運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-05-21 第140回国会 衆議院 厚生委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十一日(水曜日)     午前十時四分開議  出席委員   委員長 町村 信孝君    理事 佐藤 剛男君 理事 住  博司君    理事 津島 雄二君 理事 長勢 甚遠君    理事 岡田 克也君 理事 山本 孝史君    理事 五島 正規君 理事 児玉 健次君       安倍 晋三君    伊吹 文明君       江渡 聡徳君    大村 秀章君       奥山 茂彦君    嘉数 知賢君       桜井 郁三君    鈴木 俊一君       田村 憲久君    根本  匠君       能勢 和子君    桧田  仁君       松本  純君    山下 徳夫君       青山 二三君    井上 喜一君       大口 善徳君    鴨下 一郎君       坂口  力君    福島  豊君       桝屋 敬悟君    矢上 雅義君       吉田 幸弘君    米津 等史君       家西  悟君    石毛 鍈子君       枝野 幸男君    小沢 鋭仁君       瀬古由起子君    中川 智子君       土屋 品子君    土肥 隆一君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小泉純一郎君  出席政府委員         厚生政務次官  鈴木 俊一君         厚生大臣官房長 近藤純五郎君         厚生大臣官房総         務審議官    中西 明典君         厚生大臣官房審         議官      江利川 毅君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省社会・援         護局長     亀田 克彦君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省児童家庭         局長      横田 吉男君         厚生省保険局長 高木 俊明君  委員外出席者         厚生委員会調査 市川  喬君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十一日  辞任         補欠選任   家西  悟君     小沢 鋭仁君 同日  辞任         補欠選任   小沢 鋭仁君     家西  悟君     ――――――――――――― 五月二十日  廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第八〇号)(参議院送  付) 同日  医療公的介護保障充実に関する請願志位  和夫紹介)(第二七九八号)  医療保険国民負担増中止医療充実に関す  る請願正森成二君紹介)(第二七九九号)  公的介護保障制度確立社会福祉制度改善  に関する請願瀬古由起子紹介)(第二八〇  〇号)  同(山原健二郎紹介)(第二八〇一号)  少子化対策充実に関する請願富田茂之君紹  介)(第二八〇二号)  同(西川太一郎紹介)(第二八〇三号)  同(富田茂之紹介)(第二八七六号)  同(西川太一郎紹介)(第二八七七号)  同(富田茂之紹介)(第二九六六号)  同(西川太一郎紹介)(第二九六七号)  養育費支払い制度の創設に関する請願藤田ス  ミ君紹介)(第二八〇四号)  医療保険制度改悪反対医療充実に関する  請願(辻第一君紹介)(第二八〇五号)  介護福祉医療年金改善に関する請願  (志位和夫紹介)(第二八〇六号)  公的介護保障制度早期確立に関する請願(金  子満広紹介)(第二八〇七号)  同(古堅実吉紹介)(第二八〇八号)  同(矢島恒夫紹介)(第二八〇九号)  厚生省汚職の糾明、医療保険改悪反対に関する  請願石井郁子紹介)(第二八一〇号)  同(大森猛紹介)(第二八一一号)  同(金子満広紹介)(第二八一二号)  同(木島日出夫紹介)(第二八一三号)  同(児玉健次紹介)(第二八一四号)  同(穀田恵二紹介)(第二八一五号)  同(佐々木憲昭紹介)(第二八一六号)  同(佐々木陸海紹介)(第二八一七号)  同(志位和夫紹介)(第二八一八号)  同(瀬古由起子紹介)(第二八一九号)  同(辻第一君紹介)(第二八二〇号)  同(寺前巖紹介)(第二八二一号)  同(土肥隆一紹介)(第二八二二号)  同(中路雅弘紹介)(第二八二三号)  同(中島武敏紹介)(第二八二四号)  同(濱田健一紹介)(第二八二五号)  同(春名直章紹介)(第二八二六号)  同(東中光雄紹介)(第二八二七号)  同(平賀高成紹介)(第二八二八号)  同(不破哲三紹介)(第二八二九号)  同(藤木洋子紹介)(第二八三〇号)  同(藤田スミ紹介)(第二八三一号)  同(古堅実吉紹介)(第二八三二号)  同(正森成二君紹介)(第二八三三号)  同(桝屋敬悟紹介)(第二八三四号)  同(松本善明紹介)(第二八三五号)  同(矢島恒夫紹介)(第二八三六号)  同(山原健二郎紹介)(第二八三七号)  同(吉井英勝紹介)(第二八三八号)  同(吉田幸弘紹介)(第二八三九号)  同(岩浅嘉仁君紹介)(第二八七〇号)  同(瀬古由起子紹介)(第二八七一号)  同(桝屋敬悟紹介)(第二八七二号)  同(松本善明紹介)(第二八七三号)  同(吉田幸弘紹介)(第二八七四号)  同(秋葉忠利紹介)(第二九四六号)  同(石井郁子紹介)(第二九四七号)  同(瀬古由起子紹介)(第二九四八号)  同(東中光雄紹介)(第二九四九号)  同(正森成二君紹介)(第二九五〇号)  医療等改善に関する請願玉置一弥紹介)  (第二八四〇号)  同(仲村正治紹介)(第二八四一号)  同(石川要三紹介)(第二九五一号)  同(衛藤征士郎紹介)(第二九五二号)  同(谷畑孝紹介)(第二九五三号)  同(玉沢徳一郎紹介)(第二九五四号)  同(畑英次郎紹介)(第二九五五号)  同(平林鴻三君紹介)(第二九五六号)  同(村田吉隆紹介)(第二九五七号)  同(谷津義男紹介)(第二九五八号)  保険によるよい病院マッサージに関する請願  (山本孝史紹介)(第二八四二号)  医療保険改悪反対建設国保組合の国の定率補  助削減反対に関する請願志位和夫紹介)(  第二八四三号)  同(中路雅弘紹介)(第二八四四号)  同(中島武敏紹介)(第二八四五号)  重度戦傷病者と妻の援護に関する請願江崎鐵  磨君紹介)(第二八四六号)  医療介護拡充に関する請願井上喜一君紹  介)(第二八四七号)  同(大森猛紹介)(第二八四八号)  同(武山百合子紹介)(第二八四九号)  同(辻元清美君紹介)(第二八五〇号)  同(中路雅弘紹介)(第二八五一号)  同(福島豊紹介)(第二八五二号)  同(保坂展人君紹介)(第二八五三号)  同(長内順一紹介)(第二八七五号)  同(青山二三紹介)(第二九六三号)  同(石井郁子紹介)(第二九六四号)  同(東中光雄紹介)(第二九六五号)  保険によるよい入れ歯に関する請願吉井英勝  君紹介)(第二八六九号)  子供の性的搾取・虐待をなくすための立法措  置に関する請願青山二三紹介)(第二九五  九号)  療術の法制化に関する請願玉沢徳一郎紹介  )(第二九六〇号)  同(中島洋次郎紹介)(第二九六一号)  障害者プラン拡充具体的推進に関する請願  (青山二三紹介)(第二九六二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  介護保険法案内閣提出、第百三十九回国会閣  法第七号)  介護保険法施行法案内閣提出、第百三十九回  国会閣法第八号)  医療法の一部を改正する法律案内閣提出、第  百三十九回国会閣法第九号)  児童福祉法等の一部を改正する法律案内閣提  出第七一号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 町村信孝

    町村委員長 これより会議を開きます。  第百三十九回国会内閣提出介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  この際、介護保険法案及び介護保険法施行法案の両案に対し、それぞれ児玉健次君外一名から修正案提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。児玉健次君。     ―――――――――――――  介護保険法案に対する修正案  介護保険法施行法案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 児玉健次

    児玉委員 私は、日本共産党を代表して、介護保険法案及び介護保険法施行法案に対する修正案趣旨及び概要説明いたします。  公的介護の立ちおくれというより、むしろその欠如が、多くの高齢者から、人間らしい生活はもとより、人間としての尊厳さえ奪っています。このような状態から脱却し、公的介護保障制度確立することが緊急の課題となっています。  日本共産党は、立ちおくれた日本公的介護の水準を引き上げ、二十四時間対応のホームヘルプサービス、いつでも利用できるショートステイ、待機なしの特別養護老人ホームなど、在宅介護施設介護の両面で抜本的に充実させることを求めてきました。  政府提出した介護保険法案は、以下の重大な問題点を持っています。  厚生省の試算では、制度発足時に国庫負担が三千七百億円、市町村負担で千六百億円削減されることになっており、国民に新たな負担を求めながら、公的負担はむしろ削減される構造になっています。  六十五歳以上の高齢者は、新たに、住民税非課税者でさえ月額平均二千五百円の保険料を徴収され、その上、一割の利用料を支払わなければなりません。保険料利用料両方で、特に高齢者負担が大きくなります。  また、低所得者対策が不十分なため、国保料が納められない高齢者・低所得者介護保険から排除されることになります。老人福祉法措置制度は残しているものの、それは「やむを得ない事由により介護保険法に規定する介護老人福祉施設に入所することが著しく困難であると認めるとき」(介護保険法施行法案第二十条)に限られており、措置制度は極めて部分的な範囲にとどまっています。  政府案は、在宅介護を必要とする高齢者のうち四割しか保険からの給付を希望しないとの前提で組まれており、新ゴールドプランの枠を一歩も出るものとなっていないばかりか、家族介護の場合の介護手当も支給されず、国民の願いを満たすものとはなっていません。このままでは、保険あって介護なしになってしまいます。  また、六十五歳未満加齢によって生ずる障害に限っているため、六十五歳未満障害者難病患者等介護が除外されています。  以下、修正概要説明いたします。  一、国の責務に、希望する要介護者のすべてが介護給付を受けられるよう国の責任で計画的に体制を整備しなければならないことを加えるとともに、施設整備費等国庫補助を増額する。  二、住民税非課税世帯高齢者・低所得者市町村長の認定を受けたものを第三号被保険者とし、保険料は徴収しない。  三、第三号被保険者は、特別養護老人ホームヘの入所及び在宅サービス老人福祉法措置することとし、保険措置制度組み合わせ給付を行う。  四、四十歳以上で介護を必要とするすべての者を保険給付の対象とする。「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病」の限定を削除する。  五、介護手当を支給する。介護給付介護手当の併給も認め、これを選択制とする。  六、公費負担を五五%とする(国三〇%、都道府県及び市町村おのおの一二・五%)。  七、利用料は、無料とする。  以上です。  なお、この修正によって、二〇〇〇年度において、介護保険法に関連して約三百億円、同施行法に関連して約五千八百億円の支出増となる見込みです。  委員各位の御賛同をお願いいたします。
  4. 町村信孝

    町村委員長 以上で両修正案趣旨説明は終わりました。  この際、児玉健次君外一名提出の両修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣意見を聴取いたします。小泉厚生大臣
  5. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 介護保険法案及び介護保険法施行法案に対する日本共産党の御提案による修正案については、政府としては反対であります。     ―――――――――――――
  6. 町村信孝

    町村委員長 これより各案並びに津島雄二君外四名提出の各修正案及び児玉健次君外一名提出の両修正案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本孝史君。
  7. 山本孝史

    山本(孝)委員 おはようございます。新進党山本孝史でございます。  大臣は本当に連日の委員会あるいは会議でお疲れでございまして、先般、参議院臓器移植法が始まりましたので、上の方から見させていただいておりましたけれども、大変お顔に元気がないというか、お疲れの様子がありありとあります。きょうも、午前中二時間、おつき合いをいただきますけれども、ひとつ、かつての元気さを取り戻して御発言をいただけると大変にありがたいというふうに思っております。  介護保険法案について、我々新進党としましては、一貫して、税方式で賄う方がいいのではないかということの主張をさせてきていただきました。その点について、もう一度、大臣のお考えをお伺いをさせていただきたいというふうに思います。  とりわけ、第二号被保険者と言われております四十歳から六十四歳の人たちに対する保険料負担でございますけれども、負担はしておりましても、第一号被保険者と違って給付は制限をされております。したがって、実質的には、若年者から高齢者に対する所得の再配分という形になっている。こういう所得の再分配をもたらすというものは、本来は税でやるべきものではないかというふうに我々新進党考えておるわけです。  厚生省説明の中に、自分の親が介護が必要となったときに備えて保険料を払っていただくのだというような説明がありますけれども、保険というものはそもそも自分のリスクに対して入っているものであって、こういう考え方というのは実は税の世界で対応すべきものではないかというふうに思うわけです。  今回の介護保険保険というのは名ばかりの制度でございます。こういう保険原理に合わないというか、原理にそぐわない形で制度をつくっていくということはおかしいのではないか、もっと広く薄く国民全体に、社会全体で支えるならば、税で負担をすべきではないかというふうに思いますが、厚生大臣の御所見をもう一度お伺いをさせていただきます。
  8. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 税か保険かという議論は、いろいろ今までの御審議の中でもしておりますが、私は、税と保険組み合わせを適切に考えていくのがいいのではないか、特に、現在におきましては、年金についても医療についても保険方式が定着しておりますので、介護についても税と保険との組み合わせ、その方が国民理解を得やすいのではないかという観点から、今回、介護保険法案を御審議いただいているわけでありますので、今後とも、その組み合わせ、額についてはそのときの社会情勢によっていろいろ変わってくると思いますが、基本的には社会保険方式中心としていくのが適当だと思っております。
  9. 山本孝史

    山本(孝)委員 四月二日の厚生委員会議論の中で、大臣はこういう御答弁をしておられます。  増税も嫌だという状況の中で、  少なくとも社会全体で支えるんだったならば、何らかの財源調達方法考える場合は、お互い保険料を拠出して将来に備えようじゃないか。そして公費も投入しましょう。なおかつ、サービスを受ける利用者からも負担をいただきましょう。この組み合わせしかないんです。 今も御答弁されました。保険料公費自己負担、この三つを組み合わせていくのだというお考えを一貫して述べておられるというふうに思うのです。  私は、ちょっとこの発言揚げ足取りのようにとられては困るのですが、気になるのですけれども、社会福祉分野というのは社会全体で支え合っていくというものがほとんどでございます。そういう考え方でいけば、社会福祉に係る分野財源が不足したならば、それは、大臣のお考えでいけば、社会保険制度財源を賄っていくのだ、社会保険と税と自己負担という社会保険方式でこの財源を賄っていくのがいいのだというお考えになってくるのではないか。そういうお考えなのかなというふうにも思ったのですが、どういうふうにお考えなんでしょうか。
  10. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 税と社会保険両方、適切な組み合わせが必要ではないか。もちろん、介護の場合には自己負担保険料と税、その組み合わせですから、この点については、どういう組み合わせがいいかというのは、その時々の財政状況経済情勢によっても違ってくると思いますけれども、保険料なくして税だけでという形よりも、むしろ社会保険制度を導入した方が、保険というのは介護に使われます、あるいは医療に使われます、年金に使われますという目的が税よりも明らかになっておりますから、私は、より国民理解が得やすいのではないかと考えております。
  11. 山本孝史

    山本(孝)委員 目的が明らかでない形で国民負担を求めるということはあり得ないわけでありまして、目的がはっきりしているということであるならば国民負担を求めやすいというお考えの延長線上でいきますと、すべて目的税であったり、あるいはこういう保険制度であったりという形になってくるのですか。  もう少し言いかえていけば、今、措置制度でいろいろやっております。今回問題になっておりました障害者福祉部分を、措置という枠の中で公費で賄っているわけですね。障害者になるという確率は皆さんにひとしくあるということになれば、社会全体で障害者福祉も支えていいではないか、これも社会保険方式でいいのではないか、財源が少ない中で、社会保険方式公費自己負担という組み合わせ障害者福祉も対応していけばいいじゃないかというようなお考えにどんどん広がっていくのじゃないか。一体どこまで税で政府はちゃんと保障すべきで、どこからは、財源が足りないときは何でもかんでも社会保険方式ということになるのですか。  私は、どうもそういうふうに聞き取れて、大臣社会保障というものに対するお考えがどうなっているのか、財政負担という部分の中でそこのところがよくわからないので、恐れ入ります、もう一度御説明をいただけませんでしょうか。
  12. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 一般的なことから申しますと、目的税よりも一般財源でいろいろな必要な支出を賄った方がいいとは思います。しかし、今の社会保障制度を全部税で賄うということになりますと、現在の財政状況考えて、かなりの増税をしなければならない。果たして理解が得られるか。ということから考えますと、給付負担ということが税よりもより明確になっている社会保険方式の方が私は理解を得られるのではないかと言っているのでありまして、今の委員の御指摘からいいますと、社会保険料に係る負担も全部税で面倒を見るとなると、現実問題として、それじゃどこの部分増税するのかという問題に立ち返ってきます。果たして、そこを提案するのに具体的なことが言えるかどうか。政治問題、してくると思います。  その観点で、それじゃ国民増税を受け入れるかどうか。それは選択の問題だと思います。政党のよって立つ基盤もあると思います。そこは国民が判断すればいい。
  13. 山本孝史

    山本(孝)委員 委員会審議の中で福島議員も申し上げていたと思いますけれども、今回の委員会審議の中で一貫して流れているお答えは、今、増税を求めるのは無理なんだ、この春から上がった消費税ですらこの状態なんだから、国民増税を受け入れない、したがって、財源が足りないときは社会保険方式でお願いするしかないのだというのが議論が始まったときの初日の御答弁であったというふうに思います。その考え方でいっているのが本当にいいのですかということですね。  東京で行われた参考人招致のときに、自民党の方からお呼びこなりました参考人の方も、本来は税でやるべきではないかと。国民も今きちんと説明を受ければ負担をするのではないですかと。問題は、今、税の使われ方というものに対して国民大変疑念を抱いている。きっちりとした税の使われ方がされているならば、我々は払うことにやぶさかではないというお考えだったというふうに思うのですね。  そこのところ、政治の世界がきっちりとした負担というものを求めていくということがなくて、税という話をきっちりと使い道も明らかにしない中で、財源が足りないから社会保険方式に行くのだというお考え方には、どうしても私は納得できない部分があるわけです。  そういうことでいけば、繰り返しになりますけれども、社会保障制度あるいは福祉制度というのは国民全体が支え合っていくものだ、その中において、社会保険方式という形で安易に財源を求めていく、障害者部分もそういうふうにしていきますよ、あるいは児童、母子にかかわる部分もそうしますよというような形になってしまうのじゃないか。そこのお考え方を、政府というものが今後、社会福祉社会保障分野の中で一体どういう役割を占めるのだというところが、今度の財政構造改革会議のお話を聞いていてもいまいちよくわからないのですね。もう一度、政府並びに厚生大臣のこの点に関するお考えをきっちり述べていただきたいと思います。
  14. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 これは、前にも答弁いたしましたけれども、社会保障制度に関する考え方の問題だと思います。  昭和二十五年度において、社会保障制度審議会勧告に、次のようなことが言われております。  国民が困窮におちいる原因は種々であるから、国家が国民生活を保障する方法ももとより多岐であるけれども、それがために国民自主的責任の観念を害することがあってはならない。その意味においては、社会保障中心をなすものは自らをしてそれに必要な経費を醵出せしめるところの社会保険制度でなければならない。 昭和二十五年度の社会保障制度審議会勧告であります。  平成七年度の「社会保障体制の再構築」という勧告において、   社会保険は、その保険料負担が全体として給付に結び付いていることからその負担について国民の同意を得やすく、また給付がその負担に基づく権利として確定されていることなど、多くの利点をもっているため、今後とも我が国社会保障制度の中核としての位置を占めていかなければならない。したがって、増大する社会保障財源として社会保険料負担中心となるのは当然である。 昭和二十五年と平成七年度の社会保障制度審議会勧告、私は、この意見に同調しております。
  15. 山本孝史

    山本(孝)委員 敗戦後の日本が、日本社会保障制度を組み立てるのにどうするか、イギリスの制度に倣いましょう、ビバリッジ報告に基づいて社会保険制度中心にやっていきましようという考え方でやってきたことは事実ですね。しかし、そこは、保険という原理が貫徹していればそれでいいのです。しかしながら、今、今回の介護保険もそうですけれども、二号被保険者という方たちは、自分の払っているお金のほとんどが一号被保険者に対する給付に回っていく、負担給付の関係ということが明確ではないわけですね。  そういう意味合いの中において、冒頭申し上げたように、この社会保障制度審議会勧告が全く同じだ、日本社会保障という考え方が同じだといっても、そこは、保険原理が貫徹しているからそれは言えることであって、全く違う制度を持ってきて、こういうふうに勧告が同じだからという話をしても余り説得力がない。今大臣、声を大きくしておっしゃいましたけれども、私は、そこは説得力余りないのじゃないかというふうに思っているわけです。.それで、申し上げているように、では、こういう考え方でいってしまうと、どんどん国民に、何でもみんなで負担をし合うのだから、社会保険方式負担給付の関係がわかりやすいから、そうしてくださいよということになると、一体政府というのは何なんですかという形にどうしても私は思ってしまうわけですね。  それで、今回も財政構造改革会議の中でいろいろと議論をなさっておられるようです。医療年金に対しては、負担増、給付を下げるという形のお話が出て、細かな話がいっぱい出てきます。きょうの新聞も、高額所得者に対しては医療年金給付は制限するのだという考え方を一つ盛り込みをされておられるようですけれども、前回申し上げましたけれども、保険というものが契約という考え方の中でいくならば、払っているから将来もらえるのだという話の中で、政府が一方的に土俵をずらしていって、高額の所得の場合には給付はしませんよというような形をとってくると、これは保険という原理にはなじまないというか、約束事をたがえてくるのではないかと。考え方としてはわかりますけれども、そういう方向が本当にいいのかどうか、よく議論をしていただきたいというふうに思います。あと、社民党の方にも、この点については後でお聞かせをいただきたいと思っております。  今回の介護保険法案の中で、この財政問題について、もう一点だけ確認をさせていただきたいと思っている部分があります。それは、国の負担は調整交付金を入れて二五%であるというふうに定率の負担を打ち出しておられるわけですけれども、今後、国の財政状況が悪くなってくるという状況の中で、この二五%の負担割合というものは後退することはないのかというふうに心配をするわけですけれども、この点についてはしっかりとした御答弁はいただけるものでしょうか。
  16. 江利川毅

    ○江利川政府委員 介護保険制度におきましては、現行の高齢者介護関連の制度との整合性、また保険料が過大にならないというようなことを配慮しまして、保険給付に必要な費用の五割を公費負担する、その半分を国費で負担するというふうになっているわけでございます。現行制度におきまして、福祉サービスは基本的に自己負担以外は公費で賄われているわけでございますし、それから、医療で賄う部分というのは、介護的な要素のところは現行制度でも半分公費があるわけでございます。そしてまた、そういう現行制度との関係、それから、民間事業者などの参入によりまして全体の給付が効率的に行われるのではないかというようなこと等から、今度の制度は、この新しい介護保険制度は国費の安定的な確保に資するものであるというふうに考えているところでございます。そういう意味で、基本的に、今後の運営におきまして、この制度をこのような形で維持していくということは基本でございます。  ただ、新進党の先生方の御議論の中には、この制度を全額公費でやるべきではないかという御議論がありましたし、検討規定、附則に設けておりますが、この制度のあり方を見直すということになっているわけでございます。それは、全くそういうものを排除するかどうかということは、恐らく、この制度が動いていった後の国民意見、そういうものによるのではないかというふうに思いますので、私どもは、基本的にはこの骨格を維持して運営すべきものと考えておりますが、附則におきまして、全体のあり方を見直すという規定が設けられているところでございます。
  17. 山本孝史

    山本(孝)委員 次の質問に触れてお答えになっている部分もあるのだろうと思いますけれども、逆に、公費負担割合をふやすということはあり得るのか。検討規定の中にはそれらしき部分も読めるわけですけれども、実際の保険の運用に当たる市町村側からすれば、公費負担割合、特に国の負担割合を下げられるという部分は、また約束が違うという話にもなるわけで、ふやしていくという考え方については検討するのだというところはあるということですけれども、財政状況悪い中で、大蔵省もあるいは政府全体として責任を持って、少なくともこの二五%という枠は国としてはきちんと担保していくのだというお考えを、ひとつ大臣、はっきりと示していただきたいというふうに思います。
  18. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 この介護保険法案においても、社会情勢の推移を見きわめて検討するという条項も入っておりますし、国費の割合については、今後、検討する場合も当然出てくると思います。
  19. 山本孝史

    山本(孝)委員 大臣の御答弁、全く素直にそのとおりなので、検討するときに下げるということも検討し得る、下げるということも検討しなければいけないということなんですかということなんです。
  20. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それは、上げるか下げるか、そのときの社会情勢によっても違ってくると思います。それはまた、サービス状況、民間の参入度合い、国民の感じ、すべて、上げるのも下げるのも検討の対象になり得ると思います。
  21. 山本孝史

    山本(孝)委員 今、法律の中でしっかりうたわれている国費二五%の負担という部分も、将来検討する中では下がることもある、あるいは上がることもあるというお考えというふうに思いました。  今回の介護保険制度のつくり方というのが大変うまくできているというか、厚生官僚がよく考え出した形だなというふうに思いました。  まず、各市町村単位に事業計画を立ててもらう。それを全国で集めてくる。そしてその費用を、半分は公費で持ちましょう、人口割合で一七%は一号被保険者に、三三%は二号被保険者に持っていただく。したがって、健康保険のように、まず保険料を集めて、出来高払いで払っていきますと幾らでも赤字が出てきますけれども、今回の制度の中においては赤字は出ないという仕組みになっている。給付負担の関係がよりわかりやすくなっているというけれども、これも我々委員の方から指摘しましたように、負担給付の関係が非常によくわかる。これだけの負担をしていただかないとこれだけのサービスは提供できませんよという話になる。各市町村も、サービスが少ないから保険料を下げていいのだという形で、そこも調整がつくようになっている。その意味において大変にうまい仕組みであるというふうに思います。  国民に、きっちりとした負担をせよ、今、国は二五%持つか持たぬかわからぬけれどもという御発言でしたが、そういう制度の中で、第一号被保険者というものは各市町村の条例で定められていく中で保険料が決まる。各市町村単位としては、こういう事業サービスをやりたいのだという計画を立てて、提示をしながら、したがって、一号被保険者にはこれだけの負担をしていただきますという話。それは条例に書く。これは大臣の御答弁にあったように、地方議会がしっかりすればいいのだ、地方の議員さんがしつかりとその審議の中で各事業計画をチェックすればいいのだ、一号被保険者負担考えればいいのだというお話でした。  問題は、第二号被保険者についての保険料ですね。第二号被保険者保険料の決め方というものが、全体の事業計画が決まる中で、その部分については各保険者が納付をしてください、その納付の仕方については標準報酬月額に応じて今の健康保険制度の中で上乗せをして取ってくださいという仕組みになっている。ここのところが、第二号被保険者と言われていながら、今もいろいろ保険者機能というのが問題になってきますけれども、第二号被保険者保険料の決め方というのが結局法律の中にはしっかり書いてないわけですね。我々としては、そこをもっとわかりやすく明示的に書くべきだ、あるいは料率を書いてもいいのではないかというぐらいこまで申し上げたわけですけれども、言ってみれば、幾ら取られるのか、幾ら納めなければいけないのかがわからない。  先回もお聞きしましたけれども、二千五百円というのは今の事業計画の中で置いてみた仮の数字というか、今でいけばこうである。平成十二年はもっと恐らく単価は違うでしょう。事業計画そのものが決まらないとこの二千五百円という数字も、実はもっと大きく動くのです。組合健保の場合は三千四百円ということになる。国保の場合は千二百円ということになるというふうに、入っている保険制度によって金額もまた違ってくるという話ですね。  こういうふうに第二号被保険者保険料が実際に払っている人たちの意思と違うところで決まってくるような仕組みになっているという部分が、私はちょっと納得のしがたい部分だと思います。しかも、事業計画を立てるときに厚生省が指針をお出しになる。その指針の書き方によって随分違ってくるのではないか、そういうふうに思うわけですね。  こういうふうに自動的に負担が上がっていってしまうのじゃないかという心配をしているわけですけれども、そういう仕組みにはなっていないというふうに説明なさるのか。二号被保険者にとっては自動的に保険料が上がっていくのじゃないか、一体どこがチェックするのだというふうに思うわけですが、明快な答弁を求めたいと思います。
  22. 江利川毅

    ○江利川政府委員 第二号被保険者保険料でございますが、これは確かに、市町村介護費用、その積み上げによって計算して出てくるものでございます。  ただ、市町村介護費用、それぞれの事業額といいますのは、介護保険事業計画を策定して、それによって供給量を見込んで、それで出てくるわけでございますが、これを策定するに当たりましては、一号被保険者、二号被保険者の意向を踏まえて作成していくということになるわけでございます。  それからまた、第一号被保険者保険料は条例で定めることになるわけでございますが、当然、それは給付費全体の中で位置づけられる。私どものとりあえずの構造でいいますと、その市町村における介護費用、総数の一七%ぐらいというのが一号被保険者になるわけでございますから、そこの総給付費から一号被保険者保険料が決まる。そこは条例で決めていく。市議会等の議会にかかって決まるわけでございます。それに連動して決まるわけでございますから、そういう仕組みを通じて、いわゆるチェック機能というのでしょうか、保険料負担のチェック機能というのは全体としては働いているのではないかというふうに思うわけでございます。  また、第二号被保険者保険料率につきましては、介護保険法とかあるいは健康保険法などによりまして算定方式が書かれております。例えば、政管健保についていいますと、一つの算定方式があって、こういう方式で保険料率が決まるのだというふうに書いてあります。そしてまたさらに、この介護保険料率と政管健保の医療保険の方の保険料率、それを足し合わせまして、これが千分の九十一の範囲内におさまるようにということになっているわけでございまして、制度的には保険料の上限につきまして歯どめ措置が講ぜられているというふうに考えているところでございます。
  23. 山本孝史

    山本(孝)委員 百十六条の「基本指針」で、厚生大臣が基本指針を定めるということになっております。基本指針には「次に掲げる事項について定める」ということで三つ置いてあるわけですけれども、二項のところに、「介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込みを定めるに当たって参酌すべき標準その他当該市町村介護保険事業計画及び第百十八条第一項に規定する都道府県介護保険事業支援計画の作成に関する事項」というふうに定めてあるわけですけれども、ここの「種類ごとの量の見込みを定めるに当たって参酌すべき標準」というのは一体何を指しているのか、説明をお願いしたいと思います。
  24. 江利川毅

    ○江利川政府委員 三年ごとに事業計画を見直す、五年間単位の計画をつくっていただくというようなことになっておりますが、それを策定するに当たりまして、厚生省サイドから基本指針をお示しするということこなっております。  この基本指針に入れ込みます「参酌すべき標準」の話でございますが、これは、市町村介護保険事業計画を策定するに当たりまして、サービスの種類ごとの量の見込みをどう定めるべきかという指標、例えば、ホームヘルプサービスというのは大体週何回ぐらい派遣するのか、要介護老人についてはどういう範囲で考えるべきか、虚弱老人についてはどういう範囲で考えるべきであるとか、あるいは機能訓練というのは大体どういう考え方サービス量を考えていくべきか、つまり、標準的な介護保険制度に基づく給付考えていく場合に大体目指すべき水準というのはどういう範囲で考えていくか、そういうものを定めるというふうに考えているところでございます。  したがいまして、基本指針に定めます「参酌すべき標準」といいますのが三年のローリングごとに見直されていくというものでは基本的にはないのではないか。いわゆるこういう目標、こういう水準を目指して計画を考えるべきである、そういう考えるべき標準というのがありまして、その達成というのは、その地域におきます例えば高齢化の進行によって基盤の厚みが変わってくるわけでございますが、「参酌すべき標準」というのは、微調整というのはあるかもしれませんけれども、基本的にこういうものを目指して決めるべきだ、そういうものが定められるもの、そういうことでございます。
  25. 山本孝史

    山本(孝)委員 ちょっとよく説明がわからないのですけれども。  要介護度別にモデルを示しておられますよね。要介護度Ⅰの人はこういうサービスを受けられるのだ、要介護度Ⅱはこうだというふうにおっしゃっておられる。各市跡村は、それぞれ独自のアイデアでもって、我々はこういうふうにやっていきたいのだということを考えていかれる。恐らく、ある市町村におければ、在宅を重視していくのだというところもあれば、ある市町村におければ、いや、もっと施設介護中心にやっていくのだという市町村のそれぞれの判断があるわけですね。そういうものがあって、いわば皆さんの売りは、市町村がそれぞれ独自のサービスでバラエティー豊かにおやりになる中で市町村格差が出てきて、隣の町よりうちの町がおくれているからといって首長が怒られるからサービスが上がっていくのだというふうにおっしゃっておられるわけだけれども、今、見直しをしていくものでもないとおっしゃるのであれば、一番最初につくったその指針というのは、結局、今おっしゃっている、事業計画の中に盛り込んでおられるモデルのようなものなんだ、モデル事業のようなものが、それぞれ各市町村において、この要介護度であればこういうサービスをしなさいということのモデルを示しておられる、それをこの指針の中でお示しになるということなんですか。
  26. 江利川毅

    ○江利川政府委員 「参酌すべき標準」としましては、今御指摘になりましたような標準的なモデル給付、こういうものを念頭に置きまして、例えば、ホームヘルプサービスであれば、要介護度に応じて、どれぐらいの幅でホームヘルプサービスを行うのかとか、あるいはデイサービスというのはどのくらいの幅で行うのか、そういうようなことを定めていくというふうに考えております。ですから、いろいろ幅がありますので、その幅の中で市町村ごとのウエートのとり方というのは出てこようかと思います。
  27. 山本孝史

    山本(孝)委員 「参酌すべき標準その他」と書いてありますけれども、「種類ごとの量の見込みを定めるに当たって参酌すべき標準」と書いてありますから、量ですね。週何回行くのだ、あるいは週何時間のホームヘルプをするのだというところの量である、その金額ではないということだと思いますけれども。  今のお考えでいくと、ある意味でいけば、国は指針の中で、各市町村はこれ以上はやらなきゃいけないですよ、しかしこれ以上はやっちゃいけませんよという、下限と上限を各要介護度別のサービスの支給量として決めるということですか。
  28. 江利川毅

    ○江利川政府委員 この「参酌すべき標準」に相当するようなものは、実は現在、新ゴールドプランをつくるときに、市町村の保健福祉計画を作成するときにも一つは示しているわけでございます。これは、「参酌すべき標準」ということでありますから、義務づけということではなくて、絶対これに従わなくちゃいかぬということではありません。一つの標準として、それをもとに事業量を考えていただく。それを上回っちゃ絶対いけないとか、そういう上限を義務づけるというものでは必ずしもございません。
  29. 山本孝史

    山本(孝)委員 「参酌」というのは、辞書で引きますと、「参考にすべき意見」というふうにたしか出てくると思いますけれども、参考にするというのはまさに参考だというふうにおっしゃるのだけれども、でも、国のこれまでのやり方をずっと見ておりますと、この範囲内におさまらなければだめですと。今回のそれぞれの交付金の支給の仕方も、こういう算定でやりますよということに今なっている。ゴールドプランをおつくりになるときも、要介護率はこういうふうに上がっていくでしようというパーセントを、全国から見るところですよというのをお示しになった。こういうサービスがよろしいのではないかというふうにお出しになった。余りいいサービスをやっているとだめですよということをおっしゃっているのだと私は思う。多分、第二号被保険者から集める保険料を全国に配分しなきゃいけないわけですね。しかも、一号保険料部分の、五%の調整交付金の部分もきっちりとした配分をしていかなければいけない。配分をする中においては、国が考えている基準から余りにもいいサービスというか、万々でいっているところはやはり抑えなきゃいけないだろうし、整備がおくれているところについてはもっと出さなきゃいけないという傾斜的な配分をしなきゃいけないということだと思うのですね。こういう意味に聞こえれば、国がコントロールできるサービスの上限、下限の中にいてくれないとなかなかやりにくいのだということのあらわれが、ここの、介護保険事業計画に当たって指針を策定するのだということじゃないかというふうに読めるわけですね。  それで、最初つくるときですから、最初の事業計画、今回、施行されるに当たって事業計画をつくるに当たっては、一つそういうものをお出しになるのだろう。その後は三年ごとの見直しの中でまた、こういうふうにしなさいよ、もっと在宅を中心にやっていきなさい、だからこういうモデルにしなさいというふうに国としてはおっしゃるのじゃないですか。
  30. 江利川毅

