかんによりますが、それなりに大変だと思いますが、やってやれぬ話じゃないと思っています。  ただ、それよりも一番大事なのは、赤字公債に頼らない、とにかく苦しくても赤字公債に頼らないような状況を一日も早くつくることが一番大事なのかな、こう思います。そのためには、新たなる税源を探すということも大切かと思いますが、やはり入るをはかって出るを制するというんでしょうか、行政改革等も真剣にやっていかなきゃならない。  そんなことで、ことしは財政構造改革元年ということでございますので、本来ならばこういうのはやってはならないことなんでございますが、地方単独につきましては、消費税が三%から五%に引き上げられるということに関しても伸び率ゼロという形で、これは事業費において吸収してくれということであります。こういうことをいたしました。  それから、最後でございますが、地方公共団体が発注する工事費は三十兆あるわけでございます。この三十兆の工事費縮減ということを真剣に考えれば、まだまだやれることはあるわけでございまして、私ども民間人から見ますと、国も地方も、厳密かもわかりませんが緊張感がなかったわけでございますから、ちょっと緊張感を持って頑張ればいろいろなところに私は活路は見出せる、こう思っております。
  25. 滝実

    滝委員 大変ありがとうございました。  最後に、警察庁にお尋ねしたいのでございます。  住専問題については昨年来大変大きな議論があったわけでございますけれども、これのいわば債権回収に伴ういろいろな事件が起きているということもございますし、その他の刑事事件として現在警察庁がどういう取り組みをされているのか、それを最後に御答弁をいただきたいと思います。
  26. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 金融・不良債権関連事犯対策の重要性にかんがみまして、警察といたしましては昨年初め、警察庁にこの種対策のプロジェクトチームをつくりました。そして都道府県警察にもその取り組みの強化を指示したところでございます。  この種事犯といいますのは、融資過程における背任等、あるいは債権回収過程における競売入札妨害等、あるいは金融機関の役職員による犯罪等でございますけれども、これの検挙状況を見ますと、平成五年から七年、三カ年間で百十五件の検挙でございましたけれども、昨年一年で百七件を検挙いたし、三年分を一年で検挙いたしております。  なお、そのうちの住専関連は三カ年で三件でございましたけれども、昨年一年で十五件ということでございます。御承知のとおり、末野興産、桃源社、ニシキファイナンス、日本ハウジングローンあるいは吹上町農業協同組合等の事件がございました。  いずれにいたしましても、この種事犯というものは日本の金融機関のシステムに対する安定性と信頼性の確保のために極めて重要な事犯だという認識をいたしておりまして、政府の方針にのっとりまして、警察としても適正な、厳正な法律の適用と債権の回収に資してまいりたいというぐあいに思っております。
  27. 滝実

    滝委員 ありがとうございました。
  28. 穂積良行

    穂積委員長 平沢勝栄君。
  29. 平沢勝栄

    ○平沢委員 三十分と与えられた時間は短いわけですけれども、その時間内に、子供に対する安全対策の中で最も重要と言われているチャイルドシートの問題、それからオレンジ共済の問題についてお聞きいたしたいと思います。  まず、交通安全対策の中で交通事故の死者について見てみますと、年々減少しております。昨年は九千九百四十二人と一万人を割ったわけでございまして、全国の警察官初め関係者の方々の御努力に心から敬意を表したいと思います。  しかしながら、そうした交通安全対策の中で忘れられているのが子供に対する安全対策、とりわけチャイルドシートの問題でございまして、六歳以下の子供の乗車中の事故による死傷者を見てみますと、昭和六十二年が五千八十二人、それが九年後の平成八年には九千四百人ということで、八五%の増加を見ているわけでございます。この間の全体の増加は約五五%ということで、いかに子供の死傷者の増加が大きいかということがわかるわけでございます。  先日、NHKが特集番組でやっておりましたけれども、小さな子供は衝突した場合、身が軽いということもありまして、すぐ吹っ飛んで車の中のいろいろなところにぶつける、あるいはフロントガラスにぶつける、あるいはフロントガラスから突き抜けて外にほうり出される、そうした危険性が極めて高いということが報道されていたわけでございます。  そこで、警察庁にお聞きしたいと思いますけれども、チャイルドシートが普及していないあるいは着用されていないということが子供の死傷者の増加の大きな原因ではないかと考えられますけれども、警察庁はどう見ておりますか。     〔委員長退席、山本(公)委員長代理着席〕
  30. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員指摘のように、全体としては交通事故死者は減っておる。しかしながら死傷者はふえておるわけでございますけれども、中でも六歳以下の幼児の自動車乗車中の死傷者数はほかの死傷者数に比べてふえておるというのは御指摘のとおりでございます。  このような死者の増加の原因でございますけれども、今委員指摘のようにシートベルトの着用が不十分ではないかというような御意見はもちろんあるわけでございます。  全体として、やはり背景といたしましては、自動車保有台数の増加、あるいは女子が社会進出をするというような中から、子供を帯同して外に出る機会が大変多くなってきている、そういうようなことが全体としての母数を押し上げているのではないか、背景としてはそういうものがあるのではないかというふうに思っております。  また、核家族化ということが進行いたしますと、子供を見ているような具体的な場所がない、人がいないというようなことなどもあり、今申し上げましたような、子供が自動車に乗る、幼児が自動車に乗せられるというような事態が非常にふえてきているのではないかというふうに考えております。
  31. 平沢勝栄

    ○平沢委員 子供が乗車するケースが非常にふえたということは事実だと思います。そういうこともありまして、世界各国とも、子供の安全を守る、これは極めて大切なことだ、社会の大きな責任だということで、チャイルドシートの普及といいますか義務化、法制化に努めているわけでございます。今ほとんどの国がこのチャイルドシートについては法制化といいますか義務化しているはずでございますけれども、まだ日本は義務化、法制化がなされていないわけでございます。  そこで、警察庁にお聞きしたいと思いますけれども、今欧米主要国でこのチャイルドシートを法制化していない国があったら教えてください。
  32. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員指摘のチャイルドシートの義務化につきましては、私ども調査はしておりますけれども、すべての国について承知しているわけではございません。  例えば、今していない国というふうな御質問でございましたけれども、私どもはしていない国につきましてはちょっと承知しておらないのでございますが、アメリカ合衆国では全州、それから欧州におきましても、イギリス、フランス、ドイツ等において既にチャイルドシートの着用の義務が法制化されております。したがいまして、ほとんどの国で義務化がされているのではないかというような認識をしております。
  33. 平沢勝栄

    ○平沢委員 今答弁がございましたとおり、アメリカでは一九七八年から義務化が始まりまして、一九八五年までに全州で義務化されたわけでございます。ヨーロッパでも、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、ほとんどの国で義務化がされておりますし、アジアでも韓国とかシンガポールで既に義務化がされているわけでございまして、日本だけがいわば大きく取り残されている。  これはおかしいじゃないかという声はあちこちで起こっているわけでございまして、先日のNHKの番組でも日本の今の取り組みはおかしいじゃないかというような指摘がございました。また、つい最近も産経新聞がキャンペーンを張りまして、この中でも日本の取り組みはおくれているのじゃないかというような指摘がございました。  そこで、警察庁にお聞きしますけれども、日本で今なお義務化されていない理由は何でしょうか。ほとんどの国が義務化されているにもかかわらず日本で義務化されていない原因についてちょっと教えてください。
  34. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員指摘の、日本でチャイルドシートの使用の義務化がされていないのはどうしてかというような御質問でございます。  チャイルドシートの着用義務の法制化につきましては、国会においてもいろいろ議論がございました。そこで私どもが、従来の考え方、これがいいか悪いかはいろいろ御意見があろうかと思いますけれども、チャイルドシートの着用の義務につきましては、この法制化に対しまして非常に世論が高まるということ、あるいは新たな負担を課するものでありますので、その普及率、着用率が向上する、着用の義務の法制化について全体として国民の理解が得られるような段階になればともかく、現状ではなかなかそういう段階に至ってはいないのではないかというような認識をこれまで持ってきたわけでございます。  したがいまして、そのような認識と申しますか、普及の状況あるいは着用の義務づけについての環境がまだ整っていないのではないかということで、従来法制化につきましてはやや逡巡をしてきたというのがその理由ではなかろうかと思っております。
  35. 平沢勝栄

    ○平沢委員 今まで警察庁の基本的なスタンスは、まず広報啓発活動、これを先にいたしまして、ある程度広まった段階で義務づけといいますか、法制化を考えるということだったろうと思うのです。  そこでお聞きしたいと思うのですけれども、シートベルトの高速道路での義務化というのは昭和六十年に行われたわけでございます。一般道路での義務化は昭和六十一年に行われたわけでございます。それから既に十年以上たったわけでございますけれども、その間チャイルドシートにつきましては具体的にはどのような広報啓発活動に取り組んできたか、そして、その結果としてどの程度普及したか、これについて教えていただけませんか。
  36. 田中節夫

    田中(節)政府委員 チャイルドシートを普及させるための広報啓発活動についてはどのような取り組みをしてきたかという御質問でございます。  私どもといたしましては、運転免許の取得のときを初め国民に広く用いていただいております「交通の教則」というのがございます。それにチャイルドシートの使用を奨励する内容を盛り込んでおります。また、御承知のように、全国交通安全運動が春、秋に行われますが、その際にも、チャイルドシートの使用励行を促す広報啓発活動を展開しております。またその際には、交通安全対策室とも協力しながら、あるいは都道府県とも協力しながら、その普及率及び着用率の向上のための広報啓発活動を現在までも積極的に推進しているところでございます。  そこで、そのような結果、着用率の推移はどうであるかという御質問でございますけれども、この平均着用率、これは昭和六十三年のJAFの調査でございますが、五・四%であった。それが平成八年には七・七%ということで、二・三%の増加ということになっております。この数字をどういうように見るかということについてはいろいろ御議論があろうかと思いますけれども、なかなかに着用率の普及というのは難しいなというような考えを持っているところでございます。
  37. 平沢勝栄

    ○平沢委員 今答弁がございましたとおり、いろいろとやっておられるだろうと思うのですけれども、着用はなかなか進まない、これが現状でございます。したがいまして、今警察庁が考えておられるように、ある程度普及してから義務化を考えるということになると、正直言って、これはいつ義務化されるかわからないということになってしまうわけでございまして、今、義務化、法制化が世界の常識と言われている中で、大きく日本だけが取り残されるということになってしまうわけでございます。もう既に世界におくれをとったわけで、今必要なことは、一日でも早く世界の常識に近づくことじゃないかなということで考えておりますけれども、そういった中で、もし今までのように広報啓発をまず先にやるということで進めますと、いつできるかこれはわからないということになるのじゃないかなという感じがします。欧米の方をいろいろ調べてみますと、まず義務化して、それからどんどん普及させる、これをやっているような気がいたします。  そこで警察庁にお聞きしたいのですが、外国で法制化、義務化されたときに、その時点での普及率というのはどの程度だったのか、これについて教えてください。
  38. 田中節夫

    田中(節)政府委員 外国の状況につきましてすべてつまびらかにしているわけではありませんけれども、特定の国、例えば欧州なんかの例を見てみますと、着用の法制の義務化の前よりも、法制化することによって相当に着用率が上がるという事例は私どもも承知しているところでございますし、また私どもの、チャイルドシートではございませんけれども、シートベルトの着用の問題にいたしましても、着用の義務化ということになりますと、それは必ず相当高い程度に着用率は高まるということは過去の経験からも言えるのではないかと思っております。
  39. 平沢勝栄

    ○平沢委員 私の方で調べましたら、フランスではチャイルドシートの使用率が一〇%そこそこの時点で義務化を図っている。これは一九九二年のことでございます。それから、先ほど申し上げましたように、今アメリカでは全州で義務化されているわけでございますけれども、その時点での普及率というのは、多くの州で五%以下であったということが言われているわけでございます。  先日のNHKの特集番組で、アメリカの運輸省の担当者がこういったことを言っております。子供の安全を守ることは社会の責任である、親が行わない場合は罰金を科してでもチャイルドシートの重要性を知ってもらいます、このことは子供の安全を守るために必要と考えている、こういうふうに言っているわけでございます。  それから、大分前の話ですけれども、昭和五十四年の十一月に、全日本交通安全協会などが主催したシートベルト国際シンポジウムというのが東京で開かれたわけでございます。このとき、オーストラリアのトリンカ博士はこういうことを言っております。チャイルドシートは、大人のシートベルトと違って使い方が面倒だから、その使用率を高めるためには立法化以外に方法はないだろう、こういうことを言っているわけでございます。  いずれにしましても、アメリカは、義務化した時点では着用率は極めて低かったわけでございますけれども、今やアメリカの使用率の平均は約八七%ということが言われておりまして、大人よりも高くなったということが言われているわけでございます。  したがいまして、義務化を先にやってそれから普及を進めるか、先に普及を進めてそれから義務化を図るかということでございますけれども、普及さえしてしまえばもうそもそも義務化も必要ないじゃないかということも言えるわけでございまして、先ほど御指摘があったように、なかなか普及が遅々として進まないわけでございますから、私としては、まず法制化、義務化を検討して、そして普及を図るということを考えられたらどうかなという感じがしますけれども、この点について、警察庁はどうでしょうか。     〔山本(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  40. 田中節夫

    田中(節)政府委員 今委員指摘のように、法制化することによって、義務づけ化することによってその普及率が高まるのではないかという御意見でございます。先ほど御答弁申し上げましたように、私どもといたしましては、世論の高まりあるいは普及率の伸長と申しますか、そういうものを背景として、全体として理解が得られるならば義務化に踏み切りたいというような態度をとってまいりました。  先ほど来委員指摘のように、NHKでありますとか、あるいは一部新聞等で相当大きく取り上げられてきております。ということは、やはり国民世論も相当に高まってきたというような認識もございます。そしてまた、先ほど数字を若干申し上げましたけれども、例えば二歳以下の子供について見ますと三〇%ぐらい着用率があるというようなデータもあるようでございます。そういたしますと、着用率は高まってきた、国民の世論も相当にこの問題について高まってきたという認識でおりまして、やはり今委員指摘のように、まだまだ法制化するにつきましては克服すべき課題もあろうかと思いますけれども、法制化の内容もいろいろございましょうが、積極的に義務づけについて検討すべき時期に来ているというような認識でおります。
  41. 平沢勝栄

    ○平沢委員 前向きの答弁をいただいて、大変結構だと思いますけれども、私も、時期としてはもうすでに熟してきているのではないかなという感じがします。  今答弁がございましたとおり、これはJAFの調査ですけれども、ゼロ歳児から二歳児の着用率は既に三〇%に達しているわけでございます。それから総理府広報室の世論調査を見てみましても、小さた子供を乗せている者に対しましてチャイルドシートを着用させるかどうか聞いてみますと、必ず着用させると答えた者が四十数%にも達しているわけでございます。それからチャイルドシートの出荷台数、これも出生数のほぼ半分近くに達しているというデータもございます。  したがいまして、日本の親御さんたちも大変にこの問題には高い関心を既に持っているのではないかなという感じがしておりまして、義務化の土壌というのはもうかなりできているのではないかなという感じがいたしますし、たとえその土壌がなくても、欧米各国のように、まず義務化から進めてやるのが筋じゃないかなという感じもいたします。  欧米各国の基本的な考え方は、子供というのはみずからの意思で自分を守ることができない、それを守るのは親であり、そして社会である、親、社会の大きな責任である、これが欧米の基本的な考え方でございます。と同時に、小さいうちからこうしたチャイルドシート、こういうことを習慣づけさせることによりまして、交通安全教育は生涯教育ということを言われておりますけれども、大人になってからのシートベルトの着用とか、こういった交通ルール遵守の習慣ができてくる。したがって、そういった意味からもこのチャイルドシートというのは非常に意味が大きいということが言われているわけでございます。  もちろん、チャイルドシートの普及の問題につきましては、車の構造、安全基準の問題、あるいはチャイルドシートそのものの性能の問題、こういったものも関連してくるわけでございますけれども、運輸省はこの問題についてどういう対策といいますか指導を、車のメーカーあるいはチャイルドシートメーカーにしているのか、ちょっと教えてください。
  42. 下平隆

    ○下平説明員 お答え申し上げます。  運輸省といたしましても、チャイルドシートが事故時に年少者の乗員の保護を図る上で大変に有効であるというふうに考えております。  したがいまして、昭和六十年から、チャイルドシートの安全基準を定めておりますし、この安全基準に基づいて型式の認定というふうなことも行ってきております。これまでに、八メーカー百三十八型式のチャイルドシートを認定をいたしております。年々チャイルドシートの出荷台数が増加をしている、こういうふうに理解をしております。  また、チャイルドシートの使用につきましては、なるべくこれを御使用いただくように自動車メーカー等に働きかけるということ、それから運輸省といたしましても、チャイルドシートに限らず、ABSとかあるいはエアバッグとかこういう安全装備の効果あるいはその正しい使い方をユーザーの皆さんに知っていただくことが大切であるというふうに考えております。  これまでにも情報提供をしておりますが、特に本日、自動車の安全性能の比較試験をいたしました結果をまとめた「自動車安全情報」というものを発表させていただいておりますが、その中でも、このチャイルドシートにつきまして記載をさせていただいております。
  43. 平沢勝栄

    ○平沢委員 最後に、アメリカのクリントン大統領は、この十五日に全米にメッセージをラジオで送っているわけですけれども、そのメッセージの中身を見てみますと、チャイルドシートあるいはエアバッグの安全性をさらに高める基準を設け、制度化する、これを大統領は約束して、自動車メーカー等の協力を呼びかけているわけでございます。運輸省もぜひ積極的な取り組みをお願いしたいと思います。そして同時に、クリントン大統領は、このメッセージの中でこういうことも言っております。チャイルドシートは子供を守るのに最も効果的なものである、子供の命を守ることは親の責任であり、また国家としての責任である、こういうことも言っているわけでございます。  先ほど警察庁の方から前向きの答弁がありましたけれども、今までの取り組みは欧米に比べるとややとりおくれているなという感じがしないでもございませんけれども、最後に大臣、この問題についてどうお考えになられますか。
  44. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 私は、昭和六十年ですか、六十一年、助手席に乗っている者がシートベルトをしなければならないというのを決めるときに、党の部会でございましたが、何でそんな細かいことまで一々言わなきゃならないのだといって疑問を呈したことがあります。ですから、たしかこれは罰金にはなってないのでしょう、反則金でしょう、点数だけであって、自分の命を守るか守らないか、大人は、結論から言えば自分で決められるということであって、それが効いたのかどうかわかりませんが、してない人から罰金まで取らないわけでございます。  今委員御案内のとおり、子供はその意思がないわけですから、これについては親なりあるいは社会全体が、子供の生命、身体を守るためにチャイルドシートを義務づけて、そして事故から守るというのは、委員指摘のとおり義務になじむ性質のものでないかと思いますので、積極的に検討してまいりたいと思っております。
  45. 平沢勝栄

    ○平沢委員 どうもありがとうございました。  残りの時間、オレンジ共済の問題について質問をさせていただきたいと思います。  この問題につきましては、既に我が党の同僚議員も質問し、また私も予算委員会で質問させていただいたわけでございます。その後、代理店の方も含めた全国の被害者の方から、私のところに数多くの声が寄せられているわけでございます。それらの方々の声を聞いていますと、極めて切実でございます。なけなしの金を取られてしまった、生きる元気を失った、だれも信じられない、どうしたらいいのだ、皆さんがこういったことを言っておられるわけでございます。と同時に、被害金額の一割でも二割でも取り戻せるようにぜひ努力してほしい、こういったことも言ってきておられるわけでございます。  実は、きょう私が事務所に行きましたら、鹿児島の方からファクスが入っていまして、そのファクスの最後にはこういうふうに書いてあります。「たくさんの被害者に一日も早く一円でも多くのお金が返ってきますように、平沢先生、お力を貸して下さいませ。」これが、全国の被害者の切実な声でございます。  被害者の方に、私も何人もの方にお話を伺いました。なぜ信用したのか、今どきこんな高い利率をうたう定期預金なんてないでしょうというふうに申し上げましたら、いろいろ理由があるのですけれども、最大の理由の一つとして挙げているのは、バックに新進党さんがいたからです、バッジをつけた友部議員がいたからです、細川さんがいたからです、だから私たちは信用してなけなしの金を預けたのです、こういうことを言っておられるわけです。  つい先日、私は熊本県の被害者の方にお話を伺いました。細川さんがいるから信用しました、細川さんがこんな人間とは思わなかった、細川事務所にどなり込もうと思っている、こういうことを言っておられるわけです。  いずれにしましても、法的な責任は当局の方でこれから徹底的に追及されると思います。しかし、たとえ法的な責任がなかったとしても、道義的、政治的な責任は決して免れるものではないということで考えております。詐欺師を抱えて、詐欺師に利用され、そして結果的に加担した形になったわけです。そして、その結果として、多くの方が被害に遭っているわけですから、被害者の方々への責任は免れないだろうということで私は考えております。  しかしながら、今大変に残念なことは、新進党からも、それから細川さんを含め関係者の方からも、被害者の方に対するおわびの言葉は何一つないのですよ。確かに、友邦何がしを比例の十三位にランクしたその不明をおわびする、この言葉はありました。しかし、今全国で被害者の方が泣いているのです。そうした被害者の方々に対するおわびの言葉は何一つないのです。これは、私は、全く言語道断だというふうに言わざるを得ません。もう徹底してこれからもこの問題を追及していきたいということで考えております。  繰り返しますけれども、今、被害者の方が望んでいることは、一割でも二割でも、一円でも二円でも被害金額が戻るようにやってほしい、こういうことなのです。したがって、もう質問する時間がありませんから当局にお願いしたいと思いますけれども、万々が一階し金という可能性もありますから、使途については徹底的に追及していただきたい、このことを強くお願いしたいと思います。  と同時に、このオレンジに群がって、オレンジの甘い汁を吸った人たち、これは政治家以外にもたくさんいます。しかし、その中でも政治家の責任は極めて大きいわけですから。なぜならば、被害者の方は政治家を信用したのです。ですから、その意味で、政治家の責任は極めて大きい。したがって、政治家の方は、率先してその甘い汁の実態を明らかにして、そしてもし接待等を受けていたならば、少しでも被害者にその金を返すべきだろうということで私は考えております。  細川さんについて言いますと、一昨年の六月接待を受けていたという事実については、既に私、この前の予算委員会で質問させていただきました。このほかにも、細川さんについては、オレンジから接待を受けていた事実があります。これについては、きょうは時間がございませんからまた別の機会に質問させていただきます。細川さんは、私の質問を、うわさに基づいてやったというようなことを言っておりますけれども、とんでもない話でございまして、いずれにしましても、この問題を含めて、私は徹底的に追及させていただきたいということで考えております。  いずれにしましても、一点の良心があるなら、被害者に一円でも二円でも返すべきだということで私は考えております。  しかし、これは細川さんだけの問題ではございません。新進党の県連にも寄附されていたという話がございます。この問題もございます。  それから、我が党の村上誠一郎議員が指摘しましたように、鳩山議員の事実上の機関紙に、オレンジ共済の広告が出されていたわけです。その過程で幾ら金が動いたのか、こういったこともきちんと明らかにしなければならないということで考えております。  あるいは今、新進党の関係者に金が行った、行ってない、いろいろ騒がれています。今騒がれている人以外にも、例えば、九州の方の新進党の関係者で、このオレンジ共済の金を受け取っていたという話もあります。これについても別途、別の機会に私は質問させていただきたいということで考えております。  いずれにしましても、オレンジ共済の金がいろいろなところに流れているのです。本来ならば、こうしたことについては新進党の方で洗いざらい調べて、そして、たとえ法的な責任はなくても、道義的、政治的な責任があるわけですから、被害者の方にわび、そして返すべきは返す、こういったことをするのが私は当然と思いますけれども、今の新進党にはこうした真摯な姿勢が全く見られない、まさに残念と言わざるを得ません。  いずれにしましても、私は、被害者救済の観点から、今後この問題は徹底して委員会でも追及していかなきゃならないということで考えておりますけれども、当局では、被害者救済の観点からどういうことをしているのか、そしてこれからどういうことをしようと考えているのか、そしてこの問題について最後に大臣の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
  46. 泉幸伸

    ○泉政府委員 警察といたしましては、当然ながら、まずは現在進めております捜査によりまして、本件詐欺で得た資金の使途などの全容を解明するということが、ひいては被害者の救済といいますか、被害者の方々にこたえる道であると考えて、鋭意捜査を進めているところであります。  なお、それとは別に、相談窓口を設けまして、被害者の方からの相談についても応じているところであります。
  47. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 私は、予算委員会でも申し上げましたが、このオレンジ共済、年金会オレンジ共済の各種の印刷物に、自治省届け出団体とか自治省元受け団体と書いてあったことに自治大臣として極めて遺憾に思う、自治省は実体的な調査権とかあるいはいろいろなす権限はありませんが、お互い政治団体を持っている者として、これはお互いに重く受けとめていただきたいということを申し上げました。  委員のおっしゃったことは、もちろん法的にどうこうということではないわけでございまして、答弁は差し控えたいと思いますが、今の点に関し言うと、自治省としても、各種のパンフレット等に自治省届け出団体というようなものを書かれていたということを大変、結果として当時調査権限は自治省にありませんけれども、重く受けとめておるところでございます。
  48. 平沢勝栄

