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1997-03-21 第140回国会 衆議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月二十一日(金曜日)    午前十時三分開議  出席委員   委員長 武部  勤君    理事 小川  元君 理事 小此木八郎君    理事 中山 成彬君 理事 茂木 敏充君    理事 遠藤 乙彦君 理事 西川太一郎君    理事 大畠 章宏君 理事 大森  猛君       甘利  明君    小澤  潔君       大村 秀章君    奥田 幹生君       加藤 卓二君    亀井 善之君       岸田 文雄君    河野 太郎君       河本 三郎君    自見庄三郎君       下村 博文君    新藤 義孝君       中尾 栄一君    中島洋次郎君       能勢 和子君    林  義郎君       船田  元君    村田敬次郎君       伊藤 達也君    石井 啓一君       鍵田 節哉君    神田  厚君       古賀 正浩君    佐々木洋平君       島   聡君    島津 尚純君       中野  清君    吉田  治君       末松 義規君    松本  龍君       渡辺  周君    吉井 英勝君       横光 克彦君    粟屋 敏信君       堀込 征雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐藤 信二君  出席政府委員         経済企画政務次         官       河本 三郎君         通商産業大臣官         房審議官    藤島 安之君         通商産業大臣官         房審議官    安達 俊雄君         通商産業省環境         立地局長    稲川 泰弘君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         資源エネルギー         庁石炭部長   中村 利雄君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岡本  巖君         中小企業庁長官 石黒 正大君         中小企業庁計画         部長      田島 秀雄君         中小企業庁小規         模企業部長   篠原  徹君  委員外出席者         環境庁自然保護         局国立公園課長 下   均君         運輸省自動車交         通局企画課長  柚木 治憲君         商工委員会調査         室長      安本 皓信君     ————————————— 委員の異動 三月二十一日  辞任         補欠選任   石原 伸晃君     能勢 和子君   岸田 文雄君     河野 太郎君   中山 太郎君     大村 秀章君   達増 拓也君     佐々木洋平君   前田 武志君     堀込 征雄君 同日  辞任         補欠選任   大村 秀章君     新藤 義孝君   河野 太郎君     岸田 文雄君   能勢 和子君     石原 伸晃君   佐々木洋平君     達増 拓也君   堀込 征雄君     粟屋 敏信君 同日  辞任         補欠選任   新藤 義孝君     下村 博文君   粟屋 敏信君     前田 武志君 同日  辞任         補欠選任   下村 博文君     中山 太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  新エネルギー利用等促進に関する特別措置法  案(内閣提出第二四号)  特定産業集積活性化に関する臨時措置法案  (内閣提出第八号)      ————◇—————
  2. 武部勤

    武部委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、新エネルギー利用等促進に関する特別措置法案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大村秀章君。
  3. 大村秀章

    大村委員 自由民主党の大村秀章でございます。  新エネルギー利用等促進に関する特別措置法案につきまして、御質問をさせていただきたいと思います。  改めて申し上げるまでもなく、エネルギーというのはすべての活動基本でございまして、国民生活はもちろん、産業活動にとりましても必要不可欠であるということでございます。当然、その安定的確保ということが国政の最重要課題と言っても過言ではないというふうに思っております。  そういう意味ではいろいろな施策がこれまでも講じられてきたわけでございまして、特に第一次、第二次と我が国は二回にわたります石油ショックに見舞われ、そしてまた、社会全体、産業構造全体を大きく見直しを迫られたといった経験をしておるわけでございます。そして、そういう経験を踏まえて、特に石油への依存度をできるだけ減らしていこう、エネルギー源多様化していこうという施策をこれまでとってきたわけでございます。その施策効果もありまして、石油への依存度というのは、これまで徐々に減ってきたということであるわけでありますけれども、どうも最近、石油依存度が余り減っていかないというような状態になっているというようなこともお聞きをするわけでございます。  そういう意味で、まず本法案質問に入ります前に、我が国におきますエネルギー石油依存度現状といったものと、国策として、この二十年以上大変精力的に取り組んでまいりました石油代替エネルギー導入状況ということにつきましてお伺いをしたい。そしてまた、あわせまして、何でまた最近この代替エネルギーへの転換といいますか、そういったものが進んでいかないのか、もうある程度のところまで来てしまったのかということでございます。その理由につきまして、あわせましてお伺いをさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
  4. 江崎格

    江崎政府委員 お答えいたします。  今、先生過去の歴史をおっしゃいましたけれども、最近の状況を見てみますと、石油代替エネルギーのうちでも原子力ですとか天然ガス、こういったものの導入量は着実にふえてきておりまして、オイルショックのころというのは、原子力天然ガス、それぞれ〇・六%あるいは一・五%ということで、全体の供給に占める割合は大変少なかったのですけれども、最近は一〇%を超えるくらいにそれぞれなってきております。そういう意味では、石油代替エネルギー全体でいいますと、導入量はふえてきておるわけでございますけれども、今回審議をお願いいたしますこの新エネなどにつきましては、まだ非常にウエートが少ないという状況でございます。  それから、低減を図ってまいりました石油でございますが、オイルショックの後、一時非常に価格が高騰いたしましたけれども、八〇年代の半ば以降は逆に非常に価格が下がって安定しているということもございまして、石油消費量も次第に増大をしておりまして、現在でも、一次エネルギーの総供給における石油への依存度というのは、九五年の実績で見ますと五五・八%ということで、まだまだ高水準にございます。かつて、オイルショックのころというのは七〇%を超えていたわけでございますから、それから比べますと、相当下がってきてはおりますけれども、今先生の御指摘のように、八〇年代の半ば以降というのは五〇%台の半ばということでとどまっておりまして、なかなか石油への依存度の低下ということは進まない状況でございます。  新エネルギー導入が進まない理由は、主として経済性の面でまだ非常にコストが高いということでなかなか進まないのではないか、これが主たる原因だというふうに思っております。
  5. 大村秀章

    大村委員 そういう状況にあるわけでございますけれども、今回提案されました新エネルギー利用促進に関する特別措置法案といったものにつきましては、先ほど私申し上げましたように、石炭天然ガス以外のエネルギー源、特にクリーンな、環境負荷の少ないものを開発導入していこうという趣旨であるというふうにお聞きをしております。そういう意味で、この法律案、早期の成立を期しまして、その上でこの制度法律案を生かして、代替エネルギーといいますか、新エネルギー普及促進を図っていく必要があるんじゃないかというふうに思っております。  そういう意味で、いろいろなエネルギー源があるわけでありますけれどもクリーンエネルギーの代表的な存在であります太陽光発電でありますとか風力発電、まだまだなじみがないような感じがするわけでございますけれども、その現状と一層の普及導入といったものにつきましてのお考えをお伺いできればというふうに思います。
  6. 江崎格

    江崎政府委員 先生指摘のように、私どもも、新エネルギーの中で特に典型的な太陽光発電ですとかあるいは風力発電、こういったものが大変重要だというふうに思っております。  ただ、いずれも既存エネルギーに比べまして経済性の面で相当劣っているという状況でございまして、太陽光発電ですと、現在、設備コスト、普通の家庭につける三キロワット規模のものですと、大体三百万から三百五十万するという状況でございますし、それから発電コストで見ましても、一キロワットアワー当たり大体七十円から九十円というふうに言われております。ですから、通常電灯料金に比べますと、やはり三倍とか四倍とかいうことになっております。風力発電も同様でございまして、設備コスト、これはキロワットアワー大体二十五万から四十万と言われておりますし、発電コストで見ましても、キロワットアワー当たり十六円から二十五円ということでございますので、LNG火力なんかに比べますと、まだこれも二倍ぐらいということでございまして、相当制約があります。こういったことから、まさに御指摘のとおり、まだ普及が十分進んでおりません。  政府としましては、平成六年の十二月に総合エネルギー対策推進閣僚会議という場で新エネルギー導入大綱というのを決めていただきまして、これに基づきまして、低コスト化に向けた技術開発ですとか、あるいは初期需要を創出して量産効果によってコストを下げようということで、各種の支援策、それから保安規制の面でも合理化をいたしまして、新エネルギー導入しやすくするというようなことをやっておりますけれども、本日御審議をいただきます新エネルギー利用等促進に関する特別措置法案におきましても、太陽光発電ですとか風力発電というものを対象にいたしまして、積極的に導入を拡大していきたい、このように考えているところでございます。
  7. 大村秀章

    大村委員 コスト面を克服するのはなかなか難しい面はあろうかと思うわけでありますが、ぜひそういった点を克服をしていただいて、この促進に向けましてぜひ御努力をお願いをしたいというふうに思います。  そしてまた、続きまして、ごみ発電というものもございます。今の生活、現在の大量消費社会、こういったものを前提にいたしますれば、その帰結として大量の廃棄物といったものが生ずることは、これは避けられない事実でございます。この廃棄物処理問題といったものは、多くの地域で今大変大きな社会問題にもなっておるわけでございます。その処分場一つとりましても、なかなかうまく進んでいかないというのが各地方、各地域、それぞれの自治体でも見られる実態でございます。そういった状況の中で、この廃棄物処理をして、燃焼させて発電に結びつけるといったことにつきましては、廃棄物処理促進、その有効利用といったことにもつながるわけでございまして、ぜひこれは進めていっていただきたいというふうに思うわけでございます。  ただ、これもコスト面といったようなこともあろうかと思います。なかなか進んでいかないといった現状もあるやにお聞きをしております。そういう意味で、この廃棄物処理によります発電現状と、さらに今後どういうふうに進めていこうとされておられるのか、それにつきましてのお考えをお伺いをさせていただければというふうに思います。
  8. 江崎格

    江崎政府委員 廃棄物発電でございますけれども、これは廃棄物処理に大変寄与いたしますし、それからもちろん環境保全ということで大変寄与するわけでございます。それから、エネルギー政策の観点でもエネルギー源多様化ということで、いわば一石二鳥の効果を持っているわけでございますけれども、問題は、これも既存火力発電などに比べまして、コストが今高いわけでございます。具体的に申し上げますと、廃棄物処理関連の経費を算入しないで計算しましても、発電コストというのは、大体キロワットアワー当たりで見ますと九円から十五円ぐらいというふうに言われておりまして、通常LNG火力が原価九円と言われておりますから、まだかなり割高だということでございます。  今どのぐらい進んでいるかということでございますけれども廃棄物焼却施設というのは全国で二千近くあるのでございますけれども、その中で実際に発電が行われておりますものというのは、九五年の統計で二百カ所近くということでございますので、そういう意味ではまだまだ普及が相当進んでないと言っていいと思います。  発電規模では、九五年の実績で八十一万キロワットぐらいというふうに言われているところでございます。これにつきましても、平成六年の総合エネ対閣の新エネルギー導入大綱の決定を受けまして、発電効率の向上に向けた技術開発ですとか、あるいは地方自治体における取り組み、これは具体的には設備への補助ですとか、それから自治省の御協力を得まして起債の対象にしていただきまして、一般会計からこの発電事業に対しての出資をお願いするというようなこともやっていただいておりますし、それから、電力会社余剰電力購入メニューにおきましても、なるべくこうした廃棄物発電電力を買うようにということを私どもは促しております。  それから、きょう御審議いただいておりますこの新法、これにおきましても、廃棄物発電対象にいたしまして、今後ともますぼすこの導入の拡大に向けて努力をしたい、このように考えております。
  9. 大村秀章

    大村委員 ぜひそういう方向で進めていただければと思います。  そしてまた、こうした発電だけではなくて、エネルギーを大量に消費するというものに自動車があるわけでございます。これは、石油を燃料としておる限りにおきましては、どういうふうに抑制をしようといたしましてもやはり排気ガスが出てくる、これは事実でございます。  そういう意味で、特に最近、大きなトピックとしては、アメリカのカリフォルニアでは大気汚染対策一環といたしまして、ゼロエミッションビークルということで、二〇〇三年から事実上電気自動車導入を、これは一割というふうにお聞きをしておりますが、一定割合義務づけるということが決まったということでございます。これに対しまして、我が国自動車メーカーはもちろんでありますけれどもアメリカのビッグスリーも含めまして、これに積極的に対応していくということは御承知のとおりでございます。  我が国におきましても、これもなかなかその値段が高い、コストが高いということは事実でありますので、そういう意味での壁は高いというふうには思うわけでありますけれども、こういう環境負荷の少ない自動車導入といったものがこれから進められていくべきであるというふうに思うわけでございます。  そういう意味で、我が国におきます電気自動車または天然ガス自動車といったクリーンエネルギー自動車につきましての現状ということと、今後の取り組みにつきましてお伺いをしたいというふうに思います。
  10. 江崎格

    江崎政府委員 電気自動車ですとかあるいは天然ガス自動車といったいわゆるクリーンエネルギー自動車普及、これはエネルギー対策の面からもあるいは環境対策の面からも、私ども大変重要だというふうにまず認識をしております。  クリーンエネルギー自動車ですが、先生指摘のようにやはりまだ価格が高うございまして、大体同じクラスのガソリン車などに比べますと価格が二倍とか三倍という状況でございますし、それから、使うという立場からしますと、一回エネルギーを充てんした後の走行距離が短いとか、エネルギーを充てんする施設が必ずしも十分まだできてないというようなことで、いろいろ不便な点もあるわけでございます。そうしたいろいろな状況からまだ普及が十分進んでいないわけでございまして、九五年の実績で、クリーンエネルギー自動車全体、合計でまだ四千台ぐらいしか普及していないわけでございます。  実は、先ほど来申し上げております新エネルギー導入大綱目標では、二〇〇〇年で四十九万台このクリーンエネルギー自動車導入しようという目標を掲げているわけでございますが、これと比べますと、今申し上げた四千台というのは、まだ一%にも満たないという非常に寂しい状況でございます。  こうしたことから、今申し上げました新エネルギー導入大綱などを受けまして、走行性能を上げるための技術開発とか、クリーンエネルギー自動車それからその充てん施設導入のための補助制度ですとか、あるいはこれも法令による保安規制合理化というようなことで、制度的な面からの環境整備といったようなことをやっております。これにつきましても、実はこの審議をお願いしております新エネルギー利用等促進に関する特別措置法案におきましてクリーンエネルギー自動車対象にしたいというふうに考えておりまして、今回の法案も相まちまして、なるべく目標達成に向けて努力をしたい、このように考えております。
  11. 大村秀章

    大村委員 時間が参りましたが、新エネルギー導入促進につきましては、これはどうしても必要でございますので、ぜひ積極的にお進めをいただきたい。最後に一言、大臣の御決意だけお聞きをいたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  12. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 エネルギーセキュリティー確保、それから地球環境問題への対応ということを考えたら、新エネルギー導入ということは、また、この促進ということは極めて重要であることは言うまでもありません。しかし現在、今御討議がございましたように、非常にこれはまだコストが高いということで、これの総供給に占める割合が一%強ということでございますので、やはりこの新エネルギー開発導入ということがこれからの大きな課題でございます。もちろん、その中に、今申したようにコスト低減ということ、それからまた、そのための技術開発あるいは初期需要創出のための導入支援策、それから規制緩和、こういうことを進めてまいります。  そのために、きょう御審議をいただく新エネルギー利用等促進に関する特別措置法案というものを通じて、国民に対して政府の取り組み方を明確化するということが基本方針でございますし、またこの法案の中には、新エネルギー導入する事業者への支援、これの措置が入っております。  そういうことで、新エネルギー導入を加速的に進めていくというふうな方針でございまして、これからも新エネルギー導入促進策を一層進めてまいりますので、よろしく御理解いただきたいと思います。
  13. 大村秀章

    大村委員 どうもありがとうございました。
  14. 武部勤

    武部委員長 次に、吉田治君。
  15. 吉田治

    吉田(治)委員 新エネルギー利用促進法ということですけれども、私は、本当はまず最初に申し上げたいのは、例の動燃の東海村での事故ですか、何か国の新しいエネルギー政策というのは、事ほどさように、官がやりますといろいろ問題が起こったりひた隠しにしたり、どうもそういうふうな嫌いが強いのではないかなという感じを受けております。時間がありましたらその問題も触れたかったのですけれども、本日は新エネルギー利用促進ということでございますので、そこに絞った質問をさせていただき、動燃等の問題については今後の課題とさせていただきたいと思います。  まず最初に、大臣に、今なぜこの時期にこの法案を出さなければならないのか。しかも予算関連法案という形で、とにかく三月中には上げてほしいという。一部には、本年秋に京都で開かれますCOP3、気候変動枠組み条約第三回締約国会議、これに間に合わせる、それに対する悪く言えばアリバイづくりのためではないかと。スキームの中ではエネルギーセキュリティーと同時にこのこともうたわれておるのですけれども、まず最初に、所轄大臣としてこの法案を出されたことについて。  そして私は、法案を出されるについて二点ほど大臣に反省というか、どうなっているのかということも含めてお聞きしたいなと思うのは、例えば新エネルギー、今回は太陽光発電等と言われておりますけれども、ではサンシャイン計画はどうなったのか。昭和四十九年度から国税六千億円もかけている。今話題の中では、ガット・ウルグアイ・ラウンド対策費で六兆円かけた。中小企業対策費は年間二千億しかない。新エネルギー、この法律をつくる前提サンシャイン計画に六千億もかけている。それはNEDOなる特殊法人所轄をしている。NEDOのことについては後ほど申し上げますけれども、当時できるときの委員会議事録を読んでみますと、今副議長をされております渡部恒三先生は、もしもこれができて、「理想は民間の活力と役所のいいところを取り入れてすばらしいものをつくろうというのだけれども、結果は、役所の怠け癖と民間の悪いところと、悪い方が合っちゃうことが多いんだな。」こういうふうに議事録にも残されております。十年たちまして、どうもそういう傾向が強いのではないか。またもう一つ石炭液化プラントにつきましても、液化研究計画につきましても、もうアメリカでは撤退をしているのにまだ続けている。  こういうことを含めて、なぜこの法案を成立させなければならないのかという基本的な認識というものを、今この二点の現状も踏まえて、大臣からまず最初に答弁をちょうだいしたいと思います。
  16. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今委員指摘の点、私なりに理解できる点が多うございます。  まず第一のお尋ねは、なぜこの時期にというふうなお話でございました。今言われたように、直接の契機になるのはことしのCOP3、これがあることも否定いたしません。しかし、もっと大事なことは、やはりエネルギーセキュリティーという問題からいって、資源がない日本として、これからの日本経済成長また民生の安定、こういうところからして、エネルギーというものを、まず第一に省エネというものを徹底していこう、そして新エネ原子力発電、実はこの三本柱ということが今ずっとここのところ我が省を中心に考えている国の政策でございます。  その中において、正直言って、省エネといってもなかなか進みません。産業用は割と省エネというものに御協力をいただいているのですが、産業以外の民生だとか運輸部門、これは逆に少しふえているという傾向でございますし、それから原子力というもの、これは地球環境上、CO2の排出からいっていいというが、やはりなかなか問題があります。今御指摘のように動燃事故、あの話を聞いても、私自身、これでもってまた話が難しくなったなというのが実は率直な印象でございました。  そういうこともございまして、どうしても新しいエネルギーというものの開発、ずっと今まで続いておりましたが、これを本当に国策として打ち立てなければいけないということで、これに対して、これを促進することに対する国民の理解、その前提として、政府がここまで考えているんだよということを知らしめるために、この新エネルギー法、これが必要だということで出させてもらいました。  もう一つの話でございますが、NEDOに関しましては、今言われるようにいろいろな歴史がございましたが、率直に言って、これはやはり時代の要請ということで、ただ、安易にいろいろな事業が拡大してきた面があることは否定しません。そういうことで、今、国が挙げている行政改革一環としての特殊法人見直しという中に、そういうところに焦点を当てまして、NEDO本来の姿に立ち戻らせるようにしたい、こういうことでございます。
  17. 吉田治

    吉田(治)委員 大臣からるる申されましたけれども、今まで金をかけたものが、現実に実用化という段階では、技術は応用できるけれども、まだだよと。私は、まず最初にこの新エネルギーというふうなものの位置づけ、法律によると、政令によって技術開発と評価を行い決定をしていくということですが、問題意識として、本当にこれを行政にお任せしていていいのかなというのが私は非常に意識として強うございます。  またひょっとしたらサンシャイン計画のような、これは成功、失敗という意味ではなく、あれだけお金をつぎ込んで、結果が今の状況、今大臣が言われたような、率直な考えと言われましたけれども、まさにそういうふうになるのではないか。  この政令による決定の方法、決定の仕方というものをまず私はお聞かせいただいて、その上で、法律制定後に基本方針を閣議で決定するというふうに書かれております。そうしますと、これはひょっとしますと、各省庁間の縄張り意識というのですか、まさに通産また資源エネルギー庁が考えているのとは全然違う方向に行ってしまうのではないか。きょうは特に環境庁の方と運輸省の方においでいただいていますけれども、例えばこの両省をどう調整していくのか。  環境庁の場合であれば、この風力発電というもの、立地条件をいろいろ調べてまいりますと、国立公園の中につくるのが一番いいのではないかと言われております。そうしますと、あの風を受けたときの羽の騒音、またそれを送る送電線、そういうものを国立公園の中に立てて、それを送るということがいいことなのかどうか。また、クリーンエネルギー自動車という形でありますけれども、実際、自動車で一番よく使われているのは自家用ではなく営業用だ。営業用の自動車にどれだけの強制力というのですか、例えばトラック一つにしましても、全国の運送業者にこれを使えよと言いましても、後ほどの議論になりますコストの問題、また馬力の問題、かえってそこに働く人の労働条件というものが今度はきつくなるのではないかというふうなことも考えられております。  まず、この政令というふうなものをどうしていくのか、そしてその上での基本方針というものをどう決定していくのか、そして、環境庁、運輸省それぞれ、今私が申し上げた点を含めてこの問題にどう取り組み、最後にまたもう一度通産省がどういうふうに調整していくのかということをお聞かせいただきたいと思います。
  18. 江崎格

    江崎政府委員 この法案対象といたします新エネルギーでございますけれども、これは、石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律、いわゆる代エネ法と言っていますが、この法律に規定します石油代替エネルギーのうち、特に経済性の面の制約でおくれているもの、かつ本法に盛り込んでおりますいろいろな措置によりまして相当導入が見込まれるものを定めるというふうに考えております。  具体的に申し上げますと、太陽光発電ですとかあるいは風力発電、それから廃棄物発電クリーンエネルギー自動車、主としてこれは新エネルギー導入大綱に盛り込まれたものでございますけれども、こうしたものを中心に政令で指定するということを想定しております。  いずれにしましても、この法案支援対象にします新エネルギーでございますが、これは外縁は今申し上げましたように代エネ法によりまして規定されているわけでございまして、その中から、政府として国民の理解の得られるものを政令として指定していくというふうに考えております。  それから、今おっしゃられた基本方針について、関係の環境庁あるいは運輸省さん、その他各省が絡んでいるわけでございますが、おっしゃるように、例えば風力発電ですと、自然公園の中につくるという場合に、音の問題とか景観の問題、いろいろあると思うわけでございますが、そうした各分野からのいろいろな要請を踏まえながらつくっていくということで、基本方針をつくるときには各省に協議をするということになっておりまして、その上でいろいろな配慮をなされた適正な基本方針をつくっていくということでございます。  それから、新エネルギー導入ということになりますと、とても私どもだけでは間に合わないわけでございまして、今先生のおっしゃいました運輸省さんとかあるいは建設省とか、各省の御協力を得る必要がございます。そういった意味で、各省が協力してこの基本方針を最終的につくっていくという体制を今度の法律ではとったわけでございます。
  19. 下均

    ○下説明員 先生指摘の国立公園等を初めといたします自然公園でございますけれども、これは、すぐれた自然の風景地を保護するとともに、自然との触れ合いなどのためにその利用の増進を図る、そういうことから指定されている地域でございます。  これらの自然公園は、景色のいいところを指定するという関係がございまして、山岳地でございますとか海岸部でございますとか、そういった地域を多く含んでおります。一般的にこれらの地域は強い風が吹くことが多いと思われますので、風力発電の適地と重なるということも多いのではないかというふうに考えられます。しかしながら、そうした山岳や海岸といいますのは、風景を守るという立場の自然公園の側から見ますと、保護上重要な場所として位置づけられている場合が多いと思っております。また一方では、風力発電といいますのは、二酸化炭素でございますとか窒素酸化物でございますとか、そういったものの排出抑制という点で地球に優しい発電方式であるという側面がございまして、そのことも念頭に置く必要があるかと考えております。  そうした中で、仮に自然公園の中で風力発電施設が計画された場合にどのように調整を図るかということでございますけれども、どのような場所に、規模でございますとか、どういった内容の施設が計画されるかということが問題でございます。私どもといたしましては、具体的な施設の計画内容と、計画地の自然環境でございますとか公園利用上の特性を踏まえながら個々に判断すべきと考えておりますけれども、その際には、すぐれた自然の風景地の保護ということを基本にしながら、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  20. 柚木治憲

    ○柚木説明員 お答え申し上げます。  委員お尋ねのクリーンエネルギー自動車普及促進についてでございますが、私ども運輸省といたしましても、新エネルギー利用促進に当たりまして、クリーンエネルギー自動車普及促進というのは非常に大きな柱であるというふうに考えております。  先ほど御質問のございました新エネルギー法基本方針等の策定に当たりましても、車両が高いとかあるいは性能面の問題とかあるいは燃料供給施設の整備状況等々いろいろございますけれども、そういったもの、あるいは運輸事業の実態というものに即しまして、どういうふうにすれば一番効率的、効果的にクリーンエネルギー自動車導入普及が図れるのかという観点から、私どもいろいろ通産省あるいは関係省庁と協議いたしまして、適切な内容のものにしてまいりたいというふうに考えております。
  21. 吉田治

    吉田(治)委員 今の両省のお答えを聞いただけでも、非常に苦慮されているという感じなんですね。これは閣議決定で基本方針という形になると、悪い言い方で言えば、縄張り意識というのですか、おれのところはこうなんだということが非常に出てくるんじゃないか。  それで、一番最初私は大臣に、なぜこの時期にこの法案なのかという質問をさせていただいたわけでありまして、法案が出てくるまでにこれはいろいろ経緯があるかと思いますけれども、もうちょっとその辺の、今エネ庁の長官が言われたように、今のところこれだけ四つを考えていますという、その四つにかかわる部分ぐらいは、この委員会の答弁のときには、いやもう調整がついておりますとか、いやもうこういう形になるのですとか、調整機関ができておりますとかいう答弁があって初めてこの法案が出されるべきものではなかったのかなという感じを私は強くいたしております。  また、今の新エネルギー、四つということですけれども、やはりこの新エネルギー推進というのは、ある意味で反原発運動とのリンクというふうなものがあったり、既存電力ネットワーク設備からの供給だとか、また需給構造というふうなものに対して、例えば電力一つとりましても非常に影響が大きいんじゃないか。その中で、LNGであるとか原子力等の開発にもやはり手を抜かない、ある意味でベストミックスというふうなものをやはりここでもう一度私は再確認というのですか、それもしっかり進める。その上での新エネルギー導入促進だというふうなことを私は考えているのですけれども、その辺、長官どうお考えでしょうか。
  22. 江崎格

    江崎政府委員 エネルギー政策を進める場合に、エネルギーセキュリティーというのが非常に大きな指導理念の一つになっているわけでございます。  そういうことを考えますと、今御提案申し上げております新エネルギーのほかに、まず大前提として省エネルギーを最大限やる。それから、供給面におきましてはいろいろなエネルギーを適切に組み合わせていくということでございまして、今先生の御指摘のございました天然ガスですとかあるいは原子力ですとかあるいは石油、こういった既存のといいますか、大型のエネルギーも適切に組み合わせるということが必要かと思います。  それから、その中で新エネルギー、これも環境への負荷が非常に少ない再生型のエネルギーということでございまして、これもコスト面の制約をなるべく早く克服して導入するということを一方においてはやるということでこの法律をお願いしているわけでございますが、この新エネルギーだけで日本全体のエネルギー供給を賄えるわけではございませんでして、今申し上げましたいろいろなエネルギーを適切に組み合わせて、エネルギーセキュリティーの問題、あるいは環境負荷を極力軽減する、こういったことを考えながら進める必要がある、このように考えております。
  23. 吉田治

    吉田(治)委員 まさに長官言われたとおり、新エネルギーだけで賄えるものではない。しかし、マスコミ報道等では、非常にエネルギー供給が取ってかわられるかのごとくの報道も一部にはございます。それには、目標というのですか、いろいろな資料に出ております期待値というのですか、シミュレーションというのですか、そういうふうなものが大きな影響を持っているのじゃないか。実現性と費用対効果というふうなものをここへ本当に織り込まれているのか。  例えば、私どもの手元にある資料というか話では、二〇三〇年、八千万キロリットルが節約できる。計算していきますと、太陽の日差しのいい家の二軒に一軒は太陽光発電をつけなければこれは不可能ではないか。また、風力発電機は一万機になる。これは現在の費用からすると三十兆円もかかってくる。これは、新エネルギーというふうなものから産業、新しいビジネスチャンスを考えられている方々にとっては非常に期待を持てる数字であり、このごろ急に太陽光発電がテレビCMされるような時代でございますので、どうもこのシミュレーションの現実性というのですか、そういうものが先走っているのじゃないか。  例えば、一番最初に申し上げましたCOP3に対して、CO2の発生量という部分でも、なるほど火力発電に比べたら発生量は少のうございますが、原子力に比べたらまだまだ太陽光発電のCO2発生量は低くないというふうな事例もございます。  これが一つ質問で、もう一つ質問は、では、今長官が四つ言われた事例で超電導というふうなもの、あれほど大騒ぎをされ、一部電車等々で使われておりますけれども、超電導というのも一つの有望なエネルギーではないかと思うのですけれども、その辺の見通しというもの、あわせてこの二つ、今どういうふうにされているのか。  悪く言えば、これは五年たち、十年たったときに、やはりエネ庁が出した目標というのはオオカミ少年だったね、やはり役所の言うことは信用できないね、甘いねという結果にならないためにも、しっかりした答弁をちょうだいしたいと思います。
  24. 江崎格

    江崎政府委員 最初先生の御指摘になった長期のシミュレーションでございますが、これは二〇三〇年を目指して、昨年、総合エネルギー調査会の基本政策委員会という場で議論をするための参考として出していただいたものでございますが、確かに、新エネルギー導入するということになりますと、相当いろいろコストがかかるということを示しております。これはむしろ、そのぐらいの市場規模が生ずるということを申し上げるよりは、そのぐらい新エネルギー導入というのはコストがかかるものです、ですから、新エネルギー、新エネルギーといって、いわば夢のように言われていますけれども、これはなかなかコストもかかる。  それから、前提で今一つ、二軒に一軒とおっしゃいましたけれども、率直に言いまして、かなり非現実的なようないろいろな前提を置いて、それでもあのぐらいしか導入できないということでございまして、申し上げたかったことは、つまり新エネルギー導入といってもそう簡単じゃなくて、いろいろ問題があるのです、克服すべき課題があるのだということを国民の皆さんに理解をしていただきたいということで、ああいうシミュレーションを出したわけでございます。  それから、超電導でございますが、これは依然として工業技術院の傘下の研究所等で研究開発をやっているわけでございますが、現在、超電導は、一つは電池として、もし開発されれば非常に有効性が高いということで、そういった方向の研究がなされているということと、それからもう一つは、発電として超電導が利用できないかというようなこととか、それから送電の技術に使えないかというようなことで今研究がなされている最中でございまして、まだ実用化に至る段階にはもちろんなっていないわけでございますが、引き続き研究をしていくという状況でございます。
  25. 吉田治

    吉田(治)委員 長官、先ほどから経済性に問題があるからこの法律をと、コストの部分が非常に高いということを随分強調されておられます。  これは二つ方法があると思うのですね。コストをだれかが面倒を見る。多分この法律の趣旨の一つにそれがあると思います。もう一つは、コスト自身をどう下げていくか。そのためにここの法律に盛り込まれているような助成策というのですか、そういうふうなものを入れていくというふうな両面が私はあると思うのです。  これから後の質問は、この両面それぞれについて質問をしていきたいと思うのですけれども、まず、再生可能なエネルギーについては、他のエネルギーに比べまして本当にコストが割高だ。一つは、今言っておりますように政策的な補助金、またもう一つは、電力会社による買い取り制度というふうなものを維持せざるを得ない状況にあるのではないかなと私は思っております。この新エネルギー利用発電、太陽光また風力における余剰電力の引き取りというようなものにおいて、認定事業者や地方自治体の取り組みについて、自家用以外の利用にも地域電力会社による引き取りが本当に大きくかかわってくると考えられております。  現在は太陽光発電風力発電からの余剰電力については、電力会社によるユーザーごとの電力料金単価によって購入がなされているというのはもう自明のことでありますし、当面このような引き取り協力に期待することとなるであろうということですけれども、他方、前回の質問でも取り上げましたように、最近の通産大臣の発言に見られますように、電力会社には国際価格並み、これもちょっと為替のマジックという部分があって、果たしていいのかどうか、購買力平価ということをよく使われますけれども電力料金の国際価格並みの実現というのが強く求められ、国としても経営の効率化等の努力を強く求めているところである。  新エネルギー普及は、電力会社にとってもこれはメリットも少なくなく、また購入電力量も少量である現在においては、その負担は当面は私は大きくないと考えられます。しかしながら、長期的には、高コスト余剰電力の引き取りと経営の効率化の要請というふうなものを考えていったときに、これは両立できるのかな。片一方は電力料金を何とか安くしろ、しかしながら片一方はエネルギーセキュリテイーだ、環境という問題でこれを引き取れ。  そうしますと、最終的にはこれは電力料金への転嫁という視点も出てくるのか、はたまた税金なり財政的な部分での負担、これはもう国民が広く一般的にわからないところで負担していくという方向なのか。ある意味で、これは国民間の合意というものも必要ではないかなと思っております。電力料金の引き上げは産業の空洞化を拡大するということも懸念されておりますし、また引き取り協力の拡大が地域の一般電力ユーザーの利益につながるのかという非常に強い疑問も正直持っているところでございます。  今長官、今後の飛躍的な、取ってかわるほどの量の拡大はないと言われましたけれども、新エネルギーの飛躍的発展、導入量の拡大というのをやはり望むとするならば、私が先ほど指摘いたしました一番目の点、余剰電力の引き取りについての考え方というのを私は明確にしておく必要があるのではないか。その辺のところを通産大臣、どういうふうにお考えなのか、お聞かせいただきたいところです。
  26. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今いろいろな質問がございましたが、私に対しては、まず、今通産省として、また政府として言っている経済構造改革、これとの絡みをおっしゃったと思うのですが、これは何といっても世界が一体化してきた、そのために日本産業の空洞化現象、これが起きてきた。片一方では少子・高齢化社会、こういうことで経済の活力が失われてくるだろう。こういうことでもって六つの構造改革ということを言い出しましたが、その中において、経済構造改革においては、その二つのために、要するに高コスト構造というものを是正していこう、あるいは規制緩和をして空洞化を防いでいく、やはり国際的に比較して条件をそろえることによって空洞化も抑え、また新しい産業を生み出していこう、こういう発想でございます。  そこでもって高コストの中でやり玉に上がっているのがまず物流関係、外国に比べてあれだ。もう一つエネルギーでもって、電力、これがやはり外国と比べると高いということで、二〇〇一年には欧米並みにしよう、こういうことなんですね。  そこで、一体何が高いのか。いろいろな理由がございますが、一つはやはり負荷率ですね。これは、日本の場合には、御案内のごとく、夏の一番電力消費の多いときに合わせて設備を全部つくるということで、冬場なんかの場合にはあいてくる、こういう問題でございます。これがやはり著しく違う。そしてそれをまず中心にやっていこうということで、そこでもって欧米とそろえていこうという考え方でございます。  そのときに一番ネックになるのは、今おっしゃるように、電力会社の方としてはなかなかやはり難しいということに挙げるのが、今の問題と同時に安定供給ということなんだ。これが自分たちには課せられているのだ。安定という中にはもちろん安全も入りますし、いわゆる質のいいということ、こういうことを言いますね。そういうことからいくと、今の新エネというものがなかなか使いにくい、こういうことを言っていることも現実であります。  そこでもって、今度の法律の趣旨というのも、まだまだ新エネというものは国民に対して理解されていない。これが導入できない最大のネックは、コストが高いという一語に尽きます。これはもちろん、だから技術開発をしなければいけません。今御指摘のような超電導なんというものも、技術、これもやはりしていって、そして風力でも太陽光でも、いわゆる使用する場所ではない、利用する場所でないところでつくったものを持ってくるという、貯蔵というか、こういうふうな電池、これを開発するためには超電導というのは絶対必要でございますが、これも率直に言って、私自身もみんなと話をしている中で、それならばうんと予算をかけたら超電導の開発は一気に進むのかといったら、そうはいきません、やはり技術開発というのはある程度年数がかかるのです、こういうことであります。そういうことからして、これに力を入れる。  そして何といっても、今のコストが高いというのに関しては、そうした施設を提供する方から見ると、あれは開発費もかかることながら、その普及に関して数が少ない。これを一般の人に普及することに関して、今度もこの法律の中には事業者とそしてまた利用者に対して援助する、こういう項目が入って、これでもって広めていこう。そして最終的には、今長官から話がありましたように、電力に関してはベストミックスという言葉がありますが、いろいろなものを織り合わせて、そこでもって言うまでもなく経済成長エネルギーの安全、需要の安定また環境の保全というもののバランスを持っていこう、こういうふうな考え方でございます。
  27. 吉田治

