運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-05-26 第140回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十六日(月曜日)     午後二時四分開議  出席委員   委員長 綿貫 民輔君    理事 自見庄三郎君 理事 野呂田芳成君    理事 谷津 義男君 理事 柳沢 伯夫君    理事 鹿野 道彦君 理事 中井  洽君    理事 枝野 幸男君 理事 松本 善明君       赤城 徳彦君    臼井日出男君       大原 一三君    金田 英行君       熊代 昭彦君    杉浦 正健君       谷  洋一君    中谷  元君       福田 康夫君    船田  元君       松永  光君    山口 俊一君       山本 公一君    伊藤 達也君       石田幸四郎君    今井  宏君       北側 一雄君    倉田 栄喜君       斉藤 鉄夫君    谷口 隆義君       富田 茂之君    西田  猛君       増田 敏男君    安住  淳君       池田 元久君    木島日出夫君       畠山健治郎君    新井 将敬君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 三塚  博君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 武藤 嘉文君  出席政府委員         内閣官房内閣内         政審議室長   田波 耕治君         内閣審議官   畠中誠二郎君         内閣審議官   白須 光美君         地方分権推進委         員会事務局長  東田 親司君         行政改革会議事         務局参事官   坂野 泰治君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         自治省行政局長 松本 英昭君  委員外出席者         議     員 鈴木 淑夫君         議     員 倉田 栄喜君         議     員 北脇 保之君         議     員 中川 正春君         議     員 島   聡君         特別委員会第三         調査室長    田中 達郎君     ───────────── 委員の異動 五月二十六日  辞任         補欠選任   永井 英慈君     谷口 隆義君   宮本 一三君     北側 一雄君   土屋 品子君     新井 将敬君 同日  辞任         補欠選任   北側 一雄君     宮本 一三君   谷口 隆義君     永井 英慈君   新井 将敬君     土屋 品子君     ───────────── 本日の会議に付した案件  金融監督庁設置法案内閣提出第六六号)  金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備  に関する法律案内閣提出第六七号)  日本銀行法案鈴木淑夫君外四名提出衆法第  二九号)  金融委員会設置法案鈴木淑夫君外四名提出、  衆法第三〇号)      ────◇─────
  2. 野呂田芳成

    野呂田委員長代理 これより会議を開きます。  委員長所用のため、その指名により、私が委員長の職務を行います。  内閣提出金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案並び鈴木淑夫君外四名提出日本銀行法案及び金融委員会設置法案の各案を一括して議題といたします。  この際、鈴木淑夫君外四名提出日本銀行法案及び金融委員会設置法案について、提出者より趣旨説明を求めます。鈴木淑夫君。     ─────────────  日本銀行法案  金融委員会設置法案     〔本号末尾掲載〕     ─────────────
  3. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)議員 私は、新進党を代表いたしまして、ただいま議題となりました我が党提出金融委員会設置法案及び日本銀行法案につきまして、提案理由並びにその概要を御説明申し上げます。  数々の失敗を繰り返し、限界を露呈しております我が国金融行政システムに対し、今最も求められていることは、これまでの密室の行政指導による裁量性の高い護送船団行政から脱却し、預金者投資家保護自己責任に基づく公正な競争の促進という市場原理貫徹観点から、事前に明らかにした透明性の高いルールに基づく行政へと転換することであります。また、中央銀行独立性に関し、国際的な標準に立つことであります。  この点から見て、今回政府提出した金融行政改革関連法案はまことに不十分なものであります。とりわけ、橋本内閣の当面の行政改革最大の目玉であるはずの金融監督庁設置法案は、行政改革の名に全く値しないばかりか、従来の護送船団行政に対する何の反省も感じられない、むしろ大蔵省権限拡大焼け太り法案と言わざるを得ません。  以下、我が党提出の二法案につきまして、その骨子を申し上げます。  その第一は、政府案のように日本銀行大蔵省所管認可法人とし、その日本銀行内の政策委員会において金融政策決定する仕組みでは金融政策決定独立性の担保が十分でないとの考え方から、日本銀行政策委員会に相当する委員会日本銀行の上に金融委員会という名の独立行政委員会として設置し、大蔵省と対等の立場に置き、専管的に金融政策決定に当たらせることによりまして、金融政策決定独立性を確保しようとするものであります。  また、その骨子の第二は、金融検査監督行政大蔵省から切り離すに当たって、中央省庁の中にいたずらに新しい組織をつくり、行政改革の流れに逆行するのではなく、これを金融政策を担当する金融委員会の所掌とすることで、行政改革趣旨に沿った効率的でスリムな中央省庁仕組みをつくろうとするものであります。金融検査監督行政金融政策の間には、財政政策の場合とは異なりまして利益相反関係はなく、むしろ相互に補完関係にあることも、この行政組織改革の根拠になっております。  次に、二法案概要を申し上げます。  まず、金融委員会設置法案について申し上げます。  これは、金融行政所管する組織として、金融委員会国家行政組織法第三条に基づき総理府に設置するものであります。  この金融委員会は、一、通貨及び金融調節に関する事項に関する金融政策決定権限及び日本銀行に対する監督権限、さらには、二、銀行証券会社保険会社信用金庫等に対する免許検査等監督権限を有することとしております。また、金融委員会金融機関に対する監督権限のうち、金融機関に関する検査日本銀行に行わせることができることとしております。現行証券取引等監視委員会は、国家行政組織法第八条の委員会として金融委員会のもとに設置することといたします。  次に、日本銀行法案についてであります。  日本銀行組織形態は、現行どおり認可法人として金融委員会の下に存置し、日本銀行には政策委員会を置かないことといたします。日本銀行は、金融委員会金融政策決定に基づき、同委員会監督のもとにその業務を行うとともに、金融委員会委任を受けて、その監督のもとに金融機関に対する検査業務を行うこととしております。  以上が二法案概要であります。  なお、大蔵省銀行局、証券局、国際金融局金融局に統合し、金融局は、金融制度企画及び立案を行うこととしております。  委員各位におかれましては、何とぞ両法案趣旨を御理解いただきまして、御賛同賜りますようお願いいたしまして、私の趣旨弁明を終わります。ありがとうございました。     〔野呂田委員長代理退席委員長着席
  4. 綿貫民輔

    綿貫委員長 これにて両案についての趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  5. 綿貫民輔

    綿貫委員長 次に、内閣提出金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案の両案に対し、池田元久君外一名から修正案提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。池田元久君。  金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案に対する修正案     ─────────────   〔本号末尾掲載
  6. 池田元久

    池田(元)委員 私は、民主党を代表して、金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案の両案に対する修正案提案理由説明いたします。  今回の大蔵省改革金融行政機構改革は、日本銀行法改正とともに、我が国金融行政の歴史を塗りかえる大改正であり、橋本内閣の提唱する行政改革の第一弾をなすものであります。改正に当たりましては、住専問題や大和銀行事件など、たび重なる金融不祥事や不良債権問題に有効な対処ができなかった過去の金融行政に対する反省を踏まえて、指摘されている問題を克服できる新しい金融行政の体制をつくり上げていくことが重要であると考えます。  こうした観点から見ますと、政府案は、大蔵省から金融検査監督部門総理府に新設する金融監督庁に移管するものの、金融検査監督の一元化は先送りになり、地方では引き続き大蔵省財務局財務支局検査監督に当たるなど、組織的にも権限の面でも、金融ビッグバン時代金融検査監督機関としては不十分な内容と言わざるを得ません。  民主党としては、金融検査監督企画立案は、実務上は密接不可分関係にあると考えております。一方で大蔵省金融企画立案事務を残したのでは、財政金融の分離はできません。  そこで、民主党修正案では、政府案金融監督庁金融庁にその名称を改め、金融制度企画立案事務内閣総理大臣に移管することとしております。さらに、企画立案事務の一部、すなわち、金融監督に密接に関連する政令や総理府令策定企業会計基準策定等事務は、金融庁長官委任することとしております。  また、住専問題等の最近の金融問題のたびに指摘されてきました縦割り行政の弊害を是正するために、過去の反省を踏まえて、金融検査監督権限金融庁に一元化し、従来は事業官庁との共管であった信連等機関に対しても、金融庁が一元的に金融検査行政処分等監督ができるようにして、その監督責任の所在を明確にしております。  このように金融に関する監督事務権限金融庁に一元化するとともに、事業官庁に対して金融庁が重要な検査結果を報告すること、業務停止処分等行政処分を行う前に事業官庁大臣事前協議をすることを金融庁長官に義務づけております。これによりまして、金融以外の政策要請に対応して、例えば農業政策推進という観点から、問題を生じないように政府部内で所要の調整を図ることとしております。  金融庁は、地方に独自の機関として金融局及び金融支局を設置し、地方金融機関検査監督も自前の機関で行うこととし、大蔵省財務局等への監督事務委任規定は削除することとしております。政府案では、金融監督庁長官地方検査官をふやそうと考えても、定員要求大蔵大臣所管であるという矛盾がありましたが、金融庁の独自の地方組織を認めることで、そうした矛盾は生じないと考えております。  また、政府案では、日本銀行預金保険機構農水産業協同組合貯金保険機構保険契約者保護基金信用秩序維持に関する機関大蔵省所管とされていますが、民主党修正案では、これを金融庁所管に移管し、信用秩序維持のために必要な場合には、大蔵大臣との協議を経ずに、金融庁長官の独自の判断で、預金保険機構からの資金援助の発動や日本銀行への資金協力要請ができることとしております。さらに、必要に応じて、金融庁長官大蔵大臣財政的な支援についても協議をすることができることとしております。  こうした修正を行うことにより、金融庁長官が中心になって、機動的に信用秩序維持を図っていく仕組みができるものと考えております。  我が党の修正案趣旨は以上のとおりであります。各党、各会派の委員皆さんの御賛同を賜ればまことに幸いであります。
  7. 綿貫民輔

    綿貫委員長 これにて修正案についての趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  8. 綿貫民輔

    綿貫委員長 この際、鈴木淑夫君外四名提出日本銀行法案及び金融委員会設置法案並びに内閣提出の両案に対する池田元久君外一名提出修正案について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柳沢伯夫君
  9. 柳沢伯夫

