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1997-05-13 第140回国会 衆議院 商工委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月十三日(火曜日)     午前十時二分開議  出席委員   委員長 武部  勤君    理事 小川  元君 理事 小此木八郎君    理事 中山 成彬君 理事 茂木 敏充君    理事 遠藤 乙彦君 理事 西川太一郎君    理事 大畠 章宏君 理事 大森  猛君       甘利  明君    小澤  潔君       奥田 幹生君    加藤 卓二君       亀井 善之君    岸田 文雄君       河本 三郎君    自見庄三郎君       中島洋次郎君    林  義郎君       船田  元君    伊藤 達也君       石井 啓一君    鍵田 節哉君       河合 正智君    神田  厚君       古賀 正浩君    島   聡君       達増 拓也君    中野  清君       吉田  治君    末松 義規君       渡辺  周君    吉井 英勝君       横光 克彦君    前田 武志君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     根來 泰周君         公正取引委員会         事務総長    糸田 省吾君         公正取引委員会         事務総局経済取         引局長     塩田 薫範君         公正取引委員会         事務総局経済取         引局取引部長  山田 昭雄君         経済企画政務次         官       河本 三郎君         法務大臣官房審         議官      柳田 幸三君         大蔵大臣官房審         議官      尾原 榮夫君         通商産業大臣官         房審議官    藤島 安之君         中小企業庁計画         部長      田島 秀雄君  委員外出席者         大蔵大臣官房審         議官      中井  省君         労働大臣官房審         議官      日比  徹君         商工委員会調査         室長      安本 皓信君     ————————————— 委員の異動 五月十三日  辞任         補欠選任   島津 尚純君     河合 正智君 同日  辞任         補欠選任   河合 正智君     島津 尚純君     ————————————— 本日の会議に付した案件  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第六八号  )      ————◇—————
  2. 武部勤

    武部委員長 これより会議を開きます。  内閣提出私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。自見庄三郎君。
  3. 自見庄三郎

    ○自見委員 自由民主党の自見庄三郎でございます。  今、武部商工委員長からお話がございましたように、私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして若干の質問をさせていただきます。  世の中も経済も大変変わってくるものでございまして、特に、御存じのように米ソ冷戦構造崩壊、このことが政治社会のみならず経済にも大変大きな変化をもたらしたということは、国民皆様方も御承知のとおりでございます。市場経済普遍化、こういったことが米ソ冷戦構造崩壊に引き続きまして起こってきたわけでございます。  私も一昨年、あるいはその前、ロシアあるいは東欧に行かせていただきました。従来、冷戦構造の中であれば、まさに米ソを頂点としたいわゆる社会主義国自由主義国というのが鉄のカーテンで仕切られて、お互いの経済が別々の経済であるというふうな感じが強く、特に、社会主義国においては自給自足だ、その中で域内の経済をやるということが非常に特徴づけられたわけでございますが、御存じのように、米ソ冷戦構造崩壊だということでございまして、東欧の多くの国もまさに自由主義市場参入をいたしておりますし、ロシアでも大変苦しい中で経済再建のつち音が聞こえる。  また、連休中は私は、山崎拓自民党政調会長団長で私も副団長という、末席でございましたが、江沢民に会ったのを初め、中国に行かせていただきました。二十五年前も中国に行かせていただきまして、二十五年前、十一年前、またことしと北京を訪問させていただいたわけでございますけれども御存じのように、社会主義の中で自由主義経済的なもの、資本主義とは言わないでしょうが、社会主義の中で非常に経済活性化してやる、十七年間で中国のGNPは約五倍になったということは皆さん方よく御存じでございます。まさに東欧ロシア中国もこの国際市場の中に参入をしてきて、そういった大きな世界的な、グローバル世界経済の変革が今進行中だというふうに私は思うわけでございます。その中で、委員皆様方もうよく御存じのように、アジア諸国の急速な台頭、特に、NICSた、NIESだ、こう言われたわけでございますけれども世界経済の中で今一番活発な経済をしているのはこのアジアだということは、これはもう世界方々が広く認めるところであろう、こりいうふうに思うわけでございます。まさにそういった中で、企業活動ボーダーレス化の加速、あるいは各国企業間の競争の激化、各国企業関連システム競争、そういった現象が起きてきまして、企業拠点活動を国境を越えて自由に移動するというふうな傾向が強くなり、ますますその傾向は二十一世紀に向かって強くなってくる、こう思うわけでございます。  一方、我が国の経済社会潮流変化といたしましては、御存じのように国内産業成熟化新規産業展開のおくれということがございまして、この委員会でも、ベンチャービジネス支援をしようというような、実はたくさんもう法律が通ったわけでございます。また、円高の急速な進展、製造業等海外展開産業空洞化懸念、私ごとで恐縮でございますが、私は福岡県の北九州市選出の国会議員でございますから、まさに鉄の都であったわけでございまして、新日鉄八幡製鉄所を初め住友金属、たくさんの製鉄所で働いておられる方々、あるいはそのすそ野の中小の企業がたくさんあったわけでございます。この辺が、最近の円高産業空洞化で、大変高い技術を持ちなから呻吟をしているということは政治家として実態に触れて感じるわけでございます。  一方、国内は、御存じのように高齢化長寿化でございます。人が長く生きるということそのものは大変すばらしいことでございますが、高齢化に伴いまして、先般も衆議院を健康保険法の一部を改正する法律案が通りましたが、国民方々にこの医療費の御負担を、大変苦しい話でございますが、御負担増をお願いせねばならない。なおかつ、価値観が変わってきておるわけでございます。伝統的な家族意識がどんどん変化しつつあるということは、よく御存じのとおりでございます。そういった中で各企業は生き残りをかけた抜本的な事業の再構築を推進せねばならない、こういった時代的背景御存じのように今あるわけでございます。  そういった中でまさにこの独占禁止法改正ということが今までもたびたび、昭和二十二年、基本的に財閥解体、この法律歴史的意義があるわけでございますが、その中でたびたび、この純粋持ち株会社解禁してはどうかという論議が波のように押し寄せてきて去っていったということは事実でございます。今言ったような大きな世界潮流の中で、やはり政府がこの法律改正を、なおかつ与党三党の大変な御努力のおかげで、なおかつこの委員会方々の本当に真摯な取り組みのおかげで、私は今日、このいわゆる独占禁止法改正案内閣が提出できた、このように思うわけでございます。  もう皆さん方御存じのように、独占禁止法目的というのは、「一般消費者利益確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発展促進すること」にあるわけでございまして、そのためには、事業支配力過度集中を防止し、公正かつ自由な競争促進しなければならない。そういった意味で、従来は、株式を所有することにより国内会社事業活動支配することを主たる事業とするいわゆる純粋持ち株会社には、本来過度事業支配力集中する有効な手段となり得る可能性があると考えられてきて、戦後五十年たつわけでございます。  憲法九条とこの独占禁止法九条、もう一つの九条、いろいろな長い間の論争あるいは試みがあったわけでございますが、そういった中で、米ソ冷戦構造が終わり、世界経済が大きくグローバル化あるいは大競争時代になってこういった法律が出てきたということは、時代の認識あるいは歴史的なことを考えますと、まさに時宜を得たものだ、こういうふうに私自身は思うわけでございます。  それでは、与えられた時間が四十分でございますから、質問を少し政府の方にさせていただきたいと思います。  純粋持ち株会社、いろいろな論議があったわけでございますが、これまでも、他地域への進出や多角化によって他の地域や他部門コストリスクを転化されるおそれがある、不適切な多角化が行われるおそれがあるというふうな問題点が以前から指摘をされてきたわけでございます。これについては、各種の規制事業法、いわゆる各業界に対する事業法があるわけでございますが、その中で処理できるため、純粋持ち株会社形態そのものは問題ではないと考える見解があるわけでございますが、このことにつきまして公正取引委員会としてはいかにお考えか、教えていただければと思います。
  4. 塩田薫範

    塩田政府委員 お答え申し上げます。  持ち株会社形態を用いることによりまして、今先生指摘のように、他地域やほかの部門におけるコストあるいはリスク、そういったものを転化するといいますか、そういうことが起こるかどうかというのは、実際に個々の持ち株会社グループ経営判断にかかるところが多いというふうに考えておりますけれども先生指摘のように、参入規制であるとか価格規制、そういった規制が行われている業界におきまして、業界といいますか企業におきまして、そのような規制を免れるような行為が行われる、あるいは他業に進出する、そういうようなことがありましたとすれば、それぞれの関係業法といいますか、そういったものに基づきまして適切に対処され得るのではないかというふうに考えております。  なお、公正取引委員会といたしましては、今回提案しておりますように、事業支配力過度集中を防止するという独禁法一条の目的規定を踏まえまして、事業支配力過度集中することとなる持ち株会社については引き続き禁止をしていく、そういうことで法案をお願いしておるところでございますけれども、この法案をお認めいただきましたら、そのような法律に従って適切に対処していきたいというふうに考えております。
  5. 自見庄三郎

    ○自見委員 わかりました。そういった各業界に対する業法というのはあるわけでございますから、参入規制あるいは価格を決めたいろいろな業界事業法もあるわけでございますから、基本的にその中で処理できる、そういったことで純粋持ち株会社そのものの、何と申しますか、因果関係と申しますか結果ではないんだ、こういった答弁だと思うわけでございます。やはりそこら辺は、まさに独占禁止法経済憲法とも言われるわけでございますけれども、その憲法の中できちっと国益を守り、経済発展を促し、その中できちっと雇用を確保していくということは、各業法の中でまさに政府が、国会が知恵を絞っていくことだ、こういうふうに私は思うわけでございます。  二番目の質問でございますが、これまでの法制では対日投資阻害要因となってきたという意見もあるわけでございまして、今回の解禁によって対日投資円滑化が進むと思われる。これは国際的な経済ハーモナイゼーションをしようということでございまして、御存じのように、日本韓国だけが純粋持ち株会社解禁をしない、こういう状況にもあったわけでございますから、この持ち株会社、全部これは原則は自由でございまして、一部、後からの話にもありますが、金融持ち株会社等々三つほどきちっとまだ規制を残すところがあるわけでございますが、そういったことで対日投資円滑化が進むというふうに私は思うわけでございますが、これは通産省でございますか、公正取引委員会、両方の御意見を聞かせていただきたいと思います。
  6. 塩田薫範

    塩田政府委員 お答えいたします。  現在持ち株会社を全面的に禁止しているということが対日投資阻害要因になっていたのではないかという御指摘といいますか、そういう意見があることは承知しておりますけれども、私どもとしては、そういった阻害要因にはなってはいないというふうに考えております。  そうはいいましても、持ち株会社一定範囲解禁することによりまして、外国企業につきましても、現に欧米諸国経営に認められております持ち株会社形態企業経営の選択肢として利用できるようになるということでございますので、そういった意味では対日投資円滑化に資するという効果もあるのかなという感じがいたしております。  なお、諸外国の中には、今回の持ち株会社解禁、特に全面解禁系列強化につながるのではないかという懸念を抱く向きもあるようでございます。仮にそのような事態になりますとかえって対日投資阻害要因になるというふうに考えておりますので、私どもといたしましては、事業支配力過度集中することとなる持ち株会社については引き続き禁止をし、しかもそれの実が上がるように努めてまいりたいというふうに考えております。
  7. 藤島安之

    藤島(安)政府委員 お答え申し上げます。  純粋持ち株会社外国企業の対日投資円滑化関係につきましての考え方は、ただいま公正取引委員会が説明したものと私どもも基本的に同じように考えているところでございます。今般の持ち株会社解禁によりまして、いろいろな制約が解消されまして、対日投資活発化をすることを期待したいわけでございます。  通産省といたしましては、日本に対する諸外国の直接投資が拡大するということは日本経済活性化に資するものという観点から、これまでもいろいろな面で対日投資促進するための施策を講じてまいりました。外国企業の支店や子会社向けの税制の特例措置低利融資投資情報提供等、いろいろな支援策を実施しているところでございます。今般の純粋持ち株会社解禁によりまして、これらの支援策と相まちまして、対日投資が一層促進が図られるものと期待しているところでございます。  引き続き、経済構造改革の一環としてこうした対日投資促進に積極的に取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
  8. 自見庄三郎

    ○自見委員 対日投資のアクセラレーションと申しますか、活性化につながるというふうなことが、通産省の方からも、公取は少しニュアンスが違いますが、基本的にはそういう答弁があったわけでございます。  やはり経済ボーダーレス化でございます。今度改正をさせていただくのは、御存じのように国際的な、できるだけハーモナイゼーションをしよう、日本韓国だけ純粋持ち株会社禁止をされていたわけでございますから、できるだけ同じ土俵で、世界経済の中で相撲がとれるようにと申しますか、参入自由だ、対日投資もそういったことで、それが障害にならないようにやっていこうということでございますから、そういった意味でも、私も強く、ぜひ独禁法改正が対日投資促進要因になっていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  同時に、これは独占禁止法でございますから、やはり公平、公正ということも非常に大事な側面でございまして、一般消費者利益確保する、結局、そういったことが回り回って経済が一番大きくなることだ、こう思うわけでございます。独占禁止法改正すれば、海外投資が、日本に対する投資がふえるという話もあったわけでございますが、そのことが本当の意味日本経済活性化健全化に役立つと確信をするわけでございます。  次に一点、これはまた後からもちょっと関係しますが、少し細かいような質問なのでございますが、先般からもいろいろ出ておりました巨大規模判定基準。これはもう御存じのように、今回の法律の骨子でございますが、基本的に純粋持ち株会社解禁をする。しかし、事業支配力過度集中するような持ち株会社、あるいは、これは先般の委員会でも問題に出ておりました、いわゆる金融持ち株会社、大規模金融会社と、金融または金融と密接に関連する業務以外の事業分野事業者を擁する場合、それから三番目が、もう御存じのように、相互に関連性を有する相当数の主要な事業分野だ、これが各事業分野においてはシェアが一〇%以上、あるいは順位が三位以内、こういうふうな一応の説明は受けているわけでございますが、ガイドラインにおいて規定する。  このことは後からちょっと聞かせていただきたいと思うわけでございますが、まず巨大規模判定基準が、総資産が十五兆円以上、届け出基準については資産額が三千億円以上となっているということでございますが、この根拠は何か。先般も委員の中から、二十兆円と十兆円が出て真ん中をとって十五兆円にしたのじゃないか、こういった御意見もたしかフリーディスカッションのときに出ておったやに記憶をしておるわけでございますが、この根拠についてどう考えるか、公正取引委員会にお知らせいただきたいと思います。
  9. 塩田薫範

    塩田政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、今回の改正法案におきまして事業支配力過度集中することとなる持ち株会社禁止する、その過度集中することとなる持ち株会社とはどういうことかということで、九条五項に定義規定を置いておりますけれども、その中で総合的事業規模が大きいということを具体的にどういうふうに示すのかということで、私どもとしては、グループの総資産でございますが、十五兆円ということを想定しております。これは、いわゆる六大企業集団の中で一番規模の小さいグループ金融を除いたメンバー企業の総資産が約二十一兆円でございますが、このことを踏まえまして、このグループのすべての企業が入るということではなくて、多少入らない企業があったということを想定してもやはり問題であるということで、過度集中ということで規制をするといいますか禁止をする、それが適当であるということで、その十五兆円ということを考えたものでございます。  それから、持ち株会社一定規模以上のものにつきましては、届け出をしていただくことにいたしております。それで、私どもとしてはグループの総資産が三千億円を超えるものを考えております。これは、私どもとしては当初はグループの総資産五千億円超というものを考えていたわけでございますけれども、いろいろ御議論がありまして、持ち株会社については全面禁止から今回初めて解禁をするということでございますので、監視の範囲といいますか、チェックをする対象として、私どもが当初考えていたものより若干広目にとるのが妥当であるということで、三千億円ということを想定しているものでございます。
  10. 自見庄三郎

    ○自見委員 そこらあたりは、また後でガイドライン内容にも関係するのかな、こう思うわけでございますけれども、次に質問を移らせていただきます。  改正案では、子会社持ち株比率が五〇%を超えるとなっております。実際に間接保有を含めて五〇%以下でも企業実効支配は可能であるというふうに思うわけでございますが、持ち株会社事業支配力集中を過小に評価することにならないのかという質問でございます。  今事業持ち株会社は許されているわけでございますから、例えば大きな企業にいたしますと、たくさんのいわゆる子会社というのを持っているわけでございます。聞いてみますと、これは三三%以上株を持っておけば、株式会社の定款の変更のときに拒否権がございます。実態は、人的交流もございますから、二、三〇%あればしっかり実際、実効としては支配をしているのではないか、こういった意見経済界あるいは学会にもあるわけでございますが、その点につきまして、こういった規定だと持ち株会社事業支配力集中を過小に評価することにならないのかという質問でございます。
  11. 塩田薫範

    塩田政府委員 委員指摘持ち株会社定義あるいはその過度集中となるかどうかの判断対象ということでございますけれども、まず最初に、今回の独禁法改正案によりまして、持ち株会社定義といたしまして、その支配子会社といいますか、子会社というものの対象を、商法の規定を参考にいたしまして、株式所有比率五〇%超という形式的な要件を設けております。これは、先生指摘のように、株式所有比率が五〇%以下でありましても、他の株主との関係、あるいは役員派遣融資その他の結びつきによりまして支配可能である会社ということはあると思いますが、持ち株会社定義を明確化するという観点から、五〇%超ということにいたしたものでございます。  持ち株会社定義は今申し上げたようなことでございますけれども、次に、持ち株会社についての事業支配力過度集中することとなるかどうかという判断に当たりましては、株式所有比率が五〇%以下でありましても支配関係にあるという会社につきましては、これを含めて判断をするという規定ぶりになっているところでございます。
  12. 自見庄三郎

    ○自見委員 持ち株会社に関するガイドライン作成することについての基本方針並びに具体的内容、これは今さっき私ちょっと申し上げましたが、この点が今回の法律のまことに大変大事なところだし、またまさに、独占禁止法ですから、公正、公平にやるということも透明でやるということも大事でございます。どうもここら辺が、きちっとやはりこの商工委員会あるいは議会の御意見をしっかり入れて、これを踏まえたガイドライン、そしてガイドライン作成過程、あるいはそれがオープンであるかということも、日本国のみならず外国にとっても、非常に日本はきちっとルールのわかった国だ、こういったことになるわけでございます。  今までとかく、法律はありますけれども、そこら辺はどうもやみの中だ、悪い言葉で言いますと、官僚機構のまさに裁量権の中にあるから聞きに行かないとわからない、それが今日のいろいろな、戦後五十年たった問題を生んだのも事実でございます。ひとつここら辺は、まさに経済憲法を変えるわけでございますから、ガイドライン作成、これは与党三党の合意でもきちっと書いてあるようでございますけれども、非常に重要なポイントだ、私はこう思うわけでございますから、その点についての御意見と、持ち株会社解禁後へもし二の法律が通れば持ち株会社解禁されるわけでございますが、公正取引委員会持ち株会社への対応について、将来的な話でもございますが、この二つについて御答弁をいただきたい、こういうふうに思います。
  13. 根來泰周

    根來政府委員 ただいま、ガイドラインの問題とへそれから、この国会のお許しを得てこの法律が成立した場合、どういうふうなことを公正取引委員会としてやるべきかという御質問でございました。先日来の各党各派の御意見あるいは各委員の御意見を承りまして、私なりにまとめましたことを申し上げたいと思います。  まず、ガイドラインの点については、いろいろ御懸念を表明される方がございました。それは、一つは客観的に明快なガイドラインをつくるという御要望でございました。  これはもとより、今の法律案の定める、改正法案の第九条第五項の趣旨を演縛するといいますか、わかりやすく具体的に説明するといいますか、そういう趣旨ガイドラインをつくるものでございますから、もちろんできる限り明快にわかりやすく客観的に定めたい、こういうふうに思っているわけでございます。また、その内容につきましては、これまでの国会の御意見等を踏まえまして、よく部内でも練りまして、そして定めたい、こういうふうに思っております。  といいますのは、一部御意見がありましたように、公正取引委員会が恣意的に扱うのではないかという御意見もございましたから、恣意的に扱うというような疑念を晴らすためにも、正確に、かつ大勢の方の御意見を聞いて定めたい、こういうふうに思っているわけでございます。  それから、この法案がこの国会のお許しを得て成立した場合には、それでは私どもはどういうことをしますかといいますと、そのガイドライン作成ということが第一番でございます。  それから第二番目に、これも委員の方から御意見がございましたけれども持ち株会社解禁、条件的解禁でございますけれども解禁だけでは終わらない、例えば税法の問題とか労使の問題とかいろいろあるではないか、そういう環境整備をどうするのかという御意見がございました。もとより、この環境整備といいますかそういう諸条件につきましては公正取引委員会の権限外のことでございますけれども、この法律には第一条に「事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者利益確保する」、こういうふうに書いてあるわけでございますから、そういう趣旨のもとに、各関係官庁に対してもあるいは関係者に対しても、こういう観点に立って法律改正趣旨もよく説明して御協力をお願いしたい、こういうふうに考えております。  それから、積み残しといいますか、金融持ち株会社の制度がまだ残っているわけでございますが、この策定は当然各業界業法の整備ということを待って行われるわけでございますけれども、この改正に当たりましても、独禁法趣旨を外さないようにひとつお願いするということで関係当局にもお願いしたい、こういうふうに思っております。  それから、持ち株会社というのは、先ほど来御意見がありましたように、五十年間禁止されていたわけでございまして、正直なところ、私ども事業者の方も、また国民一般の方も、一体どうなるかということについては正確な地図というのはなかなか描きがたいところがあると思います。それで、この制度が解禁された場合には、独占禁止法趣旨に反しない運用をされているかということについて、私どもも厳重な監視を行いたいと思っております。  それから、さらに御意見がございましたが、中小企業者あるいは消費者の立場はどうなるかという御意見もございました。そういうことについては、この法律が施行された後には、私どもも中小企業者あるいは消費者団体等の方からも組織的に意見を吸い上げて、その誤りなき施行をしたい、こういうふうに考えております。もとより、この持ち株会社の行使の主体といいますか、その主体であります事業者あるいは事業者団体についても、どういう運用をするかということについて意見を聞きたいというふうに思っているのでございます。  そして、この法律には五年後の見直しということを言われているわけでございますが、その五年間にそういうふうないろいろの意見の、あるいは実態の積み重ねをいたしまして、また要すれば法律改正ということをお願いすることもあろうかと思います。  以上、申し上げたとおりでございます。
  14. 自見庄三郎

    ○自見委員 根來公正取引委員会委員長から、明快でわかりやすい、ましてや人から恣意的だと疑われるようなことはしないとはっきり言われたわけでございます。その決意できちっとやっていただきたい、こう思うわけでございます。  同時に、今委員長のお話にもございましたように、税制の問題あるいは雇用の問題、一公正取引委員会だけでは自分たちの所掌外だという話があったわけでございますから、これは当然、武部委員長のもとで我々国会がきちっと機能するべきことであると同時に、客観条件あるいは周辺環境整備と申しますか、そういったことも大変大事でございますから、その辺は我々の責任でもございますから、引き続ききちっとやらせていただかなければならない、こういうふうに思うわけでございます。  今話に出ましたように、今回、金融持ち株会社については、御存じのように別に法律で定める日まで解禁をしないということになったわけでございます。これは金融関連業法の整備が前提となっているものだ、このように理解しておるわけでございますが、これまでの金融関係業法が整備されないと、いつまでたっても金融持ち株会社解禁されないではないか。そういった意味で、金融関係業法整備のスケジュール、今、金融機関が御存じのように不良債権を抱えておりまして、大変呻吟をいたしております。このことが日本国の景気の活性化に大変マイナスの要因を働かせているところもあるわけでございますが、そういった国内的な喫緊の課題を解決するためにも、やはりこの純粋持ち株会社あるいは金融持ち株会社ということは、外国の例なんかも勉強させていただいても大変有効ではないかというふうに私は思うわけでございます。その点が一点。  それから同時に、もう一点、金融持ち株会社が銀行と一般の事業会社を傘下におさめる場合については、金融行政の観点から規制する必要があるのではないか、この点について。  質問二点でございますが、大蔵省から御見解を伺いたいと思います。
  15. 中井省

