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1997-02-21 第140回国会 衆議院 商工委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十一日(金曜日)    午前十時一分開議  出席委員   委員長 武部  勤君    理事 小川  元君 理事 小此木八郎君    理事 中山 成彬君 理事 茂木 敏充君    理事 遠藤 乙彦君 理事 西川太一郎君    理事 大畠 章宏君 理事 大森  猛君       甘利  明君    石原 伸晃君       小澤  潔君    奥田 幹生君       加藤 卓二君    亀井 善之君       岸田 文雄君    小林 多門君       自見庄三郎君    中尾 栄一君       中島洋次郎君    中山 太郎君       林  義郎君    船田  元君       村田敬次郎君    伊藤 達也君       石井 啓一君    鍵田 節哉君       神田  厚君    古賀 正浩君       島   聡君    島津 尚純君       達増 拓也君    中野  清君       吉田  治君    末松 義規君       松本  龍君    渡辺  周君       吉井 英勝君    横光 克彦君       前田 武志君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐藤 信二君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      麻生 太郎君  出席政府委員         公正取引委員会         事務総局経済取         引局取引部長  山田 昭雄君         経済企画庁調整         局長      土志田征一君         経済企画庁総合         計画局長    坂本 導聰君         経済企画庁調査         局長      中名生 隆君         通商産業政務次         官       石原 伸晃君         通商産業大臣官         房長      広瀬 勝貞君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       今野 秀洋君         通商産業省通商         政策局長    林  康夫君         通商産業省産業         政策局長    渡辺  修君         通商産業省環境         立地局長    稲川 泰弘君         通商産業省機械         情報産業局長  中川 勝弘君         通商産業省生活         産業局長    村田 成二君         工業技術院長  佐藤 壮郎君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         資源エネルギー         庁石炭部長   中村  雄君         中小企業庁長官 石黒 正大君         中小企業庁次長 岩田 満泰君         中小企業庁計画         部長      田島 秀雄君         中小企業庁小規         模企業部長   篠原  徹君  委員外出席者         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部人権難民         課長      貝谷 俊男君         外務省欧亜局西         欧第一課長   谷崎 泰明君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     安江 二夫君         商工委員会調査 安本 皓信君     ————————————— 委員の異動 二月二十一日  辞任         補欠選任   小澤  潔君     小林 多門君 同日  辞任         補欠選任   小林 多門君     小澤  潔君     ————————————— 二月十七日  工業標準化法の一部を改正する法律案内閣提  出第九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  工業標準化法の一部を改正する法律案内閣提  出第九号)  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 武部勤

    武部委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸田文雄君。
  3. 岸田文雄

    岸田委員 おはようございます。自由民主党岸田文雄でございます。  本日は、佐藤通産大臣また麻生経済企画庁長官、両大臣におかれましては、大変お忙しいところありがとうございます。  まず、佐藤大臣にひとつお伺いさせていただきたいと存じます。  大臣は、所信の中で、昨年十二月閣議決定されました経済構造の変革と創造のためのプログラム、同プログラムに基づき、各般の施策を総合的かつ集中的に展開してまいりますとおっしゃっておられます。そして、このプログラムの中で、エネルギー電力という問題につきまして、電力については、平成十三年、二〇〇一年までに国際的に遜色のないコスト水準にすることを目指して所要規制緩和制度改革を行うというふうに記述されておるわけであります。  大臣電力価格引き下げに大変熱心であられるということ、前向きであられるということ、私、大変評価しておる一人であります。私も、電力を初めとするエネルギーあるいは公共料金内外価格差の問題というのは、日本におきます内外価格差問題の根底にある問題であると考えておりますし、また、日本産業空洞化の問題あるいは日本経済活性化の問題、こういった問題にも大きく影響する問題だと認識しておりますので、大臣電力引き下げに熱心であるということ、大いに評価させていただきたいと思う次第であります。  そして、具体的にその価格引き下げをどうするかということでありますが、価格引き下げを目指してさまざまな措置を講ずるということは、同プログラムの中に記述されておるとおりでありましょう。こういった政策をぜひ進めていただきたいと思うわけでありますが、大臣は、電力料金に関しては、現在からさらに二割カットを目指すべきだとか、あるいはドイツ並み電力料金を目指すべきだというのが御持論だということをお聞きしております。この平成十三年、二〇〇一年までに国際的に遜色のない水準、そしてその水準が二割カットという水準であるとしたならば、四年間で電力料金を二割カットするということ、これはなかなか大変なことだなとも思うわけであります。  そこで、そのために、佐藤大臣におかれましても、このプログラム内容にとどまらずにさらに踏み込んで、日本におきます発電と送電の分離の問題、発送電分離の問題、さらには電源開発の果たす役割、こういった部分にまで踏み込んで、電力料金をどうするべきなのか、積極的な御意見を展開されておられるとお聞きするわけであります。ぜひきょうは商工委員会の場で、大臣の御持論、特に日本におきます発送電分離の問題ですとかあるいは電源開発の果たす役割、こういった部分も含めて大臣電力料金引き下げに向けてのお考えをお聞かせいただきたいと存じます。よろしくお願いします。
  4. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今岸田委員の方から私に対するこうした発言の場を与えていただいて、大変ありがたいと思います。  若干話が長くなって恐縮だとは思いますが、この話は二つございまして、昨年の第二次橋本内閣において六つの改革、その中において経済構造改革、これは言うまでもなく、今御指摘のように産業空洞化が進んでいる、あるいは少子・高齢化社会、この到来でもって経済の活力というものを失ってくる、こうした不安から、何とか構造改革をしなきゃいけない、その柱では、また新しい産業というものを創出する、つくり出す、こんな意味合いからいっても、規制緩和とそして高コスト構造というもの、これを是正しなければいけない、こういうふうな基本方針が決まっているわけであります。  その中で、やはり産業、民生に大変影響のあるものということで物流問題あるいはまたエネルギー問題、この二つがこの中の中心的役割エネルギーにおいても、もちろんガスだとかそしてまた石油という問題もございますが、まずその大半をなしている電力料金というものが国際的にも大変高い、ここに実はメスを入れていこう、こうした考え方であります。  ということで、どうして高いのかというと、もちろん為替要因というもの、これを除いた場合に、やはりまず挙げられることは負荷率というものが言えます。日本の場合はどうしても夏場の最も電力需要の多いときを対象として設備投資を行って計画を組んでいるということ。それから、やはり何といっても独占的な企業である、ほかに競争相手がない、こういうことから、二年前からIPPというものを導入しておりますが、これをさらに拡大していこう、あるいま特定電気事業制度というもの、これをやはり条件を緩和して、そして小売段階でもって伸ばしていこう、こういうことなんです。  その場合に、一体どこに目標を置くかとした場合に、やはり今のように国際価格だということで欧米並みにしよう、その中でもって最も日本条件の同じだと思われるのがドイツではないだろうか、こういうことから、その中でもって単純に比較すると、日本ドイツの場合は約二割違う、こういうことから二割というような数字が出たわけでございますが、これは私の方は、別に二割でなければいけないというのではなく、安ければ安いにこしたことがないだろう、こういうような発想でもって今から、いろいろな研究調査から始まって、そして持っていこう、これが一つなんです。  それと、今の分離の話というのは、一月七日の私の新年の記者会見で、ことし行われるOECDの閣僚理事会でもってこの分離というものが議題になるだろうというのが実はございますので、それに合わせてやはり我が国としてもこの問題に対して関心を持ち研究をする、検討する、かように実は申したわけでございます。ということですが、今のように電力料金を極限まで下げていくということをぎりぎりすると、競争の自由からいってどうしてもそういうことに帰結するのではないだろうか、実はこんな考え方を持っているわけでございます。
  5. 岸田文雄

    岸田委員 ありがとうございました。  ちょっときょうは時間がありませんので、ぜひ大臣、引き続きまして安定かつ安い電力供給のために一層の御尽力、御努力を賜りますことを心からお願い申し上げます。  次へ参ります。環境アセスの問題でひとつお伺いさせていただきたいと存じます。  大臣所信の中で、環境アセスメントにつきましては、所要の法案を提出すべく検討中でありますと述べておられます。中央環境審議会答申を受けまして、アセスメント制度法制化動き、最近急であるわけであります。この答申の中におきましては、統一的な制度という表現で対象事業に例外を設けないという姿勢が見てとれるわけであります。  一方、通産省におかれましては、発電所というものにつきましては、電気事業法に基づいてアセスを実施する別枠扱いを強く主張されていたと私は考えておりました。この問題につきましてはいろいろな考え方があるんでしょうが、発電所のように国のエネルギー政策にかかわる施設の環境影響について国よりも先に県知事に意見を述べさせるというのは、ある意味では酷な面もあるのではないかなと私自身も思うところがありましたので、通産省考え方も一理あるのかなと考えていたところであります。  しかし、その後新聞等で伝えられておるところを聞きますと、この発電所アセスメント制度につきまして、通産省も統一的なアセス法対象として発電所固有の詳しい手続を定めるため、電事法改正をするという方針方針転換したという報道がされておりました。その報道を読みましても、ちょっと内容が具体的によくわかりにくいのですが、どこがどう変わったのか、どう方針転換したのかわかりにくいのですが、要は、基本的な考え方において通産省としての考え方に変化があつたのか、方針転換があったのかどうか、その部分をわかりやすく御説明いただけませんでしょうか。
  6. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 このアセス法というのは、過去においてもやはり数度国会提出、こうした準備期間が実はございました。そのときは、確かに通産省の方としては法制化する必要がないというような方針をとったようでございますが、今回の場合は、いち早く法制化必要性というものはそれなりに認めたわけでございますが、ただ、中央環境審議会答申が出るまで、それがどういうふうな話になるのかな、こういうことで実はその答申が出ることを待っていたわけであります。  それが十日に出されまして、これは総理に出されて、そして総理の方から十二日、予算委員会の御答弁があったような結果になったということで、私の方は、今のアセス法というものに当然発電所が入る、入るが、その中でもって、今まで大変厳しい規制というものをしておりますから、はみ出るものがあるから、それを今度は電気事業法の一部改正でやろうということで、俗に言う二階建てというふうな考え方で今環境庁の方といろいろ事務的に折衝をしている、こういう段階でございます。  細かい点は長官の方から説明させます。
  7. 江崎格

    江崎政府委員 基本的な方針、今大臣からお答え申し上げたとおりでございまして、このラインに沿いまして現在環境庁と事務的な調整をしているところでございます。  従来通産省省議アセスに基づきまして発電所についてやってまいりましたアセスメント手続でございますが、これは約二十年間、百二十件ぐらい対象にしてやってまいりましたけれども、その実績で、環境保全にかなり大きな成果を上げているというふうに私どもは自負しておりますし、その手続も、従来他の公共事業等に関して行われたアセスメント手続よりもかなり厳格な手続をやってきておりまして、これによって初めて地元の住民の方の信頼を得て円滑な電源立地が進むというふうに理解しておりますので、こうした厳格さについては、今度の法制化に当たりましてもぜひこれを維持したい、このように考えております。
  8. 岸田文雄

    岸田委員 済みません、そうすると、確認なんですが、統一的なアセス法電事法におきます手続、これは同時並行的に進めるというようなイメージを考えてよろしいのでしょうか。
  9. 江崎格

    江崎政府委員 アセスメントとしてはその手続が二重になるということはないようにしたいと思っておりまして、発電所環境アセスメント対象にするということは、統一的なアセスメント法の方に法定をいたしまして、それから、一般原則などにつきましても一般的なアセスメント法による、ただ、それでカバーし切れない、他の事業と異なる特別な手続につきまして電気事業法の方で法律改正によって手当てする、こういう格好になろうかと思っておりますが、今まさに調整をしているところでございますので、もう少しお時間をいただきたいと思います。
  10. 岸田文雄

    岸田委員 ありがとうございました。  時間がありませんので、麻生経済企画庁長官一つお伺いしたいと存じます。  昨今、公共事業につきましての論議が非常に盛んであります。その中で、総額六百三十兆円の公共投資基本計画、この基本計画についての論議大変論議の的になっているかに感じております。昨日も、第二回の財政構造改革会議におきましてこの公共投資基本計画論議になったと聞いておるわけでありますが、これは財政改革のみならず、景気対策におきましても大変大きな論点でありますし、なかんずく経済企画庁におきましてはこの基本計画を取りまとめた責任があるわけでありますから、この公共投資基本計画の行方、長官におかれましても、また経済企画庁にとりましても、大きな問題であるかと思うわけであります。  しかし、今言われておりますこの公共投資基本計画見直し論議を聞いておりますと、その中身は本当にさまざまだという気がいたしております。例えば、コスト構造改革をするべきだという意見もあれば、整備をすべき社会資本自体を吟味すべきだという意見もあるわけでして、さらには、単に金額を削ればいいという単純な意見もあれば、期間を延長して実質的な削減を目指すべきだというような意見もありまして、単に見直しといいましても、その意見中身はさまざまな気がするわけであります。  この基本計画の取りまとめの責任を担っておられます経済企画庁として、麻生大臣、この計画見直し自体につきましてどのようにお考えでいらっしゃるか、さらには、見直すということになったならばどのような見直しをするのが好ましいとお考えなのか、その辺につきましてお考えを聞かせていただけますでしょうか。
  11. 麻生太郎

    麻生国務大臣 今、いわゆる六百三十兆、六百兆プラスアローアンスつけての三十兆ということでいろいろ議論がなされておりますのは、私どももよく承知をいたしておるところです。  ただ、私どもとしては、この六百三十兆の額だけ減らせと言われても、これは基本的には、どういう分野に皆さん方は今後ともこういった多額の投資をしていかれようとするのかという部門ごとのものが明確になりませんと、ただ額を減らせと言っても、ただ一割減らせ、一律一割なんというのとは少し意見が違うんだと思っておりますので、どの部分をきちっとやるべきなのかという点の議論を明確にしていただきませんと、私どもとしては計画立てようがないというのがまず第一点。  それから、しからばどのようなことをというと、もともとは、間違いなく来る高齢化社会というものに対応するためには、それまでに、まだまだ若い人がそこそこいる間にきちんとした社会資本計画を立てねばならぬ、そのためにはどうするかという大前提のもとにこれはスタートしておりますので、少なくとも二十一世紀初頭までにこういったものをやり上げなければいかぬということでいろいろ計画をされて今日に至っております。その前提条件は全然変わっておりませんので、そういったものを踏まえて、今いろいろな意味で、削減をするなら公共投資のいわゆる額を、内容を洗ってコスト削減をやれ、いろいろなお話があっておりますので、そういったものを含めてやらねばならぬというのはもう間違いない、これは当然のこととしてやっていかなければいかぬところだと思っております。  傍ら、高度情報通信社会とかいろいろな今後のものを考えますと、やはり社会資本の充実という面に対して、情報等々の部分についてはきっちりやっていかなければいかぬという、将来の先行投資部分も含めてやらねばならぬところもありますし、いろいろな意味で今まさに議論がなされておりますところなので、きのう行われました財政構造改革会議の中でも、聖域なしですべてこの話をやれというお話の結論はいただいておりますので、こういったものを含めて、今後いろいろさまざまな議論が行われる中から、私どもとしては、日本という国の将来あるべき形は、高齢化社会の中で活力ある高齢化社会というものを実現できるか否かが大事なところだと思っていますので、そういったものを踏まえて、十分に議論の中から案を策定していかねばならぬと思っております。
  12. 岸田文雄

    岸田委員 麻生長官におかれましては、国民の大きな関心事でありますしっかりとした計画の策定を、ぜひ心がけていただきたいと存じます。  それで、大変恐縮なんですが、佐藤通産大臣、先ほどの御質問で、ひとつもう一度確認させていただきたいと存ずるのですが、電源開発の果たすべき役割という部分、先ほど御返答の中で少し足りなかったかなと思うので、その部分についてお考えを最後にお聞かせいただけますでしょうか。
  13. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 大変恐縮でございました。  電源開発、御存じのように、今政府が株を三分の二持っている、三分の一は電力会社が持っている、そういうことで、ここでできる電力電力会社に売っている、こういうようなシステムになっているわけですね。先ほど申したように、やはりこれから競争の原理を考えた場合に、あるいはIPPというものの本体からいって、この場合と電力会社との競争ということには、今の電源開発はそうした地位には置かれていないのではないだろうか、他のIPP業者との競争という段階ではないだろうかということで、この会社のあり方についてこれからやはり率直な検討に入っていきたい、かように考えております。
  14. 岸田文雄

    岸田委員 ありがとうございました。  時間が参りました。以上で質問を終わります。
  15. 武部勤

    武部委員長 次に、茂木敏充君。
  16. 茂木敏充

    茂木委員 自由民主党茂木敏充でございます。  佐藤通産大臣並びに麻生経済企画庁長官に、大臣所信について質問をさせていただきたいと存じます。  まず、景気見通しについて経企庁長官にお伺いしたいと思います。  長官は、景気現状について、景気回復動きを続けており、そのテンポは緩やかだが民間需要は堅調に推移をしている、このようにおっしゃっておられます。確かに、景気気分というかムードといったものが大変重要でございまして、経済企画庁長官に独特の話り口調で非常に元気のいい話をしていただくのは基本的に歓迎をさせていただきたいと思っておりますが、しかし、実際のところでは、私はまだまだ景気現状というのは大変厳しいものがある、このようにとらえております。  例えば、長官は、住宅建設につきまして高い水準推移をしている、このように述べておられますが、ことしの前半は消費税のアップに伴います駆け込み需要も終わりまして、専門家の間でも大幅な住宅建設の落ち込みというものが大変懸念をされているわけでございます。  また、例えば企業開業率廃業率、この推移というものを見てみましても、景気回復の進んでおりますアメリカにおきましては、一貫して開業率廃業率を上回っている。これに対しまして、日本の場合、九〇年代に入りましてから廃業率開業率を上回るような大変深刻な状況が生まれてきているわけであります。特に製造業におきましては、この廃業率開業率の格差というもの がどんどん大きくなってきているのが最近の現状でございます。  確かに、マクロ数字で見てみれば、長官おっしゃいますように景気回復動きを見せているのかもしれませんが、もう少しミクロのレベルといいますか、例えば大企業中小企業零細企業を分けてみる、それから、大都市圏首都圏地方経済を分けてみる、こういう形で細かく見てみますと、大変厳しい状況地方経済日本経済の九八%を占める中小企業には見られるのではないかな、こんなふうに考えております。  例えば設備投資の動向、こういったものを見てみましても、平成七年度の実績主要企業プラス一・二%なのに対しまして、中小企業はマイナスの七・一%。八年度の計画でも、主要企業プラス七%に対して、中小企業はわずか〇・四%、こういった現状でございます。  こういうふうにマクロ数字ミクロ現場感覚企業の、そして地方経済現場感覚の乖離といったものが大きくあらわれているんじゃないかな、それが政府数字というのはどうも経済の実態と違う、こういう批判にもつながっているような気がするのですが、この点も含めまして、経済企画庁長官に改めて景気見通しをまずお伺いしたいと思います。
  17. 麻生太郎

    麻生国務大臣 景気気分で左右するところというのは最初御指摘がありましたけれども、確かに今年度政府経済見通し二・五%ということで、経企庁景気予測は当たらぬと専ら評判が悪いのですが、今年度初めに二・五%と申し上げたときにはどなたも信用されず、民間はほとんど一%台の方が多かったのですが、この三月末には結果としてはほぼ二・五%、ぴったり賞をいただけるくらい二・五%、結果的にはなったのです。アメリカ景気がいい、いいと言われておるが、ではアメリカはどうかと言われると、アメリカは同じく二・五%で、あっちは景気がいいと言い、こっちは景気が悪いというので、やはりこれはかなり気分という問題は影響するところだ、基本的にはそう思っております。  中小企業との差におきましては、御存じのように、確かに大企業に先行して中小企業の方がすうっと数字が上がってぐることになっておるのが従来だったのですが、過去五年間を見ますと、今回は設備投資中小企業の方がマイナス、これはやはりバブルのときに膨大な設備投資をかなりやっている部分で、それをずっと償却していくのにかなりの日数がかかったというところだと思いますが、先ほど御指摘がありましたように、初めて今年度、〇・四%とはいえプラスに転じておりますので、そういった意味では、今までずっと前年同期を割っておりましたのに比べれば、明らかにプラスになったという点だと思っております。そういった意味では、日銀短観を見ましても、中小企業に少し影響が出てきているのではないかなということから、景気回復動きがはっきり出てきたということを申し上げたということであります。  地方との差につきましては、先生のいらっしゃいますところは足利ですから関東地区だと思いますが、関東、東海、東北、それと少し状況が違いますけれども、観光需要が堅調であります沖縄におきまして、他の地域に比べまして回復がやや強いということになっておりますが、地域によって極端な差があって、首都圏だけがいいということではない、数字としてはそのような感じが出てきておるように思っております。  住宅着工件数の御指摘もあっておりましたけれども、確かに駆け込み需要が強かった等々も認めなければいかぬところなんだと思っていますが、少なくとも今まで大体この種の数字は百四十五万前後が最も適当と言われておるところなんですが、住宅着工件数を七—九で見ますと、平成八年に入りましてからは百六十七万戸、それから十月は百八十二、これは極端に多かったのですが、十二月も百六十一万戸というので、大体百四十万戸を超しておることになっておるのが、これは三月いっぱいで終わるのじゃないかということになっております。  ただ、消費税の二%値上がりというのはありますが、同時にちょっと考えておいていただかなければいかぬのは、金利自体の絶対値が安いものですから、都銀の変動金利で見ますと、一番高かった平成二年で八・五%ぐらいあったのが今二・六二五まで下がっておりますので、そういう意味からいきますと、仮に二%上がったとしても、これはパーセントをひっかけますと四%強ということになろうかと思いますので、それでもかつての八・五%に比べれば半分前後という状況でありますので、やはり都銀の金利、都銀に限りませんけれども、その他、借りる金の金利がやはりこれだけ安いというのは非常に大きな、住宅を建てるなら今という意味を持って固定されたものも三%強ぐらいでありますし、都銀の固定金利もかつて七・四から三・三まで下がっておりますので、そういう意味では、まあとらぬタヌキ、ちょっと余りいいかげんなことを言うのもいかがなものかと思いますが、総じて金利が安い間には住宅着工件数は極端にまた百四十万を割るようなことにはならぬのではないかというような感じを持っております。
  18. 茂木敏充

    茂木委員 景気回復が思ったほど進んでいかない、この要因、幾つかあると思うのですが、その一つの大きな要因として、産業空洞化の問題がどうしてもあるのではないかなと私は考えておるわけであります。  すなわち、自動車とか家電、機械といった我が国の基幹産業がその工場をだんだん、アメリカのちょうど七〇年代のように海外に生産をシフトさせている。その一方で、織維を初めとする、いわゆる労働集約型の産業におきまして、製品の輸入、これがどんどん進展をしてきている、浸透してきている、こういう状況でございます。通産省が昨年取りまとめました報告書、これを拝見させていただきましても、産業空洞化の進展によりまして、今後西暦二〇〇〇年までに百二十四万人程度の雇用が減少する、このように予測されているわけでございます。  この産業空洞化に対処するためには、橋本総理も掲げておられます六つの改革の中の一つの大きな柱であります経済構造改革が不可欠であり、特に一層の新規産業の育成、そして既存産業の高付加価値化、そして三番目に規制緩和等々を通じて国際的にも魅力ある企業活動環境、こういったものをつくっていかなければならない、このように考えておるわけでございます。  そこで、昨年の暮れに通産省が中心になりまして、政府としても経済構造改革プログラム、これを取りまとめられたわけでありますが、この経済構造改革プログラムでの具体的な内容も含めまして、通産大臣産業空洞化対策の全体像、こういったものをまずお聞かせいただきたいと思います。
  19. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今御指摘のように、日本の高コスト構造だとか制度的な制約ということをまず背景にして、本来ならば日本でもって比較的優位な産業まで外国に行くという、いわゆる空洞化現象が一層深刻化している、実はこんな認識を持っております。  こういうことで、今委員指摘のように、このままでいってしまうと、円高が一段落した昨年においても、製造業の海外進出というものが、この基調が変わっておりません。そういうことで二〇〇一年には百二十四万、こんな数字が突き出されるわけでございますから、そういう背景で、今おっしゃるように昨年の十二月に決めた経済構造の変革と創造のためのプログラムというものにのっとって強力に経済構造改革を進めていかなければいけないという、おっしゃるとおりなんです。  そこで、具体的には一体何を考えているか、こう言われましたが、新たな雇用の担い手である新規産業創出の観点から、一つは、個別産業分野ごとのニーズに対応した規制緩和、人材の育成、技術開発等の総合的な施策の推進、二番目には、新規産業創出にかかわる共通の課題を解決するための資金、技術、人材、この方面の施策ということを推進していく所存でありますし、また、国際的に魅力のある事業環境を創出するという観点からは、高コスト構造の是正のための規制緩和ということで、これは先ほど申し上げましたように、物流だとかエネルギー情報通信、こういう分野でございます。それから、企業と労働に関する諸制度改革ということで、持ち株会社の解禁あるいは有料職業紹介事業見直し、こういうことでございますし、そして、地域の産業、技術の集積の活性化ということでは特定産業集積活性化法案、こういうものを考えているわけでございます。
  20. 茂木敏充

    茂木委員 産業空洞化、いわゆる加工組み立て型の企業が生産を海外にシフトをさせていく、このことは、その企業が海外に出ていく、その分の雇用がなくなるというだけではなくて、そこに部品を供給している関連の産業集積そのものにも空洞化が及ぶ、また発注が減少する等々の問題が発生するわけでございます。  特に、日本企業の場合、製品の付加価値構成、こういったものをとってみましても、最終のメーカーがつくっている割合というのは非常に少ない。その下請の一次下請、二次下請という部品メーカーがかなりの付加価値を構成している、こういう形になっているわけでございます。  例えま自動車メーカー、これをとってみましても、アメリカではGMとかフォード、こういったメーカー自身の付加価値率が大体三割から四割に及んでおります。これに対しまして、日本では、トヨタ、日産、本田といった世界に冠たる自動車メーカーでも、自動車メーカー本体の付加価値率は大体二割ぐらいでございまして、残りの八割の部分というのは下請のメーカーとか中小企業零細企業がつくっているわけでございます。つまり、その分日本におきましては産業空洞化の影響というのがより大きく、幅広い分野に及んでいく、こういう問題があるわけでございます。  そこで、この産業空洞化に対応するために、通産省におかれましては、今国会に特定産業集積の活性化に関する臨時措置法、大変名前は長いのですが、この法律を提出されたと承知をいたしておるわけでありますけれども、この法律でどのような対策をこれから講じていかれようとしているのか。具体的な内容、それから、たしか全国二十カ所、これから七月ぐらいまでに地域指定を行っていく、こんなこともお聞きしておりますが、地域指定の進め方等々も含めて、お聞かせいただければと思います。
  21. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 我が国産業空洞化現象、まさに委員指摘のように、自動車、家電などの量産型産業、基幹産業の足元を支えてまいりました鋳鍛造、メッキ、金型、試作品製造などのいわゆる物づくりの基盤となりますサポーティングインダストリーの集積、さらには産地などの形態で、地域経済の自律的発展基盤でありました地域の中小企業の集積に大きな打撃を与えております。こうした産業空洞化を防止するためには、技術水準の向上、あるいはネットワークの形成、新分野への進出ということを図るための基盤整備などを通じまして、新たな活力を生み出せるよう、これらの産業集積を活性化することが必要であろうかと考えております。  このため、御指摘のありました法案では、産業インフラ整備、研究開発、人材育成の促進、新たな事業展開への投資促進を柱といたしまして、関連予算を含めて総額二百二十五億円をもちまして、地域における取り組みへの体系的な支援を推進することを内容といたしてございます。特に、建設省の道路整備事業、あるいは労働省の雇用・能力開発施策、さらに文部省の教育研究施策など、関係省庁とも密接な連携をとりまして、総合的な施策を講じ、その効果を最大限に発揮するよう政策を構築いたしてございます。  御指摘のございました法案が可決されました後の運用につきましては、極力早期の施行を目標といたしておりまして、基盤的技術産業集積については、七月ごろをめどに、対象地域の設定も含めました都道府県の策定する活性化計画の承認を行うべく、精力的に作業を進めてまいりたいと考えております。  また、特定中小企業集積につきましては、本法の前身であります特定中小企業集積の活性化に関する臨時措置法を引き継ぎまして、切れ目のない円滑な運用に努めてまいる所存でございます。
  22. 茂木敏充

