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1997-04-11 第140回国会 衆議院 大蔵委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月十一日(金曜日)     午前九時三十一分開議 出席委員   委員長 額賀福志郎君    理事 金子 一義君 理事 坂井 隆憲君    理事 保岡 興治君 理事 柳本 卓治君    理事 北側 一雄君 理事 谷口 隆義君    理事 池田 元久君 理事 佐々木陸海君       飯島 忠義君    今村 雅弘君       衛藤征士郎君    小林 多門君       菅  義偉君    砂田 圭佑君       田中 和徳君    田中 昭一君       中野 正志君    山中 貞則君       吉川 貴盛君   吉田左ヱ門君       渡辺 喜美君    上田 清司君       木村 太郎君    北脇 保之君       鈴木 淑夫君    中川 正春君       並木 正芳君    藤井 裕久君       前田  正君    宮地 正介君       末松 義規君    田中  甲君       山本 譲司君    佐々木憲昭君       秋葉 忠利君    吉田 公一君       新井 将敬君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 三塚  博君  出席政府委員         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房金         融検査部長   中川 隆進君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省主計局次         長       林  正和君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      榊原 英資君         証券取引等監視         委員会事務局長 若林 勝三君 委員外出席者         農林水産省経済         局金融課長   白須 敏朗君         参  考  人         (日本銀行総裁)松下 康雄君         大蔵委員会調査         室長      藤井 保憲君     ――――――――――――― 四月十一日  共済年金制度の堅持に関する請願(小里貞利君  紹介)(第一七九二号)  同(木部佳昭紹介)(第一七九三号)  同(河野洋平紹介)(第一七九四号)  同(福田康夫紹介)(第一七九五号)  同(堀内光雄紹介)(第一七九六号)  同(御法川英文紹介)(第一七九七号)  同(浅野勝人紹介)(第一八七一号)  同(中川秀直紹介)(第一九〇〇号)  同(森喜朗紹介)(第一九〇一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  金融及び証券取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 額賀福志郎

    額賀委員長 これより会議を開きます。  金融及び証券取引に関する件について調査を進めます。  この際、一言申し上げます。  本日の本会議は十二時三十分より開会されますので、質疑時間は厳守され、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅義偉君。
  3. 菅義偉

    ○菅(義)委員 おはようございます。自由民主党の菅でございます。  早速質問をいたします。野村証券における総会屋に対しての利益供与事件についてであります。  日本版ビッグバンを打ち出し、金融市場欧米並みの活力あるものに変え、国際競争力を高めようというやさきに生じた今回の不祥事は、国民共有の財産であります証券市場を大きく傷つけたばかりではなく、相変わらずの証券業界の古い体質を浮き彫りにしたものであります。  この事件に関連をして、証券取引等監視委員会は、去る三月二十五日、東京地検特捜部と合同で野村証券の本社や社長宅などを強制捜査を行って、現在に至っておるわけでありますけれども、その捜査進捗状況について、まず最初お尋ねをします。
  4. 若林勝三

    若林政府委員 お答えを申し上げます。  野村証券問題につきましては、証券取引等監視委員会の日常的ないろいろな監視活動、これを行っておるわけでありますが、こういった中で、取引の公正の観点から不自然と思われるような取引が見られたということで、昨年の夏ごろより実態解明に努めてまいったわけでございます。こうした中で、今委員指摘のように、去る三月二十五日に東京地検とともに証券取引法違反の嫌疑で関係箇所強制捜査を行うなど、今調査を進めておるところでございます。  現在、検察当局と緊密な連絡をとりながら鋭意調査を進めているところでございまして、一刻も早い事実関係解明に努め、結果を踏まえて厳正に対処してまいりたいと思っております。
  5. 菅義偉

    ○菅(義)委員 さらに、マスコミ等によれば、野村証券には違法取引に使われたような特定顧客を優遇するいわゆるVIP口座が全国の支店を含めると約一万件ある、さらに特別管理口座と言われるものが約三万件ある、こう言われておるわけでありますけれども証券取引等監視委員会としてはこの口座についてどこまで把握をしているのかお尋ねをいたします。
  6. 若林勝三

    若林政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、委員会におきまして、現在、鋭意事実関係解明に努めておるところでございます。  一般的に、VIP口座と称するかどうかは別といたしまして、証券会社によっては、顧客口座につきましては、顧客年齢とか職業とか取引状況等から接客等注意を要するといったような意味から、いろいろな名称を付して整理しておるというようなところがあるやに聞いておるわけでございます。そうした口座を利用して何らかの証取法違反行為がなされておるということであれば、当然問題になるわけでございます。そういう可能性が皆無というわけではございません。  いずれにいたしましても、その名称の問題ではなくて、各取引の中身に応じて、もし違法なものがあれば、我々はその問題について事実解明をして、厳正に対処するということでございます。  なお、どういう実態を把握しているかということにつきましては、こういった資料をいろいろな活動の中で我々収集いたしております。そういったものについて、その有無とか内容について申し上げると委員会における調査活動等に重大な支障を生ずるということで、お答えを差し控えさせていただくことを御理解いただきたいと思います。
  7. 菅義偉

    ○菅(義)委員 捜査中ということで答弁を控えるということでありますけれども、ある意味ではやむを得ないと思いますけれども、ただ、九一年の 証券不祥事、四大証券社長がすべて交代をしてから間もなくまたこのような不祥事が起きたわけであります。このことは、前回の事件反省が全くと言っていいほどなされていないからこういうことが起きたのではないかと私は考えます。徹底して問題を究明し、株主や投資家に対して洗いざらいいろいろな事実関係を公表することが私は必要だと思います。  原因究明が甘く、対応策も不十分であったから今回の不祥事につながった、こういう反省の上に立って、今度こそすべて公表することが信頼回復再発防止につながると私は思いますけれども、これについてはいかがですか。
  8. 若林勝三

    若林政府委員 事実関係について公表すべきではないかという御指摘でございます。  委員会といたしましては、各方面から市場取引に関するいろいろな資料情報収集し、それを分析し、監視活動を日々行っておるわけでございます。そういった特定資料収集したとか、またその内容はこういうことであったというようなことを仮に我々が公表するということになりますと、今後、そういう資料情報収集活動、ひいては調査検査等活動に重大な支障が生じるということで、なかなか困難であるということはぜひとも御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  9. 菅義偉

    ○菅(義)委員 さらに、九一年の不祥事事件を受けて再発防止のために監視委員会設立をされたわけでありますけれども、しかし、それ以降も野村証券会社ぐるみで不正を行っていたと考えざるを得ないと思います。これからビッグバンに向けて新しいルールづくりを考えるときに、業務範囲や手数料というこの枠を超えて、市場監督機能強化が強く求められておると思います。市場透明性公平性の確保は内外から資金を調達する上で最低限の条件であるとも私は思います。  アメリカ証券取引委員会とよく比較をされるわけでありますけれども我が国のこの監視委員会は、規模や権限あるいはその独立性、こうしたことから非常にまだ弱いのではないか、そういう声が今回の事件を契機に強まっていることも事実であります。大型不正の摘発や投資家保護観点からも、証券取引等監視委員会独立性検査監督機能強化がぜひとも強く求められると思いますけれども、これについては、大臣、いかがですか。
  10. 三塚博

    三塚国務大臣 御指摘意味はわからぬわけでございません。アメリカSEC等、膨大な人員を抱えてやっております。我が国監視委員会少数精鋭主義で、一人三役で調査に全力を尽くしておるところ、昨今の行革の国民的な要請もこれあり、頑張れ、こう言っておるわけであります。しかし、頑張るにも限界がございますから、御指摘の点を踏まえて、今後にやり得ることは何か、対応について検討を進めてまいります。
  11. 菅義偉

    ○菅(義)委員 ぜひ、市場に対しての信頼回復という点からも前向きに検討していただきたいと思います。  次に、罰則についてでありますけれども、九一年の証券不祥事において野村証券の当時の社長会長責任をとる形で取締役退任していたのでありますけれどもほとぼりの冷めるのを待つような形でまた取締役に就任をして、それで、今回の事件が明るみに出るまで社の内外において影響力を行使してきた。一方、アメリカにおいては、アメリカ国債価格操作で問題になったアメリカソロモン・ブラザーズ社では、会長ら最高幹部退任をし、二億九千万ドルもの実は罰金を払っています。また、アメリカ国債不正取引をした大和銀行も、アメリカで三億四千万ドルもの罰金を支払っている。しかし、我が国においてはこうした証券不祥事において巨額の罰金規定がなく、我が国においても罰則をより厳しくしていくべきではないか、こう考えますけれども、これについてはいかがでしょう。
  12. 長野厖士

    長野政府委員 今回の事件につきましては、不公正取引再発防止という観点からもろもろ検討すべき課題があるだろうと思いますし、現段階では、個別に、具体的な条項としてどの規定に違反して、その情状がいかであったかということを私ども責任を持って判断できる状況にはございませんので、一般的に申し上げさせていただきたいと思いますけれども、やはり行政を、事前の予防的監視行政から事後にきちんとチェックする行政へ切りかえるということで、証券取引法上の不正行為の定義を明確にし、それに対応するものとして監視委員会設立したわけでございますから、その中におきまして、そういった事後チェック体制の中で、罰則も含めまして、さらに再発防止について十分でないという点が浮かび上がってまいりますれば、それはそのように対応していかなければならないと考えております。
  13. 菅義偉

    ○菅(義)委員 私が問題にしていますのは、不祥事を受けて新しい監督機関ができてすぐこういうことをしているわけでありますから、監視委員会独立性権限というのは、これはもっともっと強めるべきであると思いますし、それとまた、責任をとって退任をして、ほとぼりが冷めてまた取締役に就任して影響力を行使している、こういうことはやはり罰則規定がきっちりしていないからであるというふうにも思いますので、再発防止の点からしても、この二つについてはぜひ真剣に検討していただきたいと思います。  さらに、我が国証券市場は、企業同士株式を持ち合っている割合が海外と比べて非常に高いと言われております。個人所有株式がその分だけ低いわけでありますけれどもバブル崩壊後の我が国個人株式売買金額は、ピークの百五十六兆円から、九六年には三十六兆円、約四分の一にまで落ち込んでおります。このような個人株式離れの現象が顕著でありますけれども野村証券の今回の事件が表面化してから、個人投資家外人投資家我が国株式離れにかなり拍車をかけているのではないかというふうに私は思っておりますけれども、その影響についてはどのように考えておられますか。
  14. 長野厖士

    長野政府委員 野村証券におきましてこの事案に関する記者会見が行われました三月六日以降の取引について、私どもも全体の動きを注視いたしておりますが、率直に申しますと、年度末の微妙な時期を挟んでの今日までの取引でございますので、確証を持って取引の推移にこの事件がいかに影響を及ぼしたかという点につきまして、計数的に御報告できるだけの材料を持っておりません。三月全体といたしましては、法人の決算期末の商いが非常に活発でございましたから、ウエートといたしましては、個人外人取引比率としては非常に小さくなっておりますが、これは一転、四月に入りましてからは個人外人取引比率が非常に高まってきております。  しかし、これをもってこの事件がどう影響したかというふうには即断できないと思っておりますが、感じとして申しますと、マクロとして、全体の市場取引として、この取引の結果非常に売買影響を受けておるという感じには至っておりませんが、当然のことながら、その中で、数が多いか少ないかはともかくとして、投資家の間には、こういった事件というものが自分の投資行動影響を及ぼされた投資家はおありだろうと思いますし、それから、仲介者としての野村証券を使う取引を手控えられた投資家がかなりおられることも事実だろうと思っておりますが、いずれにいたしましても、仲介者事件市場全体の信頼を損なわないようにどうすればよいかということは、私ども十分に配慮していかなければいけないと考えております。
  15. 菅義偉

    ○菅(義)委員 さらに心配をしておりますのは、これから日本版ビッグバンを行おうとしている我が国金融市場において、我が国を代表する業界のリーダーであります野村証券の今回の不祥事、このことによって、国際金融市場において日本市場日本証券会社に対する不信感が高まって、我が国証券会社海外戦略等に大きな影響を及ぼすのではないか、このように考えておりますけれども、これについてはいかがお考えです か。
  16. 長野厖士

    長野政府委員 当然のことながら、海外におきましても、この事件といったものは多くの方々の御関心を集めておるところであろうと思います。一部、当該証券会社との取引を控えられたような海外投資家というものもございます。  ただ、私ども、それ以上に今大事だと思っておりますのは、ニューヨーク、ロンドンの市場で私どもに対するメッセージとして伝えられますのは、起こった事件もさることながら、それに対して日本政府当局がどういうきちんとした対応をするかということ、日本市場の問題はそこに尽きるということで、きちんとした真相解明とそれに対する対応ができるかどうかということにむしろ注目したいというメッセージが寄せられておりますが、これは重大なメッセージとして受けとめておかなければいけないと考えております。
  17. 菅義偉

    ○菅(義)委員 ぜひ、今局長答弁ありましたように、真相を徹底して解明し、次からこのような事件が起こらないように努めていただきますことを強く意見として申し上げまして、私の質問を終わります。
  18. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、秋葉忠利君。
  19. 秋葉忠利

    秋葉委員 ただいまの質問に続いて、主に野村にかかわる証券スキャンダル、そのより大きな背景等について何点か伺いたいと思います。  まず最初に、今回の事件において証券取引等監視委員会、どういった役割を果たしてきたのか。監視委員会のこれまでの仕事といいますか、日本版SECであるという、最初のこの監視委員会強化理由がそういったものをつくるということになっておりましたけれども、具体的に、これまでの活動においてそういった趣旨が生かされてきたのか、あるいは同時に、その活動を通して、日本証券業界動きがどういったものであるか、その腐敗の背景みたいなものが浮かび上がってきておるのかどうか、さらに、今回の野村事件に関して監視委員会はどういった役割を果たしたのか、その辺のところをまず最初に総括的に伺いたいと思います。
  20. 若林勝三

