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1997-04-24 第140回国会 衆議院 消費者問題等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月二十四日(木曜日)    午前九時開議  出席委員   委員長 中村 鋭一君    理事 小野 晋也君 理事 岸田 文雄君    理事 佐藤 剛男君 理事 斉藤斗志二君    理事 青山 二三君 理事 福留 泰蔵君    理事 肥田美代子君 理事 藤田 スミ君       大野 松茂君    奥山 茂彦君       木村 隆秀君    小林 多門君       河野 太郎君    能勢 和子君       山口 泰明君    渡辺 具能君       長内 順一君    福島  豊君       松沢 成文君    松浪健四郎君       石毛 鍈子君    中桐 伸五君       中川 智子君    熊谷  弘君  出席政府委員         経済企画庁国民 井出 亜夫君         生活局長  委員外出席者         厚生省生活衛生         局食品保健課長 堺  宣道君         農林水産省食品 村上 秀徳君         流通局品質課長         参  考  人         (細胞矯正士) 有馬とみえ君         参  考  人         (弁 護 士) 神山美智子君         参  考  人         (大妻女子大         学・大学院教         授)      粟飯原景昭君         参  考  人         (国立衛生試験         所所長)    寺尾 允男君         参  考  人         (消費科学連合         会事務局長)  伊藤 康江君         特別委員会第二 田中 宗孝君         調査室長     ───────────── 委員の異動 四月二十四日  辞任         補欠選任   深田  肇君     中川 智子君 同日  辞任         補欠選任   中川 智子君     深田  肇君     ───────────── 本日の会議に付した案件  物価問題等国民消費生活に関する件(遺伝子  組換え食品表示問題等)      ────◇─────
  2. 中村鋭一

    中村委員長 これより会議を開きます。  物価問題等国民消費生活に関する件、特に遺伝子組換え食品表示問題等について調査を進めます。  本日は、参考人として細胞矯正士有馬とみえさん、弁護士神山美智子さん、大妻女子大学・大学院教授粟飯原景昭さん、国立衛生試験所所長寺尾允男さん、消費科学連合会事務局長伊藤康江さん、以上五名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思います。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、政府からコーデックス委員会食品表示部会における遺伝子組み換え食品表示に関する議事概要について説明を聴取いたします。次に、有馬参考人神山参考人粟飯原参考人寺尾参考人伊藤参考人の順に、お一人十五分程度意見をお述べいただき、その後、委員質疑に対しお答えをいただきたいと思います。  なお、念のため申し上げますが、参考人委員長許可を得て御発言を願い、また、委員に対しましては質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきをお願い申し上げます。     ─────────────
  3. 中村鋭一

    中村委員長 それでは、まず政府から説明を聴取いたします。農林水産省食品流通局品質課長村上秀徳さん。
  4. 村上秀徳

    村上説明員 本年四月十五日から十八日までの間、カナダのオタワで開催されましたコーデックス委員会食品表示部会における遺伝子組み換え食品表示に関する議事概要について御報告いたします。  会議内容の御説明をいたします前に、コーデックス委員会概要について簡単に御説明させていただきます。  コーデックス委員会は、消費者の健康の保護及び食品の公正な貿易の確保、国際政府機関国際政府機関により取り組まれているすべての食品規格業務の調整の促進等のため、共同して国際食品規格を作成することを目的といたしまして、一九六二年から、国連食糧農業機関、FAOと世界保健機関、WHOの共同で設置された委員会でございます。現在、参加国は百五十カ国以上に及びまして、我が国も一九六六年から参加いたしております。  コーデックス委員会のもとには、分野ごと部会が設置されております。遺伝子組み換え食品表示あり方につきましては、食品表示部会議論されているところでございます。  続きまして、今回の会議概要について御説明いたします。  今回の食品表示部会では、遺伝子組み換え食品表示のほか、有機農産物のガイドライン、アレルギー原因となる食品表示栄養表示等が主要な議題となったところでございます。  我が国政府からは、厚生省及び農林水産省から六名の職員が出席いたしました。  遺伝子組み換え食品表示の問題につきましては、四月十六日の午前九時半から約一時間程度にわたりまして議論が行われました。  その概要は次のとおりでございます。  最初に、コーデックス委員会事務局から、これまでの経緯と、それから事務局が準備いたしました資料につきまして簡単に説明がございました。  その後、参加国から意見が出されましたけれども、その大半は、事務局からの各国に対する資料の送付が非常に遅かったということ、そういうことで十分な検討ができなかったというような指摘が中心でございました。それからほとんど手続議論に終始した形となりました。  具体的には、一部の国、スウェーデンあるいはノルウェーなどから、事務局ペーパーは不十分である、本件消費者の知る権利等にかかわる問題であり、この問題の重要性緊急性から、ワーキンググループを設置してペーパーの改訂を早急に行うよう求める意見が出されました。これに対しまして、アメリカとかカナダメキシコフランス等から、各国事務局ペーパーを十分検討コメントを出す機会を与えるべきである、それから、ワーキンググループでは一部の国だけが参加することとなり、問題の重要性から適当でないというような意見が出されました。  これを受けまして、事務局から、手続問題に関しまして、本件は昨年の執行委員会、これはコーデックス執行委員会というもので、コーデックスの全体の作業日程等を決めているところでございますが、執行委員会検討開始が了承されているので、既に正式のコメントを求めるため各国に配付するという手続になっている段階であるというような事務的な説明がございました。  以上のような議論を受けまして、議長、これはカナダ食品検査庁のマッケンジーという局長がやっておりますが、この議長が、この問題の重要性にかんがみまして各国国内で十分検討する機会が与えられるべきである、各国に対してコメントを求める、その内容を踏まえた上で次回会合事務局案を提示する、そして次回会合では本件議論について十分な時間を当てるというような説明があり、取りまとめられました。  なお、我が国は、本件については国内で大きな問題となりつつある、消費者団体から表示を求める意見が出されている、それから関係業界議論の帰趨に懸念を持っているというような中で、今後表示あり方について検討会を設置することとしており、本件に関する立場は留保する、しかしいずれにしても、コーデックス食品表示部会における本件についての意義ある解決のための作業に積極的に参加していく用意があるというような発言をいたしたところでございます。  以上、簡単でございますが、今回のコーデツクス委員会表示部会遺伝子組み換え食品表示に関する議事説明を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  5. 中村鋭一

    中村委員長 以上で政府説明は終了いたしました。     ─────────────
  6. 中村鋭一

    中村委員長 これより各参考人から御意見を聴取いたします。  まず、有馬参考人にお願いいたします。
  7. 有馬とみえ

    有馬参考人 おはようございます。  本日は、お忙しい先生方に貴重な時間を割いていただき、このような場を設定していただきましたことに心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。  私は、参考人としてお招きいただきましたが、遺伝子組み換え問題に対する専門家ではございません。素人でございます。しかし、専門家であろうとなかろうと、この不安の多い、未知なる食べ物遺伝子組み換え食品を食べ続けていくということにおいては変わりがありません。私は、未来ある子供たちの健康を守り続けてあげたいと願う全国のお母さんの声を代表して、素朴で率直で真剣な思いをお伝えしてまいりたいと存じます。  たまたま私は健康というテーマに関心がありまして、二十数年もの長い間、不思議で異様な実態の原因を探し続けてまいりました。飽食の時代と言われ、世界の中でも豊かな食生活を送っている日本で、健康に関する多くの情報もあり、また進んだ医療技術、たくさんの薬に囲まれながら病人が減らない、むしろ年々病人がふえている現実があります。昭和四十年に一兆円で済んでいた医療費が年とともにふえ続け、今国家予算の三分の一を超えてしまっている異常事態、一体何が原因なのでしょう。  幸い、私は細胞矯正医学という予防医学考え方に出会いました。そして、現代医学食生活の盲点をはっきり悟ることができました。  きょうは、この細胞矯正医学考え方を踏まえ、現代食生活の落とし穴を明らかにしながら、最後に遺伝子組み換え食品について意見を述べさせていただこうと思います。  さて、健康とは何かと問われたとき、細胞矯正医学によれば、人体を構成する六十兆の細胞一つ一つが正常な代謝作用をすることと言われています。  ごらんください。これは人間肝臓細胞拡大図です。一ミリの三百分の一という小さな小さな細胞の中で、何と二千種類とも言われる化学変化を瞬時にやってのける細胞です。豚肉を食べても私たちは豚にはなりません。豚の肉もついてきません。ちゃんと人間の肉になって体についてまいります。余りに当然のことで考えてもみなかったかもしれませんが、不思議なことだと思いませんか。  食べた豚肉酵素によって分解され、アミノ酸になって肝臓に入ってくると、この肝臓細胞は、遺伝子情報酵素によってそれを人間アミノ酸配列組み換え人間たんぱく質に合成していきます。肝臓の一個の細胞が一分間につくり出すたんぱく質は六十万とも百万個とも言われています。人間認識をはるかに超えた驚異の世界です。人の命を維持するために黙々と無意識で働き続けています。  この歯、入れ歯ではございません。この髪もアデランスではございません。生えてきました。どこからですか、細胞からです。土に埋めても残る骨や歯や髪の毛、こんなものまで細胞は、食べ物から遺伝子情報に基づいてつくり出してくれます。必要なものを取り入れ、必要な働きをして、不必要な老廃物を外に出し、みずからが古くなったら新しい細胞に生まれ変わる、こんな複雑で単純な代謝作用を命ある限り続けているのが細胞です。  さて、細胞が正常な代謝作用をするためにどうしても必要なものが幾つかあります。その大前提には、先ほどの丸い火鉢のようなあの核の中にある遺伝子に傷がついていない、これが第一条件でございます。正常な遺伝子があるということ、これが第一条件です。その上で必要なものが三つあります。栄養と酸素と水、この三つです。これがそろうと、六十兆個の細胞は正しく新陳代謝を繰り返すことができます。  ここで、栄養についてお話ししなければなりません。  人間にとって必要な栄養は、大きく言うと、御存じのとおり五つあります。たんぱく質炭水化物脂肪、そしてビタミンミネラルです。現在までの私たちは、熱とエネルギーに変わる三大栄養素にばかり注目をしてカロリー計算をやってきました。しかし、たんぱく質炭水化物脂肪という三大栄養素は、車でいえばガソリンに当たりますが、私たちはどうもとり過ぎているようです。注意しなければならないのは、車でいうとオイルに当たるビタミンミネラル、これが必要なのです。  この図をごらんください。これは、細胞矯正医学によって突きとめられた、人間が生きていく上でどうしても、どうしても必要な微量栄養素関連図です。一番端のピンクの三角の必須アミノ酸が八種類ビタミンが十八種類、赤い丸のミネラルが二十種類、合わせて四十六の微量栄養素は不可欠な栄養素です。これらは互いに関連し合って、みんな手をつないでいます。体内の複雑な化学変化をこのチームプレーでこなしています。  この中の一つでも欠けると全体が働かなくなります。特に、マグネシウムと言われる重要なミネラルが一滴でもなくなったらどうなるでしょうか。ゼロになった瞬間に心臓の拍動はとまります。そして、これらの必須微量栄養素は、体の中で合成されることも、ためておくこともできません。食いだめができません。毎日の食生活の中から補給する必要があるのです。つまり、これが食べるという意味です。おわかりいただけたでしょうか。  人体栄養素でできています。五大栄養素以外のものででき上がっている細胞一つもありません。つまり、食べ物が私たちの体をつくり、細胞の中で命を紡ぐ材料となっているのが食べ物なのです。  ところが、この命に直結している食物に大異変が起きています。形は同じなのに、知らない間に変わってしまったのです。  その変化とは、大きく分けて二つです。  一つは、栄養素低下という問題です。  きょう用意させていただいた資料の中に、科学技術庁の食品成分分析表が載っておりますが、戦後、野菜、果物などに含まれるビタミンミネラルが激減しているのがわかります。本当はじっくり数字を見ながら読んでいきたいのですけれども、時間に限りがありますので失礼をいたしますが、物によっては一〇%、ミカンは三%しかありません。昔、こたつに入って一個食べたらとれていた二千ミリグラムというビタミンCは、今、三十個食べなければ入ってきません。お父さんの分一箱、お母さんの分二箱、こうして食べなければ必要なものがとれない時代に入ってしまいました。  これは、農業が変わったからです。ハウス栽培促成栽培農薬化学肥料、これで土が死につつあります。身土不二というすばらしい言葉がありますが、私たちの体は土とともに生きているので、土が死ねば作物が死に、作物がなくなれば人が死ぬのは当たり前のことです。  さて、二つ目です。食べ物変化に大きくかかわってきた毒があります。その毒とは、食品添加物農薬女性ホルモン三つです。これらの化学物質はすべて、細胞代謝には異物ですから毒となります。本来の人間なら解毒能力がありますから体外に排出可能なのですが、栄養過多栄養素失調現代人には、解毒酵素材料不足でつくり出せません。したがって、六十兆の細胞にこの三つは残留いたします。  要約しますと、食べ物栄養素低下と毒が体内にたまることが、現代病、慢性病生活習慣病の隠れた原因であるというわけです。  そして、皆様、周りを見回してください。おかしなことがたくさん起こっているのに気がつかないでしょうか。  今、死体が腐らなくなったそうです。ことしの一月二十七日に来日されたコントレラス病院院長先生によりますと、メキシコでは、貧しい国なので、国が遺体を五年間埋葬してくれるのだそうです。五年間たったのでお引き取りを願うときに掘り返してみると、ろう人形のようにその死体が腐っていない、大変困っているという実情をお話しされました。この日本でも、東京大学の優秀な女子大生が急死し、その遺体に関して同じことが報告されています。これは、食品の中に含まれる防腐剤が六十兆の細胞に残留したために、バクテリアさえ寄せつけない体になっているということが原因です。  そして、子供たちの体にも大人たちにも異変が起きています。八割から九割の子供たちアレルギー、アトピーです。日体大の正木教授によるショックな資料をおつけしておきましたが、皮膚がかさかさで、低体温、三十六度ない子が多いのです。朝からあくびをし、すぐ疲れたと言う子供、転んでも手が出ない子供たちの姿が浮かび上がってまいります。  その中で最も深刻なのが赤ちゃんたちです。百人のうち三%は、死産扱いだそうですが、実際は表に出すことができない奇形赤ちゃんたちです。  添付してあります資料の一番目にショッキングな資料がついていると思います。ごらんいただけますでしょうか。単眼といって目が一つしかない赤ちゃん、目が三つある赤ちゃん、そして、写真の一番手前にある赤ちゃんは無脳症赤ちゃんです。この無脳症子供発生率曲線は、食品添加物が増加していった曲線とぴったり重なるのです。  昭和の初期には食紅とサッカリンの二種類だった食品添加物が、今や千八百五十種類厚生省に認可され、食べ物の中に入っています。一日平均茶わん一杯分の白い化学物質を私たちは食べている計算になります。二十五歳で次の世代を産むとき、小錦二人分、四百五十キロの化学物質を通過させた疲れた肝臓で、血液の浄化もされることのない中で妊娠、出産となりますから、これらの奇形もあり得ることだと私は思います。  冷たいホルマリンの中で、日の光を浴びることなく、温かいお母さんに抱かれることもなく、暗やみに閉じ込められてしまったこの赤ちゃんたちの無言の訴えを私たちは無にしてはいけないと思います。  このような事態の中でふらふらになっている私たち現代人に、強烈なパンチのような食品が入ってきました。遺伝子組み換え食品です。今まで人類が一度も口にしたことのない全く新しい食べ物です。遺伝子工学は、従来の品種改良の単なる延長ではありません。異なる種の遺伝子をかけ合わせるところにその特徴があります。動物、特に人間遺伝子さえも植物や他の生物の遺伝子に組み込まれるのです。アメリカのアラバマ州では、既に人間遺伝子を組み込んだマスやコイの野外飼育が進められているそうです。臓器移植のために人の遺伝子を組み込まれた豚が飼育されているということも聞いています。  表示義務のない日本では、もしかしたら将来、ヒト遺伝子を組み込んだ食物を知らない間に食べてしまうということも皆無とは言えないかもしれません。そうなれば、人が人を食べる共食いになってしまいます。今まで神の領域とされていた遺伝子を、人間が一部の人間の利益のために勝手に利用し、改変することに、私は倫理上の憤りを覚えます。できることとやってもいいことは違うのですから。  しかし、倫理上の問題もさることながら、最も注意を促したいことは、健康上安全であるかどうかという一点です。完熟のまま何日も腐らないトマト、植物自体殺虫剤を産出する能力を持たせた害虫耐性植物、あるいは除草剤をかけられて、雑草は枯れ果てるのにびくともしない耐性を持った大豆や菜種、これらを長期にわたって多種類を食べ続けて本当に大丈夫なのですか。  昨年八月、厚生省は、短期間の検査によって、危険性は認められなかった、よって安全であるとの認識のもと、七品種遺伝子組み換え作物の輸入を許可してしまいました。企業側が提出した資料をうのみにし、四週間あるいは六週間ネズミに食べさせて得たデータだけでは不十分です。なぜなら、この食品危険性は、急性毒性よりむしろ慢性毒性催奇形性発がん性といった内容があるからです。  安全性については、特に次の三点を考慮しなければなりません。一つ、長期間微量なものを摂取することの危険性二つ、他の物質との相乗作用による危険性三つ細胞分裂が盛んな胎児、赤ちゃん子供への影響が大きいこと、この三点を考慮した考え方をとって検査をしない限り、本当に安全であるとは言えないのです。そうでなければ、結局消費者が食べ続けてようやく結果が出てくるということになります。これは明らかに、意図しようとしまいと、日本国民、特に私たちの大事な子供たちを使った人体実験です。  そして、もう一つ、万一遺伝上の異変が起きたとき、それは遺伝情報なのですから、半永久的に伝えられていくのです。遺伝子汚染は修復が不可能であると言われています。子々孫々、末代までの禍根を残さないためにも、遺伝子組み換え食品については、これ以上ないと思えるほどの慎重さと思い切った法規制が必要です。そうでなければ消費者安全は守られないのです。  お集まりいただいた先生方にも愛するお子さんやお孫さんがいらっしゃると思います。私たちの大切な子供たちが親になるとき、おかしな子を産んで悲しむ顔を親は見たくないはずです。今だけ幸せならそれでよいのですか、私だけ幸せならそれでよいのですか、ここだけ幸せならそれでよいのですか。いいえ、みんなが、地球上の全生命体みんなこともにいつまでも幸せであり続けたいのです。  ここに至ってお願いしたいことが三つあります。一番目は、この食品新規性を認めて、もう一度検査をし直してほしいということ、二番目、消費者の選択の自由を認めてラベル表示をしていただきたいこと、三つ目安全性が確立するまで学校給食には食材として遺伝子組み換え食品を使わない旨何らかの法規制をしてほしいこと、以上三点です。  これをもちまして、参考人意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  8. 中村鋭一