    ○江利川政府委員 サービスの標準モデルがあるわけでございまして、この介護保険制度は、いわゆる標準的な給付水準を確保するというのが基本でございますから、標準的給付水準を超えて手厚い給付をするといいますのは、これは、超えた部分につきましては、市町村の独自事業で行うとか、あるいは、一号被保険者保険料で、ある別の給付で追加をするとか、仕組み上はそうなっているわけでございます。標準的な給付を確保するという意味で、そういうものを前提に、おっしゃいますように全体の制度は運営される。  ただ、「参酌すべき標準」といいますのは、やはり地域特性というのはあり得ると思いますので、そういう全体として標準的なサービスの中身であれば、その内訳がある程度ばらつきがあることは当然あり得ることではないかというふうに思っております。
  31. 山本孝史

    山本(孝)委員 もう一遍聞きます。三年ごとの事業計画の見直しの中に、再び国としては策定指針を出されるのですか。
  32. 江利川毅

    ○江利川政府委員 三年ごとに必ずそういうものを出すという考えではございません。まず、標準的な給付水準を確保するということを念頭に置いて、参酌すべき指標というものを示す予定でおりまして、そこら辺は、到達の度合いというのは段階的になる市町村もあろうかと思いますけれども、それはそういう市町村もあろうかと思いますが、指針としては、基本的にはそういう標準的な給付水準を念頭に置いて考える。そういう意味で、三年ごとにそれが改まるということはない、実情に応じて、当然、改善したり見直したりすることはあり得ますけれども、必ず三年ごとに改めるというものではございません。
  33. 山本孝史

    山本(孝)委員 質問を変えます。  今、モデル事業としてお出しになっているあのモデルプランは、厚生省としては今、言ってみれば最大限ここまで持っていきたいと思っておられるプランであってというお考えでやっておられる。制度が始まっても、今四〇%しか給付水準としてはないわけですから、だから、そこまでいかないわけだから、三年ごとの見直しは定期的にやる必要はないのだろうけれども、やってみて、あれが一番いい制度なのかどうかというところの見直しもあると思うのですね。  そういう意味合いにおいて、策定指針というのは常に変わっていくものじゃないのだろうか。国が指導しながら全国うまく、私に言わせれば税金と同じなんだから、だから、税金をうまく渡していくという限りの中においては、全国的なスタンダードのレベルはこういうふうに置いておこう、上限と下限の間。それをコントロールするのはこの策定指針なんですね。この策定指針の範囲内におさまっていてくださいということを言っているわけでしょう。私はそうとしか理解できないのだけれども。  そうすると、この策定指針のつくり方によって、結局、全部のサービスの事業量というのは変わってくるのじゃありませんか。これ以上の、策定指針に示されているところ以上のサービスを提供されるときは、それは市町村独自負担でやってくださいよということを言っているというふうにここの百十六条は読めるのですけれども、そう読むのはおかしいのですか。
  34. 江利川毅

    ○江利川政府委員 御指摘の前段の部分の、いわゆるこのモデル的な給付水準が固定的であって永遠に変わらないというようなことでいけば基本指針は変わらないだろうけれども、果たしてそうだろうかということにつきましては、一応こういうモデルを前提に考えていきますが、制度の実施状況を見て、当然、それはいろいろな意見を踏まえて見直しをするということはあり得るわけでございます。そういう意味で、基本指針を三年ごとに見直すということは確定的ではありませんが、この実施の過程において、基本指針のあり方について検討が加えられることは当然あるわけでございます。  それから、後段の方でございますが、後段につきましては、要介護度に応じて給付の上限というのが定められるわけでございます。今のモデルでお示ししておりますのは、虚弱の場合には月六万程度とか、あるいは最重度の場合には月二十九万程度という数字をお示ししておりますが、そういうような給付の限度額というのがあるわけでございまして、その範囲内でサービス組み合わせ給付を受けていただく。その上限を超えてなおサービスを受けるという部分につきましては、市町村がその事業をやるというのであれば、単独事業になるか、一号被保険者からの保険料で特別に行うか、そういう形になるわけでございます。
  35. 山本孝史

    山本(孝)委員 いずれにしても、市町村が事業計画を立ててくる、積み上がってくる、そこの中において国費の負担分も決まれば、この一号被保険者、二号被保険者保険料も決まるという仕組みになっていますので、この事業計画の立て方そのもののあり方がやはり極めて問題であろうというか、そこをだれがチェックするのだという部分があると思います。  次の質問こいきます。  今回、高齢者負担という問題について、やはりもっと真剣な議論が要るのじゃないかというふうに思っております。ここしばらくのこの国会議論の中におきまして、医療保険もそうでしたけれども、あるいは今の政府・与党の財政構造改革会議もそうですけれども、高齢者所得がよくなってきたのだからもっと負担を求めていけるはずだ、あるいは、高齢者に対しての給付をもっと下げるのだという議論で大合唱になっているのじゃないかと思うわけですね。  社民党さんにぜひお伺いをさせていただきたいのですけれども、厚生省自身が調査している国民生活基礎調査によれば、高齢者世帯で年収百万円以下の低所得者が九十四万世帯、一六・七%を占めているというわけです。本当にこういう数字ですかというふうに厚生省の統計情報部に聞きましたら、私たちがやっている数字ですから間違いありませんというお話でしたけれども。  こういう低所得者が多い中で、私は、介護保険保険料負担というのは医療保険保険料負担以上に重たくなってくるのではないかというふうに思うわけです。医療保険審議の中で、高齢者負担というものについて、社民党さんは随分反対をされておられる。かねてからの主張としてはそのように承っておりますけれども、今回の介護保険高齢者に対する負担というもの、自己負担部分を含めてどんなふうにお考えであるのか、御所見をお伺いさせていただきたいと思います。
  36. 中川智子

    ○中川(智)委員 山本委員介護をされたことがおありかどうかわからないのですけれども、介護という経験ですね、私は、夫が一人っ子だったので、両親をたった一人でずっと介護をしてきたのです。そのときに、本当にもう洋服も要らない、三食の御飯を一食にしてもいいからだれか介護を、本当に国が介護をということを実感してきました。  その中で、今回の介護保険法というのは、日本の国が歴史始まって以来初めて介護の問題に対して手をつけていくものです。そこのところで、おっしゃったことはとてもよくわかるのですが、やはりみんなでつくり上げていきたい。その意味で、社民党は、一貫して利用者意見をと、この中に市民をきっちり入れて、これからのさまざまなものに対して一緒になっていいものをつくり上げていきたいということを申しておりましたし、今回でもそのようなことが盛り込まれるというふうに出されていますので、そこのところで、それに対する不安は払拭し、一番最初に、やはり低所得者に向けての負担が過重にならないようにということをこれからも変わらず言い続けたいと思います。  この際ですから、介護保険法がぜひともたくさんの女性たち、特に介護で今うめいている女性たちにとって一筋の光であるというところに立って、私はやはり早く成立させたいという思いが一点ございます。  それともう一つは、これは誤解を招かれたら困るのですけれども、私たち、普通のサラリーマンというか、営々と日々生きてきて、一番最初に、小さくてもいいから家が欲しいと思って細々と貯金します。それが終わったら、次に老後がとても不安だから、それに向けてやはり毎月ちょっとちょっと貯金します。今、やはり老後に不安を抱いている人が物すごく多い。ですから、そのような状況国民の中にあって、国が介護にこのような法律を出すということに対して、全部が全部負担が重くなるのじゃないかということに対して、何しろスタートはしてもらいたい、その後は一緒につくり上げていきたいという声を物すごく多く聞きます。  もう一つ、私、ぜひとも言いたいのですけれども、政治献金を本当に今すぐにでも廃止して、公共事業でもばっさり切ってやっていけば、山本委員がおっしゃっていることはできると思います。それをともにやっていくのだったら、税でやっていきましょう。心からそう思います。  そして、質問のことですが、保険料所得の段階となっていることや、利用料の上で食費や高額介護サービスなどで配慮される、そのことは盛り込んでおりますし、絶対にこれ以上そこがふえないように、市民参加をしてみんなでつくり上げていく、そのために政治献金のことは声を大にして、公共事業をばっさりで、頑張りましょう。
  37. 山本孝史

    山本(孝)委員 質問にちゃんと答えていただきたいのですね。この間の医療保険のときから大変御答弁はお上手になってこられたというふうに思いますけれども。  今回の審議の中で、私も石毛先生も何回も重ねて質問しましたけれども、高額介護サービス費の上限額については結局示されませんでした。保険料負担についても、減免の免はありません。免の場合は災害の場合等で免であって、減しかありません。五割減というところでも必ず負担をしていただくというのが今回の介護保険法の一号被保険者に対する負担のあり方です。一割負担という部分も、今、特別養護老人ホームに入っておられる方は五年間の経過措置というのがありますけれども、法施行後に入ってこられる方たちは、必ず御負担をしていただかなければいけない。今は応能負担になっていますから、むしろ今の方が、私は、社民党の考え方でいけば、今の例えば特別養護老人ホームに入っておられる方の御負担のあり方というのは、本人もしくは御家族に所得があれば、その所得に応じて御負担をいただくのだ、低所得の方には御負担をしていただかないのだという形で、今はどちらかといえば、社民党的な考えでいけば公平、公正な負担になっているのじゃないか。  法ができますと、施設入所者は定率一割負担をするということになる。その負担は決して軽いものではないのです。そこのところをしっかりと認識した上で、社民党としては今後とも高齢者に対する負担を求めていくという姿勢なのか、その点についてきっちりとした御答弁をいただきたいと思います。
  38. 中川智子

    ○中川(智)委員 それに対しては、最初から社民党が主張していることをその中でしっかりと実現していく。決して社民党の方針が変わったわけではありません。
  39. 山本孝史

    山本(孝)委員 しっかり御議論された上でこの法律になっているのだ、この法律はお認めなんだと。いつも与党か野党かわからないような御発言をされますけれども、与党という立場で今回の法律は社民党としては賛成なんだ、したがって、その中に盛り込まれている高齢者に対する負担としては、いつも大臣がおっしゃっているこの程度という言葉がありますけれども、社民党としてはこの程度の負担高齢者に対しては当然なんだということのお考えなんですか。
  40. 中川智子

    ○中川(智)委員 いえ、この程度というあいまいなところでは、そのように申してはおりません。そして、負担に関しては、やはり一割負担というのが低所得者にとってどのように重いかということをきっちりと、どのような形でその負担を低所得者高齢者の人にとって軽減できるかということで、社民党の内部では議論をこれからもしていって、その見直しのときにそこのところを盛り込むよう努力する覚悟でおります。
  41. 山本孝史

    山本(孝)委員 社民党らしくない御答弁だというふうに思います。  私、最後にももう一回御主張申し上げたいと思いますけれども、法施行前であってもぜひ法律の見直しというのはされるべきだというふうに思います。  もう一点、今回の修正議論の中でいろいろと問題になっておりますいわゆる加齢疾病条項云々の部分です。  我々も、加齢疾病条項は削除すべきだというふうに御主張申し上げました。それは、一つには、介護保険というか介護保障制度というものが、私たちは、すべての要介護者と申し上げました。民主党さんは、要介護状態にある人たちに対する保障制度であるべきだというふうにおっしゃった。私たちがそういうふうに主張したもう一つの理由は、二号被保険者部分が、年齢と原因によって、同じ保険事故でありながら、一号被保険者と違って給付が制限されるという形はおかしいのではないかという点の二点でもってこの加齢疾病条項の撤廃、削除を要求したわけですけれども、政府側としてま、ここは実質的に後で組み入れられたところで、外しても問題はないのだけれども、しかし外すわけにはいきませんということで、外すことには反対ということになりました。  この外す外さないの議論というのは、制度上の問題もありますけれども、要は、この介護保険制度というものを将来どういう制度に持っていこう、としているのかというところの考え方が如実にあらわれてくる部分だと思うのですね。外さないという立場からすると、これは高齢者に対する介護保険制度なんだということでいくのだということを中心に言っておられる。あるいは、外すという立場からいいますと、全部の要介護者に対する制度というものにだんだん変えていこうというふうなことになるのだということです。  大臣は、桝屋委員の御質問で、私も実は全部の要介護者に対する制度にしていった方がいいのですという御答弁をされておられますけれども、まず大臣の方からお伺いをしますけれども、この介護保険制度の将来の給付対象というものは一体どういうふうにお考えになっておられるのか、もう一度お伺いをしたいと思います。
  42. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 高齢者に対するこの介護保険制度は、いざ法を施行し実施していく中で定着していくと、将来は要介護者には全部適用するという方向になってくるのじゃないか、私はそういう感じを持っておりますが、まずは高齢者に対してこの介護保険制度を導入しようということで、その実施状況を見なければならぬと思います。そういう中で今後の検討を進めていけばいいのではないかなと思います。
  43. 山本孝史

    山本(孝)委員 大臣、もう一つ重ねての御質問で申しわけございませんが、今、医療制度の改革がこちらで考えられておられますね。八月いっぱいに、今回の健康保険法の審議の中で、将来の医療保険制度の抜本改革案を出すのだということになっております。  その中で、高齢者医療制度というものをどうするのだということが当然議論の過程になってくる。今の老人保健拠出金制度をどうするのだという話だと思いますけれども、その考え方の中で、高齢者医療というものに対する制度と、今回一の、いわばスタート時点としては高齢者介護に対する制度というものとの一体化といいますか、一元化というものはお考えになっておられないのですか。
  44. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 介護保険医療保険、できるだけ整合的に両者が相提携協力してこれからの社会保障制度を支えていこうという観点からすれば、私は、介護保険制度医療保険制度、それぞれ連携していく必要があると思いますから、この抜本改革案によりましても、平成十二年度に介護保険制度が導入される、そのときの状況考えながら抜本的な改革に取り組んでいきたいと思います。
  45. 山本孝史

    山本(孝)委員 今の時点でお考えを示されるのはなかなか難しいとは思うのですけれども、大臣の御答弁のとおりに、介護保険制度というものができて、すべての要介護者に対する、若年障害者に対する介護給付制度という形にしていきたいのだという考え方がおありになる。それはよくわかりました。  こちら側で、高齢者医療制度というものが何らかの手当てをされなきゃいけない。医療介護ということの連携が当然ここに出てくるわけですね。その考え方の整合性をとっていこうといいましょうか、医療介護を一体的に高齢者の保障制度をつくっていこうと思いますと、余りここの若年障害者のことを言い始めますと制度が非常に難しくなってくるのじゃないか、そういう意味でいけば、ここは違う御答弁のあり方があるのかなというふうに思っておりまして、高齢者医療制度というものとの関連性の中で今回の介護制度というものをどういうふうに位置づけておられるのかという質問なんですけれども。
  46. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今回の介護保険制度導入は初めてのことでありますから、最初からより完全なものというのは難しいと思います。やはり当面の財政状況を見ながら、まずは一番必要としている高齢者介護状況にどう対応していこうかというのが政治の大きな課題であるということを考えますと、私は 今回の法案をまず導入して そして実施状況を見て判断するというのが適切ではないかなというふうに考えております。
  47. 山本孝史

    山本(孝)委員 という大臣の御答弁なんですが、民主党にお伺いをしたいのですけれども、加齢疾病条項の撤廃、削除という問題は、修正要求されておられた中で決して低いものではなかったというふうに思います。ある意味でいけば、あっさりと妥協されて、そこの部分は変わらなくてもいいということになったわけですけれども、今回できる介護制度の将来像というものを民主党はどういうふうにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。     〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕
  48. 五島正規

    ○五島委員 山本議員の御質問はわかっていておっしゃっているのだと思うわけですが、民主党は、この法律案が基本的に四十歳以上の被保険者によって構成される保険であり、したがって、四十歳以上の被保険者が同時に給付者にもなるというこの法律の骨格について、修正を出したことはございません。  ただ、理念の問題として、まさに山本議員がおっしゃるように、では将来的に介護というものをどう考えるのかということを考えた場合に、目的規定の中にまでそれをもう一度うたう必要があるのかということで修正の要求を持ったことは事実でございます。  しかし、現実問題として、この問題を障害者全体に対する介護の問題にしていくためには、現在進行しております障害者プランのどのような進捗状態が見られるのか、その上で、障害者介護の問題を介護保険という形で統一化していくことが可能なのかどうかというのは、やはり障害者プランの進捗の状況を見ながら検討していかなければいけないという問題も多うございます。  したがいまして、その骨格部分について申し上げるとするならば、我々は、当面は障害者プランに基づいてその充実を図っていただきたいというふうに考えているわけでございます。そして、その結果において、実施五年後をめどとして行われる検討の段階において、障害者に要する介護の問題と介護保険との一体的な統一、さらには、四十歳以上という二号被保険者の存在そのものを含めてもう一度再検討がされるべきではないかというふうに民主党としては考えているわけでございまして、今回のいわゆる「目的」の中に加齢疾病条項が残ったということそのものが、今後の介護保険全体をいかに高齢者というところからより広く障害者全体に広げていくということに対して、障害にはならないだろうという前提のもとで了解したということでございます。
  49. 山本孝史

    山本(孝)委員 障害にならないことはないと思います。前段でおっしゃった部分と後段の結論にされている部分とは、私は、話が筋が通っていないのじゃないかというふうに思いますが、今大臣と五島先生の御答弁をお聞きして、この制度としては、当面、高齢者介護制度としてスタートしていく、若年障害者の皆さんはどうぞこの制度には御期待しないでください、障害者プランでやっていきますからという御答弁であったというふうに総括をさせていただきたいと思います。  もう一点、私は、健康保険料との関連で御質問申し上げた点で気になっている点がありますので、もう一度御質問をさせていただきたいと思います。  今回、介護保険制度ができることによって、今、健康保険制度の枠の中で老人拠出金制度として出ている部分が今度は介護保険からの支給対象になる、したがって、健康保険制度の中では財政負担というものが楽になって本当は保険料負担が下がるはずではないかということを御質問申し上げて、いや、健康保険料の料率を下げるわけにはいきませんというのが大臣の御答弁でございました。  厚生省から、「政管健保における介護保険負担額と医療保険負担減少額(平成十二年度)」という表をもらっておりますけれども、介護保険料としては二千六百円、八・九パーミル、医療保険負担減少額は千百円、四・〇パーミルというふうに、介護保険が入ることで医療保険としては負担が下がりますというふうな説明のされ方をしておられます。  そこで、もう一度お伺いをしたいのですけれども、健康保険料の料率は、今回、介護保険が入ることによって下がらないのでしょうか、下げるおつもりはないのでしょうか。大臣にお伺いをしたいと思います。
  50. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 今回、介護保険制度が創設されますと、老人拠出金の絡みで、介護保険の方で支出をする分については、その分、健康保険の方の支出が少なくなる、これはそのとおりであります。問題は、現在の健康保険、政管健保の状況を見ましても大変な赤字である、こういう状況の中でございますので、介護保険制度が創設されてその分給付費が減ったとしましても、現行の状況では保険料率を下げる状況にはないというふうに私ども考えております。  ただ、現行の制度介護保険が導入される平成十二年度までに抜本的な改革を行っていくというふうに考えておりますので、そういった中でこの辺の調整ということが出てくることはあり得ると思いますけれども、現行制度においてはこれを引き下げるような状況には至らないというふうに考えております。
  51. 山本孝史

    山本(孝)委員 今回の健康保険法の改正で、政管健保の負担が千分の八十五ということになりました。健康保険法の中に、上限としては千分の九十一だというふうに書き込みがしてあります。  そうしますと、今、千分の六というのが新たに上乗せして取れるというか、法律を変えない限りにおいては千分の六というのが介護保険料としての額になるのかなと思います。御試算いただいているところでいきますと、介護保険料率八・九ですから、この辺のところで範囲内ぎりぎりのあたりになってくるのかなというふうにも思いますけれども、実際に、もし介護保険の料率がどんどん上がっていくとなると、政管健保の上限額との絡みで、政管健保の上限額を上げていかなければいけないという話になってくるのですが、今の御答弁はそういうふうに理解してよろしいのでしょうか。
  52. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 今回の介護保険法施行法案の中で上限を規定しておりますけれども、千分の九十一という現行制度の政管健保の上限料率は変えておりません。そういった意味で、今回お願いしております医療保険の方では政管健保は千分の八十五でお願いしておりますから、その幅が千分の六ございますが、これは、介護保険料と医療保険に係る保険料を合わせた上限ということになっておりますので、そういった意味では、千分の六が介護保険料というわけではまずございません。  ただ、介護保険保険料率が今後上げなければならない状態になり、また、医療保険の方と合わせた場合に、それが千分の九十一を超えるというような状況が見込まれるということになりますと、上限を改定するということをしていかなければいけないだろうと思っております。
  53. 山本孝史

    山本(孝)委員 いろいろと御質問をしていた中で、千分の九十一というふうにここで頭打ちがしてありますということで、したがって、むやみやたらにふえていくわけではありませんという説明の根拠が一つここにあったのですね、千分の九十一というのが頭ですと。  今のお話で、要は、医療保険は改革をすれば保険料が下がるのかもしれないけれども、改革もなかなか難しい、医療保険保険料率を下げるような状況にはなかなかありませんというのがずっときょうの御答弁ですね。それで、こちらの方で介護保険保険料率というものが出てくる。どうしてもここが上がっていくというのは、サービスが上がっていけば当然上がっていかざるを得ないので上がっていくだろう。ということになれば、今度は、医療保険の方の料率を下げてでも千分の九十一の枠内で、介護保険の料率を賄いながら医療保険の改革でこっちを下げていくのだというお考えであればまだしも納得できるのですけれども、そうではなくて、上がるものは上がるのだ、今度は九十一を上げるのだというような高木局長の御答弁なので、そういう考え方でよろしいのでしょうか。大臣、どうなんでしょうか。
  54. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それは、理論的に言えば、上げることもあるし、下がることもある。しかしながら、これは、医療とか介護だけじゃありません。年金も含めて、福祉の全体を含めて、そして国民負担率の、五割以上をたえられるのか、五割以下に抑えるのか、財政状況、経済状況を見ながら決めるものであって、できるだけ国民負担率を下げる中でその問題は検討されるべきではないか。  私としては、今の財政構造改革の基本原則にあります、将来、国民負担率を五〇%を超えないような中でどうやって社会保障制度を整備していくかという観点から考えていくべきものではないかな、そう思います。
  55. 山本孝史

    山本(孝)委員 医療保険の改革をお考えになる中で、ぜひ、この介護保険の料率との絡みも含めて、千分の九十一を超えないような話にしなくては仕方がない。  先ほどの大臣の御答弁でも、介護保険が入ることで医療保険負担は下がりません、下げられる状況ではありませんと。ということは、国民の側から見れば介護保険負担は丸々増であって、時々の御説明の中では、医療保険の方で、こっちの方からこっちの方に振りかわりになりますからというような形で、新たな負担ではありませんというような御説明もありましたけれども、きょうも、もう一度確認をさせていただいても、介護保険料というのは新たな負担である、皆さんにこれだけの負担をしていただくのだと。  ということであれば、やはりこれは、政府の姿勢としても、今、上限が打たれている千分の九十一という中で医療保険を徹底的に改革して、むしろ千分の九十一、介護保険が入ってもさらに下がるのだというような御姿勢を示されないと、新たな負担を求められる側としてはなかなか納得しにくいな、私はこういうふうに思いますので、しっかりとした医療保険の改革をやっていただきたい。八月の終わりの案を楽しみにしております。  もう一点、この法案に関して考えておりますというか、極めて不足していると思っておりますのは、保険が導入されることによって、これは利用者サービス供給者の間の契約になるのですという考え方ですけれども、契約という考え方が法案の中にほとんど盛り込みがされていないというふうに思います。  先回の委員会で、枝野委員が、社団法人の全国有料老人ホーム協会の事件を例にとって質問をされておられました。私も、この有料老人ホーム協会の今回の公取の勧告という部分から見ても、事件の教訓としては三つあるのだろうと思っています。  一つは、有料老人ホーム協会は、老人福祉法で定められている指定法人になっている。その指定法人が、老人福祉法の精神にのっとって、入居者保護の義務を負うという形に法律の中に書き込まれておりますけれども、全く機能していないというところで、厚生省の協会に対する指導というのが極めて甘いというふうに思います。岡光前次官の一連の事件の中でも官と民との癒着というものが極めて問題になった。そういう中で、何年も指摘されながら、有料老人ホーム協会、一般の公益法人ではありません、法律の中にきちんと指定をされた法人であるところへの厚生省の指導がなぜこんなに甘いのかということは疑念を抱かざるを得ないというふうに思います。  二点目は、これは羽毛田局長の御答弁の中に、社会福祉施設運営指針を定めて、施設経営者や管理者がみずからの施設を自主的に評価するという方向に持っていきたいのだという御答弁がありました。しかしながら、今回の例もそうですけれども、業界団体というものが、加盟をしている業者への優先あっせんはしても、身内の監視だとか評価をするということは極めて難しいというのがこの有料老人ホーム協会の一件を見てもわかるというふうに思います。業界団体に、業界みずからをきちんとせいと言うことがいかに難しいかというのがこの有料老人ホーム協会の事件だと思います。  もう一点は、お年寄りが極めて辛抱強いというか、苦情を言わないという点にあると私は思います。あるいは、言えないという現実があるのだというふうに思います。この有料老人ホームというのは、言ってみれば不動産の購入と同じで、極めて契約というものに一番近い形にある施設だというふうに思います、今回、介護保険の対象にもなりますけれども。そういう中にお入りになる方は恐らく所得の高い方たちですから、社会的な経験あるいは学歴という部分も十分にお持ちになるだろう。その方たちがお買いになって入っておられる中で、ほとんど苦情が出てこない、表立ってなかなか出てこないというところが、お年寄りの弱い立場というものを極めて象徴しているというふうに思うのです。そういうことを考えてくるならば、今回の介護保険サービス事業者からのサービスを受ける、これは契約という中で行われるわけですから、措置ではなくて契約だということであるならば、法律の中にしっかりとした書き込みをすべきだというふうに思っているわけです。  そこで、この協会の問題について何点かお伺いをしたいと思います。  常に指摘されてきておりますこの重要事項説明書というのが一体どの程度交付されているのか。交付すべきだというふうに言われてきました。この点、どういうふうに事実を把握しておられますでしょうか。
  56. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お答えを申し上げます。  重要事項説明書につきましては、平成三年でございますけれども、設置運営指導指針の改正におきまして、そういう規定を設けました。その後、既存の有料老人ホームも含めまして、作成を指導してまいりました。その結果、平成八年現在で申しますと、二百八十のホームのうちで約八割の施設において作成されておるところでございます。  その交付あるいは説明につきましては、徹底が図られますように、都道府県あるいは今の全国有料老人ホーム協会を通じまして指導いたしております。各有料老人ホームにおきましては、重要事項説明書を作成いたしましたこの趣旨が貫徹をされますように、入居希望者にちゃんとそれを交付して、いわば契約をするための前提条件というものがきちっと契約をする当事者にわかるようにするということに努める、これは大変大事なことだと思いますので、そのような方向にいくようにやっておるところでございます。  なお、都道府県におきましても、重要事項説明書と大体同じような内容の現況報告というものを毎年徴収しておりまして、つまり、それぞれの重要事項説明書であれしている、いわば契約に当たっての、契約をします利用者がそれを見得る、それを知り得る状態というものはどういうふうになっているかということを把握いたしまして、別途、福祉事務所なんかにそういったものを配付しまして、その契約当事者間でちゃんとわかるようにしておくと同時に、行政としてもそういうものを、契約者たる利用者が見られるような状態を側面的につくるというような工夫もいたしておるところでございます。
  57. 山本孝史

    山本(孝)委員 社団法人全国有料老人ホーム協会の「介護サービスの共同化等に関する事業報告書」というのをきのういただきましたけれども、この中で、協会みずからが自分たちの施設に入っておられる方たちにアンケート調査をされておられる。  その結果として出てきたものとして、重要事項説明書の交付の時期、「もらっていない」あるいは「契約前」、「契約後」、いろいろありますけれども、こういうふうにお聞きをなさっておられる。そこの分析として、協会みずからが、「「契約後」との回答がかなり見受けられる点、「もらっていない」が最近でも一〇%近くある点は今後協会の指導監督の面で十分留意されるべきであろう。」というふうにおっしゃっておられる。重要事項説明書は、本来は契約を結ぶ前にきっちりとした説明、こういうサービス内容だということで説明をする文書であるにもかかわらず、「契約後」に交付されている、あるいは「もらっていない」が最近になってもこんなにあるのだということを、協会みずからが自分たちの調査で認めておられるわけです。  この点については、何回も公正取引委員会あるいは総務庁の行政監察局の勧告で指摘をされてきて、平成六年九月に行監の勧告がございました。それで、厚生省としては、老健福祉局長の私的な諮問機関である有料老人ホームの健全育成及び処遇の向上に関する検討会というものを設けて、「重要事項説明書の交付を制度上義務付けることを検討」するというふうに書いておられる。  平成七年十二月に、行監の勧告を受けてのその後の改善措置状況要旨というものがあります。厚生省が総務庁への報告の中で、協会内部に設置された共同化事業のあり方に関する検討会で、法的義務づけ等について検討しているというふうに行政監察局には厚生省は御回答されておられる。それを受けて出てきました報告書もいただきました。これを見ましたけれども、重要事項説明書の交付について検討したというのはどこにも出てまいりません。厚生省が行監にきちんと、改善措置状況の報告として、いろいろ検討会を設けてやっておりますよということで御報告されておるにもかかわらず、その検討会の報告書の中には一行もその話は出てまいりません。一体これはどういうことなのかというふうに思います。     〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕
  58. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お答えを申し上げます。  今先生お挙げになった事実関係等につきましては、大体そういうふうになっております。平成七年十二月の総務庁の資料の御指摘の部分につきましては、前年の六月に勧告を受けまして、その重要事項説明書等の交付の徹底方策に関しまして改善措置状況いかんということについての厚生省としてのお答えを申し上げたものでございます。御指摘のとおり、そこでは確かに、協会に設置されました共同化事業のあり方に関する検討会等において検討するというふうに御回答を申し上げております。  実際には、共同化事業のあり方に関する検討会というものは、もう一つ大きなテーマとして、有料老人ホームを、いかに経営が健全性を保ってやっていくかという点が非常に大事なテーマに上がってまいりました。特に、しっかりした経営の健全化が図れないがゆえに、いわばお金も払ってそこに入っておられる方々が後ほど十分な施設の処遇が受けられない、あるいは、甚だしきは倒産近くになって行くべき場所を失ってしまう、そういう非常に深刻な事態というようなものがあり得る事態になりましたものですから、有料老人ホームの経営の健全性確保ということをまず最優先のテーマにしてやっていこうということで、この検討会におきましては、専門家の検討会ということでもございましたので、専門家の知識をより活用するという意味から、そういうテーマを中心に実はその検討会で検討していただきました。  そして、総務庁から御指摘があった、重要事項説明書等の交付の徹底方策という点に関しましては、そういう意味では私ども思い直してという部分もあるのですけれども、検討会の御議論を経る以前に、やはり行政としてどう徹底を図っていくかということは検討会の御検討を待つというようなことではないのではないだろうかということで、私どもとしてま、厚生省の中で検討を進めまして、指導を徹底するという形で対応していくことがいいであろうということで、そのような方向にさせていただいたわけであります。  それで、この重要事項説明書でございますけれども、この交付の徹底方策につきましては、この五月十三日に公取委員会から出ました有料老人ホームの不当表示に係る警告の趣旨を受けとめまして、確かに、しかし甘いという御指摘ございましたけれども、現にこういう不当表示のものが出ているわけですから、言ってみれば契約ということを重んずるがゆえに契約の前提条件がきちっとあれされているということは大事でございますから、そういう意味で、改めましてもう一回よく検討して、どういうふうに徹底をするかということについて早急に方策を考えたいということで、もう一回検討し直したいというふうに思っております。この点は、先日、大臣も御答弁を申し上げたとおりでございます。
  59. 山本孝史

    山本(孝)委員 ですから、羽毛田局長がこの間御答弁になりましたように、業界の皆さんに自主的に対応していただくのがいいのだ、その方向でやっていきます、こういう話になると、協会内部に検討会を設けさせて、しかも、そのメンバーが協会の人間が占めているような検討会の中で、厚生省がお金を出して検討をさせているはずなのに、自分たちの、今こっちの問題の方が大変だからといってそっちの問題ばかり検討して、出てくる報告書の中には、厚生省が総務庁に対して御報告されているような検討事項が一行も出てこない、形跡が全く見受けられないということは、今局長がお考えになっているような形での、正常なといいますか、きちっとしたサービスの提供というものが保障されないのではないかというふうに思うわけです。全国有料老人ホーム協会は指定法人としてきっちりと法の中にも位置づけられているにもかかわらずこの状態であるならば、今回、介護保険が入る中で、いろいろな民間事業が出てくる、その人たちがきちっとしたサービスを提供しているか、それをどうやってチェックするのだというところは、業界団体の皆さんに任せておくというのではだめなんじゃないか。  シルバーサービスのマークをもらっているからいいという話も、これも違いましたね。結局、参入を阻害しているだけの機能しか果たしていない。業界団体としては、やはり自分たちの利益を真っ先に考えていくというのは、これは当然な話だろうと思う。それを前提の上で、法律の中に、もっと消費者保護、利用者保護というものが定められていないとだめなんじゃないかというふうに思うわけです。  それで、今おっしゃった不当表示の話もこの検討会の報告書の中に出てまいりますけれども、「有料老人ホームの現状と課題」というふうにおまとめになっておられるこの報告書の概要の一番最後のところに、まさに「最後に」と書いてあって、  有料老人ホームが抱える当面の課題として、公正取引委員会から提出された要望書の内容と総務庁・行政監察局から公表された「シルバーサービスに関する調査結果報告書」により「パンフレットの表示が妥当性を欠いているもの」、「募集広告の内容が不適切」等々の指摘があった。こういう指摘を受けておりますと。  しかし、その指摘に対して我々の検討会がどういう検討をしたかというのは何も書いてないのです。しかも、「公正取引委員会から提出された要望書」と書いてあります。これは要望書ではありません。これは警告です。しかも、行監から公表されたものは、報告書ではありません。これは勧告です。  そういう意味合いで、きっちりとしたものが出されているにもかかわらず、自分たちに都合のいいところの話にしか持ってこないで、都合の悪いものは全然検討しないというのが業界団体の体質なんですね。そういうふうに、資本主義社会の中でそう受けとめるべきなんだ、それを前提の上で、法律の中にきちっとした消費者保護というものをもっと書き込むべきではないかというふうに思うわけです。  とりわけ、介護というのは、医療と違って一過性ではありませんから、病気が治れば終わりということだけではなくて、ずっとおつき合いをしていただかないといけないということだと思うのですね。  せんだっての国民生活センターの調査が新聞にも載っておりましたけれども、これもひどい話だというふうに思いますね。ホームヘルプサービスを受けて、人間と人間のおつき合いですから、どうしても、この人のやることが気に食わない、大変粗雑なんです、おつくりになるお食事の味がいまいちなんですというような苦情は当然出てくるであろう。その程度であればまだ我慢できるかというふうに思いますけれども、けがやあざなど体に被害を受けたという人たちもいる、あるいは、高齢者を見たくないといって背中を向けて自分の食事をする、決められた時間の三十分から一時間前には時間分の介護券を手に帰ってしまう、ただでヘルパーに来てもらっていないで早く老人ホームに入れと毎回言われるというような個別の回答がありましたという国民生活センターの調査がありました。  すべての人がそうだというふうには言いません。しかし、そういう粗雑なサービスが提供されるということに対しても、一体どういうふうにしてその利用者を守るのだという視点がすっぽり抜け落ちているのじゃないかと思うわけですね。  重要事項説明書の問題を言いましたけれども、例えば、今後、サービスを受けるに当たって、利用者サービス事業者との間に、ケアプランを介してか、あるいは、個々の契約を結ぶということになると思います。そのときに、では、この契約は一体いつまでなんだ、あるいは、どういう理由で解約できるんだ、サービス事業者の場合も、どういう理由で解約できるんだ、あるいは、サービスの内容はこういうことですよということを、きっちりとしたものを、契約書あるいはちゃんとした説明書ということでサービス利用者に対して手渡してあげないと、今の高齢者の弱い立場ということでいけば、私は、守り切れないのじゃないか。せめてそれぐらいのことはするのだということを御答弁いただきたいというふうに思います。
  60. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 まず、有料老人ホームについてのことから申し上げますと、有料老人ホーム制度というものは、一面において、契約という形の中で、当事者の契約を通じて競争も行われ、また、そこにその利用者選択するという意味合いにおいて成り立っておるという側面と、そういうことを通じてだけに任せておったのでは、利用する人の安全、特に、高齢者の方々でございますから、そういった方々の安全だとか安心ということについて懸念がされるような事態が起こり得る、したがって、そういう意味でのチェック、規制がきちっとかかるようにしておかなければならない。そういう両者の要請の中で、今の有料老人ホームの法的規制というのは成り立っておるわけであろうと思います。  そのときに、前者の、言ってみれば契約というものを大事にするということを言いつつも、やはり消費者保護あるいは高齢者の安全、安心という意味から一番大事なのは、その契約に当たってのいわば条件みたいなことがきちっと相手に伝わっている、それを見た上で選べる状態ができているということは非常に大事だと思います。そういう意味で、重要事項説明書の交付でございますとか、あるいは表示が非常に不当であるということについての問題だとかというのは、非常にゆゆしきことだというふうに私ども認識をいたしております。  そうした中で、今の制度もそういった両者の要請の中からできておりますけれども、果たして、今言いましたような消費者保護と申しますか、高齢者の安心、安全という意味で、今の制度のままでいいのか、今のやり方でいいのか、あるいは指導の面できちっとしたやり方がもっと必要なのか、あるいは、そういうことを今の有料老人ホーム協会という仕掛けの中だけでいいのかどうかというようなことも含めまして、先ほどのようなことで、今後も検討をしてまいらなければならないというふうに思っております。  そのほかのサービスにつきましても、今後、介護保険という形で利用者選択ということを基本に進めていきますがゆえに、やはり事業者のいわゆる情報開示、情報公開、きっちりした情報を提示するということは大事だと思いますので、そういうことは心がけた制度にしてまいりたいというふうに考えております。
  61. 山本孝史

