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1997-04-02 第140回国会 衆議院 商工委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月二日(水曜日)    午前十時開議  出席委員   委員長 武部  勤君    理事 小川  元君 理事 小此木八郎君    理事 中山 成彬君 理事 茂木 敏充君    理事 遠藤 乙彦君 理事 西川太一郎君    理事 大畠 章宏君 理事 大森  猛君       甘利  明君    石原 伸晃君       遠藤 利明君    小澤  潔君       奥田 幹生君    加藤 卓二君       亀井 善之君    岸田 文雄君       河本 三郎君    自見庄三郎君       住  博司君   田野瀬良太郎君       中島洋次郎君    中山 太郎君       林  義郎君    船田  元君       村田敬次郎君    伊藤 達也君       上田  勇君    鍵田 節哉君       神田  厚君    古賀 正浩君       島   聡君    島津 尚純君       達増 拓也君    並木 正芳君       吉田  治君    鰐淵 俊之君       末松 義規君    松本  龍君       渡辺  周君    吉井 英勝君       横光 克彦君    前田 武志君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐藤 信二君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      野田 哲也君         公正取引委員会         事務総局経済取         引局長     塩田 薫範君         経済企画政務次         官       河本 三郎君         通商産業政務次         官       石原 伸晃君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       今野 秀洋君         通商産業大臣官         房審議官    藤島 安之君         通商産業省貿易         局長      伊佐山建志君         通商産業省産業         政策局長    渡辺  修君         通商産業省生活         産業局長    村田 成二君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岡本  巖君         中小企業庁次長 岩田 満泰君         中小企業庁小規         模企業部長   篠原  徹君  委員外出席者         総務庁行政管理         局管理官    江澤 岸生君         総務庁行政監察         局観察官    田島 満成君         建設省住宅局住         宅・都市整備公         団監理官    亀本 和彦君         商工委員会調査         室長      安本 皓信君     ————————————— 委員の異動 四月二日  辞任         補欠選任   自見庄三郎君    田野瀬良太郎君   中島洋次郎君     遠藤 利明君   林  義郎君     住  博司君   石井 啓一君     上田  勇君   鍵田 節哉君     鰐淵 俊之君   中野  清君     並木 正芳君 同日  辞任         補欠選任   遠藤 利明君     中島洋次郎君   住  博司君     林  義郎君  田野瀬良太郎君     自見庄三郎君   上田  勇君     石井 啓一君   並木 正芳君     中野  清君   鰐淵 俊之君     鍵田 節哉君     ————————————— 三月二十五日  民間活動に係る規制改善及び行政事務合理  化のための通商産業省関係法律の一部を改正す  る等の法律案内閣提出第四七号)(参議院送  付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  民間活動に係る規制改善及び行政事務合理  化のための通商産業省関係法律の一部を改正す  る等の法律案内閣提出第四七号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 武部勤

    武部委員長 これより会議を開きます。  参議院送付内閣提出民間活動に係る規制改善及び行政事務合理化のための通商産業省関係法律の一部を改正する等の法律案を議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。佐藤通商産業大臣。     —————————————  民間活動に係る規制改善及び行政事務合理   化のための通商産業省関係法律の一部を改正   する等の法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 民間活動に係る規制改善及び行政事務合理化のための通商産業省関係法律の一部を改正する等の法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  民間事業者の創意あふれる事業活動を促進し、経済構造改革推進していく上で、規制緩和推進及び行政事務簡素合理化は、重要な課題であります。このような認識に立ち、政府といたしましては、規制緩和推進計画策定改定を行うなど、これまでも規制の広範な見直しに積極的に取り組んでいるところであります。通商産業省といたしましても、今般、同計画を着実に実施するとともに、民間事業者規制緩和要望にこたえるため、行政改革の一環として、当省関係法律の全般的な見直しを行いました。この結果、二本の法律廃止を含め、十六本の法律について見直しを行うこととし、これらを一括して措置するため、本法律案を提出した次第であります。  次に、本法律案要旨を御説明申し上げます。  第一は、輸出手続簡素化であります。我が国における技術水準及びデザイン重要性認識の向上を踏まえ、輸出検査法及び輸出品デザイン法の二法律廃止することとしております。  第二は、企業組織変更に係る手続簡素化であります。経済環境変化に即応し、合併や事業譲渡により企業組織を機動的かつ柔軟に変更することは、我が国企業にとりまして重要な課題となっております。このような企業組織変更があった場合における手続簡素化は、民間事業者の負担を軽減し、自由で活力ある経済社会を構築する上で不可欠であります。こうした観点から、十一本の法律に基づく諸手続につきまして、許認可等の再取得や再届け出を不要とする改正を行うこととしております。  第三は、民間事業者からの規制緩和要望等を踏まえた規制見直しであります。規制緩和推進計画において決定している電気工事士業務開始届け出廃止など、当省関係の諸規制について、簡素合理化を図ることとしております。  以上が本法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。以上です。
  4. 武部勤

    武部委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 武部勤

    武部委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横光克彦君。
  6. 横光克彦

    横光委員 どうも皆様おはようございます。  まず冒頭、私ごとの都合で最初に質問させていただくことに対して、委員会皆様方の御配慮に心から感謝を申し上げたいと思います。  今大臣趣旨説明にもございましたように、今回、二本の法律廃止と十四本の法律改正により一十二の規制廃止され、また五十四の規制合理化されることになるわけでございます。これからさらに経済構造改革を進めていく上では、私はまだまだ不十分ではないかなという気はしないでもないのですが、それでも、みずからの所管にかかわる規制についての大幅な見直しを、まずは通産省が他の省庁に先んじてその第一歩を踏み出したという点では非常に大きな評価をされるべぎことであろう、私はこのように考えております。橋本内閣が現在進めております経済構造改革においては、一つ規制緩和推進、そしていま一つ行政改革推進ですね。この両輪があって進んでいくのではないか、このような気がいたしております。  通産省は、昨年十二月に閣議決定されました経済構造変革創造のためのプログラム、この策定においても中心的な役割を演じておられることからも、引き続き行政内部におけるリーダー的な立場に立っていただきたい。それと同時に、通産省みずからの所管行政にかかわる規制緩和についても、今後ともその推進に積極的に取り組んでいただきたいな、このように思います。  そういったことから、これからの規制緩和推進に当たって、総合的な幅広い面から幾つかの点についてお聞きしたいと思います。まず、これからの規制緩和に対する通産大臣の所見をお聞かせください。
  7. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 大変、規制緩和に取り組む当省の姿勢に評価をいただきまして、ありがとうございました。今委員指摘のように、規制緩和必要性、これは言うまでもなく、いつも私が申し上げている言葉でございますが、高度情報社会、こういうものの進展に伴って、国際的にボーダーレスというか境がなくなって一体化してきた、こういうことからやはり日本がこれから国際社会で行く、この中においてはどうしても経済構造改革をしなければいけない。  実はこの柱が、もう経済的な規制はゼロに近いようにしていこう、社会的規制、これは一部必要なものは残すということと、高コスト構造、この二つを柱としてこれに徹底的にメスを入れていこう。そのことによって新規産業創出、こういうものが図れるのではないだろうか。そしてまた、民間事業者の創意あふれる事業活動促進、こういうことで、今申した経済構造改革の実現ということに対しては、極めて重大な課題だというふうな認識を持っております。  そういうことで、今委員指摘のような観点から、昨年の十二月に経済構造変革創造のためのプログラムを閣議決定させていただいたわけでございます。そういうことでこの問題には本当に真剣に取り組んでいかなければいけない。今回の法律は、その中の全部ではございません、これを手始めにしてさらに国民の要望に、また事業者意欲を持って新しい事業に取り組めるような、こうした経済社会をつくるということでこれからも最大限努力を払っていくつもりでございます。よろしくお願いいたします。
  8. 横光克彦

    横光委員 ただいま大臣から規制緩和に対しての意欲的な思いが述べられたわけでございますが、通産省規制緩和への取り組みと、今の意欲と、それに対して今回の法案との関係はどのように位置づけておられるか、ちょっとお聞かせください。
  9. 伊佐山建志

    伊佐山政府委員 ただいま大臣から御答弁ございましたように、私どもといたしましては、規制緩和推進は極めて今日的に重要な課題だということで、先月末にも再改定されました規制緩和推進計画、これを着実に進めていく、あるいは内外の御要望、御意見、これを聴取いたしまして行政的確化を図る、あるいは行政改革委員会の御意見、こういったところの状況を踏まえまして進めていくという大方針のもとで、私ども所管しております法律の全般的な見直しを行ってきておるわけでございます。  通産省全体で百数十本の法律がございますけれども、それぞれについて毎年いろいろな角度から見直しを行っているわけでございますが、昨年内、それまでの状況を踏まえながら、今回どういうものをその対象にすべきかという見直しを行い、規制の性格あるいは産業界実態といったような観点から勘案いたしまして取りまとめたのが十六本のものでございます。  議員御案内のとおり、本法案以外にも、もう既に御審議いただきました工業標準化法の一部を改正する法律案、その中でも規制緩和を一部実現していただいております。あるいは、金融システム改革フロントランナーとして今国会に提出させていただいております外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案、この法律におきましても規制緩和措置を可能な限り行っているところでございます。委員指摘のとおり、絶えずその実態時代の要請に即しました見直しを今後とも続けていく、そういう覚悟でやっておるところでございます。
  10. 横光克彦

    横光委員 どうもありがとうございました。  去る三月二十八日に閣議決定されました規制緩和推進計画の再改定、これにおいて新たに二百五十六項目が追加されております。その中で、これは既定のものですが、いわゆる大店法については、既定計画どおり九年度中、本年度中に制度見直しをするとありますが、この見直しの方向、わかっている範囲で結構でございますので御説明いただきたいと思います。
  11. 今野秀洋

    今野政府委員 大店法につきましてお答え申し上げます。  最近の我が国小売業を取り巻く環境、非常に大きく変化いたしております。モータリゼーションが急速に進展いたしまして消費者行動範囲が大きく拡大した、また、深夜とかあるいは休日の買い物行動といったようなことも非常にふえてきておりまして、消費者行動パターンが大きく変化しているわけでございます。  こういう中で、大店法につきましては、これまで三度にわたりまして、平成二年、四年、六年と三回にわたりまして規制緩和が行われてまいりました。そこで今度は、平成九年度の制度見直しということが規制緩和推進計画の中に盛り込まれているわけでございます。現在、この大店法につきましては、内外から、一方では廃止、他方ではこれ以上の規制緩和反対と、非常に幅広い御意見が寄せられているわけでございます。  具体的な内容の議論というのはまさにこれからなのでございますけれども、基本的には、この流通を取り巻く環境変化ということをよく把握した上で、消費者利益確保ということを踏まえながら、小売業の健全な発展、このためにいかなる対応をすべきかということを真剣に議論するということであろうかと存じます。その際には、各地の実態をよく調査いたしまして、また海外の諸制度も研究した上で、消費者方々小売業方々、また学識経験者方々、広く関係者意見を聞いて検討していかないといけないというふうに考えておるところでございます。
  12. 横光克彦

    横光委員 その見通しの中に、営業時間の自由化とか店舗面積緩和とか、そういうのは入る予定になっておりますか。さらに緩和する予定になっておりますか。
  13. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今委員指摘のように、この大店法見直しというのはこういうような計画ですが、はっきり言って非常に今のところは意見というかお考え方がまちまちで幅が広過ぎますので、これをいかに集約するかがこれから大変な、実は難しい仕事でございますので、委員、この点にも御理解いただいて、ひとつ政府の方に知恵と力をかしていただきたい、こう思っております。
  14. 横光克彦

    横光委員 確かに、先ほど大臣お話にございましたように、国際化経済時代、そしてまた民活あるいは経済構造改革、さらに生活者のこと、いろいろな観点から、規制緩和推進というのはやはり非常にこれからも強力に進めていくべきであろうと私ももちろん考えております。  しかし、今大臣お話もありましたように、経済的な規制緩和はどんどんやるべきだ、社会的な規制緩和は慎重であるべきだということでございましたが、この大店法のさらなる規制緩和は、経済的な規制緩和でありながらも社会的な影響を非常に及ぼすのですね。一つ規制緩和することによって、その一つ社会にいる人たちには大変な痛みを伴う緩和でもある、これはもう皆さん方重々承知のとおりだと思います。これまでも三回改正されて、確かに大きなプラスの面と、その規制緩和に伴うまたいろいろな負の面と、両方が現実に起きているわけですね。  私の方の地元の中小都市にも、つい最近非常に大型店舗が開店いたしました。あるとき、その近辺を通ったときに、車が渋滞しているんですね。何でこんなところで渋滞するのかなと思いましたら、結果的にはそれは全部その大型店舗、新しい店舗に行く、土日でしたけれども、そういったお客さんでした。ですから、非常にニーズはあるんだなと、利用者にとっては物すごい利便性があるわけですね。ところが、そのすぐ近くにあるかねてからの銀天街という商店街、ここは打って変わったように日曜日でありながらも人通りが少ない。そしてまたシャッターの閉まっている店もある。いわゆる商店街空洞化という現実も起きている。  ですから、確かに規制緩和をやりながら、それと同時に、それに伴う諸問題にもやはり省庁としては真剣に取り組まなければいけないんじゃないか、こういう気がいたしており、もちろんこれまでも取り組んでこられたと思いますが、そこのところを、その対応をこれからどのようにお考えなのか、お聞かせいただけますか。
  15. 篠原徹

    篠原政府委員 近年、我が国流通は、先生今御指摘ございましたとおり、消費者ニーズ変化だとかあるいは価格競争の激化だとかモータリゼーション進展、あるいは郊外への大型店進出加速化などを背景といたしまして、構造的、持続的な変革の中にあるというふうに私ども認識いたしております。  こうした厳しい経営環境に対しまして、意欲あります中小小売商業者が円滑に対応できますように、政府では従来から各般中小小売商業対策推進してきたところでございます。  具体的に申し上げますと、特定商業集積法などを活用いたしまして、大企業とも連携いたしました商店街商業集積活性化であるとか、あるいは商品調達だとか配送などの共同化推進するとか、あるいは、売れ筋情報を提供いたしますことによりまして小売商業者消費者ニーズへ的確に対応できるようにというような事業もやっております。こうした事業を図るために、補助だとかあるいは高度化利子融資あるいは低利融資制度、こういった各般支援措置を講じてきているところでございます。  さらに、平成九年度予算におきましても、情報技術活用によりまして中小小売店業務効率性を向上さすための支援の新設、あるいは空き店舗有効活用など商店街活性化のためのソフト面支援拡充など、中小小売商業対策を一層充実、拡充強化を図ることにいたしておりまして、関係予算といたしまして総額約百六十三億円を計上いたしておるところでございます。今後とも、私ども通産省だけでございませんで、建設省、自治省を初め関係省庁とも緊密な連携をとりまして、商店街活性化対策等を強力に推進し、中小小売商業支援に遺漏なきを期してまいる所存でございます。
  16. 横光克彦

    横光委員 どうかそういった緩和と同時に、それに伴う対策も今はぜひ御努力いただきたいと思います。  これは消費者生活者利便というものもあるのですが、逆にその消費者の中でこれから非常に、御案内のように、超高齢化社会が参ります。とりわけ地方ではそれが激しいわけですね。そうしますと、やはりお年寄りの方は、前々から近くの商店街とかあるいは近くの店に行くということが、一つ生活圏になっているわけですね。それが消費者にとっても、そういった店がもし徐々に小さくなったり、なくなったりすることによって、車で郊外大型店に行かざるを得ない、バスで行かざるを得ないというようなことにもなりかねませんので、そういった問題も生じつつあるということを御認識いただきたいと思います。  そしてもう一つ痛みを伴うことでちょっとお聞きしたいのですが、昨年の国会改正されました液化石油ガス法、ことしの四月一日から施行されるわけですが、このことによっても今度また別な形での痛みが生じているわけです。新聞で皆さん承知だと思いますが、従来販売事業者が行うこととされていた保安業務が、保安機関に委託されることになりました。そのことによって、兵庫県の例ですが、プロパンガス保安協会保安センターの職員が九十九人解雇された。そのうち十九人についてはいまだ就職先が未定となっているという報道がございました。  確かに、現況、機器類安全性とか、あるいは自由競争を促して消費者利益を図りたいとか、いろいろな名目でそういった規制緩和をされたのだと思います。それはそれで、恐らくそのとおりだと思うのです。でも、そのことによって、このように雇用の問題まで生じるわけですね。しかもこれは、兵庫県はこういうことになっておりますが、全国の協会はまだまだ、四月一日からですから、こういった問題がこれからも多発しかねないわけです。こういった業務効率化に伴う雇用の問題、このことに対してはどのような対策をお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  17. 渡辺修

    渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます。  今先生具体的な、プロパンガス保安協会の例を引かれての具体的な雇用問題についての御指摘でございます。規制緩和の持ちます光と影といいますか、一部においてこういう問題が出るという点については、まことに重要な御指摘だと思っております。  先般、十二月でございますが、御指摘のありましたような経済構造改革プログラム策定いたしました。当然のことながら、十五分野新規産業の育成、創出、さらには魅力ある事業環境推進することによる良質な雇用確保、こういう大きな、よりマクロ的に見れば大きな雇用創出確保されることは間違いないわけでございますけれども、その過程雇用ミスマッチ等が起こる、こういう問題でございます。  これにつきましては、そのプログラムの中に、「規制緩和の実施に当たっては、重大な影響を受ける事業者に対する構造改善、新分野への進出のための支援等環境整備に万全の配慮を行うこととする。」こういう規定を盛り込んでございまして、これに基づきまして、我々といたしましては、大きな構造改善をする場合の前向きな各種の対策、必要な予算手当てその他について、万全を期すつもりでございます。  あわせまして、新しい産業あるいは企業が育成されます。その過程雇用が円滑に流動するような、そういった雇用流動システムというのもあわせて手当てをしなきゃいかぬということで、これも労働省とよくお話をしながら、これから進めていきたい。御指摘の点については、十分配慮しながらうまく進めることが経済構造改革を全うする重要な過程である、このように考えておるところでございます。
  18. 横光克彦

