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1997-01-29 第140回国会 衆議院 大蔵委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成九年一月二十日)(月曜日) (午前零時現在)における本委員は、次のとおり である。   委員長 額賀福志郎君    理事 金子 一義君 理事 坂井 隆憲君    理事 保岡 興治君 理事 柳本 卓治君    理事 北側 一雄君 理事 谷口 隆義君    理事 前田  正君 理事 池田 元久君       飯島 忠義君    今村 雅弘君       衛藤征士郎君    木村 隆秀君       小林 多門君    菅  義偉君       砂田 圭佑君    田中 和徳君       田中 昭一君    中野 正志君       山中 貞則君    吉川 貴盛君      吉田左エ門君    渡辺 喜美君       上田 清司君    木村 太郎君       北脇 保之君    鈴木 淑夫君       中川 正春君    並木 正芳君       藤井 裕久君    宮地 正介君       村井  仁君    末松 義規君       田中  甲君    山本 譲司君       佐々木憲昭君    佐々木陸海君       秋葉 忠利君    前田 武志君       新井 将敬君 ————————————————————— 平成九年一月二十九日(水曜日)     午後六時二十八分開議 出席委員   委員長 額賀福志郎君    理事 金子 一義君 理事 坂井 隆憲君    理事 保岡 興治君 理事 柳本 卓治君    理事 北側 一雄君 理事 谷口 隆義君    理事 前田  正君 理事 池田 元久君    理事 佐々木陸海君       飯島 忠義君    今村 雅弘君       衛藤征士郎君    木村 隆秀君       小林 多門君    菅  義偉君       砂田 圭佑君    田中 和徳君       田中 昭一君    中野 正志君       山中 貞則君    吉川 貴盛君      吉田左エ門君    渡辺 喜美君       上田 清司君    木村 太郎君       北脇 保之君    鈴木 淑夫君       中川 正春君    並木 正芳君       藤井 裕久君    宮地 正介君       村井  仁君    末松 義規君       田中  甲君    山本 譲司君       佐々木憲昭君    秋葉 忠利君       吉田 公一君    新井 将敬君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 三塚  博君  出席政府委員         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省主計局次         長       林  正和君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      榊原 英資君         国税庁課税部長 舩橋 晴雄君  委員外出席者         参  考  人         (日本銀行総裁)松下 康雄君         大蔵委員会調査         室長      藤井 保憲君     ————————————— 委員の異動 一月二十日  辞任         補欠選任   前田 武志君     吉田 公一君 同月二十九日  前田正君が理事辞任した。 同日  佐々木陸海君が理事に当選した。     ————————————— 一月二十日  法人税法等の一部を改正する法律案河村たか  し君外四名提出、第百三十九回国会衆法第八  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  国の会計税制及び金融に関する件(財政金融  の基本施策)      ————◇—————
  2. 額賀福志郎

    額賀委員長 これより会議を開きます。  この際、去る一月十七日の議院運営委員会における理事の各会派割当基準の変更に伴い、理事辞任及び補欠選任を行います。  まず、理事辞任の件につきましてお諮りをいたします。  理事前田正君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 額賀福志郎

    額賀委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  次に、理事補欠選任の件についてお諮りをいたします。  ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 額賀福志郎

    額賀委員長 御異議なしと認めます。よって、佐々木陸海君を理事に指名をいたします。      ————◇—————
  5. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りをいたします。  国の会計に関する事項  税制に関する事項  関税に関する事項  金融に関する事項  証券取引に関する事項  外国為替に関する事項  国有財産に関する事項  専売事業及びたばこ事業に関する事項  印刷事業に関する事項  造幣事業に関する事項 以上の各事項につきまして、今会期中国政に関する調査を行うため、議長に対し、国政調査承認要求を行うこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 額賀福志郎

    額賀委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。      ————◇—————
  7. 額賀福志郎

    額賀委員長 国の会計税制及び金融に関する件につきまして調査を進めます。  財政金融基本施策につきまして、大蔵大臣所信を聴取いたします。三塚大蔵大臣
  8. 三塚博

    三塚国務大臣 今後におきます財政金融政策基本的な考え方につきましては、先般の財政演説において所信を申し述べたところでありますが、本委員会において重ねて所信一端として、今後取り組むべき諸課題等について申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げるものでございます。  第一の課題は、民間需要主導の自律的な景気回復を確実なものとすることであります。  まず、国際経済情勢を見ますと、世界経済は全体として拡大基調を維持しております。また、我が国経済現状を見ますと、景気回復動きを続けております。そのテンポは緩やかなものの、民間需要は堅調さを増しております。なお、雇用情勢は、厳しい状況にあるものの、改善の動きが見られるところでございます。  政府としては、このような最近の内外経済情勢を踏まえ、現在の景気回復力を一層強固なものとし、民間需要を軸とした中長期的な安定成長につなげていくため、引き続き適切な経済運営に努めてまいる所存であります。  九年度予算においても、極めて厳しい財政事情のもとではありますが、経済構造改革に資する創造的、基礎的研究等分野に重点的、効率的配分を図っているところであります。また、八年度補正予算とあわせ、予算切れ目のない円滑な執行に努めてまいりたいと考えております。  金融面では、累次にわたる金融緩和措置実施により、各種金利は依然として低い水準にあり、その効果を見守ってまいりたいと考えます。また、株式市場動向につきましては、今後とも十分注視してまいる所存であります。  なお、為替相場については、今後とも、主要国との政策協調及び為替市場における協力を通じ、その安定を図ってまいりたいと考えております。  第二の課題は、財政構造改革であります。  財政健全化は今や主要先進国共通課題であり、各国とも果断な取り組みを行っております。我が国においても、現在の財政構造を放置し財政赤字のさらなる拡大を招けば、経済国民生活が破綻することは必至であり、二十一世紀の我が国経済社会の活力を維持するため、財政構造改革に取り組んでいくことが喫緊の課題であります。  このため、二〇〇五年度までのできるだけ早期に、国及び地方財政赤字GDP比を三%以下とし、また、国の一般会計において特例公債依存から脱却するとともに、公債依存度の引き下げを図ること等を財政健全化目標とすること、さらに、これらの目標の達成のため、国の一般歳出伸び率名目経済成長率よりも相当低く抑え、地方に対しても同様のことを要請することを先般閣議決定をいたしました。  このような目標のもと、九年度予算においては、医療保険制度改革を初めとする各般制度改革を織り込むことによりまして、一般歳出伸び率を一・五%と九年ぶりの低い水準に抑制するとともに、公債減額四兆三千二百二十億円を実現し、また、国債費を除く歳出租税等の範囲内に抑制し、現世代の受益が負担を上回る状況を解消するなど、財政構造改革元年として、財政健全化に向けた第一歩を踏み出したところであります。  しかしながら、これらの努力をもってしましても、なお、公債発行残高平成九年度末には約二百五十四兆円にも達する見込みであるなど、我が国財政は引き続き危機的な状況にあり、今後とも、年々着実に財政構造改革を進め、将来世代負担を残さない財政構造をつくり上げることに努力していく必要があります。  このため、十年度予算編成に向けて、早い時期から歳出全般的見直しを進めるとともに、概算要求段階から一層厳しい抑制に取り組むなど、さらなる歳出削減のため努力してまいりたいと考えております。また、先般設置された政府与党財政構造改革会議において、財政再建のための法律の骨格を含めた歳出改革縮減具体的方策が検討されることになっておりますので、その審議に積極的に参画してまいりたいと考えております。  なお、財政投融資につきましては、改革を推進するとの基本方針のもとで、民業補完観点をも踏まえ、社会経済情勢変化等に応じ、その対象分野事業見直し資金の重点的、効率的な配分を図ってまいりたいと考えております。  第三の課題は、税制上の諸課題に適切に対応することであります。  税制につきましては、平成六年秋の税制改革のうち、先行して実施されている所得税等恒久減税一体として法定された消費税率引き上げ等がこの四月から実施に移されます。この改革は、少子・高齢化の進展という構造変化税制面から対応するものであり、中長期的に見て、我が国経済社会活性化につながるものと確信をいたしております。この改革の円滑な実施に向け、政府一体となってきめ細かな対応を図っていくとともに、その意義について国民皆様の一層の御理解をお願いしたいと思います。  税制は国家の基でございます。国民生活企業活動の前提として安定性が求められる一方、急速な国際化情報化等のとうとうたる潮流変化に即応して改革が常に求められます。今後とも、こうした観点から、より望ましい税制の姿を実現するよう不断の取り組みを行ってまいる所存であります。  第四の課題は、金融をめぐる諸課題に適切に対応することであります。  金融行政につきましては、金融機関の不良債権問題の処理に引き続き精力的に取り組むとともに、金融自由化国際化技術革新等金融をめぐる環境の著しい変化を踏まえつつ、市場規律を基軸とした透明性の高い金融行政確立に向けて、以下の諸改革を進めてまいります。一まず、東京市場がニューヨーク、ロンドン並み市場に復権することを目指して、日本版ビッグバンともいうべき広範かつ抜本的な金融システム改革を推進いたします。現在、関係する五審議会において、銀行証券保険分野への参入促進商品規制の撤廃・緩和各種手数料自由化等について、二〇〇一年までに改革が完了するプランを取りまとめるべく御審議をいただいており、さらに、各審議会代表者による連絡協議会を設置し、改革一体的に進める体制を整備いたしたところであります。この改革フロントランナーとして、国境を越えたより自由な金融取引を実現するため、外国為替管理制度を改正することとし、今国会所要法案提出したいと考えております。また、さきの日米保険協議の決着に基づく自由化実施は、改革の推進に大きな役割を果たすものと考えます。  金融システム改革は、千二百兆円もの個人金融資産の効率的な運用等のために不可欠なものでありますが、他方市場参加者にリスクや痛みをもたらします。このため、情報開示促進早期是正措置等ルール明確化など必要な措置を講じ、自由かつ透明で信頼のできる市場を構築してまいります。また、金融システム全体の安定に細心の注意を払うとともに、国際化対応した監督協力体制確立にも努めてまいります。  次に、住専問題等を契機として国民各層から金融行政に対してなされたさまざまな御批判を重く受けとめ、激動する時代の変化に的確に対応し、国民に信頼される金融行政確立する観点から、金融システム改革とともに、金融行政機構改革取り組みます。  先般、行政改革プログラムにおいて、大蔵省銀行局及び証券局を統合するとともに、総理府に民間金融機関等に対する検査及び監督を所掌する機関を設立する等の措置平成十年度に実施することとされたところであり、与党合意の趣旨を踏まえつつ、国民経済基本にかかわる問題として万般の詰めを行い、政府として今国会所要法案提出できるよう、最大限努力してまいりたいと考えております。  さらに、日本銀行につきましても、中央銀行研究会報告の示した基本的な指針に沿って、開かれた独立性を有する中央銀行とするため、抜本的な改革をする必要があります。現在、金融制度調査会において御審議いただいており、その答申の取りまとめを受けて、今国会所要法案提出したいと考えております。  第五の課題は、世界経済の健全なる発展への貢献であります。  我が国は、WTO、APEC等の場を通じ、多角的自由貿易体制維持強化に積極的に取り組んでいるところであり、九年度関税改正においても、税関手続簡素化、適正な課税の確保、関税率改正等所要措置を講ずることといたしております。  また、世界経済の安定と発展に資するため、国際社会と協調しつつ、開発途上国自助努力の支援に引き続き積極的に取り組んでまいります。今般、世界銀行における我が国出資比率引き上げが合意されたところであり、さらに、本年設立される予定の中東・北アフリカ経済協力開発銀行に対しても積極的に支援してまいる所存でございます。  次に、平成九年度予算の大要について御説明いたします。  歳出面につきましては、一般歳出規模を四十三兆八千六十七億円としております。これに地方交付税交付金及び国債費等を加えた一般会計予算規模は七十七兆三千九百億円となります。  次に、歳入面について申し述べます。  税制につきましては、最近の社会経済情勢等にかんがみ住宅・土地関連税制等について適切な対応を図るとともに、租税特別措置整理合理化蒸留酒に係る酒税の見直し、その他所要措置を講ずることとしております。  なお、自律的景気回復への基盤の整いつつある経済状況や厳しい財政状況を勘案して、特例公債によらざるを得ない所得税特別減税実施いたしません。  公債発行予定額は、十六兆七千七十億円としております。その内訳は、建設公債九兆二千三百七十億円、特例公債七兆四千七百億円となっております。その結果、公債依存度は二一・六%となっております。特例公債発行等につきましては、既に、別途平成九年度における財政運営のための公債発行特例等に関する法律案提出して、御審議をお願いすることといたしております。  財政投融資計画につきましては、先ほど申し上げました基本的な考え方のもとに、資金の重点的、効率的な配分を図ることとしております。この結果、一般財投規模は三十九兆三千二百七十一億円、前年度当初計画に対し三・〇%の減額となっております。また、資金運用事業を加えた財政投融資計画の総額は五十一兆三千五百七十一億円、前年度当初計画に対し四・五%の増加となっております。  この機会に、平成八年度補正予算について一言申し述べます。  八年度補正予算につきましては、歳出面において、阪神・淡路大震災復興対策費災害復旧等事業費等時に緊要となった事項について措置を講じております。また、前年度剰余金について国債整理基金特別会計への繰り入れ等を行う一方、既定経費の節減、予備費減額を行うこととしております。  他方歳入面では、租税及び印紙収入、前年度剰余金等を計上するとともに、公債金については、建設公債を一兆六千七百六十億円増発する一方、特例公債を三千三百七十億円減額しております。  以上、財政金融政策に関する私の所信一端を申し述べました。  なお、既に本国会提出したものを含め、大蔵省からの提出法律案は、平成九年度予算に関連するもの六件、その他二件、合計八件を予定しております。今後、提出法律案の内容につきましては逐次御説明することとなりますが、よろしく御審議のほどお願いを申し上げ、所信のあいさつといたします。(拍手)
  9. 額賀福志郎