    山本(孝)委員 有料老人ホームのところに特化してお話しになりましたけれども、私が申し上げているのは、介護保険ができる中でいろいろなサービス事業者が出てくるだろう、例えば、訪問入浴サービスを提供しますという業者があったとして、私はあなたの御家庭に週何回行きますよ、月何回行きますよ、何時から何時の時間帯に行きますよ、一回のサービスは何分ですよ、もし、お体を動かす中でこういう事故が起きた場合はだれが責任をとりますよ、あるいは、何か苦情がありましたらこういうふうにしてくださいというような形のきっちりとした説明書というものを、業者がつくっているパンフレットではなくて、きっちりとした説明書を、利用されるに当たって利用者側に出すのだ、出さなければいけないのだということをちゃんと法の中に書く、あるいは、運営の中できっちりと指導するということをした方がいいのじゃないか、するべきじゃないかということなんです。有料老人ホームだけの問題じゃないのです。
  62. 江利川毅

    ○江利川政府委員 介護保険制度になりますと、サービス提供者とサービスを利用する者との間は、基本的には契約の関係になるわけでございます。そのために、再三御指摘のあります情報公開であるとか、利用者のために十分な情報の提供が必要であるということもまたそのとおりだというふうに思っているわけでございます。  具体的なサービスを利用するに当たりましては、基本的には、介護支援専門員が間に立ってケアプランをつくるようなことになります。そのときに、例えば今の入浴サービスであれば、どこの会社のどのサービスをいつ受けるかということがケアプランの中に明示される。また、同じ入浴サービスをする事業者が複数ある場合には、当然、要介護者選択をするということになります。その選択をするに当たって、当然、どういうサービスをするのか、それぞれの会社の説明というのが必要になってくるわけであります。  そういうようなことで、施設であれば、この施設はどういうサービスをするものであるか、あるいは在宅サービスであれば、この事業者はどういうサービスをするものであるか、その説明がきちんとなされることが必要である。そういうことで、事業運営基準というのを定める際にはきちんと説明が行われるようにということは明確にしたいと思います。  ただ、どういう様式の、どういう説明書でなければいかぬというところまでいけるかどうか。特に大変多額なお金がかかります有料老人ホームなどは、当然きちんとした契約が必要だということはあるわけでございますが、いろいろなサービスがある中で、すべてが説明書によるのか、その事業者の普通の説明とケアプランで大体事が足りるのか。いずれにしても、運営においてきちんとした説明が行われるということは担保したいというふうに考えております。
  63. 山本孝史

    山本(孝)委員 この百七十六条の「連合会の業務」に関係しての質問をします。  連合会としては、いわゆるレセプト点検と同じようなことを一つはする、支払いをするのだというのはいいのですけれども、百七十六条の第一項第二号のところに「指定居宅サービス、指定居宅介護支援及び指定施設サービス等の質の向上に関する調査並びに指定居宅サービス事業者、指定居宅介護支援事業者及び介護保険施設に対する必要な指導及び助言」をするということが、国保連の仕事として、業務としてここに書き込みがされておる。残念ながら、第一号のレセプト点検についての話は後ろの方にずっと条項が出てきますけれども、この「必要な指導及び助言」あるいは「調査」という部分については、ここに書いてあるだけで、あとは、細かな規定は何もこの中にはありません。  そういう意味において、国保連に一体どのような組織を内部につくろうとしているのか。例えば、東京や大阪に置けば、こういうものをするのに何人の人を配置しなければいけないというふうに思っているのか、お答えをいただきたいと思います。
  64. 江利川毅

    ○江利川政府委員 国保連におきまして、苦情処理とか苦情に係るサービス事業者の指導などを行うということになっているわけでございますが、この業務につきましては、中立性、独立性を確保するという観点から、国保連の通常の事務局の仕事とは別の形、担当の組織を置くようなことにしたいというふうに考えているところでございます。  具体的にどういう組織にするのかということについてのお尋ねでございますが、そこは正直、これから検討するということでありますけれども、オンブズマン制度につきまして、地方公共団体におきましていろいろ先駆的な取り組みをやっているところがございます。そういうところの取り組み事例も参考にしながら検討したいということでございまして、そのオンブズマン的な業務を果たす人としては、しかるべき学識経験を有する方であるとか、あるいは被保険者の視点でいろいろと苦情等について検討できるような人とか、そういうような人を委員に委嘱して運営するというようなことを考えたいと思っております。  大都市部におきましてはどのぐらいの人数を置くのかということでございますが、これは出てくる苦情の数に応じて考えていく話だと思います。一律に今の時点で大体高齢者の人口当たり何人というところまで検討ができているわけではございません。
  65. 山本孝史

    山本(孝)委員 苦情がいっぱい出てくるだろうという意味においては、きっちりとした体制をつくらなければいけないと思いますけれども、今のお考えの中には全くないと。  もう一つは権限です。情報の入手あるいは立ち入り、閲覧、行政への勧告といった権限についてはこの法律の中には全くありません。これは行政処分ではなくて施設側の協力を得て調査をするのだというのが前回の御答弁ですけれども、そんなことで本当にできるのかというふうに思うわけです。  これは、国保連にやっていただくということであれば、きっちりと、財源措置も含めて、こういう組織をつくれ、こういう権限をこの法律で与えるのだということをしないと、国保連も非常に動きにくいのじゃないかと思いますけれども、そういうことじゃないのでしょうか。  ここの法律部分は、今回、修正要求は、我々は、介護事業評価委員会というものをつくって、もっと市町村の窓口の中で、出てくる苦情をそれぞれ市町村単位で、自治体単位で苦情処理をしていく中で対応していけばいいのじゃないかという御提言も申し上げて、残念ながら、ここも修正要求は余り盛り込みされませんでした。  その観点もありますが、この百七十六条の第一項第二号のところの国保連の調査あるいは指導助言の業務に対して権限をきちっと法律で書いてあげるということが私は必要だと思いますけれども、大臣、この点、もう一度お考え直しはなさいませんでしょうか。
  66. 江利川毅

    ○江利川政府委員 指定サービス事業者のサービスの中身にいわゆる指定基準に違反する等の問題があるというような場合には、指定者であります都道府県におきまして行政的な形で処分を含めて対応があるわけでございます。  国保連におきますオンブズマン的な機能といいますのは、そういう違反的なものではなくて、いわゆる苦青的なものについての対応でございますので、こういうものにつきましては、法律の中にも指導助言等ができるという規定は置いておりますけれども、こういう形でいわゆる強制的な権限を付与するところではなくて、事業者の協力も得ながら利用者にとって質のいいものに変えていく、そういう意味で調査をしたりあるいは指導をしたり、そういう形で担保していくということでございまして、法律違反的なものに対する行政処分を行うようなレベルとは少し違ったレベルで考えるべきものではないかというふうに思っているところでございます。
  67. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 利用者保護と事業者の信頼性、いわばこれは規制する方と自主性の尊重の調整に関係してくる大事な問題だと思うのであります。  事業者は信頼できないという立場をとるのか、お上の方が信頼できるという立場をとるのか、これはどちらにも偏ることができない問題であって、利用者保護の面からどのような最小限の規制が必要か、同時に、民間事業者のサービス競争を促すためにどの程度の自主性を尊重していくか、この調整だと私は思います。  当然、この介護保険制度が導入されればいろいろな苦情が出てくると思います。その実情を見ながら、その規制と自主性尊重の調和をどう図っていくかという問題から、実施状況を見ながら、事業者と利用者との信頼関係をどのように保っていくかということを行政として考えていかなければならないというふうに思います。
  68. 山本孝史

    山本(孝)委員 事業者間の競争を促進するための規制の緩和は必要だと思いますけれども、有料老人ホームの一件、あるいは先ほど御説明申し上げた国民生活センターの調査においても、利用する高齢者の側の立場というのは極めて弱い立場、お医者さんと患者さんの立場にいる患者さんよりももっと弱い立場に恐らくいるのだと思います。  苦情があっても言い出せない、言えないという状況の中で、そういう弱い高齢者利用者を守ってあげる法的な整備というものはやはり別途に必要なんだろうと思います。国保連にそういういろいろな苦情を受けて処理するという機能を持たせるのであれば、その機能をきっちりと権限を与えてあげて生きていく形にしていかないと、これは絵にかいたもちに終わってしまう。  もう一つ、市町村は確かにいろいろ問題があるというふうにもおっしゃいますけれども、私は、住民の側からすれば駆け込み寺的になるのは市町村しかないと思うのですね。こういうサービスを受けているのです、でもこんな話があるのですよということを聞いてくださいというのは、市町村の窓口しかないと思います。市町村の窓口がそういう苦情を受けて、それを国保連におつなぎになるという形だというふうに理解をしていますけれども、ぜひそれを受けた市町村がきっちりとした回答をしてあげるというか、調査もしてあげて、そういうサービスがあるのだということの事実を把握していかないと、国保連の仕事だと言っているだけでは私はだめだと思いますので、ぜひここの点は法的な整備も含めてもう一度御検討をしていただきたいと思います。  実際のサービスがどの程度受けられるのかという点は非常にわかりづらいので、この点ももう一度確認をしたいのです。  羽毛田局長は、平成十二年の在宅サービスの整備量といいますか、供給は四〇%というところからスタートするというふうにおっしゃいました。百人の人に四〇%のサービスを出すか、あるいは四〇%の人に一〇〇のサービスを出すかという形のいろいろな考え方があるのだということもおっしゃいましたけれども、要介護認定を受けてそれぞれサービスを欲している人たちがいます。ある意味でいけば、重度の方たちにできるだけ手厚いサービスをしてあげたい、その人たちがよりサービスを必要としているからということで考えたとします。すなわち、傾斜的にサービスを、要介護度の高い人にこのサービスを配分するというような形のことはできるのか、あるいは、四〇%なら四〇%で一律すべての人に四〇%のサービスを出すということを市町村はしなければいけないのか、ここの考え方はどういう整理をしておられるでしょうか。
  69. 江利川毅

    ○江利川政府委員 施行法の経過措置に係る話でございますが、これにつきましては、市町村が、地域におきます介護サービスの基盤整備の状況を踏まえて、段階的にその水準を引き上げるということで経過措置があるわけでございます。  これはどういうふうな形で段階的な基準を決めるかということでありますが、一律に同じように引き下げて水準を決める方法もありますし、サービスの種類ごとにその水準の程度を変えて、御指摘のように、ある意味で傾斜的な水準の決め方というのでしょうか、そういうことも可能でございます。国の方でどっちでやれということを決めることは考えておりませんで、その市町村が持てる介護サービス基盤を住民に納得する方法で利用を考える。一律ということもありましょうし、おっしゃいますように、少し重度の人に傾斜的に考えるということもあろうかと思います。それは市町村の御判断でやっていただくというふうに考えております。
  70. 山本孝史

    山本(孝)委員 契約をする中で、ぜひあなたの会社からサービスを受けたいのだ、おたくからサービス欲しいのですということで申し込みをする。でも、その業者の方が、いや、うちはもう手いっぱいなんです、残念ですけれども、御要望におこたえできませんというふうにおっしゃる部分がある。事実、そうなるかもしれない。しかし、余り重度の方ばかり引き受けるわけにはいかないので、もうサービスはいっぱいなんです、手がありませんということでお断りになるというような業者も出てくるのではないかというふうに思うわけですけれども、そういう業者がいても不思議じゃないと思いますけれども、そういうことに対する対策、対応はどうなっているのでしょうか。
  71. 江利川毅

    ○江利川政府委員 市町村が、一律に下げるか、段階的に、傾斜的に経過措置を設けるか、御判断ということでございますが、これは、その域内で供給できるサービス量を前提に考えるわけでございます。そういう意味で、ある業者に特定するとなるとサービスを受けられないということがあるかもしれませんが、域内でのサービス供給能力から見れば、傾斜的か、一律か、下げるか、そういう形でそれなりのサービスは受けられる、そういう水準を定めるものだと思います。  ある特定の事業者、大変質のいいサービスをするということで評判がいい、そこに利用者の希望が集まるということがありまして、しかし、そのサービス事業者のサービス提供能力がもう目いっぱいである、そういう場合には、これはいたし方ないのではないか。いわゆる運営基準上正当な理由なくしてサービスを断る、これは認めないという考えでございますが、持っている、例えばホームヘルパー全員がフル稼働していて、自分の会社としてはこれ以上もうサービスが提供できないという場合にはやむを得ないものではないかというふうに考えます。
  72. 山本孝史

    山本(孝)委員 違う例で考えてみたいと思いますけれども、例えば、身近なところに老健施設がある。そこにケアプランを作成させるマネジャーがおられるということになりますね。ぜひ、近くでもあるので、おたくに私の親を面倒見てほしいということで申し込みに行かれましたけれども、このプランナーの方で、そのケアプランをおつくりになる中で、この事業者はもういっぱいだからだめだと言っているということで選択から外されるということがある。  実は、その老健施設の経営者としては、痴呆の方ばかり受けるわけにはいかない、重度の方ばかり受けているわけにはいかないのですと。そうすると、うちのサービスとしては大変苦しいので、要介護度別にある程度、痴呆の方は何割ぐらい、あるいは重度の方はどのぐらいにしたいという思いがあってお断りになっておられる。でも、断られた側からすると、何で断られたかわからないわけですね。本当は受けてもらえるのかもしれないけれども、向こうのそういう都合でお断りになっている部分があるかもしれない。  そういうことがきっと私は起こってくると思うのですけれども、そういう場合に、利用者側としては、どこかに御相談に行く、あるいは苦情を申し上げるということはできるのでしょうか。
  73. 江利川毅

    ○江利川政府委員 例えば老健施設の入所者、その入所者につきましては、その入所者の要介護度に応じて介護報酬というのは変わるのだろうというふうに考えております。これはこれから検討する話でございますが、非常に手のかかるケースであれば、それに応じた介護報酬が考えられる。ですから、そういう重度の人がたくさん来ると経営的に大変だという事態は、介護報酬上は生じないようにするということがまず基本でございます。  施設につきましても、同じように運営基準があるわけでございまして、正当な理由なくしてその入所を拒否するというようなことはできない、運営基準上はそういう取り扱いになろうかと思います。  ただ、現実に、満床であって本当にあきがないというような場合には、それはお断りになるのはやむを得ないことだというふうに思っております。
  74. 山本孝史

    山本(孝)委員 現場を想定して、こういう場合にこの法律がどうなっていって、苦情処理がどうできるのかという部分国民が実は一番知りたがっている部分ではないか。制度が始まったら一体どうなるのだというところがよくわからないので、こういう質問させていただいているわけです。  今、一措置制度の中で、特養に入る場合も、県会議員に頼めばすっと入れてもらえるよという話があって、だからこの措置制度はだめなんだというふうにおっしゃるわけだけれども、今度は、ケアプランをおつくりになる方によくよく頼んでおいて、ぜひこの施設があいたら入れてくださいということでお願いをしておけば、このケアプランをつくる方たちが、ちょっと待ってください、すぐあなたのプランをこういうふうに書いてあげますということになるのじゃないのでしょうか。そこのところはどういうふうに想定をしておられるでしょうか。
  75. 江利川毅

    ○江利川政府委員 ケアプラン作成者がサービス提供事業者、例えば施設の中にいるというのは必要だということになっているわけでございます。その介護支援専門員、これは居宅サービス事業者も一定の要件を満たせば介護支援事業者の指定も受けられますので、そういう意味で、居宅の場合であってもサービス事業者の中に介護支援専門員を置いてケアプランを作成する、そういうことも可能ということになっているわけでございます。  ただ、そのために、要介護者選択、そういうことが損なわれてはならないというわけでございまして、そういう意味で、ケアプランを作成する事業者につきましても同じように運営基準を定める、そこで要介護者に対して公平に情報を提供する、そういうようなことを確保していきたいというふうに思うわけでございます。  なお、こういう運営基準に違反する、公平なサービス選択が損なわれている、そういうような場合には都道府県において監査を行うとか、そういう形でその実効性を担保していきたいというふうに思っております。
  76. 山本孝史

    山本(孝)委員 その公平公正にサービスが行き渡るようにケアプランをつくっていないということはどうやってわかるのですか。
  77. 江利川毅

    ○江利川政府委員 まず一番簡単に出てくる方法は、利用者からの苦情ではないかと思います。そういうようなことを通じて、そのサービスの事業者の事業の仕方にいかがかと思う点があれば、まずは国保連、そういうところに苦情処理がありましたら指導をしていく、あるいは都道府県知事も事業者を指定しているわけでございますので,そういう立場からの指導が行われるということになります。
  78. 山本孝史

    山本(孝)委員 繰り返し申し上げているように、高齢者の立場、サービスを利用している側からすれば、そういうふうに苦情を申し上げるということはサービスを打ち切られてしまうのじゃないかという思いがあって、どんなに粗悪なサービスであっても、受け続けているしか仕方がないのだというふうに自分を納得させるというのが高齢者の立場だと私は思うのですね。恐らく心理だと思うのです。そういうものを踏まえた上で、一体どうやってその利用者を守ってあげるのですかといったときに、苦情が出てくるだろうと。私は苦情はなかなか出てこないというふうに思うのです。そこが、何らかのもう少しきっちりとした指針をつくるのは当然ですけれども、指針をどうやって守らせるかということをやらないといけないのじゃないでしょうか。  例えば、ある介護支援専門員がいて、ケアプランをおつくりになっておられる。でも、その方の所属しておられる企業なり組織の関連のサービスばかりケアプランの中にお書きになる。訪問看護であればどうぞこの業者のものを、入浴介護はここから行きますよ、訪問看護はここから行きます、全部それは実は一つの企業体であるという形も大いにあり得る話だと思うのですね。それが本当に公平公正なサービスの立て方、つくられ方、配られ方なのかといったところは、苦情が出てきて初めてわかりますというのは、私はなかなか難しいのじゃないか。  そういう意味で、きっちりとした国保連の、権限を与えて、場合によっては監査もしますよということがある、そういうふうに法律に書いてある、あるいは運営指針の中で、時折こういうふうに立入検査もしますよということでないと、私は、こっちの方から力をもってして入っていって調査をしない限りにおいては、そういう問題は出てこないのではないかというふうに思うものですから、そういう仕組みにぜひしていただきたいというふうに思っているわけですが、もう一度お願いします。
  79. 江利川毅

    ○江利川政府委員 ケアプランをつくります介護支援事業者の事業運営につきましては、運営基準をつくる、具体的にどういう中身になるかはまたこれから検討ということでございますが、当然そこにおいては、情報を公平に、正確に利用者に伝えるということもその責務の一つになるわけでございます。いろいろなサービス事業者があるにもかかわらず、ある特定の事業者だけを常に紹介するということになりますと、それは運営基準違反というようなことになるわけでありまして、そういう場合には、都道府県におきまして、例えばそういう介護支援事業者の指定の取り消しであるとか、あるいはその前段階におけるさまざまな指導とかが行われるわけであります。  また、一般的に、行政側の監査というような形で、介護支援事業者が適切に事業を行っているかどうか、これは現在、他の保険制度でもそういう監査というものを行って、事業の運営の適正を期しているというのがありますが、同じように、そういう監査を行って、その事業が適正に行われているかどうかを定期的に確認するということは、特段苦情がなくても行われていく話でございます。
  80. 山本孝史

    山本(孝)委員 有料老人ホーム協会の例を引くまでもなく、業界に任せきりにするという形は無責任だというふうに思いますので、しっかりとした体制づくり、あるいは法的な整備をぜひしていただきたいと思います。  利用者側にとってもう一つ気になりますのは、施設間で利用料に差が出てくるという問題ですね。特養あるいは老健施設、療養型病床群、それぞれに利用の料金が違う。同じようなサービスを受けながら、人員の配置基準も異なっています。そういう意味で、施設の一元化というものをどういうふうに取り組みをしていかれるのか、このお考えをお聞きいたしたいと思います。
  81. 江利川毅

    ○江利川政府委員 介護施設の一元化の御質問でございますが、現在でも、特別養護老人ホームであるとか老健施設であるとか療養型病床群であるとかにおきまして、現行制度のもとで介護サービスが行われているわけでございます。  ただ、これこつきましてま、利用料負担のあり方に大分差がある。一人当たり経費の高い療養型病床群でありましても、自己負担で見ますとその負担が小さい、かえって応益で見ると非常にアンバランスになっているのではないかという問題があるわけでございます。今度の介護保険制度におきましては、定率一割負担ということを原則としておりますので、サービス量の多いところは当然同じ一割でも単価が高くなりますが、受益に応じた負担、そういう意味で公平な負担になるのではないかと思っております。  そこの施設ごとの負担が違うのは、そこにおいて行われますサービスの内容が違うわけでありますので、これはやむを得ないのではないかと。そしてまた、その人が同じ施設サービスを受ける場合には、どういう施設サービス自分に適しているかということを自分なりに考え、あるいは介護支援専門員のアドバイスを受けながら施設を選択してやっていただく。その人に合った施設でその人に必要なサービスが得られるということであれば、利用料は同じ一割負担でありますので、基本的にこれで公平ではないかと思っております。  なお、介護施設全体の一元化の問題でありますが、これにつきましては、老人保健福祉審議会の意見書の中におきまして、  将来の方向としては、要介護高齢者の多様なニーズに応えるために各施設の機能と特性を活かしつつ、介護施設に関する制度体系の一元化を目指すことが適当である。ただし、現状では各施設によって事業主体等の取扱いが異なっていること等を踏まえ、一元化は漸進的な方法で進めていくことが適当であり、当面は、介護給付に関する事項の共通化を進める必要がある。 こういう意見書が出されているところでございます。  この報告書を踏まえつつ、現在の制度体系について、税制上の取り扱いも差がございますし、あるいは施設整備の補助金のあり方についても差がございますので、そういうさまざまな観点から検討を行って、中長期的な課題ということで取り組まさせていただきたいというふうに思っております。
  82. 山本孝史

    山本(孝)委員 いろいろな角度から御質問させていただいておりますけれども、我々新進党としても、介護保障制度というものが必要であるということは十分に認識をしています。今、介護ということで大変にお困りになっておられる。介護休業法もできましたけれども、まだまだ不十分な公的な支援体制だろうというふうに思います。そういう中でどういう制度をつくっていったらいいか。制度論の部分の問題と、財源として何を充てていくのがいいのか、財源論の部分の問題と両方の問題があると思うのですね。  制度論の部分の問題でいくと、なかなか実際の利用者側としては、どういう姿になってくるのかわからない。利用料についても、これから策定指針が出され、ゴールドプランと同じように各自治体が事業計画をつくり、それを積み上げてきて、どれだけの事業額になるから保険料は幾らになるのですという形にならないとわからない。実際のサービスも、今ゴールドプランあるいは措置制度の中で行われているサービスに比べてどの程度よくなるのか、どの程度利用しやすくなるのか、あるいは偏っていくのではないか。措置制度が悪い悪いとおっしゃいますけれども、一番お困りの方たちの方にサービスは行く、しかも、所得に応じて利用料負担があるという意味において、私は、一概に否定するものでもないのじゃないかというふうに思います。  保険制度ができてきても、定率の一割負担というものも考え方としてありますけれども、応能負担という部分ももう少し柔軟に考えていいのじゃないか。保険料設定においても低所得者対策という部分を、年金部分がもし支給が減っていくのであれば、より考えなければいけない部分ではないかというふうに思います。  そういった部分がまだまだこれから制度をつくってやっていくのだということで、大臣に御質問申し上げて、あなたは完全を求め過ぎているというふうに、いや、制度はつくってとにかく転がしていけばいいのだ、その中で直すべきは直していけばいいのだというふうにおっしゃいましたけれども、制度論としてはそうだというふうに思います。  その点で、最後に大臣にもう一度お伺いをしたいのですけれども、検討事項の見直し事項という部分、附則の中で、我々は、その時期が明示をしていない、それを三年で検討をすべきだと。すなわち、三年単位の事業計画の作成ということになっているわけですから、次の策定時期に当たる三年後の見直しをすべきだということを申し上げましたけれども、修正案では五年ということになっています。  しかし、法施行後でなくても、これからいろいろと策定指針を立てて、各自治体が事業計画を立てていく中において、この制度の運用上いろいろ問題があるな、あるいは利用者保護上問題があるなということであれば、法施行前であっても柔軟に見直しをすべきではないか、こういうふうに私は思っております。この点についての大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  83. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 この介護保険制度が導入される平成十二年度、それまでに、医療についても抜本的な制度改革をまとめなければならない。今回は介護医療から切り離して一つの制度をつくるわけですが、当然、医療介護は連携していかなければならない面が強いわけであります。  その中で、この介護保険制度介護法案が成立した後、他の制度改革がなされますから、その制度改革がなされたときに、やはり介護法も手直しが必要だということが生じた場合は、その状況を見て柔軟に適切に対処しなければならない問題だと考えます。
  84. 山本孝史

    山本(孝)委員 特に、医療保険改革でこの八月いっぱいでお考えをもう一度おまとめになって、厚生省としても、与党と御相談の上ということだったと思いますけれども、お出しになるということですから、その内容次第、医療保険のこれから行く末によっては、この高齢者介護制度というものもどう考えるのだということ、もう一度出てくると思います。ぜひ今の柔軟な姿勢で、通したものはもう絶対変えないのだということではなくて、法施行前であっても検討、見直しをしていただきたいと私は思いますし、その中にぜひ財源部分を、もう一度繰り返しますけれども、財源としてこの負担のあり方、特に二号保険料負担のあり方というのは絶対におかしい制度だと私は思いますので、ぜひ見直しをしていただきたいということを最後に強く申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  85. 町村信孝

    町村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時二分開議
  86. 町村信孝

    町村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。坂口力君。
  87. 坂口力

    ○坂口委員 介護の質問に入ります前に、健康保険法が先日この委員会を通過いたしまして、参議院の方に参りました。それで、この委員会を通過いたしますときに修正案が与党の方から出たわけでございますが、通過いたしましたら、もうその直後に再び修正の話が出ておりまして、これは一体どうしたことか。  衆議院の方の意見とは違うという話が参議院の方で出るのならば、それはやむを得ない話でございますが、修正をされました与党の中のある幹部の方が、参議院修正をするのだ、こういう御発言がございました。これは院の決議というものを大変ないがしろにする話でありまして、余りにもいいかげんな話ではないか、もしもそういうお気持ちがあるのならば、もう少しきちっと詰めて修正案をおつくり,一なるのが順当ではなかったか、こう思うわけでございます。  大臣にこのことをお聞きするのはいささかお門違いでございますし、本当は与党の皆さんにお聞きをしなければならぬわけでございますが、きょうはお座りになっておりませんので、大臣に感想をまず伺いたい。
  88. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 同感であります。
  89. 坂口力

    ○坂口委員 そうあっさりと賛成をされますといささか拍子抜けをいたしますが、賛成していただきましてありがとうございます。私もそう考えておる次第でございます。介護保険の方も、通過しましたら、直後にまたあれはいけないのでまた修正だというような話にならないように、ひとつお願いをしたいと思います。  健康保険法の審議がありましたときに、健康保険法が通過をして、そして、九月までに医療保険全体の抜本策をお示しになる、こういうお話が厚生大臣からございました。これは我々も一日も早く出してもらいたい、できることならばこの通過までに出してほしいということを言ったわけでございます。  この健康保険法あるいは医療保険全体あるいは医療制度全体の青写真と、今議論されております介護保険というのは非常にかかわりの大きいものでございます。とりわけ老人医療につきましては、老人保健をどうするか、あるいは老人の医療保障をどうするかということと、今回の介護保険とは非常にかかわりの深い問題でございます。  私は、そういう意味でこの介護保険の結果というのは非常に重要だというふうに思っておりますが、前回、健康保険のときに言いましたように、高齢者医療保険あるいは医療保障の財源というのは、税方式、税で賄うか、あるいは老人医療保険みたいな形で特別な保険をつくるか、さもなくば、若いときから掛けてきた保険のまま、そのまま突き抜けると申しますか、老後もその保険に所属をするかという、大体三つしかないのだろうというふうに思います。  この中で、このいき方と介護保険のいき方というのは非常に関係しておるということを申しましたが、我々も介護保険税方式を主張いたしましたが、介護保険税方式を我々が主張するということは、老人医療につきましてもやはり税方式というのが論理的には正しいのだろうというふうに思います。やはりそこはその方が整合性があるのだろうというふうに思います。  したがいまして、この介護保険での考え方というのが、私は、これから後、厚生大臣がお考えになる医療保障制度考え方に大きな影響を与えると思いますが、どのようにお考えになっておるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  90. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 介護保険医療保険との関連ですが、老人医療の問題につきましても財源を抜きには考えられません。当然、財源問題も含めた抜本的な改革を目指しております。その際に、老人医療介護保険、当然、対象者やサービス内容も違いますが、介護保険との整合性を考えて老人医療制度の抜本的改革も考えなきゃいかぬと思っております。
  91. 坂口力

    ○坂口委員 そうしますと、今回の介護保険におきましては、その財源は、一割は自己負担、そしてその残りにつきましては五〇%が国及び県及び市町村、こういう割合になっております。いわゆる公費負担になっております。そして、三三%の部分がいわゆる二号保険でありまして、これは、青壮年と申しますか、四十歳から六十五歳未満の若い皆さん方の掛金の部分がここに導入をされる。残りの一七%が高齢者保険で賄われる。三者一体になっているわけですね。このいき方が、介護保険が通過をするということになれば、このことが医療保障制度全体に与える影響というのはかなり大きいと私は思うのですね。  だから、この次、多分、大臣の頭の中にはアウトラインが描かれているのだろうというふうに思いますが、そこででき上がってきますものもやはり、公的負担、それが半分になるのか、六割になるか、四割になるか、その割合は別にいたしまして、それと、いわゆる二号保険の持ち上がり、そして高齢者医療の、自分たちで出す、保険というものがつくられたそれと、この三者一体の形というのはかなり大きな影響を与えてしくのではないかというふうに私は思いますが、そのように考えてよろしいか。
  92. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 抜本改革を考える際には、利用者負担保険料負担公費負担、この均衡をどうやって図るか、これを重視して考えていきたいと思います。
  93. 坂口力

    ○坂口委員 それはそのとおりなんだろうというふうに思いますが、これは重要な影響を与えると私は思うのですね。介護保険のこの形を抜きにして、介護保険介護保険、あれは別でございます、医療保障制度は別途こういうふうな形にします、完全に違った形のものを出すというのは難しいのではないか、やはりこれは連動せざるを得ないのではないかというふうに私は思いますので、そういう意味で、介護保険の枠組みを今決めるということは、介護保険を決めるだけではなくて医療保障制度の将来像を決めるということになる、その認識が大臣の中にあるかどうかということを今お聞きしているわけでございます。もう一度お願いします。
  94. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 当然、介護保険制度医療保険制度との関係というのは連動してくる面がありますから、介護保険制度が成立してから医療保険制度の抜本改革に手をつける場合にも、介護保険制度がどういう状況になるかということの見通しを立てながら制度改革に取り組みます。  また、制度を改革した際に、それでは介護保険制度に対する手直しが必要かという議論も出てこないとも限りません。その際には、また柔軟に、適切に対処しなければならぬ。厚生省考えている案を国会がお認めいただけるかどうかというのもまだわかりませんから、その辺は、まず案を出して、政党間の議論を踏まえ、審議会の意見を見きわめてから考えて遅くないのではないか、そう思います。
  95. 坂口力

    ○坂口委員 今の御発言は、あるいはこの介護保険の枠組みとは違ったものを出す可能性もなきにしもあらず、そのときにはこの介護保険をもう一度改めてもらうこともあり得る、こういう御発言だというふうに承りました。  そういたしますと、今もう既に、きょうは五月の二十一日ですか、五月もかれこれ終わりでございます。六、七、八、三カ月の間に、医療保障制度、あるいは医療保険制度と申し上げるのか、医療保障制度というふうに申し上げた方がいいと思いますが、その青写真を示してもらうということになっているわけですね。そうしますと、わずか三カ月のことですね。今決めておいて、そして、三カ月したらまた変わるかもわかりません、そのことを念頭に置いてどうぞひとつこの介護保険を上げてくださいというのは、いささかそれは酷な話ではないか。もうちょっとここはじっくりと腰を落ちつけてやってもいいのでないか、あるいは、それはもう待てないとおっしゃるのであれば医療保障制度の見直しの方を前倒しでやってもらうか、どちらかだ。  衆議院の方でこういうふうに言っておりますが、参議院の方は、あるいは、いや、介護の方はこれはもう後回しだ、次の国会だということにそれはなるのかもしれませんし、そこはわかりませんけれども、衆議院の方もやはりその辺の、向こうを見た議論をしないと、総合的なことを考えてやらないと、ぎくしゃくぎくしゃくしたままで前進しているということがあってはならない。  先ほど与党三党の修正案の話を出しましたのも、修正をして、すぐに翌日にはもう再修正だという話が出ると、こんなみっともない話になるのならば、なぜその修正を急いで決めたかということになるわけでありますから、これも同じ話でありまして、そこは大臣の頭の中で整理をしてもらって、どちらかを、介護を急ぐのであるならば医療の方のアウトラインを早く出してもらう、そこがいましばらく八月いっぱいまでかかるとおっしゃるのならば介護は急がない、どちらかにしないと整合性がとれない、こう思いますが、どうですか。
  96. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 仮定のことをお話ししたから仮定のことを話しているのです。可能性のことを話したから、私は可能性を否定しないということを言ったまでであります。  介護法を早く成立させていただいて、平成十二年度導入を目指して早く整備をしたい。当然、医療制度は関連してきます。整合性を持たせたい。しかし、将来、これ以上変えないのだとは言えない。可能性の問題があれば、一%の可能性もあれば否定はしません。
  97. 坂口力

