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1997-06-17 第140回国会 衆議院 大蔵委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十七日(火曜日)     午後二時七分開議  出席委員    委員長 額賀福志郎君    理事 金子 一義君 理事 坂井 隆憲君    理事 保岡 興治君 理事 柳本 卓治君    理事 北側 一雄君 理事 谷口 隆義君    理事 池田 元久君 理事 佐々木陸海君       飯島 忠義君    今村 雅弘君       衛藤征士郎君    木村 隆秀君       栗原 博久君    小林 多門君       下地 幹郎君    菅  義偉君       砂田 圭佑君    田中 和徳君       中野 正志君    能勢 和子君       宮路 和明君    吉川 貴盛君      吉田左エ門君    渡辺 喜美君       上田 清司君    木村 太郎君       北脇 保之君    鈴木 淑夫君       中川 正春君    並木 正芳君       原口 一博君    藤井 裕久君       前田  正君    宮地 正介君       村井  仁君    川内 博史君       坂上 富男君    末松 義規君       田中  甲君    佐々木憲昭君       秋葉 忠利君    吉田 公一君       新井 将敬君    土屋 品子君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 三塚  博君  出席政府委員         法務大臣官房審         議官      柳田 幸三君         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房金         融検査部長   中川 隆進君         大蔵省主計局次         長       林  正和君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省銀行局保         険部長     福田  誠君         証券取引等監視         委員会事務局長 若林 勝三君         国税庁次長   堀田 隆夫君  委員外出席者         警察庁生活安全         局薬物対策課長 樋口 建史君         警察庁刑事局暴         力団対策部暴力         団対策第二課長 宮本 和夫君         経済企画庁総合         計画局計画官  安井 誠人君         法務大臣官房参         事官      菊池 洋一君         法務省刑事局刑         事課長     藤田 昇三君         法務省刑事局刑         事法制課長   渡邉 一弘君         大蔵大臣官房審         議官      筑紫 勝麿君         厚生省社会・援         護局地域福祉課         長       堀之内 敬君         自治省財政局財         政課長     瀧野 欣彌君         参  考  人        (日本銀行総裁) 松下 康雄君         大蔵委員会調査         室長      藤井 保憲君     ――――――――――――― 委員の異動 六月十七日  辞任         補欠選任   衛藤征士郎君     栗原 博久君   砂田 圭佑君     宮路 和明君   田中 昭一君     能勢 和子君   山中 貞則君     下地 幹郎君   鈴木 淑夫君     原口 一博君   川内 博史君     坂上 富男君   新井 将敬君     土屋 品子君 同日  辞任         補欠選任   栗原 博久君     衛藤征士郎君   下地 幹郎君     山中 貞則君   能勢 和子君     田中 昭一君   宮路 和明君     砂田 圭佑君   原口 一博君     鈴木 淑夫君   坂上 富男君     川内 博史君   土屋 品子君     新井 将敬君     ――――――――――――― 六月十六日  阪神・淡路大震災被災者等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案赤羽一嘉君外十五名提出衆法第三七号) 五月二十二日  共済年金制度堅持に関する請願木村太郎紹介)(第二九八六号)  同(左藤恵紹介)(第二九八七号)  同(浜田靖一君紹介)(第二九八八号)  同(古川元久紹介)(第二九八九号)  同(逢沢一郎紹介)(第三〇八〇号)  同(稲垣実男紹介)(第三〇八一号)  同(大村秀章紹介)(第三〇八二号)  同(木村太郎紹介)(第三〇八三号)  同(木村隆秀紹介)(第三〇八四号) 同月二十七日  共済年金制度堅持に関する請願谷垣禎一紹介)(第三一四八号)  同(町村信孝紹介)(第三一四九号)  同(衛藤晟一紹介)(第三一九四号)  同(笹川堯君紹介)(第三一九五号)  同(中島洋次郎紹介)(第三一九六号)  同(伊吹文明紹介)(第三二六八号)  同(衛藤晟一紹介)(第三二六九号)  同(大島理森紹介)(第三二七〇号)  同(田村憲久紹介)(第三二七一号)  同(竹本直一紹介)(第三二七二号)  インドネシアへの原発輸出に対する日本輸出入銀行融資反対に関する請願秋葉忠利紹介)(第三二六七号) 同月三十日  共済年金制度堅持に関する請願赤城徳彦紹介)(第三三一二号)  同(桜井新紹介)(第三三四七号)  同(伊藤英成紹介)(第三三七七号)  同(小澤潔紹介)(第三三七八号)  子育て減税制度化に関する請願西川太一郎紹介)(第三三七六号) 六月四日  共済年金制度堅持に関する請願石田幸四郎紹介)(第三四九二号)  同(小沢辰男紹介)(第三四九三号)  同(五島正規紹介)(第三四九四号)  同外四件(小澤潔紹介)(第三五三一号)  同(奥田幹生紹介)(第三五三二号)  同(牧野隆守紹介)(第三五九〇号)  同(八代英太紹介)(第三六二七号)  インドネシアへの原発輸出に対する日本輸出入銀行融資反対に関する請願(辻元清美君紹介)(第三四九五号)  同(金田誠一紹介)(第三六二八号)  震災復興事業への消費税登録免許税等減免措置に関する請願砂田圭佑紹介)(第三五八九号) 同月十日  共済年金制度堅持に関する請願小渕恵三紹介)(第三六七九号)  同(実川幸夫紹介)(第三六八〇号)  同(羽田孜紹介)(第三七一八号) 同月十一日  共済年金制度堅持に関する請願渡辺博道紹介)(第三八九五号)  同(衛藤征士郎紹介)(第四〇四五号)  同(衛藤晟一紹介)(第四〇四六号)  同(福島豊紹介)(第四〇四七号)  同(衛藤征士郎紹介)(第四三七三号)  同(石橋一弥紹介)(第四四六二号)  同(田中昭一紹介)(第四四六三号)  インドネシアへの原発輸出に対する日本輸出入銀行融資反対に関する請願保坂展人君紹介)(第三八九六号)  新たな地震災害保険共済制度創設に関する請願小坂憲次紹介)(第四一七〇号)  同(羽田孜紹介)(第四一七一号)  同(北沢清功紹介)(第四三〇九号)  同(小川元紹介)(第四三七四号)  同(宮下創平紹介)(第四三七五号)  同(村井仁紹介)(第四三七六号)  同(堀込征雄紹介)(第四四六四号)  在日朝鮮人聯合会国税庁間の合意等調査に関する請願小池百合子紹介)(第四三〇八号) 同月十二日  共済年金制度堅持に関する請願石橋一弥紹介)(第四五一一号)  同(江口一雄紹介)(第四五一二号)  同(今田保典紹介)(第四五九七号)  同(辻一彦紹介)(第四五九八号)  同(奥田敬和紹介)(第四七〇五号)  同(中桐伸五君紹介)(第四七〇六号)  同(畑英次郎紹介)(第四七〇七号)  同(森英介紹介)(第四七〇八号)  同(米田建三紹介)(第四七〇九号)  同(赤羽一嘉紹介)(第四八二七号)  国税職員処遇改善に関する請願佐々木陸海紹介)(第四七〇二号)  税関チェック機能の強化と増員・職場の民主化に関する請願佐々木憲昭紹介)(第四七〇三号)  中小自営業者婦人自家労賃税制等に関する請願矢島恒夫紹介)(第四七〇四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月二十二日  公共工事に係る会計年度特例創設に関する陳情書(第三一三号) 六月五日  産業業務施設等に対する税制上の特例措置期限延長に関する陳情書(第三五七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  閉会中審査に関する件  金融及び証券取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 額賀福志郎

    ○額賀委員長 これより会議を開きます。  金融及び証券取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原博久君。
  3. 栗原博久

    栗原(博)委員 三塚大蔵大臣初め大蔵省の方々におきましては、日本版ビッグバンの推進に対して大変御尽力されていることについて敬意を表する次第であります。特に、野村証券とか第一勧業銀行など、こういう不祥事の中で、いかにして日本財政を過ちなきようにということで御努力されていることについても重ねて敬意を表する次第でございます。  さて、我が国は、国内総生産に近い借金隠れ借金などを含めましても約五百兆に及ぶ借財があるわけであります。そういう中で、去る六月三日、財政構造改革会議におきまして、九八年度には公共事業の七%の削減、あるいはまた社会保障につきましては医療法改正などを図って約五千億円の縮小をする、あるいはウルグアイ・ラウンドの対策につきましても二年間繰り延べ、あるいはまた国防費についても中期防衛力整備計画を九千二百億削減するなど、大胆な歳出削減数値目標を具体的に出しておられるわけであります。こういう中において、私はやはり国、地方のすべてにわたって行政システムを抜本的に改革せねばならぬと思いますし、また従来のマイナスシーリングの域を脱しなければならない、大胆な改革をもって国民の不安なき政策を実行していただきたいと思うわけであります。  そういう中で、かつていろいろ財政構造改革に準ずる改革もされてまいったようでありますが、今回のこの財政構造改革に向けましての大臣決意の御一端をひとつ御披瀝賜りたいと思います。
  4. 三塚博

    三塚国務大臣 先進国中、最悪の財政状況にありますことは御指摘のとおりであります。  簡明に言いますと、力のあるうちに諸改革を断行しなければならない、早期発見早期治療というのが難病の解決策だと言われておるわけです。一年待とう、二年待とうということになりますと、収拾つかない深刻な状態になることだけは間違いがない事態であります。  平成九年度予算編成財政構造改革元年ということで赤字公債からの脱出に全力を尽くしたところであります。そして橋本首相のリーダーシップによりまして、財政構造改革五原則という、聖域なき歳出見直し制度見直し等々発表されたところは御承知のとおりでございます。そういう中で、前三カ年を集中期間として健全財政への三カ年といたしたい、そして通算六カ年で赤字公債から脱却の健全財政へと取り組んでいかなければならぬ、こういうことになったところでございます。  既に御案内のとおり、先般、全体会議に対しまして財政再建法を今国会提出をしたいと申してまいりましたが、そこまで至りませんでした。よって、財政構造財政再建法の骨子を発表し、大方の了解を得たところでございます。できるだけ早く成案にすべく、これから努力をいたすところでございまして、早い国会提出をしてまいりたい、こういうことでございます。  以上のようなことの中で、国民各位我慢をいただかなければならぬそれぞれのものが出てまいりますけれども、ここは、輝く太陽に照らされるような次の世紀をにらみながら、我慢の三年をこれからスタートを切っていかなければならないということでございます。幸いに、構造改革財政だけではなく社会保障関係、それと自主再建ということで内需振興ということで経済システム改革前進をいたしておることなどの効果によりまして、日本経済は確かな足取り前進の兆しにあります。  こういうことで、今後、国民各位とともに進まなければなりませんし、特に国民代表である国会各党理解と協調を得ながらこの大目的を達成していきたい、こういうことでございます。
  5. 栗原博久

    栗原(博)委員 今回のこの財政構造改革会議のメンバーを見ますると、政府・自民党、そしてまた社民、さきがけなどの首脳だけではなくして、かつての歴代総理蔵相を含めての強力な体制で臨んだわけでありますから、ぜひひとつこの改革が必ず達成されることをまず御祈念申し上げる次第でございます。  次にお聞きしたいのでございますが、こういう財政構造改革計画の策定に当たりまして、私は財政投融資見直しも大いにその過程で議論されたと思っております。それは郵便貯金の二百十二兆、厚生国民年金などの百十六兆あるいはまた簡易保険積立金の約八十三兆など、これがどのように運用されているかということは私が申すまでもないわけでございます。  郵便貯金とか年金などの財投原資が、現在の長期国債表面利率が二・七%でございますが、実際、今財投金利は二・九%と伺っているわけです。こういう中で、財政当局といたしまして、やはりこの長期国債表面金利に近づく利率を求められていると思うのでありますが、これに対しては、やはり小泉厚生大臣のいろいろの持論もあるわけでありまして、年金運用郵便貯金運用ではおのずから違うというようなお考えもあるようであります。あるいはまた郵政大臣お話を承りますと、財投金利の引き下げに対しまして同意するようなお話もあるようでありまして、国債金利に連動して二・六%程度に下げても郵便貯金の対応はできるというようなことも言っているやに伺っておるわけです。郵便貯金は、累積黒字が、今貯金金利が低下しておるという中で、その恩恵もあって、今年度末で約四兆円の利益が出るというように伺っておるわけでありますし、また簡易保険も、お客に対しましての配当金剰余金として分配するということも可能であると伺っておる。  しかしながら、この二百十二兆に及ぶ郵便貯金、そしてまた百兆円の簡易保険のうち約半分の五十三兆円が財政投融資として運用されておるわけでありまして、その運用大蔵省資金運用部で扱っておって、それを預託あるいは財投協力として各公庫とかいろいろなところに貸し付けされておる。要するに国庫がその担保をとっておるわけですから、絶対に資金回収が不能でないということになると思うのです。  そういう中で、今郵政民営化の問題がいろいろ俎上に上っておるわけであります。規制緩和云々といって、特に私ども地方におきましては、酒屋さんとかたばこ屋さんはかつての繁栄がございません。全く見るに見かねる状況で、地方のこのような商店は疲弊しております。私は、民営化の中における、こういう特定郵便局などにおきましても民営化すべきものは民営化も可能かと思うのでありますが、やはり都会と地方におきますこれらの役割は違うと思うわけでありまして、しかしながら、またこういう財政投融資というものを資金運用部でこのまま特殊法人等に出しておりますと、今まで指摘されております日本開発銀行とかあるいはまた都市整備公団とか、いろいろの特殊法人におきまして一般会計からの繰り入れを余儀なくされる。ですから、郵便貯金は国が担保としているかわかりませんが、その反面、やはり国家が一般会計からこういう貸し出しされておる機関に対しての金の繰り入れをしているわけであります。  そういう中で、私はお聞きしたいのでございますが、将来の財政投融資運用に当たりまして、私は郵便貯金等につきましての民営化については地方の観点から疑義があるということをまず申し上げたいと思うのでありますが、しかしながら、これからますます増大いたしますこのような郵便貯金等をどのように運用していくかということについて、今までは出口の問題からいろいろ議論してまいりましたけれども、これを入り口の面からもあらゆることを考えながら、どのようにこの郵便貯金自主運用するかということも、大蔵省としてお考えあられれば、それに対してのお考えをひとつお聞きしたいと思うわけでございます。     〔委員長退席金子(一)委員長代理着席
  6. 伏屋和彦

    伏屋政府委員 今の郵便貯金資金自主運用についてお答えさせていただきたいと思います。  今委員が御指摘になられましたように、国の制度信用に基づきまして集められました郵便貯金等資金につきましては、これは法律に基づきまして、統合的に管理して確実かつ有利な運用を図ることによって、国全体の立場に立って、例えば社会資本整備等国民生活安定向上に役立つ分野に活用することが適当であると考えております。  先ほど言われました郵便貯金の一部につきましては、現在は、金融自由化に対応した健全な郵便貯金事業の経営の確保に資するため、郵便貯金特別会計資金運用部から借り入れまして、みずからの投資判断に基づいて現在のところは市場運用を行っているところでございます。
  7. 栗原博久

    栗原(博)委員 今後やはり郵便貯金マネー運用の自立を迫られていくと思います。現在、債券投資などで自主運用として約四十兆ほど使っているようでありますが、こういう方面からの検討もひとつお願いしたいと思います。特に私は、現在、第一勧業銀行とか野村証券など、利益供与とかあるいは一任取引などで大変金融界を失態させておる、こういうときこそ、だんだんビッグバンになりますと大きな銀行が力をつけてくる、そこが今回の事件を引き起こしているわけでありますから、そういうことがないように、やはり地方金融機関というものも十二分に育成していただくような施策も強くひとつお願いしたいと思うわけであります。  次に、きょうは実は、時間がありましたらデノミについてちょっとお聞きしようと思ったのでありますが、時間がないようでありますので、デノミにつきましては今度時間のあるときにお聞きしたいと思います。  しかしながら、私の考えでは、やはり日本通貨というのは世界最強であると思う。あるいはまた、今後世界グローバル経済化の中の金融界におきまして、NAFTAというアメリカ中心経済機構、あるいはEUの新しい通貨、あるいはまた日本を取り巻く東南アジアの新しい基軸通貨をつくるとしたならば、やはりデノミを行って円というものの国際信用を高めていただきたいということを、私は実は申し上げたかったわけでございます。  次に、この際、委員長に一言要望いたしたいと思うのですが、過日、六月十日の衆議院の本会議におきまして、新しい日銀政策委員武富將氏同意案件が了承されたわけであります。  今回、日銀法改正されましたけれども、政策委員会名実とも日銀のとり行う金融政策最高意思決定機関となったわけでありまして、そしてまた独立性を高めた日本銀行国会に対しまして説明責任を果たしていくこととなっておるわけであります。  今後、この種の同意案件に際しまして、この大蔵委員会において事前に当該予定者をお呼びいたしまして、その方の金融政策に対します考え方を御開陳いただくなどということが今回の改正日銀法の趣旨にのっとっておると私は思うのでありまして、ひとつよろしくこの件について御検討いただきたいことを申し上げたいと思います。  次に、実は三塚大蔵大臣におかれましては、日本版ビッグバン遂行で大変お疲れの中に、二十日からの米国デンバーにおきます第二十三回の主要国首脳会議に御出発されるわけでありますが、OECDの閣僚会議が先月二十六日に採択されました共同声明などを見ますると、財政再建のあり方について、米国はやはり景気への配慮を求めているようでありますし、日本とかドイツは財政再建を重視する中で、この共同声明が採択されたやに伺っております。  先般もG7大蔵大臣は、これらの国々との交渉の中で日本立場を大変強く主張されてまいったわけでありますが、アメリカ等日本内需拡大を求めておる。我が国は今日のこの財政構造改革の中における運営について強い姿勢を大臣は示されたわけでありますが、今後デンバーに赴きまして、日本立場を強く大蔵大臣は主張されると思います。その中におきまして、ぜひひとつ日本の国益にかなうお立場でお働きになりますことをお願い申しまして、私の質問、並びにもし時間があるようでしたら、大臣デンバーにおける決意一端を重ねてお聞きしたいと思います。
  8. 三塚博

    三塚国務大臣 二十日からデンバーにおきまして、ロシアが初めてサミットに参加をするという八カ国会議が行われます。毎回でありますが、同時に大蔵大臣合同会議が行われまして、マクロ経済そして為替レート等々についての協議をいたすことに相なっておるわけでございます。  二月のベルリンG7、そして五月のワシントンG7蔵相中央銀行総裁会議、こういうことで、これからの経済はどうあるべきかということで協議をいたしました。目標は、簡単に言いますと、インフレなき持続的な経済成長ということであります。そういう中で合意をしたわけでございます。  第二点、大事なポイントは為替レートであります。安定したレートマクロ経済の下支えになりますことは間違いないわけでございますから、それを目指して、行き過ぎた場合は、といいますことは行き過ぎた円安あるいは行き過ぎた円高、これはアメリカにそのまま振りかわります。行き過ぎたドル安、行き過ぎたドル高、これは経済にとって好ましくはない。その場合には適時適切に対応しよう、こういうことでございまして、この基本は、デンバー経済会議においては首脳間においてもG7の報告を確認をしていただくということになると思っております。  問題は、世界経済をどうするのかということもありますが、ロシアが入ったことによりまして、地域紛争を終息せしめなければなりませんし、核の問題の処理について、その処理を進めるということになるでありましょうし、さらには今後の地域経済世界経済の中における位置づけをどうするか、地球環境という大きなテーマも協議の対象になる、このように思っておるところでございます。  貿易収支黒字財政出動を要請するのではないかという一般的な報道がなされておりましたけれども、本件については、我が国立場は、財政出動によってこれを乗り越えるのではなく、各種構造改革を断行することによりまして内需中心経済安定を期していく、基本的には安定した成長を進めていくということで理解を求めることになろうと思いますし、昨今の我が国経済足取り向こう側理解をいたしておるわけでございますから、貿易収支、いわゆる経常収支黒字をもって意見が闘わされ、これが激突をするということにはならないのではないか。  結論的に言いますと、皆様方の大変な御協力によりまして底がたい成長路線に乗ってきたことによりまして、短期的なぶれはありますけれども、中期的に見ますと、日本は外需に頼らず内需中心とした経済運営が定着をしていくのではないか、こんなことをさらに説明を申し上げながら理解を求めるということになりますし、金融システム改革が本番に入りましたから、本件についての説明を申し上げながら協力を要請する、こういうことになると思っております。
  9. 栗原博久

    栗原(博)委員 ありがとうございました。  三塚財政ここにありと、デンバーでの御活躍を御祈念しまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  10. 金子一義

    金子(一)委員長代理 なお、委員長から申し上げます。  栗原委員のお申し出の、日銀政策委員予定者を当委員会で事前に呼んでお考えを聞くということについては、既に理事懇で議論もしているところでありますけれども、さらに引き続きお預かりさせていただきたいと思います。  次に、飯島忠義君。
  11. 飯島忠義

    ○飯島委員 通常国会もいよいよきょうあすとあと二日になりまして、当委員会の中でも、とりわけ外国為替管理法の改正案、さらには日本銀行法案、金融ビッグバンのスタートということで、これから新しい金融システムがスタートするわけでございますけれども、これからの質疑の中でもそうした金融行政についての質疑が大変多くされるようでございますので、大蔵行政の中でも、大変大事だと思われていますけれども論議として非常にされていない点について、私は、限られた時間でございますけれども、させていただきたいと思います。  内閣総理大臣橋本首相を先頭に一月十七日に、国の総合的な薬物乱用対策ということで薬物乱用対策推進本部というものが関係閣僚十一名ですか、警察庁、総務庁、法務省、大蔵省、文部省、厚生省、海上保安庁、外務省、通商産業省、郵政省、建設省、これらの閣僚によって組織されて、一月二十一日に初の会議が、さらには四月十八日に第二回会合が開催されました。とりわけ、その中でのこれからの課題というところで、薬物乱用対策推進要綱と青少年層への薬物乱用の浸透に歯どめをかけるための青少年の薬物乱用に対する緊急対策、これが決定されたと聞いております。  そこで、これは税関を中心にということになるんだと思うんですけれども、まず、私自身も資料としては大まかにつかんでおりますけれども、今の日本における覚せい剤、麻薬、それから銃砲等社会悪物品の最近の摘発状況、警察庁の方から最初お尋ねした方がいいと思うので、警察の方で現況についてちょっとお示しをいただきたいと思います。
  12. 樋口建史

    ○樋口説明員 最近の薬物と銃器の情勢でございますけれども、非常に厳しいものと認識をいたしております。  最初に、薬物情勢なんですけれども、平成七年、八年と覚せい剤の事犯が急増をいたしておりまして、中でも少年、特に高校生でございますが、高校生の事犯が二年前に比べまして五倍以上に激増をしているところでございます。覚せい剤使用事犯における初犯者の比率を見てみますと、これが五年前に比べまして八%上昇し、昨年の数字で見てみますと、五二・二%を占めておるところでございます。これらのことから、薬物乱用、特に覚せい剤の一般市民への拡散が非常に懸念をされておるところでございます。  ちなみに、警察で検挙をした人員でございますが、覚せい剤事犯が一万九千四百二十人でございます。これが中心でございますが、薬物事犯全体で二万一千九人を検挙いたしております。  次に、銃器の情勢でございますけれども、近年、善良な一般市民が相次いで銃弾の犠牲になりますなど、極めて厳しい状況にございます。警察では、組織の総力を挙げた取り組みを強力に進めておるところでございます。  押収丁数でございますが、昨年は千五百四十九丁のけん銃を押収しております。この内訳でございますが、暴力団からの押収が千三十五丁、暴力団以外からの押収が五百十四丁でございます。かつては全体のほんの数%を占めるにすぎなかった暴力団以外からの押収丁数がここ数年急増をいたしておりまして、昨年は、押収丁数の約三分の一、三三・二%をこれが占めるに至っております。このことからも、けん銃の一般市民への拡散傾向が懸念されておるところでございます。
  13. 飯島忠義

    ○飯島委員 そこで、当然のように、水際での流入を阻止するということが重要になってくると思うわけでございますけれども、同じように、税関での覚せい剤、麻薬、鉄砲等社会悪物品の摘発状況についてはいかがでございますか。
  14. 筑紫勝麿

    ○筑紫説明員 お答え申し上げます。  税関での覚せい剤、麻薬等の薬物、さらには銃砲等についての摘発状況いかんという御質問でございます。  昨年、平成八年におきます覚せい剤、麻薬といいました不正薬物につきまして、摘発件数は三百八十一件でございます。これはほぼ前年の平成七年並みでございますが、密輸の押収量は約七百七十キロでございまして、これは過去最高の水準というものでございます。  その主な内訳でございますが、覚せい剤につきましては、先ほど申し上げましたような史上最高量の五百三十キロ、それから大麻が百八十キロ、アヘンが三十三キロ、コカインが二十六キロなどとなっております。  一方、銃砲につきましては、摘発件数が十八件、押収量は四十四丁ということになっております。  なお、この不正薬物につきまして、税関におきます摘発量といいますのは、過去五年間の平均で見ますと、国内での全摘発量の約六割を占めておりまして、不正薬物の水際での摘発ということにつきまして税関が貢献をしておるという状況にございます。
  15. 飯島忠義

    ○飯島委員 それと、あと、にせものというんですか、難しい言葉で言えば知的財産権侵害物品ということになるんでしょうけれども、その輸入差しとめの状況、これもあわせて伺っておきたいと思います。
  16. 筑紫勝麿

    ○筑紫説明員 いわゆる知的財産権侵害物品の輸入差しとめの状況でございますが、例えば商標権、著作権等についての侵害物品の取り締まりの状況でございますが、昨年、平成八年一年間で見ますと、差しとめの個数は九十一万七千個でございます。これを件数で見ますと、三千四百六十三件ということになっております。  この差しとめ件数の大半は、最近急増をしております国際航空郵便を利用いたしました小口貨物によるものでございます。また、これを品目別に見てまいりますと、化粧品類、バッグ類、さらには靴類等の件数が急増をしておるという状況にございます。
  17. 飯島忠義

    ○飯島委員 それらの麻薬密輸に対する対策、「時の動き」の六月号にも各担当の皆さん方がそれぞれ方針について述べていられるわけですけれども、大蔵省の関税当局としてはどのように検討、さらに実施されているかということについて、確認をしておきたいと思います。
  18. 筑紫勝麿