    額賀委員長 この際、暫時休憩をいたします。     午後六時四十六分休憩      ————◇—————     午後八時七分開議
  10. 額賀福志郎

    額賀委員長 休憩前に引き続きまして会議を開きます。  財政金融基本施策につきまして質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂井隆憲君。
  11. 坂井隆憲

    坂井委員 先ほど大蔵大臣所信表明を拝聴いたしましたけれども、これに関連しまして幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  最近の株価状況でございますが、株価というのは、一般的に三つの要因で変動すると私は思っております。  一つは、やはり経済的な要因でありまして、景気動向とか金利動向とか金融情勢とか、そういうものが大体基本的な要因だと思っておりますが、先ほどの大臣お話の中では、経済情勢はある意味で底がたいものがあるのではないかと。私もそう思っておりますし、そうしますと、株価変動要因としては、やはり経済外的な要因あるいは市場内部要因、そういうものが一つの今の株価状況変動要因に非常になっているのじゃなかろうかという気がするわけであります。  そういう意味では、現状株価というのは、経済ファンダメンタルズ以外の要因、投機的なものだとかあるいは金融セクターの固有の問題だとか市場心理の悪化の要因、そういうものが非常に原因になっているのじゃなかろうかなという気がいたします。  そういう意味では、やはり大蔵大臣がこういう株式市場をどのように分析して、どういうふうに対応していく決意であるのか、そういうところが株価にも非常に大きな影響を与えると思うわけでございますから、この際、大臣の分析、そして決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  12. 三塚博

    三塚国務大臣 坂井委員質問の中の御意見、大体同感であります。  資本市場資本市場におけるさまざまな要素によって動くわけでございまして、特定してこうなるというものではございません。自由市場はまさに市場そのものの働きで決定をしていくわけでございますから、株式市場に私が介入するというようなことはあってはならぬことであります。厳に戒めながら、市場市場で自由に価格決定をしていくということであろうと思います。  御指摘にもありましたとおり、ファンダメンタルズは堅調であります。我が国経済は、バブルを経過して骨太な形にこれから力をつけていくものだと思いますし、自信を持って経済復活のために頑張っていただきたいと、企業業界各位にお会いをするたび、申し上げておるところでございます。  すなわち、政府としては何をやるのかということでありますが、本日の本会議補正予算が成立を見ました。これはそれぞれの緊急対策を盛ったものでございまして、二次的にそのことは経済影響を及ぼすであろう、そう思っておるところでありまして、要すれば、切れ目のない予算執行が行われるということで、選択としては間違っておらないと思っております。それと同時に、財政構造改革規制緩和を初めとする経済構造改革等各般構造改革に全力を尽くしていく、こういうことであります。  野党の質問をされた皆様方予算委員会でありますが、何でもかんでもこれではだめだだめだと言われますけれども、私は決してそう思っておりません。昨今の株価動向も予言されたようになっておりません。この辺のところは、やはり市場市場として懸命に動いておるものだと思います。  日本版ビッグバンも、金融界復活、円の価値のこれもまた復活という意味で、二〇〇一年までの努力をやっておるわけでございますが、できるものから取り組んでいく。フロントランナーとして外為法改正を間もなく国会提出を申し上げ、御審議をいただくことになるわけでございます。  いずれにしましても、株式市場動向については、今後とも重大な関心を持ち、メッセージメッセージとして今後の政治運営経済運営に生かしていくということで、注意深く見守りながら対応してまいるつもりであります。
  13. 坂井隆憲

    坂井委員 いずれにしても、景気を見ていく中で、株価状況というのは十分注視していただきたいと思っているわけでありますが、今大臣からもお話がありましたけれども、総理が六大改革ということで、金融改革のことも改革一つテーマになっているわけであります。  今後、我が国金融自由化が進めば、我が国と諸外国との税制の違いもあります。日本の利子の源泉分離課税を嫌って、そういう制度のない国に預金が流れていくとか、あるいは株の問題でも、有取税が我が国にはあるけれどもない国もある。そういう中で、株式市場自身の空洞化問題も懸念されているわけであります。  そういうことをいろいろ考えますと、これからの我が国というのは、国際化とかあるいは情報通信の発達の中で、やはり諸外国動向を見ながら、そういうものとある程度制度を合わせながらやっていかないと、我が国金融空洞化自身も非常に深まっていくのではないかということを懸念しているわけであります。  例えば、国際的には今IOSCOという組織もあります。そういうところを見ておりますと、そのIOSCOでは、商品取引市場の問題みたいなものもテーマで議論されているやに聞いておりますし、去年の経済審議会では、有価証券商品先物などの関連事業をまとめて資産管理運用サービス業とするような、そういう議論も載っている状態であります。例えば、最近新聞を読んでおりますと、ある銀行では変動する商品代金の支払いを固定額に交換する商品価格スワップを手がけているとか、そういう意味で、商品先物市場等ともいろいろな金利が変動するとか、金融自身が非常に多角化しているなどいう気がいたします。  本当にそういう意味では、金融市場というものの改革を今やらなければいけない、そういう気が非常にしているわけでありますが、こういうような国際化、あるいは情報通信の中での国際化とか、あるいはデリバティブ商品のいろいろな、多種多様に出てきているということの中で、まずもってやらなければいけないのは金融課税の問題でなかろうかと思っているわけであります。  今後の金融課税、最近も再三新聞に出ておりますが、ぜひとも金融課税のあり方について、大臣の、今後の改革一つ指針としてどういう決意を持たれているかの所見を伺いたいと思うところでございます。
  14. 薄井信明

    薄井政府委員 お答えいたします。  金融システム改革が始まっております。進みつつあります。そういたしますと、例えば国境を越えた自由な金融取引が実現してくる。そうなりますと、今までの税制のままであっては機能しないという面も出てきます。また逆に、自由な取引が行われている他の国の市場におかれて実施されている制度もまた参考にしなければならないところがあろうかと思います。そういった意味で、金融市場金融システム改革動きに時期を失することなく税制面でも対応していく必要があろうかと思います。  今二面を申し上げましたが、一つは、今ある金融税制あるいは証券税制、それが開かれた市場においてどのように機能するかチェックが必要でございますし、一方で、いろいろな税制が各国においてございます。また、金融のいろいろなレベル、段階で課税制度があります。そういったことについても十分目を配っていかなければいけないと思っております。  それに加えまして、先ほどちょっと触れました資料情報制度等もきちっとして、フェアな市場の実現ということも税制面からも考えなければいけない、このように考えております。
  15. 坂井隆憲

    坂井委員 我が国資金状況というものを戦後歴史的に見ますと、部門別の資金過不足というものがありますが、いろいろな法人、企業というのは、戦後、御案内のように非常に資金が逼迫しておりまして、金融機関もオーバーローンみたいな形でやっていたわけであります。その法人、企業部門の資金の不足状態が、最近は特にバブルの問題ですから、徐々に解消してきて不足状態が緩和されてきているわけでありますが、そういう中で、例えば財政一つとってみても、戦後はそういう資金不足が非常に逼迫している中で、例えば世界銀行から借り入れる、あるいは国内でも公的な金融機関をいろいろつくってやっていたというのが実態だったと思うのです。  ところが、これだけ金融が、ある意味で民間の金融も整備されてきますと、資金がそんな不足している状態でない場合になりますと、今の政策金融のあり方自身もいま一度見直していいのじゃないかという気もいたします。  私が、ちょうど昨年金融検査監督庁をつくるような経緯のときに、我が国一体どういう、こういう金融をやっているところがあるのか、いろいろと調べてみました。網羅的なものがなかなか資料としてなかったのですが、よくよく見てみますと、本当に各省庁すべてにまたがっているように、たくさんあるわけですね。小さいところから言いますと、質屋さんに始まって、例えば財政投融資対象機関の中でも、それぞれの事業団がいろいろとやっている。公庫だけでなくて、そういうふうに幅広くやられているわけであります。  これからは財政投融資自身は非常に必要だと思うのですが、その財政投融資の中におけるこの機関のあり方、そういうものもやはりひとつ見直していかないと、財政再建をこれから考えていくときに十分なことができないんじゃなかろうかというふうに懸念しております。  そういう意味で、この財政投融資の時代の流れに合わせた見直しについてどういうふうな考えをお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  16. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 お答えいたします。  財政投融資につきましては、財政政策の中で有償資金の活用が適切な分野対応するという基本的な役割また必要性は将来的にも残ると考えているわけでございますが、その受け持ちます具体的役割につきましては、今委員御指摘のように、社会経済情勢変化等に応じまして変わっていくことが必要であると考えておるわけでございます。  したがいまして、財政投融資改革を推進するとの基本方針のもとで、民業補完観点をも踏まえまして、社会経済情勢変化等に応じましてその対象分野事業見直しまして、資金の重点的、効率的な配分を図っていくことが必要であると考えております。  現在、資金運用審議会の懇談会で本格的な検討、研究を進めていただく方向で準備をしておりまして、財政制度審議会の学者のメンバー数名にも加わっていただきまして、総合的な検討を行っていただくことを考えているところでございます。
  17. 坂井隆憲

    坂井委員 このほど政府与党財政構造改革会議というものを設置されることになりました。私もこのメンバーとして参加することになりましたけれども、財政再建というものは、まさにこの財政構造改革会議という名前に証明されておるように、単に予算を削るということだけではなくて、構造的なものを見直していかないと、これからの日本経済は立ち直っていけないんじゃないかという気がいたすところでございます。  高齢化社会においては、当然高齢化に伴う予算はふえていくと思いますが、高齢化といっても、昭和二十五年当時五十八歳の平均寿命が今や七十七歳弱になった。そういう意味では、高齢化というもののあり方も考えながら、単に今までみたいな六十五歳の定義で予算をふやしていくのがいいかどうかとか、あるいは少子化という問題がありますから、少子化に伴って当然予算の減る分野も出てくると思います。  我々が子供のころは一学級五十五人の定員が、今は一学級四十人、そういうようにして少子化に伴って予算を減らしていい分野もあるだろうし、またふやさなければいけない分野もあるかもしれない。あるいは我が国の一人当たり国民所得自身も大幅にふえてきました。そういう中で、高齢者の中で非常に資産がある人もあるし、ない人もある。そういう一つの社会構造の変化を見ながら、どういうところに適切に予算をつけていくかということを考えないといけないんじゃなかろうかという気がするわけであります。  例えば雇用者数自身を見ても、今公共投資の議論も出ておりますが、一九八八年以来建設業の雇用者数というのは毎年ふえてきているわけですね。私も田舎の出身ですから、田舎では土地改良を初め道路とかそういう需要が非常に強いわけでありますが、そういう本当に必要な公共社会資本をどうつけるかという問題と産業政策別にどういう分野の雇用者がふえた方がいいのかということはまた別の問題でありますから、そういう意味でいろんな角度から、財政再建ということでなくて、財政構造改革という意味でやっていただきたいと思うわけでございます。  そういう意味では、大蔵大臣もこの会議に出席されるわけでございますから、大蔵大臣自身がこの会議に対してどのように対応されていくつもりなのか、決意のほどを伺って私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  18. 三塚博