    柳沢委員 我々の金融監督庁法案及び関連する法律整備に関する法案も、多くの質問時間を費やしましてはぼまとめの段階に入ってきた、こういうことでございます。非常に重要な問題ですから、それについて野党の皆さんの方からも対案が出るということも当然なことだというふうに受けとめておりまして、これについて、私ども立場からのコメントというか質疑をさせていただきたい、こういうことでございます。  我々のこの法案審議に入りました後も、まさに激動の時代というか、金融が大きな変貌を遂げる中で、また過去のいろいろな不祥事があらわれているということを見るわけでございまして、そういう意味では、我々の委員会が今審議に当たっているこの法案の重大さというのは余計に浮き彫りになっている、そういうような時期である、こういうふうな認識をしているわけでございます。  ただ、きょう、私は三十分の持ち時間でございまして、大変変則的な質疑方式をとることをまずあらかじめ申し上げ、お許しを賜っておきたいと思います。  一問一答の形式をとりますと、質疑者の意図とは違って、答弁者が時間を費やすというようなことになりますと、私が予定しておる質疑をすべて網羅することが到底できなくなるだろう、こう思いますので、できるだけ皆さん方答弁の時間も確保したいと思いつつ、私の方から先にお話をさせていただいて、それについて総括的にまた皆さんの方からの御答弁というか御回答をいただきたい、このようにお願いを申し上げる次第です。  今回の状況を総括させていただくわけですが、こういう金融監督検査が問題になった背景というのは、一つは何よりも金融破綻です。金融破綻がそここで起こる、しかもその破綻の規模は非常に大きくなっている、こういう背景があります。同時に、業態の垣根が崩れまして、金融がすべてユニバーサルのサービスに融合してきている。こういう事態も、これまでの金融検査あり方でいいのか、金融監督あり方でいいのか、こういうことで私ども金融機関検査監督の再編成をしなければならない、そういうことになっていた、これが最大背景であります。  我が国では、それに対して政府与党でいろいろ考えた結果、どういう結論に達したかというのを復習しておきますと、日本銀行の考査は法律に改めて定めることにはいたしましたけれども、基本的には現状維持でいこう、こういう方式。それから、政府検査監督については、金融制度企画立案からこれを分離する。こういう結論で、これが今考えられるベストな案であろう、こういう考え方に立って案が形成されたということでございます。  それで、改革背景となった考え方を、これは、自民党あるいは他の与党、さらには政府、それぞれ大勢の方がいらっしゃいますから、以下申し上げることがすべての人の共通認識だとまでは私言うつもりはありませんけれども、私なりに整理をさせていただきます。  まず、中央銀行検査監督については、日々の市場の動きに最も密着した機関検査監督であって、これはこれなりに大変意義がある、こういうことであろうと思うのです。  しかし、今新進党案提案者である鈴木委員提案理由説明を聞きますと、頭から、中央銀行検査監督については他の中央銀行業務利益相反がないということを簡単に言い切られましたけれども、先生ほどの学者でございますから、多分それは、知見がありながら、ここではそういう立場をとられたのだろうとは思います。  世に言われるところはどういうことかというと、そこに利益相反があるのだ、こういうことでございます。それは、明らかに中央銀行は最後の貸し手でございまして、日本の場合でいうと日銀特融、こういうことがありますから、金融検査に行った場合に、この日銀特融との間でやはり緊張関係がある。あえて言えば、利益相反関係があって、そうして金融検査のことであらわれる事実というものに対して全くニュートラルではあり得ない、そういう立場にあることは識者指摘しているところです。  第二番目には、金融調節との関係です。これも、中央銀行の中で金融検査監督をやっているところはとかく低金利政策をとりやすい、だから、大局的に見ると、インフレを呼び起こす割合が多いとされる、そういうことを分析して主張している学者さんもいらっしゃるようでございます。つまり、中央銀行検査監督にも、中央銀行の他の業務との間で利益相反がないということは言えない、こういう考え方を我々はとりました。  それから第三番目は、総理もお答えになったことですけれども、何といっても中央銀行検査監督行政権ではありませんから、そこにおのずと、これを拡大していくことには限界が見られる、こういうことであります。  次に、政府検査監督について申し上げます。  政府検査監督は、日々の金融市場とはちょっと離れたところにおりますから、必ずしもその意味では適任者ではないかもしれない、こういうことを言われております。  第二番目に、今鈴木委員も言いましたように、財政支出の間にやはりある程度の利益相反がある、これは、指摘されるとおりです。  しかし、第三に、デリバティブがどんどん膨れ上がるようなこの金融市場の中で、これからの損失というのは思いのほか大きくなってくることが予想されております。なるがゆえに、巨大な損失を見込むと、やはり最終的には財政が面倒を見なければならないではないかというようなことで、世の中の傾向は、もし金融検査機能というものを統一するならば、中央銀行に統一するのではなくて、政府側機関として取りまとめていこうというのが大勢だ、こういう知見を述べる識者もいらっしゃるわけであります。  それから第四番目に、行政権ゆえに、業態の融合に対しては、つまり保険だとか証券だとかというものに対しては、金融と一緒にこれに対応して金融検査の対象にしていくということはやりやすいことですね。こういうことが我々の検討の結果出てきたことでございます。  そこで、結論として、二元的な、つまり中央銀行政府による二元的な検査監督というのはやはりやむを得ないんだ。それぞれが長所を持っているし、また利益相反という弱点も持っている、こういうことで、私どもは二元的な検査監督の道を選択した、こういうことでございます。  それから同時に、政府検査監督について最も弱点とされる財政支出との相反関係については、そこを注意深く、不即不離関係にしよう、こういうようなことで、今度企画立案から切り離して、これを総理府に持っていった。  これが我々の結論なんです。かなりよく考えた末の結論であったということは、今までの私の説明でほぼおわかりになろうと思うわけであります。  そこで、しかし、それに対して今回、問題点指摘が今までの審議を通じてございました。どういう問題であったかというと、突き詰めて言うと、やはり財政との関係が多かった。  これは、利益相反があるではないか。あるいは、新聞記事の論説のコラムを引いて、金融制度企画立案、あるいはその前に財政がある、その下に免許がある、あるいは免許の取り消しがある、あるいは日々の日常活動についての監督がある、さらに監督の資料を得るための検査がある、そのどこを切るのが一番合理的な制度として仕組めるか、さんざっぱら我々は与党の中で議論したのです。  しかし、今回の審議の過程で、その切りどころが誤っているではないかという議論もありました。あるいは、我々の案のように、ある程度不即不離関係に、適切な緊張関係を持った距離というところで仕組んだにもかかわらず、なおまだ不当な圧力財政当局から働くのではないか、そういう指摘もあったわけであります。  しかし、よくよく私の話を聞いていただければ、これは、圧力だとかなんとかいっても、同じ屋根の下にいる官庁ではない。別の官庁になることの重みということ。これは、後で私は総括で、皆さん方、ここに並んでいらっしゃる方々が、北脇さんを除いて、私の知っているところでは、余り行政経験がおありにならない。それがための弱点として、行政組織なり行政機関なりというものを見る目がちょっと、何というか、失礼な物の言い方になってしまうのですが、成熟しておらない。もうちょっと御経験を積むと、そういったことが事実問題として肌でわかるようになってくる。そういうような……(発言する者あり)いや、ちょっと静かにしなさい。人の言うことはよく聞きなさい。いやいや、そんなことはない、ちゃんと説明しますから。  そういうことで、二つの官庁の間には、検査だけを別の官庁にしても、検査をやった結果を今までのようにすぐ銀行課に持っていってしまって、これどうしましょうというのとはやはりわけが違う、そこにある種の透明性、ある種の客観性というものが生まれてくる、こういうふうに私どもは考えております。  ここが確保されることによって、結局財政が出ざるを得ないときもあるのです。ですから、全く離れてしまうわけにはいかない。こういうことの中で、私どもは、非常に適切な距離を設けたという制度が我々の制度であるということを主張したいし、また御理解もいただきたい、こういうことであります。  それから、財務局の問題も、非常に枝葉の問題と私はあえて考えたいのですけれども指摘をされる方がありました。  これも、総本山が分離されているときの地方支分部局委任事務が、どういう格好で処理されるか。このことについて、先ほどこちらから大変不規則発言が多く寄せられましたけれども、やはりこれは実体験というか、実際の体験に基づく感覚、こういうものが判断基準にならざるを得ませんね、どのぐらいの距離感が出てくるかというのは。そのことについてはやはり少しまたお考えもいただきたい、こういうことであります。  形式がすっきり整っていない。しかし、行政組織としての、ユニットとしての、例えば人事だとかその他指揮だとかというようなことについて一体どういう影響が、三、四人とかあるいは十人ぐらいの役所をつくったときにどういうことになるか、こういうようなことについてもやはり少し吟味をしていただきたい、御主張なさるならばそういうこともお考えいただきたい、こういうふうに思うのでございます。  以上が、我々の案の背景にある考え方、それと同時に、皆さん指摘に対して、我々がどう考えているかということを申し述べさせていただきました。  次に、対案として出された新進党さん及び民主党さんの案について、私どもの、私の考え方を申させていただきます。  まず新進党さんの案ですけれども、これは、中央銀行検査監督にも利益相反がある、このことがまず一番の基本です。そのことが、だからこそ、各国とも今度金融検査監督についての機能をどのように再編成していくかということについても、これは我々の審議中にたまたま出たあのイギリスの金融検査監督の再編成の案というようなものを引くまでもなく、各国とも中央銀行にさっと取りまとめてしまうことにはかなり慎重だということの背景としてあることをよくひとつ御認識賜りたい、これが第一点です。  第二点は、先ほども言ったことですからもうつづめて申しますけれども大口損失可能性がありますので、これに配慮して、やはりほかの世界の大勢も、私、これは最初、冒頭のこの委員会における発言でも申し上げたんですけれども、どちらかといえば、統合するのならば政府側に統合するということの方が多いということです。中央銀行の側に事もあろうに統合してしまうということについては、何か世界の大勢とはちょっと離れたアイデアではないか、こういうことでございます。  それから第三番目は、これはもう言うまでもないことですけれども中央銀行行政機関ではありません。そこで、私が最初のときにも指摘しましたけれども、契約外の、例えばそれが銀行であっても、あるいは金融機関というか銀行、バンキングがやっているビジネスにあっても、契約外のものまでこれを対象に取り組んでいくということについては、やはり無理がある。契約先のところと契約外のもののところに本当に、例えばそうやったとしても、同じような態度で日銀の職員がそこに取り組めるだろうか。こういう懸念は、受ける側は当然持つことは想像にかたくないんです。そういうようなことがある。  まして、証券証券の、山一証券のころから、日本銀行でも取引先は相当持っておられるようですけれども、しかし、証券検査というのは、日銀さんがこれまでやってきたようなところとは、視点は随分違うはずですね。そういうような、証券行政の一環としての証券会社検査監督、あるいは保険保険まで今度取り込む、こういうことなんですけれども、これはやはり幾ら何でも無理なのではないか、こういうように思います。  先ほど、私は、鈴木委員提案理由説明を聞いておりましたが、何というか、検査監督のところをこの金融委員会の所掌にする理由は、非常に消極的なものと聞こえました。確かに、金融委員会金融調節については、まさに鈴木委員の主張のとおり、そうしたいんだ、これは非常に熱っぽく語られて、それは立場は違うんですが、よくわかるんですよ。しかし、金融監督検査金融委員会の所掌事務にするということについては、行政改革の中だから、ほかの行政機関を設立するわけにはいかぬからここのところへ集めちゃうんですと。  これは、聞いたら、もうそこに当たる職員の士気に大きな影響をもたらす御発言だったと私は思いますよ。ついでにやっちゃ困るんです、そういうことは。そんな消極的なことでは困るんです。委員が、金融調節あるいは金融政策機能金融委員会にやらせたい、所掌させたいと同じような情熱、同じような重要性、こういうものをやはり、金融検査監督をこの委員会に所掌せしめるならば、同じようなものを持っていただかないと困ります。私はそれを聞いて、まあちょっとやっつけ仕事のような気味があるなと思って聞いておったのでございます。  第四番目は、金融検査監督の中の検査は、確かに日銀職員にやらせるとなっている。監督はどこでやらせるんだ。これは金融委員会事務局でやらせる、皆さんが提案された法律を読んでみれば、そういうふうに見られるわけです。  私、よくわかりません、ここのところは。わからないけれども、冒頭の、金融検査監督金融委員会に所掌させるんだということについても大した理由はなかった上に、監督だけ、小さい五、六十人の事務局か何かつくって、そこでやらせる。どうやってそこの役人さんたち、職員さんたちの士気を確保していくんですか、維持していくんですか。どうやって人事の円滑を確保していくんですか。  そういう思いつきでは困るんです。私は、はっきり申し上げておくんです。職員の組織行政組織というものについて、先ほど私が言ったように、余りにもナイーブ過ぎると言ったのはそういう点なんです。  それから、企画立案との関係です。  金融制度企画立案大蔵大臣に所掌させる。金融委員会は偉い方が並ぶんでしょう。しかし、政治家と政治家でない方が対等の形で切り結ぶということはなかなか難しいんです、正直言って。かえって、こういうことをやって、企画立案については大蔵大臣金融委員会がお互いに提携するとかなんとかというようなことを言っても、そうはなかなかいかないんですよ。  私は、逆に、こういうところで大蔵大臣との間をある種、何というか、仕事の上では主従のような関係を伴わざるを得ない企画立案について、そういう関係を樹立したならば、金融委員会金融政策における独立性まで損なわれる危険性すら持った組織だと言わざるを得ない、このように思うのでございます。  そういう意味で、私は、行政実務というものについては、ちょっとまあ必ずしも透徹した考え方が貫かれていると言いがたいというのが、私の皆さんの案を聞いての感想でございます。  次に、民主党の案について申し上げます。  民主党の案は、財政金融の分離ということをナイーブに実現しようというものであります。これは、立場が違いますから、そこの議論にはきょうは入りません、私は。入らないんですが、企画立案事務との分離がない。ここの意味が、これから我々は、我々の行政改革企画立案と執行の分離をしていこう、こういうように私どもはやっておるわけですけれども、そこの重要性ということをちっともわかっていらっしゃらない。全くナイーブ過ぎると思います。  私どもが今度行政改革の中で企画立案と執行を分けようというのは、議院内閣制のもとでは、行政権というのは立法補佐機能を持たざるを得ない。しかし、その結果として、立法補佐機能、つまり企画立案と執行とが混然一体、融合してしまっている。そこから行政府の人たちの肥大化、強大化、権限の強大化ということが起こっているんです。つまり、仕事をつくる人と仕事をする人が混然一体と融合してしまうことのとがめが出ているんです。  我々の歴史に、その一番端的にわかる例を持つています。軍部なんですよ、軍部。日本の戦前戦中の軍部は、まさに統帥権の名のもとで、仕事をやる人が仕事をつくっていったんです。同じことが戦後の官僚機構の中で行われてやしないか、こういう反省なんです。ですから、防衛庁は、その反省のもとでシビリアンコントロールというものをつくって、制服の人は企画立案はしない、仕事はっくつちゃいけない、背広の人たちがつくったルールのもとで誠実に仕事をしていく、これにとどまるべきだ、これがシビリアンコントロールですよ。  ですから、我々が今度、企画立案と執行を分けようというのは、あたかもこのシビリアンコントロールを、あえて言えばレジスレーターズコントロールにしようということなんですよ。企画立案者と執行とを分けて、執行は本当に企画立案者が言ったルールに基づいて誠実に実行するのみ、実際自分で仕事をつくりなんかしちゃいけない、こういうことなんです。これはプラスの方向で、仕事がふえる方向についても、ふえる方向について我々は大きな災厄をこの時期受けているわけですけれども、仕事をやらないことについても同じなんです。  皆さんの案で一つ例を挙げますとどういうことになるかというと、金融の技術革新について、大所高所から判断してやるというようなことにブレーキがかかるんじゃないか。これは私が言っているんじゃないんです。金融検査監督機能企画立案から分けるときの学者の議論なんです。非常に消極的だと言うんです。そういうようなことで、私どもは、企画立案との分離がないということについて、大変大きな問題を感じている。  それから、金融政策との関係ですね。金融政策との関係で、日本銀行金融政策に対して物申すのは、民主党案では、一体どなたなんでしょうか。金融庁長官なんでしょうか、あるいは大蔵大臣なんでしょうか。金融庁長官としたら、私は、これまたちょっと格落ちだと思います。  日本銀行金融政策金融政策といったって、私は個人的な意見を言うわけですけれども、あくまで経済政策の中の一環ですよ。ですから、日本銀行金融政策で独立したい、これはいいですよ。しかし、絶対に政府全体の経済政策から離れるわけにはいきません。なぜ、独立をさせることがこれだけ強調されるかといったら、それはやはり政府の側からインフレ圧力がかかるからなんです。このことだけをはっきりと明確に、中央銀行が断れる立場をいかにつくってやるかなんです。そういうことなんです。  ですから、金融政策との関係でも、例えば大蔵大臣が行くんですといったら、大蔵大臣、日ごろの金融のことを何もやってない人が突如として金融政策の話といったって、それは無理というものでしょう。金融庁の長官が行くといったら、これは格落ちでしょう。  もっと格落ちのことを最後に申し上げます。  これは、金融制度企画立案をする大臣はいるんですか、いないんでしょうか。総理大臣と言うんでしょうね、恐らく。それも、余りにも物を知らなさ過ぎる。どういうことかというと、法律立案して、閣議で決定して、それでこの国会にまで持ってくる間には相当の調整が要るんですよ。総理大臣がやるわけにはいかないんですよ。  余り私は、ここで実例を引いて言うと、これはいろいろ問題になりますから申し上げたくないんですけれども、やはり大臣をいただかない役所が、法律改正をしたくてしたくて仕方がないんだけれども、させてもらえない、こういうことのために、どんどんどんどん行政がゆがんでいる例が我が国の状況にもあるんです。  これから、金融において、企画立案というのは非常に大事なんですよ。今、安定的な金融制度の状況じゃない。どんどんどんどん金融の技術革新というのは日進月歩で、これを受けとめて、金融制度改革をどんどんやらなきゃならないというときに、担当の大臣がいないなんというようなことでやっていけるんでしょうか。あえて言えば、ナイーブ過ぎる話です。  最後に、もう一つちょっと言います、せっかくあれしましたからね。  業務停止のときに、農林の系統金融機関には、農林大臣に突然共管を申し込むというんでしょう。それは、池田さん、もとは民社党だったか何だか忘れたけれども、有事駐留の考え方と同じですよ。有事駐留の考え方で、要するに、日ごろは駐留は困る、しかし有事になったら急に駐留して戦争やってくれ。私に言わせたら、本当にもう何とも言いようのないそういうばかげた議論が昔ありました。それと同じなんですよ。今まで何にも金融のこと、情報をもらわずに、業務停止のときだけ情報をもらって、さあ、あなた、共管だから何とかせい、こんなでたらめ言われたら困るよというのが農林大臣立場じゃないでしょうか。  結局、私の質問時間、皆さん答弁の時間を残そうと心がけてやったんですが、こういう状況なんですよ。だから、もう議論の帰趨というのは、これは皆さん答弁がどうあろうと、私はちょっと問題にもしないという感じなんですが、要するにそういうことでありますので、どうぞ、何かコメントがあったら、してください。
  10. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)議員 三十分の質問時間のうちの二十五分以上を費やされましたので、私ども柳沢委員が提起された五つの問題にお答えしたいと思いますが、時間が非常に制約されているようでございますから、簡潔に申し上げます。  四番目の監督に関しては中川委員から、そして最後の企画立案に関しては、行政実務に通じているとお褒めの言葉をいただきました北脇委員からお答えいたします。私は、最初の三つについて簡単にお答えいたします。  第一、利益相反柳沢委員も率直にお認めになっておりますように、検査監督財政政策の間には深刻な利益相反がある、だから切り離すんだ。しかし、金融政策との間にもあるとおっしゃいますが、政府提出された日本銀行法案においても、日本銀行の目的というのは、金融調節による物価安定と信用秩序維持でしょう。信用秩序維持というのは、検査監督によって裏打ちされていくわけですね。ですから、この二つの間は、さっきおっしゃったように、短期的にちょっとした利益相反がありますが、基本的な目的は同じ方向を向いています。信用秩序維持をしない限り、金融政策の効果は伝わっていかない。この両者は、むしろ補完関係にあるのであります。  二番目。二番目におっしゃいましたのは、デリバティブなどでこれから損失が大きいから、一本化するなら財政を握っている大蔵省側に一本化するのが世界の大勢だと言ったけれども、そんなことは全然ないですね。  イギリスだって、あれは大蔵省にくっつけるんではない。むしろ、中央銀行にくっついている例なら、幾らでも挙げることができる。アメリカのマネーセンターバンクは、まさに米国の連邦準備制度理事会が検査監督金融政策の両方を握っている。ヨーロッパをごらんになっても、オランダだって、イタリアだって、あれは中央銀行検査監督を握っております。  ですから、そういう十分な知識を持って言っていただかないと、さっきの言い方は、あれは間違っているというふうに思います。  最後に、契約外のものまで検査するのは無理だとおっしゃいますが、この法案をごらんになればおわかりのように、三条機関としての金融委員会、これはもう行政組織であります。この行政組織決定した方針に基づいて、その委任を受けて、日本銀行という、この行政機関の下の認可法人がやるんですから、これは今までの、契約に基づく考査とは全く違うのでありまして、法制上も実行上も何ら問題はございません。  以上です。
  11. 中川正春

    ○中川(正)議員 先ほどの検査監督の部分についてお答えをしたいと思います。  柳沢委員のお話を聞いていますと、どうも検査監督を分けること自体も余り積極的でなかった、どっちかといったら、大蔵省がみんなやらなきゃいけないんだ、そんな流れがその中に酌み取れました。それだけに、私たちは、その大蔵省に対峙する力として日銀を再定義していく、そんな中で、この機能を三条機関委員会に付与していく、そんな考え方でまとめました。  よろしく御理解をいただきたいと思うんです。
  12. 北脇保之

    北脇議員 企画立案行政の扱いについてお答えを申し上げます。  私どもの案では、金融委員会を独立委員会とするということで独立性を確保する、それと同時に、もう一方で、大蔵大臣との連携ということを法律の中に規定して、制度づくりについての情報提供とか情報交換を十分にやっていく、これが基本の考えでございます。  そして、委員指摘のような、大蔵省の方の力によって、主従関係みたいなものが生じるんじゃないか。この点については、金融委員会が独立委員会であるということで、ここのところに歯どめをかけていく、担保していくという考えでございます。  もう一つは、今度の企画立案市場ルールづくりということでございますので、これからの行政というのは、今までのような非常に密室的なものでないというところにこの分離の意味が生じてくる、この点を申し上げたいと思います。
  13. 池田元久

    池田(元)委員 民主党池田でございます。  きょうは、柳沢委員と一問一答で十分論議できることを楽しみにしてやってまいりましたが、結果的に、すべて総括的に決めつけで終わったというのは甚だ残念でございます。  まず、財政金融の分離。これは皆さん、狂乱インフレ、バブル発生の、大変国民に大きな痛手を与えたあの経験を思い起こせば、どうしてもここのところははっきりと、金融財政のしわ寄せを受けないという形に、制度的にも持っていくということがどうしても必要です。  それから、大蔵省の最近の行政大和銀行事件も、それから見れば、企画立案も残して、それでさらにまたそこを足がかりに監督をしてにらみをきかせようという、こういう改革の不徹底といいますか、こういうものでは、あの大蔵省改革の原点から見れば、甚だ不十分と言わざるを得ません。  柳沢委員に申し上げたいのは、また自民党案を信じている方に申し上げたいのは、財政金融の間にこそミシン目を入れるべきなのですよ。検査監督企画立案。初めは検査だけそこだけ切ろう、そこだけはいいよ、次は検査監督、そういうところにとどまっているわけです。大蔵省の抵抗ラインそのままに来た。こういう法案提出する意図が、よく私はわかりません。  それから、金融政策について政府を代表するのはだれか。もう金融政策については日銀の専管事項です。先週も橋本総理大臣も、大蔵委員会で言っておりました。日銀の政策委員会決定するというのが基本であると考えております。国際会議等で我が国金融政策について政府を代表するのは、当然日銀総裁ということになります。  大蔵省の、財政金融の分離に反対する、唯一と言っていいですね、それがG7への出席なんですよ。官邸で開かれた行革会議でも、そういう反論文書を流しました。要するに、その程度の反論しかできないというところに私は問題があると思います。G7は、先進七カ国大蔵大臣中央銀行総裁会議といいまして、各国全部中央銀行の総裁が出ているわけです。いろいろ申し上げたいのですが、要点だけ申し上げたいと思います。  金融政策に関する立法を担当する大臣がいない、そんなことは全くありません。要するに、金融政策につきましては、金融検査監督に関する規則の制定、自己資本比率の算定基準企業会計基準等の策定などは、これは金融検査監督に密接に関連するものですから、金融庁長官委任する。  また、法律事項ではないですけれども、私たちが出した提案の中にありますが、総理府金融制度企画室を設ける。これは、金融市場証券市場のインフラ整備銀行証券保険の垣根をどうするか、そしてまた、各種の業法を統一した金融サービス法の企画立案といった大きな金融制度の枠組みの問題は、今非常に大事な問題です。そこは総理大臣直轄の金融制度企画室を設けて、検討して策定する、こういう考えです。  また、国会としても、国会法を改正して、金融委員会といった委員会を設置して、金融ビッグバンまでの集中改革期間、私ども真剣に取り組んでおりますが、政治主導で強力に金融システム改革推進できる体制をつくっていきたいと考えております。  それから最後に、農林金融について、業務停止のときなどに農林大臣が突然共菅大臣となることは難しいのだと。突然共菅大臣となるわけではありません。我が民主党の提案では、そこははっきりと分けております。金融検査監督権限金融庁長官に一元化する。柳沢先生も、当時の与党のチームで大変御苦労されたと聞いております。しかし、住専問題では、この検査監督縦割り行政の弊害が批判されたわけですね。大蔵省の住専の検査結果が農水省に知らされていなかったということで、信連に対して有効な監督が行われなかった。さらに、大蔵、農水の両省の局長レベルで覚書を交わして、不良債権の処理を先送りしたことなどが、あの当時、縦割り行政の弊害として批判を浴びたわけです。  申すまでもなく、金融というものは相互の信用状況が連鎖する仕組みです。金融機関の相互の融資状況などを、全体的に一元的に把握する必要があるわけです。こういった点を政府与党は怠ってきたわけです。私たちは、住専問題あの厳しい反省に立って、金融というものの今申し上げた特性も考えて、金融検査監督の一元化を図ることが必要であるというのが私たちの提案です。  私たちの提案を、皆さん、虚心に検討していただきたい。財政金融の分離は必要なんです。むしろ、大蔵省金融企画立案だけ残す方がおかしいわけです。それから住専問題あれだけ厳しい批判にさらされたわけですね。当然、少なくとも検査の一元化だけは、我々は立法者としてやっていかなければならないのではないかと思います。  最後は、御賛同をと言いまして、私の答弁といいますか、発言にかえる次第です。
  14. 柳沢伯夫