    ○筑紫説明員 お答え申し上げます。  先ほど飯島先生の方から、内閣のレベルにおいて、ことしの一月十七日でございますが、薬物乱用対策推進本部が設置されたという御説明がございました。大蔵大臣もその副本部長ということで参加をしておるところでございます。  このうち、大蔵省・税関といたしましては、具体的には次のような対策ということで、何点か申し上げたいと思います。  まず第一には、取り締まり体制の整備ということで、こういう取り締まりに当たりましては、情報の管理・分析というものが大変重要でございますので、これを一元的に行うということで、関税局本省におきまして密輸情報専門官、それから各税関におきまして密輸情報調査官というものを昨年の七月から設置をさせていただいております。  それから二番目に、取り締まり機器の増強ということにも力を入れておりまして、例えば麻薬探知犬でございますとか、エックス線の検査機器、さらには主な港に監視カメラを設置するというようなことで、取り締まりの体制、機器の充実を図っておるところでございます。  三番目に、情報の収集という点に当たりまして民間との協力ということも非常に重要だというふうに私ども考えておりまして、国際貿易や輸送業界等、累計で二十七団体との間で密輸防止のための協力強化を目的とした覚書、具体的にはいろいろな情報がございましたらそれを税関に提供していただくというようなことで、覚書を締結しておるところでございます。  さらに四番目には、関係取り締まり機関との連携強化。  五番目には、国際的な情報交換ということも大変重要でございますので、アジア・太平洋地域の税関間の情報連絡事務所というのがございますけれども、ここを通じまして積極的に情報を交換しておる。  以上のような措置をとっておるところでございます。
  19. 飯島忠義

    ○飯島委員 先ほどの答弁でも郵便による密輸ということで、知的財産権侵害物品として小口のものが相当多く入ってきておるというような状況が明らかになったわけでございますけれども、商業貨物の利用によってけん銃、覚せい剤等の社会悪物品の密輸入、これに対して税関当局は現況どのような対応策をされているのか、さらにこれからの展開としてどういう考え方をお持ちなのか、伺っておきたいと思います。
  20. 筑紫勝麿

    ○筑紫説明員 お答え申し上げます。  商業貨物、例えばコンテナ等を通じてこういういわゆる社会悪物品が密輸入される、そういう事態に対してどういうふうに対応をしておるのかというお尋ねでございますが、基本的には、一般商業貨物の通関に当たりましてチェック機能の重点化、集中化を図るというようなことを基本に置きまして、水際での取り締まりを効果的、効率的に行おうというふうに考えておるところでございます。  具体的には、私どもで各種の情報を蓄積した通関情報総合判定システムというものを持っております。略称してCISと私ども呼んでおりますが、この情報を活用いたしまして、いわゆる社会悪物品が中に含まれている可能性が高い貨物、いわゆるハイリスク貨物、それからそれほどでもないいわゆるローリスク貨物、この二つに選別をいたしまして、その可能性の高いハイリスク貨物に対しては重点的に検査を行う一方、可能性が低い貨物につきましては、通関の迅速化というような要請も他方でございますので、そちらについては極力検査を省略するというようなことで、選別的な検査を行っておるということでございます。  ちょっとここで具体的に敷衍させていただきますと、検査対象となりました貨物に対しましては、さらにエックス線検査装置それから金属探知機等の機器を有効に活用するということが一つでございます。それとあわせまして、必要な場合には、検査官等のマンパワーを集中的に投入いたしまして重点的な検査を行うというようなことをやっております。  また、あわせまして、先ほど民間との協力が重要でありますということを申し上げましたけれども、保税倉庫などの管理者から情報をいただきまして、これも必要に応じてでございますが、貨物の出し入れ等の際の立ち会いとか、それから実際にその貨物をあけて検査をするというようなことをやっておるわけでございます。  以上でございます。
  21. 飯島忠義

    ○飯島委員 警察庁の方へお伺いしたいのですけれども、当然、税関の方から警察の方に情報があってそして告発していく、こういうことだと思うのですけれども、不正薬物、例えば昨年ですと検挙数が二万人ということで、中でも高校生というものが平成六年の五倍以上。こういったことも含めて大変な社会問題になっているわけでございまして、そうした不正薬物や鉄砲等の取り締まり、これに対して、警察は捜査機関として他の取り締まり機関と連携協力しながら捜査を進めていくわけでございますけれども、今どんな形での展開をされているのか確認しておきたいと思います。
  22. 樋口建史

    ○樋口説明員 警察といたしましては、この薬物と銃器の問題は、警察の業務の中でも治安の根幹にかかわる最も重要な課題の一つとして取り組んでおるわけでございますが、政府の薬物乱用対策推進本部、それから銃器につきましては銃器対策推進本部、この枠組みのもとで、関係省庁と緊密な連携を図りながらもろもろの対策を進めておるところでございます。  薬物と銃器は、そのほとんどすべてが犯罪組織の手によりまして海外から持ち込まれ、国内でさばかれるものでございますことから、その取り締まりに当たりましては、国内の関係機関との協力はもちろんのことでございますが、あわせて関係各国の警察機関との連携が欠かせないところでもございます。特に水際での検挙、これが重要なわけでありますけれども、この検挙を図るに当たりましては、税関、それから海上保安庁、さらには入国管理局との間における緊密な協力関係が最も重要でございまして、日ごろからの幅広い交流はもとより、必要に応じて合同訓練の実施、さらには具体的な事案に際しましての現場協議、それから合同摘発の実施等々、相互に連携協力を進めておるところでございます。
  23. 飯島忠義

    ○飯島委員 実はサミットがこれからデンバーで行われるわけですけれども、大臣も出席ということで御苦労さまでございます。  今までもサミット等の国際的な場でいろいろ議論されてきておりますけれども、各国の税関の間での薬物等に関する国際的な協力体制について、また大臣決意のほどをお願いできればと思っております。
  24. 三塚博

    三塚国務大臣 先ほど、デンバー・サミットの議題に欠落しましたのがこの麻薬であります。  アルシュ・サミットから国際的な重要な取り組み課題、こういうことで、当時宇野さんでありましたが、宇野首相から特に本件を提起いたしました。当時はそれほどの汚染国家ではございませんでした。世界で一番完璧な水際作戦に成功しておる国家でございましたけれども、今日、政府委員から御説明のとおり、急激に伸びておるわけでございまして、本件も、直接は外務大臣が提唱すると思いますが、首脳からも発言がなされるかどうか、これからのミーティングでありますが、機会を得て、G7でも本件のことについて言及することも大事なことかなと思っております。
  25. 飯島忠義

    ○飯島委員 時間もございませんので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  26. 金子一義

    金子(一)委員長代理 以上で飯島君の質疑は終わりました。  次に、秋葉忠利君。
  27. 秋葉忠利

    秋葉委員 社民党の秋葉でございます。  きょうは、主に証券市場について何点か基本的なことについて伺いたいと思うのです。  まず、兜町ではいろいろなうわさが流れるのだそうですが、最近といいましても、もうことしに入ってからずっとなんですが、よく聞いてみますと、昨年から、あるいはいつも選挙のたびにこういううわさが流れるということですけれども、野村証券の不祥事等もありましたが、そういったところも絡んで株価操作が行われているのではないか、しかもその目的というのは九六年十月に行われた総選挙の資金づくりと関係がある、こういったうわさが兜町でずっと流れているということでございます。選挙のたびにこういううわさが出るということも聞いておりますが、これについてやはりきちんとした調査をする必要があるのではないか。  私は、株については全く知識がありませんので、少し詳しい友人に教えてもらいながら、チャートと言われる、当時の、昨年あるいは一昨年あたりから株の動きをずっとまとめてあるチャートブック、これはウイークリーチャートというふうに英語では書いてありますけれども、これを見てどんな傾向があるのかというのを調べてみたのですけれども、仮に株価操作があったとする、しかもその目的が昨年十月の総選挙の前に資金をつくることにあったとすると、恐らくこういう株の値動きがあってもおかしくはないなという銘柄がたくさん出てまいりました。ちょうど不正といいますか、あるいは犯罪行為の可能性を示唆するようなパターンが幾つかあったということでございます。ただ、それはあくまでもチャートの上のことですし、私は素人ですし、しかもこの値動きの背景についてはほとんど情報がありません。  ということで、まず証券取引等監視委員会、それから大蔵省の担当部局にお聞きしたいわけですけれども、既に、私が見たこのチャートの幾つかの銘柄についての資料は差し上げてありますので、あえてここで申し上げるまでもないと思いますけれども、こういった可能性についてきちんとした調査を行われたのかどうか、具体的に株価操作の事実があったのかどうか判断をし、適切な処置をとったのかどうか、まず伺いたいと思います。
  28. 若林勝三

    ○若林政府委員 お尋ねの点でございますけれども、証券取引等監視委員会といたしましては、特異な動きをする銘柄、これは結構たくさん見られるわけでございますが、こういったものにつきまして、証券市場における取引状況について我々委員会として日常的な監視を行っているわけでございます。そういった監視を行っている過程の中で、仮に取引の公正を害するような事例が認められるといった場合には、取引の手口を分析する、また関連する情報の収集を行うというようなことをいたしまして、事実関係を解明するといったことで適切に対応してきておるわけでございます。  具体的にもう少し申し上げますと、日常的な監視を行うということで、大ざっぱに言いまして、実は年間大体二百ぐらいの銘柄の株価の動きをフォローいたしております。二百といいますのは、要するに、その株価の動きを見ておりますと、やや不自然かな、どうしてこういう動きをするのかなという問題意識を我々が持たざるを得ない、そんな動きをした銘柄を抽出いたしまして、その背景にある動きにつきまして情報収集、またその手口の分析を行っておるわけでございます。そういった中で、仮に取引の公正を害するといった取引手口が見られれば、さらに具体的に関係者に事情を聞くといったようなことで、厳正に対処をしてまいっておるところでございます。
  29. 秋葉忠利

    秋葉委員 大蔵の方はこれについて調査をしているのか、あるいはどの程度の情報を把握しているのか、教えていただきたいと思います。
  30. 長野厖士

    ○長野政府委員 行政の方は、ただいまのシステムでは市場監視の機能なり権能なりを持っておりませんので、監視委員会あるいは市場設置者であります東京証券取引所において適切な対応がなされているものと考えております。
  31. 秋葉忠利

    秋葉委員 事の深刻さが余りよく伝わっていないような気がいたしますので、幾つかの銘柄について具体的な値動きを申し上げたいと思います。  これは企業名を出してもいいのですけれども、大蔵委員会でどうも不穏な動きがあるということで企業名が出たということになると、その企業に悪影響が出るおそれがありますので、皆様のところには資料を差し上げてありますから、ローマ字で、よく芸能テレビで言うKNさんとかいうような感じで幾つか申し上げますが、KNという会社がございますが、資本金三十三億、四千百四十九万株、これが九五年の三月二十四日には三百八十九円だった。九六年の七月四日には三百八十九円が五千三百十円になっている。その直後、すとんと落ちている。三百八十九円が五千円以上の値がつくというのは、やはりこれは異常な動きだと思います。しかも、ある程度この会社の業績について聞いてみると、これほど大きな値動きが起こるような材料はないのではないか。しかも、その落ち方が非常におかしい。これ一つだけだったらまだ偶然かもしれない。しかしながら、ざっと拾っただけでも十以上、同じようなパターンで同じような期間に動いているものがたくさんあります。  例えば、では別のものを挙げますと、Tという会社がありますが、これは大体百億ぐらいの資本金で六千十七万株発行していますけれども、九五年の九月に七百二十九円だったのが九六年の五月には二千八百二十円になっている。あるいはTKという、これは別の会社ですけれども、九六年の一月二十四日、二百五十円。ところが四月二十三日には二千四百四十円、十倍になっていますね。しかも、そのピークを記した途端に暴落している。まあ暴落というほどのことはないかもしれませんけれども、要するに株価操作をして、ちょうちんがついたところで売り逃げて、それで暴利をむさぼっている。時間がありませんので一つ一つ申し上げませんけれども、マスコミの方にも資料は差し上げてありますけれども、こういったパターンがあることについて、これだけでも十あるわけですけれども、今おっしゃったような形の中で、二百しか追跡をしていない。そのうちの十や二十はこういう形ですぐ出てきてしまうし、時期的に言っても、これは九六年の問題です。  そうすると、現在日常的に追っているものと比べると、恐らくこの問題については、選挙前の動きについては監視委員会では追跡をしていないだろう、しかも株価操作があったかどうかということは、その株価が動いている時点ではなくて、上がって、そして下がったパターンを見て初めてそのような可能性があるのではないかということがある意味で確定できるような、犯罪なわけですから、これは過去に関してどうしても調べなくちゃいけないという問題だと思います。  それで、余り十分な調査はしていないという印象を持ちましたけれども、それでは、これは法務省の方にもやはり関係がありますので、これは通常出てくるのは警視庁の捜査二課なのかもしれませんけれども、法務当局にも、やはりこういった株価操作の問題について、例えば現在進行中の野村との関連で、こういった観点から捜査が行われているのか、そのことについて。それから、今申し上げました幾つかの銘柄について具体的な調査はしたことがあるかどうか、お答えいただきたいと思います。
  32. 藤田昇三

    ○藤田説明員 お答えいたします。  一般に検察当局がいかなる事実を把握しておるかということは、捜査機関の活動の内容にかかわることでございます。また、いかなる事項について捜査を行うかということにつきましては検察当局において判断をすべき事柄でございますので、法務当局としての答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。  あくまで一般論として申し上げますと、検察当局といたしましては、刑事事件として取り上げるべきものがありますれば適正に対処するものと考えます。
  33. 秋葉忠利

    秋葉委員 今のお答えの中で、要するに、きちんとした情報が検察当局に届けば、つまり告発の形できちんとした問題提起がなされれば検察としても動く、そういった情報がなければ動かないということでよろしいのでしょうか。
  34. 藤田昇三

    ○藤田説明員 捜査の端緒が仮にありますれば、捜査当局はこれについて誠実な捜査当局としての対応をするということになろうかと思います。
  35. 秋葉忠利

    秋葉委員 つまり、今のお話で伺うと、監視委員会も、どうも人手が足りないということだと思いますけれども、年間二百銘柄、そうすると、今申し上げたような問題はその網から漏れてしまう。大蔵は、自分たちは管轄外であると言う。そして検察当局も、これはきちんとした問題提起があればということは、恐らく監視委員会から何らかの情報が行くなり、あるいは内部告発があるなり、善意の第三者あるいはマスコミからのきちんとした問題提起があるということだと思いますけれども、具体的に調査を行う機関がこういったことについてどうも調査を行っていないのではないか、そういう疑いが濃厚になってまいります。  それだけでは大変心もとありませんので、私としても、個人的に、それではこういった問題提起をもう少し具体的な形で監視委員会なりあるいは検察当局なりにすることができないかと思いまして、素人ながら自分で調査を始めました。その結果として爆弾的な発言をここでできればすばらしいのですが、驚いたことに情報がほとんど出てまいりません。そこが実は非常に大きな問題だということに気がつきました。  例えば、先ほど申し上げましたKNという銘柄についてですけれども、東証にも当たりました、各証券会社にも当たりました、それから監視委員会にもお願いいたしましたし大蔵にもお願いいたしましたけれども、その結果出てきた情報は何かというと、九六年四月一日から四月三十日までの間一カ月のこの銘柄についての手口と言われる、売り買い、差し引きという二枚のぺらの情報が出てきた。それからもう一つは、これはもうちょっと時期がずれますけれども、九六年の十二月十二日から九七年六月十一日までの半年間の同じ銘柄についての手口といいますか、合計された売り買いの状況が出てきた、それだけでございます。しかしながら、これからもかなり重要なことを読み取ることができます。ただし、それの裏づけについてはもっと詳細な情報が必要ですけれども。  例えば、さきに申し上げました九六年の七月がなぜ重要かといいますと、これはKNという銘柄が最高値をつけた、五千三百十円が七月四日についています。その前後の売り買いが非常に激しかったであろうということは当然推察されるわけですけれども、今、私が情報として手に入れたもので見ますと、この一カ月間、最高値をつけた間に、例えばこれは名前を言ってもいいと思いますけれども、野村関連会社で大体一六%のシェアを扱っている。それから最近の、直近の六カ月になりますと、野村関連会社は、同じ会社ですけれども、一〇%に落ちている。これだけ見ても、これがそのまま犯罪に結びつくとは当然言えませんけれども、しかしながらパターンとしては、私が申し上げている前提と一致する、それに反する情報ではないということになります。  これをさらに詳しく調べるためにはそれではどういう情報が必要かというと、例えばこの時期に関するデーリーな手口の状況をきちんと情報公開するということが必要ですけれども、残念ながら、東証でもあるいは大証でも個々の証券会社においてもこういった情報は公開しておりません。しかし、それは情報が公開されていないという問題ではなくて、例えばクイックなどを見れば前日のこういった情報はすべて公開されているわけですから、一たん公開された情報が蓄積されていない、あるいは蓄積されていても蓄積されたものについては我々がアクセスできないという、市場についての情報開示の非常に大きなボトルネックがあるということだと思います。  これについて、例えばビッグバンを始めると、世界じゅうからこういった証券市場にさまざまな人が参加をしてくるわけですから、その際に、例えば私が持ったのと同じような疑問を持つ人が自分の手で具体的に不祥事があるのかどうかを調べる手段さえないというのが、現在の日本の証券市場のありさまだと思います。  情報開示を行うことによってこれを変えない限り、例えばこれほど簡単な、しかもパターンとして素人目には非常に明瞭に犯罪性のあるような株価の動きがあるにもかかわらず、監視委員会大蔵省も検察もそのことについて何ら確定的なことは言えない。そういう状況の中でビッグバンが起こって、国際的に日本の株式市場というものが信頼されるだろうか。私はそういうふうには思えません。  それに対する唯一効果的な方法というのは情報開示。個人的に調べようと思えば、監視委員会が何も言わなくても、大蔵が何も言わなくても、私たちが自分自身の手で調べられるということになれば話は別だと思いますけれども、情報開示について、特に過去何年間かについて、各銘柄ごとの手口といったような詳細な情報を開示する必要があると思いますけれども、監視委員会それから大蔵の当局にこの点についてお考えを聞かせていただきたいと思います。
  36. 若林勝三

    ○若林政府委員 今お尋ねの点の前半の部分でございますけれども、証券取引等監視委員会におきましては、特異な値動きをした銘柄というものがございますと、それについていろんな情報をいろんな角度から徹底的に収集をいたしております。  その中で、例えば証券会社等からも当然資料を徴求いたしますし、また直接事情を聞くということもいたします。また、その裏に何か特定の委託者グループがあるというようなことになりますと、そういった委託者グループごとに集計をするといったようなことをするとか、また証券会社の関与率というようなものも計算してみて、どの程度関与し、影響を与えておったかというようなこと等々、専門的立場から随分いろいろ分析をいたします。そういった結果、法に定める株価操縦といったようなことがあるということになりますと、我々は、法の定める手続に従って厳正に対処するということで考えておるところでございます。
  37. 長野厖士

    ○長野政府委員 先ほど先生からも御指摘がありましたように、その時点時点で、取引所におきまして約定価格、約定数量、最良気配、売買高といったものを一般投資家に提供しておりますし、証券会社がどの銘柄についてどれだけ売り買いを行ったかを示すいわゆる売買手口というものの情報提供も今なされておりまして、そういったものの蓄積が、先生からちょうだいしましたチャートみたいなものに結びついておるのであろうかと思います。  こういった情報の開示といったものは今日までのところ投資家の投資情報として提供されておるわけでございますが、先生の御質問は、不正操作のために何かこれにつけ加えるものがあるかという御質問と承りました。不正のチェックのアクセスのための情報開示というものはどういうものが考えられるのか、今にわかにお答えする準備がございませんけれども、監視委員会の日々の活動を通じて、監視委員会からも何か御提言があるかもしれませんけれども、そういった問題は問題意識として持っていきたいと思います。
  38. 秋葉忠利

    秋葉委員 質問時間がもうありませんが、今のその御認識は、私が大蔵省の皆さんに具体的にかなり詳しく申し上げたことが局長まで伝わっていないような感じなんですけれども、情報開示されていないんですよ。私が調べたのは、要するに一投資家として調べるという手段で調べました。その結果として出てこないんです。だから、情報開示をしたことになっているつもりかもしれませんけれども、具体的には情報は開示されていないということです。  それが今の日本の株式市場の状況だということをやはり厳しく謙虚に受けとめていただかないと、ビッグバンなんかやったら大変なことになりますよ。そのことを申し上げているので、建前としては情報開示されていることになっているから問題がありませんという答えでは答えになりません。  大蔵大臣、この点について、改めて厳しい現状認識のもとに情報公開ということを、それがビッグバンの前提条件であるという大原則を確認していただいた上で、大蔵大臣としてもビッグバンがきちんとスムーズにいくように情報開示のために最大限の努力をするという御決意を一言いただければ大変ありがたいと思います。
  39. 金子一義

    金子(一)委員長代理 質疑時間が終了しておりますので、三塚大蔵大臣、簡潔にお願いいたします。
  40. 三塚博

    三塚国務大臣 秋葉議員から、野村証券に発します問題と、また広い意味で株価操作の問題の指摘がございました。  情報をばらまくことによって株価を操作することは証取法上違法行為ということになるわけでございますから、ビッグバンのスタートをするに当たりまして、まあ既にスタートしていると見てよろしいと思うのでありますが、証券局長言われますとおり、開示のための方式を示しながらただいま取り組んでおる、こういうことでありますけれども、なかなかそのことだけでは網の目をくぐるということになるのでしょうか。そういう点で、特定の株を操作するということであってはならぬわけでございますから、その辺のところを、売買手口についての公表内容等を充実してはどうかという御提言であろうと思いますけれども、企業業績等に基づかず、証券会社の売買取引の動向のみに着目した投資行動を助長しかねないということはチェックしなければなりませんし、公表された売買手口がかえって不公正取引に利用されかねないというような問題点もありまして、やろうと意図を持ってやる相手はプロ中のプロなものですから、その辺のところが大変慎重を要する検討項目であろうと存じます。  いずれにいたしましても、金融システムの最先端にある証券市場、マーケットであります。公正を確保するということは、またそのための情報開示、情報伝達というようなことで、一般投資家の信頼を維持していかなければならぬことは御指摘のとおりでございます。今後とも真剣に検討を重ねてまいりたいと思っております。
  41. 秋葉忠利

    秋葉委員 ありがとうございました。
  42. 金子一義

    金子(一)委員長代理 以上で秋葉忠利君の質疑は終了いたしました。  次に、谷口隆義君。
  43. 谷口隆義

    ○谷口委員 新進党の谷口隆義でございます。  まず初めに、第一勧業銀行の総会屋に対する利益供与事件について御質問いたしたいと思います。  六月十三日に第一勧業銀行の現役の副頭取並びに専務が逮捕されたわけでございまして、同行の逮捕者は合計十名という極めて深刻な事態になっておるわけでございます。状況をお聞きしますと、九五年七月から九六年九月までの間に、関連ノンバンク大和信用を通じて二十八回にわたって延べ七十三億五千万円、このうち回収不能が二億余り、このような迂回融資で、総会屋対策と認識しながら利益供与した疑い、こういうようなことで現役の副頭取並びに専務が逮捕された。先日、同行の近藤頭取が参考人招致で来られて、決して組織ぐるみのことではない、このように答弁をされたわけでございますが、今このような状況の中で、まさに組織ぐるみの犯罪であったということが明らかになったわけであります。今、第一勧業銀行は、赤いハートの銀行ではなくて黒いハートの銀行、巷間このようにさえ言われておるところであります。  この第一勧業銀行本体から小池容疑者側に過去十二年間に融資されたのが二百七十四億円、大和信用からの迂回融資分は逮捕容疑分百十七億円を含んで約二百億円、合計四百七十四億円に上る大変な金額であります。近藤頭取は記者会見で「総会屋の元出版社社長の呪縛が解けず、歴史の淵にわだかまった〝おり〟から決別できなかった」このように説明をしたわけでありますが、このような四百億を上回るような貸し出しを行って七十五億の回収不能が出ておる、こういう状況は呪縛だけでは到底納得できない、このようなことであります。第一勧業銀行は総会屋のキャッシュディスペンサーではないか、言えばどんどんお金を出すCDではないか、このようなことさえ言われておるわけでございます。  そこで、この第一勧業銀行の関連会社大和信用第一勧業銀行は当然ながらMOF検と申しますか大蔵省の検査が入るわけでございますが、関連ノンバンクの大和信用においてこのような大蔵省の検査は通常入っておるのかどうか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
  44. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  大和信用に対して、当局、大蔵省は検査をしたのかという御質問でございます。  銀行法に基づきまして銀行本体はもちろん検査をするわけでございますが、銀行法二十五条で、銀行の子会社、五〇%超の資本を有する子会社に対しましては直接間接に検査をすることができるわけでございますけれども、その先の、それ以外のものに対しましては検査権限はないということでございます。  御指摘の大和信用につきましては、第一勧銀とは資本関係はないというふうに承知しております。したがいまして、検査権限はございません。したがいまして、検査はしておりません。
  45. 谷口隆義

    ○谷口委員 今御答弁していただいたように、極めて形式的と申しますか、本来、検査をやる場合には、実質的に支配力の及ぶ範囲、私はもうこのように考えておるのですが、このような観点で検査をやらないと、今回この一勧の事件で明確になったように、迂回融資をしておる、口頭で債務保証をして大和信用から融資をしている、このような状況は、今の状況であればこれは発見できない、こういうことでございます。  今度、金融監督庁ができるわけでありますが、そういうことも含めて、これからの検査のあり方について、大蔵大臣、御見解、御所見がございましたらお願いいたしたいと思うのです。
  46. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 先に、大臣の前に事実関係といいますか若干の補足をさせていただきますが、いわゆる銀行の関連ノンバンク、資本関係等がありますところにつきましては、その融資先あるいはその関連ノンバンクの実態等は当然検査をいたしますし、資産内容、融資先につきましても、当該銀行が得ている情報をもとに検査をいたします。資本関係五〇%超であれば直接検査をすることも可能でございます。  しかしながら、それ以外のいわゆるノンバンク、通常ノンバンクへの貸し出しに対しましては、他の貸出先と同様に、金融機関の資産の健全性等の把握の観点から、基本的には金融機関が当該ノンバンクから徴求している資料に基づきまして検査官が必要に応じてチェックをするということはありますけれども、それはあくまでも当該金融機関が直接入手している資料等に基づくものでございまして、それ以上の検査は、法的、権限的あるいは実質上もなかなか難しいという状況は御理解を賜りたい。  ただし、いずれにいたしましても、関連ノンバンク以外のノンバンクにつきましても必要に応じその状況をチェックしていく必要がある、我々は可能な限りチェックしていく必要があると認識しておりますし、もし今後そういう事案がありますれば、もちろん検査には限界がありますけれども、いろいろ検査官がその実情に応じて把握をする努力をしていく必要があるだろうというふうに考えております。
  47. 谷口隆義

