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1997-04-18 第140回国会 衆議院 大蔵委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月十八日(金曜日)     午前九時三十二分開議 出席委員   委員長 額賀福志郎君    理事 金子 一義君 理事 坂井 隆憲君    理事 保岡 興治君 理事 柳本 卓治君    理事 北側 一雄君 理事 谷口 隆義君    理事 池田 元久君 理事 佐々木陸海君       飯島 忠義君    今村 雅弘君       衛藤征士郎君    小林 多門君       菅  義偉君    砂田 圭佑君       田中 和徳君    田中 昭一君       中野 正志君    山中 貞則君       吉川 貴盛君   吉田左ヱ門君       渡辺 喜美君    上田 清司君       木村 太郎君    北脇 保之君       鈴木 淑夫君    中川 正春君       並木 正芳君    藤井 裕久君       前田  正君    宮地 正介君       村井  仁君    田中  甲君       山本 譲司君    佐々木憲昭君       保坂 展人君    岩國 哲人君       新井 将敬君  委員外出席者         参  考  人         (前野村證券株         式会社代表取締         役社長)    酒巻 英雄君         参  考  人         (日本証券業協         会副会長)   関   要君         大蔵委員会調査         室長      藤井 保憲君     ————————————— 委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   秋葉 忠利君     保坂 展人君   吉田 公一君     岩國 哲人君 同日  辞任         補欠選任   保坂 展人君     秋葉 忠利君   岩國 哲人君     吉田 公一君     ————————————— 四月十七日  日本銀行法案内閣提出第六五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  金融及び証券取引に関する件      ————◇—————
  2. 額賀福志郎

    額賀委員長 これより会議を開きます。  金融及び証券取引に関する件について調査を進めます。  本日は、参考人として前野村証券代表取締役社長酒巻英雄君及び日本証券業協会会長関要君に御出席を願っております。  両参考人には、本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  議事の進め方といたしましては、初めに委員会を代表して委員長から総括的にお尋ねし、次いで委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと思います。  なお、本日は、本会議が十二時から開かれますので、質疑者質疑時間を厳守され、参考人は簡潔に答弁をしていただきたいと思います。  それでは、まず、委員長から両参考人に対してお尋ねをいたします。  平成三年、損失補てん等の一連の証券不祥事件が発生したのを契機に、証券取引法の改正を初め、証券取引等監視委員会の創設など有価証券公正取引確保対策が実行され、今日に至っております。それにもかかわりませず、今回、再び証券取引信用を失墜させる不祥事件が発生いたしましたことは、まことに遺憾であります。両参考人は、今回の不祥事件発生の原因についてどういうふうにお考えになっていますか。また、今後二度と同様の事件が発生しないようにし、証券市場の信頼を回復していくためには、どのような対策が必要と考えていますか。お尋ねをいたします。
  3. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お招きいただきました野村証券酒巻でございます。  御質問お答えいたします前に、一言今回の件に関しまして、国民皆様投資家皆様、そして内外の関係者皆様に多大なる御迷惑をおかけしましたこと、謹んでおわび申し上げる次第でございます。証券市場で仕事をする者として、神聖かつ公正なマーケットを汚す形で今回の件が行われましたこと、まことに申しわけなく思っております。また、立法府の皆様にはいろいろとお手数をおかけいたしまして、本当に申しわけございません。  さて、ただいま額賀委員長よりいただきました御質問お答えさせていただきます。  まず最初に、今回の事件の概略を申し上げます。  平成五年三月に当社本店第一企業部に開設されたある法人口座での取引に関しまして、証券取引法違反疑いが持たれ、昨年夏より御当局調査を進めておられたというものでございます。具体的には、この口座を通じて行われた取引のうち、都銀株売買に関しまして損失補てんが行われたのではないかとの疑いで御調査されたものと理解しております。  これにつきましては、当社も、御当局調査に協力しつつ、ことしに入りまして特別チームによる社内調査を行い、その結果を証券取引等監視委員会に御報告申し上げるとともに、去る三月六日に公表させていただきました。社内調査の結果は、記者会見でも当社斉藤社長が申し上げましたとおり、一任的と見られても仕方がない取引が幾つか発見されましたこと、自己勘定利益顧客へつけかえたのではないかとの疑義が持たれたこと、及びこの取引当社の二人の常務が関与していたということでございます。  なお、当社は、この件に関し、三月二十五日に東京地検証券取引等監視委員会合同捜査を受けており、その後も御当局捜査に協力申し上げております。現在、御当局の判断をお待ちしているというところでございます。  今回、このような問題を引き起こしましたこと、まことに申しわけなく思っております。平成三年の不祥事の反省をもとに、支店自主経営などの営業のあり方の見直しや、業務管理本部の設置などの管理体制組織見直し等に加え、社内での法務やコンプライアンスの研修等に努力してきたつもりでございましたが、それが徹底していなかった、役員においてその意識に欠けた者がいたということは無念でなりません。また、大変申しわけなく思っております。本当に申しわけございません。  私も、再発防止につきまして、今回改めていろいろ考えさせられました。そして私が結論に達しましたことは、重要なことは、このような問題をいかに早く発見し、二度と起こらないようにするためにどうするのかということでございます。そしてそのためには、不正行為がもっと早い時点で把握できるような強い仕組みを持つ必要があるということでございます。すなわち、証券会社内部監督検査官通常チェック事件の検診を的確に行い、将来発生する可能性のある問題に適切 に対応できるよう諸体制をつくり上げるということでございます。この点につきましては、幾ら強化してもし過ぎることはないというのが私の至った結論でございました。  平成三年の不祥事の際にも、私は、社会に対する責任、とりわけマーケットに対する責任を果たす企業でありたいと決意いたしまして、そう発表させていただいたわけでございますが、それができなかった。この無念を、現在社員全員が抱いているわけでございます。したがいまして、今回の件を真摯に受けとめ、真に社会マーケットに対する責任を果たす企業として一からやり直そうということでございます。どうぞ御理解賜りますようお願い申し上げます。
  4. 関要

    関参考人 日本証券業協会といたしましては、平成三年度に表面化いたしましたいわゆる証券不祥事以降、この国会のいろいろな御指導もいただき、また行政当局の御指導もいただきまして、協会員各社とともに、いわゆる業界改革という標語を掲げまして、それに全力を傾注してまいったわけであります。業界全体として見ますと、いわゆる自主規制の枠組みも次第に整備されてまいりましたし、証券会社営業姿勢の改善という面におきましても、相当の努力が払われてきたと思っております。  その意味で、今回の野村証券の事案はまことに残念なことでありますが、日本証券業協会といたしましては、今後の事実解明の結果を踏まえ、法令等取引ルールを厳格に遵守するという基本を業界内に完全に徹底させるため、自主規制の各面において全力を尽くしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  5. 額賀福志郎

    額賀委員長 以上をもって委員長からのお尋ねを終わります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子一義君。
  6. 金子一義

    金子(一)委員 自民党金子一義でございます。きょうは参考人で、証人喚問でも何でもありませんので、どうぞ御気楽に御回答をいただければと思います。  いきなりで恐縮ですけれどもVIP口座と言われているものについてお話を伺わさせてください。  雑誌「選択」三月号に元外交官と言われる方の顧客リストVIP口座というのが報道されてしまいました。マスコミに出てしまったわけでありますけれども、これが出た後、御社でこのVIPリストについてのそれぞれの説明関係者に配付をされました。  これによりますと、ポイントだけ申し上げますと、特別管理客というのは、報告書送付先指定取引代理人選任などの事務処理上の条件がついている口座だ。VIP口座というのがある。VIP口座というのは、営業店において転勤引き継ぎ来店電話などの応対に際して、新任担当者担当者以外の者が代理で受ける場合など特に留意が必要な口座だ。オンラインに入れたときにそれをVIPと名前をつけた、こういう説明をされている。  言いかえますと、これはVIP口座といっても決して利益を供与するとか優遇するというたぐいの口座ではないという御説明なんですが、にもかかわらず、一部報道では、特A指定だとかA指定とかB指定といったようなことでランクづけをお客にやって、そして優遇されているかのごとき報道がされているのですけれども、これをどう説明されるのか。このVIP口座の中に、今回議題になった特定総会屋企業が入っているのかどうか、その事実を教えてください。
  7. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答え申し上げます。  VIP口座というのは当社社内符号でございまして、お客様も御自分にVIPという符号が付されているということは全く御存じございません。今回の、ただいまお尋ね総会屋親族企業法人口座VIPがついていたかというのは、ついておりません。またVIPといいますのは、お客様特別め計らいをするというものでは全くございません。  時間が長くなってはいけませんので整理いたしますと、まず何らかの契約ではないということでございます。それから、全国の営業店でばらばらの基準で運営をされているということでございます。  それから、社内接遇引き継ぎ留意客と申しますか、そういう符号でございまして、統一符号ではない。もちろん優遇口座でもございませんし、お客様に金銭的な利益を与える目的のためにつくられたというものでもございません。響きがVIPというようなことになって誤解を招いているわけでございますけれども、これは営業マン転勤をする、あるいは、相場は昼休みの休みもございますので、そういう転勤引き継ぎ時であるとか来店電話応対であるとか、まあ山田さんというお客様から電話が入りできますと、当然パソコンをたたきますとぱっと画面にお客様明細等が出ますから、そういうときに、新任担当者とか担当者以外の者が代理で受けたりする場合に留意が必要な口座。  ありていに申し上げますと、その方の社会的立場にかんがみて対応留意するお客様、そういうお客様とか、過去に電話や店頭で大変厳しい御指摘を浴びたようなそういうお客様、こういうお客様留意客として入ってございまして、担当者以外の者が対応をさせていただくときにその仕方に留意せよというようなことで、昭和五十八年から使用しているものでございます。  余りにも誤解が多いということと、コンピューターがバージョンアップをしてまいりましたので有名無実化してきたものですから、この三月末をもってこの符号の中止ということは決めさせていただきました。  以上でございます。
  8. 金子一義

    金子(一)委員 今おっしゃられたこと、物すごく大事なポイントを含んでおられるのですよ。お客は知らないのですよね、VIP口座にされているのかどうか。私自身御社に、昔取引していたので、今でもそのまま口座は残っているのですよ。VIP口座になっているかどうか、私自身知らないのですよ。(発言する者あり)こういう意見もあるのですよね。  留意口座って何でつけなかったのかなと私思うのです。VIPなんて余計なことをつけちゃうからいけない。もしそうだとすれば、報道された元外務省の方、これは気の毒ですよ。この方の取引、公表されていますから。そんなに異常な取引だと思わないのですよ。  つまり、言い方を変えますと、御社で勝手につけちゃった、VIPにしちゃった。それが何かの都合で流出しちゃったわけでしょう。本人は知らない。これは、知らないところでつけられて、VIPだって世の中に出されちゃったら、怖くてだれも証券会社に行けなくなっちゃいますよ。その部分が私はかえって大変問題になっていると思うのですよ。  そういう意味で、証券界リーダーとしてその辺の責任というものを、やはり証券取引信用に対しては大変な失墜をさせてしまった、その責任をどういうふうにお考えになるのか、一言おっしゃってください。
  9. 酒巻英雄

