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1997-04-17 第140回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月十七日(木曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 川端 達夫君    理事 稲葉 大和君 理事 栗原 博久君    理事 松下 忠洋君 理事 山本 有二君    理事 菅原喜重郎君 理事 西  博義君    理事 坂上 富男君 理事 藤木 洋子君       岩永 峯一君    大石 秀政君       阪上 善秀君    砂田 圭佑君       田中 和徳君    竹本 直一君       桧田  仁君    平沢 勝栄君       松本 和那君    宮路 和明君       赤羽 一嘉君    石井  一君       一川 保夫君    木村 太郎君       北脇 保之君    笹木 竜三君       冨沢 篤紘君    中野  清君       矢上 雅義君    川内 博史君       桑原  豊君    渡辺  周君       平賀 高成君    北沢 清功君       小坂 憲次君    望月 義夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 伊藤 公介君  出席政府委員         阪神淡路復興         対策本部事務局         次長      生田 長人君         国土庁防災局長 福田 秀文君  委員外出席者         科学技術庁研究         開発局地震調査         研究課長    上原  哲君         科学技術庁研究         開発局海洋地球         課長      丸山 剛司君         環境庁水質保全         局水質規制課長 畑野  浩君         文部大臣官房文         教施設部指導課         長       吉澤 晴行君         文部省教育助成         局施設助成課長 玉井日出夫君         厚生省社会・援         護局保護課長  西沢 英雄君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     安江 二夫君         水産庁漁港部防         災海岸課長   長野  章君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       加藤 文彦君         運輸省運輸政策         局地域計画課長 梅田 春実君         運輸省運輸政策         局環境海洋課         海洋室長    武藤  浩君         運輸省運輸政策         局技術安全課長 釣谷  康君         運輸省鉄道局施         設課長     白取 健治君         運輸省海上技術         安全局安全基準         課長      矢部  哲君         運輸省港湾局海         岸・防災課長  中村  豊君         海上保安庁警備         救難部海上防災         課長      坂場 正保君         建設省河川局防         災・海岸課長  山中  敦君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      板垣  治君         建設省道路局企         画課道路防災対         策室長     宮本 泰行君         建設省道路局地         方道課長    村岡 憲司君         建設省住宅局民         間住宅課長   八木 寿明君         建設省住宅局建         築指導課建築物         防災対策室長  佐々木 宏君         自治大臣官房参         事官      滝本 純生君         消防庁危険物規         制課長     小林 恭一君         特別委員会第一         調査室長    清水 紀洋君     ───────────── 委員の異動 四月八日  辞任         補欠選任   山本 公一君     岩永 峯一君 同月十七日  辞任         補欠選任   田村 憲久君     宮路 和明君 同日  辞任         補欠選任   宮路 和明君     田村 憲久君     ───────────── 四月一日  阪神淡路大震災被災者生活再建への公的助  成拡充等に関する請願(土肥隆一君紹介)(第  一四四七号) は本委員会に付託された。     ───────────── 三月十二日  地震津波風水害噴火等自然災害被災者の  住宅復興生活再建促進等に関する陳情書外  二件  (第一二〇号) 四月三日  災害復興を円滑にする住宅保障システム確立  に関する陳情書  (第一六五号)  震災対策関係施策の充実・強化に関する陳情書  (  第一六六号) 同月十日  阪神大震災被災者生活再建と全国の地震一激  甚災害対策確立に関する陳情書  (第一  九六号)  地震津波風水害噴火等自然災害被災者の  住宅復興生活再建促進等に関する陳情書  (第一九七  号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件      ────◇─────
  2. 川端達夫

    川端委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松下忠洋君。
  3. 松下忠洋

    松下委員 鹿児島三区から出ております松下忠洋でございます。  私のふるさとで起こりました地震災害対策について、十五分間の持ち時間でございますので、よろしくお願いをいたします。  三月二十六日に震度五の大きな地震が起こりました。八十四年ぶりという大地震でございまして、地域は天地がひっくり返るような大変な大騒ぎでございまして、その後も震度五の地震がずっと続いておりまして、現在でもまだ余震が続いておる状態でございます。  起こりました地域は、(図面を示す)図面ではわかりにくいでしょうけれども鹿児島県の川内市という地域薩摩半島北部にありますけれど も、その薩摩半島北部川内市から北の方阿久根出水薩摩郡、この辺を中心とした地域地震発生いたしました。震源地は、紫尾山という地域の山がございますけれども、そこの直下十キロメートルが震源地だというふうに言われておりまして、直下型の大きな地震でございました。そのことをまず御報告申し上げておきます。  その中で、大変大きな被害が出てきております。学校ですね、薩摩郡それから川内市、特に薩摩郡の小学校中学校が大きな被害を受けております。鶴田小学校東郷中学校、宮之城の農業高等学校、ここは柱が座屈して校舎が使えませんし、入学式も校庭でやる、外でやるというような状態でございました。今でもそういう状態が続いておるわけでございます。  それから、道路被害がございました。がけ崩れ、そして大きなクラック山崩れ、たくさんの被害発生しておりまして、死者こそありませんでしたけれども、過疎の地域でございましたが、一つ間違えば本当に死者を伴う大災害になったというふうに非常に心配した結果でございました。  幸い、火事も発生がなく、そして死者もなかったことが不幸中の幸いだったと思っておりますけれども、山地の荒廃、それから道路クラックひび割れ、それから河川堤防クラックと河岸の決壊、それから道路の大きな被害、それから、阿久根という漁港がございますけれども、そこの港の桟橋、そこのピアの浮き上がり、全体が壊滅的な被害を受けたわけでございまして、大変大きな被害になっていることは間違いありません。  どうぞこの実態をまずわかっていただきまして、そして一刻も早く現地に入っていただいて査定をしていただき、災害復旧のめどを立てていただきたいということが地域の大きな希望でございます。既に、文部省方たちや農林省、建設省方たちも含めて、中に入っていただいて現地査定もしていただいておりますし、計画も進んでおりますから、その点での心配はしておりませんが、一刻も早く現実に復旧ができるようにしていただきたいというふうに感じているところでございます。  そして、この地域鶴田町という町がございます。川内川という九州三大河川一つがございますが、その上流に鶴田ダムがございます。洪水防止のための基幹ダムとして大きな役割を果たしておりますけれども、そのダムクラックが入ったり決壊するのではないかといううわさが飛んだりして、一時地域が騒然となりましたけれども建設省皆さん方の綿密な調査と素早い対応によりまして、ダム本体そのものは何ら異常がないということをいち早く発表していただき、記者発表もしていただきまして、地域はそのことでおさまりました。  ここに「おおつる湖だより」というダム管理所がつくっているパンフレットがございますけれども、これをいち早くつくっていただきまして、「鶴田ダム点検の結果異常なし」「地震による鶴田ダム安全点検について」ということで、大丈夫だということを町民、下流の人たちに知らせていただきました。このことを我々は高く評価しておりまして、このことで大きな混乱が起こらなかったということを、これは感謝を申し上げて報告申し上げることでございます。  そこで、質問でございますが、一括して質問いたしますので、内容をまとめてそれぞれお願いしたいと思います。  一つは、災害査定応急工事実施状況、それから今後の予定、これを手短に、簡略にお願いしたいと思います。  それからもう一つは、鶴田定之段線という県道が鶴田町にございますけれども、ここに神子橋という橋がございます。これは昭和七年につくられた橋で大変老朽化しておりますて、かねてから人が歩くにしても非常に心配しながら歩いていたという橋でございますけれども、これが今度の地震で大きくまた被害発生しておりまして、非常に不安定な状態になっております。町が慌てて、四トン車以上通行どめ、通行には十分注意してくださいという看板を立てたほどでございます。  昭和七年にできて六十五年たっている橋がそのままあるわけでございますから、この橋のかけかえも地域の非常に大事な問題でございますので、ぜひこれについての見解お願いしたいということでございます。  それからもう一つは、阿久根市というのが川内市の北の方に、これは北薩の方の大きな漁港でございますけれども、ここの港が壊滅的な被害を受けました。それについての復旧状況、これへの対応お願いしたいということで、お聞きいたします。  それから、範囲は小さかったですけれども、大変大きな被害が起こっておりまして、山崩れがけ崩れも頻発いたしました。そういう激甚災害指定見通しはどうなのかということでございます。  それからもう一つが、大事なことでございますけれども地方自治体等災害復旧財源が非常に不足しておりますし、苦しい状況の中で、それを支援する体制をぜひとっていただきたい。これは自治省お願いするわけでございます。  それからもう一つは、これは二次災害防止のための緊急対策、これについてのお考えをお聞きしたいわけでございます。  がけ崩れや地すべり、土石流等危険地域並びに道路、これは橋梁やトンネルも含みますけれども、そういうものの危険箇所、それからダムため池等農業用施設緊急調査、そういうものについての点検調査を至急していただきたいということと、それに対する砂防ボランティア組織というものができていると聞いておりますけれども、そういうものの活用をぜひ図って、地域人たちに一刻でも早く安全な状態をつくっていただきたいということでございます。  それからもう一つは、この地震発生源となりました活断層、これについて、出水と熊本の方にわたる活断層地域は把握されておりましたけれども、これに関連して、今度発生した地震は別のところの紫尾山の直下という震源地でございましたから、そこに対する活断層調査、これもぜひやっていただきたいということで、科学技術庁も含めてそのことのお考えをお聞きしたいということでございますので、よろしくお願いをいたします。以上です。
  4. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 いろいろな角度からの御質問がありましたので、個々の質問についての答弁はそれぞれの担当から答弁をさせたいと思いますが、鹿児島県の北西部地震災害に関しましては、委員からるる御指摘をいただきましたように多くの被害が出ているわけでございまして、また、現地皆さんには、私からも心からお見舞いを申し上げたいと存じます。  また、激甚災害指定等につきましては、今、現地また関係省庁と連絡をとりまして、被害状況十分査定をいたしまして、きちっとした形で国土庁としても、また政府としても対応してまいりたいと思っております。  松下委員現地におきますいろいろな御協力、また現地からの適切な情報提供につきましては、心から感謝を申し上げたいと存じます。
  5. 山中敦

    山中説明員 被害箇所復旧への取り組みと災害査定見通しについてでございますが、まず、直轄河川川内川被災箇所につきましては、四月の十四日から既に応急工事に着手しており、四月末に完成する予定でございます。なお、本復旧出水期の過ぎました十月以降に実施したいと考えております。  それから、県及び市町村の管理いたします施設被害についてでございますが、応急復旧に努めますとともに、本格的な災害復旧につきまして、現在国庫負担申請準備中でございます。建設省といたしましては、申請を受け次第、現在の予定では五月末の予定でございますが、災害査定実施することといたしております。また、それに先立ちまして、来週にも担当現地に派遣して、現地調査実施したいと考えております。  以上でございます。
  6. 長野章

    長野説明員 今回の地震による水産関係被害については、阿久根漁港における漁港施設等公共土木施設が二十二件、約七億円、阿久根漁港荷さばき施設等共同利用施設が二件、約三億円、合計二十四件で約十億円の被害を受けております。  この報告を受けまして、四月一日に担当官現地に派遣しまして、阿久根市等の関係者と協議の上、緊急を要する箇所についての応急工事について指示したところであります。その他の箇所についても、現地での災害査定準備が整い次第、早期現地査定を行い、迅速な復旧に努めてまいりたいと思っております。
  7. 安江二夫

    安江説明員 お答えいたします。  農業関係被害につきましては、農地百三十三カ所、被害額二億四千八百万、水路等施設百八十八カ所、被害額六億二千万円の報告を受けているところでございます。被災いたしましたこれら施設等につきましては、地元準備が整います五月六日から災害査定に着手することにしております。  なお、緊急を要します箇所につきましては、既に六十八カ所の応急工事実施をしているところでございまして、今後とも全力で早期復旧に努めてまいる所存でございます。
  8. 中村豊

    中村説明員 港湾関係被災といたしましては、川内港、米之津港、高之口港の三港で岸壁や防波堤等において沈下や亀裂の発生などを生じております。この被災の程度は、船舶の利用に直接支障があるというものではございませんので、応急工事必要性は認められておりません。六月初旬には災害査定実施し、その結果を踏まえて必要な復旧工事を行うこととしております。
  9. 吉澤晴行

    吉澤説明員 文部省関係被害状況につきましてですけれども、四月十五日現在で把握しておるところでは、学校管理下における人的被害はございませんでした。鹿児島県内におきまして、学校施設六十五件、社会教育施設五件、社会体育施設七件及び文化財一件の合計七十八件の施設被害発生しております。  文部省といたしましては、被災施設早期復旧に向けて、災害復旧事業が円滑かつ迅速に行われるよう万全を期してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  10. 村岡憲司

    村岡説明員 お答えいたします。  御指摘神子橋は、老朽橋のため、平成八年度から国庫補助事業によりまして、平成十一年度完成を目途にかけかえ事業に着手をいたしまして、平成八年度は用地取得を概成したところでございました。  今回の事態を受けまして、平成九年度は早速下部工事に着手しますとともに、平成十年度内のできるだけ早い時期の完成に向けまして、支援してまいりたい所存でございます。  以上でございます。
  11. 板垣治

    板垣説明員 二次災害防止に対する点検のあり方についての質問でございますが、今回、幸い地震による死者はなかったわけなのですが、地震等、が影響した崩壊箇所は、四月十六日現在で三十四カ所を把握しているところでございます。地震発生後、直ちにがけ崩れ危険箇所点検をいたすとともに、私ども建設省の職員を二度現地に派遣いたしまして、応急対策等指導してきたところでございます。  がけ崩れ発生しているところでございますが、鹿児島県内砂防ボランティアの献身的な協力を得ながら、斜面の情報収集に努めてきたところでございます。さらに、地震による山体の緩みが予想されるために、早急に広範囲に現地調査を行うとともに、空中写真を活用し、また危険箇所の把握を詳細に行うこととしております。  また、河川堤防等につきましても、降雨の状況出水状況を注視しながら、巡視、点検実施していく所存でございます。  今後とも、必要な調査点検実施し、二次災害防止に万全を期してまいりたいと考えております。よろしくお願いします。
  12. 上原哲

    上原説明員 活断層の問題でございますが、現在私どもといたしましては、地震調査研究交付金制度をもちまして、鹿児島県に大きな断層がございますが、一つ出水断層で今回の震源の北側のもの、それから南側のものとしては鹿児島湾西縁断層がございまして、その断層帯を本年度から着手する予定でございました。それで、その一環といたしまして、現在県の方と調整をさせていただいているわけでございますが、今回の震源域近傍におきましても、具体的な活断層が生じているかどうかについて調査することを検討している段階でございます。  以上でございます。
  13. 滝本純生

    滝本説明員 災害復旧事業に伴います地方負担の問題でございますが、自治省といたしましては、これらの被災地方公共団体実情を十分お聞きいたしまして、地方債及び特別交付税の措置を講ずることといたしまして、いずれにいたしましても、被災地方公共団体財政運営支障が生ずることのないよう適切に対処してまいりたいと考えております。
  14. 松下忠洋

    松下委員 以上でございますが、よろしく対応方お願いを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  15. 川端達夫

    川端委員長 次に、宮路和明君。
  16. 宮路和明

    宮路委員 私は、災害対策委員ではないわけでありますけれども、今回の地元における地震災害は大変大きなものがございまして、また、伊藤国土庁長官にはかねて大変御懇篤な御指導を賜っているところでございますが、ぜひ伊藤長官にこの現場の実態をお聞きいただき、そして、その復旧対策に大きな力をかしていただきたい、こういうような思いできょうは質問をさせていただくことに相なった次第でございまして、心から感謝をいたしておるところでございます。  先ほど松下代議士が概括的な被害お話をされ、また、公共事業関係を網羅的に御指摘になったところでありますので、私は、民間部門についてちょっとお話をさせていただき、政府見解を、また今後の方針をお聞きしたい、こう思っておる次第であります。  いろいろな被害が起こっておるわけでありますが、最近地元市町村で、住民皆さん被害相談災害対策相談窓口を開いてその相談を開始いたしたわけでありますが、ここで一番多いのは何かといいますと、住宅が壊れたことによってその住宅をどういうぐあいに復旧していったらいいのか、これについての悩み、相談が圧倒的に多いという現地実情であります。  県から取り寄せた被害状況報告によりますと、現在の被害関係、トータル七十九億、こういう数字でありますが、この中には民間住宅関係は一切含まれていないわけでございます。公共施設被害が大方七十九億に上っておる。ところが、民間住宅被害は、県の調べによりましても、二千三百戸近いものが全壊あるいは半壊そして一部損壊という被害発生している。そしてその対策として、町の方も、仮設住宅を設けたり、あるいは県営住宅について空き家を被災者に提供していくといったようなことを始めたところであります。  大変な被害を受けた一般の民間住宅は、地震でありますので、屋根が壊れたりかわらが全部落っこちたり、あるいは壁が壊れたりひびが入ったり柱がゆがんだり、住宅自体もそういった大変な被害を受けておりますけれども、また、基礎といいましょうか、地べたの方も、いわゆる液状化現象というものが起こって、土盛りをしたところなんかはそこにひびが入っている、あるいは崩落している、あるいは壁も壊れた、石垣も壊れた、そういうようなもろもろの被害が起こっているわけでありまして、大変な被害でございます。  こういった住宅災害に対する、建設省だと思いますけれども、どういう対策が現在あるのか、あるいは打ちつつあるのか、この点をまずお聞かせいただきたいと思います。
  17. 八木寿明

    八木説明員 今回の地震で、民間住宅の中で全壊半壊、あるいは特に一部損壊が多数出ている という被害状況は把握しておるところでございます。  建設省におきまして、これら被災をされた民間住宅に対する対応策といたしまして、住宅金融公庫のいわゆる融資制度を用意しておるところでございます。これらの被害を受けられました住宅につきまして、それを再建される場合、あるいは、壁ですとか塀あるいはかわら、こういったものについて修繕を施される場合につきまして、それぞれの融資制度を設けておるところでございます。  なお、住宅金融公庫につきましては、一般的な住宅の新築でありますとか取得につきましては、一定の期間を設けてその貸出申請を受け付けておるところでございますが、これらの被災者につきましては、一刻も早くその修繕なりをしていただくために、一年間を通して受け付け窓口を開くことによりまして、被災者の便宜なりあるいは早期修繕に役立てたいというふうに考えておる次第でございます。  以上でございます。
  18. 宮路和明

    宮路委員 今、住宅金融公庫の貸し付けがあるということのようでありますが、そこで、建設省として、どういうぐあいに住宅被害状況をとらまえ、現地調査もしていただいたかどうかよくわかりませんが、その辺、どういうぐあいにとらまえて、どういう手を既に打ってあるか、それが一点。それから、住宅金融公庫資金が、災害資金というものを特別何か用意立てされているものかどうか、それが第二点。結論だけ簡潔にお聞かせいただきたいと思います。
  19. 八木寿明

    八木説明員 現地民間住宅被災状況につきましては、国土庁などからの被災状況報告でありますとか、鹿児島県からの被害報告を受けておるところでございます。それでおおむねの被害状況を把握しているところでございます。  それから、住宅金融公庫のこれら被災住宅に対する融資につきましては、資金的には十分確保できているものと考えております。
  20. 宮路和明

    宮路委員 いや、私は、通達というか、指示か何か既に出したのか、地域住民皆さん、これが一番大変だということで相談なんかにも非常に来ているわけでありますけれども、どういった手だてを今まで講じたか、この問題について。先ほど、公共事業関係ではもう査定に行ったりなんかしているわけですよ、それを、国土庁やあるいは県からの報告なんというのは、件数がただ上がってきているだけです。これをつかんでいるだけだと思うのですけれども、その辺どうしているのか。それから、住宅資金、量はたくさんあると言うけれども災害資金としてちゃんとそれにふさわしい金利なり償還期限なり、そうしたものを講じたということでやっているのか。その点を聞かせていただきたいということです。
  21. 八木寿明

    八木説明員 被災者に対する住宅金融公庫からの融資のあり方につきましては、住宅金融公庫を通じまして、住宅金融公庫の業務を取り扱っている各金融機関に、通年受け付けなど、その内容、趣旨については十分徹底しておるところでございます。  それから、融資の条件でございますが、住宅金融公庫融資は、一般的な貸し出しと、規模の大きな災害に対しましてはいわゆる災害復興住宅融資の制度を設けておりますが、災害復興住宅融資制度融資を適用するに当たりましては、災害救助法の適用の基準に該当する災害であるか否かを一つの判断基準といたしまして、その適用の可否を判断しているところでございます。  以上でございます。
  22. 宮路和明