    ○谷口委員 大蔵大臣に一言御答弁をお願いしたかったのですが、御答弁の内容はほぼ予測できますので結構でございます。  今検査部長がおっしゃったように、ですから、検査の効率性という観点から、十分満足できるような検査が今実質的にできておらないというのが現状だと思うのですね。だから、私さっき申し上げましたが、やはり支配力の及ぶ範囲内で効率的に検査ができるような体制を構築していかないと、今後このようなことが起こるであろうし、今現在起こっておる可能性も十分考えられるわけであります。  実は、また後でちょっと申し上げようと思っておったのですが、今回、迂回融資を第一勧業銀行はやっておりましたね。不動産会社のライベックスという会社に融資して、それが回りめぐって、総会屋企業への融資が返済されたような形になっておる。また別に、延滞債権の金利を払うためにまた融資をした金額が、結局、不良債権から除かれるというような形になっておる。まさに不良債権としての、本来は不良債権なのですが、これが不良債権を避けるような措置と申しますか、いわゆる大蔵検査を逃れる措置をしているわけであります。これをきちっと押さえるような対応策を考えておかないと、今後この検査の実効を高めることはできないというように私は思うわけでございますが、このような観点でぜひ御答弁をお願いいたしたいと思います。     〔金子(一)委員長代理退席、保岡委員長代理着席
  48. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 検査の見直し、検査の充実についての御指摘でございます。  申し上げるまでもなく、この第一勧銀の問題につきましては、現在、捜査当局による捜査が継続中でございますし、第一勧銀みずから、引き続き事実関係を調査しているということでございますから、いずれにいたしましても、事実関係を明らかにした上で判断をする必要があろうかというふうに思います。  ただ、これまでももちろん、私どもの金融機関に対します検査で問題点があれば当然把握し、把握した場合には厳しく指摘し改善を求めているわけでございますけれども、今回の事案、事件にかんがみまして、もちろん、事実関係の確定というか、確認が先決でございますけれども、今後、検査の実効性も、限られた体制の中でより確保していくということは重要なことだという認識をしております。  特に今回、検査は当然無予告、抜き打ちでございます。検査があらかじめ、そういうことは我々はないと思っておりますけれども、検査を周期的に行っているということで、検査の時期を予想して準備をするといったことがあるやに伝えられておりますけれども、そうしたことがないように、従来から、検査の間隔にはめり張りをつけたり、時期をずらしたりしておりますけれども、今後、一層機動的な検査を実施していく。あるいはその中身につきましても、今回、抽出漏れというのがございましたけれども、これも従来から、抽出漏れがないかどうかというのを支店検査等で、いわゆる反面的なものも含めて抽出漏れをチェックするわけでございますけれども、さらに種々の資料を突合していく。あるいは、本来、こういう事件というか商法違反という問題は、監査役あるいは監査法人といったものの機能をやはりより活用して検査をしていくというのも大事だろうということで、いろいろございますけれども、こうしたことを踏まえながら、検査手法の改善につきましても検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  49. 谷口隆義

    ○谷口委員 ちょっと時間がないものですから、答弁は簡潔にお願いいたしたいと思います。  あと、ちょっと検査の関係で二つ申し上げたいのですが、一つは、先ほどお話をしたように、この第一勧銀以外の他行にもこのようなことは十分考えられます。ですから、大蔵大臣、早急に総会屋関連融資にかかわる特別検査をしていただきたい。大手二十行の検査をすぐにすべきである、私はこのように申し上げたいと思います。これが第一点。  それと、検査結果がいまだ公表されておらないですね。情報公開されていない。ですから、そういう意味において、この検査結果を情報公開するような方法を考えていただきたい。この二点、これについてちょっと簡潔に御答弁をお願いします。
  50. 三塚博

    三塚国務大臣 他行の検査ということでありますが、ただいま第一勧銀の問題に全力を尽くしておるところでございます。限られましたスタッフの中で行っておることでもございます。他行があるのかないのか、こういう視点の問題も聞いてはおりますが、私が断定する立場にございませんし、ただいまのところ、全力を尽くしてビッグバン到来に向けての、不良債権解消以下、経営体質の改善に努力をしておるということであろうと存じます。  また二番目は、検査の公表の問題でありますが、いつも政府委員本件について言われておりますとおり、個別内容の問題でありますから控えさせていただきたいということでございますが、今後、金融システム改革の本番を迎えるわけでございますから、何ができるのか研究をしてまいりたいと思います。
  51. 谷口隆義

    ○谷口委員 ちょっと時間がないものですから、次に参ります。  今回、第一勧銀と総会屋が癒着したわけでございます。利益供与したんですね。先日、私は、住宅金融債権管理機構の中坊社長にお会いして、お話をする機会がございました。そのときに、なぜ企業はいわゆる総会屋と癒着するのか、なぜ訴えないのか、こういうようにお話を聞きますと、中坊先生は、一つは手間がかかるということと、全く効果がない、それとまたいわゆるお礼参りがある、このような三点でなかなか企業は訴えないんだというようなことであります。  そこで、きょうは警察から来ていただいているのですが、警察の対応が民事不介入ということでしゃくし定規で対応されておるのではないか、こういうことが巷間よく言われております。今回大変大きな事件が発生したわけでございますが、警察当局のこれからの対応について、どのようにお考えになっておるか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
  52. 宮本和夫

    ○宮本説明員 警察といたしましては、民事に係るものであるか否かにかかわらず、刑罰法令に触れる行為を認めれば、これに厳正に対処しているところであります。  また、総会屋問題に対しましては、これまでも、総会屋を株主の権利行使に関し企業から利益を得るなどの不正な活動を行う者としてとらえまして、暴力団に準ずる者として取り締まりの対象とし、その実態の把握に努めるとともに、取り締まりの徹底をしてきておるところでございます。  最近におきましても、総会屋による不良債権に絡む恐喝未遂事件、また総会屋による銀行に対する脅迫事件、さらには大手食品会社社員及び総会屋による商法違反事件を検挙するなどしてきておるところでございますが、今後とも、総会屋等につきましては、各種の活動を通じてその実態の把握に努めるとともに、民事問題が関連する事案であっても、刑罰法令に触れる行為を認めれば関係法令に基づき厳正に対処するなど、事案の実態に応じ適切に対処してまいる所存でございます。
  53. 谷口隆義

    ○谷口委員 ぜひ、こういう総会屋の癒着を断ち切るために、警察もそういう対応をとっていただきたいというように思います。  先ほどライベックスの話を私はしたのですが、第一勧業銀行は、平成二年九月に同行新宿西口支店からライベックス社に二十五億を融資した。この融資金は、小池容疑者の実弟の嘉矩容疑者が経営する不動産会社小甚ビルディングに還流して、ほぼ同額が同行六本木支店への貸し出し返済に充当され、一時的に小池容疑者側の融資残高を減らす結果となった。これが第一点。もう一つは、平成六年九月に、第一勧銀は関連ノンバンク大和信用を通じ小甚ビルに約六億円を融資、これがそのまま同行の嘉矩容疑者名義の延滞利息の返済に充てられ、帳簿上の焦げつき債権は解消した。こういう二つのことが報道されておるわけでございます。  これが事実とすれば、大蔵省は、金融機関の不良債権として今二十九兆あたりですか、最近の状況は知らないのですが、先日まで二十九兆というような不良債権がある、こういうようなお話でございましたが、この不良債権には上がっておらない、私が以前に質問した折に申し上げておりましたが、このような延滞債権を消すような方法であるとか、また迂回融資を通じて一時的に検査を免れる方法であるとか、このように極めて悪質な検査逃れをやっておるという現状が露呈化したわけであります。これは極めて重要なことだろうと思います。  先ほど私が、他行においても検査を実施されたいというその本意はこういうところにあるわけでございまして、極めて重要な、かつ悪質な事件であったというように思うわけでございますが、銀行局長、この不良債権の金額について、従来からこの金額では少ないのではないかというようなことが巷間言われておるわけでございますが、このことについて、この事件のことを念頭に置いて御答弁をお願いいたしたいと思います。
  54. 山口公生

    ○山口政府委員 非常に残念な事件でございまして、私どもが集計し発表しております不良債権の額そのものについての信憑性も疑わせるというような点は御指摘のとおりでございます。  ただ、この件が一般化している現象であれば、それは非常にゆゆしきことでございますけれども、一つの不正な事件としての性格にとどまっている限りにおきましては、従来から申し上げております不良債権の数字そのものの全体が大幅に変更するというものではないと思いますが、先生が御指摘のとおり、私どもが公表しておりますのはきちんとしたルールに基づいて集計した数字でございます。その数字そのものにこういった瑕疵が生じてくるということは非常に残念なことでございまして、改めてそういったことは関係業界によく周知徹底して、こういうことがないようにしたいというふうに思っております。
  55. 谷口隆義

    ○谷口委員 そういうことで極めて悪質な犯罪でございますが、大蔵大臣は従来から、大変厳しい行政処分をしたいというような御発言と私は聞いておるのですが、今回銀行法第二十七条に基づく業務停止命令をも視野に入れた行政処分を考えていらっしゃるのかどうか、このようなことについて大蔵大臣の御見解、御発言、御答弁をお願いいたしたいと思います。
  56. 三塚博

    三塚国務大臣 谷口議員の言わんとするお気持ちはわかりますが、御案内のとおり、今日まで衆参での本件についての御質問の際に申し上げておるのでありますが、捜査当局による捜査や、また第一勧銀による内部調査等も継続中であります。証券会社、またしかりであります。現時点では最終的な処分内容について申し上げられる段階にはございませんことを御理解いただきたいと存じます。  いずれにいたしましても、大蔵省とすれば、事実関係を踏まえた上で、法令等に従い、厳正に対処していく所存でありますことを御理解賜ります。
  57. 谷口隆義

    ○谷口委員 それと、いわゆるMOF担というのがいらっしゃるらしいですね、金融機関から出向しておるというか。大手銀行の検査は大体三年から四年の周期でなされておる。各行は、いわゆるMOF担と呼ばれる専門行員を置いて、大蔵省に出向させてやっておる。一勧も毎年一人から三人の行員が派遣されて、その結果、検査の日程は、本来抜き打ちということでございますが、ほぼ一〇〇%把握できるというような状況になっておるようでございます。そういう状況で、検査の形骸化を招いておるのではないか。私は、このようなMOF担制度を廃止してもらいたいというように思うわけでございますが、銀行局長、これについて御答弁をお願いいたしたいと思います。
  58. 山口公生

    ○山口政府委員 MOF担とよくマスコミ等で称されている人たちは、私どもはMOF担という呼び方をいたしておりませんが、恐らく銀行における対役所の窓口の役割を果たす人を指しているというふうに思うわけでございます。それはいろいろ多岐にわたる業務を行っておりますので、そういった方々が大蔵省との窓口になるということで見えているわけですが、仮にそういう人たちが、今先生がおっしゃいましたような検査の日取りまで云々ということは、全くそういう窓口役としては行き過ぎであり、また私どももそういった人たちに対してきちんとした距離を保ち、節度を持ったやり方をしなければいけないわけでございまして、そういう考え方で対応していくという必要があると思っておるわけでございます。  したがって、MOF担制度の廃止というお言葉でありますと、そのMOF担制度という制度があるわけではございませんので、そういう点は御理解いただきたいと思います。
  59. 谷口隆義

    ○谷口委員 今おっしゃったように、確かに制度ではありませんね。ですから、大蔵省の方でそういう受け入れを拒否するというか、もう来てもらわない、こういう姿勢をぜひ貫いていただきたいというように思います。  余り時間がないもので、次に参りますが、今、護送船団行政とよく言われておるわけでございますが、護送船団行政からの決別をやらなければいかぬ。  一九九五年の九月に〇・五%という超低金利になりました。これは一つは、銀行収益がその結果上がっておるわけでございまして、この上がった収益をこのような一勧の今回の事件、総会屋の融資に使っておるのではないか、これはどうなっておるんだ、こういうような国民の声があるわけでございまして、今こそそういう護送船団行政と実質的に決別していかなければいけない。そういう意味において、今回の日債銀の処理であるとかまた日産生命の処理であるとか、これは前回の質問の折にも申し上げたのですが、またそのような護送船団のやり方、密室行政が戻っておるのではないか、このように言われておるところでございます。今こそ、そういう甘えの論理から脱却しなければいかぬ、このように私は思うわけでございます。  そこで、企業の立場から見て、企業において、この構造腐敗というか構造腐食と申しますか、これを是正するために透明な経営を図っていかなければいかぬ、また外部チェックがきくシステムになっていかなければいけないというようなことがよく言われております。例えば企業サイドで取締役会というのがございますが、この取締役会が今や形骸化しておる、そういうようなことさえ言われておりまして、この取締役会に外部の取締役を入れる、強化する、こういうようなことであるとか、今我が国日本的経営の根底のような感じでよく言われております株の持ち合い、そういうことであるとか、また今機関投資家というのがおりますが、こういう機関投資家がどういう役割を果たすのか、こういうことを一切合財含めて、今金融機関ビッグバンは二〇〇一年三月を目指して進んでおるわけでございますが、一方、企業のあり方、最近よく言われておりますコーポレートガバナンス、企業統治という言葉がありますが、こういう観点で法整備をしていく必要があるのではないか、こういうように私は思うわけでございます。本日法務省から来ていただいております菊池参事官、今もしこういうふうな議論があれば、議論の状況を御報告していただきたいというように思います。     〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕
  60. 菊池洋一

    ○菊池説明員 お答え申し上げます。  株式会社の業務運営が法令に従って適正に行われるというためには、御指摘のとおり、コーポレートガバナンスといいましょうか経営に対する監視体制のあり方ということが極めて重要であるというふうに私どもも考えております。  現行法では、監査役によるチェック、株主によるチェック、御指摘の取締役会によるチェックといったような複数のシステムがございまして、これらにつきましては、これまで何回かにわたりまして制度改正をさせていただいてきたところでございます。その結果、私どもといたしましては、今の制度はそれなりに充実した内容になっているというふうに考えておりますが、残念ながら、経営者側の監視体制に対する認識あるいは監査役の人選といった運用面におきまして、必ずしも法あるいは制度の趣旨が生かされていないということがあろうかと思っております。  したがいまして、私どもといたしましては、まず法の趣旨に従ってしっかりと運用をしていただく、監視体制の厳格な運用が必要であるということをこれまで以上に周知徹底を図っていきたいというふうに考えております。また、さらに今後とも、会社の業務運営の適正を担保するという観点から、どのような対策が必要であるかということにつきまして幅広い角度から考えてまいりたいというふうに思っております。
  61. 谷口隆義

    ○谷口委員 整合性のとれた形でそのようなコーポレートガバナンスを進めていかなければいけないという観点から、そういう法整備をぜひこのビッグバンと歩調を合わせた形でやっていくべきであるというように思います。  もう時間が参りましたが、最後に一つ、日産生命についてちょっとお聞きしたいのですが、要するに日産生命の損失が三千億程度になった、二千億は契約者保護基金から拠出して、残りの一千億をどういう形で処理するかはまだ決まっておらないというような状況のようでございます。新会社をつくるというようになっておりましたが、維持管理だけの新会社というような状況になったということを聞いております。先日のマスコミの報道を見ますと、大幅な人員や店舗の削減で十年間で一千億の返済をする予定だ、こういうようなことでございますが、これもまた一つの先送りではないかというように私は感じるわけでございます。というのは、一つは金利がどういう形になっておるのか、今の一千億は一千億でずっととどまるはずはないわけでありまして、このような観点から、この日産生命の件について一言御答弁をお願いいたしたいと思います。
  62. 福田誠

    ○福田(誠)政府委員 お答えいたします。  日産生命の処理スキームでございますが、現在保険管理人を中心に関係者間で種々の協議、検討が行われているところでございます。当局としては、保険管理人からその都度報告を受けておりますが、御質問処理スキームについてはまだ承知しておりません。ただ、御指摘のように契約者保護基金で穴埋めできない損失があれば、その対応を考える必要がございます。例えばその場合に契約者保護基金の増額等も考えられるわけでございますが、一つの方策として、受け皿会社の将来の収益を活用するスキームを策定するということも一つの方法だと存じます。  いずれにしましても、大蔵省としては保険契約の存続を図ることが保険契約者の保護のための最善の策と考えております。そのために契約者保護基金の発動のための環境整備や関係業界の支援要請等最大限の努力を行い、本件処理スキームが一日も早く取りまとめられるように全力を尽くしているところでございます。
  63. 谷口隆義

    ○谷口委員 では、これで終わらせていただきます。
  64. 額賀福志郎

    ○額賀委員長 次に、中川正春君。
  65. 中川正春

    中川(正)委員 新進党の中川正春です。同じテーマを、少し違った観点から引き続き質問をさせていただきたいというふうに思います。  今、私たちが地元に帰りまして国民の声といいますか懇談会を持ちますと、この野村、一勧の話題というのが国民にとっても非常に大きなものとなっております。そこでじっと耳を傾けると、大体大きく二つの問題、特に金融ビッグバンというものを控えたこの大事な時期に金融というものの信頼性、そして国民が膨大な預貯金をこの中で活用していこうじゃないかというその踏み切り、これをもたらしてくる上で非常に大きなというか重要な観点があろうかと思いますので、まず、その辺からお聞きをしたいと思うのです。  一つは、大体イトマン事件以来、これは何回も同じような構造の中で、またそこに出てくる登場人物も同じような人たちが繰り返しこうした問題を起こしてきた。それはどうもこの野村、一勧に限ったことではなくて、金融業界一般にこの体質をいまだしっかり根っことして持っているのではないか、それが今回本当にその一部として、氷山の一角としてこうしてあらわれてきた、その繰り返しが何ともむなしいではないか、日本の現状はこれでいいのか、こういう憤りであろうかと思います。それが一つ。  それからもう一つは、では今度いわゆる政府部内あるいは我々の議論を聞いておると、ビッグバンという新しい体制に向けてグローバルスタンダードを日本の中にもしっかり根づかせていこう、ここで日本は生まれ変わるんだ、そういう第一歩を踏み出そうとしておる。だとすれば、今回のこの事件に対するいわゆる措置、責任の所在を明らかにしてそれをどう措置していくかというのがこれまた非常に大きな意味を持ってくるわけであります。  最初にお聞きしたいのは、先ほど大臣の答弁で、行政としての措置はいまだ司直の手で捜査中であるのでこれからだ、こういう答弁であったのですが、客観情勢を見る中で、行政は行政としてこれまでのような流れで行けない状況になっているのだろうと思うのです。それなりの腹構えをしながら今回の根を断っていく、そういう基本的なスタンスというのが国民に対して伝わらないことには、この問題の根深い解決にはなっていかないだろうというふうに思うのです。そこのところをもう一度お尋ねをしたいのですが、どうなんですか、これまでの延長線上なんですか、それともそれを新しい形でビッグバンにふさわしい一つの基準の中で処していきたい、もっと言えば、行政処分は前よりもきつくなるよ、びしっといくよ、こういうことなのか、そこのところの腹構えをお聞かせをいただきたいと思います。
  66. 山口公生

    ○山口政府委員 総括的な御答弁を大臣が申し上げる前に、ちょっと銀行法の規定等を少し御紹介させていただきたいと思うのです。  銀行法でいわゆる行政処分と言うときは、二十六条と二十七条がございます。二十六条は、業務または財産の状況に照らして、健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、措置を講ずべき事項及び期限を示して、健全性を確保するための改善計画提出を求め、もしくは提出された改善計画の変更を命じ、またはその必要の限度において期限を付して業務の全部もしくは一部の停止を命じ云々となっております。この二十六条は、従来数度発動してきておりますし、現実に、この間の大和銀行の事件を初め、決して好ましいことではありませんけれども、二十六条に基づく行政措置をとらせていただいております。  二十七条は、読ませていただきますと、「大蔵大臣は、銀行が法令、定款若しくは法令に基づく大蔵大臣の処分に違反したとき又は公益を害する行為をしたときは、当該銀行に対し、その業務の全部若しくは一部の停止若しくは取締役若しくは監査役の解任を命じ、又は第四条第一項の免許を取り消すことができる。」これは非常に厳しい措置になっておりまして、ただ、非常に限定されてもおります。  この二十七条の規定ということも、これまでは発動した例がございませんけれども、いろいろ捜査当局の方で捜査していただいておりまして、まだ嫌疑が固まったというわけではありませんので軽々に物を申すべきではありませんけれども、今回、先生のおっしゃったようないろいろな客観情勢に照らし、あらゆる可能性というものを頭に入れながら厳正に対処すべきものではないかという感じをしておるわけでございます。
  67. 長野厖士

    ○長野政府委員 お時間をいただきますが、証券サイドから御報告申し上げます。  野村事件を通じまして海外の監督当局等々と私どもお話ししておりますと、まさに先生が御指摘になりました、起こった事件に対して行政がどういう対応をするかということで東京市場の信頼を眺めたいということをおっしゃいます。  国会で御答弁申し上げましたことがございますけれども、アメリカでも、九五年一年間の実績を見ますと、実に九十二件の刑事告発があり、四百八十六件の行政処分がある。ニューヨークにおきましても証券不祥事というのは多発いたしておりますけれども、国民の信頼がニューヨークの市場から離れていないのは、違法行為を行った者がきちんと当局によって措置されるという信頼があるからと心得ております。また、監視委員会平成四年にできまして以来幾つかの事件は実際にございましたけれども、今回の事件は、まさに監視委員会のシステムと、それに対応する私ども行政というもののシステムが真価を問われる事件であるとの認識に立ちまして対応してまいりたいと思っております。
  68. 中川正春

    中川(正)委員 受け取り方によっては、二十七条の発動もあり得る、こういうことなんだろうと思うのですが、それでいいのですか。
  69. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  捜査当局で捜査中でございまして、まだ嫌疑自体が固まった段階でございませんので、そこまで明確に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  70. 中川正春

    中川(正)委員 現在の罰則というのが、いわゆる業務の停止あるいは認可の取り消し、日本の法体系ではその辺が一つのポイントになっておるわけですが、もう一つ、これはグローバルスタンダードなんだろうと思うのですが、罰金ですね。この金融関係についての罰金の金額というものが、日本の場合はけた違いに低い、こういうことがよく指摘をされます。そういう意味でも、金融にふさわしい罰金というのがもう一回法を見直す中で考えていかれるべきであろう、こんなふうにも思いますので、これはこれからの課題として、また私の問題指摘として申し上げておきたいというふうに思います。  次に、全体像というのをもう少し論じていきたいのでありますが、それは、総会屋を含めて、暴力団を背景にした組織犯罪というのが近年非常に大きなテーマになってきております。そんな中で、よく言われるアングラマネーは、いろいろな指摘があるのですが、大体国民所得の一二%を超える規模、これが日本のアングラマネーとして毎年生み出されておる、その結果、今や二百兆円を超える資金がとうとうと日本の地下を流れておるのだ、ストックとしてあるのだということが指摘をされるわけでありますが、ひとつこの点について、大蔵当局の見解をまず伺いたいというふうに思います。
  71. 山口公生

    ○山口政府委員 我が国金融状況を見ますと、千二百兆円という個人金融資産、ある意味では金融面での大変大きなウエートを持った金融市場でございますが、その中にこういった不正な取引、あるいは表に出せないといいましょうか、そういったアングラマネーが横行しているということは、これからのビッグバン金融システム改革を迎えるに当たって決して認知できない存在だと思うわけでございます。したがって、金融システム改革を進めつつも、そういったものについてできる限り捜査当局、司法当局にも御協力いただきながら、透明な金融市場につくりかえていくという必要があると思います。  ただ、先生御指摘の、どれくらい現実にあるのかということになりますと、私どもとしては大変把握が難しゅうございまして、そういったものがないようにというように努めてまいる次第でございます。
  72. 中川正春

    中川(正)委員 いずれにしても、いろいろな学者が指摘をしておるように、確実にこの分野というのは広がりが出てきておる。そういう認識はお持ちであろうと思いますし、ぜひ一度そういう点から日本経済を洗い直してみるという努力、そしてその中で、いわゆるマクロエコノミックスの経済手法が一つ一つ以前とは変わった形で経済に対して作用しておるという指摘もあるわけですから、後ろにこのいわゆるアングラマネーというものが存在をしておるということからすると、この辺で総決算というか、新しい経済の見方というのがやはり必要なんだろうというふうに思います。  そして、このアングラの中にどの程度、組織暴力団、あるいは今回の不祥事の中にあるような、大きな金を動かしながら黒い世界がいわゆる経済の表に出てきてそれまでを支配していく、そういう構図があるのか、そしてまた、今の不良債権を清算していく過程の中に、どうもそれを助長するようなメカニズムが入り込んでいるのではないかという指摘を例を挙げてさせていただきたい、こういうふうに思います。  先ほどもちょっと話の出ました住宅金融債権管理機構なんですが、これが、半期、半年間の決算状況というか、その結果をこの間発表をしました。その中で、九六年の十月から九七年の三月まで、いわゆる正常債権と不良債権両方の債権を回収していく努力をして実績を上げておるわけでありますが、正常債権が千三百四十二億円、不良債権が千四百十四億円、こういう形で実績が上がった。これは目標よりも相当速いペースで努力をしておっていただくということで、私たちも中坊さんのその努力には本当に敬意を表したい、こういうふうに思うのです。  その中で指摘がありましたのは、実はこの不良債権千四百十四億円の七〇%、七割程度が何らかの形で暴力団関係の流れの中にあるものだ、こういう実態があるのだということであります。  この計数、千四百十四億円の七割ということなんですが、これを例えば住専トータル六兆円に引き伸ばしていきますと、ここで二兆円ぐらい暴力団関係の不良債権というのが発生をしておるということを見透かすことができるわけであります。さらにこれを一般の銀行あるいは生命保険等々、今問題になっておる不良債権、ここへ向けて映し出していくと、これは莫大な数字になってくるわけであります。  しかも、今何をしているかというと、特に銀行は不良債権の償却を始めているのですね。償却というのはどういうことかというと、帳簿上からそれを消していく、こういうことでありまして、それを取り立てていく仕組みというものがその中に内蔵されないまま、数字だけがどんどん消えていって、最終的にその金がどこへ回っていくのかというと、これはやはり地下なんですね。大きな地下の金脈へ向いて届いていく、こういう構造になっておるわけであります。  これまで、この視点というのは余り議論がされることなく、ただ不良債権の償却を早くしてしまわないと国際的にビッグバンのいわばさい先をくじいてしまう、そういうことになるからという、その議論の中でしか進んでこなかったわけでありますが、この部分というのはこのままにしていっていいのかどうか。そこのところはどういう見識をお持ちなのか、まずお尋ねをしたいと思います。     〔委員長退席、坂井委員長代理着席
  73. 山口公生