    ○中井説明員 お答え申し上げます。  持ち株会社の導入につきましては、我々としましても、金融の効率化や事業者利便の向上等に資するものでございまして、現在進めております金融システム改革の中で極めて重要な意義を有するものと考えている次第でございます。こういう基本的な考え方に立ちまして、現在金融システム改革に関する検討を行っております関係審議会におきまして、持ち株会社に関する活発な議論が行われているところでございます。こうした議論や諸外国の制度を踏まえまして、また預金者、保険契約者、投資者の保護、それから金融機関の経営の健全性の確保等、金融上の観点からの検討を行いまして、改正独禁法の施行期日をにらんで可及的速やかに準備を進めてまいりたいと考えております。  それから、次の御質問でございますが、いわゆる一般の不動産業務にかかわる問題でございます。現在、金融制度調査会におきまして、申し上げましたように預金者の保護等の金融上の観点からの検討が行われているところでございます。その中の一環で、金融持ち株会社傘下の子会社が行い得る業務の範囲につきまして検討が行われているところでございます。現在検討中のところでございますので、まだ結論が出ておりませんので詳細は差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的に申し上げますと、銀行が持ち株会社形態をかりまして一般向けの不動産事業に進出することにつきましては、銀行に現在業務範囲制限が課されている趣旨からしまして、慎重な検討を要するものと考えられております。  いずれにしましても、この件につきましては、金融制度調査会における議論を踏まえつつ適切に対処したいと考えている次第でございます。
  16. 自見庄三郎

    ○自見委員 大蔵省に質問でございますが、ついでに二つほど、ちょっと税制のことについて質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  これはもう言うまでもなく、今さっき委員長の話にもございましたように、純粋持ち株会社解禁ということになれば、やはり企業組織の変化への対応として資産譲渡益課税に関する圧縮記帳の優遇措置の強化や連結納税制度、これも何回もこの委員会でも問題になりましたし、導入が挙げられていますが、検討状況いかにということでございます。  何かこの前、野村総合研究所の試算だと四千億ぐらい減収になるのではないかというふうな新聞記事を私は見たような感じがするのですが、これは大事なところなんですけれども純粋持ち株会社をつくったら、一見、いろいろな推計の仕方があると思うのですが、減収になる、そういう側面もあるかもしれません。しかし、今さっきの、経済活性化しましたら、これは結果としてはますます国の増収になるのではないか。まさにこういった時期ですから、やはり微視的に見て税収が減るのではなくて、全体として大きく、二、三年の間に日本国経済が拡大をすれば、これは国民の福祉にも大変資するわけですから、そういった視野で、これはいろいろな難しい論議があるというのは、私も党の方の税制調査会の役員をさせていただいておりますからいろいろお聞きしておりますが、そういった思い切り、そういった判断というのはやはり最終的には政治家がする判断かと思います。ぜひこういった税制を、法律をつくったけれども、その実効がなければ、ただ法律をつくっただけだよということでは、まさに経済は生き物でございますから、そういった意味でぜひこの資産譲渡益課税、連結納税制度について前向きの御答弁をいただきたいと思います。
  17. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 お答え申し上げます。  今回の独禁法改正解禁されるものは、いわゆる純粋持ち株会社かと思います。一方、現在でもいわゆる事業持ち株会社というものが多数存在しているところでございます。したがいまして、連結納税の問題が純粋持ち株会社との関連で議論される、問題提起されることがあるわけでございますけれども、この問題は純粋持ち株会社解禁の問題とはやや次元の異なる側面があるのではないか、こういうふうに思っているわけでございます。  二点お尋ねがございましたが、連結納税制度の導入の問題でございます。  御存じのように、現行の法人課税は単体課税をとっておりますから、企業グループ一つの課税単位として見るという制度に移行するということは、根底から覆すことになるわけでございます。  税制上そのようなことを考えます場合、まず第一に、果たしてそのような企業経営実態にあるのだろうか、企業グループがまさに一体のものとして経営されている、また一般の国民の方もそう認識しているという実情にあるのだろうか、さらには、商法等の関連の諸制度がどうなっているのだろうか、どうなっていくのであろうかという側面から慎重に検討していかなければならない面があるわけでございます。さらには、租税回避の問題をどう考えるか。さらには、法技術的に見ましても、例えば中小企業の資本金一億円以下の税率は安い税率にするとか、単体課税ですべてできているわけでございまして、技術的にどう措置できるのか。さらには、最後におっしゃいましたように、税収減の問題をどう考えるか。こういった諸点について検討をしていかなければならないというふうに考えてございまして、種々検討しなければならない研究課題であるというふうに認識しているところでございます。  それから、第二点目の土地の現物出資のお尋ねがございました。  この問題は、含み益課税についての課税のあり方とも関連する問題でございます。これから法人税の見直しの検討をしていくわけでございますが、あわせて資産に対する課税をどう考えるかという観点を踏まえ、議論していくべきものと考えているわけでございます。  最後に、連結納税についての減収額四千三百億円というお話がございました。私どもも新聞でそのような試算が出たことは承知しております。どの程度の減収になるかといいますのは、どのような制度を構築するかということにもかかわってまいります、その場合の資料の制約もございます。確たることを申し上げられませんが、フランスに行って調査いたしましたところ、法人税が一割強減収になっているのではないかということを私どもは当局者より聞いているところでございます。
  18. 自見庄三郎

    ○自見委員 持ち時間が終わったようでございますが、最後に、中小企業に対してこの独禁法改正がどういう影響を及ぼすか。プラスと言う人とマイナスと言う人がおります。中小企業政策は大変大事な国の産業政策でございますから、時間をお許しいただければ、通産省からぜひ見解を聞きたいというふうに思っております。
  19. 田島秀雄

    ○田島政府委員 お答えを申し上げます。  今回の持ち株会社解禁は、先生の御指摘にございましたとおりでございますが、中小企業庁の立場、中小企業者の立場から見まして、柔軟な経営組織を選択できるようになるのである、結果として経営多角化とか新しい事業分野への展開を図る上で有効である、こういった御意見もございます。他方では、経済グローバル化が進展する中で、我が国の中小企業、特に下請中小企業が大変厳しい経営環境に置かれておりますところでございまして、大企業持ち株会社方式を活用することで事業集中力を増して、これを背景に下請中小企業に不公正な取引を強いるといったようなこともあるのではないかといった懸念する声もあることも承知いたしてございます。  下請中小企業に対します不公正な取引といった問題につきましては、どんな事情、背景によるものであっても、下請代金支払遅延等防止法という法律がございまして、これに基づきまして公正取引委員会と密接な連携をとりながら厳正に対処してきておるところでございまして、仮に今回の法律改正によって懸念されるような問題が生じた場合でございましても、同様に厳正に対応してまいりたい、こういうふうに考えてございます。
  20. 自見庄三郎

    ○自見委員 委員長、ありがとうございました。  これで終わります。
  21. 武部勤

    武部委員長 次に、河合正智君。
  22. 河合正智

    河合委員 新進党の河合正智でございます。新進党に独占禁止法問題調査会というのがございまして、藤井裕久会長のもとで私は事務局長を務めさせていただいております。その議論の中で出てまいりました問題につきまして御質問させていただきたいと思います。時間がございませんので、金融持ち株会社に限りまして御質問申し上げたいと思います。通告いたしましたように七問予定しておりますが、時間の関係でできるところまでお伺いしてまいりたいと思います。  まず最初に、金融持ち株会社解禁の是非を審議しておりますこの段階で、金融政策としての持ち株会社のあり方が示されておりません。これは業法改正を待ってということになっているようでございますが、なぜ全体像が明らかにされないでこの金融持ち株会社純粋持ち株会社の議論の審議を終結させようとしているのか、その点にりきまして公正取引委員会委員長にお伺いさせていただきます。
  23. 根來泰周

    根來政府委員 先ほど大蔵省の審議官からお話がありましたように、金融持ち株会社のあり方につきまして、各種審議会においていろいろ御検討等賜っております。  これは私が申すまでもないことでございますが、金融持ち株会社あるいは金融会社のあり方についてはいろいろの御意見がありますし、また、預金者の保護とか投資者の保護とか、あるいは保険契約については保険契約者の保護とか、そういう、また違った意味での規制といいますか、制限も必要だろうと思います。そういういろいろの問題を踏まえてこの金融持ち株会社というのを検討しなければ結論を得られないものですから、そういうことで、業法といいますか、そういう審議会の御検討の結果をお待ちしておる、こういう段階でございます。
  24. 河合正智

    河合委員 大蔵省からも来ていただいております。中井審議官、恐縮でございますが。
  25. 中井省

    ○中井説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、我々としましてもへもし同時でできるものであればそういう形態が恐らく望ましいのだろうということでございますが、現実問題といたしましては、独占禁止法解禁されることになる持ち株会社内容というのがわかりませんと、金融政策上それをどう位置づけできるかという議論がなかなか進まないという関係にございます。現在、改正独禁法の中身が固まりまして国会で御審議いただいているということでございますので、我々としましては、そういう観点関係の審議会で鋭意御議論を進めていただいて、先ほども申し上げましたけれども改正独禁法の施行期日をにらんで、関係金融関連の法規の整備につきまして準備を進めてまいりたいと考えている次第でございます。
  26. 河合正智

    河合委員 それでは次に、金融持ち株会社で破綻金融機関の救済をどのように行うつもりでいらっしゃいますか、中井審議官にお伺いさせていただきます。
  27. 中井省

    ○中井説明員 お答えいたします。  現在、金融制度上の持ち株会社の位置づけについては関係審議会で御議論いただいておりますが、現在のいわゆる破綻金融機関の処理につきましては、基本的には、例えば救済する側の金融機関が合併しますとか営業譲渡を受けるというような形態がほとんどでございます。  そうした場合に、いわゆる組織の統合をある程度必然的に伴うわけでございまして、どうしてもその組織の統合に伴います摩擦というのが発生する。具体的に申し上げますと、例えば人事でございますとか給与体系でございますとか、それから企業風土の違い、取引関係者が違うというような、いろいろなことがございます。  例えば、卑近な例でございますが、大手都銀が地方の銀行、中小金融機関を吸収合併するというような場合には、給与水準の違いでございますとか、それから取引関係者も相当違うというようなことで、実際上、合併とか営業譲渡の話がそういう点がネックになりましてなかなか進まないというような側面もございます。持ち株会社を導入していただくことによりまして、ある意味では、組織形態をそのままにして、兄弟会社として、持ち株金融会社が資本注入することによりまして、そういうところの弊害を防止することができるという点が一点ございます。  それからもう一点。これは、銀行持ち株会社の業務範囲の検討とその結果を待たなければ具体的なことは申し上げられませんが、例えば異業種の合併というのがございます。現在、証券会社経営が不振になったときに、銀行がそれを吸収合併するということは業法上不可能でございますが、もし銀行持ち株会社の傘下に例えば証券会社がぶら下がることが可能であれば、そういうような形態も実現することができるということでございます。  全体的に申し上げますと、金融システムの安定化のために、持ち株会社の導入というのは非常に意義のあることと考えている次第でございます。
  28. 河合正智

    河合委員 ありがとうございます。  一九九五年十一月発足の独禁法第四章改正問題研究会の中間報告書、ここで四つの類型を挙げておいでになりますが、その中に、破綻銀行を救済するということも入っております。今審議官が申されたとおりでございます。そうしますと、実は、この持ち株会社解禁の是非論というのは、金融持ち株会社の検討を十分に行ってからその是非を検討すべきではないかと私は考えるものでございます。  三菱総研でございますか、調査した内容をお聞きしますと、持ち株会社解禁されたら自分の会社でこれを導入しますかという問いに対しまして、三百十八社が回答されまして、その中で、持ち株会社に移行しますというのは十九社しかなかったのですね。  ということは、NTTにつきましては、分社化ということでこの解禁問題で問題がないということでございますと、あとは、金融ビッグバンを踏まえた破綻金融機関の救済に金融持ち株会社を使っていくということが、非常に大きな、重要な位置を占めると思うのですが、その辺のところは全体像が示されていない。調査会の答申を待ちますということでございますが、その調査会の答申というのは六月に出てくるわけでございます。私は、そのアウトラインも見えないままにここで議論するということについて、非常に不安を覚える一人でございます。それはちょうど、家を建てるときに、屋根と柱で囲いだけつくってください、中は自分たちがどのように住むか決めますというような話でございまして、私は、その点についてこれから順次質問させていただきたいと思います。  私が申し上げましたことが一つの事実だとしましたら、そもそもこの破綻金融機関というのはどうして出てきているのか。それは、遠因、近因さまざまでございますけれども、プラザ合意以降、宮澤大蔵大臣のときに、金融政策の見通しがっかなかったがためにバブルが発生した、それを回避できたかどうか、神ならぬ身ではいまだもってわからないと当時の宮澤大蔵大臣も仰せになっているくらいでございます。そうすると、日本金融政策といいますのは、それは政策ですから失敗することもあると思います。しかし、これだけ大きな不良債権処理という問題を抱えて、しかも金融ビッグバンをやらなければいけない、その現段階で、単に破綻債権、破綻金融機関を救済するためにこの金融持ち株会社を使っていく、これはまことに安易な選択ではないのかと思うわけでございます。  例えば、アメリカにおきましては、一九二九年の恐慌、これが銀行が証券投資を行ったことが引き金になったという教訓から、銀行と非金融機関の分離というものを哲学のようにあの国の基本姿勢に置いております。それがまた草の根民主主義に支持されて、若干一九八〇年代に入りましてからその見直し論が出てきておりますが、しかし、それでもなおかつ、その哲学というものは基本原則として持っている。ドイツにおきましても、ドイツ銀行というのは、非常に堅実な経営で、ユニバーサルバンクとして、しかもバブルにも侵されなかった銀行、国家の行く末を考える銀行として存在しております。  私は、金融ビッグバンに取り組む日本金融政策も、そのようなしっかりとした哲学と理念と基本原則を持って臨むべきだと思います。そうであればなおさらのこと、この金融持ち株会社解禁するに当たりましては、少なくとも金融政策のアウトラインはきちっと示した上で、この独禁法改正をしていいのかどうかというテーブルにのせていただきたいと思いますが、この点につきましては、お聞きしましても水かけ論になると思いますから、次に移らせていただきたいと思います。  したがいまして、金融持ち株会社の想定される規模内容及び業務範囲と責任範囲をどのように考えておいでなのか、審議官にお伺いさせていただきます。
  29. 中井省

    ○中井説明員 先ほど来お答えしていますとおり、今、金融制度調査会におきまして、まさに先生が御質問になられたことが焦点となって持ち株会社の議論が活発になされているわけでございます。  特に、御指摘がございましたように、アメリカにつきましては、伝統的にバンキングとコマースを分けるという考え方が主流でございます。ただ、最近、アメリカにおきましても、そういう点について、少しバンキングの範囲を広げてコマースまでやっていいのではないかという議論がいろいろ議会でも討論されているようでございます。しかし一方で、ヨーロッパにおきましては、まさにユニバーサルバンクということで、そういう意味での規制が比較的緩やかであるというようなことがございます。  そういう諸外国の制度も踏まえましていろいろ議論がなされておりますけれども、先ほどお答えいたしましたように、基本的には、現在銀行業務に課されております業務範囲というのがございます。その業務範囲の問題といいますのは、やはり預金者保護を通じまして信用秩序の維持を図っていくということが最大の目的でございます。銀行持ち株会社のもとにおきましても、その傘下の銀行については同様の目的が当然のことながら存続するわけでございまして、そういう点も踏まえまして、審議会に鋭意検討をお願いをしているところでございます。  なお、先生も御指摘ございましたように、でき得ましたらば六月ぐらいには結論をいただいて、できるだけ速やかに関係の法整備にかかってまいりたいと考えている次第でございます。
  30. 河合正智

    河合委員 次に、金融持ち株会社が認められた場合に、恐らく銀行が中心になっていくケースが多いと思われますが、そうしますと、金融持ち株会社のもとに存在する銀行以外の子会社というのは、銀行の陰に隠れた存在となり、今まで非常に金融スキャンダル等で問題になりました迂回融資という形で銀行そのものに悪用されていく危険性があるのではないかと思います。  そうなりますと、後ほど質問いたしますけれども、ファイアウォール規制などをいたしましても、それはあってなきがごとしの存在になってくると思います。これを避けるためには、金融持ち株会社傘下の銀行以外の子会社の独立性といったものを担保していくということも必要になってくるかと思いますが、それを外部から客観的に監視する、チェックする、そういう体制についてはどのようにお考えでございましょうか。     〔委員長退席、小此木委員長代理着席〕
  31. 中井省

    ○中井説明員 今の銀行持ち株会社の下にございます子会社と銀行との関係の話でございますが、銀行につきましては、先生御案内のとおり、預金者保護等の観点から、業法上のいろいろな規制がございます。例えば大口融資規制でございますとか、それから例えば、現在ございますけれども、証券子会社との間につきましては、いわゆる適正な取引を確保するという意味でのファイアウォール規制がございます。そういうようなところの規制が現在も義務づけられております。  そういう現在の規制も踏まえて、金融制度調査会の中におきましては、従来はいわゆる子会社と親会社との関係でございますが、銀行持ち株会社のもとでは兄弟会社になるわけで、関係という意味では少し薄くなるわけでございます。そういう意味でどこまで銀行と兄弟会社の間の関係規制していくかというようなことにつきましても、現在議論がされている途中でございます。  ただ、いずれにしましても、先ほど来申し上げておりますとおり、基本的な目的、預金者保護を通じて信用秩序の維持を図るというところは厳然として存在するわけでございます。そういう趣旨を踏まえて適切な規制を考えてまいりたいと考えている次第でございます。
  32. 河合正智

    河合委員 次に、金融持ち株会社独禁法十一条の対象にするのかどうかということについて、公正取引委員会委員長にお伺いさせていただきます。
  33. 根來泰周

    根來政府委員 御承知のように、金融会社につきましては五%ルールといいますか、あるいは保険会社については一〇%ルールというのがございまして、持ち株について制限を受けているわけでございます。今お尋ねの金融持ち株会社というのは、みずから金融業を営むわけではございませんので、十一条の適用はないものと考えております。  ただ、状態によりまして、何回も繰り返して申し上げておりますように、事業支配力過度集中ということがありますれば、当然排除されるものと考えております。
  34. 河合正智

    河合委員 これは、先ほども申し上げました独禁法第四章改正問題研究会の報告書、またそれを受けました一九九六年一月十二日の公正取引委員会改正素案では、五%ルールは金融持ち株会社にも適用するということになっていたと思いますが、今の御答弁はそれと全く違ったお考えでございますが、お願いします。
  35. 塩田薫範

    塩田政府委員 持ち株会社規制のあり方につきまして、先生御承知のように、四章問題研究会、俗称といいますか略称でございますけれども、そこでいろいろ御審議をいただきまして、過度集中になるようなものは禁止するという枠組みを維持した上で、それ以外のものは許容するといいますか、四類型等のあれをいただいたわけでありますが、その報告書の中で、金融関係につきまして、いわゆる金融持ち株会社金融会社を傘下に置く持ち株会社については、十一条の適用の問題として持ち株会社についても十一条を適用する、あるいは金融持ち株会社子会社を合算して五%をという規制をかけるべきではないかという考え方を示されたところでございます。  それを踏まえまして、私ども、昨年いろいろと検討した際にはそういう方向で議論をいたしたわけであります。今回御審議をお願いしております改正法案におきましては、先ほど委員長から御答弁申し上げましたように、持ち株会社自体は、金融持ち株会社といいましてもそれ自体金融業を営むものではない、それから金融業全体について、いわゆるビッグバンといいますか、そういう方向でいろいろと審議が開始されているといいますか、進められている、そういう状況を踏まえまして、今回の改正法案では、金融持ち株会社については十一条の適用はしないという案でお願いをしているところでございます。  四章研の報告書との差異といいますか、そこは、先生指摘のようなところでございます。
  36. 河合正智

    河合委員 私は実は、根來公正取引委員会の誕生は本当に喝采をした、国民の皆さんとともに御支持申し上げている一人でございますが、この一件だけは私は国民のために申し上げなければいけないと思います。  経済憲法の最後のよりどころとされています公正取引委員会が、一年の間に、一年前はストライクだったのが一年後はボールだ、ほかの政策官庁だったらそういうことはあるかもしれませんが、私は、公正取引委員会というのはもうちょっと、国民に対して、また世界に向かってしっかりとしたスタンスで臨んでいただきたいという気持ちの上から申し上げるわけでございます。  そもそもこの独禁法十一条の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、例えばアメリカにおきましても、銀行と商業の分離という原則の中から、またチェックアンドバランスによる、州法に基づく銀行と連邦法に基づく銀行といったそういう規制の中から銀行持ち株会社というのが出てまいりまして、それを規制するという形で一九五六年に銀行持株会社法というのができたわけでございます。ここでは非銀行会社株式を五%以上保有するということは禁じておりますし、さらに一九七〇年におきましては、単一銀行にも同様の規制を行っております。そして、銀行と商業の分離ということにつきましては、銀行の健全性の確保といった観点からも、現在、金融改革法の改正問題がいろいろアメリカでも議論され、その帰趨というのは不明でございますけれども、しかし銀行への力の集中懸念とともに、この二つの原則については支持をされております。  そういう中で、確かに先ほど申し上げました破綻金融機関を救済するといったような形の場合には、この五%ルールというのは邪魔になるかもしれません。しかし、そういった便宜的なもので、国家と国民世界に対して、経済憲法の番人として位置づけられている公正取引委員会のスタンスがそんなに私は簡単に動いていいものとは思えないのであります。それは大いに議論した上でそうなることはやむを得ないかもしれませんが、その辺のいきさつにつきまして、もう一度公正取引委員会委員長にお伺いさせていただきます。
  37. 根來泰周

    根來政府委員 ある意味では御指摘はごもっともかと思いますけれども、私ども法案作成する際に何が一番重要かということになりますと、先ほど来申し上げております独禁法の第一条の規定でございます。この第一条の規定に背馳することがないかどうかということを念頭に置くわけでございますが、法案という形で国会の御審議を仰ぐといいますと、それだけでは通らない。あるいはいろいろの問題、ほかの観点から、ほかの政策からの問題があろうかと思います。でありますから、法案作成するときには広く御意見を聞いて、私どもの生命線である独禁法の第一条の趣旨を損なわないという前提で、ほかの見地からの御提案なりを最大限度に取り入れてやっていくというのが私どもの建前であろうと思います。  これは法律でございますから国会で御審議を仰ぐわけでございますから、私どもだけの生命線で御審議を仰ぐというわけにはまいりません。そういうようなことで、この一年間、いろいろの御意見も聞いてきたものと思います。私もその具体的な状況については全部把握しているわけではございませんが、十分御意見を聞いたと思います。  ただ、昨年、先ほど来お話のあります、要するに五%ルールにつきましては、あるいは合算ルールといいますか、そういうルールに立ったことも間違いないと思います。今回は、それでは余り厳し過ぎるのじゃないかというような感覚があり、また、金融業の方からいえば、そう五%を超えて株を持つということも余り考えられないのじゃないかというような非公式のお話もあり、そういうふうないろいろのお話を総合して、理屈としましては金融持ち株会社というのはもともと金融業を営んでいないものですから、十一条が直にかかるわけではございません。そうすると、これは何か持ち株会社については金融会社とみなすというような規定を置かないと、やはり十一条の適用を受けないわけでございますから、そういうふうないろいろのところをにらみましてこういうふうな結果になったと思います。  これはもちろん、これから五年間の検討期間もあるわけでございますから、その間に十分その業界の動き等を見まして、そういう弊害があるとするなれば、またこの国会で御審議をお願いするということになろうかと思います。
  38. 河合正智

    河合委員 私どもは、規制緩和が叫ばれており、その必要性を痛感している現在、しかし、その後ノンルールになって弱肉強食の社会になることについても大変な懸念を持っております。そのとりでとして国民が最もよりどころとするのは公正取引委員会でございます。したがって、国民公正取引委員会を強く応援し、支持しておりますから、いろいろな見解を発表されるときには、どうぞそういったことも踏まえて自信を持って臨んでいただきたいと要望しておきます。  次に、ファイアウォール規制をどのように行っていくのか。これは先ほど申し上げました六月末の調査会の結論を待たないと出てこないことなのかもしれませんが、その輪郭だけでもお示しいただきたいと思います。大蔵省の中井審議官、お願い申し上げます。
  39. 中井省

    ○中井説明員 先ほど来申し上げていますとおり、現在、金融制度調査会でその点も含めて御議論をいただいているわけでございます。銀行の直接の子会社でございます証券子会社、それから、証券会社の直接の子会社である銀行との関係につきまして、先生御案内のとおり、もう既に既存の業法でファイアウォール規制がかかっているわけでございます。これが銀行持ち株会社という形態になりまして兄弟会社になったときに、どの程度リスク遮断ですとかそういうことが可能か、あと、不公正取引が生じることのないような、利益相反が起こらないような弊害防止ができるかというようなことにつきまして、現在議論をいただいているわけでございます。  ただ、基本的には、我々今受けている感じでございますけれども、親子と兄弟の関係が若干薄まります。独立性も尊重しなければいかぬという面もございます。それから、企業としての選択肢、利用者利便等を考えますと、ある程度利用者にも選択の幅があった方がいいというようないろいろな議論がございますれけども、現在のファイアウォールを基礎といたしまして、現在のファイアウオールの規制を実施して三年ほどになりますけれども、この実施状況を見まして関係審議会でいろいろその手直し等について御議論がされるだろう、ただ、基本的には、現在のファイアウォール規制がもとになっていろいろ新しいシステムがつくられていくと考えている次第でございます。
  40. 河合正智

