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1997-04-08 第140回国会 衆議院 大蔵委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月八日(火曜日)     午前九時五十分開議 出席委員   委員長 額賀福志郎君    理事 金子 一義君 理事 坂井 隆憲君    理事 保岡 興治君 理事 柳本 卓治君    理事 北側 一雄君 理事 谷口 隆義君    理事 池田 元久君 理事 佐々木陸海君       今村 雅弘君    衛藤征士郎君       大石 秀政君    熊谷 市雄君       小林 多門君    菅  義偉君       砂田 圭佑君    田中 和徳君       田中 昭一君    目片  信君       山中 貞則君    吉川 貴盛君      吉田左ヱ門君    渡辺 喜美君       上田 清司君    木村 太郎君       北脇 保之君    鈴木 淑夫君       中川 正春君    並木 正芳君       藤井 裕久君    前田  正君       宮地 正介君    村井  仁君       山本 幸三君    末松 義規君       田中  甲君    山本 譲司君       佐々木憲昭君    秋葉 忠利君       吉田 公一君    新井 将敬君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 三塚  博君  出席政府委員         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      榊原 英資君  委員外出席者         公正取引委員会         事務総局経済取         引局企業結合課         長       鵜瀞 恵子君         法務省刑事局刑         事課長     藤田 昇三君         大蔵委員会調査         室長      藤井 保憲君     ――――――――――――― 委員の異動 四月八日  辞任         補欠選任   飯島 忠義君     大石 秀政君   砂田 圭佑君     目片  信君   中野 正志君     熊谷 市雄君   村井  仁君     山本 幸三君 同日  辞任         補欠選任   大石 秀政君     飯島 忠義君   熊谷 市雄君     中野 正志君   目片  信君     砂田 圭佑君   山本 幸三君     村井  仁君     ――――――――――――― 四月三日  外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する  法律案内閣提出第五三号) 三月十九日  共済年金制度堅持に関する請願奥野誠亮君  紹介)(第一〇一七号)  同(小坂憲次紹介)(第一〇六三号)  同(松永光紹介)(第一〇六四号)  同(宮本一三紹介)(第一〇六五号)  同(坂本剛二君紹介)(第一〇八二号)  同(虎島和夫紹介)(第一〇八三号)  同(堀込征雄紹介)(第一〇八四号)  同(甘利明紹介)(第一一〇四号)  同(岸本光造紹介)(第一一〇五号)  同(坂本剛二君紹介)(第一一〇六号)  同(阪上善秀紹介)(第一一〇七号)  同(根本匠紹介)(第一一〇八号)  同(野田実紹介)(第一一〇九号)  同(村井仁紹介)(第一一一〇号)  同(井上喜一紹介)(第一一四五号)  同(玄葉光一郎紹介)(第一一四六号)  同(木幡弘道紹介)(第一一四七号)  同(田中和徳紹介)(第一一四八号)  同(根本匠紹介)(第一一四九号)  同(松本純紹介)(第一一五〇号) 同月二十五日  共済年金制度堅持に関する請願玄葉光一郎  君紹介)(第一一九三号)  同(木幡弘道紹介)(第一一九四号)  同(田中和徳紹介)(第一一九五号)  同(小里貞利紹介)(第一二六四号)  同(木村義雄紹介)(第一二六五号)  同(玄葉光一郎紹介)(第一二六六号)  同(河野太郎紹介)(第一二六七号)  同(鈴木恒夫紹介)(第一二六八号)  同(田中和徳紹介)(第一二六九号)  同(野田聖子紹介)(第一二七〇号)  同(松下忠洋紹介)(第一二七一号)  同(保岡興治紹介)(第一二七二号)  相続税制度の抜本的な改正に関する請願(石原  伸晃君紹介)(第一二六三号) 四月一日  共済年金制度堅持に関する請願小里貞利君  紹介)(第一三三四号)  同(玄葉光一郎紹介)(第一佐奈三五号)  同(河野太郎紹介)(第一三三六号)  同(鈴木恒夫紹介)(第一三三七号)  同(田中和徳紹介)(第一三三八号)  同(二階俊博紹介)(第一三三九号)  同(福永信彦紹介)(第一三四〇号)  同(松下忠洋紹介)(第一三四一号)  同(飯島忠義紹介)(第一三八三号)  同(小川元紹介)(第一三八四号)  同(小里貞利紹介)(第一三八五号)  同(大野功統紹介)(第一三八六号)  同(岸本光造紹介)(第一三八七号)  同(玄葉光一郎紹介)(第一三八八号)  同(河野太郎紹介)(第一三八九号)  同(佐藤剛男紹介)(第一三九〇号)  同(鈴木恒夫紹介)(第一三九一号)  同(二階俊博紹介)(第一三九二号)  同(武藤嘉文紹介)(第一三九三号)  同(甘利明紹介)(第一四二七号)  同(飯島忠義紹介)(第一四二八号)  同(北脇保之紹介)(第一四二九号)  同(佐藤剛男紹介)(第一四三〇号)  同(佐藤勉紹介)(第一四三一号)  同(二階俊博紹介)(第一四三二号)  同(前島秀行紹介)(第一四三三号)  同(飯島忠義紹介)(第一四五二号)  同(栗原裕康紹介)(第一四五三号)  同(佐藤剛男紹介)(第一四五四号)  同(斉藤斗志二君紹介)(第一四五五号)  同(中村喜四郎紹介)(第一四五六号)  同(原健三郎紹介)(第一四五七号)  同(保岡興治紹介)(第一四五八号) 同月八日  共済年金制度堅持に関する請願飯島忠義君  紹介)(第一五二〇号)  同(佐藤剛男紹介)(第一五二一号)  同(斉藤斗志二君紹介)(第一五二二号)  同(穂積良行紹介)(第一五二三号)  同(松本純紹介)(第一五二四号)  同(柳沢伯夫君紹介)(第一五二五号)  同(飯島忠義紹介)(第一五五五号)  同(斉藤斗志二君紹介)(第一五五六号)  同(戸井田徹紹介)(第一五五七号)  同(蓮実進紹介)(第一五五八号)  同(保利耕輔君紹介)(第一五五九号)  同(松下忠洋紹介)(第一五六〇号)  同(柳沢伯夫君紹介)(第一五六一号)  同(山下徳夫紹介)(第一五六二号)  同(横光克彦紹介)(第一五六三号)  同(坂井隆憲紹介)(第一五八八号)  同(原口一博紹介)(第一五八九号)  同(安倍基雄紹介)(第一六一三号)  同(熊谷弘紹介)(第一六一四号)  同(河野洋平紹介)(第一六一五号)  同(野田実紹介)(第一六一六号)  同(古屋圭司紹介)(第一六一七号)  同(小里貞利紹介)(第一六四〇号)  同(木部佳昭紹介)(第一六四一号)  同(田邉國男紹介)(第一六四二号)  同(中尾栄一紹介)(第一六四三号)  同(船田元紹介)(第一六四四号)  在日朝鮮人聯合会と国税庁間の合意等調査  に関する請願西村眞悟紹介)(第一六三九  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月三日  山林等の生前贈与に係る贈与税納税猶予制度の  措置に関する陳情書  (第一三  一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する  法律案内閣提出第五三号)      ――――◇―――――
  2. 額賀福志郎

    額賀委員長 これより会議を開きます。  内閣提出外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。三塚大蔵大臣。     —————————————  外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま議題となりました外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  最近における我が国国際金融取引を取り巻く環境は、金融資本取引グローバル化エレクトロニクス化の進展、欧州における通貨統合の動き、アジア市場台頭等を背景として、急速な変化を遂げております。  政府といたしましては、こうした変化に対応して、我が国金融資本市場を一層活性化させるため、内外の資本取引等を自由に行えるようにするとともに、外国為替公認銀行に限られている外国為替業務を完全に自由化する等、より自由な対外取引のための環境整備等を行う必要があることから、本法律案を提出することといたした次第であります。  また、本法律案は、今後の金融システム改革の円滑な実現に資するものと確信をいたしております。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、法律の題名から「管理」を削除し、外国為替及び外国貿易法とすることとしております。  第二に、対外取引自由化を行うため、海外預金対外貸借等資本取引及び対外支払い等に係る許可届け出制度原則として廃止することとしております。  第三に、外国為替業務に着目した規制を撤廃し、徹底した自由化を行うため、外国為替公認銀行及び両替商認可制度を廃止し、同時に、指定証券会社制度も廃止することとしております。  第四に、国際収支統計の作成、市場動向の的確な把握等を行うため、資本取引等に関する効率的かつ実効性のある事後報告制度整備することとしております。  第五に、我が国国際的責務を的確に果たすため、国際情勢に対応して経済制裁等を機動的かつ効果的に実施できるよう、所要の規定の整備を行うこととしております。  その他、所要措置を講ずることといたしたところであります。  以上が、この法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに賛同くださいますようお願いを申し上げ、提案理由説明にかえます。
  4. 額賀福志郎

    額賀委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 額賀福志郎

    額賀委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今村雅弘君。
  6. 今村雅弘

    今村委員 おはようございます。連日の激務、御苦労さまでございます。  本日、いよいよ外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案について審議が始まるわけでございます。この法律は、いわゆるビッグバンファーストランナーということで、大変重い意義づけを持っているというふうに考えております。たまたま今、高校野球もたけなわでございます。高校野球トップバッター見送り三振ということではつまらないので、私も少し粘らせていただきます。勉強不足でございますが、よろしくお願い申し上げます。  まず第一に、初めに三塚大蔵大臣におかれましては、本当にお忙しい中、先般、いわゆるAPEC蔵相会議ということで参加された旨をお伺いしております。  今般、まさに金融改革をやっていく中でも、このアジア経済圏、そういった中で日本がどうしっかりとリーダーシップをとってやっていくのか、あるいは共生をやっていくのかということは大きなテーマでございまして、この外為法の関係にいたしましても、まさにそういった大きな流れの中に溶け込んでいく一つのスタートではないかというふうに私はこの会議を思っているわけでございますが、大臣におかれましては、その点、どういった会議中身であったのか、成果はどうであったのか、お伺いしたいというふうに思っております。よろしくお願いします。
  7. 三塚博