    茂木委員 今までありました法案、これの洗い直しをしっかりした上でその地域指定というのをしていただきたい。それから、他省庁との連携、ぜひよろしくお願いいたします。  時間がありませんので、最後にベンチャーの育成について一言お伺いしたいと思うのですが、冒頭申し上げましたように、廃業率開業率を上回るような状況というのが日本で生まれてきている。そして、日本の場合、例えばどうして中小企業、ベンチャー企業が生まれないのか、こういうアンケート調査を見てみますと、例えば中小企業庁中小企業経営状況実態調査、これによりますと、企業創業時の障害要因として一番大きいのが自己資金の不足、こういう問題でございまして、四五・二%を占めております。  例えば、このベンチャービジネスに対する資金の誘導、こういった面をとってみましても、昨年末には税制改正でようやくエンゼル税制の導入が決まったわけでございますけれども、まだまだ、例えばベンチャービジネスへの投資に伴うキャピタルゲインをどうするのかとか投資損失準備金制度はどうするのか、こういった問題、多くの課題を抱えているわけでございます。このままでは絶対に日本にはマイクロソフトのビル・ゲイツは出てこない、私はそのように考えているわけでございます。  そこで、今後のベンチャービジネス育成のため、資金面も含めてどういう施策をお考えなのか、最後にお伺いをいたしたいと思います。
  23. 渡辺修

    渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます。  ベンチャー企業というのは、御指摘のとおり、良質の雇用機会を提供するものとして、まさにこれからの二十一世紀を担う極めて重要な産業でございまして、これの育成を推進すべきではないか、先生の御指摘、まさにそのとおりでございます。  御案内のように、ベンチャー育成のためには、数年前から、店頭特則市場の創設とか、あるいは、ごく一部ではございますけれども、ストックオプション制度の導入とか、あるいは各種の技術開発に対する助成制度とか、いろいろな対策を講じてきたわけでございます。また今国会には、今先生御案内のようにエンゼル税制の創設をいたしまして、それの関係の法律改正を盛り込みました中小企業創造活動促進法の一部改正をお願い申し上げているわけでございます。  ただ、御指摘のように、すべてこれで満足だとは我々考えておりません。特にベンチャービジネスについてま、情報化社会の中で、特こ地方のそれぞれの地域においてネットワークを利用してベンチャーがこれからどんどん出てくる余地はあるのではないか、私はこのように考えております。したがいまして、特にエンゼルとベンチャー企業との結びつきをこれからさらに進めるとか、あるいは各種の総合的なベンチャービジネスヘの投資がうまく進んでいくような、そういったような資金、人材、技術、そういったようなものを総動員いたしまして、これが根づいていくようにこれからも全力を尽くしてまいる所存でございます。  かつまた、先般大臣から御答弁申し上げました経済構造改革プログラム、これを一つの大きな柱にして各種の施策をこれからも盛り込んでいきたい、このように考えておるところでございます。
  24. 茂木敏充

    茂木委員 この問題は、例えば日本人は起業家精神、業を起こす精神が不足しているといった精神論ではなくて、政府レベルでの対策によって大きく変わっていきます。この点をぜひしっかり御認識をいただきたいと思います。  以上で、私の質問を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
  25. 武部勤

    武部委員長 次に、古賀正浩君。
  26. 古賀正浩

    ○古賀(正)委員 おはようございます。新進党の古賀正浩でございます。  先週、佐藤通産大臣麻生経済企画庁長官から所信の表明を承らせていただきました。現在の我が国の厳しい内外環境のもとで、現在の行き詰まった経済構造改革を推し進める、元気豊かな産業社会をつくり出すということに全力を挙げなければならぬ、こういう段階になっておるわけであります。このことについて、与野党間を問わず、基本的課題意識は共有されておると私は思っております。我が党も真剣に努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。  我が党、御案内のとおり、日本経済民間支出主導型の自律的な年率三、四%の成長軌道に戻すということを最優先の政策課題と考えていろいろ論議をしておること、皆様御案内のとおりであります。このような中期成長が実現いたしますれば、雇用、企業経営、産業構造、不良債権問題、あるいは財政赤字などの構造的諸問題の解決が非常に容易になってくると私どもは思っておるところでございまして、この政策目標実現のために、民間市場経済活性化し拡大するということ、そして中期的に効率的で小さな政府を目指すということが大切であると主張しておるところであります。  この目標戦略のもと、産業政策に関しましての取り組みを進めていくという考えでありますけれども民間市場経済活性化に関しましては、第一に、規制緩和によりニュービジネスフロンティアを拡大し、民間投資機会をふやしていくということ、第二に、所得税、住民税の大幅減税と法人税実効税率の引き下げなどにより個人と企業のやる気を支援する、そういうことによる経済活動の活性化を図るということ、同時に頭脳流出と産業空洞化を防ぐということ、そして第三に、公共料金引き下げ等でコスト引き下げて国民生活の向上あるいは産業活性化を図る、こういうことを我々は戦術的こねらっておる、こういうことになるわけであります。  このような政策努力によりまして、西暦二〇〇〇年度までに日本民間市場経済の持てる経済的力を十分に引き出そう、行政改革と相まって豊かな活力ある二十一世紀の日本を準備し、経済構造改革を断行していかねばならぬと構想をいたしておるところであります。  この大きな目標戦略のもと、商工、エネルギー政策の取り組みに関して、政府・与党に対し理解と同調を求めながら、あるいは政府を励まし、あるいは督励しながら、あるいま必要な論議を重ねながら頑張ってまいりたいと思っておるところでございます。  現在の世界経済の大きな潮流の中で、明治維新、第二次世界大戦後に匹敵すると言われております歴史的な転換の局面にあります現下の日本におきまして、経済政策産業政策の重責を担われます両大臣責任は極めて重大であるというふうに考えております。行政及び公務員の国民の信頼を保持するため、綱紀の厳正な保持に努めるということも重要でありますが、このようなことを踏まえながら、切に御活躍をお祈り申し上げる次第であります。  さて、それで質問に入ります。  先ほど岸田先生あるいは茂木先生からのお話もありましたけれども、現在の日本経済、残念ながらなかなか元気が出ません。緩やかな回復ということをおっしゃっておられますけれども、そしてまた、企画庁長官あたりのいろいろなデータ等に基づく分析からすればそのようなことも言えるかもしれませんけれども、現実の日本経済の実態、それぞれの地域の状況等を見ますと、かなりこれは難しいな、厳しいなという感じが強いということは、先ほど来あった議論のとおりであると思います。我が国の経済の動向からいたしますと、ことしになりましても株安、円安がある、公共事業等のいろいろな問題がある、金融不安もある。そのような中で、さらには企業の業況判断においても先行き慎重の見方が非常に強くなっておるというふうに私どもは見ておるところであります。  企画庁長官お話によりますと、緩やかな回復ということで、楽観的な感じで受け取らざるを得ないわけでありますが、私どもは、到底そのような状況になっているとは考えられないと思う次第であります。端的に長官景気見通し、最近の動向についての見方をここでお示しをいただきたい。お願い申し上げます。
  27. 麻生太郎

    麻生国務大臣 先ほど茂木議員の御質問にも似たようなことを申し上げたと思いますが、今数字ではなかなかいいことになりつつあるようだが、気分としてはというお話があっておりましたのですが、これはもう間違いなく、景気とか病気とかお天気とか、気がつくようなものは大体かなり気分の問題というのは影響するので、だからこういう漢字ができたのかもしれませんが、基本的には、今アメリカと同じ経済成長率を示しながら、こちらの方はいまいち気分が晴れたことにならぬということの理由の一つとしては、やはり過去、敗戦後五十一年の間に、基本的にはインフレ経済を我々はやってきたわけで、間違いなくきょうよりあすの方が伸びるという前提なんですが、今ここでデフレ、デフレというと生産力が落ちたことになるけれども、生産はそのまま向上しておりますので、生産が落ちず価格だけが伸びていないという形になっております。  元経営者から言わせていただければ、やはり売り上げというのは増収、増益が景気がいいという気分になるのであって、増収はせず、減収になったけれどもコストを下げて増益になったとしても、景気がいいという気分にはなりません。やはり増収、増益が最も経営者としては気分のいいところなんですが、なかなか今の状況というのはそういう状況ではございませんので、少なくとも、何となく減収もしくは売上高は横ばい、だけれども、いわゆるリストラクチャリングとかいろいろな言葉がありますが、経営体質の構造を下げて結果として増益になっておるという感じは、やはり企業としては、いろいろな形を切って増益にしても、何となく気分としては景気がいいなという感じにはならぬわけです。  そこのところが非常に大きな理由の一つだと思いますが、いずれにしても、中小のあれでも一〜三月まではいきます、しかし四〜六月については、というお話がよく出るところなので、この点につきましては、消費税また特別減税などなどの影響がじわっと来て、そういった気分がおありなんだと思います。ただ、今後一年間で見てみますと、残り七月以降、経済構造改革に対するいろいろなものもこの三月には一応の指針が出されることになりますので、そういったものを見てみますと、けさの新聞でも、住宅建築コストを非常に高くさせておると言われておる一つであります建築基準法にさわるというのですから、こういったものがさわられますと、かなりな部分気分的には安くなるなとか、日照権の話まいろいろ随分議論がされているみたいなので、今までかかっておりましたコストが随分安くなると、その分だけ住宅建築コストがまた下がるということになり得るなどなど、いろいろ経済構造改革が進む中から先行きに明るさが出てくると思えば、何となく先行きがいい。  ところが、アメリカの場合は同じ二・五なんですが、あっちは先行きがいいと思っている部分と、こっちはどうも、何となく規制が外れることはみんないいと思っておられますが、規制で飯を食ってきた方々にとっては、規制が外れることは何となく自分の会社がどうなるかなという感じをお持ちですから、そういったものと両々相まってなかなか難しいと思っております。  ただ、古賀先生、我々も長いことこの永田町周辺にいますと、感覚がおかしくなってくるなと自分で思いますのは、この辺に来られる方は大体景気の悪い人しか来ぬわけで、景気のいい方は永田町やら霞が関には来ないわけですから、その方たちの話ばかりここで座って聞いていると、世の中常に景気が悪いという気になるのですが、世の中やはり景気のいい人もいるから二・五%の数字になるわけでして、それでなければと思いますので、やはり地元やら何やらで耳を澄ますところはよほどこっちから聞きにいかなきやいかぬなというのが、正直この地域に長いこといた実感なんで、いずれにいたしましても、こういった景気動向というのは大変大事なところでありますので、今後とも注意深く見守ってまいりたいと思っております。
  28. 古賀正浩

    ○古賀(正)委員 これからの経済構造改革を断行していくというためには、いろいろなデフレ効果やミスマッチ等に耐える経済的な体力が非常に重要である、そういった意味で、今後の景気の動向、それに対する政策対応が非常に大きな影響があると思う次第であります。今のお話、なかなかはっきり納得はできませんけれども、ひとつそのような思いで景気回復を着実にするための努力をしっかりやっていただきたい。消費税を初め我が党の主張が入れられなかったことは残念でありますけれども、まだまだやるべきことはいっぱいあると思います。ひとつ大いに頑張っていただきたいとお願いを申し上げる次第であります。  次に、現在、日本の長期的な動向を考えますと、未来型産業をもっと振興していかなくちゃならぬ、こういうことに相なるわけでございますが、そういうことについての大きな戦略が日本の場合にはまだまだ乏しいというふうな思いがしてなりません。そういう中で、御案内のとおり、先ほど来からも質疑があっておりましたけれども公共投資基本計画、六百三十兆円の見直しということが問題になってきておるというふうに聞いておるところであります。  そういう中で、これは直接の担当は経済企画庁長官が取りまとめ役であるというふうに承知しております。しかし、通産大臣は閣議等でしっかり、やるべき主張はできるはずでございます。ひとつ未来型産業に対する骨太な構想に資するような、そういう主張をしっかり織り込んでいただきたい。これは通産大臣にお願いを申し上げる次第であります。  そこで、特に高度情報化に適切に対応するというのは現在の計画の中にも一応書いてあるわけでございますけれども、私は、もうちょっと強力に、骨太に進めることが必要ではないかと思っておるところでございます。そこで、全体の構想の見直しについて経済企画庁長官考え方、ひとつお伺いしておきたいと思います。
  29. 麻生太郎

    麻生国務大臣 公共投資基本計画の中に、例の六百兆の中に直接組み込まれておるわけではありませんけれども、多分青報アクセスの話だと思いますが、いろいろな社会資本の充実を二十一世紀初頭までに行わねばならぬという点で入れられておりますのは、今委員指摘のとおりであります。経済社会の諸分野の発展の原動力となる情報通信の高度化について、光ファイバー網の整備を初めとした通信に関連した社会資本の高度化を促進するという点が入れられておるところでもありますけれども、そのほかにも、大学などの施設の充実などを図ることとなっております。  今後ともこういったことは大変大事でありますので、高度情報化という点につきましては、アメリカに対しておくれているという御指摘もいろいろ出されておるところでありますが、国土の面積からいったらこちらは二十三分の一ぐらい、人口でいきましても約半分、人口の密集度合いからいさましたら圧倒的にこちらの方が、そういった設備に関するものからいけば、距離からいえば大変短くいけるところでもありますので、少なくとももうおくれてどうにもならぬというような話ではない、きちんとした対応をやりさえずれば十分にそういった対応ができるものだと思っておりますので、そういったものを含めて、効果的ないわゆる社会的な資本が充実されるように今後やっていかねばならぬと思っております。  いずれにいたしましても、今度の公共投資基本計画の中で出されておりますいろいろな点に関しては聖域なしで議論を進めるということが、昨日の財政構造改革会議の中でも改めて、閣議の出席メンバー、閣僚会議では終わっておりましたけれども、財政構造会議の中でも聖域なしで議論を進めるということが正式に昨日決まっておりますので、今御指摘の点を含めて、日本という国が今後ともそういった面でおくれをとることのないよう社会資本を充実してまいらねばならぬと思っております。
  30. 古賀正浩

    ○古賀(正)委員 先ほど来からもいろいろ話が出ておりますけれども、現在の厳しい経済環境のもとで、産地の衰退やら企業の海外進出が進んでおるというような状態があるわけであります。我が国の空洞化を回避し中長期的に豊かな産業社会をつくり出す、こういうことのために経済構造改革の格段の努力が必要である、これはもう先ほど来繰り返し言われておるところであります。通産大臣も、さきの所信表明で一刻の猶予も許されない、こういう認識を示されました。もはや論議をしている段階ではないと企画庁長官も話をされました。全くそのとおりであるというふうに思う次第であります。  現在の経済状況考えますと、アメリカ経済の復調、そして中国や東南アジアの成長等のはざまの中で日本は停滞を余儀なくされておる、かなり苦しんでおる、こういうことがあるわけであります。  いろいろの例がありますけれども、具体的に例えば電機産業でありますと、繊維産業がかつてそうであったような花形産業であったわけでありますけれども、三十年代、国内経済成長のいわば機関車というような活躍をしてもらった分野であります。そういう中でも大変いろいろな変動が起こっておる。特に、家庭電器などにおきましてはこの十年間でもう三二%も生産が減少しておるというふうに聞いております。一般電子部品も一〇%の伸びにしかすぎない、こういうことでありまして、民生用カラーテレビ、テレビなどにつきましては今や海外生産比率がもう八割になってしまった、今や日本はテレビ等は輸入国になってしまった、このような状態になっておるわけであります。  それからもう一つ、これはいろいろな産地の実態について中小企業庁で調べております産地現況調査というのがございます。  それを見ますと、全国五百三十七産地七万九千企業の動向が分析、公表されておるということでございますが、それを見てびっくりいたしますのは、これだけの産地で平成六年度、休廃業あるいは倒産した企業が三千八百二十もあるということでありました。平成七年度、平成七年は昨年の九月までというものが載っておりますけれども、それによると、五千四百二十二の休廃業、倒産があるというようなことであります。理由としては、まさに需要の低迷ということもありますし、輸入品との競合、あるいは後継者難みたいな理由が七割から三割というようなことになっておるわけであります。  一方、開業ということこなりますと、各年とも全体で二百ずつぐらいにしかすぎない、このような深刻な状態になっておるわけであります。その中で海外展開を見ますと、四一%の産地で海外展開が増加をしておる、五八%は生産が減少しておる、五四%は雇用が減少しておる、このような深刻な事態が読み取れるということであります。大変厳しい現実でありまして、先ほど来申しておりますように、経企庁の景況の判断というのは本当に実感と遠いな、こういう思いがしておる中で、このようなデータでも厳しさが裏づけられておるということがあるわけであります。  一方では、中国やASEANなどの目覚ましい経済の活力での発展が見られております。この国々に行きますと、まさにかつての、特に三十年代、四十年代ごろの日本を見る思いというようなことであります。安い雇用、労働力、高い勤労意欲、低い土地代など、圧倒的に有利な条件を持った地域として発展をしておるということがあります。これらの国に追われ、対応を迫られる日本ということになるわけであります。  先ほど茂木先生もお話をされておられましたけれども通産省の発表によりますと、このままでは今後五年間で百二十四万人の製造業の雇用減少が予想されるということも言われております。貿易黒字も、今後五年間で三兆七千万円黒字縮小が見込まれるというふうなことが発表されておるところであります。今までの対応が大変遅過ぎたという面があるのではないか、不十分であったということが言えるのではないかと考えておるところでございます。  過去のことは過去のことといたしまして、今後、未来型産業の育成を初め、経済構造改革にアクセルを踏んで、しっかり頑張っていかなくてはならぬ、こう思われるところであります。今はもう既に企業も国境がない、企業が国を選ぶという時代が始まったということが言われております。我が国は、大臣所信表明にありましたように、国際的に魅力のある事業環境の創出というのが極めて重要になっておるということであります。通産大臣の決意を改めてお聞きをしたいと思います。
  31. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 我が国経済において、高コスト構造制度的制約、これを背景として、本来であれば、国内でも比較的優位を持つとされる製造業までが海外に移転する、いわゆる産業空洞化というものの懸念が一層深刻化していることは事実であります。  こうした深刻な状況の一端として当省の調査結果を紹介すると、円高が一段落ついた昨年においても製造業の海外展開の基調は変わらず、現状のまま推移すれば、今後五カ年間の我が国の製造業全体の雇用は百二十四万人減少する、こうした予想がされるわけであります。  当省としては、従来から経済構造改革として、規制の緩和、新規事業の創出のための諸施策を講じてまいりましたが、昨年末、政府全体として、我が国経済の中長期的な発展を可能にすべく経済構造改革を掲げ、今後の施策の基軸として経済構造の変革と創造のためのプログラムを閣議決定したところでございます。そういうことで、当省といたしましては、本プログラムを基軸として強力かつ加速的に経済構造改革を断行する、そうした決意でございます。
  32. 古賀正浩

    ○古賀(正)委員 日本経済は、企業の九八%を占める中小企業、これが大変大きな力を発揮してきておる、あるいは不可欠な力を発揮してきておるということは御案内のとおりであります。地域経済の体力の保持、あるいは地域の生活を支えるのは中小企業であるということであります。しかし、この構造改革を進め、規制緩和を進めるという中で、現在の改革の痛み、これま大きなことを予測しなければならないわけでありますけれども、それを大きく受けるのがやはり中小企業ということになるのは間違いがないということになるわけであります。  この経済構造改革は、ともかく頑張らなければなりません。今の大臣お話のような努力をしていただかなければなりませんけれども、これは単なる、それ行けどんどんでやれるものではない。そこに政治的ないろいろな配慮が要るということに難しさがあるということになるわけであります。中小企業の問題につきましては、後ほど私の同僚議員がさらに質問させていただくということにしておりますが、そのような基本的な考え方に立って、しっかり中小企業対策をやっていただきたいと思っておるところであります。  平成九年度の中小企業予算、千二百四十七億円、これは前年よりも十一億円ふえたみたいなことを事務局は非常に胸を張って説明をしておられます。大変厳しい財政状況の中で、それは努力はもちろん認めるわけでありますけれども、今後そのような、先ほど申しましたような考え方中小企業の痛みを分け、しっかり頑張ってもらっていくためには、いろいろな努力が要る。その中で予算措置もしっかり頑張っていただかなければなりません。大臣中小企業政策に対する全般的な決意をこの際お聞きしておきたいと思います。
  33. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 御指摘のとおり、中小企業は地域の雇用や生活に大きな役割を果たしている、こんな認識を持っておりますし、特に、地域における技術や技能の集積、これは地域の自立的発展の基盤であり、我が国の製造業を支える基盤と承知しております。  また、中小小売商業者は、商店街等の形成を通じて、地域社会において大きな役割を果たしております。  現在進められております経済構造改革については、特に規制緩和によって、委員指摘のように、一部の中小企業においては痛みを生ずることは事実だと思います。規制緩和の実施に当たっては、重大な影響を受けるこうした事業者に対する構造改善のための支援等の環境整備に万全を配慮することが必要だと思います。  今後進めていく中小企業対策としては、まず空洞化の影響が懸念される地域の産業集積に対する支援策を抜本的に拡充するということで、今般、地域産業集積活性化法案、これを本国会に提出させていただきました。  さらに、空洞化の懸念を払拭し、経済活性化を図るために新規事業の育成も重要な課題であり、いわゆるエンゼル税制の導入を盛り込んだ中小企業創造活動促進法の一部改正法案を同様に提出しております。  その他、中小企業の経営基盤強化を図るため、金融対策を充実するとともに、中小小売商業対策、小規模企業対策、これらにも十分配慮してまいりたいと思っております。
  34. 古賀正浩

    ○古賀(正)委員 ただいまの御答弁の中に中小商業者に関することもございましたが、この点についてもう少し質問をさせていただきたいと思います。  御案内のとおり、大店法というのは本当に近年にない大変な改革への着手であったと思う次第であります。それだけにいろいろな影響がある。全国の商店街の中で、空き店舗率が一〇%以上の商店街が約三分の一を占めるというような状態になっておるというふうにも聞いておるところでございます。中小小売業は、平成六年度までの三カ年で約十万企業が減少、特に、一人ないし四人規模は二%の減少という大変ドラスチックな変化があっておるということであります。そのような中で、本当に田舎の商店街では、この商店街は何と名前をつけようか、これはもう全部シャッターをおろしているからシャッター通りだみたいな冗談が言えるようになっている、このような深刻な状態もあるわけであります。  大店法につきましては、規制緩和推進計画におきまして平成九年三月にまた見直しをやる、このようなことになっておるわけですね。また、現在の大店法の運用の扱いについてもいろいろな論議があっておることは私どもも承知をいたしておるところでありますが、しかし、こういうのは、先ほど中小企業の総論で申し上げましたように、単なるそれ行けどんどんでやるのがいいわけではない。この点はしっかり御認識をいただきたいと思う次第であります。  特に、外国の例を見てみますと、それぞれの国によって違います。大店法の緩和みたいなことをどんどん推し進めておる国もありますけれども、近年、フランスにおきましてはロワイエ法の改正というのがありまして、そこで非常に注目すべき変化があったわけであります。具体的に申しますと、むしろ規制緩和を逆行させるような効果もある対策、例えば委員会の構成等を改めるみたいなこともあったわけであります。  私は、日本の場合も両方の説があるのはもちろんでありますけれども、そういう中で、特に中小、地元生活や経済と密着した分野におきましては、御時世や時の流れに安易に流されないで、その土地の慣習やあるいは価値観や人生観等に根差した対応というのがどうしてもやはり要るのではないか、こう思っておる次第であります。この点、一方的なものに流されることなく、それぞれの地域の実情を配慮し、そういう声にもよく耳を傾けた対応、規制緩和の方向をとるということをぜひお願いをしたいと思う次第であります。  この点についての通産大臣の答弁をもう一度お願い申し上げます。
  35. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今おっしゃるように、この大店法の見直しというのは平成九年度ということになっておりまして、経済構造改革プログラムによって本年度じゆうに準備に入る、こういうことで今作業を進めておりますが、おっしゃるように、これは実は大変大きな問題を抱えております。  というのは、今はまず基本になるのはやはり商店街振興、こうした場合に、消費者のニーズをどう考えるかというのが一番大きい問題だと私は思うのです。いわゆる流通において消費者のニーズの変化あるいは価格競争の激化、これは今言うように、もちろん買う方、いわゆるお客様の方から見ると、近くにあって、よりよい品物が豊富にしかも安いということが条件になります。そして、何といっても、モータリゼーションの進展ということで郊外に大型店の進出というものが加速化した、こう思うのです。他方、そのことによって商店街が疲弊してきている、そうした現象もあらわれております。  しかし、大事なことは、やはり新たな雇用というものが大型店によってその地域に生み出されるのではないだろうか、こんな気持ちがしております。ですから私は、大型店の進出というものと小売商業者の保護育成という問題、これは当然関連はありますが、やはりこの問題とある程度距離を置いて検討する必要があろう。今委員も御指摘のように、やまりこれは地域性というものが多分にある、かように思っております。  ということで、今のお話は直接ではございませんから、今のお話のように、やはり中小企業の対策における商店街の活性化、こういう問題に関しては、従来から意欲ある中小小売業者が円滑に対応できるようにこうした政策を推進しておりまして、具体的にはやはり大企業との連携、特定商業集積法というのがございますが、それを含めた商店街、商業集積の活性化とか、あるいは商品の調達、配送等の共同化の推進、あるいは売れ筋情報の提供等による消費者ニーズヘの的確な対応の確保、こういうことを図りながら、補助、高度化無利子融資、低利融資等の各般の支援措置を講じてまいっております。  さらに、御指摘のように、平成九年度政府予算においても、情報技術の活用による中小小売店の業務の効率性の向上に対する支援の創設、あるいは空き店舗の有効活用等の商店街活性化のためのソフト面の支援の拡充、こういうことを通じて中小小売商業対策の一層の充実強化を図ることとして、関係予算として総額約百六十三億円、これを計上しております。  そういうことで、やはり今後とも商店街活性化対策等を強力に推進し、中小小売商業の支援に遺漏なきを期していく所存でございます。
  36. 古賀正浩