    ○山口政府委員 今御紹介いただきました、住宅金融債権管理機構の回収の中でそういった暴力団のかかわり等が数多く見られるという報告を私ども受けておるところでございますが、現実、こういった悪質な妨害行為等に直面しているという話に対しまして、住専管理機構は、預金保険機構の指導も得ながら、取り締まり当局への刑事告発、あるいは裁判所への保全処分の申し立てといった厳正な姿勢で対処しておりまして、厳格な債権回収に努めていっていただいているところでございます。  具体的に申し上げますと、同管理機構の告発を受けまして警察当局が強制捜査に乗り出した事例が七件既にございますし、また同機構の申し立てにより、暴力団などの不法占拠を排除する民事上の保全処分が裁判所で行われた事例も七件ございます。実質的にほぼ半年の間で、これだけの数で法的な措置というものを伴ってやっておるわけでございます。  さらに、先生の御指摘の暴力団絡みの債権について、その回収をあきらめておるのではないか、あるいはそれが償却、引き当てされてしまってうやむやになっているのではないかという御指摘でございますけれども、償却または引き当て済みの債権といいましても、これはあくまで企業会計上の概念でございまして、債務者との権利関係は残っておるケースの方が多うございます。したがいまして、各金融機関では償却、引き当ての有無にかかわりなく回収努力を行っているし、また行うべきものでございます。  ところが、現実問題として、その場合にいろいろ妨害があるのではないかということでございまして、その点については、私どもとしてもいろいろな場をつくって、そのサポートする体制をつくっているところでございます。
  74. 中川正春

    中川(正)委員 そのサポートする体制がつくれなかったから、ふたをあけてみたら、これだけ、住専で今起こっておるような結果がわかってきた、こういうことだと思うのですね。恐らく、住専であれだけの体制をこしらえて初めて結果として一つ一つ解決しているのだろうと思うのですが、それを逆に、もっと大きな問題のある、銀行、生命保険あるいはゼネコンなんかもその中に入ってくるのでしょう、そういう分野で今のままにしておけば、そのままで終わってしまうという可能性の方が高いのではないか。これは、だれが見ても、これまでの実績からいったらそれが現実だというふうに思うのです。  それで、実は警察当局にも来ていただいておりまして、質問をする予定だったのですが、ちょっと時間がなくなってきたので、申しわけないがはしょります。はしょって、その上で、これは基本的にそういう視点で、一遍今の不良債権処理というのをとらまえていく必要があるということ、これを指摘しておきたい。  それからもう一つ、具体的に法務省に聞きたいのですが、いわゆる組織犯罪に対する新たな法制度というのが要るのだろうというふうに思うのです。よく指摘されるアメリカのRICO法、組織犯罪規制法、これに範を求めたような形での対策というのが現実的には要るのだろう、こういうふうに思うのですが、これの取り組みをお聞きしたい。  それからもう一つ、住宅金融債権管理機構、これの実績を見ておりますと、これだけプロがそろって、その辺でしっかり取り組んでいくことによって、先ほど言ったような実績、この実績というのは当初の目標よりも恐らく何年も早く決着がついていくような勢いで一つ一つが片づいているということなのだろう。中坊さんに言わせますと、これはやはりプロの仕事なんだ、プロがいて初めてできるのだ、こういう指摘もあったくらいでありまして、この機構というのを生かしていく方法はないのだろうかということであります。  具体的に言えばサービサーというのですか、そういうものを、この住宅金融の不良債権だけではなくて、各銀行、証券会社あるいは生命保険、それぞれ持っている中で活用をしていく、そんな手だてというのがあっていいのだろう、いわゆる恒常的な一つの組織として整えていくという方向性を考えていく必要があるのではないか、こういうことなんですね。  その二点について、それぞれお答えをいただきたいと思うのです。
  75. 渡邉一弘

    ○渡邉説明員 お答えいたします。  委員指摘のとおり、近年、我が国におきましては、暴力団による各種の犯罪にとどまりませず、オウム真理教事件のような大規模な凶悪重大事犯、あるいは会社などの法人組織を利用した詐欺商法等の大型経済事犯等、各種の組織的な犯罪が多数発生しております。こういう事情にかんがみまして、法務省といたしましては、幅広い観点から法制度の整備を行う必要があるものと考えているところでございます。  法務当局といたしましては、そのような観点から、まず、刑事法の分野におきまして早急に法整備を図る必要があると考える事項に関しまして、昨年十月、法務大臣から法制審議会に諮問を行ったところであり、現在、審議をいただいているところでございます。この中には、組織的な犯罪の大規模化にかんがみまして、そのような犯罪に刑を加重すること、それから委員が先ほどから御指摘になっておりますような、犯罪による収益等が正常な経済活動に悪影響を及ぼすことにかんがみまして、犯罪収益等による事業支配あるいはマネーロンダリング罪の処罰、その犯罪収益等の没収、追徴を拡大すること等、犯罪収益を規制すること等について御審議をいただいておるところでございます。  法務当局といたしましては、できるだけ早く、審議会の答申を得た上、国会に法案を提出していきたいと考えております。
  76. 山口公生

    ○山口政府委員 住宅金融債権管理機構が、御紹介いただきましたように大変本格的な回収機構として機能を発揮されておりまして、私も高くそれを評価しておりますが、今、みずから引き継ぎました債権の回収に全力を挙げているところでございまして、まだほかの分野までという時点には至っておりませんことは御理解いただきたいのでございますが、この機構に民間金融機関の方々もたくさん参加されております。そうした方々が、いよいよ本格的な回収業務というものをここで学ばれておるということも事実でございまして、そういったノウハウがこれから伝播していくということも期待できるのではないかと思います。  おっしゃったような、将来の姿としては、この管理機構がいろいろなサービサーになっていくということも大いに考えられるところだと思っております。
  77. 中川正春

    中川(正)委員 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。
  78. 坂井隆憲

    ○坂井委員長代理 次に、北脇保之君。
  79. 北脇保之

    ○北脇委員 新進党の北脇保之でございます。  私は、財政構造改革についてお尋ねをいたします。  皆様御承知のとおり、先般の財政構造改革会議の決定に基づきまして閣議決定がなされ、さらに財政構造改革法案の骨子が発表されているところでございます。この財政構造改革についての政府考え方、これについて、私ども、これでは十分ではない、そういう考え方を持っております。  その要点の第一は、今回示されている財政構造改革の案というものは、来年度の予算編成のシーリング、この域を余り出ていないのではないか。二〇〇三年までの目標を定め、そして当面の改革期間の削減目標数値、こういったものを出しているという点は新しい試みであり、その点は評価をするのにやぶさかではないのですが、ただ財政構造改革と言う以上は、構造を変える、財政が膨張するもととなっている仕組みそのものに切り込んでいくべきである。そうでなければ、一応ある短い期間歳出を抑制するというようなことをしても、またもとのもくあみになってしまうおそれがある。そういう意味で、本当に構造の改革に取り組むべきである、これが第一点でございます。  このことを具体的に申し上げれば、例えば公共事業について二、三年程度長期計画を延長、先送りする、こういうような施策が目立つわけでございますが、この公共事業のあり方についても、今のような国から補助金を地方自治体に出してやっていくような、こういう仕組みをもとから切りかえて、国の役割、そして地方の役割をはっきりさせる中で公共事業が効率的に行われていくような仕組みを考えていくべきであるというふうに思います。  また、もう一つ大きな財政の分野でございます社会保障についても、単に数年間収支じりが合うというような、そういう取り組みではなくて、これからの少子・高齢社会に備えて、それに耐えられるような制度の構築に取り組んでいかなければならない、これが第二点でございます。  そして三番目に、今回の閣議決定及び財政改革の骨子、これに見られる一つの欠点というのは、やはりマクロ政策についての考え方が欠けているということだと思います。  これはもう今の政府経済財政運営について、新進党が今国会においてつとに指摘していることではございますが、歳出削減するということになれば、その分需要、雇用がその限りにおいて縮減されるということは避けがたい、そのようなデフレ効果をどうやって吸収して税収の落ち込みを防ぎ、赤字削減を実現していくのか、このことが大きな課題であると思います。  一方的に歳出削減公共事業のカットとか、そういうことだけでいった場合には、果たして経済が順調に推移することを期待できるのかどうか、こういう問題がございます。財政赤字の削減の結果が国内需要の縮小をもたらして、経常黒字の拡大につながったり、経済の悪化になって民間貯蓄率の低下をもたらす、こういうことではいけないわけでございます。私どもの考えは、財政赤字を削減する場合に、そのデフレ効果を規制緩和とか法人税や所得税の減税による民間投資の拡大によって相殺していけるような、そういう経済財政運営を目指していかなければならない、そういうふうに考えているわけでございます。  以上が、今の政府が示している財政構造改革についての私どもの考えの要点でございます。  次に、そのことに基づいて幾つかの質問をいたします。  まず、財政構造改革のための法律の内容でございますが、これについて、どんな構成、そしてどんな内容になるのか、そのことをお尋ねしようと思っていたわけでございますが、これについてはその法律案の内容の骨子が発表されておりますので、少し角度を変えて質問をさせていただきたいと思います。  今回の法案の骨子では、財政健全化の数値目標として、二〇〇三年度までに財政赤字の対GDP比を三%以下とするということが示されております。ただ、このような数値目標の定め方には幾つかの弱点もあると思います。  というのは、一つは、GDPというのはそれ自体変動するものでございますし、またそのGDPの数値の確定ということについては当該年のうちに終わるものではございませんから、そういった点を考えると、二〇〇三年度までの中間の進行管理のための指標というふうに考えるときに、この財政赤字の対GDP比を用いていくというのは、ちょっと十分に使い切れないという、道具としてちょっと切れ味が鈍いという面が一つあると思います。  それともう一つ、財政赤字というものは、もちろん歳出と歳入の差し引きで出てくるものでございますから、歳入面次第ではどうにでもなるという部分があります。それを見たときに、今回の財政構造改革考え方の中に、税制改正をどうしていくかとか、そういった歳入面のことが余り盛り込まれていない、具体的でない。このことは、この閣議決定なり法案の骨子を見ても、そこに書いてあるようにやっていけば二〇〇三年度までに本当に目標が達成できるかどうかということをはっきり判断ができないという問題があると思います。  そこで、それだけに、歳出削減目標を一応個別分野ごとに定めてありますから、この個別分野ごとの歳出削減目標というものをきちっと定めて、それを実行していく、このことが非常に重要になってくると思います。その観点から、幾つかお尋ねをしたいと思います。  まず第一に、今後この法律案の骨子に基づいて財政運営をしていく場合に、補正予算の扱いがどうなるかということでございます。  例えば公共投資の扱いについて、この骨子並びに閣議決定を見ますと、公共投資については、平成十年度の当初予算は平成九年度の当初予算から七%マイナスにする、そして平成十一年度、十二年度は前年度当初予算を下回る額にする、こう書いてあるわけですが、当初予算というふうに明記してありますので、じゃ補正予算はどうなるのか。例えば平成十年度の予算を考えても、当初予算の段階では七%マイナスということを実行したとしても、途中の補正予算で七%を超えてしまってもいいというような考え方になっているのか。この点が一つ。  もう一つは、あわせてお聞きしますが、いろいろと議論のもとになっているウルグアイ・ラウンド対策の農業関係の経費、これを今年度の予算でどう扱うか、これが一つの今後の財政構造改革に取り組む試金石とも言えるわけでございますので、この扱いをどうされるのか。  若干、質問の内容が財政健全化の法案の内容ということと違う部分もございますが、お答えをいただければと思います。
  80. 林正和

    ○林(正)政府委員 お答え申し上げます。  最初に、補正予算の関係の御質問でございました。  御案内のとおり、補正予算は、財政法二十九条に基づきまして、法律上または契約上国の義務に属する経費の不足を補う場合、それから予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出を行う場合等に限り編成されるものでございまして、これは私から申し上げるまでもございませんが、あらかじめいかなる経費についてどの程度必要になるか特定することはもちろん困難でございます。  量的縮減目標を定めます集中改革期間におきましても、その間いかなる事態が発生するか、現時点において予測することは不可能でございまして、補正予算について、そういう意味で現時点で一定の見積もりを行うことは当然できません。このような補正予算の性格を踏まえまして、今回お示ししました骨子においては、量的縮減目標の対象を当初予算というようにさせていただいたわけでございます。  あえて補正予算まで対象にいたしますと、例えばこういう問題が生じてまいります。仮にある年度、大規模な災害等によりまして多額の補正予算を計上した場合、翌年度はその額も含めた予算額が量的縮減目標の比較の対象となって、結果的に量的制限が緩んでしまう、こういうような事態が生じてしまうという問題もあるわけでございます。  なお、いずれにしましても、集中改革期間におきます補正予算の取り扱いにつきましては、財政法二十九条の趣旨を厳正に判断し、適切に対処してまいりたいというように思っております。  それから、ウルグアイ・ラウンド対策についての御質問がございました。  これは財政構造改革会議を受けました閣議決定におきましても、ウルグアイ・ラウンド対策については、財政構造改革の観点から、農業農村整備事業を中心対策期間を二年延長するとともに、総事業費六兆百億円の全体の事業内容について、これまでの実績の検証を踏まえて、新しい国際環境に対応し得る農業経営の確立、地域特性の活用により資するよう見直しを行う、それによって農業農村整備事業とその他事業との事業費の比率をおおむね五対五とするということになったわけでございます。  こうした事業内容の見直しをあわせまして、予算編成過程で検討するということになっているところでございます。
  81. 北脇保之

    ○北脇委員 次に、今の構造改革の扱いの中でまたもう一つ問題であると思うのは、特別会計、それからいわゆる隠れ借金と言われているものの扱いをどうするかということでございます。  特別会計、例えば国有林野で三兆円を超える累積債務がある。こういったものについても、どう取り組むかということを明確にしていかないと、いずれ一般会計への負担ということにはね返ってくるおそれがあるということが一つ。  それから、隠れ借金と言われるものが約四十五兆円にもなります。その中で旧国鉄の累積債務が約二十八兆円というようなことで、国鉄のことについては別途検討というふうな形になっておりますが、いずれにしても隠れ借金というようなものをそのままにしておいて、幾ら一般会計歳出総額を抑制する、そういうことをやっても、まさにしり抜けになってしまう。ですから、財政構造改革に取り組むときには、隠れ借金というような国民に非常にわかりにくい手段はこの際もうやめる、隠れ借金はすべて明らかにして、そのトータルな枠で財政構造改革に取り組んでいく、こういうふうにするべきであると思います。  例えば国鉄の例を一つとっても、来年度の有利子債務の利払い額が六千六百億円にもなる、こういうふうに推計されているわけで、この扱いいかんによっては有利子債務の利払いを一般会計で引き受けるという選択肢もあり得るわけでございますから、そうしたことも含めての財政構造改革の指針でなければならないと思います。  そういう意味で、これから特別会計の累積赤字の対処、それから隠れ借金の解消、こういったことを当然やるべきでございますが、それをやることを前提にした上で、平成十年度の一般歳出総額については平成九年度の一般歳出総額を下回るという目標を定めているわけでございますので、果たしてこれが本当に実行できるのか。これは実行できるという前提でこれを決めていることは言うまでもないのですが、その覚悟を含めてお尋ねをしたいと思います。
  82. 林正和

    ○林(正)政府委員 何点かお尋ねございましたが、一つは特別会計についてでございます。  この法律案の内容の骨子にもございますが、「特別会計を含むすべての歳出分野を対象とした改革を推進する」ということで書いておりまして、特別会計につきましても、一般会計同様、厳しい目で見ていく必要があると思っております。  それから、清算事業団それから国有林野についてお尋ねがございました。  これは御案内のとおり、国鉄清算事業団債務の処理策あるいは国有林野事業の経営改善策につきましては、ともに本年中に成案を得る等の具体的なスケジュールが昨年十二月に既に閣議決定されているところでございます。したがいまして、今後三年間の量的縮減目標と、今後の数年間にわたります財政運営の方針あるいは方向を定めるための財政構造改革のための法律案において改めて同様の規定を置く必要は薄いというところから、今回の骨子には盛り込まないこととしているところでございますが、当然のことながら、国鉄清算事業団債務、国有林野につきましては昨年十二月の閣議決定あるいは先般閣議決定されました「財政構造改革の推進について」に沿って検討が進められていくことになるというように理解しております。
  83. 北脇保之

    ○北脇委員 次に、公共投資についてお尋ねをいたします。  公共投資については、一番ベースになっているのは、御案内のとおり公共投資基本計画の六百三十兆円ということでございます。私は、この際、公共投資基本計画そのものを見直して、それとの関連で定められている各種の長期計画における社会資本の整備目標見直していくべきではないか、そういうふうに思います。  確かに我が国は欧米の先進国に比べればおくれて出発をしているわけで、その点を考えれば、今の公共投資基本計画考え方である、二十一世紀初頭には社会資本を全体としておおむね整備することを目標とする、このことも重要なことであるということは十分理解をしております。しかし、財政構造改革ということを最優先の課題とするときにこれをそのまま守っていけるのかどうか、これをもう一度真剣に議論する必要があるのではないかと思います。  というのは、例えば一つの経済をあらわす統計として一般政府総固定資本形成、これのGDPに対する比率を国際比較してみますと、一九九四年の数値では、日本が六・六%であるのに対して、いわゆる先進諸外国と言われるような欧米の国では二、三%であるということですから、日本の今の経済の中では政府による一種の設備投資といいますか、それが諸外国の二倍、三倍という状況になっている。もちろん社会資本の整備は重要ではありますけれども、財政改革考えるときに、これが義務的経費で財政が非常に悪化しているというのだったらやりようがないという場合もあり得るわけですが、我が国財政の場合は、こうした公共投資という投資的な経費が諸外国に比べて非常に大きいということがあるので、ここが、むしろ財政構造改革日本の場合は本当はやりようによっては比較的実現できるのだという一つのポイントになるのではないかと思います。  そういう意味で、公共投資基本計画そのものを見直して、そしてこれに関連する各分野の長期計画における整備目標を、この際はっきり財政構造改革との関連でどこまでやるのだということを見直していくべきだというふうに思います。その点についての政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  84. 安井誠人

    ○安井説明員 お答えいたします。  先般閣議決定されました「財政構造改革の推進について」におきまして、この公共投資基本計画につきましては、今ほど議員お話しのように、計画の基本的な考え方は、「二十一世紀初頭に社会資本が概ね整備されることを目標としている計画の基本的考え方は維持する」とされておりますが、「他方、我が国財政の危機的状況等を踏まえ、集中改革期間中に、公共投資の水準を、概ね景気対策のための大幅な追加が行われていた以前の国民経済に見合った適正な水準にまで引き下げることを目指す必要がある。」という認識が示されております。こうした趣旨を踏まえまして、公共投資基本計画計画期間につきましては、三年間延長することとしております。  その「財政構造改革の推進について」の記述によりますと、「六百兆円ベースでみて十年間で四百七十兆円程度へと投資規模の実質的縮減を図る」ということと「策定後の諸情勢の変化等を踏まえ、内容の見直しを行う。」ということになっておりまして、現在私ども所要の見直しの検討を行いまして、本日も、経済審議会にもこの見直しの内容について御議論いただいたところでございます。
  85. 北脇保之

    ○北脇委員 次に、地方財政についてお尋ねをいたします。  地方財政財政構造改革考える上で非常に大きな分野でございます。国の財政地方財政、よく車の両輪と言いますが、それほどの重要性を持っていると思います。  この地方財政の現状を見ますとき、地方財政の借入金残高が平成九年度末には百四十七兆円に及ぶという状況になっております。バブル崩壊後のいろいろな景気対策が打たれ始めたころの平成三年度末と比較しますと、平成三年度末の地方の借入金残高は六十九兆九千億円ということでございましたから、以後約二倍に借入金残高が膨らんでいるという状況でございます。  これは、やはり一つには、景気対策ということで地方財政の方も努力をする、それを地方単独事業の追加というような形でやってきた、そのことが現在非常に大きな借入金残高になって残っている、こういう面があると思います。しかも、こうした地方単独事業を地方債と地方交付税の組み合わせで措置をするという形が一つの大きな手段として用いられてきております。このことが、地方財政の自己完結性といいますか、地方の事業を地方の責任持てる財源の中で実行していくというあるべき姿から見ると、それがちょっと違った姿になってきてしまっている。そこのところをもう一度見直すべきではないかというふうに思います。この地方財政の面でも、地方分権の確立が非常に重要であるというふうに思います。  そこで、今回の財政構造改革の閣議決定の中でも、地方財政について「地方分権推進委員会における議論等を踏まえつつ、地方公共団体独自の自主的な財源調達の方途について検討を進める。」というような決定があるわけですが、非常に抽象的でありますので、この検討の方向、具体的にはどのようなことであるのか。特に「地方公共団体独自の自主的な財源調達の方途」、これはどういうことを想定されているのか、これについてお尋ねをいたします。
  86. 瀧野欣彌

    瀧野説明員 地方財政の健全化のための方策についてのお尋ねでございますが、御指摘のように、財政構造改革会議におきまして、地方の自主的な財政健全化努力を促していく観点に立って、地方交付税、地方制度等につきまして検討を進める、こういうふうにされておるわけでございます。その具体的内容につきましては、現在、地方分権推進委員会においてもさまざまな観点から議論が行われているところでございますので、そういった議論も踏まえながら、今後検討してまいりたいというふうに考えております。  その場合に、交付税等につきましては、現実の財政需要あるいは財政収入との関係なしに一定の制限を行ったり加算をしたりするというようなことは現在の地方財政制度では想定しておらないということでございますので、こういった制度の趣旨を踏まえまして検討をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、特に自主的な財源調達の方策の具体的内容はどういうことであるかということでございますが、現在、地方分権推進委員会におきまして議論されている項目といたしましては、法定外目的税制度創設、それから一部税目におきます制限税率の撤廃、こういうような事項、さらには手数料におきます国の関与の緩和、こういった点が議論されているところでございます。今後、こうした議論を踏まえながら、幅広く検討してまいりたいというふうに考えております。
  87. 北脇保之

    ○北脇委員 最後の質問とさせていただきたいと思いますが、私も、財政構造改革の推進の必要性、これはもう言うまでもないことというふうに思っております。したがいまして、そういう点では、政府の取り組みをもっと本当に本格的なものとしていっていただきたい、そんな見地から質問をさせていただきました。  そこで、最後に大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、今までのシーリング方式というようなことでは、必ずしも最終的にでき上がった予算が前年度比マイナスにならない場合も事例としては多うございますので、今後の予算編成に向かって、新しい取り組みの方法、そういったことについてお考えをお聞きいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  88. 三塚博

    三塚国務大臣 既に御案内のとおり、骨子が発表されたところであります。まさにこの骨子を中心として、OBRA、それからヨーロッパの国々の財政再建法をにらんでみましても、数値目標を明示いたしたというところが大きな特徴でございます。そして、この骨子を基本として、国会終了直後から財政再建法の作成に入ります。閣議におきましても、私からその旨を申し上げ、各省のさらなる協力を得たい、こう申し上げたところでございまして、法令の中に書き込めるものはすべて書き込む。  閣議決定によって決められた五カ年計画等、あるいは林野の問題、それから清算事業団の、国民の責めに帰すべきもの、国民の負担という明示をしておるわけでありますが、こういうことについても年内にこれを決定する、こういうことでございまして、その他のオール歳出の部分について数値を明確にしたこと、さらに、さらなる抑制ということで行うこと、社会保障のように全体の二%を超えないこと、こういうことを進めたところでございます。よって、骨子が新しいシーリングであります。  それで、この骨子に基づいて年末まで作業に入ります。その他、法文化しないまでも、一章の中で目的をきっちりと書くわけでありまして、目標もきっちりと書かさせていただくわけでございますから、そういう中で特別会計の検討、見直し、さらに財政投融資の問題、毎年やっておるのでありますが、そのスリム化に向けて行うということになるわけでございます。  これまでの概算要求基準方式を抜本的に改めるということになるわけでありまして、各省庁は、先般の閣議決定「財政構造改革の推進について」の中の歳出改革と縮減の具体的方策に基づき概算要求を行うものといたしておるところであります。これまでの技術的、機械的手法から主要な経費ごとの具体的な数値を示す手法とするなど、画期的なものということになります。何とぞ、各党におかれても、格段の理解の中でサポートをいただければと思っております。
  89. 北脇保之

    ○北脇委員 質問を終わります。
  90. 坂井隆憲

    ○坂井委員長代理 次に、上田清司君。
  91. 上田清司

    ○上田(清)委員 日銀総裁には、お忙しいところありがとうございます。  与党の議員の皆様が、日銀に関して、高過ぎる総裁の給与あるいは政策委員の給与、そして豪華過ぎるゴルフの会員権について御指摘をされました。また我が同僚の前田議員も、総裁の肖像画が一千五百万もするとか、そういう話について御指摘をされましたので、完結編として、社宅問題について取り上げてみたいと思います。  早速ですが、日銀の大阪支店長の社宅が超豪華ではないかというような指摘が某週刊誌に出ております。千百十八坪、九七年三月完成、建坪で百十三坪、敷地の時価は約二十億円だろうというようなことが言われておりますが、この点について、およそ庶民感覚を離れたものではないか、なぜこういう社宅が必要なのか、お尋ねしてみたいと思います。     ―――――――――――――
  92. 坂井隆憲

