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1997-05-16 第140回国会 衆議院 厚生委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月十六日(金曜日)     午後一時三十三分開議  出席委員   委員長 町村 信孝君    理事 佐藤 剛男君 理事 住  博司君    理事 津島 雄二君 理事 長勢 甚遠君    理事 岡田 克也君 理事 山本 孝史君    理事 五島 正規君 理事 児玉 健次君       安倍 晋三君    伊吹 文明君       江渡 聡徳君    大村 秀章君       奥山 茂彦君    嘉数 知賢君       桜井 郁三君    鈴木 俊一君       田村 憲久君    根本  匠君       能勢 和子君    桧田  仁君       松本  純君    青山 二三君       井上 喜一君    大口 善徳君       鴨下 一郎君    坂口  力君       福島  豊君    桝屋 敬悟君       矢上 雅義君    吉田 幸弘君       米津 等史君    家西  悟君       石毛 鍈子君    枝野 幸男君       瀬古由起子君    中川 智子君       土屋 品子君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小泉純一郎君  出席政府委員         厚生政務次官  鈴木 俊一君         厚生大臣官房長 近藤純五郎君         厚生大臣官房審         議官      江利川 毅君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         厚生省社会・援         護局長     亀田 克彦君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省児童家庭         局長      横田 吉男君         厚生省保険局長 高木 俊明君         厚生省年金局長 矢野 朝水君  委員外出席者         公正取引委員会         事務総局経済取         引局取引部消費         者取引課景品表         示監視室長   野口 文雄君         農林水産省構造         改善局建設部開         発課長     江頭  輝君         建設省都市局区         画整理課長   小沢 一郎君         建設省住宅局住         宅整備課長   石川 哲久君         自治省財政局地         方債課長    伊藤祐一郎君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  介護保険法案内閣提出、第百三十九回国会閣  法第七号)  介護保険法施行法案内閣提出、第百三十九回  国会閣法第八号)  医療法の一部を改正する法律案内閣提出、第  百三十九回国会閣法第九号)  児童福祉法等の一部を改正する法律案内閣提  出第七一号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 町村信孝

    町村委員長 これより会議を開きます。  第百三十九回国会内閣提出介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  この際、各案に対し、それぞれ津島雄二君外四名から、自由民主党民主党社会民主党市民連合及び21世紀の四派共同提案による修正案が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。五島正規君。     ―――――――――――――  介護保険法案に対する修正案  介護保険法施行法案に対する修正案  医療法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 五島正規

    五島委員 ただいま議題となりました介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案に対する各修正案につきまして、自由民主党民主党社会民主党市民連合及び21世紀を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、介護保険法案に対する修正案要旨は、  第一に、市町村は、市町村介護保険事業計画を定め、または変更しようとするときは、あらかじめ、被保険者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとすること、  第二に、介護保険制度の全般に関する検討は、この法律施行後五年を目途として行われるものとすること等であります。  次に、介護保険法施行法案に対する修正案要旨は、介護保険法及び介護保険法施行法法律番号年表示を改めることであります。  次に、医療法の一部を改正する法律案に対する修正案要旨は、介護保険法及び介護保険法施行法法律番号年表示を改めること等の所要の修正を行うことであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  4. 町村信孝

    町村委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 町村信孝

    町村委員長 これより各案及び各修正案を一括して質疑を行います。根本匠君。
  6. 根本匠

    根本委員 自由民主党根本匠です。  私は、今回、サービス提供体制介護基盤整備中心質問をしたいと思います。  介護保険の成否、私は、これは財源確保システムづくりが大事で、特に、利用者が自由にサービスを選択して、利用しやすく公平で効率的な社会システムをつくる、これが大事だと思っておりますが、このポイントは二つあって、一つは、サービス提供体制整備、それからもう一つは、ケアマネジメント、要介護支援の認定、これが大きなポイントだろうと思っております。私は、前回の質問ケアマネジメント中心質問いたしましたので、きょうは特に介護基盤の問題、サービス提供体制の問題、これについて質問いたします。  介護提供体制サービス提供体制議論は、ハード面ソフト面、この二つの議論があるわけでありますが、ソフト面のホームヘルパー、マンパワー確保等議論は随分この委員会でなされておりますので、今回は、ハード面施設整備議論中心質問をしたいと思います。  最初に、新ゴールドプラン、これの見通しについて御質問をしたいと思います。  実は、消費税五%の引き上げによりまして、消費税引き上げ分は、三兆五千億円が減税の財源の穴埋め、それから五千億円は、三千億円が新ゴールドプラン、千億が保育対策、そして残りの一千億が年金もろもろ、こういうことで、ゴールドプラン推進する裏づけとなる財源が新たに三千億円確保されて、これらの先取りでゴールドプラン推進に使われております。  この点、二点御質問したいのですが、一つは、消費税引き上げて三千億円は新ゴールドプラン推進に充てますよということになりました。この場合に、介護保険が新たに導入されますと、保険料公費負担というのを新たに、つまり、保険料介護のいわばソフト経費を賄うわけでありますが、介護公費が折半ということで、そちらに公費がまず投入される。  それともう一つ、一方で基盤整備というものをやらなければいけない、ゴールドプランも並行して進めなければいけないということになりますと、消費税を上げた結果、三千億円が新たにゴールドプラン達成のための促進の財源として講じられたわけでありますが、介護保険導入に伴って、いわゆる介護のフローの経費に充てられる公費負担分と、それから一方で、ゴールドプラン達成のための介護基盤の費用に財源が充てられるということになります。  これは、要は大丈夫なのかどうかという点と、それからもう一つは、ゴールドプランで懸念されるのは、地域間格差施設間の整備格差、この二点を私は懸念しておりまして、地域間格差の問題と、もう一つ施設間格差で、特養とかあるいは老人保健施設、これは相当程度水準になっておりますが、在宅の柱であるデイサービスセンター在宅介護支援センター訪問看護ステーション、この在宅の柱の施設整備がおくれておりますので、このおくれている要因をどう分析し、これからどう対応するのか、この点、ここのところは本当に大丈夫なのか、これをお伺いいたします。
  7. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 お答えを申し上げます。  まず第一点、この介護保険導入後におけるいわばハード部分整備ということについて、どのように財源的に対応していくかという点でございます。  これにつきましては、今回の介護保険によりまして、保険制度ということを基本にすることによりまして公費部分財源的な余裕というものが出てくる部分がございますけれども、こういったものを含めて、今後におきましても、新たな公費によるハード整備ということは、引き続き進めていくという方針でやっていかなければならないと思いますし、そのことは、今後の介護保険法によります介護保険事業計画もその裏打ちのもとに進めていくという観点に立って計画を立てるということで、早急に準備に入りたいというふうに思っております。  それから第二点でございますけれども施策内の、在宅なり施設サービスサービス間の格差という問題でございます。  これは先生指摘のとおり、確かに、現在の進捗状況を見ますというと、施設サービス進捗度に比べまして在宅サービス進捗度が低いものになっております、  その原因につきましては、在宅サービスというのは、通常、施設サービスハード施設をつくりますと、そこが併設をする形でやっていくというようなことで進める場合が多うございますので、どうしても施設サービスに比べて進捗は一歩おくれるという姿がございます。今、急ピッチで整備が進んでおりますけれども、そういった点については少しのおくれは出てきておるということが一つでございますが、もう一つ、これは施設にも共通することではございますけれども、やはり大都市地域における用地確保困難、それから過疎地域における利用人員確保がなかなか大都市のようにまとまらないといいますか、どうしてもロットが小さくなるというようなことでの問題がございます。  こういったそれぞれおくれております地域につきましては、今、それぞれ重点的に整備を進めていくという観点に立ちまして、そのおくれている原因を分析し、それに基づいて、どこにてこ入れをすれば対策がうまくいくかということを、てこ入れをしていくというようなことを進めますし、また施策の面でも、例えば平成九年度で申し上げますと、地域における介護サービス調整機関でございます在宅介護支援センターを核にしまして、ホームヘルプサービスだとか訪問看護サービスといったようなものを一体的に提供するようなモデル事業をやる、あるいは、いわゆる大規模デイサービスセンターのほかに、そこのいわば出張所といいますか出前の形でやるような、既存公衆浴場だとか空き教室等、そういったようなものを使用しながらのサテライト型のデイサービス事業をやるというような、いろいろな工夫平成九年度におきましても入れさせていただいておりますが、こういったきめ細かな工夫をしていくというようなことを総合的に進める中で整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
  8. 根本匠

    根本委員 その辺はしっかり取り組んでいただきたいと思いますが、私も政治家でありますから、問題点指摘だけではなくて、これからどう進めていくか、こんな議論をしたいと思います。  私は、基本は、この問題、厚生省だけの問題にとどまらず、各省庁施策を横断的に幅広く取り入れながらやっていかなければならないと思っております。  その点で、一つは、これからの福祉施設整備、これは少し都市計画的な配置論を取り入れていく必要がある、こう思っております。  新ゴールドプラン数値目標ではありますが、これから国民がひとしく介護を受けるような国民介護時代ということを考えますと、利用者視点に立って利用しやすい施設づくり、これに留意しなければならないと思います。特に、在宅ケア地域ケア、これを考えますと都市計画的な配置論視点が大事だと思うのですね。そうでないと、出物主義で、いわば調整区域など都市の周辺にいろいろな施設が偏在してしまう、こんなことにもなりかねないので、都市計画との連携町づくり視点、これを取り入れていく必要があると思いますが、この点についてどうお考えか、お尋ねします。
  9. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 特に高齢者方々、あるいは障害者方々の場合も同じだと思いますけれども、そういった方々のための福祉の問題は、一方において、今お話のございましたように、町づくり視点が大事でございます。逆に、町づくり視点の中に福祉視点が大事であるというのが今の状況だろうと思います。そういう観点に立ちまして、介護サービス提供施設につきましてもそういった視点を入れながらやっていくということは大事だというふうに私ども考えております。  このために、具体的な施策といたしまして、建設行政厚生行政との連携を図りまして、例えば、市街地開発社会福祉施設を組み込みました福祉空間形成型プロジェクトというようなことを、建設省、お進めをいただいております。その中に私ども福祉的な観点というものを入れていただくというようなこと、あるいは土地区画整理事業活用いたしまして、中心市街地等におきまして、市街地整備連携をいたしまして社会福祉施設の適正な配置を促進するといったような、市街地整備施策社会福祉施設整備施策連携による安全・安心まちづくり推進というようなことを進めておるところであります。  もちろん、そういうことにつきましては、まずは地方自治体における方針なり整備の進め方ということについて留意をしていかなければなりませんが、それぞれの地方自治体におきまして関係部局連携をしてやっていく、そしてそのことにつきましても、国としても、補助制度でありますとか政策融資というようなものを相互の連携のもとに出していくということで、今申し上げましたような具体的なプロジェクトをいわば皮切りに、今後ともそういう姿勢に立った施策展開を図っていくことが必要である、そのようにやっていきたいというふうに考えております。
  10. 根本匠

    根本委員 私は、これから国民介護時代を迎えますから、福祉施設についても量の充足というものに加えて質の問題、質の向上という問題が出てくると思います。質の問題というのは、施設の質だけではなくて、基本的には、どこでも、だれでも、いつでも利用できるというのが介護基本的な理念になるでしょうから、デイサービスセンターあるいは特養、それが都市内に適正に配置されている必要がある、その意味で都市計画的な立地論配置論、この辺との連携が必要だと思っております。  次に、各省庁との施策の具体的な連携手法ということでお尋ねしたいと思います。  まず、住宅行政との連携、これについてお尋ねをします。  デイサービスセンターなどの福祉施設、これは、先ほどもお話ありましたけれども用地確保用地取得、これがネックになりますから、この点は多角的な取り組み、事業手法活用が必要であります。特に公営住宅、これは町中に点在しておりまして、立地条件のいいところにありますから、公営住宅はこれから建てかえの時代を迎えるので、公営住宅建てかえ、再開発、これにあわせてデイサービスセンター在宅介護支援センター、これを整備する必要がある。  この点については、数年前から厚生省、労働省で、モデル事業として合築を進めております。私も昔、指摘したことがありますが、公営住宅の再開発にあわせてデイサービスセンター併設しようと思うと、公営住宅建てかえ要件、これが従前の戸数の一、二倍以上という戸数要件があったものですから、結果的に用地が狭隘になってしまうということもありまして、この要件はぜひ緩和してもらって、公営住宅建てかえにあわせてデイサービスセンターなどが併設されるような、整備しやすくするような対応が必要だということを指摘もさせていただいておりまして、これは改正がなされたと思いますが、公営住宅の再開発に当たってのデイサービスセンターとの併設推進という観点から、現状それから今後の対応見通し、これについてお尋ねいたします。
  11. 石川哲久

    石川説明員 御指摘のとおり、既存公営住宅の中には中心市街地に近いような立地場所のすぐれたところにあるものがございまして、その建てかえに当たりましては福祉施設などとの併設を図りまして、地域福祉の拠点としても活用していくことが重要であると考えております。  そのため、老朽した公営住宅建てかえにつきましては、ただいま先生お話にもございましたことも十分に受けとめさせていただきまして、建てかえにつきましては、居住水準向上を図るために推進することだけではなく、福祉施設との併設を促進する観点も加えまして、平成八年の公営住宅法改正において、公営住宅建てかえ制度要件を緩和させていただいたところでございます。  具体的なことで申し上げますと、改正前は、建てかえ後と建てかえ前の住宅戸数を、建てかえ前の一・二倍以上としていたところでございますけれども、原則一倍以上でいいということとあわせまして、さらに、デイサービスセンターなどの社会福祉施設特定公共賃貸住宅など他の公共賃貸住宅をあわせて整備する場合には、建てかえ前では、空き家などを除きまして、現実にそこに住んでいた方だけの戸数整備すればよいというような形で緩和させていただいたところでございます。  それらを踏まえまして、現在の状況でございますけれどもデイサービスセンターなどの福祉施設併設する団地数で見ますと、十年ほど前は、例えば六十二年でございますけれども団地、毎年四団地ほどでございましたけれども、近年では、平成七年度は二十三団地平成八年度では二十四団地平成九年度の計画では二十七団地と、着実に増加してきております。これらの結果でございますが、現在、平成八年度末現在でございますが、全国公営住宅のうちの約四百団地におきまして、福祉施設等併設している状況にございます。  今後とも、改正されました公営住宅法の的確な運営を図り、地方公共団体での住宅部局福祉部局との密接な連携のもとに、公営住宅団地建てかえに際しましては、福祉施設等併設につきまして積極的に対応してまいりたいと考えております。
  12. 根本匠

    根本委員 いろいろ知恵を出して工夫していただいて、大変ありがとうございました。これから積極的にどんどんやっていただきたいと思います。  もう一点、中心市街地の再活性化福祉連携というテーマでお尋ねいたします。  大規模店舗法規制緩和によりまして、現在、地方中心都市商店街あるいは中心市街地、これは都市衰退現象に見舞われております。中心市街地活性化がこれからの大きな政策テーマになるわけでありますが、私は、都市の再開発あるいは中心市街地の再活性化、この町づくり地方との福祉連携、これが大事だ、特に、高齢者でも随分町中に住んでおりますから、区画整理や再開発に当たって、地域に根差した福祉という観点から、福祉施設用地を生み出すということも考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  13. 小沢一郎

    小沢説明員 お答えいたします。  現在、地方都市中心市街地空洞化が相当進んでいるということに関しましては、危機的な状況であるというふうに深刻に受けとめております。これからの都市計画都市整備施策におきましては、地方都市中心市街地再生、再構築を図るというところに全力で取り組んでいく必要があろうかと思っております。このためには、都市計画行政だけではございませんで、関係省庁、特に高齢社会に向けまして、社会福祉施策との連携というのは非常に重要であろうかと思います。  私ども、これから再生、再構築をしていくに当たりまして幾つかの視点を持っておりますが、その中でも、それぞれの地方都市の中で、高齢社会の中で、生活をする、生活の場である、そういう視点からの再生、再構築というのが非常に大きな柱の一つになろうかと思います。そういう視点から見ますと、今先生指摘のとおり、町の中に社会福祉施設適正配置していくというのが、これからの福祉町づくりにとって一番重要であると思います。  現在、全国区画整理手法を使った町づくり、たくさんやられておりますが、この区画整理手法を使いますと、それぞれ散在する土地をそういう有効利用に向けて集約できるというメリットがございますので、この手法の特性を最大限に生かしまして、厚生行政とも連携をとりながら、町の中の社会福祉施設適正配置の実現というところに最大限努力をしていきたいというふうに思っております。
  14. 根本匠

    根本委員 次に、住宅行政都市づくり行政連携してやってもらいたい、こう思っておりますが、もう一つ私は、デイサービスセンター等社会福祉施設国民がひとしく将来恩恵を享受する可能性のある施設ですから、これは福祉インフラあるいは新社会資本、こんな位置づけが必要だと思うのですね。特に、在宅の柱のデイサービスセンターなどを例にとりますと、これは中学校区に一カ所ぐらいやろう。それで、これをだれが整備するのか。一つは、公共団体みずから整備するということと、もう一つは、善意篤志家社会福祉法人をつくってやる、いわば民間中心的な役割を果たしております。  私は、これからの今後を考えますと、特に都市部では用地確保ネックになる。いろいろ住宅行政都市行政を総動員してやるわけでありますが、どうしてももう少し多様な選択肢を用意してやる必要があるのではないか。ここで、具体的には、今、福祉施設整備の方式、これは社会福祉法人用地を手当てして施設をつくる、こういう篤志家善意に期待する整備システムになっておりますが、ここがどうしても用地取得ネックになるということであれば、例えば公共団体用地取得して社会福祉法人無償貸与する、こういう選択肢も用意すべきではないかと思いますが、その財源手当てとして当然地方債活用ということが考えられますが、この点について自治省考えをお伺いいたします。
  15. 伊藤祐一郎

    伊藤説明員 御指摘ございましたように、これからの介護サービスの拡充に当たりまして、民間活力のより一層の活用を図ることが大変重要であると認識いたしております。  都市部におきましては、用地取得の困難さから、地方公共団体用地社会福祉法人無償で貸与しているケースがあることは私どもも承知いたしております。このような用地無償貸与でありますが、実質的には社会福祉法人に対します補助ということになりますし、また、貸し付けるために用地取得することにつきましては、当該団体にとりまして、普通財産取得ということにならざるを得ないと思います。  このような土地取得につきましては、現在、地方財政法の第五条第一項第五号で規定されているわけでありますが、公共施設または公用施設建設事業費及びそのための土地購入費という条文がございますので、この条文には該当しないものと考えておりまして、したがいまして、現時点におきまして、地方債の対象とすることはできないものと私ども考えております。
  16. 根本匠

    根本委員 それは予想された答弁なんですが、私も時間がないので省略いたしますけれども、今まで私はそうだったと思うのですね。だから、どうしてもできないというのであれば、逆に都市計画的な一定の縛りをつけるとか、あるいは、これから町中区画整理中心市街地の再活性化区画整理中心に例えば新しい法律をつくるといったような場合に、その法律を根拠にして、例えば区画整理福祉施設用地を生み出した場合に、その福祉施設用地については地方債許可を認める、結果的にそれが民間福祉法人に使われようと地方債許可を認める、つまり一定の縛りの中で緩和することを私はこれから検討していただきたいと思います。  それから次に、既存社会的資源活用によるデイサービスセンター等サービス提供という観点でお伺いいたします。  先ほども、サテライト型デイサービス方式、この話がありました。私も、小学校の空き教室とか公衆浴場、旅館、要は既存社会的資源を有機的に連携させながらサテライト型でデイサービス、ミニデイサービス提供する、これら既存社会的資源の有効活用ということは大変大事だと思いますが、このサテライト方式の適用に当たっては、できるだけ対象施設を幅広にとらえる、あるいは地域のボランティア団体と連携する、この辺のソフトな仕組みづくり、これが大事だと思いますが、サテライト方式の今後の拡充、充実の考え方についてお伺いいたします。
  17. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 お答えを申し上げます。  先生今お挙げになりましたような視点から、そもそも小規模デイサービスセンター等整備という面で、保育所だとか小中学校等の既存施設を転用するということを従来も進めてまいりましたが、これに加えまして、今回、平成九年度から、御指摘のございましたサテライト型のデイサービスセンターというものを導入いたしました。  それは、提供効率が悪いというような場合、あるいは専用施設整備がなかなか困難だというようなところでも、自宅の近くでそういったサービスが受けられるというふうな体制づくりということでございまして、そのためには、先生お話のございましたように、できるだけ幅広く地域の資源を活用するという視点に立って進めなければならないと思っております。平成九年度から、これから進める事業でございますので、先生のおっしゃったような視点を踏まえてやってまいりたいというふうに思っております。
  18. 根本匠

    根本委員 もう一点、デイセントーについてお伺いしたいと思います。  公衆浴場活用してデイサービスをしましょう、こういう事例が出てきておりますが、私は、このいわゆるデイセントー、これについては、公衆浴場地域福祉への貢献という点と、それから新たな役割という観点から、運営方法、地域福祉関係者との連携のやり方など、モデル的な、制度的な仕組みづくり、仕掛けづくりが必要だと思いますが、この点についてのお考えをお伺いいたします。    〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕
  19. 小野昭雄

    ○小野(昭)政府委員 要介護老人の増加、あるいは単独または夫婦のみの高齢世帯の増加ということがあるわけでございますが、こういったことを背景といたしまして、市町村等におきまして、公衆浴場を利用いたしました、今先生指摘ございました、いわゆるデイセントーと申しておりますが、福祉入浴援助事業というのが行われているところでございまして、平成九年度予算におきまして、サテライト型デイサービス事業が創設をされまして、公衆浴場等身近な社会資源を利用してデイサービスを実施することができることとなったところでございます。  これを契機にいたしまして、福祉浴場事業を普及いたしますために、公衆浴場が最低限備えるべき施設設備あるいは運営の基準というものを、現在、浴場組合とも相談しながら策定しているところでございまして、公衆浴場福祉への貢献というものをこういった作業を通じまして積極的に推進してまいりたいと考えております。
  20. 根本匠

