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1997-06-11 第140回国会 衆議院 商工委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十一日(水曜日)     午前九時開議  出席委員   委員長 武部  勤君    理事 小川  元君 理事 小此木八郎君    理事 中山 成彬君 理事 茂木 敏充君    理事 遠藤 乙彦君 理事 西川太一郎君    理事 大畠 章宏君 理事 大森  猛君       甘利  明君    小澤  潔君       加藤 卓二君    亀井 善之君       河野 太郎君    河本 三郎君       中山 太郎君    林  義郎君       船田  元君    伊藤 達也君       石井 啓一君    鍵田 節哉君       神田  厚君    古賀 正浩君       島   聡君    達増 拓也君       中野  清君    吉田  治君       末松 義規君    松本  龍君       渡辺  周君    吉井 英勝君       横光 克彦君    前田 武志君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐藤 信二君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      麻生 太郎君  出席政府委員         公正取引委員会         事務総局経済取         引局長     塩田 薫範君         経済企画政務次         官       河本 三郎君         経済企画庁調整         局長      土志田征一君         経済企画庁総合         計画局長    坂本 導聰君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官事務代理   越智 謙二君         通商産業大臣官         房審議官    藤島 安之君         通商産業省通商         政策局長    林  康夫君         通商産業省環境         立地局長    稲川 泰弘君         通商産業省機械         情報産業局長  中川 勝弘君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岡本  巌君         特許庁長官   荒井 寿光君         中小企業庁計画         部長      田島 秀雄君         中小企業庁小規         模企業部長   篠原  徹君  委員外出席者         商工委員会調査         室長      安本 皓信君     ――――――――――――― 委員の異動 六月十一日  辞任         補欠選任   岸田 文雄君     河野 太郎君 同日  辞任         補欠選任   河野 太郎君     岸田 文雄君     ――――――――――――― 六月五日  容器包装リサイクル法施行に伴う施設整備等  に対する補助制度の充実に関する陳情書  (第三八  一号)  デポジット制度の導入に関する陳情書  (第三八二号)  フロンガス回収に関する法律早期制定に関す  る陳情書  (第三八三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 武部勤

    武部委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田治君。
  3. 吉田治

    吉田(治)委員 大臣中国へ行ってこられたとテレビで拝見をさせていただきまして、私、中国に対して大臣はこういう認識を持たれているのかな、知っていられて行かれたのかなというのを非常にテレビを見ながら考えたので、答えとして一言で結構です。  御承知のとおり、今中国投資という形でたくさんの企業が行かれていますけれども、成功した事例も多々あるやに聞いておりますが、非常に深刻に失敗した事例、例えば、合弁とは言いながら、行ってみれば日本側からのほぼ独資というんですか、資本から何から全部こちらが用意しなけりゃいけない、まさに中国側にだまされたというふうな発言が出るぐらい中国投資についてはシビアな意見がある。中国の当局である投資庁であるとか対外貿易経済合作部、国家経済貿易委員会が持ってくる商談の案件ですらそういうふうなものがあると言われておりますが、大臣中国へおいでになられたときに、こういう日本中小企業現状というんですか、そういうようなものを知って行かれたのかどうか。  余分な説明は結構でございます。知っていたのか知らなかったのか、それだけをお答えください。
  4. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 自分なりに知ったつもりで行ってまいりました。
  5. 吉田治

    吉田(治)委員 それでしたら少し安心はしたんですけれども、ただ、今の現状、御承知のとおり、中国に対しては非常に厳しい目の見方もある。例えば、通産省所轄のジェトロ、また各地商工会議所中国セミナーなんかを開きましたら、昔はたくさん来られてよかったんですけれども、このごろは、来た方に中国はいいところだと言うと、出席者の中から、私たちはそんな話を聞きに来たんじゃないというふうな声もある。  そういう中で、この時期、例のあの核実験のときに停止したと思うんですけれども円借款をまた再び復活させる。その背景なり、私自身はまだちょっと早いんじゃないか中国の言いなりではないかという気もするんですけれども、その辺はいかがお考えでしょうか。
  6. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今中国は、開放・改革路線、これを懸命に進めているわけでございまして、そういうことではまだ未完成だというふうに理解しなきゃいけないんだろうと思うんです。  そこで、今御指摘円借款、これも、実は向こうに参りましてそうした話題が出ました。私の方から、今日本としては、ODAというものを中心にこうした経済協力、これも聖域ではなく、来年度は一〇%カットするという大変厳しい状態にあるんだ、もちろんこれは世界じゅう一律にするという考え方ではないんだが、やはりめり張りをきかせるというか、魅力ある物件というか、そういうものでないとなかなか難しいということはよく話してございます。
  7. 吉田治

    吉田(治)委員 その辺も含めて私は一つお願いがございまして、さきの大臣訪中のときにも議論にあったど聞いておるんですけれども、さまざまな現地の日本企業の声を吸い上げ、中国政府との窓口になるというのが在中国日本人商工会議所と言われておりますが、中国政府北京にしか認めていない。御承知のとおり、日本企業上海、大連、その他各地に積極的に展開している。各地のこの商工会議所にも、中国政府から窓口として、また承認した機関として、担当として認めるという方向が必要だと思うんですが、今、この進捗状況と今後の見込みというふうなものについてどうなっておるんでしょうか。
  8. 林康夫

    ○林(康)政府委員 お答え申し上げます。  実は御指摘のように、中国におきまして、現在、外国人商工業者のつくる団体は、特定の暫定施行規定によりまして各外国につき一つ商工会のみが認可されるということになっておりまして、日本の場合、北京商工会のみが認可された状況でございまして、今回、大臣訪中におきましても、大臣の方から一中国側投資誘致促進担当大臣であります呉儀対外貿易経済合作部長にこの問題の解決方を申し入れさしていただいたところでございます。先方も本件について問題を認識しておりまして、これは日本のみならず各国の問題でございますので、現在対応策検討しているという返事をいただいております。  当省としては、これら対中進出企業の抱える諸問題の解決に今後とも積極的に対応してまいりたいと考えております。
  9. 吉田治

    吉田(治)委員 もっと積極的にしていただくと同時に、ここでひとつ大臣なり局長にお約束をしていただきたいのは、中国への投資もしくは中国へ進出した事例失敗例というのが余りないんですね。余りないというか、全然ないと言っていいと思うんです。探しても出してくれない。私の得た情報では、中小企業事業団上海事務所でこの失敗事例を今集めて事例集をつくろうとしていると聞いております。私は、いかなるさまざまな圧力があろうともこの失敗事例集はつくっていただき、ぜひとも、私たち議員のみならず国民一般の前に出していただきたい。これについて、この失敗事例集が出るということ、そして出すことについて、もしもそういうことが出た場合には、どんなことがあろうとも一般の目に触れるようにするというお約束をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  10. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今のお話でございますが、私自身、先ほど言葉足らずでしたが、企業が出ていく、投資する、必ずリスクはつくんだというふうな認識をやはり企業人もある程度持ってもらわなければいかぬと。  今御指摘のように、確かに成功した例もあるし失敗した例もある。そういうことは、情報公開と申しますかディスクローズということで、的確に教える必要があろう、かように思いますが、どうも今までの傾向だと、中国に行けば商売になる、そうした安易な気持ちで行かれる方が多かったような気もいたしますので、今のような情報公開ということはもちろん賛成ですが、それに取り組まれる企業人の心構えというか、そういうものの教育、それから啓発、啓蒙運動、こういうものをしていかなければいけないだろう、かように思います。
  11. 吉田治

    吉田(治)委員 大臣のお言葉ですけれども中国については、過去十年間私の知る限りでは、失敗事例を出したのは東洋経済一誌だけなんですよ。マスコミ関係者に聞くと、出したいと言うと、どこからともなく、そういうのはいかがかという声が出てくるということがあるということなんですよ。だから私は、そのことは言いたくなかったけれども大臣が、いや各会社の責任だ、それはもちろんですよ。しかしながら、フェアアンフェアという中においては、情報があるかどうか、出そうという情報をとめているという状況を私はおかしいと言っているんです。ですから、声を荒らげて申しわけありませんが、先ほどの、せめてこういう事業団が出そうというものに対しては、今大臣が確約をしていただきました、出していただく、情報は開示するということで私は理解をさしていただいて、次の質問に移りたいと思います。  経済構造改革、また財政構造改革等についてさまざまな報告書が今出ております。私、まず通産にお聞きしたいんです。いろいろな数字が出ているんですけれども、その積算根拠、例えば新産業創出について、十五分野、三百五十万人の新規雇用創出が可能と。政府はこれは七百万人以上で、先ほどの三百五十万人というのは、昨年十二月の連合日経連数字です。例えば住宅関連分野においては、連合日経連報告では百二十九万人の新規雇用が可能だと言っていますけれども政府住宅関連分野では三万人から九万人と、全然数字が乖離しているんですよね。民間政府でこれだけ乖離すると、しかも、民間と言っても、こんな言い方失礼ですけれども、その辺のシンクタンクではなく、日経連連合がまとまったものとはこれだけの乖離があるということ、この積算根拠というもの。そしてもう一点、新聞に昨日出ておりました八兆円規模法人税減税をした場合、単年度では七年後に増収になり、十一年後にはその減税分を取り戻すことが出ている。こういう数字が出ているんですね。  この辺の数字の出どころというんですか、その辺についてちょっとまず明らかにしていただきたいと思います。
  12. 藤島安之

    藤島(安)政府委員 お尋ね新規産業分野の将来の雇用規模とか市場規模積算根拠でございますが、今お話がございましたのは、昨年の十二月に決定しました経済構造の変革と創造のためのプログラムの中におきます新規産業創出環境整備プログラム数字かと思います。  これは閣議決定をしたものでございますが、この数字によりますと、二〇一〇年には……(吉田(治)委員数字はわかっている、早く答えてよ」と呼ぶ)例えば具体的に一つ分野を申し上げますと、医療福祉分野、こういったものは、医療福祉、健康といった分野ごとに、GDP伸び率高齢者数伸び率等を用いまして、これらの分野関連サービスの今後の市場及び雇用規模を推計した、そういうものでございます。これは労働省ともいろいろ調整したものでございます。  数字民間と違うではないかというふうに御指摘のありました住宅関連分野でございますけれども、私どもは、新しい産業分野、こういうことで、スチールハウスとかそういうものに限定したものでございます。したがいまして、二〇一〇年には雇用規模が現在の三万人から九万人になるということで、新規のところに絞ったために数字が少ない、こういうものでございます。  それから、第二のお尋ねの、法人税の八兆円減税の場合の数字でございます。これは、現在私ども法人税の引き下げを検討しているわけでございますが、その中で、産業政策局の中に設置しております公的負担経済活力研究会においていろいろな観点から検討をしている数字でございます。まだ検討段階のもので公表には至っていない、こういうものでございます。
  13. 吉田治

    吉田(治)委員 そういう数字だったらそういう数字なんでしょう。  ただ、おもしろいなと思うのは、私、ガットウルグアイ・ラウンド対策のときに特別委員会質問して、六兆百億円もウルグアイ・ラウンド対策費お金を使って、農作物が幾ら安くなって、農業に関する就業人口は何人ふえるんだと当時の連立政権であられました村山総理武村大蔵大臣、当時の大河原良水大臣に聞いたら、だれも答えられなかった。そこでは答えられぬのにここでは答えられる、政府として何をしているのか、省が違うから関係ないよといったらそれで終わりなんですけれども、非常に私は今、積算根拠等を聞いていて矛盾を感じた次第です。  ところで、きょうは経企庁長官にわざわざおいでいただいております。財政構造改革の取りまとめの省庁として、私は二、三点お聞きしたいなと思うのは、この最終報告政府方針として出されたんですけれども、つまり一律削減というのですか、縮小均衡という方法だなということを非常に感じました。  通産大臣、先ほど円借款のところでめり張りのきいた予算づけと言われましたけれども財政についても、今こういうときだから、俗に言われておりますように、先のためにも予算は必要、今後この予算はだんだん減らしていいんじゃないかというのではなく、痛みは全部で分け合おうというのですか、一律の赤字削減もみんなでつないで渡れば怖くない、まさにそういう発想でしかないのではないかなという感じがするんですけれども、やはり国民の側からしますと、めり張りのきいた、ここは今後大切だから入れるんだ、お金を使うんだ、ここは使わないんだというふうな部分が必要だと思うんですけれども、その辺はいかがお考えなのか。  また、公共投資基本計画六百三十兆円、これ自身も減らすというのではなくして、単に延長する。先ほどのガットウルグアイ・ラウンド対策費に関しましても、三年間というものを五年間にした、だから、単年度にしますと四〇%の予算削減ではありますけれども、トータルとしてはやるんだよ、果たしてそれが正しいことなのかなという感じをしております。また、この公共事業関係費削減で九八年度実質経済成長率が〇・六%下げられる、反対に、ではこれに対してどういうふうな対応をするのか、経済数字的には確かに伸びておりますが、実態的にはまだまだ厳しいという側面もあります。  また、先ほど通産省にも質問いたしました税制改革というもの、これは、一つ方法としては、予算という一つお金を出す方で、企業なり経済活性化というのと同時に、やはり税制というもの、所得税法人税限界税率がもう非常に海外よりも高いと言われている、企業マインドというふうなものに対しても積極的にそれが必要だと思うんですけれども経済シンクタンクというかかじ取り役である経企庁長官として、この辺を含めてどういうふうにお考えなのか、しっかりしたお答えをいただかなければ、前の田中秀征経企庁長官に申し上げたように、いよいよ経企庁というのは、省庁の統廃合の中で本当に必要なのかなという議論をもう一度しなければならないのかなと思っておりますので、よろしくお答えお願いいたします。
  14. 麻生太郎