    若林政府委員 証券取引等監視委員会は、平成四年に設立をされたわけでございますけれども、その中で、取引の公正を確保するため、証券会社等に対する検査犯則事件調査を行っております。その結果、重大な法令違反等の事実があれば、大蔵大臣に対しまして証券会社等に対する行政処分といったものを勧告するということになっておるわけでございます。  その制度に基づきまして、委員会平成四年発足以来、これまで三十七件の勧告を行っております。うち、会社に対する勧告十件、証券会社役職員に対する勧告が二十七件というふうになっております。また、取引を害する犯則事件調査の結果、証券取引法違反行為があるといった心証を得たときには、刑事告発を行うことになっております。発足以来、これまで九件の告発を行っておるところでございます。  内容について少し申し上げますと、まず、証券会社に係る勧告につきましては、特別の利益を約して勧誘する行為を行ったものにつきましては三件、作為的相場が形成されるというようなことを知っておりながら受託をするというような行為について勧告を行ったものが四件、また損失補てんによるものが一件といったもので、これまで十件の勧告証券会社に係る勧告として行っておるわけでございます。また、証券会社役職員に係る勧告につきましては、取引一任勘定取引契約によるもの十七件など、これまで二十七件の勧告を行ったところでございます。  また、告発につきましては、発足以来、相場操縦事件が一件、重要な事項について虚偽記載のある有価証券報告書の提出が一件、それに内部者取引インサイダー取引事件について四件、それから風説の流布事件について二件、それから損失補てん事件について一件、合計九件について告発を行っておるわけでございます。  今回の野村証券の問題につきましては、委員会としては、日ごろから、市場取引について種々の情報資料収集いたしまして、市場動きを日常的に監視いたしておるわけでございますが、そういった監視活動の中におきまして、その監視活動といいますのは、少し具体的に申し上げますと、株価動きなどを追って常に見ておりますと、異常な動きをする株価がある、ないしは一定の重要事実などを会社が発表する前後の株価に非常に不自然なものがあるといったもの等々、いろいろな観点から実は市場動きを監視いたしておるわけでございます。そういう監視活動をやっておる中におきまして、野村証券のかかわった取引について、どうも不自然なものがあるということが発見されたわけでございます。その不自然なものについて、どういう原因で、どういう理由でということをいろいろ詰めていく調査を始めたのが去年の夏ごろからであったわけであります。  そういった調査を粘り強くやった結果、かなり証券取引法違反の疑いがあるのではないかというような心証を強く持つに至ったところで、先般、野村証券からああいう記者発表が行われた。その後、東京地検と一緒になって本件についてさらに一層事実解明に努めておるということで、先般共同で強制捜査も実施して、現在に至っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、早急に事実解明を行いまして、厳正な対処をいたしてまいりたいと思っております。
  21. 秋葉忠利

    秋葉委員 今のお話を伺いますと、野村事件の今回の第一発見者監視委員会であるというふうに聞こえました。そういう重要な役割を果たすということも大事ですけれども、先ほど証券局長お話にもありましたように、これから再発をどう防止するかというところも大事な点であります。  実は、そちらの方に話を移す前に、今のお話の中でちょっと気になるところがあるのですが、それは、一部の報道によりますと、野村証券内部からの告発があった、にもかかわらず監視委員会はそれを取り上げなかったという報道も同時にございます。一つ一つ事件について、それがどうだったかということを確定することも大切なのですけれども内部告発といったものの扱いがどうなっているのか、監視委員会としての一般的な原則をここでお話しいただきたいと思います。
  22. 若林勝三

    若林政府委員 お答え申し上げます。  証券取引等監視委員会は、発足以来いろいろな資料情報収集に努めておるわけでございますけれども、その中の一つといたしまして、外部からいろいろな情報が寄せられる場合がございます。現に、年間数百件のそういう情報が、場合によっては電話、この場合、名前を名乗られた上での電話とか名前を名乗らずとか、さらには文書による、手紙等情報を寄せていただく、そういうふうなケースが何百件とあるわけでございます。そういったものを我々としては一つ一つ大事に扱って、そういったものの中に本当に重大な問題が入っているのではないだろうかということで扱ってきておるわけでございます。  ただ、極めて一般的に申し上げますと、そういう情報を寄せていただけることは非常にありがたいわけでございますし、貴重な資料として役に立ておるわけでございますけれども、比較的一般的な話が多いのが残念ながら事実でございます。一般論でどこどこの会社はけしからぬことをしている、例えば言ってみれば損失補てんをしているというようなことの御指摘を仮に受けても、それでは我々としてもいろいろな場でそういうことを頭に置きながら注意をしていこうというところまではいくわけでございますけれども、具体的にどの取引のどれでこうなってというところまでの情報をいただく場合は比較的まれでございます。そういうものがあれば、当然その点はチェックさせていただくということになるわけでございます。  いずれにいたしましても、今回の野村の問題につきましては、我々として、いろいろな市場監視活動の中でそういう不自然なものが見られたということでございまして、それをさらに詰めていった結果が今に至っておると認識いたしておりま す。
  23. 秋葉忠利

    秋葉委員 その監視活動の中で、いわゆるVIP口座と呼ばれているもの、これは野村だけではなくて、各証券会社名前は違っても同じような種類のものをつくっているということは常識だと言われておりますけれども、その監視体制はどういうふうになっているのか。あるいは、これが健全な証券市場を形づくる上でどういう役割を果たしているのか。プラスの面、マイナス面というのがあると思いますけれども監視委員会並びに証券局の認識はどうなのか、伺いたいと思います。
  24. 若林勝三

    若林政府委員 VIP口座の存在についていろいろマスコミ等報道をされておることは十分承知をいたしておるわけでございますけれども、一般的に、VIP口座というような名前をつけるかどうかは別にいたしまして、証券会社によりまして顧客口座をいろいろな形で管理しておるということ、その場合は、年齢職業といったようなもので分けるとか、いろいろな形で管理していることはあり得るわけでございますが、証券取引等監視委員会といたしましては、そういう口座をどう管理しているかというようなことよりも、むしろその口座の中で何か法律に触れるような取引が行われていないのだろうかということが基本的に重要な問題ではないだろうかというふうに感じております。  そういう意味におきまして、VIP口座等名称いかんを問わず、どういう形で管理されているかは別にいたしまして、何か個々の取引の中に違法なものがないかどうか、そういった点については今後とも厳重にチェックをしていって、そういったものが見つけられた場合には、当然ながら厳正に対処をしてまいる、そういう姿勢で臨んでまいりたいと思っております。
  25. 長野厖士

    長野政府委員 先生からの御指摘にもございましたように、証券会社が営業を行っていきます場合に、特定といいますか、限定された顧客を管理するための名簿等々を整備することは、これは国際的にも当然行われておることでありまして、世界じゅうの証券会社においても当然行われておることだと思います。問題は、そういった名称口座の中に不正な取引が介在するようなものが含まれておるかどうかというところの問題であろうかと存じますから、お答えは、ただいまの若林事務局長と重複いたしますけれども、その口座に入っておるか、あるいは口座のそういった特定名称が付されていない口座であるかということは問わず、その口座を利用して法令に違反する行為があるかどうかということを厳正にチェックしていくべきものと考えております。
  26. 秋葉忠利

    秋葉委員 少し認識が甘いような気がいたします。例えば今回の事件で非常にはっきりしたのは、今おっしゃったように、VIP口座の存在そのものが隠れみのになって、その中に何か悪いものがまざっていると問題だというふうにおっしゃいましたけれども、やり方は実は逆で、こういったものがあることによって悪の存在が隠ぺいされている。そういったところが問題なわけですし、それは、個々の問題がどう隠れているというよりは、システム全体としての要するに構造的な問題なのではないか。  例えば、VIP口座の管理そのものについては関心がないというようなお話でしたけれどもVIP口座名前を連ねている人にどういう職種の人間がいるかということは非常に重要な問題です。事実、この問題について取材をしているマスコミの人からこれは直接聞いた話ですけれども、あなたが取引をするんだったらすぐVIP口座をつくってあげますよと、平気で今の時点で証券会社がマスコミの人間にそういうことを持ちかける、そのこと自体が問題なのであって、管理そのもののところに焦点を当てなければそういった実態は浮かび上がってこない。マスコミを抱き込み、そして官僚も抱き込んで、その中で特に最悪の部分については厚い手当てをするというのが一つのパターンだというふうに考えてもおかしくないはずですけれども、そういった構造的な問題認識がなければ、当然その中の最悪の部分にも目が届かないというふうに思います。  その中でも私は、特に大蔵省の官僚が仮にこのVIP口座に名を連ねているとしたら、それはもう直接贈収賄事件に発展するわけですから、そこのところは特に重要な問題だと思います。しかも、マスコミ報道によれば、大蔵官僚もこの中に入っているんだという報道もございます。  その真偽はともかくとして、これまでの大蔵官僚あるいはその他の省庁の官僚の不祥事とあわせ、さらには、これからのビッグバンにおける日本証券市場透明性あるいは公正な、自由な市場であるということを証明するためにも、この際、私は、最低限すべての、大蔵省のお役人すべてということは大変かもしれませんけれども、関連のある部局あるいは大蔵省のトップの何人かの皆さんに関しては、最低限、あなたはこのVIP口座野村に持っているのか、あるいはほかの証券会社に持っているのかぐらいの調査は自主的に行って、大蔵省は一切関係がありませんというようなことを世界に向かって宣言をする、そういったことをとることによって大蔵省の立場を鮮明にするということも一つの選択肢だと思いますけれども大蔵大臣、この際、そういった、みずから進んで大蔵省の姿勢を世界に示すというようなことはいかがでしょう。
  27. 三塚博

    三塚国務大臣 大蔵省職員の株式取引については、平成七年に通達を発出いたしまして、その取引状況について報告を求めたところであります。その報告によりますと、特段の問題のあるもの、ございませんでした。  よって、秋葉議員の言われる今後の対応でございますが、今回の問題について特段の調査の必要があるのかどうかということであります。やれということでありますが、私自身は、前段の、申し上げましたとおり問題がないということであります以上、ただいまの段階で特段調査する必要はないと、こう判断をいたしております。
  28. 秋葉忠利

    秋葉委員 おかりました。  時間が参りましたので、また続けて別の機会に質問をさしていただきます。ありがとうございました。     ―――――――――――――
  29. 額賀福志郎

    額賀委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 額賀福志郎

    額賀委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     ―――――――――――――
  31. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、谷口隆義君。
  32. 谷口隆義

    ○谷口委員 新進党の谷口隆義でございます。  本日は、金融問題並びに証券取引問題等を中心にしてお伺いいたしたい、このように考えております。また、参考人として日銀総裁、おいでいただきましてありがとうございます。後ほどまたお聞きいたしたいと思います。  まず初めに、為替相場のことについてお聞きいたしたい、このように考えております。  昨日は百二十七円、円安がとまらないということで、従来から大蔵大臣も急激な円安は好ましくない、こういうようなお話でございました。昨日は、聞いておりますと、大蔵大臣が円安について介入もというような示唆をされたというように聞いております。一方では、ルービン財務長官がアメリカにおいて、円安の懸念は日本と共有している、こういうようなことをおっしゃっていらっしゃいました。しかしまた一方では、ドル高を容認するような発言とも受け取れるようなことをおっしゃっておられると聞いております。  まず初めに、昨日非常に乱高下いたしたわけでございますが、このところのこの急激な円安についての大蔵大臣の御所見をお聞きいたしたいと思います。
  33. 三塚博

    三塚国務大臣 本件につきましては、最近の円相場の動きは明らかに行き過ぎており、懸念を持っておると申し上げました。こうした動きに対 しては、適切なタイミングをとらえまして断固とした対処をする所存でありますと申し上げたところであります。  御案内のとおり、安定した為替レートは経済の安定した活動をサポートするものでございます。我が国の経済運営、持続的な成長を目指して諸改革を断行いたしておるところ、高い評価を海外からも得ております。そういう中で、最近の動き日本の黒字策等ではないか、その他の意見があったところでございまして、適切なタイミングをとらえて断固たる措置ということでありますので、ただいまの段階、谷口議員におかれましてもひとつ御理解をいただきながら注視をしていただきたい、こう思っております。
  34. 谷口隆義

    ○谷口委員 先日のアメリカFRBのFOMCですか、フェデラルファンド・レートが引き上げられて、日米の金利差が五%を超えるというようなことになった結果、我が国の機関投資家あたりが外債の購入に向かって、それが一層この円安に拍車をかけておるというようなことも言われておるわけでございます。また一方、この円安は貿易黒字を拡大させるというようなこともあるわけでございます。また、アメリカにおきまして、FRBのグリーンスパンさんあたりの発言を聞いておりますと、もう一段の利上げを考えておるかのような発言もなさっているように聞いておりますが、そうしますと、より一層その日米間の金利差が拡大するわけでございます。  そのような状況の中で我が国の金利は、御存じのとおり超低金利を続けておるわけでございまして、一部では、この超低金利は金融機関をつぶしてはならないという意味でなかなかこの金利を上げられない、また我が国の景気に冷や水をかけるといいますか、そういうような状況になることも考えられるわけでございまして、利上げがなかなか難しいというようなことなんでございますが、仮にもう一段の利上げがアメリカにおいてなされた場合に、我が国のとるべき金利政策について、本日来ていただいております日銀総裁に御所見をお伺いいたしたいと思います。
  35. 松下康雄