    根本委員 地域のネットワークの仕組みづくりあるいはノウハウが重要だと思うのですね。ぜひ具体的事例のシミュレーションを重ねながら、動く仕組みをつくって、それで税制等の支援措置を講じていく、こういう立て方が必要だと思います。  それから、これまでインフラの提供の問題、インフラの基盤整備中心議論してまいりましたが、一点だけ、関連して、在宅介護サービス提供主体について質問したいと思います。  これからの本格的な高齢化社会を迎えますと、高齢者介護を受ける可能性のある方ということと同時に、元気な高齢者にはぜひ積極的に介護に参画してもらう、相互に助け合う社会づくり、この視点も大事だと思います。在宅介護サービスについては、民間、農協、生協と並んで、私は、シルバー人材センターの活用考えるべきだと思いますし、具体的には事業者の指定基準等の設定に当たって配慮すべきだと思いますが、この点どうお考えでしょうか。
  21. 江利川毅

    ○江利川政府委員 介護保険制度における在宅サービスでございますが、これは公的セクター、民間セクター同一の基準で指定をしていこうというふうに考えているところでございます。  御指摘のシルバー人材センターは、元気な老人がその知識、経験、技能を生かしていろいろと支援をするという事業でございます。在宅サービス提供事業者の指定基準の設定を考えるに当たりまして、このようなシルバー人材センターを含めまして、継続的かつ安定的なサービス提供できる体制を有しているもの、そういうものを積極的に活用する方向で検討してまいりたいと思います。
  22. 根本匠

    根本委員 最後に、大臣に、この介護サービスの基盤体制の整備あるいはサービス提供体制整備についてお答えいただきたいと思います。  私は、介護保険が円滑に運用されるためには、介護提供基盤の整備が喫緊の課題だと思います。当然、市町村長の熱意、工夫、やる気あるいは地域の情熱、これが大事であります。これを支援する体制も車の両輪でありますから、この支援体制については、厚生省だけではなくて各省庁施策連携して総動員してこれに当たる、こういうことが必要だと思いますが、大臣のこれについての考え方、決意をお伺いしたいと思います。
  23. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 各地方自治体の長の取り組み方、熱意、そして住民のこの介護保険制度に対する関心、これは大いに影響してくると思います。そのような期待なり関心を受けて、厚生省としても基盤整備拡充のために関係省庁と連絡をとって、保険あってサービスなしという状況にならないように整備を進めていきたいと思います。
  24. 根本匠

    根本委員 あと二分ぐらいありますから、最後に、医療と福祉連携の点からお尋ねしたいと思います。ちょっと二点質問しますからよく聞いていてもらいたいと思います。  医療デイケアと福祉デイサービス、この四月から、医療デイケアについては要介護状態のものに限定する、そして自立できるものの範疇に含まれるのは認めないという整理をいたしましたが、医療デイケアと福祉デイサービスの仕分け、役割分担をどう考えるかというのが一つ。  それから、現在では福祉、医療、保健、これが縦割りになっていますから、現場で混乱も生じております。特に、利用者の立場に立った場合に、本人の選択というのは基本になるわけでありますが、窓口がどうしても福祉、医療にまたがりますから、窓口の一本化が必要ではないのか、特に介護保険が創設された場合どうするのか。これを二つお聞きしたい。  最後に、もう一点、ケアプランの利用者の意見の反映というところからお尋ねします。  介護保険というのは、保険の性格上、利用者サービス提供者は対等の契約者になります。対等な契約者ということになりますと、このケアプランを作成する際に利用者の意見、意向を適切に反映することが必要になってくる。この場合に、この対象は要介護者、要支援者ということになりますから、やはり本人の代弁機能というのを制度的に仕組む必要があるのではないだろうか、こう思っております。制度的に仕組む際には、身近である、専門性がある、あるいは客観的に判断できる、こういうことを備えた代弁者あるいは代弁機能、これが重要だと思いますが、現在はこれらは医療ソーシャルワーカーやチーフホームヘルパー、こういうものが役割を果たしていると思いますが、この辺の代弁機能をどのように考えるのか。  細かく言うと三点の質問になりますが、お尋ねしたいと思います。
  25. 江利川毅

    ○江利川政府委員 まず、デイケアとデイサービスの関係でございます。  介護保険におきますデイケア、通所のリハビリテーションでございますが、これは要介護認定または要支援認定を受けた者でありまして、医学的リハビリテーションが必要な者について医師の判断に基づいて専門職によるリハビリテーションを提供する、そういうケアでございます。  それからデイサービス、これは通所介護ということになりますが、これは、要介護または要支援認定を受けた者の心身機能の維持、家族の介護負担の軽減、そういうものを図るために、入浴、食事、機能訓練等のサービス提供するものでございます。したがいまして、医師の判断は必要ではなくて、医学的なリハビリを目的としていないことから、リハビリの専門職の配置も必要でない、そういうことになります。  窓口の一本化でございますが、今度の介護保険制度のねらいの一つは、利用者本位の仕組みとするということでございます。先生指摘のように、福祉とか医療とか縦割りになっているものを、利用者が総合的、一体的に利用できるようにする、そういうことで、特に居宅介護支援事業者、ケアプランを作成する人が利用者あるいは家族の相談に乗りまして、そこを窓口にしていろいろなサービスの申請等の手続ができる、そういうような意味で、実質的な窓口の一本化が図れるような形ができるのではないかというふうに思っております。  それから、利用者の代弁機能の関係でございます。  介護サービスもいろいろな分野の介護サービスがありますし、その中には、専門的な知識の判断が必要になったり、あるいは幅広い情報が必要になったりするものがございます。そういうものを本人とか家族だけで全部把握するというのはなかなか不可能で、利用者の代弁的な機能、代理的な機能、こういうものが必要だと思います。介護支援専門員、これがそういう機能を果たすものというふうに考えているわけでございまして、その人の要介護状態に即しまして、その人や家族の意向を踏まえてその人に適したサービス計画的に提供できるように、いわゆる利用者の立場に立ってそれをつくっていく、そういう意味で、介護支援専門員がこの制度の中で先生の御指摘になるような代弁的機能、そういうものを果たすことになろうかと思っております。
  26. 根本匠

    根本委員 ありがとうございました。終わります。
  27. 佐藤剛男

    ○佐藤(剛)委員長代理 桝屋敬悟君。
  28. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 新進党の桝屋敬悟でございます。  今から我が党三人ほど続けまして、本日は修正案も提出されたようでありますが、質疑をさせていただきたいと思います。  私は、修正案というよりも、どうも流れを見ますと、今週これがもう最後の機会、介護保険の当委員会での審議が私に与えられた最後の機会のような気がいたしますので、そういう意味では今回の介護保険法案、政府案のシステムの最も基本的な部分、特に国民の立場から見て、利用者の立場から見てどういうことが心配なのか、まだ幾つか心配の点もありますので、今までの審議の中で明らかになったこととも重なる部分もあるかもしれませんが、再度確認をさせていただく意味で質疑をさせていただきたいと思います。  今回の介護保険法案におきます新しい介護システム、このシステムの中で利用者の立場から見るとどういうことになるのかという、特に認定事務等も含めて、ちょっと小さい議論になるかもしれませんが、極めて大事なことだと思っておりますので、議論をさせていただきたいと思います。  国民介護保険に入りまして、要介護状態になった、この場合に、例えば、脳卒中で入院をされた、退院をする、特別養護老人ホームに入りたい、施設に入りたいと。今までの制度でありましたら、措置でありますから入所申請を福祉事務所に対して行うというものでございましたけれども、この新しいシステムでは、まずは要介護認定の申請を市町村に対して行う、こういうことになるわけであります。私は施設に入りたいのだということを直接なかなか言えない、施設に入ったければまず要介護認定を受けてください、こういうことになるわけであります。そして、市町村で認定作業が行われ、もちろんこの認定作業の中では認定審査会の審査、判定というものが行われて、その後、市町村が決定をし、決定通知が本人に行く、こういうことになるわけであります。  一番最初に申し上げたように、私は要介護なんだから施設に入りたいと家族も本人も思って市町村に行くと、いや、入りたいということではないんだよ、まず要介護認定を受けてくださいということで、要介護認定の申請をやるようになるわけですね。その結果、出口の決定通知のところでは、いや、あなたは施設には入れませんよ、こういう結論が、決定が本人に行くのではないかという素朴な不安があります。私は、そうでないということであれば安心なのでありますが、その辺で何点か具体的にお伺いをしたいと思います。  そこで、最初に確認をさせていただきたいのですが、介護認定審査会の意見なるものがあるのでありまして、介護認定審査会は市町村への意見を行うわけでありますが、この意見のポイントが二つありまして、「要介護状態の軽減又は悪化の防止のために必要な療養に関する事項」、もう一点は「サービス等の適切かつ有効な利用等に関し当該被保険者が留意すべき事項」、こういう難しいことが書いてあるのでありますが、そういう意見を付することができる。そして、その意見に基づいて「市町村は、」、これは何度も議論が出ておりますけれども、「サービスの種類を指定することができる。」、こういうことになっているわけであります。  その「サービスの種類」というのは、もちろん、これは私の不勉強かもしれませんが、居宅介護施設介護サービス、それぞれ範囲があると思うのですが、結果的に、この今の介護認定審査会の市町村への意見に基づいて市町村サービスの種類を指定する場合に、決定通知が行く場合に、いや、あなたは施設はだめですよ、あなたは施設には入れませんということが指定をされて決定通知が行くような事態があるのかどうなのかをまず御教示いただきたい。それについては、もうちょっと議論をさせていただきますが、今の二つの、介護認定審査会の市町村への意見の内容も含めて御教示賜りたいと思います。
  29. 江利川毅

    ○江利川政府委員 認定審査会は、要介護者から認定申請がありましたときに、その人に関しまして審査、判定を行う、そしてその結果を市町村に通知するというのが基本の業務でございます。そして、その「必要があると認めるとき」に、そういうときに、先生指摘になりました二つの事項について「市町村に意見を述べることができる。」一つは「当該被保険者の要介護状態の軽減又は悪化の防止のために必要な療養に関する事項」、もう一つは、ちょっと上にいろいろ書いてはございますが、「当該被保険者が留意すべき事項」、二つあるわけでございます。この意見に基づいてサービスの種類を市町村が指定するということになるわけでございますが、意見は、今言いましたように「必要な療養に関する事項」ということでございますから、いわゆる、施設に入りなさい、そういうふうなことではないわけですね。  具体的に考えられますのは、例えば、リハビリテーションの必要性の高い場合にリハビリテーションを含むサービスを利用するようにとか、あるいは、感染症の罹患指定によって医学的管理の必要性が高い場合に療養型病床群の方を利用するようにというようなことはありますが、一般的に、例えば先生が御心配になられたような、施設が少ないから施設サービスを指定しないとか、これは「療養に関する事項」に相当しませんので、そういう意見というのは認定審査会から出てこない。したがいまして、当然、市町村がそういうものに基づいてサービスの種類を指定するということはないということになります。
  30. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今の御説明でありますと、まず、認定審査会の市町村に対する意見というのは、「必要があると認めるときは、」ということですよ、必要がなければありませんよということなんですかね。その「必要」というのは、今の二点、一つは「当該被保険者の要介護状態の軽減又は悪化の防止のために必要な療養に関する事項」、それからもう一点は「サービス等の適切かつ有効な利用等に関し当該被保険者が留意すべき事項」、この二つ以外に必要な場合はないということですね。もう一回確認をさせてください。
  31. 江利川毅

    ○江利川政府委員 その「必要があると認めるとき、」には、この条文を読みますと、「次に掲げる事項について、市町村に意見を述べることができる。」となっておりまして、「次に掲げる事項」が二つありまして、今申し上げましたような、「当該被保険者の要介護状態の軽減又は悪化の防止のために必要な療養に関する事項」、それからもう一つは「指定居宅サービス又は指定施設サービス等の適切かつ有効な利用等に関し当該被保険者が留意すべき事項」、この二つについて「市町村に意見を述べることができる。」ということで、それ以外の意見はございません。
  32. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今の局長の御説明だと、「必要があると認めるとき」は、先ほどから出ている二つのことではなくて、二つのことはその意見の事項、意見を言う場合はこの二つの分野しか言えませんよと。それで、その前に、また別に必要があるときはと、こうくるわけですね。そうすると、この必要があるときはというのはどういう場合ですか。まさに必要があるとき、必要があるというときはそれではどういうことなのか、具体的にお教えいただきたいと思います。
  33. 江利川毅

    ○江利川政府委員 一項は「療養に関する事項」でございますから、先ほど例を申し上げましたように、例えばリハビリテーションの必要性がいろいろなデータから見て高い、そうするとその人の生活能力が改善されてよくなるだろうと見込まれる、そういう場合にその人に対するサービスはリハビリテーションを含めてやるべきである。あるいは、その人が例えば感染症に罹患していて、医学的な管理をきちんとやっていくことが必要である、そうでないところに行けば、その人だけではなくて、感染症であればほかの人にもまたうつっていくという意味で問題が起こるわけでございます。そういうような場合に、医学的管理の強い療養型病床群、今でいえば療養型病床群でございますが、そういうところを利用するようにというふうに指定する。見て、そういう必要があるときにやるということでございます。
  34. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 先ほどの説明とまたちょっと違うのでわからなくなってしまったのですが、整理をしましょう。もう一回確認をしますと、「この場合において、認定審査会は、必要があると認めるときは、次に掲げる事項について、」「意見を述べることができる。」こうなっていますね。「必要があると認めるとき」はちょっとのけて、「次に掲げる事項について、」「意見を述べることができる。」ここをまず分析をしましょう。  それは二つだよと、今、江利用局長からお話があったとおりでありまして、この一号というのはもっと見やすく言いますとどういうことか。「要介護状態の軽減又は悪化の防止のために必要な療養に関する事項」、これは、要するに介護保険法の法案のまさに精神の部分、リハビリをしっかり受けて要介護状態の改善を図らなければいかぬという基本的な、一般的な考え方からくる療養に関する事項というふうに私は理解をしておるのですが、そういうことでよろしいですか。  例えば、リハビリを、私はデイサービスは嫌いだ、あそこへ行くと物すごい怖い寮母さんがいて、あそこのデイサービスだけは行きたくない、私はともかく家にいたいのだ、通所は嫌だとか、そういう場合でも、いや、だめですよ、やはり介護保険法案の精神で、あなたはできるだけサービスを利用しながら要介護状態を向上させなければいかぬわけだから、当然ながら、たとえあなたが嫌と言っても、通所サービスは、デイサービスは受けてくださいよ、こういう場合の意見なんですね、この一は。こういうふうに私は理解しておりますが、違いますか。
  35. 江利川毅

    ○江利川政府委員 「療養に関する事項」でございますから、治療的なというのでしょうか、いわゆるデイサービスで、「療養に関する事項」というふうに条文に書いてございます。ですから、デイサービスはいわゆる療養のサービスよりちょっと離れたもの、もう少し治療的な、医学的なものが必要なケースということでございまして、具体的に、医者の指導のもとにいわゆる医学的なリハビリテーションを受けて治していく必要があるとか、先ほど言いました、感染症のような問題で、感染症のように伝染する病気を持っていて、その人の全体のケアをするときには療養型病床群のようなところでやった方が適当だ、そういう療養に関する事項でございますから、先生のおっしゃるほど広くはない。
  36. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 済みません。私が誤解しておりました。そうすると、一は、意見を付することができる事項の最初のジャンルは「療養に関する事項」ですと。それはまさに、今言われたような感染症のような事例あるいは医学的なリハビリテーション、例えば前の質問で出ておりましたデイケアあたりは、ぜひ利用しましょうというような、そういう事項になるわけですね、これに対して意見を付することができると。したがって、突っ込んでいきますと、この方は感染症があるから特別養護老人ホームは無理ですね、医学的管理ができる療養型病床群の方へ行ってください、その方が好ましいとか、そんな意見になるわけですか。――それで正しいですね。  そうしますと、二番目の、「サービス等の適切かつ有効な利用等に関し当該被保険者が留意すべき事項」、これは注意しなさいよということ、これは何なんですか、具体的にもう少し。
  37. 江利川毅

    ○江利川政府委員 二号の方は、利用する側が留意する、利用者が留意することですね。ですから、利用する本人に留意事項というのが示されることになるわけでございまして、いろいろなケースがあり得るのかもしれませんが、例えば、非常に心臓が弱いとか、非常に高血圧であるとか、そういう人は、同じリハビリをやるにしても、余り過激なリハビリとか長時間かかるリハビリというのは少し控えた方がいいとか、そういうサービスを利用するに当たって本人が注意するような事項、本人の体の特性等から考えて、余り無理をしないでほどほどのリハビリをやるようにとか、そういうようなことがここで言う「被保険者が留意すべき事項」になるということでございます。
  38. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 わかるようなわからぬような話でありまして、その「サービス等の適切かつ有効な利用等に関し」、利用者が、被保険者が注意すること、留意することというのが何があるのかなと私もずっと思っているのですが、今、江利用さんおっしゃった、何と言われましたか、例えば病気があるので余り無理してリハビリは受けない方がいいよというようなことを意見を付するわけですか。
  39. 佐藤剛男

    ○佐藤(剛)委員長代理 わかるように説明してください。
  40. 江利川毅

    ○江利川政府委員 おっしゃるとおりでございまして、利用するに当たって特に受ける本人が留意すべき事項、そういうことがありますと、今度は、サービス提供事業者もそういう利用者の留意すべき事項に配慮して事業を行わなければいけない。これは条文の規定にございますので、そういうことで、本人が留意すべきことが書いてあるとそれを見て、そういう意見がありますとそれを見て、サービス提供事業者がそれに留意しながらサービス提供をするということになります。
  41. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今の説明で少しわかったような気がいたします。これは、何も利用者だけが見るものではなくして、システム全体の中で、サービス提供事業者あたりも当然必要な情報ということですね。  そうしますと、この二つについて意見を付することができる、「市町村に意見を述べることができる。」、こういう書きぶりですね。それで、その「必要があると認めるときは、」というのは、今の一項目、二項目の説明とはまた別に、必要があるという要素がほかに何かあるのですか。    〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕
  42. 江利川毅

    ○江利川政府委員 意見を述べるのがその二項目でございますから、その二項目について意見を付す「必要があると認めるとき」ということでございます。よろしいでしょうか。
  43. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ここは、特に特別のファクターがあるということではなくて、今の二つの項目の必要性が生じたときにやるのだ、こういうことですね。一応それで理解をしたいと思うのであります。  それで、この二つの項目に係る意見が市町村に述べられた場合には、市町村は、それに基づいてサービスの指定をすることができる。これは、一等最初の話で、滅多にないのですよ、サービスの指定は普通はしないのですと。それで、今のような必要性があるときに意見が出てくるのだから、それはやはりサービスの指定をしなければいかぬということになる、そういう御説明だろうと思うのですが、最初の「療養に関する事項」に関してサービスの指定というのはわかりました。例えば、特養は無理だな、医学的管理のもとに療養型病床群でいきましょう、そういう指定になるのかなと思いますが、二項目の方はサービス指定に関係するのですか。
  44. 江利川毅

    ○江利川政府委員 市町村サービスの種類の指定に関係するのは一号だけでございます。二号の方はサービスの指定には関係いたしません。
  45. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 その御回答を聞いて大分安心をしたのでありますが、したがって、今の二項目めの「留意すべき事項」については、本人に通知されるサービスの指定がつくのであれば、そのサービスの指定に影響を与えるものではないということですね。――わかりました。  さてそこで、そうしますと、一番最初のテーマに戻りますが、私は要介護状態になった、特養に入りたい、だから要介護認定の申請をしました、ところが、結論的に、あなたは施設はだめですよ、こういう決定は、例えば先ほどの、意見が付されたような、まさに「療養に関する事項」で意見がついた、そして指定された場合は、これは、なかなか希望に沿わない、しかし妥当性があるなというふうに私も感じるのでありますが、それ以外に、例えば施設を希望している、ニーズは施設入所ということにもかかわらずそういう逆の決定が出るようなケースは、私はないのだろうと思っておりますけれども、その辺はいかがですか。
  46. 江利川毅

    ○江利川政府委員 介護認定審査会の意見は、「療養に関する事項」ということで、先ほど申し上げたようなケースになるわけでありまして、一般的な施設利用についての意見というのは、そこは、「療養に関する事項」ではありませんから、そういう意見は出ません。要介護状態にあるというふうに認定されますと、その人は、施設サービスを受けるか、在宅サービスを受けるかは、選択の自由でございます。介護支援専門員のアドバイスを受けながら、その人に適したものを選択していただくということになります。
  47. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  そうしますと、私が今持ち込んだ事例として、要介護状態になった、施設へ入りたい、そう思って介護認定の申請をした、その結果、来た決定通知に、あなたは施設は入れませんよということが来ることはまずないのだろうという御説明でありますから、そこは安心をするわけでありますが、ただ、今度は、ケアマネジメントの中で、本当に複雑なケースマネジメントの中で、恐らく、ベクトルとしては、在宅、居宅での介護という方向でいろいろなコーディネートが行われるのだろうというふうに私は思うのであります。  もう一つ確認をします。  要介護状態の区分は、市町村が決定通知を出すときには、当然、ⅠからⅥの区分が付されるのだろうと思いますが、それはそういう理解でよろしいですか。――いいのだろうと思うのですが、例えば、その介護状態の区分の中で、その区分によって、もう施設は無理ですよ、あなたは施設という選択肢はなくなりましたよという事例があるのじゃないですか。
  48. 江利川毅

