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1997-03-06 第140回国会 衆議院 税制問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月六日(木曜日)     午後一時開議  出席委員   委員長 原田昇左右君    理事 伊吹 文明君 理事 尾身 幸次君    理事 村上誠一郎君 理事 村田 吉隆君    理事 愛知 和男君 理事 赤松 正雄君    理事 日野 市朗君       植竹 繁雄君    江口 一雄君       小野 晋也君    岸田 文雄君       岸本 光造君    栗本慎一郎君       阪上 善秀君    高鳥  修君       滝   実君    萩山 教嚴君       林  幹雄君    藤井 孝男君       持永 和見君    横内 正明君       石田 勝之君    北橋 健治君       左藤  恵君    佐々木洋平君       田端 正広君    谷口 隆義君       中野  清君    西川 知雄君       藤井 裕久君    山本 幸三君       石井 紘基君    古川 元久君       正森 成二君    濱田 健一君       粟屋 敏信君    望月 義夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵大臣官房審         議官      尾原 榮夫君         大蔵省主計局次         長       林  正和君         自治政務次官  久野統一郎君         自治省税務局長 湊  和夫君  委員外出席者         議     員 上田 清司君         議     員 古賀 一成君         議     員 鈴木 淑夫君         議     員 村井  仁君         議     員 粟屋 敏信君         経済企画庁調整         局審議官    新保 生二君         税制問題等に関         する特別委員会         調査室長    藤井 保憲君     ───────────── 委員の異動 一月二十三日  辞任         補欠選任   坂井 隆憲君     栗本慎一郎君 三月六日  辞任         補欠選任   大野 功統君     林  幹雄君   森山 眞弓君     阪上 善秀君   原口 一博君     佐々木洋平君   新井 将敬君     望月 義夫君 同日  辞任         補欠選任   阪上 善秀君     森山 眞弓君   林  幹雄君     大野 功統君   佐々木洋平君     原口 一博君   望月 義夫君     新井 将敬君     ───────────── 三月五日  平成九年分所得税特別減税のための臨時措置  法案野田毅君外九名提出衆法第八号)  地方税法の一部を改正する法律案野田毅君外  九名提出衆法第九号) 二月六日  消費税率五%への引き上げ中止消費税廃止  に関する請願平賀高成紹介)(第四号)  同(大森猛紹介)(第一四九号)  消費税率五%への増税中止に関する請願石井  郁子紹介)(第五号)  同(大森猛紹介)(第六号)  同(金子満広紹介)(第七号)  同(木島日出夫紹介)(第八号)  同(児玉健次紹介)(第九号)  同(穀田恵二紹介)(第一〇号)  同(佐々木憲昭紹介)(第一一号)  同(佐々木陸海紹介)(第一二号)  同(志位和夫紹介)(第一三号)  同(瀬古由起子紹介)(第一四号)  同(辻第一君紹介)(第一五号)  同(寺前巖紹介)(第一六号)  同(中路雅弘紹介)(第一七号)  同(中島武敏紹介)(第一八号)  同(春名直章紹介)(第一九号)  同(東中光雄紹介)(第二〇号)  同(不破哲三紹介)(第二一号)  同(藤木洋子紹介)(第二二号)  同(藤田スミ紹介)(第二三号)  同(古堅実吉紹介)(第二四号)  同(正森成二君紹介)(第二五号)  同(松本善明紹介)(第二六号)  同(矢島恒夫紹介)(第二七号)  同(山原健二郎紹介)(第二八号)  同(吉井英勝紹介)(第二九号)  同(石井郁子紹介)(第三五号)  同(大森猛紹介)(第三六号)  同(金子満広紹介)(第三七号)  同(木島日出夫紹介)(第三八号)  同(児玉健次紹介)(第三九号)  同(穀田恵二紹介)(第四〇号)  同(佐々木憲昭紹介)(第四一号)  同(佐々木陸海紹介)(第四二号)  同(志位和夫紹介)(第四三号)  同(瀬古由起子紹介)(第四四号)  同(辻第一君紹介)(第四五号)  同(寺前巖紹介)(第四六号)  同(中路雅弘紹介)(第四七号)  同(中島武敏紹介)(第四八号)  同(春名直章紹介)(第四九号)  同(東中光雄紹介)(第五〇号)  同(平賀高成紹介)(第五一号)  同(不破哲三紹介)(第五二号)  同(藤木洋子紹介)(第五三号)  同(藤田スミ紹介)(第五四号)  同(古堅実吉紹介)(第五五号)  同(正森成二君紹介)(第五六号)  同(松本善明紹介)(第五七号)  同(矢島恒夫紹介)(第五八号)  同(山原健二郎紹介)(第五九号)  同(吉井英勝紹介)(第六〇号)  同(木島日出夫紹介)(第八七号)  同(寺前巖紹介)(第八八号)  同(中島武敏紹介)(第八九号)  同(藤木洋子紹介)(第九〇号)  同(藤田スミ紹介)(第九一号)  同(矢島恒夫紹介)(第九二号)  同(吉井英勝紹介)(第九三号)  同(不破哲三紹介)(第一二三号)  同(正森成二君紹介)(第一二四号)  同(山原健二郎紹介)(第一二五号)  同(古堅実吉紹介)(第一三九号)  同(辻第一君紹介)(第一五〇号)  同(正森成二君紹介)(第一五一号)  同(松本善明紹介)(第一五二号)  消費税率五%中止生活必需品非課税に関す  る請願木島日出夫紹介)(第三〇号)  消費税率引き上げ中止に関する請願平賀高  成君紹介)(第八六号)  消費税の五%中止消費税法附則第二十五条に  基づく消費税率見直しに関する請願瀬古由起  子君紹介)(第一三七号)  消費税率五%の中止に関する請願瀬古由起子  君紹介)(第一三八号)  消費税税率引き上げ中小業者への特例措置  改廃中止に関する請願佐々木憲昭紹介)  (第一四七号)  同(松本善明紹介)(第一四八号) 同月二十一日  消費税率五%への増税中止医療へのゼロ税率  適用消費税廃止に関する請願松本善明君  紹介)(第一五八号)  同(正森成二君紹介)(第二七七号)  消費税率五%への引き上げ中止消費税廃止  に関する請願坂上富男紹介)(第一五九号  )  同(辻第一君紹介)(第一六〇号)  同(山原健二郎紹介)(第一六一号)  同(古堅実吉紹介)(第一八五号)  同(正森成二君紹介)(第一九七号)  同(木島日出夫紹介)(第二一六号)  同(不破哲三紹介)(第二一七号)  同(大森猛紹介)(第二三二号)  消費税率五%への増税中止に関する請願木島  日出夫君紹介)(第一六二号)  同(坂上富男紹介)(第一六三号)  同(瀬古由起子紹介)(第一六四号)  同(中路雅弘紹介)(第一六五号)  同(中島武敏紹介)(第一六六号)  同(平賀高成紹介)(第二八七号)  同(藤木洋子紹介)(第二八八号)  同(吉井英勝紹介)(第一六九号)  同(吉井英勝紹介)(第一八六号)  同(佐々木陸海紹介)(第一九八号)  同(正森成二君紹介)(第一九九号)  同(吉井英勝紹介)(第二〇〇号)  同(金子満広紹介)(第二一八号)  同(穀田恵二紹介)(第二一九号)  同(大森猛紹介)(第二三三号)  同(佐々木憲昭紹介)(第二三四号)  同(瀬古由起子紹介)(第二三五号)  同(辻第一君紹介)(第二三六号)  同(東中光雄紹介)(第二三七号)  同(平賀高成紹介)(第二三八号)  同(正森成二君紹介)(第二三九号)  同(東中光雄紹介)(第二五三号)  同(正森成二君紹介)(第二五四号)  同(藤田スミ紹介)(第二七五号)  同(正森成二君紹介)(第二七六号)  同(木島日出夫紹介)(第三〇七号)  同(瀬古由起子紹介)(第三〇八号)  同(中路雅弘紹介)(第三〇九号)  同(不破哲三紹介)(第三一〇号)  同(藤木洋子紹介)(第三一一号)  消費税率引き上げ中止に関する請願木島日  出夫君紹介)(第二一五号)  消費税率引き上げ中止に関する請願熊谷弘  君紹介)(第三一二号) 同月二十八日  消費税率五%への増税中止に関する請願古堅  実吉紹介)(第三四〇号)  同(松本善明紹介)(第三四一号)  同(山原健二郎紹介)(第三四二号)  同(児玉健次紹介)(第三九二号)  同(佐々木憲昭紹介)(第三九三号)  同(佐々木陸海紹介)(第三九四号)  同(松本善明紹介)(第三九五号)  同(矢島恒夫紹介)(第三九六号)  同(西博義紹介)(第四一一号)  同(古堅実吉紹介)(第四一二号)  同(吉井英勝紹介)(第四一三号)  同(大森猛紹介)(第四五二号)  同(金子満広紹介)(第四五三号)  同(木島日出夫紹介)(第四五四号)  同(児玉健次紹介)(第四五五号)  同(佐々木憲昭紹介)(第四五六号)  同(佐々木陸海紹介)(第四五七号)  同(志位和夫紹介)(第四五八号)  同(瀬古由起子紹介)(第四五九号)  同(中路雅弘紹介)(第四六〇号)  同(中島武敏紹介)(第四六一号)  同(不破哲三紹介)(第四六二号)  同(松本善明紹介)(第四六三号)  同(矢島恒夫紹介)(第四六四号)  消費税率の安易な一律増中止等に関する請願  (池端清一紹介)(第三八九号)  同(土肥隆一紹介)(第三九〇号)  同(池端清一紹介)(第四一五号)  消費税率五%への引き上げ中止消費税廃止  に関する請願松本善明紹介)(第三九一号  )  消費税率五%中止生活必需品非課税に関す  る請願不破哲三紹介)(第四一四号) 三月六日  消費税率五%への増税中止に関する請願志位  和夫君紹介)(第五〇六号)  同(辻第一君紹介)(第五〇七号)  同(平賀高成紹介)(第五〇八号)  同(藤木洋子紹介)(第五〇九号)  同(藤田スミ紹介)(第五一〇号)  同(矢島恒夫紹介)(第五一一号)  同(不破哲三紹介)(第六二九号)  同(山原健二郎紹介)(第六三〇号)  同(吉井英勝紹介)(第六三一号)  消費税税率引き上げ中止に関する請願(吉田  幸弘君紹介)(第六二七号)  消費税率引き上げ中止生活必需品の完全非  課税に関する請願瀬古由起子紹介)(第六  二八号)  消費税税率引き上げ中小業者への特例措置  改廃中止に関する請願木島日出夫紹介)  (第六三二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 二月十七日  消費税率五%の引き上げ中止に関する陳情書外  二十件  (第九〇号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  平成九年分所得税特別減税のための臨時措置  法案野田毅君外九名提出衆法第八号)  地方税法の一部を改正する法律案野田毅君外  九名提出衆法第九号)      ────◇─────
  2. 原田昇左右

    原田委員長 これより会議を開きます。  野田毅君外九名提出平成九年分所得税特別減税のための臨時措置法案及び地方税法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、順次趣旨説明を求めます。村井仁君。  平成九年分所得税特別減税のための臨時措置法案     ─────────────  地方税法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 村井仁

    村井議員 私は、ただいま議題になりました平成九年分所得税特別減税のための臨時措置法案地方税法の一部を改正する法律案につきまして、新進党太陽党を代表して、提案趣旨説明します。  日本経済長期低迷にあえいでいます。その最大の原因は、経済構造改革を後退させ、実効ある対策を講じなかった自社さ政権が続いてきたことにあります。  とりわけ、橋本内閣無為無策ぶり我が国経済低迷に一層拍車をかけています。深刻な経済危機にもかかわらず、政府は、消費税率引き上げ特別減税中止社会保障負担引き上げにより、九兆円もの負担増国民に押しつけようとしております。連合試算によれば、年収七百万円の標準世帯では、消費税増税が五万九千円、特別減税廃止が五万四千円、社会保障料負担増が一万円で、合計すると実に十二万三千円の負担増となります。家計にとってはトリプルパンチで、リス トラや賃下げに苦しむ勤労者世帯には痛手であります。  国民火だるまにしておいて、そのかたわら、行政改革規制緩和財政改革などの一連の改革をすべて骨抜きにし、ばらまきと利権誘導を優先させ、歳出削減にも手をつけず、旧態依然とした平成九年度予算成立を強行しようとしている橋本政権姿勢は言語道断であります。さらに、住専への税金投入に見られるごとく、政府金融無策は不良債権問題を悪化させ、モラルハザードを助長し、いたずらに金融不安をあおっております。  失業率は過去最高水準に達し、勤労者は雇用不安に苦しんでいます。コストが高く、規制でがんじがらめの日本社会では新産業は十分育たず、企業は海外に逃げ、産業空洞化が進み、中小企業経営圧迫、倒産の危機に見舞われています。  経済改革を断行する意思と気概を見せず、日本を再びゼロ成長路線に転落させようとしている橋本政権に対して、市場はついに不信任を表明しました。株式市場は暴落し、円安が進み、異常な低金利が続いています。日本発金融混乱におびえて、世界は日本売りへと動いています。  政府平成九年度の実質経済成長率見通しを一・九%と定めていますが、民間五十六調査機関の予測は政府見通しを大きく下回る一・四%であります。ゼロ%台の成長を見込んでいる機関は六つもあります。消費税率引き上げ特別減税中止等を強行して、経済改革骨抜きにして、落ち込んだ経済に冷水を浴びせて、こんな甘い経済見通しを立てている橋本内閣姿勢は笑止千万であります。  新進党は、今日の経済危機を招いた橋本内閣の責任を徹底追及するとともに、経済構造改革緊急経済対策を断行して、国民の暮らしを立て直す  ことを訴えてまいりました。  我々は、将来的には、所得税法人税大幅軽減経済的規制撤廃緩和、公共料金引き下げ、中央省庁再編地方分権推進、国の事業補助金廃止特殊法人見直しなどの大胆な改革を断行する決意でありますが、まずは緊急対策として、消費需要の喚起、民間投資回復証券市場活性化土地流動化等を促進するための施策を講じることが先決であり、これこそが経済構造改革の礎であり、実質三%の経済成長軌道に乗せる道であると確信しています。  この考え方にのっとり、我々は、特別減税継続実施有価証券取引税及び取引所税撤廃地価税の凍結、法人長期所有土地等譲渡益に対する特別課税の不適用法人新規取得土地等に係る負債の利子の課税特例の不適用個人不動産所得に係る損益通算特例の不適用を盛り込んだ、経済活性化及び経済構造改革に資するために緊急に講ずべき税制上の措置に関する法律案を一たんは提出いたしました。  その後、労働組合や他の野党関係者の意見も踏まえ、最重点項目として平成九年の特別減税継続実施に絞り、改めてこの趣旨を盛り込んだ法案提出した次第であります。  次に、法案概要について説明いたします。  政府与党が打ち切った所得税及び個人住民税特別減税につきまして、平成九年についても継続することとします。特別減税の額は、所得税額所得割額の百分の十五に相当する金額とし、それぞれ五万円、二万円を限度として税額控除する従来方式を踏襲します。  なお、本案施行に要する経費でありますが、平成九年分所得税特別減税のための臨時措置法案におきまして、約一兆四千五十億円の減収を見込んでおります。  以上が、提出法案概要であります。  なお、我々は、将来的には、抜本的税制改革を進める中で、税率累進構造緩和人的控除見直し等を進め、特別減税を恒久的な制度減税に吸収するべきだと考えております。  また、減税財源につきましては、歳出について聖域を設けず大胆な見直しを図るとともに、公共事業における事業単価見直し優先順位明確化経常経費における不要不急経費の思い切った節減に取り組むとともに、足らざる部分は公債発行等も含めて、万全の措置を講ずるべきだと考えます。  この法案成立を図ることで、二つ効果が期待できると確信しております。  第一は、消費需要落ち込み防止による経済の一層の沈滞の回避であります。特別減税継続実施により、GDPの約六割を占める民間最終消費支出を下支えし、民間主導景気回復勤労者世帯生活立て直し支援等を図ることができると考えます。  第二は、消費税率引き上げによる逆進性解消であります。特別減税方式は原則として納税額一定割合を減ずる措置でありますが、高額所得者は五万円、二万円で打ち切りとなりますので、下に厚い減税であります。消費税増税の影響を大きく受ける中低所得者負担軽減にも資するものであります。  我が国経済の現状を憂い、経済活性化経済構造改革に真剣にお取り組みいただいている議員の皆様には、当然御賛同いただけるものと確信をいたしております。  提出法案を真剣に御議論いただきまして、速やかな成立をお図りいただきたいと存じます。  以上をもちまして、私の趣旨説明を終わります。
  4. 原田昇左右