    ○松下参考人 私ども金融政策の運営に当たりましては、為替レートあるいは海外金利の動向、それだけを一つ切り離して対応を考えるということではございませんで、あくまで、それらからの影響も含めて、国内経済全体の動向はどうかということを念頭に置きまして適切な対応を図るという考え方で進めているところでございます。  そういう見方から経済の現状を簡単に申し上げますと、景気の回復力は次第に強まりつつありますけれども、今後財政面からの影響をも乗り越えて回復軌道が確実なものになっていくかどうか、まだ見きわめが必要な状態にあると考えております。  物価面の方を見ますというと、これまでの円安の影響などによりまして全般に下げどまり傾向が明確になっておりまして、先行きの物価動向につきましては丹念に見ていく必要がありますが、差し当たり、国内物価の上昇圧力が大きく高まるという状況にはございません。こういった物価動向を踏まえまして、私どもとしましては、当面の金融政策運営に当たりましては、引き続き景気回復の基盤をよりしっかりしていくということに重点を置きまして、情勢の展開を注意深く見守ってまいることが適切であるというふうに考えております。
  36. 谷口隆義

    ○谷口委員 それではちょっと日銀総裁にお伺いいたしたいのですが、先ほども申し上げたように、仮にアメリカにおいてもう一段の利上げが行われた場合に、我が国としてそれを十分考慮に入れた政策をとられるのかどうか、お願いいたしたいと思います。
  37. 松下康雄

    ○松下参考人 私の立場からアメリカの金利政策につきまして具体的に論評いだすことは適切ではございませんが、一般論といたしまして、現在の我が国の金利水準と諸外国の金利水準との差が今後拡大した場合にどうかということで申し上げますと、やはりその場合には、金利水準の格差の拡大というものそれだけをとらえて対応を考えるということではございませんで、そのために我が国の経済の側でどういう変わった動きが予想されるかということを見きわめました上で、それに応じた適切な対応を考えてまいるということにすべきものであると考えております。
  38. 谷口隆義

    ○谷口委員 この為替相場の問題は極めて重要な問題なんですが、一応この問題についてはこのぐらいにいたしまして、日債銀の問題です。  先日の報道によりますと、日債銀と全米第七位銀行持ち株会社のバンカース・トラストとの業務提携が発表されたということでございます。御存じのとおり、二〇〇一年三月を目途にして、総理は日本版ビッグバンということで、そのフロントランナーとして外為法の改正を今審議しておるところでございます。予定どおりいきますと、いよいよ来年に外為の自由化が行われるというような状況になってまいりました。今回、外国の金融機関が国内の金融機関と業務提携なり合併なりする先駆けのケースというように言われておりまして、今後我が国がどういう状況になっていくのか、国民は皆その動向を注目しておるところでございます。  御存じのとおり、イギリスにおいては証券業界を中心にしたビッグバンが行われて、ジョバーであるとかブローカーであるとか言われるような、証券業界にいらっしゃる方がほとんど外国資本に取ってかわられたというような状況を聞いておるわけでございますが、このような外国金融機関の提携、合併について、今後の動向も含めて、大蔵大臣にちょっと御所見をお聞きいたしたいと思います。
  39. 三塚博

    三塚国務大臣 御指摘のような背景の中であります。そういう中で今回の提携は、日債銀がみずからの創意で積極的に新たな運営を切り開くべく努力をいたした結果として生まれたものと考えられます。よって、大蔵省としては、その決断、方針を高く評価をいたしておるところでございます。今般の金融システム改革を機に、このような金融機関の積極的な取り組みがさらに広がりを見せ、それが我が国金融界の体制整備に資することを期待を申し上げておるところであります。
  40. 谷口隆義

    ○谷口委員 新聞を見ておりますと、大蔵省の幹部の方ということでございましたが、今回のこの外国金融機関の提携のことについて、サッカーのJリーグというのがございますが、このJリーグは海外の選手を入れてそのためにJリーグ全体が非常に盛り上がった、だからそういう意味でいいのではないか、こういうようなことをおっしゃる方がいらっしゃるようでございますが、一方では、提携であるとか合併を契機にしておいしいところを皆持っていかれるのではないか、こういうような話もあります。  我が国の従来からの護送船団行政の中に置かれる金融業界全体は極めて国際競争力が弱い、利益率も悪いというような現状の中で、一挙に自由化を促進し、提携、合併が進んでまいりますと、先ほど申し上げた、本当においしいところを持っていかれてしまって何も残らないのではないかというようなことを危惧される方も一方ではいらっしゃるわけでございます。それについてもう一度、大蔵大臣の御見解をお願いいたします。
  41. 山口公生

    ○山口政府委員 大臣の御答弁の前に、ちょっと御紹介をさせていただきたいと思いますが、日債銀がバンカース・トラストとの業務提携を昨日発表いたしましたが、そのときの発表文でございます。  日本債券信用銀行とバンカース・トラストは、この業務提携により、資産並びに不動産の流動化・証券化業務において、バンカース・トラスト・グループの証券会社機能、信託銀行機能を活用し、両行の持つ最先端の金融技術を駆使して魅力ある金融商品を提供してまいります。 というようなことを一文の中に入れておるわけでございます。  したがって、今先生いみじくも御指摘になりましたように、日本における千二百兆円という円の個人金融資産、それからもう一つの視点として対外純資産というものが日本はかなり膨大なものが あるわけでございます。そういったものをどういうふうにマネージするかというときに、大きく言いますとこういった金融技術の発達、そういったものを保有しているかどうかという一つの視点がございます。それからもう一つは、ロンドンの例で逆のマイナス面の御紹介をいただきましたが、リスクをとり得るキャピタル、つまり資本的な厚みがあるかということがございます。そういったものがどういうふうに我が国市場で考えられていくのかというところが、これからのビッグバン後、あるいはビッグバンをしている過程における我が国の再編問題といいましょうか、そういった提携問題というようなことにいろいろな形であらわれてくるのではないかというふうに考えているわけでございます。  我が国金融機関も決して大きくおくれをとっているということではございませんけれども、最先端の金融技術という面になりますと、海外の銀行等あるいは証券会社等金融技術に学ぶものも相当あるのではないか。そういったもの等が我が国における邦銀あるいは日本証券会社の今後の自助努力、あるいはそういった開発の意欲というものと相まって、そこを乗り越えていくということになろうかと思うわけでございます。  一挙に自由化ということについてのいろいろな副作用的なものということはもちろん頭に入れておかなければいけませんが、概して言いますと、ビッグバンですぐにあらわれてくるのはホールセール分野でのいろいろな革新的な動きであろうというふうに思うわけでございます。したがって、日本金融機関全体がビッグバンですぐどうなるというようなものではありません。ただ、一方でホールセールではないリテールの方等につきまして、別の観点から、地道な、地域に密着した金融機関で生きていくというようなことになるのではないかと思っております。
  42. 三塚博

    三塚国務大臣 経過は銀行局長言われたとおりであります。  グローバルスタンダード、金融システムビッグバンの基本であります公正でかつフェアな制度、こういうことになりますと、国境を超えて交流が進む、ましてや金融資本はそういう力を持つ必要性、期待もまたあるわけでございますから、そういう中で、今度のケースのようなものが引き続き一つの流れとして動くことだけは間違いないと見ております。  そういう中で、我が国金融機関は不良債権の回収等に努力をいたしております。経営改善に最大の努力をいたしております。みずからの足で立つしっかりとした基盤を築き上げていくようにしていかなければならぬ。自助努力、自己努力が大前提でありますけれども、その努力のある限り、大蔵省としても、日銀と協調しながらサポートをしていくことは大事なところに来ております、このような所感も申し述べさせていただきます。
  43. 谷口隆義

    ○谷口委員 今回のこの外国金融機関との提携の一般論としてお聞きしたいのですが、これから具体的に日債銀の問題に関してお伺いいたしたい、このように思います。  昨日の株価を見ておりますと、東証の方で一時はかなり急騰したのですが、引け値と申しますか、最終的にはまた若干値を落としたということで、市場に信認されたかどうかというのはここしばらく見ていかなければいかぬな、私はこのように思っております。  今回のこの日債銀の問題で一番重要なのは、日債銀が果たして再建が可能なのかどうかという観点、またもう一つは、この業務提携がその再建に関してどの程度の影響を与えるのかどうか、こういうことなんだろうなというように理解いたしておるところでございます。  日債銀の窪田頭取は、日債銀の再建の記者発表の折に、外銀との資本提携を示唆されるような発言もされておったわけでございまして、ビッグバンが進んでまいりますと、先ほど大臣おっしゃったように、今後は外国資本を受け入れると申しますか、やるのはむしろ当然のことなんだろうなというように思うわけでございます。  しかし一方では、先ほど申し上げましたように、我が国金融業界というのは極めて過保護行政のもとにあったわけでございまして、国際競争力もない、また収益も極めて悪いというような状況の中で、一挙にこの自由競争のあらしの中に果たして残っていけるのかどうか、こういうことさえ言われております。大手銀行二十行の中で果たして何行が残るのか、こういうような具体的なことさえ言われておるところでございます。また、先日の大蔵委員会で山口銀行局長は、そのようなことも踏まえて、大変厳しい状況になるというような趣旨の発言もされていらっしゃいました。  そういうことで、今我が国個人資産千二百兆円と言われるこの問題について、どうも外国の金融機関は極めて魅力を感じておるようでございます。そういうことで、今回その先鞭としてこの業務提携が行われたというようなことなのだろうと思いますが、これについて、先ほど大蔵大臣にお聞きしたのですが、今回のこの外国金融機関との提携について、日銀総裁に御見解をお伺いいたしたいと思います。
  44. 松下康雄

    ○松下参考人 今回の提携につきましての日債銀の方からの発表によりますと、この提携におきましてのいろいろのねらいがあるわけでございますけれども一つは、例えば海外業務から撤退をするという方針をとりました場合に、海外の業務に対して利害関係をお持ちの顧客に対するサービスをどうやって継続するかという点で活用するということも考えられたようでございます。また、将来は資本的提携も考えることがあるかもしれないということでございますから、このあたりは、一つは、相手のバンカース・トラストの持っておりますところの非常に先進的な金融技術のノウハウといったようなものを、国際業務のみならず日本の国内での業務にも活用していくという考え方もあるやにうかがわれるところでございます。  こういう点から申しまして、先ほど御指摘もございましたけれども、今後の日本金融システムあるいは金融機関のあり方というものが、いわゆる日本版ビッグバンを通じまして本格的に国際化、規制緩和というものが進んでまいる、そのような状況に即応しまして、我が国金融機関自体が従来以上に顧客に対してすぐれたサービスを提供していき、また国際的にも競争力を高めるという、そのねらいを実現してまいります上での一つのこれは有効な手段になるものであるというふうに理解をいたしております。
  45. 谷口隆義

    ○谷口委員 先ほど申し上げましたように、イギリスでは証券業界中心にビッグバンが行われたわけでありますが、ジョバーであるとかブローカーであるとか、ほとんど外国資本に取ってかわったわけですね。  それで、我が国は今後どうなるのかということでございまして、これも昨日の新聞を見ておりますと、証券局長が、最後に市場か業者のどちらをとるかと問われたならば私は市場をとります、こういうようなことをおっしゃっていらっしゃいました。余り極端な話をしたくはないのですが、今後、先ほども申し上げたように、我が国市場のおいしいところはみんなとっていかれてしまうというような状況を想定した場合に、果たしてそれがいいのかどうか。どのような形を理想の形として描いていらっしゃるのか、これがちょっとはっきりわからないのですが、大蔵大臣、このあたりはどうでしょうか。
  46. 三塚博

    三塚国務大臣 もう既に金融改革、日本版ビッグバン、天地創造のビッグバンということに倣いまして、新しい創造に手をつけようというのが橋本内閣の基本的な金融改革システムの考え方であります。その中で、フリー、フェア、グローバルという、まさにその原則を踏まえたスタンダード、国際的なスタンダードに合うものをつくり上げることによって初めて、日本の持つ力、一千二百兆の個人資産だけではなく、日本人の持つ人生観、民族性、協調観などがその中にあるわけでございます。勤勉かつ努力家、そして勉強家ということでやり抜いていくならば、必ず世界の中におけるセンターマーケットとしての体制が整備され ていくのではないか、私自身そのように思います。  痛みを伴うことはそのとおりであります。日本の政治でございますから、国際化の潮流の中にありましても、中小を含め、また新しい天地を求めてマーケットに参入する各位のチャンスをオープンにしていくということも大事なことで、それぞれの研究会が行われておるところでございます。  そういう点で、日本市場がニューヨーク市場、ロンドン市場と並び適切な役割、特にアジアにおけるセンターに我が国がなっておるわけでございますから、このことを進めますことは、アジア諸国の金融システム確立にも大きな励みにもなるでしょうし、十八カ国参加をいたしましたAPECフィリピン会議におきまして、各国からそういう要請も出ました。我が国のイニシアチブにより、本件に対し民活を活用し進みましょう、民活の最大なものは金融、こういうことになろう、こう思っておりますので、全力を尽くしてこのシステム改革が成功するように努力をしてまいっておるところでございます。
  47. 谷口隆義

