運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-05-23 第140回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十三日(金曜日)     午後一時十九分開議  出席委員   委員長 綿貫 民輔君    理事 自見庄三郎君 理事 野呂田芳成君    理事 谷津 義男君 理事 柳沢 伯夫君    理事 鹿野 道彦君 理事 中井  洽君    理事 枝野 幸男君 理事 松本 善明君       赤城 徳彦君    臼井日出男君       大原 一三君    金田 英行君       岸本 光造君    熊代 昭彦君       杉浦 正健君    中谷  元君       中山 利生君    福田 康夫君       船田  元君    山口 俊一君       山本 公一君    伊藤 達也君       石田幸四郎君    倉田 栄喜君       斉藤 鉄夫君    富田 茂之君       永井 英慈君    増田 敏男君       安住  淳君    池田 元久君       生方 幸夫君    末松 義規君       木島日出夫君    畠山健治郎君       前田 武志君    土屋 品子君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 三塚  博君         国 務 大 臣         (内閣官房長官梶山 静六君 出席政府委員         内閣審議官   畠中誠二郎君         内閣審議官   白須 光美君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         法務大臣官房審         議官      柳田 幸三君         大蔵大臣官房金         融検査部長   中川 隆進君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      榊原 英資君         証券取引等監視         委員会事務局長 若林 勝三君         国税庁次長   堀田 隆夫君         農林水産省経済         局長      熊澤 英昭君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君  委員外出席者         参  考  人         (日本銀行総裁松下 康雄君         特別委員会第三         調査室長    田中 達郎君     ───────────── 委員の異動 五月二十三日  辞任         補欠選任   谷  洋一君     岸本 光造君   末松 義規君     生方 幸夫君 同日  辞任         補欠選任   岸本 光造君     谷  洋一君   生方 幸夫君     末松 義規君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  金融監督庁設置法案内閣提出第六六号)  金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備  に関する法律案内閣提出第六七号)      ────◇─────
  2. 綿貫民輔

    綿貫委員長 これより会議を開きます。  内閣提出金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 綿貫民輔

    綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、両案並びに鈴木淑夫君外四名提出日本銀行法案及び金融委員会設置法案の各案審査のため、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 綿貫民輔

    綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────
  5. 綿貫民輔

    綿貫委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤達也君。
  6. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 伊藤達也でございます。貴重なお時間をいただいて、約一時間ほど両大臣中心質問させていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。  私は、一年生議員のときには、先輩方の御高配をいただいて、約二年間予算委員会委員をさせていただきました。昨年は、いわゆる住専の問題についても審議参加をさせていただいて、何度か質問に立たせていただいて、時には大変激しい質疑もさせていただいて、官房長官には大変御迷惑をおかけしたこともございました。  そういう審議参加をした者として、また私は金融の問題については素人でありますが、この住専の問題を契機として、今までの大蔵省行政、そして金融行政について、一体何が問題であったのか、そして、今回の本法案を通じてその問題点の中で何が解決をされ、そしてどのような問題点が残されてしまうのか、そして、これからどういうような大蔵省行政あるいは金融行政というものを新たに打ち立てていく必要があるのか、それをどのような形でやっていかなければいけないのか、そのことを国民方々にわかりやすく明らかにしていけるような、そういう審議を心がけて質問させていただきたいというふうに思います。  まず初めに、両大臣にお伺いをしたいのは、住専などでの問題は一体何だったのかということであります。この点につきましては、今日までも何度も質問がなされたわけであります。その中で、両大臣から、金融行政の中で企画立案部門執行部門一つのところにあって、そこに問題があった、このような御答弁をいただいているわけであります。しかし、住専審議のときには、それ以外にもいろいろな問題点指摘をされたわけでありますし、この企画立案部門執行部門分離をしたから、だから住専のような問題が二度と起きないんだ、大蔵省に対する批判というものも十分に解消することができるんだ、私は、こういうことではないだろうというふうに思います。  そういう意味では、両大臣とも大変幅の広い、そして奥の深い問題意識をお持ちではないかというふうに思いますので、あえてこの問題について、官房長官並びに大蔵大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  7. 梶山静六

    梶山国務大臣 確かに、住専問題をめぐって、何が問題なのかということでありますが、今さら私がここで、どこに責任があるかどうかということを申し上げるあれはございません。  いずれにしても、資産インフレデフレ、これが人為的につくられたものなのかどうなのか、あるいは、ちょっとしたはずみで火がついたものなのかどうなのか、この原因と責任についてとかく申し上げるということはありませんが、いわゆる今日の金融混乱というものは、その資産デフレインフレの間に起きた問題である。そしてその間、どちらかというと、金融界も、あるいは一部の、土地を扱う方々も、あるいは株を扱う方々も、いわば節度を失った運営をしたのではないのかなという、これが根幹にあると思います。  そして、その中で言われることは、やはりその指導をすべきいわば政策面監督をすべき分野、これが混在したところにもその一因があるのかという反省のもとに、今回の金融問題解決という第一歩を踏み出した、このように理解をいたしております。
  8. 三塚博

    三塚国務大臣 長い論議住専国会において展開をされました。それぞれの問題点が明確になったのであります。それは、監督庁としての政府、とりわけ金融部門を担当する大蔵省行政姿勢いかん、こういうことでありました。同時に、金融機関公共性を持ってやるわけでございますが、その経営に過ちはなかったのか、自己責任という観点からいってどうであったのかというような国民から寄せられましたさまざまな御批判、つまるところは、住専問題のエッセンスは、不良債権、こういうところに帰するわけであります。  その債権の解消のため、自己責任で、金融機関の第一義的なものでありますけれども立場の弱いといいますか、信用組合等についての措置を、預金者保護という観点が濃厚であるわけでありますが、金融三法の中で対応をした、こういうことであったと思います。  せんじ詰めますと、政策決定過程ルール適用などに不透明な部分があったのではないかということ、また同時に、金融機関との間にもたれ合い、世に言う護送船団ではなかったのかねという、こういうことが見られることであるなど、そのほか多様な意見が寄せられたところであります。その根底に共通しておるものは、大蔵省金融行政時代変化に的確に対応していないという認識であると考えておるところであります。
  9. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今、両大臣から問題意識について御披露いただいたわけであります。それを踏まえながら、さらに、この問題点、もう少し突っ込んでお伺いをさせていただきたいというふうに思います。  本委員会でも、金融とそして財政分離というのですか、その明確化というものが必要ではないか、こういう質問が出ておりました。あるいは、金融財政一体化していることによってこういう問題点があるんだ、デメリットがあるんだ、そういう指摘もあったわけであります。この点について、やはりきちんとした議論をしておく必要が私はあるのではないかというふうに思います。  大蔵大臣は、財政金融一体化していること、財政金融については、これは一体的に把握をして政策企画立案を遂行していく、そういう組織必要性についてこの委員会お話しになられているわけでありますが、しかし、政治の世界の中では、やはりこの二つ分離をしなきゃいけないんじゃないか、そういう議論もされてきたわけであります。そういう議論を踏まえて、大蔵大臣として、これが一体化をしているところの問題点デメリットというものを、大蔵大臣なりに、政治中心におられる大臣なりにお感じになられている部分があるのでしたら、その点についてお伺いをしたいと思います。
  10. 三塚博

    三塚国務大臣 金融財政というのは、私は、一体的な運用、もちろん本問題についてもそれぞれの政策決定は個々にあるでしょうし、最終的には調整をされていく、その原点は国民生活の安定ということでしょうし、日本経済の安定的な成長をどう確保するのかという点が起点になります。  それと同時に、歳入、税制を中心とした問題点について、国民負担でございますから、この部分と、財政出動という言葉で表現されますように、多様な国民要望、また社会経済状況に応じて政府がやらなければならぬ部分についての資源の再配分、こういうことであるわけでございますが、その再配分についても歳入と歳出のバランスが保たれていかなければなりませんし、その部分バランスを崩すことによって公債発行に頼らざるを得ないということであってはならぬと思うのです。  公債発行必要性は、緊急の災害で到底財政の根源である税収ほかの財源が見当たらないというときにおいて、公債発行として財源を求めるということであるわけでありますが、財政健全性というのは、すなわち国民にストレートに影響を及ぼすものでございますから、その場合には金融政策としてどう進めなければならないのか。日銀金融政策もあるでありましょうし、一義的には政府金融政策基本でありますので、この点は、国民の世論の動向、また国会論議中心として取り組んでいかなければならぬ重要な問題でありまして、それぞれ設置されました基本的な原則というものをしっかりと踏まえながら、最終的に議院内閣制のもとにおける内閣決定ということで、責任国会に負うという形、そういうことで取り組んでいくという本来の政治原理原則に基づいたものでなければならない、こう思っております。
  11. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 私は、その財政金融一体化しているところのデメリットがあるとすればどういうところなのかということをお伺いしたつもりでありまして、この点、大変答えにくいのかもしれません。  そこで、政府委員の方に直接お伺いをしたいと思います。これは、住専問題等のいろいろな問題の中で、財政金融一体化していることによる問題点というのはあったのかどうか。それを大蔵省としてどう考えておられるのか。これは、金融はそもそも何かという話は私は理解をして質問しているつもりでありますので、その点をお含みおきをいただいて御答弁をいただきたいと思います。
  12. 武藤敏郎

    武藤政府委員 財政金融一体であったことの問題点ということでございますけれども、まず一般論として申し上げますと、財政政策金融政策も、結局、それぞれ固有の政策目的の調和が図られるべき事柄であって、よく利益が相反するのではないかというような御指摘があるわけでございますけれども、そういう問題としてこの問題をとらえるのは、私どもとしては適切でないというふうに思っております。いずれも、健全な国民経済の発展ということを目的として、財政政策金融政策も、ともにそういう目的に向かって調整されるべき事柄であるというふうに考えるわけでございます。  これが基本でございますが、よくバブルの発生のときに言われましたのは、金融緩和政策が長きにわたってとられたときに、財政政策金融政策に、財政再建ということを大きな目的としておったために、過度に金融政策負担がかかったのではないか、こういうような指摘があるわけでございます。ただ、これはもう何度も御議論があったわけでございますけれども、あのとき、ブラックマンデー以後の我が国経済状況から考えて、金融緩和政策がとられたのは当時としては当然のことであって、先ほど申し上げましたとおり、片方片方に優先したとか、そういう事柄ではないというふうに考えております。  ただ、この問題の基本は、日本銀行独立性をどれだけ確保するかということに最終的には行き着く問題であろう。その点については、まさに今回の日銀法改正によりまして、より独立性が強化されるという形で答えが出されつつあるのではないかというふうに理解しておるところでございます。
  13. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 それでは、大蔵省にお伺いをしたいのですが、住専のときの問題は一体何であったのか、大蔵省としてどういうふうに総括をされているのか、その点についてお伺いをしたいと思います。  この委員会では、こういう問題がありました、ああいう問題がありましたと、問題点あるいは批判点披露はあったわけでありますけれども大蔵省として、この点が問題であったのだ、その点について余り明言をされた御答弁がなかったように思います。大蔵大臣からは、金融行政時代の流れに的確についていっていないんだ、そういう御指摘があったわけでありますけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
  14. 武藤敏郎

    武藤政府委員 いわゆるバブル崩壊後、不良債権問題の議論を通じて、金融行政に対してさまざまな批判が寄せられました。私どもは、その時々においては精いっぱいやってきたということでございますけれども、今振り返ってみますと、例えば政策決定過程、あるいは決定されたルールの解釈、適用といったようなところに不透明なところがあったのではないか、いわゆる行政不透明性といったようなことが指摘されていると思います。  それから第二番目には、金融自由化というのはもう既に昭和五十年代以来相当進められてきたところでありますけれども、なお競争制限的な規制や指導が残っておって、いわゆる癒着等批判が行われているという点でございます。いわゆる護送船団行政という批判かと思います。  それからもう一つ、第三番目には、金融資本市場がグローバル化しているにもかかわらず行政がこれに必ずしも十分対応していない、市場においても、あるいは外国当局との関係においても問題があったのではないか、国際的な整合性が欠如しているのではないかといったような批判かと思います。  これらの批判につきましては、視点あるいは批判の切り口というのは異なったいろいろな角度からのものではございますけれども、その根底に共通しておりますのは、ただいま大臣から御答弁がありましたとおり、金融行政時代変化に的確に対応していないという批判だというふうに、一言で言えばそういうことではないかというふうに認識しておりまして、この批判を重く受けとめて、望ましい金融行政あり方というものを考えていかなければならないというふうに思う次第でございます。
  15. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今、その問題点として三点を挙げられ、一つ行政不透明性二つ目はいわゆる裁量型の監督問題点、そして三つ目は、国際的な整合性が十分とれていなかった、つまり金融行政時代要請に十分適応していない、こういう御答弁であったかというふうに思います。  ただ、やはりここで、金融行政の問題について中心的に問題意識披露はされているわけでありますけれども財政金融一緒になっているところが問題なんだと私どもも何度か指摘をしている点、この点について十分な問題意識をどれほどお持ちなのかな、また、財政金融一緒になっているデメリットがあるんだということをどれだけ認識をされているのかな、その点についての疑問点が私はどうしても解けないわけであります。  住専議論のときに一つ大きな問題になったのは、その危機管理について、金融側からの要請とそして財政側からの要請利益が相反してしまって、そしてその反したものをどうやって調整して一つ政策選択をしていったのか、それが非常に不透明であった。この点について、これは与野党から何度も質問が出たのではないかというふうに思います。特に、無税償却の点、これは与党からも、無税償却はおかしいという話がありました。しかし、これをどうしていったかという政策決定のプロセスが非常によく見えなくて、その点をやはり十分に明らかにしていかなければ信頼に足る大蔵行政になり得ないんじゃないか、こういう厳しい批判が大分出ていたのではないかというふうに思います。  そういうことを出発点にして、この委員会でも、やはり金融を見る部分行政を見る部分はある程度分けて、そして、それのお互いに上がってきた政策要請というものを内閣調整をしていくことが必要ではないか。そうでないならば、今は大蔵省において企画立案についての金融財政部分が残っているわけでありますから、その部分について、政策は、こういう形で両方の要請があったけれども政策選択をしていったんだ、そのことをやはりきちっと明らかにしていく、そういう工夫というものをしっかりしていく、この点も重要ではないかというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  16. 武藤敏郎

    武藤政府委員 まず最初に、御指摘のありました二点、まず無税償却の問題でございますけれども委員承知のとおり、金融機関不良債権処理を行った場合による損失が法人税法上損金に算入されるか否かというのは、ひとり金融機関のみならず、一般事業法人にも一律に適用されます税法上の基準によって処理されるわけでございます。したがいまして、課税の公平という観点から対応すべきものでありまして、今御指摘のような、財政金融一緒にいるから問題といったようなこととは、私どもは直接関係はしないというふうに考えます。  それから第二番目の、住専処理財政資金を投入されたという昨年来の議論でございますけれども、ここではもう繰り返しませんけれども、さまざまな議論がございました。要するに、預金者に不安が広がって、もし金融システム混乱を招くことがあったらどういうことが起こるかということがいろいろ議論された上で、最終的に六千八百五十億円の財政資金の投入を含む予算及び法案国会において成立したわけでございます。議論過程はいろいろございましたけれども、そういうことで政府として、内閣として結論を出し、国会において十分な御議論を得た上で成立したわけでございまして、そこにまた御指摘のような問題があったというふうには我々は考えておらないわけでございます。  今度は、最後に、財政金融一体であったためにいろいろ問題があるではないかということでございますけれども、それは先ほど来申し上げましたとおり、金融政策財政政策ということであれば、それは日銀法改正によって解決されるべき課題であるというふうに考えますし、銀行監督あり方が問題だということであるならば、それは今回の金融監督庁設置法によって解決されるべき問題である。  残された、通貨なり、通貨対外価値、介入というのでしょうか、あるいは金融制度市場ルールということになりますと、これも再三再四御質問がございましたけれども一つには、G7等におきます国際的な政策協調への対応。それから通貨というものが国庫に結びついておるという、そういう制度的観点。第三番目には、これは大臣からもお話がありましたとおり、二十一世紀において限られた資源を効率的に配分する、財政資金民間資金をどうやって配分していくかという観点から、財政金融政策企画立案一体的に把握する組織必要性というものは今後もますます重要になっていくのではないかというふうに考えますが、ただ、この点については、御承知のとおり行政改革会議におきまして、中央省庁再編成のあり方の検討の一環として大所高所から御議論をいただいておるというふうに理解しておるわけでございます。
  17. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 やはり問題意識の差というのが少し明らかになったかなという感じがするのですが、無税償却の点にもお触れになられましたけれども、やはりあのときに不良債権処理がおくれてしまった、そして、最終的には公的資金を導入しなければいけなかった。その過程の中で、無税償却をどんどん進めてしまうと、やはり税収という点から問題があるのではないか、そういう意図が本当に働かなかったのか、そこについてやはり疑問点が残されたのではないかというふうに思います。  この点については、たしかNHKも特集の番組をつくったというようなことがありまして、相当に焦点を当てて議論された部分であった。そこについて、果たして今のような大蔵省問題意識のままでよかったのかなということについて、やはりちょっと疑問が残るわけでありますが、今度は官房長官に、政治立場からこの問題についてどういう問題意識を持ち、また判断というものを持っておられるのかお伺いをさせていただきたいと思います。  この問題については、今回の総選挙の前後から今日の法案提出に至るまでいろいろなことがありました。それについて、官房長官大蔵大臣はその過程をつぶさに見てこられたというふうに思います。大蔵省から金融行政部分分離独立していく、その中でのさまざまな議論、また当事者同士の駆け引きというものが激しくあったわけでありますが、その中で、与党議論の中でも、財政金融分離についての問題意識というのは今日まで残っているというふうに思います。  当委員会審議の中でも、総務庁長官からは、必ずしも完全な形でない同庁を含め、二十一世紀行政組織をどうするか議論をする、あるいは今後の行革の中で、財政金融とは切り離していくべきだという考えを踏まえて金融監督庁を残していくのかどうかを議論していかなければならぬと思っているとも述べられているわけであります。  官房長官は、今までの議論の中で、まず金融監督庁をつくることがやはり大切なんだ、そのことを非常に強く思っている、こういうお話が昨日もあったというふうに思いますが、金融監督庁をつくっても、すべての問題がこれで解決をするのか、やはり財政金融の問題については、この一体化の問題についてはやはりしっかり議論をして一つ結論を出していかなければいけない、次の改革のステップとしてそういう課題があるというふうに認識されているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  18. 梶山静六

    梶山国務大臣 単純にも思いますし、大変難しくも感じます。今までの過去の反省からいえば、この一年有余覆ってきたいわば大蔵に対する不信、指導監督を同時にすることによる弊害、これが言われて今回なしたわけでありますが、私はこのこと自身は間違いではないと思いますし、その後、これから財政金融分離とかいっても、金融の中でもこれを分けませんと大変な問題が起きる。いわんやその財政金融分離論でありますが、これは長い間、今大蔵省からの話がありましたけれども、見ていますと、明治以来の大蔵省の自信というのがにじみ出ているという感じもいたします。これだけ一年有余、たたかれにたたかれてもこれだけの自信があるということは、私はすばらしい日本の官僚の資産ではないのかなという気がいたします。  そして、その中にあるものは何かというと、日本の特性というのは、どちらかというと増幅能力というものにたけている国民であります。というのは、金融財政一緒にする、金融でも指導監督一緒にすることによって、いわゆる総体的な力を増す方式があるわけであります。ただ、怖いことは、これが破れたとき、失敗をしたときに大変な破綻が来る。そこへいけば、これを分離しておくことが、いわば増幅能力は弱くなるかもしらないけれども、収れんする場合の収れん能力は強くなる。そういう二つの特性をどちらに求めた方がいいのかどうなのか。  しかし、少なくとも今金融行政の中では、政策の分野と執行の分野を分けることが、今々少なくとも金融界を正常化するためには大切だ。しかし、将来、何かのパニック状態というか大変落ち込んでいったときに、どういう力を出す方法がいいかということになると、一体論がいいという場合。ですから、これは循環の社会であって、今の状態を見てどうであるか、それを判断しながら、未来永劫、不磨の大典ではないはずだなという感じを持っておるわけであります。  ですから、私は、今委員が言われたように、金融行政とそれから財政というのを分離しろと言うのですが、今の社会状態から見て、果たしてそれがいいのか、あるいはそれに足る能力がそれぞれにあるのかどうなのか。もちろん金融はこれから切り離して、金融は民間自身がやることでありますが、金融行政だけは厳然となければ、これは今の金融界一つ時代認識というか、時代の流れを酌み取れなくて失敗する場合もありますが、どうも昨今のあれを見ますと、本質的な悪があるのではないのかなという気もいたしますので、これは厳重な監督、罰則を強化をすることによって、韓非子の理論をここに入れない限り、とても今銀行から神様を要求することはできないと思いますので、その辺のところをよくお互いに勘案をしながらやってまいらなければならないと思います。
  19. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今、官房長官から大蔵省の特性について明確な総括もあったわけでありますけれども、やはり立法府の場においても、何かイメージで議論をするのではなくて、私は大蔵省がもっと明確に財政金融、やはり一体化して政策企画立案をやっていかなければいけない。それが組織上必要であるならば、今までその議論を何回かやっているのですけれども、非常にその議論が専門的でわかりにくい、国民から見るとよくわからないという点があるのだと思います。やはり必要ならば必要だというポイントを明確にわかりやすく御説明になられる必要があるのではないか。  また、立法府においても、財政金融一体化していることのデメリットがあるということであれば、そのポイントは何なのかということをもっと掘り下げてしっかりとした議論をして、その上でこれからの金融行政というものをどうつくっていくのか、大蔵行政をどうするのか、やはりそういう議論をしっかりやっていかなければいけない。そのことを今までの質疑を通じながら感じた次第であります。  続いて、金融行政の問題についてさらに突っ込んでお伺いをしたいというふうに思います。  これは検査監督の一元化の問題、昨日もこの問題については質問がなされたわけであります。この質問大蔵大臣になされまして、大蔵大臣としては非常に答えづらい質問ではなかったかというふうに思います。  そこで、私は官房長官にお尋ねをしたいというふうに思います。やはり住専のときの大きな問題点一つとして、検査監督の一元化がなされていなかった、そこに大きな問題があったのではないか、こういう指摘があったわけであります。農林系統の問題にも関連して、不良債権処理がおくれ、公的資金を導入しなければならなかった、その原因は何だったのか。大蔵と農水の覚書の存在というものが見られたわけでありますが、こういった不透明な密室行政に対する批判、こういったものは、やはり検査監督の一元化というものをしっかり確保していくということが必要なのじゃないか、そういうことではなかったかというふうに思います。  そういう意味では、今回の法律では共管ということで一歩前に進んでいるわけでありますけれども、やはりまだまだあいまいである。課題を残している。しっかり一元管理ができるような形にしていかなければいけないというふうに思うわけでありますが、官房長官のお考えをお伺いしたいと思います。
  20. 梶山静六

    梶山国務大臣 これは形の上で整えるというよりも、問題意識が出たか出ないかということであろうと思うのです。ですから、昨年住専の問題が発生をして、ついに農林系の金融がいわば過剰融資をしたというか、検査能力がないままにいってしまったということが出たわけでありますが、あの当時のことを、大変間違った観測かもしれませんが、私は、やはり農林糸の金融の中にいわば審査能力という自己内蔵していなければならない能力がなかった。安易に大蔵との協調の名のもとに、いわば一般金融にそれが流れていた。  これが私は、推測ですから、多分そんなことはありませんと後ろの方では答えるのかもしれませんが、何となくそこに大蔵省的誘導政策があって、農林系のお金がそこに流れて大丈夫だろうというあれがあった。どちらも灰色ですからわかりませんけれども。それはしかし、大蔵省のいわば自信のなせるわざだったのか、あるいはここまで来たならば集中的な力で何とかこれを抑えようと思ったのか、その原因はわかりませんが、結果として失敗をしておる。  ですから、これからは、その失敗という体験があれば、農林系のお金もそんなに安易には流れて出てこないはずだ。それから、大蔵も安易にそのお金に手を出そうとは思わないはずだ。ですから私は、共管になったのでいいといえばそれきりかもしれませんが、いずれにしても、今までも大蔵との共管であるし、今回は金融監督庁との共管になりますから、この問題を契機に恐らく相当な節度、場合によってはむしろ過敏過ぎるほどの節度を持って行われるであろう、このような期待を持っております。
  21. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今お話がありましたように、当時の農林系統も非常に複雑な思いがあったかと思います。しかし、やはりこれは一元化されていないため、責任がどこにあったのかということが極めて不明確になってしまったわけですね。そういう意味では、新しい金融行政をつくるということであれば、一体として検査監督をやっていくのだ、それを成り立たせないと新しい金融行政とは言えないのではないか。この点についてはやはり課題が残っているのではないか、そのことを指摘させていただいて、次の質問に移らせていただきたいと思います。  次は、金融行政の中の検査の問題です。検査というのは監督の中の一部なんだという一般論はよくわかった上で、検査を取り上げて質問させていただきたいというふうに思います。  当委員会でも柳沢先生の方から、検査と監督がちょっと癒着をしていて、そこに問題があったのじゃないか、そういう議論もあったのだよ、そういう御指摘があったわけであります。大蔵省として、今までの検査のあり方、これについて問題があったのかどうか、これからの検査のあり方は、その問題点を越えて解決をして、どういう新しい検査体制に持っていかなければいけないのか、このことをお伺いをしたいと思います。  たしかきのうの審議でも、官房長官から、どのくらいの率の検査ができていたのかを考えるとそら恐ろしい気がする、こういう指摘がありました。また、たしか武藤務審議官からでしたか、検査の結果が本当に有効に生かされていたのか、その点について批判がある、そのことを認識しているのだ、こういう御答弁もあったわけであります。  そういった意味から、大蔵省はこの点についてどういう問題意識解決の方向性を持っておられるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  22. 中川隆進