    ○古賀(正)委員 この問題は、トレードオフと申しますか、規制緩和を進め、経済活性化を図っていかなければならぬ、しかし地域生活もある、非常に難しい問題であります。特に、郊外のセルフ店が、大型大店舗が発達をして、自動車に乗れる若い人はいいけれども、うんと年配の人は困る。こういう状態は、たしか三十年ほど前にアメリカでそういうことがあっているという話を私は聞いたことがあります。モータープアという表現があることを承知したわけでありますが、それがまさに日本でも現実のものになってきておる。そういう中で規制緩和を進めるときは、片やそういう対策を並行してきめ細かくしっかり進めることが非常に大事だということをよく御認識をいただきたいと思う次第であります。  次の質問に移ります。  この大きな経済改革の一連の中、国際的に魅力ある事業環境の創出ということをやっていかなければならぬ、このためには多くの課題があるわけでございますが、その一つとしまして、先ほど私が我が党の考え方の中で触れましたように、エネルギーコストの問題ということがあるわけでございます。時間の関係がありますから、とりあえず電力だけについてお伺いをしたいと思う次第であります。  御案内のとおり、電力については国際的に非常に割高だということがあります。これは、コストからすれば日本はしようがないのだということももちろんあるわけでありますけれども、電気料金、家庭用だけでなくて産業用を見ましても、日本を一〇〇といたしますとアメリカが六八、英国は七一、フランスは六七%というような、非常に日本が割高になっておる。こういう中で産業の、商品の競争をやらされるということはやはり大変なことになるわけでありまして、このようなことに対して、電力料金引き下げみたいなことは大きな課題としてあると思う次第であります。  そういう中で、ことしの年初来、電気事業をめぐって、通産大臣の電気事業改革に関する発言が報道されておるところであります。この問題について、例えば電気業界等については大臣はどのような要請をしておられるのか、そのお考え方をまずお伺いしたいと思います。
  37. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 これは、御存じのように昨年の暮れに閣議決定した経済構造改革、この一環としての変革と創造のためのプログラム、この中において、高コスト構造の是正ということでエネルギー、物流というものに主点を置く、こういうことで、エネルギーの中でもって電力の料金が国際比較においてもどうしても日本が高くなっているということで、これをやはり極限まで下げさせようということで、正式には、それを受けまして、先週でしたか、電力業界の方に私の方から直接申しました。その問題と、先ほども質問がありましたが、いわゆる一月七日の私の発言とは、関連はございますが、直接的な関連はございません。  もっとあれなら、詳しく申します。
  38. 古賀正浩

    ○古賀(正)委員 大臣を先頭にしっかり頑張っておられる、結構なことだと思います。  そういう中で、一つだけ問題の提起をいたしますと、現在の電力料金コストの面からすると非常に高くなっておる。その日本の特殊な例の一つが、電力需要に合わせた設備投資をやるということになりますと、日本の夏の需要のピーク等にこたえるためには、大変なコストフルな対応が要る。それによって稼働率が、稼働率というのでしょうか、それが非常に低くなっておる。これが全体の発電コストを引き上げておるという要素が非常に大きいというふうに聞いておるところであります。  そうなりますと、これについてはいろいろな政策的な努力、あるいは電力会社の努力も必要であるわけでありますけれども、片や日本の社会慣習的にある電力の使い方について、もっと誘導のための努力をするということもあっていいのではないか。極端な話をいたしますと、例えば夏の甲子園野球を何かうまくずらせば夏の電力のピークは崩せるじゃないかみたいな話もあるわけでございますが、それはそれとして、国民にもっと呼びかけて理解をしてもらう、協力をしてもらう、そういうことももっと考えていくべきではないかという気がいたします。その点、どうでしょうか。
  39. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 先ほど申しませんでしたが、今委員のおっしゃるとおりに日本電力料金は、まず負荷率の改善と申し上げているのは、夏の電力の需要が一番多いとき、これに合わせて設備投資を行っているということ、これが高コストの原因だ、かように考えられます。  今の、甲子園の時期というのは私の方の所管じゃございませんし、やはり甲子園の野球というのは暑いときがいいという方が多いと思いますが、この話は別にしておいて、やはりこれからは電力政策としては省エネと新エネ、これと原子力発電、この三本柱になると思うのです。その中でもって省エネに関してはずっと御協力をいただいておりますが、産業用というか、産業界においては非常に御協力していただいてこの省エネに対して効果が出ておりますが、まだ民生だとか運輸部門においてはこの効果が全然出なくて、逆に使用が上がっている、こういうことでございますので、今古賀委員言われるように、やはり一般の家庭においても、もっと強く日本エネルギーの事情を話をし、そして省エネに御協力いただけるようにいわゆるPRをすべきだと考えております。
  40. 古賀正浩

    ○古賀(正)委員 電力問題については、同僚議員がまたその論議をさせていただくという予定でありますからこれで終わりといたしまして、ただ一つ、原子力利用に関してお伺いをいたしたいと思います。  御案内のとおり、現在日本の原子力発電量というのは三四%を占めておるというふうに聞いておるところでありますけれども、我が国の置かれております資源的な制約や地球環境問題への対応等の観点からいたしますと、原子力発電の利用、プルサーマル等の核燃料サイクルの推進は、長期的に考えていかざるを得ないというふうに思っておるところであります。しかし一方で、残念なことに一昨年の「もんじゅ」事故などの不幸なこともありまして、国民の不安もまた高まっている中であるわけであります。  そういう意味で、その将来について、我々も非常にタイトになる電力需給について深刻な思いも持っておるわけでございますけれども、今後総合的にどのような原子力発電政策を進めていくつもりか、ひとつ見解をお伺いしたいと思います。
  41. 江崎格

    江崎政府委員 原子力開発の問題でございますけれども、資源に乏しい我が国におきまして、エネルギーセキュリティーの確保の観点、それから地球環境問題への対応ということを考えますと、この原子力の問題も大変重要かと思います。もちろん、その前提としまして、省エネルギーに最大限取り組む、あるいは新エネルギーの導入を図るということも大前提でございますけれども、どうしてもある程度の部分は原子力に依存せざるを得ない状況かと思っておりますが、ただ、今委員指摘のように、「もんじゅ」の事故を契機にいたしまして、国民の間で原子力に対する不信感といいますか、不安感は大変高まっております。  こうしたことに対しまして、一つは、政策決定のあり方といいますか、あるいは国民の理解を求める方法と言ってもいいかと思いますが、こうした問題についてより努力する必要があるということで、原子力委員会におきまして円卓会議の創設といったような努力をいたしましたし、また、私ども通産省におきましても、総合エネルギー調査会という審議会がございますが、これを各地で開くとか、あるいは私ども資源エネルギー庁を一日資源エネルギー庁という形でこれも各地で開くというような努力をいたしまして、国民に対する情報の提供のあり方の問題、あるいは国民の意見を酌み取るやり方の問題、こういったことでさまざまに努力をしてきたところでございます。  それから、政策中身の問題でございまして、今御指摘のプルサーマルを初めとする核燃料サイクルの問題でございますけれども、これにつきましても、原子力委員会あるいは総合エネ調で議論した結果を先般閣議了解の形で改めて政府方針として確認をいたしました。これにつきましては、実は大臣からせんだって福島、新潟、福井の三県の知事に、それから昨日でございますけれども、原子力発電所の立地の市町村に対しまして、直接大臣からこの方針につきまして御説明をさせていただきました。  私ども通産省としましては、総合的なエネルギー政策を進めていく中で、この核燃料サイクルを含む原子力政策につきまして、立地地域を初めとする国民の理解を得るための努力を今後も引き続き進めてまいりたい、このように思っております。
  42. 古賀正浩

    ○古賀(正)委員 だんだん時間が少なくなってまいりましたので、少し駆け足でやらせていただきます。  その次は、御案内のとおり、二十一世紀を展望する中で我が国が非常に大事にしなければならぬのは、環境調和型社会の実現ということになるわけであります。現在の地球規模の環境問題の現状考えますと、我が国が国際社会において信頼される立場に立っていく、そのためには、リサイクルの仕組みなどを整備してそのような努力をやっていく、率先して国際的にもやっていくということが非常に重要になっておるというふうに思う次第であります。そのための今後の施策はどうであるのか、端的にお答えをいただきたいと思います。  なお、質問の通告の中で、環境アセスメント法制に対する基本的考え方ということを言っておりましたけれども、これはもう先ほど茂木先生への答弁がありましたから、省略させていただきます。
  43. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今委員指摘のように、環境問題というのは本当にどこの国が、だれがという問題ではなく、人類がこの地球上で持続的に存続する上には大変な重要な問題だと思っております。従来型の産業公害対策等の問題に加えて、こうした地球環境問題や廃棄物問題等の顕在化を踏まえ、経済発展と環境保全、この両立を可能にする環境調和型社会の構築を図ることは極めて重要という認識は同様でございます。  通産省としては、今後一層こうした環境問題の取り組みを強化していく、こうした考え方でございます。
  44. 古賀正浩

    ○古賀(正)委員 その関連でありますけれども、ことし気候変動枠組み条約第三回の締約国会議日本でやるということが決まったというふうに聞いております。国際社会で日本経済でも存在感をしっかり誇示してきたわけでありますけれども、このような分野で大いにやはり指導力を発揮していく必要があるというふうに考えておるところであります。今回は日本が議長国だと聞いておりますけれども、その基本的な議定書案作成の考え方、それから準備状況はどうかということをお答えいただきたいと思います。  なお、時間の関係がありますので、なるべく簡単に、簡潔にお願いを申し上げます。
  45. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 これは御存じのように、当省のほかに環境庁、科技庁、関連の役所が多くございまして、そこのところとも一緒になって、やはり日本でやるこのCOP3、これを成功に導こう、こういうことで今その枠組みづくりをしている最中でございます。
  46. 古賀正浩

    ○古賀(正)委員 ひとつしっかり疎漏なく頑張っていただきたいと思います。  質問が移ります。  御案内のとおり、今週初め三井三池鉱山の閉鎖の方針が発表されました。日本経済発展のために必要でありましたエネルギー転換、その栄光の石炭がもう本当に苦しみと犠牲の中で頑張ってまいったわけでございますけれども日本エネルギー政策を転換し、新しい日本経済の体制を開くために、もうとうとう犠牲になって石炭の閉鎖ということが進んできたわけでありますが、そういった意味では感無量なものを覚えるわけであります。  このことについて所信表明では大臣からのお話がございませんでしたから、一言大臣にお伺いをしておきたいと思う次第でありますけれども日本経済に非常に現在元気が出ない、こういうタイミングに閉鎖ということになった、残念だな、もうちょっと時間をかけて、もっと円滑な無理のない閉山ができるようなことはできないのかな、こういう思いが地元でも非常に強かったわけであります。しかし、企業もしっかり、四苦八苦して大変頑張ってもらって今日までもってもらったという面もあるわけでありますから、そういった面は尊重しながら、あと国として今後いろいろな方に対してできるだけの努力をしなければならぬと思う次第であります。  一つは、今回の閉山に伴います離職者対策ということがあるわけでございまして、それともう一つ、これに伴いまして、また相当甚大な地域経済への影響もあるわけであります。中小企業や商工業対策等、地域振興対策等も長年努力をしてまいりましたけれども、残念ながら、目ぼしい成果を上げることがなく今日まで来ておるわけでございます。  例えば大牟田市をとりますと、昭和三十年ごろは人口はたしか二十二万ぐらいあった。私はすぐ隣の久留米というところの育ちでありますけれども、当時久留米の人口は十五万ぐらいでありました。大牟田に遊びに行きますと、大変いんしんをきわめたにぎやかさで、大牟田というのはいつもお祭りみたいだな、こんなような印象を持った思い出があるわけでございますが、ちょうど今は逆 転いたしまして、久留米は人口二十二万、そして大牟田は残念ながら十五万ぐらいということになってしまったわけであります。  特に、企業誘致というのは通産省も非常にかかわりの深い分野であり、かなり責任を持ってやれる分野でありますから、そういったことについてはこれを契機にさらにしっかり努力をしてもらいたい、こう思う次第であります。この点につきまして、この本格的論議は石炭対策特別委員会がございますからそちらの方で行われると思いますけれども大臣所信をお伺いいたしたいと思います。
  47. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今おっしゃるように、私自身もこの報を聞いて感無量のものがございます。しかし、我が国の石炭鉱業は、これまで世界的なエネルギーの流体化の傾向、そしてまた海外炭との価格差の拡大等の厳しい状況のもと、大幅に縮小を余儀なくされてきたところでありますし、特に今回の閉山提案は、我が国最大の三井三池炭鉱において行われたことから、これを私としても大変重く受けとめております。  それで、閉山に至った場合には、今の御指摘のように、地域の経済情勢や雇用状況にも大きな影響を生ずること、これは言うまでもございません。そこで当省としてま、会社に対し、閉山交付金の交付等を通じて閉山が円滑に行われるように支援していく方針ですし、同時にまた、離職者の再雇用対策及び地元への企業誘致等の地域対策について、会社に対し万全を期するように指導をするとともに、引き続き三井鉱山グループの行う新分野開拓事業を支援してまいりたい、かように考えております。さらには、工業団地の造成だとか地域の活性化に資するプロジェクトの推進等により、地域の自治体、各省とも密接な連携をとりながら地域対策、雇用対策、これに万全を期してまいりたいと思っております。
  48. 古賀正浩

    ○古賀(正)委員 この閉山問題に関してあと一つだけちょっとお伺いをしておきたいと思うのです。詳しくは石特の方でと思っておりますけれども。  それは、有明海には、特殊な事情がありまして、海底の陥没問題というのがございます。海底の陥没については、いわゆる鉱害対策での対応というのはありません。これは制度的にもそういうものはないわけでございますが、かなり実際には石炭の採掘と関係が深いというのは、もうこれは否定できないところである。そういう中で、しかし鉱害法の対象にはならないといったようなことで、地元の被害者、水産関係の人たちと三井鉱山等との関係で処理をされてきておるということになるわけでありますが、かなり大幅な陥没等の問題についてしっかり企業も取り組んでくれてはおりますけれども、まだまだ長年、今からその対策には時間がかかるということがあるわけであります。  そうなりますと、閉山した後いつまでやってくれるだろうか、地元は大変な不安を持っております。この問題は大きな石炭対策の一環の話として、通産大臣も逃げないでひとつしっかり関心を持って、よき解決になるようにお力を賜りたい、こう思っておるところでございます。大臣の御見解をひとつお願い申し上げます。
  49. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 この問題、大変古賀委員が御熱心だということはよく承っております。  今御指摘のように、三井炭鉱の生産活動を一因とする海底陥没、大変地元の漁民の皆様方が御苦労されているということはよく理解できます。  そこで、現在会社が漁業関係者と協議して埋め戻し等の対策を講じておるというふうに聞いておりますので、今後とも会社に対して適切な対策をとるよう指導してまいりたい、かように考えておりますし、有明海沿岸の水産振興を図るという観点からは、福岡県の有明海水産振興対策協議会における調査に対して産炭地域振興臨時交付金、これから支援しているところであります。それで、今後地元自治体から具体的な水産振興に関する計画が出された場合、当省としては、関係省庁とも協力をしつつ、どのような支援が可能か検討してまいりたいと思っております。
  50. 古賀正浩

    ○古賀(正)委員 現在、これ以上の答弁をいただくことは無理だと思いますから、ひとつ可能な限りの支援の努力ということを十分踏まえて、今後頑張っていただきたいと思う次第であります。  エネルギー転換対策は、本当に戦後の日本、高度成長期を迎えて日本がここまで経済成長するために非常に大事な、重要な政策でありました。これだけの壮大なエネルギー転換の対策を、通産省を中心に今日まで頑張ってこられたわけであります。まだ稼働鉱が二つほどありますから、まだまだ今からも頑張っていただかなければなりませんし、これは閉山されても後いろいろな問題が残るわけでありますから、今後もいろいろ大変だと思います。どうか、有終の美を飾る、最後までしっかりと対策をお願い申し上げる次第であります。  地元では石炭で栄えた大牟田が、もうこれで石炭が終わるわけであります。石炭にかわる第二の燃える石は何か、こういうことを今盛んに模索をして努力をいたしておるところでありますが、そういう面につきましても、また通産省、通産大臣にお力になっていただくことが非常に多いと思いますから、今後ともよろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  51. 武部勤

    武部委員長 次に、吉田治君。
  52. 吉田治

    ○吉田(治)委員 このごろ世上ではずっと三つの言葉、行政改革規制緩和そして地方分権というふうなのが三位一体というか、三つで一つというか、そういう形で今、国もまたマスコミも全部にぎわしておる。  私は、一番最初に大臣に、では日本の国というのはどういうのを目指すのか。例えば雇用だとか所得という部分でいうならば、俗に言う西欧型というのですか、ヨーロッパ型というのは、高失業率だけれども、やはり手厚いものがある。アメリカ型というのは、自由競争だけれども、やはり所得の分配、例えば人口の三%の人が富の八〇%を握っている、六〇%を握っている。日本として、高度経済成長が終わり、ゼロ成長の時代に入ってきて、大臣のお考えとして規制緩和だというのであるならば、大臣はどの方向を今考えておられるのか、まず商工政策に臨む大臣のお考えをお聞きしたい。
  53. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 直接のお答えではないと思いますが、私の今の質問に対する理解は、まず第一に、日本がどういう方向に進んでいるのかということが前提になっていると思うのです。実はこれが一番の問題だと私は思います。私は通産大臣に就任してから外国との会議が多うございますし、そのときにつくづく、日本という国はどっちの方向に進んでいるのかな、いわゆる長期的な考え方というものが確立していないなという気がしております。  しかし、今現実にそういうことを模索するためにも、今の現状を何とか回復していかなければいけないということでもって、総理が提唱している六つの改革、その中において、私の方は、経済的に非常に、これからの雇用問題も含んで国内における経済の基盤そのものが沈下する、こういうことを前提として、今の改革というものを実は現時点では目標としている、かようにお答えを申し上げます。
  54. 吉田治

    ○吉田(治)委員 六つの改革というふうなことを言われましたけれども改革というのは、よく痛みが伴うとか伴わないとかいう議論もあります。また、規制緩和という状況になってきますと、これはもうまさに弱肉強食、自由競争ということでございますから、強い者が勝っていくんだ。まさに資本主義、中学校のときに習いました資本主義の論理からすると、モノポリーというんですか、独占もしくは寡占というふうな問題も出てくる。  そして、日本産業構造を考えていくと、大臣御承知のとおり、中小企業が雇用においてもまた産業部分においても大きなウエートを占めている。大臣、この辺、今内閣として言われている六つの改革中小企業政策、この中小企業に全部しわ寄せをする、景気の循環の緩衝地帯というふうな発想で、私たちはそういうふうに中学、高校の社会の教科書で習うわけなんですね。そういう状 況に陥っている。  今まさに自由競争規制緩和の中で、六つの改革と言われる中で、中小企業というふうなものをこれからどういう方向に持っていくのか、それをやはり聞かせていただかなければ、中小企業皆さん方も安心して事業にいそしめないということがあると思います。その辺はいかがなんでしょうか。
  55. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今吉田委員質問、非常に的確な話だと思いますが、また若干、今の我々の議論というのは混同しておる面があると思うのです。それは、先ほどからほかの委員の方の御質問にお答えしているように、構造改革をする、その場合に規制の緩和を進める、こういう中においては、このままではやはり日本産業全般が地盤沈下していくだろう、あるいは外国の方に製造業が移転するだろう、こういう危機感からしているわけです。そのときには、今御指摘のように雇用という問題、これにも着眼しているわけなんです。  ところが、その一方では中小企業というもの、これは一体どうなさるかというのはもっともな御意見でございますが、この方は、やはり今まででも、またいわゆる空洞化とかあるいは規制緩和というものに直接というか、これだけが理由でもって中小企業が疲弊していくかというと、そうでもないと思うのです。  ただ、今度の構造改革の中には、片一方ではそうしたことによって新たな分野でもって産業をつくり出そう、そのときの対象中小企業というものを実は考えておりまして、そこでもって、いわゆるエンゼル税制というものによるベンチャー企業の育成であり、あるいは物づくり、こういうふうに実は考えているわけでございます。
  56. 吉田治

    ○吉田(治)委員 そういうふうな話を聞かせていただくと、本当に思うのは、文章だとか言葉ではよくわかるんだけれども、具体的なビジョンというのですか、こうなるんだよと目に見えてわかるものというのがやはり欠如しているのかなという感じを強く受けます。  例えば、労働の問題でありましたら労働時間の短縮の問題、今大臣いみじくも構造改革と言われましたけれども、これは省の管轄が違うかもしれませんけれども日本に労働時間の短縮を持ってくることによって構造改革をしていかざるを得ないという状況を持ってこよう。しかしながら、さきの衆議院の総選挙の場合において、これはよしあしは別にいたしまして、中小企業の皆様方、できない方から、それまできないということで、変えろという随分な突き上げもあったように聞いております。  中小企業問題というのは、事ほどさように範囲が広うございますので、時間の都合もございます、しっかりと頑張っていただきたいということだけを最後申し上げておきたいと思います。  中小企業と申しましたら、一つには、町に生コンクリート業者というのですか、そういうのもあります。これは構造改善事業という国の独占禁止法の適用除外の事業になってもおりますし、また、予算の部分でも予算措置がなされ、いわば税金が使われている。ここで、構造改善事業、とりわけ生コンの構造改善事業について、この二十年間ずっと構造改善事業がなされてきた。一次、二次、三次という形で行われてきた、この辺の社会的背景とそして業界的な背景というんですか、国の法律の適用除外をし、予算までつけて二十年間もやってきた。なぜなのか。特に、この第三次というふうなものは、なぜ、どういうことでというようなことをお答えいただきたいと思います。
  57. 村田成二

    村田政府委員 先生御指摘のように、昭和五十四年以来、一次、二次、三次の構造改善事業をこの生コン業界について実施してきたわけでございます。  もう御案内でございますけれども、やはり非常に数が多い業界、しかも非常に地域的な特性、あるいは迅速に納入せねばいかぬという特性を持った業界、しかもその一方で、品質についてきちんとしたレベルを確保していかなければいかぬ、こういうことで、数の多いこういった業界においていろいろな目的を達成するのは非常に難しいということから、やはり品質確保を前提といたしました構造改善事業をずっと実施してまいったわけでございます。  殊に第三次でございますが、これは平成六年から実施しておるわけでございますけれども平成三年度以降、いわゆるバブル経済が崩壊いたしまして、生コン出荷量が減少に転ずる、業況が悪化する、こういった中で、ただいま申し上げましたような、品質をいかに確保していくか、さらにまたゼネコンサイドからのいろいろな新技術への対応の要請、さらには排水等の環境問題への対応といったいろいろな諸課題がさらにまたクローズアップされてまいったわけでございます。  そういった中で、さらなる強力な取り組みをする必要があるということで、平成六年から、良質な生コンの安定供給確保ということをさらに推進するために、品質管理の徹底ですとか、あるいは企業経営の近代化、集約化、数が多いところをどうやって集約化していくか、さらには取引の近代化といったところを一層促進しようということで、中小企業近代化計画を策定いたしますとともに、第三次の構造改善計画を承認した次第でございます。
  58. 吉田治

    ○吉田(治)委員 品質管理というのはもっともなことであり、これが私も第一次からの基本だとは思っておるのですけれども、今局長も言われたように、第二次、第三次という中でバブルがはじけた、崩壊してきた、出荷量も減ってきた。そして局長言われましたね、企業の数が多い、企業経営の近代化、集約化を行った。そこにはやはり過当競争というのですか、これは何も生コン業界のみならず、セメントメーカーの過当競争というものもあったのではないか、その辺の認識はいかがでしょうか。
  59. 村田成二

    村田政府委員 何をもって過当競争というかというのは非常に難しいわけでございますが、生コンの特質上、全国的に見れば、やはり数はどうしても多くならざるを得ないという面も片やあるわけでございます。それからまた、セメントメーカー、生コンのメーカー、実際問題それを使いますゼネコンとの関係、これは縦の関係においていろいろまた利害がふくそうしている、商売の関係もふくそうしているところでございまして、なかなか一概に申し上げられない面があろうかと思っております。  ただ、セメントにつきましては、御案内のように、やはり輸入品との競合といったようなことを契機といたしまして、市場原理に基づいてかなり競争が厳しくなってきております。その結果でございますけれども、セメントの価格といいますのは、国際的に見ましても、欧米諸国あるいは韓国、台湾等と比べまして、いわゆる内外価格差がない状況になってきているわけでございます。ただ、これも市場原理に基づく競争の結果ということでございまして、これをもって過当と言えるかどうかというところは慎重に判断する必要があろうかと思います。  それからまた、生コンの方でございますが、これは、御案内のように、いろいろな形、工業組合あるいは協同組合を通じまして取り組みをずっとやってきているわけでございますが、特に非組合員との関係における競争というものもございまして、いろいろな市場原理がこの中にまた働いてくる。そういったことでの価格のレベルというものも、いろいろな地域によっていろいろなあらわれ方をしていると認識いたしておるわけでございます。  ただ、いずれにしましても、良質な品質を確保しつつ環境問題その他の問題に対応していくという観点から、一番大事なことは、先ほど御質問いただきました構造改善計画というものを業界の自主的な努力を軸として進めていく、現に幾つか成果が上がってきておりますけれども、さらにその一層の推進を図るということが王道として一番大事なことではないかというふうに認識している次第でございます。
  60. 吉田治

    ○吉田(治)委員 局長が言われた数というのは、これは生コンの企業数が多いということですね。
  61. 村田成二

    村田政府委員 お答え申し上げます。  地域によっていろいろな競争のあり方、数の数え方というのはあろうかと思いますが、企業数自体が御指摘のとおり非常に多いわけでございます。ただ、協同組合をつくっておりますから、実際の販売面においては、その数というものが競争上どういうふうに作用してくるというのは、具体的な地域によって違ってくるというふうに認識いたしております。
  62. 吉田治

    ○吉田(治)委員 では、数が多いということ、先ほど私、過当競争という言い方をしましたけれども、それでは言い方を改めて、非常に市場原理が働いて、競争の厳しい業界であるというふうな認識でよろしいでしょうか。
  63. 村田成二

    村田政府委員 先生おっしゃいますように、これは昔からといいますか、長い歴史の中で非常に厳しい競争が展開されてきている業界であるというふうに認識いたしております。
  64. 吉田治