    原田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  5. 原田昇左右

    原田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村田吉隆君。
  6. 村田吉隆

    村田(吉)委員 自民党村田吉隆でございますが、提案理由、ただいま承りました。後で議論をさせていただくといたしまして、この提案理由に書いておられることにつきまして、二、三、前提として御質問をしたいというふうに考えております。  まず初めに、「連合試算によれば、年収七百万」と書いてありますが、これは、標準世帯といっても、勤労世帯所得の配分を考えた標準的な世帯ではなくて、いわば税額の計算をするために置いた仮の姿であって、実際は、常識的に言って、標準世帯所得というのはもう少し低いんじゃないかというふうに思われるのです。だから、冒頭で、消費税増税が五万九千円とか、そういうのが何かかなり過大に出ているんじゃないかということは指摘をしておきたいというふうに思います。  それから、民間調査機関でございますが、政府ももちろんあれですが、円安の最近の状況、これは本当に最近急速に円安の方向に振れまして、だから、そういう意味では、こうした機関実質経済成長率見通しについて、現在では、とにかくその後の円安状況輸出産業所得がふえるということにかんがみれば、まあちょっと低目に出ているかなというふうにも考えるわけであります。  それから、三番目なんでございますが、法案成立を図ることでの効果ということで、「二つ効果が期待できる」、こういうふうに書いてありまして、一つは、消費需要落ち込みカバー、それからもう一つは、ちょっと僕はこれはわからないんでございますが、逆進性解消が図れる。我が自由民主党が、消費税を引き上げるに当たりまして、やはり低所得者の方への配慮というものをいたしまして、臨時福祉給付金とかあるいは介護福祉金とか特別給付金とか、そういうものを措置しまして、配慮を十分した、十分といいますか、とにかくそういうこともやった。だけれども、この第二の説だと、所得税を払っていない階層についての逆進性は全く解消されないわけだから、これもちょっと言い過ぎてやしないかなということでありまして、御指摘を申し上げさせていただきたいというふうに思います。  さて、昨日予算衆議院を通過いたしまして、きょうは本当に春めいて、我々もほっとしているところでございますけれども、昨日私どもの手元 に自民党幹事長談話が、「平成九年度予算衆議院通過にあたっての幹事長談話」というものが回ってまいりました。多分野党皆さん方新進党皆さん方のお目に触れることは少なかろうと思いますので、ちょっと私が御紹介を申し上げたいというふうに思います。   平成九年度予算衆議院会議で可決され、本日、参議院に送付できたことは誠に喜ばしいことと考えております。   わが国の財政は、平成九年度末に公債残高が約二百五十四兆円をうわまわる見込みであり、最悪の状況にあります。そのような中、本予算は、四兆円を超える公債減額を実現するなど、財政を健全にするための第一歩となる財政構造改革元年にふさわしい予算であると思います。   予算審議の終局にあたって、与党三党は本予算の効率的な執行や費用の節減について合意しつつ、素早く予算を通すことが国民生活景気のために大切であるということで一致し、通過できたことに安堵感をもっております。   与党三党は、引き続き財政構造改革を強力に推し進め、一切の聖域を設けることなく、歳出改革節減を求め、目にみえる成果を上げていきたいと考えております。   これまでの審議をふりかえると、新進党の公約である「十八兆円減税」の財源問題について、小沢党首自ら論争を避けたことが要因となって、全体として政策論争が低調だったことは残念であります。   しかしながら、個々の審議を見ると政策論争の萌芽が生まれているのも事実であり、今後の活発な審議に大いに期待したいと思います。   また、審議ストップが一度もなく能率よく審議できたこと、予算委員会を開きながらも主要閣僚国際会議に出席できる慣行ができたことは評価される点であります。   いずれにしても、本予算参議院における審議がまだ残されており、また介護医療保険制度改革法案大蔵改革日銀法改正法案外為法案など六大改革のスタートを切る重要法案審議も目白押しであり、与党三党は一致結束して一層謙虚な姿勢で今国会を乗り切っていく決意です。  そういうことで、いよいよ予算が通りまして、皆さん方構造改革なき増税予算だとおっしゃっていたその構造改革の方に焦点を移していくという、そういう態勢ができたというふうに私どもは考えております。  こういうことで、本日は、一部の新聞で、この税特会議消費税引き上げの反発を和らげるためのポーズであるなんていう、そういう批判も書いてありましたけれども、本委員会審議を通じて、そうした我々が共通に抱えている問題点について審議を行っていきたいというふうに考えております。  まず第一でございますけれども、ひとえに、この減税法案継続が必要かどうかというのは、政府新進党を初めとする野党皆さん方との景気に対する見方の違いだろうというふうに思います。しかし、根本的なところでは、新進党さんの昨日の動議に対する発言等を聞いておりましても、減税をやめることが景気回復の足を引っ張ることになるのではないかという、そういう発言でございますから、今我が国経済がトンネルを抜けて景気回復の途上にあるという認識は、新進党さん、太陽さんもお持ちのことだろうと私は思います。  そこで、政府の方に改めて聞きたいというふうに思いますけれども政府の方は、追加的な減税策を講じなくても、しかも景気回復を失速させることなく、財政再建という目的の両立を図ることができるんだということで考えておられると思いますが、まず初めに、政府景気の現状に対する認識をお伺いをいたしたいというふうに思います。
  7. 新保生二

    ○新保説明員 景気の現状に対する御質問でありますので、御説明いたします。  最近の経済動向を見ますと、まず、内需は、緩やかながら堅調に推移しているというふうに評価できると思います。設備投資は、資本ストック調整が終わりましたし、企業収益は改善してきておりますので、回復傾向にあります。それから、住宅建設は、消費税率引き上げを控えた一時的な変動もありましたけれども、基本的には低金利が継続しているということで、非常に高い水準で推移しております。それから、個人消費も、雇用や所得が増加しているということを背景に、特に家電とか自動車、耐久消費財等を中心に緩やかな回復傾向にあるというふうに判断をしております。それから、これまでどちらかといえば景気の足を引っ張る方向に作用してきました純輸出でありますが、これも円高是正のおかげでこのところ横ばいに推移してきているということであります。  ということで、全体的には景気回復の動きを続けている、民需も堅調に推移しているというのが結論であります。
  8. 村田吉隆

    村田(吉)委員 それでは、お待ちでございますから、村井先生に景気の認識に対しての質問をいたしたいと思います。
  9. 村井仁

    村井議員 私ども、先ほど私ども趣旨説明で申し上げたような基本的な認識でございます。  答弁の分担を決めておりますので、鈴木淑夫議員から答弁をいたします。
  10. 村田吉隆

    村田(吉)委員 それじゃ、鈴木先生、短くお願いします。
  11. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)議員 今企画庁から御説明あったのは、景気の足元の話ですね。私どもが心配しているのは、ことしの四月以降の九七年度の話です。  足元で確かに設備投資が回復しており、住宅投資、消費も伸びていますが、住宅投資と消費の中には消費税引き上げ前の駆け込みがありますから、四月以降はその反動で、間違いなく、住宅投資は減少に転じますし、消費も一時的に減少するだろうというふうに思うわけですね。  それから、本年度は、政府経済実績見込みで個人所得が一・八%伸びる、こう言っているわけであります。ところが、来年度四月からいきなり九兆円の国民負担増が来るわけですね。これは国民所得の二・三%ですよ。一・八しか伸びていない国民所得に向かって二・三%の負担増が来るんですから、四月以降は、現在の足元の消費の動向とはがらっと変わってくる。私どもはそこを心配しているのですね。だから、来年度の上期は恐らく、よくてゼロ成長だろうなというふうに見ております。そこから下期に向かっての投資マインド、消費マインドの冷え込みが起きたら大変じゃないか、こういう経済危機を心配して、せめてこの二兆円の特別減税ぐらいは延長しようと言っているわけであります。
  12. 村田吉隆

    村田(吉)委員 足元はまあまあ堅調。だから、四月以降どうなるか。消費税の引き上げもあるし、それから減税も落ちるし、そのほか、もしかしたら医療費の負担増もあるかもしれないという中で、やはりそれがみんなの心配なんだろうというふうに思います。  何といいますか、そうした駆け込みもありますけれども、現下の状況の中で、例えば自動車なんかも今一生懸命、消費税上がるからというので駆け込み需要をあおっているということがありますけれども、やはりいろんな価格を引き上げたときのショックというのは一時的で、吸収されていく可能性がある。ただ、一・八%しか個人所得が伸びないから、そんな余裕はないぞという御指摘だと思いますけれども、しかし、私は、そういうので一時的なショックにとどまるのではないか。  ただ、大抵のところが、年度がかわって上期半期ぐらいは、要するに、やや落ち込むかもしれないという見通しを立てているところが多いんだというふうに思いますが、四月以降のいろんな財政政策といいますか、消費税の引き上げ等々、これによるデフレ効果ということについて経企庁にお伺いをいたしたいというふうに思います。
  13. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 ただいま御答弁もありましたように、我が国経済の現状、民間需要は堅調に推移しておりまして、景気回復の動きを続けているところでございます。  平成九年度におきましては、平成六年秋の税制改革の一環として消費税率が引き上げられることになっております。しかし、このように景気回復の動きを続けている現下の経済状況を踏まえまして特別減税も実施しないこととしているわけでございますが、このような措置の影響も織り込んだ上で、政府経済見通しでは、来年度経済の姿につきましては、民間需要を中心として自律的な回復が実現される、持続的成長への道が開かれてくるというふうに見込んでおります。したがいまして、実質経済成長率も一・九%程度になるとされているところでございます。  なお、今回の税制改革でございますが、まさに中堅所得者層の勤労意欲を高め、急激な少子・高齢化が進む我が国経済社会を活性化しようという意味で、中期的な構造改革であるということも述べさせていただきたいと思っております。
  14. 村田吉隆

    村田(吉)委員 さて、雇用なんだと思いますけれども新進党さんも太陽さんもあるいは野党皆さん方含めまして、やはり労働組合等々から雇用の状況について、これは何とかしてくれという御指摘があることも事実だと思うのです。それから、今、鈴木先生もおっしゃったように、個人所得の伸びも小さくとどまるだろう、そういう見通しもあるわけでありまして、雇用の状況についてどういう状況にあるか。  完全失業率は、三・五%というピークの後、数値的には三・三ぐらいでちょっと下がったようでございますけれども、家庭にとりましても、やはり新卒者の雇用が確保されないとかいろんな問題が、今の社会あるいは経済に対しての漠とした将来に対する不安感を持たざるを得ない状況にあるということも事実でありますから、その雇用情勢を含んだ個人所得の伸び等についても、重ねて御説明を賜りたいというふうに思います。
  15. 新保生二

    ○新保説明員 それでは、雇用の現状それから見通しについてお話をしたいと思います。  御指摘のように、完全失業率がまだ高くて、その意味では非常に厳しい状況は続いておりますが、ほかの雇用関係の指標を見ますと、かなり堅調に改善してきているというのが大きな動きであります。まず、雇用者数の伸びが非常に堅調でありますし、それから、有効求人倍率も去年以降一貫して改善してきておるという動きが見られます。日銀短観等の動きを見ましても、大企業ではまだ雇用の過剰感が大きいわけですが、中小企業に関しては、八月以降雇用が不足しているという企業の方が多くなってきております。これは、十一月それからことしの三月にかけても、不足と見る企業の方がふえていくという動きになっております。  したがって、今後もこうした動きが継続していくものというふうに期待しておりまして、平成九年度の見通しにおきましても、雇用情勢は緩やかに改善を続けていくというふうに見ております。
  16. 村田吉隆

    村田(吉)委員 年度が変わったところの見通しについて、政府側と新進党さん側との大幅な差があるわけでありますけれども、何か御意見があったらどうぞ。鈴木先生お願いします。
  17. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)議員 簡単に申し上げますが、さっきも言いましたように、九七年度の上期というのは、よくてゼロ成長だと思いますよ。四−六はマイナス成長でしょうね、間違いなく。七−九に上がって、年度上期、ゼロ成長です。ゼロ成長の中で雇用が悪化しないわけがないですね。  だから、今は確かに三・五にいったのが三・三まで下がったかもしれないです。これは本年度の上期のスピードを反映しているにすぎない、遅行指標ですから。しかし、来年度も引き続き順調に雇用情勢が改善するなんというのは、全く考えられないですね、ゼロ成長のもとで。
  18. 村田吉隆

