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1997-05-16 第140回国会 衆議院 商工委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月十六日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員   委員長 武部  勤君    理事 小川  元君 理事 小此木八郎君    理事 中山 成彬君 理事 茂木 敏充君    理事 遠藤 乙彦君 理事 西川太一郎君    理事 大畠 章宏君 理事 大森  猛君       甘利  明君    稲葉 大和君       小澤  潔君    奥田 幹生君       加藤 卓二君    岸田 文雄君       栗原 裕康君    河本 三郎君       桜井 郁三君    田中眞紀子君      田野瀬良太郎君    中島洋次郎君       中山 太郎君    蓮実  進君       林  幹雄君    林  義郎君       船田  元君    赤羽 一嘉君       伊藤 達也君    石井 啓一君       一川 保夫君    上田  勇君       鍵田 節哉君    神田  厚君       古賀 正浩君    島津 尚純君       達増 拓也君    中野  清君       吉田  治君    末松 義規君       松本  龍君    渡辺  周君       吉井 英勝君    横光 克彦君       前田 武志君  出席国務大臣         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     根來 泰周君         公正取引委員会         事務総局経済取         引局長     塩田 薫範君         公正取引委員会         事務総局経済取         引局取引部長  山田 昭雄君         公正取引委員会         事務総局審査局         長       矢部丈太郎君         経済企画政務次         官       河本 三郎君         通商産業省通商         政策局長    林  康夫君         中小企業庁次長 岩田 満泰君         中小企業庁小規         模企業部長   篠原  徹君  委員外出席者         警察庁生活安全         局生活環境課長 吉川 幸夫君         大蔵省関税局業         務課長     花角 和男君         運輸大臣官房審         議官      長光 正純君         商工委員会調査         室長      安本 皓信君     ————————————— 委員の異動 五月十六日  辞任         補欠選任   甘利  明君     桜井 郁三君   加藤 卓二君     田中眞紀子君   亀井 善之君     栗原 裕康君   自見庄三郎君    田野瀬良太郎君   中尾 栄一君     林  幹雄君   林  義郎君     蓮実  進君   村田敬次郎君     稲葉 大和君   伊藤 達也君     赤羽 一嘉君   石井 啓一君     上田  勇君   島   聡君     一川 保夫君 同日  辞任         補欠選任   稲葉 大和君     村田敬次郎君   栗原 裕康君     亀井 善之君   桜井 郁三君     甘利  明君   田中眞紀子君     加藤 卓二君  田野瀬良太郎君     自見庄三郎君   蓮実  進君     林  義郎君   林  幹雄君     中尾 栄一君   赤羽 一嘉君     伊藤 達也君   一川 保夫君     島   聡君   上田  勇君     石井 啓一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の適用除外制度整理等に関する法律案(内  閣提出第四四号)      ————◇—————
  2. 武部勤

    武部委員長 これより会議を開きます。  内閣提出私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律適用除外制度整理等に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小此木八郎君。
  3. 小此木八郎

    小此木委員 自由民主党の小此木八郎でございます。  この商工委員会におきましては、さまざまな法律成立をいたしまして、委員長初め各党理事あるいは委員の皆様の熱心な議論に心から敬意を表したいとまず思いますが、もうちょっと委員の皆さんが出席もしなければいけないなというふうにも思いました。  今こういった議論が行われた中で、これから六月の中旬以降、我々議員は地元に帰りまして、国政報告やあるいはさまざまな形で、全国行脚もあるでしょうし、今の経済、大変に閉塞状況が続く中で、さまざまな活動があると思いますけれども、今、国と国民、あるいは政治家国民との間の距離が非常に縮まっていない、距離があり過ぎるということも言われておりますから、そういった活動の中で、国といたしましても、いろいろな意味での広報活動や、そういったことを縮めるということにぜひ努めていただきたいというふうに思います。  そこで、今回の橋本内閣が推し進める経済構造改革において、公的規制見直しあるいは緩和、それと並んで競争政策の積極的な展開、すなわち公正かつ自由な競争を促進し、市場メカニズムをより一層有効に機能させることが重要な考えであるということが一つ言えると思います。  これを、規制というものを考えますと、規制そのものには長い時代背景やあるいは歴史背景がありまして、その中で規制に守られてきた側というのは、ある意味では、そういった長いものが続きましたものですから、この言い方が適切かどうかわかりませんけれどもぬるま湯につかってきた、規制に守られているということが当たり前だ。よく平和が長く続けば平和が当たり前で危機管理なんかできやしないというようなことも言われますけれども、まさに今の日本というのはそういうような状況にあるのではないか。だからといって、ぬるま湯につかっていた者にいきなり熱いお湯をびしゃっとかけてしまえば大やけどをしてしまう、あるいは冷たい水をばっとかければ心臓麻痺を起こしてしまう。その辺のところが今大変に難しい議論をされているというふうに私は思っております。  このような観点から、今回適用除外制度整理するために本案が提出されたということで、経済構造改革という観点から、本案提出に当たっての根來委員長の基本的な認識をまずお伺いをしたいと思います。
  4. 根來泰周

    根來政府委員 我が国が、戦後、経済壊滅的状態になりまして、その壊滅的状態から立ち上がるためにいろいろの施策を施してきたことも事実だろうと思います。  そういう施策の中にありまして、産業保護といいますか、弱者保護といいますか、そういうことで独占禁止法適用除外制度というのが認められてきたわけでございますが、今日に至りましてようやく産業経済も立ち直ってまいりまして、自由競争という時代になってきたわけでございます。  そういうふうになりますと、やはりこの独占禁止法というのは一自由競争の、公正な競争一つルールとして大きな意義を持ってくるわけでございますけれども、その中にありまして、従来ありました適用除外制度というのはその自由競争適用除外ということに相なりますので、これはやはり廃止すべき方向検討すべきものということだろうと思います。  そういうことで、政府の方においても、いろいろ数次にわたってこの適用除外の廃止、見直しということを決定されてきたわけでございますが、私どもはそれを受けまして、いろいろ所管各省と折衝し、また検討し、このような法案にまとめて提出したわけでございます。  なお、この法案はまだ第一段階でございまして、まだ独占禁止法にも適用除外という制度がございます。この制度もこれから見直していきまして、でき得ればそういう点は、経済桎梏といいますか、自由競争桎梏といいますか、そういうものは廃止していきたい、こういうふうに考えておるわけでございますので、今後ともひとつよろしくお願いしたいと思います。
  5. 小此木八郎

    小此木委員 その適用除外制度でありますけれども、これは戦後復興期の特殊な経済社会的条件のもとで成立したものが多く、その後の日本経済状況考えれば、やはりこれも見直すべきところは見直さなくてはならないというふうに私も考えております。  成立当時有効であった制度も、時間の経過とともにその実効性が失われてくるものもあるでしょうし、さらには日本経済の発展の足かせとすらなってしまう可能性もあると思います。私は、独占禁止法適用除外制度は、同法の禁止規定適用をあくまでも例外的に除外するもので、必要最小限にとどめるとともに、常に見直していかなければいけないというふうにも考えております。  ただし、これらの制度が担ってきた、もしくは現在までも担っている役割というものがあると思います。そこでは競争政策産業政策のバランスということも問題になるというふうに考えますけれども公正取引委員会としては、この点に関してはどのような考えをお持ちなのか、また、これまでこの適用除外制度が果たしてきた役割というものをどのように認識されておられるかを伺いたいと存じます。
  6. 根來泰周

    根來政府委員 先ほど申しましたように、経済が疲弊した場合、あるいは戦後のあの状況を思い起こした場合に、やはりこういう適用除外制度というのも客観的には必要だったと思いますし、それなりの理由があったと思います。  だけれども、先ほど申しましたように、現在に至りまして、自由競争という時代になりますと、やはりそういうものを見直して、その必要がない場合は廃止するという方向が正しいわけでございまして、最小限度適用除外というのはあるいは認められるかもしれませんけれども、できるだけ少なくするということが必要であろうと思います。  なお申し上げれば、そういう結果、経済的弱者というのもあるわけでございますけれども、そういう保護というのはむしろ独占禁止法の中で保護していく、不公正取引等規定を活用して、そういう点で保護していくべき種類のものであろうと思っております。
  7. 小此木八郎

    小此木委員 次に、この法案中身のうち、私が日ごろから関心を持っておりますけれども中小企業に関連するカルテル制度についてお伺いをいたしたいと思います。  中小企業団体組織に関する法律について、中小企業安定審議会答申に基づき、見直しが行われたと伺っておりますけれども、具体的にはどのような措置がなされたのでありましょうか。
  8. 岩田満泰