    ○坂井委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件について、冒頭にお諮りしなければならなかったのですが、お諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 坂井隆憲

    ○坂井委員長代理 御異議なしと認め、そのように決しました。     ―――――――――――――
  94. 坂井隆憲

    ○坂井委員長代理 それでは、松下総裁、お願いします。
  95. 松下康雄

    ○松下参考人 私ども日本銀行におきましては、転勤対象職員に対しまして社宅の使用を認めているところでございますけれども、支店長につきましても、そのような意味から社宅の割り当てを行っております。  そこで、御質問のこの大阪の支店長の役宅でございますけれども、これは昭和の初め、たしか十二、三年ごろに取得したものでございまして、非常に古い時代でございますから、その当時の住宅情勢等も反映いたしまして今日の標準に比べますというとやや広いということもございますけれども、やはり私どもの考えとしましては、支店長宅の場合には、外部、地元の方々との会合でありますとか、災害時に緊急な対応を要しますケース等に備えた会議室、作業スペースなどのようないわば公的な部分も含まれているわけでございます。  この御指摘の大阪支店長宅は、そういう古い木造住宅でございましたので、先般の神戸の地震のときに全壊いたしました。そこで、新しく建て直したわけでございますけれども、建て直しましたときに、従来の住宅に比べますと相当面積は圧縮したのでございますけれども、やはり一方で災害対策の見地がございまして、それは日本銀行の本店あるいは電算センター等が仮に東京の大災害で機能しなくなったというような場合には、大阪でその機能をかわりに行使できるようなバックアップセンターが最近大阪支店に開設されたわけでございます。そういう事態のあります場合にも、やはりこれに対応できる若干のスペースというものを確保する必要があるというようなこともございまして、これは公的な部分も含めた役宅でございます。  ただ、日銀も、これは一つの経営体といたしまして、効率的な業務運営が求められているということは当然のことでございまして、私どもの不動産の保有につきましても、それはやはり社会一般の情勢に照らして誤解を招くことがないように運営していくことが必要であると思っております。したがいまして、今御指摘の支店長の社宅を含めまして、不動産保有のあり方につきましては、日銀がこの法律改正の機会に今後進めてまいるべき自己改革の一環としまして、新しい目で見直してまいりたいと考えているところでございます。
  96. 上田清司

    ○上田(清)委員 やや広いとか誤解を受けるとかと言っておられます。これは事実として程度を超えているのではないかというような庶民感情があるということを、既に肖像画の件あるいは豪華ゴルフ会員権の件、あるいは給与の面からもそういう点が言えるわけでありますから、この点については、再度、新しい日銀のあり方も含めて、日銀法改正があったわけですから、よく考えていただきたいというふうに御指摘をさせていただきます。  また、社員の社宅ということであれば、これは、例えば一般的に百万円ぐらいの家賃であるというところで十万円しかいただいていないというような嫌いが仮にあったとすると、九十万は、考えようによってはこれは別建ての給与所得だというふうに考えるようなことが可能になる。たしか私の記憶では、所得税法の中の何らかの解釈の中で、これは疑義が出てくるのではないかというふうに考えておりますので、国税庁のどなたか、急に呼び出して恐縮ですが、こういう日銀の役宅に関して、給与と絡んだ形で所得税法の違反になるのかならないのか、あるいは何らかの法律に抵触するのか、それとも今まで一つも日銀に関してはこういう問題を把握しなかったのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  97. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 お答え申し上げます。  お尋ねでございますけれども、現在、役員の社宅に対する課税をどういうことで運用しているかということをちょっと申し上げますと、役員やその従業員が社宅の貸与を受けている場合に、一定の使用料を支払っていなければ、その使用料相当額と実際に負担している額との差額を給与として課税するということにしております。  ただ、この今申し上げました一定の使用料というレベルでございますけれども、社宅は福利厚生的な性格が強いということがございますし、住まいとしての安定性に乏しいということもございます。選択の余地が少ないということもございまして、時価よりはかなり低い水準、社宅の敷地と家屋の固定資産税の課税標準額に一定の率を乗じて算出する、そのレベルと実際に払っている額との差額を見るということで運用させていただいておるところでございます。  それからもう一つございまして、これは平成七年から運用しておりますけれども、役員の社宅の中でも特に豪華な社宅、公的使用に充てられる部分を除きまして、家屋の床面積が二百四十平方メートルを超えるもので内外装が豪華であるというもの、あるいは二百四十平米にいかなくてもプール等がついている、特殊な施設等がついているというものについては、先ほど申し上げましたような通達とは別に個別の通達を出しておりまして、それは時価と実際にいただいている使用料との差額で判定するということにしております。  あとは、そういった法令の趣旨に基づきまして、個別に実態を踏まえて判断をしていくということでございます。
  98. 上田清司

    ○上田(清)委員 日銀について検討されたことはございますか。給与としてみなすのかみなさないのか、あるいは課税を今までしたことがあるのかどうかとか。日銀について、過去に日銀の支店長宅あるいは役宅、研究されたことはございますか。
  99. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 私どもかねてから申し上げておりますけれども、個別の具体的な事案については御答弁を差し控えさせていただいておりますので御容赦を賜りたいと思いますけれども、その週刊誌の情報にいたしましても、いろいろな形で資料、情報を集めまして、その申告の内容と対比いたしまして、問題があれば実地調査をするなどして適正な課税の実現に努めるということで引き続きやっていきたいと思っているところでございます。
  100. 上田清司

    ○上田(清)委員 日銀総裁、特にこの件について述べることはございますか。
  101. 松下康雄

    ○松下参考人 大阪支店長宅の賃貸料でございますけれども、申しましたように、最近建てたものでございますから従来の計算とは全く違うわけでございますが、これは今御説明がありましたような所得税の基本通達におきます役員に貸与をした住宅の賃貸料に関する規定というものに基づきまして算出をいたし、また内容につきまして公認会計士、税理士に確認をいたして定めております。実際の賃貸料につきましては、そういう通達に基づいて計算しました金額と同額を支払うということにいたしております。  この場合、今もちょっとお話がございましたけれども、非常に豪華な役員社宅という場合には算式は別になりますけれども、大阪支店長宅の場合には、面積あるいは内装その他の規格から申しまして、いわゆる豪華役員住宅には該当しないということでございますので、通常の計算をいたしております。     〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕
  102. 上田清司

    ○上田(清)委員 日銀総裁にもお願いしておきたいと思いますし、国税庁の次長にもお願いしておきたいのですが、どうもこの日銀の役員宅に関して、きちっとしたそうした意味での給与に算定する所得税を取っておられるかどうかについて非常に疑義がありますので、ぜひこれは確認をしてやっていただきたいというふうに、委員長にもお願いを申し上げておきます。理事会で諮っていただきたいと思います。  それで、もう一点でございますが、これは民間企業でございますので必ずしも大蔵委員会の中での質疑に合うものかどうかわかりませんが、日本長期信用銀行でございます。いわゆる俗に言う長銀でございますが、この元会長、元頭取某氏が退任するときに、近々二十五億円あるいは三十億円にも至るという退職慰労金をいただけるというお話金融界でうわさになっております。  もとより、それぞれの企業がどんなに退職金を出そうと何の問題もあるわけじゃありませんが、しかし御承知のとおり、これは二信組の事件に絡んで貴重な国民の税金もその二信組関係で使っておりますし、そしてまたいろいろな超低金利政策におけるところの無税償却、つまり国民のいわば金利を犠牲にしても銀行を救うというような側面もなきにしもあらずという形の中で出てきている側面もありますので、私は、大蔵大臣に、内々に長銀に対してきちっとそういう事実関係があるのかどうか確認して、常識の範囲内でぜひ遠慮をされるように、三塚大蔵大臣から高度な御勧告をしていただきたいというふうに望みますので、大臣の御感想だけ伺いたいと思います。
  103. 三塚博

    三塚国務大臣 民間銀行の給与、退職金、特に退職金がどういう根拠でそう出たのかわかりません。聞いてみただけで常識的ではない。しかしアメリカ合衆国では、実績を上げれば、退職金もボーナスもびっくりするような額を出すところがあります。しかし、それは完全な自由市場の中の経営の手腕の結果、増益の部分から計算されると聞いておるわけでございます。長銀と言われていましたけれども、私はそのことを全く聞いておりませんが、しかし大変な金融システム諸改革の中で今後に対応するわけでありますから、この改革の精神に合うものでなければならない、こう思っております。
  104. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。梶山官房長官などは、しきりにこういうことに関しては大変庶民的な感覚でお怒りになる方ですので、御在席いただければ大変おもしろい御答弁をいただいたのじゃないかなというふうに私は思っております。  御承知のとおり、長銀は、事実上破綻しております日債銀と並んで、株価も四百円、日債銀が三百円、ムーディーズの格付でも近々場合によってはもう一つ格が下がるかもしれない、そうすると海外からの資金調達もできなくなるかもしれないと言われるような極めて業績の悪い銀行でございますので、ぜひ大臣の内々のお力添えを賜りたいというふうに思っております。  次に、銀行の検査でございますが、私はかねてからこの大蔵委員会で、大蔵省による検査行政というのは無理ではないかということを申し上げ、いっそのことしない方がいいのじゃないかというようなことも申し上げておりました。事件があったとき丁寧にやればいいじゃないかというふうに私は申し上げておりますが、一説によりますと、大蔵省の検査は抜き打ち的になされるのですが、これが漏れているというお話を聞いております。検査部長にお伺いしたいと思いますが、これは漏らすようなことはないのでしょうね。
  105. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  検査の情報が事前に漏れているのではないかという御指摘でございます。  今委員指摘のとおり、私どもの検査は原則として予告なし、抜き打ちということでございますけれども、最近の状況を申し上げますと、いろいろ検査の多様化あるいは効率化を図るという観点から、予告を混在させたり、いろいろな方法を工夫しております。  といいますのは、若干コメントをさせていただきますと、無予告、抜き打ちとなりますと、検査に入ってからいろいろな資料をつくるように指示をする。そうしますとどうしても期間が長くなってしまうということがあるものですから、限られた体制でやるという場合に、ある程度予告をして、例えば資産査定だけに限って検査をするというような場合には予告をする。いろいろなことを工夫しているわけでございます。  いずれにしても、もし無予告、抜き打ちという場合には、当然のことでございますけれども、検査の実施時期につきましては従来から厳重な情報管理を行っているわけでございまして、御指摘のような情報が事前に漏れるというようなことはあってはならないわけでございますし、そういうことはないというふうに私どもは考えているところでございます。
  106. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。  主要銀行は、聞くところによれば、いわゆるMOF担当ということで大蔵省に日ごろから出入りをされて、各銀行の専務あるいは副頭取クラスをキャップにしながら、大蔵省のそうした検査の予告状況というのでしょうか、そういうことを確認するために、しきりに接待も含めていろいろと情報を仕入れることをやっておられると思いますが、接待も含めて、そうした情報を提供するようなことをなされたことはございませんか。接待を受けているとか、そういう銀行の担当者から。
  107. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま申し上げましたように、検査の情報につきましては厳重な情報管理を行っているところでございますし、今委員指摘のような点につきましても、平素から検査官の綱紀粛正につきましては厳正に対処しているところでございますし、そういうことはあってはならないことと思います。私といたしましても、そういうことはないだろう、ないというふうに信じております。
  108. 上田清司

    ○上田(清)委員 信じておりますではちょっと心細いのです。大蔵大臣、中島さんや田谷さんや、あるいは涌井さんのことを考えるとなかなか信用できないなというのが、これは国民感情じゃないかなというふうに思います。仮にも大蔵省銀行検査がそうした各銀行のMOF担当者との接点の中で事前に漏れているとか、あるいは接待を受けているというような事実があれば、これは大変なことでございますので、その点について、今部長の御説明がございましたけれども、大臣としても、確信を持ってそういうことは絶対あり得ないというようなことをおっしゃっていただきたいので、ぜひ御答弁をお願いしたいと思います。
  109. 三塚博

    三塚国務大臣 証券第一次不祥事件が起きて証券等監視委員会がスタートを切りました。バブルの問題が起きて金融政策に対する諸批判が出てまいりました。そういう中で、監視委員会はもちろん、大臣官房金融検査部、数少ないスタッフの中で、預金者に信頼のされる銀行経営、こういうことでやってきたことは間違いございませんし、本事件発生以来、内部の状況について報告を受けておるわけでありますが、綱紀粛正について厳しく伝達を申し上げ、また私からもそのことを申し上げております。名前の挙げられた退任されたお二方の問題が起きました際にも、改めてさらなる指示を与え、綱紀粛正について万々の体制をとるべし、こういうことでございます。私から言えば、精強部隊、数少ない検査官が全力を尽くしておることで、乗ぜられるようなことはないと確信をいたしております。
  110. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。  私も、検査官にはないというふうに信じておりますが、その周辺にちょっと不安を感じておりますので、あらかじめ予告しておきます。  それでは、別件に移ります。  最近、カード、通帳の不正使用、特に保険証、運転免許証を偽って取得し、本人に成り済まして通帳、カード等を再発行させて、いわば他人の預金を詐取するというような犯罪がふえているわけでございます。そこで、銀行関係に関しては非常に気の毒なパターンが出てきております。  例えば本人に成りかわって免許証を取る。大変恐縮ですが、これは大蔵大臣大蔵大臣の生年月日それから住所、こういったところがわかれば、大臣の場合にはもうほとんどそっくりさんじゃないといけないと思いますが、いわゆる原付免許証というのは一日で取れる、この免許証を一日で取ってきて、大蔵大臣と全くのそっくりさんであれば、銀行の窓口に行って、ふだんからどこどこの銀行によく出入りされているということを知った上で成りかわって、免許証を持って、そのまま通帳と印鑑をなくしましたのでと行く。  別にこれは大臣みたいに顔の売れた方じゃなくて、普通の民間人だったらなお結構なんですね。自分の顔写真を持って原付免許なら原付免許を取ります、犯人の顔を張って。そして、その犯人がだれかに成りかわって銀行に行って、そして預金通帳と印鑑をなくしたので再発行してくれということを申しますと、本人であることの確認ができますかということになってきます。一般的に、パスポートであるとかあるいは免許証であるとかを所持していればそれを出してくださいと言われれば、待ってましたと言わんばかりにその原付で取った免許証を出す。そうしますと、窓口に来た顔と同じ顔写真が免許証に載っていますし、住所とか氏名とかは以前に記帳されたものと同じですから、それで再発行を受けてお金をとることが可能になる。そして後日、本当の、真正の預金者が銀行から預金をおろそうとすると、もう既になくなっている。  しかし、銀行からすれば、そうした顔写真が一致してきちっと本人を証明するものがあれば、これは実は銀行としては善意の管理者として最大限の義務を果たしたことになって責任はない、免責されるということになります。しかし、この本当の所有者にとってみれば、自分の知らないところでいつの間にか詐取されているということが救われないということに関して、本来ならば、預金者は銀行にお金を安全だから預けているのでありまして、それがいつの間にかとられたら、銀行が善意の管理者をやっておってもそれが防げないという状況、これは大変なことであります。  クレジットカードなどは、御承知のとおり、損害保険会社と契約をしておりますので、そういうことがあったらその被害者に補てんができるようになっている。そしていわゆる通常の、キャッシュカードを自分の責任で落としたりとか、あるいはたまたま家の中にいてドアをよく閉めていないからとか、自分の管理責任でなくした場合と全く違う事例でございまして、こういう事例が起きたときに、果たしてこの真正の預金保持者というのは救われるのかどうか。この件について、これは大変これからこうした犯罪が多くなってきますので、この場合、日本においては救われないというようなことを私は承っておりますが、改めて銀行局長、こういう場合にはどうなるのか。
  111. 山口公生

    ○山口政府委員 今の先生の御指摘でございますけれども、銀行の方で、印鑑と届け出の印鑑と相当の注意を持って照合して、相違ないものと認めて取り扱われた場合には、善管注意義務が十分に果たされたということで、免責という形になっております。御指摘のとおりでございます。  ただ、今先生がおっしゃいましたように、真正の預金者においてもそれなりの注意をきちっと払った。大きなミスがありますと、それはその人の責めということはあると思うのですが、そういった場合におきまして、不正をやる人が一番いけないんですけれども、それが引き起こした不当利得といいましょうか、損失というものを一体だれが負担すべきかというのは非常に悩ましい問題でございまして、今、ケース・バイ・ケースで一応対応していることだと思うのでございます。ただ、これを余り一律に、銀行は大きいからもう推定としてまず負担しなさいという制度をつくるとなりますと、またそこにモラルハザードの問題も生じてまいりますし、制度的にどうすればいいのかというのはなかなか難しい問題でございまして、一律に解決ができるのかどうか、ちょっと私どもも、諸外国のいろいろなケース等勉強しながら、今後よく検討していくべき課題だろうというふうに思っております。
  112. 上田清司

    ○上田(清)委員 今、銀行局長がおっしゃいましたように、非常に悩ましい問題であります。本来ならば、預金者は銀行を信頼して預けている。しかも銀行は、今おっしゃられましたように、善管義務、いわゆる善意の管理者としての義務を十分果たしていて、そして詐取される。しかし、真正の預金者は自分の預金が取り戻せない。これは本当に悩ましい問題でありますが、アメリカやドイツは、一部、約款だとか法律の中で銀行の免責を排除するというのでしょうか、免責を一部取り除くとか、そういう仕組みもつくっております。  今後、インターネットも含めたさまざまな新しい金融商品の展開やカード社会の現況を見ますと、既に、俗に言うサラ金、消費者金融関係においては、損害保険会社との契約関係においてそうした被害者というか、そうした預金者というのでしょうか、そういう人たちを救済できる仕組みをつくっておりますので、私は、この点もやはり銀行はおくれているのではないかな、こんなふうに思いますので、こういう議論が国会の中でも起こっているということを銀行協会や、あるいはさまざまな金融関係の機関にぜひ検討していただきますことを心からお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  113. 額賀福志郎

    ○額賀委員長 北側一雄君。
  114. 北側一雄

    ○北側委員 新進党の北側一雄でございます。  質疑に入らせていただく前に、昨日、衆議院の本会議で新進党、そして民主党、そして太陽党の三党の共同で、衆法、議員立法を提案をさせていただきまして、昨日、我が大蔵委員会の方にこの衆法が付託をされております。  その内容は、阪神・淡路大震災被災者等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律案でございまして、被災地におきましては、もう震災から二年五カ月たったわけでございますけれども、住宅ローンの債務のみが残存をしておりまして、これによって多くの方々が苦しんでおられるわけでございます。この法案は、この住宅ローンの債権者である銀行等が、住宅再建目的に新ローンを組むに当たりまして、旧ローンを銀行が放棄をしたときに損金として計上処理できる、また旧ローンの免除を受けた被災者は、免除益に対して所得税が課せられないという内容の法案でございます。  ぜひとも御理解をいただきまして、残念ながら通常国会はあしたで会期末を迎えますので、何とぞ、この法案につきまして継続して次の国会でも審議ができますよう、継続に対する皆様の御協力をお願い申し上げる次第でございます。  それでは質疑に入らせていただきますが、この法案とも関連するわけでございますが、一昨年の一月十七日に阪神・淡路大震災が起こりました。その後、多くの火災が発生をしたわけでございますが、今阪神・淡路地域では、この火災による火災保険金の支払い義務があるのかないのかということで非常に紛争が多発をしております。損保会社等との紛争が多発をしているわけでございます。大臣、余りこれは知られていない話なんですけれども、この阪神・淡路大震災の後の火災を原因として火災保険金の支払いを損保会社等に求めている訴訟がたくさん起こっておるのです。これを最高裁判所の方で調べてくれました。最高裁判所の方で調べましたら、神戸地裁で二十六件、大阪地裁で三件、合計二十九件の保険金の支払い請求訴訟が係属をしております。原告の数が百六十六名でございます。このように紛争になっております。  ちなみに、九三年に起こりました奥尻での、北海道南西沖地震の際の火災、こちらの方も同じように訴訟が起こっておりまして、こちらの方は函館地裁の方で四件訴訟が係属をしておりまして、原告の総数は百四名でございます。  この数多くの訴訟の争点になっておりますのは、ほぼ同様でございまして、地震免責約款の有効性、またその地震免責約款の適用範囲はどこまでなんだというのが共通して争点になっておるわけでございます。  大蔵大臣、ちょっときょう参考に見ていただきたいと思いまして、これ現物の約款なんです。損保との間で火災保険契約をした場合に、損保会社の方から、数日後に郵便でこれを送ってきます。大臣、恐縮でございますが、ちょっとこれをごらんになっていただけますか。委員長よろしいでしょうか。
  115. 額賀福志郎

    ○額賀委員長 はい、結構です。
  116. 北側一雄

    ○北側委員 ちょっと大臣にお見せしてください。それが現物の損保契約を交わしたときの約款なんです。私もそれを見まして――そうでしょう、大臣。私も、これはちょっと離さないとよく見えない。字が極めて小さくて、たくさんのことが書いてあるんです。大体その約款のどこに地震の際の地震免責約款が入っているかなどということは、恐らく普通の契約者の方は御存じではないと思いますし、また一々そういうのもごらんにならないでしょう。それが普通だと思います。  大臣、その小さな字では恐縮なんで、一枚物にしてきました。ちょっと参考で、私にも大臣にもよく見えるように、この地震免責約款のところを拡大してお手元にお配りしてございます。  大臣、これは契約の後に郵便で送られてくるのです。大方の場合、この約款の説明とかはございません。また、契約者の方も読みもしません。ですから、この内容については普通の消費者、契約者の方は認識をされていないというのが普通であると思います。  ところで、大臣、この拡大した方の約款、これは地震免責約款の条項ですけれども、仮にこれを読んでこの意味がわかるでしょうか。私は弁護士なんですけれども、私も一回読んでもなかなかこれは理解しがたかったのです。  「当会社は、次に掲げる事由によって生じた損害または傷害(これらの事由によって発生した前条(保険金を支払う場合)の事故が延焼または拡大して生じた損害または傷害、および発生原因のいかんを問わず前条(保険金を支払う場合)の事故がこれらの事由によって延焼または拡大して生じた損害または傷害を含みます。)に対しては、保険金を支払いません。」こういう条項になっているのです。それで、下のところに地震というのが出てくるのですね。これは普通の消費者の方、契約者の方ではほとんど理解不能であると思います。  ちなみに、下のメモのところに、これは私の手書きですが、私がよくよく読んで、三つに分類できるのかなと。何度も読んで、この三つに当てはまると保険金がおりない、免責される、損保会社は保険金を払わなくていいということなんだというふうに思います。  まず、一般論として大蔵省にお聞きしたいのですけれども、こういう約款ですから、この約款の性格からいっても、契約者に不利益な条項もこの中には入っておりますので、消費者に不利益な条項についてはやはりきちんと説明を、特にこういう地震の免責約款のような、保険金を切れないわけですから、そういう約款についてはきちんと説明すべきだ。単に郵便で送るだけではなくて、説明すべきだ。条項の説明義務、これが一番目です。  二番目に、実際、地震が起こったが、この地震免責条項を適用して保険金を支払わない、その場合はきちんと契約者、消費者に対して具体的な理由を開示する。  三番目に、適用するかしないかというこの基準はできるだけ明確にすべきだ。  四番目に、保険会社等は、この約款に関しては自己に有利に類推拡大解釈してはならない。それは自分たちがつくった約款で、ほとんど消費者、契約者は読んでいないわけですから。それも契約の後に送られてくるものです。そういう意味で、保険会社は有利に類推拡張解釈してはならない。  この四つはやはり基本原則として、一般論として私は言えるのじゃないのかなと思うのですけれども、保険部長、いかがでしょうか。
  117. 福田誠

    ○福田(誠)政府委員 お答えいたします。  基本的に委員指摘のとおりだと存じます。現状を申し上げますと、当局といたしましては、保険約款、これは契約当事者間の権利義務を定めるものでございますので、この火災保険の約款も含めまして、正確で、かつ消費者等の立場に立ったわかりやすい内容とするように保険会社を指導してきているところでございます。  それから、約款の平明化のみならず、御指摘のとおり、保険契約締結の際には約款内容を顧客に……(北側委員「時間がないので短くしてください」と呼ぶ)おおむね御指摘のとおりでございまして、保険会社においては、そのような説明義務ないし実際に事故があって支払われないときの具体的な理由の説明等々については精いっぱい説明に努めていると存じますし、私どももその方向で指導してきているところでございます。
  118. 北側一雄

    ○北側委員 そこで、大蔵大臣、何でこんなにたくさん訴訟が起こっておるのかということなんですけれども、現地の被災地では適用の不公平が起こっているのです。ある契約者には保険金が支払われている、ある方にはこの免責条項を盾にして払わない、こういう不公平がたくさん起こっているのです。  例えば、これは昔の新聞記事なんですけれども、震災の二日後に三宮、これは神戸の中心地ですけれども、三宮で火事が起こりまして、保険会社数社が保険金の支払いをしました。ほぼ満額。この新聞報道では、九件に対してほぼ満額の保険金支払いをしたのです。地震の二日後です。  それから、こんな例もございました。当初はこの免責条項を盾にして損保会社は保険金の支払いを拒絶していました。ところが、契約者の方が、そんなのはおかしいということで強く抗議をしましたら、二千六百万円、満額保険金がおりたという例がございます。これも新聞報道でございます。  ほかにも、これは本当にひどい例なので、保険部長、当該損保会社には一遍指導すべきだと思うのですけれども、これは裁判になっている例なんです。裁判になっていまして、その損保会社はこ、れが地震による火災なのかそうでないのか当然調査します。それで、自分のところに不利な結果が出た。要するに、失火の疑いがあったという鑑定結果があったのです。ある鑑定をしたら、失火の疑いがあるという鑑定結果を得ました。その鑑定結果を損保会社でずっと抱えたまま見せないで、それで裁判になって、ちょっとしたことからそういうのがあるというのがわかって、出せというふうに裁判所で求めたら、そうしたら失火の疑いという鑑定結果が出てきたのです。その自分のところに不利な鑑定結果を損保会社が出さなかった、こういう例があるのです。これはぜひ私は指導すべきだと思います。震災で大変な状況にある中で、損保会社が、本来公益的な活動です、そういう立場を忘れて、失火の疑いがあるという鑑定結果を出さなかったのはとんでもない。  それから、これは火災じゃないのですけれども、同じ損害保険で、そごうという大きな百貨店がございます。そこが震災で全壊しました。ところが、震災から三日後、百貨店のものが盗難に遭ったのですね。被害総額が一億四千万円。これも同じ地震の免責条項があるのですが、あるにもかかわらず、このそごうの盗難については五千五百万円の保険金がおりているのです。考え方は全く同じです。地震免責条項があるにもかかわらず、それを保険会社は言わないで保険金を支払っているのです。  これはちょっと後で厚生省に聞かなければいけないのですけれども、震災の六日後に自宅が焼けたのです。その契約者の方は、損保とそれから生協の火災共済、この二つに契約をしていました。それで、損保の方は、これは地震と無関係だから保険金を支払ったのです。ところが、生協の火災共済の方は、震災の十日以内の火災というのは地震と因果関係があるからあかんと言うて払わなかった。これは裁判になっています。損保の方は払っているけれども、火災共済、生協の方は払っていない。それは裁判になっている。こういう違いが出ています。これも事実です。本当の話です。  その他、被災地では、この損害保険の保険金の支払いについて物すごい不公平が起こっていまして、私はやはりこれはもともとの免責約款の条項のあいまいさに原因があると思うのですね。  そこで、保険部長、なぜこんな違いが出てくるのか。先ほど申し上げたように、この免責条項の解釈をめぐって、なぜこのようなたくさんの訴訟が起こって紛争になっているのか。また、保険金が実際この阪神・淡路大震災でどの程度支払われているのか。その件数はどの程度、金額はどの程度払われているのか等々の実態を、今後のこの免責条項のあり方、運用の基準等を明らかにしていくために、この際、ぜひ実態調査をしてもらいたいと私は思うのですけれども、保険部長いかがですか。
  119. 福田誠