    村田(吉)委員 これは臨時国会からずっと予算委員会も通じて、まだ本日は参議院予算委員会でもこの論議はしているわけでございますから、何というか、この見方については差がある。  私どもは、円安効果、これはやはり高く評価していかなきゃいけないということなんだろうというふうに思います。ただ、株価も落ちついたし、ひところの不安定状態というものが多少落ちつきになってきたということは、そういう意味では、不良債権の問題について、去年の今ごろは新進党さんと大幅な──ピケまで張られたわけですから、公的資金の投入を含めて、そういうことでありました。そういう意味では、景気の見方をめぐってマイナスとプラスの評価というか、見通しの差がある。  だけれども、政策的なその他の点については、構造改善を含めても、ペースが速いかどうかとか、これから内容については議論があると思いますけれども、私どもそして野党さん含めて、政策的な幅の違いというか、白か黒かというようなものは多少狭まってきたかなという感はするわけでございます。  しかし、私ども、できるだけこういう財政状況のもとで財政再建と景気回復の両立を図りたい。新進党さんのように、とにかく景気回復がなければ財政再建なしという言葉はもちろんわかるし、その点については異論はありません。しかし、私どもは、一方において財政再建というのも急務であるし、重要事項であるし、そういう意味で、減税継続というのはやらなくても自律的な景気回復というのが可能であるというふうな見地に立ちたいと考えております。  一番大事なことは、残りましたことは、やはり不良債権の処理なのだろうというふうに思います。予算委員会を通じまして、金融債の場合にはどうするか、そういう話も出まして、そこは非常にグッドタイミングだったなというふうに考えております。だから、どうかこの問題は、日本の全体の金融システム、あるいは経済の血液でありますお金の流れが滞らないように、ことしはそういう意味では協力をお願いをいたしたいなというふうに思います。  それから、最後になりますが、税制についてですけれども、盛んに新進党さんの方は公共事業景気回復に余り効果がないと。それは、公共投資が効果がないと言われるのか、従来型の公共投資だから効果がないとおっしゃるのか。それで経企庁に伺いますけれども減税公共事業と、これの景気回復に対する効果の現時点での評価というものを改めて御説明をいただきたいというふうに思います。
  19. 新保生二

    ○新保説明員 公共投資と減税の乗数効果についてお尋ねですので、お答えしたいと思います。  公共投資は、それ自身が需要となるという効果がありますし、それから乗数効果を通じてその他の需要を拡大させていくということで、経済にプラスの効果を及ぼすものであります。他方、所得減税も、個人の可処分所得をふやして消費を刺激するというプラス効果が期待できます。モデル等で試算しますと、短期の需要拡大効果については、公共投資の乗数の方が所得税減税効果よりも乗数が大きいということが得られておりますので、やはり一般的には公共投資の方が乗数効果は大きいというふうに考えられます。
  20. 村田吉隆

    村田(吉)委員 そういうことで、減税も、平成六年度から大幅な減税を始めまして、五・五兆円、それが一部恒久減税に組み込まれて、それであの二兆円という減税平成七、八年と続いてきたわけですね。そうしてみますと、私は所得税減税のなれといいますか、消費者に対してのなれというものがもう生じているのではないかというふうに思いますから、その意味でも減税効果というものは大変低くなってきているのじゃないかというふうに思わざるを得ないと思いますが、村井先生、いかがでしょうか。
  21. 村井仁

    村井議員 私は、ここで二兆円からの減税が取りやめになるということは、やはり消費マインドを非常に冷やす危険があるのだろうと思いますね。  非常にストレートにお答えいたしますと、なれとおっしゃいますけれども、やはりこの局面で、これはもう繰り返しになりますけれども消費税で約五兆、そして特別減税廃止で二兆、さらに保険料等々の負担がふえるというようなことになりますと、これが可処分所得に及ぼす影響という ものは非常に大きいわけでありまして、これが消費を冷やさないはずがない。私は、税というのは、やはり国民の生活に最も大きな影響を及ぼすものでありますから、慎重の上にも慎重でなければならない。とりわけて、ことしも、例えばベースアップとかなんとかいう話になりますと、各企業ともリストラとか、いろいろな意味で深刻な状態であります。そこを考えますと、先ほど来鈴木議員からも答弁を申し上げておりますように、四月以後の経済の先行きにつきまして非常な懸念が持たれる今、せめてこの二兆円の特別減税ぐらい継続する努力をするのはいかがかというのが私ども提案であるということであります。  なお、ちょっと付言させていただきますと、先ほど御指摘のありました、標準世帯というのは七百万円というレベルではないだろう、それは確かにそのとおりだろうと私も思います。ただ、臨時福祉給付金などで消費税逆進性につきましての手当てをした、こうおっしゃられると、それは税を払っていない方々に向けての配慮であって、それはそれなりに一定の理解を私どももしますけれども、しかし、税の世界で消費というのは、やはりどちらかというと比較的低い所得の方々のところでいわゆる逆進的な影響があり得るわけでありますから、そこのところで減税が行われる、これはそれなりに埋め合わせる効果があるということを申し上げたということであります。  まだいろいろ申し上げたいことがございますけれども、とりあえず今の問題につきましてお答え申し上げました。
  22. 村田吉隆

    村田(吉)委員 最後のお答えですけれども、私はさっき、逆進性解消効果があると大きくうたうにはちょっとおこがましいかなという気持ちで申し上げたのでございまして、特に他意はございません。  いずれにしましても、減税については、私ども減税廃止しても民需を中心とした自律的な経済回復ができるという観点に立って減税継続をしないということをしたわけであります。  予算も昨日衆議院を通過いたしまして、いよいよ我々、皆さん方に御批判をいただいた構造改革に本腰を入れて進んでいきたいというふうに思います。先ほど申しましたように、民主党さんも改革を一生懸命やろうという、そういう意気込みをお持ちでございますから、どうかひとつ、この改革を進めるに当たっては、新進党さん、太陽党さんのお力添えを切に賜りたいというふうに思います。粟屋先生、何かございますか。
  23. 粟屋敏信

    粟屋議員 ただいま村田先生から、私どもに対する御協力の御依頼がございました。私も予算委員会の総括質問で申し上げましたけれども、橋本総理がおっしゃる六つの改革、これは日本の将来にとってどうしてもやらなければならないことである、橋本内閣が真っ正面からお取り組みいただければ我々も御協力を申し上げるということを申し上げたわけでございまして、そういう方向で私たちも努力をさせていただきたいと思います。
  24. 村田吉隆

    村田(吉)委員 じゃ、村井先生。
  25. 村井仁

    村井議員 行財政改革というのは、日本がどうしてもこの段階でやらなければならない最大の課題だと私どもも思っております。そういう意味で、もとより新進党もそのために全力を挙げてまいるつもりでございますけれども政府与党におかれて本当にどれだけやる御意思があるのか。不要な規制を温存して、いわゆる機構いじりに終始したり、あるいは政官の癒着を隠すというようなことをしていったのでは、これは本当に私は後世のために取り返しのつかないことになるおそれがあると思っております。そういう意味で、真の行財政改革をお互いに協力して進めてまいりたい、このように思う次第でございます。
  26. 村田吉隆

    村田(吉)委員 どうもありがとうございました。ぜひとも御協力を賜りたいというふうに思います。  質疑を終わります。
  27. 原田昇左右

    原田委員長 次に、岸田文雄君。
  28. 岸田文雄

    ○岸田委員 自由民主党、岸田文雄でございます。  このたび新進党の皆様方そして太陽党の皆様方、特別減税継続するという内容の法案提出されたわけでありますけれども減税をするということ、あるいは減税継続するということ、税金を納める側にしてみれば歓迎しない人間はいないと思うわけでありますが、問題は、減税継続がどれだけ意義があるのか、あるいは景気に対してどのような影響が出るかという減税景気との問題、そして財政上この減税継続が許されるかという減税財政との関係、この二つを勘案した上でやるべきかどうかを判断しなければならないと思うわけであります。  先ほど我が党の村田委員の方からは、主に減税景気との関係につきましてお伺いさせていただいたわけでありますから、私は、主に減税財政との関係につきましてお伺いさせていただきたいと存じます。  まず、今回の特別減税継続法案を出されました新進党太陽党の皆様方に財政との関係においてそれが可能かどうかをお伺いする前に、政府の方に、現状の財政に対する認識、取り組み、あるいは将来への考え方、このあたりについてちょっと確認させていただきたいと存じます。  そもそも財政赤字というものがなぜ問題かということにつきましては、例えば経済白書によりますれば、現状のままでは、我々の子供たちは私たちよりも一世帯当たり一千三百万も多くの税や社会保険料を負担しなければならないとか、あるいは昨年のIMFレポート等では、公的債務残高が長期金利の上昇をもたらし、成長を緩やかなものにしてしまうというような指摘やら、膨大な財政赤字はインフレや為替への悪影響からも国民生活の水準を引き下げるというような指摘が盛り込まれているわけでありまして、単に受益と負担のアンバランスというようなレベルにとどまらずに、しっかりとした財政赤字に対する問題意識の必要性を感じるわけであります。  それで、まずは議論の取っかかりとしまして、我が国財政は主要先進国中最悪だという指摘を受けているわけでありますが、その状況に至りました経緯、要因、政府の認識としてその辺をどう考えておられるか、簡単にお示しいただけますでしょうか。
  29. 林正和

    ○林(正)政府委員 お答え申し上げます。  財政悪化の問題は、先生御案内のとおり我が国だけでございませんで、現在それぞれ財政再建に必死になって取り組んでおります欧米主要国共通の問題でございます。  これらの国々において財政が悪化した原因というのは大きく三つ言われております。一つは、低下傾向にある成長率、二つ目が、人口の高齢化等財政を取り巻く状況の変化、それから三番目に、社会保障分野に見られますように、政府の役割の増大に伴います歳出の拡大、こうしたことが挙げられております。  我が国財政が悪化してきたのも基本的には同様の事情があると考えられますが、加えて、御案内のとおり我が国の場合、バブル崩壊後に累次にわたって財政による景気の下支えを行ってまいりました。この間いろいろ財政健全化の努力もしたわけですが、過去六年間で、約百七十兆余りだったものが二百五十兆を超えるということで、八十二兆国債がふえております。この結果、バブル経済の崩壊前には我が国財政、先進諸国の中ではむしろよい方の部類であったわけですが、御指摘のように、今や欧米諸国に比べまして最悪になったというような状況でございます。
  30. 岸田文雄

    ○岸田委員 今のお答えの中にバブル崩壊後の財政出動の話が出ておりました。その間の政府の対応、財政出動に関しましては意見の分かれるところでありますが、デフレスパイラルに対する懸念等を考えれば必ずしも無意味ではなかったと私は思っております。しかし、結果といたしまして、税収の減少等と相まって、この財政出動が財政を悪化させてしまったということは間違いないところだと思うわけであります。  そこで、この財政出動ということに関しまして、財政制度審議会という審議会の中に財政構造 改革特別部会という部会がございます。この部会におきまして、昨年十月に海外調査報告というのを出されておられます。その中で、諸外国では、短期的な景気刺激策として財政出動は行われていないという報告をされておるわけであります。主にドイツ、フランス等を例に挙げられまして、そのような報告をされておられます。そして、昨年十二月にこの部会が最終報告を出されたわけでありますが、この最終報告の中に、欧米諸国の経験に照らして、こうした過度に財政に依存した経済運営については見直す時期が来ているという報告を出されておるわけであります。  短期的な景気刺激策としての財政出動ということに関しまして、今後の財政運営において大蔵省はどのようにお考えになっておられるか、確認さしていただきます。
  31. 林正和

    ○林(正)政府委員 先生御指摘のように、財政制度審議会で御指摘のような報告が取りまとめられたところでございます。  これまで我が国景気対策のために公共投資の大幅な追加を行ってまいりましたけれども、欧米諸国は、むしろ規制緩和などを通じて市場機能を活用をしているというように承知をしております。  我が国危機的な財政状況を考えますと、私どもとしても、これまでのような過度に財政に依存をした、頼った経済運営については見直しに努めていく必要があるだろうというように思っております。
  32. 岸田文雄

    ○岸田委員 短期的な景気対策として財政出動、公共事業と言ってもいいでしょうか、はどうあるべきかについては、この辺意見の分かれるところでありますが、少なくとも社会資本の充実という見地からは、私はやはり公共事業財政の出動というものの意義は感じております。  最近、公共事業につきまして、いろいろなところで話題になります。いろいろなところで話が出てくるわけでありますが、ややもしますと、勢い余って、財源といいますと必ず公共事業を削ればいいとか、それから公共事業すべてがむだ遣いだと言わんばかりの議論がまかり通っていること、これはどうも奇異に感じますし、どうもいかがなものかなということを思っておるわけであります。  私、生活関連の社会資本の充実に努めなければいけない、これはもう当然のことでありますけれども、要は、企業が国を選ぶと言われるような大競争時代に今あるということを考えましたときに、同じ公共事業といいましても、経済構造改革に資するような社会資本の充実は特にこれからまた力を入れていかなければいけない、そのように考えるわけであります。そうしなければ日本の国自体が選別される時代が来てしまうのではないか。そういったおそれからも、この公共事業というものは決してないがしろにできない、軽んじてはならないというふうには思っておるわけであります。  事実、昨年の十二月ですか、閣議決定されました経済構造の変革と創造のためのプログラム、このプログラムにおきましても、経済構造改革に資する社会資本の整備、これは大切であるということを指摘されまして、具体的には、人流、物流あるいは情報通信あるいは都市活動、研究開発に資するような社会資本の充実、公共事業を推し進めるということ、この重要性を指摘しておるわけであります。こういった種類の社会資本を進めることによりまして、経済成長率を高めることにもつながるでしょうし、それから歳入の増加にもつながる。公共事業に関しましては、私もそのように思っております。  しかし、一方で、現実の公共事業を見た場合に、まだまだ効率化を図らなければいけないと思う部分も多々あるのは事実であります。そこで、政府の方にお伺いしたいのですが、平成九年度の予算におきまして、公共事業の効率化に向けて何か対応をとられましたでしょうか。その点いかがでしょうか。
  33. 林正和

    ○林(正)政府委員 公共事業、これは社会資本を整備していく上で必要な予算でございますが、他方、投資効率が低いとか、あるいは縦割りに伴います重複投資が多いとか、あるいはコストが高いとか、こうした意味でむだが多いとの御指摘があることは私どもも十分承知しております。  したがいまして、九年度予算におきましても、こうした御指摘にできるだけこたえようということで、公共事業の投資効率を高めていくという観点から、従来からやっているところですが、さらに具体的に幾つか例を申しますと、一つは、新しい調整費の創設によりまして、省庁の枠を超えた事業間の連携を強化する。あるいは二つ目には、具体的な数値目標を設定した公共工事のコストの縮減計画、これをこの八年度内に策定するということ。あるいは、費用対効果分析の導入によります客観的な評価手法、こういうものにできるだけ徹底した研究をしていこうということ。あるいは四番目に、事業実施箇所数、これをできるだけ絞り込みまして、工期の短縮といった公共事業の効率的、効果的な実施のための施策を実施しているところでございます。  今後とも、私どもとしては、むだが多いというような批判を受けないように関係省庁と十分連携をとってまいりたいと思います。
  34. 岸田文雄