    酒巻参考人 今先生指摘のとおりでございまして、本当にそのお客様に対しては申しわけなく存じております。  何せ六十項目に及ぶいろいろな符号の中で、VIPというところだけがクローズアップされている。ほかに特別管理客ということで、そういう口座もございまして、これは郵便を別のところへ送ってほしいとか、おじいさんがお年になったので息子さんが、私が代理取引をしますからという代理人届けを出すとか、六十ぐらいあるのですけれども、そういう中で、VIPのこのことが大変誤解を招いて、お客様にも御不快を与え、大変御迷惑をおかけしたということについては、幾ら言葉を尽くしても足りないという気持ちでございます。本当に申しわけございません。
  10. 金子一義

    金子(一)委員 先般我々、御社役員をお招きしまして、これから迎えるビッグバン勉強会を やったのです。ポイントは、最後におっしゃられたのは、国際競争日本証券会社が勝たなきゃいけない、今なら間に合う、早くビッグバンをやってくれ、こういうお話をいただいた。御社会長ですよ。その後、この事件が起きちゃったので、我々本当に、これは御社だけの問題じゃなくて、証券界全体がとんでもないハンディを負っちゃったなと残念な思いなんです。  今回の事件は、今お話ありましたけれども特定総会屋企業、これはVIP口座に入っていなかった。しかし、この企業一任勘定というものを通じて御社自己売買利益をつけかえたという、ある意味で簡単な、そういう意味での簡単な事件を、一応我々報道で伺っておりますし、そういう想定でお話を伺いますけれども、その総会屋とは、従来からもこういう同様の取引はあったんですか。つき合いですね。
  11. 酒巻英雄

    酒巻参考人 この言われております株主様につきましては、昭和四十五年に株主になられておりますから、それぞれの段階で総務担当レベルでのおつき合いがあった、これは新聞等にも出ておりますけれども。ただ、いろいろな親族企業法人とのお取引というのは平成に入ってからのことでございまして、これにつきましてイレギュラー取引が見つかったというのは、ついつい最近のことでございます。大変申しわけございません。
  12. 金子一義

    金子(一)委員 ちょっと唐突な御質問をしますけれども、何でこの特定株主、いわゆる総会屋利益供与をこういうつけかえでやったんですか。通常、現金を渡すのでしょう、総会屋対策というのは。  これ、こんなつけかえなんてやっちゃったから、我々、ばっかだねなんて。いや、こんなこと言っちゃいけませんけれども、要するに証券取引そのものに対して物すごい影響を与えちゃったですよね。暴力団の事件がありましたね、平成三年。これは損失補てん事件がありましたけれども、こういうのがあるから、証券会社特定企業とか個人に対して利益供与というものをどうも頻繁にやっているんじゃないのと。一件か二件でも、そういうのが不信感として、国の中だけじゃなくて海外に対しても、つまり国内外に対してそういう不信感を与えちゃったというのは、やはり大変残念だと思っているんですけれども、この事件証券業界全体に与えた影響というのを酒巻社長はどういうふうな御認識をされているのか、ちょっとお伺いさせてください。
  13. 酒巻英雄

    酒巻参考人 先生のただいまの御指摘のとおりでございまして、今回のことが、証券市場の発展並びにグローバリゼーション、そして目指すべき東京ビッグバン、ニューヨーク、ロンドンに次ぐ金融センター日本につくるというようなことに対して大変大きなマイナスの問題を提起してしまった、ここのところは本当に申しわけございません。いかに影響を小さくすることができるか、私どもに何ができるか、一生懸命やってまいりたいというふうに考えております。  この総会屋親族企業との取引が、いろいろありました中で、私ども社内調査なんでございますが、数件、非常に納得性の薄い売買がございました。それから自己勘定委託勘定、つまり自己売買お客様売買、これが混在しているというのが発見されましたので、やはりこういうイレギュラー取引が発見されたときはすぐ報告しろということで、証券等監視委員会東京地検に告発ができる、そういう国家機関でございますので、国家機関に対して報告するというのは告発したのと同じだ、そういう意義づけを私は心の中でいたしまして、すぐ報告に行かせました。  また、その後記者会見等もいたしましたけれども、これは捜査妨げになってはいけないということもございましたので、まあ妨げにならない範囲で、やはり株主に対する責任海外にも株主が大勢おりますから、欧米流のやり方と申しますか、いい話も悪い話も問題が起きたときはすぐ報告をしてファイルをする、そして記者会見して公表をする、こういうルールでやってまいりたいと思って行った次第でございます。  いずれにしましても、大変申しわけございません。
  14. 金子一義

    金子(一)委員 今お話ありましたけれども、今回のこの事件が表面化されて、いわば特定株主、いわゆる総会屋との関係を根絶をされるということを御社自身宣言をされるでしょうと思いますし、また、どこかでそれをきちんとおやりになっていただきたいと思います。  さて、今ちょっとお話ありました、証券不祥事が出ると、いわば証券会社自身自己売買委託売買、この部分が混然とするということが必ず出てきますね。前回証券不祥事のときも、損失補てんのときもこの辺が大分議論になりました。  同じことがちょっと繰り返されちゃったんですが、前回平成三年のとき、今いろいろおっしゃったんですけれども、これはやはりきちっとしようよ、部門的にも組織的にも分けて管理しようよと。それから、証券業協会の中にも自己売買ルールがありますよね。今回こういう事件が起こっちゃったということは、このルールが守られなかったのか、もしくは御社自身に何か組織的な欠陥があったのか。ことし初めから調査社内的にチームをつくっておやりになっているということでありますけれども、今二度と繰り返さないという御決意だけでなくて、これからのためにも、具体的に参考人としてはやはり一番何が、ルールがあったってどうも守られないという、何かそんな感じに今のお話だと我々受けとめちゃうんですね。ですから、そこのところ、何が必要か。  これはまさに証券ビッグバン御社証券界リーダーですよ。このビッグバンの中でいろいろな議論がありますけれども、時間がありませんので一点だけ。  今議論されておりますのが、一任勘定を自由化しようか、いわばラップ口座というのをつくろうかとつい最近まで我々は議論していた。だけれども、こういう事件が起こっちゃうと、ちょっとラップ口座、これはしばらくだめだねみたいな雰囲気に今なっちゃってるんです。なっちゃうんです。ですから、そこのところを、何が一番大事なのか、この一点についてだけ。これはビッグバン入り口ですよ。ビッグバンの柱の一つでもありますけれども、デリバティブとかなんとかいろいろなのがありますけれども、まずこの部分についてひとつはっきり、何が必要なのか。そうじゃないと、もうこれはビッグバン入り口論でつまずいちゃいます。  その点と、きょうは時間にきちっと終わりたいと思いますものですから、最後に、これからのビッグバンに、このいわばハンディを乗り越えてリーダーとしてどう進んでいくつもりかの御決意をあわせてお伺いをさせていただきたい。
  15. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答え申し上げます。先生、一点とおっしゃいましたけれども、二点だけお答えをさせてください。  一点につきましては、先ほど委員長のときに御報告申し上げましたように、いかに早いチェックを行って、これ以上し過ぎることはないというぐらいの強化体制をしいて問題を早く戴いていくということではないかな、こう思っております。それ以外方法はない。  ディーリング勘定ブローキング勘定を分ければいいじゃないかというところは、ディーリングブローキングは絶対に分けるわけにはいかないと思います。それは業者理由ということではなくて、マーケット理由で。欧米でもそうでございますけれども、やはり自己売買というのは、ブローキングお客様売買の補完をしていく機能でございますから、そこで問題が起きたことは大変申しわけなかったのですけれども、全体としましてアメリカの十分の一に今マーケットサイズがなっているときに、それを外してさらに小さな市場をつくるというわけにはいかないというのが私の証券人としての気持ちでございますので、そこのところは御理解を賜りたいと思います。  そして一点、どうやっていくのかということに関しましては、今のラップアカウントというようなお話もございましたけれども先生方皆様の御 理解を賜りまして、何とか欧米マーケットに一歩近づくべく、いろいろな手法、いろいろな新商品、いろいろなトレーディングの方法、そういうものを私どもにもお与えいただきまして、マーケットを大きくしていくべく、先生方にもひとつ、まあ問題も起こしたけれども育ててやろうというようなことで御支援賜れば大変ありがたいと思います。よろしくお願いします。
  16. 金子一義

    金子(一)委員 乗り越えて頑張ってください。以上で質問を終わります。
  17. 額賀福志郎

  18. 中野正志

    中野(正)委員 自民党中野正志でございます。どうも御苦労さまでございます。私の好きな社会学者に、上智大学の渡部昇一教授がおります。これからの激動の時代、本物でなければ、生き残ることはできても勝ち残ることはできない。勝ち残れる本物であるためには、一に先見性、二に使命感と情熱、三に組織としての団結力が必要だと言われております。  いよいよ日本版ビッグバンがスタートをするわけでありますけれども、私自身は、野村証券こそは各国の金融資本と戦って勝ち残れる本物金融サービス業者だと実は確信をいたしておったのでありますけれども、今回、総会屋への利益供与事件、あの平成三年の忌まわしい事件の教訓が全く生かされてなく、野村証券に対する私の期待が裏切られてしまったということは、大変残念至極でございます。証券市場から離れつつあります個人投資家へのさらなる裏切りということでもあり、また、証券業に対する国民不信絶望感を増幅せしめた責任は重いと言わなければなりません。  通称つけかえあるいは花がえと呼ばれる行為であったようでありますけれども損失補てんは証取法の五十条の三に違反する、また株主総会対策への見返りで利益供与したということであれば商法四百九十七条違反、完全に刑事犯罪であります。一任勘定で、利益提供額は約八億円と伝えられるのでありますけれども、ただただびっくりしますし、私自身怒り気持ちを抑えることはできません。  さらにまた、値上がりが見込まれる新規公開株、そして新規発行の転換社債など、言ってみれば一般の投資家は手に入れることができない、難しい、そういった有利な商品を優先的に配分をしたと明らかにされておるわけであります。野村証券総会屋側にそこまでの利益供与をなされた、また続けてこられたその背景は何だったのか、酒巻社長、まずお伺いをいたしたいと存じます。
  19. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答え申し上げます。  先生が今冒頭、先見性団結力、そういうものがなければ乗り越えられないぞとおっしゃったことはまさしくそのとおりで、大変申しわけなく思っている次第でございます。  ただいま総会屋に対する利益提供云々、いろいろお話ございましたけれども、それから金額等もマスコミにいろいろな数字が出ておりますけれども、私どもは私ども社内調査の結果、それのみ御報告をしたということで、それ以外のところは東京地検並びに証券取引等監視委員会が今御調査を続けている、御捜査を続けているというところでございますので、ここでのお答えというのは控えさせていただきたいというふうに思っております。  上層部の関与等々については、私は全く報告を受けておりませんし、そういうものはないというふうに確信いたしております。
  20. 中野正志