    宮路委員 何というのですかね、すかっとした答弁がなかなかもらえないのですけれども現地の方へ、どうも住宅資金のそうした融通の徹底といったようなことについてしかるべき措置が打たれたということは、私ども、現場を歩いてみてもどうも実感として出てきていない。また、一般の住宅資金、改良資金と同じ条件だということのようでありまして、貸付限度額あるいは金利、そういったものも、金利も何と普通の改良の住宅資金と同じで、当初三・二%、十一年以降は四%という資金しか貸してもらえない。全くこれだけ大きな民間住宅被害発生しているにもかかわらず、何ら特別の配慮はされないというふうなことしか聞いていないのです。  そんなことでは、政府の金融機関のあり方自体が、目下いろいろと行革の中で論議されているわけですけれども、全く存在感がない、こういうことになってくるわけでありますけれども、そこをどういうぐあいに考えておるか、もう一遍きちっと答えていただきたいと思います。
  23. 八木寿明

    八木説明員 通常の罹災者に対する融資条件と、災害復興住宅融資を適用した場合の融資条件に、据置期間でありますとか金利について差異がございますのは事実でございます。住宅金融公庫も国の金融機関の一つでございますが、この災害復興住宅融資制度融資の適用につきましては、客観的に一定規模以上の災害を対象として行うという形で従来から運用しているところでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
  24. 宮路和明

    宮路委員 長官、今私いろいろ聞いておるのですが、きちっとした答弁がなかなか返ってこないのです。要は、物すごい民間住宅被害発生しているにもかかわらず、災害救助法というのは人命が幾ら犠牲になったとか、何かそういう尺度ではかられておるものですから、災害救助法の適用というのがどうも今回の地震についてはない。  そこで、一般のこれだけ多くの住宅被害を受けながら、一般の改良資金と同じ条件でしかお金が借りられないということでありまして、配慮がそういう住宅資金には、公共施設は物すごく災害復旧のいろんな手当てをしてやることになっているにもかかわらず、民間住宅については何らそういう配慮がなされていないという非常にアンバランスが起こっておるわけですね。  ですから、こうした大災害による民間住宅の損害というものに対しては、やはり住宅金融公庫なんか、もっと被災者の立場に立った融資制度というものをつくっていかなきゃいかぬ、私はそう思っておるわけでありまして、その点、ぜひ今後の検討課題として、今回を大きな反省材料としてやっていただきたい。業務方法書か何か省令か直せばできるということですから、できればぜひこの災害に間に合うようにこれはやってもらいたい、このことを一つ要望しておきたいと思います。  もう一つ、それと関連して、このように役所サイドの認識が、何といいましょうか、我々と温度差があるな、非常に冷たいなと感ずるのは、被害額そのものを住宅については何らとるシステムになっていないのですね。件数だけ、幾ら幾らという件数が起こってまいりましたということで、先ほど申し上げた二千二百六十二棟の住宅でやられている、そういう被害状況報告というのは県の方から国の方にも上がるようになっているようですが、被害金額はどうなっているかということについては、全然これをキャッチするような仕組みになっていない。  農作物だとかあるいは商業関係とか、みんなこれは被害金額まで上げて報告をするようなシステムになっているにもかかわらず、住宅は全く件数だけでありまして、先ほど私が申し上げました被害状況からすると、私は恐らく何十億の被害になるんじゃないかというふうに思うのですが、この民間住宅関係、そういうものは全然実は建設省の方にも国土庁の方にも認識がないわけであります。  ですから、他の農作物あるいは商業関係のお店がどうだとか品物がどうなったとか、その他公共施設はもちろんでありますが、全部金額をとらえて被害報告がなされるようになっているにもかかわらず、民間住宅についてはそれが全然なされていないということでありますから、これはひとつ今後の課題として、民間住宅についてもその被害額というものが上がってくるようなシステム、そういう情報のとり方をするように、そして的確なその後の復旧対策をしていくように、ぜひこの際改善を施していただきたい、このことを要請しておきたいと思います。
  25. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 宮路委員には、現地にあって、 被災をされた方々の抱えている切実な問題を適切に御指摘をいただいたと思っておりますし、これまでも災害が起きて以来、現地と私どもとのいろいろな情報提供をしていただいたり、今御指摘いただいたような問題について早くからお取り組みをいただいていることに対しましても、心から敬意を表したいと思います。  ところで、阪神・淡路の震災以来、私自身も被害を受けた方々の立場に立ってさまざまな制度というものを見直したり、今委員からも御指摘をいただきましたが、もう少し役所は温かい配慮をしろというお話でありましたが、委員もかつて役所で御活躍をされておられたわけでありまして、決して冷たいということではなくて、基本的には公平な立場に立ってやらなければならないという立場もございますが、いずれにしても、どういう災害であっても、災害を受けた人たちが立ち土がれる、そういうための融資制度というものをきちっとしていかなければならないということは御指摘をいただいたとおりでございます。  私自身も、今御指摘いただいた点につきましては、関係省庁と十分連絡をとって、地元被災をされた方々に対応できる制度というものにきちっとしていきたいというふうに思っております。
  26. 宮路和明

    宮路委員 長官の大変温かいお言葉を賜りまして、ありがたく思っています。どうかひとつよろしく、そうした災害復旧対策の前進に向けてのお取り組みを再度お願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  27. 川端達夫

    川端委員長 次に、竹本直一君。
  28. 竹本直一

    ○竹本委員 ことしの三月四日だったと思いますが、予算委員会の第八分科会において、私は近畿圏における防災ネットワークの検討の必要性ということを訴えました。それに対して担当国土庁のお答えは、今後とも自治体との連絡をさらに密にして検討を進めるというような御回答であったように思いますが、その後の検討状況等をまずお聞かせいただきたいと思います。
  29. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 近畿圏において広域的な防災基地という構想が持ち上がっておって、大阪府を中心としてその検討が今なされておるわけでございます。  先般、今御指摘のとおり先生から御質問がありましたけれども、現在地元では、大阪府を中心にして二府七県、これが相互に会議を持つ等々いたしまして、この構想の実現に向けて熟度を増した協議を展開しているところでございます。私どもも、その大阪府を中心として、地元と密接な連携を今とっている、そういう状況にあります。
  30. 竹本直一

    ○竹本委員 自治体でそれぞれの検討がなされているというような趣旨の御発言のようにも聞こえますけれども国土庁は国の機関でございますので、こういった近畿圏の都市機能をいかに確保するか、災害から守り切るかというのも国の使命でございますので、そういった視点に立って、積極的な関与の上、どのような防災ネットワークをつくればこの近畿圏のあるいは京阪神圏の地域の安全と国の機能が損なわれることのないような措置が可能か、ぜひ真剣に検討していただきたいなと思うわけでございます。  御承知のとおり、首都圏においては立川防災基地をつくりまして、万が一永田町、霞が関に大災害があってその機能が麻痺した場合には、そちらに国の機能を移すという構想のもとに、現在いろいろな整備が進められているわけでございますけれども、これと全く同じようなものが近畿圏において必要なのかどうか。私は、必ずしも現時点においてその結論を出す自信はございませんけれども、首都圏の約半分くらいの人口を抱え、また社会経済機能におきましても相当の巨大な集積を備えているこの地域を自治体だけに任せておくのは極めておかしいのではないかというふうに思っておるわけでございます。  そういう意味におきましても、国の関与のもとに、国の主導のもとに、こういった地域の安全の確保策をぜひ国として立ててもらいたい。  我々は自由民主党近畿ブロックの議員のグループを持っておりまして、奥野誠亮先生を中心に活動いたしております。自由民主党といたしましても重大な関心を持ってこの構想を進めておりますので、ぜひ国土庁長官におきましても十分御理解の上やっていただきたい、そのように思うわけでございます。  前回の予算委員会のときにも申し上げましたとおり、日本の国の権威といいますか、日本の国の経済力を背景にしたこの国の姿というものは、東京の一つの集積だけで日本のすべてを語れるものではない。ましてや東京に大震災が起こって、かつての関東大震災のようなことになれば、日本列島全部が麻痺してしまうわけでございます。そういった意味で、麻痺が起こらないように、もう一つの心臓がきちんと働いておれるように、万が一近畿圏において災害が起こった場合、その機能をどう確保するか、そして全国との関係においてその支援体制をどうするか、また近畿圏内においてどのような支援体制を組むか、一自治体あるいは一地域の自治体だけの問題ではないと私は思うわけでございます。  たまさか国土計画をつかさどる国土庁が、この防災においても専門局として防災局を持っておられるわけでございますから、そういった視点においてぜひとも積極的な、熱心な御研究をお願いしたい。我々議員においても、恐らく自民党以外でも大変な御関心をお持ちだと思います。ぜひ頑張っていただきたいなと思うわけでございます。  そういう意味におきまして、ひとまずちょっと国土庁長官の、私の申し上げていることについてのお感じ方、あるいは所信といいますか、お考えをぜひ、簡単にお聞き申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
  31. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 東京と大阪は、何といっても日本を代表する国際的な都市であります。御指摘をいただきましたように、東京は、周辺を中心として万々一大きな災害を受けたときに、それにかわり得る機関として立川を中心とした機能を想定をしているわけでございます。  そこで、今御指摘をいただきました大阪を中心とした二府七県、こうした地域で緊急のときにそれぞれの自治体とどのように連絡をし、また国との連絡をしていくかということは、かねがね御指摘をいただいたり、また二府七県の中でもいろいろな御協議をいただいてきたところでございます。八尾空港を基地としてさまざまな対応をすべきだという御指摘をいただいていることも承知をしているところでございます。  今、国土庁といたしましても、昨年の十一月に実は大阪府との連絡協議を持たせていただきました。今後、この協議の場を活用いたしまして、大阪を中心としたこの地域の防災対策というものをどんなふうに進めていくかということもさらに協議を続けてまいりたいと思っております。  自治体の立場でやっていくか、また、今多分そういうことを想定しながら御質問いただいたのだろうと思いますが、東京といわゆる立川基地跡地、そういう関係などを考えながら、関西地域の防災、あるいは震災に対する対応をどんなふうに今後進めていくかということは、さらに私どもも大きな関心を持って、今申し上げたような二府七県の皆さんとの協議を重ねてまいりたいと思っております。
  32. 竹本直一

    ○竹本委員 ありがとうございました。ぜひ獅子奮迅の努力をお願いいたしたいと思います。  一般質疑でございますので、もう一点、日ごろ私が非常に関心を持っております国際協力の面について一言御質問申し上げたいと思います。  ことしの防災白書を見ますと、我が国政府の、あるいは自治体の国際協力実態を書いてございますけれども、かつて二年前に神戸で大震災がありましたときに、諸外国から援助をいただきました。いろいろトラブルもありましたけれども、今の時代、地球は時間、距離にして非常に狭くなっておりまして、そういう意味におきまして、地球のどこで災害があろうと、先進国あるいは周辺国から即座に救援隊が飛んでくるのが現状でございます。  また、その中において、どの国がどういう役割を果たしたかということが非常に大々的に全世界に報道され、正直なところ、その国の姿勢、また尊敬の念の持てる国であるかどうかというような国の評定にもかかわるような報道が大々的にされる。そういう意味では、弔問外交という言葉がございますが、まさに災害救援外交の場でもあるわけでございます。  単に世界サミットの中で大統領あるいは総理が大きい顔をする、いろいろ見えを張るというのばかりが外交ではなくて、こういった困ったときの人助けこそが国と国との間においても外交の有力な手段に結果としてはなっておるという現実を見ますと、日本の災害救助における国際協力のあり方ということをもっと政府としても真剣に考えた方が、より効率的な外交における投資ということになるのではないかな、私はそのように思うわけでございます。  そういう目で見ますと、国連人道問題局、DHAというのが国連の組織として、国際機関としてございますけれども、これは昔ありました国連災害救済調整官事務所、翻訳の言葉がなかなかわかりにくいのですけれども、UNDRO、こういった国連組織を統一いたしまして、ジュネーブに本部を置いたものでございます。そういう意味で、この機関を諸外国は非常に積極的に活用しておる。  そういう現状を見ますと、今インターネットの時代でございますから、どんどん日本もここからの情報をとっていただいて、そしてアフリカの奥地でどういう災害が起こったか、そういったことも含めてしょっちゅう情報のやりとりをする、少なくとも情報の把握ができている、それぐらいのことが大国日本においてできないのでは、やはりおかしいのではないかというふうに思うわけでございます。  そういう意味におきまして、こういった災害に関する国際組織との窓口は我が国政府においてどこであり、そして、現在実質どのようなことが行われているか、簡単に御説明をお願いしたいと思います。
  33. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 今先生から御指摘のありました国連人道問題局でございますが、世界各国の人道的な援助活動の促進を任務としておるわけでございます。世界の災害発生状況、こういうものについて各国に情報提供がありますし、例えば日本からだったら、この人道問題局に我が国の災害状況、こういうものの報告を行っておる、そこで情報交換をしている、これが一つでございます。  また、世界のいずれかの国で災害なりが起こったときに、この問題局の方から、日本の場合には外務省が窓口でございますが、外務省の方に何か援助の道はないかというような御連絡がございます。そのときには外務省が中心となって人材の派遣とかあるいは物資の提供、こういうことをやっておるわけでございます。そのとき国土庁は、当然のことながら、人材の派遣のときにはその構成メンバーとして向こうへ行くなり、あるいは向こうからまたこちらへ来ていただくなり、そういう交流を行って、問題局の働きの一環として協力をしておるというような状況でございます。
  34. 竹本直一

    ○竹本委員 情報の収集、当然非常に重要なことでございます。それに加えて、各国がどのような災害救助の展開をやっておるかということをもっともっと我が国にも紹介してもらいたい、そういう希望が強くあるわけでございます。  私は、人助けというのはその人の能力に合った立場でやるのが一番いい、またそれがすばらしいと思うわけでございます。  例えば、災害が起こったときには、ソ連やアメリカの緊急援助隊はすぐ犬とか何かを連れまして、派手にやります。これも一つの効果でございます。オランダの例を挙げますと、オランダは日本の九州ほどの小さい国でありますし、昔はいざ知らず、今はそれほどの技術もそれほどの資本力も持っておりません。そこで、外国で災害が起こりますと、災害が一段落した一カ月後ぐらいに、被災した家屋の後片づけに百人、三百人と一般のボランティアがそれに参加しておる。その片づけの姿に被災した国の人たちが大変感銘を受けて、オランダの人たちは親切だとか、オランダには大変お世話になったとか、こういった感想をよく漏らしておるわけでございます。  大して金もかかっていない、そして救助隊に対して危険ももたらさない、しかしながら大変な感謝の気持ちを諸外国に植えつけている。これも私が言いましたように、災害救援外交の一つのやり方だと思います。  我が国にそれをやれと私は申しているわけではございませんけれども、ぜひ、こういった国連機関の情報収集と兼ねて、要は人助けというのは心でございます、先ほど役所は冷たいという話がございましたけれども、心のこもった災害救助活動及びそれに対する支援体制、そういったものに積極的に取り組んでいただきまして、日本が災害救助の先進国だと言われるような体制をぜひ組んでいただきたい。そのようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  35. 川端達夫

    川端委員長 次に、砂田圭佑君。
  36. 砂田圭佑

    ○砂田委員 自由民主党の砂田圭佑でございます。  私は、さきの阪神大震災で、自宅も事務所も一瞬にして崩壊をした経験を持つ者の一人として質問をいたしたいと思います。  私自身、十五年間ローンを払い続けた自宅が二十秒で崩壊をしたという経験から、その当座は、自分の命が助かればそれでいいという思いでいっぱいでありましたし、働けば何とか取り戻せるというような思いで過ごしてまいりましたけれども、時間がたつにつれて、家を失い家財の九〇%を失ってしまうと、やはりその無念さといいますか、十五年間は何であったか、今まで過去に働いたのはどんな意味があったのかと大変無念な思いに駆られました。  このことは、恐らく他の被災者、先ほど宮路先生からもお話がありましたけれども、兵庫県では二十三万棟の家が一瞬にしてつぶれたり半壊をしたわけでありますから、そういう意味でも、被害に遭われた被災者の方々は、自分の財産、そういうものに対して非常な無念の思いを今も持ち続けられ、時間がたっとともになおさら残念な思いに駆られているという、大変同情的な立場にいるわけであります。  ある世論調査によりますと 国民の七〇%が天災で自分の財産を失うことへの不安を持っておられるということを訴えておられます。そして、兵庫県を中心といたしまして、天災による被害への保障制度を国会で検討することを求めた署名が、実に二千四百万人の署名が集まって、先般、二月二十日に梶山長官のところを通じて総理に届けられたのは御承知のとおりでございます。また、全国四十七都道府県の議会では、自然災害に対する保障制度を求める議決を、既に三月三十一日までにすべて終わって議決をしている。  このような国民の声を重く受けとめて、国会でも、何らかの形で天災に対する国民的な保障制度の創設の議論を始めていただきたい。国土庁長官には、先般来、その点についても大変な御努力、御腐心をいただいていることは承知をいたしております。しかし、これだけ多くの国民が願うことでありますから、ぜひとも、どんな形の保障制度がいいかという議論だけでもできるだけ早急に始めていただきたい。その制度をぜひとも立法府あるいは行政府で審議会のような形の中でお取り組みをいただけないものか、国土庁長官にまずお伺いをいたします。
  37. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 二千四百万人の署名を集められて、自然災害に対する国民的保障制度を求める国民会議の要望が示されたことは、私自身もよく承知をいたしております。また、内閣官房長官に代表の方々が会われてこのことを要望され、その一部の方々は私のところにも見えていただきました。  砂田委員も、数々の委員会でこの問題について 強い御関心をお持ちをいただき、またかねがね御指摘をいただいているところでございますし、私自身も、復興本部の副本部長として、就任以来最も重要な課題として取り組んできた課題の一つでございます。  実は、二月六日に、埼玉、静岡、兵庫県の知事さん方と、この問題につきまして意見交換をさせていただきました。また、四月十四日、つい先日のことでございますが、南関東一都六県の知事さん方とお会いをいたしました。実は阪神・淡路の震災の直後に総理の諮問機関であります防災問題懇談会が持たれて、その中で地方公共団体で検討を進めるようにという結論を得て、全国の知事会がこの問題を回を重ねて御協議をいただいているところでございます。特に南関東は直下地震等がいろいろ御指摘をされているところでございまして、関心を持っていただいております知事の方々に直接私ども国土庁においでをいただいて、つい先日、このことにつきましても意見交換をさせていただきました。  共通した意見は、何らかの新しい対応が必要ではないかという共通認識を持っていただいていたように私は認識をいたしまして、これらの皆さんの御意見というものを今後知事会の中でできるだけ早くまとめていただいて、国もよく連絡をとりながら、災害に対するこうした国民的な保障制度といいますか、あるいは基金制度、共済制度、いろいろな案をまだ御指摘をいただいておりますが、これらのことをできるだけ煮詰めて、また可能なところから新しい制度がスタートできればと私自身も思っております。  なかなか、国ももう御案内のとおりでありますし、地方財政も極めて厳しい中でございます。そうした中で、住宅を持っている国民すべての人々にコストを負担していただける状況が実るであろうかどうかというようなことも、また難しい問題を抱えているようにも思います。そうした中で、現実的な結論を導いていただければ大変ありがたいと思いますし、私も一層の努力をしてまいりたいと思っております。
  38. 砂田圭佑

    ○砂田委員 震災から二年たちましたけれども地元では、政府の支援によって、社会資本の復旧はかなりのハイスピードで、約九五%くらいの復旧を見ているところでございます。政府の努力に感謝をするものであります。しかしながら、残念ながら、市民の経済生活はいまだもとに戻っていません。大変苦しい状況にある。  その原因の一つに、経済が活性化しない、それはやはり住宅建設のおくれがそこにあるのではないかという気がいたします。六千億の復興基金事業、そして三千億の生活支援、その中で住宅に対する借入金の利子に対する利子補給の事業がありますけれども、残念ながら、計画の額に対して申請の額は八・三%しか達成をいたしておりません。  それはなぜか。やはり金を借りて家を建てたい人が金を貸してもらえないという実態があります。銀行がバブル以降大変貸し渋るということもありますし、それから担保にする土地の時価が大変下がっているというような問題もあります。もちろん、借り手の返済能力という問題もあります。そんなことで、どうしてもこの神戸の経済を復活させるために必要な住宅を再建するということが、何としても非常に急務な要素になっております。  そこで、いささかとっぴのようでもありますけれども住宅を建てたい、再建をしたいという人に、地方自治体がその借入金に対する保証をすることができないか。そんな方法が何かないか。そんな道がないか。  もう一点は、更地になった土地に、例えば地方自治体が家を建ててあげて、それを家賃という形で貸し付けて、一定の時間がたったら払い下げるというようなことで土地の資産を確保してあげる、そんなことがひとつできないものか。自治省でぜひとも知恵を出していただいて、被災者の立ち上がりのために何とか知恵を絞っていただきたいという気がいたしますが、いかがでしょうか。
  39. 滝本純生