    柳沢委員 大変時間が超過して、皆さんに御迷惑をかけたことはおわび申し上げますけれども、やはり質疑者としても、どうしても一わたりの問題点指摘したかったということで御理解を賜っておきたいと思います。大変失礼いたしました。どうもありがとうございました。
  15. 綿貫民輔

    綿貫委員長 次に、谷口隆義君。
  16. 谷口隆義

    谷口委員 新進党谷口隆義でございます。  本日、新進党提出金融委員会設置法案並びに日本銀行法案の二法案に対して質疑をさせていただきたい、このように考えております。  まず、その前に、ただいまの柳沢委員の御発言に対する御答弁が、時間の問題もございましたので、若干言い足りないところがもしおありでございましたら、私の時間にどうぞお話をしていただいて結構でございますが、よろしいですか。わかりました。大体御答弁されたことで御満足ということでございますので、私の質問をさせていただきます。  今回の金融行政改革というのは、御存じのとおり、あの大和銀行の問題、また住専の問題、このような問題で集中して議論がされた護送船団行政であるとか、また密室行政、このようなことからの決別を意味しておる、私はこのように考えておるところでございます。  一九八五年、プラザ合意がございまして、それ以降、金融の自由化また国際化が進展していくということは目に見えておったわけでございますが、当時、金融改革をやり始めたと申しますか、緒についたばかりの金融改革が、その後のバブル経済の発生、崩壊等々によって停止状況になった、そのために我が国金融業界は大きく立ちおくれた。  現在問題になっております経済の二重構造、産業の二重構造、経済の二重構造、このように言われておるところでございますが、極めて生産性の高い業界、自動車であるとか家電であるとか、このような生産性の高い業界と、一方ではまた極めて生産性の低い業界がある。一般的に言われておるのは農業であるとか、この金融業界も生産性の低い業界、このように今言われておりまして、我が国の経済の二重構造は、二割を占める生産性の高い業種が生産性の低いあとの八割の業界を引っ張ってやっておるような矛盾に満ちた状況にある、このように言われておるところでございます。  このような金融業界のおくれは、バブルの前のプラザ合意から考えますともう既に十数年になるわけでございまして、このようなおくれの結果、我が国金融業界が極めて生産性の低い産業になった、このように言われておるところでございます。そういうような状況の中で、競争原理を導入して自己責任のもとでやっていく必要がある、そのような状況の中では、当然透明性行政透明性が必要である、このように考えておるところでございます。  また、先ほどお話をしましたプラザ合意以降、内需拡大と円高誘導政策が求められて、当時の日銀の関係者の方のお話によりますと、五回にわたって公定歩合が引き下げられた。一回目から三回目まで、これは五%から二・五%まで引き下げられるわけでありますが、三回目まではマネーサプライの増加率とGDPの成長率はそんなに大きな問題がなかった。ところが、四回目、五回目になって、マネーサプライの増加率とGDP成長率との間に大きな乖離が出てまいりました。それが大きな原因となってバブルを引き起こした。このように当時の日銀の関係者の方がおっしゃっておるわけでございまして、この四回目、五回目の公定歩合の引き下げは、大蔵省の影響下で内需拡大の一環として日銀が嫌々引き下げたんだ、このように言われておるところでございます。  こういうような反省から、日銀の開かれた独立性独立性を確保していかなければいけないというようなことで、今回のこの金融行政改革の大きな目玉になっておる、大きな議論のポイントだろうというように思うわけでございます。  今回、この新進党提出法案は、現下の財政状況の中で行革の方向も踏まえた、また独立性透明性という観点においても、現状に照らした法案であるというように私は評価いたしておるところでございます。私は、そのような観点から質問をさせていただきたい、このように思います。  まず初めに、今回の新進党案政府案とで金融行政に対する基本的な理念、考え方に大きな隔たりがある、このように理解しておるところでございますが、先ほど私が申し上げました従来の大蔵省護送船団行政、護送船団方式の長短について御答弁、御見解をお願いいたしたいと思います。     〔委員長退席、野呂田委員長代理着席〕
  17. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)議員 私どもが考えております、これまでの大蔵省の護送船団方式と呼ばれているような金融行政問題点、たくさんございますが、まず第一に、これは競争を排除して一番経営効率の悪い金融機関でも破綻しないようにするということでありますから、これはもう当然、競争排除ということは切磋琢磨をしないということですので、経営の効率は悪化します。  また、効率のいい金融機関におきましては余力が生じますが、横並びで金利が決まっていますために、余力というのはみんなもうけ過ぎになります。このもうけ過ぎによって給与の水準を高くしたり、あるいは目抜き通りに立派な店舗を出したりということで、非常なむだがここに発生をした。しかし、このむだの発生ということは、国際的に見れば日本金融機関の競争力が落ちているということであります。  そこで、このメガコンペティション時代のグローバルコンペティションという現実に遭遇しまして、今慌てふためいている、金融空洞化が問題になっているというのが現状であります。  これは同時に、国民不在の金融行政と言うべきでありまして、本来預金者に金利引き上げの形で還元すべき利益、あるいは貸出金利引き下げの形で国民に還元すべき利益を、結局むだな形で効率のいい金融機関は使ってしまう、こういうばかげたことをやっていたんだというふうに思います。しかも、それが不透明な密室の中での行政指導、非常に裁量性の高い行政指導という形で行われてきたことから、大和銀行事件にせよ、不良債権問題の処理にせよ、現在直面している多くの金融上の構造的な危機が発生したのだというふうに考えております。  ですから、私どもは、この金融行政関係組織改革においてまず第一に考えなきゃいけないことは、そのような金融行政あり方を転換して、業態ごとに業法で取り仕切って、こういう商品を出しちゃいけない、ああいうことをやっちゃいけない、わからなければ私のところに聞きに来なさいという行政指導方式から、もっと業態横断的な、預金者保護とか投資家保護とかあるいは公正な競争のルールといったものをいわば市場法として定め、このルールに違反しない限りみんな自由にやりなさい、創意工夫を重ねて自由にやりなさい、このようにして初めて競争力がつくと思いますが、そうしておいてルール違反をチェックする検査をする。したがって、裁量性の高い密室での行政指導という意味監督行政は、これから限りなく小さくなっていくと思うのですね。  したがって、大事なのは、検査でルール違反をチェックするということと、その検査の結果を踏まえて企画立案をする、この二つになっていくだろう。もうこれが一番大きな基本的な考え方です。こういう考え方からいきますと、行政改革中央省庁を整理統合しようと言っている真っ最中に検査監督のために一つの省庁をつくるなどというのは、まことにむだなことだと言わざるを得ません。  それで、先ほど柳沢委員は、それじゃこの検査監督をどこにくっつけるか、まあ日銀につけちゃえということで、中央銀行へつけるという理由が消極的だとおっしゃいましたが、全くそんなことはない。さっき言いましたように、中央銀行というのは、物価安定のための金融政策と並んで信用秩序維持が目的であります。信用秩序維持のためには検査監督というのは切り離せない行為。だから日本銀行は今まで考査もやっているわけですね、独自に。  それで、先ほども言いましたが、そういう観点で、中央銀行検査監督を同時に持っている例は簡単に挙げられます。しかし、大蔵省が自分の組織で持っている例を挙げてみろといったら、まず詰まっちゃいますね。そんな例はないのであります。  ですから、今申し上げたような観点から、これまでの金融行政というものを変える、そのためにはどういう組織がいいだろうか。これは、金融監督庁なんかをつくるのではなくて、日本銀行検査監督をやるという組織がいいだろう。しかし、これは行政的な色彩が強まるから、この際は日本銀行政策委員会金融委員会という名の三条機関にしよう、その下の認可法人として日本銀行の実行部隊を位置づけようというのが我が党案でございます。
  18. 谷口隆義

    谷口委員 ありがとうございました。極めて明快に御答弁をしていただきまして、ありがとうございます。  それにつけ加えて、先ほどの御答弁の中にもございましたが、今回、財政政策金融政策を分けるべきである。先ほども私、冒頭お話をさせていただいたところでございますが、なぜ分離をしなければいけないのか。また、今回、この新進党提出法案は、政府案の主な問題点はどういうところにあって、どう違うのか。また、新進党金融行政に対する基本的な考え方も含めまして、この三点、御答弁をお願いいたしたいというように思います。
  19. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)議員 財政政策金融政策を分離すべきだ、特に金融行政財政政策を所掌する大蔵省から分離すべきだ。この理由については、先ほど柳沢委員自身も、両者の間に明らかに利益相反があるということを率直に認めておられます。まあほとんど、ここに御出席の先生方もそのことは十分御存じだと思います。  ですから、この利益相反のある二つの政策手段を一つの省が握るということは、その省が勝手にこの組み合わせを考えてしまう、本来内閣で考えるべきことを一つの省庁の中で考えてしまうということになるので、これは避けなければいけない。また、事実、そういうふうにしておいたために、例えば不良債権の処理がおくれた。  実は、御承知のように、民間金融機関はもっと早く不良債権を処理したいということを言って、無税償却をしたいということを言ったのに対して、これを非常に限定的に大蔵省が抑えた。これも御承知のように、国税庁が直接やっているんじゃないんですよ。銀行局がこれを査定するんですからね。これはもう完全に、利益相反があるために無税償却が抑えられちゃったんですね。  それから、じゃ、もうしようがない、有税償却だ、そのかわり私は赤字になりますぞ、赤字決算しますぞと言ったら、これまた抑えちゃったんですよ、銀行局が。だから、不良債権の処理がずうっとおくれちゃった。これはもう利益相反そのもの。その結果、今日の不良債権問題というのはこれだけ大きくなっちゃったんですね。  それから、金融組織あるいは資本市場の未発達の原因としてよく指摘されておりますことに、政府短期証券の金利が自由化されていないじゃないか、政府短期証券市場がないじゃないか、外国が外準に円を持とうと思ったって投資する短期の政府証券がないじゃないか、こういうことが言われます。これもやはり、この金利を自由化すると財政負担が大きくなるのじゃないかという財政政策優先で金利自由化を抑えているからなのですね。  そのほか、有価証券取引税にしても取引所税にしても、すべて金融市場の発達、システムの発達という観点財政観点が完全に抑え込んでしまっている。これでこれだけ日本金融市場、システムの発達もおくれているというわけであります。  非常にこれまでの弊害は大きいわけでありますから、しっかりと分離しなければいけないのでありますが、先ほどから出ておりますように、政府案金融監督庁では、これは大蔵省の影響下の焼け太り省庁を一つふやすような形であって、きちっとした分離には全くなっていない。しかも、余計な省庁を一つふやすということで行革の流れに反しているではないか。  これは、本来利益相反のない、基本的な利益相反のない日本銀行が同時に検査監督を所掌して初めて一貫した検査監督行政が行えるという積極的な理由をもって日本銀行にこれを所掌させる。しかし同時に、行政権日本銀行はかなり拡大しますので、行政組織として政策委員会を改組するというのが我が党案でございます。
  20. 谷口隆義

    谷口委員 まさにおっしゃったとおりだと思うのですが、今鈴木委員が御答弁されたように、政府短期証券、FBが日銀の引き受けということになっておりまして、市中金利よりも安く引き受けておる。まさにそういう意味においていわゆる財政の下請化を日銀が担っている。こういうような状況は決して好ましい状況ではない、私はこのように思っておりまして、まさに同意見であります。  その次に、また御質問させていただきますが、政府金融監督庁案では、橋本内閣の言っているように、業態相互間の垣根が低くなってなくなるという方向性で将来の金融ビッグバンを考えた場合に、金融監督庁は邪魔な組織になるのではないか、また行政改革の方向性とも逆行するのではないかというような考え方がございます。  そこでお聞きしたいのですが、もしこの政府案金融監督庁が設立されたとすると、金融ビッグバンの流れの中で、この組織の将来性についてどのようにお考えでございましょうか。
  21. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)議員 御指摘のとおりでございまして、先ほども申し上げましたように、ビッグバンが進み、自由化された将来の姿を考えますと、ルールに合っているかどうかを検査する仕事と、それからルールをつくる企画の仕事に金融行政は大きく分かれてきて、監督行政というものは限りなく小さくなっていくと思いますから、検査だけのための省庁を一つつくってしまうというのはまことにこれは行革の流れに反するということで、将来、それも近い将来、しまったということになって、どこかに吸収合併させようという話が出てくる可能性は大変高いというふうに思います。それなら、今から日本銀行に一本化していくという我が党案が合理的であるというふうに考えております。
  22. 谷口隆義

    谷口委員 今鈴木委員の御答弁は、要するに、長期的視点に立った法案ではない、こういうようなお考えだと私は理解をさせていただきました。いずれ行革の中で、またビッグバン全体の中で、今アメリカにおいても業界の垣根を乗り越えて、こういうような段階になっておるわけでございますが、その段階でこの金融監督庁が果たしてどのようになっていくのか、極めてこれは重要な問題ではないか、重要な指摘ではないか、このように私は思っております。  その次に、中央省庁の再編と金融ビッグバンの方向性とは本来別々のものとして考えてよいのではないかという意見がございます。新進党案は、この両者を統一的に解決した案と理解しておるわけでございますが、行革のあるべき姿と金融ビッグバンへの対処は別々にあるべきであるという意見に対してどのようにお考えでございましょうか。
  23. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)議員 行政改革の目的というのは、今さら申し上げるまでもなく、効率的でスリムな政府機構にしていこう、そのことによって民間市場経済の活性化を図っていこうということでございます。金融ビッグバンというのも、金融の分野において大いに規制緩和を進め、民間の金融部門の活性化を図っていこうということでございまして、両者はともに効率的で小さな政府をねらいながら、民間経済を活性化して、民間支出主導型の日本経済の持続的発展を図ろうとしている点において究極の目的はぴったりと一致しておりますので、一見入り口が違っておりますが、これを統一的に理解して、我が党案のような機構改革の中におさめるというのが私は合理的、適切ではないかと思っております。
  24. 谷口隆義

    谷口委員 そういう意味では整合性のとれた案というようにおっしゃったのだろうと思っております。  その次にお伺いしたいのですが、従来は日銀の専管事項とされておった公定歩合等の決定を、今回のこの新進党案におきましては、現在の日銀の政策委員会を取り出して国家行政組織法の三条委員会として設置し、これを金融委員会として公定歩合等の決定を行う、このようになっております。すなわち、従来は認可法人の日銀がやっておったことを、この新進党案におきましては三条機関としての金融委員会が行う、このような法案であると認識いたしております。  これについて二つお伺いしたいのですが、一つは、政府案のような大蔵省認可法人としての日銀の政策委員会ではなぜいけないと考えるのか。また、今回三条機関とされたわけでございますが、三条機関とした理由はどういう理由なのか。この二つのことについて御答弁をお願いいたします。
  25. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)議員 二つの点についてお答えいたします。  まず第一は、大蔵省認可法人ではさまざまの点で独立性に制約がある、日本銀行独立性に制約があるということでありまして、例えば定款を初めさまざまのことを大蔵大臣に届け出なければいけない、あるいは大蔵大臣の認可を得なければいけないということに行政組織上なっております。これはどうしてもそうなってしまう。これによって独立性に対する制約がかかる。  それから二番目には、年二回の国会への報告も大蔵大臣を経由して出す。これも大蔵省認可法人であるとどうしても法制上こういう形にならざるを得ないのであります、大蔵省はこの報告書の内容はいじらないとか言っていますが、そんなことはやってみなければわからぬことですし、そのときの力関係でどういうことになるかわからない。関係がないならそんな大蔵大臣なんて経由させる必要がないのに経由させる、これはやはり認可法人だからだというわけであります。  同様のことは予算の認可権を握っているということからも起きておりまして、金融政策にかかわるような形で予算の認可を使わないと口では言っておりますが、こんなことは法律には書いていない以上、将来どうなるかわからない。予算認可権を通じて金融政策圧力をかけるというのは、これまでにも実はあったことでございますからね。  これもよろしくない。  そういう意味で、認可法人のままであっては、さまざまの形で日本銀行あるいは金融政策独立性に対して大蔵省から圧力がかかり得る仕掛けが残ってしまう。したがいまして、国家行政組織法上の三条機関とすることによりまして、大蔵省と対等の立場に置くということにしたわけでございます。  そうしますと、内閣の中で総理大臣の指揮下に入りますが、しかし、そのことによって金融政策独立性が失われることはありません。なぜなら、内閣総理大臣金融政策の指揮権はないわけでありますし、また金融政策を理由とする総裁、副総裁あるいは金融委員会委員の罷免権もありません。したがって、大蔵省と対等になると同時に独立性は喪失しない、これが三条機関にするゆえんでございます。
  26. 谷口隆義

    谷口委員 日銀の独立性という観点で見た場合に、今回の政府案というのは、やはり日銀が認可法人であるということにおいて、今鈴木委員おっしゃったように独立性に対して圧力がかかるおそれがある。こういう観点で、この新進党提出法案の三条機関というのは、大蔵省と同等の立場でやるべきだ、こういうお考えであったとお聞きしました。  その次に、またお伺いしたいわけでございますが、今回の政府案においても、日銀法改正の大きなポイントの一つは、先ほど私申し上げました大蔵省からの独立性の確保である、このように認識しておるところでございます。  新進党案においては、従来の大蔵省金融行政における影響力という点についてどのように考えていらっしゃるのか、なっているのか。また、先ほどのお話のように、今回、金融委員会が三条機関になっておるわけでございますが、こういう三条機関にしたことで逆に金融政策独立性を損なう懸念もあるというような声もあるわけでございますが、このような点について御答弁をお願いいたします。
  27. 北脇保之