    横光委員 確かに、各省庁と、とりわけ労働省と協調を図りながら、こういった問題に対処していただきたいと思います。  規制緩和というのは、いわゆる生活者全体が豊かさを実現するための目的というのが大きいと思うのですね。そういった意味で、通産省に課せられた課題というのは非常に大きいものがある。しかし、通産省は、大臣を初めこういった諸問題に十分こたえ得る能力があると私は考えております。ですから、今お話ございましたように、規制緩和に伴う光と影、いわゆるこの二面性ですね、推進とフォロー、こういったものにしっかりと対処しながら、通産省としては省を挙げて規制緩和に取り組んでいただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  19. 武部勤

    武部委員長 次に、上田勇君。
  20. 上田勇

    上田(勇)委員 新進党の上田勇でございます。きょうは規制緩和一括法につきまして、何点かにわたりまして質問をさせていただきます。  まず、我が国経済はここのところすっかり活力を失ってしまいまして、バブルの崩壊以降、景気もなかなか、依然として厳しい状況が続いておりますし、また今は産業雇用空洞化というのが深刻な問題になっております。こうした経済閉塞状況を打開していくために、思い切った規制緩和によって民間経済活動活性化を図っていく、こうした必要性につきましては、もう既に各方面で指摘されているとおりであります。  政府もこれまで、平成六年度以降、規制緩和推進計画あるいはその改定策定いたしまして、規制の撤廃、緩和を進めてきてはいるものの、私の評価といたしまして、全体としてまだまだ不十分で、スピードも遅過ぎるというふうに言わざるを得ないのではないかというふうに思います。  先ほど大臣の方から、経済規制はゼロにするというようなつもりでという答弁もございました。ところが、今回の改正を見てみましても、確かに輸出検査法輸出品デザイン法廃止という、二つの法案廃止はされているのですが、法案の中身を見れば、主としてこれは手続簡素化であります。届け出の回数を少なくするだとか、そういった簡素化で、規制そのものは依然として残るというものがほとんどじゃないかというふうに思うわけであります。やはりこれは、経済の構造改革という先ほど大臣の御決意もありましたが、それを進めていくためには、その規制必要性自体まで含めて、単なる行政事務合理化ではなくて、その規制そのものの必要性についても十分考慮した上で、本当にそれが必要なものなのか、どうしてもなければいけないものなのか、このことを十分考えなければいけないのではないかというふうに思うわけであります。  いずれにしましても、私も、これからはこうした経済産業にかかわる規制の撤廃あるいは緩和を積極的に進めていくことによってのみ我が国経済の構造改革が進み、また景気回復によって日本の経済産業の再生を実現することができるのではないかというふうに考えるわけであります。先ほどの質問と若干重複するわけでありますが、大臣に、この規制緩和とそれから経済構造改革、景気浮揚、こうした関係についての基本的な認識と、また今後の規制緩和、撤廃の方向につきましての基本方針について所見を伺いたいと思います。
  21. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 上田委員にお答えいたします。  今委員指摘のように、先ほどまた私が申したように、やはりこれからの日本の経済を見た場合に、今のままでは世界の中に埋没してしまう、こういった危機感から、六つの改革の一環として経済構造改革、こういうものを取り上げて、今鋭意取り組んでいる最中でございます。その中のやはり柱というもの、いわゆる国際競争力をつける、そしてまた新規産業創出、つくり出す、こういう観点からいくと、どうしても今規制というもの、あるいはまた日本の高コスト構造、こうした体質自体を変えなければ生きていけない、こういうことからこの問題に取り組むわけでございます。  ただ、今委員指摘のように、今までと発想を変えなきゃいけないのは、人に言われたから数だけ減らせばいいんだという問題じゃないだろうと思うのです。まず、逆に言って、減らすというよりか、何が必要なのか、そういうところに視点を変えてこの規制緩和に取り組まなきゃいかぬということで、それを一括して表現したのが経済規制はゼロ、こう言ったわけでございます。  ただ、そこで実は問題なのは、往々にして、長い慣習というか習慣の中において、日本特有でもないでしょうが、総論賛成、各論反対ということと、それから、法律自体を改めた場合でも、長年そうしたような社会、また構造の中に育っていると、事業者、国民の意識が一遍に変わるかどうかというところが一番の問題だろう、こう思っております。  そういうことで、今申したように、私どもの方は、昨年の十二月に閣議決定をいたしました経済構造変革創造のためのプログラムでこの規制緩和推進ということをうたっておりまして、これからもさらなる規制緩和推進に向けて最大限の努力を払ってまいりたいと思いますので、その点、御指導また御支援のほどをお願いいたします。
  22. 上田勇

    上田(勇)委員 今大臣の御発言にもありましたように、これは単純に規制の件数だけで比較できるものではないのかもしれません。それは当然のことだと思うのですが、総務庁の調査によれば、通産省の許認可件数というのは千七百八十件だというふうに出ております、これは平成七年三月現在になりますが。そうすると、これも各省庁の中で最も多いということになっております。もちろんこれは、所管の内容であるとか、単に数だけで数えられるものではないわけでありますが、こうしたことも踏まえた上で、ぜひ今後とも、先ほどの御決意にあるように、規制緩和に積極的に挑戦していただきたいというふうに考えるわけであります。  そこで、今回の法案についてなんですが、昨年の末にこれは新聞報道がありました。十二月十四日付でありますが、この中では、例えば、通産省では、電気事業法と河川法などの縦割り行政のいわゆる弊害排除や特殊法人の情報開示の強化、こうしたことも含めて、約三十本の法律について一括法案で規制廃止緩和を行うという報道がなされております。ところが、今回この法案として出てきたものは十六本の法律改正であります。この新聞報道もかなり具体的に各法律の中身やその改正についてまで言及していることから見ますと、省内でもそれなりに検討されてきたことではないかというふうに思うのですが、今回、こうした数多くある検討対象の中からこの十六本の法律が選択されたということはどういう理由によるのか、大臣のお考えを伺いたいというふうに思います。
  23. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今の御指摘は、昨年の段階では三十本というふうに言われていたのがなぜ十六本なのか、あとの十四本はどこに行ったのか、こんなことではないだろうかと思います。  それに対するお答えでございますが、通産省所管法律については、全般的な見直しを行った結果、規制の性格、産業界実態等から判断して法律改正を行うという結論を得たもの、これを一括した十六本になるわけです。  これも委員よく御存じのように、やはり法律に基づいて、許認可事項、これがずっとすそ野が広いわけなので、これは今の話とはちょっと違いますが、必ずしも法律一本つぶしたから規制がごぼっと減るものでもないわけですが、そういうことから、当省で所管しているのはそれだけで、あとは一体どうなったかというと、そうした三十本の検討の結果、この一括法によらなくても実質上措置することができるというものがあるわけです。  それは、一つは、今御指摘のような特殊法人の情報開示の強化に当たっては、先般総務庁が取りまとめました、原則すべての特殊法人につき情報開示を強化する、こういうことから、特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律案、こういうものを国会に提出しておりますし、また、申請や届け出手続の電子化ということに関しましては法律改正によらなくても十分手当てできる、実はこんな結論で、これは省令でやるということで、既に一部は措置をしている。  そういうことで、本法案以外にも、本委員会で御審議をいただきました工業標準化法の一部を改正する法律案、いわゆるJIS法とか、大蔵省の所管になりますが、金融システム改革フロントランナーとして今国会に提出いたしました外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案、こういうもので規制緩和措置を講じている、こういうふうに御理解いただきたいと思うのです。  いずれにいたしましても、今回の法律案の提出だけには限らないで、所管規制にかかわる見直しというのは今後とも不断に続けてまいる所存でございますから、よろしくお願いいたします。
  24. 上田勇

    上田(勇)委員 今回の法案の中では、輸出検査法輸出品デザイン法の二つの法律廃止されるわけですが、いずれの法律も昭和三十年代前半に制定されたものであります。時代状況を見ますと、日本製品の品質についての国際評価が必ずしもまだ固まっていない段階につくられたものでありまして、その後、我が国経済産業の地位がずっと向上する中で、現在は対象品目もごくわずかで、しかも雑貨類が中心で輸出量もそれほど多くないというふうに理解しております。そういう意味で考えると、制度必要性というのは現在はほとんどなくなってきていて、今回それが廃止されるというのは当然の流れだというふうに私自身は考えるのですが、今回、この両法律廃止に至る過程で、関係事業者等から、この法律廃止について異論だとか反対意見だとか、そういったものはあったのでしょうか、どうでしょうか。
  25. 伊佐山建志

    伊佐山政府委員 委員指摘のとおり、時代の背景を踏まえて、それぞれ輸出検査法でありますとか輸出品デザイン法という法律がつくられ、その後、我が国経済全般の競争力の強化、あるいはそれぞれの企業の競争力の強化というものが実現された結果、そういうかつてつくられた法目的はほぼ達成したということで、もうやめるべきじゃないかというのが今回の二つの法律廃止趣旨ではございますが、例えば五年前の状況で見ましても、実はまだ五十品目ほどの検査項目が残っていたというようなことがございまして、毎年毎年、対象となっております産業界実態がどういったものであるかというようなことを、それぞれ識者をお招きし、実態を調査しながら、その存続の的確性というものについて見直しを行ってまいりまして、今日十幾つのものが残っておったということでありまして、それぞれもちろん廃止されることについての懸念というのは、識者の間でも全くなくはない。  特に、残されたものというのは、どちらかといいますと中小企業性の高いものでございますものですから、例えば、検査をなくすことによってみずから検査をしなければいけないということのコストをきちっと負担し得るかどうかというような点もございまして、不安をできるだけなくすという観点から、時間を若干いただきながら今日に至ったということでございまして、常に制度を改めるに当たりましては何がしかの不安を表明されたということがございます。
  26. 上田勇

    上田(勇)委員 今の答弁にもありましたように、客観的に考えると今その必要性といったものがほとんど感じられないような規制についても、いざそれを緩和するということになると、それは各論でいろいろな障害がある、反対があるということじゃないかというふうに思います。  そういう意味で、これから規制緩和をもっともっと進めていくという方針でありますけれども、やはりこうした抵抗というのは当然予想されるわけであります。当然それを踏まえた上で、またそれを一つ一つ検討することは重要だと思いますが、各論反対ということを言っていれば、これは規制緩和はほとんど進まないことになってしまうと思いますので、ぜひともそこはもっと思い切って、大胆な発想で、強い決意を持ってこの規制緩和をさらに進めていっていただきたい、このことを御要望したいというふうに思います。  それで、その他ちょっと、若干細かい点も含めまして、今回の法案の内容について、残された時間で質問させていただきますが、まず、今回のこの一括法の中で電気事業法の改正が入れられております。これは、主な改正点というのは、発電所の運転開始準備期間、これを八年から十年に延長しているという点があるのですが、率直に言って、これを八年から十年に延長している、この十年とした根拠がもう一つよく理解できないのですが、その根拠を御説明いただきたいというふうに思います。
  27. 岡本巖

    ○岡本政府委員 お答え申し上げます。  電気事業法の七条で、電気事業、公益事業でございますので、許可を受けた以上はできるだけ速やかに事業を開始すべきということで、それから、公益特権を付与されている、そういう事業者のステータスでございますので、そういう観点から現在八年という事業開始までの期間を設定しているわけでございますが、最近、上越共同火力という新潟県のケースなんでございますが、港湾の護岸工事、埋め立てをやる、それに先立って港湾のアセスメントをやるということで、どう考えても、事業の許可を受けてから発電所の運転開始までの間として十年をどうしても必要とするという、そういう海岸での埋め立てを前提にする発電所建設の計画がかなり出てまいる、そういう状況に立ち至りましたものですから、私ども事業許可から開始までの期間を今回十年に延長させていただきたいということで、御提案を申し上げている次第でございます。
  28. 上田勇

    上田(勇)委員 何か今の御説明だと、一つ事業者というのでしょうか、一つ事業、その個別の事情のために法改正をするというふうにも聞こえるのですが、そもそも、通産省に先般伺ったところ、いわゆる許可の対象となる事業者というのは実質的には極めて少なくなってきているというふうにも伺っているのですが、これは、今のような形で一つの個別事情によって法律を変えていくということになれば、これからまたその事業期間がもうちょっと長いものが出てきたら、また法律改正するというような方針で対応されるおつもりなのですか。
  29. 岡本巖

    ○岡本政府委員 先ほどのお答えの中で上越共同火力という個別の事業者に言及いたしましたが、これから火力を中心に卸電気事業者方々が発電所を建設するという場合に、海岸で発電所を建設するというケースがほとんどかと思われますけれども、その場合に、港湾の護岸から埋め立ての工事を伴う、そういうケースというのはかなり出てまいるかと予想されますものですから、単に今回実際にケースがありました特定の事業者の場合に対処するためということでは必ずしもございませんで、これからの火力電源の立地のパターンとして、港湾法に基づく埋め立てを伴う、そういうケースが多発する、そういう見通しのもとに、私ども今回の期間延長をお願い申し上げているところでございます。
  30. 上田勇

    上田(勇)委員 もう一つ、今環境アセスメント法案国会に提出されるというふうにも伺っております。これは、環境アセスがもし法制化されれば事業期間が長くなるということは当然予想されるのですが、このことについても今回の改正では考慮の上で期間が決められているのでしょうか。
  31. 岡本巖

    ○岡本政府委員 アセスメントについては、環境影響評価法案と、それから発電所固有の手続については電気事業法の改正で所要の手続を新たに追加するということで、法案を提出させていただくことになっております。  私ども、発電所に係るアセスメントにつきましては、昨年の中央環境審議会におけるアセスメント法制化の議論の段階から、アセスメントの法制化によって工期がいたずらに長くなるような、そういうことのないようにという、これは発電所に限らずほかの事業からもひとしく出された要望でございますが、発電所につきましては、五十二年以来やってまいっております省議決定に基づくアセスメントの手続を基本的に踏襲する方向での法制化を今回御提案申し上げる予定にいたしておりまして、それでまいります限り、アセスメントの法制化ということに伴って事業開始までの期間が有意に延びるというようなことはないものと私ども考えておるところでございます。
  32. 上田勇

    上田(勇)委員 この件について、当然この許可というのは、施設の安全性や妥当性はもちろんのこと、それから環境アセスももちろんのことでありますが、電力の需給についても、その地域の電力の需給を考慮した上で、どういう規模が適当なのか、免許を与えることが適当なのかどうかということを審査するのじゃないかと思うのですが、そうなると、運転開始準備期間を長くするということは、その間の経済やその地域の状況変化ということも、これまた度合いは大きくなってくるんじゃないかと思うのです。  そうであれば、これはむしろこの運転開始準備期間というのはどちらかというと短くして、その地域の電力需給の状況をもっとタイムリーに判断すべきなんじゃないか。また、その場合に、なかなか今事業がいろいろな事情で進まないということでも、その場合は延長の審査をもっと簡素化、簡単にすれば、そうした事業者に実害を及ぼすこともないことであると思うのですね。そうすれば、そういう審査の、いわゆる電力需給などを考える期間はむしろ短い方がより的確なニーズを反映できて、むだな施設をつくったり、あるいはその供給地域が変わるとかそういったことにももっと的確に対応できるのではないかというような感じがするわけであります。  現実にいろいろと工業団地の造成であるとか工業地域をつくるというような中でも、そうした計画変更というのはよくあることだと思うのですけれども、その期間を延長するということについて本当に適当なのかどうか疑問を持っているのですけれども、その辺について御見解をお伺いしたいというふうに思います。
  33. 岡本巖

    ○岡本政府委員 卸電気事業者である上越共同火力がLNGのコンパインドサイクルの発電所をつくるという、今回実際にございましたケースに即してお答え申し上げますと、港湾のアセスメント、護岸工事、その後の埋め立てという一連のいわゆる土地造成に至るまでの間に約五年半の工期がどうしてもかかる、その上で実際に発電所の建設工事の所要期間としては三年半強、四年弱ということで、実際の工事が行われる計画になっているわけでございます。  先ほどお答え申し上げましたように、海岸での埋め立てを伴う火力発電所の建設というのが、一般電気事業者の場合には今回のような必要はないわけでございますけれども、卸電気事業者方々がそういう発電所の建設事業を行う場合に、先ほど申しましたように五年とか六年とかかかります港湾の埋め立て、護岸工事、それによって初めて用地ができ上がる、そういう事業について、許可をしましてから運転開始までの期間、その中で事業者がみずから工期短縮という意味で努力できますのは発電所の建設の部分でございまして、それは三年半から四年の工期の部分でございますので、さっき申しましたような実態を私ども勘案いたしまして、八年ではどうしても短いかなということで、かなりのケースが八年を超え、十年あればほとんどのケースが間に合う、そういう判断のもとに、今回十年への延長をお願い申し上げているところでございます。
  34. 上田勇

    上田(勇)委員 多分、この法律による許可というのは、先ほども申し上げましたが、非常にケースも少ないということであるので、ある意味では、その個別の事情を十分配慮するということが必要なことなんだということも一方では私も理解するわけでありますが、こういう公共事業というのは、一度始めると、その必要性がなくなってもなかなかとまらないというような問題も一般論としてよく指摘されているわけでありますので、そういった意味で、いたずらに、工期が長くなるから状況が変わってもそのまま突き進んでしまうのだということがないように、ぜひそういう方向での対応をお願いしたいというふうに思います。  もう時間もございませんので、最後に、今回、電気事業法の改正の中で、電気主任技術者免状の交付要件の中から、従来ありました通産大臣が認定した者という項目が削除されております。これは、この試験あるいはその免状の交付が通産省の方から民間に委託されるという大きな方向で進んでいるということはいいことであると思うのですが、その中でそれに対応した措置だというふうに考えるわけでありますけれども、ただ、このことによって、従来の制度のもとではこの免状の交付が受けられたであろう受験者が今回その交付が受けられなくなるというようなケースが発生することとなる、そういう支障が生じることはないのかどうか、その辺の御見解を伺いたいと思います。
  35. 岡本巖

    ○岡本政府委員 電気事業法四十四条二項三号の大臣認定の実際の運用は、一号とか二号に規定しております学歴あるいは資格、実務経験それから試験合格者、それらと同等以上の知識、技能を有しているということで大臣が個別に認定するという規定でございますけれども、実際の認定に当たりましては、学歴または資格及び実務経験ということで、客観的な基準に則した認定をやっておりまして、その意味では定型的な判断ということにこれまでもいたしております。  したがいまして、私ども、今申しましたような運用基準を省令に明記することによって従来と同等の対応ができるのではないかというふうに考えまして、今回、大臣認定の根拠規定を廃止するということで御提案申し上げているものでございます。したがいまして、先生御懸念の、申請者の方々に御不自由をおかけするというようなことはないかと考えております。
  36. 上田勇