    中野(正)委員 余分にお答えをいただいたようでありますけれども、いずれにしましても、天網恢々疎にして漏らさずということわざもありますから、私は、いつまでも違法行為が発覚しないと考えた常務もおかしいし、また、少なくとも二人の常務がかかわったということは会社ぐるみだと判断されても仕方がないと付言をさせていただきたいと存じます。  先ほどVIP口座について質疑がありました。私は、これは営業特金の流れを水面下でずっと続けてきた、引き継いできたのがVIP口座だと理解をいたしております。約一万口座だそうでありますけれども、特A、A、Bというランクづけ、一部の顧客だけを特別扱いであったことだけは、私たちもいろいろな話を聞いて承知をいたしております。  先ほど、単なる符号だというお話でありますけれども、私はどうも不可解だ。しかも、第一企業部また公共法人部、率直に申し上げれば新宿支店、初めて申し上げます。企業秘密もあって、VIP口座四の五のと言えない部分はわかりますけれども、特別の計らいをしたことだけは間違いない。  そういう意味で率直に申し上げますけれども報道によりますと、与野党を含めて国会議員も何人かあられる、あるいは監督官庁が含まれるのかどうかわかりませんけれども、役所、官僚もあられるやに伺っておりますけれども、それはいかがでございましょうか。
  21. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答え申し上げます。  VIP口座が特別のお客様利益を提供する、あるいは優遇的な商いをするということは、そういうことは全くないという報告を私は受けておりますが、今先生お話もございましたので、一つだけ申し上げさせていただきたいのですが、その前に、その営業特金の流れを引き継いできたのではないかというようなところは、そういうことはないというふうに思っております。  事務管理上の符号なんですけれども、ここのところにつきましては、ちょっと長くて恐縮なんですけれども、一九五〇年代に国債の大量発行というのがございまして、先生方よく御存じだと思いますけれども、あのときは私ども、国債は一番大事な商品で、証券市場の真ん中でしっかりやっていこう、ですから、個人が一〇%ぐらいだったのが四〇%を超えまして、資金運用部、大蔵省が二〇%、日本銀行が……(中野(正)委員「いや、国会議員あるか、官僚あるかだけ答えてください」と呼ぶ)
  22. 額賀福志郎

    額賀委員長 簡潔に御答弁をお願いをいたします。
  23. 酒巻英雄

    酒巻参考人 はい、特別に利益を与えているというようなことはございません。  ただ、個人お客様をたくさんつくりましたのは、国債の大量発行のときに、台本銀行が一〇%、大蔵省が二〇%、都市銀行が二〇%、そのときに証券界は四二%。ですから、国会の先生方、公務員の皆様、地方の皆様証券界全体で恐らく一千万人ぐらいの有価証券口座を持つお客様をつくりましたので、政治家の皆さんも……(中野(正)委員酒巻さん、質問に答えてください」と呼ぶ)はい、政治家の皆さんが……
  24. 中野正志

    中野(正)委員 一問だけ、小池氏以外の総会屋はありますか。また、某巨大宗教団体、親密なお取り引きが伝えられますけれども、ありますか。それだけお答えください。端的にでいいです、もう時間がないので。
  25. 酒巻英雄

    酒巻参考人 ございません。
  26. 中野正志

    中野(正)委員 終わります。
  27. 額賀福志郎

  28. 保坂展人

    保坂委員 社民党の保坂展人です。野村証券酒巻社長に続けて質問をいたします。  酒巻さん、あなたはVIP口座があるということを以前から御存じてしたか。簡潔にお願いします。
  29. 酒巻英雄

    酒巻参考人 私は、VIP口座は、今度マスコミに出てから知った次第でございまして、その後、報告を受けました。私は営業マンを相当長くやっておりますから、自分でも営業のことはよくわかっておるつもりなのですけれども、これは営業符号じゃなくて事務総務の符号なものですから、知っておりませんでした。
  30. 保坂展人

    保坂委員 マスコミから今回知ったということで、当然社内調査されたわけなのでしょうが、そのVIP口座のすべてをお知りですか、それとも一部のみを把握しておられますか。
  31. 酒巻英雄

    酒巻参考人 統計もありませんので全部を掌握しておりません。ただ、件数にいたしまして一万件ぐらいの口座になるだろう、全国ばらばらで運用されておりますので、それをまとめるとそれぐらいになるかなということでございます。
  32. 保坂展人

    保坂委員 それでは、あなたの把握されたVIP口座の中に、政治家、暴力団あるいは官僚の名前がありましたか。
  33. 酒巻英雄

    酒巻参考人 個別のお名前については、一々報告を受けておりませんので、わかりません。
  34. 保坂展人

    保坂委員 証券スキャンダル国会のときに本が何冊か出ております。これを読んでまた愕然とする思いなのですけれども、あのときに、損失補てんだとか一部特定顧客利益を確保するということは、つまり一般のそうでない投資家について損をさせるということが再三指摘されていたはずなのです、このことについて。損失を強いる口座があるわけです。なければ利益が確保できないと思うのですが、どのような口座が損をさせられたのか、どういう認識でおられるか、簡潔にお願いします。
  35. 酒巻英雄

    酒巻参考人 野村証券自己勘定がマイナスになったということでございます。
  36. 保坂展人

    保坂委員 自己勘定がマイナスになったということでは逃げられないと思いますね。株式市場が低迷して、そして一般投資家が離れているというのは、明らかに野村証券、あるいは他の証券会社もそうでしょうけれども、不正な取引、公正なルールにのっとっていないいわばルール違反が行われたということに対する怒り、そして不信感ということをあなたは受けとめていないのですか。
  37. 酒巻英雄

    酒巻参考人 いや、本当はお時間をいただいてきっちりおわびを先生にも申し上げ、御報告したいのですけれども、とにかく証券市場で一番大事なことはフェアであるかないか、そのフェアであるかないかというところを侵したわけですから、これはもう万死に値する、そういうふうに私は心得ております。  そこのところの、一般の投資家の皆さんと、それから一部の特定イレギュラーな形で得た利益、というところは、もう幾ら言葉を尽くしても弁明の余地は全くございません。
  38. 保坂展人

    保坂委員 前回の証券スキャンダルを受けて、野村の酒巻さんの前社長である田淵さんが辞任をされる、そこで責任をとられる、区切りをつけるということがあったかと思います。  しかし、今回このような、総会屋親族企業に巨大な、これは一般庶民からとってみれば気の遠くなるような巨大な金銭が確保されていくということが起きたわけです。これは酒巻さんが前社長から引き継いできたことではないのですか。そこにメスを入れて再生野村とうたったはずなのに、これが続いていたということは、どう考えてもそのようにしか見えないのですが、その点いかがですか。
  39. 酒巻英雄

    酒巻参考人 その経営責任はもう一身に我にありというふうに思っております。引き継いできてもおりませんし、また報告も最近受けたということでございますけれども、こういうあってはならないことが起きていた、しかも信頼している役員二人によってそういうことが起きたということは本当に無念でございまして、社会に対して、マーケットに対して一言もございません。本当に申しわけございません。
  40. 保坂展人

    保坂委員 あなたの信頼していた二人の常務ですか、野村証券をよく知る方の話を何人からも伺うと、その常務の判断でこれだけのことができる会社ではないということをたびたび聞くわけです。酒巻さん、本当に御存じなかったのですか。勝手にやったことなのですか。あなたの責任、あなたの指導監督、あなたの把握はないのですか。
  41. 酒巻英雄

    酒巻参考人 社長業というのは、世界じゅう外へ向かって外交で出回っておりまして、社内にいることはほとんどないのですけれども、それぞれの担当役員に権限を委譲してそれぞれの守備範囲を守ってもらうというシステム、まあ事業部制のようなシステムで当社は運営されておりますので、一々の商いであるとか伝票であるとか、そういうものに関知して一々その報告を受けるというシステムに私ども全くなっておりませんで、そういう点では、酒巻は知っているのかと、これは本当に知っておりませんで、そのこと自体が後で大きな問題を起こしたということは、本当に恥じ入るばかりでございます。
  42. 保坂展人

    保坂委員 では関連して、一月十日、野村新宿支店で、いわゆる事件性を帯びた株だと言われるTDFの株式が一瞬にして百七十万というもう莫大な数で動く、いわゆる異常な取引が行われたわけですが、この事件も、新宿支店の担当者の単純な行為だ、不届きな行為だというふうに言われているようですけれども、こんなことはできるのですか。社内規定や、それこそシステムの中でそんなめちゃくちゃなことができる会社なのですか。
  43. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答え申し上げます。  この件に関しましてはきちっと詳細にわたって報告を受けているわけではございませんが、問題が起きましたときに私が聞きましたのは、担保があって、上場会社の社長さんから注文をいただいた、それを私どもの若い社員が執行した。その裏の方でどういう商いの広がりがあるのかとか、そういうことに関しましては今いろいろお取り調べ中のようでございますので、きっちりお取り調べをいただいて、私どもで、是は是、非は非、そういう対応をきちっとしてくれというふうに関係者に申し上げておるところでございます。
  44. 保坂展人

    保坂委員 そうなると、その異常な取引も一担当者の独断でできる。そしてまた常務の方も、これは、それそこ証券スキャンダルで日本証券業界をもう解体しかねないことがその常務お二人の判断でできる。これではもう社会的な信頼を担保する企業とは言えないのではないでしょうか。  今回、酒巻さんおやめになる前に、日本証券業界全体のこの構造的な体質、つまり野村以外にもこれは指摘されているわけです。不祥事はたくさん起きている。いっそのこと免許を返上する、野村を解体するという決意はなかったのですか。
  45. 酒巻英雄

    酒巻参考人 変動商品を扱っておりますといろいろな問題がどうしてもいつも起きて、またそれを、申しわけない、再生を誓うというのが何回も続いておりまして、私も本当にざんきにたえない、断腸の思いという気持ちでございますけれども、今先生がおっしゃいましたような大蔵省から証券業の免許をいただいてやってまいりまして、何とか内灘から外洋へ出て外資系証券とも戦いたい、こういうふうに思ってやってまいりましたものにつきましては、もう一度チャンスをお与えいただきたい、一生懸命やってまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。現執行部もそういう気持ちでやっていると思いますので、よろしく御理解のほどを。
  46. 保坂展人

    保坂委員 日本市場の健康な再生のために、今の酒巻参考人の御発言が真実であることを心から願って、私の質疑を終わりたいと思います。
  47. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、北側一雄君。
  48. 北側一雄

    ○北側委員 北側一雄でございます。  両参考人におかれましては、大変お忙しい中大蔵委員会に御出席をいただきまして、ありがとうございました。  両参考人も御存じかと思いますが、今この大蔵委員会ではどういう法案を審議しておるかといいますと、外為法なのですよ。外為法の改正の審議をしておりまして、恐らくまた近々日銀法の、これはもう全面改正でございます。これがこの大蔵委員会で審議をなされます。橋本総理が打ち上げられました東京ビッグバン金融制度改革、これに関連する制度改革の法案を今審議しておるわけでございます。恐らくこの秋の臨時国会、来年の通常国会と、我が大蔵委員会はこの金融ビッグバンに向けてのさまざまな制度改革、規制緩和も含めた、また税制の面も含めた改革をしていくための法案審議、制度改革の審議を今やっておるわけでございます。  金融制度改革を進めまして、市場の効率性とか利便性というものを高めていって、この日本の東京市場というのを活性化しよう、グローバルスタンダードに適合した、ロンドンやニューヨークにも負けない、そういう市場にしていこうということで今制度改革の審議をしておるわけでございますが、そういう中で今回の事件があったわけでございます。  幾ら制度改革を進めたとしても、やはり証券業界の持っている、今回の事件にあらわれるような体質が残っているならば、私は、幾ら制度改革をやっても投資家はこの東京市場にはやってこないと思います。東京市場に対する信頼があって初めて、公正な市場であるという信頼があって初めて投資家が投資をしてくるわけでございまして、私は、この際徹底して事実の解明をしないといけない、事実を明らかにする必要がある、今後の再発防止のためにも事実をしっかりと究明する必要があるというふうに思うのです。再発防止をするためには、あいまいにしてはいけない。  私は、当委員会できよう両参考人に来ていただいておりますのも、特に酒巻参考人に来ていただいておりますのも、事実の解明をしっかり進めていって、今後の再発防止、もう二度と、今度このようなことがあったら日本証券市場はもうだめです、もしかしたらもうだめかもしれない、そのことは酒巻社長参考人が一番よくわかっていらっしゃるはずです、その中で長年おられたわけでございますから。そういう意味で私は、ここは徹底してうみを出していただきたい、事実を徹底して明らかにしてもらいたい、そう思うわけでございます。  社内検査を今回の件でなされておると聞いております。いつからどのような体制で、この社内調査社内検査を今回の件でやっておられるのか、御答弁をお願いいたします。
  49. 酒巻英雄