    三塚国務大臣 二日間にわたるAPEC十八カ国の蔵相会議でございました。熱心な議論が行われました。世界経済の中で最もポテンシャルの高い、太平洋を挟んだASEANであり、アジアであり、北米、南米であるわけでございます。  この会議におきましては、最近のマクロ経済問題、自由な資本フロー促進のための政策インフラ整備への民間部門活力を活用するための参加の促進金融資本市場整備等について討議が行われまして、結果として、APEC蔵相会議共同大臣声明が発せられました。  その内容は、インフラ及び金融資本市場整備を行うため、各国・地域が採用する政策原則を示しました自主的原則及び関心のある国・地域の間で専門知識経験等を交換することを目指す協同イニシアチブ合意をいたしたところでございます。これらは、昨年APEC非公式首脳会議蔵相会議に要請され、具体的かつ実効ある措置をつくるように、こういうことにこたえるものでございました。  我が国といたしましても、積極的に貢献する観点から、輸出金融機関間の協力促進に関する協同イニシアチブ提案いたしました。いわゆる輸銀を中心に触媒的な効用を発揮することによって、民活を高めようということであります。また、昨年我が国提案いたしましたAPEC大蔵省間のコンピューターネットワーク我が国イニシアチブにより今回始動することになりました。ホームページ、大蔵省間にいつどこでもタイミングよく情報交換ができるということであります。  なお、会議期間中、フィリピン大統領及びオーストラリア、中国、韓国、フィリピン、台湾、タ イの大蔵大臣並びにIMFの専務理事と個別の会談を行い、我が国が抱える問題、大改革に集約をいたしましてただいま全力を尽くしてその実現に向けて作業を進めておるところ、これが完成をいたしますと、日本経済地域に対して大きな貢献をするだけではなく世界経済に貢献することでありましょう、このことを申し上げ、格段の理解を得たところであります。
  8. 今村雅弘

    今村委員 言うまでもなく、この東アジアにおきましては、とにかく今後日本の国と手を組んでやっていくということになるわけでございます。そういう中でも、特に、日本からは円建ての債務といいますか、そういったものを持っているし、片一方、そういった国々は稼いで入ってくるのはドルということで、そこでいわゆる債務と債権のミスマッチというのがありますから、こういった意味で、非常に為替相場等々もいろいろと変動といいますか、そういったことで、そういった国も大変なようでございます。できますれば、こういったところでできるだけ機会をつくっていただいて意思疎通をしていただいて、本当の意味でのアジア共栄圏といったことに向かって努力されることを心からお願いする次第でございます。  それから、ちょっとついででございますが、これは新聞記事なんで私もあれでございますが、大蔵大臣がその会見の中で、日本内需拡大努力を訴えたということのようでございますが、これはどういったことなのでしょうか。現在、財政構造改革ということで公共事業の見直し等々言われておりますが、そういった観点も含めて御意見を伺いたいと思います。
  9. 三塚博

    三塚国務大臣 内需拡大の問題は、我が国がこれから持続的経済成長を果たす中でとらざるを得ない基本的な政策であるという大前提がございます。集中豪雨的な輸出により、かつて日本経済復興の働きをし、多くの国から批判を得たところでございます。バブル崩壊後のこれからの経済立て直しの起点は、まさに我が国新規企業また各企業等リストラ等を果敢に断行する、いわゆる高コスト時代を乗り切っていくためにディレギュレーション、規制緩和に思い切った実効をもたらす、こういうことであれば我が国内需主導によって持続的経済成長が果たせるであろう。経常収支黒字云々を昨今耳にするけれども、その傾向は緩やかなもので、逆にただいまのペースで安定しておることは指標の示すところ、この点を理解いただきたい、こういうことであります。
  10. 今村雅弘

    今村委員 外国でのそういった発言でございますので、多少のおもんぱかるところもあったかと思いますが、今後ともひとつ景気拡大、そして力強い成長に向けて努力されることをお願い申し上げます。  続きまして、本題に入っていきたいと思っておりますが、その前段といたしまして、ビッグバンをやっていくにつきましての日本金融機関に対する信認度といいますか、そういったものが確立されることが非常に大事なことだと思っております。  先般、いろいろな野村証券の問題とかあるいは日本債券信用銀行等々の問題が起きております。そういう中で、この日債銀の問題でございますが、これについては新聞等でも報道されているわけでございます。そうした中で、幾つか質問がございますが、今回、いわゆるプロラタ方式というのですか、そういった方式でやられるわけでございますが、こういったことについては今後とも基本的にこういうことでいかれるのか。  それから、ちょっと細かくなりますが、三月末に発表されたいわゆるノンバンク、三つございますが、そこの債務中身と、きょうの日経新聞ですか、昨日いわゆる破産宣告が出ましたが、その債務で一兆八千億と二兆一千億、ざっと三千億ほど違っておりますが、その辺は何か意味があるのか、この辺の取り組みにつきましてお伺いしたいと思います。
  11. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  日債銀は、関連ノンバンク三社に対しまして、これまで主力銀行といたしましてできるだけの支援を行ってきたところでございますけれども、最近時、日債銀を取り巻く経営環境が急速に悪化いたしまして、さらに支援を継続することが日債銀そのもの経営を揺るがしかねない状況ということになったわけでございます。したがいまして、日債銀は、みずからの経営判断としまして、これ以上ノンバンクに対する支援継続は不可能であるというような結論を出したわけでございます。それを受けまして、この系列のノンバンクが四月一日に法的整理を裁判所に申し立てたという経緯でございます。こういったやり方ということはそれぞれの当事者がどう判断するかということだろうと思っておりまして、今回は、そういった客観的な事情からそうした行為をとったということを聞いております。  それから数字の点でございますが、御指摘のように、借入金の残高、ノンバンク三社の数字を申し上げますと、一兆八千五百八十一億、二月現在ですが、それに買い掛け債務借入有価証券等九百九十一億を足しますと二兆円弱、一兆九千五百七十二億になるのですが、一方で二兆円を超えるような数字を言われております。これは帝国データバンクの調べでございまして、その違いは今のところちょっと定かではございませんが、恐らく時点の違いであろうというふうに思っております。
  12. 今村雅弘

    今村委員 その辺のことにつきましては、また後日、御説明を受けたいと思います。  それに関連いたしまして、きょう株を見ますと、日債銀株価が百六十一円と非常に安くなっている、そしてまた、支援に当たるいろいろな金融機関がございますが、住友信託銀行あるいは中央信託、そういったところが大幅に業績の下方修正をしているというようなことがあるわけでございます。この取り組みについてどういう評価をするかということはいろいろございますが、果たして市場はこの取り組み策について評価していないのではないか、そういう気もいたしますが、そういった点につきましてはいかがでしょうか。  そしてまた、こういった支援する金融機関等について、株主等どういうふうに思っておられるのか、その辺について御意見をお伺いしたいと思います。
  13. 山口公生

    山口政府委員 御指摘のように、株価が下がっておりますが、これはなぜ下がっているかということについては、市場でございますので断定的に申し上げるわけにはいきませんが、証券会社等で言われている話によりますと、今回大幅な増資をする、増資をしますと株数がふえますので、株式の希薄化というのが起きるわけでございます、そこでかなり価格の修正が行われているというふうなことが主因ではないか。決して再建策そのものが評価されないということではないように聞いております。  それから、支援を要請されている銀行等につきましては、それぞれこの三月期での引き当てにするのか、あるいは翌朝の引き当てにするのか、それぞれの対応を考えられるということでございまして、また、そういった支援先が今後どういうふうに対応なさるかということは、日債銀からの詳しい説明等聞きながら機関決定をそれぞれの判断においてなさっていくというふうに思っております。
  14. 今村雅弘

    今村委員 大臣声明にもたしかあったと思いますが、大蔵省としても自信を持っての取り組みだと思っておりますので、これについては今後ともしっかり見させていただきます。  時間があれでございますので、本題に入りたいと思います。  今回の外国為替及び管理法案でございますが、これについては、正直申しましていろいろな意見があるようでございます。そういう中で、ジャーナリスティックにはこの外為法改正というのは大変な創業になるのではないか、つまり日本金融機関なりなんなりがそういったものをまだ受け入れるほどに成長していないのではないかというような話もあるわけでございます。  私は生まれ育ったところが佐賀県でございます が、ここには有明海というのがございまして、これは大変波静かで、川がどんどん土砂を運んでくれるものですからどんどん干拓ができる。空港もつくっておりまして、これはもう非常に安くできるということで、ぜひとも国際空港にお願いしたいということで頑張っておりますし、これについては、また後日、皆さん方の御協力を願うことになると思いますが、それはそれとして、片一方では玄界灘というのがあるわけでございます。これは非常に荒波ということで、さきのロシアのタンカーもへし折られるほどの荒波、例えてみますれば、そういうところにこの外為法改正というものは日本金融機関等々をぶち込むようなことになるのではないか、そういうふうにいろいろ言われているわけでございます。そういったことにつきまして、いろいろ御意見等を伺いたいと思います。  反面、大蔵当局の方は、そういったお話をしますと、いや、そんなことは余りないと思います、むしろ、実態としては、この日本経済といいますか、既に相当金融面でも自由化が進んでおります、この外為法云々はある意味では手続法である、大したことはございませんよ、そういった認識といいますか、言い方をされるわけでございます。その辺は、大蔵省の方が大変なんですと言うとパニックを起こすからそういったことを言っているのか、本気でそう思っているのか、その辺の認識の違いといいますか、それをある程度埋めておかないと、どうもこの法案議論をする中でかみ合わない部分があるのではないかと思います。  そういった面につきまして、とりあえず総論でようございますが、どういうふうにこの外為法改正につきまして考えておられるのか、大臣でも局長でもよろしゅうございますから、御意見を伺いたいと思います。
  15. 榊原英資

    榊原政府委員 今回の外為法改正は、対外取引におけるグローバルスタンダード実現するということでございまして、我が国金融資本市場の一層の活性化を図るために、資本取引対外決済にかかわる許可事前届け出制度原則として廃止するとともに、外国為替公認銀行制度両替商制度を廃止するなど、外国為替管理制度について抜本的な自由化を行うものでございます。  今回の改正は、まさに抜本改正あるいは完全自由化ではございますけれども、今までも自由化は全くやってこなかったということではございません。今までの自由化の総仕上げ、そういう性格を持つものでございますので、これによって一挙に資本海外に流出するというようなことが起こるとは思っておりません。ただ、外為法改正により国境を超える取引あるいは通貨を超える取引が完全に自由になりますので、これによって国内の金融自由化というものも加速されてくるというふうに考えております。
  16. 今村雅弘