    滝本説明員 現在、復興基金におきましては、復旧、復興への各般の行政を補完し、被災者の生活の安定、自立を支援するための各種事業を行っているところでございますが、基金でどのような事業を行うかにつきましては、基金におきまして、地元状況等を十分踏まえられて判断すべきものであるというふうに考えております。
  40. 砂田圭佑

    ○砂田委員 いずれにいたしましても、地方自治体と自治省関係でありますから、地方自治体が判断をするのも自治省の御指導、御示唆が要るものでありますから、そこのところをぜひとも地元のためにお考えをいただきたい、よろしくお願いを申し上げるものでございます。  次に、あの大都会の直下型の震災の中で少しでも震災の被害が少なくなる、そういうような観点から御質問をするものでありますけれども、あの焼け野原の中で、唯一ガソリンスタンドだけが全く無事故で、周り一帯がすべて焼けた中でガソリンスタンドだけが火を発しなかったということは、被害を食いとめるという意味においても大変印象的な光景でありました。聞きますれば、消防庁の行き届いた規制があって、特に、ハード面におけるガソリンタンクの埋設あるいは防火塀、ソフト面の従業員に対する教育、その効果の結果であるというふうにこれは世界からも高く評価されているところでございます。  しかるに、最近、防火塀を取り除いて四面を開放した給油所が出現をしたことやら、そのことを考えますと、やはり一たん災害が起こったときの防火面からまことに憂慮される、そんな気がいたします。さらに、近年、セルフの給油所、お客さんが勝手に自分で給油をするという販売方法の実現を通産省でもお考えになっておるようでございます。  通産省では、片や災害対応型の給油所を全国で補助金を出して誕生させるという反面、規制緩和の名のもとに、そういういささか安全性を無視した形のセルフの給油販売を推進されることはまことに矛盾があるという気がいたしますが、通産省、いらっしゃいますでしょうか、お願いします。
  41. 加藤文彦

    ○加藤説明員 御指摘のガソリンスタンドの安全性の問題につきましては、消防庁の方で検討が進められているというふうに承知しております。  先生のお話にございました災害対応型ガソリンスタンドの普及事業、これは当方で、安全性というよりもむしろ燃料を供給する機能を災害時においてもガソリンスタンドに担っていただくという観点から、八年度から行っているものでございます。  具体的には、震災等があった場合には、例えば警察とか消防関係の緊急車両あるいは医療施設への燃料の供給ということで、ガソリンスタンドの燃料供給の重要性というのがより高まる可能性がございます。その場合におきまして、他方において、電気、水道といったところが外部から供給を閉ざされますと、ガソリンスタンドといえども燃料の供給ができないということになるわけでございまして、この災害対応型のガソリンスタンドの普及事業といいますのは、災害時におきまして、太陽光発電それから貯蔵施設をみずから備えることによりまして、災害時にも供給を継続する機能を維持していただくということで、八年度から進めているものでございます。
  42. 砂田圭佑

    ○砂田委員 時間がなくなりましたから、最後に一点だけ、そのようないろいろな目的でガソリンスタンドというものがつくられているということは今のお話にもあったとおりでありますが、あくまでも震災の被害ということを考えるときに、ガソリンスタンドのこれまでの社会的な規制は非常に重要だと思われます。その点について、消防庁、いかがでしょうか。
  43. 小林恭一

    ○小林説明員 消防庁といたしましては、給油取扱所の規制に基づく安全対策は、阪神・淡路大震災時におきましても適切に機能したものと考えております。  一方、規制全般にかかわることでございますけれども政府としては規制緩和推進計画を決定しておりまして、この計画において、危険物、防災、 保安関係の行政分野につきましても、国民の生命、身体、財産の保護等を図りつつ、技術水準の向上等を踏まえ、関係諸規制の緩和等を進めるということとされております。  給油取扱所の規制に関しましても、規制緩和推進計画の趣旨、またそこに定められた内容に沿いまして、安全水準の維持に十分配慮しながら検討を続けてまいりたいと考えております。
  44. 砂田圭佑

    ○砂田委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  45. 川端達夫

    川端委員 長次に、笹木竜三君。
  46. 笹木竜三

    ○笹木委員 新進党の笹木竜三です。  私は、短い時間ですけれども、ロシアのタンカー・ナホトカの重油流出事故に関連する質問をさせていただきます。  この委員会でも他の委員会でも何回か取り上げさせていただいておりますけれども、確認したいことも幾つかありますので、そういった質問をさせていただきます。  最初に、先般も質問させていただきましたが、もう肉眼ではかなり海岸がきれいになっている、海もきれいになっている、そういうふうに見えるけれども、決して完全に回復しているわけじゃございません。海岸でまだ汚れが残っているところも若干あります。あるいは、被害を受けた自治体の海岸で、きれいな海だということで夏に観光客が来ている、海水浴客が来ている、そういった場所もたくさんございます。  そういった被害を受けた関連の自治体から、何度も私自身も問い合わせを受けていることは、海岸をさらにきれいにするために、あるいは海そのものをさらにきれいにするためにいろいろな方法があるし、いろいろな処理剤もあるのだろうけれども、そういったことについて国が最終的にどういう判断をするのか、あるいはもう国は判断を放棄するのか、そこらが一体どうなっているのかはっきりしないという問い合わせが幾つも来ております。  この委員会でも取り上げさせていただきましたが、アメリカの場合には、あのエクソン・バルディーズの事故の一カ月後に、バイオスティミュレーションという、もともとあるバクテリアを使って海をきれいにする、海岸をきれいにする方法、これは、もともとあるバクテリアに対して栄養を与える、えさを与える、そういった方法があるわけですけれども、EPA、環境保護局ですか、アメリカの政府が音頭をとってこれに取りかかって、ヨーロッパでもアメリカでもかなり一般的に使われておる方法だと聞きます。  二月、三月に、この委員会あるいは他の委員会でもお聞きしたところ、環境庁がその判断をする、調査をしているというお答えを何度もいただいております。三月四日にお聞きしたときには、年度末までには結論を出したいというお答えでした。その後どうなっておるのでしょうか。
  47. 畑野浩

    ○畑野説明員 お答え申し上げます。  委員今御指摘のとおり、環境庁では去る二月に、バイオレメディェーションにつきましては、適用される現場の状況によりましてはその有効性が異なる、あるいは、使用方法によっては富栄養化等により生態系に影響を与えるおそれがあるということでございますので、その適用に当たりましてはこの点を十分配慮するとともに、地元の理解、協力を得る必要がある旨、私どもと水産庁と共同で、当面の見解というものを取りまとめ、お示しをしたところでございます。  さらに、その後、御指摘のバイオレメディエーションの有効性あるいは環境影響というものにつきましては、専門家の意見を聞きながら、海外におけるこれまでの事例等について調査実施してまいりました。  これらの調査を通じまして何点か明らかになっているわけでございますけれども、まず一点目は、過去の油事故に対しましてバイオレメディエーションの技術というものを利用した事例が六件ほど報告されております。お話にもありましたアラスカのエクソン・バルディーズ号の事故の際の適用例以外では、どうもその明確な効果というのは得られていないのではないかというあたりが一点。  それから二点目でございますけれども、基本的に、このバイオレメディエーションの技術というのはあくまで微生物の浄化能力というものを活用する技術でございまして、迅速な浄化は期待できないという点がございます。  それから三点目でございますけれども、本格的な適用あるいはその試験的な使用を含めまして実際の現場に適用する際には、事前に、有効性の問題、それから安全性、環境への影響といったような面から、適用の可能性について個々に具体的な調査、確認が必要なことが明らかになったところでございます。  こうしたことを受けまして、現在、環境庁におきましては、これまでに収集いたしましたいろいろな知見をもとに、このバイオレメデイエーションの技術というものを個々の現場に適用するに当たりまして、事前に調査あるいは確認すべき事項、いわば留意事項といったものについて自治体等の関係者にお示しをすべく、早急に取りまとめているところでございます。  また、委員指摘の中にございましたけれども、海外のいろいろな機関、これは、中には実際にこういったものを適用した機関もあるわけでございますけれども、その協力の問題でございますけれども、海外の事例につきましては、先ほど申し上げました文献調査等でエクソン・バルディーズ号の事故に関する知見を収集するとともに、この事故に関する油事故のプログラムを実際に担当いたしましたアメリカの商務省の専門家の意見も聴取いたしました。さらに、この四月におきましては、アメリカに職員、専門家を派遣いたしまして、エクソン・バルディーズ号の事故の情報を収集いたしてまいったところでございます。  今後とも、いろいろな海外の事例につきまして、引き続き海外の関係機関とも十分に連携、意見交換というものを図ってまいりたい、かように考えております。
  48. 笹木竜三

    ○笹木委員 確認したいんですけれども、いろいろ調査実施してきたというふうにお話がありました。具体的にどういう調査を、文書等でいろいろ調べられた、問い合わせをして向こうから取り寄せた文書なんかも一部見せていただきましたが、文書とか報告書を検討する以外に、具体的に実際的な調査はどういうものをされたのか、お答えいただきたいと思います。
  49. 畑野浩

    ○畑野説明員 お答え申し上げます。  昨年度の事業におきましては、主として、国際的にいろいろやられております事例というものを文献的な調査によって取りまとめました。今年度におきましては、先ほど申し上げましたように、それをもとに実際にその試験適用するに当たっての留意事項をまとめた上で、例えば模擬環境下での実験の実施といったようなものを視野に入れて、引き続き知見の収集を行ってまいりたい、かように考えております。
  50. 笹木竜三

    ○笹木委員 今までお聞きしたときにも、実際にいろいろ調査をして、いろいろな実験も含めて早くやってほしいと、EPA、実際にアメリカとかヨーロッパでは、国が、政府が音頭をとって実験もやって、その結果こういった被害があるときには実際に適用もしているわけですから、そういったことになれている現場の方もいるはずだから、外国のそういった方にもできれば来てもらって、実際の実験を海岸でやったらいいじゃないかと何回も質問させていただいているわけですけれども、どうしてそういった実験をされないのか、それが不思議でたまりません。  アメリカの場合、さっきお話ししたように、事故の一カ月後にはすぐ実験にかかっている。これが普通だと思うわけです。余り国が何もしないものですから、神戸の漁協なんかが中心になって、勝手に──勝手にという言葉はおかしいですけれども、独自に調査もしている。そういう動きもあるわけですけれども、基本的にはそういうスタンスで今後も続けていかれるのか。今言った、検討するときにはこういう項目があります、こういう ことをチェックしてください、それだけは国が一応示すけれども、あとは各自治体の判断に任せます、そういうことなんでしょうか。  それともう一つ、どうして実地の実験を今回被害を受けたこの場所においてやらないのか。  二つについてはっきりお答えいただきたいと思います。
  51. 畑野浩

    ○畑野説明員 油事故に対するバイオレメデイエーションの技術、これは我が国では新しい技術でございますので、先ほど私が説明させていただきましたいろいろな技術的事項あるいは環境への配慮事項というものに加えまして、いずれにいたしましても、試験的な使用を含めましてバイオレメディエーションの技術というものを実際の現場に適用するには、漁業関係者地元の自治体等々、関係者の御要望というものがまずあるでしょうし、それから、それらの方々の理解と協力というものが大前提になろうかというふうに考えております。  それから、第二点目の御指摘でございますけれども、実際になぜ現場の実験がすぐにできないのかという御趣旨だというふうに思います。やはり、繰り返しになりますけれども、このバイオレメデイエーションの技術、在来のそこに存在する微生物を活性化するという方法でございますので、順序といたしますと、いろいろな面で実験室的な確認とか、あるいはその場で有効であるかとか、いろいろな手順を踏んで実験を行った上で現場の試験に行くというあたりが、アメリカ等々で出されております文献にも記されているところでございます。
  52. 笹木竜三

    ○笹木委員 質問していることに全然お答えいただかないわけですけれども。  長官に一言御意見をいただきたいわけですけれども、こういう事故が起こった場合、今回の事故も規模としては初めてと言っていいぐらい大規模なことで、今ほかの省庁でも、「ふげん」ですとか「もんじゅ」ですとか東海村の事故ですとか、あるいは危機管理のことに関して、常に初めてのことなんですよ。それで、初めてのことに対する対応がいつも遅い、このことがもう一貫してこの数年問題になっている。  ですから、ぜひ政治のリーダーシップで、長官は自然災害に対する調整官庁のトップですけれども、事故に対する災害についても国土庁も調整的な機能を発揮しようということで、災害対策についてはいろいろ検討もされていると聞いております。これは予算がないのかどうかは知りません。そういうことも理由になっているかもしれません。初めてのことというのはどこの国も同じです。それにもかかわらずこれだけ対応の違いがある。こういうことについてどうされていくのか。  被害の各自治体からは、国が判断を示さないのならはっきりそう言ってくれ、結論として各自治体でそれぞれ判断してやれということならもうそれでいいし、判断を示すなら早く、いつまでにとはっきり示してくれと言われているわけです。  長官の御意見、コメントをいただきたいと思います。
  53. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 災害に遭った海を基本的にもとどおりのきれいな海にしていくということは、大変我々も責任のあることだと思っています。  今御答弁をいただいておりましたように、環境庁を中心として、笹木委員から御指摘をいただいた点につきましても、既に環境庁の職員をアメリカ等に送って、きちっとした情報収集をし、また情報交換もしてきていただいていると私は伺っております。  自然災害だけでなくてあらゆる災害、事故に関して、私自身も政府の一員として責任があるわけでありますから、今後、環境庁を中心として、委員の御指摘をいただいた点も、もちろん安全性を含めて実験をするなり実用化していくためにはあらゆる配慮が必要だと思いますけれども、日本は日本として、それに対するノウハウをきちっとしていく必要があると私自身も認識をしておりますので、よく環境庁等との連絡をとりまして、しっかりした対応をしてまいりたいというふうに思っております。
  54. 笹木竜三

    ○笹木委員 ぜひお願いしたいと思います。  それと、何度もお話ししますように、聞いたり、文書を見たり、報告書を取り寄せて読んだり、それも大事ですけれども、アメリカでもヨーロッパでも政府の方で経験を有する方がたくさんいるわけですから、そういう方の力もかりて、ぜひ実地の実験等を行っていただきたい。それは今後に備える意味でも必要だと思っております。  それともう一点、違うことについて確認したいわけですけれども被害について、基金とのやりとりで、補償について被害額積み上げをやって暫定で払っていくことも行われていくことになるわけですけれども、非常に今心配しておりますのは、土産物屋ですとか民宿ですとか、あるいは海女さんですとか、こういった方々、二百二十五億というマックス、最大限補償の枠があって、多分これを超えるだろうとみんな思っている。超えた場合には、説明をされたように、超えた額が二〇%ぐらい超えているとしたら、機械的にどの主体に対しても二〇%ずつ切っていく、その分払わないということになる。  それで、でかいところはその二〇%を払えるんだろうけれども、零細な業者の場合には非常に痛い。あるいは自治体においても、小さい、財政力がしっかりしていない自治体でも、海岸線がリアス式で被害の範囲が非常に広いとか、いろいろあります。ですから、機械的に足切りをしていった場合に決して平等とは言えないわけですけれども、特に、民宿ですとか土産物屋あるいは海女さん、そういった方々が心配しているのは、国がどんどん請求される、大きい自治体も請求をされる、自分らも請求をする、結果的に二百二十五億を超える、その場合どうなるのか。超過分が二〇%ぐらいならいいけれども、もっと高いともっと痛いダメージを受ける。  いろいろそういったことについて各委員会でもお聞きしたところ、例えば三月四日の答弁で、官房長官は、もちろん国も被害を受けた一員であるから請求をしていく、請求しないということはない、しかし、民間を優先するのは当たり前だという答弁があります。民間を優先する、これは具体的にどういうふうにやっていかれるつもりなのか、そのことについて、余り時間がありませんけれども、簡潔に政府委員の方にまずお答えいただきたいと思います。
  55. 梅田春実

    ○梅田説明員 先生御指摘の点でございますが、現在、ナホトカに関係いたします被害額は約百八十億円というふうに私ども見積もっているところでございます。まだ全部の被害を把握しているわけではございませんので、今後、被害総額の把握に努めていきたいと考えております。  その結果、二百二十五億円との関係が明らかになりましたら、その段階で政府としてどういうことが可能なのか、いろいろ問題点がございますので、関係閣僚会議の場などで検討していきたいというふうに考えているところでございます。
  56. 笹木竜三

    ○笹木委員 例えばその二百二十五億を超えた場合に、暫定で払っていく、その順番について民間を優先するのか、あるいは超えた分についてはちゃんと国とか自治体で補償するよということなのか。いろいろ検討されているんでしょうけれども伊藤長官もなるべく民間に心配かけないようにという答弁を今までにされておりますが、具体的にどういうことでやっていくのか、お答えいただきたいと思います。
  57. 梅田春実

    ○梅田説明員 先ほど申しました問題の一番大きな点は、これは方法論としては国が基金に対する請求権を放棄するというのが一番端的なやり方なのでございますが、仮にそういう方法をとって民間の補償を優先するというような方策をとりましたら、結果的に国の負担で民間に補償を行ったのと同じような問題が生じてまいります。地震などの場合は個人に対して国家補償をしないというのが現状でございますので、こういうアンバランスをどういうふうに考えるのかというのが一番大きな問題でございます。  具体的に、国が民間に対して劣後して請求をし ていくという方法は、技術的に先ほどの放棄以外にもいろいろな方法が考えられますので、そういうような問題につきましても、今後、二百二十五億円との関係が明らかになった段階で関係閣僚会議の場で検討していきたいというのが、私どもの現在のところの姿勢でございます。
  58. 笹木竜三

    ○笹木委員 今お答えいただいた、請求を差し控えると結果的には個人に対して国がその分を補償してしまうことになる、それはもう何度も、二カ月ぐらい前からいろんな方々の答弁で聞いております。  そうじゃなくて、具体的に優先するというのはどういう方法であり得るのか、それについて今どういう議論がされているのか、あるいはまだされていないのか。お答えあったように、被害の総額が大体二百二十五億を当然超えると私は思っておりますけれども、それまでに今どういう議論がされているのか、それについてお聞きをしたいわけです。  長官あるいは政府委員の方にお答えいただきたいと思います。
  59. 梅田春実

    ○梅田説明員 先生御指摘の点でございますが、御承知のとおり、関係閣僚会議の中には被害関係のワーキンググループを設置しております。その中で、現在のところ、被害総額の把握をやっておるところでございますが、先ほど申しましたように、方法論としてはいろいろな方法が考えられます。それぞれについての利害得失がどういうものであるかというのも考えられるわけであります。  そういうようなものにつきましては、私ども、まだ具体的にこういう方法だったらこうなるというような細かな検討はしておりませんけれども、そういう議論をしているという段階でございます。
  60. 笹木竜三

    ○笹木委員 もう時間になりましたのでこれで終わりたいと思いますけれども、長官に最後に一言コメントを、民間になるべく心配をかけないようにしたいということ、あるいはいろんな閣僚の方々が民間を優先したいということは言っておられます。答弁については余り要領を得なかったわけですけれども、民間に心配をかけない、そういうことで優先していくということについてどういうふうに今お考えを持っておられるのか、一言お言葉をいただきたいと思います。
  61. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 今度の重油流出事故に関しましては、運輸大臣が本部長として対応していただきました。もちろん、関係閣僚、そして関係省庁、連携をしてやってきたわけでありますが、私も閣僚の一員として、運輸大臣とも十分連絡をとりながら、委員が御指摘をいただきました民間の皆さんが、御商売をやっている方々も再建ができる、そうした立場に立って国もあらゆる支援をしていくべきだというふうに思っておりますので、委員の御指摘をいただいた点は、十分踏まえて私も今後努めてまいりたいと思っております。
  62. 笹木竜三