    上田(勇)委員 ぜひそういう対応をお願いしたいと思います。  時間ですので、これで終わります。どうもありがとうございました。
  37. 武部勤

    武部委員長 次に、吉田治君。
  38. 吉田治

    ○吉田(治)委員 大臣、私、事前通告していなかったのですけれども大臣提案理由を聞いていまして、一つだけ聞きたいことが急にできまして、提案理由の中で、今回の一括法に関しては、「民間事業者規制緩和要望にこたえるため、行政改革の一環」だという文言がございますけれども行政改革の一環ということは、これからこういう法案を続々と出してくる、そういうふうにとらえてよろしいのでしょうか。
  39. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 すぐ法律がどんどん出てくるというのは、何というか、ちょっと進み過ぎたお考えではないだろうかと思うのです。  先ほどちょっと申しましたが、今、政府を挙げていわゆる改革、改革と言っています。その中に、一番最初に言っている行政改革というもの、それと規制緩和、みんなこれはある程度ごっちゃになっている面があると思うのです。強いて言えば、今委員指摘のように、行革の方の分野ということになると、法律によって縛られているものをまずなくすのじゃないだろうか、こういうことで、まさにこの俗に言う六つの改革というのはそれぞれ関係、関連が出てきている、これはまさにボーダーレスの象徴的なものじゃないだろうか、かように思っております。  ですから、一口に言うと、必ずしも法律を全部やめてしまう、続々出すわけではございません。ただ、これからも検討を進めているうちに、この法律の使命は終わった、これによって規制というもの、これをやはり緩和すべきだ、こういうふうな判断が出た場合には私どもお願いする機会もあろうかと思います。
  40. 吉田治

    ○吉田(治)委員 この規制緩和という形になってくると、私は三つに影響が及ぼされてくるのじゃないかな、雇用という部分とそれから消費者ということ、そして中小企業という部分で。先ほどからの大臣の答弁を聞いていますと、規制緩和にいたしましても、規制緩和民間的な部分、行政民間という部分であれば、行政改革というのは行政の中の改革。やはり肝心なことは、たとえ行政改革であっても、公務員であっても何であっても生首を切らない、こういうことが非常に重要じゃないかなと思うのですけれども大臣、一言で結構でございます、そうなのか、いや、場合によっては生首を切ることも必要だよと思われるのか。大臣個人のお考えで結構でございます、一言だけで結構です、お答えください。
  41. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 一口と言われても難しいのは、生首というと非常に何というか凄惨な響きがありまして、この平和な時代に生首という表現は余り賛成いたしません。
  42. 吉田治

    ○吉田(治)委員 いや、要するに人員整理するかどうかですよ、人をやめさせるかどうかということですよ、その辺は。そういうことも頭に入れた規制緩和であり行政改革なのかということなんです。
  43. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 それは、行政改革というのは言うまでもなく、やはり機構だとか人事をいじるということになります。それが、はっきり言えば今進めようとしている行革、一つの例を言えば特殊法人、そういうものの統廃合が特に一番大きな問題であろうと私は認識しております。
  44. 吉田治

    ○吉田(治)委員 雇用の問題は本当はもっと突っ込みたいのですけれども、時間の都合上今回はこれぐらいにします。  この一括法の中で、例えばLPGや揮発油に関係して事業譲渡というものが認められるという形になってきますと、規制緩和という中で次のステージとして考えなければならないのは、規制緩和をする、なるほど競争が激しくなる、そして物の値段が安くなっていく。しかし、その後はやはり弱肉強食という形で、強い者が勝っていくと寡占化であるとか独占化、そうすると結果的には価格が上昇するというのは、私たち中学校、高校の社会科の教科書で、資本主義というのは何か、アダム・スミスの神の見えざる手なんてことが出てくるわけなんです。  この辺について、やはり規制緩和をする、自由競争になってくるというと、それの監視役としての公正取引委員会、先年事務局から事務総局制にした公正取引委員会として、この辺について今から、五年先、十年先の話かもしれないですけれども、どういう準備、段取りをして予防というか、しているのか、それをちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  45. 塩田薫範

    ○塩田政府委員 お答えをいたします。  規制緩和が進みますと、それだけ個々の事業者が自主的な判断と自己責任の原則に従いまして、新規参入を含めて活発な事業活動を行うようになるということが期待されるわけでございます。もちろん、その際には市場のルールを定めた独占禁止法のいろいろな規定を遵守しながら事業活動を展開してきたということは当然前提になるわけでありますけれども、このことは規制緩和が進むに従ってますます重要になるというふうに考えます。  仮に、新規参入を制限するような行為など独禁法に違反する行為が行われることがあれば、当然独占禁止法に従って是正をしていくということを考えているところでございます。
  46. 吉田治

    ○吉田(治)委員 聞き漏らしたのかもしれませんけれども、例えば寡占状況、独占状況による不当な価格の上昇ということに対してはどういう対応をされるわけですか。
  47. 塩田薫範

    ○塩田政府委員 規制緩和の結果寡占が進むのかどうかというのは、競争が活発に行われると、当然その過程で競争の場から退出するという事業者も出てくるかもしれませんけれども、同時に、新規参入の自由ということが確保されるといいますか、規制緩和によってそういう基盤がつくられるわけでありますので、新規参入者が出てくるというようなことがありまして、活発な事業活動、競争が行われるということが期待されるわけであります。  それで、そういう中で価格についてカルテルが行われる、あるいは寡占度を高めるために合併をするというような場合につきましては、カルテルの禁止、あるいは、競争を自主的に制限することになるような合併については、きちんと是正といいますか禁止をするというようなことで対応をすることは当然でございます。
  48. 吉田治

    ○吉田(治)委員 何か今の日本経済というのか、行われようとすることを聞いておりますと、本当に中学、高校の教科書でカルテルがどうしたとかトラストがどうしたというふうな状況なのかなと思うのですけれども、ただ、現場で、やはり中小企業にとりまして、規制緩和、例えば今度の法案で問題となっております輸出検査の承認の廃止等になりますと、中小企業にとっては、バックデータをこれに非常に大きく依存していたというその効果がなくなってしまう。一つ規制緩和をすると、中小企業にとっては大きな影響を持ってくる。  このことに関しては、今後規制緩和を進めていく過程で、中小企業の相談窓口というのですか、駆け込み寺みたいなところをこれからどういうふうに整備していくのか、また現に整備しつつあるのか、計画しつつあるのか、その辺を詳しく説明をいただきたいと思います。
  49. 岩田満泰

    ○岩田(満)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、規制緩和が進みますともろもろの環境が変わります。その結果、現在の経営についてどうするかという次元のお話から、あるいは新しいことを考えなければいけないというような、もろもろの課題が出てまいると思います。そういう場合に、相談をしたり悩みが発生するということは想定されるわけでございます。  中小企業対策の一環として、従来から本省やあるいは通産局に指導官というものを置いたり、あるいは、全国の商工会や商工会議所にもろもろの相談をする窓口というものを整備してきておるわけでございますが、特にこうした環境変化が激しい、スピードの速い時代、かつ、中小企業者にむしろ新しい分野、今までと違う仕事に積極的に取り組んでいただかなければならないという時代でございまして、私どもといたしましては、さらに進めまして、各地域におきまして、各層の専門家あるいはノウハウというものを総動員して、そうした悩みに対応ができるような仕組みづくりを政府としても進めていきたいと考えております。私どもこれを、仮称でございますが、ものづくりネットワークというふうに銘打っておりますけれども、そうしたものを進めていきたいと思っております。  先生のお地元の近くでございます東大阪では、一商工会議所の管内ということではございますけれども、大変先進的な取り組みが地域によって行われております。そうしたものがより広範な地域で、かつ、それぞれがさらにネットワークされていくというような仕組みづくりに九年度以降本格的に取り組みたい、このように考えております。
  50. 吉田治

    ○吉田(治)委員 そういうふうな施策を消費者の部分、中小企業の部分で進めていただくことによって、規制緩和というものを進めてだれにとっても利益になる、何か一方の利益、一方の不利益というふうな形に決してならないようにしていただきたいなと強く望む次第です。  さて、今回の法律ですけれども、十六本の法律一括法、くくり法という形で提出をされてまいりました。過去の議事録等々を読んでいきますと、絶えずこういう一括法という形にしますと問題がある。例えば、私の手元にございます昭和四十九年三月二十五日の石炭対策特別委員会で行われました法審議の附帯決議の中にも、各党におきましてはそれぞれ別個の考えがあるんだ、一つ法律でこうしてワンパッケージで出されたのでは非常に困るというふうな附帯決議がなされたりしております。  私、個人的には、これはひょっとしたら憲法で保障されております国会議員の審議権というものを侵害するものではないかな、疑義があるのではないかなと考えるのですけれども、法制局として、憲法違反という言い方がいいかどうかわかりませんが、憲法に対する抵触度というふうなものにどういうふうに解釈を加えているのか、それについてまずお答えをちょうだいしたいと思います。
  51. 野田哲也

    ○野田(哲)政府委員 お答えいたします。  二つ以上の法律改正一つ法律案としてまとめまして、いわゆる一括法として国会に提案し御審議を願うということは従来からしばしば行われておりまして、御承知のとおり、多数の事例もございます。したがいまして、一般論として、このような一括法として一本化するという方式は、一つの技術的な立案方式としてお認めいただいていることと考えております。  ただ、一本化と申しましても、無制限あるいは無制約に行えるというわけではございませんで、一本化にふさわしいかどうかということを私ども法案審査の段階で見ているわけでございます。その際の基準と申しますか方針と申しますか、その要点といたしましては、法案に盛られた政策が統一的なものであり、その結果として法案趣旨、目的が一つであると認められる場合、あるいは内容的に法案の条項が相互に関連して一つの体系を形づくっていると認められるような場合、こういった場合はまさに一本化にふさわしいということで、法案審査の段階でそのような処理を認めているところでございます。
  52. 吉田治

    ○吉田(治)委員 本会議の規定は憲法にございます。委員会の規定というのは憲法にはなく、国会法、また、衆議院または参議院の規則に基づいてなされている。ですから、いろいろな憲法解釈の中でこの一括法、また国会審議委員会審議についてさまざまな議論をなされているのは法制局も御承知のとおりだと思うのですけれども、今二点の基準を言われました。  では、十六本の法律一つ一つをこの基準にどう照らし合わされるのかということは、ここで言う時間があるのか、なければ後で文書で提出してもらえるのか、お答えいただきたいと思います。
  53. 野田哲也

    ○野田(哲)政府委員 ただいま審議されている法律案につきましては、政府の重要政策課題一つである規制緩和推進という観点から、規制緩和推進計画等を踏まえまして、民間活動に係る規制がもたらす負担の軽減、あるいは行政事務合理化を図るという共通の趣旨、目的を持ったものを一括法として取りまとめているものでございまして、この法律全体として、さきに申し上げました一本化の基準に適合していると私ども考えております。
  54. 吉田治

    ○吉田(治)委員 言われることはよくわかるのですけれども、これは私が議員になって二回目なんですね。新事業促進法のときも一括法で、三法が一つになって出てまいりまして、どう関連しても、これを三つ一緒にするのは苦しいんじゃないのというのを非常に感じたわけでありまして、今回は時間がありませんので、改めて一般質疑のときにこういう一括法についての基本的認識を問いたいと思うのですけれども、今法制局の方がお答えをされました。それで、過去の議事録を調べてまいりますと、「法案国会審議の問題は最終的には国会でお決めいただくことでございますので、」という、昭和六十年四月十日、大蔵委員会での、当時の法制局長官、これはモグシさんと読むのですか、のお答えがあるのです。今もその考えは変わっていないととらえてよろしいのでしょうか。
  55. 野田哲也

    ○野田(哲)政府委員 そのときの状況を私、正確には存じておりませんけれども、当時の法制局の幹部が申し上げましたことは、例えば、一括法審議すると、先生御指摘ありましたように、ここの部分は賛成だけれども、ここの部分は反対だというような場合に困るではないかという御指摘に対して、そこはその審議のやり方としていろいろある、例えば修正とか、そういうことがあり得るということを言いたかったのだろうと思いますが、そこはまさに国会審議の中のことでございまして、政府側から申し上げるのはいかがかということで答弁を差し控えたということではないかと思います。したがいまして、従来の考え方は法制局として変わっておりません。
  56. 吉田治

    ○吉田(治)委員 この問題、非常に重要なことだと思うのですよね。今部長言われたように、法制局の見解としては、統一的な流れということ、これから行政改革規制緩和という流れになると、やはりこういう法律というのはいっぱい出てくる可能性がある。そうしますと、審議時間等、きょうでもこれ三時間半ですか、十六本の法律一つに束ねて、私たち野党の立場からしたら、もっともっと審議をしたい、一つ法律それぞれが一時間ずつぐらい法案審議をさせていただいてもしかるべきだと思うのですけれども、トータル一本よと言われるとこの時間になってしまう。政府の立場としても、国会審議というふうなものを、やはり行政、立法という立場からよく理解をしていただいて、安易にこういうふうな一括法に対してくるしないように、私は法制局に強く望むところでございます。  さて、その中で、一千七百八十件に上る通産省規制の中で六十六件、規制緩和をされていくという中で、私は、一つの問題点というか、感じるところは、その一括法の中で、保安規制緩和というものをそろりと入れていられる。よく言われているように、経済規制は原則廃止で、社会的規制だけと。じゃ、保安規制というふうなものは、これはどこの部類に入るのですか。
  57. 伊佐山建志

    伊佐山政府委員 正式な定義を定めたものがございませんが、私どもの日常の業務の中では社会的規制の一部だと考えております。
  58. 吉田治

    ○吉田(治)委員 それでしたら、過去の大臣答弁、ずっと見ていきますと、こういう保安関係規制というのは特殊な例である、「規制緩和等々の分野とはちょっと違った要素がある、」これは平成六年五月三十日の、当時の畑国務大臣の答弁。それから、今総理におなりになられた橋本大臣も、平成六年十月二十一日に、「それぞれの規制の持つ中身に着目して、」というふうに言っているわけですよね。  ですから、私たちから見ると、規制緩和一つのくくりの中で、今局長言われた、これは貿易局長が答えるのがいいのかどうか本当はわからないのですけれども、保安規制という社会的規制であるものをそろりと入れ込んで、さあどうぞと。なるほど、今保安技術というのは随分進歩をした。法律ができた三十年前、四十年前から比べたら、そこまでする必要はないのではないかという声は確かにあります。それをすることによって、例えばある産業の料金なり価格なりコストなりが下がっていくという現実も非常によく理解はできます。しかしながら、社会的規制であると言われているこの保安規制というものを安易にこういう一括法の中にそろりと入れて、どうぞ、規制緩和でこれ審議してください、全体で規制緩和規制緩和と。  まさに、規制緩和は今やにしきの御旗でございますから、これに盾突く者は許さないというふうな論理になるんじゃないかなと思うのですけれども、その辺の保安規制緩和について、これは貿易局長に聞いても仕方ないなと思うのですけれども、その辺はどうお考えなのか、安全面を含めて、どういうふうに今後これについて考えていかれるのかということを、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  59. 岡本巖

    ○岡本政府委員 今回の法律の中で、熱供給事業法でありますとか電気事業法の電気工作物についての保安に係る規定の部分、主任技術者等を含めまして、あるいは電気工事士法の関係なんかもお願い申し上げているわけでございますが、それは、法律の提案の理由の中にございます、民間活動に係る規制がもたらす負担の軽減及び行政事務合理化を図るためということで、例えば電気工事士法なんかも例示に挙げて今回の法律の中に入れさせていただいているところでございますが、私ども、保安に係る規制につきましても、技術でありますとかあるいは事業実態進展、そういうものに応じて見直しを行って、所要の規制緩和を行うことが適当であるというふうに判断いたしましたものを今回御提案させていただいているところでございます。
  60. 吉田治

    ○吉田(治)委員 ですから、これは安全にかかわる問題なので、何度も言うように、この一括法、くくり法というのですべてくくって出してくるというセンスというのですか、感覚というのが、ちょっとこういう規制緩和一つの流れに乗り過ぎているんじゃないかなというのを非常に私、個人的に感じるということでありまして、この安全面の確保について、規制緩和の対の言葉で、自己責任という言葉が出てまいりますよね。じゃ、今回の法律で保安基準をそれぞれ規制緩和したときの自己責任というのはだれがとるわけですか。
  61. 岡本巖

    ○岡本政府委員 電力とかガスについての保安規制という場合に、私ども、大きな方向としては事業者の自己責任による保安の確保、そういう方向を目指しておりまして、先般の電気事業法の改正、それと軌を一にして行いました保安に関連いたします一連の政省令の改正等におきましては、まさに自己責任の考え方で所要の改正を行ったところでございます。  今回御提案申し上げておりますところは、例えば、熱供給についての工事中検査をやめて使用前検査に一元化するというような点につきまして、熱供給の関係では御提案申し上げているわけですが、ここは、溶接技術の進歩でありますとか、それから、工事完了後の使用前検査の段階でビルシートをチェックする、あるいは工事中に撮った現場写真を確認することによって離隔の距離とか埋設物との関係なんかはチェックできる。そういう実態を踏まえまして、それから、何よりも、保安の実績が非常に良好なものとして推移して定着してきているという、その辺の実態を踏まえながら提案をさせていただいているところでございます。
  62. 吉田治

    ○吉田(治)委員 だから、聞きたいのは、自己責任の、例えばそういうことで事故が起こったときにだれが悪いの、だれが責任とるわけ。事故を起こされた人は、これは規制緩和でこうなったんだからしようがないなと思わなければいかぬということですか。そこはどこなの。例えば、今るる説明された、それぞれ規制緩和したよ、電力会社なり原発の発電所なりが事故を起こした、自己責任だからやはりその会社が責任を負うということ、どうなんですか、そこは。
  63. 岡本巖