    ○岸田委員 ぜひ引き続きまして、その努力を続けていただきたいと存じます。  しかし、いずれにしましても、この閣議決定されました財政健全化目標に沿いまして、痛みを伴った努力が引き続き必要だと思うわけでありますが、きょうは中村政務次官お越してございます。政務次官、財政構造改革会議のメンバーだとお聞きしておりますが、この努力を具体化するために財政構造改革会議をどのように進めていくおつもりか、一言お伺いできますか。
  35. 中村正三郎

    ○中村(正)政府委員 財政構造改革会議、今ちょうど三回目の会議が行われたところでございますが、そこまで至る経緯でありますけれども財政赤字、世界の先進各国、同じような状況にあるわけであります。釈迦に説法で委員に御無礼かと思いますが、我が国公債残高二百五十四兆円になるであろうということ、そして、高齢化社会に向けていろいろな費用が増大してくるけれども、また貯蓄が下がってくるであろうとか、この財政赤字の累増が利払い費の増強を招くであろうとか、また、こうしたことによって弾力的な予算の使い方ができなくなる。また、公債の発行が増加すれば将来に大変な負担をかけるというようなことがございます。  そういう中で、身近なことは今主計局次長が話されましたけれども、世界各国同じなのは、やはり高齢化の進行と、それから医療だとか年金の社会福祉的な費用の増大にあると思うのですね。これを長期的に分析したものがよく言われますけれども経済企画庁だとか通産省でありますとか、それから大和総研でありますとかのものがよく出ますけれども、これらの今の制度をこのまま続けていった場合の推計を見ますと、やはりすべて借金が借金を生んで、発散という言葉を使いますけれども、破綻をするというような結果が出ているわけであります。  そういう中で、来年度の予算も大変厳しいものを組んだわけでありますから、それにしても七兆数千億の赤字国債をやる、出さなければいけない、プライマリーバランスをやっと合わせたという中で、政府といたしましては、今委員言われましたように、大変な努力をして財政の健全化をすることが将来に向かって喫緊の課題であろうということで取り組んでいるわけでございます。十二月に閣議決定いたしました財政健全化の目標に向けまして今行っているわけでございますが、財政再建法という仮称のものがございますが、骨格を含めて、歳出改革と縮減の具体的方策について今検討を行っているところでございます。  また、今後の会議の進め方でありますけれども歳出改革と縮減の各論を論議する際の基本的考え方を取りまとめた上で、四月いっぱいをめどに各省からヒアリングをして、六月中には結論をまとめたい。大蔵省といたしましては、この会 議における議論が国会のみならず国民の間の議論につながってくることを期待しているわけでございまして、その成果をこの十年度の概算要求段階から反映させて、法制化すべきものについては財政再建法案としてできるだけ早い機会に国会にお諮りしたいと考えている次第であります。  減税のことに関しましても、今こういう状態で減税をしようとすれば、それは赤字国債につながるものになる。やはり私ども財政の健全化をすることがまず第一であるというふうに考えております。  私見でありますけれども日本の貯蓄が非常に高い、千二百兆というようなことが言われておりますけれども、そういったものがなかなか消費支出に回ってこないというのも、やはり将来に対する財政赤字だとか制度の破綻だとかいうことの心配があるからそういうことが起こってくるのであって、私はやはり今、日本の将来の財政がきちっとできるんだということを示していくことが一番大切なことだと思っているわけでございまして、政府としてはそういう方向で進んでいるわけでございます。
  36. 岸田文雄

    ○岸田委員 今、政務次官の御答弁の中に財政再建法のお話も出てまいりましたが、大蔵大臣も秋の国会に向けて財政再建法の制定、前向きだというお話があります。大変興味深く見ております。ぜひこの財政再建法の考え方、しっかりと中身を論議していただき、前向きに考えていただければというふうに存じます。  新進党の皆様方、太陽党の皆様方、大変お待たせいたしました。一応、最初、財政赤字の問題点、それから問題意識についてちょっと申し上げさせていただき、その後、昨今の議論を聞いておりまして、経済の活力を再生することを優先させるか、あるいは財政の再建を優先させるか、この二つの哲学のぶつかり合い、至るところにこういった哲学のぶつかり合いというものを感じる次第であります。そして、難しいのは、どちらか一つをとればいい、白黒はっきりすればいいというのではなくして、このぶつかり合いの上でどのあたりにバランスを求めるか、これを我々特に政治にかかわる者は判断しなければいけない、このあたりに大変大きな責任と難しさを感じるわけであります。  そして、そういった議論の中で、先ほど景気減税との関係につきまして、村田委員の質問の中においていろいろやりとりがございました。あの景気に対する考え方を踏まえ、そして政府として今どのような取り組みをしているか、どのような考え方に立っているか、お待ちいただいている間聞いていただきましたとおりでございます。そして、そういったスタンスに立ち、そういった認識に立ち、努力をした上で、判断として特別減税継続するのは考えられないということに、政府そして与党としても至ったというわけであります。  それに対しまして、このたび、新進党の皆様方、太陽党の皆様方、特別減税をということを主張され、法案を出されたわけでありますが、まずこれは、基本的な当たり前のことでありますが、特別減税継続する場合、この財源をどう手当てするかということ、だれでも思うところであります。そして、歳出削減によるならば、その具体策を示すべきであるとだれもが思うところであります。  先ほど、趣旨説明の中に一応その部分触れておられたわけでありますが、これは、一般論ではなくして、やはり責任ある具体的な財源、そして歳出削減、具体的にどの規模、どの割合で、どういった形によってそれを捻出するのか。これは、責任ある回答がどうしても必要になってくるわけであります。一般論ではなくして、より具体的にそのあたりについて御説明をまずいただけますでしょうか。
  37. 上田清司

    ○上田(清)議員 お答えします。  岸田委員、認識の問題からスタートしましたので、私どもも、少し認識についてもお答えをする部分があるかと思います。  先ほど財政制度審議会の部会の報告を述べておられました。おっしゃるとおり、社会資本の充実も必要だ。一方では、財政出動というのが限界があるのじゃないかという御指摘がありました。これは、我々の主張するところの、むしろ財政出動よりも減税を通じて消費を喚起する、そういう形で民間の需要をふやすという形での考え方をある意味では述べているのじゃないかなというふうに、私は逆に受けとめたような次第でもありますし、事実、先ほど主計局の次長にお聞きされまして、公共事業の効率化について、一点でも何かいいことできたかと言ったら、まだまだ検討中と言っておられるでしょう。何一つ具体的にできたというのはないでしょう。  それだって、御承知のとおり、財政制度審議会の中にも、毎年毎年、歳出の削減合理化の方策に関する諸施策の報告がありますし、予算編成に関する建議の中でも、これだけ縮減しろというようなことも言っているし、平成七年に至っては、公共工事の建設費の縮減に関する行動計画まできちっと出ているわけですよ。日米欧の比較で三割高い、日本が。  そういうことに一つも切り込むことなく今日の事態に至っているということを、やはりきちっと認識した上で考えていかなければいけないのじゃないか、私はそう思うわけであります。  御承知のとおり、九兆円のいわば実質的な増税。そして四兆三千億のいわば国債の減額、これはこれで評価いたしますが、一方では二兆円の隠れ借金をふやしておりますから、実質的には二兆三千億の削減にしかなっていない。  こういう状況の中で、どうすれば本当に歳出カットができるかというと、思考回路をもう変えなければいけないと思っているのですよ、私たちは。積み上げ方式でずっとやっていけば、ここも減らせない、ここも減らせない、そういうことではどうにもならない。まず、極端なことを言えば、無責任という言い方をされますけれども、二兆円減税ありきということの方が、むしろ今では大事だというふうに思います。  あるいは御承知かもしれませんが、私は、吉野屋の牛丼が実は好きでございまして、よく食べているのですけれども、ここの価格設定のことについて、今の日本政府予算編成に対して非常に重要な意味を持った示唆を与えていると思います。  というのは、当時、吉野屋の牛丼を発売したときに、コーヒーを飲んでも昼飯が食える。昼飯は食べたい、コーヒーも飲みたい。その価格設定は三百円、当時。その三百円にするには、どういう仕入れをすればいいのか。どういう流通経路をとればいいのか。どういう人員配置をすればいいのか。どういう店舗展開をすればいいのか。そういう仕掛けで、この吉野屋の牛丼の三百円というものができていた。  日本の公共料金は全部その逆なんですね。電気料金一つとっても、最初に七・二%の適正利潤を考える。それから設備投資だ何だかんだやっていくから世界の中で一番高い電気料金になって、産業コストが高くなって。大体この公共料金だって、大前研一先生に言わせれば、四〇%の消費税だ、実質的に日本は。物価が高いと言うのです。  こういうことについて切り込むことなく、幾ら、皆さんが言うように、我々は歳出カットを頑張っていますと言っても説得力ないのです。だから、私は、むしろ二兆円減税、これをきちっと出して、その上でそれに見合う歳出カットを政府が責任を持ってやっていく、こういう姿勢がないとだめだ。  基本的に財源について言えば、もうむちゃほどありますよ。しかし、それを言う前に、過去に財政制度審議会等々で言われてきたさまざまなことをなぜできないのだということをむしろきちっと言うべきじゃないかということを、まずお答え申し上げます。
  38. 岸田文雄

    ○岸田委員 今のお話で、努力が引き続き必要であるということ、それは当然のことでありますが、今何をすべきかということで、まず二兆円減税ありきということだというお話だったわけです けれども、今私の質問としましては、現実に二兆円減税を主張されておられるわけですから、それなりに財源というものを一応想定されておられると思うわけであります。やってみたら何とかなるというような無責任なことは、間違っても考えておられないと私は思いますので、説明したらできますとおっしゃいましたので、ぜひ、もう少し詳しく具体的にお話しいただけますでしょうか。
  39. 村井仁

    村井議員 具体的に、どこをどれだけ削れば二兆円出てくるというお話は、私どもの方は、この御提案の中ではいたしておりません。それは、与党の間で、昨日決まりました予算に関連しても、今国会の終わりまでに一層の歳出削減のための努力をする、こういうふうにお決めになったと承っております。そういうことが何かできるのでしょう。そして、与党の一翼を担われるとされる社民党におかれては、二兆円を超える削減が合意されている、その中には含まれているというふうに御理解がある、このような報道がされている。  私は、いずれにしましても、過去、例えば一般歳出でも、年度の終わり近くになりますと、補正予算の財源にするために、一律何%の節約とかいうのをかけているわけですよ。そういうようなわけで、結構これ、やれるのです。  そういう意味で、これは決断の問題であるということを申し上げているわけであります。私は、減税財源がないとかなんとかいうのは、ある意味では、提出した予算案を審議中、一切いじることをしたくない、こういう姿勢を示しているにすぎないのでありまして、先ほど来申し上げております現在の経済状況についての厳しい認識であるとか、あるいは国民の生活の状況に対する理解、あるいは政治のリーダーシップ、それについての柔軟な姿勢、こういうものがあれば対応は可能だろうと思っております。
  40. 岸田文雄

    ○岸田委員 どうも先ほど来質問と答えが食い違っておるようでありまして、要は、与党とかそれから政府とかいうお話は聞くわけでありますが、その与党政府、これはまたそれなりに努力しなければいけない、それは当然のことでありますが、今現にこの委員会で論議しておるのは、新進党の皆様方、太陽党の皆様方が提出されている法案特別減税を一年間継続するという法案、これについて今質問しておるわけでありますから、提案された皆様方に、与党政府はともかくとして、御自分の信念として、お考えとして、何かもう少し具体的なお考えがあるのではないかと私は思っておったのです。  二兆円という努力目標、やれば何とかなるというようないいかげんな話ではないと私は信じておりますので、その点、委員会の短い時間とはいいながら、もう少し何か我々にアイデアを、お考えを聞かせていただくわけにはいきませんでしょうか。
  41. 上田清司

    ○上田(清)議員 たくさん出したいこともありますが、余り言ってしまうともったいないもので、少しだけ。  例えば、特殊法人に対する補給金あるいは補助金、出資金等々について、御承知のとおり二兆円以上、これだけでもございますね。それから国有財産の売却あるいは政府金融機関等の民営化による出資金の返還、こういったものでも大体、斎藤精一郎先生たちの研究グループだけでも二十五兆円からあります。こういうのに切り込まないのか。それから、さっき言ったように公共事業の三割高いという部分に切り込むだけでも二兆円なんてすぐ出てくるじゃないですか。こういうことをやれと言っているんですよ、我々は。以上です。
  42. 岸田文雄

    ○岸田委員 一般論としてはそれはおっしゃることもわかるんですが、特殊法人一つとっても、八十前後ある特殊法人どこをどうするのかということもあるでしょうし、公共事業といっても、先ほど言いましたようにいろいろな公共事業がありまして、まさに趣旨説明の中にもありましたように優先順位をつけなきゃいけないというようにさまざまなものがあるわけでありますから、それを十把一からげにしてこうすればいいじゃないかというんでは、この論議を聞いておられる方、この法案に対してどうも同意するわけにはいかないんじゃないかと私は思うわけであります。やはり責任ある論議というものにぜひ我々は努めなければいけないということを思うわけであります。  そこで、時間が限られてまいりましたので一つお伺いしたいんですが、やはり、今の論議振り返ってみまして、我々は財政赤字というものについてしっかりとした認識を持ち、そして責任のある議論をしていかなければいけないと改めて思うわけでありますが、そこで、責任ある議論ということで一つお伺いしたいことがございます。  新進党の皆様方がさきの総選挙におきます公約といたしまして、十八兆円の減税及び二十五兆円の歳出削減ということを主張されたわけであります。今回その特別減税継続法案として出されたわけでありますが、さきの選挙におきます公約、十八兆円の減税及び二十五兆円の歳出削減と今回出されましたこの法案との関係、これはどのように考えたらいいんでしょうか。さきの公約は破棄されたのか、あるいは非現実的な公約は是正したというふうに考えてよろしいのか、あるいはもっと全体の構想がおありになって、その一部として今回この法案を出されたというふうに考えるのか、その関係につきましてちょっとわかりやすく御説明いただけますでしょうか。
  43. 原田昇左右