    今村委員 これは新聞で恐縮でございますが、きょうのこの最初の審議の日、この日経新聞には「資本海外流出加速」ということで、これには日米金利差はもう五%に開いたといったことを含めて、そしてまた、円も百二十五円台になってしまったというようなことがあるわけでございます。これはたまたま、偶然かもしれませんが、ただいま言われたように、確かに自由化ということで金融機関等は厳しい対応を迫られると思いますが、やはりこの資本海外流出云々ということについては、もう少し真剣に考えるべきではないかというふうに思うわけでございます。  御存じかと思いますが、もともとこの法律の沿革をたどりますと、昭和七年六月、資本逃避防止法という名前からきているわけでございまして、本来、やはりこういった性格を持つものではないかなという気もいたしておるわけでございます。しかしながら、世界の大勢としては、やはりこの自由化の流れといったことは、ある意味では日本経済をトータル的に強くするということで避けられないものでもあるというふうには思うわけでございますが、こういったものにつきまして、この資本海外流出といったことは本当にこれから加速するのかどうか、その辺はどういうふうに見ているのか、御意見を伺いたいと思います。
  17. 榊原英資

    榊原政府委員 確かに先生御指摘のように、今、日米金利差が若干開いてきております。五%程度になってきておるので、資本が流出するのではないかというようなことが市場でささやかれているわけでございますけれども、実は現在でも、銀行を通した、あるいは証券会社を通した、あるいは機関投資家を通した資本の流出入というのは全く自由になっておるわけでございますので、現在の状況でも金利差を反映して自由に資本が内外を交流するという事態に変わりはないわけでございます。ただ、外為法改正をいたしますと個人の資金が完全に自由になる、そういうことでございまして、個人の資金が自由に内外を流通することによって資本の流出がさらにふえるのではないかという懸念があるわけでございます。  ただ、個人の資金についても、今まで全く自由化がなかったということではございませんで、例えば外貨預金については投資用であれば二億円までは自由に外貨預金を持てるという制度でございましたし、また、外国証券会社を使うことが外為法改正によって自由になるわけでございますけれども、今までも一億円までは外国の証券会社を自由に使うことができたということでございます。確かに外為法自由化によって個人のお金が中長期的には海外にかなり流れていくというふうには考えられますけれども、改正によって一気に資本が出てしまうということではないというふうに考えております。
  18. 今村雅弘

    今村委員 その辺のところが非常にジャーナリスティックといいますか、いろいろ書かれているところがあるわけでございまして、そういったものについては、いろいろ事後報告その他かなりの管理といいますか、そういったことでもあるようでございますが、私としてはどうも心配だなと。  たまたま今、個人はまだ余り行っていないということで言っておられますが、例えばこれも日経新聞でございますが、こうやって「低金利でガマンするか、高金利の外貨預金か。」ということで、いわゆる宣伝といいますか出ているわけで、こういったものが今のところはまだまだ一般の国民の方にはそんなに浸透していないのではないか。こういったことがどんどん表に出ていけば、ああそうかということで、ただいまの話のように、個人は今はまだ行っていないが、今後こういったものについて非常に皆さん興味を示されるのではないかという気もいたしておるわけでございます。  そういったことについて、そんなことはないよと言われるのか、いや、それについてはやはりそれなりに大蔵としても考えていきたいと言われるのか。こういったものは、豊田商事ではございませんが、非常によくわからない面もあるかと思います。その辺についての対応なりは何か考えておられるのでしょうか。
  19. 榊原英資

    榊原政府委員 外為法改正によって個人の外貨預金がふえるのではないかというお尋ねでございますけれども、まず、個人の外貨預金については、現在、国内では完全に自由になっておるわけでございまして、現状では、国内の外貨預金の残高は三百十八億六百万ドルということ、これは二月末でございますけれども、円にして大体三兆八千億程度、外貨預金が既に持たれておるわけでございます。  それでまた、個人はかなり為替の動向に敏感でございまして、実は、今三百十八億ドルあるのでございますけれども、平成三年末には五百七十二億ドルあったということでございますし、平成八年の一月末には四百六億ドルあったということで、実は、このところの円安でかなり個人が利食っている。つまり、円安のメリットを得るために外貨預金を取り崩しているというようなことが最近ずっと起こっているわけでございます。  そういうことで、自由化が進むということで外貨預金がどんどんふえるというようなことには必ずしもならないと思います。為替の動向を見ながら、どういう段階で外貨預金をするのか、どういう段階で外貨預金を取り崩して利食うのか、そういうような判断を個人がしていくということでご ざいまして、金融機関なんかに聞きますと、日本の場合には個人の方がむしろ金融機関なんかよりも敏感にいろいろマーケットに反応するというようなことを言っております。  ただ、いずれにしましても、外為法改正いたしますればそういう動きが激しくなるということは先生御指摘のとおりでございますから、我々としては、そういう動きを、報告等をとりながら、あるいはマーケットとの対話を通じながら、注意深く見守っていきたいというふうに思っております。
  20. 今村雅弘

    今村委員 余計な心配かもしれませんが、こういった個人の外貨建て預金がふえる、例えばドル建てということでいいと思いますが、こうなったときに、ドルで預金を持っている方はむしろドル高・円安の方がいいということになるわけでございます。この辺、規模が仮に大きくなっていった場合に、これはもちろん自己責任でリスクは覚悟でということではあると思いますが、そういった中で、いわゆる為替介入といったものがやられるときに、これはある意味では個人の財産権にタッチするような場面も考えられるわけですね、余計なことをしてくれたからドルが下がってしまったとか上がってしまったとか。そういったことは今後どういうことになるのでしょう。全くそういったことには関係なしにやるということになるのでしょうか。
  21. 榊原英資

    榊原政府委員 当然のことながら、外貨預金を持っておられる方は、例えばドル預金を持っておれば、円安になればメリットがあるし、円高になればデメリットがあるということでございますけれども、為替が完全に自由化された世界ではそういうことは通常のこととして起こるわけでございまして、これは当然個人なり企業なりがそのリスクを負うということが前提になっておるわけでございまして、私ども、例えば介入ということをする際に、そういう個人なり企業の個別の利害得失を考えてやるということは考えられないわけでございます。  私どもの介入の基本的な視点というのは、為替レートがファンダメンタルズと整合的なものであるか、そのファンダメンタルズから大きく乖離をしていないかどうか、大きく乖離する場合には経済の持続的な成長というものを維持するために介入が必要になることもあるということが今までの基本方針ですし、外為法自由化した後もその基本方針を変えることはないというふうに思っております。
  22. 今村雅弘

    今村委員 それでは、時間でございますので、最後に大蔵大臣に、ちょっと決意といいますか、お考えを伺いたいのです。  今後、こういった国際化という中で、ただいまいろいろ申しましたが、資本海外逃避とかそういったものが起きるかもしれないし、起きないかもしれない。しかし、そういった意味で、かなり国際化、流動化していく、この流れはとめられないということだと思います。  そういう中で、世の中には、これから先は日本はもう金融国家で生きていった方がいい、金融国家、金貸し国家と言ってもいいのかもしれませんが、それでやった方がいいという方もあれば、いや、そうじゃない、やはり日本は物づくり国家で生きていくべきだ、だから、そのために国内の資本を蓄積して充実してやっていくべきだ、そういう意見があるかと思いますが、大臣はその辺はどういうふうにお考えなのか、最後にお伺いして終わりたいと思います。
  23. 三塚博

    三塚国務大臣 国際化という言葉があります。これは世界の潮流と見て間違いありません。  国際化は、時にその国の個性、個性の中核は文化でありましたり、よき伝統でありましたり、また勤労精神でありましたり、家族制度でありましたり、そういうものがあるわけでございます。それは個々の国家の努力、国民の努力によりましてキープされていかなければなりません。そういう意味で、国際化の中でその国の個性がなくなっていくということであってはならぬわけでございますから、ただいま言われました金融国家としてという生き方は、一面から見れば、経済金融というマクロ経済の根幹にかかわる問題については協調体制が今日の常識になっておるわけですから、必要なことだなと思います。  特に、物づくりという今御指摘がありました。勤労のもたらす物をつくることの努力、また勤勉さというものがよき伝統と文化をキープしながら、国際化の激しい流れの中でも日本人らしく、日本というのが世界から信頼をされ、頼りにされるような、またモデルにされるようなことがございませんければ、満ち足りて何ぞいずくに求めんやというようなことで、日本人の顔をいたしました外国人、これは、先輩、御先祖のつくり上げてまいりました国づくりの基本的な原点にももとるわけでありますから、よき伝統と文化は守り抜くという中で、大胆かつ率直に国際化の中で生きていくということではないでしょうか。
  24. 今村雅弘

    今村委員 どうもありがとうございました。
  25. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、田中和徳君。
  26. 田中和徳

    田中(和)委員 ただいまの今村委員に引き続き、今般の外為法改正について、順次お尋ねをしてまいりますので、明快な答弁をお願いをいたします。よろしくお願いいたします。  近年、経済グローバル化には目覚ましいものがあります。あらゆる分野において、諸外国との関連を抜きにしては正しい進路決定が不可能になっております。今回の外為法改正も、そうした背景の中、日本の生き残りをかけた、まことに重要なものと私も認識をいたしております。  まず、今回の抜本的な外為法改正日本経済に及ぼす影響について、どのように評価しておられるか、三塚大蔵大臣にお伺いをしたいと思います。  あわせて、東京外為市場で、昨日、日本円は米ドルに対してとうとう百二十五円ちょうどまで下がってしまいました。相場の動向は世の習いでございますけれども、財政悪化と厳しい経済情勢のもとで、日本売りとまで言われる昨今の円安は大変懸念される一面でありますが、その点についての感想も大臣にお伺いをしておきたいと存じます。
  27. 三塚博

    三塚国務大臣 今回の外為法改正は、金融システム改革、いわゆる日本ビッグバンへのスタート、こういうことになるわけでございます。  国際化の中で、適者生存という言葉がありますが、金融機関金融業の世界もそうなるわけであります。新しい基準をつくり参加する場合には、必ず痛みを伴うわけでございますから、これは乗り越えていかなければなりませんし、三審議会において、本件について精力的な御審議をいただき、六月には中間報告がございます。それらを踏まえながら、外為法改正、これはビッグバンの成功を期するためのフロントランナーでございます。そういう意味で、一千二百兆と言われる国民預貯金が、この中で有利に活用をされていくという手だても当然必要でありますが、グローバルスタンダードの中でこれが行われるというところで、ハイリスク・ハイリターンということを求める方もおられると思うのでありますが、そうではなく、堅実な資産形成が行われるということは日本人の気質にも合っておりますし、そういう方向に行くだろうと思います。幅広い商品が出回るわけでございますから、選択は国民の側にあるわけであります。  大事な点は、マーケットの機能は、企業活動を盛んにするということであります。上場企業だけではなく、非上場企業におきましても、このチャンスを生かすことによって資金調達が多様性を持つ、こういうことになるわけでございますから、その点が経済に貢献すること極めて大、そのことがまた、雇用面の安定、日本にニュービジネスの誕生をさらに促しということになります。その点が今後の私どもの期待であるわけでございまして、ビジネスチャンスの拡大が内需主導の安定的な経済成長の力になると思っております。我が国金融資本市場の一層の活性化のみならず、我が国経済全般に好ましい影響を与えますことは、委員も想像でき、御理解のいただけるところであり ます。  レートの問題でございますが、これは、ファンダメンタルズを反映して決定していくという過程であるわけでございますが、我が国経済にとりましても、まさに為替の安定が重要な基本政策であります。行き過ぎた円安は行き過ぎた円高と同様好ましくないということは大蔵省為替政策の基本的なベースといたしておるところであり、今後の為替動向については、十分注意を払いながら、かつ行き過ぎた動きに対しましては適切に対処をしていくことは当然であります。  今日は、先ほど答弁がありましたとおり、いろいろな要素の中であるわけでございますから、十分注視をしてまいるということで御理解ください。
  28. 田中和徳