    ○吉田(治)委員 局長の最後の話の中で非組合員の問題がありましたけれども、私の地元大阪では、生コンメーカーはたしか一〇〇%協同組合員になっている。一つ危惧されているのは、例えばセメントメーカーサイドで、どういったらいいのですかね、価格の安売り合戦という言い方がいいのかどうかわかりませんけれども、そういうことをされたら、また厳しい競争がより厳しくなるという危惧を持っておるのですが、その辺はいかがでしょうか。
  65. 村田成二

    村田政府委員 私ども通産省といたしましては、何が適切な競争であり、何が過度の競争であるかというところを判定するというのは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、いずれにしましても、全体としてのコスト削減という動きの中で、また経済構造改革、いろいろ変えていかなければいかぬという中で、適切な競争によります価格効果というのは当然あるわけでございますし、どういう形態でどういうふうなプロセスを通じてそれが実現していくかというのは、これまたいろいろ、千差万別だと思っております。  ただ、いずれにしましても、品質の維持ですとかいろいろなことを確保していく、さらに環境問題への対応ということをやっていくためには、片や競争だけでなしに、いろいろな各企業間の協力関係というものをきちっとつくり上げていく。例えば集約化、グループ化あるいは共同購入、共同販売といった点につきましても、いろいろ力を合わせてやっていくことによって、実質的な意味での競争を確保しながら前向きに対応していける、そういった素地ができてくるのだろうというふうに考えておりまして、そういう意味でも、構造改善のこの計画というのは、真剣に各企業あるいは業界において取り組んでいただきたいと思いますし、私どもといたしましても全面的にできる限り支援してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  66. 吉田治

    ○吉田(治)委員 これでこの質問は終わらせていただきますけれども、先ほどの中小企業の問題もそうですし、こういう生コンというか、いろいろな業界、通商、商工関係の仕事というのは、必ず表には仕事、商売ということがあり、裏には必ずそこに働く人たち、大企業に勤めていない人たちのいわば雇用だとか労働条件というものは、やはり守っていかなければならないということはあると思うのです。その辺の表裏あわせて、こういう改善事業等を進めていただきたいと思います。  さて、WTOの閣僚会議が昨年十二月、シンガポールで開催をされました。新聞紙上等では、通産大臣が行かなかったことはいかがかと。国会対策上、非常に重要なこともあるし、また省内のああいう一連の不祥事ということもあって行けなかったということは、国内的には理解できますけれども、対外的にはちょっと厳しいのかな。その辺は、これからの国会対策上、検討をすべき点ではないかなと思うのです。  その中でさまざまな議論、論点があり、一つには、アメリカ、フランスから貿易と国際労働基準というふうな問題、とりわけ児童労働の問題が提起をされたやに報道され、また聞いております。労働基準、人道と人権の問題、そして貿易というものは非常に微妙にリンクする問題でありますので、この問題、ILOを含めて、いろいろ考えていかなければならないと思うのです。  一つ意見としては、人道的見地から、児童労働を使ったそういうふうな商品を自分たちの国が買うのはどうか、そんなものを輸入するのはどうかという意見は、意見としては私は納得ができるのではないか。ただ、これが過ぎますと、懸念されておりますように、保護貿易に名をかたった、だからその商品は入れないのだという保護貿易というふうな形になると思うのですけれども、この辺のお考えというものについては、通産省としてはどう考えていくのか。  そして二点目は、万が一これが貿易的な見地、保護貿易という観点からじゃなくて、がんがん人道的、人権的な方面からいうならば、捕鯨という、鯨というものは哺乳類で、かわいそうだからああいうものはとるのはいけないという、私たち日本人から考えたらそれはちょっとおかしいんじゃないの、そういう論理にすりかわっていく。それに対する対応、この二点について、通産省としては今どう考えているのか、お答えをちょうだいしたいと思います。
  67. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 お答えする前に申し上げたいのは、今のシンガポールにおける総会、行かなかったわけではございませんで、行きたかったのですが行かせてもらえなかったということをまず申し上げますが、ひとつ今の委員のような深い御理解を賜りたいと思います。  さて、御質問でございますが、そのときの会議にもあらかじめ議題に出ることはわかっておりましたが、今言ったように行けませんでしたから率直な話かどうかわかりませんが、これに対する対応というのは、労働基準の向上というのは各国に共通な重要な政策課題でございまして、基本的人権を擁護するという観点からはすべての国で何らかの有効的な対策を講ずるべきだという認識を持っております。  しかし、他方、今委員指摘のように労働基準というものを理由にする輸入制限措置というものは、保護主義の隠れみのになる危険性が高い。こういうことで、OECDにおいても、労働基準と貿易の流れについての明確なリンクは証明されない旨の報告が出されておりました。途上国の労働基準向上には、むしろさらなる貿易の自由化によって途上国の成長と生活水準の向上を図ることが効果がある、こんなふうに実は考えております。その点は、WTOシンガポール閣僚会議の閣僚宣言でもって合意されたところでございます。
  68. 吉田治

    ○吉田(治)委員 アメリカでは、児童労働に対する商品の輸入禁止を求める立法化の動き、ハーキン法案というらしいのですけれども動きも出ております。  では、具体的に、この閣僚会議において労働基準の問題についてどういうふうに主張をしてきたのですか。
  69. 林康夫

    ○林(康)政府委員 お答えを申し上げます。  WTOにおける我が国の労働基準、貿易に関する主張のポイントでございます。実はこの問題は、昨年の十二月のWTOで取り上げられた一連のURの議論で、ウルグアイ・ラウンドの議論で積み残しになったニューイシューの一つでございました。そして、先生御指摘のように、アメリカ等がWTOにおいて貿易と労働基準に関する作業を開始すべき、そして宣言文をつくるべき、こういう主張をいたしたわけでございまして、途上国と激しく対立をいたしました。  私どもの立場でございますけれども、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、十分な労働基準の確保が国際的に必要であるという基本的な立場は持っております。しかしながら、労働基準を理由とする貿易制限的な措置が結局保護主義に口実を与えるという観点から、労働基準向上の問題はむしろILO、国際労働機関において取り組むべきだと主張したわけでございます。  各国の意見調整の結果、結論でございますけれども、閣僚宣言においては、労働基準が保護主義のために使われてはならないとしながら、中心的な労働基準、いわゆるコア・レーバー・スタンダード、先生御指摘の搾取的な児童労働の排除という点も入っておるわけでございますが、その遵守に係る決意、そしてこのためのILOの作業への支持が盛り込まれたわけでございまして、この線に沿って、私どもも今後努力を続けていきたいと思っておる次第でございます。
  70. 吉田治

    ○吉田(治)委員 外務省の方、来ていただいておりますので、外務省もそのときに大分いろいろ主張をされたと思うのですけれども、有害な搾取的な児童労働を終わらせるための方法、例えば二〇・二〇イニシアチブ等々が言われておりますけれども、こうした考え方というのを外務省というか政府としてどういうふうにお考えになるのでしょうか。
  71. 貝谷俊男

    ○貝谷説明員 お答え申し上げます。  児童労働の搾取につきましては、児童の心身に有害であるばかりではなく、多くの場合、児童の教育の機会を奪います等、児童の人権の保護の観点から看過できない、極めて憂慮すべき問題であると考えております。  我が国が締結しております児童の権利に関する条約第三十二条には、経済的な搾取からの児童の保護を規定しておりまして、我が国は、国連総会等の場を通じまして、このような搾取に対する憂慮の念を表明いたしますとともに、同条約の締約国に対しましてその条約内容の十分かつ効果的な履行を求めてきているところでございます。  また、この問題への世界的な関心の高まりというような状況の中で、国連総会におきまして、児童の労働の搾取に関する決議というものが採択されておりますが、我が国は共同提案国となって積極的に対応しております。今後とも引き続き児童労働の搾取の廃止ということに向け、対応していく考えでございます。
  72. 吉田治

    ○吉田(治)委員 これは通産か外務か、どちらでも結構ですけれども、こういうふうな児童労働による商品の輸入というものが日本で拡大しているのじゃないかという懸念もあります。その実態というものは把握されているのか。されていなければ、これをどう調査また検討等していくのか、そういう予定があるのかどうか。こうした問題について、日本政府が黙って後をついていくのじゃなくて、イニシアチブをとるつもりはあるのか。  そして、最後に大臣、私は一つこういう提案をさせていただきたいと思います。先進国の子供が使うサッカーボールが児童労働で生産されているということが、今強く指摘されております。我が国日本は、ワールドカップ世界大会を韓国と共同で開催するということになっております。そこで使用するサッカーボールは、児童労働による輸入品は一切使わないということを主催国として宣言してはいかがかと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
  73. 林康夫

    ○林(康)政府委員 先生の最初の御質問でございますが、私どもの貿易政策において、いかなる過程でその商品が生産されたかということはとりあえずは調査対象にはしておりません。ただ、こういったILOでの議論の中で、こういった点も勘案されながらその議論が続けられているものだと思っております。  第二点目の問題については、その延長線上で、私どもといたしましては、むしろ途上国の労働基準向上のためには、さらなる貿易自由化によって途上国の成長と生活水準の向上を図るという大臣からのお答えをもってかえさせていただきたいと思います。
  74. 吉田治

    ○吉田(治)委員 こういう問題については、いつも後追いばかりで本当に残念だと思っておりますので、こういうことについては、今のサッカーボールのことも含めて積極的にイニシアチブをとっていただきたいと思います。  そして、最後になりましたけれども、先ほど古賀委員質問いたしました、大臣電力料金値下げ云々の話ですけれども、これに関しまして私は、やはり為替のマジックというのですか、日本が円高基調でずっと続けてきた。では、もしも万が一円安にぐっと振れて一ドル二百円になったときに、日本電力料金が世界比較にして高い高いと言い続けられるのかどうかというのは、私は甚だ疑問だと思います。  また、この電力料金の値段のみならず、先ほど大臣も答弁の中で触れられたエネルギー全体を考えた場合、大臣は甲子園は夏の方がよろしいというお話をされましたけれども、私はあえてそうじゃないと。一番最初大臣日本構造改革日本という国をこれから、今どうするかということを考えるのであれば、あえて通産大臣が文部大臣に、夏の甲子園を秋か冬かどこかそういうふうに持っていけと。そうすることによって国民も、日本というのは本当に大変なんだな、今それほど大変な状況に来ているんだなという形になるのではないかな、私はそういうふうに考えております。  一言大臣の答弁をいただきたい、かように思う次第でございます。
  75. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今の最後の話でございますが、甲子園云々、これは私の方の所管ではありませんが、同時に、やはり夏場に非常に電力の消費が伸びるというのは、甲子園だけが原因ではないわけでございますので、またそのうちに時代が変わってドーム球場というようなものが発達しますと、自然に解消する問題ではないだろうか、かように考えております。  今言われたように、電力料金の問題ですが、今申し上げているのは、このままでいったら日本産業空洞化がやはり進んでいくだろう。だから、できるだけあらゆることも想定するというか、一体何が問題あるかというと、確かに為替による変動というのはあります。ありますが、それ以前の問題があるのではないだろうか、そこにメスを入れていって料金を下げさせる、こういう考えでございますので、御理解いただきたいと思います。
  76. 吉田治

    ○吉田(治)委員 時間ですので終わりますけれども、何度も申し上げておるのですけれども、やはり規制緩和構造改革というのがなされていかなければならない。しかし、それは弱い者いじめであってはならない。そこで泣く人が出るのは、これは仕方がないかもしれない。しがし、その泣く人への対応というのを誤らないようにしなければ、一番最初に申し上げました、アメリカのように、アメリカンドリームだといって成功する人がいる反面、銃を乱射するとかさまざまな問題を起こす国もあるということ。との電力の問題は、例えば料金を下げるというと、まず雇用だとか労働条件だとかいうふうなものにも手をつけていかざるを得ない、そういうふうなものも含んでいるということだけ最後に申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたたいと思います。
  77. 武部勤

    武部委員長 次に、島聡君。
  78. 島聡

    ○島委員 新進党の島聡でございます。何分初質問でございますので、よろしくお願い申し上げます。  さきの商工委員会佐藤通産大臣麻生経済企画庁長官ともども経済構造改革が急務と述べられたわけでございます。私は、この経済構造改革について、三つの観点から質問を申し上げます。  第一は、規制緩和を中心にした経済構造改革には痛みを伴うと今言われておりますけれども、この痛みの認識について政府がどうも楽観視し過ぎているのではないか、第二は、空洞化対策としての新規産業育成についてでございますが、どうもこれは官庁の壁、縦割り行政によって進まないのではないか、第三は、国際的産業立地競争力のある事業環境の整備としての高コスト構造の是正、これもまた縦割り行政によって進まないのではないかという観点から質問を申し上げる次第でございます。  第一の質問に入りますが、先ほど古賀委員質問にもありましたように、産構審の報告によりますと、今から五年間で百二十四万人の雇用が減少する、製造業は現在千三百六十万人ですから、これは約十一人に一人という非常に重要な問題であると思っております。  このように、雇用問題が発生する中で、さらに規制緩和を中心としたものが進められる。そうしますと、今の空洞化による雇用の喪失と規制緩和によるいわゆる雇用の喪失というのがあった場合に、一体痛みという、失業率というのはピーク時でどれぐらいになるのかということをきちんとお答えいただきたいと思うわけでございます。  特に、先ほど経済企画庁長官、元経営者としての御意見をいろいろとおっしゃいました。ちなみに、現職の経営者がどう言っているのかといいますと、昨年の八月九日の日経連トップセミナーでは、規制緩和により失業率は八から九%になるとの発言が相次いだと日本経済新聞では報じられている次第でございます。  このように、ピーク時において、一体痛みというのがどのようになるのかということをお考えなのかを通産大臣及び経済企画庁長官にお尋ねしたいと思います。
  79. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今、失業率のピーク時、これが一体どれぐらいになるのかというふうな御質問でございましたが、御案内のごとく、この失業率というのは本来労働力の需給のバランスで決まってまいりますし、また賃金の変動によって調整されるというふうな認識を持っておりまして、こうして経済社会が目まぐるしく変化する中で、将来の失業率の予測をすることは非常に困難だということをお答えしたいと思います。  そして、先ほどから申しているように、いわゆる経済構造改革、痛みを分かち合うという中には、今橋本総理が中心になって、火の玉になっていく、表現によっては火だるまということがありますが、自分の身が燃焼してまでやる、やはり火だるまも痛いのだろうと思いますので、その点も御理解いただきたいと思います。
  80. 麻生太郎

    麻生国務大臣 失業率のパーセントが一番厳しいときでどれぐらいになるかという指標はちょっとございませんので、経済構造改革をやってまいりました場合において、平成十二年度において現在の失業率が二と四分の三%になるであろうと思っております。ただし、これを全然しない場合、経済構造改革に手をかけず今のままほうっておいた場合はどうなるかといえば、平成十二年度の完全失業率は、それのちょうど一%上の三と四分の三%程度まで上昇するであろうということを予想されているところであって、この種のモデルケースというのは年度ごとに出すモデルとは全然違いますので、今申し上げたような数字になろうと思っております。
  81. 島聡

    ○島委員 まだ全然明快な御回答がなかったと思いますけれども、政治というのはプリペア・フォー・ザ ワースト、最悪に備えてきちんとそれを見て、その上でやりませんと、私は、経済構造改革というのは日本にとって非常に重要な問題であると思っておりますから、それは進めるべきだと思うのです。だけれども、この雇用問題というのを直視せずにそれを進めるだけでありましたら、これは無責任でありますので、この問題につきましてはきちんと政治の責任で、どれぐらいになるか、痛みはどれぐらいか、国民にも説明し、そしてその上で進めていくという姿勢を今後ともとっていただきたいと思う次第でございます。  時間の関係で次の質問に入ってまいります。  私の選挙区は愛知十三区と申しまして、先日火災に遭いましたアイシンがある場所でございます。自動車産業の町でございまして、五つの市の合計の人口はたった四十三万人なんですけれども、工業出荷額は三兆七千八百二十四億円ありまして、宮城県よりも大きな工業出荷額を持っている地域でございます。全国六百六十四都市中で、二次産業で働く比率が六一・二%という一位の高浜を中心としまして、あと五位の刈谷、十位の碧南と、五つありますけれども、三十位までに全部が入っているという製造業の地域でございます。  したがって、ここは自動車産業の町でございますので、日本で最も国際競争力のある産業集積の町であるということを私自身も自負をいたしておるわけでございますが、この町でもやはり将来の産業空洞化に対しての懸念というのは非常にあるわけでございます。その中で、新規産業創出に一生懸命みんな挑戦しておるわけでございますが、その中で特に情報通信産業についてお聞きいたします。  平成八年、昨年の十一月に出されました産構審の基本問題小委員会の中間取りまとめというのを読みますと、新規成長産業、十四分野あるそうでございますが、情報通信産業というのは、市場規模で流通に次いで二位だし、雇用規模でも医療福祉に次ぎ二位でございます。ですから、新規産業のエースであろうと私はこの情報通信産業を思っておるわけでございますが、ここが実は一番縦割り行政がありまして、非常に問題になってくるところだと思うわけでございます。  さすがに橋本総理も同じ御見解のようでございまして、九六年七月三十一日、首相官邸に堤通産、五十嵐郵政両次官を呼ばれて、情報通信基盤整備で両省の縦割り体制を直せといって強く指示されたそうでございます。非常に政策通の総理で、よくこんな細かいところまで御存じだと思ったわけでございますが、総理にしておくのは惜しいと思いましたけれども。そのときの指示に、通産省の組織を改廃、日本電信電話、NTT株売却益を活用して設立した基盤技術研究センターが両省の争いで、縦割り体制で機能していない、だからそれをきちんとしろというような指示があった由聞いております。  きょうも朝日新聞で報道されたようでございますけれども、この総理が直接指示された基盤技術研究促進センター、これは小さな問題かと思いましたけれども総理が指示されたわけですから、ぜひとも、今後これをどのようにしていくのかということの御検討を、これはもう昨年の七月三十一日にやっているわけでございますから、十分検討がなされておると思いますので、今後どのような形でなされるかということを通産大臣にお聞きいたしたいと思います。
  82. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今島委員指摘のように、古い歴史というか問題があったことは事実でございますが、それはそれとして、昨年の七月に総理からの御指示がございました。そういうことで、要は、一口に言えば通産と郵政が手をつないで仲よくやれ、こういうことだったと思いますが、この基盤技術研究促進センターの活性化のために、具体的な方策としては、まず、新規事業の創造に向けた民間研究開発ニーズに対応するために、従来の基礎研究を中心とする支援、これはやっておりましたが、それに加えて、研究開発型企業事業化を目指した研究に対する出資、融資制度平成九年度より創設する、本制度の運用に当たっては、鉱工業、電気通信の区分なく一体的に業務を推進する、こういうことで、今後とも通産、郵政両省の連携を保ちながら、この協力関係のもとに新規事業の創造に対して民間研究開発を支援してまいりたい、かように考えております。  それから、今最後の方に出ましたように、きょうの朝の一部新聞に出ました、技術センターに対して二千億ぐらい出資をしているが見返りが少ないじゃないか、こういうことでございますが、今も申し上げましたように、今まではややもすると基礎研究ということに力点を置いておりましたので、やはり基礎研究というものは時間がかかるということでございまして、しかし、それにもかかわらず、もう今既に三千件ぐらいの特許を出願しておりまして、そのうち四百件ぐらいは特許がおりている、こういう事実でございますので、いましばらくこの成果というものはお待ち願いたい、かように考えております。
  83. 島聡

    ○島委員 今お話がありましたように、基盤技術研究促進センター、今二千億もの資本金等々となっております。非常に大きな問題であると思います。きょうは余り突っ込みませんが、この出資実績というのを見ると、できたのは昭和六十年、そのときにメーンの事業である出資、昭和六十年度には新規案件が二十五件あります。六十一年度は二十二件あります。メーンの出資を取り上げておるのですが、平成七年度はたった四件、六年度六件、今六十年度から七年度まで十一年のデータで言っておるのですが、要するに、初年度は出資実績の出資案件が二十五件あったのに、平成二年度、この二年度というのはこれから資本金一千億円超した年でございますが、そこから先の五年間で三、五、五、六、四で二十三しかないという、そういうような状況でございます。この問題につきましては、今後とも私自身、興味、関心を持って質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げまして、次の質問に入らせていただきます。  それで、その縦割り行政というものは、シンボリックな状況のときに一番よくあらわれるわけでございます。シンボリックな状況によくあらわれるわけでございますが、最もシンボリックな状況というのは、例えば国際社会から比較した場合、国際的な会議にどういう形でコミットしているか、あるいは出席しているかということであらわれるわけでございますけれども、国際的に見ると、縦割り行政が非常に奇異に見えるわけであります。  特に、今から申し上げますのが、アジア太平洋経済協力会議情報通信会合がありますと、日本だけ閣僚級が二人出席するわけであります。例えば第二回の電気通信情報産業大臣会合では、カナダは産業省のモーリス産業大臣政務次官のみ、ニュージーランドは通信省のモーリス通信大臣と、十七カ国中十五カ国が一人だけです。アメリカは国務省、電気通信情報庁、連邦通信委員会と三つから来ておりますけれども、これもそれぞれ大使、次官、委員でありまして閣僚級ではない。日本はお二人、昨年でまいりますと日野郵政大臣と坪井通産政務次官が御出席であるというわけでございます。ほかの国際会議の事例では他の国も二人出ている場合があるということはもちろんよく存じてはおりますけれども、このAPEC、ほかの十五カ国は一人、ここは日本は二人なんだから、橋本総理は通産と郵政きちんと調整をしろとおっしゃったわけですから、今後この問題についてどのような対応をとられるのか、通産大臣にお聞かせいただきたいと思います。
  84. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今おっしゃることの意味はよくわかっております。私も現実問題としてそういうことを感じないわけではありません。そのために行政改革というもの、これを絶対に推進というか実行しなきゃいけない、かような気持ちでございます。
  85. 島聡

    ○島委員 当然そうでございますが、つまり、経済構造改革は急務の課題でありますし、そしてまた省庁の再編はいつごろになるかわからない、非常にこれは論理矛盾だと思うわけでございますが、きょうは、初めてでございますし、時間の関係がございますので、これぐらいにして、また今度質問させていただきたいと思う次第でございます。  最後の三番自の質問に入らせていただくわけでございますけれども、要するに公共事業の高コスト構造の是正への取り組みでございます。  経済構造改革プログラムにおきましては、物流などに係る時間短縮とコスト削減を目標としていらっしゃる。それで、道路、港湾、鉄道、空港など、建設コストの低減を含めて効率的な基盤整備を促しているということでございます。当然、効率的な公共投資を実現するためには割高な建設コストの是正が必要であるわけでありまして、建設分野では、例えば今丸投げなどという問題がありますけれども、そういうようなことや資材調達の際の不透明な価格決定といった商慣行があるわけでございます。このような問題につきまして、今後通産省の取り組みとしてどのようにされていくのか、特に商慣行調査の実態その他についてお聞かせいただきたいと思います。
  86. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今の御質問の点でございますが、総合物流施策大綱、これは仮称ですが、これについては、経済構造の変革と創造のためのプログラムにおいて平成八年度中に策定することとされております。現在、本年度中の策定に向けて、関係省庁と連携のもとで、事業者、地方自治体等からのヒアリングを実施しているということでございます。  一方、経済構造の変革と創造のためのプログラムに盛り込まれた民間建設工事の商慣行調査については、総合物流施策大綱の策定後、平成九年度中に関係省庁との連携のもとで実施していく予定でございます。
  87. 島聡

    ○島委員 調査はわかります。それは事前にお尋ねをしたわけでございます。調査はするは結構でございますけれども調査をした後、一体どのようにされるのか、どのようにその高コスト構造是正というのに取り組んでおられるのか。  これはぜひとも通産大臣及び経済企画庁長官にもお聞きしたいわけでございますけれども、各省庁間にまたがって、公共工事のコスト削減についていろいろな関係閣僚会議も取り組みを進めているということでございます。調査はする、だけれども、その後はもうほったらかしにするというのでは全然実行ができないわけでございますので、調査をした後、一体どのような形で進めるおつもりなのかということをお聞かせいただきたいと思います。
  88. 麻生太郎

    麻生国務大臣 いわゆる公共工事に関するコストが高いというところで、いろいろ御説が、何割高いとかいろいろ数字が出ておるのは御存じのとおりですけれども、昨年の十二月に閣議決定をさせていただいておりますが、公共工事の建設コスト縮減のためということで、いろいろ今行動計画が出されたところでありますけれども、今年に入りまして公共工事コスト縮減対策関係閣僚会議というのが正式に設置をされております。  今や一斉に出ておるのですが、公共工事というと何となく建設省とお思いでしょうが、早い話が、道路に立ってそこに車追いがオーライ、オーライとやっているのは、あれはヨーロッパで見たことないと思いますが、あれは、大体自前でやることになったら、このぐらい全部を人を雇ってやらなきゃいかぬという規則になっておるわけですから、あれは全部公共工事に上乗せされますので、あれだけのライトを持って振る人間が本当に必要ですかということを含めて、これは実に細々したところがいっぱいありますので、これは何省庁だかちょっと数は、十何省庁にわたってみんなでやらぬと、とてもじゃないけれども、一部の建設費だけが高いとか丸投げだけが問題だとかいうのではなくて、全部に手をつけぬといかぬ。とてもできる話ではありませんので、何とかしろということで、それでもとにかく各省庁に出せということで、今年度末、すなわち来月末までをめどに政府全体としての行動計画を作成せいということになって、目下策定作業は進んでおります。  大体、こんなのは長くかかるのは当たり前なんですが、そんな長く閣僚をやっている当てもありませんので、早いところやらないとつまらぬということになって、三月末までに建設省ですら例の建築基準法の見直しをやるという話が出ておりまして、これを本当に三月末に大まかなところまで出すと言い切っておるところまで来ております。結構閣議の中ではこれの詰めば激しいことになってきておりますので、これが三月末に出ました段階で、あとのフォローアップで正確なことが申し上げられると思っております。
  89. 島聡

    ○島委員 同じことを通産大臣にもお聞かせ願いたいと思います。
  90. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 同じ答えにならないと閣内不統一になりますから。  今、麻生長官からの答弁にあったように、今閣僚会議、この中でも問題になっておりますが、私の方としては資機材の方面にはかかわりがございますので、その中においてやはり問題になるのが、一口に言うと、商慣行というものがどこまで直せるかというのが実は私はポイントだと思っております。
  91. 島聡