    ○中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  これまでの金融検査について大蔵省としてどういう問題意識を持っているか、あるいは今後、検査のあり方についてどういう見解を持っているか、こういう御質問でございます。  先生御承知かと思いますけれども、今私は大臣官房金融検査部に所属しているわけでございます。これは平成四年に、それまで銀行局の中に検査部というのがございましたけれども、監視委員会ができましたときに大臣官房に移りました。三局、銀行局、国際金融局、証券局にありましたそれぞれの検査部門を統合いたしまして、新たに発足をしたわけでございます。  その結果、検査に関しましては、総括的に効率化あるいは深度のある検査の面では大変効果があったというふうに考えているわけでありますけれども、今御指摘のとおり、その後も大和銀行事件あるいは中小金融機関の破綻等がいろいろございました。そういう反省を含めまして、大蔵省の中で検査監督、私の担当は検査でございますけれども、これにつきまして反省すべき点、今後改善すべき点、いろいろ検討いたしました。  その中で、検査に関しましては、従来、昭和六十年代以降規制緩和が大きく進展する中で、あるいは国際化が進展する中で、検査がそれに十分対応できたかというふうにいろいろ考えてみますと、金融機関が直面するリスクが非常に多様化、複雑化する中で、必ずしも検査の面で対応できていなかった、あるいは進展におくれがあった面があったのではないか、そういう反省はあるわけでございます。  また、今検査体制、検査の頻度というのでしょうか、そういう面でもいろいろ問題があるのではないかという御指摘がございました。これも、検査官の数も、最近、いろいろな状況のもとで、厳しい定員事情の中でありますけれどもふやしていただいてはおるのでございますけれども、他方で、検査の対象になる金融機関というのがどんどんふえております。国際化も進んでおりますし、外銀も入ってまいります。あるいは制度改正の中で証券、銀行のそれぞれ子会社の相互参入というのがございます。あるいは生損保の子会社相互参入というのがございます。そういう数がどんどんふえております。そういう意味でいいますと、なかなか検査周期も、大変努力をし、必死にやっておりますけれども、やはり少しずつ長くなるということは否めない事実でございます。さはさりながら、そういう中で実効のある効率的な検査を目指していろいろ努力をしているわけでございます。  そういう意味で、今後、検査につきましては、大蔵省の中でいろいろ検討いたしまして、昨年いわゆる早期是正措置というのが導入されましたけれども、そうした新しい措置の中で検査を今後どういうふうにしていくのか。金融機関自己責任原則を前提にした検査というのはどういうふうにしていくのか。あるいはリスク管理、内部管理というもの、これは基本的には銀行みずからが管理するわけでございますけれども、その管理状況大蔵省の検査でどういうふうにチェックしていくのか。あるいは、先ほど申し上げましたデリバティブ取引等の新しい取引が随分ふえておりますけれども、そういう問題に対しまして、我々検査担当者としてどういう専門性を充実していくのか、そういう面でいろいろ努力をすべき点が多々ございます。今必死に努力をしているところでございます。今後とも引き続き充実に努めてまいりたいと思っております。
  23. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 新しい時代要請に合わせた検査のあり方、早期是正措置の導入等々ある、また体制の問題については、必要最低限度、精いっぱいやっているというお話であります。これは、体制の強化については政治の側の問題でありますので、今金融監督庁がどれぐらいの陣容を抱えてということについては、予算関係であらあらのところしか明らかになっていないわけでありますけれども、やはり行革の中でも、必要なものについては十分機能強化をしていく、そういう視点を持ってこれは進めていかなければいけない、そういう問題点指摘をさせていただきたいと思います。  それで、これは検査に関連をして監督部分についてもお伺いをしたいわけでありますが、この点については今まで大蔵省政府委員の方からも何度かお話があったわけでありますが、まとめて簡潔に、今までの監督について、一体どういうところが問題で、そしてその問題点解決をして、どのような形で新しい監督体制を築いていかなければいけないのか、その課題はどういうところにあるのか、お答えをいただきたいと思います。
  24. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  銀行法の規定をお読みいただきますとおわかりいただけますように、信用の維持、預金者の保護、金融の円滑というような三つの大きな目標がございます。それを担保するために、金融機関健全性を維持する、適正な業務運営を確保する、これが重要な手段でございます。したがって、私どもの所管しております銀行についていいますと、監督をするというのは、その二つの、健全性を維持する、適正な業務運営を行うということを担保することに最大の力を置くわけでございます。  これまでの行政ということについては、そのときそのときで最善を尽くしているつもりではございますけれども、強いてニュアンス的に申し上げますと、金融機関が破綻をしないということでもって預金者の保護、信用の維持を図るというような考え方が色濃くあったといえばあったんだと思います。ただ、不良債権問題等で明らかになりましたように、金融機関といえどもやはり破綻ということが生じ得るという事態になってきているわけでございます。そういった時代の流れとともに、私ども金融行政も変わっていく、また変わっていかざるを得ないという面でございます。  そうしましたときに、どういう点を気をつけていくかといいますと、まず市場の力、マーケットの力というものをかりていく、そのためにやはり金融機関のディスクロージャーの一層の拡充を図る、これで自己規律というものを働かせるということだろうと思います。  それからもう一つは、先ほどもお話がありましたが、早期是正のように、行政も透明の形でもって金融機関の自助努力を促すということでございます。この早期是正措置は、客観的な数値でもって、しかもその前提となる数字はすべて金融機関が自己査定をやっていくという、あくまで自律の精神に基づいておるわけでございます。それを客観的な、例えば四%の場合はどう、二%の場合はどう、〇%の場合はどうというような、オープンになった手法でもってこれから行政をやっていくというふうに、時代変化とともにそこを変えていくというのが私ども監督の方向だというふうに考えております。
  25. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今局長から御答弁があり、また今までの議論の中でもこの点についてはいろいろな形で、その問題点、そしてこれからの方向性について明らかになっているわけでありますが、私は、やはり監督の中身を変えていく、これをきっちり実行していくということは、これからの新しい金融行政の中で最も重要なことの一つではないかというふうに思います。  私なりにまとめていくと、その方向性の一つは、やはり裁量型からルール型へ移行をしていく、今銀行局長お話しになられた点であります。そしてもう一つ重要な点は、やはり事前チェック型から事後チェック型へ転換をしていく。そして三番目には、今もお触れになられましたけれども金融機関自身の発意を生かした監督体制にやはり再構築をしていく。この三つが大きな、重要なポイントではないかというふうに思います。  そこで、最後の点なんですけれども金融機関の発意を生かした監督を進めていくということに当たって、やはり最後には、当局の管理とそして金融機関自身の自己の管理とのバランスをどうとっていくかということは、これは非常に大きな難しい課題ではないかというふうに思います。この点についての課題をどのようにとらえられているのか、お答えをいただければと思います。
  26. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  委員の御指摘は大変重要な点の御指摘だと思います。  私も先ほどちょっと申し上げましたように、あくまで自己規律、預金者にも自己規律をこれから求めなきゃいけない時代になっております。ましてや、金融機関に自己規律、自己規正、それは何かといいますと、やはりそのもとは自己管理でございます。先ほど申し上げましたように、資産の査定をみずからきっちりやる、それから監査法人の監査をきっちり受けて、ディスクローズをしていく、こういったことが自己管理の一番の基本でございます。  したがって、これまでの行政についていろいろ御批判はあります。公的な監督あるいはチェックというものの陰に隠れた形で、自己規律というのが後ろに後退していたんじゃないかという御批判もあります。これからはそういう時代にはないと思います。御指摘のとおり、まず自己管理があり、それに公的なチェックといいましょうか、金融行政というのはそれを横からチェックしていくというような形になっていくんだろうと思うわけでございます。
  27. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今御指摘があったように、監督の中身がやはり変わっていくのであれば、金融機関自身も、そして利用者自身もやはり意識改革をしていかなければいけないということだろうというふうに思います。その意識改革をしっかりやっていくにはどうしたらいいか、このことも十分にやはり考えていかなければいけないのではないかというふうに思います。  そこで、大変お忙しい中、日銀総裁に参考人としてお越しをいただいているわけでありまして、二つほど質問をさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。  現在、国会日銀法改正について審議がなされているわけであります。金融をめぐる環境というものが非常に大きく変化していって、その中で、今後日銀の役割あるいはさらなる課題というものをどういうふうにとらえられているのか、その点についてお伺いをしたいと思います。  また、私どもは、先般来質問があったと思うのですが、日銀の皆様方に、日銀の本来の目的にさらにプラスして新しい役割を担ってもらえないのかな、こういう大きな期待をしているわけであります。  個人的には、ちょっと期待が大き過ぎて、日銀の皆様方に御迷惑をおかけしている点もあるのかなという感じがしないでもないわけでありますが、そういったことも踏まえながら、今後の日本の金融の健全な発展のために、日銀が今まで培ってきたものを生かして新たな役割を担っていける部分があるとすれば、どういう部分があるのか、お答えをいただければと思います。
  28. 松下康雄

    松下参考人 私ども中央銀行の役割は、あらゆる経済活動の基盤であります通貨が、通貨として十分に機能をするようにしますために、通貨及び信用の調節を通じます金融政策の適切な運営によりまして物価の安定を図ってまいること、及び決済システムの円滑かつ安定的な運行の確保を通じまして金融システムの安定に寄与していくということの二つでございます。この点につきましては、現在御審議をいただいております日銀法改正法案の中におきましても明らかにされているところであると思っております。  この二つの機能につきまして、私どもがどういう立場から、ただいま御質問の後段にございました、一般の金融機関に対する指導的な役割を果たしていっているかという点でございますけれども、これはやはり中央銀行と申しますものは、金融市場の中に入っておりまして、実際に日々金融取引を行っているわけでございます。金融機関の行動や市場取引の変化ということを敏感にとらえるということも日常の経験から出てまいりますし、また、金融の技術革新等についても、これを把握できる立場にございます。私どもが、こういった日々の金融取引を通じて得ます金融の取引のノウハウにつきまして、これを活用しながら、市場金融システムの安定を確保していくということが非常に重要な役割でございます。  一方で、金融機関に対しますところの免許の付与でありますとかいろいろな命令の発出でございますとか、そういった行政権限の行使に基づきます直接の監督と申しますと、これはやはり、ただいま申し上げました私ども中央銀行の日々の機能とは元来性格が違ったものでございます。  この二つを将来どういうふうに考えていったらいいかというお尋ねでございますけれども、私どもはやはり中央銀行といたしまして、民間の金融機関に対して資金供給を行ってまいる立場でございますから、その取引相手であります民間金融機関の経営実態は常時把握しておる必要がございます。それからまた、もう一方の決済システムの円滑、安定的な運行ということを確保してまいりますためには、システムの中のどこかにリスクが存在しないかどうか、そういうリスクについては金融機関に対してどういう注意を喚起し、また、どういう改善を指導すればよろしいかということも私どもの仕事でございます。  こういう点から、私どもは、現在まで、契約に基づきまして考査を行っております。この点、今回の改正法案におきましては、そういう考査契約を日銀が民間の金融機関との間に締結できるという点が法律で定められるということになっているわけでございます。  私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりますように、そういう市場の実態に即しながら、指導的な立場で、いろいろのリスクの存在を把握し、これを防止、是正をしていくという見地から行っているものでございますので、この点、銀行法という法律を所管される立場で、行政的に権限を持って行われます政府の検査とは立場の違うところがございます。  この二つが今後ともそれぞれの中で行われながら、その間に密接な連携を保って、必要な情報も交換し、お互いに改善を図っていくということに努力してまいるということは大変大事なことだと思っておりますけれども、この二つのいわば監督の方法といいますものは、現在のような両方からのアプローチを行っていく点がよろしいのではないか。各国の中央銀行制度を見てみましても、おおむね、中央銀行の行います政策あるいは金融機関指導と、政府の行っておりますいわゆる監督というものが別建てになって実施をされている例がほとんどであるように思っております。
  29. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 大変答えにくい質問でありながら、お立場のある中で精いっぱいお答えをいただきまして、どうもありがとうございます。  また、今お話をお伺いをしていまして、後段の部分になるのですけれども、検査監督の機能をしっかり強化していくためには、日銀の皆様方の協力関係というのは非常に重要ではないかというふうに思います。  そういう意味からしますと、今回金融監督庁というものがもしできた場合に、日銀としてどういう形で連携をとりながら、協力をしながらやっていこうとされるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  30. 松下康雄

    松下参考人 金融監督庁との検査、考査関係の連携でございますけれども、これは私どもも、本当に実効の上がる検査、考査を行っていく上で非常に重要なことであると思っております。  この点につきましては、現在御審議をいただいております法案におきましても、「日本銀行は、金融監督庁長官から要請があったときは、その行った考査の結果を記載した書類その他の考査に関する資料を金融監督庁長官に対し提出し、又はその職員に閲覧させることができる。」という規定が織り込まれているところでございまして、私どもも、こういう制度が実施をされるということでございますれば、この規定の趣旨を十分に踏まえて精いっぱい努力をしてまいりたい、そういうふうに考えております。
  31. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 お忙しい中、貴重な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。これで私の質問を終わりにさせていただきますので、御退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。  続いて、時間がもうあとわずかになってきたものですから、もう一度官房長官にお尋ねしたいと思います。総務庁長官がおられないものですから次々に質問をさせていただきまして、大変恐縮でありますけれども。  お伺いしたいのは長官人事のことです。金融監督庁の長官は、特に初代長官は非常に大切だ。そういう意味では、こういう人になっていただきたいということについて、官房長官から今までお話があったわけであります。そのお話を聞いていて、なかなかこういう適格な人を探すのは難しいなという感じはいたしておりますし、そういう条件に合うのは、私なりに考えてみますと、やはり日銀総裁やそれに準ずる人なのかなということを勝手に思ったりしている点もあるわけであります。  そこで、世間では、この金融監督庁の長官について、大蔵省出身者以外から起用するという原則をはっきりすべきだ、こういう声もあるわけであります。この点について、官房長官はどのようにお考えになられているのか、お伺いをしたいと思います。
  32. 梶山静六

    梶山国務大臣 これは御承知のように内閣総理大臣が任命することになっておりますので、私がどういう人間がいいということは申し上げられませんが、今こうやって行革特で御議論をいただいている中で、皆さん方のいろいろな話の中から、こういう方がいいのではないのかなと、特定して申し上げはいたしませんが、こういう要件が必要かなという、そういう点を今私なりにメモって、やがて総理にでもそういう私案というか、一つの考え方として条件をお出しをしようか、こう思っているのですが、それが果たしてできるかどうかはわかりません。
  33. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 それを待っておりますので、ぜひそういうふうにしていただければなというふうに思っております。  これは恐らく最後の質問になろうかと思いますが、金融監督庁危機管理の体制についてお尋ねをしたいと思います。  これは今までの審議の中でもあったわけでありますが、今回の法律では、信用秩序の維持に重大な影響を与えるおそれがある場合には大蔵大臣と協議することになっていますが、具体的にどのようなケースを想定されているか、これについて以前質疑があったわけであります。それに対する政府委員からのお答えは、第一に、次々に連鎖的に倒れていく場合だ、第二に、長官の判断で、既存の方策だけでは信用秩序の維持は図れないと考えた場合だというふうに御答弁されているわけであります。  そこで、既存の方策では信用秩序の維持が図れないというのは具体的にどういうことなのか、この点について、やはり立法府でありますので、明らかにしていただければというふうに思います。
  34. 白須光美

    ○白須政府委員 お答え申し上げます。  信用秩序の維持に重大な影響を与えるというようなことはどのような場合か、特に既存の方策のみでは対応できない場合という御質問だったというふうに理解いたしております。  これは先般もお答え申し上げましたが、通常の破綻処理、これにつきましては、まさに既存の方策、つまり、これはその時点におきます現行の法令等のルールのもとにおいていろいろな方策があるわけでございます、例えば預金保険を初めといたしまして。これらの方策で処理が対処可能である、そして信用秩序に重大な影響を与えないというふうに長官が判断したという場合におきましては、長官がみずからの権限の範囲内におきましてこれを処理していくというものでございます。  では、どういうときにこの既存の方策のみで対応できないかということでございますが、これは私が先般お答え申し上げましたところの趣旨、あるいはちょっと御説明がまずかったのかもしれませんが、信用秩序の維持に重大な影響というのがまず基本的にあるということでございまして、これは、そういう点からいたしますと、金融システムそのものが、連鎖倒産その他、金融機関相互あるいはその他の企業等に対して非常に重大な支障を与えていくというようなことがまず第一に必要でございます。その中で、さらにその既存の方策のみで対応できないということになっているわけでございます。  そういう点からいたしますと、これはその時々の方策、例えば預金保険がどういう状況にあるのか、あるいは日本銀行関係等々どういう関係にあるのかということでございますので、ごく一般的な形でなかなか申し上げにくいわけでございますけれども、ありとあらゆる、預金保険の資金援助でございますとか日本銀行の特別融資等々を使って、現行のものすべてを当然使っていく、そういうような中で、なおかつなかなか対処しにくいおそれがあるというように長官が経験または識見に照らしまして判断して、大蔵大臣と企画面でのいわば協力を求めるという事態ということで、なかなか御趣旨に沿わないかとは存じますが、何分にも信用秩序ということでございますし、また、既存の方策というのがなかなか、その時点においてどういう状況かということでもございますので、こういうような御説明にさせていただきたいと思います。
  35. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 なかなか答えにくい質問であったかと思いますけれども、やはりこういう議論をしっかりやっておくということは非常に重要ではないかというふうに思います。どういう形で危機が起きていくのか、それに対してどう対処をしていくのか、具体的にどういうケースがあるのか、そのことを十分に国会の場でも議論をしていかなければいけないというふうに思います。  今までの質問の中で、私はかなり基本的な問題をお尋ねをさせていただきました。その中で、これからの新しい金融行政を考えた場合に、まだまだ解決をしていかなければいけない幾つもの重要な問題点があったのではないかというふうに思います。そういう意味では、立法府でありますから、やはりしっかり議論をして、よりよい金融行政をつくるために私たちも努力をしていかなければいけないというふうに思いますし、また、今回は時間の関係で、日銀法改正や財投、郵貯などの公的金融部門との関連からも金融行政をどういうふうに考えていくのか、改革をしていかなければいけないのか、この点も非常に重要な問題である、そのことも最後に御指摘をさせていただいて、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  36. 綿貫民輔

    綿貫委員長 この際、増田敏男君から関連質疑の申し出があります。伊藤君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。増田敏男君。
  37. 増田敏男

    ○増田委員 増田敏男でございます。  大蔵大臣官房長官、そして答弁に当たられる皆さんには、御苦労さまであります。  私も、金融に対しては素人であります。したがって、大部分国民が素人であろう、こう考えて、その観点から、今日までいろいろなされた質疑の中で、要約をしながら、なお詰め、どうしてもお尋ねをしていきたい、こういうことでお尋ねを申し上げたいと思います。  まず初めに、預金、貯金の国家保護についてであります。  申し上げるまでもなく、昨年六月十九日、定例会最終日ですが、金融三法が通りました。そこで、預貯金に対しては国家が保護する、その期間は二〇〇一年三月三十一日までだというふうに私は認識をいたしました。  そこで、こう言うと恐縮なのですが、この私の理解に間違いがあるかどうか、まず答弁をいただきたいと思います。
  38. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  さきの通常国会でお認めいただきました金融三法によりまして、二〇〇〇年度末まででございますので、二〇〇〇年の三月三十一日まで預金が全額保護できる仕組みをお認めいただいております。
  39. 増田敏男

    ○増田委員 そこで、くどいですけれども、もう一回確認をしておきます。  どこの銀行に、どこの信用金庫に、どこの信用組合に、どこの農協に預けてあっても、どこが破綻をしても、国で元金、利子ともに保護する、こういう理解でいいか、もう一度お答え願います。
  40. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  先ほど私お答え申し上げたとき、二〇〇〇年と申し上げたかもしれません。これは二〇〇一年三月三十一日まででございます。  それで、預金は全額保護できるということでございます。預金という対象のものが……(増田委員「利子は」と呼ぶ)利子も全部可能でございます。
  41. 増田敏男

    ○増田委員 私のところへ問い合わせがいろいろ参ります。私自身も中途半端ですから、きょうは初歩的な確認をさせていただきました。でも、国民にとっては一番大事な関心の一つであると思っています。  そこで次に進むのですけれども、ペイオフについて、申し上げるまでもなく昨年金融三法が通るまでは、預金保険機構では一人一行一千万元金保証というのが決まりであったと思います。破綻した場合支援する、その場合には、一人一行一千万元金保証というのが決まりであったと思います。金融三法ができまして、それから今制度が変わって、先ほど申し上げた二〇〇一年三月三十一日までは預貯金は国家が保護しよう、こういうことになった、このように理解をいたしております。  そこで、ペイオフを、法律は今一時休んでいるわけですから、このまま残してあります。これが二〇〇一年までずっとそのままいく予定なのか、何か背景、考えるところがあってずっと残してあるのか、その辺はいかがでしょうか。
  42. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  法律の本則は、今先生の御指摘のように、一千万の元本が保証というような形になっております。それで、先ほど申し上げた特例期間は、資金援助という形でその損失を補てんするという形で、結果的にその利息も含めまして全額保護できるということでございます。「できる。」となっております。しなければいけないという規定ではございません。したがって、先生御指摘のように本則としてはずっと残っておりまして、附則として、できる規定、つまり、政策判断として必要だということであればそういう手段をとり得るということになっております。  どうしてそういった特例をお認めいただいたかといいますと、現実問題として、ディスクロージャーがまだこれからより徹底されていく必要がある、それから、不良債権問題を背景に信用不安を起こしやすい風土がまだあるというふうなことを背景にそういう特例をお認めいただいております。したがいまして、そういう背景を考えますと、今までもずっと全額を保護するというやり方をやらせていただいております。したがって、そういった考え方がある程度は継続されるのが妥当な状況かなという感じはいたしております。
  43. 増田敏男

    ○増田委員 大分しつこく聞くようで恐縮でございますが、そこでもう一つお尋ねするのですけれども、保護をすると保証をするとでは意味が違います。したがって、私は、法律が通った後保護をするということですから、保護とは何だ。これは字のとおり解釈すれば、保ち守ることだ。保証とは何だ。こういうことを考えながら、保護という言葉を法律用語に使った、そうすると、もし万が一金融機関が破綻をして、いろいろな判断の中で、たとえ預貯金であってもこれは全部保証することはない、ペイオフに振りかえようというようなことがひょっとするとあるのではないのかな、こんな懸念を持ちました。  そこで、こう言うとしつこくなるのですけれども、その辺ももう一段お答えいただきたいと思います、保護と保証。
  44. 山口公生