    ○平沢委員 では、終わります。ありがとうございました。
  49. 穂積良行

    穂積委員長 中野正志君。
  50. 中野正志

    ○中野(正)委員 自民党の中野正志でございます。  近年の各種選挙の投票率の低下は、まさに議会制民主主義の根幹を揺るがすものでありまして、私どもも大変慨嘆にたえないと思っております。とりわけ私どもの昨年の総選挙は過去最低の五九・六五%の記録ということでありますから、大変なショックでもありました。さまざまな要因はありますけれども、政治不信がその基本であることは間違いない。私ども政治に携わる者として、自己反省が必要だと改めて思いを強くいたしておるところであります。  一つには、私どもの政党で、金権腐敗と言われ、満天下に恥をさらしたひとときもありますし、今でも実はその傷を引きずっております。また、改革を唱えながら、まさに羊頭狗肉、例えば十八兆円減税、このごろは引っ込めたようでありますけれども、実現不可能な政策で国民にこびを使ってみたりする政党がある。先ほどのオレンジ共済問題が出てくれば、政治不信になおさら輪をかける結果となる。また、かつても針発言で物議を醸した大物代議士もいらっしゃいましたけれども、税金はなし、道路はつくります、福祉は何でもやります、そういった欺瞞的な公約を並べて、実は戦いを進める政党もおります。  選挙そのもので言えば、巨大宗教団体が本来の活動そっちのけで、選挙運動に血眼になっておる現実もあります。昨年でございましたでしょうか、私どもまだ議席を持つ前でありますが、その巨大宗教団体の会長が参考人招致をされまして、そういった事実はないという答弁がありましたけれども、全くのうそ。私自身の戦いもそうでありますし、その巨大宗教団体を直のバックにする候補者と戦った我が党の国会議員みんながみんな、もう宗教団体というよりは、まさに政党だ、あの会長の参考人招致の答弁はうそだと、押しなべて実はお話をされます。  時間がありませんから、実態については、やがてこの場で議論をさせていただきたいと思っております。ただ、残念なのは、我が党の一部の方々に、不義密通もどきでその団体とおつき合いをされておられる方々がいらっしゃるようでありますから、もう一度この国会に、法務委員会になるのか文教委員会になるのかわかりませんけれども、お招きして、その実態を突きつけて、どうだとやりたいぐらいの気持ちでありますけれども、改めてそのこともお話を申し上げたいと思います。  何につけ、私の例で申し上げますと、毎日、何千人という人たちが、東北各県からバスや自家用車で仙台にやってまいります。その方々が、公然たる戸別訪問でその候補者を実は宣伝をする。戸別訪問の検挙状況をお伺いをいたしましたけれども、もうとてもではありませんけれども、まさに公職選挙法何するものぞという、あの選挙の実態を見るとき、それが一般の有権者には、選挙というのは何だと、こんな選挙があっていいのかということで、ますます政治不信に輪をかける形にもなっております。  また、組合も同じでございまして、ユニオンショップを採用されていますから、組合の執行部の方々の立場も、守られているといえば守られていると思うのでありますけれども、新しい政党のスポンサーになるなどという記事が出ますから、若い労働組合員が、我々はそのために組合費を払っているのではないということで、結果的には選挙、政治から遠ざかるという結果も招く、大変残念だなと思います。  そんなこんなの選挙、政治へのトータルの不信、国民の皆さんはまたかという思い、あるいは国民の皆さんの普通の感覚と私ども政治との乖離、それが一票の行使で何が変わるんだ、こういう思いをお持ちをいただくものでありますから、ますます投票率が低下をする現実があるのかなと思っております。国民主権の権利の不行使は大問題でありますけれども、自治大臣としての所感をお伺いをいたしたいと思います。
  51. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 いろいろな場で投票率低下という問題を質問されまして、自治省としてどうするんだ、こう言われました。もちろん、後でまた自治省としての取り組みは一生懸命お話をさせていただきたいと思うのですが、これは一つは、自治省限りでどうにもならないという、もっと大きな問題がもともとあると思うわけでございます。  私は、何度も申し上げますとおり、直前まで、新しい制度下におけるこの選挙を、自由民主党の立場で選挙をやる実務責任者ということで総務局長をやっていたんでございますが、正直申し上げまして、三百の選挙区に候補者を立てるというのは本当に、自由民主党をもってしてもそんな楽な話じゃありませんでした。  ですから、全政党が、全とは言いませんが、少なくても一つないし二つの政党が、そこにまずそれぞれ立派な候補者を立てて、そしてその候補者同士がやはりその地域において堂々たる、そして有権者にとって魅力あるそれぞれの政治論戦あるいは政治活動をやるというのが一番大事なことなんじゃないかと思うわけでございます。そして、それに従って、政治への関心を高め、そして、どういう人に投票することが、あるいはどの政党に投票することが日本がよくなるのかということで上がると思うわけでございます。  ですから、一般的な投票率と、いい悪いは別として、ある程度の有力候補がぶつかり合う選挙区を私は調べてみたのでございますが、明らかに一〇%近くの違いがあります。ある面では、無風区あるいは激突区というのでないところは明らかに投票率が低うございます。そういうことを政党そして候補者たらんとする政治家にお願いをしたいなと私は思います。  ただ、それはそれとして、一方では、投票率が下がってくるのには下がってくる理由がいろいろあるようでございまして、これらについては、自治省の中に実務者による研究会を設けて、今鋭意努力しているところであります。
  52. 中野正志

    ○中野(正)委員 今、自治大臣のお話にありましたように、自治省は投票率向上の調査研究会を設置するというお話を伺っております〇一つには、土曜日など日曜日以外の投票や二日以上の投票日を設定をするとか、二つ目には、不在者投票のあり方考えたい、三つ目には投票時間の延長、以上などを検討する予定だということであります。  私は、一番目については大いに賛成をいたしたいと思います。国民のライフスタイルあるいはビジネス環境などの多様化をにらんで、当然だと思っております。ただ、投票箱の管理でありますとか投・開票所の確保が難しいと言われる、こういうことなのでありますけれども、それはあくまでもテクニックの問題でクリアできるのではないだろうか、それをひとつお伺いをいたしたいと思います。  二番目についても、不在者投票、簡単なことでして、保険証か運転免許証を持参してください、こういうことであれば簡単なのであろうと思うのでありますが、実は、私も十年ほど前に不在者投票に参りました。二人担当が並んでおるのでありますけれども、その日に私は結婚式で東京に行くからどうしてもだめだということを言ったのでありますけれども、何時の汽車に乗って何時に帰れるのだとかまで、下手をすれば結婚式の招待状まで見せてくださいと言わんばかりの対応で、本当に頭にきたという経緯があります。押しなべて不在者投票においでをいただいた人から大変な不平不満が出てくるのは、もう一つ一つ根掘り葉掘り聞かれることに耐えられない、そんなことなら投票所に行かない、こういうことであろうと思いますので、不在者投票のあり方の簡略化についてももっと考えなければならないなと。  それから、三つ目についてでありますけれども、例えば、投票終了は今午後六時、これを一時間延ばして午後七時とするだけでも私は大分違うなと思います。  この一つ目、二つ目、三つ目について、自治大臣、選挙を戦ってきた立場から感想をお伺いをいたしたいと思いますけれども、大臣でなければ、どうぞ局長から。
  53. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 私は、もうここのところ不在者投票ばかりやっておりますけれども、私だからか知りませんが、はいと言ってすぐ書いて、大体、投票日にどこにいるかわからないものですから。しかし、そんなまじめに不在者投票の審査をしているところが、あちこち聞くものでございますから、その辺については柔軟であっていい。要は投票権を行使してくれることが大事なのであって、その当日、原則はそれが原則だと言われていますけれども、そう厳格に考えることはないのではないかな。日本の役所は万事くそまじめでございますので、そのくそまじめのいたすところかなという気がいたします。  それから、ライフスタイルがいろいろ変わっておるものでございますので、大勢の地方公務員を中心にお手伝いいただいてやるわけでございますが、しかし一方では、日曜日といえども、今、平日よりもひょっとしたら日曜日の方が忙しいぐらいというライフスタイルが結構あるのですね、子供のあれがある、町内のあれがあるというのが結構あるから。もし、一日一時間でも延ばすことによって、それでたとえ数%でも投票がしやすくなるというのならば、これはこれで考えなければいけない。  集計その他については、技術も進歩しておりますし、何もその日のうちに当確が出なければならぬというのは政治家の興味であって、一般の方は投票へ行けばいいのでございますから、そんなことを含めていろいろ今実務者が協議しているところでございまして、もっと細かいことは、またひとつ選挙部長の方から御報告をさせてもらいたいと思います。
  54. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 一月の末に事務レベルの研究会を設置いたしまして、今御指摘がございました三点につきましては、いずれも検討課題として取り上げようといたしておるところでございます。  まず一点の、投票日の設定でございますが、従前は大体平日投票の方が多かったのですけれども、サラリーマン社会化の進行に伴いまして、衆議院で申しますと昭和四十七年からはずっと日曜投票になっております。先般、平成四年でございますが、自治省の方で有権者のアンケート調査をいたしましたが、平日投票を期待するというよりも祝日あるいは日曜日を希望するという方が八割程度でございまして、これはやはりそこを基本考えるべきなのかなというふうに考えております。  しからば複数投票日というのはできないのかという話になるわけでございますが、これをやりますと、今先生御指摘がありましたように、投票所の確保の問題、それから、今でも投票立会人の募集、確保が非常に困難をきわめておりますので、そういう要員の確保、それから、何と申しましても経費が相当多額に上る、そういうところとの兼ね合いであろうかというふうに考えております。  即日開票の問題につきましては、ただいま大臣から非常に力強い御答弁をいただきましたので、心強くいたしております。  それから、投票時間の延長につきましては、かつて、昭和三十八年の第三十回総選挙と昭和四十九年の第十回通常選挙、それぞれ二時間、一時間延長をしたことがございます。いずれの選挙も、延長の効果というのがあったのかどうかということにつきましては確たる検証が得られなかったという問題はございますが、先ほど大臣から御答弁ありましたように、時間を延ばすことによって少しでも便宜を図れるのであればということで、この点につきましても検討をいたしたいと考えておるところでございます。
  55. 中野正志

    ○中野(正)委員 とっぴな提案を申し上げますけれども、中央選管の去年の衆議院選の予算が六百八十二億九千三百万、私ども一人誕生させていただくのに一億何がしかかっているという現実を改めて知りました。うち、総選挙啓発推進費というのが十三億二千百万出されておるのでありますね、広告あるいはPR含めての経費であろうと思うのですけれども。  そこで、例えば投票した人に抽せんで豪華景品を出すという考え方はどうなのでしょうか。一つに、二十代、三十代、四十代前半の皆さんの投票率が低いことは現実でありますから、例えばそういった年代に今人気のRV車なんというのがありますね、三百万か四百万で一台買えるのですよ。それを抽せんで、例えば国政選挙に百台出します。三百万にしても、百台で三億で済むのですね。そうすると、テレビだ、新聞だ、あるいはチラシを出して、投票所に行きましょう、投票しましょうという呼びかけよりもよっぽど効果ある対応になるのではないかなと思うのですが、いかがでしょうか。  逆に、今度は棄権した人、基本的人権でせっかくいただいておりますのに放棄をするのでありますけれども、それぞれにいろいろ理由があるかもしれない。しかし、例えば十回なら十回投票所に足を運ばないという人には、やはり何らかのペナルティーを科す必要があるのではないだろうかな。そういう意味で、例えばパスポートを一年間どれなくするとか、若い世代の人たち。これは運転免許証という議論もあるのでありますけれども、運転免許証だと、それで生活をしておられる人たちもいらっしゃるでありましょうから運転免許証というわけにはいかないのでしょうけれども、せめてパスポートを交付しない、こういうことでやるといい格好にいくのではないかな。罰金を科しておる外国の例もあると聞いておりますけれども、日本としてどうでしょうか、それをお伺いをいたしたいと思います。
  56. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 投票率の低下が続きます中で投票率向上のためにいろいろな改善策、アイデアというものを幅広く検討することは重要なことだと考えておりまして、いろいろなアイデアをお出しいただくことにつきましては、非常に敬意を払うところでございます。  ただ、投票というのは、やはり有権者の自発的な意思によって行動するというのが基本でございますので、豪華賞品等によるあめとかあるいは罰則等によるむちによりまして無理に投票にかき立てるということは、かえって選挙そのものを不明瞭にするおそれもあるということから、適当でないのではないかというふうに考えておりまして、かつて賞品を出したところもあったのでございますが、そういう観点からおやめをいただいたというような経緯がございます。
  57. 中野正志

    ○中野(正)委員 ペナルティーを科している国というのはありますか。
  58. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 諸外国には、御指摘のように、棄権者にペナルティーを科している国がございまして、例えばOECD加盟の二十九カ国の中では、オーストラリア、ギリシャ、メキシコ、トルコ、ベルギー、ルクセンブルクの六カ国が罰金等を科しているということでございまして、そのほかにもアルゼンチンでありますとかブラジル、エジプト、シンガポールなど十数カ国がこのような制度をとっているというふうに承知をいたしております。
  59. 中野正志

    ○中野(正)委員 選挙部長の御判断はわからないわけではないのでありますけれども、やはりこういう時代でありますから、投票率向上のためには思い切って、既存の考え方にとらわれないでやるということが大事だろうと思いますので、よろしく御高配いただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。  続きまして、私は、海洋宮城県の代表選手のつもりでもありますから、遠洋漁業者の洋上投票についてお伺いをいたしたいと思います。  太平洋あるいはインド洋、大西洋などで、世界の海で頑張っていただいております遠洋漁業船の乗組員、国内に約五万人だと言われております。憲法で保障された基本的人権でありますから、選挙権の行使の切なる願い、それが洋上投票の実現ということで、遠洋漁業船の乗組員の方々あるいは家族の方々、あるいは宮城県議会、気仙沼市議会、唐桑町議会では意見書の採択までした、国にも陳情をずっと続けておられるということであります。宮城県からもお伺いをいたしたのですが、二月の二十四日、洋上投票の実現の会が自治省に陳情されたと伺っております。  今までの自治省の見解は、投票の秘密の維持や投票者本人の確認が技術上困難だということでパスされてきた経緯があります。  ただ、そのことにかんがみまして、この実現の会の私案として、一つ、パソコンとイメージスキャナーを利用した指紋照合システムで投票者や船上での投票管理者を確認する。二つ目、衛星回線や無線を使い、ファクスで投票用紙を送信する。三つ、ファクスで用紙を受け取った国内の投票所では、受信用に表面に紙を密着させて印字面を見えなくした特殊なファクス用紙を使い投票の秘密を守る。実はこの案を提示しておられるようでありますけれども、そういう意味では、技術的な課題をクリアしていると私は考えております。端的に言えば、シークレットファクスの通信を使ってやるということだと思います。  ひとつ、そういう意味で洋上投票を、今まで実現不可能だということでありますけれども、可能にする場合、公選法上のどの条文の改定が必要なのか、それをお伺いをいたしたいと思いますし、どうあれ、ああいった漁船員の方々は私どもの貴重なたんぱく源確保のために頑張っていただいておるわけでありまして、正しく納税義務も果たされておる、一〇〇%そうだということでありますから、私は重く受けとめたい。なぜ投票できないのかという切なる思いを私どもにも突きつけられておるのであります。  実は、アメリカ合衆国の海軍の艦隊の乗組員は、既にこのシークレットファクス通信で洋上から投票しているという実績を持たれておるそうでありますから、決して日本でやれない話ではないのではないか、私どもそう思っております。  地方公務員の国籍条項の条件つき撤廃に非常に前向きな見解を示された白川自治大臣でありますから、この洋上投票にも大決断を促したいと思いますけれども、自治大臣、いかがでございましょうか。
  60. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 船員の方々につきましては、その就業形態が特別でありますことから、一般の不在者投票制度に加えまして、いわゆる指定港における不在者投票あるいはまた指定船舶における不在者投票という制度が特別に認められているわけでございますが、これらの制度によりましてもなお投票が困難な方々がおられるということは私どもも承知をいたしておりまして、また、関係者の皆様方からこれまでも何回か御要請を受けましていろいろと検討をしているわけでございますが、今お話がございましたように、投票の秘密の問題あるいは本人確認の問題等から、なかなか出口が見えないという状況でございます。  ファクスでどうかという点につきましても、これまでもお話があったわけでございますが、ファクスは基本的にはコピーでございますし、また、だれでも送れるということから、やはりそういう基本的な問題がクリアできるんだろうかということで今日に至っているわけでございます。  いずれにいたしましても、貴重な選挙権の行使の問題でございますし、先般、今お話がございましたように、そのシークレットファクスですか、そういうものを使って道が開けないのかというお話もございました。私ども、まだその状況を十分勉強しておりませんから、そういうお話も踏まえまして引き続き研究をさせていただきたいと考えております。
  61. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 在外邦人の投票も前から懸案でございましたが、いろいろ問題点はありますが、何とか実現しようということで、与党三党の合意のもとで今事務的に作業しているところであります。  私も、この前仙台に行ったときも、直接陳情を受けました。きのう、おとといだったでしょうか、また皆様方が来て、この実現する会の代表からいただきまして、確かに問題がありますが、どうしたらやれるのか、貴重な投票の権利を行使したいという立場にどうやったらこたえることができるかという立場で事務当局に検討を命じてまいりたい、こう思っております。
  62. 中野正志

    ○中野(正)委員 自治大臣、ありがとうございます。  どうやったら実現できるのか、まさにそこがポイントでございまして、自治大臣の大変前向きな御答弁、感謝を申し上げたいと思います。引き続き実現に向けて御指示賜りますようにお願いを申し上げます。  治安行政に対しまして七点ほど用意しておったのでありますけれども、時間の関係がございますので、二点だけお伺いをいたします。  警察庁は、まさに都道府県警察を指揮指導する立場であります。私は、治安行政というのは今後とも国民の皆さんからの期待は高まるばかりだ、しかも行政サービス需要も高まるばかりだ、そう考えております。国家存立は、外に防衛、外交、それから内に治安、これが基本だと言われるわけでございまして、今行革いろいろ言われておりますけれども、そういう意味では、国民のおおむねの意識は、行革の枠外だ、こう私たちは承知をいたしております。  それにつけましても、警察官が足りない、足りないと各都道府県及び都道府県民から切なるお話が出ておりますけれども、平成九年度の増員数、またその振り分け、それから警察官一人当たりの負担人口というのがありますね、都道府県別にずっと言っていただくわけにはいきませんから、私どもの宮城県と、それから多いところ、少ないところ、そんなところどもをちょっとお教えをいただきたいと思います。
  63. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 細かい振り分けは後で事務当局に申し上げさせますが、私自身、一方では地方行革というのを就任以来訴えている中で、警察官の定員を増員するということについては本当に一番考えました。ただ、治安情勢が極めて今正念場だという認識もとに、十年間に限って、しかも目的としては特殊金融犯罪と来日外国人犯罪対策、こういう部隊を強化するということを前提に千五百十二名の増員を自治大臣として認めたところであります。
  64. 野田健

    ○野田(健)政府委員 千五百十二人の増員をお認めいただいた場合に都道府県別にどういうふうに配分していくかということにつきましては、今後速やかに政令で定める必要がありますので、現在検討中でございます。  なお、府県別の負担人口はどれぐらいになっているかということでありますけれども、平成八年度におきまして、宮城県は七百二十九人で、第九位になっております。負担の一番高い県は埼玉県でありまして、七百九十一人。茨城県が七百六十六人、千葉県が七百四十二人というふうに続いております。なお、負担という意味では低いのは、警視庁が二百八十三人、京都府が四百二十一人、大阪府が四百五十六人、こちらの方が人口負担という点では少ない県でございます。  なお、警察官の府県別の定員を政令で定める場合には、一つは警察官一人当たりの負担人口はどれぐらいかということも大きなメルクマールと考えておりますけれども、同時に、面積、地形、あるいは犯罪情勢、交通の発達状況等、治安に関するいろいろな要素を総合的に検討いたしまして考えていきたいと思っております。
  65. 中野正志

    ○中野(正)委員 時間でございますので、残余の質問は後日改めてさせていただきたいと思います。  終わります。
  66. 穂積良行

    穂積委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後一時三十五分開議
  67. 穂積良行

    穂積委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。福留泰蔵君。
  68. 福留泰蔵

    ○福留委員 私は、質問の機会をいただいて、まず御礼を申し上げます。  本日の質問は、私の方からは主に二つの分野について質問させていただきたいと存じます。一つは、これから来るべき高度情報通信社会への行政的な対応という側面からの質問でございます。二つ目は、今、今というよりここ近年、世間でもかなり話題になっております官官接待の問題について質問させていただきたいと存じます。  まず第一に、高度情報通信社会に対する対応ということで、幾つかの観点から質問させていただきたいと存じます。  今、大臣も十分感じていらっしゃると思いますけれども、社会の情報化の進展というものは大変目覚ましいものがあるわけでございます。例えばインターネット。ここ二、三年、もうまさしく加速度的な普及をしている感がしてなりません。私もここずっと、各ホームページを開いて見ておりますけれども、自治省におかれてもホームページを開設しておられます。大臣のあいさつとか、さまざまな形で国民の皆さんへメッセージを発していらっしゃる、またそこに国民の皆さんの声を受ける場所があるということ、大変すばらしいと思っているところでございます。  こういうふうな今の社会状況というのは、ここ近年のさまざまな技術革新と、そしてそれに伴う整備が進展したことによって、こういう環境が今できているのだろうと思います。コンピュータリゼーションが進行する、そして、あわせて通信の分野におけるテレコミュニケーションが発達してきました。ここに至って、このコンピュータレセーションとテレコミュニケーションが合わさった形で、コンピュニケーションというふうな言葉が使われるような時代に今来ているわけでございます。  これらを背景に、六〇年代から七〇年代は、情報化社会という言葉が使われました。八〇年代は、高度情報化社会という言葉が使われてきております。そして九〇年代は、今、高度情報通信社会という言葉が言われるようになってきているわけでございます。  また、二十一世紀へ向かって、特に先進国において顕著でございますけれども、情報インフラの整備が国家戦略の一つともなってきている状況があるわけでございます。アメリカでは、もう皆さん御存じのとおり、一九九三年にいわゆるゴア構想なるものが発表されました。また、その後一九九五年には、G7情報通信サミットというものもブリュッセルで開かれたわけでございます。日本は、このG7の情報通信サミットに合わせる形で、一九九五年二月に、高度情報通信社会推進に向けた基本方針を策定しているところでございます。  この基本方針には、情報化を新たな社会革命として意義づけ、高度な情報インフラの整備を急ぐべきとの認識が示されているわけでございますけれども、こういう背景をもとに、大臣御自身、この高度情報通信社会をどのようなイメージでとらえていらっしゃるのか、また、自治省として、基本方針そしてその対応を大臣としてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、まずお考えをお伺いしたいと思います。
  69. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 私もここ十数年、政策的な面で専門の分野は何かと強いて言うと、この情報通信の分野をやってまいりました。特に郵政政務次官をやった前後は一つの契機かなと思います。  ただ、私自身、本当のところよくわからないのです。どうも言葉に酔っているという側面もあるのじゃないのかなというのが特に当時やっていることでございました。いろいろなことで私はそれなりに感激するときがありましたけれども、政治の仕事、特に高度情報通信社会をつくるという政府の立場で言うと、基本的には、情報と通信ができるだけ大量に、スムーズにかつ廉価に国民の中を流れるインフラストラクチャーをつくることが政府仕事なのではないかなと思っております。  それがどういうふうに使われるかということについては、まさにユーザーが決めることという気がいたしまして、単純なことかもわかりませんが、ポケベルというのを、ベル友というのですか、ああいう形で使うというふうなことは、当時、ポケベルの話をしたとき、考えてもみないことでございました。ですから、この分野に携わって一番自分自身が驚愕したのはそういうことであります。そして、それでいいのだろうと思っております。  ですから、関係省庁、いろいろあろうかと思いますけれども、余り前提を置かないで、みんなで、どうやったら情報ができるだけ速く、大量に、安く送れる体制をつくるかということに全力を尽くせばいいのであって、これの使い方というのはいろいろあるのだろうと思います。  ただ、私は、確かに自治省の方も使っているのをちょっと見ましたけれども、またこれは使い切っていないんだなという気がいたします。高度情報社会という言葉に酔って、そしてそれに携わらないと、あるいはそういうものを使わないと自分が高級に見せられないから使っているような感じがしまして、本当にこれを使って事務が合理化され、そして従来ではできなかったようなことがどんどんやられているかなというと、少なくとも自治省が今使っている程度のものではそこまでは至っていないという気がいたしております。  ただ、これがどういうふうに使われるか。多分これは世代間の問題もあると思います。それぞれの地方団体において、あるいは住民の中において、僕らとは違った意味で、コンピューター等を使うのがごく当たり前にできる人たちの世代は全く別に考えてくれて、また新しい社会ができるのだろうと思い、またそこのところを信じて私どもは今努力をしていけばいいのじゃないかな、こういうふうに思っております。
  70. 福留泰蔵

    ○福留委員 率直な大臣の御認識、ある部分で私も同感の部分があります。  今の大臣のお話の中で、現状認識に対しては私も共感をしております。今、その使い方というものはいろいろあっていいのだろうと。確かにそのとおりだと思います。大臣も若干お触れになりましたけれども、高度情報通信社会から得られるさまざまな利便性というものを積極的に行政分野で活用していくという発想をより強くこれからは持っていくべきではないか。当然、社会的な環境、今世代間のお話もされました。そういうものが整った上でという前提もあるかもしれませんけれども、ある意味行政として先取りする形でのそういう環境整備にも取り組み、そしてその行政サービスというものを積極的に準備していくということが私は必要ではないかと思っているところでございます。  続きまして、今大臣から基本的な考え方についてお伺いいたしましたが、一九九四年十二月に、行政情報化推進基本計画というものが閣議決定をされております。この計画におきまして、高度情報通信社会の実現は基本的には民間主導で進められるべきだろうと私は思いますけれども、情報基盤の構築は国づくりの基幹の一つであり、政府の政策努力が必要であること、行政の情報化が不可欠であるとの認識が示されているわけでございます。この全体計画に基づきまして、自治省におかれましても行政情報化推進計画が策定され、現在推進中であると伺っているわけでございますが、簡単で結構でございますので、この計画の概要と現時点におけるその達成度、そして現状の課題について御説明を願いたいと存じます。
  71. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 今委員指摘のように、平成六年の十二月に閣議決定されました行政情報化推進基本計画を踏まえまして、自治省におきましても、平成七年の七月に自治省の行政情報化推進計画を定めました。たまたまそのとき自治省は人事院ビルで、合同庁舎への建てかえということで新庁舎になりました。今までツーフロアだったところが十フロアというふうに分かれたわけでございまして、そういうようなことにも対応しまして、情報化をその機会に進めようということで全体として取り組みました。例えば、自治省LANの整備をするとか、あるいは情報化のための執務環境を整備する。それから、消防庁がございますので、災害に強い情報通信システムをさらに一層推進する。それから、それをいわば行政サービスの向上につなげるというようなことを柱として行っております。  今大臣から、まだレベルとしては低いという答弁がございましたけれども、また私どものところにも自治大臣からのメールがLANを通じて参るわけでございまして、油断なく画面を見ていないといけない。そのうち何回かに一回は自分でまた返事をしなくちゃいけない、こういうふうなことに追い込まれているわけでございまして、それに一生懸命対応しているというような状況であると思います。  しかし、地方団体も含めまして、今少しずつ自治省あるいは霞が関をめぐる情報化の環境も進んでまいりまして、平成九年三月からは霞が関WANにつながるわけでございまして、そういうもので各省庁との連絡を密にすること、あるいは今委員からお褒めをいただきまして恐縮でございますけれども、自治省のホームページなりそういうもの、あるいは自治省が地方団体の情報検索の窓口になるというようなこともやっておりますので、こういうことをさらに進めていきたい。あるいは、政府全体としてはこれはもう取り組んでおりますけれども行政手続のペーパーレス化とか、そういうことで、住民の、国民の負担を軽くするというような意味で、許認可等を含めた行政手続についても情報化を進めることができないのか、そういう点につきまして検討を進めつつあるという現状でございます。
  72. 福留泰蔵

