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1997-02-21 第140回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十一日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員   委員長 川端 達夫君    理事 稲葉 大和君 理事 栗原 博久君    理事 松下 忠洋君 理事 山本 有二君    理事 菅原喜重郎君 理事 西  博義君    理事 坂上 富男君 理事 藤木 洋子君       今村 雅弘君    大石 秀政君       栗原 裕康君    阪上 善秀君       下地 幹郎君    砂田 圭佑君       田中 和徳君    田村 憲久君       竹本 直一君    桧田  仁君       平沢 勝栄君    牧野 隆守君       松本 和那君    目片  信君       山本 公一君   吉田左エ門君       赤羽 一嘉君    一川 保夫君       漆原 良夫君    木村 太郎君       笹木 竜三君    冨沢 篤紘君       中野  清君    川内 博史君       桑原  豊君    渡辺  周君       平賀 高成君    北沢 清功君       小坂 憲次君    望月 義夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 伊藤 公介君  出席政府委員         阪神淡路復興         対策本部事務局         次長      生田 長人君         国土政務次官  井奥 貞雄君         国土庁防災局長 福田 秀文君  委員外出席者         警察庁警備局警         備課災害対策官 出原 健三君         科学技術庁研究         開発局地震調査         研究課長    上原  哲君         環境庁自然保護         局国立公園課長 下   均君         外務省経済協力         局国際緊急援助         室長      和田 章男君         文部省教育助成         局財務課長   遠藤純一郎君         文部省学術国際         局学術課長   坂本 幸一君         文部省体育局学         校健康教育課長 北見 耕一君         厚生省保健医療         局疾病対策課長 遠藤  明君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   三本木 徹君         厚生省老人保健         福祉局老人福祉         計画課長    青柳 親房君         農林水産省構造         改善局計画部資         源課長     四方 平和君         林野庁指導部治         山課長     安井 正美君         水産庁研究部漁         場保全課長   櫻井 謙一君         工業技術院総務         部研究業務課長 富田 育男君         中小企業庁計画         部金融課長   寺坂 信昭君         運輸大臣官房審         議官      長光 正純君         運輸省運輸政策         局地域計画課長 梅田 春実君         運輸省運輸政策         局環境海洋課         海洋室長    武藤  浩君         運輸省運輸政策         局技術安全課長 釣谷  康君         運輸省海上交通         局総務課長   田村雄一郎君         運輸省港湾局環         境整備課長   橋間 元徳君         海上保安庁警備         救難部海上防災         課長      坂場 正保君         気象庁地震火山         部地震予知情報         課長      吉田 明夫君         建設省河川局防         災・海岸課海岸         室長      西口 泰夫君         建設省河川局砂         防部砂防課長  池谷  浩君         建設省道路局企         画課道路防災対         策室長     宮本 泰行君         建設省国土地理         院長      野々村邦夫君         自治大臣官房参         事官      門山 泰明君         消防庁消防課長 桑原 隆広君         消防庁防災課長 山口 勝己君         消防庁防災課震         災対策指導室長 遠藤  勇君         消防庁救急救助         課長      小濱 本一君         特別委員会第一         調査室長    清水紀洋君     ───────────── 委員の異動 二月二十一日  辞任         補欠選任   大石 秀政君     牧野 隆守君   矢上 雅義君     漆原 良夫君 同日  辞任         補欠選任   牧野 隆守君     大石 秀政君   漆原 良夫君     矢上 雅義君     ───────────── 二月二十一日  阪神淡路大震災被災者に対する生活再建のた  めの個人補償に関する請願(菅原喜重郎君紹介  )(第二三一号) は本委員会に付託された。     ───────────── 二月十七日  激甚災害における自治体相互支援と国の公的  支援確立に関する陳情書  (第  八一号)  総合的な火山対策充実強化等に関する陳情書  (第八二号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件     ─────────────
  2. 川端達夫

    川端委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松下忠洋君。
  3. 松下忠洋

    松下委員 鹿児島から出てきております松下忠洋と申します。国土庁長官所信表明を受けて、所要の質問を申し上げますので、よろしくお願いを申し上げます。  三問用意いたしました。時間は十五分ですので、簡潔にお答えいただきたいと思います。一つは、土石流災害再発防止について御質問します。それからもう一つは、建設省が持っております河川砂防技術基準、この見直しについての御意見を伺いたいと思います。三つ目は、阪神淡路大震災等でも話題になりました活断層、この調査の現況、それについてお尋ねをいたしますので、よろしくお願いをいたします。  まず、建設省農林水産省にお尋ねいたします。  昨年の十二月六日ですけれども長野県の小谷村で大きな土石流災害がありました。真冬の、しかも非常に雪の深い地域での災害でございまして、土石流によりまして十四名の方が被災をされて、十三名の方が亡くなり、一名の方がまだ行方不明という状況でございます。この災害について、私も防災に長い間携わってまいりましたけれども真冬のああいう時期にあれだけの大きな規模の土石流発生するということが非常に衝撃でありまして、いまだ経験なかったことでございます。  そこで、ああいう真冬の、雪がたくさん積もっている、そういう積雪状況のときに、いろいろな気温の変化によって、その解けた水が斜面にしみ込んで土石流発生する原因となるということもわかったわけでございますけれども、そういうようなことについての建設省の方の、あるいは林野庁の方の認識、そして今後、再発防止を含めて、どのように取り組もうとしておられるのか、そこの考え方をお聞かせいただきたい。お願いいたします。
  4. 池谷浩

    池谷説明員 ただいま先生から御指摘のように、昨年十二月六日、長野県の蒲原沢土石流発生したわけでございますが、この十二月六日発生土石流災害を踏まえまして、私ども、特に冬期間におきます土石流融雪出水等による災害から、特に土石流災害等から人命の被害防止する、こういう観点で、昨年の十二月九日に、建設工事安全確保について全国関係機関や団体に指導したところでございますし、また、ことしの二月五日に、特に砂防工事安全確保について指導しているところでございます。  また、先ほど先生指摘のように、私どもも、十二月に土石流発生したというのは過去に事例のないことでありますので、このようなことにかんがみまして、林野庁長野県と連携いたしまして、現在、社団法人砂防学会に、この融雪のことも踏まえまして、土石流発生研究検討していただいているところでございます。  また、先ほど先生からはお話になりませんでしたが、既に先生からは、土石流災害に関する緊急提言ということで、「悲惨な土砂災害再発防止するために」という御提言も私どもいただいているところでございまして、これらの提言内容をきちんと受けとめ、先ほどの砂防学会災害調査委員会の結果も踏まえながら、今後、土石流災害再発防止に万全を期していきたい、このように考えているところでございます。
  5. 安井正美

    安井説明員 治山事業の実行に当たりましては、従前から労働災害防止につきまして指導してきてまいったところでございますけれども、今回の土石流災害発生を踏まえまして、災害発生直後に、全国治山工事現場におきます安全点検実施など、安全対策に万全を期するよう指導したところでございます。  先生指摘もございましたように、極めてまれな災害でございますことから、現在、災害調査委員会におきまして、この土石流予知予測や、あるいは現場におきます土石流を想定した警戒避難態勢のあり方等々につきまして御検討お願いしているところでございますけれども検討結果が出るまでの当分の間、土石流発生のおそれのある治山工事につきまして、現地状況や冬期の気象条件などを踏まえまして万全の安全対策を講ずるよう、去る二月十四日、改めまして現地を指導したところでございます。  今後の土石流対策につきましては、この災害調査委員会検討結果を踏まえまして、また先般、先生からも御提言をいろいろいただいております。これらにつきまして真摯に検討を加えまして、安全確保に万全を期するよう努めてまいりたいというふうに考えております。
  6. 松下忠洋

    松下委員 災害現場を私も調査いたしまして、調査報告を私なりにまとめたものがございます。それは建設省林野庁の方にも提出いたしまして、「悲惨な土砂災害再発防止するために」という八項目提言をしております。  この主要なところは、ああいう真冬積雪のあるところでの土石流発生メカニズム調査、それがまだ十分でなかったのではないかという反省があるのですね。それをきちっとやるのかどうか。それからもう一つは、全国に、あのような箇所でやはり次の、あの場所ではなくて、ほかの地域発生するような箇所がたくさんあると思いますから、そういう調査をきちっとやっていくのかどうか。そこのところを含めて提言してあるわけですから、それについてのお考えお願いしたいと思います。簡明にお願いします、やるのかやらないのか。
  7. 池谷浩

    池谷説明員 まず、調査の件につきましては、現在検討中でございますので、近々またその結果を持って先生の方に御報告に参りたいと思いますが、基本的には前向きに、前の調査からしばらく時間がたっておりますので、改めてそういう視点を持ってやりたいと思いますけれども、その調査内容につきましては、現在、砂防学会検討中の委員会内容を踏まえて検討していきたい、このように考えております。  それから、雪の方の勉強でございますが、これについては積極的にやっていきたい、このように考えております。  以上でございます。
  8. 松下忠洋

    松下委員 林野庁も一緒でいいですかね。  政務次官、しっかり勉強してもらいたいと思ってここに持ってきましたので、どうぞ後で読んでいただきたいと思います。お願いいたします。  それからもう一つは、河川砂防技術基準見直しについてでございます。  これは、たしか昭和三十三年に建設省でつくった技術基準があると思います。それで、昭和五十二年にそれを改定したと思っております。以来、二十年がたっておりますし、最初のときの状況から含めて、もう四十年たっておりますから、その間のいろいろな状況変化があります。河川法の改正をして緑と環境を入れることにいたしましたし、阪神淡路大震災経験を踏まえて地震強化対策もあるでしょうし、それからまた自然災害土石流災害斜面災害を含めて、そういう土石流に破壊されない構造物でありますとか、あるいはがけ崩れ対策の、斜面を緑にしていくとかコンクリートで塗りつぶさないというようなこともあるわけですから、思い切って改定して、新しい状況に対応した技術基準見直していく。そしてまた、その状況によっていろいろな、建設資材でありますとか単価の見直しとか、建設機械の進展とかありますから、そういう積算基準見直しもありますから、そういうことを含めて改定をする必要があると思っていますけれども、その辺についてのお考えを聞かせていただきたいと思います。
  9. 池谷浩

    池谷説明員 ただいま先生から御指摘のように、河川砂防技術基準案昭和三十三年に制定されまして、以降、昭和五十二年とか昭和六十一年など、数次の改定に努めてきたところでございますが、近年、大変急激な社会変化がございまして、特に、二十一世紀の社会を先取りした基準内容にすべくというのは大きな課題でございまして、そのためには、これらの課題を抜本的に改正する必要があるということは承知しております。  とりわけ、ただいま御指摘のありましたように、阪神淡路大震災蒲原沢土石流など、そういう災害から得られた知見、耐震とか危機管理の問題、こういう安全に関する問題と緑を含みます環境の問題、またコスト縮減などに取り組んで、新しい技術を導入しまして、また民間創意工夫などを反映する、こういう観点も含めまして、現在抜本的な改定を行うべく準備を進めているところでございます。
  10. 松下忠洋

    松下委員 まさにその時期に来ておりますので、これはきちっと抜本的に改定していただきた い、そういうふうに思います。抜本というのはもとを抜くということですから、しっかりともとを抜いて、枝葉の改定ではなくてきちっとつくり変えるということに取り組んでいただきたいというふうにお願いをいたします。  それから、もう一つは、活断層についての質問でございます。  阪神淡路大震災でその災害発生源となったものは、地下にあった断層が動いたということでございますから、その活断層研究がその後どのようにこの数年間で、項目を選び、そしてきちっと研究してきたのかどうか、そこのところをお聞かせいただきたいと思うのです。  実は私も技術者でありますので、あの後自分たちグループ研究会をつくって活断層勉強をしました。そして、九州地方でございますけれども鹿児島県にも、出水地域を含めて、あるいは鹿児島の錦江湾を含めて活断層がございますけれども九州活断層研究グループ報告書をつくったのです。これは、単なる研究報告ではなくて、それを実際にそこの上に住んでいる人たちに知らしめる、あるいはその研究の結果を防災に生かしていくということまで踏み込んだ研究報告になっております。  ですから、そういうことを我々でもやっておりますので、皆さん方もそれぞれの機関でどんなふうに取り組んでおられるのか、そこのところを手短に、簡潔明瞭にお答えいただきたいと思います。
  11. 野々村邦夫

    野々村説明員 建設省では、阪神淡路大震災を契機に、国土地理院において変動地形調査法による活構造活断層調査を行っております。今後も、県庁所在地等中心に、引き続き都市圏活断層図整備を進めてまいる所存でございます。
  12. 上原哲

    上原説明員 お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、阪神淡路大震災の主要な起震断層となりました断層帯を含めまして、我が国には約二千ほどの活断層があると言われておりまして、地震調査研究推進本部事務局であります科技庁におきましては、交付金制度を用いまして、五十九の自治体、具体的には都道府県と政令指定都市を対象といたしまして、現在活断層調査実施いたしております。現在の実施状況につきましては、平成八年度までに三十二自治体断層数でいいますと四十五断層について着手しております。  それで、具体的な計画については、現在、地震調査研究推進本部の中にあります政策委員会の中で具体的な活断層の選択をいたしてございます。おおむね百個の断層を重点的に調査する。その考え方は、非常に変位が大きくて、将来地震発生した場合の被害考えましてその百個を選定いたしてございまして、現在工技院地質調査部協力いたしまして、全体ができるように鋭意努力したいと考えております。  以上でございます。
  13. 富田育男

    富田説明員 通産省におきましては、地震発生可能性を評価して、長期的地震予知技術の向上に資するために、先ほど科技庁の方からもございました地質調査部が、全国の主要な活断層に関する基礎的な調査研究実施しております。  具体的には、ボーリング調査でありますとかトレンチ調査によりまして、活断層活動履歴に関する調査とか、あるいは複数の活断層相互作用につきまして研究実施しております。今後とも、これら調査研究を積極的に推進してまいりたいと思っております。  以上です。
  14. 坂本幸一

    坂本説明員 文部省では、大学中心地震に関する観測研究をいろいろやっているわけでございますけれども、現在行っております活断層調査といたしましては、兵庫県南部地震後の野島断層において、地震発生後における断層固着状況等をリアルタイムで観測する計画が進行しております。  この計画は、東京大学地震研究所京都大学防災研究所中心といたしまして、平成七年度の補正予算で措置された事業として実施されているところでございます。この断層域に三本のボーリングを行いまして、地震地殻変動等観測、それから地震波、重力、電磁波による構造探査等観測研究が行われているところでございます。  また、文部省では、科学研究費補助金という補助金によりまして、平成八年度におきましては、例えば活断層危険度評価強震動予測等々の八件の活断層に関する研究大学において実施されているところでございます。
  15. 四方平和

    四方説明員 農林水産省関係では、事業実施しております土地改良事業事業計画の段階におきまして、ダムなどの重要構造物施設計画検討に必要となります地形地質等調査実施しているところでございます。この地質等調査の中で、既存の活断層関係資料等によりまして、活断層に対する検討が必要な場合におきましては、資料調査地質調査等調査実施しております。  以上でございます。
  16. 松下忠洋

    松下委員 時間が参りましたので、最後に井奥政務次官にお聞きしますけれども、お聞きになったように、活断層というのは本当に大きな災害に結びつくのですね。にもかかわらず、これだけの多くの省庁がそれぞれで研究してやっている。どこが、だれが束ねているのか。例えば、その結果を毎年、こういう成果があるから、ここまで出ましたということで、一カ所にまとめて国民に知らせる、そして防災マップなら防災マップで調べて、こういう地域土地の下には活断層が入っています、こういう大都市の下には活断層がこうなっていますよ、そういうふうに実際の防災に生かせるような対応を、あなたがまとめて、そしてそこで発表していくということをしなければいけないのですね。今、それぞれなのですよ。それをきちっとしてもらいたいと思うのですけれども、それを一言聞かせてもらって終わることにいたします。
  17. 井奥貞雄

    井奥政府委員 松下先生が、御自分の御地元でそういった活断層のさまざまな現状を踏まえられて、的確な御意見を拝聴いたしました。  国土庁は、特に自然災害につきましては、総理、官房長官等々からの負託で私どもが担当させていただくわけでありますから、しかし、かつてのさまざまな事例もございますし、それに的確に対応してきているわけでございますので、そういった問題を踏まえて、先生の御意見等をきちっと精査させていただき、形のあるものでこれからも私どもは努めてまいりたい、そのように思っております。  ありがとうございました。
  18. 松下忠洋

    松下委員 お願いします。  終わります。
  19. 川端達夫

    川端委員長 次に、栗原博久君。
  20. 栗原博久

    栗原(博)委員 このたび一月二日に発生しましたナホトカ号海難流出油災害につきまして、その被害に遭った方々、そしてまたその被害の修復に努力されております関係各位に深く敬意を表する次第でございます。  ところで、ナホトカ号が上海からペトロパブロフスク市に向かって航行中、この事故が公海上で起きたわけでありますが、破断タンクから約五千キロリットルのC重油流出し、あるいはまた船首部に約二千八百キロリットルの重油を残して漂流して、今日のこの事故が起きておるわけであります。  一月十日に閣議口頭了解によりまして、運輸大臣本部長として関係省庁局長クラスから成る対策本部が設置されまして、そして流出油沿岸地域への影響を最小限に食いとめるということで努力され、また関係自治体並びに自衛隊、海上災害防止センターなどが民間ボランティア協力を得て、今日まで懸命に努力をされておるわけであります。  過去、新潟港では昭和四十六年十一月三十日に、重油七千二百キロリットルを流出しましたジュリアナ号事件というのがございました。あるいはまたその後、三菱石油の水島製油所とか、あるいはまたアストロ・レオ号の衝突、炎上で流出の千二百キロリットルとか、小さなものを挙げたら枚挙にいとまがないわけであります。海外では御承知のとおり、アラスカ沖で過去大変な被害が起きております。要するに、北極海の中でエクソン・バルディーズ号ですか、アラスカ沖原油が四万キロリットル流されて、そして沿岸自然環境に多大な禍根を残しておる。その中で、今回の事件が起きたわけであります。  例えば、新潟ジュリアナ号でございますが、これはリベリア船でありましたが、原油が大量に流れて、私も当時新潟におりましたので、町まで油のにおいがつんと鼻を刺しておりました。そして、その油を抜き取るのに約一カ月、約十二億円の金を当時要したわけであります。日本海は、当時は十一月でありましたが、今ほど荒れてはおりません、新潟港沖でありましたけれども。だから、日本海でこのような海難事故が起きた場合、どんなことが想定されるかは、これはやはり前もってわかっていることと思うのです。  特に、今ロシアでは、極東では、内陸部での油の運搬が大変経費がかかるということで、洋上ですか、特に中国とかそういうところからこういう油を運んでいる。ところが、そこで油を運んでいる船はみんな老朽化しているわけでありまして、だから、こういう事故が起きないとも限らないということは想定できたと思います。  そこでお聞きしたいのでありますが、今回のナホトカ号事件は荒海の日本海で想像を絶する中で起きたというようなことを政府当局も言われておりますが、これに類似する、先ほど申しましたアラスカ沖エクソン・バルディーズ号事故や、あるいはまた先ほど申しました日本海でのジュリアナ号事故など、こういう過去の類似した教訓経験というものは無にしていなかったと思うのですね。そういう経験教訓を踏まえて今回、事前にそういう対策も練られていたと思うのですが、そういう事前対策がどの程度練られておったかということをお聞きしたいと思います。
  21. 坂場正保

    坂場説明員 先生指摘の過去に発生した事故から得られた教訓としまして四つ挙げますと、第一に補償制度整備、第二に海上交通ルール確立、第三に国際的取り決め推進、第四に防除体制改善という四点が挙げられると思います。  これらの教訓に対する現在までの対応ぶりについて御説明しますと、まず補償制度整備でございますが、昭和五十年に油濁損害賠償保障法を制定いたしました。  次に、海上交通ルール確立につきましては、昭和四十七年に海上交通安全法を制定したところでございます。  次に、国際的取り決め推進につきましては、これはエクソン・バルディーズ号を受けているわけですが、通称OPRC条約、一九九〇年の油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約でございますが、これらの作成に寄与したところでございます。  防除体制改善でございますが、油処理剤の技術開発、それから防除資機材の備えつけの義務づけ、これは海洋汚染防止法におきます義務づけでございます。こういうことにつきましては進展を見たわけでございますが、残念ながら、海洋の荒天下で使用可能な油回収船、回収施設の開発等についての教訓もあったわけですが、今のところ、国際的に見ても、こういう荒天下での使用が可、能、効果のあるような資機材の開発というのが実際に開発されていないわけです。こういった問題点については解決していないというのが現状でございます。
  22. 栗原博久

    栗原(博)委員 私もこの質問をするに際しまして、各省庁から事前資料提供あるいはレクを受けたのですが、どうもやはり各省庁お互いに、責任のなすりつけとは言いません、連携がないということです、連携が。だから、こういう事故が起きた場合だれが長として指示をするか、そういう体制がとれてないというのは私の主観であります。  それで、今の海上保安庁の御説明でありますと、国際条約上あるいはまた海上交通安全法上とかいろいろ申されましたけれども、今回の基金条約でも我が国の製油業者、大体六十億ですか、出すんでしょう、条約に基づく拠出金を。それだけ多大な金を出すことは、やはり日本の油輸送における責任も大きいと思うのですよ。ですから私は、我が国の科学技術を駆使するならば、これに対する事前の策というものはある程度とれたと思う。これだけ科学立国の我が国、日本国でありますから。そういう点について、大変私は残念でなりませんので、ぜひひとつそういう点を考慮に入れて、やはり科学立国日本国でありますから、日本海の荒波ぐらいはけっ飛ばす、そういう気構えで技術開発をしていただきたいと思うわけでございます。  さて、そういう中で──事故が起きたのはいたし方ありません。しかし、海洋汚染防止法とかいろいろ法律があるようですが、例えば今回の油回収船、清龍丸ですか、これは名古屋港にいるということである。あるいはまた原油処理施設の設置箇所ですね。確かに太平洋側には石油コンビナートとかいろいろあるのでわかるのですが、全国に三十三の廃油処理施設があるけれども、今回のこの事故の起きた沿岸にはさっぱりないのですね。伏木、敦賀、新潟ですか、全国で三十三カ所あるけれども、今の油の事故が起きたところには三カ所くらいしかないというふうに私も把握しておるのです。  ですから、海上災害防止センターの機能は、どうも瀬戸内海とか太平洋側が主体でございまして、日本海側がなおざりになっていたという点もあると私は思うのですよ。それについて、このことが災害対策の手おくれにつながらなかったかどうかということをお聞きしたいと思うのであります。
  23. 坂場正保

    坂場説明員 海上保安庁におきましても、海上災害防止センターにおきましても、防除資機材の整備につきましては、その効果を考えて、これまで、タンカー等の船舶交通がふくそうし、また一たん事故が起きた場合にはその影響が甚大な海域に重点を置いて、防除資機材の整備を行ってきたところでございます。  その結果として、太平洋側と日本海側におきまして防除体制に差が生じているということとともに、静穏な内水での活動を前提とした防除体制となっているということでございまして、外洋における厳しい自然条件のもとでの防除体制としては十分なものとなっていないというのが現状でございまして、この点は反省すべきであるというふうに考えております。  本件事故の重大性にかんがみまして、本件の防除体制など、どのように行われ、また、どのような問題点があったかということを検証しまして、今後、今回のような大規模かつ荒天下における事故にも対応可能な油防除体制、そして即応体制のあり方についてあらゆる角度から検討を加えまして、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  24. 栗原博久

    栗原(博)委員 今の海上保安庁の御答弁、ひとつ御期待申し上げます。  と申しますのは、かつて新潟沖でジュリアナ号が、タンカーが真っ二つに割れまして、原油がどどっと流れたんですよね。だから、日本海におけるそういう事故というのは想定されておるわけですから、私は、今回のこのナホトカ号事故を見ましても、やはり過去の教訓というのをもう少し考えておいていただければなと思って、今御質問申し上げたわけであります。  次の質問に移らさせていただきますが、今回こうして不幸にも事故が起きまして、沿岸の関係各県、市町村は必死になってその防除対策に努めております。よく市町村の方とお話ししますと、今海上保安庁は関係市町村、沿岸市町村に指揮命令はできない法体系になっていると思うので、当然地方自治体が自主的に自分沿岸を守らねばならぬということで、必死になって努力をされているところだと思うのです。  それによって、各市町村、自治体からも多くの要請が参っております。ここでくどくど申しても しょうがありませんけれども、要するに沿岸の自然の浜を早期にもとに戻していただきたい、あるいは、沿岸漁民の方々の生活も困窮しておる、それを何とか救ってもらいたいなど、そういう要望が皆さんのお手元にも配られていると思うのであります。  そこで私は御質問申し上げたいのですが、今回の事故を通じまして、各自治体がいろいろ経験されて、その結果、行政権者として国にどのような要望を特にされているか。あるいはまた漁業者としての被災の問題、あるいはまたこういう法律をつくってほしいとか、そういう要望が来ておりましたら、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  25. 梅田春実

    ○梅田説明員 運輸省の地域計画課長でございます。先生の御質問に対するお答えを申し上げます。  今回の災害で、地方自治体等からたくさんの要望をいただいております。その中の主なものにつきまして二、三申し上げますと、一つは、船首部を早期に撤去してほしいという要望がございます。それから船尾部、本体部分でございますけれども、この部分につきましては、そこからの流出油がございます。こういうものについての処理をできるだけやっていただきたいというものがございます。それから、再発防止につきまして、原因究明をきちっとして、二度とこのような災害が起きないようにしていただきたいという要望がございます。それから、賠償問題につきまして、政府の支援をよろしくお願いしたいというものがございます。それから、立法につきましては、私どもが承っているものにつきまして申し上げますと、災対法、災害対策基本法がございますけれども、これに基づきます個別の支援法がございません。この点につきまして、立法の制定をというような要望がございます。  そのほかたくさんございますので、簡単でございますが、この程度で終わらせていただきます。
  26. 栗原博久

    栗原(博)委員 今たくさんあるということですが、その一番最後のところ、法律のことで、立法措置を求められているところかな。今あなた、たくさんあるとおっしゃったけれども、ちょっと言ってください、時間は十分あるから。
  27. 梅田春実

    ○梅田説明員 中身につきましては、私ども詳しく承っておりませんけれども、地元の府県の知事さんからの要望書の中に、災害対策基本法につきまして、これに基づく個別の支援の法律の制定をお願いするというようなものでございます。ちょっと原文を今持っておりませんので……。
  28. 栗原博久