    麻生国務大臣 三つ質問がまとめて出ましたので、時間が少々長くなるとは思いますが、基本的に、今の六百三十兆円というお話は例の公共投資基本計画の件だと思いますが、これは日本高齢化が進む中で、二十世紀の初頭において、日本のいわゆる社会構造というものがその後の高齢化に耐えられるような基盤整備をきっちりやっていこうという名目で六百三十兆円ということでスタートいたしておりますが、御存じのように、財政構造が極めて厳しくなっておる関係から、これは何とか減らさなければいかぬ。  要は、今、めり張りをつけろというお話でしたが、基本的には三つに分けられて、生活基盤という部分一つ、国土の保全が一つ産業基盤、大きく分けて三つに分かれると思っておりますが、今回、その中で、めり張りということであれば、減らされた部分というのは主に、公共投資の中で言わせていただければ、何といってもハブ空港等々の拠点空港、港湾、またいわゆる高規格幹線道路等々のものにつきましては、基本的に、重点配分をしてでもこれはやっていかなければいかぬというめり張りは一応形としてはついておると思っております。  加えて、日本財政構造からいきますと、今、GDP比日本が、イタリアの一二〇%、カナダの九八%に次いで日本が九三%ぐらいで、一番悪いんだと思いますが、そういった意味からいきますと、これはどうしてもやっておかぬと、後になりますとそれが足を引っ張るということになりますので、やっておかねばならぬということでありますので、少なくとも、私どもとしては、今月十七日までにこの公共投資計画の見直しを行って、経済審議会に諮問をさせていただきたいとお願いをして、総会にお諮りをさせていただきたいと思っております。  次の質問で、〇・六%というお話を申し上げましたのは、公共投資GDP比に占めます影響というものは約八・五%と言われておりますので、公共投資は七%削減をいたしますので、それに単純に〇・〇七掛けますと、結果として〇・六という数字が出てくるということであります。  GDPの足を引っ張るのは、今申し上げたような単純計算になりますので、これは今年度ではございません、来年度の話であります、そういったことだろうと思っておりますので、これに対応していくためには何かといえば、過日、既に発表をいたしておりますが、日本経済構造改革というものを、経済企画庁で六分野のものを出させていただいておりますが、これに出してありますものがすべからく実行に移されて、かつ、国以外、地方でも同じようなことが行われますと、日本としては、その経済構造改革が実施されれば経済成長率が毎年〇・九プラスになるということを、これは〇・九%すぐプラスなるみたいな話をすぐ思われますけれども、基本的には、経済構造改革に書いてあります規制緩和策等々のものが実行に移されたという前提条件がついておりますので、それがなかりせば、逆にその分だけ成長しないわけですから、そこの点だけは、〇・九は間違いなくいくように思っていただくと困りますので、あらかじめお断りを申し上げておきます。  税金のところで話が最後になっておりましたけれども法人税所得税、これが極めて高いという、これははっきりしておると思っております。日本の場合、課税ベースあり方等々を検討しなければいかぬところなのであって、御存じのように、貸倒引当金とか退職給与引当金とか、こういったようなほかの国にない引当金などを除いて計算してみなければいかぬところだと思いますけれども、いずれにいたしましても、これは公平性の問題、いろいろな面から、所得税法人税事業税等々のあり方は、直接税、間接税の比率の問題とあわせて、今後とも、日本国際競争の中で生き残っていくためには考えねばならぬ大事なところだと思っております。
  15. 吉田治

    吉田(治)委員 亀井建設大臣言葉をかりれば、公共事業費というのは、総理幹事長のところから減らしていけと。まさに麻生大臣会社というのは公共事業にも大きく影響されていると思いますので、会社の利益も減るかもしれないけれども、国のためにしっかり頑張っていただきたいということを申し上げて、先ほど麻生大臣の中にも経済構造改革お話が出てまいりましたので、経済構造改革の中でもとりわけエネルギーという問題について質問させていただきたいのですけれども通産大臣電力会社というのは民間会社ですか。
  16. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 そのとおりでございます。
  17. 吉田治

    吉田(治)委員 では、民間会社の経営について、大臣が命令をする、例えば会社を分割しろであるとか、おまえのところの商品は高いから値段を下げろというふうな、下げた会社はお褒めにあずかるというふうなことをされていいのですか。
  18. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今の御指摘でございますが、別に、私の方からどうせいこうせい言った覚えはございません。
  19. 吉田治

    吉田(治)委員 いや、どうせいこうせいじゃなくて、マスコミ的に言って、そうしろと。だから、そうした会社はいい会社だと。独占についてはいかがかというふうなことを、大臣、ずっと言われているじゃありませんか。また、OECD理事会の提言についても、ああ驚いたとはいいながら、報道的に言うと、いや、去年の段階から知っていて、それで言ったんじゃないかと。そうでないとおかしいですよね。OECD理事会にも、政府側それから会社側それから組合側という形で参加している日本の国の通産大臣ともあろうお方が、そういう状況を知らずに、寝耳に水だというのもおかしい話だと思うのですけれども大臣、そこのところが私、大臣が非常にお好きな電力の問題についてはちょっと違うんじゃないかなと。  基本ベースということを考えていくとへ大臣イギリスフランスアメリカイギリス北海油田を持っていますよね。アメリカ国内に腐るほど石炭も、コストは別にしても油田を持っている。フランスはそういうものを持っていないから、ほとんど原子力に燃料というものをシフトしている。エネルギーセキュリティーというものを考えていった場合に、日本輸入国である。つまり、原子力にそれほどシフトしているわけでもなければ、油田があるわけでもない。石炭は、御承知のとおり、国内炭は高いからということで、三井三池炭鉱も閉山をしたというふうな中において、日本エネルギーセキュリティー考えた場合に、大臣がおっしゃるように、いや、高いから安くしろ、コスト至上主義というのですか、それが今、大臣に私が申し上げました、電力会社というのは民間企業ですかと。  では、日本の国の通産大臣ともあろうお方が、自動車会社であるとか商社であるとか、これは、電力に関しては電気事業法という法律に基づいているとはいいながら、高いから安くしろ、独占はおかしい、分離分割しろと。日本国政府として、電力会社の株でも持っているのですか。
  20. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 何か委員は大変誤解しているような気がいたします。  話が長くなって恐縮ですが、先ほどOECD云々と言われましたが、OECDの席には、ここにいる麻生長官も出席しております。麻生長官にも話を聞いてもらいたいのですが、何か誤解に基づく報道、これをお読みになって誤解をされたような、こんな質問だなという気がいたします。  まず、電力料金の問題、どういう意図で言われているかわかりませんが、今、世界に伍して日本電力料金が、同じというか、同じようなサービスをしていると委員の方はお思いだろうか、実はこんな疑問があるのです。電力料金が欧米に比べて高いというのは、これは通説になっています。このことは委員もお認めになると思うのですね。  そこで、それをどうすれば安くなるだろうか、電力会社考えてもらいたいというのは当然じゃないだろうか。その場合には、電力会社がそういうふうにしやすいために、役所としてどういうやり方があるだろうか、どの点が協力できるだろうか、こういうふうな発想を持つことは、役所というものの使命からいっても当然だろう、こう思うのですね。
  21. 吉田治

    吉田(治)委員 いや、だから、それは私も何度もこの委員会大臣に申し上げているじゃないですか。為替が円高に振れているからそういうふうに見えるのでしょう。円安に振れたらどうなるんですか。  昔、日本が高度経済成長の時代、一ドル三百六十円、それが終わって二百円台、日本の電気料金なんか全然高くなかったですよ。円高に振れているのが問題なんじゃないですか。それをおいておいて、ドル換算にして、日本の電気代は高い、高いと。それはドル換算したら高いですよ。日本の賃金も高いですよ。私たち会議員の歳費だって高いですよ。  それをなぜ、電力料金だけにシフトして、ここだけが高いんだ、だから安くするんだ。特定の意図でもあるのですか、大臣。それとも、電力料金を安くすれば、日本の高コスト構造と言われている、つまり、ドルに換算したときに高くなる日本のこの経済構造がぐんと安くなる、そういう試算でもあるのですか、エネ庁長官
  22. 江崎格

    ○江崎政府委員 御承知のように、電力を含めまして、エネルギーコストというのは、産業活動ですとか日常生活にとりまして非常に基本的な要素であるというふうに私ども認識しております。  現在の為替レートで換算いたしますと、日本電力料金というのは欧米に比べてかなり高くなつておりまして、これにつきまして、日本の中で企業にとりまして魅力のある環境をつくるというのは、日本経済の活力を維持するということにとりまして不可欠だというふうに思っておりまして、その観点から、私ども電力料金の一層の値下げということは必要だというふうに思っております。  ただ、その過程で、今先生御指摘のように、日本の置かれております各種のエネルギー事情、例えば輸入比率が高いとか石油の依存度が高いとか、こういったいろいろな事情があるわけでございまして、こういったことを考えまして、電源のベストミックスを考えながらより一層の効率化を図るということを考えていく必要がある、こんなように思っております。
  23. 吉田治

    吉田(治)委員 数字的な話をしたり、これ以上この議論で高いの安いの言ってももう仕方がないので、私、今回は観点をちょっと変えたいと思うのです。  今言われたように、コスト至上主義では、本当にエネルギー電力を下げたら、経済全体の何%影響があるか。ほんの微々たるものですよね。一〇%も二〇%も三〇%もないと思うのですよね。  その一方、数字的なことを言いますと、たしか日本電力が設備投資する金額というのは大体年間五兆円ぐらい。日本の設備全体に対して、設備投資の大体四分の一か、数字によってそれぞれ違うのですけれども、非常に大きなウエートを占めている。つまり、コスト削減しろ、負荷率を上げていくということは、この設備投資の金額を減らしていく、それで過去に借りたお金はどんどん返していく。  ある説がありまして、電力会社が全部今借りている金を返すと、日本の銀行は何行かつぶれる。もう借り手がなくなるというぐらい、電力というのは設備投資という部分でも日本経済を支えている。これは理解していただけると思うのですよね。それをコスト至上主義のみでそういうふうに抑えるというのは、私はちょっとおかしいのではないかなと。  そして一方では、競争、競争という中で、電気事業法に基づいて、電力会社各社は供給義務並びに供給責任というのがあるのですね。IPPというものはそれがない。だから、雨後のタケノコのごとく、うまくやっておいしいところだけとって、ちょっと設備がだめだからやめるわ、後は電力会社へ回してよと。極端なことを言ったら、その分まで電力会社というのは今後先とも、この供給責任、義務というものを持つと保証していかなければならないということがあるわけなんですね。それは私は御理解いただいていると思うのです。  そしてもう一点は、前も甲子園の話を申し上げましたけれども、あのとき大臣も笑って答弁なさいましたけれども日本電力、夏の暑い時期、エアコンをかけて、冷やしたビールを飲んで、冷蔵庫で冷やしたスイカを食べながらテレビを見る。その甲子園の時期が一番高くなる。それに合わせて電力会社は、今言った五兆円に上る設備投資をしている。  私は、電力会社のみにそういうようなことを望むのではなくて、一般消費者、ユーザーに対しても、例えばあのときは甲子園を秋にするとかいって、まあそれは冗談の、冗談というか本当の話ですけれども、それぐらいの心構えが必要だと言いましたけれども、例えばディマンド・サイド・マネジメントという、家庭のエアコンがある一定の温度以上来れば集中センターにおいて自動的に電気は切ってしまうとか、そういう、需要家、消費者、またビルの設計、建設関係等々と、まさにここの行動計画にも書かれてあるようなことを進めていく必要が私はあるのではないかと思うのですね。だらだら長くしゃべってしまいましたけれども、これはこれでおいておきます。  ただ、エネルギーセキュリティーというものを一番最初に私が申し上げました。それについて、大臣もしくはエネ庁長官、どういうふうに考えていらっしゃるのですか。
  24. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今の委員お話をお聞きすると、結局料金問題というものが先行して、このセキュリティーの問題と何かまた混同したような質問になっていると思うのです。私は、セキュリティーという問題は、これはもちろん大事な部門でございますから、やはり経済性、地球環境問題、こういうことの構築を図る上から必要だということで、いわゆるベストミックス、今までどおりの方針でやっていくわけで、この中において安定供給ということを前提に置いて、その幅の中においていかにして努力すれば料金が下げられるか、これを考えて、またそれを努力するというのが私たちの使命だ、かように考えておるわけでございます。その点の御理解をいただきたいと思います。
  25. 吉田治

    吉田(治)委員 理解はさせていただきます。エネルギーセキュリティーという問題とそして料金というふうな問題、それは何でも高いよりも安くした方がいいです。しかしながら、これはひょっとしたら密接不可分かもしれないと私は思うのです。安くしようと思えば、よく規制緩和の議論の中で言われます。飛行機の規制緩和のときにこう言われました。料金を安くしたら整備だとか点検の手を抜くよ。でも規制緩和の論理からすると、いや、それで飛行機が落ちたらお客さんは乗らないよ。私は電力に関してもその辺の論理づけが必要ではないかなと思うのです。  ただ大臣、今大臣の頭の中に、私は料金のことばかり言いましたけれども、先ほど申しました、体制というのですか、九電力体制、発送電が一緒という、これについてOECDも論議されましたけれども大臣としてこのOECDの勧告のとらえ方、そしてこの発送電分離の考え方、また事業再編というものについて、そのエッセンスだけでもちょっと今ここで答弁いただけませんでしょうか。
  26. 江崎格

    ○江崎政府委員 お答えいたします。  OECDの閣僚理事会が五月二十六日に開かれまして、ここで財政再建の中で経済活力を維持するためには規制制度改革が不可欠であるということがうたわれまして、これに合意したわけでございます。この規制制度改革の報告書におきましては、電気事業というのは直接名指しで言及はしていないわけですが、広域ネットワーク事業という言い方をしておりまして、意味するところは電力とかガスとかあるいは水道とか電気通信といったものを指すと思いますが、これにつきまして競争原理の導入が可能な分野は規制対象から外すべきである、こういう提言がなされておるわけでございます。  この問題につきましては、実は五月十六日に既に閣議決定をされております経済構造の変革のための行動計画におきましても、電力事業につきまして、同じような考え方から、エネルギーセキュリティー、環境保全等に配慮した電源構成のベストミックスにも留意しつつ、発電事業分野への一層の競争原理の導入のために、発電分野と送配電分野との区分経理を含む新たな制度の導入などについて検討するということにしているわけでございます。私ども通産省としましても、OECDの規制制度改革、それからさきの閣議決定における行動計画、こうしたものを踏まえまして電力の規制制度改革に努めてまいりたい、このように考えております。
  27. 吉田治

    吉田(治)委員 私どもの手元に、このOECD会議に参加された組合代表の北條正さんという方のレポートがあるのですけれども、これを読んでおりますと、本当にマスコミ的に報道されている、OECDというのは非常に大切なもので、これが出された発送電分離のお話というふうなものについての事細かなプロセスが書いてあるのですけれども、そのOECDの中でIEAはどういうふうな働きをしたわけですか。
  28. 江崎格

    ○江崎政府委員 OECDの中で特にエネルギー分野に特化した問題を議論するということでできている組織でございまして、かつて石油危機などに対応するための緊急制度とか、こういったものを議論しております。最近はまた、エネルギー消費の伸びあるいは地球環境問題などが国際的に関心を集めておりまして、非加盟国との問題ですとか、あるいは地球環境問題にエネルギー面からどのように対処するか、こういったことが議論されている組織でございます。
  29. 吉田治

    吉田(治)委員 私の手元のレポートでは、OECDの原案というのは、もっと完全競争ということでレッセフェールを貫徹したものをつくったらしいのですけれども、それを見たIEAが、こんなことでは世界のエネルギー事情はおかしいというので、IEAの担当者がOECD担当者に規制緩和の報告書についてアドバイスをして、変更と言っては語弊がありますけれども、文書の書き方を変えていったというふうなことも聞いております。  何か国際機関が一つあれば、その言葉が何か金科玉条のようになるのが日本の通例かな。その辺について、時間がありましたら指摘をさせていただきたいのですけれども、時間がありませんので、そういうふうなこともあるというふうなこと、果たしてこれは正しいことなのかどうかということも含めて、今後議論していただきたいと思います。時間がございませんので、経済構造改革に関しまして、中小企業の問題がこれから出てくると思うのですけれども、まず中小企業基本法について、第二条で、製造業、卸売業、小売業の資本金、従業員の格差というものがありまして、それによって補助を受けられない事業というのがそれぞれあるのです。物をつくっているところから見ると、物を売っている方とは違うとはいいながら、その当時の区分けした理由があったのでしょう。また、今後これを見直し、統一するというふうなことがあるのかどうか。  そして、あわせまして、先日も同僚議員が質問されたと思いますが、中小企業にかかわる大店法の見直しというのが本年にされると聞いております。やはりさまざまな不安があるというふうに聞いておりますが、この二点をまとめて、中小企業政策という中でお答えを賜れればと思っております。
  30. 田島秀雄