    山口政府委員 法律そのものを御披露すればよろしいのですが、今ちょっと手元にございません。  預金保険機構の仕組みとしまして、その保護する手段としては、資金援助という形で行うわけでございます。ある金融機関が破綻しましたときに、例えば数百億の赤字が出ました、欠損が出ましたというときに、それをそのまま数百億資金を援助するという形で補てんするわけでございます。それが結果として保護されるということでございます。  保証というのは、法律的にもいろいろな意味があって、政府保証というときの保証というような一つ一つが保証されているというものとは違いまして、この法律が特例的にお認めいただいておりますのは、そういう手段を与えることによって、結果的に保護し得るスキームをお認めいただいている、こういうことでございます。
  45. 増田敏男

    ○増田委員 お帰りになってまた呼ぶのは恐縮なんですが、簡単なことです。  今、保護するスキームだ、こう言いましたが、結果的に保護じゃなくて、結果的には保証する、こういうことになるんじゃないですか。今、結果的に保護する形になったと言うのですが、我々国民からすると、結果的に保証してもらった、だから心配はないよ。したがって、強いて言えば、これから残された約四年間の間に、今度国民が預貯金をする場合にはどこへお金を預けたら倒産しないだろう、どこへ預けたら最も利益が上がるだろう、このことを勉強なさいよというのが一つの問題だと思います。  もう一つの方の問題は、まあ我々はこうして、強いて言えば立法に携わっていますから、こういうような立場に立てば、この限られた約四年の間にすべての金融機関は、もう自己原則の、強いて言えば自分で全部責任をとりますよ、こういうようなことで、絶対健全な運営ができるところまで立ち直りなさい、両面あっての期間だ、こういう理解で来たのです。  今の一言だけ、一番最後はいろいろの仕組みの中で結果的に預貯金は保証することですよ、それはどうですか。違いますか、どうですか。
  46. 山口公生

    山口政府委員 法律的な厳密な議論になりますと、私としては、法的に保証をしたというものではないと思います。結果として保護されるということは、一般的な受けとめ方として、預金者方々が、ああ、私の預金は保証されているんだなというふうに受け取りになられても、結果としてはそこは同じような経済効果かなという感じはするわけでございますが、法律の立て方としては、あくまで保険金の支払いは一千万、元本ということになっております。
  47. 増田敏男

    ○増田委員 もう一回、追い打ちをかけるわけじゃないんですが、破綻した金融機関に、委員会議論をして、そこへお金を出しました、そしてそれが結果的に預金者の保証につながった、こういう意味を話されたのだと思います。  国民は、保護であれ保証であれ、この決まった期間はどこへ預けても、さっき申し上げました、銀行であれ、信用金庫であれ、信用組合であれ、農協のような系統であれ、どこへ預けてあってどこが破綻しても、この期間は元金も利息も大丈夫なんだと。  だから、今度は法理論は結構ですから、大丈夫なんだというなら大丈夫なんだと一言お願いします。いかがでしょう。
  48. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  国がこの附則の規定を適当と認め、運営委員会がそういう意思決定をすれば、今先生がおっしゃったような形が成り立つと思います。
  49. 増田敏男

    ○増田委員 次に、預金保険機構のことはわかりましたが、預金保険機構と貯金保険機構とかかわり合いがあるのかどうか、あるいは、別途の独立したものだからという理解で同じような法律を──いかがでしょうか。
  50. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 お答え申し上げます。  先生御承知のとおり、農水産業協同組合貯金保険機構、これは対象が、農協とか漁協に貯金をしている方の保護を図るための機構でございますが、その仕組みとか目的は預金保険機構と全く同じでございますので、そういう意味では同じような仕組み、役割を果たしているということでございます。  なお、両機構の関係につきましては、それぞれ独立して運営をされておりますので、直接の関連はございません。同じような仕組みで運用しているということでございます。
  51. 増田敏男

    ○増田委員 重ねてお答えいただいてしまえばよかったのですが、質問が足りなかったですか。  同じように運営しているということはわかりました。そこで、もし万が一破綻をしたようなところがあったら、同じような結果ですよ、大丈夫ですよと、その最後の言葉を答弁をいただきたいと思います。
  52. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 貯金保険機構の運営につきましても、預金保険機構と同じような仕組みで運営をいたしておりますので、先生御指摘のようなケースでは預金者の保護が図られるというふうに考えております。
  53. 増田敏男

    ○増田委員 次に、金融システム改革についてでありますが、日本版ビッグバンと一口に言われております。そして、二〇〇一年の一月一日から実はこれが実施になるということであります。ほとんど規制がなくなり、市場原理にゆだねられた、強いて言えば、金融機関が競争というより営業活動、こういう時代に入っていくのだと思います。  外為法の改正の成立やら、あるいはまた、証券取引審議会、金融制度調査会など関連審議会の報告書がぼつぼつ固まっているというようなうわさを聞いていましたところ、けさの日経の社説にも、固まってきたというふうに書かれてありました。したがって、このことが今どういう方向に歩んでいるのか、方向がわかったらお聞かせをいただきたいと思います。これが一点。  それから次に、ビッグバンを迎えて、想像を超えた金融機関の破綻が生じた場合、またさっきに戻りますが、預金者保護の法律に従って公的資金の導入をしてこれが解決に当たるのかどうか。預金保険機構に、貯金保険機構に資金が一時ない、そのときにはどういう対応をする考え方なのか、私は、考えておくべきだ、こういうふうに実は思います。  答弁をいただきます。
  54. 山口公生

    山口政府委員 金融システム改革につきまして、現在、金融制度調査会、証券取引審議会、保険審議会、企業会計審議会等で真剣な御議論をいただいております。外為法の方は、外為等審議会で結論を得まして、国会法案提出させていただいて今国会で御審議いただいたところでございます。残りの部分につきましても、六月には結論をいただきまして、それはかなり幅広い金融改革になるわけでございますが、こういった銀行、証券、保険、あるいはノンバンクも含めた大規模な改革をさせていただきたいと思っておるわけでございます。  それから、二番目の御質問で、公的な資金の投入問題でございます。  先ほども一部御説明申し上げました金融三法の中で、実は保険料の引き上げ、特別保険料という制度を臨時的につくっていただきまして、それまでに比べますと七倍という、保険料をたくさんちょうだいできる権限を与えていただきました。そうすることによりまして、この五年間で申し上げますと二・七兆円ぐらいの資金を確保できたわけでございます。これは木津信組というのが非常に大きな破綻でございまして、これまで一・四兆円ぐらい支出しておりますけれども、今与えられた機能をもちまして対処してまいりたいと思うわけでございます。  さらに、十年度末までに財務状況等を見ながら保険料の見直しということも考えておりますし、また信用組合の部分については政府保証をつけることもできる機能も与えていただきましたので、そういうことで対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  55. 増田敏男

    ○増田委員 今の続きになるのですけれども、大きく破綻が広がった場合、私は、何兆円何兆円という単位で済むような、もっとも大蔵省金融機関全部掌握しているでしょうから、頭の中で考えて心配ないのだというならそれでいいのですけれども、私たちは取り越し苦労をしますから、やがて、こう言うと変ですが、外為法の改正で来年からは物すごく激しい競争が始まっていくだろう。そのときに私たちの想像を超えた大きな破綻が広がった場合に、とても保険料では足りないだろう。その場合にはどこかからお金を持ってこなくてはならない。そのときはどうするのか。  こういうことを実は聞いて、公的資金の導入もせざるを得ないのかな、考えたくはないですけれどもその辺はどうなのかなと。その必要はない、私たちの握っている資料、あるいは私たちの監督権限の中で絶対心配ないというのならそれにこしたことはない、結構なことです。その辺はもう一回、いかがですか。大丈夫ですか。
  56. 山口公生

    山口政府委員 不良債権問題が大きな問題であることは御承知のとおりでございますが、不良債権の額を統一的な統計でもってフォローしておりますと、全般的に見ますとかなりその処理が進んできたということはしばしば当委員会でも御報告申し上げている次第でございます。  ただ、先生御指摘のように、個別の銀行の対応というのはいろいろとあるということも御指摘のとおりでございますが、かなり大手の銀行で経営がはかばかしくないので再建策ということで、例えば日債銀等は、もちろんこれは破綻ではございませんが再建策を打ち出しております。それから、北海道拓殖銀行は、北海道銀行との合併によってリストラ効果をもって乗り切ろうとしております。そういったことで、各金融機関相当な努力をしております。  したがいまして、我々としましては、現時点ではお認めいただいた金融三法の枠組みで最大限努力させていただきたいというふうに思っております。
  57. 増田敏男

    ○増田委員 人間というのは、自分の体験の上あるいは学んだ知識の上、あるいはいろいろと皆さんと切磋琢磨して、自分が我がものにしたいろいろの経験、知識、そういうものを土台に人生あるいはまた将来を考えたがるものであります。私がそうだからそうだと無理に押しつけるわけではないのですけれども。  そこで、私は、今の時代のとり方を二年ほど前から、終戦後か明治維新か、こういうことを言いながら、戦後我が国五十年続いた歩みは大きな変革の時期に来ている、この変革はこれから数年続くであろう、そしてそれは私たちの想像を超えることになるだろうという演説を打っていた途端に金融機関の破綻が始まりました。私の人生では、この間うち起きた金融の破綻が初めてであります。私の親は、破綻のとき犠牲になりましたから、私にそのことをさんざん、昭和初期の話を言い聞かせて世を去りました。そのことを私は思い起こしながら、取り越し苦労の中から、ただいま嫌だなと思われるような質問を再三銀行局長に投げていたわけであります。  そこで、今度は警鐘だけ鳴らしておきますが、私たちの理解の範囲でいろいろのことが起きるのなら、理解あるいは準備の範囲で事が処せます。私たちの理解を超えた大きな問題が起きたときには、私たちの準備の範囲では用が足りないだろう。したがって、ぜひそういうことにも思いをいたして頑張ってもらいたいな、これだけは私からそちらへ差し上げておきたいと思います。  そこで、一つお尋ねをするのですが、大蔵省に預金保険機構の監督権限を残してありますが、何か意味がありますか。大蔵省に残すのが自然だということで残したわけですか。
  58. 白須光美

    ○白須政府委員 お答え申し上げます。  今般の金融行政機構改革法案におきましては、個別金融機関等に対します検査監督、こういう執行面の機能につきましては金融監督庁が所管するという考え方、他方、制度面につきましての、そういう政策面企画立案という機能につきましては大蔵省が担当する、それで両者をそれぞれ明確に分離いたすというのが基本的な考え方でございます。預金保険の仕組みにつきましても、それぞれ今申し上げました考え方に即しまして、金融監督庁大蔵省との分担ということを考えたわけでございます。  まず、預金保険法によりまして預金保険機構が資金援助を破綻金融機関等にいたすわけでございますが、これにつきましての適格性の認定というのがございます。まずこの適格性の認定というものを個別の当該金融機関に対して出す、現状でございますと大蔵大臣が出す。それから初めて預金保険機構にこの資金援助の申し込みができるということになっておりますが、これにつきましては、個別の金融機関に対するものでございまして、金融監督庁が検査その他の監督を通じまして当該金融機関の実態を把握するということで金融監督庁の所掌というようにいたしております。  一方、預金保険機構が決定いたします保険料率、これは先ほど大蔵省銀行局長からお話もございました特別の方ではございませんで、一般の保険料率でございます。こちらの設定の認可、あるいはこの機構の業務の範囲にかかわります定款変更の認可、あるいは出資の認可、これは例えば整理回収銀行等に対する出資の問題がございます。これなどは預金保険制度の基本的な枠組みに係るものということでございますので、制度の企画立案機能を担います大蔵省、これが認可法人といたしましての預金保険機構の監督とともに所掌するという考えをとっておるところでございます。
  59. 増田敏男

    ○増田委員 お願いだけしておきます。破綻が起きた場合に、今までの経過を考えると、もうできるだけ透明な行政手続で進めてもらいたいな。そのことが国民の信頼につながる。あっては困るけれども、あった場合にはそうしてください。  そこで、次に入りますが、日本国内に進出してきている外国の銀行に預金した場合、そしてそこが破綻したとき、預金保険機構の保護対象は、まず日本人がその銀行へ預けた場合にはどうなるのか、外国人が日本に進出している外国資本に預けた場合にはどうなるのか、お答えをいただきます。
  60. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  預金保険法の対象となる金融機関は、預金保険法第二条第一項に「この法律の施行地外に本店を有するものを除く。」と定義されているところでございます。したがいまして、外国に本店を有する金融機関は預金保険法の対象外でございます。  なぜそういう形になっているかと申し上げますと、外銀の在日支店については、これに破綻が生ずるかどうか、また、その処理について、原則として我が国金融行政の及ばない海外の本店所在地における問題であると考えられること等の難しい問題がありまして、現在のような制度となっております。この規定からいいますと、預金者が日本人であっても外国人であっても扱いは同じでございます。対象になっていないということでございます。
  61. 増田敏男

    ○増田委員 そうしますと、今の答弁は、外国の銀行でも日本に本店を持ってくれば対象になりますよ、こういうことだと思いますね。だから、日本に本店を持ってこなければ、あるいは日本に本店のないものはだめですよ、こういう理解をいたしました。  発言があるのなら、もう一点と一緒にお願いします。  そうすると、国内に出てきている外国銀行の支店は、私たちの日本の国に出てきている外国の銀行の支店は、日本の銀行と同様に監督庁の検査や監督は及ぶか及ばないか。及ばないということになりますか。
  62. 白須光美

    ○白須政府委員 お答え申し上げます。  外国銀行が日本で支店、営業所を開設いたしまして銀行業を営もうとする場合には、我が国の銀行法によりまして免許が必要になるわけでございます。この免許を受けました外国銀行支店につきましては、銀行とみなしまして銀行法の規定が適用されることになります。したがいまして、金融監督庁の設置後におきましては、これらにつきましても金融監督庁の検査監督の対象となるわけでございます。
  63. 山口公生

    山口政府委員 最初の方のお尋ねにお答え申し上げます。  日本に本店を持ってくればいいのかということです。そうなりますと、日本の法人になりますので、その場合、預金保険の対象に当然なるわけでございます。
  64. 増田敏男

    ○増田委員 きょうは銀行局長ばかりですな。もう一つお尋ねをいたします。  そうすると、日本の金融機関の海外支店に対して金融監督庁の検査監督は及ぶのかどうか、この辺はどうですか。
  65. 白須光美

    ○白須政府委員 お答え申し上げます。  本邦の銀行が外国で銀行業を営むケースといたしましては、海外支店を出店する場合と海外の現地法人として進出する場合があると考えております。  まず、本邦銀行の海外支店でございますが、これにつきましては、銀行法上、立入検査の対象から除外されているわけではないと理解いたしております。  海外現地法人につきましては、銀行法によりますれば、銀行は銀行業を営む外国の会社の五〇%を超える株式を取得または所有することができるとなっておりまして、また、銀行の子会社、これは五〇%超のものだけでございますが、これに対しましては、当該親銀行の業務の健全かつ適正な運営を確保するため特に必要なときには、報告徴求及び検査を行うことができるということになっております。したがいまして、現地法人の方につきましては、親銀行の出張検査のためという場合には一応対象になっているということでございま すが、ただ、海外の支店あるいは海外現地法人ということにつきましては、外国の領土、主権の中ということでございますので、国際的な慣例によりまして相手国政府の承認を得て行うということになろうかと考えております。  なお、監督につきましては、我が国で免許を得た銀行が対象ということでございますので、海外支店はその対象となりますが、海外現地法人は直接的にはこの対象にはならないということになろうかと思います。
  66. 増田敏男

    ○増田委員 次に、日銀の考査と金融監督庁の検査監督の相違、あるいはまた両者の連携はどのようになるのか、情報の交換はし合うのかというようなことを実はお尋ねをしたいと思いました。一部分、先ほど日銀総裁からお答えが出されておりますので、重複するところは結構でございます。  そこで、私の方からお尋ねしたいのですが、日銀は、大蔵の関係日銀はあります、金融監督庁関係にはありません。しかし、さっきの答弁では、考査をして何か問題があったら、何か約束事があるのでしょう、決まりによって金融監督庁へ話はいたします、実はこういうようなことが出されましたが、この辺の連携といいますか動きといいますか、この辺はどういうふうになるのか、これが一点。  それからもう一つは、きのう日銀法が衆議院を通りました。しかし、ちょっと私が知らないのでお尋ねするのですけれども日銀法の第五に書いてあるのですが、日銀金融監督庁が検査監督できるのかできないのか。できないとすれば、大蔵省は「大蔵大臣の広範な業務命令権、立入検査権等を廃止し、」こう「廃止し、」と書いてありますね。「日本銀行または役職員に違法行為等があったときに限り、大蔵大臣はその是正等を求めることができることとするとともに、監事の監査機能の活用を図っていくこと」とする。というと、今度は、日銀日銀の中の選んだ監査役が監査をするのか、それ以外にどこかかかわり合いのあるところがあるのかどうか、お尋ねをします。
  67. 白須光美

    ○白須政府委員 お答え申し上げます。  御質問、三点にわたろうかと存じております。初めの二点につきまして、まず私どもの方からお答えをさせていただきたいと存じます。  先ほど日本銀行総裁の方からも御紹介があったところでございます。現在でございますと大蔵省の検査、金融監督庁設置後におきましては金融監督庁の検査、これと日本銀行の考査、これにつきましては、総裁からもお話がございましたが、目的、性格等を異にいたしているわけでございますけれども、民間金融機関の経営の実態、これを適切に把握するという上で、監督庁日本銀行が適切に連携していくことは双方にとって有意義と考えておりまして、現在におきましても、大蔵省の行っております検査、これと日本銀行の考査につきましては、必要に応じまして情報交換を行っていると承知しているところでございます。  先ほど総裁の方から御紹介のありました部分でございますが、現在御審議いただいております金融監督庁設置法施行に伴います関係法律整備に関する法律、これと改正日本銀行法案、この二つ改正によりまして、日本銀行が、金融監督庁から要請があったときは、考査に関する資料を金融監督庁長官に対して提出し、またはその職員に閲覧させることができるというような規定を設けているところでございまして、これは日本銀行監督がだれかということは問題ではございませんで、検査をする金融監督庁と考査をする日本銀行、この二つ関係という立場でこういう協力の規定があるわけでございます。したがいまして、金融監督庁の発足後におきましては、金融監督庁日本銀行との間で検査と考査につきまして情報交換を含めまして所要の連携がとられていくものと考えております。  次に、第二点でございますが、日本銀行監督権につきましては金融監督庁の方にはございません。
  68. 増田敏男

    ○増田委員 時間がたつのが早過ぎるので、急いでこれからお尋ねをしますが、外為法改正に伴って、円及び外貨の出入りが事実上自由になってまいります。両替等ももちろん自由になるわけであります。外国の金融機関が日本に進出、営業活動が始まって、内外の金融機関の競争が相当激しくなるということは、だれが考えても異論のないところだと思います。そこで、ふなれな国民にとってはこれからどう変わるだろうというようなことは大きな関心事であります。  今私が薄々承知をしておるところによると、来年を踏まえて金融派生商品を、あるいはまた、こう言うと変ですが、よい金融商品をというような考え方で、いろいろと大蔵に足を運んでいるというようなうわさを実は聞きます。恐らく締め切りか何かあるのでしょう。それは別に問題はないことです。  問題は、和牛ではないけれども、甘いおいしい話が国民のところへ聞こえできますと、国民は初めてのことですから、恐らく正しい理解が簡単にとれないだろう。だから、でき得るならば行政も十分な対応をしてもらいたいな、こういう考え方を持っています。このことは質問でなくお願いをしておきます。来年四月こういうことになりますよと、できるだけ機会をとらえてぜひ宣伝をしてもらいたい。もちろん金融機関を通して宣伝するのも自由でしょうが、あらゆる方法を駆使して、国民がだまされることのないように世の中の変化を伝えてもらいたい、このようにまずお願いをしておきたいと思います。  そこで、これから来年を踏まえてのことなんですけれども、個人金融資産が一千二百兆円、それから法人の貯金が大体七百六十兆円、二千兆円近い金融資産が我が国にあるんだ、一口にこういうふうに言われております。私たちの日本は、世界の人口の二%しか実は人間がおりません。そして持っている金融資産は、一口に世界の三〇%、三割だ、こういうふうに言われております。外国の方から見れば、日本にある金融資産金融資本を自国に持ってきて自国の繁栄に役立てたいと思うのは当然だと思います。そこで、強いて言えば大変激しい競争になるだろう、こういうふうに考えております。したがって、国民の皆さんにというさっきのお願い、これが一つあるわけですけれども。  そこで、私は実はどうしても、この国にある金融資本が海外へ流出してしまうんじゃないかという懸念が頭から去りません。かつて同じようなことを口にしたことがありました。それから何年かたちました。私たちの国では製造業がどんどんと海外へ出ていきました。何千社と出ていっていると思います。それが今の実態であります。そして今ここに来て、もう世界一体化の流れの中で、私たちの国も避けて通ることのできない、こういったことをやっていかなければならない、当然のことです。しかし、なかなかにふなれですから心配が先に行くのでしょうが、金融資産金融資本の海外流出、切りもなく行ってしまっては困るので、その辺の見通しはどうだろう。  大蔵委員会において、総理の答弁だったそうですけれども、金利差だけによって金融資本が流れるわけではない、それ以外にもろもろのリスクがあるというようなことを答弁したという話を実は耳にいたしております。もちろん我々も、素人は素人なりに、金利の問題そしてまた為替レートの問題、税金を含む外国のいろいろの法律の問題、それらは直観的にも考えます。したがって、単に資本を外国へ移転をしてプラスになる、マイナスになる、そんな単純なことは申し上げませんけれども、何しろ心配になりますので、その辺は大丈夫なのか。余り出ていっちゃって国が空っぽになっても困る、こういうふうに思うので、お尋ねいたします。
  69. 榊原英資

    ○榊原政府委員 お答えいたします。  確かに外為法の改正によって、居住者の海外での金融取引が自由になるわけでございます。ただ、非居住者の日本での金融取引も自由になるということがございますから、当然のことながら、資本の流出というのはふえるでしょうけれども、資本の流入もまたふえるということになるだろうというふうに思っております。  外為法の改正、さらには金融システム改革一つ目的は東京市場が空洞化することを防ぐということでございますから、私どもとしては、外為法の改正、さらにそれに続く金融システム改革によって、むしろ東京市場が活性化されて空洞化ということが防げるのだろうというふうに思っております。資本が一方的に大きく流出することはないというふうに考えております。  よく金利差によってというふうに言われるわけでございますけれども、ドル金利と円金利は違うわけでございますから、その間に為替リスクというものがございます。ですから、ある時期においてどの程度資本が、流出と流入の引き算をしてネットで出るかどうかというのは、その時々の海外の金利、国内の金利及び為替市場の動向、そういうことによって決まってくるわけでございます。  いずれにしても、外為法改正によって大きく日本から資本が流出するというようなことはないというふうに思っております。
  70. 増田敏男

    ○増田委員 力強い見通しを聞きましたから、それではしっかり頑張ってくださいと声援を送ります。  ただ、私は頭の中で、この国では百万円を一年定期で積んで、手取りになるお金は二千円か二千五百円だ、税金二〇%払いますから。これがこの国の金利であります。恐らくアメリカへ行っても五%以下はないと思います。ドルを一ドル一円で交換するにしても、行って帰って二円ですから、二%だとすれば、やはり金利差が起きて心配になる。素人ですから単純に、そんな頭を持ったところです。  そこで、専門家が自信を持っての発言ですから、これから来年の四月までにこの国の金利を上げるだろうというような質問はしません。上げなければもちませんから、嫌でも上がっていきますから。本来なら大蔵大臣に聞かなくてはいかぬのですが、それはしません。  そこで、次に進めたいと思います。金融監督庁の人事のあり方について。  ノーリターンの考え方と、もう一つは人事交流、強いて言えば職員の労働意欲マンネリ化の問題、双方絡めていろいろのやりとりがここでありました。私もそのやりとりを実は聞いておりました。そこでつくづく思うのですが、私も市長時代にいろいろ人事のことで、私は小さいところでしたから千二百人、でも金融監督庁は三百人台だそうですから、それよりは大きいですね。千二百人ぐらいいて、人事の配置でいろいろ頭を使ったこともあります。  そこで、何回ノーリターンがどうだどうだと聞いても、ついに最後までだれにも、いやそうしますというお答えはなさいませんでした。長官が適材適所の人を持ってきてちゃんと配置しますという答弁で終始をしていたわけであります。  そこで私の方は、今東京にある中央官庁で行われるような短時間の人事異動でぐるぐる回したのでは、とても仕事はできまい。かといって、ノーリターンだと決めつけたら、三百人の社会になりますから、働く人がどういうような考え方を持つだろう。そこには当然、こう言うと変ですけれども、定期とは言いませんが人事の交流というものを考えていかなければならないのだろう。今我々がノーリターン化をするのがいいよ、いいよと言う、そういう声がなくなるように、時間がないですから答弁は要りませんので、ぜひ頑張ってそういう方向に運んでください。これはお願いをしておきます。  次に入りますが、最近の不祥事について。  これはもう野村、第一勧銀あるいは生命保険会社等あるわけですけれども大蔵省で検査監督しながら発見できずに来ました。これは優秀な人たちですから、組織あるいは仕組み、何かそういう点に考えられるところがあるのか、何か欠けているのか。その辺の見解はいかがだろう、このことをお尋ねいたしたいと思います。
  71. 三塚博