    中村委員長 ありがとうございました。  次に、神山参考人にお願いいたします。
  9. 神山美智子

    神山参考人 おはようございます。弁護士神山でございます。  本日、参考人としてお招きいただきまして大変名誉に感じております。どうもありがとうございます。  私は弁護士でございますけれども、日本弁護士連合会公害対策環境保全委員会東京弁護士会公害環境問題対策特別委員会二つに所属しておりまして、現在その二つ委員会が合同で遺伝子組み換え食品問題のプロジェクトチームをつくっております。今年から研究を始めたばかりでございまして、いずれその二つ弁護士会日弁連東京弁護士会のそのプロジェクトチームなりあるいは弁護士会として意見書を発表する予定にはしておりますけれども、今まだ研究を始めたばかりでございまして、私がきょう申し上げることは、その弁護士会なり日弁連なりの公式見解ではございませんで、私の個人としての意見でございます。それだけお断りさせていただきます。  まず第一番目に申し上げたいことは、遺伝子組み換え食品について法規制がないのはおかしいということです。  今御説明がありましたけれども、例えば、殺虫成分を生み出すような遺伝子を組み込まれたバレイショやトウモロコシといったものがあります。これが殺虫剤を販売するということになりますと、当然のことながら農薬取締法という法規制がかかります。しかし、その殺虫剤である成分食品の中に組み込んでしまうと法規制がない。これは絶対におかしいことだと思います。同じ殺虫成分であるならば、農薬取締法のようにどこかに登録するとか、届け出をするとか、許可制にするとか、何らかの形の法規制のもとに置くべきだというふうに考えております。  一般的に、こうした先端技術進歩発展にとって法規制はそれを阻害するということが言われますけれども、二十一世紀を迎えようとする今、さまざまな科学技術がどのような結果をもたらしているかということを考えますと、科学技術進歩発展を阻害することを心配するよりも、科学技術の暴走を阻止しなければならないということの方が現代人間にとっては大事なのではないかと思います。  これまで遺伝子組み換えを使った技術としてトリプトファン事件というものがございましたが、あれでたくさんの被害者が発生しております。こうして現在も世界じゅうで遺伝子組み換え食品安全論議というのが続いておりまして、オーストリアなどでは国民、有権者の二〇%が輸入に反対する請願署名をしているという報道もございます。このように世界的に安全性議論されているときに、急いでこうした先端技術を流通させなければならない理由はないと考えます。  これについて、現在、食品衛生法に四条の二というのがございまして、これが新開発食品の販売禁止という条文です。レジュメにこの条文を書いておきましたけれども、「厚生大臣は、一般に飲食に供されることがなかった物であって人の健康をそこなうおそれがない旨の確証がないもの又はこれを含む物が新たに食品として販売され、又は販売されることとなった場合において、食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、食品衛生調査会の意見をきいて、その物を食品として販売することを禁止することができる。」という非常に迂遠な条文でございます。  まず、一般に飲食に供されることがなかったもので安全の確証が得られないものであるならば、その販売は事前に禁止するなり、事前にチェックするというのが常識だと思いますが、そういうものが新たに販売されるようになって、しかも衛生上の危害の発生を防止するため必要があるというときに、わざわざ食品衛生調査会の意見を聞いて販売を禁止することができるというこういう条文でいきますと、例えば現在の新たに開発されている遺伝子組み換え食品が、新規性の問題というのがありますけれども、新開発食品であるとするならば、被害の発生を防ぐということは到底この条文ではできません。もっと真正面に事前にチェックをするような法規制を始めるべきだと思います。  現在、この遺伝子組み換え食品安全性評価指針というものに従って評価されておりますが、これは単なるガイドラインでございまして、食品衛生調査会は、その申請者が行った安全性評価がガイドラインに適合しているかどうかということをチェックするだけになっておりますけれども、この安全性評価指針そのものについても非常に疑問があります。  先ほど有馬参考人もおっしゃいましたが、新規性の点でこれは新しい食品ではない、従前の菜種なり、従前の大豆なりと実質的に同等なものであるから新規性はないというふうに説明されておりますけれども、私どもがこうした「バイオテクノロジー応用食品等の安全性評価に関する研究報告書」を厚生省でコピーさせていただきまして、大変難しい論文ばかりなのですが一生懸命みんなで読んでいるわけですけれども、こういうものを読んでいるときに、平成四年度の報告書と平成五年度の報告書の間に非常に大きな姿勢の転換があるような感じがしてなりません。  平成四年度の「食品等に係わる新規性の概念と運用に関する研究」というものにおきましては、これまで人が食べてきた経験があるかどうか、これを新規性の判断の材料にするということで、これを敷衍して考えますと、人が食べてきたことのない微生物からとってくるような遺伝子というものを組み込んだ、これは新規性のある食品だというふうに考えるべきなのではないかと思うのですが、この点が平成五年度になるとそういう報告の内容になっておりません。  それからさらに、平成四年度の報告の中に「食品等に新規性が認められず、組換え体を食する場合の安全性評価に関する研究」というのがございますが、その中で「遺伝子産物や代謝産物が、他の細胞の産物と反応して有害な影響を生じる可能性」という項目がございまして、「もちろんこの危険性は充分に考えられる。しかし、どのような新たな産物ができるかは一般的には予測不可能であり、また、全ての成分を測定することは不可能である。この点をカバーするためには、出来上がった農作物食品について毒性試験等をするしか方法はないと思われる。」というふうに書いてございます。  しかしながら、安全性評価ガイドライン、安全性評価指針の中には、最終食品そのものでの毒性テストというものが義務づけられておりません。必要な場合に一定の毒性テストをするというふうになっておりますけれども、こういった予期せぬ危険性が発生するおそれがあるとすれば、最終食品で長期にわたる安全性試験が不可欠ではないかというふうに思います。  それから、この委員会表示を中心にお考えだそうでございますけれども、消費者のこうした遺伝子組み換え食品を食べたくないあるいは選択する権利というものを確保するための表示がなぜできないか、その根本のところを考えますと、消費者の選択の権利を確保するための表示という制度がないということに一番大きな原因があります。消費者保護基本法というものがございますが、この消費者保護基本法の中に、消費者の権利という言葉がありません。消費者の役割となっております。消費者保護基本法こそ消費者の権利を守るための法律でなくてはならないはずで、消費者の選択の権利を確保するための表示を実施できるような法律制度をつくるということが不可欠ではないかと思います。  食品に限らず、表示に関する法律というものはばらばら規制の典型と言われておりまして、さまざまな目的による表示を規制する法律がございます。例えば、食品衛生法は、公衆衛生の見地から必要な表示の基準を定めるというふうになっておりますし、JAS法という、いわゆるJASマークがついているJAS法ですが、これは品質表示ということが中心になっております。その他公正競争を阻害するような表示を規制するというような法律がございますけれども、こうしたさまざまな目的のもとに、さまざまな省庁がさまざまな表示法を持っている。こういう現状を何とか打破しないと、消費者の選択の権利を確保するための表示制度はできないのではないかというふうに思っております。  現在行われております遺伝子組み換え食品については、これまでの微生物を利用してきた食品と変わらないのだという主張もございますけれども、例えば微生物を利用してきたというと、私たちが一番身近なのは納豆ですとかカビが入っているチーズですとかヨーグルトとかいうようなことになるのだと思いますけれども、こういったものは、一般の人が普通に勉強するとこれは微生物を応用した食品だということがわかります。しかしながら、遺伝子組み換えられたそういう食品は、だれがどのように勉強してもわかりません。  そして、先ほども話がありましたけれども、食品中に殺虫成分が含まれている、仮にそれが人間にとっては受容体がないから安全だといわれましても、虫がそれを食べると口がしびれ、消化管が悪くなって餓死してしまうなどというような成分が含まれているトウモロコシやジャガイモをだれが食べたいと思うでしょうか。少なくとも私は食べたくありません。そうだとすれば、その食べたくないという人が食べたくない権利、その食品を排除することができる権利というものを確保するための法規制が、表示法規制が絶対に必要だと思います。  現在、先ほど申しましたように、基本的に消費者の権利を確保するための表示制度はありませんから、今もし直ちに表示を義務づけるとすれば何の法律に基づいて表示を義務づけるのかということになりますが、当然のことながら、私は、安全性について議論がある以上、公衆衛生の見地から厚生省食品衛生法に基づいて表示をさせるべきだとは思いますが、食品衛生法に基づく表示は直罰規定でございまして、違反するとすぐに罰則がかかるというような表示だということでなかなか発動するのが難しい制度になっております。  そうであるとすれば、現在JAS法の中で、例えば特定JASというようなものでっくり方が違うとそれについて表示をさせるという、これはメリット表示でございますけれども、こういうものがあることを考えますと、デメリット表示ではありますが、生産の仕方が違うということを農水省が表示の制度を定めるということも、緊急避難的にはそれが一番手っ取り早い方法ではないかというふうに思っております。  ただし、先ほど申し上げましたように、消費者保護基本法の見直し、それから消費者の権利を確保するための表示制度、食品表示を一本化するための食品表示法といったような長期的な目標に向かってもぜひ御検討を進めていただきたいと思います。  私の意見はこれで終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
  10. 中村鋭一