    三塚国務大臣 坂井委員御指摘のように、財政構造改革が必要な理由はそのとおりであります。  高齢化社会、少子化社会を迎えてまいりますと、産構審、経済審が指摘するまでもなく、国民負担は六〇%あるいは七三%等の、二〇二五年のシミュレーションでありますが、そういう時代に遭遇をいたしてまいります。  そして、累積赤字がどんどんふえてまいりまして危機的状況でありますこと、御案内のとおりであります。三%以下を目指すという各国の命題もあります。フローのGDP比でありますが、そういう中で、我が国だけが従前の方式で進むということは許されるはずはありません。最悪の事態に立ち至ったときにしまったと言っても時既に遅いわけでありますから、気がついた以上、果敢な挑戦をして健全財政への歩みを確実にスタートをせしめなければなりません。  現代の我々が満足いく公経済の利益を享受するために、孫子の世代に借財を残しながら赤字国債をそのままにし発行を続けるということは、罪悪にも似てやるべきではないだろうと小生は思い詰めております。しかし、多くの国民各位の中にも共感をする人が出てまいりました。また、内閣は一体となり、与党三党の各位との連携を密にしながら、つらい困難な道ではありますが、国民各位の理解を得つつ、財政構造改革ということで果敢に挑戦をしてまいらなければなりません。  構造改革でございますから、まさにリストラであります。そういう意味で、このリストラに挑戦をするためにこの会議が、三党の強い申し出もあり、私自身からすれば大変時宜を得た果敢な提言であるということで、この会議には積極的に出席をいたしますし、積極的にデータを示して御論議をいただき、その基本をつくり上げていただけますれば、こう思っておるところであります。  要すれば、財政再建法という法律をつくるという目標を定めております。橋本さんは秋の国会に御論議をいただく、こういうことでありますが、私は今常会の終わりごろまでにぜひ再建法を提出をしたいという意気込みで、与党皆様方、そして内閣の皆様方理解を求めつつ全力を尽くす気構えを擦っておるわけでございます。マスコミは一部、こちらは秋の臨時国会大蔵大臣は会期末にも、こう言っておりますが、意味するところは同じであります。それだけの論議が煮詰まっていけばそうなるだろう、こういうことで、具体的な歩みを明確に示すということが大事であります。  特に目標は、財政再建元年、平成九年度予算でありますが、今審議に入ったばかりのこの時点において平成十年の国家予算の編成に向けてスタートを切りたい、そして改めて構造改革を進め、元年に次ぐ次年として思い切ったスタート台に立てるように取り組まなければなりませんから、論議を盛んにしながら、その論議を国会に報告する機会もあろうと思うのでありますが、そんなことに取り組みながら全力を尽くしてまいりたいと思います。  何といたしましても国民的議論のもとでこのことを進めなければなりませんし、そういうサポートがあって具体的なものが仕上がって協賛を得ることができます。私どもは、さまざまな方策、あらゆる経費について一切の聖域を設けることなくこの会議において論議を尽くし、財政構造改革について、国民にとっても目に見える具体的な道筋を示されることが期待されますし、その結果としてスケジュールが明示できるようになれば、こういうことで、まさにこの常会、熱心な多くの議案の審議が行われる国会でありますけれども、寸暇を惜しんで朝な夕なに財政構造会議が開かれていくことを期待いたしております。  質問者の坂井委員がこれの企画委員のメンバーにセレクトされておるわけであります。大蔵委員各位も仲間でありますから、御激励賜り、また御注文をいただければ幸せです。
  19. 坂井隆憲

    坂井委員 ありがとうございました。     —————————————
  20. 額賀福志郎

    額賀委員長 この際、参考人出頭要求に関する件につきましてお諮りをいたします。  各件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 額賀福志郎

    額賀委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————
  22. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、谷口隆義君。
  23. 谷口隆義

    谷口委員 新進党の谷口でございます。  本日は、大蔵大臣所信に対しまして質問をさせていただきます。また、本日は、この遅い時間にかかわりませず、日銀総裁に来ていただきまして、ありがとうございます。また後ほどお伺いいたしますので、よろしくお願いいたします。  まず初めに、現下の経済状況とその対策と申しますか、経済対策と申しますか、そのようなことについてお伺いいたしたいというように考えております。  橋本総理の本会議また予算委員会での御答弁であるとか、また大蔵大臣財政演説においても、先ほどの所信演説におきましても、景気回復動きを続けており、テンポは穏やかであるが民間需要は堅調さを増しているとおっしゃっておられます。一方で、昨年末以降、御存じのとおり、株安、円安、債券安のトリプル安から始まりまして、年が明けまして、株式市場は乱高下をしながら大きく下落いたしております。また円は、本日は東京市場において四年前の水準百二十二円というようなことで、急激に円安が進んでおるわけでございます。  初めに、この現下の円安の状況について、大蔵大臣の御所見をお願いいたしたいと思います。
  24. 三塚博

    三塚国務大臣 円安の動向についてどう考えるかということでありますが、まさにレートは安定していることにこしたことはございません。急激な円安は、急激な円高とともに好ましくございません。急激なということがまさに急激だということであれば、適正に対処しなければなりませんし、レートも、そのときの彼我の状況によって決まるわけでございますから、重大な関心を持ってこれに取り組む、こういうことでございます。
  25. 谷口隆義

    谷口委員 今、日本売りという言葉が、セル・ジャパンというような言葉があるわけでございまして、株価が下落し、円安の進行に一向に歯どめがかからない、このようなことで極めて国民は不安心理に駆られておるわけでございまして、この背景に、橋本政権の構造改革に対する投資家の不安感と申しますか、不信感と申しますか、このようなことがあるということに注意しなければいけないというように私は思うわけであります。まず、この日本売りというようなことについての本質を認識する必要があるのではないか。  一般に、年初からのいわゆる日本売りということは、構造改革のおくれであるとか、橋本政権の旧態依然とした政権運営であるとか、九七年の景気下降に対する市場の警告とされておるわけでありますが株式市場においては将来の危機であるとか将来の変化を予兆する力がある、このように言われておるところでございます。  今回の場合、異常な低金利、あの一九九五年の夏以降、もうすぐ二年になります。このような異常な低金利政策によるいわゆるモルヒネ効果、このようなことがあって、ある一定期間内に本来この資産デフレを退治しておかなければいけないにもかかわらず、これを放置し、これを先送りしたツケが金融危機さえ招きかねないような状況である、このような状況市場が警告しておるのではないか、このように言われておるところでございます。このようなことを、このような本質をまず認識していかなければいけないのではないか、私はこのように思っております。  株価の下落は極めて危険なところまで来ておる。一万五千円になりますと、大体銀行全体の平均的な含み益がなくなる、このように言われております。現実にもう既に金融機関の含み益がなくなっておるところもあるということでございます。含み益がなくなるということは不良債権の処理がおくれるということでございまして、そういうことが続きますと、スパイラル的に、金融不安、また企業への貸し渋りを通じて景気を一層失速する懸念があるというように言われておるところでございますし、私もそのように思っております。  そこで、まずやらなければいけないのは、財政の再建も極めて重要な問題でございますが、景気活性化をまずやっていかなければいけない、景気を自律化させていかなければいけない、このように思うわけでございます。  我々新進党も、今回予算案において、今度の平成九年度において、消費税の引き上げによって五兆円、特別減税の打ち切りによって二兆円、あと社会保険負担によって二兆円、合計九兆円の国民負担がふえるわけでありますが、このような特別減税打ち切りを延期する必要があるのではないか。  また、これは今自民党の党税調でもお話が出ているようでありますが、地価税を廃止する、このようなことも言われております。また、証券市場活性化のために有価証券取引税、有取税を廃止する、このようなことを打ち上げるべきではないかと私は考えております。  また、現在のようなメガコンペティションの時代、このような時代において、どんどん我が国企業は海外に進出しておるわけでありますが、進出国の中でも極めて高い法人税率、実効税率で申しますと四九・九八%、このような極めて高い実効税率を引き下げる必要がある、私はこれは従来から申し上げております。これは昨年の税調においても取り上げられて、結局先送りされたわけでありますが、これは極めて大きい影響を及ぼしておるのではないか、私はこのように考えております。  そこで、大蔵大臣、先ほど私が申し上げました特別減税の打ち切りを延期する、また地価税の廃止、有取税の廃止、このようなことについて大臣の御所見をお願いいたしたいと思います。
  26. 三塚博

    三塚国務大臣 先ほど日本売りの話が出ました。大変我が国にとって嘆かわしい評価を、どなたか知らぬが喧伝をするということは残念なことであります。  バブルを克服し、経済の安定を図るため、国民生活の安定を図るため、血みどろの努力をしておる結果として今日の良好なファンダメンタルズが出ておるわけでございます。あと一番の努力をしていけばよろしいわけであります。生産向上、製造業は堅調に推移をいたしておりますし、一部今日のリストラがおくれたという観点もございまして売りに出ておる分もございますが、全体として日本経済は堅調な歩みだということでありますから、自信を持って行動をしていただきたいと思いますし、また株式市場にもその方向が出ておるのではないかと思います。  念のため申し上げますと、東京、大阪、名古屋三市場における総合証券六十八社ベースの投資部門別売買状況を見ますと、外人は、昨年前半までは買い越しで推移をし、昨年後半に入り売り越しに転じましたが、本年に入ってからは、一月十七日までの累計で、外人の売りは一兆三千五十九億円、買いは一兆三千三百六十三億円、差し引きでは三百四億円の買い越しと相なっております。  以上の計数は、さまざまな投資家がさまざまな銘柄につきさまざまな動機に基づいて行っておる売買を全体として把握したものでございまして、これが株価の形成にどのような影響を及ぼしているかを判断することは困難でございまして、外人投資が日本売りだということでは言われておりますが、逆に、日本売りはそれぞれの思惑で醸成されておると指摘をいたしますアナリストもおります。(発言する者あり)今声がありました。それには答えないことにしまして、いわゆる日本売りということが外国投資家が本邦企業株式に対する投資を減らしているということを意味するものであれば、今申し上げた計数からすれば、そのような状況にはないと明言できるところでございます。  特別減税の打ち切りをやめてくれ、こういう御要望でありますが、残念ながら御要望にはこたえられません。孫子の代に借財を残しながら現代がその利益を受けるということは、大人として、現代にすむ者としてできないことであります。ですから、リストラを強行する、行政改革を断行する、許認可を断行する、以下金融システム、そして財政構造改革に手をつけていくという真摯な気持ちがおわかりをいただけるときが必ず早晩参ります。そういう中で、ともにこのことに取り組んでまいらなければなりません。二兆円の赤字国債を発行してこれで手だてを講ずるよりも、行革を断行する、諸改革を断行する、こういうことの中でその責めを果たしていきたい。  地価税は、御案内のとおり半分にいたしました。また、有取税は三〇%カットをいたしておるわけで、これらの税制というのは総合的に我が国の財政との関連において行うべきであると考えております、
  27. 谷口隆義

    谷口委員 今大蔵大臣の御所見を聞きましたが、私は、ちょっと問題意識が乏しいのではないかと思いますね。確かに、表面的には我が国景気指標は上向いておるかもわかりません。しかし、その基本的な部分がむしばまれておる。ですから、今の株価はそのようなことがあらわれておる、予兆、こういうことではないか。後でまた申し上げますが、金融機関の不良債権の問題、これは極めて大きな問題でございます。そのような問題につきまして、余りにも現在の景気に対して認識が不足していらっしゃるのではないでしょうか。  私は、また後でこのこともつけ加えてお話をさせていただきたいと思いますが、先ほど法人税のお話をしました。この法人税についてお伺いしますが、我が国の慣行であるとか企業会計状況をしんしゃくして、昨年の政府税調の話では、法人税率を引き下げる、しかし課税ベースの拡大をして引き下げるんだということで、実質ひどい場合は増税になる、このようなことは受け入れられない、こういうようなお話で、結局先送りされたというような状況があったわけでありますが、私は、この課税ベースの拡大は十分しんしゃくしながら考えていかなければいけない問題である、実質減税、税率を引き下げて本当に海外の企業がどんどん入ってきても受け入れられるような環境をつくっていかなければいけない、このように思うわけでございますが、そういう法人税の引き下げについて、主税局長お願いします。
  28. 薄井信明

    薄井政府委員 法人税についてお答えいたします。  委員御指摘のように、日本の法人税の実効税率は、主要先進諸外国と比べまして、ドイツとほぼ同じぐらいですが、よその国に比べると高いという認識が共通にできております。  その内訳は、御存じのように、地方税と法人税が重なっているという面と、それから法人税自体も、今三七・五でございますが、よその国に比べてやや高いと指摘されているところでございます。  ただ、法人の負担というのは、この税率と御指摘の課税ベースと、その両方の体積として出てくるものでございまして、この課税ベースについても、国際的な目で見た場合に、日本課税ベースが今のままでいいのかということについては、いろいろ問題があろうかと思っております。税率の面、それから課税ベースの面、両方を追求していくことが方向ではないかと思います。  一方で、その結果として、ネット減税ということを御指摘でございますけれども、そうするという選択をとる場合には、それではその分の財源をどうしていくのかということも考えていかなければいけない。この三つの方向といいますか、税率を下げていく、あるいは課税ベースを適正化していく、あるいは財源をどう考えていくか、この三つの点を総合的に考えていくことが法人税の議論の方向かと思っております。
  29. 谷口隆義

    谷口委員 法人税の議論はまた後日そういう機会がありましたらやりたいと思いますが、今我が国はどんどん産業の空洞化が進んでおります。また、一方では金融の空洞化も進んでおると言われておるところでございます。  今世界は、貿易中心から直接投資主導の経済に移行している、このように言われておりまして、国連の報告によりますと、九五年の直接投資の受入額を見ますと、EUが一千百二十九億ドル、北米が七百十億ドルを超えたと言われておりますが、一方で、日本は一億ドルにも満たないような状況でございます。このように、日本からの海外投資は極めて大きいわけでございますが、日本に対する海外投資は極めて少ない、極めてアンバランスな状況になっておる。このような状況を十分考えていかなければいけないのじゃないか、大蔵大臣、このように私は思うわけであります。  そこで、先ほどの円安の問題にまた戻るわけでございますが、九五年の夏以降、先ほど申し上げましたように、我が国は超低金利を続けておるわけでございまして、日米間の大きな金利差がある。国内で〇・五%の公定歩合の超低金利で運用難にある円資金が、金利六%を超える米国債に向かっておる。これがドル買いを支えておる。また一方で、ルービン財務長官はドル高政策を堅持する方向を今ずっと言っていらっしゃるわけであります。この日本の低金利資金の流出を招いておる、バブルの輸出をしておる、このような意見さえあるわけでございまして、このあたりは極めて重要な問題であると私は思います。  この金利の問題ですが、このニューヨーク市場株価も、ここ数日来若干下落しておるようでございますが、かなり高い水準であると言われております。このような状況の中で、超低金利我が国の金が向こうに行っている。こういう状況の中で、FRBのグリーンスパン議長が、この三月にもFOMC、連邦公開市場委員会では利上げがあるのではないかというようなうわささえされておるところでございます。  これに関しまして、今度はちょっと本日来ていらっしゃいます日銀総裁にお聞きしたいわけでございますが、例えばこの三月にアメリカの金利が上がるとした場合に、我が国金利水準を、これに追従すると申しますか、引き上げるというようなこともお考えになっておるかどうか、御答弁難しいと思いますが、ちょっとお聞きいたしたいと思います。
  30. 松下康雄