    吉田(治)委員 私の言い方が悪いのか、ちょっと大臣の答弁、全然私の質問の答弁になっていないような気がするのですけれども、私がお聞きしたかったのは、余剰電力の引き取りについて、それは電力会社にとって負担なのかどうか、大臣並びに通産省としてそういう検討はなされているのかどうか、その辺はどうなっているのかということを私は最終的にお聞きをしたがったということですので、答弁のほどをお願いしたいと思います。
  28. 江崎格

    江崎政府委員 現在、新エネルギー導入するための施策というのは、先ほど来御議論がありましたような、コストを下げるための技術開発ですとかあるいは初期需要を創出するためのいろいろな補助措置といったようなことでやっているわけでございまして、そういった意味では、電力料金というよりはむしろ税といいますか、そういったことで負担をして、新エネルギー導入を図っていくということかと思います。  それから、電力会社が従来から余剰電力購入メニューということで、新エネルギーにより得られる電気を自主的に購入しているわけでございますけれども、高い新エネルギーを買うので電力料金を上げてほしいという申請は今までもございませんし、それから我々もそういった理由でこれからも値上げを認めるというようなことはないというふうに考えております。  ですから、今の新エネルギーコスト現状ということを考えてみますと、やはり各施策コストを下げるということに努めるべきでありまして、電力会社の購入というのはあくまでも自主的といいますか、電力料金にはね返らない範囲で、つまり無理なく、あるいは電力会社合理化で吸収できる範囲といいますか、そういった範囲にとどまるのではないかと考えておりまして、それを超えてまで、例えば国が強制的に購入を義務づける、購入の量を増大させるということは、今のコスト現状考えると適当ではないのではないか、このように考えております。
  29. 吉田治

    吉田(治)委員 今長官そうお答えいただきましたけれども、本法の基本方針においては、新エネルギー利用等のために、エネルギー供給事業者、つまり電力会社等が講ずべき責務が定められることになるわけですよね。そうなってきますと、長官言われたように、コストを何とか吸収して頑張ってくれよというふうな負担協力を今されたと思うのですけれども、では、実際電力会社を含めてエネルギー供給事業者が講ずべき責務というものをこれから定めていく、その責務の規定というふうなものはどのような内容となるのか、その所存というものをちょっとお伺いしたいのです。
  30. 江崎格

    江崎政府委員 端的に申し上げますと、あくまでもこれは努力をお願いする規定でございまして、義務とかそういうことではございませんので、全体に新エネルギー導入を図りたいという政策目標に沿って極力購入をふやしていただきたいという気持ちは私どもございますが、先ほど申し上げましたように、料金にはね返るような形にまで量的にふやすとか高い料金で買うということまでお願いするのは難しいというふうに考えておりまして、そういう考え方で基本方針などを定めていきたい、このように考えております。
  31. 吉田治

    吉田(治)委員 長官の答弁を聞いておりまして、非常に残念だな、規制緩和を進める省の長官が言われることかなと。つまり、今言われたことはどういうことかというと、国が助成していくのか、電力料金で負担していくのか、諸外国の対応例も少なくない中で新エネルギー導入拡大を望むならば、この件について、協力とお願いと努力というふうな、ある意味ではあいまいな形態で結論を先延ばしにしていくということは、好ましいことではないと考えるのですけれども、この辺はどうなんですか。公益事業者であり、通産省の施策協力を惜しまないだろうという発想と規制緩和というふうな発想、両方考えたら、古いというのか、ちょっと言われていることとやっていることが違うんじゃないかという感じがするのですけれども、その辺はいかがなんでしょうか。
  32. 江崎格

    江崎政府委員 先ほど来から議論がありますように、新エネルギー関係の発電コストというのを見てみますと、通常火力発電、そういったものに比べてまだまだかなり割高でございます。そういった現状を踏まえますと、電力会社に対して一定の購入量を義務づける、その結果として電力発電コストが高くなる、場合によってはそれが料金にはね返る、こういったことは今の状況では避けるべきだというふうに考えておりまして、むしろ当分の間は予算措置等によりまして、あるいは税制措置などによりまして極力新エネルギーコストを下げるという方向に私ども政策の重点を置くべきだというふうに考えております。  電力の購入量につきましては、あくまでも電力会社が自主的に対応していただく、こういった範囲にとどめるべきだというふうに考えております。
  33. 吉田治

    吉田(治)委員 そういうことだと思うのですね。例えばアメリカのカリフォルニアなんかにおきましては、電力会社の引き取り義務づけということをすることによって、今長官懸念されたように、電力料金が非常に値上がりをした。そうしますと、こんなところで工場をやっていられぬわということで、工場がカリフォルニア州の外へ出ていった。まさに大臣指摘されたように、産業の空洞化というのが、何も日本国内から海外だけではなく、電力一つを取り上げても、アメリカ国内でもこのことが起こっている。環境と産業というふうなもの、そしてエネルギーセキュリティーというものの連関というのは非常に難しいところですけれども、そうならないようにしていく取り組みをしていかなければならないというふうなことを私は強くここで申し上げておきたいというふうに思います。  ただ、くどいようですけれども、もう一度申し上げたいのは、本当に体力のある電力会社というふうなもの、今のところ電力会社というのは体力がある、今長官も言われたようにいろいろコスト削減等をやる、そこへの負担だけで、お願いという発想というふうなものでこれからも続けていくということに関しては、この新エネルギー導入促進法においてはもう少しお考えをしていただかなければならないのではないかなというふうな感じがしていると同時に、長官は今、再確認ですけれども電力料金というよりも税金もしくは財政的な部分でこの新エネルギーに関する負担を吸収していくというふうなことで理解をしてよろしいのでしょうか。     〔委員長退席、小川委員長代理着席〕
  34. 江崎格

    江崎政府委員 基本的にはそういうことでございます。  ただ、非常に厳密に申し上げますと、こうした新エネルギー導入のための各種の施策の財源として何を充てているかといいますと、電源開発促進税というものの一部を財源に充てております。御承知のように、これは電力料金に上乗せの格好で電力のユーザーから徴収しているわけでございますから、そういった意味では一部税金がこれに充てられているという理解も可能かと思いますが、その財源からこうした国の措置によって新エネルギー対策をとっているということでございますから、料金か税金かという非常に大まかなくくりでいえば、税金で対策をとっている、あるいはとるべきだ、このように考えております。
  35. 吉田治

    吉田(治)委員 それでしたらそれで、もう少しこの議論の前提というかそういう中で、国民のコンセンサスということからいいましたら、やはり税金を使わざるを得ないんだよというふうな部分をもっともっと強調して言っていただきたいな。  先ほどNEDOの問題を少し取り上げるというお話を申し上げましたけれどもNEDO事業者に対する債務保証を行う、今までしてきたからこれからも債務保証するんだよと。政府全体として、大臣特殊法人見直し自身、総務庁長官が、あの特殊法人は党内議論が終われば廃止の方向で行くとか統廃合するとかいろいろ発言をされている中で、新たにこういう特殊法人に債務保証というふうな業務を与えるということ、私これは先ほど長官の、昭和五十五年、代替エネルギー法のときにできたNEDO、いい意味民間の活力と官の力をということを前提とされたと聞いておりますけれども、この研究開発を主体とした機構が、こういうふうなことで債務保証という形で金を借りに行ったときの連帯保証人になるというのは、これは本来の業務かどうかというそもそも論から私は始めたいというふうな感じも受けておるところです。  また、もう一つ言えることは、これは個人名を申し上げません。しかしながら、NEDO理事長を務められている方は通産のOBであり、なおかつ参議院議員選挙に立候補されて落選された方だ。私たちのように、ほとんどの議員がそうかと思いますけれども、あるところから国会へ立候補した、もう退路を断ってですよね。出て負けたら、ひょっとしたら借金だけが残って一家は夜逃げをしなければならないかもしれないという中で立候補する。しかしながら、役所のOBというのは、立候補して落選したらまたこういうところが待っているよと。  党内の議論の中で、通産省の方にまたエネ庁の方に、このNEDOを含めた特殊法人の役職者の前職並びに給与、そして通勤形態、つまり電車で来ているのか、車で送り迎えがあるのであれば、それは自家用車なのかハイヤーなのかタクシーなのか、そして週に何回勤めているのか、勤務形態、そしてその人は専用の部屋を何平米持っており、秘書がいるのか、いる場合ならば、それは管理職なのか女性のアルバイトなのか、そして退職金は幾らなのかということをこの特殊法人見直し前提として出してくれ。いや、党内の商工担当の方と相談の上でということですけれども、私は、NEDO一つをとっても、その役職者にそういう方が入られているということだけでも、これはちゃんとそういう資料が出た上での特殊法人見直しでなければならないというふうに感じているところですけれども大臣、もう一度このNEDOを含めた特殊法人というふうなものに対する考えと、そして事務方の方には、NEDOが債務保証するということが本来業務なのかどうか。そして三点目は、今申し上げました、私どもが資料提出をお願いしている、要請している、出せと言っていることについてどう対応するのか。この三点についてお答えをちょうだいしたいと思います。
  36. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 まず特殊法人見直しということ、これは今度の橋本内閣においても避けて通れない問題だというので、委員御存じのように、今特殊法人全般というものの見直し、この作業に入りつつあります。  基本的には、見直す中においては、それを民間に移行できるもの、もう一つは、やはりその業務内容というものを徹底合理化するというか簡素化する、スリムにする、それでその法人をつくったときの原点に戻るというものと、それから三番目には、もう役目が終わったんだからそれを廃止する、またほかの方と統合する、三つになると思うのです。それを今作業を進めております。私自身は、これに関しては聖域がないということで取り組んでまいるというのがまず私の基本的な考え方です。  その中でNEDOという問題の御指摘がございました。これは私が言うまでもなく、御案内のように、昭和五十五年でしたか、そのときの第二次石油危機ということの教訓、これを踏まえて新エネルギー開発の中核的機構ということで、時代に合わせて業務を追加、追加と来たわけなんです。  そこで、先ほどちょっと申したように、大分中身が肥大化しているんじゃないだろうかと。先ほども委員から御指摘のように、石炭の液化のプラント、これも私自身、この当初からこれに関係したと言ってはおかしゅうございますが、当時として大変これには興味を持ったのです。というのは、当時は石油が中東を初めとしてもう天井知らずというか上っていくということで、何とかこれに対するセキュリティーとして、対抗手段ということで、当時石油がたしかバレル三十四、五ドルまで上がったんじゃないだろうか、さらにこれが四十ドルまで上がるというときなんですが、そこでもってこの問題。  ところが当時は、それでも、やはりやっても三十七、八ドルになるということでした。しかし、三十七八ハドルでも、これで一応頭打ちできるなということでしたが、その後、石油の状態が落ち着いてきた、変わってきたということでございます。そういうことからいって、こういう方面はやはり既にもうプラントが動き出しているということでございます。  それから、今の債務保証の話でございますが、やはりこの中で、エネルギー政策の転換によって非常に炭坑の閉山というものが相次いでまいります。そういうところの債務、これを肩がわりするという方でもNEDOが活躍している。こういうことで、実は債務負担に関しては、これだけではなく一般的な公共事業その他がございますので、これはやはり財政改革という方面において、財政構造改革の方においてこの債務保証というものが五年がどうかと、こんなことが実はこれからの議論になってくるのではないだろうか、かように思っています。
  37. 江崎格

    江崎政府委員 NEDOの債務保証業務の追加の点でございますけれども、新エネルギー開発とか導入につきましては経済性の面でまだ制約がございまして、民間にゆだねておきましてもなかなか進まないという事情がございます。そういったことから、NEDOの業務の一つの柱としてこの新エネルギー開発とか導入というのをやっているわけでございますけれども、この法案におきまして、事業者による新エネルギー導入の一層の促進を図るということから、事業者に対する債務保証などの事業NEDOの業務として追加するということにしているわけでございますが、この業務につきましても、現状では非常にリスクが大きいということで、民間部門の実施が難しいという判断でございます。したがいまして、これまでと同様にNEDOにおいて実施することが適当である、このように私ども考えているわけでございまして、行政改革の趣旨に必ずしも反するものではないというふうに思っております。  それから、資料の点でございますが、先生の御指摘の役員の処遇の問題などにつきまして、現在資料がございませんが、後ほど先生のところに御説明に上がるというつもりでおります。
  38. 吉田治

    吉田(治)委員 まさに今長官、リスクが大きい、経済性の問題と。  それで、先ほど指摘しましたように、それからあと二点目なんですけれども、新エネルギー自身の導入コストをどうこれから下げていくか。これは今は量が少ないから一つ一つが高くなる。自動車が戦後急速に普及してきた過程というふうなのとできるだけ同じような過程、多分自動車初期に入ってくるときには、海外から入ってくる自動車について関税をかけ、国内産業を育成しという、まさにそれとある意味では同じような手法をとっていかなければならない。  そうしますと、じゃ現在拡大していくというのはどこかというと、ここでも、法にもうたわれております地方公共団体であり、認定された事業者だというふうな形になりますと、これをふやしていくという必要がある。そうしますと、地方からやはり地域振興という形で、先ほど国立公園のお話を申し上げましたが、やはり地方からすると、国立公園で自然がきれいだというだけではなく、その中に、風車というんですか、風力発電の機械が何基もある、そういうさっそうとした光景を一つの観光事業の方向に持っていきたい、それで人を集めたい。  そして二つ目は、その結果できた余剰電力については、これは先ほどの議論になるのですけれども、また電力会社に買ってもらいたい。そうすると、地域としては二つの部分で非常にいい。昔はやりました村おこし、今もされておりますけれども、そういう部分においては非常に期待をされている、地方からの期待が非常に大きいと私は考えるのです。また、その期待にこたえることによって全体のコストが下がっていくと思うのですけれども、その辺については、エネ庁として、何らかの検討、また地方の声というふうなものを聞いて、今生かそうとされているのかどうか、お答えをちょうだいしたいところでございます。
  39. 江崎格

    江崎政府委員 こうした新エネルギーといいますか、分散型のエネルギー、これの導入ということを考えますと、地方公共団体の役割が大変大きいものだというふうに考えております。それから、今おっしゃいました観光資源として活用する、こういったこともあるわけでございまして、その意味では実際に私ども期待することは大変大きゅうございます。  今回の、平成九年度に私どもお願いしております政府の予算案でございますが、そこで、地域の公共施設とかあるいは事業者とか住民に対しての新エネルギー導入を先進的に推進しようということをお考えになっている地方公共団体に対しまして、導入費用の補助ですとかあるいは広報活動に対する補助といったようなことの新しい制度を創設するということをお願いしております。  こういったことによりまして、地方自治体の活動を今まで以上に活性化していきたい、このように考えておるところでございます。
  40. 吉田治

    吉田(治)委員 まさに、地方自治体も含めて、この新エネルギーというふうなことを広めていく。今あることを広げると同時に、何といいますか、今の助成策を見ていますと、やはりプラント中心というのですか、箱物とよく言われますけれども、機械をどう広げるかということと同時に、やはりこれに関する技術開発の充実強化というふうなものをあわせて研究開発もしていかなければならないと私は思うのですね。そうすることによって、機械自身もより効率的に、より安いものができていくというふうなことになっていくと思います。  そういう中において、各認定事業者に対する助成策、現状では、助成を受ける方の考えは、どうも風力発電というのはペイしそうだな、つくれば電力会社が買ってくれそうだ。国内では技術開発という部分では弱いので、今進んでいるアメリカからそれを輸入しようという輸入業者の動きというのも非常に出てきていると思います。  こういうエネルギーセキュリティーという問題からすると、輸入も大事ですけれども、国内でのそういう技術開発も必要ではないかと思うのですけれども、二点目として、こういう現状されている事業者への助成措置の内容の効果というものを今どう図っているのか。そして、この法律ができて、来年度、再来年度以降の助成策、私はやはりより一層の助成が必要だと思います。しかし、これは税金を使うことでもありますので、厳しいながらもより一層のという前提をつけたいと思うのですけれども、この辺の予定というふうなもの、今はどういうふうに検討をされているのでしょうか。
  41. 江崎格

    江崎政府委員 新エネルギーに関係する事業者でございますが、通常石油代替エネルギーですと、天然ガスとか原子力、こういったものはいわゆる大事業者がやっているわけでございますけれども太陽光発電とか風力とか、こういったものを考えますと、事業者は必ずしも大企業ばかりではございません。  したがいまして、支援策としまして今回の法律に盛り込んでおりますのは、先ほど御議論のありました債務保証、それから無利子融資の期間を少し延長するとか、それから中小企業の投資育成会社の対象の範囲を広げまして、一億円を超えるものでも出資の対象にするといったようなことを考えておりますし、それから予算措置でも、認定事業者に対して設備の三分の一を補助するといったようなことを考えております。  こういった一連の施策、いずれも新エネルギー導入をして事業を行うという場合に、必ずしも事業の確実性ということから資金手当てがなかなか円滑にいかないという問題があるものですから、今申し上げましたような各種の施策考えているわけでございますが、これによりまして、資金手当ての円滑化ということが相当進むのではないかというふうに私ども考えておるところでございます。
  42. 吉田治

    吉田(治)委員 今、現状は、国内で広げることですけれども、やはり大量にということで考えていきますと、電力の未整備地域、特に開発途上国にODAをして、向こうで産業を興させよう。電力をやると、つい火力発電所だとかそういう大きなものを持っていく。そうすると、その結果、その地域の環境悪化を招くというふうなこともあります。  できれば私は、この新エネルギーというふうなものの技術、そういうふうなものを、国際的な研究開発、技術協力をすることと同時に、ODA等を使ってこういう開発途上国に広げていく。やはり大量生産、大量消費という日本のあり方が今、変革を求められているときに、アジアの経済発展だということでアジアに同じことをしに行くというのは、果たして一歩先を行くと言われております我が国のとるべき態度なのかどうか。現実の新エネルギー導入コストダウンと同時に、開発途上国が、私たちがしてきたような、反省して間違えたと思うようなことをしないような施策ということからも、ODAを使った、まあ使わなくても結構ですけれども、こういう海外の電力未整備地域への技術供与、もしくはプラント輸出というのですか、そういうふうなものが必要だと思うのですけれども、その辺の国際的な考えというふうなものを今どういうふうに取り上げられ、検討なされているのでしょうか。
  43. 江崎格

    江崎政府委員 途上国に新エネルギー導入するのを日本政府として協力する、これは大変重要なことかと思っておりまして、実は既に、八〇年度以来、ODAなどによりまして、パキスタンとかタイとかインドネシア、こういった国で、電化をしてない村におきまして太陽光発電導入するといったような協力をしております。  具体的に申し上げますと、村落集中の電化ということで、パキスタン、タイ、インドネシア、キリバス、こういったところでやっておりますし、それから、無線の電線網の電源として使うというようなことをネパールでやっておりますし、それから、インドネシアにおきましては、ディーゼルとか水力と組み合わせた複合発電ということで太陽光発電導入をやっております。それから、NEDOの方でも国際共同実証研究ということをネパールとかモンゴルとかタイ、マレーシア、こういったところで既に始めているところでございます。今後ともODA等を活用しましてこうした動きをさらに充実していきたい、このように思っております。
  44. 吉田治

    吉田(治)委員 本当に環境の問題、エネルギーの問題というのは、日本だけではなく世界じゅうの問題だと思います。  ちょっと、最後、時間が残りましたので、エネルギーということでいいますと、電気事業法が改正されまして卸発電等々が行われるようになりましたけれども、いろいろ学んでいきますと、やはり電力会社の持っている供給義務というのですか、これについて、そろそろ戦後五十年がたち、規制緩和、自由化という流れの中で、見直しというか検討すべきときに来ているのではないかなという感じを私は受けておるのですけれどもエネルギーというふうな中、また電力事業という中で、供給義務の見直しというふうなもの、これはどこかの審議会でなされているのか、検討されているのか。単に私たち議員が勝手に、あなたたち思っているのねというだけで終わるのか。その辺、今どういうふうな現状になっているのか、ちょっとお答えをちょうだいしたいと思います。
  45. 江崎格

    江崎政府委員 大変難しい問題でございますけれども電力というのは貯蔵も困難でございますし、それから設備も大変膨大なものを要するということでございますので、電気事業を全く自由競争にゆだねるということにした場合に、安定かつ低廉な電気を供給するということについては、ちょっと支障が生ずるのではないかというふうに思います。  したがいまして、電気事業法というのは、御承知のように、電力会社供給区域を設定しまして、その区域内での単独供給を認める、そのかわり、その供給区域の需要家に対する供給義務を課しますし、それから、その契約条件というのは国が認可してチェックするという体制になっているわけでございます。  どういった電力供給のシステムが望ましいかということでございますが、これは、実はつい最近も大臣の指示によりまして電気事業規制緩和のあり方などを欧米に勉強に行くということで、既にヨーロッパには行ってきているわけでございますけれども、こうした勉強を進める際に、これからも電力の需要の増大をどういうふうに見るかとか、それから、国民生活に不可欠な、基礎的なエネルギーの安定供給の必要性をどう考えるかとか、あるいは炭酸ガスの排出抑制といった環境への配慮をどう考えるか、こういうことから電源の構成の問題をどう考えていったらいいのか。  それから、もちろん、現在空洞化の一因と言われておりますコストという点で、電気事業におけるコストの削減のあり方をどう考えるかということをいろいろ考えてきたわけでございますが、その中で、今の供給義務といいますか供給責任、この問題も今後真剣に検討していきたい、このように考えております。
  46. 吉田治

    吉田(治)委員 私がるる質問の中で申し上げてきました電力会社電力料金での負担云々という話、規制緩和のやり方に逆行するのではないかというのは、まさにここなんですよね。供給義務というものが電力会社に課せられている。  そうしますと、大臣も国際価格云々、負荷率が云々という話をされましたけれども電力会社にはやはり供給義務があるからこそ、それをクリアしなければならない。そうすると、普通の民間企業から考えたら、あれは余剰じゃないかとか、ああいうやり方はどうかねということまでしなければならないということですので、ぜひとも供給義務というふうな問題については、今長官も言われたように、そのあり方を含めて、このまま存在させるのか廃止するのかを含めて、真剣に御検討をしていただきたいということを申し上げたいと思います。  そして、最後になりましたけれども、昨今、電気料金、円安という形になってきますと、燃料費調整制度で、言っておりましたとおりやはり料金が値上げの方へ見込まれてくる。きょうはその議論をする場ではございませんので、ただ、次回、今後エネ庁また電気事業連合会、地元電力会社等々で私はさせていただきたいなと思うのは、電気事業法の改正のとき、私はあのときの質問でうまくエネ庁の長官にはぐらかされたなという中に、原価変動調整積立金という、この議論を私はあのときにもつとしておけば、今度の国際価格云々、電力価格云々という問題にもっと切り込めたのになと今反省をしておりますので、これからも原価変動調整積立金制度というふうなものの持つ意味、そしてそれがどういうふうに電力料金に影響し、電気事業に影響を持っているのかということを勉強していきますので、そのときはしっかりそっちも頑張ってください。  以上で終わります。
  47. 小川元

    ○小川委員長代理 次に、渡辺周君。
  48. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 質問も三番手でございますので、前の委員の方々と若干質問が重複する部分もあるかとは存じますけれども、民主党を代表しまして、ここでこの新エネルギー利用促進特別措置法について三十分間質問をさせていただきます。  まず、先ほど来からお話が、各委員からも指摘がございます。また、大臣初め長官も御認識をされていると思いますけれども石油代替エネルギー利用促進というものが本当にオイルショック以来の課題として大変な重みを持ってきているわけでありますけれども、先ほど来お話がありましたように、実態として遅々として進んでいないというふうに私も認識しておりますし、また、いろいろな専門家の御指摘もございます。  そうした中で、この原因というものが現実問題どこにあるのか。技術的なことであるのか、それとも関係業界等なかなかその連携ができないのか、あるいは、やはりそういうものを導入しようという、ライフスタイル、生活のサイクルあるいはコストを負担してでも変えていこうという、これは官庁なりユーザーなりのそうした意識にあるのか、そういった点につきまして、その原因はどこにあるとお考えなのか。そしてまた、この今回の新エネ利用促進特別措置法、この法律がどのような効果をあらわすか、促進効果を有するかということを、御認識伺いたいと思います。
  49. 江崎格

    江崎政府委員 石油代替エネルギー全体ということで見ますと、これは石炭とか天然ガスとか原子力とかいろいろございまして、その中でも原子力天然ガスは、石油危機後の期間をとってみますと相当導入が進みまして、天然ガス原子力というのは、石油危機の直後ですと大体一%前後の供給のウエートしか持っていなかったのですが、現在はいずれも一〇%を超えるぐらいのウエートになってきているということで、したがいまして、石油代替エネルギー全体ということで見ますと、相当進んだというふうに考えていいと思います。天然ガス原子力がウエートをふやした分、石油がウエートを減らしているといいますか、当時は七〇%を超えていたものが現在は五〇%台の半ばになっているということでございます。  ただ、今回審議をお願いしております新エネルギーでございますが、これは実は非常にまだ普及がおくれておりまして、現時点でも一%を少し超えるくらいと非常に少ないわけでございます。これの主たる原因は、先ほども議論が出ましたけれども、やはりいずれも、太陽光発電にしろ風力にしろ、どれをとりましても経済性の面で非常にまだ既存エネルギー源に比べてコストが高いという状況でございまして、そうしたことから導入がおくれているというのが最大の原因かというふうに私ども認識しております。
  50. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 先ほど来、ちょっと繰り返しの質問になってはおるわけですけれども、そうした中で、大変導入自体は全体として進んでいる、ただコストが高いんだというような部分がございます。  ここに数値として出ておりますけれども、新エネルギー導入目標、新エネルギー大綱に掲げられた中で、例えば太陽光発電は二〇〇〇年度において四十万キロワット、廃棄物発電が二百万キロワット、そしてクリーンエネルギー自動車がおよそ四十九万台、コージェネレーションが一千四百五十二万キロワット、いずれも一九九二年の数値からしまして大変な目標を掲げているわけでありますけれども、この法律を何度かずっと吟味していろいろ見ていく上で、この法律によって果たして達成されるのだろうか、またそれを推進、促進する加速的な役目を本当に果たせるのだろうかということを大変危惧するわけであります。  再度のお尋ねになるかもしれませんが、新エネルギーの大綱に掲げた目標はこの法律によって達成されるとお考えか、あるいは達成されないまでもかなりの加速をするであろう、目標に向かって加速をするであろうといったような御認識をお持ちかどうか、この点について再度お尋ねをしたいと思います。
  51. 江崎格

    江崎政府委員 平成六年に決めました新エネルギー導入大綱目標に比べまして、現状を見てみますと、押しなべて目標には相当まだ開きがあるということは否定できないわけでございます。  この法案によりまして、政府とか国民の新エネルギーに対する取り組み方というのを基本方針によりまして明確化するということを考えておりますし、それから新エネルギー導入する事業者への支援措置というものを盛り込んでおりまして、この措置によりまして導入を加速させたいというふうに考えております。  それから、平成九年度の予算案でございますが、かなり思い切ったものを盛り込んでおりまして、住宅用の太陽光発電につきましては、従来は予算規模でほぼ四十億円でございましたけれども、来年度お願いしておりますのは百十一億円ということで三倍、それから補助の件数では、従来千六百件でございましたけれども、これを六倍の九千四百件ということで、大幅に拡充をしております。それから、地方自治体の行いますいろいろな先進的な新エネルギー導入施策に対する補助ということで、これは新規のお願いということで二十二億円をお願いしておりますし、また新エネルギー導入する事業者に対する助成措置、これも新規のお願いでございますが、十一億円お願いしているということでございます。  こうした新しい法案ですとか予算措置、それからもちろん、従来から技術開発ですとか規制緩和による制度面の整備といったようなことをやっておりますので、こうしたことを総合的に行うことによりまして目標の達成に向けて努力をしたい、このように思っているところでございます。
  52. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 予算にしても補助件数にしても、従来よりかなり飛躍的な増加をさせるというふうなお話でございますけれども、先ほどの新エネルギー大綱の中に政府による調達というような目標もありまして、ある意味では模範者たる通産省、あるいは通産省に限らずそれ以外の省庁で、いわゆるこういった代替エネルギー導入して新エネルギーの活用を図る。  例えば、今もお話ありましたが、電気自動車あるいは太陽光発電というものの政府レベルにおける導入例というものは現状具体的にどのぐらいあるのか、そして今後どのぐらい整備していくおつもりなのかということについて、率先してやっていかざるを得ない国として現状どうなっているか、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
  53. 江崎格

    江崎政府委員 平成七年に「国の事業者・消費者としての環境保全に向けた取組の率先実行のための行動計画」というのを閣議決定しているわけでございますが、これによりますと、二〇〇〇年におきまして政府全体の公用車に占めるクリーンエネルギー自動車割合を一〇%にするということを目標に掲げておりまして、各省庁これに向けて努力をしているということでございます。  通産省でございますが、必ずしも自慢できる数字ではないのですけれども、実は平成八年にクリーンエネルギー自動車を一台使用しておりまして、来年度の予算案におきましても、一台新たに追加するという予算をお願いしているところでございます。  それから、工業技術院の研究所におきまして、これは筑波研究センターとか大阪の技術研究所でございますが、こういったところで太陽光発電導入しております。それから、私どもの霞が関にあります庁舎ですが、屋上に太陽熱利用装置を設置をしているということでございまして、こういったことで国としても努力をしているという状況でございます。
  54. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 率先しなければならない通産省として何とも心もとないような御答弁だったわけでありますけれども、例えばいわゆるクリーンエネルギー自動車は、用途としてどういうふうに考え現状使っていらっしゃるのか。  それともう一つ、地方自治体で今クリーンエネルギー車を導入せよというようなことでかなり導入を促しているわけでありますけれども、現実問題として、例えばもちろん単価の部分もあります、従来の自動車に比べて大変割高になる。そしてまた走行距離の問題、それから何よりも充電ステーションの問題。  自治体の例を見てみますと、東京都がスクーターを含めて大変多いわけですけれども、現実問題としてどういう用途で使われているかといいますと、自治体では例えば公害のパトロール車、この車はこういうことですと、ある意味ではデモンストレーション的な部分ですね。あるいはそれ以外では啓発車といったような、何か余り実用的でない部分において、例えば何かのイベントのときに貸し出すとか、そういった部分で使われている例が多いと思います。  現実問題、一般的に実用化させるという方針を示していくには、こうしたステーションも含めてトータルで考えていかなければならないと思いますし、その点について、クリーンエネルギーの乗用車の普及ということに関してどのようなお考えをしているのか、今後どういう思いで進めていかれるか、その辺ちょっとお尋ねしたいと思います。
  55. 江崎格

    江崎政府委員 クリーンエネルギー自動車の用途でございますけれども、今まさに先生指摘のように、走行距離の問題ですとか、それからエネルギーの充てん設備の箇所が必ずしも十分でないとかいろいろな制約があります。それから、もちろんコストがまだ通常自動車に比べて二倍とか三倍ということでございまして、なかなか導入が進んでいないわけでございますが、今自治体等で使われておりますので比較的多いのは、ごみ収集車に電気自動車を使う、クリーンエネルギー自動車を使うというのがございます。  それから、将来的に考えられますのは、比較的近距離を巡回して回るというようなものが考えられます。例えば私どもの希望としては郵便の収集の自動車とか、あるいは宅急便がございますが、ああいったところでこういったものが使われると非常に進むというふうに考えられるのですが、今申し上げましたコストの問題等がありまして、今急にはいかないということでございます。  今後、そういったところへ導入するように、私ども働きかけをしていきたいというふうに思っております。以上でございます。
  56. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 確かに郵便収集車ですとか、宅急便は民間の業者さんのことですから、これから導入していただくにはなかなか難しい部分があると思いますし、また実際、もう地方自治体においても、自治体だからある程度コストの高いものでも環境保護という観点から導入しなければならないというような時代ではないと思うのですね。財政難の中で、今地方公共団体もいろいろなスリム化ということを考え始めております。今地方の財政の中で、とにかく隗より始めよで、自分たちがまずできる限りスリム化をしようというような現状の中ですから、大変に高価であるということを考えますと、なかなか増車をしたりしていくことができない、できないというよりも難しくなってくる。  そうしますと、これは本当に一般的に普及をしてもらわないと、実際問題として、先ほどお話ありましたように役所だけが持っていて、何か事あるときだけ出してきて展示しておいて、いや、こういうのが時々走っています、こういうものがありますと。ただ値段を聞くととんでもない額で、一般のユーザーはとてもじゃないけれども手が出せない。これでは、先ほど話がありました目標の四十九万台ですか、これだけの数がたとえ出たにせよ、それはあくまでも利用されているかどうかという実用性の部分で、数字的にもただ製造台数と保管台数がそれだけであって、できるものでもないというふうに思うわけであります。  そういう意味において、技術的な部分について関係業界と今どのくらい話を進めて実用化ということを高めていこうとしているのか、そこについて現状を教えていただきたいと思います。
  57. 江崎格

    江崎政府委員 クリーンエネルギー自動車関係の技術開発につきましては、実は相当関係業界と相談をしながら、協力をしながらやっているわけでございまして、例えば電気自動車用の電池の開発の問題ですとか、それから天然ガスにつきましてはこれの実用化の調査、こういったことについて業界と協力しながらやっております。  それから、制度面におきましても、エネルギー供給設備の面における法律の整備ということで、ガソリンスタンドでクリーンエネルギー用の供給設備をつくるということについて設置を可能にいたしましたし、それから型式認定にいたしましても、従来は試験車扱いをしていたわけでございますけれども、一般普及に向けた型式認定の制度に移行をしております。  こういった制度面の改革、技術開発などを通じまして、業界とも十分連絡をとりながら少しでも値段を下げる、あるいは普及のための制度面の整備をするということを進めているところでございます。
  58. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 時間ももう残り少ないので、この問題を余りやっていられませんけれども、技術的な部分でしょうけれども、ぜひ低コスト化を一日も早く図っていただいて、そして本当に実用しているというものを、これは政府も、あるいは地方公共団体のレベルでも、ぜひとも率先してやっていただきたいというふうに思います。  この問題についてはまた改めまして別の機会としまして、もう一つ、先ほど最初の御答弁の中にありましたけれども、太陽光の発電システムについて今度はお尋ねをしたいと思います。  これまでも太陽光発電システムをかなり地方でも導入をしてきている、あるいは個人のお宅に対してもかなり補助をしてきているというような、実際御努力は大変評価するわけでありますけれども、例えば、新規の住宅着工件数が今年度でいきますと百六十万件を超えております。これに比べるとまだまだ数として少ない。  そして、太陽光発電システムというものも、私もある電力会社の実験施設で見たことがあるのですけれども、やはりパネルが大変大きいこと、あるいは見た目としてどうも景観上余りいいものではない、それからまたやはり価格が高いという、これもまたこういう問題に行き当たるわけであります。これもやはり技術的な問題になるかと思いますが、こうしたものをいかにクリアしていくかということについて、現状のめどみたいなものをお尋ねしたいと思います。  またもう一点、通産省がこの法律の説明の中で言っておられましたですけれども、いわゆる早期の市場の自立化というような言葉が出てきます。早期市場の自立化ということは、大体、年間販売台数あるいは設置台数ですね、どれくらいになってきたときが市場が自立し始めたというふうに考えていらっしゃるのか。この二つについてお尋ねをしたいと思います。
  59. 江崎格

    江崎政府委員 太陽光発電でございますけれども、大変有望な新エネルギーでございますけれども、やはり最大の課題は今先生おっしゃったように、コストの問題だろうと思います。光発電が市場において自立的に拡大していくというためには、発電コスト通常電力料金に比べて遜色のない程度に低下するということが一番大切かというふうに思います。  従来、政府は、このために技術開発ですとか、初期需要創出のための支援措置、あるいは保安規制の緩和といったようなことをやっているわけでございますけれども、六年度以降に実施してまいりました個人住宅への設備補助制度によりまして、補助を開始した当時は、家庭用の設備、大体八百万から一千万ぐらいするというふうに言われておりましたけれども、その後、量産効果などによりまして下がってまいりまして、現在は三キロワットのものは大体三百五十万円ぐらいというふうに言われておりまして、急速に下がってきております。さらに、平成九年度におきましては予算を三倍にするというようなことを考えておりまして、件数も六倍でございますか、ということで、相当量産効果が発揮されるのではないかということを期待しております。  それから、見た目の問題でございますが、これは、先ほど議論に出ましたニューサンシャイン計画一環といたしまして、建材一体型の太陽電池モジュールの技術開発というのをやっておりまして、この中で、大き過ぎるパネルとか見ばえの悪さ、こういった問題について改善をしているところでございます。こうしたことを通じまして、ぜひ市場の自立化を図るようにしたい。  それで、めどはどうかということですが、現在急速に価格量産効果で下がっている最中でございまして、いっとかそういうことはなかなか断定的には申し上げられませんが、感覚的に申し上げれば、もう一押したという感じでございます。
  60. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 もう一押しというような最後にお答えがありましたので、この価格が下がることによって一体どのぐらいの電気料金が節約できるんだろうか、どのぐらいだったらペイできるんだろう、やはり一般のユーザー、家庭はそういったところで判断すると思います。ぜひもう一押しをまたお願いをしたい。お願いしたいというより、我々もこれを意識の中でやはりどんどん促進していかなければいけないだろうというふうに思います。  次に進みますけれども、もちろん太陽光、今まで出てきた新エネルギー、あと風力という問題がございます。風力というものの、これは先ほど来どなたかもおっしゃっていましたけれども日本の、我が国におけるポテンシャルは一体どういうふうな状況なのか。それからまた、こうした風力発電、世界の例で見てみますと、一九八〇年代のアメリカ、それからヨーロッパ、そしていわゆる技術的な向上も考えますと、どうしても売電ということを考えていかなければならない。これは先ほど来の質問とダブりますけれども、そうしたことを考えますと、売電事業者、買い取りという部分、これに対して、今回の法律の中でどのぐらい、電力を購入するという部分について義務規定あるいは努力規定というものを織り込んでいくおつもりなのか、その点についてお尋ねをしたいと思うのです。
  61. 江崎格