    中村委員長 どうもありがとうございました。  次に、粟飯原参考人にお願いいたします。
  11. 粟飯原景昭

    粟飯原参考人 おはようございます。大妻女子大学に勤務いたしております粟飯原景昭でございます。どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。  私は、三十年間、国立予防衛生研究所の食品衛生部で仕事をいたしてまいりました。その大部分、そのすべての時間を微生物、特に食生活においていろいろ我々の健康を侵す微生物あるいはカビの毒などについての仕事をしてまいったものでございます。その間に、食品全体の、どういうことで食品安全というものが確保されていくのであろうかということについて、実験を通し、あるいは消費者の方々とのいろいろな話し合いを通じまして学ばせていただいた次第であります。  本日のこの会合におきましては、食品表示ということが私どもお招きにあずかりました今回の主たる目的であろうというふうに理解して参りましたけれども、私は、食品表示専門家ではございませんので、直接その問題についてお話をすることは御遠慮させていただかざるを得ません。  今回は、個々の食品安全あるいは安全性評価手法等はさておきまして、食の安全を考える場合の基本的な諸因子を広い視野に立って考え、その中から、将来どのように食品安全研究され、あるいは行政的なさまざまな対応がされ、そしてその目的がすべて一般国民、我々自身も食べるわけでございますし、研究者のみならず、行政官のみならず、または国民全体の健康のためにどうすればそれが考えられていくのかということを広い視野で考えるということも今日非常に重要であろうというふうに考えた次第であります。大変浅学非才でありますけれども、その辺について少しまとめをしたことをお話しし、それが間接的にきょうの目的であるラベルの問題についてとお考えいただければと思う次第でございます。  まず最初に、安全という言葉、意義あるいは定義でありますけれども、日常会話の中で、安全という表現はしばしば、きょうはきのうのごとく、あすはきょうのごとく変化のない状態あるいは状況をあらわす場合に用いられております。そこでは無意識のうちに、天然自然、見なれている、継続している、自分自身で何とか判断ができる、目で見てあるいは手にとって知ることができる等々の判断がおのずと寄与していることは申し上げるまでもございません。すなわち、安全という言葉は、そこに至る条件のいかんを問わず、結果として得られた安心できる状態を示しているということになります。それは過去形もしくは現在完了形の概念と言うことができます。すなわち、安全であった、例えばきょう無事に私がこの参考人としてここに立つ栄誉といいますか、それを得られましたのも、今までが無事であったということであります。  そうしますと、それは過去あるいは現在完了という概念でありますけれども、一方、安全性は、安全に対する見通しを示す未来形あるいは未来完了形概念として整理されることになります。安全性には、自然科学的な実験の積み重ね、もちろんその中には疫学的な問題も含めますけれども、広い意味でのサイエンティフィックな実験あるいは調査の積み重ねから得られた安全への期待値、換言すれば安全の総合的条件設定とその後の管理が重要になると存じております。  そして、それは既に国のいろいろな設備の中で、あるいはいろいろと不十分なことがあるにしても、現在の条文の読み方というものは、そのときそのときの情勢に合わせた御判断がさまざまなレベル、国会のレベルでも行政のレベルでもあるいは学会のレベルでも考えられているというふうに私は理解しているわけでございます。  これらの食品の管理の重要性は今もお話しいたしたことでございますが、殊に食品に関しましては、それらの情報は公開されております。もちろん中身がわかりにくいところもあるかとも存じますけれども、しかし同時に、その公開されていることを単に公開したばかりではなくて、その内容をわかりやすい言葉、すなわち科学者の言葉あるいは行政にあずかる者の言葉のみではなくて、それを対話の言葉、要するにお互いに話し合える共通の言語というものを考えていく時代が来ているのではないか。もちろんいろいろな意見があるとしても。あるいはそれを言葉、図表、写真などでわかりやすく人々に伝えるということも、将来ますます重要な時代になりつつあるということを実感している次第であります。  アメリカの生んだ世界的に非常に有名な、一時期を画した第三の心理学者と言われましたマズローという人の名著「動機と人格」という書物の中に、人間の基本的欲求を五段階に整理して書かれております。  人間は、その成長過程の第一歩から生涯を通じて種々の状況に応じたさまざまな欲求を示しますけれども、その中で最も基本的な欲求は直接生命維持に関する生理的な欲求である、特に、水を飲む、食物を食べるといった生理的欲求は、他のいかなる欲求にもまさって最も基本的なものであるとマズローは述べているわけであります。この欲求をまず満たすことが、すべての人間行動の原点になると彼は記しております。  注目すべきことは、生理的空腹感が満たされた状態になりますと、人間は空腹であった事実を忘れ、安全への欲求をひたすら求めるようになることをさまざまな実証を例示しながら彼は述べております。ここで言う安全という言葉は、かなり広い概念で彼はとらえまして、例えば、よりおいしい物を食べる、あるいはよりさまざまな食品を食べる、あるいはより清潔な場所であるいはよりゴージャスな部屋で食べたいとかいうふうなことも含めて書いておりまして、生活の豊かさ、自由、安定など広い範囲で事例を述べているわけであります。  そして、このように安全への欲求に満たされた人間は、所属と愛情、尊敬、そして究極的に自己の実現へと進むとマズローは述べているわけで、大変興味深い示唆を私どもの今日にも与えてくれております。  初版は一九五四年にニューヨークで出されましたけれども、その後一九七〇年に第二版が出ております。  それで、後で補足するところがございますけれども、一言で食物について述べますと、地球上に生態系を構成している三十万種の植物と百万種の動物の中から、私ども人類はごく限られた範囲の植物と動物を利用して我々の食生活が形成されているわけであります。もちろん、それぞれの気候、風土、習慣も違いますので、世界的に流通しているということばかりではなくて、人類が食べてきたいろいろなものが、一部ではほかの民族は全く食べていないというものももちろんございますけれども、しかし、栽培をしてそして多くの人々へ食糧を供給する、さっきのマズローが申しました、食糧を、食べ物を確保するということが安全のあるいは人間の行動の原点であるということに立ち返って考えてみますと、我々がある量の食物をつくっていく、食糧をつくっていくということは大変重要なことであります。  そして現実問題といたしまして、今日我々がそれを意識すると意識しないにかかわらず、認識する人もあり認識しない人がいるにしても、世界の食糧は、殊に穀類がだんだんと人口の増加に追いつかなくなっているということが、世界食糧会議あるいは書物などでも世界ではいろいろと書かれて、論議がされております。今日三千万トンを超えるであろう輸入食糧に頼り、それなくしては我々の今日の豊かさのない我が国において、そのような議論が、違った次元で、豊かな気持ちの中の次元で、原点に返った議論もやはり進めていかざるを得ない時代が一歩一歩と近づいているというふうに私は感ずる次第であります。  特に、人間にとっての食糧の基本、家畜にとっての食糧の基本的な素材は、穀類と芋類であります。これは哺乳動物の最も基本的な問題でありまして、したがって、ある意味での先進国であります。アメリカ、先進国という意味は、食糧を世界に供給することに対して国全体で、ある責任感を持ってそれに対応しております米国において、従来の食糧生産ももちろん進めるけれども、同時に、環境を少しでも破壊することなく、あるいは農薬、合成化学農薬の使用を少しでも減少する方法がないのか、そのような視点から穀類のそして芋類の生産を進めていこう。その中には、不耕起栽培と申しまして、なるべく畑を耕さないで、表層土を破壊することなく農業生産のできる方式ということも視点に置いたさまざまな議論の末に、今日米国で生産されている新しい食品というもの──新しいという意味は、決して今まで人類が食べていなかったものを食べようということではないのですね。要するに、遺伝子操作というのは決して生物をつくることはできないのです。例えば、微生物、乳酸菌であろうとあるいは大腸菌であろうと、あれは実は生物の最も基本単位である細胞でできているわけでありますけれども、先ほど最初の参考人がおっしゃいましたみたいに、乳酸菌や大腸菌は一つの目に見えない細胞ということで生きていくことができる、そして子孫を十五分か二十分の間につくっていくことができる、しかし人類というのは、さっきのように、六十兆の細胞であれば、その細胞はばらばらにあるのではなくて、それぞれの機能に合わせた集団としての臓器となって我々の体を守っているわけであります。  さて、そのようなときに、世界の増大する人口、既に先生方十分御承知で、そういうことを私が申し上げますのは大変僭越でございますけれども、物の書物によりますと、統計によりますと、年々日本の人口ぐらいの人口が世界じゅうで、地球の上でふえている、しかし、穀類の生産は、一九八八年をピークといたしましてその増加する人口にだんだんと追いつかなくなってきたということが、先ほど申し上げた、米国における、少しでも食糧を生産する、少しでも環境を破壊しない方式、少しでも化学物質の影響を減らす方式というものを探し出そうということ、それがいわゆる遺伝子組み換え植物の生産へと進んできたというふうに理解することもできます。  今日、動物を使っての遺伝子組み換え食品は、これは世界的に、許されていないというわけではありませんけれども、自主的にそれはしないということが、既に千九百八十何年でしたか、WHOが最初のバイオテクノロジーに関するコンサルテーションミーティングをジュネーブのWHOの本部で開きましたときの会合におきまして、はっきりと各国政府にそれが伝えられております。  そのときには、微生物の毒性に関する解析に関しましては私が日本から呼ばれて、多くのスライドその他を用いて、微生物にはどういう毒性の可能性があるか、それはどうして制御するのかということ、それから、ヨーロッパの方が植物についてのいろいろな毒性の問題と栄養の問題、そしてその制御の問題、それから、アメリカの方が動物組み換えのことについてのお話をしました。その結果が、WHOのコンサルテーションミーティングの報告書として詳しく述べられている次第であります。  さて、このようなことが、一つの手段、それがすべてではないのですね、バイオだけがすべてではない。今までの生産というものももちろん守られていく。それを守りながら、少しでもその中に含まれているであろう能率の問題、すなわち、育種という方式を我々は長くやっておりましたけれども、そのためには一年あるいはそれ以上たちませんと品種改良が進んでいかない。それから、従来の育種というものは、ある偶然の機会によっているところがかなり大きいわけでありまして、すべてがすべて成功するわけではない。次世代にまた使いますと、それがまたメンデルの法則に従ってせっかくの遺伝性質が次世代では分散してしまうというふうなこともあります。そういう意味で、必要な部分を変えていくということによって、それがバイオテクノロジーという技術を用いて初めて実施することができるようになったということであります。それは一つの手段、さっき申し上げましたように、たくさんの中からそれも一つの方法としていきましようということだと思う次第であります。遺伝子組み換え技術では、今申しましたみたいに、殊に対象植物の性質を改善することは御承知のとおりできますけれども、現状では一つ一つ改良すべき部分を変えていく、例えば寒さに対する、乾燥に対する、あるいは害虫に対する、そのような方式でいくわけでありまして、一遍にそれをぱっと変えることはできないわけであります。ましてや、その基本単位の細胞を、そのようなたった一つの目に見えない小さな細胞といえども、バイオテクノロジーという技術はつくることはできないのですね。バイオテクノロジーというのは、あくまでも、性質を変えることはできても、新しい生物をつくることはできないのであります。ましていわんや、多細胞生物である人あるいは動物のようなものをつくることはできません。決してフランケンシュタイン・シンドロームというふうなことにはならないのですね。  そういうふうな中で、このバイオテクノロジーをどういう視点で、広い視野で見て考えていくかということこそ、私は、これからの日本の将来にとっても、いろいろな議論が出ていろいろな議論を冷静にお互いに話し合いながら一歩一歩と進んでいくことの必要性というものを強く感じている次第であります。  私は、そういう意味で、三十年間の研究者としての生涯を、一生を、一生をと言うと大げさでありますけれども、人の健康を微生物の危害から守るということにささげてまいりました。今後もそのために努力をするつもりであります。  そういう意味で、きょうのラベルのお話に直接行きませんでしたけれども、人々の知る権利というものに対してどのような対応の方法があるのか。先ほど申し上げたみたいに、実際に物を皆さんにお目にかける、植物体をですね。私は、そういう機会をもう少しふやした方がいいのじゃないか。それから、生産物についてもそれをお目にかける、手にとっていただく、あるいはかじっていただく。それで、見て、これは今までの大豆と全く違いがないのだということ、もちろん科学者は科学的な高度の分析などを用いてそれを実証していますけれども、その実証というものに対しての信頼性というものを持てるような体制、あるいはその信頼性にこたえることのできる対話というものこそ、これからの日本の将来にとっても大事なことであろうと私は信ずる次第であります。  何か大変まとまりのないようなお話をいたしましたけれども、私は、安全というものは広い視野で考えることが非常に大事なのだというふうなことを申し上げたかったからであります。したがいまして、殊に国政をあずかっていらっしゃいます先生方にぜひそういうものに対していろいろと御指示と御鞭撻とあるいはおしかりを賜り、そしてそれが研究あるいは安全行政に反映し、そして国民の皆様に安心してそういうものが提供できるシステムをつくり上げていく必要があるというふうに思いまして、ぜひ先生方の御教示を賜りたいというふうに思う次第でございます。  大変乱れたお話をいたしましたけれども、これで失礼をいたします。(拍手)
  12. 中村鋭一

    中村委員長 ありがとうございました。  次に、寺尾参考人にお願いいたします。
  13. 寺尾允男

    寺尾参考人 おはようございます。国立衛生試験所の寺尾でございます。  本日は、遺伝子組み換え食品食品添加物等の表示問題あるいは安全性の問題につきまして意見を述べる機会をいただきまして、ありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  現在、我が国は、遺伝子組み換え大豆、ジャガイモ、菜種、トウモロコシの四種類の農作物、合計七品目、それから、食品添加物といたしまして、チーズの製造に用いられます凝乳酵素でありますキモシンというものがありますけれども、この三品目の安全性の確認を済ませているところであります。したがいまして、これらの遺伝子組み換え食品あるいは食品添加物の利用は既に始まっているとお考えいただいていいと思います。  これに対しまして、御存じのように、消費者団体を中心といたしまして、遺伝子組み換え食品食品添加物などに表示の義務をつけるべきであるという意見が出されております。このような意見が出されます背景には、遺伝子組み換え技術そのものに対する不安あるいは不信というものがあって、このような技術を用いまして製造しました食品あるいは食品添加物は何か危険性が潜んでいるのではないかという漠然とした懸念があるのではないかと思います。  表示に関しましては、食品の保存条件とかあるいは期限それから食品添加物が義務づけられておりますけれども、食品添加物につきましては、特定の食品添加物を摂取し過ぎないというか、非常に偏った食事をとられまして特定の食品添加物だけを非常にたくさんとってしまうのではないか、そういうような配慮から義務づけられているのではないかと私は理解しております。食品衛生法に基づきます表示の問題は、本来これは行政の問題であろうと思いますけれども、表示を行うか行わないかというその判断は、対象物の人の健康に対する安全性に関する科学的な根拠に基づいてなされるべきものであるというふうに私は考えております。  そこで、本日は、一番目といたしまして遺伝子組み換え技術の現状、それから二番目といたしまして遺伝子組み換え食品食品添加物安全性の確認、三番目として表示の必要性の有無、四番目に今後の課題という、この四点につきまして簡単に私の意見を述べさせていただきたいと思います。  初めに、遺伝子組み換え技術の現状について申し上げます。遺伝子組み換え技術というのは、果たして危険な技術であるのだろうかということであります。  この遺伝子組み換え技術というのは、一九七〇年代の半ばごろに開発されまして、既に二十数年が経過しております。この技術が開発されました当初は、生体の中で遺伝子がどのようにして発現してくるか、つまり遺伝子がどのようにして生体の中で働いているのであろうかというそのメカニズムについてはわからないことが多かったわけであります。ですから、遺伝子組み換えることによりまして予測しなかったような事態といいましょうか、事柄が起こる可能性が危惧されたわけであります。そこで各国は、遺伝子組み換え実験に対しまして、その実験材料あるいは方法あるいは装置などを規制するために、組み換えDNA実験指針というものを策定してまいりました。  しかし、この二十年間を振り返りますと、遺伝子の働きに関する多くのことが既に解明されております。それから、世界じゅうで莫大な数の遺伝子組み換え実験あるいは生産というものが行われてきておりますけれども、予測外の事故が起きたという報告はなされておりません。  これらの事実を踏まえまして、今日では、遺伝子組み換えによって予測ができなかったような事態が起こる心配はないという認識、つまり遺伝子組み換え技術そのものは危険を伴うものではないという認識世界研究者の間で定着しつつあると言えます。事実、今日自然科学の分野におきまして、遺伝子組み換え技術は欠くことのできないような中心的な技術として広く用いられております。御存じのような最近の著しいライフサイエンスの進歩というものは、ひとえにこの技術に依存してきたということが言えます。  このような現状を背景といたしまして、産業界におきましては、この技術を生産に応用するということも盛んに行われるようになってきております。例えば、医学、薬学の分野で申しますと、インスリンとか成長ホルモンとか、既に百品目を超えるような遺伝子組み換え医薬品の製造が行われておりまして、多くの人がこの恩恵を受けているということは周知のとおりでございます。このように、遺伝子組み換え技術は、今日では我々の日常生活におきまして必要欠くことのできない技術となっているということであります。  次に、遺伝子組み換え食品食品添加物安全性確認について申し上げたいと思います。  ただいま申し上げましたような科学的あるいは社会的な条件のもとで、遺伝子組み換え食品食品添加物の開発が世界的に進められてきております。このような開発の現状を受けまして、我が国では、組換えDNA技術応用食品食品添加物安全性評価指針が策定されております。  この指針の対象となります食品食品添加物は、我々が従来から利用してきました食品あるいは食品添加物と同等とみなし得るもの、つまりこれは新規性がないということでございますけれども、そういうもののみであります。従来から利用してきた食品食品添加物と同等とみなし得るものとは、簡単に言えば、遺伝子組み換えによって導入される遺伝子の産物であるたんぱくの安全性のほかは、従来の食品組み換え体の比較におきまして、たんぱくとか炭水化物あるいは脂肪といったような主要な栄養素、あるいはアルカロイドのような有害物質、それらの量が変わらないということ。さらに、食品あるいは食品添加物として利用する部位、例えば種を食べるとか葉っぱを食べるとかそういう部位、それから利用方法、煮て食べるとか生で食べるとかいろいろあるわけですけれども、そういうものは両者の間で変わらないということであります。つまり、栄養面から見ましても安全性の面から見ましても両者の間で変わらないということであります。  それで、輸入者または開発者は、この安全性指針にのっとりまして安全性を調べまして、その結果をもとに厚生大臣に安全性の確認を申請することに我が国ではなっているということであります。これらの安全性確認は、厚生大臣からの諮問に応じまして、食品衛生調査会において個々の品目につきまして、指針にのっとりまして安全性の評価が申請者によってなされているかどうかということ、それからその評価が正しいかどうかということを確認をするという仕組みになっております。  我が国の指針におきましては、どのような農作物にどのような遺伝子をどんな方法で導入したか、あるいはできてきた組み換え体がどのような性質であるか、安全性に関しましてどのような項目について検討すべきかなどにつきまして、安全性確認に際しまして提出すべき資料項目が示されております。提出されました各項目につきましては、それぞれの分野の専門家が評価しておりますので、安全性に関しましては十分に確認がなされていると私は思っております。  次に、三番目の問題としまして、それでは遺伝子組み換え食品食品添加物食品衛生法に基づきます表示の必要性の有無につきまして考えてみたいと思います。  食品衛生法に基づきます表示は、それが行われない場合に消費者が健康の被害をこうむる場合にのみ義務づけるべきものであると思います。したがいまして、表示がなくても特に健康上の影響を受けない場合には表示を義務づける必要はないのではないかというのが私の考えであります。  安全性評価指針の対象となります遺伝子組み換え食品食品添加物は、従来から我々が食品として利用してきたものと品質的に同等とみなし得るものであります。両者の遺伝子の違いというものは、同じ食品種類の違い、例えば、例を挙げますと、ジャガイモをとりますと、ジャガイモには男爵とかメークインとかいろいろの種類がございますけれども、こういう同じジャガイモの種類の間での遺伝子の差と同程度、もとになった食品遺伝子組み換え食品、例えば男爵を遺伝子組み換え遺伝子組み換え男爵にした場合の遺伝子の差というものですけれども、それを比較しますと、メークインと男爵の間の遺伝子の差と同程度あるいはそれ以下ではないかというふうに思われます。したがいまして、安全性の確認のできたものにつきましては原則食品衛生法に基づく表示の必要はないものと考えております。  しかし、例えば、特定の人に有害性の明らかとなっているようなたんぱくに関連する遺伝子、例えば食物アレルギー原因となっていることが既に知られているたんぱくの遺伝子を組み込んだ農作物に由来する食品食品添加物が出てきた場合には、その旨何らかの表示が必要であると私は思っております。  食品衛生法に基づく表示が必要か必要でないかの判断は、安全性についての科学的な証拠に基づいてなされるべきものでありまして、食品衛生調査会の判断を踏まえて行われるべきものであると思います。  次に、表示の問題を安全性とは全然別の観点から考えてみたいと思います。  表示が一律に義務づけられた場合の問題として私が指摘しておきたいことは、もし一律に表示を義務づけますと、遺伝子組み換え食品食品添加物は本来危険なものであるという考えが社会に定着してしまうのではないかと思います。このような状況は、我が国の企業の遺伝子組み換え技術を応用した食品食品添加物の開発意欲を著しくそぐ結果となりまして、今でもおくれがちな我が国の開発をさらにおくらせることになりまして、将来の我が国の農産物生産に重大な影響を与えるのではないかなというふうに思っております。  最後の、今後の課題でありますけれども、それでは今後我々はどうしたらいいかということについて述べさせていただきます。  初めにも申し上げましたように、表示の問題の根底にあるものは、遺伝子組み換え技術に対する消費者の漠然とした不安ではないかというふうに思っております。遺伝子組み換え食品食品添加物は、安全性評価指針にのっとりまして専門家により十分安全性が確認されているので、食品衛生法に基づく表示も必要ないという、それだけでは消費者の不安というものは払拭することはできないと思います。  それで、大切なことは、遺伝子組み換え食品安全性につきましての情報を可能な限り公表するとともに、一般の消費者にわかりやすい言葉、これが非常に大事だと思うのですけれども、わかりやすい言葉で十分に伝わるように努力を怠らないようにすることが大切であると私は思っております。  以上、私の意見を述べさせていただきました。どうもありがとうございました。(拍手)
  14. 中村鋭一