    ○松下参考人 私ども、金融政策をとりますときには、インフレなき持続的な経済成長を実現するということを目標といたしまして、各国それぞれに国内の経済情勢に応じまして適切な運営を行っていくべきものであると考えているところであります。  私は米国の金融政策につきましてあれこれと申し上げる立場にはございませんけれども、いずれにいたしましても、私どもとしましては、そういった基本考え方に基づきまして、いろいろな情勢の変化の中で、あくまで国内経済全体の展開に応じた金融政策の運営を行ってまいるというのが基本でございます。
  31. 谷口隆義

    谷口委員 一番初めに大蔵大臣がおっしゃったように、現下の急激な円安はやはり好ましくないというような判断をなさっていらっしゃるようでございますが、今度二月にG7がございますね。その際に、現下の我が国の円安の状況について、先ほど申し上げたようにアメリカのルービンさんはドル高を堅持されている、ヨーロッパもドル高を容認しておるというような状況にあるわけでございますが、我が国がこのような急激な円安に対して国際協調を求めるというようなことは考えていらっしゃるのでしょうか、大蔵大臣
  32. 三塚博

    三塚国務大臣 G7の場で協調を求めることをしないかどうか、こういうことでございますが、日本大蔵大臣としては他国の立場についてのコメントを差し控える、こういうことであろうと思うし、G7各国の協調体制は今日ただいま変わっておりません。
  33. 谷口隆義

    谷口委員 ちょっと私意味がわからなかったのですが、今の御答弁は。要するにそういうことも当然、まず初めにテーマになるのでしょうか。この我が国の急激な円安がG7のテーマになるとお考えですか、大蔵大臣
  34. 三塚博

    三塚国務大臣 G7が来週末行われますことは御案内のとおりであります。G7はマクロ経済を中心として七カ国の蔵相が会って懇談をする、こういうことでございまして、為替の議論もされるとは考えられますが、その中で最近の為替相場についての我が国の考えは述べなければならぬ、その時点の話でございます。
  35. 谷口隆義

    谷口委員 ちょっと私は今の答弁にはっきり、何か理解できないと申しますか、聞いていることに対する回答になっていないといいますか。  要するに、今極めて急激な円安を懸念されているわけでしょう。これは我が国だけではなく、為替というのは国際協調が前提になってくるわけです。急激な円高のときもそうでしたね。これ、きょうは榊原さん来られているかどうかわかりませんが、榊原さんとアメリカの合意の中で、それを支えるという意味で超低金利をとったわけでありますが、そういうことについて懸念をされておるなら、我が国の懸念をきちっと表明していただきたい、このように思いますが、どうですか。
  36. 三塚博

    三塚国務大臣 お答えしているのですが、なかなかおわかりいただけぬようで残念でありますが、私は、会議に臨む前でもあり、予断を持ってその結果についてお話しすることを差し控えさせていただきたい、こういうことなのです。  G7では、マクロ経済の中で七カ国が協調をして世界経済動向、またあるべき姿ということをこもごもフリーに懇談することになります。前段申し上げましたように、行き過ぎた円安もまた行き過ぎた円高も決して好ましいものではございません。公正な落ち着いた形でこのことが結果として出てくることによって世界経済発展をするでありましょうし、G7の協調がその前提にあるわけでございますから、ここ二、三日の動向は、我が国だけではなく、ドル独歩高という傾向であります。  そういう中で今後どう動くかということでございますから、私どもは、会議に臨む前に予断を持ってどうこうということではなく、全体をよく見ていくということも極めて重要なことではないか、こう思っておりますから、どうぞ委員、この辺で一つ御辛抱をいただくことが国益のためになると御勘案をいただきまして、御了承をいただければと思います。
  37. 谷口隆義

    谷口委員 また後の問題でこれに触れる場合があると思いますが、この際、次の問題に移りたいと思います。  きょう、日銀の総裁、来ていらっしゃいますが、日銀法の改正についてお伺いいたしたい。  この日銀法の改正が急がれておる理由があります。これは、この景気の低迷から抜け出し得ない元凶であるバブル経済を引き起こした政策運営への反省から、すなわち大蔵省の失敗と日銀の自主性のなさから起こっておる。このようなバブル経済経済運営を間違ったというようなことがあった。日銀の独立性とは、このような失敗の構図を断ち切って、政府中央銀行のおのおのの責任を明確にする体制に切りかえる、こういう意味での日銀法の改正であると私は認識いたしております。  しかし、今、金制調の日銀法改正小委員会ですか、こちらでの審議状況を見ておりますと、どうも大蔵省のペースで進んでおるというようなことをマスコミの報道でも見るわけであります。一つは、日銀政策委員会政府関与については、中央銀行研究会が必要により政府代表が出席できるとしたのを受けて、政府代表は二人とほぼ決まったようでございます。また、政策委員会決定した金融政策に政府が異論を持つ場合に、政府に議決延期請求権または議決延期権、これは議決延期請求権の方のようでございますが、これを認めるような方向にある、このようなことを聞いております。  この日銀の独立性が、このような大蔵省ペースで行われるということになりますと、欧米の中央銀行の国際的基準には遠く及ばない。国際金融市場として我が国復活を目指しておるわけでございますが、このビッグバンにも悪影響を与えるのではないか、このように言われております。アンパイアとプレーヤーが一緒のところでやっておる、まるで草野球と同じだ。このような観点で、日銀の独立性を図るべきである、このようなことを言われておるわけでございます。  まず初めに大蔵大臣にお聞きしたいのですが、内閣法制局による法解釈を前面に出して、大蔵大臣の認可により設立された認可法人という法的性格が大前提で、一般的監督権は持っていると大臣はおっしゃっておるようでございますが、日銀の独立性について大蔵大臣はどのようにお考えなのか、御答弁をお願いいたします。
  38. 三塚博

    三塚国務大臣 日本銀行のあり方につきましては、中央銀行研究会報告書において日本銀行金融政策の独立性強化を図ることが提言をされておるわけでございます。当然、開かれた独立性を確保すべく抜本的に改革する必要があるとされております。私も同感であります。このため、政府による広範な業務命令権の廃止、総裁等役員について政府と意見が異なることを理由とする解任権の廃止が示されておるところであります。  当局としても、日本銀行金融政策を遂行していくために強い独立性を付与することが必要であると考えており、現在、金融制度調査会においても、中央銀行研究会報告書の基本方針を踏まえながら、さまざまな観点から御審議をいただいておるところでございます。今月三十一日に小委員会の報告をまとめたいと、小委員長を中心に御努力をいただいておると聞いております。来月上旬にはその報告書が出るのではないかという中間報告などがございます。私とすれば、金融制度調査会において大変精力的な御論議が中銀研の報告に基づいてなされておるわけでございますから、この審議内容を踏まえてこれから対応をしていかなければならない、御尊重を申し上げて取り組む、こういうことであります。
  39. 谷口隆義

    谷口委員 アメリカFRBのグリーンスパンさんは、理事会への政府代表の参加は一九三〇年代のアメリカでもあったが、これでは明らかに独立性が損なわれるために中止したとおっしゃっております。また、今回問題になっております議決延期請求権のモデルになっていると言われておるドイツのブンデスバンクは近々この制度を廃止する。これは、一九九九年に発足する欧州中央銀行に参加するために政府からの独立性を明確にする必要があるという判断から廃止するんだというようなことでございます。まるで、我が国の日銀の独立性に関する議論においては、このような時代と逆行するような方向に来ておるんではないか、このように私は考えております。  そこで、この日銀独立性の当事者でございます日銀総裁に、この独立性のお考えをお述べいただきたい。お願いいたします。
  40. 松下康雄

    ○松下参考人 私どもはかねてから、現行の日本銀行法を改正いたす機会がございましたならば、その際にはぜひともこの日本銀行の性格というものを、欧米主要先進国の中央銀行に引けをとらないような、政策決定、その実施につきましての独立性とそして政策決定過程の透明性を高めるような内容のものにしていただきたいと念願をいたしていたところでございますけれども、日銀法の改正につきまして、昨年十一月の中央銀行研究会報告が出されましたが、その報告の中におきまして、ただいま述べましたような中央銀行独立性透明性の向上という考え方が新しい制度の中心であるということが明示的に示されましたのは、大変時宜に適したことだと存じているところでございます。  現在、この法改正につきましては、この中銀研の報告書を受けまして金融制度調査会において御検討が続けられておりますけれども、私どもといたしましては、ただいま御指摘になりましたような具体的な点を含めまして、その実行上の内容が、新しい制度の中で今の独立性透明性というものを具体化されたそういった制度につくられるということが大変重要であると考えているところでございまして、この点、私どもとしましては、金融制度調査会での御審議に直接あれこれ申し上げる立場ではございませんけれども、現在の金融制度調査会の場での御検討を拝見いたしておりますと、基本的にはこの点の理解を得られているというふうに思うわけでございます。  したがいまして、今後、私は、この検討がさらに進みまして、ただいま申し述べましたような基本原則にのっとった法律案ができますことを引き続いて念願をいたしているところでございます。
  41. 谷口隆義

    谷口委員 先ほど私申し上げたように、今のこの金制調の審議というのは時代に逆行しているのではないか、このように思わざるを得ません。日銀の独立性を確保するように強く申し上げたいというように申し上げまして、この質問を終わらせていただきます。  次に、ちょうど一昨年の一月にあの阪神・淡路大震災がございました。その折の政府対応は、初動のおくれから多数の死者を出したわけでありますが、危機管理体制ができておらなかった。官邸に情報が集まらなかった、法整備も十分されていなかったから自衛隊も入れなかった、このような危機管理体制について大きな問題になったところであります。また、先日のロシア船籍のタンカー・ナホトカ号の重油流出事故、これも初動のおくれが今問題になっておるわけであります。このような危機管理体制が極めて今重要なときではないかと思うわけでございますが、一方、金融インフラ、金融システムの危機管理体制を整備する必要があるのではないか、私は今このように考えるわけでございます。  先ほどの円安の一つの原因にも金融機関の不良債権の問題が大きく取り上げられておるわけでございますが、円安が進み、また株安が進んでまいりますと、不良債権の償却がおくれる。これが金融機関の、極端なところにいきますと危機的状況を起こすのではないかとさえ言われておるわけでございます。これも一たん起こってしまえば取り返しがつかないわけでございまして、このような危機管理体制について若干お聞きしたいと思います。  御存じのとおり、昨年、戦後初めて銀行の業務停止命令、これは阪和銀行の業務停止命令が行われました。これは初めてでございます。信金、信組ではなくて、インターバンク市場でのメンバーである銀行が、ある日突然業務停止命令が行われて倒産したわけであります。今回のこの阪和銀行の場合は、金融取引を通じてシステミックリスク、連鎖の危機、これが叫ばれたわけでございまして、私は極めてこのあたりを危惧するところでございます。  今経営悪化の金融機関が極めて多い。極めて多いと言うのは問題があると思いますが、今、都銀、長信銀、信託、地銀、第二地銀、このような銀行百五十行ほどあるようでございますが、年始の民間シンクタンクの経営状況によりますと、このうち一割前後がどうも経営が極めて難しい状況になっておる、こういうことが言われておるわけでございまして、このような経営悪化が流布されておる銀行は、往々にして資金調達が非常に難しい、困難な状況になっております。ですから、預金が集まりませんので、インターバンク市場において資金調達をする傾向が極めて強いわけであります。  しかし、今回のような、ある日突然業務停止命令、突然死が起こりますと、インターバンク市場のメンバーは極めて迷惑を生じるといいますか混乱が起こるわけでございます。しかし、これは現実の問題として、取引枠を制限したり、経営の悪化が伝えられている銀行には資金拠出を拒絶したりというようなことはもう数年前から起こっておったようでございますが、このような業務停止命令があってからより一層インターバンクにおける出し渋り現象が強まっておる、拡大しておる可能性がある、このように言われております。銀行間の疑心暗鬼がひどくなって、経営悪化のうわさの出ている銀行資金繰りがより一層厳しくなっておる、このようなことが言われておるわけでございますが、まず初めに、今回、先ほど申し上げました戦後初めてと言われる銀行の業務停止命令について、阪和銀行の業務停止命令について、大蔵大臣のお考えをお願いいたしたいと思います。     〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕
  42. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  お尋ねの阪和銀行の件でございますが、阪和銀行に検査が入りました結果、非常に大きな債務超過になっているという事実が判明したわけでございます。ちょうどそのとき中間期の決算の発表という時期と重なりまして、その償却をし、大幅な債務超過という形を中間決算の形であらわした場合に、預金者に大変な不安を与えてしまうというような事態でございました。したがいまして、これ以上の事業継続が困難であるという認定をしまして、業務停止命令というものをかけたわけでございます。  その際の処理でございますが、預金者には迷惑をかけないということで、さきの国会で成立させていただきました金融三法に基づきまして、預金保険機構の方から資金の援助をするという形で、預金者を保護する形で対応させていただくということで今進んでおるわけでございます。
  43. 谷口隆義