    ○笹木委員 質問を終わります。
  63. 川端達夫

    川端委員長 次に、西博義君。
  64. 西博義

    ○西委員 新進党の西博義でございます。  ナホトカ号による重油流出事故が発生して既に百日が経過をし、現地においても次々と終息宣言がなされているようでございますが、本日、私は、この間の政府対応を通して、国の危機管理体制並びに油汚染防除体制について、若干の質問をさせていただきたいと思います。  先日、大臣は懇談の折に、委員会のあり方について、政治家と政治家の議論の中で今後の国のあり方を決めていくことが大事である、委員会がそういう意味で活発な議論の場となることを願っている、こういう趣旨のお話がございました。私も全くそのとおりで、大臣の意見に同感でございます。本委員会におきまして、大臣の積極的な御発言を期待をしております。  そういう前提で、まず初めに、災害時の緊急事態の対応体制について大臣に御質問を申し上げたいと思います。  ナホトカ号の重油流出事故によって、我が国の油汚染防除体制についても、ハード、ソフト、両面においての欠陥が私には見えてまいりました。同時に、阪神大震災に引き続き、こうした緊急事態に対して、見通しの甘さ及び対応の鈍さなどが先ほどからも若干指摘されておりますが、国の対応が問題となっております。  一方、新進党は、さきの阪神大震災の教訓から、平成七年九月に災害対策基本法の一部改正案を作成しまして、緊急事態において首相が各省庁を直接指揮するよう、首相の権限強化や自衛隊の活用などの提案をいたしました。我々の提言は、さきの法改正の折に一部実現いたしましたが、首相の権限強化については見送られたわけでございます。  今、政府部内におかれましても、内閣の危機管理体制を強化するということを検討しているように報道で承っております。国民の生活や生命を守ることは、政治が果たすべき第一の責務であります。そして、災害や大事故など、緊急事態に迅速的確に対応することは、初動体制の確立とともに政治のリーダーシップが不可欠だというふうに思います。  したがって、我々が主張してまいりましたように、政府においては首相の権限強化を早期に実現すべきだ、こう思いますが、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  65. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 阪神・淡路の震災以降、政府の危機管理体制というものが大変重要なテーマとして御指摘をされてまいりました。当然のことながら、政府もそれに対してあらゆる対応をしてまいりました。なお、さまざまな関係の方々の御指導をいただきながら、緊急な、特に初動体制について、我々はあらゆる努力をしているさなかでもございます。  そこで、今御指摘をいただきました緊急災害対策本部の総理の各省庁への権限の代行については、平成七年十二月に災対法の改正があったわけでありますが、そのときに追加をされましたこの指示権について、実は、委員所属の政党の提案の中に、総理のいわゆる各省庁への権限の代行はどうか、こういう御議論があったことを私もよく承知をしております。  しかし、実際に私自身も今、国土庁の長官として仕事をやらせていただきまして、御指摘は御指摘として、そのことも確かに趣旨はよくわかりますけれども、御案内のとおり、それぞれ各省庁の責任者または大臣がおりまして、その指示がきちっと行われるということが大事なことで、総理が指示できる、その指示に従って関係省庁がそれぞれの緊密な連絡をとって指揮命令をするという形が、私自身も今実際にこの職につかせていただいて、一番現実的な方法ではないのか。  そして、総理が実際に代行するといってもいろいろなケースがあるわけですけれども、例えば自衛隊であるとか警察であるとか消防庁であるとか、現地のいろいろな手足になっていただける方々がいるわけですけれども、それを熟知している担当大臣が総理の指示を受けて、そして的確な判断で皆さんに御協力をいただくという形が一番いいのではないかというふうに私自身も考えております。  緊急災害対策本部長が行う指示は、これはもう当然のことでありますけれども、総理を中心として全省庁、全閣僚が協力をしていくということでありますから、災対法の改正のときにいろいろ御議論をいただいて、また委員所属の政党の御趣旨というものも、そのときいろいろな御議論があって、そして御理解をいただいて災対法の改正になったというふうに理解をしておりますので、いずれにしても、そうした皆さんの御指摘あるいは御心配というものは、この災対法の改正の精神に十分生かされているのではないかというふうに思っております。
  66. 西博義

    ○西委員 このことは若干また後ほど御議論申し上げたいと思いますが、いずれにしましても、初動体制がスムーズに的確に行われるという一点が最も大事なことではないか。これがたびたび突破されてしまうという事例を見るたびに、やはりもう少しスムーズに初動体制ができないかな、こう思っておるところでございます。  次に、危機管理体制については、政府は内閣に、官房副長官に準じるいわゆる危機管理専門官を置く、そして突発的な事態の初動措置について関係省庁に連絡や指示をする案を今検討中、こういうふうに一部新聞では報道されております。我が新進党においても、国の災害、緊急事態への対応体制の強化について検討を進めておるところでございます。そこで、どのような体制が望ましいのかということを、大臣と若干の議論をさせていただきたいと思います。  まず、防衛やテロだけではなく、災害や大事故など、危機管理すべてにわたって一元的に管理をすべきかどうか、また管理ができるかという点についてでございますが、政府では、一部、一元化をしてという案も出ていると書かれている新聞報道もございます。もし一元化するならば、内閣官房の安全保障室、さらに国土庁の防災局等の機能を移行する、一つにまとめるということになるのではないかというふうに思いますが、基本的な大臣のお考えをお聞きをしておきたいと思います。
  67. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 委員も御案内のとおり、十一月までには、私たちは霞が関の大改革案を提案をするわけであります。もちろん、国土庁を含めまして、また、そうした全省庁、新たな組織編成の中で国の危機管理体制をどうするかということは最重要課題になっていくと私は思います。  そういう意味で、それぞれの専門家の皆さんの御意見というものを伺ったり、また専門家の皆さんにも参加をしていただいて、国のあらゆる危機管理体制というものが新しい省庁の中でまた位置づけられていくことにはなると思います。  しかし、現状の中で、今私の国土庁は、いわゆる自然災害に対しては我々が責任を持つ、あるいはそれが大きな災害になったときには各省庁の調整機能を果たしていくということになりますし、また先刻の重油流出事故のような場合は、それぞれ専門の各大臣が本部長になって対応することが私はやはり一番現実的な方法ではないかというふうに思っています。  なお、今犯罪やテロヘの対応をどうしていくかということは大変大事な危機管理の問題でございますけれども、やはり警察庁であるとか、あるいはまた海外のテロ事件については外務省が中心になって対応していくということが私は現実的だと思うわけでして、全省庁再編成の中でということになれば、またこれはこれとして、これまでいろいろ御指摘をいただいたことを総合して考えていく必要があると思いますけれども、現状の中では、それぞれの担当大臣が責任を持ってやる、また官邸ときちっとした指示、連絡の中で対応していくということが私は非常に現実的ではないかというふうに認識をいたしております。
  68. 西博義

    ○西委員 さて、我々も非常事態への対応はいろいろ考えているのですが、例えば災害や大事故が発生した場合に災害対策基本法をもとに対処していく、今のこういう体制、それから防衛、テロ等の安全保障に関係する体制とでは、それぞれの性質が大きく異なってくるということは、大臣先ほどもお述べになったとおりだと思います。そういう意味で、それぞれ大きく分けて二つの分野、いわゆる事故、災害、ういうものと、それから安全保障にかかわる問題については、やはり別建てにした方がいいのではないかという私ども考えを持っております。  その上で、ここでは災害それから事故等の緊急事態に対する対応に絞って、これから議論を進めさせていただきたいと思います。  このような緊急事態を通して、まず特に災害の場合は、災害対策基本法に基づいて対処していくという体制がもう既にできておるわけですが、このことに関して、その実効性という面に対して、先日来の災害等を見てまいりますと、二つの課題が残っているのではないかと私ども考えております。  一つは、国の即応態勢を確立して、緊急事態への対応関係各機関の間に、もちろん国だけではなく、自治体、民間すべてを通して有機的にいかにして早く、特に初動体制を行うか、この問題。もう一つは、災害対策の、特に初動体制における資金をどうやりくりしていくかという大きな問題が残っているように思われます。  まず第一の課題について、我々は国の即応態勢を確立するために、内閣官房の中に、仮称でございますが、内閣災害緊急事態対応室、ちょっと長いのですが、そういう一つのセクションを設けまして、そこにアドバイザーそれからコーディネーター、こういう二つの役割を負う人を設置してもらおうか、こう考えております。  アドバイザーというのは一体どういう役割になるかと申しますと、これは専門家、実務家を充てて情報をまず収集して、そして災害の規模、その被害想定等を迅速的確に行っていただく。そしてこのアドバイザーの助言に基づいて、総理が国としての対応をしていくかどうか、こういうことを判断をして、対策に必要な場合には人員それから資機材、また人員の場合は待機ということもあるわけでございますが、そういう指示をするとか、それから非常災害対策本部の設置を速やかに指示する、また災害対策の費用をどうするかということも決断をするというような役割を負っていく立場を、仮にアドバイザーというふうに呼ばせていただいております。  それから一方、コーディネーターというのは、事務次官を経験された方とか経験豊かな官僚の方を充てて、総理の決断を速やかに連絡をしたり、それからその指示を具体化するための指揮命令、省庁間、民間を通しての関係団体への調整等を素早く行っていく、こういう役割を負う人を充ててはどうかというふうに思います。  ここで私たちの基本的な考え方は、災害、大事故というような緊急事態に対しては、総理など政治家のリーダーシップが、また決断がまず一番大事だということでございます。その体制をいかに築くかということに尽きるのではないか。そのことを具体的におろし、調整をしというのはまた別の役割の人がおるわけですが、その初動体制の強化をぜひやっていただきたい。アドバイザーやコーディネーターというのは政治家の補佐役であり、あくまで総理が主体的に判断を下し、また指示をする。そして、あるときは大臣または政務次官等もアドバイザーとともに現地に飛んでいって指揮をとる、こういう形が望ましいのではないかというふうに考えております。  政府がまとめられる予定の危機管理体制の強化一に当たって、我々の提案、また具体的なことは、もう少ししたらきちっとまとめたいと思っておりますが、参考にして、ぜひ政治家のリーダーシップを発揮できるように検討していただきたい。この御要望でございますが、大臣の御意見をちょうだいしたいと思います。
  69. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 実際に大きな危機を迎えたときに、国のすべての国民の命と財産を預かる総理大臣の決断というのは極めて重大でありますし、そしてその決断のときには、私は総理になったことがないのでわからないのですけれども、非常に孤独なのではないかと思うのですね、最終的には自分が決断をしなければならないわけですから。ですから、今委員指摘をいただきましたアドバイザーやコーディネーターという制度、これも実は官邸周辺から、そういうことが必要ではないかというようなアナウンスもかつてあったことがございますけれども、私は非常に参考にすべき御指摘だと思っています。  どういうような形にしていくかということは、先ほども申し上げましたとおり、十一月までには、そのほか総合的に、いろいろ御批判もあった長い間のいわゆる日本の官僚制度というものを新しい時代に向けてそれこそ大改革をしていくというときでありますから、今御指摘をいただいたようなことも含めまして、危機管理体制というものが新しい時代に組織がえをされていく、あるいは組織化されていくということになると思います。  このアドバイザー、コーディネーターを導入しろという委員の御指摘はしっかりと私たちも受けとめて、また閣僚として、そうしたことを私自身が発言をしたりアドバイスをするような機会があ れば、それこそぜひ委員の御意見というものは勉強させていただき、受けとめさせていただきたいと思います。
  70. 西博義

    ○西委員 災害は、与野党問わず、どうしたら一番効率的に対処できるかということを考えることが大事だというふうに思います。私どもも精いっぱい努力をして、私どもなりに考えてまいりたいと思いますので、今後ともまたよろしくお願いを申し上げます。  次に参ります。  実際に災害や緊急事態が起こったときに備えて、緊急事態体制の効果をいかに担保していくかは、ふだんの訓練だとか演習等が一番効果的だと思うのです。指揮命令系統の確認、また国、自治体、各救援組織、民間、こういうものとの間の調整など、災害や緊急事態への対応がスムーズに実際に行えるのだ、いざというときには働くのだということを定期的に行っていくということがぜひとも必要だと思うのです。  したがって、私はそういう意味での提案でございますが、内閣がかわるたびにそれぞれの役割、中心の皆さん方がかわっていくわけですから、かわったたびにできるだけ速やかに実際の実地訓練を行うくらいの、やはり国として危機管理に責任を持つべきではないか、こういう提案を申し上げたいのでございますが、大臣に一言コメントをお願いします。
  71. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 自然災害については、九月一日の防災の日を含めていろいろな形で訓練が行われているわけであります。  実は、事故に関しましては、防災基本計画の中の事故災害編として、さまざまな事故、航空、鉄道、海難、道路、火災、炭鉱、昨今いろいろ御指摘をいただいております原子炉、原発ですね、そういうような事故に関してのいわゆる防災基本計画をかなり近いうちに策定をするということになりますから、そうした中でも委員の御指摘はしっかり受けとめて、またあらゆる災害に対するマニュアルといいますか、そしてそれに対するいろいろな対応ということを日ごろから訓練もしていかなければならないというふうに考えております。
  72. 西博義

    ○西委員 積極的な御発言、ありがとうございました。  大臣に最後にもう一つ災害対策に対する資金の問題についてお伺いを申し上げたいと思います。  緊急事態体制の実効性を担保するためにもう一つどうしても必要なことは、災害対策費用に対する資金的な裏づけをいかに迅速に行うかという制度化の問題でございます。特に、災害対策費への財政的な措置として、特別交付税、この間も効果がございました。また予備費の使用、今の仕組みではこういう二つの可能性があろうかと思います。  このうちの特別交付税の交付時期は、これは十二月と三月ということで決まっておりますので、たまたま今回は有効に機能いたしましたけれども、必ずしも季節によってはそういうわけにはいかないというふうに考えております。また予備費については、これは各省庁の長が、理由だとか金額、それから積算根拠等を明らかにした調書を作製して大蔵大臣に出して、そして大蔵大臣が調査をした上で予備費の使用書を作製して閣議にかける、こういういわばはっきりしない名目のものを積算していかなければならないという困難な作業がございます。いずれも、緊急事態にはちょっと向かないのではないかというふうに考えております。  そこで、災害や緊急事態への対策資金を確保するために幾つかの方法があると思うのですが、私ども考えておるのは、まず一つは基金を設置するという考え方でございます。もう一つは、予備費の支出要件を災害に関してのみ簡略化をしていただく、この二つについてお尋ねを申し上げたいと思います。  現在災害救助法では、自治体に災害救助の費用のための積み立てを行う、こういうことを義務づけております。この自治体の基金の支出は災害救助に限定されておりますが、ここで我々が提案する災害緊急事態対策基金は、一応仮にこうしておるのですが、災害緊急事態の発生において被害を最小限に抑えるために大変重要な初動体制、これに支障を来さないように基金を設置して積み立てを行う、そして災害対策費に充てたいと思うものでございます。  原因者が明確な場合でも、保険や補償が支出されるまでの間、また当面必要な資金を国が提供もしくは立てかえるのに充てられるということになります。そして、基金を使用した場合には速やかに不足分を予備費からまた補てんをしていただく、こういう制度でございます。  もう一つの方法としては、予備費のうちの災害緊急事態への支出については、予備費使用の要件を簡略化して、事後承諾を国会に求めるというような考え方ができるのではないかというふうに思っております。  災害対策資金の確保について、現行の枠組みにある問題点の指摘に対して、政府としてのお考えをお示しいただきたい。また、今提案させていただいたもの二つ、これはまだほかにもあるかもしれませんが、案をどういうふうに考えられるか、大臣の率直な御感想をお聞かせ願いたいと思います。
  73. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 災害緊急対策の基金のようなものをつくったらどうかというお話だと思いますが、被災者のきめ細かいいろいろなニーズにこたえてそれぞれの施策を推進するという必要があると思いますが、災害の大きさ、それこそいろいろな災害があるわけでして、それに対してあらかじめ基金を設けておくということは、逆に基金の効率性であるとか、あるいは施策のいわゆる柔軟性という点でやや問題があるのではないかというふうに私自身は考えております。  委員十分御承知のとおりですが、今、そうした災害に対するさまざまな施策が国の中にはいろいろな融資制度を含めてあるわけでして、そういう対応をしていくことの方がむしろ現実的ではないかというふうに思います。  ただ、これはもう全く御指摘の問題とは違いますけれども、いわゆる大地震に対する基金制度の問題は今いろいろ御指摘をされているわけですから、これは違う問題ですけれども、今委員の御指摘をいただきました災害緊急対策基金というものは、逆に対応が柔軟にできないということにもなるような気も私はいたしておりますので、むしろ今ある制度でできるだけ柔軟に対応していく方がいいのではないかというふうに考えております。
  74. 西博義

    ○西委員 今の大臣の答弁ですと、どちらかといえば予備費を少し柔軟な形で使えるような、何でもかんでもということではもちろんないわけでございますが、そういう感じにとらえさせていただいてよろしいかと思うのです。どちらかというと、二つの案の中では予備費をもう少し使いやすくというふうな解釈でよろしいのでございましょうか。
  75. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 災害を想定して最初から基金制度ということになると、逆に対応がしにくくなるというふうに私は思っていますので、今さまざまな制度があるわけですから、その制度を適用していく。もちろん被害も、阪神・淡路のような、我々の想像を超えるような災害も当然あり得ることですから、それに対しては国が挙げて、今度の阪神淡路でも四兆円に近い国費を投入しているわけですから、そういう対応をしていかなければならないと思いますから、現状ではある制度を適用する。そして、さまざまな災害があるわけですから、そのときは政府が責任を持ってそれに対応していくということだと思います。
  76. 西博義

    ○西委員 長い時間、約三十分も、大臣、危機管理という大きな国の重要課題にじかにお答えをいただきまして、本当にありがとうございました。  時間がもう十分ほどしかなくなってしまったのですが、具体的な油流出事故の即応態勢の内容に若干入らせていただきます。  まず初めに、今回の事故を通して、荒天の中で お一人を除いてほか全乗組員の人命を救助され、その後も油防除のために懸命の努力を続けてこられた海上保安庁の皆さんに敬意を表したいと思います。  重油の回収に関しては、厳しい環境条件を考慮すると、比較的スムーズに行っていただいたと思います。これは自治体、自衛隊やボランティア団体、海上災害防止センターなどの現場の努力や協力によるものであり、現場の皆さん感謝しなければなりません。  ただし、これですべてが終わったということではないということは、先ほど同僚の笹木委員からも御指摘があったとおりでございます。油汚染事故の責任は、これは原因者にあるとされておりますっ政府はこの原因者責任の原則に固執し、消極的な姿勢を当初はとったように思われます。  今回のような大規模な油流出事故が起こった場合には、処理能力において原因者の能力をはるかに超えているということは明らかでございます。一九八九年のあのエクソン・バルディーズの事故を契機に、アメリカでは国の即応態勢が整備されて、国際的にはOPRC条約が締結されて、油汚染事故についての国際協力システムの構築のための枠組みがつくられたのも、そうした現実を背景にしているものだと考えられます。  このOPRC条約の第六条で、締約国が抽による汚染事件に迅速かつ効果的に対応するための国家的な体制を確立するために緊急時計画を定めると規定をされており、平成七年十二月十五日にこのことについての閣議決定もされております。政府は、この計画に基づく現行の体制に、今回じかに油汚染事故に対応した立場として、問題点があるのかないのかということを、当事者としての御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  77. 坂場正保

    ○坂場説明員 今回の事故のように一たん大規模な油流出事故が発生した場合には、沿岸住民などに対しまして甚大な被害発生するおそれが高いわけでございます。これに対して、国としても迅速かつ的確な対応が必要であると考えているところでございます。このため、現在、関係省庁で構成されますプロジェクトチームを設置しまして、その中で、関係機関による即応態勢の充実強化とか、また迅速かつ総合的な油防除実施体制の充実強化といったような課題について鋭意検討を進めているところでございます。  先生御指摘の国家緊急時計画、これは平成七年十二月に作成されました。閣議決定でございます。また、これを受けて、昨年八月に排出油防除計画といったようなものも策定されております。ただ、これは想定される範囲が沿岸やそれから港内の油流出事故であるといったこととか、いろいろ反省すべき点もあろうかと思います。  そこで、今回の事故に関しまして関係機関の活動がどのように行われ、またどのような問題点があったのかということを検証しまして、今後、外洋における大規模かつ広域的な油汚染事故に対して対応可能な防除体制のあり方について、総合的に検討していきたいというふうに考えております。
  78. 西博義

