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1997-04-04 第140回国会 衆議院 厚生委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月四日(金曜日)    午前九時開議 出席委員   委員長 町村 信孝君    理事 佐藤 剛男君 理事 住  博司君    理事 津島 雄二君 理事 長勢 甚遠君    理事 岡田 克也君 理事 山本 孝史君    理事 五島 正規君 理事 児玉 健次君       安倍 晋三君    伊吹 文明君       江渡 聡徳君    奥山 茂彦君       嘉数 知賢君    桜井 郁三君       下地 幹郎君    鈴木 俊一君       田村 憲久君    根本  匠君       能勢 和子君    桧田  仁君       松本  純君    山下 徳夫君       青山 二三君    井上 喜一君       大口 善徳君    鴨下 一郎君       坂口  力君    福島  豊君       桝屋 敬悟君    矢上 雅義君       吉田 幸弘君    米津 等史君       家西  悟君    石毛 鍈子君       枝野 幸男君    瀬古由起子君       中川 智子君    土屋 品子君       土肥 隆一君  出席政府委員         厚生政務次官  鈴木 俊一君  委員外出席者         参  考  人         (大阪守口市         長         全国市長会社会         文教分科会委員         長)      喜多 洋三君         参  考  人         (大阪枚方市         役所福祉保健部         兼高齢者福祉課         長)      上谷 好一君         参  考  人         (日本医師会副         会長)     糸氏 英吉君         参  考  人         (有料老人ホー         ム「グリーン東         京」社長)   滝上宗次郎君         参  考  人         (全国デイサー         ビスセンター協         議会会長         全国在宅支援セ         ンター協議会会         長         全国老人福祉施         設協議会顧問         (前会長))  岩田 克夫君         参  考  人         (財団法人地方         自治総合研究所         理事政策研究         部長)     池田 省三君         参  考  人         (鬼子母神病院         総婦長)    森 芙紗子君         参  考  人         (福岡グリーン         コープ生協福祉         ワーカーズグ         ループ「とも」代         表)      市吉 七海君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ――――――――――――― 委員の異動 四月四日  辞任         補欠選任   大村 秀章君     下地 幹郎君 同日  辞任         補欠選任   下地 幹郎君     大村 秀章君     ――――――――――――― 四月三日  国民医療拡充医療保険制度改革に関する  陳情書外五件  (第一三  三号)  医療制度拡充に関する陳情書外二件  (第一三四号)  医療保険制度改革の中止に関する陳情書外五件  (第一三五号)  医療保険法改定に関する陳情書外一件  (第一三六号)  国民医療抜本的制度改革等に関する陳情書外  四件  (第一三七号)  乳幼児医療無料化に関する陳情書  (第一三八号)  成人歯科検診事業充実に関する陳情書外三件  (第一三九  号)  廃棄物処理制度整備充実に関する陳情書外一  件  (第一四〇号)  社会福祉施設等整備費補助金に関する陳情書  (第一四一号)  少子化対策に関する陳情書  (第一四二号)  児童福祉法見直し反対に関する陳情書  (第一四三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  介護保険法案内閣提出、第百三十九回国会閣  法第七号)  介護保険法施行法案内閣提出、第百三十九回  国会閣法第八号)  医療法の一部を改正する法律案内閣提出、第  百三十九回国会閣法第九号)      ――――◇―――――
  2. 町村信孝

    町村委員長 これより会議を開きます。  第百三十九回国会内閣提出介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  本日は、各案審査のため、参考人から意見を聴取することにいたしております。  本日御出席参考人は、皆様方の右側の方から、大阪守口市長全国市長会社会文教分科会委員長喜多洋三君、大阪枚方市役所福祉保健部副参事兼高齢者福祉課長上谷好一君、日本医師会会長糸英吉君、有料老人ホームグリーン東京社長滝上宗次郎君、全国デイサービスセンター協議会会長全国在宅支援センター協議会会長全国老人福祉施設協議会顧問(前会長岩田克夫君、財団法人地方自治総合研究所理事政策研究部長池田省三君、鬼子母神病院婦長森芙紗子さん、福岡グリーンコープ生協福祉ワーカーズグループとも」代表市吉七海さん、以上八名の方々であります。  参考人皆様方には、大変御多用中にもかかわりませず御出席をいただき御協力をいただきますこと、委員一同を代表して心から御礼を申し上げます。どうもありがとうございます。各法律案につきまして、どうぞ忌憚のない御意見をお述べをいただきますようお願いを申し上げます。  次に、議事の順序について申し上げます。  最初に、参考人皆様方から御意見をそれぞれお一人十分程度お述べいただきました後、委員より質疑を行うことになっておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  なお、御発言は着席のままお願いいたします。  それでは、最初に、喜多洋三君から御意見をお述べいただきたいと思います。喜多さん、どうぞよろしくお願いいたします。
  3. 喜多洋三

    喜多参考人 おはようございます。大阪守口市長喜多でございます。  国民の健康な生活を支えるため御尽力いただいております厚生委員会皆様に敬意を表しますとともに、このたび、地方行政を預かる立場から意見を陳述する機会を得ましたことを深く感謝申し上げます。  現在審議されております介護保険関連法案につきましては、各方面から賛否が表明されているようでございますが、私的に行われている介護を公的に支えることが必要であるという認識は、多くの国民に共通したものと考えております。しかしながら、その仕組みにつきましては、まだまだ納得しがたい点もありますので、この機会幾つ意見を申し述べたいと存じます。  まず第一点でありますが、介護支援する制度創設は急がなければならないということでございます。  先に制度を発足させたドイツにおきましては、二十年間の検討期間を置いたというのはうらやましいことではございますが、我が国においては、団塊の世代が六十五歳に達するまでにはあと十五年しかございません。完全な状況を待ってからというのでは遅く、制度の準備にかなりの日時を要することを考えますと、平成十二年度からのスタートのためには速やかに結論を得ることが必要です。  昨年、全国市長会として法案を受け入れましたのは、すべてについて評価したのではなく、現に介護を待つ方々のことを思いますと、国、地方という行政内部事情制度の立ち上がりをおくらせることはできないという認識からであります。したがって、今後、制度の不都合な点の修正につきましては、柔軟かつ素早く対処できるような体制をしいていただきますよう、改めて強く要望しておきたいと存じます。  第二点目でございますが、最も重要な基盤整備についてであります。  十分な介護サービスの提供ができる基盤が整っていなければ、いかなる仕組みをつくるかといった議論も空虚なものにならざるを得ません。一部に、よい福祉を求めて転居せよとの意見も聞き及びますが、住みなれた町で老後を送りたいというのが多くの国民の希望ではないでしょうか。そのためにも、地域格差のない、かつ、地域特性に応じた基盤整備をすることが重要であります。民間参入が期待できない地域コスト格差も予想されますが、そうした障害を克服し、国民が平等に介護を受けられるよう保障することが第一に求められていると考えます。  なお、法案では在宅介護優先の理念が規定されておりますが、施設介護への需要が大きいことも無視できません。住宅事情や積雪の多い地域などの状況も勘案した上で、地域事情に応じた施設整備水準の上積み、あるいは手厚い給付によって在宅介護へ誘導する施策も必要かと考えます。  第三点目でありますが、市町村負担についての将来的な財源保障が必要であるという点であります。  法案は現行の措置制度より財政負担が軽減されると説明されておりますが、高齢化制度発足による介護需要の掘り起こしにより、費用規模は大きく拡大いたします。厚生省の試算によりましても、平成二十二年の段階では平成七年の事業規模の五倍に達するとの見通しが出ております。  そういう意味では、今回とられた社会保険方式について財源確保の上でやむを得ないと考えますが、他方、ここに投入される市町村負担分財源が確保できるのか、立ち入って言えば、国庫負担分についても確保できるのかという疑問を持たざるを得ません。  今後、これだけ事業規模が拡大する分野は他にありません。制度発足に当たって裏づけとなる財源見通しが持てないことから、全国市長会での受け入れ決議後も、将来、財政事情によってまた国庫負担が削減されるのではないか、介護保険が第二国保になるのではないかという危惧の声が上がっているのではないでしょうか。制度スタートに当たって、裏づけとなる財源確保の手だてを明確にしておく必要があると考えます。  第四点目は、家族介護への評価も必要ではないかということであります。  確かに女性が介護に縛りつけられるということも理解できるところでありますが、一方、介護を受ける立場から、他人ではなく身近な親族による介護を希望する場合なども考えられます。強制加入保険制度である点を考えますと、みずからの意思で家族介護を選択した方が保険料負担するばかりで受益がないということは問題があろうかと思われます。短絡的に現金給付を主張はいたしませんが、何らかの評価をすることが制度の公平ではないでしょうか。ぜひ御一考のほどをお願いいたします。  第五点目は、医療保険制度抜本的制度改革を早期に実現することであります。  介護保険創設は、総合的な社会保障システムの一部でございます。あわせて医療保険制度の抜本的な改革実現しなければ、国民健康保険運営に苦慮しております市町村が将来介護保険を支え切れなくなるおそれは、杞憂とは申せません。  さらに、医療保険介護保険に加え、老人についての別建て保険検討されているようではございますが、全国三千余の市町村幾つもに制度が分立することは、非常に効率が悪く、いたずらに経費を増大させるだけであります。市町村のみならず、介護保険給付費用請求支払い事務を取り扱うこととされている国民健康保険団体連合会でも、事務に対応するためには大幅な人員増が必要になるのではないかと危惧をいたしております。  医療介護が一体的に制度化されていたなら、また、保険者を広域的に組織できるなら、こうした非効率を排除できると考えます。八百億円、一部には二千億円と言われる事務費についても、制度のあり方によっては大幅に負担を軽減することが可能と思います。  我が国に先立って介護保険を実施したドイツでは、経理上は区分されているものの、介護保険医療保険を同じ保険者が一体的に運営し、さらに、国民健康保険に相当する地区疾病金庫介護保険制度創設に当たり二百七十二から十七に統合するなどの事務上の工夫も行っているそうでございます。制度は、年齢で切り分けることなく、介護医療を含む総合的なものにし、なおかつ、多くの国民が理解できる簡明な方向を目指すべきであると考えます。  第六点目は、やや事務的な部分にも踏み込みますが、保険料負担方法についてであります。  介護保険法施行法案において、六十五歳未満の方のいわゆる二号保険料については、本来の健康保険部分とあわせて、世帯ごと賦課限度額を一体的に設定いたしておりますが、この方法をとりますと、限度額を超過した部分が他の世帯に転嫁され、さらには、負担義務のない四十歳未満の方にも転嫁されるおそれがあります。この点、技術的に御配慮をいただきたいと存じます。  また、二号保険料国民健康保険料と同様の賦課方法がとられておりますが、これでは、現在の国民健康保険料地域間及び団体間格差が増幅されることになります。本来、二号保険料は、各保険者ごとコスト計算によるものではなく、世代間の支援として全国的にプールすることから、このような格差があることは不合理であります。また、国が進めている保険料平準化策から見ても理解しがたいところであり、全国的に統一した賦課方式をとるべきであると考えます。  現在の医療保険制度におきましては、各健康保険制度間あるいは同じ国民健康保険の間にすら、保険料負担給付水準に大きな格差があります。新しい制度をつくるに当たり、前車の轍を踏まないことが肝要と存じます。  最後に、新しい制度について十分な広報を行うということでございます。  現在、国民の多くは正確な情報を持っているとは言えません。介護保険制度がすべてバラ色であるような誤解は、制度発足後の事業運営に即座にはね返ってくると思われます。負担が増加する点など耳ざわりのよくない部分も含めて、納得できるよう十分な啓発活動を行うべきであると考えます。  以上、るる意見を申し述べましたが、市町村長には、福祉の現場で困難に直面した住民支援する立場保険財政運営するという、時には相反する立場があります。保険料徴収に当たって、取りやすいところからは特別徴収し、低い額の年金からは市町村が直接徴収しなければならない。このため、市町村長は鬼になれというのか、はたまた悪代官を市町村長に演じさせるのかといった苦吟の声も上がっております。  しかし、基本的には、すべての住民福祉を保障していく視点を忘れるわけにはまいりません。保険への加入を忌避した住民保険料を滞納した住民でも、目前に倒れている場合は、これを放置することはできません。可能な限りこういう事態を避けるため、国民的合意が得られる制度となるよう願うものであります。  議員各位におかれましては、この点をお酌み取りいただき、御検討いただきますようお願いし、発言を終わります。  御傾聴ありがとうございました。(拍手
  4. 町村信孝