    ○谷口委員 競争というのは極めて厳しいものでございまして、御存じのとおり、メガコンペティションと言われるような時代であります。一刻の猶予もならない、こういうような競争の時代、オープンになって外国資本がどんどん入ってくる、こういう大変厳しい時代に、事によると外国資本に席巻されて大変な状況になるのではないかということさえ予想されるわけであります。  今回の日債銀については、外国資本がそこに魅力を感じたから提携をした。また、今後も合併をするというようなこともあるだろうと思います。一方では、もう全く魅力の感じられない金融機関、こういうところは一体どうなるのだと。これはもう自由化でございますので、護送船団行政を引かれたということでありますから、当然その中においては経営破綻をするところも出てくるだろうというようなことであります。極めて厳しい現実がこれから起こるのだろうというように思うわけです。  決して甘くない、むしろ大変厳しいような状況になるだろうというようなことで、今の大蔵大臣お話を聞いておりますと、ちょっとバラ色の感じを私は受けたのですが、実はそんなことでは全くない。先日も銀行局長がおっしゃっていたように、金融機関がばたばたといってしまう可能性がある。こういうことを想定した場合に、果たして今の状況が好ましいのかどうか、もう一度、簡単で結構でございますから御答弁お願いします。
  48. 三塚博

    三塚国務大臣 自由主義、資本主義というものは、競争の中でおのれを磨き、基盤をつくり、進むものであります。そういう原則からいいますと、谷口議員御指摘のように大変厳しい状況に直面をいたします。  よって、早期是正措置を四月一日を期して行う、こういうことでありますから、各銀行、金融機関、全力を挙げてこの早期是正措置についての作成、実行に入っておるわけでございます。ディスクローズされた形の中で国民各位の理解、協調を得、御参加をいただく、こういうことであります。  一面、大変厳しいところがありますが、早期是正措置を来年四月一日に控えて最大の努力をしておるわけでありますから、その努力は最後までやり抜いて取り組んでいただきたいということも、私ども大蔵省として真剣に指導、奨励をいたしておるところでありますので、両々相まちまして、切磋琢磨をし、信認を得る努力をそれぞれの銀行が示すことによって、共鳴の中に協調、支持が国民間から生まれてくるのではないかと期待をいたしておる、こういうことであります。
  49. 谷口隆義

    ○谷口委員 我が国金融機関、銀行と呼ばれる金融機関は都銀、長信銀、信託、地銀、第二地銀、このように約百五十行あるというように聞いております。その下に協同組織の金融機関が信金、信組というようにあるわけでございますが、先ほど申し上げたように、我が国金融行政は過保護行政、一番下に照準を合わせてやってきた。だから、そういう意味では、そこに照準を合わせているものですから、本来死に体の金融機関も、本来はもう存在価値すらないような金融機関も政府は面倒を見てきた、そのために大変な社会的コストがかかった、このように言われておるわけであります。競争社会の中では、そういうところはもうどんどん経営破綻、本来、競争の中では当然のことであるわけでありますが、そういうようになるわけでございます。  それでお聞きいたしたいのですが、現在の金融機関百五十行は、先ほど申し上げましたように、都銀、長信銀、信託、また地銀、第二地銀、このようにジャンル分けされて約百五十行ありますが、これは果たして我が国状況からして多いのか多くないのか、適当なのか、このような観点でひとつお聞きいたしたいと思います。
  50. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  大変難しい御質問でございまして、多いということでありますと、今後いろいろ再編整理等を行っていくということになりますし、少ないということでありますと、今後ともそういった機関が全部残っていくということになろうと思います。少なくとも、今現在存在しているということは、今そこでバランスがとれているということにはなるわけでございまして、したがって、多い、少ないということを一概に今の段階で申すのはなかなか難しい。将来、それが多かったのか少なかったのかということになりますと、それは、将来どういう姿になったかということで、後で振り返ってみるとそうだったということになるのではないかと思います。
  51. 谷口隆義

    ○谷口委員 はっきりわからない御答弁でございましたが、金融機関というような下に信金、信組という協同組織金融機関があるわけですね。私の地元大阪でも木津信用組合、これは不良債権が一兆円近くあった。このように信用組合といえども無視できない大きい状況であります。先ほど申し上げたのは、そういうジャンル別が果たして、長期信用銀行、まあ金融債の問題は後でまた触れたいと思いますが、こういう金融債の問題、また都銀と信用組合が今同じ土俵で戦っておる状態、こういう状態を抜本的に改善していく必要があるのではないか、このように思うのです。これもまた、先ほど国際社会における大競争を前提にした話で、そういうことを今こそ抜本的に考え直して制度改革をやっていく必要があるのではないか、このように思いますが、いかがでございますか。
  52. 山口公生

    ○山口政府委員 御指摘のように、これから金融機関がそれぞれどう生き残っていくかということを考えてみますと、かなりやはり自分の得意な分野に特化していくということになろうかと思うわけでございます。得意な分野というのは、必ずしもホールセールの最先端というだけではございません。各地域におきましても、その地域のお客様の情報を十分に把握して、そのニーズにきちっとこたえていくということも得意な分野であるわけでございまして、一概にどういう姿がいいのかといいますと、区々いろいろな経営者の判断でそれは選択し得る余地が大分あるのではないかというふうに思うわけでございます。  したがって、これからの金融機関は、そういった得意分野を伸ばし、不得意な分野はむしろ切り捨てるなりほかとの提携で対応していく、そういうところをきちっとやったところは十分にこれから伸びていくことができるだろうというふうに考えるわけでございます。したがって、ある意味では、そういったことが十分にやれるようなインフラの整備をしていくということが大切ではないかというふうに私どもとしては思うわけでございます。
  53. 谷口隆義

    ○谷口委員 そういう厳しい状況の中で、さっき申し上げたように、破綻する金融機関もこれはもう当然出てくると思います。その準備もなされているのだろうと思いますが、そこで問題になるのは、いわゆるセーフティーネット、もっと言うと危機管理体制。我が国の営々と築かれた金融インフラが一瞬のうちに崩壊してしまうというようなことは、これは絶対に避けなきゃいかぬ。こうい う意味において、セーフティーネットは大変重要なものであります。しかし、先ほど申し上げたように、我が国金融機関のシステム全体が必ずしも整合性のとれた形になっておらない。  一つは、例えば農林系金融機関の問題は農林省を中心にして所轄している、また信用組合は機関委任事務ということで地方公共団体が面倒を見ている、こういうような状況の中で、整合性のとれたセーフティーネット、もっと言うなら危機管理体制が果たしてとれておるのかどうかという趣旨の質問を以前にやったことがございます。その後、それについて具体的に行われたというようなことをお聞きはいたしておらないところでございますが、そういう問題意識、また現実にどういう対策をとられておるのかをお聞きいたしたいと思います。  その前に、なぜこういうことを申し上げますかといいますと、この日債銀の問題で自己破産をしたノンバンク三社、このノンバンク三社の中に農林系金融機関がかなり貸し出しをしていらっしゃって、今回は自己破産ということで、また後で申し上げたいと思いますが、母体行主義ではなくてプロラタでやられたということで、二千数百億の負担をしなきゃいかぬわけであります。内容を見ておりますと、赤字の県信連もかなりの金額が回収できないということになっておるようでございますが、その辺のことも含めての質問でございますので、よろしくお願いします。
  54. 山口公生

    ○山口政府委員 後ほど農林省の方からもお答え申し上げることになるかと思いますが、信用組合あるいは農林系を含めてその危機管理というお尋ねでございますが、前通常国会におきまして金融三法を成立させていただきまして、今世紀中は預金を全額保護できるというシステムをつくっていただいたわけでございます。そのときには、当然信用組合もその対象になっておるわけでございますし、農林系統につきましても、これはセーフティーネットの組織形態は違いますが、同様な改正をこのほど行われたというふうに聞いておるわけでございます。
  55. 谷口隆義

    ○谷口委員 ちょっと御答弁が、私の申し上げたことに答えていただいていないのですが、要するに、弱小の金融機関、協同組織金融機関においても、護送船団行政でいきますと、一そうでもつぶれると全体に影響を及ぼすような金額がある、こういうことでございまして、この農林系金融機関においても、今からちょっと質問いたしますが、先ほども申し上げましたように、今回、日債銀の系列のノンバンクが三社自己破産したということで、これを見ておりますと、クラウン・リーシング、日本トータルファイナンス、日本信用ファイナンスサービス、この三社が自己破産をして、三社の負債金額が二兆一千八百三十八億円あるというようなことのようでございます。  従来、住専の折のいろいろの議論の中で、母体行方式ということを言っておったわけでありますが、今回は、自己破産をすることによって、プロラタ、比例配分の方式でやられたというような結果、農林系金融機関は、農中も含めまして二千三百九十億円回収できない金額がある。ほとんどクラウン・リーシングに対するもののようでございますが、全国四十七信連のうち二十七信連が貸し出しをしておって、九八年三月期で赤字になる可能性のある埼玉県信連七十七億、栃木県信連三十八億、宮城県信連二十七億。このような経営基盤の弱い信連がより一層悪化するのではないか、このようなことさえ言われております。きょうは農水省から来ていただいておると思いますが、御答弁をお願いいたしたいと思います。
  56. 白須敏朗

    ○白須説明員 御説明申し上げます。  今回の日債銀系列のノンバンクの処理の件でございますが、先ほど来お話ございますとおり、日債銀の経営問題を抜本的に解決いたしまして、その信認を回復させることが我が国金融システム全体にとりまして緊要の課題である、こういうふうに判断をされまして、そのために、日債銀によります徹底したリストラ努力ということを大前提といたしまして、法的整理を含む不良債権の抜本的処理が必要だというふうに考えられたというふうに聞いているわけでございます。  そこで、ただいまお話ございましたクラウン・リーシングを初めといたします日債銀系列のノンバンクの処理の件につきましては、委員御案内のとおり、もう既に破産宣告がなされているわけでございまして、系統金融機関といたしましては、他の再建策と同様に、今後、破産債権の届け出といった手続に従って対応していくということになろうかというふうに考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、ノンバンクのこの不良債権につきましては、それぞれの経営内部におきまして処理されるというふうなことが基本ではなかろうかというふうに考えているわけでございまして、今後は、一方では破産法に従いました手続が行われると同時に、関係当事者間におきまして話し合いが行われるのではないかというふうに考えておりまして、私どもといたしましては、今後の事態の推移を見守ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  57. 谷口隆義

    ○谷口委員 もう一つ、農水省にお聞きしたいのですが、今回、農水省は直接関与されていない問題ですが、日債銀と農林系金融機関との間で念書を出されておるというようなことで、果たしてプロラタでいけるのかどうかということが今巷間言われておるところでございます。これについてはどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  58. 白須敏朗

    ○白須説明員 御説明申し上げます。  一般的に、委員も御案内のとおり、子会社の経営再建につきまして、親会社あるいは母体行から、再建が円滑にいくようにというふうなことで、経営の支援を行いますこととあわせまして、子会社取引先につきまして支援を要請するということはあり得ることだろうというふうに承知をいたしているわけでございます。  日債銀の系列ノンバンクの経営再建につきましては、これまでにも経営計画が策定をされておりまして、系統金融機関に対しましても経営支援の協力要請もございまして、それぞれこれまで対応してきたというふうに聞いているわけでございます。  ただ、今委員の方から念書というお話がございましたが、日債銀からこの系統金融機関に対しまして、どういう内容の、いかなる性格の文書が出されているかというふうなことにつきましては、これは両当事者間の個別の取引内容にかかわる問題であろうというふうに考えておりますので、この点につきましては、私どもとしてはコメントを差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
  59. 谷口隆義

    ○谷口委員 当事者間の問題でございますので、そういうことなんだろうと思いますが、いずれにしましても、どうも聞いておりますと、プロラタに対して問題ありというようなお話も出てきております。  そんなことで、またさっきのセーフティーネットの話に戻るのですが、弱小金融機関、また大蔵省所管以外の金融機関においても、同時多発でこの問題が起こってくると、無視できない可能性も十分あるわけでございます。今後、ノンバンクの問題もそうでありますし、今大きな問題としてささやかれておりますゼネコンの保証債務の問題、これはこれから大きな問題になってくるだろうと言われておりますが、このような問題も含めて全部がリンクしておるわけであります保から、このセーフティーネット、もっと言うと、さっき申し上げました危機管理体制、これは具体的なものを省庁の壁を乗り越えてつくっていただく必要があるというように思うわけでございますが、大蔵大臣、簡単にそのことについて御答弁をお願いいたしたいと思います。
  60. 三塚博

    三塚国務大臣 自由主義経済の中における金融機関というのは、まさにその最先端にあるわけであります。産業の血液が金融機関でありますことは、御案内のとおり。そういう中で、ジャンルの御紹介がございました。それぞれがそれぞれの営 業目標に向かって展開をいたしておるわけでございます。適正か適正でないかは山口局長の、多いといえば多い、少ないといえば少ない、その真ん中が適正、こういうふうに聞きましたが、それほどそれは難しい問題。  それは、各金融機関の創立の理念、それから経営方針、今後への展望。今後への展望、厳しいわけてありますから、自助努力、自己努力、他行に負けない、他会社の模範となるように必死の形相で再構築をする。まず危機管理という大きな観点からいきますと、これが、それぞれの機関がそれぞれに努力をするということで集大成されますと、危機は乗り越えられるというふうに思います。しかしながら、そうなったときの備えはなければいけません。そういう意味では、金融三法、これを活用して全力を尽くす、こういうことに尽きると思っております。
  61. 谷口隆義