    江崎政府委員 当面の現実的なといいますか、目標としましては、平成六年に決めました新エネルギー導入大綱によりまして、風力発電というのは二万キロワット、石油換算で八千万キロリットルぐらいというものを想定しています。現在、それに比べますと、ほぼ半分ぐらいということでございます。  それから、この法律が施行されますと、事業者の認定ということで支援措置があるわけでございますが、幾つか候補として私どもがサーベイしたところでは、大体事業者として十近くございまして、比較的日本の北部に位置する事業者が多いわけでございますが、そういったところを中心に今後も風力発電が行われていくだろうというふうに思います。かなりいろいろな条件を捨象しまして、潜在力ということで見ますと、風力発電石油換算で六百万キロリットルぐらいというふうに言われておりますが、これはいろいろな条件を捨ましたということでございますので、すぐそれが実現するというものではございませんけれども、そういう試算もございます。
  62. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 それでこうした、今ちょっと御答弁が漏れていると思うのですが、いわゆるよその国の例を見ても、やはりこの電力の買い取りという部分を中心に据えて施策を進めてきた、それによって加速的に普及したという点について私はお尋ねしたわけですが、その点についての御答弁を。
  63. 江崎格

    江崎政府委員 失礼しました。  現在、風力発電、実は事業者が幾つかございますが、ほとんどが電力会社電力を売っておりますけれども、この買い取りというのは、あくまでも電力会社の発表しております余剰電力購入メニューに従いまして売っているということでございまして、ということは、電力会社が自主的に購入をしているということでございます。今度の法律で、これを電力業者に対して努力義務ということでお願いをするつもりですが、買い取り義務とかそういう強制的なことは、今の風力発電コスト等を考えますと、そこまでお願いするのは難しいということでございまして、あくまでも電力会社の自主的な買い取りを促すということを考えていきたいと思っております。
  64. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 確かにポテンシャルはある、そしてまた、これからそういうふうな潜在力をとにかく見出す上で、こうした、例えば風力発電のようなものが出てきたときに、あくまで電力会社努力あるいは自主的なそうしたもので判断してもらうということでは、実際、新エネルギー利用促進あるいは導入ということが本当にできるのかどうかというふうなことを、この法律案を読みながらずっと思っているわけなんです。  ここでちょっと、これは通産大臣にお尋ねをしたいのですけれども、新エネルギー利用促進、こうした国家目標を達成すべき法律として、先ほど来申し上げましたけれども、指針の策定、関係者の努力義務、自治体の配慮義務、何か非常に、本当に実現をするんだというような、国家的な目標を達成するには余りにも弱い、何か腰が引けたような法律案になっているわけですけれども、やはりこれはさらに、先ほど来もお話ありましたような地球温暖化防止行動計画、こうしたもの、あるいは、とにかく国として抜本的に、法的にある程度の拘束力を持ってどうしても積極的な取り組みをしていかなければならないと思いますけれども、通産大臣、いかがお考えか、時間もありませんので、ぜひ決意を手短にお答えいただきたいと思います。
  65. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今渡辺委員が御懸念の点、非常に率直なお話だと思います。このいわゆる新しいエネルギー、これの導入ということが今まで余りにも、言われている割には国民に理解されてないし、それから国としての方針もはっきりしてなかったということで、この法律を出し、お願いしている一番の目的は、これによって国の姿勢というものを明確化して、それを国民普及しよう。  同時に、これがなかなか普及をしていないのは、何といっても技術的な問題がございます。そういうものに対してもやはり支援ができるということで意味があるだろうと思うわけでございます。何といっても、これによって政令その他でもって縛れる。実際的には、きょうの各委員からのお話、私もよく理解する点もございますので、これをやはり拳々服膺していきたい、かように考えております。
  66. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 時間も参りましたので、最後にもう一回、大臣にぜひこれをお尋ねしたいと思います。  新エネ導入というものがなかなかそうは加速的に進まないだろう。また、原子力の立地という部分もこれからは大変厳しい状況にならざるを得ないだろう。そうした中で、やはり省エネという部分について、ある意味では需要を抑えるといったような観点から、これはもう一つ表裏で考えていかなければならないと思います。そうした中で、ある地方自治体では節電課なんというところをつくって、川越市だったでしょうか、非常にそういう努力をしている。そして、そういうことを何とか普及啓発しながら進めていく。  そういう意味で、省エネ政策ということもあわせてかなり積極的に進めていかなければならないと思いますけれども、その点についての大臣の御見解をお尋ねいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  67. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今おっしゃるように、地球環境問題というものは、先進国はもちろんのこと、開発途上国も共通の問題になっております。そういうことからいって、今おっしゃるように、いわゆる廃棄物、そういうものを一体どういうふうに考えるかという中において、第一に考えられるのがまず減量問題、そういうものを出さないこと。それからあとはやはり再利用、そしてリサイクル、再活用というふうに分かれてまいりますが、そのときに電力というものをどういうところに位置づけるかという問題が実は大きな問題だろう、かように考えております。  今おっしゃるように、やはり環境問題ということを抜きにしてはこれから経済という問題、この成長、それから技術開発がもう考えられない時代になった、かような認識を持っております。
  68. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 終わります。
  69. 小川元

    ○小川委員長代理 次に、吉井英勝君。
  70. 吉井英勝

    ○吉井委員 この法律案考える基礎として、我が国エネルギーの自給率が今どうなっているかということを初めに見ておきたいというふうに思います。  人形峠から採掘されるウランというのはわずかですから、原子燃料の方は輸入に頼っているわけです。ですから、もちろん原子力は自給に含めないということにして、一九六〇年、七〇年、八〇年、九〇年そして現在、自給率がどのように推移してきたのか、これをまず最初に伺っておきたいと思います。
  71. 江崎格

    江崎政府委員 今先生触れられました原子力を国産エネルギーとしてカウントするかどうかという点でございますが、まず原子力を含めない数字で申し上げますと、六〇年は自給率五六・六%、それから七〇年が急速に下がりまして一五・六%、それから八〇年が一〇・二%、それから九〇年が七・四%、それから最近時点の九五年が六%というふうになっています。  それで、原子力の点ですが、実はこれはIEAの統計などにおきましては、原子力というのは少量のウランから膨大なエネルギーが得られるということで備蓄、輸送が容易だということと、一年間ぐらいは燃料を交換せずに運転が可能だということで、IEAでは国産のエネルギーというふうにカウントしておりまして、これですと、今の数字が相当ふえまして、例えば九五年では自給率は一八・〇%という数字になります。
  72. 吉井英勝

    ○吉井委員 いずれにしろ、世界のウラン資源の埋蔵量そのものからしても、それはそう長いものではないわけですから、今おっしゃったように、五六・六%が今や六・〇%というふうに急速に日本の自給率が落ちてきたというのは事実です。  食糧の自給率の方は、カロリーベースで見まして、先年の大凶作のときの三七%というのがありましたが、今はカロリーベースで四二%、これもG7各国の中で異常な事態なんですが、エネルギーの自給率がここまで来たというのは、本当に異常なものだというふうに思います。IEA諸国の輸入依存率というのは二七・四%、逆に言えば自給率は七二・六%ですから、これと見ても、G7各国、先進国を見ても、日本は今本当にエネルギーの自給率というのは低下して、異常な事態に陥っている。国民にとっての安全保障の最大の課題というのは食糧とエネルギーですから、本当に深刻な事態に立ち至っているということはお互い共通の認識にして、新エネルギーの問題などについても考えていかなければいかぬと思っているのです。  九三年十二月の総合エネルギー調査会基本政策委員会の中間報告を読みますと、「全般的情勢」として、「石炭については、アジア地域の需要の大幅な伸びと供給能力拡大の遅れ、」それから「原子力については、国際的な安全管理上の懸念がそれぞれ重要である。」と指摘するとともに、資料を添付しておりますが、全体として原油換算で見たときに、これからの世界のエネルギー需給見通しを見ると、九三年と二〇一〇年について比較した数字で、世界全体では八十七億二千六百万キロリットルが百二十七億三千六百万キロリットルへと一・四六倍。その中でも中国が、七億八千九百万キロリットルから十五億七千七百万キロリットルへとちょうど二倍にふえるのです。日本は同じ時期に、五億四千八百万から六億三千五百万キロリットルへと一・一六倍。日本エネルギー需要を抑えようということもあって、伸びは小さくとどまっているわけですが、二〇一〇年となりますと、大体中国は日本の約三倍のエネルギーを消費するという時代になってくる、こういう状況エネ庁の方は見ていらっしゃるのではないでしょうか。  同時に、そのときにやはり自給率六%という我が国エネルギー供給源の確保にとって、こういう世界の動向というのは非常に重大な影響を持ってくると思うのですが、この点についてどうでしょうか。
  73. 江崎格

    江崎政府委員 御指摘のとおりでございまして、日本の近隣諸国におきまして、人口の増大それから急速な経済成長に伴いましてエネルギーの需要が急激に伸びるということで、今先生おっしゃいましたように、九三年から二〇一〇年にはアジア地域エネルギーの需要が二・二倍になるというわけでございまして、こうした状況考えまして、我が国資源の問題あるいはエネルギーの問題についてセキュリティー、そういったことを考える必要があるというふうに思っております。
  74. 吉井英勝

    ○吉井委員 地球全体にとってもそうなんですが、特に日本エネルギーの将来を考えますと、本当にこれは深刻な事態であって、この新エネルギーの研究開発に力を入れるのは当然だと思います。  現在エネルギー関係の政府予算は総額一兆一千九百七十三億円ですが、そのうち新エネルギー関係の予算というのは、いわゆる新エネ中心のニューサンシャイン計画分で四百四十七億円。圧倒的なものはまだ石油と原発中心なんです。  太陽光発電、風力、廃棄物クリーンエネルギー自動車の研究開発費というのは、今上げられているのは百四十九億六千万円ということですから、これまで石油、原発に随分使ってきましたが、例えば石油備蓄だけでも四兆円使ってきているのです。それから今問題になっている動燃関係だけでも約三兆円使ってきている。これに比べてみて、安全でクリーンなエネルギー研究開発の予算がやはり非常に取り組みが弱い。石油、原発偏重でこの分野の予算が圧迫されているといいますか、弱いということを率直に言わざるを得ないと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  75. 江崎格

    江崎政府委員 日本エネルギー考えた場合に、セキュリティーの問題、それから最近ですと環境の問題、そういったことを頭に置きながらエネルギーのベストミックスということを考える必要があると思うのです。  今の日本エネルギーの需給の現状というものを見てみますと、まだまだ石油への依存度というのは五五%でございますし、原子力は一二%、あるいは天然ガスは一〇・八%といったようなことで、いろいろなエネルギーに依存しているわけでございます。新エネルギーは、いろいろな事情から、現在まだ一%強くらいのウエートしかないわけでございます。  したがいまして、あらゆる政府措置をすべて新エネルギーのみに集中するというわけにもまいらないわけでございまして、いろいろなエネルギーを安定して確保する、そしてそれらの環境負荷を少なくするということを考えますと、それぞれの供給源についての適切な施策をする必要があるわけでございます。そうしたことから、現在お願いしているような政府予算案のようなことで、それぞれ石油とか原子力といったようなことに予算も振り分ける必要がある、このように考えております。
  76. 吉井英勝

    ○吉井委員 これは、新エネルギーのこの法律でやるだけではなしに、省エネ法の改正、強化の問題とか、エネルギーの問題というのは一つだけやれば事解決する、私もそんな単純に思っているわけではありません。  次に、省力化や新エネルギー開発の問題とともに、やはりエネルギー転換効率を高めるという、この研究開発も非常に大事だと思っているのです。  現在、転換効率というのは、通産の方からお聞きしているところでは、LNG火力発電で三九・六%、石炭火力で三九・五%、石油火力で三七・九%、原発が代表的なもので見て三四・五%、現在の転換効率というのは大体こういう状況ではありませんか。
  77. 江崎格

    江崎政府委員 今手元に九四年のデータがございますが、それによりますと、石炭火力LNG火力石油火力原子力の平均で約三八%というふうに承知しております。
  78. 吉井英勝

    ○吉井委員 私、昨日届けていただいた資料では、それは通産省のデータです、そういうところなんですが。  例えば九五年の原発の実績二千九百十一億キロワットアワーというのは、これは新増設がなかったとしても、火力発電並みの転換効率に高めていくと、二〇〇〇年見込みとされている電力供給計画というのはほぼ満たされることになるわけです。ですから、転換効率を高めるということ、これは原発の場合、他の火力に比べて五%、代表的なものの例でいただいたものでは五%高めると、ということになりますが、これをさらに一〇%高めるとか、全部の転換効率の話ですけれども。  転換効率を高めるということは非常に大事なことであり、同時に、廃熱を徹底的に利用してエネルギーロスを減らすということ、それからもちろん送電ロスを減らすことなど、つまり今日の、まだまだ最初に燃やしているもの、これは原子力燃料であれ何であれ、燃やして熱を出して使えるエネルギーに転換している割合が非常に低いわけですね。  この転換効率を高めていくという、つまりそういうやり方でもって浪費型の産業社会の構造を転換することと、エネルギー利用効率を高める研究開発というものにもつと力を入れるべきだというふうに私は思うのです。また、そのことを最終エネルギー消費の五割を占めている産業部門に指導もし、強くそのことを求めていくべきだというふうに思うのですが、この点は大臣、やはりこのことにもっと力を入れるべきではないでしょうかね。
  79. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 おっしゃるとおりだろうと思うのです。率直に言って、先ほどから話をお聞きしていて、例えば研究開発、これはやはりこの新エネの場合、委員よく御存じのように、時間がかかるわけですね。しかし、どうも我々の方の考え方は、予算的にそれを多くの部門に分散してやっている傾向がある。もう少し予算の効率化という点、それからまたこうした研究開発という場合でも、少し集中して早く結果を出すようにやっていかなければいけないだろう、私はこう思うのです。  さらに申し上げますと、今度のこの新エネというので非常に大事に思うのは、確かに日本の場合、やはり原子力、こういうものに頼っていこうということがありますが、やはりなかなかこれから国民の、地域の方の御理解もいただけないということで、早く新エネの方の開発普及というもの、これに力を入れてやっていかざるを得ない、それがすべての面で環境問題、そういうものに全部影響してくるような気がするわけでございます。
  80. 吉井英勝

    ○吉井委員 新エネと、それからエネルギー転換効率をもっと高めることとか、いろいろな組み合わせで、本当に研究開発というものを強めていただきたいと思うのです。  多流体サイクルというのがあるのですが、私はかつて、そのことによって、多流体サイクルでもってエネルギー転換効率をうんと高めるということに興味を持っておりまして、それをやろうとした時代もあったわけですが、この分野、本当にもっと力を入れなければいけない分野でもありますので、これはぜひ政府としても力を入れてもらいたいと思います。  ところで、さきに挙げました報告の中で、「「もんじゅ」事故を契機として、国民の間に原子力政策に関する不信感、不安感等が高まっている。」として、「原子力発電所の立地が長期化し、二〇一〇年度における目標の達成は容易ではなくなる可能性もある」と言っています。  先日の動燃処理工場の爆発事故の後、荒木電事連会長は、「(原子力発電所の建設やプルサーマル計画に)大きなインパクトを与えているのは事実」だ、「原子力計画推進に影響は避けられない」という見方を示しました。  そこで、政府の見解も伺っておきたいのです。  政府も、「もんじゅ」や東海再処理工場の二つの事故で原発推進に大きな影響がある、そういうふうに率直に見ていらっしゃるのかどうか、これも伺っておきたいと思います。
  81. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 政府の見解なんということになると、これはまた大問題でございます。  私、率直に言って、これによって原子力政策というもの、これは変更するという考え方では現在のところございません。ございませんが、私自身、担当の大臣として、これである程度やはりこの政策の推進に関して、後戻りはしてないが、ちょっとまた、何というか、非常に問題が多くなったな、実はこんな認識でございます。
  82. 吉井英勝

    ○吉井委員 政府はこれまでプルトニウムリサイクル路線というのをとってきましたが、これは原発の中の使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出して、これを燃料にして高速増殖炉の中でまた燃やしていく。ところが、「もんじゅ」事故で破綻したものですから、それでも再処理工場を動かしておくと、プルトニウムがどんどんたまってくるわけですね。ですから、それを既存の原発の中でプルトニウムを燃やすというプルサーマル計画でやっていこうというのが、これは原子力部会が一月二十日に中間報告を出して、それを原子力委員会で追認して、閣議決定という形になりましたが、この一月三十一日の原子力委員会の「当面の核燃料サイクルの具体的な施策について」という中では、「国はプルサーマルの具体化等を勘案しつつ、東海再処理工場等を活用して、使用済混合酸化物(MOX)燃料再処理技術の開発を推進する。」としているわけです。     〔小川委員長代理退席、委員長着席〕  ところで、実は原子力委員会に身を置いていた島村武久さんという方ですが、「原子力委員会三十年をふり返って」という、これは「原子力工業」という月刊誌の中でかつて書いていらっしゃった中にありますけれども、再処理工場というのは、動燃導入したときからコジェマの技術で実証済みだとしてしまって、日本自身の基礎研究もなしに、一遍にスケールアップして導入してしまった。それでたびたびこれまで事故をやったのですが、もう開発をどんどん推進したという、そういうやり方をしてしまったということを原子力委員会に身を置いていた人が語っております。  今回の問題も、メーンの工程よりも比較的単純なはずのアスファルト固化体施設で、爆発、火災、放射能漏れという国内最大規模事故をやったわけです。その上、このプルサーマル自体についても、実は動燃の幹部の方自身が、プルサーマルというのは中性子やガンマ線などが出てこれまで以上に大変なものだ、だから技術開発を要すると言っているものなのに、今回の再処理工場の事故もよく検討しないでこれをどんどん推進するということになると、これは本当にとんでもないことだと思います。  そこで、これまでやってきた安全無視といいますか、安全軽視といいますか、開発優先でやってきたこれまでのやり方を改めて、やはり基礎研究からの出直しですね。今必要なのは、使用済み核燃料については原発サイトに保管しておいて、原発の新増設をやりますと、これ以上どんどん使用済み燃料がふえてきますから、これをふやさない、そしてプルトニウムリサイクル方式の強行というこのやり方についてこれをもうやめる、プルトニウムリサイクル方式の転換を図るということを、これは大臣として決断をしてもらうときだと思うのですが、大臣どうでしょう。
  83. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今非常に技術的な面、これは吉井委員が核工学、この方の御専門ですから、それに対して議論してもいろいろな問題があると思うのですが、私はただ、いわゆる「もんじゅ」の問題、今度の東海村の問題、それぞれ原子力発電というものの直接的なところではなくて、怒られるかもしれませんが、附属部分のこうした事故、これはやはりそのものの研究開発よりか、そしてまた、ここはちょっと私の立場として言いにくいことですが、これを所管するところというか、動燃あるいはそれを監督する役所、そういうところにも問題があって、その点、私たちの方は反省しなきゃいけない点があるわけでございますが、直接私の方は、私自身は、そのことが今の核分裂による原子力発電というものの本質的な問題ではないだろう。  もちろん、しかしそうは言うものの、それなら安全かと言われると、これは問題でございますので、今度のことを契機として、安全ということには念には念を押してこれを確認しなきゃいけないだろう、かように思っておることは言うまでもございません。  ただ、今おっしゃるように、率直にそれでもって見直すかとか凍結するかと言われると、そこのところは、ちょっとそれとは本質的に違うだろう、かようなことを申し上げたわけでございます。
  84. 吉井英勝

    ○吉井委員 動燃開発のやり方、委員会が違いますから、きょうはこれ以上触れませんが、アスファルト固化体施設というのは、やっておったのは三井東圧なんですよ。動燃がやっていたわけじゃないのですよ。そういうふうなあり方も含めて、今、日本のプルトニウムリサイクル路線は、本当にあり方そのものが根本的に問われてきているときですから、心して考え直していただきたい。  原発がコスト面で合わなくなってきているということについては、荒木電事連会長が、「エネルギー問題は効率面からだけで議論できない。安全保障の観点から原子力火力、水力など電源のベストミックスを追求していく」というふうにこの間も語っておりましたが、まさにこの効率面だけでなく、エネルギー安保の観点で考えるということが今必要になっているときだというふうに思うわけです。  委員長、六%なんですね、自給率。これは大変な事態なんです。エネルギー安保ということを考えたときに、まさに経済効率だけじゃなくて、これは日本エネルギー安保ということに立って深刻に受けとめなければいけない。しかも原発がこういう事態だ。  こういうときに、もう時間がありませんから終わりますが、原発では日本が三三・八%に対してアメリカが二〇・〇%の比率ですが、石炭火力で見ると、日本の一三・四%に対してアメリカは五一・〇%ですね。アメリカは意外と石炭火力をどんどんやっている国なんです。しかも、CO2対策では、国土が広いということもありますが、植樹して、木を植えて炭酸同化作用まで使って考えようという発想とかやっているわけですが、日本は最盛時よりも二倍も石炭を輸入しているのです。  そういうときですから、先ほど冒頭に申し上げましたアジアの状況など考えても、日本エネルギーセキリュティーということを考えるならば、三つしか残っていない炭鉱の閉山という方向でつぶすのじゃなくて、三井三池を含めて、これは存続し、そしてこの日本エネルギー全体の中でこういうセキュリティー考えても、閉山じゃなくて、少なくとも原発よりは安全なんですから、守るという立場をやはり考えるべきだ。時間はもう限られて、ないところへ来ていますので、閉山は考え直すべきだというこの点だけ大臣にもう一度伺って、質問を終わりたいと思います。
  85. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 その点だけは、吉井委員と意見が大きく異なります。  それでおしまいでございますが、そういうこと言うと、先ほど言われているように、エネルギーの安全保障、これは大事なことですが、最近、その中において地球環境問題、これが実は入ってきておりまして、その点が、今おっしゃるように、石炭という問題にも実は大きな問題を投げかけているということを指摘したいと思います。
  86. 吉井英勝

    ○吉井委員 終わります。
  87. 武部勤

    武部委員長 次に、横光克彦君。
  88. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  私も最初に、多くの同僚議員が質問しております東海村の動燃の火災爆発事故についてちょっとお聞きしたいのですが、これは、エネルギー政策を担当する省としても非常に大きな問題ではなかろうかと思っております。  御案内のように、私たちの国のエネルギー電力消費量というのは驚異的に伸びている。そういった中で、原子力発電というものが電力の分野で三〇%を超す依存度なわけですね。国民にとっては、原子力発電の恩恵を享受しているわけでございます。しかし、国民の多くは、その根底には何といっても、先ほどから大臣のお話もございますが、本当に安全あっての原発である、このことはもう必要不可欠なわけですね。ところが、「もんじゅ」に引き続いてまた今回の事故が起きてしまった。  そして、私がとりわけ心配しておりますのは、この原因究明が非常におくれているということですね。中になかなか入れないということでおくれている、さらに長期化するおそれがある、このことが国民にとって、あるいは地域住民にとって大変私は不安ではなかろうか。事故そのものももちろん問題ですが、一番問題なのは原因がわからないということ、原因が究明できないということほど、不安であり、また恐ろしいことはないわけですね。  さらに、この事後処理、新聞報道では、この安全対策を担当する職員がその後何日にもわたって関連業者とゴルフをやっていた、本当にあいた口がふさがらないような事態が起きてしまっているわけでございます。そういった意味で、エネルギー政策担当として、大臣の感想というか、今の思いをいま一度お聞かせください。
  89. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 東海村の事故発生という報を聞いてまず頭に浮かんだのは、私の方の所管ではないが、所管である電力会社、九電力、ここは一体どうしているんだろうかな、すなわち、同じような設備というか、固化施設を持っているんだろうか、また処理方法は同じなんだろうか、この点であります。そういうことで、直ちに九電力にもその方の指示、そして少なくとも報告というものが非常におくれたごとに対する憤りもございまして、話をしました。  ただ、御案内のごとく、アスファルトによる固化という問題、固体化という問題、これはやはり九電力の中で施設で残っているところもございますが、処理方法、これも何か専門的には硝酸を使うとか何を使うとか、ちょっとあれですが、そういうことで違うということですが、そのときに感じたことは、少なくともアスファルトでもって固体化するという技術そのものが先端の技術とは言えない。多くは、やはりプラスチックだとかセメント、こういうものがヨーロッパでも使われているということを聞きまして、事業団とは一体何をするところかな、実はこんな感じがいたしました。  いずれにいたしましても、施設が違う、また処理方法が違うといっても、それならば、セメントでやっている、プラスチックでやっているのが安全かというと、その保証はございません。そういうことで、私のとった措置は、くれぐれも安全の管理ということを徹底するようにということを改めて九電力にお願いし、同時に、通産省の所管ではほかにも、ガス会社でも、それから石油会社でも、鉄鋼でも、それから化学会社、あらゆるところでもって危険物を扱っておりますから、そのように、遺漏がないように指示をしたということでございます。
  90. 横光克彦

    ○横光委員 このことがエネルギー政策に大変影響を与えることは間違いないと私は思うのですね。これだけ国民に不安と不信を与えたということは原発立地にも影響を与えるでしょうし、そういった意味でも今回のこの法案は非常に意味がある、私はこのように考えております。  ただ、この法案基本方針の制定は閣議決定事項とされております。国民課題でもあり国家の目標でもあるエネルギー政策でございますので、一番大事なことは、これは通産省だけでは遂行できない、やはり関連省庁との連携協調、これが不可欠であろう、このように考えております。  そういった中で、これからいろいろ問題が起きてくるのではないかと心配されるのは、各省庁との利害関係ですね。こういったものがどうしても起きてきやすい。ここをいかに乗り越えていくか、これからこの法案を生かすも殺すもそこにかかっているのじゃないか、そんな気がしてならないわけでございます。そういった中で、各省庁との関係、ちょっとお聞きしたいのです。  「太陽の恵みで自家発電」、実は私の地元の大分県で、二つの中学校が統合されて新しく真玉中学校というのが四月に開校するのです。この校舎の屋上に太陽光発電のシステムを導入したわけでございます。これは子供たちの理科の教材、あるいは技術の革新の一つの実態、さらに環境の問題、いろいろなことを子供たちは実際目で見ること、また勉強することができるわけですね。さらに、そこの発電システムで足りない部分、もちろん足りないわけですが、足りない部分は九電から買う。そして冬休み、夏休み、とりわけ夏休みなどというのは、学校では電力は使わない上に非常に充電することができる。そういったものは逆に売ることができる。そういったシステムになっているわけです。非常に効率的なわけでございます。しかも、一年間でこの学校が使う電力の費用が大体三百万円だと言われている。そのうちの三〇%をこれで賄うことができるということになっているわけで、約百万円の軽減である。一石二鳥どころじゃない、一石三鳥でもあり四鳥でもあるわけですね、この太陽光発電導入するということは。しかし、先ほどからもお話ございますように、まだまだ非常にコストが高いということ、あるいは技術的にもいま一つ余地が残っている、いろいろな課題があるわけでございます。  これはNEDO補助事業でやったわけですが、いよいよ来年度から、エコスクールという、文部省と協調のもとにこういったシステムを広めていこうという計画があるわけでございますが、このエコスクールのこれからの取り組みについて、ちょっとお聞かせください。
  91. 江崎格

    江崎政府委員 次世代を担う人が教育の場におきまして新エネルギーとか省エネルギー問題に親しむ、これは大変重要なことだというふうに思っております。  今御指摘のエコスクールの問題でございますが、このたび文部省と合意に達しまして、来年度から、環境に配慮した学校施設の整備というのをパイロットモデル事業として実施するということにいたしました。  具体的には、文部省さんの方で都道府県あるいは市町村が学校のエコスクールとしての基本計画をおりくりになる場合の調査研究費ですとか、あるいは校舎の整備などについての補助をなさる、それから私どもの方で太陽光発電システムの導入費に対しまして補助をするというのを、特定の学校を選びまして、そこで一緒になってやるという仕組みでございます。  今後こうしたことを強化しまして、教育の場で新エネルギーとか省エネルギーの問題について子供たちに学んでもらいたい、このように思っております。
  92. 横光克彦

    ○横光委員 先ほど言いましたように、これはもうクリーンエネルギーというだけではなくて、いろいろなプラス面があるわけで、しかも、これから全国各地の学校の校舎が建てかえとか増築の時代に来ていますので、どうか文部省と協調のもとで全国的にこれを普及推進すべきであろう、このように私は考えております。  次に、先ほどからもお話ございますが、今度は運輸省との関係でございます。  運輸部門ではやはり石油依存度というのが非常に高いわけですね。しかし、有限でございますし、石油もいつかは枯渇するわけでございます。そうしますと、ガソリン車がこのまま永久に続くということはないわけですね。そのためのいろいろな代替エネルギーというのがもう世界各地で始まっているわけでございます。  エネルギーの消費の状況なんですが、産業部門や民生部門に比べて、運輸部門は九九%が石油である。新エネルギーにはまだまだ転換していないわけですね。本当にこれから太陽光そしてまた電気自動車、こういった新エネクリーンエネルギーというのが、何としても新しい二十一世紀のエネルギーの大きな分野を占めると私は思っております。  電気自動車の関係でございますが、これも先ほどから聞いておりますと、やはり技術的に非常にコストが高いということでございます。それでもアメリカでは、環境の問題から非常に規制をはめて、かなり進んでいる状況もある。さらに、日本においても以前に比べたら手が届くくらいのところまで来ている。最初のころは、坂を上れない、すぐ電池が切れる、到底実用化は無理であったわけですが、今はそれがもう手が届くところまで来ているわけですね。さらに、技術の革新そしてまた低コスト、このことによって、まず公共団体、自治体、そういったところからこの利用の推進に本当に取り組んでいただきたい、このように考えております。  太陽光発電あるいは電気自動車等の普及、例えば太陽光発電を工場や学校や集合住宅などに最大限導入すれば、国内の二酸化炭素の総排出量は約一割削減できるであろうという試算もあるわけでございますので、非常に大きな意味があると思っております。  その次に、今度は建設省との関係でございますが、先ほどから住宅の問題もございましたが、もうあらゆるところに広めていかなければならないと思っております。例えば高速道路の防音の壁面に電池パネルを埋め込むとか、あるいは高速道路の傾斜地に埋め込むとか、考えればいろいろな効果的な場所があるわけですね。そういったことは建設省と協議したことがございますか。ちょっとお聞かせください。
  93. 江崎格

    江崎政府委員 道路標識とか、それからトンネルの中の照明に太陽光発電利用するということが考えられるわけでございまして、実は建設省さん、かなりそういうことについて試験的に行われております。  それから、今度建設省の方で研究会を組織されましたが、私どもの職員もそのメンバーにしていただきまして、共同して、太陽光発電を道路施設利用するということにつきまして、今まで以上にこれを強化するための勉強を始めたところでございます。
  94. 横光克彦

    ○横光委員 本当にこの法案を実効あらしめるためには、各省庁との連携が非常に不可欠であろうと思っております。太陽、それから電気自動車あるいは風力発電、地熱、いろいろな自然の、あるいは人間の英知を結集したエネルギー、新エネルギーを今回の法案を契機に形あるものに、そして普及できるように努力していただきたいと思っております。  終わります。ありがとうございました。
  95. 武部勤

    武部委員長 次に、堀込征雄君。
  96. 堀込征雄

    堀込委員 最初に、橋本内閣、六つの改革を初め諸改革に取り組んでおるわけでございまして、これからいよいよ財政改革、行政改革を初めいろいろな改革が進むと思うわけでありますが、このエネルギー政策においてもそういった改革がなされていくだろう、こういうふうに思うわけであります。  特に、電力ということを考えた場合に、従来ですと、いかに消費者に安定的に電力供給するかという視点があったわけであります。しかし、規制の緩和をしたりいろいろしながら、安定的にかつ消費者にいかに安い電力サービスを行っていくかという視点が必要になっているだろうと思うわけであります。  いろいろな改革が進められて、そうした視点から、この電力供給においてもいろいろな改革がなされていくだろうというふうに思うわけでありますが、九六年度から卸電力が自由化をされて、そして入札に対する応札状況も相当活発だということをお聞きをしているわけであります。そういう意味で、これから安定供給は必要なんだけれども、あわせて、その中に消費者に対して安い電力サービスをいかに行っていくかという視点が大切なんだろうというふうに思うわけであります。  官の方も一生懸命今改革ということをやっているのですが、何となくこの業界、民の中に、何といいますか、官的体質といいますか、そういうこともある。先日も新聞なんかで大手ゼネコンの談合、そういうことが報ぜられるのを見ると、やはりいろいろあるような気がするわけでありまして、そういう意味では、官の改革だけではなくして、民間事業者の改革なんかもあわせて行われていく中で、電力の消費者に対するサービス、そういうものが実行されていかなければならないのではないか、こういうふうに思うわけであります。  そうした中で、大臣が先日、発電、送電分離ということを発言をされたというふうに、私は報道でしか伺っていないわけでありますけれども、そういう視点から改革への大臣の情熱も非常に伝わってきているわけでありますが、この問題について、まずそうした視点から大臣の所見をお伺いをしたいと思います。
  97. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今、堀込委員の御質問でございますが、その出発は、言うまでもなく橋本内閣六つの構造改革、中でも経済構造改革。それを主管する役所として、それでうたっている高コスト構造、これの中の柱として物流とエネルギーということで、国民にわかりやすい姿ということですから、外国に比べて高い電力料金、これをやはり欧米並みにしよう、至って簡単なことでございます。それを二〇〇一年までに欧米と比べて遜色のないものにしよう、そうすれば、日本においても新しい産業も出てくるだろうし、空洞化も防げるだろうし、また料金が下がるということになると、これはもちろん国民全般も大変喜ばれるだろう、こんな発想でございます。  ところが、おっしゃるように、実際にそれを言ってから大変にいろいろな物議を醸すというのは、一体どこまで本気でやる気なんだろうかということでございますが、これはまず、本気だということを申し上げなければいかぬ。  その際に、今御指摘のように、あらゆることに関係してまいりますが、やはり相手の電力会社の体質という問題、今委員の方からは官的体質という言葉がございましたが、私は官僚機構というものが全部が全部悪いことではないと思いますが、その悪い部分をやはり今の電力会社は受け継いでいるというか、それと民間のまた悪いところが一緒になっている会社もある、こんなことが一番問題だろう、かように思います。  そこで、今のところは、それをどういうふうにするかということになると、先ほども実はほかの委員からも御質問が、私自身はお答えはしませんでしたが、電気事業法という問題の根幹にも触れる、いわゆる電力会社供給の責任というか、そのとらえ方をやはり若干勘違いしているのだろう、もってそこまで踏み込む、そうなると必然的に、分離分割という場合でもやはり電気事業法の改正、こうなると思うのです。  ということは、きょうの議論でもそうですが、新エネの場合でも、民間会社の場合、そこの個別の会社の判断というとなかなかできません。ですから、そういうことになると、規制するということになるとやはり法律だろう、こう思うのです。しかし、今のところは、さしずめこの五月ぐらいというか春の時点で、昨年決めました構造改革のプログラム、これを行動計画に移すとなっておりますから、そのときにおいてどういうふうにこれが、今のように電力料金がうたえるかということでございます。そこで、今のところは一応負荷率の問題、それから今御指摘のようにIPPあるいは小売の問題、この三点でやっておりますが、これだけでいいんだろうかな、実はこんな気がしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、これには全責任を持って取り組んでまいりたいと思いますので、よろしく御理解いただきたいと思います。以上です。
  98. 堀込征雄

    堀込委員 ぜひひとつ、消費者により安定的に、しかも諸外国に比べて遜色のない電力供給という意味でも、改革に向けて御努力をいただきたい、こう思います。  そこで、今度のこの法律、新エネルギー利用に関する特別措置法でありますが、極めて大切な法律であり、積極的に推進をいただきたい、こういう立場でございます。  そこで、太陽光、風力、いろいろなエネルギー供給について定められているわけでありますが、一つ各地で成果を上げつつあるものにいわゆる廃棄物発電、あるいはごみ発電といいますか、こういうものがあるのではないか。一つは、厚生省が、リサイクル社会を目指して第八次の廃棄物処理施設整備五カ年計画というものを九六年度からスタートさせている。いわば焼却、埋め立てのごみ処理から、リサイクル処理を徹底していこう。その中でごみ発電なんかが注目をされているし、最近は蒸気タービンにガスタービンをつけたスーパー発電なんかもやられている。あるいは三重県なんかで固形燃料による発電も計画をされているというふうに聞いておるわけであります。  こうした私どもの今の生活の中で解決をしなければならない、ごみのリサイクルなどを活用したそういう事例が自治体などでいろいろあるというふうにお聞きをしているわけでありまして、こうしたものについても、この法律成立後、そうした問題は各自治体、厚生省の問題だというような縦割り型ではなくて、ぜひ積極的な支援をいただきたいな、こういうふうに思っているわけでありますが、本法とその辺の関係についてひとつ答弁をいただきたいと思います。
  99. 江崎格