    ○島委員 つまり、今お話を承っておりましても、今議論する、討議するというだけなわけでございます。  先ほど申し上げましたように、経済構造改革というのは、こういう意味ではこういう形でいきますと、いろいろ各省庁間にまたがっている問題が多い。また、新規雇用創造でも、先ほど佐藤通産大臣おっしゃったように、私おっしゃる意味はよくわかっておりましたが、ぜひやってほしいのですけれども、きちんと縦割り行政を調整をしていただいて、それで情報通信産業を育成するなら育成する、あるいは規制をもう責任を持って緩和するというのであれば、各省庁間を超えた上で物事を進めていかなくては、絶対にこれは実現できないわけであります。  これはラストツーの質問になりますけれども、ぜひとも麻生経済企画庁長官及び佐藤通産大臣、この経済構造改革を進めるに当たり各省庁間の縦割りをどのように超えるかということを、経済構造改革の先頭に立つ経済企画庁長官、通産大臣として、それへの決意をお答えいただきたいと思います。
  92. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今まさにそのことが、これからの構造改革が成功するかうまくいかないかというかぎだと思います。一口に言うと、それが上に立つ者のリーダーシップということになると思います。
  93. 麻生太郎

    麻生国務大臣 私ども経企庁はもともと各省の調整官庁でありますので、昨年の十二月にもう既にこの種の話は出てきておりましたので、実態を申し上げさせていただければ、第二次橋本内閣ができました十一月ごろと昨年末の十二月後半ぐらいは、各省庁を所管しておられる大臣も、まあ難しいのはみんなよく御存じなところですから、規制を緩和するといい思いをされる方もいれば、逆に痛い目に遭われる方も両方いらっしゃいますので、これは痛い目に遭われると思われる方の声が大きくなるのは当然のことですから、そういう話を聞かれると、何となくこれはとても難しいと思っておられた方ですが、おかげさまで、いろいろ世論、またいろいろなジャーナリズムの話などが追い風にもなり、加えて、この間の選挙で、各政党、皆行革やりますと言われて選挙をやっておられますので、今さら反対もいかがなものかというようなこともフォロー、追い風になって、十二月ごろから私どもが伺っております各大臣方、皆とにかく条件折衝にまでなりまして、最初はとても難しい話が、三年はちょっと無理だから五年にせいとか、とにかく一応する前提で話が前向きに変わっていった。さらにその期間が短くなってきて前向きに進んでき始めたというのが正直私ども実感として感じております。大変ありがたいと思っておりますので、こういう声がしゅんとならないように。  今地方に参りますと、皆さん方地元を回られておわかりでしょうが、もうそろそろ規制緩和はこれくらいにしてくれ、これ以上しなくていいよという声が結構地元に行くと上がるはずですが、そういう中にあって進めることは、結果として消費者物価は下がり、国民全体に影響が出ればいいという前提で、これはかなりいろいろ御意見があろうかと思いますが、御意見のとおり積極的に進めていきたいと思っております。
  94. 島聡

    ○島委員 ということで、省庁間の枠を超えていろいろなことをなさるという決意を今お聞きしたわけでございますので、最初の、経済構造改革で一番大事であろうと言われている雇用問題をもう一度お聞きしたいと思います。  つまり、割と楽観的な話をされたわけでございます。当然、新規産業を育成すればそちらに行くからいいんだよという考え方もございましょう。しかし、その雇用の移動のときには一人一人の人生があるわけです。これは経済学的に言えば、移動をするときに摩擦的な失業というのが発生するということはよく言われるわけでございます。ですから、最も重要なことは、この経済構造改革の最大のポイントは雇用であると考えた場合には、この摩擦というものを、新規産業を育成してそこに移動するまでのこの摩擦というものをどのように少なくするかという施策考えることが必要であろうと思うわけでございます。  この摩擦的失業の摩擦をいかに低くするかということにつきまして、経済企画庁長官及び通産大臣にお聞かせをいただきたいと思います。
  95. 麻生太郎

    麻生国務大臣 御指摘にありましたように、例えば、アメリカでかつてこの種の経済構造改革が実行された期間において、二次産業に勤めている人の数が減って三次産業の方がふえて、結果として新しい雇用が生まれたということになっておりますが、その内容につきましてはいろいろ御意見のあるところなんであって、あの数字だけ見ていたらうまくいったように見えますが、それは二次から三次に移った人たちのその精神的なものも含めて、また、得られます所得につきましても、これは二次と三次ではかなりの差がある業界もある、逆に高い業界もあるのですが、そういった面ではすんなりみんながみんなうまくいったわけではないことは、もう委員御存じのとおりであります。  したがって、今回のいわゆる経済構造改革の六つの分野の中に雇用というところが一つありますが、あの分野におきまして、もう既に有料職業紹介所というのが、今まではいわゆる職安の握っておられた範囲だったのですが、それを有料職業紹介所ということで、かなりな部分を大幅にその規制を緩和していただくこととなり、例えば、地方でいえば商工会議所などでそういったものがやれるような形に法律的な改正をして、そういったものが職安に頼ることなく、そういった有料職業紹介をして、住民なり従業員とより密接な関係にありますいろいろな団体でそういったことができるように規制を緩和するなど、目下いろいろ努力をさせていただいている最中であります。
  96. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 きょう初めてお会いするので、どういう御質問なのかよくわからなかったのですが、今のお話を聞いてよくおっしゃらんとするところがわかりました。  今言われることはもっともでございますので、やはりこれからの時代に対して新しい雇用の担い手、これをいかにしてつくり出すか、いわゆる新規産業というものを創出することが重要だと思っておりまして、そうした観点からいうと、やはり個別産業、分野ごとのニーズに対応した規制緩和、それから人材の育成、技術開発、こういうものの総合的な施策が必要ですし、また、特にこの課題というのは、要するに資金と技術とそれから人材面の施策でございまして、そういうものに対して、やはり万遺漏がないような総合的な施策というものを講じていきたいと思うのです。そして、今言われるように、何といっても、人がその地域において自分の好みの仕事ができるという社会をつくらなきゃいけない、かように思っております。
  97. 島聡

    ○島委員 何分初めてのことでございますので、私の方はよく予算委員会でお顔を拝見しておったわけでございますけれども、ネクタイも同じ色に合わせてみましたが・・・。  ただ、今申し上げたかったことは、雇用問題が一番重要であろうということと、それから、二つ、縦割り行政のシンボリックなことを取り上げました。この基盤技術研究促進センターにつきましては、今後ともしっかりと私も追及させていただきますし、APECの閣僚会議等々につきましては、橋本総理が指示したことが一体どこまで本当に浸透しているのかということを検証したかったわけであります。どうも、余りうまく橋本総理の指示が伝わっていないなというのが私の感想でございます。ということは、橋本総理のリーダーシップが必要である。ということは、リーダーシップが必要であるといっても、リーダーシップが発揮されていないじゃないかということが検証されたというのがきょうの私の趣旨でございます。ですから、経済構造改革、本当にこれから日本にとってまさしく重要な問題であると思っております。  今までの日本の政治というのは、どうしても保護と規制に守られたところに立脚したのが日本の政治でございました。これからはそうじゃなくて、本当に一歩でも二歩でも日本経済を進めていく。残念ながら、今の橋本政権ではそのリーダーシップも発揮できない、あるいは、縦割りの官僚システムが敵になって、阻害されて進まないということがきょう証明されましたので、これからも厳しく追及することを宣言いたしまして、初質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  98. 武部勤

    武部委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ————◇—————     午後二時一分開議
  99. 武部勤

    武部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松本龍君。
  100. 松本龍

    ○松本(龍)委員 民主党の松本です。  去る二月十七日に三井三池鉱が閉山を提案をいたしました。先ほど古賀正浩委員が若干質問されましたけれども、まさに百二十四年にわたる長い歴史が三月三十日をもって閉じられようとしています。  まさに今、梅の季節から、三月三十日、桜がつぼみを始めるころになりますけれども、まさに花を見る間もなく、地元の方々はこれからどうなるんだろうという大きな不安の中で今生活をしておられるというふうに考えています。戦後の日本の繁栄を支えてきた一方で、相次ぐ災害でたくさんの方々がとうとい命をなくされ、またいまだにCO中毒患者等々、多くの方々が苦しんでおられる状況があります。その光と影の歴史を見たときに、この閉山は、私、直接産炭地に生まれておりませんけれども、まさに万感胸に迫る思いがいたしております。  そういう意味で、まずお伺いをいたしますけれども、このときに当たって、やはり閉山交付金が適正かつ速やかに交付されることが望ましいと私自身考えておりますけれども、その支給条件、私はその炭鉱の坑口が閉鎖されたときというふうにされていると伺っておりますけれども、その辺のところの事情を御説明を願いたいと思います。     〔委員長退席、小川委員長代理着席〕
  101. 江崎格

    江崎政府委員 閉山交付金の仕組みでございますけれども、御指摘のようにこれは石炭鉱業の閉山の円滑化を図るために、石炭会社が従業員に支払う退職金の一部などにつきまして会社に代位して従業員などに支払われる交付金でございまして、交付の額は、関係法令に規定されております基準に基づきまして、閉山会社が個々の社員の勤続年数ですとかあるいは石炭の生産数量などの具体的数値から算出されるものであります。  それで、手続ですけれども、これは閉山しようとする会社が石炭鉱業構造調整臨時措置法などの関係法令に基づきまして交付の申請を行います。それで、鉱業の廃止が確認されていること、つまり具体的には坑口の閉鎖の確認を条件にしまして、その上で支払うという手続になっています。
  102. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今、坑口の閉鎖ということが条件であるというふうに言われましたけれども、三井三池鉱の場合は十九本の坑口があるというふうに聞いておりますし、また坑内のたまった地下水等々をポンプアップをしなければならない、長期間にわたってそういう作業があるとされています。つまり、閉山それから坑口閉鎖それから交付金のルールにのっとれば、相当おくれるというふうに考えておりますけれども、この交付金は、今長官から言われましたように、退職金等々、また関連企業や地域の振興にも多大な影響を与えるというふうに考えております。  そういう意味で、通産大臣、弾力的な運用等々、先般の予算委員会で私お伺いをしましたけれども、一日も早く閉山交付金が給付されるように要望したいと思いますが、大臣の御所見をお伺いをいたします。
  103. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 三井三池炭鉱の閉山が決定して、そして会社から閉山交付金の交付申請が行われた場合には、会社による閉山対策が円滑に行われるよう、法令に基づき所要の金額の交付が遺漏なく行われるように努めてまいりたいと思います。  特に、交付の時期の問題でございましたが、これは鉱山保安法上の特別の許可によって一部坑口の閉塞義務を免除して、そういうことの措置によってできるだけ可能な限り早期の交付に努めてまいりたいと思っております。
  104. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今、特別許可を行う等々というお話がありましたけれども、このことに対してかなり地元の方々も大きな不安を持っておられますので、一日も早い交付ができますように重ねてお願いを申し上げたいと思っております。  先ほど、いまだにCO中毒等々で苦しんでおられる方があるというふうに私申し上げましたけれども、人的な問題等々と、もう一つ、自然環境の後遺症の問題がこの三池炭鉱の場合ありますわけで、実は石炭の採掘で有明海の海底が広範囲にわたって陥没して、漁業初めさまざまな被害が出ています。  有明海は豊富な漁業資源に恵まれた全国有数の漁場で、海の宝庫と称されていますし、沿岸には七千世帯、また一万八千人の漁業従業者が生活を営んでいて、地域にとっても重要な産業一つであります。そういう中で、会社は八一年度から要求を受けて埋め戻しをしていますけれども、九六年八月現在、まだ半分も終わっておりません。この状況の中で、閉山後はどうなるのだろうという不安が地元の皆さんにあるわけですけれども、このことに対してどう対処をされていくのか、通産大臣の御所見をお伺いをいたします。
  105. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 この三井三池炭鉱の生産活動を一因とする海底陥没、こういうことによって地元の漁民の皆様が大変御苦労されていることはよく理解しております。  そういうことで、現在会社が漁業関係者と協議をして埋め戻し等の対策を講じておりますが、今後とも会社に対して適切な対策を講ずるよう指導してまいりたいと思っております。  また、有明海沿岸の水産振興を図る観点からは、福岡県の有明海水産振興対策協議会における調査に対し、産炭地振興臨時交付金により支援をしております。今後、地元自治体から水産振興に関する具体的な計画が出された場合には、当省としては関係省庁とも協力をとりながら、どのような支援が可能か、これを検討してまいりたいと思っております。
  106. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今、交付金のことまで触れられていて、大変ありがたく思っているわけですけれども、もう一点、やはり今不安に思っているのは、清算会社として三井石炭鉱業が引き続きできると思うのですけれども、その清算会社の三井石炭は、無資力ということで負担力がなくなるのではないかという不安があります。  それとも親会社の三井鉱山がそれを肩がわりして行うことになるのか。仮にこういうことが会社がきついということになれば、臨鉱法等々で担保できるというふうに私ども素人は考えますけれども、臨鉱法によれば、鉱業権者が無資力の場合は、宅地、農地に限り国や自治体が復旧の責めに任ずることになる。  また、公有地たる海底は法の対象外となっておりますけれども、片や会社ではできない、片や臨鉱法でもできないということになると、これまた厳しい状況があります。そういったところをしっかりやっていただくことを重ねてお願いを申し上げたいと思いますけれども、もう一度御答弁を願えたらお願いを申し上げます。
  107. 江崎格

    江崎政府委員 三井石炭鉱業でございますけれども、最近採掘状況が非常に悪化しているというようなことで、閉山に至るといいますか、そういう提案をしているわけでございます。  今後どうするかということにつきましては、私どもとしては、三井石炭鉱業それからその親会社であります三井鉱山が、鉱害復旧ですとかあるいは離職者対策、こういったことに万全を期すよう、存続をして社会的な責任を果たすようにという方向で指導をしてまいりたいというふうに思っております。
  108. 松本龍

    ○松本(龍)委員 このことは本当に万全を期してやっていただきたいというふうに思っております。  続きまして、地盤沈下の問題ですけれども、私もこの間柳川や近辺の大和町の皆さんとちょっと陳情書を見せていただいたのですけれども、海底陥没に関しては昭和五十年ごろから有明海の同沿岸地域の陸上部の沈下の被害が広域にわたって発生し、最大で一・七メートルも沈下し、現在も進行している。この事態を憂慮して関係自治体、議会がこの原因究明と対策を国、県に要望してまいりました。また、過去学識経験者などによって原因究明調査も実施されてまいりましたが、今日に至るも確たる沈下原因もわからずに来てまいっております。  つまりグレーゾーンにあるわけですけれども、多くの地域住民は、石炭採掘による直接的な陥没による影響でなくとも、陸上部に接近している海底部の石炭採掘による水の湧流出を原因として陸上部の陥没が発生していることは間違いないと言っておられるわけで、原因究明もさることながら、今日までほとんど対策らしき対策がなされず、降雨量で地域住民は宅地、農地が冠水して甚大な被害に苦しめられております。  今回の三池炭鉱の閉山によって、原因究明はもちろん、原状回復措置などの見通しも立たず、ますます放置されることになるのでまと地域住民は強い不安を持っておりますけれども、この辺のところの実情をどう把握されてきているのか、農水省の方にお伺いをしたいと思います。
  109. 安江二夫

    ○安江説明員 お答えをいたします。  この地域の農地の地盤沈下につきましては、関係機関と協力いたしまして実情の把握に努めてまいったところでございまして、昭和五十七年度に学識経験者等によります大和干拓地盤沈下等原因調査委員会、また昭和五十九年度より四年間をかけまして農地保全基礎調査によります地盤沈下の状況、原因究明等の調査を実施してきたところでございますが、これらの調査の結果からは当該地域の地盤沈下の原因を特定するまでには至らなかったところでございます。しかしながら、地盤沈下に伴います農地の排水不良等の事態に対しましては、排水改良を行う湛水防除事業やかんがい排水事業等を実施してまいりまして、農業被害の軽減を図ってきたところでござます。  現在実施をしておりますこれら事業につきましては、効果の早期発現が図られますよう、今後とも円滑な事業推進に努めてまいる所存でございます。
  110. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今お話がありまして、原因が特定できない等々言われましたけれども、そこで生きてそこで暮らしてそこで苦しんでおられる方が現にあるわけですから、その辺のところも十分配慮をしていただきたい。  先般、新聞の社説でこういうことが書いてありました。三井石炭鉱業を国策会社として手厚く保護してきた国にも海底陥没や地盤沈下に対する責任があるのは言うまでもないというふうに書いてありましたけれども、まさに臨鉱法等々の世界ではないと今言われましたが、臨鉱法では「国土の有効な利用及び保全並びに民生の安定を図り、」ということが明記をされておりますので、このことからも、通産大臣、関係がないと言わずに、このことにも鋭意取り組んでいっていただきたいというふうに考えております。  次に、地域振興対策、中小企業対策の話に移りますけれども、私も二月の初めに大牟田市内に行ってまいりました。ちょうど土曜日でしたけれども、中央の商店街がシャッターをおろしているところが非常に多いわけで、この間新聞を読みますと、大牟田市の繁華街では貸し店舗の張り紙が非常に目立つ、また百三十店舗のうち新栄町では二割強が今店を閉めている。今のこの経済状況の中で二割強の店が閉めているわけで、そこの商店街の理事長さんなんかは、これまでの炭鉱の合理化や規模縮小がボディーブローなら、今度の閉山はもうノックアウトパンチ、目の前が真っ暗になるというふうに言われております。  離職者対策、地域振興、中小企業など喫緊の課題でありますけれども、例えば大牟田市の場合、中心市街地が三池炭鉱の石炭専用鉄道で二分されて、商工業はもちろん、町の発展を大きく阻害しております。三池炭鉱閉山後は石炭積み出しの使命も終わった当該専用鉄道部分約一・五キロは不要となるわけで、もし不要となったら当然撤去しなければならない。この撤去後の線路跡地を中心市街地の商工業活性化のために有効活用してほしいという強い要望が地元商店街の総意としても出されております。  これは参考までに申し上げますけれども、それほどやはりこれからの地域振興、中小企業の振興、あるいは商店街の活性化等々、これから大いに取り組んでいかなければならないと思うわけですけれども、この点についてどう取り組まれていくのか、長官の方からお答えを願いたいと思います。
  111. 江崎格

    江崎政府委員 三池炭鉱の閉山に伴います地域振興の問題でございますけれども、私どもとしましても、もし閉山に至るということになりますと、地域の経済情勢に大変大きな影響があるというふうに心配をしております。  通産省としましては、閉山という事態になった場合には地域対策に万全を期すようにということで会社を指導したいというふうに思っておりますけれども、国としましてもこれまで以上に地元の自治体ともよく十分相談をし、また関係の省庁とも連絡をとりまして、地域の発展基盤になります港湾ですとかあるいは道路の整備といったようなことに取り組みたいと思いますし、また企業の誘致の推進、それから工業団地等の産業基盤の整備などを図っていきたい、このように考えております。
  112. 松本龍

    ○松本(龍)委員 このことに関しても鋭意努力をしていただきたいというふうに思っております。  それでは、最後に両大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、まず通産大臣の方からお願いをいたします。  今回の閉山は、おととしの空知、そして三年前の赤平、同様にどこの閉山でもそこで働く人々、また地域の皆さんは苦しみを持ってこれを乗り越えてこられたというふうに思うのですけれども、少し当時と違う要素が私はあると思うのは、今度は、先ほど来ずっと委員会質問があっていますように、大変経済が厳しい状況である。昨年の十二月の有効求人倍率が全国で〇・七六です。そして福岡県は〇・五六という状況になっています。失業率も相変わらず高いわけで、これからまた閉山が三月三十日ということになって、四月一日からは、来年度からはまた消費税や所得税減税打ち切り等々負担が大きくなってくるわけで、まさにダブル、トリプルのパンチが地域にかかるかというふうに思っております。  そういった時期にあるということをちゃんとお考えの中に入れていただきまして、大臣御出身の山口県は、九州・山口経済連合会というのがありますように、福岡と山口県はまさに関門というもので結ばれておる地域ですから、特段の御配慮をお願いしたいと思いますけれども、この閉山提案がなされて閉山に至るまで、またその後もしっかり雇用の面も含めて頑張っていただくという決意をお願いをしたいと思います。
  113. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 閉山に至った場合には、地域の経済情勢や雇用状況、こういうものも大変大きな影響があることは十分に予想されます。  そこで、通産省といたしましては、会社に対して、先ほど御説明申し上げましたように、閉山交付金の交付等を通じて、まず閉山が円滑に行われるよう支援してまいります。そしてまた、今御指摘のように、離職者の再雇用対策及び地元への企業誘致等の地域対策については、会社に対して万全を期すよう指導するとともに、引き続き三井鉱山グループの行う新分野開拓事業、これを支援してまいりたいと思っております。さらには、工業団地の造成、地域の活性化に資するプロジェクトの推進等により、地元の自治体、各省庁とも密接な連携をとりながら、地域対策、雇用対策、こういうものに万全を期してまいるつもりでございます。
  114. 松本龍

    ○松本(龍)委員 どうもありがとうございました。  最後に、麻生経済企画庁長官お話を伺いたいと思います。  おくればせでありますけれども経済企画庁長官御就任、心より同郷の後進としてお喜びを申し上げたいと思います。頑張ってください。  同じ福岡出身でございますし、私は福岡市の出身ですけれども、当然福岡市のこれまでの発展は筑豊の炭鉱、あるいは大牟田の炭鉱が戦前戦後を通じて寄与してきたことは、私は福岡市に住んでいる人間としてそういう認識をいたしております。飯塚市長も、また北九州の商工会議所の会頭も、この閉山問題については協力をしていきたい、できる限りのことはしていきたいというふうなコメントを新聞で発表されておりますけれども、それに関しまして、山に生まれ、山に育ち、山の盛衰をずっと見てこられた長官に、長官としての立場、また長官を乗り越えて一人の政治家として、この問題にこれからしっかり取り組んでいただきたいわけですけれども、その辺の御決意をお願いを申し上げたいと思います。
  115. 麻生太郎

    麻生国務大臣 昭和三十五年、三井三池の大争議というのがありまして、労務管理をおろそかにした会社の末路を見に行こうじゃないかと言って、当時、私のおやじに言われて、三井三池の大争議の現場に三井鉱山のキャップランプをつけて入った記憶があります、大学生ぐらいだったと思いますが。  そのときにアジ演説をしておられた方が、三井はつぶれても山は残ると演説していた人が、奥田八二という、当時九州大学の先生だったのですが、その人が知事になり、結果として山はどうなったかといえば、山はつぶれて三井は残ったというのが結果なので、あのニュースを見たときに、ああ、あの奥田八二の言った日とはちょうど逆になったなというのが私は正直な実感だったのですけれども。  筑豊の周りの山は、いずれも大手が最後に昭和四十二年になくなっておりますので、あと小山は少し残りましたけれども、四十二年に筑豊からほぼ大手の炭鉱が全部閉山をしております。大牟田の方にはその分だけ残ったので、閉山が少し遅くなっている形になっているとは思いますが、いずれにしても、昔、中小含めて千以上あった山が、今、これで残りますのは長崎の池島と北海道の太平洋と二つしか残らないのだと思います。  戦前から明治この方、ずっと日本を支えてきたという、そういった第一次産品を出すエネルギー産業、昭和三十年代前半までは石炭が主力でしたので、石油革命が始まりますまでの間、これが支えてきたことを思い出すと、ちょっと、正直随分いろいろな思いのいたすところですけれども、二十年前非常にきつい思いをしたあの筑豊が、今大牟田でもう一回起きるかなという感じがして、何となく人ごとではないような感じがします。  先ほどエネ庁の長官からもお話があっておりましたけれども、閉山交付金等、今年度の予算においてもいろいろなことを最大限できるようにしておられるように伺ってもおりますので、私どもといたしましてもできるだけのことをして頑張ってまいりたいと思っております。
  116. 松本龍

    ○松本(龍)委員 ありがとうございました。  本日は、雇用の問題あるいは三池鉱の問題等々、質問をしようと思っておりましたけれども通産省マターに限らせていただきました。両大臣、そして関係省庁の御努力をこれからお願いを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  117. 小川元

    ○小川委員長代理 次に、大畠章宏君。
  118. 大畠章宏

    ○大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。  きょうは、今、松本龍委員の方から石炭産業に的を絞って御質問させていただきましたけれども、私の方からは、両大臣にこの所信表明等の課題というものを中心に御質問をさせていただきたいと思います。  両大臣におかれましては、非常に経済的に不透明感の強い中で御就任で、大変御苦労をされていると思いますが、ぜひこれまでの政治活動の御経験を踏まえて御活躍をくださいますよう御期待を申し上げたいと思います。  最初に、佐藤通産大臣にお伺いしたいと思います。これは、日本産業経済構造改革問題でございます。  実は、私ども民主党を立ち上げましたときに、次のような幾つかの視点から基本的な考えをまとめさせていただきました。これはすなわち、明治国家以来の欧米に追いつけ追い越せという単線的な目標に人々を駆り立ててきたいわゆる官僚主導による強制と保護の上からの民主主義と、そのための中央集権・垂直統合型の国家中心社会システムは、既に歴史的役割を終えた。それにかわって、市民主体による自立と共生の下からの民主主義と、そのための多極分散・水平協働型の市民中心社会を築き上げなければならないと考える。  さらには、私たちは、過去の延長線上で物事を考えようとする惰性を断って、今から十五年後、いわゆる二〇一〇年にこの国の形をどうしたいのかということを考えながら出発したいというような趣旨のこの民主党の立ち上げでありますが、考えてみますと、日本経済あるいは産業界も、まさに明治以来ずっと諸先輩方の御努力でここまで来ましたけれども、やはり全体的に何か大きな壁にぶつかっているというのを実感しているというのが、多くの皆さんの考えではないかと思います。  そういう中で、大臣所信にもございますけれども、「第一の課題は、経済構造改革であります。」と大臣所信の中に述べておられます。私も、そういう意味では大臣の所感のとおりだと思います。  さきに、昨年の十二月十七日に閣議決定をされましたけれども、すなわち経済構造の変革と創造のためのプログラムというものを閣議決定されました。この資料を見せていただいていますが、大変簡便に、わかりやすく書いてございます。二十一世紀のときにはぜひ今の構造的な欠陥を是正しながら展望の開ける社会にしていきたいという強い意欲がこの内容に盛られているわけでありますけれども、特に、このプログラムの中で、第一に新規産業の創造、第二には国際的に魅力ある事業環境の創造、第三には経済構造の維持向上の観点からの公的負担の抑制という内容から成っております。  この中で、私は考えますに、情報通信産業の高度化、あるいは国際的に魅力ある事業環境の創造などを特に大臣も強調しておられるわけでありますが、ここのところが、目標とはするのだけれども、なかなか乗り越えられなくてここ数年来てしまったというのが日本の実態ではないかと思うのです。  したがいまして、佐藤通産大臣として、この情報通信産業の高度化あるいま国際的こ魅力ある、いわゆる企業が国を選ぶ時代になったということが言われて久しいわけでありますが、ここら辺を、日本産業あるいは企業を取り巻く環境というのをどう改革をされようとしておられるのか、最初にお伺いしたいと思います。
  119. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 大畠委員はかつて通産省の政務次官ということで、大変通産行政全般よく勉強されたとお聞きしております。そういうことで、話をすればするほど共通点もあると思いますが、きょうは大変短い時間なので、かいつまんで申し上げます。  今言われたように、まず構造改革というのは、言うまでもなく、高度情報化社会が実現することによって世界が一体化してきたということで、やはりそこに産業空洞化、これが本物になってきたというか、そういう懸念から現実になってきた。そしてまた、急速な高齢化の進展で経済活力が停滞するということで、この辺から今までの仕組みを変えて、そして新しい産業というものをつくり出さなければ日本経済は完全に埋没してしまうだろう、こういうようなことでございます。  そこで、先ほど新規事業という中に情報通信の部分、かように言われましたが、率直に言って、この情報部門というのがアメリカ、ヨーロッパに比べて日本が非常におくれていると私は思います。おくれているから、おくれているところが一番これからも伸びる余地がある、こういうふうに私は実は位置づけております。  そこで、ちょっとお話が前後いたしますが、先ほど言われたように、具体的にというか、十二月につくったプログラムの中においてもやはりうたってございますが、新たな雇用機会の担い手となる新規産業を創出する、こういうことからいうと、個別産業分野ごとのニーズに対応した規制緩和、人材の育成、技術開発等の総合的な施策ということと、それから新規産業創出にかかわる共通の課題を解決するための資金、技術、人材、情報通信、こういう面の施策、こういうことを推進していくということが重要だと思いますし、また、さっきも御指摘がありましたように、国際的に魅力ある事業環境を創出する、こういう観点からは、高コスト構造を是正するための規制緩和、これは主に物流だとかエネルギー、それから情報通信、こういうところをいいますが、それが必要だ。また、企業と労働に関する諸制度改革あるいは地域産業、そして技術集積の活性化、こういうことの施策をどんどん進めていかなければいけない、かように実は考えている次第でございます。
  120. 大畠章宏