    ○西委員 つい先日、対馬での油流出事故もあったわけでございますが、前回のこの福井での事故を通して、やはりまたスムーズな対応ができたというふうにきのうも海上保安庁の皆さんからお聞きをいたしました。一つ一つの事故を通して、やはりそれを教訓に、いかにスムーズに初動体制を築いていくかということが大事なことだと思います。  そこで、私は、今回の油事故の件なのですが、事故の規模において中小規模の油の流出事故に関しては、現行の海洋汚染防止法に規定されている方法で対処するということは適当だと思うのですが、船舶その他海上、陸上施設から油及び有害物質の流出、あるいはそのおそれが国民の生活を脅かすような大規模、重大な流出、この場合には、国がその流出物の除去あるいは流出のおそれがある場合はそれを防止する対策をとるべきではないかというふうに考えております。  つまり、原因者、原因者と言わないで、まず国がその初動において防除のための力を注ぐ、こういうことが大事ではないか。それによってもちろん費用がかかるわけですが、それは原因者責任の原則でその原因者に負担を求めていく。また、大規模な事故の対策に当たっては、総合的な油防除については国の関与がどう必要なのかということについて、担当者の御答弁お願いしたいと思います。
  79. 坂場正保

    ○坂場説明員 海洋における油の防除に関しましては、海洋汚染防止法という法律がございますが、その法律に基づきまして、原因者がその防除を行う義務を有することは言うまでもありません。ただ、これとは別に、海上保安庁も単独に油防除を行う責務がございます。  今回の事故に当たりましても、原因者に対しまして最善の措置を講ずるように要請をいたしましたけれども、海上保安庁としても、一月二日の事故発生以来、船首部の沿岸への漂着の防止であるとか、また浮流油の処理など、油防除に関する緊急対応を図ってまいったところでございます。
  80. 西博義

    ○西委員 時間も迫ってまいりましたので、最後に、老朽船の事故防止対策についてお伺いをいたします。  タンカー事故の再発防止については、旗国によるコントロール、これはフラッグステートコントロールと言うのだそうですが、これを強化することが最も現実的、基本的な考え方だと思うわけでございます。ポートステートコントロール、これは当然強化していくべきでございますが、今後の対策のポイントは、ポートステートコントロールの結果を実効あるフラッグステートコントロールにつなぐために、国際的なスキームを構築することが重要ではないかというふうに考えております。  例えば、これはヨーロッパではもう既にかなり有効に機能しているということをお聞きしておりますが、統一したポートステートコントロールの方法、またコンピューターネットワークを使った地域的な協力体制、MOUというふうに言われているそうですが、これのアジア地域における一層の活用、徹底を図っていくことが大事であるというふうに思います。  ポートステートコントロール体制がより実効性のあるシステムとして機能するために、改革しなければならない点として、船体構造について検査をするという制度、それから、ポートステートコントロールにより処分を受けた船舶に対して、もとの旗国が再検査を実施して寄港国に報告する、そういう制度の導入もぜひとも検討していただきたいと思います。  さらに、フラッグステートコントロールの確実な実施を図るために、旗国の条約上の責務の実施に関する自己評価ガイドラインの作成、これを日本が今回の事故を契機に国際会議の場で提案しているというふうにお聞きをいたしましたが、あわせて、旗国とそれから被害国、今回の場合は日本でございますが、この両者による共同事故原因究明体制の整備というのをぜひとも国際的にこれから制度として図っていけるように、積極的に取り組んでいただきたいと思います。  ただいま提案しました再発防止対策についての御意見を最後にお伺いをしたいと思います。
  81. 矢部哲

    ○矢部説明員 お答えいたします。  老朽船を含めました、国際条約の基準を満足していないいわゆるサブスタンダード船に対します事故の防止につきましては、先生御指摘のとおり、船舶の登録国であります旗国が条約上の責務を果たすということが基本であります。  運輸省といたしましては、入港国に権利として認められております外国船の監督、いわゆるポートステートコントロールにつきまして、近隣諸国との連携を深めっつ強化していくということを考えておりますが、一方で、旗国による検査の徹底強化を図るための改善方策につきまして、ロンドンにございます国際海事機関の海上安全委員会という委員会で、今年五月の下旬に次回が開催されますずけれども、具体的な提案をしております。  その提案の内容といたしましては二つございま すが、一つは、ポートステートコントロールにおきまして船舶の構造に重大な欠陥が発見された場合には、当該船舶の旗国がその欠陥に対して講じた是正措置についてIMOへの報告を義務づけるということが一つでございます。  それから、二つ目といたしましては、旗国が船舶の構造の検査をしておりますけれども、その検査の記録簿を充実いたしまして、例えば板厚の衰耗の限度を書かせるようにするというようなことをいたしまして、ポートステートコントロールを行う場合に、船体構造の健全性のチェックをその記録簿を活用して厳格に行うようにする。  この二つの内容を主なものとしました提案を行っておりまして、今後は、このような新しいスキームの実現に努めつつ、さらにサブスタンダード船対策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  82. 武藤浩

    ○武藤説明員 事故原因調査についてお答え申し上げます。  ただいま御案内の事故原因の調査につきましては、まず、海洋汚染防止条約とかあるいは国連海洋法条約におきまして、船の所属する国、いわゆる旗国が調査をするということが義務づけられておりますが、一方で、国連海洋法条約におきましては、被害国とかその他の国もこれに協力をしなさいということになっております。  今回、御案内のようにロシアとの共同調査ということを今進めておるわけでございますが、これらの体制づくり、システムとしてそれを機能させていくかということについては、国際海事機関といったところで現在各国のコメントを聞いておるところでございまして、これらを踏まえまして適切に対応してまいりたいと考えております。
  83. 西博義

    ○西委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  84. 川端達夫

    川端委員長 次に、桑原豊君。
  85. 桑原豊

    ○桑原委員 直接国土庁が主務官庁ではございませんけれども、大変重大な問題でもあるということで、国土庁設置法の中では、災害に関する施策を企画立案、推進し、関係行政機関の事務の調整を行う、そういう主務官庁の責任者としての国土庁長官の所感ということでお聞きをしたいと思うのです。  動燃東海再処理工場の事故、そして一昨日は福井の転換炉「ふげん」のああいった事故がございました。原子力施設の事故が相次いだわけでございまして、特に今回は、施設の外に放射能がたとえ微量であったにしろ漏れ出たということ、そしてかなり多くの被曝者も出た、あるいは、その事故解明の過程で、特に動燃東海の場合には、口裏合わせといいますか、虚偽の報告をして口裏合わせをして取り繕う、こういうようなことが明らかになって、科技庁が告発をするというような事態にもなったわけでございます。  また、福井の「もんじゅ」の事故の教訓が生かされるかどうかということが非常に課題になっておったにもかかわらず、同じ福井の動燃で、結局ああいうふうに通報が大変おくれるというような事態にまたなった  こういったことで、本当に、動燃の閉鎖的な体質の問題、それからそれを監督すべき科学技術庁も含めて、まさに解体的な出直しをして、末端から上部に至るまで、意識の改革を含めて大きな改革をどうやっていくのか、そのことが今問われておりますし、国民も注視をいたしております。また、もう一方では、先ほど来の議論にもございましたが、放射能の問題もいざ大変なことになれば、国家的な危機管理の問題として、その面でも大変重要な、現実的な課題であろうというふうに考えられるわけでございます。  直接主務官庁ではないということで、お答えをストレートにということにはなかなかならないかもしれませんけれども災害に責任を持つ官庁として、その長官としてどのような感想を持っておいでになるのか、まずお聞きをしたいと思います。
  86. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 今回の原子力事故に関しては、大変残念、まことに遺憾だと思っています。また、その対応について適切でなかったということも極めて残念であります。  災害担当いたします私の立場からは、防災基本計画の見直しの策定中で、それも間もなく改定をすることになるわけですが、原子力施設に対するさまざまな、今回のような事故、そういうようなことにつきましてもきちっと基本計画の改定の中に組み込んでいかなければならないというふうに思っております。また、今後はあってはならないことでありますけれども、原子力施設に対しますさまざまな起こり得る事故に関して、災害担当の役所として我々は、もちろん関係省庁とも十分連絡をとりながらですけれども、しっかりした対応をしていかなければならないというふうに考えております。  また、私自身も閣僚の一員として、今回のこの一連の原子力施設の事故につきましては、それぞれ関係の閣僚とも連絡をとりながら、今後しっかりした対応ができるような、今委員指摘をいただきました抜本的な手直しが必要だ、そういう姿勢で既に関係省庁も取り組ませていただいているところと認識をいたしております。
  87. 桑原豊

    ○桑原委員 長官の大変力強い決意をお聞きいたしました。ぜひ、国土庁の立場からしても、この問題の抜本的な改革に向けて積極的な役割を果たしていただきますように求めておきたいと思います。  今長官のお答えの中で、近く国土庁は防災に関する基本計画の見直しをしていくということで、原子力災害の編を新たにつくって、その中で位置づけをしていきたい、こういうふうにお答えになられたわけでございます。私ども、かなり以前からも、国土庁の段階でそういった検討が行われつつあるということもお聞きをしておりまして、どういった内容を検討されているのかということも聞いておったわけですけれども、検討段階だということで内容をつまびらかにはされておりませんけれども、現段階でどのような内容のものを考えておられるのか。また、国土庁として、原子力災害に対してどのようなかかわりを持っていくのか。そこら辺、そのスタンスも含めてお尋ねをしたいと思います。
  88. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 防災基本計画の改定のお話でございますけれども阪神・淡路大震災の後、平成七年七月でございましたけれども、自然災害、これを中心にいたしまして、自然災害の中で地震風水害、火山といったような典型的なものを、その災害ごとに、予防段階から応急措置、復旧といったような時間的経過も踏まえて、だれが何をすべきかというようなかなり細かい規定を盛り込んで防災基本計画をその際改定いたしました。  そして、その後でございますけれども、事故災害、事故による被害、これもかなり大きな問題であるという認識のもとに、この分野でもまた典型的な事故、これを取り出しまして、例えば海上災害、これは船舶の衝突もございますし、油の流出もございます。そういうものとか、航空機災害あるいは鉄道災害道路災害、あるいは危険物の災害、そういう災害の種類ごとにまた細かな対策をそこで規定をしようという改定作業を続けてきているわけでございます。  その中の一つとして原子力災害も編を設けて記載をしたい、こう考えておりまして、自然災害のところで申したとおりに、かなり具体的に、なおかつ規定内容が実践的になるように、予防段階から応急措置の段階まで、情報の連絡をどうするかとか、国としてどのような体制を、例えば災害の本部みたいなものをどうするかとか、そういうことを施策として基本計画の中に盛り込むという作業を現在もしておりまして、これからなるべく早い機会にこれを中央防災会議等々の手続にのせたいというふうに考えております。
  89. 桑原豊

    ○桑原委員 この原子力災害編ですが、いつごろまでにこれが仕上がるのか、大体のめどを教えていただきたいと思いますし、それから、つくるに当たっては、恐らく国の関係他省庁とも連携をとりながらいろいろ検討されているのだろうと思うのですけれども、現実にこの原子力の防災については、原発などの立地県において相当訓練なども 自主的にやっておりますし、歴史があって、かなり蓄積もございます。  そういう意味では、私は、地方の声なども十分に吸収をされて、現実の防災がスムーズにいくように、かなり実際的な現場の意見を聞く必要もあるだろうというふうに思うのですけれども、そういったことなどもやりながらやられているのかどうか、あるいは、今後そういったことも考えられているのかどうか、そこら辺もついでにお聞きしたいと思います。  それから、問題は、国土庁がこの原子力防災に対してどんなスタンスでかかわっていくのか、そこがもう一つ明確ではございません。何かはかの省庁が主管してやることに対して、それを記述するというような内容になるのか、国土庁としてどうかかわるのか、そこら辺を少し明確にしてほしいと思うのです。
  90. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 この改定作業は、関係する省庁と入念に打ち合わせ、協議して続けてきておりますので、その省庁を通じて地方の意見も当然のことながら入れられているというふうに私は思います。これは今後、この基本計画ができますと、各省庁でまた業務計画、地方段階で地域防災計画、こういう計画の見直しが行われることになると思いますので、その具体的な対策については、地方の考え方がそこに盛り込まれるのは当然だというふうに思います。  それで、この作成のスケジュールでございますけれども、先ほど申しましたとおり、できるだけこれから作業を急いで、速やかに中央防災会議、この手続にのせようというふうに考えております。  それと、国土庁がこの事故災害についてどのように関与していくか、絡んでいくかというお話でございますけれども、その事故発生当初から、情報連絡は当然のことながら官邸などとともに国土庁の方に通報はいただくし、それから政府一体として対策を練るときには、この所管官庁と協力して我々も当然のことながら参加して対策を練っていく、そういう姿勢を持っております。
  91. 桑原豊

    ○桑原委員 原子力災害というのは大変特殊だ、特に五感に感ずることができないということで、またその結果も、事と次第によっては破滅的な結果を招くということで、本当に一般の災害とかなり違った角度から対応しなければならぬ面がたくさんあるというふうに思うのです。そういうことであるならば、なお一層、今回の動燃などのようなああいう体質では、とてもそういったことには対応できないと思わざるを得ないわけでございまして、そういう意味からも国民が一層不安を感じているということだと思うのです。  私は、こういった閉鎖的な体質のところに災害対策をある意味では任せておいてはならないのではないか。この防災の問題というのは、その官庁からは一定程度距離を置いたところで、独立的な、あるいは中立性のある行政機関がそういったものに対応していくというようなシステムをつくっていかないと、体質改革をやれ、やれと外野からいかにいろいろなことを言っていっても、かなり限界があるのではなかろうかなという危惧も持つわけですけれども、そういった行政機関の必要性というようなものを国土庁としてどんなふうに考えておられるのか、そこをちょっとお聞きしたいと思います。
  92. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 原子力の安全対策、防災対策、これは非常に大きな問題で、大切なことであると思います。  それで、現在のこの安全防災対策でございますけれども、いわゆる原子炉規制法あるいは災害対策基本法等々の現行の法制度のもとで、科学技術庁あるいは原子力安全委員会を初めとする関係機関によりまして、所要の措置が講ぜられるというような体制がとられていると私は認識をしておるわけでございます。  先ほど申しましたとおりに、この運用については、また災対法に基づく防災基本計画の中でも事故災害対策編を用意して詳細に規定をしてまいりたい、そんなふうに考えておるわけでございます。
  93. 桑原豊

    ○桑原委員 原子力安全委員会などのあり方等につきましても、これは科技庁とのかかわりの中で、私は、そういった安全や災害に対する姿勢として、中立的な、あるいは公正な立場で対応できるというふうには必ずしも言い切れないのではないかという懸念を持っておりますけれども、これはまたの機会にいたします。  先ほども申しましたように、原子力災害の特殊性というものを考えたときには、どうしてもこの防災ということについては、特別措置法のような特別立法が必要ではないか。今の災害対策基本法の枠の中で対応していくということではかなり厳しい制限があるのではないかというふうに思います。そういったことで、原発立地県の知事さん方も、あの「もんじゅ」の事故をきっかけにして、ぜひ原子力災害に関する特別法をつくってほしい、こういうような要望を既に出されているようですけれども、このことについてどのようにお考えか、お聞きをしたいと思います。
  94. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 特別立法のお話でございますけれども、そのような要望があるということは私も存じております。ただ、先ほど御説明したお話のまた繰り返しになってしまいますけれども、現在の原子炉規制法とかあるいは災害対策基本法とか、こういう法制度のもとで所要の措置が講ぜられる体制に、現在なっているのではないかというふうに私は考えております。
  95. 桑原豊

    ○桑原委員 時間もございませんので最後の質問になりますが、ナホトカ号の重油流出事故、そして最近では、対馬への重油の漂着、あるいは太平洋側でも何か不法投棄で重油が流れついたというような、そんな記事も載っておりました。日本の沿海を航行しているいろいろなタンカー、老朽船もたくさんあるようですし、こういうことになりますと、いっかあるかもしれないということよりも、もう常時この油の問題には対応しなきゃならぬ、そんな環境にあるのではないかというふうに思うわけです。  ナホトカ号の問題も、事故対応としては一応山を越えたかな、いろんな引き続く課題というのはもちろん今からあるわけでございますけれども。こういった中で、海上での事故対応あるいは漂着油の対応、補償交渉の問題、自治体の対応、廃棄物としての重油、これをどうするかという問題、ボランティアにかかわる問題、環境保護、風評被害、本当にさまざまな、各省庁にまたがる多くの課題がたくさん出されて、運輸省が主務官庁ということで窓口になってこれをさばかれてきたわけでございます。  国土庁も、いわゆる災害を総合調整をしていくという立場から、災害対策基本法に言う災害というふうにお認めになられて、それなりのかかわりをしてきたかと思うのですが、これだけ多岐にわたる問題になれば、もう少し国土庁としても積極的な対応が今後の課題としてなされてしかるべきではなかろうかな、こういうふうに思います。  前の質問のときにも、私は、補償の問題については大変利害が錯綜するので窓口を一本化していったらどうかとか、あるいは自治体間のいろんな調整も必要だし省庁間の調整も必要だ、災害時のそういう機関としては、やはり何としても国土庁がもっと前に出て積極的な役割を果たしていくべきではないかというようなお話もさせていただいたのですけれども、この間のナホトカ号の事故対応にかかわってこられて、今の時点でどのような教訓をつかまれて、そして、今後の国土庁の役割としてどういうものを考えておられるのかということをかいつまんでお聞きをしたいと思います。
  96. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 ナホトカ号の重油流出事故がありました直後、私自身も、それに対する対応は人海作戦のような形しかないのかなというのが率直な感想でございまして、実はこのことは、閣議でもそれぞれの閣僚から即発言がありました。  我々は、このナホトカ号重油流出事故等々を経験して、清龍丸一隻でいいのか、あるいは日本海側と太平洋側でどのようにこれから対応していくか。我が国のエネルギー事情を考えたら、これか らもさまざま同じような事故が起きる可能性はあるわけです。  また、これは日本だけでなくて、国際的にどのように取り組んでいく必要があるのか。常にそれぞれの国がということもさることながら、国際的にそうしたときに出動ができるような体制が考えられないのかというようなことを含めまして、我が国としては、ここ一、二カ月と私は伺っておりますけれども、いろいろな専門家の皆さん、また関係省庁の意見を集めて、どのような対応をしていくかということを、内閣官房、また今度の事故の本部長であった運輸大臣、運輸省を中心として、もちろん私たちも数々の自然災害の経験から、そうしたことを踏まえて今後の対応ができるようなまとめたものを、極めて近いうちに政府として示すことになるであろうというふうに思っております。
  97. 桑原豊

    ○桑原委員 たくさんの教訓も出されたと思います。国土庁として、そういったものを積極的にまとめられて、今後さらにさまざまな災害に対して積極的な役割を果たしていただきますことをお願いして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  98. 川端達夫