    町村委員長 どうもありがとうございました。  次に、上谷好一君にお願いいたします。
  5. 上谷好一

    上谷参考人 おはようございます。枚方市役所高齢者福祉課長上谷でございます。  枚方市は、大阪府と京都府とのちょうど中間に位置し、人口約四十万人強で、現在、高齢化率は約一〇%と比較的若い住宅都市であります。きょうは、枚方市におけるホームヘルプサービス中心とした取り組みについて御報告させていただきます。  枚方市では、まずサービス内容について、大幅な見直しを行いました。それまでのサービス内容は、平日に限り午前九時から午後五時までの間で、一回二時間、週一回から三回までの、日本国じゅうでどこでも行われていた滞在型でありました。  見直しの動機は、平成五年十一月に、市長を団長とする枚方高齢者福祉海外調査団派遣であります。特にデンマークにおける三百六十五日二十四時間ケア取り組みに、調査団は強い衝撃を受けました。  本市においても、特別養護老人ホーム入所決定がされているにもかかわらず、施設が少なく、在宅サービスが不足しているため、やむなく一年も二年も社会的入院を余儀なくされている方が多くおられました。そこで、平成六年度から、これらの方々特別養護老人ホーム並みの、すなわち、三百六十五日二十四時間ケア体制サービスを提供する方向性を打ち出しました。  しかし、いきなりこのような体制づくりには自信もありませんでしたので、当時、ホームヘルプサービス事業委託をしておりました三つの社会福祉法人検討を重ね、日祝祭日に関係なく三百六十五日、午前七時から午後八時までは必要な方に必要なサービスを提供していく内容契約変更を行いました。  そのうちの一つで、枚方市が建設し、運営社会福祉法人に委託している枚方市立デイサービスセンターで、午後八時以降サービスが必要な方に、二十四時間巡回型ホームヘルプサービスを試行的に取り組みました。その財源には、昭和三十四年より支給してきた敬老祝い金を廃止し、その財源を充てました。  この実践の中で、毎日食事が十分摂取できていない高齢者が結構おられることに気づきました。  例えば、ひとり暮らしの男性の方ですけれども、週二回、家事援助ヘルパー派遣し、食事のつくり置きをし、デイサービスも週一回利用されていました。ある日、入院され、その原因が栄養失調ということでした。我々はそのことが現実として信用できなかったわけですけれども、本人に実態を聞いたところ、食事は週三回しが食べていなかったということです。つくりたての食事は食べていたが、あと残ったものは冷たく、同じメニューを食べたくなかったということです。  そこで、この方のように、食事をつくれない、つくりにくい方で、希望されれば原則的に昼食と夕食の二食を配食することにしました。  また、介護を要する方のうち、最高一日六回巡回型で毎日サービスを提供してきた方を見ますと、深夜帯は、当たり前のことですが、睡眠時間帯でした。  お手元に配付させていただいております資料を参照いただきたいと思いますが、この市立デイサービスセンター平成六年四月から平成八年八月十五日までの二百六ケースについてまとめた資料でございます。  介護型ヘルプまたは家事援助型ヘルプと、毎日配食を提供したところ、二百六ケース中七十六ケースの方々が、社会的入院をせずに在宅生活を継続することができたということです。そのうちの十六ケースの方は、社会的入院から在宅生活に戻ることができたケースです。  その中の一人の方ですけれども、がんのターミナルケアの方で、介護者の娘さんは働きながら、介護ヘルプ配食によって在宅で最期を迎えられ、娘さんより、まさか母親がこんな状態で自宅で死ねるとは思いもしなかったということで、大変喜んでいただいております。  また、派遣の傾向として、ヘルパー派遣数の約八〇%が週二回から三回の方々で、介護中心とした毎日必要な方は全体の約二〇%です。その中で、午後九時以降深夜帯と言われるサービスを必要な方は、全体の三%から五%ぐらいしかありません。  最後に、この三年近い取り組みの成果として私が認識したのは、朝起きてから夜寝るまでの間に、対象者自立支援に必要なサービスを三百六十五日提供することによって、一点目は、家族介護者の精神的、肉体的負担を大幅に軽減することができたということです。  二点目は、対象者にとっても住みなれたところで日常生活を送ることができたことです。  三点目に、必要にして十分な身体介護及び家事援助サービスを提供すれば、深夜帯のヘルパー派遣はほとんど必要ないということです。  四点目に、ADLすなわち日常生活動作向上が見られ、寝たきりの方が車いすに座れたり、歩行できるまでに回復されたことです。  五点目に、ホームヘルプサービス業務を明確にしたことです。巡回型ホームヘルプサービスと並行して、常勤ヘルパーの実稼働時間を年間千二百五十時間と定め、ヘルパーの働き方をフレックスタイム制の導入など柔軟にしたことです。  また、配食サービスを実施することで、家事援助も真に必要なサービスに組みかえたことです。当然のことながら、材料費程度の実費は負担していただいております。結果的にはサービス内容向上と、総体的には経費の節減につながっております。  枚方市では、以上のような取り組みについて、お手元に配付させていただいております高齢者サービスエリアに基づいて行っており、本日の報告エリアB中心とした実践報告です。  資料でお示ししておりますように、各エリアには二十四時間対応の拠点施設を順次配置しており、未整備エリアAは、現在、平成十一年度開設に向け国と協議中です。現在、エリアB、C、Fにおいて、三百六十五日二十四時間、毎日配食を実施しており、エリアD、E、Gにおいては、三百六十五日午前七時から午後十時までのヘルパー毎日配食を行っております。  このサービスエリアは、平成五年十月に策定した枚方高齢者保健福祉計画で、市民が身近なところで、だれでも、いつでも、どこでも必要なサービスを受けられることができるという、この考え方のもと、サービス充実を図っております。在宅サービス機動性を大いに発揮する結果につながっていると確信しております。  以上、枚方市における三百六十五日二十四時間在宅ケア取り組みについての報告とさせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手
  6. 町村信孝