    ○大畠委員 率直な御意見を賜りました。  大臣も御存じのとおり、私もトフラーの「第三の波」という本を読ませていただきましたけれどもアメリカのこれまでの社会の変遷の中で、第一の産業は農業だった、それから農業の社会が大体普及するとそこに製造業が発生した、これが第二の波である、この第二の波が大体成熟したときに、次は、第三の波はまさに情報通信産業ではないかということが喝破されているわけでありますが、私もそういう感じはするのですね。  それで、この情報通信産業というのがやはりこれからも日本の、先ほど雇用の問題が出されましたけれども、雇用の受け皿となる産業であるということはまず間違いないと思うのですね。したがって、通産大臣としても、今お話がありましたような視点で、この情報通信産業、なかなか複雑なところもありますが、全面的な支援をしていくことが、これからの日本の将来といいますか未来というものを明るくする一つの大きな因子になると思いますので、ぜひ御尽力を賜りたいと思います。  もう一つ、今のお話の中で高コスト構造お話がございました。もちろん、先まどから電気料金の話が出ましたけれども、そのほかに通信料金もありますし、さらには国内の輸送費の問題もあります。今、国会の方でも論議になりました、例の高速道路の料金というのまいりまで取るんだ、ああいうのもある程度時間がたったら無料にしてもいいじゃないか。ある私の友人が、これはどこだったですか、新潟の方まで行ったら八千円ぐらい高速料金を取られたというのですね、ずっと積算するとそうなってしまうのですが。やはりどうも高速道路の料金というのが高いことが日本の物流のコストの押し上げの原因にもなっているのではないかと私は思うのですね。  よくヨーロッパから日本に品物を持ってくる。しかし、そのヨーロッパから日本に持ってくる輸送費と、港に積み上げてから目的地に持っていく輸送料金と大体同じか高いぐらいだという話も聞いているのですね。こういうことをやはり解決していかないと、私は、先ほど大臣がおっしゃった、いわゆる経済構造改革の下地を改革することにはならないのではないかと思うのですよ。  私は思うのでありますが、昔から日本はちょっと閉鎖的な社会の中で、その中で仕事をぐるぐる回しながらやってきたというので大きくなってきたような感じもするのですね。特に、経済がダウンすると公共事業というものを中心に経済を立ち上げようとするのですが、この公共事業というものを取り巻く一つの仕組みが何かできてしまったのではないか。そこにいわゆる高コスト構造といいますか、高コストでもやれてしまう何か仕組みができてしまったのではないか。したがって、これからいろいろな政府の歳出削減という話もありますが、公共事業というものを中心としたといいますか、公共事業というものを主軸にしたような産業構造、産業の回り方をどこかで断ち切っていくことが私は一つ経済構造改革になると思いますが、大臣はどういうふうにここら辺を考えておられるのか、改めてお伺いしたいと思います。
  121. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 大変難しい課題をおっしゃいましたが、私の方は自分の省でもってできるところということで、高コストの中ではエネルギー、そしてもちろん今おっしゃるように物流ということでございます。その場合の物流という面を、今のお話にも関係してまいりますが、主にやはり外国との関係ということで、ハブ空港、ハブ港湾、こういうものを早く整備することによって、それからまた荷役だとかそういう労働条件、こういうものへと、かように考えておりましたが、今おっしゃるように、確かに国内の輸送においてそうした問題をどうするかというのは大きな問題だと思います。これは、最終的にはまだ研究課題でございますが、ただ言えることは、やはり先進国に比べて俗に言う社会資本の蓄積が日本が足りてないということで、今の高速道路一つをとってみても全国にまだネットができてない、この辺に問題があるのかな、かように考えております。
  122. 大畠章宏

    ○大畠委員 これはトータル的な問題でありまして、どこが真剣に物事を考えて全体に音頭をとるのかといいますと、やはり物流は、運輸の問題ともいろいろ関係していますが、ぜひ佐藤通産大臣が音頭をとっていただいて、各省庁集めてというとちょっと問題があるかもしれないけれども、ぜひトータル的に、高コスト構造改革のための陣頭指揮をするんだ、そういう意気込みで今後活動していただきたいということを、これはお願いをしておきたいと思います。  それから、中小企業支援策についてお伺いしたいと思いますが、先ほどからもいろいろ、日本産業空洞化の問題等々の流れの中で、中小企業の支援策はどういう形でやるかということを御質問されている委員の方もおられましたけれども大臣御存じのとおり、企業数の九九%あるいは従業員数では七八%を占める中小企業が、出荷額は五一%程度でありますが、百五十三兆円。大変大きな日本産業を支えるものでございます。この中小企業に今新たな視点で注目がされ始めています。  それは、一つは、この空洞化の中で中小企業がどういう体質改善を図りながら新たな活動を見出すのかという視点と、それから、中小企業の中でも大変脆弱になってきて大変な状況だという、中小企業を支えるという意味での視点と、もう一つは、中小企業だからこそ転身を図れて新しいビジネスチャンスに邁進することができるという二つの視点から中小企業に注目が集まっているのだと思いますが、この問題について、平成九年度予算を初めとして、大臣はどういうふうに中小企業政策について、てこ入れといいますか、対策をとられようとしているのか、お伺いしたいと思います。
  123. 石黒正大

    ○石黒政府委員 大臣の御答弁の前に一言御説明をさせていただきますけれども空洞化が進みつつある、その過程で中小企業がどうなっていくのかという問題、これは私の受けとめ方から申しますと、ある種の悲鳴と言えると思います。  具体的には、大企業が海外に進出するという過程におきまして、受注量、売り上げの減少で下請企業が影響を受ける、また、これに伴って雇用の問題も発生する、さらには、今まで営々と築いてきた技術基盤というものがどうなるかという問題、いろいろな問題が出るわけでございまして、それぞれの部分中小企業の問題が絡んでくる、こういうことであろうかと思います。  したがいまして、私どもとしては、先般大臣所信で申し上げましたように、本国会におきまして、空洞化対策につきまして真正面から取り組んでいくという方針のもとに法案を提出いたしますとともに、また、おっしゃいますように、世の中の流れが規制緩和という流れに向けた新たなビジネスチャンスという余地も出てくるというプラスの面にも着目して、そういう場所こそ中小企業の活躍の場所という観点もあるわけでございますので、そういうのにスムーズに移行できるような環境整備もいろいろしていかなければいかぬというようなことで鋭意やっているところでございます。
  124. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今長官が説明をいたしましたが、一口に言うと、やはりこれからの中小企業対策の柱が、いわゆる物づくりというものとそれからベンチャーに対する支援、こういうことで、本国会には物づくりの方を支援するという格好で特定産業集積活性化法案、これをお願いする予定にしておりますし、また、ベンチャーというと、まずそれに対する資金の問題でもってエンゼル税制、これを盛り込んだ中小企業創造活動促進法の一部改正、この二本でもって今の中小企業に対する支援をさらに強化していこう。そして、中小企業は今おっしゃるように地域性とか業種性がございますので、きめ細かい配慮をしなければいけないだろう、かように実は考えております。
  125. 大畠章宏

    ○大畠委員 長官並びに大臣、大変ありがとうございました。  中小企業と一概に言っても、大企業に近い中小企業がありますし、本当に零細もございますし、さまざまな観点からきめ細かな対策をお願いしたいと思いますが、二点ほど中小企業庁長官にぜひこれは要望しておきたいと思いますが、一つは、戦後中小企業を立ち上げた社長さんからもう息子の代に今移り始めているのですね。それで、息子の代に入りますと、よし、おれはこれをやってみようがなという意欲ある人もいます。  こういう方々にとって、やはりベースになるのは資金なんですね。そこでいつもぶつかるのは、あれも書きなさい、これも書きなさいと分厚い資料を書かされるのでよくわからなくなってしまったというような話も聞いていますので、ここら辺は、もう最近のカードの時代でありますから、それぞれの企業にベース的に登録しておいてもらって、一枚のカードか何かにしておいて、それをベースに、資金的な援助をするときにはそれだけ持ってくればいいですよとかいう、もうそういう時代ではないかと思うのですね。そこら辺の改善をひとつお願いしたいと思います。  それから二点目は、そういう転換をするときに、やはり相談をするところは中小企業庁の管轄のところだと思いますので、そこら辺の職員の方もぜひ徹底して、そういう方が来たらきちっと対応するようにということもあわせてお願いをしておきたいと思います。  三点目の質問こ移りますが、新エネルギー利用促進についてということでお伺いをさせていただきたいと思います。  大臣所信の中にも「第三の課題は、環境と共生する経済社会の構築」とあります。こういうふうな形の中で、ことし十二月に、二〇〇〇年以降の温室効果ガスの排出規制について国際的な枠組みを定める予定であると聞いているところであります。  これに対応して、さらに一層、いわゆる化石エネルギー依存から非化石エネルギーへの転換が大切ではないかと私は思うのです。お隣の中国の方でもエネルギーの需要が高まっておりますし、我が国のエネルギー構造の、特に石油エネルギーの八割は今中東に依存しているという実態になっているわけでありますが、これからの日本エネルギー的なセキュリティーを考えますと、どうしてもその依存をいかに小さくしていくかという努力を絶えずしなければと思います。  現在我が国のエネルギーの約三〇%を占める原子力エネルギーについては、やはり国民の皆さんからの信頼を基本に、より安全に、より安心できるものへ、安定したものにするように、関係者の皆さんの不断の努力が必要であることは当然でありますけれども、さらに、それに加えて、新エネルギーの開発に努力をしていく必要があると私は思います。  今回、通産省の予算の中で、太陽光発電の普及促進のため、平成八年度予算の約三倍の百十一億円余りを、件数でいいますと平成八年度が千六百件だったのが、平成九年度は九千四百件分に増加させたところでありますが、これは率直に私は評価したいと思います。  かつて、おととしだったですか、七百件の予算でスタートしたのですね。七百件が去年が大体千二百件ぐらいですか、それが千六百件になって、九千四百件。この間にこの太陽光発電コストが、当初たしか六百万ぐらいしたと思いますが、現在では三百万、約半分にコストダウンできたのですね。したがって、これからこういう問題に対する官庁の、通産省一つ政策的なものが花開いたのがこの太陽光発電ではないかと、私は率直に評価したいと思います。  これと同時に、今年度の予算の中で注目すべきものは、いわゆるクリーンエネルギー等を使う自動車問題をちょっと取り上げたいと思うのですね。  天然ガス自動車を見ますと、平成九年度予算ではわずか二百台程度でございますけれども、今日本の国内を走っているのは大体四千台ぐらいと聞いていますけれどもアメリカが今三万台ぐらい走っているのですね。それから比べると非常に少ない。今、将来二〇〇〇年までに四十二万台を達成したいという目標があるというふうに聞いていますが、このペースではとても達成できないのではないか。本当は、天然ガス自動車というのが自動車会社のショーウインドーに飾ってなければならないのではないかと思うのですが、それを取り巻く天然ガスのガススタンドというのはあるかというと、なかなかない。トータル的にどうもちぐはぐな感じがするのですね。  したがって、中東に対する原油依存度をなるべく下げるためにも、国内の石油、ガソリンというふうなものを使う消費量をいかに抑えるかという努力も一方でしていくことが、日本エネルギー政策上大変重要だと思っておりますが、この問題について、現在の考えについてお伺いしたいと思います。
  126. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今御指摘のように、これからの日本エネルギー考えた場合には、やはり環境という問題、まずこれとのタイアップというか両立におきまして、省エネということと新エネの開発と原子力、これの三本柱、これを考えているわけでございます。  そこで、省エネというもの、非常にこれも今のところは進んでまいりまして、産業用はある程度徹底してまいりましたが、逆に民生だとか運輸部門でもってこれが徹底しないというか、逆に非常に利用がふえているというのが現実であります。  そして、しかも新エネというのは、なかなかやはり開発のコストの問題、時間の問題からいくと、全体のエネルギ のいまだ一%しか使用がないということでございます。そこでもって今委員指摘のように、やはりこれからさらにこの新エネルギーの導入を加速的に発展させる、こういうことをねらいとして、本国会でこのエネルギーに対する取り組みの明確化ということで、新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法案、こういうのをこの通常国会に出させてもらったところでございます。  その中に、今御指摘の天然ガス自動車も本法案の対象となるということでもって御審議をお願いするわけでございますが、おっしゃるように、やはりそうした部門でもって、特に自動車の場合には、天然ガスだけではなく太陽の光、これの利用もございますし、そして水素自動車、いろいろなものを今実は研究しているわけでございます。それらの一環として、そういうものの普及ということ、これをやはりまずは努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  127. 大畠章宏

    ○大畠委員 タクシーがほとんど今プロパンガスなんですね。あれはガソリン自動車が走っているところはほとんどないと思うのですが、あれでもって普及しているのですから、やはり天然ガス自動車を一般に普及させても今技術的には何ら遜色ないのではないかと私は思うのですね。  したがって、石油といいますか、中東に依存する度合いをいかに少なくするかという意味では、そういう努力をすべきではないか。いわゆる中東から持ってきたものを大量に消費しているものの一つが自動車でありますから、したがって、天然ガス自動車等を普及させることによってできるだけ節約をしていく、比率を低くしていくということが大変重要だと思うのです。アメリカは、中東依存率が五〇%を超えた時点でいかに下げるかという努力を去年し始めましたね。日本もそういう努力をするように、そういう視点からもよろしくお願いしたいと思います。  次に、リサイクル問題についてお伺いしたいと思います。  容器包装リサイクル法、先ほどもお話ございましたけれども、いよいよ四月から施行されることになりました。この容器包装リサイクル法も、結局、地方自治体等々からのいろいろな要望があって、あるいは自治体が悲鳴を上げることによって、何とか容器包装を少なくしよう、廃棄するのをもっと切り詰めていこうということから発想した法律でありますけれども、この準備状況が今どうなっているか、おおよそお伺いしたいと思います。  さらに、今、紙の回収が大分進んできておるのですけれども、古紙が集まり過ぎて、だんだん古紙の価格が値下がりし始めて、回収業者の方が少し悲鳴を上げてきているという話も聞いておりますが、そういうものに対してこれからどう対応しようとしているのかということもあわせてお伺いしたいと思います。
  128. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 容器包装リサイクル法の現在の準備状況でございますが、本年四月からの本格施行に備えまして、昨年の三月に基本方針を策定いたしました。五月には再商品化計画を公表し、再商品化義務量にかかわります算定式等にかかわります政省令を昨年の十二月に公表したところでございます。  また他方、昨年十月、本法に基づき、義務者の委託を受けて再商品化を実施する指定法人といたしまして、財団法人日本容器包装リサイクル協会を指定してございます。現在、同協会におきまして、本年四月からの受託契約、市町村からの引き取り契約、リサイクル事業者への委託契約などについて準備を進めておるところでございます。  いずれにしても、四月一日に向けまして、遺漏ないよう準備を進めたいと思っております。
  129. 村田成二

    村田政府委員 古紙の問題につきまして、私からお答え申し上げたいと思います。  先生御指摘のように、現在日本は大体三千万トンくらい紙の生産をやっておるわけですが、そのうちの半数強、五〇%強、実は古紙で賄っているわけでございます。ただ、昨今に至りまして、段ボール原紙などにつきまして、省包装、包装を省略するとか、いろいろな動きがございまして、生産が伸び悩んでおります。一方、古紙の回収は、先ほど来出ておりますリサイクル法あるいはその他回収の市民的動き、自治体の動き、そういうこともございまして、増加の一途をたどっておる、こういう状況にございます。  したがいまして、古紙、特に雑誌古紙でございますが、これが関東地域を中心にいたしまして相当在庫が積み上がっている、したがって値崩れも起こしている、こういう状況にあるわけでございます。  ただ、これは短期的な問題というよりはむしろ構造的な問題でございまして、実は私どももどう対応するか、いろいろ苦慮しているところでございますが、中長期的に対応していくとなりますと、やはり古紙原材料の利用というのはそうそう拡大しない。そうすると、紙以外の、製紙以外の利用の方途というものを含めまして、これは検討していくということが必要になってくるだろうというふうに考えております。  現に、平成七年からは、アスファルトに混入したらどうかとか、あるいは農業用の敷きわらなりマルチ材として使えないかという研究開発を進めつつございまして、そういった根本的な対策を含めて検討してまいりたい、かように考えております。
  130. 大畠章宏

    ○大畠委員 せっかく国民の方からもこの容器包装リサイクル法というのは期待もされておりますし、いわゆる回収をし、再利用するという一つの仕組みが、まさにリサイクルが途中でとまったのでは困るわけでありますし、また、それも一番効率よく回らなければなりませんので、今後ともそういう視点からのパックアップを通産省としてもお願いしたいと思います。  最後の質問でありますが、これは経済企画庁長官にお伺いをしたいと思います。  長官、先ほどから非常に歯切れもよく御答弁あるいは御自分の考えを述べておられますので、大変政治家として尊敬をするところでありますが、この所信表明の中に次のようなことがございます。「地球環境問題や人口問題への対応、民主化・市場経済化促進のための知的支援の強化など、経済協力の新たな課題にも取り組んでまいります。」というお話がございました。  この「知的支援の強化など、」というお話がございましたけれども、まさにポイントはここら辺にあるのかなと思うのですが、ここら辺は、経済企画庁長官としてどういうことを念頭に置かれてお話しになったのかということを一つお伺いしたいと思います。  さらにもう一つ目は、先ほど長官は、二・五%の経済成長が大体アメリカと同じで、だんだんよくなってきたのだと言うのですが、この二・五%というものがだんだん見えてきましたが、これはどうやら円安の効果で何となく、見かけ上出てきたような感じがしますので、アメリカの二・五%とはちょっと違うのではないかという感じも私はしますが、その二つを、長官、御意見をいただきたいと思います。
  131. 麻生太郎

    麻生国務大臣 先ほどの御指摘は、地球環境問題や人口問題への対応、民主化という点なんだと思います。特に、最後の知的支援のところでありますが、具体例と言われましたので、例えば過日、エストニアという、元ソ連邦の中にあった、西半分のところにあるのですが、ここからお見えになりまして、早い話が、民主化、市場経済化をやるのですが、統制経済しかやったことがないので、民主化をやるのにどんなことをすれば民主化になるのか、ついては、それに当たっては経済計画をつくらにゃいかぬわけで、あっちは統制経済向きの経済計画というのはお持ちなんですが、こちらはそうじゃないので、経済計画を立てるのにはどんなことをやればいいのか、また、そのためにはどういう資料が要るのかというのがわからぬから、早い話が人を出せということになって、今度、私どもの方からエストニアに対して、経済企画庁から出向をさせます。それで、どんな状況かわかりませんので、取り急ぎ、まずは一週間だけそこに出したりするのをいたしたりしております。  また通産省なんかでは、JICAを通してベトナムヘ、今あそこは民法が、あっちも長いこと社会主義をやっておりまして、民法がうまくできておりません。民法なんかの支援をJICAでしておられると思います。  そういったようなところが、具体的にと言われれば、すぐ思いつくといえばそんなところで、今幾つか他の国からも来ております。  もう一つの二・五%の点につきましては、円高、これは大畠先生も御存じのとおり、何に対して円安で何に対して円高かというのは、これは難しいんですね。  一昨年の五月の八十円というのに比べれば今百二十円、間違いなく円安ですが、ついこの間の、プラザ合意をやる一九八五年十一月のときまでは二百四十円でしたので、あれに比べれば、今百二十円というのは倍ですから、我が方は円が約倍高くなったことになりますので、今、購買力平価とかいろいろな表現で、円は百十五円が適切とか、いや、百五十円だとか、いろいろ皆さん諸説を言われますので、正直なところ、これは答えというのが存在しないのですが、百二十四円になったとか、きょうは百二十二円ですけれども、そういったところになりますと、少なくとも十円違えば大きな企業で百億ドルぐらい内容が違ってきますので、一体どの程度がいいのかというのはちょっとわからない。  ただ、急激になってきたことだけをもって二・五%達成したというわけでもない。石油の値段は、御存じのように、一時期バレル当たり二十ドルを超えるぐらいばあっと上がりました。今、一月、十ハドルぐらいになっていると思いますが、それにしても、かつて十四ドルぐらいにこれがなって、それにプラス円安がくっつきますので、その差額はもっと大きな、ドル建てで計算して、それプラス二割三割の違いが出てきますので、非常に大きなマイナス面もあります。円だけが弱くなったわけではないので、むしろ、二・五%をだれも予測されなかったころにした経済企画庁の先見性を褒めていただくとありがたいと思っております。
  132. 大畠章宏

    ○大畠委員 時間が来ましたので、これで終わります。  両大臣、ぜひ頑張って、日本の国の改革に向けてさらに一層努力されることを希望しまして、終わります。  ありがとうございました。
  133. 小川元

    ○小川委員長代理 次に、吉井英勝君。
  134. 吉井英勝

    ○吉井委員 日本共産党の吉井でございます。  私は、きょうは中小小売商店街の問題などについて、大臣の見解を伺っていきたいというふうに思います。  大スーパーの身勝手なやり方が、地域社会に深刻な問題を今引き起こしてきております。  例えば、福岡県で、ジャスコ飯塚店の比較的近いところの穂波というところに、駐車台数千八百台の郊外型のジャスコ穂波店というのが開店した結果、同じジャスコの飯塚店は売り上げが激減してしまって閉鎖ということになり、このジャスコのビルそのものを解体撤去してしまいました。そのために、飯塚市中心商店街では、最初にジャスコが進出してきたときには大変打撃を受けたわけですが、その打撃からも立ち直って、その後、ジャスコ飯塚店を含めて商店街の整備を行ってきた。  また、中心商店街というのがあったわけですが、その中心商店街については、中小企業庁監修の、実はこの「元気のある商店街一〇〇」の中にも選ばれているぐらいのところなんですよ。そこが、この穂波店が開店する前と後で、この飯塚市の商工会議所が行った調査によりますと、歩行者数は三割減少してしまった。穂波店が開店して減っただけじゃなくて、今度はこの飯塚店を解体撤去したものですから、ますますひどい打撃を受けてしまった。こういう事態が今生まれております。  こういうふうな例が実は今全国で広がっているときですが、同じジャスコが郊外店をつくって、中心部をつぶして、最初に打撃を受けたところがまた打撃を受けるという、そういう例は、ジャスコだけじゃなくて、ほかにも全国で広がっておりますが、こういう深刻な実情について大臣はどう見ていらっしゃるか、この点から伺っていきたいと思います。
  135. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今の吉井委員お話は、私自身非常に興味を持って聞きました。  それは率直に言って、後から御質問もあると思いますが、大店法の見直しに絡んでよく言われることは、大きな店が来て、今まで平和に暮らしていた商店街、ここのところが非常に被害を受けて、そして新しい町をつくらざるを得ない、こういうようなことが言われます。  それに、実は私自身、附属して新しい町ができるということ、これはいいのだけれども、そのできたものが、どうも見ると、自分の方が経営が不振だというので、これがすぐほかに移転する、残ったものは一体どうなるのか、こういうことだと思うのです。  私は、一口に言うと、これはやはり企業家のモラルの問題ではないだろうか。だから、今御指摘があった企業がというわけじゃございませんが、一般的に言って、やはりそこまで進出するところに責任をいかにして持たせるかというのが、これから大いに議論を呼ぶところだと思っております。     〔小川委員長代理退席、委員長着席〕
  136. 吉井英勝