    ○福田(誠)政府委員 まず、お答えいたします。  先ほど御指摘のような免責条項があるわけでございまして、幾つかの個別事案について、免責条項の適用をめぐる御指摘をいただきました。その適用をめぐって幾つかの訴訟が起きていることは事実でございまして、大変残念に思うわけでございます。  ただ、先ほど御指摘のような地震免責条項でございますので、この適用につきましては、例えば火災保険ですと、単に出火の時期ということではなくて、出火の原因とかあるいは火災の延焼等の原因が地震によるものかどうか等々、具体的な事実関係をよく調査した上で適切な判断がなされるべきものでございまして、そういうことで、やはり個別の事実関係に基づいて行われているものであるというふうに思うわけでございます。  免責条項自体については、三つの免責条項がございますが、それぞれ理由のある免責条項でございますので、やはりその適用に当たってしっかりとした事実調査、そして顧客契約者へのきちっとした説明がなされるということが大切なのではないかと思うわけでございます。  今後の取り扱いということでございますが、今回の震災時に発生した火災の大部分は、やはり地震を原因として発生したか、あるいは延焼の原因が地震によるものであったと思われるわけでございまして、その結果、残念ながら地震免責条項が適用されているものと理解しております。  申し上げるまでもなく、その辺については個別によく調査を行った上で判断を下す必要があるわけでございまして、私どもとしましても、その辺の調査あるいはその結果の契約者への説明の際に、被災者の立場に立って誠意を持って対応するように保険会社を指導することがまず第一に必要だと考えておりまして、あらゆる機会を通じて、震災……(北側委員「実態調査をするのかどうかと聞いているのです」と呼ぶ)しかしながら、そういうふうに指導してまいりましたが、御指摘のような点にかんがみまして、どこまで実際上できるか否か、はっきりいたさない面もございますが、御指摘もございますので、何らかの形で今回の実態を把握する方法がないものか、十分に検討してまいりたいと存じます。
  120. 北側一雄

    ○北側委員 きょうは時間がないので余りできないのですけれども、大臣、結局こういう条項になっていますでしょう。そうすると、今保険部長も言ったけれども、具体的事実に即してやらなければいけない。結局ケース・バイ・ケースで、この免責条項の適用の基準が一体どこにあるのか、非常に不明確、あいまいになってしまっているのです。だから、被災地では、何であいつに出ておれに出ないのだという話があっちこっちで起こり、また訴訟にもなっているわけでございます。この条項の解釈にも相当問題点がございまして、冒頭、一般論で言った例は、保険会社が拡大解釈するような形での適用がなされていると思われるのです。  例えば、一例ちょっと言いますと、大体火災は、何が原因で火災になったのかというのがよくわからない、発生原因不明というのが多いのです。ただ、消防能力が非常に落ちていたとか、ひどい例でありますと、人が避難していてそこに人が余りいなかった、本当だったら地震がなくて人がいたらちゃんと消火できただろう、こんなことまで地震と因果関係があるということで、だから免責条項に当たるのだなんてことを訴訟で言っておるわけなのですね。それは、地震免責条項についての解釈を拡大し過ぎである。  いずれにしても、日本では、今後も地震というのは起こり得ます。ですから、この地震免責条項の今後のあり方、また具体的な事実に適用するに当たっての基準はやはり明確でないといけません。そういう意味で、適用基準のガイドライン、こうしたものを作成すべきだと思うのです。そのためにも、今回の阪神・淡路大震災でこれだけ紛争になっているわけですから、ぜひとも大蔵省として実態調査をしていただきたいと私は思います。今保険部長、するようなことをおっしゃっていましたけれども、大臣、もう一度御答弁を。
  121. 三塚博

    三塚国務大臣 基準の明示を明確にしろということはそのとおりだと思います。  ちっちゃい字は、あれは余りいいスタイルではありませんね。やはりわかりよく明示をするということが、損保、火災保険等極めて重要なことだと思います。一つの教訓だと思って、さらに強く指導をするというふうにしたいと思います。  第二点の問題は、保険部長もどういう形があるか研究をすると言っておりますから、督励をしまして調査をしなくてはいけないのだろうと思うのです。こっちが救済され、こっちがだめ、こっちがよくて、こっちがだめでは、損保業界、火災保険業界の信任の問題であります。不幸な兵庫の大震災でありましたので、これを機に、どこに問題点があったかということで調査を督励します。
  122. 北側一雄

    ○北側委員 ありがとうございます。  厚生省に質問いたします。  先ほどちょっと言いましたけれども、一つの例では、損保は保険金を支払って、共済は支払っていない、同じ契約者ですという例がございます。これは知っていますか。これはやはりおかしいと私は思います。同じような約款でありながら、適用に食い違いが出てくるなんて、そんなのはおかしい。  それともう一つは、十日以内の火災は地震と因果関係があるような、当時、そのような指導を厚生省がしていたという現地での話があるのですよ。それは本当ですか。  私はそれも一つ尋ねたいし、実際問題、私が持っている資料なのですけれども、生協の担当者の方が契約者の人に対してこういうメモを出していまして、共済金は出ませんよ、その理由として、ちゃんと書いてあるのです。「当組合は、結果的に、地震発生後十日以内の火災につきましては、地震に何らかの因果関係ありとして取扱うことを決定しております。」というふうに担当者が書いているのですよ。これはメモですよ、お見せしてもいいですけれども。こういうふうなことが当時、実際に行われていたのです。  やはり厚生省におきましても、この火災共済の適用のあり方が本当に妥当なのかどうか、基準が明確なのか、そこをきちんと実態調査をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。まとめて質問をいたします。
  123. 堀之内敬

    ○堀之内説明員 厚生省の地域課長でございます。  生協と申しますのは、保険会社と異なりまして、組合員の相互扶助組織として行政庁が認可ということで、許可制ではないわけですけれども、それぞれ自主的に運営されております。そういう中で、地震による災害というものについて、相互扶助の範囲に含めるかどうかということで、危険率とか、それとかまた共済掛金の設定とかしているわけですが、現在のところは、地震につきましては一切、危険率、掛金ともに入ってございません。  今般の阪神・淡路大震災でございますけれども、厚生省においてそういう指導をしたという事実はございません。厚生省の指導と申しますのは、共済事業規約にのっとりまして、適正かつ公平な損害調査をしなさい、それからまた、見舞金の支給とか掛金の払い込み猶予につきまして、緊急の特例措置を講じたということでございます。  個々の適用というのは非常に難しいテーマでございますが、個別の生協の自主的判断でありますし、また、係争中のものもございますので、国が直接関与することは難しい面があると存じます。  しかし、先生の御指摘もございますし、また今回の教訓ということもございますので、組合員相互の約束事として、個々の生協におきまして、震災の際にどのような対応がとられるのか、組合員の合意理解というものを深める、これが一つ。それからまた、訴訟の動向も見ながら、必要に応じて生協の火災共済事業の免責条項につきまして研究を考えてまいりたい、そのように思います。
  124. 北側一雄

    ○北側委員 質疑時間が終わりましたので終わりますが、先ほどの、明確にちゃんと書いてあるのですよ、十日以内はだめよと担当者は書いているのです。その事実。それと、同じ契約者でありながら、損保は出して、共済は出ていないという事実が明確にあるのです。そこはきちんと調べていただかないと、今後のこともあるわけですから、ぜひ調べていただいて、妥当な免責規約のあり方、明確な規約のあり方等、また運用のあり方の明確性をぜひ検討をしていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  125. 額賀福志郎

    ○額賀委員長 次に、坂上富男君。
  126. 坂上富男

    坂上委員 坂上富男でございます。  委員長の御許可をいただきまして、大蔵省側にお示しをしてあります証拠ですが、証第一から六まででございます。これはいずれも検察庁、法務省からいただいたもの、それから第一勧銀から私が報告を受けたものを分類をいたしまして抜き書きをいたしたものでございますから、これはもう正規なものでございます。それをもとにいたしまして、ひとつ御質問をさせていただきますので、これはもう事実に基づいているものでございまするから、イエスかノーか、もう端的にお答えいただきたいと思っております。  まず、大蔵省を含めた国税庁からお聞きをいたしますが、検察は起訴いたしました。例えば野村証券株式会社あるいは松木新平、藤倉信孝、こういう人の起訴状を見てみますると、小池隆一が小甚ビルディングの名義で取引をしたと起訴状に書いてあります。それから今度は酒巻の起訴状、これは被疑事実で、まだ勾留状でしょうか、これによりましても、小池隆一が小甚ビルディングの名義で行った売買、こう書いてあります。それから第一勧銀の猪爪あるいは渋谷、こういう皆様方が逮捕されております。これには総会屋小池隆一に対する小池嘉矩名義、小甚ビルディング名義、こういうふうにして融資取引が行われたと勾留状に書いてあります。まさに小池隆一は、この両名の名義を利用いたしまして取引をしたようでございますが、これはもう検察が証拠を積み重ねて起訴し、勾留をした証拠に基づいているものです。国税庁はこれはどうですか。この事実は認定しますか。  そして、仮にこの起訴状のとおりであるとするならば、課税の対象が変わると思うんです。多分今まで小甚ビルディング、小池嘉矩を課税の対象者にしていたと思うんですが、これはもう今度は、実際に小池隆一がやったということになりますと、課税の対象が変わるわけです。こういうことは一体国税庁調査していますか。  これはもうこの事件が始まってからずっと報道でそうだそうだと言われた。だけれども、的確な判断がまだなかった。起訴によって初めて政府がこれを認定をして裁判にかけたわけ。国税庁はこれについてはどうですか。
  127. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 私どもは、公判廷で検察庁が明らかにしていること以外は資料としてございませんが、先生お話ございましたように、小池隆一容疑者が株式会社小甚ビルディング名義を使って利益を得ていたとして起訴されているということは、そういうことだろうというふうに認識をしております。  それに対する課税関係でございますけれども、あとは申しわけございませんが一般論で申し上げさせていただきますけれども、税務におきましては、取引名義のいかんにかかわらず真実の所得者に課税をするという、いわゆる実質所得者課税ということを原則として運用をしております。実際にその収益がだれに帰属するかについて十分検討した上で、課税処理を行うということでございます。
  128. 坂上富男

    坂上委員 検察庁が断定したわけです。これは違ったらどうするの。だれが責任負うの、総理大臣が負うの。こんなのは同一な答弁でないといかないんですよ、国税。守秘義務も何もあったもんじゃない、こういうものは。きちっと答弁してもらわぬといかぬし、課税をしていただかぬといかぬですよ。今まで調査していたのかね。守秘義務などと言わぬで、ぴしっと答弁してください。  時間ないから、先に進みます。  今度は証四号を見てください。これは銀行局かな。これは、私が正規にいただいた報告書をもとにして、ピックアップして分類をしたものでございます。ライベックスそれから外国為替、そういうものがずらっと書いてあります。このライベックスの関係をまずお聞きをいたしましょうかね。  これは迂回融資の舞台になったところなんですね。こう見てみますると、八つの預け入れがあるんですね、八つの。このうち、二十五億が二つ書いてあるから、きっとこれは書きかえのダブりでしょう。それから一億が二つ書いてあるから、多分これもダブりでしょう。それ以外ダブってないんですね。そうしますと、二十五億は迂回融資だ、こう言われているんですが、そのほかの部分についても、これはどんな調査を、大蔵省なり取引監視委員会、なさっていますか。これは大変なことだろうと私は実は思っているんです。二十五億だけじゃないんだ。  あわせまして、私は、どうも第一勧銀以外に、ほかのところで取引があったんじゃないかと思って、富士銀行さんに聞いてみました。それで、さっき御回答がありました。小池嘉矩、小池隆一、小甚ビルディングの名義の口座は存在していないというのです。ただし、ライベックス社への出資、融資はいたしました、最高のときは七十億強の融資をいたしました、そして現在一億七千万が焦げついています、こう書いてある。  これは破産宣告になっているんです。債権者届けしてあるんです。この債権者届けについての第一勧銀の債権者届け額、それから小甚ビルディングの債権者の届け額、こういうのは大蔵省関係は把握していますか。どうぞ。簡単に。
  129. 山口公生

    ○山口政府委員 小甚ビルディングあて貸し出しに関し、平成二年九月二十日に二十億円がライベックスに肩がわれた件につきましては、第一勧銀の調査によりますと、ライベックスに対し二十五億円の融資を行い、うち二十億円が小甚ビルディングに対する融資の返済に充てられ、また四億五千万円が小池嘉矩に対する融資の返済に充てられたものでございます。御指摘のとおり、二十五億については、これは書きかえということでございます。  それから、ライベックスに対する破産宣告の第一勧銀の債権届け出額は四億二千七百万円でございます。(坂上委員「小甚は」と呼ぶ)  小甚ビルディングの債権届け出額については、まだ確認できておりません。(坂上委員「それから富士銀行」と呼ぶ)  富士銀行のライベックスに対する貸し金残高は一億七千二百万円でございます。
  130. 坂上富男

    坂上委員 これは債権届け出額でしょう。一億いくから、間違いないです。それから小甚ビルディング九億だ。一体小甚ビルディングがライベックスに、それで第一勧銀が何でこんな債権を持っているの、今の段階において。本当にこういうようなとんでもないことがまだ起きているんだね。私、まだ調査不十分なんです。あなたたちこれはわかっているの。少し調べてからきちっと答弁してもらいたいんだが、わからなければ、これから調査すると答弁して、調査したら私に報告してください。どうですか。
  131. 山口公生

    ○山口政府委員 この第一勧銀の件につきましては、今第一勧銀に対し、詳しく、正確に調べるようにという指示を出しております。その結果を待っておるところでございます。ただ、今捜査中でございまして、書類等がかなりないという事情もありますけれども、そこは厳密に、正確に調査するように言ってございます。
  132. 坂上富男

    坂上委員 捜査中だといったって、素人の私がこれだけわかるのはどういうことだ。大蔵省、怠けているんじゃないの。  大蔵省、では今度は、ここに外国為替といって二百億、これは一体何なの。私の調査によると、外国のいわゆる手形割りをした、こういうことでしょう。なぜこの手形割りをしたかというと、融資規制がこの外国関係についてはないものだからこれをやった、どうもこういう話らしい。これは事実でしょう。どうです。
  133. 山口公生

    ○山口政府委員 当時、行内における貸出枠の規制が厳しくなって、規制のなかった外貨手貸しを利用したということでございます。ただ、外貨建てではございますが、スワップつきでございますので、為替リスクはなくしておりまして、一般の円建て貸し出しと違いはございません。
  134. 坂上富男

    坂上委員 だから、そこが問題なんだよ。住専の問題が起きたでしょう。いわゆる枠をみんなおまえさんたちは外したんだ。こういうわけで去年大騒ぎをしたわけだ。  これはどういうことかというと、融資枠の規制をこういうことによって免れさしたんだ、この銀行は。こういうことを許していいの。しかも、これは利息が安いそうじゃないの。小池関係のものにばかりこういう特典を与えているんだよ。こういうのは今まで調べたの。私が指摘をしたから今答えているんでしょう。それはそれでいいんですよ。だけれども、正確な答弁をしないといかぬですよ。どうですか。
  135. 山口公生

    ○山口政府委員 貸出枠の規制と申し上げましたのは、行内における一つの基準として彼らが設けているものでございます。そういった先生のおっしゃるような事情があって、そういう外貨貸しの形をとって、実質円貸しの形を達成しているということでございます。
  136. 坂上富男

    坂上委員 時間がないから、それ以上追及はやめます。  それから、今度、証五の一と二、これは私がいただいた報告書の証券会社のものを全部ダイジェストしたものです。十七社あります。日興証券を初めといたしまして、十七社あるわけであります。総額約十七億ぐらいですね。日興さんに聞いた。どう答えたか。守秘義務だと言うんだ、守秘義務。それから山一も聞いたのですが、これも多分守秘義務じゃなかったかと思います。東京証券は、これは正規の取引でございますと。何か外国債の売買だとかなんとか、こうおっしゃったそうです。それはそれでいいでしょう。こういうふうなものがここのところに書いてあるんだ。これは実際調査してごらんなさい。どういう事態が起きてくるのか。  証券局、いますか。それから監視委員会、こういう点の調査をやっていますか。
  137. 若林勝三

    ○若林政府委員 証券取引等監視委員会では、日ごろから市場取引に関するいろいろな資料情報を収集し、かつまたそれを分析しておるわけでございます。こうしたものを総合的に判断することによって、市場監視を行っておるわけでございます。  したがいまして、委員会としましては、今後とも証券会社を含めた市場参加者に対する徹底した監視活動を行うということで、仮にも証券取引法違反の疑いがあるような行為につきまして、予断を持つことなく調査を進めて、取引の公正を害する悪質な行為に対して、こういうものがあれば厳正に対処するということであります。  先ほどお示しのありました……
  138. 坂上富男

    坂上委員 もういい。そんな程度の答弁だったらよろしい。  さて、その次、証六号、これは初めてです、今お見せしたのは。これは入金者不明なんです。支出先不明のものです、帳簿の中で。こういうのは当たっていますか。計算しますと、小池嘉矩君は払い込みが約六千万円、それから支出が約二億、小甚ビルは払い込みが二十億、小甚ビルの支出が六十一億。これは私が幾ら調べたってわからぬことだ。これは不明の分類です。これはわかっていますか。どうですか。
  139. 山口公生

    ○山口政府委員 今突然にお示しいただきましたので、私ども、これはどういう性格のものか、何を意味しているものか、ちょっとわかりかねます。もしお許しいただければ、この資料を第一勧銀の方へ示したい、状況をあわせて調査するようにというふうに申すつもりでございます。
  140. 坂上富男

    坂上委員 調査してきちっと報告しなさいよ。  さて、その次。さっき、前の先生方の質問を聞いていますと、調査は漏れたことがない、こうあなたたちは言っているのですが、漏れているんじゃないの。もし漏れていたとしたら、だれがどういう責任をとりますか。  私は今事実を指摘します。とにかくライベックスの、これは平成二年の九月二十日にいわゆる迂回取引があったのでしょう。それから九月二十一日が検査基準日でしょう。それで、検査の日は二十五日なんですよ。おかしな行為のあったのは九月二十日なんです。基準日が二十一日。その前にこうやってきちっとライベックスの二十五億の処理はしてあるわけだ。それから、今度は平成六年の十月。六億円、利息、これについては平成六年十月七日が基準日なんですよ。そして、十月十一日が調査日なんですよ。そして、この七日前にこの利息の補てんがなされているわけです。これだけのことは、一度ならば偶然ということはあるよ。二度も。もっと調べていくと三度、四度ぐらいあるんじゃないの。もうこれだけでも二つあるんだったら、秘密漏えい、いわゆる漏らしたことは間違いない。さっきからの答弁を国民が聞いていたら、皆さん全く怒り心頭に発しますよ。あなたたち偶然だとか定期的だとか、そういうような調査はあったものじゃないんだ。  さて、法務省、おりますか。これは国家秘密漏えい罪、いわゆる国家公務員法違反、まかり間違えますと、商法の特別背任罪の共犯なんじゃないかと私は思っているわけですよ。これは法務省、徹底的にこの部分はメスを入れなければ承知しませんが、どうですか。
  141. 藤田昇三

    ○藤田説明員 お答えいたします。  委員のお尋ねは、一定の犯罪状況、一定の状況を想定して、犯罪の成否及び今後の捜査の方針についてお尋ねであろうかと思いますけれども、具体的な事案における犯罪の成否となりますと、これは検察当局が収集した証拠に基づいて判断されるべき事項でございますし、また、どのような事項について捜査をするかということにつきましては、これは検察当局において判断すべき事柄であるわけでございますので、法務当局としての答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  142. 坂上富男

    坂上委員 法務省、多分まだこれは捜査の手が及んでいないと思うのですよ。私がいろいろ調べた結果、これはもう捜査しなければ国民が納得しないであろうという部分を私は指摘したのですよ。皆さんお聞きになって、みんなそう思っているのですよ。我々が捜査するのだからおまえら関係ないみたいな言い方をしないでください。言われたことをきちっと調査をして、そしてそれが捜査に入るかどうかはこれからだ。こういうのを捜査の端緒と言うんだ、さっきのあなたの答弁からいうと。端緒を受けたんだから、捜査をやるべきなんじゃないの。そうでしょう。これは法務委員会で話があった。どうも検察は大蔵省に遠慮しているのじゃないかというのだ、予算の関係があって。そんなことのないようにきちっとしなさいよ。いいですか。指摘だけしておきます。  さて、これは今度は、また第一勧銀から来た生の文書だ。これを見ますと、これまた大変なことがいっぱい、これは報道機関にも配られておりますから、どうこうはないのですよ。いいですか。一の六、これは平成二年、もうこのとき担保割れがしているわけですね。これはどう読むのかな、百六十五億と読むのかな、それで百三十一億。それで十月十五日、これはもう半分以下に担保割れしているのですね。それから平成三年、これは三回担保割れをしておって、ひどいものになりますと、七月になりますと担保割れは三分の一だ。それから今度、平成六年、この担保割れはもう五分の一の担保割れですね。それからその次の十月三十一日、これなんかもう七分の一ぐらいの担保割れですね。本当にこれは大変な担保割れなのですね。  大蔵省はこれをどう見ているの、この担保割れを。これは証券なのですね。証券のほかに若干の不動産が担保に入っていますよ。だけれども、こんなものは見る価値はないと私は見ているのです。したがって、どうですか、これはもう特別背任だろうと私は思っていますがね。こんな担保割れ、こんなことを放置して、一体大蔵省は、さっき言った二つの検査、こういうことが調査で発見できなかったのですか。こんなことはもう調査で発見できるでしょう。  六億を新たに積みかえた、利息のために積みかえた。それからライベックス、これだって迂回融資をした。こんなもの調査すれば、大蔵省の知恵をもってすれば一発にわかったのじゃないの。わからなかったの。わからなかったとすれば調査能力なしだ、わかったとすれば共犯なんだ。どっちかです。どうぞ。
  143. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  委員指摘の過去の二回の第一勧業銀行に対します検査で、御指摘案件につきまして、抽出検査に際しまして、抽出に応じて提出されましたものにつきましては、回収可能性等を厳正にチェックをし、厳正に指摘をしているということでございます。  検査の回避が行われた、あるいは迂回融資等が行われたものにつきましては、いろいろ反面調査等で抽出漏れがないかどうかいろいろチェックしたと思いますけれども、第一勧銀自身が言っていますように、検査官に十分な説明をせず検査回避をした、あるいは検査回避をした疑義があるというふうに説明が行われているところでございます。  いずれにいたしましても、現在捜査が行われているところでありますし、また現在、第一勧銀みずからが調査をして報告をすると言っておりますので、それを待っているところでございます。
  144. 坂上富男

    坂上委員 さっきから言っているでしょう、二つの検査において漏れたのだ。これはどうも犯罪の疑いがある。百歩譲って、偶然に漏れたのだ、犯罪性はないとしたとしても、あなた方が調査をしてこういうからくりがなぜわからないのですか。こんな検査は全部そんなことをしているの。日本国じゅう調べてもらわぬとだめですよ、これは。やはりなれ合いがあったから見るべきものを見なかったのじゃないの。平成四年一月三十一日現在の貸し残が五十六億、そのときの担保価値は十一億だ。五倍近い担保割れですよ。こういうことが平然と行われて何で発見できないの、こういうことを。  もう一遍お聞きしましょう。一体、能力あるの、ないの。それとも、わざとなの。きちんと答えなさい。
  145. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  二回の検査におきまして、先ほども御答弁申し上げましたが、第一勧業銀行につきましては、融資案件百二十万件、融資総額四十兆を超えております。支店の数四百店を超えております。そういうものにつきまして、従来、すべてを検査する、これは不可能に近いわけでございます。九名の検査官、外為検査官を入れますと十三名で対応しておりますが、全体を悉皆調査をする、あるいは何か犯罪捜査の目的で検査をするということは銀行法上もやってはならないと書いてありますけれども、そういう観点からでありませんでも、今申し上げましたように、膨大な融資件数、融資案件でございまして、それにつきまして一定の基準で抽出基準を示しまして、主任検査官が判断いたしまして、こういう基準のものを抽出して出しなさいという形で検査をするわけでございます。それにつきましても、第一勧銀の場合ですと、これは万の単位になるわけでございます。それを一々回収可能性等について検査をいたします。  もしその過程で問題があれば、あるいは金融機関の公共性の観点から問題があれば厳正に指摘をするということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、抽出に際して回避が行われるというような場合には、なかなかこれは難しい状況でございます。そのために、検査の回避、拒否のための罰則も規定されているわけでございまして、問題があればそういう罰則等を厳正に適用していくというのが極めて大事なことであろうというふうに思っております。  いずれにいたしましても、我々、検査にいたしましても、今後、検査のあり方につきましていろいろ検討していくべきものは多々あろうということで、今後検討してまいりたいと思っております。
  146. 坂上富男