    町村委員長 どうもありがとうございました。  続きまして、糸氏英吉君にお願いいたします。
  7. 糸氏英吉

    ○糸氏参考人 日本医師会の糸氏でございます。  私は、医療を担当する立場からいささか意見を述べさせていただきたいと思います。  昭和三十六年、国民保険制度創設されましてから、はや三十六年の年月が経過いたしました。この間、我が国は世界一の長寿国を達成し、また、もうすぐ世界のどの国も経験したことのない超高齢社会を迎えようとしております。  しかし、御存じのとおり、高齢社会実現がいざ現実になってみますと、さまざまな社会的あるいは経済的な深刻な問題をもたらしております。高齢者の絶対数の増加や労働人口の減少、また少子化現象など、社会の活性の低下がますます懸念されている現実でございます。  今日、我が国において、高齢者国民も、この長寿社会を本当に心から喜んでいるでありましょうか。みずからの長寿のために、かえって経験しなくてよかった残酷な余生をうらんではいないだろうか。高齢者在宅ケア実践している私は、長年の経験から、このような高齢者を少なからず見てまいりました。  高齢者加齢によって、あるいは病気によって自立できなくなったとき、だれにも気兼ねなく安心して社会支援を受けられるよう、そのような社会環境の早急な実現こそが今日最も望まれるところでございます。高齢者が人生の終えんのそのときまで、本当に長生きしてよかった、かように思えるように、どうしても利用者本意の立派な介護保険法をつくっていただきたい、かように思っているわけでございます。  そこで、私は、介護医療との関連にある程度絞って意見を述べてみたい、かように思います。  私は、まず、介護保険法創設というのは医療保険改革の第一歩ととらえております。  今現在、多くの要介護の人々が医療保険の中で給付を受けておるのは御存じのとおりでございますが、その中には、医療サービス必要度の高い人、あるいはそうでもない人、あるいは低い人、さまざまな人たちが混在していることは事実でございます。医療介護との分離ということは、これは避けることのできない一つの過程でございまして、我々は、速やかなこの法案の成立によってこの整理を急ぎたい、かように考えております。  次に、高齢者の心身の特性に留意して、サービスメニューの提示に当たっては、あくまでも高齢者本位の選択肢のあるメニューを提示すべきだ、かように思っております。  少なくともサービスを提供する人の論理の押しつけが決してあってはならない、かように思います。自立の必要性はよくわかりますけれども、サービス提供者の押しつけ、これによって老いにむち打つようなリハビリの強制、こういったようなこともいま一度よく考えて、あくまでも介護を受ける人の理解と同意をやはり得るべきではないかというふうに考えております。  介護に当たっては、高齢者の心身の特性、これを第一に考えなくてはいけません。  高齢者は、一つ病気が起こると治りにくい、多くの病気を同時に多発しやすい、症状が急変し、容易に死への転帰をとる、寝たきりへの移行が起こりやすい、後期高齢者にあっては痴呆が非常に多発しやすい、こういうような若い人と全く違った状態が見られるわけでございまして、何よりも寝たきりにならないようにすること、また、寝たきりになったら速やかに自立できるように、また、どうしても自立できない高齢者には痛みや苦痛を和らげて残りの人生を、QOLを高めるようにあらゆる援助の手を差し伸べるべきである、かように考えております。  こういったことは、全年齢層で有病率を見ますと、全年齢層では約二二%、六十五歳以上の前期高齢者では約五〇%、後期高齢者ではほとんど一〇〇%近くが何らかの病気との関連を持っているということが統計で出ております。こういうふうなことから考えてみますと、この意味からも高齢者介護には医療支援が不可欠であることは当然でございます。  次に、介護サービス基盤とマンパワーの整備状況について申し上げます。  介護施設については、特養、老健施設、療養型病床群の三つがございますけれども、特徴的なことは、大都市における施設整備が非常におくれていることでございます。  具体的には、六十五歳以上人口一万人当たりで見ますと、老健は、北海道では七十五床、島根県では七十床、東京では十七床、京都府では三十床、こういうばらつきがございます。また、療養型病床群で見ますと、北海道では四十三床、島根県では二十三床、東京都ではわずかに十三床、京都府では十六床、こうなっております。デイサービスセンターやショートステイの事業所数も、基本的に同様の傾向が見られます。  今後、介護施設整備の中で、特に老健施設や療養型病床群の整備が大都市で非常におくれているこの事実を、地域格差や質の問題を検討しながら、早急に整備を進める必要があると思います。  また、マンパワーの整備状況でございますが、大都市での充足は十分であるのに反して、地方での充足が不十分であるというデータが出ております。  具体的には、ホームヘルパーは、北海道では六十五歳以上人口一万人当たりで三十名、島根県では三十五名でございますが、東京では百十八名、京都府では九十三名、こういうばらつきがございます。  次に、医療へのアクセスと介護の問題でございます。  要介護者には必ずしも医療は必要でないという意見も聞かれますけれども、実態調査では、要介護高齢者の九〇%近くは何らかの医療サービスを受けているというデータがございます。  介護施設、特に一部の特養において、医療へのアクセスが確保されているかどうかについては疑問がございます。人生の最終のときに、医師どころか看護婦にさえ手をとってもらえないという事態も発生しているという事実がございます。  現在、医療サービスを受けない場合でも、高齢者の心身の特性を考えますと、いつもかかりつけ医による医学的管理が必要でございます。このことは、ことしの冬、インフルエンザが猛威を振るったとき多数の死亡者が特養で続発したという現実を見ますと、やはり非常に問題でございます。  長年にわたり、我々は厚生省に指摘しているのですが、今でも厚生省の通達で、みだりに特養に往診をしてはならないという通達が参っております。このようなことは、考えようによっては人権問題でもございます。  老人保健施設や療養型病床群においても、介護保険給付を受けている要介護者に、いざというときは医療を提供できる仕組みを考えておくべきであります。  その点からも、介護保険給付はあくまでも要介護者を対象に支払われるべきであり、施設に対して支払われる方法には反対であります。また、介護保険の定額給付の経過の中で、高齢者の一命にかかわる重病を併発した場合は医療保険給付も認めてやるべきであります。高齢を理由に医療のアクセスを差し控えることは絶対にあってはならない、かように考えております。  次に、要介護認定審査についてでございます。  今回、都道府県各地で実施された要介護モデル事業については、まだ報告書の取りまとめが終了されておりませんけれども、日本医師会に送付された報告書によりますと、四十都道府県の医師会から参っておりますが、非常に多くの問題点がございます。  詳しいことは省略いたしますけれども、行政は、今回のモデル事業を十分に検討して、より公平公正な認定方法をつくることを第一義的に考え、柔軟に対応してもらいたい、かように考えております。特に、介護認定基準、介護認定の評価方法介護認定審査会の委員構成、訪問調査員の質、かかりつけ医意見書の取り扱い方、こういうものについては十分御検討を願いたい、かように思っております。  最後に、医療法改正についてでございます。  介護施設として療養型病床群の整備が大都市を中心に非常におくれていることを指摘いたしましたが、今回の医療法改正に盛り込まれているように、地域に密着した有床診療所においても療養型病床群を設置できることになります。しかし、現実には、病床過剰地域である大都市では、既存病床として算定されるために設置できない法案内容となっております。したがって、絵にかいたもちにならないように、その運用方法については格段の配慮を望むものでございます。  以上でございます。ありがとうございました。(拍手
  8. 町村信孝