    ○岡本政府委員 自己責任の考え方は、まさに先生おっしゃったとおり、事業者みずからが一義的に責任を負うという考え方に発したものでございます。
  64. 吉田治

    ○吉田(治)委員 だから、私はいつもそこがおかしいと言うんですね。今、自己責任に全部逃げちゃうんですよ、霞が関は。  自己責任で、あなたたちがやっているんだからあなたたちの責任だと言いながら、例えば電気事業法でいうなら、料金であるヤードスティックのところだけはぐっと握って、供給義務のところだけぐっと握って、それであなたたちは自由にしなさい、卸発電だやれ何だというのは、非常に私は心外だ。  その発言をするために今回質問に立ったわけじゃないんですけれども、電力の問題でいいましたら、今度の中で、先ほど同僚議員も質問されました準備期間を十年間、昔は五年間だった、それが八年間になって、今十年間だ。立地環境の中で皆様方どれだけ努力をされたわけですか、発電所設立に対して。全部現場の電力会社に任して、例えば、場合は違うかもしれませんけれども、巻の原子力発電所の問題。普通の発電所と原発の問題とは全然別個に考えなければならないことだけれども、巻の原発の場合だったら、一方の見方としては、あれは間接民主主義の否定だとか、そういう発言でごまかそうとしているけれども、じゃ通産省なりエネ庁は何をしたかというと、一九七七年、昭和五十二年に、地元の町議会が誘致を決議した。しかし、町長選挙はさまざまで、町政が混乱した。だから私たちは説明にも何も行きませんでした。最終的に、平成六年に町が、町長が誘致だということになってから説明に上がりました。その何十年間、全部だれがしたのですか。それをほったらかしにしておいて、いや今度やはりどうしてもいろいろな問題があるから、五年から八年になったのを八年から十年にする、これは原発と普通の発電所は別かもしれません。  でも、発電所に関しても立地環境という部分でいえば、どんどん誘致で来てくださいというところもあれば、いや町は決めたけれども、その辺の立地環境が変わってきたから来てもらっては困るよ。これは一線を引かなければならないところだけれども、じゃエネ庁が日本のエネルギー、これをどう安定的に供給するかという中で、計画だけこさえて、あとはおまえらやれよと民間に任せて、いや言われたから行くんやという発想でいいのかどうか。地元がうるさいから、じゃ漁業権を買い上げろ、旅行に連れていけ、そういうのは民間がどうぞ、お金を出してやりなさいよ。もっと積極的にエネ庁は出るべきときに来ているんじゃないかということを考えているんですけれども、その辺はどうなんですか。
  65. 岡本巖

    ○岡本政府委員 立地が難しくなってきているというのは、今先生まさに御指摘のとおりでございまして、特に原子力発電所の立地が難しくなってまいっておりますが、一昨年の「もんじゅ」の事故を契機にして、原子力発電所に対する国民の方々の不安というのは一挙に増幅をしたというような事態を踏まえまして、原子力委員会の円卓会議もそうでございましたが、私どもは総合エネルギー調査会の中で基本問題小委員会と原子力部会、二つの審議の場を動かし、それぞれ実は地方に出向いていって、私ども考えている原子力を中心とするベストミックスのエネルギー政策の方向について御説明を申し上げ、それぞれの地方で御意見をいただきました。  それから、原子力発電所の立地ということに関連いたしましては、消費地での広報と同時に、全国の主要な地域に全国講演キャラバンという形で八年度で二十数回、実は各地で五百人から千人規模の住民の方々にお集まりいただいて、私どもが率直に御説明申し上げ、いろいろな御質問に対して丁寧にお答えをする、そういう取り組みもやってまいったようなところでございます。  まだまだ不十分な点については、私どもも御批判を率直に受けとめなければならないと考えておりますが、国も前面に出て原子力発電の必要性ということについて国民の方々に御理解いただくべく、最大限の努力をこれからもやってまいりたいと考えているところでございます。
  66. 吉田治

    ○吉田(治)委員 まさにそのとおりしていただきたい。  そして、今まで規制緩和がされた一つの例として、燃料費調整制度というのが創設されまして、私もたびたび委員会質問しまして、当時のエネ庁の長官さんに、これは上がるときに上がるんだねと言ったら、言葉を濁して、急激に上がるときにはいろいろ緩和措置考えますというお答えもちょうだいしているんですけれども現実に、この四月一日から燃料費調整制度という形で電力料金またガス料金が値上がりをします。これは私は制度を導入したときから仕方がない、まさにこれは消費者にとっての自己責任であるべきものだ。高くなるときは高くなる、安くなるときには安くなる。  ただ、私ははっきり申し上げたいのは、それをはっきり言ってもらいたかった。まさに燃料費調整制度を入れるときには、安くなるよというふうな話ばかりで、値が上がるよという話はしなかった。その辺の、今こういう現状になったことの評価と、今後のこういうことに対する取り組みというのをどうされるのか、お答えをちょうだいしたいと思います。
  67. 岡本巖

    ○岡本政府委員 燃料費調整制度は、電気事業者効率化を促す、効率化の成果を他と区別してわかりやすくするというために導入したものでございまして、まさに先生、今お話にありましたように、原油の価格と為替レートによって決まってまいります燃料費の増減というものを、それ自体は外部化して四半期ごとにコストのアップダウンということで制度を設計いたしたものでございます。  これまで、四月からの調整を含めまして、御案内のような原油価格の推移あるいは為替の円安化ということがございましたので、上昇の連続ということに結果としてなっておりますが、私ども、最近、二月ぐらいから原油価格がかなり下がってきているという、そういう傾向もございますので、早い時期に、まさにお話にありましたような下げ局面に転ずることを念じているところでございます。
  68. 吉田治

    ○吉田(治)委員 やはりこういうものは、規制緩和一つ一つ、国民のコンセンサスが必要だということなんですよね。あれは当時は一括法ではなかったですけれども、やはりそういうのは一つ一つ審議をし、国民に周知していくというのが非常に重要だと思います。  最後に、もう時間が来ましたけれども大臣、一月七日に、電気事業の発送電の分離を云々という趣旨の発言をなさいましたけれども、その後、そのことに関してお言葉が少ないようでございます。現在どういうふうにお考えで、どうしようかなと、事務方にどういうことを申されているのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  69. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 御存じのように、この電力料金云々という話は、昨年の十二月の経済構造改革プログラムの中において、高コスト是正ということで物流とエネルギー、エネルギーの中で電力を入れた、こういうことなんですね。  もともと、今委員が御指摘のように、国としてどこまで介入できるのか、何が問題だろうかと思うと、思いは同じで、今の法律というもの、電気事業法あるいはガス事業法、こういう問題の本質、いわゆる電力供給の責任というもの、またそうした電力会社は、義務というような表現を使っていますが、いずれにしろ義務、責任、それを持っているんだということで、これがやはりネックになるなという気がしているわけでございます。  それで、世界の潮流というか、流れとしては、やはり発電と送電、配電を分けるいわゆる分離というところを今どんどんやっておりますが、ただ問題なのは、そうした国は今まで全部国営事業だったのを民営に移行すると同時に分けた。日本の場合は、昔そうした時代が過ぎて、戦後民間にして小さくというか、分割しているというところに問題があるわけなんですが、正直言って、着々となんですが、いかんせんなかなか相談相手というのがおりません。  それで今、当省としてやはり各地の情勢というもの、それを調査というか、研究班も出しておりますし、いずれにいたしましても、ことしの五月ぐらいに予定をしております今度のプログラムを具体化した行動計画というものでその辺のスケジュールを明確化していきたいと思います。ということで、いましばらくお待ちいただきたいと思っております。
  70. 吉田治

    ○吉田(治)委員 世界の潮流云々はありますけれども、もう過去に規制緩和は終わって、今は弊害がいっぱい出ているところもあるのですから、その辺もあわせてよく御研究をいただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  71. 武部勤

    武部委員長 次に、島聡君。
  72. 島聡

    ○島委員 新進党の島聡でございます。  今回の民間活動に係る規制緩和一括法案、それに関連いたしまして、規制緩和についてお尋ねを申し上げる次第でございます。  今、吉田議員の方からもありましたように、規制緩和でもういろいろな進むところがあって、光と影も見えてきたという話もあります。このところ思っておりますのは、一時期、これから日本の行政というのは産業者重視から生活者重視にならなくてはいけないと言われておりましたけれども、それがどうもトーンダウンしてきたような気がしておりました。  今回、三月二十八日の規制緩和推進計画の再改定があったわけでございますが、そのときに、これは前と同じような基準が出されておりまして、ほっとしたわけです。第一に出されているのが、規制緩和の目的というのは、消費者の多様なニーズ対応した選択の幅の拡大、内外価格差の縮小などにより、国民生活の質の向上をすることだ。私は、これは本当に規制緩和の最大の目標でありまして、そしてまた、先ほど申し上げたように、産業者重視から生活者重視の最大の目的であると思っておりますから、いいなと思っております。そのほか、二番目として内需の拡大、事業機会の拡大、三番目に国民負担の軽減、行政事務簡素化というような指摘があったわけでございます。  今回の法案につきまして、私ども事前に説明をいただいたわけでございます。説明をいただきましたところに、法案趣旨というのがあります。その法案趣旨規制緩和を一括して法案にするのだけれども法案趣旨は、民間活動に対する諸規制緩和一つ行政事務簡素合理化が二つ目、その観点から通産省関係全般の法律を見直すというのが御説明でございました。  それで、これを見ますと、今申し上げた国民生活の質の向上という観点がないわけであります。この状況でいきますと、通産省というのはあくまでもやはり産業者の側に立っていて、生活者重視の施策転換をしていないと言われるのではないかと私は思うわけでございますが、なぜこの法律案通産省関係法律の全般的な見直しをしたときに、今申し上げた規制緩和の最初の目的である国民生活の質の向上を目指すという観点を入れなかったのかということにつきまして、通産大臣にお尋ねしたいと思います。
  73. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 島委員にお答えいたしますが、今のその話の前に、役所の行政というか、これは一体どっちを向いているんだというお話だと思うのです。確かに、今まではやはり、これは通産省だけではなく各省とも、自分の役所の傘下の業界の保護、育成ということに重点を置いていることは間違いなかったと思うのです。最近の傾向としては、やはり非常に税金の使い方ということを言われて、よく国民の血税という言葉がある。そういうことからいって、いろいろな不祥事件が起きたり、それからまた今の特殊法人、こうしたものを見直し、いわゆる行革、公規制緩和ということを通じて、自分たちの役所の傘下のそうした業界の保護、育成も大事だが、やはり国民の視点に立つというか、国民サイドに立たなければ、これからやはり行政というものは、また政治は進まないな、こういうふうな認識を今持ちつつあるというふうにまず御了解いただきたいと思います。     〔委員長退席、小川委員長代理着席〕  そこで、今度の規制緩和に関してお話がございましたが、今度の規制緩和推進に当たっての効果というか、その視点は何かというと、御指摘のように、まず一番先に挙げられることは、消費者の多様なニーズヘの対応、それから内外価格差の縮小等による国民生活の質の向上、二番目には、内需拡大、輸入促進、事業機会の拡大等による我が国経済の国際的調和の実現、三番目に、国民の負担軽減と行政事務簡素化、こういうふうに実は分けられるわけです。  その中で、今、島委員指摘のように、国民に対して一体どこのところが一番関係あるのかということになるのですが、ちょっとお聞き願いたいのは、その申した一番目にブロックいたしました消費者の多様なニーズヘの対応、こういうことでは、今まで通産省としては、エネルギーの分野での積極的な取り組み、こういうことで国民生活に直接に関連するこうした分野において規制緩和をしました。その一つの例としては、石油製品の輸入自由化ということによって、石油製品の価格、すなわちガソリンが非常に下がってきたというようなのが効果があったと思うのです。そして今度の、今お願いしております法律案は、さっきの三つの中における三番目の国民の負担の軽減と行政簡素化という点でございまして、これによって国民生活の質の向上に貢献できるというように考えております。  しかし、これからも、やはり先ほどから申しているように、規制緩和というものはそうした視点に立って不断の見直しを行っていきたい、かように思っておりますし、行ってまいります。  以上でございます。
  74. 島聡

    ○島委員 今後、国民生活、国民の視点に立ってという御答弁をいただきまして、ありがとうございます。  それで、その観点からまたお話を申し上げますが、同じように、改正等の視点に三つ基準がござ いました。これは私が御説明いただいたものですが、一つ規制緩和推進計画において決定したもの、二番目が民間事業者から規制緩和要望のあったもの、三番目に規制緩和効果の大きなものということでございましたので、随時ちょっとそれをお聞きしたいと思います。  まず、規制緩和推進計画において決定したものという話があります。それで、通産省平成八年十二月に、通産省所管行政に係る規制緩和要望事項及びその検討状況の中間報告というのを出されております。よく日本の国民の立場に立って最も規制緩和なんかを要求するのはアメリカだなんという話がありました。残念なことでございますが、一面の真理であろうと思うわけでございます。例えば、今、規制緩和の実例として、携帯電話なんかというのもアメリカからの要望が多かったということを聞いているわけでございます。  これは米国政府からの要望で、一九九〇年の商慣行改善指針の遵守をしろという項目が、通産省所管行政に係る規制緩和要望事項の検討状況の中間報告に入っているのです。しかし、それは実は規制緩和推進計画には入っていないのです。今おっしゃった、国民の視点から見たらこれは相当重要なものだと思うのですが、規制緩和推進計画に入っていないということなんですけれども、なぜこれが規制緩和推進計画に反映されなかったかということにつきまして、総務庁にお尋ねしたいと思います。
  75. 江澤岸生

    江澤説明員 御説明申し上げます。  委員指摘の商慣行の改善指針に係る米側の要望につきましては、規制緩和推進計画の今回の再改定作業におきます政府部内での検討の結果、商慣行のあり方は基本的に民間ビジネスの問題であるということから、今回の計画に取り上げることにはなじまないということで、そのような判断をいたしたものでございます。
  76. 島聡

    ○島委員 今、大臣、席を立たれましたけれども、前回の商工委員会での私の質問に対しまして大臣も、これは公共事業のコスト削減に対する質問でございましたが、「一口に言うと、商慣行というものがどこまで直せるかというのが実は私はポイントだと思っております。」とおっしゃっているわけでございますね。大臣がポイントと言っていらっしゃる。まあ、今の説明はそうかもしれませんが、改正等の視点で、通産省全体を見て法令を見るときに、規制緩和推進計画において決定したものについて規制緩和をします、ということは、これが排除されるわけですね。排除されるというようなことをしているのではないかと疑われても仕方がないと私は思うわけでございます。生活の向上に直接役立つと考えられるこれらの要望改正の視点から排除する意図があったのか。ないと答えられるでしょうから、意図がないとしたら、どのようにして今後この要望にこたえていくのかということについて御質問をしたいと思います。
  77. 今野秀洋

    今野政府委員 お答え申し上げます。  この規制緩和推進計画、ただいま総務庁のお話がございましたように、基本的には法令に基づく許可、認可など政府による民間活動に対する規制、これを改善をするということが対象であろうかと存じます。これに対しまして、この商慣行改善指針は、むしろ商慣行の簡素化、明確化、透明化ということのために民間事業者が自主的な取り組みをする、それを奨励するための改善の方向を示したいわばガイドラインでございます。そういう意味では、いわゆる規制の種類ではないものでございますので、規制緩和推進計画には盛り込まれなかったわけでございます。  しかしながら、私どもといたしましては、この流通システムの効率化あるいは事業の近代化を妨げるような慣行、あるいは競争制限的に作用するような商慣行、こういったものについては改善をするということが非常に大事なことであるというふうに考えておりますので、この民間事業者の自主的な取り組みを奨励する仕事、これは真摯に取り組んでいるところでございます。  例えば平成六年度から、これは業種別に実態調査を実施いたしまして、その詳細な結果を公表いたしております。当然、米国にも適宜説明をいたしているところでございます。今後ともこのような仕事は力を入れてやってまいりたいと考えております。
  78. 島聡

    ○島委員 ぜひどもきちんとやっていただきたいと思うわけでございますが、次に移りたいと思います。  第二の基準でございますが、第二の基準は、民間事業者から規制緩和要望のあったものを取り上げていったということでございますが、これでいきますと、そういう意味で民間事業者、今まで通産省さんとおつき合いがあったようなそういう事業者からいろいろな声を聞く。そうしますと、こんなことが起きるのじゃないかと思うわけでありますが、既得権益者の声だけを聞くようになっているのじゃないかというようなおそれを少し感じているわけでございます。  例えば、今いろいろなものがあるわけでございますけれども、この中で、今回はいわゆる企業の承継を認めるということでございます。承継規定を整備しておられるわけでございますけれども、これは今営業している人が非常に後を継ぎやすくなるのではないかなというふうに私は思うわけでございます。ところが、新しく始める人からするとちょっとどうかなということが、どうかなといいますのは、今やっている人の事務は下げて、これから入ろうとする人の事務をそのままにするということは、これは何か今の既得権益者だけを保護しているような法律じゃないかということを感じるわけでございます。  一つの例としてお聞きしたいのですが、揮発油販売事業等々の問題なんかもあるわけでございます。この問題につきましてぜひともお聞きしたいのは、今回の法律、今営業している人は非常に楽になったけれども、これから入ろうとする人に対しては、何も変わらないのだから、かえって自分たちからすると不利になるのじゃないかというような観点があるわけですが、その点について御説明をお願いしたいと思います。     〔小川委員長代理退席、委員長着席〕
  79. 伊佐山建志

    伊佐山政府委員 お答え申し上げます。  許可事業者届け出事業者等につきまして、合併、事業の全部譲渡等が行われた場合には、すべての権利義務関係が包括的に承継されたり、一定の事業目的のために組織化され、有機的一体として機能する財産がすべて譲渡されるということでございますので、もともとの許可を取得した、あるいは届け出を行った実態がそのまま承継されるであろうというふうに考えております。  こういったところにおきましては、実態が変わらないにもかかわらず一許可をとり直す、あるいは再度届け出をさせるというようなことは、無用な負担を要請する形になるということで適切ではないのではないかということから、今回の地位の承継を認める規定を整備したわけでございます。  実際に承継を行った者が許可要件に該当しないと認められるような場合には、実態といたしまして許可の取り消しということをすることになりますので、委員指摘のような、安易に既得権を保護するような形にならないように、その辺は気をつけてやっていくというのが私どものポジションでございます。
  80. 島聡