    栗原(博)委員 今回のこの災害に対処する法律を見ますと、海洋汚染防止法というものがあるわけでありますが、それ一本が起動して、それで海上災害防止センターが油汚濁の回収作業をやっている。しかし、海上の公害としては、そのほかに海岸法とか港則法とか、あるいはまた自然公園法とか漁港法とか河川法とか、そういうものが対象になると思うのですよね。  やはり自治体がおっしゃるのは、仕事をする立法的な権限がないということですね。ですから、今私が申し上げたこういう法律が稼働すれば、それには裏づけがあるわけですが、そういうことについて市町村がおっしゃるには、例えば油の回収についても、ちゃんと油回収に対する立法措置がとられまして、そういう油汚染に対する調査とか、あるいはその処理、除去に対する経費を面倒を見る、そういう新たな法律を求めているというようなこともよく伺うのであります。  と同時に、今ある法律、例えば自然公園法を見ましても、ここには山陰海岸とか大山隠岐、国立公園が二つあります。それから、若狭湾、越前加賀海岸、あるいは能登半島、佐渡弥彦米山の国定公園があるわけでありますね。当然ここには、やはり国立公園、国定公園を守るための権限者の義務があるわけであります。あるいは、私先ほど申しました港湾についても、新潟港でありました油タンカーのときも港湾の法律も稼働していたと思うのですが、やはり港湾法がある。あるいはまた海岸法、河川法がある。  ということで、ひとつお聞きしたいのですが、まず、この被災に対して、自然公園法として、この法律を生かしてどのような仕事ができるか。それから次に、海岸法、港湾法、河川法、この事故被災地に対してどのような対応ができるかということを、これを順番にお話しいただきたいと思います。
  29. 下均

    ○下説明員 先生指摘の自然公園法でございますけれども、自然公園法は、指定された区域内のすぐれた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることを目的といたしております。このため、指定された一定の区域内における工作物の新築でございますとか木竹の伐採等の自然を改変する行為につきまして、環境庁長官の許可に係らしめる等の規制が行われているものでございます。  今回のように、指定された区域の外で発生し、その結果として公園の区域内の自然への影響が及ぶ場合につきましては、自然公園法に基づく法的な措置は講じることはできない仕組みになっておりますので、御理解いただきたいと思います。  以上です。
  30. 西口泰夫

    ○西口説明員 まず、海岸法でございます。  海岸法に基づく海岸の防護は、津波、高潮、波浪その他海水または地盤の変動からの防護に限定されており、漂着油による被害から海岸を防護することは、一義的には海岸法の目的にはなっておりません。  それから、河川法でございますが、河川法には「目的」の中に、「河川について、洪水、高潮等による災害発生防止され、河川が適正に利用され、及び流水の正常な機能が維持されるようにこれを総合的に管理する」とございまして、対応可能と考えております。  以上でございます。
  31. 橋間元徳

    ○橋間説明員 港湾法におきましては、水域の清掃とか汚染の防除というものを行いまして、港湾を良好な状態に維持するということが港湾管理者の業務として位置づけられております。  したがって、現在除去作業を港湾管理者を初めやっておられますが、今後、漂着油の残留状況がどうなるか、あるいは、それが港湾の機能にどういう影響を及ぼすかということを調査する予定でございますが、その調査の結果によって、それが港湾の機能や港湾の環境保全上問題があるということが判明した場合には、港湾でやっております港湾環境整備事業というものを活用することができるかどうかということを検討してまいりたいというふうに思っております。
  32. 栗原博久

    栗原(博)委員 今お話しのとおり、現行の法律がありますが、こういう油の流出事故を想定していないころの立法措置であるわけでありまして、私は、時代の流れに沿って、やはりこの法律の中でこういうことも十二分に取り入れるように法の改正を求めたいと思います。  じゃ、次に、吉田委員にあとの方をお願いします。
  33. 川端達夫

  34. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 日本には、死者を葬ってその悲しみに思いをめぐらすに四十九日という一区切りがありますね。これは、災害列島日本としては、五十日目に、葬った死者の悲しみを忘れない、また次の災害が起こる、そのために頭を空にして準備しなければならぬ、こんなふうにさえ思うほど、私たちのこの日本の国は次から次へと災害が起こります。  新潟の信濃川べりの古老の話ですけれども、大水で家が流れた、さあ大変だ、急ぎ家を建てる材料の手当てをしなければならぬと言ったら、いやいや、待て待て、次の大水でもっといい家が流れてくるかもしれないから、それをひとつ再利用して家をつくればいいじゃないか。まあ笑い話の一つなんですけれども、これほどに災害に対して私たちは歴史的にさいなまれ、そしてまた、雪もあります。「北越雪譜」という新潟の雪にかかわった書物には、まずその表紙の次の一ページ目は、「雪はういもの、つらいもの。」という書き出しなんですね。田中角栄先輩が、何とかこの雪の災害の大変な新潟を救いたいという思いで、上越国境の山に穴をあけてみたいものだと言われたことも、我々にすれば確かに、そういうことができればやりたいとさえ思います。  私が今何を申し上げたいかというと、普賢岳、そして阪神淡路、まだ忘れまいと思っている間に、北海道では落盤事故が起こる、そして蒲原沢蒲原沢に対して建設大臣、即刻乗り込んで、四軍も五軍もの混成軍を指揮して、我々あそこで、あの状況であれば、御遺体を三つか四つも発見できればなと思ったのですけれども、やはり責任を明確にして、よき段取りのもとでやられだからこそ四十分の十三という遺体を見つけ出すことができました。この中には、やはり特別な工夫がなされていたのですね。  建設省のジープには、あれ以来、竹の棒に赤い旗をつけたものを積んであるそうです。その旗の立ったところが指揮車なんだ、この帳場のすべてはその旗の立ったところでまたじがつく、このような段取りのもとにやられた。しかし、時間がたつにしたがって、ジープの隅に乗っている赤いきれと竹の棒、これは何のために乗っているのかなというようなことになりはせぬか。  さきに栗原先生も言われたとおり、私が申し上げたいのは、過去の経験、そして難儀しながら得た、蓄積された災害に対するノウハウ、これをもっとよく整理して、そして油のときには、ジュリアナ号のときのあのポンプがあったじゃないか、あのときにはこうしたじゃないかということができれば、一つ災害をどなたかがちゃんとどこまでもウォッチし続けるような、そしてあのことはこの課のこの者に、そしてこの者は引き継がれていくんだというような方策が講じられたらな、そんなふうに考えてもいます。  私は、きょうは名刺がわりのごあいさつでありますから、私の災害に対する思いのたけだけ一言申し上げて、そして説明員諸氏のこれに向けての思いを喚起して、返事は不要でありますので、終わります。ありがとうございました。
  35. 川端達夫

    川端委員長 次に、牧野隆守君。
  36. 牧野隆守

    牧野委員 今回の油の事故に関連いたしまして、今皆さん質問なさったわけですが、関連して政府に質問をいたしたいと思います。  私は、今度の災害の一番中心であった福井県三国町を地元とするものであります。あの先端部が漂着した翌日から、ほとんど現地で実情を目の当たりに見て、関係者ともいろいろ協議したものでございます。あのときは日本海の一番激しい時期でありまして、本当に不幸中の不幸だ、こう考えておるわけでありますが、地域住民はもちろんのこと、ボランティアの皆さんも多数援助に来ていただきまして、地域一体となって緊急対策を講じてきたところであります。  ようやく落ちついてまいりまして、今関係者の念頭から離れないことは、応急措置に対する経費の助成と、それから損失補償の問題であります。  政府は、運輸大臣が二回、農林大臣が一回、それから環境庁長官がお見えになったと思います。また政党も、皆さん御承知のとおり、参加された方もあろうかと思いますが、全政党が三国町に来ていただきました。そして、国会におきましても、運輸、農林、両委員会の合同の調査団を派遣していただきました。東京サイドから見ますと、すべての関係者においでいただいたわけでありまして、地元の皆さんは非常に力づけられたわけであります。  そのときに、特に政府サイドの地域の陳情に対する答弁は、緊急措置だから全力を挙げて対策をとってほしい、経費については心配しなさんな、こう明言されたわけであります。しかしながら、現実の姿を見ますと、どこが中心になってやっているのやら、具体的にどこまで国が面倒を見てくれるのか、あるいは補償の範囲はどうかということはまだあいまいな状況にあります。ある程度これはできるのかな、これは補償というとどれだけ、相手がいることですから、交渉事ですから、どれだけかかるのではないかな、最低五年や六年かかるのではないかな、こういう状況であります。  今度の災害については、国土庁意見を聞きますと、あれに定義された災害と認めている。また関係者の皆さんも、あれはまさに災害だということで認識しておられるわけです。そこで、災害対策基本法を見ますと、こういう災害につきましては、別に法令で定めるところにより、国がその全部または一部を負担または補助することができることとなっているわけです。災害と認めるのであれば、まず第一に私がお伺いしたいのは、別に法令を定めなければできないのかどうなのか、これをまず国土庁質問いたしたいと思います。簡単でいいですよ。るる説明は要りません。必要とするのかしないのか、しないのならしないということについて、次々と質問いたしますから。
  37. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 災対法は一般的な規定を置いておりますので、先生今おっしゃったとおり、具体的な財政措置等々はほかの法律に定めるところによるというふうにゆだねております。今そういうことでつくられている法律は、例えば公共施設とか農林漁業施設とか、そういうものが自然災害に遭ったときに法律が定められておりまして、それに基づいて措置がなされております。  今回のような事故災害について、そのような自然災害を前提にした規定が働くかといえば、かなり難しいと思われます。
  38. 牧野隆守

    牧野委員 私は、別に法令で定めた方がはっきりする。現実に今、自治省は特別交付金で何らかのお金を出さなければいけないなということで作業していると聞いています。しかし、どの程度どう出すかということは、まさに自治省の裁量にゆだねられてしまうわけです。現実に、例えば私の三国町で幾らかかったか、大体三億円ぐらいですね。では、それは証拠を持って県を通じて出したら、自治省はその三億を出してくれるかどうか、極めてあいまいなんです。  それで、別に法令で定めるところにより、こういう場合に、法令で定めるというのは国土庁が御決定になるんでしょうか、どうなんでしょうか。関係の人と相談して、これは法律で定めないときちっとお金は出ませんよと。この災害対策基本法の解釈、運用について、基本的に国土庁が担当しておられると思いますが、そこはどうなんですか。これについての国土庁の責任と権限だな。あいまいに返事せんといてくれる。
  39. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 災対基本法に規定しております、他の法律に定めるところによりというあの表現の、他の法律を定めること、これは国土庁のみならず他省庁でも定め得るお話でございます。
  40. 牧野隆守

    牧野委員 本件については、我が党内部におきましても、政府の態度がはっきりしないときには議員立法でやろうという動きが実は出ているわけです。これは国土庁その他とも相談しなければなりませんが、行政府の方でできないというなら我々は議員立法で特別法をつくるよ、こうなった場合に国土庁は反対するか、あいまいな場合に。
  41. 井奥貞雄

    井奥政府委員 局長がお答えをいたしましたけれども自然災害の場合は国土庁が責任を持ってその役割を果たさせてもらいたい。それから、事故災害につきましては原因者があるわけでございますから、それぞれの省庁と私どもとが連携をとりながら、それもまた今までの蓄積したものもございますので、そういう形での役割をひとつ果たさせていただきたい、このように思っております。
  42. 牧野隆守

    牧野委員 この補償等の問題については、私から言うまでもなく、御承知のとおり二つあるわけですね。  緊急対策として使われた費用にどういう形で補てんするかという問題。これは、緊急対策は、今の法律によりますと、実は地方公共団体の要した費用しか対象にしていないんですね。ところが、地方公共団体あるいは防止センターからこれに出してくれということで、実は漁業協同組合は皆船を出して沖へ行って油を拾ってきたわけなんですね。これは役場なり県なりあるいは防止センターから行ったものであればきちっと残りますが、大体そういう方向にいっておりますが、実はこれらの出動した経費は災害対策基本法の対象にならないのですよ。  それで、これはあの船主に、あるいは油濁基金に補償を請求しなければならないということになる。これは非常に難しい。県と役場の使ったお金は全部見るよ、他方、民間団体のやつはわしら知らぬよ、あれはあっちと交渉してやれと言う。あのときのみんなの緊急対策考え方は、これは大変だ、地元の海を守らなきゃいけないと、もう皆出ていったわけですね。一々証拠をとったりなんかしなかったんです。政府は、任せておけ、経費は心配するな、見てやるよと言ったんですよ。  だから、私のお願いは、政府はそういう立場に立って現行の法律、いろいろ解釈はありますよ、それを乗り越えて対策に要した費用を見るという基本的な立場をきちっと堅持してほしい。ここへ来ると皆さんの答弁は全部あいまいなんです。しかるがゆえに特別立法が必要なのではないかとまたもとに返ってくるわけです。この点を十二分に御認識賜りたいと思います。  それから第三点、損失補償の問題ですが、実は私のところでは、明らかに岩場等は油で全滅してしまったわけですね。だから、岩ノリとかワカメはもうだめなんですよ。はっきり言って、とれないんですから。漁場を保全してもとに戻さない限り仕事をできないことは、客観的にすべての人が、どなたが見ても明らかなんですね。そうであれば、損失補償をする場合にここに優先的に、というのは質的に優先的なこと、時期的に早くと両方含めて、例えば私のところでは海女さん、こういう方々についての損失補償ですね。  新聞によりますと、査定額の六割ぐらいは見るよと基金の理事会で決まったといいます。これは海上保安庁になるのか水産庁になるのかわかりませんが、いずれにしても、これらに対して政府はどう対処するか。事前に聞きますと、いや、あれは皆さん弁護士つけて基金とそれぞれの、地方自治体は地方自治体、漁連は漁連、政府は政府ということで交渉する、私どもはそこに入ってまいりません、こう言っているんだけれども、それではこちら側が非常に不利な立場になるのではないか。それに対して政府はどう対処するか、その対処方針についてお伺いしたいと思います。海上保安庁、水産庁、どちらでもいいですよ。
  43. 梅田春実

    ○梅田説明員 先生の御指摘は、補償交渉を政府で一本化してやって、それでとれない分につきましては政府で何とか手当てをすべきではないかというような御趣旨かと思います。  まず、交渉につきましては、個別の交渉になりますから、その具体的な損害額の査定というのをお互いにやっていきます。したがいまして、一本化いたしましても、結局、全額とれるかどうかというのは、示談で実際やっていきますので、私どもとしては余り効果がないのではないかというふうに考えております。  全体として補てんができるかどうかというのは、やはり弁護士同士で相談をしていくことになりますので、そこら辺でできるだけの支援を私どもとしてはしていきたいというふうに考えておりまして、具体的な情報の提供であるとかあるいは請求のやり方であるとか、そういうようなものにつきまして地方公共団体あるいは全漁連の方とも連絡をとりながらやっていっているのが現状でございます。
  44. 牧野隆守

    牧野委員 個々の災害の査定については、弁護士さんその他が相談してやるんだろうと思います。しかし、基金としてどういう態度をとるかということ。この基金は条約に基づいて設定されておって、その基金の理事会に政府代表として政府が派遣しているじゃないですか。それじゃ、政府として、その政府代表に対していかなる指示を与えるか与えないのか、運輸省。
  45. 長光正純

    ○長光説明員 お答えを申し上げたいと思います。  先ほども先生指摘ございましたように、油濁損害に対する補償は、関係条約及び国内法に基づいて、それぞれ当事者間の話し合い等によりまして、民事上の手続によって処理されてきておりまして、これまで過去の事例はほとんど示談で解決しております。  したがいまして、先ほどお話ございましたように、こういった民事上の手続、それぞれの当事者が必要な弁護士等を立てて、その間で決着を図っていくということでございまして、先般のこの国際油濁補償基金の理事会におきましては、円滑かつ早期に、速やかに補償がされるようにということで、日本政府といたしましては、暫定的に、示談が決着いたしました額の六割までを支出する権限を事務局長に与えていただくように決定してもらったところでございます。  したがいまして、こういった基金の補償の手続等につきまして、関係者にも必要な情報提供を十分に行って、円滑かつ速やかに補償がされるように努めてまいりたいというふうに思っております。
  46. 牧野隆守

    牧野委員 最後に水産庁にお願いをしておきたいんですが、まだ天気が悪いんですよね。十二分に調査できない。やはり三月半ばを過ぎると海が少し落ちつくかな、こういう状況でありますので、調査が具体的にできる気候条件が整ったのであれば、直ちに専門家を派遣して、漁場の被害関係を詳細に調査してもらって、そして現行の法律あるいは農林水産省で持っている予算の中で積極的に漁場の回復に努めていただきたいな、これは強く希望いたしまして、あと、水産庁としてどのようにしていただくか、私の方でまた協議をさせていただきたいと思います。返事は結構です、もう時間がありませんから。  最後ですが、委員長に篤とお願いしておきたいんですが、先ほど一番最初に申し上げましたとおり、緊急措置について心配するなと言ったんですよ。みんなそれをそのとおり受けて、よし、一生懸命やろうということで活動したわけです。だから、少なくとも政府の閣僚が現地で心配するなと言った以上、今私が質問したようなことについて、油濁基金の運営についてもあるいは原状回復についてのお金の出し方についても、現在政府部内でやっているようなことであれば大臣はうそつきということになるんですからね、みんなやってくれると思っているんだから。だから、大臣が行かれて、お金について心配しなさんな、早急にやりなさい、この気持ちを十二分に体して、政府、関係各省はベストを尽くしていただきたいと思います。なお、そうしていただけるかどうか、私の方からも十二分に注意して、さらに関係の皆さんにお願いをいたしたいと思います。  特に、災害対策基本法において特別立法をした方がいいというのなら、関係各省の皆さんがそれがやりやすいというのであれば、そして政府ができないというのであれば、我々は議員立法を早急につくることについてやぶさかではありません。その場合には全面的な協力をしていただくことを強く要求して、私の質問をこれで終了させていただきます。
  47. 川端達夫

    川端委員長 午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十六分休憩      ────◇─────     午後二時二分開議
  48. 川端達夫

    川端委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。赤羽一嘉君。
  49. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 新進党の赤羽でございます。  きょうは、三十分間という限られた時間でございますが、阪神淡路大震災の震災復興関連の質疑をさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。  阪神淡路大震災発生から二年余りの月日がたったところでございます。大臣におかれましても、所信表明演説にもありますように、この二年の間に約四兆円の予算措置がとられました。ある意味では、インフラはほぼ復旧したとも言えるかもしれません。しかし、現実には、大臣も御承知おきだと思いますが、昨日、兵庫県また日生協、連合、全労済が主体となって構成をされております自然災害に対する国民的保障制度を求める国民・都道府県民会議合同会議による要請行動があったと思います。約四万三千団体の団体署名と、何と二千四百万人の個人署名を携えて総理官邸に要請に来られました。この事実を見てもわかるように、まだまだ、震災復興は十分だ、政府がとってくれた今回の措置は十分なんだというような状況とはほど遠いのが現実でありますし、私も地元神戸の地を歩いておりますと、被災者の皆様から、政治家は何をやっているんだということのおしかりを受け続けているのが現実でございます。  震災発生から二年間たって、私は非常に震災復興自体が難しくなっているなというのを率直に感じます。震災発生から半年後ぐらいまでは、四十万世帯大体同じような状況でございました。数多くの方が避難所に緊急避難をし、そしてそこの大半の方が仮設住宅にまた入居されていた。ところが、この二年の間に自立で再建できた人がいれば、全く再建のめどが立たない人もいるというような状況の中、また、震災当時は問題が顕在化されていないために特段の支援策を得ていない、しかし二年たった今、じわじわとその間のボディーブローがきいて非常に問題を抱えている、特に地元神戸にそういう被災者の方が出てきているということであって、今特効薬のような支援策を打ち出すことがなかなか難しい現状だなということを、私は被災地選出の議員の一人としてそういう実感を持っておるところでございます。  ですから、これからの震災復興をやっていく上で、まず問題点ほどこにあるのか、その所在を明らかにして、その問題点に対して極めて効果の上がるきめの細かい支援策が必要であるという認識に私は立っておりますので、きょうは限られた時間でございますが、私が持っている問題点、今困っている人はこんな人ではないかということを挙げまして、そこについての大臣の御認識を確認した上で、ともに効果的な支援策はないかということを議論させていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。  まず、いわゆる社会的弱者、高齢者、要援護世帯に対しましては、昨年十二月末政府でとっていただいた生活再建支援金の給付、これは復興基金の積み増しで生活再建支援金の給付というものを実施するということが決定されたわけでございます。このことは、今までの直接的な公的な援助というものに対してのハードルをある意味では越えた、一歩踏み込んだ措置であるということを私たちは高く評価をするわけでございます。  しかし、この政府の決定されている案を見させていただきますと、要するに恒久住宅に入居以後、毎月その支給対象者は二万円を支払っていただけるとしうことでございます。これは現実的に、今ほとんどがまだ仮設住宅におりますので、恒久住宅に入居してからということになりますと、今回の措置がとられるのは大体二年ないしは三年後の問題であるというふうに私は思っております。  私たちのいわゆる社会的弱者に対する危機認識というのは、まさに昨年二月に兵庫県が独自の調査を行って発表されました仮設住宅の実態という調査を見てもわかるように、仮設入居者の四一・八%、約四割が高齢者であり、その半分が単身者だ。そして収入面を見ましても、年収三百万未満の方が七〇%だ、百万未満に至っては二九・三%いる。極めて高齢社会であり、率直に言って低所得者層が今仮設住宅に住まれ、そして二年という仮設、仮の宿でそれを延長しながら細々と暮らしている。この状況の中で、この二年間に義援金も使ってしまった、預金ももう底をついている、この人たちに対して今国として何ができるのかという問いかけの中で、今こそ、内容はこれでいいと思いますが、支給されることがなぜできないのか、恒久住宅に移ってから、結局は二年後、三年後になってからでないとなぜ生活支援ができないのかということをまずお聞かせをいただきたいと思います。
  50. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 赤羽委員が地元選出の議員として阪神淡路の震災以来格別な御協力と献身的な御努力をいただいておりますことは、私自身もよく承知をしておりますし、心から敬意を表したいと思っております。  国は地元の県や市あるいは住民の方々との連携をとりながら、私たちはかつてない大震災に遭遇をして、国もあらゆる角度から支援をしていきたいということで、地元の要望に基づきながら、もう委員御案内のとおりでありますが、既に平成八年度補正予算を含めまして三兆九千六百億、恐らく九年度を含めますと四兆円を超える国費を投入して、さまざまな支援活動をしてまいりました。  さらには、住宅金融公庫の取り扱いにつきましても、一定期間無利子であるとかあるいはその枠を拡大するとか、そしてまた、お話にもございましたように、これは三党プロジェクトチームでも決定をしていただいたところでございますけれども、特に高齢者の方、そして要援護者の方々、そうした方々に対しては、月額一万五千円から二万五千円を五年間支給する、そうしたいろいろな支援策を講じてきたところでございます。  実は、お話にもありましたように、こうした災害に対して恒久的な制度をつくるべきではないか、そうした皆さんの運動もいろいろ展開をされていて、きのう兵庫県知事ともお会いをさせていただきまして、もちろん御関係の方々も同席をされましたが、特に現在抱えている、あるいは極めて近い将来、いろいろな現地で抱えている問題等についても意見交換をさせていただきました。知事からも、随時これから国との連絡をよくとりながら、特に仮設住宅から恒久住宅に移るその仕事が一番大切な仕事なので、それについてもきめ細かい支援をいただきたいというお話をいただきました。  当然、阪神淡路に対しての国の支援策と同時に、これまでありましたさまざまな制度も活用できるわけでございまして、特に、生活に困窮する方々は、生活保護であるとかそうしたこれまでの制度を活用することも当然できるわけでありますし、またその制度を活用されている方々も多いわけでございまして、いずれにしても、そうした今までの制度の中でカバーできないことについては、これからも地元とよく連絡をとりながら、国はできるだけの支援をしてまいりたいと思っております。
  51. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 従来の措置をたくさんやっていただいたということについては私はよく承知もしておりますし、そこについてとやかく言うのではないのですが、恒久住宅に移った人に対しては生活支援を行えて、移らない者に対してそれまでの期間生活支援を行えない論拠というのですか、これはどこにあるのでしょうか。それは金を出すのですから、制度化した自治省でも結構です。
  52. 生田長人

    ○生田政府委員 お答えを申し上げます。先生の御質問でございますが、まず第一点でございますが、この支援措置につきましては、地元兵庫県、神戸市からのこういう措置をしたいという強い要望がございましたので、それに従って私どもとしては国による支援措置をした、そういう経緯がございます。  それで、先ほどの、仮設住宅から恒久住宅に移りました方々に対しましてこういった支援措置をしたいという地元の考え方の基礎には、基本的に被災者の方々に最終的に自立した生活をしていただきたい、そういう願いがあるわけでございまして、日常の生活費の支給というのではなくて、新しい住宅に入ったこと、それを契機にいたしまして自立した生活を営んでいただきたい、そのために低所得者の方々に対しましてそのお手伝いをするためのお金を差し上げたい、こういうのが趣旨であるというふうに聞いております。
  53. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 今すぐに仮設住宅の人たちが恒久住宅に移れるという状況にあるのならその理屈は成り立つと思います。早く恒久住宅に移りなさい、そして自立していきましょう、その自立のためには国として精いっぱいのことをやりますよ、これは理屈としては成り立ちます。しかし、抽せんの現状を見てくださいよ。全く入れない現状の中、実際問題入れるのは平成十年度もしくは十一年度と言っているじゃないですか。  ですから、この制度についてはこのままでもいいと思いますが、私は新たな制度のために法案を出すようにいたしたいと思いますが、入るまでの困窮者に対する対策をぜひとる必要があるということを訴え、もう三十分ですから、次回以後、また法案を用意したときにこの論議を進めたいと思います。  ただ、この生活再建支援金の支給対象要件に、解体証明が求められていますね。全壊、半壊の罹災証明書を持っていてかつ前住んでいたところは解体したんだという解体証明がないと入れないのです。  今回、仮設住宅に入居されている方の中でこういう例が数多くいるのですが、いわゆるアパート、関西では文化住宅というのですが、それが半壊状態で、このままじゃ住めない、大家さんが修繕した、修繕したから家賃は当然上げる、その家賃は払えないから仮設住宅に入居した、ずっと待っていた、この制度を活用しようと思ったら、もと住んでいたアパートは解体をしていない、だからこの対象から外れる。これはおかしくないですか。この要件を緩和するということはできないのでしょうか。
  54. 門山泰明