    町村委員長 どうもありがとうございました。  次に、滝上宗次郎君にお願いいたします。
  9. 滝上宗次郎

    ○滝上参考人 本日は、衆議院の厚生委員会にお招きを賜りまして、厚く感謝を申し上げます。  早速本題に入りたいと思います。  公的な介護制度というのは、日本の福祉を大きくするという点で高く評価できる制度でございます。ただし、その制度の中に多くの問題点もまた含まれておりますことを本日は申し上げたいと思います。  まず、大都市部での介護サービスについて問題点を申し上げます。  ただいま糸氏先生がおっしゃいましたように、大都市部には福祉施設が全くと言ってよいほどありません。さらに、社会的入院となる老人病院さえもほとんどありません。そのため、介護サービス在宅中心にならざるを得ません。  虚弱な老人に対する家事援助は、ホームヘルパー派遣だけで済みますから、施設での介護よりも安く済みます。しかし、要介護老人に対する在宅サービスは、看護婦、ケースワーカー、作業療法士、ホームヘルパーなどがかわるがわる訪問しなければなりません。施設と比べまして、極めて合理的ではありません。施設介護する場合に比べまして二倍も費用がかかるケースが多く出てくることでありましょう。したがいまして、大都会での介護費用は相当大きくなるものと思います。  また、例えば、東京では冬にわずか五センチぐらいの雪が降るだけで交通がストップしてしまいます。年に数回しが降らない雪に対する備えはしていないのです。しかし、介護サービスはとめることはできません。雪の日にも介護できるような体制をとるには莫大な費用がかかると思います。  次に、財源につきまして申し上げます。税がすぐれているか、保険がすぐれているかといった議論に移りたいと思います。  よく、税金で行う福祉は、措置といいまして行政処分となる、そこには人間の尊厳も権利性も選択性もないと言われます。このことは、裏を返しますと、私たち国民の税金が粗末に扱われているということにほかなりません。税金は、血税とも言いますように、一生懸命払っているのです。私たち国民が一生懸命払っている税金で行う福祉が極めて粗末である、人間性もないというのは、私たち納税者に対しましても、そして介護を受けるお年寄りに対しましても、これほどの侮辱はありません。一言で言えば、行政の怠慢そのものであって、それ以外の何物でもありません。こういった当たり前のことをこれ以上議論する必要は私はないと思います。  さて、保険について申し上げますと、保険とは、同じ程度のリスクを持つ人々が集団をつくり、保険料を払って、お互いにリスクを分散することであります。私たちはよく保険を掛けるという言葉を使いますように、保険とは、自分の持っているリスクを大きな集団にヘッジすることです。  どこの国でも保険は民間保険から始まっています。そこでは、例えば民間の医療保険には、最初から病気がちな人は入れません。なぜ医療社会保険が成り立つかといえば、何百万人とか何千万人とかいう実に多くの国民保険加入しているからです。そこには最初から病気がちな人がいても、全体から見ればわずかな人数にすぎません。ですから、リスク分散という保険本来の役割が働いているのです。  しかし、今の日本では高齢者の数が大変ふえました。しかも、お年寄り一人当たりにかかる医療費は若い人の五倍もかかると言われております。もはや医療保険の実態は、若い人が払ってお年寄りが受け取るという所得の再分配にほかなりません。  したがいまして、理論的には、老人医療費は税金で賄うべきものです。すなわち、日本ではすさまじい勢いで少子・高齢化が進んでおり、その本質とは一体何かと申しますと、世代の間の所得の再分配にほかなりません。ついこの間まで七人の働き手で一人の高齢者を支えていたのが、二十一世紀に入れば二人で一人を支えるようになるのです。所得の再分配をもたらすものは税金であります。保険では決してありません。したがいまして、公的な介護システムは税方式で行うべきなのです。  さて、社会保障給付費が高齢化に伴いましてどれほど伸びているのか申し上げます。六年前、平成三年度がちょうど五十兆円でございました。今年度は多分七十兆円でございましょう。わずか六年間で一・四倍にもふえております。  しかし、この六年間、日本の経済は一割もふえていません。少子・高齢化がどんどん進んでおりますので、日本の国民負担率は六〇%どころか七〇%を超えるというのが、私はこのままいけば本当だと思っております。というのも、経済が余り成長しない中で、日本の高齢化率は三〇%にまで高まるといいます。  私は、実はもっと高まるのではないかと考えております。というのも、現在の出生率は、全国平均で一・四人ですが、私は少子化がさらに進行すると考えるからです。  経済を成長させるには、労働力不足に至りますから、女性がさらにどんどん外へ出て働く必要があります。しかし、重要なことは、女性にとって出産や育児と仕事とは基本的に両立するものではないということです。したがって、ますます子供は生まれなくなります。近い将来、日本は、夫婦で子供がたった一人というのが全国平均となることでありましょう。日本の少子・高齢化はさらにピッチが速まるということになります。  では、逆に、出生率を高めるために女性は労働に参加しない方がいいのかというと、そうではありません。女性が労働に参加しなければ、労働力の不足から日本の経済はどんどんマイナス成長となって、さらに国民負担率は高まり、若い人と高齢者との間の所得の再分配が進みます。  日本の社会保険制度は既に大変な矛盾を抱えております。既に現在、日本の高齢者は一千八百万人、高齢化率は一五%です。そのために、日本の社会保険制度はかなりおかしな形になっている。  長期の保険であります年金を見ますと、多額の税金をつぎ込まねば制度が維持できなくなってきました。それだけ多くの税金を入れてもなお、若い人たちから見れば年金は損をするのがわかっていますから、滞納者がふえております。短期の保険であります医療保険もまた、特に老人医療において税金の投入がふえています。そして、ここでも保険料の不払いがふえています。  こうした矛盾は、少子・高齢化が進み、その本質が若い人と高齢者との間の所得の再分配になっているにもかかわらず、相変わらず保険方式で対応しているためであります。  なぜ介護保険でする必要があるのでしょうか。とはいいましても、保険方式がよいとする国民も多いのです。一体なぜでしょうか。保険方式の方がよいとする国民が多数いる背景には、やはりそれなりの理由があると思います。  まず、保険方式をとりますと、保険者となる市町村は、国民保険よりもずっと大きな赤字を抱え込むことになります。というのも、介護保険スタートすればすぐわかることでありますけれども、介護サービス費用はすぐに年間十兆円を超えていくことでしょう。八十五歳以上の人は、二人に一人が何らかの介護を要するようになります。その八十五歳以上の人は、この十年間で何と二倍もふえているのです。さらに超高齢者がふえていくのです。  また、社会家族にかわって介護をするということは、そこに現金給付は行わないわけですから、親を介護しても見返りはないということです。さらに、夫婦別姓という勢いと相まって、日本からお嫁さんという存在がなくなっていくのでしょう。介護の現物サービスに対する国民のニーズは急激に伸びていきます。今現在でも、子供夫婦と同居している老人の比率は急激に下がっているのです。  となりますと、保険者となる市町村は、介護保険の赤字を補てんするために、市町村の一般会計から多額の予算を繰り入れることになります。すなわち、市町村保険者とする介護保険とは一体何かといいますと、その本質は、一般会計の予算を福祉を重視したものに強制的に置きかえるということであります。  重要なことですから繰り返しますと、介護保険とは、住民への福祉サービスをふやすために、多くの予算を一般会計から繰り入れるということです。  介護保険が成立すれば、市町村の選挙は福祉を争点にするものに大きく変わっていくことでしょう。まさに、保険とは福祉に対する住民の権利なのです。保険あって介護なしなどという状況住民は許すわけがないのです。そこに巨大なエネルギーの市民運動が起こります。経済が成長していない中で高齢者がふえていく、すなわち、ゼロサム・ゲームの中で限られた財源を奪い合うという強烈なパワーゲームがまさしく介護保険の実態なのです。  今や、市民の要求は、土木建設よりも福祉に移ってきました。NHKのテレビを毎日見ていればわかりますが、住みよい町、暮らしやすい町とは、立派な道路がある町ではありません。今や福祉のある町のことであります。今後、市町村でどのような選挙運動が行われ、どのような選挙結果となるか、火を見るより明らかなのです。国家の予算配分は十年一日のごとく変わりませんが、市町村の予算は一夜にして福祉予算が大きくなると私は思います。  最後に申し上げたいことは、社会的入院や薬剤費のむだを省くことです。私の計算では、三兆円から四兆円は軽く浮くと思います。新たに国民負担を求めずとも、厚生省が発表している程度介護保険構想に係る費用は捻出できるということです。それで足りなければ消費税を上げるべきです。  今や経済は国境のない時代です。所得税、法人税はこれ以上上げることはできません。直間比率を直していかねばならない。しかし、保険とはまさに直接税ですから、保険方式をとりますと、直間比率はさらにゆがみ、日本は大競争の時代に敗れていくことでしょう。この点でも保険方式は間違っているのです。  以上です。御清聴どうもありがとうございました。(拍手
  10. 町村信孝

    町村委員長 どうもありがとうございました。  次に、岩田克夫君にお願いいたします。
  11. 岩田克夫

    岩田参考人 岩田でございます。  基盤整備につきましては、もう既に多くの方々が申し上げておりますので、あえて申し上げませんが、現場人の立場から申し上げてみたいと思います。  我が国老人ホームは、戦後五十年、生活保護法、老人福祉法を経過して、新たにここに介護施設という、大きく伸びようとしておるわけであります。私も、ちょうどことして五十一年、老人ホームの施設長並びに理事長として、老人と一緒に生活をしてまいりました。その中で、介護という今話題になっておりますこの現実特別養護老人ホームがつくり上げてきたという自負を持っております。例えば、今日まで、おむつ外し運動あるいは寝食分離あるいは家族との接触、社会性を持たせる、そういう中で、わずかな職員の中で努力をしてまいったわけであります。それにようやく目が向いてきたわけでありますが、ただ、残念ながら、我々のサービスには科学性がなかったという批判もございました。確かにそうであるかもしれません。  今後は、ケアプラン、それらを中心として新たな科学的なサービスを提供していく、そういうこれからの展望の中で、特別養護老人ホームの利用者はだんだんと重度化をしていく、これは間違いありません。そして、その人たちに対していろいろとサービスを提供していく中で、必ずよくはなってくるだろう。そのよくなってきたとき、その汗をかいた者に対してどう評価をしていただくか、この評価をしていただくものをきちんと仕組んでいただきたいという希望がございます。  それから、QOL、生活の質、もう一つ私はこれに命の質ということを加えたいわけでありますが、QOLを高めていく。同時に、高齢者でありますから、死へ向かって歩いていくこともまた確実であります。どこでターミナルケアを行うかということも、これから重要な課題として考えていかなければいけないのではないかと思います。  多くの人たちは家で死にたいという願望を持っております。今日、八〇%余が病院死であります。今後、選択あるいは自己決定の中で、在宅で死にたい、あるいは施設でこのままいきたいというような願望に対してどこまで応じられるか、そういうこともこれからの施設の中で考えていかなければいけないのではないか。  もちろん、高齢者でありますから疾病を持っております。当然、入院すべき人は入院をさせていかなければいけない。しかし、入院をするほどでもない、静かにというような実態の中で、一つの、最期の場を選ぶ場所として特養が今後役割を果たしていかなければいけないのではないだろうか。それに対する対応の仕方を今後我々も考えていかなければいけませんし、同時に、介護保険の中でも考えていただきたいというふうに思っております。  さらには、今、養護老人ホームというのがございます。これは古い歴史を持っております。しかし、その入っておる方々高齢化をし、そして介護を要する状態になった場合に、そこに在宅サービスというものが導入をされるわけでありますが、それが入ってきたときに現在の実態とどういうふうにかみ合わせていくかという、養護老人ホームあるいは軽費老人ホームのA型もそうであるかもしれませんが、そこら辺の機能を明確化していくことが必要なのではないかというふうに思っております。  その次は、サービスの質の担保。これからはサービスをいかにいいものを提供していくか、あるいはまた、利用者側から満足したサービスを受けたという評価をされるためには、サービスの質をよくしなければいけない。どういうふうにして質を向上していくか。  現在、これからの在宅サービス施設サービス中心として介護を担っていくのは介護福祉士であります。この介護福祉士が今、量的に整備をされてきております。ただ、しかし、量的に整備するだけでは好ましくない。これをどう質を上げていくかということ、これは、我々現場の中では、研修会など一層の努力をして上げていく予定でございます。  なお、介護福祉士の中で二つのタイプがある。一つは、実務経験で国家試験を受けた介護福祉士と、もう一つは、養成校を出て介護福祉士になったという二つのタイプがあります。養成校出身者はハードルをくぐっていない、いわゆる国家試験を受けておりません。しかし、介護福祉士であることは間違いない。私は、同じ介護福祉士というならば、養成校も、国家試験というハードルをくぐることによって基礎的な知識を十分に修得していただく、そして、さらに一年、実務経験をした上で介護福祉士という認定を上げることが好ましいのではないか。そうすることによって、看護、保健、そして福祉というものが同じ横並びの中で話し合いをすることが可能になってくるのではないだろうか。今は、福祉というのはやや下に見られております。それを上げていくためには、養成校の質を上げていく、そして、若い子にもそこに大きな目標を持たせてあげることが必要である、同時に学校の競争にもなる、あるいはそこの職員の質の向上にもなっていくということにつながってくるのではないかというふうに思っております。  いずれにしましても、これからの在宅中心としていく中で、あるいは施設もさらにふえていくであろう、それを背負っていくのが介護福祉士である、その介護福祉士の質をどう上げていくかということがこれから大きな課題であるというふうに考えております。  それからもう一つは、低所得者への対応でございます。  いろいろと聞くところによりますと、低所得者への対応の策が出てきておりますが、少なくとも生活保護という基本的なものには返したくないという考えを持っております。別の方策で低所得者に対しての救済策をとっていただきたい。特に、これから無年金者がふえていく傾向がございます。そういう意味では、違った面の低所得者がふえてくるであろう。そういう対策をひとつ介護保険の中で十分に検討をいただき、生活保護法へと逆戻りするようなことはしない、そういうことでお願いをいたしたいというふうに思っております。  それからその次は、サービス評価事業であります。  いろいろとサービスはしておりますが、それぞれの責任者の考えの中で違ったサービスがあります。それはそれでいいと思います。しかし、相手に満足を与えるサービスをしているかどうかということを評価をする。現在も、老人保健施設あるいは特別養護老人ホームに対してサービス評価事業が導入されております。これは強制的ではございません。これはある程度義務化することが必要なのではないか、あるいはまた、その他のサービス事業を行っているところに対してもサービス評価事業を導入することが必要なのではないか、そうすることによってサービスの質が担保できるのではないかというような考えを持っております。  そのように、これから私たち、現場の中ではさらに質を上げていくためには努力します。現実におきまして、施設は措置という公費によって運営をされてまいりました。これが介護保険という新たな費用の導入によって一番大きな刺激を与えられてくるのではないかと思います。その中で私たちがどう転換をしていくか、これからの経営者の発想の転換をこれから求めていかなければいけないと思います。  不幸にして、昨年の暮れに行政の不祥事件がございました。あれによって老人ホームが非常に冷たい目といいましょうか、そういう目で見られている嫌いかないとは言えません。しかし反面、私たちは、老人のためにいいサービスをすべく一生懸命努力をしておるわけであります。その努力もやはり評価をしながら、これからの特別養護老人ホーム整備にお力添えをいただきたいという考えを強く持っております。  簡単でございますが、以上で終わらせていただきたいと思います。(拍手
  12. 町村信孝