    ○福留委員 今御説明いただきました行政情報化の目的というものは、今御説明がありましたけれども行政事務の効率化と住民サービスの向上が主な目的だろうと思います。また、現状大きなテーマとして、地方分権それから地方行革、これが今課題となっている現状を考えてみますときに、地方分権地方行革のための環境整備とその推進力としての地方自治体における行政情報化がまたあわせて不可欠だろうと思います。  今御説明いただいたのは自治省における行政情報化でございますけれども、自治省が指導監督する地方自治体における行政情報化の問題について、これは各都道府県地方公共団体さまざまな、取り組みに差があると思いますけれども、その進捗状況をどのように把握していらっしゃるのか。そして、それらに対する自治省としての支援策、具体的なものがあれば二、三御紹介をいただければと思います。
  73. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 自治省といたしますと、情報化の推進を二つの柱で進めているわけでございます。一つは、自治省も含めた行政の情報化、地方団体行政レベルにおける行政の情報化を進めること、それとまた、地域社会と一体となりまして地域における情報化を進める、こういう二本柱で進めているわけでございます。  地方団体行政の情報化につきましては、先ほどの、閣議決定されました行政情報化推進基本計画、これとほぼ軌を一にしまして、地方行政情報化の推進に関する指針というようなものを自治省として出しております。  もう一つは、これもまた委員指摘にございましたが、平成六年十月に地方行革の推進のための指針というものも自治省として出したわけでございますが、その一つの重要な項目としまして、住民サービスの向上のための行政情報化の推進というような項目を設けまして、地方団体行政情報化を進めてくださいということをお願いをしているわけでございます。  実態といたしますと、地方団体でいわゆる最新の手段を十分に活用したような情報化がどこまで進んでいるかについては、またこれは階段の途中にあるというふうに認識しておりますが、端的に申し上げますと、例えばインターネットのホームページの開設等も急速に進んでおります。自治省のホームページからも「地域発見」ということで検索できますが、大体五百ぐらいの団体で、それも恐らく数百ずつ毎年ふえてくる、こういうような状況でございます。  したがいまして、私どもといたしますと、そういう技術的な、こういうことをしたらどうですかというような情報提供を申し上げることはもちろんといたしまして、地方団体行政情報化についてのいわば財政支援というものを地方財政計画あるいは地方交付税算定を通じて行っているわけでございまして、地方団体の庁内LANの整備を、市町村レベルにおきましてのLANの整備等についても、本年度、これを標準的な仕事として交付税事業の中に取り込んでいこうというようなことをやっておりまして、年々充実しているところでございます。  こういうようなことを通じまして、今後ますます行政の情報化の推進が住民の福祉の向上なりサービスの向上につながっていくように努力をしてまいりたいと考えております。
  74. 福留泰蔵

    ○福留委員 今、自治省としては、一つとして、技術的な情報を提供するというふうなことで支援している、二つ目に、財政支援としてという御説明がございました。  その財政支援の中身について、もう少し詳しく、具体的に御説明いただければありがたいのですが。
  75. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 いろいろ頑張ってはいるのですけれども、私、そんなに偉そうなことをとても自治省が言えない一例を先生に御紹介いたします。私、自治大臣であると同時に国家公安委員長でありまして、こういうことが多いのです。  昨年は、とにかく一万人を割ろうというので、国家公安委員長は総務庁長官とともにその旗振りをするので、普通、大体国家公安委員長は自治大臣なんだから、自治省もちょっと頑張ってくれよと言ったら、わかりましたと言って、各都道府県の担当部局に味もそっけもない通知を出して、交通事故防止のために頑張ってほしいという通知を出して、自治省は、やったと思っているんですね。冗談じゃない、三千三百のところに少なくとも直接手紙だとかファクスでも出せないのかと言ったら、いや、そういうことを出したことがないと言うので、ことしになってようやく出すことにしました。三千三百の、ファクスがない団体はないわけでございますから、そこに、年に五回でも十回でも、大事なことだったら自治省から情報提供してはいかがかということでございますが、そういう予算もない、考えたこともないということで、早速やらせたのでございますが、そのような程度でございますから、大したことはないと思いますが、お聞き取りいただきたい。
  76. 穂積良行

    穂積委員長 嶋津総務審議官、補足してください。
  77. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 今の大臣の御答弁は、専門家としてのお立場での発言だと思いますけれども、マクロ的に申し上げますと、私ども地方団体に対する地域行政の情報化の推進という財政措置の枠組みといたしまして、オールジャパンでございますけれども、全体、情報化の推進のための経費を百三十数億円、都道府県市町村に措置いたしまして、その中では、地域が映像情報としての発信をする。これは、メディア自体は、インターネットとは限らず、一般のマスコミ等のメディアを通じてのものも入っておりますけれども、あるいは衛星通信を通ずる画像の整備、あるいは、いわば市町村ごと地域の情報を発信するホームページを開設する経費等も含めてやっております。  それ以外に、いわばマクロ的な話ではなくて、個別の手段としてどういうことをやっているかということでございますが、まず、リーディングプロジェクト、先進的な団体がそういう情報化のためにいろいろな事業を行う、そのことに財政的な支援をしているわけでございます。  一例を挙げますと、岐阜県が大垣市においてソフトピアジャパンという情報発信のための基盤整備をやっておりますが、そこでは相当大きな成果が出てきております。それから、地域衛星通信ネットワーク、これはまだ整備の途中でございますけれども都道府県市町村段階で、まだ全国のネットワーク自体は全部進んでおりませんが、これも着々整備を進めております。それから、もう少し細かい、住民のサービスレベルのことでございますと、コミュニティーネットワーク構想というもので、例えば住民の健康状況、そういうものをカードに入れて、そのカードを持っていけば、保健所とか福祉事務所等に行って一々自分の、個人の情報を入れなくても担当の人に状況がわかるというような福祉カードシステムとか、あるいは図書館の情報のネットワークシステム、あるいは、埼玉県の越谷市等では、公共施設の案内システム、体育館とか文化会館、公民館等の空き状況、予約、それから、その画面を通じて利用料の支払いまでできるというようなシステムを進めているというようなことで、まあ庄治省は進んでいないかもしれませんが、地方団体がどんどん進むように応援をしていきたいと考えております。
  78. 福留泰蔵

    ○福留委員 財政支援という問題については、また後ほど御質疑をさせていただきたいと思いますけれども、先ほどの自治省としての取り組み、それから地方団体レベルでの取り組み、行政情報化の問題について、もう一点だけお尋ねをしたいと思います。  先ほど来申し上げておるとおり、行政情報化の目的というのは行政事務の効率化と住民サービスの向上であるということでございますけれども行政事務の効率化は、その前提として、先ほど申し上げましたけれども行政改革があり地方分権があることは当然でございます。その前提の上で、例えば地方行革ということを考えてみますと、行革というのは、その地域社会と地域住民のニーズを限られた条件の中で最大限に実現する、効果的、効率的な自治体行政を実現することであると言えると思います。  このためには、自治体行政の業務の仕組み、その業務処理方式を今根本的に変革していくしかなく、そして、それには、例えば民間リストラ等で実績のございますビジネス・プロセス・リエンジニアリング手法、BPRといったような手法を行政的に適用して、行政の業務と組織の徹底的再構築と簡素化を断行する以外にないのではないかと私は思っております。  ハードの面を申し上げますと、従来は、基幹業務のホスト基軸型オンライン情報システム化、そして個別業務のOA化が今定着しつつある段階ではないかなというふうに私は認識しているわけでございますけれども、先ほどもそういう形の答弁があったかのように理解しております。  今、各自治体では、自治体の高度情報ネットワーク基盤整備が行われようとしている段階ではないかと思っています。これから先の高度情報通信化社会になりますと、いわゆる双方向型の処理を持ちますマルチメディア型情報システムというのがこれからは避けて通れない問題だ。これは、自治大臣は、前、郵政政務次官をやっていらっしゃるということですから、よくおわかりになると思います。  今は、そのさまざまな環境整備に取り組んでいる段階と理解しているわけでございますけれども、そういうさまざまな環境が整っていく中で課題になってくるのが、先ほど御説明にもありましたけれども、自治省が取り組まれておる行政情報化推進計画の中にも書いてあるわけでございますが、情報化に対応した規程、慣行等を見直すといったことがこれは不可欠になってくるのだろうと思います。  こういう面について、先ほどは今検討していらっしゃるというお話でございましたけれども、ハード面また社会的環境が整ってからやればいいということではなくして、今の課題でございます行政改革地方分権の検討と同時並行、そしてハード面の整備と同時並行でこれは進めていく必要があるのではないか、そのための具体的な研究を既に始めるべきではないのだろうかと私は思っているところでございます。  こういう面について、今研究していらっしゃるのか、そしてこれからそういうことを考えていらっしゃるのか、何か御説明があれば伺いたいと思います。
  79. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 今、委員は民間におけるこの部門の専門家でございますので、私どもその御意見は非常に貴重な御意見だと受けとめております。  私どもも今、行政の情報化とか地域の情報化というものの究極の導入の目的は何かといいますと、やはり御指摘ございましたように、行政改革行政コストを削減するとか、あるいは福祉サービスを向上させるというところが目的になるわけでございますから、そこに結びつくような形での情報化の推進を進めなくてはいけない。その中には、恐らく今御指摘されました、文書とかあるいは慣行とかそういうものを、行政内部におけるいわば稟議制度と申しますか、そういうようなシステム自体を根本から見直さなくてはいけないというようなことも含まれると思います。現在、これは自治省も含めた中央省庁レベルでも、いわば文書のペーパーレス化とかあるいは許認可手続のペーパーレス化ということについて取りかかったところでございます。  そして、これから地方団体にも、行政情報化の指針という自治省が示しておる中では、そういう問題も含めて検討していただくように御指導はしているわけでございますけれども、それを行う場合には恐らく、機関委任事務とかそういう国の法令上の手続内容を変更するというようなことも含めて検討していかなくてはいけない問題もあると思います。したがいまして、地方団体が行う、例えば戸籍事務を情報化する場合にはどういうことが隘路になるのかとか、あるいは福祉の事務でもそうでございますけれども、そういういわば分権に関する機関委任事務の見直しとか、あるいはもう少し進めていいますと、いわば地方行政における住民基本的な情報をネットワーク化するとか、そういうような動きともあわせて研究、検討していかなくてはいけない非常に大きな、かつ重要な問題だと認識しております。
  80. 福留泰蔵

    ○福留委員 十分その認識はお持ちのようでございます。時期の問題はあろうかと思いますけれども、これは、機関委任事務をどうするかとか、大きなレベルでいえば行政改革地方分権をどうしていくのかというものと連動していく話だろうと思います。その問題意識を、ぜひ具体的な場を持っていただいて、研究をそろそろ始めてはいかがかなと私は思っております。一応私の意見として、このことは申し上げておきたいと思います。  それで、先ほど来は行政情報化というお話をいたしました。さっきも御説明がありましたけれども、いわゆる地域の活性化という側面での地域情報化というふうなことも言われているわけでございます。地域情報化というのは、この行政の情報化よりも先んじてその必要性がいろいろ言われてきているところでございますけれども、この地域情報化というのは、地域の活性化、また地域住民の福祉の向上に利するということで、大変皆さんが期待をしていらっしゃる部分もあるわけでございます。  郵政省ではテレトピア構想とか、私の聞いている範囲では、それから通産省のニューメディア・コミュニティ構想等がおありのようでございます。自治省としても、この地域情報化に対する支援策もあると思いますけれども、簡単で結構でございますので、御紹介をいただければと思います。
  81. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 地域情報化に対する支援として、先ほどちょっと、行政の情報化に関連して、住民サービスを、例えばカード情報として住民福祉の向上に役立てるというような端的な例を御紹介したわけでございますが、一般論といたしまして、地域の情報化を進める方策としますと、マクロで地方財政計画あるいは地方交付税措置を通じて財政的な支援をしているわけでございますが、そのメニューは今比較的多様なものがございまして、情報発信のためのいわばソフト的な経費から、あるいはハード的な、地域における衛星通信のネットワーク、あるいはCATVの整備というようなものまで含んでいるわけでございます。  一つ重要な視点は、私ども自治省でございますので、この情報化時代には、いわばこれはオールジャパンといいますか、全国的なネットワークで情報のメリットといいますか、それを受益をしてもらわなくてはいけないということでございますから、やはり過疎地域とかあるいは農山漁村地域、山間地、そういうところにおける情報格差を是正をしていくということも自治省として取り組むべき非常に重要な柱だと思っておりまして、電気通信の格差是正事業というようなものを政府としても取り上げておりますけれども地方団体単独でもそれをやる場合に、自治省としてそれを支援していくというような形で、いわば基本的なインフラは民間主体で進めるというのが我が国の基本方針でございますが、それをいわゆる地方団体がアプリケーション面なりそういうような面で補完をして、地域格差のない情報基盤整備を進めていくというのが、自治省としての基本的な考え方じゃないかと考えております。
  82. 福留泰蔵

    ○福留委員 私、今の自治省の御説明に非常に共感をしているわけでございます。そして、特に今御説明になったことを、特段の、また具体的にさらに強化して御支援をいただきたいと思っているところでございます。  今も御説明ありましたけれども、高度情報化社会の到来というのは、中央部市と地方の情報格差がなくなり、地域の過疎化などに歯どめがかかるとの期待を地方ではしているわけでございます。つまり、東京と比べて情報格差のない、必要なときに必要な情報サービスが得られる社会が、そしてまた都会にはない自然に恵まれた住環境である社会が地方で得られるということでございまして、大変期待しているわけでございます。  しかしながら、今御説明があったとおり、こういうふうな基盤整備については、投資効果の見込みにくい地方では民間主導での整備が進みにくいという側面がありまして、ほっておきますと、逆に地域間の情報格差がますます拡大するということが十分に想定されるわけでございます。  一方、国の支援の方は、今御説明がありました交付税の措置、また地財計画の中で内容を盛り込んでいるというふうなお話がございましたけれども、実態はまだまだそういう面の配慮が具体的には私は欠けているのではないかなと思っております。自治体側の受け入れ体制の問題もありまして、そういう問題も含めてあるわけでございますけれども、自治体の規模の大小によって、極めてこの支援策については大きな差があるというふうな指摘もあるようでございます。  ある資料によりますと、国が進める情報化構想の指定状況は、市とか区は約四一・六%がその対象になっている、町は七・九%である、村に至っては五・九%にすぎないというふうなデータもあるわけでございます。情報化の推進に際して、地方自治体が一番困っているのはこの財源問題でございまして、設備投資、運営経費等に多額の予算を必要としており、国の構想以外は地方単独事業で、予算確保に非常に困っているという実態もあるわけでございます。そして、特にこういう問題は、財政規模の小さな自治体ほど情報化への投資が、財政の比率が高く、非常に重くのしかかっているという現状もあるわけでございます。  そして、さらにもう一つ別の観点から申し上げますと、情報通信分野における新技術や情報化推進施策というのは、大臣も先ほど御自身の体験をお話しになりましたとおり、実際に利用することでその有効性を実感できなければ普及しないという面もあるわけでございます。自分が使ってみて、確かにこれは便利だと、あの村はそれを導入したことによって大変よくなったと、その実例をまず示すことが私は大事なんじゃないかと思っているわけでございます。  つまり、こういう情報化の推進に当たっては、予算を含めて、まず重点的なある指定地域を設けての支援策を行う必要があり、そしてそれは特に財政規模の小さな自治体に目を向けて行うべきだろうと私は考えているところでございます。今、若干この件については御答弁があったことでございますけれども、今私が御説明したことで、自治大臣の方で何かお考えがあれば。
  83. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 本当に日本の社会全般、そういう傾向があると思うのでございますが、やはり、こういう便利なものがあるということで導入して、しかし逆に、それに仕え、振り回されるということも多々あったような気がいたします。  ですから、私が今、例えば自治省のLANがどういう形で使われているかというのを中で調査してみたいと思うのでございますが、私から見ると、いろいろあるようでございますが、私が記者会見で言っている言葉をある程度広報室長が簡単に紙に書いて、省の幹部には流しておいてくれているようでございます。なかなか就任のとき以来、課長以上の人を集めて話をする機会というのはそうないので、記者会見などを通じて、私がこういうことを考えているよということを言うのが、少なくとも省の幹部に徹底するのはいいかなと思っております。  私は今、国会で縛りつけられているから、何かあったらメールをよこしてくれよということを何度も言っているのでございますが、たまに帰って見るのでございますが、そんなに来ていませんね。だから、少なくとも、私が出す程度の人たちはそんなに使い切れていない。  さて、住民レベル全体ということになると、高度情報社会、特にコンピューターを使ったもので、どれだけ本当に便利になり、かつ、それで行政効率がいいものになるかという先生のお尋ねでございますが、大変私は、相当思い切ったことをやらぬと難しいと思います。  ただ私は、私の体験した一例で言うならば、私はキャッシュカードというのは実は知らなかったんです。女房に金が要るときはおろしてきてくれと言っておろしてきてもらったんですが、たまたま女房がいなくなるので、そんなの、キャッシュカードがあるから、あなたおろしておきなさいよと言う。ただ僕は、一方では高度情報通信などと言っていながら、キャッシュカードなんて使っていないし、大体、人の預金を預かって、下げるのに、自分で機械に向かっておろしなさいとは何事だという気持ちがありましたが、そんなこといって、通帳もないし、判こもないものだから、行けばわかると言うものだから行きましたら、確かに簡単な操作で出ました。感激をいたしました。  人の一番大きな財産をカードでおろせるのでございますから、これができるのでございますから、いや、個人情報の秘密は大事だとか、まあ例によってあれしますが、役所はいろいろ能書きは言いますけれども、役所の仕事よりもはるかに大事なお金をカード一枚で、それで暗証番号で、世の中で現実にこれだけやっていて支障が大して起きていないんですから、大概なことはやって大丈夫なんだと思うので、これは我々が英断をしなきゃならぬ話だと思っております。
  84. 福留泰蔵

    ○福留委員 大変、みずからの体験に基づいたお話でございます。  私がお尋ねしたかったのは、いわゆる情報化の推進については、重点的な予算配分、そして重点的な支援を行うべきだ、それは特に財政規模の小さい自治体に自治省としてそういう支援を行うべきであるということを申し上げたわけでございます。今、身近な話で御答弁なさいましたけれども意見として申し上げますので、ぜひ今後そういうふうな取り組みをお願いできればと思います。  そして、今私は、大臣の答弁を聞きながら実感しているんですけれども、各地方自治体それから自治省、それぞれお役所もそうですけれども、こういうことを推進する方々が、いかに上司の理解が得られなくて苦労しているのかなというふうな実態が少しかいま見えた感じがいたします。確かに、こういうことの予算を確保するためには、失礼な言い方をすれば、そういうふうな環境での経験が少ない、世代の高い方が最終的な判断をなさるということで、なかなかその利便性を実感できない部分があるんだろうと思います。  しかしながら、今、各地方自治体においては、先見性のある首長さんにあっては、ぜひとも地域振興のために、そしてまた住民行政サービスの向上のために、そして福利厚生の向上のためにということで、先見性を持ってこれに取り組みたいという地方自治体、またそういう首長さんたちもたくさんいらっしゃるわけでございまして、そういう方々に対して、ぜひとも自治省としてでき得る限りの御支援をお願いしたいということを申し上げて、この質問は終わらせていただきたいと存じます。  続きまして、先ほど申し上げました別のテーマでございます官官接待の問題について、質問をさせていただきたいと思います。  予定していたよりも最初の質問が長引きましたので、最後まで質問ができるかどうかわかりませんけれども、いずれにしても、この問題は大変重要な問題だと思っております。  私は、だれかが悪いとか、どこの県が悪いとか、そういうことを申し上げるつもりは毛頭ございません。これは、いろいろな仕組みの中で、やむを得ず個人のレベルではやらざるを得ない状況もあると思います、ある部分では。ですから、そういうのをやはりなくするためにはどうしたらいいかという、そういう観点から質疑をさせていただきたいと思いますし、きょう与えられた時間の中で質疑が終了できなければ、今後ともぜひいろいろな形で前向きの話をさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。  公務員の税金のむだ遣いとその綱紀の乱れの象徴として、国民の皆さんから今厳しい批判を浴びております官官接待、それからその不正支出問題等のことでございます。  最近、この問題が発覚、まあ発覚といっても昔からあったんだろうと思いますけれども、クローズアップされたその発端というのは、もう皆さん御存じのとおり、全国市民オンブズマン連絡会議という団体が全都道府県と政令指定都市に対して提出いたしました情報公開請求書からでございました。それが、平成七年、一九九五年四月のことでございます。請求を受けました地方自治体が、その後二カ月ぐらいの間に食糧費の経理関係書類を開示しております。それを、全国市民オンブズマン連絡会議が分析をしまして公表したのは、同年七月末のことでございます。  今回、この質問をさせていただくに当たりまして、委員会の議事録を精査してみましたところ、不思議なことに、衆議院では、予算委員会とか建設委員会とか運輸委員会、決算委員会等ではかなり質問をされているんですけれども、この地方行政委員会では私の調べたところでは一回しかないということでございまして、これは地方行政という立場からするとやはり大変大事な問題だろうと思いますので、あえて取り上げさせていただいたところでございます。  まず、今回、この官官接待の問題が発覚しましてから、地方自治体の行財政全般を所管する自治省として、どのようにこの問題をとらえていらっしゃるのか、どのような対応策をとられたのかをお伺いしたいと思います。
  85. 松本英昭

    ○松本政府委員 御指摘のいわゆる官官接待等の問題につきましては、ただいま委員がお述べになりましたような経緯があるわけでございますが、私どもといたしましても、国民の間に地方公共団体への不信感を惹起させまして、そしてまた行政の信頼性を損なったということで、まことに残念なことと考えております。  この問題が発覚いたしまして、直ちに、あれは平成七年の八月であったと思いますが、当時就任間もない大臣が即大臣談話というのをお出しになり、続いて私ども次官通知というのを出しまして、地方に厳しく対応を求めたところでございます。大きく分けますと、この種の問題は、一つは経費支出の適正化という視点と、それからいま一つは公務員倫理という視点とあろうかと思っております。私どもは、その両面から、その後も引き続きまして、次官通知はもちろんのこと、各種会議等においてたびたびその徹底を図っているところでございます。  それから、制度的な対応といたしましては、地方公共団体のチェック機能がどうも十分ではないのではないかというような御指摘もございましたので、早速地方制度調査会の議題にいたしまして、そして御案内のとおり、去る二十四日に監査機能の充実強化のための答申をいただきました。私どもは、その答申にのっとりまして、できるだけ速やかに地方自治法の改正を今国会にもお願いをいたしたいと思っておりますので、どうかよろしく御協力、御指導のほどお願い申し上げたいと思います。
  86. 福留泰蔵

    ○福留委員 今から十七年前の昭和五十四年十一月二十六日に、中央省庁として、官房長会議の申し合わせで、「官公庁間接遇等の自粛について」として「官公庁間の接待及び贈答品の授受は行わないことはもとより、官公庁間の会議等における会食についても必要最小限度にとどめる」という旨の申し合わせをしたと聞いております。  今問題になっている官官接待はこの申し合わせに反しているのではないかと考えますけれども、自治省はどのようにお考えでございますか。
  87. 芳山達郎

    ○芳山政府委員 今お話がありましたように、五十四年の十一月、官房長等会議において申し合わせがなされました。官公庁間の接待は行わないことはもとより、官公庁の会議等における会食についても必要最小限にとどめるというわけであります。自治省におきまして、地方公共団体に対して、これに準じた綱紀粛正の措置をとられるよう通知をしております。  このように、食糧費の支出に関して国民の不信や疑惑を招かないように注意の喚起を図ってきておるところでございますが、ただいまお尋ねがございましたように、会合の中には、今日的な目で見た場合、昭和五十四年の申し合わせの趣旨に照らして社会的に見て行き過ぎたものもあろうかというぐあいに考えております。
  88. 福留泰蔵

    ○福留委員 昭和五十四年にこういう申し合わせをしながら、依然として官官接待がなくなっていなかった、いや、ますますひどくなっているかもしれない。こういうことを考えますときに、国民の貴重な血税を預かり行政を執行する公務員のモラルが問題であるとだれしも考えるわけでございますけれども、それだけではなくて、根本的には国と地方の権限関係の問題、いわゆる中央集権型の行財政構造に問題がありはしないかとも考えるわけでございます。自治省のこの点に対する見解をお伺いしたいと思います。
  89. 松本英昭

    ○松本政府委員 ただいま委員指摘のように、こういう問題は中央集権的な行財政システムがその背景にあるという御指摘のあることは事実でございます。  ただ、個々の問題を考えますときに、やはり地方公共団体の側といたしましては、そういう指摘があったといたしましても、厳しく対応をしていかなければならないということは当然でございまして、各地方公共団体において現在その改善策に積極的に取り組んでおられるものと承知いたしております。  もちろん、委員の御指摘のような国と地方公共団体との関係というものもこれからは、さきの地方分権推進委員会の第一次指針勧告にもございますように、対等・協力を基本としたものに改革をし、地方公共団体自主性、自立性を高めることが重要であり、そうしたことが委員指摘のようにこういう問題を解消をしていく一つの道しるべにもなろうと思っておるところでございます。     〔委員長退席、宮路委員長代理着席〕
  90. 福留泰蔵