    河合委員 私は、六月末に出る結論をきちんと見た上で金融持ち株会社というものを議論すべきだということに非常にこだわりますのは、橋本総理大臣から出ております二〇〇一年までに日本版ビッグバンをやるという至上命題に立ちますと、もう既にそれはワンセットで議論した上で取り組まないと間に合わないのではないかなという危機感を持っているからでございます。  以上若干御質問申し上げてまいりましたけれども、このように金融持ち株会社につきましては、規模内容金融持ち株会社の業務範囲、責任範囲、それから銀行以外の子会社の独立性をいかに担保するか、また五%ルールを具体的にどのようにするか、ということは弊害規制も含めての話でございますが、またファイアウォール規制を具体的にどのように行っていくのかといった問題、これはただいま審議官が申されましたように非常に大事な問題でありますけれども、先送りされております。  しかし、これは業法一つ一つ改正で今行うというふうなニュアンスで今お答えになっておりますけれども、私はむしろ、これだけ大きな問題というのは、金融持ち株会社法という立法を行って、そこで全体の整合性の中でとらえ直して日本版ビッグバンに備えるべきだと思いますけれども、この点につきましていかがお考えでしょうか、審議官、お願いいたします。
  41. 中井省

    ○中井説明員 お答えいたします。  先般来先生がおっしゃられていること、まことにごもっともでございます。我々としましても、そういう気持ちで鋭意審議会の審議を早めていただいているという状況にございます。  ただ、金融持ち株会社法というお話がございましたけれども、広く言いますと、銀行、証券、保険がございます。それぞれ、銀行法、証券取引法、保険業法というものの法律目的が微妙に違っております。例えば証取法で言いますと、市場の公正取引というようなものも入る。銀行ですと、預金者保護を中心として信用秩序の維持で入るということでございます。関係審議会でそういう法律趣旨にのっとりまして、金融持ち株会社が入ったときにどういう法的な規制が必要かということを御議論いただいているわけで、統一的なものになるというのは確言はちょっとできません。  そういうことで、法律の個々の目的がございますが、いずれにしましても、個別の業態につきまして金融持ち株会社を導入したときの関係業法の法改正につきましては、国会でできるだけ早い機会に御審議を賜りたいと考えている次第でございます。
  42. 河合正智

    河合委員 例えばアメリカの例を見ましても、一九九五年の一月にリーチ法案、二月にダマト法案、同じく二月にベーカー法案というのが提出されておりますけれども、一九九六年六月十一日、この金融制度包括改革法というのは廃案になっております。これは関係業界の利害調整がつかないということによることだと言われておりますれども、それぐらい大変な作業をこれから残されたほんの短い期間に、今中井審議官答弁されました金融ビッグバンに向けて法整備を行っていくことになるわけでございます。  私は、改めましてこの金融持ち株会社法の制定を期待するものでございますが、その際、この金融持ち株会社の待望論、解禁論というのが、ある意味で銀行サイドの利害からのみ述べられている嫌いがあるのではないかと思います。ただいま審議官のお話ですと、預金者、投資家すべての、それ以外の観点からの検討も必要だという答弁を聞いて安心しているところでございます。  しかし、それを行っただけで、日本金融機関の救済だけをグローバルスタンダードの名のもとになしていくということであれば、まさにそれはグローバルスタンダードでも何でもない話でございます。この業法改正、できれば金融持ち株会社法立法に当たりましては、例えば、地域金融機関が果たしている役割、それから、日本金融機関が世界全体、地球の環境にもどのように貢献できるかといった、そういったヨーロッパの銀行が取り組んでいるような問題も大きくスタンスに置いてぜひども取り組んでいただいて、それこそがまさにグローバルスタンダードではないかと私は考えます。  大変な時期の大変な作業でございますが、大蔵省にも心から期待を申し上げ、また公正取引委員会の御活躍につきましては全面的に応援団として支援申し上げますことを一言申し添えまして、質問とさせていただきます。  大変にありがとうございました。
  43. 小此木八郎

    ○小此木委員長代理 次に、吉田治君。
  44. 吉田治

    ○吉田(治)委員 二月二十五日に独禁法改正に関する与党の三党合意というふうなものが出まして、禁止される持ち株会社範囲については法令で明らかにする方向、公取委がガイドライン作成することで行政裁量の範囲を少なくする、そういうふうにされております。  個々具体の持ち株会社禁止されるものか許容されるものかは、まさに公取委のさじかげんで左右されるということであったら大問題である。ですから、そのガイドラインというのは当然なことであると思いますけれども、果たして、ガイドラインをつくりさえすれば行政裁量の範囲が小さくなるのか。私は、このガイドライン作成のあり方をこの商工委員会でしっかり議論をしておかなければならないというふうに思うのであります。  そもそも行政裁量が小さいというのは、適法、違法の客観的基準があって、それに個々具体の事例を当てはめれば適法か違法かだれにでもわかる、そういうことではないかと思います。だから、行政府のさじかげんで適当に決めるということはできない、そういうことだと思うのですね。このあたり、公取委のガイドラインはどうだろう。実際どういうふうにしているのか。いろいろ読んでみますと、非常に気になる記述がある。  合併におけるガイドラインということであるのですけれどもガイドラインは重点審査案件の選別基準であって違法性判断基準ではないと、私の手元の「会社の合併等の審査に関する事務処理基準」には書いてあるのですね。それであるならば、ガイドラインではないのではないか。本来でしたら、ここで公取委の方に、合併のガイドラインの「第五 事前相談について」というところを、その違法性判断基準ではないというところまで私は読んでいただきたいところなんですけれども、今私自身がそのことを指摘をさせていただきたい。  それで、お伺いをしたいのですけれどもガイドラインが違法性判断基準でないというのがどういうことなのか、ちょっとわからない。今度の持ち株会社ガイドラインでは、こんなふうな持ち株会社過度集中禁止されるのだ、逆に、こんなふうな持ち株会社は大丈夫なんだとガイドラインに私の認識ではしっかり書かれている、書かれるのだ、そういうふうに認識をしております。そうしたガイドラインに個別具体の事例を当てはめれば、公取委が判断しても、仮に私のような素人が判断しても同じ結論になるのだ、だからこそ公取委は自分勝手な判断ができない、つまり裁量の範囲が小さい、これはそういう意味なんですよね、私の判断では。  そこで、委員長と総長、うなずいていらっしゃいますけれども、そう判断する。では、今回ガイドライン作成する意味、それはどういうことなんですか。
  45. 根來泰周

    根來政府委員 正直申しまして、独占禁止法の言葉というのは非常に難しい言葉を使っております。これは、私なんかが法務省、検察庁におりましたときの法律と違って、難しい言葉を使っているということは事実であると思います。といいますのは、一般的用語というのを余り使っていない、あるいは経済的用語といいますか、そういう用語を使っているものですから、私なんかははっきり言いましてよく理解できない点があるわけであります。これは一般の方もそういうことだろうと思います。  ですから、違法、適法というのは法律で決められるわけでございまして、今回の改正案の場合は、九条第五項に過度集中というのはどういうことかということは決まっているわけでございますが、これだけではなかなか一般の方は理解しがたい。それかといって、そういう内容を一々法律に書き込むということは、これは立法上不可能に近いということがあろうかと思います。でありますから、その内容をわかりやすく、だれでも理解できるような形で書くというのは一つガイドラインであり、それがある意味では法的安全性ということにつながるのだろうと思います。  そこで、先ほど来申し上げましたように、この委員会でもあるいは委員方々からも、ガイドラインが不明確ではないかとか、あるいは、それから導かれる結論といたしまして、公正取引委員会が恣意に行う危険性があるのではないかという御批判がございますから、私どもは、そういう御批判を避ける意味からも、また一般の方々にこの法律趣旨を十分理解していただくためにも、この法律内容をわかりやすく具体的にガイドラインに明記することによって間違いのない競争政策を行っていきたい、こういう趣旨でございます。
  46. 吉田治

    ○吉田(治)委員 では、委員長、今委員長が言われた言葉からすると、単に解説書、説明書的なものだ、難しい言葉だから簡単に書き直すんだよというふうな意味にとられるのかどうか、これが一点目。  二点目、では、今度のガイドラインというのは違法性の判断基準じゃないのか。違法性の判断基準なのかどうなのか、そのあたり、公取委にもう一度私は確認をしたい。持ち株会社ガイドラインというのは違法性判断基準なんですか、どうですか。
  47. 根來泰周

    根來政府委員 私は何も解説だけというふうなことを申し上げたわけではありません。これは、法律内容を具体的に明記することによりまして、それを一つの垣根といたしまして、その垣根の中で法律を運用していくということでございますから、先ほど申しましたように、法的安全性ということから申しますと単なる解説書にとどまるものではない、こういうふうに思っております。  違法性云々という言葉につきましては、これはまたいろいろ議論するとなかなかややこしいと思いますけれども、違法性を出再びるかどうかというのは基本的には法律でございます。ガイドラインというのも、法律を超える、法律趣旨をさらに広げるとか狭めるとかいうわけにはまいらぬわけでございますから、法律とイコールの内容ガイドラインというふうに御理解いただければ、違法性ということをどういうふうに解釈するかは別といたしまして、それによって違法性をどうするという問題ではなかろうかと思います。
  48. 吉田治

    ○吉田(治)委員 ちょっと最後の方はあやふやなんですね、委員長。違法性の判断基準になるのかどうか。英語的に言ったら、イエス・オア・ノーとよく彼らは言いますけれども、どっちなんですか。
  49. 根來泰周

    根來政府委員 ですから、違法性の判断というのは法律でございます。
  50. 吉田治

    ○吉田(治)委員 では、違法性の判断基準でないということですね。  そうしますと、ここで私は最後この部分で一点聞きたいのは、三党合意の中で、立法府の意見を十分聴取し、それを踏まえて策定すると書いてありますけれども、具体的にどう意見を聴取し、踏まえて策定されるのですか。
  51. 根來泰周

    根來政府委員 こういう問題につきましては、立法府でどういうふうなルートでお聞きするという、そのルートというのが明確ではないわけでございますが、これからも国会の中でもいろいろ議論されるわけでございますから、その議論を踏まえまして、またいろいろの有識者等の意見も踏まえまして策定していきたい、こういうふうに考えております。
  52. 吉田治

    ○吉田(治)委員 担当の課長さんが、あるところでこう言われているのですね。この商工委員会の、この場の議論が、この文言に書いてある「立法府の意見を十分聴取」したことになるとつそれはどうなんですか。これで終わりなんですか、意見聴取は。
  53. 根來泰周

    根來政府委員 ですから、先ほども申しましたように、ルールという、これをどういうふうにするということはございませんから、要するにこの国会で、この国会というのは衆議院並びに参議院でございますけれども、そこでいろいろ御意見があるわけでございますから、その御意見を十分私どもの考え方でそしゃくしまして、そしてガイドラインをつくっていくということでございます。
  54. 吉田治

    ○吉田(治)委員 だから、そのルールだとかルートというのはまだないわけなんですね、委員長の今の話だと。具体的にこれからつくっていくのですか。
  55. 根來泰周

    根來政府委員 私ども国会のルールをつくるという大それたことを考えているわけではございませんので、いろいろ御意見をちょうだいするいろいろな機会をちょうだいして、その御意見をいただく、こういうことでございます。
  56. 吉田治

    ○吉田(治)委員 では、こう考えさせていただいていいのですね。ガイドラインを策定するときには、事前に商工委員会なり、例えば各党のそういう商工担当の皆さん方と相談の上でガイドライン作成する。自分でつくって、さあ、これでやりますよということはないと聞いていいのですね。
  57. 根來泰周

    根來政府委員 これはまあ、私どもだけの判断で、国会の方にどういうふうにお示しするとか、個々の委員の方にどういうふうにその内容をお示しして御意見をちょうだいするとかいうことは、私ども判断で決められるわけではございませんので、ひとつその辺、御了解いただきたい、こういうふうに思います。
  58. 吉田治

    ○吉田(治)委員 この問題についてもっと質問したいのですけれども、時間の都合がありますので……。  では、違法性判断基準にしないということであるならば、これはまさに、先ほどの合併のガイドラインのように、事前相談制というふうなものに移っていくのだと思うのですね。公取委のガイドラインに関して、本当に個々具体のケースで事前相談が行われている。そういう中で、公取委と当事者の間で、正直言ってオープンという言い方がいいのかどうかわからない、しかしながら、いろいろなやりとりがある。もしそれが事実であるならば、ガイドラインは公取委の裁量の範囲を狭めるものではなく、もしかしたら公取委の恣意的判断の隠れみのになるのではないか。そういうふうな疑惑ということも感じられなくもないんですね、今の委員長の話を聞いていますと。  実は、さっきの合併のガイドラインの話ですけれども、重点審査基準ということで、個々具体の事例の適法、違法についてだれがどこでどんなふうに決めているのかはっきりしない。先ほどの合併のところの続きを読んでいきますと、個々具体の会社合併が独占禁止法上問題となるかどうかの判断が容易ではないこともある、だから公取委が事前に個別の相談に応じると。  私が知っているのは、これまで企業合併について公取委が当事者の事前相談に応じていて、合併について独禁法上問題となる事柄を指摘し続けているということなんです。でも、こうした事前相談の内容は、当事者以外には詳細には開示されていない。事前相談の中で公取委は何をやっているのか、私は大きな疑問を感じざるを得ない。  先日のフリーディスカッションでその話をしましたら、早速公取の担当の方から、いや、先生、「結合事例」というのを、こんなのを毎年出しているのですと資料を持ってこられました。私はこれを読ませていただきまして、これは新聞発表を代議士のところに、さも、私はやっているのだと言わぬばかりに持ってくるというのはいかがか。内容的にも、では、これを見てこれから企業合併をしようという人たちが、うちはこれによったら企業合併できるのかなとうかな、そんなものは何も書いてないですね。  例えば、私の手元にあります「平成六年度における主要な企業結合事例」。「事例一 三菱化成と三菱油化との合併」、この三ページ「考慮事項」の中の「ア」、いろいろ問題点はあるけれども、最後、「輸入量が増大傾向にある。」。「イ」「基礎製品」「海外メーカーもかなり優位な供給者とみられる。」。同じく「(イ)」「他の共同販売会社が有力な競争者として存在する。」だから「実質的に制限することとなるとはいえない」。基礎的データは何もないのです。情念の言葉です。「輸入量が増大」、どう増大しているの。「優位な供給者」、どう優位な供給者なの。「有力な競争者」、どう有力な競争者なの。まさに事前相談制度の問題点というのは、それができていないと私は前から申し上げているのです。  よろしゅうございますか、企業が合併をしたい、後ほど申し上げますけれども、先日の参考人質疑で専修大学の鶴田先生は、いや、日本もアメリカのように、反トラスト法の運用は判例中心で白黒つけたらいい、そういうふうな形で白黒つけていけばいいというお話でしたけれども日本はそれ以前の問題として、事前相談で来て、イエスかノーかという話が来ているわけです。  新日本製鉄が合併して、今になってどういう話が言われているか。この持ち株会社解禁のときにおいて、鉄道レールが、富士と八幡が一緒になるとシェアが一〇〇%になる、だから、そのときに公取委はどうアドバイスをしたか心合併はするのは構わないけれども、この鉄道レール一〇〇%についてはよくないから、ほかの業者にもさせるようにしなさい。それから日本の鉄道のレールは、富士、八幡のみならずほかの製鉄会社もするようになった、こういうふうなことが、合併されて何年もたってから出てくる。それであるならば、何のための事前相談制度なのか。  そしてもう一つ言えるのは、結合事例ばかりで、なぜだめなのかということが全然述べられていない。新聞発表に行かない事例もたくさんある。企業のそういう秘密、企業秘密の保護等には一定の配慮をしなければなりませんけれども、例えば事例集として当事者の名称を匿名にするなど工夫をして出すことがない限りは、正直申しまして国民全体は、こんな言い方、よくないかもしれません、委員長はそうお考えでないかもしれませんけれども、公取委というのは、委員長は検察の御出身ですから、国民が検察に対して抱いている信頼感というものを、では公取委が持てるのかな、国民の味方の公取委になれるのかな。どうも見ていると、実質的にはどこか裏の世界、失礼、裏と言ったらよくないです、公取委と企業がどこかに集まって、これはあかん、これはいい、するにはこうしなさいと、まさに今問題になっている実質の許認可になるのではないかな、そういう危惧を抱くのです。今後のこの事前相談制度における持ち株会社の情報開示等を含めて、公取委の委員長、どうお考えなのですか。
  59. 根來泰周

    根來政府委員 いろいろ御批判をちょうだいした中には、うなずきたい点もありますし、否定したい点もございます。  合併の事前審査につきましては、いろいろそういう御意見がございますから、情報を開示するといいますか、こういう問題についてはこういう理由で合併を認可したといいますか、認めたというふうなことで、最近も新聞記者に対して十分説明して、マスコミを通じて一般社会に行き渡るようにそういう措置を講じているのでございます。ただいまお示しの書面につきましては、また、どういうふうにその間のいきさつを記載したらいいかということを私どもは勉強すべきものだと思います。  さて、その持ち株会社について、それでは事前相談をどうするかという問題がございますけれども、これはまだ正確に私が申し上げる段階には至っておりませんが、持ち株会社というのは五十年来禁止されていたのが解禁されるわけでございますから、一般の方々事業者事業者団体の方々も非常に戸惑うところがあろうかと思います。そういう意味で事前相談という制度は有効であろうかと思いますから、そういう点は前向きに検討したいと思いますし、また事前相談の内容あるいはその公開等につきましても、ただいまの御意見を踏まえまして十分考えたいと思います。
  60. 吉田治

    ○吉田(治)委員 こういうふうに委員会で質疑を終わっていきますと、先ほどの三党合意の話じゃないですけれども、しつこいようですけれども、これで立法府の話は十分聞いた、随分厳しい意見もあった、後は私たちがやるんだというふうになってもらったら非常に困るのですね。  委員長、今委員長の発言の中で、結合の事例はまた出してくる。では、あきらめさせた事例というのは今後どうされるのですか。
  61. 根來泰周

    根來政府委員 こういう合併とかそういう問題は、各企業の立場がございますから、各企業がそれではそういう問題についてどういうふうに反応するか、この辺もまた非常に難しいところでございます。企業の秘密というわけではございませんけれども企業としてはこれでやめたというときに、私どもが積極的に、こういう点はこういう理由でやめたから、私ども意見はこういう理由を言って本人らがあきらめたといいますか、各当事会社があきらめたというか、そういうことをちょっとどういうふうに言うか、具体的な案件に応じて考えなければなかなか難しい問題だろうと思います。だから、一概にここで、あきらめた場合はどうするかということについては、ちょっと明確にお答えしかねる点があろうかと思います。     〔小此木委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 吉田治

    ○吉田(治)委員 だから先ほどから申しております。先ほど申しましたように、例えばアメリカであるならば、これはもう白黒はっきり裁判でつけようや、司法の立場でつけようという形になるのですよ。でも、今委員長言われたように、あきらめたケースに関しては、日本の風土というのですか、敗軍の将は兵を語らずということもあるでしょう。そうなってきますと、まさに行政主体の法運用というふうな形になってくる。私は、公取委自身の性格づけというのも、本当は何なのか、準司法的立場なのか、いや、あくまでも行政の中の独立機関だけれども行政なんだというのか、その辺も問われているときではないかなというふうに思います。  最後になりましたけれども、そうした行政の自由裁量の範囲を小さくするという観点から、我が国のガイドラインは相当詳細なものとされなければならないと思いますし、個々具体のケースにおける公取委の法律判断のプロセスがオープンにならないと、非常に困ると思います。  特に、事前相談制度についての情報開示がしっかりなされなければ、個々具体の持ち株会社について、公取委が実際どのような考え方でもって、事業支配力過度集中している、していないと判断しているかわからない。事業支配力過度集中に関する専門家、つまり公取委の法律判断に対して、我々立法は異論を差し挟めないかもしれない。専門知識ももちろん十分でないわけですから、事前相談制度の経過や結果が広く国民に開示されれば、いろいろな分野の専門家も見てわかりますし、公取委の法律判断のプロセスがそのようにオープンになれば、判断の結果についてもみんな必ず納得する。これは非常にいいことではないかと思うのです。  公取委には、個々具体の持ち株会社について、事前相談の内容を開示していただくことをぜひお願いいたしますし、また、こうした情報開示は、現在ある合併のガイドライン株式保有のガイドラインにおいてもしっかりやってもらいたいと思うのですけれども、この点について公取委というのはどういうふうにお考えなのか、最後にお尋ねをしたいと思います。
  63. 根來泰周

    根來政府委員 ただいま事前相談ということに重点を置かれていろいろ御質問がございました。これはもう御理解いただいているところでございますが、事前相談というのは、ある意味ではサービスみたいなところがあるわけでございます。そういう点は、やはり私どもは親切に相手の立場を考えて、十分相談に乗るということが必要でありますし、また、そういう問題を契機にいたしまして、公取の仕事ぶりについて御理解をいただくように十分……(吉田(治)委員「サービスだって」と呼ぶ)いや、事前相談というのは……(吉田(治)委員「サービスじゃないじゃないの、サービスじゃないじゃないの、そんなの」と呼ぶ)
  64. 武部勤

    武部委員長 委員長の許可なしに発言をしないでください。  発言を続けてください。
  65. 根來泰周

    根來政府委員 私の申し上げるのは、事前相談というのは、法律では、合併の届け出をする、そして三十日以内に私どもが回答するということになっているわけですね。事前というのは、そういうことの前に御相談がある、こういうことでございますね。それのときには、十分相手のお話も聞いて十分対応したいと思いますけれども、その内容につきましては、先ほど来申し上げておりますように、相手の立場もございますからすべて開示するとは言いませんけれども、そういう内容につきましてはできる限り開示をしまして、一般の方々の参考に供するようにしたい、こういうふうに考えております。
  66. 吉田治

    ○吉田(治)委員 時間がないから終わりますけれども委員長、そういうサービスなんという発想はやめてくださいよ。してあげているのですか、要するに。だから、私先ほど申し上げたのですよ、実質の許認可になるんじゃないかと。  もう時間がありませんのでこれで終わりますけれども、情報開示もガイドライン作成もしっかりしていただかなければ、行政裁量の範囲を大きくすると、まさに今言われたサービスというようなふざけた言葉を言ってしまいますからこれ以上は申し上げません、後で懲罰になるのも嫌でございますので。これで終わらせていただきますけれども、本当にその辺をしっかりしていただかなければ絵にかいたもちになってしまう、こういうふうな問題点だけ私は指摘をさせていただきまして、もっとしゃべりたいのですけれども質問を終わらせていただきます。
  67. 武部勤

    武部委員長 次に、中野清君。
  68. 中野清

    ○中野(清)委員 新進党の中野清でございます。  河合委員、吉田委員質問を受けまして、私も質問をさせていただきます。  独禁法の九条は、いわゆる経済民主化政策の象徴として、持ち株会社禁止をしてきました。今回、この九条の改正を中心とした本法案というものは、経済グローバル化の中で我が国の経済の生き残りをかけた選択肢の一つでありまして、その努力は評価いたしますが、決してバラ色の夢ではない。この持ち株会社解禁について、幾つかの問題点をお伺いしたいと思います。  私も、今河合委員から質問された問題について幾つか用意をしてまいりましたが、重複しておりますから、その中でまず第一に、十一条に関連して金融持ち株会社についてお伺いをしたいと思うのです。  御承知のように、金融機関による産業支配を防ぐために、十一条は、金融機関が他企業の発行済み株式の五%を超えて保有することを禁止しております。しかし、この制限が緩和されますと、金融業界における子会社化によって実質的にさらに強烈な系列支配を生ずることが予想されるということは、もう委員長は御承知のとおりだと思います。この系列支配というものは、白米構造問題協議でグループ内選好取引と言われた差別的、排他的取引でありまして、競争阻害的な行為でもあります。  この反競争的な取引を排除し、取引の透明性を確保するためには、五%基準を今後維持する必要があると私は考えておりました。しかし、第四章改正研究会では、当初五%ルールの持ち株会社グループ全体では適用すべきだと考えておったが、今回は、この法案においてはこの手当てがなされていない。そして、先ほど来のお話ですと、金融持ち株会社金融業じゃないのだからこれは全然違うんだという、あたかも詭弁のような御答弁をいただいておりまして、先ほどの河合委員への御答弁について私は納得しておりませんから、もう一回、まず御答弁願いたい。お願いします。
  69. 塩田薫範