    ○島委員 一つの例としてお聞きしますが、揮発油等の品質の確保に関する法律、これが今回一括法で出ているわけですけれども、揮発油販売事業者が、承継規定を整備すると、今までは一事業者当たり五十枚程度必要だった書類が二枚でよくなると聞いております。ということは、今までやっていた人がやると二枚なんだけれども、今度新しくこれをやろうとする人は何枚要るのですか。
  81. 伊佐山建志

    伊佐山政府委員 一件当たり、ケースによって違うようでございますけれども、数枚でございます。
  82. 島聡

    ○島委員 数枚ということは、五、六枚とか、そういうことですか。それは今までと変わっていないということですね。  要するに、何が言いたいかといいますと、基本的に、これから先、既得権益を守るだけじゃなくて、ぜひとも新規参入が入りやすいような方向性にしていただきたいと思う次第でございますので、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。  次でございますが、第三の基準に入りたいと思います。  第三の基準は、規制緩和効果の大きなものというふうになっております。規制緩和効果の大きなものということになっておりますが、まず一つ、先ほどから申し上げておりますように、私にとっての規制緩和効果の大きなものというのは、やはり国民の側に立っておりますから、国民の生活の質の向上に資するものだと思っております。どうもこれをざっと見ても私には見えない。ということは、皆さんの中での定義というのは私と違うのだろうということは認める中で、皆さんがおっしゃる規制緩和効果というのは一体何なのかということをお尋ねしたいと思います。
  83. 伊佐山建志

    伊佐山政府委員 私どもが期待いたしております効果といたしましては、新規事業創出あるいは競争の促進によりまして経済活性化されるであろう、それから、手続改善等によりまして国民の負担軽減が行われるであろう、必要以上の役所の関与というものを少なくすることによって、いうところのスモールガバメントを達成することによって全体としての負担を軽減する、こういうようなことを期待いたしております。
  84. 島聡

    ○島委員 全体としてと言われましたけれども、ここでこれだけの十六本の法律が出たわけでございますね。大きなものという言葉がある以上、やはりきちんと何か基準があって、これよりあれが大きいから優先的にこれをやって今回十六本の法律を出したのだという話じゃないと、何かやりやすいものだけを持ってきて、全然効果のないものだけをやっているのじゃないかと思われても仕方がないわけでございます。大きなものとあるという以上、比較基準がきっとあると思いますので、その基準をどういうふうに考えられたか、お尋ねしたいと思います。
  85. 伊佐山建志

    伊佐山政府委員 委員指摘のように、効果は確かに行政の介入の態様によりまして随分違ってくることは御指摘のとおりでございます。  介入の仕方といたしまして、許可あるいは認可あるいは届け出あるいは報告というような形態がございまして、それぞれどの部分を改正するかということによって効果が明らかに変わってくることはおわかりいただけると思いますし、また、その対象が、中小企業者に余分な負担が生ずるような、ほかと比較いたしましてコストがかかる、あるいは時間をかけるというような形になるものになってしまっては意味がない。大企業あるいはその利益を受ける人の実態のありようによって、その効果というものが変わってくることは当然であると思います。  私どもといたしましては、基本的には、先ほど申しましたように、不要な手続、あるいは不要な関与、許可とか認可とかという役所が直接事業に関与する度合いの強いとされるようなものについては、極力減少させるというようなことでやってきたところでございまして、今回の法律ですべてそういう効果を実現するというよりも、私ども、毎年関連の法律あるいは政策を見直しいたしまして、その中で、今年度はこういったものを重点的に取り上げてやるのがよかろうということで、毎年毎年若干の視点を変えながら進めておりますので、今回だけが非常に効果の高いものだけをねらったものだということではないと思います。
  86. 島聡

    ○島委員 先ほど、何か新規事業創出や競争の促進による経済活性化等々が効果であると言われて、どうも今の御答弁では納得しないわけでございますけれども、普通は、大体、規制緩和というのをやる、こういう効果が目標である、その目標に従ってどの規制を排除するかということを考えていくのが一番一般的な考え方だと思います。法案をつくるときのこの基準はいいんですよね、規制緩和効果の大きなもの、そのとおりやってくださればいいんですが、出されてきたものがどうも違うと思いますので、その点は今後きちんと検討していっていただきたいと思う次第でございます。  それで、時間が余りございませんが、今、毎年見直していらっしゃるというお話がございました。規制緩和推進計画、今回の改定で三カ年終わるわけですが、平成六年度の規制緩和要望というのがありました。それをこの三カ年でずっとやっているわけでございますけれども通産省関連の件数は、規制緩和要望事項の四百十二件、そのうち、措置済み、措置予定というのが二百二十六件、ある学者によりますと、措置済み、措置予定というのはもうやる予定だったから、これはアリバイづくりだという発言もありました。措置困難が百七件、そして、今後とも検討というのが七十九件あったわけでございます。平成六年度の中で七十九件あったわけですが、この七十九件、その後どのように検討をされたか。これもある学者の意見でございますが、官僚が今後とも検討と言うとやちないということを書いてあるということがございました。  通産省はそんなことは絶対ないと思いますので、この七十九件が今どうなっているのかということについて、もちろん措置がしてあるか、あるいはもうほとんどだと思いますけれども、その点についてお尋ねしたいと思います。
  87. 伊佐山建志

    伊佐山政府委員 委員指摘のとおり、平成六年度から始めました計画に基づいて、それぞれ措置済みあるいは措置予定、今後検討、措置困難という項目に基づきまして分類いたしまして、報告を出しております。  ただ、御案内のとおり、その実態の把握というものが単年度ごとに行われておりまして、今後とも検討する旨の回答をしたものの、どれだけが現在どういうふうに措置されているかということについて、必ずしもつまびらかに詳細を把握いたしておりません。ですけれども、私どもといたしましては、委員指摘のような、役人が検討するというのは実態的には何もやらないということにならないように、常にフォローはいたしてきているつもりでございます。  例えば、これは平成六年ではなくして平成七年でございますが、平成七年三月に引き続き検討といたしました、商品ファンドに関する要望あるいは独禁法適用除外に関する要望、あるいは平成八年三月に要望として出されました外為法上の決済、あるいは報告書の簡素化といったことにつきましては、委員案内のとおり、既に具体的な措置を講じた、あるいは講じているところでございます。  今回の計画改定に当たりましても、昨年末の中間公表時に検討中といたしました事項が八十八項目ございます。この三月末の計画改定までに、そのうち約半数を措置予定、要するに、今年度、新しい年度内にきちっと措置するということをやっておりまして、いうところの後ろ向きな役人批判にならないように常に積極的に対応していきたいと思っております。
  88. 島聡

    ○島委員 ぜひお願いいたします。  今回の規制緩和推進計画におきまして、経済規制は原則自由、社会的規制は必要最小限という基準があったわけですが、この経済規制の定義を手短に総務庁、お願いしたいんです。
  89. 江澤岸生

    江澤説明員 御説明申し上げます。  八八年十二月の第二次行革審の答申に私ども政府は依拠しておりますが、その答申では、  経済規制は、市場の自由な働きにゆだねておいたのでは、財・サービスの適切な供給や望ましい価格水準が確保されないおそれがある場合に、政府が、個々の産業への参入者の資格や数、設備投資の種類や量、生産数量や価格等を直接規制することによって、産業の健全な発展と消費者利益を図ろうとするものである。 以上でございます。
  90. 島聡

    ○島委員 今の御説明によりますと、今通産省規制、千七百七十六件あるということでございますが、私は多くのものが経済規制になるんじゃないかと思うわけでございます。  それで、先日の二十一日、テレビ朝日の番組録画撮りで、武藤総務庁長官が、昔は日本株式会社といって、国と民間が一緒になってやらなければ進まなかったと述べ、通産省の実績には一定の理解を示したけれども、今や民間に力がついたので、一々行政指導をしなくても業界は立派にやっている、通産省の仕事がなくなれば通産省無用になるんじゃないかというような非常に大胆な発言をされているわけでございます。  そして、今申し上げたように、経済規制というものは、通産省行政の中においては非常に多いものである。ということは、通産省が今までのような通産行政じゃなくて生活者重視のきちんとした新しい行政に変わらなければ、本当に通産省無用と言われてしまうんじゃないかというふうに思うわけでございますが、これからの通産行政、どうあるべきか、通産大臣からお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  91. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 きょうの今の島委員質問と、そして、通産省その他のいわゆる行政機関の方の、まあかみ合わないというような御指摘がございました。  私、聞いていて、なるほどなと思うのは、率直に言って、やはり規制緩和というものに関しては、今御指摘のように、規制緩和推進計画があるわけですが、この取りまとめは実は総務庁の所管なんです。そちらの方は、やはり行政事務合理化簡素化ということに力点を置いてやっている。当省の方のは、それはそれでもちろん協力はしますが、一大命題というのは、言うまでもなく経済構造改革、この方は、やはり高齢化と空洞化とよく申しますが、それによって海外に行く企業があるとしても、新しい産業というものを国内でもって創出し、多数の雇用を生み出していこう、ここのところが実は見方が違うので、それでさっきのようなお話になったのだろうと思うのです。  ですから、規制緩和に関する考え方というのも、もちろん行政合理化簡素化ということもございますが、一点、それによってやはり何か新しい産業創出という、その効果を実は重点に考えている。こういうことで、先ほどからの質疑においても若干委員の方から、どうもよくわからない、かみ合わないというのはそこであると思います。その点は御理解いただきたいと思うのです。  言うまでもなく、そういう観点に立って申しますと、今は非常に国民サイドという、消費者重視という中で、近年変わってまいりましたのは、環境問題というのが実はあるわけでございまして、これに対する対応、そして環境との共生型の社会の形成、そして安全で豊かな国民生活の実現、これを目指そう、こういうふうにもう国全体の考え方も変わりましたので、当然それにマッチしたような国民生活を重視した経済社会の構築ということが、当省の施策の柱というか重点になっていることは言うまでもございません。またそうした認識を持たせてもらっております。  そういうことで、今回の法律に関しましては、専ら国民の負担、申請負担の軽減に資する、こういった先ほど申したようなこと、そういうことでございますという説明でございますが、今おっしゃったように、やはり通産行政の柱は、冒頭申した、今までと違ってやはり国民サイドの考え方、見方というものに重点を置くべきではないだろうか、かように考えております。
  92. 島聡

    ○島委員 今の御答弁にありましたように、今後とも規制緩和につきまして、特に規制緩和がまた新規産業創出につながると思いますので、国民の観点に立った規制緩和を今後とも進めていただきたいと思います。  これをもちまして、今回の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  93. 武部勤

    武部委員長 御苦労さまです。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩、いたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  94. 武部勤

    武部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松本龍君。
  95. 松本龍

    ○松本(龍)委員 冒頭、先ほどの新進党の吉田治議員の発言、私は大変重要な内容を含んでいたと思いますので、その点をまず御指摘をしたいと思っております。  十六本の法律を一括でくくるということに関してですけれども、十六本のうち二本は廃止をする、十四本はいわゆる手続簡素化をするという内容でありますけれども、やはり先ほどお話がありましたように、保安の問題等々、別々に議論されるというか、別のテーブルで議論されるべき問題であるというふうに私も同様に思っております。新聞によりますと、規制緩和の先進国であるアメリカやイギリスでは、いわゆる安全面が軽視されたりしているという事例がたくさんあるというふうに聞いておりますし、私も民間に昔勤めておりまして、安全とか保安とかいうものは大変重要な問題であるというふうに考えております。  先ほど政府委員の答弁で、保安技術の進歩あるいは保安実績が良好であるというふうに言われましたけれども、昔アメリカに安全技師のハインリッヒという人がおられまして、このハインリッヒという人がハインリッヒの法則というのを述べておられるのがあります。一つには、一つの重傷者が出る事故があったら、その周辺には同じような原因で二十九人の軽傷者が出ている事故がある、また、三百人の無傷の事故があっているというふうな法則がありまして、そういう点から、やはり安全とか保安というものは目に見えない部分、そしてなかなか厳しい部分がありますので、これからの審議等々でそういった保安の面等々がしっかり審議をされるように、まず冒頭皆さんに促しておきたいというふうに思っております。  午前中の審議を聞いておりましたら、同じような質問ばかりで申しわけがないのですけれども、なぜ今規制緩和なのか、なぜ今経済構造改革なのかというところからお話を進めてまいりたいというふうに思っております。  通産大臣にお聞きをいたしますけれども、私は、今の時代状況といいますか、日本の置かれている状況あるいは世界の置かれている状況は、いわゆる冷戦構造が終わって、ソビエトが崩壊し、あるいは東欧諸国が変革をし、中国ももう早い時代から経済特区等々で市場開放を行ってきている。したがって、今までの構造から少し変化を、また大きな変化を遂げているというふうに思っています。  というのは、今までは、それまではいわゆる南北ということでいいますと、北の十億でさまざまなパイを分け合っておればよい時代があったわけですけれども、九〇年代に入ってそうはいかなくなった。南の人々も皆さんのルールの中でこれからやっていきたいという話が出てきた。そういう意味では、市場の問題も、一国至上主義あるいは一国民主主義等々が通用しなくなってきた。一方で、メガコンペティションとか、今はやりの言葉で大競争の時代と言われていますけれども、ある意味では、ともに生きるという大共生の時代ではないかなというふうに思っています。  そういう意味では、インターナショナルスタンダードが求められていて、規制緩和あるいは市場開放等々が今声高に言われているのは、まさに時代の要請であろうというふうに思っています。このような時代にありまして、規制緩和を含めた大臣の御認識とこれからの抱負を、まずお述べいただきたいと思います。
  96. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 松本委員にお答えいたします。  今御指摘のように、世界、また日本の変化というのは、まさに今から五年前、十年前には考えられなかった時代だろう。極端に言うと、まさにあらゆる面が日進月歩というか、刻々と変わりつつある。私は、その中で最も感ずるのは、やはりこの高度情報化社会というものがこんなに進展することはだれも想像しなかっただろう。そういうことで、国境がなくなる、まさに国際的に地球が一体化してくる、こういうような時代になったわけです。  そこで、私の所管というか、経済問題、産業問題から考えると、空洞化という現象が非常に進んでまいった。これはもう先進国はどこでもあるのですが、その際に、日本の場合には、出るのは出るけれども、なかなか、日本に外国から入ってこない、こういうことがあります。それからまた、これからやはり高齢化社会、もう突入していますが、非常にそうした労働力というか、そういうものも低下してくるということからいって、国内においても新しい産業が生み出されてくるという環境がない、これを今のうちにしようというのが橋本内閣の六つの改革の一つである経済構造改革、こういうふうに実は位置づけているわけでございます。  そのときに、じゃ、具体的に何をするかと言ったら、今のように新しいものをつくり出すということと、それからやはり国際的に魅力ある日本の市場が、あるいはそうした事業環境があるんだ、こういうようなことにしておこうというのが規制緩和、それから高コスト構造の是正、こうなるわけでございます。  もっと具体的に申し上げますと、今申した新規産業をつくり出すというところでは、個別の産業分野ごとのニーズ対応した規制緩和、人材育成、技術開発、これの総合的な施策をするということで、それから新規産業創出にかかわる共通の課題としては、資金、技術、人材面、これの横断的な環境を整備するということを推進していくというのが実は片一方の問題でございますし、片一方に、今申した国際的にいかにして事業環境をよくするかという点においては、さっきちょっと触れました高コスト構造の是正ということで、これは主に物流だとかエネルギー、情報通信、こういうこと等を中心に規制緩和を進めていこう。  それからもう一つは、企業と労働に関する規制に関する諸制度の改革ということで、御案内の持ち株会社の解禁だとか企業税制の見直し、あるいは有料職業紹介事業見直し等がございます。また、地域の産業・技術集積の活性化ということでは、先日お願いいたしました地域産業集積活性化法、こうした法案によるものもございます。  という諸施策を進めていこうということでございますが、要は先ほど申したように、その二つの柱のために、今回の規制緩和もあるいは高コストもやっていこうというわけでございます。よろしくお願いいたします。
  97. 松本龍

    ○松本(龍)委員 規制緩和といいますと、当然痛みも伴うわけで、ニュージーランドの例が最近ずっと、光と影の部分等々も含めて言われています。  八四年のロンギ政権のときに、ロジャー・ダグラスという財務相が言い出して、ロジャーノミクスというふうに言われているわけですけれども、このロジャー・ダグラスは改革の要点として一言、リムーブプリビレッジ、つまり、すべての既得特権を除去せよというのがもう要点に尽きるというふうに言われています。同時に、非難に動じぬ心構えとやり抜くリーダーシップが絶対に必要だということも言われておりまして、要はやはりそのときの政治の決断、大きくそれにゆだねられているというふうに考えているわけであります。  しかも一方で、十年間苦しみ抜いてさまざまな困難も乗り越えてきた例がありまして、人口三百五十万のニュージーランドと一億二千万の日本とが同じ土台といいますか、同じ舞台で語れるのかということもありますけれども、私は、やはり学ばなければならない点が非常に多いと思っています。  しかし一方で、雇用問題でありますけれども、政治評論家のコーリン・ジェームズ氏によりますと、一九四五年から七五年はニュージーランドは大体一%台の失業率であった。それが九一年には一一%になった。これは、さまざまの文献によってその数が違うのですけれども、かなり大きな痛みが出てきたというふうに思っています。  経済同友会が一月に発表した市場主義宣言というレポートがありますけれども、これには、構造改革に伴ってある程度の失業増加は不可避だとしています。経済同友会の代表幹事は、現在で史上最悪の三・四%になっている失業率が五%から七%になるだろうと言っています。構造調整の過程では雇用失業情勢が悪化をすると。構造調整、規制緩和などをやって新規雇用が生まれるとしておられますけれども大臣のこれらの問題に対する認識を聞いたいと思います。
  98. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 委員指摘のように、よく規制緩和いわゆる行革、これの手本というのはニュージーランドと最近言われております。私も、ニュージーランドの大使の御意見というか、話も聞きました。そのときに率直に、確かに日本では考えられないような行革をやられたわけで、例えば郵政事業にしろ、運輸事業にしろ、民営化したというときで、失業は一体どうなりましたかと言ったら、ふえましたと、一言でおしまいでした。  それで、聞いてみると、やはりあらゆるところが恵まれているというか、何しろ日本と違って人口が、大体ニュージーランドというのは、御存じのように南と北でもって、日本の北海道と九州を除いた、本州ぐらいの大きさですが、人口がたしか四百万ぐらいなんだということで、非常に広大な、そして何しろ羊を中心とする農業国だということなんです。それで、どうなりましたかと言ったら、それに対してちょっとけげんなような顔をされて、自然に大分落ち着きましたと、こういうようなことで、お国柄が違うのかなと思いました。  今おっしゃるように、今私たちが進めようという構造改革、これは全般的に言って、特に行革ですが、これで一番問題なのは、先ほども質問が出ましたように、今いる人たちはどうするのかということが一番の大きな問題だと思うのです。ただ、私は、そこが今度のやはり六つの改革そのものの悩みなんですが、やらなければいけないのは革命的発想ですが、それが革命というものと改革の差なんじゃないだろうかなと思っております。私の方はあくまでも、先ほど御説明申し上げたように、ただ減らすだけではなく、新たな産業企業を興してきて、そこでもって雇用を吸収していこう、こういうことでございます。  そういうことで、先ほど申し上げたように、空洞化という中で良質な雇用というのを含めた活力ある事業、これを早く進めなければいけないだろう。ただ、そこにおいて、今まで長い間に、申しわけない言い方をしますが、ある意味では部門によっては、業種によってはいわゆるぬるま湯に入っていたということも否定できないし、そういうところでもって条件的に非常に今までのとおりうまくいくかというと、問題だろうと思います。そういうことから言って、今申したように、規制緩和を含めた経済構造改革を進めるという一方、現実痛みを生ずる部分、これを一体どういうふうに解消するかというのが一番のこれからの問題であることは再三申し上げておるとおりでございます。  そういうことで、昨年の十二月に閣議決定いたしました経済構造変革創造のためのプログラム、こういうところにも、そういう観点から、規制緩和の実施に当たっては、最大の影響を受ける事業者に対する構造改善、そして新分野進出のための支援等環境整備に万全の配慮をするということと同時に、労働力移動の円滑化に資する、また参入しやすく転出しやすい労働市場の構築というために、諸制度見直していくということをあわせてやっていきたい、かようにしているところでございます。  こういうことで、私の方は引き続き今の経済構造改革というものに取り組んでまいる所存でございますので、よろしく御理解、御支援をいただきたいと思います。
  99. 松本龍