    北脇議員 大蔵省の影響いかんという御質問でございますが、まず最初に、金融政策決定のことについて申し上げれば、政府案では、大蔵省認可法人である日銀が金融政策決定を行うということでございますから、先ほどから御答弁申し上げているように、どこまで行っても金融政策決定独立性が保てないのではないかという懸念が残る。それに対して私どもの案は、独立行政委員会を設けてそこで金融政策決定に当たるということでございますから、財政当局金融政策決定への影響に対して独立性を担保することができる、そういうふうに考えております。  そしてもう一つ、金融検査監督行政観点から見て大蔵省の影響がこれからどうなるかということでございますが、私どもの案では、金融検査監督行政も、非常に大きな権限を持つ財政当局から切り離して金融委員会権限とするという考えでございますから、このことが同時に今後の、大蔵省の方に金融企画立案という業務は残りますが、今、時代要請である市場のルールづくりという方向に行政そのものが変わっていく、こういうことが実行されれば、大蔵省による従来のような密室の業者行政といったものに終止符を打っていくことができる、このように考えております。  なお、私どもの案というのは、日銀が行っている金融政策決定、こういったことが非常に公的な色彩のあるものでありながら、憲法では「行政権は、内閣に属する。」こういう制約があるので、ここの調和をどう図るかという問題に対して、三条機関独立行政委員会という制度を利用することでこの問題の調整を図り、金融政策決定独立性の確保を図ろう、こういう案でございますことを御理解いただきたいと思います。
  28. 谷口隆義

    谷口委員 私の最後の質問でございますが、先ほどFBの話をいたしました。現在、大蔵省が為替介入資金の調達等でFBを発行して、この引き受けを日銀がやっておる、市中金利以下の低利でもって調達しておる、これは財政の下請化である、このように私は申し上げました。  また一方、日銀特融というのがございます。この日銀特融は、本来回収できないものに対する特融であってはいけないわけでございまして、本来特融は、行う以上これは回収できるという観点での特融であるべきである。  このようなFBまた特融についてお聞きしたいわけでございますが、新進党案においては、現在日銀が担っている役割のうち金融政策だけを金融委員会に移管する、こういうようなことになっておりますが、例えば国への貸し付けまたFBの引き受け等の決定は一体どのように考えていらっしゃるのか。また、特に信用秩序維持のための特融の決定等についてはどのようにお考えでございますか。御答弁をお願いします。
  29. 島聡

    ○島議員 お答えいたします。  日本銀行は、金融政策金融検査監督とのかかわりのほかに、国の金庫としての性格も当然持っております。国の財産管理というのは大蔵省所管事項でありまして、新進党案でもこの点を変える考えはございません。  したがいまして、日銀法案におきまして、第二十六条「国に対する貸し付け等」、第二十七条「国庫金の取扱い」、第二十八条「国の事務の取扱い」の規定を設けております。これらの事務については、従来どおり大蔵省との関係において執行されるものと御理解賜りたいと思います。  また、今後の金融情勢におきまして最も重視されると思われる信用秩序維持、そのための特融についてでございますが、日銀法案第三十条におきまして、金融委員会が日銀に要請することといたしております。  なお、この場合、大蔵省との間では、金融委員会法案第二十一条第二項の大蔵大臣との連携の規定に基づき、緊密な連携をとることとなっております。とりわけ、信用秩序危機の対処につきましては重要であるわけでございますが、政府案の方は、官僚機構に対してのみ非常にナイーブな案となっておりまして、日銀、大蔵省金融監督庁の三者の協議が必要となっておりますが、私ども新進党の案におきましては、金融委員会大蔵大臣の二者の協議により実行できるということで、非常に迅速的確に対応できる案となっておりますことを御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  30. 谷口隆義

    谷口委員 どうもありがとうございました。  これで私の質問は終わりますが、私の時間内での関連質問を北側議員がさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
  31. 野呂田芳成

    野呂田委員長代理 この際、北側一雄君より関連質疑の申し出があります。谷口君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。北側一雄君。
  32. 北側一雄

    北側委員 北側一雄でございます。  それでは、谷口委員の質問の関連で、私の方からも幾つか新進党案につきまして質問をさせていただきたいと思います。  まず、先ほど来話が出ておりますが、財政金融の分離の問題、もう一度、なぜ財政金融の分離が必要なのか、その必要性につきまして御答弁をいただきたいとともに、これに関連しまして、新進党案が、日銀と財政当局でございます大蔵省との関係につきまして具体的にどのように規定をしているのか、御答弁をお願いいたします。
  33. 北脇保之

    北脇議員 財政金融の分離については、二つの局面について考える必要があると思います。  一つは、いわゆる金融政策金融調節、こういったものと財政政策との関係がどうであるか、これでございます。  この意味金融政策財政政策の間には利益相反関係があり得るということは、今たびたびお話があったところでございます。すなわち、財政政策の運営の基本には国家財政の健全性の維持ということがありますし、他方、金融政策決定は物価の安定を基礎とするということでございますので、景気対策をめぐって、この二つの政策の間に利益相反関係もあり得る、したがってこれを分離する必要があるということでございます。  しかし、その場合においても、財政政策金融政策、これはいずれも国民経済の健全な発展に資するものでなければならない、こういう点には共通点がございますので、金融政策財政政策の分離といっても、ただただ分離ということではなくて、国民経済の健全な発展という点においては一致する、こういうものでなければならないわけでございます。  その点で、新進党の案におきましては、まず、この金融財政の分離という点で、金融政策決定独立行政委員会である金融委員会に担当をさせるということにしております。  しかし、他方、経済政策としての全体としての一体性ということを考えるために法的な整備をしております。例えば、私ども金融委員会法案第四条に、その理念として「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。」ということで、国民経済の発展ということをはっきりとうたっております。  そのほかに、具体的な制度仕組みとしても、第十六条に金融調節事項を議事とする会議への大蔵大臣の出席を規定するとか、また、第二十一条には大蔵大臣との連携等の規定を設けるとか、そのような形で、経済政策決定に当たって金融委員会大蔵省との間で十分な情報交換、意思疎通、連携が図れるようにしております。  そして、もう一方で、財政金融の分離を考えるときに、いわゆる金融監督行政についても考える必要がございます。金融監督行政においても、これが予算とか国の財産管理などを担当している非常に大きな権限を持っている財政当局の中にこの金融検査監督行政が置かれますと、ともすればその大きな権限背景として裁量的な業者行政が行われてきた、これがこれまでの現実でございますので、この点からも、この意味金融行政財政政策も分離する必要があるということで、私どもは、金融検査監督行政大蔵省から切り離して金融委員会に付与する、このような案にしているところでございます。
  34. 北側一雄

    北側委員 政府案の日銀法案を見ておりますと、種々、日本銀行大蔵省との関係について極めて詳細な規定をしております。  そこで、今、北脇提出者からお話があったことを前提といたしまして、政府案で規定をしておりますこの日銀と大蔵省との関係、さまざま日銀法に規定があるわけでございますが、この点については新進党案ではどのようになっておるのか。これは恐らく金融委員会と日銀との関係に移っている部分が相当あるかと思いますけれども、その点、いかがでしょうか。
  35. 中川正春

    ○中川(正)議員 我々の提出した金融委員会そのものの性格づけといいますのが、現在の日銀法で規定されております政策委員会、この機能をさらに行政分野の中で再定義をしていってその行政権というのを担保していこう、こういう考え方が一つございます。ですから、本来の政策委員会が持っておった機能、通貨及び金融の安定と金融機関信用秩序維持に関する政策決定、これをこの金融委員会が受け持っていき、その日常の業務日本銀行がその政策決定に従って行っていく、こういう関係が一つございます。  それからもう一つは、検査監督というのをこの金融委員会という三条機関にゆだねていこう、こういうことがあるわけでありますが、もともとの政府案ではこれが金融監督庁という形で独立をするわけでありますが、実際の業務執行というのは大蔵省の管轄である地方財務局が具体的にはやっていくんだ、こういう前提になっておるわけであります。それだけに、これは独立したものの、やはり大蔵省のそれこそ焼け太りなんだ、大蔵省のコントロールの中でやっていくんだという意思がこの中に入っているではないか、これが私たちの解釈であります。  そういう意味から、私たちは、これは本来日銀がそれぞれ日常業務の中でしっかりした考査をやってきたという実績とそのエキスパートの流れ、それからまた大蔵省に対して日銀が独立をしていくというこれからのしっかりした流れを前提にして、この権限行政権としては金融委員会にゆだねて、その委託、その委任日本銀行の日常業務の中のエキスパート機能を生かしながら任せていく、こういう関係を確立していきたい、こういうことでございます。
  36. 北側一雄

    北側委員 政府案新進党案におきまして日銀と大蔵省との関係の大きな違いは、新進党案では、先ほど御答弁ございましたように、もちろん協力関係はあるんですが、大蔵省がさまざまな手段を通じて日本銀行をコントロールしていくというふうな関係には全く立たないわけですね、立たない。そして、新進党案では、あくまで金融委員会が、新進党案で言う金融委員会が、さまざまな形で日銀との関係を規定しておるということではないかと思うわけでございます。  例えば、日銀の定款の変更などにつきましても、政府案の方では大蔵大臣の認可になるわけでございますが、我が方の新進党案では金融委員会の認可になります。また、予算の問題についても、先ほど鈴木提出者から御説明がございましたけれども政府案では大蔵大臣の認可となっておるのを金融委員会の認可にしていくとか、その他財務諸表等の提出先についても大蔵大臣なのか金融委員会なのか、また業務報告についても大蔵大臣を経由するのかそれとも金融委員会提出するのか等々、日銀と大蔵省との関係においては、新進党案政府案とが全く異なっておるんだということではないかというふうに思うわけでございます。  次に、御質問をさせていただきたいのは、今、金融の自由化というのが、ようやくと言っていいのかもしれませんけれども、さまざまな場面で自由化が進められようと、制度改革がなされようとしておるかと思います。先般成立した新しい外為法もその大きな一つであろうと思うわけでございますが、これからますます金融の自由化、橋本総理のおっしゃるビッグバンというのが具体化されていけばいくほど、実践されていけばいくほど、私は、金融検査とか監視とか、こうした機能はますます重要になるのではないのだろうか、そして一方では、金融監督という機能はだんだん小さくなっていくのではないのだろうかというふうに思うわけでございます。  ここのところをもう一度改めてお聞きしたいわけでございますが、新進党ではどう考えておるのか、この金融の自由化と金融検査監督との関係でございます。  今、金融の自由化というのは、金融界での業態や業界の垣根をどんどん低くしていく、また商品開発の面においてはどんどん自由化がされていく、こういう流れです。こういう流れにすることは、グローバルスタンダードに合わせるために私は必要であると思うわけでございますし、我が国の国民経済を発展させていくためにも極めて大事な問題であると思いますが、一方で、自由化が進められれば進められるほど検査、監視機能というのは強化をなされなければいけないというのは、最近起こっているさまざまな事件を通じてもよくわかると思うわけでございます。  言葉をかえて言いますと、規制の緩和とか規制の撤廃が進めば進むほど、市場原理というものを大切にしようということでございますが、一方で、そういう市場原理から外れた不公正な取引というものをやはり排除していかないと市場原理が働かないわけでございまして、ですから規制の緩和・撤廃を進めれば進めるほど、一方で公正取引委員会は強化をなされていく必要があるわけでございます。  と同じように、金融の自由化が進めば進むほど、一方では、例えば証券取引であれば証券取引監視委員会というのは充実をしていく必要があるわけでございましょうし、また金融検査、監視の場面においては私は強化がされていく必要があると思うわけでございますが、この点、金融の自由化と金融検査監督との関係につきまして改めてお聞きをいたします。
  37. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)議員 北側委員指摘のとおりでございまして、金融の自由化というのは、具体的に考えてみますと、金利の自由化、それから業務分野規制の自由化、それから商品開発の自由化、それからあとは国際化という問題があろうかと思います。  金利の自由化については、先ほど話題に出ておりましたFB金利が固定されていること以外は自由化は終わっているわけでございますが、業務分野の規制それから商品開発の規制というところが日本ではまだ広範に残っております。それは、銀行法とか証券取引法とか信託業法とか業態ごとの縦割りの業法によって、何をしてはいけないとか、商品は横並びでこれだけよといったようなことをぎりぎり縛っているわけですね。  ところが、世界の流れ、金融革新の流れというのは、業界横断的なものがどんどん出てきている。早い話が、証券化していきますと貸し出しや預金まで証券の形をとって動き出す。さあ、これは銀行のものなのか証券のものなのかという話も出てきます。保険だって、保険の掛金をバックにして総合口座を開こうと思えば開けるよという話になって、事実そういうことは動いてきている国があるわけであります。  それでもう困っちゃった日本の業界は、一々大蔵省にお伺いを立てまして、密室の中で行政指導を受けることによって業法の解釈を聞くわけですね。金融革新の中ではこういう商品が出てきた、これは私どもで扱ってようございますか、それともよそで扱うのでございますかとかいうのを一々お伺いを立てると、またこれは一々はしの上げおろしまで指図するような調子で行政指導をしてきた。これが今までの金融行政指導の最大の欠陥であります。  ですから、業務分野規制と新商品開発規制を自由化するということは、すなわちこの業法をぶち壊して業態横断的な市場のルールを決める、金融サービス法といいましょうか、市場法をつくる。その市場法において、先ほど言っておられましたように、一方では預金者とか投資家はきちっと保護するのですよ。しかし、これは自己責任を貫徹しながら保護する。他方では公正な取引のルールというのを決めて、このルールを守る限りは、これは商品開発も自由です、業態も乗り越えてやっていいですよという形で大いに創意工夫を凝らして自由にやってもらう。これが金融自由化の動きだというふうに思っております。  そういたしますと、委員指摘のとおり、この市場法で決めたルールをきちっと守っているかどうかを見る検査監督というところが非常に大事になってくるわけでございます。他方では、密室でああでもないこうでもないと言っている在来型の業法に基づく行政指導というのは、どんどん小さくしなければいかぬということだろうと思います。  そして、この非常に大事になった検査監督と、それから市場法の中の新たなルールを考える企画立案の部門が両輪となって、どんどん新しい日本金融システムの発展を考えていく、万一何かそごを来した場合は両方が相談して信用秩序維持を図る、これが新進党案の前提にしております将来の姿でございます。     〔野呂田委員長代理退席委員長着席
  38. 北側一雄

    北側委員 ありがとうございました。  新進党案は、従来の日本銀行にございました政策委員会日本銀行組織から外に取り出しまして、そして中央銀行の外に独立行政委員会という行政組織としてこの政策委員会を位置づけ、それを金融委員会と名づけているわけでございます。  このように、金融政策決定をする権限を持つ、機能を持つ現行の日銀政策委員会中央銀行の外に取り出して独立の行政委員会とするような海外の制度例がほかにあるのかどうか、また我が国でこのような議論がかつてあったのかどうか、その点につきまして御答弁をお願いいたします。
  39. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)議員 海外の例で典型的なのは、米国であろうかと思います。  ワシントンにございますボード・オブ・ガバナーズ・オブ・ザ・フェデラル・リザーブ・システム、これは政府機関でございます。グリーンスパン議長以下ガバナーたちは、あれは公務員で、公務員並みの給料をもらっております。他方、ニューヨーク連銀を初めとするローカルフェッドは、一〇〇%民間出資の株式会社の形をとっておりまして、総裁以下の給料は民間銀行並みに決まっております。  しかしながら、金融政策の基本を決めます公開市場委員会、オープン・マーケット・コミティーというのは、ワシントンにいるガバナーたちと、それからニューヨーク連銀以下の主要連銀総裁たちが集まって構成している委員会でございまして、この委員会の中で金融政策の基本を決めております。最も典型的な例は、この米国の例であろうと思います。  我が国において以前にそういう話はあったかということでございますが、実は敗戦直後にございました。  当時の占領軍のGHQより昭和二十三年八月に非公式覚書が参りまして、それは「新法律の制定による金融機構の全面的改編に関する件」ということでございます。折しもこの前の月、二十三年の七月に現在の国家行政組織法が発効しているのですね。その翌月にこれが参りました。  何が書いてあるかといいますと、大蔵省から独立したボードを政府機関として設立して政策委員会みたいな機能を果たさせろ、こう言ってきたのですね。ですから、これは当然第三条機関みたいなものを頭に置いている、ボードというのはそういうものだなというふうに私は思っているところでございます。
  40. 北側一雄

    北側委員 同様に、海外の制度で、一つの機関金融政策決定金融検査監督権限とをあわせ持つ、このような例が海外にあるのかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
  41. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)議員 ただいま申しました米国がそうでございまして、米国の連邦準備制度理事会というのは、マネーセンターバンク、大銀行に関しまして検査監督権限をあわせ持っております。金融政策検査監督権限をあわせ持っております。  それから、ヨーロッパに目を転じますと、オランダとイタリアがやはり中央銀行検査監督権限を同時に持っております。  イギリスにつきましては、最近まで英蘭銀行検査監督権限を持っておって、しかし金融政策については大蔵省に指示権があるという奇妙な格好になっておりましたが、労働党政権になりまして、これが今度は逆に、金融政策の指示権をなくすかわりに、検査監督大蔵省でもない英蘭銀行でもない第三の機関に統一しようかみたいな話が出ているところでございます。
  42. 北側一雄

    北側委員 ということでございまして、この新進党の案でございます、従来の日本銀行政策委員会を外に取り出して独立行政委員会にする、そしてそこで金融政策決定金融検査監督をあわせ持たせた権限をやらせようというのは、決して新進党が勝手に考えた案ではなくて、海外でも多くやられている制度でございますし、またがって日本でも議論をされた重要な一つの案であったということが明らかになったと思うわけでございます。  また、従来、日本銀行が、その存在が憲法との関係がどうなっているのだということが常に議論をされてきたわけでございますが、そこがあいまいになっておるわけでございますが、このような新進党案にすることによって行政の側面が明確に位置づけられるわけでございまして、民主的なコントロールという意味でも、新進党案は極めて貴重な有力な案であるというふうに私は思うわけでございます。  もう一点、観点を変えてお聞きをしていきたいと思いますが、今、金融機関でもさまざまな業態破綻問題が起こっておるわけでございます。そして、これからも起こってくるかもしれません。そういうときに信用秩序をどう維持していくか、金融システムをどう安定化させていくか、こうした信用秩序維持機能は極めて大事な機能であると思うわけでございます。  新進党案に立った場合に、例えばある金融機関破綻になった、そういう場合に、どのような形でこの信用秩序維持機能を図ることになるのか。これは金融委員会だけではないと思います。預金保険機構だとかさまざまな機関がかかわってくるかと思いますけれども、具体的なイメージとして、この信用秩序維持という機能がどういう形で果たされていくのか、御答弁をお願いしたいと思います。
  43. 北脇保之