    塩田政府委員 お答えをいたします。  先ほどの繰り返しになりますけれども、十一条で、金融会社株式保有につきましては原則五%という規制があるわけでございますが、四章問題の研究会におきまして、持ち株会社解禁といいますか、持ち株会社規制のあり方について御審議をいただきまして、その中で、金融会社子会社とする持ち株会社、いわゆる金融持ち株会社についてどのように扱うかということについても触れていただいております。そこにおきましては、過度集中になることは当然規制すべきであるということでありますが、それに加えまして、金融持ち株会社につきましては十一条の規制趣旨を及ぼすということで、持ち株会社とその金融会社全体について合算してその五%、あるいは保険会社だけの場合ですと一〇%という規制を及ぼすべきではないかというお考えをお示しいただいたところでございます。  昨年、当初私ども改正法案の検討をいたしました際には、それを踏まえましてそういう方向でいろいろと作業をいたしたわけでありますけれども、先ほど御答弁いたしましたように、四章研の報告書の趣旨にはたがうわけでありますけれども金融持ち株会社自体は金融業を営むものではない。十一条の規制というのは、個々の金融会社それぞれについて五%規制ということでございます。しかも、最近、金融業全体についてビッグバンと言われるような規制緩和の大作業が行われているところでございますので、そういう状況を踏まえますと、十一条の規制金融持ち株会社についてまで及ぼすというのはいかがなものかということで、今回御審議をお願いしております改正法案におきましては、金融持ち株会社については第九条だけで、十一条の方は特に関連をさせないという案を御審議いただいているところでございます。
  70. 中野清

    ○中野(清)委員 今の御答弁答弁になってないのですよ。なぜ四章の研究会でそうなったものが変わったかということについての御答弁が、先ほど来ないのですよ。どうしてそれは、さっき言ったように、違うのだというのはそれは一つの論理であって、それを、ではどこでだれが言ったのですか。どういう力でもって変わったのか、それははっきりしてください。
  71. 塩田薫範

    塩田政府委員 法案作成の過程におきましては、一般論として申し上げますと、政府部内初め各方面の御意見あるいは調整ということで作業をするというか、その改正法案をつくるということであろうかと思いますけれども、この金融持ち株会社関係についてどうすべきか、どういう形の規制が望ましいか、これは私ども公正取引委員会の中での議論が中心でございます。もちろんその中には、独禁法そのものということだけではなくて、先ほど申し上げましたように、金融業につきまして規制緩和が大いに進められる、そういう中で十一条の規制のあり方あるいは九条の金融持ち株会社についての規制のあり方をどう考えるかということを、私どもが中心になって検討したものでございます。
  72. 中野清

    ○中野(清)委員 それでは、これは大蔵省が責任を持ってやったということで理解してよろしいのですね。
  73. 塩田薫範

    塩田政府委員 今御答弁申し上げましたように、この点につきましては、主として公正取引委員会の内部において議論をしてこういう案をつくったというふうに申し上げたところでございます。その際の考慮要素として、金融改革その他の動き、そういったものを当然頭の中に置いたということでございます。
  74. 中野清

    ○中野(清)委員 これについてはもうやめますけれども、この独禁法による規制以外に、今おっしゃられるように、銀行法による規制とか証券法による規制で担保しようというところがいっぱいあると思うのですよ。これを、今おっしゃるとおり、金融ビッグバン、そういうことでもって現状から大いに変えることがこれからあり得る。また、現在もこういうふうに起きているわけですね。そういう場合、公正取引委員会として今後どのように関与していくかお伺いをしたいと思います。私はこれは根來委員長に申し上げたいのですけれども、先ほど来、第一条の精神をおっしゃっていました。私は、この哲学というものが公取の生命線と思いますから、まずお伺いしたいと思います。  それから、銀行や証券会社等のグループ化に伴いますところの不正取引のためのファイアウオール規制とか、預金者、保険者契約のリスク波及の防止のための業務範囲規制等の具体的な検討が、先ほど言うとおり金融制度調査会等で六月ですか、そういう話がございました。我が党の河合委員から、その中で、この持ち株会社の問題というものがどうも当面の課題として、この金融持ち株会社を利用して現在の破綻金融機関への救済や金融業界の再編成等、これに利用されるのだというようなことを、これは俗説かもしれないけれども、そういうふうに言われているということは事実ではないかと思うのです。  その場合に、では、どうしてこれに対したらいいだろうか、透明性を持ったらいいだろうか、こう考えてくれば当然、河合委員がおっしゃいましたけれども金融持ち株会社法の制定、この問題に当然私は入るべきだろう。先ほど御答弁がありましたけれども、銀行法も証券法も保険法もあるのだと。しかし、そうかといって、各業界の利害が対立する中でもってそれをどうしたらいいか。それをそれぞれがやった場合に、合う場合も統一できない場合も、またこれこれの場合がある、いろいろなことをおっしゃっていましたけれども、その点について明らかにしていただきたい。これは大蔵省と公取にそれぞれ答えていただきたいと思います。
  75. 塩田薫範

    塩田政府委員 御質問の中で、公正取引委員会といいますか、私どもの方からお答えすべきと思われる点について、御答弁申し上げたいと思います。  金融持ち株会社関係といいますか、金融会社子会社とする持ち株会社をどういった範囲で許容するかということでございますけれども先生も御指摘のように、独禁法の第一条の目的の中で、事業支配力過度集中を防止するというのが大きな柱の一つになっているわけであります。今回の持ち株会社解禁法案といいますか、今回御審議いただいております法案も、基本的にはこの一条の事業支配力過度集中を防止するということを維持するといいますか、その範囲内で持ち株会社解禁しようということでございます。  したがいまして、九条の第五項の方でそう書いてありますし、それから、事業支配力過度集中を防止するということから出ております規定としては、第九条の持ち株会社禁止、それから第九条の二の大規模事業会社株式保有総額の制限、それから第十一条の金融会社株式保有制限、この三つがございまして、それぞれ役割を担っているということでございますので、この三つの規定をもって事業支配力過度集中を防止するということでやっていきたいというふうに考えております。
  76. 中井省

    ○中井説明員 お答えいたします。  金融持ち株会社の導入につきましては、いろいろ御指摘ございましたけれども、確かに破綻金融機関の救済に一つの新たな選択肢が加わるということでも意味がございますが、それよりも何よりも、我々としましては、二十一世紀を踏まえましたいわゆる利用者の利便、それから市場の活性化のために現在金融システム改革を推進中でございます。そのまさに中核となる制度であると考えております。そういう意味で、まさに総理から御指示もございましたけれども、フリーでフェアでグローバルなマーケットをつくるんだ、いろいろここ二、三年来の金融行政について御批判いただいておりますけれども、いわゆる業者行政に陥ることなく、あくまでも利用者利便、市場の活性化ということを主体に置きまして検討を進めてまいりたいと思っております。  それから、持ち株会社の件につきましては、六月に結論をいただきまして、できるだけ速やかに法案という形でお示ししたいと考えておる次第でございます。
  77. 中野清

    ○中野(清)委員 どうも納得しませんけれども、時間がございませんから、私は、中小企業の立場でもってこの独禁法の問題、本法案を考えてみました。  特に、この持ち株会社解禁に対しましては中小企業の中では強い懸念がありまして、現実の問題として、大企業と中小企業という二重構造とか経済の場におきます強者、弱者、これは事実あるわけですね。そういう前提でもって、過日も本委員会に日商の小柳中小企業委員会委員長代理が参考人として発言したことがございまして、配慮を求められておりましたから、これについて何点かお伺いいたします。  まず第一に、大企業が、その優越的な地位を利用して持ち株会社以外のグループの中小企業を、その会社の意向に反して無理矢理に傘下におさめようとする行動をとらないようにしてもらいたいということを言われ、心配しております。そのためにも、企業買収なりに一定の歯どめが必要と考えられますが、公正取引委員会事業支配力を強度に集中させたグループの行動を絶えずチェックできるように、事前届け出、事後報告についてこれからどのように考えていくか、その必要性を私は痛感しておりますけれども、お伺いしたいと思います。持ち株会社企業買収についての不正な動きがないか、特に中小企業の、弱い立場でのこれに対する懸念について、監視の必要があると思いますが、まず第一点としてお伺いをしたいと思うのです。  同じように今度は、今のは買収の話でございましたが、しかし実際に、例えば自動車産業が一部代表的によく言われておりますけれども、大競争時代を迎えている中で、中小企業、特に下請企業というものが極めて厳しい経済環境になっております。その中で、中小企業は親会社から、従来の長期的な取引慣行を継続するよりも、むしろ親会社競争力強化のために、いわゆる国際化とかグローバル化、そのとおりでございますが、下請企業がさらにコストを削減するように強く要請されている。よく、乾いたぞうきんをもっと絞るんだと言われておりますけれども、そういう場合がたくさんあるわけであります。  このように親会社の要求にこたえられない場合には、下請企業は親会社からの取引先の選別や下請の切り捨てという深刻な事態に直面しているということは、これは皆様御承知のとおりなんです。こうやって一生懸命努力している中小企業や下請企業に対しまして、政府支援強化というものは当然望まれるわけでありますけれども、本日は、公正な競争を守るという独禁法の立場で、公取委員会としてこの問題をどう考えているか、お伺いをしたいと思うのです。  あわせまして、こういうような問題について、先ほど来ガイドラインの話もございましたけれども、その点についても、もしありましたらば触れていただければありがたいと思います。
  78. 塩田薫範

    塩田政府委員 幾つか御質問いただきましたので、最初の点について私の方からお答えをさせていただきたいと思います。  持ち株会社一定範囲解禁をするということによりまして、大企業の力がますます強くなる、その結果、中小企業がその意に反して大企業グループといいますか、持ち株会社グループの傘下に組み入れられる、そういう懸念があるのではないか、それに対してどう対応するのかということでございます。  今回の改正法案の第九条におきまして、何度も繰り返して恐縮でございますけれども事業支配力過度集中することとなる持ち株会社を設立する、あるいはそういう持ち株会社になるということは禁止をされているわけでありますけれども、この第九条以外に、独占禁止法規定で、例えば持ち株会社株式保有により個別市場における競争が実質的に制限される場合、あるいは持ち株会社が不公正な取引方法により国内会社株式を取得する、あるいは持ち株会社が他の事業者の活動を排除する、そういった行為につきましてもそれぞれ禁止している規定がございます。持ち株会社禁止ではなくて、一般に、会社もしくは事業者規定でございますけれども。そういった規定がございますので、御指摘のような持ち株会社が他の事業者を排除するような、あるいは強引に自分の傘下に入れるというような行為は、それぞれの禁止規定を適切に運用することによって、競争政策上の問題がある場合には適切に対応できるのではないかというふうに考えております。  残りの部分については、別な担当者から御説明させていただきます。
  79. 山田昭雄

    ○山田政府委員 お答え申します。  中小企業関係の問題でございますが、現在の経済環境のもとで、親事業者が自社のコスト削減策の一環といたしまして下請事業者に対してコスト削減を求めるということ、そして下請事業者が大変厳しい経営環境にあるということは、私どもも承知しておりますところでございます。  景気は緩やかに回復したということを言われていますが、中小企業者にとっては、その景気回復の影響というのは一番最後に来る、悪くなるときは最初に来るというようなことも承知しているわけでございまして、その中で、例えば親事業者コスト削減のために一たん取り決めた下請代金を減ずること、こういうことは下請法に違反するわけでございまして、これは厳正に法違反行為として対処しておりますし、また、違反行為が起こらないようにしていくということも非常に重要でございまして、その未然防止ということにも努めているところでございます。
  80. 中野清

    ○中野(清)委員 今の御答弁はわかりますけれども、おっしゃるとおり、三条の私的独占とか不当な取引制限の禁止とか、十条一項の不公正な取引方法による株式取得の禁止とか、十五条の合併の制限とか、当然これはあるわけですね。ですけれども、これが本当に生かされているかどうか、現場においてどうなんだろうかという問題について、委員長、これはもっとしっかりやってもらいたいということを私はお願いしたいのですよ。  そういう意味で、実はお話をしたいことがあります。今中小企業は、この問題に関連しまして、独禁法を含めた相談の窓口を拡充を求められていると思うのですよ。御承知と思いますけれども公正取引委員会の審査部というものは、本部を入れまして全国八カ所と思っております。この公正取引委員会に相談するのは大変だという声が現実にあるわけですよ。特に下請等は、うっかり自分のところの会社の名前なんか出したら、すぐに首を切られてしまうよ、取引が停止になってしまう、そういう雰囲気がありまして、申しわけないけれども、皆さんのところへ行っている情報というものは、本当に行き詰まった究極的な情報にしかすぎないというふうに私どもは理解をしております。  ですから、公正取引委員会の審査部に持ち込む前に中小企業の人たちが安心して相談ができる駆け込み寺のような機関、しかもある程度権限や任務も明らかにして秘密が守れる機関、そういうものが、例えば中小企業独占禁止法相談所というようなものが必要じゃないかと私は考えておるのですよ。そして、それを例えば商工会議所とか各地の商工会等に設けてはどうかと私は提案したいと思いますけれども、公取の御見解を伺いたい。お願いいたします。
  81. 根來泰周

    根來政府委員 ただいまおっしゃった御提案は、まことに聞くべき点があろうかと思います。私ども公正取引委員会は、人数も限られておりますし、予算も限られておりますから、要するに民間の御協力なくして独占禁止法の普及、その執行の適正ということは図れないわけでございます。今後とも御提案の趣旨を踏まえまして、いろいろ考えたいと思います。
  82. 中野清

    ○中野(清)委員 初めて前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  ぜひこれについては、公取のみならず通産とか皆さんにも御相談をしていただいて、生かしていただきたい。少なくとも、その市においての商工会議所の存在というものは、地域の中小企業にとっては一番そこが行きいい場所でございますから、それと、各支所というのでしょうか、それも減っているようでございますから、先ほど来委員長がおっしゃったとおり、なおさらこのことについては強力に推進をしていただきたい。これはお願いをさせていただきたいと思います。  続きまして、事前届け出制についてひとつお伺いをさせてもらいたいと思います。  御承知のように、欧米諸国では、一定規模以上の合併、買収につきましては事前の届け出制がとられておりますが、これに対して我が国の場合は、合併、営業の譲渡については十五条二項、十六条によって事前届け出制がございますけれども株式の取得については十条二項で事後届け出制があるにすぎないと思っております。今回持ち株会社を認めるならば、先ほど来言われたような経済力の集中の監視のためにも事前届け出制に改めるべきと考えますが、まず御所見を伺いたいと思うのです。  この規制は、外国株式会社またはその傘下の企業日本で買収する場合には、当然事前届け出制の対象にする必要がありますが、現実に欧米の場合においては、外国会社の合併であっても、自分の国の市場に影響を及ぼす場合には届け出が求められている。例えば、東京銀行と三菱銀行の合併についても、それぞれがアメリカとかEUに事前届け出を行ったと伺っておりますけれども、この点をどうお考えになるか、まずお伺いしたいと思うのです。  私は、ぜひこの問題をやってもらいたい。一つ申し上げますが、では一歩譲って、事前届け出制をとらないというときに、そうしますと、現行の一年ごとの事後報告、これでは絶対に不十分だと思いますから、例えばこの一年ごとの報告というのは、これは当たり前の話ですから当然やってもらう。それと一緒に、買収、合併に影響する一定量の株式についての取得直後の報告義務というもの、この二つをあわせてやる必要がある。私は、そんなことをやるよりはむしろ事前の届け出制をやるべきだと考えておりますが、まずお伺いしたいと思います。
  83. 塩田薫範

    塩田政府委員 お答えいたします。  今先生がおっしゃった合併、営業譲り受けあるいは株式取得、企業結合というような言葉を使って言っておりますけれども、平成七年以降の規制緩和推進計画の閣議決定の中におきまして、「合併・営業譲受等の届出制度、株式所有の報告制度及び役員兼任の届出制度について、制度の趣旨目的企業負担軽減、国際的整合性の確保等の観点から、裾切り要件の導入、引上げ等を含め、見直しを図る。」ということにされております。  私ども公正取引委員会といたしましては、持ち株会社の問題について御審議をいただきました四章問題研究会、ここは、持ち株会社だけではなくてこういった問題もあわせて御検討いただくという趣旨で設けたものでございますが、昨年の七月からこの研究会のもとに企業結合規制の見直しに関する小委員会、主として学者、そういった方々にメンバーになっていただいて、会合を開催し、検討をしていただいているところでございます。今先生指摘のような株式保有の届け出制度等の企業結合等のあり方、これを今いろいろと御議論いただいているところでございますが、私どもといたしましては、この研究会における検討結果をも踏まえて所要の措置を講ずるということを考えているところでございます。  それから第二点目に、外国会社同士が合併した場合にどうするかという御質問でございますが、御承知のように、現在の独禁法十五条は国内会社同士の合併が規制対象ということでございますので、外国会社同士の合併につきましては規制対象にしておりません。この点につきましては、先ほど申し上げました企業結合規制の見直しに関する小委員会におきまして、国外における合併についても規制対象とすべきかどうか、検討をしていただいているところでございます。  小委員会におきましては、我が国市場に影響を及ぼすような国外における合併については規制対象とすべきであるという意見がありますけれども、一方で、実際上我が国市場に影響を及ぼす国外における合併は少なくて、規制対象とする実益が乏しいのではないかというような御意見もございます。いずれにいたしましても、私どもといたしましては、この小委員会あるいは研究会における検討結果を踏まえて対応を考えていきたいというふうに考えております。
  84. 中野清

    ○中野(清)委員 先ほど吉田委員の方から事前相談の話がございました。私もしようと思ったのですけれども内容については吉田委員質問でもう十分でございますから、一点だけお伺いします。  先ほど委員長は、事前相談というのはサービスだというようなことを、これはそうじゃないともおっしゃいましたけれども、はっきりしてもらいたい。といいますのは、さっきおっしゃったように、合併の届け出をして三十日以内にやればいいという簡単なものじゃないのですよね、合併の審査なんというのは。ですから、これはサービスでも何でもなくて、行政の中での一つのプロセスだろう。これは今までも、大店法でも何でもみんなそうだったですよ。そうしますと、サービスという御発言についてはこの際改めていただきたい。できればこの際、その発言じゃなくて、もうちょっと認識をはっきりしていただきたい。お願いします。
  85. 根來泰周

    根來政府委員 そのサービスというのは、そういうふうにこっちがしてあげるという趣旨で使ったんじゃないのですけれども、そういう誤解があるとすれば撤回することはやぶさかではないわけです。  要するに、今おっしゃったように、合併の届け出をして三十日以内に白黒というか、そういうことになりますので、その以前に、私どもの仕事もしやすいように、また合併をする方もわかりやすいように事前相談という制度を設けているというのが私の言うサービスの内容でございましたので、それは撤回するのは何ら差し支えございません。
  86. 中野清

    ○中野(清)委員 では、時間もあれですから、最後の質問にさせていただきたいと思います。独禁法でございますから全体的な問題でございますけれども、実は、地域寡占の問題について最後に一つだけお伺いしたいと思うのです。  といいますのは、例えば、このガイドラインの三つの中の二項に都市銀行の問題が出ております。しかしながら、地域寡占として、例えば銀行の中でも横浜銀行はどうなんだろう、例えば宮崎銀行はどうなんだ、それからまた山陰合同銀行はどうなんだ。そういうような地域寡占というものも、それは確かに全国的なレベルではないけれども、当事者にとっては、その地域においては非常に重要な要素になる。  これについては、行為としての違反があれば当然摘発するんだ、そういうお話でございますから、それについては理解しますけれども、では、ガイドラインの中でもってその点についてはどう考えるのかということをお伺いしたいと思うのですよ。  特に、これは当然だと思いますから最後に改めて確認させていただきたいと思うのですけれども、北海道においては北海道銀行と拓殖銀行の合併が言われております。結論はこれからでございますけれども、これは当然この二項の適用範囲に入るんだというふうに理解していいのかどうか、これをお伺いさせていただこうと思うのです。  とにかく公取がぜひ哲学を持っていただきたい。我々も一生懸命応援させていただきたいと思いますから、皆さんが頑張っていただきたい。そのことをまず心からお願いしながら、地域寡占についての御見解をいただきたいと思います。
  87. 塩田薫範

    塩田政府委員 お答え申し上げます。  現在御審議いただいております持ち株会社改正法案は、特定の市場における競争に与える影響を問題にするということではなくて、事業支配力過度集中することを国民経済に対する影響という点からとらえて規制しようというものでございますので、今お話のございましたような地方銀行などを中心とする企業グループにつきまして、これが持ち株会社禁止対象として該当することはまずないのではないかというふうに思います。  規模あるいは影響力の大きな地方銀行について御指摘がございましたけれども、現在私どもが御提案している禁止の類型の二番目、第二類型といいますか、これにつきましては、都市銀行のように規模の大きい金融会社が一般事業会社とともに一つ持ち株会社の傘下に置かれる場合、統合される場合ということを考えております。これは、戦前のような財閥におきまして巨大な金融会社企業集団の中核となっていたことにかんがみまして、そのような大きな影響を及ぼすのは都市銀行程度の規模を有する会社というふうに考えられるからでございまして、御指摘のような例が仮に今申し上げたようなことになれば、都市銀行程度ということであれば規制対象となる。ただ、一般的に地方銀行ということであれば、なかなかそういうことにはなりがたいのではないかというふうに思います。  それから、先生は十分御承知の上でおっしゃっておられますけれども、九条の観点からの問題ではなくて、一つ持ち株会社の傘下に複数の同業者を有するということで、一定地域といいますか、特定の地域におきましてシェアが非常に高くなってしまう、その結果競争の実質的制限をもたらすような場合であれば、当然、株式保有の規制の第十条の観点から禁止されるということになろうかと思います。  それから、具体的な会社の名前が出ましてちょっと答えにくいのでございますけれども、今、合併構想といいますか、合併の方向に向けて検討が進められている両銀行の場合に、合併後の姿が、我々が今想定しておりますような都市銀行、確かに北海道拓殖銀行というのは都市銀行でございますけれども、それがそういう規模といいますか、そういうものに該当するのかどうかという具体的なところを見た上で考えるべきものだというふうに考えております。
  88. 中野清

    ○中野(清)委員 終わります。
  89. 武部勤

    武部委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ————◇—————     午後二時三分開議
  90. 武部勤

    武部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。島聡君。
  91. 島聡

    ○島委員 新進党の島聡でございます。  きょう午前中には、私どもの同僚議員が幾多の質問をされました。五月九日にはフリートーキングが行われまして、延べ十何人の委員が発言された。そのときもいろいろな論点がたくさん出ておりました。情報公開の強化が要るとか、連結制度の導入が必要、労使問題、それから公正取引委員会の透明な法運用等々の議論がなされ、そしてまた、午前中にも多くの議論がされたわけでございます。私は、その議論等を踏まえまして、もうちょっとまた基本に戻って御質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  与党内のプロジェクトチームでの議論を経まして今回の法案が提出されたわけでございます。どうも私どもからしますと、この間の審議が随分不透明であったなと思いますし、先ほど委員長も、独占禁止法というのは、一般的な言葉が使ってないからなかなかわかりにくいというような発言をされましたけれども、もっとわかりにくいのは実は国民の方でございまして、なかなか今回の経過もわかりにくいですし、法案についてもわかりにくい点が多々あると思います。  これは、通産省産業政策局が出されました「企業組織の新潮流」という独禁法解禁に向けての報告書を本にしたものでございますが、ここにこんな記述があります。  独占禁止法の「第九条及び第九条の二については、現在はともかく、少なくとも歴史的には大きな役割を果たし、」これは私も同感でございます。「かつ、一般国民の間にもなお定着したものであることから、これを改廃するためには、単に規制の今日的意義が不明確と言うだけでは不十分であるという議論も有力である。」私もそのとおりだと思いますので、その観点から本日質問を進めさせていただきたいと思います。  つまり、国民には定着しているのです、この九条及び九条の二は。それについてきちんと納得がいく御回答をきょうはいただきたいという観点から御質問を申し上げますので、よろしくお願いを申し上げます。  先ほど自民党の委員も言われましたけれども、まず第一、フリートーキングのときに私が申し上げました届け出義務、総資産規模三千億円のこの理論的根拠についてであります。先ほどの質問に対して回答がございました。それで、その回答はなかなか納得のいくものではございませんで、初めてのことだから若干広いものにしたとか、そんなようなものだったと思いますけれども、これで国民が本当に理解してくれるだろうか。  私が申し上げましたように、何か最初は自民党は五千億で、社民党が一千億で、中をとって三千億になってしまったという方が、有権者、国民の方は、そうなんですかというふうにすぐ理解してしまうわけです。それと同時に、そんないいかげんでいいんですかという思いも必ずあると思います。決してそんなことはないと思いますので、理論的根拠をきちんと、国民がわかる言葉で、いいかげんな、一種の言葉でなくて、国民がわかる言葉できちんと御説明を賜りたいと思います。お願いします。
  92. 塩田薫範