    田中(和)委員 大臣より、今回の新しい法改正の、さらに夢の広がる事業についても言及があったところでございます。また、為替の安定した扱いについても責任ある御答弁がありまして、ぜひひとつ御努力をいただきたいと思っております。  東京市場は、かつて十年ほど前は、ロンドン、ニューヨークと肩を並べる国際金融センターとして確固たる地位を築いておりました。しかしながら、その後、これら二大市場に水をあけられるのみならず、アジアの新興市場であるシンガポールなどからも急速に追い上げられております現実がございます。  東京市場の抜本的で速やかな改革が不可欠でありますが、その目指す方向は、ローカルなマーケットではなく、ニューヨークやロンドン並みの国際市場を目指すわけでございまして、再び東京市場が国際金融センターとしての機能を果たしていくためには、世界に共通するグローバルスタンダードに沿った制度の整備は急務であろうと思います。  特に、世界の主要市場日本市場を比較した場合、税金の水準の高さや煩雑な手続、単一民族国家のもとでの日本語という言語の特殊性など、我が国固有のさまざまな問題があることが指摘されております。  私も、実は川崎市の選出の立場でございまして、川崎市も大変多くの輸出入にかかわっておられる方々がおいででございまして、外国の方々もたくさんお見えになります。おおむねそういう意見が出てくるわけでございます。今回の外為法改正だけでは、こうした日本独特の障害を解消できず、東京市場の再活性化実現できないのではと心配される向きもございますけれども、その点について大蔵省はどのように考えておられるのか、お答えをいただきたいと存じます。
  29. 山口公生

    山口政府委員 御指摘のように、東京市場をニューヨーク、ロンドンと並ぶ国際金融市場とすることを目指すということでやらせていただいておりますが、御指摘のような固有のいろいろな問題があることも十分承知しております。  さはさりながら、私どもの考え方としましても、また国民全体の意識としましても、これだけの東京のマーケットというものをこのままでいいのかという意識があろうかと思います。したがって、そういったものを乗り越えていく必要がある。幸いにして、国民の皆様方の貯蓄、勤勉な労働意欲等の非常な、ある意味の財産もあるわけでございます。ただ、残念宿ことに、いろいろ金融技術等においてややおくれをとっている。あるいは、先生御指摘のような、そういったものを発揮する金融的なインフラ、そういったものもまだまだ整備すべきである。  したがって、そういった環境を私どもができるだけ早く整えていくということによって民間の創意工夫が生じ、それでもって日本のマーケットというものが大きくなり、マーケットが大きくなれば産業も立派になり、日本にとって非常に立派な、世界に誇るべき東京市場ができるというふうに考えておりまして、そういった方向で進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
  30. 田中和徳

    田中(和)委員 日本でのビジネスはコストがかかる、こういうような意見が多いわけでございます。こういうことを取り除かなければ東京市場のアップが図れないということだろうと思います。もちろん外為法も含めて幾つもの要素があろうと思いますし、一朝一夕にはいかないと思いますが、しかし急がなければならない。ぜひひとつ御努力を願いたいと思います。  今回の外為法改正は、二〇〇一年を目指して進められるいわゆる東京ビッグバンと言われる一連の金融システム改革のフロントランナーであり、日本経済の将来を占う意味で非常に重要なものであると思っておりますし、何としても成功裏に終わらせる必要があることは論をまたないところであります。しかし一方、外国為替業務自由化による競争の激化を招き、経営難に陥る金融機関が出てくる可能性も否めません。せっかくの改革も、金融が破綻するようでは出ばなをくじかれていくわけでございまして、元も子もなくなってしまうのでございます。  したがって、金融業界の実情を把握し、適切に外為法改正に諸施策を盛り込む必要があると思います。金融業界からも、今般の法改正に当たって、当然幾つかの要望があったかと存じます。今日の我が国の外為業界の実情と業界からの要望の内容、それを受けてどのような点が今回の改正に盛り込まれているのか、お答えを願いたいと存じます。
  31. 榊原英資

    榊原政府委員 お答えいたします。  今般の外為法改正に当たりましては、金融界のみならず、産業界あるいは消費者等から広く意見を聴取して対処したところでございます。  特に金融界からは、ちょっと技術的になりますけれども、持ち高規制の廃止、これは為替の持ち高でございます。今、この持ち高規制というのを私どもやっておりますけれども、これを廃止するということ、それから完全自由化をいたしますけれども事後報告というのはとらせていただくわけで、その報告の負担の軽減ということ、それから例えば送金をしたとき本人かどうかということを確認する義務が金融機関に負わされておるわけでございますけれども、この確認義務の負担の軽減等、種々の要望が寄せられておりましたけれども、私どもとしては、これらの要望はすべて今回の外為法改正の中で措置が講じられているというふうに思っております。  また、為銀制度、いわゆる外国為替公認銀行制度を廃止するという大変抜本的な改正案をお願いしているわけでございますけれども、外為業務が自由化され、金融システム改革が動き出したということについては、金融界もこれを前向きに受けとめて積極的に対応していこうと考えているというふうに理解しております。
  32. 田中和徳

    田中(和)委員 産業界の要望にもぜひひとつ耳を傾けて、効果が上がるような御努力を願いたいと思っております。  今回の外為法改正案は、国民の関心も高いと思いますし、実際に新聞や雑誌にもさまざまな角度から取り上げられております。その中の一つを紹介をいたします。  これは日本経済新聞でございますけれども、「外国為替管理法から「管理」の二文字が消え、ほぼ全面自由化される方向が決まった。外国為替銀行は廃止され、個人も企業もお互いに原則自由に外貨の取引ができるようになる。その結果、金融システム全体の自由化、改革を急がないと日本金融空洞化が一気に進む可能性もあり、為替自由化金融改革の先導役になりそうだ。」というように、金融システム改革との関連を強調して書かれているものが多いという印象を私は受けております。  外為法改正は、単に金融改革全体の第一歩にしかすぎないかのような論調が主なようであります。先ほど大臣から御答弁もありましたように、外為法改正金融システム改革のフロントランナー、このようなお話でありますし、私もまたそう思っております。しかし、外為法改正自体にもメリットがあるのもまた事実であります。したがって、外為法改正の独自の効果を的確に分析し、国民にわかりやすく説明していくことが当面の極めて重要な課題だと考えます。今回の外為法改正のみに限って考えると、期待されるメリットにはどのようなものがあるのか、わかりやすくひとつ御説明をお願いしておきたいと思います。
  33. 榊原英資

    榊原政府委員 お答えいたします。  今回の外為法改正の直接のメリットというものは、個人や企業が自由にいわゆる国境を超えた取引をできるということでございまして、例えば個人が海外に自由に預金を持てるようになる、あるいは海外の証券会社と直接取引をして海外金融資産を取得することができるようになるということでございますし、また、外貨についての規制が完全に自由になりますので、さまざまな商品なりサービスなりが新たに提供される、これは日本でということでございますけれども、日本で提供されるということがあるわけでございます。  よく言われますのは、例えば海外に預金口座をつくって、それを利用して海外からの通信販売の代金の支払いをすることができるというようなことですとか、例えば海外旅行をした後に外貨が余った、今まで余ったときはすべて銀行を通じて取引をしなければいけないということでございましたけれども、これを個人間あるいは企業間で取引することができる。あるいは、企業が輸出で得たドルをそのまま企業間で取引することができるということで、為替のいわば手数料と呼ばれるものが企業あるいは個人間で相当節約になるということでございます。  また、金融機関が外貨を含んだ多様な商品を消費者に提供するということが考えられますので、消費者にとってはかなり手数料の節約になるということ、及び多様な商品、多様な選択が可能になるということなど、さまざまなメリットがあるというふうに考えております。
  34. 田中和徳

    田中(和)委員 世界の為替市場は二十四時間、三百六十五日眠ることなく働き続けており、毎日刻々と為替の価格が発表されております。すなわち為替の動きを正確に理解することなくしてビジネスマンとして成功することはあり得ないと思うのであります。  しかし今日、産業界のみならず一般の国民にとっても、正確な知識の有無はともかくとして、今お話がありましたように、海外旅行に出かけるときなど外国為替にかかわりを持つ機会が大変ふえてまいりました。今回の外為法改正によって海外に自由に預金口座が持てるようになったり、もっと身近な例で言えば、例えばドルショップが開設され日本国内でもドルを使って買い物ができるようになるなど、より一層国民生活と外為とのかかわりが濃密になっていくことが予想されるのでございます。したがって、外国為替に関する国民の正確な理解があってこそ初めて新しい制度の円滑な定着と国民の利益の実現が確保される、このように思っております。  今回の外為法改正は、対外取引のコスト軽減という意味で産業界あるいは日本経済全体にとって望ましい改正であることはよくわかります。しかし、一般国民、まあ庶民が実感できるメリットとしてはどんなものがあるのか、もっと踏み込んでお答えがいただければと思いますし、特に国民の生活にとっての具体的なメリットをお答えいただければと思います。  また、外為法改正というのは、個人投資家をも対象とした外貨建ての金融商品の開発、販売も可能となります。こうして投資方法の多様化が進み、資産形成の選択肢が拡大することは消費者にとってもちろんメリットがあるわけでありますけれども、しかし同時に、自己責任のもとに消費者が負うリスクが増大することも確かであります。消費者保護の対策も必要になってくると思いますが、今後どういった対策を考えているのか、他国の事例を挙げながらお聞かせを願いたいと存じます。  以上でございます。
  35. 榊原英資