    原田委員長 簡潔にお願いします。時間が来ていますから。
  44. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)議員 これはとても簡潔には言えませんね。言えませんが、じゃ答えだけ言いましょう。  私どもは十八兆円減税、それから行革、規制緩和、地方分権、補助金カット等々による支出削減、総選挙のときに公約したことを全部この前十二時間かけて両院議員総会で議論し、そして日本再建のための基本構想という形でまとめました。それをさらに党内の明日の内閣で一段と充実したものを機関決定して、これを今度の党大会に出すつもりでございます。ですから、総選挙のときに公約した直接税の十八兆円大幅減税それから歳出の切り込み、これはもう我が党の総意として内部的にも文章が固まっております。これはあとは党大会で承認されるのを待つだけであります。  ですから、この今出しております二兆円の特別減税継続というのは、趣旨説明でるる申し上げましたように、四月以降の経済危機を見て緊急に、いわば十八兆円の中から一部取り出してでも緊急に手を打たなきゃ危ない、また労組を初め国民の皆さんが、せめてこの二兆円特別減税継続だけでもやってほしいと切実な声を上げておられるからいわば十八兆円の先取りというつもりでやっていることであって、我々は十八兆円の大幅減税によって日本経済を実力相応の成長軌道に乗せるのが最優先だという基本的スタンスは全く変えておりません。  先ほど岸田委員がおっしゃったこと、一つ私反論さしていただきますけれども、トレードオフの関係にあるようなことを言いましたね。財政再建を優先させるのか赤字削減を優先させるのか、あるいは経済立て直し、経済再建、経済を実力相応の成長軌道に乗せるのを優先させるのか。これは考え方の問題だから、何かバランスをとって中間をいくんだろうなという言い方をしましたね。バランスという言葉を使いましたでしょう。そういう論理が成立するのは、二つがトレードオフの関係にあるときです。  片っ方立てれば片っ方立たずというときに限って何か真ん中をねらわなきゃいけないわけですね。しかしこの二つは、一方から見ると両立しないけれども、こっちから見たら両立するんですね。つまり、財政再建を優先させたら経済はぺちゃんこになりますよ。それに対して、今度は経済再建を優先させればそれによって税収が正常な位置に戻ってきて財政再建は進む。この二つはトレードオフじゃないですよ。経済再建の方から入っていって初めて財政再建ができる。だっておたくの経済……
  45. 原田昇左右

    原田委員長 鈴木君にちょっと注意しますが、 時間が来ておりますので、新進党の質問時間で調整させていただきます。
  46. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)議員 わかりました。じゃ結論だけ申し上げましょう。  おたくの政調会長の山崎さんも、経済の再建なくして財政再建なしと講演でおっしゃった。新聞にでかでかと出ていますよ。これはトレードオフの関係にないの。両立するんです。以上。
  47. 岸田文雄

    ○岸田委員 鈴木議員の方から御指導いただきましたが、それにつきまして今申し上げる時間がありません。質疑時間が終わりましたのでできませんが、これはまた次の機会に譲るといたしまして、きょう委員会で質問に立たしていただきまして改めて思うところでありますが、我々は今の日本財政状況に関しまして改めて責任ある対応を求められているということを感じました。確かにやる気は大切なんでありましょうけれども、決してやれば何とかなるさというような無責任な楽観論や単なる努力目標で物事を論じてはいけないんではないか。そういう無責任なことは許されないんではないかという気持ちを新たにした次第でございます。  ぜひこの財政に対する、そして日本経済景気に対する考え方、真剣に考えていかなければいけないという思い、これは新進党の皆様方も太陽党の皆様方も同じだと思います。ぜひ責任ある議論に参加していただきますよう心から改めてお願い申し上げまして、質問を終わらしていただきたいと存じます。ありがとうございました。
  48. 原田昇左右

    原田委員長 次に、北橋健治君。
  49. 北橋健治

    ○北橋委員 ただいま本委員会提案されました新進党太陽党共同提案によります二兆円の特別減税継続するための法案、この法案に対して全面的に賛成する立場から、以下質問をさせていただきたいと思っております。  昨日、御案内のとおり予算衆議院を通過したわけであります。例年になく速いスピードで上がりました。これまでですと、予算成立がおくれますと景気に悪影響を与えるとかよくそう言われまして、政府与党もいつも予算成立を急いだものであります。これだけ速いピッチで予算が、与党の立場から見れば順調に仕上がったはずでありますが、それをマーケットはどう反応しているか。昨日のマーケットは、日経平均株価で三百円安であります。これが今日の政府経済財政運営そして予算案に対する率直なマーケットの、ひいては国民の声ではないか、私はそう思っております。  さっきから質疑でお話を聞いておりますと、減税が必要かどうかという議論の前提の一つで、マクロとしての日本経済のこれからの推移をどう見るかについて、経済企画庁を初めとする政府側と、新進党太陽党との間に随分と開きがあるということを痛感いたしました。とにかく役所の話を聞きますと、景気は緩やかに回復している、いつもそればかりでございます。しかし、それは本当に、このたび毎日のように連合の組合員の人たちが寒い中を頑張って減税継続を求めたように、多くの国民にとりましてとてもその実感というのはわいてこないというのが正直なところではないかと思うんです。  もしこの予算案のまま参議院も通過して執行されますと、このままいくと日本経済は大変なことになるんではないか。年頭から始まって株価の大幅下落あるいは為替が円安に振れた、そしてもう当たり前のことですから痛みは余り感じないかもしれないけれども、年金生活者を中心に一体何でこんな超低金利が続いているのかという、こういったもろもろのことは、今年の四月以降日本経済が大変な危機状況に陥るのではないかという、その警鐘をマーケットが発しているのではないか、そう思うわけであります。  そういった意味で、この提案理由説明にございましたが、新進党の議論の前提にございます、九年度の日本経済は場合によっては大変なことになるかもしれない、私はそのとおりだと思いますが、場合によっては、政府としても我々が指摘したようなことをやらなければ、どんどん景気が悪くなって、また従来型の公共事業予算公債を発行してやる、そしてさらに膨大な赤字を生み出していく。今、政府与党の方では公共事業経費節減ということも考えられているようでありますけれども、それがふつ飛んじゃって、また大変なつじつま合わせの経済運営になるのではないか、それほどまでに来年度の経済運営というのは厳しくなるのではないかと認識しておりますが、その点についてのマクロ経済の今後の動きについてどうお感じでしょうか。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  50. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)議員 北橋委員指摘のとおりでございまして、先ほども趣旨説明の中に出ておりましたが、政府見通し一・九%に対して民間の五十六社の平均の経済成長見通し一・四、そのうち六社はゼロ%台を言っているわけでございます。また、先ほど私申し上げましたように、二%台成長している本年度でさえも、国民所得の伸び率は政府の実績見込みで一・八%なんですね。九兆円の負担増というのは国民所得の二・三%ですから、だれが考えたって、一・八%しか伸びていない国民所得に向かって二・三%の負担増を強いれば、これはもう貯蓄をしないで消費を伸ばすということをしない限り来年度は消費が伸びてこない。特に年度上期は、さっきから言っていますようにゼロ%台成長になるでしょう。  そのとき最も私が心配しておりますのは、構造危機の激化でございます。この構造危機の中で一番心配なのは金融危機でございます。それから財政赤字の拡大ということも、実はこの構造危機の一側面として出てくるというふうに思います。それ以外、雇用問題等々、一連の構造危機が出てくるおそれがある。それを肌で感じ取っておられるから、労働組合皆さん方を中心とする国民の皆様方がせめてこの二兆円特別減税だけでも延長しろと言っているわけですし、マーケットは警鐘を乱打するという形で株価が崩れ、円相場が崩れているんだということだと思います。
  51. 北橋健治

    ○北橋委員 議員の御指摘の、大変厳しい経済情勢に今後なり得るという認識については全く同感であります。私も、ですからこそ特別減税は絶対に不可欠であるという立場でございますが、その中でも、今後、日本経済運営を考えるときに、やはりGDPの六割を占める個人消費の伸びがどうなるかということは一番大きなポイントではないかと思っております。  ここに労働団体の連合の白書があります。「九七春季生活闘争の方針と課題」、この連合白書の第一ページにある「雇用不安のない社会へ」というのが、今働いている人たちのスローガンなのであります。大変に厳しいリストラの中で苦労しているわけであります。働いている人たちが私は六千四百万人いると聞いておりますけれども、確かに連合は八百万人の組織された勤労者であります。しかし、多くの団体がありますが、単に組織された八百万人の声ではなくて、私は六千四百万人すべての、場合によってはそのお子さんやOBの方も含めての全国民的な声を代弁をしているという意味において、今、連合の白書を取り上げさせていただいているわけであります。  その中で、日本経済を立て直すためのかぎは何か、連合の答えは、消費マインドの好転を通じた内需型成長しかないねこう言っております。そして、なぜ景気の自律的回復がおくれているのかという分析では、最大の要因は個人消費が依然として低迷しているからだ、そしてその分析として、所得が伸び悩んでいる、税金や社会保険料の負担増があると言っております。そしてデータを示されまして、とりわけ御苦労が多いのは、中小企業で働いている勤労者や四十代以降の中高年の働く人でそのしわ寄せが大きい、こう言っております。  いよいよ春季生活闘争が始まりまして、それぞれの労働団体いろいろな議論をされておりますけれども、その中で、中央委員会やあるいは集会でそれぞれの産業労働組合がアピールを発しております。その重要な闘争方針を議論するところで、どこもこういう調査を載せているわけであり ます。それは、それぞれの組合員、家族がどのような家計消費の伸びがあるかということを付記している団体が少なくありません。例えばある団体では、世帯収入を見ると昨年に比べて〇・九八%減っておる、世帯支出も同じくと。そして毎月の収支は依然として赤字で、貯金を取りますなどの工夫が行われているとの特徴があると。非常にやりくりに苦労しているという実態があるわけであります。  そして連合が、そしてまた我々の要求にも重なるわけでありますけれども、なぜ二兆円減税を要求しているかという議論は、減税によって消費マインドの落ち込みを避けるためだ、このままでは大変なことになってしまう、その切実な、そして将来の危機感にあふれた考え方から発しているわけでありまして、私はそれは当然のことだろうと思うわけでありますが、新進党提案者はどのように受けとめておられるでしょうか。
  52. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)議員 連合さんの危機感というのは全くそのとおりでございまして、貯蓄を取り崩さなければ消費水準さえ維持できないというのが明らかに四月以降の家計の姿になります。それは、さっき言いましたように、一・八%しか所得が伸びていないときに、九兆円というのは二・三%の負担ですから、当然そういうことになるわけでございます。そういう状況でありますと、ちょっとこの減税取りやめの効果景気に対する効果を一言追加させていただいてよろしゅうございますか。  先ほど、企画庁の新保説明員が非常に注意深い言い方をされたのをお気づきでしょうか。短期的には公共投資の乗数効果が大きいと言ったのですね。これは、あの方は大変な経済学者ですから注意深くおっしゃった。それは、長期的には直接税減税の方が効果が大きいことがあるという合意を持って答えているのです。これは学界の常識です。長期的にはそういうことがあるんですね。どういうときにそうなるかといいますと、限界消費性向が高いときです。減税してもらって所得がふえたとき、その多くの部分を消費に向けざるを得ないような経済状況のときは、乗数効果はすごく大きいです。今は、まさに貯蓄を減らして消費を伸ばさなきゃいけないような状況に追い込まれているわけですから、限界消費性向はもしかすると一〇〇%を超えてしまうかもしれない。こういうときの減税効果というのは非常に大きいのですね。  ですから、北橋委員おっしゃいますように、また引用されましたように、働く人々の危機感というのはそのとおりであるし、それを経済学的に考えてみても、この減税要求というのは極めて合理的で、またその景気刺激効果は公共投資よりもはるかに大きい、その典型的なケースが四月以降だというふうに思っております。
  53. 北橋健治

    ○北橋委員 この法案提案されるに当たりましては、私どもも、この国会での予算審議を通じまして、連日のように寒い中を連合の組合員の皆さん方が座り込みをされた、あるいはいろいろな駅の街頭ですべての道行く市民にその減税の重要性を訴えられた、そして大変な大規模の決起集会を初め、国会への請願デモと、私も連合発足以来労働運動を見てまいりまして、これほど、本当にもう自分たちの組織の総力を挙げてかけたという運動は私はかってなかったように思うのであります。それは、国会に所属する者は党派を超えて、真剣にそういった国民の声というものに耳を傾けるべきだと率直に思います、賛否はあるでしょうけれども。  そういった意味で、古賀議員は、新進党の労政局長としていろいろと労働団体とおつき合いが、窓口になっていらっしゃる方でございますけれども、党として、この労働団体の真剣な要求に対してどのように取り組んでこられたか、率直に、端的にお伺いしたいと思います。
  54. 古賀一成

    ○古賀(一)議員 北橋委員から御紹介いただきましたけれども新進党で労政局という立場も仰せつかっております。  昨年十一月、政府予算が編成されるに当たりまして、連合の方から、これからのいわゆる経済の問題もございます、あるいはみずからの可処分所得の問題もございまして、大変熱意ある要望を受けてきたところでございまして、にもかかわらず政府原案、新聞報道等に書いてございますように、ばらまきだ、制度改善なき予算編成だという批判の言葉もたくさん出ておりました。  それを受けまして、労働団体として八百万を代表して、要望はたくさんあるわけでございますけれども、ただ二点に絞って、我々新進党そして各党に、自民党さんにも、与党の方にも要望を強くされたと思うのですが、二点に絞って要望をされました。  その第一番目が、この二兆円特別減税の何としてでもの継続ということでございまして、これまで、もう寒い中に国会前あるいは夜の議面集会等々を連続してやられまして、連合みずから、連合始まって以来の情熱をかけて我々はこれに闘っていますという言葉を何度も聞いております。  予算が通った後でございますけれども、あさっても五万人集会ということで、労働者の、国民の、勤労者の声を伝えようという熱意をひしひしと感じるところでございます。そういう意味もありまして、政党として今回我々はこの法案を出したわけでございまして、政党としてやるべきことだったろう、かように考えておるところでございます。
  55. 北橋健治

    ○北橋委員 お話しのとおり、組織された八百万の方だけではなくて、すべての働く人、ひいては勤労国民の切実な要求であるという真剣な受けとめをされて今日の提案に至ったもの、このように理解をいたします。  そこで、連合のこのたびの運動の中で、私どもは図らずもいろいろな会派の方々の率直なお気持ちをうかがい知ることができるわけであります。  これは、それぞれの国会議員に対しまして、二兆円特別減税の賛否をアンケートの形で聞かれているわけでありまして、残念ながらすべての議員が回答されているわけではありません。新進党太陽党につきましては今回提案されておりますから省きますけれども、例えば自由民主党の中でも、回答者は衆議院で百三名、賛成が二名いらっしゃいます。そして、その他として四十六名でありますが、このその他というのは、財源が確保されれば、あるいは経済環境が整えばということで、ほとんどは実質的な賛成という意味だと、条件つきの賛成だと理解をいたしております。民主党は五十名の衆議院の方が回答しておられまして、賛成は十二名です。そして条件つき賛成の方は三十七名に上っております。社民党・市民連合の方は十五名全員が回答をされまして、賛成は三人、反対はゼロ人、そして条件つき賛成と思われる方は十二名であります。  さて、これを見ますと、かなりの数になるのです。超党派で議員立法をしたら通るんじゃないか、そういう期待感もわいてくるゆえんでございますが、そこで、大蔵省の方にちょっとお伺いを一つしておきたいと思います。  今度の予算通過に当たりまして、むだな予算をカットしてそれを減税に回せないかというのが主要な論点の一つだったと私は思うわけでありますが、与党三党の合意を見ますと、これはどうも中身があいまいでよくわからないのであります。これから執行段階で経費節減される、そして財源ができれば何かやられそうなんですね。減税と読めるような気もするし、しかし減税とは明記されていない。大蔵省はこれを率直にどう受けとめますか。
  56. 中村正三郎