    塩田政府委員 お答えをいたします。  御質問持ち株会社届け出義務の対象となる会社基準の、総資産三千億円とする予定にしておりますけれども、そのことの根拠といいますか理由ということだと思います。  今回の改正法案は、事業支配力過度集中することとなる持ち株会社禁止するということでありますけれども、それ以外のところについては、持ち株会社解禁といいますか許容するということでありますが、問題とすべき持ち株会社を把握し、そしてきちんと必要に応じて是正措置をとる、監視をするために、持ち株会社子会社の総資産の額が一定規模を超える持ち株会社については、毎事業年度終了後三カ月以内にその状況等について御報告をいただくということにしておるわけであります。  その対象となる、つまり届け出なり報告をいただいて監視対象となる持ち株会社規模、これは三千億円を下回らないところで政令で定めるということにしておりますけれども、現時点では私ども、政令で総資産を三千億ということで考えているところでございます。  この金額をどのレベルで設定するかということでございますが、ことしの一月末に与党独禁法協議会に、持ち株会社改正法案といいますか、これについて御審議をいただく際、一番最初に私どもの方から私どもとしての改正法案の考え方を御説明をいたしました。改正案の骨子ということで御説明をいたしましたけれども、その際には、第九条の二の規制対象範囲を参考にいたしまして、総資産五千億円ということで御提案をいたしたところでございます。その後、与党独禁法協議会において、この届け出対象義務の基準をどうするかということでいろいろ御議論がありまして、五千億ではなくて三千億とすることが適当ではないかというようなことがございまして、最終的には与党の協議会の方で三千億ということになったわけであります。  その背景といいますか根拠といいますか、そういったことといたしましては、当初私ども五千億円ということで御提案をいたしましたけれども、今回、五十年ぶりといいますか、全面的に禁止されておりました持ち株会社一定範囲解禁をするということで、当面といいますか、そういうことで初めてのことでありますので、監視の対象公正取引委員会が考えていたものより少し広目にする、あるいは大規模事業会社として九条の二の対象となっている会社よりもやや広目にするということが妥当であるということで、三千億円ということにいたしたわけでございます。
  93. 島聡

    ○島委員 何度お聞きしましても同じような答えしかございませんので、これで終わります。  次の、同じような外形基準、これはグローバル経済に対応するということで、例えば、独占、寡占などの弊害を防ぐ方策として、公正取引委員会規模が極めて巨大で広い分野で国民経済に大きな影響を与えると判断すれば設立を禁止できる厳重審査の対象は、総資産十五兆円以下というふうになった。これは私は余り意味がないのではないかと思いまして、一体世界のいわゆる持ち株会社グループというのはどれぐらいですかというふうにお聞きしました。  これは一九九四年現在の価格で調べておりますが、例えばフランスのプジョーなんというのは三・五兆円、それからドイツのダイムラー・ベンツが六兆円、それからペプシコが二・八兆円、そういう額でございました。こちらは何か、また同じように十兆円論があって、二十兆円論があって、真ん中の十五兆円をとったようでございます。そうでないかもしれませんけれども、今申し上げたように、割と日本の各会社の総資産というのが大きい。もちろん、ロイヤル・ダッチ・シェルが十・八兆円、それからGE、ゼネラル・エレクトリック・カンパニーが世界の連結子会社を入れて十九兆円ということになっております。  今何を申し上げたいかといいますと、二・八兆円から十九兆円までかなり幅があるわけでございます。非常に大きな幅がある。その中においてこの十五兆円というものが出た理論的根拠。例えば十五兆円という外形基準をもたらした場合に、十四兆五千億ぐらいの企業があった場合あるいは持ち株会社グループがあった場合に、そのときのきちんとした理論的根拠がない場合は非常に運用が難しいところが出てくると思いますので、理論的根拠をこの際きちんと明示していただきたいと思います。お願いいたします。
  94. 塩田薫範

    塩田政府委員 お答えをいたします。  今回の持ち株会社解禁の九条五項で禁止されるべき持ち株会社といいますか、過度集中となる持ち株会社ということで、三つのパターンといいますか類型を示しておりますが、一つは、今先生がおっしゃった、企業グループ規模が非常に大きい、相当数の主要な事業分野においてそれぞれ別な大規模会社がある場合、それから二番目のグループとして、大規模金融会社金融以外の会社一つ持ち株会社の傘下におさまった場合、三番目の類型として、相互に関連性を有する相当数の主要な事業分野それぞれにおいて別々の有力な事業者一つ持ち株会社の傘下にある場合ということでございます。  今御指摘の十五兆円というのは、第一類型の総合的な事業規模が十五兆円以上、第一類型もそれだけではなくて、相当数の主要な事業分野において別々の大規模会社があるということでございます。仮に第一類型に該当しないという場合であっても、第二類型は金融関係でございますのでちょっと一般的ではないと思いますが、第三類型に該当するかどうかというチェックがかかるということになると思います。  それは若干前置き的な話でございますが、十五兆円という規模でございます。これは、先ほど申し上げました一月末の与党独禁法協議会のスタートに当たりまして、私どもから御説明をいたしました改正案の考え方の中で、大規模企業グループとして総資産二十兆円を超えるもの、これだけの要件で直ちにクロということではありませんけれども、第一類型の一つの要件として二十兆円を超えるものということでございます。  二十兆円ということを考えましたといいますか、御提示した考え方の背景といたしましては、我が国には、現在いわゆる六大企業集団と言われるものがございます。この六大企業集団規模はいろいろございますけれども、その中で金融業を除いた企業だけを取り出して、それぞれの企業グループの総資産を見てみますと、その中で一番小さいものが二十一兆円余でございます。そういったことを踏まえて……
  95. 武部勤

    武部委員長 短く答弁してください。
  96. 塩田薫範

    塩田政府委員 わかりました。  そういうことを踏まえまして、二十兆円ということで御提示をしたわけでありますけれども、その後の与党独禁法協議会の場でいろいろ御議論がございました。一番小さい、六大企業集団の中の非金融だけ全部集まった場合だけではなくて、ある程度参加しないものがあってもやはり問題とすべきではないかということがございまして、そういった趣旨を込めて十五兆円が適当ではないかということで今回十五兆円ということを、法案が成立させていただきましたところで、そのガイドラインの中に書きたいというふうに考えておるところでございます。
  97. 島聡

    ○島委員 何度も同じ説明をいただきましたので、随分私も暗記はしました、理解はしておりませんが。そういう状況でございます。  同じように、この通産省企業法制研究会の報告書におきまして、純粋持ち株会社経済的効用ということについて話されております。例えば、幾つかありますが、時間の関係一つだけ取り上げます。  新事業展開及びリストラの促進経営者が中長期的な戦略を立てることができる、公平かつ効率的な経営、資源配分が行える、権限移譲により経営責任が明確になるというようなことが要約しますと書いてありまして、これは、事業オペレーションの観点からいわゆる純粋持ち株会社経済的効用があるというように考えてよろしいでしょうか。通産省の方、お願いします。
  98. 藤島安之

    藤島(安)政府委員 御指摘企業法制研究会の報告書にはそういう視点で取りまとめが行われている、そういうふうに承知しております。
  99. 島聡

    ○島委員 このようないわゆる事業オペレーション上の観点は、別に純粋持ち株会社にしなくても、例えば事業部制でも十分可能であって、一々取り立てて書くことはないと思うのですが、事業部制ではできなくて、純粋持ち株会社だと経済的効用が出るということでこれは書かれているのでしょうか。
  100. 藤島安之

    藤島(安)政府委員 確かに、今先生指摘いただきました純粋持ち株会社の効用につきましては、既に事業持ち株会社形態でもある程度実現している、そういうふうに考えられるわけでございます。そういうふうに指摘があることも十分承知しております。  しかしながら、現在認められておる事業持ち株会社といいますのは、総資産に占める子会社株式の比率が五〇%以下に限定されているわけでございます。現在の経済の状況を申し上げますと、主要企業の一社当たりの子会社の数を紹介させていただきますと、上場企業約五百社ぐらいを調査したわけでございますが、昭和六十年度には一社当たり十二社ほど子会社を持っていたのが、平成六年には三十七社ということで、三倍強にふえているわけでございます。これはグループ経営というのが日本経済の中で定着している状況だ、こういうふうに考えられるわけです。したがいまして、事業持ち株会社の延長線上にある純粋持ち株会社解禁するということは、こうした制約を取り除き、より柔軟な企業の組織変更に対する支援にも資するもの、こういうふうに考えるわけでございます。  本来、企業がどういう組織形態をとるかというのは自由であるべきものと考えられます。そうしたわけで、独占禁止法目的に反しない範囲純粋持ち株会社解禁いたしますことは大変意義があるもの、そういうふうに考えております。
  101. 島聡

    ○島委員 今事業部制というふうにお聞きしたのは、事業持ち株会社と言い間違えたのじゃなくて、事業部制と事業持ち株会社純粋持ち株会社があるとしまして、実はこれは公正取引委員会事務総局が出された「欧米における持株会社実態調査」というものなんでございますが、その五十七ページに、アメリカの聞き取り調査で「事業のオペレーションの観点からは、事業部制と持株会社との間に重要な差異は認められない。」そういう記述があるわけでございます。公正取引委員会の事務総局の御報告にそういうのがあるにかかわらず、また今回こういう純粋持ち株会社というのは、何となく論理矛盾があるような気がして仕方がなかったので、今お聞きしました。ただ、今そういう意見があることはよく存じ上げているというお話でございましたので、時間の関係もあって、この質問はここまでにさせていただきます。  次の質問でございますが、私は、この純粋持ち株会社解禁、原則として、当然グローバル化した日本経済競争力を高めるということにもつながるという意味で、基本的にいいのであろうというふうに思っておりました。  ただ、今取り上げました報告書にこんなふうに書いてあるのです。これは事業持ち株会社純粋持ち株会社をちょっと一緒に書いてありますが、ドイツでは「持株会社による多角的経営支配は、経験則からいって、大抵の場合、生産性、資本利益率が低い」、これは十二ページに書いてあります。「これは当社の米企業調査の結果でも同じ結論が得られた」と書いてございます。  生産性が低くなって資本利益率が低くなるというのは、企業グローバル化グローバル経済に対応して経済活性化していくために資するというのと全く矛盾するような報告書があるわけでございますが、これはどうもおかしい。ということは、この間き取り調査が誤っていたのか、それとも、これはこれとしてほっておいて、何かの感覚でこれはもう無視していいということになったのか、その辺についてお尋ねをしたいと思います。
  102. 塩田薫範

    塩田政府委員 お答えいたします。  今先生御引用になりました「欧米における持株会社実態調査」、平成七年の秋に行ったものでございますが、短期間の間にかなり駆け足で関係当局なり個別企業にインタビューをしたということで、調査の先あるいはその内容といいますか項目等について必ずしも十分でないところがあるという資料であることは、恐縮ですが、申し上げなければいけないと思います。  今先生指摘のように、持ち株会社による多角的経営は生産性あるいは資本利益率が低いという旨の記述といいますか、インタビューを得て、そういったところを書いているところがございます。したがって、そのこと自体は、そういうお話があったことは事実でございますが、それが一般化してそういうふうに言えるのかどうかということについては、必ずしも適当ではないのではないかという感じがいたしております。  企業がそれぞれの経営形態としてどういう形をとるのかということでありますが、その報告書の中にも書いてあったかと思いますが、どんどん持ち株会社を活用する方向に行っているということでは必ずしもなくて、場合によっては、持ち株会社形態をとっていたのがだんだん縮小するような方向に来ている企業がある様子、そういうようなことも記述されていたと思いますので、持ち株会社の方針が、メリットとしていろいろなことは言われておりますけれども、それが個々の企業体にとりまして果たしてどういうメリットがあるのか、そういうことを選択するのかというのは、また個々の企業判断といいますか、やってみた上での話ではないかなという感じがいたします。
  103. 島聡

    ○島委員 それは当然なことだと思います。問題は、競争政策上どうかということが当然出てまいります。  同じ報告書です。   複数の持株会社が複雑な出資関係をベースとして絡み合っており、各持株会社に置かれた役員会は傘下の子会社社長、出資関係にある他の持株会社の役員等で構成されている場合が少なくなく、その場合には「同じ市場をシェアする会社トップの談合の場として利用され、市場価格操作が行われたとしても、立証するのは極めて困難である」 もちろん、これが一般的でないと言われればそうですが、ほかにも、   こうした状況を踏まえた上で、「もし日本に持株会社を導入した場合には、系列システムによる垂直的な結合が強まり、これに関する立証は困難を極めるに違いない。」 とあるわけであります。これを見ていますと、この報告書からは持ち株会社解禁したら日本がよくなるとはとても私には思えない、平成七年の報告書を見ますと。  そうすると、何かこの報告書をすべて否定できるような効用というものがあったのか。これが、今おっしゃったように、駆け足で間違えたというのはそれは大変なことでございまして、こういうような報告書は、いろいろな各省庁の報告書、政策遂行をするための分析という報告書があることはよく存じ上げております。しかし、公正取引委員会の報告書なんですから、公正な報告をきちんとしていただけると信じて質問をさせていただいておるわけでございますが、この箇所についてどう御説明いただけますか。
  104. 塩田薫範

    塩田政府委員 お答えをいたします。こういった実態調査をするということは、何らかの政策目的といいますか、使っていこうということでありますから、しっかりやった上でなければいけないということは御指摘のとおりだと思います。ただ、この報告書、必ずしもその点で十分でなかったという点は否めないというところは先ほど申し上げたところでございます。内容といいますか、具体的に問題点がいろいろある、競争政策の観点からも問題点があるということが指摘されていたことは、そのとおりでございます。  この点について、我々公正取引委員会としてどう考えたのかということでございますけれども、第一に、競争政策の観点から認めるべきでないといいますか、例えば今回お願いしておりますような、過度集中になるようなところまで持ち株会社を全面的に認めるというのは適当でないということで、これは競争政策の基本を維持しながら、その範囲内で許容できるところを解禁をするということであろうかと思います。  それからもう一つは、持ち株会社という形態一定範囲で認めた場合に、今先生指摘になりましたような、カルテルとか何かそういったものが摘発しにくくなるといいますか、そういう問題があるのではないかということがございます。  これは、例えば持ち株会社があって、子会社があって、あるいはその孫会社がある、その中でどこがやったのかわからない、わかりにくくなるのじゃないかという話が当然あると思いますが、そこは持ち株会社ではなくて、現時点においても、よく言われる事業持ち株会社、そういった形でも同じような問題があり得るわけでございます。その辺は、審査といいますか、違反事件の是正をする際にやはり大きな難しい点の一つだろうと思いますけれども、その点は我々、審査の技術といいますか、調査の技術あるいは情報のキャッチの技術の面を磨くことによって対応する。競争政策の観点から、過度集中ということで問題ない範囲については持ち株会社は認めていこう、こういう判断をしたところでございます。
  105. 島聡

    ○島委員 一般論でない、あるいは、ひょっとしたらこの報告書は駆け足だったからできなかったかもしれないというのではあったとしても、こういうことの危惧があるわけですから、十分な対策を考えていっていただきたいと思う次第でございます。  もう一つ、株主安定化工作についても記述がございます。それについても御質問します。  「少数の資本で株主安定化工作が可能になるので、株主としては放漫経営を追及することもできない」とあります。情報公開の観点と同じでございます。結果としては、ドイツでは株主総会出席率は三から五割程度の企業が少なくない、また、フランスの同出席率は一般的に三、四割程度と極めて低調。日本の方は、ちょっと聞きましたら、三割以下のところが五〇%以上というようなことで、株主の今の状況というのは、決してきちんと株主が放漫経営を追及できるような状況になっていないわけでございます。  同じように、このように株主がきちんと放漫経営を追及できないような状況にあるということも十分予想されるわけでございますが、これに対しての対策はどのようにお考えかをお聞きしたいと思います。
  106. 柳田幸三

    ○柳田政府委員 お答え申し上げます。  持ち株会社は、商法上は親子会社という場合の親会社に相当するものでございます。我が国の企業社会におきましては、既に一〇〇%子会社あるいは親子会社という形態はかなり一般的な存在になっておりまして、企業経営一つの手法として活用されているわけでございます。現在、この親子会社の存在が原因となりまして株主総会の機能が失われているといった弊害は特に生じていないというふうに認識しているところでございます。したがいまして、持ち株会社解禁されましても、これによって商法上特に新しい問題が発生するというふうには考えにくいわけでございまして、持ち株会社解禁に伴いまして商法上の対策が当然に必要になるというふうには考えていないところでございます。  なお、持ち株会社の株主は、株主総会におきまして、子会社に対する支配、管理のあり方につきまして取締役に質問をしたり、意見を述べ、あるいは持ち株会社の取締役の選任、解任をするということが認められておりまして、これらの権限を通じまして、子会社経営に関しまして自己の意思を反映させるということが認められているわけでございます。
  107. 島聡

    ○島委員 本日、いろいろな質問をさせていただいたわけでございます。  まず、外形基準についてどうか。正直申し上げまして、国民の皆さんが今までの九条について理解をしていたものを、なるほど、そうか、それは昔の、過去のものなんだなというふうに納得できるような説明はどうもなかったような気がいたします。  そして、なお私が非常に不思議なのは、平成七年のころにはこのような報告書があって、これだけを素直に読むと、持ち株会社解禁にはどうもいろいろな問題があるということがるる書かれているのにもかかわらず、今回、持ち株会社解禁最初にありきというような流れでいろいろな議論があったような由が報道されているわけでございます。ということは、本当にこれでいいんだろうかという疑問は、いまだに私は持っております。  今、規制緩和というのが進みます。そして、いろいろな競争が激しくなる。その中において日本自身の、企業ももっともっと競争をして、競争力をつけていくということは私も賛成でございます。しかし、それと同時に、その競争には適正な、公正なルールがきちんと適用されてなくてはいけない。そのときの責務を果たす公正取引委員会がきょうのような説明をいつまでもしているようでは、国民の落胆というのは大変なものがあると思います心今後の、これの五年後の見直し、ガイドライン等々もあるということでございますので、きちんと、国民が信頼するに足る公正取引委員会と思っていただくような今後の健闘を期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  108. 武部勤

    武部委員長 次に、大畠章宏君。
  109. 大畠章宏

    ○大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。  いよいよ、きょうの審議を経て、また明日の二時間の質疑を経て、昭和二十二年に制定された独占禁止法の骨格中の骨格であるこの純粋持ち株会社に関する一つの結論が出ようとしているわけでありますが、これまでの御質疑あるいはまた検討経緯等々を踏まえながら、何点か本日も質問をさせていただきたいと思います。  これまでのさまざまな御論議がございましたけれども、煮詰めてみますと、この独占禁止法の中の純粋持ち株会社禁止をするという九条でございますが、これは、歴史的な経過ももちろんございました。さらに、日本の風土といいますか、社会制度の日本独特のものも背景にございます。こういうもろもろの中で九条が制定をされ、純粋持ち株会社が設立の禁止を原則的にされたわけでありますが、これはこれとして、やはり日本のさまざまな戦後の新しい企業あるいはまた新しい産業を生み出すもとになったのではないかと私は評価をするところであります。しかし、時代とともに経済状況が変わってまいりまして、日本においてもこの純粋持ち株会社解禁をし、アメリカ、ヨーロッパと五分の環境下で仕事をしたいという要求も大変強くなってきております。  そういう観点から、今回、五十年ぶりにと言ってもいいと思いますが、さまざまな論議を経て、ここに純粋持ち株会社というものを日本の中でも解禁をしようという一つの流れは、大変私自身としても理解をし、そして、さまざまな委員から御指摘ありましたけれども世界的なメガコンペティション、大競争の中では、そういう状況にすべきだろうと私自身も考えるところであります。  とはいいながら、もしも、この今回の改正純粋持ち株会社をつくることができ、そして純粋持ち株会社が現に存在をし始めたときに、日本産業界、経済界あるいは労働界に社会的な大きな混乱が起こっては困る、そういう観点から、この一年間、私自身もこの論議に参加をしてきた一人でございます。  そういうことから、いわゆる金融関係あるいは労働関係等々が大変大きな懸念をされているところでございますが、金融問題については後ほどちょっと簡単に触れさせていただきます。独禁法のこの法律そのものの状況についても後ほど御質問させていただきますが、まず最初に、通告では順序が逆かもしれませんけれども、労働問題に的を絞って御質問をさせていただきたいと思います。  きょうは労働省の日比審議官がおいででございますね。まず、この独禁法改正に伴う労働法関係について、的を絞って質問させていただきたいと思います。  第一番目には、独占禁止法改正の動きが始まってから既に二年が経過をしております。その間、その当時の与党プロジェクトにおける論議、それから、ことしに入ってから我が党においても持ち株会社に関するプロジェクトを設置して、継続的に論議をしてきたところでございます。  本来ならば、昨年の総選挙前においてこの独占禁止法改正案というものは成立する予定でありましたけれども、この成立に至らなかった最大の理由は、言うまでもなく労働問題がネックになつていたと私自身はとらえております。昨年来の一連の与党プロジェクト及び私どもの党の論議の場に、労働省もその都度参加をしていただきましたが、持ち株会社解禁を求める当法律案の成立に当たって、労働省の態度が余りにもあいまいなために今日まで審議そのものがおくれたと言わざるを得ないと思います。  私自身も、商工委員会あるいは商工関係方々も必死になって、夜中の二時、三時までこの独占禁止法改正について一生懸命論議を詰めました。そのときの議論の中で、ネックが労働問題、そして金融問題だったことは、きょうこの委員会においでの方はよくおわかりだと思いますが、その労働問題に対して、この審議の経過を見ていて非常に私は、労働省が何となく、まあやらなきゃならないときは私どもの方でやるかというような受け身の態度に終始していたように思えて、大変残念でございます。この持ち株会社に関するこの間の論議について、労働省はどのように受けとめておられたのか、最初にお伺いしたいと思います。
  110. 日比徹

    ○日比説明員 ただいま委員からお話ございました持ち株会社解禁に関するこれまでの経過ということでございますが、私から申し上げるのも大変恐縮でございますが、昨年一月、この持ち株会社解禁に関します基本的な考え方というものが示されて以来、労使関係上の問題を含めまして、いろいろな御議論があったというふうに承知しております。  御案内のごとく、労働省といたしましても、関係方面からの御示唆等もちょうだいいたしまして、労使関係上の問題につきまして、専門家の方々にお集まりいただきまして検討をお願いしてまいりました。その結果は昨年十二月に報告書としてまとめられておりますが、これに基づきまして関係労使への御説明、コンセンサスづくりをやらせていただきましたけれども、残念ながらうまくいかなかったというのが状況でございます。  本年に至りまして、与党独禁法協議会の方の御要請を受けた形で、またそれまでの話し合いもあったということで、労使でお話し合いをなされ、一定の合意を見られたということで、これが二月二十五日に行われた合意ということで与党独禁法協議会にも御報告がなされたというふうにお聞きしております。これは、この一年間、関係当事者でございます労使の方々が真剣に話し合われたその成果でございましょうから、私どもとしましても、この労使の合意というものを重く受けとめまして、国会での御議論等も十分踏まえて、今後適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  111. 大畠章宏

    ○大畠委員 そういう姿勢を去年あたりから示していただいていれば、もっと独禁法改正というのはスムーズにいったのではないかと思いますが、その当時は、どうもまだまだそういう今のお話のような環境にはなかったのではないかと思います。  二つ目には、労働省も御存じのとおり、現在においても事業持ち株会社というものは設立することができます。今、この事業持ち株会社日本国内でもさまざまな形で活用され、社会の中で活動しているわけですが、その事業持ち株会社の下においてさえ、親子会社の労使問題が発生をしています。その点については、先ほどのお話にもございましたけれども、持株会社解禁に伴う労使関係専門家会議の報告においても、現在の親子会社においても労使関係上の問題が生じている例はあり、持ち株会社解禁により親子会社が増加すると予想されるので、適切に対応することが必要と指摘をされているところであります。  これまでも親子会社関係下の労使紛争は長期にわたる裁判で争われてきた経過がありまして、最高裁判決も示されているところでありますが、にもかかわらず法的な措置を講ずることを避けてきたのは、また改めて指摘してはなんでありますが、労働省の怠慢と言わざるを得ないと思います。  これは、私の知人の弁護士あるいは法律専門家の方から聞いても、これだけ判例が積み重なっているのに、これは裁判の方向にやればいいんだというのでほっておくのはおかしいな、これだけ裁判事例、判例が重なってきたらやはり法的な何らかの措置をしようという動きをするのが当然だ、これはほっておいたのはやはりまずかったのではないかという指摘もされているところであります。これの現状について労働省はどのように認識をされているのか、お伺いしたいと思います。
  112. 日比徹