    岩田(満)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおりでございまして、今次の改正は、平成七年に閣議決定されました規制緩和推進計画を踏まえまして、中小企業安定審議会の御答申に基づきまして行うものでございます。  具体的には、商工組合が実施をいたします独禁法適用除外各種制度のうち、いわゆる不況カルテルと呼ばれております安定事業につきましては、競争制限性の強い、いわゆる組合員以外の者、アウトサイダーに対します組合への加入命令及び設備の新設の制限命令、いわゆる新規参入制限でございますが、この命令を廃止いたします。  合理化事業と申しまして、生産性の向上などのために組合員が共同して事業を行ういわゆる合理化カルテルの関連につきましては、利用可能性が極めて低い合理化命令、いわゆるアウトサイダーに対します規格の統一についてのカルテル遵守命令でございますが、これを廃止いたします。  それから三番目に、共同購入あるいは共同検査といったような共同経済事業と申すものにつきましては、大企業利用をするものについては独禁法本体適用するということに改正をすることにいたしております。  第四番目に、いわゆる特殊契約。大企業新規参入などをする場合に中小企業との間に紛争が起こる可能性がございます。この紛争解決のための大企業組合の間の契約、これを特殊契約と申しておりますが、これにつきましては、これまで利用された実績がないということもございまして、これを廃止するということにいたしておるところでございます。
  9. 小此木八郎

    小此木委員 この中小企業団体組織に関する法律については、一部の繊維業の例のように、平成五年までには全廃されましたけれども、三十年以上にもわたって継続実施されていた例もあると聞いております。経営が著しく不安定に陥ること、過度な競争が恒常化しているような事業分野に対処する緊急避難的措置としての安定事業有効性についてはどのようにお考えでしょうか。
  10. 岩田満泰

    岩田(満)政府委員 中小企業は、日本経済におきまして大変重要な役割あるいは地位を占めておるわけでございますけれども、一方において十分な体力と申しますか、そういうものを有していないという問題もございます。その意味で、急激に事業環境が変わるというような事態あるいは深刻な不況が生ずるというようなときに、これに対する対処が困難な場合が存在をするわけでございます。  ただいま御説明いたしました商工組合安定事業は、中小企業者同士が共同いたしまして、業界の置かれた状況を把握した上で、急激な環境変化への対策を講じるための共同行為でございます。その意味で、中小企業事業環境変化への対応円滑化という意味において不況カルテル一定有効性を持っているというふうに考えております。  しかし同時に、輸入比率の高い分野でございますとか、あるいは安定事業長期化をいたしまして、本来の目的でございます激変緩和というような措置の効果が薄れる、一方において、長期化することによりまして組合員経営合理化をおくらせるというような、いわば副作用が生ずるような場合もございます。  こうした過去のカルテル運用実績等の分析をも踏まえまして、今回、先ほど申し上げましたような改正内容を御提案申し上げるところでございます。
  11. 小此木八郎

    小此木委員 規制緩和推進計画においても、規制緩和推進とともに、競争政策についてはその積極的展開を図ることとしており、先ほどの商工組合の行う適用除外カルテル等制度についても、より競争制限的でない他の代替手段等について十分検討していくことが求められるというふうに考えますが、その代替可能な政策についてはどのように取り組んでおられますか。
  12. 岩田満泰

    岩田(満)政府委員 ただいま世界は大競争時代と言われておるわけでございまして、中小企業事業環境に円滑に対応できるように諸般施策を講じていく必要があると考えております。その意味で、経営基盤安定強化対策でございますとか、構造改革に取り組むための対策諸般対策が必要であると考えております。  昨年十二月にいただきました中小企業安定審議会答申におきましても、従来やや規模のメリットと言われているものに主眼を置いてやってまいりましたいわゆる組合政策考え方というものを、さらに経営資源に乏しい中小企業がお互いに欠けている部分を補完し合う、そうした側面も考え対応すべきというような指摘がなされておるところでございまして、そうした指摘も踏まえまして、商工組合を初めといたしました各種組合制度あるいは組織化政策そのものが果たして現行のままでよろしいかどうかということについて、十分な検討が必要であるかと考えております。  そうした全般の組合政策そのもの検討を現在進めておるところでございまして、その中で、こうした独禁法適用除外制度というようなものを含めまして、そのレビューを進めていきたいと考えておるところでございます。
  13. 小此木八郎

    小此木委員 これまでは日本国内のことを聞いてまいりました。特に私は、日本規制だとかそういったことに関して言うと、先ほど冒頭申し上げましたように、歴史的な意味合いが物すごくあるのじゃなりか、ぬるま湯につかっているというような表現もいたしましたけれども。  次に、適用除外制度をめぐる国際的情勢についてお聞きをいたしたいと思いますけれども我が国経済グローバル化が進むとともに、経済政策の面においても国際的な調和や整合性確保がこれからますます重要になってきているというふうに認識をしなければいけない。そこで、アメリカの反トラスト法及びEU競争法における適用除外制度の現状及び動向についてお伺いをしたいと思います。
  14. 塩田薫範

    塩田政府委員 お答えいたします。  アメリカEUにおける適用除外制度についての話でございます。  まず、アメリカにおきましては、法律あるいは裁判所の判決によりまして、極めて限定された範囲で反トラスト法日本独禁法に相当するものでございますけれども、反トラスト法適用が除外されております。  例えば、輸出カルテルにつきましては、ウェッブ・ポメリン法というものがございまして、輸出組合に対しまして反トラスト法適用が除外されておりますが、これはアウトサイダー輸出制限したり、あるいは国内の価格に影響を及ぼすものではない、そういったような条件のもとで認められているというふうに承知をいたしております。  それから、EUでございますけれどもEU競争法、これはローマ条約の八十五条、八十六条といったところが競争法といいますか独占禁止法に相当する規定でございますけれどもEU競争法の八十五条第三項におきまして、生産、販売の改善、進歩に役立つこと、あるいは消費者利益を公平に分配すること等、一定の要件を満たす協定決定が八十五条第一項、これは競争制限的な協定禁止規定でございますけれども、これの適用除外となっております。  この適用除外となる協定には二種類ございまして、一つは、欧州委員会EU委員会が個別に届け出を受けて決定をするという個別のもの、それから二つ目が、競争制限的でないもの等、一定種類のものを一括して適用除外とする一括適用除外規則というものによるものがございます。そのように承知をいたしております。
  15. 小此木八郎

    小此木委員 我が国独占禁止法には諸外国に比べてこの法律適用から除外される産業分野が多いという特徴があると言われておりまして、国際社会から日本市場は閉鎖的であるという批判も繰り返しこれまで行われてきたわけであります。この点からも今回の適用除外制度整理意味あることと私は考えます。  そこで、最近の報道によりますと、二十六日からパリで開催されるOECD閣僚理事会において、規制改革に関する報告書が採択されるとの見込みでありますが、私は、これは日本市場は閉鎖的であるというふうに言われてきた批判を払拭する非常によいチャンスであるとともに、もう一つ申し上げたいのは、外国から言われたからということではなくて、やはり日本の実情がこうである、何度も申しますように、長い間続いてきたものにやはり弊害が起こって、そういったところを日本の側からきちっとこれから見直していかなければいけないという、ある意味ではそういう精神が私は必要であると思っております。  この会議に当たっての日本側のスタンスをお伺いすると同時に、もう時間がございませんので、最後に委員長に、昨年の第百三十六回国会におきまして、公正取引委員会事務局にかえて事務総局が置かれる等の機構及び機能の強化が行われたところであり、独占禁止法の一層の厳正な運用に努めるとともに、公的規制見直しについても政府内において積極的な役割を担うことが期待をされております。競争政策を積極的に展開するに当たっての委員長のこれからの御決意もあわせてお伺いいたしたいと思います。
  16. 林康夫

    ○林(康)政府委員 お答え申し上げます。  今月の二十六日からパリOECD閣僚理事会が開催されるわけでございますが、この中で規制制度改革が取り上げられる予定になっております。  この規制制度改革は、規制撤廃あるいは制度改善によって新しい産業を起こそうといった各国経済構造転換を図ろうとする共通の課題でございます。特に、関税等水際措置が非常に低くなっておりますので、これからは国内措置まで踏み込んだ自由化が求められておるわけでございまして、こういった観点からもこの規制制度改革は重要な課題になっておるわけでございます。  先生御指摘がありましたけれども日本は昨年十二月に、規制制度改革について、当省あるいは外務省そして経団連のイニシアチブOECDと共催でシンポジウムを開催しておりまして、従来からOECDにおける規制制度改革作業を積極的にイニシアチブをとって推進してきたところでございます。  今回の閣僚理事会においては、OECDにおける作業の拡充を図ると同時に、各国間の相互審査のフォローアップのメカニズムを確立したいということで合意が得られるように、積極的に議論に取り組んでいきたいと考えております。
  17. 根來泰周

    根來政府委員 この国会の御支援を得まして、私ども組織改善され、また定員もふえております。そういう期待に沿うように、公正取引委員会としては全力を挙げて仕事をするつもりでございますが、今、大変問題が山積しております。この法律の問題もございますし、なお談合とかそういう問題も残っておりますし、またこの前、国会で御指摘がありましたように、どの件とは申しませんけれども、非常識な廉売といいますか、安売りもございます。また一方では、適正な安売りを妨げるような、例えば並行輸入のようなものを妨げるような動きもあるわけでございます。そういういろいろの事象を私どもも正確にとらえまして、そしてすべてこれは独占禁止法で把握できるかどうかという問題もございますけれども、そういう問題も頭に置きまして、全力を挙げてやっていきたいと思います。  また、法律にいろいろ問題がありますとすれば、また国会にお願いして法律改正をお願いするということになろうかと思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
  18. 小此木八郎