    江崎政府委員 自治体における廃棄物発電でございますけれども平成七年度末の統計で見ますと、全国で百四十六カ所で、発電能力五十五万キロワットということになっております。ただ、今のところは自家消費が中心ということでございまして、まだ本格的な電力供給を行うという段階には至っていないわけでございます。  今、委員指摘のように、廃棄物発電、これはエネルギー対策の面からも、あるいは環境対策の面からも非常に私ども重要だというふうに思っておりまして、今までいろいろな施策をやってきております。例えば発電設備の建設費に対する補助、それからモデル事業として、特にRDFとかスーパーごみ発電につきましてより高い補助、こういったことをやっておりますし、それから電力会社に対しましては、余剰電力購入メニューということで、なるべく自治体からの電力を購入するようにというようなことを促しておるわけでございますし、それから、コストを下げるという観点、あるいは発電効率を上げるという観点から技術開発も進めております。  今御審議いただいております今回の新エネルギー利用等促進に関する特別措置法、これをもし成立させていただきますと、この法律対象としても廃棄物発電考えたいというふうに思っているわけでございまして、こうしたことを通じまして、今よりもさらにこの廃棄物発電普及を図っていきたい、このように思っております。  今、厚生省のことをおっしゃられましたけれども発電の分野はむしろ厚生省ではなくて私どもの所管といいますか、自分の問題としてまさに受けとめておりまして、決して厚生省の問題というふうには思っておりません。
  100. 堀込征雄

    堀込委員 終わります。
  101. 武部勤

    武部委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。      ————◇—————
  102. 武部勤

    武部委員長 次に、内閣提出特定産業集積活性化に関する臨時措置法案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西川太一郎君。
  103. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 私は、新進党の立場から、ただいま上程されております特定産業集積活性化に関する臨時措置法案について、佐藤通産大臣初め御関係の皆様の御見解を伺いたいと存じます。時間は一時間でございますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  政治が果たすべき役割は、今ここに非常に苦しい思いをしている、生活に苦しんでいる方々がいらっしゃる、その方々をいかにして救うかということも大切な機能であります。と同時に、将来の世代に、この国に生まれて暮らしてよかった、そう思われるような観点から施策を行っていくということも極めて重要なことであります。  今上程されましたこの特定産業集積活性化というねらいは、いわゆる産業の空洞化をいかに阻止し、またはそれによって引き起こされる諸問題にどう対処するか。そしてその結果招来しているところのいろいろな事態にどう対処していくかという、短期的または長期的なそうした観点から施策を講じていかなければならないことはこれまた同じくでございまして、私は、そうした観点から、この法案の逐条的な解釈や質疑に入る前に、この法案のねらいであるところの空洞化をいかに防いでいくかということをまず最初にいろいろとお尋ねをしていきたい、こう思うわけであります。  そのためにはいろいろな切り口があるわけでありますが、空洞化、産業の空洞化とこう言われ、このごろでは金融の空洞化であるとか証券の空洞化であるとか、場合によっては教育の空洞化と、何でも空洞化という言葉をつけるのがはやりのようでありますけれども、きょうここで主として問題といたしますのは、いわゆる産業の空洞化であります。この産業の空洞化というのは言われて久しいのでありますけれども、これはどう定義したらよいのかというと、私も今回の質問に備えて、万巻のとはいいませんけれども、かなりの参考文献に目を通しました、またいろいろな識者の意見も聞きましたが、必ずしも明確でない。  例えば、雇用の問題に焦点を合わせて、産業の空洞化によって我が国の雇用が非常に危機的である。産構審の、紀元二〇〇〇年には相当数の失業者が出るであろう、大体五百万人でしたか、そういうような数字もあれば、いや、もっとロングレンジに物を見なければいけないのだ、例えば、産業の空洞化というのは一時的に雇用を減少させ、また所得を減退させる、こういうものだけじゃないんだ。この法律が問題にしているように、特定の産業がある地域に集中して一つの集積の効果を発揮している、そういうところが、くしの歯が抜けるように、コア企業の海外移転または企業城下町で想定されるように、具体的に言えば日産の座間工場の例が端的に示しているように、大きなよりどころになっている、またはそこに向かって技術的にも経営的にも一点集中の奉仕をしている、そういう企業が抜けたときに、がたがたと崩れてしまう、その集積が崩れる、それはもう取り返しのつかない技術の流出につながる、こういう問題をどうするのかと言う識者もいる。  さらにもっと大きく、技術革新や経営革新の、いわゆるイノベーションと言われるものが産業の空洞化によって意欲を喪失してしまうんだ、実はそのことが一番重大なんだ。イノベーションが、その気風が我が国からなくなること、我が国の技術革新というのは、いわゆる追加的に絶えず改良を加えて新しいものを求め、そしてそのすそ野を広げ、基盤を強くしたんだ、そういうものが欠けていくということが実は日本にとって取り返しのつかないことなのであって、イノベーションの喪失こそ長期的に見た産業空洞化の一番のマイナス要因なんだと言う人までいるわけです。  私は、冒頭申し上げたとおり、産業の空洞化というのを政治の問題としてとらえたときには、短期的には、雇用が減って、住宅ローンを払わなければいけないのにリストラをされてしまう、または海外から安いものがどんどん入ってきて自分の勤めていた工場が閉鎖になる、こういう主として中小企業に勤めている人たちの苦渋をどう救うかということも大切だけれども、それと同時に、小手先のことではなくて、もっと長い目で日本をどう鍛え直していくのか、こういう問題がこの空洞化問題には存在をしている、こう思うわけであります。  そこで大臣に冒頭、どのような空洞化の認識佐藤大臣が持っておられるか、これを承りたいのでございます。
  104. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今、西川委員のお話、非常によくわかるお話をしていただきました。どうも昨今、日本の国内の風潮というと、何か言葉だけ、新しい言葉が生まれるとそれだけがひとり歩きする、こんな現象が続いているのだろうと思うのです。  今おっしゃるように、産業の空洞化というものを一体どういうふうにとらえるかというお話でしたが、確かに私たちの業務からいうと、これによってやはり雇用という問題がどうなるか、この辺が一番心配なわけであります。御案内のごとく、昨年通産省で製造業の海外展開戦略に関する調査というのをやりましたら、五年後の二〇〇一年には百二十四万人ほど雇用の場が失われる、こんな数字が出ておりました。それは、当時は為替が百十円でございますが、これが百二十円というふうに安くなっても余り変わらない、このようなことでもって海外へ行くという傾向はこれからも続く傾向があるだろう、こう思うわけであります。  そこで、それをいかにして抑えていくかというのが、私たちから見る経済構造改革の柱であり、空洞化というものを抑える、こういうことになるわけです。やはり高コスト構造や制度的制約、こういう要因でもって、本来であれば国内で比較的優位を持つものでもみんな海外に行く、かように思うのです。  確かに世界的にもこうした空洞化現象がございますが、アメリカなんかの例を見ると、出ていくのに対して入ってくる企業もある。日本の場合は、御存じのように、国内への投資というか、向こうから来るのは日本から行くものに対してわずか十三分の一、こんな数字になっているわけです。これでは一層深刻化するわけだろう。  もっと開けた話をいたしますと、よく私は経済界の方にも申し上げるのは、皆さん方が外国に行って、日本は税金が高くて非常に経営の、仕事をする環境が悪い、生活の方も物価が高い、こう言われたらだれが日本に来ますか、もう少しうまい言い方がないのですかと指摘するわけです。そういうことでもって、今申したように、私たちの方は新しい雇用の創出、新規産業、こういうものと高コスト構造の是正ということ、こういうことで本当に国際的にも魅力ある事業環境の整備、これを急がなければいけない、実はかような認識を持っているわけでございます。     〔委員長退席、小川委員長代理着席〕
  105. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 そこで、私もうちょっと、今度は通産当局にこの空洞化問題についてお伺いをしていきたい、こう思うわけです。  ただいま大臣の御答弁の中に、高コスト体質を是正していくこと、その点については今の大臣の言葉は必ずしも失礼ながら明確ではなかった。つまり、日本を魅力的なものにすると、こうおつしゃった。だれに対してという目的語が欠けている。これは当然海外の直接投資を日本にしようとする企業、産業に対してだろう、こう私は言葉をつけ加えて想像するわけですが、それにもし間違いがなければ、今大臣は、高コスト体質の是正が魅力的な日本をつくるのだ、こうおつしゃった。  では、高コスト体質の是正というのは、海外のそうした産業や企業から見れば、日本国内の内部的な努力によって解消されるのだというのが昨今の議論じゃないですか。だから、そこのところを、人のせいにするのじゃなくて、自分たちでどうしたら高コスト体質が変えられるのか。つまり市場の原理が正しく機能していないからそういう問題が出てきているわけですから、きょうはそういう質問は実は用意していなかったのです。だけれども、今の答弁は、私がイノベーションというのがいかに必要かということを申し上げたことに対して大臣がそう答弁されましたから、最後に私はこのことを大臣にまた聞きますけれども政策当局としては、市場が十分に機能していないということもあるのだという認識はお持ちかどうか。ちょっとアドリブ質問で恐縮だけれども、ぜひお尋ねをしたい。
  106. 藤島安之

    ○藤島(安)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど大臣、一言、制度的制約を除去しなければならない、こういうことを申し上げたかと思います。新しい産業を興していく、そういったイノベーションが必要だ、こういうものにつきましては、高コスト構造の是正とあわせまして、もろもろな、いろいろな規制がございます。そうしたものも解消し、あるいはそういう制度的な制約を排除しながら発展を図ろうということとあわせまして、技術開発等々を行いながらそういうイノベーティブな産業を育成しよう、こういうことが一つの大きな柱だと私ども考えております。
  107. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 そこで、次に、具体的にこの法案の中身についてお尋ねをしていくわけでありますけれども、それに先立って、産構審という通産省の大変主要な審議会が、紀元二〇〇〇年に産業の空洞化によって五百万人くらいの雇用の喪失が行われるであろう、見られるであろう、こう言っているということを私はさっき申し上げた。大臣は御答弁の中で、百二十数万人の失業、こういうふうに省内での議論でなったと。大分違いますな、これ。産構審が紀元二〇〇〇年に五百万、大臣のおっしゃるのはいつ百二十五万なんですか。これはとても大事なことだから、すれ違いの議論のまま残しておきたくないので、あえてお尋ねをします。
  108. 藤島安之

    ○藤島(安)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど大臣がお答え申し上げましたのは、二〇〇〇年までに、私どものアンケート調査によりますと、製造業におきまして、空洞化とかそういう関係の面で百二十四万人ほど雇用が失われる、こういう見通しである、こういうふうに申し上げたことでございます。先生今御指摘されました、産構審で五百万人ほど雇用が失われる、そういうふうな統計は出しておりませんで、恐らく先生がおっしゃいましたのは、二〇二五年までに少子化、高齢化の影響で労働力人口が減っていくのだ、こういう数字ではなかろうか、こういうふうに思っておりますが、また御指摘があれば御答弁申し上げます。
  109. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 いや、私、ちゃんとした文献、データで調べて、産構審の試算で紀元二〇〇〇年までに五百万人程度の失業が、試算の結果、産業の空洞化の結果見られるということをきちっとしたデータで勉強したのですけれども、これはそういうものがない、こういうふうに今審議官がおっしゃった。では後で私そのデータをきちっとお見せしますが、それはもし間違っていたらどうしますか。これはすごく大事なことですよ。
  110. 藤島安之

    ○藤島(安)政府委員 ただいま手元に正確な数字を持っておりませんので、先生の数字を見せていただいて、御議論させていただければと思います。
  111. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 そこで、次に、産業の空洞化というのは、一番困るのは、日本に残ってほしい企業、生産性も非常に高い、市場もグローバル、俗に言えば国際的に一流、そういう企業が所属している、今の日本における高付加価値を生み出す、そういうセクターが出ていってしまって、政府の保護や規制で守られている生産性の低いそういう分野が日本に残ったとき、これは非常に悲劇ですね。今そういう傾向が実は見られるのですよね。これが大変重大なんだ。この法律がどういう機能を発揮してそういうものをとめられるということでこれを上程されるのですか。
  112. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 この提出をいたしました法案は、我が国の物づくりの基盤につきまして、これが地域経済の担い手でもあるという認識から、事業者間の連携といった集積のメリットを活用して事業展開を新たに支援をする、またこれによって我が国経済の発展基盤を確保しようというものでございます。  これらの産業集積は、加工組み立て型産業を中心とした生産拠点の海外展開、あるいは経済活動が停滞するということで空洞化の懸念が生じてございますけれども、この集積を構成する事業者の積極的な取り組みへの支援を通じて物づくりの基盤、これを支え、産業空洞化の懸念を払拭していきたいというふうに考えているものでございます。
  113. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 局長は、東京通産局長時代に実際に東京エリアにおける産業の空洞化を調査をされ、そしていわゆる大量、多量の物づくりから、特殊技術を開発したり、中間技術によってそれを支えたり、もちろんその下には今回問題にするところの普遍的な基盤的技術の集積があるわけでございますけれども、そういうものをベースに日本の新しい産業構造というものを調整していかなければならないという論文を、エッセイをエコノミスト誌に発表されたわけですね。私はそれを読む機会があって、大変通産省頑張っておられるなと当時は感銘を受けたのであります。  つまり、私、大事に思っておりますのは、金太郎あめという言葉がありますよね、どこを切っても同じ金太郎さんの顔が出てくる。これからの日本産業立地政策というのは、北海道には北海道の自然やいろいろな技術や、場合によっては人情の集積、そういう伝統を踏まえた産業が興ってしかるべきだし、東北にはまた別のものが必要だろうしというふうに、地域特性というものを十分に発揮した産業の集積であって、そこから新しい産業が興るというふうに思うのですよ。木に竹を接ぐようなものでもいけないし、金太郎あめのようにどこを切っても同じ、国が一方的な施策を押しつけるという産業立地政策であってはならない。そういう中で、局長が東京通産局長時代になされた事業というのは、私は東京選出でございますから、東京の産業をどうするかという意味では非常に示唆に富んだ調査であった。  そこで一つお尋ねしたいのは、これは後ほど遠藤筆頭理事から御質問をされると存じますけれども、遠藤さんの地元である城南地域、いわゆる京浜工業地帯を構成している東京の大田区、ここは基盤的または中間的そして特殊、この三つの範疇から成る技術の集積の宝庫だと言われている。ところが、ここですら、私の手元にありますデータによれば、一九八〇年代の中ごろから九四年にかけて十年間で、九千社の集積があったものが、二千社、つまり一九九四年には約七千社に減じているというデータがあります。日本の技術の集積の宝庫、こう言われるこの京浜工業地帯の中核をなす東京の大田区ですらそうした現象が見られている。このことは東大阪市にも同様な例があると聞いておりますが、こうした地域の技術の崩壊、これを局長はどうとらえておられるか、そこらをまずお聞かせいただきたいのであります。     〔小川委員長代理退席、小此木委員長代     理着席〕
  114. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 まさに委員指摘のように、大田区は日本産業が持っている世界に誇る財産である、集積の宝庫であるという理解でございます。  御指摘のように、大田区は、八三年から九三年の十年間で二千社の企業が減少いたしてございます。東京全体の工場数で見ましても、同じ十年間で二万七千件、実に二七%、三割近くの工場が減少いたしてございます。また、これを従業員数で見ますと、同じ十年間で二十二万一千人の製造業における従業員の減少、これは全国平均ではほぼ横ばいであるところを二割強の減少になってございます。  こうしたことの原因は、城南地区、大田地区が我が国の基盤産業を支えたまさにサポーティングインダストリーの集積でありながらも、日本全体が量産型、加工組み立て型の生産拠点が海外移転をし、あるいは海外からの製品輸入の増大で、取引量の減少、雇用の減退、事業所数の減少など、空洞化の影響を受けているものであろうと理解をいたしてございます。  こうした結果といたしまして、業種別に見ますと、例えば製造業の中の金型あるいは電気メッキ、これは平成二年から平成六年の数字で、金型でございますと二三%、電気メッキでありますと二二%の出荷額の減少でございます。製造業全体の同じ期間の減少は七・五%でございますから、倍、三倍の出荷額の減少の状況でございます。こうした事態は、集積内の企業の間のネットワークが崩壊をし、あるいは集積に蓄積をされました技術の崩壊など、集積の活力の低下をまさに引き起こすものでございまして、ひいては我が国の経済発展基盤そのものが喪失しかねないという事態ではないかと認識をいたしてございます。
  115. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 今、局長からサポーティングインダストリーという言葉がありました。これは非常に重要なんですよね。今お話しのとおり、そういう分野がだんだん衰退をしていったり、くしの歯が抜け落ちるように、欠け落ちるようにすき間ができていく、これは物すごく深刻なことなんです。  実は、御記憶だと思いますけれども平成五年、九三年一月に当時の宮澤首相がASEAN諸国を訪問された際に、我が国に欠落しつつある三Kという言葉、汚い、危険、きつい、こういうことを日本の若い人たちが嫌がる、だから、日本でそういうサポーティングインダストリーを興すよりもむしろそれをトランスファーして、ASEAN諸国でそういうものを引き受けてくれないか、それを育成するために日本は一生懸命労を惜しまないで努力しますよということを当時ASEANに表明しているのですね。  つまり、私が言いたいことは、今それどころじゃないということ。当時は日本は景気もよくて、そしてこれは一九九三年ですから、このころから円高が少しずつ始まったけれども、その二年後に来る急激な円高によって、海外から輸入代替で日本の円高で失われた部分を補おうとした政策はもう破綻をした。部品輸入などでごまかすのじゃなくて、生産の拠点そのものを海外に移転させることによって生き延びようというのがその後の日本産業空洞化の一つの動きですよ。  ところが、この時代には、宮澤総理などもASEANに行って、サポーティング技術はそっちでやってくれ、日本はもっと高度化したものをやるから、採算性の高いもの、高度なものは我が国が引き受ける、だけれども付加価値の低いもの、技術的に単純なものはそっちでやってくれ、こういう姿勢が、望まれる国際分業という議論で、当時我が国にはそれが芽生え始めていたのですよね。だけれども、今は全く違うと私は思う。  だから、日本はわずか数年で基本的な我が国産業立国のもとにかかわる技術の問題ですらこのようにスタンスを変えなければならないほど、世界の目まぐるしい変化の中で翻弄されているということを、通産省は十分認識しておられると思うけれども、私はさらに認識をしてほしいのです。その上に立って、しからばこの三Kをどう克服するか、将来の技術の担い手をどういうふうに育てていくか、これは非常に大事な問題です。このことについて見解を伺いたい。
  116. 石黒正大

    ○石黒政府委員 お答えを申し上げます。  サポーティングインダストリーといいましょうか、物づくりの基盤といいましょうか、この点にもう一度目を向けて日本経済の活性化といいますか、やらないかぬという視点に立って、今回法案の提出をさせていただいた次第でございますけれども委員指摘のとおり、結局何やかや言いましても、そこは、一つの問題は技術者であったり技能者であったり、そのあたりの問題に帰着するのではないかというふうに思っております。  私、立場柄、中小企業庁の者ですから中小企業の方々といろいろなところでお会いする機会がございますけれども、やはり技術者の確保といいますか、ある意味じゃ将来の承継といいますか、技術の伝承も含めましてその技術者をどうやって確保するかというのがなかなかしんどいと。特に技能者は高齢化をしておりますけれども、新しい人は製造業離れをする。それから、最近時点におきましては若干労働需給の関係で人も来るようになった、けれども、なかなか定着率が悪い、ずっとそこに定着していただけないというような事態も深刻なようでございまして、このあたり、技術者、技能者の力をどうやってもう一度つけていくかというあたりが課題かというふうに考えております。
  117. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 そこで、もう時間も半分たってしまいましたから幾つか具体的なことをお尋ねをしたいと思うわけでありますが、逐条的にやっていくいとまはありませんので、幾つか拾い上げて問題点をお尋ねするわけでありますけれども、今度の法律でいわゆる旧法、新法という概念を持たざるを得ない。中小企業だけを扱っていたものよりも、同じ七万ヘクタールでも、今度の法律では可住地、人の住める町も含めて七万ヘクタールだということで、前の法律が想定していたような原野に、または山野に工業団地をつくるというようなものとはちょっと違うな、これが一つ気がついたことですね。  それから、工場の数を百というふうに集積の一つの単位を、前は五十でしたかね、それを百とした、それから出荷額の単位も一けた上がった、こういうふうに拡大をされているわけでありますけれども、その中で、日本開発銀行だとか公団がこれに金融やいろいろな問題で出てまいりますね。  特に、この法律の十一条から十二条については地域振興整備公団が出てくるわけであります。従来は中小企業向けの金融、政府系金融機関だけであったものが、今度は、さっき申しましたように、金融についても日本開発銀行とこの整備公団が出てくる。それだけじゃなくて、工場や団地の造成のようなものについても公団が請け負う、こういうことがこの法律で明文化されてきた。これは、範囲が広がって機動性が増してバックアップの体制が強くなったんだと言えば、それはそうなんでしょう。答えを先に言って恐縮ですが、そうなんだと思う。しかし、今、行政改革が盛んに言われる中で、この地域振興整備公団は特殊法人として見直しを再度迫られる立場にあるものなんですよね。通産省所管の十幾つあるもののうちの一つなんです。  それで、まことに私は性格的に意地は悪くないのですが、大臣、殊さら意地悪にあえて言うと、何かこの公団をここでちょっと光を当てて、しっかりした根拠、存続のために、残してやるためにあえてこの十一条、十二条というものを——私は、何もここでこの公団を使わなくても、当該自治体、地域の県や区市町村で十分に対応できるのじゃないかと思うのですけれども、何でここで公団を持ってきたのか。この点をちょっと伺わしてください。これはどうぞ当局で結構です。
  118. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 御指摘のありましたように、新法、旧法の対比ではいろいろな要件の変化をさせておりますが、基本的には、旧法に比べまして新法は、従来の中小企業産地に代表されるものに加えまして、新たに基盤的技術産業集積を対象地域といたしてございます。  そして、この新しく追加をいたしました基盤的技術産業集積につきましては、非常に多くの業種が非常に広範な地域でネットワークを張りめぐらしながら活動をしておるという実態に着目をいたしまして、その広範な地域での活動に寄与をするという意味で、可住地という単位をとって地域の範囲がより大きくなるように、また工場の数も出荷額もそれ相応に規模が大きいものと、かようなつくり方をいたしてございます。  また、こういう基盤的技術産業集積には、大企業あるいは中堅企業がネットワークの幾つかの核になっている例もございますので、こういう中堅企業対策も念頭に置きながら、金融面でも開銀その他の支援対象として行うものとしているところでございます。  御指摘のございました地域振興整備公団につきましては、新たに賃貸機能を備えた事業スペースの供給を行うことを考えてございます。これは、既存の集積の活性化を図る上で、この賃貸工場で新たに試作開発型の共同研究、純粋の研究からいま少し製品に近づいた、非常に多業種の企業が集まって、そこで試作開発を行うというのがこの活性化のキーポイントになるほど重要な要素を持ってございます。ただ、既存の集積でございますので、なかなかこういうところで工場を新たにつくり、ましてや土地を買って共同でやるというのが非常に難しいところでございますので、各地の要望を聞きまして、その実現を図るべく、賃貸という形でこの貸し工場を建設をしようというものでございます。  各地の都道府県の要請を受けて行うものでございますが、規模では、五千平米程度の敷地に床面積で二千平米程度の集合施設を建設をいたしまして、百平米から五百平米に区分けをし、三ないし五年、試作開発一号機がうまく稼働をし始める程度までここで賃貸をしようというものでございます。こういう規模でございますから、当然中期的な観点で事業化し、投資回収を図るものであり、資金負担のリスクがございます。また、施設整備のあり方、企業の選定、施設運営のノウハウ等々で、地方自治体及び民間事業者による整備は、これほどの規模のものになりますとなかなか期待しがたいものでございます。  こういう趣旨から、ふだんの業務の合理化、効率化は公団として行政改革の趣旨から当然行うべきものであり、従来から着実に行ってございますが、他方で、この公団の設立目的に則しております業務につきましては、地域の発展に効果あるものであれば積極的に対応をしていきたい、かような考え方で法定化したものでございます。
  119. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 私のお師匠様は、有名な政治家で石田博英という人でしたけれども、西川君、役人は何かをやらないという理由考えさしたら天才的なことを思いつくぞと、こういうふうに常々私に教えてくれましたけれども、今の答弁を承っていると、尊敬する稲川局長が——私は、開発銀行が金を貸して地元にやる気を起こさして、まさに自分の地域の生き死にの問題だということで、プランを立て、難しいいろいろな事業を乗り越えてやるから、いわゆる集積地の技術についての思いもわいてくるだろうし、それを何かお上が、公団が出ていって、やってやるぞ、つくるから賃貸でおまえ借りろ、こういうのでは、本当の魂の入った産業空洞化防止対策はできない、私はそう信じている。大臣、いかがでしょう、これはちょっと予定外の質問ですが。
  120. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 私も実は官僚出身ではありません。西川委員のおっしゃる意味、よくわかります。  今、御存じのように、特殊法人見直しというのが大きな問題になっておりますが、これには、先ほど申したように、一つは、民間に移行するかどうかという部類の問題があって、二番目には、機能を残しておいて、しかし、どうもそれが出発した時点から比べると、大分肥大したとか問題があるとかというところはスリムにしよう、そして三番目には、そこでもってほかのものと一緒に、同じような目的のものがあれば一緒にする、四番目には、完全につぶしてしまう、目的が終わった、こういうことでございまして、今の地域振興整備公団は三番目の部類でへスリムにして、そしてほかと一緒、こういうことにいくだろうと思うのです。  そういうことでございますので、今ここに書いてあること、今までやっていたことと同じことをやらせるという意味ではございませんので、その点を御理解いただきたいと思います。
  121. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 食い下がって恐縮ですけれども、橋本内閣が行財政改革に、総理のお言葉をかりれば火だるまになってもやるんだ、こうおつしゃった。その右腕である佐藤通産大臣が所管をされる公団が新しい法律によってその活動の根拠をさらに持つということは、これは決して私は悪いことだと思わない。  しかし、この法律を私なりに読ませていただいて、想像して、いろいろと勉強会を通産当局とやらせていただきますと、およそ全国に二十くらいのものを一応想定している。旧法では九十四の実績があるわけですよね。これも実は質問の中に入っていたのですけれども、時間の都合でちょっと飛ばしてしまいました。九十四地区の、いろいろな伝統的な、または地場的な中小企業中心の技術を、旧法ではそれを守り、育て、そして景気低迷に対応していこうと。今度はさらにその地域を広げて、そして企業の規模産業の範囲というか、それも広げて、そして従来にない大きな援助もしていこう、補助金やいろいろなものもやっていこう。この姿勢はよくわかるのですよ。私は反対してない。  ただ、そういう目的の中に、何度も言って恐縮だけれども、公団を一丁かませる必要がどうしてあるのか、そこがまだわからない。地方自治体の、いわゆる財投の地方版だっていいじゃないですか。何で公団がこんな全国のいろいろなところにこれ以上こうやって出ていって、これはもうどう考えたって公団のレゾンデートルを与えるための法律としか思えない。それは僕は、この時期に意地悪だと思わない。そういう意見があってしかるべきだ。そんなことも気がつかないぼんくらな国会議員がこの法律審議したって、後でべろ出されるのはしゃくにさわるから、これだけははっきり言わせていただきたい。何度もしつこくて恐縮です。稲川さん、どうですか。
  122. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 地域振興公団の新規業務は、地方自治体の要請を受けて行うことを一つ前提にいたしてございます。したがいまして、公団の方から全国へしゃしゃり出て、いろいろなものをつくろうという趣旨ではございません。  それから、いま一つ申し上げたいのは、地方自治体におきまして、各種の貸し工場を小さくつくっているところはいろいろございます。ただ、そういう中でも、これほどの規模のものでっくれる機能に着目をいたしますと、公団をおいてほかにできるところはないと信じてございます。  冒頭申し上げましたように、公団が自分でしゃしゃり出てつくるものではございませんで、各地からアンケートをとりましたところ、こういう機能が欲しいということでありますので、ここに準備をいたしているものでございます。
  123. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 そうすると、今の公団のそういう必要性ということについて、各地からいろいろな要望があった、そういうことに基づいて、公団でなければそういう機能はできないんだ、こういうふうに局長は今言い切ったわけですけれども、法の三十一条にいわゆる産学協同の問題が出ていますよね。では、これと公団とはどう組むのですか。  つまり、今局長がおっしゃった機能という言葉を一つのリンケージとして考えるならば、建物の大きさだとか建物の使い勝手だとかというのは、それは設計の問題でしょう。だけれども、特定産業の集積に資する、それの高度化や汎用化や、普遍化と言ってもいい、そういうものに資する、よってもって地域産業の空洞化の影響を防止するというならば、絶えず新しい技術を開発してその地域に抜けてしまった技術のかわりに注入するか、今まであった中核企業にかわるものをどこかから持ってきて新しい核にするか、そういう具体的な方策しかないでしょう。そのための道具としての工場や施設でしょう、手段でしょう。その手段を公団でなければできないということは、私はないと思いますよ。では、へ理屈を言うようだけれども日本産業の集積は今までどれだけこの公団にお世話になったのですか。公団がどれだけ日本産業集積に力があったのですか。そうじゃないでしょう。  結論として、新しいところに工場を建てたり、いろいろ貸していこうということはだれでもできるのですよ、こんなものは。大学だとか地域のいろいろなものの産学協同の力をかりれば、だれだってできるんだ。何で公団をあえてこういうところに持ってくるのかということを聞けば、公団でなければその機能は発揮できない。幾ら稲川さんでも、私はそれは納得できないな。けんかじゃないんだから。
  124. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 公団でなければできないと言っているのは言い過ぎておるかもしれませんが、これほどの規模のもの、これほどのリスクを伴うものを行うのは、恐らく公団が行うのが最も適当であろうということを申し上げた次第でございます。  もちろん、各地の産業集積の空洞化の動きに対しまして、例えば大田区でいろいろな新しい技術、産学協同をやっておるのは先生御承知のとおりでございます。そういう中でも、砥粒加工学会が、そこの非常に微細な加工をする事業者と産学協同をしながら、そこで新しい試作開発を行ってございます。その試作開発の動きは、大田区が用意をいたしました小さな貸し工場に出ていってつくっているものもございます。そういったもののさらに大規模なものを持ち、地方自治体から要請があらば公団でお手伝いをしたい、かようなものでございます。
  125. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 この問題は押し問答になりますからあれですけれども、それならば短期的に、大臣、御答弁は大臣ではなくていいですよ、聞いていでください、短期的に産業の空洞化によるマイナスは雇用にあらわれるのです。それはもうだれもが認めていますよね。そうでしょう。さっき、その議論をやったわけだから。  そうすると、労働省に雇用促進事業団というのがあるじゃないですか。これ、今度つぶすんでしょう。そういってみんなで太鼓を鳴らしているじゃないですか。それに対して労働省は困っている。雇用促進事業団に何でやらせないのですかという理屈になってしまうのです。だから、それはやめておきます、今ここは行革のあれじゃないから。ただ、私が言いたいのは、日本開発銀行だって、リスク、リスクとおっしゃるけれども、リスクというのは結局金目の問題でしょう、投資の問題でしょう、投資の回収の問題でしょう。失敗したらどうするか。それなら、開発銀行がこのたびは出てくるのだから、それで十分じゃないのですか、資金的手当てを政府がきちっとしてやれば。  私が言いたいことは、画一的に政府が全国に同じような形の工場をつくって、さあやれと言ったって、そんなもの産業振興にならないのだ。本気でやる気のある地域に、その地域の人が苦労して苦労して、みんなで知恵を絞ってやる気にさせる、政府が大きく包んであげるというのがこの政策の一番大事なところじゃないかと思うからあえて何度も同じ質問をしているのであって、誤解のないように、私は公団をつぶせと言っているのじゃないのだ。ここに公団が突然出てくるのは、何か木に竹を接いだような感じがしませんかというふうに同僚の皆さんにも申し上げているわけでありますけれども、まあそこのところを私の意見として申し上げさせていただきます。  もし何かこれについて、大臣、答弁があればお願いします。     〔小此木委員長代理退席、委員長着席〕
  126. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今言われることはよくわかると言ったのは、そこの点でございます。といって、今までの地域振興整備公団、これは受ける方の自治体というのが全国に四十七都道府県ある。その地方自治体それぞれやはり特徴がありまして、今おっしゃるように過去において成功した大田区の例もあれば、ほかの県でどこが失敗したというと問題でございますが、私の地元のこうしたものによっても、いろいろ考えさせられる点が多い面があることは言うまでもございません。  そこで、今の委員のお話というのは私は政治家としてよく理解できますので、その点はこれから法律が通った後において、それらの運用面においていろいろと検討、また考えていきたい、かように思います。よろしくお願いいたします。
  127. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 今大臣がいみじくもおっしゃいました運用面、ぜひ適切な運用をしていただいて、大いにこの法案の成果を上げていただきたいというふうに御要望申し上げておきたい、こう思います。  もう時間もあとわずかでありますから、この法案にうたわれている主務大臣と地方分権のかかわりについてお尋ねをいたします。この法案では、都道府県が行うべき業務はこれを区市町村におろす、できるだけ権限を移譲せよ、こういうことをうたっています。しかし、主務大臣の権限に属するもの、通産、建設、運輸、こうした大臣の権限に属するものは、これを地方公共団体におろすということは明文化してない。地方分権、そして先ほど金太郎あめという表現をしましたけれども、国からの一方的な押しつけではなくて、おのがじし地域の自主性に基づいた産業立地というものを考えていくならば、私は主務大臣の権限もできる限り地方におろしていく必要があるのじゃないか、こう思うわけです。  それは、例えば東京都でいえば、二千二百も機関委任事務があるのです。私は元東京都議会議員でありますから、そのことをだれよりも詳しく承知をしております。二千二百も機関委任事務があれば、ほとんどのことが、東京都で発案して、国に上げて、東京都で最終的に判こを押せば済んじゃう。これは都議会の先輩の小澤元大臣もおいでですけれども、自分で出して自分で判こを押しちやってできちゃう。そうすると、どうも恣意的な政策になってしまうのじゃないかということから、国が最後まできちっと面倒を見る。伸び伸びと自由にやらせるけれども、最後のしりは国がとるんだよ、産みつぱなしで追い出しちゃうんじゃないよ、こういう配慮なのかな、こう思うのですけれども、そういうことでこの主務大臣の規定があるのでしょうか。これは、地方の人たちはこのことに非常に期待をしているので、あえてお尋ねをする次第であります。
  128. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 委員のまさに御指摘のような配慮でこの法律をつくってございます。  若干事務的に申し上げますと、この都道府県知事の事務は機関委任事務ではなくて団体事務として構成をいたしてございまして、これは将来、地方分権推進委員会がおっしゃるところの自治事務として、都道府県の固有の事務として承認その他の事務を構成することになると考えてございます。したがいまして、通産省その他の主務省庁は、各種の政策対応の構想段階から通産局その他を使いながら密接に連携をとって行ってまいるつもりでございます。
  129. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 これで最後の質問になるわけでありますけれども、今日本は大変苦しい思いをしています。生産性も低くなってしまったし、一説によればアメリカの七割だというし、国際競争力はついにシンガポールの後塵を拝してしまったというスイスの世界経済フォーラム・国際経営開発研究所の調査結果もあります。  こういう中で日本は、円はあのプラザ合意のときの二百五十円から一〇〇%切り上がった百二十五円、みんなで大騒ぎしたあのときぐらいにまた戻りつつあります。しかし、円安でも、日経新聞の調査によれば、空洞化は一向におさまっていない。いわゆる海外で物をつくる生産比率はだんだん増嵩して、恐らく一九九〇年から二〇〇〇年にかけては、場合によっては西欧並みの二〇%に到達するかもしれない。また、海外の雇用は逆にこのところ微減している。だから労賃の安さを求めて海外に出ていったという円高時代の空洞化の形とは違って、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、グローバルな市場を持ち、調整機能を持ち、非常に高付加価値の、日本にぜひ残ってほしいような産業まで外国に出ていってしまっている。それで、残ってほしくない、いてほしくない、保護を受けたり規制で守られているものばかりが日本に残っていく。市場のゆがみは依然として正せない。  こういう状況の中で、コアになる企業が企業城下町から抜けたり、産業集積地から抜けていく。こういう産業の空洞化が短期的に招来をしているところの失業率のアップ、こういうものに対応する短期的な政策と、冒頭申し上げた長期的な、ロングレンジの、いわゆるイノベーションというものを喪失をしない、意欲に満ちた、そういう産業国家日本というものを守り続けていくための政策というものは、非常に微に入り細をうがつような、かゆいところに手の届くような政策であると同時に、骨太の、先見性に満ちた政策でなきゃならないのですね。  だから、そういう政策を立案する衝に当たる通産省とされては、御関係の中小企業庁資源エネルギー庁も特許庁もみんなそうですよ。そういうところは一丸となってやっていかなきゃいけないのだけれども、今空洞化の決め手はやはり次世代産業を起こすことなんじゃないか。びほう策じゃない、新しい産業を起こして牽引車を新しく育てることが日本を救う道なんじゃないかという議論に今どうにかコンセンサスが得られると私は思うのですね。そこに向かつてこの法案がどう機能するのかということ、これがこの法案の賛否を分ける非常に重要な問題だと思うのですよ。  したがって、大臣は再三にわたってこの法案の必要性を説いてこられましたけれども、最後に、本日これは採決に持ち込むわけでありますから、大臣の渾身の思いを私どもに聞かせていただきたい。これで私の質問を終わりたいと思います。
  130. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今の西川委員のお話、先ほどから申すように、私自身よくわかるような気がいたします。  確かに、一口に産業の空洞化と言うけれども、時代、経済背景によって全部その意味するところが異なってきているだろうと思うのです。確かにそのためには、今は非常に苦しいけれども先行き明るい見通しというので、そういうものを事業者にも、そしてまた国民にも提示しなければいけない。これが実は今度の経済構造改革になるわけでございます。  そこにおいては、今までのように近視眼的な問題ではなく、中長期に物事を見、そして単細胞ではなく、一方的ではない、いわゆる複眼力というか、人と物とそれから資金、こういうものを総合的に見ていくということで、それにおいては、例えば新しい産業の中においては、特に中小企業を対象としてベンチャービジネスということでもって、税制でもってエンゼル税制もあるだろうし、そしてまたこのような集積法によって、今までのような城下町的なものも若干今の時代に合うようにしていかなければいかぬ、こういういろいろな施策でございます。  そして、おっしゃるようにイノベーションということもございますので、何といっても国民、経営者すべての意識というものを変えていかなければいけないだろう。これが一番大きいと思うのです。それには、もちろん俗に言う官学産ということですが、どうもその中においては、私たちの官の方の意識というものも大分時代におくれている面もあるような気もしますし、この点はこの点でもってまた改めていきたい、かように思っているわけでございます。以上でございます。
  131. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 終わります。
  132. 武部勤