    川端委員長 川内博史君。
  99. 川内博史

    川内委員 川内でございます。  本日は、私、鹿児島から出てきておりますので、鹿児島北部で起こりました一連の地震関係及び危機管理の体制について御質問をさせていただきたいと思っております。  三月二十六日に鹿児島県で、一番大きな震度五強という地震発生をしたわけでございますが、先月の二十六日は、国土庁の防災局に防衛庁から出向をしてきて自衛隊との連携に当たっていらっしゃる方に、私が災害時の自衛隊との連携はどうなっているんですかというようなことの説明を受けているちょうどそのときに、その方のポケットベルが鳴って、先生、鹿児島地震が起きたようですよ、えっということでテレビをつけてみましたら、ポケットベルが鳴って大体二、三分してから、鹿児島北部地震発生、詳しい震度はわかり次第お知らせしますというテロップが流れました。  その後、地震が午後五時三十一分発生ということだったのですけれども、ほぼタイムラグがない時点でポケットベルが鳴っているということでしたので、連絡体制については、ほぼ地震発生と同時に連絡が、報告が回るようになっているのだなと、その点については、なるほど、一応阪神・淡路以降の教訓が生かされているのだなというふうに感じたわけでございます。その点で、ほんのちょっとだけよいしょさせていただきます。  午前中、松下先生や宮路先生も鹿児島の御出身で、災害のことについて、地震のことについてお尋ねをされていらっしゃいますので、私は具体的に御質問をさせていただきたいと思います。  まず、国土庁にお尋ねをいたしますが、今回の鹿児島北部での地震発生後、国土庁さんとして、いつ被害状況の把握のための視察をされたのか、それはどなたが現地をごらんになったのかを御回答ください。
  100. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 今回の鹿児島薩摩地方での地震でございますけれども、今先生からお話がありましたとおり、三月二十六日に震度五強が発生をしたわけでございまして、国土庁といたしましては、直ちに情報対策室を設置して、関係省庁との連携のもとに情報の集約等々を図ってきたわけであります。  その後も地震がずっと続きまして、四月三日にまた震度五強の地震発生をした。このような状況を受けとめまして、四月三日に関係省庁の連絡会議を開催し、そこで国土庁から担当官を派遣するということを申し上げ、防災局の職員三名を現地に派遣をいたし、現地では、県庁、各市町において現地状況の把握を行った、こういうことでございます。  また、戻って四月五日には関係省庁連絡会議を開き、そこで派遣された職員から各省庁に対して状況報告を行った、こういう状況でございます。
  101. 川内博史

    川内委員 今、防災局長から三名の職員の方を派遣をしていただいたという御答弁をいただいたわけでございます。現地の声を御説明申し上げますと、その三名の方はマイクロバスに乗って、被害はかなり広い範囲にわたっていたのですが、もちろんところどころではマイクロバスをおりて少し視察をされたようですけれども、大部分はマイクロバスに乗ったまま被害地を、広い範囲ですから、ざっと見てまいって、現地人たちの要望を聞いて、一日で、日帰りで帰っていったという御批判もあったということをお伝えをさせていただきます。今後の参考にしていただければと思います。  それでは、具体的な被害について各省庁にお伺いいたします。たくさんの省庁にまたがりますので、手短に御答弁お願いをいたします。  まず、農林水産省にお尋ねをいたします。  今回の鹿児島北部地震では、農地、農業用施設にもかなりの被害が出ておりまして、復旧の工事がちょうど春の作付の時期と重なっております。間に合うかどうか大変に現地は心配しておりますが、現状と復旧対策を御説明ください。
  102. 安江二夫

    安江説明員 お答えをいたします。  農地、農業用施設関係被害につきましては、四月十六日現在で、農地百三十三カ所、二億四千八百万円、水路、農道等の農業用施設百八十八カ所、六億二千万円の報告を受けております。  被災をいたしました施設等災害査定につきましては、地元準備が整います五月六日から査定に着手をいたしまして、終了後、順次復旧工事に着手をしてまいる予定でございます。  なお、緊急を要します箇所につきましては、応急工事実施等の対策を講じまして、本年の作付を確保するように指導をしてまいったところでございまして、これまでのところ水路等六十八カ所の応急工事実施しているところでございまして、今後とも全力で早期復旧に努めてまいる所存でございます。
  103. 川内博史

    川内委員 よろしくお願いいたします。  続いて、建設省さんにお尋ねをいたします。  私、昨日の建設委員会でも質問をさせていただいたのですけれども、現在、鹿児島県内ではまだ約三十カ所の道路通行どめになっております。そしてまた、一番被害の大きな道路が国道五百四号線、といっても委員皆さんには、地理に不案内ですからおわかりにならないと思いますが、地元方たちにとっては大変重要な生活道路でありまして、迂回路もない状態で、付近の方々は大変に不便をされていらっしゃいます。  がけが全部崩れて国道が埋まっている状況でございまして、復旧工事にはかなりの時間を要するのではないかというふうに予想をされるわけでございますから、この辺のことについて具体的な対処方法等を、復旧まであとどのくらいかかるかというようなことを教えていただければと思います。
  104. 宮本泰行

    ○宮本説明員 お答えいたします。  一般国道の五百四号線につきましては、延長約百六十メートルにわたりまして高さ五十メートルの大規模なのり面崩壊が発生しておりまして、現在復旧に向けた測量作業を実施中でございます。今後、余震の状況を踏まえまして、ボーリング等の調査実施した上で、復旧工法を検討し、できるだけ早期復旧を目指しますとともに、迂回路として、出水市道の鳥越線の復旧工事に早急に着手することにいたしております。全体で半年ほどということでございます。  それと、道路につきましては、地域の生活を支える重要な社会基盤であるということから、日常のパトロールにおいて斜面や橋梁の異常について点検を行いまして、おおむね五年おきに、全国の道路管理者において斜面崩壊等に対する防災点検、あるいは地震に対する耐震点検を一斉に実施いたしております。現在、八年度、九年度の二カ年にわたりまして、阪神・淡路大震災の教訓も踏まえた点検を全国的に実施しているところでございます。  御指摘の五百四号線についても、道路管理者で ある鹿児島県において点検実施しているところでありまして、今回の結果を踏まえまして、必要な補強を実施し、今後とも地震を初めとする自然災害に対する道路被災の軽減に努めてまいります。
  105. 川内博史

    川内委員 ありがとうございます。復旧に半年ほどかかるということでございますが、なるべく早期に、地元皆さん方が生活に不便のないように復旧にかかっていただければと思います。  それから、阪神・淡路以降、国道、県道、市道、それぞれの道路地震対策点検もされていらっしゃるという御報告もあわせていただきました。最近あちこちで地震があったりあるいは油が流れ出たり、そしてまた放射能が漏れたりと、どうも事故が相次いでいるようでございますから、今後ますますしっかりとした対策をいろいろな面でとっていただければと思います。  次に、新学期が始まりまして子供たちも元気よく学校に通っているところでございますが、この鹿児島県の北部地震学校にも被害が出ております。  文部省さんにお伺いをいたします。学校関係で一番被害が大きかったのが鶴田町というところにございます鶴田小学校の特別教室棟でございます。こちらは建物が半壊をし、被害額が一億五千万円という報告をいただいております。本来学校というところは災害時における避難場所に指定をされていたりしまして、一番頑丈でなければならない。付近の住民方たちが、どんな災害が起きてもあそこに避難すれば大丈夫だねとおっしゃっていただけるような建物でなければならないというふうに思うわけですが、まずこの鶴田小学校の現状と、復旧工事へ向けためどといったようなところを御説明いただけますでしょうか。
  106. 玉井日出夫

    ○玉井説明員 鶴田小学校被害状況でございますが、特別教室棟がいわゆる半壊という状況がございます。私ども、やはり児童生徒の安全確保、それからできるだけ速やかに教育活動ができるように、こういうことから既に係官を派遣いたしまして実情を把握し、そしてできるだけ事前指導も行っているところでございまして、仮設校舎の対応ども現地でお考えになってございますので、そういうことも御指導申し上げております。  したがって、今後はどういう形で災害復旧を図るかというのは当然設置者として計画をお立ていただくわけでございます。その計画を待って具体的な復旧事業に入りますけれども、その前に既にいろいろな指導を行い、また措置も講じている、こういう状況でございます。
  107. 川内博史

    川内委員 よろしくお願いいたします。  鹿児島県から御報告をいただいております被害総額が大体七十億というところでございまして、阪神・淡路のあの大変な震災に比べれば、幸いなことに、重傷を負われた方は二人いらっしゃいますが、亡くなられた方はいないということもございまして、ほっと胸をなでおろしているところでございます。  しかし、災害の規模がどうであれ被災をされた方がいるのは事実ですし、また生活に困っていらっしゃる方がいる。これからの立ち直りのために元気を出していただかなければならないというのも事実でございます。ですから、災害の規模、大小はございますが、どんな小さな災害であっても、全力で政治と行政がサポートをしていくということをここで確認をさせていただきたいと思います。  続いて、危機管理のことについてお伺いをさせていただきますが、先月の三月四日の予算委員会の分科会において、私、国土庁さんに危機管理体制の強化という観点について、米国のFEMAから何を学ばれましたかということをお尋ねいたしましたらば、伊藤国土庁長官から、あらゆる勉強をしていくのだという御答弁をいただきました。  その後、私も危機管理体制についていろいろと興味を持って新聞の記事などを読ませていただいておりますが、三月十九日の日経新聞に、行政改革会議が我が国の危機管理体制の強化を検討していらっしゃって、例えば内閣に危機管理専門官、危機管理室長を設けるとか、あるいは国土庁の防災局、内閣安全保障室などの危機管理行政機関の統合、機能強化を図るなどについて検討しているという報道がございました。  なるほどな、ふんふんと思っておりましたら、これはきのうの朝日新聞ですけれども、橋本行革の日程として、行政改革全体の省庁再編のプログラムというのはことしの秋になるそうですけれども、先駆けて六月には危機管理体制の強化案が決定をされるというふうに出ておりました。この点についてこの行革会議の事務局にお尋ねをいたしましたらば、いやまだ決定はしていないのです、ただ議論は出ておりますがということでございました。  伊藤長官の方ではそういう行革会議のことについてまだ何も聞いていらっしゃらないとは思うのですけれども、私も不思議に思うのは、行政改革会議のメンバーの方々、名簿をいただきまして拝見をいたしました。危機管理のことについて前倒しでやる、それもなるほど結構なことだというふうに思うのですが、この行政改革会議の中に危機管理の専門家が一人もいない。危機管理の専門家が一人もいない中で危機管理体制をどうやって話し合うのだろうなという素朴な疑問を持たせていただいております。その辺を伊藤長官の方から橋本総理に、おかしいのじゃないですかというようなことをおっしゃっていただければ、もっともっと充実した危機管理体制が構築できるのではないかというふうに思っております。  やはり危機管理についてはプロ集団、本当の専門家が集まり、チームをつくり、対処していくというのが基本形であるというふうに思いますが、どのようなプロ集団をつくるかということについても、やはりプロがそれを決めていかなければ何ら実効性を持たない。そういう意味では、国土庁の防災局というのは私は日本の災害関係、事故関係についてはその担当部局になり得る組織であるというふうに思うわけでございます。  国土庁長官に最後にお尋ねをいたしますが、こうした行革会議等の動きもございますけれども、今後の防災局のあり方、これを拡大、拡充して日本の危機管理についての担当部局にしていくのだ、あるいはその必要性があるというふうにお考えになっていらっしゃるのかどうか、全くその必要はない、行革会議に任せておけばいいというふうにお考えなのか、御見解をいただければと思います。
  108. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 いずれにしても、日本のすべての官僚機構が大胆に新しい時代に向かって制度改革をされる、そういう中で危機管理体制は最も大事な機構であろうというふうに私自身も認識をいたしております。  実は、私たちは国土庁の中でも、そうしたかなり限られた時間の中で危機管理体制というものが新しくつくられていくという中で、国土庁がこれまでのさまざまな災害や、あるいは直接でないにいたしましても、事故に対していろいろ対応してきた、そうした経験の中から、どういう形の危機管理体制というものがいいのか、きょうの委員会の中でも御指摘いただきましたように、国際的なテロ事件あるいは原子力施設に対する被害、また事故、自然災害というようなものをトータルとしてどう考えていくかということを、私たち国土庁国土庁としての考え方をきちっとまとめてみようということで、いろいろな経過の中で議論をしてきていることも事実であります。  私たちとしても、国土庁として、新しい危機管理体制をつくっていく上で、我が国土庁としての提言といいますか、我々の経験の中からそうしたこともきちっと発言をさせていただきたいというふうに思っております。  当然のことながら、行政改革会議とは別に、この危機管理体制についてはすべての閣僚が最終的には意見を出し合って、そして新しい危機管理体制というものができるということになりますから、きょう、それぞれ委員から御指摘をいただいた点、特にまた今先生からも御指摘をいただいた点も、私自身しっかり受けとめて、閣僚の一員と して発言もさせていただきたいというふうに思っております。  御意見をいただいたことを感謝しております。
  109. 川内博史

    川内委員 私の質疑時間が終了いたしますので終わらせていただきますが、鹿児島北部地震についての対策をくれぐれもよろしくお願い申し上げます。  あと、危機管理体制についても、今後またいろいろと、私ども民主党の観点から御質問やら提言やら、させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。  ありがとうございます。
  110. 川端達夫

    川端委員長 次に、平賀高成君。
  111. 平賀高成

    ○平賀委員 日本共産党の平賀高成です。  最初に、阪神・淡路大震災の仮設住宅の補修、補強工事について厚生省に伺います。  仮設住宅の使用延長に伴って、応急仮設住宅の供与期間の延長、解消にかかわる予算が、九六年度の第一次補正で十八億円余、九七年度予算でも二十一億五千万余が計上されております。この中で仮設住宅の補修や補強工事を行うことになっていますが、補修や補強工事はどの程度見込まれ、どのような計画で行われていくのか、まず伺いたいと思います。
  112. 西沢英雄

    ○西沢説明員 阪神・淡路大震災の応急仮設住宅につきましては、昨年制定されました特定非常災害被害者の権利利益の保全等を図るための特例措置に関する法律が適用されておりまして、その第七条の規定によりまして、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認められる場合には、応急仮設建築物としての許可期間が延長できることになりまして、建築基準法上の特別の補強工事というようなことは必要がないということになったわけでございます。  しかしながら、建物の破損等は生じるわけでございまして、期間延長の許可を得るために仮設住宅として提供するに必要な補修を行うというふうになっておりまして、それに必要な予算として計上しているところでございます。
  113. 平賀高成

    ○平賀委員 私も、阪神大震災の仮設住宅を何回か見せていただきましたけれども、とにかく仮設住宅の基礎が、間伐材が打ち込まれていて、その上に乗っているわけですね。それで、既に二年三カ月たって、基礎がゆがんだり沈んだりということで床が傾いていたり、それから私も中に直接入って見させていただきましたけれども、冬で寒くてしようがない。それで天井が、あなた、ほうきの柄でちょっとつついてみてくれと言うから、ちょっとつつきますと、天井がぶかっと上に上がるのですよ。何と、釘が打ってなくて、それで横の方から光が入ってくる、こういうふうな状況だとか、それから結露がひどくて、朝になりますと布団の上に露がぼたぼた落ちて、毎朝布団を干すことから自分たちの一日の生活が始まる、こういう状況であったわけです。  それで、こういう皆さんが今すぐ恒久住宅に移転できるというめどがまだ立っておりません。こういう状況を直ちに、実態把握もきちっとやりまして、それに基づく改修をぜひ早急にやっていただきたいと思います。  少なくとも仮設住宅の補修や補強工事がきちんと行われるように、ぜひ自治体の方を指導していただきたいと思いますが、この点で、厚生省はいかがでしょうか。
  114. 西沢英雄

    ○西沢説明員 仮設住宅につきましては、早急に避難所からお移りをいただく、何分迅速に建設をするという問題がございますし、いずれ恒久住宅に移っていただくまでの住宅であるという問題がございますので、壁の厚さとか、そういったものは、恒久住宅と比べられますといろいろ問題はあるかと思います。一戸一戸、細かいいろいろな問題があると思いますけれども、その辺の問題につきましては県の復興基金等でも対応しておりますので、全体として必要なものは手当てもされているのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  115. 平賀高成

    ○平賀委員 これは復興基金もあって、これできちっと対応していただくというふうに理解をさせていただいていいのですね。  それで次に、災害公営住宅の浴槽問題について建設省に伺います。  兵庫県津名郡東浦町が阪神・淡路大震災の被災者向けにつくった災害復興住宅百二十戸のうち、般向け八十四戸に浴槽が設置をされていないわけです。大きな問題になっています。ここの災害復興町営住宅には、浴室はあるのですけれども、シャワーと照明器具があるだけである、こういうふうになっているわけです。県内の災害公営住宅で浴槽が設置されていないのはここだけであります。淡路町だとか津名町、一宮町、北淡町では、災害公営住宅はすべて浴槽が設置をされております。  浴槽を設置した場合、費用が約九万円かかりますが、大震災の被災者は本当に九死に一生を得て、大変な思いで頑張ってこられた皆さんで、これがようやく恒久住宅に移ることができて、それでいざおふろを使う段になったら、じゃ九万円という、こういうふうなやり方では、余りにも無慈悲なやり方だと私は思うのです。こういう現状についてどのように思われるのか、ぜひ善処をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  116. 山中敦

    山中説明員 浴槽の問題につきましては、ちょっと、詳細に把握しておりませんけれども、できるだけ努力をしていきたいと思っております。
  117. 平賀高成

    ○平賀委員 この点で、いろいろ新聞でも報道されておりまして、私は、この問題をいろいろ調べている中で、建設省の通達を発見をしたんですね。これは「公営住宅における浴槽及び風呂釜の設置について」ということで、昭和五十五年の六月三十日に建設省住建発第八十号、住宅住宅建設課長通達ということで出ています。  これはどういう中身かといいますと、公営住宅に入居するに当たって、入居者が自分で浴槽とふろがまを準備するとなったら負担が大きくなるから、さらに、それぞれてんでんばらばらでやりますと、いろいろな器具の不統一で考えられないような事故が起こりかねない、ですから、これは設置者がきちっとあらかじめ設置をすることが望ましい、「周知徹底を図られたい。」というふうに建設省の通達でなっていますが、このとおりにぜひ善処していただきたいのですが、改めて答弁お願いいたします。
  118. 山中敦

    山中説明員 同様の答えで申しわけございませんが、できるだけ努力をしていきたいというふうに思っております。
  119. 平賀高成

    ○平賀委員 では、改めて担当者に回答をいただきたいと思います。  次に、東海地震の防災対策について質問をいたします。  現在、東海地震が予知可能かどうかは、これは議論が分かれるところでありますが、いずれにしても、東海地震が着実に迫っていることは多くの研究者や学者が認めるところであります。  それで、阪神大震災ではマグニチュード七・二でありました。全壊した住宅は消防庁の調べで十一万四百五十七棟、死者は六千四百二十五人となっています。亡くなった方たちの原因を調べてみますと、厚生省の人口動態統計から見た阪神・淡路大震災による死亡の状況によれば、五千四百八十八人中四千二百二十四人、約八割の方たちが窒息死や圧死によるものです。一方、東海地震では、マグニチュード八程度が予想され、静岡県の地震被害想定によれば、建物の全壊が十五万五千棟余とされ、建築物の倒壊による被害阪神大震災以上になるのではないかと心配されております。  国土庁長官に伺いますが、建築物倒壊による死傷者をいかに少なくするかは、阪神大震災の大きな教訓だと思います。建築物倒壊に対する防災対策についてどのようにお考えなのか、伺いたいと思います。
  120. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 建物の耐震性を確保して震災に備える、これが先生の今のお話に対する一つの答えであろうというふうに思います。  それで、阪神・淡路大震災の後、その教訓も踏 まえまして防災基本計画の改定をいたしました。その中で、「建築物の安全化」というような点についても記載をいたしまして、建築物の耐震性の確保のためにそれぞれ定められている基準の遵守というものを徹底すること、また、既存建築物の耐震診断とか耐震補強、こういうものを促進する施策を国、公共団体において促進していくというようなことを防災基本計画で定めております。
  121. 平賀高成

    ○平賀委員 今の認識というのは私たちとほぼ一致するのではないかというふうに思います。  八一年に建築基準法が改正されて、耐震基準が強化をされました。阪神・淡路大震災では、建設省調査でも、建築物が倒壊をした率は八一年以前に建てられたものが高くなっております。災害時には避難施設や防災センターとして重要な役割を担う公共施設の耐震強化は言うまでもありませんが、もう一つ重要なのは一般住宅の耐震対策です。阪神大震災では、八一年以前の木造住宅全壊した率が高く、家屋の下敷きになり多数の方々が亡くなりました。  建築物の耐震補強を促進するために、九五年に耐震改修促進法がつくられました。この法律では、住宅の耐震補強をする際、住宅金融公庫から年率三・一%の低利融資が受けられることになっております。建設省にお聞きしますが、現在のこの低利融資制度による申請者数と認定数、この点について伺いたいと思います。
  122. 佐々木宏

    ○佐々木説明員 御質問の建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づきます一般住宅の認定及び公庫の融資制度の活用状況ということでございますけれども、この法律に基づきます耐震改修の認定でございますが、平成七年十二月に施行されて以来、本年の一月末までで、全体で八十一件、すべての建物で八十一件が認定を受けておりますが、そのうちで木造の住宅につきましては二件という状況でございます。これらの二件につきましては、八年度末までに住宅金融公庫の低利融資というものの融資の申し込みが行われておる状況でございます。
  123. 川端達夫