    田島政府委員 お答えを申し上げます。  中小企業の定義につきましては、産業ごとに企業規模に応じてその付加価値生産性等に差があるという実態を踏まえまして、各般の中小企業施策を講じます場合に、どこにそういう施策を講じた方がいいのだろうかといったようなことから、基本法におきまして、製造業、小売、サービス、卸売業それぞれにつきまして、基本となる資本金基準それから従業員基準、これはいずれか一方を満たせば中小企業という意味でございますが、そういったものが定められておるわけでございます。  この定義につきましては、昭和四十八年に資本金基準の改定、それから、従来は一本でありました商業から、実態に応じて小売業と卸売業を分離するといったような改正をいたしたところであります。その後も経済情勢の変化等を踏まえて、中小企業の審議会等でいろいろ検討してきておるところでございますが、中小企業の範囲を拡大すべきだという意見がある一方、なかなか財政も厳しい折でございますので、施策の対象を重点化するべきではないかといったことで定義は維持すべきではないかといった意見、あるいは、下請取引につきましては、従来は規制といいますか調整の対象となっていた者が、逆に下請取引の対象としては保護される方へ回ってしまうといったような問題もあるという、いろいろな意見がございます。  このように中小企業の定義をめぐる問題につきましては種々の側面がございますために、平成五年度中小企業政策審議会の報告では、引き続き継続的に検討しろというふうに御指摘を賜っておりまして、私どもといたしましては、今後とも実態の把握に努めながら検討は継続してまいる、こういうふうに考えてございます。
  31. 越智謙二

    ○越智政府委員 大店法の問題でございます。流通業を取り巻く大きな環境変化の中で、大店法の見直しにつきましては、先ほど来出ております経済構造の変革と創造のための行動計画におきまして、本年十二月までに結論を得ることとされておりまして、先月の二十一日から産業構造審議会と中小企業政策審議会の合同会議におきまして、審議を開始していただいたところでございます。  大店法につきましては、御案内のように、廃止からこれ以上の規制緩和反対、これは御指摘中小企業、小売業の方々からの意見が多いわけでございますが、内外に幅広い意見がございます。見直しに際しましては、消費者の方々、小売業の方々、学識経験者の方々等、関係者の意見を幅広く聞いた上で検討していくことになっております。
  32. 吉田治

    吉田(治)委員 幅広く聞いて、できるだけいいようにしてもらうようにしていただかないと、これはやはり後継者の問題等も含めて大変なことになるかなと思います。  その中で後継者ということでいいますと、大阪商工会議所さんがMアンドA市場の創設ということで、特に後継者がいない方についてですけれども企業匿名方式による非公開企業のMアンドA市場の創設ということをされております。これについて知っているのか知らないのかということと、評価というものをいただきたいと同時に、時間もございませんので続けて言いますと、中小企業なりベンチャー企業なり、また大企業も含めてですけれども、今後とも知的財産というものが非常に大きくなってくる。アメリカもプロパテントというものをレーガン時代に確立してから非常に変わってきたという中において、弁理士法の改正の問題もずっと言われていますし、意匠法が本年国会に出る、出ないというふうなことも出ております。この辺の改正の状況。  そして外国人弁護士の規制緩和という形で、弁護士の資格を持っておりましたら弁理士もできるということで、非常に外弁というものが弁護士業務のみならず弁理士業務にも入ってくるのじゃないかということで、質の低下というものも危惧されております。  そして何より重要なのは、知的財産における権利、法案が各省庁にまたがっている。私の知る範囲では、諸外国においては知的財産を一つ省庁にまとめて、知的財産庁であるとか、そういうふうなものをつくっているという例もありますけれども、特許庁並びに通産として、この知的財産というもの、省庁またがっているものをどう統一化していくのかということについてもお答えをいただきたいと思います。  そして最後には、先日の、きのうの参議院の商工委員会で通過したらしいですけれども、持ち株会社の解禁についての独占禁止法の改正案。六月四日、糸田事務総長が事前相談制度について会見をなされております。善意に解釈しましたら、国会の意思を踏まえて可能な限り公表するよというふうなことを言っていただいたように聞いておりますけれども、もっと具体的にさまざまなものが出るのかどうか。  また、出た上で、匿名であっても数字とかデータ等が、公取の判断内容というものがもっともっと出てくるのか。行政主体、行政有利の独禁法運営にならないというふうなことのためにも、事務総長のお話の本意、また今後のガイドラインをどうするのか、それについて国会の意思を踏まえるというのはまたどうするのかということをあわせて、三省庁にまたがると思いますけれどもお答えを賜りたいと思います。
  33. 田島秀雄

    田島政府委員 まず、大阪商工会議所のMアンドA市場のシステムにつきまして御答弁を申し上げます。  中小企業、中堅企業の場合に、後継者難で事業の存続が不安だといったような問題があることは私ども承知をしておりまして、立派な企業がこういった事情で廃業に至ってしまうというのは、国民経済にとっても損失ではないかというふうに考える次第でございます。  このような問題に対応して、大阪商工会議所が非公開企業のMアンドAを促進するために、ある種マーケットといったようなものを創設されておられるわけでございますが、これは後継者難に悩む中小企業にとりまして、事業の継続を通じて連鎖倒産や従業員の失業を回避するということが可能になるわけでございますし、買収企業にとっても新規事業への進出あるいは販路の開拓といったようなことが可能になるという面もございますわけで、私どもといたしましても、大阪商工会議所の創意あるいはその御努力を高く評価をしておるところでございます。  また、中小企業庁といたしましても、中小企業の後継者問題あるいは事業承継の問題につきましては、中小企業大学校におきまして後継者育成のための特別の研修コースを設けるとか、あるいは商工会議所等による後継者育成事業への財政的な御支援とか、あるいは事業承継に当たりましての相続税の特例措置の手当てにつきましていろいろな御要請を申し上げるとか、そういったことでいろいろな努力をいたしてまいっておるところでございます。
  34. 武部勤

    武部委員長 できるだけ簡潔にお答えください。
  35. 荒井寿光

    ○荒井政府委員 弁理士制度のあり方につきましては、御指摘のとおり、今後ともますます特許などの権利の取得について重要な役割を果たしていくものと思っております。  本年三月、外国弁護士の受け入れなどの法務サービスの規制緩和につきまして閣議決定されたところでありますので、特許庁としても、法務省等を初めとする関係省庁と十分協力をして検討してまいりたいと思っております。  また、行政のあり方についてでございますが、経済の高度化とかソフト化ということで、御指摘のとおり、関係省庁が知的財産について一体的な取り組みをするという必要性がますます増大をしております。当省といたしましては、関係省庁と密接な連携をしながら、政府部内における知的財産関連行政の一体性確保に引き続き努めてまいる所存であります。
  36. 塩田薫範

    ○塩田政府委員 二点御質問がございました。  第一点の事前相談に対する対応ということでございますけれども、先生御指摘のように、公正取引委員会は、独禁法の運用の一層の明確化を図るという観点から、合併、株式保有等の主要な事例につきまして、事業者の秘密保持等に配慮しながら、従来から事案の概要あるいは独禁法上の問題点あるいは公正取引委員会の判断等につきまして取りまとめて公表してきておりまして、その多くは合併等の当事会社からの事前相談に係るものでございます。このようなことを通じまして、公正取引委員会の運用についての予測可能性が高まり、また法違反の未然防止が図られるというふうに考えております。  六月初めの事務総長の発言でございますけれども、持ち株会社を一定の範囲で解禁する法案につきましては昨日の参議院の商工委員会で採決をしていただいたところでございますけれども、総長の発言のあれは、衆議院の商工委員会、当委員会での附帯決議の中で「事前相談については、透明性を確保する観点から、その経過や結果等を適当な方法で開示すること。」ということとされたことを受けたものというふうに考えておりますけれども、持ち株会社に関する事前相談につきましても事例を明らかにしていくということは、先ほど申し上げました合併等の場合と同様の意義があるというふうに考えますので、事業者の秘密保持等に配慮しながら公表して、行政運営の透明化を図っていきたいというふうに考えております。  二番目のガイドラインの作成でございますけれども、これにつきましては、法案が成立といいますか、させていただいて、それで、その後におきましてできるだけ早い機会にこれまでの国会における御審議の過程でいただいた御意見、あるいはその過程で私どもの方から御説明した事項等を踏まえて原案を作成をし、公表をいたしまして、各方面から幅広く御意見をちょうだいした上で、法律施行日までに内容を固めて確定をしたいというふうに考えております。
  37. 吉田治

    吉田(治)委員 もう時間で、終わりますけれども、先ほどの大阪商工会議所のMアンドAに関しては、優遇で……
  38. 武部勤

    武部委員長 時間ですから、もう終わってください。
  39. 吉田治

    吉田(治)委員 はい、終わります。優遇の件、税制優遇の方、またひとつよろしくお願いします。  時間オーバーしまして、申しわけございません。終わります。ありがとうございます。
  40. 武部勤

    武部委員長 次に、鍵田節哉君
  41. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 新進党の鍵田でございます。  大臣、大変お忙しいようでございますので、まず第一問、簡潔に御質問したいと思います。  私は中小企業の労使関係に長年かかわってまいりまして、やはり中小企業は特に労使関係が非常に大事である、労使関係が安定していることによって日本経済の発展のために企業活動が円滑に行える、こういう観点から日本生産性本部なんかにも参加をいたしまして、今日まで私自身も運動をしてきたわけでございます。  その間に、紆余曲折ありましたけれども、大変日本経済、順調に来たと思うのですけれども、九〇年前後の、あのバブル経済あたりから大変おかしくなってきたと思うのです。企業の経営者の何か倫理にもとるような行動もたくさん起こりましたし、それからまた金銭にまつわる奇怪な事件がたくさんありました。竹やぶに金が捨てられておったり、その辺の街路樹の陰に一億円捨てられておったりというようなこともございまして、いわゆる拝金主義というのですか、そういうものが横行したという実態もございます。そしてまた、今日でも総会屋との癒着が今問題になっておりますし、ある航空会社でも、大企業であるにもかかわらず、相変わらず老害が横行しておるというようなこともあっていろいろ問題になりました。  そういうことで、いろいろな事件を起こした経営者につきましては、それなりに社会的な指弾、また裁判にもかけられておるわけでありますけれども、これらにつきましては、政治がもっとこれらを正しく誘導していくというようなことがあれば、もっともっとこういうバブルの崩壊のような後遺症は残さずに済んだのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。しかし、政治家が責任をとってそれでやめたというふうな話も聞いておりません。これは、バブルの始まったときと終わったときでは大臣が違っていたりする場合も往々にしてあるわけでありますから。  そういうことでは、これは一生懸命働いている庶民のぼやきとして聞いてほしいのですけれども、だれを信用していいのだと、経営者もそうだし政治家もそうだし、また官僚もそうだしというふうなことになってきますと、まじめに働いているのがばかばかしいじゃないかということになるわけであります。ここは政治の場でありますから、やはり政治家がそういうふうな、政策誘導を誤ったりしたときにはそれなりの責任を、けじめをちゃんとつけるというような風潮があっていいのじゃないか。  そういうことについて、本当はもっといろいろと聞きたいことがあるのですが、大臣の時間の関係もあるでしょうから、このくらいにしておきたいと思います。
  42. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 鍵田委員お答えいたしますが、委員の御指摘、私全く同感でございます。  やはりこれは、政治だけではなく、行政においても経済においてもまたあるいはマスコミにおいても、それぞれの分野でもってそれぞれに課せられている使命感というもの、これが希薄になった、その裏腹に責任感というものもなくなったと私は思います。そういうことで、この倫理というもの、業態によって違いますが、それぞれの分野において、その倫理というもの、それがやはり的確に守られていること。それで、今御指摘のように、その裏づけということになると、やはり反している場合にはみずから責任というものをいかに感ずるか、この一言に尽きるだろうと思います。  私は、今政治家であり、同時に行政の長として、今の委員お話、大変共鳴し、そのことをまた私自体も拳々服膺してまいりたいと思います。
  43. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 ぜひともその辺をよろしくお願い申し上げたい。やはり庶民の心というものを十分反映した政治また行政の運営ということが一番大切なのではないかというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。それだけお聞きしまして、大臣、ゆっくり参議院の方へひとつ行っていただきたいというふうに思います。  それでは、次の質問に移りたいというふうに思います。  今、日本経済、もう五十年もたってきまして、いろいろな面で制度疲労を起こしておる。そういう意味で、経済活性化を図る。そういう意味で、規制緩和をやっていかなくてはならない。今、一万を超えると言われる規制につきまして大幅な見直しが行われつつあるところでございまして、経済的な規制というものにつきましては原則的に撤廃をしていく。そして、新規参入を図ったり、また特定業者だけに利益を与えたり、新製品を開発しようとしましてもいろいろな規制があったりというようなことになりますと、自由な経済活動ができないわけでありますから、そういう規制につきましては一日も早く取っ払っていただくということが大切なのではないかということについて、私も同感でございます。  しかし、どうも最近の風潮を見ておりますと、この規制緩和の大合唱に悪乗りしているというふうな傾向もなきにしもあらずではないかというふうに思っておるわけでございます。  社会的な規制、これは社会の運営また自由経済の中でいろいろな弊害がある、そのことを、やはりバランスをとって発展させていくためにも、そういう社会的な規制また社会政策というふうなものがとられてきたわけであります。しかし、どうも最近は、そういう規制もそしてまた社会政策も何か全部取っ払ってしまって、とにかくすべて自由な経済にするのだと、まるでアダム・スミスの時代の自由経済というのですか、そういう自由放任の経済に持っていこうとしているような議論が横行しているように思うわけでございます。  例えば、独禁法などにつきましても、過度な集中ということにつきましてはこれをできるだけ排除して、そして、それが自由競争というものを守っていく大切な法律であるわけでありますから、そういうことにつきましては、これからも十分な運用においてこれが役立っていく、こういうことも大切でございます。  労働行政にかかわりますいろいろな社会政策などでも、最低賃金などという制度がありますけれども、これらも、影響率がゼロであることが望ましいというようなことを経営者が公言してはばからないわけでありますけれども、大体、影響力も何もないようなそういう最低賃金を、今ちょうど各地方最賃改定中でありますが、真夏の暑いときに口角泡を飛ばして全国でこういうことをやっておるのですが、それが影響力ゼロだというようなことだったら、何のためにやっておるのだと。それだけでも何億、何十億というお金がかかっておるわけでありますし、それなりに社会的な地位の人たちが集まってかんかんがくがくやっておるわけでありますから、そういうことを言ってはばからないというのも、これはやはりちょっと先進国としては問題があるというふうにも思います。また、未組織労働者やパート労働者のためにも、この最低賃金などがもっと充実していくことが大切なのではないか。  これは労働省に言えということになるのかもわかりませんが、これは労使間で決める問題でありますから、通産の方もしっかりこの問題は考えていただいて、そして労使関係に反映するようにお願いをしたいというふうに思うわけでございます。公平で公正な社会をつくっていく、そのことが大切なわけでございますので、そういう意味での規制というものは非常に重要でございます。  実は、先日衆議院を通過して、きょうどうも参議院を通過するのではないかと言われております男女雇用均等法につきましても、女性の保護規定が撤廃されるということになったわけでございますが、男女がともに働いていくという意味では、将来的にそれはもちろん完全に撤廃するということは必要なのかもわかりませんけれども、男女がともに働いていくというような社会環境になっているのかどうか、こういうことについて私はまだ疑問を持っておるわけでございます。  ここで見ますと、ほとんどが男性でありますけれども、自分自身が家庭に帰って、翻って見たときに、そういう環境になっているのかどうか。労働省の中ではそういう方も何人かおられるようでありますけれども、ほとんどのところではそうではないのじゃないかというふうにも思うわけであります。そういう社会環境というものを整えながら大きなショックをなくしていく、そして、徐々にそういうものを解除していって、ともに働ける環境をつくっていくということが大事なわけであります。これらにつきましても、もう今さらもとの規制に戻せとは言いませんけれども、激変を何とか緩和するというような方策につきまして労使間で十分話し合えるような、そういう環境をつくってもらいたいものでございます。  そういうことを考えますと、経済的な規制については原則廃止をしてもらいたいわけでありますが、社会的な規制につきましては、存続もある、それから見直しもある、そして廃止もあるということでやっていただかないと困るのではないかというふうに思いますが、それらについてどのようなお考えを持っておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  44. 藤島安之