    坂上委員 平成二年の検査できちっとあなた方が指摘をしておれば、それ以後の犯罪は起きなかった。十人も逮捕されているというのでしょう。それはいかぬ人たちだけれども、犯罪者をつくってはならぬのよ、あなた。犯罪捜査ではありませんからわかりませんみたいな答弁じゃ困るのだよ。きちっと、やはりこういう犯罪行為類似なことをあなた方が発見して、これをとめなければならぬでしょう。平成二年で的確な調査が行われたら、それ以降、こういう必要はなかったのよ。もうこんな騒ぎにならぬで私は済んだのじゃないかと思うよ。罰則は重くしなければならぬとか、そういうことじゃないのよ。そんなのは我々がやるから、あなたたちはきちっと任務を、検査は検査できちっと厳正にやる。漏らしてはならない。やる以上は的確にやる。そして過失さえ許されないというのがあなたたちのことなのだ。だから、それをきちっとしてもらわぬといかぬのですよ。  さて、最後でございます。  私は、これは私の種本といいますかね、あれなのですが、余り厚いからみんなダイジェストにしたのです。本当に、私が入手をしたのが六月五日の近藤頭取の参考人に対する質問の前日の夜なのです。それでも徹夜で見たのですよ。少しでも、一点でも指摘しようと思って、私したのだけれども、わずか二十分の質問時間だから、時間が来てしまって質問しなかったわけだ。自後、私はずっと一つ一つ検証しているのですよ。一つ一つ証券会社に当たっているのですよ。銀行に当たっているのですよ。一つ一つ調査している。そこで、ダイジェストにして出したのですよ。  いいですか、私は一人ですよ。一人の私がこれだけの調査ができるのですよ。結局、大蔵省の答弁をきょう聞いていたって、国税庁の答弁を聞いていたって、検察まで言うかどうかは別として、いいですか、一人でこれだけのことができるのに、秀才の集まりの大蔵省がきちっとこういうことを調査し、我々に納得のいく報告はできないなんというのはこれはおかしいですよ。もう少しきちっとしてくださいよ。私は一人でたどたどしく今日までやってきた。これは私の成果だ。  もう一遍、あしたは、質問書という提出の方法があるそうですから、また今晩やってみて、場合によっては質問を求めます、あす十二時までだそうでございますから。なかなか大変なのです、こういうのは。そうでしょう。これだけのことを出すには容易じゃないのですよ。  ぜひ、大蔵省、これは私はこの間も言ったのですが、二度あることは三度ありますよ、野村証券のように。検査だって、あなた、二度あることは三度、また私はあると思うよ。きちっとやってくださいよ。これは我々の願いであり、国民の願いなのです。検察は今全力を挙げてやっています。検察、なかなかお忙しいでしょうが、私が指摘した点も力を入れてやってください。いいですか。調べたけれどもだめでしたら、それで結構です。やっていただくということが大事なのです。  大蔵大臣、私は今、御指摘を申し上げました。大変厳しい、乱暴な言葉でございますが、金融の元締めとして日本経済を本当にしょって立っておられる大蔵大臣として、こういう問題に対するこれからの調査、行政の心構えについてお答えいただきたいと思います。
  147. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま御質疑を賜っておりました。大変厳しい御指摘でありますが、中川検査部長、若林局長、また担当局長答えられましたとおり、少数精鋭の中で精いっぱいやっていることだけは間違いございません。相手が隠してこれを目につかぬようにと言われたら、どうしようもありません、捜査権はございませんので。銀行法に基づく調査は、犯罪事実を求めるものではない。  銀行が信頼性と公共性の中で国民から一番信頼されてきましたのは、ついさっきまでであります。さっきというのはちょっと短いので、ここ一年前まではそういうことであったと思います。そういう信頼関係の中で、うそは言うまい、隠しはしまいということで、提示された書類に真剣に目を通して調査をした。その結果、発見できない。ないわけですから発見できない、こういうことになる。別な書類にそれがありました、その書類は提出をいただかなかった、こういう報告を徴しておるところであります。  今後の検査は、金融監督庁が来年四月以降、早い時期にスタートを切ると思います。装いを新たにビッグバンのスタート台に立つ金融監督庁ですから、全力を尽くしてやっていただくためには法令上の問題が残るのかな、こういうこともあろうかと思います。審議会からも答申をいただいております。万般にわたりまして、法制のあり方、与党三党とも協調をし、意見を聞きながら取り組み、体制をつくり上げていかなければならぬと思っております。  ただいまの段階は、勧銀に対し、また野村に対しましても、みずからの責任で調査をし、なぜかかる事件が起きたか至急提示をされたいという指示をいたしておるところでございます。どうぞ、坂上議員におかれては、信頼をしてやって、激励をしてやっていただきますようにお願いを申し上げます。
  148. 坂上富男

    坂上委員 ありがとうございました。信頼はしたいのでございますが、今言ったような事実が出てまいりますと、信頼するのもばかみたいに聞こえると思うので申し上げたわけでございます。ぜひともひとつ、大蔵当局、国税当局、捜査当局、きちっと厳しい調査、捜査をしていただきますことを期待いたしたいと思うのであります。これは、大事な点が隠されていたからわからなかったでは済む話ではないのではないでしょうか。こんなことを調査していたのでは、調査には値しないと私は思うのでございます。  ぜひきちっと対応していただきますことを要請いたしまして、終わります。ありがとうございました。
  149. 額賀福志郎

    ○額賀委員長 次に、池田元久君。
  150. 池田元久

    ○池田(元)委員 民主党の池田元久でございます。  第一勧業銀行野村証券事件について取り上げたいと思います。  その中で、今、同僚議員も指摘されましたが、大蔵省の検査について私も若干お聞きをしたいと思います。こうした金融機関の不祥事を再び起こさないためには、監督官庁である大蔵省を初め、行政機関がその責任を十分に果たさなければならないと思います。  そこで、大蔵省の検査ですが、既に資料をいただいておりますが、大蔵省の検査は第一勧銀につきましては、八六年十月四日、九〇年九月二十一日、九四年十月七日、きれいに毎年秋、九月下旬から十月上旬に検査に入っているわけです。定期的と言ってよいと思います。九〇年と九四年の検査で、問題の総会屋に対する異常な融資を見抜けなかったということです。それは、いろいろ理由は挙げられたと思います。  私は、ここで特に問題にしたいことがございます。九四年の調査では、十三人がチームを組んで約二カ月検査に入った。その際、大蔵省提出を求めた延滞債権のリストの中に、小甚ビルディングへの約四十億円の融資が入っていたわけです。総会屋の弟に対する融資、これは隠ぺい工作をなされていたわけですが、それとは別にこの四十億円の融資が報告されていたわけです。これについて第一勧業銀行は、大蔵省に対して、小甚ビルディングは六本木に賃貸ビルを持って不動産の売買と仲介をする会社だと説明したとされております。しかし、実際にはこの融資は、総会屋が野村証券など四大証券の株を取得する原資となっておりました。隠ぺい工作をした他の融資と違って、この融資は検査で報告されていたわけです。検査で異常な融資と見抜けなかったのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  151. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  委員の御指摘は、平成六年、九四年の検査の際のことであろうかと思います。株式会社小甚ビルディングに対します融資は、銀行の方から提出があったわけでございます。それに対しまして検査官は、内容をチェックいたしまして、不良債権として回収可能性に疑義ありということで指摘をし、それを受けまして翌年三月に間接償却、有税の償却を銀行はしているわけでございます。当時、当該融資の保全状況につきましてチェックをいたしましたところ、当社の業況が悪く、大幅な担保割れの状況でありましたため、不良債権として分類を行ったというふうに検査官から聞いております。
  152. 池田元久

    ○池田(元)委員 総会屋の絡む異常な融資というふうには見抜けなかったということです。問題がある融資とは見ていなかったということになります。  この不良債権は半分以上が回収不能とされて、今おっしゃったように二十六億円余りを有税償却にし、大蔵省に届け出もしたと言われておりますが、この段階でのチェックもなされていなかったわけですね。一言でお答えいただきたいと思います。
  153. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 簡潔に御報告いたします。  銀行等の有税償却あるいは引き当てにつきましては、企業会計原則等にのっとりまして、銀行の自主的な判断で行っているわけでございます。当局に届け出はありますけれども、これはその引き当てを予定しているかどうかを事前に把握するということで、決算経理基準に基づいて届け出はありますけれども、その内容についてチェックするものではないわけでございます。
  154. 池田元久

    ○池田(元)委員 一九八二年四月の大蔵省銀行に対する通達では、「不健全なものに対する融資、社会的な批判を受けるおそれの強い融資は厳に慎むものとする」とされているわけです。検査のポイントの一つになっていたはずですが、実際は、通達は空文化していたことを示しております。  九四年十月の検査では総会屋に対する融資を見抜けなかったわけですが、つい最近、先月二十日朝、第一勧業銀行が強制捜査を受けた後、大蔵省は、その日に第一勧業銀行の担当者から事情を聞いたと報道されております。また二十二日、翌々日には、総理大臣大蔵省の監督責任を指摘したことを受けて、ひっきりなしに第一勧銀と連絡をとった。そして二十三日夕方には、第一勧業銀行から中間報告を受けた。大蔵省と第一勧銀側は大変密接に連絡をとっていた。  この段階になれば、小甚ビルディングへの融資は総会屋向けの融資であった、さらに九四年十月の検査で報告を受けていたことが確認できていたはずですが、いかがでしょうか。
  155. 山口公生

    ○山口政府委員 新聞紙上で、野村事件に関連しまして一勧問題が大分取り上げられました。そこで、私どもの担当者が一勧の方に事実関係を聞いていたことはあると思います。ただ、五月二十三日になりまして、一勧の方で正式に中間報告というふうな形で、内容をかなり詳細に記者発表しております。その前の段階でも新聞に出ておりましたので、いろいろ聞いていたという事実はあると思います。
  156. 池田元久

    ○池田(元)委員 これはなかなか答えにくいと思うのですが、九四年十月の検査で小甚ビルディングへの融資が報告されていたという事実は、大蔵省は公表していないのです。あのときの二、三日の間、五月二十日過ぎには、第一勧業銀行側は、大蔵省の検査で二度も隠ぺい工作をしたということを認めたわけです。一方、大蔵省側は、隠ぺい工作に対して刑事告発をするなど厳しい態度で臨む方針を打ち出し、盛んに報道されておりました。これについては、大蔵省は監督責任への批判を避けるために厳しい態度を打ち出したと見る向きが多いわけです。  業者行政的に、我々がそういうところから転換しなければならない業者行政的に、第一勧銀側と密接に連絡をとって中間報告をする段取りを決めたが、そんなことをするより、検査の実態をまず明らかにすべきであったと私は思います。一言お答えがあればいただきたい。
  157. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 事実関係でございますので、御答弁させていただきます。  小甚ビルディングに対します融資について、検査で把握していたのを言わなかったのではないか、隠していたのではないか、こういう御指摘でございますけれども、そういうことはございません。もちろん検査の立場でございますから、検査の中身を検査担当者みずから外に発表する、そういうことは厳に慎むべきことでございます。  その発表の当初、銀行局を通じまして発表いたしました段階でも、一部を除いて検査の回避があったということで、一部大蔵省の検査で把握し必要な償却をしていたという事実を隠すつもりは毛頭ございませんでした。
  158. 池田元久

    ○池田(元)委員 隠すつもりはないといっても、これは監督責任の手落ちにつながる話ですから言いたくないのはわかりますけれども、これは後でどうせわかる話ですから、当然開示すべきであると私は思います。そういうフェアな行政が必要です。  さて、九〇年の九月と九四年十月の検査では、その直前、迂回融資をすることによって総会屋への不良債権の隠ぺい工作が行われていました。九〇年には、九月二十一日の検査の直前、二日前の十九日に迂回融資が実行されました。九四年には、十月七日の検査の直前、九月三十日に迂回融資が実行されているわけです。そして九四年の検査のときには、第一勧業銀行本店の法人企画部から部店長あてに「資産査定面談における注意事項について」という、「厳秘」、すなわち厳重秘密などと刻印された文書が四回も出された。この文書は「手控え資料は提出を指示されるおそれがあるので、持ち込みは厳に禁じる。」というような内容になっておりまして、この企画部は、今月六日の家宅捜索で捜索も受けております。  検査の直前に隠ぺい工作が行われ、対策が立てられたわけです。これを見ても、検査が事前に漏れていたのは明白ではないかと思います。ある都銀幹部は、検査の日時はほぼ一〇〇%事前にわかると言っております。事前漏えいがあったと思いますが、いかがでしょうか。端的に答えてください。
  159. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  先ほども御答弁申し上げましたが、検査につきましては、いわゆる抜き打ち、無予告でいたすのが原則でございます。先ほど言いましたように、最近時点になりまして予告制も併用しておりますけれども、原則は抜き打ちでございます。したがいまして、抜き打ちの場合におきましては、従来から厳重に情報管理をしております。  本件につきましては、三年あるいは七年前の状況でございますけれども、当時も、当然そういう厳重な情報管理が行われていたと確信しております。  ただし、一言申し上げますと、都銀あるいは長信銀等に対します検査は、大体三年ないし四年の周期でやっております。そういうことで、公庫もそうでございますけれども、四年近くなりますと、言葉が適当かどうかわかりませんが、そろそろということでいろいろ準備をするということは、これは銀行でございます、いろいろな企業もそうかもしれませんし、あり得ることであろうかというふうに思います。その過程で、もし今委員指摘のような隠ぺいといいましょうか、あるいは不良資産を小さくするような形の工作が行われたといたしますと、これはまことに遺憾であろうというふうに存じます。  いずれにいたしましても、検査の時期につきましては、従来からいろいろ工夫しておりますけれども、この抜き打ちの実効を期するために、今後、時期についてもめり張りをつけたり、いろいろ工夫をし実効性を期してまいりたい、こういうふうに考えております。
  160. 池田元久

    ○池田(元)委員 たくさん言葉が出ますが、要は抜き打ちでやっていなかった、これからは抜き打ちにするのだ、こういう明確な答えを私は欲しかったわけです。こういうことは言うつもりじゃなかったのですが、余りに説明といいますか、弁護的な答弁がございましたので、一言申し上げます。  一勧の例を見ても、検査が抜き打ち的に行われていれば、隠ぺいなどの工作は難しく、不正がもっと早く明るみに出ていただろうと言えると思います。原則に戻って抜き打ちで検査を行うべきであると思いますが、これは大蔵大臣、一言でお願いします。
  161. 三塚博

    三塚国務大臣 今までも抜き打ち、これからも万全な抜き打ちで責任を果たすということであります。
  162. 池田元久

    ○池田(元)委員 後半は大変明快な答弁でございました。ありがとうございます。  大手の銀行、証券などは、大蔵省担当の社員、いわゆるMOF担を置いて大蔵省に出入りをさせ、日常的に情報収集などを行っております。大蔵省の検査時期をつかむのも重要な仕事となっています。第一勧業銀行の場合は、MOF担は先ほどの企画部に属している。  大蔵省としては、金融機関との関係で襟を正すために、MOF担の自粛を求めるべきであると思います。いかがでしょうか。一言でお答えください。
  163. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  銀行業務が大変多岐にわたっておりますので、銀行内でそれぞれの専担者によって各業務が分担して行われております。私どもと連絡あるいは報告徴求をするときに、全部の窓口にそれぞれやるというのは大変なことでございます。その窓口になっているのがよく言われるMOF担、担当者ということでありますけれども、MOF担が一体どういうことをやっているのかといいますと、事務連絡とか通達とかその辺の内容を行内に伝えるとか、あるいは報告が来たときに代表して説明をするとか、あるいはよく最近あるのは苦情処理、陳情でございます。そういうときにきちっとその担当者を呼ぶのではなく、代表者に渡すというようなことがあります。しかし、関係はきっちりしていく必要があるというのは私どももそう思っております。
  164. 池田元久

    ○池田(元)委員 銀行局長、どうしてMOF担の自粛を求めるということは言えないのですか。
  165. 山口公生

    ○山口政府委員 結局、当局と銀行との窓口がない場合ですと、例えば報告書を全部郵送で、そうすると、では説明するときにはどうするのかというようなことがあるわけですね。つまり、当局と銀行との間には対話がやはりあるわけです。事務処理としてもあるわけです。したがって、MOF担と言われている悪いイメージのものがあってはならないと思います。しかし、現実に窓口になってくださる方がいらっしゃらなければ、行政は非常に難しくなるということであります。
  166. 池田元久

    ○池田(元)委員 今は、説明するまでもなく、いろいろなコミュニケーションの手段があるわけですよ。御用聞きみたいにそこに置いて、これはどうだというようなことはもう時代おくれといいますか、それからいかにも官僚優位の姿勢がそこにあるわけですよ。あなたはどうしてMOF担の自粛ぐらい求めることができないのですか。一言答えてください。
  167. 山口公生

    ○山口政府委員 いわゆる問題になっているような意味のMOF担というのはなくさなければいけません。しかし、連絡者、連絡する人というのは必要なわけでございます。だから、先生のおっしゃる意味のとり方によっては私どもはやめるべきだと思いますけれども、必要な連絡は例えばインターネットでやるとかいうこともありますが、例えば、先ほどありました一勧に対してこれを調べさせなさいというときには、私どもが持っていくわけにはいきません。担当者の窓口に私どもは言うわけでございます。これは審査部だ、これは営業何部だというふうにやるわけではございません。
  168. 池田元久

    ○池田(元)委員 そこに連絡役を置くという、そういう考えがおかしいのですよ。大蔵省の検査が十分機能しなかった今回の反省から言いまして、検査を抜き打ちで行うのはもちろん、融資先の属性、どのような性格の企業、人物であるか報告を義務づけるべきだと思います。  次に、問題のある融資などの案件は、一般的には内部監査や審査の対象となるので、内部監査や審査の状況を把握すべきだと思います。  三点目に、企業、特に金融機関には社会的な責任があるわけです。金融機関にかかわる、全部とは言いませんが重要な情報は開示すべきだと思います。  以上、三点の検査の改善策について御答弁をお願いします。
  169. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 お答え申し上げます。  今後の検査のあり方、検査の見直しの御指摘でございます。  今回の第一勧銀の問題につきましては、今後、事実関係を明らかにした上で判断をする必要があると思いますけれども、検査に対しましてはいろいろ御批判をいただいておることは十分承知をしております。今委員指摘の点につきましても十分検討してまいりたいというふうに思います。  ただ、先ほども委員指摘でございました抜き打ち方式の実効を上げていくというのは一つ大きな点であろうかと思いますし、あるいは検査に際しましてのチェック項目、抽出漏れがないかどうかといったことにつきましても、支店等への実地調査等を通じまして種々の資料の突合をして、抽出漏れがないかどうかといった点も十分チェックをしてまいりたいと思っております。また、今おっしゃいました監査役、内部監査あるいは外部監査といった、そういう銀行の中の機能をいかに活用するかということも大事なことだろうと思います。  また、情報の開示につきましては先ほど大臣から御答弁ございましたけれども、ただ、検査の結果そのものにつきましては、これは我々公務員の守秘義務もございますし、個別のプライバシーの問題もございますし、いろいろ難しい事情がある。あるいは国際的にも世界的な動向ということもございますし、なかなか難しい事情であるということは御理解を賜りたいというふうに存じます。  いずれにいたしましても、いろいろ私どもとして検討してまいりたいと思っております。
  170. 池田元久

    ○池田(元)委員 松下日銀総裁、御苦労さまでございます。  今、大蔵省検査の改善点について申し上げましたが、日銀考査にも当てはまると私は思います。既に検討をされていると思いますが、考査を改善する考えはおありになるかどうかお尋ねしたいと思います。
  171. 松下康雄

    ○松下参考人 日本銀行といたしましては、考査に関連をいたしまして、今回の事件を重く受けとめております。もとよりこうした事件が二度と生じないようにします責任は、第一義的には個々の金融機関にあるわけでありますが、日本銀行としましても、現在指示中の第一勧銀からの本件に係る追加調査の結果の報告を受けまして、詳細が明らかになり次第、そのリスク管理上の問題点、また具体的な対応策を分析検討してまいった上で、他の金融機関につきましても、考査の機会を通じて内部管理や与信管理体制の整備を含みますリスク管理の全面的な強化を促すことによって、こういった事件の再発防止に努めてまいる考えでございます。
  172. 池田元久

    ○池田(元)委員 あと、証券取引等監視委員会について一言だけ申し上げて質問を終わりたいと思いますが、証券取引等監視委員会は、九五年十一月に取引審査部が不審な取引を見つけた。これは大変よかったと私は思います。九六年三月には総会屋絡みということがだんだんわかってきた。しかし、その後野村証券の関係者に対する質問調査に入ったのは九六年八月、九月には告発した元社員から事情を聞いた。そして告発に至ったのは先月十三日ですね。東京地検特捜部は告発を待たずに三月二十五日に強制捜査に入った。こうした経過を見ると、証券取引等監視委員会調査のテンポが大変遅い印象を受けます。本当は答弁を受けたいのですが、時間がありませんので私の印象を申し上げたいと思います。  聞くところによりますと、証券取引等監視委員会は去年の春から夏にかけて弁護士のインサイダー取引事件の調査等に追われていたということです。現在、証券取引等監視委員会の陣容は、総務検査課が五十九人、犯則事件の調査を行う特別調査課が三十一人、合わせておよそ九十人。これでは事件を幾つも処理できない。業者行政から市場監視、市場重視の行政への転換を迫られております。市場の監視は大変重要になっています。アメリカ証券取引委員会SECは、千七百人の人員を擁している。アメリカのSECには及ばないとしても、定員を大幅にふやして強化すべきではないかと私は強く思います。  この点は、三塚大蔵大臣証券取引等監視委員会の陣容強化についてぜひ前向きなお答えをしていただきたいと思います。
  173. 三塚博

    三塚国務大臣 前向きに取り組みたい、こう申し上げておきますが、御案内のとおり、行革、定員縮減の時代に入っております。そういう中でどのように対応するか極めて深刻な問題でございます。特に、専門官でありますから養成しなければなりません。そういう意味で、精いっぱい全体の中で工夫をして強化をする、こういうことしか考えられないのかなと思っております。
  174. 池田元久

    ○池田(元)委員 きょうは、野村そして一勧の問題を聞きましたが、この問題は、日本金融システムにとっても大変重要ですので、引き続きこの場でも論議をしていきたいと思います。
  175. 額賀福志郎