    町村委員長 どうもありがとうございました。  次に、池田省三君にお願いいたします。
  13. 池田省三

    池田参考人 私は、介護保険制度そのものについては、介護社会化を進める上で大変大きな意味を持ったものであり、その早期施行が必要であると考えております。しかし、残念ながら、この法案は当初の理念が失われ、制度設計にゆがみが生じている部分があることを指摘しなければならないと思っております。  第一の問題は、介護保険制度に市民参画のシステムが組み込まれていないということです。  被保険者として保険料負担する市民が介護保険運営についての発言権を持つのは当たり前のことではないでしょうか。しかしながら、この法案には、「サービスの利用に関する意向その他の事情を勘案して」介護保険事業計画を作成するとあるだけで、被保険者の声を聞くという規定は何もございません。  現行の国民健康保険制度でも、国民健康保険運営協議会が置かれております。社会保険は、本来、職域あるいは地域の相互扶助組織であるとともに、自治組織であるという性格を持っております。自治組織の構成員が発言権を持たないというのは、これは考えられないことであります。  したがって、介護保険にあっても、被保険者たる市民によって構成された運営委員会を置いて、介護保険に関するすべての情報がここに公開され、市町村介護保険事業計画案についての審議を行い、これを市町村長に勧告する、そういった機能を持たせるべきではないかと考えるわけです。  介護保険創設に当たっては、市民が負担を引き受け、市民がサービスの質と量を決定する、そういった当事者主義への転換というのは今一番求められているのではないでしょうか。従来の措置制度はパターナリズム、家父長的温情主義で進められてきた、それを大きく変えるのが介護保険一つの意味であろうと思うわけです。言いかえれば、高い負担と豊かなサービスを選ぶのか、それとも安い保険料と貧しいサービスを選ぶのかは、市民がみずから決定していくという世界をつくっていかなければならないということであります。従来のお任せ福祉から市民自治としての地域ケアシステムに転換していくためにも、情報公開と市民参画は極めて重要なことであり、介護保険運営委員会の設置は強く求められるものではないかと考えるわけです。  さらに、この介護保険運営委員会に苦情処理機関を設置していくことも必要ではないか。  介護を必要とする人は、サービス利用に当たって苦情を申し立てにくい立場にございます。例えば、塩の入っていないスープをおいしいと言わなければならないという状況報告されております。利用者が気楽に問題を持ち込み、その苦情を迅速に調査して改善措置を講ずる仕組みがなければ、介護を必要とする人たちの人間としての尊厳が損なわれるおそれもあります。  法案を読みますと、国保連合会がオンブズマン的機能を持つとされているようでありますが、市民のアクセスが容易でないこと、調査や指導の力量も疑問視されることから、やはり保険者ごとに苦情処理機関を置くべきであり、被保険者代表による運営委員会に置くことが最も望ましいのではないか、そう考えるわけです。  第二の問題は、介護を必要とする人々が十分なサービスを受けることができるその時期が明らかになっていないことです。  二〇〇〇年度で新ゴールドプランが達成されたとしても、介護施設の定数が充足するとは到底考えられません。在宅サービスに至っては、必要量の半分にも満たない状況にとどまることは明らかであります。すなわち、保険あって給付不足という状況になるのは間違いない。もちろん、だから介護保険導入は時期尚早だとは申しません。給付がないから介護保険をつくるのであって、介護保険によってサービスの質と量を飛躍的に向上させるという目的があるからです。サービスが十分に用意されるまで介護保険を待つということは介護社会化をおくらせることになりますから、サービス不足でも介護保険は出発すべきです。しかし、十分なサービスが用意される時期ははっきりと明示される必要があります。  法案では、施行時に法律で規定されたサービスを提供できない場合は、六十五歳以上の被保険者保険料を低く設定して、サービスを限定給付にすることができると書いてあります。施行時にサービスが不足しているのですから、これは現実の問題として承認せざるを得ません。しかし、いつまでも続いてよいわけではありません。  それでは、いつまで限定給付は続くのか。法案では二〇〇五年度以降のサービス給付が円滑に行うことができる日という規定になっております。これではいつのことになるかわからない。例えば、地方自治法の「当分の間」は五十年を超えております。明確に限定給付は時限を切った経過措置とすべきです。二〇〇五年度以降は完全給付とする、そういう明記が必要ではないかと考えるわけです。  さらに、利用者がサービスを受けるに当たって、認定審査会は利用者が留意すべき事項について意見を述べることができるとされております。保険者は認定に当たってサービスの種類を指定することができるとされております。  これはおかしいのではないでしょうか。利用者の自己決定、自己選択は、介護保険論議の中での基本的な理念の一つであったはずです。サービス市町村が指定するならば、それは従来の措置制度という行政処分の性格が残存することになるのではないでしょうか。  むしろ、もっと重要なことは、利用者がどんなサービスを選んでいいのかを判断するための情報の提供にあると私は考えます。法案では、老人保健施設の広告制限などという時代錯誤の規定もございます。逆に、サービス提供事業者の情報公開を義務づけ、利用者の自己決定、自己選択を保障する、そういった方向がもう少し深められていいのではないかという考え方を私は持ちました。  さて、第三の問題は、第一条の目的に書かれた、「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等」による要介護状態に対して介護サービス給付するという規定でございます。  介護を必要とする方には若い方もいらっしゃいます。病気以外の原因で介護を必要とする方もいらっしゃいます。例えば、老衰は疾病なのでしょうか。加齢による疾病を原因とする要介護状態に限定する目的規定、これはどう考えても不合理であります。  また、実際の適用は、六十五歳以上の方々は、原因が何であれ、介護を必要とすると認定されれば、介護保険からの給付が行われます。立法趣旨に反する目的規定というのは前代未聞ではないでしょうか。本来、目的条項は幅広く規定し、個別条項は限定的に規定するというのが法律の一般的なあり方でありますが、介護保険法案はこれが逆転しております。将来、恐らく介護保険の適用範囲を拡大していくということが十分に考えられます。現段階で加齢疾病条項を削除するということは、その将来を見据えても非常に重要なことではないかというふうに私は考えます。しかも、この加齢疾病規定を削除しても、法律の骨格に何の変化もありません。運用にも支障はありません。したがって、これは余りこだわらず素直に削除すべきだというふうに私は考えます。  これに関連しまして、六十五歳以上は原因を問わず要介護状態に給付し、四十歳から六十四歳までは加齢による疾病すなわち特定疾病が原因で要介護状態になった場合のみ給付するという規定も見直される必要があります。  例えば、内因性のクモ膜下出血なら認定される、それは加齢に基づくものだからです。しかし、今皆さんの頭の上から蛍光灯が落ちてきて当たったとします。外傷性のクモ膜下出血、上から物が落ちてくるのは加齢に伴うものではございませんから、これは当然該当しないということになります。そういった区分に何の意味があるのだということです。また、若年障害者は六十四歳までは障害者プランで処遇され、六十五歳以上になったら介護保険からの給付に切りかわる、これもやはり不自然なものと言わなければならないのではないでしょうか。  ドイツ介護保険は、ゼロ歳からの障害による要介護者給付することになっています。それが自然なあり方ではないかと思います。  介護保険法案は、六十五歳以上の高齢者を対象にした社会保険であり、六十五歳以上の方々保険料を基礎として財源を組み立て、現役世代は租税や拠出金で支援するという世代間連帯のシステムを採用していることは理解できます。厚生省は、二十一世紀に、老人保健制度も含めて高齢者の独自の総合保険制度を構想していらっしゃるのかもしれません。そのこと自身は、二十一世紀の超高齢社会の中で、年金という所得保障を医療介護に還流させ、重複給付やトリプル給付を避ける手法として評価できますし、行政からのお恵み給付ではなく、高齢者保険料負担して給付を受けるという仕組みですから、高齢者の尊厳を守るという面からも評価できます。  しかしながら、そうした高齢者社会保険制度という体系を持ち込むには、医療サービスは別にしまして、日本の介護事情は、要介護高齢者、若年障害者ともに貧弱であり無理がございます。やはり介護を必要とする人々すべてがひとしくサービスを受けられるよう年齢の枠組みを取り払う、そういった方向検討されてしかるべきであると思います。年齢の区分を取り払うとするならば、保険料負担もまた四十歳以上にする必然性はございません。所得のある成人から徴収すべきであることは言をまたないと思います。  ただし、現実法案高齢者を対象にしたサービスの組み立てになっていますから、今直ちにすべての要介護者給付するというのは困難であるということは理解できます。したがって、まず高齢者とこれに準じる要介護者から出発し、五年程度の準備期間を置いて交通事故や労働災害などの中途障害に拡大し、先天的あるいは若年からの障害者については当事者の意向を十分にしんしゃくしてこれを介護保険給付に含めていくという段階的な適用、そういったものが検討されてしかるべきではないかと思います。  介護保険法案には、このほかにも問題が指摘できますが、少なくとも以上申し上げた三項目については修正が行われてしかるべきだというふうに私は考えます。  最後に、介護保険法案内容それ自身についてではございませんが、密接に関連した課題として、十分に審議し、早急に計画を策定、実施してほしいものがございます。  それは、スーパーゴールドプランによるサービス基盤整備の上積みでございます。  保険あって給付不足という状況を市民がいつまでも我慢すると思っていただいては困ります。人材育成、施設設備に十分な財源を投入し、サービス充足をできる限り急がなければなりません。しかも、その財源は十分にあるはずです。我々が保険料負担することによって、介護にかかわる公的負担は、政府の試算でも、二〇〇〇年度において国庫負担が五千億円、市町村負担が二千二百億円減少いたします。この財源を前倒しして基盤整備に投入する、このことが焦眉の課題であります。それが実施されなければ、公費負担が減少した分だけ、私たちの保険料負担がふえ、しかも、サービス充足は遅々として進まないということになり、これに市民が納得するわけがございません。  なお、施設整備に当たっては、ホームすなわち家庭や故郷と言える水準の施設、個室を基本として、町中に建てられ、さまざまな人々と出会いながら生活を支えられるというクオリティーの高いものを目指さないと、結局はむだなものになってしまうということも考えておくべきであろうと思います。  もう一つ、今後のサービスの質と量を飛躍的に引き上げていく最も重要な要因は介護報酬の設定にあるということを強調したいと思います。  医療保険に診療報酬があるように、介護保険にも介護報酬がつくられると思います。営利、非営利を問わず民間セクターが介護サービスに参入するためには、経営の維持あるいは収益の保障が必要となります。したがって、施行時においては、民間セクターの参入を促すために政策誘導的にこの介護報酬をやや高目に設定していくべきではないのでしょうか。  また、社会的に公正な介護報酬がつくられることがすなわち個々の介護業務に公正な価格がっくということでありまして、それは労働市場というものを形成いたします。そのことから良質で大量な介護労働力が生み出される、このことも考えて介護報酬というものについての審議を深めていただきたいと思います。  以上でございます。ありがとうございました。
  14. 町村信孝