    ○福留委員 この官官接待の問題、それから不正支出の問題というのは、さまざまな地方自治体で、県が多かったでしょうか、そういうものが明るみになってきて、国民、住民皆さん批判を浴びてきているわけでございます。  つい最近は、私の住んでいる県でもございますのでなかなか申し上げにくいことでございますけれども、私の住んでいる埼玉県でもここ何日か報道されていることがございます。  一九九三年度に県の東京事務所などが食糧費で開いた懇談会に関する公文書で、懇談の相手方や使った店の名前等を非公開にしたのは行政情報公開条例の趣旨に反するということで、九五年十一月に埼玉市民オンブズマンという団体が非公開処分の取り消しを求める裁判を起こしたわけでございます。その訴訟の判決が今月十七日に出され、浦和地方裁判所は、「県は公開することで、行政の公正かつ円満な執行に著しい支障を生ずる事を具体的に立証していない」として、訴訟対象となった一人五万円以上の十九件について全面開示を命ずる判決を言い渡しました。そして、一昨日、接待の相手方の公開を埼玉県は決定し、公表しております。  その開示されました資料によりますと、大変申し上げにくいことでございますけれども、懇談相手は、自治省十二件、大蔵省一件、報道関係三件、不明三件と報じられました。場所は、全部が東京都内、銀座、赤坂、築地などの料亭が十六件、紀尾井町の一流ホテルが三件。一人当たりの最高金額は、九三年十月二十一日が九万六百七十四円、これは自治省のお役人が相手だということでございます。一回当たりの支出が最も高額だったのは九四年一月十一日の十七人で、合計金額九十五万二百九十円だということでございます。これも、残念なことに相手は自治省のお役人だったということであります。  もう具体的なことは申し上げませんけれども、そしてさらに、昨日の夕刊の報道によると、その食糧費の文書は実は改ざんされていた。何か一回分を三回に分けてやっていたということですから、一回分はもっと多かったのかというふうなことらしいです。  こういうふうな話を聞きまして、非常に私も残念に思っているわけでございますけれども、埼玉県は中央省庁の役人に対する接待は必要との立場を崩しておりません。地方財政を所管し、地方自治体に対して指導的立場にあります自治省がこのような接待を受けていた実態は、若干残念な感じがするわけでございます。  今の話は九三年の話でございますから、昔の話で今はやっていないと私は信じておりますけれども、自治大臣は職務柄こういう自治行政、いろいろ詳しいことだろうと思いますけれども、こういう実態を見てどのようにお感じになっていらっしゃるか、その御感想と、それから自治省内部、さらに地方自治体への指導というのか、今までも大変取り組んでいらっしゃるわけでございますけれども、御感想なりお考え方をお聞かせ願いたいと思います。     〔宮路委員長代理退席、委員長着席〕
  91. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 三つくらいお尋ねがあったと思うのでございまして、まず最初に、私は就任以来、空出張とか不正執行の問題ですね、みんな返すということを決めだということが報道されるのですが、世の中返せば問題ないのかということをずっと私は言ってきました。要するに、横領罪とか何かに当たるのなら、返しましたから勘弁してくださいというのはこれは通用しないので、そうじゃない、要するにどっちなんだということを私は問題提起したかったのでございます。  それは何も自治省がどうこう決める立場じゃなくて、基本的には地方自治体なりそこの警察が決めることなのでございますが、犯罪を構成するのなら、ばれて、返しましたからというのでは済まない話なんですね。そこのところがよくわからない。犯罪は構成しないんだけれども不適切だったという意味なのか、その辺がよくわからないし、地方自治体はそこをきちんとしてほしいということであります。自治省もそこのところをよく調べると言っているのでございますが、自治省自身は直接それについて調査権限その他はないようでございまして、報告は、どうも返したということで一件落着という都道府県が多かったという気がいたしております。  さて、二番目は官官接待のお尋ねでございますが、新聞に出る前に、よく自由民主党というのは金権腐敗の一番元凶だ、こう野党の皆さんから言われてきたのですが、おれだってこんなところで飲んだことない、特に吉兆なんというのはこの十年間に一、二回ぐらい何かの機会に行ったぐらいなのに、役人風情でしょっちゅうこういうところに行くのはまことにけしからぬ、こう申し上げたところであります。  いずれにしましても、出る方も地方のお金、こちら側も出したのか出さないのかわかりませんが、少なくともポケットマネーじゃないので、世間から、どう考えてもどんちゃん騒ぎというのは、幾ら抗弁しても私はだめだと思います、率直に申し上げて。  ただし、もう一つ問題がありまして、今度は、およそ税金というので一切飲み食いしちゃならぬというならいいのですよ。いいのですが、そうなんだろうかというあたりの限界がわからぬものでございますので。私はもう酒大嫌いでございますから、全然こういうのは苦にもならないのでございますが。  地方に行きます。この前も沖縄に行きました。私はその後、我々はそれぞれのところに仲間がいますから、そういうところの先生方のところに行って応援やら、あるいはそこの幹部と食事をするのでございますが、あのとき財政局長等と一緒に行ったのですが、彼らはどうするんだろうかなと思いましたね。あのときはもちろん八時半ごろまで公務でございましたので、それから飯食べて寝れば終わったんだと思いますが、あれが仮に五時半ごろ公務が終わって、さて翌朝までどうしたらいいんだろうか。ポケットマネーで遊ぶんなら遊ぶでいいですよ。それで沖縄県の人も、自治省の役人がそうしょっちゅう行く機会はないと思うのでございますが、話はしたいけれども、どこかで飯食べて酒でも飲めばたたかれる。これが果たして自治省のためになるんだろうか、あるいはそこの沖縄県のためになるんだろうか。  今度、先生方、地方行政委員会で旅行く出かけられて、これは官じゃないからわかりませんけれども、その地元の方が歓迎の意味を込めて何かしたい、めったに来るわけじゃないのでお話を聞きたいと言ったら、それはだめだと言われたらどうするんだろうか。  だから、この辺ですね。やはり会議を通じてテーブルを囲んでの話でいいのもあると思います。いいのもあると思いますが、同時に、それはそれとして、いろいろな一般情報というか地域情報みたいなもの、あるいは人となりみたいなものは、酒食を、飲食をともにしながらコミュニケーションを高めることがある。ただ、そこが、どのぐらいまでが限度かというのはある程度早く定めないと、今はある面ではじっと我慢しているかもわかりませんが、限界がわからなかったら、またぞろあらしが過ぎると同じような、吉兆でどんちゃん騒ぎなんということをまた自治省やらぬとも限りませんので、できるだけ早く僕はこういうようなものをルール化する必要があるな。ルールをオーバーしたい場合は、お互いに出る者同士がポケットマネーをさらに足そうじゃないか。  そして、そのかわり、私は有意義な飲食の会だってあると思うのでございます。例えば、皆様方どこういうふうにしておりますが、昔ですと大臣が、委員の先生方というので呼ぶんでしょうが、余りそういうのをするなというので私はやりません。早晩きっと地方行政委員長からこの法案が通ったあたりにでも委員長招待があるのでございますが、そうでもなきゃ廊下で会うきり、あとは答弁か質問以外に皆さんと話をする機会がないというのは、これはいいのか。  しかし、地方行政委員長の御招待も、委員会の中の若干の費用がある中で、私も商工委員長のときやりましたが、もとを正せば税金なのでございまして、税金で飲み食いするからけしからぬというのであればいかがかと思うし、じゃ、そのかわり全部ポケットマネーで出すとなると穂積委員長も大変だろうと思いますし、私も大変でございます。  どうかひとつ、大事な問題でございますので、もう本当にそこは委員がおっしゃるとおりけしからぬと言うつもりはない。しかし、けしからぬのですよ。やはり吉兆で夜な夜な飲んでいたらこれはよろしくないのです。どうかひとつ、この辺、ルールをつくる必要があると思いますので、お願いいたします。
  92. 福留泰蔵

    ○福留委員 大臣が大変率直に、具体的に詳しく答弁をいただいたために、質疑持ち時間が終了しましたという通知が来ました。若干今の大臣の答弁に対する感想と、それから若干の課題について少しだけ、あと一、二分お話しさせていただいて、終了させていただきたいと思います。  私は、今大臣が答弁なさったとおりだろうと思います。二月二十四日の朝日新聞の記事によると、各自治体の新年度の予算案の中で食糧費が三割、六十二億円減っている。それで、その中で東京都と高知県だけがもう官官接待を全廃した予算編成を組んでいるということで、ほかの県は官官接待ということもある程度容認するような予算編成になっているようでございます。  私もすべてがだめだという考えではございません。今大臣が答弁なさったとおり、どこまで許されるかというのを、やはりきちんとそのガイドラインというものを早急に示すべきだろうと思うわけでございます。そうしないと、やはり各地方自治体、またそれぞれのお役人の方々も本当に恐る恐る、どこまでやっていいのかわからないというふうな手探りの状況の中でそれぞれ大変大事なお仕事に取り組まれる状況になるわけでございます。今大臣からは私が申し上げた趣旨について大変前向きの答弁をいただいたわけでございます。ですから、そのガイドラインなり、ここまではいいんだということの線を早急に検討していただいて、出していただければと思うわけでございます。  まだ残余の質問が若干この件に関してありましたけれども、また次の機会を与えていただきましたらそこで質疑させていただくことにいたしまして、本日の質問は終了させていただきたいと思います。大変ありがとうございました。
  93. 穂積良行

    穂積委員長 鰐淵俊之君。
  94. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 大変長時間御苦労さまでございます。  私も以前に一回質問をいたしておりますので、三十分程度ですから余り詰まったお互いの論議にならないわけでございますが、まず冒頭、今回、総理大臣も六つの改革と言われまして並々ならぬ改革の決意を述べられました。まさに地方分権とかあるいは行財政改革というのはその改革の中の一つに入るんだろうと私は思いますし、その改革も、いわば多くの委員の方々からもういろいろお話しされました。大変貴重な御意見をたくさん私も聞かせていただいたわけでございます。  いわゆる幕末から明治維新の改革、それから戦後の改革、これはいずれも大変な血を流した改革だと私は思っておりますし、戦後の改革は、一方またGHQというのがありまして、日本人みずからが本当に改革したのかどうかということになりますと、どうも、まだGHQがありましたので、税制にいたしましても、あるいはまた教育制度にいたしましても、それぞれ本当に日本の改革であったかどうかということも問われるわけであります。  その中で戦後五十数年参りまして、今度こういった大きな改革に取り組む、こういう決意を内閣皆さんも表明されているわけでございます。したがいまして、そういった改革をして、平成改革ということを総理自身もおっしゃっておりますので、まさに私はそうだなと思います。  そうなりますと、血を流すという時代ではないんですが、それほど、今回の改革を実施するということにつきましては並の決意ではできない。やはり、何となく至るところからわからない圧力あるいはまたいろいろな圧力がかかって、なかなか思ったとおりの改革が進んでいかない、こういう局面に多々立たされると私は思うわけであります。  そこで私どもは、地方自治体あるいは地方自治ということを考えますと、何としてもよりどころは自治省でありますし、自治大臣が、閣僚の中で、三千三百の市町村、四十七の都道府県、こういったものをバックにしていかに地方自治を改革していくかということをロジカルに理解を求めていくかということが非常に必要ではないかと思うんであります。  そこで、基本的に私の考えは、私の生きている間はできないと思いますが、将来は、やはり地方と国といった場合には、国と地方という二層、いわゆる二つの次元があればいいと思うんですね。これは都道府県が残っているということは、従前の明治維新からのずうっと傾向がありますから、一概にこれは一足飛びに行かないと思いますけれども、この地方の二層制によってまた事務も複雑化しておりますし、国の伝達がストレートになかなか市町村におりてこない。都道府県の中でまたちょっと解釈が違っておりてくる場合もある。私など、長い間地方自治体を預かっておりましたので常にそう感ずるわけでございますが、しかし現実には、今地方分権推進委員会等でもこの二層制は認めて改革していくということですから、これはこれでいいと私は思います。  しかし、私個人は、将来はこの二つを核にしていった方がより効率的であるし、より伝達もスムーズであるし、より地方自治も充実していくと思います。それが、新進党におきましては三百の自治体と言っております。また、ここでは郡に分けた大体千ぐらいがいいだろうとか大臣も言われておりますし、それからまた大臣は、基本的に権限移譲、地方分権基礎自治体に充実していくべきだと、住民側に近いところにいくべきだと、全く私同感でございます。もう大臣のそういう考え方は全く私も同じなわけでございます。  そんな中で、分権推進委員会の諸井委員長が総理に手渡したときに、行革に対する基本的な認識という、これはすばらしいわずかな文章ですけれども、ほとんどここにその内容が、基本的な理念が挙げられていると思います。「地方公共団体に事務、事業を委譲することにより、住民に身近な事務は、地方公共団体が自主的、主体的に実施できることとするよう地方分権を推進する、」これはまさにこのとおりだと思うわけであります。  私は、長い間そういった地方自治に携わっておりまして、自治省の皆さん方は本当に地方自治体のことを考えていただいていると思っております。私ども二度の大きな地震に見舞われまして、私は防災服で三カ月役所に寝泊まりもずっとしておりましたし、そんな中で自治省は本当に心配をしていただきまして、そういう災害復旧につきまして本当に熱心にアドバイスもしていただきました。そういう意味では、自治省が地方にとっては頼みの綱だということもあるわけでございます。  そういうことを考えましたときに、これから地方分権を進める意味では、二面性から大きくとらえることが必要ではないか。一つは権限を渡す側の国という、それから渡された地方というこの二面の切り口で考えた場合に、この渡す方の側の国というところにいろいろこれは問題が内在しています。この地方分権を阻む要素というものには、よく言われるお金の問題ですね。これは、負担金を中心にした補助金ということですね。それから次は、平たく言うと判こですね。許認可です。許認可がもう非常に事務を制約しています。それから三つ目は、各種の通達ですね。これによって、行政改革をやろうと思ってもできないケースが今までたくさんありました。  端的に一つの例を紹介しますと、私が二十数年前行政改革を挙げて担当させていただいたわけですが、その当時私は、給食を給食センターをつくってもう少し合理的にやりたい、こう言って折衝させたとき、文部省は、給食というのは学校教育の一環である、そういうセンターはまかりならぬと言うんですね。各学校に単独給食施設を設置して給食を見せることに意義があるんだから、それはまかりならぬ、こういうことを通達、指導しておりました。私ども、できなかったんですね。  それ以後、また次はどういう通達があるかというと、今度は、給食センターをつくるときに私は民間に委託したいと思ったんです。そうしたら、これも教育上好ましくない、こういう指導がある。文部省でこれがあるんですが、これは各省にあるんです。  だから、こういうことをやっておったならば、地方は幾ら先見的にやろうと思ってもできない。議会等では、そういった中央の通達、中央のガイドライン、中央の指針、そういったものを持ってきて、おかしいじゃないかと。例えば消防力はしかじかかくかくあるべきだとガイドラインを出しています、足りないんではないか。いや実は、こういうぐあいに消防署を合理化して、通信ネットワークをつくって無線を使ってやるともっとこういうぐあいにできると言っても、自治省の消防力の水準からいってまだ足りないんじゃないか、こういうぐあいに言われますね。  だから、そういう規制というものを持っておったのではなかなか地方分権は進んでいかない、あるいは地方自主性で事務をやっていくことはなかなか難しい。こういった点について、今後いろいろ委員会地方からも要望があると思いますが、そういう点について大臣としてどのようにお考えになっておられるか。
  95. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 地方分権で最終的にそれぞれの地方自治を担うのが市町村でなきゃならないということについては法律で書いてありますし、そういうことで始めてきたんだからそうしましょうということを私は申し上げているんで、私が別にそんなことを考えているんじゃなくて、そういうことで始めたんだろうと聞いたら、いや始めたんだというんなら、じゃそういうふうにしなさいと。どうも今のままでいったらそうなるかどうかわからんよということで私は問題を指摘しているだけなんです。  さてそこで、できるだけ基礎地方公共団体というところに、できるならばそこで全部やれるようにするというふうにした場合に、やはり僕は、現実にはある程度の一定の規模というのはどうしても必要だろうと思います。そういうときにそれが幾つになるかというのは、委員おっしゃったとおり三百ぐらいの規模ならば、私は正直言って、中二階、都道府県は要らないと思いますよ。国と三百の地方自治体、十分やっていけると思います。これだけのそれこそ高度情報社会、それから交通ももっと立派にしようというんですから、それは幾らでも、三百なら、あえて都道府県が出しゃばらなくたって、十分国とそれぞれの三百ぐらいの市町村、そのとき村はないと思いますけれども地方自治体でやっていけると思います。  ただ問題は、三百まで持っていくのが正しいのか正しくないのか。鰐淵委員がやっていた釧路市はたしか三十万ぐらい、大きかったと思いますね。(鰐淵委員「二十万」と呼ぶ)二十万ですか。大きいと思うわけでございますけれども、じゃ全国、三十万とか四十万とかという市を本当につくることができるんだろうかという現実の問題も考えていただきたい。例えば横浜市みたいに既に三百六十万ですか、あるところ、もうこれは一つでいいんだという前提ならば、そしてでかいところをどんどんつくっていって、残りを例えば十万とか十五万ぐらいで市と呼ぶんならそれでいいのかもわかりませんが、そういうことじゃないだろうと思うんですね。三百というのは、平均して四十万ぐらいの、相当の規模と相当の体制を持った市町村があるという前提だろうと思うのでございますが、例えば、そうしたならば、私の選挙区はちょうど人口四十万でございますから、一市になればいいという話になるわけです。今、二十六市町村がありますが、私はどんなに考えたって、これを一つの市にすることはできると思いますが、私が前から言っているとおり、それは行政の都合上、そういう市をつくった、行政単位をつくったという話であって、手ざわり感もなければ地域の一体性もない。それだけは私は言える。少なくとも二つとか三つぐらい以上に大きく、もしさらにそれを四十万にしろといったら、それはもう全然心の通わない、自治意識のない団体になってしまうと私は思います。
  96. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 私は、二面の一つは国の方からの問題、一つ地方からの問題、こういうぐあいに分けて考えたいと思っておったのですが、ここの委員会でも、北海道の金田委員がいろいろお話ししておりました。私は、人口だけで物を区切っていくのは間違いではないかと思います。  私は、アメリカにはそれは非常にいい例があると思うのですね。アメリカの国会は、下院議員は人口で自動的に選出議員が決まります。ところが上院議員は、カリフォルニア千数百万、カリフォルニアでも二人。それから、アラスカという人口五十万のところも二人ですよ。五十万と千何百万です。でも、二人しかいないのです、上院は。私は、やはり見事な民主主義の国家だなと思っておりますね。  だけれども、日本は参議院も人口で多いとか少ないとか。そういう考え方でいったならば、議員さんというのは東海道メガロポリス地帯と一極集中している地点の都市、これにみんな議員が集まってしまうのですね。これは全くおかしいことになるわけでございますので、人口での区切りというものは、これは余り好ましいことではない。  北海道なんかはあれだけ広い地域を持っておって、そして人口五百七、八十万で知事一人ですよ。四国は三百六十万で四人の知事です。四国の方は中央省庁へ行きますと四国です、四国ですと四回言うところを北海道は一回しか言えないのですね。ですから、我々から見ると、被害意識がどうかわかりませんが、青函トンネルは一つはできましたけれども、四国に一兆円の橋が三つもかかるのかな、そういうひがみ根性が起きてくるわけであります。私はそうではないと思いますが、しかし、今考えましたように、北海道がたった一人の知事で、しかも、釧路あたりに来るのは年に一回来るか来ないか。二十万の都市で、知事が一回かそのぐらいですよ。そして、テレビや新聞に知事が来ると予告されて、まるで芸能人が来るような、こういうのが今現実に北海道にはあるのですね。  私どもの住んでいる道東というのは、百二十万あります。広さは四国四県に新潟県を合わせたくらいですよ。五県分が道東という。今、恐らく百万以下の県は十ちょっとくらいあるんじゃないでしょうか、十前後はあると思いますよ。そうすると、我々、道東というのは百二十万あると、これは優に一県に相当するのですね。  これもまた文部省の例で恐縮ですが、かつて文部省は医大をつくったときに、一県一医大主義というのをやってきました。一県一医大主義、まことにこれは間違えた考えですよ、文部省。そして、どんどん進めていく結果どうなるかというと、四国には四つの医大がありますよ。四つの県がありますから、四つ医大がある。それでもうお医者さんが余ってしまう。  それから、九州を見てください。北九州は、自動車で行けば二時間圏内に福岡があり、九大がありますね。それから、大分、佐賀、熊本、長崎、宮崎、鹿児島ですね。それに私立も入れたら十校もあるのですね。ところが北海道は、札幌医科大学という道立のと北大の医学部と、一県一医大主義てつくったのは旭川一校ですよ。  それで今、現実に北海道で、私どもの釧路、根室の方で、ある町では、一万人の町ですけれども、本当にお医者さんがたった一人しかいないのですね。その先生も今は七十近いのですが、病気になって休みますと、お医者さんがいない。それで、何とかひとつ市長お願いしたいということで町長に頼まれて、私の市立病院からも泣く泣く、そういう人命にかかわることですから送るのですよ。そういう実態が北海道に今でも現存しているのですね。こういうふうな状態で介護保険法をあんな厚生省のように淡々と考えて実施しても、なかなかこれは思うような形に進みません。そういう条件整備が全くできてないと私は思いますよ。  ですから、そういうときに、北海道が分県したいという意味は、やはり四国のようなものになりたいと思っているわけですね。四人の知事がいて北海道、北海道といけば、やはり同じような声になる。どうも声の大きさというのは、回数にもよりますし。ですから、やはりそういう意味で、どうも北海道は、私いつも知事には、五人分に匹敵してやれと。  税務局長さんなんかは北海道におられましたし、自治省の皆さんはもう私は二十年くらいはおつきあいしていますから、本当に皆さんよく頑張ってやっておられることを私は十分知っておりますので、いわば叱咤激励といいますか、自治省頑張ってほしいという気持ちで今質問しているのですが、そのように、北海道の場合は今言った、金田さんがこの委員会でも訴えたように、そういう実態があるということです。  ちょっとパイロット自治体の方は、時間がありませんので、これは抜かします。  そこで、それでは適正規模の町村をどうするか、受ける側として。今のままで自主的にいけばいいと、よく大臣ここで言われるわけですね。お医者さんが一人もいなくなるような町村をそのままでいいということに私はならないと思うのですね。ですから、今まで自治省もいろいろと考えてこられたのがあります。広域市町村圏あるいは連合とか、あるいは一部事務組合とか、あるいは、ある程度一定の規模の市以上になれば中核市の制度だとか、いろいろそれなりに考えてこられておりますが、やはり基本的に、分権を進める受け皿として、それにふさわしい機能を持たせなければならないと私は思います。  ですから、基本的に、それぞれ町村は自主的に合併を決めてもらいたい、これはもう全くそのとおりですし、私は異議を挟むものではありません。しかし、そのような姿勢でいる限り、私は合併は進まないと思います。現実に進まない。  そのいい例が、合併特例法が出ました。あれを見たら、新聞はみんな、いや、今度はこの法律でどんどん住民発議が起きて、合併協議会ができて、どんどんこれから市町村の合併が進むであろう、そうやってかなり社説でも新聞でも書き立てられた。ところが、あに図らんや、さっぱり進まない。なぜ進まないか。発議はしますよ、これは簡単です。何%かの署名があればすぐできるのですから。発議して、それぞれの議会へかかったら、これは議会で両方通るという状態になかなかないのです。ですから、町村というのは、どうもやはり残念ながら、身近な目の前の利益、エゴ、これが中心にどうしてもなるわけですね。  ですから私は、そういう中心になりがちな市町村に対して、現実は都道府県が調整役になるとか、あるいは自治省としては合併することによってこういうメリットが生まれるんだということで、交付税の特例も今はあるわけですけれども、なかなかこれはまたよくわかっておりませんね、町村長さん。  それからもう一つは、自治省だけでなくて農林省も厚生省も、これもやはり補助という中で、これは補助金制度でいいかどうかは別にしまして、そういうような制度によって、合併することによってその地域にそういった施設をつくっていくことも可能だ、こういうぐあいにしていただきたいと思うのですね。  ですから、私はここで言いたいことは、大臣がいつも、人間には十人に十人の顔があるんだ、したがってその三千三百はそれぞれの顔があるんだ、これはそのとおりでございますが、やはりただそのような形で手をこまねいておればなかなか受け皿の機能が進んでいかない、こういうことに対して、いかがでしょう。
  97. 松本英昭

    ○松本政府委員 合併につきましては、当委員会でももうたびたび御議論をいただいているところでございます。  私どもといたしましても、今後の地方行政の展開ということを考えてみましたときに、二つの視点からやはりこの合併の問題というのはトーンを上げてまいらなければいけないだろうというように考えているところでございます。一つは、やはり地方分権ということと関連をして、その権限を行使するだけの規模というものはあるかどうかということが一つ。もう一つは、先ほどお医者さんの例で挙げられましたけれども、これからの高齢化社会とかあるいは多様な国民ニーズ、そういうものを考えましたときに、そういうニーズに合っていけるような基礎的な自治体というものを形成していけるかどうかという視点であろうかと思っております。  それで、前者の問題につきましては、現実に権限を移譲する際に、どのような権限をどのような規模の市町村であれば委任ができるんだろうかということを私ども考えてみなければならないという気を持っておりまして、そういうことについて各省庁にも私どもの方へ投げかけていただくように、先日も分権推進委員会の方にお願いをいたしたところでございます。こういう事務について、こういうような規模であればその権限が移譲できるというようなことをお示しいただきたい。と同時に、先ほど委員が御指摘になりましたように、そういうことならば各省も各省の行政の中で相応の協力をしていっていただけるのではないかという考え方をとっておるわけでございます。  それから、そういう権限移譲ということを考えないといたしましても、やはりこれからの経済社会の進展というものを考えますれば、基礎地方団体の足腰を当然に強くしていかなければならないわけでございまして、そういうことで、現実的にこの各地方団体の合併機運の醸成をどうすればいいか。あるいは、二年前の特例法の改正の際に、委員も御指摘のように、交付税制度等がなり内容的には充実したものを用意はいたしておりますが、なかなか理解がされていない面も確かにあろうかと思っております。そういう点も含めまして、なお制度的にどういう点を改善していけばいいか、そういうことの検討にも着手するために、先日、地方制度調査会で合併問題を正式に取り上げていただくという総会の意思の決定を見たところでございます。  今後とも、私ども、前にも申し上げましたように、以前にも増してトーンを上げて合併問題には取り組んでいきたいと思っております。
  98. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 ぜひひとつ自治省の御努力を期待したいと思っております。  最後、五分ですから、もう時間がございませんが、一つは、よく私は県庁所在地へ行きまして、いつも不思議に思うのですが、県民会館というのがありますね。これはもう三十億、四十億で建てるのですね。その隣に市民会館というのが、やはり四十億、五十億で建てている。これは一体どうなのか。そしてお互いになかなか使用率が上がっていない。どっちの方も、これはみんな自治省の起債ですね。なぜそういうときに自治省は、もう少し指導で、同じようなものをつくるならもっと県民の違う方の要望のものができないかとか、そういうようなことができないのだろうか。いや、これは地方自主性だから全部地方から来たものを任せますよでは、僕はやはりまずいのではないか。やはり市長と知事と向こうを張ってやるという県庁所在地は結構あるのです、私も市長の仲間で随分知っていますから。これは非常に、もうこれは行政上のマイナスですよね。  それから、私は、まちづくり特対事業あるいは地域総合整備債、これはすばらしい制度だと思っております。だから、もう厚生省や文部省の弱小補助金なんかだれも目を向けません、今の自治体は。ほとんど自治省のまちづくり特対、交付税措置のある、そういうものでもって住民の必要な施設をつくっています。ですから、私はこれは本当にすばらしい制度だと思っています。  そこで、最後になりますが、自治省のOBである石原さんが言っておられますけれども、これはいろいろ言っているのですが、地方債の中で許可制度に触れまして、「許可制度は必要だが、今のままで良いかは検討する必要がある」、こう言っているのです。  私も全くそうだと思うのです。許可制度は必要だと思います、やはり放漫首長というのは結構いますから。あれもやる、これもやると自分の財布を考えないでどんどんやってしまって、最後になって赤字になっちゃった、こういうところもありますので、これはやはり自治省も十分チェックをしなければいかぬ。  しかし、各自治体でいわゆる財政収支率、公債費率あるいはその町の景況指数を見れば、起債を許可できる範囲、大枠の範囲がどの程度かということは想像できるのですよ。ところが、今は全部自治省は都道府県を経由して一件審査ですね。膨大な書類、膨大な審査、膨大な時間がかかって、手間暇かかっている。これはぜひ分権の中で、もう少し簡潔にできて、地方がもっとスムーズにやりたいことがやれる、本当にやりたいことがやれる、むだのないことがやれる、こういうように指導していただきたいと思います。その点、どうでしょうか。
  99. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 ただいま鰐淵委員から、特に地方債のことにつきまして膨大な審査がかかっているじゃないかとお話がございました。  若干こちらの方から申し上げたいわけでございますが、今一件審査というやり方というのはほとんどなくなっておりまして、市町村全体について県ごとに枠配分という形で実際に仕事をしているのが大半でございます。  また逆に、先ほど御指摘がございましたように、似たような箱物が建ってくるとか、近隣で類似のものが建って、もう少し調整した方がいいんじゃないかというふうなお話が、時々指摘を受けることがございます。やや微妙なところがございまして、私ども、それでは先ほどお挙げになりました道民会館と市民会館の場合に、両者で話し合っていただくのが最も望ましいわけでございますけれども、私ども地方債の許可という段階を通じて、どちらかに向かって、ちょっと自粛した方がいいんじゃないかということをなかなか言いづらいというところもございまして、やはり基本的にはそのところはそれぞれの自治体の判断、あるいは地方の議会で、ああいう建物があるから改めてこの建物をつくる必要はないんじゃないかという議論を十分にやっていただくのが本来の筋じゃないかと思います。  今の地方債の許可制度につきましては、今の分権の大きな方向の中で、むしろできるだけ関与を緩めるといいますか、弾力化するということを目指すべきだという意見分権のサイドから強うございます。私ども基本的にいろいろな角度から検討してまいりたいと思っていますけれども、片方で今御案内のように財政再建ということが非常に叫ばれておりまして、財政赤字を中期的にGDP対比でコントロールしなくてはいけないという目標が今つくられている状況でございます。地方の場合に、その財政赤字はすなわち地方債の毎年の発行額でございます。その辺の兼ね合いがなかなか難しいところがございますが、全体の分権の流れの中でできるだけ地方は自主的な財政運営ができるように、地方債の事務につきましてもこれまでも弾力化、枠配分というような形で進めてきておりますけれども、そういう方向ではこれからも進めてまいりたいというふうに考えております。
  100. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 質問時間も終わりましたので……。  要するに、地方行政改革地方分権、これは本当に痛みのある、またそれぞれの省庁においても縄張りというものがありますし、縦割りもありますし、これをぶち破っていくということは並大抵のものでないと私どもも思います。したがって、自治大臣を先頭に自治省の皆様方、それぞれ地方自治体の希望、要請をできるだけ参酌しながら真の地方自治を確立するように、ぜひひとつまた頑張っていただきたいと思います。お願いを申し上げまして、質問を終わります。
  101. 穂積良行