    中村委員長 どうもありがとうございました。  次に、伊藤参考人にお願いいたします。
  15. 伊藤康江

    伊藤参考人 伊藤でございます。よろしくお願いします。  お手元に少し書いたものをお配りいたしましたけれども、ここに書いていないことをまず御報告申し上げたいというふうに思います。  昨日、日比谷公会堂で、これがそうなんですが、「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」が開かれました。私は、ちょっとほかに用件がございまして出席できませんでしたけれども、約千人の消費者の方が参加されたそうでございます。その折、今まで集めました署名を集計いたしました結果、四十四万八千二十八人の署名が集まっているそうでございます。  それからもう一つの御報告は、四月二十一日現在、地方自治体で表示の請願をまとめているのが、百二十一地方議会で採択されたということでございます。  これほど多くの方々がこの遺伝子組み換えに非常に関心を持たれまして運動を進めていらっしゃるということを、まず御報告いたしたいというふうに思います。  その中で、なぜ私がここへ来て消費者を代表してと申しますか、お話しするかと申しますと、私は少しこの問題をかじっておりました。昨年八月ごろまで食品衛生調査会という、厚生省の先ほどからお話の出ておりましたところに入っておりまして、いろいろ審議に加わっていたのですが、そのときに、一九九一年ころからもう安全評価指針を作成するという段階に入りまして、何が何だかわからないではこれは委員としての責任が果たせないということで、少しずつ勉強いたしました。そんないきさつがありまして、少し長くこの問題に携わっているということで、きょうここへ出させていただいたのではないかというふうに思っています。しかし、もう五、六年勉強しているのですが、悲しいかな素人でございまして、本当に全部わかり切ってはいないというふうに反省しております。  それで、まず、私の消費者としての遺伝子組み換え食品をどう考えるかということを少しお話ししたいと思います。  今、どうしてこんなにたくさんの消費者が関心を持ってこの表示をしてほしいという運動に参加しているかと申しますと、まず第一が、いろいろ先ほどからお話に出ておりますように、食品としての安全性に対して非常に疑問に思っているということです。  農林水産省は、遺伝子組み換え食品はこれまで行われていた育種とは何ら変わりはないという説明をされます。そして、大豆は大豆だよ、菜種は菜種だよと、先ほどいろいろ専門家からもそういうふうにお話があったわけですが、これが私たちにはどうしても理解できない。  どうしてかといいますと、まず第一に、従来の交配、育種とは異なるのではないかなというふうに思っています。例えばお米の品種改良、そういう育種などもすごい時間がかかるのだそうでございますが、そういうものと、短期間にやってしまうものは違うのではないかというふうに思っております。  それから、育種の場合は同じ種同士のかけ合わせですけれども、組み換え食品は違うものを持ってくるわけですね。トウモロコシのところに土壌菌の遺伝子を持ってくる、これは種が違うということで問題はないのだろうかというふうに思っています。それから、私たち細胞学の話などは専門ではございませんが、専門家からお聞きしたところによると、種が遠いもの同士のかけ合わせとか、そういうものについては問題が起こりやすい、同種のよりは起こりやすい、こういうふうに説明を受けております。  それから、新規性がないというふうにはどうしても思えないということです。害虫耐性トウモロコシの場合、先ほども申しましたBT菌の毒素をつくる遺伝子を入れる、そうすると、先ほど神山さんもお話しになりました、それを食べた虫が死んでしまう、幼虫が死んでふ化しない、だからふえない。虫が死ぬけれども人間は大丈夫だ、こういう説明というのはなかなかわかりにくいのではないかというふうに思っています。私たちは、これらのことを考えると、どうしても、従来なかった毒素をつくる植物が他の遺伝子を入れることによって新しくできるわけで、これをどうして新規性がないというふうに言えるのかどうか、これを十分わかりやすく説明してもらえないと、今もってわからないということでございます。  それから、次に、試験の方法が不十分だというふうに考えております。  安全指針では、入れる遺伝子やそれからできたたんぱく質を確認することになっているのですが、違った種の遺伝子を入れることによってほかの遺伝子に影響ないのかな、そんなふうなことも考えております。  ですから、そういう試験はされていないわけですね。本来なら、私などが考えるのは、例えば長い間腐らないトマトができたりしたら、そのトマトを丸ごと食べないと試験にはならないのではないかというふうに思っているわけです。  例えばいろいろな食品添加物の試験などをするときには、それは化学物質ですから同じものをずっとつくれるわけですよね。そして、それを例えば動物に食べさせて長い間実験を続けられるということなんですが、私は、それでは果たして同じトマトを百個なら百個つくってそれを動物に食べさせ続けることができるかなというふうなことを食品衛生調査会で質問しました。そうしたら、わけのわからない回答が返ってきまして、今でもそのことは私には理解できません。どうしてそういう丸ごとの試験をしないのですかという質問をしたのです。それで、そのことについてはまだ解明はされておりません。  いずれにしても、現段階では安全性の確認は不十分だと私たち消費者は考えております。きょうは余り安全性以外のことは触れる時間がございませんから申し上げませんけれども、さらに、異常な植物それから生物の繁殖など生態系への影響があるのではないかなというふうに考えてもおります。  そして、そもそもその目的が何かよくわからない、消費者にとっては。農林水産省は今後食糧難になるから増産するための技術だというふうに言われるのですけれども、例えば寒いところでできる植物遺伝子組み換えによってできたとします。それから、水が余りなくてもできるような植物ができたといたします。今の経済合理性、今の経済性の中で、そういう経営というのはへもうからないことをするわけはないと私なんかは思っております。では、果たしてそれはだれがやるの。できないようなところに作物を持っていって植える、そして、それで利益が上がればやるでしょうけれども、利益が上がらない場合はそんなことをする会社なんてないのではないかというふうに思っております。  ですから、今消費者にとって、何のためにそんな植物をつくる、それさえ理解できないな、それも疑問を持っている。そんな中で、なおかつ安全に不安を持つものを食べさせられる、これは嫌ですよねと、そういう運動が起きているわけです。  その次に、選択のためのまず表示をということでございますが、以上のように、組み換え食品には疑問となる点、不安な点があります。しかも、先ほどからいろいろ出ております安全性評価指針はあくまでもガイドラインなんです。ガイドラインの性格というのは御説明するまでもないと思うのですが、このガイドラインに沿って安全性を確認しましょうということで、書類審査なんですね。書類が出てきてそれを審査して、流通してもいいでしようということになるわけですが、言いかえれば、その安全指針にのっとってやったものかどうかというのは別に国は確認しているわけじゃないのですよね。ですから、違反しても法律ではないから処罰もないんだし、責任もないのではないかというふうに考えております。  私が非常に不思議に思っているのは、今、では日本にそういう安全指針にのっとった遺伝子組み換えをした大豆がどのくらい入ってきているのですかというふうに聞いても、農林水産省厚生省も企業もだれも答えられない。安全指針をつくって、日本ではこういうガイドラインに沿ってやったものしか輸入してはいけないわけだと思うのですけれども、どのくらい入っているか確認していないという、こんな無責任な話はないのじゃないですか。いや、本当は御存じかもしれませんけれども、今日本はまだ行政は情報公開が不十分ですから、そういうことをわかっていても教えていただけないということも考えられます。  であれば、消費者は食べるものは自分で選択したい。そのためには、使用原材料も含み、これは私どもの団体の要望書もございます、多くの消費者団体が要望していることですけれども、できたトマト、そういうものではなくて、例えば油に使った大豆が組み換えであればそのように書いてほしいということです。組み換え食品を使用した場合はその旨を表示が必要だ、こういうふうに考えております。  では、どこへどういうふうに依頼するかという問題がありますが、先ほど神山さんが日本食品表示はばらばら行政でというお話をなさいました。私も長い間この食品表示問題をやっていますが、本当にばらばらで、いつもあっちに行ったりこっちに行ったり、この要望書でも厚生省へ行ったり農水省へ行ったり公取へ行ったり、大騒ぎするわけです。したがって、今回は私もちょっとばらばらに要請を、考えていることを述べさせていただきたいと思います。  まず、厚生省安全性を確認したものには表示の必要はないと言っていらっしゃいますが、ではなぜ安全性を確認したはずの食品添加物が全面表示なんですか、どうしても理解できない。どうしてあれはそういうことになったのですかと、食品衛生調査会の私どもの先輩の委員の方とか元課長さんだとかいろいろな方に聞いても、明確な答えは返っておりません。それから厚生省に現在聞いても、明確なお答えは返ってきておりません。  それからもう一つ、放射線照射食品表示などもするようにということで厚生省は行政指導されているわけですが、これも安全確認したはずです。じゃなぜ表示しなければいけないのですかという問題があります。  ですから、安全性を確認したものは表示の必要はないというのは全く私どもには理解できない。多分、いろいろなものに書いてあるわけですが、国際的な動向や社会の要請に沿い、食品衛生法で情報提供をしていこうというふうになったのではないかと私は解釈しております。法律というのは、これは弁護士の方が言われているのですが、いろいろ解釈によって運用は変わってくるということですから、そういうふうな解釈をしております。  それから農林水産省ですが、今度農林水産省は予算三百万円で表示をどうするかという検討をされるようでございます。JAS法では「一般消費者の選択に資し、もって公共の福祉の」云々というふうにありますから、この線に沿ってぜひ消費者の求める表示を実現させていただきたいというふうに思っております。  それから公正取引委員会でもできるのではないかと思うのですが、例えば、遺伝子組み換え大豆が使用された豆腐なのにその旨書いていないと、消費者は、使われていないというふうに誤認する。例えば、公正取引委員会の景表法で、不動産の表示で傾斜地の場合は傾斜地である旨を広告に書きなさいというふうに決まっているわけですね。これはどうしてかといいますと、書いてないと消費者は真っ平らだと思う、だから傾斜地の場合は傾斜地と書きなさい、こんな決まりが公正取引委員会の景表法にあります。これを採用して、公正取引委は、消費者の誤認を排除するため、消費者が適正な商品選択ができるように、組み換え食品を使用した商品には景表法で規制をしていただきたいと思います。  余り時間がなくなりまして、申しわけございません。  それから、今、組み換え食品を使用していない旨表示を行おうとする事業者が出てきました。青森の辺の豆腐屋さんですが、自分は、自分のつくった豆腐に使っている大豆が組み換え大豆であった場合、消費者にこれを食べてもいいですよというふうに言う自信がないから書くのだというふうにおっしゃっています。  それから、一部事業者が、組み換えられていない作物を輸入しようとする事業者へ圧力をかけているという報道がございます。日本経済新聞に載っておりましたが、そういうことがないよう、公正取引委員会は事業者の指導をされるべきだというふうに思います。  最後になりました。消費者の知る権利と企業の責任ということについて述べさせていただきたいと思います。  多くの人が科学論争に参加するには私は時間がかかるというふうに考えております。専門家、学者の間でも、先ほどは安全確認されたというようなことをおっしゃいましたけれども、いや、そうではないと言う学者もいらっしゃいます。専門家、学者の間でもさまざまな意見があります場合、消費者はどう判断していいかわからないわけですよね。ですから、消費者がどう判断し、行動するか、納得して食べるためにはまずその商品がどのようなものかを知る必要があるというふうに思っています。  今、規制緩和、それから自由競争の拡大、自己責任という言葉、私はこの自己責任というのは非常に嫌な言葉なんですが、強調されています。そして、自己責任と情報公開の関連を考えると、事業者は消費者に対して自社の製品について説明する義務があるというふうに思います。そして、行政は事業者に対して情報の公開を指導する責任があるというふうに思っています。  今、消費者は自分の意思に従って主体的に行動しなさいというふうなことが強調されているわけですけれども、それには消費者へ十分な説明情報の提供が必要だと思います。その情報の提供の方法の一つとして、本体に表示をしてほしい、組み換え食品の場合はその旨表示してほしいということでございます。  それから最後に、事業者の言い分として、これは行政もおっしゃっていますけれども、大豆などは混合されて、まざって輸入されているので表示は不可能であるという御発言をよくされておりますが、国民安全食品を提供し、それによって利益を得るという企業が自社の販売する製品の原材料を品質の確認なしに使っている、そんなことがあるだろうかというふうに、自分の製品をつくるための原材料はどこのどんなものだということは企業は早晩知るべきではないかというふうに思っています。関係者に対して説明を、その方法は企業者が考えればいいわけですね。さかのぼって考えるとか、輸入業者にそれは入れないでほしいと言う、いろいろな方法があるというふうに思いますが、ぜひ今後とも関係者のなお一層の努力をお願いしたいと思います。  私ども消費者団体として、先ほども申し上げたように、署名活動や要望書、いろいろな活動をしておりますが、農林水産省厚生省、公正取引委員会が努力され、その上、なお議員の皆様方が私たちの考えていることを理解していただいて、表示の実現へ御努力いただくよう、よろしくお願いいたします。  少しオーバーいたしました。済みませんでした。(拍手)
  16. 中村鋭一