    町村委員長 どうもありがとうございました。  次に、森芙紗子さんにお願いいたします。
  15. 森芙紗子

    ○森参考人 私は、鬼子母神病院の総婦長をしております森と申します。  私どもの法人は、二つの病院、七つの診療所と二つの訪問看護ステーションで構成され、デイケアと歯科診療も二カ所で行っております。鬼子母神病院は、東京の豊島区池袋駅周辺で高齢者医療に取り組んでまいりました。現在は、九十四床の介護力強化病院としてリハビリテーションに力を入れ、退院患者さんの六六%が在宅復帰されております。  私どもは、つい二週間ほど前にとてもつらい経験をいたしました。在宅療養中の九十五歳の女性がみずからの命を絶たれたのです。とてもしっかりした方で、いつも新聞を読み、世の中の動きに目を向けておられました。私どもの訪問看護婦がその二、三日前にお伺いしましたとき、新聞を広げて、これからは病院にかかると私のような年寄りでも一回五百円かかるのね、往診もお金がかかるから、これからは月一回だけしかお願いできないですと話されていたといいます。頑張って頑張って自分で通院されていましたが、それも限界で、最近往診を始めたやさきのことでした。本来なら天寿を全うされるはずなのにと、とても残念でなりません。  私は、看護婦としての日常経験の中で、高齢者がどんなに社会に気兼ねをしながら生活しているか感じてきました。とりわけ介護の問題は深刻です。  豊島区総人口の減少、これは最近、国勢調査の十年間で見ますと、総人口の一割強が減少しております。ファミリー世帯の流出、十四歳以下の子供の減少、それから六十五歳以上の人口の増加、これも同じデータで一・五倍になっております。特にひとり暮らし世帯の増加が一・六倍になっております。昼間人口の増加、外国人の方の増加があります。  このように高齢化が進み、特にひとり暮らしがふえていく中で、私は介護を公的に保障することが焦眉の課題であると思います。しかし、高齢者の尊厳を守り、その人らしく生き抜く保障として考えると、今回の介護保険法案には不安を感じています。  以下四点につきまして、私の疑問点を述べさせていただきます。  第一は、要介護認定についてです。  私どもの病院へ入院される方の自宅退院の条件を伺うとき、最も多いのは排せつの自立です。下のことは自分でしていただきたいということです。日中ひとりの家庭がふえていることからも推察できます。私たちは、その条件を可能にする目標を立て、医師、看護婦、介護、リハビリなどのスタッフがかかわっています。高齢者の自立のためには、その人の残された機能をどう引き出すかが最大の目標です。介護の中で排せつは最も大変なことです。そのためには、その方の排せつのパターンを調べ、失敗を繰り返しながらも目標へ向けて一緒に取り組んでいきます。老人看護はあきらめない看護だと思っています。状態が改善され自宅へ帰られることが、私たちの喜びでもあり、やりがいです。しかし、今回の介護保険法案では、よくなったと素直に喜べない状況になるのではないでしょうか。  居宅内では常時車いすを使ってはいないが、排せつは困難という人はどうなるのでしょうか。要介護者だった方が私たちのかかわりで要支援者に改善されたら、施設給付の対象にならなくなってしまいます。また、高齢者にとっては、大幅な改善は困難でも現状の機能を維持していくことが寝たきり防止になりますが、退院後に機能レベルが低下する方が少なくありません。私どもは、訪問リハビリの中で、必要に応じ入院中と同じ維持リハビリを行い、在宅での生活を支えてまいりました。介護の必要な方には在宅施設の相互連携が必要だと考えます。  高齢者を区別することなく、要介護者も要支援者も同じ介護が必要な人だと思います。今後の要介護者をふやさないためにも、ぜひ要介護者と要支援者との区別をやめ、「介護の必要な者」と法案を修正していただきたいというふうに思っています。  第二に、都心部での介護施設整備について述べさせていただきます。  私どもは法人として四百名余りの方に訪問看護を行っておりますが、最近、チューブをつけた方、医療処置の必要な方が多くなってきています。これは、東京における病床の減少、とりわけ付き添い制廃止による民間病院の病床減も無関係ではないというふうに思います。東京では、九四年から九六年の二年間で、一般病床が千五百九十床減少し、救急告示医療機関は二十カ所減少しており、私どもの病院でも、都立病院や大学病院から持続的に点滴をされている方、経管栄養の方などが在宅管理を余儀なくされております。  特養ホームも、昨年三月時点で東京で一万二千九百八名が待機中であり、施設整備がおくれていることは一目瞭然です。一刻も早い供給体制整備が必要ですが、都心部では特有の困難さを抱えております。まず、土地の確保が困難となりますが、自治体任せにせず、都心部の条件を考慮した施策を検討いただき、早急な整備をお願いしたいと思います。  また、現在の施策についても、私どもの法人内四百人のデータではありますが、利用していないという人の理由に、融通がきかないとか利用しにくいといった制度不備を挙げた方が、訪問入浴サービスで五五・八%、グループホームに至っては六六・五%も見られました。  介護支援を担う在宅介護支援センターの設置も、東京都では中学校区ごとに設置するとしていますが、豊島区において、私どもが受託したいとお願いをいたしましたが、当面は約二十五万区民に対し三カ所しか考えていないとのことで却下されました。  また、介護支援する常勤のホームヘルパーの充足は進んでおらず、豊島区では、四月現在、常勤は二十五名、非常勤が五名、ほかは家政婦紹介所への委託です。早急にマンパワーの整備が必要です。こんな状態で果たして十分な介護給付が可能なのでしょうか。まさに、保険あって介護なしになりかねないと思います。  第三に、医療保険介護保険の関係についてです。  さきにも申しましたが、高齢者のリハビリの中心は維持リハビリテーションと言っても過言ではありません。その施策の有無が寝たきり防止に大きく影響します。退院後、訪問リハビリテーションで維持を行い、専門家が必要と認めた場合、入院して集中リハビリテーションを行う。そしてまた在宅で維持をする。  リハビリテーションに限らず、高齢者は、状態が急に変化する身体的要素を多く持っています。家族も、何かあったらという不安を抱えています。私は、高齢者が退院されるときには、またねというふうに声をかけます。高齢者が入退院を繰り返すことができるようにするということは、安心して在宅で過ごす前提です。その点で見ると、法案では医療保険介護保険は併用しないとされていることに疑問を感じています。併用可能な制度としての御検討をぜひお願いいたします。  第四に、利用者負担についてです。  法案では、利用者負担介護給付の対象となる費用の一割としています。施設では、食費、日常生活費は利用者負担となっています。また、今後、一定期間ごとにそのあり方を見直すとされていますが、一層の負担増になるのではと危惧しています。  現在、豊島区の八十五歳以上の高齢者は、高齢者福祉手当の月五万五千円と老齢福祉年金三万三千五百三十三円を合わせて約八万八千円の収入になります。これで生活費のほかに保険料、利用料を払うのは大変なことです。おまけに、滞納者へは厳しい罰則があります。だれが利用する制度なのだろうかと疑問です。介護保険法案の基本的考え方の、介護が必要な者がみずからの意思でサービスの利用を選択でき、ニーズに即したサービスが提供される利用者本位の制度とするには、利用料は徴収すべきではないと思います。まして罰則など論外です。法案立案の原点に立って、再検討をお願いいたします。  この四月二日、私どもは、在宅患者さんのお花見会を近くの公園に総勢百人余りが集まって行いました。ことして二十回目を迎えました。この日を楽しみにして、当日風邪で出られなくては困ると、前日入浴せずに休まれた方もおられます。桜の下での笑顔はふだんより一層輝いています。  すべての高齢者が人生の最後まで人間としての尊厳を全うできる介護保障と制度充実を願いまして、私の発言を終わります。ありがとうございました。(拍手
  16. 町村信孝