    ○江利川政府委員 その人が要介護状態ではなくて、いわゆる虚弱というのですか、要支援状態である、要支援だというケースですね、虚弱のケースというのは。要介護状態になるおそれのある者ということでしょうか、それは在宅サービスだけが提供されるということになっておりますので、要支援者についてはそうでございますが、要介護者については施設選択がなくなるということはございません。
  49. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 要支援、今までの言葉で言いますと虚弱、こういう認定、あのⅠからⅥ区分、説明資料をいただいておりますが、あの一だけですか、なるほどⅠ、いわゆるJの方、こうした方々は虚弱ということですから、施設という選択肢はあなたにはなくなりますよ、こういう理解でいいのですね。  もちろん、その後において状況が変われば要介護度の変更申請もこれは可能である、こういうふうに理解をしていいと思うのですが、少なくとも決定通知をもらった、被保険者証に、要支援ですか、1と、どういうふうに言うのですかわかりませんが、そう書いてあれば、特別養護老人ホームを本人が希望する道はその段階で閉ざされるという理解でよろしいですか。
  50. 江利川毅

    ○江利川政府委員 介護保険に基づく介護サービスは、その人の要介護度、介護ニーズの程度に応じて適切に提供されるべきものだというふうに考えるわけでございます。  要介護状態にあると判定される者は、レベルがさまざまな段階でありましても、施設の選択、在宅の選択が可能でございますが、要支援の場合には、施設に入所してサービス提供するほど、それほどの要介護状態にはない、それほどのニーズは存在していないということでございますから、そういう人が施設に入るというのは、ある意味で非効率なというのでしょうか、サービス提供になってしまうわけでございます。そういう観点から、そういうサービスまで要しない人は、在宅でその人に見合ったサービスを受けていただくということになっているわけでございます。
  51. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 そこまでは理解ができました。  さてそこで、要介護認定の申請を市町村に被保険者がする場合、これは「厚生省令で定めるところにより、」市町村に申請をするということになっておりますが、私は、ここは極めて簡単な作業なんだろうと。被保険者証を持って市町村の役場に行ってもいいし、ヘルパーさんにお話をしてもいいし、近くのデイサービスでも、支援センターでもいいのだろう。それで代行してくれる可能性もありますし、ここは極めて簡単なんだろうと。この「厚生省令で定めるところ」というのは何か複雑な、例えば申請書の様式とかあるいは主治医の意見書の添付とか、そういうことは絶対求められないのだろうと思っておるのですが、「厚生省令で定めるところ」というのは、具体的に何か御予定があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  52. 江利川毅

    ○江利川政府委員 御指摘の、要介護認定申請に当たって、「厚生省令で定めるところ」に従って申請をするとなっておりますが、この中身でございますが、先生指摘のように極めて簡便なものでございまして、申請の手続や要介護認定に係る事務処理を行うに必要な事項、例えば、その人の、申請者の氏名であるとか、住所であるとか、申請日であるとか、かかりつけ医師にかかっているような場合にはそのかかりつけ医師がだれであるか、被保険者番号、そういうようなことを記載してもらうというふうに考えております。
  53. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 よくわかりました。  ここは、私は、できれば申請書まで省けばいい、こう思っているのですが、もちろん申請行為を明らかにするということで必要なのかな、こう思っておるのです。  それで、市町村にそれが届きました。市町村は主治医の意見を求めることができるということになっておりますが、私は、恐らく現場で起きるでありましょう事例は――当然ながら、要介護状態の方は必ず主治医さんがいらっしゃる。この主治医さんも、福祉との連携、この介護保険との連携考えてみても、非常に理解の深いお医者さんと、理解がなかなか難しいお医者さんもいろいろあるわけでありまして、私は信念として、良質の医療がバックアップしない限りこの介護保険は絶対に成功しない、こう思っておるのでありますが、主治医の意見を求めることができるというのは、これは、主治医の意見を求めて、その意見というのは認定審査会に反映されるのでありますが、認定審査会にもお医者さん、多分いらっしゃると思うのです。いわゆる主治医と認定医がいらっしゃるという二重構造になるわけでありまして、意見がぶつかる可能性もある。そんなことはめつたにないよとおっしゃるかもしれませんが、実は現場では結構あるのです。  さっきの、話が出ました「療養に関する事項」なんというのはいみじくもその例でありまして、感染症があるからこの人は特養は無理ですよというお医者さんもいらっしゃれば、その感染症の度合いも、厳しい人は、水虫があるからだめだ、こういう方もいらっしゃれば、片方は、少々MRSAでも、いや、何とか施設でできるのだというふうにお考えになるお医者さんもいらっしゃる。  それが微妙に、施設のキャパシティー等も影響を与えまして、できるだけ施設に入れたくないなというのは入れたくない理由を、客観的な根拠を何とか探そうとするわけでありますから、お医者さん同士がぶつかるというのは結構ある事例であります。  今の特養入所でも、パイが足りませんから、いや、これはうちでは見られませんと。よく使われるのは感染症であります。いや、伝染病があるからだめだと。ところが、主治医さんから言わすと、このぐらいの伝染病は必ず集団生活もできると思うのでありますがという意見もお持ちで、その意見がぶつかることがよくあるのであります。  今回の場合、認定審査会は必要に応じて意見を求めることができるようになっていますが、主治医さんは自分の主張を審査会に言えるかどうか。審査会は、いやいや聞く必要はないと一方通行だと、ちょっと片手間ではないか、私はこういう気がいたしておりますが、この辺はいかがでありましょうか。
  54. 江利川毅

    ○江利川政府委員 要介護認定の審査がありますと、その人については二つの情報が提供されるわけでありまして、一つは、市町村の職員等がその人の心身の状況を調査する、調査した結果というのが出てくるわけでございます。それからもう一つは、かかりつけ医師の判断意見書というものが出るわけでございます。かかりつけ医師の意見書は、常にその人を診ているわけでございますから、直接その人の状態を知っているという意味で大変貴重な、重要なデータであろうというふうに思います。  そういうものが寄せられまして、介護認定審査会で判断をするわけでありますが、この介護認定審査会は、医者だけじゃなくて、看護婦であるとか福祉職の人であるとか、今回のモデル事業では五人のメンバーでやっているわけでございます。そういう人たちがそれぞれの立場から、出てきましたデータを多角的に検討して判断をするということになります。その人の要介護度の最終的な判断は、介護認定審査会において行われることになります。
  55. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 私が申し上げたのは、介護認定審査会において審査をする場合に、主治医さんというのはやはり介護という観点から非常に重要なパーソンでありますから、キーパーソンでありますから、このキーパーソンが審査会の決定に対して意見を言えるような環境をぜひお考えいただきたい、こういうことを申し上げたわけでありまして、もういいです。時間がないものですから次にいきたいと思うのですが、ぜひそれはお考えいただきたいなというふうに、運用の中でも結構でございますが、現場では大変にケース処遇をめぐって難しい問題になると思いますので、お願いを申し上げておきたいと思います。  それで、実は、こうしたように今回の新しいシステムの局面を一つ一つつぶさに検討していきますと、私は、もっともっと時間が必要である、このように思っているところでありますが、何か採決も近いようでありまして、大変に私も心配をいたしております。  時間もないのでありますが、もう一点、一つ気になるところは、時間もないので必要なことから先に言いますと、指定業者の取り扱い、いわゆるサービスの業者、介護保険指定の業者の取り扱いでございますが、先ほど、前の質問でも出ておりましたけれども、JAとか生協の支援をぜひ活用ということが、意見が出ました。私もそれは極めて大事だろうと思っております。  実は私も、地元で、農協が、JAさんが老人福祉事業にタッチをされるのをお手伝いしたことがございます。サービス提供体制整備するという観点では極めて大事なシステムだと私は思っておるのでありますが、生協が農協と比べて、実は農協におかれては、前から厚生省は盛んに農協、農協、JA、JAというのをよく言われまして、ゴールドプラン推進の中でもJAというのは必ず出る名前でありまして、随分活用されて全国的にいい事例が出ていると私は思っているのですが、JAについても生協についても、いわゆるメンバーシップというシステムでありますから、会員以外の方の利用ということでいろいろと問題があろうと思います。  私は、JAについては法改正もあり体制は進んでおると思っておるのでありますが、生協については、やはり員外利用ということでどうしても農協と違う、JAと違う取り扱いがある。一応、員外利用も道は開けておりますが、これは許可を得てやらなければいかぬということでありまして、行政手続上もなかなか難しいという声も聞いております。農協並みにやはり生協も、地域活動の一環として、この介護保険推進の中で十分な力を発揮できるような環境整備をしていく必要があるのじゃないか、こう思っておるのでありますが、生協も厚生省所管だろうと思います、御見解をお伺いしたいと思います。
  56. 亀田克彦

    ○亀田政府委員 生協の員外利用の問題でございますけれども、生協につきましても、先生に申し上げるまでもなく、組合員に最大の奉仕をする、こういうことが大目的でございまして、そういうことから、組合員のみの利用、こういうことが原則になってございます。  したがいまして、この原則を大きくさわりまして一律に員外利用を認めていく、こういうようなことは現時点で考えていないわけでございますけれども先生指摘のように、生協も地域の保健福祉サービスに取り組んでいく、あるいは取り組んでほしい、こういう要望が高まっておるのは事実でございまして、私どもといたしましても、例えば訪問看護事業、老人デイサービス事業等々につきましては組合員以外の方にも利用させる、こういうことをほかの制度でも求められておるわけでございますが、こういうものにつきましては申請をいただいて個別に許可をする、こういうことにいたしておるわけでございます。  その許可の基準でございますけれども、生協法の観点から見ておりますのは、員外利用させることについて組合員の合意形成ができておるかどうか、あるいは、組合員のための本来の事業、そういうものに支障を来すことがないかどうか、そういうことを勘案して許可をする、こういうことになっておりますので、生協法に基づく許可自体が地域福祉サービス推進する上で大変ネックになっておる、こういう状況はないのではないかというふうに認識をいたしております。  したがいまして、今の許可制度を的確に運用する、こういう形で現下の要請にこたえていきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  57. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  そこの今御説明がありましたことは私もよく理解をしておるのでありますが、今最後に言われたように、今の個別に許可を与えるというやり方で特に大きな問題は出ていないという御説明であったわけでありますが、農協の場合はそんなのじゃなかったのですよ。農協のときだって、問題は特にあったわけじゃない。ゴールドプランを進めるときに名指しで、ぜひ頑張ってもらいましようということで法改正をして、老人の福祉に関しては積極的に取り組めるようにやってきた経緯があるのです。私は、明らかに今の答弁は、生協と農協、同じメンバーシップの制度でありながら取り扱いが違うな、何かそこにあるのかと思うぐらい違うのであります。  確かに問題は出ていないかもしれません。しかし、介護保険で今から日本全国で新しい介護のシステムをつくろう、受け皿が必要だ、こういうときには今のような御姿勢でいいのか、私はぜひ検討していただきたい。  特に生協については、医療生協を中心施設サービスあたりは相当おやりになっている。これはもう十分理解されていると思いますが、もっと柔軟な一この前、この委員会にも参考人としておいでになった方が、生協ではできないから新たに自分たちでグループをつくって、ワーカーズ・コレクティブのような形でサービスをやっているという話もありました。私はやはり、政令事項として法律上きちっとして、できるだけそういうものがこれからそういう芽が生まれてくるような環境整備をすべきじゃないか、ぜひ生協さんとも、現場の声もお聞きいただいて、前向きにこれは検討していただきたい。今問題がないからいいなんて言っていたら何にも環境は変わらぬわけでありますから、ぜひ前向きな御検討をもお願いを申し上げたい。  これは大臣、最後に今の件、お願いを申し上げたいと思いますが、いかがでありましょうか。
  58. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 さまざまな介護サービス提供するということの場合には、そのような参入がいわゆる消費者といいますか、介護を要する人のためになるかどうか個別に対応して、適切に対応していくのが筋ではないかと思います。個別に対応していきたい。
  59. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 わかりました。非常に厳しい回答でありますが、余りにも味気ないので私もショックを受けております。  大臣、生協はどんなことをやっているのかということを私はもう一回ぜひ御検討いただきたい。私は、農協と生協、社会的な役割にそれほどの大きな差があるわけではない、むしろ介護という問題を語るときには、大臣のお立場としてはそこに関心を持って、何とかそういうものが大きな力を発揮できるような環境づくりをやっていこうというお気持ちになっていただきたい。再び伺いませんが、お願い申し上げて、時間もありませんので、以上で質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  60. 町村信孝

    町村委員長 青山二三さん。
  61. 青山二三

    ○青山(二)委員 新進党の青山二三でございます。  早速、質問に入らせていただきます。  ただいま国民介護保険に対しまして大きな期待を持っております。と申しますのは、この保険ができれば望みどおりの介護が受けられる、そして介護保険証さえ持っていけば毎日でもホームヘルパーが来てくれる、そして、特別養護老人ホームにも入りたいと言えばすぐ入れてくれるというようなことを思っているからでございます。これは、厚生省の、介護サービスの自己決定、そして自己選択というPRが大変上手に行われておりまして、それを国民が信じ込んでいるからにほかならないと思うわけでございます。  しかしながら、こうして審議が進んでいくにつれて、この介護保険ができたからといって、高齢者自身がサービスを選択できるようなシステムが確立されるとは限らず、また、多様な選択が可能であるほど多くのサービス供給やメニューが用意されているのかが疑問となっておりまして、こうした仕組みについてはまだまだ納得しがたいところが多いわけでございます。  先ほど桝屋議員の口からも、何か審議が早いのではないか、来週中にも衆議院を通過する、こんな報道もございますけれども、先日の医療保険の自己負担の増加に加えまして今度は介護保険料の負担ということになりまして、また負担が重くなる。そして、サービスの大幅な基盤整備もまだまだ必要である、そして、制度の運営主体となる市町村財源問題はまだまだ大きな問題を抱えているということなどを考え合わせますと、課題が多いのが現状でございます。  現在、国民の多くは介護保険制度についての正確な情報を持っているとは申せません。そこで、この介護保険制度導入されますとバラ色であるような誤解がございます。しかし、この制度が発足いたしまして事業運営がなされてまいりますと、いろいろな混乱が予想されるわけでございます。  そこで、この法案の審議を急ぐのではなくて、もっともっと徹底的な審議をして、基盤整備の現状それから負担増などいろいろな耳ざわりな部分ももっともっと明らかにしまして、国民が納得できるような十分な啓発が必要であると私は考えておりますが、大臣の御所見はいかがでございましょうか。
  62. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 この介護保険導入の問題については、昨年から、早く導入せよという意見から進んできた問題でありまして、いざ具体化していきますと、いい面だけではないな、給付の陰には必ず負担があるからという問題がだんだん明らかになってまいりました。  本来であれば、去年の衆議院総選挙前に臨時国会で早くやりなさいという意見もあったわけであります。しかし、もっと各方面の意見を聞く必要があるということから、選挙後にずれ込んで今日に至っております。  私は、バラ色であるという状態だったら、国会で全会一致でもっと早く通っていると思います。そうでない、国会の中にも賛否両論があるということを考えますと、必ずしもバラ色の問題ばかりじゃないと私は認めております。給付だけ要求する時代は去った。給付を要求するのだったら、だれが負担するかも考えてくださいという大事な法案の一つであります。  ですから、この制度導入されてくればまた問題点が出てくると思います。どんな制度でも、いざ利用してみないとわからない点が出てくると思います。しかし、その仕組みについて、一年以上かかって関係者から熱心に、精力的に議論いただきまして、もう介護も個人や家族だけに任せていくのは限界がある、社会全体で支えていこうという機運が高まったからこそ、この法案を具体化し、今、熱心に御審議いただいているわけであります。  この法案が通っても、来年から施行ではありません。三年かけて、この制度が円滑に実施できるように準備をかけて、基盤整備にじっくり取り組んでいこうというのでありますので、この法案が通ってからも、国民に理解を求めるような啓発活動、そして仕組み等についての宣伝等、大変重要な問題だと考えております。
  63. 青山二三

    ○青山(二)委員 私が心配いたしておりますのは、ドイツの介護保険でございますけれども、これは二十年もかけてつくったものだと言われております。しかしながら、今になりまして多くの国民から不満の声が出ておりまして、また、関係者からは、問題だらけの介護保険の実態が明らかになっているということでございます。その原因はどうかといいますと、その立法過程で、内容に関する問題や介護給付の内容、そして設置の目的に関する議論が余りにも時間が短かったのではないか、このように言われているわけでございまして、そうしたドイツの二の舞にならないようにという、そんな思いがございまして申し上げたわけでございます。  ですから、大臣がおっしゃるように、内容も国民にもっとしっかり周知徹底しなければならない、こんなふうに私も思いますので、どうかよろしくお願いいたします。  それでは、次の質問でございますが、介護保険利用者の権利の面から考えましたときに、まず、利用者には十分な情報の提供がなされることが必要であると考えております。我が国の社会福祉制度は非常に複雑であり、国民にはどういう制度があるのか、また、自分がその要件に該当するのかもわからないということが多いのが現状でございます。介護サービスにおいても、わかりやすい形で十分な情報が利用者や家族に提供されることがまず必要であると考えております。特に高齢者介護考えましたときに、最も身近な行政の市町村が住民と一体となって推進するべきではなかろうかと思うわけでございます。  そこで大事になってくるのが、市町村介護保険事業計画の策定に住民が参画できることが必要である、このように考えるわけでございます。そして、介護認定、ケアプランの作成、見直し過程など、申請から給付までの全過程において可能な限り参加し、希望を述べることができる仕組みが大切であると思っております。  その中でも、サービスの決定や内容に不満がある場合、サービス提供機関内外に迅速に救済する仕組みが整えられていなくてはならないと考えますが、今回の介護保険法案では、そうした利用者の権利については十分に保障されているのでございましょうか。
  64. 江利川毅

    ○江利川政府委員 要介護認定を受けたいという人が申請しますときには、その本人から市町村に申請する、あるいはその申請をだれかにかわってやってもらうこともできるということで、申請のしやすさということを考えているわけでございます。  また、認定審査会が判定するに当たりまして、調査票であるとか、かかりつけ医師の意見があるわけでございますけれども、必要があると認めるときは、本人とか家族とか、あるいはかかりつけ医師とか、あるいはその他関係者からも意見を聞いて判定をするということで、意見を述べる機会というものを入れているわけでございます。  また、判定に不服があるような場合には介護保険審査会に審査請求をすることができるというようなことになっておりまして、そこで改めてまた客観的に判断をしてもらうこともできるわけでございます。  そういうことで、申請のときの便宜あるいは決定のプロセス、さらにはその決定に不満があるときの救済措置、そういうものが各所に手当てされているというふうに考えております。
  65. 青山二三

    ○青山(二)委員 ただいまお話の出てまいりました不服審査請求でございますけれども、これは都道府県に介護保険審査会が設置されまして、認定結果に不服があれば都道府県に訴えることができるとしておりますけれども、その不服を訴えられる理由、その際の必要書類、手続、不服が通った場合の認定審査会の対応などについては明らかにされておりません。そして、遠くて利用しにくい、迅速性に欠けるというようなこともございまして、利用者側に立った機関となり得るのかどうかという疑問があるわけでございます。  厚生省は、この不服審査請求についてはどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
  66. 江利川毅

    ○江利川政府委員 審査請求に関しましては、法律上、第百八十三条から百九十六条まで関係の規定が整備されておりまして、そういう意味では手続は法律の中にかなり明確になっているわけでございます。  また、処分につきましては、例えば要介護判定をした場合、その決定に不服がある場合には、六十日以内にどこどこに審査請求をすることができるというようなことも、当然、そういう情報が判定の結果とあわせて当人に送られるわけであります。ですから、そういう意味で、もし不服がある場合にはどこにしたらいいかということはすぐにわかる。それは文書でも口頭でも不服審査の申し立てができるわけでございます。  そういう意味で、その介護保険審査会は都道府県に置かれますけれども、郵送等も含めましてできるわけでございますので、使い勝手が悪いとか、そういうような仕組みにはなっていないというふうに考えております。
  67. 青山二三

    ○青山(二)委員 繰り返しになってしまいますけれども、効率的で公平なサービス提供体制を築くためには、市町村介護保険事業計画の策定に住民が参画することがやはり必要であろうかと思います。そして、十分な情報の提供、そして公開が必要であります。  そこで、その市町村介護保険事業計画策定への参加やサービスの評価など、市町村とともに住民が苦情に対しまして対処できるようなオンブズマン的な機能を持ちました、そしてなおかつ、市町村に住民も参加できる介護事業評価委員会、仮称でございますけれども、こういうものを設置すべきであると思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  68. 江利川毅

    ○江利川政府委員 介護サービスを利用する人が、そのサービスに対して不満あるいは不服、苦情、そういうものを持っているような場合に、それに適切に対応する仕組みというのは必要だということは御指摘のとおりだと思います。  この介護保険法案におきましては、公法人である国保連、各都道府県に置かれているわけでございますが、そこに、国保連の中立性、あるいは県全域をカバーするという広域性、そういうような観点から、国保連においてそういうオンブズマン的な機能、業務を行わせるというふうにしているわけでございます。市町村におきましては、市町村自身が介護サービスの事業者たり得るわけでございますし、そういうことから考えますと、本当に市町村が適当なのかどうか、あるいは民間事業者のサービスは一市町村を超えて広域的に行われる、こういうことを考えますと、都道府県に置かれる国保連においてオンブズマン的な業務を行うことが適当ではないかというふうに考えたわけでございます。  ただし、都道府県ということになりますとアクセスが不便である、なかなか申請の手続が厄介だという御心配もあるわけでございますが、それにつきましては、例えば市町村の窓口でそういう苦情処理の受け付けをする、あるいは介護支援専門員、そういう人もその取り次ぎをする、そういう運用上の工夫考えまして、その苦情が的確に国保連に届くように、そして、国保連がそれに的確に対応できるように運用の面で考えてまいりたいというふうに思っております。  また、介護保険事業計画を作成する際に、住民の意見が反映されるということは必要なことだというふうに考えているわけでございまして、先ほど修正案の提案理由説明もございましたけれども修正案の中でも、その趣旨を明確にするということで提示されているわけでございます。  そういうようなことで、御指摘の点につきましては、介護事業評価委員会という形ではありませんけれども、内容については御指摘のことがカバーされているのではないかというふうに思っております。
  69. 青山二三