    中村委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終了いたしました。
  17. 中村鋭一

    中村委員長 これより質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河野太郎さん。
  18. 河野太郎

    ○河野(太)委員 おはようございます。自由民主党の河野太郎でございます。自由民主党を代表いたしまして、皆様に少し質疑をさせていただきたいと思います。  その前に、きょうは、五名の参考人の皆様方、お忙しい中をわざわざ本当にありがとうございました。  今いろいろお話を伺っておりまして、私ふと思いますのに、参考人寺尾所長のおっしゃったことはかなり本質をついているのではないかなと思いました。表示が一律に義務づけられた場合にこれをみんな危ないと思ってしまう、だから表示をしない方がいいんだというようなことなんだろう、きっと問題は、根本はそこにあるんではないかなと私は思いました。恐らく、全然表示がなければみんな食べるのに、何か表示がしてあると、これは危ないのかな、じゃ食べるのよそうか、そういう人が出てきてしまうのではないか、だから表示をしない方がいいというふうにいろいろな方が考えていらっしゃるのかもしれません。  かつての行政は、そういうことが非常に多かつたと思います。よらしむべし知らしむべからずということだったんではないだろうかと思います。行政がこう言っておるんだから、皆さんこれに従ってやってくださいということをやってきた。しかし、現在はそうではない。少なくとも我が自由民主党から今度の内閣に入閣されております麻生経済企画庁長官は、消費者の自己責任、情報を開示をしていく、どんどん情報を提供して、どうするかは消費者の方々に御判断をしていただければいいんだということで、規制緩和をやっていこう、構造改革もやっていこう、そういうことをおっしゃっております。恐らく、我が自由民主党の方針もそういうことであると言って差し支えないかと思います。  今ここで問題になっていることは、安全性のガイドラインに基づいていろいろ評価をされた食物があって、安全性のガイドラインに従っていくとこれはまあ市場に出してもいいだろうということだと思うんですね。ところが、じゃ、その安全性の評価のガイドラインが本当にそれでいいのかどうかということに、実は疑問を持っている方々が大勢いらっしゃる。  ですから、安全性の評価のガイドラインはこういうことですよ、こういうふうに評価をして、検査をやって、こういうところで評価をして、こういう判断をして、こうなっていますということをひとつ消費者の皆様に知っていただいて、そういうプロセスを経た商品がこれですよという表示をする。そうすると、消費者は、そのガイドラインのプロセスと表示を見て、これはもう行政が安全だと言っているんだから私は食べますよといって食べる人もいれば、そうは言っているけれども、このガイドラインが本当に十分かどうかわからないから、十年、二十年たって何か後遺症が出るといかぬから、今のところはやめておこうとおっしゃる方がいる。それは、そういうことで私はいいんではないかな。  厚生省が自信を持って非加熱製剤は安全ですと言って、実はエイズに感染をして亡くなった方がいらっしゃいますし、硬膜を使っていろいろ手術をしても危険だとは言わなくて、やってしまったらヤコブ病になった、あるいは動燃がいろいろなことを言うけれども、実はふたをあけてみれば全部うそだった、そういうことがあるわけですから、安全性のガイドラインというものを、安全かどうかという判断もプロセスをオープンにして消費者に御判断をいただく、そういうことなんではないか。それで、行政と消費者意見が違うわけですから、そこはやはり立法府が間に立ってどうするかということを決めていかなければいけないんではないかと思います。  まず、農水省から品質課長お見えですから、幾つかお願いをさせていただきたいんですけれども、今回のコーデックス委員会で配付された資料あるいは議事録等いろいろあると思いますが、まずそれを本委員会に御提供いただきたい。そして、今後各国から、あるいはコーデックス委員会からいろいろな資料が配付されると思いますけれども、逐次速やかに本委員会に御提供いただきたいと思いますが、御協力いただけますでしょうか。
  19. 村上秀徳

    村上説明員 コーデックス会議資料、それから議事の報告書、これはすべて現在でも公開になっておりまして、御指摘のようにしたい、努力したいと思っております。
  20. 河野太郎

    ○河野(太)委員 行政内でいろいろ文書がこれに関してつくられると思いますが、そういう行政関係の文書も本委員会に速やかに公開をいただきたいと思いますが、御協力いただけますでしょうか。
  21. 村上秀徳

    村上説明員 行政の内部の問題につきましては、これは情報提供の政府の一般的な原則に従いまして対処させていただきます。
  22. 河野太郎

    ○河野(太)委員 要するにやりたくないというような感じかと思いますが、国政調査権を使ってでも必要な資料は出させていただきたいと思います。  まず、寺尾参考人にお伺いをしたいと思いますが、この遺伝子組み換え技術が開発されて既に二十数年が経過している。いろいろな数々の遺伝子組み換え実験が行われてきたが、予想外の事故が起きたという例が報告されていないということだと思うんですが、例えば、デンマークの国立何とか、ちょっと名前を忘れましたが、国立研究所で、除草剤耐性の菜種を栽培をしていると、すぐそばにブラシカ・カンペストリス、見たことがないから何だかわかりません、名前だけ申し上げておりますが、そういう雑草があって、そこにその除草剤耐性の性質がうつっていった。そういう例が報告されております。  それから、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンというものに、メチオニンというアミノ酸でしょうか、それをふやそうとしてブラジルナッツの遺伝子を大豆に組み込んだ、ところが、2Sアルブミンというものに対するアレルギーも、やはり新しく組み込んだ大豆から検出された。  あるいは、バチルス・アミロリケファシエンスというトリプトファンをつくる細菌に枯草菌の遺伝子を組み込んだところにEBTとかPAAというものがつくられて、それが昭和電工が引き起こしたトリプトフアンの薬害事件になった。  これはいずれも、遺伝子組み換え実験というか、ある程度実験の段階を超えた部分でこうした事故が起きた。あるいは、事故でないにしろ、予想外の出来事が起きたという例はいろいろと報告をされていると思うのですが、いかがでございますか。
  23. 寺尾允男

    寺尾参考人 それでは、お答えいたします。  先ほど御質問ございましたデンマークの話ですけれども、ブラシカ何とかというのは、済みません、私も後の方の名前をちょっと知らないのですけれども、ブラシカというのは菜種と同じ仲間ですから、当然これは花粉が飛んでくれば交配することであります。ですから、これは当然予測されることでありまして、全然予想外のことが起きたとは思っておりません。  それから、二番目におっしゃられましたブラジルナッツの話は、2Sアルブミンというブラジルナッツに入っておりますたんぱくに対するアレルギーの人というのはかなり大勢いる。2Sアルブミンの遺伝子を、あれはピーナツか何かに組み込んだわけですね。そうしましたら、そこで2Sアルブミンというのが新しい、組み込まれた方の種に、ナッツの方にできてきますから、ブラジルナッツに対してアレルギーを持っている方は、それを食べれば当然アレルギーが起きるということです。  先ほど私が申し上げました、ある場合には表示が必要なのだと申し上げましたことはそういうケース、私はブラジルナッツとは申しませんでしたけれども、そういうケースの場合には、当然これは、ブラジルナッツの人はアレルギーが起きる可能性がありますという表示をすべきであるというふうに思っております。  それから、最後のトリプトファンの問題は非常に大きな事件でございまして、遺伝子組み換えでトリプトファンを効率よくつくろうかと思いましたら、そのトリプトファンの中に変なものができた、入ってきたということですけれども、これは、遺伝子組み換えをやったために遺伝子に異常が起きて、それでああいうことになったということではありません。間接的には確かに遺伝子組み換えに関係するんですけれども、あの問題はむしろ物の精製の問題でありまして、これははっきりした原因物質が何かは解明されておりませんのではっきりしたことは言えないのですけれども、多分今言われております幾つかの不純物が原因だろうと言われております。  もしそれが正しいといたしましたらば、私もはっきり詳しいことは知りませんけれども、多分普通の、遺伝子組み換えでなくても、ああいうものは非常に微量にできてきているんだろうと思います。それを、遺伝子組み換えをやりまして、大量に効率よくつくろうかと思って操作をしたために濃度が上がりましてそういうものが、化学反応であれはできるものですから、遺伝子組み換えで組み込んだ遺伝子の作用でできるものではありませんので、これは直接には遺伝子組み換え原因ではないというふうに私は理解しております。間接的な原因だろうと思っております。  以上でございます。よろしいでしょうか。
  24. 河野太郎

    ○河野(太)委員 もう一つお伺いをさせていただきたいのですが、先日の経企庁長官に対する質疑の中で、私はBT菌の質問をさせていただきました。そのときに政府側からは、BT菌は昆虫類には受容体があるけれども哺乳類にはそういう受容体がないんだ、だから哺乳類は食べても安全であるというような答弁をいただいたのですが、正確を期すために読ませていただきますが、国立予防衛生研究所の渡辺治雄細菌部長が、「受容体がなくても、一般に毒素は一千分の一程度の割合で細胞の中に入っていく」というような御発言をされておりますが、これは事実かどうか。寺尾参考人、おわかりでしょうか。
  25. 寺尾允男

    寺尾参考人 たんぱくは、普通我々食べますと、胃とか腸でたんぱく分解酵素の作用を受けまして分解が起きている。それで、BTトキシン、今のBT菌の有効成分ですけれども、これは調理をすれば当然たんぱく質の三次構造が変わりまして活性を失う。それと同時に、たんぱく分解酵素の作用を非常に受けやすくなりますので、食べても大部分のものは胃の中で分解すると思います。  渡辺先生が何とおっしゃったかというのは、今伺った以上に私は知りませんけれども、確かに、アレルギーが起きるということは、これはたんばくがそのまま、あるいはかなり大きな分子でもって体の中に入るということでありますので、わずかでありますけれども体の中に入るということはわかっております。ですから、そういう意味で渡辺先生の言われたことは間違いではない。  それから、BT菌が安全であるということは、受容体がないから大丈夫なんだということでありまして、これはそのとおりであります。BT菌の作用は、受容体で、細胞の表面に受容体というのが顔を出しているわけですけれども、そこにくっついて初めて作用が出てくる。ですから、もし細胞の中に入ってしまえば多分作用は全然出てこないというふうに考えられますので、受容体があるかないかということは、そのBTトキシンが作用するかしないかということに決定的な重要なファクターであるというふうに考えております。
  26. 河野太郎

    ○河野(太)委員 そうすると、BT菌の場合には、BTトキシンの作用ではなくてアレルギーが起こる可能性がわずかながらある、そういうふうに理解をしてよろしいのでしょうか。
  27. 寺尾允男

    寺尾参考人 アレルギーというのは、すべてのたんぱく質アレルギーを起こす可能性があるのです。ただ問題は、非常に起こしやすいか起こしにくいかということだけだと思います。ですから、BTトキシンといえども、実験的にアレルギーを起こそうかと思ったら、それは実験レベルではできます。ただ、食べて起きるかどうかというのはまた話は別ですけれども。  それで、結局アレルギーは、今大体食物アレルギーというのは百六十種類ぐらいわかっているんだそうですけれども、大ざっぱに言いますと、非常に特徴のある性質を持っているといいましょうか、まず食物の中でそのアレルゲンがかなり大量に入っているといいましょうか、たんぱくの中の主要な成分であるということ。それから、熱とかたんぱく分解酵素に対しましてかなり安定であるといいましょうか、抵抗を示すというようなことがわかっております。  ですから、アレルギーが起きる可能性があるかないかというのは、安全指針ではそういうことで、まずその遺伝子を供与した、供与したというのは遺伝子をとってきた生物ですね、バクテリアでいいと思いますけれども、それが今までアレルギーを起こすということが知られているかどうかということ。それから、そのたんぱくがアレルギーを起こすことが知られているかどうかということ。それから、今までわかっているアレルゲンと構造的に類似のあるところがあるかどうか。あるいは、加熱処理をしたときにそれが活性を失うかどうか。それから、たんぱく分解酵素で分解するかどうか。実際に食べる量がどのくらいあるかどうか。  そういういろいろのクライテリアがあるのですけれども、六項目ほど挙がっておりますけれども、そういうもので判断をしまして、このBTトキシンに関しましてはまずアレルギーが起きる可能性はないだろう、つまり、普通の食物の中に入っておりましてアレルギーを起こさないたんぱくと同程度でまないかというふうに判断したわけでございます。
  28. 河野太郎

    ○河野(太)委員 御説明を聞いておりますと、安全なようでもあり、ややまだ心の底では納得のいかないところもいろいろございます。  あと質問時間が一分となってしまいましたので、農水省にお伺いをいたしますが、実質的同等性というところが、参考人からも何で同等なんだという御意見がありましたけれども、私もBT毒素を出すものとそうでないものがどうして同等なのか、いま一つわからないような気がいたします。  例えばジャガイモにそういうものを組み込んだときに、男爵とメークインとBT毒素を出すものと皆同じレベルだと言われても、なるほどとなかなか納得しにくいところがあるのですが、どうしてそれが実質的に同等なのか。余り時間もありませんので、かいつまんで御説明をいただきたいと思います。
  29. 村上秀徳

    村上説明員 先生御質問の件につきましては、基本的に厚生省の責任の問題なので、私が責任を持って答えるわけにはまいらないのですが、私の理解していますところでは、組み換えされた食品安全性の評価というのは、いろいろなものをもとの食品と比較をして、遺伝子組み換えをしたことによって導入されたものが、今参考人の方からもお話がありましたような手法でアレルギーとかいろいろな問題がないかどうかを実験なりで検証して、それが安全性の問題を生じないということでもってそれが今までの食品と同程度安全であるという判断をされているというふうに理解しておりまして、そういう手法で検証がされているというふうに判断しております。
  30. 河野太郎

    ○河野(太)委員 質疑時間が終わってしまいました。本当にこれが安全なんだと万人が納得するまでは、何らかの表示をして、これは厚生省、農水省は安全だと言っておる、それを信じるなら食べてください、そうでないならもう少し皆さんが納得するまでいろいろ考えてください、そういう選択ができるような表示だけはすべきではないかというのが私の今の時点の意見でございます。これは行政だけに任せてはいけない問題だと思いますので、引き続き本委員会でいろいろ議論をしていきたいと思います。委員長、どうぞよろしくお願いします。  参考人の皆様、どうもありがとうございました。
  31. 中村鋭一

    中村委員長 青山二三さん。
  32. 青山二三

    ○青山(二)委員 新進党の青山二三でございます。新進党を代表いたしまして質問をしたいと思います、  きょうは、五人の参考人の皆様には、大変お忙しい中を本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  昨年から、いろいろな消費者団体の皆様からこの遺伝子組み換え食品につきまして危険性を問題提起され、また要請を受けたりいたしておりまして、何とかこの問題を本委員会で取り上げてみたい、こんなことを常々考えておりましたところ、このような機会を持つことができまして、本当に心から感謝をしている次第でございます。  限られた時間でございますので、何点か、まず有馬参考人にお伺いをしたいと思います。  ただいま細胞矯正学、余り耳なれない言葉でございますけれども、予防医学と申しましょうか、そういう点から大変貴重な御意見をお伺いいたしました。人の体が栄養素でできている、食べ物が人の体をつくっているんだということを改めて痛感いたしました。したがいまして、人類が今まで口にしたことのない遺伝子組み換え食品、こういうものを私たちがとることによって体にどのような影響を及ぼすのか、また、子供や胎児にどんな影響があるのかということで、大変心配になるところでございます。  しかし、一方には、この技術農業の救世主であるとか、あるいは遺伝子組み換えを行って収穫量を上げて、今後世界の人口増加に伴う食糧不足を救う切り札だ、先ほど粟飯原先生もそのようなことを述べておられましたけれども、こういうような意見に関しましてどのようにお考えでしょうか。
  33. 有馬とみえ