    三塚国務大臣 アメリカのSECのように、二千人近いスタッフを抱えてやりますと定期的に行えます。同時に、SECは、それぞれの証券、銀行に部屋を持って、そちらの提供で監視、監督をします。  こういう機構と、我が国のように、定期検査三年に一遍ですとか、そういうローテーションの中で行わざるを得ないという制約があります。しかしながら、精いっぱいの検査をしておるわけでございまして、そこで発見できなかったかということになれば、強制権を持ってやる検査でない、法令に基づいてやる検査でありますけれども、それ以上のことはできない、提出をされた書類で検査を行うと決まっておる、こういうところの悩みであります。
  72. 増田敏男

    ○増田委員 私も同じようには考えました。  そこで、それでもやはり心配になります。それは、大蔵省の仕組みの中から検査監督を独立させただけではないのかなというやりとりがここで大変ありました。もちろん、分割ですから、分かれたんですからそういう形になると思います。そして、ほとんどの人が大蔵省からそちらへ移ってくる、こういう形になっていくわけであります。だから、金融監督庁が、大蔵省の出先機関ではない、独立した検査監督庁としての機能を果たすんだ、こういうふうにおっしゃいますが、こう言うと変ですが、分かれても同じ人が来た、そして今までの仕組み、今までのあり方ではということがあります。  そこで、引き続いて何か工夫がないのかなと考えてみましたが、どうしても私にはわかりません。あればこうした方がいいですよときよう言うんですけれども、単純な発想で、分かれてきた、同じような仕組みだ、同じようなやり方だ、こういうことですから、これは答弁は要らない、ぜひこれは大蔵大臣にしっかり頭にしまってもらって、それから官房長官にもぜひしまっていただいて、何か研究や工夫するところがないか、ぜひこういうことで御努力をいただきたい。  そうでないと、今起きているような事件が、もうこれで終わりですかと聞かれるたびに、いやそれはわかりませんと。今の日本の仕組みを見ると大蔵省が頑張ったって限界ですよと。うちに税金の調査に来たときはと。あの調子で検査すると思っていますから、あれとこれとは違うんだというようなことを言って説明するんですけれども、早く発見ができて、そういうことのない方がいい。これを、マンネリになってはいかぬから特にお願いをして、喚起を促しておきたい、ぜひお願いします。  そこで、次に一つ、これは御質問です。  金融監督庁の業務報告を国会国民に明らかにする考えはないのかな。これは、こう言うと恐縮ですけれども、きのうの日銀改正法には、通貨及び金融の調節等についての報告書を国会提出するとともに、業務及び財産の状況について説明を求められたとき総裁等は国会出席しなければならないこととなっている、こういうふうになっているわけですね。ならないこととする、ちゃんとこうなっているわけです。  そこで、金融監督庁の方には、これは国会に呼べばおいでいただけます。しかし、問題は、金融監督庁の業務が、こういう時期ですから、普通のときと違います。たとえ有限であっても、じゃこういうことで一年に一回国会へ報告しようとか、あるいは、規定はないようですから、その辺はいかがお考えですか。
  73. 白須光美

    ○白須政府委員 お答え申し上げます。  金融監督庁が、市場規律を基軸といたしました透明かつ公正な金融行政を担うべき行政機関といたしまして、その担当する金融行政状況につきまして国民理解を得ていくということは重要なことと認識いたしております。したがいまして、その活動状況等につきまして国民に周知していくこと、これは非常に必要なことと考えておりまして、適切な方法等が今後検討されていく必要があると考えるところでございます。  なお、金融監督庁行政につきましての国民への周知の方法につきましては、最終的には新たに 任命される金融監督庁長官の意向をも踏まえまして判断されていくことが適当かと考えております。なお、委員指摘改正日銀法案に基づきます日本銀行金融政策に係る業務状況報告書の国会提出の規定、これにつきましては、重要な金融政策の運営について独立性を付与されました認可法人、この特殊性にかんがみまして法定されているものというふうに考えております。
  74. 増田敏男

    ○増田委員 即答するには難しかったら、大臣に宿題でお預けしたいと思います。  私は、事件がいろいろ出てきた、だから金融監督庁ができた、そして今新しく生まれようとしている。そして、すぐビッグバンが来る。こういうような大事な変革のときですから、さっき申し上げましたが、有限であってもいい、国の機構の中で報告はこういうふうに流れてちゃんと皆さんのところへ届きますよじゃなくて、私は、法律になかったら、たとえ口頭でも、こうですと、一年に一回ぐらいは国会を通し国民の前に発表した方がいい、そしてそれが信頼回復につながるだろう、こういうふうに考えます。  これはお預けしましょう。ぜひ研究してみてください。  そこで次に、具体的なことをお尋ねするのですが、大蔵省の地方支分部局、私たちは簡単に財務局と呼んじゃうんですが、金融検査のあり方についてであります。  ここの働いておられる職員の方々は、今度監督庁ができると、大蔵省から辞令をもらって、金融監督庁から辞令をもらって、それで仕事をしていく、こういうことになるのかどうか、これが一点。もしそうだとすれば、まことにすっきりしませんね。かといって、辞令をもらわないで仕事をするということもないでしょうから、だから、両方から辞令をもらってやっていくというようなことになるのか、この辺はいかがですか。
  75. 白須光美

    ○白須政府委員 地方の検査監督につきまして財務局の組織を活用する、この方法につきましては、監督庁長官が地方の民間金融機関等の検査監督に係る権限の一部、これを財務局長に委任いたしまして、この委任された事務に関しまして長官が財務局長を直接指揮監督するという形になっておりまして、いわばそれを使っていくということでございまして、個々の職員につきまして別途辞令を出すというものではございません。
  76. 増田敏男

    ○増田委員 それでは具体的に、今度は変わった角度からお尋ねをいたします。  都市銀行、地方銀行、合わせて六十以上あります。第二地銀も六十以上あります。信組、信用金庫、合わせて四百以上あります。これが私たちの国の金融機関です。  そこで、こう言うと変ですが、地方支分部局は、財務局は、どこで線を引くのか。都銀と地銀は金融監督庁が直接やるのか。第二地銀以下は財務局に任せるのか、その職員にやってもらうのか。三百人台ですから、人数が。その辺はどうですか。
  77. 白須光美

    ○白須政府委員 お答え申し上げます。  少なくとも当初の陣容等につきましては、現在の大蔵省金融検査部でございますとか財務局の検査部門の職員、これらの人数とそう大差ないというようなことを一応基本として考えていくということにならざるを得ないと存じますが、そこから考えますと、現在のところでございますと、信用金庫につきましては財務局の方に基本的に検査をお願いしている。また、地方銀行、第二地銀につきましては大蔵本省と財務局で交代とか一緒とか、そういうような形で検査を行っているというようなことでございまして、都市銀行は本省が直接やっているということでございますので、基本的なフレームワークといたしましては、陣容等を考えますと、少なくとも監督庁の発足当初におきましては、ほぼ同様の検査の分担ということにならざるを得ないかと考えております。
  78. 増田敏男

    ○増田委員 三百人台のスタートでいくのはわかりました。私が心配するのは、結局、大蔵省と地方支分部局、強いて言えば財務局、この関係方々が交互に連携をとって、こう言うと変ですが、地方銀行、第二地銀についてはやるよというのでは、金融監督庁ができた意味がないのです。だから、どうして金融監督庁ができたんだろう。金融監督庁は、どこで線を引いてやるんだ。  それでは、こう言うと変ですが、一般の都市銀行、中央銀行だけ、これを中心に、あとは、大きな証券会社とか生命保険会社とかみんなやらなくてはならない、そっちの関係は、ノンバンクに至るまでの膨大な数はどこでやることになるんだ。何のことはない、監督庁はできたけれども監督庁の仕事は金融関係のこの部分だけをやるのですよ、あとは今までどおり大蔵ですよ、どうもそういうふうに聞こえますが、いかがでしょうか。
  79. 白須光美

    ○白須政府委員 お答え申し上げます。  金融監督庁の委任を受けました地方の財務局の事務、これは当然、検査もさようでございますが、これにつきましては監督庁の方の指揮監督に基づきまして、また、例えば検査方針でございますとか基本的なやり方とか、さらに報告、そういうようなことについては、すべて監督庁の指揮のもと、方針のもとで運用されるわけでございまして、財務局の方で行いました検査につきましても、これは監督庁の方針によって行われることになるというふうに申し上げるべきかというふうに考えております。
  80. 増田敏男

    ○増田委員 なかなか理解がしがたいのですが、大蔵大臣が笑っていますけれども、これは大変な問題になるのですね。  私がさっき聞きました、地方支分部局、財務局の職員に対しては辞令は出すのかと。出しません、そして、こう言うと変ですが、金融監督庁と連携をとりながら業務は進めます、本庁の方と、また財務局の方々と連携をとりながら一定の分野の監督検査をやりますよというのが答弁でしたね。そういうふうに聞こえましたが、違いますか。
  81. 白須光美

    ○白須政府委員 お答え申し上げます。  連携というわけではございませんで、監督庁の指揮監督のもとにおいて行われるということでございます。また、その権限のうちの一部のものを財務局に委任するということでございます。
  82. 増田敏男

    ○増田委員 幾ら議論しても答弁に苦しめるだけだと思いますが、大切なことで、まだ後から質疑者が出ますから、整理をなさっておくとよいですね。  私は、こう言うとなんですが、監督庁ができるから、この際、監督庁は何だ何だと言っているわけではないのです。建設的に考えても、どう考えても合わないところがある。ましてや、私は辞令のことをさっきから盛んに言うのですが、指揮監督を受けてといったって、よそから辞令をもらっている人を指揮監督するようなばかはないんだ。事故や何か起こったときに、どこに限界の線を引くのか。  そうすると、当然トップとトップとの間の何かしっかりした決め事がないと、私が、例えば自民党の皆さんにこうだからと言って指揮監督しろといったって、できっこないんです。それは一緒に、今度は共同でこのことはやるんですよというのならば議論ができる。問題が身近で恐縮ですけれども、ちょうど同じような問題だと思う。だから、ぜひともこの問題は整理をなさって方向をきちんと出して歩んでもらいたいな、これは特にお願いをしておきます。頑張ってください。  それから次に、行革における省庁再編に対してでありますが、検討過程の手法について、行革会議が立案をして省庁に示し、そして改革を進めていくのか、あるいは、省庁の意見を聞いて、省庁側と協調しながら立案して改革を進めていくのか、その辺は、政府はどうなんだという方針が決まっておりますか。これは大臣がいないので、きょうは言ってありますから。
  83. 陶山晧

    ○陶山政府委員 ただいま御指摘のございました省庁再編につきましては、申し上げるまでもございませんけれども、現在、行政改革会議において精力的な審議、検討が行われているところでございます。現段階では各省庁からヒアリングを行っておられるわけでございますが、今後のスケジュールといたしましては、六月いっぱいまでがほぼヒアリングのスケジュール、七月段階から委員間の意見交換を含む主要検討項目についての審議、八月の段階では集中審議、九月以降、以上の審議結果を踏まえました改革案の検討、作成という大まかなスケジュールが予定されているというふうに承知をいたしております。  政府といたしましては、行革会議から本年十一月末までに省庁再編のあり方について成案を得るということになっておりますので、その結論に基づいて、平成十年の通常国会に所要の法案提出するという段取りが決まっているところでございます。
  84. 増田敏男

    ○増田委員 ひとつ急ぐように。今十一月末ということですが、万事おくれおくれで来ています。例えば地方分権の二次の勧告などは、大体六月にできるのかと思っていたら、きょう入ってきた話ではちょっとずれるようだ。万事おくれていくようであります。だから、せっかく目標を掲げたのですから、国民は信頼したのですから、この期待をそぐようなことのないように、帰ったらぜひ長官に伝えてください。  それから、今度は財政構造改革関係でありますが、時間がありませんから議論は細かくはできませんけれども、数値目標を織り込んだ歳出削減策の月内決定が困難な見通しとなった、したがって、今国会の会期末、六月十八日までに財政再建法案の骨格をまとめられればというようなことで、官邸筋の話として新聞報道にありました。なかなか難行のようであります。行財政改革に対する国民の期待が大きければ大きいほど、こう言うと変ですが、しっかりとまとめないと、あるいは信頼できるような運びをとらないと、政治への信頼はますます揺らぎ、内閣への信頼も揺らいでい円くだろう、こう思います。  そこで、今と同じ形になるのですけれども、根本を決めて取り組もうとしているのか、民主的な方法といえばそれまでですが、意見を聞きながら調整して進めようとするのか。ここのところ省庁のヒアリングがいろいろ行われているようであります。官邸でもやっているそうですが、見てみると全然前進はないのですね。むしろ、あれは政府の考えと反対の方向に行ってしまうのかなというような意見が出てきます。  そこで、こう言うと恐縮なんですけれども、期待している大蔵大臣それからまた官房長官ですから、一刀両断にきちっと整理して時間までに運んでしまうのだろうと思うのですけれども、どうも今の運びでは政治改革は期待を薄くしてしまうのではないかという懸念があります。その辺の考え方はいかがでしょうか。
  85. 梶山静六

    梶山国務大臣 後ほどゆっくり大蔵大臣からはお話し願うといたしまして、記者会見がありますので、私から申し上げたいと思います。  確かに、今働いている各省庁の方々意見を全く聞かなくて、その人たちがこれから信頼をして新しい機構のもとに、新しい任務のもとにやっていただけるかどうか。幾らいい考え方を出してみましても、その人がそれに心服しなければだめであります。その意味で、今、行革本部はいろいろな意見を各省庁から聞いておりますが、委員御案内のとおり、この行革本部、民間をひっくるめた有識者に何十遍かの会合を願い、部分的なことをやっておりますから、若干のおくれがあると言われるかもしれませんが、それはむしろ、着地点が遅くなるのではなくて、手段、方法を数多く行っているというふうに御理解をいただきたいと思います。  それから、財政再建の問題については、数値目標が出ないということではありません。ほとんどの論点は詰まっておりますが、幾つかの問題点が提起をされているということでありまして、これも、大蔵大臣は今月末と言っているのですが、私は、三日や一週間の誤差はあってもいいのではないのかな、それによって議論が尽くせるならば、こう言っているわけでありますが、これはひとつ御理解をいただきたいと思います。いずれ、ちゃんとしたものをまとめたいと思います。  それから、ただいままで、金融監督庁に対するもろもろの御意見をちょうだいをし、大変温情を持って、研究をしなさい、勉強をしなさい、こういうことをやりなさいという、私たちの不備の点を御指摘いただきました。  大変ありがたいことでございますが、根本は、今すべての行革に合わせることではなくて、今々、金融行政一つでいいのかどうなのかという一点から始まったわけでありますから、これを二つに分けるということが今々の仕事であります。そして、今、行革その他をやっているさなかでございますから、定数をむやみやたらとふやすというわけにもいかない。ただ、思い新たに取り組んでもらうということですから、恐らく、現員のままでやるわけでありますが、二枚鑑札ではだめだろうと言うけれども、これは例が適当かどうかわかりませんが、あの自衛隊の方々が、ちょっと国連の監視隊に行けと言えば、ちゃんと洋服を着がえて行って、恐らく自衛隊の任務を忘れて彼は一生懸命やっておるわけですから、地方財務局の方々のその検査監督の業務に当たる方も、恐らくそういう思い新たな気持ちでやっていただけるもの、ただ、量的な充足ができるかどうかは、これから発足してからの問題点であろうと考えております。
  86. 増田敏男

    ○増田委員 官房長官、時間だそうですから、大蔵大臣答弁の前に、一つだけ、伝えてください。  それは、新聞を見まして、「橋本流「けじめの哲学」」というのをけさ読みました。「騒ぎの中でトップが責任を取って辞めるのは潔い出処進退と言われたが、本当にそうなのか。問題の所在が正確にならなくなる危険性がある」、こういう表現だったと、日経ですが、ここに書いてあります。  私は、この背景、そして前後の言葉のつながり、あるいは今日までのいろいろな歩み、わかりません。だから、この文章だけが出てくると、何かあったときに、その人はそこにとどまって、逆に、庶民から考えると居座っているという形に聞こえてしまいます。だから、発言をするときには、前後左右、背景等がわかりませんから、十分、こう言うとなんですけれども、御注意あって口をきかないと。今私たちは審議しているのですからね。第一勧業銀行の会長がやめたときの談話ですから。これは、帰ったら伝えておいてください。  何でこんなことをあえてここで言い出したかというと、十二時にニュースを見ました。大蔵大臣がテレビに出ておりました。同じような方向での発言でありました。だから私は、こういった解釈が、考え方が、内閣の中で出てきてこうなってきたのかな、それでは言っておかなければいかぬなというので、信頼する官房長官に、届けてくださいとお預けしますので、よろしく伝えてください。誤解がないようにお願いします。
  87. 三塚博

    三塚国務大臣 増田議員の、財政構造改革基本について、今後のスケジュール、こういうことでございます。  十数回にわたりまして、企画委員会、三党の代表者、政府代表者加わって論議をしてまいりました。来週、全体会議を開くというところまで決まっております。そして、私自身とすれば、月内に取りまとめて、国民発表に向けての準備に入るべきであると。  既に御案内のとおり、財政構造改革原則というのを発表をいたしまして、それに基づいて、総理経験者、大蔵大臣経験者を含めた各党代表、大蔵大臣、自治大臣ということで、財政の健全化に向けて、こういうことで行ってまいってきたところであります。  簡単に言いますと、聖域なき歳出の見直し、マイナスを立てていかなければならない、こういうことであります。その大詰めに来ておるという認識を私は持っております。来週中に、願わくは全体会議の議を経て決定に向かっていかなければならない、こういうことで、取りまとめは三党代表の自民党加藤幹事長が中心でありますが、全体会議になりますと座長は官房長官、こういうことになりますので、両々相まちまして、御趣旨は国民の声でございますので、全力を尽くしてまいるつもりでございます。  もう一点、昼の記者会見、総理の会見。これは前段が欠落をいたしておるわけで、本日の会見で私は申し上げました。
  88. 増田敏男

    ○増田委員 わかりました。  時間が過ぎておりますので、これで私の質疑は終わります。ありがとうございました。
  89. 綿貫民輔

    綿貫委員長 この際、倉田栄喜君から関連質疑の申し出があります。伊藤君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。倉田栄喜君。
  90. 倉田栄喜

    ○倉田委員 時間が延びております。私は、三時十分から四時十分まで一時間の予定で、官房長官は四十五分までおいでいただくということで、三十五分間ぐらいは官房長官にお尋ねできる、こう思っておったわけでございます。官房長官に対する御質問を残すことになりますので、一問だけお答えいただいて、ぜひ、官房長官にお聞きしたがったことは大蔵大臣にお尋ねをいたしますので、後は頼むと大蔵大臣官房長官から頼んでいただいて、官房長官答弁は、ひとつ大蔵大臣、お答えいただきたいと思います。  そこで、官房長官、流れの中でちょっと変なんですけれども、いわゆる株主総会と総会屋、このことについて、まだ我が国の株主総会はこんな状況なのか、そして、総会屋自身がどうしてこんなにばっこをするのか、そういう思いを持っております。  過日の新聞に、自民党の役員連絡会で幹部の方が、総会屋には三百億円も出したのに自民党にはゼロだと。これは何事だという趣旨の御発言なのかわかりませんけれども、まあ、総会屋に三百億も行くのか、今の日本を支えている自民党になぜゼロなのか、こういう発言が出るのもわからなくもありませんけれども、しかし、これはどういうことなのだろうという気もいたします。  官房長官、この総会屋、今の発言も含めて、どんなふうにお考えになっておられますか、そのことをお尋ねをしておきたいと思います。
  91. 梶山静六

    梶山国務大臣 私は、残念ながら、大会社の株主総会というものをのぞいてみたことがまだございません。ただ、通俗的に言われるのは、日本のそれぞれの会社は、どちらかというと、株主保護、ないしは株主を優遇、ないしは株主の意見の通りづらい組織になっているということはよく聞いております。ですから、株主総会が、いわば形式的に流れがちなこともまた、一般的な状況としては言われるわけであります。これは総会屋の話と全く違ったことでありますが、今まで私が感じております株主総会ないしは株主に対する企業の経営者のあり方、そういうものに対する私の率直な思いを申し上げたわけであります。  そして、その総会屋なる者が、その議事をあるいは妨害し、あるいは抑え、あるいは裏にあって会社側との取引がある、そういうものを称してよく総会屋と言われるそうでありますが、厳密な定義は私はよく知りません。  いずれにしても、株主総会をめぐって会社側に有利もしくは不利益な方法をもって、若干というか幾ばくかの経済的な、あるいはその他の便宜供与を受ける、こういうことがあろうかと思います。こういうものは断固として排除しなければ、正常な会社の経営はできないというふうに感じております。
  92. 倉田栄喜

    ○倉田委員 官房長官から、株主総会における総会屋、総会屋だけにかかわらないのかもしれません、こういうものは断固として排除をしなければ、そういうお話がありました。ぜひそうしていただきたいと思いますし、この点もきちっとしなければ、いわゆる我が国の市場ルール組織というものの信頼感も取り戻せない、こう思います。  官房長官、早くお帰りをいただければ幸いですけれども、どうぞ。  そこで、先ほど増田委員の方からお尋ねがありました。御答弁を聞いておって、ちょっと納得をしかねる部分がありましたので、この点からお尋ねをいたします。  それは、いわゆる地方金融機関の検査監督については、金融監督庁の委任を受けて既存の大蔵省地方財務局等が代行をする、現在の法案はこういう形になっております。  さっきの、それでは金融監督庁そして大蔵省、委任をされて代行ということなんですけれども、実際の監督権はどうなのか。地方の金融機関に対する検査監督、従来大蔵省は、大蔵省の中における財務官がその仕事をやってこられた。今回は、大蔵省の中において委任を受けて金融監督庁の代行をされる。どうもこの辺に関するお答え、私は聞いておって納得ができませんでした。  それでは、地方財務官は、通常の勤務の中において地方の金融機関の検査監督、これを専らにやるわけでしょう。実際に、それでは大蔵省のそのほかの仕事というのは、この財務官の方々はあるのかないのか。専らに金融監督庁の検査監督の業務をやられるのであれば、どうしてそういう形になるのか、どうもお答えが納得しかねましたので、改めてこの点をお伺いいたします。
  93. 白須光美

    ○白須政府委員 お答え申し上げます。  現在の財務局の金融証券検査官につきましては、これは当然のことでございますが、専ら金融証券検査、これの職務に従事しているというふうに考えております。これらの方々につきましては、今後、金融監督庁長官の指揮監督のもとで、専らその仕事をやっていただくということに相なるわけでございます。  それではなぜそういう方々について、これを別途の地方支分部局にせずに、大蔵省の財務局の中でそういうことをやってもらうということでこの現在の整備法等をお願いしているかということにつきましては、新たな地方支分部局を設けるということになりますと、例えば総務部門がつくとか局長がつくというようなことでございまして、行政改革という趣旨から照らしまして適当ではないのではないかというようなことで、こういうことをお願いしているわけでございます。  なお、現状におきましても、例えば大蔵省でございましたら税関、これは通商産業省の輸出入の承認の確認事務などを通商産業省から委任を受けまして、通産大臣の指揮のもとで行っておりますし、また、よく御承知かと思いますが、沖縄開発庁の沖縄総合事務局、これにおきましては、大蔵省の事務、農水省、通産省、運輸省、建設省、これらの事務につきまして、それぞれの地方支分部局に相当いたしますような所掌の事務、これを各省からの委任を受けまして、各省大臣の指揮のもとで行っているというところでございまして、今回もそれと同様の考え方でこういうことをやるということでお願いいたしておるわけでございます。
  94. 倉田栄喜