    ○谷口委員 金融三法は信用組合の救済でございまして、それだけでは十分対応できないわけであります。  先日申し上げたように、この危機管理体制は、起こることを前提にやらないと、今まで阪神・淡路大震災のときもそうでしたし、重油の流出事故においてもそうでした。起こることを前提に、政府の方で、省庁の壁を乗り越えて、金融インフラの崩壊のないようにぜひやっていただきたい、こういうように強く申し上げたいと思います。  今回の日債銀の再建について、その内容を聞いておりますと、どうもまた護送船団行政が揺り戻しされたのではないか、奉加帳方式が行われているのではないか、このように言われております。資本の大幅増強ということで、三千億の増資を日銀、大蔵省が主導で各金融機関にお願いに行ったというような話であります。生損保の方では、劣後ローンがございまして、これが千五百億、この千五百億の劣後ローンを資本に組みかえてくれ、こういうような要請について、どうして組みかえる必要があるのだ、こういうような御意見のようでございます。  そこで、ちょっとこの劣後ローンのことが出ましたので、早期是正措置におきます自己資本比率の問題について若干お聞きいたしたいわけでありますが、御存じのとおり、国際基準としてBIS基準がございます。これは自己資本比率八%が基準になっているわけであります。また、我が国の現行の国内基準がございます。これは四%。今考えておられる修正国内基準というようなものがあるようでございます。私はまず、この大前提で、我が国の早期是正措置における自己資本比率は国際基準に合わせるべきではないか、このように考えております。  しかし、状況を聞いておりますと、BIS基準のティアⅠ、ティアⅡ、このようなものがあるようでございますが、このティアⅡでは有価証券の含み益四五%が入るのですね。ところが、今回のこの修正国内基準は、この四五%の含み益は入れないとか自己資本比率そのものも四%でやろうとか、こういうようなことで、国内基準と国際基準を分けて考えていらっしゃる。果たして、この国際化の厳しい競争社会の中で、これでいいのかどうか。げすの勘ぐりというのですか、もっと考えていきますと、有価証券評価益四五%をこのティアⅡの中に入れないというのは、もう金融機関の中で含み益がなくなった、今後もふえる見込みがないという前提でやっているのではないか、このようなことさえ考えられるわけでございます。  まず初めに、この自己資本比率の、私が申し上げでいることについての御見解をお願いいたしたいと思います。
  62. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  確かに、国際基準としてBIS基準八%がございます。国内基準は今まで四%ということでございましたが、それは自己資本割る総資産という形でございました。今回、早期是正措置を入れるに際しまして、それを国際基準的なものに修正するという修正国内基準をつくらせていただいたわけでございます。  この検討会で昨年十二月末にまとめましたときに、確かに、委員のおっしゃるように、将来のことを考えるとみんな国際基準に合わせるべきじゃないか、八%にするべきじゃないかという議論がありました。しかし、現実に国際的な活動をやっていないところに八%の基準をかぶせてしまうということは、ほとんどのところを私どもが直接指導するというようなやや非現実的な姿になります。したがって、将来はそういうこと、委員のおっしゃるような方向に行くこともあるということを念頭に置きながらも、とりあえず国内業務にほぼ特化しているところは修正国内基準でいこうということでございます。  その際に、御指摘のようにBIS基準では、株式の含み益の四五%を、特別待遇とは言えないにしても、理屈はあると思いますが、入れております。ただ、国内の場合に、それもやはり同じようにするのかどうかというのは、かなり議論がございました。それを入れた場合に、余りにも含みというものに頼った経営をするということについてどうかという議論もございます。それで、しかも四%ということを考えますと、四%基準というのは、ある意味では、国際的な活動をしている、BISにかんがみてみますと、ティアⅠの部分の考え方でいいのではないかというような考え方で含み益を入れなかったということでございます。
  63. 谷口隆義

    ○谷口委員 要するに、今この八%基準を入れるとほとんどがクリアできないというのは、逆に言いますと、今までの護送船団行政の中でそのような極めて財務体質の悪い金融機関をつくってきた、こういう責任はやはり感じなければいけないだろうと思うのです。この競争社会に耐えられない金融機関は当然破綻の道を歩むことも十分考えられるわけでございますから、そういうひとつ厳しい、もうこれは大変やりにくい状況をつくり出していくということも私は必要ではないか。このようなダブルスタンダードが果たして望ましいのかどうかというように私は考えておるところでございます。
  64. 山口公生

    ○山口政府委員 国際基準と申しましても、国際的な活動をしている銀行に適用するものでございまして、諸外国においても、国内で専ら業をしているところはその基準の適用はないわけでございます。したがって、国際的な競争裏で活動しているところが八%でございますので、そこのところをぜひ御理解いただきたいと思います。
  65. 谷口隆義

    ○谷口委員 それなら、国際的に活動しているところだけは、BIS基準で国内もやるということも考えられるわけですから、それは僕は問題があるというように思っております。  それと、今回のこの日債銀の再建案を見ておりますと、九年三月期不良債権処理額が四千六百億円で、その結果、最終的に資本勘定が約一千億円というようなことであります。  しかし、いわゆる大蔵省銀行局の検査基準によりますいわゆる第Ⅲ分類と言われるもの、第Ⅲ分類というのは、最終の回収または価値について重大な懸念が存し、したがって損失の発生の可能性が高いが、その損失額については合理的な推計が困難な資産、こういう分類の第Ⅲ分類、これを私の方に要求したのですが、出てこないのです。しかし、増資を依頼する金融機関にはこの資料を持っていかれたということなので、どうして持ってこないかと昨日も申しておったわけでありますが、これは新聞報道に出ておりまして、四千七百億程度この第Ⅲ分類にあるというのですね。この第Ⅲ分類の四千七百億を例えば不良債権処理したら、一遍に債務超過になります。極めて判断が難しい不良債権が四千七百億ある。  先日、我が党の鈴木議員もおっしゃっておりましたが、実質的には債務超過ではないのかというようなことすら言われておるわけでございます。債務超過であれば、当然業務停止命令が出されなければいけない、再建が難しいというか再建をあきらめなければいけない、こういうことになるわけでありますが、そのような債権が四千七百億ある。これについてどうも実質的には債務超過の可能性もあるのではないか、このように私は考える のですが、それについての御答弁をお願いいたしたいと思います。
  66. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  大変な専門家でいらっしゃる先生にお答え申し上げるのは失礼かと思いますが、いわゆる第Ⅲ分類というものにつきましての御質問でございますが、同行は今回自己査定を十分にやりまして、外部の監査法人のチェックも入れてやった結果でございまして、それで、今期に必ず償却すべきもの、つまり回収がもうできないということで企業会計上償却すべきものは全額償却をいたしております。  それで、懸念があるというものにつきましては、将来それが回収ができないという事態になりますれば、それを償却あるいは引き当てをしなければいけないということになるわけでございますが、通常そういった段階のいわゆる不良債権というものは各銀行ともある程度は抱えておりまして、抱えることは決していいことではありませんが、それを将来の、これからの業務純益等でどんどん消していっているわけでございます。あるいは、余裕があるところは、それをまた有税で引き当てるなどして早目に対処しているわけでございます。  そうしたことで考えますと、日債銀の場合は債務超過ではございません。したがって、十分に再建ができるという前提のもとでプランを、再建策をつくったという事情でございます。
  67. 谷口隆義

    ○谷口委員 極めて難しい問題なのですが、今回の日債銀の問題、先ほども申し上げましたように、日銀、大蔵省主導で奉加帳方式をまたやられたのではないか。現実に奉加帳方式をやられておる、このように私は思っておるわけでございますが、これはやはり問題があるのだろう。グローバルスタンダードから見ますと極めて問題があるのではないか、国際的に説明しにくいのではないか、国際マーケットの理解を求めにくいのではないか、このように思っておりますし、また、今後もそのようなことはあり得るということで、モラルハザードを起こさないのか、救済してもらえるのではないかというようなことを考える経営者が出てくるのではないかと私は考えております。  そこで、これは大蔵大臣ももうおっしゃっておるわけでございますが、海外に行かれても、大銀行二十行はつぶさない、こういうようなお話をされておられて、今回の拓銀、日債銀も、そういうような結果、破綻処理をしないでやられたということなのですが、この大銀行二十行をつぶさないというのは国際公約というように言われておりますが、これは国際公約なのですか。
  68. 三塚博

    三塚国務大臣 これは、国際公約ということではなく、日本大蔵大臣としての決心を申し述べました。  その根拠は、今の日債銀、拓銀等、固有の銀行名は出しませんが、当時、言われておる銀行が二十行の中にありますと。しかしそれぞれが大変な自己努力をいたしております、やる気のないものを応援したってどうにもならぬわけですから、最大の努力をして、精いっぱいの生き残りのための諸方策の検討に入っております、その限りにおいては大蔵省もまた日銀とも協調をしながらサポートをするということは、ひとり我が国金融システムの安定だけではなく、特に昨今の国際金融システムという大変大事な要素が国際経済の中にありますので、そういうことになりませんように努力をいたしておりますので、高い見地から冷静に見詰め、サポートをいただきたい、こういう趣旨で申し上げておるところでございます。
  69. 谷口隆義

    ○谷口委員 そうしますと、大銀行といわゆる大銀行以外の中小金融機関と扱いをこれから変えていかれるということはないのでしょうか。  この際、ツー・ビッグ・ツー・フェールというような原則があります。これは、コンチネンタル・イリノイ銀行が一九八四年に大変な経営破綻を招きかねないような事態になって、アメリカにおけるFDICが優先株を引き受けて、その後市中で全部その分また戻して、九四年にバンク・オブ・アメリカと合併した、こういうようなコンチネンタル・イリノイを念頭に置いた処理ではなかったか、こういうように言われておるのですが、私は、今の日債銀、拓銀の状況とは違うのじゃないかというように思っておるのですが、まず、初めに申し上げた、大銀行とそれ以外の金融機関との扱いをこれから変えるのかどうかについて御答弁をお願いいたしたいと思います。
  70. 三塚博

    三塚国務大臣 まず、日債銀等の対応については、前段申し上げましたとおり、日債銀の自己努力、リストラというもの、その努力を報告を受けたものでありますから、チェックをしサポートをする、これは監督官庁とすれば当然のことと私は思っておりますので、担当者の各位にその後にサポートをする、こういうことであります。国際金融秩序という大変重要な問題、特にG7の蔵相会議の主要メンバーということにまでなっております我が国の立場からは、国際金融システムに対して大変な責任を持っておると考えておるところであります。  しからば、大銀行はサポートするけれども、中銀行以下、こういうところはどうするのかね、こういう問題でありますが、差別は正直言ってありません。金融三法においで預金者保護を通じまして金融の安定を図る、そういう点でありますし、それから地銀、信用金庫につきましても、自己努力をやり抜く限りにおいてはその行動をサポートする、こういうことでおるわけでございまして、そこのところは、国際金融システムというのは日本の代表する二十行の肩にずっしりとかかっておる問題であります。それと国内信用秩序という意味でも、国内危機管理という意味では大事なポイントでありますから、その点をサポートするということは、今の大前提を満たされる限り、ポイントは変わっておらないわけであります。
  71. 谷口隆義

    ○谷口委員 それなら、今まで自己責任原則、透明行政と言われたこの銀行行政のあり方を、今回のような奉加帳方式でやるとか護送船団の揺り戻しのような処理をどうしてされたのですか。こういうことをやっておると、せっかく生き残れる金融機関を護送船団のために全部つぶしてしまう、そういうようなことさえ言われておるわけで、私もそういうように考えておるのです。このようなことを続けると、生き残れる銀行も生き残れなくなってしまう。  ですから、このビッグバンの中で、自由競争の中で、生き残れるものは残る、破綻処理していかなければいかぬものはそういうような処理をするというのは、これは競争社会なのですから、そういうことでいくと、今回の日債銀、拓銀と道銀の合併の問題、これはちょっと問題があるというように私は思います。こういうような方法をやらざるを得なかった理由があるのですか。
  72. 山口公生

    ○山口政府委員 護送船団とか奉加帳とかいうふうな御批判をいただいていることは承知しておりますけれども、今回、日債銀が極めて異例とも思われるような大胆なリストラ、削る案を出し、それを前提に関係者に増資を要請しているわけでございますが、この増資の要請先を見ますと、まず、自分のところの株主になっておられる銀行、それも大手の銀行、それから劣後ローン提供の生損保、これへの振りかえ、それから長期信用銀行の三種類がございます。  最初につきましては、万一日債銀が調子が悪くなっていくということになりますと、株主の利益は全部喪失してしまうわけでございます。そういうことから、やはり日債銀に立ち直ってもらいたいという気持ちは重々あるわけでございます。それから、劣後ローンにおきましても、劣後ローンはやはり劣後性がございますので、どうしてもそこに毀損という問題が生じてくる。それから、長期信用銀行の数行につきましても、これは金融債という市場性の資金を調達しているわけでございます。金融債の信認ということは、そういった会社の経営にとっても大変重大なわけでございます。  そういった関係者がこういった増資の依頼を受けているということでございまして、奉加帳とか護送船団とか、よく御批判はありますけれども、 そういった関係者を絞った形での増資の依頼ということを、ぜひ御理解賜りたいというふうに思うわけでございます。
  73. 谷口隆義