    小此木委員 ありがとうございました。終わります。
  19. 武部勤

    武部委員長 次に、上田勇君。
  20. 上田勇

    上田(勇)委員 新進党の上田勇でございます。  きょうは、この適用除外制度整理法案につきまして、何点か質問をさせていただきます。  法案提案理由説明にもありましたけれども、今我が国は、国際的に開かれて、また自己責任市場原理に立った、そういう自由な経済社会を実現していくということが内外から求められているときではないかというふうに思います。  我が党も、日本再建のための基本政策構想の中でも、「経済活動は原則自由、例外規制」を原則としていこう、思い切った規制緩和撤廃を提唱させていただいているわけであります。  その一方で、自由な経済活動が公正に行われることが国民利益にとって必要なことであるというふうに思いますし、そのためには、公正、透明なルールが決められて、それが遵守されなければならないわけであります。その意味で、この独占禁止法の趣旨が厳正に守られるとともに、法律も必要に応じて機動的に今後とも見直していく必要があるというふうに考えているわけであります。  ちょっと法案中身に入ります前に、初めに、この独占禁止法に関係します具体的な事案に関連いたしまして、何点か質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず一点目に、最近これは日米間でも国際問題となりまして報道でも大きく取り扱われたのですけれども、大変な注目を集めましたいわゆる港湾問題について、何点か質問をさせていただきたいのです。  これは、雑誌の報道によりますと、一九九〇年に港湾関係者人たちが、今回日米間でも問題となりました事前協議制度独占禁止法違反の疑いがあるということを公正取引委員会の方に訴えた、これは申告というのですか、そういう記事が載っておりますけれども、これについて、その一九九〇年のこうした動き経過について御説明をいただきたいと思いますし、それと同時に、それについてどのような対応をされたのか、その点についてちょっと御説明をいただければというふうに思います。
  21. 矢部丈太郎

    矢部政府委員 お答えいたします。  港湾運送事業における事前協議制度に係る問題につきましては、御指摘の一九九〇年以前に、公正取引委員会独占禁止法違反運用をしないよう警告を行っているところでございまして、また、昭和六十一年にはその制度改善が行われたところでございます。  御指摘の件につきましては、所管官庁であります運輸省から、港湾運送事業者の全国団体でございます日本港運協会に対して、事前協議において独占禁止法に抵触するおそれのあるような運用を行わないというような改善指導が行われているところでございますので、公正取引委員会といたしましては、その後の動向を注視していくということとしたものでございます。
  22. 上田勇

    上田(勇)委員 今私が引用しました記事にも改善されたということでありますけれども、現在行われている事前協議制度によっても、業界の団体によって公正な競争が阻害されているかのような書き方になっておりますし、また同じような趣旨の報道は何回か私も目にいたしました。  また、これは日米間でも、多分アメリカもそういうような趣旨で主張しているのではないかというふうに思うのですけれども、もしそのように自由な競争制限されるような要素があるとすれば、これは独占禁止法に抵触するものというふうに思わざるを得ないのですが、その辺について、公正取引委員会の方の御見解があれば伺いたいというふうに思います。
  23. 矢部丈太郎

    矢部政府委員 事前協議制度につきましては、その後さらに改善がされているところでございまして、ただ現に行われている行為につきまして、独占禁止法に抵触するのかどうかという意見を申し述べるのは、差し控えさせていただきたいと思っております。
  24. 上田勇

    上田(勇)委員 もちろんこれは個別の事案に対することでございますので、言えない部分というのもあるのだというふうに思いますけれども、そういった大変内外の注目も集めていることでございますので、ぜひ注視していただければというふうに御要望をさせていただきたいというふうに思います。  もう一点、ちょっと具体的な事例でありますが、これもちょっと先日の新聞に、これは今月に入ってからの新聞ですが、報道によりますと、パチンコホールの経営者が、カード式パチンコ機に関して独占禁止法第十九条の「不公正な取引方法の禁止」、これに違反しているのではないかという申告が行われたというふうに報道されているのですけれども、これについて事実関係を例えればというふうに思います。
  25. 矢部丈太郎

    矢部政府委員 独占禁止法に違反する事実があるときには、その事実をだれでも公正取引委員会に報告いたしまして適当な措置を求めることができる規定がございまして、これは申告と言っているわけでございますが、この申告の有無につきましては、通例明らかにしないこととしております。  なお、本件につきましては、申告者みずからがマスコミに公表しているところでございますので、公正取引委員会といたしましては、その事実を否定するものではございません。ただ、内容につきましては、従来からお答えするということは差し控えさせていただいているところでございます。
  26. 上田勇

    上田(勇)委員 もちろんこの報道も今月に入ってからの報道でありますので、まだ調査を始めたばかりだということじゃないかというふうに思いますし、個別の案件ですので、答弁していただけない部分というのがあって当然かというふうに思いますけれども、このいわゆるパチンコのプリペイドカードの問題というのは、このところずっと各種報道でもいろいろなところで取り扱われておりまして、またこれは大変な大きな産業というのでしょうか、金額ということで注目も集まっていることだと思うのです。  そうした各種報道の中でちょっと一つ気になる点があるんですけれども、いろいろな報道の中でこのプリペイドカードシステム、これが導入されたときに警察当局がシステム導入を強力に推進した。もちろんこれは、一部の週刊誌などの報道では押し売りまがいみたいなことがありますが、そういうことは別にいたしまして、そういうふうに勧めたのかどうなのか、ひとつ事実を確認させていただきたいのと、もしそれが事実であるとすればそうしたことを行った理由、ちょっと警察の方来ていただいていると思いますので、お答えいただければというふうに思います。
  27. 吉川幸夫

    ○吉川説明員 パチンコプリペイドカードシステムは、パチンコ営業に特有の現金管理業務を軽減し、事務処理の効率化、経営合理化に有効なものであると同時に、経理の明朗化にも資するということで、業界の健全化に効果を発揮するものとしまして、警察庁としてその導入を推奨してきたものでございます。  しかしながら、もとよりこのシステムを導入するかどうかというのは各営業者が自由に判断してカード会社と契約をすることということで、導入当初よりそのように話しているところでございます。
  28. 上田勇

    上田(勇)委員 今の答弁にあったとおり、これはやはり事業者の自由な判断というのが当然前提になることだというふうに思うのですが、いろいろとこうした背景につきましてお話を伺っていく中で、警察当局の方の御趣旨についてもよくわかる部分もございます。  特に我々の安全な生活、公正な社会、そういったことのために警察当局として御努力いただいていることについてはあらゆる面で評価するわけでありますけれども、今、当然自由が前提というふうにおっしゃいましたけれども、同時に、勧めてきた、推奨をしてきたというような御発言もありました。ちょっと気になるんですけれども、どうも脱法行為を前提としてそういう経営方法の中身にまで、介入というところまではいかないのかもしれませんが、そういう推奨をするというのが本当に、しかもそれが結果的に特定の業界の利益に資する結果になったという面もあるでしょうし、またその後の経過を見ていきますと、変造カードなどの問題でこれももっと、むしろこっちの方が大きな問題になったりして、そうした意味でのそういう犯罪が発生した責任ということも考えていただきたいというふうに思うわけであります。  もちろんこれは今後、この間お話を伺った中でもいろいろな進展があるというふうに伺っておりますので、警察当局として、もちろん法を守る、安全を守るということは当然としても、どこまで本当に介入すべきなのか、このことについてはまた、ちょっときょうはお答えをいただくといってもそういう問題ではないと思いますけれども、そのことをちょっと問題だけ提起させていただきたいというふうに思うわけであります。ぜひまたそのことも、特に変造カードの問題などで今一生懸命取り組まれているということでありますので、そういったこともあわせて御検討いただければというふうに思います。  それでは次に、今回提出されております法案中身につきまして、何点か質問させていただきたいというふうに思います。  これまで個別法によります適用除外制度が大変多くあったわけでありますけれども、その多くが廃止または範囲の限定など、大変大きく整理されたということになっております。これは規制緩和方向として大いに評価できるわけでありますけれども、実は正直言って、今回のこの法案を見まして、こんなに多くの個別法があって、こういう個別の事案についてこんなにも多くの例外規定があったのかということをびっくりしたのです。  同時に、これは公正取引委員会の方で作成いただいた資料で見ますと、今回廃止縮小される適用除外制度、この運用実績を見ますと、運用実績が全くないものとか、あるいはもう二十年以上にわたって運用実績がない、そういったものが実にほとんどを占めているんですね。  そういうことを考えますと、今回整理するのは、もう運用実績がなかったり長期間にわたって運用実績がないわけでありますので、整理するのは当然のことでありますし、それによって実体経済には全く影響がないというふうに思うわけであります。むしろこうしたもう既に実態がなくなっているような制度が今日まで残っていたということが独占禁止法の趣旨を矮小化するというんでしょうか、それこそが問題であったんじゃないかというふうに言わざるを得ないというふうに考えております。  むしろこの法案で重要な点というのは、廃止縮小される方ではなくて、今度、個別法によるものの中でも引き続き検討されるといった制度があります。七つの法律による八つの制度が引き続き検討ということになっているんですが、こちらが本当に残す必要があるのかどうか、そちらの方がむしろ重要なんじゃないかというふうに考えます。  そこで、今回廃止縮小されるものについては、運用実績が全くなし、あるいは近年全然ないというようなものがほとんどなんですが、引き続き検討されるということになっております七つの法律、八つの制度、これらについて運用実績はどうなのか、その辺を御説明いただければというふうに思います。
  29. 塩田薫範