    谷口委員 私は、今までの護送船団方式で、銀行不倒神話、一行も銀行をつぶさないというのはよくないのだと思います。昨年の金融三法は、一つ銀行の破綻の道筋をつくったわけですね。ですから、それはもう立ち行かなくなった金融機関はそうせざるを得ないと私は思うのです。これを政府が無理に支える、これはまた極めてコストのかかることですから、こういうことはやめた方がいい、私はこのように思うわけでございますが、ただ、環境を整えなければいけない、環境を。  先ほどの、インターバンク市場にある日突然わっと突然死が参りますと、極めて混乱する。今、インターバンク市場で、ある日ある銀行が突然業務停止命令を受けますと、その段階でまだ決済が終わっていないものがある。ですから、そういうことを恐れて取引が急激に縮小するわけですね。ですから、今、即日決済システムをやっていかなければいけない、このようなことが言われておるところであります。  これを聞きますと、これは全銀システムでこの即日決済システムをやられるらしいですね。だけれども、これができるまでまだあと三年か四年かかるというようなお話をお聞きしたのですが、そうなりますと、極めて銀行業界の動向が気になる。私はこの一年、二年が極めて危険ではないかと思うわけでございますが、このあたりは果たしてどのようにお考えなのか、私はこれを、まず初めに日銀総裁の御意見をお聞きしたい。先ほどの即日決済システムが、どのくらい、どの程度の期間があれば完成するのか、稼働するのかということも含めて、ちょっと御見解をお願いいたしたいと思います。
  44. 松下康雄

    ○松下参考人 御指摘もございましたように、金融機関の破綻がとかく経済全体の混乱にもつながりかねないということの大きな理由は、決済システムの中に多数の金融機関が参加をいたしておりまして多様な取引を決済しておりますことから、一つ金融機関の決済不能が決済システムを通じまして次々に伝播をしていく可能性があるためでございます。  そういう点から、私どもは、一つ金融機関が万一破綻ということになりましても、それが他の金融機関に波及することがないように、当面は破綻金融機関の決済システムからの速やかな、また円滑な離脱を図っていくということで、またもう一つは、他の金融機関におきます流動性の確保を中央銀行として図っていくということによりまして、ケース・バイ・ケースでの適切な対応を行ってきたところでございます。  ただいま御質問がございましたように、RTGSによります即時決済のシステムは、この大きなリスクを軽減いたします上での国際的にも認められております有効なシステムでありますけれども、私どもはこのシステムの導入の準備に取りかかったところでございまして、実際には、現在、紀元二〇〇〇年の導入を目標にいたしまして準備を進めているところでございます。それまでの間は、ただいま申し述べましたような個別の破綻金融機関の決済システムからの離脱や流動性の供給によって適切な対応を図っていくという考えでございます。
  45. 谷口隆義

    谷口委員 私が恐れておるのは、こちらの都合どおりそういう経営危機は起こらないわけでありまして、突然同時多発が起こった場合に、その対応は果たしてできておるのかどうか。これは冒頭申し上げましたように、ある意味では危機管理体制でございますので、もし起こった場合の体制がどの程度できておるのか。これは日銀にお聞きした方がいいのか、大蔵省にお聞きした方がいいのか、御答弁できる方、ちょっとお願いいたしたいわけでございます。
  46. 松下康雄

    ○松下参考人 この件につきましては、先般の阪和銀行の倒産のときにおきましても、非常に準備期間は短かったのでございますけれども、関係者が迅速に意見を交換いたしまして対策を講じました結果、実際にはこの決済システムに全く混乱を起こすことなしにこの決済システムからの離脱ができたわけでございます。私どもも、このような経験を生かしまして、今後ともこのような場合には万遺憾のない対応をしてまいるつもりでございます。
  47. 谷口隆義

    谷口委員 現下の金融システムにかかわる省庁と申しますと、当然大蔵省、またノンバンクの通産省、また系統の農水省、また労金の労働省等々、省庁が縦割りになっておるわけであります。このような中で、一元的な管理と申しますか、私が申し上げた危機管理体制という意味での一元的な管理、今話題になっております金融検査監督庁の中ではこのような一元的管理がうたわれておるようでございますが、それまでに至る現下の状況は果たしてどのような状況になっておるのでしょうか、大蔵大臣
  48. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいまの一元化の問題でございます。  農協系金融、労働金庫、ノンバンク含めて一元化を図り、新機関は総理府に設置する、こういうことで決まっておるわけですが、なお、農業行政、労働行政、通産行政等の観点がありまして、検査・監督は引き続き農林水産省、そして労働省、通産省と共管をする、こういうことになっております。  本件については、仮称でございますが、総理府の金融検査監督庁設立準備室を中心として、関係省庁間で鋭意検討を行っておるところと承知いたしております。大蔵省としましても、この三党与党合意に基づいてスタートを切ったところでございます。その趣旨を踏まえつつ、万般の詰めを行ってまいりたいということであります。
  49. 谷口隆義

    谷口委員 今問題になっておるノンバンク、これも極めて経営状況の悪い、もう死に体のノンバンクがたくさんあるわけであります。また、御存じのとおり、住専の国会においていろいろ議論になりましたが、農協の県信連、これは極めて悪いところがあると聞いております。後でまたお話ししますが、早期是正措置の対象ということになると、一遍に四%を下るような、自己資本比率がそれよりも下るようなところが多々あると聞いております。  このような状況の中で、大蔵大臣今おっしゃった金融庁構想の状況を別にして、私が申し上げました危機管理体制ですよ、起こった段階でこれに対応できるシステム、これが日銀も含めて、例えばマニュアルなり具体的な手続が現在ございますか、大蔵大臣。     〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕
  50. 山口公生

    ○山口政府委員 金融機関における危機対応の話でございますが、私どもの経験からしますと、かなり区々なケースでございまして、そのときそのときにいろいろなパターンがございます。先ほど御紹介した阪和銀行のようなケースもございます。さきにあった信用組合での破綻のようなケースもございます。そのときの広がり、あるいはその取引先、関係先等をよく見ますと、それぞれ区々の対応が迫られるわけでございます。そのときに、破綻処理をしなければいけないときにできるだけの配慮をし、また流動性について支障を来さないようにあらゆる手だてをし、準備をして、その破綻処理にかかるというような対応をしておりまして、一つのシステムですべての危機管理ができるというものでもないわけでございます。  ただ、先ほど御質問ございました、例えばコンピューター事故が起きて、突然何かそういった流動性が欠けるとかいうようなときに対する対策として即時決済とかいうシステムの構築は急がれると思いますけれども、破綻に関しての危機管理は、それぞれの経験に基づく積み重ね、またそれに基づく幅広いバックアップ体制というものが求められるのが現状だと思っております。
  51. 谷口隆義

    谷口委員 冒頭申し上げました大震災の折のことであるとか重油流出事故であるとか、起こるということを前提にしてこれはつくっておかなければいけないと私は思います。  例えば、信用組合であっても一兆円規模の預金量があるところがあったわけでありますから、信用組合は機関委任事務で都道府県に任せておるというだけでは、これはぽこっと穴があいておるわけであるから、その辺も含めて全般的な管理体制をとっていく必要があると私は思います。いざ起こったときに、それが省庁の壁であるとかで即座に対応できないということになってくると、極めて大きな損害を受けるわけでありますから、もしできておらないとしたら、この辺をぜひ早急につくり上げていただきたい、このように強く申し上げる次第であります。  その次に早期是正措置、これは来年の四月から始まるわけであります。これは、金融機関経営の健全化を確保するためにこの早期是正措置が始まるわけでありますが、考えてみますと一先ほど私お話ししたように、我が国金融行政は護送船団方式と呼ばれて、過保護行政また密室行政が行われた結果、 一昨年になりますか、大和銀行の事件、不祥事があったり、また多額の不良債権が発生したにもかかわらず、銀行不倒神話のもとでいわば死に体の金融機関政府が多額のコストをかけて支える、延命をする。このような結果、金融機関は国際競争力を失い、バブル最盛期におけるモラルハザード、金融機関の経営者で責任をとった人はいないのですから、そのようなモラルハザードを引き起こして、国際金融市場でジャパン・プレミアムと言われるようなものを資金調達の際に付加的につけられる、このようなことになった大きな原因であります。  このような結果を踏まえて、自己責任原則を徹底していかなければいけない、また、大和銀行の事件のような密室ではなくて透明性の高い行政、これに転換していかなければいけないということで今回の早期是正措置が行われた、このように解釈しております。ですから、極めて重要な問題であると私は思います。  それで次に、不良債権の問題をまたお聞きしたいのですが、私は、この不良債権の問題をこの委員会また本会議においても何回か質問いたしました。今現在においても、大蔵省の定義によりますと不良債権は大体三十五兆円ぐらいだ、これは九六年三月末。このうち貸倒引当金でカバーされているのは約二十二兆、有価証券の含みが二十四兆、年間の業務純益は八兆四千億。ですから、不良債権はほぼ問題ないんだ、このようなお考えなのですね。私は、これは国民皆様方はこのようには考えていないですよ、このように申し上げました。  それで、また、米国の議会調査局の報告書に、これはちょっと古いのですが、九五年十月六日の報告書であります。この当時の株価水準は、大体今とそんなに変わっていないのです。これを見ますと、仮に日本のすべての金融機関を含めるとすれば、米国基準で考えた場合、日本が抱える不良債権の問題は額にして五十兆から八十兆に上るという専門家も多くいます。高く見積もっているUBS証券経済分析専門家では、不良債権は百兆に上ると言われているのです。また、ドイツ銀行資本市場の見積もりでは最低でも六十兆、JPモルガンでは七十兆という数字が出ている、このように言っているのです。この当時でも、大蔵省は四十兆しかないと言っているのです。  その当時から確かに償却はされましたが、御存じのとおり、またあの後、地価が下がっております。株価も同じような水準です。余り変わらない。そうすると、海外の専門家また我が国の民間のアナリストが出してきたこのような数字で見ると、三十五兆ぐらいではない、こういうのが一般的なのですよ。それが今回の円安、株安の根底に流れているのじゃないか、私が申し上げているこの土台がやられているのじゃないか、こういうことなのですよ、大蔵大臣。それは確かに、表向きの景気指標はいいかもわかりません。しかし、この土台の部分がやられているから危ないのですよ。それを早くやってもらえという一つの警告が今回の株安、円安なのですよ。そのあたりを十分認識していただきたいと思うわけでございます。  この早期是正措置を客観的に発動すると、破綻処理をせざるを得ない金融機関が多数出ると言われております。仮に破綻処理を行うべき実質自己資本比率を二%未満とすると、百近い中小金融機関が軒並み当てはまる、このように言われているのです。このような状況の中で、まず一つ、不良債権の問題について大蔵大臣の御見解をお述べいただきたいと思います。
  52. 三塚博

    三塚国務大臣 不良債権の問題については諸説がございます。大蔵省といたしますと、この不良債権の処理は着実に進展しておるという報告を受けておるところでございます。個別金融機関ごとの経営状況はさまざまでございますが、金融機関全体として見れば、不良債権問題を十分に克服する能力を持っていると思っております。  ちなみに、八年の三月、不良債権総額は三十四兆七千九百九十億円でございますが、昨年の九月までにこれが二十九兆二千二百八十億円に縮小をいたしておるわけでありまして、債権処理が着実に行われておるという流れがここに見てとれるわけでございます。
  53. 谷口隆義

    谷口委員 もう時間が参りましたので、最後の質問をして終わりたいと思いますが、先ほど申し上げました早期是正措置を厳格に行うとすればこれはきわめて大きな問題になるわけでございますが、まず初めにこの早期是正措置を厳格に行うのかどうかということをお聞きしたいのと、破綻処理はもう先送りできないと私は思っております。ですから、今、総理のおっしゃっているビッグバンが行われる前に、二〇〇一年ですか、これの前にすべての破綻処理をやっておかなければいけないと私は思いますが、この二つについて、大蔵大臣の御見解、御所見をお願いいたしたいと思います。
  54. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  早期是正措置実施は御指摘のとおり来年の四月からでございますが、この早期是正措置金融機関を破綻に追い込むということを目的としたものではございません。これはあくまで金融機関の自主的な経営改善努力を適時に促すというアーリーウオーニングの仕組みでございます。したがいまして、今回中間取りまとめを御報告いただいておりますが、その際も、制度導入時に既に合理的な改善計画の策定などを行っている金融機関に対する経過措置的な取り扱いの必要性についても御指摘をいただいておるところでございまして、この措置をスムーズに導入し、それで、今御指摘の自助努力を促すということで措置の導入を図ってまいりたいと思っておるわけでございます。  それから、ビッグバンの前にすべての破綻処理をという御指摘でございますが、破綻処理を私どもがとりたてて進めたいということではございませんで、それは早期是正措置等により自分の力でもって健全な姿にできるだけ戻ってほしいということでございまして、ビッグバンの時期とペイオフをしなくても済む時期というのがちょうど重なっておりますのでそういった御議論もございますけれども、できるだけ早く健全性をすべての銀行が取り戻すということを期待しているわけでございます。
  55. 谷口隆義