    ○門山説明員 ただいまお尋ねのございました、生活再建支援金の要件の中での解体ということの要件に関してのお尋ねでございますが、阪神淡路大震災復興基金が実施予定のこの生活再建支援金の支給を含めまして、その他基金によります各種の具体的な施策は、基金の設置者でございます兵庫県、神戸市におきまして、基金の設置の趣旨を踏まえまして、地元の実情に応じて決定され、実施されるものでございます。  自治省といたしましては、この事業実施に必要な基金増額に係ります地方財政措置を講ずるという立場でございますので、御理解いただきたいと思います。  なお、兵庫県が昨年末に発表しておられます生活再建支援金制度の骨子におきましても、今御指摘のように、住家が全壊の判定を受けた世帯または半壊の判定を受けた世帯で住家を解体した世帯ということが要件とされているところでございます。
  55. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それはわかっているのですけれども。大臣、どうですか、おかしいと思いませんか。解体した、たまたま住んでいたところがつぶれた、火事に遭った、そういう人は入れて、つぶれなかった、しかし修繕して家賃が上がって入れない、実態は一緒じゃないですか。自分の、その被災者の責任はどこにもないわけですよ。こんなおかしな解体要件は、兵庫県の方に指導するべきだと私は思いますが、大臣、お願いいたします。
  56. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 災害から復旧をしていく場合には、さまざまなケースが御指摘のようにあると思います。したがって、画一的に切り捨てることがいいかどうかという問題は、問題点として私は重要な指摘だと思います。これは実は住宅金融公庫のお金を借りる場合にも、保証人の問題とか担保であるとか、そういうことの要件について少し緩やかにしてもらいたい、そういうようなことも地元からいろいろお話がありました。  こういうことにつきましては、地元の県や市とも私ども何回か接触をする中で、それはケース・バイ・ケースで、できるだけ地元の自治体が今お話しのようなことも含めて判断をしてあげたらどうだろうかということは私自身も申し上げているところでありまして、よく地元の自治体とも私どもの方が連絡をとってみたいと思っております。
  57. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ぜひその点だけはよろしくお願いいたします。  私は、きょうもう一つ言いたいことは、要するに、今まではいわゆる社会的弱者に対しての支援策ということに物すごく光が当たっていた、これは当然やらなければいけないことだと思います。しかし、二年間たって、いわゆる社会的弱者じゃない方たちでこれまでの支援策が、光が当たらなかったという人たちがたくさんいると思うのです。  ここの分類は非常に難しいわけですが、例えば一つは、ちょっと話が外れますが、学校の教員、これは本来は学校で授業するだけでいいのが、震災直後から、避難所の管理人さんみたいになって、二十四時間寝ずにずっと泊まり込みで行っている。こういった人たちが今どういう状況になっているか。これまでは復興教員の加配をやっていただいた。これが一応ことしの三月末で切れる、切れないという話がある。しかし、声には上げられない。皆さんはすごい教育者としての思いが強い。  問題は、ちょっと余り脱線している時間もないのですが、今神戸市内の小学校の先生たちにいろいろ話を聞きますと、小学校二年生の学年が非常に問題が多い。この子たちはどういう子たちかといえば、幼稚園の年長、卒園間近に大震災に遭った。ですから、卒園式もしていない、小学校の入学式も行っていない、その中で、小学生になったという区切りを得ず、家庭の大混乱の中で今二年生になっている。これは、押しなべていろいろな学校で共通している問題点だという話を聞いて、非常に子供に対するダメージというのは大きいなと。  ですから、今なお学校の先生たちというのは、六時間の授業を終わったら、はいさよならじゃなくて、本当にその子の担当としてずっとついている人たちが多い。私の友人に長田区の二葉小学校というところの教頭をやっている方がおりまして、同じようなことをずっと二年間やっていた結果として、腎臓を壊し、そして今、点滴で入院生活を余儀なくされておるわけでございまして、こんな状況の中なんですね。  加配されたのが去年二百七名いました。それを減らそうか、減らすまいかという話は出てくると思います。しかし、定員の先生たちの負荷が物すごく高い中で、私はこの加配措置は当然継続をしてしかるべきだ、人数はさらにふやしても当たり前だというふうに思いますが、この点は文部省に申請もお願いをしておりましたし、その結果どうなったか、お答え願いたいと思います。
  58. 遠藤純一郎

    遠藤(純)説明員 児童生徒の心の健康に関する相談等に適切に対応できるようにということで、平成七年度と八年度におきまして、教員の定数の加配を行っているところでございますが、平成九年度におきましても、兵庫県から同様の加配の要望がなされておるところでございますので、文部省といたしましても、引き続き同様に対応してまいりたい、こう考えております。
  59. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 文部省としては決定しているわけですか。
  60. 遠藤純一郎

    遠藤(純)説明員 その方向で考えております。
  61. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ぜひその分の予算措置獲得をよろしくお願いをしたいということでございます。  今言ったのは学校の教員ですが、サイレントマジョリティーと僕は自分では呼んでいるのですけれども、二つ目は、ローンで購入した唯一の資産ともいうべき自宅もしくはマンションを今回の震災で失ってしまった、中堅サラリーマンと言われている方たちが多いと思います。この人たちが、しかしローンは三十年ローンか何かほとんど残っている、買いかえるにも買いかえられない、いわゆるダブルローンを抱えている問題であります。  私は、大臣が就任直後に、この二重ローンについては非常に深刻な問題であるという御認識をたしかお示しいただいたと思いますが、先日の予算委員会の御答弁の中で、現地に問い合わせたところ、二重ローンだからということだけが特別に大きな問題になっているということではないという報告を受けたという御答弁がございました。一体どういうような調査をされてそのような御認識の変化があったのかお聞かせいただけますでしょうか。
  62. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 私がそういう答弁をしたかどうか、ちょっと私今記憶が定かでありません。私は一貫して、二重ローンというのは被害を受けた人たちにとっては大変重荷だと当初から思ってまいりましたし、今でもそう思っています。そこで、既にローンを借りている方々に対しまして、その対象者に金利に対する補足をするという、現行一千万でございましたけれども、この枠を一千五百万まで拡大をさせていただくことにしたいというふうに思っております。  いずれにしても、二重ローンについては、私は当初からそう思っていたわけですが、人間は突然災害に遭って、それでもゼロから立ち上がることは家族でできるだろう。しかし、大きなマイナスを抱えての立ち上がりというのは、例えばそれが定年であって退職金で住宅を建てた、その住宅が目の前でなくなったということになれば、まさにマイナスを抱えて、もう働く年齢でもないということになれば、それは多分絶望するであろう。私は、そういう状況というものは現実にはどうなっているのかということを、現地に参りましたときにも、知事さんを初め皆さんにその実態を報告してもらいたい、こう申し上げてきたわけでございます。  そういう中で、さらに現地の皆さんからはよくそのことも私は継続して意見を伺っていきたいと思いますが、今申し上げたように、対象を一千万から一千五百万まで拡大をするということにはさせていただくことになると思います。
  63. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 多分、二重ローンの問題というのはこれから出てくると思うのですね。これまでの緊急措置で、この三年間は従前のローンの返済を猶予されているケースが多々ありました。しかし、これからその三年間という期間が切れるわけです。また、二重ローンになるから家を買えない、買わないという人が物すごく多いと思います。これは個別の、個人住宅の再建の進捗度合いとか、まだ神戸で約二割の分譲マンションが再建のめどが立っていない、この実態を見れば、要するに二重ローンになってしまうことによる返済能力がなくなるということで、問題はこれから非常に出てくるのじゃないかと思いますので、大臣のその御認識は僕は正しいと思います。  ただ、この措置に関しては、以前我が党の冬柴議員が予算委員会でもやりました。ローンの債務を棒引きするということを考えてくれ、その見合いの分として金融機関はその部分については決算のときには損金として計上できる。国庫の部分、政府の税収が減るということでございますけれども、そのくらいのことをやらなければ、今御指摘になりました、大体家を買うローンというのは生涯ローンですね、それを倍組むということはできないし、かなりの数の人間が前向きな気持ちになれず希望を失う、非常に活力を失った被災住民になっている。また、町づくりという観点から見ても、大型のマンションが幾つも残っていたり、自宅が再建されない更地のままになっているということは、町づくりの面でも非常に難しいと思います。  この点、非常に難しい作業だと思いますが、徳政令的にできないか。予算委員会で冬柴議員から大蔵省にも宿題としてお願いを出していますので、この点もぜひ何らかの手を打たなければいけないのだということをよろしくお願いしたいと思います。  また同時に、被災地で今回の全壊、半壊の証明をもらった中で住宅ローンが残っている現状というのを、多分大蔵省の銀行局もしくは建設省が調べれば、その気になれば実態として調査できると思いますので、その実態調査だけはぜひしていただいて、その資料ができ上がりましたら御報告をいただきたいと思いますが、お取り計らいよろしくお願いいたします。どうでしょうか。
  64. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 私も、今の職務について以来、非常に大事な問題だと思って問題意識を持ってまいりましたので、実態を再度よく確認をさせていただいて、十分地元とも連絡をとっていきたいと思っております。
  65. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ありがとうございます。  また、ちょっとそれに関連して、今、神戸市内では二割の分譲マンションが再建見通しが立っていない。大型のマンションであればあるほど住民合意ができないということなんですね。今非常に目前の問題となっておりますのが、マンションの公費解体期限がこの三月三十一日に来てしまう。このことについて、公費解体ができないとさらに四億から五億オンする、ますます手だてが立たなくなる。ですから、どうかこの公費解体期限を延長する、いつまでもずっとするというのじゃなかなか話もまとまらないと思いますが、二重ローンの対策も手を打たずして、一方では解体期限はこのままというのは余りにも酷だと思いますので、この点ぜひ前向きなというか、確約ができるならお答え願いたいと思います。
  66. 三本木徹

    ○三本木説明員 先生指摘の件につきましては、既に平成七年度の予算で、一部繰り越し事業ということで八年度事業にやっております。一部それでもまだ九年度にかかるのではないかという事業も見られておりまして、いずれにいたしましても、やるかやらないかというのは事業実施主体の市が判断をするわけでありますが、国費の方の対応としては、七年度からの繰り越し事業という形で行うことは十分可能な状況にはなっていると考えております。
  67. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 では、期限を延長するという手続は、可能な状況から可能とするのはどういうあれが必要なんですか。
  68. 三本木徹

    ○三本木説明員 ただいま各市町村の方で、具体的には、事務の言葉としては、個別の事業が確定すれば繰り越し事業というものが可能になっております。そういう事務的な作業がございますが、いずれにいたしましても、ここは、それぞれの市がどのようにこの事業に取り組むかというところにかかわってくるのではないかと思っております。
  69. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 時間も来ましたので、最後にもう一つ。サイレントマジョリティーで今まで光が当たっていなかった多くの人たちがいるということを、ちょっとここでお話をさせていただきたいと思います。  例えば小売店の店主。お店がつぶれた。しかし、収入の源泉ですから、借金で仮設店舗を建てた。商売を始めた。二年間たったけれども、売り上げが従前に比べると三分の一とか四分の一とかという状況で、ボディーブローがさいてきで、もうどうしようかと思っている。このことは、今神戸市街地の商店街の非常に多くの皆さんが抱えている問題でございます。ここに対する支援策をどうするかということ、これは大変難しい問題だと思いますが、当時の橋本通産大臣も、転廃業の資金に当たるものをどう考えればよいかという点に苦慮していますという御答弁もいただいておりますので、そのことも含めて、ぜひ前向きにお願いしたいということ。  あと、冒頭に申し上げました国民的な保障制度を求める案について、我々新進党は、昨年五月三十一日に、地震災害の共済保険制度の法案を議員立法として提出いたしました。残念ながら一度の審議もされずに廃案扱いになりましたが、また今国会中に提出をいたしたいと思いますので、ぜひこの論議、どうしていくのかということをこの国会の場で議論をする場をつくっていただきたいということを最後にお願いを申し上げまして、そのことについて何かあれば、二千四百万人の署名の後ろ盾で頑張りますので、よろしくお願いします。
  70. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 大きな災害に対して、災害の多い日本ですから、常にそうした制度をつくるべきではないかという御意見あるいは提言は、いろいろな角度から今日までございます。また、今お話しのように、各党のいろいろな動きもあることを承知しております。  共済制度や積立基金、いろいろ提言がありますが、要は、こうした危機に対して、国民一人一人がそのコストを負担してくれるかどうかということが一つ大きな課題だと思います。  もう一つは、静岡県の知事さんが提言しているようないわゆる基金制度、これは都道府県がある一定の基金を確保していただくというようなことですが、総理の諮問機関でありました防災問題懇談会ですか、ここの提言にもありますような、これは全国知事会ですけれども、そういう皆さんの動きが一つの結論を出すということにもしなれば、新しい制度に我々も大きな関心を持っておりますので、これは当然国もよく連絡をとり合っていきたいと思っております。
  71. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 知事会の結論を待たずしても、この国会に法案を提出し次第、ぜひ国会の場で論議をしていただきたいとお願いしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  72. 川端達夫

    川端委員長 次に、漆原良夫君。
  73. 漆原良夫

    漆原委員 新進党の漆原でございます。私は、ロシアタンカーによる重油流出事故について質問させていただきます。  総理の本会議における「現在の日本海のような荒天時における事故というものを想定していなかった」という御答弁が、日本海の人々に深い悲しみと失望を与えております。  その人々の声をちょっと御紹介いたしますと、冬の日本海が荒れるのは今に始まったことではない、親の代から、じいさんの代からずっと荒れているのだ。また、冬の日本海は荒れるからこそ事故発生するのではないか。あるいは、総理は穏やかな瀬戸内の海は知っていても、冬の日本海のことは何も知らないのだ。中には、裏日本は総理に見捨てられたのだ、日本海のことを一番よく知っておられる田中元総理であったならば、絶対にあんな答弁はなさらないというふうな、いろいろな話があります。  私も新潟県出身でございまして、冬の鉛色の日本海を見て育ってまいりました。御紹介した日本海の人々の気持ちは、大変胸に迫る、胸が痛くなるほどよくわかる気がいたします。そんな観点から、日本海危機管理という点について若干お尋ねをしてみたいと思います。  先ほど御紹介しましたように、総理は「現在の日本海のような荒天時における事故というものを想定していなかった」というふうに御答弁されて、あたかも当時の日本海が通常の予想をはるかに超えた荒天であったかのような表現をされております。当時の日本海は、例年に比べまして予想をはるかに超えるような荒天であったのかどうか、まずお尋ね申し上げます。  ちなみに私は、本年一月一日から三十一日までの日本海の波の高さを、丹後半島の先端にあります経ケ岬の波高計をもとに調べてみました。その結果、一カ月のうち最大波高が二メートル以上の日が二十九日、四メートル以上の日が十九日、六メートル以上の日が十三日もあったわけでございます。そして、この程度の波の高さは昨年も一昨年もほぼ同様であり、本年だけが特に高いということではないのでございます。私はそう認識しておりますが、いかがでございましょうか。  また、先ほど御紹介しましたように、お父さんの代から、じいさんの代からずっと日本海というのは荒れているのだという地元の人々の声に対して、どのような御感想をお持ちでしょうか。お願いします。
  74. 坂場正保

    坂場説明員 海上保安庁の認識といたしましては、例年冬の荒天がこの時期続くというふうに認識しておりますが、例えば一月の二日から七日まで、これは十五メートルから三十メートルという非常に強い風が吹いておりました。また、波も四メートルから六メートルということでございまして、暴風警報、強風警報発令下という状況だったと思います。例年の中でも特に厳しい自然条件ではなかったかというふうに思っております。
  75. 漆原良夫

    漆原委員 日本海は、過去二回の油流出事故経験しております。いずれも、今回と同じような冬の荒天の日本海でございます。  昭和四十六年十一月三十日、新潟港ジュリアナ号というタンカーが座礁しまして、重油七千二百キロリットルが排出をいたしました。また、近くは平成二年一月二十五日、京都府の経ケ岬沖で、貨物船マリタイム・ガーデニア号が座礁いたしまして、重油が九百十八キロリットル排出しております。  この流出した油の回収状況についてお尋ねしたいのですが、この事故の結果、荒天時における重油回収作業についてどのような課題をお持ちになったのか、お尋ねいたします。
  76. 坂場正保

    坂場説明員 先生指摘ジュリアナ号事故、これは昭和四十六年の事故でございます。また、マリタイム・ガーデニア号事故、これは平成二年の事故でございます。いずれも冬の日本海特有の荒天下における事故でございました。海上保安庁また海上災害防止センターもしくは民間の防除資機材につきましては、タンカー等の船舶交通がふくそうするような海域、また平穏な内水という水域を重点として整備が進められてきたということがございまして、この日本海側の荒天下における事故につきましては、その処理に多大な時間を要したところでございます。
  77. 漆原良夫

    漆原委員 この荒天下における油流出については大変回収がしにくかった、今後、荒天時における回収作業について有効な回収方法を検討しておかなければならないというふうなことが、その当時の総括として、検討課題として挙げられたのではないかと思うのですが、この点いかがでございましょうか。
  78. 坂場正保

    坂場説明員 先生指摘のとおりでございます。
  79. 漆原良夫

    漆原委員 政府は今回も荒天、荒天と言って、私から見れば、自然現象を理由に責任を回避しているのではないかと思うわけでございますが、しかし、日本海の荒天は今に始まったことではございません。遅くとも政府は七年前には荒天の日本海経験し、荒天時における油流出の有効な処理方法、回収方法を検討課題としているのでございます。  ちなみに、私は日本海を航行する千トン以上のタンカーの数を調べてみました。これは平成六年でございますが、新潟港は千六百隻、福井港は五百七十九隻、富山港は四十五隻、若狭湾全体としまして三百七隻、これだけの数のタンカーが日本海を航行しております。なお、公海上におけるタンカーの航行については、これは掌握できませんでした。  いずれにしても、これだけのタンカーが荒天の冬の日本海を航行するわけでございますから、ある意味では大変危険な、タンカー事故の起きやすい海域ではないかというふうに考えるわけでございますが、この七年間、政府はこの課題に対していかなる検討をして、またいかなる成果を上げたのか、具体的に開示をしていただきたいと思います。
  80. 坂場正保

    坂場説明員 海上保安庁におきましては、ジュリアナ号事故またはマリタイム・ガーデニア号事故、これら二つの事故でいろいろな教訓があったと認識しておりますが、これらの教訓を踏まえまして行ったことといいますのは、例えばジュリアナ号事故であれば油処理剤の技術開発、それから防除資機材の備えつけ義務、これは海洋汚染防止法において義務づけを行ったということで進展を見た部分もございます。また、マリタイム・ガーデニア号事故におきましては、例えばそれ以降、若狭湾の流出油災害対策協議会、これは広域的な油防除を実施する協議会を発足させたことがございます。またその後、機動防除隊というものを海上保安庁に設置して、機動的な油防除活動の実施を促進するというようなこともございました。また、空中から油処理剤をまく空中散布装置というのも逐次整備を進めてきておりますし、また、油が多少かたくなってきた場合にも対応できるような高粘度油対応の処理剤の開発も昨年行ったところでございます。  しかし、先生指摘の荒天下における油回収につきまして、例えば油回収船、それから油回収装置等々防除資機材がございますが、残念ながら、先ほど申し上げましたような冬の日本海特有の荒天下、例えば波が四メートルとか三メートルとかいうような高さの場合に、有効に防除機能が、回収機能が発揮できるようなものというのは世界的にも開発されていないのが現状でございます。我が国においても、残念ながら、現時点ではこのような資機材が採用されるまでには至っておりません。
  81. 漆原良夫

    漆原委員 海上災害防止センターの「油回収船配備場所」という一覧表がございます。日本全国で十カ所の回収船を配備しているところがありますが、日本海側には実は一カ所も油回収船を配備しておらないわけでございます。また、外洋での作業に耐え得る油回収船は清龍丸の一そうでございまして、これも名古屋港に係留されているだけだということでございまして、私は、これらは日本海の油流出事故に対する政府の危機管理の希薄さを示しているのではないかというふうに強く感じているものでございます。それはともかくとしましても、今後は日本海側にも近海用の油回収船を配備するとともに、また外洋での作業も可能な油回収船を配備する必要があると思いますが、いかがでしょうか。  また、防除資機材等の備蓄体制の整備海難事故発生した場合は即座に対応できるような体制を今後確立していく必要があると思いますが、この点はいかがでございましょうか。
  82. 坂場正保

    坂場説明員 先ほど申し上げましたような理由から、結果として太平洋側と日本海側に防除体制に差が生じているということは事実でございます。また、今の防除体制が、静穏な内水における防除活動というものを前提としているということも事実でございます。つまり、外洋における、厳しい自然条件下における油の防除体制としては十分なものではないということを認識せざるを得ないと思います。  今回のこの事故の重大性にかんがみまして、先生の御指摘のような防除体制、備蓄も含めました防除体制につきまして、どのような問題点があったのかといったようなことを洗い出し、また検証いたしまして、今後、外洋における大規模かつ広域的な油の事故にも対応可能な防除体制、そして一体的な即応体制につきまして、あらゆる角度から検討を加えまして適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  83. 漆原良夫

    漆原委員 話題を次に移します。  OPRC条約、去年日本でも効力を発生いたしましたが、この条約では、大規模海洋汚染事故に対する緊急時対応について多国間協力推進が求められております。しかし、日本海及び黄海を含む北西太平洋地域につきましては、いまだ実効性のある国際協力体制は確立されておりません。  国連の計画によれば、十四カ所あるうち四カ所がまだ確立されていない、その四カ所のうちの一つが、今申し上げた黄海及び日本海を含む北西太平洋地域だというふうに聞いておりますが、まず日本がリーダーシップをとって中国、韓国、ロシアに働きかけて緊急時対応のための国際協力を強力に推進し、そして将来は協約にし、あるいは条約の締結というところまで持っていくというふうなことを積極的にするべきだと思いますが、この点はいかがでございましょうか。
  84. 武藤浩

    ○武藤説明員 先生指摘のとおり、国連環境計画が提唱いたします北西太平洋地域海行動計画、私ども、英文の頭文字をとってNOWPAPと呼んでおりますが、これが平成六年にまずその地理的範囲ですとか検討の枠組みですとか、そういったことをとりあえず決定をいたしました。それを受けまして、昨年東京で政府間会合を開きまして、これからの検討体制というものを決定をして、それでことしからその具体的な内容について検討を開始することになっております。  私どもとしては、昨年まず、非公式の会議ですけれども新潟会議を招聘いたしまして、実務的な検討を重ねましたし、ことしの夏からは、日本でまた会議を招聘をして、具体的に推進してまいりたいということで考えております。関係国を見ましても、まず我が国がリーダーシップを発揮すべきだという気持ちを強く持っておりますので、積極的に推進していきたいと思っております。
  85. 漆原良夫

    漆原委員 ことしの夏に四カ国の会議があるとお聞きしました。七月ごろだろうというふうに聞いておりますが、そのときにどんな議題を検討されるのか、これを教えていただきたいということと、ぜひその際に今回の重油汚染事故を取り上げていただいて、この重油汚染事故に対する協力関係を検討すべきであろうと考えるものですが、いかがでございましょうか。
  86. 武藤浩

    ○武藤説明員 ことしの夏に予定しております会議の議題は、海洋汚染の緊急時対応ということで、まさにこのような重油流出事故があった際の各国の協力体制について検討することといたしております。具体的には、事故があった場合の情報交換ですとか事前の準備態勢の情報交換、あるいは地域間の緊急時の対応計画といったことになろうかと思います。当然、私どもとしては、まず事故の経過についての詳細な報告をして、この事故から得られたさまざまな教訓もとにした具体的な提案をして、積極的に具体案づくりを進めてまいりたいというふうに考えております。
  87. 漆原良夫

    漆原委員 ナホトカ号の沈没原因で、日本とロシアの見解が分かれております。日本は船体の老朽化説を主張して、ロシアは何かに衝突したのではないかという衝突説を主張しておると聞いております。再発防止のためには、何としてもこの事故原因を徹底して究明していかなければならないと考えております。  一般に、タンカーの寿命は二十年とされておりますが、このナホトカ号は、建造より二十六年の老朽船と聞いております。もしこのタンカーの船体の老朽化が原因でないとされたならば、今後も日本海を老朽タンカーが横行することになります。そして、日本海沿岸の住民の不安はますます大きくなってまいります。  新聞報道などによりますと、ロシアは客観的な証拠も挙げないで、何とかこれを衝突説で押し切ろうとしていると報道されております。日本政府としましては、あくまでも科学的、客観的な証拠に基づいて断固とした真相の究明をしていただきたい、こう考えておりますが、いかがでございましょうか。
  88. 武藤浩

    ○武藤説明員 運輸省といたしましては、去る一月二十四日に、我が国としても被害国として独自にその原因を調査しようということで、学識経験者から成る調査委員会を設立いたしまして、実質的な活動に入っております。また、二月五日からモスクワに担当者が赴きまして、専門家同士での意見のやりとりをしております。ロシアの方からも実務的な技術者に出てきていただいて、お互いにデータを交換し合ったりして原因究明の動きを始めたところでございますので、先生指摘のとおり、客観的な正しい原因の究明に努めてまいりたいというふうに考えております。
  89. 漆原良夫

    漆原委員 ぜひロシアの圧力に負けないで真実究明を徹底していただきたいというふうに思います。  時間がございませんので、財政的な問題について一点だけお尋ねします。  今回の事故の補償は、原則的には船主責任保険や国際油濁補償基金によって支払われることになります。その額は約二百二十五億円と聞いております。被害がこれを超えた場合に、漁業関係者、商業者また自治体の損害は大変莫大な額に上ると聞いております。もしもこの二百二十五億円で賄われないような高額な被害になった場合には、政府としては、被害者保護に万全を期すために、ぜひとも特別立法の措置を講ずべきだと考えるものですが、いかがでございましょうか。
  90. 梅田春実

    ○梅田説明員 被害額が二百二十五億円を超えた場合の補償をどうするかという問題でございますが、私どもは、今回の油濁損害につきましては、民事上の手続によりまして基金等からの補償がなされることになっているというふうに認識しておりますが、この被害を受けた方々の基金からの補償等が円滑に行われるように、まずは船主側に働きかけを行っているところでございます。  一方、中小企業者あるいは漁業者の方々につきましては、その経営に配慮いたしまして、さまざまな措置をとっているところでございます。  先生指摘の趣旨が、被害者の方々が二百二十五億円を超えた場合の財政資金による補償ということでございますれば、今回の被害といいますのが、原因者が既に特定されたものでございます。民事上の手続によって回復しようという今努力をしている最中のものでございますが、この回復されない損害につきましては、私ども現時点で考えておりますのは、やはり自助努力による回復を原則としておるというふうに考えておりますので、これはなかなか困難なことであろうというふうに考えております。
  91. 漆原良夫