    町村委員長 どうもありがとうございました。  次に、市吉七海さんにお願いいたします。
  17. 市吉七海

    市吉参考人 福祉ワーカーズグループ「とも」の代表をしております市吉と申します。  このような場で非営利団体の試みを、意見を述べさせていただく機会を得ましたことをまずお礼申し上げたいと思います。  なぜワーカーズ・コレクティブで在宅支援をやろうと考えたのかについては、もういろいろな方の話から社会背景というのは御紹介されていますので省きたいと思いますが、私自身は、十年前にしゅうとめを、一年半寝たきりで、家庭で介護いたしました。専業主婦が親を見ていく場合に公的援助というのが全くなかったということです。そのことから、私は、これから先の私たちの未来を考えたときに、何らかの形で仕組みをつくっていかないと私たちの老後が悲惨になるというふうに考えました。  これまでの日本型福祉は、家族におんぶする、そういうのが普通だというふうに考えてきました。現実には、それは非常に難しいことで、物理的に成立をしない状況になっています。私たちが安心して暮らせる町づくりには、市民参加型福祉が不可欠だと思いました。私たちに今できることを、今やれる人たちがやれるスタイルで参加して、私たちが望ましいと考えていることを実際やってみる、そして超高齢社会に備えたいと考えました。  私は、グリーンコープ生協という生協活動の中で獲得してきた日々の助け合いを生かして、地域ともに支え合う参加型福祉のあり方をつくっていきたい、共助の仕組みをつくり出したいと考えました。そして、それを継続していくために、ボランティアではなく、協同互助、相互連帯で利用者の立場で考え、納得できる負担で、営利を目的とせず仕事化し、継続化して支援をやっていきたいというふうに考えて実践しています。  私たちのこれまでの家庭生活での能力や生活技術を世代を超えて役立てていきたいということで、パンフレットにもありますように「赤ちゃんからおとしよりまで」、ともに生きていく時代をつくっていきたいと考えました。家事や育児、介護、これまでアンペイドワークとして評価を得なかったことを仕事化したいというふうに考えました。  働き方も、だれかに指示や命令されて雇用された関係で働くのではなく、営利を目的とせず、自主運営、自主管理で新しい働き方をつくり出したいというふうに試みています。  だれかにしてもらうのではなく、広く薄くだれもが参加し、みずから支えていく福祉が今後必要ではないかというふうに思っています。もちろん、公助が要らないというわけではありません。公助があって自助があって、そして共助の仕組みが必要だということです。  福祉ワーカーズグループ「とも」の実践から、資料も使いながら説明を少ししていきたいと思います。  私が実践してみて、今一番考えていることは、行政の公的サービス、そういう立場の方の御発言も続きましたが、どのように違いがあるかというのを御紹介したいと思います。  まず、私たちの支援には、赤ちゃんから高齢者まで、年齢制限、利用回数の制限がないということです。  公的介護ヘルパーというのは、例えば家事支援ということで設定された週二回は家事支援しかいたしません。それから、介護というふうに決められて入られたヘルパー介護しかやれないという仕組みになっています。こういう分野は縦割りになっています。それから、ほとんどの方がこういう状況に陥るのですが、昼間独居老人、三世代同居であるけれども共稼ぎである、昼間は高齢者のみになるという家庭は、現在では福祉サービスの対象外です。共稼ぎで高齢者を見ている家庭は、ほとんど現在の福祉サービスは対象にならないというのが現実です。  私たちは、そのあたりを、親を見ながら頑張っている、働いている人たち支援していきたいというふうに考えました。現在、公的にはそれらのサービスはほとんど、食事サービスとかいうのも対象外になっていて、利用できておりません。  福祉サービスが現在どういうふうにあるかというと、それはそれなりにはあるのですが、ほとんど縦割りということです。そして、申請をしまして早くて三週間、大体一カ月後にヘルパー派遣というのは始まります。施設に入ったくても順番待ちで、亡くなるのを待っているというのが現実です。あすからお願いしたい、倒れてどうしようもないというようなところにほとんど公的サービスは役立たないと言い切ってもいいのではないかと思います。  私たちのところでは、電話で相談がありましたら、状況を判断した上で即支援態勢に入ります。例えば、きょう電話があって、あしたからお願いしたいというのにこたえているということです。  そして、介護支援センターが私たちの支援を求めてこられるケースが非常にふえております。全介抱が必要な方というのは、本来は二十四時間必要だと思うのですが、公的なサービスは、日曜祭日はお休みになります。私たちは、日曜祭日に非常に需要が高いという現実を持っています。今度の五月の連休はどうやって頼まれている内容をこなしていこうかというぐらいに需要が高まります。そういうふうに、公的なところはお休みが労働条件というあたりから当然あるわけですが、私どもにはそこが、すき間を埋めていく共助の仕組みとしては問われているような気がします。  まして、もう一つの、出生率が非常に減っているというあたりでは、ほとんど今は、公的なサービスというのは保育所があるだけで、子育て支援をしておりません。私たちは、出産後のケアというのも毎月必ず二件ほど、継続して子育て支援で産後のお手伝いをしております。  行政福祉サービスとの違いは、最も違うと思っているところは、行政は、今の暮らしができない人を助けるのであって、私たちは、いかに今の生活の質を向上させるかというところでケアプランを立てているというところが違います。  現在、私たちのメンバーは、私のグループでは二十六名でやっております。これまで提供したサービス内容というのは資料の二枚目につけていますが、具体的にどういうものをやっているかというと、家事支援の単純なのは割に少ないです。介護というのが非常に需要としては多いのですが、介護も今の行政サービスメニューでは週に何回というふうに制限されますので、その公的サービスの合間に私どもがケアに入るという状況になっております。具体的な例については、具体的に、現在三月時点でサービスをしておりますのを別紙資料でつけておりますので、ごらんいただきたいと思います。  特質的なところでいうと、年齢制限というのは私たちの支援にはありませんので、五十代で倒れた方とかいうのは今の高齢者福祉の対象外になりますので、そのあたりの支援とかいうのが非常に困っていらっしゃる現実があります。そういう状況支援をしております。  事業実績としては、資料の一番上につけておりますが、「とも」の設立から、六月二十二日に設立して十カ月足らずで、現在二千四百九十二時間支援をしているということです。ケア内容については、家事サービスが十九件、介護サービスが二十三件、家事と介護の混入が二十四件、託児関連が七件、産前産後が十六件、その他が七件ということで現在やっております。  そういうやり方の中で利用者の方からはどのように評価されているかというと、一人一人の利用者の状況や希望に沿った形で、自立や意欲を大切にしながら柔軟なサービスを提供できているということで、非常に評価を受けております。  ワーカーとして働いている者は、ワーカーになってよかった。人間的な生き方と労働が一致している、たくさんの人との出会いの中で自分たち自身も高められている、育っている。地域住民として、住んでいる町を住みたい町にしていく町づくりに参加しているというのが実感できる。シャドーワークの再評価ということで、命にかかわる分野で仕事をしている。家庭内でどれほど頑張っても一円の評価にもなりませんでしたが、今私たちは、一時間七百円、九百円、時間外で一時間千五十円、千三百五十円と二通りの値段で引き受けております。育児、介護、家事というのを責任を持ってやるということは非常に大変ですけれども、やりがいのある仕事だというふうに思っています。  民間非営利団体の市民参加型福祉の経済比較というのは、別表五枚目につけております。これは後で十分見ていただければいいと思います。ワーカーズ連絡会という、現在十六団体、グリーンコープ生協関連のワーカーズ・コレクティブについての数字もつけております。それも後ほど見ていただいたらと思います。  自主運営・自主管理で私たちの望む暮らしを地域で継続できるように支援する、そのためには、非営利で、運動に近い事業体としてやっていくことがとても必要だと思います。福祉サービスを利用者の立場でどう組み立てていくかというのがとても大事だと思います。  グリーンコープの実践でいいますと、十六グループ、現在、三月時点でありますが、四百九人のメンバーが、総ケア時間二万四千二百三十八時間、今年度においては支援をしております。家事支援が主になっています。  「とも」では、実績を積み上げて、行政の委託事業を引き受けたいというふうに考えています。  参加型福祉の拠点づくりでは、できればミニ・デイサービスをやりたい、そしてグループホームにつないでいきたいというふうに考えて、私どもでも、家を使っていいという場所を提供してくださる方がやっと見つかったという状況です。  公的介護保険の対象にぜひなりたい。厚生省の試案に担い手としてワーカーズ・コレクティブが文字としても初めて登場しました。これからの日本の経済は右上がりの時代はあり得ない、高度経済成長がもう望めないとすればどうしていくのかというのを考えたいというふうに思います。  保険で応分の負担はすべきだと思っていますが、負担に見合う具体的な計画の明示と、運用の情報公開をぜひやってほしいと思います、私たちがお金を出すのですから。  社会的入院の解消を進めるためにも、在宅支援の確立と福祉施設基盤確立が不可欠だというふうに考えます。  そして、現物のサービス給付が原則で、お金での現金給付家族介護の押しつけになるのではないかというふうに恐れています。家族介護社会的入院がふえるというふうに私たちは見ています。現実、担い切れないのに、お金を少しもらったって見れないという現実の中では、結局、今の老人の意識というあたりから考えても、老人施設に入るのではなく入院したいという選択がふえて、結果的には医療費がどんどんふえて、それが税金の負担ということで私たちにはね返ってくるようなおそれを持っています。  サービス給付については、利用者の声を反映するシステムと、選択ができることというのが不可欠だと考えます。  高齢者介護自立支援システム研究会の提言は、そのあたりではきっちり提言されているというふうに考えます。要介護の身でも、住みなれた家でひとり暮らしができる二十四時間対応の介護サービスというのがこれからは問われていきます。車いすになっても外出できて好きな買い物ができる、そのような自立生活支援する介護というのがこれからの課題だというふうに思います。  サービス供給主体についてですが、ワーカーズ・コレクティブなどの民間非営利団体の活用をぜひ考えていただきたい。市民参加型福祉の促進をどのように皆さんは考えていただけるかがこれからの大きな課題だというふうに思います。  ワーカーズ・コレクティブのコーディネート機能への公的支援をぜひお願いしたい。現在、私は、こういう事業をしているのに自宅を利用しています。私の一カ月の手当というのは、非営利団体ということですので、一万円でやっています。一日ではないのです、一カ月の手当が一万円という中でこういう事業をやっているのです。皆さんの金銭感覚とは随分違うと思いますけれども。そのあたりは、やってみてなかなかに大変です。でも、これだけのことをやっているわけですから、ぜひそのあたりを活用していただきたいと思います。  要介護認定、ケアマネジメントについて。  公平な基準の認定、現場で一体的に迅速に、専門家だけではなく、私たちみたいな、専門家ではないけれども専門的にやっている、そういう市民参加の制度化をぜひ検討いただきたいと思います。これまでのワーカーズの経験と実績を活用すべきだと思います。  ケアマネジメントも、介護サービスを自分で決定する高齢者サービスに関して十分な知識を持たないことや、だんだん高齢でぼけてきたりすると自己決定が無理な場合が出てきます。それは十分考えられることです。日常的に支援を継続している私たちが、家庭に入って見えているところで、ワーカーズの特にコーディネートをしているワーカーを、これからそういうケアマネジメントや認定の場に登用していただくことが、一番実用的でお金がかからず、なおかつ、大勢の方が求められるものに近いケアが保障できるのではないかというふうに思います。  行政の公的福祉家族の自助努力を縦糸と考えたら、福祉ワーカーズによる助け合いは横糸として、できるだけ小さな編み目をつくって編み込みながら、私たちが望む細やかな、最後まで人権が尊重されて、生きていてよかったと言えるような参加型地域福祉を考えていきたいというふうに思います。  以上、時間が来ましたので、残念ですけれども、もうちょっとしゃべらせていただきたかったと思います。(拍手
  18. 町村信孝