    ○倉田委員 委任代行の話ではないのですね。要するに、地方財務官の方々のお仕事というのは何なんですか。それは今審議官も、専らという言葉、主としてという言葉がありますけれども、専らというのは、もうほとんど、九九・九%はその仕事ですよ、検査監督ですよ、それが専らという言葉の定義だと私は思います。そうだとすれば、どうして大蔵省に残しておかれるのだろう、どうして代行委任みたいなそんなことをされるのだろう。  一方で、大蔵省金融監督庁関係金融監督庁独立性ということも言われておるわけです。地方財務官の方が、本当に専ら検査監督、この仕事に当たられて、ほかの仕事がもうほとんどないのだとすれば、やはりこれは金融監督庁に行かれるべきではないのか、こういうふうに思うわけでありますが、この点がどうも納得できません。
  95. 武藤敏郎

    武藤政府委員 財務局の仕事についてのお尋ねでございますので、私どもの方からお答えさせていただきます。  財務局の全職員は、現在約四千六百名おります。そのうち、検査官は約四百名、監督担当五百名、監視委員会関係百名、すなわち約一千名が検査、監督、監視に当たっております。比率にすると約二〇%でございます。人の観点からだけでいいますと、財務局の仕事のうちの検査監督は大体二割ぐらいということでございます。  そうすると、ほかのことは一体何をやっておるのかということでございますけれども、大きなものは、国有財産の管理、処分、これは最近物納財産が非常にふえておりますので。それから災害復旧事業費の査定の立会、補助金の実態調査、あるいは資金運用部資金を地方公共団体に貸し付ける事務、それから法人企業統計に係る調査等、その他の作業をやっておるわけでございます。  ですから、検査、監督、監視の約二割の人は、それは検査監督に専ら当たっておるというのはそのとおりでございますけれども、そういう意味では、全体の財務局の中ではそういう役割の分担になっておるわけでございます。  したがいまして、局によりましては、検査、監督、監視に当たっている職員の数は相当少ない局があるということでございまして、いろいろ昨年議論があって、どうしたらいいのかというときに、新たな地方支分部局を設けるというのはやはり行革の方向に反する。したがって、先ほどお話がありましたように、北海道開発庁、沖縄総合事務局あるいは通産省が税関に委任しておる例、それから環境庁の事務を総務庁の出先がやっている例、さまざまな例がございますので、その例に従って委任をするということでございまして、委任するということは決してここだけのことではございません。
  96. 倉田栄喜

    ○倉田委員 審議官は今、地方財務局の構成の話の中でお答えになりました。  私が問題にしておるのは、地方財務局の中で検査監督に当たっておられる方が例えば二割なら二割かもしれない、その二割の方は、先ほどのお話で、専ら検査監督をやっておられる、ほかにほとんどやっておられることはない。そうしたら、その検査監督に当たっておられる方々は、身分の関係においても監督庁の方に直接指揮監督を受けられるような形で移された方がすっきりするのではないのか、こういうふうに申し上げているわけです。
  97. 武藤敏郎

    武藤政府委員 先ほども申し上げましたとおり、この二割の人たちが財務局のブロックに分かれますと、一つ一つはかなり小さなところが出てまいります。そういうところを独立させることによりまして、さまざまな機構の、新たな総務系統等の新設というような問題が出てまいりまして、この問題はどのように対応するかの議論を踏まえた上で、繰り返しになりますけれども、委任という形の方が行革の流れに沿ったものという合意のもとで結論が出されたわけでございます。
  98. 倉田栄喜

    ○倉田委員 検査監督の、例えばその一つの中における二割なら二割を独立にして、新たなところに置くなら置くということは行革の流れに反する、あるいは小さくなり過ぎる、そういうお答えなのかなとお聞きをしましたけれども、でも、そこは方法があるのではないのですか。同じ建物の中にあってもいい、あるいは検査監督部分だけ、そこを合併をしてもいい。  私が今申し上げておるのは、金融監督庁の検査監督という指揮監督命令権が直接検査監督を担当される方々に行くようにした方が、いわゆる金融監督の一元化が確立されるのではないのか。今の状況のままで、身分は大蔵省、そういう状況では、まさに検査監督も二元化、こういう状況になるのではないのですか。ですから、行革ということではなくて、身分を監督庁に移されることに私はそんなに問題がないのだと思いますけれども、どうでしょう。
  99. 武藤敏郎

    武藤政府委員 ただいま二元化というお話がございましたけれども大蔵大臣には検査監督の権限はございません。したがいまして、大蔵大臣からこれらの職員に対して監督を行うということはあり得ないわけでございまして、あくまでも新庁の長官が指揮監督をするということでございますから、二元化ということにはならないというふうに考えております。(発言する者あり)
  100. 綿貫民輔

    綿貫委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  101. 綿貫民輔

    綿貫委員長 速記を始めてください。  三塚大蔵大臣
  102. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいまのお話、承っておりました。  基本は、金融監督庁という構想が出まして、法律の作成の段階に入った折、最大の問題が、行革の今日、新たに数百人を抱えてスタートを切ることに行革上の問題があるな、一点そうでありました。  第二点は、金融機関の検査監督官として、専門的な分野でありますから、この分野を担当する者、三党その他の申し出等の中で、専門家を養成していかなければならない、こういう点もありましたが、法案に明記させていただいておりますように、成立を国会によって御承認をいただくという前提で四月一日と施行日を決めておる中で、そういう枠組みの中で、やはり銀行の検査監督に精通をしておる大蔵省財務局のメンバーの諸君にこの際努力をいただく。努力をいただくというのは、担当をいただく。  そういうことで、ただいま財務局にいるわけでございますから、大蔵事務官であるわけですから、新長官がその際、スタートを切って担当者になりました折に、財務局長に検査監督の事務を一任します。こういうことでそれを受け、自分の部下に、一任を受けた機能の中で検査監督官として専らこれに勤務するように、こういうことだと思っております。  監督庁設置主管庁は総理府でございますから、そういうことで行革の基本からいって、人材が育つまで専門官がこれを担当することは、これだけ緊急な課題の中で金融監督庁が出ております以上、そういうことでいくべきであると私も賛成をいたしたところであります。
  103. 倉田栄喜

    ○倉田委員 私は、前回の質問のときに、何のためにこの金融監督庁の設置はあるのですか、まず、組織論ではなくて、組織論の前に機能論としてどうあるべきなのか、そのどうあるべきなのかという姿が明確になって、そしてその次にこのどうあるべきかということに対応する組織がなければならない、こういうことを申し上げました。  行革の視点も、今大臣からお答えいただいたその視点もあると思います。同時に、総理が言われた、我が国の金融市場というものを、あるいは証券市場というものを二〇〇一年にニューヨーク、ロンドン並みの国際市場にする、これが一番大きな目的のはずなわけでしょう。だから、そのためには検査監督というのを透明化しなければならない、そういうことでこの法案のスタートがあると私は思います。そうであるとするならば、まさに今大蔵省地方財務局におられる検査監督に精通しておられる方々は、身分もそのまま監督庁に行かれたらどうですか、こういうことを申し上げているわけです。  さっき、監督庁の長官が直接検査監督に関しては指揮監督をするからいいのではないか、こういう議論がありました。しかし、それは大臣もよくよくずっとおわかりだと思いますけれども、人事は、最終的にはその人をどうするかという処分権を持っておられるところが一番強いわけでしょう。  この検査監督方々はプロパーで、大蔵省に残っておられればその処分権、処分権という言い方はおかしいですね、人事の、昇給であるとか、そういうものであるとか、それは金融監督庁の長官にないわけでしょう。それだったら、指揮監督をこの方々にお願いをしたとしてもどこまで徹底できるのですか。そして、しかも一方で指揮系統の二元化の問題がある。それでは金融監督独立性、透明性というのは担保されないのではないですか。こういうふうに申し上げているわけです。
  104. 三塚博

    三塚国務大臣 指揮権の二元化、人事の問題という基本的な話があります。  指揮権は、新長官が財務局長を委任事務によって指揮監督をする。そして、財務局長が検査監督官を、これまたその業務、専らの業務についておる職員をして、命令のもとに行政に、検査監督事務に精進せしめる。こういうことでありまして、このことで大蔵省が検査監督官に指揮権、行政権を云々するということは法律の原則からいいましてもあり得ないことでありますし、同時に、そのことで検査監督独立性というものが侵犯されるということは全くないし、財務局長がこのことについて委任を受ける以上、そのことで専任事務がなくなるということではないし、国家公務員というものは法令に従って行動するということでありますので、新金融監督庁長官の命によって行う、こういうことでいきますし、そのことは御懸念としては承ります。  そうなりました場合、法律の審議の中で、論議がこの一点に集中をして行われたということ、ほかにもありますけれども、大事な人事、指揮権という問題でありますことを体していくということになれば、御懸念はなくなるのではないでしょうかと思っております。
  105. 倉田栄喜

    ○倉田委員 お答えを聞いても、まさに金融検査監督に対する、いわば検査官の方に対する監督権、一方で大事に対する人事権、私は、地方財務局の検査官の方々が検査監督を専らにされるのであるとすれば、やはりこれは金融監督庁に身分そのものも行かれるべきであろう、こう思っております。この一点だけを聞いても、やはり今回の法案というのは問題が多すぎる、こう思います。  この問題はさらに時間をいただいて、私以外の同僚の委員も疑問が多く残っていると思いますので、そのところで続けさせていただきたい、その時間の約束はいただきたい、こんなふうに思います。  そこで、さきの私のこの特別委員会質問のときに、委員長にお願いをいたしました。VIP口座の資料を公開をしていただきたい、この委員会提出をしていただきたい。委員長の方からは、理事間で協議をする、こういうふうなお答えでございました。これが一週間たちました。どういう経過になっておりますか、お教えをいただきたいと思います。
  106. 綿貫民輔

    綿貫委員長 この問題につきましては、倉田委員のほかの方からもございまして、委員長といたしましては、大蔵省の証券監視委員会並びに大蔵省にVIP口座の提出要請をしておりますが、政府側といたしましては、本口座において法令に違反した取引が行われていたのかどうかを含め、今回の野村証券の事件については司法当局と監視委員会において捜査中であり、仮に法令違反の行為が行われていれば監視委員会等が厳正に対処する問題であるし、そうでない限り、顧客のプライバシーの問題というのがあるということで、VIP口座の提出はできないとの回答が来ております。  委員長といたしましては、今後とも、理事会とともに提出させる方針で今努力をしておる、こういうことでございます。
  107. 倉田栄喜

    ○倉田委員 委員長、これは国民の皆さんが、あるいは世界の市場が、我が国の金融市場、証券市場というものの信頼性を取り戻せるかどうか、その一つにかかわっているわけですから、どうぞ委員長にもぜひさらに御努力をしていただいて、なるほどという結論が見えますようにお願いを申し上げたいと思います。  そこで大蔵大臣、今政府立場としては、このVIP口座の資料公開に関しては、捜査中でもある、そして、捜査の中で特に問題があるとすれば、それは証券監視委員会等できちっと摘発をされる。一方で、プライバシーの問題もあるので、政府としてはVIP口座の要求には応じられない。どうも委員長お話をお伺いをいたしておりますと、政府はそういう立場のようでございます。  我々が予算委員会とか各種の委員会議論をいたしますときに、常に捜査中という言葉が返ってくる、プライバシーという言葉が返ってくる。しかし、せっかく国会審議をしているわけであります。  不正があったのかなかったのか、つまり各法令に違反するような口座の取り扱いがあったのかどうかというのは、それは確かに司法の問題であります。しかし一方で、官房長官も李下に冠を正さず等々、何回もお話をなさっておられますけれども国民から疑いを持たれている。VIP口座というものがあって、特別何かうまいことがその口座にあったのではないのか。それが法令に違反するかどうか、そういう問題じゃなくて、そういう疑いを向けられておる、そのこと自体が市場の信頼性を損なっている。そうだとすれば、やはり我々はこの場で、そうではないんだ、その信頼性を回復するという観点から、法令に違反する違法な行為があったのとは違う観点から、このVIP口座の問題については取り上げなければならない、こう思っております。  同時に、今大蔵大臣は、プライバシーの問題がある、こうお答えになりましたけれども、それは委員長も、各理事間でも御協議いただいて、プライバシーの侵害にならないような、私は何も一人一人の個人名を全部書き連ねた資料、それを出してくださいとまでは──確かにプライバシーの問題があるのかもしれません。  しかし、このVIP口座というものが単に顧客に対する符号ということなのか、本当にそうではないのか。そうではなくて、例えば政治家がどのくらいいる、官僚がどのくらいいる、あるいはそれぞれいろいろなところに影響力を行使し得る人たちの口座がどれくらいある。そういう類型的な分け方を公開したとしても、それはプライバシーの問題にならないし、そしてそのことがどうであったかということを明確にしていくことが、いわゆるこのVIP口座に絡む市場国民の信頼を取り戻す第一歩になっていくのではないか、こういうふうに思います。  捜査、プライバシー、この二点をクリアしてでも、なおかつ私はVIP口座というものを公開する仕方はあると思いますが、大臣、いかがでしょうか。     〔委員長退席、自見委員長代理着席〕
  108. 三塚博

    三塚国務大臣 松本善明委員からの昨日の質疑をいただきました。その際にも申し上げさせていただいたわけでございますが、捜査上の問題そしてプライバシーの問題、それをクリアできる次元は国民的な次元ではないのかという御指摘かと思います。  法治国家である我が国であります。また、前段も申し上げましたとおり、罪刑法定主義という民主主義の国家でもございます。そういうことを考えますれば、特にVIP口座とは何たるものかといいますと、顧客管理の必要性から実施をした分類である、こういうふうに正式回答が来ておるわけであります。いずれの証券会社においても、管理上の必要性に基づく顧客名簿の整理というのはなされておると私も理解をしております。  問題なのは、それをもって違法行為を行っておった、不法行為があった、この事実認定があれば、当然法令によって、そのことが両罰規定により罰せられることでありますから、そのことでこのことが十分に法の目的を達せられるもの、こう松本委員にも申し上げたところでございます。  そこに大きな問題があります限り、やはり本件については国会におきましても、捜査進行中でありますし、私も、銀行局をして調査を徹底的に行う、また証券局を通じて徹底的に行うようにと、こう指示をいたしておりますし、証券は監視委員会がございますから、共同捜査が行われ、それによって報告が来るものと存じます。  銀行局と言いましたが、これはああいう銀行局所管の都市銀の第一勧銀の事件がありましたから、この点、野村証券との関連で強く関心が持たれておりますので、銀行局は銀行局として調査をするようにと、捜査中ですから限界があろうかと思いますが、そう申し上げておるところでありますので、御理解を得たいと思うところであります。
  109. 倉田栄喜

    ○倉田委員 大臣のお答えと私は認識が違う点がございます。大臣は、あくまでも法令に違反するかどうか、そういう点からのお答えであった。法令に違反するかどうかは、まさにそれは司法、捜査の担当であります。  しかし、私が今問題提起をいたしておりますのは、総理が言われる、二〇〇一年には我が国東京市場をニューヨーク、ロンドン並みの国際金融市場にしていく、これは我々政治家、政治を預かる者全部の課題でございます。どうしたら、我が国の国民に対しても、あるいは国際市場に対しても、我が国の金融市場、証券市場の信頼回復ができるのか。これがここで一番やらなければならない議論ではありませんか。そうだとすれば、法令に違反する、司法の担当の部分とおのずから違うわけであります。  先ほど委員長は、引き続き理事間で要望にこたえられるように努力をする、こういうお話でありました。私がきょうお尋ねをさせていただきましたことも踏まえて、政府としても何らかの対応ができないのか。これは共通の課題でしょう。金融市場、証券市場の信頼回復を図り、東京市場を国際金融市場にしていく、これができるために、どうぞVIP口座の資料の問題も、それにこたえられるような形で結論を出していただきたい、こう強く要望をいたします。  そこで、このVIP口座にもかかわっていく問題でありますけれども、野村証券そして第一勧業銀行、それぞれ経営トップと申しますか執行部は責任をとられるような形になっております。この事態に対する責任、これはいわゆる野村証券の経営陣、あるいは第一勧銀の経営陣、ここが責任をとるだけでいいのか。いわゆる大蔵省の今まで行われてきた金融行政に対する監督責任、それは一体どうなるのだろう。野村証券の経営陣だけの責任ですか。第一勧業銀行の経営陣だけの責任ですか。そうではないのではないのですか。大蔵省は、いわゆる金融検査監督行政をさまざまな通達を出しながら行ってこられました。  例えば、証券局でいえば、現行通達集、本当に分厚い本になるくらいさまざまな通達を出されながら、我が国の金融界、証券界の検査監督に当たってこられたのであるとすれば、やはり大蔵省の現在の不祥事件を起こした結果に対する責任というものがなければならないはずだと思います。  過日の答弁で、大蔵大臣は、千万人といえども我行かん、不正に対しては厳正に対応をする、後で、百万人といえども我行かん、こういうふうにお答えになりました。その意気であるとすれば、監督をする立場大蔵省みずからの責任というものもきちっと、こうしましたということを、けじめと申しますか、国民に対してつけなければいけないと私は思いますけれども、この点はいかがでしょう。
  110. 長野厖士

    ○長野政府委員 かつての証券不祥事におきまして、通達行政ということが問題になりました。すなわち、証券会社がやっていいこと悪いことということが、法令に基づくのではなく大蔵省からの通達によって定められておる、したがって、その違反行為に対してどう対応すべきかという点につきましてあいまいな点があったということでございました。  したがいまして、片一方で、当時の事件は損失補てんでございますけれども、これを法律上の違反事件とし、違反行為は法をもって罰せられるという仕組みに変えました。そして行政自身もそういうあいまいな予防的行政から明瞭な事後チェックのシステムに変わるということで、当時たしか五百三十五本通達がございましたけれども、必要なものは法令化し、一部は自主ルールに持っていき、残ったものは三十五本、五百件の通達を廃止いたしました。  したがいまして、今日では、私どもは、証券会社がやっていけないことは法律にきちんと定められている、そしてその法律違反をチェックするシステムとして当時導入しました証券取引等監視委員会がチェックし、それに対応して行政処分等を科するという、アメリカ型と申しますか、そういう行政に転換いたしました。アメリカ自身も、一昨年の統計でございますけれども、SECの検査に基づきまして、年間九十二件の刑事告発、それから行政処分が四百八十六件起こっておりますけれども、そういったきちんとした事後の対応をするということによって、従来型の行政と違うきちんとした証券市場の形成に努めておるところでございます。
  111. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今局長のお答えは、要するに従来の行政指導、通達行政というものは転換をして、この通達そのものもきちっと整理縮小して、法にできるものは法にして、いわばルール化しよう、市場ルール化みたいに変えていく、そういう御答弁でした。  私が申し上げたかったのは、その前の段階。こういう不祥事が起こりました、起こるまでに随分いろいろな通達をなさって指導してこられたわけでしょう。いわば検査監督の見過ごしてはないですか。あるいは甘かったのかどうかわからない、知っていて見過ごしたのかもしれない。そのことについて、大蔵省としてはどう責任をとるのですか、とる必要はないのですか。そのことをお尋ねしたわけであります。大臣、いかがですか。
  112. 三塚博

    三塚国務大臣 事故がありませんように、違法行為がありませんように、検査監督のセクションをつくり全力を尽くしてきたところであります。しかしながら、それにもかかわりませず野村証券事件、関連をいたしまして都市銀が強制捜査を行われておりますこと、極めて遺憾を通り越して無念と言った方がよろしいのでしょうか。  そういう諸状況の中で行政責任いかん、こういうことでありますけれども、本件については今後実態の解明に行政としても全力を尽くし、責任の所在を明確にし、そして再発防止のためのさらなる手だてを講ずることで果たしていかなければならぬ、こう思っております。
  113. 倉田栄喜

    ○倉田委員 私は、行政政治責任の所在を明らかにするとともに、やはり責任という、結果の責任をどういう形でとるということも明確にしていかなければ、だれがどういう形で責任をとったのかわからないような状況でそのまま過ごしてしまっては、今までの悪いことを反省して、また直しますということでそのままいってしまったのでは信頼が回復しないのではないのか。だから、我々政治もそして行政も、やはり不祥事が起これば結果責任をきちっとした国民の目に見える形でとるということが必要なのだ、そういう観点から申し上げたわけでございます。どうぞ大臣、御検討いただきたいと思います。  日銀総裁にお越しをいただきました。お忙しい中、恐縮でございます。一点だけ。  前回、いわゆる超低金利政策、そして金融政策、金利政策については日銀の専管事項であるということで日銀総裁にお伺いをいたしたわけでありますけれども、私は、その専管事項である金利の決定に関しても、いわゆる日銀内における政策委員会、この決定あり方をも含めて、本当に──日銀法改正がなされました。従来とは違ったのかもしれません。しかし、本当に日銀の、この金融政策、金利の問題にしても、専管事項の実感をお持ちになっておられるのかどうか。専管事項ですよ、これは日銀が決めることですよと本当に自信を持って、日銀総裁、そのお立場におつきになってみてお感じになっておられるのかどうか。  そして、今我が党案は、金融委員会という形で法案提出させていただいております。日銀の中における政策委員会を三条の金融委員会という形で独立をさせて、その中で金融政策に係る決定も、そして検査監督もやっていこう、基本的にはこういうことで考えておるわけであります。その考え方についてどうか。そちらの方がいわゆる財政金融財政に従属しない金融あり方というのがきちんとなるのではないのか、こう思います。  金融政策の専管性ということについて、総裁、おつきになってみて実際そう思われるのかどうか、そして今までの状況でいいのかどうか。この二点をお尋ねをしておきたいと思います。
  114. 松下康雄

    松下参考人 前段の点につきましては、私どもは、現在の日銀法、昭和十七年の制定でございますから、いろいろ政府の強い監督権限のようなものがございます。そういうものでございますけれども、やはり戦後の日本銀行政策委員会制度の導入以後は、金融政策決定と申しますものは、私ども自身の判断と私ども責任とで今日まで行ってまいったところでございます。  ただ、今後のことを考えますというと、経済の市場化、国際化がますます進む状態の中で、内外の中央銀行の金融政策に対する信認を確保いたします上からも、法律、制度の面で明確に、その独立性の強化、これに伴います責任の加重ということを明らかにしていただくことが大切であると考えておりますが、この点におきまして、今回御審議中の日銀法改正案におきまして、私どもの考えで申せば、最近、各国中央銀行制度の改正が行われておりますけれども、それらに引けをとらないだけの内容のものにしていただくことができるというふうに考えているところでございます。  ただ、もちろん制度ができましてもそれは入れ物が整ったということでございまして、問題は、その中にありまして制度を動かす私どもが、本当に責任はこれで一段と重くなったということを自覚をして努力をしていくということが何よりも大切なことであると考えております。  これらの点につきましては、私どもも制度の自己改革、それから人材の確保、人材の能力向上というような、我々自身の能力の向上ということに十分にこれから努力をいたしまして、この新しい制度にふさわしい、立派な独立の金融政策運営ということに努めてまいりたいと思っているところでございます。  後段のお尋ねの、その場合に政策委員会をより公的な機関とすべきであるかどうかという点でございますけれども、この点につきましては、私どもの考え方は、これは日銀の最高意思決定機関でございますから、もちろんこの人選等につきましては最高の能力がある方々にお願いをするというような配慮が必要でございますと同時に、やはり政策を考えていくその機関が、私どもの銀行本体の方で日々やっております銀行の取引業務の実態というものに非常に接触をして御理解をいただくことが大事であると思います。それは、私どもの仕事が法律、通達によって行う行政的な仕事でございませんで、市場金融機関と取引をしながら政策の浸透を図るという性格のものでございますので、その点で、銀行自体の内部にぜひこの政策委員会組織を置いていただきたいというふうに考えているところでございます。
  115. 倉田栄喜

    ○倉田委員 ありがとうございました。  時間が参りましたので、以上で終わります。
  116. 自見庄三郎

    ○自見委員長代理 次に、生方幸夫君。
  117. 生方幸夫

    生方委員 大蔵大臣並びに官房長官、連日お忙しいところ御苦労さまでございます。  まず、野村証券と第一勧銀の総会屋をめぐる不祥事についてお伺いをしたいと思います。  総理は、この両者の経営陣が退陣したことについて、きのうのコメントで、ずるいというような非常に人間的な言葉で、きちんと責任体制を明確にしてからやめるべきではないかというようなコメントを発しております。私も、銀行とか証券会社という一般の国民の方たちから資産や預金というものを預かっているいわば公的な企業が不祥事を犯した場合、きちんとそれを国民に対して説明をして、はっきりさせた上で出処進退を明らかにするべきだという総理のお考えに賛成なんですが、まず、大蔵大臣官房長官に、この両行の出処進退のあり方についてのお考えというのをお伺いしたいと思います。
  118. 三塚博