    塩田政府委員 お答え申し上げます。  今回、個別法の適用除外制度見直しの結果を踏まえて一括法という形で法改正をお願いするということでありますが、個別法の見直しの結果といいますか、現時点におきましては、今先生おっしゃったように八つの制度について継続的に、引き続き検討するということで、これからまた検討を続けるということになったわけであります。  御質問の八つの制度の中でカルテル等の適用除外制度が実際に動いているといいますか、使われているかどうか、どういうものがあるかということでございますが、個別法による適用除外制度で引き続き検討するということになったものの中で、現在私ども公正取引委員会が関与規定を通じて運用実績を把握しているものとしては、二件ございます。一つは、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律に基づく過度競争防止カルテル、これが一件でございます。それからもう一件は、内航海運組合法に基づく内航海運カルテルが一件。この二件が、私どもが協議規定といいますか、そういうことを通じて把握しているものでございます。  そのほか、今申し上げましたような公正取引委員会の関与規定がないということで、私どもとしてはその運用実績を正確には把握していないものが当然あるわけでございまして、その中には国際航空カルテル、あるいは音楽著作権料に関する取り決め、そういったものがあるというふうに承知をしております。
  30. 上田勇

    上田(勇)委員 もう一つ、これら八つの制度について引き続き検討するということになっているのですが、これはどういうスケジュールで検討されて、どのタイミングまでに結論を出されるのか、その点の見解を例えればというふうに思います。
  31. 塩田薫範

    塩田政府委員 今御指摘にございました、引き続き検討することとされております個別法による適用除外制度、これの今後の検討の段取りといいますか、それについてのお話でございますけれども、この三月に閣議決定がなされました規制緩和推進計画の再改定の中で、「平成九年度末までに具体的結論を得る。」ということになされております。  したがいまして、私どもといたしましては、適用除外制度はあくまでも例外的な制度であるということ、それから、各種制度の趣旨、目的、制度の必要性、妥当性、そういった点も考慮して検討を行いまして、九年度末までに結論を出したいというふうに考えております。
  32. 上田勇

    上田(勇)委員 今の議論を踏まえますと、これは大変失礼な言い方かもしれないのですが、結論は、今回の法案というのは、あってもなくても実体経済に影響のないものは今回処理するけれども、影響のあるものは、その内容の判断はともかくとして、とりあえずは引き続き検討と言って先送りになっているというような印象を受けます。  また、引き続き検討の中で、先ほどちょっと運用実績について御質問させていただいたのですけれども、私が聞いているところでは、その中でも非常に限定された地域であったり、あるいは非常に限定されたことにしか運用されていなくて、ほとんど影響がないというようなものもあるというふうに聞いております。  そうすると、そういった制度についてまで今回引き続き検討ということは、実質的に今回の法案というのは、既に何かむだになっていたもの、たまっていたものをとりあえずきれいにした、ところが実際的な問題はこの一年をかけて考えましようと、まさに先送り前提の法案なのかなという印象を受けました。  冒頭にも申し上げましたが、経済をより自由に、もう一つ自己責任市場原理、これに立脚したものとするためには、むしろ実態的に実体経済に影響のあるものをどうするのか、ここに手をつけて初めて独占禁止法の趣旨がより生かされる、そういう成果というふうに言えるのではないかというふうに思います。  ぜひとも、今年度中というお話でありますので、こうした積み残した制度についても早急に結論を出して、実績があるから残すというようなことではなくて、本当にこれがやむを得ない例外規定なのかというような観点から御判断をいただいて、適正に対処していただくことを強く要望するわけであります。  今何が独禁法の趣旨で重要かというと、これはやはり独禁法の趣旨にもありますように、公正かつ自由な競争を促進する、それが法律の趣旨だというふうに思います。その意味では、適用除外制度というのは例外であって、これを検討するには、まず独占禁止法の本体、この中にも幾つか例外規定が入っていますね。そのほか、その下に独占禁止法適用除外法というのがあります。この中にも例外規定が入っている。そして、今回整理している個別法による例外規定がある。三段階になっているのです。  本来の趣旨からいえば、独占禁止法の本来持っている公正かつ自由な競争を促進するという趣旨に沿って、今の独占禁止法を見直す必要があるのかどうか、その下の適用除外法をさらにその上で見直す必要があるのか、そうしたことを踏まえた上で、そうした上位法を見直したその趣旨を踏まえた上で個別法による適用除外制度がそうした見直した趣旨に沿っているのかどうか、そうした判断を基準として見直しを進めていくというのが筋ではないかというふうに思うのですが、今やられている方法は全く逆さまでありまして、個別法から先に手をつけている。本法の上位法の範囲が定まらないのに個別法の制度のみを見直しても、どういう基準で必要性を判断するのかというのがなかなかわからないのではないかと思うのです。  今回、私は上位法から見直していくべきだと思うのですが、それとはまた異なった方法で個別法の見直しから着手された、これを始めたというのはどういう理由からなのでしょうか、その辺をお聞かせいただければと思います。
  33. 塩田薫範

    塩田政府委員 お答えいたします。  今回御審議をいただいております一括整理法案は、個別法による適用除外制度に係る見直しの結果を法的に手当でしようということでございますが、継続的に検討するということで残っているもの、それから独占禁止法本体、それから先生御指摘適用除外法に基づく適用除外制度についても当然見直し作業を行うということにいたしております。  どういうことで順番をまず個別法から始めたのかということでございますけれども独占禁止法の第二十二条におきまして、事業法令に基づく正当な行為については独占禁止法適用しない、ここで言う特別の法律については別に法律をもって定めるということで、これに基づいていわゆる適用除外法が制定されているわけでありまして、その適用除外法の中で適用除外の根拠となる事業法令が指定されているところでございます。  また、適用除外法は、二十八年の改正におきまして第二条という規定が追加されまして、独占禁止法の第八条の適用除外関係の規定が追加されているわけであります。そのほかに、独占禁止法本体に適用除外規定があるということは御指摘のとおりでございます。  このように、当初、独占禁止法適用除外規定は、独占禁止法の体系の中で独占禁止法本体あるいは独禁法二十二条に基づく特別の法律として指定された適用除外関係の法律ということでございますが、その後、適用除外法の改正というルートではなくて、個別法の規定によって適用除外を定める例が増加してまいりました。個別の法律による適用除外制度の創設というのは、昭和二十年代から三十年代にかけまして、当時の経済状況の中で、産業の育成強化あるいは不況事態の克服といった特定の目的を実施するために多数の個別法による適用除外カルテル等制度が設けられたものでございまして、いわば例外性の強いものであるというふうに私どもとしては考えておりましたので、まずこれらの規定見直しを図るということでございます。  そういう順番でまず個別法によるものを取り上げましたけれども独占禁止法本体それから適用除外法に規定されている適用除外制度につきましても当然見直しを行うということで、冒頭申し上げましたように、個別法による適用除外で継続検討ということになっているものも含めまして、制度自体の廃止を含めて見直しを行って、平成九年度末までに具体的な結論を得たいというふうに考えているところでございます。
  34. 上田勇

    上田(勇)委員 今の御答弁、全くそのとおりだと思うのですが、つまり個別法による適用除外制度というのは例外中の例外ということになる。ということは、こういうふうに理解してよろしいのでしょうか。いわゆる個別法によって今回引き続き検討となったものも含めまして、そういう適用除外制度というのは独占禁止法本来の趣旨からいえば、問題があるというのでしょうか、その趣旨に反するような制度だけれども、いろいろな条件から見て、いろいろな状況から見たときに、やむを得ざる措置として今認知されているというふうに解釈してよろしいのでしょうか。
  35. 塩田薫範

    塩田政府委員 お答えを申し上げたいと思います。  基本的には先生おっしゃるようなことだと思いますけれども独占禁止法カルテル等の禁止を定めているわけでありまして、この適用除外制度というのはそういった独禁法の原則的なルールの例外を定めているものでございます。例外を定める必要があるかどうかという具体的な事例を見ながら——本来的には絶対例外があってはいけないというまではなかなか言えないのだろうと思います。先ほど御説明申し上げましたように、欧米でも例外がないわけではありません。したがって、独禁法の基本的な目的に照らして、必要最小限にするということで適用除外制度見直しを行っていくべきだというふうに考えております。
  36. 上田勇