    漆原委員 今のお答えは、まことに無慈悲なお答えであろうかと思っております。  時間がございませんので、最後に一点だけ質問させてもらいます。  日本海沿岸は、現在もなお重油被害が続いております。現在、ボランティアの人たちとか自治体人たちあるいは地元の漁協の人たち、こういう人たちの懸命な努力によって油の回収作業が進んでおります。私も二回ほど現地に行かせていただきましたが、本当に首まで油につかって作業をしておられる。あるいは、石を一個一個ふきながら、気の遠くなるような現場での作業が続いております。  総理には、大変御多忙のところを恐縮に思うのでございますが、私は、何としても一度現地に行っていただいて、地元の人に激励の言葉をかけていただきたい、こう思っております。国土庁長官は関係閣僚会議の一員でございます。どうかこの私の、あるいは日本海沿岸の皆様の願いが総理に通じますように、実現しますように、この思いを何とか総理にお伝えいただけないものでございましょうか。
  92. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 ナホトカ号重油流出事故発生以来、運輸大臣中心とした災害対策本部あるいは官房長官が主宰いたします関係閣僚会議、その都度総理はその報告を密に受けておりますし、私自身も国土庁の立場から、閣僚会議だけでなしに、官邸とはこの事故につきましては綿密な連絡をとらせていただいています。  なお、運輸大臣等が現地に行ってまいりまして、その現地状況は常に総理に伝えていただいているところでございまして、御提言がありましたことも、私自身極めて近い機会に総理にもお伝えをさせていただきたいと思っております。
  93. 漆原良夫

    漆原委員 どうもありがとうございました。  これで私の質問を終わらせていただきます。
  94. 川端達夫

    川端委員長 次に、笹木竜三君。
  95. 笹木竜三

    ○笹木委員 新進党の笹木竜三です。質問を始めさせていただきます。  短い時間ですけれども、ロシアのタンカーによる重油流出事故について質問させていただきます。  私の地元が福井県なわけですけれども、本当に多くの方が、二十一万人に及ぶと言われるボランティアの方々に手伝っていただいております。その中には亡くなられた方もおられます。反省するに、阪神大震災が起きて、あのときにもたくさんのボランティアの方が活動をしていただきました。あのときの経験もとにボランティアの方々はたくさんのことを学んでおられる。今回の事故が起こってからも、例えば、阪神大震災のときには被害を受けた方々が、今回はボランティアとして福井県にたくさん来られる、それで、情報を早く共有化しようということで、インターネットを使ってそういった活動もいち早くやっておられる。たくさんのことをボランティアの方々は学習をして、さらに力量をつけておられるわけです。  政治の責任として、こういった非営利のいろいろな団体、かかわっている団体がございますが、こういった団体がさらに力をつけていけるように、力を伸ばしていけるように、NPO法案、こういったものをしっかり通していくこと、これが一方では大事だ。もう一つは、危機管理災害対策に政治のリーダーシップをしっかりと発揮していくこと、これがやはり政治の責任だろうと思います。  阪神大震災のときにもさんざんそういった議論がありました。そして、官邸のリーダーシップを発揮しようということで、危機管理センター、情報集約センター、こういったものもできましたが、まだまだ今回も政府の側は学習が足りないと私自身も思います。  五日、六日と電話で問い合わせをしても、大丈夫だ、船首が漂着することはまずない、海流に乗ってそのまま流れていくんだ、そういった楽観的なお答えが返ってまいりました。十日を過ぎても、十四、十五日あたりになっても、沈んでいる船の本体、ここから油が漏れ出てくる可能性はないのかと何度も問い合わせをしたわけですけれども、これに対しても、まず九九%大丈夫だというお答えが返ってきていました。これについても、もう既に漏れ出しているという現状がございます。  最初に一言長官に、政治が阪神大震災経験を踏まえてしっかりと、役所の既存の対応だけでは縦割りでいろいろな対応のまずさ、遅さが出たりしてきた、その反省を踏まえて、調整官庁としてさらにしっかりと国土庁が頑張る、官邸も頑張る、こういった議論がさんざん続いたわけですけれども、今回の事故を振り返って今どういったことを感想としてお持ちか、御意見をいただきたいと思います。
  96. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 私どもは、阪神淡路以来、さまざまな災害事故を体験をしてまいりました。その中で、政治の立場で最も大事だと考えておりますのは、何といっても初動体制であります。災害が起きた、事故が起きたとき、まず最初にどう対応できるかということが極めて大事だということを痛感させていただいております。  実は、阪神淡路の震災以来、国土庁では、現地の生の情報をいわゆるコンピューター制御によって画像を現地から送ってもらう、それを官邸や関係省庁にも送る、現地と私ども国土庁また関係機関との連絡をできるように、そういう体制を整えてまいりました。また、このことは情報がいかに大事かということでございまして、実は平成九年度の予算の中にも、現在のいわゆるライフライン、NTT等々が活用できなくなったときにも、新しい衛星によって国土庁がその情報を生かすことができる、その情報をまた的確に送っていく、そういう体制も今整えつつあるところでございます。  また、災害事故に関しまして、どこがその責任の一番中心になっていくかということが大変大事だということを私ども感じておりまして、このことは、御案内のとおり、災害対策あるいは非常災害対策あるいは緊急災害対策、そうしたさまざまな、その規模、状況によって判断をしながら対応しているところでございます。  いずれにしても、想像のできないさまざまな災害事故があるわけでございまして、今後も万全を期して関係省庁とも連絡を密にしていかなければならないと思っております。
  97. 笹木竜三

    ○笹木委員 今回の事故に対する対応を振り返って、あるいはそれ以前の備えということについてもいろいろ調べてみますと、やはり不備がたくさんございます。午前中も運輸委員会質問をさせていただいたわけですけれども、例えば、OPRCが一九九〇年にできた、緊急時計画の閣議決定が一九九五年に行われた、これを受けてどの程度その備えという面での充実が図られたか。いろいろお答えになっておられまして、通信体制を充実させた、あるいは対象の海域をふやした、こういったことはありますけれども、ハード面での、船舶はもちろんですけれども、例えば設備、機材、こういった面の充実は、この条約を結んだ、あるいは閣議決定を行った、これを受けての充実はほとんどないというのが現実だと思います。  あるいはもう一つ、さきに同僚の議員から多国間の協力事故に対する外国との協力ということについての話もありましたけれども、例えば、今回の場合ですと韓国とシンガポールから、韓国からポンプ二基、シンガポールから油の回収装置二セットを借り受けている。ロシアからは若干の協力もありましたけれども。条約が九〇年に結ばれた、九五年に緊急時計画が行われた。中国、韓国、ロシア、そしてアメリカとの間でいろいろな会合が持たれております。行動計画の策定あるいは具体的実行策についての協議、専門家会合、政府間の会合、さらにアメリカとの間では、長官、海上保安庁のトップとアメリカの沿岸警備隊との会談、あるいはその演習に対する参加、平成六年、こういったこともいろいろ行われてきております。  午前中は運輸省の方にお伺いしたわけですけれども、こういった多国間の協力について、外務省の担当の課はどちらになっておられますか。
  98. 和田章男

    ○和田説明員 ただいまの先生の御質問に関して御説明申し上げます。  我が国は、海外で大規模な災害発生した場合に、国際緊急援助隊法及び国際協力事業団法及びその他の法律によりまして、被災国政府の要請に応じまして人を派遣して救助活動を行ったり、あるいは緊急援助物資や無償資金を供与する政府の対外災害援助の枠組みを整えております。  海外で今回の重油流出事故と類似の災害発生した場合でございますが、被災国政府から要請があれば、この枠組みに基づきまして、災害の様子及び要請の内容並びに我が国の対応能力等を考慮いたしまして対処することになっております。  具体的には、油を回収したりするための技術的指導を行う専門家の派遣、あるいは必要とされる物資とか資金の供与をすることが考えられます。  また、申すまでもなく、災害援助というのはスピードが命でございまして、特に海外の災害を対象とする国際緊急援助は、何よりもまず素早く対応することが求められております。このため、外務省では、海外にある日本大使館に対しまして、災害援助のマニュアル、手元に持ってまいりましたが、こういうものを配付し、迅速な対応ができるような体制をとっております。また、省内でも執務の手引を作成しまして、迅速、効果的な災害援助の実施に努めております。  先生の御質問とはちょっとずれるかもしれませんが、このように外国の災害につきましては万全の体制をとっておるところでございます。
  99. 笹木竜三

    ○笹木委員 多国間協力というのは、協力する場合もあると思うわけですけれども、今回のように協力を受ける場合もあるわけです。それの担当の窓口の課はどちらになりますか。それと、今外国に対して協力をする場合のマニュアルはそれだというお話がありました。受ける場合のマニュアルはどちらでつくっておられるのか。担当課とマニュアルのことについてお尋ねをしたいと思います。
  100. 和田章男

    ○和田説明員 ただいまの先生の御質問でございますが、私のところは外国に対して緊急援助をするという事務を所掌しておりまして、ちょっと詳しいことは、私は国内については承知しておりませんが、ほかの省庁のそれぞれの担当課の方で担当しているのではないかと思います。  答えられなくてまことに申しわけございませんが、外務省は、対外的な緊急援助というものを所掌しております。
  101. 笹木竜三

    ○笹木委員 長官にもぜひこのことを御認識いただきたいわけですけれども阪神大震災があったときに、アメリカのFEMAのマニュアルを見まして、ありとあらゆることについてのいろいろなマニュアルができている、これには驚いたわけです。  それで、日本がみずから言い出して原子力防災についての多国間の条約を結んだ。日本が言い出して結んだ条約で、日本国内に事故が起きて援助を受ける場合、あるいは外国の原子力の事故に対して援助をする場合、両方の条約がありました。もう十年以上たっているわけですけれども、外務省に聞いても科技庁に聞いても担当の窓口が決まっておらなかった。  今回の場合は受ける必要があったわけですけれども、受けるマニュアルはどうなのか。今のお話では、まず外務省にはないと思います、援助を受けるマニュアル。運輸省にはあるのか、運輸省にもございませんでした。結局、閣議決定が行われてから、各国との交流、アメリカともさっき言ったような交流をして、油の汚染事故に対するいろいろな会合あるいは専門家会議もされているわけですけれども、全くその蓄積が、成果の取りまとめが行われていない、マニュアルにもなっていない、こういった状態です。  ちなみに、このことは、先ほどの原子力防災についての条約のマニュアルをつくるべきだと、震災が終わって、一月の末から何度も予算委員会、各委員会でしつこく言いまして、それからようやくマニュアルができたのがその年の八月の終わりです。半年近くかかっている。ぜひしっかりと、速いスピードでこういったことについて調整をしていただきたいと思います。  次の質問に移りたいと思うわけですけれども、ナホトカの船首からの油抜き取りが終わってから一週間たった二月十八日に、あの船首が漂着した三国町の隣の町の芦原町にまた重油が漂着をしております。これは一体どこから漂着しているんだ、海面にはないじゃないか、どこから漂着しているんだと不思議がっているわけですけれども、どうも海底に沈んでいる油が浮かんできて砂浜に漂着したんだろう。実際、潜って調べている方も、海底にたくさんの黒い塊、油の塊があるということを言っております。  こういったこと、今後は海岸をどうやって回復していくか、海をどうやって回復していくか。肉眼では非常にきれいになったように見えております。しかし、当然今言ったようにまだまだ汚れているわけでして、これをどう回復していくかということが課題になります。  それで、ずっとほかの機会にお話をしているわけですけれども、バイオを使ったバイオスティミュレーションという、微生物に対して栄養分を補給する、与えることで増殖をさせて、それで海をきれいにするという方法があります。これについて運輸省の方とも何回かやりとりしているわけですけれども、今検討の最中だというお答えをよくいただくわけですが、現状では、いつから始めた検討を今どういうようなことを続けているのかという点が一つ。  もう一つは、兵庫県の香住町ですか、ここは漁協が中心になって、もう既にこの方法を実験をしております。こういったことに対して国は、政府はどういうふうにかかわっておられるのかということについてお答えいただきたいと思います。
  102. 坂場正保

    坂場説明員 海上保安庁としましては、漂着油につきましては、基本的には自治体の方にお願いしておりまして、それに対しまして自衛隊、国が支援をするという形にしております。  そういうことで、漂着油につきましての処理方法については勉強が進んでいない状況でございますけれども、御指摘の、油を分解する微生物を活性化させる栄養剤を使用するという方法についてでございますが、私の知っている範囲では、その栄養剤というものが窒素、燐酸を含むということで海水の富栄養化が生ずる可能性があるということで、現在、海上保安庁が所管をしております海上災害防止センター委員の一員となって調査研究が進められているというふうには聞いておりますけれども、まだ関係者の合意を得て実用化するという段階には至っていないというふうに聞いております。
  103. 笹木竜三

    ○笹木委員 いや、ですからその検討が、いつから始まった検討が今どのぐらいまで進んでいるのかということをお聞きしているわけです。お答えいただきたいと思います。  それと、今お話があったような富栄養化するおそれがあるということについて、いつも言われるわけですけれども、アメリカでは政府の環境保護局が中心となってこの方法を採用している。エクソン・バルディーズ号事故が起こった一カ月後から始めまして、その後三カ月で効果が出たということで早速もう実用化をしている。その後のメキシコ湾の事故でも行っている。ヨーロッパでも行っている。  それで、国が余りいつまでも態度をはっきりしないから、神戸の町が、漁協が中心となって勝手に実験を始めている──勝手と言いましたが、僕はいいことだと思っていますけれども。実験を始めている。これは、アメリカの環境保護局が中心となってやっていて、今言った御心配についてももうほぼクリアをしている、だから一般的にこの方法が実際に処理方法として採用されているということなわけです。  どういう御検討をいつからされていて、今どこまで進んでいて、あとどのぐらいで結論が出るのか、そのことをお答えいただきたいわけです。
  104. 坂場正保

    坂場説明員 私承知をしておりませんので、今確認をしております。
  105. 笹木竜三

    ○笹木委員 これは阪神大震災のときにもお話ししましたけれども、テレビでも報道をやっている、新聞でも報道をやっている、いろいろな専門家の方が言われている、アメリカからもと環境保護局にいた専門家の方も日本に来ている、こういった報道がされているにもかかわらず、役所の対応はこのぐらいゆっくりしたままになっている、ここが問題だというわけです。これだから民間に比べて学習をしないと言われる。こういう状態を何とか、官邸と調整官庁が中心になって変えていただきたいわけです。  ぜひ環境保護局と一緒になって政府がこの実験を早く行っていただきたい。すべて条件が一緒だとは申しません。ですから、ノウハウを持っているアメリカの環境保護局と一緒になって実験を行っていただきたい、そう思います。  次に、補償のことについてお話をしたいわけですけれども、補償についてはいろいろ心配もあります。個別の団体、自治体と基金との交渉に任せているという現状、これは非常に不安だと思っています。ぜひこれは長官も、今担当官庁ではないわけですけれども、補償のことについて、二百二十五億を超えた場合にどうするか。超えた場合に、では、すべて民間の基金と各団体の交渉に任せていったら、すべて一律の足切りとなります、団体、自治体、すべて要求額の八〇%ずっとかに足切りになる。これでは間違いなく訴訟が起こるだろうというのが民間の損保会社の見解です。ぜひ調整機能を果たしていただきたいと思っております。  そこで、自治体からの心配で再三言われていることは、これはもう当然自治体がやることじゃなくて国がやることだと思っているけれども、代理でやっている。そのために使ったオイルフェンス、ドラム缶、オイルマット、そういった資材の調達、ドラム缶の運搬、処理、船舶、重機等の借り上げ、あるいは船首部分の油抜き取りのために建設した仮設道路あるいはその撤去、油の運搬、焼却、こういったことについては保険とか基金から出るのだろうと言われておりますけれども、仮に先ほど言った被害の額が基金の上限を超えた場合に、そのときに足切りがされても、こういったことについては確実に国が責任を持っていくということをここでもう一回確認をしていただきたいと思います。  予算委員会で白川自治大臣は、保険とか基金から出ると思うけれども、仮に出なくても自治体に迷惑はかけないとはっきり言っている。このことについて、今言ったオイルフェンスから始まって仮設道路あるいは油の運搬、ドラム缶、こういったことに対して自治体に迷惑はかけない、この確認をもう一度お願いしたいと思います。
  106. 門山泰明

    ○門山説明員 ナホトカ号流出事故の応急対策などに係ります諸経費につきましては、船主の責任保険あるいは油濁補償のための国際基金、さらには他省庁の措置の対象となるものも想定されるわけでございますが、地方団体が行政として負担せざるを得ない経費につきましては、自治省として、関係地方公共団体の実情をよくお伺いいたしまして、特別交付税の算定を通じまして、関係地方団体の財政運営に支障が生じることがないよう適切に対処してまいりたいということで考えております。
  107. 笹木竜三

    ○笹木委員 自治体に迷惑をかけることがないということを確保していただくということで、ぜひお願いします。  それで、最後に長官にまた御意見をいただきたいわけですけれども、きょうは時間がなくてはしょってお話をしましたけれども、例えば担当の官庁、今回の場合ですと運輸省において、閣議決定あるいは条約を受けてのハードの機器、機材の充実がほとんどなかったという面、あるいは多国間、外国との協力についてのマニュアルがなかったという面、あるいは交流の成果をまとめてノウハウにしていく、そういったこともほとんど行われていなかったという面、あるいは基金、補償問題についても、これだけ広域にわたった被害にもかかわらず、そして基金と交渉していくノウハウがほとんどないにもかかわらず、自治体、漁協にほとんど任せっきりだという現状。今、基金が神戸に事務所を開設して、聞き取りを始めているといいますけれども、ノウハウも何にもない団体、自治体がただ答えている。弁護士を雇うにしても、足りなかった場合にはその分国が補てんする場合が多い、そういうことを考えますと、当然そういったことを意識して、もっと調整が必要だと思うわけですけれども、こういったことについてもほとんど動きがない。  こういった現状から、国土庁では、自然災害だけじゃなくて、防災基本計画において今後事故災害対策として海上災害対策、航空災害対策その他七項目項目をふやして検討していくという計画があります。この中で、今言った縦割りの弊害がたくさんございます、あるいはマニュアルとか不備もたくさんございます。ぜひ国土庁がこういったことについてしっかりと調べて、できれば官邸の情報集約、危機管理の機能と一緒になって補う活動をしっかりとやっていっていただきたい。  特に、新全総では、これから東アジアの経済が非常に大きくなる、中国が非常に大きくなる、言ってみれば、日本海というのは将来的には今の瀬戸内海みたいになっていく。そうであれば、多国間でしっかりとそういう体制も組んでいく、このことも国土庁が意識をしていろいろ不備を調べていっていただきたいと思っております。それについてぜひ最後にコメントをいただきたいと思います。
  108. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 御指摘をいただきました中で、特に災害事故に対して国際間の協力をどうしていくかということは極めて大切なことであろうというふうに思っております。  また、先ほど申し上げましたように、さまざまな事故災害については、初動体制はどこに責任があるかということをマニュアルの上でもしっかりして、そしてその責任がどこにあるかということを中心として、関係機関がきちっと連絡がとれる、そういう体制が大変大事だというふうに思っておりますので、今後とも十分今申し上げたようなことも含めて研究もし、万全な対策がとれますように努めてまいりたいと思っております。
  109. 笹木竜三

    ○笹木委員 ぜひよろしくお願いします。  質問を終わります。
  110. 川端達夫

    川端委員長 次に、渡辺周君。
  111. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 民主党の渡辺周でございます。  先ほど来、各委員の方からナホトカ号重油流出の問題等々についての御質疑が続いておりますが、ここで私は、私の出身でもございます静岡県の、特に東海地震が言われてもう二十一年になりますけれども、こうした現地の事情等を踏まえまして、地震対策という点から御質問させていただきたいと思います。  第一点は、今申し上げましたように、私どもの地元は、かねてから学者の方々あるいは関係機関の方々から、もう秒読みに入っている、溝上先生などは、もう既に時計の針は短針じゃなくて長針の方だ、ある意味では地球年齢に数えれば分刻みでその発生考えられるというような指摘がされてまいりました。これは昨年ですが、年間の地震活動概況の中で、もう既に駿河湾では、三月の中旬から五月にかけて、あるいは年末にも小規模な地震が駿河湾の中部で数多く発生をした。  そしてもう一つ、これは大変私どもも気にしているところでありますけれども、静岡県の中部にございます川根町というところで、十月の五日にマグニチュード四・四の地震発生、その後たびたび余震を観測しております。御存じのように、フィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界付近でございまして、いわゆる東海地震発生の際の震源域と言われているここにおいて、大変従来と違う形でのデータが得られる。そこに対して、非常に注意深き点というふうな指摘がされております。  このような現状を踏まえまして、現在、東海地震震源域と言われる東海地域、ここに対して現状をどのように御認識をされているか、まずは第一点お尋ねをしたいと思います。
  112. 吉田明夫

    吉田説明員 ただいまの御質問に関しまして御説明いたします。  御質問にありましたように、昨年十月五日、静岡県中部で発生した地震は、それまで地震活動が非常に低調なところで発生したということと、その周辺で発生する地震について特徴的に見られる性質と異なっていたということで注目されました。そういうことで、注意深くその周辺の地震活動の状況を監視してきているわけですけれども、その後、地震活動、地殻変動等のデータに関しまして、今までのところ特段に変化は認められていません。
  113. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 特段の変化がないというようなことでございます。これはいわゆるひずみ等を観測された数値の上ではそのようにとらえられている。  ただ、こうした従来にないパターンの動きが起きてきたということが非常に注目をされているというような現状、私どもはその上に生活をしているということをまず御認識いただいた上で、まず静岡県民としてひとつ尋ねていきたいということですが、私ども、いわゆる大震法に基づきましていろいろな整備を進めてまいりました。そうした中で、この大震法に対して、今まで研究段階であった予知というものが、何らかの形でそろそろ見えてきてもいいのではないかというような議論がされてきているわけです。しかし、例えば政府の推進本部が、従来は予知推進本部であった、ところが今度は調査研究推進本部という形に名称が変わった。当然役割も変わった。これまでよりもさらに一層拡充した形でというようなただし書きでありますが、この予知ということについて、もう一部の方からは、予知というのは無理なんだよ、予知を前提にした大震法自体が、今見直しということを考えてもいいのではないかというようなことが言われているわけですけれども、その点についての御見解を再度求めたい。予知ということについての御見解を求めたいと思います。
  114. 吉田明夫

    吉田説明員 実用的な地震予知につきましては、御指摘のように、一般的には地震発生の仕組みがまだ十分に解明されていないということで、困難であるというふうにされています。  ただ、東海地震につきましては、過去の活動の歴史から、発生場所がわかっていますし、それから繰り返し間隔もわかっている。それと、一九四四年に東南海地震が隣接域で発生しましたけれども、そのときには、前兆現象としてかなり顕著な地殻変動が観測されたということがございます。  ということで、現在の技術的水準からすれば、東南海地震の前に観測されたような地殻変動がもし生ずれば、とらえることができるというふうに考えています。
  115. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 東南海地震のことを例に出されまして、顕著な地殻変動をとらえてというような今御回答があったわけでありますけれども、例えば、静岡県は地震先進県と言われていますように、今いろいろな角度から予知の可能性、予知というよりも予兆といいましょうか、何らかの兆しを見つけようということで、自然界における変調、いわゆる宏観異常現象、これは大阪市立大学だったでしょうか、弘原海先生が、阪神淡路大震災の直前に起きた幾つかの客観的あるいは主観的なデータも含めて、雲の変化でありますとかあるいは動植物の変化でありますとか、その他私どもの身の回りにあること、千幾つの例を集められた。しかし、もちろんこれは主観的な体験もございます。後で思えばあれがそうだったというような現実もございます。一概に、すべてがそれとどういうふうに密接に関係するかということは言えないわけでありますけれども、静岡県も今若干の予算をつけて、県民の中に、そうした何らかの自然界の変化があらわれた場合には情報を寄せるように、いわゆる宏観異常現象を収集する仕組みまでつくった。  しかし、中国でかつて予知されたような地震のように、果たしてこれが功を奏するかどうかというのは、残念ながら事が起きてみなければ全くわからないわけでありますけれども、事ほどさように、予知するあるいは予兆をつかむということは現状では大変厳しいということは前提にした上で、今いろいろな防災計画見直しも進めている。  しかしそこで、大震法に基づきまして、今までの流れでいきますと警戒宣言というものが出されます。この警戒宣言を出すということが、かねてから指摘されていますように、警戒宣言を出した段階で、例えば経済活動なり交通手段なり、ありとあらゆるものの行動を制約する、これはもうこのように決まっておりますけれども、そうしますと、一日当たりの損失がおよそ七千五百億円ですとか八千億円ですとか言われております。つまり、警戒宣言を出すということは、日本の経済をとめるという一つの大変な決断をするということに言葉を置きかえられる。  そうしますと、こうした警戒宣言を出す前に、何らかの形でいわゆる注意報を出すことが必要ではないか。それ以前に、徐々に近づいている、何らかの形でそれぞれに覚悟をしていただくといったような、こうした黄色信号、注意報を出すべきだというふうに私ども考えます。  現実問題、これは、静岡地方気象台が静岡県で行いましたある講演会の中で、防災のリーダーの方々に対して、わずかな数でありますけれどもアンケートをやった。七一%の方が事前情報は必要であると。判定会招集に伴う大規模地震関連情報の発表前であっても状況変化についての情報が必要かどうか。そういったときには、地震に備える意味から、その状況変化しているということについてぜひ教えてほしい。反面で、あいまいな情報を流して混乱を招くというようなネガティブな返答は一八%であった。七割を超える方が、ぜひともそれについては何らかの形で情報を伝えてほしいと。  これをもっていえば、何らかの形の注意報が必要ではないかというようなことが論議されていますが、いわゆる警報ではなく注意報、黄色信号を出すことに関して、前向きに一部では検討していると導入検討を伝える報道もございますが、現状ではそれが可能なのかどうか、ぜひお尋ねをしたいと思います。
  116. 吉田明夫

    吉田説明員 ただいまの御質問に関しまして御説明いたします。  気象庁としましては、現在の観測機器で何らかの異常が観測された場合には、すぐさま情報として発表していきたい、そういうふうに考えています。  それと、注意報に関連した問題ですけれども、現在の我々の技術的な水準では、いわゆる注意報に結びつくような情報を出すことは極めて困難であるというふうに考えています。いわゆる注意報と申しますのは、御質問にございましたように、どの程度切迫しているか、その切迫の度合い、程度、それからもう一つは、地震発生予測した場合の確信度といいますか確率、そういったものを定量的に表現するということは、残念ながら現在のレベルでは非常に困難であるということで、そういった注意報問題、注意報に関してすぐ対応をとるということは、今のところできないというふうに考えています。
  117. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 ということは、雨が降るか降らないかも全然わからないのに注意報も警報も出せないというようなことかと思います。しかし、現状では、起きるか起きないかしか、二者択一の発表しか想定していない。これは物理的に不可能だ。確かに、注意報を流すということは非常に不要な混乱を招く。ある意味では、現在の大震法の見直しがされないでこのままいったにせよ、どのような形で異常事態を伝えるかというのは大変大きな問題になってきます。  既に幾つか言われますように、例えば私どもの伊豆半島では、いわゆる海底地震が、手石海丘という海底火山が噴火して以来群発地震が続いている。群発地震が続くと、例えばそれが報じられるだけで、一気に観光客がもう軒並みキャンセルが相次ぐ。あるいは、それ以外の分野においても大変な影響を与える。  これは確かに問題だとは思いますが、ただ、災害弱者とされるような例えば施設にいるお年寄りの方、病院にいらっしゃる方、あるいは体にハンディーを持っていらっしゃる方々に、いつ何どきこういうことがあるということが、それが地球年齢で切迫しているか、あるいは我々の時間の感覚の中で切迫しているか、その点は別にしても、何らかの形でこれから心構えをするというようなことはできないものなのかどうか。これは決して無理なことではないと思うのですけれども、先ほどの繰り返しになりますが、現状では不可能であるというようなことで理解をしていいのでしょうか、そこだけお尋ねします。
  118. 吉田明夫