    三塚国務大臣 日本の基幹銀行の一勧が事件を起こしました。戦後、基幹銀行がこういう捜査は初めてなのかなと思ったりしておりますが、橋本首相が、辞任の報道が一斉に出て、記者団から聞かれたことに率直に答えたわけです。  私自身も、きょう閣議後の記者会見で、辞任についてどう思うか、こう言われました。それは、民間会社のことは、私がどう思うのではなく、民間会社、重役の中で考えることでしょう、問題は、やめて責任が果たせるとは私も思わない、なぜこれだけの事件が今日まで続いて起きたのか、この時点で明確にするという自己責任があるのではないか、このように申し上げさせていただいたところであります。
  119. 梶山静六

    梶山国務大臣 民間会社のことでございますから、その是非について公式にコメントする立場にはございません。しかし、総理も、どの形でどういうふうないきさつで言ったのか私はわかりませんが、必ずしも人間というのはやめさえずれば一切のものが全部きれいに御破算になるものではないという意味を込めて言われていると思います。  特に、公的な使命の多い金融機関のトップがあるいはかかわったのではないのかなという総会屋との立場でございますから、いつの時点で、どういういきさつで、それが端緒になってそういうものが継続されたのかどうか私はつまびらかに知りませんが、いずれにしても継続してあったことだと思いますし、若干の増減はあったのかもしれませんが、そういう状態が続いたということは大変残念至極というほかございません。  私は、特に今金融監督庁法案を御提出をし、皆さん方の御審議を願っている立場というのは、少なくとも最小限度そういう事件が起きないために、大蔵と金融監督というのを峻別をしよう、そういうものが一罰百戒的にいい影響をと思って始まるわけであります。  今、この事態で、この事件の原因があったとは思いませんが、少なくとも私はある意味で憶病であったというか、自分でそれなりのことは理解をしていたと思いますが、長い間それを公にすることのできなかった、私は経営者というのは勇気を持たなければならない、過ちを率直に認める勇気がなければ前進がないわけでありますから、その意味で、どういうことが真相であるかつまびらかにならない間に言うことは大変失礼千万かもしれませんが、一言も発せずやめていくということにどんな意味があるのか、大変私も疑問に思うところであります。
  120. 生方幸夫

    生方委員 バブル経済が崩壊する中で、金融会社に一連の不祥事というものが相次いだわけですね。銀行に関していえばずさんな不正融資というものがございましたし、証券会社でいえば損失補てんというものが広く行われていたという事実がございました。  あのときにも随分世の中から批判を受けて、もう二度とこういうことは繰り返しませんというコメントを、その当時も金融会社のトップから聞いているわけですね。あれからまだわずか五、六年しかたっていないのに、今回の事件、まだ全貌が明らかになっているわけではございませんが、あの直後から、こうした総会屋に対してまたしても不法、不正な取引というか便宜が図られていたというのは、私も本当に信じられないような気がいたしております。  これは、今政府がおやりになっております、これからビッグバンというものを日本がやっていかなければいけないのですけれども、私は非常に不安に思うのは、このような体質を引きずったままで本当に革命的なビッグバンというのを起こした場合、当然これはやらなければいけないのは事実なんですけれども、この体質を放置したままですと、一般の国民の投資家や預金者に非常に迷惑がかかるような事態がこれからもまた起こり得るのではないかというようにどうしても危惧せざるを得ないのですが、その辺について大蔵大臣の御感想をお伺いしたいのです。
  121. 三塚博

    三塚国務大臣 金融システム改革を断行し、信認されるマーケットをつくろう、こういうことでスタートを切っておるところであります。そのやさきでありますだけに、極めて残念至極な出来事であります。  市場の信認が大きく傷つけられたことは間違いがないのかなと思いますし、そのためにも、なぜ起きたのかという基本的な解明がなされなければなりません。その上に立った自己責任というものが出てくることでありましょうし、再犯防止に強い決意でスタートを切らなければならない。捜査中でありますので、事態の早期解明がなされることを期待をするところであります。
  122. 生方幸夫

    生方委員 これは、大蔵省が当然その検査監督を今までしておるわけですから、大蔵省責任というのも大いに私はあるのではないかというふうに思っております。  日本の金融機関がずうたいが大きい割に体質改善がなかなかなされていなかったという背景には、やはり大蔵省がとってきた護送船団方式というのですか、大蔵省の言うことさえ聞いていればいいと。したがって、金融機関大蔵省の顔色ばかりうかがって、その下にある預金者とか一般投資家というのを見てこなかった。そうした体質がいわば社内の無責任な経営体質につながっていってしまい、一連の不祥事を起こしたのではないかというように私は考えております。  したがって、この金融監督庁も、もちろん大蔵省から金融検査監督部門を取り外していくということは、大蔵省に集中し過ぎた権限を多少なりともそいでいくという方向で私は評価をいたしますが、より大きく大蔵省に集中し過ぎた権限というものを取り外していくことが、ひいては、今までの護送船団方式を完全になくして、金融機関が自由に発想できるような、本当の意味の自由化ができることにつながるのではないかというふうに思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  123. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま大蔵改革中心に断行いたしておるところでございます。それと、橋本内閣、六つの改革を掲げてこれに取り進みますのも、国際的に通用する信頼される国家に生まれ変わらなければならぬ、こういうことであり、そのことに率先をして諸改革の断行を大蔵省はやるべき、こういうことで就任以来督励をし、スタッフの諸君が全力を尽くしてきておるところであり、護送船団方式が金融機関に甘えの構造を植えつけたのではないかという御批判には、まともに私は受けとめておきたいと思います。  しかるがゆえに、自主独立というのでしょうか、こういうことで金融機関がいけるように、今全力を尽くして法制の整備を行っておるところであります。
  124. 生方幸夫

    生方委員 大蔵省責任についてはまた後ほどお伺いしたいと思いますので、個別案件からお伺いしていきたいと思います。  まず野村の事件ですが、先ほど新進党の議員も質問をしておりましたが、VIP口座についてまずお伺いしたいと思います。  梶山官房長官にお伺いしたいのですが、VIP口座、閣僚の中にも何人か野村証券と取引をしていたところがあるということで、官房長官、お調べになった結果というのを発表しておりますが、具体的には、VIP口座というものと関連していたということではなくて、野村と取引をした閣僚が五人いたというふうに解釈してよろしいのでしょうか。
  125. 梶山静六

    梶山国務大臣 発端を申し上げますと、これは私のことですから申し上げられるのですが、ある週刊誌の取材、文書による取材でありますが、今大変野村というのが問題になっている、その中で、一部、そういうVIPの口座の名簿が流れて社会に出ている。それから、これは、きょうはここに検察がいないのですが、特捜のところからも漏れ出ているという問題の中にも、梶山官房長官の名前も載っている。名誉もありますから、あったらひそかに答えて、ひそかにとは書いてありませんけれども、答えてくださいという幾つかの──だから、全くないものを書ける、フィクションというか、起草力、想像力というのはどういう方が持っているのかなと思ったことと、一つは、野村というところにVIP口座なるものがあって、梶山静六の名前を、故意か過失か、あるいは何らかの便法で使ったか、どなたかが私の名前を使ったか、もう一つは、その週刊某誌なるものが自分で捏造をしたのか、あるいは、一般にブラックジャーナルという中からそういうものが流れ出ておもしろおかしく書かれているのが出ているのか、あるいは、本当に検察や証券の監督の機関のところから出ているものなのかどうなのか。  そういうことでございますので、私は、その経路は申しませんが、それぞれの分野に当たってみたけれども、ずっと先が消えてなくなっておるわけであります。そしてその後、その週刊誌に名前が何人か出され、その中には閣僚も、もちろん私をひっくるめて入っている。そして、私らのコメントもそれぞれ載せてある。弁護士を通じて実は調べてみたのですが、この文言だと、とても名誉毀損や、これは相手はプロですから、そんなにひっかかるようにはやっておりませんよと。しかし、その週刊誌の会社は何件かの告訴を受けている会社ですから、もう一つやってみれば意外ときくのかなという気もあったのですが、どうも、私もこの立場にあって、週刊誌たぐいと言うとその週刊誌、怒るかもしれませんが、そのことに私が真っ当に対応するわけではない。しかし、李下に冠を正さずということがありますから、疑いを持たれた私自身が、まあ、あるのに隠しているんじゃないかと疑う人があるかもしれませんが、全くないものをそういうことで書かれてみると、ほかの閣僚にもそういうことがあるのかという思いで尋ねてみたわけであります。  必ずしも私は捜査権を持っている人間じゃありませんから、その人たちの善意、真実性を信じながら聞いている範囲では、三名の方々が、国債その他、我々の、閣僚の自粛規定の中に入ってないものを野村さんとの間にありますと。それから二名の方は、とうに過ぎ去ったことでありますが、昔売買の関係がありました。関係のあった者が都合五名ということになりますが、そういう話を受けております。その中で、いわゆるVIP口座というものを意識しているのかどうなのか、口頭で聞いてみたけれども、全く私たちにはわかりませんと。もっとも、国債をVIP口座で買えば便宜供与か何かあるのかどうなのか、それは私もわかりませんけれども、いずれにしても、閣僚の中には一切なかったということであります。  しかし、あえてこれを大声でどなっていると、三遍も五遍もどなっていると、やろう、あるのにないようなふりしているんじゃないかと言われるのもしゃくでありますから、それからなお、御家族の方というより、配偶者とお子さんの方もお調べをさせていただきました。それぞれ、天地神明に誓って恥ずべきことがないことが明らかになっております。  ただ、VIP口座というものがある、VIPという、要人という意味での特別の口座があるとするならば、大変これは遺憾千万であります。どういう場合でも同じでありますから、例えば地域によって分けるとか、男女の性別で分けるとか、あるいは民主党と自民党を分けるとか、そういうたぐいの分け方はあろうかと思いますが、VIP口座というものが現実にあるのかどうなのか、これは、これからの捜査当局の解明をまって我々も真剣に対応しなきゃならない、このように思います。
  126. 生方幸夫

    生方委員 今、閣僚と家族ということですが、重ねて申しわけないのですけれども、秘書の方もお調べにはなったのでしょうか。梶山長官。
  127. 梶山静六

    梶山国務大臣 政治団体を主宰している秘書については聞いておりますが、秘書それぞれのことに関して、私がとやかくプライベートに入ることの権限があるのかどうなのか、そういうものを考えて一公表することを差し控えます。
  128. 生方幸夫

    生方委員 調べてないというふうに解釈してよろしいですか。それとも、調べたのだけれども、公表することを差し控えたいということですか。それだけ、ちょっとお伺いしたいのです。
  129. 梶山静六

    梶山国務大臣 それをひっくるめて、公表をはばかります。
  130. 生方幸夫

    生方委員 そもそも、そのVIP口座というのが何であるのか、これは捜査当局の調べにまたなければいけないのですけれども、先ほど大蔵大臣もちょっと述べておりましたが、VIP口座は何であるというふうに野村証券側は説明をしておるのですか。
  131. 三塚博

    三塚国務大臣 私の問い合わせ、事務方を通じて、向こうの責任者の返事でございます。VIP口座とは、野村証券が顧客管理の必要性から実施していた分類のことである、こういうことでありました。
  132. 生方幸夫

    生方委員 そうすると、VIP口座という以外にいろいろな呼び方の口座があったというふうに解釈してよろしいのですかね。
  133. 長野厖士

    ○長野政府委員 国会におきます参考人質疑におきまして、酒巻元社長がVIP口座について御答弁をしておりますのが最も公のものであろうかと存じますから、お取り次ぎするようで恐縮でございますけれども、それで御紹介いたしますと、VIP口座は当社の社内の符号でありまして、お客様も自分がVIPという符号が付されていることは御存じありませんというのが一点。二点目は、今回、ただいまお尋ねの総会屋親族企業の法人口座にVIPがついていたかというのは、ついておりませんというのが二点でございます。三点目に、VIPというのはお客様に特別な計らいをするというものでは全くございません、電話の応対のときに、ちょっとはしょりますけれども、特別の役席の人間が丁寧に応対すべきとか、そういう種類の符号でありますということです。それからもう一点、お客様をそのように管理する上でいろいろな分類がございます、六十項目ぐらいいろいろな符号がございましてお客を管理しております、VIPというのはその六十項目の一つでございます、こういう御答弁がなされております。
  134. 生方幸夫

    生方委員 報道によりますと、そのVIP口座の中には官僚の方が二百人ぐらい含まれている、特に大蔵省関係の方が多かったというような報道がなされておりますが、大蔵省の官僚の方で、VIP口座というか、野村証券とお取引があった人が何人ぐらいいて、どんな状況なのかというのはお調べになっておるのでしょうか。大蔵大臣、お答えいただきたいのです。
  135. 三塚博

    三塚国務大臣 本件については、既に前回の証券不祥事件以来取り調べたわけです。一回ならず二回ということで、その都度やっておるわけでございますが、VIP口座云々は別として、不正な、不法な行為は何もない、こういう報告を受けております。
  136. 生方幸夫

    生方委員 そうすると、VIP口座に今名前が、梶山長官の名前も載っているということですから、それが載っているからといって必ずしもその人が取引があったということにはならないと思うのですけれども、実際にVIP口座なるものに大蔵官僚の名前が載っているということはあるのですか、ないのですか。
  137. 長野厖士

    ○長野政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、顧客の側は自分にいかなる符号がついておるかわからないとのことでございますから、まず顧客側が、それが公務員というお立場の方であれ何であれ、自分がVIP口座として管理されておるということは御存じないということでございます。  したがいまして、公務員につきましては、また、法令上許される行為であるかどうかは別として、公務員という倫理の範囲内において株式取引にどうかかわるかという問題がございますので、例えば私自身は、当然のことながら、合法的な売買であれ株式取引は一切しない等々の倫理綱領としての自粛がございます。逆に申しますと、そういったことに触れない職員につきまして、国債等の売買を行うことは当然許されておる範囲であろうかと思います。  その両方を合わせますと、そういった国債等あるいは株式でも、公務員の場合、一切だめだということではありませんから、お取引なさっている方がおられる可能性はある。野村証券でお取引なさっておられる、そういう公務員の方がいらっしゃる可能性もある。しかし、そういう口座を野村証券がどういう符号で管理しているかというのは知る由もない、こういうことでございます。
  138. 生方幸夫

    生方委員 VIP口座に関してはこれ以上質問してもなかなかわけがわかりませんので、次の質問に行きたいと思うのです。  野村証券が小池という総会屋に便宜を図ったというのが明るみに出たわけですけれども、これも報道によりますと、九三年の春に、野村証券の内部から告発者があって、内部告発を証券取引等監視委員会に何回かしたという話を私も聞いておるのですけれども、実際に証券取引等監視委員会が調査を始めたのは去年の初めからと伺っておりますが、九三年春に、今こういうことがあるんだということを言ってから三年ぐらい調査をしなかったというのはどうしてなのか、そこをお伺いしたいのです。
  139. 若林勝三

    ○若林政府委員 今回の野村証券の問題につきましては、平成七年、九五年の末ごろまでに、委員会の方でいろいろ日常的な市場監視活動をやっておりましたけれども、そういった中で、やや不自然ではないかといった取引を把握いたしました。そういうことでございますので、直ちに関係先から資料を徴求するなど情報収集を開始したわけでございます。こうした情報収集活動を通じまして、次第に不正な取引が行われておったのではないかという疑いが強まってまいりました。そういう中で、昨年夏ごろより、関係者に直接事情を聞こうというようなことを含めて、さらに深度ある調査を開始したわけでございまして、鋭意、事実関係の解明に努めてきたわけでございます。その結果、五月の十三日、野村証券ほかについて証券取引法違反の嫌疑で告発するに至ったことは、委員承知のとおりでございます。  なお、今御指摘ございました、九三年の春に内部告発があったのではないかという、そういった一部マスコミの報道がございました。そういうことで、委員会におきましてもその有無を調査いたしました。その結果、九三年の春にそのような情報提供を受けたという事実は発見されませんでした。したがいまして、我々としてはそういう情報提供はなかったと考えざるを得ない、なかったと思っております。  ただ、平成七年、九五年の暮れごろに、外部から今回の野村証券問題に関連いたしました情報提供を受けたという事実はございました。
  140. 生方幸夫

    生方委員 私も事実関係を必ずしもきちんと把握をしているわけではないのですけれども、私の知っている限りにおきますと、その方はきちんと証券取引等監視委員会に出向いて話をしたというふうに申しておるそうです。その方が酒巻社長が辞任するとほぼ同時に詐欺容疑で逮捕されているというような情報も伺っておるのですけれども、その辺について大蔵大臣、御存じでしょうか。
  141. 若林勝三

    ○若林政府委員 外部からの情報提供の件についてでございますので、余り具体的にどなたがどうこうということを申し上げるのもいかがかと思うわけでございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、平成七年の暮れごろに、確かに今回の野村証券問題に関連した情報提供があったわけでございます。そして、多分その同じ方だと思われる方につきまして、その翌年に直接事情をいろいろお伺いさせていただいたことも事実でございます。それからその方があとどうこうという話につきましては、私ども全く存じ上げないことでございます。
  142. 生方幸夫

    生方委員 非常に重大な問題で、これだけの内部告発があったら、もっと私は速やかに対処して調べておればここまで問題が深刻化しないで済んだのではないかというような気がするのですが、九三年春から始まって九六年まで、三年程度はあった間になぜきちんと調べなかったのか。それは人数的に調べられなかったのか、あるいはその人物が信用できないということで調べなかったのか、その辺の経緯がわかれば教えていただきたいのです。
  143. 若林勝三

    ○若林政府委員 先ほどもお話し申し上げましたように、九三年の春にそういった情報提供を受けたという事実について、我々は幾ら確認、調査をいたしましても、実は見当たらないわけでございます。そういう意味において、そういった情報を少なくとも九三年春にいただいたということはないだろうということは、我々は今のところは確信をしておるわけでございます。  ただ、それはそれといたしましても、もっと早くこの問題について証券取引等監視委員会において対応できなかったのかということの御指摘であろうかと思います。ただ、先生も御承知のように、証券取引というのは毎日膨大な取引が行われておるわけでございます。そういった膨大な取引の中にはんの一つ二つ、何か変な取引があるかどうか、これを発見していくことは極めて困難なことであるということは御理解いただけると思うわけでございます。  我々は日ごろからそういった膨大な取引を日々市場監視をいたしております。例えば、ある株式について突然非常に急激に上昇し始めるとか、急に下落するとか、そういう特殊な動きをしたときに、一体これはどういう事情でそうなったのだろうというようなことを、かなりいろいろな情報を取り集めて分析をいたしております。そういった資料、情報収集をし、市場を監視する活動の中において、この野村の取引についておかしいなということに気がついたわけでございまして、我々としては今のこういう制度の中でできるだけの努力はしたつもりではおりますけれども、今後ともなお一層努力をしてまいりたいと思っております。
  144. 生方幸夫

    生方委員 今度、金融監督庁の中に証券取引等監視委員会が取り込まれるということなんですけれども、アメリカのSECなんかの規模に比べるとほぼ十三分の一だというようなことを聞いておるのです。市場の透明性というのですか、公正性というのを保つためにはやはり監視機能、そういう意味の監視機能を強化する必要があると思っているのですけれども金融監督庁をつくられたときに規模を大きくするという予定はあるのかどうか、大蔵大臣にお伺いしたいのです。
  145. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 お答えいたします。  金融監督庁発足後の規模についてのお尋ねでございますが、十年度発足ということでございますので、この前も申し上げましたとおり、十年度の予算編成過程で具体的に決めるべき問題でございます。ただ、その後の人員をどうするかということにつきましては、年々の予算要求の中で具体的に考えていく問題であるというふうに考えております。
  146. 生方幸夫

    生方委員 行政改革といって、人を減らす部分はもちろん減らさなければいけないですけれども、ふやすところはこれは思い切ってふやしていただきたいというふうに思っております。  野村の総会屋に対する便宜なんですけれども、損失補てんを含めてかなりの額の便宜を図っていた。これはもちろん常識では考えられないので、その裏には当然何かがあったというふうに考えざるを得ないのですけれども、今の時点で、どうして野村証券がこの一総会屋に対してこれほどの便宜を図ったのか、その背景についてお知らせいただきたいのです。
  147. 若林勝三

    ○若林政府委員 今回、野村証券の問題に関しましては、その取引に係る損失補てんがあったということで東京地検の方に告発をいたしておるわけでございます。その告発を受けて今東京地検の方においてさらに詰めの捜査が行われておるところでございますので、それ以上のことについては答弁を差し控えさせていただくことをお許しいただきたいと思います。
  148. 生方幸夫

    生方委員 これも報道によりますと、両田淵氏が取締役に復帰する、その直前に、富士銀行株などを使って小池に五千万円ほど利益を得させたというようなことで、つまり取締役に復帰させるための工作というのですか、そのお礼として便宜を図ったのではないかというような報道がなされておるのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  149. 若林勝三

    ○若林政府委員 確かに、先生御指摘のような報道がなされておることは私も承知いたしております。  いずれにしましても、今回のこと、地検において捜査を進めて、最終的にどういうことであったかということはその起訴等が行われた段階でまた明らかにされていくかと思うわけでございますけれども、何分捜査の途中ということで、我々としても、特にそういった予断を与えるような発言をすることはお許しをいただきたいと思います。
  150. 生方幸夫

    生方委員 何かというと総会屋というふうなことで報道をされるのですけれども、そもそも総会屋というのは一体どういう人たちなのか。金融とか証券に巣くっている総会屋というのは、大体何人ぐらいいて、どのぐらいの利益というのですか、どのぐらいの活動をしているのかというのを把握なさっているのかどうかをお伺いしたいのです。
  151. 若林勝三

    ○若林政府委員 証券取引等監視委員会といたしましては、証券取引法に違反するような行為がないかどうかということについて所管をして日ごろ活動をいたしておるわけでございます。  今回の件につきましても、我々は、損失補てんを受けた側が総会屋であるかどうかという以前に、損失補てんを受けたかどうか、そういうことが実は問題でございまして、受けておればそれは証券取引法に違反をする。それを受けた側が総会屋であるということになりますと、これはまさに我々が所管する法律以外の商法の問題であろうかと思うわけでございます。そういったことについては、関係の当局において御見識もおありでしょうし、お考えがあると思いますので、私の方から何か申し上げさせていただくことは差し控えさせていただきたいと思います。
  152. 生方幸夫

    生方委員 総会屋というのを定義するのは非常に難しいのでしょうけれども、総会屋というふうに言われている人が大体何人ぐらいいるかというのはおわかりになっておるのですか。
  153. 若林勝三

    ○若林政府委員 恐縮でございますけれども、実は、総会屋であるかどうかということの観点で証券取引法というのは組まれておりません。したがいまして、我々として、総会屋がどれぐらいいるんだろうかとか、どういう活動をしているかということについて実は見識を持ち合わせておりませんので、答弁することをお許しいただきたいと思います。
  154. 生方幸夫

    生方委員 これは、これからビッグバンをやっていこうというときに、いわゆるハイエナみたいな総会屋というのがまだ残っていたのではビッグバンがきちんと達成できるかどうかわかりませんので、大蔵大臣、ぜひ実態を調べて、何人ぐらいいて、どんなものであってというのを調べて、きちんとそれをなくしていくということが市場の公正を保つために重要だと思うのですけれども、その辺をお調べになる気があるかどうか、大蔵大臣にお伺いしたいのです。
  155. 若林勝三

    ○若林政府委員 事務的にちょっと大臣のお答えの前に一言申し上げさせていただきたいと思いますが、総会屋がどうこうということにつきましては、商法違反の問題がございまして、警察なり検察がそれなりの関心を持って対応していることかと思います。大蔵省においてそういうことを特に調査をしたりというような、そういう立場といいますか、そういうのはなかなか難しいのではないかな、少なくとも証券取引等監視委員会においてはなかなか難しいなというふうに感じております。
  156. 三塚博

    三塚国務大臣 数年前、商法改正が行われまして、総会屋はこれにていなくなる、こういう当時の報道がございました。マスコミのネーミングの総会屋ということになりますと、小生調べようがないなと思っております。関心は持っておりますけれども、このような事件がどういう結末をつけるのか、最大の関心を持って見詰めておりますが、それが総会屋だというのであれば、今後そのようなことがない体制をつくり上げていくことは極めて重要だという認識は持っております。
  157. 生方幸夫