    上田(勇)委員 例外ということでありますので、やはりこれは法律の趣旨が適切に生かされていくためには例外というのは少ないにこしたことはないわけであると思います、これは原則論でありますが。そういった意味では、適用除外制度というのは極力少ない方が独占禁止法の趣旨というのは生かされるわけでありますので、特にそういう個別法による適用除外制度というのは特定の分野、特定の行為に対することであるというふうに思います。  そういう意味では、本当に定期的に、いわば毎年でもいいと思うのですが、その妥当性を検証して見直しを図っていく必要があるのではないかというふうに思うのですね。例えば今回の法案を見てみますと、一回できたものはそうした検証が行われていないで、できたときには確かにその必要性は認められたのかもしれませんが、一回も運用されなかった、あるいはもう二十年運用されていない。今後そういうことがあってはならないというふうに私は思うわけであります。  そういった意味で、とりわけ例外中の例外と言われるこの個別法による適用除外制度については、定期的にその妥当性を検証し、今後見直しを図っていく必要があるというふうに思うのですけれども、これはもうずっと続けていかなければいけないことだというふうに思いますが、その辺について御見解を例えればと思います。
  37. 塩田薫範

    塩田政府委員 お答え申し上げます。  現在、我が国経済の抜本的な構造改革を図り、国際的に開かれ、それから自己責任原則と市場原理に立つ経済社会を実現するということが非常に重要な課題になっているところでございまして、市場メカニズムに対する信頼も向上しているということで、経済活動の基本的なルールとしての独占禁止法の重要性というのは非常に高まってきているというふうに理解をしております。  こういう中で、独占禁止法の例外を定めます適用除外制度につきましては、御指摘のように、あくまでも自由経済下における例外的な制度として必要最小限にすべきものというふうに考えております。個別法について今年度中に見直しを行うということでありますけれども、その後も不断の見直しをする必要があるのではないかということでございますが、今回の作業が一段落したというふうに仮にいたしまして、その後の状況といいますか、その後におきましても当然、冒頭に申し上げましたような、例外は必要最小限にすべきであるということで、必要に応じて不断の見直しを行っていくべきものというふうに考えております。
  38. 上田勇

    上田(勇)委員 ぜひお願いしたいというふうに思います。  もう一つ、今回の法案を見て感じた点なんですが、先ほども言ったように運用実績の問題がある、一回つくってしまうとなかなか変えられないという面があるのではないかと思うのですね。これは国会の責任といえば国会の責任なのかもしれませんし、各省つくるときは熱心だけれども、必要なくなったものをやめるというのは、まあどういうケースでもなかなか後手後手に回ってしまうというのが実態じゃないかと思うのです。  そこで、やはりこれは当然対象を必要最小限にすると同時に、例外が認められる期間も必要最小限にしなければいけないのではないかというふうに思います。そういう意味では、今後仮に個別法によって、これはどうしてもやむを得ないケースだということで例外をつくるときには、例えばこれは期間限定、時限立法にするとか、そういうふうに期間を明示した上で立法措置をするべきだというふうに考えるのですけれども、その辺について公正取引委員会、何か御意見がありましたらお伺いしたいと思います。
  39. 塩田薫範

    塩田政府委員 お答え申し上げます。  適用除外制度を極力必要最小限なものにとどめるべきということで、そういう観点から見直しを行うべきことは当然のことでありますが、見直しの過程で何らかのものを残す必要があるということになった場合に、先生おっしゃるようにそういった残すべき制度一定の時限をつけた制度にするべきなのか、時限はつけないで制度として残しておいて、事後においてその必要性あるいはその妥当性、そういったものについて検討をし直すか、そういう方式をとるべきか、これはいろいろな御意見があろうかと思います。現在我々がやっておりますのは、なるべく例外を少なくしたいということで、検討の結果、残すというものについては制度としての時限はつけないということで、その後の見直しについては別途判断をするといいますか、やらなければいかぬ、そういう方式であります。  もう一つは、あるいは先生の御質問の趣旨ではないのかもしれませんけれども、そういう制度が残ったときに、実際に適用除外カルテル等制度運用する場合に、いつまでもやっていいのか、あるいは時限的なカルテルという形で運用を認めるのかということでございますが、制度としてなるべく限定的にするということと、それから実際にカルテル等の適用除外活動といいますか、そういうものをなるべく限定的にするという趣旨からいいますと、あるいは運用の方では先生おっしゃるように時限をつける、そういうことも当然考える必要があろうかと思います。  こういったものについては、当然基本的な方向としては主務官庁なりあるいは私ども公正取引委員会との協議といいますか、何らかの手続関係が基本的には必要だと思いますので、そういう中で実際の運用に当たっては考える、そういうことではないかというふうに思っております。
  40. 上田勇

    上田(勇)委員 今との関連でこの適用除外法について見てみますと、例外を規定するその条件、こういったものが極めてあいまいですね。例えばこの適用除外法の第二条では適用を受けない事業団体がずっと列挙されているのですが、どのようなケースでは独禁法の趣旨に反して、どういうケースは許容されるのかといったところの規定というのがもう全然書いておりません。ここに書かれる事業団体だからどんなことをやってもいいということではないというふうに私は思いますので、こうした適用除外法についても、どういうケースというのが許容される、例外として許容される範囲というのをもう少し明確にする方向で御検討していただかなければいけないのではないかというふうに思うのです。  これは、今回少々勉強させていただいて、この独占禁止法の体系というのは非常に複雑ですね。独占禁止法の本法があって、適用除外法があって、さらに個別法がある。どこを見たら、何が禁止されていて何が例外として認められているのかというのが物すごい煩雑で、わかりにくいというふうに思います。  しかも、今ちょっと御指摘したように、適用除外法の部分というのは、そういう条件規定などが明文化されていない、わかりにくい面もあるので、この独占禁止法の本法、それから適用除外法、さらに例外的に認められる個別法によるもの、こうしたものを含めて、独占禁止法の法体系全体をもっとわかりやすく見直す必要があるのではないかというふうに思うのですけれども、今後そういう方針で法制度の整備というのを進められる考えはあるのかどうか、その辺の御見解を伺いたいというふうに思います。
  41. 根來泰周

    根來政府委員 前の法案の御質問のときにも申しましたけれども、私も全く違う社会から公正取引委員会に参りまして、法律を見ましたらなかなか難しい。ただいま委員のおっしゃったことは、本当にそうだと思います。ですから、これはやはり、一般の事業者あるいは国民がわかりやすく理解できるような法律考えるべき事態だと思います。  ただ、これは相当長いスタンスで考えないと、きょう申し上げて来年の国会でお願いするというわけにもまいらない話だと思います。しかし、これは長い期間を要すると思いますけれども、いずれにせよ、ただいま委員がおっしゃったような見地からもいろいろ考えるべき問題だと思っております。
  42. 塩田薫範

    塩田政府委員 恐縮でございますが、一点だけ補足をさせていただきたいと思います。  先生から、適用除外法の除外規定というのは法律で掲げられている団体が全部適用除外のようになっている、どこまでが許容されるのかというのが明確になっていないのではないかということでありますけれども適用除外法は確かにそういう問題点がございますので、三月に閣議決定されました規制緩和推進計画の再改定の中におきましては、制度自体の廃止を含めて見直す、それから、九年度末までに結論を出すということは先ほど申し上げましたけれども、「この際、適用除外法については、法そのものの廃止を含めて抜本的見直しを行う。」そういうことがつけ加えられておりますので、先生御指摘のような点も、当然問題意識としては入っているというふうに理解しております。
  43. 上田勇

    上田(勇)委員 冒頭申し上げました自己責任市場原理、これは、自己責任と言われても、ルールがこんなにわかりにくいのでは責任の持ちようがないというのが率直な感想であります。とりわけ、これから規制緩和を進めて、いろいろな事業者が自主的な判断、自由な判断で物事を考えるときに、やはりルールというのはもっとわかりやすくなければいけないのではないかという感じがいたします。  公正取引委員会でいろいろなガイドラインを示したり、そういう御努力をされているということは十分承知しておりますけれども、この法制度についても、やはり事業者がもっとわかりやすい、とりわけ、これから国際化ということになったときに外国事業者からもわかりやすいような法制度にしていくように、法制度の整備、それからまた、そのガイドライン等その間の努力として、公正取引委員会でも、ぜひ今後とも、今までよりも一層そういう御努力をされることを強く御要請したいというふうに思います。  特に、今回の法律、そういう意味では一番ごちゃごちゃしているところがかなり整理されたという面は評価されると思いますが、ぜひ、ただいま申し上げましたような視点から、より透明というのでしょうか、わかりやすいルールづくりのために引き続き御努力いただきたいということを御要望いたしまして、時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  44. 武部勤

    武部委員長 次に、渡辺周君。
  45. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 民主党の渡辺周でございます。  それでは、私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律適用除外制度整理等に関する法律案、民主党として質問をさせていただきたいと思います。  振り返ってみますと、独占禁止法が昭和二十二年に制定をされた。当時の日本の現状は占領下にあり、占領政策の一環としていろいろな政策が行われてきた。当時、まだ日本の国力というものがはるかに脆弱であり、貿易収支も恒常的な赤字、市場システムに対する信頼性というものもなかった。そうした時代背景の中で生まれてきた。しかし、その後、こうした適用除外制度が導入をされてまいったわけでありますけれども、そうした中で、今回、この時代になって、こうした適用除外制度見直しをするということになりましたその背景について、これまでのいきさつ、こういうものについて、まず第一点、冒頭お尋ねをしたいと思います。
  46. 根來泰周