    酒巻参考人 社内調査につきましては、今年に入りましてから、特別なチームをつくりまして実施をしてまいりました。  去年の夏に証券等監視委員会の特別調査が入りまして、そしてエクイティ本部、株式のところですけれども、ここのところで損失補てんとかインサイダー取引とか、そういう疑義があるということでお調べが始まりまして、私ども関係のところも御協力をしながら進んでまいったわけですけれども、マスコミにもいろいろ出る、全国紙にも年末年始出始めるという状況が続きましたので、どうもこれはおかしいぞ、我々が問題はないというふうに経営会議等で報告を受けておりましたのはおかしいなということで、特別調査を命じました。  全く役員をかえまして、違うラインで違う角度で調べましたところ、先ほど御報告いたしましたように、一任的と見られても仕方がない取引が出てきた。それから、自己勘定利益顧客勘定へつけかえたのではないかなという疑義のある商いが出てきた。残念でありますけれども、二人の常務が関与していた。これは大変だし、マーケットに対して責任を負うと新聞広告まで出してスタートいたしましたので、こんな重いことはすぐ報告もし、ディスクローズもしということで進まなければいかぬなということでまいってきたというのが実際でございます。
  50. 北側一雄

    ○北側委員 証券監視委員会野村証券に今回の件で調査に入ったのはいつですか。
  51. 酒巻英雄

    酒巻参考人 昨年の七月でございます。
  52. 北側一雄

    ○北側委員 昨年の七月にSECが調査に入っていて、どうしてことしの初めになって社内調査が始まるのですか。もっとSECが入った時点で、SECが入るわけですからこれは何かあるかもしれないということで、社内社内検査、社内調査をするのが当たり前の話じゃないですか。私は、もっと早く機敏に対応して、社内でそういうチェックをしていくということが、そもそもこの一例を見て私はあらわれていると思うわけでございます。  ことしの初めから調査をされておられるわけでございますので、これから私は具体的な事実関係についてお聞きをしますので、ぜひお答えを願いたいと思います。  まず、言われております総会屋との関係でございます。野村証券とこの総会屋との関係でございますが、野村証券とこの総会屋との関係というのは、いつから始まっておるのでしょうか。そして、今日までどういう経緯で御関係があるのでしょうか。
  53. 酒巻英雄

    酒巻参考人 当社といつごろからおつき合いをされているかについては存じ上げておりません。  ただ、先ほど御報告しましたように、昭和四十五年に千株の株主さんになっておられるというのが事実でございますから、いろいろな形で総務関係ラインでおつき合いというか、関係があったのかなというふうに感じております。
  54. 北側一雄

    ○北側委員 昭和四十五年に千株の株主になられたというお話でございます。  新聞報道等によりますと、この総会屋の方は、みずからの名義や、また関係者関係会社等の名義で野村証券の株式を約三十万株保有をしておるというふうに聞いておりますが、これは間違いございませんか。
  55. 酒巻英雄

    酒巻参考人 社内で調べさせまして、法人企業のお名前で三十万株の株主さんでいらっしゃるという報告を受けております。
  56. 北側一雄

    ○北側委員 法人企業の名前で三十万株を保有している。これはいつから三十万株保有するようになったのですか。
  57. 酒巻英雄

    酒巻参考人 一九八九年、平成元年の初めだと思います。
  58. 北側一雄

    ○北側委員 この株の問題は、また後でお聞きをいたします。  次に、野村証券の中に取引口座を開設した、この総会屋の親族名義、また親族会社名義で口座を開設した。これは、いつ、どの部局に、だれの名義で口座を開設したのか、その推移をお答えください。
  59. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答え申し上げます。  社内調査結果が発表されまして、いろいろ調べたわけですけれども親族企業社長名義の口座は、平成元年、一九八九年に当社の本店営業部に開設されました。現在は口座はないという報告を受けております。  親族企業社長名義でない会社の方、法人企業の方でございますが、親族企業口座は、平成五年、一九九三年に私どもの本店第一企業部に開設されているという報告を受けております。
  60. 北側一雄

    ○北側委員 八九年に親族名義で本店営業部に取引口座を開設した。その取引口座を開設するいきさつなのですけれども、きのう、きょうの報道なんかによりますと、野村証券の秘書担当の役員が指示をして開設されたという報道がございます。これは間違いないのでしょうか。
  61. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答えいたします。  これは間違いないと思います。  今、総務部と言っておりますけれども、その当時は、総合企画室に株主課というのがございまして、秘書に渉外課というのがございまして、この秘書と企画、このラインでもって株主さんとのコミュニケーションとかいろいろな株主総会の資料の発送とかいうのは全部やっておりますので、間違いないと思います。
  62. 北側一雄

    ○北側委員 九三年から第一企業部口座を開設されている。これは親族企業名義で開設をされているというお答えでございましたけれども、第一企業部というのは、私の聞いているところによりますと、店頭公開を目指す企業をバックアップしていく、支援をしていく、これが主たる業務であるというふうに聞いています。そういう意味で、この総会屋親族企業口座があること自体、極めて不自然、異例なことではないかと思いますが、これはどうでしょう。
  63. 酒巻英雄

    酒巻参考人 先生御存じのとおり、アメリカに比べて店頭公開企業の数が日本は七分の一がそこらだと思いますけれども、今私どもの第一企業部というところで担当させていただいております、これからマーケットを目指す、公開をしたいという企業は三千四百社ございまして、その中で仕事をしているわけでございますけれども、一番最初にこの役員が話を聞きましたときは、不動産の会社でございましたし、不動産の会社さんは随分たくさんお客様にもいらっしゃいましたので、お取引をしたいというのに対して、ああ、それはわかったということで、もう本当にワンジャッジでお受けした、そういう報告を受けております。  公開を目指す仕事の方がもちろんメーンでございますけれども、いろいろな売買の方も行ってい るというのが実情でございます。
  64. 北側一雄

    ○北側委員 今のお話は余り納得できません。  不動産の仲介の仕事はほとんどされておらない企業だというふうに私は聞いております。実際、この企業の損益計算書なんかを見ましたら、こういう不動産取引によっての収益なんというのはほとんどないのですよ。そういう企業。そして、この九三年ごろですと、資本金が四千五百万という企業なのですね。そういう企業が第一企業部口座を開設するというのは、これはやはり極めて異例な話でありまして、異例であるということは、恐らくそれをわかっていた方は、これはおかしいなというふうに当然思われていたのだろうというふうに私は思うわけでございます。  次に、この総会屋側への利益供与の問題、今回問題になっておりますね。これを具体的にお聞きをいたします。  この利益を供与した方法でございますが、三月六日の斉藤副社長記者会見によりますと、総務担当常務が、いいニュースがあったら対応してくれと商品担当常務に依頼をしたのだというのをおっしゃっているのですね。総務担当常務が、いいニュースがあったら対応してくれと商品担当常務に依頼した、依頼があったのだと。これは事実でございましょうか。そして事実であれば、いつごろ、このような依頼を総務担当常務が商品担当常務にしたのでしょうか。
  65. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答え申し上げます。  総務担当役員の藤倉常務が着任しましてから、株式担当役員の松木常務にそういうことを申したというのは私も確認いたしましたので、そのように承知しております。  いつ、何日ごろだったのかというのはちょっと定かでございませんで、大変申しわけございません。
  66. 北側一雄

    ○北側委員 それでは、同じくその斉藤副社長記者会見で、今もう私名前を読まないでおこうと思ったのですけれども、名前をおっしゃったので私も名前を言いますが、要するに今のお話は、総務担当の藤倉常務から株式担当の松木常務の方に依頼があったのだということですね。なぜ藤倉常務が松木常務に依頼したのかということについて、斉藤副社長は、藤倉常務はもうけさせてもらいたいと言われたからだと。このもうけさせてもらいたいというふうに言われたのは、この総会屋の方からそのように言われたというふうに理解してよろしいわけですね。
  67. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答えいたします。  この辺のところが、私ども社内調査等の限界もございまして、わからないところがありまして、したがいまして、監視委員会の方へ御報告を申し上げまして、いろいろ今御捜査いただいているというところでございます。  法令違反を犯してまでもうけてほしいというようなことではなかった、ただマーケットがゼロ成長で、なかなか有価証券利益が上がるような状況下ではなかったような背景があるものですから、何とかいい情報があったら教えてやってくれ、そういうふうに言ったんだというところまでは報告を受けております。
  68. 北側一雄

    ○北側委員 松木常務はこの総会屋もしくは総会屋親族企業との面識はあったのでしょうか。
  69. 酒巻英雄

    酒巻参考人 なかったとの報告を受けております。
  70. 北側一雄

    ○北側委員 松木常務は面識はなかったというわけですね。面識がなかったということは指示がなかった、取引の。具体的な指示がありようがないということですね。
  71. 酒巻英雄

    酒巻参考人 総務担当の役員から頼まれた、それで実行をしたということでございます。
  72. 北側一雄

    ○北側委員 ですから、個々の取引、どの株を何株買うんだとか売るんだとか、そういう注文についてあったわけじゃないんだ、要するに松木常務の一任勘定でやったんだという趣旨でございますね。
  73. 酒巻英雄

    酒巻参考人 ほとんどは株式担当役員が銘柄とか値段とかそういうものを判断して行った、そういうふうに私は思っております。
  74. 北側一雄

    ○北側委員 先ほどの話では、この口座は九三年から第一企業部にございます。口座があるのは第一企業部口座が置かれているところには、当然この口座担当者がおるわけですね。名前は結構ですけれども、この口座担当者、どういう立場の方がこの口座担当者だったわけですか。
  75. 酒巻英雄

    酒巻参考人 第一企業部の次長でございます。その上に第一企業部役員がおるということでございます。
  76. 北側一雄

    ○北側委員 そうすると、個々の取引については大方松木常務の一任勘定で、松木常務から指示があるわけですね。今申された第一企業部口座担当者、次長さんですか、そのところに株を幾ら幾ら買え、売れ、こういう指示が具体的にあるというふうな方法でなされるわけですね。
  77. 酒巻英雄

    酒巻参考人 そのところも今捜査中のところ、進行中のところというところだと思いますので、ここのところはお答えも、私もここらの中のところまではわからないものですから、お答えを控えさせていただきたいというふうにお願い申し上げます。
  78. 北側一雄

    ○北側委員 だって口座は第一企業部にあるわけですから、第一企業部担当者が実際伝票をつくらないとできませんよね、取引は。ですから、当然松木常務から第一企業部の次長のところに取引の具体的な指示があるわけでしょう。そういう方法じゃないのですか。
  79. 酒巻英雄

    酒巻参考人 形式的な担当者として、我々の用語でエグゼキューションというのですけれども、注文を通すところを担当していたということだと思います。
  80. 北側一雄

    ○北側委員 時間を含めまして、伝票の偽装、偽造がなされたということですね。
  81. 酒巻英雄

    酒巻参考人 ここのところに関しましては東京地検証券等監視委員会の合同捜索を受けましたので、ここにおゆだねをして結論を待ちたいというところでございます。
  82. 北側一雄