    ○青山(二)委員 過日、参考人の意見陳述のときでございましたか、グリーン東京の滝上参考人が指摘されておりましたけれども、ドイツの介護保険をつくるときには、消費者の権利をいかに守るかということで相当な議論がされて、それが法案になっている、しかしながら、この日本の介護保険におきましてはそこがすっぽりと抜け落ちているのではないか、こんなお話がございました。ですから、利用者の権利については十分に保障されなければならないと思うわけでございますので、今後ともその対応をよろしくお願いいたします。  それでは、次の質問でございますが、そのサービスの質の保障ということについてお尋ねしたいと思います。  介護サービスも含めまして、社会福祉サービスの最重要課題の一つに、サービスの最低基準を設置することと、処遇の過程における受給者の権利をいかに確保するかという問題があります。社会福祉サービスの基準につきましては、施設の構造設備、職員の配置基準はありますけれども施設提供されるサービス内容についてはほとんど定められてはおりません。そしてまた、施設から在宅へというこの最近の動きにもかかわらず、在宅サービスにつきましては、全くと言っていいほどそのサービスの内容の基準が設定されてはおりません。ですから、これではサービスの質が確保できると言えるのか、こんな心配もあるわけでございますので、サービスの質の確保について御所見を伺いたいと思います。
  70. 江利川毅

    ○江利川政府委員 介護サービス提供する事業者につきましては、在宅サービスの場合でありましても、施設サービスの場合でありましても、それぞれ運営基準というものを厚生大臣が定めることになっております。事業者の設備であるとか、運営に関する基準ということでありますが、これによりまして、要介護者の心身の状況等に応じた適切なサービス提供できるようにしていきたいということでございます。現在でも、例えば老健施設の運営基準であるとか、訪問看護のサービスの運営基準であるとかございますが、ああいう形に似た指定基準というものが定められまして、具体的な人員要件、必要な設備等、それがどういう形で運営されるべきものか、そういうのが定められるわけでございます。  また、サービスの質というのを運営基準だけで定めるというのは限界があろうかと思います。サービスの中身は要介護者が選択をできる、どういう事業者から受けるか選択をできるわけでございまして、そういう意味で、これは受けているサービスの質に問題があるときはその事業者をかえて新たなサービスを受けるとか、そういう選択を働かす中でいわゆる市場機能を通じてサービスの質を高める、そういう側面も必要かと思うわけでございます。介護保険制度におきましては、要介護者のそういう選択ということができるようになっているわけでございますので、そういう形も通じて質の向上が図られるものというふうに考えているところでございます。
  71. 青山二三

    ○青山(二)委員 三月から四月にかけまして地方公聴会が開かれましたが、その中で、いろいろな介護関係者の方々介護保険制度につきまして不安とか疑問を抱いているということがその話の中からわかったわけでございます。公聴会では、福祉の現場、自治体あるいは医師、看護婦などの代表がその意見を述べておりましたが、そこで訴えていたのは、契約したサービス提供する責任がなかなか果たせない、持てないという不安でありました。全国一律の負担と給付を制度の根幹とするこの介護保険では、施設介護在宅介護の別なく、どの地域もあらゆるサービス提供するのが基本的な契約内容でありまして、その十分な介護サービス提供ができる基盤が今整っていないわけでございますので、そういう責任が持てない、不安であるというのは当たり前だろうと思っております。  厚生省は、介護制度ができれば自由な選択ができ、幅広いサービスを受ける権利が主張できるとずっとこの委員会でも説明されておりましたけれども、その手厚いメニューを示し、介護保険ができれば介護にまつわる問題は一挙に解決する、このようなPRを展開されてきたわけでございますが、こうした関係者の不安や批判の声にどのようにおこたえしていくのかなと思っておりますので、その辺のところをお伺いしたいと思います。
  72. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 この介護保険をつくるに当たりまして、介護保険の前提となる介護基盤整備が整っておること、そのことが介護保険のいわば実を上げることであり、そのことを伴わなければなかなか介護保険ができても本当の意味の自由に選択ができるサービスが受けられるということができないということにつきましては、先生お話しのとおりでございますし、そのことのために介護保険を整えるための介護基盤整備ということを今まで以上に進めなければならないということは、お話しのとおりでございます。  ただ、むしろそれは、介護サービスあるいは介護の必要性に前向きに取り組まなければならないということでありまして、そういう懸念の声があるから介護保険制度をもう少し手をおくらせていいとか、そういうことにはならないと思います。むしろそういった不安は、私どもの努力として言えば、介護基盤整備に力をより一層入れていくという方向でなすべきものであろうというふうに思います。  そういう観点から、まずは、今、地方自治体における懸念というお話がございましたけれども地方自治体御自身がお立てをいただいた老人保健福祉計画というものを、その集大成をする形で新ゴールドプランをつくっているわけでありますから、この計画に基づいてのサービスがまだ十分に整っていない、あるいは非常に地域的なばらつきがあるというようなことにつきまして、地方公共団体にも御熱心なお取り組みをぜひお願いしたいと思いますし、私どもとしても、予算の面、あるいはいろいろな施策のいわば使いやすさと申しますか、整備に当たっての工夫の面、こういった面でいろいろ既存施策活用あるいは民間活力導入といったような手法をつくってやっていかなければならないというふうに思っておりますし、さらに、介護保険ができましても、そういう意味での基盤整備はむしろより一層重要になってくる、介護サービスに対するニーズがより高まってくるということを踏まえますと、より介護保険のための基盤整備が大事になってまいりますので、そのための介護保険事業計画というものを介護保険法の中に制度として入れておりますから、これにつきましても、介護保険法の一日も早い成立をお願いする中で、その成立を待ちますれば、直ちにその準備  やはりこれは、介護保険事業計画そのものを発足させるにつきましても、地域におけるニーズがどういうふうにあるかということをきちっと把握しなければならないという問題が、介護保険そのものを前提としてやらなければなりません。  そういった準備も要りますから、そういう意味でできるだけ早く介護保険法の成立をお願いいたしまして、直ちにその準備を進めて、介護保険法施行後における新しい新ゴールドプランに続く基盤整備計画をスタートさせてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  73. 青山二三

    ○青山(二)委員 私も、地元に帰りましたときに、福祉の現場から、本当に心配だという声を聞くわけでございまして、今しっかりと御答弁いただきましたけれども厚生省のその対応を心から期待したいと思っております。  さらに、厚生省は、医療の分野から介護を切り離して、急速に悪化する医療保険財政を再建するということを介護保険導入のねらいとしている、このように私は見ておりますけれども、その背景には、社会的入院が医療費を膨らませているという現実があるわけでございます。これはさきの健康保険法の改正でも随分議論されてきたわけでございまして、医療保険と介護保険の役割分担を明確にいたしまして社会的入院を解消しようということは大いに同感できることでございます。  しかしながら、今回の法案で本当にこの社会的入院の解消ができるのかという疑問が私はわいてくるわけでございます。例えば、認定審査会で要介護認定が却下された人や、ケアプランの作成で施設入所の希望がかなえられなかった人々など、そういう人が多く出た場合には社会的入院は一層ふえるのではないか、このような心配をしているわけでございますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  74. 江利川毅

    ○江利川政府委員 要介護認定の申請がありましたときに認定審査会で判断するわけでありますが、お話しの、却下された場合というのは、要介護状態にないという決定をされたケースということになるわけでございます。要介護状態にありながら要介護でないというのじゃなくて、まさに要介護状態にはないということでございますので、そういうような場合には、当然、介護施設を利用するということは生じないのではないかと。先ほど申し上げましたように、虚弱の人は介護の程度が低いわけでありますから、どちらかというと自立支援的なサービスということで在宅サービスを行う、要介護状態にある人につきましては、その人の希望を踏まえて、施設に入るケースもあれば、在宅サービスを受けるケースもあるわけでございます。そして、虚弱の人も含めて在宅でのサービスは充実をしていくことになるわけでございますので、そういう意味で、仕組み上、施設に入るべき人が外されてしまうということではないというふうに思っています。  それで、この制度は、現在、福祉サービス福祉の措置という仕組みで行われているものと、老人保健制度として行われているものとの間に、同じような介護需要を有する人に対するサービスが内容的にばらつきがあったり、あるいは全体の制度の仕組みとして利用の負担の不公平があったり、あるいは利用手続についていろいろと問題があったりというようなことがありまして、例えば措置で入ると極めて高い自己負担になってしまうから入院をしてしまう、そういうような社会的入院を解消するということに、そういうことも一つの目的であるわけでございます。この制度ができますとそういう不合理が解消されるわけでございます。そういう意味合いから、私は、これによりまして社会的入院を解消する条件というものが整備されていくというふうに考えております。
  75. 青山二三

    ○青山(二)委員 審議官は大変確信を持って御答弁されましたが、本当に介護保険導入されましたときにそのようになっていくか、私はまだ不安を隠し切れないわけでございますが、そのようにしっかり頑張っていただきたい、このように要望しておきます。  そして、その社会的入院の解消ということを考えるときには、この施設整備の問題もあわせて考えなければならないと思っております。この法案では、施設について老人保健福祉審議会答申で人員の配置基準や施設整備基準の改善が重要であると言われていたにもかかわらず、施設サービスについては現行の基準が踏襲されております。すなわち、特養や老健施設に比べて療養環境が劣る療養型病床群や介護力強化型病院を介護施設に加えることとしておりまして、私は、これは単なる数合わせにすぎないと思うわけでございます。こうした療養型病床群や介護力強化病院を医療保険から介護保険の給付対象とするだけでは、社会的入院問題の解決ができるとはとても思えないわけでございます。しかも、療養型病床群の設置基準も見直されないということになりますと、生活の場にふさわしい療養環境の改善が果たしてできるのでしょうか。  療養型病床群の設置の基準の引き上げと、そして、介護力強化病院については施行後三年後の経過措置を認めるとしておりますが、私は、これは認めるべきではないと考えておりますけれども、御所見をお伺いいたします。
  76. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 療養型病床群は、主として長期にわたって療養を必要とする患者を収容するための一部の病床でございますが、病室面積が一般病院に比べまして拡大されていること、あるいは廊下幅も拡大されていること、また、一般病院において必要な施設に加えまして、機能訓練室ですとか浴室、食堂等を設けるというようなこと、また、人員配置につきましては、看護補助者を患者六人に対して一人配置するというようなことを求めております。  そういう意味で、長期療養を必要とする患者の生活面に配慮した構造設備、人員配置になっているというように考えておりまして、介護保険の給付対象施設として適当なものであるというふうに考えております。介護保険制度導入に伴って、現在の施設基準を変更するということは考えておりません。  なお、介護力強化型病院につきましては、通常の老人病棟と病室面積は同様でございますが、人員配置基準について、療養型病床群と同様に、特別養護老人ホームを上回ったものとなっておりまして、また、診療報酬においても各種の加算を行っているところでございまして、この施設につきましても介護関係施設として考えていきたい、このように考えております。
  77. 青山二三

    ○青山(二)委員 ただいまの御答弁では、設置基準を変更することは考えていない、このようなお話でございましたけれども介護保険の目的は、自立を支援するということでございまして、老健審の答申でも、「高齢者が自立した生活が送れるよう社会的に支援していくことが必要である。」と提言しているわけでございまして、そういう劣悪な病院の中に閉じ込めていたのでは、自立できるお年寄りも自立できない、寝たきりにさせられてしまうのではないか、私はそのような危惧をしておりますので御質問をさせていただいたわけでございます。介護保険財源とするということならば、やはり基準の見直しは当然であろうかと思っております。また、今後とも御検討いただきたいと思います。  それでは、次に、介護保険がまだ具体化していないこの時点では、介護保険は医療保険の介護版であり、現在の措置制度よりも介護サービスがはるかに受けやすくなる。例えば、医療保険のように、保険証を一枚持っていけば自分の選んだサービスがすぐに受けられる、こういうふうに思われておりました。そして、今もそう思い込んでいる人もたくさんいるのではないでしょうか。しかし、法案では、介護保険サービスを受けるためには、市町村の窓口への申請、要介護認定、ケアプランの作成、そして実際のサービス利用という四段階が必要でございまして、医療保険に比べてはるかに利用しにくく複雑になっております。  このように、利用手続が煩雑であるために、利用者の利便性が損なわれるのではないか、このような心配がございます。そして、サービスを受ける前に要介護認定を受けなければならないために、サービスの開始が大幅におくれることは確実であろうかと思うわけでございまして、法案では、介護認定は申請のあった日から三十日以内としておりますが、本当に三十日以内で認定が可能なのかどうか、その根拠を伺いたいと思います。
  78. 江利川毅

    ○江利川政府委員 要介護の状態にある人が要介護サービスの申請をする、そうしますと、要介護認定が必要になるわけでございますが、以前、この委員会でも御質問があり、御答弁させていただいたところでありますけれども、申請がありましたら、認定の効果は申請の日までさかのぼるということになっているわけでありまして、実際、認定がおりるのが申請からある程度の期間たった後でありましても、サービスはそれ以前から受けることができる。受けても、受けたサービスは申請の日にさかのぼって保険が適用されますから、保険から給付されるわけでございまして、認定が行われるまでの間、サービスが受けられないということではないわけであります。ですから、そういう意味で、サービスの利用が非常におくれてしまうというような事態は生じないというふうに考えております。  それから、要介護認定の処理期間でございますが、これはできるだけ迅速に行うことが必要だというふうに考えておりまして、申請がありました後、市町村の職員等が訪問調査をする、それから、主治医からも意見書を取り寄せる、こういうものをもとに認定審査会において判定をする、必要な場合には、本人や家族、かかりつけ医師の意見を認定審査会として聴取して判定をするということになっているわけでございます。これも毎日開いていくわけにはいかないでしょうから、ある程度、通常の事務処理を考える。申請が多ければ、認定審査会のチームというのはたくさんつくっていけばいいわけでございます。そういうようなやり方でいけば、三十日以内に処理できるのではないかというふうに思っております。  八年度のモデル事業を実施しているわけでございますが、モデル事業では、調査票についての意見とか、かかりつけ医師の意見の書き方とか、そういうものについてのいろいろな提言なども寄せられているわけでございますが、こういうものを踏まえて、より使いやすい判定の基準を明らかにする、あるいはマニュアルを作成していく、そういうことによりまして、できるだけ円滑に事務処理が進むようにして、三十日以内で処理できるようにしていきたいというふうに考えております。
  79. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、ただいま御答弁の中にモデル事業ということが出てまいりましたけれども、現在、全国六十カ所でモデル事業を行っているということでございます。そこで明らかになったこと、途中でも結構でございますので、もう少し詳しく御説明いただきたいと思います。
  80. 江利川毅

    ○江利川政府委員 モデル事業の結果の分析というのは現在進めているところでございまして、今月末に開かれます関係委員会に資料が提出できるように、関係委員会というのは私どもの方の行政側のいわゆる研究会でございますが、そこに関係資料が提出できるよう作業をしているところでございます。  現時点での認識では、例えば調査票の記載、こういうものがより正確にできるかどうか。例えば、言葉があいまいなものは、こういうような状態が時々起こるとか、あるいはよくあるとか、時々とよくあるはどう違うとか、そういう言葉の判断の難しさがあるわけでございます。そういうことについて意見が寄せられたりしておりますので、そういう調査票の問題であるとか、調査員の説明の仕方、私ども、調査するために調査員を厚生省の講堂に呼んで一日かけていろいろな説明をしたわけでございますが、そういうときの説明の仕方、あるいは具体的な認定審査会の運営方法についての改善の意見、それから、かかりつけ医師の意見書について、もう少し具体的に書いてもらうにはどうしたらいいかというようなこと、そういうようなことなどの意見が出ているようでございますので、こういうものを分析しましてまとめていきたい。  そして、その評価を踏まえまして、九年度も三百四十七地域モデル事業を行うことにしているわけでございますので、そのモデル事業を行う際には八年度の事業を改善して進めていきたいというふうに思っております。
  81. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、しっかりとお願い申し上げます。  先ほど来、やはり質問が出ておりましたけれども、関係者の中で不安が集中しているのは、介護給付の認定制でございます。実際にどんな介護サービスを受けられるのかは認定で決まるわけでございまして、医師、看護婦、社会福祉士、介護福祉士など五人前後の専門家でつくる市町村の認定審査会が決めるというふうにしておりますけれども、これはつまり、基本的には、行政が本人の所得や家族状況などを勘案して提供するサービスを決める今の措置制度と何ら変わらないのではないかと思うわけでございます。むしろ手続が煩雑になって融通がきかなくなる分、介護が必要な人にとっては制度の後退になりかねないという懸念をしているわけでございます。  介護保険全国統一の社会保険である以上、負担と給付は同一基準でなくてはなりません。手続も厳格にする必要がある。このことが措置制度のもとで順調に育っている介護の現場に無用の摩擦と混乱を招くのではないかというふうに心配をしているわけでございますけれども、大臣はこの点について御所見をどのようにお持ちでしょうか。
  82. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 介護サービスを受けるためには、どの程度の状況か、当然、認定の手続が必要なわけでありますので、受けられた希望者、申請者からいえば、認定で、この介護サービスが必要だ、そうでないという人に対しては、私は不満が出てくるのは想像できます。  しかし、その混乱を最小限に食いとめるように、今後、都道府県、市町村関係者に周知徹底させるような啓発活動が必要ではないかなと、十分心していきたいと思います。
  83. 青山二三

    ○青山(二)委員 通告の質問を少し残してしまいましたが、今後まだ質疑があるということを確信いたしまして、時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。  大変ありがとうございました。
  84. 町村信孝