    榊原政府委員 先生御指摘のように、さまざまな形の変化が消費者の局面でも起こってくるというふうに考えております。今までも自由化を粛々として進めてきたわけでございますけれども、今度の外為法改正は最終的な金融開国ということであろうということです。ですから、消費者も外貨取引に直接エクスポーズされるというようなことになるわけでございます。  先ほども幾つか具体的な例を申し上げましたけれども、例えば恐らくスーパーマーケットとかコンビニエンスストアでドルなりポンドに円を交換することができるようになるというようなこと、あるいは、例えばドル建てで商品を売ることができるようになるわけでございますから、ドル建てで商品を売ってドルあるいは外貨で商品を買うというようないわゆるドルショップ、そういうようなものができる可能性もある。特に、外国製品についてはそういうようなものができる可能性がかなり高いというふうに思っております。  当然のことながら、そういう外貨取引がふえてくれば外貨に関するリスクというのも周知徹底しなければいけないわけでございまして、例えば変動相場制に移行した後、大体一年で平均の為替の変化というのは一ドルに関して二十円から二十五円動いておるわけでございます。ですから、外貨というのはかなりリスクの高いものだということをやはり周知徹底させなければならないという点もあるかと思います。  ただ、テレビのニュース等で必ず為替レートというのを報告しているようでございます。こういう国は恐らく日本だけだというふうに言われておりますから、今でもかなりそういう面では周知徹底しているという部分はあるかと思いますけれども、私どもとしても、外為法自由化した後ではそういうリスクもあるのだということ、いろいろ選択肢はふえる、いろいろな商品が出てくる、しかしそういう商品についてはいろいろなリスクがあるのだということを周知徹底させるということが大変大事なことだというふうに思っております。
  36. 田中和徳

    田中(和)委員 もう時間が参りましたので最後の質問にさせていただきますが、対策といいますか救済の対応というのか、そういう面もちょっと本当はお答えいただきたかったのでございますが……。  今回の外為法改正は非常に重要な改正であり、国民にやはり積極的にPRをしていかなければならない、このように思っております。来年の四月一日の施行までに既に残り一年を切っておりますから、今後どのように、またどのような機関を通じて国民へPRや情報提供を行っていくのかということが大変重要だと思いますので、その点もひとつ最後にお聞きをしておきたいと思いますし、さらに、施行後は行政レベルで消費者相談の窓口を設けたりQアンドAを作成したり、国民の理解を深め、かつ疑問に対して的確にそして速やかに答えるための施策が必要であろうと私は思っております。どう対応されるのか、その点、最後でございますので、ひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  37. 榊原英資

    榊原政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、自由化というものは一方でリスクを伴うものでございまして、そういう点について国民に広く周知徹底させるということが大変大事なことだと思っております。  大蔵省としても、例えばQアンドAをつくるとか積極的なPRの冊子をつくるとか、そういうことで情報提供に努めてまいりたいと思っております。  まだ一年あるわけですから、もし通していただければの話でございますけれども、その間に十分周知徹底に努めるよう努力してまいりたいというふうに思っております。
  38. 田中和徳

    田中(和)委員 時間が参りましたので終わらせていただきますけれども、やはり私は、地方自治体だとかそれこそ各金融機関などにも御協力いただいて、ひとつ国民にわかりやすい、すばらしい制度改正に仕上げていただきたいと思っております。ありがとうございました。
  39. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、吉川貴盛君。
  40. 吉川貴盛

    ○吉川委員 今村議員、そして田中議員に続きまして、自民党の三番バッターとして質問をさせていただきたいと思います。  実は私は、大学で経済学を学びながら、大学の経済学というのはこれだけ役に立たないかということを国会議員になって初めて知らされた次第であります。  この外為法、あるいはこれから行おうとしております日本版のビッグバンにつきましてもほとんど知識がございませんで、三塚大臣大蔵省の幹部の皆さんやあるいは額賀委員長委員の皆様に失笑を買う場面があるかもしれませんが、一生懸命質問をさせていただきたいと思いますので、お聞き苦しい点等、お許しをいただきたいと存じております。  最初に、私はこのビッグバンというそもそもの語源は何なんだろうかという疑問を大きく持ちました。実は、これは笑い話でないのでありまして大臣に聞いていただきたいのですが、私は、先週自分自身の国政報告会で、日本の国は今総理が掲げている六つの改革を、構造改革を進めなければ他国におくれをとるのだというような話をいたしました。その中で、この日本ビッグバンという話を出しましたら、その私の話が終わった後に、あるおじいちゃんから、ビッグバンというパンはうまいのかうまくないのかというような質問が飛んできまして、その後に、テレビで国会中継を見ていると三塚大臣日本ビッグバンビッグバン、こう言っているが、果たしてそれはうまいのかうまくないのか。それはおじいちゃん、うまいとかまずいとかという話ではないのですよ、どっちかというとうまいでしょうと私は顔を赤らめて答えたわけでありますけれども、その折に感じたことは、言葉というのはわかりやすくなければいかぬなというふうに実は思ったわけであります。今、国を挙げて行革を進めているわけでありますが、言葉の行革というものも私は進めなければいかぬなと強く感じました。  そこで、まず大蔵省が先頭に立って、一つは、その言葉の行革というのをお進めになられたらいかがかなという御提言を申し上げたいと思うのです。さらに、日本ビッグバンといいましょうか、このビッグバンをわかりやすく国民の皆さんに御説明をいただければ大変ありがたいと思いますが、ぜひよろしくお願いいたします。
  41. 三塚博

    三塚国務大臣 吉川議員の御提言、そのとおりでありまして、自分がわかっていても国民各位がわからなければ民主主義は前進をいたしません。うまいかまずいか、いい例で、それはうまいのだ、まさに結論はそういうことなんだと思うのです。  そもそもビッグバンというのは天文学の領域でございまして、宇宙創成、アダムとイブの話もありますが、宇宙が大爆発を起こしまして、今日の天体、特に人が住む唯一の衛星である地球、こういうものが出て、我々は今この地上で生活をしているわけでございます。日進月歩という言葉が当てはまりますように、きょうよりあすが安定したよい生活でありますように、よい国でありますように、こういうことでございます。宇宙創成期の大爆発、その成果が、地球が生まれました、神のおぼしめし、こういう意味もあると聞いております。  英国は、不況の中、金融大改革を断行いたしましたのがサッチャー政権、一九八六年十月でございました。大改革が行われ、御案内のとおり、英国育ちの証券会社はスイスやアメリカ合衆国の資本家によって、経営者によって代がわりをいたした。しかし、あえてそれを許しながらこの改革を断行し、今日のイギリスがある。こういうことで、サッチャー政権の決心、決意、実行に深い敬意をあらわすという意味で、ロンドン・ビッグバン、ある意味でサッチャー・ビッグバンなんでしょうか、そういうことであったと聞き及んでおります。  まさに開国に値する今日の経済グローバル化の時代であります。そういう中で、経済の血液が金融と言われております、証券と言われております、マーケットと言われております。そういう中で、グローバルスタンダードの起点に立って自由にボーダーレスの世界の中で行き来する、こういう市場を目指す。ロンドン市場またしかり、フランクフルト市場またしかり、御説のようにシンガポールであったり香港でありましたり、きわめつけはウォール街ニューヨーク市場、こういうことになるわけでありまして、東京市場はその中において大きな役割を果たしてまいりましたが、今日、バブル、そしてバブル崩壊、こういうことの中で住専問題が起き、金融界が深刻な悩みにぶつかる。辛うじてこれを切り抜けまして、不良債権の解消のために全力を尽くしておるわけでございますが、経済の血液である金融市場を生まれ変わらせること極めて重大、こういうことで、ロンドン・ビッグバンの例に倣い、思い切った開国と改革と自由化を達成していこうということでスタートを切らせていただいたところでございます。  重ねてわかりよくということでありますから、今後とも事務方を督励申し上げ、また内閣におきましても、この問題点をもう少し、大変重要でかつ国民生活、国民経済に影響を及ぼす、あわせて地域社会、国際社会、グローバルな貢献も果たすことになりますから、そういう点でPR、理解を深めるべく、言葉のビッグバンもこの際御提唱ありましたが、大変ポイントをついた御提言でありますので、受けとめさせていただき、取り組んでまいります。
  42. 吉川貴盛

    ○吉川委員 大臣から大変真摯な御答弁をちょうだいをいたしました。  続いて、初歩的な質問をまたさせていただきたいと思いますが、この金融システムの改革によりまして、国民の皆さんが一番感じているのは、自分たちにどのようなメリットがあるかだと思うのですね。具体的に、かつ、わかりやすくお答えをいただければと思います。
  43. 榊原英資

    榊原政府委員 この金融システム改革のメリットといいますのは、例えば欧米の例からいいますと、一つは市場活性化される。例えばロンドン、ニューヨーク、非常に市場活性化されて、その結果所得がふえるということ、あるいは雇用がふえるということ。東京における雇用がふえる、あるいは所得がふえる、これが一つの大きな間接的なメリットであるというふうに思っております。  それからもう一つは、先ほどから申し上げましたように、個々の消費者なり投資家に関しては多様な金融サービスが享受できるようになる。いろいろな商品、いろいろな販売ルート、そういうものが出てきて、国民にとって使い勝手のいい金融システムになるという、その二つのメリットがあるというふうに考えております。
  44. 吉川貴盛

    ○吉川委員 続いて質問させていただきたいと思いますが、金融システムの改革が完了した後、かなり仮定的な質問になるのかもしれませんが、金融市場がどのようになっていくのかということだと思うのですね。ニューヨークやロンドンに負けない魅力というのはどんなものが考えられていくのか。さらに、総理が、東京市場の魅力、これをつくるんだ、こう言われているわけでありますけれども、この点に関しましてお伺いをさせていただきたいと思います。
  45. 榊原英資

    榊原政府委員 この金融システム改革が完成したときどういう市場になるかという御質問でございますけれども、予測ということでございますので必ずしも明快なお答えになるかどうかあれでございますけれども、やはり東京市場がロンドン、ニューヨークと並ぶ国際市場になる、完全にグローバルなマーケットになるということでございまして、先ほども外為法改正というのは完全な金融開国だというふうに申し上げましたけれども、日本のマーケットあるいは日本金融機関、あるいは日本の投資家、そういうものの国際化が最終的に完成されるということではないかと思います。  ただ、また日本は千二百兆からの貯蓄を持っているわけでございますから、その千二百兆の強みを十分生かし、あるいはそのバックにある日本の産業の強み、そういうものを生かした非常に活力のある国際的な金融システム、あるいは金融機関、あるいは投資活動、そういうものが行われるようになるのではないかというふうに期待しておるわけでございます。
  46. 吉川貴盛