    吉田説明員 御質問の御趣旨は大変よく理解できます。ただ、残念ながら、現在の科学的水準では切り分けてそういった問題について情報を出すということは非常に困難であるということしか申し上げられません。
  119. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 わかりました。またこの問題につきましては改めて質問をさせていただきたいと思います。  次に進みます。  もう一つは、今度この政府の推進本部に対しまして、日本地震学会の方から、いわゆる観測計画についての要望というような要望書が、これを見ますとはっきりと明確に言われております。そういう意味では、現状の官界あるいは学界の観測網がどうも一元化されていないのではないか、あるいはそのデータの収集、管理あるいは解析ということについて一本化されていない、一元化されていないというような要望があるわけですけれども、今後、政府の推進本部がどのような形でこの一元化ということに取り組んでいかれるか、手短にお答えをいただきたいと思います。
  120. 上原哲

    上原説明員 御案内のとおり、一昨年の七月に推進本部が発足して以来でございますが、同本部の下に政策委員会というものがございまして、その中に、法律で申し上げますと三号事務に、総合的な観測計画をつくりなさいという指示がございます。それを受けまして総合的な観測計画をつくるべく調査観測計画部会というのを設けまして、現在も審議を行っているわけでございますが、昨年の一月の段階で、国として必要な基盤的な観測網、すべてをやるわけになかなかいきませんので、基盤的なものについて重点的に実施していこうということで、活断層調査、それからGPSといいまして、地殻変動を観測する装置の配備、それから地震観測網というその三点を選びまして、一月十日に、おおむね活断層であれば百点、それからGPSその他の地震観測網であれば千点程度を全国隔たりなく設置していく必要があるだろうということで現在作業が進められているところでございます。  その後、調査観測計画部会におかれましては、具体的な観測の進め方について今御議論いただいておりまして、来月ぐらいには総合的な観測計画ができる予定でございます。その中で、今御指摘のありました学会からの御要望、並びに阪神淡路におきますいろいろな教訓を踏まえまして観測計画をおつくりいただいている段階でございまして、それをこういう学会の要望も踏まえて十分検討していただきたいと思っている次第でございます。  以上でございます。
  121. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 もう大変短い時間でございます。一つ、今の点に絡めてですけれども、今回の地震関連の予算を見ましても、例えば工業技術院の電子技術総合研究所が、電磁界の計測技術、いわゆる地殻変動に伴って電磁波が出される、これをもっと感知できる質の高いセンサーを開発しようということで研究費が二億五千七百万円計上、そしてまた郵政省の通信総合研究所というところでは海底電磁界観測システムの研究開発というようなこと、また気象庁では地磁気あるいは地電流の観測業務の整備、維持運営ということで、私ども素人目で見まして大変似たような技術の開発あるいは今後の観測というものが行われているというように思いますし、また見ますと、幾つもの省庁にまたがって同じような研究開発、整備がされていく、いわゆる縦割りということの弊害がこうしたことに出ないように、ぜひともこれは強く要望したいと思います。  もう時間も一分かそこらしかございませんので最後の質問に移らせていただきますけれども、ぜひ長官にお尋ねをしたいと思います。  国土庁長官が、静岡県知事あるいは兵庫県知事から知事会等に強い要望が出ております災害共済基金、仮称でありますけれども、この創設あるいは防災支援全国機構設置ということに対して非常に前向きにとらえていらっしゃる。また、地方の自治体の首長さんたちの意向を踏まえた上で考えしていきたいというようなことをおっしゃっておりますので、その点についてぜひ長官のお考え、御所見をお尋ねしたい。  そしてもう一つ、これは決して私ども地域だけのことじゃないのですけれども災害時の現場が混乱した中で、阪神淡路大震災でも、全国から善意でボランティアの方々がそれぞれ援助物資等を持っていかれる、そうした中で交通網が混乱をする、特に道路が混乱するという中で、いわゆる都道府県の職員に、警察官が不在の場合に何らかの権限を付与するべきではないかというような問題も出ているわけでありますけれども、こういう点についての御見解を最後にぜひお尋ねをしたいと思います。
  122. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 後半の質問については事務局から答弁をさせますが、冒頭御質問がありました共済制度、積立基金制度、これは総理の諮問で防災問題懇談会で、災害が多い日本でありますから、恒久的な基金制度を地方公共団体等で研究する必要があるのではないかという結論を出していただいておりまして、それを受けて今、全国の知事会で協議をしていただいております。特に兵庫県知事、また委員の地元であります静岡県知事は、災害地震が多いということもございまして大変強い関心を持っていただいております。  この問題で、静岡県知事から御意見を私は直接伺いました。いろいろな提案がありますけれども、極めて実現可能性のある制度としては、静岡県知事が御提案をされております積立基金制度は、これは都道府県がそのことを決断をして基金をつくる、それに対して国も支援をするということになればこれはできるわけでありますから、要は、全国の都道府県知事会がその決断をしてくださるかどうか。今それは協議をしているところでございますし、つい十日ほど前ですか、全国知事会の土屋知事さんにもおいでをいただいて、その結論を出すべくできるだけ早急に意見をまとめていただきたいということを私の方からも申し上げました。  共済制度につきましては、これは国民一人一人が、いわゆる保険制度のように一人一人がコストを負担をしていただくということでありますから、この危機に対して危機意識を持って皆さんがコストを負担をしていただくということは、私は非常にいいことだとは思いますが、実現可能性があるかどうかということも考えなければならないというふうに思っておりまして、私も大変強い関心を持っておりまして、これからも大いに連絡は密にしていきたいと思っております。
  123. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 都道府県職員に長の権限の委任というお話がございました。  今、市町村の職員には市町村長の権限の一部が委任されている例がございます。都道府県の職員について、いかなる分野についてそのような権限の委任が必要なのか、また委任ができるにしても、例えば警察官とか自衛官とかそういうものと県の職員とを同列に扱っていいものかどうか、そういうことがございますので、慎重に検討させていただきたいと思います。
  124. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 大変短い質問時間でございました。言いたいことも言えませんでしたので、また改めての機会と思いますが、決して静岡県の問題のみならず、我が国が抱えている特殊性を考えますと、ぜひともありとあらゆる可能性を考えて、危機管理に対しての御認識を常に持っていただきたい。そしてまた我々も、折に触れて、いろいろな形でまたそうした地方の意向というものを反映していただけるようにお願いをしていきたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  125. 川端達夫

    川端委員長 次に、坂上富男君。
  126. 坂上富男

    ○坂上委員 私は、重油流出事故土石流について御質問をさせてもらいたいと思っておるわけでございます。  重油流出につきましては、ボランティアの方を含めまして、もう五人もの犠牲者が出ました。本当に御冥福をお祈りを申し上げるわけでございます。また、地方自治体を初めといたしまして、大変な犠牲が出ておるわけでございますが、これもお見舞いを申し上げたいと思っておるわけでございます。  また、あの土石流は、いまだ行方不明の方がお一人おられるわけでございます。そしてまた、たくさんの人が亡くなっておるわけでございまして、本当に御冥福を祈りたいと思っておるわけでございます。  あわせまして、土石流あるいはこの重油流出に、海上保安庁、自衛隊、自治体あるいはボランティアあるいは関係官庁の皆様方が、本当に第一線で大変な御努力をなさっておるということを目の当たりに見させていただきまして、私は、本当に感謝を申し上げたいと思っておるわけでございます。  伊藤国土庁長官も、あの日本海にお休みの日にお出かけをいただきまして、多分海上保安庁の船に乗ってあの日本海の荒海のところで海上保安庁の諸君を激励するために来られたのじゃなかろうかと思いますが、さっき私の仲間の新進党の新潟選出の先生がおっしゃったように、日本海は荒れてなかなか船が出ないのです。だものでございますから、お乗りになることができなくてお帰りになったということもお聞きをしておるわけでございまして、大変一生懸命にこの災害のための御努力をいただいておることを県民の立場としても感謝いたしておるのでございます。  本日この質問のために、各官庁からいろいろとレクチャーをしていただきました。勉強させていただきました。そしてまた、きょう朝からずっと先生方のお話を聞いておりまして、いろいろと勉強させていただきました。そこで、せっかくいただきました文書やその他を直接私の頭の中に入れまして、その上に立って少し質問をさせていただきたい、こう思っておるわけでございます。  まず長官、本件の事故経験をされまして、特に災害の庁といたされまして、ぎりぎりこうであればよかったかな、ぎりぎりこういう法律があればよかったな、そんなようなことについての、反省と言っては失礼でございますが、希望、期待、反省、そんなものがありましたら、項目別でいいですから言ってみてください。
  127. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 今度のナホトカ号重油流出事故につきましては、これは委員御案内のとおり、事故ということでありまして、運輸大臣災害対策本部長となりまして、本部長中心として、その後、官房長官が主宰をされます関係閣僚会議になったわけですけれども、関係各省庁があらゆる努力をして、政府一体となってノウハウを提供し、取り組んできたわけでございます。  しかし、災害事故は、後になってみればさまざまな問題点が指摘をされます。このナホトカ号事故につきましては、まず人命救助をするということが当初の最大の課題でございました。その後、石油流出ということに展開をしていったわけでありますけれども日本海という大変厳しい自然状況の中で、あるいはまた私どもがこれからの問題として今検討しているわけでありますけれども、こういう流出事故に対して専門の船をどうするか、これは日本だけでなくて国際的に提言をする必要もあるのではないか、そんなことも私ども今関係各方面のいろいろな意見を伺っているところでございます。いずれにしても、我が国は石油の最大の輸入国でありますから、今後の課題として極めて早急に、今回の事故を反省をしながら対応を急がなければならないと思っております。
  128. 坂上富男

    ○坂上委員 突然でございますから、抽象的な御答弁やむを得ないとは思いますが、私は今度はそれに基づいて具体的に一つ一つ指摘をいたしましてお聞きをいたしますから、一言でいいですからお答えください。  まず、今、油は流出しているのですか、していないのですか、どうですか、簡単に。
  129. 坂場正保

    坂場説明員 沈没した船尾部から若干の油が湧出をしている状況を把握しております。
  130. 坂上富男

    ○坂上委員 若干というのはどれぐらいですか。
  131. 坂場正保

    坂場説明員 量は正確に把握できませんが、長さでいきますと数キロメートル、幅でいいますと数十メートル程度、浮いている油の広がりぐあいとしてはそういう湧出状況でございます。
  132. 坂上富男

    ○坂上委員 これはいつまで続くかわからないのですね。特に新潟などは、撤去しても撤去しても、翌朝になるとおまんじゅうみたいなものがいっぱい着いておる、こういう状況なんですね。だものだから、これに対する対策をきちっとしていただきませんと、これはずっと続くわけでございます。これは御指摘だけ申し上げます。  それから、今度は補償のことですが、二百二十五億円、これは確実に取れますか、どうですか。
  133. 田村雄一郎

    田村説明員 お答え申し上げます。  現在、油濁損害賠償保障制度ということで、国際的に条約あるいは国内法に基づいて定められた制度に基づきまして、最大約二百二十五億まで国際油濁補償基金及びその原因者であります船舶所有者から出るという制度がございます。  ただ、具体的にどれだけの額になるかというのは、これはあくまでも民事上の賠償の問題でございますので、今後関係者の間の協議によって定まるということになるわけでございます。ただ、上限二百二十五億は出るような制度になっている、こういうことでございます。
  134. 坂上富男

    ○坂上委員 いつまでに出ますか、いつまで。
  135. 田村雄一郎

    田村説明員 実は、まだ被害額がすべて確定しているわけではございません。したがいまして、各請求者の公平を図る観点から、先に請求した者が有利になって、後から請求した者が取りっぱぐれるということのないように、全体の被害額が確定した後、最終的には全部出ることになります。  ただ、できるだけ早期に……
  136. 坂上富男

    ○坂上委員 もうよろしい。時間がかかってしようがない。  私は、新潟から、今後の請求の日程、これは国の方からの指導だろうと思うのです。これを見るとびっくりするのですね。「保険会社及び国際油濁補償基金への経費請求事務」というのです。  二月末、ことしてすが、県、市町村の二月分までの支払い額を集計する。三月末に第一回仮払い請求をする。四月末、四月末までの支払い分の集計をする、これは八年度分のみ。五月末、第二回仮払い請求。六月末、六月末までの支払い分集計、八年度最終分及び九年度発生分。七月末、第三回仮払い請求。八月末、八月末までの支払い分の集計、九年度発生分。九月末、第四回仮払い請求。  「請求にかかる経費の支払は、請求総額の把握、査定等が行われてからになり、全額支払われるまで二年程度かかる」。二年程度、どうですか、これは。「未然防止、回収経費について、十億円を限度に査定額の六〇%〜二〇%程度について、仮払いが行われる可能性もある。」きょうお話を聞いておったら、多分こういうことを言っていたのでしょう。長官、おわかりですか、二年もかかるというのですよ。こんなことでは地方自治体は参ってしまいますよ。  これを見ると、これも回収の、いわゆる油除去の費用だというのだね。こういうことが上の指導で来ておって、地方自治体の知事さんらから僕らの方に緊急要望書として来ているわけです、こういう状態なものだから。どういうことが書いてあるかといいますと、いわゆる災害対策基本法に基づくところの災害にしていただきたい。これはいいそうですが、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法とか農水施設云々とか、そういうようなものは全部天災でないとだめだというのです。人災ではだめだというのです。ぜひそれを適用してくれというのです。現行法令で対応できない部分については阪神大震災のような特別措置法を制定してくれ。これは、今このように努力をしようという声が少しずつ上がってはいますけれども、今のお話を聞きますと、こうやって個別的な立法をする気はないようだ。やるとするならば、基金の方からできるだけたくさん取りましょう、たくさん取るというのも二百二十五億取るというのではないのだ、取れる範囲において取りましようという態度なんです。こんなことでは、地方自治体から漁業者から旅館業者から、そしてボランティアで死んだ人は浮かばれません。これは一体どういうふうにお考えになっているのですか、こんな実情を。  それで、国会では足りない分を補償しますとか何とかかんとか言っていますけれども、ほとんどこれではできないじゃないですか。このことのために、今、地方自治体に金を出したのですか、きっと出してないでしょう。全部、地方自治体や漁業組合や皆様方の損害において負担しておるというのが実情なのでございますが、いかがですか、長官、どんな考えですか。
  137. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 損害に対する対応については、先生は法律の専門家でもありますが、国際的な条約に基づいてやる範囲内、また船主が責任を持つてもらう部分、また国の立場では、実際には、今御指摘をいただいているように、自治体現地ではいろいろな負担がかかっているわけでありまして、地方交付金等で私どももそのお手伝いはしていくということを考えているわけでございますが、長期にわたる場合には、これは国としてどう対応するかは、全体のいわゆる補償がどうなっていくかということを見定めながら対応していかなければならないと思っております。
  138. 坂上富男

    ○坂上委員 さっき言ったことと同じことなんだね。補償は取れるだけ取ってみましょう、取れなければ国の方で考えますという程度なんですね。これは今後議論を尽くさなければならぬことでございます。  それから、こういう重油流出に対する日本の法律というのは油濁保障法だけでしょうか。あるいは、ほかに直接的な法律がありますか。どうぞ、どこかお答えください。ありますか、ないでしょう。
  139. 田村雄一郎

    田村説明員 油濁損害こ関しましてはそれだけでございます。
  140. 坂上富男

    ○坂上委員 長官、これももちろん私が言うまでもなく勉強なさっていると思うのですが、この油濁保障法というのは、被害者に対する保障法ではないのですね、加害者はこれだけでいいですよという法律なんです、よく読むと。これはとんでもない法律なんです。被害者保護の法律ではないのです。  そこで、これは新聞の報道ですが、アメリカでは米国油濁法という法律があるというのです。これを見ますと、大変いいことがいっぱい書いてあるのです。長官、これはどうしても立法してもらわぬといかぬと私は思っていますよ。「米国のシステムに詳しい矢崎敦生・元海洋環境技術研究所長は、空路で派遣できる組み立て式油回収機や環境に無害な処理剤、波高一メートルに対応できるオイルフェンスなどの配備、日本周辺の海域での緊急防護作業管理計画の策定、油除去技術研究機関の設置──などが日本にも必要としている。」そして所長は、「今回の政府や自治体などの対応をみる限り、行動計画が不十分なため初動態勢が遅れたと言わざるを得ない。日本近海での油災害に対する危機意識が乏しく、船や資材の準備、事故対応マニュアルを早急に整備する必要がある」と。これは、私はこの事故教訓だと思います。  さっき新進党の先生が言っておられたでしょう。今、日本海にはタンカーが毎日何十何百と動いているのです。だから、いつ事故が起きるかわからないのですよ。これに対して、どうするかこうするかばかり言って、新しい立法の努力、新しい対策の努力は何にもなされてないのですね。  この間、私はオレンジ共済の問題をやらせてもらいました。これも、大蔵省は何らの対応の権限がないと言うのですね。経企庁も権限がないと言うのですね。公取までないと言うのです。警察は十年もたってやっとやるというわけです。家宅捜索してみたら、九十一億の金が一銭もないというわけです。これは立法化する必要があるではないかと申し上げたわけでございますが、これと全く同じに、あすまた日本海にタンカー事故が起きないとも限りません。今まで何回か起きた。そのたびに、名古屋にある油回収船を持ってまいります、こう言ったまま、全然今までされなかったわけです。  そこで、長官でしたか、お出かけいただいたのかな、運輸大臣かな、もう一つぐらい日本海に油回収船をつけます、こういうお話があったのでございますが、これとてもまだついていないわけです。あす朝あるかもしらない、こういう状態なのでございまして、私は、やはりこういうふうな重油流出事故教訓を今すぐ生かしてもらわなければいかぬと思っているわけであります。  自然災害だからこの法律の適用がある、こう言っている。私が指摘した法律、人災だからありませんというわけであります。だけれども、天災というのは起きるかもしらぬという警戒があるのです。人災というのは突然起きるわけでございますから、防衛のしようがないのです。受ける側にとっては、人災であろうと天災であろうと被害は同じなのでございます。しかも、原因者はロシアである、それはわかったのでございますが、被害を受ける諸君は、天災であろうと人災であろうと同じわけでございます。ましてや、ロシアから二百二十五億の補償がとれるかどうかもわからない。こういう状況下において、果たして本当にこういうようなことで、これに対する対応がきちっとできるかというと、これまたできない。できなければ、せめて二度と事故を起こさぬように、起きた場合どうするかということを早急に検討すべきだと私は思っていますが、長官、どう思いますか。
  141. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 今度の石油流出事故につきましての補償の問題は、ある意味ではロシアとの法律的なことにもなり得る可能性があるということがあるわけであります。したがって、これからの交渉も当然あるわけでありまして、民間の補償でありましても、かなり国もこれを支援していかなければならないことであろうというふうに思っております。  したがって、そうした当面の課題と、今議員御指摘をいただきました、こうした事故経験して法整備をどうするかということにつきましては、立法については、即、私自身も勉強させていただきたいと思っております。
  142. 坂上富男

    ○坂上委員 時間がありません。一言だけ申し上げます。  ボランティアを含めまして、この重油のために五人の人が亡くなりました。何かきのうの発表、私へのけさの厚生省の連絡によりますと、重油が原因になって死んだということは考えられないというようなお話でございました。とんでもない。死んでいる方はみんな心不全だ。決して寒さに当たってじゃないんです。重労働によってじゃないんです。油の何らかの原因によって、やはりそれが引き金になっているわけでございます。私も心筋梗塞なんです、十二年前に。質問中にぶつ倒れるかもしれませんけれども、頑張っているんですがね。だから、何かちょっとした原因のある人が重油のあのにおいを吸うと、やはり死ぬ引き金になったんじゃなかろうかと私は思います。長官、新聞をもう一度調べてみてください。死んだ人、全部心不全です。決して脳溢血で倒れたわけじゃないんです。  でありますから、これもひとつ、もう少し検討すべきだ。しかも、死んだ場所から油を持ってきて分析したのじゃない、三国町から持ってきた。しかも一月の十六、十七日の油を分析した結果、異常なし、こういうわけだ。とんでもない。死んだところの油を持ってきて検査してもらわなければ、そんな証明にはなりません。これは裁判に出したら負けますよ。  その次、今度は土石流。これも林野庁長官それから長野県知事は、この土石流は人災ではありません、天災ですと言っているわけです、建設省はまだそう言わなかったらしいんだが。とんでもない、これは人災です。監督署は綿密に、こういう注意をしてくださいよと、各事業主に安全に対する注文を出していたわけであります。守られないからこういう事故が起きたのであります。これが何で天災なんですか。人災そのものでございます。  時間がないから、別の場所でまた私はやりますが、一言、林野庁建設省、それからもう一つ長野県、長野県はおらぬから、二つでいいです。きちっと答えてください。労働省は一生懸命に、事故を起こさぬでくださいよ、こう言ったのでございます。どうですか。もうこれでやめます。
  143. 池谷浩

    池谷説明員 ただいま先生質問の十二月六日の蒲原沢土石流につきましては、先生御承知のように、私ども過去二十五年間の資料によりますと、十二月に発生した事例はまずない。それから、雨の量も非常に少ない、従来よりは少ない雨といいましょうか、当日は雨が降っていないわけですけれども、そういう雨で発生したということで、過去に事例のない土石流だというふうに理解しております。  そういう面で、現在、砂防学会におきまして土石流調査検討委員会を発足いたしまして、いろんな発生原因等含めまして検討していただいているところでございますので、この結果を待って判断していきたい、このように考えております。
  144. 坂上富男

    ○坂上委員 済みません。答弁いいですよ。きっと同じ答弁でしょう。  一点だけ。地元の業者は、前日もう水が出たから危険だといって仕事をやめているんです。仕事をやめない諸君というのは出稼ぎの下請業者なんです。秋田県から来たり青森県から来たり、そういう諸君だから、あの川のど真ん中で仕事をしながら、土石流があすになるとやってくるということを、地元なら知っているから、そういう地元の人はやめていたんですが、出稼ぎの人はやめないでやっておられたわけです。これが人災でなくして、何で天災ですか。  御指摘だけ申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  145. 川端達夫

    川端委員長 次に、藤木洋子君。
  146. 藤木洋子

    ○藤木委員 私は、阪神淡路大震災被災地出身の議員といたしまして、ぜひこの問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。日本共産党の藤木洋子です。  阪神淡路大震災から二年一カ月が経過いたしました。高速道路や港湾を初めとする産業基盤の復興の進行とは対照的に、被災者の生活や住宅、中小商工業者の営業の再建は遅々として進まないばかりか、一層深刻な状況になっています。  大臣は所信でもお述べになっておられますけれども、政府は、震災特例などの措置を講じてさまざまな救済施策を進めてこられました。しかし、二年目を経過して、その特例措置が打ち切られようとしております。しかし、被災地の現状から見ましても、仮設住宅の存続期間が延長されたように、とてもこれらの特例措置が打ち切られるような状況ではないということを申し上げたいと思うのです。  大臣に伺いますけれども、震災後二年を経過した時点で、被災地の再建と復興の実態をどのように御認識になっていらっしゃるか。とりわけ、さまざまな特例措置の存続期間を延長することについてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  147. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 阪神、神戸の震災があって以来、地元の自治体と国とは随時連絡をとりながら、また、地元の住民の代表の方からも意見をいただきながら、これまでさまざまな施策を展開してまいりました。  委員は地元でございますので、詳細にわたって既に御承知をいただいているかと思いますけれども、既に、平成八年度の補正予算までの中でも、三兆九千六百億という国の予算の中で、地元の、特に自治体の皆さんに詳細にわたったさまざまな支援をさせていただいてきているところでございます。しかし、依然として、仮設住宅からこれからいよいよ恒久住宅へという最大の課題があるわけでございます。現地の皆さんにとっては、高齢者の方々あるいは要援護者の方々あるいは生活保護を必要とする方々、さまざまな方々が仮設住宅におられるわけでございまして、今後、それらの弱い立場の方々にも、恒久住宅に移る方々について月額一万五千円から二万五千円を五年間にわたって支給するなど、さまざまな生活支援考えているところでございます。非常に高齢者の方々が多い、そうしたことなどから、現地の方からも適切な措置をこれからもお願いしたいという要望もいただいているところでございまして、地元の自治体とこれからも緊密な連絡をとって、国はできる限りの支援をしてまいりたいと思っております。  なお、御指摘をいただきましたさまざまな特例措置の延長等につきましては、基本的には私たちは延長をさせていただいて、そして現状の中で復旧から復興へとできるだけの支援をしていくべきだと考えております。
  148. 藤木洋子

    ○藤木委員 長官がそのように御認識いただいているということを大変心丈夫に思っております。未曾有の被害を及ぼした大規模災害の復旧、復興には、やはりその規模にふさわしい支援がなければならないということだと思うんです。  そこで、特例措置の具体的な問題といたしまして、最初に、最も弱い立場にある要介護高齢者問題についてお尋ねをしたいと思います。  特別養護老人ホームの震災特例の定員外措置は、この三月で期限切れになることになっています。しかし、兵庫県の調査では、九六年九月現在、神戸市内で九十七人、兵庫県内で二百七十五人、県外で百四十八人の合計五百二十人が定員外措置されている実態がございます。また、そのほかにも、震災による在宅での待機者だとか仮設住宅での待機者などの多数の措置対象者がいらっしゃるわけです。この特例措置が、避難所や全壊家屋で恐怖におののいている要介護老人にとって大きな救済でございました。施設職員の献身的な介護にも支えられて、ここに入れてもらって本当によかった、安心した。震災の恐怖からやっと落ちつきを取り戻している今、この特例措置を打ち切ることは、本人をも御家族をも新たな不安に直面させているのです。特例措置の延長が必要だと考えますが、厚生省はどのようにお考えでございましょうか。
  149. 青柳親房

    ○青柳説明員 ただいま、阪神淡路大震災に伴う特別養護老人ホームの定員外措置の延長についてのお尋ねでございました。  阪神淡路大震災に伴いまして特別養護老人ホームに定員外で入所措置を行うという特例措置につきましては、ただいまのお尋ねの中にもございましたように、平成八年度限りの取り扱いということで現在運用しているところでございますが、いまだに多くの方々が特例措置の対象となっているということを十分踏まえまして、一方、こうした方々の処遇を適切に行っていくということを考慮の上、地元の自治体ともよく相談して、適切に対処してまいりたいと考えております。
  150. 藤木洋子