    ○吉井委員 進出も勝手なら撤退も勝手なやり方で、そのやり方は本当にひどい話で、社会的責任というのは、大臣おっしゃるように、これは厳しく問われていかなきゃいけないと思います。  それで、今度は、大分県の佐伯市というところを見てみますと、人口五万人という小さなところなんですが、売り場面積三万平方メートルの寿屋というのと、一万六千六百平方メートルのトキハインダストリーの二社の出店計画というのが今出てきておりまして、この二社分を合わせると、大スーパーが佐伯市という人口五万の小さい町の売り場面積の五五%を占めるということになるのですね。  それから、佐賀県の鳥栖市の場合ですと、やはり一千八百台の駐車場つきのジョイプルダウン鳥栖という、売り場面積三万平方メートルの大スーパーが今進出工事をやられております。これが開店すると、鳥栖市の大スーパーの割合というのは、鳥栖市の小売売り場面積の七四・五%を占めることになります。七四・五%という数字だけじゃぴんときませんが、これは人口の小さい小都市の話ではあるけれども、大都市東京の新宿で見ると、新宿の大型店の占有率が大体七五・七%なんですね。だから、この水準であろうというわけですよ。これはもう間違いなく地元商店街は重大な打撃を受けることになるでしょうし、そして市の中心部の空洞化など、これは地域社会の崩壊にもつながりかねない。そういう問題が今ずっと広がっているのです。  そこで、私、中小企業庁の方が委託研究を五年に一回出してやっておられる「商店街実態調査報告書」というのを見せていただきましたが、一九七〇年には、商店街の中で繁栄しているという店は、とにもかくにも一九七〇年には三九・五%、四割あったのですね。これに対して、いや、停滞している、衰退していっているというのが六〇・五%、六割。四割と六割だったのですよ。これが一番最近の、一九九五年の報告によりますと、繁栄しているという店は二・七%、停滞、衰退しているというのは九四・七%。もう全国のほとんどの商店街がこういう状態なんです。  商店街で大きな問題は何ですかというのを中企庁のその調査では問うておるわけですが、第一位は、大規模店舗に客足をとられているというのが七五・七%、三位が、大規模店舗の出店ラッシュに押されぎみだ、六〇・六%。だから、全国的にいかにすさまじい事態が今広がっているかというのは、中企庁の調査によっても明らかになっていると思います。  全国平均で見ますと、既に大規模店、大型店の売り場面積比率は四七・五%に達していますが、これがさらにどんどんふえていこうとしている。すさまじい出店ラッシュが今続いておりますから、本当に深刻な事態です。全国各地で起こっているこういう事態について、やはりこれは仕方がないのだというふうに見てしまうのか、あるいはこれでもいいのだというふうに見るのかどうかというのは、これは大臣、非常に大事なところだと思うのですね。この点について大臣としてはどういうふうにお考えか、これも伺っておきたいと思います。
  137. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今委員が御指摘の点が一番大事なことであって、いいんだということではなく、そのままではなく、ただ、問題なのは、そうした大型店がなぜ進出をするのだろうか、こういう背景というものも我々知る必要があろうと思うのです。  これはもう委員御存じのとおり、改めて言うこともないと思うのですが、やはり近年非常に大きく変化しているのは、モータリゼーションの進展ということで、消費者の行動範囲が大きく拡大してきた。また、時間の使い方と申しますか、深夜だとか休日の買い物、また、買い物だけではなく、その時間をその場所において娯楽性志向を持って過ごす、こういうふうに俗に言う消費者の行動パターンが非常に変化してきた、こういうことだと思うのです。ですから、この問題のとらえ方は、今のようなとらえ方と同時に、やはりそれを利用する人というか消費者、よく消費者の視点に立ってとか消費者サイドという話をしますが、そういうふうな方から見るのか、それともやはり地元の商店の方から見るのか、こういうところで実は変わってくるだろう、かように考えております。  私自身は、率直に申し上げますと、直接ではございませんが、今の大店法の見直しという問題でもそこがポイントではないだろうか、こう思って、先ほど若干申しましたように、新しい町づくりあるいはまだそういうことによって被害を受ける商店主の方に対する対策、これはやはり通産省として別の見地から手厚くすべきではないだろうか、実はこんな考え方を持っているわけでございます。
  138. 吉井英勝

    ○吉井委員 消費者の立場からの議論は後ほどまた少し深めたいと思いますが、九〇年以降の三回にわたる大店法の規制緩和で、大型店の出店ラッシュとなってこういう事態を招いてきたわけですが、祭りとか消防団活動とか、地域のさまざまな活動の担い手であり、地域文化や伝統を生み出したり守ってきたという点では、やはり商店街が果たしてきた役割が非常に大きいわけですが、その商店街が寂れていくということが地域社会そのものの崩壊につながりかねないという問題が、今全国各地で出てきております。それは、過疎のところであれ過密のところであれ、それぞれの地域ごとにそういう問題が今出てきております。  そこで大臣、私は、一つの角度としては、町づくりという観点を含めて、大型店の出店や乱立についてはやはり一定の規制というものを考えていかなければいけないのではないかと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  139. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今率直に言って、規制という言葉、これにとらわれて恐縮でございますが、一応経済的な規制は、原則自由だとか、こういうふうな方向に行くことが新しい時代の先取りかのように言われておりまして、規制を強化するとか、それを守るということになると、何か時代に逆行する、俗に言う守旧派だと、実はこんな批判をされるおそれがあります。  その問題は別として、私が申し上げたいのは、今委員の御指摘の点もわかるのは、狭い日本というものの、随分日本の中において地域差があるのではないだろうか。今、吉井委員は、御自分の選挙区が今度は九州地区ということでもって、九州全般のお話がございました。私の方の山口県は九州と近いものですから若干似ておりますが、それは大都市などとは違っているだろう、こう思うので、私は少なくとも、先ほど申したように、この問題をどうとらえるかというのが今後の問題ですが、その一つの視点としては今のような見方があり、そしてまた町づくりという問題の場合には、これは通産省だけで処理する問題ではなく、建設省もそれから地方の自治体、いろいろなほかの省庁とも連携を保ってやるべき問題だろう、かように考えております。
  140. 吉井英勝

    ○吉井委員 そこで、この問題は、日本の問題だけじゃなくて世界的にどうなっているかということも少し見ておきたいので、外務省に来ていただいておりますので伺っておきたいのですが、フランスは一九七三年以来、人口四万人以上の市町では千五百平方メートル以上、四万人未満の市町では一千平方メートル以上の店舗については出店許可制度をとってきているのですね。この七三年に制定したロワイエ法を昨年七月にはさらに法規制を強化した、特に特徴的な点では三点ばかり法規制を強化したというふうに伺っておりますが、それはどういうものですか。
  141. 谷崎泰明

    ○谷崎説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のございましたフランスのロワイエ法でございますが、これは通称ロワイエ法と申しますが、商業及び手工業の指導に関する一九七三年十二月二十七日の法律というのが正式名でございますが、これは大型店出店の許可にかかわる事前許可をする制度でございます。  旧来、売り場面積は、ただいまの御指摘のとおり、千五百平方メートル以上の店舗、それから人口四万人未満の市町については一千平方メートル以上の店舗ということでございますが、これを九五年に改正いたしまして、三百平方メートル以上のものに改正したということでございます。これが第一点でございます。それから、第二点目でございますが、六千平方メートル以上の大型店の出店に当たっては、全国ベースでの委員会調査を義務づけるということでございます。それから、第三点目でございますが、これは罰則の大幅な強化という点、以上の三点が改正の骨子でございます。
  142. 吉井英勝

    ○吉井委員 全国ベースの商業施設委員会での公共調査というのは、地域経済への影響とか雇用への影響についてきちっと調べるということが決められているというふうに聞いておりますが、同様に、イタリアの商業基本法では出店許可制度をとっておって、その基準は、売り場面積四百平方メートル以上については市町村とあわせて州の許可も必要としているということ。それからベルギーの場合には、売り場面積が指定地域外では四百平方メートル以上、指定地域内では一千平方メートル以上の場合に大型小売店の建設、拡張、転用についても規制をしているというふうに伺っているのですが、フランスだけではなくて、イタリア、ベルギーなども許可制度をとっていて、大スーパーの進出、出店についてはかなり厳しい規制をしているというのが実情ではありませんか。
  143. 今野秀洋

    ○今野政府委員 お答え申し上げます。  ヨーロッパの国々ではフランスとベルギーが比較的似た規制の体系をとっているようでございまして、ベルギーの、商業施設設置法と日本語で訳されておりますけれども、この法律はほぼロワイエ法に準じた体系をとっておるようでございます。  イタリアの商業基本法につきましては、イタリアという国はどうも、商業は基本的にすべて許可制、商業施設の設置には登録制をしいているようでございまして、その体系の中で大規模店舗についても規制がなされておるというふうに承知いたしております。  なお、ヨーロッパの北部、ドイツやイギリスにつきましては、また別の体系であろうかと思います。
  144. 吉井英勝

    ○吉井委員 今おっしゃったように、フランス以外にイタリア、ベルギーなどは、同じように許可制度をとっているわけですよ。  それで、ドイツの場合、これは六〇年に制定された連邦建設法、六二年制定の建設利用令などといった都市計画法律によって、ショッピングセンターや大規模小売業で、連邦国土計画、それから都市の発展等の目的の実現に相当の影響を与えるもので床面積千二百平方メートル以上のものは、原則として都市の中心部または特別の指定地域にのみ立地が許される。  外務省の方に伺っておきたいのですが、大体こういうふうな扱いになっているのじゃないですか。
  145. 谷崎泰明

    ○谷崎説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のとおり、ドイツの場合は、この目的が全体の国土計画の開発のためにできている連邦建設法というのと建設利用令という二つ法律が中心になっております。これによりまして、すべての建物のうちショッピングセンターと大型規模小売業につきましては、ただいま御指摘のとおり、都市の中心部または都市計画でショッピングセンター等に指定された地域に立地が許されるという法律になっております。
  146. 吉井英勝

    ○吉井委員 九一年の大規模小売店舗法の改正に先立って、通産省産業政策局は九〇年九月に海外流通事情調査団を派遣しておりますが、その報告を読ませていただくと、アメリカ、イギリス、ドイツは、都市計画の観点から大型店の出店できる場所を規制している。アメリカでは商業調整については法律はないわけですね。これは経済的には市場経済万能という立場で、自由で規制しない。しかし、連邦ベースの制度はないわけですが、州法に基づいて市町村ごとにゾーニング条例をつくって、それによって大スーパーの開発を規制しているというのが実情だというのがあのときの報告ではありませんか。
  147. 今野秀洋

    ○今野政府委員 米国におきましては、都市計画の観点から、州法に基づきまして市町村においていわゆるゾーニングを行っているものが多いというふうに報告されております。このゾーニングと申しますのは、個々の地方自治体のレベルにおきまして、当該自治体の中を幾つかの地域に区分いたしまして、それぞれの地域の中における土地、建物等の用途を規制する、こういったものでございまして、この体系の中で当然商業施設につきましても立地場所等の規制が行われております。  ただ、ゾーニング制度につきましてはいろいろ裁判の判例等もございまして、専ら地域住民の環境面の配慮等の観点から行われるべきものということでございまして、商業競争を阻害するような観点から行われるものであってはならないという判例が幾つか出されているようでございます。
  148. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、主にヨーロッパの方は許可制度という形で出店に当たって規制をする。ドイツ、イギリス、アメリカなどの方ま、そちらの方じゃなくて、環境面なども考えて、都市計画規制していくという、手法の違いはありますが、アメリカでも規制しているわけです。それで、日本だけが規制がほとんどないに等しいという状態で、この結果、大スーパーなどの進出ラッシュが進んで、先ほど御紹介したような地域社会の崩壊とか、あるいは地域の景観や環境破壊が生まれるというふうな事態が今全国で進行しているわけです。  ところで、野村総研の「財界観測」によりますと、地域ディスカウンターのジェームズウェーや衣料店のブロードウェーなど、これが競争激化によって最近では販売不振がふえて、米国小売業界は経営破綻が続出しているというふうに論文で書いておりますが、通産省はこういう状況はつかんでおられますか。
  149. 今野秀洋

    ○今野政府委員 ただいま先生御指摘の個別の事例は詳細存じ上げませんけれどもアメリカの小売業界、非常に競争が激しゅうございまして、常に新しい企業が起こり、また淘汰がなされていく、このプロセスが進行しているというふうには伺っております。
  150. 吉井英勝

    ○吉井委員 ジェームズウエーというのは、店舗の閉鎖率が一〇〇%とすさまじい。世界第一の小売業者であるKマートでも、二百の店舗を閉鎖して、閉鎖率が八%です。エディソンブロスストアというのは、四百七十三店舗を閉鎖して、閉鎖率が一八%。メリーゴーラウンドエンタープライズ社は、三百七十五店舗を閉鎖して、その閉鎖率は二六%。経営破綻の続出が今アメリカで進行しているという実態です。  それで、「財界観測」によると、成長理論をよりどころに積極出店で売上高増加を追求し、規模の経済を獲得して生産性を向上、価格競争力を強化して売上高増加を続ける、このやり方をしてきた。ところが、市場規模と寡占度の両面で産業の成熟度が高まる中で、売り上げ成長のためのシェアの奪取相手は、もはや非効率な零細企業でなく、勝ち残り企業同士の最終戦争となってきている。経営破綻に陥る死の循環は無理な大スーパーの出店から始まったと紹介しています。  アメリカの現実というのは、大スーパーの進出で零細商店がまずつぶれる、その次に大スーパー同士の最終戦争、ハルマゲドンですね、そして死の循環へと。日本でも、郊外型ジャスコ穂波店出店の例のように、中心商店街が今は打撃を受けて、大スーパー同士とか、同じ大スーパーの店舗間でもつぶれるところが出てくる。  まさに最終戦争、死の循環の方向に今流れていっているという感がしますが、通産大臣、こういうアメリカの死の循環と言われているもの、最終戦争とも言われているようなもの、日本でもこういう状況が広がっているわけですが、そういう中で、ヨーロッパでもアメリカでもやっている規制というもの、規制緩和万能論にとらわれるのじゃなくて、やはり規制というものを考えてコントロールということも考えないと、結局行き着くところはこういうところじゃないかと思うのですが、アメリカの死の循環あるいは日本状況について、大臣はこういう動きをどういうふうにお考えになりますか。
  151. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今お聞きしていて、吉井委員の方、うまくいかなかった例が多かったのではないだろうかな。そんなに悪いかというと、やはり私は、これからの時代の移り変わりの中において、少なくとも新しい雇用の場が生まれるというメリットはあるのではないだろうか、こう思います。  ただし、今委員が言われたように、そのお話の中で非常に参考になったというのは、都市計画、これの方でもって規制をすればというような御質問があったのではないかと思います。ただ、言えることは、政府規制緩和推進計画、これに基づきまして平成九年度に見直しをする、こういうふうに今実は方針を決めておりまして、きょうのような質疑を参考にしながら、見直しを行うという場合には、中小小売業者の方々はもちろんのこと、学識経験者あるいはまた消費者の方、こういうふうに幅広い声を聞いてこれについて対応をしていきたい、かように実は考えております。
  152. 吉井英勝

    ○吉井委員 昨年十二月に大臣がお会いになった中小企業四団体からは、大店法のこれ以上の緩和は強く反対するという要望が出ておりますし、よく消費者利益論というのは規制緩和の中で展開されますが、実は総務庁が九五年に規制緩和に関する調査結果というのを出しておりますが、その中では、やはり零細商店を切り捨ててもよいという考えにはもう賛成できない、これ以上の大店法緩和は反対ですという声が消費者の中から出ております。  それから、これも消費者の声ですが、紹介しますと、今までは大型店出店は消費者利益を増進するものだと思っていたが、現在では単純に消費者に歓迎される時代ではない、地域文化を支える小売業者の転廃業など深刻な影響、生活環境、交通、青少年問題、そして何よりも消費者生活に非常に大きな影響をもたらすものだ、そういうことで、規制緩和はこれ以上はもう賛成できないという声が消費者から出ているのですよ。これは総務庁がちゃんと調べられたものです。ですから、消費者利益論というのはもう当たらない時代だ。そして雇用の問題も、結局、大スーパー等で雇用の話が、これは、パートが多いのですね、不安定雇用なんです。それが本当の意味での雇用問題の解決にはならないということで、これは諸外国でも、特にロワイエ法などの議論の中では雇用の問題が非常に重視されているのはそこにあるわけです。  さて、そういう大スーパー進出で打撃を受けた商店街が、それでも何とか生き抜いていこうと頑張っております。その例は中企庁の監修のこれで私も読ませていただきました。それで、九一年の大店法の骨抜き改正のときに、国の方は、この骨抜きをやるのと引きかえ措置として、アーケード、カラー舗装、コミュニティーホール、駐車場、街路灯など、整備予算として商業基盤等施設整備費補助金というのを導入したわけですが、九一年度の創設から今日まで、この予算と補助実績、補助実績というのは決算額の方で見ればよくわかりますが、これはどういうようになっていますか。
  153. 篠原徹

    ○篠原政府委員 お答えいたします。  商業基盤等施設整備費補助金の実績、決算額でございます。平成三年度三十八億円、平成四年度四十二億四千五百万円、五年度五十一億九千六百万円、六年度六十一億四千四百万円、七年度六十二億三千八百万円でございます。
  154. 吉井英勝

    ○吉井委員 それを当初予算額と比べてみればよくわかるわけですが、予算に対して毎年の決算額というのは、執行率が三割から六割なんですね。ですから、五年間で三百十七億円も、実は予算を組んだのだが使わずに流してしまっているのです。それが実態ではありませんか。
  155. 篠原徹

    ○篠原政府委員 御指摘のとおり、決算額の当初予算に対します比率でございますけれども、約六割でございます。
  156. 吉井英勝

    ○吉井委員 それは一番最後の数字をおっしゃっただけで、ずっと年度を追えば、最初の九一年度は約三割ですから、それでトータルは三百十七億円使わずに流したというのは事実です。これはあなたの方からいただいた資料です。  さて、この制度は、国が四分の一、県が四分の一、一割自己負担、四割貸付金というものですから、大スーパーが来て打撃を受けた商店街では、現在既にできているアーケードの維持補修の工事費の負担さえ、店が歯抜けになっていくと残った店で負担が増えてくる。売り上げが落ちてきている、担保価値も下がってきているということで、一割負担と四割の貸付金の返済を考えると、なかなか大変なんですね。いい制度なんですよ。この制度、だめと言ってけちをつけているのではないのです。だけれども、結局業者にとっては非常に使いやすいものにはなってはいないのではないか。使えないから、もともと少ない中小企業対策の予算がさらに毎年減額補正になってしまう、そういう問題が出ていると思うのです。ですから、もっと業者の使いやすい、役に立つ制度に改善する必要があると思うのですね。この点は大臣、ぜひこれは改善を考えてもらしたいと思うのですが、一言で結構です。
  157. 篠原徹

    ○篠原政府委員 御指摘のとおり、中小小売商業対策関係予算の確保に当たりましては、その利用者でございます中小小売商業者の方々のニーズに即したものになるように、不断の見直しを行うことが必要であるというふうに私ども考えております。  私ども中小企業庁におきましても、例えば平成九年度の予算案におきましては、資金需要の見積もり等を厳格に行いまして、商業基盤等施設整備費補助金も二十五億減額いたしまして、情報化関連予算の拡充、あるいは商店街活性化のための各種予算を拡充しておるというところでございます。
  158. 吉井英勝

    ○吉井委員 使い残しが多いから減額すればいいというものではなくて、もっとよく使いやすいものにして、その改善こそ図りなさいということを私は言っているわけです。  小売商業や商店街、そこに住んでいる住民の立場に立った町づくりという観点での国の商店街の支援策は、今必要になってきております。そういう点で、私は本当に中小企業庁の仕事に期待をしているわけです。  それで、「元気のある商店街一〇〇」とか週刊ダイヤモンドなどでも、中小企業庁の取り組んでいる商店街の、ハードだけではなくてソフトの面での取り組みの紹介も読ませていただきました。中には、高齢化社会を商店街が支える活動をしながら、中小商店と商店街が成り立つ取り組みをやっているというのを読んで感心もしましたし、また実際、紹介のあったところを私も幾つか見に行ってまいりました。  中には、ファクスネットの導入とかイントラネット導入も計画して、地域のお年寄りの生活やら健康管理や買い物、給食の宅配、ホームヘルプセンター、その他生活をサポートする商店街の取り組みが始まっているところがあります。長年地域で商売をして、対面販売で地域の人々と深い人間関係も生まれているわけですから、だからこそ、例えば、これは私の家があります京都の方で、家からふらりと出ていって行方のわからなくなった痴呆性のお年寄りを、地域のそういう商店街のネットワークで早期に見つけ出して家に帰れるようにしてあげるとか、やはり高齢化社会を支える力を持っているのですね。このような取り組みに、国はもっとこの支援に力を入れるべきだと私は思うわけです。  ですから、これらに紹介されているような成果の上がったところを全国に普及するとともに、イントラネット導入なども計画して新しい取り組みをしている、そういうところについてはさらに新しい取り組みを支援して成果を上げるようにして、その経験を全国に普及していく、こういうことが大事ではないかなと思うのです。ですから、商店でなくてはできないこの地域社会を支えるという活動を通して商店街自身も成り立っていく。さっき消費者の立場のお話大臣がされたときに、後ほどと私が言ったのはそこにあるのですね。  やはり今、地域社会も支えられる、そういう活動を商店もする、そして商店街自身もそこで成り立っていくという、そこに対してうんと力を入れていく必要があるのではないかと思うのですが、この点は大臣の決意をひとつ聞いておきたいと思います。
  159. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 商店街の振興、先ほどから私自身も繰り返して申し上げるように、やはり地域性があるなということをつくづく実は感じております。しかし、今言われたように、そうした中において、地域の住民というか消費者との連携、共生ということを御指摘でございますので、私自身は、やはりそういうふうな見地から、今与えられている限られた予算の中において、いかにそれを効率的に地域の振興に使うか、こういうことで考えていきたいと思います。
  160. 吉井英勝

    ○吉井委員 せんだって、ジョージ・ソロスという世界の富豪、あの方が最近、米国のアトランティック・マンスリーを初め、各国の有力誌に「資本主義の脅威」と題する論文を発表しました。この中で同氏は、ソ連、東欧の旧体制の打倒が私の長年の願いであり、そのための活動を支援してきたということを述べた上で、今や新たな敵は市場経済に基づく価値観の横行、極度な個人主義、先鋭化し過ぎた競争、助け合いの欠如が開かれた社会を脅かしている、自由競争が社会発展の原動力という考えは正しくない、経済の変動が起き、不安定な状態になるのは、自由競争と市場経済が万能でないからだと、規制緩和万能論を厳しく批判しておりました。  私は、大規模小売店舗法のこれ以上の規制緩和、骨抜きや廃止をするべきではない、そして、今言ったような取り組みの支援強化こそ中小小売店や商店街、地域社会を活性化させる道であるし、それが消費者利益にもつながっていくものだというふうに思うわけです。  こういう点で最後に一言だけ、大臣、やはりこの大店法の規制緩和はこれ以上するべきではないと思いますが、この点、ぜひ大臣も真剣に受けとめて考えていただきたいと思うのですが、どうですか。それだけで終わりたいと思います。
  161. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 あくまでも、今我々が取り組もうとしている経済構造改革、その中における規制緩和というものも、実は国家国民というものの将来を考えてやろうとしているわけでございますので、国民の多くからの反対とか批判があることは、これはできないことは申すまでもありません。
  162. 吉井英勝

    ○吉井委員 終わります。
  163. 武部勤

    武部委員長 次に、横光克彦君。
  164. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。大臣には長時間大変御苦労さまでございます。質問させていただきます。  私は、例の泉井石油商問題、その関連についてまず御質問させていただきたいと思っております。  昨年十二月の本委員会で、通産省の省内で調査委員会ですか、そこが泉井と関連した人たちを処分をしたわけですが、そのときに、歴代の通産省の幹部のOBの皆様についてきちっと調査をしなければ意味がないというような意見が多かったわけです。そのときに大臣は、OBが行き過ぎた、こう言っても注意も何もできないことになっております、もうやめているんですから、OBの方は今のところ聞くという考えはない、このようにお答えになっているわけですね。服務規定がないわけですから。  しかし、その後、あれからまた泉井関連のいろいろな問題が起きてしまいました。服部前運輸事務次官あるいは涌井大蔵省官房長、こういったことがまた起きて明るみになってしまったわけですね。服部と泉井は贈収賄で起訴されております。 涌井官房長は、絵をもらったけれども返したということだ。こういった新たな展開になっている。  そこで、さきの予算委員会大臣は、中部電力の例のC重油の取引口ききの件で質問を受けた際に、この中部電力の件に関してだけでしょうが、OBに対しても調査をするというようなお答えをされたと聞いておりますが、それは今でも変わりないですか。
  165. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 若干話が長くて恐縮でございますが、この問題は二つございまして、まず最初の件というのは、昨年の暮れに通産省六人の処分をいたしました。これはあくまでも、直接泉井事件に関係しているわけではなく、綱紀粛正という観点から、このいかがわしい人物とのつき合いが多かったということから、監督責任も含めて六名を処分したのです。  そのときに、それをどういう人を対象としくそうしたいかがわしい男とのつき合いの、交友の範囲、こういうことでございましたので、それは大体当時言われていた、やはりエネ庁というか石油、そういう方面に関係のあるところを中心に、今のところは上から局長部長、そして大体百名余を対象として聞いた。そのときは、OBは関係ない、こう実は申し上げたわけですが、ただし事件の推移を見守りながらと、こう言ったのです。  そこで、今のお話ですが、いろいろな方面にこの話が飛んでいったのですが、今御指摘のように、C重油の中部電力の購入という問題、これに絡んでエネ庁の幹部が云々というのがございましたので、これは予算委員会でもって話がございまして、そういうことで、今のように事件の推移を見ながらと言っている以上これはそのように調査をする、こういうふうに返事をいたしました。
  166. 横光克彦

    ○横光委員 先般の、省庁内の官房長を中心とした調査委員会、あれはもう現在はないのですね。
  167. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 あれは、そこのところははっきり言って確認はしておりませんが、しかし、今のような話に関しては、直ちに官房長の方に、こういうふうなことでもって世間において今言われている本人並びに電力会社について、その間においてどういうふうなことでもってという——一番私たちの方で関心があるというか力点を置かなければいけないのは、そのことによって通産省がとつてきた石油行政というものがゆがめられたかどうか、この一点に尽きるわけですから、それに対する調査というものをまず命じた。こういうことですが、そのときに今おっしゃる調査委員会というもの云々は、若干話はずれますが、私はまだそこのところは聞いておりません。
  168. 横光克彦

    ○横光委員 実は新たな展開というのは、例の資源エネルギ庁の幹部、OBですが、中部電力の燃料部担当役員に三菱石油のC重油を購入するように口ききをしていた。これは中部電力が発表したわけですからね。そして、その前後に、ここが問題だと思うのですが、その前後に元幹部は泉井石油商会代表泉井純一被告から都内の料亭で数回にわたり接待を受けていた、こういうことになっているわけです。  私は、この問題が出たときに、通産省の幹部がそういったことをやる理由がもうひとつはっきりわからなかったわけですね。三菱石油のC重油を購入するようにという理由がよくわからなかったのですが、その後に、結局、三菱石油側が通産省側の強い意向で一部上場の潤滑油メーカー支援のために資本参加したことの見返りとして始まった疑いが強いということが関係者の話で明らかになったという報道もあるわけです。これでかなり意味がわかるわけですね、幹部が動いた意味が。  ですから、ある潤滑油メーカー、これはもう新聞にも名前が出ているのですが、富士興産という会社なんですが、この会社は、設立当初から通産省OBが社長を務めるなど、同省と非常に関係が深かった。そういったことで、この富士興産がオイルショック以降非常に経営が悪化したために、同社の再建が通産省にとっても非常に大きな懸案事項となったということでございます。その再建のために石油元売各社に働きかけて、その中の三菱石油が資本参加して再建策が成り立った、こういうふうになっているわけでございます。  真偽のほどはまだわかりませんが、その際に、再建策に参加するかわりとして三菱石油のC重油を電力会社に売り込んでほしいという要請があったということになっているのです。いずれこれははっきりすると思いますが、私は大変なことだなと。この中部電力に働きかけたOBが、その再建策のときにも非常に問題解決のために努力しているわけですね。その後に、結局また泉井容疑者から数回にわたって接待を受けたということになっているのですが、通産省として、これからこの中部電力の件の調査を始めるというお話でしたが、今どの程度まで進んでいるかわかりませんか。
  169. 広瀬勝貞