    ○日比説明員 ただいまの御指摘というのは、労働組合法第七条に定めます使用者の範囲に関することと存じますが、使用者ということの解釈につきましては、現行法に「使用者」とだけ書いてございますけれども、これにつきましての解釈は、雇用契約の当事者である雇用主が使用者に当たるということを基本としつつ、形式的な意味で当事者である雇用主ということに限られず、労働者の労働条件に関しまして、雇用主と同一視される程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる、そういう地位にある者も使用者に含まれるということで私どもも認識いたしております。  なお、労働委員会、裁判所において実際の事件等を処理する場合においても、そういう解釈のもとで現行法制のもと、適切に対応してきておるものというふうに考えております。
  113. 大畠章宏

    ○大畠委員 今もこの使用者の定義について、御意見といいますか、労働省の見解をいただきました。そういうことだと私も思いますが、やはりこれは、今の御見解は御見解としながらも、私は、使用者の定義というものを法律的にきちっと整理していくということは大変重要じゃないかと思います。今の見解は見解としてお承りをさせていただきたいと思います。  三点目の質問でありますが、御存じのとおり、先ほどもお話ありましたとおり、二月二十五日、連合、日経連、経団連という三つの団体が、労働組合法の改正問題を含めて今後二年をめどに検討し必要な措置をとることということで合意をいたしました。この合意が同日の与党独占禁止法協議会に報告されまして、与党内でも了承されたと伺っております。その際、連合、日経連、経団連の労使合意の実現について労働大臣に協力要請を行う旨の約束がなされたと伺ってもおります。この問題に私自身も昨年からずっと携わってまいりまして、労使間で真剣に討議された結果としてこのことを重く受けとめているところでありますが、労働省は、労使合意及び与党からの要請をどのように受けとめ、今後具体的にどのような対策を考えて措置するおつもりか、お伺いしたいと思います。
  114. 日比徹

    ○日比説明員 御指摘の労使合意でございますが、本年二月二十五日に行われまして、私ども、労働大臣に対しても、与党から協力方の要請をちょうだいいたしております。労働省としましては、この御要請や、また国会での御議論も踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。  なお、持ち株会社解禁に伴います労働問題の検討につきましては、このような合意という経過もございますので、労使関係者の御参集を求めた場で検討を行っていくということが適当であろうと考えております。
  115. 大畠章宏

    ○大畠委員 今御見解を示されましたが、そういうものを踏まえて具体的にこの問題について検討し、ぜひ一つの方向性を出せるようにさらに御努力をお願いしたいと思います。  それから、四点目の質問でありますが、労働省に労働組合法に関する審議会を新たに設置して、労働者保護の観点からも十分な論議を行うべきであるということが私の基本的な考えでございますけれども、ここに改めて、今のようなお話を含めて、新たに審議会を設置することについての労働省の御見解を伺いたいと思います。  さらに、いろいろうわさを聞いているわけですが、審議会の設置は難しいのだという話もいろいろ聞いているわけであります。もしも困難だとすれば、それに準ずるような、いわゆる労働省が責任を持って協議を行う機関、協議機関でなければならないと考えているところでございますけれども、そしてまた労使が同等の立場で参加をするということは言うまでもありませんけれども、いわゆる責任ある機関の設置問題について労働省としてどのように考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  116. 日比徹

    ○日比説明員 ただいま委員からも御指摘ちょうだいいたしましたように、労使関係に係る審議会は現在ございません。ところで、新たな審議会の設置ということでございますが、いろいろな問題もこれあり、諸般の事情を考えますと、これは困難であろうというふうに私ども考えております。  ただ、今、今後の問題として、審議会はさておいてもという御意見もちょうだいいたしました。これにつきましては、御意見を十分心にとめて今後対応したいと思っておりますが、今当面する問題として、先ほど来本件の検討という御指摘をちょうだいしておりますので、これはもちろんこの法案との関係というものを十分念頭に置いてということでございますが、今後検討するということになりますと、今御指摘いただきましたような労使関係者のそれぞれの立場が対等で生かされるような形で検討をお願いするといいますか、させていただくような、そういう場、そしてそういう運営ということを心がけてまいりたいというふうに考えております。
  117. 大畠章宏

    ○大畠委員 今のようなお話かもしれませんが、いろいろお話を伺うと、新しく審議会を設置するということは今の世の中の流れ、いわゆる行革に反するんだ、新しい審議会ができるとまたいろいろ予算もつけなければならない、したがって審議会の追加というのは難しいんだというのですが私が考えるのは、いわゆる行革というのは一体何だろうか。何でもかんでも小さくすればいい、ふやすのはだめだというのも一つの方法かもしれませんが、必要なものは設置をし、不必要なものを削るというのが基本的な考えだ。そうすると、あれもこれもといってふえちゃうんだという話もありますが、かといって、一律に全部カットするという方法も、これまで日本としてやってきましたけれども、乱暴な話でありますし、やはり必要なものはきちっと設置をし、どうもそうでないものは削ってくれというのが国民の大多数の声だと思うのですね。  したがって、審議会の設置というのは、新しく追加するときには法律もつくらなければいかぬ、それだけの予算措置もしなければいかぬ、したがってなかなか難しいという事情はわかるのですが、私としては、こういう問題は、長年のそういうさまざまな事例等々を見てもやはりきちっとしておくべきなのかなという考えをいまだに捨て切れないのですが、今、労働省は労働省としての立場からできるだけの努力をするという、そういうお話もございましたので、そういうものを踏まえて、ぜひ具体的に問題が解決するような、労働省の責任においてそういう機関を設置していただきたいということを改めて要求をしておきたいと思います。  この問題は、労働省の中でもいろいろ下準備をされながら、御出席をいただきまして今のお話でございますから、これ以上またいろいろ申し上げても労働省内部でも混乱するのかもしれませんので、この程度にさせていただきます。  さらに五番目の質問として、この検討期間というもの、先ほどの連合、日経連、経団連の三者の合意事項の中に、今後二年をめどに検討して必要な措置をとることというような内容になっておりますが、この検討期間二年というのは、夏休みの宿題とは違って、八月三十一日までに仕上げればいいというので、それまでほっておいて最後の二、三日でぱっとやるということではならないのであって、できるだけ速やかに、早ければ早いほど私はいいと思うわけでありますが、この問題について労働省はどのように受けとめておられるのかお伺いしたいと思います。
  118. 日比徹

    ○日比説明員 現在、この法案について国会で御審議をお願いしている最中でございますので、これはあくまでもこの法案の成立を見たらということでございますが、私どもとしましては、本法案の成立を見た後労使とも相談しなければならぬと思っておりますが、できる限り迅速に対処してまいりたいというふうに考えております。
  119. 大畠章宏

    ○大畠委員 この問題は、今、できるだけ迅速にというお話がございました。それはできるだけ迅速にしていただいて、できればことしいっぱいぐらいにはという感じもするんですね。  というのは、この法律案を来年から施行しようということを考えておりまして、例えば年金でいえば、六十五歳支給だよといいながら六十歳で仕事が終わってしまう、そうすると五年間の空白は一体どうやって生活したらいいんだというのと同じで、この法律案が例えば来年から施行されるということであれば、私はその施行に間に合わせるような形で検討し、結論をつけるべきかなという感じを持ちます。したがって、この法律の施行日に間に合わせるようにぜひさらに検討していただきたい、これは私の強い希望でございます。  というのは、この独占禁止法という法律が、純粋持ち株会社解禁をされたと同時に、さまざまな形の変化が出てくると思うんですね。その変化の中で、先ほどから御懸念がされていますように、労働問題なんかも次々と起こる可能性もございます。したがって、理想からいえば、この法の施行日と、こういう協議機関といいますか、責任ある機関というものの設置というのが同日であるべきなんじゃないかという私は考えを持っておりますが、今の御答弁なんかも、いろいろ御検討された上で御回答されているのでしょうから、それは回答は回答としながらも、さらに、迅速にという今のお話がございましたけれども、ぜひこの法の施行日と同等の日ぐらいまでに一つの方向性が出るように努力していただくことをお願いしたいと思います。  また、労働問題についてもう何点か御質問ございますが、明日の商工委員会、この委員会の場で、改めてきょうの御回答なんかも含めて少し煮詰めながらまた質問をさせていただきたいと思います。御出席ありがとうございました。  それでは、労働問題にちょっと的を絞った形で御質問させていただきましたけれども、次に、純粋持ち株会社法律案内容について、これまでもいろいろと検討されましたけれども、それらを少し整理をしながら、改めて何点か内容の確認をさせていただきたいと思います。  今労働問題について御質問させていただきましたけれども独占禁止法目的と、改正の背景についてまず第一番目にお伺いしたいと思うのです。  今、日本社会の中で、いわゆる規制緩和、あるいはまた、何でも自由競争時代だからどんどん規制は廃止するのが世の中の流れなんだという一つの動きがございます。また経済界から、経済グローバル化と大競争時代を迎えて、日本企業競争力を高めるためには持ち株会社解禁が不可欠だと強く言われてきているところでありますが、国際市場での競争力強化が、国内における経済力の集中競争制限を招きやすいのも事実でございます。そういうものがあったからこの独占禁止法の九条というものもできたものと思いますが、この独占禁止法というものは基本的に国内市場に着目したルールでありますけれどもグローバル経済下での独占禁止法の役割というものをどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  120. 塩田薫範

    塩田政府委員 今回お願いしております改正法案趣旨、繰り返しになりますけれども経済の国際化等内外の諸情勢の変化を背景として、我が国企業として国際競争力を高め、構造改革を行う必要が高まり、欧米諸国経営者並みに企業経営の選択肢として持ち株会社形態を利用したいという要望が強まってきているところでございまして、公正取引委員会としては、事業支配力過度集中に結びつかない持ち株会社禁止し続ける必要はないという結論に至りまして、今回の法案審議をお願いしているところでございます。  先生指摘の点、つまり独占禁止法グローバル経済のもとでも基本的に国内市場に着目したルールである、そういうことではないかということでございますが、私どもといたしましても、依然として我が国市場において事業支配力過度集中を防止することは重要であると考えておりまして、今回の改正法案もこれを踏まえた内容としたものでございます。  それからもう一つ規制緩和の観点でどんどん経済的な規制は廃止していくといいますか、そういうことでございますが、確かに、考えようによっては独占禁止法の各種の規制経済的な規制という面はあるかと思いますけれども、私どもとしては、なるべくなくすればいいという話ではなくて、やはり規制緩和が進んで、その後において公正かつ自由ないわゆる市場メカニズムが十二分に働くための基本的なルールであるということで、大きく見れば経済的な規制であるということはそうだと思いますけれども、基本的に廃止の方向で検討すべきもの、そういう観点に立っての見方をすれば、ちょっと質が違うといいますか、別なものではないかなという感じがいたしまして、規制緩和が進めば進むほど競争政策あるいは独占禁止法の役割というのは重要になってくるというふうに考えているところでございます。
  121. 大畠章宏

    ○大畠委員 今私が質問させていただいたのは、先ほどからいろいろ論議されてまいりましたけれども独占禁止法というのは一体何なのだと、いわゆる根本を問う今回の法律改正なんだと思うのですね。  それで、先ほど基準が云々という話がございました。三千億なのか五千億なのか一千億なのかという話、それから、それでいいのだろうかというさまざまな話がありました。今塩田経済取引局長からもお話をいただきましたが、独占禁止法というものの現在の日本における位置づけについて根來委員長はどういうふうにとらえておられるのか、委員長としての御認識を改めてお伺いしたいと思います。
  122. 根來泰周

    根來政府委員 戦後この独占禁止法というのができまして、そして今日に至っているわけでございますけれども、この間、いろいろ紆余曲折があったと思います。国策といいますか、あるいは国の保護のもとに経済成長を図っていったという時代があったと思うわけでございますが、そういう時代が今や過ぎまして、規制緩和という時代になっているわけでございます。  そうすると、後は自由競争、何をやってもいいかという話になるわけでございますが、そういうわけじゃなかろう、やはり自由競争は自由競争のルールがあろう、そのルールがすなわち独占禁止法であろう、そして、その独占禁止法のルールの監視役といいますか、それが我々に課せられた仕事であろうというふうに考えているわけでございます。結局、規制緩和が行われるということになると、私どもの使命といいますか、責任というのはますます重くなるという自覚をしているところであります。
  123. 大畠章宏

    ○大畠委員 今の根來委員長の御認識は正解だろうと思いますが、世の中の動きを見ますと、どうもそういう状況だけではない。  例えば、私自身、今、家電品のいわゆる安売り商法と通常の家電の小売店の方々からのいろいろな話を聞いています。今根來委員長がおっしゃったように、公正なルール下に競争するというようなことであればいいのだけれども、不公正な競争環境下で競争を強いられている、これが今の家電の小売業界実態である。すなわち、大量に販売するところには、小売店が仕入れる値段よりもはるかに安い価格で仕入れられている。そして、小売店の仕入れ価格以下で量販店で売り出されている。そういう環境下で、大畠さん、さあ商売やってください、自由に競争して、大いに、後継ぎもつくって、お店の中でも一生懸命働いてくださいと言われたって商売のしようがないではないか、こんな訴えもあったのですね。  私自身も、この問題、去年からずっと取り組んできておりますが、公正取引委員会にこの問題を持っていった。一円商法が独禁法に違反するのではないかというような訴えがあって、持っていったら、一円商法がこの独占禁止法の不公正競争のものに当たるかどうかよく検討してみますという話を受けた。そこで、訴えた方はあきれてしまったわけですね。その一円セールというもの、あるいはよく九十九円セールとか九十八円セールというのがありますが、そんなものが、まず公正取引委員会関係のところに持っていったら、よく調査してみます、これが不当廉売に当たるかどうか検討してみますということを言われた。確かにそれは検討するのはいいのだけれども、だれが見たっておかしいものはおかしいではないか。そういう形なのだ。  それで、公正取引委員会地方事務所に実態を伺った。その結果、「該当商品の販売はだめ」ということになりましたが、その公正取引委員会地方事務所からの指示は、お店の奥の方に、人の目に立たないようなところに張っておいて、実際は販売してしまったと聞きました。  したがって、今委員長がおっしゃったような理念が全国各地の公正取引委員会を初めとしたメンバーに伝わっていません。  私はそこら辺が、前に、根來さんがおいでになる前ですが、ラップ一枚しか切れない公取とかさまざまなことを言われましたね。アメリカからいろいろ圧力をかけられて、公正取引委員会もいろいろ動いたケースもあった。そういう歴史的な経過がありますが、この日本経済の透明性を高めること、これはこれからの日本にとってやはり大変重要だと思うのです。この透明性を高めることは公正取引委員会しかできないと私は思うのです。もしもできないというのであれば、これは公正取引委員会と別なものをつくらなければならないと思うのですが、やはり日本国民からも期待をされているし、アメリカからもヨーロッパの経済界からも期待されているのですね。  私はぜひ、今、根來委員長からもお話がございましたけれども、そういう委員長の感性というのが全職員に伝わるようにさらに徹底をしていただきたいと思いますが、委員長の御意見を伺いたい。
  124. 根來泰周

    根來政府委員 確かに、お説のとおりであると思います。  特定の業界のことを申し上げますと大変差しさわりがございますから、一般論で申し上げますけれども、私自身、一円セールとか何とかセールとかいうのは、まあ常識的に言っておかしかろう、こういうふうに思うわけでございます。この常識的におかしいという話を、それではどういうふうに理屈をつけるかという話がまた片やあると思うのですね。だから、まずその実態がどうなのか、実態をよく調べて、そして常識的に納得できない点をどういうふうに理論的に武装して私どもが動くかということになろうかと思うのです。  先生がちょっとおっしゃった点は、やはり理論的にどうだろうかという点にすぐ走っていると思うのですけれども、私は、委員会意見もそうでございますが、一回その実態をよく調べて、これは片一方の意見を聞くだけじゃなくて、両方の意見を聞いて、そして我々の独占禁止法の運用状態から見てどうだろうかという点を、少し時間はかかるかもしれませんけれども、一回研究したらどうだろうかという話で、これはもう事務当局もそういう意見でございますので、御心配のようなことはないと私は考えております。
  125. 大畠章宏

    ○大畠委員 御心配のようなことはないだろうということですが、その御心配という事象がまだ続いておりまして、これは社会的にも非常に問題だと私は思うのです。  今言われているのはお米の問題、お酒の問題、家電品の問題、この三つですか、消費者は安ければ喜ぶのかもしれませんが、経済のルールというのが非常に混乱をすることがあっては私はならないと思うのですね。消費者が喜ぶから、どんどん安ければいいじゃないかというと、今度はそういう小売店、いわゆる正常といいますか、今根來委員長がおっしゃった常識からいっても、おかしいというものはやはりきちっとしなければいかぬし、それから、町の電気屋さんとか何かも、もうこれは競争ルールからいって商売が成り立たないといって、どんどん小売店も、ここ数年で一万軒ぐらい減っているという話も聞いていますが、町の電気屋さんがなくなって量販店だけあればいいという社会も私はちょっとおかしいのじゃないかと思うのですね。  だから、今委員長からお話がありましたように、その両方の意見がありますから、両方からよく実態を聞いていただいて、適切な、常識的な線でぜひこの問題が解決されるようにお願いしたいと思います。  ちょっと独占禁止法の問題の背景について伺ったところでありますが、二点目の質問でございます。  これは第九条と第九条の二の関係でございますけれども経済界や与野党の一部、政府の行政改革委員会等では、第九条や第九条の二の一般集中規制はもはや不要であり、持ち株会社の弊害については他の個別市場集中規制で十分対応できるとして、両規定の撤廃を求める意見も一部に根強く存在しているということでありますが、先日の本会議でも、橋本総理自身が両規定の撤廃には明確に反対をしたところであります。  今回の法案が、第九条について、事業支配力過度集中することとなる持ち株会社の設立を引き続き禁止をし、また第九条の二については基本的に現行規定を維持した理由、仮にこれらの規定を廃止した場合にはどのような問題が生じると考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  126. 塩田薫範

    塩田政府委員 現在の独占禁止法第九条は持ち株会社を全面的に禁止しておりますけれども、沿革といたしましては、戦前のいわゆる財閥の再現防止を目的として制定されたものというふうに承知をしております。  当時と比べますと、経済社会情勢が変化した今日におきまして、家族支配的な性格をその特質とする従前の、戦前のような財閥が復活することは想定しがたいというふうに考えられますけれども、現在においても、六大企業集団と言われるものを初めとする大規模企業集団あるいは系列といったものがある。それから、上場会社の発行済み株式に占める法人所有株式の比率が極めて高く、企業間の株式所有関係と取引関係の間には相関関係が認められる。そういったことから、持ち株会社という形態を全面的に認容するといいますか、解禁をした場合には、持ち株会社が大規模企業集団や系列を統括する存在となり、持ち株会社を中心とする強固な企業集団が形成されまして、我が国市場への新規参入が妨げられたり、企業集団の内部の企業と外部の企業で公正かつ自由な取引が行われにくくなる、そういった可能性が生ずるものと考えております。  また、御指摘独占禁止法第九条の二は、持ち株会社形態以外の大規模会社株式所有を通じて系列あるいは企業集団の中核として事業支配力過度集中を招くことを防止するための規定でございまして、その株式所有が無制限に認容された場合にも、先ほど申し上げた第九条を全面的に解禁した場合と同様の問題が生ずるというふうに考えております。  したがって、今回、事業支配力過度集中を防止するという独占禁止法目的を具体化する規定といたしまして、第九条につきましては、事業支配力過度集中をすることとなる持ち株会社を引き続き禁止するという形で改正をし、第九条の二につきましては、基本的に現行規定の枠組みを維持するということにしたものでございます。
  127. 大畠章宏

    ○大畠委員 第九条の改正持ち株会社を広く解禁ずる以上、第九条の二は当然廃止すべきという主張も一部にございます。改正後の第九条と第九条の二の規制のバランスというものは、第九条で許される持ち株会社よりも、第九条の二の規制を受ける大規模事業会社の方がより重い規制がかかることになるのではないかと思いますが、この件についての御見解を伺いたいと思います。
  128. 塩田薫範

    塩田政府委員 御指摘の第九条の二の規定は、株式保有の総額を制限するという方式を採用しておりますけれども、その保有株式のうち、事業支配力過度集中に結びつかないものについては適用除外ということにしておりまして、制度の趣旨に照らして、実質的に規制すべき株式のみを規制対象としているというものでございます。この意味で、改正法案の第九条と第九条の二はバランスがとれているというふうに考えております。  なお、九条の二の規制対象としては、子会社株式のような支配株式から、持ち合い株のような広く薄い所有株式まで含むということでございますが、これを規制する枠組みとしては、現在とつております総額規制方式が最も適切なものというふうに考えております。
  129. 大畠章宏

    ○大畠委員 そういうことだと思いますけれども、この九条と九条の二という問題も含めて、根本の話になりますが、アメリカ、ヨーロッパにこのいわゆる純粋持ち株会社禁止というものがなくて、なぜ日本だけにあるのだという主張がずっとあるのですね。  私は、この問題は今御指摘があったような透明化だと思うのですが、なぜそういう規制を残さなければならないかというと、基本的には、日本企業企業倫理の問題あるいは日本企業の商慣習の問題、前回にも指摘させていただきましたけれども、そういう問題をどうするのかというものになかなかメスが入らない。  例えば、これは公正取引委員会の範疇かどうかわかりませんけれども、いわゆる少数株主の権利というのはどうやって保障するのだろう。私も、私というか日本国民も、株主総会というのは、何か好きな人がいてわあっとやっているんだというような感じで、ほとんど少数株主の人は関心を示さないということなのか。あるいは、発言しようとすると何か怖いお兄さんが出てきてぎゅっと抑えられてしまうから、まあ行ってもしようがないのだという話なのか。  私はそこら辺の、これは公正取引委員会の範疇かどうかわからないのですが、もうあんなに日本じゅうの大手の会社がたった一日に集中して、それも時間帯を大体同じにしてしゃんしゃんとやってしまう、ああいうことをやらなくても済むような、さらには、野村証券に今いろいろ強制捜査が入っていますが、総会屋対策でああいう巨額なお金が流れているのだったら、やはり株主に還元すべきだと思うのですね。こういうところも、これは公正取引委員会の範疇なのか、あるいは大蔵省、大蔵省はまだおいでになりますね、大蔵省なのかわからないけれども、そこら辺をほっておくこと自体が私は問題だと思うのですよ。  そういう問題をやはり解決しない限り、どんなに経済大国、あるいは公正取引委員会根來委員長が一生懸命頑張って日本経済の透明化をしますと言っても、相変わらず六月ぐらいに一斉に株主総会が開かれる、あるいは三十分、一時間でしゃんしゃんで終わる、その結果として、また総会屋にお金を払ったみたいだというので強制捜査が入る、こんなことを繰り返したのじゃ透明化にならないのじゃないですか、これは。  今九条と九条の二というものを置かなければならないというのは、日本独特のそういう、いいのか悪いのかわかりませんが、ずっと寄せ集まってきてしまった社会なんですね。ここのところを何とかしなければ、私は基本的に、九条の完全撤廃とか、九条の二というものの撤廃というのはできないのじゃないかと思うのですね。したがって、当面はここなんだと思うのですが、これは根來委員長にも、また大蔵省にも御要望なりしておきたいと思うのですが、そういうものを一つ一つ分析して、透明な経済社会になるようにさらに一生懸命取り組んでいただきたいと思います。  ちょっと突然かもしらぬけれども、大蔵省、中井審議官がおいでになりますが、先ほどの、年に一回に集中して株主総会が開かれる話とか、あるいは総会屋が相変わらず動いているということは大蔵省として今どういうふうにこれを考えて動いておられるのか。突然ですが、こういうことの方が生の話が出ていいのですよ。ちょっと見解を、個人的見解でもいいですが、教えていただきたい。
  130. 中井省