    ○谷口委員 日債銀の発行しておる金融債の問題についてお聞きしたいのですが、御存じのとおり、三月二十一日に米ムーディーズ社が格下げを行いまして、投資不適格、こういうような形になったわけであります。状況を聞いておりますと、今回の提携の問題なんかも含めまして、また検討したいというようなお話もあるようでございます。  しかし、いずれにしても、格付会社がジャンクボンドとしたような金融債について、今、資金運用部で購入されておるわけであります。また簡保においても購入されておるところでございますが、このような資金運用についての法律を見ますと、安全かつ確実というように第一条に規定されておるところでございますが、今後もこのような金融債について買い増しをされるのか、今後の方向についてお聞きいたしたいと思います。
  74. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 お答え申し上げます。  今委員が言われましたように、資金運用部資金は、資金運用部資金法に基づきまして運用を行っているところでございます。  具体的には、資金運用部資金法第七条に運用対象は法定されておりまして、その中に、国債等と並びまして、金融債も運用対象として掲げられているわけでございます。したがいまして、資金運用部によって金融債を購入している趣旨は、まさに法の趣旨に基づいてやっているわけでございますが、特定金融機関の債券を買い支えるとか、そういう意味でやっているわけではございません。  今後どうするか、方針ということでございますが、いずれにいたしましても、資金運用部資金につきましては、今委員も言われましたような、法の趣旨にのっとって適正な運用に引き続き努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  75. 谷口隆義

    ○谷口委員 余り時間もないので、拓銀・道銀の合併についてお聞きいたしたいと思います。これは、来年の四月に合併をされるというようにお聞きいたしております。  今までの合併というのは、二つの形に分けられた。一つは相互補完型合併、もう一つは救済型の合併。相互補完型の合併は、典型的な例は東京三菱銀行の例であった。これは大蔵省よりも当事者間が非常に望んだ、いわゆる恋愛結婚のような合併が行われた。もう一方は、救済型の合併。比較的体力のある銀行がない銀行を吸収合併する、こういう救済型の合併、いわゆる見合い結婚というような合併ですね。  このような二つの合併があったと言われておりますが、今回の道銀、拓銀はこのいずれにも属さない合併、このように言われております。拓銀は九六年の九月期に九千三百億円の不良債権があり、北海道銀行は千六百億円の不良債権を持っておる。双方がハンディを持つもの同士の合併、こういうようなことでございます。  果たしてこのような合併が、合併のメリットを受けられるのかどうか、こういうことが疑問視されておるわけでございますが、日銀総裁、ちょっとこのことについて御答弁をお願いいたしたいと思います。
  76. 松下康雄

    ○松下参考人 御質問の北海道拓殖銀行と北海道銀行でございますけれども、今回の合併の特色は、思いますに、この両行は道内におきまして約百カ所、合計二百店舗の立地が重なっているというような状態にあるわけでございます。したがいまして、こうした重複店舗を思い切った整理統合を進めることが可能であり、顧客に対するサービスを落とさずに、経営の効率を両行同時に改善することができるというメリットは大変大きなものだと思っております。私は、こういう点が今回の両行の合併の一番大きな動機であったのではないかと。  いろいろの不良債権処理というような両行の持っております共通の問題を早期に解決し、そして北海道地域を基盤として広域的に顧客の利便に資するという新銀行をつくるという点で両行の考えが一致したのでありますれば、それは大変前向きのことでございまして評価できることだと思っております。
  77. 谷口隆義

    ○谷口委員 まず、メリットとして考えられるとするならば、北海道における寡占化の問題だと思うのですね。競合しているところが競合しなくなる、こういうことによって、そのメリットを受ける。  そうしますと、これは独禁法の問題もこれあり、公取の方もコメントをされておるのですが、拓銀、道銀以外の金融機関は果たしてどうなるのかというような問題も含めまして、こういう形で救済することが果たしていいのかどうかということさえ今言われておるところでございます。このようなことについて大蔵大臣の御答弁をお聞きしたいのですが、ちょっと時間がないので、私は、この合併そのものについて疑問があるということでございます。  それで、私は、おととしの十二月に、例の大和銀行の問題があったときにアメリカへ行って、先日来られましたけれども、当時のニューヨーク連銀のマクドナー総裁であるとか、FRB、FDIC、OCC、SEC、また当時の銀行委員会委員長のジム・リーチさんであるとか、三回、四回にわたる公聴会の状況も聞いてまいりました。そこで共通しておっしゃっていたのは、透明性に欠けるということでございまして、また、日本は外圧でしか変わらないのか、こういうような意見を述べられる方が多かったわけであります。  そういうこともあって、その後予算委員会で私も質問したのですが、銀行行政そのものも転換をする、護送船団行政をやめていかなければいかぬ、こういうことになっておったのですが、今回のこの一連の処理は、また国際マーケットにおいてどうも説得しにくいようなやり方になっておるのではないかというように感じております。これについて、大蔵大臣の御所見をお願いいたしたいと思います。
  78. 三塚博

    三塚国務大臣 谷口議員と基本的に違うところが一つあるのですよね。護送船団方式、特に象徴的な奉加帳方式ではないのかという御指摘です。  先ほど来答弁がありましたように、最終的にはその銀行の、また出資者の、協調者の判断なのですね。そういう点を基本に置きながら、当局とすれば強制にわたるようなことは一切やっておりません。山口局長言われるとおり、それぞれ株主であったり、劣後ローンであったりということの中でございますから、そういうことの点をひとつ御理解をいただきたいと思っております。  透明性に欠けると外国の方が言われたということでありますが、こういう大きな転換期の再建策というのは透明性なのです。だから、そういう点で、再建策をお示しすることにより理解を得る。応ずる人は、これをやることによって我が社もメリットを受けるであろう、将来の展望にプラスになるであろう、株主に対する責任もそこで果たしていけるのではないだろうか、こんな点も考慮の中にあったのではないかと思っております。  またAPECの話をして恐縮でありますが、十八の代表・蔵相との懇談でこの金融システムの問題に触れ、そしてバイの会談できちっと申し上げましたら、大変力強い、よいことが日本で行われておる、頑張ってください、こういうこともコメントとして受けたことを御紹介申し上げながら、今後国際社会においても、我が国の方式は護送船団、奉加帳方式ではない、自己努力、自己再建という基本的理念に基づいて、協調を得て、了承を得てスタートをしておるもの、こういうことで取り組んでまいりたいと思っております。
  79. 谷口隆義

    ○谷口委員 では、時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。     〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕
  80. 保岡興治

    ○保岡委員長代理 次に、田中甲君。
  81. 田中甲

    田中(甲)委員 先日、私は当委員会で特措法の質問をさせていただきました。石油アスファルトその他に関する質問でありました。大臣に細かい 点に及んで適切な答弁をいただいたことを本当に感謝しております。また三日、本会議場で、このときは日本版ビッグバンのフロントランナーとしての外為法の改正で質問させていただきました。そのときも大臣答弁をいただきましたことを大変に感謝を申し上げる次第であります。  引き続き、きょうは私は、日本金融システムは、現在、不良債権処理と日本版ビッグバンという二つの大きな難問を抱えながら未踏の危険区域に差しかかっていく、そんな状況であろうかということを思いながら、日債銀の問題を中心に一般質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  大臣、冒頭ですけれども、新聞で私は読んだので確認をさせていただきたいのです。  今回の日債銀の措置は、大臣の発言によりますと、日債銀の信頼が回復されると確信をしている、胸を張ってそうおっしゃられたという新聞の一部を読ませていただいたのですが、確認をさせていただきたいと思います。大臣はそのように発言をなさったのですか。
  82. 三塚博

    三塚国務大臣 そのとおり申し上げさせていただきました。
  83. 田中甲

    田中(甲)委員 どう見ても十分な情報開示が行われているとは思えません。自己責任の原則ということやモラルハザードの問題等、いろいろな問題がここにはあると私は思いますし、ほかの方の意見を引用させていただくならば、大学教授の斎藤精一郎さんですが、金融システム安定化対策の基本原則が定まっていない、血が出るからといってばんそうこうを張っただけという厳しい意見も出ております。また、他の大学の教授でありますが、金融システム不安の抜本的な解決からすれば今回の措置は対症療法にすぎないということを言われているわけであります。  きょうは、そういう問題点一つ一つを、大臣というよりも、大蔵省の官僚の皆さん方に確認をさせていただきたいという気持ちを持って質問させていただきます。  その前に、大臣、大変に僭越でありますけれども、私は、有権者に投票によって選ばれた議員一人一人が立法府という立場でいかに大蔵省という行政を主導していくことができるかということが、今国民から注目をされているのだろうと思うのです。もちろん大臣は大蔵省のトップでありますから、それは重々存じ上げているのですけれども、同時に、国民から選ばれた国会議員であるというそのウエート、姿勢の方が、私はこの金融問題を考えていく上では非常に重要な部分ではなかろうかと思っておるのです。  私は末席に控えている浅学非才の一議員でありますけれども、私たち議員も党派を超えて大蔵省の姿勢、方針というものを今後常にただしていく、こういう必要性が今強く求められているのであって、今や、私はここを申し上げたいのですが、政党同士が対立していては、抱えている金融改革、この問題を、国民のため、ひいては我が国日本の国益のために到底つなげ得ることはできないという考え方を持って質問をさせていただきたいと思います。  くどいようでありますけれども、与党の自民党さん、社民党さん、さきがけさん、また野党の新進党さん、そして民主党、太陽党さん、共産党さんすべて含めて、力を合わせてVS大蔵と、大蔵省は今まで何をやってきたんだと、そして今回ビッグバンを総力を挙げて成功させようという中で、本当こういう方法を日債銀の措置ということでとっていいのだろうか、透明性が確保されているのだろうかという再確認を、この質問の時間を活用してしていきたいと思うのであります。いささか生意気なことを言っているようでありますけれども、遠慮せずにやらせていただきたいと思います。  まず、バンカース・トラストとの業務提携の発表で株価はやや持ち直したものの、流通利回りは依然として半年物で六%程度の高金利の状況が続いているということですね。その辺を確認させていただきながら、市場では、つまり国内部門の再建策が極めて不透明であり、買いという動きにはつながっていない、このように判断をしているのですけれども、大蔵省は、この日債銀の再建策が市場の認知、信認を受けているというふうに現在お考えでしょうか、御答弁をいただければと思います。
  84. 山口公生

    ○山口政府委員 まず、株価につきましては、今後の再建策の中で増資ということがうたわれておりますので、株数の増加ということで、いわゆる株の希薄化ということを市場が読んでおりまして、一時かなり下がって、その修正過程にあったわけでございますが、昨日は、バンカース・トラストとの業務提携のニュースが流れまして、急反発をしたという状況でございます。全般的に見まして、日債銀の再建策そのものの中身につきましては、市場は評価しているものだと私は思うわけでございます。  ただ、金融債等につきまして、今申されたとおり、まだ高い利率のままということでございますが、実際余り商いができていないという状況でございます。したがって、金融債の信認を回復するには、まず再建策をきちっと固めて、その再建策の成り行きが市場に信認を与え、それが従来のように信認を得て金融債が出せる、こういったことになるのではないかと思いますが、私の見る限りにおいて、この再建策が円滑に実施されますれば、必ずや市場の信認はかち得ることができるというふうに思っております。
  85. 田中甲

    田中(甲)委員 ルールがないのです。今まで行ってきた大蔵省の手だてと、今回の日債銀に対する基準というものがある。では、基準はだれがつくっているのか。大蔵省がその場その場でルールというものをつくるのか。  今回、先ほども質問の中に含まれていましたが、奉加帳方式ということや護送船団方式ということが言われています。しかし、これから日本版ビッグバンを行うという中で、優勝劣敗の姿ということを金融市場の中に求めていかなければならない、そういう厳しい状況というものも、それぞれの立場の人たちに認識をしてもらわなければならないのだという中においで、これから大蔵省というのは、今後同じようなケースが出てきた場合に、一体どういう基準で、どういう対応をしていくのかということが明確になっていない。これは市場の中から、あるいは国民の中から大蔵省に対する信認というものが受けられている状況とは私は思えないのです。  例えば、細かい点を指摘していきますが、大手銀行には、二年に一度、金融検査というものが入りますね。これは通例になっています。どう考えても日債銀の、近いうち検査に入るということが言われ、三年半の間検査に入っていないという状況は、これはどういう理由検査に入らなかったのですか。大蔵省の職務怠慢ということが言われていますが、私は、職務怠慢ということが言われても、それ以上に、検査に入らなかった理由状況というものがそこにあったのだろうというふうに思わざるを得ないのでありますけれども、いかがですか。
  86. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  検査の実施の時期に関します御質問でございますけれども、個別の金融機関の検査時期につきましては、従来から、いろいろ影響ございますので、お答えを差し控えさせていただいているところでございます。ただ、一般論として申し上げますと、検査の実施時期につきましては、前回からの経過期間あるいは対象金融機関の状況検査金融市場に及ぼします影響、さらに当局の検査体制といったものを総合的に勘案いたしまして、決定をしているところでございます。  なお、今先生御指摘で、大体二年に一度という御指摘ございましたけれども、現在、都長銀、信託等の検査につきましては、おおむね三年から四年というような期間になっておりまして、地方銀行あるいは第二地方銀行、信用金庫といったものにつきましては、環境の変化に対します反応というのが大きいわけでございますので、今おっしゃったような二年あるいは三年といったような 頻度で検査を行っているという状況でございます。  したがいまして、御指摘の銀行につきまして、他の都長銀等に比べまして特に長いということではないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、諸般の情勢を総合的に勘案をいたしまして適切に対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
  87. 田中甲

    田中(甲)委員 三年半もの間検査をせずに、なぜ再建可能と判断ができたのか理解に苦しみます。もう一度答弁をお願いします。
  88. 山口公生

    ○山口政府委員 今回の再建策の前提としまして、日債銀は改めて厳しい自己査定をし、外部の監査法人の監査を受けて、それで案をつくっております。また、その過程につきましては、日本銀行あるいは大蔵省もそのプロセス等を十分にチェックしたということでございます。
  89. 田中甲