    根來政府委員 先ほども申し上げましたように、時代の推移あるいは社会の変遷あるいは日本の置かれている国際的な立場、そういうことからいたしまして、やはり今、自由競争規制緩和ということが求められていると思います。  この独占禁止法というのは、御説明するまでもありませんけれども自由競争一つルールでございまして、このルールについては、例外がないのが理想であろうかと思います。しかしながら、ただいま御指摘のありましたように、戦後の経済の荒廃、産業の育成、その他いろいろの見地から、こういう独占禁止法適用除外という制度が認められておるのでございますが、こういう必要性については、今の社会はなるべく少なくしようという風潮であろうかと思います。  そういう風潮に応じて、またこれまでの運用実績にかんがみまして、なるべく整理しようということで所管各省にお願いいたしまして、この法律案をまとめたわけでございます。
  47. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 先ほど来の委員質問の中にもありましたように、今もお答えいただきましたが、平成元年十一月、第二次臨時行政改革推進審議会、その公的規制の在り方に関する小委員会の報告の中で、「独禁法は、市場におけるいわば普遍的な競争ルールであり、その適用除外制度は、必要最小限のものとすべきである。」云々、「競争政策の推進を図る観点からへ改めてその必要性を検討するとともに、制度を維持するものにあっても、制度適用対象範囲の見直しを進める。」平成元年の十一月でございますけれども、その後も数々の研究会の報告あるいは答申と、いろいろな提言がなされてまいりました。  その数々の答申あるいは提言を受けながら、平成元年から数えましても、今日まで、もう既に七年の時間が経過している。その結果、今回この整理の束ね法案が出てきたわけでございますけれども中身を見ますと、先ほど来指摘がありますように、もう既に運用実績がないものまでが大変多数含まれている。ほとんど現状では実績のないもの、このような長年運用実績がないものの整理になぜこれほどの時間がかかってきたのかという点についても、お尋ねをしたいと思います。
  48. 根來泰周

    根來政府委員 御指摘のように、相当の長時間を要していると思います。  先ほども申しましたように、各法律は各省庁が所管しているわけでございまして、各省庁におきましては、運用実績ということのみならず、将来の展望ということも考えましていろいろ検討した結果、今の時代にこういう必要がなかろうという御意見をちょうだいいたしまして、便宜公正取引委員会で取りまとめまして今回の法案を提出した次第でございますので、その辺は御理解賜りたいと思います。
  49. 塩田薫範

    塩田政府委員 運用実績の件につきまして、一点だけ補足をさせていただきたいと思います。  先生御指摘のように、今現在は運用されていないものということはそういうことだと思いますけれども、関与規定を通じて私どもが把握できる制度につきまして見ますと、平成元年度現在では二百六十五件の適用除外カルテルが実施されておりました。したがいまして、制度見直しということは当然でありますが、それとあわせて、実際に動いているそういったカルテル等の適用除外をなるべく早く縮小廃止といいますか、停止をしてもらいたい、そういうことで関係省庁と御相談をしてきたところでございます。その点だけ補足させていただきたいと思います。
  50. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 今二百六十五件の運用実績、そしてまたこれまで、先ほど根來委員長がお答えいただきましたように、こうした長い検討を重ねてきたということが言われてございます。今二百六十五件という話もありましたが、いまだに結論が出ていないものもたくさんある。  個別法による適用除外制度で今回積み残された制度は、今後いつまでにどのような、先ほども似たような質問がございましたけれども、特に、引き続き検討するというこの七法律制度、それぞれ今後どのような検討課題があり、いつごろまでに結論を出すのかという点について御見解をお尋ねしたいと思います。
  51. 塩田薫範

    塩田政府委員 ことしの三月の規制緩和推進計画の再改定におきまして個別法による適用除外制度の中で引き続き検討をするという制度につきまして、実際に適用除外として動いているといいますか、カルテルがあるものは、先ほど申し上げましたように、環境衛生関係で一件、それから内航海運組合法に基づく内航海運カルテルが一件、合計二件でございます。  関与規定がないということで私どもの方で正確には把握ができないというものが幾つかございますが、そういう中で、先ほど申し上げましたように、国際航空カルテルあるいは音楽著作権の関係の取り決め等があるというふうに承知をいたしております。  今回の決定で、個別法によるものについて八件継続検討するということになったわけでございますが、これにつきましていつまでにどういう作業をするのかということでございますが、これも、先ほど申し上げました規制緩和推進計画の閣議決定の中で平成九年度末までに具体的な結論を得るということにされておりますので、私どもといたしましては、関係省庁とも十分協議をしながら、九年度中に結論を出すように努力をしたいと思います。  公正取引委員会といたしましては、何度も申し上げておりますように、適用除外制度はあくまでも例外的な制度であるという基本的な考え方に立ちまして、各制度の趣旨、目的あるいは制度の必要性、妥当性、そういった点について十分検討して、関係官庁と継続的に議論をして、九年度中に結論を出したいというふうに考えております。
  52. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 九年度末までに、関係省庁とそれまで協議をしながらというような御答弁でございます。ぜひともその推移を見守りながら、我々もまたこの委員会等の中でもいろいろと質疑をしていきたい、活発な質疑をしていきたいと思うところでございます。  持ち時間が半分しかございませんので、ちょっと次の質問に移らせていただきます。  個別の問題になりますけれども、今回のこの法改正におきまして、中小企業者のみで構成する商店街振興組合を商店街振興組合法の一部改正独占禁止法二十四条第一号の組合ということにみなすことになっておりますけれども、この背景、意味というものについて伺いたいと思います。      〔委員長退席、小川委員長代理着席〕
  53. 塩田薫範

    塩田政府委員 現在商店街振興組合については適用除外ということになっておりますが、今回の改正によりまして、中小企業のみを構成員とする商店街振興組合につきましては、小規模事業者の相互扶助を目的とするというふうに考えられますことから、この旨を確認をするということで独占禁止法第二十四条によって独禁法適用が除外されている協同組合とみなすという旨の法改正をしようということでございます。
  54. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 現在の個人消費というものが、私は静岡県の沼津市というところに住んでおりますけれども、人口二十一万ほどの町、今大変地方の、あるいは東京都でもそうですが、いわゆる商店街、既存の商店街等の衰退といいますか、厳しい現状というものが指摘されて久しいわけでございます。  実は私の町の場合は、日経系のビジネス雑誌の中で、衰退する地方の顔というようなタイトルで、二年ほど前でしたでしょうか、取り上げられました。一つのモデルケースどなったわけですけれども、今個人消費というものが、地方であるいは各地域で、ロードサイドショップとでもいいましょうか、いわゆる郊外店、これを中心に、既存の商店街からいわゆる従来の商圏の外側、縁にどんどん郊外店ができることになりまして、大分状況が変わってきた、現状が従来のようでなくなってきた。全国どこへ行っても同じ形態の店ができるようになりまして、かつての商店街、町の顔というものが非常に苦しい状態になってきている、こういう問題、私ども政治家として常に切実な声が寄せられるわけであります。  そうした中で、自衛策として商店街は、郊外のそうした大型店に対抗するにはそれぞれが協力をしていかなければならない。それによってできる限り既存の顧客というものを逃がさないように、あるいは新たな魅力をつくることによって新規の顧客開拓をというような苦労をしておるわけでございます。  そうした中で、今この点からいいますと、公正取引委員会はこのような中小商業者の共同体制についてどのようなお考えをお持ちか、その点についてお尋ねをしたいと思います。      〔小川委員長代理退席、委員長着席〕
  55. 塩田薫範