    ○中井説明員 お答えいたします。  恐らく私の権限の範囲外の問題でございまして、大蔵省の業種といいますと、証券業なり銀行、それから保険、保険は相互会社の場合が多うございますが、免許業者でありますが、法律上は株主総会のあり方等々について業法で細かく規定をされているものではございませんので、あくまでも私企業としての倫理の問題、企業のコーポレートガバナンスの問題として当事者が御検討いただくということだろうと考えております。  いずれにしましても、野村証券の話につきましては、これは証券局あるいは証券取引等監視委員会のマターでございますが、ある意味では、市場の公正取引という観点からそれぞれの当局者が一生懸命努力をしているということは御理解を賜りたいと思います。
  131. 大畠章宏

    ○大畠委員 突然の質問でありますし、やはり大蔵省らしい答弁をいただきましたけれども、私は、そういうところがやはり日本経済は一流なのかもしらぬけれども日本という国の透明性が、なかなか日本という国はわかりづらいということなんだと思うのですね。  以前にも御披露したかもしれませんが、純粋持ち株会社規制というものを部分的であるけれども解禁するといったら、当初、アメリカの商工会議所は賛成をする、それはなぜかというと、規制を廃止するんだからアメリカが入りやすくなるのだろうと単純に考えたというのですが、それが正しいのか正しくないのかは、これからの動きいかんであります。私は、日本企業といいますか経済界のそういう透明度が増して——まさに二〇二〇年にはいやでも応でもAPECの十八カ国が関税引き下げ、ゼロになるわけですから、その中で日本だけがどうももやもやしていては、日本からは企業が出ていくけれども海外からは日本になかなか進出しにくいという土壌は、この二十年間に、十年間ですか、二〇一〇年ぐらいまでには改善しなければならないと思いますので、ぜひ大蔵省の方でも御努力をお願いしたいと思います。  質問を続けますが、第十一条関係について質問したいと思います。  昨年の公正取引委員会の案では、第十一条を金融持ち株会社金融子会社を合算して適用するとの厳しい考え方をとっておられましたけれども、今回の法案で、金融持ち株会社に第十一条を適用せず、また金融子会社同士も第十一条適用に当たり合算しないこととした理由はどのようなことでしょうか。これをひとつ聞きたいと思います。  さらに、これにより、金融持ち株会社グループ全体としての産業への影響力行使が強まったり、企業集団内での株式相互持ち合いを助長することとなるおそれはないかどうか、この点について公取の見解を伺います。
  132. 塩田薫範

    塩田政府委員 お答えをいたします。  先生指摘のように、昨年私どもが考え与党に御相談をしていた際の案におきましては、第十一条、金融会社株式保有の制限の規定でございますが、これを金融持ち株会社金融子会社の所有株式を合算する、全体として十一条の網をかぶせるべきではないかというようなことを考えていたことは事実でございます。しかしながら、今回改正法案という形で御審議をお願いしているものは、十一条について特段手当てを予定していないといいますか、金融持ち株会社については十一条の規定を及ぼさないという案になっております。  これは、先ほどもちょっと御説明をいたしたかと思いますけれども金融持ち株会社自体は金融業を営むものではないということ、十一条自体が金融会社それぞれについての規定であるということ、それから、最近いろいろと金融当局の方で作業が進められておりますいわゆる金融ビッグバンによりまして、これはこれからの話でございますけれども、大規模金融制度改革、規制緩和ということがそういう方向でいっているわけでございます。  そういう状況のもとで、持ち株会社解禁して企業の組織形態の自由度を高めようとする中で、金融会社の親会社である金融持ち株会社についてグループ全体として規制を及ぼすといいますか、十一条を及ぼすということは、考えてみますと、法人単位の規制でございます現行十一条の規制を強化するということでございますので、適当ではないというふうに判断したものでございます。  なお、御指摘のように金融持ち株会社グループ全体としての産業への影響力が強まったりすることがないか、そういったことでございますけれども、そういったものにつきましては、九条によりましてその設立等を禁止することにしておりますし、また、十一条自体はそのまま維持するということでございますので、金融持ち株会社の傘下にございます金融会社それぞれについて十一条の適用があるということでございます。  以上でございます。
  133. 大畠章宏

    ○大畠委員 説明はわかったわけでありますが、先ほどもどなたかの委員からも御指摘がありましたけれども、やはり公正取引委員会としてこういう法律案をつくるのはなかなか難しいのです。いろいろな影響もありますし、また、与党も野党もありますし、与党の中でもいろいろな意見の方がありますから、そこを調整するというのは大変だと思うのです。  私は、そのときに必要なのは、やはり公正取引委員会として何か一つ貫くような哲学を持ってこの問題について対処をするという、その哲学だけは崩さないようにしてほしいのです。筋も何もへったくれもなく、力がぐちゃぐちゃになりながら、その中でこっちを足して二で割り、こっちを足して二で割りというような形でもしも法律案ができたとしたら、その法律案は、過程としてはこれはしようがないかもしれませんけれども、それに基づいて活動をする国民がひどい目に遭います。塩田さん、国民がこれはえらい困るわけですから、哲学を持って法律の素案を書くならばやっていただきたい。これは、そういうことをぜひ改めて申し上げます。     〔委員長退席、小此木委員長代理着席〕  これからも独占禁止法改正問題はいろいろと出てくるでしょう。先ほど言いましたように、二〇一〇年にはAPECの先進国が関税をゼロに引き下げるし、二〇二〇年には十八カ国で全部関税引き下げになりますから、そのときはもっと激しい国際経済競争が行われると思いますので、そのときまでに日本経済界がどういう状況になっているかまだわかりませんが、少なくとももっと透明度を高めたり、いろいろなことが必要でしょう。そのときにまた独占禁止法を手直しすることになると思いますが、そのときにも、いろいろなことを言われても自分の哲学をきちっと持つ。一回まとめ上げたら、それは一つの理念に基づいて法律案をつくったのだから、多少いろいろなことを言われても私はこうなんですと。これはまた余り言うと、委員会の言うことを聞かなくていいという話になってまずいのですが。だから、公正取引委員会法律案の骨格をつくるのが本当に正しいのかなという意見も出てくるのですね。  だから私は、今回いろいろ翻弄されましたけれども、よくここまで与党内でまとめたと思うのですが、これは与党だから、議員同士で話し合ったからまとまったかもしれない、そんな感じもするのですよ。だから、私自身、公正取引委員会がこの独禁法改正の原案を独自につくり上げるということについては相変わらず疑問を持っています。やはり林先生なんかもおっしゃったように、議員同士がもっと真剣に話し合いながらこの独占禁止法の問題、我田引水じゃなくて、自分に関係するところがああだからこっちにではなくて、やはり本当に公正な立場から委員会がこの独占禁止法改正については論議しなければならないと思いますが、公正取引委員会委員会として、ぜひ哲学を持って対処していただきたいと思います。  最後になってきましたけれども、やっと大蔵省に事前通告をしていた質問の時間に参りました。  アメリカでは、商業銀行は一般事業会社株式保有が禁止をされ、銀行持ち株会社は銀行持株会社法によって一般事業会社株式保有がグループ合算で五%までと厳しく制限されているのは、御存じのとおりであります。我が国でも、こうしたアメリカの銀行持ち株会社規制に倣って、金融持ち株会社に対してグループ合算の株式保有を五%までに制限すべきではないかという意見があります。  また、不動産子会社については、これまでの日本の過去の事例等々を見ましても、金融機関の健全性維持、預金者保護の観点から認めるべきではないのではないかという考えも指摘をされているところであります。これらのことについて、大蔵省の見解を伺うところでございます。
  134. 中井省

    ○中井説明員 お答えいたします。  金融機関、特に銀行の株式の保有のあり方につきまして、特に持ち株会社が導入された後の保有のあり方につきましては、現在、金融システム改革に関する検討を行っております金融制度調査会において活発な議論をしていただいている途中でございます。我々としましては、このような関係審議会における議論や、それから今お話がございました諸外国の例も参考としまして、預金者等の保護、銀行等の経営の健全性の確保等、金融上の観点から必要となる措置について検討しているところでございます。  ただ、先生指摘のございましたアメリカの制度でございますが、現在アメリカにおいては、少しそれを緩めて事業会社にまで広げるべきだという議論が議会等でもなされているようでございます。なお、ヨーロッパについてはそこの点は比較的自由になされている、そういうような議論もございます。  それから、アメリカにおきましては、どちらかといいますと、いわゆる銀行業務と一般の事業会社の業務を分けます意味と申しますのは、銀行の支配力がそれほど強くない、事業会社の方が強いわけでございまして、理論的には、銀行というへのが預金保険等を通じますセーフティーネットのもとである、ある意味では公的な支援のネットワークのもとである、それが事業会社に進出することに伴う競争条件の公平性というような観点からいろいろ議論が進んでいるようでございます。そうしますと、日本におきましては過去に銀行の支配力の問題が議論されておりましたが、日本における場合とちょっと観点が違うという点がございます。  それから、金融制度調査会におきましても、今後グローバル競争をしていく上におきまして、日本だけの国内の問題として競争を考えていったらいいのか、それとも世界各国のコングロマリットとの競争を考えていくのか、そういう議論もございます。それから実際上、戦前とは異なりましてかなり事業会社の力がついてきておりますので、銀行の支配といってもそう心配ないのではないかというような議論もございます。  いろいろな議論がございますが、いずれにしましても、我々、基本的には、銀行持ち株会社の傘下の銀行の預金者の保護、それによって担保されます信用秩序というのを守っていくためにどこまでが許されるのかというような観点から、十分慎重な議論をして、結論を得てまいりたいと考えている次第でございます。
  135. 大畠章宏

    ○大畠委員 あと一問あったのですが、明日に回したいと思います。  今大蔵省の御見解をいただきましたけれども、やはり今注目されているのは、金融機関のあり方の問題が非常に強く問われています。今丁寧な御答弁をいただきましたけれども、ぜひこの純粋持ち株会社、いわゆる金融持ち株会社ですか、こういうものの解禁に当たっては、何か今のいわゆる不良債権を抱えている金融機関の逃げ道みたいな形でまたばたばた変な話になっても困りますし、健全な金融機関をきちっと育てるという観点からの純粋持ち株会社金融持ち株会社になるように、さらに各国の事例、あるいは日本国内の金融機関の体質あるいは実態というものを踏まえて対処していただきたいということを希望しまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  136. 小此木八郎

    ○小此木委員長代理 次に、吉井英勝君。
  137. 吉井英勝

    ○吉井委員 私、最初に根來委員長にお伺いしていきたいと思います。  これまで独禁法持ち株会社禁止してきた理由、これまでいろいろ議論がありましたが、沿革的理由とあわせて、財閥の再現を防止する、それから、持ち株会社の性格として、その機能が他の会社事業活動支配そのものでありへそれ自体が経済集中の手段となりやすい、それから企業による株式所有、持ち合い等が海外からの参入障壁、投資障壁として指摘される、企業集団、系列の中核となり、経済集中の手段となりやすい持ち株会社禁止することは、市場や取引慣行を閉鎖的、不透明なものにしない点で意義がある、大体この四章研報告の言っていることで、これまでの持ち株会社禁止してきた理由について委員長もお答えになっていらっしゃったと思います。  まず最初に、この点を確認しておきたいと思います。
  138. 根來泰周

    根來政府委員 この独禁法というのは、昭和二十二年にできまして、その当時は財閥禁止、財閥の復活を禁止するという趣旨だったと思います。  それから、片や経済界がいろいろ発展しまして、発展というかいろいろ問題がありまして、その問題に対応してこの独占禁止法の第九条の規定の意義というのが考えられてきて、ただいまおっしゃったような、それは系列そのものが悪いとかなんとかということではありませんけれども、いろいろ不透明な部分があるから、それを透明化するためには持ち株会社禁止というのも意義があろうという解釈だと思います。
  139. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、本委員会でも、こうした持ち株会社の性格を考慮し、かつ経済情勢の変化を踏まえて、事業支配力過度集中しない持ち株会社解禁過度集中する持ち株会社禁止するとした答弁がされてきました。  しかし、四月二十二日の当委員会で、塩田経済取引局長は、事業支配力過度集中する持ち株会社というのは、改正案の九条五項で具体的にあらわそうということで定義が書いてあるとしたわけです。そして、そのときの質疑というのは、与党独禁法協議会の中心メンバーの林委員が、過度経済力の集中というものを法律に書いてあるが、この法律を一般の人が読んだだけではなかなかわからないと指摘されたのに対して、塩田局長の方は、それだけでは必ずしも明確でない、なかなか法律では書き切れないと答弁をされました。  そこで、法厚で書き切れない持ち株会社規制できるのかという点ですね、端的にお答えいただきたいと思います。
  140. 根來泰周

    根來政府委員 ただいまお話のありました法律に書き切れないというところでございますが、それは、正確に申しますと、法律の言葉というのは抽象的でございますから、抽象的な言葉を並べた場合に、それに対して具体的な事案を当てはめた場合に、その場合の解釈の疑義というのはあると思うのですね。そういう点でか先ほど来私も申しますように、この独占禁止法自体の法律の言葉というのは、やや社会的に使っている一般用語と少し離れたような経済用語があるものですから、一般の方は、こういう抽象的な言葉が、具体的な事実を適用するに当たって、それがセーフかアウトかということの解釈というのはなかなか難しかろうということに相なると思います。
  141. 吉井英勝

    ○吉井委員 そこで、ここからが一番問題になるのですが、九日の日の自由討議のときにも、与党の方の林委員が、この過度集中とは一体何を指すのか、どこまでが過度集中でどこまでがそうでないのか、そんなことをはっきり書けと言った。自分では書けないから公生取引委員会の方に書けと言ったら、では先生、書けますか、私もよう書き切らぬという発言もあったわけです。  四月二十一日に、ガイドラインという形でその法律の解釈なり運用の考え方なり、そういうものをお示しして、なるべく法運用の透明性に努めるとの局長答弁でありましたが、つまりこの点なんですね。法律で書き切れないもの、そこをガイドラインでさらに定義を書いていこう、こういう答弁でありますが、ガイドラインで書けるのならばなぜ法律で書かなかったのか、ここのところがやはり問われてくると思うのですね。この点はどうですか。
  142. 根來泰周

    根來政府委員 御理解いただいておりますように、法律というのはなかなか個々具体的に書き切れないところはあろうと思います。だから、抽象的な規定を置きまして、そしてその抽象的な規定内容といいますか、そのガイドライン内容を示すというわけではなくて、いわゆる解釈でございますが、それをガイドラインで示す。  一方では、我々公正取引委員会の仕事をしている者の事務処理基準といいますか、そういう基準であり、また適用を受ける者からいえば、予測可能性といいますか、あるいは法的安全性といいますか、そういうものをガイドラインで担保していこう、こういう考え方でございます。
  143. 吉井英勝

    ○吉井委員 さて、そうすると、アウト、セーフが法律で書き切れないということになってくると、判断のしようがないということになってくるわけですよ。事業支配力過度集中する持ち株会社、これは禁止する。過度集中しないものについては解禁をする。アウト、セーフのまさに最も大事な部分が法律用語ではなかなか難しい、書き切れないということになりますと、これは全く判断できないということになるわけですね。それは少しおかしいのではないですか。
  144. 根來泰周

    根來政府委員 法律で書き切れないというのは、立法技術上詳しく書くことは困難であるということでございまして、一般法律用語でも解釈というのは幾らもあるわけでございます。刑法でも、窃盗というのは何だと言われると、これについての解釈というのはいろいろありまして、こういうときは窃盗だ、こういうときは窃盗ではないという解釈もあるわけでございます。私たちは窃盗といえばああこれかというのはわかりますけれども、たまたま独占禁止法というのは経済用語を使っていますから、例えば一定取引分野の競争制限といっても、私は公正取引委員会へ来まして勉強しましたから多少わかりましたけれども、外におればよくわからない。そうすると、解説書を読んで、ああこういう解釈か、そういう解釈ならこういうのはセーフでありこういうのはアウトであろうということであると思います。
  145. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、まさにこの法律でわからない部分、こういうところはアウトで、こういうところはセーフだ、そこのところをガイドラインでというお話ですね。そういうことですね。
  146. 根來泰周

    根來政府委員 ガイドラインといいましてもいろいろ考え方があろうと思いますが、先ほど私が申しましたような法律の解釈も兼ね、そしてそういう具体的な事例も紹介し、あるいは私どもの事務の指針も示し、あるいはその相手方の方の法的安全性といいますか、予測可能性も担保していくというのが一つガイドラインの性格であろうと思っております。
  147. 吉井英勝

    ○吉井委員 有斐閣発行の「経済法 独占禁止法競争政策」という岸井氏らが著したものによると、独禁法の  ガイドラインには、審査にあたっての選別基準や考慮事項を示すにとどまるもの、従来の法運用などを踏まえて違法性判断基準を具体的に示したもの等種々のタイプがあるが、いずれの場合であっても、委任立法である告示などと異なり、これによって違反行為の範囲が画定されるなどの法的効果を持つものではない。 と解説をしております。ガイドラインというのはもともとそういうものなのではないですか。
  148. 根來泰周

    根來政府委員 でありますから、私は、先ほど来申し上げましたのは、違法判定基準ではない、違法判定基準というのはあくまでも法律でございまして、その法律一つの解釈を示すのがガイドラインでございます。その解釈に照らして、やっておることがアウトかセーフかというと非常に語弊がありますけれども、こちらはこちら、あちらはあちらというふうな解釈のよりどころということになろうかと思います。
  149. 吉井英勝

    ○吉井委員 今のお話は、ガイドラインというのは違法性判断基準にはならないということで、違法性判断基準はあくまでも法律だという立場をお示しになったと思います。  そこで、例えば不公正取引について見てみますと、独禁法第一条の目的のところで「不公正な取引方法を禁止」というのが入っております。第二条の九項で「この法律において不公正な取引方法とは、左の各号の一に該当する行為」ということにして、「公正取引委員会が指定するものをいう。」と法律定義を示しているわけです。「不公正な取引方法」第一号から第十六号までが、八二年六月十八日の公正取引委員会告示として示されております。  つまり「不公正な取引方法」のような委任立法による告示と、そして今回の言われているガイドラインとは全く異なるもの、つまり司法的拘束力を持たないものということになるのではないですか。
  150. 根來泰周

    根來政府委員 不公正取引というのは、これはただいまお話にありましたように、法律から委任されておるわけでございまして、それに基づいて公正取引委員会が定めておるわけでございます。先ほどお話にもありましたが、ガイドラインというのは、私の申しますように解釈でございますから、例えば、仮に裁判になった場合、裁判所がそういう法律の解釈は読めないと言えば、それはそれに従うしかないわけでございます。だからそこが少し、ガイドラインの性格というのはやはり一つの解釈にすぎない、だからそれで公定力を有するものではなかろう、私はそう思っております。
  151. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、今後の判例ということは別として、現時点においてこれはアウトかセーフかということはわからないわけです。だからガイドラインというのをお考えのようなんですが、我が国を代表する独禁法の権威である今は亡き今村成和北海学園大学教授の、「書斎の窓」一九九三年三月号の「独占禁止法の新課題 独占禁止政策の新しい波」という論文を見ておりますと、  ガイドラインは、独禁法の枠内で、公正取引委員会による法の解釈・運用を示すものであるから、行政段階における公正取引委員会を拘束する効果は持つが、司法を拘束するものではない。 としておりますが、これはこのとおりですね。
  152. 根來泰周

    根來政府委員 でありますから、私が先ほど申しましたように、私どもの解釈、運用指針というものはガイドラインに示して、それで納得できないものは裁判になるわけでございます。裁判になりまして、裁判所がそれは公正取引委員会の解釈がおかしいとおっしゃればそれはだめだろう、こういうふうに思います。     〔小此木委員長代理退席、委員長着席〕
  153. 吉井英勝

    ○吉井委員 つまり、今までの告示の場合と違って、今度のは司法拘束力を持たないガイドラインなんですよ。このガイドライン事業支配力過度集中についてどんなに書いてみても、純粋持ち株会社が現実に事業支配力過度集中によって自由な競争を阻害したときに、違反者に対する排除勧告、勧告審決、従わないときに懲役を含む罰則を適用しようとしてもできないことになります。これは司法を拘束する力を持たないガイドラインにすぎないからです。  仮に勧告審決が出たとして、持ち株会社の方が審決取り消し訴訟を起こしたときに、この訴訟にたえられるかというと、これはなかなかたえられない。法律上明確に書けない第九条五項のこのような抽象的な定義で、しかも司法を拘束する力を持たないガイドラインだけでは、結局公正取引委員会にとって不利なものですから、これは公取の方は最初から厳しい対応がとれなくなってしまう。これでは事業支配力過度集中する持ち株会社禁止するということはできないということになってくるのではないですか。
  154. 根來泰周

    根來政府委員 すべて今は法の支配でございますから、最終的には裁判所に訴え出る権利はあるわけでございます。そこで裁判所が判断するというわけでございます。  私ども行政委員会といいますか、公正取引委員会としましては、幸いこの法律が可決されまして、先ほど申しましたように、私どもいろいろの御意見を聞いてガイドラインを自信を持って作成するわけでございますから、それによって白黒といいますか、白黒というとまた語弊がありますけれども、それを決めてやるわけでございますから、それでどうも自信がないからちょっと緩くしよう、そういう気分は一切なかろうかと思います。すべて今までもそういうことでやってきたわけでございますから、そういう御心配は御無用だろうと思います。
  155. 吉井英勝

    ○吉井委員 事業支配力過度集中というこの最も大事な根幹にかかわる部分が法律によって明らかにされていない、それでガイドラインにゆだねられる、しかもそのガイドラインというのは法的拘束力を持たないもの、ですから訴訟にたえられない、そういうものですから、どうしてもこれは公取の方が厳しい対応がとれなくなってしまうという、この面を否めない問題だと思います。ですから、それは結局、実質的には純粋持ち株会社全面解禁へいってしまうというものにならざるを得ない、このことをこの部分では指摘をしておいて、次に子会社定義変更の問題についても伺っておきたいと思います。  ベンチャーキャピタルに対する独禁法九条の規定の運用についての考え方、ここでは、事業活動支配する要件について、一つ目は所有株式五〇%超の会社、二つ目に、株式所有比率二五%を超え五〇%以下で、他の出資者との関係支配可能でないことが明白でない会社、三つ目に、株式所有比率が一〇%を超え二五%以下で、かつ他の出資者との関係支配可能であることが明白な会社となっております。そして、四章研の報告では、この考え方を、株式の所有を主たる事業とする会社、すなわち持ち株会社のいわゆる子会社判断基準に準用してきたのだと説明されております。  改正案では、この子会社定義を一律に株式の所有が五〇%を超えるものと変更しております。そうすると、親会社との取引が六割から八割に及び、役員も派遣され、親会社にまさに実質的に支配されている会社でも、親会社株式所有比率が二十数%にとどまっている会社は今度の改正案で言う子会社には当たらない、したがって、このような会社を統轄する会社というのは、改正案の九条第一項で言う純粋持ち株会社には当たらないということになると思うのですが、この点はそのとおりですね。
  156. 塩田薫範

    塩田政府委員 持ち株会社定義それ自体の御指摘でございます。  現行法は、先生おっしゃるように、持ち株会社とは「株式を所有することにより、国内会社事業活動支配することを主たる事業とする会社」ということで、それを具体的にベンチャーキャピタルのガイドラインという形で、ベンチャーキャピタルというのがかなり活発に活動することが期待されるということで、ベンチャーキャピタル自体がどういう場合に現行の独禁法九条で禁止されるものに該当するか、その辺を明らかにするということで、ベンチャーキャピタルのガイドラインの中で持ち株会社に該当する場合はどういうものかということをお示ししているわけでございます。  今回の改正法案の中では、先生指摘のように、この持ち株会社定義を変更いたしまして、ある会社がその株式を五〇%を超えて持っている、そういった会社子会社でございますが、そういったものの総資産に対する割合が五〇%を超えるものということで、現在のベンチャーキャピタルガイドラインで示しているものよりも非常にきっちり数字で割り切った形にいたしております。これは、今回持ち株会社定義をより明確にしたいという考え方でございます。  これは前に申し上げたかと思いますけれども、まず、一定規模を超える持ち株会社については毎年報告を求めることにしたい。したがって、ある会社持ち株会社に該当するかどうかということがはっきりしなければいけない。それから、九条と九条の二という大体同じような、事業支配力過度集中を防止するという目的でできた規定でございますが、持ち株会社については九条の二の方の規定は適用しない、九条の方で過度集中になるかどうかということをチェックする、そういう形にいたしましたので、ある会社が、あるいは企業グループ持ち株会社に該当するかどうかというのを明確にする必要があるということで、今回持ち株会社定義を変えたものでございます。  なお、持ち株会社であると判断されたものの過度集中に当たるかどうかということの判断の際には、九条五項の中で、子会社以外に、株式所有によりその事業活動支配している会社も含めたところで考えるということにしております。
  157. 吉井英勝