    ○藤木委員 ぜひ延長して安心をさせていただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。  次に、被災者の心のケアについて伺いたいと思うのです。  これは中高年者だけの問題ではございませんで、子供たちの心のケアが極めて大切でございます。半年余り前、文部省は、調査をされたその発表で、被災児童生徒のうち、女子の二二%、男子の一五%がおびえや無気力になっていると発表しておられます。現在、いじめ、不登校など深刻さが増しているのですね。子供たちの生存の基盤である家庭生活が不安定になっているためでございます。  政府は、二百七人の復興担当教員の配置をしてこられました。この特例措置を継続するとともに、加配教員の機能が十分生かされることが大事だと私は考えるのですけれども文部省、その点いかがでございましょうか。
  151. 遠藤純一郎

    遠藤(純)説明員 児童生徒の心の健康に関する相談等に適切に対応できるように、こういうことで、平成七年度、八年度におきまして教員の定数の加配を行っているところでございます。こういった先生方は学校現場におきまして、先ほどの趣旨でございます、心のケアを必要としている児童生徒に対しまして、心の健康に関する相談に適切に対応するなどの教育活動を行っていただきたい、こう思っておる次第でございます。
  152. 藤木洋子

    ○藤木委員 県の教育委員会も、PTSDの症状が児童生徒に多く見られる学校、また被災による転入者の多くいる学校、転出した子が戻ってくることが予測される学校など、震災により精神的に不安定な状況にある児童生徒に対処するため、教育復興担当教員を二百七人配置する、このように県議会で提案をしてまいりました。ところが、二百七人の配置について教育委員会が出しました要領の学校内外の防災教育推進に関する計画、指導等という項に即しまして、実際は二百七名中十二名が本庁の総務課、義務教育課あるいは教育事務所などに配置されているんです。これでは加配教員の機能が十分になされているとは言えないと思うのですが、文部省は、復興担当教員についてその配置まで特定するというような条件をおつけになられたのでしょうか。いかがでございましょうか。
  153. 遠藤純一郎

    遠藤(純)説明員 先生方の定数の問題でございますけれども、これはこの定数の範囲で給与の二分の一を国庫負担する、こういう制度になっているのですけれども、やはりその前提といたしまして、この負担の制度は学校の現場で教育指導に当たる先生の給与を負担する、こういう制度でございます。  今お話をお聞きしたような状況かどうかという点については、ちょっと兵庫県の方に話を聞いてみなくちゃいけないと思いますけれども、仮にそういう先生方が教育委員会なり事務所でいろいろな仕事があるということであれば、県の方で県の職員として県の負担でやっていただくのが筋だろう、こう思っております。私どもは二百七人の加配をいたしましたけれども、これは全部学校の現場で児童生徒の指導こ当たっている、こう理解しているわけでございます。
  154. 藤木洋子

    ○藤木委員 条件をつけていらっしゃらないというわけですから、政府の復興担当加配の趣旨が本当に生かされているか、一度実態も把握していただきたいというふうに思います。  それで、心のケアの必要な子供にとっての支援策が生きるようにすることが本当に大切だと思うわけですね。兵庫県の教職員組合は、復興担当の配置数や地域、子供の状況も異なりますので、各学校で民主的に議論をして最も有効と判断した活用の仕方を認めることを求めておられます。こうした先生方の積極的な要望を生かすべきだと私は考えておりますが、文部省、それでよろしゅうございましょうか。
  155. 遠藤純一郎

    遠藤(純)説明員 私どもは、県の教育委員会の方で県内全部の学校の実情を勘案して配置をしているというふうに理解しております。
  156. 藤木洋子

    ○藤木委員 ぜひ本来の目的が達成される活用で、子供たちの一日も早い心身の再起を促進していただきたいと思います。  さらに、こうした子供たちの中でもとりわけ震災遺児の心のケアのボランティアをしている青年たちのグループ、あしなが育英会について伺いたいと思うんです。  この会は、病気で親を亡くした遺児たちを主力としたボランティアが八百十二人、震災遺児家庭二百四のケースを長時間インタビューをされて調査を行いました。このときにテープレコーダーに収録をいたしました談話をまとめて「阪神大震災遺児たちの一年 黒い虹」として編集されています。  この記録から、震災による死は、直前まで普通に生きていた人間を不意に襲う死だということがわかります。同じ死の危険に直面している家族のすぐそばで起こる。中には、瓦れきの中から救出した母親を背負って病院までの長い道のりを歩いているうちに、自分の背中で母親がだんだん冷たくなっていったという事例もあるわけです。その死を目の当たりで目撃したり体感をした人の心をどれほど深く傷つけていることか、私は本当に胸が締めつけられる思いでこの本を読みました。  あしなが育英会のボランティアは、交通遺児や病気遺児など、遺児という共通の基盤に立って、震災遺児と向き合うということで心の傷をいやす役割を果たしています。こうした活動にもマンツーマンでは限界があり、集団ケアができる施設をつくることを目指して今活動しているわけです。被災児やその保護者、夫を亡くした妻や妻を亡くした夫、祖父母やおじ、おばなどもまた心の傷を負っているわけですが、その傷を乗り越えて生きようとする意欲もこうした活動に支えられているということをぜひ知っていただきたいと思います。このようなボランティアの必要性をお認めいただけるでしょうか。これは文部省のジャンルだと思って私お尋ねしているのですが、いかがでしょうか。
  157. 北見耕一

    ○北見説明員 ボランティアの方々が被災されたお子さん方の心のケアのために一生懸命努力されているということに対しましては、これは敬意を表するところでございますし、自主的なその活動が一層推進されるということを期待しているところでございます。
  158. 藤木洋子

    ○藤木委員 こうした善意のボランティア活動が被災者の生活を辛うじて支えているということを肝に銘じていただきたいと思うのです。ぜひ支援のための施策を検討されることを求めたいと思うのです。少なくとも社会教育団体のボランティア活動に助成が行われているのですから、それと同様に、自主的なあしなが育英会などのボランティア活動に対しても支援が行われるべきではないかと私は思うのですが、この点も文部省でお考えいただけるのでしょうか。こうした団体にも助成をぜひ行っていただきたい、いかがでございましょうか。
  159. 北見耕一

    ○北見説明員 先生指摘のあしなが育英会の件でございますが、これは心のケアのための施設建設を行う計画があるということでございます。その財政的な支援につきましては、これは任意団体が行う自主的な活動でございますので、基本的にはその自主性にゆだねるのが原則でございまして、文部省がそういったその施設の建設に対して新たに財政支援を行うということは極めて難しいと考えております。  ただ、文部省といたしましては、これまでも兵庫県とかあるいは神戸市が行います被災児童生徒に対します心の健康相談活動、こういったものに対します支援を行ってまいっているところでございます。それから平成七年度、八年度におきまして、被災児童生徒の心の健康状態の実態調査でございますとか、あるいは健康相談体制についての調査研究を行ったところでございまして、平成九年度におきましては、これらの結果を踏まえまして、非常災害時に学校がどのようにして子供たちの心の健康を守って支援していくかといったようなことで取りまとめた実践的な手引を作成したいというふうに考えているところでございます。  こうした施策を通じまして、今後とも被災児童生徒の心のケアについて適切に対応していきたいというふうに考えているところでございます。
  160. 藤木洋子

    ○藤木委員 地元兵庫県や神戸市などの自治体が主体になって行っている心のケアについての活動以外の、こういった民間といいますか、そういった団体の場合でも助成の対象にしようという御検討をしていただけるのでしょうか。そこのところはいかがでしょうか。
  161. 北見耕一

    ○北見説明員 今先生のお尋ねはそのソフト面の支援ということでございましょうか。そういうことにつきましても、今私どもの方では、任意団体に対します心のケアの相談ということで、このケアに関します活動についての助成ということについては検討していない状況でございます。
  162. 藤木洋子

    ○藤木委員 確かに初めてのジャンルでございますから、今までにはそういうケースがなかったと思うのですが、ぜひその対象に入れていただくように私は強くお願いをさせていただきたいと思います。  次に、被災中小商工業者の営業の再建の問題についてお伺いをしたいと思います。  兵庫県が昨年十二月に発表いたしました経済、雇用状況によりますと、例えばケミカルシューズについて、例年十月から十二月というのは生産の伸びる時期でございますけれども、十月の生産数量、生産金額とも、平成六年の約五割の水準で推移しているとしております。また、神戸市と神戸市商工会議所の調べでは、被災地域の小売業で商店街や小売市場に登録された店舗のうちだけでも、約二〇%、約二千店がまだ営業の再開ができていないと言われています。さらに、商店街、小売市場の売上状況を見ますと、震災前の水準に戻ったのはわずか六・七%で、残りの九三%は売り上げが戻ってはおりません。震災から二年たって、いまだに被災業者の営業再建は大変厳しい状況にございます。  中小企業庁にお伺いをいたしますけれども、このような被災業者の実態をどのように把握していらっしゃるでしょうか、お答えください。     〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕
  163. 寺坂信昭

    ○寺坂説明員 被災地域の復旧、復興状況につきましては、例えばケミカルシューズに関しまして、神戸市内にいらっしゃいます百七十九社の中小企業の皆様についてはすべて操業は再開しておりますけれども、生産量はまだ震災前の約五十数%程度、あるいは酒造業界に関しましては、五十社中四十七社は営業を再開されております。あるいは、粘土がわら、そうした業界におきましては震災前より生産が約二〇%減っているといったように、非常に大きな影響を受け、依然として厳しい経営環境に置かれているというふうに承知をしているところでございます。
  164. 藤木洋子

    ○藤木委員 そうでございます。確かにそのとおりなのですね。  ですから、そうした被災者の営業再建が大変厳しい状況の中で、被災業者の皆さんは災害復旧貸し付けの公的な融資を受けてこられました。一九九六年十二月三十日現在で見てみますと、兵庫県と神戸市の自治体貸し付けで三万三千五百五十一件の四千二百二十一億円、国民金融公庫、中小公庫、商工中金などの政府系貸し付けで二万三千六百五十六件、三千百十九億円と、合わせますと五万七千二百七件、七千三百四十億円となっております。  問題は、被災業者が本格的に立ち直る前にこの返済猶予期間が迫っているということでございます。被災業者の現状から見まして、約七千三百四十億円に上るこれらの貸し付けの返済は大変困難な状況だと思うのですけれども、中小企業庁はどのようにお考えでしょうか。被災業者の返済能力の実態をどのようにお考えになっていらっしゃるか、お答えをいただきたいと思います。     〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕
  165. 寺坂信昭

    ○寺坂説明員 先ほどお話しいたしましたとおり、被災地域におきます中小企業の皆様方が依然厳しい状況に置かれているということでございます。したがいまして、当初、融資を使われたその中小企業者の皆様におかれましても、その返済に当たりましてはなかなか予定どおりすべてうまくいくものではないというふうに承知をしているところでございます。
  166. 藤木洋子

    ○藤木委員 そこで、具体的な事例でお伺いをしたいと思います。  一月十四日の地方紙、神戸新聞で、「仕事再開したが住民戻らず」と題する記事の中で、「ダブルローンで事業を再開した神戸市須磨区の自営業者は、「住民が戻って来ないので売上が伸びない。精神力で頑張ってきたが、このままでは破産宣告も考えられる」」というのがございました。これは決して特別なケースではございません。私が聞き取り調査した方たちの実態も極めて深刻です。  灘区の国道四十三号線と国道二号線が合流する地域で食堂を営む根来さんという方がいらっしゃるのですが、この方は店舗つきのビルが倒壊いたしました。震災から四カ月後、災害復旧貸付制度で三年据え置きや五年据え置きなど合わせて二千万円借りております。簡易な店舗つき住宅をつくって営業を再開いたしました。ちょうどあそこは阪神高速の落下地点でございましたので、こういった道路工事が行われていた間はそれなりの客もあったのです。しかし、工事が終わりますと客は激減いたしました。事業収益は震災前の三分の一に減ってしまいました。根来さんは五時間も倒壊したビルの下敷きになってやっと救出されたため、いまだに後遺症として障害にさいなまれています。右目そのものは眼底出血、治療を受けていますけれども現在も失明中です。三分の一に減った収入の中で、食べて医療を受けることだけでも並大抵ではありません。まさに、営業ではなく生業にも苦しいありさまです。  こうした根来さんの実態を見ても、融資の据置期間と返済期間の延長措置が必要だと思うのです。先ほど大臣にもいろいろ延長措置の問題についてお伺いをいたしましたけれども、どのようにお考えでございましょうか。お答えをいただきとうございます。
  167. 寺坂信昭

    ○寺坂説明員 中小企業者の災害復旧貸し付けに関しましては、制度によりまして三年あるいは五年の据置期間ということで、特例措置を講じて経営支援を図っているところでございます。その期限が参りました以降の取り扱いにつきましては、被災中小企業者の状況、それからその融資制度の趣旨などを踏まえまして、適宜適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
  168. 藤木洋子

    ○藤木委員 確かに、そういう苦しい思いをしております被災者の営業再建というのは、本当に全般にわたって依然厳しい状況がございます。五万七千二百七件の被災業者が約七千三百四十億円にも上る融資を返済しなければならない時期にもう間もなく来るわけで、被災業者にとりましては、融資の据置期間と返済期間の延長措置ということにとどまらず、無利子あるいは低利の長期貸し付けがどうしても必要になってくると思います。  こうしたきめの細かい措置をぜひお考えをいただきたいと思うのですが、こうした状況もとで、被災者にとっては店舗、営業の再建への公的支援が強く求められていることを私は訴えたいと思います。大臣も、さきの所信で生活の自立再建を目指す被災者に対する支援に全力を挙げて取り組むというふうに表明しておられます。先ほど来共済の問題もいろいろ出ていました。私たちもこれは決して反対をしているわけではありません。一緒に手を携えてぜひ成功させたい、こう思っております。しかし、それだけでは足りない、それを待ってはいられない、こういった現状について、再度被災業者の営業再建に対する支援の御決意をお聞かせいただきたいと思います。  これは業者から頼まれてまいりました。大臣に言ってくれと言われてまいりました。よろしくお願いいたします。
  169. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 阪神、神戸の復旧から復興へ、まずは住宅をどうするか、あるいは医療、保健、子供たちの教育、そうした非常にきめ細かい、まずは生活支援をどうしていくかということが大きな課題でありますし、同時にまた、生業を営んでこられた方々にとっては、やはり事業を展開できるということが大変大事なことだと思っております。  今それぞれの立場から御発言もありましたけれども、ただ生きていく、生活ができるというだけではなくて、やはり御商売をやっていられた方々は御商売ができるように、そうした環境を整えることは当然大事なことだと思っております。これからも地元とよく連絡をとって、国のできる立場で支援を全面的にさせていただきたいと思っております。
  170. 藤木洋子

    ○藤木委員 御理解をいただいているというふうに感謝をして受けとめたいと思います。  我が党の不破哲三委員長は代表質問で、「被災者に対する公的支援に直ちに取り組むことは、今日の日本の政治の最優先の課題」というふうに述べたわけですけれども、震災二周年目を経まして、各マスコミの世論調査でも九割が、個人補償と呼ぼうと公的支援と呼ぼうとそういった国の支援に賛成をされる方たちがいらっしゃる。つまり国民的な合意にもなっております。これまで述べてまいりました被災地の実態から被災者の営業再建に対する支援を強く求めさせていただいて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  171. 川端達夫

    川端委員長 次に、桑原豊君。
  172. 桑原豊

    桑原委員 私は民主党の桑原でございます。  きょうばいろいろ重油関連の質問があったようでございますが、私も地元が石川県でございまして、海岸線が六百キロと大変長いところでございますが、その約半分ぐらいがべっとり重油で侵された、大変な被害を受けたわけでございまして、そのことに関連をして一、二お伺いをしたいと思います。  当初、自治体あるいは漁業関係者あるいは私どものところにいろいろお話しにおいでになる方々も、何としても災害として認定してほしい、ともかく災害対策基本法で言うところの災害として認めていただくように、こういうような議論が大変多かったわけでございます。私も、災害というふうに認められればそのことによって災害対策基本法で何らかの事故対応というものがあるだろう、こういうふうに考えておりまして、ともかく災害認定を、こういうようなことでかなり議論をした、あるいは陳情もした、そういう経緯がございます。  しかし、ふたをあけてみますと、そんな対応策が具体的に目に見えるものがある、こういうふうなことでは決してなかったわけですけれども災害対策基本法に規定する災害に一部は今でも該当する、まだ正式なところでそんな話はない、そんな議論もございまして、この災害に該当するのかどうかということについてまず最初にお伺いしたいと思います。
  173. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 災害対策基本法では災害の定義を置いておりまして、異常な自然現象による被害と大規模な事故による被害、これを両方災害というふうに位置づけております。
  174. 桑原豊

    桑原委員 そうしますと、この重油流出事故災害、そういうことでよろしいわけでございますか。
  175. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  176. 桑原豊

    桑原委員 それでは、その災害に該当するわけですが、そのことによって具体的に何かその事故のための有効な対策というものを災対法から導くことはできるのですか。
  177. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 災対法上の災害になりますと、地元の公共団体の長には、応急対策をする面で、例えば警戒区域の設定とかというようないろいろな権限が付与されてまいります。  ここで申し上げておきたいのは、災害対策基本法は一般法として広く災害対策の基本を定めたものでございますので、さらに災害の態様とか講ずべき対策等々に応じまして、個別に特別の法律がつくられております。例えば今回の海上の重油流出事故というものにつきましては、海洋汚染及び海上災害防止に関する法律というような法律が特別法でできております。
  178. 桑原豊

    桑原委員 そうしますと、災対法からは、一般法であるということでそういう対応策が具体的に出てこない、区域の設定とかそういう権限の問題はございますけれども。その議論に関連をして、災害として認められれば、例えば国がその災害を受けた自治体に対する財政手当て、そういうものの根拠になる、そんな議論も一部ございましたけれども、それも特にそういうことではないということなのでしょうか、どうなのでしょうか。
  179. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 災害によって被害を受けたものに対する財政支援とか、あるいは費用を負担した公共団体に対する国からの負担とか、そういうことについては、他の法律の定めるところによるというぐあいになっておりまして、例えば公共施設とか農林漁業施設とか、そういうものが災害で破壊されたときに、その負担割合を国が通常の負担割合よりも余分に負担するとか、そういうものは他の法律にゆだねられております。
  180. 桑原豊

    桑原委員 長官は所信表明の中で、災害対策に関する総合調整官庁として大いに役割を発揮したい、このようにおっしゃっておられたわけですけれども、そうしますと、国土庁としてこの今回の事故に対して果たしている役割といいますか、あるいは具体的に何らかの対応策といいますか、そういう面で何があるのか、既にあったのか、そこら辺をちょっとお願いします。
  181. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 委員御案内と思いますけれども事故に関しては、それぞれの担当の大臣、例えば今度のような事故に関しては運輸大臣、航空機の事故運輸大臣になると思います。それから炭鉱事故になると通産大臣というように、事故に関してはそれぞれの担当の大臣が災害対策本部長になって、関係の各大臣も各省庁が連絡を取り合って協力し合う、こういう体制になっております。  これまでも、自然災害などで一定規模の大きい災害というときには、これは調整官庁として国土庁長官本部長になって各省庁との連絡をとっていく、あるいは阪神淡路のときには、御案内のとおり災対法が改正になって、総理大臣が本部長になって緊急災害対策本部が設けられる、こういうことになっておるわけであります。  今度のこのナホトカ号重油流出事故につきましては、運輸大臣中心として、私どもは例えば現地国土庁の職員を派遣するとか、あるいは地震災害等にも備えておりますので、私ども国土庁現地のさまざまな映像が届く、そうした現地の画像などを官邸や関係機関の方々に速やかに提供する、そうしたことを私どももお手伝いをしてまいりましたし、また、今申し上げたような運輸大臣中心とした災害対策本部あるいは官房長官主宰の関係閣僚会議等々にも、国土庁としても全面的な協力をして対応してきたところでございます。
  182. 桑原豊

    桑原委員 当初の、災害として該当するのかどうかという議論も含めてそうなのですけれども、やはり災害という名がつけば、中心になるのはもう国土庁なのだ、こういうような物の考え方というのはごく自然だというふうに私は思うのです。そういう国民の一般的な理解からしますと、災害に該当するのに何で国土庁が前に出てきて役割を果たさないのかという、素朴な疑問も出てくると思うのです。  そういう意味では、一番事情に精通している所管の官庁がその種の近い事故に積極対応していく、あるいは法的にもそういうふうな対応策が前提になっているということですから、それはそれとして、今の体系の中ではそうあるべきだと私は思うのです。しかし、やはり災害の総合調整官庁である以上は、この種の災害についてはこういうことになるのだ、土石流の場合はこうだ、あるいは海の場合はこうだ、あるいは地震の場合はこうだと、災害別に、類型別にそういったマニュアルをやはり国土庁あたりがしつかりと持っている必要があるのではないか。そしてそのことを、むしろ我々の果たす役割はこういう役割なのだということを国民に明らかにしていく、そんなことが必要なのではないかと私は思うのです。  今回つくづく、災害になるかならないかでえらい議論をしたものですから、後で考えてみますと、何かその議論が極めてむだな時間をそのことのために費やしたような非常に苦い思いをいたしておりますので、総合官庁としてそういった災害の調整をしていくのなら、その種のわかりやすいものをぜひマニュアルとしてしっかり備えておくべきではないかな、こういうふうに思いますので、そのことについてちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  183. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 事故災害を数値的に画一的に判断することがなかなか難しいということがまず前提にございます。  しかし、今申し上げましたように、これまで数々の災害事故がありましたが、事故については、その担当の大臣が災害対策本部長になってこれまでも当たってきました。そして、自然災害である一定の規模を超えたときには国土庁が担当する、それは基本的にそういうマニュアルといいますか、ルールは決まっているわけでございます。  ただ、これを事故として扱うか、これをいわゆる自然災害災害として対応するか、あるいはどのぐらいの規模に対応してやるかということは、今申し上げたようになかなか数値で幾つまではどうするということが判断できないところがあるわけでございます。  いずれにしても、あらゆる状況があり得るという前提で、私たちは、その想定をしながら可能な限り対応していかなければならないと思っております。数々の予期しない災害があるわけでありますから、今後とも調整官庁として、国土庁としてはあらゆるマニュアルの研究もしていかなければならないと思っております。
  184. 桑原豊

    桑原委員 それでは、次の質問ですが、今回の重油事故、海上でその防除作業に当たるのは災害防止センターの業務だ、こういうことで、事故当初は、船主の委託を受けまして防止センターが海上の重油の防除に当たったわけでございます。これは海洋汚染及び海上災害防止法四十二条の三十六に定める二号業務としてそういう業務に防止センターが当たったわけでございます。しかし、一定の時点で、措置を講ずべき者がその措置を講じないと認められるときとか、または措置を講ずべきことを命ずるいとまがないと認められるときは、二号業務というのではなしに直接海上保安庁の指示によって防止センターが業務に当たる、こういう形になるわけでございまして、事故から約二週間後になるのでしょうか、一号業務ということが追加をされました。  そうなりますと、その処理に当たるすべての業務がいわゆる被害補償の対象になるというような前提が出てくるわけでございまして、そのことによって、被害をさらに食いとめていくという業務がかなりはかどった、こんなふうにお聞きをいたしております。そういう意味では、一号業務として業務指定をする海上保安庁の指示がもう少し早ければ、もっと早い段階で被害の拡大が阻止できたのではなしか、こういうような考え方もございます。  やはり最初の段階では、災害防止センターは、これをやれば保険の対象になるのかどうかということが不安でなかなか手がつけられなかったわけですけれども、一号業務に指定をされてからは、そういう心配なしにともかく全力でやる、こういうような積極的な対応ができるようになったということでもございますので、その時期をめぐって、もっと早くやれなかったかというような声もかなりあるわけでございます。その点についての経過、そしてその時期がどうだったのかということについて御見解を承りたいと思います。
  185. 坂場正保

    坂場説明員 まず経緯について御説明する前に、先生の御指摘の一号と二号の業務についてでございますが、二号につきましては、一月五日に海上災害防止センターが、海上に浮いている浮流油の除去等を中心に、船主からの委託を受けて私契約上の防除活動をするということで二号業務を発動したわけでございます。一号業務といいますのは海上保安庁が指示をしたわけですが、これは海上に浮いている油の除去ではございませんで、七日に三国沿岸に着底した船首部、これからの油の抜き取りについて海上保安庁が指示をしたということでございます。また、一号と二号で、油賠法に基づきまして保険会社、油濁基金に求償をしているわけですが、これについて扱いに差はないというふうに理解をしております。  まず、一号業務の指示した経緯でございますが、現地におきまして、地方自治体、保険会社のサーベイヤー、港湾局等専門家で構成されます技術検討委員会が取りまとめました船首部の具体的な油の抜き取り方策がございまして、それを早急に実施に移すために、一月十四日に災害対策本部の二回目の会合を開きまして、そこで関係省庁の了承を受け、直ちに海上保安庁長官が海上災害防止センターに対して一号業務の指示をした。  内容は、バージ船といいますか、船舶で海からの油の抜き取り作業。それから、例えばおおよそ波が一メートル以上になりますとパージ船からの作業はできないというようなことも想定されますので、日本海の荒天を想定しますとやはり安定した作業が必要だろうということで、仮設道路をつくりまして、そこからクレーン、ポンプで油を抜き取るというようなことを並行してやろうという案でございますが、そういったことを内容とした指示をしたということでございます。  それで、時期でございますが、船首部が三国町沿岸に着底したのは一月七日でございますけれども、相当波浪が強くございまして、船首部の動揺が激しく、大量に油が流れるという懸念がございました。このために早急に油の抜き取りを実施する必要があったわけですが、そのためには、船底を固定して抜き取るということがございまして、船体の調査、これは潜水調査をするわけですが、潜水調査の結果を踏まえる必要があるということ。それから、関係者による技術的な工法の検討が必要であること。それから、当然ながら地元の関係者、漁協等の了解を得ること等が不可欠でありまして、こういう急ぎの仕事といいますか、こういうことを船舶所有者に任せていたのではおおよそ間に合わないと判断しまして、海上保安庁長官が船首部の抜き取りについて指示をしたということでございます。
  186. 桑原豊

    桑原委員 時間もなくなりましたが、この一号業務というのは船首部の抜き取りが中心だ、こういうことなのですけれども、この事故が起きて船首部が漂って相当油が拡散していく、流れ出していく、そういう過程で、措置すべき責任者が、もうこのままではこの荒海の中で大変な事態に、大変被害が拡大をしていく、そういうふうに認めて、その段階で拡大を防ぐために一号業務を指示していくということはできないのですか。船首部が固定してそういう状態にならないと何かできないようなお話なのですけれども、そこら辺はどうなのですか。
  187. 坂場正保