    塩田政府委員 お答えをいたしたいと思います。  今回の改正は、先ほど申し上げましたように、中小企業者だけから構成される商店街の組合につきましては、二十四条の組合とみなして適用除外するということでございます。したがいまして、そういった組合共同経済事業は当然に独禁法上の問題がなく行われるということでありますが、他方、商店街の中に大企業がいた場合に一緒にやれないかという話もあるのだろうと思います。今回の改正では、二十四条の適用除外の対象になるものとみなされるものは大企業は含まないものということであります。  ただ、大企業を含んだものの場合にはどういうことかということでありますけれども、それは適用除外にはなりませんけれども、そういった団体の共同経済事業は、当然独占禁止法の枠内といいますか、独占禁止法各種禁止規定に触れない限りは問題なく行えるということでございます。  実際に商店街振興組合としてどんな共同経済事業を行っているのか、私どもは十分把握しているわけではありませんけれども、一般的には、スタンプ事業であるとか福引、大売り出しといった事業を一緒にする、あるいは駐車場を共同して設置する、こういったことが行われているというふうに承知しております。こういった共同経済事業というのが共同事業ということであれば、商店街振興組合はいろいろな業種を含む商店から構成されているわけでありますので、大企業が一部入ったということであっても、通常はといいますか、一般的に考えれば、独禁法に触れることはないのではないかなという感じがいたしております。  ただ、いずれにいたしましても、それはどういったメンバー構成でどういった事業をなされるかという個別具体的な判断によりますけれども、基本的には、今申し上げたように、今やっておられるような事業であれば、まず独禁法上問題になることはないのではないかなという感じがいたします。
  56. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 時間がもうわずかになりましたので、また一般質疑の中で、こうした地方の商店街の問題等について、通産省の方がいらっしゃるときにお尋ねをしたいと思います。  それでは、ちょっと時間がございませんが、公正取引委員会にお尋ねをします。  今回の法改正で、幾つかのいただいた資料、あるいは関係する方々にお話を伺いましても、この経済構造改革推進の流れの中で競争政策が重要となる、それによって、先ほど来言われておりますような自己責任原則と市場原理、そして競争による創意、クリエーティブな発想の確立あるいは経済活性化ということが言われてまいったわけでございます。  この規制緩和をするということによって、今運用実績のないような方々もいらっしゃいましたけれども、ただ現状、規制緩和という言葉だけがひとり歩きしますと、その規制緩和によって、非常に小規模なあるいは弱小の、現在実際に経済活動を営んでいらっしゃる方々がどのようになるか。この規制緩和の問題について、問題といいましょうか規制緩和について、実際にそういう不安の声も既存の方々の中にはある。そうした中で、組織改正も昨年された公正取引委員会が今後これから果たしていく役割についてお尋ねをしたいと思います。
  57. 根來泰周

    根來政府委員 確かに規制緩和がなされた以後、我が国の社会がどういうふうになるかということについては、楽観論、悲観論、両方があろうかと思います。  私ども公正取引委員会としては、あくまでも独占禁止法の第一条の目的を達成する、その究極の目的が国民経済の民主的な発展あるいは雇用の確保というようなことでございますので、そういうことに資するように、独占禁止法運用に抜かりなくやっていきたいと思っております。  なお、つけ加えますと、やはり消費者といいますか国民とりいますか、あるいは中小企業者といいますか、そういう点の見方も十分尊重いたしまして、独占禁止法で全部把握できるとは思いませんけれども、その中で十分やっていきたい、こういうふうに思っていますので、御理解賜りたいと思います。
  58. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 それでは、この問題につきましてもまた改めて質疑をさせていただきたいと思います。  以上で終わります。
  59. 武部勤

    武部委員長 次に、大森猛君。
  60. 大森猛

    ○大森委員 日本共産党の大森猛でございます。  今回の法案は、昨年三月末の政府の改定規制緩和推進計画決定されたもののうち幾つかを法案化したもので、おおむね私どもも問題はないと思いますが、ことし三月に決定された再改定規制緩和推進計画、これによって引き続き検討するとされている問題では、例えば内航海運組合法に基づく船腹調整制度の廃止、これなどは、労働者、中小企業者、双方から激しい反発が起きておりますし、理容、美容、クリーニングなど環境衛生組合の過度競争防止カルテルの根拠条項そのものの廃止というような大変重要な問題も含まれていると思います。  とりわけその中でも重要なことは、玉石混交といいますか、今の規制緩和の大きな流れの中で、玉も石も一緒に捨ててしまう、こういうようなことがあるのではないかという点であります。  例えば、独禁法二十四条、これも引き続き検討課題に含まれているわけでありますけれども、この二十四条というのは、相互扶助のための協同組合の行為はこれを適用除外としているものでありますけれども、この趣旨というのは、本来協同組合というのは中小企業者や消費者の相互扶助のための結合組織であり、中小企業者、消費者がこの組織を通じて団結することによって初めて大企業と対等に交渉ができる、また大企業に対する有効な競争単位となることができる、そういう趣旨があると思います。  この淵源というのは、いわゆるアメリカのシャーマン法制定後三十年後に制定されたカッパー・ホルステッド法などに由来すると言われているわけなんですが、大企業に団結して対抗してこそ初めて同じ土俵で競争になる、こういう独占禁止法の根本精神を具体化したものではないかと思います。  こういう大原則をしっかりと踏まえるのだったら、この規制緩和を今後の検討課題に据えること自体、これはもう疑問に感ずるわけでありますけれども、今後の検討結果によっては、私などは存続はもとより、場合によっては強化もあり得るということも考えますけれども公正取引委員会はこの点ではどういう角度で、どういう問題意識で取り組まれるのか、お聞きをしたいと思います。
  61. 塩田薫範

    塩田政府委員 今後の適用除外制度見直しということで、先ほども申し上げたかと思いますけれども、個別法による適用除外制度の中で、引き続き検討するものというのが八つの制度がございます。そのほかに、先生御指摘の二十四条が入っております独占禁止法本体に規定されている適用除外制度、それから適用除外法というか独占禁止法適用除外に関する法律の中で規定されているもの、これがございます。  三月に閣議決定されました規制緩和推進計画の再改定におきましては、これら三つ、要するに個別法による継続検討になったもの、独禁法本体、それから適用除外法、それぞれに規定されている適用除外制度について見直しを行う、それを平成九年度末までに行うということになっているわけであります。  独禁法二十四条の関係で御質問ございましたわけでありますけれども、二十四条の規定は、単独では大企業に伍して競争することが困難な小規模事業者あるいは消費者が協同組合組織して市場における有効な競争単位として競争することは、独占禁止法が目的とする公正かつ自由な競争秩序の維持促進に積極的な貢献をするものであるので、このような組合が行う行為には、形式的、外形的に競争制限するおそれがあるように見える場合であっても、独占禁止法の目的に反することは少ないものと考えられることから、独占禁止法適用を除外するという趣旨のものであるというふうに考えております。  ただし、その二十四条のただし書きに書いてございますように、「不公正な取引方法を用いる場合又は一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合」には、消費者利益に反し、同法の目的に反することが明白であることから、適用除外とはならないというふうに規定されているところでございます。  協同組合適用除外見直しに当たりましては、先ほど申し上げましたように、小規模の事業者あるいは消費者が大企業に伍して有効な競争単位として競争できるようにするという協同組合の趣旨を踏まえ、かつ現在の協同組合に係る法制度及びその運用活動実態がこうした制度本来の趣旨に合致したものであるかどうかという観点から、見直しを行っていくということを考えております。
  62. 大森猛

    ○大森委員 規制緩和の名のもとで、すべての経済的な規制を取っ払ってしまう、市場経済万能論あるいは競争万能論が言われているわけでありますけれども、私はこれは明確に誤りであると思いますし、これに対する懸念も今改めてさまざまな形で出されてきているわけであります。  日本経済の土台とも大黒柱とも言える中小企業あるいは零細業者が本当に活力を持って活躍できるようにするためにも、独禁法の根本精神でありますこの二十四条の哲学をしっかり踏まえて今後の対応をしていただきたい、このことを強く要求をしておきたいと思います。  次に、中小企業庁関連の法案も盛り込まれているわけでありますけれども、一昨日、中小企業家同友会の方と来年度予算の要望を含めて懇談を行う機会がありましたが、日本経済不況回復を言われておりますけれども中小企業分野では引き続き産業空洞化等々、さまざまな深刻な事態が生まれてきているわけであります。  中小企業庁においては、この間の一連の見直しの基本的スタンスをどうとってきたか、そして、あわせて今後の抜本的な対策についてお聞きをしたいと思います。
  63. 岩田満泰

    岩田(満)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、空洞化の懸念というようなことがしばしば言われるわけでございますが、その背景には、我が国経済のいわゆる高コスト構造というものが存在いたします。その是正のために現行存在する規制緩和を進めていくということは、どうしても不可欠の条件になっていると理解をいたしておるわけでございます。  しかしながら同時に、規制緩和を進めますに当たりましては、その影響を受ける事業者というものが一方に存在をすることも否定ができないところでございまして、そうした事業者が規制緩和という変化の中でその事業体質を改善をするとか、あるいは新しい事業分野の仕事に取り組むというようなことが円滑に行われるような環境整備を図るということも極めて重要なことであると理解をいたしております。本日閣議決定されました経済構造の変革と創造のための行動計画におきましても、そのような趣旨のことが記載をされておるところでございます。  今回御提案申し上げました改正案につきましても同様の観点に立ちまして、中小企業経営の安定あるいは合理化のための制度の必要性というものも配慮をいたしまして、安定事業合理化事業本体に関する規定及び安定事業本体の効果を担保するための必要最小限アウトサイダー規制命令、安定命令でございますが、これは当面引き続き存続をさせるとでりことで御提案を申し上げておるところでございます。
  64. 大森猛