    武部委員長 次に、中野清君。
  133. 中野清

    ○中野(清)委員 新進党の中野清でございます。  ただいま我が党の西川議員からすばらしい情熱を込めた御質問がございましたが、その志を受けまして質問をさせていただきます。  現在、産業の空洞化の懸念というものが深刻になっているということでございまして、先ほどは雇用の問題で五百万人とも百二十四万人とも言える減少、その中で特に技術の空洞化、地域の空洞化が深刻な問題になっております。そして、円安でもこの問題は解消されません。  昨今の急激な為替相場を背景といたしまして、企業はこの影響をできるだけ少なくしよう、いわゆる為替ニュートラル的な生産体制を構築をしようとしておりまして、その結果、多少円高傾向のもとでも、家電製品や自動車などの加工組み立て産業を中心として生産拠点の海外展開が進み、国内でこれらの部品や試作品、生産設備などを提供してきた地域産業は厳しいコスト削減要求を突きつけられておりまして、事業の縮小を余儀なくされております。多くの企業の残酷物語の事例がたくさんありますが、今は申し上げません。  現在、中小企業の競争相手は、国内の同業者だけでなくて東南アジアの会社だという声も各方面から聞くわけでございます。まさに、国際競争の荒波にもまれながら、生き残りをかけて発展していく道を切り開こうとしていると認識しておりますけれども、このような状況の中におきまして、地域産業集積の空洞化の厳しい状況をどのように認識されているか。また、どの点を克服することによって解決するのか。ただいまお話しのとおり、高コスト構造の是正や市場原理や制度的な制約をなくす、いろいろなことを言われておりますけれども、通産大臣の御認識と決意を伺いたいと思います。
  134. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 我が国産業の空洞化への懸念、これは、物づくりを支えてきた地域産業集積における中小企業を初めとする事業者にとっては大変深刻な問題である、そのことが産業集積の崩壊にもつながりかねない問題、こんな認識を実は持っております。そこで、我が国産業の新たな活力を生み出す源泉であるこれらの産業集積を活性化することが重要である、そのためには、事業者が行う新製品開発や新分野進出などの新たな事業展開を支援していくことが必要であると思います。  このような認識のもとに今国会に本法案を提出したところでございまして、産業インフラの整備、研究開発、人材育成の促進、あるいは新たな事業展開への投資促進、こういうものを柱として、地域における産業集積活性化に向けた取り組みの総合的、体系的な支援を行っていく、このような所存でございます。
  135. 中野清

    ○中野(清)委員 今、大臣の方から産業集積の空洞化の現況についてもお話しいただきましたから、次に進ませていただきます。  地域産業の集積の方向につきまして、私は、地域の空洞化対策としては地域ビジョンの策定が最も大事であると思いますし、大前提だと考えております。町づくりという視点の中で、産地の理念とか産地の方向性、産地の未来像についてどのように形成していくのか。先ほど来お話がございましたけれども、県や地元に任せるというのではなくて通産当局としての志が必要ではないだろうか。当然あると思います。そしてまた意気込みがありましたら伺いたい。  もう一点は、主務大臣として、この十年の時限立法を踏まえました活性化指針というものを早期公表したい、そういうお話がございますけれども、具体的にどうなっているのか、その点について二つ目としてお伺いします。  三つ目といたしまして、地域産業活性化計画指導費というのがございますけれども、都道府県が新法に基づいて活性化計画を進めた場合に、この活性化計画こそが、今申し上げました新しいビジョンづくり、そして地域の、産地の方向づけが一番大事でございまして、まさに地域空洞化対策の目玉ともなるべき性質のものだと思っております。  しかしながら、国の補助は一地域について四百七十万円、十五地域となっております。四百七十万ということは、恐らく県の支出が同額あると思いますけれども、本当に今日の産業空洞化の時代を考え、そして現状の深刻な事態を考えたときに、産地のビジョンをきちんとつくる、そして皆さんに夢を持ってもらう、希望を持ってもらう、そこを考えたときには一けた少ないのではないか、はっきり申し上げて私は率直にそう考えておりますけれども、お考えをいただきたいと思います。
  136. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 お答えを申し上げます。  委員ビジョンの点をお触れになりましたが、まさに御指摘のとおり、ビジョンという観点、あるいは日本産業の将来方向という観点から見れば、我が国産業への需要は、大量生産の一般仕様品から小ロット生産の特殊仕様品へ移行する段階でございます。これに伴いまして、我が国産業構造の中に占める資本財、生産財あるいは研究開発、試作を中心とする分野などのウエートが従来にも増して高まる状況でございまして、こういう中で、物づくりを支える地域産業がこういう需要構造あるいは産業構造の変化に対応しつつ新たな活力を生み出せるようなビジョンづくり、町づくりの案というものをつくっていくことが非常に大切であろうかと思います。  この法律の中では、産地や県、あるいは通産局もその中に入りまして、いろいろなビジョンをつくっているものを集大成をいたしまして、この法律の中で言っております計画の中に盛り込んでいかれるものであろうかと思っております。  また、国といたしましては、この法律の中におきます活性化指針の中で、今申し上げましたような方向性で集積の活性化を図っていくべきであるという内容で国としての基本的な考え方を示す予定でございます。また、この主務大臣の指針につきましてはへ法律が制定、公布をされました暁には極力早い段階で、一、二カ月を要さない早い段階でこの指針を公表したいというふうに考えてございます。
  137. 中野清

    ○中野(清)委員 今御答弁いただきましたが、その中で、まさに主務大臣の指針とか活性化指針というものが、恐らく通産の当局の皆さんの願いであり、心だと私は思うのですよ。その点について、もう少し詳しく説明をしていただきたい。  それからもう一つは、今お話しのとおり、大量生産、大量消費の量的拡大から質的な拡大、言いかえれば多品種少量生産という言葉であらわされるような、高付加価値型の産地集積形成というものが一つの大きな課題になっております。先ほど西川委員の方からも、そういうものを言いながら、実は全体的に地盤低下してしまった、そういう話もあります。そうすると、そういう点について、今通産省として本当にどういう方向でもって引っ張っていこうとしているのか、この点についてもこの際明らかにしていただきたい。言葉として高付加価値型の産地集積形成というのはわかりますけれども、それじゃ実際に、地域産業界の皆さん、そして、それに従う人たちが本当にどう思っているか、それについてわからないと思いますので、御説明を願いたいと思います。
  138. 安達俊雄

    ○安達政府委員 活性化指針について、補足説明をさせていただきます。  もとより、地域の多様性を十分に引き出そうということで、県の活性化計画、これは非常に重要な意味を持ってくるわけでございますが、そういった計画づくりの一つのガイドラインになるように指針をつくっていこうということでございまして、活性化指針の性格を説明させていただきますと、まず、国としてこの産業集積というものをどう認識するかというところが非常に大きいポイソートでございます。今後の我が国の経済発展の中で、産業集積がどういう意義を持ってどういう役割を果たしていくのか こういう位置づけをまずすることが必要でございますし、また、そういった法目的の中で対象とすべき産業集積をどのようにとらえるのかということも出てまいります。また、極めて実務的ではございますけれども、県が作成する活性化計画、これの中に例えばどういう目標を設定するのか。あるいは支援事業、県が単独で行うものもあれば、国と連携して行うものもあります。そういった支援事業をどのような計画としてつくっていくのか。また、事業者の承認ということがございますけれども事業者事業展開というものを県としてどう見ていくのかという、基本的なところでのガイドラインといいますか、そういったものを含めて全体として活性化指針を策定してまいりたいというふうに考えているものでございます。
  139. 中野清

    ○中野(清)委員 私が持っている資料の中に、こういう言葉がございました。それは、この法案の問題点といたしまして、「事業者等の事業計画の策定・承認・実施等における県の手続の迅速化・簡素化と民間の持つ柔軟性・独創性の尊重」ということを言われておりますけれども、今さらこういう話が出てくるということについては、実は驚いたわけなんです。むしろ、そういう中で、今お話しのこの指針につきましてお願いがございますのは、どうか、皆さん方が我が国産業をどういうふうに持っていくのか、この重大な時期における皆さんの志というものをもっと明確にしていただきたい。そして、先ほどのお話のとおり、高付加価値型でも結構でございます、それについて、多くの企業家の皆さん、県の皆さんも、地元の、地域の皆さんがわかるように明確な指針というものを出していただきまするようお願いをして、それについてまずお伺いしたいと思います。  さらに、実は、私もこの内容について幾つかお話しいたしますと、この基盤的技術産業集積の要件として、先ほど西川委員もおっしゃっておりましたけれども、新しい法律、新法といいましょうか、その中では、七万ヘクタール以下の可住地内、そして業種が百社以上、工業出荷額が一千億ということで、拡大をされておるというわけでございます。そして、特に平成四年に制定されましたこれまでの中小集積活性化法で九十四地区、四百四十一産地が指定されておりますが、東京や神奈川や千葉、埼玉はこれには入っていない、これはもう御承知のとおりでございます。  そうしますと、例えば埼玉の例を申し上げたいと思いますけれども、埼玉では、いわゆる川口の鋳物、二百五十社ございますけれども、鋳物産地の話じゃないかという話ばかりが出てまいります。しかし、大臣、現実には埼玉にも四十四の工業団地がありまして、その中には千九百九十社も入っております。もちろん、工業団地以外にも多くの企業がありますから、そして、例えばこの業種的な関係で申し上げますと、金型で五百十六社、プレスで二百七十五社、メッキで百三十三社もありまして、新しい産地形成というものが言われておるのですけれども、一向にそれが見えてこない。  ですから私は、今度の法律の中において、新しい産地形成、そしてその中でのいわゆる方向性、そういうものを、先ほど私はビジョンということを地域の産地のことで申し上げたのは、そういう意味でもって考えるべきだろう、きちっとお願いすべきだろう。その点があるわけでございます。  そうしますと、フラットな埼玉のような場所におきましては、七万ヘクタールというものが本当にいいのだろうか、そう考えていきますと、そういう点については基礎としては十分理解しております、そういう面積とか出荷額とか業種とかということについては、一つの基準として私ども理解します。しかし、これからの問題としては、皆さんの中にでも、県境を越えてもやりたいというお話があるぐらいに柔軟性を持った適用をしたいということでございますから、やはりその地域の自主性、その地域の持っている特殊性、そういうものについてもぜひ考えていただいた方策が必要と思いますけれども、御見解を承りたいと思います。
  140. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 計画作成に当たっての地元の意向、それから手続の簡便性などについての御指摘をいただきました。法律の運用上、先生の御趣旨を十分に体して行いたいと考えてございます。  また、この地域産業集積の対象地域でございますが、可住面積七万ヘクタールの、例えば埼玉県でとってみますと、広がりとしては、川口、川越、大宮から与野市、坂戸市等々に至る、非常に広範な範囲が可能でございます。地元の実情を反映をいたしまして、できる限りこの集積の実態がこの中に含まれるよう、フレキシブルに対応したいと考えてございます。それぞれの県が地域を選定し、対策を講ずるわけでございますが、県ともよく相談をしながら、この法運用に努めたいと思います。  なお、先ほど先生、予算の点の御質問がございましたので、補足的に説明を中小企業庁の方から申し上げます。
  141. 田島秀雄

    ○田島政府委員 本集積法にかかわります中小企業予算でございますが、予算をめぐる状況は大変厳しいのでございますけれども、私どもといたしましては最大限の配慮を行いまして、自慢するほどの数字かということもございますが、一般会計で四十億円を超える予算を準備をいたしておりますし、高度化事業なんかでは百数十億円、こういうことを用意いたしております。事業者向けにつきましては、特に意欲のある中小企業者の方に重点的にお使いいただけるように配慮をしてまいりたいと思ってございます。  先ほど先生指摘の、単価四百数十万円といいますのは、県が活性化計画をつくります場合に国としてもお手伝いをいたしたいということでございますが、このほかにも、事業者あるいは県のいろいろな技術開発等の御援助なんかも含まれてございます。予算の有効活用、それから、できるだけ予算の確保につきましてもいろいろ工夫をしてまいりたい、こういうふうに存じております。
  142. 中野清

    ○中野(清)委員 予算につきまして私が申し上げたのは、計画の段階に金を使えということなんです。いろいろな事業に使うについては、これはだんだん出せばいいわけです。しかし、もとですから、もとについてしっかりやらないとこれはだめですよという話を申し上げたわけで、私はそういう意味ではこれが三倍だって少ないと思っていますから、ぜひそういう意味では中小企業庁考えていただきたい。  それから、面積についてお話ございました。私の先輩の加藤議員も埼玉でございますから、今伺った中に、はっきり申し上げて、例えば三郷とか草加とか越谷とか入っていないのです。ですから、私はもっと範囲をちゃんと広げてもらいたい。七万ヘクタールというような限界だけではなくて、もっと制約を少なくした方がいい。基本的には七万ヘクタールで結構でございますけれども、そういう点での柔軟な適用をお願いしたいということをまずお願いしたいと思います。  先ほど、予算の話がございましたから、もう少し予算の話もさせていただきます。  例えば、地域産業集積活性化調査事業で、都道府県が集積の現状や法の施行状況を調査する際の補助が九百五十万円、これはまあ比較的多い方ですけれども、しかし、土地区でございます。それから、活性化計画指導費で、中小企業や組合に対する指導をする経費が一件百九十万円。新法に基づく基盤的技術集積内の中小企業の研究開発対象は八件という現状にあります。  大臣、私は、今回の件については一生懸命皆さんがやっているということは理解しております。ですけれども、まだ少ないのではないか。つまり、予算の額とかそれから対象、そういうことを考えて、これは当然大蔵の関係があるから皆さんの方としてはこれで十分ですと言わざるを得ないと思いますけれども、この点について御所見を伺いたいと思います。
  143. 田島秀雄

    ○田島政府委員 決して十分な額というふうに自慢をいたすような数字ではないかもしれませんけれども、大変厳しい中で一生懸命所要の予算の確保努力をしてまいっておるところでございまして、引き続きいろいろな工夫をしながら努力をいたしたいと思います。
  144. 中野清

    ○中野(清)委員 その点についてはぜひこれからも頑張っていただきたい、お願いをしたいと思います。  それから、地域の人材確保問題について、先ほど西川委員の方からお話ございました。機械の世界ではマザーマシンの原則というのがあるのです。これは、標準的なオペレーターが機械を扱う場合に生み出されてくるところの製品の加工精度というのは、マザーマシンの精度を上回ることはできない。だから、今大事なのは、マザーマシンの精度を上回る鍛え上げた職人の技だと言われております。人手のかかるものとか工夫の要るものが今日本から失われている。そして当然あるべき技術もなくなっている。これはもう皆様が御承知のとおりであります。しかも、若手技術者の育成確保がうまくいかないで後継者難に苦しんでいる企業がいっぱいある。先ほど来そういう話がございますけれども、これについてどうやっていくか、お伺いをしたいと思うのです。特に、労働省でも通産省と一緒に雇用対策の連携協力をされていると伺っておりますし、労働省の政策伺いたいと思うわけであります。  それから、今の人の問題についても、地方自治体とか企業とか地元の大学とか、そういういろいろな問題があると思いますけれども、その点についても御答弁をいただきたいと思います。
  145. 石黒正大

    ○石黒政府委員 お答えを申し上げます。  技術者、技能者の問題でございますけれども、商工会議所のメンバーでいらっしゃる委員はもう御存じのとおりでありますが、最近新聞に「平成の匠」という連載が掲載をされておりまして、この時代になりましても、機械に頼らないで、たくみの技といいますか、これを持った人が日本にもたくさんいるよというような連載が行われております。まさに今まで日本の製造業を支えてきたのはその分厚い層の存在だったというふうに認識をいたしておりまして、ここの部分にもう一度皆さんの目を向けていただきたいというのが私どもの願いでございまして、そういう観点から、中小企業政策といたしましても、技術者、技能者の確保、技術力の向上の問題についてはっとにいろいろなことをやっております。それぞれ努力をさせていただいておりますけれども、何はさておき、やはりそういうことをやっていらっしゃる方々に対する社会の目というものが高まるというのもまた重要なことではないかというふうに考えております。
  146. 安達俊雄

    ○安達政府委員 労働省との関係でございますが、全体といたしまして、今国会で労働省の方から地域雇用開発促進法の一部改正の御審議をお願いしているところでございます。私ども通産省と労働省は、この問題につきまして連携を図って進めていこうということで話し合いを進めてまいりました。今回の労働サイドから出ております一部改正法案の中で、高度技能活用雇用安定地域、これを指定することになっておりまして、この中で労働省サイドでは地域の人材の高度化、育成あるいは職場環境の改善、労働者福祉の増進等々の総合的な施策を進めるという予定になっておりますけれども、先ほどの安定地域の指定と本法案におきます基盤的技術産業集積の地域につきましては、可能な限り同一の地域ということで運用していくということで、両省の施策が相乗的な効果を発揮するように努力していきたいと考えているところでございます。
  147. 中野清

    ○中野(清)委員 今のお話について伺ったわけでございますけれども、私はちょっと具体的なものが欠けているような気がします。どうかそういう点について、特に、社会の目とおっしゃいますけれども、具体的にやはり経済的なものもきちっと保護してやらなければいけないだろう、評価もなければいけないかと思うのです。そういう点で、今の時代が物づくりを大切にしない時代だということについては、ぜひこれからもその点について頑張っていただきたいということを要望したいと思います。  最後に、時間がございませんから申し上げたいと思いますけれども、今までいろいろとお願いいたしましたけれども一つには、今までの、どちらかというと護送船団式な方法といいましょうか、支援といいましょうか、それが例えば組合であり、産地だと思いますけれども、これも大事だと思うのです。しかし、それと一緒に、では個々の企業についてどうなんだろうかということについての対策を、方針を承りたい。個々の企業については、例えばアウトサイダーもいるはずです、異業種交流もあるはずでございますが、その個々の企業に対して育成対策はどのように進めているか、まずお伺いをしたいと思うのです。  それから、稲川局長さん、先ほど来御答弁いただいて恐縮でございましたけれども、私も地元の企業の皆さんから、あなたが通産局長をやったときの中に、いわゆる出るくいは大いに伸ばそうというので、一社一社に関東通産局の皆さんが御用聞きで聞いて回ったというので、珍しいことがあったものだなということで非常に感銘したといいましょうか、そういう話を聞きました。私は、これからのお話というのは、県とか市町村とかという行政からのパイプ、これも大事だと思いますけれども、事産業問題に関して言えば、本当に現場で苦しんでいる各企業の声というものを皆さん方が聞かなければだめだと思うのです。ですから、そういう意味で、あなたが関東通産局長時代に指導したことについては、私はそれなりにいいと思っています。  そうしますと、どうかお願いしたいのは、その経験からどういうこれからの各企業に対するものがあるのかということが一点。  それから大臣に、そういう点についての個々の企業に対する具体的なもの、各企業のニーズをきちっとつかんでいくという姿勢をこれから通産省としては持つべきだろう。その一例が、先ほど申し上げました関東通産局の「一都十県行動する行政サービス」だと思うのです。そういう点についてどういうふうに御評価されているか、それも伺いたいと思います。
  148. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 関東通産局の日ごろの活動状況について御評価を賜りまして大変ありがとうございます。まさに行政の出前サービスというようなことで、二十人ほどのチームを組みまして、それぞれ企業に出向いて、研究上の問題あるいは行政上の問題について知恵を尽くしたという活動でございます。  今後、この法律に基づきます支援策を講ずるに当たりまして、通産局における御指摘のような実態調査あるいは日常的な事業者等との接触を通じまして、事業者の実態あるいはニーズを把握しまして、これに合致し、実効があり、また使いやすいような形でこの法運用を図ってまいりたいと考えてございます。
  149. 田島秀雄

    ○田島政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘の個々の企業の対策でございますが、中小企業対策、いろいろな多様な面がございますが、個々の企業の経営の安定、それから新しい経済環境へ対応していくためのいろいろな御努力支援する、大きくそういった柱で、金融対策、税制等々の御支援を申し上げているところでございまして、引き続き細かい目配りをいたしてまいりたいと思っております。  構造改善につきましては、今回の法律は集積に着目しておりますけれども、例えば創造法でございますとかリストラ法とか、個々の企業の新しい分野への展開や研究開発の高度化につきましても御支援を申し上げておりますところでございます。
  150. 中野清

    ○中野(清)委員 いろいろと御答弁いただきましてありがとうございました。私は、産業の育成というものは我が国の全体の志と思うのです。どうか、そういう意味大臣を中心にぜひ頑張っていただきたい。そして、それについては、規制緩和とかいろいろな障害はありますけれども、その一つ一つを具体的に解決するための努力をこれからもしていただきたい。お願いを申し上げまして、質問を終わります。
  151. 武部勤

    武部委員長 次に、遠藤乙彦君。
  152. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 私も、新進党のしんがりとして、空洞化の問題、質問をさせていただきます。  私、この空洞化の問題、大変深刻な問題と受けとめておりまして、特に現下の構造不況を深刻なものにする大きな要因の一つ、そしてさらには二十一世紀の日本の再生にかかわる重大な問題であると認識をしております。  空洞化はさまざまな要因がありますけれども、恐らく二つの重大な要因がある。一つは賃金格差ですね。もう一つは技術の問題です。  賃金格差につきましてはいろいろな比較の基準がありますが、単純に、例えば一時間当たりの単純労働、パートタイムの労働などの国際比較を考えてみますと、今日本は一時間当たり八百円から千円というのが相場です。アメリカは四ドルですよね。四ドルといいますと五百円と見ていいかと思いますが、既に倍の格差があります。また、カナダとの間でもこれは三倍に開いておりますし、中国をとってみれば、日本対中国は三十倍以上の格差があるということでございまして、これほどの賃金格差があれば空洞化が起こるのもむべなるかなと思うわけでございます。  それに加えまして、もう一つ重要な要因は、技術の問題でございます。本来、賃金格差が大きく開いておったとしても、日本しかないような技術、いわば日本の技術独占の状態があれば空洞化は起こらないと思いますけれども、今これが物すごい勢いで技術移転が進んでいる。特にアジア諸国なんか大変な勢いでこれが進んでおりまして、日本の技術はなかなかまねできないだろうとたかをくくっていたらとんでもないことになるというのが私の感想でございます。特に最近では、日本でしかできない技術は例えば液晶技術等くらいに限られてくると言われておりまして、パソコン等なんかにつきましては韓国や台湾の方がよりすぐれたものをつくるような場合もあるわけでございまして、こういった点からも大変これは深刻な事態と考えているわけでございます。  そういった意味で、この空洞化対策を考える上で、基本的には、理論的な視点からいえば、一つは生産性をがんがん高めて賃金格差の開きをできるだけ少なくして縮めていくということ。もう一つは、積極的に技術開発を進めて日本独自の技術独占ないし差別化の状況を常につくり出していく。こういったことがなければ空洞化は防げないということでございまして、全力を挙げて取り組むべき課題であると感じております。私自身は地元が大田区でございまして、まさにこの特定産業集積の典型的な地域でございます。日ごろから自治体あるいは事業者の人たちからさまざまな意見を聞いておりますが、きょうはそれを踏まえまして、この産業集積の法案につきまして何点か質問をさせていただきたいと思っております。地元から見れば、今回の法案は、通産省はいよいよ本気になってこの特定産業集積活性化に取り組んでくれるかと、ある意味では大変心強く、また注目し、また期待をしておる法案でございます。そういった意味から何点か、要望も踏まえた上で、質問をしていきたいと思っております。  まず第一点でございますけれども、この法案を今後運用するに当たって、ぜひとも成功させたいし、成功事例をつくっていかねばならないと思っておりますので、その点からも、ぜひ地元の自治体あるいは事業者との直接的な接触といいますか、いろいろなニーズの把握、実情の把握、特殊性の把握、それはいろいろありますけれども、ぜひそういった直接的な関係を強めて運用をしてもらいたい。もちろん、この法案の中には、都道府県が中枢となって活性化計画をつくることになっておりますし、区、市町村も協議にあずかることにはなっておりますけれども、運用に当たっては、現場の声を、密着したものをぜひ直接聞き届けてほしいし、強い、直接的な連携協力関係をつくってほしい、これが成功に向けての大きな条件であるというのが現場の意見でございます。  そういった点、この法案の運用に当たりまして、今後、区あるいは市町村などとのダイレクトな連携協力体制をつくっていくことになるのかどうか、この点につきまして、まず通産省の見解を伺いたいと思います。
  153. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 地域産業集積の実態につきましては、この法案を作成する過程で、各地域へのアンケート調査、市町村、特別区単位での業種ごとの動向把握あるいは現地の事業者からのヒアリングなどを行いました。またさらに、都道府県や通産局による現地調査、加えて各種文献情報の収集などによって実態把握に努めてきたところでございますが、この中で、市町村、特別区の意向も十分にお話を伺ってきたと考えてございます。  先生指摘のとおり、この計画を都道府県がっくるに際して、市町村等の意向が十分反映されるよう法律上も規定しているところでございますが、この施策の内容、現実の運用に当たりましては、直接的な連携協力関係が十分実現できるよう、最大の配慮をさせていただきたいと考えております。
  154. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今後どうなるか見守っていきたいと思っておりますので、ぜひ今の御答弁に沿って、現場との接触また連携を強力にお願いしたいと思います。  それからもう一つの点でございますが、これも地元側からの要望ということなんですけれども、今の法案は、助成の対象がいわば箱物、建物やあるいは機械等の施設に大体対象が絞られているわけでございますが、実際の立地政策からしますと、土地代ですね、用地費が実は非常に大きなネックになっております。貸し工場をつくるにしても、用地を買収したり、あるいは借り上げたりするわけですけれども、この土地の買収費あるいは借り上げ費用は減価償却の対象にはならないこともありまして、これが大変大きなコスト上の課題になってきております。そういった点から、現場の声としては、ぜひこれからは土地代、用地費に対しても助成の対象として何とか検討してもらえないか、何とか運用上これを考えてもらえないかという大変強い要望があることをまずお伝えしたいと思っております。  この点につきまして、どういう助成が可能なのか、あるいは今後どういう検討方向なのか、通産省から御意見を聞きたいと思います。
  155. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 土地についての要望が非常に強いことは我々も承知をいたしてございますが、いわゆる土地の取得にかかわります支援は、道路、ダムなどの土木事業のように、社会資本として半恒久的に存続するものの場合に行われておりまして、施設整備事業には土地取得支援は行わないのが通例でございます。  今回の施設整備補助、この法律に基づきます助成につきましては、限りのある予算により支援するものでございますので、基盤的技術産業集積活性化に特に資する施設の整備に限りまして、集中、特化して支援をさせていただきたいと考えてございます。
  156. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今の法案の中ではそうせざるを得ないということは理解するわけなんですが、ただ、現実問題として、活性化を本当に考えるのであれば、この土地代という問題に目をつぶっていくわけにはいかないわけでして、これは極めて重大な活性化のポイントになっているということはぜひ通産省としても認識をしていただきたいし、また今後は、土地代に対する助成も含めて、ぜひ関係省庁とも協議を進めていただきたい。また、土地に関するさまざまな諸規制もこの空洞化を促す原因にもなっているわけですから、この諸規制の撤廃、緩和も含めて、ぜひとも前向きの検討をお願いをしたいと思っておりまして、この点に対する通産省の姿勢をお伺いしたいと思います。
  157. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 土地に対する支援につきましては、引き続き検討課題とさせていただきたいと思います。  それから、土地に関する規制でございますが、まずございますのが、工場等制限法でございます。国土庁所管の法律でございますので、当省からお答えすることは必ずしも適当でないかとは思いますが、地元経済界から緩和、見直しについて要望がなされていることは十分承知をいたしてございます。  昨年十二月に閣議決定をされました経済構造の変革と創造のためのプログラムにおきましては、この工場等制限法の枠組みのあり方及びその手法の妥当性につきまして、「新たな国土計画の方向付けの中で、近年の大都市の集中要因の変化、地域のポテンシャルを活用した日本経済の活力維持、土地利用の在り方等を踏まえて、見直しを図る。」というふうに書かれてございます。このような観点を踏まえまして、今後国土庁を中心として関係省庁間で連携をしつつ、対応が図られていくものと考えてございます。当省といたしましても、心して働きかけをしてまいりたいと考えてございます。  それから、当省所管の工場立地法の問題がございます。緑地規制等の問題でございますが、これにつきましては、地方分権の要請を踏まえまして、現在、工場立地法研究会において見直しを進めておるところでございまして、この検討結果を踏まえまして、来年度中に具体的措置をとってまいりたいと考えてございます。
  158. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今の御答弁に従って、ぜひとも前向きな、通産省がイニシアチブをとった積極的な取り組みをお願いをしておきたいと思います。  それから、次の要望といいますか、地元からの意見なんですが、こういった支援は大変ありがたいし、指定されるとすれば大変ありがたい話だろうと受けとめておりますけれども、具体的な執行に当たっては、ぜひ期間にゆとりを持ってもらいたい、計画の実現に当たっては十分なゆとりを持つた期間を与えてほしいというのが現場の要望でございます。  こういった計画を承認して推進をしますと、国から暗黙のうちにいろいろなノルマが課せられたり、上からの上意下達といいますか、公共事業なんかでも毎年達成ノルマみたいなものがおりてきまして、地元は非常にその達成に苦しむわけでございまして、そういうことがないように、重要な、大規模な計画であるほどじっくりと計画段階で協議が必要ですし、さまざまな事情を考慮しなければならない。また財源の調達等も大変地元では苦しい事情もあるわけでございますので、ぜひともこの執行に当たっては、地元の主体性を尊重し、ゆとりのある執行期間を与えてほしいというのが強い希望でございますので、この点につきましても通産省の御見解をお伺いをしたいと思います。
  159. 安達俊雄

    ○安達政府委員 お答えを申し上げます。計画の策定に当たりまして、県当局等との十分な御相談をさせていただきたいと思います。したがって、その内容的な面で無理がないようにということで図ってまいりたいと思います。  また、活性化計画の期間でございますが、おおむね五年間という期間を想定しておるところでございます。多分この点につきましては活性化指針の中に書かせていただくわけでございますけれども、できるだけ全体として、内容も含めて弾力的な対応をしていきたいというふうに思います。先生が御懸念されるようなことがないように、十分配慮していきたいというふうに考えております。
  160. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 若干視点を変えますが、先ほど西川委員質問にもありましたけれども、この今の法案は、どちらかというとハード志向ですよね。箱物やあるいは施設、それへの支援を通じて産業集積を活性化するハード志向が非常に強いわけですけれども、ただ、活性化のことを考えると、これを支えるソフト面、特に人材、ノウハウ、こういったものが大変重要なわけでありまして、これをどう同時並行して支援をするか、活性化するかということが大変重要なポイントになってくると思います。  そういった点、この集積活性化対策として、ソフト面でどのような配慮あるいは施策考えられているのか、この点につきましてもあわせて御説明をいただきたいと思います。
  161. 安達俊雄

    ○安達政府委員 施設の関係についていいますと、研究開発の関係施設というのは、いわゆる社会資本ということでそれ自身も重要ではありますが、先生指摘のとおり、ソフトな面での支援策というのが非常に重要になってきているという認識につきましては、私も全く同様でございます。  いろいろ数字の計算の仕方がございますけれども、いわゆるインフラ整備にかかる予算、そして研究開発に対する支援、あるいは人材育成に対する支援、いわゆるソフトな支援というものを全体として、関連予算も含めて、現在国会での審議をお願いしている予算としてまとめてみますと、実はソフト関係の方が予算規模としては大きい、約百二十億円という規模になっているわけでございます。  例えば、この中で、今年度から関連事業として地域コンソーシアム研究開発事業というのをぜひ九年度から発足させたいというふうに思っておりますけれども、これなども地域の産官学が一体となって研究開発をしていく、研究活動を行っていく、これに対する支援事業でございまして、新たにこういったものを発足させるなど、種々の対策、できるだけ地元の多様なニーズにこたえるべく、できるだけ幅広いメニューを用意させていただいているところでございます。
  162. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 我が国の予算のあり方というのは非常にハード志向が今まで強くて、なかなかソフト面のニーズというのは、わかっていても、これは数量化しにくいとか評価しにくいという点がありまして、どうしても軽視されがちだったと思いますけれども、ぜひとも、この工業集積活性化においては、ソフトが極めて重要という認識に立って、強力なソフト面の支援を通産省が主導権をとって進めていただきたいと強く要望したいと思っております。  また、人材面での関連した話でございますけれども我が国の場合、物づくりにたけた人に対する社会的評価というのが必ずしも高くない。三Kといったイメージあるいは工員といったイメージが、そういった点に秀でた人たちに対する社会的な地位として決して高いものが与えられていない。それがまた人材がそういう分野に来ることを妨げている社会心理的な制約要因というふうに考えられるわけです。  ドイツとかイタリアなどの場合には、そういう物づくりにたけた人に対してはマイスターとかさまざまな称号があって、それが非常に高い社会的地位や、また収入の確保にもつながっているということがあるわけでして、大きなインセンティブになっている。こういった面からの配慮もぜひこれから必要だろうと考えるわけでございますけれども、そういった意味で、こういう物づくりに携わる人々の社会的評価を高める方法や工夫はどのように考えているか、これを通産省にお伺いしたいと思います。
  163. 石黒正大

    ○石黒政府委員 お答え申し上げます。  物づくりを支える技術者、技能者に対する社会的評価の問題、この法案審議の冒頭からそういう観点での御質問が多々ございました。私がここで申し上げるのはいかがかという感じもありますけれども一つだけ例を申し上げますと、製鉄所の高炉を私が見に行ったことがございまして、そこで連続鋳造といいますか、真っ赤な鉄の塊がわっと通るというのを見ておりましたら、その工場の技術者の専門家の方が、この間、小学生の見学がありまして、小学生の方がわっと見に来た、その際に、教師の方だったかどうかわかりませんけれども、おまえさん方、勉強しないとこういうところで働かされるぞ、こういう話があって愕然としたという話を聞いたことがございます。  事ほどさように、端的にそういうことにあらわれているかと思いますけれども、これをどういうふうにするかというのは非常に難しい問題ではございますけれども、私どもも、先ほど御指摘のございましたマイスター制度等々のことも頭に置きながら、通産省だけでなぐ、技術者だけの問題ではなく、労働省との関係もございますので、そういう方々とも一緒になりながら、この技術者、技能者の問題、これをどう考えたらいいかというのを省を挙げて今勉強しているところでございまして、その成果が上がるように努めてまいりたいと思います。
  164. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今も研究中ということでありますので、ぜひ近い将来その成果をまた御報告願いたいと思います。  この法律とは若干離れますけれども、今の中小零細企業の現況につきまして、私も現場を歩きながら常に質問をすると、答えはほとんど同じなんですね。今何が一番苦しいのですか、困っていますかと言いますと、ほとんど答えは決まっているのですね。だれに聞いても決まっています。これはもう三題ばなしみたいなんですけれども、要するに、単価と納期と金利負担、これが三題ばなしで、当面一番困っている課題になるわけです。  単価から言いますと、今、非常に構造不況、そして空洞化が進展している状況で、親会社がどんどん海外に部品調達を切りかえる。そんな中で、非常に厳しい、二割ダウン、三割ダウンといった、もう非現実的なほどの単価を強いられ、それをもし受けなければ、では、もうだめよということで、結果的には受けざるを得ない、そういった状況にあります。  また、納期につきましても、親会社の方から金曜日に発注が来て月曜日には納めてくれ、大体こういう実態なんですね。現場の最末端の零細企業にとっては、結局、土日を返上して働かざるを得ない。こんな状態がずっと続きますと健康状態にも大きな問題が出てくるわけであって、これが現実なんです。  そういった現場に行きますと、労働時間短縮なんて話は口にも出せないのです。出した途端に、何を言っているかと頭から怒られるか、相手にされないような状況でして、これが日本のこういった産業集積の現場の実態だということをぜひ知っていただきたいと思っておりまして、こういった問題につきまして、通産省は現場をよく知っているのか、あるいはどういう対応を考えているのか、お聞きをしたいと思います。
  165. 石黒正大