    町村委員長 鴨下一郎君。
  85. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 きょうは介護制度に係る問題でありますけれども、その中で今まで十分に審議されてない部分医療法改正がございます。このことについて主に質問をさせていただきたいと思います。  まず、この改正の目的の中には幾つかの項目がございますが、一つ重要なポイントとして、「患者の立場・選択を尊重した情報提供推進」というようなことがございまして、これは一口に言うと、インフォームド・コンセントを大事にしなさいというようなことなんだろうと思います。その中に、「医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努める旨の努力規定を位置付ける。」、こういうふうに書いてありますが、これでよろしいのか、確認をさせていただきたいと思います。
  86. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 第一条の四のところに、「医師、歯科医師、薬剤師、看護婦その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。」という形にさせていただいております。  この背景といたしましては、患者に対する情報の提供といいますか、そういうことの必要性、特に国民の医療に対する関心が非常に高まってきている、また一方、医療に対する情報を患者さんに対して積極的に提供していく、また、患者さんがそういうことをもとにして、ある程度、医療提供についての選択ということが今後必要になってくる、そのようなことからこのような条項を入れております。  なお、この経緯といたしましては、平成四年の医療法改正の際に、附則の検討規定というものが国会で設けられましたけれども、その医療提供に当たって医療従事者が適切な説明を行うということについての検討を行うということを踏まえて、今回、このような形でさせていただいたところでございます。
  87. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 もう一度確認したいのですが、それは要するに、インフォームド・コンセントを大事にしなさいというようなことの言いかえでいいわけですか。それからもう一つは、その努力規定というのがどういう意味を持っているのかということの、この二点についてお答えいただきたいと思います。
  88. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 いわゆるインフォームド・コンセントという言葉につきましては、いろいろな日本語として使われ方があると考えております。  私どもは、平成四年の医療法改正の際の検討規定をもとにいたしまして、患者さんへの説明、あるいは理解といいますか、あるいは同意といったようないわゆるインフオームド・コンセントというようなことについて、いろいろ専門家にも議論をしていただきました。その結果として、現時点で、やはり患者さんに対して適切な説明を行い、その医療を受ける者の理解を得るように努めるという形で努力規定という形にすることが現実に適切であろうといったような判断からこのような形にしたわけでございまして、先生がおっしゃっている努力規定という、努力義務ということの意味というか、罰則つきの義務という形にはなじまないのではないかというような議論も踏まえてこのような形にしたわけでございます。
  89. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 説明と理解と同意というのは、これはインフォームド・コンセントなんだろうと思いますけれども平成七年六月に、インフォームド・コンセントの在り方に関する検討会、この中で、  個々の患者と医療従事者との関係において成立するインフォームド・コンセントについて、画一性を本質とする法律の中に適切な内容での規定を設けることは困難であり、また、一律に法律上強制する場合には、責任回避のための形式的、画一的な説明や同意の確認に陥り、かえって信頼関係を損なったり、混乱させたりするおそれもあることから、適切ではない。 こういうふうな報告をこの検討会は出しているのです。  そうすると、今回の改正趣旨と、この検討会での報告の内容とが相当正反対に異なるように私は理解するのですが、いかがでしょうか。
  90. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今先生引用されましたこのインフォームド・コンセントの在り方に関する検討会の中でも、法制化に関する提言として、法制化については、一律に法律上強制をするということは、責任回避のための形式的あるいは画一的な説明あるいは同意の確認に陥るおそれもあるということから、医療法の理念としてそういうことを設けるということがいいのではないか。それで、ここで言っております法律上強制をするということの議論の過程の中では、先ほど私が申しましたような罰則つきの義務にするといったような観点からの議論でございまして、そういうことは、今申し上げたような責任回避のための形式的あるいは画一的なものになるではないか等の理由から、むしろ好ましくないのではないかという御意見だった。そういうことを踏まえてこういう形に整理をしたということでございます。
  91. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 今局長がおっしゃったところのこの報告書の後段のところにも、そういう意味で「努力規定として位置付けることについては、」ということの後に「更に幅広く関係者の意見を踏まえた上で一層の検討が行われることを期待している。」こういうふうに結んでいるわけでして、どちらかといいますと、法律にインフォームド・コンセントをうたうべきでない、こういうふうな論調なんですね。  それで、私は、そのことについて、インフォームド・コンセントのあり方というのは、これは大いに議論はされるべきですし、それから、今まで医療現場の中で、医者と患者の間の信頼関係がいろいろな意味で損なわれてくるようなことがあって、それを埋め合わせてもっと積極的な医師・患者関係をつくっていくためにも重要なことだと思っているわけですけれども、これを、努力規定ということにとどまるにしても法律でこうしてうたうというようなことの是非については、まだ十分な議論がなされていないように思うわけでありますし、この報告書でもそのように書かれているわけですので、なぜこの時期にこのことを、どんな検討の上で改正として今回出されてきたのか、この経緯についてもう一度お答えいただきたいと思います。
  92. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 先ほどちょっと説明が足りなくて申しわけございませんでした。  先ほど先生が引用され、また、私も説明いたしましたが、平成七年にそういう専門家の中の報告書がまとめられ、その中に、医療の理念規定の中にそういうことを法律上書くということについてはさらに一定議論が必要だということが言われております。その後、医療提供体制全般の問題について、いろいろ御議論を医療審議会の中でいたしました。  それで、その医療審議会の中での最終的な答申といたしましては、「医療提供に当たっての患者への説明」ということで、医療の担い手、つまり医療提供側は、医療提供に当たって、適切な説明を行い、患者の理解を得るよう努める旨の規定を医療法に位置づけることが適当であるといったような御意見をいただいたわけでございまして、その間、時間的には一年ぐらいの時間があったと記憶をしておりますが、そういう経過を経て現在のこういう形になっているということでございます。
  93. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 この検討会の報告書の中にも書かれているわけですが、アメリカなどでは、治療契約の中できちんと医師がそれなりの医療行為をやるということ、これが履行されているかどうかということが患者さんにとってみれば大変不安で、そして現実に、医師が善意のもとに全力を尽くしても結果的に不幸な結果に終わることもさまざまあります。そういうときに、きちんと説明しました、そして理解をしてもらって同意を得ました、ですから今度は例えば告発を受ける等のときに防衛ができる、こういうような意味で、ネガティブな意味でインフォームド・コンセントということがまかり通っている、こういうようなことの指摘もあるわけで、私はむしろ、日本の医師・患者関係においては、積極的、前向きにインフォームド・コンセントというのをとらえるべきなんだろうと思います。  法律で努力規定をうたって、そうすると医者は、これだけやった、それを文書にあらわせて、例えば手術などのとき特にそうなんですけれども、もし不幸な結果に終わっても一切患者側は文句を言いません、こういうような趣旨の同意書をとられたりなんかすることがあるわけです。そうすると、そこまでやったのだから、これは努力規定に従ってやりました、その先のことについては、もう十分だったのでこれ以上のことはできませんというようなことで、逃げになるようなことにもなりかねないのではないか。これは患者さんにとっては大変不幸なことになります。ですから、このインフォームド・コンセント、どう前向きに医師・患者関係をつくっていく上で建設的な議論をしていくかということが重要なんだろうと思います。  大臣にお伺いしたいのですが、今こういうことを、インフォームド・コンセントをきちんとしなさい、こういうことを法でうたわなければいけないような状況の医療について、大臣の御所見を承りたいと思います。
  94. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 医者と患者の信頼関係を維持するということは大変大事なことであり、説明して理解を求める、どういう病状か、そして、同意を得た後に適切な治療行為を行うというのが医療のあるべき姿だと私は思っております。  それが、全部のお医者さんがそのようなことをしているかというと必ずしもそうでもないし、患者さんにとってもさまざまであります。説明を求める患者さんもいますが、気が弱くてお医者さんに全部任せてしまおうといって、聞くにも聞けないという患者さんもいる。  でありますから、私は、これが、努力規定があるなしにかかわらず、今後、医者が患者に対して説明し、理解し、同意を求めて適切な治療行為を行うという意味の規定だと考えておりまして、これは望ましいことではないかと思います。    〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕
  95. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 私も同意見なんですよ。望ましいことですし、これは必須のことなんです。  それで、これをやっていくためには大変な医者側の努力も要ります。一口に説明と同意、説明と理解と同意といいますか、それでもそれぞれの立場、それぞれの言ってみれば受診動機の人たちにどういうふうにそれを理解していただくかということについては、これはかなり高度な、専門的な技術を要します。  よく説明しなさいといっても、例えば肝臓の数値それから血液の数値をだあっと並べて、あなたの白血球が幾つで、赤血球が幾つで、ヘモグロビンが幾つで、GOTが幾つでというようなことをだあっと並べまして、これで説明しましたと言われたって、患者は理解ができていない。ところが、いや、これだけきちんと説明したのだから理解してわかってくれたはずだというふうに医者側も思うかもわからない。  ところが、これが実際には十分にいっていないで、よく医療訴訟が起こる原因一つはこのすれ違いなんですね。医者は一生懸命説明したつもり、患者さんはそれでもわかっていないから、聞いていませんと言う。この辺のところのすれ違いがいろいろな意味で大きな問題を起こしてきているわけで、それを法律でうたう、うたわないという議論は、もう少しまた日を改めて申し上げたいと思います。  私がきょう一つ指摘しておきたいことは、そういう説明をして、理解をしていただいて、同意を受けるというようなことには大変な技術が要る。  例えば、私は二十年ぐらい心療内科というストレスの病気を診ている医者をやってきたものですから、その医師・患者関係をどう望ましいもとに構築していくかということに大変な努力をしてきました。例えば、患者さんが来たときに、まず受け入れるための、受容としての言葉の使い方、それからその人の立場を認めてサポートするための言葉の使い方、それからその後に、あなたの病気はこういう病気でと説明をした後に、でも大丈夫だからしっかり頑張って治療しましょうよ、こういうための、保証をするための言葉の使い方、実は、それぞれ非常に専門性の高い技術を使って、言葉一つ一つを選んで、言葉の処方をしているわけですね。  ところが、きょう申し上げたいことは、そういう、外科でいえば、メスを使ってどこをどう切って、どこの血管をどういうふうに切除して、どういう臓器をとるというような、こういうことと同じような努力をしているのですが、私は、ハード、いわば目に見える処置に関して非常に厚生省は重きを置いて診療報酬上の恩典をつけるのですが、こういうインフォームド・コンセントに関するさまざまな努力に関しては非常に軽んじられてきたというのが現状だろうと思います。  ですから、きょうの質問趣旨一つは、そういうようなインフオームド・コンセントをきちんとするというようなことについて努力をしなさい、ところが、努力をして一人の患者さんに三十分かけて説明をしてきちんとわかっていただく、こういうようなことをしていたら午前中だけで六人しか患者さんが診られない、こういうようなことにもなりかねない。ですから、言ってみれば、そういう努力をしなさい、さりとて経営上で行き詰まってしまったら、せっかくそういういい医者、いい医師、いい努力をしている人たちが続けていけないという、これが現実なんだろうと思いますので、その点についての診療報酬上の言ってみればインセンティブをどういうふうに与えていくのか、このことについてお答えをいただきたいと思います。
  96. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 今先生お話をお聞きしておりまして、現行の診療報酬で考えてみますと、まさにそれが広い意味における医師の技術料ではないかというふうに思います。現行のいわゆる現物出来高払い制というような体系の中で数をこなす方向の評価というものがどうしても目立つわけでありますけれども、まさにそういった医師の技術料の評価をきちっとやっていくということがこれからの診療報酬体系の基本であるというふうに思っておりますし、そういった意味で、先生今の御指摘の点を踏まえて、診療報酬の抜本的な見直しに当たっては十分考えていかなければいけないというふうに考えております。
  97. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 それからもう一つは、努力規定が定められるわけでありますが、例えば情報開示の点につきまして、一つ、二つ、疑問点がございます。  例えば、レントゲン写真を見せてくれ、検査データをコピーしてくれ、それから、カルテ等の開示をしてくれ、こういうようなことを患者さんが要求した場合、このときに、さまざまな理由があると思いますが、それを否定した場合には、インフォームド・コンセントをしなかった、こういうようなことで理解されてしまう心配がありますが、このことにつきましてはどういうふうに考えていったらいいのでしょうか。
  98. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 先ほど来お話のございます今回の法改正によります努力義務規定は、医療従事者が医療を提供するに当たって患者の理解を得るということから適切な説明を行うことを求めているわけでございまして、その手段といいますか、説明を行う際の手段を決めているわけではございません。  そういう意味で、先生が今具体的な例として出されました、例えばエックス線写真を貸し出す、あるいは検査データのコピーを渡すという、そのことに応じないということをもって、この規定に直ちに違反をするということはないというふうに考えております。
  99. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 さりとて、例えば患者さんがそれをもらわなければ説明されたということを理解しないとか同意しないとかこういうようなことで、そこで、現場で、ある程度主張したときに、どうしてもだめだと言えば、これはここで決裂になってしまうわけでありますけれども、そのことについては、それじゃその都度、もしどうしても見せてくれと言われて、見せてあげられないというようなことを申し上げてもいいわけですね。
  100. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 この規定の問題を離れて一般論として考えます場合に、患者さんに対していろいろな説明をする際に、エックス線写真を使って説明をするとか、あるいはその人の検査データを使って説明をするということは、すべての場合ではないと思いますが、かなり日常的に行われているものだというふうに思っております。  したがって、それができない、今の先生お話ですと、要するにお医者さん側が、医療機関側ができないという何か特別の理由、時間がないという話はちょっとこの際別にいたしまして、特別な理由、例えば病名を告知していないとかそういうようなことがあれば、それはやむを得ないのだろうと思いますが、一般的に、レントゲンを使って説明をする、あるいは検査データを患者に示して説明をするということについて、これを拒まなければならない理由というのは、私が今申し上げた以外それほどないのではないかというふうに思います。
  101. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 ですから、拒まなければいけない理由はそこなんですよ。例えば、がんを告知していない、それから、特殊な病名について今告知するべきでないというふうなことがあったときに、そのときに、しかしその患者さんが見せてくれと言ったときに、それを拒否するのが本来だったら患者さんのためになることだというふうに医師の方は確信しているかもわからないけれども、裁判になったらどうするのですか。そのことを申し上げているのです。そのときに努力規定を履行しなかったということで裁判になったらどうするのですか。そのことを申し上げているのです。
  102. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 具体的にカルテの開示ということに関連すると思いますが、カルテの開示については、ちょっと後ほど詳しくあれいたしますが、たしか昭和六十一年だったと思いますが、東京高裁での判決がございまして、その判決によりますと、患者に対して医師が十分に説明をするということは当然やらなければいけないけれども、それはカルテそのものを患者に見せてやらなければならないというものでは必ずしもないという判例がございます。  このことは、それは一つの判例でございますけれども、今申し上げたことがすべてではないと思いますが、カルテの開示ということについては、今お話があったことも含めて、一般的にすべてを開示すべきという考え方と、それから、具体的な例えばがんですとかあるいは精神疾患といったような場合には、病名の告知ということが患者に及ぼす影響ということから一律に義務づけすることには問題があるとする考え方、この二つがあるというふうに承知をしています。
  103. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 この問題をやっていれば二時間も三時間もやれるのですけれども、次の質問に移らなければいけませんので、私は、カルテの開示に関しては、原則開示、特別なケースに限っては、患者さんと本当の意味で誠心誠意の相談の上で、ある意味ですべての情報を患者さんに示さないというようなことも治療の一環だ、こういう理解が得られることに限って開示をしない、このくらいに考えていくべきだというふうに思っておりますから、そのことだけを申し上げておきたいと思います。  それから、次に、今回の改正の中で、療養型病床群に有床診療所を転換できるというような、こういうようなことでありますけれども、要するに、有床診療所を療養型病床群に転換するというようなことは、これは新規に療養型病床群を十九床なりそれ以下の病床数で設置していくことができるということなんですか、それとも、今までの全体的な医療計画の範囲の中で運用していくというようなことなのか、その辺のところの説明をしていただきたいと思います。
  104. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今回の改正におきましては、有床診療所の療養型病床群を認めるという考え方でございますが、これは、療養型病床群としての有床診療所を新しく新規につくる、それから、現在ある有床診療所がそういう形に転換をしていく、この二つがあり得るというふうに思っております。
  105. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 ということは、新規に十九床以下の療養型病床群をまだこれからもつくれる可能性がある、こういうふうに解釈していいわけですね。
  106. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 従来、有床診療所につきましては、医療計画におきます病床数の算定からは除外をされておりますけれども、今回、療養型病床群として有床診療所を設置をするという際には、従来の診療所の病床に対する取り扱いとは異なつて、病院の病床と同様に必要病床数に算定をするという考え方でございます。したがって、それぞれの地域の医療計画によって決められました病床数の中で考えていくということでございます。
  107. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 そうしますと、例えば、有床診療所がどんどん療養型病床群に変わっていって、地域の身近な医療がなくなって、みんな介護施設になってしまう、そういうようなことではないわけですね。
  108. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 療養型病床群そのものは、長期にわたる療養を必要とする患者さんのための施設ということでございますから、最終的にその療養型病床群がどういう形で医療をやっていくのか、介護をやっていくのか、それはそれぞれの方の判断だろうというふうに考えております。
  109. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 あとは、療養型病床群に転換した、かつての有床診療所の中での介護の話なんですが、その中で、例えば医療行為も、多少の医療行為は認められるのか否か、このことについてはいかがでしょうか。
  110. 江利川毅

    ○江利川政府委員 介護保険施設であります療養型病床群で行われる医療は、日常的な医学的管理やリハビリテーションが中心でありますが、そういうものは、介護保険の給付から出されるもの、いわゆる介護保険の定型的なというのでしょうか、本来的な給付に入っているものということでございます。
  111. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 その範囲なんですが、例えば、寝たきりになっている方が、褥瘡ができて、その周辺に化膿巣ができた、それを切開する、このくらいのことは介護保険で給付されるのですか。例えば、その後に、多少、例えばおなかに胆石があって、そして療養型病床群の中に入所している人が胆石になった、黄疸が出てきた。ところが、その診療所はもともと外科の先生がやっていて、手術室がまだあって、そこで手術してしまおう、そういうような場合に、胆石の手術は、これは医療行為だから給付はできないけれども、褥瘡の化膿巣の処置ぐらいは介護保険から出しますよ、この辺のところの仕切りはどの辺にあるのかということを具体的に教えていただきたいと思います。
  112. 江利川毅

    ○江利川政府委員 療養型病床群で行われます日常的な医学的管理あるいはリハビリテーション、そういうものに包括される範囲、これはどのぐらいかというのは、これから介護報酬を詰めていく中で整理していく必要があると思います。  ただ、御指摘のようなケースでございますが、基本的な考え方は、治療行為につきましては医療施設に移って受けてもらうのが原則、そして、医療施設に移って受けてもらう場合には、それは医療保険に請求し、医療保険から支払われるということになります。先生がおっしゃいましたケースは、ある意味で、医療施設に移らないで、何らかの理由により介護保険施設でそれが行われたら一体どうなるのかということでございます。  これは、一つの割り切りで法律の中に書いてあるわけでありますが、介護保険施設で行われたサービスについては医療保険に請求をしないということでありますので、介護報酬の算定の仕方の中にそういう付加的な部分をどう定めるかというのがあるわけでございますが、介護保険施設の中で特別な何か緊急な理由その他によりまして行われた場合に、その部分介護保険に請求し、介護保険から支払うということになります。ですから、その部分は出来高的なものが介護保険の中で付加される。そういうケースについては、そういう扱いになろうかと思います。
  113. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 その場合の、出来高払いになるというような介護の中の医療行為、このことについての判断というのは、そこの、個々の現場の判断で、ある程度可能なんでしょうか。
  114. 江利川毅