    ○吉川委員 今、国金局長からるる御説明いただいたわけでありますが、一つ私は懸念があるのです。それは、今後このビッグバンが進められていきますと、金融機関の中には淘汰されるものが出てくるのかもしれない、そういう懸念でございます。  先日、私もあるチャンネルをひねりましたらテレビでもこれをやっていたのでありますが、エグゼクティブサーチャーというのでしょうかね、ヘッドハンティング。言ってみれば、わかりやすく言うとこれはスカウトマンというのでしょうかね。よく言えば人材養成スカウトマンみたいな、そういった存在があったことを初めて私知りました。これは悪く言えば日本の優秀な金融にたけている銀行マンの引き抜きなわけですね。これがもう行われているわけでありまして、こうなりますと、結果を見ますと、その優秀な人材が引き抜かれるということは、組織に断層ができてしまう。ただそれをいかぬとか、やめなければならぬとかという、そういうものもまたないというような昨今の中で、私は逆に、日本企業といいますか、日本の銀行もヘッドハンティングするぐらいの戦略を持たないとこの国際競争力の時代に生きていけないというふうに個人的に実は感じておるのです。  お答えにくいと思うのでありますけれども、このビッグバンの完成をした中で、日本の銀行で国際競争に十分耐えられるだけの体力はありますでしょうか、今現在ですよ。さらに、残っていく銀行というのは何行ぐらいあると思われますか。
  47. 山口公生

    山口政府委員 大変難しい御質問で、私もそれがわかれば行政もやりやすいのでございますけれども、現時点において国際的にやっていけるかどうかというところにつきましては、これまではよく健闘はしていると私は思うのでございますけれども、ただ、金融技術等の面におきましてやはりかなりおくれがあるのではないか。そうした我が国のリーディングのバンクも海外にどんどん出ていき海外の技術を習得しておりますので、決して大幅に劣っているとは思いませんけれども、やはり世界はもっともっと先を行っているという感じもいたします。そうなってみますと、幾らこちらに資本があり、幾らこちらに千二百兆の金融資産がありましても、国際競争裏においてやっていけるのかということについては危惧が出てくるということだろうと思います。  では、ビッグバンをやった後に何行残れるかという話になると、もっと難しい問題でございます。できるだけ多くの本邦の銀行がそういった活動ができるということを私どもは望みたいと思いますが、ただ一つだけ、そのビッグバンの考え方ということは市場をあくまで中心に見ておりますので、その資本の国籍といいますか、そういったものについてどういうふうに考えていくべきかというのはまた別問題としてあるわけでございます。それは、私も日本国民の一人でございますので、日本国籍の資本で、日本人が金融技術を身につけ、それで世界で活躍していく、それを最も望ましい姿と私も思いますけれども、ただそういう形が最後まで完遂できるかという問題は別途あろうと思います。  ただ、私もそういった邦銀等が、あるいは日本証券会社等が一つでも多く国際競争裏で活躍できることを切に願っておるものでございます。
  48. 三塚博

    三塚国務大臣 大変難しい問題を局長に答えさせましたが、これを進めるに当たりまして、橋本首相ともよく打ち合わせをいたしました。  世界経済の中で代表する金融市場ということになりますと、バブルまではニューヨークであり、東京であり、そしてロンドンであり、次にフランクフルト、こういうような位置づけ、流れにありました。バブル崩壊後の深刻な不況を経て今日に参りました。諸改革の断行が必要なこと、論をまちません。  そういう中で、一千二百兆という国民の預貯金、これは何だろうかということが大事だと思うのです。これを大事に活用していく、そして預貯金者にそのことがプラスになっていくということだと思うのです。世界の預貯金の中で三〇%を超えると言われる驚異的な額であります。APEC蔵相会議の中でも、各蔵相口々に言いましたのは、何とか貯金率を上げたい、こういうことなのですね。バイの会談でも、これだけの預貯金が集まるのは、日本という国は大変な国だ、何かコツがありますか、こう聞かれました。これに対して私は、日本人の持つ勤勉性、日本人の持つ物を大事にするということ、もちろん不時の支出、先々の不安に対する備え、こういうものもあります、こういう一般論で答えてまいったわけでございますが、一千二百兆というのは恐るべき実は預貯金高であります。これは国力の根源であります。よって、これを有利に展開をせしめるのは政治の役目であります。  預貯金者に対する有利な展開、それと日本の企業における自由な、そして適時適切に資金が調達できるという場を設けるという意味で、場が必要である。もちろん、これだけ世界経済の恩恵の中で、努力はありましたけれども、日本がここまで来たわけでありますから、世界に向けても、日本金融市場マーケットは極めてすばらしい、資金を調達するなら東京マーケット、大阪マーケット、こういうことになれば我が国の将来展望というのは極めて明るいものになるし、国際間の信認も厚くなるであろう。国民の預金を大事に扱わせていただく、同時に、世界経済の中で、特にアジアの中の日本でございますから、三極の一としてアジアのマーケットの模範をつくり上げる、こういうことであります。  ですから、銀行はつぶれるかつぶれないかという最後の問いでありますが、多様な活動ができるように、ディレギュレーションの中でありますから頑張れば確実に生き残れる、こういうことでありますし、市場競合の中で適者生存という原理も働くことは当然であります。そういう中にありましては、国金局長答えましたようないろいろな組み合わせ、系列化というのは日本文化だというほどアメリカやヨーロッパの経済担当の政治家が評価をいたしております。持ち株会社がその一つのスタート台でもあろうと思っております。そういうことで、刻一刻変わる自由主義経済の中において、日本人のよりよき知恵を働かせながら協調をしていくということであろうと思います。
  49. 吉川貴盛

    ○吉川委員 大変お答えにくいことを質問をさせていただきまして恐縮でありましたが、私は、いよいよこのビッグバンによって本来的な国際競争というものが始まると思うのです。その多種多様な商品を選ぶのは消費者でありますから、私は、日本の銀行にぜひ奮起を促したい、そういった気持ちを持ちながら今質問させていただいたところであります。  次に、私は北海道なものでありますから、多少ローカル地区になりますが、お許しをいただきたいと思うのであります。  このビッグバンの進行の中で、つい先日、北海道拓殖銀行と北海道銀行の合併が発表をされました。この問題について、大蔵省が今日までどのように把握をされているのか、さらにどんな評価をされて、今後どのような対応をされていくのか、その辺をお伺いさせていただきたいと思います。
  50. 山口公生

    山口政府委員 北海道拓殖銀行と北海道銀行との合併につきましては、今般、両行から、来年の四月を目途に合併する方向で今後具体的検討を進めていく旨の報告を受けたところでございます。  両行からの報告によりますと、新しい銀行は、仮称でございますが新北海道銀行とするということでございますし、合併比率は一対一を基本として詳細は今後決定、新銀行の本店を現在の北拓本店の所在地に置くというような内容の御報告を受けておるところでございます。また、北海道拓殖銀行におきましては、これを機に海外からの営業拠点の撤退などの抜本的経営改善策を講じて、今後は地域により密着した経営への転換を図る方針であるとの御報告を受けております。  このような両行の御報告にありますような店舗の統廃合等の大胆なリストラ、顧客に対するサービスの向上や地域経済への貢献を図っていくとい う姿勢につきましては、両行の経営者が、従来の自行の単なる延長でのみ自分の銀行の将来を展望していくということではなくて、みずからの創意で今後どういうふうに切り開いていくのかという積極的な経営方針を考えられた結果だというふうに思うわけでございます。したがいまして、こうした両銀行の経営者の新たなるそういった取り組みを高く評価したいと思っておるところでございます。こうした将来を見越して、従来の延長だけではなくて、物事を考えていくという姿勢が広まっていけば、我が国金融界全体の体制整備に大変資することだというふうに思っております。     〔委員長退席、柳本委員長代理着席〕
  51. 吉川貴盛

    ○吉川委員 この両行の合併によって、北海道内における預金シェアが非常に高くなるのです。これはもう事実なわけであります。  そこで、先日の新聞報道で、この合併について独禁法の関係で不可能とは言えない印象を持っている、そういう公取の糸田事務総長の発言があったようでありますけれども、私は、直ちにこの独禁法に抵触するとは思わないのであります。その辺の公取委の見解をぜひお聞かせいただきたいと思います。時間がありませんので、簡単で結構です、イエスかノーかで結構です。
  52. 鵜瀞恵子

    鵜瀞説明員 独占禁止法では、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる合併を禁止しております。公正取引委員会では、合併により一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなるかどうかについて、当事会社の市場における地位、市場における競争の状況などからその合併の競争に及ぼす影響を総合的に判断することとしております。  御指摘の事案につきましては、今後、両当事行から具体的な御相談があれば、合併により一定の取引分野、とりわけ北海道内の預金、貸し出しにおける競争を実質的に制限することとなるかどうかについて検討することとしたいと存じます。
  53. 吉川貴盛

    ○吉川委員 本当はもっと突っ込んで聞きたいのですけれども、もう時間がございませんので、最後の質問にさせていただきたいと思います。  私は、構造改革、この六つの改革の中で、三塚大蔵大臣が所管をいたしておりますこの金融システムの改革が一番進んでいるのだろうと思うのです。それは、ほかならぬ大臣を初めとする大蔵省の意気込みのあらわれではなかろうかと思います。  そこで、最後にお伺いいたしますが、このたびの外為法でありますが、これからの日本にとって、これはぜひなし遂げなければならないものと私は考えておる一人なわけであります。しかし、一方では、この外為法改正は、金融の空洞化を助長して混乱を招くのではないかという批判も一部にあるやに聞いております。私は、逆に空洞化を防ぐ第一歩がこのたびの改正であると考えますが、大臣の御見解をお聞かせ願いたいのと、さらに、これからの金融システムの改革のスケジュールを具体的に国民にわかりやすい形で示すことが重要であると私は考えておりますので、この二つ、あわせて最後に御答弁をいただければと思います。
  54. 榊原英資

    榊原政府委員 空洞化の問題について先に簡単に御答弁させていただいた後、大臣からお願いしたいと思います。  先生御指摘のように、まさに外為法改正あるいはその後に続く金融ビッグバンというのは、東京マーケット、日本のマーケットの空洞化を防ぐため、空洞化を阻止するためにやる施策でございまして、必ずや東京マーケットが活性化され、ここでの所得あるいは雇用が増していくものというふうに考えております。
  55. 三塚博