    ○北側委員 斉藤副社長記者会見をなされております話というのは、九五年三月十五日の富士銀行株ですか、この取引に絡んで利益供与がなされたということでよろしいのでしょうか。
  83. 酒巻英雄

    酒巻参考人 言われております都市銀行株について、納得性の薄い、疑義のある取引があったと手前どもでは判断いたしまして、それをお届けしたということでございます。
  84. 北側一雄

    ○北側委員 ですから、その疑義がどういう疑義だったのか、もう少し具体的にお答え願えませんでしょうか。
  85. 酒巻英雄

    酒巻参考人 これは一日も早く、どういうような御判断が出るかお待ちしておるというところでございますが、伝票というのは、自己売買の伝票、それから顧客勘定の伝票、執行時間の伝票、そういうものがいろいろあるわけでございますけれども、伝票の時間等が全く同一であったとかいうようなことで、そういうものがございませんと、これはおかしいなというようなことになかなかならないわけでございまして、おかしいなというのがあったものですから、あと社内でも深く調べて、本人にも聞いて、それでおかしいと確信を持ったものですから、お届けしたということでございます。
  86. 北側一雄

    ○北側委員 富士銀行株の九五年三月十五日の自己売買に絡めて利益供与があったということで間違いないわけですね。
  87. 酒巻英雄

    酒巻参考人 手前どもではそう思っております。これからいろいろな総合判断というものが出てまいろうかと思いますけれども、資料とかそういうものが非常に限定的でございましたので、その限定的な中で判断をした結果、まず間違いないなという判断を下しました。
  88. 北側一雄

    ○北側委員 この富士銀行株だけではなくて、利益のつけかえはほかにもなされておるというふうな報道もございますし、斉藤副社長記者会見でも、違法と思われる取引が五本あったというふうにおっしゃってもおられます。ですから、これ以外にも利益のつけかえが行われておるということでございますね。
  89. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答え申し上げます。  私どもで調べましたところは、三銘柄疑わしい、イレギュラー取引があるのではないかなというふうに判断をいたしておりますけれども、斉藤副社長記者会見のときは、あと二銘柄ぐらいあるのではないかというふうにいろいろ御指摘を受けたのか、その辺、払いたわけじゃないものですからわからないものですから、三から五銘柄ぐらいが大変疑義があるという記者会見での返事だったわけでございますけれども、手前どもでは、三銘柄はおかしいということでお届けしたというところです。
  90. 北側一雄

    ○北側委員 それでは、今こうやって問題になっておる利益供与をした理由、動機は一体何だったんでしょうか。
  91. 酒巻英雄

    酒巻参考人 ここのところも、なぜ役員イレギュラー取引までしてそういう商いを行ったのか。証取法が改正されましたのが一九九二年でございまして、私は、その前の年、大蔵省の審問手続、新聞記者の皆さんも大勢見ている前でそういうものを受けましたので、証取法を変えて禁止行為等がどんどん省令とかそういうものからランクアップされて、本当にきちっと守らなければいけないぞというのを骨身にしみて思っておりましたので、なぜこういうことになったのかというところは、本当に残念でなりません。こういうことも含めて今御捜査をお待ちしておるというところでございます。
  92. 北側一雄

    ○北側委員 なぜ社内でこのことがわからなかったのか。九一年の証券不祥事の後に業務管理本部というのが設置をされて、内部の管理体制の強化を組織的にも図られたはずでございます。どうして今のこの件が、社内では上の方に上がってこなかったんでしょうか。社内管理体制がなぜ機能しなかったんでしょうか。
  93. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、前回不祥事以降内部管理体制の整備を行ってまいりましたけれども、エクイティ本部担当の常務自身がそこでブロックされたというような状況になっておりますので、遺憾ながらチェック機能が十分に機能しなかったというところでございます。残念で残念でなりません。申しわけございません。
  94. 北側一雄

    ○北側委員 エクイティ本部の常務のところでブロックをされたとおっしゃいますけれども、それも私には納得できません。  今回のこの利益供与というのは、部局で言いましたら、松木常務はエクイティ本部、株式担当常務でいらっしゃる。そして、総務担当常務の藤倉さんから、対応してくれという話があったんだと。実際、取引をやっているのは第一企業部でございます。この第一企業部の担当の役員の方というのはいらっしゃいますよね。(酒巻参考人「もちろんおります」と呼ぶ)この方は、このことを御存じじゃなかったんですか。
  95. 酒巻英雄

    酒巻参考人 一番最初に口座が開設されましたときは役員が頼まれていますから、それをワンジャッジでわかったと言って返事しておりますから、当然、口座の開設というのは知っておりますので、役員は知っていると思います。  ただ、さっきちょっと申し上げましたように、株式、エクイティの方で判断をして、銘柄等を決めて、あるいは価格等とか数量とかそういうものを決めて、それで企業部の方へ連絡をとるということで、企業部営業マンの方は形式的な実行者というのが現実でございましたので、一回一回そういう商いの報告をそこの常務が聞いていたということは全くない、そういうふうに聞いております。
  96. 北側一雄

    ○北側委員 じゃ、その点はまた改めてお聞きします。  会社の副社長とか専務という方、代表権のある取締役の方でございますが、この副社長や専務というのもそれぞれ御担当を持っておられますよね。
  97. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答えいたします。  副社長というのは、私どもでは社員名簿にもその肩書とかそういうのは一行も書いてございませんで、ヨーロッパ駐在とか大阪駐在とかいうのは別として、それ以外の副社長は、まあ真っ白、何にも者かてございません。それは、主な担当というのはございますけれども、副社長というのは社長を補佐して世界じゅう見てくれ、いろいろ意見があったら何でも社長に言ってくれ、そういうシステム権しております。  ただ、日常の業務につきましては、大概、これは商品、これは法人、これは海外、これは個人営業とか、大まかな範囲がございます。その中で、専務については、管掌専務というような言葉を使って、もう一つくくっておるというところでございます。
  98. 北側一雄

    ○北側委員 ですから、日常業務である、例えばエクイティ本部だとかそれから第一企業部だとか、そして総務部だとか、そういうところには担当常務だけではなくて、もっと広い意味で、広く上から監督をされておられるといいますか、担当をされている副社長や専務というのはいらっしゃるわけでしょう。
  99. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答えいたします。  当社の場合は、ほとんど担当常務が仕切ってやっております。一例ですけれども野村証券札幌支店、野村証券福岡支店というのは、そこの支店長が福岡野村の社長だ、札幌支店の支店長は札幌野村の社長だ、そう思ってやれ、そういうカルチャーの中で育てられてきておりますので、一々担当常務が担当専務へ、副社長へ、社長へ、そういうラインにはなっておりません。大体専務以上はもうほとんどお客さんのところへ打って出る、外へ外交に回っているというのが現実でございます。
  100. 北側一雄

    ○北側委員 いや、副社長も複数いらっしゃるわけです。専務も。それぞれ大きく担当を決めるのが普通だと思いますよ。  酒巻参考人は、九一年に社長につかれるまで、八一年に取締役になられた、八四年常務、八六年に専務、そして八八年に副社長というふうに、それぞれ就任をなされておるというふうに聞いております。社長に就任なされたのは九一年でございますが、それまで約十年間役員をしておられたということでございます。この十年間、社内でどのような分野を担われておられたんでしょうか。
  101. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答え申し上げます。  ちょっと怒られるかもしれませんけれども、長くて恐縮なんですが、私は梅田支店の支店長というものをしておりまして、いよいよ国債の大量発行だ、国債という商品をマーケットのど真ん中に据えてしっかり仕事をするためにはボンドのプロが必要だ、私はボンドのプロでもないんですけれども、おまえ来いと言われて、公社債部長というのに着任いたしましたのが、昭和で言いますと五十四年の暮れ。その後、六・一国債の暴落というんで、国債が七十三円まで下がるというようなことになって、先ほどちょっと皆さんにおしかりを受けましたけれども、しつかり国債の仕事をしようということになったわけでございます。債券の後、六十年代に入りまして、企画、財務、人事、秘書、システム、いわゆる管理部門全域を担当せよということで、全く未知の領域に振られまして、その後社長になるまでは、証券取引審議会とか金融制度調査会とかいわゆる金融・証券の乗り入れのところの、会長社長の補佐役のようなことを主にやっておりました。
  102. 北側一雄

    ○北側委員 今のお話では、企画とか秘書とか、そういうところも御担当されておられたわけですね。要するに総務畑も御担当になっておられたわけですね。それは間違いないですね。(酒巻参考人「はい」と呼ぶ)そうしますと、私がちょっと不可解なのは、総会屋法人名義で野村証券の株式約三十万株を八九年から保有をしておったというさっきの話なんですね。そうだとすると、三十万株というのは、これは並の株式数じゃございません。  ちょっと私調べさせていただいたんですけれども、例えばこれは去年の野村証券有価証券報告書です。ここには役員の皆さんの株式保有数が公表されております。公表されておるものですから、ここで私申し上げてもいいと思うのですけれど も、例えば参考人酒巻社長、当時でございますが、この平成八年の有価証券報告書ですと六万九千株になっているのですね。ほかの役員の方を見ましても、本当に数万株、また一万株もない方もいらっしゃいますし、ただお一人だけ、田淵節也元会長、昔の会長は三十六万株保有されているというふうに報告書に挙がっておるわけなんですよ。  ということは、この三十万株というのは、田淵元会長と同じような株数を保有しておるわけでございまして、総務部担当の役員の方々がこの企業を知らないわけないというふうに常識的には思えるんですが、いかがですか。
  103. 酒巻英雄

    酒巻参考人 全く存じ上げておりませんでした。
  104. 北側一雄

    ○北側委員 私が聞いている話によりますと、これまで、証券会社、どこの会社もそうかもしれません、大企業は。総務部の大きな仕事の一つは、株主総会を平穏に終わらせること、これが大企業の総務部の大きな役割の一つだ、そういうふうに聞いておりますし、だからこそ、株主課とかいうのが総務部の中にあるわけでございましょう。そうすると、三十万株も保有しているところについて関心を持たないことなんか絶対あり得ませんし、その方はどういう人でどういう仕事をされていてと、関心を持って接触をされるのは当然であると思います。今の参考人の御答弁には納得できません。  もう時間がございませんので次の質問に移りますが、この総会屋側への利益供与の問題でございますが、今回記者会見等でもお認めになられている取引だけではなくて、それ以外にも有利な商品なんかの配分をなされているとか、またさまざまな取引がなされているというふうに聞いておるわけでございますが、この九三年に開設された親族企業名義の口座では、これまでどの程度の取引がなされていたんでしょうか。概略で結構でございます。お答え願えますでしょうか。
  105. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お取引の内容につきましては、守秘義務でというようなかたい言葉ではなくて、私の気持ちといたしましては、個々の商いであるとか損益であるとか、こういうものについてはとにかく、金融機関、銀行とか証券は、そのお名前を個別に申し上げるというのは何とか差し控えさせていただきたい。これはやはり私どもの、商人といいますか前垂れをかけて仕事をしている気持ちでございますので、生命線でございますので、そこの守秘というところは何とか守らせていただきたい、申し上げないで御容赦をお願いしたいという気持ちでございますので、よろしくお願い申し上げます。
  106. 北側一雄