    ○江利川政府委員 原則は、医療行為は医療施設に移ってもらうのが原則でございます。療養型病床群が介護施設になりましたときも、恐らく、そういう施設は、介護施設だけではなくて、いわゆる若い人たちの療養型の病気を治す部分も持っていることが多いのではないかと思います。そういうことであれば、そちらの方に移るというのはそれほど距離的に遠いわけじゃありませんので、そういうところで、きちんと治療施設があるところに移ってもらうのが原則だろうと思います。  あと、包括的に見られる部分の範囲というのは、先ほど申しましたように、少し詰めていかなければいけない。それから、具体的に、ただ、いろいろな理由で、そういう移る間もなくその介護施設の中でやらざるを得なかったケース、これは、どの部分を積み上げ的にやるかというのは、その包括に何が含まれるかとの裏腹の関係ではございますが、そこに含まれない部分というのは、基本的には、多分、診療報酬に準じて具体的に整理がされることになろうかと思います。
  115. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 今回、例えば、診療所から転換した療養型病床群というのは十九床以下ですから非常に小回りがきく、その分だけ、そこで自己完結的に介護も医療もやってしまおうというようなのは、これは、だって、もともとの育ちが診療所から入っているわけですから、そうすると、かなり医療的な行為もその中で行われる可能性が出てくる。そうすると、今審議官おっしゃっているように、そのことについては出来高で対処しましょうというようなことになると、この介護保険の中での患者さんの負担は定率でありますね。医療保険の中ではお年寄りは定額でありますから、このことの整合性がとれなくなってくる可能性があるのですが、これは、これが三年間の後にどういうふうに対応していくのかということなんだろうと思いますけれども、お答えをいただきたいと思います。
  116. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 介護保険利用者負担につきましては、お挙げいただきましたように、今回、定率一割負担ということで御提案を申し上げております。それに対しまして、老人保健の一部負担額につきましては、今回の改革におきましては定額負担を維持した形になっていることは御案内のとおりでございます。  その額を決めるに当たりまして、一つのにらみましたところとして、おおむね一割程度の負担水準ということをめどに、一つ念頭に置きまして、ただ、急激な負担増を避けるというような点も一応考慮しまして今回の引き上げの結果になったわけであります。その際にも、外来一部負担を月一回払い方式から受診の都度にするとか、あるいは、一部負担金の額について医療費の伸びに応じた改定というような考え方をとるとか、そういった、受益に応じた負担という考え方に一歩踏み出す形を考えたわけでございます。  今度、この老人保健の医療保険抜本改革の中における一部負担のあり方ということでございますけれども、これは、先生も今お挙げになりましたとおり、医療保険の抜本改革の総合的な全体の検討の中で最終的には結論を出してまいりたいと思っておりますけれども、その検討に際しましては、当然、介護保険とのいわば整合性というようなことも十分配慮をしながら、しかし、医療保険制度における高齢者に対する医療給付のあり方、こういったような点もろもろをもう一回にらみまして、全体をこれから検討していきたいというふうに思っております。  その際には、一つの大きな視点として、介護保険利用者負担との整合性、それから、今お挙げいただきましたような、介護保険におけるいわゆる医療行為の中身、それから、医療保険における医療の中身の共通的な部分あるいは異なる部分といったようなことについては十分目配りをしなければならないというふうに考えております。
  117. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 どちらかに統一していくというようなことなんでしょうけれども、羽毛田局長いみじくもおっしゃったように、介護保険は一割で、そうしますと、医療保険の方を介護の方に近づけていこう、こういうようなことが大体政府の方針なんでしょうか。これは大臣の方向性についての御所見だけをいただければ結構です。
  118. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 これは今後の検討ですが、審議会等でも定率というのは多数意見であったということですから、それも十分検討して、今後、抜本改革の中で議論をしていきたいと思います。
  119. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 その辺は非常にいろいろな関係団体との調整も含めて難しい部分なんだろうと思いますが、私は、療養型病床群の、特に小回りのきく十九床の有床診療所が転換していくということは賛成なんです。それが地域の中での血の通った介護をやっていけるという意味では大変結構なんだろうと思いますが、いずれにしても、その中はもう医療も介護もなく、一人の御老人をどういうふうに手厚く見守っていくかというようなことになるのだろうと思います。ですから、この分は介護だから、この分は医療だからといって縦割りの中でやったら、実際にケアを受ける方々が一番不幸になる、そのことを指摘しておきたいと思います。  そして、そういうような小さな療養型病床群をこれから地域の中に根差していく上でも重要なことは、転換の促進策というようなことが必要なんだろうと思いますけれども、政府はどういった形でそのことを支援していくのか、このことについて伺いたいと思います。
  120. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 現在、診療所ではなくて、病院の療養型病床群の整備ということで幾つかの促進策を行っております。  一つは、医療施設補助金によります一般病床からの転換に対する国庫補助の実施、老人保健拠出金事業による助成金の交付、社会福祉・医療事業団によります融資枠の確保、療養型病床群に対する建物等に係る租税特別措置、いわゆる割り増し償却、それから、診療報酬によります療養環境加算あるいは療養型病床群への移行計画加算に対する評価というようなことを、病院の療養型病床群の整備の促進ということではやってきております。  先生のお尋ねは、診療所についてのことでございますが、これにつきましては、今回、新たに創設をするものでございますので、今申し上げたようなことも参考にしながら、現在やっていることも参考にしながら、施行までに促進策ということについて検討してまいりたいというふうに考えております。
  121. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 診療所の療養型病床群への転換というのは、これは都道府県知事の許可制だというふうに聞いていますが、この申請は、仮にこの法案が成立したとして、大体何年を目途に受けるというようなことになっているのでしょうか。
  122. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 この医療法施行そのものは公布後一年ということで、一年以内ということを予定しております。
  123. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 それでは、その次に、地域医療支援病院の制度化についての質問をさせていただきたいと思います。  この地域医療支援病院の考え方、そして趣旨、それから、これは介護との関連性はあるのかどうか、このことについてお答えをいただきたいと思います。
  124. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 地域医療支援病院につきましては、かかりつけ医機能を有する主として診療所を支援するということを目的といたすこととしておりまして、二次医療圏ごとに何カ所か設けていくというようなことを考えております。  介護との関係ということでは、恐らく先生がおっしゃっておられるのは療養型病床群との関係というような趣旨だろうと今までの議論から思いますけれども、療養型病床群には、先ほど来お話ありますような、患者の病態の急変等に備えて後方病院みたいなものをあらかじめ定めておくことが重要だというふうに考えております。この地域医療支援病院というのはかかりつけ医機能を支援するということが主たる目的というふうに考えておりますので、そういう意味では、後方支援病院の役割を果たすものだと考えております。したがって、療養型病床群との関係におきますれば、地域医療支援病院においてそういう療養型病床群からの患者の受け入れを行う場合も当然あり得るというふうに考えております。
  125. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 地域医療支援病院という制度が新たに創設されるわけですけれども、この際の、具体的にはどういう病院がその機能を果たすというふうなイメージをお考えになっているのでしょうか。
  126. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 地域医療支援病院の開設者につきましては、医療法改正案におきましては、国、都道府県、市町村それから特別医療法人その他厚生大臣の定める者としたところでございます。地域医療支援病院は、かかりつけ医機能を有する診療所を支援するということを主たる目的とするものでございますので、従来からこうした機能を果たしてきております、例えば医師会立の病院ですとか、あるいは開放型病院といったようなものは有力な開設主体になるというふうに考えております。  ただ、いずれにしましても、開設主体の範囲につきましては、今後、医療審議会で検討していただいた上で最終的にその範囲を決定していきたいというふうに考えているところでございます。
  127. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 地域医療支援病院ができたとして、その運営をしていく上で、例えばその地域の救急医療の実施を義務づけられたり、地域の医療従事者の研修を行わなければいけなかったり、こういうようなことで、ある意味で非常に病院側としては負担になるようなこともございます。このことについての、厚生省側といいますか、行政側のサポートは、どういうふうな形で、何が具体的に行われるのでしょうか。
  128. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 地域医療支援病院につきましては、具体的には二次医療圏を想定しておりますが、地域において通常の医療ニーズを充足できる医療体制を確立する、そういうことのために、今先生お触れになりました、例えば救急医療ですとか、あるいは医療従事者の資質の向上のための研修、あるいは紹介外来制といったようなことを期待いたしております。  ただ、これらの事業に関しましては、従来からいわゆる施設整備あるいは設備整備ということで補助を実施している、メニュー事業として補助制度がございますので、この地域医療支援病院についてもこれらの補助制度活用するということによって支援をしていきたいというふうに考えております。  また、診療報酬につきましては、この地域医療支援病院の特性に応じた診療報酬の評価ということにつきまして、今後、中医協において御検討をいただきたいというふうに考えております。
  129. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 先ほど局長のお答えの中で、診療所の療養型病床群に転用したものに対する言ってみれば後方支援病院の機能も果たすのだというふうなことをおっしゃっているのですけれども、ということは、地域介護支援病院のようなニュアンスの部分もあるのだろうと思います。  そうしますと、既にそういう既存の機能を持った病院がある地域はいいのでしょうけれども、この地域医療支援病院というのは手を挙げてどこがというようなことだそうでございますけれども、もし承認申請が上がってこないような医療圏についてはどういうふうにそのカバーといいますか、後方支援活動をどういうふうにしていくのか、このことについてはどうお考えになっておりますか。
  130. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今回の改正においては、いわゆる地域医療計画改正もございまして、その中で、二次医療圏ごとに療養型病床群の整備の目標あるいは地域医療支援病院の整備の目標ということについても医療計画の中に盛り込むという形で改正をしたいと考えておるわけでございます。  そういう意味で、これはあくまでも医療圏なり都道府県単位のことではございますけれども、医療計画を作成する際に、そういう療養型病床群あるいは支援病院等につきましても計画をそれぞれの地域でつくっていただく、そういう形で進めていきたいというふうに考えております。
  131. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 時間もなくなりましたので、再度、私は、今回の医療法改正の中で非常に重要なのはインフォームド・コンセントを法律でうたったということなんだろうと思います。このことについては、患者さんと医師との良好な関係を保つということは、本来は当たり前のことのようなんですが、非常に難しく、しかも高度な技術を要することなわけでありまして、そのことの評価をきちんとしていただきたい。  これはある一例でありますけれども、例えば心臓に不整脈が出た。本来はこの不整脈は単なる疲労、それから、ちょっとしたコーヒー等のカフェインの飲み過ぎで出たような不整脈だったのですが、それを、ある病院に行ったら心電図をとって、そしてその心電図の結果、あなたは不整脈がありますよ、そういうような説明を受けました。そうすると、その人は、不整脈が出たのじゃ大変だといって、その病院から取って返して、セカンドオピニオンを得ようと思って、ある大学病院に行きました。循環器科です。そうすると循環器科の方が、専門家ですから、さあ不整脈が出た原因を突きとめようと言ってさまざまな検査をして、なかなか正体がわからない。結果的に、入院をして心カテーテルまでやって、異常はなかった。  ところが、よくよく考えてみますと、そういう不整脈の中には、ちょっとした疲労だとか、それから食べ物の関係で出ましたよというようなことで、きちんとした補足説明をしてあげればそこで済むような話が、十分な説明がないために物すごく高度なむだな精密検査を受ける、こういうようなことになっているケースがたくさんあります。  それから、十分な説明を受けないために、医者を転々と変えていく。ドクターショッピングともワンダリングペーシェントともいいますけれども、そういうようなケースがありまして、それが逆に言いますと医療費の増大の一因にもなっている。  こういうようなことでもありますので、ぜひ厚生大臣、医師というのは単に技術を売るだけじゃなくて良好な医師患者関係を構築するために高度な技術を使っている専門家なんだ、こういうような認識で、その点の評価も診療報酬を含めてぜひお忘れなきようお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  132. 佐藤剛男

    ○佐藤(剛)委員長代理 枝野幸男君。
  133. 枝野幸男

    ○枝野委員 二つのテーマをきょう用意してきておりますが、どちらからやろうか最後まで迷ったのですけれども、公的介護に関連性の深い方の有料老人ホーム問題からやらせていただきたいと思います。  公正取引委員会、おいでいただいていますでしょうか。――時間がございませんので、聞かれたことだけにお答えをいただいて、どんどん話を進めていきたいと思います。  去る五月十三日、公正取引委員会が有料老人ホーム五法人五施設に対して景品表示法違反、いわゆる不当表示、新聞のリード的には、「「終身介護」をうたいながら、介護が必要になると病院に移したり、入居金とは別にかかる介護費用を明示しないなど、広告と実態が大きく異なる有料老人ホームに対し、景品表示法違反の恐れがあるとして警告を出した。」この事実関係は間違いございませんね。
  134. 野口文雄

    ○野口説明員 間違いございません。
  135. 枝野幸男

    ○枝野委員 実は、報道等によりますと、これら五施設はいずれも社団法人有料老人ホーム協会加盟の老人ホームであって、なおかつ、このうちの一施設はこの有料老人ホーム協会の理事長である長谷川力氏が経営するものであるというような報道がなされています。この事実をお認めいただくことはできますか。    〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕
  136. 野口文雄

    ○野口説明員 個別の施設名につきましては公表を差し控えておりますが、五事業者が協会の会員であるということは事実でございます。
  137. 枝野幸男

    ○枝野委員 五事業者が協会の会員である。もう一つポイントは、今お伺いしたのは、この協会の理事長の施設が入っているということなんです。  実は、公正取引委員会から発表になりました今回の警告についての文書、こういったところに問題があるので警告をしたという文書に、  「介護サービス 状態に応じ、一般居室、介護居室、静養室、デイケアルーム等において、介護基準に基づいた介護サービス提供します(おむつ等の消耗品は自己負担)。また隣接の老人保健施設「△△」 ここは「△△」で伏せ字になっていますが、  をご利用いただけます(費用は自己負担)。」等と、あたかも、入居者に一定以上の介護が必要になった場合には、 云々ということで、こういう表示をしたことが問題ですということを具体的にお書きになっておられますが、入居の手引というのでしょうか、まさに新聞等で報道されているこの長谷川理事長の施設の案内のところに、「浜名湖エデンの園」というのですか、「介護サービス」というところに、今言ったところ、つまり「(おむつ等の消耗品は自己負担)」などというところまで含めて、施設の名前を伏せ字にしたところ以外全く同一なんですけれども、ここのことですよね。
  138. 野口文雄

    ○野口説明員 今回の事案につきましては、特に入居者が高齢でございまして、生活全般をホームに頼っているということから、そのホームの名前を私ども公正取引委員会として名指しで公表した場合に、そこにいらっしゃる入居者の方に過度の不安を抱かせることになるのではないかということを考慮いたしまして、公表を差し控えておりますが、先生今おっしゃったように、表示の態様につきましてはなるべく具体的な形で公表を行っておりまして、それによって、施設名を公表しなくても違反行為の未然防止と消費者に対する情報提供に資することができる、そういう観点から具体的に書いてございます。
  139. 枝野幸男

    ○枝野委員 立場上お認めになれない部分があるのはよくわからないではないので、結構なんですが、先ほど、加盟の施設であると。加盟の施設はこの入居の手引に全部載っていまして、全部調べましたら、同じ文言を使っているのはこれだけしかないですから、理事長の「エデンの園」という施設が今回警告の対象となったというのは客観的事実で明らかなんですけれども。  さて、別にこの理事長個人が問題だということでなくて、制度としての問題点なんですが、この有料老人ホームについては、老人福祉法の四章の三に記載がありまして、そこの三十条に、有料老人ホーム協会について書かれています。法律でこういうふうに書いてあります。   有料老人ホームの入所者の保護を図るとともに、有料老人ホームの健全な発展に資することを目的として、有料老人ホームの設置者を会員とし、その名称中に有料老人ホーム協会という文字を用いる民法第三十四条の規定による法人を設立することができる。  法律に基づいて、違反で警告をされた人が理事長をやっている有料老人ホーム協会というのがある。そこが、まさに「有料老人ホームの入所者の保護を図る」ことを目的としているのに、こういう不当表示で摘発をされた人が理事長をやっているというところが、果たして、「入所者の保護を図る」という目的の、しかも法律に基づいている公益法人として適切なのかどうかというようなことが問題になるわけですが、この点について、まず厚生省羽毛田局長、御認識をお示しください。
  140. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 今回、公正取引委員会からこのような警告を受けることになりましたこと、これは有料老人ホームとしてやはりあってはならないことですし、それが、先ほど公取の方からもお話のありました、本来法律をもって指定をされております全国有料老人ホーム協会の会員であるということになりますれば、それは大変遺憾なことと言わざるを得ません。これは基本的な認識でございますし、それは今後の対応の中で是正をされていかなければならないことであろうというふうに考えております。
  141. 枝野幸男

    ○枝野委員 大変型どおりに前向きの御答弁をいただきましたが、それだけで、なるほどそうですねと申し上げられない事情が幾つかございます。  この後も幾つか申し上げますが、実は、いろいろ調べてみると、おもしろいという言葉がこういった場合には適切ではないと思いますが、一九九三年の新聞が出てまいりました。  一九九三年二月二十三日の読売新聞の報道によりますと、これは何年前になるのですか、もう五年も前になりますか、やはり同じような記事が載っているのです。有料老人ホームの入居案内パンフレットが実際のサービス内容と異なっていると指摘され、公正取引委員会は景品表示法違反の疑いで警告をした、警告を受けたのは全国有料老人ホーム協会の長谷川力理事長が経営する最大手の社会福祉法人云々。  初めてじゃないのですよ。初めてだと思っていて、それでもひどいなと思っていたら、調べてみたら、六年前になりますかね、五年前になるのですか、同じことでこの長谷川力という理事長は、自分の経営している有料老人ホームが不当表示だという警告を受けているのです。にもかかわらず、この法律に基づく有料老人ホーム協会の理事長をぬけぬけと続けていた上に、それで悔い改めてきちんとやっていたならともかく、また警告を受けているのですよ。こういうことを放置していてよろしいのでしょうか、羽毛田局長
  142. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 まず、全国有料老人ホーム協会の理事長をどう考えるかという前に、今先生お挙げになった、過去にも実はそういった形での不当な表示ということについての警告、あるいはそういうことでの問題が出てきておったことは事実でございます。  それに対して私どもも手をこまねいていたわけではございませんで、それは、指導等も行い、またその間に、その間というか、前回の法改正の際に、こういう法律の仕掛けをつくりましたのも、一つには、そういった有料老人ホームにおける消費者保護というような視点も含めて法改正をしたのでございますけれども、今回こういう事態になっていることについては非常に問題だと思いますし、そのことの是正については、さらに私どもとしても努力をしていかなければならないということをまず前段で申し上げたいと思います。  その上で、今回の事案につきまして、先ほども公取の方からお話のございましたように、ここは水臭いということになるのかもしれませんけれども、今回の警告を受けた事案についての個別の名前を申し上げることは差し控えたいと思いますが、一般論として言えば、社団法人としての理事長の選任というのは、本質的には法人のいわば判断にゆだねられております。したがって、それが法律上の特段の規定を持たない限りは解任ということにはなりませんし、また、どこまで、どういうふうに、理事長云々ではなくて、その法人に対して指導を行っていくかというところからいえば、まずは、私どもとして、いわゆる法律上の、理事長の選任とか解任とかという前に、その法人に対する指導をどう行っていくかということが私どもに課せられた任務だと思いますし、そういう点におきまして、強力な指導を行わなければならないというふうに思っておるところでございます。
  143. 枝野幸男

    ○枝野委員 私は、最終的にはこれは制度論的に問題があると思っておりますので、現場で努力をされたのだろうというふうには信じたいと思いますし、努力をされたのに結果が出なくて逆方向へ出ているということは、現場でやった方にとっては、御本人自身も非常にじくじたる思いだろうとは思います。  しかし、理事長は勝手に、まさに自治で選んでいるのだからなんという話にならない話は、例えば、これも過去にあった話で、一九九五年に、この長谷川力という理事長がいるわけですが、ことしの三月にやめたそうですが、ここの副理事長は長谷川黎という、長谷川力さんとはいとこだそうですよ、その長谷川黎理事長が経営するやはり有料老人ホームのところで、資産運用で五億円の損を出して、財団法人として運営しているその有料老人ホームが、資産運用で、有価証券投資で失敗をして五億円の損が出ている。そして、それに対して厚生省年金局の当時の企画課長さんが、「株式投資が絶対だめだとはいえないと思うが、五億円もの損失を出したことは、結果的に厚生省の指導が不十分だったと言われても仕方ない」というコメントが新聞に載っています。  これは、その九五年に「結果的に厚生省の指導が不十分だったと言われても仕方ない」という認識を持たれてからきょうまでの間に、その後、この五億円も損を出した老人ホームの名前は「ゆうゆうの里」というそうですけれども、財団法人日本老人福祉財団、長谷川力理事長のいとこであり、この協会の前副理事長である長谷川黎氏が経営している、運営している財団の資産運用の話は、どういうふうな処理をとって、現在どうなっているのですか。
  144. 矢野朝水

    ○矢野政府委員 お答えいたします。  こういう財団法人が株式運用をしちやいけないということではないのですけれども、好ましくないということで、段階的に他の運用方法へ変換するように指導を行ったわけでございます。これは平成七年の五月でございます。  その後、こういった株式ですとか株式投信、こういったものの売却を進めまして、平成八年度末で見ますと、まず株式でございますけれども、二・七億円ということで減少しております。それから株式投信につきましても、十三億二千七百万ということで、これも減少いたしております。  ということで、現在、約五十億の資産総額、普通財産があるわけでございますけれども、公社債ですとか預貯金、こういったものが全体の六八%ということでございまして、株式投信それから株の比率は着実に下がっておる、こういう状況でございます。
  145. 枝野幸男

    ○枝野委員 この話はいろいろなことを我々に物語ってくれる。まず、理事長と副理事長がいとこでやっている、しかも、片方の理事長の方は不当表示を二回もやられて、もう一人の方は、こういう資産運用でいろいろと、何年かかってもまだ半分しか減らないような財テクをやっているというような話で、それが適任であるのかどうかというのは、常識で考えれば、副理事長はことしの三月になって慌ててやめていますからともかくとして、この協会の運営についていろいろと疑念を持たれても仕方がないじゃないか。  そして、実際に、具体的な協会の運営についても幾つか疑念の声が上がっています。  まず、前提事実として客観的な事実をお伺いしておきますが、有料老人ホームは老人福祉法の二十九条で届け出ることになっていますが、届け出がなされている有料法人ホームのうち、協会加盟のホームの数が幾つで非加盟のホームの数が幾つなのか、教えてください。
  146. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 平成八年七月の時点でございますけれども、有料老人ホームが全国で二百八十施設でございます。定員で申し上げますと二万九千二百二十二人でございまして、そのうちで協会加盟のホームが百三十一施設、定員にしまして一万九千八百二十一人というふうになっております。
  147. 枝野幸男

    ○枝野委員 ですから、必ずしもみんなが協会に入っているというわけではないということが明らかになっているわけですね。  その前提で一つ伺いますけれども、この有料老人ホーム協会は入居相談をしている、老人ホームに入りたいという人からの問い合わせを受けて、ここの老人ホームがいいのじゃないですかとか、あるいはこういうことで選んだらいいのじゃないですかという指導をしているということです。  ここに二つ問題があるということを私は関係者から伺っています。  一つは、現在の長谷川力理事長を中心とする執行部というのでしょうか、そこの関係するところに優先的に紹介を回しているのではないかという疑いを持たれている。もう一つは、行政が、例えば都道府県などの窓口が、自分のところでは紹介をできないからこの有料老人ホーム協会に問い合わせてくださいというようなことをしているのではな…か。  一点目については、そういうふうな認識を持っておられるか持っていないか、二点目については、そういう事実があるのかないのか、厚生省としての認識を教えてください。
  148. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 二点のお尋ねでございます。  まず、紹企業務をやる際に、いわば偏った紹介というようなことをしているのではないかという点でございます。  実は、これについては、私ども、そういう御意見をほかからちょうだいをしたこともございまして、改めて調査をしてみました。調査をした限りにおきましては、そのような事実はございませんでした。  それから、第二点目でございますけれども、これは、いわゆる調査という形で、何件そういうところをやったというような調査はございませんけれども、私どもとしては、入居を希望される方から役所にたまたま問い合わせがあったという場合には、お話を承りまして、そこは親切に対応するという意味合いからも、場合によってはお住まいの自治体の担当部局に御紹介を申し上げる場合もありますし、あるいは、協会の方に御紹介を申し上げて、協会と御相談になってみてくださいという形で申し上げることはございます。  それは、今いろいろ先生指摘をいただいたし、また、協会のあり方についての御議論はあるわけでありますけれども、現在の、法律に位置づけられた、そういう保護のための一つの規定を持った協会、指定の法人でございますから、そういったところにそういったことをお願いをするというのは一般論としては問題はないのではなかろうかというふうに思っておりまして、何を何件やったという統計はございませんけれども、そういったことは間々あろうかというふうに思います。
  149. 枝野幸男

    ○枝野委員 法律に基づいてこの協会はあるわけですから、行政としては、そこの方がよくわかっているのだろうからということで、むしろ協会に回してあっせんをさせる、紹介をさせるということ自体を悪いとは私は思いません。しかし、これは公益法人だからそれができるのだと思います。公益法人ということは、加盟者の利益のための団体ではありません。  しかしながら、例えば、私は手元に、「入居相談状況」という、この協会が出している紙を入手して持っていますが、「協会相談室における入居相談等の基本的なスタンス」ということで、「相談室は「入居ガイド」を中心に加盟ホームを紹介する。」と一番最初に書いてあるわけです。これは公益じゃないのです、共益なんです、自分たちのところに加盟しているところを紹介しますという。加盟をしていようがしていまいが、いい施設を紹介するのが公益法人なわけです。まさに社会全体のためのメリットになるという話なんです。  まず、そういったこと、つまり、加盟団体のホームしか紹介をしていない、公益というよりも共益であるということを認識していたのかということが一点。  それから、続けてもう一点。――とりあえず、まずそこまで答えてください。
  150. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 まず、事実関係としていえば、これは今、紹介というときには恐らく会員の施設にしているであろうという意味におきましては、事実は先生おっしゃったような形で、その会員以外のところに、それは例外的には、なかなかあいていない、そっちの方面があいていないということで、さらに、会員ではありませんけれどもこういう施設もありますよということはあるいはしたかもしれませんけれども基本的には、恐らく会員の中でやっておるだろうというふうに思います。  その前提として言えますことは、有料老人ホーム協会というものをつくって、言ってみれば民間における自主的な扱いとして、いわばサービスのいい、有料老人ホームとしていえば問題のない施設というものを目指すということで法人をつくっているわけでございますから、そういうことで集まられた会員に紹介をされるということはよろしいことだと思いますし、むしろ、そういう会に入っているにもかかわらず今回のような事態が起こったということ自体が非常に問題だというふうに  思っております。
  151. 枝野幸男

    ○枝野委員 自主的にやっている云々という話は、この場合は全く通らないわけですよ。一般的な三十四条法人というだけでも行政が認可をしているのですから、民間で勝手にやっているという理屈は通らないのです。今回の場合は、老人福祉法に、法律で位置づけられている公益法人なんですよ。民間で勝手にやっていて、自主的によりよくするためにやっているのだから内側でやればいいという話じゃなくて、法律で公に位置づけられている、まさに公益性の高い施設だということをお忘れになっているのじゃないか。  それから、あっせんを公平にやっているということが調査の結果わかりましたと言っていますけれども、どうやって調査したら公平にやっていたということが確認できたのかということを、どういう手段でやったのかということを教えてください。簡単で結構です。
  152. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 今回、実は、そういう投書と申しますか意見が出まして、先生先ほどお挙げになりましたように、有料老人ホーム協会の役員の施設に非常に偏った紹介がなされているのではないかというようなお話でございましたので、私ども、一応、原票も含めまして、全部ではありませんけれども、抽出をしましてチェックいたしました結果、これも何をもってあれするかということにはなりますけれども理事のやっておられる施設に紹介率がえらく高いというような実態にはございませんでしたということを確認したということでございます。
  153. 枝野幸男