    三塚国務大臣 国金局長が言われたのが本旨であります。まさに待ったなしでありまして、このままの状態でありますと、東京市場金融・証券を含めまして自由度がなくなるわけでございまして、閉塞状態。金融手だては、香港、シンガポール、台湾。アジアだけでもそう言えます。上海が金融市場の開設を目指してただいま実験的なスタート、大勉強を重ねておるところでございます。そういう中で、東京市場グローバルスタンダードなニューヨーク市場に任すような評価に、さらにバブル前の日本の東京市場の評価に戻るように、さらに前進するように。ユーロを中心としたロンドン市場ということもあります。  そういう中で、空洞化ではなく、一千二百兆の個人預貯金が有利に展開をされ、そして預貯金者のプラスになっていく、なおかつ先ほど申し上げましたとおり、アジアのありとあらゆる民活に東京市場が活用されていく、世界経済の中でもそのように信認を得ていくようにしていくことにありまして思い切った改革が絶対に必要であり、二〇〇一年に向けてありとあらゆるスケジュールを組みながら、今全力を尽くして御審議をいただいておるところでございます。
  56. 吉川貴盛

    ○吉川委員 大きな期待を寄せさせていただきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  57. 柳本卓治

    ○柳本委員長代理 次に、秋葉忠利君。
  58. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 社会民主党の秋葉でございます。  外為法の関連につきまして少し勉強しようと思ったのですが、特措法の問題などという重要問題も我が党は抱えておりまして、ですから、きょうの委員会では、専門家の大蔵省の皆さんに主にインテリジェントレイマンといいますか、インテリジェントと自分でつけてはいけないのですが、要するに、それなりの理解力や関心があるごく普通の、専門家ではない人間の立場から、何点かについて御質問をいたしたいと思います。  まず最初に、個人の立場で今回の改正でどういう影響を受けるのかといったことを少し正確に理解したいと思います。  外貨両替の自由化ということが今回の中に入っております。例えば、海外旅行でドルを使い残してきた、たまたまこれから外国に行く友達がいるので、それでは百ドルを一万円と交換しようというようなことは何か日常的に行われているようなことだというふうに理解をしておりますけれども、現在の外為法ではこれは違反になるということでございます。これにちゃんと罰則までついてい各というので、今度初めでこのことを理解してちょっとびっくりしたのです。三年以下の懲役あるいは百万円以下の罰金、かなり重い罰則がついているということなんですが、そこでまず伺いたいのですけれども、これまでこういった個人の外貨両替ということで外為法違反というのは、具体的にはどのくらいの数があったのか。いろいろな統計のとり方があると思いますから、実数としてどのようなケースがあったのか、これは大蔵の方で把握されているのかもしれませんし、あるいは法務省の方かもしれませんけれども、大体の統計的なところをお教えいただきたいと思います。     〔柳本委員長代理退席、委員長着席〕
  59. 藤田昇三

    ○藤田説明員 法務省が作成しております検察統計年報によりまして、全国の検察庁における平成五年から平成七年までの三年間の外国為替及び外国貿易管理法違反事件の受理、処理状況について御説明を申し上げますと、平成五年には受理人員二十二名、起訴人員九名、平成六年には受理人員十一名、起訴人員九名、平成七年には受理人員十五名、起訴人員九名となっております。
  60. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 余り人数が多くないのですが、統計のとり方を少し御説明いただけるとありがたいのです。これは外為法が中心になって検察に送られてきたケース、だから、それと一緒に例えば軽犯罪法違反も犯しているような場合もあるけれども、主たる犯罪の構成要件が外為法である、あるいは貿易管理令違反であるというような形での統計ですね。例えば私の理解では、ほかのより重い犯罪、例えば詐欺罪というのがあって、それに関連して外為法違反を同時に犯しているような場合には、今引用された統計の中に入っていないということで理解してよろしいのでしょうか。
  61. 藤田昇三

    ○藤田説明員 ただいま申し上げました数字の正確な、今委員指摘のような御質問に関することにつきまして、私十分把握できておりません。したがいまして、より詳細なことにつきましてはこの場ではお答えできない、御理解いただきたいと 思います。
  62. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 別のところからの私の理解ですと、大体そういう形で統計はとっているということですので、必ずしも今の数字外為法違反全体の姿であるということにはならないと思いますけれども、しかし、件数として非常に少ないということは事実だと思います。  そうすると、今回の改正案、個人の立場から考えでもかなりの自由化なんだ、ビッグバンのフロントランナーだという大宣伝が行われていますけれども、その中で、それでは例えば個人にはどういう利益があるのですかというところで、一番最初に出てくる外貨両替の自由化ということを考えても、それほど、大きな宣伝ほど大した内容じゃないのかなという気もするのです。この点について、外貨両替の自由化というところの効果といいますか、いや、そのとおりフロントランナーとしての役割は十分にあるんだというところは、大体どういう根拠があるんでしょうか、お教えいただきたいと思います。
  63. 榊原英資

    榊原政府委員 確かに、外為法のメリットということでマスコミ等が若干過大に評価している側面がないわけではございません。ただ、外貨の交換が自由になるということですと、税関とかホテル、銀行等に行かなくても、例えば自動交換機みたいなものが香港にはたくさんあるようでございますし、それからコンビニエンスストアとか、そういうところで取りかえることができるように、交換ができるようになるというようなメリットが期待されるわけでございます。  それからもう一つは、手数料でございますけれども、今は手数料についての規制はございませんけれども、外貨取引全体が自由になることによって当然手数料が若干低下するということが期待される、そういうメリットが考えられるのではないかというふうに思っております。
  64. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 わかりました。  違反件数が少ないというのは、違反したいという意思がたくさんあるのに捕まえられなかったということではなくて、法律は非常によく守られていた、特に、企業レベルでそういった外貨両替というようないろいろな仕事をするというのは銀行とかあるいはホテルとかそういうところに限られて、きちんと法令が守られていたというふうに解釈すべきなんだということが今のお答えでわかりました。  もう一つ、実は疑問があるのです。これは一応問題提起として法務省あるいはどこか別のところで考えていただきたい問題なんですが、実は、例えば私の理解しているところでは、外為法違反というのはけん銃とか麻薬の密輸等といった事例と同時に発見され、そして立件されることが多いというふうに理解をいたしております。具体的には、先ほど引用していただいた統計の中にはこういった件数は入ってきていないわけですけれども、例えば麻薬やけん銃の密輸、それから外為法の違反というような両方の犯罪が同時に行われた場合には、麻薬あるいはけん銃の方で懲役何年という刑が下されて、それに加えて外為法違反があった場合にはその刑期にさらに加えて懲役三年以下ということになるわけですね。吸収されないでこれは両方とも、その上に付加されるという形になっているのかどうか、伺いたいと思います。
  65. 藤田昇三

    ○藤田説明員 私ども、今委員指摘のような具体的な事案があるかどうかということを正確に把握いたしておりませんけれども、なるほどそのようなケースはあり得るだろうというふうに考えます。  その場合、例えば覚せい剤の密輸入事犯でございますと、覚せい剤取締法違反、密輸入罪というものが成立いたしますけれども、他方で、その場で外為法違反の事実が発覚をするということになりますと、通常は両者が一括して裁判にかけられまして、いわゆる併合罪と呼んでおりますけれども、刑は一つの刑が科されますけれども、その基礎になる刑期、刑の範囲というものは併合罪加重ということで加重されるということになっております。
  66. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ということですので、今回この外貨両替の自由化ということが行われると、例えば密輸という罪に加えて外為法の罪がほとんどの場合には加わるというふうに私は理解しているのですけれども、密輸犯が捕まえられても外貨の方では今度は罪が加重されない。だから、実質的には密輸等の犯罪において刑罰が軽減されたという効果も同時に考えなくてはいけない。そういう影響があるのではないかと思います。  この点については、これは当然何らかの行動をとればそれにプラスの面もマイナスの面もあって、だからけしからぬという話ではなくて、仮にそういうことであれば、密輸事件等についての刑罰のあり方について見直しをする必要があるのかもしれない。とりあえずそういう問題提起をさせていただきたいと思います。しかるべきところで、またこれはもう少し具体的なデータをそろえた上で再度提案したいと思いますけれども、これは法務省においても御検討いただければ大変ありがたいと思います。  お願いをしておいて、次に、もう一つ同じような、今度はもうちょっとグローバルなスケールなのですけれども、これまで、例えば南アフリカの人種差別の問題について、あるいは湾岸戦争の際等、経済制裁が行われてまいりました。経済制裁が効果的に行われるためには、例えば今までのような方式ですと、政府の考え方によって割に経済制裁は実効あらしめることができるというふうに思うのですけれども、自由化原則になった場合に、どのように効果的に経済制裁を行うのか、そのあたりがちょっと心配なのですが、そのメカニズムはどうなっているのか、大体概略を御説明いただきたいと思います。
  67. 榊原英資

    榊原政府委員 お答えいたします。  経済制裁については、今回完全な自由化をするわけでございますけれども、例えば海外送金等について許可制度を制裁のときには復活するということを今度の新外為法でもうたっておるわけでございます。ですから、政府が何らかの理由で特定の国に対して経済制裁を行う場合には、例えば送金ということであれば、当然これは銀行を通じて送金が行われるわけでございますから、銀行等に対して、特定国に対する送金は許可制にするということで、その確認義務を銀行に負わせるということでございます。これは現在と同じメカニズムでございますけれども、そのメカニズムを維持するということでございます。
  68. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 わかりました。  その他にも直接送金等も可能になるわけですけれども、そういったところにおいても、事後報告制によって把握をした上で、例えば経済制裁をする際にはそういったところにも許可を得るように指導するといいますか、銀行以外のところについてもそういったきちんとした把握がなされるという前提で、緊急時には許可制に移動するという理解でよろしいのでしょうか。
  69. 榊原英資

    榊原政府委員 今回、許可制、事前届け出制を平時においては原則廃止するわけでございますけれども、当然のことながら事後報告というのはやっていただくということになります。ですから、ある一定額以上の送金については銀行等を通じて平時から報告をいただくということでございまして、そういう事後報告制度をベースにして有事には許可制というところに持っていくということでございます。
  70. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 わかりました。  その際に、事後報告義務というのがあるわけですけれども、それに違反した場合の罰則は余り重くない。以前の個人の外貨両替、これに違反をした場合の三年以下の懲役、百万円以下の罰金と比べてかなり軽いような気がするのですけれども、そこはいかがお考えでしょうか。
  71. 榊原英資