    北脇議員 信用秩序維持の危機の場合の対応も、やはり金融委員会が一つ中心になると思います。  と申しますのは、金融委員会は日銀を監督する、所管する立場にございますので、金融委員会信用秩序維持について、例えば特融であるとかそういったことの要請を日銀に対して行う、こういう仕組みになっております。  そして同時に、預金保険機構との関係におきましても、金融委員会預金保険機構監督しておりますので、預金保険機構による救済、これについても金融委員会預金保険機構といろいろ相談をしながら指示をしていくということになろうと思います。  ただ、最終的には大蔵省が公的資金の導入とか財政出動をせざるを得ない、そういう場合もあり得ますので、この点については、事前に、金融委員会大蔵大臣との連携の規定に基づいて十分な情報交換、意思疎通を図って、万全の対応をしていく、このような考え方でございます。
  44. 倉田栄喜

    倉田議員 信用秩序維持ということで、政府金融機関との関係も御指摘の中にあるのだろう、こう思いますけども、御承知のとおり、金融委員会監督行政の対象の中には政府金融機関は含まれておりません。  そこで、これらの関係については、法二十条で、政府金融機関所管する長との間に必要な協力を求めることができるように配意をいたしております。その規定によって必要な事項は対応できる、このように考えております。
  45. 北側一雄

    北側委員 それでは、最後に、金融検査監督の実効性をどう確保していくのかという問題でございます。  この金融委員会検査監督権限を持つわけでございますが、その検査の対象というのはこれはさまざまな業態金融機関があるわけでございまして、例えば、従来の地方財務局が行っていた検査がございます、そうしたところをどうするのかとか、また、従来大蔵省金融検査部がやっていたところはどうなるのかとか、実際の金融委員会が果たそうとする検査監督を具体的にどのような形でその有効性、実効性を確保していくのか、人員の面を中心に御答弁いただければありがたいと思います。
  46. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)議員 お答えいたします。  まず、日本銀行検査監督に関する専門性といいますかエキスパーティーズといいますか、これは私は十分にあるというふうに思っております。実は、明治以来ずっと考査をやっていたのは日本銀行であって、大蔵省検査が広がってきたのはむしろ歴史は浅いのですね。検査監督が広がったのは戦後であります。ですから、十分な専門性を持ってやる能力を持っておる。それも銀行、信金だけではなくて、証券会社についてもやっております。  ただ、我が党の案でまいりますと、その範囲が広がってまいりますので、日本銀行としては今の陣容だけでは足りなくなるということは大いに考えられる。  他方、我が党の案では、大蔵省検査監督をやらなくなりますので、財務局を含めた大蔵省職員の配置転換等が大規模に行われて、行政改革の実が上がるだろうというふうに思っておりますが、その中で、希望者は当然日本銀行が再雇用していくということは十分考えられ、その点で、人員の量的な面での問題は解決されていくだろうというふうに考えております。
  47. 北側一雄

    北側委員 以上で終わります。
  48. 綿貫民輔

    綿貫委員長 次に、枝野幸男君。
  49. 枝野幸男

    ○枝野委員 それでは、民主党を代表して、新進党対案民主党修正案について質疑をさせていただきたいと思いますが、新進党対案については、先ほどの柳沢先生の御質問あるいは今新進党みずからの御質問の中で、疑問点はいろいろと質疑をされておると思いますので、専ら民主党案についての質問をさせていただいて、新進党案については我が党の見解だけ述べさせていただきますので、どうぞ三十分お休みいただいて結構でございます。  まず、新進党の御提案でございますが、一つの御見識とは思うのですけれども、我が党が特に重要と考えておりますポイントについて、若干見解を異にしておるのかなというふうな見方をさせていただいております。  一点は、我が党は、財政金融の分離、これもしっかりとした分離が最重要であると考えておりますが、金融企画立案大蔵省に残すという点について、組織的な財政金融の分離が十分であろうかなということで、若干の疑問を持たせていただいております。  また、政府の中に、公定歩合など金融政策決定機関として金融委員会をつくるということでございますが、三条委員会ということで独立性を確保しておるというお話でございますが、とはいいながらも、従来日銀が持っていたものが政府内に入ってくる部分があるということで、果たして政治的な介入に左右されずに、市場に対応したものとして機動的に発動されることになるのかどうかというような点、財政金融の分離について、こうした疑問を持たせていただいております。  また、私どもは、もう一点、住専問題の反省を踏まえて、金融検査監督について一元化をしていくことが大変重要であると考えておりますが、この点については新進党さんの対案では十分ではないのかなというようなことで、一つの御見解とは思いながらも、残念ながら私ども立場とは違うのかなというような認識だけ表明をさせていただいて、民主党案について質問をさせていただきたいと思います。  まず、民主党案では、金融企画立案を、検査監督とともに金融庁に移管をするという内容になっています。これは、政府案のような企画立案検査監督を分けることにはデメリットがあるという前提に立っているのかなと思いますが、どういったデメリットがあるのか。逆に、企画立案検査監督を結びつけることでどのようなメリットがあるのかということについて、まずお尋ねさせていただきたいと思います。
  50. 池田元久

    池田(元)委員 先ほどから出ておりますように、政府案金融監督庁民主党案の金融庁最大の違いは、政府案大蔵省金融企画立案を残したこと、我々の提案は、金融企画立案大蔵省から離して総理府に移管したことです。その企画立案の中でも、監督に密接に関連する政省令の策定権限金融庁長官委任するということにしておりまして、財政金融の分離を組織的に明確にしたということです。  御存じのように、財政当局は、国債や政府短期証券を発行して金融市場から資金調達をする市場でのプレーヤーですね。それが市場のルールを決めるコミッショナーの役割、これは企画立案ですね。さらには国債を引き受ける民間金融機関監督、コーチ。要するに、大蔵省がプレーヤー、コミッショナー、さらにコーチまで担うというのが政府案です。これでは、最大のマーケットの参加者であります政府の意向で金融市場がゆがめられるおそれが多分にあります。  財政当局は常に低金利を志向し、金融当局は市場実勢に応じた金利決定を目指すといういわゆる財政金融利益相反の問題も、引き続き日銀を所管する大蔵省という一つの役所の中で、市場からは見えにくい形で政策調整が行われることになりまして、政府案では政策決定透明性が確保できないと言って差し支えないと思います。  また、金融検査監督企画立案も、自民党の皆さんの一部には、そこを分けるのだ、こんなことをおっしゃっていますが、いわゆる行政改革の中で、エージェンシー、企画立案、そういった考えもありまして、我が党も去年の秋からいち早く検討しておりますが、事金融の面では、その特性からいってちょっと違うのではないか、単純に当てはめることはできないと思います。金融検査監督企画立案も実務的には密接不可分です。  例えば、スイスのバーゼルで開かれる金融監督者の国際会議には、政府案では引き続き大蔵省から担当者が出席するということになるようですが、こうした会議金融監督の実務上の話が出たときに大蔵省はどうするのか、企画立案しかやっていない大蔵省の担当者は立ち往生するのではないかと私は心配しております。民主党案では、金融庁金融検査監督とそれに関連する企画立案を担いますので、金融監督者の国際会議金融庁の担当者が出ていっても、堂々と各国の代表と渡り合えるということになると思います。  以上です。
  51. 枝野幸男

    ○枝野委員 もう一点、民主党案の特徴は、金融検査監督を一元化しているところにあると思います。これは、どういったメリットがあるという考え方から一元化をしているのでしょうか。
  52. 池田元久

    池田(元)委員 民主党案では、行政の効率化という観点から金融検査業務金融庁に一元化することにしております。日銀の考査の法定化とあわせて、金融機関については金融庁行政検査と日銀考査のダブルチェック体制になるわけです。  ノンバンクの不良債権問題が象徴的ですが、金融は相互に連関しております。融資先がどういう事業にその資金を使い、採算性があるのかどうか、また、融資先の融資先の経営は大丈夫かといった点、すなわち複雑に絡み合った融資構造全体を一体的に把握しなければ有効な検査はできません。問題の、信連の融資先が住専ということはわかっていたのですが、その住専がどれだけでたらめな融資をしていたかはわかりませんでしたというようなお粗末な縦割りの検査体制では、有効な検査は行えません。やはり検査は一元化して、全体像が把握できるように無用の壁を取り払わなければならないと思います。  また、業務停止命令、免許取り消しといった金融監督権限につきましても、金融庁に一元化して、監督責任を明確にしております。住専問題では、農協や信連を監督する農水省と住専の母体行を監督する大蔵省との間で覚書を密室で結んで、先送りして傷を深くしたということが行われてきましたが、監督責任金融庁長官に集中すれば、問題が生じたときにはまさに早期是正で対処することができるわけです。  先ほど、いらっしゃいませんが、有事駐留というお言葉がございました。安全保障で有事駐留がどうかという問題はさておきまして、私たちの提案はそこのところもしっかり考えております。  業務停止命令の際の金融庁事業官庁関係につきましては、農協法を例にしますと、政府案では、業務停止命令は農水大臣金融監督庁長官が連名で出すことになっておりますが、民主党案では、金融庁長官が単独で業務の停止を命令することができるように、権限を一本化して監督責任を明確にしております。  ただし、その際に、金融以外の事業に関する事業官庁の主務大臣事前協議をするように義務づけております。信連の場合には、農水大臣農業政策等の観点から問題が生じないかどうかといった判断を仰ぐ意味がございます。  また、重要な金融検査の結果についても、金融庁から事業官庁への報告を義務づけて、不測の事態に備えて連携がとれるよう万全を期しております。  有事駐留云々の発言でございますが、要するに我々の案は、監督責任を明確にする、そして政府案が共管としている事業官庁との関係でも、そういう事前協議仕組み、また重要な検査結果については報告を義務づける等十分な注意を払っておりますので、有事駐留という批判は当たらないことを強調しておきたいと思います。
  53. 枝野幸男

    ○枝野委員 今の事業官庁との話、念のために、逆にその事前協議で、事業官庁の方の反対でごちゃごちゃするとかという心配はないのでしょうか。
  54. 池田元久

    池田(元)委員 金融庁長官は、必要な場合は独立して職権を行使できるというのが我が党案に入っておりますので、その心配は要らないと思います。
  55. 枝野幸男

    ○枝野委員 実は、今回の案では金融庁という形で提案をされておりますが、昨年末民主党と自民党との間で行われましたこの問題に関する政策協議の中では、民主党は公正取引委員会型の三条機関の設置を主張していたと思います。これが金融庁になって、独任制の金融庁長官監督責任者にすることとなさいましたが、変わられたのでしょうか、また変わられたとしたら、どういった点からこういった判断をされたのでしょうか。
  56. 安住淳

    ○安住委員 お答えをいたします。  確かに、我が党も公取型という文言で、公取型の金融行政あり方というのを検討したことはございました。しかし、それはひとえに金融行政というものを財政当局から切り離すにはどうしたらいいかという観点からであって、そうした趣旨を踏まえると、公取型という考え方は、まさに今回私どもが出した修正案の中にはより明確に反映をされていると思っております。  財政金融の部分に、ミシン目といいますか、きちっと分けて、財政当局から切り離す。企画立案の部分でミシン目を入れるのではなくて、金融行政というのはまさに一体であるという観点からいえば、政府側の出した閣法よりも、よりそこの点で我が方の案の方が明確になっているのではないか。  そして、政治とのかかわりで申し上げれば、つまりここの独立性の問題というものは金融庁の長官のまさに職務にかかわる問題だと思っております。アンパイア的な行政が必要である。つまり、コーチや監督までやって、最後まで面倒を見るという今までの護送船団方式のやり方が厳しく問われているわけでありますから、そうした点からいえば、アンパイアに徹するということは、市場の監視というものに対して、いかにこの金融庁長官権限を強めるかということ、そこが一番大事だと思いますので、そうした点から、私ども修正案では、金融庁長官立場というものをより強めてまいりまして、任期三年の身分の保障というのは、仮に政権がかわった中にあっても、その身分の保障をできるだけ担保するという考え方をとって、合議制よりもこの長官の独任制というものを優先した案というものをつくっておるということでございます。
  57. 枝野幸男

    ○枝野委員 金融検査監督に関しましては、その道のプロ、専門家といったものの養成が不可欠になってくると思います。  従来、大蔵省の中で、大きな大蔵省の中でそういった部分の人たちが行き来をしながらやっていたようでありますが、金融庁という仕組み民主党修正案の形になった場合、大蔵省などとの関係、人事交流などの関係をどうやっていくのか。あるいは、民間の専門家、公認会計士や弁護士、弁護士が果たして金融の専門と言えるかどうかは私自身含めて若干疑問ではありますが、こういった関係の民間の方々との関係、こういったところをどの程度考えておられるのか、お話しください。
  58. 安住淳

    ○安住委員 委員指摘のとおり、金融行政というのは極めて専門的な分野でございます。例えば、個別の金融機関破綻と申しましても、鈴木先生いらっしゃいますが、日本の都市銀行でいえば、これはまさに日本どころか世界全体の金融のスキームにかかわってくるというぐらい専門的で、なおかつ非常に難しい問題があるわけですから、先ほど申し上げましたように、金融庁の長官の権限というものをより高めて、即効性のある判断をさせていく。  しかし、そのもとにある職員というのは一体どういうふうにあるべきかということなんですが、現実的な点からお話をすると、やはり当面は、大蔵省の方から担当官というものを異動する形でまずスタートせざるを得ないだろうと考えております。ただし、人事異動等については、出身官庁との交流はもう極めて限定する。極端なことを言えば、もうノーリターンルールというものを確立するべきであるというふうに考えております。これもひとえに、財政金融というものを、表だけでなくて裏の方からもきちっと分離をすることが必要だという考えからいえば、このノーリターンルールの確立というものが必要である。  さらに今後、新規にどういう人たちを採用するかという点でございますが、もちろん、民間の銀行等で審査関係をやっていた方々や、それから信用情報機関の担当者、さらには公認会計士や弁護士といった実務の経験のある人材というものを中途採用するような形でも、私は人材の確保はでき得ると思いますので、その点については、改めて資格試験というものを明確に提起をして、有資格者をつくりながら、このプロパーというものをつくっていかなければならないと思っています。  いずれにしましても、市場を監視するということは、これはアメリカでも今は金融行政の中心はまさにそこでありまして、そういう点からいえば、この金融庁というものができた場合の金融検査官、それから、今ある証券取引等監視委員会事務方は、これはアメリカではかなり人員が多いわけでありますから、いずれ日本でも、この点については大幅に増員をして、市場の監視というものに行政のいわば主軸というものを、金融行政だけに限って言えば置いておく姿勢というものがこれから必要なんではないかと思っております。
  59. 枝野幸男

    ○枝野委員 この財政金融の分離問題について、これまでの政府案質疑の中で、大蔵省は、G7の出席大臣の問題を挙げておられます。財政金融を完全に分離してしまったらだれが出ていくのだ、混乱するではないかという話のようでありますが、民主党案のように財政金融を完全に分離した場合、G7に出席する政府の代表はだれになるのでしょうか。そして、その場合の問題は生じないのでしょうか。
  60. 池田元久

    池田(元)委員 お答えいたします。  財政金融の分離は必要なことですが、それに対する反論はついに、G7の出席問題ぐらいを挙げて反論するということに大蔵省はなっております。  G7といいますのは、先進七カ国大蔵大臣中央銀行総裁会議という名前です。このG7には、民主党案によっても現状どおり、財政や国際金融を担当する大蔵大臣金融政策を担当する日銀総裁が出席することになりますから、何ら不都合はございません。  中央銀行総裁である日銀総裁は、金融政策を代表し、また大蔵大臣は、我々の案でも、通貨や外国為替、財政はもちろんのこと、外国政府や国際機関に対する政策金融といった業務を担当することになります。したがって、大蔵大臣は、G7の場で国際的な通貨の協調介入などの合意にも当然対応できることになるわけです。G7で話し合われる主要な議題について、何ら不都合を生じるとは考えておりません。  もし、個別金融機関の信用問題に関する議論についてどうかということでありますと、法定考査を実施する日銀総裁が担当すべき問題でありまして、必要に応じて金融庁から担当者を補佐官として同行させることができまして、十分に対応できるものと考えております。
  61. 枝野幸男

    ○枝野委員 逆に、その金融庁の長官などが、こういった国際会議的なものに出てくる場面とかというのも出てくるわけでしょうか。
  62. 池田元久

    池田(元)委員 スイスで開かれております国際金融監督会議や国際決済銀行等の国際会議に出席するのはどうかということですが、御指摘会議は、いずれも金融監督機関の国際会議ですから、当然、金融庁長官が出席することになるわけです。
  63. 枝野幸男

    ○枝野委員 金融庁長官を、この民主党案で国会同意人事としています。その国会同意人事とした理由はどういったところにあるんでしょうか。また重ねて、どういった人材が民主党案の考える金融庁長官にふさわしいと考えておられるでしょうか、御説明ください。
  64. 安住淳

    ○安住委員 お答えをいたします。  先ほどから申し上げているとおり、俗な言い方をすれば、大蔵省の焼け太りという議論があって、またそのポストをふやすのではないかという懸念もあります。しかし、この金融行政の長官というか、元締めになる方に関して言えば、私は、決してそうであってはならない。例えば、具体的な話をすれば、大蔵省の次官になり損ねたからその人が回ればいいとか、そういう考え方でこの役所を考えるべきではないと思っております。  橋本総理大臣も、この委員会での答弁等を聞いておりますと、明確には申しませんが、大蔵省OB以外の人を起用するような節の発言はしておりますので、それはそれで結構なことであるとは思いますが、このポストについて言えば、私は、例えばグリーンスパンさんや、それからドイツ連銀のティートマイヤーさん等、世界の金融界の一流の人たちと本当に対等に伍していける、そういう方をやはりこのポストにつけて、何といいますか、金融庁そのものの、ある意味では格というものを高めていかなければならないし、それがひとえに財政当局との明確な分離という姿勢にもあらわれてくるんではないかなと思っております。  また、同意人事の問題でございますけれども、これは、私どものイメージしているものは、公正取引委員会委員や人事院の人事官のように、より独立性を持った職務ということを想定しまして、こうした同意人事方式をここでは盛り込んだということでございます。
  65. 枝野幸男