    谷口委員 じゃ、時間が参りましたので、これで終わります。
  56. 額賀福志郎

  57. 山本譲司

    山本(譲)委員 民主党の山本でございます。  夜も遅くなってまいりました。時間も余りございませんので、各論ではなくて、幾つかの問題点についての基本的な認識について伺いたいと思います。  まずは、大蔵省官房長の絵画授受問題に関連をして質問をさせていただきます。  涌井洋治官房長が一年ほど前に泉井石油商会の泉井容疑者から再婚祝いに数十万円相当の絵画を受け取っていたということが先週発覚をしたわけであります。再婚祝いにこれほど高価な贈り物をされるということは、私が庶民がどうかわからないのですが、普通の市民からしてみると、その金銭感覚というのは全くかけ離れているんじゃないか、こう言わざるを得ないわけであります。  このところ、厚生省の次官でありますとか、あるいは運輸省の元次官、いわゆる高級官僚と呼ばれている人たちの汚職でありますとか不祥事が次々に発覚をしているわけでありますが、思い起こしてみれば、二年ほど前に、やはり大蔵省を舞台に、田谷元東京税関長でありますとかあるいは中島主計局次長、この人たちが不祥事を起こして相次いで辞任をしたという出来事がありました。当時、私は東京都議会議員をしておりまして、都議会の中では安全信用組合あるいは東京協和信用組合、この二信組の問題を議会を二分しましてその処理について議論をしていたところでした。結局、この大蔵官僚の不祥事が引き金になりまして、どうもその論議の焦点が本筋を外れて、結果的に東京都議会は東京協同銀行への三百億円の低利融資を見送ってしまった、こんなどたばたがございました。小林多門委員、そうでしたね。それだけに、私自身もこのときの大蔵省の不祥事というのはきのうのように覚えているわけなんです。  ところが、涌井官房長が絵画を授受した、受け取った時期というのは、この大蔵省の今申し上げましたような不祥事よりも後でございます。単にわきが甘かったとか、また返却すればいいとか、そういったたぐいの問題ではないと思うのですよ。四月からの消費税引き上げということで、大変国民から厳しい目をある意味で向けられている中であります。そんな中で、一方、高級官僚は補助金を私物化したり、高額のプレゼントをもらって私腹を肥やしている。こうした状況に対して、大蔵大臣監督責任も含めて、所見をまず伺いたいと思います。
  58. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいまの御指摘は、官房長からの聴取の結果を承っておるわけでございますが、先妻、最初の奥さんが病に倒れまして、七、八年になるのでしょうか、ごあっせんする方がございまして結婚をされた、その祝いに版画をちょうだいいたしました、ちょうだいする仲でございませんものでございますから後ほど返したという報告でございます。それ以上でもそれ以下でもないことから、処分を行うということは考えておりません。さらに、批判を受けたことを肝に銘じながら、職務に精励してもらいたいと思っておるところであります。  いずれにせよ、大蔵省においては、昨年十二月、大蔵省職員倫理規程を制定いたしまして、関係業者との会食や贈答品の受領は原則として禁止をする、関係業者以外の者との交際についても、綱紀保持の観点から問題があると思われるような場合には、これに準ずるものとするとの取り決めを制定させていただきました。今後ともこの趣旨について徹底を図ってまいりたい、こう思っております。
  59. 山本譲司

    山本(譲)委員 今お話にありましたように、去年、省内の職員倫理規程を定められたということでありますが、先般も、私どもにとっては大変頼もしいといいましょうか心強い発言を実は小川事務次官もされておりまして、確かに、内規、内部の倫理規程だけでは先方さんに対してどうもぎすぎすした要求をせざるを得ないんじゃないか、この際、法律をつくって関係者、相手方にもそういう基準で配慮をしてもらえるようにした方がいっそのこといいんじゃないか、こんないわば今議論をされております、また、その制定を求める声もあります公務員倫理法に前向きと言われるような意見も伺っております。大蔵大臣、こういう質問にはお答えになれないと思いますので、どうかこれは主要閣僚のお一人として、ぜひこういったものにも前向きに取り組んでいただきたいと考えております。  続きまして、財政再建について何点か質問をさしていただきたいと思います。  先週の金曜日だったと思いますが、大蔵省の方で提出をされました「財政の中期展望」、これによりますと、どうも現在程度の建設国債の発行を今後も継続することになるんでしょう。公共投資基本計画をあと八年ですか、六百三十兆円というこの計画をそのまま実行していくと。それを前提として、確かに巨額の調整額と申しましょうか、要調整額が発生する、こう言われているんですが、先ほどすべてを聖域化しないというようなお話がありましたが、どうもこういった公共投資の部分だけ聖域化してメスを入れないというような姿勢ではないか、そういった危惧を禁じ得ないわけですが、これではとても財政再建というのはおぼつかないんじゃないか。  そこで、もともとこの公共投資基本計画、円高是正分の公共投資、この円高是正という部分を上積みしてつくられた公共投資基本計画でありますが、今の円安でありますとかあるいは経常収支均衡化の状況ということを踏まえまして、やはりその実施期限を延長するなりして、単年度に、年度年度で公共投資の減額を図っていく、こういった考えはございませんでしょうか。
  60. 林正和

    ○林(正)政府委員 公共投資基本計画についてのお尋ねでございます。  先生御案内のとおり公共投資基本計画は、これから本格的な高齢化社会を迎えるという中で、豊かで質の高い国民生活を支える発展基盤を構築するという見地から、平成七年度から十年間の期間におきます社会資本整備の基本的な方向を取りまとめるということで取りまとめられたものでございます。  ただ、その計画の中には、「各年度の計画の運用に当たっては戸各時点での経済・財政情勢を踏まえ、機動的、弾力的に対処する。」というようにされているところでございます。
  61. 山本譲司

    山本(譲)委員 「機動的、弾力的」というのがどういうことなのかちょっとよくわからないですが、まあいずれにしても、赤字国債の減額だけではなくて、どうもケインズの理論からすれば建設国債というのはよい赤字だなんという話もあるんですが、ぜひ建設国債というもの、これもタブー視しないで削っていくという方向で考えていただきたいということを強く申し上げたいと思います。  そこで、この公共投資を減額しつつ財政再建を達成していくという方向、こういった財政支出だけの構造改革だけではなくて、民間の皆さんの投資でありますとかあるいは消費というものを振興するようなこういった政策もあわせて実施をしていくという必要があるんじゃないかと思いますが、その点についてのお考えはいかがでしょうか。
  62. 三塚博

    三塚国務大臣 消費の拡大、さらに民需の振興、まさに経済発展基本原理でございます。  あわせて、予算の中にということでありますが、来年度予算、これから御審議をいただくわけでございますが一その中にも、実は基礎研究の分野、次世代産業の誘導措置、それから活性化を進めてまいりますために諸般の項目について振興策を盛り込むということで措置をいたしておるわけであります。  公経済、財政によって景気を上げるということの限界が特に公共事業について言われ続けてまいりました昨今でありますが、公共事業も必要なものは必要なものとしてやらなければならぬことも御案内のとおりであります。効果的、効率的にこれを行うということでなければなりませんし、都市住民、都市市民が快適な環境の中で通学通勤できるようにしていくことも大事ですし、過疎地がいつまでも過疎地であってはならぬわけでございます。  それに対しどのような措置を講ずるかということは、今日までの省別の予算措置、その積み上げの中で決まっていくということに対するやり方については、私どもは、今度の財政構造改革会議におきまして、ゼロからのスタートという気持ちで論議を進めていくことにより適時適切にそのことが行われるようにしていくべきであろうし、その間、国民の各層の皆さんからも、かくあれという御提言も当然出てくるでありましょう。  そして各党の皆さんからも、これは与党三党の構成によって、政府与党三党の協議体でございますが、野党の皆さんもぜひ御提言を大蔵委員会においても、また別な常任委員会、特別委員会においても御建議をいただく、こういうことの中で大胆に取り上げるということであればそのことについて私はちゅうちょするものでございませんし、そんなことで、まさに構造改革元年として、莫大な借金のしがらみから抜け出すための手法は国民代表であるみんなで考えることであろうか、こんなふうにも考えております。
  63. 山本譲司

    山本(譲)委員 野党の方からも御提案ということであります。今、余り質問の趣旨でありました民間の投資あるいは消費を振興するというところの具体的なお答えはなかったと思うんですが、例えば、大蔵省関係の所管であります免許制のお酒でありますとかあるいはたばこの販売、こういったものに関してはいろいろな規制がございますよね、何メートル以内とか人口何人当たりに一軒だとか。そういったものの規制緩和というのはこれからどうされるのか、ぜひお答えいただきたいと思います。
  64. 舩橋晴雄

    ○舩橋政府委員 お答え申し上げます。  酒類の販売業の免許につきましては、酒税の安定的な確保、それからアルコール飲料としての特性、そういったものを有する酒類の社会的規制の観点から、今後とも必要かつ有効な制度だと考えておりますけれども、ただいま先生御指摘のとおり、この平成元年以降でございますが、消費者重視の観点から、累次の緩和措置を段階的かつ着実に実施してきてまいっております。昨年十一月には、食料品店等に対しまして調味料として用いられるみりんにつきまして、酒類の販売業免許を付与するよう措置したところでございます。  今後とも、行政改革委員会の意見や内外からの意見、要望等を踏まえつつ、酒類販売業界の実情にも十分配慮しながら適切な見直しを行ってまいりたいというふうに考えておりまして、昨年三月に改定されました規制緩和推進計画にのっとりまして本年度中に免許基準について緩和の方向で見直しを行うこととしているほか、現在、中央酒類審議会におきまして酒類販売免許制度等のあり方について御審議をいただいているところでございます。  また、酒類の製造免許の方でございますけれども、平成六年四月の酒税法改正によりましてビールの最低製造数量が二千キロリットルから六十キロリットルに引き下げられたわけでございまして、これによりましていわゆる地ビールの製造が可能になったわけでございます。これまで積極的な免許付与を行ってまいりまして、免許件数は平成八年の十二月末までに七十五件というふうになっております。全国で多様な地ビールが提供されるようになってきたということを御報告させていただきたいと思います。
  65. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 先ほど委員が言われましたたばこのことでございますが、たばこの小売販売につきましては、たばこ小売店の零細性とか高齢者が過半数を占めておられるという現状でございます。これらの零細小売店への激変緩和とか未成年者の喫煙防止の社会的な要請にこたえるため、現在のところは、たばこ事業法に基づきまして小売許可制とか小売定価制がとられているところでございます。今も答弁がありましたが、昨年三月末に閣議決定されました、「規制緩和推進計画の改定について」という閣議決定に基づきまして、平成九年度に需給調整を含む基準の見直しを行うこととしておるわけでございます。  また、先ほど委員が言われました所管物資という意味では塩もございますが、これにつきましては、昨年五月に塩事業法が成立いたしましたものですから、本年四月一日をもって塩専売制度が廃止されることとなっておるわけでございます。  そうしますと、現在、日本たばこ産業株式会社の指定などを受けなければ行うことができない塩の製造とか卸売につきまして、これからは登録とか届け出によって参入できることになるわけで、その意味では、先ほど委員が言われました民間の消費振興というような観点からも多様な消費者のニーズに適切に対応することが可能になるものと考えております。
  66. 山本譲司

    山本(譲)委員 ぜひ、消費者の立場にも立ちまして、消費の拡大につながるというような視点もお忘れなく取り組んでいただきたいと思います。  それで、大蔵省所管のその他の規制緩和なのですが、証券取引の問題ですね。  私は、ぜひ、十億円以下の有価証券取引にかかわる証券取引委託手数料、この完全自由化、これを本当に一刻も早く急いでいただきたいと思うのです。具体的には証券取引法の委託手数料徴収義務を定めた条文、証券取引法の第百三十一条、そして第百三十条二項四号、これを削除するような改正を行ったらいかがかと思うのです。さらに、東京証券取引所の受託取引基準の委託手数料、仁の定めというものも法改正に合わせて廃止をすべきだ、こう考えるのですが、いかがでしょうか。
  67. 長野厖士

    ○長野政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来も金融ビッグバン、東京ビッグバンということが御議論になっておりますけれども、私の所管いたします証券市場の諸課題のうち御指摘の株式委託手数料問題というのは、その一環として検討されるべき重大な事項かと存じます。  そして、競争を促進することによってより取引コストを低めるという側面もございましょうし、また、経営者にとってみて、非常に質の高い充実した情報をコンピューターアナリスト等を駆使しながら提供しそれなりの対価をいただくやり方と、お客様の注文だけを取り次いで純粋なコストだけで賄っていく取引と、いろいろな営業形態が可能になるという意味一つの検討の方向であろうかと思います。  また同時に、そういった事柄が、投資家、証券会社、証券市場の今日までの大きな枠組みの中で証券業の業務範囲をどうするか等々の問題等関連してこようと思いますので、そういった観点から、現在、証券取引審議会総合部会において御検討が進められておりまして、六月には御結論をいただけるものと考えております。
  68. 山本譲司

    山本(譲)委員 時間がありませんので、最後に消費税の問題、この一点について質問をさせていただきたいと思います。  四月からの消費税の税率の引き上げ問題について、民主党は基本的にやむなしとする立場でございますが、その際には、ぜひ益税の見直しでありますとか逆進性緩和等についての制度改革を進めることを、引き続き民主党としては重要な課題と位置づけております。  これらの問題について、平成六年の税制改革あるいは平成八年の税制改革などによりまして部分的に改善対策が講じられたということは評価はできますが、免税点の思い切った引き下げでありますとか、あるいは簡易課税制度の個人事業者への限定でありますとか、あるいはインボイス導入、こういったさらに改善をすべき点がある、こう思うのです。  政府としては、消費税が高齢化社会の基幹税制一つとして国民に受け入れられている、こういった前提で、これ以上の制度改善は不要と考えるのか、それともやはり今提案をさせていただいたような改善を今後もされるのか、その辺について大蔵大臣の所見を伺いたいと思います。
  69. 薄井信明