    ○坂口委員 いや、私は答弁が悪かったとかなんとか言っているわけではなくて、大臣答弁は非常に素直であったと私は受けとめているわけです。当然、そういう答弁でしかるべきだというふうに思っておりまして、これから後の医療保障制度全体の枠組みのあり方次第によっては介護の方も変わる可能性というのは、私は、それはあるのが当然だと思うのですね、違えば。この介護保険と同じ形のものになるのならば変える必要はないと私は思うのです。我々がどう思うかは別ですよ。だけれども、大臣の立場からするならば、それはそういうことだと私は思うのです。  ですから、今、この介護の問題をこう決めるということは、これは重大な、今後の医療保障制度全体の枠組みに大きな影響を与えますよ、そのことをよくわきまえておやりいただいておりますか、三月もしないうちにまた変わりましたからもう一遍やり直してくださいでは困りますよ、そんな話はありませんよ、それなら今のうちに言っておいてくださいよ、そういうことを私は申し上げているわけなんです。別に無理な話は双方ともにないと思っておりますが、どうですか。
  98. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 この介護法案が成立しますと、当然、この実施に向けて整備を進めていかなければなりません。そういうのを想定しながら、それでは医療保険制度をどう改革していくかという視点も、当然、抜本改革案に重視しなければならない問題だと。私は、この法案が成立してから、これを変える前提で医療保険制度改革に取り組むつもりはありません。これを前提として医療保険制度改革に取り組む。
  99. 坂口力

    ○坂口委員 それならそれで一貫しておりますので、わかりました。  ということは、この介護保険制度の枠組みがかなり大きな影響を与えるというふうに私は理解をせざるを得ません。そういう意味では、これは介護保険法案だけにかかわらず、将来の重大な問題をこの中に秘めていると私は思います。そうした意味で、その内容についてはもっと真剣に議論をしなきゃならないというふうに思います。  そこで、具体的なことを少しお話を伺いたいと思います。  この公的介護制度というのは、要介護者がいて、そしてそれを介護する人がいて、その介護をする人を支援をする制度なのか、それとも、要介護者がいて、その人を一〇〇%介護いたしますよという制度をつくろうとしているのか、どちらなのか。  もう少し別な言葉で言えば、介護の必要な人がいて、そして御家族なり御親戚の人なり、あるいはまた雇われた人なりがいてその人を介護している、しかし、ずっとその人が介護をしているのでは疲れるから、そこに公的介護が入ってその手助けをするというのが今回の主目的なのか。それとも、ひとりで暮らしている人があったとします。仮に、私がひとりで生活をしておりまして、将来寝たきりになったといたします。ならないようにしたいと思いますけれども、なったといたします。完全の寝たきりで、ベッドの中で寝返りは打てるけれども、それ以上のことはできないという状態になった。そして、施設に入るよりもやはり家庭で最後までいたい、こういう要望をいたしましたときに、それじゃ本人のその要望というのはかなえられるのかどうか。そういう要望に対してもこの制度はこたえようとしているのかどうか。どうぞひとつ、局長で結構でございます。
  100. 江利川毅

    ○江利川政府委員 この介護保険制度は、介護を必要とする方がその有する能力に応じて自立して生活ができるように、在宅、施設両面にわたってサービスを提供しようというものでございます。  ですから、この制度は、要介護者を支えるという側面と、あわせまして、要介護者本人だけじゃなくて、それを支える家族の負担を軽減して、家族しかできない精神的な支え、そういうものをきちんとやってもらう。要介護者に対するサービスと家族への支援、両方をこの制度のねらいとするものでございます。  先生の御指摘の、例えばひとり暮らしで要介護状態にあるという場合にどうするのかということでございますが、基本的には、その人の状況に応じて介護支援専門員が専門的な立場でその人に適したサービスというものをアドバイスすることになりますが、在宅を選択するということになりますと、要介護度に応じた支給限度額というものがあるわけでございまして、その範囲でいわゆる生活を送れるように支援していくということになります。  その人の状況に応じて、ひとり暮らしで寝たきりで常時いろいろな人の目が必要だということになりますと、アドバイスとしては、在宅よりも施設入所が適当だろう、そういうアドバイスが行われるというふうに思いますけれども、また、それが適切な場合もあろうかと思いますが、まずは、基本的に、その人の選択を尊重してサービスが行われるということになります。
  101. 坂口力

    ○坂口委員 私はもう寝たきりになってぼけかけておるわけですから、わかりやすい説明をしてもらわなければいかぬわけで、今のではどうもよくわからない。どういう人をするかしないかは直接は市町村がやるのでしょうけれども、しかし、その指針は、これは厚生省が出されるわけでしょうね。そう理解してよろしいですね。イエスかノーかだけで。
  102. 江利川毅

    ○江利川政府委員 支給限度額という形あるいは介護報酬という形で、厚生省の方でその水準を示すことになります。
  103. 坂口力

    ○坂口委員 支給限度額だけではなくて、サービスの方も、こういう人までは見てもよろしいよ、あるいは見ることができますよ、しかし、全体の中でそういう人が余り多くなってしまうと、これは皆の負担も大変かかり過ぎますし、介護さんの数も、多くなってくるから、このぐらいにとどめなきゃいけませんよとか、全体の指針みたいなものは厚生省が示されるのだと思うのですが、それはそういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  104. 江利川毅

    ○江利川政府委員 いわゆる要介護度に応じてサービスが決まるわけでありますので、要介護度認定の基準という形で示すことになります。その場合、重度の要介護者でありましても、ひとり暮らしで在宅を希望する場合に、在宅サービスが提供できるような形にしたいというふうに考えておりますが、最重度というのでしょうか、大変重たい寝たきり状態であるとか、そういう場合には、ひとり暮らしであれば施設に入っていただくということが基本になろうかと思います。
  105. 坂口力

    ○坂口委員 先ほど山本議員の質問にもありましたが、個人の出します最高額というのは、もう一遍改めて聞きますけれども、それはどのぐらいになりますか、個人が負担をしなきゃならないのは。全体の一割ということになりますが、それには上限があるのですか、ないのですか。どうですか。
  106. 江利川毅

    ○江利川政府委員 介護サービスの支給額の一割を負担していただくということになりますが、この給付支給限度額は、要介護度に応じて限度が決まります。そうなりますと、私どもが一つのモデル的に示しているものでありますと、虚弱の場合に支給する額が月六万円程度、自己負担が一割ですから六千円程度ということになります。それから、要介護度の重たさに応じて変わってくるわけでございまして、一番重たいケースで大体月二十九万円程度ということを言っているわけでございます。そうしますと、自己負担は二万九千円ということになります。  施設になりますと、施設におきましても、施設サービスの内容と要介護度に応じて同じように支給限度額というのを定める予定でございます。
  107. 坂口力

    ○坂口委員 わかりました。  そうしますと、ある程度自己負担というのは当然のことながらあるわけですが、市町村も、非常に高齢化の進んでおります市町村と、そうでない市町村がありますね。高齢化率十数%の市町村が多いと思いますけれども、そうではなくて、数年前には三〇%になって珍しいというふうに言っておりましたが、最近では、六十五歳以上の人が四〇%を超える町村も珍しくなくなってまいりました。  そういう町村になってまいりますと、そういたしますと、四〇%を超えるような町村が、当然、そこは介護をする人も多いわけでありますし、そして、重症の人も多く抱えるだろうというふうに思います。その場合に、そういう人を全部その町村で見たい、こういうふうに思いましたときに、これはやはり、厚生省からの指針があって、そして、大体この範囲まではよろしいよということが多分あるのだろうというふうに思いますが、それを超えて町村がやろうというふうに思いましたときには、その範囲を超えて町村が持とうとしましたら、その分はどこが見てくれるのですか。
  108. 江利川毅

    ○江利川政府委員 介護保険事業計画をつくる、それは基盤整備の目標になるわけでございますが、これについて厚生省が基本指針を示す。参酌する標準というのを示して、それに基づいて計画をつくっていただくわけでございますが、それは参酌する標準でありますから、市町村の御判断で、例えば、ある分野にウエートをかけてそれなりの地域の特性を生かして計画をつくるということはあるわけでございます。  それから、給付水準の方でございますが、これにつきましては、要介護度に応じて給付の支給限度額が決まるわけでございますので、それを超えてサービスを行うという部分は基本的には介護保険制度の対象外になるわけでございます。その部分は市町村が単独事業で行うか、あるいは一号被保険者保険料で行うか、あるいはまた別途自己負担世界で行うか、そういうことになります。
  109. 坂口力

    ○坂口委員 先ほど私は、ひとり暮らしで、そして動けなくなったときに一体どうするか、それは本当に見てくれるのかどうかということを申しましたが、厚生省在宅介護サービスとして幾つかの表をお出しになっておりますけれども、その中で、ホームヘルプサービス週十四回というのが一番多いのでしょうか、これは時間数にしまして一週間の間に九時間二十分というふうに書かれておりますし、夜間と日曜日の介護はすべて家族が行うものとする、こういうふうに書かれておりますから、これはやはり、家族がいるということを前提にしてこの表は組まれているというふうに思います。しかし、九時間や十時間では足りませんということになれば、市町村がそれを上回るサービスをしてくれるように組んでくれるか、あるいはそれ以上のことは自分自身でお金を出すか、こういうことになるのだろうというふうに思います。  市町村厚生省が示しました指針の枠を超えてサービスをしようというふうに思いましたときには、その分は五〇%の公的負担の方からは援助はしませんよ、あるいはまた三三%のいわゆる二号保険、四十歳から六十五歳未満人たちが出す保険のところからも面倒は見ませんよ、オーバーしてやりたいのだったら残りの一七%、自分の市町村で行う一号保険でどうぞ見てください、こういうことになるわけです。おやりになるならそうしてくださいと。先ほどの話はそういうことでした。それで間違いないというふうに思います。  ということになりますと、高齢者、六十五歳以上の人で掛けます一号保険の中で見るといいましても、そうしますと、この保険料をうんとふやさないことにはそういう人たちを見ていくということはできないわけですから、そんなにふやすというわけにはいかない。ある程度はふやせても、それ以上はふやせない。ということになりますと、一般財源ですから、最後一市町村が見るということになるのでしょう。ということは、財源にかなりゆとりのある市町村であればこれは見てもらえる、しかし、ゆとりのない市町村だったらそれは不可能であるということになりますね。その確認だけちょっと。
  110. 江利川毅

    ○江利川政府委員 上乗せ的な給付についてでございますが、先生御指摘のように、それを行う場合には一号被保険者保険料で賄うということが一つでございます。それから、そうではなく、先生からお話がありました、別途、市町村の独自の財源で賄うということも一つでございます。それから、その部分はいわゆる利用者自己負担である、民間保険を利用する、そういう形でその部分を賄っていくというのも一つでございます。そういうケースがあろうかというふうに思います。
  111. 坂口力

    ○坂口委員 そうしますと、自己負担のできる裕福な人であればこれはいいですね。自己負担ができる裕福な人であるか、さもなくば厚生省が示した指針以上のことをしてくれる裕福な市町村に住むか、あるいはその両方かであればやれるけれども、非常に厳しい財政の市町村に住んで、十分な資財がないということになれば、思っただけのサービスは受けることができない制度である、こう思ってよろしいですか。
  112. 江利川毅

    ○江利川政府委員 介護保険制度給付は標準的な給付ということでございますので、想定している給付水準が確保できれば、例えば老夫婦二人で、片方が虚弱で片方が寝たきりになる、そういう場合でも一緒に自分の家で生活できる、そういうような水準を考えているわけでございます。  こういう標準的な水準につきましては、高齢化が進んでいる市町村であろうとも、あるいは財政力が弱い市町村であろうとも、きちんとそれができますように、全体の給付費のうち、高齢者保険料で集める部分が一七%になる、残余の三三%は二号保険料ということで、一括して集めたものが市町村に交付される、残りの半分は、五〇%は公費でカバーする。そういうことで、対象者が少なければ資格の大きさが小さくなる、対象者が多ければ大きくなる、比率は、ウエートは同じだ。そしてまた、市町村負担する分につきましては、これは地方財政法に基づきまして、市町村負担すべき経費として地方交付税の算定の基礎に入るわけでございますので、そういう意味で財源の裏づけもできるわけでございます。ですから、この制度でカバーしようとする標準的な給付につきましては、市町村財政状況いかんにかかわらずきちんと行われるようになっているというふうに考えております。
  113. 坂口力

    ○坂口委員 誤解のないようにしていただきたいと思いますけれども、私はどんな人でも、どんな重症の人でもみんな在宅で見ろということを申し上げているわけではありません。見れないのなら見れない、重症の人は施設の方でお願いをしますというのは、私は、それはそれで一つの方法だと思うのです。それならそれで私はいいと思うのですが、それならそういうふうにきちっと言わなければいけないと思うのです。  どんな重症の人でも在宅で見ますという顔をしながら、実際はやらないというのが一番いけないということを言っているわけなんです。非常に軽い人あるいは平均的な人はいいと思うのですが、非常に重症の寝たきりになったとき、これはお互いになるかならぬかわからないわけでありますから、私もなる可能性はないとは言えないわけで、もしもそういうふうになったとき、しかも家庭で面倒を見てほしいと思ったとき、しかし、そうは思うけれども、蓄えもそう多くあるわけではない、そしてまた自分の住んでいる町村もそう裕福ではない、こうなればそれは不可能ですね、こういうことを申し上げているわけです。それはそうですということを国民の皆さんにはっきり申し上げなければいけないと私は思うのです。  何もかも皆、在宅で御希望の方には全部見ますよといういい顔をして本当は見ないというのが、これはだましたことになりますから、それはいけない。そこはきちっとしなければならないと思います。そのことを私は申し上げておるわけです。
  114. 江利川毅

    ○江利川政府委員 在宅サービス選択、施設サービス選択は、基本的に利用者選択にゆだねるということでございますが、私どもが基本的に想定しているケースといいますと、要介護度が重度以下のケースであれば、ひとり暮らし世帯でありましても、在宅サービスで対応可能な、この介護保険制度から給付します標準的なサービス水準といいますものは可能なものではなかろうか。  ただし、その人が、重度を超えてさらに最重度であるとか、非常に重たいというような場合には、やはり在宅で介護サービスを受けるというのは無理がある、施設サービスを受けていただくことを強く勧めるということになります。ただ、その人が、自分介護保険在宅サービスをここまで受けて、あとは、例えば自費で民間のサービスを受けて自宅にいますとかと言われれば、そこは選択でございますので、そこまで強制はできませんが、最重度のケースには施設に入っていただくのが標準的な形ではないか、姿ではないかというふうに思っております。
  115. 坂口力

    ○坂口委員 重度以下と言われますけれども、重度以下といったら、重度も一緒にもって下がるわけですから、入るわけですから、重度でない人たちを見る場合にはいいけれども、重度の人たちはなかなか見れないこともある、こういう意味だと思うのですね。したがって、重度の人は施設へどうぞ行ってください、軽い人たちはどうぞ御家庭で見てください、頭切りと足切りと私は言うのですが、頭切りと足切りをして真ん中の人だけある程度見ます、こういう保険制度であるというふうに理解した方が私はいいのではないかと思うのですね。  そういうことで、介護保険料をどうするかということを決めるわけですから、その辺のことをきちっと示して、そして、この保険料というものはこれだけにしますということを言わないと、その辺が、サービスの方もどこまで見るのかあいまい、そして保険料もどこまで将来なるのか、それもあいまいというのでは、これはいけないと思います。  保険料につきましても、私たちは、税を私たち言いましたけれども、そのことはさておいて、この保険料率だけでも国会で決める形にならないか、一段おりて皆さん方にお願いをしたわけでございますが、聞き入れていただくことができませんでした。大変残念に思います。  この保険料率も、今のままでありますと、これは厚生省がお決めになる。それは皆、政令で定めることになっている。料率も厚生省が全部お決めになる。サービスの中も全部、厚生省が指針を示される。すべてこの法律厚生省任せの法律でありまして、文句を言わないでついてきてくださいという法律になっているわけです。しかし、我々はそこまで厚生省を信頼できるのかなと実は思っているわけであります。  したがって、もう少しその辺のところはきちっと国会に報告をして、国会の承認を得る形で進めていく形にならないのだろうかというのが我々の主張でございます。  さて、もう一点、時間がありませんからお聞きをしたいと思いますが、したがって、先ほどのところは、もう少し明確に国民の皆さん方に示す必要がある、示さずに何もかもするようなふりをするのはよくない、改めて指摘をしておきたいと思います。  それから、先ほど市町村の話をいたしましたが、高齢化率が例えば四〇%、四〇%がえらければ三〇%でもそれはいいのですが、そういう市町村がかなりふえてまいりました。そういたしますと、同じ一二・五%の持ち分を市町村が持つわけですけれども、数字は二一・五%ですが、しかし、高齢化率が非常に高くなれば、同じ一二・五%でも、持ち出しの金額は非常にふえると思います。同じ一万人の町村で、高齢化率四〇%の町村と一五%の町村とでは大変な違いだと思うわけですね。四〇% 三〇%だと非常に持ち出しが多くなる。しかも、そういう町村は、町村自身の税収も非常に少ない。だから、これはもうほとんどが交付税で埋めなければならないような町村が多いと思います。そういうところは、一七%の一号被保険者も、これはそう裕福な人が多いわけではない。しかも、その中で、多くの介護を必要とする人たちがいて、ヘルパーさんを雇わなければならない数も多くなる。非常に高齢化率の高い市町村は、大変厳しい状況の中でこの介護をやらなければならないということになると私は思うのです。  そのときに、例えば交付税で、交付税が来ますときに、高齢化率が加味されて――今、若干加味されていますね。昔はされていなかったのですが、若干加味されています。大した額ではなくて、二五%か三〇%ぐらいな程度の、一万人そこそこぐらいな市町村で年間五、六百万ぐらいの額じゃないかと思います、高齢化率で上積みされます額が。そのぐらいな額は上積みされてくるというふうに思いますが、しかし、それは焼け石に水でありまして、全然足りない。そこのところは、非常に高齢化率の高い市隣村に対しては一体どうされるおつもりか、お聞きをしたいと思います。
  116. 江利川毅

    ○江利川政府委員 市町村単位で介護保険の財政が運営されるわけでありますが、一号被保険者から徴収する保険料の額が、二〇〇〇年時点におきますと、全体の給付費の一七%になるわけでございまして、二号被保険者、そういう高齢者の多いところでは四十歳から六十五歳までの人は少ないのでしょうけれども、これは、二号保険料はプールして、いわゆる高齢化への対応ということで、そういうところでありましても、全体の給付費の三三%が回るように手当てをする、公費の方は保険料収入全体との横並びで国と都道府県、市町村が一定の割合で分担するわけでございます。高齢化が進んでおりますと、進んでいない地域と比べますと、当然、その負担割合は同じにしても、その全体の財政枠が大きくなるわけでありますから、実額で見ると市町村負担は大変だろうというのは御指摘のとおりでございます。ただ、この介護保険制度におきます市町村負担分につきましては、地方財政法に基づいて、市町村負担すべき経費ということで地方交付税の額の算定に用いる財政需要額に算入される、地方公共団体の財政需要額、交付税の額を算定する基礎となる財政需要額に算入されますので、単純に高齢化率分を上乗せするというのと違いまして、基礎経費としてそこに算入されますから、その市町村負担分につきましても、地方交付税を通じて財源の裏づけが保障されることになるわけでございます。
  117. 坂口力

    ○坂口委員 わかりました。  そうしますと、その辺の話は、自治省、大蔵省、ついているわけですね。そうすると、非常に高齢化率の高い町村でも、その心配は要らない、この介護については心配要らない、それぐらい――今おっしゃったその計算の仕方がどのぐらいな計算の仕方でどのぐらいつくものなのか、よくわかりません。どのぐらい上積みされるものなのか、よくわかりません。それは、心配の要らない額がされるのか、それとも気は心、多少だけされるのか、もうちょっと詳しくそこを言ってください。
  118. 江利川毅

    ○江利川政府委員 そこの地域におきます市町村負担分というのは、必要経費として算入されるわけでありますので、心配は要らないということになります。そしてまた、先ほどの御質問の中で、そういう地域における高齢者所得も低くて、一号の保険料収入も集めるのは大変ではないかというお話でございましたが、その地域のいわゆる所得水準の格差みたいなものにつきましては、国庫負担二五%のうちの五%を使う財政調整によりまして調整をしていくという考え方でございます。
  119. 坂口力

    ○坂口委員 ちょっとよくわからぬね。それでどのぐらいできるものなのか、本当に心配が要らないのか、それともどれぐらい付加されるものなのか、よくわかりませんが、とにかく町村の場合の高齢化率の非常に高いところについての配慮というものが、これはなければならないのだと思うのですね。それでなければ、これはとてもじゃないけれどもやっていけないと私は思います。  したがって、先ほど申しましたように、財政的にゆとりのあります市町村はいろいろのことができます。できますが、財政的にゆとりのない、しかも、高齢化率の非常に高い過疎地域のようなところというのは、これはなかなか介護手当てというものを十分にすることができ得ない。できなければ、在宅でということは難しくなりますから、施設でということにせざるを得なくなる。しかし、施設でといいましても、施設もなかなかそういうところは十分でないということになれば、高齢者は平等にそれを受けようと思えば、裕福な市町村に移動せざるを得ない。こういう結果になるのではないかという気がいたします。長く住みなれた自分の生まれ故郷のここで、どうしても自分は最後までいたいというふうに思いましても、それは不可能になるケースが出てくるというふうに思います。そこはぜひひとつ、もう少し慎重な配慮をお願いしたいというふうに思います。  最後に、医療とのかかわりでございますが、医療とのかかわりにおきましても、一般診療所におきましても、十九ベッドまでベッドを持って、そして、そこで高齢者を見てもいいということになるわけですが、今までのこの形、療養型病床群をそのままにして、そしてこの保険を導入するということは、この療養型病床群をだんだんと膨らませていく一方である、そうならざるを得ない。  と申しますのは、片や家庭で見てほしいという人もありますが、しかし、本人の意向はどうであれ、家族はやはり施設に入ってほしいと思うわけです。その割合の方がうんと多いと思います。ところが、その施設が十分でないということになれば、それは療養型病床群のところに流れ込まざるを得ない。ここを介護保険の中で容認しますと、さらにここが大きく膨らんでいかざるを得ない。いわゆる介護保険をつくりましたけれども、それは医療保険の一部であったということになる可能性も、これは十分にあるというふうに思いますが、ここのところのけじめをどういうふうにつけようというふうに思っておみえになるのか。入り口のところはやむを得ないとしても、将来ここはきちっと整理をいたしますということなのか、その辺をひとつお聞きしたいと思います。
  120. 江利川毅

    ○江利川政府委員 介護保険施設には三種類あるわけでございまして、いわゆる療養型病床群的なもの、それから老健施設的なもの、特別養護老人ホーム的なものになるわけでございます。そして、介護施設ということになりますと、要介護認定を受けた人が入る施設になるわけでございますし、そこで受けるサービス介護保険サービス、そして、介護保険制度から給付をされることになるわけであります。  そういう意味で、介護施設という指定を受ける部分、そこは介護保険制度の対象になるわけでございますので、医療保険とのすみ分け、切り分けというのはできているわけでございます。同じ施設が医療保険介護保険のダブル適用を受けることはないわけでございますので、できているわけでございます。そういう意味で、療養型病床群が老健施設等あるいは特養等と並んで介護保険施設になり、そしてまた、そういう施設でサービスを受けることが望ましい人が入所する施設と、一応、制度的には切り分けができているというふうに思っております。
  121. 坂口力

    ○坂口委員 それはそうです。それは、すみ分けはきちっとできているのでしょう。できていなければ、これは大変混乱するわけですから、そこはできていると思いますが、しかし、そうしますと、今の療養型病床群というのは、このままずっと続けていく、そしてここに多くの人が流れ込んでくるということになれば、ここは拡大をしていって、もうそれはやむを得ないというお考えですね。
  122. 江利川毅

    ○江利川政府委員 私どもの推計で見込んでおりますのは、二〇〇〇年当時、スタートの当時におきまして、二百八十万人、虚弱の方を含めた要介護者がいる、そして、半分が寝たきりである、百四十万人ぐらいいるだろう、その半分は施設でサービスを受けることになるだろう、老健施設それから特別養護老人ホーム、それぞれ新ゴールドプランに目標数字が書いてあるわけでございますが、療養型病床群でサービスを受ける人たちはおおむね枠としては十九万床ぐらい用意をするということになろうかということでございます。  このサービス水準といいますのは、その後、市町村がつくります介護保険事業計画の中で、またニーズを踏まえて決められていくことになります。特別養護老人ホームや老健施設ができる、あるいは在宅サービスの水準が高まる、そういうことによって、施設需要はどう変化するか、地域ごとのニーズの変化を見通しながら整備をしていくということになるわけでございます。こういう流れの中で、療養型病床群だけが突出してふえていくということにはならないのではないかというふうに思っております。
  123. 坂口力

    ○坂口委員 時間が参っておりますので、もう一つだけお聞きしておきたいと思います。  介護を受けるというのは、これはできれば介護を受けるような人をつくらないということが一番大事なことだと思うのですね。受けるように皆してしまってはいけない。できるだけ寝たきりをつくらないということにしなければならない。そうしなければ大変になる。この介護保険制度は、寝たきりの人をつくらないための運動として何をするのか。  この前、若干私はお聞きしましたら、何かリハビリか何かを一生懸命やらすこと、こういう話でございますが、それは、寝たきりになった人、あるいはなりかけた人、その人をもう一遍よくすることでありまして、それも一つの方法ではあると思いますが、私は、もう少しあるのだろうというふうに思います。  また、病院に入院していたがゆえに寝たきりになったという人もかなりたくさん出てきているわけです。入院したがゆえに寝たきりになった、手術の後ずっと寝ていて、それから後、寝たきりになったという人もいる。  この寝たきりを少なくするために介護保険というのは何をするのか。それは、する予定はあるのか、ないのか、簡単で結構ですからちょっとお答えください。
  124. 江利川毅

    ○江利川政府委員 高齢者ができる限り要介護状態にならないよりこ予防する、あるいは要介護状態の軽減とか悪化の防止、そういうことは重要であるということで、寝たきり等の要介護状態に陥る前段階の虚弱な方に対しまして、訪問、通所によるリハビリ等を広く給付するということでございます。要介護状態にある方につきましても当然リハビリ等の給付があるわけでございますが、介護保険制度ではそういう給付考えられている。  ただ、御指摘の寝たきり等を予防していくというのは、介護保険制度だけではなくて、さまざまな施策全体でそういうものを防止することを考えていくべきではないかというふうに思います。
  125. 坂口力

    ○坂口委員 最後に、大臣に一言だけ伺って終わりにしたいと思います。  いろいろ聞きましたように、この介護保険というのはかなり欠陥部分もある。また、宣伝文句と中身との違うところもある。必ずしも言われているとおりの内容にはなっていない。突き詰めていくと、かなり内容は厳しい部分もある。欠陥商品でありますから、普通の製品なら即座に回収をしてもらいたいところでございます。  そういう法律でありますだけに、我々といたしましては、この将来をかなり危惧いたしております。決して介護保障制度そのものを私たちは否定するものではありませんし、大変大事なことだというふうに思っておりますし、みんなで育てなければならないものであるということも十分にわかっているつもりであります。しかし、この制度にはやはりかなり無理な面もあり、そして、これから先、国会等がかかわる部分も非常に少ない。ひとり生まれてしまったら、これから先、ひとり歩きをしてどんな形になっていくのか、非常に心配な部分も多い。そんなふうに思っておりますが、厚生大臣のこの介護保険の今後に対する決意、これで大丈夫かという私の質問に対する決意をお聞きして、終わりにしたいと思います。
  126. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 これから、初めての制度を導入するわけですから、当然、予定していたものと、実際やってみてこんなはずじゃなかったいう面が出てくるかもしれません。不備な点も、不十分な点もあるかもしれませんが、私は、この介護保険制度を導入すれば、なくそうという機運は起こらないと思います。むしろ、この介護保険制度をいかに充実させていこうという空気になってくるのじゃないか。  そういう点から、この介護保険制度を一日も早く円滑な実施が図れるような準備を今から整えていくことが必要であり、その際には、この委員会で御審議いただいたようないろいろな不安な点、危惧の点、検討すべき点を踏まえて、より充実した方向に整備をしていく必要がある、そう考えております。
  127. 坂口力

    ○坂口委員 終わります。
  128. 町村信孝

    町村委員長 五島正規君。
  129. 五島正規

    ○五島委員 大臣、この介護保険問題につきましては、既に各党あるいは政党間あるいはこの委員会におきまして、二年、三年にわたりまして、非常に真剣にそれぞれ議論してきたと思っています。そして、この法案は、平成十二年には実施をするということを前提としてつくられているわけでございまして、介護社会化というものが大変におくれてきた結果として、やむなく医療保険という枠の中で介護社会化を部分的に支え、そのことによって医療保険もまた大変混乱して、先日、医療保険法の改正についての論議も行ったところでございます。  そういうふうな形で経過したこの保険でございますが、マスコミその他で読ませていただきますと、他のハウスの問題ではございますが、仮に衆議院において介護保険法が成立しても、この国会で成立できないのではないかというふうな意見が仄聞されます。もし仮に、この国会において介護保険法が成立せず、そして、秋あるいは次の通常国会に継続されるということになった場合に、本当に平成十二年からの実施というものはできるのかな、あるいは場合によっては、平成十二年からの実施の段階において、全国一斉に極めて大きな制限給付のもとでやっていくというとんでもないことになってしまうのではないかな、もう個人的に非常に心配しているわけでございます。  そういう意味におきまして、本日をもって衆議院においても一定の結論をこの委員会として出すことになると思うわけでございますが、この国会において介護保険法案を成立させるについての大臣の御決意について、改めてお伺いしておきたいと思います。
  130. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 昨年来、この介護保険制度の必要性が各方面から叫ばれ、そして、各党いろいろ御苦労をいただきまして、ようやくこの法案を昨年の臨時国会提出することができた。昨年の選挙後の臨時国会よりも、むしろ選挙前に成立を図ろうという機運が多かったにもかかわらず、まだいろいろな意見を聞く必要があるということで、幅広く意見を聞いて選挙後にしよう、そして、それぞれの候補者も、介護保険制度の必要性を認めて選挙を戦ってきたと思います。  そして、選挙が終わってから直ちに臨時国会提出し、継続審議になり、本通常国会で今御審議をいただき、ようやく衆議院を通過しようとしている際に、これから参議院に回った段階で、いろいろ参議院審議状況、危惧の念を持たれる方もおると思いますが、私は、参議院の良識を発揮されて、必ず今国会でこの法案は成立するものと信じておりますし、その成立方に向けて全力を傾けていきたいと思います。
  131. 五島正規

    ○五島委員 今の大臣の御決意を、本当にそのように進めていくために我々も努力したいということで、賛意を表します。  これまで我が党を中心に、大臣に対してお伺いし、あるいは厚生省の御意見等々をただしてまいりました内容について、確認的に質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず第一に、介護保険制度の運営に関しましては、男女の被保険者の権利を保障するため、介護保険事業計画の策定または改定に対する被保険者意見反映を行うとともに、指定業者などに関するさまざまな情報の積極的開示、提供を行うべきであるというふうにこれまでも主張し、一定の御回答を得てまいりました。特に、保険料設定の前提となるサービス水準を決める重要な計画である市町村介護保険事業計画の策定でございます。これに対するそういう被保険者意見反映というものについてどのようにお考えか、御答弁をお願いします。
  132. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今までの御審議の中で御指摘、質問された事項でありますが、確認の意味ということでありますので、正確を期して答弁をさせていただきたいと思います。  介護保険事業計画の策定は、当該市町村保険料設定の前提となるサービス水準等を定める重要な計画であり、その策定及び改定に当たっては、広く被保険者意見が反映されるよう、市町村に対して、主に次の三点について指導することとしております。  まず第一点、高齢者等のサービスの利用に関する意向調査を実施すること。第二点、学識経験者、保健医療福祉関係者、被保険者代表等の参加による計画策定委員会の設置、公聴会、説明会の開催などの体制を整備することにより、広く被・保険者意見を聞くこと。第三点、計画に係る基礎的な資料を公開すること。この点をしっかりと指導するようにしていきたい。  また、被保険者によるサービス選択を実効あるものとするため、事業者みずからによる情報提供を推進するとともに、在宅サービス事業者等の指定権限を有する都道府県及び保険者である市町村により、介護サービスに関する情報が広く提供されるよう指導することとする。  この点を確認しておきたいと思います。
  133. 五島正規

    ○五島委員 同じく第二点目でございますが、被保険者からの苦情処理及び苦情処理にかかわる事業者の指導に関して、国保連合会におけるオンブズマン業務について、被保険者の参画による第三者委員会を設置し、運営の公平、適正性を担保すべきというふうに考えているところでございますが、どのようにお考えでござしましょうか。
  134. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 国保連合会における苦情処理業務については、業務の公正中立な運営が確保されるよう、事務局とは別に、苦情処理業務を担当するにふさわしい学識経験等を有する者を置くこととするとともに、当該担当の選任に当たっては、被保険者の視点で対応できるような者が含まれるよう配慮することとする。  そして、苦情処理業務の具体的な運用については、地方自治体等における先進事例も参考にしながら、次の三点が確認されるように、これから施行までの間に検討することとしたいと思います。  まず一つは、被保険者、家族等の利便を考慮し、市町村や居宅介護支援事業者など身近な窓口でも受け付けること。第二点は、書面での申し立てが困難な場合には口頭による申し立てを認めること。第三点は、苦情を申し立てた者に対し、調査の結果や介護サービス事業者等に対する指導内容等を通知すること。  これらの点について、できるだけ御指摘の趣旨に沿った方法で運営が行われるよう検討していきたいと思います。
  135. 五島正規

    ○五島委員 ありがとうございます。  第三点でございますが、施行法関係でございます。  施行法第一条の経過措置の期間については、期限を明示すべきというふうに我々は考えているわけでございますが、五年経過という期限の目途ということになったわけでございます。この点について、それにとらわれずにどのように御努力いただけるのかをお答えいただきたいと思います。
  136. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 サービス水準に関する経過措置は、保険者としての住民に対して直接責任を有する市町村が、地域における介護サービス基盤の整備状況等を踏まえ、サービス水準を段階的に引き上げることにより、制度施行後の過渡期において、いたずらに被保険者を混乱させることなく公平に介護サービスを提供するために、必要やむを得ざる措置であると考えております。  この経過措置については、施行後五年の経過という期限の設定条件にとらわれることなく、できる限り早い段階で全国的に標準的なサービス水準が達成できるよう、国、都道府県を挙げて、経過措置を定める市町村における介護サービス基盤の整備を積極的に支援することとしたいと思います。
  137. 五島正規

    ○五島委員 介護サービス基盤の整備に関しましては、現行の新ゴールドプランを着実に達成するとともに、介護保険導入後においては、新たな整備目標を定めた基盤整備計画を策定して、引き続き計画的な整備を進めていくべきであると考えているわけでございますが、これについていかがでございましょうか。  また、サービス基盤についての国と地方自治体の役割を明確にし、居宅介護支援機関、いわゆるケアプラン策定機関については、最低限、保険主体者であります市町村に一カ所、市町村自身の責任における整備を目指すべきであると考えるわけでございますが、その点についていかがでございましょうか。
  138. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 介護サービス基盤の整備が介護保険制度の円滑な施行にとって何よりも重要であると認識しており、まずは、各市町村が地域の実情に応じて掲げたサービス目標を全国的に積み上げた新ゴールドプランが確実に達成されるよう、最大限の努力をしていきたいと思います。  介護保険制度の導入後においては、各市町村の具体的なサービス必要量をもとに、市町村介護保険事業計画、都道府県介護保険事業支援計画を定め、新たな介護サービス目標を設定し、計画的な基盤整備を推進することとしております。  居宅介護支援機関の整備については、被保険者サービスを受ける権利を実質的に担保する意味から、事業計画の中で具体的な整備目標を掲げて計画的に整備を進めていくべきものと考えており、基盤整備に係る保険者責任という意味において、市町村がみずから居宅介護支援事業者となって機関を設置することも必要となるものと考えます。
  139. 五島正規