    藤島(安)政府委員 お答え申し上げます。  今委員の方から、経済構造改革の推進のために規制緩和を推進していくことが必要だということを前提にしながらも、その進め方についての基本的なお考えが示されました。私どもも全く同じ考え方でおるつもりでございます。  特に、経済的規制については、これはできるだけ全廃の方向で頑張る。けれども、他方、社会的な規制につきましては、消費者保護それから安全あるいは環境の観点から、単に緩和をすればいいというものではなくて、過剰な規制とならないような考えに基づきながらも、本来の政策目的に沿った必要最小限のものは維持していかなければいけない、そういう考え方が大切だというふうに思っております。  個別の問題、独禁法の問題、最低賃金の問題、男女雇用均等法の問題等御指摘ございましたが、個別の問題に立ち入ることは差し控えますが、基本的な考え方は全く私どもも同じだと思っております。  それから、規制緩和を推進するに当たりましては、重大な影響を受ける事業者もあるわけでございますが、こういう方々に対しても構造改革の支援とか新分野への進出の支援とか、そういった環境整備に万全の配慮をしながら推進していくことが必要だ、こういうふうに考えております。
  45. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 以上二つ、私が常々考えておりますことの基本的な問題についてお尋ねしたわけでありますが、これから、実際に自分が携わってきた仕事、そういう面から見まして、具体的に物づくりについての質問をさせていただきたいというふうに思います。  特に、私自身、もう四十年ぐらい前になるわけですけれども、今特定産業集積とか地域におけるそういう集積の問題をやられておるのですが、それらにつきましての、私自身も金型を製造するそういう部署で働いておった経験がございます。  今はCADとかCAMを使ったりNCやMCを使うというふうなことでありますけれども、私が従事しておった時分はほとんどが手作業でございまして、大変原始的なやり方をしておったわけでございます。旋盤とかセーパーとかミーリングというふうな機械を使いまして手作業でやる。そして、後はやすりで仕上げたり、きさげというふうな道具を使いましてすり合わせをして、そして二つの型が密着ができるような、そういう作業をする。よく国会なんかでもすり合わせというふうな言葉を使われるわけですけれども、これはここから出た言葉でございまして、大変重要な作業なんです。  そして、そういう作業を進めていく過程で、また焼き入れとか、もう自分でそれをやれなくては、色を見たり、硬度を得るためには、どういう材質といいますか、相手の油であるとか水であるとか、そこに青酸カリを使うとかというふうなことをいろいろ考えながら焼き入れをしなくてはならないとかいうこともあるわけでございますが、そういう基盤的な技能というものがなければ、幾らCADがあってそしてNCやMCがありましても、これは全く役に立たない。  それから、どういう品物にはどういう負荷でどういう刃物でそれを研いでいくのかというような、そういう基盤的な技能というものをまず持っておるということが大切なんですが、この基盤的な技能というのは、やはり一つ得るためには十年近くかかると言われておるわけでありまして、私自身は実は三年か四年弱でやめましたので、まだまだ習熟しておるとは言えないわけでありますけれども、実際にはそのぐらいはかかる。  しかし、こういう仕事につきましては、非常に汚い仕事だとか危険な仕事だとかというふうなこともありますし、またサービス産業化がどんどん進んでいくというふうな中で、もっときれいな仕事にというようなことで、若者が余りそういう仕事につきたがらない。  そしてまた、家庭の教育でも、父親と子供との関係で、母親は、もっと勉強しないとお父さんみたいになるよというようなことを言って、そして学校へどんどんやる。その学校も、当初は工業高校が非常に多かったのが、普通高校に行って大学に行く、そうでないと会社でも重用されない。もちろん、公務員でもそうだったんじゃないか、今もそうじゃないかと思うのですけれども、そういう風潮がどんどん進んできて、そういう基盤的な技能を身につけようという人が非常に減ってきておるわけであります。また、そういう技能労働者が、私の所属しておりましたゼンキン連合という組織で調査をしましても、大変評価が低いという不満を持っておるわけでございます。  そして、そういう技能労働者を教育をする、技能労働者だけじゃないのですけれども、各企業は学校で教育を受けてきた人を受け入れても、そのままでは労働力として使えない。だから、OJTだとかそういうふうなことでもう一度職場で教育をし直さなくてはならない。これは、大学出てきても高校出てきても、同じようなことなんですね。学校で習っていることは一般的なことしか習っておりませんから、ほとんど役に立たない。したがって、教育訓練ということでは大変むだなことをしているんじゃないかというふうに思うわけです。  私は労働委員会でもそういうことを申し上げたのですが、そういう職業訓練というのは企業がやるのがまず基本である、そしてその足らないところを公的な訓練で補うんだというようなことをおっしゃっておったわけでありますが、私は、それだけじゃ不十分じゃないかと。ドイツのマイスター制度が必ずしもあのまま日本に当てはまるとも思いませんし、日本の風上と合うかどうかわかりませんが、しかし、あれだけ国家戦略としてそういう職業訓練というものを考えて、それを企業と公的なものとがお互いに分担し合って、そしてそれが一体となって訓練が行われておる、こういうことがやはりこれから日本の産業を支えていく上においても大切なのではなかろうかと思うわけです。  そういう意味では、公的訓練もこれからももっともっと充実していかなければいけませんし、それから、公的訓練と民間企業との有機的なかかわりということも大切だと思うわけなんですが、今の民活とか民営化というふうな行革の議論の中で、どうも日本のそういう公的な訓練を民間に移行したらどうかというふうな議論も一部あるやに聞いておるわけです。イギリスでも、サッチャー政権の時分にこれは民営化した歴史があるのですが、実際にその七割方ぐらい、買収した訓練会社が倒産をしたというような事例もあるように聞いております。  そういうことを考えますと、やはりこれからそういう職業訓練についての、国家戦略としての一体となった訓練計画というものが必要なのではなかろうかというふうに思うわけでありますけれども、それらについての見解があれば聞かせていただきたいと思います。
  46. 藤島安之

    藤島(安)政府委員 お答え申し上げます。  職業訓練の民営化という意見がいろいろ産業界から出ておりますけれども、これは従来の職業能力開発というのは、長期継続雇用を前提といたしまして、OJTとかあるいは集合研修というのが中心であったわけでございますが、今後の産業構造の変化を考えますと、労働移動というものがどうしても不可欠になってくる。したがって、そのための能力開発が必要になる。したがって、そういう能力開発につきましては、個人に着目をしていろいろな能力開発の制度があってもいいんじゃないか。  そうしますと、そういうものにきめ細かく対応するには、どうしても民間のそういうような訓練サービスが充実されるべきだろう、そういう意見かと思います。それはそれで私は大変必要なことだと思いますけれども委員から今お話がございましたように、物づくりの場合につきましては、やはり職業訓練というのは、今委員がおっしゃいましたように国と民間が一体となってやっていくことが重要だ、私はそういうふうに考えております。
  47. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 それでは次に、同じ関連でありますが、先ほども話が出ました、経済構造改革について先日閣議決定されました。それに基づいて日本も何とか、空洞化がいろいろ言われておりますけれども日本の新しい産業構造をつくっていこうとされておるわけでございます。  確かに、日本経済発展を支えてきた産業がどんどん海外に出ていっておる、海外生産の比重もふえてきておるというような実態がございます。例えば、この五年ほどの間にでも、国内生産が千三百万台であった日本の自動車の製造が、今、九六年で一千万台、約三百万台ほど落ちてきておる、そして海外生産台数が、九一年三百七十万台ぐらいだったのがもう六百万台になってきておるというような実態があって、これがまだまだふえていく傾向にある。  そのほかの、家電産業におきましても、電気冷蔵庫などでも今もうだんだん台数が落ちてきておる、海外生産台数が大体国内生産と拮抗する程度になってきているという実態もございます。電子レンジにつきましても、現在三百万台ぐらいの国内生産でありますが、海外生産ではもう一千万台ということで、この五年ぐらいの間に海外生産が倍増しておるという実態もございます。カラーテレビに至りますと、国内が六百四十万台ぐらいの生産に対して、海外で日本企業がつくっておる海外生産台数は四千三百万台だということで、圧倒的に海外生産の方が多くなってきておるわけでありますし、VTRでも大体国内生産の倍ぐらいが海外で生産されておるという実態がございます。カセットデッキだとかラジオ類などというのは、日本ではもうほとんどつくっているところはないのではないか。  実は、ある人が、深センの工場見学をしに行くのにちょっと何か手土産を持っていかなくてはならないということで、ラジカセというのを持っていったようでありますけれども、実際に渡そうと思いましたら、工場見学させてもらってずっと見たら同じ製品がラインを流れておって、それを出さずに持って帰ってきたという、笑い話であるけれども笑えない現象があるわけでございまして、それぐらい、今、海外への流出というのが出てきておる。それはやはり技術も一緒に出ていっておるわけなんですね。  上海の、私も軽工業局の人といろいろ交流があるわけですけれども、そこらでも、とにかく金型があればどんな製品でもつくれるんだ、人はたくさんおるわけですし、ただ金型の技術が十分でない、そこを何とかクリアしたいと一生懸命努力しているんだ。いずれ、これはある程度クリアしてくると思うのですね。そうなってくると、いろいろな製品の分野に進出してくるわけでありますから、やはり今の間に我が国の産業構造を変えて、そしてまた共存をしながら我が国の産業を支えていく、そういうことをやらなくてはならない。そのために、この基盤的な技能というものを温存していく、また育てていくということが必要なのではないかと思うわけです。  そこで、この十五業種にかかわりますこれからの発展ということを考えた場合に、どういう基盤技能などを残していかなくてはならないと思っておられるのか、その辺についてひとつ、何かあれがありましたらお答えいただきたいと思います。
  48. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 御指摘のありましたような海外生産の進展に伴います空洞化現象の中で、日本の製造業は大きく構造変化をしてまいっていると考えております。象徴的に申し上げれば、量産型の製造業から資本財、特殊生産財などを生産するような構造に変わってきているわけでございまして、そうした中で、金型その他の基盤的技術の高度化等によりますいわゆるサポーティングインダストリーの産業集積の活性化というものは、この新しい産業構造の中での物づくりの基盤を確固とするものでございまして、また同時に、我が国全体としての事業環境の魅力を高めることにもつながるという認識でございまして、そういう意味で、極めてこの産業集積の活性化に大きな意義があるというふうに考えてございます。  他方、御指摘のございました十五分野を初めといたしますいわゆる新規産業というのは、新たな雇用機会の担い手であると同時に、我が国の経済活力の源泉でもございます。これが創出されやすい環境を整備していくことが重要でございます。こうした新たな産業の創出というのは、先生からも御指摘ございました金型を初めとする基盤技術産業、サポーティングインダストリーと称しておりますが、そういうものを中心とした産業集積における事業者のネットワークによって支えられるという部分が多分にございます。したがいまして、こうした基盤的技術を中心とした産業集積の活性化が、御指摘のありました十五分野のような新規産業の育成という観点からも極めて重要であるという認識でございます。
  49. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 私は、経済の発展段階の中では、やはり一番最初の初期の段階は農業が中心で、その次の期が大体製造業中心だ、そして最終的に非常に発展した段階では、サービス産業というか第三次産業が中心であるというような理論的な話を聞いたこともあるわけであります。しかし、例えば日本アメリカ関係を見てきましても、日本が高度成長を支えられたのは、アメリカが第三次産業に余りにもシフトし過ぎて、製造業をその時点では大変おろそかにしたというのですか、こんな批判めいたことを言うのはどうかと思うのですが、しかし、その間隙を縫って日本がどんどん製造業で輸出をして、そして日本経済を発展させてきた。  今、逆に東南アジア諸国から日本にどんどん安い製品が入ってきて、そして、もう物をつくらなくても何とか日本は生活していける、だから第三次産業なり情報産業なりそういうものにどんどんシフトしていったらいいんだという考え方もあるかもわかりません。  しかし、アメリカも製造業を中心にしてもっと経済活性化しなくてはならぬということで、ベンチャービジネスなどを非常に力を入れて育成をする、そういう中から活力が出てきておるわけであります。そこらでの働いている人たちの労働条件だとかなんとかいうのは非常に問題がありまして、日本が同じような形をとることは私は好ましいとは思わないわけでありますけれども。  そういう面では、先進国とも、また開発途上国ともお互いに共生をしながら、お互いのバランスをとって、そして日本経済的にも国際貢献をしていくということは大変大事なわけでございますから、そういう面では、製造業の部分でも今までやってきたことでもう陳腐化してきたような産業を無理やり日本に置いておくのではなしに、海外に出ていく場合にはそれはそれでもうよしとする、そして発展途上国とも共生をしていくということも大事なのではないかというふうに思うわけで、決して海外流出を悪だというふうに私は見ておるわけではございません。  しかし、そのためにも、先ほどもお話ありました十五の業種を特に中心にして日本経済構造を変えていこう、そして内需を主導としたそういう経済構造に変えていくということは大変重要なわけでありまして、そういう意味では、製造業というものを中心にした、その十五業種の中には情報通信産業だとか医療だとかそういうものもありますけれども、やはり物づくり、製造業というのが大切だという観点は変わらないんじゃないかというふうに思うわけなんです。  日本経済のピーク時といいますか、一番製造業の比率が高かった時分は、GDPの中の比率が三五、六%あったのではないかというふうに思うのですが、今は二四%台ではないかというふうに思います。やはり十数ポイント落ちてきておるわけでありまして、こういう傾向が続いていきますと、やはり日本経済の活力はなくなっていくというふうに思うわけなんです。したがって、やはりあと四、五ポイント以上引き上げていくということが大切なのではないかというふうにも思うわけでございます。  そういうことを考えていきますと、今の企業活性化を果たしていく、こういう意味で今大変ベンチャービジネスの育成でありますとか、それからストックオプションの問題でありますとか、ベンチャーキャピタルやエンゼル税制の問題などがこの通常国会でもいろいろ議論されてきたわけでありますけれども、これらの法案が通りましたことによりましてどういうふうな経済的な効果が出てくるというふうに期待をされておるのか、この辺について、ある程度何か数字的なものでもあれば、規模的な予測でもあればお聞かせいただければと思います。
  50. 藤島安之