    ○松本(龍)委員 ニュージーランドの方とお会いをして、失業率がふえましたとさらりと言ってのけたというのは、逆に言いますと、やはりそこに規制緩和や大きな行財政改革をなし遂げているという誇りといいますか、そういった決意の裏打ちみたいなところがあるのだろうと思います。人口の違いはかなり大きいわけですけれども、やはり政治のデュープロセスからいえば私はそんなに変わらない、やはり決意を大きくしながら規制緩和に取り組んでいかなければならないというふうに考えております。  その中で、私もちょっと懸念をいたしておりますのは中小企業の問題で、この間も特定集積法が成立をいたしました。私も、大田区の問題等々は去年もおととしも質問いたしまして、先般法律ができ上がったのを本当にうれしく思っているわけですけれども、今、中小企業は全体の九八%を占めておりますし、地域の雇用あるいは発展に対して大きな役割を担っています。この経済構造改革影響を受ける方々への、そういった中小企業への政治的配慮が大きく必要だと感じていますけれども大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。
  100. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今松本委員指摘のように、やはり私たちの方も中小企業という問題、これに対する対策、先ほど申したように、この部門に痛みというものが集中してはいけない、これが一番基本的な考え方でございます。  そういうことで、先ほどから実は申し上げています経済構造改革の柱の中に、我が国経済の高コスト構造の是正というのがございますし、それからまた、制度的な制約の除去等、こうした国際的に魅力ある事業還境の整備、このこと自体がやはり中小企業にとっても重要な課題だ、こんな認識を持っております。また、加えて、新たな雇用の担い手であるベンチャー企業の育成、そして同時に、物づくりを支える地域産業集積の維持発展、これを図っていくのも中小企業対策だということはもちろんでございます。  そういうことで、経済構造改革の一環として実施されているものでありますが、昨年の十二月に取りまとめました経済構造変革創造のためのプログラムにおいても、ベンチャー企業を含む新規産業創出のための支援策、技術開発、人材育成等、各般の施策をこの中に盛り込んでございます。  また、改革の推進、特に規制緩和により一部の中小企業において痛みを生ずることは先ほどから指摘しているように事実でございますので、こうした点を踏まえて、さきに述べましたプログラムにおいても言及してございますが、規制緩和の実施に当たっては、重大な影響を受けると思われる事業者に対する構造改善、新分野への進出のための支援等環境整備に万全の配慮を行っていくことが必要だ、かような認識を持っております。
  101. 松本龍

    ○松本(龍)委員 通産省所管する規制というのは、安全に関するもの、届け出に関するもの、また取引のルールに関するもの等々、幅広であるわけですけれども、現在幾つの規制あるいは許認可があるのか、お答えを願いたいと思います。
  102. 伊佐山建志

    伊佐山政府委員 私ども所管いたします許認可等につきましては、総務庁の調査をもとに集計いたしましたところ、平成八年三月現在で総計千七百七十六件でございます。  その内訳でございますが、今委員指摘のようにいろいろなパターンのものがございますが、需給調整の観点から行われております参入規制でありますとか価格規制といったようなものは比較的少数でございまして、助成措置のための、中小企業を助成するといったような新たな政策を導入するときに、一定の要件を満たした者にそういうメリットが享受されるという、そういう手続的な認可要件というものを求めたりいたしております。あるいは、今御指摘のように、消費者保護の観点から、取引ルールの設定でありますとか、保安、環境保全のための規制といったような観点から許認可を求めるということが多うございます。  私ども行政関与の態様の中で、数の上では、やはり届け出でありますとか報告といったような、直接役所が関与する規制の程度が相対的に低いものが多いというのが一つの特徴になっているかと思います。許認可という比較的直接的に絡むものにつきましても、この五年間で約七%ほど減少いたしておりまして、そのうち、特に許可だけをとってみますと、過去五年間で約半減するというような状況になってきておりまして、今回お諮り申し上げておりますこの法律だけに限りませず、所管の問題につきましては、今後とも絶えず見直しをし、必要な措置を講じていきたいと考えております。
  103. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今総務庁のお話が出ましたけれども、総務庁にお伺いをいたします。  私たちが手に入れることのできる資料としては、許認可等の統一的把握の結果というのがあります。これは毎年度公表するように閣議決定されておりますけれども、昨年度は公表をされていません。平成七年三月末のものしかないように思っていますけれども、まず、なぜいまだに公表がおくれているのか、その理由、また、いつ公表されるのか、これをお伺いをいたします。
  104. 田島満成

    ○田島説明員 お答え申し上げます。  許認可等の把握の結果につきましては、先生御指摘のとおり、毎年、年末に公表をしておるところでございます。今回は、いわゆる霞が関WAN、省庁間のネットワークでございますけれども、この整備に対応いたしまして、許認可等のデータシステムについてパソコンで使えるようにするようなことで、通常の統一的把握作業と並行をいたしましてこれらの作業を行ってきたわけでございまして、こういった点から実態把握作業がかなり遅延したということでございます。  現在、鋭意把握作業を実施しておるところでございまして、早急に結果を取りまとめまして公表をいたしたい、かように考えております。
  105. 松本龍

    ○松本(龍)委員 では、おくれているわけですね。  規制緩和推進経済構造改革を進めていく上で非常に重要な課題というのは、委員皆さん共通の思いだと思います。今システム化をしているからちょっと遅延をしているというふうな話もありますけれども、いろいろな事情があるとはいえ、取りまとめの立場にある総務庁がそのような状態では困るというふうに私は今申し上げておきたいと思います。とにかく、閣議決定されたことがなされないような状態は、国民に対して、橋本内閣の姿勢が問われる問題であると思いますし、その中心の閣僚であられる佐藤通産大臣も、このことを重く受けとめていただきたいと思います。  通産省は、各種団体や業界、また外国等の声を聞きながら規制緩和推進されていると思いますけれども平成七年度、平成八年度、この二年間の実績をお示しを願いたいと思いますし、また、できればその二年間の増減を、数がわかれば教えていただきたいと思います。
  106. 伊佐山建志

    伊佐山政府委員 お答え申し上げます。  平成七年度におきましては、発電部門への参入の自由化、あるいは電気・ガス料金の制度改正、石油製品の輸入自由化など、エネルギー関係の取り組みを中心に規制緩和推進計画を進めてまいったわけであります。そこに記載されております八十五項目、自主的措置七項目を実施いたしております。  八年度につきましては、高圧ガス取締法、液化石油ガス法の一部改正等の見直し、あるいは商品ファンドの最低販売単位の引き下げといったような規制緩和推進を進めておりまして、九十六項目、自主的措置といたしまして二十五項目を実施いたしたところでございます。
  107. 松本龍

    ○松本(龍)委員 規制緩和というのは、スピードといいますか、私も、立法府にありながら、平成四年でしたか、あのときは一万九百幾つで、その次の年は一万一千を超えて、規制緩和、許認可を少なくしろと言いながら、じくじたる思いをして、一概に行政皆さんのことを言うわけではありません。私自身もこれは責任があると思っております。しかし、やはり不断の努力をやっていかなければならないと考えています。  今回廃止される輸出検査法については平成六年五月に輸出検査及びデザイン奨励審議会において、また輸出デザイン法については平成六年四月に輸出入取引審議会において、三年後をめどに廃止をすべきとの答申あるいは建議がなされているわけですけれども、どういう事情でこの三年間という時間がかかったのか、どういう問題があったのか。これから先のこういったサンセット、あるいはさまざまな規制緩和をする上で、そういったことを検証することも私は非常に有意義なことであると考えておりますので、この三年間の検討の内容をお示しをいただきたいと思っています。
  108. 伊佐山建志

    伊佐山政府委員 委員指摘のとおり、平成六年に関係審議会から御答申をいただきまして、その後三年間の猶予期間をいただき今回の廃止に至ったわけでございますが、そもそもこれらの法律がつくられた昭和三十年代の初めは、今と違いましてまだ日本全体の競争力が非常に弱かったということで、こういう法律を必要とする積極的な理由がございました。  例えば、輸出検査法にありましては、昭和三十八年度あるいは四十年度にありましては、その対象となったものが五百一品目に上ったことがございます。それが、その後、関係方面の御努力、そもそも日本の製造技術が非常に発展した、品質が強化されてきたということから、対象とすべきものが減ってまいった、今日の十八品目まで減少したわけでございますが、残されたものがどちらかというと中小企業性の高い品目が多うございまして、一挙にこの制度をなくすことによってむしろ中小企業者に自主検査体制というものを求めるような形になっては、かえって問題を惹起しかねないということもございまして、三年の猶予を持って、輸出されております中小企業者のその検査体制、品質確保体制というものを、どうすればむだなコストもかけずにうまく進め得るかということから、いろいろと検討させていただきました。実態も調査し、関係方面の御意見を聴取いたしまして、まずこれで大丈夫と。  その間も、この三年間で全く実態が動いていなかったというわけじゃございません。輸出検査の場合でも、今は十八品目でございますけれども、その前、五年前には五十品目もあった、三年前も三十何品目あったというようなことでございまして、実態を十分踏まえながら、問題がないようにということで、お時間をいただき、そのお時間を十分有効に活用させていただいて今回に至ったということでございます。
  109. 松本龍

    ○松本(龍)委員 三年間じっくりやられて、中小企業者のさまざまな問題を抱えて今日までに至ったというお話ですけれども、いずれにしても三年間かかったわけです。また、法律の改廃というのは、それぞれ生い立ちが違いますからそれぞれの事情はあると思いますけれども、一度やはりこういうことをやったプロセスといいますか、そういうものを学習するわけですから、今後に生かしていく方策等々も、プロセスのシステム化といいますか簡素化というか、そういうところも、これからどんどん規制緩和は行われるわけですから、お取り組みを願いたいということを望んでおきたいと思います。  次に、輸出デザイン法を見ますと、財団法人生活用品振興センターというのがあって、これは通産大臣指定の認定機関ですが、現在どのくらいの職員がおられて、この法律廃止に伴ってこのセンターの合理化あるいは縮減が行われてくるのか、その点をお伺いをいたします。
  110. 村田成二

    村田政府委員 今お尋ねの生活用品振興センターでございますが、現在までのところ、一番ピーク時で二十一品目輸出デザイン法の対象になっていましたが、今は七品目でございます。全体の職員は常勤役員三名を含めまして三十名ということでございますが、この輸出品デザイン法に基づきます登録認定業務に従事しておりますのは十六名でございます。  今、三年かかった点についての御指摘がございましたけれども、私どもといたしましては、当然、輸出品デザイン法廃止いたしますればこういった業務が終了するわけでございまして、そういった観点からする業務見直しないしはこれに従事している人員の取り扱いといったものをきちんと対応しなければいかぬということで、この三年間かけましていろいろな努力をしてまいったわけでございます。  具体的に申し上げますと、一つは一希望退職者を募集いたしました。平成六年から八年の間で十四、五名の人員削減を行ってまいりました。それからまた、地方事務所、これも六カ所ございましたけれども、三カ所に縮小するということでその段取りづけを行ってまいったわけでございます。そのほか、役員報酬のカット等、合理化に努めてまいりました。  と同時に、平成九年度からこの認定業務がなくなるわけでございますけれども、片や、御案内のように、発展途上国を中心といたしまして日本の中小企業製製品の模倣というものが非常に多くなってきております。したがいまして、こういったデザイン関係業務に従事されてきた方というのはこういった模倣の面でも非常に大きい知見があるものでございますから、こういった方々の能力、人材を活用いたしまして、生活用品の模倣防止対策というものを開始したい、こう思っております。具体的な予算額におきましても、従来のこの認定業務にかかわります予算にかわりまして、新しく模倣防止対策予算も講じましてこういった人材の活用を行ってまいりたい、かように考えている次第でございます。
  111. 松本龍

    ○松本(龍)委員 ありがとうございました。  本法案によって廃止二本あるいは改正十四本で、トータル六十六の規制について撤廃、合理化をするわけでありますけれども、これによって、なかなか難しいでしょうけれども経済面あるいは行革面からどのような効果を見込まれているのか、お伺いをいたします。
  112. 伊佐山建志

    伊佐山政府委員 委員指摘のとおり、六十六の規制廃止ないし合理化されるということでございますが、内容は、貨物輸出の際の検査など十二件の規制の撤廃、承継規定の整備によりまして、これまで合併等が行われた場合に再度取得することが必要だとされていたような許認可が五十一件、その必要性がなくなった、あるいは、諸規制見直しにより三件の許認可が合理化されるという内容になったものでございます。  特に、我が国におきまして、合併でありますとか事業譲渡を通じました企業リストラというのが盛んに行われるようになっております。そういう中で五十一件の許認可等が申請不要となるということでありまして、企業負担の軽減あるいは行政手続簡素化に資するのではないかということを期待いたしております。  具体的に一、二の事例を申し上げますと、電気事業法の事業用電気工作物を設置する者についての承継規定のケースでございますと、相続あるいは合併があった場合に、事業者によっては数十件も必要であった届け出が不要になる。具体的な事例では、東京銀行と三菱銀行が合併したときに、関東地域だけで百数十件の書類を必要とした。そういうものがこういう措置によりましてなくなるということでございます。  あるいは、ガソリンスタンドの販売業者の場合の全部譲渡の承継規定、これにつきましても、仮に十のガソリンスタンドを譲渡するというような場合には、従前ですと五十枚程度の添付書類が必要でございましたが、今回の措置によりまして約二枚程度の書類で届け出が済むようになる、こういう効果が期待されているところでございます。
  113. 松本龍

    ○松本(龍)委員 大きな効果が見込まれるというふうに言われましたけれども、まだまだ私は道半ばであろうというふうに思っておりますし、やはりこれは不断の努力を続けていかなければならないと思っています。  この件に関して通産大臣にお伺いをいたします。  先ほどの総務庁のお話をお聞きになったかどうかちょっとわかりませんけれども行政が効率的にその業務を行わないとしたら、やはりこれは国民の大きな批判にさらされるでしょうし、その観点から私たちは今国会行政監視院法というものを提出をしております。また、先般、ある政治評論家のお話をちょっと聞きましたら、二十一世紀というのは、今の橋本政権である程度の形が、二十一世紀の前半の形は決まってくるんだというふうなことを言われました。私も今野党の立場でありますけれども、一人の政治家として、私も子供がおりますけれども、子供たちがこれから生きていく形が、この橋本政権あるいは次の政権、どうなるかわかりませんけれども、こういう政権の中で形づくられていく。そういう意味では大臣も非常に大きな責任があるというふうに私は思っています。  世紀末、また二十一世紀を迎えるということで、実はこの間本を読んだのですけれども、浅田次郎さんという人が書いた「蒼穹の昴」という本がありまして、この本では、ちょうど百年前の清国の末期の話がありまして、これも守旧派と改革派の話があって、改革派の方は、法を変える変法運動等々と言ってさまざまな動きがありました。やはり大きな決意でこれから規制緩和経済構造改革に取り組んでいかなければなりませんけれども大臣の決意を改めてお伺いをしたいと思います。
  114. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今、私は松本委員と同じような思いが実はしておりまして、それは、あと四年で新しい世紀を迎える、まさに二十一世紀、どういうふうな世紀になろうかというので、期待と不安におののいているというのが我々の心の中だと思うのです。同じように今から百年ぐらい前、二十世紀を迎えるときも当時の先人は何を考えたんだろうかなと、実はこんな思いをするわけでございます。  確かに、言われるように、今の橋本内閣というか、今いる我々政治家の務めというのは、まさに二十一世紀というものが理想の世紀であるように、それの基礎づくりをする段階じゃないだろうか。だからそういうことでは、今橋本内閣で唱えている六つの改革が全部完成するということは、到底これは時間的にはもう無理なんで、そのいわゆる方向性を決めるのが大事だろう、かように思っているのです。  当然私の所管する経済構造改革も、先ほどから申し上げていますように、やはりボーダーレスだとかグローバル化、いろいろな表現がございますが、要するに、まさに昔のような一国ではもう生きていけなくなった、そうなってくる。ですから、今までややもすると日本は単一民族だとか単一言語だとか、そうした島国根性があったが、それをまずかなぐり捨てなければいけないだろうというのが基本だろうと私は思うのです。  それで、それからちょっと次元が下がってきて、結論を急いで申しわけございませんが、今言っている規制緩和という問題でも二つの面があって、一つは、先ほどから御討議いただくように、やはり行政の事務の簡素化合理化という問題。それではもう端的に、それでもって役所の人間が幾ら減るのか、どうなるのか、こういうふうなことになりますし、片一方では、規制緩和によって、今まで規制で縛られたところ、そういうところが外れることによって新しい産業創出ということが期待されるわけでございまして、これはあくまでも、民間事業者が創意あふれる自分たちの考え方を進める場合にこのことを大いに利用してもらいたい、活用してもらいたい、これがないと結局何にも役に立たないのではないだろうか、かように思っております。  そういうことで、私の方としては、昨年の十二月に閣議決定をいたしました経済構造変革創造のためのプログラム、これを推し進めていくためには、抜本的な規制緩和というのはこれからもやはり切れ間なく繰り返し繰り返しやっていくことが必要だろう、かような認識を持っております。  そういうことで、これからの新しい世紀、まさに今委員指摘のように、委員の坊ちゃんやお嬢ちゃん、そうしたお子さん、また私から見れば孫たちの代、その先を、やはり希望の持てる社会をつくるというためにお互いに頑張りたい、かように思っております。よろしくお願いいたします。
  115. 松本龍