    薄井政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘いただきましたように、平成六年の改正によりまして、今年の四月から限界控除制度をなくすなどのかなり大きな、いわゆる益税対策が動き出します。これによってすべてが終わったと私どもも思っておりませんで、この消費税制度が習熟されていく中において、零細事業者等の事務負担の関係も十分考えながら、前進すべきところは今後とも前進していくべき問題だと思っております。  逆進性の問題もございましたが、この点につきましては、五%という税率のもとでは、例えば軽減税率の問題はなかなかとり得ないと私どもも思っておりますが、そもそもその消費税の持つ性格ということについて御理解を賜りたいと思っております。
  70. 山本譲司

    山本(譲)委員 以上で終わります。
  71. 額賀福志郎

  72. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。さきの総選挙で東海ブロックから選出をされました。きょうは初めて質問をさせていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。  地域を回っておりますと、国政に対する暮らしの問題、営業の問題についてのさまざまな要望が渦巻いております。とりわけ消費税増税に対する国民の怒りは選挙後もますます高まっているというのが私の実感であります。  大蔵大臣は、所信表明の中で、民間需要主導の自律的な景気回復について触れました。民間需要の中心は、言うまでもなくGDPの約六割を占める個人消費であります。これをどのように支えるかが景気対策のかぎであり、政治の役割もそこにあると思います。ところが、政府の来年度予算案は、消費税の税率引き上げ特別減税の打ち切り、さらに社会保障の負担増、合わせて約九兆円に上る新たな国民負担を求めております。全く逆の方向を向いていると言わざるを得ません。  そこで、まず確認をしたいわけでありますが、我が党の不破委員長が本会議質問をいたしましたけれども答えがありませんでしたので、過去の実績で国民負担の増加が年間一兆円を超える事例があったかどうか、あったとすれば、それは何年度で、年間どれだけの負担だったか、まずこの点をお答えいただきたいと思います。
  73. 薄井信明

    薄井政府委員 過去の税制改正という御指摘でございまして、国税、地方税合わせてこれを申し上げなければいけないとしますと、なかなか計算が難しい面はありますが、昭和五十六年度に一兆六千億円程度の改正増減収というものを計上していることがございます。今申し上げました改正増減収というのは、税制改正によってどれだけ税収がふえるかということを意味しておりまして、やや技術的でございますので一言触れさせていただきます。  なお、そういう意味で申し上げますと、増税と減税と一緒にやっている場合にはそれが相殺されてまいりますので、先日の御質問を含めて申し上げますと、所得税、住民税の減税と、それから消費税の増税、増税といいますか税率アップ、これを両方やった平成六年の改正増減収というのは、たしか三千数百億円の減収という数字が出ているかと思います。
  74. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 過去で最高が一兆六千億円ということであります。したがいまして、今回の消費税の増税で五兆円、所得減税の打ち切りで二兆円、合わせて七兆円という大増税はまさに史上空前の国民収奪だということは、数字を確かめるだけでも明白であります。したがって、これが景気回復にブレーキになる、これは経済企画庁のモデルでも三年間で成長率〇・九%押し下げる要因になると言っていることでも明らかであります。そのため経済の先行き不安が広がって、年明けから株が落ちる、特に不良債権絡みの銀行株が売られている。これに対して、最近大変気になる議論が出ておりますので、それに関連して御質問をしたいと思うのです。  それは、金融機関の不良債権処理にさらに新たな財政資金の投入を検討すべきだという議論であります。これは、民主党の菅代表が口火を切りまして、自民党の加藤幹事長、山崎政調会長も同調したと報道されております。私は、これはとんでもない発言だと思うわけです。銀行の不始末で生まれた住専の不良債権処理に六千八百五十億円の血税を投入したことが、あれだけ大問題になり、批判の的になってから一年もたっておりません。財政資金は住専と信用組合の破綻処理に限る、これが従来の政府の公式の確認のはずでありますが、大蔵大臣、新たな財政資金の投入はしない、この点は確認できますか。
  75. 山口公生

    ○山口政府委員 金融機関の破綻処理は、まず金融システム内の最大限の負担において行われるというのが基本であると考えておりますが、さきのお認めいただきました法改正によりまして、新たなる仕組みとしまして、預金保険におきましては、最近の破綻金融機関状況等を踏まえまして、預金保険料を七倍に引き上げるというような措置をとったわけでございます。  御指摘のように、信用組合につきましては、非常に厳しい経営状況にかんがみまして、必要であれば政府が預金保険機構の信用協同組合特別勘定に係る借り入れに対する保証を付すことができる制度というのもお認めいただいたわけでございます。  政府としては、こういった制度を整備していただきましたので、これを踏まえながら、預金者の保護を図りつつ、その時々の状況を見ながら金融機関の不良債権問題に適切に取り組んでまいりたいという姿勢でおるわけでございます。
  76. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 ということは、新たな国民の血税を投入するつもりはない、こういうことで確認してよろしいですか。
  77. 山口公生

    ○山口政府委員 住専の処理をめぐる昨年の国会の御議論におきまして、住専以外のノンバンクにつきましては関係当事者により処理することとし、公的関与を行わないという方針が表明されているところでございます。
  78. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 大蔵大臣にお聞きをしたいと思いますが、大蔵大臣は記者会見で否定的な見解を述べたというふうに報道されていますが、これは事実ですか。
  79. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいまのことについてですね。——今、銀行局長、言ったとおりでございます。
  80. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 それでは次に、公約問題についてお聞きをしたいと思います。  私は、政治家の命というのは国民に対する約束、つまり公約だと思います。もしそれが損なわれるならば、議会制民主主義は成り立たない。そこで、三塚大蔵大臣にお聞きいたします。  大臣は、さきの総選挙で、読売新聞十月七日付のアンケートに対して、消費税は「延期」、このように回答をされています。ここにこのコピーがあります。アンケートに関する記事は、「自民党の三塚氏が党の方針と異なる引き上げ延期の考えを示し注目される」と書かれています。ところが、今や大蔵大臣として消費税の大増税の先頭に立っている。まことに驚くべき状況であります。延期の公約はどうなったのでしょうか。あれは選挙のときの方便だというのなら、選挙民からこれは不信を招くことになります。延期という公約と、あなたの増税推進という立場に全く矛盾を感じていないのかどうか、この点についてお聞きしたいと思います。
  81. 三塚博

    三塚国務大臣 これは、朝日新聞の方には明確に載っておるんですよ。  これは別として、私は新政策研究会の責任者として、昨年九月、消費税問題が論議になりましたとき、本件は財政危機を突破し、それで高齢化社会、少子・長寿社会に対応するためには、つらい。ことではあるがやり抜いていかなければならない。新政権に集う衆参両院の議員総会において明言をしたところでございます。自由民主党の政策研究会は、総会のたびごとに自民党本部詰めの記者諸君が十数名参加をするところで明言をし、つらいことではあるがやり抜こう、こういうことで檄を飛ばし、終わったところでございます。  また、七日と言っておりますが、七日、戻りまして共同記者会見をやらさせていただきました。同様の趣旨を明確に申し上げておるわけでございますが、一紙のみ、どういうことで書かれたのか、極めて残念なことだと思っておるところであります。
  82. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 それは言いわけにもならないと思うのですよ。選挙民は何を頼りに三塚さんの消費税の問題についての態度を見るか。選挙公報という話がありますが、選挙公報がここにありますが、消費税の増税については一言も書いていない。つまり、選挙民が三塚さんの消費税に対する態度を判断をするには、読売新聞の読者はこれを見るしかない。朝日新聞は、今言いましたけれども、朝日新聞を見るしかない。  そうなりますと、読売新聞三塚さんの本心と違うということであるならば、この十月七日付のアンケートの回答について訂正を申し入れたということはありますか。
  83. 三塚博

    三塚国務大臣 私の事務所で申し入れたと思います。公示直前の全記者、地元記者だけではございません、テレビ会社総支局、全員集まったところで明言をいたしておるわけでございます。  そういうことで公報には、そのことはきちっと記事に載っておるわけですから、公報には簡明にそれだけのことを書かせていただき、既定事実としてそのことは明言いたしておりますから、それほど気にもいたしませんし、私は第一声においても、それから何日もおりませんでしたけれども個人演説会においても、なぜ今消費税なのか、こういう問題について明言をしております。このことは、しょっちゅう記者がついて歩いていましたから、みんなが知っているところであろうと思います。極言してそう決めつけないでください。
  84. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 事務所が申し入れたはずだとおっしゃいましたけれども、そういう事実は確認されていないはずであります。  事務所の点で申しますと、選挙後十一月十三日、女性団体が宮城県の岩沼市の三塚さんの事務所を訪ねております。この延期というアンケートの回答、つまり公約を見て、これを守るようにと申し入れたわけであります。これに対応したのが事務所の秘書の武田さんであります。このように言っていたそうです。これはこの団体の機関紙に書かれているわけですが、「三塚本人も、公約の中で打ち出したことでもありますので…… まずは皆さんかどう考えているかを判断材料にしないと、永田町政治なんて言われて有権者に頭を下げるのは選挙のときだけと言われてしまう、ぶっちゃけた話、国会議員といえども皆さんの信頼を得なければ国政の場に出られない」、こう述べているわけであります。  つまり、読売新聞のアンケートに対する回答はまさに三塚さんの公約です、このように秘書の方が述べているではありませんか。これは明確な公約じゃありませんか。
  85. 三塚博

    三塚国務大臣 ほかの新聞を見てやってください。読売新聞だけそう言われても、私は反論のしようがございません。要すれば、新聞記者が全部いる公の会議で、消質税二%アップはこれは耐えていこう、財政の再建なくして前進はない、こう申し上げてきておりますし、第一声初めそれぞれの個人演説会、遊説に参りましてもそのことは申し上げさせていただいておるわけでありますから、一紙をとらえてそう決めづけられると返答のしようがございません。そのことを、武田君というのは私のところの秘書の一人でありますが、初めてお聞きしました。
  86. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の答弁は、要するに読売の読者はこれを見て信用するわけでありまして、訂正も申し入れていない、抗議もしていない。地元はこれは公約だと事務所の方は言っている。つまり、会議でいろいろなことを言ってもそれは会議の話でありまして、有権者に明確な形で新聞のアンケートで答えているわけですから、読売には延期だ、朝日には推進だ、こういうばらばらな公約を国民に示した、これは全く無責任ではありませんか。  つまり、さきの総選挙で消費税が、まさに増税が最大の焦点だ。つまり、政治家として、最大の課題に自分の信ずるところに従って誠実に対応する、これは最低限の務めであります。三塚さんのように、こちらには別な回答、こちらにはまた別な回答、こういうことでは政治不信が広がるのも当たり前であります。  消費税の増税は、まさに公約違反という点でも、景気回復をおくらせるという点でも、絶対にやってはならないことであります。日本共産党はあくまでも増税に反対し、廃止を目指して奮闘するということを申し述べまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  87. 額賀福志郎

  88. 秋葉忠利

    秋葉委員 社会民主党の秋葉でございます。  限られた時間ですので一つのことに集中して伺いたいのですが、実は今回の行財政改革、マスコミを通して非常に大きく取り上げられておりますけれども、その結果として、これまで余りこういった国の財政の問題にそれほど注意を払ってこなかった市民といいますか庶民、中曽根さんは庶民がいいと言っていらっしゃるそうですが納税者、そういった方々が国の財政について改めて関心を持ち始めている。これは大変喜ぶべきことだと思います。その市民の視点から幾つか質問をさせていただいて、最後には提案をしたいと思うのです。  行財政改革は非常に重要な問題ですので、その中で、実は私が常日ごろ感じていること、ちょうど幾何学の問題で補助線を引かないと何か全体像がよくわからない、そういうような状況にあるのではないか、そんな気がする事柄が一つありますので、それについて問題提起をさせていただければと思います。  まず、市民の立場から復習をしておきたいと思うのですけれども、国債残高、現在では二百兆円以上の額になっていますけれども、大体一九六〇年ごろから始まって、正確な年は何年がちょっと覚えておりませんが、大体どのような傾向でふえてきたのか、やはりそこをきちんと把握しておくのがまず最初だと思いますので、残高の推移について簡単におさらいをしていただければ大変ありがたいのですが。
  89. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 お答え申し上げます。  今委員御指摘の過去の国債残高の推移でございますが、約三十年間振り返ってみますと、昭和四十年度末におきましては二千億円の残高でございましたものが、昭和五十年度末には十四兆九千七百三十一億円に達し、さらに十年後の昭和六十年度末には百三十四兆四千三百十四億円となりまして、今回の予算平成九年度末には約二百五十四兆円となる見込みでございます。
  90. 秋葉忠利