    ○枝野委員 民主党の案によりますと、金融企画立案を、厳密な意味で言えば金融庁に任せる部分と、それから総理府の、同じ中でありますが、金融制度企画室というところに分けるという案になっております。同じ総理府の中とはいっても、まさに総理府本府の室と、それから独立した、独立性の高い金融庁長官のもとに置かれる金融庁とで、この金融企画立案の部分についての食い違いなどが出てこないのか、二元行政になってこないのか。このあたりの調整あるいは役割分担というものが明確になっていなければ問題が生じるのではないかというようなことが予想されますが、この点について民主党案はどのような考え方をとっておられるんでしょうか。
  66. 安住淳

    ○安住委員 お答えをいたします。  この金融庁、それから私どもが提起している企画立案部門を担当する総理府のセクションというのは、まさにこの二つとも内閣総理大臣のリーダーシップによって、内閣総理大臣の指揮下に入るということからいえば、私はそれは二元行政というものは、そうした事態は起こり得ないだろうと考えております。金融庁長官には監督に関連する政令や総理府令策定事務委任し、それ以外の金融制度企画立案総理府所管になるということでございます。金融庁総理府金融制度企画室もいずれも、そうした意味では内閣総理大臣の下の機関になる。  具体的には、金融庁では、早期是正措置の発動基準となる自己資本比率の算定基準をどのように定めるかといった監督に密接に関係する企画立案事務について、国際会議などへの出席を含めて担当し、国際標準と整合性のとれた形で金融監督行政が行えるようにしていく。また金融制度企画室というのは、イメージで言えば内政審議室と同等の立場で、いわゆる各省にまたがっている金融関係法律金融ビッグバンの時代に対応していくものに合わせて見直していく作業というものを総合的に進めていくという点で、私は、この二つというものは両立をし、決して二元行政になることはないと確信をしております。
  67. 枝野幸男

    ○枝野委員 先ほど来の質疑、御答弁をお伺いをしている中で、民主党案について巷間言われている問題点については十分に御説明をいただけたものと思っておりますが、重ねて、民主党案の利点といいますか、そういった点についてお話しすべきことがあったらお願いをいたしたいと思います。
  68. 池田元久

    池田(元)委員 民主党案は、日銀法の改正とあわせて、今一番改正が必要な部分、財政金融の分離、検査の一元化を重点にまとめた提案でございます。  役人出身の委員から、まあ役人をしていないからという御発言もありましたが、私も役所を随分オブザーブ、ウォッチをいたしました。そして今回の我が党の修正案を作成する作業でも、日銀初め大蔵省そして官邸の準備室から十分な話を聞きましてまとめたものでございます。  理念がはっきりし、しかも信用秩序維持等につきましてもしっかりとした仕組みを取り入れておりますので、現在の、いろいろ提案されておりますが、私たちのものが一番最上のものとかたく信じております。  以上です。
  69. 枝野幸男

    ○枝野委員 終わります。ありがとうございます。
  70. 綿貫民輔

    綿貫委員長 次に、木島日出夫君。
  71. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  新進党民主党にそれぞれ同じ質問をしたいんですが、今回の政府提案の金融監督庁設置法案というのは、一連の金融不祥事に対する国民の大蔵批判を一つの契機とはしておりますが、その最大のねらいはどこにあるかといいますと、三塚大蔵大臣答弁を聞いていてもわかるんですが、いわゆる日本版ビッグバン構想、東京ビッグバン構想といいますか、中身は、金融の規制緩和、自由化、これを推進する体制づくりにあると思うわけであります。  業態の垣根の撤廃それから金融商品の自由化、証券手数料の自由化などをその内容としておりますが、私は、これを進めれば進めるほどますます金融証券市場のギャンブル化、カジノ化が進んでいく。そして結局、それは預金者保護、契約者保護、信用創造、金融仲介機能また決済機能などという金融の公共性、これが破壊されてしまって、国民経済と国民生活に大きな困難をもたらすんじゃないかと思うわけであります。既にそういう指摘も各方面からなされています。  そこで、修正案を提案されております新進党民主党に、政府が出してきている法案また修正案の基本にある日本金融行政全体としてどう位置づけるかという観点から、両党はこの政府が進めようとしているビッグバン構想をどう評価しているのか。金融のギャンブル化、カジノ化を規制することが今国内金融政策においても、また日本の国際金融政策においても急務ではないかと考えるわけでありますが、皆さん認識をお伺いしたいと思います。新進党民主党の順序でお願いしたいと思います。
  72. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)議員 お答えいたします。  政府が進めようと思っております金融ビッグバン構想は、私ども新進党の目から見ますと、むしろ遅きに失したというふうに思っております。  七〇年代終わりから、特に八〇年代、世界では大規模な金融の競争が始まったわけでありまして、その流れは、エレクトロニクスを駆使した電子化、情報伝達のコスト低下とスピードアップ、それらをバックにした金融取引の技術、いわゆるデリバティブズと呼ばれるような先物、オプション、スワップなどを駆使した金融技術の発達、こういうものがございまして、各国はそれらを上手に取り込んで、自分の金融資本市場を使い勝手のいい、コストの安いものとすることによって金融取引を自分の国に引っ張り込む、いわば国際間の市場間競争が激化してきたわけであります。  その中にあってひとり日本だけが、外為法の改正による為替管理の完全撤廃がややおくれたことと、それから、先ほど来議論をしておりますように金融規制の撤廃、なかんずく金融技術の発達をバックにして、どうしても必要な新商品開発の自由化あるいは業務分野規制の緩和といったものが決定的におくれてしまいました。  これで被害をこうむっているのは、言うまでもなく日本国民であります。日本の国民は、これは全く不便てしようがないし、コストがかかってしようがないのであります。それが金融空洞化と言われるように、我々日本人があるいは日本の企業が国内で取引すべき金融関係の取引を海外のニューヨークやロンドンのユーロ市場へ行ってやっておる。本当に不便この上もないし、コストも高い。こういう金融空洞化現象を是正し、日本国民、日本の企業のために便利にする、これが金融ビッグバンのねらいでありますから、私ども新進党は、先ほど申しましたように遅きに失したというふうに思っております。  それが、委員が言われますように、金融のギャンブル化、カジノ化になるという御指摘でございますが、実は、投機というものの考え方がここで問題になってくると思いますね。投機というのは、先の価格を予想して取引することが投機であります。ばくちというのは、予想もできないことでかけごとをするのがばくち、これは別ですよ。投機というのはもっと合理的に、先の価格を予想して投機をするわけですね。それがあって初めて先物取引というのが成立する、オプションというものが成立する、それが絡んでさらにさまざまなスワップだって出てくる、これこそが金融の技術進歩にほかならない。  ところが、これと賭博の区別のつかない役人さんがおられまして、日本でこういう金融新商品が出てきたときに、密室の行政指導で何と文句を言ったか。刑法の賭博罪だと言ったのですね。こういうばかげた状況を正すためにも、我々は金融ビッグバンを進め、デリバティブズを発達させなければいけないと思っております。  その結果、金融の情報に非対称性といいますか、十分情報がとれない弱い立場にある投資家とか預金者に被害が及んではいけないからこそ、この預金者保護投資家保護というのをしっかり入れた金融市場法をつくれと我々は言っているのですね。市場法のねちいというのは、一方では、ルールを守る限り自由にやっていいよということですが、同時にそれが、金融の情報が十分伝わらない預金者投資家に被害を与えることになってはいけない、ここはばっちり保護する。これが車の両輪となって初めて市場メカニズムが発達し、日本金融・資本市場が世界に伍して発展していくことによって空洞化が防げて、そして日本の国民も日本の企業も、今の不便な状態を脱して低コストで取引をする。これは、基本的には国民生活の向上につながるものだと思っております。
  73. 安住淳

    ○安住委員 端的に申し上げます。  金融のビッグバンというのは、私どもも遅きに失したと思います。いずれにしても、世界の中でお金が還流する中で、我が国だけが特殊な市場というものをつくり上げて独特の商習慣の中で取引をしていること自体がむしろ不透明であって、世界の基準の中に我が国市場というものも参入をして、より透明性の高い市場の中で、いわば世界の人たちにプレーをしてもらうことが実は大事であるなと。  そういうことからいいますと、いや応なく我が国が国際金融市場の中で生きていくためにも、ある意味ではこれは開国的な論理ですが、しかし、我が国の独特の考え方、商習慣というものを改めていって、そのまた裏にある金融行政の、それから護送船団方式と言われる、そうしたいわば業界を保護していこうという今までの行政の姿というものも転換をしていかなければ、私は国際的な信用も得られないと思っておりますし、木島先生がギャンブル化とかカジノ化という表現をなさいましたが、むしろ、今の日本的な商習慣を残すこと の方が、世界から見たときの不透明さといいますかアンフェアな姿というものの方が私たちの国にとっては非常にマイナスである、私はそう思っておりますので、一日も早くこのビッグバンというものを世界にわかる姿にして、その中で行政というものも、市場のルール監視というものに徹底していくんだという姿勢に早く変わっていくことが必要だと思っております。
  74. 木島日出夫

    ○木島委員 両党のビッグバン構想に対する基本的認識、ようわかりました。世界を莫大なお金が駆け回っている、また金融自由化は先進資本主義の流れだという指摘もありました。しかし、例えば外国為替や証券取引等々の取引から、金利もそうだと思うのですが、実需原則が外されていくという中で、こうした取引が実体経済からますます離れていっている、実体経済の何十倍、何百倍、何千倍という大きな金が世界を駆け回っているというのは御案内のとおりだと思うのです。  例えば、金融先物取引その他の先物取引でリスクヘッジ、本来これはリスクヘッジのために始まったはずだと思うのです。為替変動や金利変動、この変動の危険を回避するためのヘッジとして金融先物取引等が始まったはずなんですが、今や、単なるそういうリスクヘッジとしての機能じゃなくて、もうばくちですね、要するに一獲千金で物すごい利益を上げる、そういう目的のために実際には運用されている。それが、例えば大和銀行の事件等々によって証明されているのじゃないかと思うんですね。  そして、そういう金融市場証券市場がカジノ化、ギャンブル化することによって、例えば証券会社なり金融会社なり保険会社の幹部もだれも知らない、その取引に携わっている二十代の若手の人間しか知らない、それが何十億という、何百億という金を動かす、それで一つ失敗したらその企業が倒産するような、その金融機関が倒産するような状況が生まれているわけです。まさに今それが最大の問題になっているわけですね。  そんなことを放置し、またそれをますますあおるようなこのビッグバン構想が推進されていったら、結局それは結果的に、鈴木先生、国民経済のためだとおっしゃいましたが、だれに最後のツケが回るかといったら、金融機関に預金を提供している預金者国民であり、まじめに株を買おうとしている、証券市場を通じて自己の資産を守ろうとしている、少しでもふやそうとしている国民じゃないのでしょうか。だから結局、現在の政府が進めようとしているビッグバン構想、要するにこれはギャンブル化、カジノ化につながる。これはやはり規制しなければならぬと思うのですがね。まあ、これは私の意見ですから、もう意見は求めません。私、時間もわずか二十分しかありませんから、次の質問に移ります。  今我が国金融行政に求められていることは、何といっても、大銀行や大証券保険業界奉仕の護送船団をやめさせる、それはやはり政官財癒着をきっちり断ち切る、そして金融の公共性を本当に守っていく、それで国民に奉仕する金融行政に転換することではないかと思います。そのためにはやはり金融におけるディスクロージャーの徹底、また天下り禁止、先日私も指摘しましたが、企業献金の禁止などが必要だと思うのです。政府提出法案にはこれは全くありません。今後の方針にも政府からは何らの提案も見えてきません。  金融行政において企画立案検査監督の分離を一定程度行っても、これは同じ行政機構の中での所管がかわるだけで、それだけでは野村証券事件や第一勧銀事件に見られるような行政と業界との癒着を断ち切ることはできないのではないかと思うわけであります。  政府案も一応、企画立案検査監督、分離するとは言っていますが、大蔵省の介入が、関与が非常に色濃く残っておりますから、その実質上の分離なんというのは期待できないことを我々は指摘しているわけでありますが、どうも先ほど来の質疑の中で、新進党さんと民主党さんの案は、その企画立案検査監督の分離は、むしろ政府案よりも弱まっているのじゃないかと思うんですね。同じ総理府金融庁のその系列の中にみんな民主党さんはぶち込んでしまっている。新進党さんの案は、総理府委員会そして日銀、そういう縦の系列の中に企画立案検査監督もみんなぶち込んでいるということで、むしろ分離が弱まっているようにはうかがえるのですが、それはまあともかく、新進党さんと民主党さんにお聞きします。  今一番大事なのは、やはり行政機構と、行政機関の中の内部分掌は別ですよ、行政機構と銀行業界、証券業界、保険業界、この業界との癒着を断ち切るというのが今一番焦眉の急務じゃないかと思うのですが、両党のこの癒着を断ち切る処方せん、どんなことをお考えなのかお示しいただきたい。
  75. 倉田栄喜

    倉田議員 今、金融行政とそして財界、業界の関係性についてお尋ねがありました。  一つは、護送船団方式、それからディスクロージャー、この関係でありますが、今までの議論の中で明らかになってきておると思いますけれども、我が新進党案は、先ほど委員の御指摘の点と関係性において少し御理解が違うのではないのかなという気もいたしたわけであります。まず、いわゆる監督行政あり方そのもの、そこがまさに護送船団行政と言われる温床になっていたわけでありますから、これはグローバル化の中で国際標準に乗っかっていく。そういう意味で、先ほどお話も出ましたけれども、いわゆる金融市場法というものをつくっていきながら、そこに行政の透明化、ルール化、そういうふうにしていきたい。そうすることによって、監督の裁量の幅というものは非常に小さくもなっていく。同時に、先ほどの不正とかそういうものに対しては、検査、監視という機能を重視していく。そういう方針の中で、いわゆる金融行政というものと業界、財界の関係というものは、国民の目から見て御指摘、御非難、御指弾を受けるようなことにはなっていかない、そういうふうに考えております。  同時に、天下りあるいは企業献金等の御指摘もございました。この点、私どもも、国民の皆さんから御批判、御指摘を受けることがないよう、そのあり方、そもそも禁止をするかどうかということについては、必ずしも御党と立場を同じくするものだとは思いませんけれども、しかしそういうふうに金融行政あり方監督の裁量の幅の縮小化、監視、検査機能の強化、そういうことの中から、あるいは天下りあるいは政治献金のあり方についても御批判を受けることがないよう、節度を持ったあり方で進められる、このように考えております。
  76. 安住淳

    ○安住委員 木島先生のお話の中で、まずディスクロージャーの問題につきましては、まさにそのとおりで、グローバルスタンダードに準拠した金融機関のディスクロージャーをどうしていくのかということが私は非常に重要だと思っております。  大蔵省の今の行政のやり方では、実際に不良債権が幾らあるか、その点については全く明確にしていない。やはりそうしたところをきちっと示していくような、これは民間企業の姿勢の問題にもあると思いますが、例えば企業会計の時価評価基準を導入して、資産の時価評価というものを徹底すれば、かなり日本の経済というのは違った形になっていくのじゃないかと思うし、それが海外から見たときのジャパン・プレミアムの上乗せという形で、実は逆に必要以上にコストがかかっているという問題がありますから、このディスクロージャーというものを重視していくということは極めて重要だと思っております。  もう一つの、護送船団方式の業者行政をやめたらどうかということでございますが、それは私どもが思っているのは、緊張関係といいますか、そこをきちっと持つことがまさに大事でありまして、それに関係した天下りの問題、これは、自制をするといっても、実際は証券会社や各金融機関大蔵省出身者が天下っていて、役員の座を占めているという現実がございますから、これを改めていくようにしなければならないし、また現に私と同じような世代の銀行員が、MOF担と称して大蔵省の中を使いっ走りや情報をとるために走り回っているという現実もあります。ですから、そういう意味では、口だけで言うのじゃなくて、金融行政というものが、業者を大蔵省財政当局が指導監督をするのではなくて、市場のルールにのっとってやるような形にしていけば、私は当然そういうものは消えていくのではないかな、そういうふうに思っております。  そして、最後に企業献金のお話でありますけれども、これは余り金融とは関係ないというふうに思いますが、将来的には、企業献金をどうするかというのは議論をしなければならない課題だとは思いますが、今現在でいえば、やはり個人献金だけに頼るような土壌というものが、私たちの国のこの政治風土という点から考えると、まだまだちょっとないのではないかなと思っておりまして、今後個人献金というものに比重を高めていくためにも、例えば税制上の整備等をしていくという上で、そういうものが完成されたときに初めて企業献金の禁止というのは私たちの視野に入ってくるのかな、そのように考えております。
  77. 木島日出夫

    ○木島委員 時間が来たから、終わります。     ─────────────
  78. 綿貫民輔

    綿貫委員長 次に、内閣提出金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案について質疑の申し出がありますので、これを許します。今井宏君。
  79. 今井宏