    ○北側委員 では、こう聞きましょう。  松木常務は、先ほどの話で、一任勘定取引を第一企業部の担当の人に指示してやっておるということでございます。これは九五年から始まった話なんでしょうか。九三年の口座開設のころからこうした一任勘定取引がなされておるのじゃないんでしょうか。
  107. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答えいたします。  恐らくそのようなことではないかなと私も思います。きちっといつからと確認したものじゃないものですから、きっかりしたお答えができなくて恐縮なんですけれども、その前後、その延長線上でやっておったというふうに思います。
  108. 北側一雄

    ○北側委員 私の調査したところによれば、九三年、この口座を開設した直後からこうした一任勘定取引がなされているというふうに聞いております。そして毎月の統計上、第一企業部では、この企業口座売買代金、買い付け株数、利益額等々、ほかの口座に比べて群を抜いてトップを走っているというふうなことを聞きました。  そして実際、九一年の証券不祥事の後にできました業務管理本部、実際にこの第一企業部を担当しておったのは法人管理部でございますが、この法人管理部がこれはおかしいぞということを、法人管理部と第一企業部の幹部との間の定期的な会合で何度も、これはおかしい、どういうことだというふうに指摘をしておったというふうに聞いております。  例えば何がおかしいかと言えば、口座担当者の次長が、例えばその口座の名義人のところにあいさつも行っていない、どういう人かも知らない、面識がない、それじゃおかしいじゃないかということが話題になっておるとか、先ほど申し上げた第一企業部顧客にはふさわしくないというふうな話だとか、非常に頻繁に利益を上げているとかというようなこともございまして、何度か業務管理本部法人管理部と第一企業部の幹部との間でおかしいじゃないかおかしいじゃないかというやりとりがあった。  ところが、最終的にその第一企業部の方の幹部がどういうふうに言ったかというと、この口座は例外なんだ、上の方から注文が来るんだ、第一企業部ではだれも面識もなく、電話での注文もあるわけじゃないんだ、こういう話をしておるということで、口座開設直後から、現場の、チェックをする法人管理部と第一企業部との間ではこういうやりとりがなされていたわけでございます。  だから、そういう意味では、社長に就任なされてつくられたこの業務管理本部というのは機能しようとしていたわけです。ところが、それが結果として防止できなかったということになっておるわけでございまして、私は、やはりこれは単にお二人の常務だけの話ではないんじゃないのか。そこまで、そういう会議テーブルでおかしいぞということが話題になっているぐらいですから、やはりある程度上層部の方々が黙認、認識をされていなかったら、これは九三年から九五年、九六年と続くわけでございますが、長い間そうした一任勘定取引なんかできるわけないわけでございまして、私はそう思いますが、いかがですか。
  109. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答え申し上げます。  前回不祥事以降、日本証券業協会でもいろいろなチェック体制をつくりまして、内部管理責任者であるとか内部管理統括責任者であるとか、それは代表権を持っていなければいけないとか、それから営業マンについても試験を受ける、内部管理者についても協会のテストを受ける、そういう者が任命されて、そういう総合チェックがワークするようにというシステムをつくったわけでございますけれども、そういうシステムがワークしませんで、結果、上の方へ、おかしいことがあればおかしいといって上げるカルチャーというのは私は野村証券にはあると思いますし、そういうカルチャーを持つ会社でなければグローバルなんて言えるわけもないと思ってやってきましたので、そこのところはもう残念で仕方ありません。  ただ、いろいろな会議があって、そこでいろいろな話が仮にあったとしても、今の話は私は聞いていないのですけれども、とにかく上げてもらいたいなと。それで、おまえどう思うんだ、そういうことが常務、専務、副社長とかいうような形で上がる会社にしなければいかぬなと、今の先生お話を聞いて、本当につくづくそう思っている次第でございます。そこのところのやりとりをいろいろな役員が全員知っているということではないと思いますので、ここは御理解賜りたいと思います。
  110. 北側一雄

    ○北側委員 私はそうは思えません。三十万株も保有をしているところの口座が開設されて、一任勘定取引をされて、それも多数の取引がなされて、時にはプレミアム商品と言われるようなものも手当てをなされて、そうしたことが上層部の黙認なしにできるとは私には思えません。  時間がないので、次の質問に参ります。  VIP口座についてお聞きをいたします。  先ほど来、このVIP口座について、単に符号意味なんだというふうなことをおっしゃっておられます。来店電話での応対などで留意をする必要があるお客さんなんだ、単にそれだけの符号でございますというお答えがございますが、単にそれだけの意味お客さんであったら、そんなの大半のお客さんがそうじゃないですか、というふうに私には聞こえますよ。だから、やはりそれなりの意味を私は持たせておられたんだろうというふうに思います。  お聞きをしたいのは、私は、そういう意味では、 VIP口座という符号がつけられているいないというのは、そんなのはどうでもいいのですよ、そんなことは。問題はその取引なんです。口座を通しでなされている取引、またどういう商品を割り当てられているのかという取引内容が私は問題なんだというふうに思うのです。私自身が二月七日の予算委員会で、これは名前を申し上げていませんよ、取り上げましたのは、そのVIP口座という符号のことを取り上げたわけではございませんで、こちらの内容が問題なんじゃないのというふうに私は言わせていただいたわけでございます。  当時バブルの時期に十五銘柄でしたか、新発の転換社債を数年間にわたって、それも一単位じゃございません、百万円単位ではなくて数百万単位で十五銘柄も受けられているというのは、これは当時の中で、新発の転換社債は株をやっている人だったらみんな欲しかったのだけれども、だれも一般投資家なんか手に入らなかったわけですよ。それが個人のある方に、数年間に十五銘柄も、それも一単位ではなくて数単位配分されているというのは、これは優先配分じゃないかということを申し上げたわけでございます。参考人はそう思われませんか。
  111. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答え申し上げます。  株式であるとか転換社債であるとかいうのは変動商品でございまして、私も若干公社債部におりましてわかっておりますけれどもマーケットというところは、鉄砲水みたいにお金が入ってきて一日十億株できたと思えば、あるとき潮が引くように去って二億株になる、そういう中でその変動している商品をどう扱うか。これは公平に、マーケットに忠実に扱うしかないのですけれども、それでもいろいろなことが起きるというようなことで、日本証券業協会理事も和しておりましたので、例えばこの配分ルールというようなものにつきましてもそのときの理事会決議というのがあって、私も理事ですから出ておりますけれども、いろいろな数量を決めたりしております。それからまた、考え方といたしましても、個人投資家等への広く公平な消化の促進、公正を旨として配分しろというような規則もございますので、そういうものにのっとってやってまいった。  先ほど先生が申された方の話は、私は聞いてまいりましたけれども、私ども関係者の判断並びに報告は、これは通常取引をさせていただいたというふうに申しておりましたので、そのように報告をさせていただきます。
  112. 北側一雄

    ○北側委員 私にはそうは思えません。恐らく、このような転換社債だとかワラント債だとか、または新規の公開株なんかを優先配分なされたVIP口座の中の一部の方がいらっしゃるのだろうというふうに、私はその中に優先配分された方がいらっしゃるのだろうというふうに思っております。  済みません。関参考人に本当はもっといろいろ質問させていただきたかったのですが、申しわけないです。最後に一問だけ関参考人質問をさせていただきます。  関参考人は、八八年から日本証券業協会役員をされておられます。リクルート事件、そして九一年の証券スキャンダルなど、株取引をめぐる数々の事件が起こる中で、我が国の証券市場を公正、健全な市場として発展させるために尽力されてこられました。今回の野村証券事件についても、私はそういう意味で特別な思いをお持ちであると思います。その辺の御意見と、それから私は、今後の協会のあり方というのを検討すべきじゃないか。きのうお聞きしましたら、今回の件で監査には入っておられないというふうに聞いております。また、ほかの証券会社にも、私は今回の件で監査に入るべきだと思います。ほかの証券会社にもこの口座があるというふうにも報道されておりますし、私は、この際、協会がやはり自主的にチェック機能というのを、本来のこの役割を果たすべき時期であるというふうに思うわけでございまして、ぜひこのほかの証券会社への、野村も含めました監査を、この時期SECとは別に、SECは当局ですから、やっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  113. 関要

    関参考人 先生指摘のとおり、証券市場の公正、信頼を保持向上させるということが非常に基本的に重要なことであるということは御指摘のとおりであります。また、そのために日本証券業協会自主規制機関として最大の努力をしなければならないということも御指摘のとおりでございます。そのために協会は先生指摘の監査という機能を持っているわけでございまして、この監査機能を十分今後活用していきたいと思っております。  ただ、この件につきましては、ただいま先生も言われましたように、監視委員会とか司法当局が今実態解明に入っているところでございますので、今後の状況の推移を見守りながら、監視委員会等の調査への協力を含めて適切に対処していきたいと考えております。(北側委員「ほかの証券会社は」と呼ぶ)  それにつきましても、同様の姿勢で臨んでいきたいと思っております。
  114. 北側一雄

    ○北側委員 以上でございます。
  115. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、池田元久君。
  116. 池田元久

    ○池田(元)委員 民主党の池田元久でございます。御苦労さまです。  野村証券がまた不祥事を起こして、私も大変びっくりいたしました。再々発を防ぐためにはやはりまず何といってもディスクロージャー、事件の全容を明らかにする、そういう点に立ちまして、酒巻参考人におかれましても事実を端的に述べていただきたいということを、まず要望しておきます。  それで、今、前の質問をちょっと引き継ぎまして、酒巻さんは、ボンド関係の役職を務めた後、六十年代から専務取締役、副社長をやっていらっしゃって、いわばその他総務担当、先ほどのお話だと、企画、財務、秘書、人事ということですね。これはやはり総会屋対策といいますか、そういったものも含めて、大事だと認識されている株主総会の乗り切り策とかそういうものを当然担当していらっしゃったと思うのです。その事実関係をちょっと一言お願いします。
  117. 酒巻英雄

    酒巻参考人 私は、管理部門全般を担当しておりましたけれども野村証券株主総会というのは開かれた株主総会で、株主様の質問には何時間でもきっちり対応する、質問は幾らでもお受けしてきちっとやっていけばいいという考え方で、ずっと、専務、副社長のころもそう思っておりましたし、また自分のときもそういう考えでやっておりましたので、特別、総会関係でいわゆるどうこうというようなことは全く、うまく運営したいとかそういうようなことは全く思っておりませんでしたし、そういう取り運びみたいなことも全くいたしておりません。
  118. 池田元久

    ○池田(元)委員 果たしてそうでしょうか。  酒巻さんは、それと同時に、先ほども出ました野村証券株主である問題の顧客総会屋、これは先ほど出ていますように、八九年、第一勧業銀行から三十一億円の融資を受けて四大証券の株を購入した。野村の株も三十万株購入した。これは株主総会での一般的な議決権ではなく、役員の人事案件などを提案できる株主提案権を得ている。これは当然知っていたんではないでしょうか。
  119. 酒巻英雄

    酒巻参考人 このことは、大体総会の一週間ぐらい前にリハーサルとかやりますので知っておりましたけれども、この株主様がそれだけの株式を持っているというのはつい最近知った次第でございます。
  120. 池田元久

    ○池田(元)委員 野村OBの会社役員が、総会屋は総務部の引き継ぎ客だ、総務担当副社長だった人間が知らないはずはないと言っておりますので、今のお話は、私としてはそうかなというふうな感じがいたします。  もう一点といいますか、この野村の元首脳は、この小池代表というのは酒巻さんの担当だった、こう明言しているんですが、いかがでしょうか。
  121. 酒巻英雄