    ○五島委員 いま一つ、大臣に確認していただきたいと思います。  介護保険料、高額介護サービス費に関して、午前中も御議論が出ておりましたが、低所得者生活実態に合わせた金額の設定というものを行うということについての御確認をお願いしたいと思います。
  140. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 介護保険料については、所得段階別の保険料とし、低所得高齢者については負担の軽減を図るとともに、高額介護サービス費の設定に当たっても、低所得者については、医療保険における高額療養費の自己負担限度額や老人医療自己負担額等を勘案しながら、関係審議会の意見を聞いて、適切な自己負担限度額を設定することとしたいと思います。
  141. 五島正規

    ○五島委員 大臣、確認答弁、本当にありがとうございました。  なお、引き続きまして、運用上等々の問題につきまして、局長に対しても若干確認答弁的に御意見をちょうだいしておきたいと思います。  サービス基盤の整備に関連して、ケアマネジャー、ホームヘルパーその他の人材の確保あるいは特養入所待機者、社会的入院の速やかな解消、そうした一連の、この間議論されてまいりました問題についても積極的に取り組むべきだと考えるわけでございますが、こうした問題についてはどのようにお考えでしょうか。
  142. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お答えを申し上げます。  介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーにつきましては、現在、専門家による委員会におきまして、具体的な養成課程等を検討していただいているところでございます。今後、その検討結果を踏まえまして、必要な人員が確保されますように、計画的に養成することといたしたいと存じます。  また、ケアマネジャーのほかに、ホームヘルパーを初めといたしまする人材の確保につきましては、国が定めます介護保険事業計画に係る基本方針の中で、質量にわたります人材確保の方向性を示しますとともに、介護保険事業計画におきまして、介護サービスの目標を踏まえた人材確保の方策が明らかにされるよう指導してまいりたいというふうに思います。  そのほか、いわゆる社会的入院等の解消につきましても、積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  143. 五島正規

    ○五島委員 前回、私も質問をさせていただいたわけでございますが、もう二つについて続けて質問させていただきます。  いわゆる特定疾病の関連でございます。特定疾病の指定に関しては、若年要介護者の実態を踏まえた必要な配慮というものが必要であるというように考えています。そのためにも障害者プランの確実な推進というものがより積極的に図られるべきであると考えますが、その点についてどのようにお考えか。  また、この特定疾病、これはそれぞれ専門委員会、研究会において検討することになっているわけでございますが、前回、具体的に事例を挙げて、私以外の議員からも御指摘ございましたように、ALSなどについて、特定疾病の対象となる疾病であるということについての確認をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
  144. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 特定疾病の範囲につきましては、現在、高齢者の保健、医療福祉の専門家によりまして構成をされております研究会におきまして検討を行っているところでございまして、若年要介護者の実態を踏まえながら、疾病の発生状況、あるいは加齢に伴う状態の悪化等を総合的に勘案して適切に対応いたしたいというふうに考えております。  障害者プランにつきましては、国、地方を通じまして、介護サービス充実が図られますように、市町村障害者計画がすべての市町村で策定されるように適切な指導を行うことといたしたいと存じます。  そういった中で、特定疾病の範囲に関連をいたしまして、御指摘のALSにつきましては、年齢とともにその発生する頻度が高まりまして六十歳代でピークとなる疾病であるということで、特定、疾病の検討の対象になっている疾病でございます。  特定疾病の選定基準及び具体的な対象範囲につきましては、現在、先ほど申し上げました研究会におきまして検討をいたしておりまして、その中で、具体的な医学的根拠を含めまして検討を行い、結論を得ることにいたしたいというふうに存じます。
  145. 五島正規

    ○五島委員 配食サービスあるいは高齢者障害者の送迎サービス、これらについては、民間活力を含めたシステムとすることで、それに対する一般行政の支援というものが必要であるというように考えているわけでございます。この点についてどのようにお考えなのか。また、送迎サービスは訪問介護サービスに含まれているということについて確認をしていただきたいと思いますが、その点についていかがでしょうか。
  146. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 まず、配食サービスにつきましては、今後、介護保険の導入に伴いまして、市町村が地域におきまして、介護保険給付対象となりますホームヘルパー、デイサービス等とそれ以外の在宅福祉サービスをいかに組み合わせて総合的な介護サービスシステムを構築するかという観点から、民間企業あるいは非営利団体など民間活力の活用を含めまして、地域の実情に応じた食事提供を含む生活支援のいわば仕組みづくりを支援していくという考え方で対処してまいりたいと思います。  また、お挙げいただきました保健福祉サービス利用等のための必要性の高い通院介助、あるいはリハビリのための外出の介助につきましては、訪問介護サービスの内容に含まれるものとして扱いたいというふうに考えております。
  147. 五島正規

    ○五島委員 次に、ホームヘルパーなどのサービスの供給主体が一定の質を持って定着できるように、そして、ヘルパーさんなどの社会的地位が向上できるように介護報酬の設定を行うべきであると考えるわけでございますが、その点についてはいかがでしょうか。
  148. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 ホームヘルパーなどに係ります介護報酬につきましては、人員あるいは設備等サービスの質の確保及びサービスの安定的な供給の確保に関しまする一定の要件を満たしますことを前提にいたしまして、費用の実態等を把握いたしました上で、サービス内容、事業所の所在地等に応じました平均的な費用を勘案して、御指摘の趣旨を踏まえて適切に設定してまいりたいというふうに考えております。
  149. 五島正規

    ○五島委員 市町村が行う特例給付について、営利を目的としない人格なき小規模団体がサービスを行う場合にも、指定業者と同様なサービス費の支払い方式をとるべきではないか。国保連からの直接の支払いは制度的に困難であるとしても、市町村による代理請求または代理支払いなどにより特段の配慮を行うべきであると考えるわけでございますが、その辺についてはいかがでしょうか。
  150. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 ボランティア団体など、特例居宅介護サービス費の対象となります事業者が行う介護サービスに係る費用の支払い方法でございますが、御指摘の趣旨を踏まえまして、今後、施行いたしますまでの間に、実際上、現物給付と同様の取り扱いを行うためにどのような手法があり得るかという点について、運用上の工夫を含めまして具体的に検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  151. 五島正規

    ○五島委員 最後に、附則の第二条の検討規定に係る具体的検討内容について確認したいと思います。  条文では、全般的に検討を行うと規定しているわけでございますが、具体的に次の六つを具体的検討事項に加えるべきであると考えるわけでございます。  一つとして、特定疾病に該当しない若年要介護・支援者の取り扱い。第二に、国保連合会におけるオンブズマン機能の点検。第三に、いわゆる社会的入院の解消。第四に、市町村の事務処理、市民参加、苦情処理体制のあり方といったことについての点検。第五に、障害者施策との統合問題。第六に、いわゆるバウチャー方式の検討つ  こうした六つについてこの附則第二条の検討規定に係る具体的内容として加えるべきであると考えておりますが、その点についてはいかがでございましょうか。
  152. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 法案附則の検討規定の趣旨を踏まえまして、介護保険制度の施行の状況あるいは障害者福祉に係る施策の状況等を踏まえながら、時期におくれることのないように適切に検討を加えてまいりたいと考えております。  検討の範囲につきましては、法案におきまして、被保険者及び保険給付を受けられる者の範囲等を含めまして、制度全般に関して検討を加えるということになっておりますので、御指摘の事項を含めまして幅広ぐ検討してまいることにいたしたいと存じます。
  153. 五島正規

    ○五島委員 ありがとうございます。  以上、大臣及びその運用上での政府委員に対する我が党としての確認質問は終わらせていただきますが、いずれにいたしましても、最初に申し上げましたように、この介護保険法案、非常に各市町村においても準備のかかるものでございますし、新しい制度であるために、成功させるために各方面の大変な御努力が必要でございます。そのためにも やはりここで 大臣も大変御苦労でございますが、何としてもこの国会においてこの介護保険法案を成立させるようにお力をお願い申し上げまして、民主党を代表しての質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  154. 町村信孝

  155. 児玉健次

    児玉委員 日本共産党児玉健次です。  前回、私は、特別養護老人ホーム利用料についてお伺いをしました。全国で今入所している特養の方々、もちろん経過措置はありますけれども、このままでいけば、七五%の方にとって、負担する費用が増額されるということがその中で明らかになった。  きょうは、ホームヘルパーの派遣の場合について伺いたい。  現在、身体介護の場合、一回一時間のホームヘルパーの派遣は三千百三十円だと聞いております。皆さんが言っている、厚生大臣が定める基準により算定した額、その百分の十が利用料ということになる。一時間週三回として三千百三十円の三倍の九千三百九十円で、その十分の一、週について九百三十九円、一カ月でおおむね約四千円、このようになりますね。まず、そのことを伺います。
  156. 江利川毅

    ○江利川政府委員 ホームヘルプサービス介護保険制度上の価格というのですか給付額、これは介護報酬を定めていく中で決まるわけでございますので、具体的に実態を踏まえて今後検討していくことになりますが、今の予算単価で類推して計算をすれば、先生の御指摘になったような形になるわけでございます。
  157. 児玉健次

    児玉委員 この点は、大臣に私は真剣な検討を求めるのですが、今のホームヘルプサービス負担基準、昨年七月から適用されているものは、生活保護法による被保護世帯は一時間当たりの負担額がゼロ円、生計中心者が前年所得税非課税世帯は同じくゼロ、生計中心者の前年所得税課税年額が一万円以下の世帯は二百五十円、以下、AからGまで七段階にわたってかなり細かく段階が設定されています。これは当然のことだと思うのですね。特別養護老人ホームについては、もっと細かな段階の設定がある。  ところが、今度の介護保険法案によれば、まだこの後、審議会の答申を得るとかいろいろな手続が残っているようですが、経済的負担力に応じた負担という点では、現行の措置制度とは全く違う。結局、保険料について若干収入による段階はあるにせよ、先ほどの適切な自己負担額の設定が検討されていない段階で 経済的負担力に応じた利用料という点では措置制度余りに距離があり過ぎる。ここのところの検討が必要だと思うのですが、いかがですか。
  158. 江利川毅

    ○江利川政府委員 現在のホームヘルプの費用徴収は、先生御指摘のとおり、負担能力に応じて七段階というふうになっております。  今の単価でいいますと、先ほど先生も御指摘ありましたように、身体介護中心業務の場合には一時間当たり三千百三十円、一割負担となりますと三百十三円。一時間当たりの費用徴収、七段階のケースでは、下の方から三段階目が二百五十円で四段階目が四百円になっていますが、この真ん中に入ることになるわけでございまして、一部の人にとりましては負担増になるわけでございます。  しかしながら、医療保険におきましても一部自己負担のもとに適切な運営が行われているわけでございますし、介護保険制度の運営につきましても、この程度の、一割負担額ということであれば、無理なく負担をしていただけるものではないかというふうに考えております。
  159. 児玉健次

    児玉委員 そこなんですが、皆さんが今後検討される場合、ぜひ着目していただきたいのは、一部の者にとって負担がふえる問題なんです。その一部の者というのは、最も経済的負担が困難な層なんですから。ある程度経済力がある方にとっては、何百円という金額がふえたり減ったりというのは生活の中でカバーし得ると思うけれども、今、厚生省がおっしゃったその一部の人にとってはそれが困難だから、措置制度において非常に細かな段階を設定していたのです。ここに今度の介護法案の大きな欠陥があります。  もう一つの問題は、保険料負担です、介護を受けたいと思う人にとって、今の利用料負担保険料負担が二重の壁になって立ちはだかることになる。私たちは、この後の全国民的な公的介護に対する切実な願い、そしてせめてヨーロッパに近づけていくという点でいえば、二十四時間対応のホームヘルプ、そしていつでも利用できるショートステイ、待機者なしの特別養護老人ホーム、ここにいくためには、恐らく数兆円ではなくてほぼ十兆円のオーダーの経費が必要になってくるだろうと思うのです。そこに進んでいくためには、保険料措置制度組み合わせが必要だと考えています。言い直せば、負担は力に応じて、そして給付は平等に、そう考えるとき、保険料制度というのは現実的に介護分野でも十分採用するに値する制度だ、こう考えております。この点、大臣日本共産党の見地を御理解だと思う。  そこで言いたいのは、第一号被保険者保険料です。先日も議論をしましたが、雇用者の場合は月額二千五百円、それも健康保険料の段階の比率に応じて設定されていることになりますね。そして、その保険料の二分の一は企業の負担です。国民健康保険の場合は、企業の負担に相当する分は基本的に国が負担する。ところが、六十五歳になった途端に企業や国の負担は消えうせてしまう。本人負担のみになってしまう。これは制度を設計する場合の大きな問題点ですね。  その結果、第一号被保険者、老齢福祉年金受給者、月額平均三万三千五百三十三円、この方からも千二百五十円の保険料を月々徴収する。住民税非課税世帯の場合は千八百七十五円。朝、私が日本共産党を代表して提起した修正案で明らかにしたように、市町村民税非課税世帯をどうするかというのは、日本の現行のさまざまな社会保障福祉の諸制度で、そこのところを一つ言ってみれば線として減免を行うという点で、非常によく使われている部分ですね。それより下回る部分からは保険料は徴収すべきではない、こう考えるのですが、いかがですか。
  160. 江利川毅

    ○江利川政府委員 高齢者、一号被保険者保険料負担でございますが、一号被保険者の場合には、みずからの給付のために保険料負担する、四十から六十五歳未満の方々の場合には、そういうみずからのリスクのほかに世代間扶養の観点から保険料負担していただく、そういうようなことで今のような仕組みになっているわけでござい.ます。高齢者の要介護の発生率の高さを考えれば、この負担のあり方が単純に不公平とは言えないというふうに思います。  また、保険料につきましては、所得に応じて五段階に徴収して、低所得者には低い保険料水準にする。現在、税制等では公的年金等控除もございまして、年金給付を受けていて非課税である人であっても、実質所得はある程度ある、若い人と比べてもある程度あるというケースもあるわけでございます。そういうことにかんがみまして、この五段階で対応していくということは、保険料負担、円滑に負担をお願いできるのではないかというふうに思っているところでございます。
  161. 児玉健次

    児玉委員 審議官とはこの問題を先日議論しましたが、きょうの先ほどの大臣答弁の中でも、今あなたが論拠の一つに挙げられた、六十五歳未満加齢に伴う「疾病等」という、その「等」の中で、その他の障害、その他も入るのだということは先日明らかにされましたが、将来の方向性としてそこの部分にまで拡大していかなければならないというお答えもあったぐらいですよ。  そういう問題点を含んでいるというので、私はさっきあえて、これは欠陥だと申し上げた。将来直さなければいけない部分について、そこが根拠になって、今おっしゃった、六十五歳以上について国と企業の負担がなくなってもそれは無理とは言えないとおっしゃったかな、ともかくそのことについて改める意思の表示がありませんでしたが、そこは私は大きな問題だと思います。  もし皆さんが財源のことを気になさるのであれば、老人福祉法における措置制度、これは現に存在しておりますし、今度、介護保険法との結びつきという点でいえば、「やむを得ない事由により介護保険法に規定する介護老人福祉施設に入所することが著しく困難であると認めるとき」云々、そこに限定されていますが、しかし、局部的、部分的であっても、措置制度が残されているということは明白です。そこの部分を大きく広げていく、すなわち、四十歳以上の方でさっき言いましたように市町村民税非課税以下の世帯、そこに属する方についてこれは保険料を徴収しない、措置制度拡充があれば介護保険制度の収支は基本的には償う、私たちはそのように考えております。いかがですか。
  162. 江利川毅

    ○江利川政府委員 介護保険制度で全体を運営しようということで制度の構築をしているわけでございまして、先生の御指摘になります、低所得者については措置で行う、そうしますと、国民のある部分が低所得者であるということをはっきりさせる、そしてその低所得だという人は措置になる、手続も違った形になる、そして、修正案を読ませていただきますと、その措置が生きるのは福祉部分であると。  今度の介護保険制度では、利用者の利便ということを考えて、一つの窓口で福祉も保健も医療も総合的に受けられるようにということでございますが、福祉についてだけ措置が残って、それを利用する人は低所得者であるということが関係者に明らかになる、こういうことで、果たしてどうだろうか。私どもは、そこを、保険制度の中でできるだけ低所得者に配慮する仕組みを入れ込むことによって、低所得者も含めて、同じような手続、やり方で同じようなサービスを受けられるようにする、この方が適切ではないかというふうに考えているところでございます。
  163. 児玉健次

    児玉委員 例えば、市町村民税非課税世帯、その部分に対して一定の減額や免除措置をとるという仕組みは現行の制度に随分たくさんあって、そしてそのとき、減免制度の適用を受けるからといって、今あなたがおっしゃったような問題がそれを困難にしているとは私は必ずしも思いません。  それから、厚生省は私たちの出している修正案を子細に検討してほしいのだけれども、今あなたが言った問題を私たちは若干考えて、それで、その部分を第三号被保険者というカテゴリーをつくって、そして介護保険給付という点では区別をしない、このよりこしているのです。どうです。
  164. 江利川毅

    ○江利川政府委員 共産党の方からお示しになっております修正案におきましては、住民税非課税世帯高齢者・低所得者市町村長の認定を受けたものを第三号被保険者とする、そして保険料は徴収しない。それから、第三号被保険者は、特別養護老人ホームヘの入所及び在宅サービス老人福祉法措置される、保険措置制度組み合わせサービスを受給する。  ですから、これを読みまして、この第三号被保険者福祉部分措置という別のルートに乗り、他の部分保険給付になる、そういう意味で、私どもは、受給者の立場から見て福祉と保健医療、そういうものが一体的、総合的に提供されるような仕組みを考えた方がいいのではないか、そこがこの仕組みでは、現行制度で持っている縦割りの制度の分断というのは残ってしまうのではないかというふうに思ったところでございます。
  165. 児玉健次

    児玉委員 私たちは、その点で、保険料が徴収されるか否かとにかかわらず、介護保険給付を受けるといり点では同一な扱いこする、これが工夫のしどころだと思っているのです。  それからもう一つ言っておきたいのは、保険料の滞納・未納者に対する給付率の引き下げ。  第二号被保険者の場合は、保険料国保料に上乗せされています。その滞納に対して、保険給付の差しとめと過料の額の引き上げまで提起されている。ペナルティーの強化という点では随分力が入っているようですが、経済的な困難な方々に対する温かい配慮、私は、この部分に文字どおり全知全能を尽くすというだけの気構えがあっていいのではないかと思うのですが、いかがです。
  166. 江利川毅

    ○江利川政府委員 要介護者国民全体が支える、四十歳以上からの被保険者あるいは六十五歳以上の第一号被保険者、そういう人たち中心になり保険料を納め、また、公費もそれを支えるような形で全体の給付費の半分を入れてこれを運営するということになっているわけでございます。介護状態というのはだれにでも起こり得るリスクということで、それぞれの立場で協力し合ってそういう状態に備えていくということでございますので、この制度趣旨を十分理解していただければ、保険料の未納、滞納というのは余りないのではないか。  前に国保のケースで申し上げましたが、七十歳以上の国保の保険料を納めている方は九九%ぐらいきちんと納めているということでございまして、制度理解、必要性が認識されますと、きちんと対応していただいているのではないかと思うわけでございます。そういう意味で、所得の水準に応じて段階的に、いわゆる低所得者に配慮した保険料を設定する、そういうことによりまして滞納等を生ずることなくやっていただけるのではないか。  ただ、滞納する人は決して低所得者に限らないのだと思います。そういう人を無原則的に認めるということは、制度趣旨理解して一生懸命それを支える人との公平を欠くことになりますので、そういうような滞納者に対しましては、基本的には、十分説明をし、御理解をいただいて保険料を納めていただくように説明、説得をするということがまず最初でございますが、なおそれでも保険料の納付に応じないというような方につきまして、介護給付を必要とするときに何らかの制限的な給付ということは、全体の制度の公平的な運営の観点から必要ではないかというふうに思っております。
  167. 児玉健次

    児玉委員 この点については、今後、制度発足まで積極的な検討を求めたいですね。経済的に困難を抱える方々に対してどのように介護が及ぶようにするか、私は強く要望します。  さて、国民の不安の一つは、介護保険の導入で高齢者医療が後退するのではないかというところにあります。ことしの春、特別養護老人ホームで数多くの死者を出して、本当に痛ましい限りでした。インフルエンザのあのときの対応、そこから多くの教訓を引き出さなければならないと考えます。  この四月四日、私たちの委員会が行った参考人意見聴取で、糸氏参考人日本医師会の糸氏参考人は次のようにおっしゃった。「高齢者は、一つ病気が起こると治りにくい、多くの病気を同時に多発しやすい、症状が急変し、容易に死への転帰をとる、」そして同じ日、同じく参考人としておいでになった鬼子母神病院の森参考人、この方は看護婦さんですが、医療介護がどのくらい分けがたいものであるかということについて、御自身の経験からいろいろとお述べになった。  介護保険が発足するとき、特にこの施設介護分野で、高齢者に対する医療をどのように保障しようと考えていらっしゃるのか、具体的にお示しいただきたいと思います。
  168. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 介護を要する高齢者の方々につきましても、その方が医療を要する状態にありました場合に、医療介護保険ができることによって拒否されるというような事態はないようにやっていくということを基本にいたしております。  したがいまして、それぞれの、例えば特別養護老人ホームにお入りになった方が、症状が急変して治療を行わなければならないということになれば、それは治療を行う場所にお移りをいただいて治療が受けられるというのは従来どおりでございますし、そのほかの施設関係につきましても、それぞれ必要な医療は確保できるように対応していくということを基本にやらせていただくようにいたしたいと思います。  先ほど先生、この春のインフルエンザの件をお挙げいただきましたけれども、これにつきましても、特別養護老人ホームの場合にはそもそも特別養護老人ホームのスタッフとして医師を配置するという形になっておりますから、今はいわゆる措置でございますけれども、措置費の払われ方として言えば、通常、その配置をしておられるお医者さんによって対応できるような場合については、そこで対応していただくということを基本にしておりますので、それを超えてみだりに外からお医者さんの往診を求めるということは費用の支払われ方としては避けるようにということ、これは何も今回のインフルエンザに関して出したわけではなくて、過去出しておりますけれども、その場合におきましても、緊急な場合でございますとか、あるいは配置をされておられますお医者さんの専門外の医療が必要な場合というような場合については、これを医療保険からやられるということは従来もやられておりますし、そのことは今後の介護保険の中でも変わらないものというふうに考えております。     〔委員長退席、住委員長代理着席〕
  169. 児玉健次

    児玉委員 はっきりおっしゃっていただきたいのですが、介護保険が導入されることがあっても、高齢者医療が手薄になるようなことはない、こういうふうに受けとめていいですね。
  170. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 そのようにお受けとめいただいて結構だろうと思います。
  171. 児玉健次

    児玉委員 先日来の厚生省答弁の中で、例えば病状が急変した場合に医療保険の適用について述べられたことがあるし、それから、医療保険に準ずるという言葉で答弁されたこともあるし、そして今は、羽毛田局長のお話のように、施設介護でその施設に入所されている方が病状が急変した場合に医療機関に移るということについてもお話がありました。さまざまなお話があったのですね。  それぞれ考え得ることだと思うのだけれども、一つ言わなきゃいけないと思うのは、例えば特別養護老人ホームに入っている方々にとって、その特別養護老人ホームの条件によっては、大きな病院との密接な関係を持っている特養の場合はかなり可能ですけれども、医療機関からは完全に独立して存在している特養の場合などは、これはそう事態が簡単ではありませんね。  それから、医療保険に準ずるという場合に、恐らく皆さん方は、この介護保険における施設介護について言えば、定額払い的なものを考えていらっしゃると思う。そのことと、この病状急変のとき、その施設の中でかなり濃厚な治療を行わなければならない、そのときも、その医療保険に準ずる医療の供給ですね、そのあたりはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  172. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 幾つかの観点からおっしゃったというふうに思います。  まず、最初におっしゃいました特別養護老人ホームにおける医療の確保という問題は、実はこれは、介護保険の導入にかかわらず、今の制度との関係においてもお話のようないわば御意見あるいは御質問点を呈されたのではないかというふうに思います。そういう意味で、現在の特別養護老人ホームにおきましても、医療が必要になる場合が生じることに備えまして医師を配置するということを一つやっておりますのと、それから、入院治療を必要といたしまする入所者のために、あらかじめ協力病院を定めておくということをしておるわけでございます。そういった形の中でやっていく。このこと自体は、今後の介護保険であると今の状態であるとを問わず、やはりそういう配慮はしていかなければならないだろうと思います。  それから、先ほど確認をお求めいただきまして、この介護保険ができることによって必要な医療が妨げられるようなことになることはないということを申し上げましたけれども、このことについては、現実の医療の運営の中で工夫をしなければならない部分と、それから、今お話しのことからいえば、そういった形で確保された医療を、いわば形によりまして、医療保険という場で支払いをするのか、あるいは介護保険に込めて払いをするのかという点は、これはそれぞれのところで物によりましての検討というものは必要であろうと思いますし、先日お話のございましたことにつきましては、そのようなことで答弁をさせていただきました。  また、それを介護保険の中でいわば医療部分も含めて見るというときに、その介護報酬をどういうふうにするかということにつきましては、この点につきましても、必要な医療が欠けるというようなことにはならないように、しかし、そこで行われる医療というものの性格をも考えまして、どういうふうに報酬を決めていくかということでこれから考えていくことであろうというふうに考えます。
  173. 児玉健次

    児玉委員 大臣にこれはぜひ答弁してほしいのですが、今度の政府案によれば、介護保険の発足に当たって国のこの分野に対する負担は三千七百億円減ぜられる、そして自治体の負担は千六百億円減じられていく、こういうふうになっていますね。一方、国民に対しては新たな保険料利用料を求める構造になっています。私たちは、先日来、基盤整備に対する国の責務をはっきりさせる、そしてなかなかそれが進まない大きな理由は財政的な理由だから、そこの部分については国の財政的な負担、援助を高めていく、そうしなければならないと言っているのだけれども、実際は逆に三千七百億減じられることになる。  二〇〇〇年の四月一日まで、あと三回、国の予算編成があります。九八年、九九年、二〇〇〇年ですね。そういった中、で、その都度、国の負担をこの分野でそれにふさわしく手厚くしていく、その努力が必要だと思うのです。私たち日本共産党は、九七年度予算案に対する組み替えの提案の中で、新ゴールドプラン達成に関する部分については予算を倍加すべきだという具体的な提起をしているくらいなんですが、国の負担を三千七百億円減らすのでなく、二〇〇〇年に向けて手厚くしていく、この点で大臣はどのように考えていらっしゃいますか。
  174. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今後、介護費用でふえる部分をどうやって賄っていくかという点は、単に介護問題だけではなくて、年金についても医療についても福祉においても共通して言えることは、公費いわゆる税金と保険料負担利用者負担、この組み合わせをどうやってうまく調整していくかだと思うのであります。  共産党の考え方は、利用者負担はできるだけ少なくしろ、公費を導入しろということだと思うのですが、これは国民負担ではないのかというと、そうではない。税金をそれだけふやしていけばということに対しては、これは国民もなかなか納得はしていただけない。  全体として、これから高齢者がふえていく、そして若い人が減っていくという中にあって、若い世代と高齢者世代の負担にかかわる紛争を避ける意味においても、お互いバランスのとれた負担考えていくべきではないか。いわゆる給付の陰には必ず負担があるという観点から、国民負担率を将来といえども五〇%以下に抑えようということから、利用者医療においてはいわゆる患者の負担という面もある程度ふやさざるを得ないという観点から、医療保険においても、今回の介護保険制度においても、保険者利用者公費という組み合わせ考えて出したわけであります。今後とも、我々としては、この組み合わせをいかに考えるかでありますから、利用者負担を減らせば税金の面と保険料を払う負担が必ずふえていくわけですから、これも国民負担であると私は考えております。  そういう観点から、ただ利用者負担の軽減をすれば国民負担が減るという考えはとっていませんので、その点は、共産党と我々の立場とははっきりと違っているのではないかと思います。
  175. 児玉健次

    児玉委員 私たちが、この場合、保険料を提起している、保険制度組み合わせを提起しているということの意味を大臣理解されていないな。  経済的な負担力のある人からは適切な額の保険料を徴収する、その場合、働いている人の場合には、企業の負担日本の五対五でなくてヨーロッパの七対三に高めていく、そのような形で、ある意味では医療介護も大きく前進していきます。その際、肝心な点は、国がみずからの負担を減ずるのでなく相応にふやしていく、その立場がなければ国民負担しません。  私は、その点での大臣の再考を促して、質問を終わります。
  176. 住博司

    ○住委員長代理 中川智子さん。
  177. 中川智子

    ○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。  質問をさせていただきます。  今回の介護保険法案提出に当たりましては、昨年夏に与党三党で介護保険に関するワーキングチームを設置し、全国六カ所で地方公聴会を開催するなど、幅広く国民各層の意見を拝聴し、その検討を踏まえ、与党三党の合意により、市町村に対する支援策を強化するなどの修正政府原案に加えた上で法案を取りまとめ、昨年の十一月に国会に法案を提出したという経緯がございます。  このような法案とりまとめに至る与党における議論の経緯を十分踏まえ、今後とも、施行に向けて、実施主体となる市町村と十分意見を交換しながら、円滑な施行に万全を期していっていただきたいと思いますが、大臣、お願いいたします。     〔住委員長代理退席、委員長着席〕
  178. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 この法案提出に至る過程で大変御努力をいただきました。この法案に対しての賛成者であります与党の皆さんの御意見、そして本委員会における審議状況を踏まえながら、市町村における安定的な保険財政の運営及び円滑な保険者事務の執行が行われるよう、十分意見交換を行いながら、実情を踏まえた適切な支援措置を講じていきたいと思います。
  179. 中川智子

    ○中川(智)委員 実情に関しては、しっかりと実情を見きわめて適切な措置をとっていただくように、上からの押しつけの実情ではなくて、声を聞いての御判断をお願いいたします。  続きまして、認定審査会のことについて伺います。  認定審査会の意見に基づく市町村によるサービスの指定については、被保険者サービス選択の自由を阻害しないよう運用上しっかり配慮すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  180. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 介護認定審査会の意見に基づき、被保険者が利用できるサービスの種類を市町村が指定できる旨の規定は、特に、リハビリテーションの必要性が高い場合や、医学的管理の必要性が高い場合など、被保険者の要介護状態の軽減や悪化の防止に必要な場合を念頭に置いたものであり、被保険者本人によるサービス選択という介護保険本来の理念が損なわれることのないよう、介護認定審査会の運営方法等に関しては、本規定の趣旨の明確化を図る等の措置を講ずることにしております。
  181. 中川智子

    ○中川(智)委員 待ちに待ったものができてきたとみんなが喜ばれるような、そのような法律にぜひとも魂を入れて、しっかりと進めていっていただきたいと心よりお願いいたします。  次は、障害者プランについて確認の質問をさせていただきます。  今回創設される介護保険制度においては、若年の要介護者は、特定疾病に該当する場合にのみ、給付の対象とされることとなっております。それ以外の若年要介護者につきましては障害者プランで対応するという、この間の答弁がございました。  難病患者を含む、介護保険の対象とならない障害者に対する介護サービスにつきましては、高齢者に対する介護サービスと遜色のないサービスを保障するよう、障害者施策の充実をしっかりと図るべきだと考えますが、いかがでしょうか。
  182. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 御指摘を踏まえて、しかるべき措置を講じてまいりたいと思います。
  183. 中川智子

    ○中川(智)委員 それはすばらしい答弁なんでしょうか、それとも中身がないのでしょうか、非常に悩みますが、大臣の性格を、この間の六カ月で――どうも済みません。よろしくお願いします。
  184. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それじゃ、間違いないように再答弁させていただきます。  難病患者を含む若年障害者に対する介護サービスについては、御指摘の趣旨を踏まえ、高齢者に対する介護保険給付と遜色のないものとなるよう、障害者プランに基づきその拡充を図ってまいります。  また、障害者基本法に基づく市町村障害者計画がすべての市町村で策定されるよう、地方公共団体に対して適切な指導を行っていきたいと思います。
  185. 中川智子

    ○中川(智)委員 本当にありがとうございました。  それでは、サービス基盤の地域間格差が本当に不安なんですけれども、過疎地、都市部、さまざまなところでさまざまな御意見がありまして、不安がたくさん寄せられました。基盤整備がおくれている地域について、市町村等における努力はもちろんでありますけれども、国の積極的な支援を講じていくことを明確にすべきだと思いますが、明確にしてください。お願いいたします。
  186. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 介護保険制度の円滑な導入のためには、介護サービスの基盤整備を着実に進めていくことが必要不可欠であるというふうに考えております。  御指摘のサービス基盤の地域間格差の解消につきましては、過疎地あるいは都市部等のサービス基盤の整備がおくれている地域につきまして、小規模特別養護老人ホームの整備促進、そういったものなど基盤整備を重点的に支援することとしたいと存じております。  さらに、在宅サービス中心にいたしまして、既存施策の拡充、既存資源の活用、農協あるいは生協あるいはNPOなど民間非営利団体の積極的活用等の民間活力の導入など多様な手法を活用することによりまして、マンパワー対策を含めたサービス基盤の整備を積極的に推進しまして、地域間でバランスのとれた基盤整備を推進していくよう努めてまいりたいというふうに考えております。
  187. 中川智子

    ○中川(智)委員 本当に御努力をお願いいたします。  今、NPOなど民間非営利団体のというふうにおっしゃいましたけれども、これは通告していないのですけれども、今のNPO法案、我が党の辻元清美など一生懸命頑張りましたので、NPO法案の早期の成立をぜひともお願いしたいのですが、大臣の御決意をお願いいたします。通告していないのですが、ちょっとお願いします。
  188. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 これは、たしか議員立法じゃないでしょうか。厚生省所管じゃないものですから、発言を控えさせていただきます。
  189. 中川智子

    ○中川(智)委員 済みません。それでは、みんなで頑張ってやりましょう。  終わります。
  190. 町村信孝

    町村委員長 これにて各案及び各修正案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  191. 町村信孝