    藤島(安)政府委員 今委員の方から、今後の日本の先を考えますど、やはり大事なのは製造業であるという御指摘がございました。私どもも全く同感でございまして、サービス産業を初め、産業構造の変化の中で非製造業比率が高まってはおりますけれども、私ども今回つくりました経済構造改革の行動計画の中におきましても、製造業の発展を大きな柱としておるわけでございます。  先ほど委員から物づくりの現場の御経験をお話しになりまして、こういう点残念だというようなお話がございましたが、そういうものに対応する施策も幾つか盛り込んでおりますので、お許しをいただいて御紹介をさせていただきますと、例えば物づくりについての理解を向上するために、初等教育、中等教育において物づくりの体験をしてもらうとか、工場見学を実施するとか、そういうことを文部省にお願いをして、文部省で今検討中でございます。我々は、工場見学とかそういうのに協力するように産業界にも呼びかけるというようなことを考えておるわけでございます。  そのほか、インターンシップ制度につきましても、地域を超えまして幅広い人材確保を支援する、こういう観点から、地域の教育機関と現場との間で、学生が現場で実習する、そういったことも来年度から実施したい、そういうようなことを考えておるわけです。いろいろな面で物づくりについての施策を重点的に講じていく、こういうことを考えておるわけでございます。  それで、先ほどストックオプションとかそういったいろいろな施策の導入効果はどうか、こういうお話がございましたが、まだこれからやっていこうというもので、具体的な予測の数字はございませんけれども、私どもベンチャー企業の振興を図っていろいろ認定している中には、やはり製造業も多いわけでございます。そうした製造業、非製造業を含めまして、全体的に高度な技術を持った企業が輩出する、そして日本経済を発展させていく、そういうことを期待しておるわけでございます。
  51. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 また、外国でもそういうふうなことが特にアメリカなどを中心にしてやられていると思いますので、そういうふうな事例どもありましたら後で教えていただきたいと思いますが、次の質問に移ります。  特定産業集秘活性化に関する臨時措置法がこの商工委員会でかかりましたし、労働委員会では地域雇用開発促進法が通過をいたしました。これらにつきまして、関連することで幾つか質問をさせていただきたい。.先ほど中小企業庁の方からも、こういう特定産業集積をしておる地域に行きますとうまく分業がなされておるということを聞きましたけれども、実際、私の友人などでも旋盤一台持って独立していった人がたくさんおるのです。それでも仕事になるということは、例えば旋盤では手に負えない大きな品物が来たら、どこか近くへ行けば大きな機械で削ってくれるところがあるとか、中ぐり盤がなければその中ぐりの機械を持っておるところへ行って加工してもらう、焼き入れば焼き入れ屋へ持つていく、メッキはメッキ屋へ持っていくという形で、とにかく機械一台あれば何か仕事ができるというようなことからだんだん発展していって大きな会社になった人もありますし、そうでない人もたくさんあるわけでございます。  こういうことで、二つの法案に関連して幾つか質問をしたいと思いますけれども、この特定産業集積活性化に関する臨時措置法というのは、都道府県が活性化計画をまとめるということになっておるわけであります。二分の一が国、それから残りが自治体など地元負担となっておるのですが、財政的な援助をするとなっておるのですけれども、都道府県も今大変な財政欠陥で手元不如意ということでありまして、そういう中で実際にうまく機能していくのか、今現在どめような活性化計画の話があって、今後どのようにこの地域がふえていくのかというようなことにつきましての現状における実態を聞かせていただきたいと思います。     〔委員長退席、小川委員長代理着席〕  それからもう一つは、特許とか工業所有権、こういうものが六十八万件ほどあるのですが、そのうちの三分の二が活用されておらないというふうな話を聞いておるのですけれども、こういうものをどう工業化していくか、また製品に転化していくかというふうなことも大変大事ではないかと思いますので、こういう施策を進めていく中において、これを具体的にどのように企業情報を提供し、そして事業展開していくのかというようなこと、企業に対しての指導とか、そういうことにつきましても教えていただきたいと思います。  それから三番目には、地域振興整備公団がこの施策を進めていくということになっておるわけでありますけれども、特殊法人の行革ということがいろいろあるのですが、この問題と何か関係が出てこないかどうかという実態についての質問でございます。  それから四番目には、どのような業種がこの指定の対象になっておるのかということで、ある程度の内容と、それから数がどのぐらいというふうなこともお聞かせいただきたいと思います。  それから、これは労働省ともある程度タイアップしてやらなくてはならないケースが多くあるのではないかというふうに思いますが、労働省の方でも質問をしたのですけれども、労働省と通産では管轄するエリアが全然違います。また、担当の人のそういう問題についての知識というのですか、そういうものも随分違うのではないか。そこらでうまくこういう施策を推進していく上においてのタイアップができるのかどうかということについて、お答えをいただきたいと思います。
  52. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 五つの御質問がございましたが、特許の問題は後ほど特許庁長官の方からお答えを申し上げます。  自治体との関係でございます。この地域産業集積活性化法は、基盤的技術産業集積にかかわる施策について地方自治体のイニシアチブを極めて重要視している体系になってございまして、基盤的技術産業集積活性化計画につきまして、自治体がおつくりになったもの、その意図、意思を十分尊重しながら、道路の整備事業あるいは雇用政策との連携などの重点的な政策投入を行うものでございます。  現在進展しております財政構造改革の流れの中で、地方の公共事業費が減少するという予測の中で、各県は地域経済の発展のために地元産業の活性化に極めて熱心な態度をとっておられます。こういう中で、自治体の積極的な取り組みを行っていくために、現在の施策を積極的に活用されて対策の実を上げることを期待しているところでございますが、今現在全国からおおむね二十強の計画をおつくりになりたいという趣旨で、当方にアプローチがございます。  この中で、平成九年度中に自治体としての措置をおとりになるというものにつきましては、七月中にも承認手続をとることを予定してございます。また、平成十年度中に措置をおとりになるもの、これにつきましては、極力早い段階で国が方針を示すという趣旨で、十一月ごろまでにもその承認を行いたいというふうな計画でございます。  それから、地域振興整備公団の件でございますが、この新しい法律に基づきまして実施をいたします地域振興整備公団の業務は、賃貸機能を備えた事業スペースの供給を行うものでございまして、企業の初期投資負担の軽減、試作開発のときのための一時利用、こういうものを可能にすることによりまして、集積の活性化に資する新たな事業展開を行う企業を集積の中に受けとめておくという意味がございまして、各地から大変要望の強いものでありますし、また産業集積活性化という目的のためにも極めて有効なものと判断をいたしてございます。  こういう中でございますので、地方自治体の要請があった場合に、また一定規模以上で地方自治体のある種のリスクヘッジの能力を超えたようなものにつきまして、要請を受けて公団が手助けをするという仕組みをとってございます。もちろん公団自体の業務の効率化、合理化、これは一般的に常に努力をいたしておるところでございます。  それから、対象業種でございます。この法律は、本日地域産業集積活性化法の施行令が公布されまして、明日付で法律全体が施行されることになってございます。対象業種は全部で二百四十七業種ございますが、製造業の、いわゆる物づくりのサポーティングインダストリーと称されるもののほぼ全容をカバーしているものと理解をいたしてございます。  それから、労働省との関係でございますが、労働省の地域雇用開発促進法との運用を可能な限り統一したものでやろうということでございまして、地域の指定につきましても、可能な限り同一の地域にするということで、余りそごのない、ほとんどない形で地域指定が行われてございますし、それから両省に対する申請につきましても、申請を同一にして共用するというような考え方で、その双方の施策が相乗的に効果を発揮するように努めてございます。  また、労働界、産業界のメンバーの参画のもとに、各地で運用、実施についての検討を行う会議を設ける予定でございまして、こういう場を通じて連携の実をさらに上げてまいりたいと思います。     〔小川委員長代理退席、委員長着席〕
  53. 荒井寿光

    ○荒井政府委員 特許についてお答えいたします。  御指摘のとおり、我が国には、特許権は取得したけれども、事業化には結びついてないといういわゆる休眠特許が多く存在しておりまして、この休眠特許を技術力に乏しい中小企業が活用して事業化を図っていくことは、我が国の新規産業の創出及び中小企業の技術力向上にとって極めて重要であります。  このたび成立いたしました特定産業集積の活性化に関する臨時措置法におきましても、特許権その他の工業所有権に関する指導及び情報の提供がその活性化指針に盛り込まれております。こうした観点を踏まえまして、特許庁といたしましては、本年度から特許流通データベースの整備、特許流通フェアの開催、特許流通アドバイザーの派遣を行うこととしておりまして、これらによりまして地域の活性化に貢献してまいる方針であります。
  54. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 時間が来ておりますので、まだ幾つかお聞きしたいことがあるわけでございますけれども、これで終わりますが、特に中小企業の場合に、消費税の引き上げのための駆け込み需要が今なくなってきた、そういうことで大変苦しいというような状況も聞いております。しかし、また反面大変頑張っておる中小企業もございます。それらを十分、中小企業庁としましてもまた通産としましても踏まえた上で、中小企業に対する対応策というものに万全を期していただきたいというふうに思います。  また、先ほど申し上げました物づくりの問題につきましては、単に通産だけじゃなしに、労働省それから学校教育、家庭教育あわせて対応策を立てていかなければならないと思いますので、できればそういうものについての基本法というようなものをつくっていただければなということで今研究をしておるところでございまして、まだそういう時期が来ましたら持ってまいりたいと思っておりますので、検討のほどをお願いをしたいと思います。  それじゃ、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  55. 武部勤

    武部委員長 次に、渡辺周君。
  56. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 民主党の渡辺周でございます。  四十五分というお時間をいただきましたので、商店街の振興ということについてまず一点お尋ねをしたいと思っております。  まず、この委員会でも、先週我が党の末松義規委員からも、地方の商店街の現状という点につきまして、いろいろな御指摘がありました。実は私は、選挙区が静岡県の東部の沼津市というところを中心にするところでございます。二年ほど前だったでしょうか、衰退する地方の顔というテーマの中の最も典型的な例として、日本経済新聞の系列が出しております経済誌に特集で取り上げられたこともございます。  御存じのように、静岡県というところはよく市場調査のモデルになるところでございまして、例えば新商品の発売などといいますと、静岡県でよく試供品といいますか、テスト販売をして、よくあるんですが、清涼飲料水であるとかあるいはたばこの新銘柄ですとか、それによってある程度その傾向というものを平均値を出して占うことができる。もっと言いますと、これもマスコミですが、朝日新聞でしょうか、よく静岡市のある中心部を定点観測しまして、それによる政治的な意識の動向を何か世論調査で一時期特集でずっとやっておりました。  聞くところによりますと、静岡県と広島県というのは大変にモデルとして、サンプルとして取り上げやすい産業構造あるいは人口構造、あるいは壮年、青年あるいは若者、非常に平均的に散らばっていて、分布しているところであるということがよく言われるわけでありますが、そうした中で、静岡県の東部、今旧来の町を守りながら、そしてまた新幹線で、隣の新幹線の三島駅から東京までほぼ通うことができるようになった、定着したという土地柄でございます。  それだけに、いわゆる新住民、都市型住民、もっと言いますと、旧来の旧市街地から郊外に人口が新しい住宅地を求めて出る、そこに新住民が混在をするということで、非常に消費動向等も変わりつつあるわけであります。  大変前置きが長くなりましたが、そうした中で、駅前の商店街というものは、どこも、かつて停車場である駅前商店街、それがモータリゼーションの発展によって非常に人口もあるいは産業も集積の密度が疎になった。それによって消費動向も変わりつつある。そうした中で、大変駅前の顔が、くしの歯が抜けるように空洞化が進むようになる。そして、郊外の大型店に家族連れが行って、半日時間をつぶせる。子供連れは、お父さんが子供を特設控え場に設けられた遊具で遊ばせておいて、お母さんはその間に自分の洋服を買ったり、今夜のおかずを買ったり、そしてお母さんが帰ってくると、今度はお父さんが自分のスポーツウエア、ゴルフショップを見にいったり、あるいは本屋に行って雑誌を眺めてくる。その間お母さんは、子供とそのテナントの中に入っているハンバーガー屋さんで時間をつぶしている。そういうふうな、非常にそれぞれのニーズに合った形を一つのエリアの中でできるようになった。  こうした郊外店のメリットが出てきたわけでありますけれども、そうした反面、今非常に地方の中小の商店街が悲鳴を上げている。その点につきまして、まず現状、どのような御認識政府は持っていらっしゃるか。そして、その実態、とりわけ小規模店舗数の推移、そしてまた、今後こうした経営者の方々が、私がある決まった自分のエリア、地域のエリアで聞く限りでは、今後の経営意欲というものについては先行き非常に心細い思いをしている。ぜひその点につきまして、今どのような実態なのかという点につきまして、まず認識を伺いたいと思っております。
  57. 篠原徹