    生方委員 この小池容疑者に関しては、野村証券の株以外も、いわゆるほかの三大証券会社の株も取得していたというふうに報道されておりますが、ほかの三大証券会社について、小池容疑者に対して損失補てん等便宜を図った事実があるのかどうかをお調べになっているのかどうか、大蔵大臣にお伺いしたいのです。
  158. 若林勝三

    ○若林政府委員 証券取引等監視委員会におきましては、日ごろからいろいろな市場における取引等について監視の目を配っておるわけでございます。そういった監視の活動の中におきまして、何か違法な取引、取引の公正を害するような取引、今御指摘ございましたような損失補てんといったようなものが発見されますれば、それは当然法の手続によりまして厳正に対応するということで我々やっておるところでございます。
  159. 生方幸夫

    生方委員 野村証券に関して言えば、九一年に広域暴力団の稲川会と連携してと言っていいかどうかわかりませんが、東急電鉄株を買い占めたというような事実がございました。それから、特定顧客に対して二百七十九億円の損失補てんというものも発覚をしております。いわばこうした体質の証券会社であるということは皆さん御存じなわけです。  その野村証券がまた今回こういう事件、問題というのを起こしたわけですが、大蔵省は、この稲川会の事件が発覚した後、野村証券に対してどんな指導をなさってきたのか。あるいは小池容疑者を含めて総会屋とどんなつき合いがあるのかということをお調べになってこなかったのか。あるいは、VIP口座と言われているものの実態がよくわかりませんが、そうした口座があるということを把握していたのかどうか等を含めて、大蔵省が野村証券をどういうふうに監視してきたのかということについてお伺いしたいと思います。
  160. 長野厖士

    ○長野政府委員 ただいま御指摘の、前回、東急電鉄株にかかわります相場操縦事件につきましては、証取法違反の事実ありということで、その後行政処分、一定期間の営業停止等の行政処分を行いました。  あわせまして、その折に、大蔵省におきまして一方で許認可等の監督権を持ちつつ証券会社の内外において行われる不正取引の検査を行うというものは、コーチとアンパイアが一体になっているようでぐあいが悪いのではないかというお話がございまして、大蔵省は、事実関係の解明は独立した組織に任せ、その独立した組織の認定に従って行政処分等を行うということで、ただいま御答弁申し上げております若林事務局長のところの証券等監視委員会がその後活動をしておる、その活動の一環として今回野村証券に不正事案がありということで告発されたというふうに理解しております。
  161. 生方幸夫

    生方委員 これは、不正があった場合は当然証券監視委員会が見るのはわかりますけれども、日常的に不正を防ぐための努力というのは当然大蔵省がするべきことだと思うのですが、そのためにどんなことをやってきたのか、お伺いしたいのです。
  162. 長野厖士

    ○長野政府委員 今のお答えと重複いたしますけれども、日常的にある事柄を防ぐために、法令の根拠なくこうしたらいいだろう、ああしたらいいだろうというような行政そのものが、責任の所在が一体どこにあるのか不明確になるということで、日常的なそういう事前予防的な行政は一切やめ、一罰百戒と申しますか、法令違反を摘発することによって再発を防止するという制度に変わったと理解いたしております。
  163. 生方幸夫

    生方委員 前回も行政処分、営業停止という強い行政処分をとられたのですが、もちろん、今回はまだ捜査が終了しておりませんけれども、当然野村証券に対して何らかの処分がとられると思うのですけれども大蔵大臣、現時点でどのような処分というのをお考えになっておられますでしょうか。
  164. 三塚博

    三塚国務大臣 法令によりますと、監視委員会が事実を認定をし、大蔵大臣に向けて勧告が出されます。勧告が出た上で決定をするという仕組みでありまして、ただいま事態の全貌が解明されておりません。勧告もありません。よって、ありましたらその事実に基づき厳正な対処をする、こういうことになります。
  165. 生方幸夫

    生方委員 もちろん、まだ事実関係が全部解明している時点ではございませんから、どういう処分をしろというようなことは言えませんが、少なくとも前に一回行政処分をしたところがまた行政処分を受けるようなことをする、しかもそれが日本の最大の証券会社であるということを考えますと、日本の証券業界全体に対する不信というのを招くわけですから、二度とこうしたことが起こらないようなことを含めた措置というのをぜひとっていただきたいというふうに考えております。  これに関連しますが、ビッグバンの中で、今禁止されていますいわゆる取引一任勘定が解禁される方向にございますね。それに対して、今度のような事件がありますと、これはいけないのじゃないかというような意見があると、なかなか私は困ったものだなと思うのですが、この取引一任勘定、いわゆるラップ口座ですか、ラップ口座の解禁に関しては、この事件が何か影響を与えるのかどうか、大蔵大臣の御所見をお伺いしたいのです。
  166. 長野厖士

    ○長野政府委員 先日も、池田元久先生からも同様の御質問がございまして、私も大変内心当惑しながら御答弁したのが率直な気持ちでございます。  御指摘のラップアカウントというシステムは、御高承のとおり、株の売った、買ったの売買の量ではなくて、その顧客が証券口座に預けている資産の残高に応じて証券会社が手数料を取れるようになる。そうすると、売った、買ったではなくて、優良株を勧めて預けておけば、それが自然に値上がりすれば証券会社の利益になるという意味では、顧客の利益と証券会社の利益が密着するという意味で、私自身、大変やはり、アメリカでも活発に利用されておりますし、そういったシステムを日本の投資家が持つようになることも望ましいのではないか。また、そういうサービスを日本の証券会社が供給できるということが、顧客の面からも、それから証券会社の活性化のためからも望ましいのではなかろうか。ただ一点、そのためには投資一任勘定の禁止ということの関係をどうするかという問題がございます。  ただ、投資一任勘定を禁止しておりますのは、これそのものに犯罪性があるのではなくて、それを通じて損失補てんとかその他の温床になりやすいという予防的配慮でございますけれども、しからばその損失補てんなんかを防止するために、ほかの手だても整えながら、余り余分な、予防的なネットワークをつくり上げますことは、日本の投資家にとりましても東京市場にとりましても望ましくないのではなかろうか。しかし、この点は大変今日問題になっておりますから、大勢の方のお考えを踏んまえて結論を出さなければいけないと考えております。
  167. 生方幸夫

    生方委員 日本の証券市場は、個人の投資家というのが非常に少ないというふうに言われております。何で少ないのかといえば、やはり個人の投資家が冷遇されているからだと私は思いますね。だから、ラップ口座等を含めて、個人の投資家がもっと魅力あるような証券市場にしてもらう。そのためにはやはり、フリー、フェア、グローバルという、橋本総理もおっしゃっているこの原則をきちんと確立できるような体制というのを少なくとも整えて、個人の投資家が安心して証券市場に入ってこられるような仕組みを、ビッグバンが起こるまでに大蔵省としてきちんと整えておく必要があると私は思うのですが、その辺についての御感想をお伺いしたいのです。
  168. 三塚博

    三塚国務大臣 おっしゃるとおりであります。多様な金融サービス、商品、これが出てまいりますことが、マーケットに一般投資家が向くということになります。ただ、ハイリスク・ハイリターンではこれは懲りてしまいますから、やはりそうではなく、消費者の皆様に、投資者の皆様に、株とは、それから国債とは、たくさんあるようでありますが、そういうことについての知識を与えるということは証券業協会、マーケットの参加をしておる各社の責任でもあろうかな、こう思っております。
  169. 生方幸夫

    生方委員 野村事件に関する関連でお伺いしたいのですが、きょうの新聞によりますと、山一証券系の小川証券が廃業するというようなことが報道をなされておりますが、まずその事実関係、どういうふうになっておるのか、それをお伺いしたいのです。
  170. 長野厖士

    ○長野政府委員 本日、御質問の小川証券株式会社から、証券取引法三十七条一項四号の規定に基づきまして、五月二十六日、来週の月曜日でございますけれども、営業の一部を休止する旨の届け出がございました。そして同時に、本日の臨時取締役会において、証券業の廃業、会社の解散のため、あわせて顧客資産返還のため、営業休止を決議したという報告がございました。これは、届け出は、そのまま私ども受理いたしております。営業休止になりますけれども、顧客から預かった金銭及び有価証券の返還義務とか信用取引の手じまい等々、顧客のために必要な業務は継続するというふうに聞いております。     〔自見委員長代理退席、委員長着席〕
  171. 生方幸夫

    生方委員 そうしますと、小川証券と取引をしていた投資家には、何ら迷惑はかからないというふうに解釈をしてよろしいのですか。
  172. 長野厖士

    ○長野政府委員 これから手続がございますので、断定的に申し上げてよろしいかどうかは慎重でなければいけないと思いますけれども、小川証券からは、ただいまの顧客の預かり資産の返還等を進める上で重大な支障が生じないよう、山一証券に協力を要請したところ、山一証券から可能な限りの協力を行うとの答えを得たという報告をもらっております。恐らく、この可能な限りの協力というのは、資産返却のためのファイナンスであろうと私は想像いたしております。  また、証券会社の経営破綻につきましては、財団法人寄託証券補償基金という制度がございまして、一社当たり二十億円まで顧客資産の保護のための支出ができるという制度がございますけれども、この基金からただいま連絡がございまして、小川証券の顧客に対する補償措置が必要となった場合には、現行制度のもとで可能な措置を講ずるという報告が今ございましたので、顧客資産の管理につきましては万全の体制がとられておると理解いたしております。
  173. 生方幸夫

    生方委員 重ねて質問いたしますが、小川証券の預かり資産の全額というのは一体幾らになるのですか。
  174. 長野厖士

    ○長野政府委員 ちょっと手元で準備しておりません。私、役所に、机の上に資料を置いて出ましたので、ただいますぐ問い合わせましてから、後ほど御報告いたします。
  175. 生方幸夫

    生方委員 今証券局長からお答えがございましたように、投資家保護のためには、寄託証券補償基金というのがあるというふうに私も承知をしております。ただ、その基金の全体が三百五十億円しかないということでございまして、これから金融ビッグバンが本格化すれば、証券会社も倒産する、今小川証券のように、廃業というのですか、廃業するようなところがたくさん出てくるのではないかと。この三百五十億円しかない寄託証券補償基金で、一体本当に対処できるのかどうかという辺を大蔵大臣にお伺いしたいのです。
  176. 長野厖士

    ○長野政府委員 お答え申し上げます。  証券会社の場合は、銀行、保険と異なりまして、顧客の資産そのものが株式あるいは債券という形で別途存在いたしますものですから、ただいまの御報告しておりますような内容の手当ては、例えば信用取引のときの委託証拠金とかいった限られた範囲でございますので、現在、一社二十億円、全部の資産が三百五十億ということでやっておりますが、やはりそういう事態が望ましいわけではありませんけれども、外国におきましてもベアリングズ証券の大型破綻といったようなケースが現実に発生いたしておりますので、銀行や保険とは違うと申しながら、このシステムをもう少し充実すべきではないかという問題意識を業界でも持っておりますし、私どもも持っておりますので、拡充に努めたいと考えております。
  177. 生方幸夫

    生方委員 寄託証券補償基金は財団法人であって、行平次雄日本証券業協会の会長代行が、これを証券取引法上の認可法人として変えてもらい、基金への拠出を銀行の預金保険機構の拠金と同じように非課税にしてほしいというようなことを要求しているというのを私は聞いておるのですけれども、その辺はどのように大蔵大臣、今後のことなのですけれども、お考えになっていますでしょうか。
  178. 長野厖士

    ○長野政府委員 ただいまお尋ねの点は、金融システム改革、いわゆる日本版ビッグバンの中で検討されるべき課題一つとして、証券取引審議会で今具体的に御検討になっておられます。  おっしゃられましたように、やはり民間の財団法人という仕組みではなくて法的な位置づけを与え、税務上の扱いはまた税務当局といろいろなことを相談しなければいけませんけれども、損金扱いができることになれば資金の量はふえますし、そういった公的な位置づけを与えていくべきではないかというのが今証取審の議論の流れでございまして、今回の事件も踏まえながら、来月の御結論のときには方向性はもう少し明確に出していただけるかなと思っております。
  179. 生方幸夫

    生方委員 これから金融ビッグバンを推し進めていけば、銀行と証券と保険会社ですか、みんな垣根がなくなっていくわけですから、個別に、銀行だけは預金保険機構、証券は何とか、保険は何とかというような形でやるのではなくて、総合的に、預金者というか投資家というか保険の契約者といいますか、そういうのを保護するような、保護というのですか、体制を整えて、安心して市場参加できるような体制というのを整えていただきたいと思うのですが、大蔵大臣、その辺の、まだ審議中のものがたくさんございますが、見通しについての感想をお伺いしたいのです。
  180. 三塚博

    三塚国務大臣 金融ビッグバンは、自由市場をつくり上げていくという御案内の三原則であります。本来が、自分の足でしっかりと立ってとり行う、こういうことなんですね。そういうことで、どうしてもいかぬということになれば、その社の判断によりまして、それが統合なのか系列化なのか再編の形でいくのか、持ち株会社の問題がいよいよ解禁になるわけでありますから、そういうことなのかはそちらの判断でありますが、しかし、基金制度等については、頑張っている人たちがいるわけですから、こういうことについて、どうしようもない状態については基金ということでやられることについては、損金参入の制度等あるわけですから、サポートしていくことは当然であろうと思います。
  181. 生方幸夫

    生方委員 これは当然、市場参加していくためにはリスクもとらなければいけない。自己責任というのがはっきりしなければいけない。その前提となるのは、やはり情報がすべて公開されていて、投資家なり預金者なりが自分で判断できるようなしっかりした情報が与えられているというのが原点だと思いますので、その辺はぜひ、金融機関がきちんと情報を開示するように御指導していただきたいというふうに思っております。  次に、第一勧銀の件についてお伺いをしていきたいと思います。  これも一連の報道によりますと、先ほどの総会屋に都合三百億円という考えられないような額の融資をしておる。これは金融機関に関して言いますれば、不良債権処理ということで非常な低金利政策をとっておって、年金生活者等は金利が低いことによって金利収入を当て込めないということで苦労している。その低金利によって、いわば銀行は不良債権処理というものに今邁進をしておる。そうした処置までとっているその大事なお金が、三百億円も総会屋に不当な融資をされていた。  しかも、十分な担保もとられないで融資をされていたということになると、これは非常にゆゆしき事態であって、しかも七十億円ぐらいが回収不能になっている。そうした不能になっているにもかかわらず、担保物件に対して差し押さえというような措置もとられていない。二重三重に、重ね重ね、本当に第一勧銀というような大きな銀行が何をやっているのかというような気がいたすのですが、この報道の中で、第一勧銀が何でこんなことをやってしまったのか。これはもちろんこれからの捜査にまたなければいけないのですが、大蔵大臣にまず感想をお伺いしたいのです。
  182. 三塚博

    三塚国務大臣 感想と言われますと、率直に言いまして、基幹銀行、第一勧銀がさようなことがあるというのは、ほとんどの人は信頼が基本で、ないのではないでしょうか。大変驚きました。
  183. 生方幸夫

    生方委員 担保をとらないで融資をする、担保は多少はとっていたらしいのですけれども、これは当然、普通の融資であれば、そういう審査をして、不正な取引があればわかるということになっておるのですけれども、何年もにわたってこうした取引が続けられてきた。これは当然、大蔵省も数年に一度は必ず検査、調査をしておるわけですから、こうした不正な取引があったことを把握していなければいけないと思うのですけれども大蔵省の調査の中で、第一勧銀のこうした不正融資というものを把握しておったのかどうか、お伺いしたいのです。
  184. 中川隆進

    ○中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  過去の大蔵省の検査で把握をしていたのかという御質問でございます。  第一勧業銀行に対します検査についてでございますけれども、個別の金融機関のことでございますけれども、過去の検査の状況を申し上げますと、直近では、平成六年十月に検査を実施しております。その前ということになりますと、平成二年九月に検査を実施しております。  もちろん、従来から、個別の金融機関に対しますことでございますから、検査の中身につきましては詳細なお答えを差し控えさせていただいているところでございますけれども、御案内のとおり、一般的に金融機関に対します検査は、預金者の保護あるいは信用秩序の維持を図りますために、金融機関の財産、業務の健全性、適切性の確保を目的といたしまして、資産内容の把握、リスク管理、内部事務管理体制のあり方、あるいは銀行等の法令、通達、その他諸ルールの遵守状況等多岐にわたる事項のチェックをしているわけでございます。この第一勧業銀行につきましても、同じ観点から厳正に検査をしたところでございます。
  185. 生方幸夫

    生方委員 厳正に調査をしたその結果、わかっていたのですか、それともわかっていなかったのですか。
  186. 中川隆進

    ○中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  先ほども申し上げましたように、個別の金融機関に対します検査の状況でございますので、詳細はお答えを差し控えさせていただきたいと思いますし、ただいま捜査当局の捜査中の事案でございます。  ただ、先ほども言いましたけれども一般論として申し上げますれば、先ほど申し上げましたような観点から検査をしているわけでございますけれども金融検査は、申し上げるまでもなく、その目的、性格から、個々の取引を網羅的に調べ上げまして個別の不正発見を主眼とするものでは当然ないわけでございます。この趣旨は、銀行法等におきましても、検査権限は犯罪捜査のために行うものと解してはならないというふうにされているわけでございます。  ただ、その意味で、もちろん検査には限界があることはやむを得ないわけでございますけれども、しかしながら、我々の検査におきましては、相当程度の期間、人員をかけまして、先ほど言いましたように厳正に最大限の努力をして検査に努めているところでございまして、もし検査の結果、金融機関に社会的な批判をされるような問題点を把握した場合には、当然のことながら必要に応じて厳正に指摘をし、監督部局において厳正な処分が行われているということでございます。
  187. 生方幸夫

    生方委員 そうすると、この件に関しては注意をした事実があったということですか、それともそれを把握していなかったということなんですか。
  188. 中川隆進

    ○中川(隆)政府委員 個別の金融機関の検査のことでございますし、ただいま捜査中でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  189. 生方幸夫

    生方委員 総会屋というふうに呼ばれる人に三百億円も貸しているという、これはもうかなり異常な事態だと思うのですよね。私は知りませんが、この総会屋さんというのはそれなりに有名な方だったはずでございます。その方が第一勧銀に出入りをしているという事実があれば、当然その裏には何かあるはずだということは素人でもわかると思うのです。ただ総会屋さんが何もなくて銀行に出入りするはずもないわけですから。そういう事実をもし把握していたのであれば、事前に注意なり検査をもっと強化するなりすればこうした事態にならなかったのではないかと思うのです。  そこで聞いているのですけれども、小池さんというのが総会屋であって、第一勧銀とつながりがあるという事実を把握していたかどうかを、じゃお伺いしたいのです。
  190. 中川隆進

    ○中川(隆)政府委員 個別の今先生御指摘の事案について検査で把握していたのかどうかということでございますが、その点につきましては、先ほども答弁いたしましたけれども答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。  一般的にちょっと御理解を賜りたいと思うわけでございますけれども、検査につきましては、先ほど申し上げましたような限界というのは当然あるわけでございますが、今先生御指摘のような都市銀行、特に上位行の実情を申し上げますと、これはあくまで上位行の一般論ということでございますけれども、融資の件数というのは大体百万件以上ございます。我々検査に参りましたときには、その中で、当然、限られた人数で限られた期間で検査をするわけでございますから、すべて見るわけではございません。その中で一定の基準を示しまして、こういう問題のあるものは抽出をしてくださいということで検査をするわけでございます。例えば赤字が続いているとか、あるいは債務超過の状況が続いているとか、あるいはその他条件を示しまして抽出をしてもらうわけでございます。  そういう抽出をしますのは、もちろん金融機関によって違うわけでございますけれども、こういう大きな銀行になりますと、抽出件数だけでもやはり万の単位の抽出になるわけでございます。これは今後の検査のあり方といたしましては、こういう検査ですと大変な人員と時間がかかるわけでございますが、従来はこうした個別の融資につきまして、その内容について、どの程度回収可能性があるかということ等について把握をしているわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、膨大な件数でございます。もし、先ほど申し上げましたように、こういう点について検査官が問題を把握すれば厳しく指摘をし、問題があれば是正を求めるということをやっているわけでございます。  一般論でございまして、恐縮でございますけれども
  191. 生方幸夫

    生方委員 第一勧銀に対して捜索が行われたのですけれども、これはあくまでも野村証券の関連での捜索というふうにお伺いしております。  今まで報道されておりましたようなことが事実であるとすれば、当然これは法に触れることだと思うのですけれども、背任とか特別背任とかに触れることではないかと思うのですけれども、捜査は今途中でございますから、法務省に来ていただいていないですから聞きようがないのですが、この案件は、これから先、法的な捜査にまで及ぶ可能性があるのかどうか、見通しをお伺いしたいのです。
  192. 山口公生

    山口政府委員 私どもとしましては、この第一勧銀の総会屋の関係者に対する融資に関しまして重大な関心を持っておりまして、同行に対しまして事実関係を至急調査するよう指示しております。  現在、捜査当局による捜査が行われているところでございますので、具体的な中身をコメントするのは差し控えさせていただきたいのでございますけれども、私どもとしては、その調査の結果を見て、また捜査状況を見守りつつ適切に対処するというつもりでおります。
  193. 生方幸夫

    生方委員 もちろん捜査中ということであれなんですが、なぜ三百億円もの融資という便宜を図ったのか。その背景について、わかっている範囲でお答えをいた、だきたいのです。
  194. 山口公生

    山口政府委員 その点も含めまして今調査を命じておりますので、その報告をまって判断するべきかと思います。
  195. 生方幸夫

    生方委員 八八年の六月に総会があった。その前に麹町支店の業務課長の巨額の背任事件があって、それに対する総会対策として支払われたのではないかと。八九年の二月に最初に三十一億円の融資が行われていることから考えますと、これが成功報酬であったのではないかというようなことも指摘をされておるのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  196. 山口公生

    山口政府委員 御指摘の点も含めまして、いろいろとマスコミ等で報道されることすべてにつき厳正な調査を命じているところでございます。
  197. 生方幸夫

    生方委員 二回調査をして、その結果どうであったのかという個別のことについては言えないということなんですけれども、いずれにせよ、二度調査をしていて、これらの事実を把握して注意していてやったのであればもっと重大でございますが、一般的に考えれば、把握し得なかったということになりますと大蔵省監督責任というのが当然出てくると思うのですけれども大蔵省責任についてはどのように大蔵大臣、お考えになっていますでしょうか。
  198. 三塚博

    三塚国務大臣 本件が解明をされませんと、直ちに申し上げることはございません。といいます理由は、少ないメンバーで一生懸命やっていることだけは間違いありません。先ほども部長が言いましたとおり、抽出でありましても実態の傾向は見ることはできるでしょうけれども、それ以外のものがそうであった場合にはと、こういうことになりますので、体制の強化もあるでしょうし、それは今後の対応でありますけれども、そういう点で解明が行われた上でございませんと判断できないと思っております。
  199. 生方幸夫

    生方委員 そもそも、総会屋さんというのが出てくるというのは、日本の株主総会そのものが非常に形骸化してしまっているというのが非常に大きな原因だと思います。  私なんかも、アメリカに行って、アメリカの企業の株主総会というのは非常に開かれたもので、経営者と株主とがお互いに議論しながら、その後は飯でも食いながら話し合って、企業側としてもその場を最大の企業の宣伝の場にしている。したがって、そういうものを見て、また株主が安心してそこへ投資するというような環境ができていると思うのですね。したがって、そういう雰囲気をつくっていくことがまず総会屋をなくす第一歩につながるのではないかというふうに思っております。  それと同時に大事なことは、日本の会社は、取締役がほとんど社内の方で、社外取締役というのが非常に少ない。アメリカの場合ですとほとんど、社内取締役よりは社外取締役の方が多いというのが一般的でございまして、その方たちがいわばきちんと経営をチェックできるような体質になっているということを考えますと、全部の企業に、例えば社外取締役を何%にしろというようなことを指示するというのは非常に難しいでしょうが、少なくとも金融機関に関して言えば、一定程度の社外取締役を置くということもこれからは必要になってくるのではないかというふうに思うのですが、その辺についての大蔵大臣の御所見をお伺いしたいのです。
  200. 三塚博