    坂場説明員 一号業務発動の前提といたしまして、原因者と申しますか、船舶所有者が講ずべき措置を講じなかったという前提がございます。  それで、一月二日の事故発生以来七日までの気象でございますけれども、風速が十五メートルから三十メートル、波の高さでいいますと四メートルから六メートルということでございました。海上保安庁、それから船主が委託したサルベージ会社があるのですが、この両者が懸命になって船首部に曳航索を取りつけて沿岸に近づかないようにという努力を再三繰り返し、また曳航索が取りつけられたにもかかわらず、それが波の強さで切れてしまったとかそういったことを繰り返して、懸命の努力、最善の努力をしたわけでございますが、荒天のためなかなか作業がうまくいかずに結果として七日に着底したということでございます。  船主が講ずることができただろうということをしなかった、そもそもそういうことができるような状態になかったということでございますので、指示をするということの前提要件を欠くというふうに認識をしております。
  188. 桑原豊

    桑原委員 それでは、最後に一点だけ。  一昨年の末に例の油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画がつくられました。その中でかなり詳細に決められておりまして、訓練等を行うということで、常にそういったものを想定しながら訓練をすることが義務づけられているわけですけれども、現実にそういったことがどんなふうに行われているのか。  あるいは、今回の事故を見ますと、自治体であるとかあるいは付近の住民の皆さんも含めた訓練のようなものもかなり必要なのではないか、こんなふうに思うのですけれども、今後のそういう訓練の充実なども含めてどう考えておられるのか、ちょっとお聞きをして私の質問を終わります。
  189. 坂場正保

    坂場説明員 海上保安庁におきましては、いろいろな事故のケースを想定しまして、官民、これは自治体それから民間の油関係の会社も含んでおりますが、連携した実動訓練を積み重ねておりまして、八年度の実績では百回以上全国で訓練をしております。この訓練によりまして、防除活動の練度が高まりますし、また指揮命令系統というのも徹底されるということでございます。また、ふだんから防除資機材の整備に努めておりまして、これを防除訓練の場において有効に活用しているということでございます。今後とも、現実に戦力となり得るような体制の整備を進めるとともに、訓練も実施していきたいというふうに考えております。
  190. 川端達夫

    川端委員長 次に、北沢清功君。
  191. 北沢清功

    ○北沢委員 社民党の北沢でございますが、今、油の問題が出ましたから、ちょっと順序を繰り上げて海上保安庁に御質問いたしたいと思います。  一昨年の十二月に、いわゆる油の対策等相当細かな対策を含めて閣議決定がされたことは御承知のとおりでありますが、それを見て、実は各省庁にわたって非常に綿密な対応が示されております。今回の災害も、重油回収や、いろいろと作業を非常に精力的に続けていただいたわけですが、いざ事が起こってみると、例えばいわゆる荒天の日本海に出動できる回収船が清龍丸一隻で、しかも外洋では役に立たない、その他防除剤の散布がおくれるなど、不備があったことが私は非常に明白だと思います。  私は今、皆さん新聞を見られていればいいが、だれもこのことを指摘しないのは、事故直後に洋上でいわゆる油の除去剤というものをまくか、まかぬか、これは沿岸には公害があるということで、そういう論議からそういう対応がないために、もう油が固まってしまって、結局沿岸に漂着をしてひしゃくやバケツで取る。  イギリスの北海油田の例を見ると、飛行機で行って油の周辺にフェンスをしまして、それで中和剤でちゃんとやっているのですね。ですから、無公害のいわゆる中和剤、除去剤というものができていることを見ても、そういう面で今回は忘れているけれども、今皆さん新聞よく見てもらえばわかりますが、寒さのために二、三日たったら非常に固まってもう何にもならぬ、そういう状態だということは、やはり日本は海洋国でありますから、せっかくそういう面での油公害に対するあらゆる事態を想定してのマニュアルをつくっていたけれども手が出なんだということ、それだから閣議決定は神棚の上に祭り上げたのじゃないかという表現も実はございます。  そういう意味で、これからは、そういうマニュアルを中心としたり、地震災害と同じような油災害に対する総合訓練というものをすれば、そこで欠陥がはっきりわかるわけですからね。だから、そういう面での備えを考えていたかどうかということについて、まず海上保安庁にお尋ねをしたいと思います。
  192. 坂場正保

    坂場説明員 海上保安庁におきましては、国家緊急時計画、それからそれを受けて作成されました排出油防除計画に基づきまして訓練を実施しております。これは、広域的な訓練を実施しておりますが、八年度の実績で百回以上、百四回でございます。全国で、海上保安庁それから民間の石油会社等、それから自治体、連携しながらやっております。  ただ、この防除計画に基づきます訓練も、防除計画は一定の想定を置いた計画でございますが、港内とか港の周辺海域におきます衝突とか座礁事故を想定しておりまして、また気象、海象状況というのも年間を平均したようなものを想定しておりまして、これに基づきましての訓練も、今回の事故のような外洋における大しけの状態での事故を想定したような訓練というのは、今まで実施していなかったところでございます。今後につきましてはあらゆる角度から検討していくことになっておりますが、その一環として訓練についても検討していきたいとは思っております。  ただ、先ほどの油処理剤の話がございましたけれども、油の処理剤をまくというのも、今回の場合でいいますと、当初、事故直後は風速が十五メートルから三十メートルとか、波の高さが四メートルから六メートル、これはなかなかこういう状況で処理剤をまくというのも困難でございますし、また処理剤の散布の有効性という面から見ても、そういう状況においては疑問があるというふうに考えております。海上保安庁は、一たんなぎに、なぎではないのですが、少し荒天がおさまった一月五日から油の処理剤を散布しているということでございます。
  193. 北沢清功

    ○北沢委員 閣議決定はあったけれども、やはり日本の油公害に対しては、非常に太平洋側というか、コンビナートであるとかまたは港湾というものを中心考えておられたという意味で、今回の荒天下の日本海という面でのいわゆる危機管理というものを考えておられなかったということの一つの証左であろうと私は思います。訓練をすれば欠陥がわかるのです。だから、訓練を含めて荒天下におけるということを想定して、それぞれ今後の対応をされるように特に要請をしておきたいと思います。  私は、実は、阪神大震災もそうですし、今度の災害もそうですし、これから三つのことを質問したいと思いますが、土砂流も含めて、大体二度ぐらい、しかも一番早く行っていますね。中間にも行っていますから、いろいろと具体的にその欠陥というものが実は私なりにわかるわけですから、そんな体験を踏まえて御質問をしたいと思います。  その前に、地震の問題でございますが、去る十七日に、地震予知連絡会の会長さんが記者会見で東海地震に関連して御発言をされたことは新聞紙上で御承知だと思います。これはある面では、日本の地震構造の中で停滞が進むという意味での、東海地震の現況というものの中で大変な私は一つの注目点だと思います。それらを含めて、どういう御発言なりそういうものがされたか、内容について実は教えていただきたいと思っております。
  194. 吉田明夫

    吉田説明員 ただいまの御質問に関しまして御説明いたします。  東海地域につきましては、長期的に見ますと、掛川−御前崎間の水準測量結果によりまして、御前崎の沈降が継続しているという観測結果が得られています。ということで、地殻のひずみが続いているというふうに考えております。  先日の地震予知連絡会で話題になった件ですけれども国土地理院のデータに関しましては、今申し上げましたとおり引き続いて沈降が観測されている、ただ、時期によっては御前崎の沈降が一たん停滞したり、あるいはまた進行したりという様子が認められていることも確かで、そういった現象は長期的に見ますと揺らぎの範囲であるというふうに考えています。
  195. 北沢清功

    ○北沢委員 先ほど渡辺委員から御質問がありまして、地震予知についての地元としての切実な願いを実は訴えておられまして、やはりそういう意味では地震予知というものは非常に重要なわけであります。ことしも一千メートルぐらいの穴というか、そういうものをあれして新たな観測をするということが既に完成間近であるわけですが、やはりそこら辺も含めて予算を投入して観測を、予知というものや何かを図っていかなければいけないと思います。  特に、私の勘といってはおかしいけれども、最近非常に日本の各地で地震が出ておりまして、きのうも実は出ております。これは、要するに気象庁の機器というものが発達をして非常に精密にわかるという意味でそういうのが感ぜられて、我々にテレビ等の速報を通じて来るのか、または我が国の地震が活動期に入っているのかどうかということ、その点についてはやはりお尋ねしておかなければいけないと思います。
  196. 吉田明夫

    吉田説明員 東海地域につきましては、大規模地震対策特別措置法に基づきまして、地殻岩石ひずみ観測システムあるいは海底地震常時監視システム等を整備してきたところですけれども、そのほか関係機関協力を得まして、現在百八十六項目観測データを気象庁で収集して、常時監視体制をとっています。また、次年度の平成九年度には、地震予知の確度の一層の向上のために岩石ひずみ観測システムの強化を行う計画でいます。  先ほどの御質問の中にも、昨日も地震発生して、現在日本列島は地震の活動期に入っているのではないかということも言われているという御指摘がございました。確かに、兵庫県南部地震が起きまして、関西地域でいわゆるプレートの沈み込みに伴う巨大地震、南海道地震が近畿・四国地方では発生するわけですけれども、その前の段階に入りますと内陸で地震活動が活発化する、そういった学説もございますし、また過去の歴史の資料に基づきましてそういったことも指摘されている研究者がいらっしゃることは知っています。  ただ、気象庁としましてはといいますか、現在の地震学のレベルでは、そういう内陸で発生する地震について、直前というか短期的な予知をするということは非常に難しいと考えられているというふうに思います。
  197. 北沢清功

    ○北沢委員 やはり観測が長い期間において精密でなくて、最近特に精密になったということですから、一概に活動期かどうかということは言われないと思います。地震が最近非常に、テレビで毎日ぐらいどこどこだ、どこどこだと出ますから、ある面では活動期に入っているのではないかというふうに私は思うわけで、そういう意味でも、非常に地震対策というものが、我々の身の回りに現実の問題として関心が持たれるということになると思います。  それでは、国土庁にお尋ねをしたいと思います。  災害が起こった場合の対応をお尋ねしますが、例えば国土庁長官本部長となるような災害というものはどういった場合で、それから権限、本部長としての役割はどのようなものであるか。これは先ほどの質問の中でたまたま、大地震については首相、それから各質問にありましたように、省庁の中で、運輸省にかかわるものもあるわけですが、いわゆる国土庁長官としての役割、それから権限というものと規模といいますか、そういうものについて御返答いただきたいと思います。
  198. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 先ほどとも少し内容が重複するかと思いますけれども自然災害の場合に、ある一定の規模こなったときこま、災害対策基本法の法律によって、国土庁本部長になる非常災害対策本部というものが設けられるわけでございます。それは先ほど申し上げましたように、数値でどうだとか、画一的にどういう場合にはどうだと割り切って申し上げることはできないわけですけれども、しかし、社会、一般常識的に、これは非常災害として災害対策本部を設けるべきだ、そういう判断をそのときにしていくわけであります。  災害対策本部になりますと、例えば、地方公共団体に対しては指示権がある。地域の消防団であるとか消防署関係、そういう関係にも連絡をとりながら現地の対応をしていく。非常災害対策本部長としての役割は、そのときにはそういう大きな、地方自治体との連絡の中で指示権もできるということであります。また、当然のことでありますけれども、関係の各省庁との連絡をしながら、調整機能としての国土庁の役割を果たすということだと思います。
  199. 北沢清功

    ○北沢委員 私は、災害というものは迅速かつ組織的に対応するということが非常に重要なことでありまして、そういう面ではやはり国土庁長官としての権限をもっと大きくしてというか、強くしてもいいのではないかというふうに、実は感じとして持っています。これは首相に言うことなんですが、そういう面も含めて頑張っていただきたいと思っています。  それで、私は阪神大震災の五日後に行ったのですが、いかに初期初動対策というものが大事かということを本当に現場で感じました。  その後の対応では、例えば情報とかそういうものは、何かこうヘリコプターやテレビや、それが東京へつながるとか、いろいろそういうことで改善をされておるわけですが、いわゆる現場ですね。あのときは瞬間にして、いわゆるライフラインは全部破壊されたわけです。全く数秒で破壊されたわけですね、電話も含めて、電気も。だから、そういう中で情報を収集することもできなかったり、そういうことが後で批判をされる危機管理ということにつながったわけだと思います。または自衛隊出動が遅かったとか早かったとか、そういうことにもつながつたと思いますね。  これは私、行ってみて感じたことですが、市長が市庁舎に行く、指揮者ですね、その人がやはり四時間もかかっているのです。それから市の職員は、うちから出てどこへ行ったらいいかということがわからない。それから消防車は、本当に道がふさがる中を一生懸命、消防活動をしていますね。そういうことや、一番頼りになる身近な中での対応というものがほとんど混乱の中で、しかも大きな災害を実は招いたのではないかと私は思っております。そういう意味で、初期初動をどこで扱うかということなんですね。  問題は、国土庁は企画と指導でありますから、末端に足がありませんね。だから、地方自治体に任せるのか、警察に任せるのか。あのときは、警察の最先端の指令のものも全部破壊されてしまった。だからそういう意味で、近代的な無線とか電気によらない、テレビによらないようなものももちろんですが、そういうことを想定しての対策をどこがやるかということですね。  私は、時間がないものですから、初めに言っちゃうような形で申しわけございませんが、国土庁は残念にも末端の現場に足がない。それから自治体は、そういうことでどこへ行って仕事するかわからない、それはマニュアルをつくれば別ですが。消防署は、もう当然消防団があるわけですね。  だから、そういう中で情勢を把握したり住民とのかかわりや交通の整理をするということになると、私はずっと現場を見て歩いてわかったことがあるんですね。何といっても駐在なんですよ、駐在所というのは都市のどんなところに行ってもありますから。奥さんも業務に入れる。それから、その周辺には安全協会だとか、これは女性の安全協会の会もあるんですよ。防犯協会もありますね。企業の防犯協会もあるんですね。その他、地域の実情は一番熟知していかなければならない立場ですから、そこに初期の瞬間的な対応やそういうものをすれば非常に有効に作用するんではないかということが私の見た範囲での結論ですね。  ですから、これは正しくないかどうかは批判はあるとしても、瞬間の初期初動というもの、そういうものがやはり確立されない限り、その中間のいろいろな危機管理というものをつくっても、これは有効に、実質的に住民の救難をすることができない、災害を把握することができない、そういうふうに私は思っております。  これについて、ひとつ長官の御感想なり、どなたでも結構ですが、いただきたいと思います。
  200. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 一たん地震などが起こった場合の情報連絡とか初動体制とか、そういう点についてでございますけれども阪神淡路教訓を得まして、その後体制の整備を行ってきております。  まず一つは、防災基本計画改定いたしまして、それに基づいて公共団体におきまして地域防災計画を事細かに修正をしていただいております。そこに初動体制のことは書かれておるわけでございまして、それにのっとって今後やられることになります。  それで、情報収集のところについて二、三触れておきたいのでございますけれども地震発生した場合には、気象庁が観測地点から自動的にオンラインで情報をキャッチするわけでありますが、気象庁からまた即時に国土庁の方に御連絡があります。そして、国土庁はそれを官邸を初めと して関係省庁に御連絡をする、それは祝日、休日、夜間を問わずそのような体制をとっております。  また、現地から電話等々が通じないという場合もございます。そういう場合には、国土庁では、コンピューターによりまして、どの程度の被害が出ておるのか、人的被害、建物の倒壊、どの程度出ておるのか、これをコンピューターではじき出す、推定するというようなシステムを開発して運用をしております。これは、全国至るところで起きた地震について適用になるわけでございます。  また、現地被害情報を警察なりあるいは消防、自衛隊なりそういうところがヘリコプターでテレビ画像におさめたものは、これは即刻リアルタイムで国土庁の方にお伝えいただいて、また関係省庁に流していく、こういうことに今なっておるわけでございます。  また、現地の交通規制、救助、そういう活動が円滑にいくように法律も改正させていただきまして、緊急車両の通行確保のための警察官への権限付与とか、そういうところが強化をされております。  それで、先生おっしゃった消防署それから警察署、これはもう初動期において一番活躍する組織でございまして、そこから情報もいただいておりますし、現地で実動をされる、それは全くそのとおりでございます。
  201. 北沢清功

    ○北沢委員 今お聞きしたいわゆる情報とか中間的なことは、この間の災害の反省の中から、この間は気象庁も破壊されている、そういうようなんですよ、この間のときは。それは神戸ですか。そういう意味で、やはりそのことはもう改善されたと私は思っています。  ただ、初期初動の問題の中で、地域住民と一体となってそういう対策や誘導をしたり、いろいろ含めて、確かに法律は改正されましたが、そういうことを実際にやる人なんですよ、問題は。初期初動をやる人が、国土庁が、皆さん各町内に足を持っていますか。どうですか。そういうことを見ても、駐在というのはもう自分の守備範囲が決まっているんです。その中でいつも歩いて、住民の戸籍調べもしたり、いろいろしているんです。それから防犯協会とか交通安全協会があるんですね。  そういう面で、やはり私、皆さんにお聞きしたいのは、災害に遭って真っ先に仕事をやったのは何かということを皆さん知っていますか。私が歩いた中で、本当に煙の立つ中でそういうことを感じたことは、パーマ屋さんなんですよ。これは、パーマ屋さんは水がないから水のない洗髪をやっているんですね。まだ市場に回ってこないから食物は来ない。理髪屋さんもくるくると回ってやっていますね。だから、これは人間のひとつのおしゃれというか身だしなみというか、私はそういう面でわかるんです。  ですから、そういう面でもっと突っ込んで、形式的にテレビで管理だとかすることも大事かもしれぬが、やはり問題は、現場でどうするかということが大事なんですよ。私も実は自治省で質問したら、そこでは、いや、臨時の退職した警察官を雇ってもちゃんとその対応ができます。奥さんもやっているんですね。それから、結構非番の人が集まったら相当なことができますね。だから、そういう意味で、やはり一元化をしてこないと、みんなばらばらにやっていたんじゃこれはだめですよ。そういうものなんです。だから、そういうことを私は特にぜひ検討していただきたいと思っています。  それで、もう一つ感じたことは、レスキュー部隊といいますか、オレンジ色の服を着た皆さんの活動が非常に効果を上げて、人命救助に役立ったわけですね。これは緊急消防援助隊というものが整備をされたと思いますが、それが現在どのような概要であるか、また、出動状況についてもお答えをいただきたいと思います。
  202. 小濱本一

    ○小濱説明員 緊急消防援助隊の概要、それから出動状況の件でございますが、緊急消防援助隊につきましては、阪神淡路大震災教訓を踏まえまして、国内で発生した大規模災害時等に人命救助活動等をより迅速かつ効果的に行えるように組織した全国の消防機関相互による応援体制でございます。平成七年の九月に部隊編成が終了しております。  部隊の編成につきましては、情報の収集、それから指揮支援を行います指揮支援部隊、それから人命の救助活動等を行います救助部隊、救急部隊、それから消火活動を行います消火部隊、さらには緊急消防援助隊の活動に関して必要な補給活動等を行う後方支援部隊から成っておりまして、総計で、全国で七百三消防本部、隊といたしまして千二百六十七隊で構成されております。  出動の状況でございますけれども、昨年の十二月の蒲原沢土石流災害における出動が、制度発足後初めてのものとなったところでございます。蒲原沢土石流災害の際には、東京消防庁と名古屋市の消防局が電磁波探査装置などの高度な資機材を携行いたしまして、緊急消防援助隊として出動しまして、延べ三百八十二名が現地で活動を行ったところでございます。
  203. 北沢清功

    ○北沢委員 もう時間がございませんので、実は建設省、労働省の方がお見えになっていると思いますが、一言だけ言わせていただくと、これは先ほど坂上委員からもお話がございました。やはり縦割り行政の、一つの沢を囲んでのばらばらな対応です。労働基準局は指導はよくやっているんですよ、私率直に認めます。いわゆる縦割り行政の弊害というものは、あそこへ来て対応ができなかったということの遅さと、孫請に対する発注主体の責任を元請が持っていますから、孫請になってくると余り通じないんですね。そういうことで、周辺の地元の業者は仕事を休んだにもかかわらず、やった結果、やはりああいう災害が起きた。そして、その後にされたものはサイレンだとかセンサーをつけるということですね。  だから、そういう意味で、一言だけで結構ですが、ああいう事故を踏まえて今後どのように改善をする目途があるかということについて、建設省から御答弁をいただきたいと思います。
  204. 池谷浩

    池谷説明員 ただいまの御質問にお答えしたいと思います。  事実の方から申していきますと、工事の実施に当たりましては、例えば建設省の仕事の場合は、林野庁事前に連絡調整会議等で連携して調整をいたしておるところでございますし、工事中につきましても幾つかの事例で、これから申しますが、労働省、林野庁そして長野県と安全対策については連携をとってやってきているところでございます。例えば湯原・塩坂・蒲原沢地区災害関連工事等の打ち合わせ会議、また、長野県北部梅雨前線豪雨災害復旧関連工事の大北地区の安全対策会議等でございますが、こういうことをやっております。  ただ、現在この土石流につきましては、御承知のように、砂防学会土石流発生原因等の究明に当たっているところでございますので、この調査の結果を踏まえながら、引き続き関係機関との横の連絡をしっかり図って安全対策に努めてまいりたい、このように考えております。
  205. 北沢清功

    ○北沢委員 それはそれで建前ですから、よく頑張ってもらいたいと思いますが、私のいろいろ見る限りでは、まだまだ一つの沢における縦割りの連絡というものが、たまたま来るのは、やはり元請の人がちょっと来てあれするとか、あと電話でとか、そういう意味での注意ですから、もっとああいう状況というのはよく把握をしたり、将来は、そういうものに対しては、後でやったようなサイレンだとかセンサーだとか、そういうことまで含めて、北海道のトンネル事故も含めてなんですが、そういう人命には気を使った対応をさらに一層進めていただくように要請をして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  206. 川端達夫

    川端委員長 次に、小坂憲次君。
  207. 小坂憲次

    ○小坂委員 太陽党の小坂憲次でございます。  きょうは、大臣所信に対する質問ということでございます。私、四点通告をいたしております。  災害発生時の無線連絡体制の整備について、それからロシア船籍タンカー・ナホトカ号重油流出事故補償問題について、それから非常災害発生時の地方自治体から政府への連絡窓口の一本化について、そして消防防災飛行艇の導入についてと四点申し上げましたが、今までの委員のお話もいろいろ聞きまして、その中で、まず、非常災害発生時の地方自治体から政府への連絡窓口の一本化についてちょっと質問を始めさせていただきたいと思っております。  先ほど国土庁長官は、災害発生して、それから非常災害対策本部を設置する場合には、それぞれの災害の態様等を踏まえて担当大臣がその任に当たっていく、こういうお話もございました。それは今のシステムなんであります。私もそれは今の形としてあることは承知しておりますが、大臣にひとつお伺いしたいというか、大臣の御意見を、率直なところを伺いたいと思っているのは、私ども災害に遭ったときは、気も動転して、すべてふだんわかっていたことでも忘れてしまうんですね。  そういう中で、例えばいろんな例を挙げてみましょう。一つは、思いついた例ですから適切かどうかわかりませんが、コンビナートに引き込み線があって、そこに貨車が突っ込んできて火災を起こした。そして、それがコンビナートのタンクに類焼していく、延焼していく。これは運輸省なのか通産省なのかというような例とか。例えば、この間も予算委員会でちょっと申し上げたのは、タンカーが海の上で二つに割れたら重油が出てきた、それで、この重油を除去するために運輸省が窓口になってやった。海辺にあった貯蔵タンクが亀裂を起こして海に重油が流れ込んだ。同じ重油処理をしなければいけないんだけれども、片っ方は担当は運輸省で、片っ方は通産省である。それで出動するのは海上保安庁である。運輸省ですから片っ方の方はわかりますが。そういうふうに、災害の態様といっても、迷う場合が多いんですね。いろいろ迷ったような場合に、それじゃ何を基準に決めるかということを一生懸命考えているだけで時間がたってしまう。  過去において、大島三原山が災害を起こしたときに、本部の名前を大島噴火災害というふうにするか三原山噴火災害とするかで、議論をしているだけで数時間たってしまったという、これは本当かどうかよくわかりません、そういう例があったということがある防災の本に書いてございました。  まず初期動作を素早くして、そして被害を最小限にとどめて、災害に直接アタックをしていくには、やはり迅速な行動を起こしやすいように、単純な思考経路で物事が決められるようにしておくことが災害の要請だと思っているんですよ。  大臣にお伺いしたいのですが、これは別に皮肉な意味じゃなくて、単純におっしゃっていただいて結構です。災害が起こった場合に、対処すべき防災計画や何かすべてを総合的に考えていかなければいけないのは国土庁長官だと私は思うのですが、それでよろしいんでしょうね。  それから、それにあわせて、大臣としてそういう任に当たられるとしたら、自分はどういう気持ちでそれをやっていきたいか、そういうお気持ちだけお聞かせください。
  208. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 初動体制が災害でも事故でも大事なことは、痛切に感じているわけであります。  今委員指摘のように、だれが責任者になってやるかというのが大変大事なことだと思います。これまでの私ども経験の中からいえば、そしてまた、そうした対応を今日までやってきたわけでありますが、事故に関してはそれぞれの担当の役所、そしてその大臣が災害対策本部長になってやる。自然災害の場合で一定規模になれば、それは非常災害対策本部を設けて、私ども国土庁が調整官庁でありますから、本部長になってやる。そしてそのときには、当然のことでありますが、関係各省庁、時には関係の閣僚会議、そうしたものを持って、国が持っているあらゆる機能そして情報というものを集めて、そこで決断をしてやっていくわけであります。  いずれにしても、責任体制だけは明確にしておかなければならないと思っております。
  209. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 災害発生した場合に、その種類に応じて適切な対応をとらなければいかぬ、まことにそのとおりでございまして、今防災基本計画には、自然災害については地震それから風水害、火山災害、このような典型的な自然災害に分けて、おのおの地震発生したときにはこう、あるいは風水害が発生したときはこうというふうに分けて書かれております。それで、各時間的な経過、発生直後、それから応急措置、復旧措置、復興というふうに、各時点でだれが何をすればいいのか、このようなことが記載されております。
  210. 小坂憲次