    ○中村(正)政府委員 これは与党の取り決めたことでございますから、大蔵省といたしましては、文字どおりこれを受けとめまして、御趣旨を踏まえて適切に対処すべく、今後検討してまいりたいと思います。
  57. 北橋健治

    ○北橋委員 一国の予算衆議院で通過させる、そのときに当たっての与党三党の重要な合意事項でありまして、今の大蔵省のお話を聞いておりますと、結局この三党の合意事項が一体何を意味しているのか、国民にはそれではとてもわからない と思うのであります。  こういう機会に与党皆さん方と議論できれば本当にいいのですが、結局、国家財政の根幹に関わる重要な案件について、与党三党という国民に見えないところで合意が交わされる、そして予算が通過をしていく。そのこと自体が国会を軽視しているのではないか。だから、こういう場で、国民が注視する場で、あの三党合意とは一体何なのか、予算をどう節減するのか、そして減税をやるのかやらないのか。自民党も賛成したのかどうかわからない。そういった意味では、ここで言ってみても仕方がないのかもしれませんが、与党三党の合意という旧来型の国対政治を踏襲して予算を通過させた、このことはやはり私は反省をしていただきたい、こう思っております。  そこで、与党三党の中で、社民党の方が、条件つき賛成も含めますと全員がこの特別減税については前向きである、このように私は想像をいたします。これまで、この法案提案されるに当たりまして、私は、民主党の皆さん方とも協議をされたと思います。民主党の人たちは、条件つき賛成を含めて大半が賛成であります。社民党の方も、条件つきも含めまして全員が賛成であります。当然、二兆円減税をやろうというわけでありますから、いろいろと御議論されたと思うのでありますね。ところが、残念ながら新進党太陽党の共同提案にとどまったということはどういう背景があるのでしょうか。何か政策的に、いろいろなすり合わせをする段階で合意できないことがあったんでしょうか。  特に、社民党については、消費税増税に賛成するかわりに、低所得者層への配慮として臨時福祉給付金というものを考えられた。しかし、それで救われる世界は確かにあると思いますけれども連合が言っているように、納税者で中堅的な勤労国民層にとってこの特別減税というのは非常に温かい制度である。だから、労働者の党、社会主義政党を目指されてきた社民党でございますから、臨時福祉給付金を要求されて実現されたわけでありますから、これについてはそれ以上に、さらにもっと力を入れて二兆円減税を要求されるのが当然だと私は思うのでありまして、社民党も当然賛成されたのではないか。民主党についてもしかりであります。その点について、もしお話できればお聞かせいただきたいと思います。
  58. 村井仁

    村井議員 大変申しわけございませんが、私自身、この各党調整に直接携わったわけでございませんので、交渉の詳細をつまびらかにいたしませんが、いずれ民主党の代表の方からも、また社民党の代表の方からもしかるべき御質疑があろうかと存じます。それを通じましてお考えをお伺いできるのではないかと存じますので、直接的な答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。  ただ、私は、国会議員にとりまして、今北橋委員指摘のように、いろいろなアンケートに対する意思表示であるとか、まして選挙の際における公約とかというのは、非常に重いものがあると思うわけであります。昨年十二月十二日の当委員会におきまして、十月の総選挙において消費税見直しに賛成、あるいは消費税の引き上げに断固反対、こう言って御当選になられた自民党議員、あるいは社会民主党の議員の方々が多数おいでになることは、るるその当時の速記録でも記録がされておりますけれども、二月の二十七日でございましたか、連合でおまとめになられました、先ほど北橋委員御引用のアンケート、私が調べました限りでは、自民党でも参議院でお二方、衆議院でお二方、これは賛成というように整理がされておる。この減税継続について四人賛成をしていらっしゃる。  私は、このようなアンケートというのはやはり一貫した姿勢を持ってお答えがあるべきだと思うわけでございまして、さような意味で、今北橋委員指摘のように、社民党あるいは民主党におかれても、また自民党の責任ある皆様におかれても、我々の提案に御賛同をいただけることを期待しておる次第であります。以上でございます。
  59. 北橋健治

    ○北橋委員 やはり国民に対して公約したことは必ず守る。守られないからこそ政治不信を招いているわけであります。  思い起こしますと、総選挙の公約におきまして、消費税増税には反対、あるいは条件つき反対と言われていた方が百名を超えていた事実を見ても、そういった点が政治不信を招いている。正直にやはり国民に対して言うべきでありまして、そういった意味では、連合のアンケートに賛成あるいは条件つきで賛成と言われた方は、ぜひとも二兆円の特別減税成立させるために特段の御配慮を、この際、党派を超えて要請をするものであります。  最後に、時間が限られましたが、財源問題で質問させていただきます。  これについては、既に提案者の方からるる御説明があったところでありますが、先ほど与党議員の方から、財源は一体どうするんだ、責任ある回答を持っているのかという趣旨のお話がございました。  それは議論としては非常に重要な議論であるとは承知しておりますが、ただ、聞いておりまして、不思議なことをおっしゃるなと。夕べの与党三党の合意は一体何であったのか。これから経費節減して、これから減税をやろうという趣旨のことを書かれたのでしょう。なのに、このせっかく提案された法案に対して、提案者は財源についてどうなんだという質問を何度も何度もされておられまして、本当に三党合意をつくられたんだろうか。どういう気持ちで与党は三党合意に参加されて判を押されたんでしょうか。それを考えますと、今や、与党三党の合意も含めてありとあらゆる努力をして二兆円減税をやるということが、多数決としてもう事実上決まっているではありませんか。そのことを前提にした議論を我々はすべきなのであります。  もちろん大蔵官僚からすれば、毎年の財政を均衡させねばならぬ、赤字は減らさなきゃいけない、当然のことであります。しかし、我々は国民とともに歩む政治家でありまして、今経済がこういう状況になっている、切実な国民の声がある、与党三党でも何としてでも努力してやりましようと言っているわけであります。問題は、やる気があるかどうか、これがすべての出発点だと私は信じております。やる気があれば、七十七兆円の予算です。これまでもいろいろな審議会において、政府みずから努力をせよという答申いっぱいありました。それも多くは放置されたまま、二十八兆円の国鉄債務の処理にしても先送り、こういう姿勢で本当に実現ができるんだろうか。  そういう意味では、ここで連合皆さん方減税についてもQアンドAで答えられているんですよ。昔の労働組合でしたら、これをやれ、あれをやれというところで終わることが多かったかもしれませんが、責任ある政策を言われております。減税の財源はどう考えるか、財源は財政構造改革の名に値するような「歳出項目見直し経費節減で生み出すべきです。場合によっては、つなぎ国債の発行もやむを得ませんが、この際も中期的には減税により経済成長が達成され、増収となり財政はバランスすると見込まれています。」要は歳出カットに全力を挙げてほしいと、そして、どうしてもそれで財源が足りなければつなぎ国債の発行もやむなしであります。問題はやるかどうかなのでありまして、その辺の財源論について言及いただければ幸いであります。
  60. 上田清司

    ○上田(清)議員 ただいまの北橋委員の主張のとおりであります。既にもう何年にもわたって財政制度審議会でもさまざまな建議や提言がなされてきております。それを実行しておれば、今日の事態はなかった。何のための審議会であったのか。それなりに高給を与えて、そしてまた、それぞれの政府の金融機関あるいはまた関係の機関において今日高給の問題も批判をされております。こういう問題に切り込まずして何で歳出カットか、私どももそう思っておりますので、これから二兆円の歳出カットをするという基本的な命題について、どんどん切り込みをやっていくという姿勢こそがまず第一だということを改めてお訴えしたい と思います。
  61. 北橋健治

    ○北橋委員 時間が参りましたので同僚委員に譲りますが、与党三党の合意に見られますように、国会の態勢は私はほぼ整ってきたんではないかと、問題は、何としてでもやり抜くという不退転の決意がそれぞれの党派に求められておると思います。  新進党は、今後、最善を尽くして何としてでもこの減税を実現するために最後まで闘うことを表明いたしまして、私の質問を終わります。
  62. 村田吉隆

    村田(吉)委員長代理 谷口隆義君。
  63. 谷口隆義

    ○谷口委員 新進党の谷口でございます。ただいまから、新進党太陽党共同提案法案につきまして質問をさしていただきます。  先ほどからの議論にもございましたように、バブル崩壊以後、我が国国民景気低迷の中で大変苦しんでおるわけでございます。今回、この四月から消費税の五%への引き上げ、また社会保障負担の引き上げ、それにつけ加えて、先ほどから議論になっています本法案特別減税二兆円の打ち切りと、このような結果、先ほど村井先生がおっしゃったように、九兆円に上るような国民負担が増大する、このようなことになっておるわけであります。一方において、財政が従来から言われているようなばらまき財政から全く直っておらない、財政の削減が行われておらない、一方的に国民にツケをつけかえる、このようなやり方で今政府は行っておるわけでございます。  そこで、これは総論的な意味合いも込めまして御質問いたしたいわけでございますが、先ほど申し上げました九兆円に上る国民負担の増大は、一層景気の鎮静化を引き起こすというようにも言われておるわけでございますが、このあたりの現状、またこの予測と申しますか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
  64. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)議員 先ほどから申し上げておりますように、九兆円は国民所得の二・三%であります。本年度の政府実績見込みで一・八しか伸びていない国民所得に向かってそれだけの負担をかけるわけですから、貯蓄を一生懸命削っても、かろうじて消費が維持できる。GDPの六割がそういう状態でありますので、これは深刻なデフレインパクトを加えることは間違いありません。  私が先日までおりました野村総合研究所の推計によりますと、今度の九兆円の負担増、それから、公共投資が昨年の七−九からずうっと落ち込んできている、これを合わせた全体のフィスカルドラッグ、財政面からの引き下げ効果はマイナス一・五%だと言っております。本年度の政府見通し二・五から一・五を引いてしまえば、もう一・〇%になっちゃうんですね。そこへ持ってきて、消費税引き上げ前の駆け込みの反動まで加わって上期がゼロ成長になりますと、これは確かに一部の機関が言っているように、ゼロ%台に落ちる可能性が十分ある。  このことの怖さというのは、来年度の上期とか来年度とかいう短期の話ではないと思うんですね。ゼロ%台成長を三年やって、ようやく二%台成長に二年戻ったと思ったら、また落っこちるということですから、この六年間、日本経済は、政府見通しをとって計算してみたって一・四%しか成長できないという状況。これこそが、財政危機、金融危機、雇用危機、すべての構造的な危機の背景にある。これが非常に大事なポイントだと思います。単に半年、一年の話ではない、深い構造危機が目の前に来ているということではないでしょうか。
  65. 谷口隆義

    ○谷口委員 今御答弁のとおり、表面的な問題だけではなくて、極めて構造的な問題である、こういうふうなことであります。  我が国経済は、振り返って考えてみますと、戦後早々大変な経済的な状況の中から我が国経済は高度成長をし続けてきたわけでありますが、そこにいわゆる政官財、鉄のトライアングルと言われるようなものがあって、官僚が、いわゆる規格型製品と申しますか商品と申しますか、こういうものを提示する。そういうようなことで、政官財、鉄のトライアングルの中でこれまで生産をし、輸出していった。そういう意味において、官僚主導型の啓蒙主義とおっしゃる方がいらっしゃるわけでございますが、そのようなことで高度経済成長をいたしたわけであります。  しかし、この経済も、欧米に肩を並べるような段階になって、どうも今までのような官僚主導型の啓蒙主義がうまくいかなくなった、こういうように言われておるところでございます。成長率も昭和四十年代後半から低下してまいりました。  そういう状態の中にもかかわりませず、財政は拡大をずうっと続けるわけであります。そのような財政の拡大の財源を増税に求めるというのは極めて難しいことでございますので、これが、財投、また国債の発行に財源を求めるというようになってきたわけであります。これも、右上がりの経済が続いておる段階ではいいわけでありますが、バブルの崩壊とともに経済が横ばいになり、従来ともう全く違う経済状況になったときに、今までの財投の問題、また国債発行残高の問題が露呈化いたしてくるわけでございます。  まさにそういう意味においては、国、地方合わせて五百兆を超える借金の問題は極めて重要な問題であるわけでございますが、先ほど自民党議員の方がおっしゃっておられました、また、鈴木先生がまたそれに対しておっしゃっておられた、財政改革経済改革というのは、私は、私もさっき聞いておってこれはおかしいなと思ったんですが、決してトレードオフの関係ではないと。これは両方やらなきゃいかぬわけであります。  政策のプライオリティーから考えますと、むしろ経済対策をやっていかないと、経済対策をやって景気活性化することによって税収がふえるわけであります。自然増収、税収がふえてくるということであります。一方、この財政均衡理論をずっと推し進めてまいりますと、より一層景気が沈滞化してくる。まさに今回のこの特別減税の二兆円の打ち切りは、そういう観点で極めて重要な問題である、私はこのように強く訴えたい、このように考える次第でございます。  今、鈴木先生からお聞きしたわけでございますが、何かまた補足するようなことがございましたら、どうでしょうか。──わかりました。そういうことでございまして、今回のこの特別減税については、表面的な問題だけではなくて、構造的に極めて問題があるということを先ほどの答弁で言っていただいたわけでございます。  次に移りまして、今回の法案提案理由説明にもありますように、消費税率引き上げ特別減税打ち切り、社会保障負担引き上げにより九兆円の国民負担の増加があるわけでございますが、この結果、連合試算によりますと、年収が七百万の標準世帯で年間合計で十二万三千円の負担増になる、このように言われておるところでございます。  私、先日、大蔵委員会でこれはちょっと質問したのですが、最近、自己破産が急増いたしております。昨年は五万六千件を超えるような自己破産があったようであります。バブルが崩壊して大体七年間、集計しますと二十五万件を超えるようでございますが、このような自己破産の急増の状況、この裏側と申しますか、これを見ておりますと、住宅ローンが払えないというようないわゆる生活困窮型の自己破産がふえておる、こういうような状況でございまして、従来はいわば遊興型の自己破産、このような問題があったわけでございますが、昨年あたりの状況を見ておりますと、生活困窮型の自己破産がふえておる、こういうことが言われておるわけであります。  ちょうどバブルのときに、将来は年収も上がるだろう、そういうことを前提に住宅ローンを借り入れた。これが、御存じのようにバブルが崩壊して、もう年収も減ってくるということで、ぎりぎりのその住宅ローンを返せなくて、我慢に我慢をして、ある例を見ておりますと、一時払えなくなって消費者金融に何年かその返済原資を借りるというような結果、結局払えないで自己破産をするというような四十代、五十代の生活困窮型の自己破産もふえておる。経済の現状は、この国会で 話している以上に悪化しておるということを私は申したいわけであります。  そういう中において、今回、橋本内閣は、従来どおりのばらまき予算で、歳出削減にほとんど手をつけておらない。一方で、先ほども私が申し上げましたようなリストラであるとか賃下げで苦しんでいらっしゃる勤労者世帯は、三つのパンチ、トリプルパンチで大変な状況になっておるというのが現状のようでございます。自民党政権は勤労者冷遇の姿勢なんだ、このようにさえ言われておるわけでございますが、これに対しましてお考えをお述べいただきたいというように思います。
  66. 村井仁