    ○石黒政府委員 お答えを申し上げます。  最近、円安傾向になりましたので少しは息をつくかと思ってはおりましたけれども、なかなか厳しい競争環境というのが続いている中で、下請関係、まあ親企業もそうなんだろうと思いますけれども、競争力確保と生き残りをかけた厳しい戦いが続いて、その結果といたしまして、単価の切り下げであるとか受注量の減少であるとかいったような、しわ寄せといいますか影響が出ているという厳しい実態は、認識をしているつもりでございます。  このあたりにつきましては、御案内のように、下請代金支払遅延等防止法等々の、明らかに法に触れるようなものがあれば直ちに私ども活動をすることになっておりますけれども、そういう体制を整備するとともに、もうちょっと先のことも考えて、純粋下請のままでいいのかどうかということも考えながら、親企業との関係を新しい観点から見直すということについて、いろいろ手助けもしなきゃいかぬというふうに考えているところでございます。
  166. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 もう一点、金利負担の問題があるわけです。  バブル期に設備投資にたくさん金を借りた。当時非常に金利も高かったわけです。その後、五%以上については借りかえ特例が認められた経緯がありますけれども、その後、さらに構造不況が深刻化し、超低金利になって、公定歩合が〇・五%といった事態なわけです。  こういった事態で、やはり中小零細企業にとつては過去の設備投資の金利負担が極めて重くのしかかっているというのが現状でございまして、なぜ今銀行だけがこういった超低金利の中で優遇されているのか、あるいは、なぜ農業だけが手厚い保護を受けているのか、実際に汗水流して日本経済を支えている我々に何でそういった手が差し伸べられないのかと、恨み節が多々聞かれるわけでございます。  この金利負担の問題も、現状、実は大変深刻な課題であるということを知っていただきたいわけでございまして、この問題について通産省としてさらなる取り組む姿勢があるのかどうか、具体策があるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  167. 田島秀雄

    ○田島政府委員 お答えを申し上げます。  既往の高い金利の借入金につきましては、低い金利が続いた、それから高金利の既往債務の負担というのが中小企業の皆様方にとって大変大きな困難をもたらしているというような状況にかんがみまして、一昨年の経済対策のときに、特にできる限りの最大限の措置というような意味で相当な額をつけまして、五%以上を減免するという措置を講じたわけでございまして、その後、引き続き状況が厳しいものですから、昨年の秋に一年延長をいたしておるところでございます。この際にも、補正予算の中で相当の予算措置を講じておるというようなものでございます。  私どもとしては、当面この措置確保していくということでございますが、これを含めまして、今後とも中小企業の皆様方の実情をよく見ながら、中小企業金融の円滑化にはいろいろ努力を尽くしてまいりたいと思っております。
  168. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今お答えのとおり、今後、単価、納期、それから金利負担の問題、三題ばなし、最も深刻な状況でございますので、これはぜひ強力な取り組みをお願いをしたいと思います。  時間がありませんので、最後の質問にいきます。  先ほど西川委員からも質問がございましたが、産業集積空洞化対策というこの法案と、それからもう一つ、創造法という新産業育成にかかわる法案があって、当初、セットにして議論しようという了解だったわけです。実際はそうはなりませんでしたけれども、この関係、基本的な考え方につきまして、違った角度からお聞きをしたいと思います。  恐らく、政府、通産省の考え方は、空洞化対策として産業集積を活性化する、強化することによって、それがさらに新しい技術発展につながり、やがては新産業育成につながっていく、そういういわば連続的な、連続線の上での発想に立っての産業集積活性化法案であり、新産業育成法案である、そのように私は理解をいたしております。ただ問題は、今我が国が直面しているこの大きな経済構造転換、また、その根底にある技術革命といったものが、果たしてそういう認識で正しいのかどうかということがあるわけです。  要するに、技術の発展というのは、ある枠組みの中の、第一次産業革命、蒸気機関、そういった基本的な技術の中で発展してきた時代、それから第二次産業革命と言われて、石油エネルギー、電気エネルギーを使う技術体系のもとで発展してきた時代、さらにこれからは第三次産業革命と言われておって、いわば情報というものが基盤となって新しい技術体系ができる時代であって、ある意味では、単なる連続型の技術の発展ではなくして、むしろ革命的な、不連続な技術体系が生まれつつあるのではないか。  そういった中にあって、もしそれが事実であるとすれば、今の連続的な認識に立つこの産業集積、伝統的な、在来型のハイテク産業の基盤強化、体制強化というものは、逆に新産業、新しい、全く革命的なパラダイムのもとに立つ産業発展の阻害要因になるのではないかということも理論的にはあり得る。私は、実際それがどうなるかという見きわめがまだついておりませんけれども、そういう問題意識は通産省側にはぜひ持っていただきたいわけです。  単純に今の産業集積を強化することが即新産業育成につながると言えるのかどうか、そこら辺の認識をもし見誤ると、戦略の策定が全く違ったものになってしまう、壊滅的な打撃を我が国の将来の経済に与えることになるわけでありまして、十分な問題意識を持って、本質を見きわめた上でこの空洞化対策と新産業の育成の戦略の策定をお願いをしたいと思っているわけでございまして、その基本認識につきまして、通産省側の見解をお聞きしたいと思います。
  169. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 現在、新規産業の創造の重要性が高まってございまして、新規産業の創造に当たりましては、当然斬新な技術やアイデアが必要とされるところでございますが、こうした斬新な技術やアイデアも、これまで蓄積されてまいりました技術やノウハウ、さらには既存産業による部品供給などを土台に、これまでの技術革新や既存産業の延長線上に連続して生まれ出て新産業として発展していくものと考えてございます。いわば、集積が持つ技術の歴史の土台の上に延長線上としてその将来があるというふうに考えているところでございます。  したがって、崩壊の懸念が高まっている基盤的技術産業集積あるいは中小企業集積には、従来から受け継がれた技術やノウハウが蓄積しておりますので、また、さまざまな形で他の産業を支えてもおりますことから、これらの活性化を図ることが我が国経済の発展を支えるような新規産業の創造にも大いに寄与するものと考えているところでございます。
  170. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 何かちょっと公式的な答弁なので、私もすぐにはそのとおりだとは思いませんけれども、今の問題は大変重大な問題で、この認識を誤ると通産省のかなえの軽重が問われる。  通産省は、特に戦後の発展は追いつき型経済発展という、そういうシステムを見事につくり上げて、世界に冠たる伝説的な存在になった。それほどの成功例だったわけですね。ところが、次の産業政策において、追いつき型ではない、創造、革新型のこれからの産業政策をしなければならないときにあって、もしこの根底的な認識を誤ると、通産省はもう本当に株を下げるわけでして、通産省の問題のみならず、日本の二十一世紀の活性化それ自体が危殆に瀕する事態になるわけであって、そういった深刻な問題意識に立って、大臣御自身の見解を披瀝いただきたいと思います。
  171. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今、遠藤委員がおっしゃるように、産業の集積と新産業の育成、関連はありますが、つながっているかどうか、これは非常に問題があると思うのです。  私の認識を示せとおっしゃるならば、端的に言って、世界の一体化というものが進んでまいったということからいろいろな現象が起きてくるわけですが、それは、何といってもやはり高度情報化社会というもの、これの進展が目覚ましいものがあるということなんです。ということでもって、これから空洞化を防いで新しい産業を創出する、つくり出すというときには、日本がおくれている部門、こういうことでもって、十五分野の中にも御存じのように情報通信があり、それから医療、福祉、この産業があり、それから環境産業、こういうのが出てくるわけです。  それはそれで必要なんですが、その前にやはり、何か新しいものばかり追いかけていいだろうか、いやそうではない、日本が持つすばらしい、非常によい物づくり、この物づくりというものがあったじゃないかと、こういうことからいって、物づくりを中心にやろうというのが今法案をお出ししている産業集積の活性化、こういうふうにつながると私は思うのです。俗に言う温故知新という言葉がありますが、まさに古きをたずねて新しきを知るという時代になった、こういうふうな認識でございます。  それで、時間があれば産業集積活性化、この法案について、物づくりの重要性を具体的に申し述べてもよろしゅうございますが、時間もございませんようですから、基本的にはそういう考え方だということを申し上げます。
  172. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 もう私の時間は終わりましたので、これで終わりますが、今のところは問題提起ということにさせていただきまして、この問題は大変重大な課題でございますので、また次の創造法の法案審議もありますし、たっぷり時間をとって、また参考人等も呼んで十分な議論を希望したいと思いますのでこの点よろしく御配慮をお願いいたします。  以上で私の質問を終わります。
  173. 武部勤

    武部委員長 次に、新藤義孝君。
  174. 新藤義孝

    新藤委員 この今回の特定産業集積活性化に関する臨時措置法案、私もみずからの政治活動の中で大変に中小企業、また国内の産業の育成、活性化、この点については大きな関心を持っておりまして、過日、予算委員会でも、分科会で大臣には質問させていただきました。また重なって恐縮でございますが、何点かお考えをお聞かせ願いたいというふうに思います。これまで各委員の方々からも何度も質問が出ております。私もこれは触れざるを得ないわけでございますが、まずは、産業の空洞化についてでございます。  私は、このときにも、空洞化と申しましても二つあるなと思っております。一つは、いわゆる生産機能が海外展開をするという、国際分業化時代を迎えての生産拠点の海外移転、こういうことだ。それからもう一つは、内なる空洞化として、国内にある中小製造業の縮小化、こういうものがあるのではないかというふうに思っております。  海外シフトの方はもういろいろ言われておりますからあえて数字も挙げませんが、この内なる空洞化につきましても、中小企業の事業機会の縮小というのは、中小企業等の開発業率、こういう数字を見ますと、八九年以降、廃業率が開業率を上回っている、こういう実態が出ております。そして、製造業全体の雇用は今後五年間で百二十四万人の減少になるだろう、こういう予測が出ておるわけでございます。  この点も踏まえて、実際の、現在の産業空洞化の現状についてへどうなっているのか、また、問題点の御認識、どこの部分をされているのか、大臣からお聞かせいただきたいと思います。
  175. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今おっしゃるように、中小企業といっても大変すそ野が広い、幅があるわけでございます。今言われている空洞化現象、これはやはり工業、この方面が主に言われておりまして、この法律も商業的な中小企業者よりか工業的なと、こういうふうに力点が置かれていると思うのです。  そこで、よく申すように、やはりこれまでの認識というのは、海外に行く、そういうことによって雇用が喪失するという、これが非常に今問題視されているわけです。昨年の通産省の方の調査でも、このままでいくと、五年間、ですから二〇〇一年ですか、これに百二十四万人ぐらい減少する。この減少は当然へ当時の一ドル百十円ということではじいたのですが、これが今みたいな円安の百二十円になっても余りこうした傾向は変わらないだろう、こういうことでございます。  そこで、企業が最適な事業環境を求め国際展開を図っていくということ自体は評価できますが、今のように、我が国の高コスト構造や制度的規制ということが要因で、本来ならば日本の国内において比較的優位を保たれるような産業までどんどん行く、こういうことでございまして、今委員指摘のように、日本から外に行く、アメリカのように入ってくるものが多いかというと、それが十三分の一ぐらいしか入ってこない、こういうところに非常に問題の深刻化というのがうかがえるわけでございます。  そういうことを踏まえて、新たな雇用の担い手となる新規産業の創出、それからそれと並んで高コスト構造の是正等による我が国の国際的に魅力ある事業環境、こういうものの整備が急務だな、こういうふうに認識しているわけでございます。     〔委員長退席、小川委員長代理着席〕
  176. 新藤義孝

    新藤委員 それに加えて、私は、またここで自分なりの定義をさせていただきたいと思いますが、日本の企業の中で中小企業はいわゆる全事業者の九九%、全従業員数の七八%、生産額ですと、いろいろな統計がありますが、半分から半分ちょっと過ぎたあたりの人間が従事をして生産活動を行っている。この中小企業が集積をすると、国ではいわゆる産業集積と言うし、我々は、地域では地場産業という言葉になるわけでございます。  この地場産業というのは、私は地元は川口でございますし、子供のときからの触れ合いの中で、もうどう転んでもこれは産業だけの問題ではなくて、要するに地域のコミュニティーなんですよね。やはり地域の行政の方向性だとか町の運営についても一番関心を持たざるを得ないし、持って町の運営にまで携わっているのが地場産業の経営者の皆さんです。そして、そこに携わっている従業員の皆さんも、そういう町への帰属意識とかこういうものは非常に高くなっているわけなんです。  私は、産業従事者が多いからというだけではなくて、やはり日本の独特の中小企業、地場産業というものに対して、これはもうコミュニティーである、町づくりの一環なんだ、こういうふうにぜひ位置づけなければならないと思っています。そして、中小企業が全くクールに事業の採算性だとか立地の有利性だとか、そういうものを考えながら適宜動くようなことになれば、それは町自体のコミュニティーもおかしくなっていくようなことになるのではないか。  ましてや、ここのところ、日本経済が穏やかな回復基調にあるということでもう何カ月も言われておりますが、実態として、大企業に比べて中小企業の回復度合いというのはまだまだ追いついておりませんし、現実の問題で、中小企業経営者は、今回の空洞化に伴い、大企業が海外進出して、そして前だったら景気がよくなれば発注が戻ってきたのが、今はその後発注するべきものが外へ行ってしまっている、こういう中で非常な経営不安を感じておる。この中小企業がしっかりしてくれないと、日本の国の本当の大もとがぐらぐらになるのではないかというふうに私は思っております。  そういう意味で、中小企業の現状の経営状況だとかそれから今後の景気回復の見通し、これについて、国の方では、政府ではどうお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  177. 石黒正大

    ○石黒政府委員 お答え申し上げます。  中小企業をめぐる景気認識といいますか、状況認識という御質問だと思いますけれども委員指摘のありましたように、我が国経済が緩やかな回復の動きを続けている中で、依然として厳しい状況にあるものと認識をいたしております。  個別具体的に少し申しますと、生産は上昇傾向で推移しているものの、大企業に比べましてそのテンポは緩やかであり、依然として生産水準には大きな差が見られております。また、設備投資につきましても、中小製造業にも回復の動きが広がりつつございますけれども、これを商業にとってみますと、中小商業の設備投資は引き続き低調なものという状況にございます。  今後の見通しといたしましては、生産の動き等、足元に明るい材料が見られるものの、中小企業の景況感は足踏み状態にあるという認識でございまして、まだ依然として不透明感が残っているという認識をいたしておりまして、引き続き慎重に状況を見続けていかなければいかぬというふうに考えております。
  178. 新藤義孝

    新藤委員 当然のことながら、これは厳しい状況であるということでは国内で違う認識を持っておる方はほとんどいないのではないか、こういうふうに思いますけれども、そこで、結局そういう事態を打開するための今回の臨時措置法案だというふうに思っております。  そして、加えて、今回私が大変ありがたいなと思っているのは、橋本総理もいつもおっしゃっておりますが、いろいろな演説をされたり、それから所信表明でも触れられておりましたが、今後の日本経済の発展を支えるのは物づくりなんだと。そして、先ほど大臣は、古きをたずねて新しきを知れ、こうおっしゃいましたが、まさにそのとおり、日本歴史を振り返ってみると、我々の国の発展は職人の物づくりの腕によって支えられてきた、こういうことだと思っております。  そういう意味で、よく総理がおっしゃるのは、大田区には、NASAのスペースシャトルの部品を開発したんだ、おれがいなければあのスペースシャトルは飛ばなかったんだということを、ちょうど打ち上げのときに総理は技術者の皆さんと話をしていたのだ、大分自慢されてしまったんだよという話も聞いておりますし、加えて、昔、江戸から明治にかかるときに、大砲だとか、要するに西洋技術を日本に入れてきた。勝海舟なんかがいろいろな技術をとってきて図面をかいたわけなんですが、しかしそのときに、その図面を見て鋳物でその物をつくったのは川口の鋳物屋さんだったんだよなんていうので、私も地元でございますから、総理が、こっちから言ったわけではないのですが、触れていただいた。事ほどさように、とにかく自分たちで物をつくれるというここの部分は大変に大事なわけでございます。  そういう意味で、今回は、産業集積といっても産地の集積、それから大企業の下請企業群による企業城下町的な集積、それから幅広い基盤的な技術の産業集積、金型だとか鋳鍛造だとかそういうようなものです。こういうものの部分に目を当てて、光を当ててくれたという意味で、大変に私は評価をしているのでございます。  そこで、そのことはもう少し後で聞きますが、ただ一つ言わせていただきたいのですが、大変に政府としては、今回物づくりに力を入れるのだ、中小企業頑張れよ、元気にしろと言っていただいているのですが、これまでの経過を見て、通産省が、または日本政府が、そういう地域のコミュニティーだとか物づくりだとか、それから地域産業集積だとか、そういうものを大事にしているんだ、すごい力を入れているんだ、こういうふうに果たして国が自分たちのことを思ってくれているのかなということになりますと、もちろん政府は一生懸命やっているに決まっているのです。だけれども、現場の地域の皆さんと話をしていく中で、我々は国に支えられている、国がバックアップをして、そういう自分たちの苦しい操業環境の改善だとか技術開発にすごい力が入っているのだとは、そこまでは思ってないのではないか。私は思っていないというふうに聞いております。  この部分で、ぜひやはり、これからこの法案をいろいろなふうに運用していくに当たって、もっとこの物づくりの基盤の重要性、総理がおっしゃるだけじゃなくて、どんどんとそういうことをアピールしていく必要があると思うし、その対策についても幅広く積極的に普及をするように努力をする必要があると思うのですが、今後具体的にそういった観点からどんな行動が考えられるのか、お答えをいただきたいと存じます。
  179. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 御指摘のございました物づくりの基盤の重要性など、この法案のコンセプトになっておりますものにつきましては、法律成立後、早急に活性化指針という形で策定をいたしまして、その中で具体性を持って世に明らかにしてまいりたいと考えてございます。  また、この法律の運用あるいは各種施策利用方法につきましては、都道府県あるいは地域支援機関などが実施します説明会を通じまして、積極的に普及、広報に努めてまいりたいと考えてございます。さらに、その他できる限りの機会をとらえまして、物づくりの重要性、基盤の重要性とともに、政策のPRを行っていきます。  また、現場からの政策ニーズ等の生の声が政策の実施に反映されるように現場との情報交換、交流ということを配慮してまいりたいと思っております。
  180. 新藤義孝

    新藤委員 そういう、何というのですか、気合いの問題もあると思うのですよ。気持ちの問題でございまして、これは私も地元へ帰っては、どんどんと国が本気で取り組んでいるよ、こういう話をさせていただこうというふうに思っておりますし、それは通産省としてもぜひ、余計なことを申し上げて恐縮なんですが、大体通産政策というのは自分でやりませんので、自分で事業を持って直接執行するわけではありませんで、あくまで実業のお手伝いの部分でございますから、そういう意味で、やはり制度だとか法令だとかそっちの方が強くて、自分のプロジェクトだという意味合いが、我々が受ける感じとしては若干低いわけでございます。ぜひここはそういったことを積極的にやっていただきたい、こういうふうに思います。  そして、今回私が法案を評価するというのは、いわゆる産地だとか特定中小企業集積に加えて、幅広く基盤的な産業集積に対してお手伝いをする、こういう部分を加えたところを評価しているということなんですが、産業政策上の講じられる支援策、通産省として目いっぱい結集したというふうに聞いております。ぜひそこの部分で少し具体的に、どんな内容にそういうことを言えるのか、お聞かせをいただきたいと存じます。
  181. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 この法案におきましては、産業インフラの整備、研究開発、人材育成の促進、さらに三つ目には新たな事業展開への投資促進という三本を柱といたしまして、省を挙げまして地域産業集積の活性化政策を重点化しております。  この結果、具体的には、この法案の適用を受けます集積のみを対象とした予算措置としては八十一億円を計上いたしてございます。研究開発施設・機器、人材育成施設、賃貸工場等の産業のインフラ整備、それから中小企業の新商品・新技術開発、人材育成への支援等が内容でございます。  そのほか、地域における研究開発の重点的支援、技術を核とした新たな事業のもととなる特許技術流通促進産業集積の活性化のために活用される関連予算を含めますと、総額で二百二十五億円の計上になります。  また、都道府県知事による計画の承認を受け、新たな技術開発や新分野への進出を行おうとする事業者に対しましては、こうした予算面以外にも、新たな設備投資に係ります特別償却制度政府系金融機関からの低利融資や債務保証など、各般の支援措置を手当てしております。  さらに、建設省の道路整備事業、それから労働省の雇用・能力開発施策、文部省の文教施策など、関係省庁とも密接な連携を図りつつ、総合的な施策を講じまして、その効果を最大限に発揮するように政策を構築いたしてございます。
  182. 新藤義孝

    新藤委員 すばらしい内容なんだと思いますが、これに加えて、本法案が目的とする産業集積の活性化ということで、事業者活動、特に、先ほども申し上げましたように中小企業の活動がポイントになるんだ、こういうことでございます。  やる気のある中小企業を元気にしていくような、そういう対策を行っていくことが大事であると私は思うのですけれども、これもやはり厳しいですよね。九〇年から九四年、ここの部分の製造業全体の出荷額、これがマイナスの七・五%。これに対して、いわゆる今回の基盤的技術産業と言われるような金型製造業、これはマイナス二三%。それから電気メッキなんかも一三%ということで、非常にこういう基盤的技術産業の部分、それは大半が中小企業というか、ほとんど中小企業ですから、そういうことで逆に弱まっているということなんだと思います。  そこで、この法案の中で、中小企業の支援の援護策というか対策、ここの部分はどんなふうになっているのか、お聞かせをいただきたいと存じます。
  183. 田島秀雄

    ○田島政府委員 お答えを申し上げます。  何とかの産業集積といいましても、そこに実際に御商売をやっておられる方の大部分は中小企業者でございます。そういったことから、そういった中小企業の皆様方に元気を出していただいて、積極的な事業展開をやっていただくということが極めて重要でございます。こうした観点から、この法案におきましては、県が活性化計画をつくられるわけですが、それをベースに研究開発とかそういった積極的な事業展開を行われる中小企業者の皆様方を、予算や税や財投を総合的に活用して御支援を申し上げる、こういうことにいたしております。  多少具体的に申し上げますと、新たな技術や商品の開発などに取り組む中小企業の皆様あるいは組合等に対しまして、補助金、低利融資、設備投資減税などといった御支援を申し上げる。そういったことに加えて、組合やあるいは地場産業振興センターあるいは公設試験研究機関等が、人材育成とか販路開拓とか、そういったことをやって中小企業をお手伝いするというような事業に対しても助成をするというようなことにいたしておるところでございます。
  184. 新藤義孝

    新藤委員 いろいろなことをお考えいただいて対策を打っていただくということでございますので、引き続き、これはもうやってみなきやわかりませんので、どんどんとやっていこう、こういうことだと思います。  そこで、少し総括的にお話をさせていただきますと、今回の空洞化の問題というのは非常に深刻である、こういうふうに思っているのです。その大前提というか一番の問題は、何といっても高コスト構造でございます。ですから、この我が国の高コスト構造に耐えかねて、技術力もあり競争力のある企業、国内にもいられるはずのものまでが外に出ていってしまう、これは非常に問題なんでございまして、しかし、それは別の観点から、土地それから税制、流通機構、こういうものを総合的に今回の橋本総理の掲げる六大改革の中でやっていかなきゃならない。まさにそれは日本の弱みでもありますので、この弱みを直すための高コスト構造是正だ。それにも中小企業の浮沈は非常にかかっている、こういうことだと思うのです。  しかし、これともう一つ私は着目しなきゃいけないのは、優秀な技術力を背景にして、大企業ではできない、それこそ本当の職人芸でずっと積み上げてきたものの集積によって、あの会社じゃなきやできないとか、あのおやじじゃなきやできないよ、こういうような優秀な技術力が日本にはあるんだ、それが橋本総理いわく我々の国の財産なんだ、こういう日本の強みだと思うのです、この技術力というのは。これは世界じゅうのだれもが認めていただけるところではないかな。この技術力をいたずらに外に出すんじゃなくて、どうやって国内でそれをうまく活用できるようにするか。そこの部分の、いわゆる研究開発力だとか技術力だとか、それから集積することによっての恩典を与える、こういう意味で私は今回の特定産業集積活性化臨時措置法案というものが生まれたんだなと自分なりに解釈をしているわけでございます。  いずれにしても、この問題は非常に総合的な観点から対応していかなきゃいけないのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども考えてみると、先ほど予算の割り振りが、今回の法案で直結予算が八十一億、新法関連で二百二十五億ということで、これは胸を張ってお答えになられたのでしょうが、考えてみると本当に小さい予算ですよね、国の産業を生かすというのに。今財政構造改革元年でありますから、余り大それたことを言つちやいけないのでしょうけれども、そもそもが、通産省の予算が三千四百億ぐらいですか、中小企業関連で千二百億、ここをもうちょっと何か枠組みを変える必要があるんじゃないか。私は、もっとどんどんとこういう部分については予算をつぎ込んで、そのかわり、確実にみんなが喜ぶように、また収益が改善できるような、そういうきっちりとした対策を打っていく必要があると思うのです。  ですから大臣には、とにかく豪腕大臣でございますから、確実にこの法案を早期に制定するとともに、この運用をどんどんと矢継ぎ早に、先ほどのいろいろな御質問の中にもありましたけれども、計画をつくったり周知徹底したりしなきゃいけないわけですから、こういう部分を実施をお願いしたいというふうに思うのです。こういった、ちょっと大ぶろしきになっちゃいましたが、日本産業空洞化対策、これをどうやって総合的に対策をやっていくおつもりなのか、これはぜひ大臣にお答えをいただきたいと存じます。     〔小川委員長代理退席、小此木委員長代     理着席〕
  185. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 きょうのテーマである物づくりということ、いろいろな表現をされたわけでございますが、確かに物づくりという表現自体、私は今の時代にいかがなものかと思っているのです。と申し上げるのは、先ほどからのお話のように、やはりこういうものをつくったという職人というか技術屋が、誇りそして喜びというものをどう感ずるかということなんです。今までは確かに、あの仕事はあれしかできない、おれしかできない、こういうことだった。その考え方が、ややもすると徒弟奉公みたいな考え方につながり、それがいわゆる三K、こういうことにおいて今若い世代の人というのがそういうものに定着しないのではないだろうか、とう思っております。  そういうことで、今のお話のように、これからどういうふうに日本産業を持っていくかということになると、まさに今中長期的展望として我々が考えている経済構造改革、これを六つの改革の中でもって優先的に私は考えるべきではないだろうか、こう思っているのです。  御存じのように、昨年の十二月に経済構造の変革と創造のためのプログラムを閣議決定したわけですが、その中には具体的に新規産業を生み出すという観点、もう一つは国際的に魅力ある事業環境をつくり出す、二つに分けて、新規産業、これが非常に国内に関係あるわけですが、それに関しては、個別産業分野ごとのニーズに対応した規制緩和、人材育成、技術開発、こういう総合的な施策をするということ、そして新規産業創出にかかわる共通の課題を解決するための資金、技術、人材面の施策、こういうことを推進していくことにしてありますし、今申しました国際的に魅力ある事業環境の創出という点では、高コスト構造是正のための規制緩和、そしてまた企業と労働に関する諸制度の改革、その中には御存じのように持ち株会社の解禁だとか税制の見直し、こういうものが入っておりますし、また、地域産業・技術集積の活性化、こういうような施策を進めていこうということでございます。  それで、この法案の着実な実施によって、今申したように、今までと違った新しい意味の物づくりというもの、これがやはり国の基盤となってきて、そして国際的に魅力ある産業の集積地域もできる、活性化してくる、かように思っているわけでございます。
  186. 新藤義孝

    新藤委員 これは、理論といっても難しいのですよね。非常に難しいと思います。お考えはそのとおりだなというふうに思うのですけれども、特にこれからのこういう通産省政策を進める上でも、本法案には入っておりますから、私はこれをもっと追求すればいいなと思っているのですけれども、いわゆるインフラ整備において建設省と連携するのだ、それから、技能の継承支援という意味では労働省ともやりますよ、こういうふうになっております。  それから、先ほどの中小企業庁長官のお話のように、何か学校に行ったらこういう汚いところということで、あれは逆に、それこそ文部省との連携プログラムの中で、私は今教育の問題について、これは文部省の教育改革プログラムのところで言っているのですけれども、僕はあっちで発言しているのですけれども、子供たちに、こういうような技術力があるんだよ、こんな人たちが一生懸命働いています、これを社会科見学をやったり、中学、高校ぐらいになったら、あなたの身近にあるこれは、我々の技術によって実はこんなふうにしてやっているのですという、こういう部分は、子供たちに就業機会の枠を広げるという意味からも、ぜひこれは文部省だって入れていかなければいけない話なのではないかな、こういうふうに思います。  それに加えて、私、最後の質問にさせていただきますけれども、これは直接通産省だけで片づかない問題でもあります。しかし、あえて言わせていただきますと、結局のところ、今までの我が国産業立地政策というのが、要するに全総以来、大都市での工業、産業の立地の抑制と地方への分散、こういうものを大前提にして、制限に関する法律があったりとか、要するに企業の集積、産業の集積は人口集中につながる、これを均衡ある国土の発展ということで分散させようということでやってきたのだろう、こういうふうに思っております。  しかし、結果的には本当の地場でやっている人間までがいられなくなってしまって、特定産業集積地域の中においても空洞化が発生してしまっているのですよ。これは、やる気のある企業とそうでない企業がある、技術力のある企業と、そうでない追いつかない企業がある。当然、淘汰はあります。そういう中で産業集積地の強みというのは、結局、そこならば工場操業関係に対して非常に周辺の理解が得られやすいということがあります。それから、関連の工場群や企業がいっぱいあって、ねじ屋から部品屋から、いろいろな作業がトータルでその地域でできるというので便利なんですよね。だから集まってくるわけなんです。  だけれども、これからそういう中で淘汰が行われて、さあ土地があいた、それは決して大きな土地ではありません、何方平米とかというような土地ではないのです、せいぜい二、三千平米から、大きくても五千平米ぐらい、そんなようなレベルの土地があいてしまった。しかし、そこは国の都市計画というか、大都市圏には工場は要らないよという前提において、そこに入れないわけですね。今ある会社、工場をもうちょっと増改築する部分では大分緩和されてきたと思っています。だけれども、せっかくその産業集積地の中で、そこではまだ操業ができるにもかかわらず、別の企業が、ああそういう地区なら私も行くよと。大体、都市周辺で近いから便利だというのも、これまた立地が集積した原因でもあるのですから、そういういいところなら行くよといったときに入れなくなってしまっているわけなんですよね。ですから、やる気のあるところまで完全に外に出ざるを得なくなってしまう。それは産業集積のメリットを生かせなくなってしまうのですよ。  だから、そういうことを考えると、ぜひ住工共存というのを前提に置いて、今度やる五全総の中においても、この工業立地、産業立地に関しての土地利用のあり方をもう少し見直してもらいたいな、私はこういうふうに思うのです。  工業地域に当たり前のように——工業地域ならば当たり前なんです。だけれども、大体、地場産業とか中小企業が集積しているというところは、意外と準工業だとか、もともとから集積しているのですから、その集積しているところを現行追認型で都市計画が用途を決定しているわけですよ。だから準工業の中で、どっちでも建てられるようなところに産業集積というのは意外とあるのですよ。ここのところは今の考え方を切りかえないと、もう完全にアウトになってしまうわけなんです。  そういう意味で、ちょうど今、国でも大分そういう方向になってきているのですよね。産業構造審議会の産業立地部会、「今後の地域産業政策産業立地政策の検討の方向」というようなことについては、工業再配置促進法、工業等制限法、工場立地法、こういうものを含めて、企業活動のグローバル化、我が国産業の空洞化懸念を背景としつつ、地域における内発的、自律的発展の支援を重視する方向へ見直しを行うこと、こういう方向が出ております。  今回の法案を実効あるものにしていくためには、結局我々が集積をして、この町は産業集積の町なんだ、自分たちがこういうふうにやってきたところに新しい仲間も入れられるんだよ、やる気のある人がもっと固まっていくよ、こういうことになるきっかけにもなるんじゃないかというふうに思うのです。  とにかく、中小企業対策とか産業政策というのは、全部に適用できる政策というのはあり得ないと思うのですよね。だって自分たちがやらなければ、結局、国や我々はお手伝いするだけなんですから、そのやる気のある人たちに対して、もっと特段のいろいろな配慮をしていく必要がある、このように思っております。  そういう意味で、くどくどと申し上げておりますが、この法案を機に、さらにその辺の産業立地政策上の今後の方向性は、私は住工共存と言っています。人によっては住工共生と言っております。国にはこういう言葉があるのかどうかわかりませんが、私が一つ聞いているのは、住工混在というのは聞いています。住工混在地域は、うまくやれば住工共存地域になれるわけでございまして、これがうまくいくと、本当の意味で中小企業が元気になれるのではないか、こういうふうに思っておりますが、ぜひそういったことで御見解をお聞かせいただければありがたいと存じます。
  187. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 おっしゃるように、この住工共存というのは、大変我々も関心を持っておるところでございます。  今、新藤委員言われましたが、やはり物づくりの場合には、私、歴史的に見て、いわゆる城下町と言われている、それからまた産地、厳密に言うとやはり違うと思うのですよ。それからまた、何にもないところにこれから新しい産業というものが生み出されて集まる、こういうようなことがある、こういうふうに分類できるのじゃないだろうかと思います。  そこで、今おっしゃるように、住工、そこに新しいものが割り込んでいけるというけれども、そういうのが、例えば城下町だとなかなか入りにくいけれども産地なら入りやすいとか、いろいろな問題があると思うのです。  そういうことで、今の御指摘の点、私たちにも非常に関心がございまして、具体的な施策については御指摘の点も踏まえて今後引き続き検討してまいりたい、かように考えております。
  188. 新藤義孝

    新藤委員 やや時間が余っておりますが、今回のこの新しい法律、ぜひとも実効あるものにしていきたいと思っております。これは政府にお願いするのではなくて、我々が地元へ帰って、こういうことで国も真剣に地域の中までおりてきて考えているんだよということを、これは我々もPRしたいと思いますし、それを仕事のベースの上に乗っけていきたいと思っております。  そして加えて、各省との連携をうまくとっていただいて、手続だとか、もうこれは事務的なものになってしまいますが、意外とそういうことがうまくいかないと実効が上がらないわけでございまして、それは私が言わなくても、技術的な問題ですから政府の皆さんがよく御存じだと思います。  我々も目いっぱいにお手伝いをしていきたい、こういうふうに思っておりますし、そういう意味でこの法案の成立を御期待を申し上げるところで質問とさせていただきます。ありがとうございました。
  189. 小此木八郎