    ○今井委員 どうぞよろしくお願いいたします。  最初に、三塚大蔵大臣に、大変恐縮でございますけれども、御質問させていただきます。  この金融監督庁設置法案、十年おくれと言われております日本金融システムをいよいよ確立して、世界金融時代に対応できる日本、こういうことで、その第一弾の法案の一つかと思うわけであります。  最近、御案内のように、私たち日本よりも、ロンドン、シティーにあらわせますように、英国においても、あるいはニューヨーク、アメリカにおきましても、さらに金融改革を出して発表、公表している状況でございます。  イギリスは、金融監督を一元化することによって、検査体制をさらに強化し監督機能を統合していこう、こういうことになるわけで、まさに金融コングロマリット化の動きに対応できるようなシステムの構築を図っているわけでございます。  銀行監督のみならず証券保険もすべて一つの機関で集中して、監督検査の実効性あるいは効率性をなお一層高めて信頼あるものにしていく。今まで、どちらかというと、別々の監督当局では、それぞれ別々の金融グループの業務の一部分しか把握できない。そういう時代ではないということで、一括して検査監督をしていこう、これがイギリスであります。また、欧州通貨の統合を踏まえまして、中央銀行独立性、これは共通項で、きちんとした役割というものが明確になっておるわけであります。しかも、それらについては情報公開というものもしっかりしている。  アメリカは、これもアメリカ財務省の方で金融制度改革案をこれまた公表して、さらに世界規模の業界の競争力の一層の強化をねらっているわけですし、一般企業の相互の乗り入れも可能とするという方向で今議論がされているわけであります。  このように、日本よりも先に行っておりますイギリスあるいはアメリカの金融改革、さらに改革をしていこう、こういうわけであります。おくれて日本版ビッグバンをやろうという日本のやさき、さらに引き離されるのではないかと危惧も抱くわけでございます。これらの先進諸国の金融改革が相次いでおりますが、これを私たち日本では、とりわけ日本政府では、どのように評価していったらいいのだろうか、その辺につきまして御答弁をちょうだいしたいと思うわけであります。
  80. 武藤敏郎

    武藤政府委員 委員指摘のとおり、イギリスにおきましても、政権がかわりますと、早速金融制度改革に着手するということを伺っております。  国際的な比較をするということについては、国の歴史的な経緯とか行政機構の基本的あり方の相違ということがあるものですから、単純に比較するというのは非常に難しいのでございます。  しかし、概括的に特徴点を申し上げますと、主要国では、まず銀行制度企画立案ということに関しては、大蔵省またはこれに相当する省がその内局において所掌しておるということでありますが、検査監督につきましては、歴史的経緯や行政機構の基本的あり方等から、その所管が、国によっては大蔵省の外局でありますとか、あるいは行政委員会制度をとっているフランスのような例とか、現在のイギリスの例でございますけれども中央銀行監督しているとか、区々になっておるわけでございます。  そういうことで、企画立案担当部局と検査監督部局との役割分担が、ある程度明確になされておるわけでございます。そういう意味では、今回のこの金融監督庁設置法案の意図しているところと基本的には大きなそごはないといいますか、グローバルスタンダードから見て、おかしいということは少なくともないというふうに考えております。  イギリスにおきましては、御承知のとおり、銀行証券保険監督をSIBという、これは非行政機関でありますけれども、現在の証券投資の自主規制機関のようなところに組織改革でもって監督権を移すというようなことを意図しておるようでございますし、アメリカでは、行政組織というよりは、金融制度の中身を改革するといったようなことを考えておるということで、我が国におきましての今回のビッグバンを初めといたします金融行政の中身の改革それから金融行政組織改革、こういうことは一連の動きの中で、ちょうどタイミング的に相前後しながら行われているというふうに理解しております。
  81. 今井宏

    ○今井委員 今御答弁をちょうだいしたわけでございますが、それぞれ国によって多少システムは違うものの、それぞれの機関の役割の分担、責任の分担がはっきりしているということがわかるわけでありますが、今回御提案いただいております金融監督庁の設置法を見ましても、どうも日本は、その辺について役割が明確に分担されていないのではないかという感じがしてならないわけであります。  ほかの委員からもたびたび御質問がありますように、総理大臣に責任を持っていくやり方はいかがですか。長官がいるからいいというものの、それの責任者の総理と蔵相が事前協議もしていかなければいけないという義務づけになっているとか、あるいは、各省の共管が余りにも多過ぎる。せめて検査監督だけでも、ほかの国であるように、一元化して、検査監督というものを透明化することによって日本市場日本の国の信頼性を高めていくべきではないか。多元的になっているのではないか。  大蔵省との関係ばかりがかなり細かく書いてございますけれども日本銀行あるいは預金保険機構との関係、これらがどうも希薄である、その辺が明確にされていない、こういう感じが私もいたしますし、いろいろな意見を持った質問が続いているわけであります。ちょうどきょうは、政府案の閣法の前に議員立法の質疑がここであったわけでありますが、その辺についての質疑のやりとりが非常に多いわけであります。  それで、将来の日本金融のシステムはどういう姿になるのだろうか、ぜひお教えいただきたい、かように思う次第です。
  82. 武藤敏郎

    武藤政府委員 将来の金融行政の姿という御質問かと思います。  この金融監督庁は、民間金融機関等に対します検査監督を専ら行う。制度企画立案につきましては、繰り返し申し上げておりますとおり、大蔵大臣が所掌するというのが基本的枠組みでございます。  それで、その責任の所在が必ずしも明確でないのではないかというような御指摘がございましたけれども検査監督企画立案の間にはきちっとした関係法律上も明定されておるわけでございまして、詳しくはここでは触れませんけれども、その点については法律上明確であると私どもは思っております。  こういう姿が、先ほど国際的な姿との関係でいろいろ御指摘がございましたけれども、主要国におきましても、企画立案機能検査監督機能というのは、厳密に言いますと、組織的に分担している姿のことが多うございますので、信用秩序維持といったような大きな問題のためには、企画立案部門と検査監督部門が相協力しながらやっていかなければならないということになるわけでございます。  この点は、両者の連携ということになるわけでございますが、主要国においても同じことでございまして、例えば、御承知のとおり、米国ではSアンドL問題が非常に大きな政治問題といいますか経済問題になったときにも、解決の基本的枠組みを策定したのは財務省でありましたし、フランスではクレディ・リョネの破綻といったような大銀行破綻問題がございましたけれども、これに対応したのは大蔵省であった。  しかし、監督するところはそれぞれ、財務省や大蔵省ではなくて、違うところが監督しておったということでございまして、こういう連携は主要国でも見られるわけでございまして、先ほど申し上げましたとおり、将来の姿としての金融行政の機構としては、グローバルスタンダードと比較して、決しておかしなことではないというふうに考えております。
  83. 今井宏

    ○今井委員 武藤長官、何かお忙しいというふうにお話を聞いておりますので、先に、ちょっとあちこち飛びますけれども、数点御質問をさせていただきたい、こういうふうに思います。  今、同じ武藤さんから、専門家から答弁いただいたわけでありますが、そういう答弁をいただきますと、それもそうかなと思うわけでありますけれども、いろいろと専門書を読んだりなんかしますと、そうはいっても、日本独特のもたれ合いの姿勢というのはまだこのシステムでも抜け切れないね、金融行政も抜け切れないね、こういう御指摘も多いわけであります。財政金融の分離についてもまだ議論があるということであります。  過日も、長官の御答弁をお聞きしますと、新しくできる監督庁は、最終形態ではなくて、あらゆる点からやはり見直しというものも必要でしょう、行革会議においては金融財政の見直しも実は今議論中なんですよ、こういう御答弁もいただいているわけであります。  そういう意味では、ただいまのやりとりにつきまして、この設置法が最終形ではないという認識を私もしているわけでございますけれども、その辺につきまして、長官のお考えをお聞かせいただければと思う次第であります。
  84. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私は、前も答弁させていただいたのでございますが、要は、金融関係すべてが大蔵省の手元で、日銀もございますけれども、いずれにしても、いろいろの金融政策をつくったり、あるいは指導監督をしたり、同じところでやっておった。これが、結果的に、住専その他のいろいろの問題を引き起こしてしまったのではないだろうか。やはりここは、政策立案と実際の執行部門を切り離して、特に監督していく部門は別のところにあった方がいいという形で、こういう組織をつくろうとしているわけでございます。  そういう面は、我々が中央の政府をこれからどうしたらいいだろうかと行政改革の議論をしている中で、各省の政策立案部門と執行部門というのは、ちょうどイギリスのエージェンシーがやっておりますように、できるだけ切り離していったらいいというのと軌を一にしているものだと思っております。  ただ問題は、そうかといって、今のお話で、財政金融をどう切り離していくかというのは、なかなかこれは結論が出てまいりませんし、実際すかっと本当に財政金融というものの切り離しができるのだろうか、いろいろと今本当に議論しているところでございます。  そんなことも考えてまいりますと、そしてまたもう一つは、もっと大きな枠の中で我々が新しい行政機構を考えていく場合には、金融政策というものは日銀にもっと持っていった方がいいのかもしれないし、あるいは、今の大蔵省の中でどこまで金融政策をやっていくのがいいのかということになってくると、それでは財政金融と同じところでやっているのはおかしいのではないかという議論と、それではどうするかというような話も出てまいります。  そんなところで、本当に中央の省庁をこれからどう持っていくかということにおいては、その辺も一つの大きな問題として私ども議論しているところでございますが、いずれにしても、私は前も御答弁申し上げましたが、これ佳住専その他の問題のいろいろの指摘された点を是正するという意味においてはとりあえずこういう一つの機構は必要であろうし、また、行政改革の一環として執行部門を切り離すという点も、これも私は一つのいい方向ではなかろうか。  しかし、これから全体の役所を思い切って、それこそゼロから出発しようという形で、国家のために、あるいは国民の皆さんのためにどういう仕事を国がやらなければいけないのか。そのためにはどういう組織をつくっていかなければいけないのか。  そういう中で議論していくときには、今これでは総理府にこういう形になりますけれども、このままの形でいくかどうかというのは、そういう全体の行政機構をつくり上げていく上においては、ひょっとすれば変わる場合も私はあり得るのではないか。そういう面では、当面はこれは必要だと思うけれども、二十一世紀からの行政機構の中ではどこにどう置かれていくかというのは、議論していく中でひょっとして変わるかもしれないということを前に私は答弁したということでございます。
  85. 今井宏

    ○今井委員 武藤長官の御意見もちょっとお伺いしておきたいのですが、例えば、大蔵省銀行証券を一つの金融局にしてまいりましょう、そして企画立案部門は大蔵省に置きますよ、将来はこの金融監督庁にむしろ一緒にすることが金融行政の一元化になるのではないかという意見がございますね。これにつきましては、長官はどのようにお考えでしょうか。
  86. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今回の金融監督庁というのは、やはり金融機関検査監督をするという業務で徹底をしておられるわけでございますから、今大蔵省にある金融政策を、大蔵省立案していかれるものをここへ持っていくというのはいかがなものか。私は、それに対してはちょっと同意をしかねると思います。
  87. 今井宏

    ○今井委員 今、行政改革会議で、省庁再編について十一月をめどに成案を得る御努力をいただいているわけですが、それと地方分権推進計画との絡みにつきまして、御質問を申し上げたいと思っております。  実は、地方分権推進委員会が七月に第二次勧告というか最終勧告を出す、こういうふうに言われております。それを受けまして、政府による分権計画を策定して、これも来年の通常国会に時を同じくしてかける、こういうふうに言われておるわけであります。  実は、省庁再編と地方分権のかかわりというのは、当然のことながら、規制緩和がどこまで進んでいくかによって省庁のありようが変わってくると思うわけです。官と民とのあり方によっても省庁の姿というものも変わってくるはずです。とりわけ私が申し上げたいのは、地方分権に徹底した形で取り組むか取り組まないかによっても省庁のあり方が変わるはずですし、これらの三点をどうやってスリム化するかによって、小さな政府になり、お互いに自己責任を持って自己決定していく。  こういうこれからのあるべき姿というものを、やはり勇気を持って、私は分権革命と言っているわけですが、まさに革命的な気概を持たない限り、この改革を成就することは極めて難しく、大変なことだというふうに思っておるわけでございますけれども、この地方分権の推進計画とこの省庁再編は、どう総合調整され、どこで、どういう形でお互いの成案としていくのか、これらについて御答弁をちょうだいしたいと思うわけです。
  88. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今御指摘のとおりで、私ども行政改革というのは、何も中央の省庁の統廃合ということではなくて、まず第一に、今お話のありましたように、規制緩和を進めていって、従来のいわゆる経済的規制というようなものはできるだけなくしていこう、社会的規制というものはある程度必要ではあろうと。いずれにしても、事前の規制ではなくて事後チェック、そして、市場原理を導入して自己責任の原則を確立していくという形に社会全体を変えていかなければいけないのではないかというのが一つでございます。  それからいま一つは、今お話のありました、地方にできるだけ中央の権限を移譲してしまう、なるべく地方に、特に住民サイドといいますか、国民に近いところのものはできるだけ地方でやっていただくのがいいのじゃなかろうか、こういう考え方地方権限を移譲申し上げたらいいのじゃなかろうか、これが、地方分権を今推進していこうということでございます。  ただ、これは、もう市長さんを長くおやりになっていたのであれでございますが、私どもなかなかそこはうまくいかないので実はいらいらしているところなのでございますが、例えばこの間も、機関委任事務が五百六十一ですか、もうこんなのは思い切って地方へ持っていったらいいんじゃないかと私は思うのですけれども、なかなかこれが役所の抵抗があって、とにかく地方へ持っていくのは非常に反対だ。  しかも、できれば今まで地方にお願いしていたようなのを中央に取り上げてしまうというようなところもありますし、あるいは、自治事務でお任せしようといいながら、事前協議を何か残していこうという役所の、まあ私は本当にけちな考え方だと思うのです。こんなのは、自治事務なら全部地方に任せてしまったらいいと私は思っています。そういうようなことが正直あるわけでして、なかなか地方分権といっても難しい。  それから、今度地方分権になれば当然いろいろのお仕事は行くわけですから、一体税をどう配分するのかというものもありますね。やはりそういうようなことも、一体どの税をどう持っていったらいいのかというのは、これは地方交付税の問題にも絡んでくるだろうと私は思うのです。今のような形で、国の方で税をいただいて、そのうちの三二%を地方へ持っていく、あるいは消費税なら二九%を持っていく、そういう体系で果たしていいのか。思い切って、税というものの配分を見直す必要があるのじゃなかろうか。そうしないと、本当の自主財源というものにならない。  地方交付税の形で行くのでは、自主財源といったって、やはり国の方でまず取ってそれから出すわけですから、本当は地方でお取りをいただくというか、納めていただく税金を地方でやれるような仕組みを考えるのが、本当の地方の分権時代じゃないかなと私は思うのです。  そういうことをどこまでやれるのか。今、地方分権推進委員会で御議論いただいておりますけれども、正直、結論がなかなか出てきていないのが現状だろうと思います。しかし、今御指摘のような、一応スケジュールは決まっておりますので、できるだけ御努力をいただいております。それを受けて、私ども地方分権を推進していくということになろうと思います。その勧告がどういう形で出てくるのか、本当に危惧しておるところでございます。  いずれにしても、そういう形と、それからもう一つは、今御指摘にあったように、できるだけもう民間でやれる仕事は民間にお任せするということがいいのじゃなかろうか。こういう規制緩和で、できるだけ事後チェックという形にして、規制をできるだけやめていく、それから、できるだけ地方へお譲りする。官でやらなくても、民間でやれる仕事はできるだけ民間でやっていただく。  スリムになった上で、先ほど申し上げました、将来の二十一世紀においては国家がその中でもこういう仕事はやっていかなければいけない、あるいは、国民のためには国がこれだけはやはりやらなければいけないという仕事ができ上がってくる、それをどういう役所にしてその仕事をやっていこうかということで役所の機構をつくっていく、こういう段取りがこれからの行政改革の段取りだろう、こういうふうに私は思っております。
  89. 今井宏

    ○今井委員 武藤長官、これで結構でございます。あとは政府委員さんから。  それでは、金融システムの改革の方向性につきまして、また前の質問に戻らせていただくわけでございます。  今、長官からも、不断の見直しをしてやっていきます、当面はこの新しい設置法でやっていくけれどもという柔軟なお考えがございました。それも当然だろうと思います。そのくらいすごいスピードで、地球規模で転換を図られているわけでしょうから。  そういう意味では、梶山官房長官に御質問申し上げたいと思うのですけれども日本は割と、一たん法律をこしらえてしまいますと、かたくなに法律改正というのを嫌がるところがあります。私も地方にいたのですが、地方の条例なんかも全部見直ししようということで洗うのですが、意外と役所というのは、一たん決めた条例をなかなか変えたがらないという体質があるわけなんです。  そういう意味では、一定の見直しの条項を入れることに積極的な対応を、この金融時代を迎えて対応できるという意味も含めて、むしろそういった項目をきちんと位置づけする方が大事ではないか。あるいは、法律改正が無理ならば、政府の担当の大臣から、これはこういう形でこの時期にこういう見直しをしていくぞということを明確に申し上げるとか、いろいろな知恵を出しておかないといけないのではないか、こんな感じがしてならないのですけれども、官房長官、いかがでしょうか。
  90. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 私のいわば権限ということではなくて、前々から私は、時限立法というかあるいは見直し条項というか、通常の法律ですと、今のテンポの速い時代ですと五年間たてば、なかなか今それは五年先を見通すだけの頭を私は持っていない。ですから、基本法的なものでも十年。よく言うのですが、憲法といえども五十年を超えることはできないだろうという気持ちもあるのですが、そういう一つの見直し規定なりなんなりを置きませんと、古いものがどんどんたまっていって、その法律に縛られて自分の行動を律していかなければならない。  むしろ、はっきりしたいろいろな政策目的がありながらも、それぞれの官庁でその前の法律に縛られたことがあるわけでありますから、各省庁が本気になってやる気にならなければできませんけれども、新しい体制を生み出そうとするならば、ほかのものを一時期全部見直しして、どうするかということをやっていかなければ、到底流れの速い時代に対応ができないという気がいたします。  思い切った見直しをやれることをいずれの時点でか提案をしてみたいと思っておりますが、言うべくしてなかなか難しい。今までも幾たびか非公式には言っておるのですが、だれも取り上げようとする人がございませんので、この非力な私では到底できませんから、若い方々が本気になってこの問題に取り組んでいただければありがたいと思っております。
  91. 今井宏