    ○松本(龍)委員 御丁寧にありがとうございました。また不断の努力をこれから積み重ねていただきたいと思っております。  公正取引委員会、お見えですので、一言ちょっとお伺いをしたいのですけれども規制緩和によって手続簡素化ということで、これは官と民の間の話で、私は、規制緩和が進みますと、新規事業あるいはベンチャービジネス等々がしっかり動き出してくるというふうに思っております。  しかし、このごろ財界でも時々耳にするのですけれども、民民規制といいますか、新規に参入をしていく人たちが、特定の既得権益を持った業界の圧力といいますか、そういったものにさらされる。せっかくいいものを持ちながら、いい技術やいいノウハウを持ちながら、それが結果的に市民に知らされない、消費者に知らされないということも多々私は耳にしています。市場原理の世界ですから、さまざまなプレッシャーをかけることも当たり前だといえば当たり前かもわかりませんけれども、少なくとも消費者にとってそういったいいものができてきそうなときに、既得権益を持ったほかのところがそこにプレッシャーをかけてくるというのは、これは通産マターではなかなかできないとは思うのですけれども、公取の皆さんにはしっかり目を光らせていただきたいと思いますけれども、その辺のところをお伺いをいたしたいと思います。
  116. 塩田薫範

    ○塩田政府委員 委員指摘のように、規制緩和が進みますと、各事業者が、自主的な判断あるいはその責任に基づきまして、新規参入を含めて自由な事業活動が展開できるという素地ができるわけでございます。そういった自由な企業活動というのは当然独禁法のルールのもとで行われるということだと思いますけれども、今先生御指摘のように、いわゆる民民規制につきましては、公的規制が撤廃される、あるいは緩和された後におきまして、これにかわって民間企業の活動を制約をする、事業者あるいは事業者団体の行為によってそういったことが行われるということになりますと、規制緩和の実が損なわれることになるわけでございます。最近、各方面で民民規制という言葉が使われておりますけれども、昨年十二月の行政改革委員会意見書を初めとして、いろいろなところでそういう指摘がなされているところでございます。  こういったことを踏まえまして、三月二十八日に閣議決定されました規制緩和推進計画の再改定の中におきましても、民民規制の対象として、公正取引委員会は、必要に応じ、実態調査を行い、競争制限的な民間慣行の是正を図ること、それから、背後に競争制限的な行政指導が存在する場合には、関係省庁と所要の調整を図ること、そういったことが盛り込まれているところでございます。  公正取引委員会といたしましては、従来から必要に応じまして調査を行い、事業者あるいは事業者団体による新規参入の阻止あるいは差別的な取り扱い、カルテル等の独禁法の違反行為に対しましては厳正に対処をするとともに、このような行為が行われることのないように所管官庁との間で所要の調整を図り、改善を求めてきたところでございます。  今後とも、行政指導によって誘発されたものを含め、独禁法違反行為を積極的に排除するとともに、競争政策の観点から、取引慣行、公益法人、団体等をめぐる問題について、積極的に調査、調整を図るなど、適切に対応してまいりたいと考えております。よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  117. 松本龍

    ○松本(龍)委員 どうもありがとうございます。  最後に、三井三池鉱が三十日に閉山になりまして、そのことを質問しようと思ったのですけれども、時間がありませんので別の機会にしたいと思っておりますけれども、地元の新聞では連日のように、これからどうなるんだろうという不安が渦を巻いています。  通産大臣初めエネ庁の皆さん、これは大変大きな課題でありますし、地元の新聞も、これのバックアップシステムといいますか、県も市も一緒になって今やっておりますので、御努力をお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  118. 武部勤

    武部委員長 次に、大森猛君。
  119. 大森猛

    ○大森委員 日本共産党の大森猛です。  今回の議案となりました法案は、通産省関係規制緩和を進めるためとして十六本の法律を一括改廃するものでありますけれども、既に指摘もありましたけれども、地位の承継などの問題はともかくとして、保安上の問題あるいは安全確保の問題にかかわるものまで一括するというやり方は、やはりやるべきではないということをまず申し上げておきたいと思います。  最初に、エネルギーの使用の合理化に関する法律、いわゆる省エネ法についてお伺いをしたいと思います。  省エネ法は、我が国のエネルギーの海外依存度の高さ、あるいは七〇年代の石油危機を背景に制定されたものでありますけれども、同時に、環境問題としても省エネルギーというのはもう全地球的、全人類的な課題であり、非常に今日的な意義ある法律として省エネ法は位置づけられていると思います。  今回の改正案では、この省エネ法の中で言うエネルギー管理者の選任の届け出方法を緩和しようというものでありますけれども、この意味を検討する上で、まず、省エネ法をめぐる問題点についてお伺いをしたいと思います。  まず、通産大臣にお聞きしますが、現行の長期エネルギー需給見通しというのは、今後、二〇一〇年までの最終エネルギー消費の伸びを年率一%程度に抑制するとしていますけれども、最近の最終エネルギー消費の増大傾向等からいって、達成困難の見通しがあるのではないか。したがって、地球温暖化防止行動計画等に基づく二〇〇〇年の我が国の二酸化炭素排出抑制に関する目標達成も困難になるのではないかということも今指摘をされていると思うのですが、この点で、目標達成の見通しと大臣の決意をまずお伺いしたいと思います。
  120. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今委員指摘のように、やはりこのままでいくと、この大幅な増大傾向、これは否定することができませんし、今おっしゃる長期エネルギー需給見通し、これの目標達成は容易でないというのは御指摘のとおりだと思います。  そこで、今までというか、今とっている我々の考え方というのは、そのためには、やはり何といっても、環境問題というもの、・最近非常にこれが重視されてまいりました。御案内のごとく、ことしの十二月に京都でもってCOP3があるということも踏まえまして、省エネについて最大限の努力をまずする。それから、停滞している新エネルギーの導入を促進する。それから地球温暖化、こういうことについては、原子力というものについて、安全確保に万全を期しながら、国民の理解と協力、そのもとにこの問題も着実に進めていく。いわゆる省エネと新エネと原子力、三本柱で実は参っているわけであります。  具体的には、今御指摘のように、昨日、四月一日に総合エネルギー対策推進閣僚会議で、政府全体として総合的な省エネの対策に取り組むということに実は決めさせてもらいました。それからもう一つは、今御指摘の新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法案、いわゆる新エネ法、こういうものを提出してございます。これは成立いたしました。  そういうところから積極的な施策を展開していくわけですが、正直言ってなかなか、新エネといっても、コストの問題があって、すぐあしたの日にできる問題ではないと思いますし、省エネというのも、これこそやはり細かいところを、本当にみんながこれに対する認識を持って協力してくれなければいけない。それから、原子力という問題、これは環境的な問題ではいいですが、率直に言って、この間からのああした事故があると、どうしても国民の皆さん方の御理解もなかなかいただきにくくなったのかなと思っております。  そういうことで、この場をかりて、今長期のエネルギーというもの、これがなかなか政府の言っているような達成が難しいんだ、供給が難しいんだというふうな、国民各位、皆様方を初めとするそうした御認識というもの、これを御理解いただいて、そして何とかこれを積極的に展開することによって目標達成に向けて最大限の努力を進めていきたい、かように考えております。
  121. 大森猛

    ○大森委員 原子力についてはそれこそ抜本的な再検討が迫られているような状況のもとで、やはり省エネということに最大限力を入れるという大臣の御答弁だったのですが、この点で、例えば総合エネルギー調査会は、二〇〇〇年度における最終エネルギー消費を現行見通しで想定しているレベルに抑えるためには、一九九五年度以降は伸び率ゼロ%に抑制することが必要だ、ここまで言っているわけであります。  この間のエネルギー消費原単位の推移で見ますと、順調だった産業部門が、これは各部門に比較して圧倒的に減少を続けてきたわけなんですが、ここに来て九三年以降悪化してきているような状況があるということです。  この点で、各部門別のエネルギー消費原単位の推移についてお聞きをしておきたいと思います。
  122. 江崎格

    ○江崎政府委員 エネルギー消費の原単位でございます。  今委員指摘のように、石油危機以後、これを契機としまして、省エネルギー法の策定とかあるいは省エネルギー設備に対する各種の支援策、こういった政策的な努力と、またもちろん民間事業者自身の御努力によりまして、一九七三年から九二年までの二十年間を見てみますと、エネルギーの原単位、GDPの一単位を生産するのにどのくらいのエネルギーを使うかという原単位で見ますと、約五〇%ほど、大変な改善をしたわけでございますが、残念ながら九三年度以降は全体として下げどまりといいますか、むしろ逆に悪化傾向が見えます。  その理由は、一つにはエネルギー価格がかなり低位に安定しているということもございますし、それからもう一つは、大型の省エネルギー投資が大体一巡したというような事情もあろうかと思います。こうしたことで、産業部門を見てみますと、最近は悪化傾向ということでございます。  それからほかの部門でございますが、家庭部門では七三年以降むしろ一貫して原単位は悪化傾向といいますか、エネルギーをたくさん使うようになっているという傾向でございます。それから運輸部門も同様でございまして、特に旅客部門ではこれもほぼ一貫して上昇傾向。貨物部門は、やや振れがございますけれども、最近の五、六年をとってみますとこれも悪化傾向、こういう状況かと思います。
  123. 大森猛

    ○大森委員 家庭部門等のお話もありましたし、また、なぜ悪化したかという御答弁もありましたけれども、その点はまたいろいろ意見もあると思うのですが、特に産業部門というのが圧倒的な比率を占めているわけで、この部門で特にエネルギー消費原単位が悪化しているところが非常に今問題になっていると思うのですね。そういう意味で、私は、改めて省エネ法の役割が今重要になってきているということを大いに強調したいと思います。  省エネ法というのは、燃料資源を有効に使用するため、エネルギー多消費型の企業に熱、電気の使用の合理化を特に推進する必要があるとして、指定された熱管理工場、電気管理工場に対して、エネルギー使用者に燃焼の合理化、熱、電気の損失防止などの努力義務を課して、これを指定工場ごとにエネルギー管理士の免状を持つ者の中からエネルギー管理者を選任して遂行させる体制、こういうぐあいになっているわけです。  指定工場は現在全国で三千五百七工場、その内訳として、化学工業が五百三十、電気機械器具製造業が四百十八、窯業・土石製品製造業が三百二十六などと、大部分が日本を代表する大企業の工場というぐあいに伺っております。  それで、法の執行を担保するエネルギー管理者の配置状況は今どうなっているでしょうか。
  124. 江崎格

    ○江崎政府委員 エネルギー管理者を選任しなければならない工場は、今委員指摘のように全国で大体約三千五百ぐらいございますが、この中で、必要なエネルギー管理者を選任していない工場というのは大体四%ぐらいでございます。  大まかな傾向を申し上げますと、規模によりましてこの管理者というのを一人ないし四人まで置くということになっておりますが、置いていない工場というのを見てみますと、主として一人置かなければならないという比較的規模の小さい工場が数が多くなっているという状況でございます。
  125. 大森猛

    ○大森委員 四%というと約百四十工場に相当するわけで、法の執行を担保するエネルギー管理者の不選任の率としては、これはやはり大きいと見なくてはいけないと思うのです。  それで、エネルギー管理指定工場で、法律に基づく判断基準、いわばこれは目標基準ともなると思うのですが、それの遵守状況はどうでしょうか。
  126. 江崎格

    ○江崎政府委員 判断基準の遵守状況でございますけれども、エネルギー管理指定工場に対しまして、九五年の暮れから九六年の四月にかけまして私ども現地調査をいたしました。  この対象としましたのは、実は平成五年、六年にかけて定期報告で出されました報告の中で、原単位が二〇%以上悪化したものというのを対象にして調べたわけでございます。そういう意味では、比較的成績の悪いものを対象にして現地調査をしたわけでございますが、その結果によりますと、エネルギーの基本的事項である判断基準の遵守が不十分な工場というのが、この調査対象の中では全体の三割を占めるという状況でございます。  こうした遵守が不十分な工場に対しまして、今後再度現地調査などを行いまして、その遵守を強く指導したいと思っておりますし、また、必要があれば合理化計画の作成の指示といったような法的措置も発動してまいりたい、このように考えております。
  127. 大森猛

    ○大森委員 通産省の資料によれば、判断基準が守られていない、これが三一%となって、先ほどのエネルギー管理者の不選任四%とあわせて、これは大変重大な問題だと思うのですね。  先ほどお答えがあったようなエネルギー管理者について、経団連はエネルギー管理者の選任届け出書の廃止を要求しておりますけれども、これは本当にとんでもないことだと思うのですが、この点どうでしょうか。
  128. 江崎格

    ○江崎政府委員 先ほど大臣からも申し上げましたけれども、省エネルギーというのは、私ども、エネルギー政策にとりまして、これから非常に大事な課題だというふうに思っておりまして、今後むしろこの省エネ法の運用強化などを通じまして、また現地調査などを通じまして、違反をしている工場に対して指導を強化するというようなことで、省エネ対策はむしろ強化していく、このように考えております。
  129. 大森猛

    ○大森委員 今回の改正案では、それを強化どころか非常にあいまいなものにしてしまう。従来三十日以内に届け出すべきものを、理屈上は一年三百六十五日のうち三百六十四日選任しなくてもこれは可能になるような、そういうことをやるわけなんです。  ちなみに、通産省が昨年の十二月に作成された規制緩和要望事項及びその検討状況の中間公表によれば、この要望元、経済団体連合会のエネルギー管理者選任に関して届け出廃止要望に対して、通産省自身、こういうようにおっしゃっているのですね。「三十日以内に、その旨を通商産業大臣届け出なければならない。これは選任義務の実効性を担保するために行っているものである。」こういうぐあいに通産省自身が言われているわけで、今回の改正は、まさにこういう選任義務の実効性の担保をみずから外すという大変に重大な問題であるということを指摘して、私は次の質問に移りたいと思います。  二番目の問題は、やはり今回の十六の法案のうちの一つでありますガス事業法に関連してであります。  この間、私ども日本共産党は、団地においてガス管敷設がえの工事費用などをめぐって、本来ガス事業者が負担すべきものを、住民あるいは開発者、これは住都公団などでありますが、負担させられる問題を取り上げてまいりました。  ガス事業法に基づくガス供給規程及び実施細則で、導管のうち、本支管及び供給管についてはガス事業者、内管については使用者、これは住都公団などでありますけれども、負担となっております。この供給規程では、団地内道路は私道であっても条件があれば道路と見て、本支管、つまりガス事業者の負担の本支管としてみなす、こういうことになっていて、しかもそういう意味では本支管の範囲をできるだけ広げている。これは戸建て住宅の場合と集合住宅、団地の場合とのガス利用者に格差が生じるのを極力避けるという趣旨で、この意味では供給規程というのは非常に積極的な意味を持っているわけです。ところが、実態として、本来供給規程によれば本支管とすべきものが内管扱いにされている、こういう問題を国会でも私どもは取り上げてまいりました。  個別にも、各ガス事業者あるいは通産省等とも話し合い等を行ってきたわけなんですが、そういう中で、例えば、東京ガス、京葉ガスは、基準に合う団地内道路に敷設されたガス管は本支管として移管を受ける、こういう方針があるというぐあいに伺っていますが、その点の確認と、そして同時に、東京ガス及び京葉ガスで、本支管としてこの間移管を受けた団地がどれだけあるか、お答えいただきたいと思います。
  130. 岡本巖

    ○岡本政府委員 一般ガス事業者の供給規程及びその実施細則におきましては、ガス事業者が管理する本支管とは、導管の中で、原則として公道に並行して埋設するものというふうにいたしておりまして、私道とか団地内の道路に埋設されるものにつきましては、ガス事業者が工事や維持管理を行う上で必要な一定の条件を満たすものにつきまして需要家との間で話し合いをして、合意ができ上がったものについてはこれを本支管として取り扱うということにいたしているところでございます。  それから、過去において内管扱いされましたもの、そういった団地内のガス導管につきましても、改修時等の機会に、同様に一定の要件を満たすものに限られますけれども、ガス事業者と需要家との間で協議が調った場合には本支管としてその管理がガス事業者に移管される、そういうことになっております。  それから、二番目の御指摘の、実際に移管の実績でございますが、東京ガスに確認しましたところでは、本年一月末現在、二十三件が移管契約を締結済みでございます。京葉ガスにつきましては、同じ本年一月末現在で一件の移管契約済みという状況でございます。
  131. 大森猛

    ○大森委員 建設省にお伺いしますけれども、住都公団も国会の場で、かつて、内管を本支管にするようガス会社に要望する、こういう答弁もされたことがあるわけなんですが、ガス事業者との関係で、そのことの実施状況と、それからその結果はどうなったでしょうか。
  132. 亀本和彦

    亀本説明員 お尋ねの件でございますけれども、五十七年以前に建設されました公団賃貸住宅のうち、内管扱いになっていたものにつきましては百一団地ございます。これにつきましては、ガス管の敷設がえ等を契機にいたしまして順次協議を行っておりまして、移管済みの団地が五団地、協議中のものが十団地でございます。
  133. 大森猛