    町村委員長 これより各案及び各修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。安倍晋三君。
  192. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案並びにこれらに対して自由民主党、民主党、社会民主党・市民連合及び21世紀が提出した修正案につきまして、修正案及び修正案を除く原案に賛成の意を表するものであります。  我が国においては、急速な高齢化の進展に伴って、介護を必要とする者の数も急速に増加しています。また、介護期間の長期化、核家族化等に伴う家族機能の低下などと相まって、今日、介護問題は、国民一人一人にとって、老後生活における最大の不安要因となっており、地域や家庭においてますます深刻の度を深めております。  現在の高齢者介護に係る制度は、老人福祉と老人医療に分立しており、利用手続や利用者負担の不均衡から、総合的なサービス利用が妨げられ、また、それがいわゆる社会的入院の一因ともなっております。  政府原案は、こうした状況を踏まえ、現行の介護制度を抜本的に再編成し、市町村保険者とし、六十五歳以上の高齢者及び四十歳以上六十五歳未満医療保険の加入者を被保険者とし、寝たきり、痴呆等の要介護状態のみならず、虚弱の状態についても、全国共通の公正な基準により、認定を行い、在宅、施設、保健、医療福祉にわたる幅広い介護サービスに係る給付を行い、その財源は、二分の一は負担能力に応じた保険料により、残り半分は国、都道府県、市町村の一般会計負担により賄う新たな社会保険制度を創設しようとするものであります。  我が国の社会保障制度においては、昭和二十五年の社会保障制度審議会勧告以来、一貫して、自己責任を基本としつつ、相互扶助による社会保険方式中心医療年金制度を築いてきており、介護についても、一生で見れば、二人に一人が寝たきり等になる可能性があり、配偶者やその親までを含めればだれもが直面する問題であることから、社会保険方式により対応することが適当であると考えます。  また、今後、増大が避けられない介護サービスに要する費用を安定的に賄う仕組みとしては、給付負担の対応関係が明確であり、開かれた議論を通じて、給付負担の水準の調整が図られる社会保険方式が適当であると考えます。  さらに、介護保険法案においては、介護サービスについて、利用者選択を基本とするとともに、在宅サービス中心に、従来の福祉制度のように市町村からの委託がなくとも、一定の人員、設備等の要件を満たせば、民間企業、農協、ボランティア等、幅広く多様な事業者の参入が認められ、民間活力の活用により、サービスの質の向上や費用の効率化も期待することができます。  以上、申し上げたように、政府原案は、従来の利用しにくい制度を抜本的に改め、社会全体の連帯により、良質かつ総合的な介護サービスを効率的に提供しようとするものであり、その趣旨に賛同するものであります。  また、自由民主党外三党提案の修正案により、主として次のような諸点について所要の修正を行うことにより、一層の制度改善が図られるものと考えております。  第一に、市町村が、市町村介護保険事業計画を定め、または変更しようとするときは、あらかじめ、被保険者意見を十分に反映させるために必要な措置を講じることとするものであります。  第二に、介護保険制度の全般に関して検討が加えられ、その結果に基づき、必要な見直し等の措置が講ぜられるべき時期について、施行後五年を目途とすることを定めるものであります。  これは、介護保険制度の施行状況障害者福祉に係る施策の状況等を踏まえながら、時期におくれることのないよう適切に検討が行われるようにするため、検討のめどを明示するものであります。  以上の修正によって、これら法案の目的の達成と円滑な実施に資するものと考えるものであります。  次に、医療法の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府原案は、療養環境、介護体制の整備や地域医療の確保の観点から、療養型病床群制度の診療所への拡大、地域医療支援病院の創設及び医療計画制度充実を行うとともに、医療における情報提供の推進、医療法人の業務範囲の拡大を行うなど、国民に良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の整備を図るための所要の改正を行うものであり、人口構造の高齢化の進展、慢性疾患中心の疾病構造への変化、医療の質の向上に対する国民の要望の高まり等に対応する適切な措置であると考えます。  以上、申し述べましたように、介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案並びにこれらに対して自由民主党、民主党、社会民主党・市民連合及び21世紀が提出した修正案は、高齢者介護問題の解決に向けた取り組みであるのと同時に、介護医療から切り離し、医療についてはそれにふさわしい抜本的な改革を進める上での前提をつくるものであり、社会保障全体の構造改革の第一歩となるものであり、私どもとしては、この修正案及び修正部分を除く原案に賛意を表するものであります。  これをもちまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  193. 町村信孝

  194. 山本孝史

    山本(孝)委員 私は、新進党を代表して、ただいま議題となっております介護保険法案及びこれに対して提出された両修正案並びに同法施行法案及び両修正案反対医療法の一部を改正する法律案及び修正案に賛成の立場から討論を行います。  新進党は、介護保障制度を創設するに当たっては、税方式で構築すべきであると一貫して主張してまいりました。それは、社会保険方式より税方式の方が制度としてすぐれていると考えるからです。  政府・与党は、介護保険と言いつつ、保険とは名ばかりの、保険原理と全くかけ離れた制度をつくろうとしています。  例えば、四十歳から六十四歳の第二号被保険者は、保険料を払い、全国で介護事業に要する費用の三三%を賄うにもかかわらず、先天性や外傷性の障害によって要介護状態となっても、介護保険給付を受けられません。すなわち、若年者保険料はほぼ全額が第一号被保険者への給付に使われ、実質的には若年者から高齢者に対する所得の再分配となっています。所得の再分配をもたらすものは税金です。苦し紛れに、政府は、自分の親が介護を必要とするときに備えて保険料を払っていただくと説明しますが、負担給付の関係は不明確になるばかりです。制度の組み立て方に無理があるのです。  しかも、今国会は、高齢者にもっと負担をしてもらおう、高齢者への給付を下げようの大合唱です。年間所得が百万円以下の高齢者世帯は一六・八%を占めますが、これらの低所得者介護保険料を負担しなければなりません。審議の過程では、保険料の減免制度自己負担に伴う高額介護サービス費の上限額等、低所得者への配慮を求めましたが、詳細は明らかにされませんでした。  医療保険でも、改革を先送りする一方、負担増だけは決められました。介護保険導入によって健康保険料が下がらないとの考えも示されました。特に、高齢者に最終的にどのような負担を求めるのか明らかでない現状では、この介護保険の創設は、八月末までにまとめると約束されている医療保険の改革や、財政構造改革、社会保障改革と軌を一にしてその全体像を明らかにしながら進めるべきです。  小泉厚生大臣委員会で、「社会保険方式というのは一種の目的税だと考えていいと思うのであります。」と答弁しました。社会保険料は一種の直接税です。税の直間比率の見直しが必要なの一に、直接税に等しい社会保険負担をふやすことは時代に逆行しています。また、国保と同じ地域保険にもかかわらず企業負担を求めることも、保険観点からは理屈に合いません。  その上、自治体で介護保険事業計画を策定すれば、第二号被保険者については自動的に保険料率が定まり、財源が確保できる仕組みになっています。厚生省介護保険事業計画の策定指針や介護報酬基準額の決め方次第で、国会のチェックなしに国民負担が決まるというこのような仕組みは、租税法定主義にも反しています。  このほか、新しくつくる介護保障制度では、年齢や要介護状態となった原因で差別するのではなく、すべての要介護者を対象とすることを目標とすべきだとの観点から、第一条の加齢疾病条項の削除を要求しましたが、政府は、応じないだけでなく、障害者福祉高齢者医療制度との関連で介護保険制度が将来どのような姿になるのかも示しませんでした。  契約の概念や利用者保護の視点がないことから、利用者保護の仕組みとして・介護事業評価委員会を設置し、情報の公開や苦情処理を通じての利用者保護体制確立や国保連のオンブズ機能組織への権限の付与等を要求しましたけれども、これも対応は全く不十分、出されております修正案もこれにはこたえておりません。  審議会答申も意見を並べただけのものであるならば、原案決定に至るまでの経緯も迷走に次ぐ迷走を続けました。お呼びした参考人意見も一様ではありませんでした。市町村も、我々の調査では、半数近くが原案に反対をしております。ましてや国民理解度は、厚生省の宣伝によって、介護の重荷から解放されるとの期待感だけが高まり、その制度の内容は十分に理解されているとは到底言えません。  第五番目の社会保険制度を創設し、二兆円を超す負担国民に求めていこうとしているにもかかわらず、中央公聴会はこの厚生委員会では開かれず、早く成立を急ぎたいという意見ばかりが出ました。このような政府・与党の姿勢は、制度発足前からの大混乱によってしっぺ返しをされることは必定であろうということを申し添えて、私の反対討論を終わります。(拍手)
  195. 町村信孝

    町村委員長 石毛鍈子さん。
  196. 石毛えい子

    ○石毛委員 私は、民主党を代表して、介護保険法案、同関連法案及び津島雄二委員外四名提出修正案に賛成の立場、児玉健次委員外一名提出修正案反対の立場から討論を行います。  高齢者介護、その多くは、これまで家庭の中に閉じ込められた形で行われてきました。家族、しかもそのほとんどは女性の労苦によって支えられてきた高齢者介護、あるいはお互いに障害を持つ老夫婦が支え合わざるを得ない介護を、社会に開き、社会の連帯によって賄い、介護される高齢者生活の質を保障される介護に変えることが求められ続けてきました。公的介護保険制度は、こうした要介護者自身、そして要介護者とともにある家族の期待にこたえるべきものとして創設されようとしています。  私は、介護保険法に対して、介護社会に開くものと期待して賛成いたします。そして私は、これまでの後見的、温情的な措置制度が改められ、市民が制度に対して意見を表明し、サービス選択できる権利を持つ制度として確立されるものと期待もします。一定の質を持った介護サービスのナショナルスタンダードを確立すること、被保険者市民のニーズにこたえるサービスが供給されること、そして、サービスを権利として選択できること、これらを介護保険制度によって実現することが切に求められます。  しかしまた、この委員会で多くの委員が御指摘なさったように、今できようとする介護保険制度が本当にこうした期待にこたえるものとなり得るのか、率直に言って、不安をかき立てられもします。  介護保険がスタートする二〇〇〇年までに、市区町村の事務体制は整うのか、公的介護の基盤は整備されるのか、あるいはまた、一定の質を持ったホームヘルパーなどが確保されるのか、要介護認定はニーズに正しくこたえるように実施されるのか、事業者情報は開示され、苦情は適切に処理されるのかなとなどの不安が頭をよぎります。これらの不安は、多くの市民が共有しているものと思われます。ぜひとも、保険料負担あってサービスなし、またはサービス選択なしといった事態を招かぬよう要望いたします。ただいまの御答弁でも確認されましたように、厚生省を初めとする政府また地方自治体の努力によって市民の不安を解消されることを強く要望いたします。  さらに、ケアプランについてですが、本来、ケアプランは要介護高齢者本人の自己決定に基づいて立てられるべきと私は考えます。したがって、自己決定が困難な場合に、これを後見する成年後見制度の創設が一日も早く待ち望まれていることを申し添えます。  共同で提案された修正案は、介護保険の運営に当たって被保険者市民の意見を反映することを骨格としています。二十一世紀の制度であるならば、円滑な制度の運営のために市民の参加が不可欠です。市民に負担を求めるのであれば、納得のいくものでなければなりません。その面からも、市民が制度の多くの分野意見を述べ、その意見が反映されていくシステムが不可欠です。これまでの経験からも、市民が実質的に参加する仕組みが保障されることが制度をよくすることになる、このことが実証されていると私は確信いたします。  介護保険事業計画に関する市民意見の反映は、単なるアンケートのような形ではなく、実質的に多数の市民が参加できる方式が求められます。また、私は、介護保険事業計画だけでなく、運営の多くの分野に被保険者市民の参加が必要とされると考えます。サービスの具体的な供給について、個々の市民の意見が生きる制度としなければなりません。さらにまた、市民の参加は、非営利の介護サービスの供給主体になるという形でも保障される必要があります。介護保険法は、市区町村の特例給付という形でその道を開いています。  介護サービスの需要と供給の両面での市民参加、助け、助け合う形で介護保険制度が運営されることを強く期待して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  197. 町村信孝

  198. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 私は、日本共産党を代表して、介護保険法及び同施行法並びにこの二つの法律案にかかわる自民、民主、社民、21世紀提出修正案に対して反対の討論を行います。  重要法案について、十分な審議を行うことは国会の責務です。まして、新しい制度をつくるこの法案で、中央公聴会や総理質問の機会も設定せず、日本共産党反対を押し切って審議を打ち切ることは、まことに遺憾と言わなければなりません。  公的介護の著しい欠如や、高齢者に対する差別的医療によって、人間の尊厳が傷つけられ、奪われている事態は許されることではありません。国は憲法二十五条に基づき、国民生活部面について、社会福祉社会保障の向上及び増進に努め、国民の生存権を保障する責務を負っております。この立場から、公正で民主的な公的介護制度確立することは緊急の課題となっています。  すべての国民は、必要なときにだれもが安心して必要な介護を受けられる、充実した介護制度確立を願っています。しかしながら、本法案は、こうした国民の願いから大きくかけ離れたものとなっており、この点に日本共産党反対する基本的な理由があります。  反対理由の第一は、保険あって介護なしになるおそれがあることです。  当委員会における質疑でも明らかになったように、在宅介護給付水準は、新ゴールドプランの枠を一歩も出ず、介護を必要とする高齢者の四割しか給付を希望しないことを前提にしていることです。  政府の予測では、二〇〇〇年における要介護高齢者は二百八十万人としながら、整備計画によるホームヘルパーは、パート七割を含む十七万人にすぎず、これでは、計画が達成されても、給付を必要とする百数十万人の要介護者サービスを受けられません。さらに、施設介護における特養ホーム二十九万人の整備目標では、目標が達成されても二万人以上の待機者が出ます。この不十分な計画ですら、七割の自治体が、財政難のため目標は達成できないと回答しており、こうした事態に対して国が責任を果たそうとしていないことです。  第二は、高齢者、低所得者が経済的負担の重さから給付が受けられなくなる問題です。  所得年金のみに依拠する高齢者、経済的弱者からも月額二千五百円の保険料を徴収し、その上一割の利用料負担させる。これでは、介護を受けたいと願っても二重の障壁になります。一方では、大幅な公費負担の削減です。本制度発足時には、国庫負担で三千七百億円、市町村負担を千六百億円削減するなど、公的負担はむしろ大幅に減額しながら、国民負担を求める構造になっていることです。年金のみに依拠する高齢者や低所得者からの保険料徴収をやめ、国庫負担をふやして措置制度拡充強化し、保険制度組み合わせをすることこそ、すべての国民介護を保障する道です。  第三は、六十五歳未満給付加齢によって生ずる疾病に限定しているため、障害者難病患者等が必要とする介護を受けられないことです。  与党、民主党及び21世紀による修正案は、国民の切実な願いから大きくかけ離れた本法案の問題点を何ら解決するものではありません。  日本共産党は、国民の願いにこたえ、すべての国民がひとしく公平に介護を受けるための、公正で民主的な介護保険制度確立に全力を尽くす決意を表明し、反対の討論を終わります。(拍手)
  199. 町村信孝

    町村委員長 中川智子さん。
  200. 中川智子

    ○中川(智)委員 私は、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました分護保険法案、介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案並びにこれらに対して社会民主党・市民連合、自由民主党、民主党及び21世紀が提出した修正案につきまして、修正案及び修正案を除く原案に賛成の意を表するものであります。  まず、介護保険法案及び介護保険法施行法案について申し述べます。  今後、我が国では、寝たきり等の高齢者が毎年十万人ずつ増加するものと予測される一方、女性の就労の増加、介護する家族の高齢化等により、介護は、これまでの女性を中心とする家族の努力のみでは支え切れない事態に立ち至っており、これを社会的に支えるシステムの確立が不可欠となっております。  政府原案は、こうした状況を踏まえ、介護サービスについて、現行の制度を再編成し、同じ介護サービスについては、同じ要介護認定、ケアプランの策定等の手続を経て、同じ一割の利用者負担により、保健、医療福祉にわたる、また、在宅、施設にわたる総合的な介護サービスを提供しようとするものであります。その財源としては、四十歳以上の市民が連帯して負担する保険料中心に賄う社会保険方式を採用しております。  この制度の創設により、市民一人一人が保険料を支払うことにより、権利として介護サービスが受けられるようになり、また、サービスの利用も利用者選択が基本となり、介護支援専門員という専門家の助言を得ながら、必要な介護サービスが総合的に受けられることとなり、市民本位の仕組みへの転換が図られるものであります。また、財源については社会保険方式をとっていることから、介護保険事業計画の策定過程への参画等を通じて、保険料水準とサービス水準との関係が明確となり、負担給付の関係について、保険者と市民がわかりやすく議論を行うことができるようになると考えます。さらに、非営利民間団体の行う介護サービスにつきましても、給付対象とされており、市民が介護サービスの担い手として制度に参加される道も開かれております。  また、政府原案は、国会提出に当たり、保険者である市町村における円滑な事務執行や安定的な財政運営を図るため、市町村に対する財政面へ事務面での支援にも配慮されたものとなっております。  以上、述べた理由から、政府原案に賛成するものであります。  さらに、我が党外三党提出による修正案により、市町村が、介護保険事業計画を定めようとするとき等は、被保険者意見を反映させるために必要な措置を講ずることとされ、利用者の立場から最も重要な計画に対する市民参加の道も明確に位置づけられることになります。  また、介護保険制度は、新たな社会保険制度であり、制度の施行状況を見きわめながら、適宜、見直しをしていく必要がありますが、制度全般の検討の期限にも一定の目安を設けたことも評価できるものであり、制度をよりよいものとしていくことに資すると考えております。  次に、医療法の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府原案は、介護保険制度の円滑な施行に向けて、療養型病床群制度の診療所への拡大を行うとともに、医療における情報提供の推進等を図るものであり、医療に対する国民のニーズの多様化等に対応するものとして、評価できるものであります。  以上、申し上げましたように、介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案並びにこれらに対して社会民主党・市民連合、自由民主党、民主党及び21世紀が提出した修正案は、来るべき本格的な高齢社会において、市民全部が安心して介護を受けられ、また、市民が介護の問題に主体的にかかわる制度を構築するために必要不可欠なものであり、私どもといたしましては、この修正案及び修正部分を除く原案に賛意を表するものであります。  これをもちまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  201. 町村信孝

  202. 土肥隆一

    土肥委員 無所属の土肥隆一でございます。  討論の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。  内閣提出介護保険法案介護保険法施行法案医療法の一部を改正する法律案津島君以下四名提出修正案に賛成をする立場で、最後の意見表明をさせていただきます。  長い議論の中で私が思っておりましたことで、なかなか理解されていないなということを申し上げたいと思います。  一つは、この待ったなしの在宅サービス、特にその中心介護、看護の問題でございますけれども、ようやく日本政府も、あるいは日本国も在宅福祉サービスに手を染めたということ、しかも、それを保険でもってやろうという決断をしたということに対して、私は高く評価をするわけでございます。  なぜならば、長年の間、私は福祉に携わってき、かつ、在宅福祉サービスに十五年ほど、今も活躍していますけれども、神戸の地でやっておりますが、まさに要介護老人を抱えているお宅は火の車、家庭崩壊寸前にあると言ってもいいわけでございます。そこにどうやって介護、看護の手を差し伸べるかということは、もう待ったなしてございます。  今回の法案でいろいろと御意見があります。例えば障害者を入れなかったこと、あるいは四十歳未満を切り捨てたこと、参加させなかったこと、あるいは医療保険との関係で、介護保険を導入したら当然医療費が下がるということを前提に考えておりましたら、医療費は下がらないのだと。それでは本当の意味で医療費にかかわる抜本的な改革が取り組めるだろうかという懸念も持ちながら、いずれにいたしましても、この法案がいわば在宅福祉サービスに本格的に着手する第一歩なんだということにおいて、私は賛成いたします。  それからもう一つは、福祉保険世界に入ったということですね。  今のところ半分半分ですから、私の言葉で言えば小選挙区比例代表並立制。並立制で問題点はあるわけですが、私は、行く行く保険で六割、保険で七割、保険で八割ぐらいの社会にしていただきたい。そして、措置世界から、福祉は、権利を持って、国民のニーズに応じて自由に、民間のいろいろな人たちの参加を得てこれが充実していく、そういう、措置世界から保険世界に入ったのだということを委員の皆さんも御理解いただきたい、そのように思う次第でございます。  どうも何か、気分としては措置をやっておる、措置体系を議論しているというようなふうに聞こえまして、あれはどうだ、これはこうだと言いますけれども、保険世界ではもっと割り切って、しかも合理的に進められるであろうというふうに考えます。  したがって、私は、福祉をやっている者として、これで措置から解放されると思うとせいせいいたします。もう行政や行政マンにこづかれ、たたかれ、ああせいこうせいと言われて手とり足とりやってまいりましたが、今度半分は自由にやれるのだなと。  しかし、まさに自助努力で、自浄努力も含めてしっかりやる、もう日本福祉保険世界に入って新しい出発をしたのだということを最後にお訴えいたしまして、私の賛成の討論を終わります。  以上です。(拍手)
  203. 町村信孝

    町村委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  204. 町村信孝

    町村委員長 これより採決に入ります。  介護保険法案及びこれに対する両修正案について採決いたします。  まず、児玉健次君外一名提出修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  205. 町村信孝

    町村委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、津島雄二君外四名提出修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  206. 町村信孝

    町村委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  207. 町村信孝

    町村委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  介護保険法施行法案及びこれに対する両修正案について採決いたします。  まず、児玉健次君外一名提出修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  208. 町村信孝

    町村委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、津島雄二君外四名提出修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  209. 町村信孝

    町村委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  210. 町村信孝

    町村委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  医療法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、津島雄二君外四名提出修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  211. 町村信孝

    町村委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  212. 町村信孝

    町村委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  213. 町村信孝

    町村委員長 この際、各案に対し、長勢甚遠君外五名から、自由民主党、新進党、民主党、社会民主党・市民連合、21世紀の五派及び土肥隆一君の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を聴取いたします。中川智子さん。
  214. 中川智子

    ○中川(智)委員 私は、自由民主党、新進党、民主党、社会民主党・市民連合、21世紀及び土肥隆一さんを代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について適切な措置を講ずるよう努力すべきである。  一 介護保険制度の円滑な施行を図るため、新ゴールドプランの確実な達成を図るとともに、早急に介護保険事業計画等の策定に向けた準備に取り組み、制度施行後においても、介護サービス基盤の着実な充実が図られるよう、地方自治体が策定する介護保険事業計画の達成のための所要の支援措置を講ずること。  二 介護保険法施行法に基づき在宅介護サービスに係る経過的な給付水準を定める市町村について、できる限り早期に全国標準的な給付水準の達成が図られるよう、積極的な支援措置を講ずること。  三 在宅介護サービスについては、民間企業、農協、生協、シルバー人材センター、ボランティア団体等多様な事業主体の活用が図られるよう、事業者の指定基準の設定やサービス提供方法の在り方等において、配慮すること。  四 介護保険制度の施行に向け、社会的入院及び特別養護老人ホームの入所待機者の解消を図るため、長期入院や入所待機の実態の把握、適切なケアマネジメントの方法、住宅サービスと均衡の取れた施設整備の在り方等について具体的な方策を明らかにし、地方公共団体に対して適切な指導を行うこと。  五 療養型病床群については、介護保険制度の円滑な施行を図るため、適切な療養環境を確保しつつ着実な整備を進めるため、介護力強化病院からの転換の支援等所要の措置を講ずること。  六 法施行後における養護老人ホームの在り方については所要の検討を行うとともに、施行日前に特別養護老人ホームに入所している者については、法施行後も、その処遇が急激に変化することのないよう十分に配慮すること。  七 ホームヘルパー、介護支援専門員等介護サービスを担う人材の安定的な確保が図られるよう、民間事業者の参入促進、潜在的な人材の掘り起こし、適切な養成研修システムの確立及び介護報酬上の評価等の措置を講ずること。  八 介護報酬の設定に当たっては、介護の困難度、地域差、要介護度の改善への動機づけ等を勘案すること。  九 要介護認定業務については、介護保険制度の施行までの間に十分な試行を行い、公平、公正な審査判定基準の設定等に努めること。  十 第一号被保険者保険料及び利用料に係る高額介護サービス費の設定に当たっては、低所得高齢者に対して配慮すること。  十一 介護保険施設等に対する補助金の公正な執行を図るとともに、被保険者によるサービス選択という介護保険の理念を実現するため、介護サービスに関する情報が、広く被保険者に提供されるよう配慮すること。あわせて、介護保険事業計画の策定等に係る被保険者意見の反映について適切な方策を講じるよう、地方公共団体を指導すること。  十二 国民健康保険団体連合会が実施する苦情処理業務の運用に当たっては、被保険者が申し立てしやすいように、身近な窓口での受付、申立ての方法等に配慮すること。  十三 患者の立場や選択を尊重した医療情報の提供の在り方について、さらに検討を加え、必要な措置を講ずること。  十四 難病患者を含む若年障害者に対する介護サービスについて、高齢者に対する介護保険給付と遜色のないものとなるよう、障害者プランに基づき、その拡充を図るとともに、その確実な達成のため、障害者基本法に基づく市町村障害者計画が全ての市町村で策定されるよう、地方公共団体に対して適切な指導を行うこと。  十五 市町村による安定的な保険財政の運営及び円滑な保険者事務の執行が行われるよう、市町村の実情を踏まえた、適切な支援措置を講ずること。  十六 今後の高齢化の進展を踏まえ、社会保障構造改革を進めるに当たっては、歳出の効率化を図るとともに、その財源の在り方については、社会保障負担と経済活動との関係、国民負担全体の中での直接税、間接税及び社会保険料の在り方、若年層と高齢者層の負担の均衡、給付負担の関係の明確性、自己負担と公的支援の役割分担と連携等を総合的に勘案し、検討を加えること。 以上であります。  何とぞ、たくさんございますが、委員各位の御賛同を、魂を込めるためによろしくお願いいたします。  ありがとうございました。(拍手)
  215. 町村信孝

    町村委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  216. 町村信孝

    町村委員長 起立多数。よって、各案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、小泉厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小泉厚生大臣
  217. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重して努力したいと思います。     ―――――――――――――
  218. 町村信孝

    町村委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  219. 町村信孝

    町村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  220. 町村信孝

    町村委員長 次に、内閣提出参議院送付児童福祉法等の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。住博司君。
  221. 住博司

    ○住委員 参議院先議の児童福祉法等の一部改正案、本日から委員会審議に入ります。長い間、恐らくもう百三十時間ぐらい厚生委員会をやっておりますものですから、あと児童福祉法そして廃棄物処理法等まだございまして、委員の皆さん方には、また一緒に御審議をしていただきたいということをまず最初にお願いしたい、こう思います。  一九四七年、昭和二十二年に制定されました児童福祉法、五十年目の節目の年に大改正をする。法制定当時、十八歳未満の子供の数は三千三百万人、人口の四割を占めていた、こういうふうに言われておりますけれども、それが現在では二千五百万人、二〇%、こういう急速な少子化、また、かつては極めてまれでありました共働きというのがごく普通になったこと、それによって世帯の平均的収入、所得の上昇、家庭や地域の子育て機能の低下、児童虐待の増加、いろいろなことがありまして、子供と家庭を取り巻く社会経済環境が大きく変化した中での見直しということでございます。  児童福祉法制定当時の理念、子供は歴史の希望として、心身ともに健やかに生まれ、育成されなければならない、この考え方は二十一世紀を迎えようとしている今日でも変わりないと私は思います。そしてその上で、次代を担っていく子供たちが個性豊かでたくましく育っていくためには、質の高い子育ての環境づくり、それを担保する制度づくりが望まれている、こういうふうに思います。  まず、総論的に今改正の趣旨、ねらいを伺いたいのですが、それと同時に、なぜこの五十年目の節目なんだろうかということですね。  要するに、この児童福祉法の法律案提案理由説明の中にはいろいろと書いてありまして、  児童家庭福祉制度は、発足以来、その基本的枠組みは変わっておらず、保育需要の多様化や児童をめぐる問題の複雑・多様化に適切に対応することが困難になっているなど、今日、制度と実態のそごが顕著になってきております。 こう書いてある。  でも、少子化というのはかなり前から言われていることだし、社会経済の大変化というのも前々から指摘されてきたことです。要するに、そのことを踏まえた上で、なぜ今改正なのかということ、そのことも含めてお答えをいただきたいと思います。
  222. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 まず、最後の、なぜ五十年を契機にこういう改正をするのかということでありますが、別に五十年だからといって改正するのじゃないのです。この制度制定以来五十年を経過した、今、二十一世紀を控えていろいろな制度改革の時期に来ている、それに並行して、児童福祉制度そのもの、児童や家庭環境を取り巻く状況も大きな変わり目に来ているのじゃないかなということからこの改正に取り組んだ、たまたまそれが五十年目に当たったということに御理解をいただきたいと思います。  そして、具体的には、就労形態の多様化等により保育需要も多様化している状況に適切に対応し得るよう、保育所に関する情報に基づき保護者が希望する保育所を選択できる仕組みに改めること、児童の虐待、いじめの増加等、児童をめぐる問題の多様化、複雑化に適切に対応し得るよう、児童福祉施設の名称、機能を見直すとともに、地域における相談指導体制の整備等を図ること、母子家庭の自立の促進のため母子寮の名称、機能を見直し、母子家庭の就労促進など施策の充実を図ること等をその主な内容としておりまして、子育てしやすい環境の整備を図るとともに、次代を担う児童の健全育成を支援することをねらいとしているものであります。
  223. 住博司

    ○住委員 私も、五十年目だから改正をするのだというような話ではなくて、小泉厚生大臣というのは我々にとってみれば改革の旗頭みたいな方ですよ。ですから、厚生省の皆さん方にもお願いをしたいのだけれども、きのうまでやってきたからあしたもこのままでいいのだという考え方でいろいろな施策をやっていったら、必ず行き詰まるということです。恐らく児童福祉の問題についても同じだったと思うのです。それをやはり、一年前だったらどうだっただろうかとか、あるいは五年前だったらどうだったのだろうかということの観点、視点を常に忘れずに、これからそういう形でこの児童の問題にも取り組んでいただきたいということを意味して、今御質問させていただいたわけです。  それから、平成六年四月に、児童の権利に関する条約の批准が行われました。これもさまざまな議論があったことを今でも覚えておるのですけれども、ここの中には、子供に関する制度や施策を考える際には、この条約の趣旨を背景にして、子供にとって最善の利益を尊重すべきだ、言ってみればこれが理念としてあるわけですけれども、このことについて、今度の児童福祉法の改正にどういうふうに取り込んでおられるか、それから、理念を変えようとするお気持ちがあるかどうか、そのことをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  224. 横田吉男

    ○横田政府委員 児童の権利条約との関連についてのお尋ねでございますけれども、これが六年に締結されましたときに、国内法との関係につきましていろいろ検討されておりますが、理念等につきまして、その他、特段これによって改正する必要はないというような結論を得ております。  ただ、私ども、今回、児童福祉法を改正するに当たりまして、この条約の趣旨も踏まえて、できる限り盛り込めるところは盛り込むということで対処したところでございます。  一つは、施設に入所するということを決定するに当たりまして、これは児童相談所にいろいろな相談が持ち込まれたケースでございますが、そういったときに、法律、医学等の専門家が参加いたします都道府県児童福祉審議会の意見も聞いて、できるだけ客観的、専門的に判断をいただくということにしております。また、その施設入所に際しまして、児童の意向を聴取するというような規定も盛り込むことにいたしているところでございます。  それから、児童の最善の利益を確保するというために、保育所の入所等に際しましても、保育に関する情報をできるだけ広範囲に提供いたしまして、保護者が希望する保育所を選択できるような仕組みに改めております。  その他、父母が働いている児童などを対象といたしまして、小学校低学年の児童などを対象といたしまして放課後児童健全育成事業というようなものを法制化する等々、できる限り盛り込んでいるところでございます。
  225. 住博司

    ○住委員 そういうことも含めて、今法改正の中で措置をされているというふうにお答えになられた。それはそれで、この理念というのは大切にしていただきたいと私は思っております。  それから、法改正の中身に入っていきたいと思うのですけれども、保育制度についてまずお尋ねしたいと思います。  現在の保育所への入所制度は、保育に欠ける児童がいる場合に、市町村がこれを措置といういわゆる行政処分によって保育所に入所させる仕組みになっている。もっとも現実には、近くの保育所に行きたいとか、そういう御希望をとっているケースはあるようですけれども、少なくとも利用者制度上入所先を選択する仕組みにはなっていなかった。それを明確に、入所方式を保護者が選択できる方式に改めるというふうになっております。  入所方式を大改革する目的、今もちょっと触れられましたけれども、そのことについてもう一度改めてお伺いをしておきたいと思います。
  226. 横田吉男

    ○横田政府委員 保育所の現在の入所方式につきましては、保育に欠ける児童につきまして、行政処分によりまして措置という形で市町村が入所させるということになっているわけでありますけれども、こういった入所の方式につきましては、利用者が入りたい保育所に入れない、あるいは年度途中で措置がえで変えられてしまったとかいうような、いろいろな不満も寄せられているわけであります。  こういった状況を受けまして、今回の改正におきましては、行政処分による仕組みから、必要な情報をあらかじめ提供いたした上で、保護者なり児童自分の好みに合った保育所を選択できるような利用方式に変えるというようなことで考えているわけでございます。
  227. 住博司

    ○住委員 質問と答えと同じようなことになってしまいますけれども、そうすると、これから保護者、子供の方が入所先を選べるということは、利用者主権という言い方があるそうですけれども、言ってみればそれにフィットした形での法改正になっているというふうに思います。  ただ、こうなりますと、言いかえれば保育所の方は選ばれるということになりますから、今までもさまざま多様な形態の保育、例えば乳幼児保育であるとか延長保育であるとか夜間保育であるとか、そういうことをやってこられましたけれども、これから利用者の需要に応じてさまざまなサービス提供を真剣に考えていかなければいかぬということになりますね。  この法改正によって保育所というものはどう変わっていくというふうにお考えになっているのか、そのことを厚生省の立場としてどう思っておられるのか、そのことをお聞かせいただきたいと思います。
  228. 横田吉男

    ○横田政府委員 保育所の方が選択されるようになるということによりまして、おのおのの保育所というのは、それぞれ各施設ごとにできる限り創意工夫を凝らしまして、利用者選択していただけるようなものにするような努力が促されるようになるのではないかというふうに考えております。これによりまして、より利用者児童のニーズに即した保育サービスが行われるようになると考えております。
  229. 住博司

    ○住委員 そうすると、今まで保育所に対してはさまざまな基準とかそういったものがありましたね。そういったものについて、当然、規制の緩和ということをやっていかなければいかぬと思うのですけれども、そのことについてはどういうふうな考え方でおられるのか、そのことをお尋ねしたいと思います。
  230. 横田吉男

    ○横田政府委員 入所方式の変更を通じまして、各保育所の創意工夫が一層促されるということになるわけでございますので、各施設が創意工夫をしやすいようにしていくということで、御指摘のように、規制緩和なり基準の緩和というものが必要ではないかというふうに考えております。  この点につきましては、具体的には、保育所の定員の弾力化あるいは分園方式の導入でございますとか、開所時間につきましても、現在は朝の七時から午後の六時というように全国一律で決められているわけでございますけれども、それを各施設ごとに自由に設定できるようにするとかいった、さまざまな面での弾力化措置というものを検討してまいりたいと考えております。
  231. 住博司

    ○住委員 我が党でも、保育サービスについては、委員長も入っておられたのですけれども、行政改革本部でいろいろな議論がありまして、保育サービスについて、民間保育所の活用だとか民間委託の推進とか、その他規制水準の弾力化を提言しているのです。今の話だと、一体いつできるのですかという話になるのですけれども、一体いつごろをめどにして、さまざまな需要に合わせていろいろなサービスを提供する仕組みをつくろうとしておられるのですか。
  232. 横田吉男

    ○横田政府委員 現在、緊急保育対策等五か年事業等におきましても、さまざま多様な保育ニーズにこたえるように、乳児保育の拡充でございますとか延長保育の拡大、その他さまざまな施策を講じてきておりますけれども、今申し上げました弾力化の検討につきましては、今回の改正を受けまして、この法律が来年四月一日施行を予定しておりますが、それまでにできるものは実施したいということでございます。
  233. 住博司

    ○住委員 それが施行ときちんと符合するように時間を置かずして、そして、これはサービスを提供する側があるわけですから、いきなり、こう変えたからやりなさいよという話じゃないですよね。ですから、そういう方向をきちんとお示しすることが必要ですから、どうぞ、その点できちんとした作業を進めていただきたいというふうに思います。  もう一つ、一方で措置を見直すということになれば、今度は逆の意味で、公的責任公的負担が後退するのではないかという声が出ているわけですよ。もちろん、市町村には保育サービスの提供義務がありますし、運営費についても市町村が保育所に出し、その一部を国庫で負担する仕組みはこれまでと同じ、こういうふうに言われておりますけれども、もう一度確認しておきたいというふうに思います。  実を言うと、私のところにもはがきやファクスがたくさん来るのです。ファクスの紙がなくなってしまうぐらい、ファクスが送られできます。この中には、今度の改正は公費負担を減らすための措置制度の廃止で、その結果、保護者の負担が重くなるのだ、保育所の人件費がカットされて粗悪な保育環境をつくるなど、こういうことを訴えられています。  これに対する明快な反論をこの場所でしておいていただきたい。今改正によって保育に対する国の公的責任は後退しないという立場でお答えをいただきたいと思います。
  234. 横田吉男

    ○横田政府委員 今回の改正によりまして、従来の行政処分による措置方式から選択による利用契約方式に変わるわけでございますけれども、市町村責任といたしましては、従前と同様に、保育サービスの提供義務というのを負うことになっておりますし、入所に際しまして、保育に欠けるかどうかといった事実の確認も市町村がきちっと行うということにしております。  また、費用負担の面におきましても、これまでと同様に、市町村が保育所に対して運営費を支弁することにしておりまして、その一部につきましては、国庫が負担金という形で助成をすることにいたしております。財政が大変厳しい折ではございますが、保育に対する公費負担が後退しないように、私ども、全力を挙げて努力してまいりたいと考えております。
  235. 住博司