    田中(甲)委員 それは本会議でも大蔵大臣からお聞きしました。日債銀側の自己申告により大蔵省が的確に把握しているという御答弁大臣からいただいております。具体的な数字はだれも見えないのです。こういう状況でいいのですか。個別の金融機関に対して、公的な検査がないままに、具体的な数字がないままに公的資金を導入しようというのは、これは国民の理解は到底得ることはできないと思います。間違いだと思いますよ、こういうやり方をするというのは。大蔵省の慢心、思い上がりではないですか。     〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕
  90. 山口公生

    ○山口政府委員 今回、日債銀は厳しい自己査定をし、それで公認会計士のチェックを受けて、その計数をもとに、自分のプランとして思い切ったリストラと資本の増強を関係先にお願いしたということでございまして、大蔵省が全部このプランを主体的に決めたということではございませんで、彼らのまず自主的なプランニングというものが先にあるわけでございます。そこを御理解いただきたいと思います。
  91. 田中甲

    田中(甲)委員 そう言わざるを得ないでしょうね。実際はどうだか、甚だ私は疑問なのです。現時点、大蔵省は日債銀の要処理不良債権額の総額を幾らと見ているのか、その辺もぜひお伝えをいただきたいと思いますし、第Ⅲ分類、第Ⅳ分類の分類債権の種類別に数字を挙げていただきたいということは、また改めてここで申し上げたいと思います。もし立法府の中に部分的に提出されているものがあるのでしたら、ぜひ大蔵委員会の中にも提出をしてください。また、その計算の根拠についてもお答えを願いたいと思います。もし金融機関の自己申告の数字をうのみにしているのであるならば、私は厳格な審査にはならないと思うのですが、いかがでしょうか。
  92. 山口公生

    ○山口政府委員 私どもが、通常、銀行の不良債権の進捗状況を見る場合には、やはり横並びで統一的な基準でもって比較せざるを得ないわけでございます。日債銀の公表の不良債権額というのは、破綻、延滞、金利減免、経営支援まで入れまして約一兆二千六百億でございます。今回、不良債権処理によりまして、そのうちの六千百億円を引き当てることになります。これによりまして、引当率は、従来の二四%から約四八%へ大きく向上するわけでございます。この計数は、他の大手銀行に比べても高い部類になるわけでございます。
  93. 田中甲

    田中(甲)委員 劣後ローンの話を少しさせていただきます。  日債銀の要処理不良債権額がはっきりしない段階で、民間金融機関に出資や劣後ローンの出資への切りかえを要請している。これは、たしか銀行局長室の方にそれぞれの方が呼ばれてそういうような場面があった、テレビでも映ったわけでありますけれども、ありましたね。要処理額を大蔵省でさえ的確につかんでいない段階で、株主の金融機関に出資の判断を求めても、民間企業でそれができるでしょうか。今後のその処理によっては、そのような出資の判断をした株主が背任になるということも可能性としては起こり得るという中で、無理に出資を迫れば、大蔵省は背任ということを促したことになる。劣後ローンの出資への切りかえは生命保険会社側も全く納得がいかないというように生命保険会社の協会長も発言をしているところでありますし、きょうの日経新聞の中にも、それがまた再度出されておりました。これで日生は筆頭株主になるわけですから、この辺の意見は強く言わざるを得ない立場に立たされているわけで、お読みになられたと思いますが、きょうの日経の中にもそのようなことが書かれています。  こういうことを、大蔵省が時代おくれの護送船団方式の金融行政をいつまで続けるというのか、ここにやはり話は来るわけです。もはや大蔵省がただ大丈夫と言って各金融機関に支援をさせるという時代ではない。そうじゃありませんか。大蔵省がやるべきことは、早い段階できちんと検査をして各金融機関に対して判断材料を提供するということに徹すべきだと私は思うのですが、大蔵大臣、このような護送船団方式の金融行政をいつまでも続けていてはだめなんだというお考えを大蔵大臣はお持ちになられていると思うのですが、いかがですか。御所見をいただければありがたいと思います。
  94. 三塚博

    三塚国務大臣 田中議員の質問は、マーケットにも残っておる市場に対する不信感、本件に対する、日債銀に対するマーケットの不信感というものを代弁する形で、まあ国民代表ですからいいんですよ、その姿勢は。そういうことで、段々の質疑が行われておる。  問題は、政治は、この国の安定と国民生活の安定。これだけの国際国家になりますと、世界経済の中で果たす役割はきちっとあるわけです。この辺のところをどうクリアするかということ、これは主管大臣責任であります。そういう点で、国際金融システムが日本発で世界パニックになるようなことは、これは政治家として言いますけれども、だめなんです。やはりきちっとしなければなりません。それだけの力を持った国家なんですね、一千二百兆。それぞれの企業もそれぞれに頑張っておるわけですね。不況だというとらえ方も、政府指標だけではなく、民間のそれぞれの発表、実感として果たしてどうなのかというと、確かな足取りなわけです。おかげさまで、日本発でそういうことがない状態まで来たことだけは間違いないのです。  そういうことを考えますと、この案件の処理については、ビッグバンのスタート後のことでありますし、それは日債銀みずからの努力でこれ以上のことはないというものをおやりなさいと私も指示をし、伝えさせていただきました。そういう中で最終的に、まさに必死の、これしかないという再建案が出てきた。その努力を、頭取以下役員が手分けをしてそれぞれのところにお願いをし、その報告を受けました。その間何回かやりとりがあるようです、再建案について。そういう中で出てきておりますものですから、そういうものがマーケットから発信をされて、アメリカで六番目の大銀行が結婚をするという、信頼結婚なんだと思うのですよ。  そういう点からいえば、決してこのことが大蔵主導型で行われたということでは全くない。自己努力の結果として、大蔵省の主管業務でございますから、サポートするのは当たり前。これは、しない方がおかしいと思います。
  95. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございます、大臣大臣とは意見の一致を見たいという思いで実はきょう参りました。ただ、その点は、やはり少し認識の違いということを申し上げなければならないのかなというふうに思います。  リストラの努力をしていれば公的資金の導入ができるのか。これはやはり明確に、破綻をしているということをはっきり言わないと、公的資金の導入ということはしちゃいかぬと思うのですね。つまり、ルールがないままに、努力している度合いが伝わってきたから公的資金を出します、救済しますということでは、これからの、まさにここが問題でありますけれども、グローバルスタン ダードから見るならば、明らかに日本のやっていることは異常だと思うのですね。  日本の常識が世界の常識になるということは望ましいことでありますけれども、残念ながら日本がやっている現在の大蔵省主導型、まあそうではないということでしたらお許しいただきたいのですが、どう見ても大蔵省が行っているこの主導型の姿というのは、世界にこれからビッグバンとして日本金融鎖国というものを開いて、門戸を開いていく中においては、このような対策をいつまでもとっていたのでは、日本はこれから世界の金融市場の中で取り残されていくだろうという危惧を持つためにこういう発言をしているわけです。大臣のせっかくの力強い答弁に対して大変に恐縮でありますけれども、その認識を今持つことこそ、我が国日本の国益に将来必ずやつながっていくというふうに私は考えているところなのであります。  大臣、やらなければいけないことは私はやらなきゃいけないと思っているのです。ですから、この公的資金の導入ということは、しっかりとしたルールを決めてこれからやるんだということを、はっきりと逆に明言された方が私はいいと思うのですね。そのルールというものを大蔵省がどういうふうに考えていらっしゃるのか。  そして、一つのポイントでありますけれども日本債券信用銀行問題では、金融債を預金と同様に保護資産対象とするのかどうかという問題があります。政府の対策がはっきりしないことが大きな問題点でして、大蔵大臣に、ぜひそこを明確に御答弁、御示唆をいただきたいと思います。
  96. 山口公生

    ○山口政府委員 今回、公的な色彩を持った資金という御指摘の部分は、新金融安定化基金からの出資のことを指していらっしゃるというふうに思うわけでございますが、これは、もともとこの基金自体の目的が、住専のときの例の六千八百億をできるだけ埋めるというファンド、それは民間の部分で八千億を積んでございます。そのほかに、この金融システムの不安定さを除去しなきゃいけないということで、日銀の出資でもって一千億の第一基金をつくってございます。そこの目的は何かといいますと、我が国金融システムの安定化及び内外からの信頼性確保に資することを目的として、その目的を達成するため、金融機関の資本基盤の構築等を支援する事業をやるということになっております。まさに今回それに当たるわけでございます。  今回その発動を日銀ともにお願いして同意を得てやるということは、今回大臣からもしばしば御答弁していただいておりますように、日本から金融不安を海外に発出していいのかという問題がまず最大の問題として、緊急の問題としてあったわけでございます。それで、委員の御指摘のように、公的なものは全部破綻してからということになりますと、これはそういった問題の解決ができないということになりかねない問題があるわけでございます。(田中(甲)委員金融債のこと」と呼ぶ)  金融債につきましては、私どもは、金融債を発行している銀行等がまず経営の健全性に努めるということでその信頼が確保できるものというふうに思っているわけでございます。
  97. 田中甲

    田中(甲)委員 答弁になっていません。私の質問は、大蔵大臣金融債を預金者と同様に保護するんですか、その対象にこれからしますかということをお聞きしているんです。
  98. 三塚博

    三塚国務大臣 今、山口局長答弁したように、金融債の保護という問題については、金融債は、その銀行の発行者の責任、また経営の健全性、その延長線上に信頼性、こういうことの中で担保されるものということでありまして、その努力が満たされる、また新行の場合でも同じでありますが、そのことによって経営の安定基盤ができるわけでございますから、ストレートな、保護するのかということでありますと、ストレートに答えますとそれしかないわけでありますし、それで、今後にルールづくりがどうかと言われましても、まず頑張ってくださいというのが、努力したまえというのがこれからの基本的なポイントである。護送船団やるなと言われているわけですね。だから、その概念の中におきましてもそこがあるということでありますから、こういうことで御理解ください。
  99. 田中甲

    田中(甲)委員 努力の姿勢が見受けられれば金融債の保護はあり得るという答弁をいただいたものと認識をさせていただきます。  もう残り時間が数分になりました。失礼な質問もありましたので、その点はお許しをいただきたいと思います。  私は、公的資金の導入あるいはこれに類する導入ということを行う場合には、やはりこれからはきっちりとしたルールというものをつくって対応していかなければ、それこそ金融の中における大蔵省の信頼性や、あるいは今後の日本ビッグバンに向けて邁進をしていく姿というものが生まれてこないだろうという、そんな危惧をしているものであります。一番目に、経営情報の開示、経営実態解明、二番目に、経営者の経営責任の追及、そして三番目は、金融機関の破綻ということを明確にした中で、最低でもこの三つを必要として、これは大変に厳しいことです、経営者や従業員というものが厳しい立場に立たされますが、しかし、そういうことを恐れずにやっていく姿がないと、これから日本版ビッグバンというのは、これは成功しないぞという思いを持っているんです。  そして、もう一点加えさせていただくならば、そういうルールさえしっかりしているならば、自己責任の原則というものを確立していくためにも、破綻に限りなく近い銀行を今回のように護送船団方式で守り続けて他の銀行に出資させ続けるような、こういうことをやっていきますと、今持ちこたえている優良な銀行あるいはそれに近い状態の銀行まで危うい状態に追いやってしまうということ、共倒れになりかねない、そういうことは起こしてはならないという思いの中から、日銀は日債銀への出資を拒否した銀行の分も出資を受けるということも検討して私はいいんじゃないか。ただし前段の条件つきであります。くどいようでありますが、このような場合のルールというものを明確にした上でそういう対応ということを行い、本当の意味での金融改革ということに今後つなげていかなければならないんだろう。  こういう状況の中で最善の策をとるために努力されている皆さん方に敬意を表して、私の質問を終わりたいと思いますが、大臣から御意見を、御所見を賜れますか。――なければ結構です。  ありがとうございました。以上であります。
  100. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、佐々木憲昭君。
  101. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。日債銀が発表しました経営再建策に関連をしまして質問させていただきます。  今回の再建策を見る限り、日債銀は事実上の経営破綻の状態に陥っていたということが言えるのではないかと思うのです。そのため、この自立再建というのが不可能になった。そのために、大蔵省や日銀も加わって、その支援のもとでかなり思い切った抜本的な再建策が作成されたと考えられます。その上でバンカース・トラストとの提携が発表されたわけであります。  まず、この深刻な事態を招いた原因について大蔵省はどのように把握しておられるか、また日債銀の経営者責任をどのようにお考えか、お尋ねをしたいと思います。
  102. 山口公生

    ○山口政府委員 日債銀がこのようになった原因いかんというお尋ねでございますが、いろいろな原因はあると思うのでございますが、一番強く指摘されますのは、系列ノンバンク三社の存在だったというふうに思うわけでございます。最近の、ことし年が明けてからの日債銀に対するいろいろな評価も、この系列ノンバンクの存在というのが物すごく大きかったというふうに思うわけでございます。  そうして見ましたとき、系列ノンバンクがバブル期に不動産業向けの融資をかなり増加させておりました。それで平成二年後半以降、不動産市況 が低迷いたしましたので、延滞債権がかなり急増したようでございます。いろいろ再建計画を関係者と取りまとめておったようでございますけれどもバブル崩壊の後遺症が非常に大きかったということで、このノンバンクが大変な重荷になったということが原因ではなかろうかなというふうに思うわけでございます。  経営者の責任としましても、当時どういうことを指導していたのかということは、もちろんノンバンクが第一義的にはそれをやったわけですけれども、日債銀がその親元という存在で、そういったことについてはいろいろと議論があると思いますが、今回は、それはともあれ、まず日債銀の現状を打破していかなければいけないということで、思い切った再建策、お聞きいただいておりますような、ほかでは例を見ない思い切ったリストラ策を出しているということでございます。
  103. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 先ほども質問がありましたが、大蔵省が最後に検査に入ったのは平成五年のことであったということでありますが、その検査の時点では日債銀をどのように評価をされていたのか。その時点では日債銀は自力で再建できるというふうに見ていたのではないかと思いますが、いかがですか。
  104. 山口公生