    酒巻参考人 会ってお話を伺いたいぐらいの気持ちですけれども、国政の場ですからこんなことは言っちゃいかぬと思いますが、私がその担当者 であるとかいうことは全く本当の話ではございません。
  122. 池田元久

    ○池田(元)委員 さて、この問題については、野村証券の三人の常務の名前が挙がっております。先ほどから出ておりますように、もうけさせてもらいたいと言われて、株式の方に、エクイティの方にいいニュースがあったらちゃんと教えてやってくれと言った藤倉常務、その求めに応じて一任勘定取引、花がえなどを行ったとされる松木常務、さらにもう一人いますね。口座が置かれた本店第一企業部担当の、本店長の丁常務といたしましょう。この丁常務は、先ほど酒巻さんの話のとおり、口座開設のときにそれを知っていると思うとおっしゃいました。監視委員会の聴取も受けております。  この三人は、いずれも高校を卒業してすぐ野村証券に入りまして、松木さんとTさんは九〇年六月に取締役、九五年八月に常務、藤倉さんは九二年六月に取締役、九八年六月に常務取締役と、あなたが社長のときに二人を常務に登用したわけですね。取り立てたわけです。その事実関係、一言で答えてください。
  123. 酒巻英雄

    酒巻参考人 私どもの会社は役員は専務以下の投票制で決めておりまして、その投票用紙は、私は自分のかぎのかかるところへ置いておるわけですけれども、今度全部押収されましたので、それを見ていただきますと、いかに公平な投票どおりの役員の選任が行われているか、こんなフェアな人事のやり方はないなというのはわかっていただけると思うんです。ちょっと長くなりましたけれども、そこは、私が社長になりましてから選ばれた役員でございますけれども、全員に選ばれたということでございます。
  124. 池田元久

    ○池田(元)委員 あなたの時代に選んだ。公平だとおっしゃいますが、これはだれも信じませんね。野村証券役員間の不協和音はもう至るところにあるわけですよ。そういった点は酒巻さんもよく御存じだと思います。  この三人とのコミュニケーションは、あなたが社長であって常務に取り立てたということですからコミュニケーションは当然あるわけですね。子飼いの側近だとも言われておりますが、社内調査の結果で、酒巻さん、この藤倉さんと松木さん二人だけの責任にするというのはどうですか。
  125. 酒巻英雄

    酒巻参考人 私は、会社の問題と個人の問題、そこはきっちり、幾ら一緒に働いたとかそういうことがあろうとも、きちっと仕分けをして考えなきゃいかぬというふうに思っております。残念でなりません。
  126. 池田元久

    ○池田(元)委員 あなたは先ほどから知らないというようなことをおっしゃっておりますが、藤倉さん、松木さん、丁常務、三人もこの疑惑事件に絡んでいる。社長のあなたが知らないのはどうしても不自然です。  社長が関知していないと言っていることにつきまして、野村の関係者は、社内のだれもがあり得ないことだと思っている、総務、株式は管理体制も別々になっている、三年も知らなかったと言えるかということを言っております、あなたがですよ。それから、現在の野村本社の部長も、報道資料によれば、エクイティ本部は管理担当副部長、社長のオーケーが出ていると理解して動く、利益供与は副社長社長が知らなかったはずはないと言っております。いかがでしょうか。
  127. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答え申し上げます。  私は、事実はそうではございませんので、そうじゃないか、そういうこともあるかもしれないなと、いろいろなことがマスコミへ出たりしておりますけれども、そこのところは本当に全くそういうようなことはございませんので、どうお答えしていいか、そういうことはないというふうにしかお答えできません。いろいろ言っておられる方が、本当にうちは風通しいいのですから、ストレートに、酒巻、間違っているぞと言ってほしいなと。
  128. 池田元久

    ○池田(元)委員 あなたはそうおっしゃるが、この鈴木政志会長・新社長、これは記者会見の場ですよ、三月十四日に、野村という会社は常務がやっていることを副社長社長会長が知らないものかという記者の質問に対して、そういうことはないと明言しているわけですね。あなたの同期で会長の鈴木さんが、常務がやっていることは当然一般会社と同じように社長会長は知っているよ、こういうことを言っております。どうですか。
  129. 酒巻英雄

    酒巻参考人 経営会議では、鈴木と私が隣同士に座っておりますので、経営会議でのいろいろな報告というのは、専務以上の人間は全部共通の土俵で、共通の認識を持って知っております。
  130. 池田元久

    ○池田(元)委員 酒巻さん、やはり鈴木さんにこう言われてしまうとちょっとなかなか、答弁といいますかお答えも難しいと思うのです。  今度の事件、疑惑、少なくとも三人の常務がかかわっている。そしてもう一つは、花がえとかいろいろやりまして会社に大きな損害を与えていますね。本来もうかることが損をしてしまった。行ってこいで大きな損害を出している。これは上層部の判断なしにできるわけはないということを兜町の人は言っております。組織ぐるみでしょう。
  131. 酒巻英雄

    酒巻参考人 残念ながら、個人ぐるみでございます。申しわけございません。
  132. 池田元久

    ○池田(元)委員 その個人ぐるみというのはどういうことですか。あなた、日本を代表する野村証券社長だった人がそういう発言をこの場でするということは、私はテークノートしておきます。個人ぐるみというのは大変驚きました。  野村の元社員は、この疑惑について、酒巻社長がこの行為、不正取引について指示を出していたという内部証言があると言っております。そしてまた、東京地検特捜部があなたの自宅を家宅捜索した。なぜ家宅捜索したのですか。あなたはそれでも知らないとか関与していないとか言い切れるのですか。いかがでしょう。
  133. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答えいたします。  先ほどの会社ぐるみとか個人ぐるみとかいうのは、もう膨大ないろいろな情報が回っておりまして、私も、常にこれは会社ぐるみか個人ぐるみかとか言われているものですから、ついそういうふうにお答えさせていただいたわけですけれども、とにかく私どもは、私どもの調べでは、総務担当の常務とエクイティ担当の常務のところでイレギュラー取引が発生したという認識でございまして、そこから先、もっと広がりがあるのかないのかとか、そういうことはすべて東京地検証券等監視委員会の方へゆだねて、徹底的に調べていただいて御判断を待とうということでございます。  私が自宅の家宅捜索を受けましたのももちろん事実でございまして、私はそのとき、とにかく全部徹底的にお調べいただこうと。私の会社の相談役室もお調べいただきましたので、私のそのときの心境は、もう全部徹底的にお調べいただきたいという気持ちでございました。
  134. 池田元久

    ○池田(元)委員 あなたは、藤倉さんとかそういう方々、長年の部下に責任をすべてとらせて、個人ぐるみなどと言って心の痛みを感じないのですか。あなたは社長就任のとき、新生野村ということを誓って内部管理体制などを改革されました。あなたがこうした不祥事を三たび起こさない、根絶するためには、そしてまた、もう株売買のシェアが四位ですね、そういう野村の信用を回復するためには、その当時の初心に返って事実を明らかにすることが必要なのですよ。  それでは、VIP口座について一言触れたいと思います。  いわゆるVIP口座については、先ほどからの話を聞いておりますと、接遇留意客、問題はない、必要があってつくったのだと。これをどうして三月末で廃止したのか、お聞きしたいと思います。端的に答えてください。
  135. 酒巻英雄

    酒巻参考人 新執行部が、誤解を招くのもいかぬ、それからコンピューターのバージョンアップでいろいろなシステムができた、したがって廃止をしたというふうに私は事後に報告を受けた次第です。私が廃止したということではございません。
  136. 池田元久

    ○池田(元)委員 最初に言っていたのは接遇留意客ということですから、それは、そういうことがあってもいいというのは合理的な理由があると私 は思います。それを廃止してしまった。  東京地検特捜部は年度末の三月二十五日に一斉に家宅捜索をしたわけです。聞くところによりますと、野村に証拠隠滅のおそれがあるとして急遽捜索に踏み切ったと言われるわけです。とのVIP口座の廃止を急いだのは、特別管理口座も含めて何かやましいものがあったからじゃないのですか。端的に答えてください。
  137. 酒巻英雄

    酒巻参考人 そのようなことは全くないと思います。問題は、先ほどほかの先生方もおっしゃっておられましたように、VIP口座そのものの存在ではなくて、そこで不法なことが行われていたらそれはいかぬということでございましたので、私もそのように承知しております。
  138. 池田元久

    ○池田(元)委員 一言で答えてほしいのですが、東京地検や監視委員会捜査に協力する用意はありますね。
  139. 酒巻英雄

    酒巻参考人 全面的に協力しておるところでございます。
  140. 池田元久

    ○池田(元)委員 鈴木会長は、四月十二日に日本経済新聞記者に、先日の強制捜査顧客口座のリストの一部が押収されたことを認めた、しかし残りのリストについては提出が難しい、こう言っているのですが、残りのリストについても任意提出をすべきだとお考えですか。
  141. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答えいたします。  いろいろ捜査の必要上、提出を求められれば、それはもちろんのこと提出いたします。国の求めでございますから、私どもは大蔵大臣から免許を受けておる会社でございますので、当然そのようにいたします。
  142. 池田元久

    ○池田(元)委員 そういう答弁は大変結構だと思います。守秘義務を理由に提出が難しいということを鈴木さんは言っていました。これは捜査機関に協力するのですから、一般に公開するわけじゃないですから、今の発言で私は子といたします。  残り時間が少なくなりましたが、野村の中枢の人に直接聞いたのですが、政治家などが野村の本社あたりに来ると、近くに来たからと言って社長を訪問することがよくあるそうですね。二月初めから三月上旬にかけて政治家の訪問は受けなかったですか。
  143. 酒巻英雄

    酒巻参考人 政治家の方が当社を訪問するというのはほとんどございません。
  144. 池田元久

    ○池田(元)委員 いや、ほとんどということは、あるということですから。  まあいろいろありますけれども、時間がありませんので紹介はいたしません。  大蔵省サイドから何か電話その他で言ってこなかったですか、この間。
  145. 酒巻英雄

    酒巻参考人 もう執行部をおりておりますので、私の方へは何も参っておりません。
  146. 池田元久

    ○池田(元)委員 VIP口座のリストが流出しないようにしろとか何とかしろとか、そういう話が出ているようですが、これは時間が来ましたので、今後取り上げたいと思います。  利益供与事件というのは、それまでずっと野村側は否認してきたのですが、最近になって、二人の常務による不正行為だと認めるようになったわけですね。  私は、これはお聞きしたいのですが、一言申し上げますと、VIP口座名が一部流出して、二月七日にその実在が暴露されて大変危機感を抱いた。関係者からもクレームが入った。核心であるVIP口座の、問題の核心である……
  147. 額賀福志郎