    穂積委員長 富田茂之君。
  102. 富田茂之

    ○富田委員 新進党の富田茂之でございます。  質問に先立ちまして、午前中の自民党の平沢委員の方から我が党に関する御指摘がございましたので、一言返答させていただきたいなと思います。  平沢委員の御指摘は事実誤認がございまして、オレンジ共済事件につきまして、我が党に所属しております細川元総理が後ろについているからとか、我が党がバックにいるからと被害者の方が思われているという御指摘がございましたが、それはもう全く事実無根。恐らくその被害者の方がそのように思われたからこういう事件が起きたわけでありまして、その点、事実誤認に基づく主張をこういう委員会でされるというのはいかがなものかなというふうに思います。  また、平沢委員は、警察の御出身と伺っておりますが、我が党に法的責任はないと言いながら被害弁償しろという御主張もされておりました。ちょっと私、弁護士出身ですが、その責任がないのになぜ弁償しなければならないのかなという、全く理解に苦しむ御主張でございました。政治的責任また道義的責任等について問われるのであれば仕方ないと思いますが、ちょっとそういう、法的に筋の通らない御主張を委員会でされるのはいかがなものかなというふうに思っております。  我が党の元党首であります海部元総理また小沢党首は、昨日の我が党の両院議員懇談会できちんとその点、国民の皆様におわびをしておりますので、誤解のなきようにしていただきたいなと思います。  それはそのあたりにしておきまして、まず、地方交付税法第六条の三の第二項、その対応について、またもう一点、交付税特別会計借入金の問題点について、この二点について、自治省の方と、また関連して大蔵省の方にも若干お伺いしたいというふうに思っております。  火曜日の当委員会におきまして、畠山先生の方から、この地方交付税法第六条の三第二項について自治省、大蔵省、どういうふうに考えているのだ、財源不足が三年続いた、来年もそういうふうになるだろうということで、この条項の適用をきちんと考えるべきではないのか、それにもかかわらずまた今回単年度限りの措置で切り抜けていいのかという御主張がございました。財政局長、また大蔵省の方から、国も地方も大変なんだ、ぎりぎりやってこういう措置を考えたので、まあ何とか理解してもらいたいというような答弁がございました。本当にそれでいいのかなというふうに畠山委員質疑を聞いておりましてちょっと感じたのであります。  実は、昨年は当委員会におきましてこの地方交付税法の審議が三月二十五日に行われております。それに比べますと大分早い審議でして、そのあたりにはちょっとぜひ御理解をいただきたいと思うのですが、そのときに、当時の財政局長でいらっしゃいます遠藤政府委員が、山名委員が今の私と全く同じような質問をされたのですが、それに対しまして、   単年度限りの措置ということではありますけれども、この地方財政制度改正という中には単年度の措置も入るという前例もあるわけであります。 こう答弁されております。これは内閣法制局もこのように答弁されておりますので、これはもう間違いないというふうに思います。ただ、その後に、  やはり望ましいのは、長期的に見てこういう財源不足の状況が恒常的であるというような見込みが立ったときには、恒久的な措置を講ずるのは当然であります。 というふうに答弁されております。そして、それに続いて、   しかしながら、平成八年度を見てみた場合に、やっとこれまでの経済対策の効果というものが出てきて景気が上向いてきているという状況がございますので、その状況を見きわめ、税収、特に地方税収入国税収入、こういったものがどうなるのか見きわめる必要があったこと。それからもう一つは、平成九年度に地方消費税の創設を控えているわけでありますが、平成八年度中に税制改革の議論が、これは法律に書いてあるわけでありますので当然予定をされている。 これは法律に書いてあったのですけれども議論はしなかったわけですね、閣議決定でぱっと決めてしまった。  この税制改革の結果がどうなるかということを見きわめる必要があるのではないかというようなことから、恒久的な制度改正は必ずしも適当でない、こういった状況というのを見定める必要があるということで、その六条の三第二項の規定に基づく平成八年度限りの特例措置ではございますけれども、通常収支不足にかかわる地方交付税の増額による対応について、国と地方とが折半をしてそれぞれ補てん措置を講ずる こういうことにしたのだと昨年はこの委員会答弁されております。  これによりますと、要するに、ことしはもう景気がよくなって、税収も上がるだろう、消費税も五%になって、地方消費税も創設される、そういう制度改正を見きわめた上で恒久的な制度考えればいいのだという昨年の御答弁だったわけなのです。  ところが、税収は上がってこない。まだまだ財源不足がある。でも、これは制度改正されたわけです。消費税の方は、このままいけば四月から五%に上がる。地方消費税も導入される。  そういうことを考えますと、昨年のこの御答弁を踏まえると、ことしの地方交付税改正でまた同じような措置をとるというのは、この答弁は一体何なのだったのかなというふうに思うのですが、そのあたり、どうでしょうか。
  103. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 地方交付税法の六条の三第二項は、地方交付税制度、もちろん地方財政制度にとりまして大変重要な規定でございまして、私どももその規定の意義を大変重く受けとめておるわけでございます。  確かに、望ましいのは、財源不足がある程度何年かにわたって続いて、しかもそういう状況が続くというふうに見込まれる、いわゆるこの規定に該当する場合には、地方交付税率の引き上げを含めてきるだけ恒久的な制度改正がとられるのが望ましいということは、私どももそう考えております。ただ、昨年の場合にも、税制改正との関連あるいは全体の景気の状況との関連等いろいろ見きわめる必要がございました。  平成九年度は、確かに税制改正が、全体として減税が先行しておりましたものに対して、消費税関係税率アップあるいは消費税に係ります地方交付税率のアップといったようなことも予定どおり実行されるという段階になりましたけれども、この段階で私どももいろいろ地方財政収支の全体の状況を詳しく精査をし、かつ、いろいろな各費目につきましてできるだけ歳出抑制に努めるということで取り組んだわけでございます。  片方で、歳入面で、税制改正がいよいよ実行される段階になったこの九年度におきましても、全般的な歳出抑制に努め、かつ、例えば単独事業につきましても消費税アップ分をのみ込んで同額というふうなことまでいたしましたけれども、なお引き続き多額な財源不足がどうしても生ぜざるを得なかったという状況でございます。片方で、国の方もまた非常に厳しい財政状況が続いておりまして、まだ相当大きな特例公債に依存せざるを得ない、そういう状況でございます。  それらをいろいろ考え合わせますと、恒久的な制度改正を行うのが望ましいことは当然でございますけれども、そういう情勢の中で、交付税率の引き上げ等の恒久的な制度改正は難しいというふうに判断をせざるを得ない、私どもとしてはそういう判断に至ったわけでございまして、国、国庫当局とのいろいろなぎりぎりの折衝を続けながら、最終的にそういう判断のもとに、単年度の制度改正として交付税特別会計の借り入れによる一定の償還についての国の負担、それから一般会計からの加算ということで、今回平成九年度の制度改正として御理解をいただきたいということで法案を提出させていただいておるわけでございまして、全般的にはそういう状況のもとに判断いたしましたことを御理解いただきたいと思います。
  104. 富田茂之

    ○富田委員 余り理解できないのですけれども、今のような財源不足の状況はある程度恒常的になりつつあるのじゃないかな、四年も続くのを見ておりますと。  いろいろな財政措置を講じたけれども、やはり財源が足りないのだというのが今の局長の御説明だったと思うのです。そうなると、ではいつになったら抜本的な制度改正あるいは今言われた交付税率の引き上げというところに踏み込んでいくのだ、毎年毎年財源が足りないけれども、単年度措置でやっていくのか、どの程度まで見通せるようになったら恒久的な措置をとるのだというそのあたり、何かそのメルクマールなり、こういうふうなときになったらやりますしというようなものはあるのですか。
  105. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 交付税法の六条の三の第二項の規定がいわば発動される条件は、委員よく御案内のとおりだと思いますが、交付税の不足額が一割以上という状態が二年間続いて、三年度以降もそういう状況が見込めるとき、そういう条件でございます。  現在の財源不足の状況は、平成九年度で見ますと、地方消費税が平年度化しない、そういう単年度限りの特別な条件がございますが、通常収支につきましては四兆六千億ということで、昨年度よりは財源不足が一兆二千億ぐらい縮小したということでございます。  平成九年度の税制改正が行われた後の実績、これから九年度に入っていってどういうふうな税収の実績になるかということをもちろんよく見きわめる必要がございますが、先ほど申しましたように、国、地方を通じて非常に厳しい財政状況の中でございまして、政府・与党一体となって財政の再建目標をつくって、二〇〇五年までのできるだけ早い機会に単年度の財政赤字を国、地方合わせてGDP対比で三%以下にするという目標をつくっておるわけでございまして、これは相当いろいろな面で従来の制度を見直し、かつ歳出の抑制に各分野で取り組む必要があると思います。そういうことを見きわめながら、それぞれの国と地方財政状況をよく判断をして、どういう制度改正を行っていくべきかということを考えていく課題であると思います。  今、具体的に、こういう状況になったときに恒久的な制度改正がとれるということをなかなか見通して申し上げにくい段階にあるんじゃないかと思っております。
  106. 富田茂之

    ○富田委員 答弁しにくいのでしょうけれども、大蔵省の方にお伺いしますが、調査室の方からいただいた資料で、「平成九年度の地方財政についての意見」ということで八年の十二月十三日に地方財政審議会の方から意見書が出ておりますが、その中でも、「明年度の地方財政対策においても、財政収支見通しが明らかになった段階で、明年度が税制改革に伴う地方消費税導入の初年度であること等も踏まえ、地方財政制度改正等を検討し、地方財政の運営に支障が生じることのないよう万全の措置を講じるべきである。」こういうように、財政審議会の方も意見書を出しているわけですよ。  こういう意見を踏まえて、大蔵省としては、地方交付税法六条の三の第二項の適用について、どのように今考えていらっしゃいますか。
  107. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 御指摘交付税法六条の三第二項の重要性につきましては、私ども大変重く受けとめております。したがいまして、地方財政財源不足が見込まれるような状況のときには、地方の行財政の運営に支障が生じないように財源不足はちゃんと手当てする、手当てできるということが大変重要な課題だろうということで、予算編成におきましても、そういうことに遺漏が生じないように、自治省ともよく相談をさせていただきまして適切な措置をとってきているところでございます。  ただ、委員指摘の、そういう措置が単年度の措置としてとられているじゃないかという御批判につきましては、先般のここでの質疑もございましたけれども、私どももそれは可能であればそういう恒久的な仕組みが導入されるのがいいわけでございます。  ただ、先ほど財政局長も説明されましたけれども経済の先行き、あるいはそれに伴う税収の見通し、それから地方消費税の関連もございますけれども、国、地方をあわせました財政の再建のためにいろいろな制度改正制度改革をやっていかなきゃいかぬわけでございまして、構造改革をやっていかなきゃいかぬ、そういう状況も見きわめていきませんと、今の段階でこういう制度で恒久改正という判断をするのはなかなか難しいというのが現実だろうと思います。
  108. 富田茂之

    ○富田委員 恒久的な制度改正は難しいということですけれども、今回の単年度の措置の中でも、交付税特別会計借入金による財源補てん措置がなされているわけですよね。  これはちょっと自治省の方にいろいろ資料をいただいて勉強してみたんですが、昭和五十九年度の地方財政対策の際に、交付税特別会計借入金はもうこれからは原則としてやらない、原則という言葉が入っておりましたけれども、やらないんだというふうにたしか決められていたんではないかにもかかわらず、ここのところまた何年かずっと単年度の措置というような形で交付税特別会計借入金を利用しているというのはいかがなものなのかな。  これは地方にとっては、ある意味で先の交付税を今食べてしまっているというか、実質的に将来の交付税の実額が減ってくるわけですよね。そういう意味で、交付税特別会計借り入れによって財源補てん措置をするというのはちょっと問題があるんではないかと思うのですが、大蔵省はそのあたりどのようにお考えですか。
  109. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 五十九年度に制度改正いたしまして、借り入れによらないで地方財政調整を行っていこうという基本方針ができたわけでございますけれども、実は、その後の経済の停滞等を反映いたしまして、四年度、五年度は補正で、税収の減で三税とか交付税一定割合を占めております国税が減額されて、結局その補てんをしなければいかぬ。しかし、補てんをするのにも、国の方もむしろ税収を落とすような状況ですから、そういうことで借り入れが補正から始まったわけでございます。  それで、六年度にまいりますと、さらに景気の停滞が見込まれ、特別減税を行わなきゃいかぬ。それで、特別減税の財源もございませんから、特例公債を出して特別減税を行おう、あるいはその他の公共事業の追加等をやって景気刺激を行うというような状況でございまして、そういう中で、六年度の当初予算から地方財源不足を借り入れで賄おうという事態に立ち至ったわけでございます。  私も、そのときの状況をちょっと勉強してみましたけれども、平成六年の三月二十五日に衆議院の地行委員会でやはり質問がありまして、穀田議員の質問に対しまして、当時の佐藤自治大臣がこういうふうにお答えされております。「いずれにしろ、昭和五十九年のあの協定に至るまでにはいろいろな経過もございましたけれども、昭和五十九年に想定をした以上の財政状況の厳しさということから、このやり方しかないという判断に立って実行したわけでございます。」こういうふうにおっしゃっておられるわけでございますけれども、六年以降も特例公債が累増していくという状況でございますし、九年度はいろいろな事情で特例公債の発行額自体は八年度より減りましたけれども、七兆五千億という特例公債を発行しているような状況でございますから、国、地方をあわせた財政の厳しさというのは変わらないのだろうと思うのです。  したがいまして、そういう状況でございますから、非常に特例的でございますけれども、こういう借入金の措置に頼らざるを得ないという状況ではないかというふうに思います。
  110. 富田茂之

    ○富田委員 状況はよくわかるのですけれども、例えば五十九年のときになぜそういうふうになったかといいますと、五十八年度末の交付税特別会計の資金運用部からの借入金の残高が十一兆五千二百十九億円、これはちょっと余りにも額が大き過ぎる、これはどうにかしなきゃいけないということで、五十九年度から交付税特別会計借入金は原則としてやらないんだというふうになったといろいろな資料を見るとなっております。  今も全く同じような状況じゃないかなというふうに、ちょっと六年からの状況を見ていますと、平成五年度の年度末の残高が三兆七千九百五十六億円、それが平成六年度になりますと六兆七千百三十五億円、平成七年度は十一兆六千八百五十七億円、平成八年度は、地方負担分が十四兆三千五百二十八億円、国負担分が一兆二百二十五億円、トータルで十五兆三千七百五十四億円だ。  これは、今回の法改正が通って、平成九年度はどうなるのか、ちょっと自分で計算してみたんですが、これもトータルで恐らく十七兆一千四百四十四億円ぐらいになる。これは五十九年度のときと同じような状況になっていくんじゃないか、特に地方財政を見た場合に。このまま単年度措置を繰り返していて本当にいいのか。もう五十九年度のときと同じような決断をここでやらないといけないのではないか。それができないのであれば、先ほどの六条の三第二項の適用問題に戻ってもっと抜本的にやっていかなきゃいけないのではないかというふうに私は思うのですが、財政局長、そのあたりどうでしょう。
  111. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 昭和五十九年度に、地方財政対策について画期的な改正といいますか、行いました。地方財政にとりましては一つのエポックメーキング的な年であるわけでございますが、確かに、特会の借り入れがふえてまいりまして、十一兆余りになった。これで、これ以上特会の借り入れをしないようにという原則を打ち立てまして、その年度末の特会の借り入れを折半をして国と地方でそれぞれ半分ずつ処理しようということにいたしたわけでございます。  その後、経済情勢もございまして、私どもの方は、その特会の借り入れを平成三年度までの間にほぼ返し終わるというところまで健全化に努めてきたわけでございますが、四年度以降、景気の停滞がございました。また、六年度から後は、減税という非常に大きな事情の変化といいますか、新しい状況が出てまいりました。これが減税先行という形で行われましたことから、非常に大きな財源不足を地方にもたらしたわけでございまして、五十九年度で考えた、想定をいたしておりました状況を大きく変えてしまうぐらいの大きな財源不足ということになりました。  そういうことから、平成六年度以降、当初段階から、こういう特会の借り入れが再びかなりの金額で行われ、今委員が御指摘になりましたように、今回のこの改正案がお認めいただけますと、九年度末で地方の負担分で十五兆、国の分と合わせて十七兆余り、こういうことになるわけでございます。  したがいまして、財政の健全化というのは非常に急務であると私ども思っております。その最初の年として、平成九年度に当たりましては、先ほど申しましたような税制改正の実行というのが片方にございましたし、歳出各般にわたりまして徹底した抑制に努めて、できるだけ財源不足を圧縮したいということで取り組んだわけでございますが、なお引き続きああいう状況で、四兆六千億余りという大きな金額になっております。  したがいまして、これは単に地方側だけの要素ではなくて、全般的に景気の停滞なり、あるいは減税先行なり、その間の景気対策なりといったようなことで、国、地方とも非常に大きな財政負担をそれぞれの財政がしょっておりますので、やはり両方を通じて構造的な財政健全化といいますか、再建策を立てていかなくてはいけないということであろうかと思います。  そういう意味合いで、政府・与党一体となって取り組んでいくという姿勢で会議を設けておるわけでございまして、私どもも、そういう構造改革会議の検討の状況に応じて、地方財政の健全化ということも、その中でできるだけ図っていくということで取り組んでまいりたいと思っております。
  112. 富田茂之

    ○富田委員 私は、もう恒久的な制度改正をすべきだと思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。  ちょっと残り時間が少なくなってしまいましたので、一月二十九日の委員会で質問させていただこうと思いまして通告しておりました、ボランティア休暇をとって重油回収作業に従事した高校の先生が亡くなられまして、この件に公務災害の適用があるのかどうかというのが大分問題になっている。石川県の高校の先生ですが、一月二十一日に、午前中に重油回収のボランティアに出られて、気分が悪くなって急性心不全で亡くなったということで、一月二十五日の朝日新聞の夕刊に記事が載っておりまして、翌日の北国新聞、地元の新聞ですが、北国新聞で、何とかならぬのかという、「補償の道探る」というような大きな記事が出まして、一月二十九日付の毎日新聞では、石川県教育委員会の方で、ボランティア中だけれども公務性が高いんじゃないか、もともと午前中、学校に寄って校長先生の指示を受けて、午後から高校のクラスの生徒たちがボランティアに参加するので、その様子を見に行くという面もあったのだ、また現場から、雪が降っていてマイクロバスでの移動は危険だというような連絡もしてきていたということで、単純にボランティアとは言えないんじゃないか、公務災害に当たるんじゃないかということで、地方公務員災害補償基金の方に認定請求するんだというような報道がなされておりました。  ただ、全くボランティアだとすると、やはり公務遂行上じゃないですから、これはかなり厳しいのじゃないかなと思うのですが、現場の判断としては、公務性が強いということで公務の一環だというような形でとらえて認定請求を決めたようなんですが、そのあたり、現在、認定請求とかされているのでしょうか。
  113. 芳山達郎

    ○芳山政府委員 現在、申請はまだ出されておりません。  今回の高校教諭の死亡事故でございますけれどもお話にありましたように、ボランティア休暇中の災害であります。また、御指摘ありましたように、生徒のボランティア参加の下見、また事前調査をするようにとの指示もあったやに聞いておりますが、さらに、急性心不全という疾病による死亡であります。いろいろの事情が重なっております。  御案内のとおり、地方公務員災害補償制度というのは、公務上の災害に関する補償を実施するということで、請求主義になっております。先ほど申し上げましたように、本件事案は、正式にまだ現時点では請求はなされておりませんし、任命権者であります石川県教育委員会において、現在、公務との関連等を調査中、資料を取りまとめ中と聞いております。  今回の事案は、ボランティア休暇中に起こったものであり、公務災害かどうか一概には言えませんけれども、今後の御遺族からの請求内容、また任命権者の意見等を踏まえて、認定をする権限を持ちます地方公務員災害補償基金石川県支部において、具体的事案に即して、相当因果関係を十分調査検討されるものというぐあいに思っております。
  114. 富田茂之

    ○富田委員 経過はそういうふうになると思うのですが、実は、人事院の方から「ボランティア休暇の取扱いについて」という通知が出ておりまして、その中で、ボランティア保険に入りなさいというようなことでこれを何とかカバーしようということで、そういう通知がなされておったようです。この先生も一応ボランティア保険に入っていらっしゃった。ただ、ボランティア保険が、賠償責任とか傷害、死亡というようなものにしか適用されなくて、こういう病気で亡くなった場合に適用はあるのかというような問題も出てくるようであります。  せっかく国家公務員や地方公務員がボランティア休暇をとって活動できるようになったのはいいのですけれども、どうもその際の、何かあった場合の補償制度というものがリンクしてなかったんじゃないか。たまたまこの方はそこにすぽっと入ってしまったというような感じがするんですね。ボランティアなんだからということで、そこまで地方公務員災害補償基金等でもしかしたらカバーできない可能性が出てくると思うのですが、ボランティア活動め重要性というのは阪神大震災の支援活動を通じて認識されてきたわけです。ボランティア活動を推進、地方公務員も一生懸命やりなさいと自治省も旗を振ると思うのですが、その際に、やはりこういう場合にも補償ができるような、何かそういう制度的な検討が必要ではないかと私は思うのですが、大臣、そのあたりはどうでしょう。
  115. 芳山達郎

    ○芳山政府委員 ボランティア活動でございますけれども、一人一人の自発的な、主体的な意思に基づく実践で活動に参加されるということが主でありまして、その皆さんないしは団体がみずからの意思で行う社会的な活動ということで、それがまた公務員の場合は行政にもよい効果をもたらされるということで、ボランティア休暇が国家公務員にも地方公務員にも導入されております。  今お話ありましたように、その場合でも、不慮の事故が想定されるわけですから、人事院においても、また自治省においても、会議等を通じてボランティア保険に入るようにという指導をしております。  御指摘がありましたように、ボランティア保険そのものは、一般的には傷害が対象の保険制度というわけでありまして、民間の保険会社がそういう形で偶発の外来事故に対する、傷害に対する保険金の対処というように伺っておりまして、委員指摘の、疾病等も対象にするかどうかを含めて、今後、関係機関で検討されるべきものというぐあいに思っております。
  116. 富田茂之

    ○富田委員 質疑時間がなくなりましたので、警察庁の警備局長に来ていただいておりますので、二月二十日の当委員会で元巡査長の告白ビデオの放映について三十分質問させていただきましたが、あの後警視庁の方で抗議されたとか、また告白ビデオが放映されるに至った経緯について調査されるということでしたが、そのあたり、現在までの調査状況について委員会で報告できることがありましたら最後にお伺いして、また大臣もこの件について、閣議後の記者会見等で、人権上大分問題があるというような御発言もされたようであります。何かこの件に関して御所見がございましたらお伺いしたいと思います。
  117. 杉田和博

    ○杉田政府委員 警視庁は、二月の十八、十九の両日、日本テレビによって放映されました長官狙撃事件に関連をするビデオの中身、これが現在鋭意捜査中の長官狙撃事件の捜査に重大な支障を及ぼすという判断のもとに、二十一日に日本テレビに対しましていわゆる抗議書という形で手渡しをいたしました。本件に関する遺憾の意を表明いたしますとともに、今後この種のこういったいわゆるビデオ放映を二度としないようにということを強く要請をいたしました。  なお、委員御質問のいわゆる放映されるに至った経緯については今なお調査中でございますので、その点で御容赦願います。
  118. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 警備局長が申したとおりでございます。
  119. 富田茂之

    ○富田委員 終わります。ありがとうございました。
  120. 穂積良行

    穂積委員長 葉山峻君。
  121. 葉山峻

    ○葉山委員 これから一時間有余にわたりまして、大きく言って三つの問題について御質問申し上げたいと思います。  一つ財政計画に関連する諸問題、二番目に今最大の問題となりつつある地方分権に関する問題、そして三番目は、先ほど鰐淵前釧路市長も論議されましたけれども、現在の分権の受け皿問題として大変論議がやかましい市町村の合併問題について御見解を伺いたいというふうに思います。  以下順を追って御質問申し上げます。  一九九七年度の通常収支の不足額は四兆六千五百億円という巨額なものであり、そして地方交付税総額の二七%にも該当しております。ここ数年、通常収支不足が何年も続いておりますけれども、その原因をどう考えておられるのか、政府経済対策、景気対策によるものではないか、この点について伺いたいのが第一点であります。  これに関連しまして、この通常収支不足に対しどういう対応をとってきたかということであります。特例措置として一般会計から繰り入れるべきところを交付税特別会計の借入金や地方債の増発で補てんし、地方の借金を急増させていることは、先日私も本会議で代表質問として申し上げたとおりであります。つまり、地方債という借金で借金を返しているという今の現状、これは地方財政の現状がサラ金地獄のような運営だということを指摘したわけであります。  ちなみに私の住んでおります神奈川県の場合でありますが、本年度でいいますと、一般会計の借金である県債の二千百八十三億円に対して、借金返しの公債費は千二百七十八億円となっております。つまり、財源不足を借金でカバーしても、その六〇%近くは借金の返済で消えてしまう計算になります。また、せっせと返済に努めても年度末の県債発行残高は一兆八千五百七十七億円に達しまして、抱えた借金が初めて予算規模を上回る、こういうふうに報道されています。  次に横浜市でありますが、市債で千七百十二億円を借りまして公債費で千四百八十六億円を返すから、借金の九〇%近くがたちまちなくなる。にもかかわらず、市債発行残高は一兆七千百五十八億円。こちらも予算規模を大きく上回っております。  三番目の川崎市でありますが、市債が五百七十五億円、公債費は五百五十四億円。比べるまでもなく、借金のほぼ全額が返済に充てられるわけであって、まさに借金地獄であります。やがてにっちもさっちもいかなくなる。こんな地方財政の仕組みのまま本当に地方分権が実現するのか、素朴な疑問がわいてくるというのが地方新聞の囲み記事の指摘であります。  こういう現状でありますが、そういった点でこれは大変深刻な問題であります。地方交付税法第六条の三の二項に規定された税源地方への移転とか交付税を引き上げるなど、制度改正をすべき事態でないか。こういうことについての所見を伺いたいと思います。
  122. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 ただいま委員指摘になりましたように、現在の地方財政は多額の借入金残高を抱えておりまして、また四年連続して当初から多額の財源不足という状態が続いております。そういうことを反映いたしまして、個別の地方団体におきましても公債の残高が相当多額になってきておりますし、毎年度の地方債の借り入れと公債費の状況、今数字をお挙げになりましたとおりだと思います。  こういう状態が続いておりますのは、大きく分けて幾つか理由があると思いますけれども一つは、景気の後退に伴いまして地方税なり地方交付税収入が低迷しておりますこと。それから、この間の景気てこ入れという意味合いでの累次にわたる景気対策がとられました。それからまた、御案内のように減税が相当大幅な金額で、しかも先行して行われるという事態がございました。それに伴って財源不足が拡大して、それを借り入れで賄ったということ。それから、地方財政は現在のような状況の中にございましても、各地で高齢化に対応いたしますような地域福祉施策の充実あるいは住民に身近な社会資本整備といったような課題を抱えておりまして、財政需要というのは引き続き増大をする。そういう状況にございまして、そういうことから現在非常に大きな財源不足が続いており、また多額の借入金残高を抱えるという状態になっておるわけでございます。  この状態は、今委員指摘になりましたように、いわゆる地方交付税法六条の三の第二項の規定に該当する事態でございまして、この規定によりますと、交付税率の引き上げあるいは行財政制度改正を行って対応するというふうなことになっておるわけでございます。いろいろな状況を考え合わせながら、平成八年度、平成九年度とこういう事態に該当いたしておりますので、私どもの方もいろいろな角度から検討しながら地方財政対策を講じてまいっておるわけでございますが、今のような財政状況の厳しさ、借入残高の非常に多額になっております状況は国、地方を通ずる状況でございまして、そういう非常に厳しい財政状況の中で恒久的な制度改正は難しいという判断をいたしました。そのもとに、やむを得ざる措置として、単年度の措置でございますが、交付税特別会計の借り入れを行いまして、その半分について国の方で責任を持って償還をしていただくということを制度化するということで、今回地方交付税法の改正案をお願いしておるということでございます。  今後、国、地方を通ずる全般的な財政の健全化ということが非常に大きな課題になっておりまして、政府・与党一体となりました財政構造改革会議がスタートいたしておりますけれども、そういうところの論議を通じ、全般的な各分野にわたる制度改正が必要になってくると思いますけれども、そういうことを通じて財政の立て直しに取り組んでいきたいというふうに考えております。
  123. 葉山峻