    川端委員長 平賀委員、先ほどの答弁の補足をよければ今してもらいますか。
  124. 平賀高成

    ○平賀委員 お願いします。
  125. 佐々木宏

    ○佐々木説明員 兵庫県の東浦町の被災者向け公営住宅の浴槽の問題でございますけれども、この公営住宅につきましては、高齢者向けの住戸につきましては浴槽をあらかじめ設置をしておるというふうに聞いておりますが、それ以外の住戸につきましては、浴槽設置を入居者の負担としているというぐあいに承知をしております。  基本的には、公営住宅の具体的な設計とか仕様は事業主体がみずから決定するものということになっておりますけれども、浴槽につきましては、事業主体においてみずから設置をするというのが一般的であるという状況でございます。国といたしましても、入居者の入居時の経済負担の増大を避けるという観点から、事業主体が浴槽設置をするということが望ましいと考えておるところでございます。  この東浦町の件につきましては、町においては、入居者の負担軽減のために家賃減免により配慮しているというふうに聞いておるわけでございますけれども、国といたしましては、入居者の入居時の経済負担の増大を避ける観点から、事業主体みずからが浴槽を設置することが望ましいということはそのように考えておるわけでございます。  御指摘を受けまして、早急に、県も含めまして、地元と協議してまいりたいと考えておるところでございます。  以上でございます。
  126. 平賀高成

    ○平賀委員 ぜひ通達のとおりにやっていただけるというふうに認識をいたしまして、次の質問に移ります。  先ほどの続きで、木造住宅の個人の認定件数二件というふうに伺いましたけれども、これは余りにも少な過ぎると私思うんですね。制度はあっても利用されないのでは、耐震補強が進まないわけでありまして、促進するためにPRも必要でありますが、耐震診断と耐震補強が受けやすい体制や条件を充実させることが求められていると思います。  特に、この点で横浜市では、木造住宅耐震診断士派遣制度がつくられて、木造個人住宅の耐震診断が無料で行えるようになっています。耐震診断を希望する市民に対して、市が木造住宅耐震診断士を派遣し、調査実施するなどの支援を行っています。建設省としても、このような具体的な支援策を検討するべきではないでしょうか、この点について。
  127. 佐々木宏

    ○佐々木説明員 木造住宅の耐震診断及び改修の促進ということでございますけれども、実際の住宅の耐震改修を行うに当たりましては、費用といった面の問題もございますけれども、例えば工事中に居住者に不便が生じるといったようなこともございますし、実際には、耐震改修だけではなくてほかの改修とあわせて行われるといったようなことも多いのではないかということで、現段階では、認定実績または融資の活用実績というものが低い状況にとどまっているということもあるのではないかと考えておるわけでございます。  しかしながら、耐震診断、改修が、必要性が極めて高いということは御指摘のとおりでございますし、また国民の皆様にも次第にその認識を深めてきていただいているのではないかというぐあいに思っておる状況でございまして、地方公共団体とも連携をしながら、耐震診断、改修についての支援措置ということについて、PRなどを引き続き推進していきたいと考えておるわけでございます。  また、御指摘のように、公共団体が独自に耐震診断、改修への助成制度を設けている例もございますので、そういった動きとも連携を図りながら、診断、改修を促進するようにいろいろな面で努力を続けてまいりたいというぐあいに思っているわけでございます。具体的には、例えばPRといった面もございますし、また既にこれは相当行っておるわけでありますが、耐震診断、改修計画の立案を行います技術者の育成その他、いろいろバックアップの措置を講じていきたいと考えておる状況でございます。  以上でございます。
  128. 平賀高成

    ○平賀委員 全国ではそういう利子補給の制度を実行している都道府県があります。一月十五日付の朝日新聞の報道で、東京都の住宅民間住宅課の課長も耐震補強は何百万円もかかる、融資だけではだめだと言っている記事も報道されております。実際に、九七年の三月末で、例えば横浜市では耐震診断を受けたのが三千三百十件あります。このうち、横浜市独自の無利子制度を活用して耐震補強を行った方が十九件あるのですね。ですから、本当にこういう具体的な支援策を講じていったら、もっともっとこの耐震補強というのは進むと私は思うのですね。この点をまず指摘をしておきたいと思います。  それから、耐震診断には大体五十万円前後かかって、耐震補強になりますと二百万から三百万というふうになります。これだけの負担となりますと、低利融資だけで住宅の耐震補強が進むというのはやはり無理があるというふうに思います。  この点について、耐震改修促進法の審議の中で、当時の森喜朗建設大臣は、耐震改修の実施は相当な経済負担になる、こういうことから、特に資力のない方々の建築物の耐震改修を促進するためには、やはり適切な支援措置が必要だと答弁しております。個人住宅の耐震改修を低利融資だけで進めるのは困難だということを政府自身も認めているわけです。実態はまさにそのとおりになっているわけであります。  ですから、いろいろその形態はあると思いますが、改修費の一部をぜひ国が積極的に支援をするべきだ。建設省など関連省庁などとも連携をして、ぜひ積極的な対策を立てるべきだと思いますが、国土庁長官にこの点について伺いたいと思います。
  129. 佐々木宏

    ○佐々木説明員 御指摘の耐震改修に対する補助ということでございますけれども住宅は基本的には個人の方の財産であるということから、これ に対して直接補助を行うということは、なかなか限界があって難しい問題ではなかろうかというぐあいに考えておるわけでございます。  そういう中で、この低利融資制度ということを耐震改修促進法の中で特別の位置づけをして設けさせていただいたということでございまして、こういったものと、それから自治体がいろいろ行っておりますものと連携をとりながら、耐震改修の促進を引き続き強力に進めていきたいと考えておる次第でございます。
  130. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 委員が先ほどから御指摘いただいているように、例えば横浜市なんかは非常に積極的に進めていただいているわけですね。ですから、それぞれの自治体によってかなり温度差があるわけでして、また、それは特にこういう地震に対する温度差もそれぞれの都道府県で非常に大きいのですね。自治体で既にやっていただいているところもあるわけですから、それを国が、今建設省から答弁がありましたように、支援をしていくという形が適当であろうというふうに思っておりますが、自治体によって財政事情がいいところと厳しいところがあるわけですから、そういうようなところについてどのように国が対応していくかということは、今後研究していくべきだと思っております。
  131. 平賀高成

    ○平賀委員 この点について、九四年に米国ロサンゼルス地域発生したノースリッジ地震で、各分野の専門家から編成されました政府調査団が派遣をされています。このノースリッジ地震政府調査団の調査報告書を見ますと、耐震補強について、ロサンゼルス市で一九三三年以前の六千棟に耐震補強を行った結果、八六%は被害がなかったというふうな報告になっています。我が国の既存の建築物についても、建築基準法施行令改正前の建築物については耐震補強の推進が必要であるというふうに調査団は結論づけております。  災害による被害者の中心は常に高齢者などの弱者でありますし、こういう方たち実情に合わせた対策が必要だと私は思うのです。今の制度では、せっかく借りても、高齢だということで返す当てがないということで、耐震補強の工事はなかなか進んでいかないわけなんです。今のままの政策で、予想される東海大地震阪神大震災のような悲劇を繰り返さないようにするために、現在ほとんど手つかずの状態になっている住宅の耐震補強が促進されるように、政府は改めて諸外国のこういう経験にも学んで、ぜひ積極的に対策を打っていただくことを私は重ねて申し上げたいと思います。  この点でもう一つ。私はいろいろ調べておりましたら、八九年のロス地震はマグニチュード七・一で、阪神大震災と同程度の地震ですが、死亡者の人数は、阪神大震災のときの神戸の大体百分の一ですね、六十三名でした。同じく九二年のサンフランシスコ地震のときには、マグニチュード七・五で、阪神大震災よりも少し大きな地震でありましたけれども、このときにも死者は六十五名で、阪神大震災のやはり百分の一、こういう状況なんですね。  ですから、本当にこの耐震補強工事を実際の問題として進めるかどうかというのは、これはここまで大きな差になって出てくるわけですから、改めてこの点について積極的に、財政的な支援も含めて、ぜひ御答弁願いたいと思います。
  132. 佐々木宏

    ○佐々木説明員 御指摘のように、阪神・淡路大震災におきましては、倒壊による犠牲者が非常に大きな割合を占めていたということでございます。そういった経緯を踏まえまして、私どもといたしましても、阪神のときの被害状況の分析などを期間をかけて行ったわけでございまして、そういった経験を踏まえて、現在、耐震改修の促進に努めてまいっておるところでございます。  御指摘のように、現行の建築基準法以前の建築物につきまして、補強の必要性が高いという観点でこれを進めてまいっておるわけでございますので、今後ともこういったことを強力に進めてまいりたいというぐあいに考えておる次第でございます。
  133. 平賀高成

    ○平賀委員 ぜひ積極的に頑張っていただきたいと思います。  最後になりますが、阪神大震災の公的支援の問題について長官に伺います。  既に震災から二年三カ月がたちまして、地元方たちの必死の努力にもかかわらず、依然として生活再建のめどが立たないような皆さんがまだたくさん残されています。そういう中で、ことしの三月二十四日に、兵庫県の宝塚市議会が、公的助成の実現を求める意見書を採択しました。そして二十八日には、被害の中心であった神戸の市議会も、公的支援を求める意見書を採択しております。その意見書の中で、個々の被災者が置かれている状況に十分に配慮いただき、被災者の生活基盤を早期確立するため、被災者が明るい未来を予感できるような抜本的な公的支援をと、強く求めています。  この意見書の中身というのは、圧倒的な世論とも合致をする内容になっています。被害の中心であった神戸の市議会の意見書というのは、今まで政府自身がさまざまな取り組みをやった上での意見書でありますから、これはぜひ大きく、重く受けとめていただきたいと私は思うのですが、この点で、この宝塚や神戸の市議会の意見書にどうこたえる予定なのか、ぜひ御意見をいただきたいと思います。
  134. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 阪神・淡路の震災以降、復旧から復興へ、政府地元の県、また神戸市などとは定期的に、定期的というよりも定期的以上に連絡をしてまいりまして、また、現地の声やいろいろな要望も伺ってまいりました。  もう委員御承知のとおり、それに対して国は、最終的には四兆円を超えるであろういろいろな支援をしてきたわけでございますし、四月二十五日には、仮設住宅から恒久住宅に移っていただく方々に対する、要援護者であるとかあるいは高齢者の方々に対する、月額一万五千円から二万五千円の生活支援の給付の受け付けも始まるところでございます。  さまざまな施策を展開をしてきたところでありますが、なおこれから仮設住宅から公的住宅に移っていくという、大変大事な時期であります。地元の市や県の皆さんの意向というものもよく受けとめて、今後、国としてのでき得る限りの支援もしてまいりたいと思っております。
  135. 平賀高成

    ○平賀委員 私は、こういう市民の切実な声にぜひ真っ正面からこたえることが、今本当に求められていると思うのです。特に政府自身が、自由社会の国だから個人の被害は自分持ちだというふうな一番の原点をやはり変える必要があると思うのですね。  私たちは、これで地震問題は終わりということじゃなくて、さらに東海大地震だとか南関東の地震だとか、こういうふうなことが次から次へと予測をされているわけですから、ここまで援助をやってきても、まだ実際には立ち上がれないという人たちが広範に残されているわけですから、ぜひこの点で政府自身ももう一歩踏み込んで、公的支援の問題について積極的にやっていただきたいということを最後に重ねてお願いを申し上げまして、私の質問を以上で終わらせていただきます。
  136. 川端達夫

    川端委員長 午後三時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時三十三分休憩      ────◇─────     午後三時二十六分開議
  137. 川端達夫

    川端委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。北沢清功君。
  138. 北沢清功

    ○北沢委員 まず、今月の七日の横須賀市の京浜急行線の脱線事故に関連してですが、事故原因となった土砂崩壊の現場は、県の調査でも、また運輸省の通達を受けての調査でも問題がないとされていたということでありますが、これは、調査基準だとか方法とか、また問題がないだろうかということでお尋ねをしたいと思います。  また、常々、現場付近の住民皆さんは、前々から問題視をしていたように聞いておりますが、 人命に直接かかわる問題ですから、こうした事例については、今回の現場だけではなくて、全国的に見直す必要があるのではないかと思われますが、鉄道については運輸省、また道路については建設省に、この辺の対策についてお尋ねをいたしたいと思います。
  139. 白取健治

    ○白取説明員 運輸省でございます。  斜面あるいはのり面の調査方法といたしましては、まず、地表面の亀裂、あるいは斜面のはらみだし等、変状の有無について目視により調査実施いたしまして、問題がある箇所につきましては、さらにボーリングあるいは土質試験等によりまして詳細調査を行うことにしております。さらに、周辺の自然環境の変化でありますとか、過去における災害履歴等を考慮いたしまして、斜面の安定度について判定するというようなやり方をやっております。  現在の斜面の調査方法あるいは判定方法につきましては、これまでの技術的な知見からは適切なものと考えておりますが、万全を期すために、今回の事故の発生後、直ちに、全鉄道事業者に対しまして、降雨時における列車運行の安全確保について十分注意するよう、通達によりまして指導を行ったところでございます。
  140. 宮本泰行

    ○宮本説明員 道路に関しましては、落石、土砂崩壊等の災害を防止するために、昭和四十三年より、おおむね五年ごとに、落石等のおそれのある斜面について詳細な点検を全国一斉に実施してきております。現在、八年度、九年度の二カ年にわたりまして点検実施しているところでございます。この点検では、全国の主要な市町村道以上を対象といたしまして、落石、崩壊あるいは岩石崩壊、地すべり等につきまして、災害に至る可能性のある要因の有無につきまして、専門技術者による調査実施しているところでございます。  今後、これらの点検結果を踏まえまして、対策が必要な箇所について対策工を進めると同時に、それ以外の箇所についても、監視等が必要な箇所については、防災カルテを用いた監視手法を取り入れまして継続的に監視いたしまして、道路の防災性をより高める仕組みを導入しているところでございます。  今後とも、点検を適切に行いまして、その結果を踏まえ、道路災害の防止に努めてまいります。
  141. 北沢清功

    ○北沢委員 わかりました。ぜひ、やはり鉄道の問題については点検等を十分にされて、先ごろの岐阜の問題もございますので、なお完璧を期していただきたいということを強く要望いたしたいと思います。  それでは、先ごろのナホトカ号重油流出事故の被害への対応の最中に、またもや韓国籍タンカーによる重油が対馬に流れつく被害が起こったわけですが、これについて、今回の対応はどうなったのでしょうか。それから、ナホトカ号の教訓が生かされていたでしょうか。また、海上保安庁はどのような対応をされたのかお答えをいただきたいと思います。
  142. 坂場正保

    ○坂場説明員 ナホトカ号油流出事故につきましては、その重大性にかんがみまして、関係省庁で構成されますプロジェクトチームが設置されておりまして、現在、関係機関における即応態勢の充実強化であるとか、迅速かつ総合的な油防除体制の充実強化などの課題につきまして、鋭意検討が進められているところでございます。  このような状況の中で今回の韓国タンカーの油流出事故が発生し、これに海上保安庁としても対応したところでございますけれども、海上保安庁としては、韓国タンカーの油流出事故の情報を四日の午後に入手するや直ちに、巡視船による浮流油の調査実施するとともに、一府十県の関係自治体に対しまして、また漁協等関係者に対しまして情報提供を行ったところでございます。さらに、機動防除隊も派遣を行いました。  また、四日の夕刻に至りますと、海上保安庁に韓国タンカー〇号油防除対策室を設置し、また、九州の門司に所在する第七管区海上保安本部におきましては、韓国タンカー〇号防除警戒本部を設置したところでございます。あわせまして、国家的緊急時計画に基づきます関係省庁連絡会議も開催いたしまして、事案の概要につきまして関係省庁に説明しますとともに、関係機関が連携をとってこのタンカー油流出事故に対する油防除措置をとることを確認したところでございます。  さらに、防除勢力につきましてでございますけれども、四日の夕刻には、運輸省港湾局に対しまして、外洋対応が可能な大型油回収船の清龍丸の出動要請を行いますとともに、七日の午後に至りましては、沈没位置の南側の公海上で浮流油が発見されたということでございまして、それを受けて、海上自衛隊には護衛艦、そして水産庁に対しましては監視船、白島石油備蓄基地に対しましては、油回収船の洋上での油防除のための出動要請を行ったところでございまして、地元の漁船と連携をとって油防除活動を行ったところでございます。  結果的には、対馬北部沿岸の一部に油が漂着したものの、地元関係機関の協力も得まして、洋上でかなりの浮流油を事前に回収することができたというふうに考えております。海上保安庁としても全力を尽くして対処したというふうに考えております。
  143. 北沢清功

    ○北沢委員 非常に前回の経験に基づいて対応が早かったと思いますが、やはり環境だとかまたは漁業等の影響のないような洋上での回収という面に向けて、ひとつ一層御努力をいただきたいと思っております。  私は、実は前に予算委員会質問をいたしまして、その後の経過について逐次お尋ねをいたしたいと思いますが、ナホトカ号の事故についてですが、いわゆる船尾部分が海底深く沈んだ、そのことが大きな不安の固まりである、そういうことを申し上げた。一応調査をされたわけでございますが、どんな調査をして結果はどうなったか、また、その調査結果を踏まえての結論はどうなったのか、これは科学技術庁にまずお尋ねをいたしたいと思います。
  144. 丸山剛司

    ○丸山説明員 お答え申し上げます。  科学技術庁といたしましては、本件の事態の重大さにかんがみまして、でき得る限りの取り組みを行ってきたところでございます。  まず、ナホトカ号の沈没した船体の状況の把握ということで、海洋科学技術センターの深海観測装置ディープトウ及び深海探査機ドルフィン3Kを用いまして、島根県沖諸島の北東約百四十キロの油の湧出点付近の海域において二月二十四日まで調査実施いたしました。  調査の結果、深さ約二千五百メートルの海底におきまして、左舷を下にして大きく傾いて横たわっているナホトカ号の後部船体、これを確認いたしまして、さらに船体の甲板上のマンホールと見られるふたのすき間、あるいは手すりの下にある亀裂から油が筋状になって漏出している状況というものを映像で確認いたしました。さらに、運輸大臣の要請を受けまして、事故原因の究明のため、船体の詳細な破断面の状況、これも観察をいたしました。  以上の結果によりまして、私ども、当初考えておりました目的はおおむね達成できたものというふうに考えております。  この一連の調査結果につきましては、逐次、船尾部の残存油対策、あるいは事故原因の究明というものに資するために運輸省に提供してまいっております。
  145. 北沢清功

    ○北沢委員 当時、運輸省の、運輸大臣への諮問として専門家の会議を持つというふうに言われておりまして、それは一つには、原因の把握と将来に対する対策であります。それは、後でお聞きをすれば、ナホトカ号の船尾部の残存油対策検討委員会というふうな名前だというふうに私は聞いておりますが、結果としては、いわゆる監視をするしか今のところないということであります。  したがって、依然として、いつ船尾が破裂をして大量に出るかとか腐食をして出るかとかということについてはなかなか把握ができないわけでありますが、船尾部の対策について、技術的な開発をより進めて、やはり根本的な不安の解消に努力 をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  また、このようなナホトカ号の後も、韓国籍のタンカーによる事故など、油による被害は、特に日本のような海に囲まれた海岸では次々と起こる可能性があるわけでありますから、ナホトカ号の事故の教訓を踏まえて、全般的な対策については現在どのような状況にあるか、今後の見通しなどについても、どのような進展をしているか。  具体的に私は一つの例を挙げますと、今も出ました、清龍丸にかわる、日本海におけるあの荒天時においても回収可能ないわゆる油回収船をつくるということになっても、これは今のようなレベルでは、危機管理という面から見て、荒天の日本海に対応する油回収船により近づけるような、そういう意味での科学技術の取り組みというものも、当然平成十年度の予算編成にかかわるわけでございますが、やはり今からそういう研究をされないと速やかな対応はできぬのではないかということを感じます。  それも含めて、いろいろの面で、その後における体制の整備といいますか、研究の整備というか、そういうものについてまずお尋ねをいたしたいと思います。
  146. 武藤浩