    ○枝野委員 まず、いろいろなことが言えるのですね。その場合は、そもそもデータは向こうが任意で出してきたものでしょうから、そのデータ自体が正しいものなのかどうか。それから、実際に公平だったということについて、今、結論だけおっしゃられても、その具体的な中身をお示しいただけるのかどうか、これがわからない。むしろ、公平だったのかどうかというのは、ほかにチェックすべきところがあるのではないでしょうか。  例えば、あっせんの担当者はだれがどうやって選んで、どういう人がやっていたのですか。その人は、本当に日本じゅうの有料老人ホームについての情報が全部頭に入っていたのですか。入っていないのだとすれば、何らかのマニュアルがあって、ここについてはいいとか悪いとかという、ちゃんとした基準のある紹介の、あっせんのための一覧表とか、そういったものでもつくっていたのですか。そういったものがあったのですか。それとも、そういったものなしで、あっせん担当者の判断で、その人の頭の中に入っていて、適当に、そのときたまたま、あるいはぱらぱらとめくったもので何となく目についたところをあっせんしていたのですか。そういったところは調べられたのですか。
  154. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 客観的な物差しでどうかというところにつきまして、先生おっしゃるとおりのところまで調べることができるかどうかという点は残りますし、それから、その職員をどのような基準で選任をしているかというようなことにつきましては、基本的には協会の判断にゆだねております。したがって、私どもで、協会でそういうことに当たられた職員をどういう基準で選んだかというところまでの規制はいたしておりません。これは正直なところ、そうでございます。  しかし、今の、紹介する選び方のいわば客観性という点につきましては、この有料老人ホーム協会自身が「協会通信」という形で出しております、いわば広報をいたしておりますが、その中で、選び方として、加盟ホームの中から一つのみのホームの紹介はせず複数のホームを紹介をする、できる範囲での資料・情報提供に努めるが最終決定には関与しない、複数ホームの見学あるいは体験入居を必ず勧める、それから、会員ホームの差別をしないというようなことを方針としているということをいわばその中で宣言をしております。  したがって、その宣言どおりにやられているかどうかが問題ではありますけれども、少なくともそういう姿勢で臨んでいるということは、協会として天下に明らかにしているという意味では、そういう姿勢ではあるということは一応言えるのではないかというふうに思います。
  155. 枝野幸男

    ○枝野委員 水かけ論になりますから時間がもったいないので、もう一つ、この紹介問題について。  この紹介あるいは問い合わせをかけてきた人たちに対して、この協会が、「輝・友の会ご案内」というのがあるのですけれども、この友の会に入っていただけるとコンスタントにどういう有料老人ホームがいいのだとかそういった情報をお流しします、ぜひお入りになりませんかといって、まさか金は取っていないよね、実費だけだよねと思ったら、年会費二千円取っている。この手のもの、公益ですよね。まさにそうやって問い合わせをしてきた人に対してきちんとした情報を差し上げて、将来の入居者に不利益にならないようにということでわざわざ公益法人でつくっているわけですよ。実費を取るならわかりますよ。会費で二千円取っている。評価については結構です。この事実を御存じでしたか。
  156. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 私自身は、実は先生のお尋ねがありまして初めて調べて知りました。これが正直なところです。  ただ、組織としては、当然、有料老人ホーム協会としてやっていたことでございますから、承知をしていたと思います。
  157. 枝野幸男

    ○枝野委員 時間がありませんので、もう一つ。  いろいろなところでこの協会は問題があるのですが、有料老人ホームが会員になって会費を払うわけです。この会費の決め方は、基本会費があって、そのほかに加算会費といって、複数ホームを抱えたら、一ホームふえるごとに、年会費だったと思いますが、基本会費二十万円に、二つになったらさらに二万円加算、さらにベッド数と部屋数に応じた加算の会費というのがつくわけです。  これは、評価はいろいろあるのだろうと思いますよ。評価はいろいろ分かれるのだろうと思いますが、基本的には、まあ何事も経済のコストですから、一部屋当たり、一ベッド当たりの負担の会費というものはベッド数が多いところほど割安になるという理屈が基本的にあるのはわかります。そういうことにしているのです。  ところが、厚生省からお渡しをいただいたこの協会会費の一覧表を見ると、部屋数・ベッド数が十から三十の事業者の加算会費は四万円なんです。ということは、部屋プラスベッドで単位にするようなんですが、十の規模のところについては一単位当たり四千円プラスされるということになるわけです。ところが、例えば千六百一から二千という部分のところについては百七十二万六千円なんです。これは、私は計算が苦手なんで、単純に割りやすい二千のところで計算をすると、一単位当たり八百六十三円、五倍近い四倍違うのです。  規模の大きいところだから一単位当たりを割引にしましょうという理屈はよくあります。一個で買うよりも十個で買った方が一個当たりの単価は一〇%ぐらい安くなって、物を売るときの基本です。幾ら何でも、規模に応じて負担をしてもらいましょうという話について、ここまで差がある話というのが果たして公平なのかどうかという問題点はあるのですが、結論だけ答えてください。こうした問題点があるという、あるいはこうした問題点指摘されているという認識はお持ちですか。
  158. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 お答えします。  事実の問題といたしまして、先ほどのいわゆる紹介が偏っていないかということと同じ方々から、こういう点についての指摘をいただきました。したがいまして、私どもとしてもそれなりの問題意識を持って検討いたしましたけれども、やり方としては、これはやはり法人という、自主的にできた法人、指定法人といえども法人で、その会費をどういうふうに決めるかというときに、完全にそれはベッド数との相関で決めるものもありましょうし、社団法人だからそれぞれ一人頭の会費ということを、施設当たりの会費ということを重視する考え方もありましょうし、そのいわば両方の組み合わせという形でこういうやり方もありましょうし、そのこと自体が、個人としての見解はあったにせよ、厚生省として、そのやり方はおかしいというふうに言うところまでいく話ではなかろうという認識をいたしました。
  159. 枝野幸男

    ○枝野委員 もっともっといろいろと問題点指摘するところはたくさんあるのですが、時間がなくなってきているので、さらに質問主意書等で細かいところをお尋ねしていこうと思います。  そこで、大臣、今までのお話も十分お聞きいただいていると思います。私は、こういう話だと思うのです。  私は、この協会そのものの位置づけ自体に無理があるのだと。つまり、この協会そのものは、事業者、サービス提供者に、自分たちでお金と労力を出し合ってくださいといってできている協会です。事業者の団体です。事業者の団体に、あなたたちが責任を持ってユーザーのための施策をしなさいということを法律で位置づけているわけです。確かに、例えばタクシーの事業者の団体で、サービス向上のために実際に効果を上げている部分があるとかというのは、我々、実感としてもわかります。だけれども、公の抱える制度として、まさにユーザーから見て提供者がしっかりしてもらわなければならない。そのしっかりしてもらわなければならないという部分の仕事を、当事者に団体をつくらせて、そこに法的な位置づけを与えて、おまえら自分たちでしっかりしなさいと。それで、そこでしっかりやっているならともかくとして、今回のようないろいろな問題も出てきているし、そして今の御答弁のように、それじゃしっかり監督していたのかという話になると、法的には民法法人ですから、そんなに手とり足とりの規制もできない。  この仕組み自体、私は、そもそも自己矛盾なんじゃないか。民間にお任せするのだったら、法律なんかで位置づけたりしないで、事業者が集まって自分たちの業界がよくなるためにやっていただくのは、それは独自に全く自主的にやってください、そして、例えばどうしても有料老人ホームについていろいろと行政としてしっかりやってもらわなければならない部分があるとすれば、行政の内側でしっかり位置づけるか、あるいは法律などでしっかりと基準を整備して、違反をしたら罰則がありますよとかという形でしっかり守らせるとか、そういう形でやっていかないと、またここで、今回の場合は天下りとかがこの協会、幸か不幸かないようですけれども、天下りとか利権とか、そんなことが疑われるような話にもこういった公益法人はあり得る、結びつき得るわけです。そういった意味では、例の医療食協会なんかの話と似たような側面があるのじゃないか。  ぜひ、ここのところについて、大臣に十分御検討いただいて、見直しを進めていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  160. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 規制緩和の流れの中で、消費者保護をどういうふうに図っていくか。何でも役所が有料老人ホーム協会に対して口出しすべきではないという考えもありますが、入居者からしてみると、こういう協会があるのは安心なんだという安心感を持っていると思います。  しかし、そういう中で、今、協会の加盟のホームでも御指摘のようにいろいろ問題があるようでありますので、今後、この有料老人ホーム協会と実際の入居者保護についてどういう措置がいいのか、幅広い検討をさせていただきたいと思います。
  161. 枝野幸男

    ○枝野委員 ぜひ、大臣の英断で検討を前向きに進めていただきたいと思います。  残り時間が少ないのですが、各委員会で、本日、私どもの党、やらせていただいております諌早湾の干拓問題について、国務大臣としての小泉大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。  農林省においでいただいていると思いますが、一問だけ簡単に答えてください。この諫早湾の干拓事業にも、例によって財投の金、郵便局で集めた金が流れていますね。
  162. 江頭輝

    ○江頭説明員 平成七年度決算ベースまでの諌早湾干拓事業におきます財投資金は、約二百三十九億円であります。
  163. 枝野幸男

    ○枝野委員 大臣、御承知のとおり、私ども党を挙げてこの諌早湾の干拓問題を取り上げています。私どもは、ムツゴロウも物すごく大事な話ですけれども、ムツゴロウの命を救えということでこの干拓をとめろと言っているわけではありません。ムツゴロウも一つの要素である。そして、私どもは今の段階でとめろという主張をしていません。とにかく、このまま進んでしまったら、環境が死滅して後戻りできないところに行ってしまうので、一度水を入れ直して、時間をかけて少し検討し直しませんか。四十年かけて検討しているのですから、半年、一年おくれたからといって致命的な話になる話ではない。  むしろ、本質的な問題は何なのかといったら、ムツゴロウを殺してしまって、環境を大きく変えるようなことをしながら、そして、今まさに大臣も関心事項の一つである、例えば郵便局でたくさん集めた金がこういったところに流れていって、もちろん税金も流れていっている、それで、私たちの役に立つ部分があって、プラス・マイナスがあるのだから、マイナス部分でムツゴロウかわいそうだけれどもというのだったら、それはいろいろな政策判断はあるかもしれない。しかし、本当にここは干拓が必要なのか。実際に、目的は干拓なのか防災なのかというところあたりも、どうも混乱をしている部分もあるようであります。  ぜひ小泉厚生大臣に、国務大臣として、私は今すぐ事業自体をとめろと言うつもりはありません。まずは水を入れて、後戻りができる可能性のある状況に戻して、その上で少しきちんと今のあたりを検討する時間をつくりませんかという提言をさせていただいているわけです。この点、小泉大臣、どういう御認識をお持ちでしょうか。
  164. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 公共事業のあり方を厳しく見直すということは必要だと思います。そして、この諫早湾の干拓の事業についても、私は地元の問題もあると思います。地元の意見をよく聞くことが必要だと思います。地元が、干拓も必要だ、防災も必要だ、また事実、水害に遭って大変困っているという実情もあるようであります。  私は、まず、地元が真に望んでいるのか地元とよく相談することが先だと思う。私は、実際そこに行ったことはありませんが、公共事業をよく見直すという問題もありますが、この問題、地元が一番切実に感じていると思うのです。まず地元と相談していただきたい、それからだと思います。
  165. 枝野幸男

    ○枝野委員 もう一点だけ。まさにそういったことも含めてだと思っています。地元とも相談をさせていただく。地元が防災、水害防止を望んでおられるというのはかなりの意向があるようだと私どもも認識しています。とすると、今回の干拓がその防災目的に役に立つのかどうかという、実はデータもはっきりと示されていないのではないかという問題点もまた出てくると思います。そうしたことをしっかりと検証するために、時間が必要ではないですか。このままだと、間違いなく環境破壊という部分については確定をしてしまう。  それで、我々は、その検討する時間のために、一たん水を入れて、水を入れてまた水門を閉じれば前の状況に一カ月か一カ月半で戻るわけです。逆に、今、水を入れておかないと、後で一年ぐらいたってやはり要らないねという話になったときに戻れないということになる。何とか一度水を入れて、原状回復の可能な状況にして検討しましょうよということを、我が党の渡辺周議員の名前で質問主意書を出させていただいています。  御承知のとおり、質問主意書は閣議決定であります。ぜひ、それに対する答えが閣議で議論になりますときには、まさに今の大臣の認識と私どもの主張というのはそんなにずれていないと思います。その地元の声も聞きながら、しっかりやるならやるということを、しっかりと共通認識を持てるような議論をするための時間をとるために、一たん水を入れてくださいということに対しては、ぜひ閣議で、質問主意書の答弁は閣議で全会一致が必要なわけですから、大臣にそういった主張をしていただけないだろうかということをお尋ねさせていただきたいと思います。
  166. 町村信孝

    町村委員長 介護保険とムツゴロウとどういう関係があるかわかりませんが、小泉厚生大臣。
  167. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 私も、つい最近この諌早湾干拓の問題ということを知ったわけで、この水門を閉じればどうなるかというのは、専門的な知識を持っておりません。今聞くところによりますと、水門を締めることになると、かえって地元が困るという声も強いと聞いております。その点について、私は正確な判断できません。  ですから、これは、まず一番よく知っているのは地元の方だ。地元の議会、地元の住民、どう判断しているのか。賛否両論というよりも、むしろ今聞いたところによると、地元はもう何とかこれを進めてくれという声が強いとも聞いております。その辺どうなのか、私は実際わかりませんから、それをよく調査していただいて、その結果を見てから判断させていただきたいと思います。
  168. 枝野幸男

    ○枝野委員 時間ですので終わりますが、今の点、ぜひ大臣の、国務大臣としての、あるいは政治家としての判断を期待を申し上げたいと思います。  ありがとうございました。
  169. 町村信孝

    町村委員長 この際、石毛鍈子さんから関連質疑の申し出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。石毛鍈子さん。
  170. 石毛えい子

    ○石毛委員 民主党の石毛でございます。  介護保険につきまして、まだ質問させていただいていない内容について、残り、いただきました十五分ぐらいの間に質問を続けさせていただきたいと思います。  まず最初に、介護サービスの全般の供給体制と申しますか、供給システムと申してよろしいのでしょうか、これから先、制度施行されますと、営利、非営利いろいろな事業者が地域に登場することになります。サービスの総量がふえていくということは望ましいことだと思いますが、サービスの種類あるいはさまざまな供給主体の間でアンバランスが起こってくるのではないかというようなことが予測されます。そうした状況を、介護保険保険者は市区町村でありますから、市区町村がきちんと把握して、そして調整できるようにすることが大変大事な点かと思います。  この点については若干以前にも指摘させていただきましたけれども、ここでもう一度、これから先、第三セクターを含めた情報センターのような機能を各基礎自治体でつくっていく必要があるというふうに考えます。この点につきまして、厚生省のお考えをもう一度お伺いさせてください。
  171. 江利川毅

    ○江利川政府委員 介護保険サービス供給主体の事業に関する情報提供につきましては、いろいろなレベルで行われることが望まれると思います。  事業者を指定する都道府県におきましては、その際に得た情報があるわけでございますし、保険者である市町村は、その立場で、都道府県の持っておる情報も含めて情報提供ができるわけでございますし、また事業者は、みずから自分らがどういう事業をやっているかを提示する、そしてまだそういう情報を介護支援専門員も持って、要介護者に対して情報提供を行うというさまざまなレベルがあるのではないかと思います。  そういうことでございますので、第三セクターであるとか情報センターであるとか、固定的なそのための機能を持つ何か組織というものができなければいけないのかどうかということについては、そういうケースもあるでしょうし、違ったやり方もあるのではないか。  いずれにしましても、先生の御趣旨は、十分な情報が、総合的な情報が提供されるようにすることではないかということだと思います。それは、最初に申し上げましたのは、さまざまな立場で十分な情報提供が行われるように、運営の問題でありますが、私どもとしてもできる努力をしていくことではないかというふうに思っております。
  172. 石毛えい子

    ○石毛委員 時間がございませんので、少し議論をさせていただきたいと思う気持ちもございますけれども、先に進みたいと思います。  このいろいろなサービスの種類あるいはいろいろな供給主体がこれから先登場してくるということに関連しまして、これから先、地域ですとかあるいは基礎自治体でのサービス提供がスムーズにいっているかどうか、今審議官は、センターをハードとしてとらえるか、あるいはソフトとしてとらえるかの違いはあるかもしれないけれどもとおっしゃいました。いずれにしましても、そういうさまざまなサービスが登場してくる、そのことの意味ということを考えていきますときに、やはりこれから介護保険の実施主体となります基礎自治体が、今度の介護保険では一番重要、一番といいますか、とても重要な意味を持ちますのはケアプランの策定ということでございますので、ケアプランの策定事業など、市区町村も積極的にこれを実施していくように確保していく、そういう体制をとっていくということが必要であるというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。  ちょうど、いろいろな自治体でいろいろなサービスが出てくるとき、例えが適切かどうかと思いますが、アンテナショップとして基礎自治体が事業を行っていると、非常に判断がしやすくなるし、情報の交流もスムーズにいく、こういう意味合いを含めて申し上げているわけですけれども、いかがでしょうか。
  173. 江利川毅

    ○江利川政府委員 このようなサービスにつきましては、公的な主体がやるケースも民間がやるケースもあるわけでございます。そしてまた、その地域において、民間ベースであって、あるいは半公的というのでしょうか、そういうものであって十分な事業が行われているときに、過剰にであっても、例えば市町村がそこに入っていくということまで必要かどうかということについては、地域ごとに議論があるかもしれません。ただ、この事業が円滑に進むためには、市町村の関係者、担当者、そういう人たちがいろいろな経験あるいは情報の蓄積、そういうものを持つことが全体の制度運営にプラスの効果があることは間違いないというふうに思います。  そういう意味合いで、いわゆる義務づけるということではございませんけれども市町村がそういうことに、おっしゃいましたようなケアプランの作成事業等に取り組んでいく、そういうことがあっても、それは先ほど申し上げたような経験を積み上げるという意味で有意義ではないかというふうに思うわけでございます。
  174. 石毛えい子

    ○石毛委員 今、公的介護保険制度議論をしております市町村、とりわけ小さな規模町村では、要介護認定ができるかどうかというようなこと、あるいはケアプランは事業者が策定するということがございますけれども、そうした事業者の登場が待てないような地域では、基礎自治体でケアプランをどうしたらいいかというようなところで、さまざまな悩みを現実に自治体は抱えているというふうに思います。  今、審議官は、必要性は認識するけれども義務づけることではないというふうにお答えになりました。私も義務づけるというふうに申し上げたわけではありませんけれども、これは都道府県に委託できるというような方向ももちろんあるわけですけれども、せっかくこれから基礎自治体が介護サービス提供に対して介護保険事業計画をつくって進めていくわけですから、その中で基礎自治体が積極的にケアプラン策定事業などにかかわれるような体制を、ぜひその方向でお考えいただきたいと思います。  これは審議官の回答を伺いましての私の要望ですので、次の質問に移らせていただきます。  これまで、多分、この委員会で、介護施設に入所をした場合の保険外負担はどのようにとらえられているのかという議論はされていなかったような記憶がございます、もしかしたらあるかもしれませんけれども。医療の場合には、保険外負担が随分利用者の方たちに重いということで、これまで大きな課題になってきたわけでございますけれども介護保険の場合、私は、施設入所の場合に保険外負担基本的にあるべきではないというふうに考えておりますけれども、この点は制度の中ではどのように考えられていますでしょうか。
  175. 江利川毅

    ○江利川政府委員 例えば、特別養護老人ホームに入ったときの利用者負担というふうに考えますと、これは給付に要する費用の一割が負担になります。それから、食事に係る費用につきましても、定額の負担というものがあります。それに、日常生活に要する費用、こういうものがあるわけでございまして、今申し上げたものが基本的に自己負担というのでしょうか、自分の負担になるものでございます。  施設が行うサービスのうち保険給付として行われるものについては一割負担ということでありますが、それとは別に付加的にあるいは選択的にもし利用するものがあるというようなケース、これは当然、義務的に受けるのではなくて、利用者に対する十分な情報の提供があって、利用者がみずから付加的にそのサービスを選択する、普通の人はそういうサービスを受けないのだけれども、私だけは特別に選択をする、そういうものにつきまして、これは介護保険の給付の範囲の外になるわけでございますので、その部分は御本人が利用料を負担する、そういうことになろうかと思います。  いわゆる必要なサービス、保険給付として必要な部分につきましては、これは一割負担ということで、追加的なサービスはございませんが、全くそれとは別に個人的になお付加的なサービスを要求する、そういうものを要求しなくても十分な生活ができるわけでありますが要求する、そういうような場合には、その分については利用料を別途負担していただくということになろうかと思います。
  176. 石毛えい子