    ○葉山委員 御指摘のとおりでありますが、やはりその場しのぎの財政運営と言われても仕方のない状況ではないか、こういうふうに思うわけであります。  九七年度の地方財政計画では、財政体質の健全化として借入金を前年度に比べて二兆七千五百四十二億円減額したとしております。これはかなり努力の跡が見られると思うのでありますが、しかし、これは前年度より借金の額が減ったというだけで、借金自体は十三兆八千九百七十五億円もふえました。総額は百四十六兆円を超える見込みであります。借金総額が減るどころか膨れるのは、とても財政体質の健全化とは言えないのではないか、こういったことにつきまして、自治大臣は本当に健全化したと考えておられるのかどうか、簡単に御答弁を願いたいと思います。
  124. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 平成九年度の地方財政対策に当たりまして、私どもが最も重点を置いて取り組みましたのは、歳出全般について徹底した抑制を図るということが一つでございます。もう一点は、新規の借入金をできるだけ縮減をしたいということが第二点でございます。  一般歳出の方では、平成九年度は、八年度に比べまして〇・九%増ということにいたしますなど、抑制に努めたわけでございます。また、借入金につきましても、今委員がお挙げになりましたように、平成八年度に比べて新規の借入金は二兆七千五百億円縮減をするということにいたしたわけでございまして、財政の健全化の少なくとも第一歩を踏み出そうというねらいでそういうことをいたしたわけでございます。  そうは申しましても、なお縮減いたしました後で、地方債交付税特会の借り入れを加えまして平成九年度の借入金は依然として十三兆九千億という多額に上っております。引き続き全般的な行財政改革、地方財政の健全化に取り組む必要があるというふうに考えております。
  125. 葉山峻

    ○葉山委員 自治大臣は、先日、二月二十五日の本委員会での同僚議員の桑原豊議員の質問に答えて、債務がゼロでなければ不健全ということはないという意味答弁をされておりますけれども、我々は債務をゼロにしろと主張しているのではございません。  問題は、先ほど指摘したように、地方もこれだけ膨大な借金をしている、国もこれまた大変だ、国内総生産、GDPに匹敵する約五百二十兆円ものこの借金の額を問題にしているのであります。とにかく、国、地方合わせた九七年度末の長期債務残高が四百七十五兆円余りに、それに旧国鉄債務などのいわゆる隠れ借金四十五兆円を加えました借金額は五百二十一兆円に達しまして、これはことしは国内総生産の九二・二%、九〇%をとうとう超えてしまったというふうに指摘されているわけでありまして、我々はこの借金の額を問題にしているわけであります。  政府は、借金の総額をGDPの六割にすることを目標にしておりまして、自治大臣もそのことを強調されていますが、これはヨーロッパ連合、EUの通貨統合に当たっての条件と同じで、六割にするには約二百兆円以上の借金を減らさなければいけないわけであります。  一体、どのようにすれば二百兆円が返せるのか。地方財政の圧迫の要因となっている公共事業の改善による歳出削減など、思い切った施策を自治大臣は積極的に提言していくべきではないか。また、私たちが主張しておりますように、かなり思い切った歳出カットをいろいろな面でしていかないと、これはもう大変な話になるのではないかということを憂慮をしているわけでありますが、この点についての自治大臣の御見解を伺いたいと思います。
  126. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 急に借金がふえたわけではありませんし、また、単年度で大変だからといって急に減らせるものではありません。ここは慌てず恐れず、一つ一つ目標を持ってきちんと向かっていくということが大事なんだと思います。  それから、何よりもGDP対比、今後の金利がどうなっていくんだろうか、いろいろな問題を含めて対処をしなければならない話でございまして、そういう面では私ども、大蔵省とも事務当局が何度も話をいたしましたし、大蔵大臣と私も話しまして、総理から御指示をいただいた財政構造改革元年ということで、元年ということでことしですべて解決し切るわけにいかない。ただし、ことしを出発点として、多少時間はかかっても必ず本来あるべき水準のところまで行こうということで、相当私どもの方も、大蔵省よりも場合によったら踏み込んで、特に地方単独事業につきましては、国は消費税率を加味すると実質ゼロと言っていますが、うちは消費税率の値上げ分は飲み込めということで、二十兆の中に含めておるわけでございます。  どうかひとつ、何かあすにでも日本という国家が倒産するみたいな、そういうような感じでこの長期債務残高を言われておりますが、そういうものでもございません。そして、大幅な減税なり大幅な景気対策ということでやってきて、こうなることはある面では承知で、細川内閣のときを含めてやってきたわけでございますから、そういう面ではここは慌てずに、しかし、このまま放置したら大変なことになるんだということで、私たちは今この財政再建に取り組んでいるわけでございます。どうかそういう意味で、委員からも貴重な御指導をこれからいただきたいと思います。  ただ、そんな中で、これは予算削減とかそういうこととは違うわけでございますが、地方公共団体で発注するいわゆる仕事が、年間を通じましたら補助事業を含めますと三十兆あるわけでございまして、こういうところも、例えば入札等のやり方とかあるいは基準単価の見直しというようなこともこの三月までに一つの結論を出そう、そして一定の数値目標も出そうということで、私を含めて三大臣で今協議をしております。総理からも強い指示をいただいておりますので、全体として私は、食糧費あるいは空出張だけじゃなくて、やはりおよそ税金の使われ方には、少なくとも民間から見たらおかしい、むだがある、効率的でないというものがいっぱいあったと思いますから、こういうものはきちっとこの際我々が国民の代表として締めていくならば、相当出てくると私は思っております。国、地方を合わせれば、公的な支出がどのくらいあるんでしょうか。国が一般歳出だけ見て四十数兆円でございます。地方が七十四兆円でございますから、百兆円を超えるいわゆる公的支出というのが、公債費の返済は除きますとあるわけでございますから、この一つ一つの使い方を、ちょっと見るだけでも数兆円というようなお金は私は浮いてくるんじゃないかと思います。  そんな意味で、ひとつ慌てず、しかし楽観せず、一つ一つ我々がやるべきことを確実にやっていこうということが今大事なんではないかと思っております。
  127. 葉山峻

    ○葉山委員 これは慌てず騒がすと言いますけれども、やはりかなり深刻な問題なので、抜本的なこの改善策を御検討を願いたいというふうに思っております。  以上の借金の問題を、また別の面からちょっと考えてみたいと思いますが、近年における地方自治体の地方債の急増の原因の一つは、日米協議によるところのいわゆる六百三十兆円の公共投資計画のうち、地方自治体の公共投資にこれを割り振りまして、地方自治体の自主財源が乏しいにもかかわらず起債の発行を条件にして公共投資の増加を指導して、指導というよりは無理やり押しつけたことにあるのではないかというふうに私は思っております。  現に、私が藤沢の市長在任中の最後の、二、三年前までの間でありますが、数年間には、再々にわたって県市町村課より、地方単独事業が少ないからこの分の公共投資を増加するように執拗に指導された経験を持っているわけであります。  こういうことにかんがみまして、第一に、大蔵省からの強要があったのではないかと思いますけれども、どういう経過が、その点を明らかにしてほしい。  それから、第二に、この間の地方単独事業による起債の発行額が全国の自治体で総額で幾らか、これを明らかにしてほしい。それから、本来、国と自治体は対等な機関であるべきものでありますけれども、この六百三十兆円の公共投資のうちに、多額の地方単独事業を自治体の代表との協議もせずに決定するのは明らかに越権行為であるというふうに私は思います。この起債については、当然国が何らかの形で財源の補てんをすべきではないかと思いますが、どう考えておられるか。  そしてまた、地方分権は、権限と財源の移転が同時に行われることによって市民の要望に沿ったそれぞれの自治体の個性あふれる町づくりが可能になるわけでありますが、そのことによって、必然的に中央政府はスリムになり、地方自治体は市民の直接的な参画の中で自主的、効率的に市民福祉の向上に重点的に財源を振り向けることが可能になるわけであります。  税財源の配分は、中央政府地方自治体の行政が三対七であるのに合わせて、現在のような地方交付税とか補助金などの迂回する方法を、地方自治体が直接収入できるように改めるべきであると思いますが、どう考えられるか。そしてまた、地方分権の計画の中で、税財源の再配分をどの時点で具体的に明らかにするのか。  こういったことについてお伺いをしたい、こういうふうに思います。
  128. 穂積良行

    穂積委員長 質問事項を整理して、順次お答えください。
  129. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 最初に、公共投資基本計画の関係でございます。  御案内のように、今六百三十兆という規模で公共投資基本計画がつくられておりまして、人口構成が若くて経済に活力のある現在のうちにできるだけ社会資本整備を行うという趣旨でございます。  この公共投資基本計画の中に、明示的に、どれだけが公共事業、どれだけが単独事業ということで区分けしてそういう計画ができ上がっているわけではございません。ただ、これまでの公共投資の実績から考えますと、公共投資の約四割ぐらいは地方単独事業ということで行われておりますので、そういう過去の実績に照らせばそういう水準かなということで、御理解をいただきたいと思います。  それから、単独事業を近年非常にふやしてきて、そのことがまた借金をふやしている要因ではないかという御指摘でございます。  単独事業は、地方がいろいろ自主性を生かして、それぞれの地域の特性に応じて工夫をしながら事業をやっていただく、そういうものでございまして、地方財政にとりましても非常に重要なものであるというふうに私ども認識しておりますし、そのための事業量の確保、あるいはそのための財源の確保ということも、非常に大事な問題として地方財政のいろんな対策を講ずる際に取り組んできた問題でございます。  その一方で、特に平成四年、五年といったところでは、バブルの後のより大きな景気の停滞に対処するために、国の公共事業、それから、あわせて地方にも協力を要請して単独事業を、景気対策という観点から追加をしていただくということをお願いしたことも事実でございます。これは、年度の中途でそういう景気対策で事業の追加ということをお願いをしてまいりましたので、年度の中途でありますから、当然そのための財源は予定いたしておりません。したがいまして、地方債を増発してそれを賄っていただく、その元利償還を、後年度、交付税に織り込んで財源措置をする、そういう手当てをしてきたわけでございます。  どのぐらいを出したのかというお話でございますが、たまたま単独事業を相当大幅に追加をいたしました平成二年から平成六年度までの五年間で見ますと、これは決算ベースでございますが、単独事業の金額は、その間、トータルで、七十九・六兆円でありますから、約八十兆であります。この五年間でございます。そのうち地方債はどれだけ充てておるかといいますと、三五・四%に当たる二十八・二兆円が地方債を充てております。これは決算ベースでございまして、実績でそういう数字になっております。他の財源一般財源等で賄ってきておるという状況にございます。  それから、次に、分権の勧告との関連でございまして、地方分権をしていく際に、税財源充実ということが必要だということは御指摘のとおりでございます。  これから分権が推進されていくに当たりまして、地方公共団体が、いろんな事務事業を自主的に、かつ自立的に執行できるようにするために、国、地方役割分担を見直しますとともに、それに対応した税財源充実確保を図ることが必要であるというふうに考えておりまして、そういう意味合いから、特に、責任の明確化を図っていくという意味で、補助金の整理あるいは地方一般財源充実ということを積極的に進めていく必要があるだろうというふうに考えております。  それから、できるだけ一般財源財源充実すべきではないかというお話は、確かにそのとおりだと思います。  委員もよく御案内のように、地方の方の行政役割分担は、分量的に申しますと、地方が二、国が一という割合になっておりまして、一方で、税源はその逆の比率になっておりますので、その間を埋めるために、今、補助金なり交付税なりということが、国から地方への財源移転が行われておるわけでございますけれども、そこのところの差をできるだけ埋めていく意味で、一般財源充実ということが必要だというふうに私ども考えております。
  130. 葉山峻

    ○葉山委員 先日の本会議におきまして自治大臣が、昨年十二月二十日の地方分権推進委員会の第一次勧告について、最大限に尊重するというふうにお答えをしていただいたわけでありますが、この第一次勧告についてどのように考えておられるか、その所見を伺いたいというふうに思います。
  131. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 第一次指針勧告は、長年、国と地方公共団体との間で問題になっていたというか、主従の関係、これでは本当の地方自治とは言えないのじゃないかというようなことで、大きな問題であった機関委任事務を原則廃止するという点を打ち出されたという点では、私は、やはり画期的な勧告と、こういうふうに受けとめております。  ただ、これだけですべてが解決したわけではありませんし、これだけで地方分権が進むものではないわけでございまして、この第一次の指針勧告を契機に、今なお、権限移譲の問題、あるいは補助金等、財政面ではどうやって地方分権を支えでいくのか、こういうことを含めて、鋭意委員会の方で協議をされている最中でございますので、私も、こういう委員会等を通じたり、あるいはまた事務当局を通じたりしながら、前から申し上げているとおり、やはり私たちが、二十一世紀、本当に地方を中心とした国の運営をやっていくんだという土台づくりにちゃんと資するようなきちんとした地方分権の仕組みをつくろう、そのためには、いろいろと問題があるかもしれないけれども、一番大切なのは、基礎地方公共団体がいろんなことを決めていけるような、そういうことを理想としながら、困難はあると思うけれども努力してもらいたいということで、評価は評価として、最終的な勧告はことしの夏までを目標に今鋭意作業がなされておりますので、私どもは、次の目標に向かって一生懸命自治省は自治省として努力をしている、こういうふうに御理解を賜りたいと思います。
  132. 葉山峻

    ○葉山委員 大変力強い所見の表明をいただきまして、私も大変心強く思っております。  少なくとも全国の三千有余の自治体は、地方分権の実現を願い、その点での親のような自治省の、自治大臣を初め皆さん方の頑張りに大きく期待していると思いますので、ひとつ大いに頑張っていただきたい、こういうふうに思っております。  ところで、よく言われるように、分権というのは分権だけにとどまらない、三ゲンが必要だと。つまり、権限と、それと同時にやはり財源がなければいけない、それと同時にすぐれた職員を含めての人間、この権限、財源、人間が必要だ、こういうことがよく言われるわけであります。そういった意味では、私たちは今検討を進めておりまして、六月に第二次勧告がなされる。特に、補助金の問題とか財源のことが一番中心になってくる。これが本当にこの分権を実現していくための一番の問題ではないかというふうに注目をしているわけでありますが、これらの点についてどう考えているか、その基本的な考え方をまず伺いたいというふうに思います。
  133. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今御指摘のように、地方分権推進委員会では、春から夏にかけてをめどに第二次勧告といいますか、報告をすべく今作業がされておりまして、その中で、特に補助金の問題につきましては、補助金・税財源検討グループという専門のグループを設けて検討が重ねられてきておりまして、私どもも何回かそこに対して意見を求められ、また私ども考え方を申し上げているところでございます。  地方分権の推進に当たりましては、国と地方役割分担を見直すと同時に、対応して税財源充実確保を図ることが必要であると考えております。特に補助金につきましては、補助金整理合理化の方針について、地方分権の推進に関する大綱方針の中で、人件費等に係る補助金の一般財源化でありますとか、奨励的補助金の基本的な縮減、それから経常的な国庫負担金については役割分担の見直しとあわせて国が責任を持つべき分野に限定をしていくということ、あるいは投資的な分野の補助金につきましては全国的あるいは広域的なプロジェクト等の根幹的な事業を含めて基本的なものに限定をしていくといったような大きな方針が示されておりまして、こういう方針を基本として、国庫補助負担金の整理合理化、それに伴って地方一般財源充実確保、これを積極的に進めていく必要があると考えております。
  134. 葉山峻

    ○葉山委員 よく言われることでありますが、交付税の問題、これが一つあります。  御承知のとおり、戦後の地方自治そして税制改革の中でシャウプ勧告というのが出された。そういう中で、平衡交付金といって、言うなれば、例えば神奈川県と鹿児島県では県民の所得が大体三対一、三分の一ぐらいに鹿児島はなっている、やはりならさなければいけないだろう、ナショナルミニマムを達成しなければいかぬ、こういうことでこの平衡交付金というのがシャウプ勧告で始まって、それが地方交付税というふうになったわけです。  現在まで来ておりまして、それはそれで、その制度というのは大切な制度だというふうに思っておりますけれども地方交付税を見ましても、去年、平成八年度、不交付団体というのはわずかに東京都と、それから三千三百有余の市町村のうちで百四十二団体、その程度しかないというようなことになっておりまして、しかも、私も不交付団体一つであったわけでありますけれども、例えば減税なら減税の影響が、国が減税をしますとそれが地方税にはね返りまして、それが百数十億というような赤字に、実際には入らないという話になってくるわけです、具体的に。しかし、これは自治省に見解を聞きますと、それは交付税でそういうふうに、積算がこういうふうになっているんだということでいろいろ御説明をなさるのですが、私は、交付税というものが余りにも専門化し、そして複雑化し、基準財政収入額と需要額、この積算が本当に技術的に緻密になればなるほどわからなくなってくる。そして、恐らく自治省のそういう交付税の担当の方々以外にはちょっとわからないのではないかというような評判が非常にあるわけであります。  今度の勧告の中でも交付税制度の簡明化と算定法の簡素化についても触れておりますけれども、この面についてどういうふうに考えておられるか、この辺の御見解を伺いたいと思います。
  135. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 地方交付税算定につきましては、今委員がおっしゃいましたように、地方分権推進委員会の中間報告でも、簡明化、算定の簡素化を考えるべきという御指摘をいただいております。  いろいろな法令等によりまして地方の事務事業がふえてまいりますと、それを地方団体の方で執行していく上で財源的な手当てをする必要があるということから、次第に算定内容が複雑になってきておることは確かでございます。しかし、基本的には、地方団体がいろいろな仕事法令によりまして、しかもまだ、水準を決められて、こういう水準で実行しなければならないということを法令で定められますと、片方で地方税収入に限度がございまして、そういう仕事をやっていく上でそれだけの、いわば算定の内容を実行すべき事務に見合うものにしなければいけないということから、複雑になってきているということは確かでございます。  しかし、実際の内容につきましては、すべて算定の方法、やり方につきましては、いろいろな説明の資料なり出版物なりして、地方団体の少なくとも関係の方々が十分におわかりいただけるようにということは私どもも努めておりまして、そういう意味ではすべて算定の中身というのはオープンになっておるわけでございますが、今申しましたような事情で、個別にいろいろ算定いたします分野について複雑になってきているということは確かでございます。  新しい仕事がふえてまいりますと、恐らくこれからでございますけれども、実際に例えば介護保険を実行する段階になってきて、全国一律に同じ内容で介護保険をやっていこうということになりますと、その公費負担分について、全国、財政力のあるところもないところも法律で定められたような内容の介護保険を実行しなくてはいけない、そうすると、それに見合った地方負担というのは、恐らく財政力の弱いところからは特に精密にそういう必要額を財政需要に織り込んでほしいという話が出てくるのだろうと思います。そういうところをどういうふうに兼ね合わせていって、簡素化という要素と調整をつけていくかという問題だろうと思います。  しかし、私どもも、せっかく分権委員会の方とのいろいろな意見のやりとりもございまして、これからそういう地方団体意見も聞かせていただきながら、可能なものにつきましてはできる限り簡素化を図る、そういう方向で検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  136. 葉山峻

    ○葉山委員 御指摘のように、地方交付税の単位費用とか測定単位とか、あるいは補正係数の見直しが毎年行われまして、もはや地方交付税基準財政需要額の算定というものは普通の常識人の理解をはるかに超える技術体系へと複雑化しているのであります。もちろん微分積分というよりは算術平均的なやり方だと思いますけれども、それにしても、専門化し、複雑化し、技術化している。この配分技術が精緻なものになればなるほど、特定の費用と結びつく形での地方交付税の特定財源化が進行して、地方財政的な自立を阻害していると私は思うのであります。こういうことで、この勧告に基づいて、その辺での算定方法の簡素化とかあるいは制度の簡明化について一層前向きの形で取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。  ところで、補助金というのはひもつきだから一般財源化が必要だ、こういう論議がよく行われる。それの典型が交付税だ、こういうふうに言われますけれども、やはり問題は、交付税と同時に、新しい六月の勧告がこれから出されるわけでありますけれども、これはやはりそこでの新しい税目を、地方自治体に権限を移譲していくということを財源的に保障していかなきゃいかぬというふうに思うのであります。  そこで、私は、フランスの例をちょっと申し上げたいと思うのであります。さっき合併のお話も出ましたけれども、三百が適当とか千が適当とか、いろんな論議はございます。日本の場合、明治の二十年代の市町村合併、これは七万ぐらい市町村があったんでしょうけれども、それを一挙にあのときに一万五千ぐらいにがあっと合併させたんですね。普通教育でやはり学校を建てにゃ、一緒にしなきゃ建たなかったということで、相当強引に町村合併、明治二十一年にやったと思うんですよ。二度目がやはり昭和二十九年から三十年の町村合併促進法、戦後も自治法の発効当時が一万ぐらいの数だったと思いますが、それが一挙に今の三千台ぐらい、三分の一に、これは相当強引な方法で合併促進を、地方によってはかなり血の雨も降ったようなところも随分あるわけでありまして、やはりああいう強引なやり方で進めるのはよくないなと私は子供心に思ったのであります。  とにかくそういうときに、フランスの自治体を回って、それぞれの市長と会っていろいろ話をしますと、やはりフランスというのは意外と大きい町なんていうのは余りないですね。大きいというとパリとリヨンとマルセイユぐらいですよ。あとは、小さな教会があったり小さな広場があって何軒かあるような、そういうコミューンがずっと散らばって物すごい数ある。それは強引に日本のようにそれを全部統合をするというようなことはない。しかも、割と古い国で、これも機関委任事務の話で、約百三十年ぐらいの中央集権の歴史が日本ではあるわけでありますけれども、フランスなんかはもう大体ナポレオン法典という二百年ぐらい前の法律がずっといまだに連綿として生きているというようなことがある。しかし、そういう中で、戦後の中で、特に最近二十年の中で、思い切ってこれは分権をすべきだということで、地中海沿岸、特にフランスの南部の方なんというのはかなり思い切った分権を実行したんですね。私は、これからやはり分権の中の特に財源の問題については、よくひとつその点はフランスの例に倣って、財源分権ということも十分考えていただきたいと思うわけであります。  そういう意味で、この中央集権的な、地中海沿岸、特にフランスにおけるあの辺の自治体の人たちがどういうことを感じていたかというと、全国的な中央統制と誘導システムが不必要となってきた、むしろ弊害のみが中央統制の中で大きくなった、しかも高齢化社会への移行とか国際化への移行という中で、行財政の非効率と非合理をもたらすからどうしてもこれは分権をやろうじゃないか、こういうことで、最近二十年に次々に実行に移して現在に至っているというわけでありますけれども、特に問題なのは財源の問題であります。  これは時間がございませんので簡単に触れますが、第一に、やはり地方団体地方税税率を決定する権限を持たせるというようなことでございますね。それから二番目に、補助金の統合化と一般化ということをやった。それから三番目に、地方債の起債制度の撤廃、完全自由化。さっき許可の話も出ましたけれども、この起債の許可の完全自由化ということをやる、こういう権限移譲をやった。それから四番目に、権限移譲から財源移譲に相当思い切ったことをフランスの場合は実行しているということであります。  そういう点で、先ほどの交付税のみがこれは一般財源化ではないわけでありまして、そういう意味で、かなり思い切った抜本的な財政改革というものをしてほしい、こういうふうに思うので、これはひとつそれについての考え方を御披露願いたいというふうに思うのでありますけれども、私は、そういう意味で、フランスのやった実験ということは非常に参考になるのではないか、こういうふうに思っておるわけであります。  これは私の意見にわたった事柄でありますけれども、思い切った財源を自治体にそれぞれやるということがどうしても必要だという点から、私の市長の経験の中から、こういうことは簡単にできるなということをたった一つだけきょうは申し上げて御見解を、特に、自治省ももちろんでありますが、大蔵省がどう考えるかということで申し上げますと、相続税ですよ。相続税が今国税ですね。日本の相続税制度というのは、三代になるとみんななくなっちゃう、土地も何もなくなっちゃうとよく言われております。そういうふうに言われますけれども、これが大体国税部分に入っております。これを、相続税というものを市町村税に移管したらどうか。これもやり方の一つだ。  大体、バブルの一番地価の高いころですね、大体四、五年前ですか、これで相続税の総額が二兆九千億、約三兆円弱ですね。去年、おととしあたりは二兆六千億ぐらいが相続税の、国税の中の総額がそのくらいです。私は藤沢の市長をしておりましたけれども、藤沢でいきますと、一年間に、去年ぐらいで百六十億ぐらいですよ。だから、藤沢の下水の管渠を埋めるぐらいの費用ですね、百六十三億。このくらいが藤沢での相続税で徴収がある。それだけでも大変な違いがあります。  それだけじゃないですよ。最近は地価が安くなっているから、大きなお屋敷があるわけですよ、別荘とか、そういうのが次々に物納になるんですね。私は去年市長をやめたのですけれども、結局それは一たん大蔵省へ物納して、そして競売に付すのです。だけれども、落ちないです。それだから、結局また市が買いまして、半分ぐらい買って、半分ぐらい借りる形にして、松の木や何か、緑の残っている非常にいいところですから、それを市の公園にして、これが最後の仕事になったわけですが、そういうことをやらせていただけたけれども、非常に面倒ですね。だから、これがもし市町村財源だったらどうなるか。  よくアメリカの市長なんかに会いますと、向こうのメイヤーは必ず、これはガバナーでもそうですけれども財源とそれの課税権の問題と、いろいろ必ずそれを話題にします。自分の州とか自分の市でもって課税するんですね。日本は大体方々で徴税してくれるところが多いわけですけれども、特に国税に頼っていますが、市町村でもみんな持っている。  例えば相続税でいきますと、これは市の職員が固定資産を扱っていますから、そうすると、死亡届が出ますね、それで住民票を受け付ける、火葬場で骨にしてくれ、こういう届けも出しますよ、するとすぐわかるんだよ。それで、ぱっと戸籍の方から今度固定資産税係とか市民税係に行けば、ぱぱっとすぐ計算ができちゃう、それですぐできる。ところが、今のように国税にはっと行ってそれで物納にする。しかも、それを売りますと、これは結局競売で売るのですから、せっかくのいいところが、結局売りやすいということだけになってしまいますから、不動産屋に落ちますと。そうすると、すごくいいところがみんな大体百坪から五十坪くらいに細切れに、それではら売りをするのです。今まではすばらしい環境の、鵠沼とか片瀬のそういう別荘地はどんどん細切れになってしまう。私は、市長をして非常に悲しい思いをしていまして、公有地をふやすことはいいことですから、できるだけ環境を守っていこう、また市民もそれを感じていますから、それを買ってくれと言うけれども、そう簡単に市長としては買えないです。だから、相続税をこっちに任せてくれればどれだけ美しい町ができるか、こう思うのですよね。  だから、やはりああいうことはそれほどの額ではないですよ、私は百六十億とさっき申し上げたけれども。相続税は思い切ってそれぞれの市町村に分けてしまう。それぞれの自治体に任せる。若干、地域によって相続税が高い人がお住まいのところと小さいところがある、そういうのはまた地方交付税とかいろいろ調整は幾らでもとれるわけですからね。だから、そういうような財源の問題として、相続税は市町村の方に分けるのが適当ではないかということで、この辺もよく御検討いただいて考えていただきたい、こういうふうに思っておりますが、その辺についての御見解を伺いたい、こういうふうに思うところでございます。
  137. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 ただいま、相続税を市町村税にしてはどうかという御提案をいただきました。相続税といいますのは、個人が相続などにより取得しました、土地建物だけではなくて有価証券、預貯金、あらゆる財産が課税対象になっております。その財産を全部金銭に評価いたしまして、そこから債務の価額を引きます。そこに累進税率累進的な御負担をいただくという税でございます。言うまでもなく、税でございますから、国の歳入を確保するという目的があるわけでございますけれども、富の過度の集中を抑制する、いわば資産再分配機能を担っているわけでございまして、まさにこの累進的に資産再分配機能を担っているというのが、国が担うべき基本的役割の一つであるというふうに思っているわけでございます。  また、相続税が市町村税というふうになったことを考えてみていただきますと、例えば相続財産は、今言いましたように土地に限りません、いろいろなところに預貯金があったり有価証券がございます。最近では国際化ということで、海外にも資産があるわけでございまして、これらの三千三百の市町村に課税権が分けられることになるわけでございますけれども、一体どうやってこのすべての財産を把握できるのかといった問題もあるような気がいたします。  また、相続税の税収を見てまいりますと、資産保有者が都市部に集中してございます。したがいまして、地方税といいますのはできるだけ普遍的な税というのが望ましいとされておりますが、相続税というのは非常に偏在度の高い税であるというようにも思っております。そのようなことから、欧米諸国でも基本的には国税として相続税は取り扱っているといったことを考えますと、せっかくの御提案ではございますけれども、適当ではないのではないかというふうに認識しているところでございます。  それから最後に、土地の利用のお話がございました。今ピークは越しましたが、相続税の土地の物納の問題がございます。公共利用の優先の原則というのは、売却に当たりましても大きな大事な課題だというふうに思っておりまして、民間に売る前には、まず、地方公共団体の方で御利用なさいませんかというようなことをやって、しかる後に売却をしているというふうに聞いているところでございます。
  138. 穂積良行