    村井議員 全く谷口委員指摘のとおりでございまして、私どもは、さればこそ昨年の十二月の臨時国会に消費税の引き上げに反対する法案提案し、それから今回も特別減税の打ち切りをとどめる、これを平成九年も継続する、こういう法律案を出しているわけでございます。このような、まさに勤労者冷遇というような事態を避ける努力を私ども会議員としては精いっぱいしなければならない。そして、それはまた、連合がおまとめになった、先ほど引用しましたアンケートでも非常に広く多くの議員に支持されているところであるということを改めて申し上げておきたいと存じます。
  67. 谷口隆義

    ○谷口委員 このようないわば勤労者いじめというようなやり方を変えていかなきゃいかぬ、そういう意味において今回の特別減税の打ち切りは極めて問題がある、このように私は申したいわけであります。  その次に、財政構造改革元年と、このように銘打って今橋本内閣はやっていらっしゃるわけでありますが、一向に改革の方向性が見えない、財政のつじつま合わせで今回のような増税を押しつけておるというのがこの税制改革案であると私は認識いたしております。国民に対する負担増を求めるだけで、今回の税制改革案については何ら税体系の改革を盛り込んでおらなかった、このような理念が入っておらなかった、このように私は考えておるところでございます。  提案理由説明の中に、将来的には抜本的税制改革の中で特別減税を恒久的な制度減税に吸収すべきである、このようにあるわけでございます。特別減税廃止するのではなくて、制度減税の中に組み込むことによって税体系全体の見直し、すなわち今大変問題になっております少子・高齢化社会への対応、こういう意味での直間比率の見直しが行われなければいけない、私はこのように考えるわけでございますが、今回の税制改革案においては、そのような税制の理念が全く私には認められなかったわけでありまして、このようなことにつきましてお考えをお述べいただきたいというように思います。
  68. 村井仁

    村井議員 私どもも、実は特別減税継続というだけではなくて、できればこれを恒久減税化する形をとりたい、このように考えたわけでございますけれども、実際問題といたしましては、どの所得階層でどれだけの税金が納められているかというようなデータというのは、これは御案内のとおり公表されていないわけでございまして、そのような形で、例えば税率構造をきちんと書くというようなことはできないわけでございます。これは私ども、政権をとりましたときにきちんとやらせていただこう、こう思っておるわけでございまして、特別減税について、当面は特別減税のままで延長する、しかし将来はいわゆる制度減税としてこの中にきちんと組み込む、こういうことを私ども考えておるわけでございます。  そのような趣旨で申しますと、さらに広くさまざま、法人税につきましても思い切った引き下げを図りまして経済活性化を図るとか、先ほど提案理由説明の前半の方で申し上げましたようなこともやっていかなければならないと思っております。  若干時間をちょうだいして申し上げますと、例えば有価証券取引税やあるいは取引所税廃止、これはまさに証券市場活性化につながるわけでございますし、それから、バブルの際に土地の譲渡につきましてさまざまの重い課税が行われております。経済の状態がこのような状態になりまして、土地を流動化することがある意味では不良債権の解消というような観点からも非常に求められておりますのに、まだこのような形で重いものが、重い桎梏があるということは、私どもも非常に重要な問題だと思っておりますので、これの整理もしなければならないだろうと思っております。  そういった経済全体を活性化させるような、そのような制度の改善も含めまして、いずれにいたしましても高齢社会の到来はもう時間の問題でございますので、高齢社会にあっても、より公平で活力のある社会を支えていくことができる、そういう税制を整備していくこと、これが私ども共通して取り組まなければならない課題ではないか、こんなふうに思っておる次第でございます。
  69. 谷口隆義

    ○谷口委員 ありがとうございました。  今村井先生の方からもおっしゃっていただきましたように、私も、これも先日の大蔵委員会で質問したのですが、景気の現状また世界の中の日本状況、このようなことを踏まえて税制全体を今こそ見直していかなければいけないときである、このように考えております。  また一方、景気対策を図っていくという意味において、現在の土地の流動化が阻害されておる、こういうバブル抑制税制と言われるような税制が今なお残っておるというような状況は、またこれは極めて問題であるということで、例えば、新規取得土地の利子の損金不算入の問題であるとか、また個人所得の通算の問題、こういうような問題につきまして、これはバブルのときに設定した税制は今もうそういうふうな前提がないわけですから、今こそそういうことを廃止していかなければいけないのではないか、このように申し上げておったところでございます。  今回の二兆円特別減税の打ち切りについて、民間エコノミストの間では、この四月から上げられる消費税率につけ加えてこの二兆円の国民負担の追加ということで、これが景気失速の要因になるのではないかと言う方が多いというように聞いております。  そこで、このような特別減税廃止されたという前提の中での経済成長率、今後の経済成長率がどのようになるのかというようなことでお伺いいたしたいと思います。  まず初めに、五兆円の今回の消費税率のアップで経済成長率がどの程度下落し、それにつけ加えて、二兆円の特別減税の打ち切りによってまたどの程度経済成長率が下落すると予測されておるのか、御答弁をお願いいたしたいと思います。     〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  70. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)議員 初めに、政府にかわって政府の見解を御紹介しておきますと、五兆円、消費税率二%アップで〇・七%成長率が下がる。それから、二兆円の特別減税打ち切りで〇・二%下がる。両方合わせて〇・九%下がるというわけであります。その根拠についても、予算委員会で私どもの山本幸三委員がさまざまの角度から尋ねたところ、企画庁の世界リンクのモデルを引用して、乗数がこれこれだというふうにおっしゃったわけですね。  しかし、ケインズ政策のことを批判する人がよくいますけれども、ケインズ政策の最大の問題点というのは、実は、国民の限界消費性向が一定だとか、あるいは資本係数が一定だとか、つまり、モデルなものですから全部一定になっちゃっているのですね。どんな政策をとろうと、あるいは国民が何を考えていようと経済の構造は変わらないという前提で計算をする、そこからとんでもない計算違いが出てくるというのがケインズ政策に対する最大の批判でございます。ですから、モデルから出てきた乗数を機械的に適用した今のような〇・七とか〇・二とかいうのは、実は、来年度のデフレ効果を考えるときには私は大きく間違えるだろうなと思います。  さっきも申し上げましたけれども国民所得が一・八しか伸びていないときに二・三%の負担増 ということになりますから、消費水準を維持するだけでも貯蓄はマイナスになるわけですね。少し消費を伸ばそうと思ったら、来年度は大きく貯蓄が下がる。ということは、限界消費性向が一〇〇%突破をしてくるということです。こういうときは、御承知のように乗数というのは一マイナス限界消費性向分の一でございますから、大変大きな乗数になってきます。  ということは、この減税打ち切りのデフレ効果というのは、企画庁のモデルで計算しているよりはるかに大きいということであります。だからこそ、政府見通しの一・九%に対して民間の平均は一・四であるし、一を切るかもしれないぞという指摘民間エコノミストの間でなされているところだというふうに思います。
  71. 谷口隆義

    ○谷口委員 今おっしゃっていただきましたように、民間エコノミストの間では、一を切るかもわからない、このようなことさえ言われておるというようにお聞きいたしたところでございます。極めて景気に対する影響も大きい、このように認識いたしておるところでございます。  こういう状況の中で、こういう特別減税、また消費税の引き上げ、また社会保障負担の増大というようなことが行われますと、先ほどから申しておりますように、景気がより一層悪化する。こういう状況の中で、今、政府は、総理もおっしゃっていらっしゃいますように、二〇〇一年までにビッグバンをやるんだ、こういうようなお話でございます。このようなビッグバン、もともとイギリスで行われたようでありますが、このイギリスのビッグバンは景気のいいときに行われた、このように聞いておるわけでございますが、我が国が今直面いたしておる景況は極めて悪化した状況、こういう状況の中でビッグバンが行われようといたしておる、こういうことであります。  また、来月から審議に入る予定のようでございますが、外為法の自由化、こういうようなことがこのような景気の悪化しておるときにやられた場合に、経済危機の可能性さえあるというように言われております。ですから、景況がこのように悪化したときにこのように大胆なビッグバンを果たしてやれるのか、また、やればどのような影響が出るのか、このように私は危惧しておるところでございますが、もしょげればお考えをお願いいたしたいと思います。
  72. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)議員 委員指摘のように、ビッグバンあるいは外為法改正による為替管理の完全撤廃ということをいたしますと、これは競争促進、弱肉強食の状態が一層強まるわけでありますから、その前にやっておかなければいけないことというのが幾つかあります。  その第一は、私は、不良債権処理、少なくとも公的資金投入等を含めた処理の方式をはっきりさせておかないと危険千万と思います。二番目は、日本だけが高くなっている税制、例えば証券取引税とか取引所税とか、そういったものの整理ですね。それから三番目は、日本だけ不便で手を縛られちゃっていること、例えば金融新商品の開発とかあるいは業際の規制が強過ぎるとか、そういったこと。  少なくともこの三つの分野について早く手をつけておきませんと、金融空洞化を防止するはずの外為法改正が逆に金融空洞化を促進したり、金融システムの安定発展をねらうはずのビッグバンが金融システムの混乱の原因になったりとかということが起こり得るということが心配されると思います。
  73. 谷口隆義

    ○谷口委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、この特別減税二兆円はぜひ継続していただきたい。これは国民の要望であります。  私は大阪が地元でございますが、もう本当に陳情がずっと私の方の事務所に来ておりまして、経済の現状を考えた場合に、ぜひこの特別減税継続は必要であるというように申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  74. 原田昇左右

    原田委員長 次に、日野市朗君。
  75. 日野市朗

    ○日野委員 私は、実は税制なんというのはとんとわからない男でございまして、私、何でこう税制特が急に開かれるようになったのか、実は納得がいかないのでございます。これは少し法案を勉強しようと思いまして、急遽、法案をひもといてみたら、まあこの難解なこと、頭がぐらぐらときまして、いやこれは大変だなということで、これはもう皆さんからいろいろ教えていただかなければならない、こう思ったようなわけであります。  それで、何でこう急にやるようになってしまったのか。やはりこれは、これだけの法案をお出しになるならなるで、ちゃんと準備をする時間というものは必要なものでございますよね。新進党さんが今までずっといろいろなことをおっしゃってこられた経過、この提案理由説明にも書いてございますが、何で急にこうなったのか、ちょっと教えていただきたい。
  76. 村井仁

    村井議員 大変なこの道の権威でいらっしゃる日野先生にそのようにおっしゃられますと、どうお答えしてよろしいか、なにでございますが、私ども経緯だけ申し上げさせていただきますと、平成九年度予算に関連いたしまして、私どもといたしましては、税制の面で、この所得減税継続も含めまして幾つかの、先ほど来申しました例えば有価証券取引税あるいは取引所税廃止等々を含みます比較的幅の広い税制改正案を提案したのは御高承のとおりでございます。  しかしながら、その後いろいろと労働組合あるいはその他のいろいろな関係者、それから各党のいろいろな御意向、こういったところを踏まえてまいりますと、共通項として非常に広い御支援が得られるのは恐らくこの特別減税継続ということではなかろうか。先ほど申し上げましたように、連合のアンケートによれば、自民党からも、これは先ほどちょっと私言葉を一つ落としましたけれども、某有力議員を含めまして四人も賛成者がいらっしゃる。御党におかれても、条件つきの方もおいでではいらっしゃいますが、非常に多数のといいますか、全員が非常に前向きにお考えになっていらっしゃる。  そういうことを考えますと、これにつきましては、先ほど来るる申し上げております経済の情勢も踏まえまして、どうしてもやることが必要なのではないかということで、来年度予算衆議院通過の時期とにらみ合わせまして改めて提案をさせていただいた、こういうことでございまして、事柄といたしましては、私は、既に二週間近く本院に議案としては提出がされていたという経過があることを申し上げたいと存じます。
  77. 日野市朗

    ○日野委員 よくわからないのですが、これは国会の中に入りますとわからないことが多いものですから、そこのところは余り多く私は言いますまい。  ただ、新進党さんが、経済の立て直しのための経済政策、これを総選挙の直前に打ち立てられて、そしてそれをずっと主張してこられたこと、これは私も存じておりますし、去年のあれは臨時国会でございますか、そこでもいろいろな討論がございました。私は、あれはあれなりの一つの見識だというふうには実は思っているのでございますね。私も反対討論で随分こきおろしたりなんかもいたしましたけれども一つの見識であると思います。  それは、財政というものは生き物でございますから、緊縮だけでいくものじゃありません。それはよくわかります。しかし何分にも十八兆円減税、こうやりますと、私なんか憶病者でございますから、まずそこでぎくっときてしまう。こういう側面がありましたし、やはり消費税の問題、これはやはりいろいろな見方があるのでありましょう。それから特別減税でございますね。二兆円、この問題。それといろいろな税金をずっと組にして減税をしようと、減税の税目を立てられたわけですね。これらの税目が今度の法案では消えてしまった。  この提案理由説明を拝見しますと、将来的には所得税法人税大幅軽減だ、そして経済的規制撤廃緩和、公共料金の引き下げ、中央省庁再編、ここらはまあいいでしょう。補助金の停止とか特殊法人見直し、こういった大胆な改革を 断行すると言って、「まずは緊急対策として、」ということで、「消費需要の喚起、民間投資回復証券市場活性化土地流動化等を促進するための施策を講じることが先決」、こう言われた。これが経済構造改革の礎であって、実質三%の経済成長を軌道に乗せるための方法だ、こう言っておられるわけですね。そういう考え方にのっとって、今引き下げられた、経済活性化及び経済構造改革に資するために緊急に講ずべき税制上の措置に関する法律案、これをおつくりになった。  ここいらまでは私もわかるのですよ。こういう経済成長させようという野心的な新進党経済政策、これはわかるような気がするんですな。完全に私は納得するわけじゃありませんよ。それは、そんなに冒険していいのかねという気持ちもありますし、そんなにうまくいくかなという不安は、常にこれはっきまといますから。  それが、今度はにわかにずっとスケールが小さくなって、二兆円の特別減税に絞られてしまったわけですね。私も連合からの要請、いろいろなところからちょうだいしました。そうしたら、やはり連合特別減税に絞っておられるので、これだけに絞りますよと言われると、今までの新進党さんが掲げておられたあの経済政策、これからえらいトーンダウンするな、じゃ、この二兆円の特別減税継続、これだけでどれだけの経済効果が出てくるんだろう、これを私は非常に疑問に思いますね。  ずっとGDPの伸び率を見てみますと、二%ぐらいがここのところ続いたわけですね。あれは、私はこの特別減税ばかりじゃないと思うのです。それまでずっと続いてきた経済対策がずっとやはり積み重なった。それは、乗数効果がどうのという議論はあっても、あれだけ経済対策をやって、それで効果がないということはない。この特別減税だけではないのですね。  その経済効果は、これだけでどの程度の経済効果が見込まれますか。鈴木先生、どうぞ。少し長くなったって構いませんよ、私、先生の話おもしろいですから。
  78. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)議員 ありがとうございます。  さっきも申し上げたのでございますが、二兆円というのは国民所得の〇・五%ぐらいなのですね。政府は、それでGDPの拡大効果は〇・二%、あるいはそれをカットすることによる成長率の引き下げは〇・二%と言っているわけです。しかし、さっき申しましたように、それはモデルの数字を使って、固定的な平均的な限界消費性向を頭に置いて、あるいは平均的な資本係数を頭に置いて、どのくらい投資が誘発されるかとかいうことから出てきているわけでございます。  しかし、繰り返し申し上げますけれども、一・八%でしか伸びていない所得に向かって二・三%ぐらいの負担増を強いるのが四月以降の姿ですから、消費水準を維持するだけでも貯蓄をカットしなきゃできないという状況の中でのボーナスみたいな格好で、二兆円を上げます。上げますというのは、要するにカットしないということですが、この場合は喜んで一〇〇%これは消費に回しますから、限界消費性向が一〇〇%、あるいは貯蓄をカットしてまでという状況だと、実は一〇〇%以上なのですね。大変大きな乗数効果を持つというふうに私は思います。だから、政府が言っている〇・二%なんというものではとてもないなというふうに思います。  ただ、先生に大急ぎで申し上げなきゃいけないと思っておりますことは、私ども、この二兆円の所得減税継続だけで景気がどんどんよくなるなんて言っておりません。とにかく四月以降相当危機状況になるだろう、それを少しでも和らげるために、最低限、これだけ国民が切実に要求している二兆円の特別減税継続をしょうよと言っているわけで、これでどんどん世の中が明るくなっちゃうなんというふうには全く思っておりません。やっぱり私どもは、十八兆円減税を政権をとってやらせていただかない限り中期的な日本経済の展望は開けないと思っております。
  79. 日野市朗