    ○広瀬政府委員 ただいま大臣がお答え申し上げましたとおり、資源エネルギー庁の元高官の、言われておりますC重油の売り込みにつきまして調査をするということでございまして、大臣から命じられたところでございます。  まさに今、どういう調査をどういうふうにやるかということで、着手したばかりでございますので、内容について、あるいはいつごろ結論が出るかについてはまだ申し上げられる段階ではありませんけれども、少なくとも、言われております元高官あるいは電力各社からのヒアリングをいろいろやってみたいというふうに考えておるところでございます。内容については、ちょっとまだそういう状況でございますので、申し上げられません。
  170. 横光克彦

    ○横光委員 エネルギー庁サイドが石油元売各社に対してこの潤滑油メーカーの再建策のために働きかけをしたということは、エネルギー庁サイドはお認めになられますか。
  171. 広瀬勝貞

    ○広瀬政府委員 この点も含めて調査をしてみたいというふうに考えております。
  172. 横光克彦

    ○横光委員 中部電力に口ききをしたそのOBと再建策にかかわったときにいろいろと奔走したOBというのは同じ人で、真偽を確かめるのにそんなに時間がかかる問題ではないと思うのですね。これは個人の問題ではなくて、通産省エネルギー庁サイドが動いたというように思われるわけで、そういったある意味では大きい問題は、あったかどうかぐらいわかりませんか。
  173. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 日常の業務からいって、そういうことでもって会社の方が買う買わないということは、実は考えられないことなんであります。ただ、今の問題でなかなか御理解が難しいと思うのは、今確かにそういう報道がなされておりますが、あくまでもやはり元高官とか幹部とかいうことで、実名が出ていない。私、率直に言って、新聞社の方に、いつ実名を出すのか、出せばこちらの方でも対応が非常にしやすいのだがと言うと、そこのところが非常に難しいのは、既に検察の方の捜査線に入っているのか入っていないのか微妙なので、間違うとやはりその人のプライバシーというか人権問題、名誉の問題、そこら辺が非常に微妙なわけでございますので、その点の御理解をいただきたいと思います。
  174. 横光克彦

    ○横光委員 それはよくわかります。  ただ、私が申し上げたいのは、電気事業法あるいは石油業法、業法というのがございますね。そして、それぞれ通産省に監督権限があるわけでございます。そういったときに、例えば口ききとか介入とかいうことになりますと、これは業者にとっては、監督権限のあるところから言われるわけで、大変大きな影響力がある重い言葉になってしまうのですね。  そういった意味で、これからいろいろ地検等が、これはもし贈収賄、利権、職務権限とかにかかわっていれば事件になるわけですが、そういうことがもし出てきて捜査するということになったら明るみになると思うのですが、私はその前に、やはり省として率先してこういった、ある程度の事実解明に向けてかなり積極的に努力していく姿勢を国民は求めているのではないかという気がするわけでございます。  この件に関して、OBを含めて調査するという大臣お話もございましたので、どうか前向きに進めていただきたいし、本当に残念なことですが、この泉井石油商関係の問題というのはこれからかなり広範囲に波及する心配がある。あるいはもう政界にまでも影響を及ぼすのじゃないかというような問題で、国民にとっても、またこういったことが起きてしまえば非常に打撃を受けるわけで、こういった事件が新たな展開を示すようなことになった場合、本当に大臣はどのような対応をされるのか、いま一度お聞かせください。
  175. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今おっしゃるとおりで、やはりこの業界、そうした法律の保護のもとにある、こういうところが実は問題だろう、委員の御指摘のとおりでございまして、純然たる民間会社に対する世話とはそこらに違いがあるだろうと思っております。  私自身、大変申しわけない言い方ですが、先ほど申したように、予算委員会における答弁に基づいて調査依頼をしてから、実はまだその報告というか方針を聞いておりません。私の方は逃げているわけではございませんが、命じた者が逃げているのか、何か私が役所に行くといない。こういうことがございますので、早速とつつかまえまして、その報告をいかにするかということでもって、私の責任においてこの問題を処理してまいりますので、ひとつお待ちいただきたいと思います。
  176. 横光克彦

    ○横光委員 どうかひとつよろしくお願い申し上げます。  次に、地球温暖化対策のための気候変動枠組み条約締約国の会議、COP3が本年十二月に日本で、京都で開かれるわけでございますが、主催国としてのリーダーシップを発揮していただかなければならないと私は思っております。とはいいながら、これは非常に難しい会議になるのじゃないかなという気もいたしております。  先日、NHKの番組、私も全部は見なかったのですが、ちょっと見たのに、南極で唯一咲く花が今かなり広範囲に咲くようになった。広範囲に花が咲くようになったということは、温度が上がって花が咲きやすくなったわけですね。二度ぐらい上がったというような話だったのです。これも地球温暖化が地球全域に広がっているのだなという思いをいたしました。花が咲くことは大変うれしいのですが、そのことがまた、大変大きな地球的な問題にもなるのだなという気がしたわけでございます。そういった意味で、今度の京都の会議は、私は非常に大きな意味を持ってあろう、とりわけ私たちの国ま王催国でございますので。  CO2の問題は、とりわけ先進国と途上国の意見の隔たりというのは本当に大きい。その上に、先進国同士でもどうしても意見の差異があるわけですね。そういった意味で、難しいことは重々わかっているのですが、何とかして議長国として知恵を振り絞って、公正かつ実効性のある議定書を提案していただくよう努力していただきたいと思っております。  まず、この会議に向けての我が国の基本的な取り組みについて、大臣、再度お聞かせください。
  177. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今おっしゃるように、この地球温暖化対策というものは、環境問題だということと同時に、やはり経済問題、エネルギー問題だ、こうした取り組みで通産省としても積極的にこれに対応していくということが必要だというのが基本的な認識でございます。  そこで、今御指摘のように、本年の十二月に京都で行われるCOP3、これにおいては、やはり環境保全上効果があり、そして公平かつ実行可能な枠組みが形成されるよう、関係省庁というのは、もちろん環境庁それから科技庁、いろいろなところが関係をいたしますから、それと一緒になって日本がリーダーシップを発揮する、こういうふうに持っていく所存でございます。  また、地球温暖化防止というものに向けては、当省といたしましては、先ほどから私が申し上げておりますように、省エネルギー、新エネルギーの開発あるいは原子力等のエネルギー政策、こういうものと、それから環境、エネルギーの技術開発、技術移転、こういう問題等に全力を挙げて取り組んでまいりたい、かように考えております。
  178. 横光克彦

    ○横光委員 二〇〇〇年以降のCO2の削減の数値目標を恐らく決めると思うのですが、日本方針はいつごろ決められるスケジュールになっているのかわかりますか。
  179. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 御指摘のCOP3の京都で二〇〇〇年以降の先進国の数値目標、政策措置の内容を決定することになってございまして、日本は昨年の十二月に日本の議定書案という形で世界に案を提示いたしてございます。各国から案が今集められているところでございまして、京都会議の六カ月前までに議定書案のたたき台を全締約国に配ることになってございますが、その過程に向けまして、このフォーミュラ、内容、協議をいたしているところでございます。
  180. 横光克彦

    ○横光委員 下工作が大変大事だと思います。その中で、各国共通の目標とするのか、それとも国ごとの差に持っていくのか、そこのところは日本方針はどちらを選ぼうとしているのですか。
  181. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 我が国の基本的な方針は、先ほど大臣も申し上げましたとおり、各国の過去の省エネ努力あるいはエネルギーの構成源にかかわる努力を公平に実現するという意味で、一人頭の炭酸ガスの量を原則としてとるというのが基本方針でございますが、ただ、この一人当たりの炭酸ガスの排出量は、世界で並べてみますと、例えばフランスの一人当たりが一・八トン、アメリカで五・四トンというような大きな開きがございます。したがいまして、この一人当たりの排出量を同じにする目標をそのまま当てはめますと、公平性は満たすものではありますが、一部の国にとりまして短期間に大幅な削減を課すことになり、現実的に受け入れ困難ということがございます。  したがいまして、日本政府の先ほども申し上げました議定書案では、一人当たりの数字という一つの目標と、それから総量を削減するという目標と、二つを並べて各国が選択をする、そういう選択式の提案を行っているところでございます。
  182. 横光克彦

    ○横光委員 その一人当たりと総量削減と、どうも二またかけているような気がしているのですが・・・。  日本の場合は、これまで大変CO2排出量の抑制のために努力してきているわけですね。ここで一律で数字を決められた場合、これは非常に私たちの国は厳しいことになるかと思うのですが、そのあたりはどうお考えですか。
  183. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 先生御指摘のとおり、世界で炭酸ガスの排出量の状況というのは、過去の省エネ努力で相当の違いがございます。先ほども数字を紹介いたしましたが、アメリカで五・四トン、フランスで一・八トン、日本の場合は二・六トンでございます。このために、一人当たりの排出量が現在非常に多い国では、削減努力というのは、過去の日本の省エネ努力の経過を見ましても比較的やりやすい部分がございますし、片や日本では、例えば一割削減といっても大変な影響があり、経済成長そのものを落とすことすら必要になるという大きな影響を及ぼすものと理解してございます。  したがいまして、その努力を公平に実現をするという趣旨で、既に相当の省エネ努力の結果を持っている一人当たりの排出量の少ない国、それとまだまだ過去の努力を見てこれからなし得る国、それぞれが実現可能な案を選択しまして、いずれにしろ全体として減らす方向での先進国の努力を最大限やろう、かような案でございます。
  184. 横光克彦

    ○横光委員 先進国、途上国、あるいは先進国同士、いろいろと思惑がございましょうが、先ほど言いましたように、何とか公正かつ実効性のある議定書を提案して、その会議が成功することを心から望んでおります。  終わります。ありがとうございました。
  185. 武部勤

    武部委員長 次に、前田武志君。
  186. 前田武志

    ○前田(武)委員 太陽党の前田武志でございます。佐藤通産大臣麻生企画庁長官所信表明に対して、きょうは商工委員会で初めての質疑でございますので、総論的な御質疑をさせていただこうと思います。  平成七年の国勢調査をもとに、ことしの一月ですか、人口問題研究所の人口統計分析推計が出ました。その概要等を見させていただいたわけでございますが、もう既に日本はかなり活力がだんだんとうせてくる時代、要するに峠を越えつつある時代に差しかかっているというのがこの統計から見てもわかります。例えば十五歳以上六十四歳まで、いわゆる労働力人口と申しますか、この人口が既に今後二十年間だけをとってみましても千三百万人減りつつある段階に入っている。大体今その層が八千八百万ぐらいいるのでしょうが、二十年間でこれが七千五百万ぐらいまでいく。逆に六十五歳以上というのが千三百万ふえる、今二千万ぐらいですが、それが約三千三百万になる。  人口推計というのを見ておりますと、高位、中位、低位とそれぞれ出生率で推計を分けているわけなんですが、今ある福祉計画でも国土計画でも、前の人口問題研究所の人口統計、たしか十年前の推計だと思いますが、それの中位推計によっているわけでございますが、今回のこの推計を見ておりますと、今の計画の基本になっている中位推計というのが、今回分析した結果の高位推計よりもまだ楽観的な人口動態になっているのですね。そのぐらい急激に人口減少段階に差しかかってきたということです。私は、むしろ低位推計に近い結果になるのじゃないか。二十一世紀の終わりごろには六千万台ぐらいまでになってしまうというぐらいの厳しい推計になっております。私は、すべてのことが、これからの日本施策経済政策であれ福祉であれ町づくりであれ、あるいは安全保障に至るまで、そういった背景というものがすべての面の基礎にある事実であろう、こういうふうに思いますね。  そんなところを導入部といたしまして、私は、そういう峠を越えていく時代、ここ一世紀ぐらいの間では活力が残された最後の時代であるだけに、よほどこの時代に経済政策あるいは通商政策、そういったものがしつかりとなされて、持てる活力を引き出すように向けていかなきゃいかぬ。当然のことで、そういうことで施策をしていただいていると思います。  そこで、常々思うのですが、もう既に話題になっている公共投資六百三十兆、こういうことで、十年間にとにかく早く社会基盤、インフラストラクチャーを構築して、住みよい町づくり、経済の活力のインフラストラクチャーになるハードの部門なんかもどんどん整備していこう、こういうわけでございますが、一方で、千二百兆円と言われる国民貯蓄、こういったものが、六百三十兆のインフラストラクチャー投資一つの呼び水というか、それが吸引力になって、この一千二百兆の国民貯蓄というものを現実経済の中にどれだけ引っ張り出して、どんどん投資を進めて、それこそ経済活性化させ、町づくりが進み、すばらしい環境ができてというようなシナリオを多分政府は描いておられるのであろうと思うんですね。  さて、その一千二百兆と言われるものの中身について、企画庁の方からちょっと概要を御説明いただけますか。
  187. 麻生太郎

    麻生国務大臣 一千二百兆の中身ということでございましたので、正確に言えば、これは平成八年の六月末の内容しか今持っておりませんけれども、一千百九十六兆六千百八十四億円というのが平成八年六月末ですが、普通預金が約三十八兆、要求によります払い出し預金が八十八兆一千億、定期性預金が五百三十九兆八千億、信託で約八十兆、保険が二百九十六兆三千億、有価証券が百五十三兆八千九百五十一億で、これが大体主な資産の内容であります。
  188. 前田武志

    ○前田(武)委員 ありがとうございます。政府委員で結構だったのですが、長官、わざわざ数字を挙げて御説明をいただきました。  よく言われることなんですが、こういった約千二百兆と言われる国民貯蓄がどうも日本の実体経済の中に投資されない。そこに大きな問題があるわけで、私もこの問題を追っかけて、住専国会であり、私の所属する委員会、各種委員会を通じて、何とかこういうものが引き出せるようにしよう、端的に言えば、例えば株がもっと動く、土地がもっと動く、町づくりが進む、そういうようなことを常に申し上げているのですが、どうもここのところが進まないのですね。  これは、あと長官の持っておられる一つ経済政策、哲学といったようなものでお聞かせを願いたいわけなんですが、数年前、中国の沿岸部をこういった観点から見に行ってまいりました。香港資本と日本の商社が組んでどんどん沿岸部の町づくりに投資をしております。これは、まず商社が向こうの香港の華僑資本と組む、そして日本の機関投資家とコンソーシアムを組んで、町づくり、もちらん電力であったり高速道路であったりというようなことも含めて投資をする。ということは、我々のこの貯金や保険や今ここに長官が御説明されたそういったものが、あの共産中国の町づくりにどんどん投下されているんですね。  それに引きかえ、私どもの選挙区の拠点になる都市、中小都市、相変わらず数十年たっても、しかもかなり交通等、私の場合には大阪の都心から便利なところにあるのですが、進まない。これは一つ町づくりを例にとっているわけですが、しかし、こういうところも、土地の規制あるいは土地の税制というものがもっと使いやすくなれば、どんどんそういう投資が進むはずですね。また、ニューヨークのウォールストリートにある機会に行って、そういう不動産開発市場というのはどういうものであるか、見てまいりました。これは向こうはすごいですね。もちろん住宅なんというのは、これはもうすべてセキュリタイゼーションされて、モーゲージというような格好で動いている。そういった意味では、日本のこの面での市場化がおくれているし、規制、税制、全く使いづらくしているような状況です。  きょうたまたま朝日新聞を見ていたら、建築基準法を改正して容積率を実質倍ぐらいまで緩和するということが出ていました。これだけでも随分違うんですね。そんなことも含めて、今一例をとったわけなんですが、今長官が御説明された定期性預金だとか保険なんというのがその千二百兆の中でも非常に大きなウエートを占めているわけでございまして、こういったものが本当に実体経済の中に投下されるような、どんどん投資されるような、そういった観点から経済運営をもっともっと、各省それぞれ縦割りでいろいろな施策を持っているわけでございますから、長官の方からも御指導をいただきたいな、こういうふうに思います。ひとつ長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  189. 麻生太郎

    麻生国務大臣 今いろいろ御指摘ありましたけれども、これはもう最大の問題だと思っております。これだけ金を持っている国、正直に申し上げてちょっとありませんので、これだけの金を全部足しますと、G7と言われるもののうちの約四割ぐらいを日本一国で持っている計算こなりますので、これは大した金なんです。その金がこの国に生きずに他の国のところに回っておるではないかという御指摘は、私どもも常々そう思っておりますので、そこで経済構造改革というのを私どもはしゃにむにせにゃいかぬと申し上げておるところであります。  中でも、今土地のお話があっておりましたけれども、やはり土地は、特に土地の値上がりが激しかったときにつくった法律規制、税制が不必要になっておりましても、習性として何となく大事にじっと持っておるというところがまだ強く残っておると思うんですね。  そういったものの中で最たるもの、例えば土地の再開発というと、県なら県がそれを許認可したとしても、国土庁に上がってきて国土庁がそれを許可するのに約十年近くかかっておると思います。大体社長の在籍年数が平均三期、六年とすれば、自分がやったときにはその実績は出ないわけですから、それは社長はやらぬですな、そういうのは。そうすると、やはりオーナー会社の社長で十年以上社長をやっているような人じゃないと、なかなかその人も取り組まないということにもなりますので、この種のものは、特に土地なんかの場合は、非常に大きな開発はもうほとんどこのところとまっておりますので、小さな虫食いみたいなのがあちこちに出て、それがむしろ逆に非難をされたりしております。  きよう出た中で、六つの分野の中で一番ちょっとおくれているかなと思いつつありました建設省、土地建物関係でいきますと、住宅・都市整備公団の住宅部門からの撤退について、きょうの容積率の変更というのは非常に大きなものでありまして、あと私どもとしては、日照権の空域における売買というか貸し借りというか、そういったものを含めてやりませんとなかなかできないと思っておりますので、この一千二百兆をいかに使うかは、これは最大の問題と思って、私どもも真剣に取り組みたいと思っております。
  190. 前田武志

    ○前田(武)委員 何しろ小さな太陽なものでございますから時間がありませんので、ひとつ簡潔にお願いしたいのです。  通産大臣中小企業の金融対策関係についてまとめてお聞かせ願いたいのですが、一つは、やはりいろいろ聞いておりますと、こういう金融不安の中で、中小企業の倒産防止制度というのがございますね。ああいったものが、これはもうお答えいただかなくても結構なんですが、いろいろ通産省からお聞きしておりますと、かなり今効果的に使われているというふうに承知ましております。ある限度額まで積むとその十倍以内で、もしも倒産というか、不渡りみたいなのを受けたときにちゃんと対応してもらえるといったような制度なんですが、こういったことについても、こういう時期であるだけに、使いやすい、そしていざというときには中小企業者も関連の、いろいろこのごろ関連しておりますから、そういうところの被害が最小限にとどまるような措置をお願いしたいと思います。  そして、質疑の方なんですが、中小企業金融としては、もちろん中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫等ありますが、聞いておりますと、やはり使いづらい。もちろん固定金利ですから、今相当高い利子になっているわけです。たしか数年前に、それを五%ぐらいまで低めるような措置をとっていただいたようではございますが、なかなか借りたいときに借りられませんし、そして、こういう政府系の場合には、たしか利子と元本と合わせて均等割にして返していくものですから、毎年毎年かなり返済が大変なわけなんですね。そういったことも含めまして、今非常に厳しい状況にある中小企業者に対する金融の支援について、佐藤大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  191. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今、前田委員から、現場の声というか、実際的に利用されている方々のお声を聞かせていただきました。私も非常に共鳴するところが多うございます。  今の御質問に対するお答え、これを申し上げますと、政府中小企業金融機関においては、零細業者を初めとする中小企業者の資金ニーズに対応した貸付制度の創設等に加え、中小企業者の実情を勘案した機動的かつ弾力的な運用を図ることが重要、こういうふうに考えております。  そのため、政府といたしましては、金利減免措置、小企業等経営改善資金貸し付け、いわゆるマル経でございますが、その特別措置の延長等の施策を講ずるとともに、さまざまな機会において政府中小企業金融機関等に対し、担保徴求の弾力化等、中小企業金融の一層の円滑化を図るためのきめ細かい配慮を指導しているということで、最大限の努力を行っているところでございます。  今後とも、今おっしゃるように、中小企業に対しては円滑な資金供給が図れるよう適切に対処してまいりたい、かように考えております。
  192. 前田武志

    ○前田(武)委員 ちょっと話題を変えまして、サイバーコマースというようなことについて御質問したいと思います。  実は、きょうこちらに来る前に、インターネットでどういうようなものが載っているか、ちょっと調べたわけでございます。もちろん私ができるわけではございませんでして、娘に引っ張り出させたところ、土地情報、房総のある別荘地帯みたいなところなんでしょうな、サイバーコマースといっても、要するに不動産グループが不動産情報を載せているだけなんですが、ボタンを押すだけでずらっと出てきて、これはよさそうだなというところをまた押せば、さらに詳しく情報を提供してくれる。あるいは、すばらしい欧州の中古車の何かであったりというのから始まって、銀行があります。  これはアメリカの大銀行でございますが、外国通貨をバスケットにして為替変動をヘッジするような、そういう商品を提供しております。しかし、これも実際には日本の支店を通じて買う、払い込んだりするわけですから、まだ本当の電子通商には行っていないと思いますが、しかし、これはあるアメリカ会社ですが、ホームバンキングなんというのを、簡単にアメリカに口座が設けられますよというようなものを出しております。だから、ここに口座をつくって、その先はホームバンキングを通じて向こうのいろいろな資産運用をやってもらうということになってくると、これはもう電話一本で、余り日本では捕捉できずにやれるのではないのかなというような感じもするのですね。  現実はどんどん進んでいるわけなんでございますが、通産省でもこの電子商取引についてはいろいろと取り組みをされていると思います。時間がありませんのでまとめてお答えを願いたいわけなんですが、今どういうような取り組みを、取り組みというと具体例でちょっと長くなるのですが、どういうふうな観点でこれを受けとめておられるか。  私が一番心配するのは、ビッグバンだとか、あるいは為替管理法、この国会にかかっておりますが、そういうものがどんどん進んでまいりますと、現実の方は動いておりますから、どうも日本の国内で把握できないような取引がどんどんサイバースペースを通じて外国の方でも起こってしまうんじゃないか。便利にどんどん使えればいいわけですけれども、要するに、インフラに当たる法的なものであったり制度であったり、そういったところをよほどしっかり今から対応策を考えておかないと、そしてまた、逆にこういったことを通じて犯罪が起きた場合の司法関係のインフラですね、大変なことだなというふうに感ずるものでありますから、現状における取り組み、認識をお聞かせください。
  193. 中川勝弘

    ○中川(勝)政府委員 ただいま委員から御指摘ございました、例にお挙げになりましたサイバービジネスでございますが、アメリカ等ではかなり実用化に供されておりまして、実際に本を販売いたしましたりCDを売ったり、あるいはコンピューター用のソフトウエアを販売したりした例が現にございます。日本もグローバルにインターネットでつながっておりますので、アメリカで行われていることが当然日本にも入ってきておりまして、実際に実用化されているところもございますが、いわゆる電子商取引というのは、今申し上げましたように企業と消費者を結びますいわゆるオンラインショッピングのほかにも、企業企業の間で大量の商品の受発注をコンピューターのネットワークを通じて行うとか、あるいは設計を共同で行うために設計図面のかわりにコンピューターネットワークをつないでやるとかいうのまで入っておりまして、いろいろな形で実は行われております。  日本は大変これはおくれておりましたので、私どもはぜひとも進めなければいけないということで補正予算をつけていただきまして、平成七年度から実は大規模な実証実験事業をやっております。  先生も御指摘のように、これが信頼された制度として動くためには、電子ネットワーク上の決済が、要するに犯罪、犯罪といいますか、クレジット番号がとられたり、あるいは電子マネーが途中で盗まれたりというようなことが一番問題でございまして、いかにしてセキュリティーを確保するかということが大変大事なポイントになっております。  したがいまして、技術開発で、仮にクレジット番号がとられても暗号でもって当事者以外にわからないようにするというようなこともございまして、暗号技術の開発なんかもやっておりますし、それから制度的にも、御指摘ございましたように、今は契約のすべては書面でやるようになっておりまして、電子ネットワーク上での取引の中で具体的な制度をどうやつてつくっていくかということは、大変大事な問題でございます。  私どもも電子商取引の環境整備の研究会というものをつくっておりまして、今問題点の洗い出しを初め、どういう制度的対応をするかというのを関係省庁とも働きかけながらやっているところでございます。
  194. 前田武志

    ○前田(武)委員 この問題は国家の安全保障にもかかわる問題でありますが、最後に通産大臣の御感想なりをお聞きして、終わります。
  195. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 確かに時代が変わってきている、また変わらなければいけない、こんな思いがする一方、御説明があったように、このセキュリティーという問題をどう考えるのか、これは大変な問題だろうと思いますし、また、それを大げさに言うと、まさに国というものが喪失する、なくなっていく、こんな危険性すら考えざるを得ない、こういうことでございます。
  196. 前田武志

    ○前田(武)委員 終わります。
  197. 武部勤

    武部委員長 御苦労さまでした。  以上で所信等に対する質疑は終了いたしましたので、経済企画庁長官を初め関係説明員の皆様方には御苦労さまでしたと申し上げます。      ————◇—————
  198. 武部勤

    武部委員長 次に、内閣提出、工業標準化法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。佐藤通商産業大臣。     —————————————  工業標準化法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  199. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 工業標準化法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近年の経済活動の国際化の進展の中で、規格及び認証制度が貿易に対する障害にならないようにすることを目的として、貿易の技術的障害に関する協定が締結されました。本協定は、貿易の一層の円滑化の観点から、国際的な基準を基礎として、各国の規格に関する認証手続を整備することを強く求めています。また、我が国の事業環境を国際的にもより一層魅力あるものとし、経済構造改革を推進するためこま、内外こ透明で競争的な制度環境を整備することが喫緊の課題であります。  このような内外の情勢変化に的確に対応した工業標準化制度を構築するため、本法律案を提出した次第であります。  次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一は、日本工業規格表示、すなわちJISマーク表示を製品に付する製造業者等を民間機関が認定する制度を整備することであります。  JISマーク表示制度につきましては、現行法のもとでは、主務大臣のみがその表示を認めることができるものとなっておりますが、本法律案により、現行の主務大臣による審査に加え、国際的な基準を基礎として主務大臣が指定する内外の民間法人の審査により表示を認める制度を整備いたした次第であります。  第二は、表示制度対象とならない鉱工業品について、日本工業規格との自己適合証明を円滑に行うことを可能とするための試験事業制度を整備することであります。  主務大臣が国際的な基準をもとに認定した試験事業者が日本工業規格との適合性を明らかにするために必要な試験を行った場合には、当該試験事業者が標章を付した証明書を交付することができるものとするものであります。製造業者等が日本工業規格との適合性をみずから証明するに際し、本制度が有効に活用されることを期待しているものであります。  第三に、民間団体等の利害関係人が自主的に原案を作成し、主務大臣に規格の制定を申し出た場合の手続を簡素化し、民間団体等からの幅広い規格の提案を促進することであります。  以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  200. 武部勤

    武部委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十三分散会      ————◇—————