    ○石毛委員 実際に制度がスタートした場合に、保険給付の中で提供されるサービスの質、量がどのくらいの水準になり、そこから選択的サービスがどうなるか、ここのラインの引き方によって、その選択的サービス、保険外負担の持つ意味がとても違ってきてしまうというおそれはあると思いますので、ぜひ保険給付でなされるサービスが、生活レベルといいましょうか、スタンダードを満たすものであってというところを、これも要望になりますけれども、申し上げておきたいと思います。  申しわけございません。ちょっと時間が超過をしてしまいますけれども、お許しください。もう一つ質問をお願いいたします。  繰り返しになりますけれども介護保険制度の運営というのは市区町村の責任で行われていくのは当然のことでございますけれども、この市区町村が、介護保険の事務全般それから基盤整備、あるいはサービス供給体制の保障、何度も触れてきておりますけれども、事業者情報の開示等々に対して十分な役割が果たせますように、必要な財政はきちっと講じて、この制度が円滑に運営されるようにということで体制をつくっていくことが肝心だと考えますけれども、最後に、総括的に大臣の御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  177. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 介護保険事業の運営主体は市町村でありますので、その市町村は今後大変大きな役割を担っていくと思います。その役割を果たすために、円滑な財政措置というのは国としてもきちんと考えていかなければならないと思います。
  178. 石毛えい子

    ○石毛委員 ありがとうございました。終わります。
  179. 町村信孝

    町村委員長 児玉健次君。
  180. 児玉健次

    ○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  行き届いた公的介護制度を実現してほしい、これは広範な国民の願いです。今、政府が提出されている介護保険法案国民の願いにどのように近づけていくか、そういう重要な課題に私たちは直面しております。私は、幾つか具体的に提起をしたいので、なるべく大臣のお答えをいただきたい。  その第一は、この介護保険法案に対して国民が抱いている最大の不安、繰り返しこれまで議論がされてきましたけれども、それは、保険あって介護なし、こういうことになりはしないかという点に尽きます。  先日の委員会の審議で私たちの瀬古議員が明らかにしたわけですが、在宅介護中心となるホームヘルパー、ゴールドプランでは十七万人という目標が設定されています。常勤三割、非常勤七割、九五年度で九万五千五百七十八人が名前は連ねられている。そして、もしこのままで推移していけば、たとえ十七万人の目標が達成されたとしても、週三回の訪問を四十五万人前後の方にしか行うことができない。そして、とりわけ過疎地域ではどうか。厚生省過疎地域における人材の確保、正直なかなか頭の痛いところであることは事実でございますと二月二十八日の委員会で率直にお認めになった。  施設介護中心である特別養護老人ホームはどうか。私たちの調査で、おおむね去年の段階ですが、全国の待機者が七万六千六百五十人。二十九万人の目標を達成したとしても、恐らく二万人の待機者が残る。大臣、東京では、待機者の数がこの十一年間で二千九十五人から一万二千九百八人、六倍になっています。加速しているのです。それはやはり、介護に対する国民の関心と期待が強くなっているからですね。私は、これはいいことだと思う。この加速を考えれば、二〇〇〇年の四月に介護保険がもし発足するとすれば、そのときの待機者は二万人を大きく上回るでしょう。ここをどうするか。  小泉大臣は、二月二十一日の委員会で、私に対する答弁ですが、「現状をしっかりと把握するということは重要なことであります。」こうおっしゃった。まさにそうだと思うのです。その立場で、このゴールドプランの中で、計画がもし達成されたとしても、介護についての国民のニーズにこたえられないことが明らかな部分については大胆に見直す、そして、ケアハウスその他、進捗度が大幅におくれている部分については、それぞれ理由があるわけですから、それに対する国の指導と財政的な支援を思い切って強化する、そのことが今必要ではないかと思うのですが、大臣のお考えを聞きたいのです。
  181. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 なぜ介護保険導入する必要があるか。これは、介護を必要とする人たちが二百万人を超えて、これから毎年十万人増加する、このままもう放置できないという声にこたえて、多くの関係者、議員の皆さんが、早くこの介護保険制度を創設しようということで、昨年来鋭意御努力をいただき、ようやくこの法案を審議いただける状況が整ってきたわけであります。  もとより、直ちに望むような制度が実施されるかというと、多々問題があるのは承知しております。しかしながら、平成十二年度導入に向けてこの法案を成立させていただいて、所要の基盤整備を進めていこうということで今努力しているわけですから、国民が一番心配している、保険あってサービスなしというような状況がないように、今後、我々としては最善の努力を尽くしたい。  私は、目標を設定して、その目標に向けてみんなが努力していくということについて、それぞれ不安がありますけれども、日本の国民というのは、目標を設定して、それに向けて走り出すと、その目標に向かって大変うまい行き方をする民族だと思っております。医療保険においても、保険あってお医者さんがいないという状況が、現在ではむしろお医者さんが過剰時代になっている。長生きをしたい、長生きできる社会にしようとすると、これまた世界一長生きできる社会になった。そういう中で、一つの目標を達しますと、今、長生きできてもこういうふうに寝たきりの方が多い状況をどうしようかということで、介護保険制度導入やらあるいは寝たきり老人ゼロ作戦を展開している。  介護保険制度導入して、このまま寝たきり老人なり介護を要する方がどんどんふえていくという状況も確かにありますが、同時に、この寝たきり老人ゼロ作戦、これを、積極的に啓蒙活動なり国民のいろいろな知恵をかりて、まず、介護を要する方がふえた場合にその対応をどうするかと同時に、それでは、どうせ長生きするのだったらば、寝たきりにならないで最後までどうやって元気で生きるかという方法も、これから同時並行して考えていく必要がある。  そういうことによって、私は、今まで考えられなかったような福祉社会が実現する可能性があるのじゃないか、その可能性を秘めた制度である。当初は不備な点はたくさん予想されますが、私は、まずこの状況を一歩でも二歩でも改善していこうという努力から、この介護保険制度を早く成立させて、平成十二年度に円滑な実施ができるような所要の基盤整備を進めていきたい、そういうことによって、もしまた不備な点があったらばいろいろ改善していきたいということが大事ではないかと考えております。
  182. 児玉健次

    ○児玉委員 厚生省が努力をしていらっしゃらないとは私は言わない。いろいろ御努力はなさっていますよ。それで、国民が国として可能な限りの努力をしたということを理解すれば、もしかしたら、制度発足時に、さらにあれこれの困難が前進的に解決に向かうかもしれない。私はやはり、今度の介護法案の中に、基盤を整備していくということについては国の責務を明らかにする言葉をはっきり挿入すべきだと思うのですね。いかがです。
  183. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 今回の介護保険を制定するに当たりまして、その基盤になる介護施設あるいは在宅サービスを整えていかなければならないということが非常に大事であるということは、おっしゃるとおりでございます。その点でいえば、まさにそれに向けての準備として、それぞれの市町村あるいは都道府県において地域のニーズをしっかり把握する中でできております今の老人保健福祉計画、これがまだ十分達成されていない地区もあるわけでございますから、こういったものをまずきちっと整備していく。そうした中で、介護保険制定後の基盤整備というものをきっちりニーズを把握して、その中には、もちろんその前提として、寝たきり老人ゼロ作戦というようなことでできるだけ寝たきりを減らすというようなこと、さらには、今、施設事業に向かっているものにつきましても、在宅サービスをきちっと整えることによってそれはむしろ在宅で受けとめるべきニーズになっていくというようなことをも含めて、新しい介護保険制度体制下におけるサービス体制というものを把握して、その上に立って、第二弾的に介護保険制度発足後に介護保険事業計画というものをつくってやっていくということが大事だというふうに思います。  その介護保険事業計画につきましては、今回の介護保険法案の中にきっちり位置づけまして、介護保険事業計画をつくるに当たってのいわば指針というようなものについては国としてもきちっと示すという体系になっているわけでありますから、そういう意味で、私どもとしても、国としてのこういったことへの取り組みということにつきましては、今度の新しい保険におきましてもそういうことを姿勢として示しておるというふうに考えておるところでございます。
  184. 児玉健次

    ○児玉委員 今おっしゃったのは、先ほど小泉大臣がお答えになったことを二度繰り返しているだけですよ。答弁のときに、なるべく問うていることにすぱっと答えていただきたい。  それで、次に、公的介護制度介護を必要とするすべての国民を対象にする、これが私は世界の流れだと思いますね。この流れを、日本でもせっかくこうやって介護制度をつくろうという機運が国民の中で盛り上がっているわけですから、確かなものにしていく必要があるのだろうと思う。  筋萎縮性側索硬化症、ALSの方々が前回の委員会傍聴に見えていましたね。法案第一条に、「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等」と、この「等」というのは何のことを指しているのですか。
  185. 江利川毅

    ○江利川政府委員 加齢に伴う心身の変化に起因する疾病、それ以外の理由で要介護になる、そういうことを言っているものでございます。「等」とはそれ以外のものということです。
  186. 児玉健次

    ○児玉委員 全くそうでなければいけないと思いますね、疾病、それ以外のものと。  それで、その疾病、それ以外のもの、例えばどんなものをあなたは例示なさいますか。
  187. 江利川毅

    ○江利川政府委員 六十五歳以上の方は、要介護状態であるということが認定されますと、介護サービス給付が提供されるわけであります。そういう六十五歳以上の人でいえば、そういう疾病以外に、例えば事故であるとかその他の理由でこういう要介護状態になっているものすべてを含むわけでございます。
  188. 児玉健次

    ○児玉委員 そのとき、この法律は、「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、」云々というふうに出していますね。六十五歳とわざわざ無理やり線を引くのはなぜですか。
  189. 江利川毅

    ○江利川政府委員 この第一条の書き方は、一号被保険者と二号被保険者に共通する給付事由は何かということで書いてあるわけでございます。二号被保険者につきましては、「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態」になるのが給付事由になっている、そして、六十五歳以上の人は、そういう原因を問わずすべてなっているということでございます。  今回の法律におきましては、六十五歳以上の人は、介護高齢者の加齢に伴って実際上多く発生しているわけでございますので、そういう状況のものをまず対象として、そういうものに対するサービス考え、そして、同じような状態が年若くして起こったような場合にはそれを対象にするということで、二号被保険者はそういうものになっているわけでございます。  なお、二号被保険者保険料負担は、本人の要介護リスクに備えるということだけではなくて、その人たちの親の世代の方も要介護状態になるだろうという意味で、世代間扶養的な意味合いも含めた負担をお願いしているということになっております。
  190. 児玉健次

    ○児玉委員 一号被保険者というのは六十五歳以上ですから、そのことをくどくどしく繰り返す必要はないのです。問題は、「加齢に伴って生ずる心身の変化」という場合に、これはあなたたちが非常に限定的に言っている、「加齢に伴って」とわざわざ限定する意味は、六十五歳以下に及ばなければ意味がない、そうではないですか。
  191. 江利川毅

    ○江利川政府委員 「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病」というのは、もちろん六十五歳未満の方でもそういう疾病があると思いますし、六十五歳を超えても加齢に伴って生ずる疾病があるわけでございます。そういう意味で、一号被保険者にも二号被保険者にも共通の事由というものが「目的」に書かれているということであります。
  192. 児玉健次

    ○児玉委員 ですから、先ほど、もし私の聞き違いでなければ、「等」ということ、すなわち疾病以外の障害を有する状態、それをわざわざ六十五歳以上に限定してあなたはお答えになったと思うけれども、それは今の答弁と食い違いませんか。
  193. 江利川毅

    ○江利川政府委員 この法律の給付内容に則して申し上げたわけでございます。
  194. 児玉健次

    ○児玉委員 そこのところは一番新しい答弁で、私ははっきりさせておきたいと思うのですね。  それで、結局、こういう議論をしなければいけないというのは、わざわざ「加齢に伴って生ずる心身の変化」という狭いカテゴリーを設定しているからそうなるので、先ほど言いましたように、介護を必要とするすべての皆さん方、一応今度提起されている介護保険法案は四十歳以上という大枠を持っていらっしゃるから、とりあえず私たちはその大枠については認めようと思うのです。四十歳以上というところに関していえば、今の「等」についてのやりとりからも明らかなように、わざわざこのように述べる必要はない。例えば、第四条の一項の「加齢に伴って生ずる心身の変化」という言葉を「心身の状態」と置きかえることによって事態が相当変わりますね。どうですか。
  195. 江利川毅

    ○江利川政府委員 大変恐縮でございますが、ちょっと御指摘趣旨がわかりにくいのですけれども、「心身の変化」を「心身の状態」と読みかえると違いがあるというふうに御指摘の、言わんとする意味がよくわかりにくいのでございますが。
  196. 児玉健次

    ○児玉委員 要は、第一条の「加齢に伴って」云々というところを削除して、そして立法上の補いをつけるとすれば、先ほどの言葉でちょうどおさまるのです。さらに補足すれば、削除すればいいのですよ。どうですか。
  197. 江利川毅

    ○江利川政府委員 目的規定の代表的な事例は、一号被保険者、二号被保険者に共通する、法律の、現実に給付する、後の方の構成の、共通するサービスを書いたものでございます。  これを書き直す、修正するということにつきましては、この法律の附則に検討規定があるわけでございまして、この制度の全体をまた見直すということもあるわけでございます。その中で、例えば二号被保険者についての給付の範囲を変える、検討の結果そうなりましたら、当然、この法律の本体の方の中身が変わってくるわけであります。その中身が変わりましたときに、この「目的」を修正することが適当ではないかというふうに思っております。
  198. 児玉健次

    ○児玉委員 問題は今後にゆだねましょう。  それで、次の問題なんですが、高齢者、経済的弱者が介護給付から排除されたのでは、公的介護制度の根幹が崩れてしまうと私は思います。現行の特別養護老人ホーム、ここで、費用徴収基準において月額四万七千円より徴収額が低い入所者は全体の入所者の何%になるでしょうか。
  199. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 端的にお答えをしないでまたおしかりをいただくかもわかりませんが、ちょっと条件がついておりますので、少しあれさせていただきます。  実は、今四万七千円未満になっている方々の割合は、平成七年の四月現在で、とりあえずは七五%ということになるのでございます。しかし、これは、現行の措置における費用徴収制度は、御案内のとおり、このほかにも扶養者に負担していただく仕組みになっております。したがいまして、全体の負担としていえば、介護保険下での本人負担との比較というのは、ストレートにはちょっと比較をしにくいという点を留保しなければならないという点がございますことをお断りした上でお答えを申し上げたいと存じます。
  200. 児玉健次

    ○児玉委員 皆さんからお聞きしたところによれば、今度の介護保険法案においては、特別養護老人ホームの場合に、厚生大臣が定める基準により算定した額の百分の十、それが二万四千円になりますか、それから、食事提供費から食費の標準負担額を控除した額、七百六十円掛ける三十日、二万二千八百円、合わせて四万六千八百円、間違いありませんか。
  201. 江利川毅

    ○江利川政府委員 施設介護サービス水準は、正式には介護報酬というのを定めて決めるわけでございます。現在の特別養護老人ホームの費用の実態等勘案して、一つの推計というのでしょうか、大きくは変わらないと思いますが、それで示しているのは大体おっしゃるような数字でございます。
  202. 児玉健次

    ○児玉委員 八十人が入所しているある特別養護老人ホームで、これは昨年の九月一日の数字なんですけれども、現在徴収されている金額を区分しているのですが、全く必要のないゼロから千六百円の方が十一人、一万五千円から二万八千三百円が二十四人、月額です。少なくともこの三十五人の方にとっては、今、江利用審議官お話だと、大まかな現在の段階での見通しですが、仮にそうなっていくとすると大幅な負担増になりますね。ゼロの方にとっては四万六千八百円が全く新たな負担だし、そして、月額千六百円の方にとってはこれはもう約四万五千円の負担です。そうなってくると、経済的に困難な方々にとってこの負担増は過酷ではないか、そう考えるのですが、いかがです。
  203. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 今回の介護保険導入によりまして、全体的に受益に応じた御負担をいただくという考え方をとりますことによりまして、従来の特別養護老人ホームにおきます負担と形が変わってまいりますし、そのことによって負担の増減が入っておられる方によって出てくるというのは事実でございます。  そのことに配慮いたしまして、今事例にお挙げをいただきました、まさに現在入っておる方々につきましては、介護保険施行のときにおきまして、老人福祉法の措置によりまして現に入所しておられる方については、要介護認定でありますとかあるいは負担等に関しまして五年間は特別な措置を講ずるということにいたしておりますので、その際に、現在の負担水準というものを勘案しながら、急激な負担の増加とならないような配慮というのをその中でやっていくということをいたしたいというふうに考えておるところでございます。
  204. 児玉健次

    ○児玉委員 経過措置は当然なんですが、新しくその五年間の間に入っていく方がいらっしゃって、その人たちの経済的なステータスというのは今入っている方たちの困難と同じ方も随分いらっしゃるのだから、そこに対してあなたたちがどういう配慮をなさるかというのは、先日、山本議員の御質疑のときに私はお聞きをしましたけれども、まだ定かではありませんね。  それからもう一つ、ホームヘルパーの派遣の場合です。  現行では、生計を中心に支えている方が前年の所得税非課税であれば、一時間当たりの利用者負担額は無料です。介護保険の場合、どうなります。
  205. 江利川毅

    ○江利川政府委員 ホームヘルプサービスにつきましても、これもまた介護報酬というのを定めることになります。どのぐらいの程度のサービスを受けるかによって一人当たりの費用も変わるわけでありますが、その費用の一割を負担していただくということになります。
  206. 児玉健次

    ○児玉委員 その費用というのはどのくらいと見ていますか。
  207. 江利川毅

    ○江利川政府委員 要介護の申請をしますと、介護認定審査会で要介護の要否あるいは程度を判断するわけであります。そして、その人の要介護度のレベルに応じてこの介護保険での給付水準というのが決まるわけであります。そして、その人の利用するサービスは、ホームヘルパーだけではなくてショートステイを利用するとか、あるいは医学的管理を受けるとか、さまざまなものが組み合わされるわけでございます。  そのトータルの額につきましては、私どもが示している一つのモデル的な意味合いでの数字でございますが、虚弱のケースですと六万円ぐらいから、在宅の重度の場合ですと、一つの目安としてという意味で御理解いただきたいわけでございますが、二十九万円ぐらいまで、それが六段階ぐらいに分かれるのではないかということでこの制度の概要を説明しているところでございます。
  208. 児玉健次

    ○児玉委員 時間ですから終わりますけれども、ホームヘルプの場合、現行制度平成八年七月から適用、例えばAからGまでの段階がありますけれども、Gの段階は一時間当たり九百二十円、はっきりコストが入っていますね。今のお話では、どうもこの後どうなるかというのははっきりわかりにくい。  それで、この際、経済的に困難を抱える国民にとって、介護給付を受けるためには一つは利用料の徴収という壁が大きく立ちはだかってくる、しかもそれは、介護保険の設計を行う場合、必要経費全体からとりあえず一割を引くという形で、それこそ先日ここで議論した、ほとんどアプリオリに一割を差っ引いてしまう、ここのところは徴収を行わないということに設計し直すことで介護保険の様相というのは大きく変わる、私はこのことを述べて、あとは次回にゆだねます。  終わります。      ――――◇―――――
  209. 町村信孝

    町村委員長 次に、内閣提出参議院送付児童福祉法等の一部を改正する法律案議題とし、趣旨説明を聴取いたします。小泉厚生大臣。  児童福祉法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  210. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 ただいま議題となりました児童福祉法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。  児童福祉法は戦後間もない昭和二十二年に制定されましたが、近年、少子化の進行、夫婦共働き家庭の一般化、家庭や地域の子育て機能の低下、児童虐待の増加など児童や家庭を取り巻く環境は大きく変化しております。しかしながら、児童家庭福祉制度は、発足以来、その基本的枠組みは変わっておらず、保育需要の多様化や、児童をめぐる問題の複雑・多様化に適切に対応することが困難になっているなど、今日、制度と実態のそごが顕著になってきております。  今回の改正は、こうした変化等を踏まえ、児童の福祉を増進するため、子育てしやすい環境の整備を図るとともに、次代を担う児童の健全な成長と自立を支援するため、児童家庭福祉制度を再構築するものであります。  以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。  第一は、児童保育施策等の見直しであります。  まず、保育所について、市町村の措置による入所の仕組みを、保育所に関する情報の提供に基づき保護者が保育所を選択する仕組みに改めるとともに、保育料の負担方式について、現行の負担能力に応じた方式を、保育に要する費用及びこれを扶養義務者から徴収した場合における家計に与える影響を考慮した方式に改めることとしております。  次に、保育所は、地域の住民に対し、その保育に関し、情報提供を行うとともに、乳幼児等の保育に関する相談、助言を行うよう努めなければならないこととしております。  また、放課後児童健全育成事業を社会福祉事業として制度化し、その普及を図ることとしております。  第二は、児童の自立支援施策の充実であります。  まず、教護院について、家庭環境等の理由により生活指導等を要する児童も入所の対象とし、児童の自立を支援することを目的とする施設に改め、児童自立支援施設に改称するとともに、養護施設の目的として児童の自立支援を図ることを明確化し、児童養護施設に改称するなど、児童福祉施設の目的及び名称の見直しを図ることとしております。  次に、地域の相談支援体制を強化する観点から、保護を要する児童やその家庭に関する相談援助や指導、児童相談所等の関係機関との連絡調整を総合的に行うことを目的とする施設として児童家庭支援センターを創設することとしております。  また、児童相談所が施設入所措置等を行うに当たって、その専門性や客観性の向上等を図るため都道府県児童福祉審議会の意見を聞くこととするとともに、児童の意向等を聴取することとしております。  第三は、母子家庭施策の強化であります。  母子家庭の自立の促進や雇用の促進を図るため、母子寮について、入所者の自立の促進のための生活支援をその目的に加え、母子生活支援施設に改称するなどの改正を行うこととしております。  このほか、保育所の広域入所等を促進するため地方公共団体が連絡調整を図るべきこと、また、児童福祉関係者が連携しつつ、地域の実情に応じて積極的に児童や家庭の支援を図るべきこととしております。  最後に、この法律施行期日は、平成十年四月一日としております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  211. 町村信孝

    町村委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  次回は、来る二十一日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時五十一分散会      ――――◇―――――