    ○篠原政府委員 先生御指摘のとおり、我が国の中小小売商業者は、消費者行動の変化あるいは価格競争の激化等によりまして、著しい環境の変化に直面いたしております。また最近では、いわゆる空き店舗問題も深刻化いたしておりまして、極めて厳しい状況にあるというふうに私ども認識いたしております。  平成六年に実施いたしました商業統計によりますと、全国の商店数は、平成三年から六年までの三年間で約十一万店舗減少しておりまして、平成六年時点では百五十万店舗でございます。特に、従業者数一かち四名の零細小売店は、店舗数、従業者数とも約一割を超える大幅な減少となっております。また、各地の商店街ではいわゆる空き店舗問題が深刻化いたしておりまして、平成六年末の調査によりますと、全国商店街のうち、空き店舗のある商店街は約八五%、一商店街当たりの平均空き店舗店数は五店、平均空き店舗比率は八・八%、また、空き店舗が一割を超える商店街は全体の約三分の一に達しております。  こうした中で、商店街の中小小売店の今後の事業経営意欲について見ますと、平成七年一月に実施いたしました中小小売商業個店実態調査によりますと、「現状の維持に専念する」とする者が約五割に達します一方で、「積極的な拡大をはかる」とする者が二六%、「業態等を変えつつ事業継続を図る」とする者が一五%でございまして、この両者を合わせますと約四割に上っております。厳しい環境下におきましても、積極的に事業に取り組んでいる者も少なくないというふうに思っております。
  58. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 今御答弁をいただいたわけでありますけれども、私もちょっとこのいただいた質料を見ますと、モータリゼーションの進展、日本の乗用車の普及率が、一九八〇年に五・〇人に一台一それが約十五年後、一九九四年には二、九人に一台、すさまじいモータリゼーションの進展ということが起きてくるわけでございます。そしてまた、今おっしゃられたように、商店街の中で、全体の八五%が空き店舗のある商店街、そして、空き店舗比率が一割以上の商店街が全体の約三分の一というふうな数値も今いただきました。  そうした中で、通産大臣お尋ねをしたいと思いますけれども通産大臣も、選挙区は山口二区でございましたでしょうか、岩国市あるいは光市と柳井市ですか、地方のこうした主要都市を選挙区の中に抱えていらっしゃって、地方でも既存の商店街と、今後進出してくる、あるいはもう既にしてきた大型店の共存を図る。しかしながら、やはり大型店の力というものの威力、地元中小商店街の方々あるいは小売店の方々は、非常にいろいろな思いで、大臣にひょっとしたらすがっていらっしゃるかとは思いますけれども、ぜひ大臣として、このような既存の商店街の認識、そして地元のお話でも結構でございますので、その点、率直な御意見を聞かせていただきたいと思っております。
  59. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 商店街、またそうした疲弊の原因、実はそれにモータリゼーションのことをよく申します。確かに戦後、急速にモータリゼーション化したということは事実でありますが、私はやはり消費者のニーズというよりか、その中において年代的なニーズというもの、これを言わなければいけないのではないだろうか、こう思うのです。今委員指摘のように、この狭い日本ですが、大都市と中小都市、また地方中小都市の中においてもいわゆる郡部との差、こういう格差がどんどん広まっているだろう、こういう認識でございます。  そこでもって私自身、この問題は大変頭を痛めている問題ですが、先ほどから説明があるように、消費者のニーズの変化、いわゆるモータリゼーション、こういうことで今一つの大きな変革のときに立ち至っている。しかし、これはやはり次の波は必ず来るだろうと思うのです。次の波は何かといって、御存じのように、今までの商売の方法というものは対面ということが主流でもって、実は今のような変化があるというような悩みじゃないかと思うのですが、次には、もう今既に対面販売というか対面でもって商いをする、あるいはまた購入するという時代から、テレビを使ったり電話を使ったり、いわゆるインターネットを使う電子商取引、こういう時代に突入してくるだろうと思うのです。そういうことで、今言われたように、そうした時代をいかに先取りするかということも大事ですが、現状においては、やはり自分たちの町を、商店街を守っていくという意欲があるかないか、それによって決まってくる問題だろう、こう思っております。  そういうことで、通産省としては、やはり地域に根差す消費者ニーズヘのきめ細かな対応だとか商店街の機能強化、そして共同化、異業種連携による効率化、こういうことを図ってまいりたい、かように考えております。
  60. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 通産大臣に今御見解を伺ったわけでありますが、きょうは経済企画庁麻生長官もお見えでございます。かつて日本青年会議所の会頭として、いろいろな地域で町づくりを実践、あるいは一緒にやってこられた。地域おこしあるいは町づくりということに関しては、その構成員の中には当然商業を営む方々も多かったと思います。そしてまた、地域においては、やはり商業の活性化ということに大きな要素がある。  そうした中で、きょうは長官、お見えでございますので、経済企画庁が先般発表されました数値の中にも中小の店舗の売り上げが大変減少したというようなデータも、後にちょっと私も触れさせていただきたいと思うわけでありますが、ぜひ長官も、こうした町づくりの運動をやってこられた大先輩として、また経済人のお一人として、当然政治家として、こうした地方の商店街の今抱えている問題の認識、あるいは今後どうあるべきかというようなことについて、もし御持論のようなものがございましたら、ぜひお聞かせをいただきたいと思っております。
  61. 麻生太郎

    麻生国務大臣 中央線沿線に吉祥寺という町がありますが、私が学生のときは、タヌキやらキツネがまだいた時代でしたし、成蹊高校、成蹊大学があそこにある以外はほとんどこれらしいものはなかった時代、水道道路のちょうど突き当たりぐらいだったのですが、今、吉祥寺といえば、通称ジョージ、若者には結構受けた町だと思います。  ここは、商店街に大型店が出てくるときに、商店街の若手が率先して、西友とダイエーを商店街の端っこずつに、そしてデパートが、高島屋と三越も同じく分かれてというぐあいに、実にうまく仕切ったのですね。したがって、町の真つただ中は、そのデパートからデパートに行こうと思いますと、ちょうど商店街の中を通るようにデザインをしたというのが当たったところだと思って、当時、あれは武蔵野青年会議所が全部交通整理したと思いますが、それが非常に印象的にあります。  反対に、うまく行かなかった方は、埼玉県の、あれは川越だと思いますが、昔、川越街道で栄えたところですけれども、ここは大型店舗が出てくるに当たって、町の中は反対。結果として川越市郊外に大きな店舗が幾つも出て、結果として、そこに新興団地ができて人口比率は一対二ぐらいになりましたので、新興の方にすべて、市の財政等々、みんな新興の方に顔を向ける。だから、旧川越市街と新川越市街とは、全然、新住民と旧住民とははっきり分かれたような形になった例があったと思います。  その他、そういった例は幾つもあると思いますが、旧市街の中の商店街の方々が大店舗というものを利用せずして敵対をしたところは、総じてうまくいかなかったと思っておりますので、先の見える人、見えない人がその町にいたか、いないかで、町の結果、発展には非常に差が出た、はっきりしていると思っております。  そして、旧市街の方々はどうなったかといえば、旧市街の商店街の方々も同じく便利になった新市街の方に住まれて、新市街から車で旧市街の自分のお店に通勤しておられるという状態になっておるのだと思っております。町の中に人がいなくなりますものですから、町は閉める時間は早い、六時になったら店は閉まって、鉄のシャッターがおりて、歩けばコーン、カーンと音が響くような、何となく荒野の吹きすさぶというような感じの町の商店街になっているというのは、これは、委員長武部先生の北海道にしても、私のおります九州にしても、同じような状態というような、みんなそれを抱えて大変なところになっておると思っております。  したがって、やはり商店街の人がその店の上に住んで、お客の顔と接して、いわゆるお客とちゃんと接客した上で話をしているのは、結構商品に関しても知識もあり、そういった商売をやって人間関係もきっちりでき上がっているところは、そこそこ、きちんとつながっているような感じがしますが、何となく大きなあれをまねして、パワーハウス等々、人をなくして大きくして資本だけで安くというのではなかなか生き残れなかったというのが、全国的に見ると、そういった傾向があるのではないかと、個人的な見解も含めまして、そんな感じがいたしております。
  62. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 大変いろいろな角度からの御認識を伺ったわけでありますけれども、ちょっと予定よりもゆっくりやってしまいまして、時間もありません。  通産省も、先ほど来お話がありますように、既存の商店街の実態、先行きに対して、当然のことながら、かなりの危機感と申しましょうか、やはり先細りしていくというような御認識をお持ちだというふうに伺いました。  そこで、幾つか通産省が行っている対策、最も力を入れていくべき点についてはどうお考えでありましょうか。とりわけ、先月の経済構造の変革と創造のための行動計画には「国際的に魅力ある事業環境の創出」、その中に「中心市街地の活性化」と、その中でも商業のことについて触れております。そうしたことも踏まえまして、これまでの施策、あるいは今後最も力を入れていかなければならないと考えている分野について、通産省のお考えを聞かせていただきたい。そしてまた、これまでやってきた中で具体的に効果があらわれたものがありましたら、あわせてお尋ねをしたいと思っております。
  63. 篠原徹

    ○篠原政府委員 通産省では、従来から、魅力ある商店街、商業集積の形成を支援いたしますために、アーケード、駐車場等の整備、あるいは商店の一斉改造、あるいは各種ソフト事業の実施などに対しまして、補助、高度化無利子融資等の各般の支援措置を講じてきたところでございます。  商店街の中には、すぐれたリーダーのもとで商店街の方々が一致団結されまして、これらの支援措置等を有効に活用しながら、活性化に成功している事例も多数存在してございます。  例えば、昨年十二月、元気のある商店街百選ということで、全国の約一万九千ございます商店街の中で、こうした支援措置等を有効に活用しながら大いに活性化に努力していただいている商店街を選びまして、全国にも御紹介し、参考にしていただいているところでございます。  二、三、例を申し上げますと、イタリアのミラノのガレリアを模しましたアーケードをつくりまして来街者が増加いたしました中心商店街の事例、あるいは、ファクスによる注文を受け付けまして、商店街によりまして一括して宅配サービスを行うことで売り上げを伸ばしております近隣型の商店街、あるいは、安いテナント料で空き店舗を新規開業者に貸し出すことで、空き店舗の解消と商店街への望ましい業種の導入を同時に実現した事例等々ございます。今後とも、こうした成功事例一つでも多く積み上げることができますように、私どもも商店街対策、遺漏なきように期してまいる所存でございます。  今後の商店街対策でございますけれども、先般の閣議決定なされました行動計画にございますとおり、中心市街地、都市のあり方を含めました全体の中で、商店街につきましても総合的な対策をとっていきたいというふうに存じております。
  64. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 総合的なという御答弁をいただきましたけれども、今までは点であった、個々の基盤整備であるとかいうものに対して力を入れてこられた。しかし、それももちろん大事だとは思いますけれども、面としての展開、中心市街地の商業集積、魅力の向上、推進、ここにもこううたってあるわけであります。  私も、地元の商店街の若手のリーダーの方とお話をしまして、なるほどなと思ったのですけれども、例えば、これから高齢化社会が来る。それによって、こういう言い方は語弊があるかもしれませんが、なかなか御高齢の方の病気というものは治りにくい、そうしますと定期的に病院に通う。しかし、最近は公立病院がだんだん市の中心部から郊外に移る。そうしますと、そこに通うことが頻度として高くなる。これはもちろん通産省の管轄でないことは承知の上で申し上げておりますが、例えば、そうした治りにくい、長期化するものについては、そういう公立の病院の分院として、町の中心部に、それが皮膚科であるのか、整形外科であるのか、あるいは眼科なのか、歯科なのかわかりませんけれども、やはりそういうことを官庁の垣根というものを超えて総合的に考えいかないといかぬ、大変ユニークな御意見をお持ちでございました。  そして、今事例のありました空き店舗でありますけれども、例えばこの空き店舗対策も、大型店があった、そこが抜けて郊外に行く、そうすると、その後に発生する権利の問題で、複数の権利者がいる場合に、お一人お一人が弁護士をつけると、もう大変な交渉の話になって、とてもではないけれども、当初予定していた空き店舗対策というものも思ったよりスムーズにいかない。そういうふうな幾つかの事例を伺いました。  ここではなかなかすべて紹介するわけにいきませんし、まだそういう機会にぜひ委員会の中でもそうした要望というものを私も紹介をして、何とか実現させていきたいというふうに思っておりますけれども、現実問題として、将来のことのみなら、先ほどちょっと申し上げましたが、一つには、やはりモータリゼーション化によって自動車中心で行動をするようになる。そうしますと、既存の商店街の大きなネックは駐車場の問題。  いろいろなサービスをしまして、割引制度あるいは何時間まで無料、いろいろなサービスを商店街でもやっているわけでありますけれども、なかなかそれなりのキャパシティー、収容できる駐車場、立体駐車場をつくるにしてもコストがかかる。既存のものを市の公社がつくっていても、そこまで行く、特に雨の日、荷物の多い日、やはり大型店ですと、そこまで行って、雨にぬれない通路を通って地下一階から店に入れる、そういう点でどうしても負けてしまうということで、駐車場というのは大変大きな問題になると思います。  これまでも通産省主導で、あるいは自治体も進めておられますが、公共施設の駐車場の開放というようなことをこれまでやってこられました。銀行ですとかあるいは役所、近接している役所や証券会社それから金融機関というところを、土日休業しているときはあけていったらどうだというような事業もやってこられたわけでありますけれども、こうした点も含めて、駐車場の整備について、これまでやってきた施策の中でどのように政府としてお考えになっているか、お尋ねをしたいと思っております。
  65. 篠原徹

    ○篠原政府委員 御指摘のとおり、商店街に来街者をふやすためには、駐車場対策というのは非常に重要な課題でございます。  当省におきましては、駐車場、アーケード、コミュニティーホール、こうした基盤整備を図ります商業者に対しましては、平成元年度より補助金制度を創設いたしまして、その後四回にわたり補助限度額の引き上げを図ってまいりました。現在では補助限度額は国、県合わせまして一億六千万でございますけれども、大型店の出店がございます。辺地域ではこれが合計三億円、また、高齢化社会に対応しました質の高い施設を整備する場合には、合わせまして四億円まで補助ができる特例がございます。  また、このほか、この補助金とあわせまして、残りの事業費の八〇%まで高度化無利子融資をお使いいただいているという状況でございます。  また、本年度からは、用地難から駐車場設置が非常に厳しい、困難であるという商店街に対しましては、従来からの施策に加えまして、パーク・アンド・ライドあるいは分散型駐車場、既存駐車場との連携等、用地難の制約を前提としました駐車スペースを確保します事業を支援します商店街駐車対策モデル事業を創設したところでございます。  また、地方公共団体あるいは金融機関の駐車場につきまして、土曜日、日曜日に開放していただくように、昨年の六月、各自治体あるいは金融機関にお願いをいたしておりまして、現在、成果を上げつつあるところでございます。
  66. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 確かに密集した中心市街地、駐車場をこれからそれなりの規模ふやせというのは、本当はできれば一番いいけれども、なかなかそれができない。  これはちょっと余談ですが、私の地元のある方が、せめて土曜、日曜ぐらいは、違法駐車を認めろというわけじゃありませんけれども、例えば駅前にちょっと頼んでおいたものをとりに来た、あるいは買い物でほんの三分か五分、買うものは決まっている、そういうところでちょっと車を置いて、ちかちかハザードランプをつけていても、ミニパトのお姉さんが飛んできて、すぐにがちゃんとやってしまう。決して違法駐車を奨励するわけじゃありませんけれども、商売をやっている方にすると、土日ぐらいは少し大目に見てくれぬかな、これをここで言っていいのかどうかわかりませんが、実際そこまで本当に来ているという事例がございます。  またぜひそういうことをいろいろな関係省庁とも話をして、せめて土日のときぐらいは少しそういうものを大目に見るとか、あるいはパーキングメーターのようなものをもう少し整備することも、ある意味では商店街の振興の中にもぜひ位置づけていただいて、確かにあれは、警察の方に言わせると本当に道交法の特例であるというふうに言いますし、なかなかそうふやせるものではないという話もありますが、それならばせめてそういう点について協議をしていっていただきたいというような要望を申し述べさせていただきたいと思います。  ちょっとこの問題で長くやりましたけれども、先ほど申し上げました経済構造の変革と創造のための行動計画、その中には、中心市街地の活性化のために文化施設、福祉施設、あるいは公共施設の立地を推進せよ、するべきではないかというようなお考えが述べられております。  また、それ以外でも、これは通産省さんの方で御論議をされたのかと思いますけれども、例えばフットサル、いわゆるミニサッカー、スリー・オン・スリーというアメリカのダウンタウンなどでよく若い子たちがやっているような、ああした一画を使っていわゆるミニバスケット、こうしたスポーツと既存の商店街を組み合わせる、商店街の活性化とニュースポーツの活用を抱き合わせでできないだろうかというような御検討もされ、そうした報告書もある。  そうした中で、今後この行動計画も踏まえられて、これをどのように具体化していくのか、その点について再度お尋ねをしたいと思っております。
  67. 越智謙二