    有馬参考人 私の意見を申し上げます。  まず、そういうふうにお話をしている立場は、技術者であり、会社の立場の方からの発言ではないかと思います。  この遺伝子組み換え食品を開発したモンサント社、チバ・ガイギ一社、こういった会社はもともと農薬をつくっていた会社であった。ラウンドアップ・レディという万能に効く農薬であり、これはいろいろなものの雑草を枯らします、本当にすばらしい農薬ですよ、お使いになってくださいといって使っていただいたその後で、しかし我が社が開発したこのラウンドアップ・レディ大豆は、このラウンドアップ・レディ農薬をかけても、雑草は死にます、でも本体はびくともしませんという、種と苗と農薬をセットで販売をしております。  そして、一度目はそれが可能かもしれません。農民新聞をずっと読みながら、実際におつくりになっているお百姓、農家の方とお話をしたときに、確かにこの技術はすごいんだよ、自給率を上げるし、本当に省力化になるし、コストダウンになるし、これはいいんだよといって署名をいただけなかった農家の方に出会ったことがあります。  私も、その新聞をずっと読みながら、納得がいかなかったので少し勉強してみますと、やはり人間が抗生物質を飲む中で抗生物質耐性する菌に生まれ変わっていくということと同じことが、先ほどもお話にありましたけれども、三世代までの間には雑草に耐性が生まれる。そうなった場合は、一度目は三〇%減の農薬で済んだものが、実際にはそれよりもっと多い量の農薬を投下するということになるのではないでしょうか。そして、行く行くは、大地が農薬で微生物が死に、水が死にということで、環境汚染につながっていくと思います。  並びに、それを続けた後には、この組み換えた種とこの農薬では効かなくなりましたから、今度は新しい種、新しい苗をつくりました、そしてそれにはこの農薬であれば大丈夫ですよという、またセット販売が始まるのではないでしょうか。だんだん生産者からいろいろなものが企業の方にシフト、移動しているということを聞きますときに、日本農業、この農業が変わらなければ私は健康をつくることができないと常々考えております。  実際に土を耕していない者がこんなことを申し上げたら本当に僭越ですけれども、土から私たちの体ができているということを考えたときに、企業や技術によってこの農作物農業というものが支配されていくということは、自然の流れからしたら不可思議であると思うのです。  ですから、ある面、干ばつでもトウモロコシができました。そして、そのトウモロコシがヨーロッパに行ったときにボイコットされ日本に入ってきたわけですけれども、そのときに使った遺伝子がサソリだと聞きました。水の少ないところでも元気なサソリの遺伝子の何番目まで引っ張り出してきてコーンに埋め込んだ。そして、それは干ばつに実際によかった。しかし、そういうことが本当にいいのかどうかということに対しては、健康面、環境面、いろいろな面で私は疑問を持っております。
  34. 中村鋭一

    中村委員長 参考人にお願い申し上げますが、お答えはなるたけ簡潔に、要点のみお願いを申し上げておきます。
  35. 青山二三

    ○青山(二)委員 一九八九年でございますけれども、アメリカトリプトファン事件が起こりました。先ほど質問が出ておりましたけれども、これは先ほどは、直接の事故ではない、間接だというようなことをおっしゃいましたけれども、間接にしろ直接にしろ、やはり事件は事件だと思います。遺伝子組み換えを行う中で起きた、そういう事件だととらえております。  これは、日本昭和電工が組み換え食品をつくっている、トリプトファンをつくっているその過程で、販売をした結果、アメリカで千五百人の健康被害が出ました。そして、三十八名の死亡が出たと言われております。ですから、PL法のあるアメリカでは大変な賠償をいたしましたね。一千二百億円と言われておりますけれども、本当に私はこれは大変大きな事件であると思います。  それで、直接にしろ間接にしろ、こういう遺伝子組み換え食品をつくる中で起こる事件というのがやはり消費者をさらに心配な、そういう心情に追い込んでいると思うのですけれども、そのほかどのような事件が起きたのか、もしおわかりでしたら有馬参考人からお答えいただきたいと思います。
  36. 有馬とみえ

    有馬参考人 私は、それほどたくさんは知りませんけれども、フランスのパスツール研究所で、遺伝子組み換え食品遺伝子組み換え技術研究していく中で、研究者の方が次々とがんにがかったということを聞いております。やはりいろんな面で不安を感じる事例の一つではないかと思います。
  37. 青山二三

    ○青山(二)委員 今回輸入がされております七品目は、厚生省がこれは安全だというお墨つきをつけているわけでございますね。それから、先ほど寺尾参考人は、表示をしてほしいというのは消費者の漠然とした不安だろう、このようなこともおっしゃっておられましたけれども、私は、先ほどいろんなお話を有馬参考人から聞きまして、漠然たる不安だなどとは言っておられない、本当に聞けば聞くほど心配になる問題でございますが、厚生省がお墨つきを与えた、安全だと言ったということに関しましてどのような御所見をお持ちでしょうか。
  38. 有馬とみえ

    有馬参考人 思い出す話が一つあります。かつて昭和四十年から四十九年の間九年間にわたって、厚生省が絶対に安全だと言われて使った添加物の中にAF2、トフロンという添加物がございます。豆腐屋さんが殺菌剤、防腐剤ですか、使っていると手がしびれる、おかしいので調べてくれと言われて調べました。発がん性は認められません、安全です。しかし、どうしてもおかしいということでたくさん消費者からのいろんな声が上がって、他の機関で調べた結果、発がん性が見つかって即刻それは使用禁止になったというお話を伺いました。  本当に安全性ということの場合は、先ほども申し上げましたように、長期的な視野に立って、ネズミではなく、もうちょっと人間に近い構造を持ったもので、長期間、トマト丸ことのように食べ続けて本当に大丈夫だったのと言われるところまでの検査が必要であると思います。それがわからないのであれば、本当に、心情から申せば輸入凍結までしてほしい思いでおります。
  39. 青山二三

    ○青山(二)委員 有馬参考人は、きょうは何人かお友達と御一緒にお見えのようでございます。お仲間だと思うのですけれども、どのような活動をしてこられたのか、まだそういう活動を通じましてお感じになっていることがございましたらお述べいただきたいと思います。
  40. 有馬とみえ

    有馬参考人 全くの主婦でございましたから、この話を聞いたときに、知識もありません、ただ直観です、これおかしい、ぴんときました。そして、署名を求めてまず歩きました。近所と、そしてお友達です。その中で、学校給食の中にも入ってくるんだよというこの一項目が、子供を二人三人と小学校に預けてお世話になっている立場からすると、親が気をつけて排除することができても学校給食に入ってしまったらアウトだよねということから、自然に輪ができました。いのちと地球を守る会という会が自然発生いたしまして、まず学校の校長先生にお話しに行きました。  いろいろとお話をする中で理解をしていただくところと、しかし具体的な一歩がなかなかできない。お立場もあったんだと思いますが、何もなかった。そして、私が住んでいる市の各小学校、中学校の校長先生あてにお手紙と資料を送付し、その中でお電話をしながらいろいろなお話をさせていただきましたが、やはり何人か理解をいただいた校長先生もございますが、一歩の行動がほとんどなかったように思います。そして、市の教育長さんのところにも要望書を提出してまいりましたが、ただ受け取っていただいただけであった。  その立場立場において動きにくいんだろうなという思いがありますけれども、一体どこに、どのような方にお話をしたら具体的に子供たちの健康を守ることができるんだろうかということを非常に感じております。厚生省とかたくさんの中枢の機関で大丈夫だと言ったこと、安全だと言ったこと、そしてこういう条文になっているということ、それがもう末端まで行き届くということを考えましたときには法規制ということが一番早いのかなと思います。どうぞ、本当に安全性からその点まで行けたら大変うれしく思います。
  41. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、神山参考人にお伺いをしたいと思いますけれども、これはあるフリーライターの方が論文をお書きになっておられます。その中で、   遺伝子組換え食品表示を求める意見もあるが、輸入品については、WTOを脱退でもしない限り難しいであろう。また、表示の要求は、嫌な人は買わないように、買う人は納得して買え、ということだと思うが、健康被害が生じたときに納得して買った人は救済されなくてもよいということでもないだろう。表示があるなしにかかわらず、また、本人がそれと了解しているいないにかかわらず、被害が生じたときにはすべての人が救済されるという仕組みや制度を設けるほうが重要だと思える。 こういうお話が出ておりましたけれども、その点、お聞きになっていかがでございましょうか。
  42. 神山美智子

    神山参考人 今のそのフリーライターの方のお書きになったことというのがちょっとひとつ理解できないんですけれども、表示があるということと、その表示を信じて食べて被害に遭ったら救済されないということは全く違うことだと思います。いずれにしても、表示があってもなくても、あるいは納得して食べようがどうしようが、その物が原因になって被害が起こりましたら当然救済されるというのは、制度のあるなしにかかわらず、法律上の原則でございます。  ただし、何が難しいかといいますと、食品というものはいろいろなものを満遍なく食べますので、大量に発生するカネミ油症のような事件とかあるいは集団食中毒でもありませんと、この食品原因になってこういう被害が発生したということの証明ができないという、ここが一番大きな問題です。  ですから、科学的に安全性が確認されていないようなものは、表示の前に、まず本当は売ってほしくないというのが一番最初ですし、もしこういったようなことで何か被害が起こる可能性があって制度をつくるべきだと言われるのでしたら、食べている人の追跡調査というようなことでもやつていかない限り因果関係の証明というのができないと思いますので、制度をつくると被害が救済されるというものでもないように思います。
  43. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、寺尾参考人にお聞きしたいと思いますが、今、本当に二十年も前からこの遺伝子組み換え技術を開発しているということを聞きました。最近になりまして、遺伝子組み換えることが、食べるものだけではなくて、  また治療とかそれからクローン猿とかクローン羊、そういうところまで発展いたしております。これはますますエスカレートするのではないか。  きょうは、臓器移植法案が提案されておりまして、どちらに賛成するかということを決めなければならない大切な日でございますが、その臓器を、今度、この遺伝子組み換えによって豚の心臓を人間に移植できないか、そういう研究にまで発展しているということを伺いまして、これは本当にどこかで規制していかなければならないのか、この遺伝子組み換えるということは、どなたかおっしゃいましたが、これはもう神の領域である、侵してはならないものではないか、こういうふうなお話もございますけれども、そういう点についていかがお考えでしょうか。
  44. 寺尾允男

    寺尾参考人 非常に難しい問題で答えにくいのですけれども、私個人は、かねてから言っているのですけれども、遺伝子組み換えそのものは悪いとは思っておりません。ただ、やはり神様の領域と人間の領域というのがあって、それはどこで線を引くかというのは私はわかりませんけれども、確かに、黙っていれば神様の領域まで人間は踏み込んでいってしまうというか、技術的に可能になってくるということでありまして、どこかでその線引きをして、ここまではやってもいい、ここからはやるべきではないということだと思います。  今のクローンのお話は、私個人としては余りクローンのことは好きではないと思っております。ただ、今言いました医薬品をつくるとか食品をつくるとかという、人類の将来にとりまして非常にメリットの大きいような問題につきましては許されるのではないかなというふうに私は思っております。  以上でございます。
  45. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、時間が参りましたのでこれで質問を終わらせていただきます。  きょうは本当に、皆様、貴重な御意見をありがとうございました。私どもも一生懸命に御要望にこたえて頑張ってまいりたいと思います。  以上です。
  46. 中村鋭一

    中村委員長 石毛鍈子さん。
  47. 石毛えい子

    ○石毛委員 民主党の石毛でございます。  参考人の皆様、きょうは本当にお忙しいところありがとうございました。  まず最初に、私は、粟飯原参考人寺尾参考人にお伺いさせていただきたいと存じます。  本日、粟飯原参考人のお話を伺いまして、安全という言葉、あるいはマズローの主張についての御紹介、大変感銘を持って聞かせていただきました。そして、私は、まず粟飯原参考人のお話の中で最初に、例えば天然自然とか見なれているとかという言葉の紹介を伺いながら、大丈夫という、普通の、ふだん使っている言葉を思い出しました。私たち消費者、生活者、何かするときに、食べるときにももちろんすすけれども、大丈夫とか大丈夫よねとかという意識とか実感とか、さまざまな行為の総体でしょうか、そういうことの全体の総合の中で日々暮らしているというふうに思ったわけです。  それで、私は農村で育ちまして、しかも、まだ日本農業が本当に産業として大きな分野を占めていた時代子供時代を育っておりますから、例えばキュウリがどういうふうにつくられてくるとかトマトがとか、お米はもちろんでございますけれども、その生産から食べるところまでを、私は農家ではないのですけれども、農村で生活していてそれなりに知っているところで、生活の中で大丈夫というような意識とか認識とか感覚とかが自分の中に定着し育ってきているという、そういう時代がつい十年か二十年ぐらい前までは日本の社会であったのだと思っております。ですから、私たちの暮らしの中にそうした歴史的な社会のあり方を、本当に、何かそれこそ遺伝子として、これは例えの表現でございますけれども、自分たちの中にインプットしながらきている、その時代と今が物すごく変わってきている、その時代の転換点で悩みが非常に多いというふうに考えます。  それで、質問に入らせていただきますが、まず私は粟飯原参考人寺尾参考人に、安全性ということを考えるときに、私などは、食べ物が、例えばある食糧を食べる人がいる、そうするとその食べた人が次の世代にどういう影響を及ぼしていくのか、あるいは、動物の連鎖でしたらば小さい動物をまた大きな動物が食べてという、その中でかなりの時間と食物連鎖といいましょうか、そういうことを経て安全性というのは確認していかれるのかなというふうに素人考えで思うのです。個々に、毒性があるとかあるいはアレルゲンを起こすとか、いろいろ項目があると思うのですけれども、安全性を考えていく上で大切な認識の枠組みと言ったらいいのでしょうか、そういうものを私たちはどういうふうに考えたらいいのかということを少しお話しいただければと思ったのですが、いかがでございましょうか。
  48. 粟飯原景昭