    秋葉委員 ありがとうございました。  ということは、これは西暦に直すと、一九六五年二千億、それで一九九五年、六年、七年と二百兆を超えているわけですから、倍数にいたしますと一千倍以上になっている。その間の、例えばGNPの伸びとかあるいは個人所得の増加とか国の資産というところも勘定に入れなくてはいけないのでしょうけれども、そういったことを考えますと、やはりこれは、千倍というオーダーはとんでもないオーダーだということがまずわかると思います。  そのことは、やはり国民にとっては、市民一人一人にとっては千倍も借金がふえているということは非常に重要な事態だということはわかるのですけれども、それもただ単にふえてきたというわけではなくて、原因があり、そして原因も一つではなくてさまざまな要因があるわけですから、減ったりふえたりしているわけです。  その傾向について、例えばこの間に佐藤内閣から始まって全部で十人以上の総理大臣が入れかわっているわけですが、各内閣ごとに、各政権ごとに大体どのくらいの額がふえているかということで総括することもできると思うのです。つまり、だれだれ内閣のときには借金がふえた、ほかの人のときにはそれほどふえなかった、これまた重要な要素だと思うのですが、そのあたりの趨勢といいますか大まかな傾向、すべての総理大臣についてでなくて結構ですけれども、大まかなところのまとめをお聞かせいただきたいと思います。
  91. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 今委員が御質問になられましたことは、歴代の各内閣、各大蔵大臣の任期中にそれぞれどれだけ国債の残高が増加したかということかと思います。  この各内閣、蔵相の任期と国債残高の増加の関係でございますが、一方で、内閣、大蔵大臣の方は、人によりましては任期中に予算編成が行われなかった場合もありますし、他方で、実際の国債の発行とか償還は、これは予算編成後の一年間にわたって行われるわけでございますが、委員が御存じのように、例えば、先ほども委員が言われましたが、償還の場合は多い月と少ない月があるわけで、いわば月によって波を打っているわけでございます。例えば内閣あるいは大蔵大臣が年度途中に交代をされたような場合は、それをどういうぐあいに考えるかというような問題もございまして、両方のパラレルな対応関係について、私どもの立場として厳密な意味で申し上げるのがなかなか難しいということを御理解いただきたいと思います。
  92. 秋葉忠利

    秋葉委員 別に顕微鏡下の、あるいはナノセカンドの単位での数字を伺っているわけではございません。非常に大ざっぱな趨勢、傾向というのを伺っているわけでして、それを大体大ざっぱに見てみますと非常におもしろい傾向が見えます。  それを申し上げておきたいと思うのですけれども、実は、各内閣ごとに大体どのくらいの、しかもこれは一年単位でどのくらいの国債残高がふえているかというのをグラフにしてみますと、山が二つございます。  一つは大体一九八〇年前あたり、だから大平内閣、鈴木内閣のあたり。これは別に、そのあたりの傾向として申し上げているのですから、どっちの方がよくてどっちが悪かったなどということを言う必要はないので、大きな傾向としてとらえればいい話で、そのあたりに一つ大きな山があって、それが減ってきたのが、竹下、海部、宮澤といったあたり。それで最近ふえて、細川、村山でふえている、また山ができているという傾向があって、今おっしゃったようなただし書きは全く関係ないところでこういう傾向があるわけですから、そのあたりの数字の把握はやはりきちんとしていただいた方がいいのではないかと思います。  大体の傾向を申し上げますと、全部で一番多いのは中曽根内閣で、五十五兆ふえていますけれども、それを単年度にすると十一兆ですから、それほど大きくない。大平内閣のときの大体一年当たり十四兆とか、鈴木内閣の十三兆あたりの方が多いわけですけれども、その単位です。最近になって、細川、村山というところで大体十四兆、十八兆というような、今度はかなり高額の、一年ごとの負債がふえているという傾向がございます。  やはりこういうことは、どう解釈するかは別として、非常に重要なことだと思うのですが、この方々、亡くなった方は別として、新たにできた財政構造改革会議のメンバーというふうに理解をしておりますけれども、その構造改革のメンバー、大蔵大臣もメンバーでいらっしゃるわけですけれども、この会議一体どういう役割を期待されているのか、簡単にお願いいたします。
  93. 三塚博

    三塚国務大臣 総理経験者の方は、その期間、渾身の努力を続けながら、この国のため、国民生活安定のために、手法は若干ずつ違うのだと思うのですが、頑張り抜いてきたとうとい経験があるのだろうと思います。  そういう中で、与党三党から、財政構造改革会議のメンバーに大蔵大臣経験者、そして総理経験者にぜひ御参加をいただくべく、そして三党の政策責任者、党務責任者、自民党総務会長も入っておりますが、それと現総理、大蔵大臣、総務庁長官、官房長官、自治大臣、こういうことで党を挙げての取り組みをしようではないか、こういうことでスタートを切りました。  二十一日、村山先生までお四人の総理大臣から、財政再建構造改革についての御激励と御見識を承りました。相互にいろいろと意見交換をして終わったのでありますが、二月上旬には第二回総会を持ち、その後は、しばらく企画委員会というようなことで、実務者の入った形の中で、総理を除いた各位のミーティングになると承っておるわけでございます。  三党挙げてこれに取り組むということで、これが国民運動になり、国民の論議が盛んになることが、この改革に向けて国民各位の理解、サポート、こういうことになるのでしょうか、ぜひそんなことで取り組んでまいりたい。私も積極的にこの会議に参加をしながら、時に総会も開いていただき、経験のもとに、またそれぞれの党に影響力あられる方々でございますから、決めたことは三党挙げて、後世のために、次の世代のために、この国のためにやり抜こうということで取り進めていただけると確信を、実は期待とともにいたしておるところであります。
  94. 秋葉忠利

    秋葉委員 確かにそういう方向で機能していただきたいと思っているのですけれども、残念ながら、なかなかその意図とか効果性について一般的な理解が得られていないような気がいたします。それは、メンバーが悪いとか努力が足りないとかそういう意味ではなくて、構造的に問題がある。それで、そういったところを理解した上でより効果的なシステムをつくっていくというのが行財政改革のキーになるのじゃないかと私は思います。  その構造的な問題というのは、さっき申し上げた補助線のところなのですが、一方では赤字をふやし、意図的ではないにしろ赤字がふえた内閣の長であった人が、それを退いて、今やはり自分の仕事、業績というものを何とか正当化したいという気持ちは、これはだれにもあるわけで、これはある意味で当然のことだと思いますが、その方々が、今度は翻って、現在の財政構造改革会議の中ではその過去の政治のあり方について厳しい批判をしなくてはいけない、相反する利益を一人の人間が代表するという立場になる、これがやはり構造的に庶民には理解できないところではないかと思います。  それで、実は、日本社会にはこういった概念を簡単にあらわす言葉はないのですが、欧米の社会にはその概念がございます。日本流に発言するとコンフリクト・オブ・インタレストと言うのですが、相反利害関係を同一人が代表するということ、これは、特に政治の場とか裁判その他の場において避けなければならない鉄則であるというふうに考えられております。行財政改革、さまざまな改革がこれからなされるはずですけれども、その中でやはりこういった概念がきちんと把握され、社会の中に定着していくことが非常に必要だと私は思います。  ちょっと時間がなくなりましたので、幾つか伺いながら提言をしたいと思ったのですが、大蔵省でも毎年二十人以上の非常に優秀な若い人たちが、例えばアメリカ社会の中で研修をしたり、大使館の一員として働いたり、あるいはヨーロッパにも出かけられているわけですから、大蔵大臣としてぜひ、このコンフリクト・オブ・インタレストという原則が、例えばアメリカ社会の中で、政治の場で、マスコミの場でどういうふうに生かされているのか、定着しているのか。日本にそういった考え方を導入することでいかなる利益を我々が得ることができるのか。例えば、今私がこれだけの時間をかけないとなかなかこういった概念について御理解をいただくことができないというのが日本社会の現状ですが、アメリカではそんなことは必要なくて、コンフリクト・オブ・インタレストだからだめだよと言えばそれで話がつく。それだけの簡便性のある概念というのはやはり社会的に非常に有益だというふうに私は思いますので、そのことをぜひ、日本のエリート中のエリートが大蔵省にはそろっているわけですから、そこで何とか日本社会に導入するような努力を始めていただきたい。それをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  できれば、最後に一言、検討するというふうにおっしゃっていただければ大変ありがたいと思います。
  95. 三塚博

    三塚国務大臣 私も知りませんでした。新しい理念、利益相反ということでありまして、何となくわかりますけれども、すっきりとした解釈はこれから研究をいたしますが、外国に研修に行っておる若い大蔵公務員の諸君に、研修生に勉強をいただくよう検討してみます。
  96. 秋葉忠利

    秋葉委員 ありがとうございました。
  97. 額賀福志郎

  98. 吉田公一

    吉田(公)委員 何しろ十分しかないものですから、これは何を言っていいかよくわからないのですけれども、いずれにしても十分以内でやらせていただきます。  まず、つい先日、大蔵省から平成八年度補正予算(第1号)というものを手にしたのですが、その中で税制改革関連対策費というのがありますが、税制改革というのは何をやったのですか。
  99. 薄井信明

    薄井政府委員 税制改革、何をやったかという御質問と承りました。  平成六年秋に税制改革を行いまして、これが平成七年からの所得税、個人住民税の先行減税ということでスタートしまして、ことしの四月から消費税が三%から四になる、それから地方消費税が創設される、こういったことが核となる税制改革が、法律平成六年に通り、それが実施途上にあるということでございます。
  100. 吉田公一

    吉田(公)委員 要するに、消費税増税対策費が主なものですね。  そうしますと、先ほど話がありましたが、どうしてもこの消費税というのは逆進性というのが宿命であって、これは取り去ることはできない。そこで、急遽、消費税増税対策費として臨時福祉特別給付金というのを支給することになった、こういうことであります。したがって、これは単年度と聞いておりますけれども、しかし、消費税の逆進性というものは宿命で取り去れないとすれば、この対策費が単年度であるということはおかしいと思うのです。消費税がある以上はずっと続けていかなければ対策費にならないと思いますが、いかがですか。
  101. 林正和

    ○林(正)政府委員 臨時福祉特別給付金でございますが、先生御案内のとおり、三種類の支給をすることにしておるわけでございますが、これらの給付金は、平成元年度、消費税導入時の例を踏まえまして、真に手を差し伸べるべき方々への配慮として、本年四月一日からの消費税率引き上げ等に対する激変緩和という観点から行われるものでございまして、これらの方々の生活の安定を図るというために支給するものでございます。
  102. 吉田公一

    吉田(公)委員 消費税を三%から五%に上げる際に激変緩和とこう言うのですが、しかし、困っている人にとってみれば、あれはもう毎年激変緩和で、これを単年度だけやる、おっつけてしまおうというのはおかしいじゃないですかね。
  103. 林正和

    ○林(正)政府委員 先生御案内のとおり、年金あるいは手当、こうしたものは物価スライド制度がとられておりますので、消費税の影響は十年度に完全に吸収されるため、給付金は実質的に恒久化されるというような制度になっております。提言いたしますと、物価スライドが十年度となるために、九年度に影響をこうむる方に対する配慮として給付金を支給する、そういう意味で激変緩和ということでございます。
  104. 吉田公一

    吉田(公)委員 それは一万円上げないよりか上げた方がいいのだけれども、しかし、一万円という根拠は何ですかね。一年間一万円というと、万八百円ぐらいかな。その八百円ということはどういうことですか。何か根拠があるのですか、八百円というのは。
  105. 林正和

    ○林(正)政府委員 金額の一万円でございますが、基礎年金の平均受給年額に消費税率引き上げに伴います物価上昇率を乗じたものにおおむね見合ったものとなっておるわけでありまして、消費税導入時の七十歳以上の低所得者に対する給付金の額、これをも参考にして決めさせていただいたということでございます。
  106. 吉田公一

    吉田(公)委員 何だかよくわからないけれども、単純計算でいきますと、月二万円仮に消費したということになれば千円でしょう、五%になるんだから。月二万円で千円になってしまうんだ、消費税は。そうすると、その辺は、激変緩和はいいけれども、ずっと激変緩和でやってもらわなくては、消費税の逆進性の対策をするということにはならないと思うのです。
  107. 林正和

    ○林(正)政府委員 もう少し具体的に一万円を申し上げますと、基礎年金の平均受給年額、これが五十一万六千円でございます。消費税率引き上げに伴います物価上昇率、これを一・五%といたしまして、五十一万六千円掛ける一・五%、七千七百四十円ということでございます。
  108. 吉田公一

    吉田(公)委員 何だか、何がございますだかわからない。  社会福祉・医療事業団へ五百億円、これは随分景気のいい話だけれども、ぱたっと渡してしまうんだけれども、この五百億円て何に使うのですか。医療事業団、何か根拠があるのですか、五百億円というのは。人のお金だと思って簡単に五百億円なんて言っているけれども、大変な金額だよ、これは。
  109. 林正和

    ○林(正)政府委員 社会福祉・医療事業団出資金の五百億でございますが、これによりまして高齢者・障害者在宅福祉等整備基金、仮称でございますが、これを設置いたしまして、基金の運用益で、ボランティア団体等多様な主体が参加いたしました在宅福祉の充実を図る、こうした従来の施策の枠を超えましたきめ細かな在宅福祉事業等を実施しようというものでございます。
  110. 吉田公一

    吉田(公)委員 あと二分ぐらい残っているようですけれども、これでやめます。
  111. 額賀福志郎

    額賀委員長 次回は、来る二月四日火曜日午後零時十分理事会、午後零時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後十時四十三分散会