    ○越智政府委員 検討が始まったところでございまして、ちょっと断定的なことを申し上げにくいのでございますけれども、御指摘の中心市街地の活性化のために、商業の活性化を図るのは当然でございますけれども、例えば今御指摘のような地域の住民がショッピングや文化活動、多様な活動を展開するとともに、先ほど御指摘がありました福祉サービス等の提供が受けられるように、これは地域の実情に応じていろいろ違いがあると存じますけれども、商業施設とともに、生涯学習施設でございますとか、スポーツ施設でございますとか、老人福祉センター等々の整備を一体的に図っていくというようなことが重要になってくるのではないかというふうに考えております。  いずれにしましても、通産省といたしましては、関係省庁と連携を密にしながら、これは私どもの守備範囲を超える問題が多いわけでございますけれども、都市の再構築及び商業の活性化の視点に立って総合的な対策が適切に講じられるように、積極的に努力していきたいというふうに考えております。
  68. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今のは大変な優等生の答弁でございますが、やはりこの日本列島を見て、歴史と伝統、みんな違いますから、それぞれの地域地域の特性というものを生かせないと、画一的になって、どこに行っても文化施設がある、福祉施設があることになってしまう、そうすると、町の特徴がなくなると思うのです。  私は、今考えているのは、中心市街地の活性化というのはそうした特徴を生かしていくということで、もちろん窓口としていろいろなところと協議はいたしますが、特にその中において、我が省が中心となって建設省と自治省、この三省でもってはりきりした枠組みを決めていきたい、かように実は考えております。
  69. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 私どもも、これは地域に住んでいる商店主のみならず、その周辺で生活をしている消費者という点からも、ぜひこうした理想に沿って具体化をしていくように、本当にお願いしたいと思っております。  また、この問題、長くなりましたけれども、商店街の一つの今後の大まかな課題として、経済企画庁のまとめた「近年の規制緩和による経済効果の定量的試算」、九〇年四月でしたでしょうか、日米構造協議の中間報告以来大店法の緩和が進み、この緩和によって既存の中小の店舗の売り上げが年平均でおよそ六千三百億円減少している。もちろん、大規模店の進出によって新しい経済効果、新しい投資効果が生まれたということも事実でありますかち、これは片側からしか見ていないのかもしれませんけれども、この経企庁の資料ではそういう数値が出ておる。  そうした中で、規制緩和を進める、そして反面で商店街の活性化、この双方に通産大臣は責任を持つ非常に苦しいお立場、これは決して通産大臣が所管だからというのではなく、規制緩和という波の中で、しかし既存のものとの共存もしくは活性化ということをやっていくのは、ひとしく政治家としてこれはだれもが負う責任だと思っております。  これまでの買い物を、単なるショッピングのところから、時間を使う一つのアミューズメントといいましょうか、楽しみ、それから快適さ、やはりそういうものを考えていく町づくりの中での商店街というものであってほしい、そういうふうに施策を進めていかなければならないわけでありますけれども、こうした大店法の規制緩和との関係を含みながら、今後の施策について、できれば両大臣から、長官、そして通産大臣から御意見をいただきたいと思っております。
  70. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 まず、大店法の取り扱い、これはもう御案内のごとく、今度の経済構造の変革と創造のための行動計画というのに基づいて、本年の十二月までに検討を行って結論を得る、こういうことになっておりますが、そのときには、御案内のごとく、大店法には、廃止という意見から、これ以上の規制緩和反対と幅が大変広いので、小売業者あるいはまた消費者、そして学識経験者、あらゆる方の御意見をお聞きしてこれを検討していきたい、かように考えております。  今話がありましたように、この大店法というもの、また、これの取り扱いによって大型店舗の進出ということが町の様相を大変変えていくというか、これから新しくつくる場合でも非常にこれが大きな要素になる、こういうことで、先ほどから御論議をいただいていますように、中心市街地活性化ということをこの行動計画の中の大きな柱にしているのです。  ですから、この二つが、直接関係はありませんが、関連がないと言ったらうそになる、微妙な関係にございます。そういうことで、私は、俗に言うように、月が沈めば太陽が上がってくる、実はこんな関係があるというふうに認識をしております。先ほどから幾度も繰り返しますように、やはり地域地域の特性を生かして、そして地元に一番いい町をつくっていくということが、これから二十一世紀に向かって今我々に課せられた大きな課題だろう、かように考えております。  そういうことで、この問題は、先ほど申しましたように、今のところ建設省、自治省、この官庁を中心にほかの官庁とも協力、そして議論をし合いながら、二十一世紀に向かっての新しい町づくりの一環というふうに大店法の問題もとらえていきたい、かように考えております。
  71. 麻生太郎

    麻生国務大臣 今の御質問に入らせていただきます。  先ほど川越の話をちょっと例を引いて申し上げましたのですが、これは全国まあうちも失敗したところ、僕は八万二千人の人口のところから来て、大型店舗が外にできてうまくいかなかった方なんですけれども、先ほど先見えしないと言いましたけれども、結構先見えしたのはうちにもいたのですけれども、地元は絶対反対ということで結論はだめになりましたので、先見えされた方がおられても、逆に地元が反対すれば、これはなかなかうまくいかぬということにもなります。先見えした人がいてもできなかったということにもなろうかと思いますので、先ほどの、先見えしなかったからというのではちょっと言葉足らずだと思いますので、今の説明で補足をさせていただきます。  それから次に、今、規制の緩和に伴ってどうなったかという件につきましては、一九九〇年から九五年までの六年間の間に、今御指摘がありましたように年平均大体六千二百七十億、丸めて六千三百億円の売り上げが中小と言われる店舗で減ったという数字を挙げております。逆に、大店舗の方で約四兆五千億のものがプラスになっておるという数字が挙がっておりますので、差し引き三兆九千億の売り上げがふえた。すなわちGDPを押し上げた形になろうかと思いますが、その陰で今御指摘のあったような数字が出ております。そのとおりだと思っております。  流れとしては、大店舗法の規制緩和がそのようなことになったという点は確かだと思いますが、それまでの流れとしてもずっと少し減少ぎみにあったことは間違いございませんので、それがさらに大きく加速された形のときと今のタイミングとが合っておるということだとは思います。  基本的に、いわゆる中小企業者の方々が今店を閉める理由は何かというアンケート調査というのがございますが、そのアンケート調査の中で一番多いのは、後継者の不在というのを挙げておられる方が六一%、業績の低迷というのを挙げられるのが二八・八%という数字で、やはり後継者の不足というのが一番大きいというところだと思っております。  後継者の不足は、単に子供がいないとかいう話ではなくて、やはり子供がおやじの後ろ姿を見ながら後を継いでやってみようと思うのにはそれなりの魅力というものがその仕事なりに必要でしょうし、また利益が出ていないからということもあるでしょう。酒屋をやめてリカーショップにかえて後を継いだ人もいますし、いろいろな形で人それぞれなんだとは思います。  いずれにいたしましても、安い、便利だけではなかなか、先ほど御指摘があっておりましたようにアミューズメントという言葉を使われましたが、いわゆる環境としての、片仮名で言えばアメニティーというところがやはり考えいかなければいかぬ大事なところなんであって、あの商店街に行ってみたいという商店街というのは、海外の例を引けば、サンタモニカを初めいろいろ、デパート以外にわざわざそっちへみんな買いに行かせるものがあるところというのがございますので、そういった意味では工夫というものもやはりやらねばいかぬでしょう。  伊勢の伊勢神宮の前のあの宮町があれだけ変わった例を引きましても、通産省がいろいろ援助されてできた、そういった例もありますので、やはりそれぞれ、今大臣の御発言もあっておりましたように、その地域にあって、あそこが成功したからうちもとはいかないところが地域づくりの難しいところだと思いますので、いずれにしても、そういった成功した例の情報やら何やらを地域ごとに交換されるなりなんなり大変大事なところだと思っておりますので、私ども、大変関心を持って当たっていきたいと思っております。
  72. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 今両大臣から御答弁いただきました。ぜひとも大店法の緩和によってそこまでしてアメリカの言うことを聞かなければいかぬのかというようなことを実際おっしゃる、これは地元でぎりぎりやってこられた商店街の経営者の方々の声も聞きます。だからというわけじゃございませんでしょうが、こうした行動計画、本当に実行力ある施策の展開、ぜひともこれは進めていかなければならない、それを要望といいますか、私どももぜひいろいろな角度から地域の意見を吸い上げていきたい、そして反映させたいと思うところであります。  時間があと一分になってしまいました。本当はあと二項目あったわけですが、最後に一点、これはまた次回、別の機会にお尋ねをしますが、電子マネーという、商店街の活性化の中でも最近よく使われます。これは狭義の意味での電子マネー、疑似貨幣であります。しかし、商取引の間の決済においても、今アメリカ、ヨーロッパというところで大変に普及をする、研究がされている、あるいは国内での法整備、そういうことが進んでいるわけでありますけれども、時間がなくなりましたので一点だけお尋ねをしますと、通産省の電子マネーに対する取り組み、そして、この導入により今後どのような影響が予想されるかという点につきまして、最後にお尋ねをしておきたいと思います。
  73. 中川勝弘

    ○中川(勝)政府委員 私ども電子商取引と広く言っておりますが、電子マネーも含めまして、コンピューターのネットワークで実際の対面の現実の商売とは違った形態の商取引が二十一世紀には本格的になるという予想をいたしております。こういう情報化によりまして電子商取引が進みますと、生産性が向上いたしますし、流通の効率化も図れるわけでございますので、ぜひとも推進をしていかなきゃいかぬ課題だと思っております。  ただ、そのためには、実際の電子商取引の実現の間に出てきます技術的な課題、あるいは制度的な課題の解決を図らなきゃいかぬと思っておりまして、平成七年度以来、三百億円ほどの予算を確保いたしまして、四十五の実証プロジェクトを実際に実施しているところでございます。  電子マネーも含めまして、電子決済が安全でかつ信頼性のあるものになるためには、セキュリティーを確保するために技術開発が必要でございます。暗号技術の開発等を含めまして、技術開発を今後進めますとともに、新しい取引でございますので、電子決済に関する標準的な取引約款みたいなものをつくる必要がございます。民間の取引慣行をまつ部分もございますけれども、消費者保護の観点から規制を入れていかなきゃいかぬ面もあると考えております。  したがいまして、そうした制度的な課題を含めて、技術開発を含め、電子商取引の推進を現在やっておるところでございます。
  74. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 時間がなくなりましたので、また改めまして電子マネーの問題にも触れて質問させていただきたいと思っております。  ありがとうございました。
  75. 武部勤

    武部委員長  次に、吉井英勝君。
  76. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、きょうは中小企業問題について質問したいと思います。  せんだって発表されました中小企業白書で、政府も第一ページ目から「第一章 力強さを欠いた中小企業の景気回復」と評価をしております。つまり、中小企業の経営が非常に厳しいということを指摘しているわけですが、九六年の経済白書で、「四年間にわたる「驚くべき例外的な低成長」にあえいでいる。」とも指摘をして、この間の月例経済報告で、ずっと政府の方は景気は緩やかな回復傾向と言ってから久しいわけですが、九六年版中小企業白書を見てみましても、大企業は、確かに総資本経常利益率も売上高経常利益率も、製造業で見ればはっきり上向いているという状況を読み取ることができます。  しかし、中小企業はどうかということになりますと、さきに審議をいたしました特定産業集積活性化法のときに論じたように、大田区にしても、それから東大阪から八尾市にかけての基盤的技術集積の地域で、製造業の事業所数も出荷額も一貫して落ち込んできていて、そして今では廃業率が開業率を大きく上回っている。その他の地域でも、製造業関係中小企業状況は非常に厳しい、深刻だということをうかがうことができます。  一方、商業の分野でも、大規模小売店舗法の規制緩和で、中心商店街に続いて最近では郊外に大スーパーが進出してきて、小売商店の経営破綻とかあるいは閉店とか、それに引き続いて地域社会の崩壊とか、商業分野でも中小企業の経営というのは非常に深刻な状況に今あります。  そこで、大臣に伺いたいと思うのですが、中小企業は、九三年十月の不況の底から少し上向きの指標も確かにうかがわれるのですが、しかし、まだ明るい光を見出すにはかなり距離があります。すぐに設備投資に走れるというところは余り多くないわけで、しかし、光を見るまで資金繰りをして何とか生き延びていこうと、中小企業の皆さん方は必死で今頑張っているというのが実情だというふうに思うのです。  後ほど具体的にいろいろお聞きいたしますが、中小企業の今日の経営環境について、大臣認識というものを最初に伺っておきたいと思います。
  77. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 まず、全体の我が国経済というもの、これは委員御案内のごとく、緩やかな回復を続けていると見ていいと思うのです。  しかし、その中において、大と中小との差というものがあることは否定できません。そうした意味で大変厳しい状況にあると言わざるを得ませんが、ただ、工業部門というか、この方面では、やはり業種別というか、その中において、同じ業種でも大企業の方でも会社による格差というか、こういうものが生じているだろうと思うのです。ですから、非常に好調に進んできている企業と関連のある中小企業、これは一部と言われるかもわからないけれども、割とよくなっている、しかし総じて悪い、こういうことが言えると思います。  そして、片一方の商業関係も、今言われたように、地域によっては空洞化、空き店舗の問題があるし、また喫緊の問題としては、四月からの消費税というものの影響があって売り上げが下がっているということがございます。  そういうことで、当省としては、中小企業のこれらの動向というものも注視していかなければいけないということに尽きるわけでございます。
  78. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、今日の中小企業の置かれている状況というのが、製造業分野でも商業の分野でも、全体として緩やかな景気回復という評価をしているにしても、中小企業分野は非常にまだまだ厳しい状況にあるという点では大臣認識は一致したというふうに思うのです。そこで、きょうは中小零細企業の皆さんの営業資金の確保、中小企業融資の問題について具体的にいろいろお伺いしていきたいというふうに思います。  それで、中小企業白書の二十六ページのところで出ているのですが、「資金繰り判断DIの推移」というのを見てみますと、九一年第三・四半期から、中小企業の方はずっと資金繰りが苦しいと訴えているのですね。九一年の第三・四半期からですから、もう六年近く非常に苦しい。大企業の方は、九二年の約一年間だけ苦しいとした後は資金繰りは楽であるとしているのと大きな違いが出ています。  資金繰りが苦しい理由として、売り上げの減少、収益悪化という抜本的な景気対策の効果を必要とするものと、もう一つは借金の返済負担が大きいという、この三つが主な理由として挙げられています。  そのうちの借金の返済負担が大変と言われている、この返済の問題について少し先に伺っておきたいのですが、返済猶予の状況ですね。これは中小企業金融公庫で、バブル崩壊まで一千億円だったものがこの二、三年、七、八千億円へと、国民金融公庫の方で、三百億円台だったものが二千数百億円台へと、それぞれ大体六倍から七倍も返済猶予がふえているというのが今日の実情じゃないかと思うのですが、この点、最初に確認しておきたいというふうに思います。
  79. 田島秀雄

    田島政府委員 お答えを申し上げます。  中小公庫及び国民公庫の返済猶予の実績でございますが、例えば中小公庫につきましては、平成元年には一千百億、二年には一千三百億といった水準でございましたが、平成七年には八千億、八年には七千三百億といった状況でございます。また、国民公庫につきましては、同じく元年、二年あたりは三百億強ぐらいでありましたものが、七年、八年では二千二百億前後、こういう状況になってございます。
  80. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、私はこの問題は、ちょうど三、四年前のあの産業空洞化問題が特に大きな問題になってきたころにもこの委員会でも議論をしまして、返済猶予にぜひ頑張っていただきたいという、このことも提起いたしまして、その後随分努力もしていただいて、今のように大体六倍から七倍、返済猶予の額はふえていて、猶予を認めてあげるということで努力をしていただいているのはよくわかるわけですが、景気の光を見るまで、中小企業者の皆さんの要求にこたえて返済猶予をきちんと行うように、そして政府の方も大分光が見えてきたというわけですから、持ちこたえて、本当にこの光が見えるようになるまで頑張れるようにしてあげるというのが大事だと思うのです。  この点では、大臣に一層の努力といいますか頑張りお願いしておきたいのですが、この点、まず伺っておきたいと思います。
  81. 田島秀雄