    粟飯原参考人 簡単にお答えをいたしたいと思います。  最初の理解というのは、私も、実は農村ではありませんでしたけれども、子供のときから、小学校のころから農作などをやっておりまして、そういう意味では、おっしゃることが大変実感を持ってわかります。  それで、簡単に申し上げますと、食品というものは、実はもちろん一つ成分でできているわけではないのですね。コーヒー一つとりましても、八百種類ぐらいの物質の存在が知られているわけです。人によりますと、そのうちの二百種類ぐらいは結晶になっていると言います。そういう意味では、我々の食品は、いろいろなものがあるがゆえに、あるいはいろいろな食品を少しずつ食べるがゆえに、栄養的にもあるいは健康的にもそのバランスをとることができると考えるのが、大丈夫というときに、一つのものだけを食べるのではなくていろいろなものを食べるということの中で、あるものはこちらのぐあいの悪いものを消しているだろうし、それからある場合にはこれとこれとが一緒になって何か少し悪さをするかもしれないけれども、しかし全体的に見れば、長い間人類が食べてきたいろいろな食物の中で、大部分はそういうふうなことで今まで健康を保っていくこともできるだろうと。  そういう意味で、今、何かバイオ食品ということになると、それだけに全部の食品がなるようにお考えの方もございますけれども、そうではなくて、それはあくまでも助けの一つであるというふうに広い視野でお考えいただいて、素材の一つだとお考えいただくことが第一点。  第二点は、時代変化とともに食生活変化せざるを得ない。それは、我が国の人口からも、六〇%近くの食糧資源を輸入しなくてはならないことになりますとますますいろいろなものを食べることになるけれども、そのときに大丈夫という意識は一番何が大事かというと、要するに、殊に農薬のような合成化学物質の汚染というものをなるべく減らす方向というのが大事なのですね。  それは、合成化学物質というのは、自然界の土壌の中、水の中の微生物によって分解できない、分解が非常に時間がかかる。人間の体の中でも、それが天然物であれば分解できますけれども、それができない。さっきほかの参考人の方々もおっしゃいましたみたいに、そのためにいろいろなものを食べるというふうなことが大丈夫への一つの対策だろうと思います。  例えば、具体的には、厚生省が三十種類食品を日々食べなさいと。三十種類というのは、キャベツも食べるしレタスも食べるし牛肉も少し食べる、そういう意味でありますけれども、自衛の手段としては幅広いそういう食生活を考えざるを得ないのだろう。これは、食生活という立場から見ますと、そういうふうに考える次第であります。  時代変化とともにいろいろなことが、毒性もはかる手段もできてきたしあるいは分析をする手段もできてきた。そうすると、かつては何も気がつかないで食べてきたものが、今は気をつけましようということができるようになったことは事実でございます。  そういう意味で、さっきも最初のお話でちょっと申し上げたように、新しくっくりますものは、要するにトウモロコシをつくり、大豆をつくりということでございまして、それに対していろいろな疑義のあることもわかりますけれども、それに対する対応としては、それがどういうものかということをいかにして皆様方にお伝えできる方法を考えるかということは、それは企業の責任であり、場合によっては行政サイドの責任だろうし、その基礎をつくるのはやはり学者の責任だろう。そういうことによって国民全体の意識を少しでもわかりやすい方向へ持っていくということが、私は大学におりますので、何も企業と違いますから、それがいいよ、いいよと言っているわけではないのですね。それも一つの方法なんだ。  しかし、世界的な趨勢として、食糧大量生産国においてそれを無視しては今はできないという状況が世界こある。それがOECDであるとか、WHOであるとか、FAOであるとか、そういう国際機関がそのために何遍も会合をして、世界じゅうの識者を集めて、いろいろなタイプの識者から意見を聞いて、そして一歩一歩安全に、しかも人類の将来を考えようというふうな方向にあるということだけは申し上げることができるのではないか。また、そのために必要であれば、いろいろな資料などについても先生方に、おっしゃってくだされば、提供できる範囲、要するに学問の範囲から提供できるものがあれば提供をさせていただきたいと思います。  なお、きょう事務局の方へ、バイオテクノロジーに関する外国で出されましたものの翻訳とか、あるいはみんなで書きました書物とか、参考までに申し上げておきましたので、お目にもかけましたので、どうぞ事務室の方からリストをお受け取りいただければいいと思います。  少し長くなりました。
  49. 寺尾允男

    寺尾参考人 安全性の枠組みをどういうふうに考えるかという御質問で、なかなかこれは難しい問題なのですけれども、安全性の逆の毒性ということを考えますと、毒性の試験というのはどういうふうにやるかといいますと、いろいろの試験があるわけですね。急性毒性、それからよく先ほどから話が出ます慢性毒性、それから次世代といいまして、親から子、子から孫というのもありますね。  それで、結局これは、それぞれ調べるものによりまして何が必要かということはおのずと決まってくると思います。ですから、低分子の物質でもって体の中に蓄積していくようなものにつきましては、もちろん急性の毒性も、短期の毒性、それから長期の毒性、やる必要があると思います。それから、遺伝子に何か傷をつけるような物質である場合には、当然のことながら、これは長期の毒性とか次世代の毒性とか、そういうものを調べる必要がありますけれども、今問題になっております遺伝子組み換えの場合には、たんぱくなんですね。遺伝子産物というのは、最初にまず遺伝子からできるものは必ずたんぱくですから、たんぱく質が対象になっている場合には、これは先ほども河野先生の御質問のときにもお答えいたしましたけれども、これは体の中に蓄積するという性質のものではありません。しかも、分解されますとこれは生体の成分でありますアミノ酸までばらばらになってしまいまして、アミノ酸安全性という、毒性とかそういうものにつきましては心配する必要がないわけですから、当然のことながらこれは急性の毒性だけをやればいい、そういうふうになります。ですから、これは何を今調べようとしているかという対象物質によって、何をやるべきかということはおのずと決まってくるということです。  何かお答えになっているかどうかちょっとわからないのですけれども、それでよろしゅうございますでしょうか。
  50. 石毛えい子

    ○石毛委員 ありがとうございました。  お伺いしていまして思いましたのは、安全ということとそれから安心ということはまた違ったことであって、私ども消費者立場としては、安全に対する理解がどこまでできるかということでは情報の開示の仕方とかいろいろあると思いますけれども、その安心というところでもう一つ大きな課題がある、そこと表示が密接に結んでくることなのだと思いますけれども。  それで、神山参考人にお伺いしたいと思います。最後の御発言の部分で、使っていませんという表示が必要ではないかというふうにおっしゃられましたけれども──伊藤さんでしたでしょうか、そうしたら伊藤参考人にお伺いしたいのですが、使っていませんという表示は今の法律ですと不当景品不当表示法、そのあたりに基づいて可能であるのでしょうかという、今の法律でどの部分を使っていけばできるのじゃないかというような御見解がおありになりましたら教えていただきたい。  それから、神山参考人にぜひお伺いしたいと思いますけれども、今の消費者保護基本法では消費者の権利がきちっと位置づけられていないということ、それから食品表示に関する法律がさまざまばらばらということでぜひ食品表示法をというふうにおっしゃられたと思いますけれども、そこのあたりをもう少し詳しくお話しいただければと思いますので、お願いいたします。  残り時間が短くなってしまって申しわけございませんけれども、よろしくお願いいたします。
  51. 伊藤康江

    伊藤参考人 先ほど申し上げたのは、使っていませんという表示をしている事業者がいるということです。  それに対する評価としては、私の考えは、例えば使っていませんということであれば、ではほかのものは使っているのだろうかという消費者の疑問がまたそこで新たに起きますよね。ですから、使っていないものが全部使っていないというふうに書けば、それは一つの選択方法かなという考えもございますが、先ほど申し上げたように、そういう誤認も生じる。だから、私は、使っていませんというより、使ったものに全部強制的な表示をした方が消費者にとったはいいのではないかというふうに考えております。
  52. 神山美智子

    神山参考人 まず消費者保護基本法のことでございますが、消費者保護基本法の目的は、「消費者の利益の擁護及び増進に関し、」となっておりまして、消費者の利益は当然擁護していただかなければならないのですけれども、この法律、昭和四十三年にできた法律でございますから、もう一度現在の時点で見直して、消費者の利益の擁護ではなくて、消費者の権利の確保ということを目的とする法律につくり直すべきではないかというふうに思っております。例えば、東京都の消費者条例がございますけれども、東京都の消費生活条例には消費者の権利という言葉が入っております。  こういうふうに、消費者の権利を確保するという視点がございませんと、消費者は保護される対象であり、利益を守られる対象であって、主体的な権利者として行動するということができないというのが我が国のシステム全体を貫いております。もうこういう時代ではありませんで、消費者は権利者として主体的に行動させていただきたい、そういう法律に消費者保護基本法をつくりかえていただきたいというふうに思っております。  それから、食品表示のばらばらということでございますけれども、例えば一つのめんにさまざまな表示がございますが、これはそれぞれの表示の目的に応じまして各省庁が規則をつくっておりますので、私は、事業者の立場からしても、こんなにいろいろな法律があって、あっちの法律に基づいてこういう表示をしなければいけない、こちらの法律に基づいてこういう表示をする。例えば、計量法などというので、中が何グラム入っているかというようなことも書かなければいけないというふうに、いろいろな規則を全部知らないといけないというようなことは、食品の製造事業者、販売業者にとっても不利益ではないかというふうに思います。  また、先ほど伊藤参考人も言いましたけれども、こういった表示の問題について厚生省に行く、農水省に行く、公取に行く、行くところがあちこちたくさんあって、どこに行けばいいかわからないなどというようなシステムは大変非能率でございますし、生産業者にとっても大変非能率だと思いますので、これを一本化いたしまして、食品表示に関する法律というようなものであらゆる目的を統合して、さらにその中に消費者の選択の権利を確保するというそういう視点も入れて、新しい法律をぜひつくっていただきたいというふうに思っております。
  53. 石毛えい子

    ○石毛委員 ありがとうございました。  私も、もう今までのばらばらの法律に基づくのではなく、消費者が参加した上で、新しい時代に入っていくときの、消費者の選択の権利を踏まえた上で安全と安心が保てるそうした新しいシステムを、そして法律をつくっていくべき時代に来ているのだというふうに認識しております。  きょうは本当にありがとうございました。それでは、終わらせていただきます。
  54. 中村鋭一

    中村委員長 藤田スミさん。
  55. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 日本共産党の藤田スミでございます。  きょうは、参考人先生方、本当にありがとうございます。  私は、まず最初に農水省の方にお伺いをしたいと思います。  コーデックス委員会表示部会各国に配付されましたディスカッションペーパーを見せていただきました。遺伝子組み換え食品表示については、若干訳し方はいろいろあると思いますが、安全性表示についての論争が混同されることは避けなければならない、特に表示安全性の評価に取ってかわると解釈されないことを明確にすべきとしているわけです。  まず、表示部会での検討が、表示の問題を安全性の評価と切り離して検討するとの立場なのかどうか確認をしておきたいと思います。また、これについて各国とも同意しているのかどうか、これについてもお答えください。
  56. 村上秀徳

    村上説明員 お答えいたします。  コーデックス委員会食品表示部会におきましては、部会の所掌範囲ということから表示問題に絞って検討していくということが事務局ペーパーに先生御指摘のように示されておりまして、このことについては、今回の会議各国とも特段の意見はございませんでした。
  57. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 寺尾先生にお伺いをしたいと思います。  寺尾先生は、表示が必要ではないとの根拠について、認可される食品については安全性が確認されていること、表示をすれば遺伝子組み換え食品食品添加物は本来危険を含んだものであるという考えが社会に定着してしまう可能性があり、我が国遺伝子技術を応用した食品食品添加物の開発をおくらせることになるというふうにお述べになっていらっしゃるわけでありますが、さきにも御紹介いたしましたように、遺伝子組み換え食品表示に対する世界の流れは、安全性の評価と切り離して検討されるべきであり、すべての流通する食品安全であることを前提にした上で、必要な情報を提供するために表示が必要だということなわけであります。それについてどう受けとめておられるか、お聞かせをいただきたい。  もう一点です。実質的同等性の問題であります。これが食品添加物並みの安全性試験をしない根拠になっているのではないかと考えますが、この点では、先生の御先輩になりますか、元国立衛生試験所の内山充先生が、バイオテクノロジー応用食品国際シンポジウムでこういうふうに述べていらっしゃいます。「実質的同等性の概念です。食品食品成分の実質同等性を証明するのが大事だということは分かっており、受け入れています。化学物質に関しては安全性試験の標準法は決まっていますが、食品の同等性の確認法は世界中で研究しているところで、未完成であることを認識する必要があります。」つまり、同等性の認識法は未完成であるということをおっしゃり、そして「トリプトファンの事件の教訓は一〇〇ppmか二〇〇ppm程度の不純物までは同等性検討の対象にすべきであることを物語っています」というふうにおっしゃっておいでであります。この点は、先生はどうお考えでしょうか。
  58. 寺尾允男

    寺尾参考人 先ほどの一番目の、表示安全性は分けろというお話というか、世界の流れがそういうことであるということでございますが、この表示の問題は、これから、先ほどのお話でも農水で三百万ですか研究費がついて、それで研究するということもありますし、コーデツクス委員会議論されているということがありますから、それは表示をした方がいいということであれば、それはそれに従うのがよろしいということです。ただ私は、個人的には先ほど言ったような考えを持っているということです。  それから次の、実質的同等性の試験法が確立していないとおっしゃった話ですけれども、今、指針を読んでいただきますとわかりますように、実質的な同等性というのは四つのクライテリアで判断するのだということになっております。一番目が遺伝的な素材。それから二番目がこれまで遺伝子組み換えをやったもとになる食品安全人間が食べてきたかということ。それから三番目が主要な成分が変わっていないかということ。それから四番目が食べる部位とか加工するところが従来のものと同じか。この四つのクライテリアでやることになります。  内山先生が多分おっしゃられたことは、成分が変わらないかどうかということにつきまして非常に詳しく、一〇〇か二〇〇ppmかどこまでかわかりませんけれども、そこまでを調べる方法は確立していないということでありまして、これは食品の中に入っている成分を一〇〇ppm、二〇〇ppmのオーダーまで全部調べるというのは今の技術では至難のわざで、確かに理論的には内山先生のおっしゃるのは正しいと思いますけれども、実際にはそこまで今の段階ではできない、できないというか、やろうかと思いますと莫大なエネルギーと費用がかかるということでありまして、現実的ではないということで、今申しましたような指針の四つのクライテリアで判断をするというふうになっていて、それは現時点ではそれでよろしいのではないかと思っております。
  59. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 食品安全性評価の問題で、粟飯原先生にお願いいたします。  実質的に組み換え食品安全性評価の審議が行われる食品衛生調査会のバイオテクノロジー部会の分科会については、審議経過が非公開ということになっております。消費者には不安感が非常に強いわけでありますので、特許問題はありましょうが、可能な限り審議を公開し透明性を高めなければならないと思うわけであります。安全性問題を長く手がけてこられた先生として、この点はいかがお考えでしょうか。
  60. 粟飯原景昭

    粟飯原参考人 お答え申し上げます。  今非公開云々のお話がございました。それはおっしゃるとおりだと思います。しかし、実質審議のところを公開にするか非公開にするかということは、これは行政判断でございまして、私ども学者がああせいこうせいという範疇に実はございません。私がお答えすることは越権だと思いますので、いかがでございましょうか、先生のお考えは。──聞いてはいけないのですね、ごめんなさい。そういうことでございます。
  61. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 やりとりした方がいいですね。どうも済みません。  それでは、伊藤先生はこの問題に携わって調査会にいらっしゃったということであります。私は、バイオテクノロジーを消費者が納得し受け入れる前提には、徹底した安全評価と法的な整備、表示の義務づけとともに、消費者に対する行政、開発した側からのメリット、デメリットに対する科学的、客観的な説明情報の開示が不可欠だというふうに考えております。消費者運動の立場から、審議の公開など情報公開のあり方という問題についてお伺いをしたいわけです。
  62. 伊藤康江

    伊藤参考人 先ほど、私は食品衛生調査会の委員をしておりましたということを申し上げましたけれども、その時点から、食品衛生調査会における審議の情報公開というのは大変問題になっておりました。  ごく最近、閣議決定で審議会の情報公開の話が出まして、各省庁の審議会の議事録の公開あたりはされるようになっておりますけれども、それ以前の審議会というのは非常に非公開で、私自身、その衛生調査会の例で申し上げますと、バイオテクノロジー特別部会委員ではございませんでした。食品添加物とか残留農薬ということで、私がその問題に最初に接するのは、常任委員会と申しまして総会にかわるようなものですけれども、そこで私は報告を受けるわけです。ですけれども、その特別部会部会長から一応審議の模様は口頭でありますけれども、本当にどういうことが問題になって、だからこういう結果になったという、そこまでの文書はございません。  そのときの常任委員会、当時はまだ議事録も公開ということが決まっておりませんでしたので、議事録があるのかどうか、それが一般に公開できるのかどうか、これは厚生省の方にお聞きいただきたいというふうに思います。
  63. 粟飯原景昭