    ○武藤説明員 ただいま先生御指摘がございましたように、今回のナホトカ号の事故については、さまざまな反省点、教訓とすべき点を残しております。そういったことから、油防除体制の強化、再発防止につきまして、総合的に対策を検討しようということで、運輸技術審議会、主に技術系の先生方に集まっていただいておりますが、ここに流出油防除体制総合検討委員会というものを設置いたしまして、三月五日より審議を開始しておるところでございます。  内容といたしましては、事故再発防止対策としての国際的なルールづくり、そのほか、ただいま御指摘のございました即応態勢や防除体制の整備ということを、技術開発も加えまして、今検討をしているところでございます。私どもとしては、この検討結果を踏まえまして、予算への反映等、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  147. 釣谷康

    釣谷説明員 先生の前半の御質問に対するお答えでございますけれども、船尾部の対策につきまして、お答えさせていただきます。  先生御指摘のように、二月十四日に運輸大臣の委嘱によりまして、船尾部残存油対策検討委員会が設置されました。三月二十六日まで三回ほど委員会を開きまして、その結果を取りまとめていただきました。  その中で、幾つか御提言がございました。まず、船尾部からの流出油の今後の状況についてでございますけれども、これにつきましては、海面への油の流出、これは今後当分の間続くというふうに推定されておりますけれども、それらが沿岸部に大量に漂着する事態はまずないというふうに判断されております。また、海底の船体の破壊でございますけれども、これにつきましても、圧力が均衡している、あるいは腐食が非常に遅いということから、破壊が急速に進んで大量の油が漏出する事態、これは現段階では想定できないというふうな結論をいただいております。  これに対しまして、では深海工法として何らかの対策がとれないのかということにつきまして、六通りの工法についていろいろと検討していただきましたが、現段階では実施可能な応急対策あるいは恒久的な対策は見出しがたいという結論をいただいております。  こういう結論を踏まえまして、技術的な観点も踏まえまして、三つほど御提言をいただいております。  一つが、今後の定期的な監視を行うという必要性でございまして、監視を行うとともに、必要に応じて航走拡散等を行うということが有効であろうということでございます。それから、これに加えまして、必要に応じて、沈没船体への再調査を検討するということも必要であろうという結論でございます。  それから、あと残り二つがかなり技術的な観点からの御提言でございますけれども、まず、船首部、これから引き揚げられることになっておりますけれども、船首部の材料を用いまして、海底での腐食の進行を類推する、あるいは海底にセンサー等を設置しまして、船体監視ができる可能性があるのかどうかということについても検討を進めるということが提言されております。  それから、深海における工法でございますけれども、この辺の工法につきましても、油回収工法等含めまして、実現に向けて検討を進めるということでございまして、そういった技術的な検討を今後も進めていく必要があるだろうという御提言をいただいておるということでございます。
  148. 北沢清功

    ○北沢委員 いずれにしても、深海に閉じ込められて、それが固形化をするということが考えられなければ、いずれかの日にはやはりそういう面で問題になると思います。これはやはり不安の塊が海底深くあるということになるわけでありますから、監視等を含めて、回収等も含めて、積極的にひとつ研究開発をされるように期待をいたしたいと思います。  それでは、先ほどちょっとお話が出たのですが、環境に及ぼす影響なりについて調査が行われたと聞いておりますが、現在、その進みぐあいはどうなっておるか、また、沿岸で望んでおる安全宣言などともかかわってくると思いますので、伺ってだけおきたいと思います。
  149. 畑野浩

    ○畑野説明員 ナホトカ号の重油流出事故に伴いまして、環境庁では、事故発生直後に行いました現地調査を初めといたしまして、これまで重油の成分の分析、あるいは水質、大気の汚染状況、魚介類中への重油成分の含有状況、海域海浜生物及び海鳥等への被害状況等につきまして、調査実施しております。また、この調査に際しましては、いろいろ幅の広い分野の専門家で構成されますところの、ナホトカ号油流出事故環境影響評価総合検討会という検討会を設置いたしまして、この御意見等々も参考にしながら調査を行ってきているところでございます。  三月までに行いました環境調査につきまして、現在、委員指摘のとおり、取りまとめ中の段階のものもございます。早急に作業を進めた上で、検討会の御意見等々踏まえながら、環境影響の有無、程度につきまして評価をしたいというふうに考えております。  なお、これらの結果にもよりますけれども、一部につきましては、影響が長期に及ぶことも懸念されますことから、今後とも、引き続きまして関係の省庁あるいは関係自治体と連携をいたしまして、環境調査の方は段階的なおかつ継続的に必要な調査実施していくことが重要なことではないかというふうに考えております。  なお、これまでの調査結果によりますと、流出いたしました油というのは、幸いなことに、通常のC重油の範囲に入るものでございました。それから、水質、大気等において重油成分というものが検出されましたけれども、全般的にその影響は非常に低い程度、軽微な程度にとどまっているのではないかというあたりが明らかになっているところでございます。
  150. 北沢清功

    ○北沢委員 さきに笹木委員さんの御質問もありまして、やはり現状において予算を投入してもやるべきだというようなお話がございました。これは新たな、私は、環境汚染ばかしてはなくて、海岸の生態系の復元、復活というもの、そのことが生業につながるわけでありますから、これについては積極的に、総理も予算を投入してもやると言っていますから、大いに進めていっていただきたいと思っております。  最後に、一つだけ簡単に申し上げますが、環境汚染やいろいろ問題がございまして、油の流出等については世界的にいろいろ取り組んでおるわけですが、「週刊金曜日」というところで新潟大の鷲見一夫さんが、二十年前にそういう意味でのアジアにおける国際的な条約が──世界的にはバルセロナ条約とかヘルシンキ条約で、北海だとか地中海の条約が既にできておるのです。だから、日 本も早く沿岸諸国とそういうような流出防除の計画等について進めるべきでありますが、そこら辺について、やはり運輸省も積極的にひとつ外務省とも結び、進めていっていただきたい。この日本海タンカー汚染の拡大を招いたのは行政の怠慢であるというように「週刊金曜日」に大きく出ておりますから、これをぜひお読みいただきたい。  日本一国だけではできない問題でありますから、大臣からも、総合的にこの地域の、特に日本海の閉鎖地域における汚染問題についての国際的な取り決め、そういうものを積極的に進めていっていただきたいということをお願いしたいと思いますが、最後にひとつ大臣の御決意をお願いいたしたいと思います。
  151. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 海をもとどおりに戻すということは当然でありますが、今度のナホトカ号重油流出事故などを経験いたしまして、今閣僚会議のもとに置かれておりますそれぞれのプロジェクトチームで、六月前後とも言われているわけでありますけれども、いずれにしても結論が出るわけであります。それを受けてこれから私たちは、とにかく四面海に囲まれ石油を外国に依存をしている国でありますから、これからも起き得る事故でもあり、これらの将来に対してしっかりした対応をしていかなければならないというふうに考えております。  また、環境につきましても、環境庁を中心として、私たちもしっかりこの環境問題には取り組ませていただきたいと思います。
  152. 北沢清功

    ○北沢委員 終わります。
  153. 川端達夫

    川端委員長 次に、小坂憲次君。
  154. 小坂憲次

    ○小坂委員 太陽党の小坂憲次でございます。  どうも太陽党というのは残念ながら一番最後でございまして、ほとんどの質問はそれぞれの委員から御質問いただいて御回答もいただいているようであります。若干それに重複しないところをぜひともやりたいと思います。  今もナホトカ号の重油流出事故関連のお話が出ておりましたけれども、その後、油の被害というのは次から次へと出てきて、最近では相模湾にも廃油あるいは重油が流れついたという話も出ております。これほど関心が高まっているときでありますから、予算獲得に向けてぜひとも今、体制の整備を積極的に行っていただきたい、こう思っておるわけであります。  この点に関しての大臣の決意と、それから、以前に当委員会でも質問をいたしましたが、油濁防止法でしたか、あの法律に規定した基金の方からの支出を求めるための被害額算定というのがありました。  このナホトカ号関連の被害額の算定という問題は、通告してありませんから、きょうは多分資料がまだそろっておりませんでしょうから、この被害額の算定がいつごろできるのかという質問を前にいたしましたけれども、この点について被害額の算定はできたのかできていないのか。額を調べるというのはちょっと時間的に無理だと思いますから、それはできているかという点についてお答えをいただければ幸いであります。大臣の御決意だけまずひとついただきたい。
  155. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 油濁損害賠償保障法に基づいて、補償問題はこの法律に従って対応しているわけでありますが、そうはいいながら、これは国際的な問題でありますから、政府はもちろん外務省も中心となって対応させていただいているところでございますし、最終的にその損害がさらに補償額を超えていくということになりますれば、これは国としてもその補償をどうするかということについても検討していかなければならない問題だと思います。民間や地方自治体のそうしたことについて、国としても、その後の対応ではありますけれども、しっかり支援もしていかなければならないというふうに考えております。
  156. 小坂憲次

    ○小坂委員 その点まで大臣にお答えをいただいて恐縮ですが、大臣に特にお答えをいただきたかったのは、このような油による被害が拡大をしておりますので、清龍丸等の油回収船を初めとした機器の整備について来年度予算へ向けてこれからだんだん準備をしていただきますが、ひとつその予算獲得に向けた決意を言いただきたい。
  157. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 私も、あの事故災害がありました直後、一体その対応が清龍丸だけというような対応でいいのかということを率直に、私自身もこれからの対応をきちっとしなければならないのではないかということを考えた一人でございまして、今後の対応をどうするかということについても、先ほど申し上げたように、プロジェクトチームなどの結論がそう遠からず出るということになっております。それを受けて、当然対応に向けては予算も必要とするところでありますから、私自身も積極的に予算確保に努めてまいりたいと思っております。
  158. 小坂憲次

    ○小坂委員 ありがとうございます。  当然対象となりますのは運輸省等でありますけれども、しかし、私と大臣は若干考え方の違いがあるかもしれませんが、私には、国土庁長官は自然災害のみならずあらゆる災害に対して積極的に対応していただきたい、そんな気持ちがありますものですから、運輸省の予算を側面的に支援をしてとれるように、また通産省関連の予算についても、防災の観点から大臣の積極的なお取り組みをお願いしたい、そんな意味で質問申し上げたわけであります。  また、油の被害に関する求償の問題については、船尾部分がまだ残っておりまして、ここから徐々に油が漏れております。その際、以前の質問の際にも指摘をいたしましたが、老朽船ゆえに船尾部分の鉄板も大分腐食をしてきているというようなテレビの映像結果というのも報道されたことがありまして、これが破壊をした場合には一気にまた油が漏れてくる、それによる被害というものも想定される。  そうすると、それが想定される以上、そこまで被害額算定は先延ばしということになりますと、被害者はたまったものではありません。どこかでけりをつけなければいけない。その意味で国としての決断も必要になってくるのだろうと思いまして、その辺は政治的な判断も踏まえてどこかで決断をして、被害額算定をその時点で決めて求償をしていく必要があるかな、こんなことも思っておりまして、御配慮をお願いしたいと思っております。  さて、最近の新聞報道によりますと、地震の予知というのも大分変わってきたようでございます。大規模地震対策措置法が施行されましてからもう約二十年が経過しておりまして、この関係で最近の新聞を見ましたら、記事をちょっととってきたのですが、気象の方の学会から、予知は大変困難であるということを正直に言おうじゃないかということで、従来地震予知は可能であるとしてきた学会の意見も、最近では大変に困難であるというように変わってきているのですね。  この見解に立ちますと、大規模地震対策措置法に決めております、例えば措置法の第二条の三とか同十三あるいは第四条、第九条の警戒宣言に至るまで、それぞれの問題が絡んで、どう政府対応するかという問題が今出てきていると思っております。  地震予知技術の進展でますます確実になると思われていたのですが、実際には学説的にはなかなか難しい面がある。地震は単純な原因ではない、もっといろいろな複雑な要因が、要因といいますか要素が重なり合って発生するものだというふうにわかってさましたら、予知が難しいということになってまいりました。  これに関連して、今の大規模地震対策措置法の中の内容並びに災害対策基本法上に規定をしてある条項等について、政府はどのように対応していくつもりか、御見解を伺いたいと思います。
  159. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 東海地震関係でございますけれども、大規模地震対策特別措置法に基づいて、御案内のとおりに強化地域を指定し、それで観測、測量の強化、避難地、避難路、消防施設等の整備、警戒宣言が発せられた後の国、地方公共団体、民間事業者の応急対策、こういうことが決められ、それに沿って努めてきているところでご ざいます。  先生今おっしゃいましたとおりに、最近予知に関して、学者の間、研究者の間でいろいろな見解が出てまいっております。予知は難しいのではないかとおっしゃっている先生もおられます。ただ、今までどおり、やはり予知は可能だということをおっしゃっている先生もおられるわけでございます。それで、各種の審議会の中でも議論が今行われておりますが、現段階のところ、予知が完全にできないというような結論には達しておりませんでして、依然として予知は可能であるという先生も多いわけであります。それで、気象庁の現在の見解は、依然として予知は可能である、このような前提に立っております。  私どもとしてみれば、その気象庁の見解を前提にいたしまして、今まで講じてきた大震法に基づく東海地震の措置、これを今後も続けてまいりたい、こう思っているわけであります。  ただ、あの法律ができましてから十八年たちました。その間に社会情勢も変わりましたし、あるいは幾つかの地震で、得がたい教訓も得られました。そういうことを前提にいたしまして、今決められております地震防災基本計画、この中身について直すべき点があるかないかというような検討作業、これを現在進めておるわけでございます。昨年もやりましたし、今年度もやりたいと思います。その点検作業の結果を踏まえて、具体的に計画の見直しが必要かどうかというふうに議論をしていきたいというふうに考えております。
  160. 小坂憲次

    ○小坂委員 先ほどの話ですが、測地学審議会というものですね、測地学審議会の委員の意見が最近分かれてきているということであります。  今の警戒宣言は、現在の段階での予知技術を使って、そういった地象等の変化が現れた場合に、それをもとに警戒宣言を発してくれ、こういうふうに判断をして出されるのだと思うのですね。現在の段階で、測地学審議会の意見が分かれたままで地象の変化が通知された場合、警戒宣言をちゅうちょなく発せられますか。これをそちらに聞くのは難しいかな。  今の警戒宣言は、メカニズムとしてはそういった地象測地上の、計測上の変化とか、そういうものの変化が通報された場合に、一定の判定会等、閣議等を経て最終的に警戒宣言を出す、こういうところにつながっていくわけでありますが、このメカニズムに変化はないかということなのです。その手順を今検討している最中ですけれども、今起こるわけですね、地震は、いつ変化が来るかわかりません。ましてや最近、地震がかなり頻発をいたしております。そういう中で、今起こった場合にどう対応されるか。
  161. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 地殻変動等に異常な動きがあった場合で一定の要件に該当する場合には、判定会が開かれることになります。その判定会において、やはり起こりそうだというような結論に達すれば、それは警戒宣言に結びつくというふうに考えています。
  162. 小坂憲次

    ○小坂委員 学説というのは常に変化するのではないかと私は思うのですね。それぞれの学説がぶつかり合ってくると思います。判定会の際にも、恐らくそれがぶつかり合うのだと思うのです。そこである程度主導的役割を担っていただかないといけないのがやはり防災局であろうと思います。意見を曲げるわけにいきませんが、その中で、最終的判断でどのように決するか、大変ぎりぎりになってきたところでは、やはり防災局、そして国土庁長官の判断というものがかなり重要視されてくると思います。学説の変化はあっても、ここは政治の判断として、ちゅうちょなく警戒は発していただきたい、それによる後のことを恐れずに、まずは発すべきだと私は思っておりますので、私の見解を申し上げておきたいと思います。  すなわち、ちゅうちょして、その後に発生した場合には、もう後の祭りであります。やはり危機管理というのは、相当の可能性があるときにはそれを前向きにとらえて警戒を発するべきだと思うのです。そしてそれをもとにして、それが違ったときでも、余りそれを与野党とか、政治的な道具にせずに前向きにとらえていくべきだと思うので、事前に、そういう状況になったときにまた批判されるのではないかと考えてちゅうちょされると困りますものですから、今申し上げておくわけであります。  ぜひとも、ちゅうちょなく、今学会の意見が若干変化をしておっても、やはり今まで決めたこと、それに沿って、今までの手順に沿って決断をしていただきたい、それをまず申し上げておきたいと思います。これについて回答を求めるのは無理かと思いますので、結構であります。  次に、時間が大変短いものですからまた次の機会に引き継ぐ感じになるかもしれませんが、本日の西委員質問に対して、長官は、総理による代行規定等を設けたらという御提案もあるということは承知しておるけれども、こういった問題は専門的な見地からそれぞれの担当の大臣が責任を持って決断をしていくのだ、そしてほかの大臣が協力するのだ、こういう御発言がございました。  私は若干違っておりまして、むしろ一元的に統括できる、リーダーシップを発揮できる総理の権限というものを確立すべきだと思っている立場であります。専門的な意味からその担当大臣がということになりますと、今の長官の御意見では、阪神・淡路の場合には、国土庁長官担当で、最後まで貫かなければいけないことになるのですが、あの場合には大臣がかわったのですね。  ですからそういう意味で、いろいろな事情があったと思いますが、やはり大臣は自分の知識と感性に基づいて前例にとらわれずにいろいろ活動していただける大臣と私は思っておりますので、先ほどの御発言では、この大臣になってからいよいよその感を強くした、これは私の方から見ると、いよいよまた、国土庁の周りの方々に説得をされて大臣の感性が鈍ってきたか、こういう気もいたしておりまして、心配をしております。  ぜひとも前例にとらわれずに、あらゆる災害に自分は前向きに飛び込んでいく、自分はすべての災害担当者だ、こういう気持ちで取り組んでいただきたいと思いますが、決意のほどを。
  163. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 小坂委員御案内のとおり、また委員会でも何回か私も答弁をしてまいりましたとおり、現在、我が国の災害、事故に対する対応というのは、事故災害についてはそれぞれの担当大臣が本部長に立って対応いたしますし、自然災害については、大きな災害になれば国土庁長官が責任者になってやります。さらに、阪神・淡路の震災を経験をして、これは法律が改正になりまして、緊急災害のときには総理が本部長になって対応する、その総理を全閣僚がバックアップをする。これは事故や自然災害のときでありましても、担当の大臣あるいは私ども国土庁を全閣僚が、政府一体となってやることでございます。  いずれにしても、最高責任者は、そのときの事故、災害、だれであるか、そしてそれに対しては政府が一体となって対応しているわけでありまして、あらゆるノウハウ、あらゆる判断がそこに集中されるということであろうというふうに思っております。  いずれにしても、初期の対応が極めて大事であるということは、私たちは、特に最近の事故や災害を通じて痛感をしているところでありまして、特に国土庁はそうした問題に対しますいわゆる情報、初動の対応ということに対しては、今全力で取り組ませていただいているところであります。どんな事故にも、どんな災害にも、またどんな危機的な状況にも、私たちは自分が責任者だ、そういう立場で対応しなければならないというふうに決意をいたしております。
  164. 小坂憲次

    ○小坂委員 実は、もう少し時間があれば、平成七年の十一月七日に災害対策基本法の採決をいたしましたが、その際、私ども、私どもといいますか、私の前所属政党としてというよりは、委員としてその決議に参加をいたしました、その附帯決議のその後の実施状況等を御報告いただこうと思いました。本年の二月十八日の予算委員会においても主張したところでございますが、その附帯決議の中のかなりの部分は、その後実施をしていた だいておると評価をいたしております。  さらに、今御指摘のありました緊急災害対策本部の本部長を総理としたのみならず、非常災害対策本部においても、まず私は、非常災害対策本部から緊急災害対策本部へどの時点で移行するか、あるいは災害発生したときにどちらの本部を設置するかということで迷うことは時間のロスだと思いますので、同じ本部長を先に決めておいて、そして災害対応がだんだんわかってきた中で、非常災害から緊急災害へかさ上げというか、グレードアップをする、その方が私は緊急対応はしやすいという認識を持っておりますし、同時に、持論として、総理府の中に総合防災室というものをつくって、あらゆる災害に同じ組織が、恒常的に常設の組織が対応していく、これが必要だと思っております。  最近の組織変革の中で、先ほど大臣が十一月までに抜本的に見直す、こうおっしゃつていた組織改革の中でそれも議論されているようでありますが、ぜひとも積極的に、全部の災害一つ窓口対応できるような、そういう組織をおつくりいただいて、日本の防災体制がなお一層整備されるよう御努力を期待して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  165. 川端達夫

    川端委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十二分散会