    ○小此木委員長代理 次に、渡辺周君。
  190. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 もう先ほど来いろいろな委員から質問が出ております。私も、これまで地方議員をやりまして、そしてまたこのたび国政に出てきたわけでございますけれども、選挙運動をしながら、あるいは通常の日常活動をしながら、私の地元は静岡県の沼津市というところですけれども、ここはいわゆる機械部品に使うねじの産地でございまして、大変な出荷額を占めております。その中で、先ほど来どなたもおっしゃるようですけれども、行きますと、とにかく選挙のときだけじゃなくてもっとふだんから来て、中小企業の、あるいは零細企業の実情というものをもうぜひ理解していただきたい、そしてもしできるならば国政の中に伝えてほしいというようなことで、推されて、幸いにして当選してきて今こうして立っているわけでございます。非常にやはり先行き不透明、先行き不安、こういう問題を常に考えながら、後継者の育成に対してもある意味では慎重になりながら、とにかく毎日毎日の仕事をしている、そういう方々が日本地域産業地域経済を支えてきた、非常に切実な声を聞きながら、質問をさせていただきたいと思います。  今回の法律で、これまでの特定中小企業集積の活性化臨時措置法から、今回は飛躍的にといいますか、拡大発展をしたような形で基盤的技術産業集積が対象に加えられます。そうした中で、具体的にどのような地域を何カ所程度現状想定をしていらっしゃるのか、またその地域がこの法律によって支援を必要とする背景というものについての御認識、御見解をまずはお尋ねをしたいと思います。
  191. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 近年、輸送機械、電気機械などの量産型加工組み立て産業の生産拠点が海外に移転をいたしてございます。また、製品の輸入拡大の進展によりまして、我が国の基幹産業を支えてまいりました鋳鍛造、メッキ、金型、試作品等をつくります、いわゆる物づくりの基盤でありますサポーティングィンダストリーの集積が大きな影響を受けておりまして、これらの産業集積が崩壊する懸念も高まっておるという状況でございます。  こういう実態を踏まえまして、本法案におきましては、このようなサポーティングィンダストリーの集積を基盤的技術産業集積というふうにしてとらえまして、集積の事業者の技術水準の向上あるいは技術の適用範囲の拡大を図ることを目的とした基盤整備を行いまして、こうした需要構造あるいは産業構造の変化に対応しつつ新たな活力を生み出せるように、この集積の活性化を図ろうということでございます。  この産業集積につきましては都道府県が計画を作成するという仕組みをとっておりますために、どのような地域の集積を承認することになるかということを予見することは今の段階ではいささか難しい面がございますが、おおむね二十カ所程度を全国で想定をいたしてございます。イメージとしては、例えば大田区のような、さまざまな基盤的技術産業が集積をした地域を念頭に置いているところでございます。
  192. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 その大田区なんですが、これはいつだったでしょうか、そうした職人が消えるというような、何かNHKのドキュメンタリーがございました。私もそれを見ていまして、こうした水平分業ネットワーク、こうしたものが今崩壊の危機にある。見ていますと、これまでの方々がどんどん廃業もしくは倒産という形で仕事をやめざるを得なくなっている。そして、そうしたネットワークが、それぞれの特性を生かしてネットワークをつくりながら一つの物をつくり上げていった。例えば木型から鋳造なり、そしてまたそれを溶接して云々というような形をやっておりましたけれども、今度のこの法律において、例えば水平分業ネットワーク、こうしたものが具体的に立ち直りの可能性というものが得られるとお考えなのか。  そしてまた、これまでの、現行の特定中小企業集積活性化法、この法律が施行されまして、その間に政策効果が例えばどこかでは顕著にあらわれた、それだからこそ法のノウハウを今回の法に生かした、あるいは今後、今言われたような大田区の糀谷地区ですか、こうしたところ、想定しているところに何らかの形で効果があらわれるというふうにお考えか、その御見解についてお尋ねをしたいと思います。
  193. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 中小企業集積法に基づきます成果につきまして後ほど中小企業庁の方からお答えを申し上げますが、一般的に産業集積におきましては、集積の中で事業者同士が分業あるいは相互受発注をし、共同事業を行うことによりまして、相互に商売上のあるいは仕事上の補完機能を果たしてございます。また、技術波及による事業の高度化をもたらすという機能も発揮しているところでございますが、御指摘のように、大田区等でそうした機能のいささかの刃こぼれが生じているところでございます。このような産業集積を活性化するには二つの方向がございまして、一つは技術水準の向上、ネットワークの再形成、それからいま一つは新分野への進出を図るということでございまして、こういう目的のための基盤整備を通じまして集積内の事業者事業展開をさらに活性化しようというものでございます。  具体的な施策といたしましては、集積内の事業者利用をいたします産業インフラ、これは研究開発施設とか貸し工場等でございます。あるいは直接の事業者支援としての技術開発、商品開発、あるいはネットワーク形成支援などの施策を総合的に講ずることといたしてございます。  こういう施策によりまして、集積内の事業者のネットワークの崩壊を防ぐばかりではなくて、さらにその強化を行って、集積内の事業者事業展開が促進されるというふうに期待をしているところでございます。
  194. 田島秀雄

    ○田島政府委員 現行の特定中小企業集積活性化法の運用実績といいますか、ノウハウをどう生かしているのかという御質問でございますが、ただいま、この法律、現行の法律を活用しまして、九十四の地域がいろいろな御努力をしておられますけれども一つ、二つ例を挙げますと、北海道の室蘭地域あるいは新潟県の三条・燕の地域といったようなところが現時点で比較的顕著な成果を上げておられるところではないか、こういうふうに思っております。  このような地域では、地域の大学と中小企業の連携とか協力といった、先ほど局長からネットワークという言葉がございましたが、そういったことで技術開発をやっておられたり、中小企業同士の連携やあるいは外部の経営資源を活用されるといったようなことをやっておられるということでございます。  こうしたことがございますので、今回御提案申し上げた法案におきましては、特定中小企業集積を含めて、産業集積全般につきまして、中小企業者あるいは事業者間の連携を十分に念頭に置いた法律体系といたしておりまして、それを受けて、助成面でも、今までは組合を対象としてきました補助金等を、事業者が他の方と一緒にやるときにはお出しをするというような運用の改善等をいたしておるところでございます。
  195. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 お答えをいただきながら、確かに効果があらわれている。一部ではこうした、これは中小企業庁地域企業の実態調査などを見ますと、例えば、支援機関の活用の成果によって既存の技術の向上につながったとか、あるいは既存製品の改良につながったというようなデータもありますし、わずか一四%ではありますけれども、肯定的に評価をされているというような事例も確かにございます。  ちょっと古いものですが、中小企業白書を見ますと、一四%もの成果を得られた。一四%、果たしてこれが多いか少ないかというのは非常に難しいなと思うのですけれども、そういった効果を高めていくということを考えますと、やはり都道府県がもともと計画している姿勢に対して何か助成をする、そして都道府県の負担を減らすというようなことではなくて、この法律を契機にして、その地域ごとの産業集積の特徴を踏まえて、個性的な機能を持った施設地域考えさせる、そして戦略性がある程度明確になったものにこそ集中的に助成をしていくというような運用スタンスをしていくべきではないかなと思いますが、この点についての御見解をお尋ねしたいと思います。
  196. 田島秀雄

    ○田島政府委員 今回の新しい法律におきます両集積につきまして、国は活性化指針を定めるということで、ガイドライン的なものを定めますけれども、各地域産業がどうなるべきか、どうしたらいいのかということは、地域の実情もいろいろ違うわけでございますので、御地元に自主的に考えていただくということで、地域の自主性、地域の意欲というのを大前提にして対応してまいりたいと考えてございます。
  197. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 今、活性化指針というようなお話がありましたけれども、そうしますと、地域の意欲というものを非常に重視しながら、もうとにかく地域の熱意次第だというような御答弁だったわけです。  そうしますと、ちょっと話は戻るかもしれませんけれども、例えばこの活性化指針の中身はどういうものになるのか、また、いつごろまでに策定をするのかというようなことをお尋ねしておきたいと思いますし、また、通産大臣等がこの都道府県策定の活性化計画を承認する際の基準は何であるかというような点についてお尋ねをしたいと思います。
  198. 安達俊雄

    ○安達政府委員 お答え申し上げます。  まず最初の御質問でございますが、活性化指針の内容、それから時期でございますけれども活性化の指針につきましては、まず、国自身が産業集積をどういうふうに認識するかということ、具体的には、我が国の今後の経済発展の中でこの産業集積の意義というものをどのように位置づけるかといった点がまず出発点としてございますし、また、そもそも、法の対象とすべき産業集積としてどのようなものをとらえていくかといったことが次の内容でございます。また、都道府県の作成する活性化計画、この中にどういう目標を設定するか、あるいは支援事業をどう盛り込んでいくかといったことがございますけれども、これの国のサイドからのガイドラインになるようなもの、多様性を認めつつも一つの参考になるような方向づけということで活性化指針を定めていきたい。また、事業者事業展開のあり方等につきましても、この指針の中で記述していくという予定でございます。  策定の時期でございますが、この法案成立後、三カ月の後施行されるわけでございますが、この三カ月の時間もフルに生かしながら、施行後、速やかに策定、公表してまいりたいというふうに考えておるところでございます。  それから、二番目の御質問でございます活性化計画を承認する際の基準、通商産業大臣が承認する際の基準は何かということでございますが、これにつきましては、もちろん今後、具体的な内容については検討してまいるわけでございますけれども基本的な考え方として、集積地域の実態あるいは活性化目標、そういったものが果たして本当に的確なのか、実現性があるものなのか、また支援事業が果たして有効なものと判断できるのか、あるいはそれ自身が本当に適切なのかといったことを総合的に勘案することにしております。  活性化計画は当然都道府県が作成するわけでございますが、通産省としては、先ほど申しました活性化指針を示すことで、また内容的にもよく都道府県の相談に乗りながら、円滑に計画が作成されるように努めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  199. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 今そういうふうなお答えをいただいたわけですけれども、先ほど二十数カ所を想定しているというようなことでございましたが、ただ、都道府県の活性化計画そのものがやはり大変地域性の濃い中身でありますし、当然多様なものであるわけですから、現在通産省が想定している、あるいは例示しているという地域以外でも、自治体の補助方法に関しても、活性化計画の対象事業であるということならば、ある程度補助を行うということで理解してよろしいでしょうか。
  200. 安達俊雄

    ○安達政府委員 約二十と申し上げましたのは、この法律の趣旨、そして集積地域の性格ということを念頭に置きまして全国を見渡しますと、おおよそそういう地域があるのではないかということをイメージしておるということでございますし、私どもとして、具体的にどの地域対象にするということをあらかじめ決めておるとか、そういったことでは全くございません。そしてまた、計画自身は都道府県が主体となっておつくりになるものでございますので、今後、地域からの要望等をよく聞きながら、柔軟に対応していきたいというふうに考えておるところでございます。
  201. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 そうしますと、この現行の法律の仕組みでは、都道府県知事は、その特定事業者をつくる、例えばこうした幾つかの判断をある程度地域性を重視しながらやっていくということで、先ほどどなたかもおっしゃいましたけれども、ぜひそういう意味で地方の、地域の特性といったものを、できればもう皆さん、足を運んでいただいて、本当に現場を知って、我々が選挙戦で本当に歩いて痛感したような、ぜひそういう現実を認識した上で御判断をしていただきたいと思います。  繰り返しの質問になりますので、ぜひ要望を言っておきたいと思いますが、家族的な雰囲気の中で、もう本当に朝から晩まで汚れ仕事、しかし本当に、名人といいますか、職人と言われるような方々が一生懸命長年その地域で仕事をしていらっしゃる。階段を上ると手すりは油でつるつる滑り、そしてまた本当に大きな音がする中で、こういう環境の中で働いている。ぜひそういう現実の中に入ってきていただいて、その上で今後のそうした地域のいろいろな特性というものをつぶさに知っていただきたいというふうに私は思う次第であります。ぜひそういうことを要望しておきたいと思います。  そしてまた、ちょっと数点、今度は法律の細かい部分についてお尋ねをしたいと思いますけれども法律案では運輸省、労働省、文部省及び建設省との連携ということがうたわれているわけですけれども、その中で一つ、これは繰り返しになるかもしれませんけれども、労働省との兼ね合いの部分、基盤的技術産業集積の活性化を労働省と連携して行うということでありますけれども地域雇用開発促進法の改正案では、労働大臣地域指定をすることになっております。この法律案では、主務大臣地域指定をするのではなくて、都道府県が作成する計画を主務大臣が承認する。そういう意味では国としての何か主体性の発揮の仕方に違いがあると思うのですけれども、これはどういうわけでそういうふうになるのか。そしてまた、労働省の施策とどのように組み合わせていかれるのかということをまず一点お尋ねをしたいと思います。  そしてまた、他省との連携の部分では、例えば道路整備の部分において、建設大臣は計画承認そのものに関与をするということになると思いますが、建設省とある程度連携しながら、例えば道路整備等の優先的整備をお願いをするのかどうか、こういう点についても確認をしたいと思いますし、また、文部省といいますか、教育の部分においても、先ほどやはり例で発言をされましたが、私も似たような話を聞いたことがございます。ある学校の生徒が、勉強できない者は、例えば技能専門校みたいなところへ行って何か職でも身につけるしかないなというようなことを言うわけですよ。それはもう最初から何かふるいにかけているような、そういう意味では、幾つかの技能専門校、例えば公立でもありますし、そういうところに行くということが、何かどこか落ちこぼれたような人間が行く、そこで何らかの職でも手につけないといかぬようなことを言われるわけですね。これは学校の先生が、先ほどどこかでお話ありましたけれども、言われた。  そういう意味では、これは一つには、今非常に後継者の育成がこれから困難であると言われる中で、やはりまずそういう認識を持たせないこと、まだそういうことを教育のレベルの中で言ってしまってはいけないのじゃないか。そういう認識を変えてもらうことも必要だと思いますけれども、そういう意味で、これは制度的なことになるかもしれませんが、労働省と、あるいは、これはインフラの整備でいえば建設省、そして一つ意識という面では文部省とどのように連携をしていくのかという点について、まとめてお尋ねをしたいと思います。
  202. 安達俊雄

    ○安達政府委員 お答え申し上げます。  ちょっと前後いたしますが、まず建設省との関係でございますけれども、都道府県が作成いたします活性化計画、この承認に当たりましては建設省と共同で承認をするということでございます。この計画の承認段階から建設省が道路整備計画の適切性や実効性を判断して、重点的な整備の実施を確保していくという形でございまして、建設省関係のインフラ整備の関係において、十分な連携がこういった制度的な運用の担保においても図れるものと期待しているところでございます。  それから、先生指摘の労働省との関係でございますが、御指摘のとおり、やや地域の指定の仕方が、労働省の法律の方で最初地域ありきといつた形になっておるわけでございますけれども、運用面におきましては、労働サイドの地域指定と私どものこの集積地域の指定といったものが極力同一地域対象となるように努めてまいるということで、運用面で十分御指摘の点を踏まえて対応していきたいというふうに考えております。  それから、文部省との関係でございますが、先生指摘の点も含めて、よく連携を図っていきたいと思っておりますが、この法案の運用に直接関係します第三十一条の関係について見ますと、文部省サイドにおきましても非常に積極的な取り組みを昨年来していただいておりまして、産学協同による研究開発あるいは人材育成、こういったところで両省の施策が相乗効果が上がるように進めていくことにしているわけであります。  その一環といたしまして、大学の職員が兼業をする場合に、今まで非常に制約がございました。このたび、その点につきましても、ある種の規制緩和でございますけれども、勤務時間外の営利企業に対しての産学協同の取り組み、こういったものにつきましてこれまでの制約を排除いたしまして、原則大丈夫だということで、これまではなかなか進めにくかったものについても相当これで円滑化できるのじゃないかというふうにも思っておるところでありまして、先生の御指摘のような人の教育そのもの、そういったものも含めて、私ども文部省とも今後ともよく話をさせていただきたいと思っておるところでございます。  以上でございます。
  203. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 今の教育との兼ね合いで、産学連携の部分、これのみならず、私どもそういう説明を受けたのですけれども一つにはやはり意識の部分、それともう一つ、これは地域、地方であることなんですが、これは一つの例ですけれども、つまらないということで実業学校の生徒がだんだん減ってきた、今そこにだんだん新しいコースが導入されるわけですね。例えば、デザイン科だとか福祉科だとかといういろいろなコースが地方で、公立学校なんかで出てくる。  そうすると、例えば今まで林業の学校であったとか、工業の学校であったとかというところがいろいろな、あるときには普通科的ないわゆる大学進学、上級学校への進学ということも可能性として考えていく。あるいは、もう林業だとか工業だとかというものが、だんだん後継ぎとしてもうないだろう、そういうふうに最初から決めて、ある意味ではデザイン科みたいなものをつくったり、福祉科みたいなものをつくったりして、だんだん選択の幅を広げる。  これは確かにいいことなんですけれども、ある意味では最初から後継者として育つ、あるいは地域産業というものを理解しようという選択を狭めるというようなことにもつながっているというふうに思うわけであります。これはお答えは結構ですので、ぜひそういう部分で総合的にこれはやはりやっていただくしかないかなというふうに思います。  そして、最後に一つお尋ねをしたいと思いますけれども、こうした基盤的技術産業の集積が全国各地でこれから生まれる、そうすることによって、相互にやはり連携、補完をすることによって、それぞれまた新しい可能性が開けていく、また発展していくとも考えるわけですけれども、そのような支援施策というものはお考えかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  204. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今、渡辺委員指摘のとおりでございます。  そこで、この産地等の産業集積につきましては、大半を占める中小企業がそれぞれの地域の特色を生かしながら新たな事業展開、これに積極的に取り組む必要があろうと思うのです。そういうことをやることによって、産地全体が活性化して自主的な経済発展を遂げることができる、またそれが望ましい姿だ、かように思っております。  そういうことで、当省といたしましては、本法案を初めとする支援措置を通じて、都道府県と協力をしながら各地域の取り組みを積極的に支援してまいりたい、かように思っております。
  205. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 終わります。
  206. 小此木八郎

    ○小此木委員長代理 この際、大畠章宏君から関連質疑の申し出があります。渡辺周君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大畠章宏君。
  207. 大畠章宏

    ○大畠委員 私の方から関連する質問をさせていただきますが、その前に、冒頭に動燃東海の問題について触れさせていただきたいと思います。実は、私の地元の茨城県の問題でございますので、一番最後にお伺いしようと思ったのですが、この問題を最初にお伺いしてから関連質問に入らせていただきたいと思います。  この動燃東海の再処理工場の火災爆発事故については、私自身も地元出身の議員の一人として、またエネルギー政策にずっとこれまでも取り組んでまいりましたが、大変残念な事故でございます。先ほど大臣からも関連するお話がございましたが、確かに通産省の直接の管轄の事業所ではないということでありますけれども、この問題がこれからの日本エネルギー政策に大きな影響を与えることはまず間違いないだろうと思います。したがいまして、動燃も、そしてまた関係者の方も、この動燃事故に対して懸命な努力をされているわけでありますが、通産省として今後どのような支援策といいますか、最大の協力を図る必要があると思いますが、大臣からこの問題に対するお考えと、通産省としての支援策についてお伺いしたいと思います。
  208. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今おっしゃるように、東海村の火災爆発事故、これはもう原子力行政に対する国民の信頼、信用という問題、そしてまた同時に行政に対する不信、こういうような問題を醸し出した問題だろうと重大な関心を持っております。それに基づいて、先日、科学技術庁長官並びに官房長官と一緒に現地を視察してまいりました。  まず動燃に対する対応でございますが、これは各方面からいろいろ御指摘されているとおりでございまして、一日も早くこの事故の原因が究明されて、徹底した再発防止方策が講じられるということが必要でございますし、それに対して当省としては協力してまいりたいと思います。  もっと大事なことは、私の方は、実はあの事故の報に接しまして、直ちに十二日に電力会社に対しまして、原子力発電所を有しているわけでございますので、そこにおける処理施設というものが東海村のものと同じようなものなのか、それとも違うものなのか、そして処理方法がどうなんだろうか、こういうものを直ちに連絡するようにいたしまして、そして同時に、トラブル時の通報連絡についてもあわせて点検するように申しました。十四日の段階でもって、点検結果の報告ということでは格段に問題はないし、そして自分たちの方は、同じようなアスファルトを使っているところもございますが、多くは使っていないし、また東海村のとは処理方法が違う、このような報告でございました。  しかし、安全確保ということから考えた場合には、同じことをやっているから危険だ、やっていないから安全だということは言えないわけでございますので、徹底した安全確保ということに万全を期すように、そしてもし問題があった場合には迅速かつ的確にすぐ通報するように、こういうことを厳重に申し渡しました。  同時に、これは蛇足でございますが、通産省の傘下には、同じようにガス会社にしろ石油会社にしろ、そしてまた化学会社、鉄鋼、いろいろ危険物を扱っているところが多うございますので、同じような安全に対する再点検ということを命じたわけでございます。  このようにして、非常に難しい問題ではございますが、国民の皆様方の御理解というもの、そして行政に対する信頼というものが一日も早く回復するように、させるように努力してまいりたい、かように思っております。     〔小此木委員長代理退席、委員長着席〕
  209. 大畠章宏

    ○大畠委員 私も原子力産業で仕事をした者の、人間の一人として、とにかく事故の確率は必ずありますから、事故が起こったときに最小の影響にいかに抑え込んでいくかというのが原子力基本的な考え方でございまして、これが今回はコアの施設じゃなくて周辺設備といいますか、とはいいながらも多重防御の基本的な考え方が爆発というもので破られてしまったということで、私は非常に重大な衝撃を受けています。この問題、今大臣からお話がありましたとおり、ぜひ通産省としても最善の努力をしていただきたい。特に科学技術庁というのは、余り事故対策は上手な方じゃないような感じがするのです、「もんじゅ」の事故もそうでありましたけれども。それに比べて通産省は、どちらかというとこれまでたくさんの経験を持っておられますから、その豊富な事故対策の経験というものを踏まえて、科学技術庁と本当に協力をしながら全力での対応をしていただいて、原子力政策に対する国民からの信頼をさらに回復するように最大限の努力をしていただきたいことを申し上げておきたいと思います。  この問題はまたいずれ原因究明そしてまた事故対策等々の論議がされてくると思いますが、そのときにまた再び皆様方にこの問題についてもお伺いしたいと思います。  さて、この法律案に対する関連質問についてお伺いをしたいと思います。  先ほど私どもの渡辺周委員の方からも、この特定産業集積活性化に関する法律案課題について御質問をさせていただきましたけれども、今回の法律案に伴う予算措置というのは、八十一億一千万ぐらいですか、こういうお金が投入されて、これから実施しようとするところであります。先ほどの委員からもお話がありましたけれども、地元といいますか、現在の経済環境下における中小企業の方々も、この集積法案については大変高い、強い関心をお持ちだと思うのです。  今、この中小企業の位置づけについては、もうきょうのこの商工委員会に御出席の皆さんは十分御認識をされていると思いますが、ちょっと前のころ、部品メーカーが火災を起こしたら、ある大きなメーカーの生産ラインがストップしてしまつたという事故がございました。何げない小さな部品でありますけれども日本の大手メーカーのラインをストップするという大きな影響を持っているのだなというのを改めて感じたところでありますが、今日のこの統計を見ますと、事業所数では中小企業が圧倒的に多く九九%、それから従業員数では七八%、それから出荷額では中小企業が五一%、小売業の年間販売額では七六%というものを占めていると統計に出ておりますが、まさに私は日本産業界といいますか、製造業界の大きな部分を占めているのがこの中小企業ではないかと思います。  そこで、これまでも通産省を先頭にしながら、中小企業庁の皆さんのいろいろな御努力支援策を講じてきたところでありますが、今回の法律案を含めて、私は、これまでの過去のそういうさまざまな支援策が実際にどんな効果を得ていたのかということを検証していかなきゃならないのではないかと思います。と申しますのも、大臣御存じのとおり、現在の日本の予算というのは大変タイトになってまいりまして、できるだけ絞った予算で最大の効果を与えるということも考えていかなければならない時代に入りました。そういうことで、最初に、過去に幾つかの法律案を成立させていただいておりますけれども、これらの法律に基づく効果について、簡単に何点かお伺いしたいと思います。  まず、中小企業創造活動促進法というのが成立しておりますが、これの具体的な成果といいますか、効果といいますか、こういうものについてお伺いしたいと思います。
  210. 田島秀雄

    ○田島政府委員 先生指摘の創造法は、中小企業の創業支援、それから技術開発ということを支援するということでできました比較的新しい法律でございます。平成七年に制定されておりますが、施行後、二月末までに認定実績が千八百八十三件ということで、日の浅い法律といたしましては大変活用されておるというものでございます。補助金、低利融資、減税措置の活用等で、いろいろな研究開発の御努力が進められておるというふうに承知をしております。それから、同じくこの法律に基づきます試験研究費の補助金につきましても、予算手当て上、増額をさせていただいておるところでございます。  それから昨年度、御案内のとおりこの法律、べンチャー財団を各県につくっていただくということで法律改正をさせていただいておりますけれども、ただいまの時点で四十一の都道府県にベンチャー財団ができております。このベンチャー財団に対しては、事業団と各県が協力して貸し付けを行っておりますけれども、これから既にベンチャー企業に対して百四件、まだできたばかりでございます割には大変多くのベンチャー企業に投資が行われておる、こういう状況になってございます。  それから、もう一つつけ加えますと、エンゼル税制、いわゆる個人投資家からの投資の円滑化を図るためのエンゼル税制というものを制度化いたすために、この法律につきましては今国会に改正案を御提案申し上げておるところでございまして、また後ほど御審議を賜りたいと存じます。
  211. 大畠章宏

    ○大畠委員 その千八百八十三件というのは非常に、これは言ってみればヒット商品ではなかったかと思いますが、このときの関連する予算というのはどのぐらい投資をしたか、わかりますか。
  212. 田島秀雄

    ○田島政府委員 創造技術研究開発補助金という補助金がございますが、平成七年度、これは初年度でございます、予算規模で二十億円弱、平成八年度が二十一億円、平成九年度では二十七億円計上させていただいてございます。
  213. 大畠章宏

    ○大畠委員 予算規模としてはかなり小規模かなという感じもしますが、ぜひこれらのいわゆる血税が有効に使用されるように、さらに追跡もお願いしておきたいと思います。  それから、中小企業近代化促進法というのがございますが、この中小企業近代化促進法についてはどういう状況にあるか、お伺いしたいと思います。
  214. 田島秀雄

    ○田島政府委員 中小企業近代化促進法は、昭和三十八年につくられた法律でございまして、中小企業、時々内外経済環境が変わるわけでございますが、こういったことに円滑に対応するために業種ぐるみで技術の高度化等、あるいは経営管理の合理化を進めていただく、こういうためのものでございます。  制定以来、指定を受けた業種が百八十七でございますが、構造改善等が進みますとだんだんと離れていくというのもありますし、新しく指定をして構造改善をされるというのもあります。現時点では、印刷、生コンクリート、電気メッキあるいは小物ばねといったようなもの、四十五の業種につきまして、関連する中小企業者が二十五万だそうでございますが、業種ぐるみで構造改善に取り組んでおりまして、私どもといたしましては、低利融資あるいは税制措置等で御支援を申し上げているところでございます。  経済構造が今まさに大きく変化しているわけでございまして、ある局面では、業種の特性に応じましては業種ぐるみで構造改善を図る必要性が大変大きいものもあるというようなことでございますので、この法律の着実な実施に努めていきたい、こういうふうに存じております。
  215. 大畠章宏

    ○大畠委員 今二つの法律についての活用といいますか、実績等についてお伺いしたところでありますが、物づくりというものも非常に重要な視点でございますけれども、この中小企業創造活動促進法あるいはまた中小企業近代化促進法というものを利用しながら一生懸命頑張っているのですが、なかなか活路が見出せないというところもございます。これが、言ってみれば全国各地にある商店街なんだと思うんですね。  この商店街が、今非常に近郊の方に新しい店舗ができ、既存の商店街というのが非常にさまざまな形で悪戦苦闘をしているわけでありますけれども、これからの商店街の支援策といいますか、そういうものについてちょっとお伺いしたいと思います。  悩みは複雑でありまして、後継者がいない、あるいはまた商売上なかなか売り上げが上がらない、お店の前を通る通行量が減ってきた、あるいは駐車場の整備がなかなか追いつかない、町全体の人口が減りつつあるとか、さまざまな要因がありますが、こういう中で郊外の方に、言ってみれば無秩序に大型店等々が進出をし始めておりまして、利用する方は便利だからということでそういう町といいますか商店街が新しくでき始めているのですが、私は、町づくりという観点からは非常に問題があるんじゃないかと思って、いろいろとお話を伺っております。新しくそういう町づくりを考えながらやるのであればいいのですが、無秩序に郊外に商店街が広がるというのが果たしていいんだろうか。  そういう点では、既存の商店街をどう活性化するかというものと同時に、町づくりという観点から商店街をどういう形で育成していくかというのは、大変重要な課題だろうと私は思います。この件について、通産省の基本的なお考え大臣にお伺いしたいと思います。
  216. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今、大畠委員指摘のように、これは大変な大きな問題だろうと思うのです。  そこで、まず商店街の疲弊というか、これはやはり何といっても流通の面において消費者ニーズというものが大きく変わってきておる、価格競争の激化、言うまでもなくモータリゼーションの進展、そういうこともあって郊外に大型店が進出する、これの加速化、こういうことを背景といたしましたいわゆる構造的、持続的な変化の中にある、これが基本認識でございます。  そうした中で、商店街における小売商業者、大変お困りの面もございますので、意欲ある中小小売業者が円滑に対応できるよう、各般の中小小売商業対策というものを実は講じているわけでございますが、具体的には一体何をしているか、こう言われますと、まず第一に言えることが大企業との連携、これは特定商業集積法、これを含めた商店街、商業集積の活性化、そして二番目には、商品の調達、配送等の共同化の推進、三番目には、売れ筋情報の提供等による消費者ニーズヘの的確な対応、こういうことを図るために、補助だとか高度化無利子融資、低利融資等の各般の支援措置を講じております。  さらに、平成九年度の政府予算案におきましては、技術情報の活用による中小小売店の業務の効率性の向上に対する支援、これの新設がございますし、また問題になっております空き店舗の有効活用等の商店街活性化のためのソフト面の支援の拡充、こういうものをいたしまして、中小小売商業対策の一層の充実強化ということで、関連予算総額で百六十三億円、これを計上させてもらったわけでございます。  今後とも商店街活性化対策等を強力に推進して、中小小売商業の支援に遺漏なきを期していきたい、かように思っております。
  217. 大畠章宏

    ○大畠委員 基本的な大臣のお考えはわかりましたし、そういうことをやっていかなければならないだろうと思います。この不況下といいますか大変な経済状況下でも、どんどん売り上げを伸ばしている商店もありますし、またどんどん衰退しているところもありますが、今大臣からお話がありましたように、どうしたら商売といいますか、商店がより売り上げが伸び、拡大していくかという何かノウハウみたいなものを、やはり大型店も大型店のよさがあるのですが、そういう経営上のノウハウをできるだけ意欲がある中小企業というか商店街の経営者に情報を提供して、その意欲がある商店の方々がそういうふうな情報を使って商売を発展させるという環境づくりについては、ぜひこれからもよろしくお願い申し上げたいと思います。  それから、物づくりの工業界あるいはまた商店街からも共通して出されておりますのは、先ほどからも御質問がちょっとあったと思いますが、いわゆるさまざまな支援策を受けようとするときに、いつも煩雑な書類、わかりにくいといいますか、同じものを何回も何回も書けというふうに言われる。この間もやったじゃないかと言うと、それはそれで、これはまた別なんだといって書類をたくさん書かされる。  これは日本の伝統なのかもしれませんけれども、そろそろ私は、この時代、もっと事務の簡素化をして、例えば企業だったら、あるいは商店街だったら、その情報を一つのカードにしておいて、一たんつくれば、それさえ出してあとは不足する情報を書けばいいとか、世界をリードする通産省ですから、そのぐらいのものができるのじゃないかと私は思うのですが、この事務処理といいますか、手続の簡素化の問題、これは毎回質問されているかもしれませんが、この簡素化の問題について、現状とこれからの対応策についてお伺いしたいと思います。
  218. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 事業者向けの支援策の運用その他に係ります手続は、できる限り簡便な手続で実施できるよう最大限の配慮を行ってまいります。
  219. 大畠章宏

    ○大畠委員 時々最大限という言葉が全く何もやらないというときもございますので、最大限の上に最大限をつけて、ぜひユーザーといいますか、商店街、中小企業の皆さんの立場に立った通産行政を行っていただけるようお願いしておきたいと思います。  それで、もう時間でございますから最後の質問をさせていただきますけれども、いずれにしても、この中小企業創造活動促進法なりあるいはまた中小企業近代化促進法なり、そして今回の特定産業集積活性化に関する臨時措置法案の問題についても、私もこれまで六年半、ほとんどこの商工委員会活動させていただきましたけれども、さまざまな法律が毎年できるわけでありまして、ヒット商品も出ておりますけれども、それらの法律が本当に実効あるものなのかどうか。そういうものを検証して、もしも不十分ならばそれに対するもちろん改正案もつくらなければなりませんし、また必要がなくなったらそれは廃止するという、法律案の廃止の手続もとらなければならないのですが、今まで委員会の中で法律案の廃止というのは一度もなかったのですね。いつも、創造的な通産省ですから、新しい法律をつくろう、新しい法律をつくろうと、もう随分つくってまいりました。  先ほど、冒頭に申し上げましたとおり、日本の財政も非常に逼迫をしてきて、必要がなくなったものについてはもうやめよう、新しい国民のニーズに合ったサービスをしていこう、こういう体質改善が必要でありますが、通産省として、過去のそういうさまざまな中小企業の支援に関する法律案の実効性を、どう、どこの部署で検証をし、どのような形でそれを、何といいますか、方向づけといいますか、それをしておられるのか。そういうセクションがあり、かつ活動しているのであれば、御報告をお願いしたいと思います。
  220. 石黒正大

    ○石黒政府委員 お答え申し上げます。  委員御案内のように、我が国の中小企業施策、世界に冠たるものでございます。非常に網羅的に、非常にきめ細かく、いろいろなものがございます。  ただ、私の感じでは、それで安心してはいかぬ。むしろ現時点におきましては二つの観点が必要であろう。一つは、中小企業施策利用される中小企業の方々の身になって、お客様でございますから、お客様がうまく利用できるような制度になつているか、なっていないかというチェックが第一。  それから第二は、こんなダイナミックに変わる時代でございますので、中小企業が日本経済の構造改革という流れの中でどうなるのかということを踏まえながら、と同時に財政構造改革という観点も頭に置きながら、中小企業施策を不断に見直していく必要があるというふうに認識をしているところでございます。
  221. 大畠章宏

    ○大畠委員 基本的な中小企業庁長官からのお話はわかりましたが、具体的にどのセクションでどのようなこれまでの法律の検証をしておられるのか。  私ども民主党としては、今GAO法案という、行政監視院の設置が必要じゃないかということを一生懸命言っているのですが、多分通産省にはもうその以前からそういうふうなセクションもあるのかなという感じもしてお伺いしたのですが、なければやはりこれは民主党としてこのGAO法案を何としてもつくらなければならない、こういう感じがするのですが、中小企業庁にはそういうセクションというのは特に置いてないでしょうか。あるいはどのような手順でそういうふうなこれまでの法律の実効というものを検証しているのか、お伺いしたいと思います。改めて御質問します。
  222. 石黒正大

    ○石黒政府委員 私どもは常にそれぞれがそういう立場でやっておりますけれども、組織的な対応としてどうかという御質問でございますけれども、通産省の中に政策評価推進室というような機構を設けてこれから対応していこうではないかという議論になっておるようでございます。
  223. 大畠章宏

    ○大畠委員 大臣も御存じのとおり、平成九年度の予算というのも、十六兆七千億の国民からの借金をしながら、十六兆八千億利子返済で使わなければならないという大変な事態に陥っていることは御承知のとおりであります。  したがいまして、中小企業庁として、今回この八十一億円の集積法関係を整備するというのは非常に的を射たものであると考えますが、過去のそういうものについても十分目配りをしながら、今おっしゃった組織等を活用しながら見直しをして、適切なサービスが適切な投資でもって行われるように、ぜひ配慮をしながら行っていただきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  224. 武部勤

    武部委員長 次に、吉井英勝君。
  225. 吉井英勝

    ○吉井委員 初めに、基盤的技術産業集積活性化対策について伺いたいと思います。  本法案に言っております基盤的技術産業集積というのは、これは中小企業集積活性化法の集積の基準であるおおむね五十社以上またはその工業出荷額が百億円以上という基準よりかなり大きくて、おおよそ七万ヘクタール程度の居住可能な土地に当該業種が百社以上立地し、出荷額が一千億円を超える規模が目安として検討され、具体的には東京の大田、品川区と目黒区の一部及び神奈川県の川崎市、これらにまたがる一つの集積というふうに想定されております。そして、全国で見ると、都道府県の申請によって約二十程度の集積が承認されるものとして検討されているのだ、こういうふうに伺っておりますが、まず最初に、この点について伺っておきたいと思います。
  226. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 基盤的技術産業集積の活性化計画の承認要件についてお尋ねになってございますが、具体的には法制定後国が出します活性化指針でこれを示すことにしておりますが、今考えてございますのは、御指摘のように、可住面積七万ヘクタール、百社以上、一千億以上というようなものを目安として考えてございます。  これは、いわゆる産業集積と呼ばれるものの中で、非常に多様な技術集団でございます基盤技術産業、これが数多く集まってある共同の活動をすることによって一つの商品に体化をし、作品に体化をするという現実の活動範囲の広さを念頭に置いたものでございまして、従来の中小企業のいわゆる産地というものに比べますと、面的な広がり、具体的な活動規模というのはそれなりに大きくなっていることを念頭に置いておるものでございます。  全国でこういう集積を全体的に見ますと、二十程度を現在我々想定をしておるところでございます。都道府県が計画をおつくりになるものでございますから、今全体像が我々の方で頭の中にあるというわけではございません。まさに御指摘のように、大田区のようなさまざまな基盤的技術産業が集積した地域を念頭に置いて考えてございます。
  227. 吉井英勝