    ○額賀委員長 次に、佐々木陸海君。
  176. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 日本共産党の佐々木陸海です。  第一勧銀の問題は、日本を代表する銀行の一大不祥事でありまして、徹底的なその事態の解明と再発防止のためのあらゆる努力が集中して求められることは言うまでもないところであります。この問題で第一に我々が問わなければならないのは、大蔵省がこういう事態をつかんで是正することができなかったという点であります。大蔵省は、この間、検査でつかめなかったということを繰り返しております。どうしてつかめなかったのか、その実態を明らかにする責任が大蔵省にあると考えます。私は、きょうはその点から少し質問をさせていただきたいと思います。  もう先ほどから話も出ておりますが、九四年の大蔵検査で、第一勧銀は、確かに総会屋の小池隆一及びその親族にかかわる融資の問題を隠ぺいしようといたしました。しかし、小甚ビルディングに対する八九年に行った融資に関しては、資料を提出し、それに基づいて大蔵省は第一勧銀が行ったこの融資が問題債権であると認識をし、第一勧銀にそのことを指摘したということが公表されております。けさの衆議院決算委員会では、中川部長は、株式会社小甚ビルへの融資に関しましては資料は提出をされましたと述べておりますが、どういう資料が提出をされたのでしょうか。
  177. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  一般的に、検査に際しましては、先ほど来申し上げていますように、融資案件につきまして一定の基準に基づきまして抽出作業をさせるわけでございます。その抽出に基づきまして、検査官用語で申し上げますとラインシートと言っておりますけれども、融資先の資産、負債の状況等が記されているわけでございます。そういうものについて検査官は査定をし、回収可能性等について検査をするということでございます。
  178. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 八九年当時の稟議書を初め、この融資の決裁関係の書類といったようなものは提出をされなかったのですか。
  179. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 一般に、先ほど申し上げましたように、ラインシートというものの中にいろいろな情報が盛り込まれているわけでございまして、それに基づいて検査をするのが通常でございます。その上で、検査官として必要があれば稟議書を見たりするということはあるわけでございますけれども、この小甚ビルディングに対しましては、第一勧銀みずからが言っておりますように、適切な説明をしなかったということでございますし、検査官といたしましても、この資産内容等につきまして査定をいたしまして、先ほど申し上げましたように、ラインシートの状況の中から当社の当該融資の保全状況についてチェックいたしましたところ、当社の業況が悪く、大幅な担保割れの状況でありましたため、不良債権として一定の金額を分類し改善を求めた、必要な償却を求めた、こういうことでございます。
  180. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そうすると、この問題では、一勧側が出してきた資料だけを見て、そこから少し話も聞いて判断をして、これは不良債権であるという判断を下したということですか。
  181. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 第一勧銀から提出された資料をもとに判断をいたしたということでございます。もちろん、その資料に基づきまして第一勧銀に対しまして検査官は必要な質問をしたというふうに考えております。
  182. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 その質問点はまだ後でお聞きしますけれども、資料に基づいてその内容をチェックしたというわけですよね。そのチェックの際に、この融資のもともとの発端になっているところの稟議書とか決裁書類等々まで出せということは言わなかったのですか。
  183. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 ラインシートに基づいて検査をしたというふうに承知をしております。
  184. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そうすると、要するに最初から第一勧銀側が検査に対して準備して出した資料を見ただけで判断した、そういうことですね。それ以上に何か資料を出せというようなことはないわけですね。
  185. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 検査官からはそういうふうには聞いておりません。特に、先ほども申し上げましたように、検査に際しましては、当行の場合百二十万件中いろいろな基準で抽出をさせるわけでございます。抽出されたものがこの当行の場合一万何千件となったわけでございまして、それについて、可能な限りラインシートに基づきましてチェックをしたということでございます。
  186. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 けさの答弁の中でも、この株式会社小甚ビルへの融資については検査官はその回収可能性等々について検査をいたしましたと言い、その検査に基づいて不良債権と認定したと言っているのですが、そうすると、その検査というのは、向こうが出してきたペーパーの上で見て、それでもうこれは不良債権だというふうに認定をしたということなんですか、それ以上に突っ込んだわけでは全然ないわけですね。
  187. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  先ほど来申し上げていますように、本件に関しましては、検査官がチェックをいたしましたのに対して、平成六年でございますから三年前のことでございますけれども、恐らく検査官は検査官としていろいろ質問をしただろうというふうに推測をいたします。それに対しまして、第一勧銀は適切な説明を行わなかったと既に発表しているわけでございます。そういう事情であったということでございます。
  188. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 ちょっと不思議なんですよね。第一勧銀側は、報道などを総合してみますと、大蔵省の検査に当たってできるだけ自分の社の経営の内容をよく見せようということをして、先ほども出ましたように、指示文書まで出していろいろやっていたわけですね。そういう状況下でも、この小甚ビルへの債権が先方の報告によっても不良債権になっているという報告が出てきていたわけですよね。そして大蔵省もそれを回収不能と認めて、指摘をしチェックもしたわけですね。だから、この債権が相当異常なものであるということ、目立った存在であるということは、その中でも、それは何万件あったか知らないけれども、当然気づいていたはずじゃありませんか。
  189. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 繰り返しになりますが、御指摘の点に関しましては、第一勧業銀行みずから、検査官に適切な説明を行わなかった、あるいは株式会社小甚ビルディング以外の小池嘉矩等に対します融資につきましては、検査を回避した、あるいは検査を回避した疑義があるということで現在調査中であるというふうにしているわけでございます。いずれにいたしましても、調査中であり、また捜査中でございますので、詳細の御答弁は差し控えさせていただきたいというふうに存じます。
  190. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 私は今犯罪捜査をやっているわけじゃありませんので、大蔵のこの検査が適切に行われていたかどうかということに限って質問をしているわけでございますので、どうぞそういう点でお答えを願いたいと思うのですが、チェックをして、この小甚ビルディングへの融資が不良債権化しているということになったからには、当然、何が担保になっていて、その担保が今どういう評価を受けているのかということを調べなきゃならないはずなんですが、それは調べていないのですか。
  191. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  融資の回収可能性のチェックでございますから、当然担保状況を見ているというふうに思います。
  192. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 担保状況を見てということになりますと、この小甚ビルディングへの三十一億円ですか、この担保は、もともと野村証券を初めとする四大証券の株券を買うための融資であって、四大証券それぞれ三十万株、百二十万株を買ってそれをそのまま担保にしたということですから、そういう担保について調べたわけですね。
  193. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  担保状況は当然調べているというふうに存じます。
  194. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そうすると、その担保はもともと掛け目が一〇〇%になっていたという異常なこともあったわけですが、それも気がつかないはずはないですね。
  195. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  したがいまして、回収可能性に疑義がある、担保割れの状況であるということで査定をし、適切なといいますか必要な指摘をしたわけでございます。それに基づきまして、同行は翌年三月、先ほど委員も御指摘ございました二十四億円強について、回収不可能ということで有税の引き当ての処理をしているということでございます。
  196. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 小甚ビルディングというような、余り名も知られていない、当時実績もよくなかった会社が四大証券の株券を合わせて百二十万株も持っている。一社三十万株を持てば株主総会で議案提案権を得られるということも、こういう検査をする人にとってみれば常識の話だと思うのですね。そういうものが担保になっていて掛け目もおかしいということまでわかるとすれば、もう少し何かこれについて手の打ちようがあったんじゃないですか。大変おかしいと思いますよ。
  197. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  先ほど来申し上げておりますように、金融機関の検査でございますけれども、今問題になっておりますようないわゆる総会屋融資といった、犯罪というのでしょうか、そういう法令違反、商法違反といったものを主として検査をしているということではございません。金融機関の資産内容の健全性あるいは業務の適切性といった観点を中心に、先ほど申し上げておりますように膨大な件数のチェックをするわけでございます。  同行の場合、先ほど百二十万件と申しましたが、ラインシートについても件数を申し上げました。あるいはそのほかの状況を申し上げましても、例えば今委員指摘の何十億というような融資につきましても、これも膨大な件数でございます。それにつきまして回収可能性あるいは担保状況等々検査をいたしますけれども、意図的に、最初から犯罪があったというような前提で、網羅的に、さらに詳しく稟議書を出せとかいう検査は実際問題としてなかなか難しいというふうに私は存じます。  しかしながら、金融検査でございますから、もしその過程で問題を把握する、社会的に問題がある、公共的な金融機関として問題があることがわかれば、厳しく指摘し改善を求めるということは当然であろうというふうに存じます。
  198. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 もちろん、この検査で小甚ビルディングへの融資がおかしくなっているというところから直ちに総会屋にまで行き着くかどうか、それは別物だと思いますよ。私も、犯罪捜査として十分だったかどうだかということを今確認しているわけじゃないわけです。  小甚ビルディングへの融資の担保まで調べたとすれば、百二十万株の四大証券の株が担保になっている、その掛け目もおかしいというようなところから見れば、少なくともこれは大変異常な事態であるということにはなるんじゃないか。ただこれは不良債権だということを指摘しただけで終わってしまうというのは、いかにも銀行をかばうような検査としか言えないんじゃないかという感じがしますが、いかがでしょうか。
  199. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 株式会社小甚ビルディング個別の問題につきまして、可能な限りで御答弁を申し上げます。銀行が発表している範囲内で申し上げさせていただいておりますけれども。  先ほど申し上げましたように、第一勧銀みずから適切な説明を行わなかったとしておるわけでございますけれども、検査官も当然いろいろ疑問点を持って聞いたと思います。その際、本件融資はあくまでも株式会社小甚ビルディングに対する証券投資資金の融資であるという説明を受けたわけでございます。
  200. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 その証券投資融資だとしても、実態がいろいろ問題があるということが当然わかったはずだし、極めて異常なものだったということになるはずだと思うのです。  そして検査官がいろいろな方に聞いただろう、質問しただろうと言いますけれども、第一勧銀のどういうレベルの人に聞いたのでしょうか。現場の融資の担当者とかあるいは課長とか部長とか、さらには、もっと疑問があれば当然役員クラスにもこの検査では質問をするものだというふうに聞いておりますけれども、どのレベルまで質問をしたのでしょうか。
  201. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 一般論で恐縮でございますけれども、検査に際しまして、個別の融資について聴取をするという場合は、まず支店が融資しております場合は支店長、支店の担当者、それから本部が融資しております場合は、本部の担当の部の次長クラスから詳しく説明を聞くということが一般的でございます。
  202. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 この件についてはどこまで聞いたかは言えないのですか。
  203. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  いずれにいたしましても、個別の検査の時点での対応状況でございますから、御答弁は差し控えさせていただきたいというふうに存じます。
  204. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 しかし、率直に言って、聞いていておかしいと思うのですね。  繰り返しになりますけれども、第一勧銀側はいろいろ隠そうとしていた。隠そうとしていたにもかかわらず、この問題は隠せなくて表に出てきていた。そして不良債権化していた。そして担保も調べてみれば、当然、異常な株の保有だということにも気づくはずなんですよ。  ちなみに当時の野村証券の株式の状況を言いますと、三十万株というのは単位にすると三百単位になりますけれども、一千単位以上のものを持っている株主が二百四十七人、五百単位以上が百六十三人、百単位以上が七百六十四人。そこまで合わせても株主の中の〇・七六%にすぎないという額のものを、この余り知られてもいない会社が持っていて、そしてそのための融資をやっていたということなんですから、本当にこれは目立った存在であって、異常だということに気づいていなければおかしい、私は重ねてそのことを申し上げたいと思います。  もうこれ以上お聞きしてもあれでしょうから、これ以上伺いませんけれども、担保も調べていたということも確認し、それにもかかわらず異常性には気づかなかったという処理がなされたというふうに言わざるを得ないと思うのです。第一勧銀側が説明しなかったというのは、それは確かに説明しなかったでしょうけれども、しかし大蔵省の検査の姿勢にも、そういう点になると問題があると言わざるを得ないと私は思います。  銀行金融年報の当時の九五年版によれば、  平成六検査事務年度においては、次の諸点を検査の重点事項として取り上げ、検査の的確な実施に努めた。ということが書いてあって、長いですけれども、   金融機関等の資産内容は、バブル経済の崩壊とその後の景気の長期低迷等による不動産価格の低迷や融資先企業内容の悪化から延滞貸出金を多額に抱えるなど、いまだ改善傾向にあるとはいえない状況にある。資産内容の悪化が金融機関等経営に与える影響がきわめて重大であることにかんがみ、金融機関等の健全性確保の観点から、引き続き審査管理体制を含めその実態把握に努める。 とか、あるいは   金融機関等の内部事務管理体制については、依然として不適切な事務取扱いが認められるので、引き続きその整備・充実状況を把握し、それが有効に機能しているか等の点検に努める。 ということも言っているわけですから、こういう異常な融資案件に検査の中でぶつかった場合には、大蔵省のこの検査方針からいっても、審査体制やあるいは事務管理体制の問題としても、これは本当に突っ込んで、具体的に調査検討を行って当然だったし、稟議書やその他の提出も求めて調べていないというのはおかしいと言わざるを得ないと思うんです。  本当にそこまでやっていないんですか。
  205. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたとおりでございます。
  206. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 全容が明らかになりませんからはっきりは言えません。しかし、第一勧銀側がこの件については一定の資料を出した、それを手がかりにすれば、今大問題になっているような問題を少なくとも端緒的に摘出できたはずだと私は思います。できなかったのは怠慢だし、あるいは当時つかんでいたのに必要な手を打たず今ごまかしているのか、いずれかと言わなければならないというふうに私は言いたいと思う。大蔵省の責任は免れないと思うんです。  大蔵大臣、この第一勧銀をめぐる大蔵検査の実態が本当のところどうだったのかということを、今後どういう検査をしていくのかということを論じる前に、この第一勧銀に対する九〇年と九四年の検査がどうだったのかということを、その内容を徹底的に明らかにすべきじゃないでしょうか。
  207. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 大臣の前に御答弁させていただきます。  検査官は、与えられた体制、権限の中で、過去二回の第一勧銀の検査に際しましても最大限の努力をしたと確信をいたしておりますが、いずれにいたしましても、捜査中でございますし、現在、また第一勧銀みずから、意図的な検査回避が行われた疑念があるというふうにしているわけでございます。  いずれにいたしましても、金融検査は、先ほど来申し上げていますように、犯罪捜査あるいは商法違反といったものを中心に検査をしているわけじゃありません。しかしながら、問題点があれば、当然これは指摘をしてまいっておりますし、今後ともその点については、特に金融機関の公共的な営業姿勢という観点も重視いたしまして、検査の実効を期すべく努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  208. 三塚博

    三塚国務大臣 今政府委員が答えましたとおり、全力を尽くして、法の許す範囲において検査を二回やってきた、このことはそのとおりであります。  それが見つからなかったことは怠慢ではないか、やり方に注意力が足らなかったのではないのか等、御批判がずっと衆参両院において行われてまいりました。その都度申し上げてきておりますのは、数少ないメンバーの中で、限られた期間、そして全銀行を検査をしなければならぬというハードな中で行っておるという観点から、受ける側も、みずからの銀行の権威、また信頼の確認のために、きちっと諸帳簿が整備をされて、問題点があるとすればその点について申告するというようなことでなければいけないのではないか、こう思っております。  そういう中でそれが隠されるということであれば、到底手も足も出ない状況であります。よって、そういうことに今後どう対応するか。さっき池田委員から言われた人員の強化というのも一つあります。しかし、なかなか言うべくして難しいですから、難しいことを申し上げさせていただいたわけでございまして、工夫に工夫を重ね、限られたメンバーの中でよりよき検査体制とは何かということを追求をしながら、御批判にこたえていかなければならぬと思っております。
  209. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 今後のことは、いろいろ長々とおっしゃいましたけれども、それはいいんですよ。それはいろいろ考えていかなきゃいけないんだけれども、まず、それをはっきり検討する上でも、今捜査も行われています、それから第一勧銀にもいろいろ調べさせていると言っています。その調べた結果が発表されるでしょう。では、それに対応した大蔵省の検査が実際どうだったのか。その中身もきちんと全容を明らかにする必要があるのじゃないかということを私は言っているんですよ。やはりそれがきちんと明らかにされなきゃ、どこにまずさがあったのかということが明らかにならないわけですから、そこをきちんとやってください。  そのことについて、再度答弁いただけますか。
  210. 三塚博

    三塚国務大臣 佐々木委員もそこはよく御理解いただいて、なお、その上に立って、事柄が重大につき報告をせよ、こういうことであろう。気持ちはわかります。  しかし、個々の案件でもこれあり、特に強制捜査が入っておる段階であります。そういう点からいいまして、今後の勧銀のあり方等は、その捜査の結果を待って行っていかなければなりませんので、その点は、ただいまの段階、御辛抱いただきます。
  211. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 捜査がどうであれ、我々国会としては、行政がこれに正しく対応したのかどうなのかという点はきちんとしなきゃいかぬわけですから、そういう意味で先ほどからも聞いてきたし、そしてまた、金融検査部長さんは勧銀が発表した範囲に限って検査の内容も話しておられるわけですから、それは、今それしか話せないということで、全容がわかっていないわけですけれども、検査の中身もきちんと発表してほしいということを私は申し上げているわけです。  まだちょっと時間がありますから、もう一つだけ聞いておきます。  大蔵省の検査が銀行側に筒抜けになっていたという話は何度も出ておりますけれども、それについてちょっと聞きたいんです。  これは一般的にお聞きしますけれども、特定の銀行を、何月何日から何月何日まで、どの支店を手始めに検査するかということは、大蔵省のどこで立案して、省内のどういうところを回って最終決裁がおりるのか、その手順をちょっと教えてもらえませんか。
  212. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  検査の手順ということでございます。具体的な検査対象金融機関の決定に関します計画につきましては、私どもの金融検査部内で、各金融機関状況及びその時々の検査官の人員、構成等を総合的に勘案いたしました上で、四半期ごとに計画を策定いたしまして、その検査対象金融機関及び主任検査官名につきまして内部での事務手続、決裁手続を踏まえまして、大臣名の検査命令をいただきまして、主任検査官に検査の指示をするということになります。  その上で、具体的にどの支店に入るか、いつ入るかというのは、主任検査官がそれぞれの状況ごとに最終的には判断をするということになるわけでございます。
  213. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 第一勧銀に対する九〇年と九四年の検査は、それぞれ何月何日から何月何日まで行われたんでしょうか。
  214. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 本来、個別金融機関の検査を何日から何日までということは、御答弁は差し控えさせていただいておるわけでございますが、本件に関しましては、事の内容から既に御報告を申し上げております。その範囲内で申し上げますと、平成二年の検査は、平成二年九月二十五日に着手いたしまして、十一月九日まで実施いたしております。平成六年の検査は、平成六年十月十一日に着手いたしまして、十二月九日まで立入検査を実施しております。  ただし、いつからいつまで検査かという、これはなかなか難しい事情がございまして、実際は、立入検査の後、検査官は講評をし、示達をし、あるいはその回答を求めるということで申し上げますと、広い範囲でいいますと、その間が検査期間ということになりますけれども、この辺は、いついつまでというのはなかなか難しい状況でございます。
  215. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 その検査が始まる日というのは、大体四半期ごとに計画を立てて立案もし、そして大臣名まで出るようなところまで決裁が回るということですから、率直に言って、大蔵省内でも相当の範囲の人が、この銀行についてはいつごろから検査が始まるということを知り得る立場にあることは間違いないですよね。何かありますか。
  216. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 お答え申し上げます。  検査に関することでございますから、省内幅広く回すということはございません。関係先に検査をするという通知をし、決裁を得るということでございます。  検査につきましては、大蔵省の内部決裁規程によりまして事務次官まで決裁をいただいておりますけれども、これは銀行でありますと銀行局、証券会社でありますと証券局、外為検査でありますと国際金融局の決裁を了しますけれども、これは、先ほど言いましたように、幅広くというわけではありません。関係ある最小限の決裁を了して検査に着手するということになるわけでございます。
  217. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 もう少しこの問題を詰めたかったのですけれども、時間が来たようですので、引き続き追及をしていきたい、そして大蔵省の責任もきちんと明らかにしていきたいということを申し上げて、きょうの質問はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  218. 額賀福志郎

    ○額賀委員長 次に、吉田公一君。
  219. 吉田公一

    吉田(公)委員 大分遅くなりまして、本当は最後に質問したくないのですけれども、時間がちゃんとあるものですから、十分間だけ、時間を守りながら質問をさせていただきたいと思います。  例のガソリンの二重課税というのが問題になっておりますが、大蔵省考え方としてはタックス・オン・タックスだ、個別間接税の上に消費税が乗っかっていることについては理論上何も問題ないのだと言っていますけれども、しかし、二重課税というのは本来おかしいのと違いますかね、基本的には。
  220. 薄井信明

    ○薄井政府委員 二重課税という言葉自体、いかにも悪いものというイメージがあるので、そうとられがちなんですが、おっしゃるように、かつてドイツに取引高税という税金がありまして、これは取引高税に取引高税がかかる、自分の税金に自分の税金がかかるという点が大問題だということで、これをタックス・オン・タックスと称して、ヨーロッパではこれをどう直そうかという議論がされたわけです。その結果として、まあ結果というのはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、今の付加価値税制度が生み出されたわけでございまして、ほかの税金との関係で、ほかの税金の上にほかの税金がかかるということは往々にしてあるというふうに私ども見ております。
  221. 吉田公一

    吉田(公)委員 しかし、日本税制の体系では余り例がありませんで、諸外国ではあるかもしれませんけれども、日本では余りないですね。料理飲食税ぐらいのもので、あとはないと思うのでありますが、とにかくリッター当たり五十三・八円、要するに税金を払っているわけですよね。そうすると、一リッター百五円だか百六円だか百十円だかわかりませんが、大体半分は税金、税金を払いながら運転しているようなもので、一般の人はなかなか半分税金なんだよということがよくわかっていないみたいで、したがって五十三・八円で半分税金で、なおかつ消費税をその上に五%かけるなんということは私はいかがなものかと思っているわけです。しかも、それが道路目的税として道路の財源になっている。その道路の財源が何と二兆七千億だ、こういうのですよね。  だから、当時この道路目的税を創設したときには、確かに日本の道路が余りよくないし、ちゃんとしなければならぬこともあろうと思うので、それはいいと思うのですけれども、今になってみれば、そんなに二兆七千億円も道路に財源を使わなければならないほど、道路というのはそんなにつくったりする必要があるのかどうか。だけれども、高速道路なんかは別財源ですからね。首都高も別財源。こういうことになると、一般国道だけで二兆七千億円なんというお金が一体必要なのかどうか。これは税の元締めであります大蔵省として、一般国道だけに二兆七千億円なんというお金が果たして必要なのかどうか。そのほかに、農道があったり、林道があったり、スーパー農道とかなんとかいって、飛行機が飛べるとか飛べないとかといってつくったりなんかして、一体道路財源としてこれ以上必要があるのかどうか、大蔵省としての御見解はいかがですか。
  222. 林正和

    ○林(正)政府委員 先生、特定財源制度に基づく御質問でございますが、特定財源制度、これは受益と負担との関係が明らかな場合は一定の合理性を有しておるわけですけれども、ただ、資源配分の硬直化を招くということで、絶えず見直しをしていくことが必要だと思います。  それで、道路整備事業についてでございますが、これは御指摘のように、道路利用者による道路整備費用の負担ということで、受益者負担の理念に基づいて特定財源により事業を実施しているところでございますが、道路の整備状況あるいは国民のニーズ等にかんがみますと、現在でも特定財源だけではなくて、一般財源をも投入している状況にございます。少なくとも現時点では私ども、そういう意味では合理性があると考えております。  ただ、財政状況が非常に悪うございますので、先般六月三日に閣議決定されました「財政構造改革の推進について」というところでも、自動車重量税の国分の八割相当額に係ります歳出面の運用について、「受益者負担の観点にたった道路関係社会資本への活用など、集中改革期間における従来の取り扱い等の見直しについて総合的な観点から検討する。」とされておりますので、今後このような趣旨を踏まえて予算編成の過程で検討を行うことになろうと思います。
  223. 吉田公一

    吉田(公)委員 よく都市ではノーカーデーとかなんとかいって、この日は自動車に乗らないようにしてくれなんということがありますが、これは道路財源だけではなくて、地下鉄建設だとか鉄道の高架化だとか、そういう方にもその財源を回す時期に来ているんじゃないか、そんなふうに思っているわけですね。  こういうことがあったのですよ。消費税を導入するときに、平成元年、当時渡辺美智雄先生が政調会長で、そして東京は消費税導入に反対の意向だ。さあ、渡辺先生は困った。東京が消費税に反対して公共料金に転嫁しなかったら、これはもうほかの府県も転嫁しないだろうということで、鈴木知事に会わせろというので私が仲介の労をとって、鈴木知事と二人で対談したのです。そのときに東京方式というのを編み出したわけです。それはどういうことかというと、下水道料金、水道料金を三%、企業努力をすることで安くして、そして消費税導入三%をやったのです。それが私は政治の知恵だと思う。  だから、日本でタックス・オン・タックスなんていったって、局長、余り例はないでしょう。いっぱいあるのですか、タックス・オン・タックス。例はないでしょう。さっき言った料理飲食税ぐらいのものかな。だから、やはり五%分だけ揮発油税を安くして、そして消費税を導入してというところがやはり政治の知恵だと思うのですよ。  そういうことも、ただ、そのタックス・オン・タックスをドイツでやっているから、アメリカでやっているからといったって、ここは日本で、ドイツじゃないのだから。よく行政側の人はいろいろな外国の例を出すのだけれども、やはりここは日本国会だから、ひとつよろしくお願いしますよ。
  224. 薄井信明

    ○薄井政府委員 間接税の中の個別間接税とさっき御指摘ありましたが、日本だけじゃなくて、お酒とたばこと油につきましては、日本も含めてどこの国でも個別間接税をやっておるわけです。ヨーロッパの諸国は付加価値税を別に持っていまして、そういった国では、お酒とたばこと油については、今先生御指摘の意味の重なり方はしているわけでして、日本だけが特例ではない。  そこで、先生の御指摘は、もし両方足して重いならば、どっちか調整したらいいじゃないかという御指摘だと思います。これは、お考えは一つのお考えであって、道路の方の揮発油税を下げるということは技術的にはできないことではないと思います。消費税の方を調整することは、これは技術的にできないと思います。道路の方の財源になっている揮発油税を下げることについては、税金を下げる前に、さっき御質問あったように、道路をどれだけつくるかということについてコンセンサスを得ていけばそういう答えもあり得るのかなと思いますが、税金だけ下げると道路の必要性との間でそごが生じてしまう、そういうふうに思っております。
  225. 吉田公一

    吉田(公)委員 時間がなくなったようでございますが、せっかく質問通告してありますから、ちょっと一言だけ伺いたいんですけれども、酒販免許、これは長いこと酒屋さんがお酒を売ってきたんですけれども、要するに庫出税があるからもう酒屋さんの税金をやる必要はなくなってきた。スーパーが出てきた、スーパーに酒販免許を与えようじゃないかというような動きがあるんですけれども、しかし規制緩和、規制緩和といって何でも規制緩和すればいいというものじゃなくて、その人たちが失業しちゃったってまだ規制緩和をやるというのはちょっと行き過ぎだと思うんだな。だから、やはり酒販免許というのは、スーパーで売れば三倍も四倍も飲む人がふえるわけじゃないんだし、やはりお酒屋さんでちゃんと酒を売る。別に不便でないんだよ、全然。これは山があるから登るんだという話があるけれども、スーパーがあるからスーパーへ行ってしまうんで、なけりゃスーパーへ行かないで、酒屋へ行くんだから、別に何にも問題はない。  これをちゃんと今までずっと守らせてきたんだから、大蔵省が酒屋さんと一緒になってこの制度堅持してきたわけだから、今度都合が悪くなったからやめちゃえなんという話はいい話じゃない。その点どうですか。
  226. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 酒販免許についてのお尋ねでございますが、この六月の十三日に中央酒類審議会の答申が出まして、先生お話がございましたように、需給調整要件について緩和をしていこうという方向が出ているわけでございますけれども、この答申におきましては、同時に、緩和につきまして、中小酒販店への配慮という観点から、激変緩和の必要性を踏まえて段階的にやるべきだという御意見をいただいております。またあわせまして、現在、酒類小売業界が各地で構造改善事業に取り組んでおりますけれども、構造改善事業へ国として積極的な支援をすべきだという御提言もいただいておるところでございます。  私どもといたしましては、この答申の趣旨を踏まえまして免許制度運用を図りますとともに、業界のいろいろな自主努力に対する助成、支援に積極的に取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
  227. 吉田公一

    吉田(公)委員 終わります。ありがとうございました。      ――――◇―――――
  228. 額賀福志郎

    ○額賀委員長 この際、御報告いたします。  本会期中、当委員会に付託されました請願は十二種二百四十七件であります。各請願の取り扱いにつきましては、理事会において慎重に検討いたしましたが、委員会での採否の決定は保留することになりましたので、御了承をいただきます。  なお、本会期中、参考送付されました陳情書は、焼酎税率の上げ幅抑制と業界体質強化支援に関する陳情書外六件であります。御報告をいたします。      ――――◇―――――
  229. 額賀福志郎

    ○額賀委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りをいたします。  まず、  国の会計に関する件  税制に関する件  関税に関する件  金融に関する件  証券取引に関する件  外国為替に関する件  国有財産に関する件  たばこ事業及び塩事業に関する件  印刷事業に関する件  造幣事業に関する件 以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  230. 額賀福志郎

    ○額賀委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  次に、第百三十九回国会、河村たかし君外四名提出、法人税法等の一部を改正する法律案につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  231. 額賀福志郎

    ○額賀委員長 起立少数。よって、本案につきまして、閉会中審査の申し出をしないことに決しました。  次に、赤羽一嘉君外十五名提出、阪神・淡路大震災被災者等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  232. 額賀福志郎

    ○額賀委員長 起立少数。よって、本案につきまして、閉会中審査の申し出をしないことに決しました。  次に、閉会中の委員派遣に関する件につきましてお諮りいたします。  閉会中審査案件が付託になり、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣委員の人選、派遣期間等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 額賀福志郎

    ○額賀委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  本日は、これにて散会をいたします。     午後七時二十五分散会