    榊原政府委員 外為法改正案において、現行規定と同様、報告義務違反については六カ月以下の懲役または二十万以下の罰金に処することとされております。  先ほどの個人の外貨の交換に比べて若干低いではないかという御指摘でございますけれども、た だ、報告義務違反で懲役刑を実際に組むということは、これはかなり重い刑罰でございますから、実際問題として、これを執行すればかなり有効な規定になるのではないかというふうに思っております。
  72. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 わかりました。  そこのところはちょっと懸念がありますけれども、具体的に状況を見た上での判断がまた必要になるかもしれないと思いますが、次のトピックに移りたいと思います。  先ほど来お話が出ておりますけれども、やはりこの自由化によって日本国内の空洞化状況がつくられるといいますか、進行すると言ったらいいのかもしれませんけれども、特に個人の金融資産の、一千二百兆円というふうに言われていますけれども、そのかなりが海外に移動する可能性があるのではないか、そんなことを懸念いたしております。  一つには、いろいろと制限があるのだと。例えば外貨保有高によって天井が決められるし、それから、証券を買うにしても外国の証券会社が現在日本国内でいろいろと活動することは制限されている、いろいろな条件がかかると思うのですが、やはりそういったある意味での付加的な条件によって規制される部分はあるとは思いますけれども、原則的に自由化された際に、お金の流れを決定的に決めるのはやはり金利の差だと思います、あるいは配当の違いだというふうに思います。その点で、現在日本国内の超低金利、ゼロに限りなく近いというようなことも言われているわけですけれども、それが非常に大きくきいてくると思います。  あるいは、円を基軸通貨としてこれから位置づけていこうという努力も今まで以上に積極的に行われる、あるいは海外における円建ての口座も持つことができる、あるいは、仮に一年、二年という単位では急激な変化はないにしろ、十年単位で見ると、結果として十年たってみたらやはり大量の移動が起こっていたというようなことも考えられるわけです。  こういった、特に個人の金融資産の動きについての懸念がさまざまなレベルで提起されているわけですけれども、この点についてはどういうふうにお考えになっているのでしょうか。少し具体的に、例えばこういう心配はあるけれども、それについてはこういった手をちゃんと打ってあるというようなレベルでお答えいただけると、少し教育的な目的も達せられるのではないかと思いますので、お願いします。
  73. 榊原英資

    榊原政府委員 今回の改正によって個人のお金が大量に流出するのではないかという御懸念でございますけれども、これは、今でも実は資本の流出あるいは流入についての規制は、相対的にいうとそれほど厳しいものではございません。例えば個人が生命保険を買っているあるいは年金の支払いをしている、そういう年金基金あるいは生命保険会社の海外投資は全く自由なわけでございます。  それで、生保あるいは年金基金というのは、例えば日米の金利差、あるいは日米の経常収支あるいは為替の動向、そういうものを見ながら海外投資を決めておるわけでございますので、外為法改正によって個人の預金についての規制は完全に自由になる、個人の海外での証券取引についての規制は完全に自由になるということではございますけれども、全体の大きな流れからいうと、この規制の緩和が直ちに大きく資本の動きを変えるということになるというふうには思っておりません。  それからもう一つ、海外との金利差ということでございますけれども、これはもう釈迦に説法でございますけれども、一方はドル金利でございますし、一方は円金利でございます。ですから、例えば今ドル建て預金をいたしますれば五%前後の金利が返ってくるわけでございますけれども、きょう現在で百二十五円という為替でございますけれども、これがもし百十九円とか百二十円になれば金利が全部飛んでしまうということでございまして、大変な為替リスクというのが一方であるわけでございます。この為替リスクをやはり専門的に評価できるということでないと、外貨預金なり外債投資というのはリスクのなかなか大きいものでございます。  ですから、そういうことを十分熟知した専門的な投資家が海外に投資するということは今までもやってきたわけでございます。今後も、個人に関して自由になっても、当然個人の方は専門家に相談して、一体為替リスクはどうなのだ、アメリカ経済の動向はどうなのだ、ヨーロッパの通貨統合はどうなるのだ、そういうことを十分アドバイスを受けながら投資をするということになるかと思いますので、直ちに個人の資産が大きく外に出ていってしまうということにはならないというふうに考えております。  それから、先ほども答弁させていただきましたけれども、居住者の外貨預金の残高というのはむしろこのところ減っております。このところ減ってきて、むしろ円安のメリットを換金することによって個人が得ているというような側面もございます。やはり外貨預金なり外債投資がどうなるかということは為替の動向、あるいは日米、日欧のファンダメンタルズの動向というものに大きく左右されますので、外為法改正によって直ちにどうなるということではないというふうに考えております。
  74. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 言わずもがなかもしれないのですけれども、今のお話を伺って、為替の動きについての非常に正確な判断というのが必要だと、その必要性を強調されたわけです。以前、外務省に国連の分担金の支払いが遅いではないかという質問をしたときに、外務省としては、いやそれは為替の変動を見て日本国にとって有利なような時点で換金をしていますということを自信を持っておっしゃっていましたので、我々としても、大蔵省としてもぜひ外務省のノウハウを活用すべきだということを改めて私は提案しておきたいと思います。これは半分はジョークですけれども、やはりそこのところはちょっと問題があると思いますので、また別の機会に問題提起いたします。  それで今のお話ですけれども、実はイギリスの場合にも同じような自由化の経験があるわけです。その際に、例えば特に空洞化の問題についてイギリスの経験というのは大体どうなっているのか。そこから我々が学べるような教訓というのはあるのでしょうか。
  75. 榊原英資

    榊原政府委員 お答えいたします。  イギリスにおきましては、サッチャー政権成立直後でございますけれども、一九七九年に為替管理完全自由化が行われたところでございます。  七九年以降の資本流出あるいは資本流入の数字が手元にございますけれども、七九年−八一年の平均を七六年−七八年の平均と比べますと、七九年−八一年の平均が四百五十一億ポンド、七六年−七八年の平均が四十六・九億ポンドということで、実は流出は九・六倍ということになっております。ただ、流入も同じようなペースでふえておりまして、七六年−七八年の平均が五十二・六億ポンド、七九年−八一年の平海で四百七・三億ポンドということで、流入も七・七倍ということになっておるわけでございます。  イギリスの場合には、特に銀行部門の貸し付けあるいは借り入れ預金が著しく拡大しておりまして、イギリスの銀行、いわゆるマーチャントバンクというふうに呼ばれておりますけれども、マーチャントバンクの国際的な金融仲介機能が非常に高まったということでございまして、まさにロンドンが為替の自由化に伴って世界の市場になった、イギリスの銀行が世界の銀行になった、こういうことでございます。これはイギリスの場合でもアメリカの場合でもほぼ同じでございまして、流出、流入ともに大幅にふえる、これで市場活性化する、そういうことになっておるようでございます。
  76. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 わかりました。  それと同時に、日本の場合には、今回持ち株会社の解禁が行われます。これはある意味で空洞化とは逆の方向になるわけですけれども、持ち株会 社が解禁になり、原則として外為法の大改正によって自由化が行われるということで、外国からの日本に対する投資がふえるということを考えた場合に、それはふえるのだけれども実質的には持ち株会社によって日本の企業が結局子会社化され、外国の企業のコントロールに入ってしまう、日本市場外国に乗っ取られるというようなことも同時に考えていかなくてはいけないと思います。  事実、イギリスの場合には、自由化後そういったことが起こっているというふうに理解をしておりますけれども、今度は、逆の立場の心配というのはどうお考えになっているのでしょうか。
  77. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  今回の金融システム改革におきまして、持ち株会社制度の導入というのはかなり重要な意味を持つだろうと思うわけでございます。それは経営の形態として非常に多様性を持たせることができるわけでございます。  そうした場合に、私どもとしては、この持ち株会社制度をぜひ金融の面についても導入したいと思って今調査会等で御検討いただいておりますけれども、その際に、今先生の御指摘になったような外資との関係というのは当然いろいろ出てくるだろう、出やすくなってくるという意味で、そういうことは議論になると思います。  そこで、御心配という形で問題提起をいただいたわけでございますが、確かにイギリスの場合も、最近英国のマーチャントバンク、いわゆる証券会社が、例えばスイス銀行だとかドイツ銀行だとかオランダの銀行とかあるいはアメリカの大きな証券会社に買収されたというような現象が起こっております。したがって、ロンドンは非常に栄えておりますが、ロンドンの証券会社というものは買収の対象になったということでございます。  日本の場合にそれがどうなるかということについては、なかなか読みにくい、わかりにくいところではございますけれども、ただ、私どもとして感じますのは、日本には円の実需、千二百兆円の円資産があるということも実需でございますが、その円の実需というのは相当大きな規模であるわけでございますね。私ども日本人のメンタリティーの問題もございますし、まあ少しロンドンとは違った形になろうかなというイメージは持っております。  ただ、そうかといって、先ほどもちょっと御議論をいただきましたが、日本の国籍を守るためにこのビッグバンをやるということでありますと、これはある意味ではグローバルスタンダードにならないわけでございまして、したがいまして、ある意味では、イギリスの場合はどういうことになったかというと、かなり長い時間をかけまして外国資本の参入について吹っ切れた態度をとるようになったわけでございます。これは、彼らとしても相当悩んだ結果、最終的には資本の国籍よりは市場を選ぶということを彼らは決断したわけですね。日本の場合、若干違うと私は思うのでございますけれども、国籍というものを余りにも大切にしますと、今度は市場の方が非常に使いにくい、グローバルスタンダードにならない、インターナショナルなトランザクションがそこでとまってしまうということになりますので、そこのあたりは、うまく折り合いをつけていくというかなり難しい問題があるわけでございます。  私どものビッグバンの考え方は、やはり東京市場そのものが立派なものになり、なおかつ、願わくば邦銀なり日本の証券会社がそこで大活躍をしてもらいたい、こういうことでございまして、必ずしも、国籍で物事を、規則、ルール等を曲げてしまうということはできないものだろうというふうに思っております。
  78. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 国籍にこだわらない立場はわかるのですが、国籍にこだわらないということであれば、何も東京にこだわることはないので、ロンドンとかニューヨークの市場を活発に使えばいいという議論も成り立ちますから、そこのところはまた議論をさせていただきます。  確かに市場の自由ということになるわけですが、最終的にはその市場自由化されて利益を得るのは消費者あるいは一人一人の市民であるというところがやはり一番大事な点なのかなということを、今お答えを伺いながら感じております。そういった方向で、今後とも、この市場自由化に向かって、同時に、フェアとグローバルということも言われているわけですから、フェアの方についても御努力いただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  79. 額賀福志郎

    額賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることといたし、本日は、これにて散会をいたします。     午前十一時五十一分散会      ————◇—————