    ○吉井委員 この法律対象となり得る基盤的技術産業集積としては、今もお話がありました大田区それから東大阪などの大都市部における集積と、あわせて、北九州市そのほか現在テクノポリス地域として開発計画に取り組んでいる浜松とか広島中央、熊本、宮崎、国分隼人などの地域考えられているのでしょうか。  また、県の方から申請があって、要件を満たしておれば、それは二十地域という枠にこだわらないで当然計画を承認するべきものだと思いますが、この点についても聞いておきたいと思います。
  228. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 基盤的技術産業集積の例示として、東京、大阪のほか、テクノポリス地域その他を委員の方から挙げられましたが、まさにそういう地域も、統計上また現実の我々が把握している事業集積の活動のデータの上からこの法律で言う集積の要件たり得るものと考えてございまして、あとは、各都道府県がどういうふうな面と活動内容を持って計画をおつくりになるかということにかかわっているものでございます。  また、先ほど二十という数字を申し上げましたが、基盤的技術産業集積を日本全体で広く見てみたときに、二十程度が申請をされてくるのではないかという想定で申し上げているところでございます。
  229. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、一応二十ということで、これは枠が決まったものじゃなくて、申請が出てきて、要件を満たしておれば当然承認していく、こうなるわけですね。  それで、特定事業者は、特定基盤的技術の高度化計画について都道府県知事の承認を受けて高度化事業に取り組み、補助金や融資、税制などの支援措置を受けることができる、こういうふうになっているわけですが、この特定事業者には中小企業者という縛りもないわけですから、基盤的技術産業に属する大企業ももちろん含まれることになります。そうすると、この中堅大企業の支援が重点になって、この法律に期待されている中小零細企業が置き去りにされてしまうのじゃないかという懸念も抱かざるを得ないわけです。  実際、この新法関連予算というのを見てみると、四十二億円計上されている新規産業創造技術開発支援補助金、それから二十億の地域コンソーシアム研究開発補助金、これらは、実態として見れば大企業しかなかなか利用できるものじゃないということになるのじゃないかと思います。  そこで、部品産業等における中小零細企業の世界に例を見ない高い技術力が我が国の基幹産業を支えてきたわけですから、やはりこうした中小零細企業にきちんと支援措置が受けられるように特別の配慮というものをしていくべきだというふうに思うのですね。この点についても見解を聞いておきたいのです。
  230. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今吉井委員の御指摘は、もっともな面があると思います。  しかし、御指摘のように、物づくりを支える基盤となる技術を有している事業者の多くは中小企業で、そしてこの基盤的技術産業集積においても中小企業の位置づけは非常に大きなものがある、こうした認識を持っていますから、中小企業を外すわけにはいかない、かように位置づけられるかと思います。  そうした認識のもとで、基盤的技術産業集積に係る施策の中でも、研究開発の助成、中小企業組合に対する試験研究税制、政府系中小金融機関による低利融資等、中小企業者を政策対象とした制度を数多く用意しているところでございます。さらに、その他の施策についても、中小企業による活用に十分配慮しつつ、その運用を行ってまいる所存でございます。
  231. 吉井英勝

    ○吉井委員 今、大臣の方からお答えいただきましたけれども、せっかく制度をつくって、四十億だ、二十億だと予算を組んだものが実態としては大企業しかなかなか利用できない、こういうふうになりますと、せっかくの法の趣旨が生かされませんから、今の御答弁のとおり、生かされるようにやっていただきたいと思います。  それから、高度化等計画の申請、承認の業務というのは、都道府県知事から市町村長に委任することができるとなっているわけですね。これは非常に適切な措置であろうかと思うのですが、この法律案が成立した後、やはり制度の内容を広く関係の業者の方とか業界に徹底するということ、そして運用に当たっても、この制度を必要とする中小零細企業などが活用しやすいように、これはかつていろいろな法律のときにも活用しやすいように特別の努力を払われたいということを言ったわけですが、その点ではどういう対策を今お考えかも伺っておきたいと思います。
  232. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 特に情報が不足しがちな中小企業につきまして、この施策を活用しようとする際に手続期間あるいは書類作成などで過度な負担が生じないよう、きめ細かな配慮をしてまいりたいと考えてございます。先ほども最大限の配慮と申し上げて、その上にもう一回最大限と言われましたが、そのような対応をしてまいりたいと思っております。
  233. 吉井英勝

    ○吉井委員 次に、今度の法律で統合されていくことになります中小企業集積活性化法、これに関連して少し伺っておきたいと思います。  昨年二月の中小企業創造法改正案の審議の折にも、私は、現地調査の結果をもとに、現在アジア諸国からの輸入の急増で重大な打撃を受けている福岡県の大川家具の問題を一例として取り上げました。新商品開発技術開発への支援を求めたわけですが、これに対して当時の塚原通産大臣は、何ができるか研究してみたいと約束をされて、その後、福岡県の方から活性化計画が出され、通産省から承認されて、国や県からの補助金も出されて、今公共施設用家具の開発、多彩なデザイン技術による家具用資材の開発、それから快適な住空間を構成する家具の開発とか人材養成事業、新商品開発指導事業とか需要開拓事業などに取り組んでいるというふうに、実際にこの成果が上がってきているように思います。  これは現地の皆さんから大変喜ばれておりますが、さらに福岡県から聞いたところでは、この活性化計画が承認された機械・部品製造業の北九州・直方地域、建設用・建築用金属製品製造業の大牟田地域、織物業の筑後地域などでも非常にこれらは喜ばれているというふうに聞いております。  ところが、そこで共通して出てくる問題もあるわけです。それは特定分野進出事業活性化支援事業への補助金が少ないという問題ですね。しかも、一年間で新商品や新技術の開発をするのは大変困難なんだが、補助金が一年しか出ないということ。もちろん予算というのは単年度主義という形をとっているわけですが、中小企業創造法の認定企業への技術改善費補助金の交付期間というのは一年から三年以内に改善されました。それで非常に喜ばれているわけですね。だから、せめて中小企業創造法の場合と同様に、中小企業集積活性化法の補助金についても複数年継続して交付されるように、この点はやはり改善をしていく必要があるのじゃないか、するべきじゃないかと思います。  また、補助金額についても、県や組合の計画策定事業費等を含めて九五年度実績で全国で約十億円という、金額としては非常にわずかな現状から、やはりこれは大幅に増額して、中小企業産地の再生と振興に役立つようなものにしていく、そのことが今、やはりせっかく今度新たに新法に統合してやるからには必要じゃないかと思うのですが、この点についてどうでしょうか。
  234. 田島秀雄

    ○田島政府委員 お答えを申し上げます。  特定中小企業活性化法に係る予算、補助金等につきまして、例えば、事業の進捗に応じて、初年度は技術開発、次年度はそれを応用した商品の開発といったような支援を行うなど、単年度主義という原則は遵守するわけでございますけれども、必要と認められる場合には、複数年度にわたりましても、先生が今御指摘くださいましたような柔軟な運用をやっておる、こういうことでございます。  今後とも、予算の執行につきまして、各事業の実態に応じて柔軟に考えてまいりたいと存じております。
  235. 吉井英勝

    ○吉井委員 今のお答えにもありましたけれども、実際はなかなか知られていないということもあります。ですから、今おっしゃったように実態として複数年にまたがってやれますと言ってしまうと、法律上の書きぶりからするといささかあれかもしれませんが、しかし、やはりそこをはっきり言ってもらって、そして実態として文字どおり複数年にまたがってこの措置がとられるようにやっていただきたいというふうに思います。  次に、全国の産地、それから中小企業集積法の計画承認地域、現在は九十四地域になりますが、これは長引く不況と輸入品の急増などで引き続いて大変深刻な事態に置かれています。  十年間の臨時措置法である中小企業集積法というのは今回新法に統合されるということになるわけですが、それで実質的に五年間延長ということになるわけですね。  ところで、中小企業集積法に基づく活性化指針では活性化計画というのは五年間となっているわけですから、九二年度に承認された十四地域というのは、実は九七年度で計画期限切れということになります。状況が改善されていない地域に対してはよく注意を払ってもらって、その後の事態の変化に対応して、計画を変更して五年間という期間を延長できるように活性化指針を改めて、困難な中で頑張っている産地の皆さんの努力にこたえるべきだ、そういうことをやつてもらいたいと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  236. 田島秀雄

    ○田島政府委員 お答えを申し上げます。  先生が御指摘されましたような県がつくります活性化計画の計画期間というのは、原則五年ということで指針に定めてございます。ただ、これにつきましては、集積の実態に応じて、経済環境が当初から変わったとか、そういったこと等も含めて、計画を変更するというようなことで対応ができるのではないか、こういうふうに思っております。
  237. 吉井英勝

    ○吉井委員 それはぜひ現地の方たちの期待にこたえられるように、今おっしゃったように対応していただきたいというふうに思います。  次に、大臣は、特定産業集積活性化に関する臨時措置法案の提案理由説明のときに、「近年の経済環境の急激な変化により、我が国においては、産業の空洞化に対する懸念が高まっております。この懸念は、物づくりを支えてきた部品、金型、試作品等の基盤的技術産業や、産地などの中小企業の地域における集積の崩壊に対する懸念として顕在化しつつあります。」というふうに述べられました。法律案の中でも、第一条の「目的」のところで、「経済の多様かつ構造的な変化に対処するため、」となっているわけですが、この「経済の多様かつ構造的な変化」というのは、我が国企業の海外生産の拡大と、製品・部品輸入の急増が最大のものであるということをこれまでから議論してまいりました。  そこで、最初にちょっと確認しておきたいのですが、基盤的技術、これによってつくられてきたものの典型的なものといえば自動車、家電製品ということになりますが、その海外生産比率の推移というものを台数ベースで見てみますと、一九九〇年から九五年にかけて、カラーテレビは六〇・一%だったものが八一・九%へと海外生産が伸びていった。VTRは一八・七%から五五・五%へ、テープレコーダーが五〇・八%から七五・七%、電子レンジが四五・三%から七一・八%へと、いずれも非常に短い期間に海外生産が急速にふえてきている。自動車で見ても、同じ期間にこれは二〇・〇%から三六・六%に上昇していった。海外生産の推移というのは、今私が紹介しましたようなこういう数字で急速な上昇をたどっているというふうに言えると思うのですが、これを最初に確認しておきたいと思います。
  238. 安達俊雄

    ○安達政府委員 ちょっと裏返しのお答えになって恐縮でございますけれども、カラーテレビの輸入浸透度ということでお答えさしていただきますが、九〇年に……(吉井委員「それはまた後で伺いますから。まず、海外生産がどう伸びているか、それをお聞きしております」と呼ぶ)調べまして、後ほどお答え申し上げたいと思います。
  239. 武部勤

    武部委員長 答弁できる方はどなたですか。——通産省藤島審議官。
  240. 藤島安之

    ○藤島(安)政府委員 お答え申し上げます。  海外生産比率ということでございますが、国内と海外の生産台数を分母にしまして、海外の生産台数を分子にしたものでございます。  カラーテレビで申し上げますと、九〇年が六〇・一%、九四年が七八・〇%、VTRで申し上げますと、九〇年度一八・七%が九四年度で五三・三%、電気冷蔵庫でございますが、九〇年度三〇・九%が九四年度四四・六%、電子レンジが九〇年度四五・三%が九四年度六七・八%と、こういうふうな数字になってございます。(吉井委員自動車は」と呼ぶ)失礼いたしました。自動車につきましては、九〇年度二〇%が九四年度三二%と、こういう数字になっております。
  241. 吉井英勝

    ○吉井委員 私の方が通産省の方からいただいた数字をもとに計算しておるのとまあ一致して当たり前なんですが、ですから、このわずかの期間に海外生産がぐっと伸びていったというのが、この基盤的技術集積の力に基づく自動車、家庭電器の実態なんですね。  それに対して今度は、海外で物をつくってそれが急速に輸入されてきている。この輸入の伸びがまた非常にすさまじいもので、これについては事前に申し上げておきましたので、答弁御準備いただいていると思うのです。  伺いたいと思うのですが、海外生産比率だけだったらこれはわかりにくいのですが、この結果、自動車の場合、その五年間で、海外生産でいいますと、ちょうど日産、マツダの二社を合わせた生産台数を上回る二百五十万台が海外でつくられて、国内生産の方は、これは輸出の減少ということもありまして、トヨタ一社の国内生産台数を上回る三百二十九万台が減少している。つまり、言葉をかえて言えば、海外で日産、マツダが誕生して、国内でトヨタ一社がつぶれてしまった、これに匹敵する事態というのがこの五年間にあらわれているわけです。  こうした海外生産の拡大とあわせて、この間の円高ということもあるのですが、我が国企業の海外生産拠点を含む海外からの製品・部品輸入が急増しているのがこの間の特徴で、そこで通産省の方に、カラーテレビとVTRとテープレコーダー、電子レンジの四品目について、それぞれの輸入浸透度ですね、九〇年と一番新しい九六年でどういうふうになってきているか、これを伺いたいと思います。
  242. 安達俊雄

    ○安達政府委員 御指摘の点でございますが、ちょっと九五年で調べておりました。数字をまず申し上げますが、カラーテレビでございますが、輸入浸透度、九〇年が一四・四%から九五年が六三%、VTRにつきましては九〇年が四・四%から九五年三三・一%、電子レンジが九〇年五・六%から九五年二五・八%にそれぞれ上昇しております。ちょっと恐縮でございますが、その後、九六年度にかけまして数字を見てまいりますと、カラーテレビについてはさらに一ポイント程度ふえております。それから、VTRにつきましては一〇ポイント程度さらに増加しました。電子レンジにつきましては若干さらに増加ということでございます。それからテープレコーダーでございますけれども、これが九〇年の五二%程度から九五年には七五%台ということで、九六年には八六%台というような推移を示しております。  以上でございます。
  243. 吉井英勝

    ○吉井委員 これは、今の数字をお聞きしていましても、本当に背筋が寒くなるような思いなんですよ。大企業の方はどんどん海外へ生産拠点を移して海外生産がどんと伸びていく、それでそこからどんどん日本へ輸入してくるわけですから、これじゃ、日本の国内で物づくりが深刻な事態になるのは当たり前といえば当たり前ということになってきておるわけですね。  そこで、この法律案の第一条にも触れております「経済の多様かつ構造的な変化」というのは、これは自然現象ではないと思うのです。国内的要因で見れば、我が国の大企業の猛烈な海外展開、海外生産の拡大や海外からの製品・部品輸入の急増というのが、中小企業産地に加え、今日基盤的技術産業集積まで崩壊の危機に追い込んできているのではないか、やはり深刻な問題としてここを見なきゃいけないのじゃないかと思うのですが、この点について、大臣、御見解を伺っておきたいと思います。
  244. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今吉井委員指摘のように、やはりこの空洞化という問題、これは無視できない大問題であります。そういうことで、こうした懸念を払拭して、我が国の経済の中長期的な発展、これを可能にしようというのが政府の六つの改革の中における経済構造改革、こういうふうにつながるわけでございまして、昨年の十二月に閣議でもって経済構造の変革と創造のためのプログラムを決定さしていただいたわけです。  具体的に、じゃ、おまえたちどうするのかということでございますが、具体的には、新規産業をいかにしてつくり出すかという問題、そしてもう一つは、国際的に魅力ある事業環境をつくり出す、この二つの観点から我々の考えでおりますことは、まず新規産業の創出、こういう観点からは、個別産業分野ごとのニーズに対応した規制緩和、人材育成、技術開発等の総合的な施策を講ずるということ、そして新規産業創出に係る共通の課題を解決するための資金、技術、人材面の施策を進めていく、こういうことになるわけであります。  そして、国際的に魅力ある事業環境の創出、こういう面では高コスト構造の是正ということで規制緩和をするわけですが、特に、物流だとかエネルギー、情報通信、こうしたものの規制緩和を徹底してやるということ、そして企業と労働に関する諸制度の改革、この諸制度というのは、言うまでもなく、持ち株会社の解禁だとか企業税制の見直し、有料職業紹介事業見直し等と、こういうものを指しているわけでございます。  そして、この法案に基づいて地域産業、技術集積の活性化、こうした施策を進めていこう、こういうわけでございます。  通産省といたしましては、本法案の着実な実施により、我が国の物づくりを支え、国際的に魅力ともなっている基盤的技術を有する産業の集積地域などを活性化する、こうした施策を総合的、体系的に推進していこう、かように考えているわけでございます。
  245. 吉井英勝

    ○吉井委員 基盤的技術産業にどういうふうに力を入れるかということ、これもさらに議論したいと思うのです。  私は、かつて長野県の諏訪の調査に行ったときに、セイコーエプソンやら日本光学の社長さんらと懇談したことがあるのですけれども、カメラとかプリンターなんというのは日本が世界のシェアの九十数%を占めているんですね。ところが、その日本企業同士が競争のために海外へ出ていく、そして、こんなことやっておって空洞化させると結局技術開発力を失う、それを非常に恐れている、しかし、競争のためにお互い出ていかざるを得ないのですということを語っておられたのを非常に私は印象深く今思っているのです。今大臣規制緩和だ何だということをおっしゃったけれども、やはり改めて、そういうやり方でいいのだろうかという根本が今問われているということも、一つ挙げておかなきゃいけないというふうに思います。  さて、東京の大田、品川、大阪の東大阪などの産業集積というのは、電子、電機から宇宙、原子力等の精密機械に至るまで、中小零細企業を中心として組織されたネットワークによって、大企業の非常に劣悪な、あるいは非常に厳しい下請取引条件のもとでも、世界に例を見ない高品質、高性能、高精度の部品群を供給して我が国の高度成長を支えてきたということは、間違いなく言えると思います。  通産省の工業統計調査結果によると、九一年から九四年にかけて全国の工業の推移というのは、全製造業で見たときに、事業所数が四万七千五百八十九、一一・一%減少、従業者数が九十三万四千九百十人、八・二%の減少、出荷額で四十一兆八千七十三億円、一二・三%の減少なんです。全国と比べても、実は大田では事業所が一五・三%減少、従業者が二八・七%減少、出荷額で二七・九%の減少へ東大阪も事業所で一一・四%の減少、従業者で一二・六%の減少、出荷額は二二・六%の減少となって、この落ち込みは全国水準と比べても、こういう大田とか東大阪といった中小企業庁もずっとこれまで注目してこられたところが、本当に深刻な落ち込みなんですね。その中心になっているのは、電気・一般・精密・輸送機械、金属製品製造業という、まさにこの法律案対象としている基盤的技術産業の分野です。  それで、通商白書の九六年版でも、我が国企業の海外展開の動向と、それが国内生産や貿易に及ぼす影響について分析しているわけですが、その分析によりますと、製品輸入の増加とともに部品の輸入が急増している、九〇年を一〇〇とした九五年の輸入の伸びは、総輸入が一四三・一に対して機械類部品は二二八・三だ、ずば抜けて高い伸びだということを白書でも示しております。ですから、大臣、海外展開とか製品・部品輸入の急増、なるほど新規産業、これは私、否定しているんじゃないんです、それはそれで大事なんです。しかし、今のあり方についてはやはり切り込んでいくということ、それは必要だというふうに思うわけです。  それで、通産省が昨年十一月に発表した「海外展開戦略に係る企業調査報告」によれば、リストラ、海外進出等の要因により、製造業全体で、九五年度千三百六十万人の雇用が五年後には百二十四万人減少する、この雇用減少は二十円程度の円安ではほとんど変わらないが、二十円の円高ではさらに百四十五万人減少にまで拡大する。  そこで、大臣、やはりこの法律で目的とする産業の空洞化と地域における産業、技術集積の崩壊を食いとめるという、この目的を持ってつくるわけですから、中小企業産地の窮状を打開するためには、これまでのような利潤第一主義による大企業の無秩序な海外展開というのは、これは規制緩和だから仕方がないんだということでは、やはりそれはいかないと思うんですよ。ヨーロッパの場合には、EU指令などを出して、海外展開については労働組合とか地域社会と協議をしなさい、これはやはり企業に社会的責任を求めるという観点に立っているわけですし、もともと海外展開だって、円高を生み出した要因だって、下請単価の引き下げと、そして過密労働によるコストダウンによって、悪循環の中で来たんだというのが、これは野村総研の研究であれ、あるいはソニーの盛田さん、前の会長なんかの見方もそういうところにあるのですね。そういうあり方を含めて今その見直しもやらないと、この法律だけではうまくいかないということがあると思うのです。  時間が参りましたので、最後にこの点を大臣に見解を伺っておきたいと思います。
  246. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今吉井委員指摘のとおりだと私は思います。やはり日本の宿命として、資源がない、どうしても加工、輸出ということで戦後五十年来た。それが、今の国際化ということでもって海外に進出する、こういうことですが、そのやりとりの中において、やはり為替の安定ということが大事だと思いますが、それと同時に、やはりそういう進出企業の経営者のモラルというか意識というもの、これをやはり変えなければいけない、かように実は感じております。
  247. 吉井英勝

    ○吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
  248. 武部勤

    武部委員長 次に、横光克彦君。
  249. 横光克彦

    ○横光委員 横光克彦でございます。  きょうは、大臣、本当に長時間にわたり御苦労さまでございます。最後の質問をさせていただきます。  本法案に対して各委員からそれぞれの地域の実情等把握した上での問題点、あるいはこの法案に対する期待感、いろいろな御意見等も網羅されたわけでございますが、最後に、多少重複することがあろうかと思いますが、いま一度、再確認という意味質問させていただきたいと思っております。  この法案は、全国各地の地域産業集積の空洞化対策として立案されたものであると聞いているわけでございますが、政府においてもこれまでさまざまな空洞化対策を行ってきたわけですね。それにもかかわらず、我が国産業の空洞化の懸念は年々深刻なものとなっているわけでございます。  先ほどの質問にもございましたように、我が国の製造業の海外進出は近年著しい、そしてまた、それに逆行するように輸入浸透度は高くなっている、さらに、ここ数年来、製造業におきましては廃業率が開業率を上回っておる、また、現在では円安とはいえ、急激な円高の進行があったためにこの空洞化が進んでしまった、こういったもろもろの原因があるわけでございます。そのことに対しての認識政府の方も同じであろうと思いますが、これまでとってきましたこの空洞化対策に対しましての政府の評価、これはどのように感じておられるのか、お聞かせください。
  250. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今委員指摘のように、従来から、事業革新法及び中小事業創造法、こういう両法案に基づきまして、事業革新や新しい研究開発活動、こういうものを通じて事業者支援してまいったわけでございまして、国内における事業活動活性化を図られた、こう思っております。  しかし、今御指摘のように、それ以上にやはり技術革新だとか国際情勢の変化ということになってきて、こうした空洞化がどんどん進んだ、こういうことでございます。そこでもって、これからは私が申し上げることもございませんが、いわゆる高コスト構造や制度的制約、こういうものが顕在化している、こういうところから、これがまた事業者努力を阻害しておることも否定できないということで、六つの改革、こういうふうにつながるわけでございます。  そこで、今御指摘のように、国際的に魅力ある事業環境の整備とか新規産業の創出を柱とした経済構造の変革と創造のためのプログラムを決定をしておりますが、これのための諸施策を総合的に推進していくというのが我々が今考えている道であります。
  251. 横光克彦

    ○横光委員 短期間における急激な環境変化が空洞化の原因の非常に大なるものであったと思うわけですが、国内産業の空洞化が懸念される一方で、経済のグローバル化、いわゆる海外進出等はますます進展しているわけですね。国際分業が今まで以上に急速に展開されていくことはもう趨勢であり、国内産業では今後避けられない現実であるとも言えるわけでございます。ですから、生産コストが高くて、そして生産性の低い労働集約的な産業、いわゆる人海戦術や大量生産、大量消費の分野の産業が自然と淘汰されていき、国内の労働力が、生産性のより高い産業、高度技術、そういったものを伴う産業にシフトしていく、これは当然のことと思います。  これまで我が国産業を牽引してさましたリーディング産業、これが生産拠点を海外に移していく中で、じゃ、それに取ってかわった新たなリーディング産業、この創出がこれからのまた課題ではなかろうかと思うわけですが、政府におきましてはどのような新たなリーディング産業の創出についての展望をお持ちか、お聞かせください。
  252. 藤島安之

    ○藤島(安)政府委員 お答え申し上げます。  企業が国を選ぶという大競争時代を迎えている中で、深刻化いたします我が国産業や雇用の空洞化の問題に適切に対応して、良質な雇用環境を確保していくというためには、委員指摘のとおり、新たなリーディング産業を創出していくということが大変重要なことだと考えております。  私ども通産省といたしましても、これまでも、資金面で店頭特則市場の創設やストックオプションの制度導入、あるいは技術面ではこれに対する助成制度の拡充、そういったいろいろな面で総合的な支援策を講じてきたところでございます。  さらに、昨年十二月には、新規産業の創出を大きな一つの柱といたしました経済構造の変革と創造のためのプログラムを閣議決定いたしました。  具体的には、今後期待される十五分野を特定いたしまして、分野ごとに異なるニーズを踏まえまして規制緩和、人材育成、研究開発等の推進を図ることといたしております。ちなみに、この十五分野というのは、医療・福祉関連分野とか情報通信関連分野だとかバイオテクノロジーの関連分野だとか、そういった成長が期待される分野でございます。雇用の現状は、今、千六十万人でございますが、二〇一〇年には千八百万人にもふえるというふうに期待されているわけでございます。  こうした目標を掲げておるわけでございますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げました、昨年の十二月に決めました経済構造変革創造プログラムを着実に実行いたしまして、新たなリーディング産業を創出するための環境整備を図ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  253. 横光克彦

    ○横光委員 この法案は、先ほどから御説明ございますように、都道府県が活性化計画を作成する、都道府県の責任が非常に大きいわけですね。そういった意味で、計画作成に当たっては、地元の集積の状況あるいは中小企業者等の意向を含め、先ほどから多くの委員が言われておりますように、地域の特性を十分配慮することが重要と思われるわけでございます。  例えば、この都道府県の活性化計画と異なった形での事業展開を図ろうとする中小企業者、県が計画を作成して中小企業者もそれに賛同してともに進めようという集積の中に、違った形でやりたいんだという中小企業者がもし出てきたりしたら、そのような中小企業者に対してはどのような指導を行っていくつもりか。いわゆる活性化計画が、こうした、ある意味ではバイタリティーあふれるといいますか、意欲ある事業者の試みを阻害するようなものであってはならないという気がするわけで、そこのところをどうお考えか、お聞かせください。
  254. 田島秀雄

    ○田島政府委員 今回の特定産業集積法の前身、半分前身ですが、中小企業の集積活性化という法律がございまして、私ども、五年間の運用実績を持っております。  県が活性化計画を定めるわけで、特定分野といいますか、大変広い形で、こんな分野で新しい活路を探していったらどうだろうかというようなことで定めて、それを、ある意味でそういう大きな流れの中に入っている個々の事業者のいろいろな御努力、試験研究の御努力等を支援を申し上げる、こういうことでございますので、多くの場合には、ある特定のものを開発しなければいけない、こういうことではございませんので包摂されるわけですが、全く逆の方を向いているような場合は、残念ながら、特定分野の方へ向いておりませんので、個別の補助金とか技術改善補助金等もございますので、そういったことでできるだけ御支援をする、こういう仕組みだろうと思っております。
  255. 横光克彦

    ○横光委員 ぜひ、よろしくお願いします。  時として、そういった、村八分的な形になるという実例もございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  また、都道府県が国に対して計画の承認を申請するわけでございますが、先ほど質問が出たかと思いますが、もう一度お聞きしたいのは、いわゆる特定分野に偏った承認が行われる懸念はないのか。先ほど、新たなリーディング産業の中で、今、バイオとか情報とか環境とか福祉というお答えがございましたが、そういったものに偏ってしまう可能性はないのか。肝心な集積の方がほったらかしで、新しいリーディング産業に、私は大事だと思うのですが、余りにも偏ってしまう懸念はないのか。そこのところをちょっとお聞きしたいのですが。
  256. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 二つの集積がございまして、基盤技術の集積と中小企業の集積とございます。  それぞれ、各地の現存します産業集積の持っている技術、その土台及び歴史の延長線上に新しい時代をつくろうとしているものでございまして、それぞれの地元の資源、それをいかに活用しているものかということを、我々、県とよく相談をさせていただきたいと思っております。
  257. 横光克彦

    ○横光委員 時として、ほかの県がやっているから、あるいはほかの県でそういったので成功したからという形で、それは悪いことではない部分もあるわけですが、そういった偏りみたいなものをちょっと心配しているわけでございます。  また、これは申請してから承認までの期間は、平均で大体どのくらいになるのでしょうか。
  258. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 法制定後、極力早期に指針を出し、また、この計画の承認につきましては、少なくとも二、三カ月の間ですべての処理を終えたいという考えでございます。
  259. 横光克彦

    ○横光委員 先ほどから委員質問にございましたが、とにかく承認に当たっての簡素化、これにもまた御努力いただきたいと思います。  都道府県をまたぐ集積、こういったことがこれからの活性化計画で、これまであったかどうかは知りませんが、もしそのような計画が生じた場合、どのような作成を進めていくのか。要するに、活性化計画には金が伴うわけで、二つの県にまたがった場合に意見の差が出てくる可能性もあります。そのときの対応の仕方をちょっと御説明ください。
  260. 安達俊雄

    ○安達政府委員 お答え申し上げます。  本法におきましては、活性化計画を複数の都道府県が共同して申請することも可能でございます。そのような申請があった場合は、県が単独で申請してきた計画と同様の取り扱いをさせていただくということでございます。なお、現行中小企業集積活性化法におきましては、複数の都道府県により計画が共同申請をされた実績はございませんが、今後そういったこともあり得るわけでございますので、形式的にそういったものを退けるということではなく、全く同じように御相談に乗っていきたいというふうに思っております。
  261. 横光克彦

    ○横光委員 そういった新しい事態もこれから起こり得る可能性もありますので、そういった対応をこれからも十分考えていただきたいと思います。  次に、これも先ほど質問ございましたが、地域振興整備公団の件について、ちょっとお伺いいたします。  これは基盤的な集積においては工場用地あるいは工場の整備あるいは賃貸管理、こういった業務を行わせるということになっておりますが、先ほどから、県の責任も大きくなる、あるいは各地域のそれぞれの民間の活力も生かさなければならないという問題の中で、どうしていわゆる地方自治体あるいは第三セクターあるいは民間にもっと責任を持っていただくような方向をつくらないのかという気がしないでもないわけでございます。今橋本総理も行革に対しては火だるまになってやるという意気込みの中で、ちょっと逆行するのではないかという気がいたしておりますが、その質問には、先ほどノウハウを熟知しているとかあるいは各地域の要望が強いという御説明がございました。それもごもっともでしょう。  ただ、私ちょっと心配いたしますのは、仮定の話ですが、考えていただきたいのは、これは十年の限時法で、大きな行革の流れで、もしこの地域振興整備公団が統合というような形になった場合、統合されるということは、ある意味ではその業務が縮小されるということですね。そうした場合、現行やっている業務に、新しいところでの引き継ぎ、継承というものには支障はないのか、影響を与えないのか、そこのところを心配しているのです。仮定の話で恐縮ですが、ちょっとお聞かせください。
  262. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 二点に分けてお答えを申し上げますが、今回この法案で追加をしようとしております地域振興整備公団の新規業務は、主には賃貸機能を備えた事業スペースの供給でございます。これは各地の集積におきまして、企業が単独であるいは共同で、あるいはさらには大学、研究所などと共同で研究開発施策を行うというケースが非常にふえてございます。こういうときに地域の中堅中小企業が現在使っております工場スペースでは不足をするというような事態が生じてございます。  その際、貸し工場というアイデアが出ておるわけでございますが、東京、大阪など集積の大きいところにおきましては、地元の民間あるいは都道府県が整備するのが通常でありますし、まだそういう例も多々ございます。ただ、その産業集積のサイズが比較的小さく、あるいは地元産業界の経済力、自治体の体力というような点から、ぜひ公団にやってもらいたいという要望が出ておることもまた事実でございます。今回の公団の追加業務は、対象地域すべてにこういうものを整備していこうというものではございませんで、このような地域からの強い要請があった場合にこたえられるように施設を整備するという意図でございます。  それから、仮定の問題としての統合のお話がございましたが、この産業集積にかかわります現在の空洞化の経済状況及びこれに対応する種々の政策の必要性というようなことを考えてまいりますと、今後の各種の合理化、効率化を進めるとしても、こうした分野の仕事というのは大事な仕事として残るのではないかというふうに考えてございます。
  263. 横光克彦

    ○横光委員 いや、私が聞きたいのは、もしそういったことになったら、引き継ぎに対して支障はないのかということです。
  264. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 仮に統合という議論があった場合にも、各種の業務に支障のないような法制上の手当てをしてやろうということであろうかと思います。
  265. 横光克彦

    ○横光委員 どうか十分そこのところの配慮をよろしくお願いいたします。  この法案は十年間の限時法とされているわけですが、集積の活性化に要する期間として十年間という期間を見込んだ理由は何か、お聞かせください。
  266. 安達俊雄

    ○安達政府委員 お答えを申し上げます。  近時の空洞化の懸念に対処するという見地からは喫緊の課題でございますので、できるだけ早く効果を発揮してくるということが期待されるわけでございますけれども、その一方でこの特定産業集積活性化ということ自身につきましては、特定産業集積の発展の方向性の決定、あるいは関係者のコンセンサスの形成、事業者による基盤的技術の高度化等、あるいは中小企業による特定分野への進出の実施、こういった一連のプロセスの中で効果を上げてくるものでございますので、余りの短期間ということでは対応が難しいということでございまして、限時立法の中では比較的長期ではございますが、案として十年間の廃止法ということにさせていただいた次第でございます。
  267. 横光克彦

    ○横光委員 これまでほとんどの委員が心配されているわけですが、人材の問題です。やはり物づくりの基本は人づくりだという重要性、そしてまたこういった特殊技術を培ってくるには長い年月が要った。さらに、技術革新で、コンピューター等では到底できないような手の感覚といいますか、先ほど「平成の匠」という御説明もございましたが、本当にそういった技術者の後継問題が非常に大きな問題になっているわけでございます。労働省や文部省とともに、本当にこういった貴重な熟練者、熟練工みたいな育成というものもどうか十分考えていただきたい、このように考えております。  この法案が本当に実効性あるものとして多くの中小企業の方々の意向にこたえられるように希望いたしまして、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  268. 武部勤

    武部委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  269. 武部勤

    武部委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出特定産業集積活性化に関する臨時措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  270. 武部勤

    武部委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  271. 武部勤

    武部委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、西川太一郎君外三名から、自由民主党、新進党、民主党及び社会民主党・市民連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。西川太一郎君。
  272. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     特定産業集積活性化に関する臨時措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、特に次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 本法に基づき、事業者等に対する支援施策を実施するに際しては、手続の簡素化等、中小企業者の事務負担の軽減に配慮し、その円滑な実施に努めるとともに、本制度の趣旨・内容等について周知徹底を図ること。    なお、関係行政機関は、施策相互間の連携を緊密化し、特定産業集積活性化のための施策が相乗的に効果を発揮するよう努めること。  二 基盤的技術産業集積活性化計画及び特定中小企業集積活性化計画を主務大臣が承認するに当たっては、地域の特殊性・独自性を最大限尊重するとともに、人材育成・確保の重要性に十分配慮すること。    また、当該計画の実施に当たっては、事業者間のネットワーク整備による集積地域内の有機的連携が適切に確保されるよう指導すること。  三 内外経済環境の変化等に対応した今後の立地政策のあり方について、従来の産業立地政策の果たしてきた役割、地域状況等を十分踏まえつつ検討を行い、再構築を図るとともに、個別施策の実施主体のあり方についても、行政改革の進展を踏まえつつ検討すること。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  273. 武部勤

    武部委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  274. 武部勤

    武部委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、佐藤通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤通商産業大臣
  275. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重いたしまして、本法案の適切な実施に努めてまいる所存であります。     —————————————
  276. 武部勤

    武部委員長 次に、先刻質疑を終局いたしております内閣提出、新エネルギー利用等促進に関する特別措置法案について議事を進めます。  これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出、新エネルギー利用等促進に関する特別措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。      〔賛成者起立〕
  277. 武部勤

    武部委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  278. 武部勤

    武部委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、西川太一郎君外四名から、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。西川太一郎君。
  279. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     新エネルギー利用等促進に関する特別措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 新エネルギー利用等に関する基本方針等の策定に当たっては、新エネルギー利用等の加速的推進を図るため、各省庁連携して積極的に取り組むこと。    また、普及促進すべき新エネルギー利用等について政令で定める場合には、支援対象を重点化する観点から、その技術的可能性や経済性等にも配慮しつつ、国民の理解が得られる新エネルギー利用等の選択を行なうこと。  二 エネルギー使用者の新エネルギー利用等導入の拡大を促進するため、引き続き各般の助成策を講じること。特に、地方公共団体や認定事業者が行なう新エネルギー利用等については、積極的に支援すること。    なお、地球温暖化問題への対応等の観点から、新エネルギー導入コストの一層の低減に努めるとともに、余剰電力の引き取りのあり方についても検討を進めること。  三 新エネルギー利用等に関する技術開発を充実・強化し、官民一体となって効率的に進めるとともに、研究対象についても適時適切な評価を行ない機動的に対応すること。    また、発展途上国における新エネルギー導入等の要請に応じ、国際的な研究開発・技術協力等に積極的に取り組むこと。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  280. 武部勤

    武部委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  281. 武部勤

    武部委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、佐藤通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤通商産業大臣
  282. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重いたしまして、本法案の適切な実施に努めてまいる所存であります。ありがとうございました。     —————————————
  283. 武部勤

    武部委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  284. 武部勤

    武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  285. 武部勤

    武部委員長 本日は、午前中から長時間にわたり、各位の御精励、まことにありがとうございました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十六分散会