    ○今井委員 ありがとうございます。  かつての金融時代と、今まさに冷戦後の、特に最近の金融あり方行政も含めて、新しい金融商品の開発、コンピューターの技術革新と同時並行的な大転換を図って、それに行政がどう対応していくか。当然市場にゆだねるわけでしょうから、それは民間で大きな責任を持った対応がありますが、ならば行政がその辺については何にも関知しなくていいということにはならないわけだと思っているわけです。  そういう意味では、今長官から、絶えず不断の見直しということも大切だ、こういう意味の御答弁をちょうだいいたしました。ぜひそういう方向で柔軟に、しかもダイナミックに行政が世界の激動の中で対応できるようにしていただきたい、かように思うわけであります。  ところで、金融監督庁の体制についてまた再びお答えをいただきたい、こういうふうに思うわけであります。  官房長官は、新庁の長官についての長官としてのイメージというものを持っています、そういったこともお話しいただいたわけでございますが、そうしますと、新しい長官は、総理が任命するにしても、イメージ的には、いわゆる政治家の中から新しい長官になるとか、あるいは役所の官僚の中から新しい長官になるというイメージではないというふうにとらえていってよろしいのでしょうか。  とりわけ、長官がおっしゃるように、新しい今度の金融庁の長官の、その人によって、大分この位置づけが、新庁だけに、変わってくるんではないか、こういうふうに思って、重要なことだと思っておりますので、ひとつその辺をお聞かせいただければと思います。
  92. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 今委員指摘のように、これは内閣総理大臣が任命するわけですから、私が選定をするというわけにはまいりませんが、その下調べの下調べというか、条件整備ぐらいは一生懸命お手伝いをしなきゃならないのかな、この金融監督庁を生み出すまでのいわば担ぎ手かもしれませんが、私は、主務大臣と言われておりますから、せめてこれができたときにはどんな機能を持たなければならないのかなということぐらいは私なりに今一生懸命考えております。  特に、この初動というか、一等最初の人選というのは、私は、五割とは言いませんが、少なくともこの金融監督庁の性格を左右するぐらい大きなことだと思います。  ですから、国民的な信頼感のある人、これがどうしても必要なんではないかと思いますと、信頼感があるということは、相当な知名度がなきゃならないということにもなるわけであります。悪い意味で知名度があっては困るし、いい意味での知名度を求めるのはなかなか難しいなという気がいたします。  それから、行政運営というか、こういう専門の分野でありますが、長官になれば、若干の調整能力が必要になろうと思います。それは、各省との打ち合わせもあるはずでありますし、金融財政等の分野で、若干なりとも専門的なというか普遍的な常識的なかかわりがあったことがあるか。それから、特に国際金融の情勢というのにもまるっきり疎くてはやっていけない。あるいは、そういうものの情報をキャッチするのに利便な人、そういう者が選ばれなければならないという気がいたします。  しかも、大変懸念をされて、大蔵省の下請ではないかと言われますが、大蔵省に対し十分な対応能力、交渉能力、発言能力を持ち得る人。  そういうことをいろいろ考えてまいりますと、そういうのは架空の人物で、なかなか具体的に人物がいないんではないかと思いますが、そういうものを具体的にいろいろ合わせてみますと、結構意外といるのではないのかなという、今、ぼやっとしたイメージ。  ですから、そういうことを話しますと、この金融監督庁の性格からいって、例えば一般省庁の事務次官的な立場の方であろう。それから、そういうことになりますと、いずれにしても、現職の事務次官を求めるわけじゃないんですから、相当広範な中から求めなければなりませんが、余りにも高名で余りにも高給取りの人にはなかなかなってもらえないのではないのかなという気がいたします。  それから、年齢の制限が出てまいります。  そういうことを考えると、特別職という別なことを考えなければどうしてもその人が見つからないかどうかということになりますと、また法律改正を要しますから、それを今言ってしまえば、初めから法律をつくるなと言われますから、今の法律で対応できる人。若干のイメージはありますが、それについてまだ申し上げるほどの自信もありませんし、もちろんまだ具体的に総理と話し合いもいたしておりませんが、何とかそういう人が求められるのではないのか。  しかし、総理がなるほどいいなと思っても、国会の同意人事でございますから、同意人事じゃなかったか、これは。同意人事じゃないな。少なくとも皆さん方の御協賛を得ませんと大変なことになりますから、協力をいただけるような方、こういうのを求めていかなければならないという気がいたします。
  93. 今井宏

    ○今井委員 とりわけ、大蔵省との関係が一番いろいろと言われているわけであります。今まで御答弁を、私も前回いただきますと、大蔵省出身者が九〇%ぐらいになって、三百人台の規模になりますよと。そういった中で、今のイメージの、大変見識の高い長官を迎えたにしても、その人が本当に力量を十分に発揮できるような環境整備、そういったものをつくっていかなければいけないだろう、こういうふうに思っているわけであります。  長官以外にも、次長とか職員とか、いろいろあるわけでしょうが、いわゆる大蔵省以外のどういう人材を求め、どういう人材を想定しているんでしょうか。とりわけ、法律の問題あるいは金融のプロの問題、そういう意味で、大変人材を広く、場合によったら役所のみならず一般にまで求めて、この監督庁の所期の機能を果たしていくような人事構成というものが必要かと思っておるんですけれども、その辺につきまして、長官じゃなくても、政府委員の方でも結構ですが、御答弁いただければと思います。
  94. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 私が答えましょう、こちらに人事権はあるはずがないんですから。総理に献策をし得る立場というのは私でもございますから。  今、委員が言われたものは、極めて適切な御意見であろうかと思います。これ以上申しますと、どんな人間をイメージしているかということがにじみ出ては大変でありますから、私はこれ以上答える気はありませんけれども、しかし、すべてをその人間一人に求めるということはなかなか難しいと思います。  ですから、対外的に信用の置けるような、交渉能力のあるような方。しかし、それが必ずしも全部の能力が発揮できないというか、専門知識がないとするならば、あるいは銀行や、あるいはその他の金融や、あるいは司法、あるいは国際金融というような分野のそれぞれのスタッフを抱えられるような機構ができないものかどうなのか、今立ち上げている行政のシステムの中にそういうものを包含できるかどうか、これは極めて私は大切な問題であろうと思います。これができませんと、なかなか、どなたがやっても無理なのかな、完全なものにはならないなという気がいたします。  これはまだ、とても私が考える頭ではだめでありますから、おおよそのイメージができたらば、専門的な方々に、この法律が通り施行までの期間がありますから、そういう問題について御検討を願い、完全に金融監督庁としての機能発揮ができるような人材を求め、それからスタッフを置き、そういうものの姿を整えることが望ましい、このように今イメージしております。
  95. 今井宏

    ○今井委員 畠中審議官、御質問いたしますが、これも従来言われていますように、人事課はどうやら持たないでしょう、いずれにしても概算要求があるものですから、新長官も決まっていないわけですからという意味の御答弁は再三いただいているわけでありますけれども、やはり今お話し申し上げましたように、監督庁の機能を十分に発揮し、より世界に信頼のある機能にするためにも、幅広くいろいろな人材を登用していくということがすごく大切なような気がしてならないわけです。  そういう意味で、前回は、金融のプロをどう育成していくんですかという御質問もさせていただきました。そういう意味で、それらを調整するにはどうしても人事課が必要ではないか、こう思うんですよね。そうしないと、言われているように、大蔵省の植民地だ、大蔵省が全部人事をやるんだというイメージがぬぐい切れないんですが、この辺につきまして、そういう指摘がたくさんあるわけですから、審議官の方ではどういうふうにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  96. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 お答えいたします。  金融監督庁の機構・定員につきましては、先生も御指摘のとおり、検査機能が適切に発揮できるものとする要請に的確にこたえるとともに、信用不安の回避など、危機管理について万全の体制にしなければいけないというふうに考えております。それとともに、御指摘のとおり、職員につきましては、十分な専門性を持った者を養成していく必要もあろうかというふうに考えております。  御指摘の、人事課を設けるかどうかということでございますが、具体的な案は、この前も御説明申し上げましたが、平成十年度の予算編成過程で詰めていくべきこととなるものでございます。従来、機構を新設する場合、スクラップ・アンド・ビルドという原則がございます。来年度要求がどうなのか私どもつまびらかにいたしませんが、仮にその原則が今後も適用されるということになりますと、新しい課をつくるときにはそれ相応の課をスクラップしなければいかぬということでございます。  そういう原則の中で、私どもは、この委員会でも御指摘がございますように、検査監督事務に直接にかかわる職員及び組織をできるだけ重視すべきではなかろうかというふうに考えております。したがいまして、官房の組織でございますが、人事を担当するセクションというのは必ず設けるつもりでございます。  それが人事課になるか、例えば総務課というような名称の課のもとで、ほかの総務関係の仕事、広報関係の仕事、会計の仕事とあわせて一つの課にするのか、それともまたそうでないのかということにつきましては、そういうスクラップ・アンド・ビルドの原則を踏まえて今後具体的に検討していきたいというふうには考えております。先ほども申し上げまして、繰り返しになりますが、人事を担当する一定のセクションというものは必ず必要ではなかろうかというふうに考えております。
  97. 今井宏

    ○今井委員 実は、概算要求ももう間もなくですね。こういう設置法を用意して、これも地方ではまかり通らないのですよね、地方自治体は。まかり通らないというのは、それは当然のことになっているからまかり通らないだけで、議会がやかましくてだめだということではないのです。それは、当然のようにして議会にも説明して、理解をいただいて採決してもらう、こういうことになっているのですね。いわゆる条例化をしているわけなんですね。  この夏に予算概算要求をするわけでしょう。そのときにはどうなのですか。だから、当然その用意はされていると思って、質問をしているわけなんですよ。ないものを、だだこねて、説明してくれと言っているわけではないのですけれども、その辺につきましては、やはり予算編成の過程でということで、概算を出して、それから詰めて、新しい来年の新年度から七月に、作業開始できるまで時間もあることだし、予算編成の十二月までにそれはやればいいのだ、だから、今は明確にその辺はできかねます、こういうことなのですか。
  98. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 できているのに出さないということではございません。今予算要求、八月末の期限でございますが、それに向けて鋭意いろいろな案を勉強しているところでございます。ただ、私が申し上げましたのは、概算要求として総理府から出すことになりますが、その案が具体的にできているかということなら、正直申し上げて一そういう要求としての案はまだ具体的にはなっておりません。ただ、いろいろな案を勉強しているということでございます。  その一環で、この前もお答えいたしましたように、長官のもと、長官官房、それから検査を担当する部、それから監督を担当する部、それからそのそれぞれの部のもとに複数の課を置けたらということで、今鋭意勉強しているところでございます。
  99. 今井宏

    ○今井委員 官房長官、よろしいでしょうか。  今度の金融監督庁の信頼をより高めるという意味では、金融監督庁の仕事の中身、内容、やっていること、それらの情報発信をどんどん国民にしていく、それで国民の世論を味方につけていく、こういうことがすごく大切なことだと思っています。  今、国民が何となく不満に思っておりますのは、いわゆる密室な行政ではないかと。金融縦割り行政でいろいろと不明朗ですね、こういう不安と、信頼に対する欠如というのが一部あるわけですので、やはり開かれた行政、国民の前で、例えば協議事項一つにしましても、共管事項にしても、これこれこういうふうにやっているのだという、開くということ、この勇気というのが大切なような気がしてならないわけです。  とりわけ検査監督という部門においては、なお一層必要なことだと思うわけであります。そういう意味で、政府もこれらについてぜひそういう方向でやってもらいたい、こういうふうに思っておるわけでございますが、そういう開かれた、情報開示をしていくという御決意はございませんか、新しいものに。
  100. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 金融監督庁を新たにつくるわけですから、やはりその目的なりそういうものが国民に理解をされるためには、仕事の内容が開示をされませんと、なかなか信用というものを得ることができません。ですから、原則、相当な分野が開示をされる。これは、恐らく新たに選ばれる金融監督庁長官の人柄にもよるでしょうし、またその説得力が国民に信頼感を与えるわけでありますから、この前提は間違いなくあろうかと思います。  ただ、検査という分野の個々にわたることを、初めは若干の瑕疵があればという調べ方もするわけですから、その確定を待たないで発表することが果たしてできるのかどうなのかという問題に関しては、これはそれぞれのあれがありますから、総体的な全体としての傾向その他の発表は当然なされると思いますが、検査監督の個々の分野について進行中のものを一挙に開示できるかどうかというのは、それは具体的な一つ一つの事象によっても異なろうかと思いますが、そういう留保条件をつけて、原則いろいろなものが開示されることが望ましい、私はこのように考えます。
  101. 今井宏

    ○今井委員 今度は、地方分権のいわゆる行政改革について御質問したいわけですが、機関委任事務が五百六十一あるけれども、これはかなりの抵抗がある、先ほど武藤長官がこういうふうに言われておるわけであります。自治大臣も、とにかく中央省庁が見苦しいぐらいの抵抗をして、結果は残念ながら知れているよ、往生際が悪いですな、こんな発言も実はあるわけです。  中央省庁皆さんとすれば、今までの既得権ですから、地方をそんなに信頼もできないし、何をしてかすかわからないし、おれたちに任せておけという気持ちはわかりますが、前回申し上げましたように、地方分権こそがグローバルスタンダードの時代ですので、日本がこれだけ成熟すれば、途上国のように中央集権システム、これはもうそこから、はいさよならをしなければ、本当の民主主義国家日本というわけにいかぬ、こういうふうに思っておるわけでございます。  それで、七月に出るだろう、なかなか大変なことだと言っております最終勧告の内容に、私は大変危惧の念を抱いている一人であるわけであります。こうなったら、やはり総理大臣にリーダーシップをしっかりと発揮していただいて、六大改革の大きな位置づけでもあるわけでございますので、ここで政治家として、政治家がどういう役割をこの分権にするかということが一つの大きなポイント、政治決断だろう、こういうふうに思っているわけであります。  官房長官、この辺につきまして、リーダーシップを期待している一人なのですけれども、いかがでしょうか。
  102. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 近々に、地方分権委員会の第二次答申というか最終答申というか、それが出される予定になっております。諸井委員長以下不退転の意気で取り組んでいるわけでありますから、その間に、各省の意見を聞いて、どんな意見があって、どういう抵抗があったかというと、それは、今までの行政を善なりと信じてやってきた行政側に、今までのやつがだめだという答弁を求めることは、自己否定につながりますから、それは、委員、余り言わなくてもいいと思うのですが、諸井機関が、地方分権委員会が、それなりの民間やその他の意見で、これからはどうあるべきかということを、国と地方あるいは官と民、そういうもののいわば判断を下すわけでありますから、総理は、毎度、最大限の尊重というか、これを履行してまいりたい、こういうことでありますから、この出る答申自身が期待できないなどというのは、それは人を信用しないことでありますから、そういうことは絶対あってはいけない。特に、御県、同じ県でありますから、諸井さんのけつをたたいて、ぜひともそれは、勇気ある答申を出していただくことが何よりも大切だと思うので、お願いをいたします。
  103. 今井宏

    ○今井委員 その答申を、勧告を受けた後の国会としての役割、政府としての役割なのでございますが、これは重要なものでございます。半年間で政府の分権計画をこしらえていくわけです。  一つには、例えば、提案なのでございますけれども、国会として地方分権を推進する意味で、閣僚懇談会なり閣僚会議なり、そういったものを、各省庁の大臣が責任を持って分権計画をやっていくのだ、そういう機構、いわゆる官僚に任せるのではなくて政治家の意気込みを示す、そういうシステムをこしらえて、来年の通常国会までに分権計画を確かなものにしていく、それで、今官房長官お話しのように、諸井委員会から出てきたものを最大限尊重すると同時に、それを確かな計画に政府案としてつくっていく、そういった御提言を申し上げたいと思うのですが、いかがですか。
  104. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 既に橋本総理を本部長とする行革推進の閣僚会議が発足をいたしております。ありとあらゆる分野で全閣僚が精力的に取り組む問題であります。ですから、あえてその中にこの地方分権の閣僚会議を開くかどうかという問題、恐らくこれは、全員を入れなければ、おれのところはいいよという、今委員の御指摘のように各省庁が後ろ向きだということであれば、逆に、全省庁が入ることによって、全閣僚が入ることによって、この総理の意気込みが伝わるわけでありますから、私は、今ある行革の対策閣僚会議が十分の働きをなすものと期待をいたしております。  なお、途中においてそういう必要を感ずるならば、御提案も検討してみたい、このように思います。
  105. 今井宏

    ○今井委員 実は、私、危惧を抱いておりますのは、全部の改革橋本内閣で前倒しになっているのですね。ちょうど昨年の六月十四日のことでしたが、私、地方制度調査会の委員をさせていただいているのですが、委嘱式が官邸でございました。そのとき総理は、この地方分権をどう進めていきますかという質問に対しまして、中央省庁が二〇一〇年にある、ですから、そのときに省庁の再編とあわせて分権もしていくことが実は効率的だし能率的ですと、ちょうど一年前にそういう御発言をなさっていたのです。それで、私たち地制調の委員とすれば、あれ、そんな遅くていいのかねと、こんな感じで目くばせしたわけであります。  それが、時代要請ということも含めて、総理の大決断で六大改革をやっていく、いわゆるかなり短い期間でだだだっと前倒ししてきましたから、それはやり抜く、そういう決意、覚悟をしたわけですから、それをやり抜いてもらわないといけない、こういうふうに思っておるわけなんですね。そういう意味で、政治がどうそれをフォローし、政治がどう決断するか、こちら側の政治側の覚悟ということも求められてくるのではないか、こういうふうに思っているのです。  変えられるところを変えていきたいというのが役所の論理かと思いますけれども、変えなければならないことを勇気を持って変えていくのが政治の役割ではないか。私の草加は芭蕉さんの通ったところでございまして、「其日漸早加と云宿にたどり着にけり」ということで、芭蕉さんを大事にしているのですが、芭蕉さんの哲学は不易流行であります。変えてはならないものは体を張ったって変えないよ、でも、変えなければならないものは勇気を持って変える、こういう不易流行の思想でこの改革をやり抜いてもらいたい、こういうふうに思っているわけです。  最後に、勧告の後、どういうスケジュールで、どういう機構で、どんな形で政府の分権計画を策定するのか、それをお聞かせいただいて、終了したいと思います。
  106. 田波耕治

    ○田波政府委員 ただいま熱心に分権委員会で御審議をいただいておるわけで、先ほど来のお話のように、近々報告が出るわけでございます。これを受けまして、政府の方がこれを推進計画という形で、先般いただいた第一次の報告とあわせてトータルとしての計画に仕上げるということでございまして、この策定に当たりましては、文字どおり、政府一体として取り組んでまいる、こういうことでございます。
  107. 今井宏

    ○今井委員 終わります。ありがとうございました。
  108. 綿貫民輔

    綿貫委員長 次回は、明二十七日火曜日午後一時十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十八分散会      ────◇─────