    ○住委員 先ほど大臣がおっしゃった、法改正の目的が子供の将来のことを考えておられるわけだから、やはりそこのところは、今局長答弁された、後退するようなことがあってはならないと。それは費用の面だけではありません。そういったことも含めてしっかりとそれは押さえて、この法改正を実のあるものにしていただかなければならない、こういうふうに思います。  そして、それと同時に、保護者負担というものについても伺っておかなければならないと思います。  現行の、負担能力に応じた方式を、保育に要する費用を扶養義務者から徴収した場合における家計に与える影響というのを考慮して児童の年齢等に応じて徴収する方式に改める、こういうふうになっている。応能負担考え方を改めて、保育サービスの対価を負担していただくという考え方だといいますけれども、保護者負担が全体的にどう変わっていくのか、ふえるのか減るのか、変わらないのか、そのことについてお答えをいただきたいと思います。
  236. 横田吉男

    ○横田政府委員 保育料の負担についてでございますけれども、御指摘いただきましたように、これまでの所得に応じた応能負担から、保育コストを基礎といたしまして、家計への影響も考慮しつつ、年齢別に保育料をできるだけ差のない均一的な料金ということで定めたいということでございます。  この場合におきまして、当然、低所得者につきましては大きな負担にならないような減免措置が必要だと考えておりますし、現行十段階の保育料基準額を一挙に均一化するということに伴いまして急激な負担増が生じないように、当面はこれを簡素化するという方向で考えてまいりたいというふうに思っております。
  237. 住博司

    ○住委員 均一化ができなくて、簡素化して、それで七段階になったということでしょう。七段階にするわけですね。  そうすると、一例としてお見せをいただいた数字ですと、例えば三歳未満児の場合、今の第八階層四万九千円が四万四千円になれば、五千円の負担の軽減だということになる。しかし、これは、軽減された人は余り何も言わないです。だけれども、第七階層の四万円が四万四千円になりますと、これは負担増だというふうに声を大にして言われるに決まっているわけです。  そもそも、今言った保育料額、徴収金基準額表というものはどういう考え方に基づいておつくりになられているのですか。
  238. 横田吉男

    ○横田政府委員 現在の保育料のコストの負担につきましては、保育に要する全体としての費用がございますが、総費用の約半分を国、市町村、県で負担いたしまして、半分相当につきまして利用者から負担いただく、徴収するというような考え方でつくられているところでございます。  そういった全体の半分程度を保育料という形でいただくという考え方で、現在、十段階になっているわけでありますけれども、これを、同じコストの場合には同じ料金を負担していただくということで、一度に均一化いたしますと、上の階層につきましては御指摘のように下がりますが、下の階層については上がるというようなことになるわけであります。これにつきまして、急激な負担の増減が生じないように、当面は簡素化する方向で考えてまいりたいということでございます。
  239. 住博司

    ○住委員 私が聞いたのは、要するに、そもそもその保育料額というのはどういう考え方でつくられているのかということをお聞きしたので、そうしますと、これは市町村と国との間はどういう関係になるのですか、一つの精算基準みたいになっているのですか、そういうことなんですか。
  240. 横田吉男

    ○横田政府委員 現実に保育事業を実施する主体としては市町村でございまして、市町村が保育所に保育を委託し、必要な費用を支弁する、その支弁した費用の半分程度を保育料として徴収いたしますし、残りの半分の半分を国、その残りを県と市町村でそれぞれ半分ずつというような負担方式になっているところでございます。それを個別の保育料としては十段階に分けて、現在は所得階層ごとに決定しているわけでありますが、この国がつくっている基準額表の意味は、御指摘いただきましたように、現在は精算基準としての意味を持っているということでございます。
  241. 住博司

    ○住委員 確認しておきたいのですけれども、そうしますと、これは、今七段階と言われたけれども、ある市が七段階を十段階にそのままにしてしまってもいいということですか。それとも、二十段階にしてしまってもいいということですか。そこのところはどうなんですか。
  242. 横田吉男

    ○横田政府委員 具体的な保育料の徴収基準につきましては、各市町村が今回の制度改正を踏まえて決定するということになりますので、必ずしも国の精算基準額表のランクと同じでないという場合が出てこようかと思っております。
  243. 住博司

    ○住委員 そうすると、各市町村で勝手に決めることもあり得るということですね。そのことは確認しておいていいのですか。そうすると、それは違反行為にはならぬのですね。
  244. 横田吉男

    ○横田政府委員 現実の保育料の徴収額につきましては、市町村が自由裁量において決めるということでございます。これは必ずしも国の徴収基準額どおりに決めなくてはならないというものではありません。
  245. 住博司

    ○住委員 そうすると、この物の考え方として、均一化を図ろうという考え方とどこか矛盾してくるのじゃないのですか。それは、市町村によって、その首長さんによっては、条例や規則をつくるときに、おれのところはもう少し負担を軽くしてやろうとか、負担を重くしようとか、そういうことになれば、住んでいるところによって料金が変わってしまうということになりませんか。
  246. 横田吉男

    ○横田政府委員 私どもの今回の改正に際しての考え方といたしましては、保育料の負担方式につきまして、従来の方式を変えまして、保育コストを基礎として家計への影響も考慮した年齢別の額に変えたいということで考えているところでございますが、この法律趣旨に基づきまして、各市町村が具体的な保育料の徴収額は設定できることになっております。  したがいまして、これは各市町村の判断によって国の徴収基準額表とは異なったものになるということで、つづめて言うと、それぞれの市町村ごとに額というものは、現在も異なっておりますけれども、改正後におきましても同じような事態が出てこようかというふうには思っております。
  247. 住博司

    ○住委員 ここはもう少し議論しなければいけないところかもしれませんけれども、要するに、そうなると、我々に説明したように、均一化に向かっていって、それでそのコストに対して保育料を決めていく、それはそれで一つの考え方かもしれないけれども、そこで相当ばらつきが出てくる可能性があるということを残しているということになるわけですよ。そうすると、均一化に向かうということとの矛盾というものをどう解消していくのかということについては、これからも相当検討していただかなければいかぬということですね。この改正したことによってすべてが終わるわけじゃないのだということだと私は思います。それだけ指摘をしておきたいと思います。  それから、もう時間がなくなってきてしまったのですけれども、私のところにもう一ついろいろな意見が入ってまいりまして、例えば今度の児童自立支援施策の中で、教護院の問題が出てまいりました。これを、対象児童の範囲を超えて、何度も大臣がお答えになっていると私は思うのです、参議院委員会でもお答えになっているのですけれども、不登校児を、不登校児だからといって教護院に入所をするということにはならない、こうおっしゃっておられますけれども、そのことをもう一度ここの場所で確認しておきたいと思います。
  248. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 このことは参議院でも何回も指摘されまして、不登校児という理由によって教護院に入るという、そういう趣旨ではないということを何度も答弁しております。それを今繰り返させていただきたいと思います。
  249. 住博司

    ○住委員 それは確認する意味でお尋ねをいたしました。ただ、非常に情緒不安定な場合の方もいらっしゃいますし、いろいろなケースの方々がいらっしゃるわけだから、そこは十分に御配慮いただかなければならないということを指摘しておきたいと思います。  それから、最後に質問させていただきますけれども、保育所の情報提供について伺っておきたいと思います。  例えば、適正な運営が行われているのだろうかとか、費用は妥当だろうかとか、サービスの提供はどうなんだろうかとか、大切な子供を保育所に託す親御さんにとってみれば極めて重要な視点だと私は考えているのですけれども、今法改正に-よって行われることになる市町村、保育所の情報提供とは具体的にどんなことを考えているのか、お尋ねしておきたいと思います。
  250. 横田吉男

    ○横田政府委員 入所方式を選択方式にするということでございますので、その判断をしていただく前提といたしまして、保育所に関するできるだけ広範囲な情報が提供される必要があるということで、情報提供義務を課しているところでございます。  その内容といたしましては、例えば、名称、所在地は当然でございますが、保育時間あるいは開所時間、保育料、それから、定員がどうか、入所状況、延長保育なり低年齢児保育等をやっているかどうか、それから、個々の保育所の保育方針なり一日のスケジュール、保母の配置状況、施設の設備状況等、今後、できる限り判断に資するような項目を考えてもらいたいというふうに考えております。
  251. 住博司

    ○住委員 もう本当に最後の質問になります。  本当は幼保の一元化についてもちょっとお尋ねをしたがったのですけれども、それよりも一つ聞いておきたいのですが、エンゼルプランというのをつくりました。そして、エンゼルプランの中心的なものの中に、緊急保育五か年事業というのがあります。私どもも与党の立場でその議論に随分参加させていただいたことを覚えておるのですけれども、実施状況を見ますと、なかなか目標に達していない部分も、目標値を定めてあるにもかかわらず成り立っていないものがありますね。  昨今、非常に行財政改革というのを言われて、聖域はないのだ、こういうふうに言われている。そうはあっても、やはり子育てに対する重要性というのは私は変わらないと思うのですね。そういう意味で、緊急保育五か年事業を今後とも着実に実行していくのだという御決意を小泉厚生大臣の方からお答えをいただきたい。
  252. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 子育て支援に対する事業は、今後とも着実に推進、整備していきたいと思います。
  253. 住博司

    ○住委員 終わります。ありがとうございました。
  254. 町村信孝

    町村委員長 奥山茂彦君。
  255. 奥山茂彦

    ○奥山委員 私は、自由民主党の奥山でございます。  住委員に引き続きまして、児童福祉法の改正、特にその中で保育所問題等を中心に聞いていきたいわけであります。  それに先立って、我が国は急速に少子化社会に入ってまいりました。そして、たしか二〇〇七年には日本の人口がピークになり、その後は急激に減っていく、こういうふうな状態を我々は迎えなければならないわけでありますが、そういう中で厚生省がエンゼルプランの構想をずっとやってこられて、そして、少子化にある面で言うと歯どめをかけていかなければならない、そういうことになってまいりますと、若いお母さん方が子供をもう一人つくってもよいという、そういった生活上あるいはまた気持ちのゆとりというのですか、そういうものが外的な環境面として生まれてこなければ、少子化に歯どめをかけるということが非常に難しいわけであります。  私は、具体的な議論に入る前に、こういった点で大臣に、少子化の傾向、エンゼルプランをこれからどういう形で進めていかれるか、その辺を最初にまずお尋ねしたいと思うのです。
  256. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 少子化傾向が今後続いていくということで、今、これからの子育て計画、いろいろな重要性が指摘されております。  これについては、少子化についての原因とか対策というのは単に厚生省だけの問題ではないと思っていますし、雇用あるいは教育等、いろいろな面にかかわっていると思います。人口問題審議会とか、これから幅広い議論をいただくと思いますけれども、どういう状況になっても、子育ての重要性というのは増すことはあっても減ることはない。子供は社会の宝であるという認識のもとに、子育て支援対策をどうやって充実させていくかということについて鋭意これからも努力を続けていきたい、そういうふうに考えます。
  257. 奥山茂彦

    ○奥山委員 そこで、エンゼルプランの中心的な一つの柱ともいうべき保育対策について、具体的にお尋ねをしてまいりたいと思います。  このたびの改正で、特に保育行政がこれからは、民設あるいはまた公設の保育所、非常にたくさんつくられてきたわけでありますが、一方においては定員割れ、こういうふうな状態も生まれてきておるわけでありますが、こういう中で、しかもまた今日、若いお母さん方が保育園に期待するその期待というものも非常に強いわけであります。  一つは、健全な丈夫な子供を育てたい、そういうことがあり、それからまた、できたら学習的な面も期待される面が最近は生まれてきておる。こういう中で、今回の改正案の中で、ある意味でいうと保育所の競争的な原理をも取り上げていきたい、こういうことから、利用者選択制というものが、先ほどの議論にもありましたように今回選択できるようになる、こういうことになるわけであります。  先ほども、その選択をするための父兄に対して情報提供を十分にしたい、こういうふうな考え方は聞かせてもらったわけでありますが、ところが、問題は、保護者が保育所をどういう面で何を基準に選択をするか、こういう問題があるわけであります。厚生省の方が期待されたような選択を保護者の方が果たしてしてくれるであろうかということになってくると、我々は、その辺が大いにまだ問題を残すのじゃなかろうかというふうに思うのですが、この辺についてどうでしょうか。
  258. 横田吉男

    ○横田政府委員 選択制に変わることによりまして、保護者が対応をどうしていくかという問題でございますけれども、私ども、選択に必要な情報をできるだけ広く公開いたしまして、それに基づきまして、利用者といたしましては、児童の特性あるいはみずからの就労状況等に合わせて、どういった保育所が適しているのか適していないのか、そういったことで適した保育所を選んでいただけるようこなるのでまないかというふうに考えておるところでございます。     〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕
  259. 奥山茂彦

    ○奥山委員 具体的に申し上げますと、今、保育園の場合に、もちろん育児の教育の内容等もあるわけでありますけれども、最近は、それぞれの保育園が非常に立派なプールをつくるとか、あるいは英語の教育をするとか、それから、各園で鼓笛隊をつくるとか、こういうふうな面が非常に強くなって、本来地道な意味の保育内容を充実させるということはなかなか目立ってこないわけでありますし、大体、どこの園ともに余り判断しにくい状態にあるわけです。  そうすると、おのずから父兄の選択というものが、その保育園がどういう地理的な条件にあるか、送り迎えが便利か、あるいは、先ほど申し上げましたように、派手なマーチングバンドというのですか、鼓笛隊というのですか、そういうようなものをやっておるようなところに父兄の目が行きがちになると、これは、厚生省がねらっておられるような、そういう意味の選択の基準からはかなり変わってくる面が私は出てくるのじゃなかろうかと思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  260. 横田吉男

    ○横田政府委員 保育所に入所する時期というのは、ちょうど乳幼児にとりまして人間形成の上で一番重要な時期ということであろうと思います。  こうした点については、私ども、保育所保育指針というのを御承知のとおりつくりまして、子供の特性なり発達段階に応じたいろいろな遊びあるいは生活等を通じて、豊かな子供たちに育っていただくようなことを期待しているわけでありますけれども、今回の改正による入所方式の変更以降につきましても、こういった保育所保育指針に沿って保育が行われるような指導というのを基本的にはしてまいりたいと考えております。  ただ、選択されるということになるわけでございますので、各保育所ともいろいろな創意工夫を凝らす中で、先生が御懸念されておりますような、場合によってはいろいろな行き過ぎというものも出てくるかもしれないということは考えております。こういった点については、一つは、やはり私ども、利用者の方、保護者、これは大人であるわけでありますので、健全な批判というものを期待したいというふうに考えておりますし、また、保護者の意見がもう少し保育所運営に反映されるような方式がないものかどうか。例えば父母会あるいは保護者会というようなものを通じまして、そういった反映しやすいような方法というものの普及についても検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  261. 奥山茂彦

    ○奥山委員 今、地域によっては保育所並びに幼稚園ともに大幅な定員割れを起こしておるわけであります。こういう定員割れになってくると、それぞれの園が子供の取り合いというような極端な状態が今生まれてきておるわけであります。先日も、ある園で、一般にいろいろなチラシでもって出された保育の内容と実際に子供を入れてみたら全然違ったというような、ある意味でいうと誇大広告的な競争にまで過熱しておるわけでありますので、この辺は一つの、ある程度の基本的な枠というのですか、指針というのですか、そういうものはやはり、どんな競争でもしてもいいと、もちろんそうはなりませんけれども、そういうふうな過激な事態にならないように、これはある意味でいうとブレーキをかけておく必要があるのじゃなかろうかと思います。  続きまして、先ほども話があったわけでありますが、今回、措置制度がなくなって、補助金制度、いわゆる国庫負担制度一本にされるということになってくると、地方自治体もそうでありますが、父兄の方からもある意味でいうと心配をされて、特に保育団体が心配をされておられる面があるわけです。  それはどういうことかといいますと、これまで地方の市町村で独自でやっておるようないろいろな施策、例えば市町村が独自でやっている長時間保育とか夜間保育とか休日保育とか、それから、最近新しい流れになっておりますけれども、駅型保育とか、それからバスの送迎とかプールとか、こういうふうな地方が独自でやっておるような制度があるわけでありますが、今回こういうことになってくると、これが後退してしまう、せっかくちょっと変わった特色を出しているのに、それが後退してしまうようなことにもならないかという一つの心配と、地方自治体そのものが、国の方の財政的な緊縮政策の中で補助が削られるのじゃなかろうか、こういうふうないろいろな心配があるわけでありますが、この辺についてはいかがですか。
  262. 横田吉男

    ○横田政府委員 今までの状況を見ますと、どちらかというと保育所の事業運営の実態は、余りにもこちらで細かいところまで規則が多くて、全国画一的になり過ぎていた嫌いもあるのではないかというふうに考えております。  今回の改正では、これを逆にできるだけ柔軟なものにして、利用者のニーズに即応した保育サービスが提供できるようなものにしていきたいというのが一つの大きなねらいにしているところでございまして、そういった意味で、各施設、各地方公共団体等が創意工夫をしやすいようにしていくというのが一つの方向ではないかと私ども考えております。  それから、国の責任、公的責任という面では、先ほども申し上げましたように、選択方式になり、利用型の契約方式ということになりますけれども、保育サービスの提供責任というのは市町村が負うことになっているということと、措置費、負担金という形で国が費用の一部を負担いたしておりますけれども、これは措置費というものはなくなりますけれども、負担金という形で今後とも現在同様に残すということを考えているということでございます。
  263. 奥山茂彦

    ○奥山委員 とにかく国の、財政的にひとつ補助がこれまでと後退することのないように、これはもうぜひとも努めてもらいたいと思います。  それから、保育所の最低基準、その他いろいろな基準があるわけでありますが、こういったものを見直しをするという動きがあるわけであります。どういった形で、どういった点をこれから見直しをされていかれるのか。かなり保育の環境というものが変わってきたわけでありますので、そういう点でどうされるのか。  あわせて、乳児指定保育所の指定の時期が、大体、入園は当然四月からになるわけでありますが、実際に指定されるのは十月になるわけでありますから、その間はそれぞれの開設者がその負担をしていかなければならない、こういうふうに半年のずれがあるわけであります。これは設置者にとっては非常に重い負担になっておるわけでありますので、この辺も、今後どうされていかれるのか、お尋ねをしたいと思います。
  264. 横田吉男

    ○横田政府委員 保育所の最低基準につきましては、今後、保育所が利用者の要請に即してできる限り創意工夫をしやすいようにしていくということが一番のポイントではないかと考えておりまして、こういった意味で、施設が地域の実情に即して自主性を発揮しやすいように規制、基準の緩和をやっていくことが必要ではないかというふうに考えております。  具体的な点といたしましては、先ほど申しましたように、開所時間、例えば朝の七時から夕方の六時というふうに全国一律で決まっておりますけれども、それを各施設において自由に設定できるようにするとか、保育所の定員につきましても弾力化の余地を拡大するとか、分園方式の導入等を検討してもらいたいと考えております。また、施設設備なり人員配置基準につきましても、今後、中央児童福祉審議会の御意見等も伺いながら、検討してまいりたいというふうに考えております。
  265. 奥山茂彦

    ○奥山委員 いつごろ……。
  266. 横田吉男

    ○横田政府委員 失礼いたしました。  乳児保育の指定につきましてでございますが、御指摘いただいたとおり、毎年、決定は十月ごろということで施設の方こも大変御迷惑をかけているところでございます。  これは、私ども、各県の方から三月末ぐらいまでに協議書を出していただきまして、それに基づき審査をした上で決定という手続になっているわけでありますけれども、例年、各県の協議書が出そろいますのが五月末になってしまうとか、そこからおくれてきている。それから、非常に全体の協議件数が膨大でございまして、九千件ぐらいになっておりますけれども、これを内容確認、審査した上でやっているというようなことで、どうしても実際の承認は九月以降になってしまうというような状況になっておるわけであります。  私ども、保育所側にそれだけ負担をお願いしているわけでございますので、その軽減を図るためにも、できる限り作業の電算化等を進めまして、決定が早くできるように努力してまいりたいと考えております。
  267. 奥山茂彦

    ○奥山委員 何とか、できるだけ早く改善をしてもらいたいと思いますし、また、保育所の最低基準の見直しも早急に進めてもらいたいと思います。  それから、今ずっと地方自治体が力を入れてやっておる延長保育のあり方なんですが、六時以降の延長保育が、これまでは公費負担が四分の三で利用者負担が四分の一となっておったわけでありますが、今回、こういった改正に伴って公費負担をやめる、こういうふうな考え方も出てきておるわけであります。  そうすると、延長保育を希望するような家庭というものは、どちらかというと財政的には余りゆとりのない家庭が多いわけであります。そういう面で、補助がやめられるということになってくると、これは非常に大きな問題になってくるわけであります。これは、ある意味でいうと、延長等、保育園側の自由ないろいろな取り組みをさせる、こういうことからやめていこうということなんですが、これはやはり、何らかの形で補助制度というのは残してもらわなければならないのではないかと思うのです。この点についてはいかがでしょうか。
  268. 横田吉男

    ○横田政府委員 延長保育につきましては、現在、市町村事業として実施されておりまして、こういった現状につきましては、各施設で、延長保育をやりたいのだけれども、なかなか市町村の承認が受けられないというような御批判も承っておりますし、また、利用者の方といたしましても、あらかじめ一年を通してどういった形態の延長保育を使うか決めるというような形になっておることもございまして、たまたまきょう三十分なり一時間おくれるときに使えないというような御批判もいただいております。  現在、延長保育を実施している保育所が全国で二千八百三十カ所、これは八年度でございますが、九年度には四千カ所程度に増加する見込みでございます。私ども、今後、緊急保育対策等五か年事業によりまして、十一年度までに七千カ所まで増大する計画を立てておりますが、このあり方につきましては、御指摘いただきましたように、こういった規制を取り払って、各保育所が自由にできるようにしたらどうかというような御意見もございますし、また、現行どおり続けてほしいという御意見もあるところであります。  今後のあり方につきましては、その仕組み、費用負担等を含めまして、十年度予算編成に向けて、関係審議会の御意見なんかも伺いながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  269. 奥山茂彦

    ○奥山委員 ところで、地方自治体によってまちまちでありますが、公立の保育所と民間の保育所のいわゆる保育単価というのですか、これが従来から非常に大きな格差があるということが言われてきたわけであります。こういう中で、特に公立の保育所が、延長保育等のいわゆるサービス面への取り組みがいつも非常に遅いわけであります。しかしながら、公立の保育所の方が定員割れの率が非常に高い、こういうふりなことが一方において指摘をされておるわけでありまして、結局、公立の方がコストが高くついておるにもかかわらず父兄からは人気がない、こういうふうな実態があるわけであります。  ところで、これは日経連の社会福祉懇談会が出した資料なんですが、九州地区のある県庁所在地の統計の中で、民間が一とするならば公立の保育所のコストは一・七になっておるのです。そしてまた別の数字では、これは近畿のある市なんですが、やはり民間が一とするならば公立は二・〇四のコストになっておるわけでありまして、民間と公立のコストの差が非常に大きいわけであります。  こういう中で、これから厚生省としてどういう対応をされていかれるのか、その辺もお尋ねをしたいのです。
  270. 横田吉男

    ○横田政府委員 保育費用につきましては、国基準といたしましては、保育所の運営費は基本的には公私の別なく支給しているところでございますけれども、御承知のとおり、各地方公共団体による国基準への上乗せ等もございまして、全体として見ますと、公立保育所の方が民間保育所よりもかなり高くなっている状況にございます。  また、延長保育などの実施状況を見ましても、八年度で見まして、公立が四二二%、民営の方が二四・三%ということで、大きな差があるような状況になっております。  こういったコストの差につきましては、一つは、保母の給与について、公立の方が民営よりも平均勤続年数がかなり長いとか、あるいはベースそのものが民間よりも高いといったことも考えられますし、保母の人数につきましても、公営の方が民営よりも多く配置されているというような状況によるものと考えております。  こういった保育所の経営形態をどうしていくかということにつきましては、現在の保育事業そのものは市町村が実施主体ということでございますので、各市町村において検討、御判断いただきたいと考えておりますけれども、私どもといたしましては、今回の制度改正によりまして、入所方法選択方式に改めるということにしているところでございます。これによって、公私問わず、それぞれの保育所が、選択されるように一層の創意工夫を払っていただくということが必要になっていると考えておりまして、こういった努力を通じて、経営自体も効率的に運営されるようになることを期待しているところでございます。
  271. 奥山茂彦

    ○奥山委員 今日、行政改革、そして公務員もそれから学校の先生も、あらゆるところでコストの意識というものをこれからは持たなければならない、こういうことが言われておるわけでありますので、この辺は特に、やはり公立の保育所の経営をもう少し効率化させるような指導をしてもらう必要があるのではないかと思います。  最後に、子育て支援センターについてお尋ねをしたいわけであります。  今回、子育て支援センターというものがこの条文の中に入ってきたわけであります。  先日も、東京都の児童相談センターがまとめた統計というものが記事になって出ておったわけであります。八日、九日の二日間、子供に関する特別電話相談を実施したところ、二百七十四件の相談が寄せられた、去年よりも百件もことしは多かった、こういうことであります。  それぞれの保育所が子育て相談というものをやっておりましても、非常にたくさんの相談が来ておるわけでありますし、最近の若いお母さん方は子育てに非常に自信を失っておる、こういうことがいろいろなところで伝えられて、先日も、これは我が党の方の、NHKの小宮山洋子さんという方が、少女売春事件というものを取り扱って、いろいろ話をされておられた。非常に深刻な状態もいろいろなところで生まれてくるだけに、この子育て支援センターの重要性というものはこれから非常に大きなものになってくると思います。  しかしながら、緊急五か年事業の中で、この施設の事業の進捗は必ずしも芳しくないわけであります。こういった点、今回、条文にも入ってまいりましたから、どのようにこれから取り組んでいかれるのか、最後こお尋ねをしたいと思います。
  272. 横田吉男

    ○横田政府委員 保育所は全国で二万二千五百ほどございますけれども、地域の中における子育てに関する施設といたしまして、相当な専門知識、経験等を蓄積しているわけであります。こういった保育所が、単に入所者、入所児童に対するケアだけでなくて、地域における子育て相談等にも活用される必要があると私ども考えているところでございまして、今回の改正におきましても、こういった考えに立って、広く保育所が乳幼児の育児相談に応じられるような規定を置いたところでございます。  また、御質問のございました子育て支援センターにつきましても、緊急保育対策等五か年事業の中で推進をしているところでございまして、今後、種々工夫を凝らしながらその目標達成に向けまして努力をしてまいりたいと考えております。
  273. 奥山茂彦

    ○奥山委員 大臣、私もこれまでずっと末端の保育に取り組んできた一人でありますので、今回の改正案は我々にとっても非常に大きな意味を持つものであります。あすの日本を背負ってくれる子供たちを健全に育てていかなければなりませんし、そしてまた、効率のよい保育所をこれからつくっていかなければならないと思いますので、ひとつこれからも強力な保育行政を推進していただくようによろしくお願いして、終わります。  ありがとうございました。
  274. 佐藤剛男

    ○佐藤(剛)委員長代理 小沢鋭仁君。
  275. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 民主党の小沢鋭仁でございます。  私は、この厚生委員会のふだんのメンバーでないのでありますが、きょうは、この法案、私に一とって大変関心が強い法案なものですから、時間をいただいて質問をさせていただくわけであります。  私ごとで恐縮でありますが、実は、その関心が深いということのきっかけは、私自身が二人、子育てで保育園にお世話になったわけでありまして、今も下の子供は学童保育でお世話になっている、そんなことからこの問題はずっと関心を持っていて、厚生省の若手の皆さんともずっと議論もしてきた問題であるものですから、そういった意味で、この法案がいよいよこういった形で出されるということで、質問を楽しみにさせていただいたということでございます。  同時に、そんな私ごとだけでなくて、先ほど来質問の皆さんからもありましたように、この法案、私は大変重要な意味を持っている法案だというふうに思います。  厚生委員会、この通常国会はいわゆる大きな法案というのは幾つもあつくそういった意味ではなかなかそちらの方に目が行きがちだと思うのでありますけれども、例えば年金とか介護とかそういった問題を考えたときに、負担をどうするかというのは、ある意味では対症療法であります。人口ピラミッドというようなことを考えたときに、我が国のまさに人口ピラミッドを適正な形にしていかなければいかぬ、そのためには出生率を高めなければいかぬ、その出生率を高めていく政策というのは、政治の世界で政策というのは何があるのだろうかといったときに、こういった法案の意味があるわけでありまして、先ほど対症療法という話を申し上げましたが、それに対して言えば、まさにこの法案の目指しているものは根本療法とでも言えるのではないか。  そういった意味で、まさに今後の二十一世紀にとっても、子育て、子供をどういうふうに社会でシステムとして考えて対応していくのかということは重要な問題だ、そんな思いも持っているわけであります。  さて、中身に入らせていただきますが、時間が余りないので、駆け足で何点かお聞かせいただきたいと思います。  まず第一点でありますが、今回、児童福祉法の二十四条ただし書きのところに、「その他の適切な保護」という言葉があるわけであります。  これは、参議院審議をされたときも、御答弁の中で、それについて、市町村が保育サービス提供の義務を負うのだと。そういった「その他の適切な保護」という話も話題になったというふうに承知しておりますが、その意味、具体的な意味、どんなことを御想定になっているか、まず一点お尋ねしておきたいと思います。
  276. 横田吉男

    ○横田政府委員 児童福祉法二十四条におきまして、「市町村は、」「保護者から申込みがあったときは、それらの児童を保育所において保育しなければならない。」ということで、市町村に保育サービスの提供義務を課しております。「ただし、付近に保育所がない等やむを得ない事由があるときは、その他の適切な保護をしなければならない。」ということでございまして、このただし書きにつきましては、付近に保育所がない、あるいは保育所はあるけれども受け入れ能力がないといったようなことで、その児童を受け入れることができない場合におきまして、地域の実情に応じて適切な対応を図る義務を課しているところでございます。  この意味といたしましては、例えば保育所が一つもないようなところにつきましては、僻地保育所あるいは季節保育所といったようなところで対応することも考えられますし、里親あるいは保育ママ等のあっせん等も考えられますし、その具体的な対応につきましては、市町村の裁量にゆだねられているということでございます。
  277. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 今の局長答弁で、少しこれからお聞きしたいところも既に触れていただいているわけでありますが、もう一点確認をしておきたいのは、例えば、その「やむを得ない事由」という話のときに、乳児、一歳児が定員不足で入所できないというような問題があると思うのですね。これも「やむを得ない事由」として考えていいのですね。
  278. 横田吉男

    ○横田政府委員 乳児等を受け入れる場合におきましては、乳児室あるいは保育室ですとか、それに見合った設備あるいは人員等も必要になるということで、保育所があっても受け入れ能力がないという場合が出てこようかと思います。こういった場合につきましては、この「やむを得ない事由」に該当することになるというふうに考えております。
  279. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 もう本当に皆さん御承知のとおりだと思いますが、そこの部分がちょっとまだ少ないのですね、実際受け入れの。ですから、そういった今御答弁にあった「やむを得ない事由」に当たるということなんですが、それじゃ、そのときに先ほどの「適切な保護」というのは一体どういうことをしてもらえるのだろうかということが大事になってくるわけでありまして、例えば認可外保育所の一覧のリストか何かいただいて、渡して、こういうところがありますよというような話も、恐らく「その他の適切な保護」みたいな話の一つの類型にはなるのだろうというふうに思うのですね。  ただ、それだけじゃ足りないので、要は、もちろんそういうこともあり得るのだろうと思うのですが、その「その他の適切な保護」というのにふさわしい、先ほど局長おっしゃっていただいた、まさに保育ママさんや保育室の制度をさらに拡充していくというような、そういう話をぜひ考えていただきたいと思うのですが、その辺の所見をいただきたいと思います。
  280. 横田吉男

    ○横田政府委員 本来の認可保育所に受け入れができない場合において、市町村の裁量に応じましていろいろな措置が講じられるということでございますが、その中には、御指摘のように、保育ママ、保育室あるいは僻地保育所の活用、里親等が入ってまいります。  ただ、私どもといたしましては、こういったただし書きによって措置を講じられることによりまして、市町村が保育に対する保育サービスの提供義務を免れるというのは適切ではないのではないか、あくまでも今回の改正の趣旨を踏まえましてへ市町村は従来にも増して、保育所の定員の増加なり弾力化 あるしはさまざまな手段でできる限り認可保育所でのサービスの提供に努めていく義務があるのではないかというふうに考えております。
  281. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 ぜひその姿勢でお願いを申し上げたいと思うわけであります。  そういう話をやっていっていただく中で、とにかく利用者の側で一番つらいのは入れないということでありまして、それが待機率ということで出てくるわけですね。もちろん、全国の中ではもう数としては十分あるというのは承知しているわけでありますが、場所場所によって、まだ入れないで待っている人たちがかなりいらっしゃるというのも一方で大変あるわけであります。  その待機率、今回、こういう改正をして、その中でやっていくということの中で、まず、国が市町村に対して、待機率を減らしていくような、そういったガイドラインといいますか、そういったものをお持ちかどうか、この法案が通ってやっていくことによって、まさにその待機率は下がる見込みというのを持っていらっしゃるのかどうか、そのあたりをお聞かせいただきたいと思います。
  282. 横田吉男

    ○横田政府委員 先生御指摘いただきましたように、全国的には、保育所の入所率、八三%ということで供給の方が余っている状況にあるわけでありますが、大都市等におきましては、低年齢児等の待機率がかなり高いという状況にあります。あくまでも各地域の実情によりましてかなり違いがあるということでございまして、私ども、一律的に待機率を指導するようなガイドラインというのは設けていないわけであります。  ただ、これまで、その解消を図るために、平成七年度より、緊急保育対策等五か年事業というものを策定いたしまして、それによって低年齢児等の受け入れの促進を図ってきているところでございます。こういった努力を今後ともやっていきますとともに、今回の改正を契機といたしまして、定員の弾力化等についてもさらに拡大の余地を広げるというようなことで、こういった待機児の縮小に向けまして努力をしてまいりたいと考えております。
  283. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 今の局長の御答弁の中で、例えばいわゆる年度途中の入所も考えるというような、そういうフレキシブルにという、たしか弾力的にというお話でありましたが、そういうふうな御答弁であったということでよろしゅうございますか。私は、まさに乳児それから一歳児くらいの一番不足しているところは、あいたら入れますよという弾力的な運営というものが大事だと思うものですから、ぜひそれをやっていっていただきたいと思うのですが。
  284. 横田吉男

    ○横田政府委員 年度途中の保育所への入所につきましては、現在におきましても、年度途中入所円滑化事業とか、あるいは産休・育休明け入所予約モデル事業というようなものを通じまして、年度途中から保育児を受け入れることに伴う保育所の負担の軽減を図るような助成措置を講じてきているところでございます。また、定員をオーバーする場合におきまして、現在、一〇%ないし一五%までの弾力化を認めているところでございますが、こういったものの拡大についても当然検討していかなくてはいけないのではないかというふうに考えております。
  285. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 ありがとうございます。  それでは、次に、保育時間の件で質問をさせていただきたいと思うのですが、入れないということから入れたということになると、次にぶち当たる問題が今度は時間なんですね。  開所時間と言うのですか、それが今、厚生省の方は、七時から六時、十一時間で、園として、保育所として開いておいてくださいよというふうに聞いているわけであります。しかし、それが、朝の七時から夕方六時という時間帯が果たしていいのだろうか。これは地域によって違うと思うのですけれども、都会なんかの場合こま、逆に朝をおくらせても夕方をもう少し遅く、七時ぐらいまでというような話の方がワーキングスタイルからするといいのじゃないか。六時ですよということで迎えに行くというのは、これはなかなか通勤時間を考えたりすると大変、そんなこともあって、開所時間をフレキシブルに考えるということはできないでしょうか。
  286. 横田吉男