    田島政府委員 御指摘の返済猶予でございますが、中小企業者の金融の円滑化、経営の安定といったようないろいろな観点から、さまざまな機会をとらえまして政府中小企業金融機関に対しましては、返済猶予でございまするとか担保徴求の弾力化等,実情を勘案したきめ細かな運用を図るように配慮をしてまいっておるところでございますし、これからもそういうふうにいたしてまいりたいと思います。
  82. 吉井英勝

    ○吉井委員 次に、経営環境が最も厳しい中小企業にとって、特別小口資金の融資制度が非常に喜んでもらえるものなんですが、実態は都道府県によって随分違いがあります。  私は九三年度中国地方の分と九五年度の無担保無保証人融資実績の九州その他のところを少し調べてみたのです。本当は中国地方も九五年度で調べておきたかったのですが、ちょっと各県との問い合わせなどで若干データが二年早くなりました。  中国地方の幾つかを見ますと、例えば総理の出身地の岡山県では、この無担保無保証人融資の件数が九三年度で五十六件、金額で一億一千二百万円。広島県では百二十件で三億九千万円。通産大臣御出身の山口県は三百五十件、八億六百万円、さすが大臣の出身地、よそより大分頑張ってはるなと思うのです。  年度は二年新しくなりますが、九州などの九五年度の実績を見ますと、福岡県では二百二十一件で五億八千万円。長崎県が三十九件の七千百万円。熊本県が二十四件の四千七百万円。大分県が六件、一けた台ですが、千二百万円。宮崎県が五十七件の一億五千五百万円。鹿児島県が二十六件の七千八百万円。佐賀県は、ここは結構数は多いのですが、千三十一件で三十二億四百万円。  これに対して、中小企業対策に力を入れてきた都市部を少し見ますと、大阪府は六千九百八十一件で二百二十九億六千万円。それから、京都府は千九百四件で四十九億八千六百万円。埼玉県は七千九百七十件で二百五十六億八千九百万円。  ですから、この大分県のように年間たった六件しか適用しない、せっかくの制度が生かされていない県があるというのを、私、各地を調べてみて実は驚いたのです。中小企業庁として、やはり中小業者が弱っているところをどのように引き上げていくかというのがこれは大事な課題だと思うのです。  ですから、この制度が生かされるように、これまで落ち込んだ県もあるわけですけれども、落ち込んだと言うと、言い方は、表現はうまくないかもしれませんが、要するにせっかくの制度が生かされていない県ですね。それを、この制度がよく生かされるように、もっと中小業者の皆さんの期待にこたえられるようにどんな取り組みをしてこられたのか、これを伺いたいと思うのです。
  83. 田島秀雄

    田島政府委員 特別小口保険の利用だと思いますが、私どもとしましては、特別小口保険、担保力の弱い、特に小さな企業のために、国の保険公庫のところから、こういう特別な仕組みをつくりまして制度を設けておるわけでございますが、保証協会の現場におきまして、各保証協会それぞれが自主的に運営をされておるということでございます。自治体のいろいろな保証協会の財政基盤等々、あるいは商工業に対する県の対応等々も多少の差があろうかと思いますが、私どもといたしましては、引き続きこの制度の普及、徹底、PR等々にいろいろな努力をしてまいりますとともに、保証協会ごとに財政基盤等々が差があるといったようなこともございますものですから、基金補助金という保証協会の財政基盤を強化するための制度等の配分等にも配慮をいたしまして、できるだけ利用されるように、制度の趣旨が全うされるように、引き続き努力をしてまいりたい、こういうふうに存じます。
  84. 吉井英勝

    ○吉井委員 この無担保無保証人融資というのは、中小業者にとって非常に喜ばれている制度です。バブル崩壊で担保価値がなくなったとか、中には担保割れ、それで金融機関の方からこれまで借り入れたものについてまで嫌みを言われたり責め立てられたりとか大変な時代なんですよ。そして、今までだったら仲間内で、商売がうまくいっているときは保証人になってもらったりとかできたのですが、この間の不況でみんな落ち込んでしまって保証人になれる者がいない。だから、担保も保証人も本当にない者にとって、この制度というのは本当に喜ばれてきている制度なんです。  ところで、金融機関の貸し出し態度というのが、これも中小企業白書に出ておりますが、この「貸出態度が「厳しい」とする企業割合の推移」というものを見てみますと、黒字企業の方は融資を受けやすくて、厳しいと答える人が一〇%未満なんですね、これは黒字企業ですから当たり前といえば当たり前かもしれませんが。これに対して赤字企業の人たちは、九三年には四割の方、最近でも二五%の声は金融機関の貸し出しについての態度が非常に厳しいと訴えております。  だから、不況で苦しんでいる業者に金融機関が厳しいわけですよ。一番借りたい人が厳しくてなかなか借りられない。景気回復まで持ちこたえてもらう、そのためにこの無担保無保証人融資の制度を各県でやはり使いやすいものに拡充していくということ、このことが私は中小企業対策として非常に必要になっていると思うのです。こういう点での、熱意を持ってやってもらっていると思うのですが、ひとつ熱意のほどを伺っておきたいと思います。
  85. 田島秀雄

    田島政府委員 お答えを申し上げます。  先生から御指摘のございますように、特別小口保険、無担保無保証人で、特に担保力の弱い中小企業者の皆様方に御活用いただくということで設けられておるものでございまして、この制度を引き続き、先ほど申し上げたように、使用が図られますようにいろいろな努力をしてまいりたいと思いますし、それから、去る平成七年の秋には、限度額も、従来、特別小口保険は五百万円でございましたのですが、七百五十万円に引き上げるということをいたす等の制度の改善等もいたしておるわけでございまして、これからも実態に応じて努力をしてまいりたいと思います。
  86. 吉井英勝

    ○吉井委員 努力のほど、熱意のほどは伺いました。限度額を引き上げていらっしゃるのもよく知っておりますし、それはそれで非常に大事な取り組みであるというふうに思っているのです。  ただ問題は、せっかくの熱意も持っていらっしゃるんだけれども、実は、国の法律でこの制度を使いにくくしているという問題があるわけです。それは、地方自治体の無担保無保証人融資を保証しているのが中小企業信用保険法に基づく特別小口保険であるわけですが、ところが、この特別小口保険に係る自治体の無担保無保証人融資制度を受けようとしたときに、他の融資制度を使って融資を受けて、中小企業信用保険法に定める普通保険、無担保保険等の保険が成立しているものについては特別小口保険は成立しない。したがって、信用保証協会と中小公庫の特別小口保険契約が成り立たないと、保証協会が申し込みをしてきた中小零細業者に保証を与えないということになってしまって、結局、無担保無保証人融資が受けられないということに実はなっているわけです。さきに各県の使いにくい実績を紹介しましたが、これはもちろん、地方のそれぞれの財政力のお話をされたけれども、そういうこともないではないかもしれませんが、ほとんど制度が生かされない背景に、実はこういう事情があるわけです。  そこで大臣、特別小口保険制度の趣旨を生かして中小業者の期待にこたえるには、この制度を生かす上での一工夫が要ると思うのですね。それは、法律改正によるのか、あるいは運用上の配慮で実現していくのか、この点は大臣、ぜひひとつ研究をしていただきたいと思うのです。その点、大臣お願いしたいと思うのです。
  87. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今委員指摘のように、私もやはり地元の中小企業、零細者、これからもよく聞かされていることなんです。率直に言って、やはり借りる方という立場でいうと、いわゆる設備投資、これに必要なのか、回転資金なのか。そこで、今おっしゃるように、それに対する裏づけをするというか、それに信用保証協会がある。この信用保証協会というものが、県においてその立場というか、力関係も大分違うようでございまして、こういう問題、これからの大きな研究課題であるということは十分に認識しております。
  88. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、やはり法律改正か、弾力的運用によって実現するのかとか、ひとつ今おっしゃったように研究課題ということで、ぜひこれを進めていただきたいというふうに思うわけです。  大阪、京都、埼玉などでは、さすがこれらのところは中小企業の町だけに、自治体も随分工夫しているんですね。それは、特別小口融資を先行させて、それで不十分な人には無担保保険を掛けて信用保証協会の保証をつけて無担保無保証人融資を行っていくとか、要するに、自治体がリスクを負担することで制度の不備を補って、より多くの人が融資が受けられるようにしてきた。さっきの実例でも、大阪、京都、埼玉などは、大体七千件からもう一方件近い件数があって二百数十億円の無担保無保証人融資の貸し出し、これは他の県と比べたらもう極端に違うんですね。やはりそれは、制度を生かしながら、同時にこの制度のまだ足らざるところを補うという自治体独自の努力というものが見られるというふうに思うのです。  そこで、通産省として、今後、地方自治体がこのような独自の工夫や運用をして特別小口融資、無担保無保証人融資の制度の拡充を進めていこうとする場合、それを認めて、少なくとも足を引っ張るようなことはされないと思いますけれども、それを認めて何とか、国は国として、さっき言ったように、法律改正なり弾力的運用を考えてほしいのですが、自治体が独自にいろいろ努力するときに、それを認めて、足を引っ張るようなことのないように、ここのところは通産省としてもぜひ努力してほしいと思うんですが、この点大臣、どうでしょうね。
  89. 田島秀雄

    田島政府委員 特別小口保険を含めまして、信用保険制度あるいは県の保証協会がやっておられる保証制度は、一定のルールといいますか、そういうものがあるわけでございますけれども、そういったルールの中で自治体が各県の実情、商工業の振興、中小企業の経営の安定のお立場からいろいろな工夫をされることは、私どもとしても大変結構なことではないかと思うわけでございます。
  90. 吉井英勝

    ○吉井委員 それでもう一つ、よく問題になります納税要件なんですね。都道府県民税の所得割の完納を条件としているわけですが、もともと二年前の所得で一年前の住民税額が決まってくることになるわけですがへ二年前がその分野で若干景気がよくてもうけがあった場合、一年前の住民税は、ある程度高額になることもあり得るわけです。ところが、その後不況にぶつかる。税金を払うこと自体が、仕事がない、機械もストップという状態で払えなくなるという場合もあるわけです。しかし、無担保無保証人融資を受けて何とか運転資金として活用して、今の不況さえ脱出したらめどが立つという人の場合、運転資金を借りられるとめどが立つことになってくるわけですが、納税要件がクリアできなくて借りられないという場合があるわけです。  こっちの方は省令で決めているものですから、大臣の決断によって制度融資が受けやすくなるようにもなると思うんですね。これはぜひひとつ、大臣の方でお考えをいただきたいというふうに思うんです。
  91. 田島秀雄

    田島政府委員 特別小口保険につきましては、若干繰り返しになりますけれども、特に規模の小さい中小企業者に無担保無保証でというようなことで、政策的に設けられた制度でございます。  本制度につきましては、源泉徴収以外の所得税事業税または都道府県民税もしくは市町村民税の所得割のいずれかの税につきまして、納期が到来した税額があって完納しているという要件にしておりますが、これは、申し上げましたこの資金の性格から、迅速かつ簡素な保証審査が必要だということもございますものですから、こういう要件を設けまして、小規模企業者の皆様方の客観的な信用力をある種判断をさせていただいておるというものでございます。
  92. 吉井英勝

    ○吉井委員 これは各地の業者の皆さん方からいろいろ御意見も伺っておられると思うのですが、納税証明によって返済能力やら返済意欲を見るという考え方は、実際上困難なんですね。これはよくおわかりだと思うのですが、実際には、幾ら納税したかという点しか判断できないわけなんです。過去一年分でやって、現在の営業実態あるいは今後の明るい見通しなどがそれによって排除されてしまうというのはやはり問題ですし、特に法人の場合は六割から七割が赤字決算という現実があって、これらの層が全く利用できないというふうな事態になってくると、せっかくの制度でありながら何のためにつくったのか。まさにおっしゃったように、政策的保証制度として生まれたものが生かされない、つまり政策目的の達成とならないとすれば、私はそれはやはり問題だと思うのです。  だからこの点は、大臣、まあ事務方の方はああいうふうに言っているのに大臣が、では私の判断で政令改正しますと簡単にいかないお立場かもしれませんが、しかし、ここは実際上納税証明によって、今言ったように返済能力とか意欲を見るとかあるいは今後の明るい見通しがあるかとか、判断できるものじゃないんです。だから、余り要件をふやし過ぎて借りにくくしている。実はこれが地方自治体段階でもなかなか進んでいない理由になりますので、政令改正の問題などを含めて、納税要件についてどうするか、これはひとつぜひ大臣の方で研究していただきたいと思います。
  93. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 中小企業に対する金融問題、私自身も勉強し足りない点がございますので、きょうのこの委員会における質疑全般を通じてよく勉強さしてもらう、研究さしてもらいたいと思います。
  94. 吉井英勝

    ○吉井委員 返済できなくなった人にかわって信用保証協会が代位弁済するときに、この中小公庫の方から保険金を支払うという状況を見ますと、普通保険が七〇・四%、無担保保険が二八・六%、特別小口保険は金額にして〇・六%なんです。つまり、保証協会や中小公庫が大きな負担をするというものではないんです。むしろ若干のリスクを背負ってでも、無担保無保証人融資が全国でもっと活用できるように拡充していくということに取り組むことが、まさに私はこの政策目的を達していく道だと思うのです。ここは本当に一工夫必要なところだというふうに思います。  それで最後に、信用保証協会基金への補助金をふやしてもらうこと、そして基金を積み上げることも非常に大事ですし、先ほども配分をいろいろ工夫するということもおっしゃいましたけれども、配分をふやすにしても、何といったってこの補助金をふやして基金の積み上げをやっていく、このことが大事なわけです。  年間二十七億円ぐらいの予算が今日ずっとそのまま来ているわけですが、全国の中小企業の金融対策として考えると、これはかなり少額の感じがするんです。もう少しこの補助金を増額、もう少しというか、もっと多くと私は言いたいところですが、増額してでも、やはり今日の日本中小企業が支えている位置、これは事業所の九九%、雇用の七八%、製造業分野でいえば出荷額の約五割は中小零細企業が支えてきているわけですから、ここが実は日本経済の大黒柱の大事な一つなんですから、ここのところが今呻吟しているときに、何とか光が早く見えるように、それから、光が見え出したら設備投資もどんどん進むように、そういう点でやっていこうと思ったら、この信用保証協会基金への補助金をふやしてもらうことなんかも大事だと思うのです。  最後にこの点だけ、努力のほどを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  95. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 信用保証協会に対して補助金をふやせば解決する問題ではないと思うのです。先ほど申したように、この信用保証協会の運営というか、これにおいてやはり各都道府県において差があるということで、先ほど申したように、こういった点を研究してみたいと申し上げたわけでございます。
  96. 吉井英勝

    ○吉井委員 質問を終わります。
  97. 武部勤

    武部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十五分散会