    三塚国務大臣 早期是正措置ということでやっておる中では、既に社外監査、こういう問題も入れてあるわけです。社外重役ということは、これからの大きな流れの中で当然必要になることと思います。
  201. 生方幸夫

    生方委員 重ねてお伺いしたいのですが、これは、一定程度の人数は、例えば金融機関に関して言えば、社外重役を何%か置くというような措置をお考えになっているのかどうか。例えば十人取締役がいたとしたら、十人のうちの三人は社外でというようなことの措置までお考えになっているのかどうか、お伺いしたいのです。
  202. 長野厖士

    ○長野政府委員 ただいまのお答えの前に、恐縮でございますが、先ほど私数字を御報告できませんでしたものを。  四月末現在で、小川証券は、現金という形の預かり資産が約十億、それから保護預かりしておる有価証券が百十億程度ございました。そのほかに、担保として差し入れておる有価証券がこのほかに加わってきておると思います。  ただ、これは四月末でございまして、その後の推移をよく承知しておりませんけれども、新聞報道でこの会社の問題がかなり報道されましたので、恐らくは、この保護預かり等々の資産は、今日の時点では既にお客様の手元に戻っておるのではなかろうかというふうに考えております。  そこで、ただいまの御質問でございますけれども、一般的に、商法改正がございまして、取締役ではございませんけれども、監査役の中に社外監査役制度が導入されておりまして、私はいささか所掌外かなと思いますけれども資本市場立場から見ましてこの社外監査役という制度は、公認会計士とともに大変大事だと思っております。特に社外監査役というものを導入した趣旨に照らしますと、それにどういうお方を選ばれるか、まさに社外から来た、チェックされる方にふさわしいということであっていただきたいというようなことを監査役協会の方などにも時々申し上げますけれども、そういう方向で運営が必要かなと思います。  いずれにしても、このあたりの問題は、銀行、証券、保険に限るというよりは、一般的には商法制度の問題になってこようかと思いますから、また法務省においても御検討いただきたいことだと思います。  もう一点申し添えさせていただきますと、しかし、銀行、証券につきましてお尋ねのような問題が起こってきますというのは、たびたびここでも申し上げておりますけれども、特に証券取引などは、正常な取引を仮装して不正な売買が紛れ込んできやすいという特質を持っております。銀行融資もそんな問題でございましょう。あるいは不動産売買というのもそういう領域かもしれません。  したがいまして、取締役によるチェックというよりは、その社内におきますもろもろの担当者が行います取引を、社内の別の監視機関によってきちんとチェックするというシステム、これは大体どこの会社でも本来つくっておるはずでございますけれども、こういった個々の取引に不正常な取引があたかも通常の売買のごとく紛れ込んできやすいときに、それをチェックするというのは、どちらかといいますと、取締役、監査役で総合的にお願いするよりは、まさに専門の警察官的なチェック機関を会社の中に置いてほしい。それでなければ、取締役等が幾らしっかりしても問題は起こりかねないという問題意識を私どもは持っておりますし、そんな形で現在、例えば野村証券につきましては指導いたしております。
  203. 生方幸夫

    生方委員 金融機関というのは、金融機関だけにとどまらないで信用全体、日本経済全体に対して非常に大きな影響を与えると思います。日本の金融機関がこれほど信用できないということになると、日本の企業が海外で資金調達する際にも非常にマイナスになるというようなこともございますので、こうした事態が、いつも二度と起こらないようにと言っても起こってしまうのですが、本当に二度と起こらないような体制というのを、ビッグバンに備えて、ビッグバンが起こるときに本当にそれができるんだというのは、日本の金融機関が不正を犯さないんだという前提がなければ、これはもうビッグバンもくそもないと思うのですね。  したがって、大蔵大臣の強い指導で、きちんときれいにして、フリー、フェア、グローバルのビッグバンを起こせるような土壌というのをぜひつくってしただきた、ということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  204. 綿貫民輔

    綿貫委員長 次に、木島日出夫君。
  205. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  野村証券の事件、第一勧銀の事件、まことにゆゆしい事件だと思います。徹底的に問題を洗い出して、メスを入れなければならないと思います。  この委員会質疑を聞いておりましても、監督権限を持った大蔵省対応が極めて鈍いと思います。私は、これは大蔵省金融業界、証券業界との癒着がやはり背景にあるからではないかと思うのですが、それだけじゃない、この大蔵省指導監督している政治金融業界、証券業界との癒着にまでメスが入らなければならぬのじゃないかと思います。  自治省をお呼びしております。  平成六年と平成七年について、年間二千万円を超える政治活動に関する寄附をした法人、団体について、金額の多い順から二十位まで、寄附をした団体名と寄附の総額を報告していただきたいと思います。──自治省、来ていないか。これは通告して、ちゃんと書いてあるじゃない。どうした、委員長
  206. 綿貫民輔

    綿貫委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  207. 綿貫民輔

    綿貫委員長 では、速記を起こしてください。  もう一遍、木島日出夫君。
  208. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  野村証券の事件、第一勧銀の事件、まことにゆゆしい事件であります。本委員会質疑を通じましても、大蔵省監督権限を持っておる、検査権限を持っておる、まことに対応が鈍いと思わざるを得ません。その背景には、私はやはり大蔵省と銀行業界、証券業界との癒着があるのではないかと思います。そして、さらにそこにとどめないで、大蔵省指導している政治とこれらの業界との癒着にメスを入れなければ、こうした事件の再発を防ぐことができないと考えます。そういう観点から、政治と金の問題について質問をいたします。  自治省をお呼びしております。  平成六年と平成七年について、年間二千万円を超える政治活動に関する寄附をした法人、団体について、金額の多い順に上位二十位まで、寄附をした団体名と寄附の総額を報告していただきたい。
  209. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 おくれて参りまして、まことに申しわけございません。  御案内のように、政治資金規正法では、政治活動に関する寄附につきましては寄附をする側からの報告は求めておりませんで、受領をする政治団体からの報告を求めているころでございます。また、毎年その報告書の提出をする団体は極めて多数に上っておりまして、自治大臣分、都道府県選挙管理委員会分合わせますと、平成六年で約六万団体、平成七年で約六万七千団体になっておりまして、寄附をした者ごとにその総額を集計いたしますことは極めて困難であることを御理解を願いたいと思います。  ただ、自治省におきましては、毎年自治大臣届け出分に係ります収支報告書の要旨を公表いたします際に、一定額を超える寄附につきまして、受け手であります政治団体の範囲を限定をし、かつ寄附者ごとにその額を集計し、その額が二千万を超える寄附者を公表しているところでありまして、それによりますと、多少答弁が長くなりまして申しわけございませんが、平成六年は、日本労働組合総連合会から一億円、東証正会員協会が九千六百八十五万円、社団法人日本自動車工業会が八千万円、石油連盟が七千七百五十万円、株式会社三菱銀行六千八百六十六万円、株式会社住友銀行六千八百六十六万円、株式会社富士銀行六千八百六十六万円、株式会社第一勧業銀行六千八百六十六万円、株式会社東海銀行六千八百六十六万円、株式会社東京銀行六千八百六十六万円、株式会社あさひ銀行六千八百六十六万円、株式会社さくら銀行六千八百六十六万円、株式会社三和銀行六千八百六十六万円、株式会社日本興業銀行六千八百六十六万円、株式会社日本債券信用銀行六千八百五十六万円、株式会社大和銀行六千八百四十六万円、株式会社北海道拓殖銀行六千七百九十八万円、株式会社日本長期信用銀行六千六百五十一万円、ゼンセン同盟五千三百二万円、トヨタ自動車株式会社五千二百五十万円となっております。  また、平成七年は、社団法人日本電機工業会九千九百万円、東証正会員協会九千三百二十五万円、社団法人日本鉄鋼連盟八千四百五十万円、石油連盟八千三百五十万円、社団法人日本自動車工業会八千二百八十万円、日本労働組合総連合会七千六百万円、トヨタ自動車株式会社六千四百四十万円、株式会社あさひ銀行五千九百三十六万円、株式会社さくら銀行五千九百三十六万円、株式会社三菱銀行五千九百三十六万円、株式会社三和銀行五千九百三十六万円、株式会社住友銀行五千九百三十六万円、株式会社第一勧業銀行五千九百三十六万円、株式会社東海銀行五千九百三十六万円、株式会社東京銀行五千九百三十六万円、株式会社日本興業銀行五千九百三十六万円、株式会社日本長期信用銀行五千九百三十六万円、株式会社富士銀行五千九百三十六万円、株式会社日本債券信用銀行五千九百二十七万円、株式会社北海道拓殖銀行五千八百七十七万円となっておるところでございます。  なお、この額は、平成七年度の場合で申し上げますと、受け手であります政治団体は政党本部と政治資金団体に限っておりまして、また、個々の寄附の額は五万円を超えるものに限定したものでございます。
  210. 木島日出夫

    ○木島委員 ありがとうございました。  全部ではなくて、調べられる範囲のほんの一部で、高一位から二十位まで述べていただきました。ベストというかワーストというか、二十のうち、平成六年では十五までが、平成七年では十四までが銀行と証券会社の団体でございます。金融機関であります。  それでは次に、その金融機関から寄附を受けた相手側の政治団体名と、これはもうまとめてで結構です、平成六年、七年、それぞれ政治団体ごとの総額、今十五、十四と言いましたが、金融機関からもらった方の政治団体、一体年間幾らもらっているのか、総額について報告いただきたいのです。
  211. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 平成六年では、国民政治協会へ七億百六万円、改革国民会議へ二億六千八百二十二万円、新政治協会へ五千七百七十六万円、政和協会へ二千七百九十二万円、平成七年では、国民政治協会へ六億三千百九十三万円、改革国民会議へ二億六十六万円、新政治協会へ三千百六十六万円となっております。
  212. 木島日出夫

    ○木島委員 ありがとうございました。  今のは寄附を受けた政治団体、政治資金規正法上の政治資金団体であろうと思います。そこで、指定の届け出をした政党はそれぞれどこか。四団体の名前が挙がりましたが、教えてください。
  213. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 指定の届け出をいたしました政党は、国民政治協会は自由民主党本部、改革国民会議は新進党、新政治協会は新党さきがけ、政和協会は民社党であります。
  214. 木島日出夫

    ○木島委員 ありがとうございました。  昨日の毎日新聞によりますと、こういう記事が出ておりました。九三年夏の総選挙に先立ち、当時自民党幹事長だった梶山氏は、幹事長代理だった加藤紘一現幹事長を伴い、当時、全国銀行協会連合会の会長行だった第一勧銀を訪問、選挙資金百五十億円の融資を求めたが、断られた。  断られたというのは、私、別の新聞で調べてきましたが、どうも事実でなさそうでありますが、九三年夏の総選挙に先立ちこういう行動をなされたことは、長官、事実なんでしょうか。
  215. 梶山静六

    梶山国務大臣 訪ねたことはございません。
  216. 木島日出夫

    ○木島委員 それでは、九三年夏の総選挙に先立ち、自由民主党として、全国銀行協会連合会に加盟している幾つかの金融機関から百億円の借り入れをしたというのは、事実でしょうか。
  217. 梶山静六

    梶山国務大臣 担当は経理局長それから財務委員長でありますので、正確な数字を私は申し上げることはできません。選挙前において資金の借り入れを行おうと思った意思があるし、借り入れを受けたことはございますが、今金額を正確に申し上げる知識がございません。
  218. 木島日出夫

    ○木島委員 私は、今、九三年六月当時の新聞、調べ上げて持ってまいりました。もう要点だけ申  見出しが躍っています。「自民、選挙資金二百億円を要請 都銀から「借入金」で」。いろいろあります。しかし、ずっと新聞をまとめますと、結局百億円を借り入れることができた。これは九三年の七月当時の新聞ですが、そういう報道もございます。  きのうの毎日新聞の記事、官房長官が、当時自民党の幹事長のときに加藤紘一氏と全銀連の会長行第一勧銀を訪問した、それで百五十億円の融資を求めた、こう書かれたわけですね。先ほどの答弁で、そんなことはないと答弁しました。これは政治家にとって、事実でなければゆゆしい記事だと思います。法的措置をとられるつもりはあるんでしょうか。
  219. 梶山静六

    梶山国務大臣 既に四年を経過していることでございますから、今さらこの方法をどうするかということに今思い当たる手段、方法を持ちませんけれども、少なくとも私は銀行を訪問して要請をしたことはございませんと申し上げているので、このことに関しては間違いがございません。
  220. 木島日出夫

    ○木島委員 そうすると、では訪問は撤回しますが、要請したことは事実ですか。
  221. 梶山静六

    梶山国務大臣 今は新聞の記事の正否というか、それを申し上げているわけでございまして、新聞がそういうことを書いたとすれば、私の行ったこと自身が間違いでありますから、その後の推定記事に対してお答えをする必要を感じません。
  222. 木島日出夫

    ○木島委員 そこを追及するのが私のきょうの目的ではありませんから。  当時、自民党から一部の議員さんが飛び出す、いろいろ政界再編の動乱のときでございまして、なかなか思うように金が集まらなかったということで、そういう記事がたくさん出ております。銀行業界や財界も、もう自民党だけにするのはやめてほかの党へも配分しようか、そういう記事でございました。  これはおもしろい記事なんで御披露だけしておきますと、まあ事実じゃないんですが、「断られた。」要請したけれども断られた。「この選挙で自民党が大敗、野党転落という歴史的な屈辱を刻んだことは記憶に新しい。梶山氏の〝銀行嫌い〟はこの時以来といわれ、住専など相次ぐ金融不祥事に臨み、事あるごとに厳しい銀行批判を展開してきた。」こういう記事もあることだけ御紹介しておきます。  しかし、国民は、巨額な政治献金が金融業界から自民党へなされている、あるいは貸し付けという形で、あるいは資金という形でなされている。今自治省からもその一部が答弁されたところだと思うんです。政党政治家と金融機関との間のこのような金の結びつきがある以上、幾ら官房長官が李下に冠を正さず、瓜田にくつをいれずと強調いたしましても、これは国民は信用できるはずがないと思うんです。  この際、金融機関からの政治献金をきっぱりと拒絶して、金融機関に対する毅然とした姿勢を示すべきではないでしょうか。どうでしょうか、官房長官
  223. 梶山静六

    梶山国務大臣 私は政党の代表でもございませんから政党関係のことを申し上げる権利がございませんが、私個人は、峻別をして政治献金はいただいておりますし、銀行のたぐいからはまとまった金額というか大きな金額を受けている事実はございません。私の政治資金の報告書を見ていただければ、五万円以上に関しては完全に載っているわけでありますから、お調べを願いたい。
  224. 木島日出夫

    ○木島委員 私は、政治家個人どうこうという質問は全くきょうはしておりません。先ほど来、国民政治協会等政党及びその政治資金団体がこういう日本の巨大銀行から、もう横並びで、巨額ですよね、年間六千万近くの金を受け取っていること自体が、これはやはり幾ら口でいいことを言っても、いざとなると第一勧銀を追及することはできないんじゃないか、こう思わざるを得ないのではないでしょうか。  かつて、自民党さんは企業献金を一時とめたこともあるわけですから、またやまってしまっているわけでありますが、そういう決断を求めたい。私ども日本共産党は、金融機関だけではなくて企業や団体からの政治献金はやはり全面的に禁止する、それをつくらなければ日本の政治はよみがえらないという立場から、企業献金全面禁止法案を今国会提出していることを申し述べ、次の質問に移りたいと思います。  金融監督庁設置の目的は、金融行政に関する企画立案金融機関に対する検査監督分離することによって、金融機関に対する検査監督を実効あらしめるためであるとの説明を政府は繰り返しております。しかし、委員会審議を通じて、その分離が極めて不徹底、相変わらず大蔵省の支配権限が非常に色濃く残っていることが明らかになったのではないでしょうか。  その一つに、金融監督庁が、国家行政組織法第三条に基づく機関ではあるけれども、合議制の機関ではない、国務大臣でもない一長官による独任制の機関にされてしまったということが挙げられております。  証券監視委員会がつくられたときに大蔵省の内部で設立準備の中心にいた阪田雅裕氏、現在内閣法制局第三部長であります。この方が、「証券取引等監視委員会──日本型SECの誕生」という本、私持ってきていますが、この中で次のように述べております。国家行政組織の根本にかかわるところでありますから、本法案審議にも重要な指摘でありますから、ちょっと披露します。   合議制の行政組織が、豊富な専門知識を有する人材を多数糾合することにより高度の専門技術性を要する事務を処理するのに適していることなどは当然であるとしても、こうした合議制の機関が、各省等に置かれるにもかかわらず、それらからの独立性が高いとされるのはなぜであろうか。   行政委員会審議会等も府や省に置かれるものである以上、組織序列上は、主任の大臣の下にあってその監督を受ける地位にあることは、内部部局や地方支分部局の場合と異なるものではない。それにもかかわらず、合議制の機関の独立性が他の下級機関に比して極めて高いとされているのは、何よりもまず合議制というその組織形態自体、更に言えばそのような組織形態を採ることとした趣旨、目的にあると考えられる。   すなわち、合議制の組織の場合、「その意思決定は構成員の合議によらなければならないことの結果として、大臣等の指揮・命令・監督等に馴染まない」し、そもそも合議制の機関は、「専門的知識を必要とする行政事務の分野や独立公正に行われるべき事項について設けられるものであり、その設置目的はその事務や機能を通常の行政事務のようにハイラーキー的系列の下で行われるのと異たらしめること、すなわち、独立に行われることを可能たらしめることにある。」。要するに、特定の行政事務について、大臣等が上下関係を盾に指揮命令をして処理させるのが適当ではないと判断して、自らの指揮命令権をしばるために、わざわざ指揮命令が困難な合議制の組織としているのである合議制か独任制かの違い、非常に突っ込んだ記述でございます。この人が証券監視委員会をつくった中心人物です。今、内閣法制局の第三部長であります。この法案の審査をしているのでしょう。  大蔵省はここまで承知の上で、与党三党を抑え込んで、独立性の高い合議制機関をつくることを拒絶をいたしました。これは、引き続き大蔵省が、監督庁長官、そして総理大臣一体となって金融機関との癒着体制を保持していこうという意思のあらわれと見ざるを得ない。これでは、野村証券や第一勧業銀行に対して大蔵省が毅然とした態度をとれないのと同様、制度改革の実効は上がらないのではないでしょうか。  ここまで書いてあるのですから、何で独立性の高い合議制の機関をつくらないで金融監督庁長官などという独任制の組織にしたのでしょうか、官房長官
  225. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 お答えいたします。  金融行政機構改革における新機関の組織あり方につきましては、与党内におきまして、行政委員会型も含めてさまざまな議論がなされ、最終的には総理府に金融監督庁を設置することとされたところでございます。  政府といたしましても、民間金融機関等に対する検査監督という執行面の機能は、合議制の機関ではなくて、長官の指揮監督に服する金融監督庁により十分に発揮されるものというふうに考えております。
  226. 木島日出夫

    ○木島委員 もう独任制じゃ上から指揮が来ちゃってだめだ、大臣から指揮されちゃう、だから指揮を拒絶できるような合議制の機関が本当に公正な行政をやるには大事なのだとはっきり書いてあるのですよ。だから、あえて私はこの文書を指摘したわけであります。今の答弁はとても納得できるような答弁じゃないのですね。  合議制の機関にしなかったその政治判断、どこにあるのですか、官房長官官房長官政治判断です。
  227. 梶山静六

    梶山国務大臣 再三の質問にお答えを申し上げているように、一昨年来、住専処理をめぐって、いわば金融とそれから大蔵の関係が不透明ではないか、特に、いわば政策的なものと執行面のものが一緒になっていることでこういう問題の解明が難しかったのではないかというところから、この分離案が出てきたことは御案内のとおりであります。  そして、我が党というか与党三党でもこの問題に熱心な討議を加えながら、三条委員会的なものがいいか、あるいは別なものがいいか、いろいろな検討を重ねた末に、昨年の暮れに、いわば今の金融監督庁的なものを最終的な方式として、それぞれの長い間勉強してきた三党の合意を踏まえて、政府意見具申があったわけであります。  これを受けてその問題の最終的な決断をし、そして閣議決定をして、今日の法案作成準備室を設けて行ってきたという現実でありますので、御承知おきを願いたいと思います。
  228. 木島日出夫

    ○木島委員 国家行政組織法第八条機関に比べて三条機関の方が権限が大きいということは事実であります。証券取引監視委員会は、八条委員会という権限が非常に小さい方を使って、しかし可能な限り独立性を高めるということで合議制の組織がつくられたのですね。しかし、私がこの委員会でも指摘してきましたように、やはりもう一つ迫力不足は否めません。  次に、この委員会で再三、大蔵省の関与が強過ぎる、残り過ぎるという一つの例に、省令の共管問題があります。  本来、総理と総理から委任を受けた金融監督庁長官の権限に属する問題については、省令制定というのは基本的な権限ですから、大蔵省を排除して、当然総理大臣が、総理府が、金融監督庁長官がつくれなきゃならぬと思うのですが、共管にされたというのは、大蔵大臣がオーケーを出さなきゃ省令一本できないということを意味するのです。こんなおかしな話はないですよ。一国の総理が所管をしている、権限を持っているそういう法体系のもとで、総理が省令すらつくれない、大蔵大臣のお墨つきがなければ省令をつくれない、こんなおかしな話はないと思うのです。  国家行政組織法第十三条には、各委員会及び各庁の長官、要するに国家行政組織法三条に基づく機関、三条機関、委員会、庁は規則制定権がある、こういう法体系になっております。私は、この法案でことごとく省令制定が大蔵大臣と総理大臣との共管にさせられているということは、この国家行政組織法第十三条の、三条機関の長は自主的に、みずから、命令ですか、これをつくる、規則をつくることができる、この基本を崩してしまうことだと思わざるを得ないのです。  どうですか。金融監督庁長官、三条機関の長の規則制定権この法案を立案するに当たってどう配慮したのでしょうか。
  229. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 委員指摘の国家行政組織法第十三条の規則は、命令の性格を有する規則でございまして、ここにありますとおり「別に法律の定めるところにより、」ということになっております。したがいまして、この規則を制定するには法律の定めが要ることになります。  銀行法等の作用法におきましては、こういう規則を定めることができる旨の規定は置かれておりません。これは、命令の性格を有するものにつきましては、省令、大臣の命令たる省令で定めるというものでございます。  省令の問題につきましては、先生御指摘のように共同省令ということにしておりますが、これは、銀行法等における省令は銀行法等の法律、政令の範囲内でこれを補充するルールを定めるものでございますので、企画立案としての性格をも有するということから共同省令としたものでございます。  もっとも、金融監督庁の業務を遂行する上で必要な組織とか定員の配置についての規則とか訓令につきましては、これは当然のことながら、総理大臣または金融監督庁長官が独自に定めることができるということは言うまでもございません。
  230. 木島日出夫

    ○木島委員 本当に私は、この共管というのはおかしいと思うのですね。個別法、全部共管にさせられました。  例えば、銀行法第二十六条、業務の停止であります。現行法は、大蔵大臣は業務を停止することができる。そして、この命令、業務停止命令等で、「銀行の自己資本の充実の状況によって必要があると認めるときにするものは、大蔵省令で定める自己資本の充実の状況に係る区分に応じ大蔵省令で定めるものでなければならない。」要するに、命令ができるから大蔵大臣は省令をつくることができるのです。  この法案は、内閣総理大臣が今度は業務停止命令ができるとなりました。それならもう当たり前のように内閣総理大臣が総理府令で定めなければならぬわけですが、こんなのは企画立案じゃないですよ、監督権限、検査権限の中心じゃないですか。何でこんなところまで大蔵大臣の了解がなければ省令ができないのですか、総理大臣は。  しかも、省令が共管にされましたね。総理府と大蔵省の共管になりました。私が先ほど言った、国家行政組織法第十三条の該庁の長官が自主的にできる規則制定権というのは、その下になるわけですね。上の方に大蔵省、大蔵の了解がなければ一つの省令もできないのですから、その下に位置する国家行政組織法の十三条の長官が自主的にできる規則制定権は、もう上のところで脅かされてしまっているのですね。  そうしたら、もう国家行政組織法上、十三条は完全にこの法案によってつぶされているじゃないですか。こんな法律できるのですか。
  231. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 国家行政組織法十三条の規則というのは、「法律の定めるところにより、」ということでございますので、その省令の委任のもとに定める規則というものではございません。
  232. 木島日出夫

    ○木島委員 終わります。
  233. 綿貫民輔

    綿貫委員長 次回は、来る二十六日月曜日午後二時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十四分散会