    ○小坂委員 それで、私は、今の我が国の危機管理体制並びに災害に対する対応の体制には大分不備があると思っています。それはみんな認めていると思うのです。それをお互いに協力してよくしていこうということで、こういう委員会を開きながら経験則を積み重ねているわけですね。ところが、なかなかその経験則が積み上がっていかないことに私はいら立ちを覚えるのであります。毎回同じ反省を繰り返して、そして何年かたつと担当者がみんなかわってしまうのですよ。  きょう、許可をいただいて皆さんのところに資料を配付しまして、消防飛行艇の資料をお渡しいたしました。これも、二年ちょっと前に私はこの委員会でいろいろお話をしたんです。ところが、二年たってみますと、当時の委員はほとんどいらっしゃいませんで、また政府委員の方も大分かわられてしまって、実際のそういう説明を聞いた人がいなくなってしまった。もう一回最初からやった方がいいかなと思いまして、資料として御提示を申し上げ、後ほどお話をさせていただこうと思います。さほどに、なかなか災害対策というのは積み上がって進んでいかない。  それで、単純な例をもう一つ申し上げます。  海辺の小さな町の海岸に津波が押し寄せまして、そして住民に被害が出て、海に持っていかれた人たちもいる。そこの町長さんなり助役さんなりがまずどこかへ電話しようと思ったんだけれども、どこに電話したらいいだろう。自衛隊にも来てもらったり、海上保安庁も頼まなければいけないのだろうし、消防署も警察も頼まなければいかぬだろう。助けてくれと電話で叫びたいわけですが、こう思ったときに何番を回すか。まあ恐らく二九番か一一〇番でしょう。それで二九番を回して、自衛隊に来てもらってください、こう叫んでも、本当にちゃんと対応してくれるかどうか、これはちょっと私不安なんですね。こんなことを聞いていいですか。消防庁、ちょっとお願いします。
  211. 山口勝己

    ○山口説明員 お尋ねの、大規模災害発生した場合、緊急時でございますが、都道府県知事からの要請のほか、自衛隊の自主派遣の方法もございますので、その場合には関係機関との間で必要な情報提供や連絡に努めてまいりたいと存じます。
  212. 小坂憲次

    ○小坂委員 今まさに恐れていた回答が来たんですよね。これだけは言ってほしくなかった。関係先にその旨を連絡すると思いますと多分言ってくれると思ったのですが、恐れていた回答を言われてしまったのです。一一九番にかけた電話の向こうで、自衛隊の派遣に関しては都道府県知事の要請に基づいて災害派遣をするようになっておりますからそちらの方面へ電話をしてくださいと言われてしまったら、その町長さんなり助役さんは戸惑ってしまうでしょうね。おれは今津波で周りが全部洗われて、その中で電話して頼んでいるんだけれども、そんな回答をされたら困る。  すなわち、日本の防災体制を進化させる一つの方法は、単一の国の総合防災センターに電話が入るような、例えば二一番としましょうか、二一と回したらそのセンターに行って、津波災害で困っております、助けてくださいと言えば、どこどこ町ですか、わかりましたと言ってそのセンターはレーダーも見、いろいろなテレビも見て、そして必要なところ、関係先へ全部連絡をしてくれる、自衛隊にも警察にも消防にも海上保安庁にも。そして、すべての総合力がそこに集結されて災害対策にすぐ出動する、これが理想的な姿でしょう。  阪神淡路のときの基本法の改定のときにもこのことを指摘しましたものですから、官邸の情報機能の強化ということで官邸内に内閣情報集約センター、現在はそういうセンターができまして、四名が五交代で都合二十名張りついて二十四時間体制で頑張ってくれているわけです。これで情報収集体制はすごく整った。だから総理大臣は、初めてのことで、何しろ早朝でということは今後はない。ところが今度は、そこから情報発信をして、その災害にどう対応しろという指示が的確に出るかという点になると、多分まだ十分にシミュレーションもマニュアルも整備され切っていないと思う、これからだと思う。  そういう意味で、国あるいは内閣に総合防災センターというものをつくって、そこが一括して情報を管理する。あらゆる災害が起こったらそこへ電話をする。そうすると、運輸災害であろうと事故災害であろうと、どんな災害であろうと、そこがそれに的確に対応する。恐らくそこには、それまでのいろいろな経験を踏まえて、地震担当相をやった人とか、あるいは国土庁長官として大きな災害のときに非常対策本部長をやった人とか、そういう経験者もいたり、あるいは、そのときの各省の経験のある人が張りつくようなことになって、プロがそこに常駐する、こういう体制をぜひとも将来に向かって整備していただきたい。それの音頭をとれる人はだれかといえば、これは国土庁長官しかいないんだと私は思っているのです。  これを質問取りのときに各省に聞いてみました。総合防災対策室というのはだれに聞いたらいいんだと言ったら、そこにいらっしゃった国土庁の人は、いや、うちは必ずしもそれの担当ではございません、こういう話もあった。そうかといって、消防庁とか警察庁とか、全部に聞いているわけにいかぬ。だから、だれかやはり同じ悩みを共有してくれる人が欲しいなと。長官、印象はどうでしょうか。
  213. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 研究してみます。
  214. 小坂憲次

    ○小坂委員 ありがとうございます。ぜひとも同じ気持ちで勉強していただいて、災害対策基本法はまだまだ強化をしなければいけない部分が多いのです。それをともにやっていただきたいと思っております。  そういう意味で、そのセンターができなくてもすぐできること、それは、例えば各市町村に内閣の防災室の電話番号を全部通知して、非常災害あるいは緊急災害と思われる災害発生したときにはここへ直接電話しなさい、こういうふうに市町村に通知することも一つかと思います。これも御検討いただきたいと思います。  さて、消防防災飛行艇というふうに私は申し上げました。単純な飛行艇なんでありますが、消防飛行艇と同時に防災にも活用できるように、広範な目的を持った飛行艇を保有すべきではないかという一つの提案でございます。  昨日も質問取りの方にお話をしていたときに、いや、ヘリコプターか何かで三十トンぐらいの水を運べるのがあるんじゃないですかと、こういう話が出ました。あえて反論はしませんでしたけれども、今自衛隊、海上保安庁等が保有しているヘリコプターのつり下げ能力、それから、保有している取水パケットの大きさ等からすると大体〇・六トンから〇・八トン、多くて一・七、八トンだと思います。それしか運べないのですね、ヘリコプターでつり上げて運んでいくには。そして、飛行艇で運ぶ、取水して散布する、そのおなかに抱えられる水の量は大体六・五トンから八トン、一気に十五秒ぐらいで入ってしまいます。多いのでも三十秒ぐらいあればおなかいっぱいにして、それを空中から散布することができる。  それで、例えば今回のナホトカ号でも、化学中和剤をまく、こういう際にも、ヘリコプターであれば強風時では出動困難であります。しかし、強風であっても、飛行困難なレベルは飛行艇の方が抵抗力は大きいのですね。ですから、ヘリコプターよりは出やすい。そういう中で間隙を縫って、なぎにならなくても少し風のおさまったときを見て中和剤を散布することも可能になるのではないか。  それから山林火災。都市火災には無効だという結論を消防庁で一回出されました。余り効果がない、要するに、効果がないけれども、いきなり断っては悪いから今後とも研究を続ける、こういう形になったわけです。しかし、これとても、やはり先ほど申し上げたコンビナートの火災を初めとして市街地のタンク火災とか、消火できなくても延焼を食いとめる、あるいは延焼をおくらせる、人命救助をするための時間稼ぎのためにおくらせる、それだけでも効果がある。そういうことも踏まえて、こういう装備を持つか持たないかは大きな違いであります。  資料に書いてありますけれども、二十年前に検討しました、十数億かけて自衛隊のPS1を改造して、そしてたび重なる実験をして資料も集めました。最終的に持つかどうか、そして、この改修した機材をそのままどこか消防庁が保有するか、ところが消防庁は残念ながらメンテナンスに金がかかり過ぎて受けられない。海上保安庁はどうだ、海上保安庁も予算的には無理だ。では自衛隊に持ってもらおうか、防衛費切り詰めの中でそういう防衛目的以外のものを保有しておくことは難しい。そういうような観点から、残念ながらこれ以来その研究はとまっております。  ですから、こういったように、我々は国でやらなきゃいけないことはまだまだたくさんあると思っております。きょうは演説会ではないですからこの辺にしまして、ちょっと御意見を聞きたいと思いますが、よろしくお願いします。
  215. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 私も技術的なことを必ずしも承知をしておりませんが、委員の大変貴重な御提言でありますので、関係の機関からもよく意見を聞き、また調査をして、そしてそれももちろん国の財政のこともありますけれども、貴重な人々の命や財産を守るためであれば、それが効果があるということになれば、ぜひ検討を前向きにさせていただきたいと思います。
  216. 小坂憲次

    ○小坂委員 ありがとうございます。  私は伊藤大臣には期待をいたしておりまして、非常に柔軟な思考の方でありますので、ぜひとも今の私の意見も取り入れていただいて、自分が長官のうちにそういうものに少しでも道をつけてみたい、こういう気持ちになっていただくことをお願いしたいと思っております。  さて、今回のナホトカ号事故の方へ行きます。  この賠償問題なんですけれども、油濁損害賠償保障法という法律がございます。この二十二条に、国際基金に対して求償するための申請をしなきゃいけないのですね。これは損害賠償でありますから、損害額が確定しないと基本的にはできないわけですね。  損害額の確定は、それじゃいつになるのか。今漁民の皆さんも、あるいは観光関係者も、あるいは地域の住民、あるいは自治体、それぞれ自分たちがこうむつた被害を一体いつ賠償してもらえるんだろうか、一体幾ら来るんだろう、こういう気持ちで毎日眠れないと思います。この損害賠償はいつごろその金額が確定するんでしょうか。
  217. 櫻井謙一

    ○櫻井説明員 今回の重油流出事故による漁業被害については、これまでのところ関係府県より、油が漂着した地域において岩ノリ、アワビ、サザエなどを対象とします採海藻漁業に被害が生じているほか、また底びき網漁業などの漁船漁業において操業海域の制約を受けておりましたこと、また一部の定置網漁業におきまして、油を避けるための網上げが行われたことなどが報告されております。また、油処理のために休漁が生じておりましたことや、操業を再開する漁船にあっても、油を落とすための漁船の洗浄作業に日数を要したことなどの報告は受けております。  また、春以降本格化する漁業種類、これは定置網漁業とか採海藻漁業、こういうものがございま す。こういったことから、現段階では漁業被害状況の全容はまだ把握できておりません。  また、全体の被害についても現段階では把握できておりませんが、ここら辺につきましてはできるだけ早い段階で把握できるように、関係各省庁と連携しながら、また各府県などを通じまして実態把握に努めてまいりますところでございます。
  218. 小坂憲次

    ○小坂委員 予算委員会、そしてきょうも朝から何回同じような言葉を聞いたでしょうか。漁民の人も恐らく同じようなことでいらいらしていると思うんですね。我々が知りたいのは、いつごろになったらお金がもらえるんだろうかということなんですね。やはりそれは役所の答弁でなくて、今現在鋭意収集中でありますが、恐らく半年かかる、あるいは一年かかるかもしれません、しかし最大限三年以内には何とかしたいと思います、何かそんな回答を期待したいのですね。しかし、三年で済めば早いんじゃないでしょうか。私が一番懸念をしているのは、その災害算定の確定までにどんどん時間がたってしまって、六年、七年あるいは十年とかかってしまうんではないかという心配であります。  それはどういうことかといいますと、時効三年として、あるいは五年の時効もあるでしょうけれども、まず現状の被害を全部算定し終わるころに、まだ千五百メートルの海底に沈んでいる船尾部分の一万一千トンの重油が次第に漏れ出していて、それがどうも、二、三年で外壁が破壊するかもしれぬ、こういうようなことも今言われております。もう一応これでおしまいだと思ったところが、それが破裂して出てきたら一体どこの範囲に被害が及ぶかわからないので、今のところ最高請求可能額と言われる、このトン数から算定すると二百二十五億という算定もありました。ところが、これはSDRで計算しておりますから、これもまだ二百三十億とかいろいろ変わっているようですが、これの約六割をとりあえず払うようにしてもいいという基金の方の話もあるようであります。しかし、六割もらって、残りの四割が一体いつになったら確定するのか、これもわからない。そうすると、全額でそれを配分しても少ないのに、六割のものを配分された人はこれ以上もらえるのかもらえないのかわからないまま、これからずっと不安なまま過ごさなきゃいかぬ。あるいは取り漏れちゃう人もいるでしょう。一体こういった状態はいつまで続くんでしょうか。  私はこの油濁被害調査団に参加をいたしました。現地の方の声を聞いてまいりました。そこでの悲痛な叫びは、何とか国で窓口を一本化してこういった問題を整理して当たってくれないか、我々がどこに聞いても返ってくる問題は、時間がかかる、まだ算定中だ、そういう話しか来ない。私は、これは地方自治体にも手に余ると思います。そして旅館組合や漁民の皆さん、海女の皆さんに外国と交渉しろと言ったって、これは無理であります。ましてや船主がちゃんと払ってくれるかどうかわからない、基金にどうやって請求していいかわからない。  基金も船主もだめだったとき、恐らく私は、日本としてはロシアにやはり賠償を求めるべきだ。逆に日本の船がロシアへ行って被害を起こしたらどうなるでしょう。その船主が十分な補償をしなかった場合、あるいは基金で十分に補償されなかった場合、ロシアは当然日本に対して強力に賠償を求めてくるでしょう。私は、日本もそのような姿勢で賠償に当たっていただきたいと思う。これは、今ここに各省庁の皆さんいらっしゃるから、それぞれの方に、聞いていただいたことを省庁に持ち帰っていただいて、その気持ちで今後の交渉に当たっていただければよろしいわけで、回答を求めてもしようがないと思っております。ぜひとも金額を早期に算定をして回答を出していただきたいと思っております。  それから、災害発生時の無線連絡体制の整備について一言申し上げます。これはマニュアルがあって、若干調べて教えていただきました。  こういう問題を考えたわけであります。例を引いた方がわかりやすいので、適切かどうかわかりませんが、簡単な例を一つ引きます。あと一分ちょっとありますので、失礼します。  海岸に水難救助に行ったとしましょう。まず最初に消防署が消防車で駆けつけてくれた、何だかわからない。救急車も来てくれた、パトカーも来た。そして、たまたま沖合に海上保安庁の巡視艇がいた。空にたまたま陸上自衛隊のヘリコプターが飛んでいた。みんなで一緒になってこれを探そうとしたときに、その相互間に共通の無線連絡装置があれば、これは非常に簡単に連絡がとれて、パトカーが右前方の、右沖合の方に何か赤いものがちらっと見えるけれども、あれは人かと聞いたときに、そのヘリコプターがすぐそこへ飛んで行ければいいわけですが、パトカーからヘリコプターに連絡する方法があるのかないのかちょっと教えてください。
  219. 出原健三

    ○出原説明員 お答えいたします。  ただいまの質問で、パトカーとヘリコプター、警察のヘリコプターと仮定した場合は、警察同士の機材ですのでいろいろ通信ができるということは当然でございます。仮にそのヘリコプターが他の行政機関のヘリコプターとした場合でも、現在、先生御承知のとおり、防災関係機関相互に通話ができる無線周波数というものを各行政機関が所有しております。したがいまして、このような場合にも、それぞれの装置した無線機を使って通話するということがシステムとして可能になっております。
  220. 小坂憲次

    ○小坂委員 そういう答えなのですが、ところが、その資料をよくよく読んでみますと、警察の非常周波数を受けられる装置、携帯無線機の台数というのを計算してみますと、どうもパトカーの数よりも少ないように思われますし、また警察署の数ぐらいなのかなとも思われます。それで、どうもそれがパトカーについているのかどうかはその資料からは読めません。  ここで回答を求めても今すぐ回答が出ないということがわかりましたので宿題として申し上げておきますが、やはりこういう問題も解決できるようにしてほしい。パトカーも一定周波数、非常周波数に合わせれば、ヘリコプターも合わせれば、たとえそれが運輸省であろうとあるいは防衛庁であろうと、どこであろうとすべてが相互に通話できる、そういうシステムを我々は持つべきだと思うのです。周波数割り当ては郵政省の問題でしょうけれども、しかし、そういう装備を持つかどうかは各省庁の問題であり、それを総合的に調整するのは国土庁の役割だと思います。ぜひとも御検討お願いします。  我々はまだまだ災害に立ち向かうには準備不足であります。お互いに努力をして、国民の生命財産を本当に守れるように、ともに力を尽くせる災害対策委員会になるように、大臣にこれからの御奮闘を心からお願いしまして、与党のような質問になりましたけれども、非常に懸念をしているということをお伝えをして、私の質問を終わりたいと思います。
  221. 川端達夫

    川端委員長 次に、望月義夫君。
  222. 望月義夫

    ○望月委員 21世紀の望月義夫でございます。阪神淡路大震災後、初動体制の不備についてはさまざまな形で指摘を受け、危機管理体制の整備が図られてきました。ところが、今回の日本海重油流出事故を見ても、どうもうまく作動していない部分が見受けられます。  平成八年十一月七日の首都直下型大規模地震発生時の内閣の初動体制に関する閣僚懇談会申し合わせによりますと、内閣総理大臣に事故のあった場合の職務代行者は、第一に官房長官、第二に国土庁長官と定められております。国民の生命を守る上で、国土庁長官がそれだけ重要な地位にあって、大変重い責任を持っているのにもかかわらず、どうも災害時に長官の命令、指揮系統が我々に見えてきません。総合調整官庁だからといって一々各省庁に振っていたのでは、各省庁に責任が分散し、ただ混乱するだけのことであります。  そこで、災害時における危機管理を進める観点から、きょうも本当にいろいろな質問がございましたけれども国土庁長官の権限を強化するとともに、防災局の機能の充実を図るべきと考えます。また、このことは、行政改革における省庁の再編を視野に入れて取り組まなければならない課題だと思いますけれども、明快な、伊藤大臣らしいお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  223. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 望月委員はこの防災関係に、選挙区柄ということもありましょうけれども、格別な強い御関心と深い知識を持っていただいておりますことに、心からまず敬意を表したいと思っております。  実は、私も国土庁長官という仕事をさせていただくことになりまして、非常に責任の重さを感じておりますし、今までは、休むときには、せめて目覚まし時計がまくら元だったのですけれども国土庁直結の無線をまくらにして寝ているわけでございまして、それこそ二十四時間、常に無線とともにある生活でございます。それだけに、責任は非常に重いなというふうに思っております。  きょうもさまざまな委員から御質疑がございましたけれども、やはり事故災害について一番大切なことは、初動体制でどう対応するか、そしてそれに対してどこに一番責任があるのかということを明確にして、さまざまなマニュアルを研究しておく必要がある。そのためには、何といってもあの阪神淡路経験から、的確な情報をどんな場合にも得られるような状況にしておかなければならない。  すべてあることが前提だとして私たちは暮らしているわけでありますから、そういう意味で、実は、平成九年度の予算の中にもお願いをしているところでございますけれども、中央防災無線網の完備、あるいは地震防災情報システム、いわゆるDIS、これが完全なものになってきますと、阪神淡路のような災害があったときには、少なくとも三十分以内にどういう被害に広がっていくかということが判断できる、そういう体制も整いつつあるわけでございます。さらに、官邸それから国土庁、一緒に私たちは被害を受けることがあるわけでございまして、そうしたときに、現在は立川の災害対策本部の予備施設の完備にも努めているところでございまして、現実には通じているあるいは連絡がとれているということが全くなくなった、そういう状況を常に我々は想定をしながら対応していかなければならない。そういういろいろな反省や経験の中から、特に平成九年度は、今申し上げたような予算や、あるいは災害緊急時に必要なものが必要なところに到達ができる、そうした日本全国の交通ネットワークといいますか、緊急に必要なものに対してはお願いもしているところでございます。
  224. 望月義夫

    ○望月委員 大臣の防災に対する考え方、取り組み方については大変よくわかりました。私も災害特の委員として協力は惜しみませんので、ひとつ精いっぱい頑張っていただきたいと思います。  次に、大規模地震対策特別措置法が昭和五十三年に制定され、以来、議員立法で昭和五十五年五月に地震財特法、そして、今回の阪神淡路大震災を機に地震防災法が平成七年に制定されております。当然、それに伴い、公共施設の耐震化は飛躍的に進んでまいりました。国土庁初め各関係省庁の努力のたまものと評価しております。  しかしながら、その三法いずれをとってみても、災害緊急時の活動拠点となるべき地方自治体、各市町村の庁舎及び消防署が事業対象項目に含まれておりません。非常に意外な気がいたしました。  例えば、地震防災対策強化地域である我々の静岡をとってみても、七十四市町村の耐震診断を行った結果、三十三市町村は耐震性に疑問という判定が出たということでありますが、財政力の乏しい自治体は容易に建てかえはできない、進まないのが現状でございます。当然のことながら、地方自治体庁舎は地域住民の核となる存在でありますから、自前でつくるのだ、そういうのが建前ではあるのかもしれません。  そこで、そういう本庁舎はともかくといたしましても、消防署、消防庁舎に関しましては、活動の最前線基地であって、緊急時に消防庁舎がつぶれてしまったのでは、初動体制は全く機能しなくなってしまうわけであります。阪神淡路の震災では、もし国や地方自治体の初動体制がスムーズにいっていたら、家屋の下敷きになった人たちをもっと効率的に救出できたかもしれない、あるいは火災の拡大を効果的に阻止できたかもしれないわけであります。しかし、残念ながら、初動体制がおくれてしまって、被害の増幅を防ぐことができなかったと、災害後にテレビや新聞で随分指摘がございました。もちろん、国や地方自治体も、その指摘を受け、着々と整備は整いつつありますが、やはりその一番大きな理由は、災害によって、防災対策を行うべき防災機関それ自体が大きな被害を受けてしまったということだと私は思います。先ほどから申し上げておりますように、もしも消防庁舎がつぶれたということで初動体制ができなくなったとなると、せっかくつくった三法案の不備を指摘されても仕方がないと私は思うわけなのですけれども、消防庁ではその点についてどう思われるか、お聞きしたいと思います。
  225. 桑原隆広

    桑原説明員 消防庁舎の耐震性についてのお尋ねでございますけれども先生指摘のとおり、消防庁舎は消防職員が消防活動を行うための中心になる施設でございまして、その耐震性の確保というのは極めて重要なことであるというふうに考えております。  こうした観点から、消防庁におきましては、平成五年二月から、各消防本部に対しまして、消防庁舎の耐震性を評価するための耐震診断を実施してください、その結果に応じて所要の耐震補強を講ずるなど、地震対策に万全を期してほしいというような指導をいたしておりまして、あわせまして、耐震診断に必要となります経費につきましては、地方交付税におきまして財源措置をいたしておるところでございます。  また、さきの阪神淡路大震災を踏まえまして、消防庁舎など災害時におきまして災害対策の拠点となる施設につきましては、地方債と地方交付税を組み合わせました緊急防災基盤整備事業という新しい制度を設けまして、これの対象とするということで耐震性の強化の促進を図っているところでございます。この緊急防災基盤整備事業につきましては、事業費のうち九割にこの緊急防災基盤整備事業債というものを充当いたしまして、その元利償還の経費の五〇%を地方交付税で財源措置をするという、私どもといたしましては極めて有利な制度をつくったというふうに考えております。  平成九年度の地方財政計画におきましては、こうした事業を含めまして、緊急防災基盤整備事業、全体で三千億円ほどの事業費を確保いたしておりますので、各市町村におかれましても、こうした制度を積極的に活用していただければというふうに考えております。
  226. 望月義夫

    ○望月委員 時間がございません。引き続き被害想定と防災計画について御質問したいと思います。  我々静岡では、毎年九月一日を防災の日として大規模な防災訓練を行っております。昨年の防災訓練直前に連続して起こった由比の東名高速横転事故は、いずれも東名高速道路と国道一号線という主要幹線道路を二十四時間以上、もうほとんど車は通れません、麻痺させるという最悪の事態を生じさせました。こういった事故は、阪神淡路大震災でも実証されておりますが、大渋滞による緊急車両等の走行に支障を生じ、消防活動の迅速化を欠くことになります。  そこで、この経験を踏まえて、防災計画をつくる被害想定について考えてみますと、現在の被害想定では、東名高速は地震対策緊急輸送道路として活用されることになっておりますが、被害想定に盛り込まれておりません。新幹線も同様でございます。県や市町村に問い合わせたところ、JR東海を管轄する運輸省、東名高速道路を管轄する建設省では、構造物の耐震性は十分であるが、地震のときの交通事故等の想定は困難なことでありまして、そのため、県、市町村としては、被害想定が立てられず、このような事態に対しては防災計画で対応のしようがないということでございましたけれども、現実として、昨年八月の事故以上のことが震災時には起こることが十分考えられるわけであります。耐震性への妄信と申しますか、そういったことが防災の空白を生んでしまうことは絶対に避けなくてはならないと思うわけでございますけれども、消防庁はどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  227. 遠藤勇

    遠藤(勇)説明員 地域防災計画につきましては、御案内のとおり、地方公共団体におきます総合的な災害対策の基本となるものでございまして、それぞれの地方公共団体におきまして、災害に強い安全な地域づくりのため、かつ発災時の迅速かつ適切な応急対策実施に当たって極めて重要な役割を果たしているものでございます。  消防庁といたしまして、阪神淡路大震災を踏まえまして、こうした大震災にも対応するものを前提とした地域防災計画見直しを早急に行うように指導してまいったところでございまして、今先生お話しの、この地域防災計画見直しに当たりましては、その被害をどうイメージするか、これが極めてその対策の基本になるものと位置づけております。  こういったことから、地域防災計画見直しに当たりましては、その地域の自然的条件でありますとか、社会的条件を踏まえまして、その危険性を総合的に検証した被害想定を実施していただいた上で、それに基づいた予防計画あるいは応急計画を立案をしていただくということを基本とした計画見直し、策定を進めていただきたいということで進めておるところでございまして、こうした観点から、消防庁としましては、この被害想定を十分行った上で、当該地域災害に対します防災対策、応急対策含めて、計画見直しを引き続き実施していただくよう指導してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  228. 望月義夫

    ○望月委員 時間ももうございませんので、最後に提案をしておきたいと思いますけれども、先ほどの太平洋ベルト地帯の大動脈、すなわち東名高速、国道一号、JR、新幹線の四ルートが集中する由比地区が寸断されると、防災対策は根本から覆されると予想されます。また、海と山に囲まれた狭隘の地域のため、今現在、他に迂回するルートはないというのが現状でございます。  地震対策強化地域において、こういった由比地区のようなところに代替道路の計画があるのかないのか、私は絶対に必要であるという気がいたしますけれども、一般論として建設省にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  229. 宮本泰行

    ○宮本説明員 ただいま御質問のありました地震対策としての幹線道路の迂回路の確保についてでございますけれども、静岡県庵原郡の由比地区は、先生指摘のとおり、我が国東西を結ぶ東名高速自動車道、国道一号という重要な幹線道路が通っております交通のかなめとなっております。  建設省といたしましては、道路は震災時に重要な役割を果たすということから、特にこのような幹線道路については迂回路の確保が重要と考えておりまして、例えば第二東名高速道路を初めとして、幹線道路網のリダンダンシーの確保に努めているところでございます。  また、今後とも全国の橋脚等の耐震補強とあわせまして、道路網の地震に対する安全性の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
  230. 望月義夫

    ○望月委員 ありがとうございました。
  231. 川端達夫

    川端委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十九分散会