    ○大森委員 きょうの質問者四名のうち、くしくも三名までが横浜在住者でありますけれども、横浜といえば港横浜であります。今回の一括法案の中で港湾運送事業法、これも入っていますし、今後引き続き検討する課題の中でも港に関係するものが少なくないわけであります。港横浜、ブルーライト・ヨコハマなどという言葉もありますけれども、今横浜港は非常にたくさんの問題が集中しておりますので、これに関連してお聞きをしたいと思います。  第一に申し上げたいのは、港の持つ公共性が非常に高いということであります。  私たちが今食べている食糧の五四%が輸入食品。O157など大問題になっておりますけれども、残留農薬、食品添加物などなど輸入食品をめぐる不安や麻薬等の密輸入、密入国なども水際で監視し、チェック機能を果たすべき港の役割は極めて大きいものがあると思います。  しかし、そこの港湾のチェック体制がどうなっているかといいますと、コンテナ輸送による食品の防疫検査では、昨年七月から命令検査が行われるようになったが、それまでは輸入業者の届け出による自主検査に任されて、九五年度の届け出件数は百五万件、うち検査件数は七万四千六百三十四件、七%にとどまる。現在でも現物検査は五%しか実施していない。九〇%以上が無検査、いわゆる書面審査のみで国内に食物等が持ち込まれているような現状であるわけであります。  また、港湾経済的な役割も大変大きい。港なくして日本経済の発展はない。港湾産業はいわば国の基幹産業とも言えるような、そういう性格を持っていると思います。とりわけ国際貿易港横浜港は京浜地帯における工業発展等に大きな役割を果たしてきたわけでありますけれども、それだけに、この港湾産業を支える港湾業者、それに従事する港湾労働者らの営業の安定的な発展あるいは暮らしや権利の擁護等も、まだそういう観点からこれは保障されなければならないと思います。  そうした点からまず運輸省にお聞きしたいわけなんですが、こういう港湾役割、公共性からいって、港湾運送事業者の役割も重大だ。だからこそ港湾運送事業法は免許制をとり、運送料金については認可料金制度をとっている、こういうことになるわけで、こういう点は今後ますます私は積極的な意義を持ってくると思いますが、いかがでしょうか。
  65. 長光正純

    ○長光説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、港湾運送事業の料金につきましては現在法律に基づいて認可をされておるわけでございますけれども、こういった認可料金を適正に収受してまいる、これがやはり港湾運送に係ります荷役の安定的かつ円滑な確保につきましては極めて重要であるというふうに運輸省としても認識しておるところでございます。これはひいては港湾運送事業の健全な発達にとっても欠かせないことだと思っております。  こういったことで、例年事業者の業務監査等によりまして料金収受の実態等も把握してまいっておるところでございますけれども、残念ながら、監査いたしました件数の六割から七割は九〇%の認可料金収受率にとどまっているというような状況でございまして、今後とも引き続き適正な料金収受に向けて、これは荷主の御理解と御協力というものも不可欠でございますけれども、努めてまいりたい、このように考えております。
  66. 大森猛

    ○大森委員 港湾における運輸行政が、認可料金制度というのが大きくゆがめられているという実態。今六割、七割とおっしゃいましたけれども、六割の業者に警告を発しなくちゃいけないというような状況とか、あるいは認可料金の九割に達していない、多くの業者がそういうぐあいになっているということだと思いますが、私はこの間業者の方にずっと聞き取り調査も行ってまいりましたけれども、実態というのはもっともっとこれは今深刻な状況になっております。  例えば電機メーカーの場合、倉庫でのコンテナ詰め料金、これが五千五百円が認可料金、それが三千円になっている。これは商社の場合はもっと安くて二千五百円。ですから、五割を切っているわけですね。私がいろいろ事情聴取した中でも、もう今では五割カット、これは当たり前の話になっているというような状況でございます。  しかもこれは、もちろん業者が、運送事業者が好んでダンピングをやっているわけじゃなくて、荷主、これはもう大手の荷主も当然入っているわけでありますけれども、そちらからダンピングが強要される。ひどい話は、とにかく見積もりを出させて、認可料金なのに見積もりを出させること自体問題であるのに、二、三社に見積もりを出させて、そして一番ダンピングしたところを選ぶような、そういう状況が生まれているわけであります。  現在の港湾運送事業法では、ダンピングした港湾運送事業者だけが罰せられる、港湾運送事業者より優越的な地位を持つ荷主などが罰せられない、こういうことではやはり運輸行政のゆがみを正すことはできないと私は思うわけでございます。それで、荷主への勧告制度、あるいは荷主にも罰則が適用されるような両罰規定等こそが今必要な段階に来ているのではないかということを考えるわけでありますけれども、運輸省として、この点、積極的な御答弁をぜひお願いをしたいと思います。
  67. 長光正純

    ○長光説明員 先生ただいま御指摘のございました荷主に対する勧告制度とかこういったものにつきましては、これは現在の法制度上では改正も必要となろうかというようなことでございますけれども、先生も御指摘のとおり、認可運賃の適正収受につきましては、荷主の理解と協力を含めた関係者のいろいろな努力が必要だろうと思っております。私どもといたしましては、その方向に向けてどんなことができるかということを真剣に考えてまいりたいというように思っております。
  68. 大森猛

    ○大森委員 ぜひ法改正も含めて対応していただきたいということを改めて強く要望をしておきたいと思います。  港における港湾運送事業者を苦しめているもう一つの大きな問題が、商社などが輸入の際税関に払うべき消費税、関税を運送事業者が立てかえている、こういう問題がございます。  これも私どもいろいろ調査をしてまいりましたけれども、とにかく業者によっては五億円も立てかえさせられなくてはならない、消費税、関税、その他ですね。それから、平均でも一億円前後を常に立てかえを強要されているような状況になっているわけであります。こういう実態について、きょう大蔵省来ていただいていると思いますが、実態を御存じでしょうか。
  69. 花角和男

    花角説明員 御指摘のように、通関の際に荷主が支払うべき関税及び消費税につきまして、通関業者が荷主に対するサービスの一環としまして立てかえ払いを行う場合があるということは承知しているところでございます。この立てかえ払い、これは例えば貨物の引き取りを急ぐような場合に行われているようでございますが、基本的には荷主と通関業者の問題であると考えているところでございます。  しかしながら、関税及び消費税には納期限を三カ月間延納できる制度がございまして、荷主がこの制度利用すれば貨物を引き取る際に関税等を納付する必要がございませんので、これによって立てかえ払いが少なくなるとも考えられる次第でございます。したがいまして、大蔵省としましては、今後とも機会あるごとに延納制度について荷主に説明していきたいというふうに考えております。
  70. 大森猛

    ○大森委員 きょう具体的に業者の請求書などもお借りしてきましたけれども、請求金額三十七万四千五百円ほどの合計金額の中で、実に七六%、二十八万五千円が立てかえ払いになっているわけですね。自己資本金のそれこそ二倍、三倍という規模の立てかえをさせられていて、消費税が今回五%に上がった、これがさらに上がれば立てかえ倒産ということもあり得るというのが業者の皆さんの声であるわけでありますね。  先ほどの御答弁で、基本的には荷主と業者の間の問題であるとされながら、しかしながらという御答弁でした。そのしかしながら以降の部分、包括的な延納制度等を含めて実質的に効果のあるそういう対策を大蔵省としてもぜひ御努力をいただきたいと思います。  最後に、これに関連して公正取引委員会にお尋ねをします。  今申し上げましたように、港湾運送事業者が、一方では大手荷主からの、メーカーからのダンピングの強要、一方ではこういう立てかえ払いの強要、こういうものがあるわけでありますけれども、明らかにこれは、そういう中小業者、それこそ圧倒的な優越的な地位を持つ荷主等によって行われているわけであります。独禁法第十九条に基づく不公正な取引、その中で優越的な地位の乱用に当たる、そういう条項もあるわけでありますけれども、こうした事態というのは、私は、優越的地位の乱用に当たる可能性が、そのおそれがあるのではないかということを強く感ずるわけであります。  そういう点で、本当に公正な競争を行う、そのための条件整備を行うためにも、この問題について公正取引委員会においても必要な調査をぜひ行っていただきたい、このことを要望して、そのお答えを聞いて、時間が参りましたので私の質問を終わりたいと思います。
  71. 山田昭雄

    ○山田政府委員 お答えいたします。  港湾運送事業者が荷主にかわりまして輸入貨物を受け取る際に輸入に係る消費税あるいは関税を立てかえ払いで払っている、こういうようなことがあるということは私ども存じておるわけでございますが、それは荷主と港湾運送事業者との取引条件の問題でもございまして、それ自身が直ちに独禁法上の問題になるということではなかろうと思います。しかし、そういう中でも優越的地位の乱用行為に当たることがあるのではないかという御指摘でございます。  優越的地位の乱用行為に当たるかどうかということにつきましては、荷主が取引上優越的地位にあるかどうか、例えば取引の依存度であるとか市場における地位とか荷主をかえることができないというような、いろいろな条件をまた考えなければいけません。また、行為の不当性につきましても、これも判断しなければいけない。いわば個別具体的な事案に即して考えていく必要がある、このように考えている次第でございます。
  72. 大森猛

    ○大森委員 終わります。
  73. 武部勤

    武部委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
  74. 武部勤

    武部委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律適用除外制度整理等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。       〔賛成者起立〕
  75. 武部勤

    武部委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 武部勤

    武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————       〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  77. 武部勤

    武部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十八分散会