    ○山口政府委員 当時も、今私が申し上げましたような原因というものがかなり顕在化して影響を及ぼしておりましたので、不良債権の適切な管理、それからやはり系列ノンバンクの管理、監視をやるようにというようなことが課題であるという認識をしておったというふうに思うわけでございます。
  105. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 自立再建の方向、計画を立ててやるという方向を大蔵省は認めていたということでありましたが、今回は、その自助努力、自立再建という方向からやはり支援の方向へ、こういうふうに転換をしたというふうに思うのです。  大臣談話が出されました。その内容を見ますと、「不良債権の処理に伴う自己資本の減少を補うため、長期信用銀行、大株主銀行、劣後ローン提供生命保険会社・損害保険会社に対し、新株の引受を要請している」、大蔵省が要請しているということであります。しかも、大蔵省が最大限の支援を行うということで、新金融安定化基金及び日本銀行に対して、基金第一勘定の八百億円の資金で日債銀の優先株を引き受けることを要請したということであります。  ですから、これは自立再建ということではなくて、まさに支援のもとでの再建、他力再建ということも言えると思うのですが、大蔵省としては二月の予算委員会答弁で、山口銀行局長は、具体的にこの二十行について自助努力で一生懸命やっていただくということが基本でございますというふうに答弁をされました。しかし、こういう状況を考えますと、二月の時点では既に自立再建というのは不可能だというふうに見ていたのではないでしょうか。それを知りながらも、一応、表向きといいますか、答弁としては自助努力というふうにおっしゃっていたのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  106. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  自立再建か支援再建かというような御議論でございますけれども、今御紹介いただきました大蔵大臣の談話でも、関係者に対する増資の要請は、銀行みずからが要請をしておりまして、それを我々に報告をしているというふうになっております。確かに基金第一勘定への優先株の引き受けの要請はいたしておりますけれども、かなりの部分の要請は銀行自身が関係先に行っておるわけでございます。基本的には自立でございますし、あのリストラ策の中身をごらんいただきますと、これはもう今まででは考えられなかったような内容になってございます。人員の整理にしましても、給料のカットにしましても、報酬のカットにしましても、相当なものでございます。そういう意味では、私はこれはやはり自主再建の範囲に入るものではないかというふうに思うわけでございます。  二十行すべて、今も自助努力を続けておりますけれども、さらにそれをしていっていただきたいというふうに思っているわけでございます。
  107. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の御答弁はちょっと事実と違うのではないかと思うのです。新株の引き受けを要請するという点について、これは大蔵省の承認のもとで、いわば大蔵省のお声がかりのもとでやられたということは事実だと思うのですね。  それで、大臣談話の中では「大蔵省としては、今後とも、日本銀行とも協力して、日債銀の経営再建策の実施に対し最大限の支援を行っていく所存である。」、「今後とも、」というふうに書いてありますが、これは追加的な支援ということも念頭に置いて言われているのか。例えば、そういう場合、日債銀の金融債を資金運用部資金あるいは簡保資金でさらに引き受けるということもあり得るというふうにこれは理解してもよろしいのでしょうか。
  108. 山口公生

    ○山口政府委員 大臣の談話で、今後とも支援を続けていくということにいたしておりますが、これは具体的に何ということではございませんで、例えばリストラ策を進めるときにはいろいろな問題が生じるかもしれません。そういったことに対して私どもとしてもいろいろなサポートをするし、また関係先への説明というものを金融システムの観点からひとつ手伝ってやってほしいということであれば、それは私ども役割でございますから、そういう御説明を関係先にやるというようなことはやらせていただくというようなことでございます。  したがって、この日債銀の問題はこれで私としては再建が十分成り立つと思っておりますし、また、そういう方法でやっていけるものというふうに思うわけでございます。
  109. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 大蔵大臣は、二月十日の予算委員会で、二十行というメジャーバンクについてはしっかりと支えていく、このように答弁をされました。先ほども、二十行はつぶさないというのは大蔵大臣の決心である、このようにおっしゃいました。今後のビッグバン対応する基本姿勢にも関連するわけですけれども、大蔵省の発想の基本にツー・ビッグ・ツー・フェール、大きなところはつぶさない、こういう考えがあるように思うわけであります。  よく一九八四年のアメリカのコンチネンタル・イリノイの問題が引き合いに出されまして、公的支援をした例として挙げられていますけれども、しかし、この場合は、FDICが全預金の保証、十億ドルの資金援助ということで危機が回避されたわけですが、その後、他の金融機関の放漫経営をこれで誘発したというふうに言われておりまして、結果的に処理コストの増大を招いたという批判があります。したがって、一九九一年の法改正で、このツー・ビッグ・ツー・フェールというのは原則禁止というふうにされているようであります。  今の大蔵省の対応は、先ほど差別はないというふうにおっしゃいました、大きなところと小さなところ。しかし、現実に、阪和銀行の例あるいは日債銀の例というふうに比較してみますと、対応が随分違うというふうに思うわけですね。国際的な影響が大きいというのが基準だというふうにもおっしゃいましたけれども、そうしますと、影響が大きいというのは、これは規模が大きいから影響が大きいわけです。そうなりますと、結局大きなところは助けるが小さなところはそうではないということにならざるを得ないのではないかと思うのですけれども、それはいかがでしょうか。
  110. 山口公生

    ○山口政府委員 万一破綻ということになりますと、それはきちんと金融三法でもルール化されておりますし、そういうことの手続は全く同じでございますが、現在生きて再建が十分可能な銀行の場合のケースにおきましては、それが例えばこの日債銀のように非常に市場性資金に依存し、それが最近の市場の信認の低下等で大変危機的なことになり、それがまた海外に対して物すごい不安を与え、しかも日本発の金融不安になってはならないという要請が強く出てくるときに、やはりそこに対しては何らかの対応を至急考えてもらい、我々としても支援できるところは支援するという のが基本だろうと思うわけでございます。  アメリカの例を御紹介いただきましたけれどもアメリカでもかなり試行錯誤し、モラルハザードが出ない範囲でどうやって国際的なそういった悪い波及を我が国から起こさないようにするのか。金融不安というのは、預金者の保護も非常に大切で、それは最も大切な部分でございますが、金融システムというのは、ある意味では、この間も申し上げましたが、社会としての財産でございますから、信用がなくなっていくということは国際的にも大変なマイナスで、もし万一のことがありますと、日本に対する貸し出しがとまってしまう、あるいは物すごい高いジャパン・プレミアムがずっと維持されるという事態に立ち至るわけで、その国損たるや大変なことになるわけでございます。そういったことを総合的にいろいろ勘案しながら、私どもとしては、支援すべきところは支援していくというような考え方で、ケースによってそういった判断をさせていただいているということでございます。
  111. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本発の金融不安ということをおっしゃいましたけれども、今回の日債銀は本当にそういう事態としてとらえられていたのかどうかですよね。情報の開示がないわけですから、よくわからないわけです。システムが非常に大変だということが生じるという場合は、これは金融機関相互の債権債務を通じて他の金融機関にも次々と伝わって、決済システム全体が麻痺していくという危険が生まれるということでありまして、今回の日債銀が果たしてこのような金融システムの危機に至るほどの事態だったのかどうか。もしそうならば、そういう事態に対応する具体策を検討すべきであって、そうしないで、情報の開示がないまま丸ごといわば護送船団方式で支援するということになりますと、経営の自己責任ということがあいまいになる。まさにモラルハザードを引き起こすことになるわけであります。そういう点を私どもは危惧をするわけであります。  それからもう一つは、先ほど、ノンバンクの問題、大変これが今回の引き金になったというふうにおっしゃいました。一昨年の再建策では、この子会社でありますノンバンク三社については母体行である日債銀が責任を持つということで関係者の間では合意されていたのではないかと思いますが、それを、相談もしないでいわば一方的に再建策を発表されたわけでありますが、これは信義に反するのではないかといろいろな批判が出ているわけです。都銀の役員は一種の裏切り行為とこういうふうに言っていますし、信託協会の中野会長は「再建計画の中で支援を継続してきたのだが、突然のことで驚いている。ほかにとり得る手段があるのではないか」、こう言っているわけです。農林系金融機関からも「事前に何の相談もなく破産を申し立てるのには驚いたし、残念だ」、こういうふうにおっしゃっているわけです。  それで、関係者に相談して決めるのではなくて、日債銀が大蔵省、日銀と連絡をとりながら一方的に再建策の内容を決めたという、こういうやり方は正常ではないと思うわけですが、大蔵大臣はこの点はどのようにお感じでしょうか。
  112. 三塚博

    三塚国務大臣 いろいろ見方はあるんだろうと思うんです。決して世の中の常識に反して、また大蔵省がそののりを越えて、私がそののりを越えてということはないです。いわゆる国内金融秩序の安定維持、そして国際信用秩序の安定維持、これは、我が国の国益だけではなく一人一人の安心にもつながるということで、法令の定めるところに従いながらぎりぎりいっぱいの努力をしてきておるわけで、銀行の努力を最大サポートしていく、努力を是としてやっておるところであります。  ただいま、ノンバンク三社の件についてお話がありました。同行みずからの経営判断としてこれ以上の支援継続は不可能であるとの判断に至ったと承知をいたしております。いわゆる日債銀がノンバンク三社をという意味でございます。  いずれにいたしましても、経営不振に陥りましたノンバンクをどのような形で処理するかにつきましては、関係当事者間で決めるべきことでございまして、大蔵省がこれにコメントする立場にはないわけでございます。
  113. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 時間がなくなりましたので終わりますが、最後に一言だけ。  住専で大変問題になりました母体行主義ということでありますが、これは今後とも、こういう事態が起こった場合には親会社責任を持つという原則は貫いていただきたいということを御要望申し上げまして、質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  114. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、吉田公一君。
  115. 吉田公一

    吉田(公)委員 最近、税金が高い、高いという話をよく聞くんですけれども、そうすると、その税金を決めているのには国家に基づく課税権というのがあって、それによって税金を決めているということでありますが、課税権というのは一体どこに所在するのか。非常に基本的なことでありますが、それについてまずお伺いしたいと思います。
  116. 薄井信明

    ○薄井政府委員 日本国憲法の八十四条におきまして、「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」と規定されております。したがいまして、租税を賦課し徴収するためには、国の唯一の立法機関である国会が法律案を議決するということ、これが必要なことであると理解しております。
  117. 吉田公一

    吉田(公)委員 確かにそのとおりでございまして、したがいまして、よく言われますことは、国会議員がいろいろな意見や要望を国民の皆さん方から聞く機会が多いんですけれども、いや、とにかく大蔵省が首を縦に振らないんだよ、だからどうもうまくいかねえ、こう言っている人がいます。国会議員の中にもそういうふうに思っている人がいまして、国会議員に国民の皆さん方が聞いているにもかかわらず、自分はまるで課税権の外にあるような顔をして、いや、とにかく大蔵省が首を縦に振らないからと言っているのは、それじゃいいかげんな話なんだ、それは。最終的には、大蔵省が首を縦に振らないんなら国会議員が首を横に振ったらいいわけだから、だから横に振っているから税金がだんだん高くなるということになれば、一にかかってこれは国会議員の責任だね、税金が高いのはいかがですか、その点。
  118. 三塚博

    三塚国務大臣 これは政治論ですから、私から申し上げます。  国会は立法府の最高機関、法定主義、こういうことでありますから、そういうことに反対なのに、今吉田議員言われるように、困ったもんだと言ってみたところで、多数決で決まりますと、最終的には両院において成立をする、こういうことであります。  一点、大蔵省かと言いますが、官僚です、これは。中立的な国家官僚として、公務員として何が正しいかという視点で行うわけでありますし、内閣がそれを明示してこれを検討せよと言えば、その範囲で検討してまいってきておることは間違いございません。大蔵提案ではなく、これは全く政府提案の税法であり改正案であるわけでございますから、挙げて内閣に帰することでありましょうし、そして政党に帰する。これは与党という意味であります。  野党の皆さんの意見が取り入れられないのではないかということについては、国会運営のこれからの工夫と進め方ということになるんじゃないでしょうかと思います。
  119. 吉田公一

    吉田(公)委員 実はそこのことを聞きたかったわけでありまして、とかく、大蔵省が首を縦に振らないから、こう言って言い逃れをする人が随分いるんですが、これからはやはり政府と国会が税制については責任を持つということだというふうに私も実はかねがね思っておりまして、そういう意味では、国会や国会議員の責任は重大だと自分にも言い聞かせながらこれから税制問題についてもきちっと対応していかなきゃいけない、提案をされたから、ただ、はいそうですかと言うわけにはいかないなと、そういうふうに改めて思ってい る次第でございます。  十二時半から本会議ということでございまして、まだ相当私も時間残っておりますが、大臣もまだ、十二時半からの本会議で、途中でお茶も飲まなくちゃいけないでしょうから、大臣にお茶を飲んでいただくという時間を私の方でお譲りをいたしまして、本日の質問はこの程度でやめます。     ―――――――――――――
  120. 額賀福志郎

    額賀委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  金融及び証券取引に関する件の調査のため、来る十八日金曜日参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 額賀福志郎

    額賀委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  次回は、来る十五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十分散会