    ○大森委員 ガス供給規程につきましては、私どものこういう取り組み等々の中で、ガス事業者が昨年一月以降、これを改定するということで、通産省なんかは、これまで規定があいまいだったとか、あるいは明確なルールが必要だというような理由を規程改定の理由に挙げられているわけなんですが、今お聞きいただいたように、本来本支管とすべきものを供給規程に反して内管にしていた、そういう事実があったからこそ、公団なりあるいはガス事業者なり、そういう措置をとったと思うのですね。  それで、ここで具体的に私はお聞きをしたいのですが、時間がなくなってきましたので単刀直入に伺いたいと思います。ここで委員長、ちょっとお願いしたいのですが、理事会では提示だけと申し上げたのですが、ちょっと余りにも遠いものですから、現物を、図面と写真を大臣委員長にお示ししたいと思います。
  134. 武部勤

    武部委員長 はい、結構です。大臣にもひとつお願いします。
  135. 大森猛

    ○大森委員 住都公団に関して言えば、五十七年まではほとんどの団地で団地内道路の導管について内管扱いをしている。ところが、五十八年以降についてはこれを変えて、団地内道路を本支管扱いにするという措置がとられました。  ところが、具体的に事例を挙げますけれども、京葉ガス管内で、ただ一カ所五十八年以降内管扱いにした団地の図面が、今お配りをしたものの一つ、「海風の街」という、この黒が入ってない方です。これが「海風の街」の管の配線の状況ですが、この黄色は団地内道路でございまして、赤がガス管、内管なわけなんですけれども、もう見事なまでに団地内道路を避けて、その道路に文字どおり並行して、植え込みあるいは自転車置き場の中を通っているという状況があるわけです。  その写真の方が、このテープが管の位置を示すのですが、植え込みの下を通っていく。この後ろに立派な道路があるわけです。同じようにこういう駐輪場の中を管が通っている。同じようにこれはすぐわきに立派な道路があるわけです。もう見事なまでに団地内道路を、遊歩道とも言っているようでありますけれども、避けてやっているわけです。  これは同じ開発者、ほぼ隣接していると言っていい「夢海の街」、これはもう一枚の図面です。これを見ると、もうその差がはっきりするわけですね。この黒い、太いのが団地内道路に敷設されたガス管で、供給規程によればこれが本支管になるわけです。本支管がずっと団地内に入っている。これはその後も、下の部分がさらに新たに本支管扱いに切りかえられるというようなこともあるわけなんですが、この二つを見ると、もう明確な違いが出ていると思うのです。  これは団地内道路に対する扱いが変わった以降、五十八年以降の工事及び入居の団地に「海風の街」はなるわけですけれども、どうしてこういうぐあいになったのか。通産省、それから公団との関係建設省、もしわかりましたらお答えいただきたいと思います。
  136. 岡本巖

    ○岡本政府委員 私ども関係者に事情を確認いたしましたけれども、先生今御指摘の団地内の導管は、当時、ガスの供給の申し込みをされた住都公団、ディベロッパーの側と、それからガス事業者との間で話し合いを行った結果、内管として取り扱うということで両者が合意をされたものでございます。したがいまして、供給規程に照らして特段問題があるという扱いをしたものではないものと理解をいたしております。  その後、御指摘の団地の管理組合から、この導管部分を本支管としてガス会社の管理の方に移管してもらえないかという御要請が本年二月にあって、今その要望を踏まえて両者の間の協議が行われつつあるということでございますので、私どもとしてはその推移を見守りたいというふうに考えております。
  137. 亀本和彦

    亀本説明員 お答えいたします。  当該団地内の道路、通路でございますけれども、行きどまりが非常に多く、また公園等々一体的に設計されていること、それと、この場合、道路の舗装路盤の厚さが非常に厚かったということ等を踏まえまして、ガス事業者と公団が協議をした結果、ガス管の維持管理上の支障があるということから、団地内道路の下に敷設せず、内管扱いにした旨の報告を受けております。
  138. 大森猛

    ○大森委員 今の資源エネルギー庁それから公団の方、そういう言いわけができないために供給規程があると私は思うのです。これはもう、今のお二人の理由は全く理由にならないとはっきり申し上げていいと思います。これは恐らく御答弁されている方自身もそう思われていると思うのです。  ガス供給規程を解説した「ガス供給規程の解説」というのが発行されて、これは日本瓦斯協会が発行しているわけなんですが、これによると、ガス事業者が、取引の都度、個々の使用者と供給条件を協議決定していたのではその手数料が煩雑なばかりではなく、公益事業として使用者の取り扱いに公平を期することがほとんど不可能なので、ガス事業者はあらかじめ定型化した契約内容である供給規程を設定し、これに従ってガスの供給を行っている、ということなわけで、先ほどのような勝手な理由をつけてはならないということを言っているわけであります。  同時に、この規程の解説の中で、「「ガス料金その他の供給条件は、この一般ガス供給規程によります。」の「よります。」という文言は、「に拘束されます。」、「に支配されます。」という意味であり、この規程以外の条件による取引はできないことを宣言している。」こうまで言って、供給規程の性格を厳密に解説しているわけです。  ですから、供給規程や実施細則に合致した団地内道路があるにもかかわらず、それを意図的に外して、さまざまな理由をつけてこれを破っていいという、そういう理由はどこからも成り立たないと思うのです。  とにかく、これから老朽化して敷設がえする場合、本支管が入っている団地の住民それから本支管が一切入っていない団地の住民、ほぼ同じ地域で、同じ開発者で、ほぼ同じ仕様の建物にいながら、その負担する費用は莫大な格差が生じると思うのです。ガス事業法の第一条、ガスの使用者の利益を保護し、ガス事業の健全な発達を図るという点からいっても、それから利用者の公平を図るという公益事業の根本原則からいっても、余りにもこれは重大な問題をはらんだ配管と言わなければならないと思うのです。これはたまたま私どもがあれしたわけなんですけれども、こういう同じ例は、五十八年以降で挙げても随分あると思うのです。  最近、私どもの川崎の住宅供給公社に対する東京ガスの敷設がえの工事に関しても、この新しい供給規程による本支管の規定でも、明らかに本支管が入るにもかかわらず、わざわざ本支管を避けて、建物の床下を貫通させるガス管をつくる。したがって、すべて内管扱いになってしまう。これは自治体等の負担になってくるわけなんですけれども、そういう大きな問題が全国各地で生まれていると思うのです。  そこで、今図面等をお示しして伺った点について、まず大臣の感想と、こういう事例についてぜひ全国的に、とりわけ通産省資源エネルギー庁の管轄下のガス事業者について、きちんと実態を調べていただきたいということをお伺いしたいと思います。
  139. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 大森さんにお答えいたしますが、実は、きょうの質問というのは私も事前によく聞きました。率直に言って、先ほど公益部長からの答弁のように、内管の取り扱いにしたということは、当時のガスの申込者、すなわち住都公団、それと事業者、京葉ガス、この間の話し合いというか、契約でもってそういうふうな取り扱いをしたのだ、こういうことで、別に今御指摘のような供給規程に照らして特別の問題はなかった、かように考えました。  しかし、現実問題として、今この問題については管理組合からそういうふうな話があって、移管の話というのを今京葉ガスとの間で話が進んでいる、進めつつあるということでございますので、その推移を見守っていきたいと思うのです。  今御指摘のように、やはりこれはもちろんそうしたガスという、ほかのものとは違う取り扱いですから、契約時において、工事をするときにそうした供給規程というものを尊重して契約をすることは当然だろうと思っております。
  140. 大森猛

    ○大森委員 時間がなくなりましたので、終わりますけれども、ガス利用者の負担を公平に図ってほしいということを改めて要望して、質問を終わりたいと思います。
  141. 武部勤

    武部委員長 次に、前田武志君。
  142. 前田武志

    ○前田(武)委員 まず、政府委員にお尋ねいたしますが、三月二十八日に規制緩和推進計画の再改定が閣議決定されたと承知しておりますが、その概要を、規制緩和の対象分野、その数、そういったことについて概要を教えていただきたいと思います。
  143. 伊佐山建志

    伊佐山政府委員 ただいま議員御指摘のとおり、三月二十八日に新たに二百五十六項目を追加し、総計五百七十九項目の規制緩和推進計画通産省として提出し、それを進めるということにしたものでございます。  主要な内容といたしましては、石油製品の輸出承認制度あるいはガソリン供給元証明制度見直し、高圧ガス取締法等の保安規制合理化外国為替管理制度見直し、工場立地法の見直し、商品ファンドの規制緩和というようなものがその内容でございます。  行政庁への申請負担の軽減という観点から、許認可等の有効期間を、例えば現状の五年を十年にするというようなものもこの中に含まれております。
  144. 前田武志

    ○前田(武)委員 通産省としては五百七十九。政府全体としてはどのくらいの数になっておりますか。
  145. 伊佐山建志

    伊佐山政府委員 政府全体といたしましては二千八百二十三項目でございます。
  146. 前田武志

    ○前田(武)委員 多分、一年前に比べて、この規制緩和そのものについては相当本格的な取り組みの姿勢が出てきたのだろう、こういうふうに思うわけですね。  しかし、考えてみれば、土光臨調以来、行政改革経済構造改革の中心にこの規制緩和というものを据えてやってまいったわけでございますが、私もその折節いろいろなところにかかわって、いろいろな委員会をつくり、内閣の中に本部をつくり、総理大臣を本部長とし、閣僚が全部本部員となってということで、何か一万以上ある規制を半減するとか、取り組みだけは随分と華々しく、勇ましくやってきたわけでございますが、その割には規制緩和というものが進んでいない実態でございます。  ところで、通産省自体は、去年閣議決定された経済構造改革プログラムですか、こういったところに、日本の二十一世紀のあるべき産業の進む方向等を描いて、そしてその中に規制緩和計画というものを大きなその手段として位置づけておられると思いますが、そういった経済構造改革プログラムにおける規制緩和の位置づけというものについて、簡潔に御説明をお願いいたします。
  147. 渡辺修

    渡辺(修)政府委員 先生御指摘のとおり、経済構造改革プログラムの中におきましては規制緩和を最も重要な位置づけをいたしておりまして、大きく二つに分けております。  一つは、新規産業の育成の観点でございます。御案内のように、十五分野につきまして、新規産業育成の具体的な方向性について各省庁と細かく議論をして詰めたわけでございますが、その大きな中身として、十五分野それぞれにあります各種の規制、それをどういうふうに外していくか、あるいは基礎技術研究開発をどう進めていくか、こういったようなことを細かく打ち合わせをしておりまして、この春に行います行動計画ではさらにこれをブレークダウンしていきたい、このように考えております。  もう一つが、高コスト構造の是正という第二の大きな柱でございます。御案内のように、今世界的な産業立地競争が行われておりますが、我が国を魅力ある事業環境にするために、エネルギーあるいは情報通信あるいは物流、そういった分野を、二〇〇一年を一つの目標水準にいたしまして、国際水準並みのコスト水準にしようではないか、そのためには、思い切った規制緩和を行ってコストを下げて魅力ある事業環境にしよう、この考え方をとったわけでございます。  この二点が今先生の御質問にあります規制緩和を柱にした分野でございまして、これによりまして高コスト構造是正、さらには新規産業育成のために経済改革を邁進していきたい、このように考えておるわけでございます。
  148. 前田武志

    ○前田(武)委員 今局長の御説明で、通産省考えておられる規制緩和というものが経済構造改革プログラムの中における非常に戦略的な取り組みになっている、新規産業創出であり、高コスト構造の是正であり、まことに結構かと思います。  さてそこで、きょうの議論をずっとお聞きしていて、十六法律ですか、六十六の規制緩和、こういうことでございますが、中身を見ておりますと、もちろんスタートということではございましょうが、どちらかというと、もう余り必要でなくなってきた規制廃止するだとか、そういう手続的なものの簡略化であったり、必要のない手続廃止であったり、それからずっと見ておりますと、保安、検査関係規制緩和というものも随分あるようでございまして、これはある意味では余りごっちゃにしない方がいいのではないのかな、議論の中にも随分と指摘があったように思うのですけれども、これはやはり安全面にかかわる、あるいは環境等にもかかわってくる問題ですから、そういう感じがいたします。もう具体的には、中身については触れません。  そこで、もう時間が余りないようでございますが、例えばJIS法もこの間改正いたしましたが、あれも中身を見ると、ある意味では非常に大きな規制緩和でもありますし、あした本会議趣旨説明される予定外国為替及び外国貿易管理法改正案ですか、これなんかは非常に大きな規制緩和であろうと思います。  しかし、通産省の関連するこういう外為法改正なんというのはビッグバンのフロントランナーというような位置づけのようでございますが、これだけかなりのドラスチックな規制緩和をやろうというのは、本当に戦略的にとらえて、いろいろな反対のある中を政府としてやるのだというような意気込みでここまで来ているのか、あるいは事態、実態の方がどんどん先に動いていくものだから、ついにはもうこれはやらざるを得ないというようなところも大いにあるのではないのかなという感じもするのですね。  きょうのこの規制緩和の六十六項目、もちろんやることについては多とするわけではありますが、局長の御説明のこの戦略目標について、まさしくセルモーターを回した、ギアをローに入れて発進したというようなものとはちょっと受けとめられないですね。  そういった意味においては、せっかくいい戦略目標を持ち、プログラムも立て、規制緩和計画もいよいよ閣議決定してやるわけでございますから、それにしては通産省、もう少し勇気を出してやっていただきたいな、こう思うのですね。  たしか一般質疑で、大臣とサイバーコマースみたいなお話を、議論をさせていただいたことがあるのですが、実態の方は、あらゆる面で確かにグローバル化し、情報化した市場でどんどん動いているわけでありますから、いよいよこの時点になると、この戦略目標に沿って踏み出すべき時期が来た。どうも今回の規制緩和は、セルモーターを回して、エンジン、本当にかかったのかいなというくらいの感じを私は持っておるものでございますから、その辺の心配を払拭していただく意味においても、最後に大臣のお取り組みに対する意気込みをお聞かせ願って、終わりたいと思います。
  149. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今言われるように、規制緩和だとか行政改革という言葉は、十年、いや、大体行政改革という言葉自身はもう明治政府ができてからずっと言われてきたわけだと思うのです。  ただ、今回の橋本内閣の取り組み方、よく総理の言葉として火だるまという言葉が使われますが、そういうことをなぜ言うかといったら、やはり今までと取り組み方に対する意識というものが確かに変わってきたのじゃないだろうか。今前田委員が御指摘のように、やっと今、昨年の秋ぐらいから、役所の皆さんの意識が、大分これは本気だな、今までのように数合わせではいけないなというので変わってきたのではないだろうか。少なくとも、私の通産省はそういうふうに変わりつつある、変わってきたと私は認識しているのです。  そういうことで、御指摘のように、やはり今までのようにただ数合わせで減らしたとか、規制緩和したとかというのじゃだめだと思うのです。ですから、今度の、きょう御審議されている法律自体、確かにいろいろな問題の指摘もございました。しかし、これは規制緩和の中で、法律的に共通の目的とか、くくりやすいようにしたということでございますし、またよく出ます保安だとか安全というものも、これ自体の意識も昔とは大分違ったと思うのです。産業界においても、戦後のときなんというのは、安全も大事だろうが、それよりかやはり生産性を上げていこうということでおろそかになった面があったと思うのですが、今同じように、事業者とかそれからまた従業員、その人たち自身のいわゆる保安だとか安全に対する意識自体が変わってきているのだ。そういうことでは、特別にこれを別にくくらなくてもと、かように実は変わっている。  要するに、今申し上げたいのは、世の中が変わってきた、その中においてこの問題に取り組む我が内閣、そして我が省、これは一応お任せ願いたい、かように思っております。
  150. 前田武志

    ○前田(武)委員 終わります。
  151. 武部勤

    武部委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  152. 武部勤

    武部委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。大森猛君。
  153. 大森猛

    ○大森委員 私は、日本共産党を代表して、民間活動に係る規制改善及び行政事務合理化のための通商産業省関係法律の一部を改正する等の法律案に対して、反対の討論を行います。  本法案は、国民の安全を守る保安規制と単なる事務手続的な規制とを同列に置いて緩和しようとするものであります。  我が党は、規制緩和全般について一律に反対するものではありません。国民生活の向上と安全を守る立場から、役目の終わったものや障害になっているものは積極的に改廃する、また必要な場合には規制を強化しなければならないものもあると考えます。  その立場から本法案を検討すると、次の三つの法律にかかわる改正案は、それぞれ賛成できません。  第一に、省エネ法の改正ですが、これは今日、地球的規模の環境問題として重視されている省エネルギー対策推進を図るために、現場の第一線に配置すべきエネルギー管理者の届け出方法を緩和するものであります。  しかし、エネルギー管理指定工場における現状は、質疑で明らかにしたように、省エネの基本である判断基準を守らない工場が三割にも及び、またエネルギー管理者を選任していないものが百四十工場もあるという実態です。こうした実態を踏まえれば、今回の改正任国の監督を弱め、省エネに取り組むべき大企業社会的責任をあいまいにするものであります。  第二に、熱供給事業法の改正ですが、これは、大都市圏など人口桐密な地域に敷設される導管の地中埋設時の検査をなくし、工事の工程ごとの検査をやめるものですが、企業の自主保安をチェックする公的検査を弱めることになり、保安の水準を低下させるおそれがあるものであります。  第三に、電気事業法の改正によって、業務開始期限が八年から十年に延長されますが、政府はその根拠について、発電施設の建設期間の長期化などの立地環境変化を挙げています。しかし、立地環境変化は、主に地域住民との合意が得られないなど、本来的には期限問題とは無関係であります。現行法には既に延長手続も定めてあるのであり、法改正すべき何らの合理的理由は見当たりません。  以上、本法案に対する反対討論を終わります。
  154. 武部勤

    武部委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  155. 武部勤

    武部委員長 これより採決に入ります。  参議院送付内閣提出民間活動に係る規制改善及び行政事務合理化のための通商産業省関係法律の一部を改正する等の法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  156. 武部勤

    武部委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 武部勤

    武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  158. 武部勤

    武部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十六分散会      ————◇—————