    穂積委員長 それでは、財政関係財政局長、それから税に関しては税務局長、二人答弁してください。
  139. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 地方分権を進めていく上で地方税財源充実しなくてはいけない、そのときに地方交付税だけをいろいろ重点的に考えるのはどうかという御指摘がございまして、その点は、私どもも必ずしも一般財源の一番大事なものは地方交付税考えているわけではございませんで、むしろ、何といってもやはり一番大事なのは地方税充実が一番大事でございまして、それによってできるだけの財源充実が行われ、足らざるところを地方交付税がいわば財源調整的な機能を果たすということだろうと思います。  それから、たまたまフランスの例もお挙げになりましたけれども、私どもも私どもなりに諸外国の地方財政制度あるいはその改革についていろいろ勉強いたしておりますけれども、いろいろな仕組みの違いはございますけれども基本的に、地方の役割の大きさというのが国全体の行政の中でどのくらいのウエートを占めるかということが、これは各国まちまちでございまして、日本の場合には、もちろん機関委任事務といったような要素もございますが、連邦制の国に匹敵するぐらいのウエートで地方の方が役割分担をいたしております。ちなみに、フランスの場合ですと、私どもが調べておりますところでは、GDPに対する地方行政のウエートというのは日本の約半分ぐらいということでございまして、そういう役割分担の大きさに応じて、どういう税財源配分にするのか、それは税だけで賄えるのか、交付税まで増強していく必要があるのかといったような判断になってくるのだろうと思います。  それからもう一つ地方債のことにお触れになりました。  地方債の許可制度について、余りくどいことは申し上げませんが、特に信用力を財政力の弱い団体に付与する、それで良質な資金配分を行うという非常に大きな機能を果たしておりまして、また、公共投資の財源を複数年度にわたって財源的に保障していくという機能も果たしておりまして、この地方債制度につきましても、やはり全般的な、国、地方で持っております役割分担に応じ、それからまた、地方の自主的な財政運営を図っていく上でどういうふうな仕組みで運営していくのが最もいいのかという、いろいろな角度から検討していく必要のある課題ではないかというふうに思っております。
  140. 湊和夫

    湊政府委員 いろいろな税に関連するお話がございましたが、絞ってお答えさせていただきます。  フランスの例を挙げられまして、地方税率の決定権限を与えることが重要だというお話がございました。地方の自主的な財政運営考えますときに、もちろん税率の決定権限はその基本となるところだと思います。税源というものが、税の必要とする額にも関連するわけでございますけれども、それぞれの団体税源を分けて、例えば市町村は資産課税だけとか、県は消費なり所得、あるいは国は法人とか所得、仮にそういうふうに分けることが可能であれば、かなり税率の決定権限というものを自治体に付与することも制度的には恐らく可能になっていくのだろう、今よりはるかに財政自主性を高める工夫が可能だと思います。  例えば、フランスと比べてもそうですけれども、日本の地方団体は、非常にたくさんの仕事を諸外国に比べてもやっております。それから、国、地方仕事分担関係を見ましても、諸外国に比べれば日本の自治体ははるかにたくさんの仕事をやっておりまして、日本の例えば地方税の総額は、今お話しになったフランスのケースの国税地方税を合わせた額にかなり近い額を必要としております。これでもなおかつ、必要な歳出を賄うのに三分の一ぐらいにしかならないということなのでございます。  しかし、そういった額を取るためには、どうしても国税と今の主要な税源を共通して、要するに複合的な税として組み立てざるを得ないというのが日本の今の実情かと思います。そういう観点に立ちますと、確かに、税率の自由度というのは他国に比べますとかなり制約がある中の自由度になりますけれども、しかし、今の税制の中でも、基幹税目はすべて標準税率制度をとっておりまして、一定の幅は設けておりますけれども、本来の税率の例えば五割増しの税がその団体財政需要が特別あれば課すこともできることになっておるということで、現在の仕組みも、複合税制の難しさの中で、かなり自治体の財政運営自主性を認めた形になってきているのではないかというふうに思っております。  もちろん、こういった問題は、分権推進委員会の先般いただきました中間報告の中でも、財政自主権の問題は重要な課題として指摘されておりまして、今後、私ども分権推進委員会の審議等とも相まちまして、検討を進めてまいりたいというふうに思っております。  それから、相続税の御議論がありましたが、時間がありませんのであれですが、白紙に返して議論をすればいろいろな議論があり得ると思います。それから、課税の仕組みそのものを根本的に変えてかかるというところまで前提にして議論をすればいろいろな議論があろうかと思いますが、今までの一般的な議論から申しますと、先ほど大蔵省から議論がありましたように、地域偏在性の議論、あるいは全国的に、あるいは国を越えたその人の持つ資産の総合的な課税を、しかも累進でやるということによる、今の仕組みからいえば自治体単位での課税の困難性があるとか、それからやはり資産の再分配の機能を持った税であるというような問題とか、いろいろな課題がございます。  ただ、一部の議論としては、今おっしゃるように、学者の先生方の中にも資産課税は全体として地方でやったらどうかという御議論をなさっている方もおられます。  御指摘は、いろいろな発想から地方税源拡充を検討しろ、こういうことだと思いますので、そういう御指摘として受けとめておきたいと思います。
  141. 葉山峻

    ○葉山委員 相続税の問題は、大蔵省はああいう答え方をするだろうとは思っておったのですが、これは議論のあるところですから、まあそのように思います。  ただ、念のために申しておきますけれども、あと時間がわずかになってまいりましたので私の意見だけ申し上げておきますが、総合課税というのは大蔵省の役人だけができるわけじゃなくて、不動産、固定資産ということも、もちろんちゃんとベテランが市役所にいますけれども、株やなんかすべて総合的に、教育すれば完全にそれはそれぞれの自治体でもできるんだ。それを大蔵省だけができるなんていうことをあれするのは思い上がりも甚だしい。私は、そういう意味でも地方分権がこれから必要なんだということを改めて感じたようなわけであります。  ところで、残された質問としては、届けていたのでは、一つは外部監査。地方制度調査会であれしましたけれども、外部監査機能の導入。これについて疑問視する新聞論調等もありますけれども、私の市も大体二十年以上前から、私が就任してからずっと公認会計士会の会長さんに監査になっていただいて、今も常勤監査で監査人に公認会計士がなっているということで非常にうまくいっていますから、私は、思い切ってどしどしそういう民主的な改革はしていくべきだというふうに思いますし、また、監査だけじゃなくて、オンブズマンとかいろいろな試みを地方自治を前進させるためにはしていくべきだろうというふうに思います。  また、第三者機関、これについてもこれからどういうものにしていくかということも論議があろうかと思いますけれども、この問題についても、裁判所による裁定が世界的な潮流になっているということでありますから、今までのような、親子のような関係だから全部裁判なんてなしでという形だけじゃなくて、きちんとやはり第三者機関ということを考えてやっていった方が、本当の意味で日本の政治をよくするためには、また地方自治を前進させるためには必要だというふうに思います。  また同時に、地方分権ということについて、住民投票などの市民参加ということを拡充をする。あらゆる機会をとらえてこれは進めていってほしいというふうに思いますし、そういう意味での、年齢とか、住民投票とか、あるいは議会の活性化とか、個別法でも市民参加とか、こういったような市民参加を一層徹底して進めていくということについても前向きに取り組んでいただきたいというふうに思います。  私は、そういう意味で、最近の巻町とか沖縄の住民投票とか、あるいは税の問題でのカリフォルニアなんかの投票制度、前にありましたが、アメリカなんかは非常に進んでいますね。何か一つのときに、必ずそういうことでみんなそこの市民とか住民の意思表示ができるようなことは、やはり政治を市民に近づけ、よりよくしていくためには非常に大事なことじゃないか。あるいはイタリアのレファレンダムというような制度はやはり民主主義にとっては非常に大切なことではないかというふうに思っているので、前向きにこういった問題についても考えていってほしいと思います。  最後に、先ほど若干触れましたけれども、受け皿としての都市の規模と合併問題についてであります。  都市の規模の問題はいろいろ論議があると思います。先ほど大臣も言われましたけれども、三百となると、私はそれでいいかな。三百というと、一億二千万ですから、大体四十万ぐらいが単位の人口になりますね。だから私の市ぐらいが一つの単位ということになるわけでありますが、そうすると島根県なんか、松江とか出雲とか、大体二つぐらいに全部まとめないといけないという話になりますから、果たしてそういうことでいいのかなとは、ちょっと素朴に考えます。  ともあれ、この合併の問題についてはいろいろな受け皿論議がありますけれども、受け皿だけの論議にすべきではない。やはり昭和二十九年から三十年代の経験を私たちは大切にしながら、本当にそこの地域住民と、そして下からの、自主的な問題ということを非常に重視しながら、地方自治というのは息が長いものですから、そういう形でそういう問題は取り組んでいってもらいたい。決して上から、引き回し的な、強引なやり方で合併を促進するような、そういうことはできるだけ避けるべきではないか。それは分権の問題の目くらましにもなるわけでありまして、合併の問題がどこかへすっ飛んでしまいます。強引にやるとすればそういう村や町はかなり出てきます。  だから、むしろ地方分権をここで徹底的に進めて、その力をつけていく中で、都市の規模とか、それから合併の問題はどうあるべきかということをそこに住む住民が決めていくような、そういう形に持っていくべきであろうというふうに思いますけれども、その辺についての御見解を最後に伺って、終わりたいと思います。
  142. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 葉山委員の長年の市長としての経験に基づいての幅広い御議論を承りまして、大変勉強になりました。そして、市町村合併について、最後、お尋ねでございます。  正直申しまして、私が就任してちょっと事務説明を受けた限りでは、自治省の担当官自身、非常にこの問題については消極的というか、本当に控え目でございました。ただ、私は、一般国民あるいは政治家同士の中で話をしているときは、市町村合併という話は、もう少し現実味というか、やらなきゃいかぬぞということで話をされているとそのとき感じたのでございますが、臨時国会、通常国会を通じまして、この議論を見ただけでも、今まではどうだったかわかりませんが、多くの方々はそれぞれ、適正規模の、そして力強い自治体がなければ真の地方自治は行えないという意見が多かったような気がいたします。  そういう意味で、機運の醸成は徐々に成功しつつあるかなと思います。さらにもう少し皆さんの御意見を賜りながら、どこかでまた次のステップに上がっていかなきゃならぬと思っております。  ただ、私は、ちょっと専門的によくわからないのですが、地方交付税制度というのが合併を阻害している側面もあるのではないかというようなことを何人かの委員が触れられましたので、もしそうなっているとしたなら、これは自治省としても真剣に検討してみたいと思っております。  以上であります。ありがとうございました。
  143. 葉山峻

    ○葉山委員 どうもありがとうございました。
  144. 穂積良行

    穂積委員長 春名直章君。
  145. 春名直章

    春名委員 日本共産党の春名です。地方税法改正について、二つの点に絞ってお伺いします。  その一つは、固定資産税に関する改正内容について伺いたいと思います。  三年前の評価がえのとき、地価公示価格の七割程度に評価額を引き上げるということで全国的に行われました。その結果、全国平均でも三倍以上、東京などは区の平均で六倍とか七倍、そういう評価額となったり、土地によりましては二けたの評価額の引き上げになったと聞いております。その公示価格が下がっているのですから、固定資産税も当然下がるのではないかというのが国民の率直な気持ちであります。  午前中のお話にもありましたけれども改正内容はこれにこたえる内容となっているかどうか。改めまして、改正内容の考え方それから仕組み、これを御説明願うとともに、これによって地価の下落の大きい大都市などで実際どうなるか、税額が下がるあるいは据え置かれるということになるのかどうか、いろいろのケースがあるかと思いますけれども、その点をまずお伺いしたいと思います。
  146. 湊和夫

    湊政府委員 平成九年度の評価がえ、平成六年度以来三年ぶりに評価がえを行うということでございました。ちょうどこの間、俗に言えばバブルがはじけてということで、地価がかつて大幅に上昇したあおりとして逆に地価が大幅に下落するという状況がこの数年続いてきたわけでございます。  そういう中で、今委員から御指摘ございましたように、要するに公示価格に連動して地価は毎年公示されているわけでございますが、地価も公示価格も下がっている、そういう中で固定資産税の評価も当然下がるんだろう、そうすれば税も下がるんだろう、また下げてもらいたいという思いも込めてかと思いますが、そういう納税実感といいますか、それに基づいた御議論があったことは事実でございますし、それを含めましていろいろ固定資産税の評価あるいは税負担のあり方について、当国会、委員会でもそうでございましたが、いろいろな角度からの御議論をこれまで平成九年の評価がえに向けてちょうだいをいたしてきました。今回の税制改正では、努めてそういう議論を踏まえて私ども新しい仕組みを考えてまいってきたところでございます。  幾つかございますが、要点的に申しますと、まず一点目といたしましては、やはり評価をより的確な評価に努めるということで、特に地価の下落局面における評価がえということでございまして、固定資産税は、御承知のように全国でいえば一億七千万筆の土地についてそれぞれ価格をつけるわけでございますので、賦課期日のちょうど一年前を評価の基準日といたしまして、大量の評価を行いますための作業を行っておるわけでございますが、今回の場合でいいますと、平成八年の一月一日がその評価基準日に当たっておるわけでございます。  しかし、この基準日における公示価格を基礎にいたしまして評価の作業を行ってまいりましたけれども、その後も、特に大都市地域を中心にいたしましてかなりの地価の下落が見られるということで、従前でございますと、もう評価の基準日を越えての地価の変動は地価評価には反映しないということでこれまでやってこざるを得なかったわけでございますけれども、今までの変動は一般的に言えば地価の上昇という局面でございましたので、結果的には納税者には不利にはならないということでもございました。しかし、今回の場合は、地価が下落しておるという状況が、最近の地価下落状況はかなり地域は限定されてきているように思いますけれども大都市中心にそういう状況がございましたので、平成八年の七月一日の地価調査をベースにいたしました簡易な修正による価格修正という手法も加えまして、新年度の評価がえの価格設定に努めさせていただきました。  したがいまして、半年前の分までは何とか今回の評価がえの評価実績の中に織り込めたということかと存じます。このことは、評価がえあるいは評価に対する納税者の皆様の信頼を得るためにも適切な措置として評価していただけるのではないかというふうに思っております。  それから、先ほど御指摘がございました、評価が下がったんだから税負担が下がるのではないか、この点につきましては、税の立場から率直に申し上げますと、これまでは、評価が上がりましても、即その評価額に基づく課税で税負担をいただいていたわけではございませんで、何年かかけてなだらかに税負担の上昇をいただきながら、最終的に評価額に基づく課税に到達するという形で税負担をいただいておりましたために、今回のケースにそれを当てはめますと、九年度で確かに評価額は一般的に下がりますけれども、下がった後の評価額と、平成八年、今年度に実際に税負担をいただいております基礎になった課税標準額との状況を見ますと、全国平均で見ますと、新しい評価額をかなりまだ下回った段階でしか税負担をいただいていないというのが実態でございました。  そういう状況下でこれまでのような仕組みの負担調整を適用いたしますと、ほとんどすべての土地がまたこれから三年間、毎年、なだらかな上昇ではありますけれども、税負担が増加するという形になりますことから、今回は、税負担の上限を、特に宅地の中の一番税負担感の重いと言われております商業地等につきまして、新評価額の八割をいわば税負担の上限とするような仕組みをとらさせていただきまして、負担水準の均衡化を図るという観点をより重視した、新しい課税の仕組みをとらさせていただいたわけでございます。  それから三つ目でございますが、固定資産税の評価額は、先ほども申し上げましたけれども、大量な評価を行いますということで膨大な事務作業と経費もかかります。徴税コストの問題等もこれありで、従前、法律で、三年間この価格は、台帳に登載されました場合に据え置くこととされておるわけでございます。しかし、先ほど来申し上げておりますように、なお大都市を中心に一部地価の下落というのは一般的な姿としてまだ見られておりますので、今後、平成十年あるいは十一年で地価の下落が見られます場合には簡易な方法によって価格の修正ができるという特例措置を講じさせていただきたいということで、今回の税制改正にその根拠規定を入れさせていただいております。このことによりまして、地価の下落局面というこれまでなかった形の評価が、できるだけ現実の価格に対応できるような仕組みでこれから取り組んでいけるのではないかというふうに思っております。  また、もう一つは、評価額の下落が大きい大都市部の問題についてお尋ねがございました。  地価の下落が非常に大きかったのは、東京あるいは大阪、名古屋、こういったところを中心にする大都市が非常に多かったわけでございますが、そのために、今回設けました八割を上限とする仕組み、あるいは、税負担水準の高いところについての据え置き措置、それから、地価下落がかなり大きなところにつきましては負担水準のレベルによってこれまた据え置く措置を今回講ずることといたしておりますので、こういった措置がかなり大きく影響いたしますのは大都市において結果としては影響してくるということで、据え置きあるいは引き下げ措置の効果というのが結果的には大都市にかなり大きな割合であらわれてくるというふうに考えております。
  147. 春名直章

    春名委員 大分時間があれですから。  四つの点にわたって均衡化する、負担を減らしていくということも含めて改善しているというお話をお聞きしましたが、もう一度そこで確認をしますけれども、これまでの負担調整というのは、評価額の水準まで何年かかけて追いつくようにするということだったと思います。その考えもとに調整が行われてきて、九四年度以前のときは、評価がえの期間である三年間の間に段階的に引き上げられてきました。九四年度の評価がえは評価額が地価公示価格の七割と、先ほども言いましたように大幅に引き上げられたということもありまして、十数年かけて評価額まで持っていこうという考え方もとにこの間負担調整がとられてきました。これがなかなか複雑で、私も理解しにくかったわけですが、いずれにしても、評価額まで引き上げていく、その間は激変を緩和するために段階的な負担調整をするということだったというふうに理解をしております。  今回の負担調整というやり方は、評価額の水準まで引き上げるということを予定していないというふうに今のお話でもなると思うんですね。そうすると、これまでの負担調整の考え方と違うんじゃないですか。そのことをちょっと確認したいんですが、これまでの負担調整の考え方と変わったのかどうかをお答えいただきたいと思います。
  148. 湊和夫

    湊政府委員 先ほど申し上げましたけれども、今回の平成九年度からの税負担の求め方は、従前の仕組みとはその考え方を異にしてきておるというふうに端的には申し上げられると思います。  これは、平成八年度の課税標準額の評価額に対する割合、これを負担水準と呼びまして、この状況に着目して、上の方は引き下げないし抑制、そして下の方をなだらかに負担の上昇を求めるという形で全体として負担水準の均衡を図る、そういう視点に立った取り組みになっておるということでございます。
  149. 春名直章

    春名委員 まあそういうことだと思いますが、なぜ変更をそういうふうにしていくかということで、やはり一つ根本的な原因は、固定資産税の評価が適正にされているといいながら、突然、地価公示価格の七割に引き上げたことに大きな要因があると思うのですね。それを変えるというふうに今なっているわけですけれども、そのことを一つ指摘をしておきたいということと、もう一つ、これの運用、制度改善にかかわってお聞きしたいことがございます。  どなたかの御質問でもありましたが、東京地裁で、時価を上回る評価額は違法であり、上回る分は減額せよという去年九月十一日の判断が出されています。それから、九四年の評価がえには、全国で都市部を中心にして二万二千件ですかの不服申し出が出されて、約百件が行政訴訟へと発展している、こういう事態もあるわけです。  納めた税金の使い方という点で見ても、あの住専問題を一つのきっかけにして国民的な大きな関心や不満ということも非常に高まっています。ですから、税の不公平を払い手自身がチェックして制度の改善が進んでいくというような努力が今求められているというふうに感じています。  そこで、一つは、個々の評価額が公開されていない。納税通知書にも個別に区分をして評価額を記載するという自治体は本当に少数派だと思いますし、全部まとめて納税額が幾らという通知になっていると思います。それを個別に区分もし、納税者が理解できるようにするというような手だて。  それからもう一つは、不服審査の申し出期間が三年間のうちに三十日に限られている、評価額の縦覧期間及び終了後の十日というふうになっています。これももっと期限を延ばすということも検討する必要はないだろうか。  これら二つの点を、少なくとも税の不公平を払い手自身がチェックをしていく、民主化を図っていくというような点で検討していただくようにお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  150. 湊和夫

    湊政府委員 課税されている資産の内訳がわからないということについて、私どもも、納税者の信頼を得るためには、この点については改善していく必要があるというふうに思っております。  既に地方団体にも、そういう観点から、地方団体によっては先行的にいろいろ先駆的な取り組みをいただいているところもございますので、それに倣って、各団体においても、納税者自身に課税内容が十分わかるようにというために、課税資産の内訳書を送付するようにという指導を私ども平成六年度から実施させていただいております。必ずしもまだ十分な状況ではございませんけれども、今後とも引き続きその取り組みについて促してまいりたいというふうに思っております。  それから、不服審査の申し立て期間のお話がございましたが、三十日間の期間を縦覧にあわせてとっておるわけでございます。膨大な固定資産についての課税要件を確定させて課税の事務をやっていく必要がありますし、それから、基本的には課税関係の安定化を図るという不服審査制度の趣旨にかんがみますと、これが長期化いたしますと、大量の処理をしようとするものでありますだけに、課税事務の複雑化とか行政経費の増大といった問題もございまして、なかなか適切な対応は難しいかと思いますが、ただ、いずれにしても、こういう制度を設けておりまして、この制度がやはり有効に活用されるということについて納税者皆さんに十分周知する必要はあると思っておりますので、今後、その啓発、広報につきましても地方団体の指導に努めてまいりたいと思います。
  151. 春名直章

    春名委員 続いて、地方税法改正の中の一つの項目で、低公害車の導入促進税制問題についてお伺いしたいと思います。  今回の地方税法改正で、電気自動車とか天然ガスの自動車、こういう低公害車の普及促進を図るための措置が数項目にわたりまして盛り込まれています。自動車取得税の税率特例を延長することや固定資産税や特別土地保有税に関しても新たに非課税措置が講じられることになっています。  そこで、まず最初に、こうした改正点のねらい、そして、こういう政策措置をとった背景などについて御説明をお願いしたいと思います。
  152. 湊和夫

    湊政府委員 今回の改正で、何点かにわたりまして、低公害車の導入促進のための施策についてお願いを申し上げております。  その理由でございますが、大都市を中心といたしまして自動車が非常に過密化して、そのために、排ガス等の自動車公害対策の観点から、低公害車の普及促進を支援する必要があるという国全体としての施策にのっとりまして、その支援のために、一つは自動車取得税についての軽減措置を延長するということを今回お願いしております。  また、全体としては同じようなねらいでございますけれども、その中で低公害車の燃料等の供給設備、この供給設備がなかなか足りないというような問題がございまして、そういう整備の促進の観点から、今回の改正では固定資産税と特別土地保有税につきまして、固定資産税につきましては電気自動車等の燃料等の供給設備についての課税標準の特例、それから当該施設に係る土地についての特別土地保有税の非課税措置を講ずることとさせていただいております。
  153. 春名直章