    額賀委員長 池田委員に申し上げます。  時間が来ていますので、簡潔にお願いをいたします。
  148. 池田元久

    ○池田(元)委員 わずか三秒です。  核心であるVIP口座の矛先をかわすために、焦点をそらすために、突然記者会見して供与疑惑を認めたのではないかというふうに考えます。これは私は、答弁いただけませんので、一言申し上げて終わります。
  149. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、佐々木憲昭君。
  150. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  酒巻参考人にお伺いしますが、昨年の七月に証券監視委員会調査があったということを言われました。ことしの初めに社内特別チームをつくって調査を開始したというふうに言われました。この七月からことしの初めまでの間、野村証券側はマスコミなどの問い合わせに対しまして、総会屋に対しての利益供与はないというふうに答えたと言われていますけれども、非常に不自然であります。なぜ調査が行われない段階でそういうものはない、このようにおっしゃったのでしょうか。
  151. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答えいたします。  業務管理本部というのがございまして、ここでもっていろいろなチェックをしているのですけれども、このチェック部門の長である業務管理本部の担当常務、そして、一番最初は証券等監視委員会の総務検査課のお調べがあって、それで担当常務から株式、エクイティの方の関係者に話を聞いた。問題はないか、問題はないという話がありましたので、この者は経営会議出席しておりますので、経営会議の席で問題はないという報告がございました。  あと、七、八月は経営会議は、夏ですから、月に一回ぐらいしかございませんのですけれども、そういうことがあったものですから、私どもも広報部を通じてコメントを出させていただいた次第でございます。
  152. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 問題は狂いと言われて、それを信用した。しかし、SECの調査が進行して、これは怪しいぞということで特別のチームをつくられたということなのですけれども、しかし、SECの調査が入った時点で徹底した調査を行う、特別のチームをその段階でつくるというのがこれは自然だと思いますけれども、それをやらなかったのは、実際の内容について知っていながら、それを表に出したくないために、そのようなチームもつくらず、SECの調査が進行するという、それがもうこれ以上隠せないという状況になってそういうチームをつくらざるを得なくなったというふうに思われるわけですけれども、その点についてはどうでしょうか。
  153. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答えいたします。  先ほど、冒頭のところは総務検査課が入ったというふうに御報告いたしましたけれども、総務検査課が入りますと、日本証券業協会や東京証券取引所へ検査が入ったという報告証券会社は必ずするのですけれども、特別調査課というところが入ったときは、これは内部の犯則事犯等を調べる内偵というような状況に入りますので、その段階からはどこにもだれにも物が言えない、言ってはならない、そういう状況になるわけでございます。  そういう中で、私ども組織組織で調べた結果は、問題ないと担当役員も言っておるわけでございますし、私も役員信用、信頼しておりますので、これはないのだなというふうに判断をしておりました。それが実情でございます。  その経営会議のときも私は、やはり特別調査でございますから、徹底的にお調べいただけ、協力していけ、是は是、非は非、そして悪いところがあればきちっと直していこう、社長に就任して、とにかくカルチャーを逆に振って一つ一つやってまいりましたので、そういうことを申し上げたという記憶がございます。
  154. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 先ほどの御答弁で、一任勘定と見られても仕方がないものがあったというふうにおっしゃいました。しかし、総会屋親族企業に対する利益供与という、そういう言葉はお使いにならなかったわけですけれども、この利益供与ということはお認めになるわけですね。
  155. 酒巻英雄

    酒巻参考人 ここのところは私どもで調べて、少なくとも自己売買の勘定のものが顧客勘定のところへ移っているような疑義があるな、私どもの限界的な資料の中で疑義があるなというふうに判断したわけでございますので、これはもう国家機関である証券等監視委員会に御報告をして、ここへ報告をみずからしに行くということは、まあ一種ざっくばらんな言葉で言いますと、自供というか自白というか、そういうことに行ったというの と全く同じだという認識を私は持ったものですから、すぐ報告に行け、そして今度大きい立場でお調べいただこう、その結果を待とうというふうに判断いたしました。
  156. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 事実上、利益供与ということを自白されたということだと思うのです。  先ほど、VIP口座について約一万件ある、こうおっしゃいまして、一々その内容を把握することができていないと言われましたね。ところが、他の委員からの質問で、この中に政治家、高級官僚、総会屋の名前があるのかと聞かれまして、ありませんというふうにお答えになりましたね。内容をつかまれていないのに、なぜないというふうに断定できるのでしょうか。
  157. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答え申し上げます。  ありませんというふうにお答えしたつもりないのですけれども、もしそういうふうに私が言っているとすれば、それは御訂正いただきたいと思うのですが、何といいましても何万人というお客様の中で、店も百四十ぐらいございます。そういう中でいろいろな、支店長が転勤する、営業課長が転勤する、総務課長が残る、その転勤時にごたごたしないように、最初はいろいろなノートをつくって管理したりしているようですけれども顧客セグメンテーションシステムというか、第二次オンライン、五十年の半ばですけれども、そういうものがだんだんできてまいりましたので、さっき国債でざっくり一千万ぐらいのお客様ができたのじゃないかと言いましたけれども、そういう中には政治家の方や、公務員の方や、地方公務員の方や、財界の方や、あるいは未公開企業の中堅企業、これからマーケットを目指すという人、五千人ぐらいいますから、いろいろな方が入っている。国民各階層の皆様はみんな入っているだろうな、こう思っているわけでございまして、これは銀行でも証券でも全部同じだと思いますので、そういうお答えをさせていただいたつもりでございます。もし間違っていたら、御訂正願いたいと思います。
  158. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の御答弁は、内容については、政治家、高級官僚、総会屋の名前があるということを否定されなかったわけであります。  時間が参りましたので、以上で終わります。
  159. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、岩國哲人君。
  160. 岩國哲人

    岩國委員 太陽党を代表して質問させていただきます。大変お疲れのところ、よろしくお願いいたします。  私も三十年間皆さんと同じ証券の世界で仕事をさせていただき、また、いろいろな面でお世話になってきました。そういった証券出身の人間として、今回の事件は大変残念であります。野村証券の中の多くの友人、私は、長年仕事は競争し、しかしメリル・リンチ時代もモルガン時代も野村証券と一緒に大きな仕事をさせていただきました。ウォール街の中でも、野村証券は非常に質の高い大きな仕事のできる数少ない証券会社であり投資銀行であるという評価を高めておられたときだけに、私たちも大変残念に思います。  野村証券の友達とは、いろいろな遊びも一緒にしました。しかし、だれ一人、例えばマージャンのときでも不正をしたりツミコミをするような人を私は見たことはありませんでした。それだけに、なぜこのようなことが起きたのかと心外であります。  メリル・リンチは、約五十人の研修生を野村証券から受け入れてきました。その五十人の研修生は、今の鈴木会長にしましても、相田前会長にしましても、すべて立派な方であります。メリルの友人も、自分たちが研修生を受け入れ、そして日本証券界の前進のために、近代化のために手をかしてきたその野村証券が、このような事件を起こしたということを大変嘆いていると思います。しかし、せめてもの救いは、トレーニーのリストの中からそのような社会的批判を招くようなことを、相田さん、鈴木さんは少なくともそういう面では挙がってこなかった。それが、せめてもの救いだったかもしれません。  そうしたウォール街の会社であればどこでも一番強調することは、リーガルコンプライアンス。例えば社内の不正について特殊な部隊が動いて、それは支店長といえども常務といえどもそこには報告する義務がない、社長に直接報告する。ある意味では、支店長にとっては嫌な存在かもしれません。野村証券の中には、そういう存在は既に制度として、組織として存在しているかどうか、社長にしか報告しないそのような社内監察部隊というのがいるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  161. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答え申し上げます。  もう岩國先生のようなアメリカの証券市場に通暁されている方に私のお答えは満足いただけないかもしれませんけれども、大変申しわけございませんが、今話を聞いておりますのは、チーフ・アドミニストレーション・オフィサー、CAOというものをつくって、社長直轄、全責任を負う、代表権を持つ者がそれに従事をするという方向で検討がなされているようでございます。  また、リーガルコンプライアンスの面でも、社長を議長といたします内部管理委員会をつくりまして、それをワークさせていく。一方、欧米型の組織に今までも踏み出してやってきたつもりですけれども、魂が入っておりませんでしたので、そこへきちっと魂も入れて、ワークさせるように踏み出していきたいというふうに報告を受けておる次第でございます。
  162. 岩國哲人

    岩國委員 要するにそのような体制がなかったということ、これがこのようなVIP口座あるいは不正な取引というものを可能たらしめる環境を残してきたということになるのではないかと私は思います。これだけ国際化を言い、あるいは世界の第一人者は野村証券になったといったことを豪語されながら、地元、足元においては結局法的な監査体制が十分でなかった。これはほかの証券会社にも共通していると私は思っておりますけれども、その点からも、今後は十分そういった体制をつくっていただきたいと思います。  きょうの午前中の質問で、VIP口座、いわゆるVIP口座にリストされているということは不幸で迷惑なことだ、まるで交通事故にでも遭ったかのごとくその問題を取り上げられた委員がおられますけれども、殊さら問題を軽少化しようとする発言があった、私はその考え方はおかしいと思っております。  野村証券口座数は、今現在正確に幾らありますか。
  163. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答えいたします。  五百万件でございます。
  164. 岩國哲人

    岩國委員 その五百万人という大きな数字の中からわずか一万人を選び出すという作業は、だれかがやらなければならなかったと思います。交通事故のようにたまたま当たってしまって、宝くじのようにたまたまそこに入ってしまって本人も知らない。当然こんなことは本人に知らせる必要は全くないわけでありますけれども、その五百万人のうちの一人、〇・二%に選ばれるということは、何らかの必要が野村証券側に私はあったと思います。  このVIP口座というのは、社長の目で点検されて、正確に何千何百何十何ぼだったのか、お答えいただけますか。
  165. 酒巻英雄

    酒巻参考人 報告を受けまして、八千人と九千人の間ぐらいではないかという報告だったのですけれども、ざっくり一万人だなということできょうはここへ臨ませていただきました。
  166. 岩國哲人

    岩國委員 その中に、社長自身が名刺を交換されたような人は概数でどれぐらいおられたのでしょうか。
  167. 酒巻英雄

    酒巻参考人 私は、この一、二月だけでも二千人ぐらいのお客様にお会いしております。「世界の中の日本」ということで、日本の六大都市で経済講演会並びにパーティーのようなものをもう十年来続けておりますので、特に春先は賀詞交換会が多いのですけれども、相当の皆様とお会いをしております。  ですから、数えたことはございませんけれども、かなり多いのではないかなと思います。ただ、大 変言いにくいことなのですけれども、ディフェンスの方で符号をつけているような面もございますし、恐らく、もうDMは要らないから送るな、怒られても怒られても来るじゃないか、いいかげんにしろ、そういうような方は符号をつけてございますので、そういうのも入っているかと思っております。(発言する者あり)
  168. 額賀福志郎

    額賀委員長 御静粛に。
  169. 岩國哲人

    岩國委員 もう一問お伺いいたします。  野村証券のノムラ・アメリカ、ノムラ・ヨーロッパ、こういったようなところにも日本人が口座を多数開設しておられると思いますが、日本に住所はありながら、そのようなところに口座を持っておられる方はどれくらいありますか。
  170. 酒巻英雄

    酒巻参考人 お答えいたします。  日本に住んでおりまして、日本人が例えばアメリカに口座をつくりたい、アメリカの株を買いたい、こういう場合は、現在は、外国証券業者に関する法律、外証法といいますけれども、外証法で禁止をされております。したがいまして、日本国民がアメリカの証券会社を通じて株を買うということはできません。日本へ出てきているメリル・リンチさんの日本の支店を通じて買うというのは当然できますし、また、東京証券取引所の外国株、上場されておりますから、そこでもって外国株を買うということは可能でございます。
  171. 岩國哲人

    岩國委員 時間がなくなりましたのでこの辺で質問を終わらせていただきますが、重ねてお願いいたします。こうした日本市場の名誉のためにも、そして野村証券の多くの海外取引先のためにも、一日も早く体制を確立していただきたい、そのように思います。ありがとうございました。
  172. 額賀福志郎

    額賀委員長 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  両参考人におかれましては、御多用中のところ、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  次回は、来る二十二日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会をいたします。     正午散会