    ○吉井委員 だから、今の私の申し上げました例、親会社との取引は六割から八割に及び役員も派遣されている、しかし親会社株式所有比率が二十数%にとどまっている会社の場合は、この改正案で言う子会社には当たらないわけです。その場合、このような会社を統轄する会社改正案の九条一項で言う持株会社に当たるのか当たらないのかという点、この点を聞いているのです。
  158. 塩田薫範

    塩田政府委員 失礼いたしました。  今先生おっしゃったように、ある会社のもとに役員派遣その他取引関係で実質的に支配関係があるというふうに考えられるものであっても、株式の比率が二十数%ということであれば子会社に該当しませんので、九条で言う持株会社には該当いたしません。
  159. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、持ち株会社解禁に最も熱心であった経団連の会長を出しているトヨタ自動車の例について見てみますと、「トヨタ自動車の概況」というパンフレットによれば、トヨタグループ企業として十二社が記載されております。  その幾つかの企業について、トヨタ自動車及びグループ企業五社の有価証券報告書を調べてみると、関東自動車工業では、トヨタの持ち株比率四九・一五%で、全生産金額のトヨタヘの納入比率は九九・七%。同様に、トヨタ車体は、トヨタの持ち株比率が四五・三六%で、トヨタヘの納入比率は九七・九%です。トヨタグループの創立企業であり、今はトヨタ自動車のグループ企業になっております豊田自動織機製作所は、トヨタの持ち株比率が二三・一二%、全生産金額のトヨタヘの納入比率は七三・四%となっています。先日、工場火災事故で問題となりました例のアイシン精機、ここはトヨタの持ち株比率が二二・六五%で、トヨタヘの納入比率は五六・九%です。さらに、日本電装では、トヨタの持ち株比率が二三・一五%で、トヨタヘの納入比率は四七・八%となっています。  ですから、これらすべての会社にトヨタから役員も派遣されているわけですが、トヨタが今、これらの会社を統括する持ち株会社を設立するということになるかといったら、そういうわけじゃないのですが、どれだけトヨタヘの依存度が高くてトヨタ自動車に実質的に支配されている会社であっても、この改正案で言う子会社には当たらないわけです。したがって、仮にこれらの会社を統轄する持ち株会社を設立したとしても、改正案の九条一項で禁止される純粋持ち株会社には当たらないということになると思うのですが、この点を伺っておきたいと思います。
  160. 塩田薫範

    塩田政府委員 お答えをいたします。  今の設例で、子会社への株式出資額、それがそのトヨタの子会社の総資産の中で五〇%を超えていれば、これは持ち株会社に該当いたします。仮に、今おっしゃったような幾つかの具体的な関係会社といいますか、子会社ではないけれども、事実上子会社と同じようなものが多数ある、そのほかにも子会社がたくさん——そっちの方で持ち株会社判断されるということであれば当然九条に当たりますし、こっちを幾ら考えても五〇%までいかないということであれば、持ち株会社ではないということで、九条の適用はないということになると思います。
  161. 吉井英勝

    ○吉井委員 そうなんです。ですから、九条一項で禁止される純粋持ち株会社には、今おっしゃった問題がもちろんあっての話なんですが、これは当たらないわけなんです。  それで、私も何回か調査に行きましたが、直接調べもしましたが、これらグループ企業というのはまさにトヨタの子会社そのものなのです。トヨタの直接の指揮で行われているグループ企業実態というのを見てみると、これは自動車の場合、まさにもうメガコンペティションの最先端を行くみたいなもので、それは国内で非常にすさまじいコストダウンをやってきています。  これは若干御紹介しておきますと、私も何度か調査に行っていますが、一九九四年の十月に調査に行ったとき、当時、前年同月に比べて一ドル十四円の円高になっていた時期ですから、輸出代金の減少というのは千六百億円でした。これはこれですごいものですが、ところが合理化で二千三十一億円の利益を生み出して、経常利益は全体で二千百四十億円計上している。  この秘密は何だろうということを見てみたのですが、これは、例えばトヨタの労働者の人は、ハンドルシャフトの工程でいきますと、一日十九キロ走りながらの労働。皆さんも一日十九キロ走りながら仕事してみたらよくわかるわけですが、どんなにすさまじい過密労働かということがわかります。それから、下請の皆さんに対しては、当時日経ビジネスで紹介されておりますが、乾いたタオルを絞るというのがトヨタのやり方だと。  これは何もトヨタだけじゃなくて、自動車産業全体になかなか厳しいものがありますが、例えば浜松の方のスズキ自動車などの調査に行ったときも、その下請の方は、下請工賃が一遍に半値の六掛け二割引きでやれ、そういう話を持ってこられたりとか、二十年前の金型を持ってきてこのプレス一発を二十年前の単価でやれと、今の時代に全然引き合わないものを言ってくるとか、そういう非常にすさまじい下請に対する支配、これはやはり強大な事業支配力を持っていてこういうことができているわけです。  そういう中で、トヨタ自動車の位置というのはGM、フォードに次ぐ世界第三位の自動車メーカーであり、軽乗用車を除く乗用車の国内シェアは三八・二%ということになっておりますが、まさにこれは、独禁法第一条の目的にある「雇傭及び国民実所得の水準を高め、」ということとは非常に実態のかけ離れたものというのが調査に行っての実感でした。  トヨタ本体の総資産額は六兆五千四百三十九億円、連結子会社は、国内の百九社、海外の八十五社の合計百九十四社で、連結総資産額が十一兆三千四百二十四億円という大規模なものです。さきに紹介したグループ企業の総資産額は五社分だけで二兆五千六百億円を超えるもので、これらを全部合わすと十三兆九千百十三億円ということになります。これは五社の分ですが、さらにこの十二社分全部で合計すれば、これは十五兆円を超える非常に大規模なものになる可能性があります。そうすると、実態的には、改正案禁止する過度集中する持ち株会社よりも大規模会社が既に存在している。これが今後一層増加することを改正案促進をしていくということになっていく。  そうすると、独禁法第一条の「国民経済の民主的で健全な発達を促進する」という目的に反するものになるのじゃないでしょうか。あるいは、第九条五項にも言われる「国民経済に大きな影響を及ぼし、公正かつ自由な競争」を妨げるものであってはならないわけですが、妨げるものになってしまうのじゃないでしょうか、どうなんですか。
  162. 塩田薫範

    塩田政府委員 お答えいたします。  今の事例の場合に、トヨタグループといいますか、トヨタが、例えば持ち株会社定義に該当するかしないか、該当するとした場合に、今おっしゃった九条五項の過度集中定義に該当するかどうかということでございます。  三つのグループがありまして、その御紹介は省略をさせていただきますが、その具体的な大規模なもの、あるいは第三番目のグループの相互に関連性のある云々、そういうものに該当するかどうかという、その上で、今先生がおっしゃったように、国民経済に対して大きな影響を及ぼす非常に大規模なものであればそういうことが想定されるのじゃないかと思います。それから三番目の要件として、公正かつ自由な競争促進の妨げになるかどうか、こういった三つの要件から判断をするということであろうかと思います。  それから、持ち株会社に該当しなかった場合にどうかということでありますが、これは今さら申し上げるまでもありませんけれども、九条ではなくて九条の二という規定で、過度集中という観点から株式保有の総額の規制というものがかかります。これはトヨタ自動車本体にかかるということでございますし、もちろんそういった企業グループ内で三条であるとか十九条違反ということがあるとすれば、あるいは下請法違反ということがあるとすれば、それはまた別途そういう他の規定で是正がなされるべきだというふうに考えております。
  163. 吉井英勝

    ○吉井委員 資産総額の面で実態は超えている、そして今度の改正法によると子会社には当たらない、そういうものの場合、しかし、これは実態としては第一条の目的にやはり反するものになってくる。ですから、現在でも問題なんだから、子会社規定がこういうものでなければこれは純粋持ち株会社ということで、しかも、この禁止対象になる場合も今度の子会社定義の変更によって当てはまらないということになってくる、こういうことになるのじゃないですか。
  164. 塩田薫範

    塩田政府委員 あるいは私の御説明がよくないのかもしれませんけれども持ち株会社になるかどうかというときには、子会社株式総額とある会社の総資産を比較して、五〇%を超えるかどうかということで判断をいたしました。持ち株会社であるということになった場合に、それが過度集中に至るかどうかという判断の際には、子会社だけでなくて、株式所有によるいつもの事業活動支配しているそれ以外の会社のことも当然カウントするということで、先ほど先生お挙げになった幾つかの主要な企業がございましたけれども、多分そういうものも計算に入れるといいますか、勘案をすることになるということだと思います。
  165. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、それは持ち株会社になった場合なんですね。今度の定義持ち株会社にならないというときには、これは全くこのままでいけるということになるのじゃないですか。
  166. 塩田薫範

    塩田政府委員 持ち株会社でない会社の場合はどうなるかということであります。  確かに九条の規定は全く適用がございませんので、では、過度集中の問題は何もチェックが働かないかという点につきましては、九条の二という規定株式の総額保有制限という形で規制をして、事業支配力過度集中を防止するということになっているわけであります。  規制のやり方としては、総額制限か九条の五のような定義によってやっているかという違いはございますけれども、それぞれの規定の本来目的とするところは全く同様のところでございます。
  167. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、子会社定義の変更などにより事業支配力過度集中の弊害を一層強めるだけでなく、事業支配力過度集中をもたらす持ち株会社というのは禁止するといいながら、肝心の事業支配力過度集中そのものも明確にできない欠陥を持った法律だということを言わざるを得ないと思います。  そして、今のように、子会社定義の変更によって実際には持ち株会社に当たらないということですり抜けるという問題が出てくるわけですから、私は、この点では今度の改正案というのは、結局実際には持ち株会社全面解禁そのものではないかと思いますが、これは公取委員長、違うとおっしゃるなら具体的に明確にそこのところを答えていただきたいと思います。
  168. 根來泰周

    根來政府委員 今回御審議をお願いしている法律案でございますけれども、いろいろ考え方がございまして、従来の全面禁止がゼロとしました場合に、全面解禁が一〇〇という座標を置いた場合に、その間にいろいろの目盛りがあるわけでございます。その目盛りをどこでとるかというのは、またこれは個人の立場によりまして違うわけでございますが、私どもの方は、今御審議いただいている範囲の目盛りでひとつお願いしたい、こういうふうに思っているわけであります。  それかと申しまして、これはあるいは私の個人的な考え方かもしれませんけれども、余り心配し過ぎて、こういうことが起こったらこうしようとか、ああいうことが起こうたらこうしようとかいうことを考えますと、せっかく事業支配過度集中を排除するという意味持ち株会社の一部解禁をしたのにかかわらず、いよいよ窮屈な制度になってしまう、それでは余り大方の期待にこたえられないのじゃないかと。むしろ今のような、少し大まかといいますか、そういう言葉を使うとまたおしかりを受けるかしれませんけれども、そういうふうな制度にして、これから私どもが目を光らせて、そして、五年間の間でいろいろ弊害が起こりた場合にまたこの委員会で御審議をお願いするという立場が一番最上の選択であろうと思ってお願いしているわけでございまして、これが完全無欠と言うほどの自信はないことは間違いありません。
  169. 吉井英勝

    ○吉井委員 終わりたいと思いますが、いろいろな解釈があっちから見てこっちから見てあるというふうな法律では困ると思うのですね。いろいろ弁明的にも述べられましたけれども事業支配力過度集中ということについて、法律の上できちっとこれを決めない、明示できないようなものでは、これは今後さまざまな問題が生じてまいりますし、とても国民の皆さんを納得させるものではないということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  170. 武部勤

    武部委員長 次に、前田武志君。
  171. 前田武志

    ○前田(武)委員 審議も随分回を重ねてまいりまして、事業支配力過度集中、あるいはまた、この持ち株会社解禁することによって企業の行動、ビヘービアそのものが、かなり自由度を持つていろいろやりやすくなる。ということは、逆に、企業利益を守る余りに、企業の利害当事者に対する情報の開示であるとかいろいろなことについても問題があるじゃないか、そういった観点からも私もいろいろと議論をさせてきていただいたわけです。今回はちょっと視点を変えまして、我々の身近なところで一体この持ち株会社解禁というものがどういうような影響を持っているのか、あるいはどういうような効果があるのか、そんな面から少し議論を進めたい、こういうふうに思います。  と申しますのも、地元に戻りますと、どうもこの持ち株会社解禁というようなことについては、地元のへもちろん中小企業が多いわけでございますが、事業主の方々、余り自分たちとは関係ないよと。何か、大企業主体の、世界を相手に商売をやったり、あるいは大企業の先端の、自動車であったり電機であったりコンピューターであったり、そういうものを生産するような大企業が、世界と伍して、この持ち株会社解禁というものも利用しながらさらに大発展していくんだろう、我々下請、孫請、どこかでおこぼれちょうだいできるのかなというぐらいの感じになりがちなんですね。  そういう中で議論をしておりますと、確かに、地場でも非常に知恵と汗とでなかなかおもしろい展開をしているような企業もございます。いわゆるベンチャービジネスと言っていいのでしょうか、あるいはまた、私どもの地元というのは、これは大阪の経済圏でございますから、もともと大阪中心の企業の下請、孫請、そういったところで発展してきたというようなところも多いわけでございますが、ある種の業態、ある業界に対していろいろな多数の零細企業が集まっているといったようなところもございます。  そういった企業がこういった持ち株会社というようなものをうまく活用することによって企業同士がうまく連携する、あるいは、効率化を求めて共同化すべきところは共同化する。もちろん、いわゆる今までのやり方としては、協同組合法等に基づいて協同組合化するとか、いろいろなこともありましょう。しかし、必ずしもベンチャービジネス、小さくとも非常に先端技術開発をやって、そういった新しい分野のみがこの持ち株会社を利用できるというようなものではなしに、流通系統等も含めまして、今どんどん大きく変化をしておるわけですね。よく言われるサイバーコマースというようなことは、これは当然流通系統にも大きな変革が出てきておるわけでございます。  そんなことも含めまして、地場の中小企業一般、あるいは、ある分野に特定した、特化した地場産業といいますか、そういったところの効率化であったり先端化であったりとか、あるいは、流通等を含めて間接経費が随分多大にかかっているところ、従来の流通系統というのは、間に流通段階を含んで非常にコストがかかっておって、地元の地場では一生懸命汗を流して生産したものが、結局、親元の、元請の企業に届くころには、随分と流通段階を経て、間でいろいろと口銭をはねられているといったところも事実でございます。  いろいろ申し上げたわけでございますが、要するに、これは政府通産省にお聞きしたいわけでございますが、この持ち株会社解禁を通じて、地場産業であったりあるいは地域のそういう中小企業であったり、そういったところに具体的にどういった可能性が出てくるのか。あるいはまた、この持ち株会社解禁をうまく中小企業、地場産業等が利用して、さらに活性化し、合理化し、あるいは新しい展開ができるように、どういうような政策的な後押しをしようとしているのか、その面についての御見解をお伺いする次第です。
  172. 藤島安之

    藤島(安)政府委員 純粋持ち株会社解禁されることによりまして、中堅・中小企業がより柔軟な組織形態を選択できる、こういうことは大企業と同様でございます。ニーズの変化あるいはみずからの技術革新、そういうものにきめ細かく対応して、経営多角化や新規事業展開を容易にするというメリット、これはもう中堅・中小企業純粋持ち株会社解禁を平等に受けるものでございます。  先生お話がございましたように、中小企業あるいは中堅企業企業連携が大変最近ふえておりますし、異業種交流グループも、その数は大変ふえております。こうした人たちの中には、多角化をいろいろ試みておられます、それから、進取の気風に富んでいろいろな新しい事業分野に進出される、そういう方々が多いわけでございます。そうした方々については、こうした純粋持ち株会社形態を活用する余地が十分出てくる、こういうふうに思うわけでございます。  通産省といたしましては、先般、サポーティングインダストリーの活性化を図ります地域産業集積活性化法をお通しいただきましたが、そういうような既存の地域経済活性化施策、あるいはベンチャー企業の振興施策、中小企業施策と相まちましく今回の持ち株会社解禁が中堅・中小企業活性化に資するよう、いろいろ努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  173. 前田武志

    ○前田(武)委員 次に、これも既に議論をしてまいったところですが、これは公取の方にお伺いいたします。  要するに、日本の独占禁止政策といいますか、独禁法という一つ憲法があってやってこられたわけであります。そして、その一番の中心にあったこの持ち株会社全面禁止というものを百八十度転換する。これは世界グローバル基準に合わせることであって、プレーヤーに手かせ足かせを強いていたところをグローバルスタンダードに合わせてプレーをしてもらおう、こういう三とだろうと思うのですね。どちらかといえば、日本の独禁政策そのものがカルテルをむしろ容認するような形で、不況カルテルであるとか、ある特定の分野あるいは性格のものについてある程度そういうものを認め、逆に、持ち株会社という本来企業が多様な活動をしていくべきところを制約を設けていた、それを大転換したということだろうと思います。  要するに、世界共通の野球といいますか、野球をやる場合に、グラウンドの広さ、ルール、そういったものを、今まではどうもちょっと日本だけはルールが違っていたようなところがある、そのルールを合わせよう、したがって、そのプレーヤーも大いに、世界からも来てもらうし、日本からも出ていけるようにする。日本の東京の野球場でも大いに活発にやってくれ、こういうようなことだと思うのですね。  そういう意味においては、戦後五十年やってきたこのルールを大転換するわけでございますから、関連のいろいろなルールというものも、当然のことながら持ち株会社全面禁止のもとに成り立っていた、この網の目のように張りめぐらされた市場にかかわるルールであったわけでございますから、当然のところ、それをどういうふうに改正をしていくかは非常に大きな問題です。  したがって、当委員会においても大いに議論をされている、例えば税制の関係の問題もあるわけでございます。税制の問題あるいは労働関係法律の問題、そういったことについて例をとって、公取の方においてはどのような対応をしようとしているのか。特に、この持ち株会社解禁の場合には、連結納税制度というもの、これはもう表裏一体のものであります。ここには大蔵省は来ていないようでございますが、これは一般論で、ただ例をとって言っているわけでございますが、この連結納税制度しかり、あるいは労働関係、労使関係の法制にしてもしかり、あるいは商法なんかにおきましても、当然のことながらこれは相当の対応を迫られるわけでございます。企業監査の問題であったり、いろいろあると思います。  問いをしているのは、そういったことについて、一般論といいますか、関連してあらゆるところでこの対応を迫られる。新しいグローバルスタンダードのもとでの持ち株会社自由、そして特別の場合においてのみチェックをする、禁止をしていくという、原則自由ということでやるわけでございますから、それと対応していかに関連の法制度を改正していくのか。その辺のことについて、今例示をとった連結納税制度等を含めてお答えを願いたい、こう思います。
  174. 塩田薫範

    塩田政府委員 持ち株会社一定範囲解禁をするに当たりまして、関連法制といいますか、そういうことについて、御指摘のように、税制あるいは労働法等の論点が言われているところでございます。  これらの問題につきましては、当然のことながら、それぞれ所管の官庁がございまして、そういった所管官庁の行政にかかわることでございますので、私どもとしては本来答弁を差し控えさせていただきたいということでございますけれども、これまでの当委員会での審議の過程で所管官庁から何度か御答弁がございました。そういう形で仄聞をしたというか、そういうところでお聞きをしたことも含めて申し上げさせていただきたいと思います。  税制につきましては、関係当局におきまして、企業経営実態等を踏まえて十分な研究をするということを考えておられるようでございますし、労働法制の関係につきましては、日経連、経団連、連合におきまして、独占禁止法改正による持ち株会社の自由化に伴う労使関係の対応につきまして「労使協議の実が高まるよう、労働組合法などの改正の問題も含めて今後検討し必要な措置をとること」等を内容とする合意がなされておりまして、これを受けて、本日も労働省の方から、具体的にどんな方法で取り組むかということについての御答弁があったところでございます。  私ども公正取引委員会としても、必要がございましたら、持ち株会社関係に、今回の解禁趣旨、あるいは法案をお認めいただいた後に、持ち株会社が現実に動き出したところにつき、もしそういう状況になりましたら、そういった情報も含めて必要に応じて御説明をしていきたいというふうに考えております。
  175. 前田武志

    ○前田(武)委員 それでは、最後の質問になるわけですが、これはできれば根來委員長にお答えをいただきたいわけです。  私自身は、この持ち株会社解禁というものが、日本企業活性化、特に海外展開であったり、また海外からも入ってくる、そういうこともひっくるめまして、多様なプレーヤーがそれぞれその知恵を出し合って、知恵と汗とですばらしいプレーをしてくれる、それによって国民経済発展し、そして我々消費者、あるいはそのプレーをしているプレーヤーそのもの、そこに属する働く人たち、そういった方々がすべてこの利益を享受できるようにしてもらえばいいんだろう、こう思うのですね。  そういう意味においては、公正取引委員会の役割というのは非常に大きいわけでございます。今の法制度の問題なんかについても、もちろん税法のことについては答えられない、労働法のことについては答えられないということでしょう。しかし、基本的な考え方みたいなものは、後で根來委員長にもお答えを願いたいわけですが、要するに今まで、例が悪いかもわかりませんが、日本のこの全面禁止という中でプレーをやっているときには、ツーアウトでもうチェンジということになっていたのかもわかりませんね。そうすると、そういうルールのもとでは、またいろいろな作戦があって、細部のルールもでき上がっておったんでありましょう。それをルールを合わせる。そうすると、野茂みたいなのが出ていって活躍もできるし、また、それこそキューバからもどこかからもどんどんまた新たなプレーヤーが登場するということも可能になるわけであります。  そういう意味においては、多分、この新しいルールのもとにというよりも、グローバルスタンダードに合わせてこの球場の門戸を開いた。そうすると、そこでプレーをしていく過程で、今までのやり方がまだ残っておるわけでございますから、あるいはいろんな慣性がある、そういう中で、いろいろな不都合が出てくるんだろうと思うのですね。そこを公正取引委員会が、市場の透明性とルールに基づいてきっちりと、プレーヤーが思う存分やれますよというような、常に環境整備をしていく必要がある。例えば、グラウンドがおかしな方向に傾斜しておって、打てばゴロは必ずそっちの方向に行ってしまうというようなことになっている場合には、それを是正するような調査をし、どういうふうに変えていったらいいか。  そういう意味では、市場の透明性、公正さを維持していくための調査、そしてそのための、どういうふうにグラウンドを整備したらいいかという方向性、政策になってくると思いますが、公正取引委員会自体がそういったことをしっかりと機能するようにしていかなければならないのではないのかなと思います。そういう意味では、公正取引委員会の持つ調査、そしてまた企画、政策立案能力というものも非常に重いものがあるんだろうと思うのです。  そういうものをもとに、もちろん日本経済社会というのはそれぞれ専門分野ごとに各省庁が責任を持っておるわけでございましょうが、各省庁はその専門の縦割りでやっているわけでございますから、グラウンド全体から見て、そしてグラウンドにおけるプレー全体から見て、こういうような方向にこの分野のプレーヤーはこうすべきですよというような提言、そういったことまで公取がすべきではないのかな、こういうふうに私は思うのです。すべきというか、そのぐらいの能力は持つべきではなかろうかな、こういうふうに思います。  そんなことを申し上げて、根來委員長に、とにかく今までの公取とは相当違った面で大きな使命感を持って、そして今までとは格段に違う大きな努力をしていただかなければ、市場がグローバルスタンダードに合わせたつもりが、世界から見たら相変わらずどうも違うルールで、どうも日本だけのルールでやっていたよというようなことになってしまうと、結果、大変なことになるわけであります。そういった意味で、最後に根來委員長の御見解をお聞きする次第であります。
  176. 根來泰周

    根來政府委員 大変お励ましをいただきまして恐縮でございます。私どもも、従来と言ったらおかしいですけれども公正取引委員会の狭い枠にとらわれずに、おっしゃるように競争政策の遂行者の責任者といたしまして、おっしゃるような調査を行い、また社会に提言していきたいと思います。  ただ、私どもの方も、人数にも限りがございますので、これはやはり国民方々の御支持あるいは御支援をいただかなければ遂行できないことでございますので、そういう意味から、独占禁止法の普及といいますか、今さら普及というのもおかしいですけれども、そういうことをしていきたいと思いますし、また、こういう商工委員会等の席上においてもいろいろ御叱正をいただければ幸いに存ずる次第でございます。ひとつよろしくお願いします。
  177. 前田武志

    ○前田(武)委員 終わります。
  178. 武部勤

    武部委員長 次回は、明十四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十三分散会