    春名委員 排ガス問題、過密化問題などで、それを促進という点でお話がありました。  そこで、きょう環境庁にもおいでいただいておりますので、お聞きしたいと思います。  二酸化炭素及び窒素酸化物の排出総量に占める自動車による排出量の割合がどの程度かということ。また、低公害車、特に電気自動車が一番多いんですが、これが二酸化炭素及び窒素酸化物の排出削減効果など環境保全上すぐれているということが言われていますが、走行時のときは当然そうだと思いますが、燃料を製造する過程などを含めて総合的に見てそのことがはっきり言えるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  154. 小沢典夫

    ○小沢説明員 お尋ねのありました点について御説明申し上げます。  まず、二酸化炭素等の排出寄与度の問題でありますが、二酸化炭素につきましては、我が国の総排出量のうち、自動車を主体とする運輸部門は約二割を占めております。また、都市部を中心に汚染が深刻となっております窒素酸化物については、東京都の例で約七割、大阪府の例で五割強が自動車から排出されております。  それから、低公害車による効果でありますが、低公害車の中には、電気自動車、天然ガス自動車、メタノール自動車などがございます。そういった車種によって程度の差はございますが、こういった環境負荷の排出量が少ないという特性があるわけですが、特にお尋ねの電気自動車について言いますと、御指摘のありましたように、走行時の排ガスが全くないということで、これは都市部の窒素酸化物対策などを考えるときには非常にすぐれた乗り物だということが言えます。  それで、しかしエネルギーをつくるときにCO2などが出ているではないか、そこも加味しろという御指摘だと思いますが、発電時の排出を含めて評価した幾つかの調査レポートによりますと、二酸化炭素の排出量につきましては従来車のおおむね四割から五割程度、それから窒素酸化物につきましては同じくおおむね一割程度に抑えることができるという推計結果になってございます。
  155. 春名直章

    春名委員 既存の自動車への排出規制ということが重要ですけれども、同時に、お話もありました低公害車の普及というのが本当に今大事になっていると思います。政府もその努力を始めているとお聞きしておりますが、「自動車排出窒素酸化物の総量の削減に関する基本方針」という文書の中でも「低公害車の普及促進」を挙げています。そこでは「国及び地方公共団体等においては、率先して低公害車の導入に努めるものとする」ということが明記をされています。  そこで、もう一度環境庁にお聞きをしておきますが、国及び地方公共団体の低公害車の保有台数の推移、また民間を含めた保有台数の推移、これがどうなっているかをお答え願いたいと思います。
  156. 小沢典夫

    ○小沢説明員 低公害車の普及台数でありますが、まず全国のトータルからお話しいたしますが、低公害車の全国普及台数は、平成七年度末現在で約三千八百台でございます。このうち、地方公共団体が保有されているものは、同年度末におきまして一千六十七台でございまして、全国の総台数の約三割を占めております。地方公共団体は、我が国において低公害車のよきユーザーと言うことができまして、今までも地域の環境汚染防止の見地から率先して公害パトロール車だとか、ごみ収集車とかに入れていただいておる、そういったおかげでございます。  一方、国についてでありますが、政府は環境保全に関する率先実行計画というのを平成七年六月に決めておりまして、この中で低公害車の導入目標も決めまして、本格的に取り組み始めておる。若干取り組みが緒についたばかりという状況はあるかと思いますが、平成七年度末現在で、各省庁の一般公用車として入っている低公害車は十二台でございます。そのほかに郵便事業用の車両で約百台の低公害車が導入されております。
  157. 春名直章

    春名委員 この何年間かの推移は。
  158. 小沢典夫

    ○小沢説明員 推移につきましては、五カ年について言いますと、全国でまず言いますと、現在三千八百台。五年ほど前のデータですと千二百台程度でございますから、五年間で約三倍にふえたということです。それから、地方公共団体におきましても、同じように見ますと、過去五年間で約十倍くらいにふやしていただいております。国につきましては、恐縮ですけれども、先ほど言いました平成七年度のデータしか今のところございません。
  159. 春名直章

    春名委員 着実にといいますか、増加はしているということは今の数字でわかるわけですが、足取りの力強さという点ではさらに努力が求められているという感じを受けました。  一般の自動車と比べれば、値段が三倍くらいでかなり割高になりますね。それから、走行性能ではいろいろ改善がされてきているようですけれども見劣りするということや、先ほどお話が出ました補充施設・設備の未整備、こういう問題を抱えているということです。  それで、今例を挙げましたけれども政府の方針の中でも公的部門で普及をリードするということが非常に重要になっている。国や地方公共団体の果たす役割は非常に大きいと私は思います。この点の基本的な認識で大臣にぜひお聞きしたいと思いますが、国や地方自治体で率先して導入するという方針を掲げている点から見て、今の普及状況をどのように受けとめていらっしゃるか、ぜひお聞かせいただけたらと思います。
  160. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 決して高くはないと思うわけでございますが、しかし一方では財政再建もしていかなければならないというような事情の中でございまして、理想は理想なのでございますが、やはり先導的なもの、それからある程度やはり商業ベースに乗らないと単価も下がらないだろうと思います。苦しい中ではございますが、先進国というのは環境にも負荷をかけないというのもまた先進国の条件でありますので、まず公的部門が、若干非効率なところあるいは価格は高いところが仮にあったとしても努力はしていかなければならないもの、こう承知しております。
  161. 春名直章

    春名委員 まさにそのとおりだと思います。去年八月二十五日付の毎日新聞でも、自治体での電気盲動車普及に関する記事がまとめられていますけれども財政難もあって、環境優先も大事だけれども限界があるとアンケートに答えているのがふえているという記事で、「税制優遇求める声」というのも報じています。  環境庁にトータルにお聞きしたいのですけれども、先導的な普及ということを思い切って進めていくということで今まで努力もされていると思いますが、今後も財政的にも一層裏づけていくということでぜひ御検討いただきたいと思いますが、環境庁いかがでしょうか。
  162. 小沢典夫

    ○小沢説明員 環境庁といたしましては、環境保全の見地から、あらゆる方々、あらゆる方法を使って低公害車の普及に努めているところでございまして、地方公共団体、先ほど先導的な役割を果たしているということを申し上げましたが、地方公共団体が低公害車を導入するのに必要な情報の提供はもちろんのこと、ささやかではございますけれども公害パトロール車、あるいは最近では集中導入事業に対して補助を行っております。それから、もちろんこのことは国の各省も率先して取り組むことが必要でありますが、国の率先実行計画に基づく実施状況については、毎年度点検を行い、公表もしていくということにしてございます。  また、民間部門につきましても、通産省、運輸省などがそれぞれ支援措置を強化しつつあるところでございまして、こうした中で各方面の協力もいただきながら、低公害車の普及拡大に努めてまいりたいと考えております。
  163. 春名直章

    春名委員 今回の地方税改正とのかかわりですけれども、税制面での一定のそういう措置が今回盛り込まれていますけれども、より踏み込んだ対策をぜひ検討していただきたいと思います。  電気自動車の価格ですけれども、先ほど言いましたように一般の自動車の三倍程度になると言われています。その取得価額を課税標準とする自動車取得税について、自家用車の税率の五%に対して低公害車は二・四%軽減するというようになっています。しかし、一般の五%に対して電気自動車が二・六%になるわけですけれども、取得価額が三倍であったら、実態として税負担額は一般の自動車よりも大きいということになってしまいます。ですから、自動車取得税の税率軽減を、いろいろな努力をされているというのはよくわかりますが、非課税にするということまで含めて、先導的に普及していく段階ですので、さらにそういう思い切った手だては用意することはできないかということを次にお聞きしたいと思いますが、どうでしょう。
  164. 湊和夫

    湊政府委員 環境対策のために低公害車の導入促進を図る、いろいろな角度からの手法が講じられておるわけでございまして、地方財政措置も自治省としては講じておりますし、それからいろいろな各種の導入に関連する補助制度も環境庁等でつくられておりますし、それから融資制度などの充実も図られていると承知いたしております。  国税あるいは地方税の低公害車導入促進に関する税制は、それらのあくまでも一部を構成するものだと基本的には私ども考えております。今お話がございましたように、五%のうちの二・四%だということでございますが、営業車に関連して言えば三%のうちの二・四にもなる、この場合は八割に相当する。一般の場合は五割弱ということではございますけれども、それも近年、少しずつではございますけれども引き上げてきておる結果でございます。  この自動車取得税は、やはり基本的な性格が特に市町村のための道路目的財源としての役割、形は県税でございますがその七割は市町村の道路財源としてこれは使われているわけでございまして、そういう意味からすると納税者の道路利用に対する道路損傷負担金分の一部はやはりちょうだいすべきではなかろうか、今軽減の仕組みとしては相当のレベルに税としては来ているのではなかろうかというふうに思っておるところでございます。これまでも努力してきたところについてはぜひ御理解を賜りたいと思います。
  165. 春名直章

    春名委員 今のお答えですと次の質問にも余りあれにならないかもしれませんが、九五年度の税制改正で、それまで自動車税と自動車取得税の両方にまたがっていた低公害車の税率軽減措置が、自動車取得税の軽減率を引き上げるということで一本化をされましたね。自動車取得税の税率軽減の強化と引きかえに、自動車税の特例措置が廃止をされるということになりました。しかし、取得後の維持経費という点でも低公害車の負担というのは決して少なくないというふうに今の段階では思います。例えば鉛電池の場合は、二、三年ごとに何十万もするものを交換するということになります。しかし、今はニッケル水素電池ですか、新しいものも開発をされて、六年ぐらいもつというようなことにもなっているとお聞きしておりますけれども、例えばそういうこともあります。ですから、その軽減を取得時の軽減とあわせて行っていくということもやはり考えることが必要ではないかなというふうに私は思います。  自動車税の性格として、自動車という財産に対して課せられるべき固定資産税にかわる財産課税の一種という側面を持つとも言われています。今回の改正では、低公害車用燃料等供給施設の用に供する一定の償却資産について、固定資産税の課税標準を取得後三年間はその価格の三分の二にするという特例措置が新設をされております。そうであれば、自動車税の軽減措置もあわせて、復活といいますか、実施をするということも検討できるのじゃないでしょうか。その点をぜひお伺いしたいと思います。
  166. 湊和夫

    湊政府委員 この電気自動車について取得税の特例が設けられましたのはたしか昭和五十年ごろだったかと思いますので、もう約二十年がたっているわけでございます。  それで、平成七年度に自動車税の方の特例を廃止して自動車取得税に一体化したゆえんは、これまでの税としての役割をどの程度果たしてきているかという反省にももちろん立ちながら、しかし今後なお促進を図っていくべきだという観点に立って、もう一度税制の支援の仕組みとして考え方を整理してみようということでございました。さっき委員からも御指摘ございましたけれども、低公害車に係る大きな問題は、一つは価格、そして性能、それから充電等の施設、もちろん維持管理について全く関係ないというふうに申し上げることはありませんけれども、こういった点が非常に重要だ。  その中で、自動車税は定額課税いたしております。しかし、自動車取得税の方は取得価額に連動して一定割合で課税する仕組みになっているということで、特にこの価額に対する低公害車の他の車に対するハンディキャップといいますか、そういった点を考えますと、この取得時における負担の軽減を図るということの方が全体として税制の役割としてより効果を高めることになるのではないかという観点から、平成七年の改正の際に、自動車税を廃止してそのかわり自動車取得税の方の軽減の割合を高めるということにさせていただきました。そして、また昨年は、取得時の税負担の軽減をもう一度さらに見直し、その負担感を軽減するという意味で、さらに二・二%から二・四%に引き上げる等の取り組みをやってきたわけでございます。  税制としてどういうやり方ですることが、限られた範囲ではございますけれども、より効果的な支援策になるかといういろいろな角度からの検討を二十年の反省に立ってやってきた結果の措置でございますので、ひとつ御理解を賜りたいと存じます。
  167. 春名直章

    春名委員 諸外国でもいろいろ努力があるようです。本気で環境問題に取り組もうということになると、やはりかなり思い切った手だても必要になってくると思います。今までも、今の経過を聞き、努力されている中身のお話がありましたが、環境規制の厳しいアメリカのあのカリフォルニア州では、二〇〇三年から、自動車メーカーに対して、自動車販売数の一割を電気自動車が占めなければならないという電気自動車販売促進プログラムが実行に移される、ここまで行政として徹底をするというような例まで今生まれてきているということです。  最後に、大臣にお伺いしておきたいと思います。  自動車の排ガスの抑制は、今直面している大気汚染公害の解決を図っていくという点で本当に切実になっているということとともに、やはり中長期的に見れば地球温暖化の非常に大きな要因になって、この抑制という点でも国際的に課せられた義務を果たす上で避けて通れない問題になってきているというふうに思います。石油エネルギーの有限性ということを考えた場合にも、代替エネルギーへの転換を図るということも大事です。  自治大臣ですから、このことにとうとうとお話をされるということにはならないと思いますけれども、そういう点から、ぜひ自治大臣として対応できる分野で最大限の努力を一層今後も払っていただきたい、そういう決意についてお伺いしておきたいと思います。
  168. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、公害を少なくする低公害車の導入促進は極めて重要なことであります。地方自治体が率先してごみ収集車や公営バス等として低公害車の導入をすること等を含めて、極めて重要な問題として今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  169. 春名直章

    春名委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  170. 穂積良行

    穂積委員長 次に、畠山健治郎君。
  171. 畠山健治郎

    ○畠山委員 毎回同じでかわりばえしなくて本当に申しわけないのですが、税制を中心に、地方財政の幾つかについてお伺いをいたしたいと思います。  まず、地方消費税地方財政対策との関連からでございますが、一兆二千億円の臨時減収補てん債の発行をなされた理由は何でありましょうか。
  172. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 平成六年度の税制改革におきましては、国、地方それぞれ、所得税住民税制度減税による減収と、地方消費税の導入、消費税率の引き上げの増収が見合う形で税財源フレームが構成されております。  しかしながら、平成九年度におきましては、地方消費税の導入の初年度でございまして地方消費税収が平年度化しないため、過年度の消費譲与税相当額があることを考慮いたしましても、なお平年度ベースに比較して一兆二千億円の税収が不足すると見込まれました。この影響額につきましては、地方団体財政運営に支障が生ずることのないよう補てんする必要がありますので、税制改革の移行期に生じた一時的な財源不足であるということにかんがみまして、臨時特例の地方債により措置することとしたものでございます。
  173. 畠山健治郎

    ○畠山委員 地方消費税収入は、初年であれ平年度であれ増収にカウントされることは当たり前のことだと思うのです。それを、平年度収入を前提に初年度収入との差を不足額としてカウントして地方債で補てんしたのは、財政対策としてはいかがなものかと考えます。一兆二千億円の財源不足となるなら、全体の財源対策、つまり交付税の増額措置によって補てんされるべきではないだろうかと考えます。交付団体にとってもその方が都合がいいはずであります。  大蔵省はともかく、自治省でありますから、地方自治体にひとつ目を向けて対応していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  174. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 ただいまの一兆二千億の未平年度額は、新しい税制への移行期の単年度、九年度に限って生ずる収入不足でございまして、そういう意味で、先ほど申しましたように、臨時特例の地方債によって補てんをいたしまして、その元利償還費は後年度に全額を基準財政需要額に算入することによって補てんをするということにいたしておるわけでございます。これを、お話にございましたように交付税の増額ということで賄いました場合には、これは当然でございますが、不交付団体に対する手当てとしては、歳入に穴があいてくるということになるわけでございます。  それからさらに、地方債は、実際に算定いたします際には、各地方団体ごと地方消費税税収の見込み額を基本として算定をいたしたいというふうに考えておりまして、これによりまして各団体ごと収入額は実質的に新しい地方消費税に見合った額となりますので、今回、地方税源拡充のための地方消費税を創設したという趣旨にも沿うものというふうに考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  175. 畠山健治郎

    ○畠山委員 検討の余地は十分あると思いますから、ぜひ御検討いただきたいというふうに思っています。  次に、固定資産税についてお伺いをいたしたいと思います。  九六年度の課税標準額と九七年度の評価額とを対比し、その負担水準に応じて税負担を調整する今回の課税方法は、新たな制度として導入されたものと考えておりますが、結局、こうした制度を導入せざるを得なくなったのは、地価上昇を前提に公示価格の七割とするこれまでの評価制度そのものに無理があったのではないかと思わざるを得ないというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  176. 湊和夫

    湊政府委員 平成六年度から地価公示価格の七割を目途として宅地の評価をするという方式が採用されまして、今回も、平成九年度もその考え方に沿って評価がえを行うことといたしております。  先生もう十分御承知のとおりでございますが、この七割を目途とした、地価公示の一定割合を目途とした評価を行うという話は、固定資産税だけの世界議論としてではなくて、地価公的評価一元化に係る相当広範囲な議論が当国会でも展開されまして、平成元年の土地基本法の制定の際に、たしかこれは十六条の規定で根拠が入ったわけでございますが、この規定もたしか議員立法修正で入った規定ではなかったかと思っております。  その中で、公的土地の均衡化、適正化ということを税負担の均衡という視点からも取り入れるべきだということがこの法律の中で位置づけられております。これを踏まえて、政府全体として、土地政策のいわば一環として位置づけが行われたものと考えておりますので、今回、九年度の評価がえによりまして、固定資産税が抱えておりました評価における不均衡の議論地域、地点における評価がなかなかアンバランスであるという御指摘を受けておりましたが、この点については相当改善された、資産課税の基礎として均衡のとれた評価が実現できておるものというふうに私ども認識をいたしておるわけでございます。  確かに、負担の仕組み、今回変えることにいたしましたが、一つは、評価額と課税標準額の間の状況を見ますと、負担水準地域的にもかなりばらつきがあるということではございましたが、もう一つは、やはり今までの負担調整の仕組みがなかなかわかりにくい。特に六、七、八と三年続けて制度を手直ししたというようなこともありまして、一般の納税者の方はもちろん、市町村の担当者の皆さんからも、納税者に理解していただくためにはなかなか難しいという御議論がございました。抜本的に、とにかく固定資産税の負担の求め方をもっと人にわかりやすいように変えていきたいという思いも、これは半分は私ども正直言ってありまして、その両様から今回の制度を組み立てさせていただいたということでございます。
  177. 畠山健治郎

    ○畠山委員 この負担水準による制度はいつまでもお続けになるんでしょうか。その場合、地方税財政における固定資産税の比重を今後どのようにお考えになっていらっしゃるのか。  それから、今回のような新制度によって負担均衡を図るとするなら、固定資産課税台帳に対する国民の自由な縦覧を保障すべきではないだろうかと考えます。周囲との評価比較が公正、公平な課税の基本なはずであります。そうした観点からすれば、守秘義務にも反しないのではないかというふうに思われます。  また、不服申し立て制度は、制度上としては評価審査委員会ということで別建てとなっておるわけでありますが、実態は、固定資産税課が扱っておるのが実態であろうかと思うんです。評価した者と不服申し立てを受ける者とが同じであるというようなことからすると、制度の意義が損なわれるのではないのだろうかと思われます。いかがでしょうか。
  178. 湊和夫

    湊政府委員 現在の仕組みは、法律的にはもちろん平成九年から十一年度までの仕組みとして考えておりますが、その根底にあります税負担の均衡を図るということを最重点の視点として制度を組み立てるという考え方は、当面これは引き続いて、恐らく平成十二年度以降もその観点に立った取り組みが行われるべきものだというふうに私ども認識をいたしております。  ただ、いずれにしても、今後の評価がどうなるかというようなこととか、全体の税収動向がどうかというようなこと、あるいは経済の状況がどうなるかというようなこともいずれも関係してきますので、今の段階で断定的なことは言えませんけれども、評価の均衡がとれた次の大きな課題は、やはり税負担水準をできるだけ均衡化するということにあるというふうに基本的に認識をいたしております。  それから、固定資産税台帳の縦覧についてのお尋ねがございました。  御指摘のような御意見を昔からたくさんちょうだいをいたしております。しかし一方で、現在のこの法律の解釈について言いますと、最近では昭和六十二年の最高裁の判決もそうでございましたけれども、やはり個人の財産状況が明示されているということから、第三者にこれを見せることは守秘義務の違反に当たるという判示が出されております。そういうことで、現在の法の仕組みの運用としては、おっしゃるような仕組みはなかなか難しいわけでございます。  ただ、これに現実にかわる問題として、おっしゃるように周辺の土地がどういうふうな評価になるかということは、納税者にとりまして大変な関心事でございますし、固定資産の評価の信頼を得るためにも重要な事柄でございますので、既に平成六年の評価がえ前から路線価の公開を指導してまいってきております。  今回、恐らく、平成九年度の評価がえに際しましては、この縦覧にあわせて全市町村で路線価あるいは標準点の公開が実現できるというふうに今私ども思っております。これによりまして、自分のところの土地がどれくらいの額になるかということについてはかなり理解ができるようになるのではないかと思います。ただ、法的な制度議論としては、今後とも私ども勉強させていただきたいと思っております。  それから、審査申し出についての御意見も御指摘のとおりでございまして、全く情けない状況が調査の結果判明いたしまして、これについて直接評価を担当している者が審査も担当するということは、これはあってはならないことでございますので、市町村に対して私どももいわば厳しくそういう要請を行っているところでございます。ぜひ改善に努めてまいりたいと思っております。
  179. 畠山健治郎

    ○畠山委員 次に、地域づくりとの関連で、地方債の状況を見てみますと、計画ベースではこの十年間で二倍にふえた地方単独事業に対し、単独事業債は約三倍、さらに地域総合整備事業債に至っては約五倍となっております。これは、景気対策、公共投資計画によって後押しされた面もありますが、何よりも自治体が主体的に取り組んだ結果であろうかと思います。その際、特に地域総合整備事業債地方交付税を組み合わせた自治省の財政支援が起債拡大に弾みをつけたことは、これは間違いないというふうに思うのです。  そこでお尋ねしたいと思いますが、単独事業債、特に対象事業に極めて弾力性を持つとされる地域総合整備事業債の発行を許可する場合、対象となる施設の効果的な運営あるいは採算性についての考慮はどうなっておるだろうか。また、施設の維持管理費についての交付税はどのように算定されておるのか、お尋ねいたしたいと思います。
  180. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 地方単独事業が近年相当拡大してきたことは今委員指摘のとおりでございまして、その中でもいわゆる地域総合整備事業債を使った事業が大幅に伸びているということも、それも御指摘のとおりでございます。地方団体が自主的にいろいろな地域づくりをしていただく上で、それぞれの工夫を凝らしていただくための事業ということでこういう事業を進めてきたわけでございます。  基本的には、どういう施設を建設するのかといったようなこと等につきましては、それぞれの団体で自主的に判断をしていただくべきものというふうに思っておりまして、特に会館等の建物につきましては、財政運営に及ぼします影響あるいは住民の側の要望、利用の見込み等、的確にいろいろ見通した上で施設の整備を図ってほしいということを私どももいろいろな機会を通じて注意を促しておるところでございます。地方債の許可に当たりましても、そのような観点から、財源の計画でございますとか運営見込み等につきましてお聞きすることにいたしております。  それから、こういう地域総合整備事業債によりまして整備いたしました施設について、維持管理費を何か見込んでおるのかというお尋ねでございますが、これは、いろんな施設がこの事業によりまして整備されておりますので、そういう発行されました地方債もとにいたしまして、一定割合を標準的に地方交付税に算入するという措置をとっておるところでございます。
  181. 畠山健治郎

    ○畠山委員 事業費の大半が起債で措置されることから、一般財源負担は比較的軽く、しかも起債償還費も財政力指数に応じて交付税で厚く措置されるとなれば、結果として、いささか度を超した施設整備に走り、あるいは効果的管理運営に十分な見通しを欠く自治体があらわれても不思議ではないというふうに思います。  地域づくりについて、地域総合整備事業債が果たしてきた役割は十分評価をするだけに、今後のあり方についてどのようにお考えをなさっているのか、お尋ねいたしたいと思います。
  182. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 まず、地域総合整備事業債一定割合を、その元利償還地方交付税措置いたしておりますが、この財政措置のやり方は、財政力に応じまして三〇%から最高五五%までを財源措置するというものでございまして、地方債充当率が現実には七五ぐらいでございますから、全体事業費に対します財源措置の割合といたしましては二二・五から四一・二五の間ということで、五〇%未満ということになっておるということは御理解いただきたいと思います。  確かに、こういう地域総合整備事業債等によりまして、近年単独事業はずっと拡大をしてきたところでございますが、平成九年度の地方財政対策を講ずるに当たりましては、国、地方を通ずる財政状況が極めて厳しくなってきておるというふうな状況、あるいは景気との関連、いろんなことを考え合わせまして、この公共投資全体のあり方考える必要があるということから、九年度におきましては、単独事業につきましては、消費税率分アップも全部のみ込んだ上で伸び率ゼロということにいたしたわけでございます。  今後また、政府・与党の中におきまして財政構造改革全般についていろんな議論がされておりますが、その中で、もちろん地域における主体的な地域づくりということの重要性も非常に重要な視点として常に押さえておく必要がございますが、国全体あるいは地方財政全体の健全化を図っていくという意味で、単独事業を含めました公共投資のあり方についてもその中で検討してまいりたいというふうに考えております。
  183. 畠山健治郎

    ○畠山委員 単独施策を第三セクターで行う場合、経営上問題を抱えている法人が多く見られるようになってまいりました。最近の統計でも、総数九千三百四十四ある第三セクターのうち、土地開発公社や観光、レジャー関係が上位を占め、経営上かなり問題を抱える法人が見られます。私の秋田県のある例では、観光、レジャー施設に対する一般会計からの赤字補てんが続いており、全国的にも、用地取得にかかわって土地開発公社が多額の借金を抱えておる例は多いはずであります。  こうした第三セクターの経営実態についてどのように把握なさっていらっしゃるのか、お尋ねいたしたいと思います。
  184. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 御指摘のように、第三セクターと言われるもの全体では、私ども調査して、数あるいは出資状況等を調査しているもので、大体九千ぐらいございます。御指摘のように、その中で土地開発公社等につきましては、公有地拡大法等の法律に基づいて設立されたものでございまして、その経営状況、事業の状況等についても私どものところで承知をいたしております。  ただ、それ以外の公社の経営状況等については、そのそれぞれの出資団体等においてその経営状況を把握し、その運営について責任を負っているわけでございますので、その地方団体に対しまして、私ども、毎年度の財政運営を指導するという立場で、地方公社等について、今御指摘のように、その公社の経営状況によってその本体の地方団体財政運営に大きな影響を及ぼす場合もあるわけでございますので、そういうことについて、その経営状況をよく把握して、今の地方行革の視点も含めて、その存廃まで含めて検討していただくようにということでお願いを申し上げているところでございます。
  185. 畠山健治郎

    ○畠山委員 土地開発公社については、一般会計の肩がわりをさせておるものがたくさんあります。観光、レジャーでは、十分な経営見通しもなく第三セクターに走った結果でもありますが、議会の十分なコントロールの外側にあるものが多いだけに、今後、自治省においても的確な状況把握をしていただくように強く要望して、時間になりましたので、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  186. 穂積良行

    穂積委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十六分散会