    粟飯原参考人 先生にちょっと間違ってお答えをしたと思いますので、寺尾先生から御注意を受けましたので、私は、食品衛生調査会常任委員ではございませんので、そのときの決定のことを存じませんでした。したがって、寺尾先生にその説明をしていただくと……。誤解を生ずるといけませんのでお願いいたします。
  64. 中村鋭一

    中村委員長 藤田さん、寺尾さんにもう一遍お願いしますか。
  65. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 結構です。どうぞ。
  66. 寺尾允男

    寺尾参考人 今、伊藤先生も言われましたように、国の審議会の議事録あるいは審議会そのものの公開ということは今いろいろな委員会の中で議論されておりまして、食品衛生調査会も常任部会と特別部会は公開するという方向で話が議論されているというところでありますので、いずれこれは公開されるようになるのではないかと思います。  これは、私が答えるべきなのか、あるいはそこに課長がいらっしゃいますので、課長が答えることなのかもしれませんけれども、そういうことだけ。
  67. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ありがとうございます。私も公開を求めて、はっきりさせていきたいと思います。  最後になりますが、神山先生にお願いをいたします。  私も、トリプトファンにより三十八人の死者が出た事件について、実は昨年の農林水産委員会で質問をいたしました。ガイドラインには法的拘束力がありませんので、同様の事件が繰り返されないという保証は全くありません。だからこそ法的整備が必要であるということを求めたわけであります。しかし厚生省は、安全評価指針の適切な運用により安全確保に努めるという答弁を繰り返されるだけでありました。安全性確保のための法的担保は、私はどうしても必要だと考えます。  これまで食品安全問題にかかわってこられた法律家として、先ほども大変心強い御意見をお伺いいたしましたけれども、重ねてもう一度この点について先生の御意見をお伺いしておきたいと思います。
  68. 神山美智子

    神山参考人 安全性評価指針について先ほど一つ落としましたので申し上げますが、安全性評価指針に従って安全を確保するというふうになっておりますけれども、安全性評価指針の第四章、「厚生大臣の確認」という文章を読みますと、そういうものを「製造又は輸入しようとする者又は必要と認められる者は、その安全性の確保を期するため、当該生産物が本指針に適合していることの確認を厚生大臣に求めることができる。」となっております。つまり、法的に求めなければならないという指針ではありませんので、求めなくても違法ではない、これで法的な安全性を確保することが十分だということは絶対にないはずだと思います。最初にも申し上げましたように、農薬成分であれば農薬取締法によって規制されるのに、それが食品中に入ってしまうと法的規制がないというのはおかしいわけでして、整合性を保つためにもこういった組み換え食品についての法的規制が必要だろうと思います。  それと同時にもう一つ日本食品衛生法の本家であります。アメリカ食品医薬品化粧品法にありますように、一般の消費者が行政決定に対して異議がある、不服があるというときにこれが申し出ができるような行政システムもあわせて法律の中に組み入れていただかないと、常に行政側の決定に対して消費者側は従い続けなければならないということになりますので、その点もあわせて御検討いただきたいと思います。
  69. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますが、きょうは与党の先生方表示は必要だというお立場で御発言がありました。どうしてもやはりこの遺伝子組み換え食品に対する表示の問題、情報公開の問題については、当委員会でも可能ならば決議などを上げて、政府に求めていただきたいということを委員長に申し上げて、私は終わりたいと思います。ありがとうございます。  先生方、ありがとうございました。
  70. 中村鋭一

  71. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子と申します。  きょうは本当に心に残るすばらしい意見を聞かせていただいて、心から感謝申し上げます。  私、有馬さんのお話を伺っていて思い出したのですけれども、思い出したことではない、いつも忘れる日はないのですけれども、二十年前に子供を流産しました。そのときに、医師に原因は何だろうかと尋ねましたらば、こんな怖い時代は自分の命は自分で守らないと、だれも守ってくれない、だから本当に食べ物とか公害とかさまざまなものに対してもっと関心を持って、やはり次には元気な子供を産むようにというふうに言われまして、私はそのときに、じゃ何が原因だろうかといっぱい考えました。そして、一番大事なのに私が注意を払ってこなかったのは食べ物だと思いまして、それからずっと、いわゆる有機農産物を自分で苦労して買い求めますとか、添加物のそういうふうなものを見ますとか、今までは幾らかなというふうなものしか余り関心がなかったのですけれども、それからとてもそういうことに関心を持ちまして、消費者運動をずっと経まして、学校給食をよくする活動をしながら、今、国会にいるという、そのような経歴を持っております。  そこで私は、でもあの時点、二十年前の時点は、自分の命を自分で守ろうと思ったら努力したらできた。そして今とても怖いのは、守ろうとしても守るすべがないのが、この遺伝子組み換え食品に対する表示がない、選びようがない、その権利さえも剥奪されていて、ああ、もう自分の命が自分で守れない時代に突入してしまったという実感をきょう本当に心から持ちました。  それで、一番最初にちょっと農水省の方に伺いたいのですけれども、ノルウェーの資料がここにございまして、表示についての問題に関してコーデックスの第二十五回会議でノルウェーが提出した書類がここにございます。これは政府の方はもちろんお持ちだと思いますが、お持ちでしょうか。うなずいていただいたら結構ですが。──はい、しっかりとうなずいていただいてありがとうございます。  それで、ここのところに、ノルウェーの国会の意見を反映した結論として、ノルウェー政府は、遺伝子組み換え食品をノルウェー市場で売る場合、その表示をすべての食品に義務づけるないしは強制すべきである、こう書いてあると理解しているのですが、このような理解で間違いないかどうか、お答えをお願いいたします。
  72. 村上秀徳

    村上説明員 お答えいたします。  遺伝子組み換え食品表示に関するノルウェーのコメント資料、我々入手しておりまして、この資料におきまして、ノルウェー政府は、ノルウェー国会の意見を反映した結論として、遺伝的に変化されたあるいは遺伝子組み換えを受けたすべての食品はその旨表示されるべきであるとの意見である旨記載されております。また、ノルウェー議会は、遺伝子組み換え食品について、おおむね御指摘のような表示の義務づけを要請するとの決議をしたとの記述がしてあります。
  73. 中川智子

    中川(智)委員 ありがとうございました。  きょう私は、専門家神山先生が、食品衛生法四条の二に不備がある、そしてすべてばらばらの法律で、今本当に大変に法律で命が守られないような事態に入っているということを感銘を受けたのです。それで、とても危険だなということを思ったのです。  今度は厚生省に伺いたいのですが、我が国食品衛生法のいわゆる理念、そして、今消費者の側からさまざまに不備が指摘されているのですけれども、今のノルウェーの法制度についての比較も含めて、いま一度、この食品衛生法に対してどのようにとらえているのか、そして、やはりこれに対して不備があるということを考えていらっしゃるのかどうか、お答えをお願いいたします。
  74. 堺宣道

    ○堺説明員 まず、ノルウェーの食品衛生規則といいますか、法規といいますか、それについては現在のところ承知しておりません。  それで、さて、我が国食品衛生法の目的でございますけれども、「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的」としたものでございます。  それから、四条の二でございますが、食品による被害の発生を防ぐことができるように、「食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、食品衛生調査会の意見をきいて、その物を食品として販売することを禁止することができる。」とされているところでございます。  以上でございます。
  75. 中川智子

    中川(智)委員 今の質問に対しての答えとしては本当に全然納得できませんので、次回にまた、もう少し中身をこちらも検討いたしまして、詳しく質問したいと思います。  もう一度厚生省にお伺いいたしますけれども、ガイドラインによって安全が確認されたという御報告がずっとこの間ございましたけれども、業界は、国が安全だと確認したから表示は必要がないという言い方をしています。  では、万が一、専門家の見落とし、さまざまな研究者とか専門家がこれをつくっても安全だと言われて遺伝子組み換え食品が輸入されているわけで、表示も行っていないわけですが、事故なり被害者が出た場合、厚生省安全性を確認して出回ったわけですから、その上表示がないわけですから、消費者個人が自分自身の責任で選択をすることができなくて事故が起こった場合、そして命を落とした場合は、国がすべてのリスクを負うのかどうか、そこを一点お伺いいたします。そして、その次に、国はこのときにどういうふうな責任を負って、その窓口はどこになるか、そこをお教えください。
  76. 堺宣道

    ○堺説明員 食品などの安全性の確保というのは、一義的には、製造または輸入しようとする者がみずからの責任において行うものでございます。これは遺伝子組み換え食品についても同様でございますが、遺伝子組み換え技術が高度な先端技術であるので、厚生省といたしましては、安全性評価指針によって企業において安全評価が適切に行われているかどうかについて確認しているものでございます。  さて、遺伝子組み換え食品を含めまして食品によって健康被害が生じた場合については、国は、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止する観点から、食品衛生法に基づきまして、例えば当該食品の販売等の禁止等の必要な措置をとるということになろうかというふうに思っております。これは、厚生省としてお答えさせていただきます。
  77. 中川智子

    中川(智)委員 では、例えば、私の愛する人はたくさん、何百人といるのですけれども、命を失ったとき、今のお答えでは、どこへ行っていいか、またあっちこっち行って五年ぐらいかかってやっと犯人が見つかるみたいな感じで、非常に不安ですね。ここも、ではまたゆっくりと質問させていただきたいと思いますので、楽しみがいっぱいふえていいですけれども。  次は、コーデックスに出した日本政府の文書について伺いたいと思います。  これがコーデックスに出した日本政府の文書ですね、きょうしつかりとお持ちだと思いますけれども。ここのところで、文書の中でいろいろ気にかかるところがありましたが、この文書は、どこの省庁が、どういう権限で、どういう経過でおつくりになったのか、まずお答えください。コーデックス委員会に出られた、農水省でも厚生省でもどちらでも結構です。
  78. 村上秀徳

    村上説明員 お答えいたします。  先生が指摘されているペーパーは、有機農産物のガイドラインに関する政府コメントであろうかと理解しておりますが、これは、我が国で、農林水産省それから厚生省等関係省庁が協議した上で、有機農産物のガイドラインに対するコメントということで取りまとめまして、コーデックス委員会に対する国内の窓口は科学技術庁でございますが、そこを経由して昨年九月にコーデツクス事務局に提出したものでございます。
  79. 中川智子

    中川(智)委員 この中でとても気になった文章の一つなのですけれども、横文字なのでとても困るのですが、この中の、バイオテクノロジーを含むオルターナティブの農産物の導入の障害になってはならないというふうにとられる文がございますけれども、ここで言うバイオテクノロジーというのは、遺伝子組み換え作物食品を含むということなのかどうかということが一点。  これと関連するのですが、バイオテクノロジーを利用した、つまり遺伝子組み換えしたものを有機農産物として認めていい、そのようなお立場でこの文書を出されたのかどうか、そのようにしか読めないのですけれども、そこをお教えください。
  80. 村上秀徳

    村上説明員 お答えいたします。  我が国コメントの趣旨は、国際的なルールとなりますコーデックス有機農産物のガイドラインという性格のものに、バイオテクノロジーを含む農業の新しい栽培方法につきまして、科学的な理由がないままに一律に禁止すべきではないというような趣旨で意見を出しております。  それで、バイオテクノロジーにつきましては、具体的には定義がございませんが、我々の理解としては遺伝子組み換えのものも含むというふうに理解しております。
  81. 中川智子

    中川(智)委員 帰られたばかりでまた出てもらうのは申しわけないのですけれども、もうちょっとしっかり伺いたいのです。  遺伝子組み換えをしたものを有機農産物として認めていいというお立場でこの文書をつくられたのかどうか。そこをもう一度、明確なお答えでお願いします。
  82. 村上秀徳

    村上説明員 お答えいたします。  遺伝子組み換え植物を有機農業に使うということにつきまして、コーデックス有機農産物のガイドラインで一律に禁止するのはどうか、これをどういうふうな扱いにするかは基本的には各国に任すべき問題ではないかというふうな理解でコメントを出したものでございます。
  83. 中川智子

    中川(智)委員 私ももうちょっとこの中身をこちらでも検討してみます。とてもここが怖いなと、日本政府立場を酌み取るものですし、有機農産物として遺伝子組み換え作物を入れられてはたまったものではないと思っておりますので、この辺はまた後ほど伺いたいと思います。  やはり選択する権利も消費者に与えられていないという状況の中で、先ほども話に出ましたけれども、本当に、トリプトファンの問題そしてさまざまな、厚生省がこの間ずっと後でごめんなさいと謝って、また訴えられてごめんなさいと言われて、もう二度とごめんなさいの繰り返しをしないという姿勢で臨むのかどうか、またごめんなさいとなるのかどうか。いわゆるこの遺伝子組み換え作物に対しての厚生省の姿勢をちょっとだけ。今度は農水省の方に伺いましょうかね、表示のことですから。だめですか。  では、その姿勢で結構です。この表示に関してこの間ずっと、きょうも議論になっていることに対して、その議論を受けて姿勢のようなものを一言お願いしたいのですが。
  84. 中村鋭一

    中村委員長 中川さん、厚生省ですか、農水省ですか、どなたに伺いますか。
  85. 中川智子

    中川(智)委員 農水省。
  86. 村上秀徳

    村上説明員 遺伝子組み換え食品表示の問題につきましては、農水省としましては、関係者、専門家の皆様に集まっていただきまして、その表示あり方について検討したいというふうに考えております。
  87. 中川智子

    中川(智)委員 検討の中身がどうなのかを伺ったのですけれども、検討の中身がいつもないのですね。検討してくださるのはあれなのですけれども、中身に対してやはりその姿勢を伺いたいということで質問したのです。  それで、私は寺尾参考人に伺したいのですが、先ほどの御発言の中で、レジュメにもありますが、「この技術は」遺伝子組み換え技術ですね、「予測しなかったような事態を招くという心配は無いという認識研究者の間で定着しつつある。」という文言がございますが、その「研究者」というのはどういう方々なのか。そして、この中で、警告ですね、今度の臓器移植法案も十五人のうちの二人の反対が金田案というのを生み出したのです。いわゆる少数意見はなかったのか、ないのか、それに対しての、この研究者の方々のことを伺いたいのですが。
  88. 寺尾允男

    寺尾参考人 これは、生物に関係する分野、自然科学の分野の方という意味でございます。ですから、医学、農学、それから薬学もそうですし、理学、いわゆる自然科学で生物を扱っている分野の研究者ということであります。  それで、だれも反対しないのかというか、反対意見はないのかというのは、それは私もちょっとわかりません。ただ、少なくとも私が今までいろいろな人に会っていろいろな話をした限りにおいて、これは危ないことが起きるぞという話は聞いたことがないし、物の本を読みましてもそういうふうに必ず書いてあることなので、世界じゅう、それは反対する人も少しはいると思いますよ、ですけれども、少なくとも我々が常日ごろ接している人で反対している人を私は知らないという意味で申し上げました。
  89. 中川智子

    中川(智)委員 もう質問時間が終わったのですが、最後に、やはり消費者保護基本法をつくらないともうだめだと思います。ですから、ぜひとも手をつないで議員立法をしっかりとつくっていきたい、できれば政府提案の法になれば非常にやりやすいのですが、待っていられないという状況がございますので、ぜひともお願いしたいし、質問者のうちの河野太郎さん、たった一人男性で、ぜひとも男性ももっともっと入っていただいて、命を守るというところから、ともにこれからもよろしくお願いいたします。  きょうは本当にありがとうございました。  委員長、どうも遅くなりました。済みません。終わります。
  90. 中村鋭一

    中村委員長 以上で質疑は終了いたしました。  参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時七分散会