    ○日野委員 この二兆円の特別減税継続が、これは悪化をできるだけ食いとめたいという、こういう効果はよく私もわからぬではないのですね。ただ、これは現在の不景気の、特に消費の伸びが思うようにいっていないということとの連動でいろいろ考えてみるのですね、私も。  特別減税というのは、最初の一年目と二年目では仕組み方が違ってくるわけですよ。最初の一年目というのは、一定率で上げました。二年目には、何万円でしたか。実はあれは私がやったので、これはよかったのかな、悪かったのかなという思いは今でもあります。まず、できるだけ下に厚くしょうよという思いで私はあのときやりました。下の方に厚くすればそれだけ消費が幅広く拡大するのではないか、そういう思いがあったのです。今これを考えてみまして、さてどっちがよかったのか、消費を刺激するためにですよ。そうすると、ある程度まとまった金がどんと入った方がよかったのかもしれない。これはわかりません。私もわかりません。  そこで、私、教えていただきたいと思うことですが、七万円がまた返ってきますよということになりますと、大体は銀行に振り込みますからね。銀行振り込みになりました。さて、その七万円を銀行まで行っておろす。そしてお金を使う。それがどの程度まで、七万円のうちの何%ぐらいまで使っていただけるだろうか。まあ六〇%というのはちょっと高過ぎるのではないのと、期待のし過ぎではないのという面が一つあったのです。  それからもう一つは、マインドをそれでもよくするでしようという意見もありましたね。しかし、これだけ消費阻害要因になる危機的な見通しとか悲観論がどんどん出てきますと、そのマインドもそこで相殺されてしまうのではないかという考え方なんかもあったわけです。この点について、いかがお考えになりますか。
  80. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)議員 導入した九四年ごろの状況を考えますと、おっしゃるようなことは十分考えられたと思いますね。景気回復は、今振り返ると九四年から回復し始めていますが、あのときはまだまだ平成大不況が続いているという気分ですから、先に備えて貯蓄しなきやというふうに国民は思ったと思います。それから、その後は財政赤字が拡大してきて、増税だ、増税だというかけ声がかかってきますと、これまた増税に備えて貯蓄しようというようなことも起きるのです。ですから、今委員がおっしゃいましたように、限界消費性向で六〇%までいくのかねとおっしゃったお気持ちはよくわかります。  ただ、繰り返して申し上げますけれども、来年四月以降というのは、貯蓄を崩さなきゃ消費の水準が維持できないのですよ。そういう状況のときは、それはやっぱりおろしに行きますよ。だって、家計の水準、そんなに簡単に切り下げられません、家計の消費支出を。これはやっぱり、ちょっと状況委員おっしゃっていた九四年ごろとは違う、来年度は違う、こういうふうに思います。
  81. 日野市朗

    ○日野委員 私は、もうひとつ消費が伸びないという理由の一つは、やっぱりみんな結構物を持っているのだということも言えるのだと思うのです。ですから、私は消費というのは、これはもう私はエコノミストではないものですから、おまえさん甘いよと言われれば、へい、恐れ入りました、こう言わざるを得ないのですけれども、やっぱり買いかえの時期がどんどんやってきて、消費というのはかなり伸びるのではないかというふうに私は思っていますが、鈴木エコノミストは何と思いますか。
  82. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)議員 それは消費飽和説というのですけれども、もう消費の対象が飽和しちゃったと。それは先生はお金持ちでいらっしゃいましょうからそういう気分もあるかもしれませんし、私どもの年齢になってくるとそういう気分になる方もおられるようですが、若い働き盛りの方で、住宅ローンの返済の負担を抱え、子供の教育費がどんどんふえてという世代の方々にそれを言ったら怒られると思いますよ。だからこそ、この二兆円の特別減税継続してくれという切実な声が出てい るのですから。ですから、消費飽和論というのは、お年寄りで所得水準の高い方の間ではよく出ますが、これは一般化できない話だと思います。
  83. 日野市朗

    ○日野委員 ここのところはかなり水かけ論的なところになりますから、ここのところの議論はこの辺にいたしましょう。  ただ、私、特別減税をやるときというのは、これは気をつけなくちゃいかぬことがあると思うのですね。税制の持つ政策的な効果というものは、これはあるものでございますよね。これは景気を引き上げるばかりではなくて、そのほかの政策的な効果というものがいっぱいある。ところが、この特別減税というものは、言うなれば、まあとにかく金を配ろうよというような話でございまして、政策的な先が見えない、そういう欠陥が私はこの特別減税というものにはあると思うのです。  そして、こういう税金を扱うときに注意しなければならないのは、こういう減税というのは、ややもすれば──私たちは、最初にこの制度をつくったときに、二年、こう考えた。しかし、ある人はこう言ったものです。そんなものつくったら二年では済まないよ、それをまた継続しろという声が出てきて、これは大変だ、場合によっては恒久減税にしろなんと言う人たちもあらわれるよ、こう言ったものでございます。私も、その心配はあるな、実に怖い、嫌なところだなと実は思っておった。  きょう拝見をしますと、そうしたら、まず一年延ばすところから、やがては「恒久的な制度減税に吸収すべきだと考えております。」こう書いてある。この意味がよくわかりません、私。これを恒久減税で何か新たな税制の体系のどこかに位置づけるのかどうか、ここいらなんかをどう考えておられるのですか。  私は、本当はこういうことをしてはいけないと思うのです、根本的に。特別減税というのは、ばらまきといえばばらまきです。こういうような減税を恒久的な制度として置くということは、これはいけないことだと思います。お考えいかがでしょう。
  84. 村井仁

    村井議員 私どもの考えでおりますことは、日本所得税というのは、住民税も含めまして、基本的にやはり高いと思っております。それからもう一つ法人税も、やはり国際的に見ましたときに、よその国に企業がどんどん移ってしまうというような、雇用の源泉を失うような、そういう構造を持っていると思っております。それからさらに、さまざまの、先ほど触れました有価証券取引税とかそういったようなマーケットの機能を非常に損なうような税もございます。  いずれにいたしましても、そういったもろもろの問題を含めまして、私どもは、税構造を根本的に見直さなければならないと思っております。その中の一環として、今先生御指摘になりましたような恒久化ということを考えているわけでございまして、このことだけをとらえて、このことだけをそうする、恒久化するということではございません。  そういう意味で、総合的に、先ほどもちょっと強調いたしましたけれども、高齢社会において公平で活力ある社会を支えることができるような税制をつくっていく、このために、どのようにしたら私どもの間で、国全体でコンセンサスを形成することができるか、これが私どもに課せられた課題だと思っております。
  85. 日野市朗

    ○日野委員 私は、税制所得税にしても法人税にしても、それが欠陥があるとしたら、税率を下げるなら下げるでよろしい、そのかわり課税ベースを広げるということは絶対に必要なことですね。税制をいじるとすればそういう形でこれは正していくべきなのであって、何かとにかく金を出して景気対策をやろうやということで始まったこの特別減税、こういったものは長引かしていっちゃいかぬ、後を引かせちゃいかぬ、こう私は思っております。  ただし、誤解しないでいただきたいのは、実は景気の状態がこのような状態だということは、鈴木先生言われたような状況というのは我々だって理解しないわけではないんです。ですから、何とかこういう形で景気を上向かせることができるのならば、何らかの処置はとりたいと実は思っているんです。  ただ、財源問題というものは、これは避けて通れない。先ほど吉野屋の牛丼の話が出ましたが、あれは私はだめだと思う。やはり減税をするのであればきちんとした財源措置はこれはなされていなければならない、私はそう思います。ここのところは民主党としても譲れない。私もそうですし、民主党としてもそこのところは譲れない、こう思っています。  ですから、私、予算委員会の中でもその点は随分、公共事業を初めとするむだを削れるところは徹底的に削るべきではないか、予算書の書きかえはできるではないか、やりょうによってはできるではないか、何でやらないんだということまで言いました。  しかし、予算というのは法的な覊束性を持つものでありますから、一たんこの予算衆議院を通過をする、そして恐らく参議院に行って三十日ですか自然成立という、可決をするか、否決をするか、自然成立か、こういうことになるんでしょうが、私は、そういう覊束性を持った予算が一たん成立した以上、そこにはっきりと財源が出てくるということが読み取れない限り、やはりこのような二兆円に及ぶ減税を求めていくということは、これは責任ある政治家としていかがなものかと実は私は思っているんです。  この点について、先ほどからお話を伺っていますと、こういうむだがあるんだ、それを削り取ればこの財源は出るんだという御意見、私もうなずくところはあります。しかし、それが減額補正でもされて、そこでお金が浮いてくるということであれば、そこで考えてもいいんだろうと思うんだが、これからそれを要求するということで、こういう二兆円に上る減税をやるということは不可能だ、これは国のシステムとして、財政のシステムとして難しいのではないか、こう私は思います。  ちゃんとここには書いてあるんですね。「足らざる部分は公債発行等も含めて、」こう書いてあるわけで、公債を発行するということになれば、これは新たな法的な手当ても必要になってくるわけでございますし、法的な手当てをするとなれば、どのくらいの額が足りないからどのくらいを出すということをきちんと決めなくちゃいかぬわけですよ。ここいらについてどうお考えになっているんです。私が納得できる説明が出れば、私もいろいろと考えてみたいと思う。
  86. 村井仁

    村井議員 私どもは、その点につきましては、確かに先生御指摘のとおりでありまして、この法律が通りましたら所得税が減収になることになりますし、そうしますと、予算につきましても補正が必要になるというようなことになるわけでありまして、それは、そういう手続をきちんとしなきゃならない。そこができない場合には、所要の公債の発行ということにつきましても法的な手続をしなきゃならない、そこはそのとおりだと思っております。  そういう意味では全く御指摘のとおりでありますが、私は、この所得減税をやらなければならないということで私どもの合意ができましたら、その後の処理は、所要の金額をいわばひねり出すということも決して不可能ではないことは、毎年の予算におきまして、御案内のとおりいわゆる節約ということが毎年のように行われているというような現象でも御理解いただけることでありまして、率直に申しまして、ある意味では政治決断の問題でありまして、やってできないことはない、このように思っております。
  87. 日野市朗

    ○日野委員 お金が余るかどうか、節約の効果が出るかどうかということは、しょせんはこれは決算してみないとわからぬことだ。(村井議員「途中でやっているんですよ」と呼ぶ)  ですから、まあ途中でやろうと何をしようと決算してみないとわからぬ。それを今の段階でこの法律案提出するということにはかなり難しさが伴うんじゃないかなというような感じが実はいた します。我々も、きょうの皆さんから教えていただいたこと、それを十分体しまして、我々の党内での議論をまたいたしたいというふうに思っております。  ただ、先ほどから構造危機の問題、それから六つの改革の問題、いろいろ出てまいりました。私も、これはこの構造を改善していかなくちゃいかぬ、なお正していかなくちゃいかぬとは常に思っています。そのときやはり一番大事なのは、財政の構造でしょうね。これをいかに改めていくか、やはり財政がきちんとしていなければ経済も伸びない。  私はこの点は、先ほど先生、何ですか、トレードオフ、私はどうも語学が弱いものですからよくわからなかったですが、まあ先生がトレードオフではないということを言われると、大体ああこんなことを言っておられるのかなぐらいのことを考えたんですが、どちらにしても、私はやはり財政、これがきちんとしていなければ経済も伸びないというふうに思っております。  大体、時間も参りましたので……。まだ三十秒ぐらいありますね、先生。
  88. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)議員 財政構造改革経済構造改革、どっちから入っていくかという議論がさっきあったわけですね。  それで、岸田委員は、これはバランスをとって両方見るみたいな言い方をされたので、私は、財政構造改革から入っていくとこれは経済が沈滞してしまいますぞと。経済構造改革から入っていって、経済が実力相応の成長軌道に乗れば、結果として財政構造改革が進みますぞと。だから、経済の結果財政はよくなるが、財政の結果経済はよくならないんだ、こういうのはトレードオフの関係ではない、あちら立てればこちら立たずの関係ではないから、真ん中をとるような話はだめだ、経済改革なくして財政再建なしという、そっちの一本の道しかない、はっきりこう申し上げている。
  89. 日野市朗

    ○日野委員 一言だけ、経済がどんなに伸びたって、そんなに大きなダイナミックな変動というのはそうそうはないものだということを私は申し上げておかざるを得ない。  終わります。
  90. 原田昇左右

    原田委員長 次回は、明七日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十九分散会      ────◇─────