    ○横田政府委員 現在の開所時間につきましては、全国一律で朝の七時から午後六時というふうになっているわけでございますけれども、今後のあり方につきましては、私ども、先生御指摘のように、就労形態等も多様化してきておりますので、保育ニーズもそれに応じて非常に多様になってきているという状況がありますので、そういった状況を踏まえまして、各施設におきまして、この開所時間を弾力的に設定できるようなことにしていきたいと考えております。
  287. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 ありがとうございます。ぜひそういう方針でお願いを申し上げたいと思います。  またお願いみたいな話になるのですが、そうなりますと、今度は、現在、厚生省令ですか、それの児童福祉施設最低基準第三十四条というところで、保育最低時間八時間というのが決まっているのでしょうか、この八時間というところももうちょっと広げておいていただくとなおありがたいわけでありますが、いかがでございますか。     〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕
  288. 横田吉男

    ○横田政府委員 現在の児童福祉施設最低基準におきまして、保育所の保育時間につきましては、原則八時間ということにいたしておりまして、その他、その地方における乳児なり幼児の保護者の労働時間その他家庭の状況等を勘案して施設長が決めるというふうな規定になっております。  この八時間という保育時間そのものにつきましては、個々の保育児が保育所で一日のスケジュールの中でどういった保育を受けられるのかという典型的な例を想定して時間を示したものでございまして、この原則自体を変えるということは、現在、私どもは考えていないところでございます。  ただ、先ほども申し上げましたように、保育所の開所時間につきましては、保護者の労働時間あるいは通勤事情などを考慮いたしまして、各施設において弾力的に設定できるように検討してまいりたいと考えております。
  289. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 その最低八時間のそこは今のところ考えていない、そういうお話でありました。そうなってくると、今度は、それが変わらないということになると、延長保育、こういう話になるわけでありまして、では延長保育のところで少しいろいろなことが考えられないか、こうなるわけであります。  先ほどの質問にも、この延長保育の問題が出ておりました。実際に今、一時間、二時間、四時間、六時間ですか、そういった時間設定で延長保育の制度が行われているわけでありますが、問題は、先ほど局長答弁もありましたが、数が少ないのですね。ですから、制度としてはあります、こう言われるのですが、では実際にそれが使えるかというと、使えない。何とかそれを使わせてほしいという切実な思いがあるわけでありまして、ぜひそこのところを改めてふやしていっていただきたいというふうに思っているわけでありますが、その厚生省の御計画を聞かせてください。
  290. 横田吉男

    ○横田政府委員 延長保育を実施しております保育所は、八年度で、全国で二千八百三十カ所、実施率で一二・六%ということでございます。九年度にはこれが四千カ所程度まで増加するというふうに私どもは考えておりまして、現在、緊急保育対策等五か年事業、十一年度までの事業計画を持っておりますが、七千カ所までふやしたいというふうに考えているところでございます。  これにつきましては、この目標を達成できるよう、今後とも創意工夫を凝らしながら努力してまいりたいと考えておりますし、また、今回の改正によりまして、入所方式が選択方式に変わることになりますので、各保育所の創意工夫が一層促されるという中で、この延長保育の実施数もさらに増加していくのでまないかというふうに期待しておるところでございます。
  291. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 わかりました。  それでは、また別な角度から一点質問をさせていただきます。  今回の改正の中でいわゆる情報の提供が義務づけられているわけですね。これは逆に言いますと、どういう情報を提供してもらえるのかということになるわけですが、我々、子供を預けている、お願いをしている立場であって、実はいろいろな、こうしてほしいな、ああしてほしいなという思いがあるのだけれども、なかなかそういう思いも余り言えないのですね、預けていてお世話になっているからということもあって。しかし、そういう話を勇気を持ってというか思い切って伝えてみる、こういうこともあるわけでありますが、恐らく父兄の皆さん、同じような思いを持っている可能性もあるわけですね。  ですから、そういった場面で、情報提供義務の中にそういったいわゆる保護者からの要望事項を、今度、逆にそこに入っている皆さんたちにも、こういう要望がありましたよというような話を提供してもらう、そんなことを考えられませんでしょうか。それも含まれるかどうか。
  292. 横田吉男

    ○横田政府委員 選択方式に入所方式を改めるに際しまして前提となる保育所に関する情報については、できる限り情報提供できるような仕組みを考えていきたいと思っておりますけれども、先生今御指摘いただきましたような、利用者側の意見というものがどのように施設側に言えるかという点でございますが、これは、現在は行政処分による措置という形で、契約方式ではございませんので、なかなか利用者の方としては施設の方に意見を言いにくいという状況になっているのではないかと思いますが、今回の改正によりまして選択方式になりますので、施設側といたしましては、今度は選んでいただくためには利用者側のニーズを的確に把握して、それに沿った保育サービスを提供するようなことが促されるのではないかというふうに考えております。そういう意味で、今までと違いまして、意見が言いやすくなりますし、また、保育所側におきましても、そういったものにもつと注意を向けるようになるのではないかというふうに考えております。  これを役所側が、いろいろな利用者側の評価そのもの、よしあしを情報公開の対象とするかどうかにつきましては、これはなかなか微妙な問題があるのではないかと思いますので、私どもといたしましては、慎重な検討が必要だろうと考えております。
  293. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 時間がなくなってまいりましたので、ちょっと急がせていただきますが、予算的な対応についてお伺いしたいと思います。  今回は、措置という言葉がなくなり選択という言葉になり、そういった意味で、逆に言うと、そこで予算がどうなるのかということでありますが、今までは措置費という言葉なわけですね。ですから、それが、改正後は実質的にその措置費と同じような形で国費が投じられるのか、それは言ってみれば補助金という形になるのか、どういう形になるのか。  それから 時間がないのでもう一点あわせて御質問ですが、今、財政がない中でいろいろな、社会保障も聖域なしということで財源を見直していく、これは総論としてはいいわけでありますが、そういう中で、現時点で、地方交付税交付金としてこういった、例えば今から御説明いただけるような、国費を一般財源化していくみたいな話になってしまうとこれまた困るのですね。ですから、そういった発想はおありかどうか。その二点、お願いします。
  294. 横田吉男

    ○横田政府委員 保育所入所に要する最低基準維持のための経費につきましては、国、市町村、県の現行の負担割合で、負担金として今後とも維持していくことにしているところでございます。  それから、保育所の運営費につきまして、交付金として一般財源化する考えはあるかという点でございますが、現時点におきまして、そういうことは考えておりません。
  295. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 ぜひそこの部分は慎重にお取り計らいを、私どもとしてはお願いを申し上げておきたいというふうに思います。  最後に、大臣、きょういらっしゃっていただいているわけでありまして、大臣に一点御質問をさせていただくわけであります。  今回の問題、冒頭にも申し上げましたが、女性の皆さんの就業と子育て、あるいは女性の社会進出に伴って保育所の役割、そういうとらえ方が多いわけでありますけれども、しかし、ちょっと待てよと考えてみますと、これは女性の問題だということではなくて、例えば女性の社会進出という意味は、逆に言うと、我が国がある意味で男性型社会になっていて、男性型社会になっているからどうしても女性が社会進出するときに子育ての方に、それで保育園の方に行かなければいかぬとか、そういう話になっていくわけですね。例えば、男性型社会、会社社会になっているので、夜どうしても残業があって、それが最優先されるとか、そういう社会なんじゃないかというふうに思うのですね。  ですから、これは女性の問題だということは、裏返して言うと、まさに我々男性の問題なんですね。男性が何をするかという問題で、社会全体を、今の男性中心社会あるいはまた会社中心社会をどういうふうに考えていくのか、そういう問題でもあるような気がしているのですね。ですから、この女性の問題はすぐれて男性の問題だというふうに思っているわけですが、大臣の御所見をぜひ御披露いただいて、最後の質問にさせていただきます。
  296. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 子育てをめぐる環境も時代とともに大分変わってきております。かつては、女性の仕事は家事、育児と言われておりました。このことに対して、女性も疑問に思っていなかった。男も、当然だと思っていた。今や、夫婦共働きの状況が当然、普通になってきた段階におきましては、男性も家事、育児に女性と一緒に協力していこうというのが当たり前の考えになってきたと思います。  そういう中で、保育所の環境も変わってまいりましたし、これからむしろ利用者の立場に立って保育所のいわばサービス向上競争を促そうという形で今回の改正も取り組んでいる。子育てをどうやって社会が支えていくか、環境を整備していくかということでありますから、当然、母親だけに子育てを任せていいものではない、父親もその子育てに関心を持ってもらって、健全な子供の育成をともに考えてもらわなければならない。  しかしながら、環境をいかに整備しても、一番大事なことは、子育ての基本というのはしっかり抱いてそっとおろして歩かせるというのが子育ての基本だと専門家が言っておりましたけれども、私は全く同感であります。今の親というのは、早く子供をひとり立ちさせるために、ひとり立ち、歩かせることばかり考える。しかし、ひとりで歩かせる前にもっと大事なことは、三歳児までの間にいかにしっかり抱き締めるか、そしてそっとおろすかだというのは、私は、どのように時代が変わっても真理だろうと思います。子供は最初に触れた身近な者から自分が愛されているということを感じて初めてひとり立ちできるのだ、不安感なくできるのだ、私は当然だと思います。  そういう意味において、大人でも、自分が周りから受け入れられないと思うと精神的に不安定になります。男でも女でも、身近な者から自分は愛されているのだろうか、受け入れられているのであろうかという確信を持てない人は不安定な行動が目立つ。まして、最初、世に出てきた子供であります。その身近に接する母親、父親が、どのような保育所に預けても、まず子供に対して、本当に自分は愛しているんだよ、子供から、言葉で言わなくても体で、自分はしっかり抱き締められているんだ、愛されているんだという感情をどうやって心の中に持ってもらうかというのは、母親だけではない、父親も当然それに参加して、健全な児童育成に男もかかわっていくべきではないか。  私も子を持ってみまして、まとわりつかれているうちが花ですよ。うるさいぐらいに、もういいかげんにしてくれと、遊んで遊んでと言われてうるさいと思う。いつの間にか、今度は遊んでやろうと思っても、子供はもう遊んでくれない。大きくなると勝手に、友達の方がよくなってしまう。  ということを考えると、男親も、子供から遊んでとまとわりつかれたら喜んで遊んでやって、本当に自分は子供を愛しているんだぞ、しっかり抱き締めているんだという気持ちを、言葉でなく体で受けてもらえるような、そういうことを夫婦ともに考えることが大事ではないか。そういう中にあって社会が子育て支援の環境を整備していく、これが大事ではないかと思います。
  297. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 ありがとうございました。大変味わい深い御答弁をいただいて恐縮でございました。お子さんに遊んでいただけない暇な時間がありましたら、私がお供をいたしますので、どうぞよろしくお願いします。  どうもありがとうございました。質問を終わります。
  298. 町村信孝

    町村委員長 石毛鍈子さん。
  299. 石毛えい子

    ○石毛委員 民主党の石毛でございます。  長い一日、そろそろ終わりに近づこうとしておりますけれども、大臣、今の御発言でひととき心が和まれたのではないでしょうか。  私は、児童福祉法についての質問をさせていただきます前に、中児審の中間報告で児童扶養手当の改正について触れられておりまして、それが先送りになりましたけれども、その全体的な問題ではなくて、きょうは、婚姻によらないで生まれた子供が父から認知を受けると、その養育費の有無にかかわらず児童扶養手当が支給されないという、そのことについて少し質問をさせていただきたいと思います。  児童扶養手当は、離婚による場合には、父が養育費を送っていても児童扶養手当が支給されております。婚外子という場合には、なぜ父の認知によって児童扶養手当が支給されなくなるのか、このことは婚外子差別ではないのかということを、まず第一点、お伺いいたします。お答えは局長がしてくださいますでしょうか。
  300. 横田吉男

    ○横田政府委員 児童扶養手当は、離婚なり死亡によりまして、父と生計を同じくしていない母子世帯で、一定所得以下の方の生活の安定を図るという目的で支給されているものでございます。  御質問ございました、いわゆる未婚の母子家庭につきましてま、法律上父が存在していないということに着目いたしまして、父が死亡した場合、あるいは生存しているけれども生死不明というような場合に準じまして、扶養手当を支給しているところでございます。  しかし、未婚の母の子が認知された場合におきましては、生死不明の父があらわれた場合にもこの扶養手当の支給をしないことにしておりますことと同様に、父の扶養義務の履行を優先させるべきであるという考えに立ちまして、手当を支給しないということにしているものでございます。  ただ、この場合におきましても、一年以上、父が扶養義務を履行せず、遺棄していると認められる場合には、手当が支給されることになっております。
  301. 石毛えい子

    ○石毛委員 今、局長は、児童扶養手当を支給する目的生活の安定を図ることというふうにおっしゃられましたですね。それに相違ないですね。児童扶養手当を支給するというその意味は生活の安定を図ることというふうにおっしゃられましたですね。そして、離婚によって法律上父が存在していない場合には養育費が送られていても児童扶養手当が支給されて、あと、そのほか生死不明の場合とかいろいろおっしゃられましたけれども、児童扶養手当の目的というのは生活の安定を図るということに本旨があるのでしたならば、そこのところを第一義的こ追求していくとすれば、婚姻によらないで生まれた子供さんが、父の認知を求める、つまり、父親の確認を求めるということによって認知されて児童扶養手当が支給されなくなるということは、生活の安定を損ねるということになってまいりますね。それは生活の安定を損ねるということになってまいりますし、事実、児童扶養手当を受給している家庭は経済的にも大変苦しいという状態の方が多い。  そうした実態とも重ね合わせて考えてみますと、認知を受けるということによって児童扶養手当が打ち切られて生活の安定が損なわれていくということは、婚姻によらないで生まれた子供の、父親の確定を求めていくというその権利を妨害していることになる、こういう意味を持つことにならないでしょうか。いかがでしょうか。
  302. 横田吉男

    ○横田政府委員 この児童扶養手当の支給要件の考え方といたしまして、離婚等によりまして法律上完全に別れてしまっているというような場合、それから、死亡していなくなってしまったという場合に、これは他に代替手段がないわけでございますので、公的な負担におきまして手当を支給することになっているわけであります。現行制度におきましても、離婚まで至らない別居の状態、あるいは行方不明になってしまっている場合、これは、その時点におきまして父からの仕送り等がない場合も、ある場合もあると思いますけれども、不安定であるわけですが、手当は出ないわけであります。  こういったことのバランスにおきまして、現在、この未婚の母の子が認知された場合におきましては、その認知した父にまず第一義的に扶養義務を履行してもらうのが適当だということで支給をしない取り扱いにしているものでございます。  それから、先ほど先生がお話しになりました、離婚して私的な扶養責任を果たしている場合におきましても児童扶養手当が支給される点につきまして言及がございましたが、これにつきましては、今の支給要件そのものについて、これは所得として証明ができるものをもとに支給していることからそういったようなことが出ているわけでありますが、今回、この児童扶養手当制度のあり方につきまして昨年の中間報告を受けて検討した場合におきましても、こういった点が社会的に公正なのかどうかという点は御議論のあったところでございまして、今後、私ども、制度改正を検討していくに当たりまして、どうしたらよいのか、一つの検討課題ではないかと思っております。
  303. 石毛えい子

    ○石毛委員 私が後段で質問させていただきました、今、婚姻によらないで生まれた子供さんのいらっしゃる母子の関係は、生活水準がとても厳しい、厳しいから児童扶養手当をぜひ受けたい、ただ、子供の立場とすれば父親の確認もしたい、両方希望があるのは当然だと思うのですね。ところが、父親の確認をすると児童扶養手当は受けられなくなる、つまり、認知をされると児童扶養手当は受けられなくなる。こういうアンビバレントなといいましょうか、制度というのは、子供が父の確定を求める権利を実質上妨げていることになりませんかという、この質問に対してはいかがでしょうか。
  304. 横田吉男

    ○横田政府委員 御指摘のような点もあろうかと思いますけれども、ある意味で、子供の認知と児童扶養手当を支給するかどうかというのは別の問題でございますので、逆の面から見ますと、そういった、扶養手当制度があるから認知をしないというのは、また別な意味から問題になるのではないかと考えております。
  305. 石毛えい子

    ○石毛委員 別の意味から問題になるのではないかという、おっしゃる意味が私はよくわからないのですけれども、この問題で時間を費やしていくというわけにもいかないものですから、大臣にお尋ねしたいのです。  子どもの権利に関する条約、政府では児童の権利に関する条約と申していますけれども、第七条で、父母を知る権利を規定しております。それから第六条では、生存、発達の確保ですとか、あるいは二十七条では、相当な生活水準を権利として実現することができるとかという、そういう生活保障について規定しております。先ほど申し上げたことの続きこなるわけですけれども、この両方が両立するためには、子供が認知されたとしても児童扶養手当の支給を停止しないことというのが、私は求めたいことなんです。そして、事実、東京都では、独自の制度ですけれども、児童育成手当というような類似の制度を発足させまして、認知されていても支給されるという、こういう制度ができております。  そこで、大臣に申し上げたいことなんですけれども、児童扶養手当法施行令第一条の二の三号、括弧の中のただし書きですけれども、「父から認知された児童を除く。」というふうにございます。この「父から認知された児童を除く。」というところを政令から削っていただければ、認知された子供に児童扶養手当が支給されないという今までのこの問題は解決することになるわけです。局長は違うお立場ですから、また違う御意見なんでしょうけれども、私の方の主張からしますと解決することになるわけです。  そこで、これは政令でございますから、大臣が御決意をしてくださいまして閣議でこのことを実現していただければ、婚姻によらないで生まれた子供が、父の認知を受け、なおかつ児童扶養手当を受給することもできるという、この両方が実現できるということになるのですけれども、大臣、いかがでしょうか、お力を発揮していただけませんでしょうか。
  306. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 この問題は、今回の改正法案の中でもまとまらなかったから触れなかったのです。  児童扶養手当の問題ではいろいろな議論があったところであります。今のように、児童の権利に関する条約では、父母を知る権利を規定している、そして、一方では相当な生活水準等を規定している、これをどうやって両立させるか。認知されても児童扶養手当を停止するなという意見があるのも承知しております。未婚の母の子に対する認知された後の問題については、今、裁判で、最高裁で係争中なわけですね。  いろいろな意見があるものですから、私は、もう少し時間をかけて慎重に検討すべき問題ではないかな、今までの観念、そしていろいろな考え方がありますから、それをもうちょっと見きわめる時間が必要ではないかな、そういうふうに考えております。
  307. 石毛えい子

    ○石毛委員 それでは、もう少し見きわめる時間が必要とおっしゃられましたその内容の中に、ぜひ婚外子差別をなくしていくという項目を入れていただきまして、この認知の問題と児童扶養手当の問題を受けとめていただけたらというふうに要望いたします。  それでは、次の問題、児童福祉法の改正の中身に入っていきたいと思います。  まず一つは、保育所に関しまして、第二十四条にかかわる問題でございますけれども、この三項で、入所の希望が上回った場合に、公正な方法で選考ができるようにするというふうに記されております。公正な方法による選考とは具体的にどういう方法なのか、そのことをお示しいただきたいと思います。
  308. 横田吉男

    ○横田政府委員 入所の希望が定員を上回った場合にどういった形で選考するかということでございますが、現在、一部の市町村におきましては、家庭の状況でございますとか就労状況等も考慮いたしまして、優先度を点数化して調整しているような場合もございます。あるいは、母子家庭などニーズの高いところを優先的に入所させた上で先着順に決めるというような、いろいろな方法がございます。  いずれにいたしましても、この公正な方法につきましては、法改正後施行までに市町村が地域の実情によって定めまして、住民の理解を得ていくということになるのではないかと考えております。私どもといたしましても、いろいろな方法について、ガイドライン等も含め、市町村にお示ししたいというふうに考えております。
  309. 石毛えい子

    ○石毛委員 重ねてお尋ねいたします。  先ほど、これからは利用者の方にとって保育所が選択しやすいように、保育時間の問題ですとか、定員の問題ですとか、職員配置の問題ですとかということを情報公開するというお話がありましたけれども、その情報公開の中には、保育方針ですとか、そういうことは入りますでしょうか。
  310. 横田吉男

    ○横田政府委員 保育所ごとの保育方針なども含まれるというふうに私ども考えておりますし、その方向で検討してまいりたいと考えております。
  311. 石毛えい子

    ○石毛委員 保育方針といいますのは、主として保育の質にかかわる内容だと思います。先ほど局長がおっしゃられました、例えば勤めていることによる理由だとか、そういう点数化といいますのは、どちらかといえば外形的な問題だと思います。これは質問項目として出しているわけではございませんので、関連の意見というふうにお受けとめください。  話を戻しますけれども、そうした外形的な優先度の決定と、保育の質というような中身をガイドラインとして出すということは、大変難しいことになるのではないかというふうに思いますが、両々相まって厚生省の方でガイドラインとしてお出しになるということなんでしょうか。それと、もう一つ重ねて、これはガイドラインが優先するのでしょうか、それぞれの地方自治体の決定が優先するのでしょうか、そこをお教えください。
  312. 横田吉男

    ○横田政府委員 入所希望が定員を上回った場合の選考方法につきまして、いろいろな例等を私どもなりに集めまして市町村の方にも参考にお示ししたいということでございまして、これは、具体的には、各市町村自分の権限において決めるということになるわけであります。  それから、保育方針につきましては、これは選考方法とは直接関係ないということでございますので、私ども、先ほど申し上げました、市町村の方にガイドラインとしてお示しする対象ではなくて、選択を行う際の基礎的なデータの情報提供項目として考えているということでございます。
  313. 石毛えい子

    ○石毛委員 今の局長の御答弁は、私はちょっと理解しがたい点がございます。  と申しますのは、子供を保育所に託そうとする親が保育所を選ぶときに、選択の基準になることはいろいろあるわけです。何歳から預かってくれるかということもありますし、時間がどうかということもありますし、その選ぶ基準の中に、この保育所はどういう考えで、どのような保育をしてくださるかという、そのことも当然、選ぶ基準の中にあります。  私の友人は、もうかなり前のことになりますけれども、子供を保育所に託すときに、実際にかなりの保育所を訪問して、そこの雰囲気等々というのを自分で実感して申し込んでいる。だから、親が選ぶのは、時間とかそうした外形的な理由も大きいですけれども、そこの保育の方針ですとか、質ですとか、全体の雰囲気とか、いろいろあって決定していくわけですね。その質を具体的に公正な方法で選考の上に乗せるというのは非常に難しい話だと私は思うのですけれども、そこのあたりをどう考えますでしょうか。  例えば、東京都では両親ともに共働きは十点とかというのを前々からやってこられたという経緯がありますけれども、それは大体外形的な理由です。でも、本当にこの保育所に子供を託したいという親御さんが、その保育の質という意味でたくさんいらしたら、そこは申し込みがオーバーすることってあるわけですから、当然上回って、公正な選考方法ということになってくるわけですね。  その公正な選考方法というときに、それじゃ具体的にその方法はどういうふうに考えるのでしょうかということを私はお尋ねしているわけなんです。
  314. 横田吉男

    ○横田政府委員 上回った場合の選考方法につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、市町村自分の裁量におきまして自由に決定できるということであります。それをもって、その住民等に御理解を得ていくということではないか。  私どもといたしましては、先ほど申し上げましたのは、あくまで中央、国の立場といたしまして、各地方の状況を把握しているものを、御参考にということで地方の方にお送りすることを考えているということでございます。
  315. 石毛えい子

    ○石毛委員 それでは、私は今の御答弁に十分納得したわけではございませんけれども、時間の関係で次の質問に移ります。  そうした保育所への申し込み状況ですとか選考の方法、あるいはそれをどういうふうに実施したかというようなこと等々、入所にかかわるその実際の方法というのは市町村責任で公開されますでしょうか。要するに、落選した人が納得できるようにきちっと情報公開されますでしょうかという御質問です。
  316. 横田吉男

    ○横田政府委員 選択ができる限り公正に行われるというためには、必要な情報が提供されることが必要だというふうに考えておりまして、こういった意味で、できる限り参考となる情報を提供するように検討してまいりたいと考えております。  ただ、そういった意味で、選考方法、それから保育所に関するいろいろな情報等はその対象になると考えておりますけれども、申し込み状況につきましては、これは日々変動していくということでございますので、ある一時点で今どうかというのは出ると思いますが、事務的な問題もあると思いますので、市町村等の御意見も聞きながら、私どもとしてどういう形で提供できるか検討してまいりたいというふうに考えております。
  317. 石毛えい子

    ○石毛委員 もしその選考に漏れたような場合に、さまざまな情報を公開していただいて、なおかつ納得できなかったということになりましたら、これは不服申し立てばできるのでしょうか。
  318. 横田吉男

    ○横田政府委員 入所の方式が現在の措置という行政処分から申し込みによる利用方式に変わるわけでありますけれども、私ども、選考に問題があると利用者の方が考えた場合には、その権利救済の観点から、行政不服審査法の異議申し立て等ができるようなことにしております。
  319. 石毛えい子

    ○石毛委員 それはどこにすることになりますでしょうか。
  320. 横田吉男

    ○横田政府委員 これは当該契約の対象者であり、保育サービスの実施主体である、実施責任を持っている市町村でございます。
  321. 石毛えい子

    ○石毛委員 具体的な方法で選考を行うのも市町村、それから不服審査をしてそれに対する回答をするのも市町村、同じ主体で納得のいく回答をいただけるかどうかというのは、素朴な気持ちで思えば不思議に思うのですけれども、例えばこのことに関して、自治体にオンブズマン的な機能を持つ第三者委員会のようなことをつくって不服申し立てを受けるというお考えはございますでしょうか。これも議論の中で追加して申し上げていることですので、申しわけございませんけれども、もともとの質問にはございません。
  322. 横田吉男

    ○横田政府委員 これは異議申し立てということでございますので、当該契約の主体たる市町村になりまして、それで不服がある場合につきましては裁判等の手続に入っていただくということになるのではないかと考えております。  私どもといたしましては、この点について改めて第三者機関による審査機関等を設けることまでは考えておりません。
  323. 石毛えい子

    ○石毛委員 御回答いただいたという、そのことについては理解いたしました。ただ、私は、公正に判断されるためにはそうした第三者的な判断をする機能も必要ではないかというふうに考えておりますということを申し上げます。  それでは、次の質問に移りたいと思いますけれども、児童福祉法に関連しまして、今、入所施設の中で行われている体罰の問題について質問をしたいと思います。これは参議院でも取り上げられていた課題ですし、それから、本会議では保坂議員が質問の中で触れておられました。  まず最初に、恩寵園、養護施設でございますけれども、そこで行われた体罰につきまして、局長参議院答弁として、厚生省としては調査していないというふうに答弁されたと伺っておりますけれども、その後、調査はなさいましたでしょうか。
  324. 横田吉男

    ○横田政府委員 参議院における審議の過程におきまして出されました質問といたしましては、特定の施設ということでなくて、施設における体罰の実情について調査をしたことがあるかという御質問でございまして、これに対しまして私の答弁といたしまして、現在のところ児童福祉施設における全国的な状況については十分に把握していない旨答弁させていただいたところでございます。  今御質問のございました恩寵園における問題につきましては、千葉県当局の方から事件の経過等について事情をお伺いしておりまして、その上で改善指導等を行ってきているところでございます。
  325. 石毛えい子

    ○石毛委員 今の御答弁の中で、改善指導は厚生省としてなさったということでしょうか。
  326. 横田吉男

    ○横田政府委員 県から事情を聴取いたしまして、県庁に対しまして、県から施設に対して改善を指導するように私どもとして指導をしたということでございます。
  327. 石毛えい子

    ○石毛委員 それでは、その恩寵園の件についてでございますけれども、厚生省では、千葉県児童相談所長協議会が、私、ここに報告書を持っておりますけれども、面接調査結果といたしまして、子供さんたち等々にヒアリングをした、職員の方にもですが、ヒアリングをした結果として、「園内で入所児童に対する体罰が行われていたと判断する。」という報告がございますけれども、これについては御存じでしたでしょうか。
  328. 横田吉男

    ○横田政府委員 私、現在の職に着任しましたのは昨年の暮れでございまして、それまでは承知しておりませんでしたけれども、この調査は平成七年ということでございまして、児童家庭局としては当然その存在は承知していたところでございます。  私どもといたしまして、こういった福祉施設の中において児童が体罰を受けるような事態が生じたことにつきましては、まことに遺憾であり、あってはならないことだというふうに考えているところでございます。
  329. 石毛えい子

    ○石毛委員 今の、まことに遺憾でありという回答をいただきましたらば、ぜひ実現していただけるように私は申し上げたいのですけれども、学校教育法第十一条では体罰は禁止されております。児童福祉法では、養護施設の施設長に対する規定に、懲戒については触れられておりますけれども、体罰禁止規定を設けてはおりません。  学校教育法と児童福祉法は、一九四七年、四八年、児童福祉法の方が一年後でございますけれども、同じような時代に制定された法律で、ともに子供さんに関する法律であるわけです。なぜ児童福祉法の中では、あるいは児童福祉法に規定されている施設について、体罰禁止規定がないのでしょうか。そして、体罰禁止規定を設けるというお考えについてはいかがでしょうか。
  330. 横田吉男

    ○横田政府委員 児童福祉法におきましては、入所中の児童で親権者等がないものにつきましては児童福祉施設の長が親権を行うことになっております。また、親権者等があるものにつきましては、監護、教育、懲戒に関しまして、「その児童福祉のため必要な措置をとることができる。」旨規定されております。すなわち、施設の長が懲戒に関してとる措置というのは、「児童福祉の向上のため必要な措置」として行使が認められているということでございまして、これに体罰が含まれないのは当然であると考えております。  この点につきましては、私どもといたしまして、従来から、「児童の体に苦痛を与える体罰や、人格的辱ずかしめを加える精神的な罰は絶対に行ってはならない」旨指導をするなど、再三にわたりまして、都道府県、各施設に対しまして周知徹底を図ってきているところでございます。今後とも、こういった点でその趣旨の徹底を図ってまいりたいと考えております。
  331. 石毛えい子

    ○石毛委員 学校教育法第十一条では、懲戒について触れた後、体罰をしてはならないというふうに特定して、強調して法律の中で規定されております。今局長の御答弁では、懲戒の中に当然のこととして体罰を含まない、体罰をしてはいけないのだという趣旨が込められているというふうにおっしゃられました。それも一つの御意見かとは思いますけれども、今、東京の調査によりますと、施設の中で五二%の入所している子供さんたちに、入所以前に虐待の経験があるという報告がなされております。例外的にあっていいというわけではございませんけれども、五二%、こういう事態があるということは、虐待、あるいはその中には体罰も含まれると思いますが、それが普遍化しているということをあらわしているのだと思いますので、ぜひ私は、体罰を禁止するということを何らかの方法考えていただきたいというふうに思います。  ここで、もう一度そのことについて御答弁をいただきたいのですけれども、ちょっと質問通告していないことですので恐縮ですけれども、させてください。  本会議で、児童福祉法に関して、社会民主党の保坂議員が恩寵園での体罰事件に関する質問をされました。その質問に対して大臣は、施設長からの報告徴収でチェックをする、これから気をつけていくと。そのとき大臣は、体罰は絶対にあってはならないという、御答弁とともにそういう御指摘をなさいました。  そこで、もし今おわかりでしたらお答えをいただきたいのですけれども、その報告徴収をされる様式といいますか、その中に、体罰があったかどうかとか、あるいは子供からの意見を聞くというようなそういう様式はあるのでしょうか、ないのでしょうか。そこのところを、通告していないので恐縮ですが、お教えください。
  332. 横田吉男

    ○横田政府委員 施設の中における処遇が適正に行われますよう、私どもといたしまして、都道府県の児童相談所等が入りまして立ち入り調査を行う、あるいは施設長から定期的な報告徴収を行うということを通じまして、こういった事態が生じないように徹底してまいりたいと考えておりますし、また、幾つかの施設で行われておりますように、児童本人に「権利ノート」あるいは「施設生活の手引」というようなものを配付いたしまして、児童意見を表明する権利等について明確にしているところもございます。こういったことも参考にしながら、私ども、適正な処遇が行われるような努力を払ってまいりたいと考えております。
  333. 石毛えい子

    ○石毛委員 今、私は、徴収する報告の中に、例えば子供の意見を聞いてこういうことが挙げられたという、そういう欄はありますかということをまずお聞きいたしました。
  334. 横田吉男

    ○横田政府委員 児童相談所が徴収する場合につきまして、定型的な様式に基づいてこれを徴収するというふうな形には現在のところなっていないところでございます。
  335. 石毛えい子

    ○石毛委員 それを改めていくべきだというふうに私は思います。これは申し上げたいところです。  それから、先ほどの質問に戻らせていただきますけれども、今、児童福祉法の改正を審議しているところですから、次の改正を待たなければ、児童福祉法の中に体罰禁止規定を設けるとしましても、今回の問題ではないわけですね。  そこで、お尋ねしたいのですけれども、法律にどう規定していくかということは今後の課題として私たちが検討を続けていくということにしましても、もし法律に明記しないのであれば、児童福祉法の省令ですけれども、最低基準の第四十四条に「生活指導を行うに当たって遵守すべき事項」「養護施設における生活指導は、児童の自主性を尊重し、基本的生活習慣を確立し、並びに豊かな人間性及び社会性を養うようこれを行わなければならない。」どちらかというとプラス方向で書かれているのですけれども、ここに、体罰はあってはならないことであるというような規定を追加して省令を改正していただくという、そのことの御検討はいただけますでしょうか。
  336. 横田吉男

    ○横田政府委員 施設におきまして体罰等があってならないことはもとより当然でございまして、私ども、どうしたらそれを適切に実行できるか、そのやり方につきまして、先生の御提言の趣旨も踏まえまして、今後検討させていただきたいと考えます。
  337. 石毛えい子

    ○石毛委員 それでは、最後にもう一つだけ確認の意味で質問をさせていただきたいと思います。  これは参議院でも議論になっておったと思いますが、大阪では、大阪府の児童相談所が中心になったと思いますけれども、「子どもの権利ノート」が施設に入っている子供さんたちに配付されております。これにつきましては、もう少し工夫をした方がいい点もあるというような意見参議院で出されておりました。  ここで局長に確認させていただきたいと思いますのは、先ほど手引等を参考にしながらというふうにおっしゃいましたけれども、今、施設に入っていらっしゃる子供さんたちに、施設に入所中あるいは施設から出ていかれる場合も含めて、あなたはこういうことができます、こういう権利がありますというような「権利ノート」、あるいは手引とおっしゃいましたから、私も手引と申しますけれども、そうした子供さんたちが自分生活について見直すことができ、権利について知ることができるという、そうした手だてを全部の子供さんたちにしていくおつもりがあるかどうか。つまり、大阪でされているそのことを普遍化していくおつもりがあるかどうかということをお尋ねさせてください。
  338. 横田吉男

    ○横田政府委員 大阪で実施しておりますような「権利ノート」の児童に対する配付、あるいはその他、施設で先ほど申し上げましたような「生活の手引」というようなものを作成して配付しているところもございます。私ども、こういった事例を参考にいたしまして、児童の権利が適切に確保されるよう、地方公共団体を指導してまいりたいと考えております。
  339. 石毛えい子

    ○石毛委員 児童相談所が入所のところまでは意向をということが今回の法律に出ておりますけれども、入所した後、その子どもがどういう状況にあって、それをどう判断するか、権利をどういうふうに認識していくかということについては手だてがないわけでございます。ぜひ、今局長が言われました御答弁を積極的に生かしていただきまして、すべての施設に入っている子供さんたちが虐待に遭うようなことがないよう、そして、もしそういうことがありましたら、施設から外の世界自分たちから情報を発信していけるような、そういう方法を工夫して、早急にそれを実現していただきたいということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。     ―――――――――――――
  340. 町村信孝

    町村委員長 この際、お諮りいたします。  本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  341. 町村信孝

    町村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る二十三日金曜日午後一時五十分理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二分散会      ――――◇―――――