    町村委員長 どうもありがとうございました。  以上で各参考人方々の御意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  19. 町村信孝

    町村委員長 これより委員からの質疑を行います。  質疑につきましては、理事会の協議によりまして、一回の発言時間が三分以内となっておりますので、委員各位の御協力をお願いいたします。  なお、質疑のある委員は、挙手の上、委員長の許可を得て発言をされるようお願いいたします。また、発言の際は、所属会派及び氏名をまずお述べいただきまして、御意見をお伺いする参考人の方の御指名を、全員にというのはちょっとやめていただきまして、お一人お二人とできるだけ絞って御指名をいただければと思います。  それでは、質疑のある委員からの挙手をお願いいたします。――ちょっと数が多いので、順番にいきたいと思います。  まず、津島委員からどうぞ。
  20. 津島雄二

    ○津島委員 自民党の津島雄二です。  きょうは、参考人の皆さん、大変貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。多岐にわたっておりまして、私どももこれを消化するには大分一生懸命考えなきゃいかぬなと感じておるところであります。  そこで、三つの点を簡潔にお伺いしたいと思います。  まず、喜多市長さんと岩田さんにお伺いしたいのでありますが、よく言われておりますのは、介護保険制度の導入が今行われている介護サービスの質の向上につながるのかどうか、かえって定型化されて低下するのではないかということをおっしゃる向きがありますけれども、その点についてどうお考えなのか。  それから、同じようなあれでありますが、森さんから、病院看護のお立場から、介護保険制度にそういう意味で賛成かどうか、皆様方の今までやっておられる仕事がやりやすくなるかどうか、これをお伺いしたいと思います。  それから、二番目の御質問でありますけれども、福祉全般的にそうでありますが、特に介護サービス住民に近いところで、それぞれの地域や実態に応じて創意工夫しなきゃいかぬ。その一方で、財源ということからいうと平準化という要請がありますね、全国同じようにやらなきゃいかぬ。その二つのはざまにあるわけでありますが、上谷さんと滝上さんから、それぞれのお立場から、地域の創意工夫が介護保険制度によって発揮しやすくなるのかどうなのかという点について御意見を承りたい。  三番目に、糸氏先生に、医療改革介護の関係で、将来、分離後の費用負担をどういうふうに考えたらいいか、お伺いをしたいと思います。
  21. 町村信孝

    町村委員長 それでは、多くの方々への御質問になりましたが、手短にひとつお答えをいただければと思います。まず喜多さんからどうぞ。
  22. 喜多洋三

    喜多参考人 津島先生の御質問でございますが、私は意見の中でも申し上げました。よい福祉を求めるためには市町村ごとに格差があってもいいのじゃないかという議論が今まであったわけでございますが、地域によってその特性格差があってもいいとは基本的には思っておりますが、しかし、全国どこへ行っても一定以上のレベルでサービスを受け得られるような制度にすべきである、そういう意味ではこの法の制定は一定の評価ができるのではないか、このように考えております。  以上でございます。
  23. 岩田克夫

    岩田参考人 量産は往々にしてサービスの質の低下につながるということが言われておりますが、私は、今こそサービスの質を逆に上げるべきなんじゃないかと。そのために研修会を頻繁に開いたり、あるいはいろいろと意見交換ということを頻繁に行っていけば、必ずしも質の低下にはつながっていかないと私は思っております。
  24. 森芙紗子

    ○森参考人 私は、基本的には、福祉というのはやはり権利だと思いますので、公的で賄われるべきだと思いますが、今の現状の中で、急がれている状況だとか考えますと、内容的にはともかく、保険制度というものには進めていけるというふうに思っています。
  25. 町村信孝

    町村委員長 ありがとうございます。  次に、二番目の御質問ですが、まず上谷さんから。
  26. 上谷好一

    上谷参考人 枚方市の今までの取り組みから見ていって、今の保険制度内容からいきますと非常にやりにくくなるなというのが本音です。  というのは、モデル案でも出ていますように、ニード判定によって介護、家事が限定されていく。そこに縛りがかかってくる。特に配食の重要性からいきますと、配食は一応対象になっていないというふうに考えていくと、枚方市としては、この保険制度の中では今のサービスよりも縮小しなければならないかなという感じを持っています。
  27. 滝上宗次郎

    ○滝上参考人 先ほど財源論から申し上げましたけれども、私は、保険者市町村とすることはとてもいいことだと思っております。といいますのは、医療保険に見られますように、全国一律ですとコスト意識が全くない。住民みんなが目が届く市町村というものを保険者にする、小さい単位を保険者とすると、そこにコスト意識が物すごく働く。  すなわち、特養は全国で見れば月に二十六万円、療養型病床群は四十三万円となれば、保険者は療養型病床群を避けて特養を優先させるはずです。すなわち、老人病院は淘汰される方向に進むであろう。それからまた、訪問看護ステーションみたいな高いところも淘汰されるであろう。訪問看護ステーションの看護婦が週に一回来るよりは、ホームヘルパーが三回来た方がいいということであります。それから、ワーカーズ・コレクティブのようなところが、こういった生協運動みたいなところがこれからだんだん大きくなっていくのではなかろうかと思います。  ただし、この利点は、私は税方式でもできると思います。地方分権をして消費税を地方に渡すことによりまして、津島先生のおっしゃるとおり、住民のそばで行うというようなことで、これは私は税方式でも同じことではないかと思っております。  以上です。
  28. 町村信孝

    町村委員長 最後に、糸氏先生からお願いします。
  29. 糸氏英吉

    ○糸氏参考人 先ほども申しましたように、私どもは、今度の介護保険はまさに医療保険改革の第一歩と。やむを得ず、今まで介護医療も同時に医療保険の中でカバーしてきた、また、現在やっておるわけでございますが、いずれはこれはやはり分離すべきだろうというふうに考えます。  その場合、介護保険費用分担につきましては、これは既に法案に出ておりますように、税で半分、残りが保険料ということになっております。医療保険につきましては、私どもは、今度、医療保険改革の中では、一般の医療老人医療というのは、リスク分散あるいは世代間の扶助という形から見ましても、どうしても老人医療というものは介護保険に近い形の財政負担というものを考え、そして行く行くは、介護保険老人医療というのはドッキングして一体としていかなくてはいけない。ただ、確かに今のような形にならないとは思いますけれども、将来的には一体としてドッキングさせていく。場合によっては、若人の障害者もその中に含めるといった展開も考えていくべきではないかというふうに考えております。  老人医療費用分担につきましては、私どもは、当分は税と老人保険料、特に年金との整合性をとりながら老人保険料、それから行く行くは、国の負担にかわって、若いときに積み立てた保険料というものを老人のときに、何といいますか、流用していくという形を、今シミュレーションをやっておるところでございます。  以上です。
  30. 町村信孝

    町村委員長 ありがとうございました。  挙手をされる方が大変多いので、質問はある程度絞っていただければな、こう思います。  それでは、福島さん。
  31. 福島豊

    ○福島委員 新進党の福島でございます。  参考人皆様、本日は大変に御苦労さまでございます。  喜多参考人上谷参考人にお聞きいたしたいと思います。  喜多参考人には、未納者対策ということについてお聞きをしたいと思います。  今回の介護保険制度では滞納者に対して大変強力なペナルティーが導入されておりまして、厚生委員会での審議では、こうした未納者対策があるので大丈夫だというような答弁を厚生省はされるわけでございますが、私は、なかなか現実にはそういうことにはならないのではないかという気がいたしております。先ほど参考人は、そうした場合もサービスを与えないというわけにはいかないというような御発言もございまして、まさにそのとおりではないかというふうに思っております。  保険料に関しましても、ちょうだいしました資料では、平成十二年から平成十七年の間に十八億五千八百万から三十一億一千万と、大体一・七倍になるわけでございますけれども、本当にこれだけの保険料を徴収することができるのかどうか、そのあたり、現場の保険者として徴収を行っているわけですから、どのように感じておられるのかをお聞きしたいというふうに思っております。  そして、これはまた、医療保険の改正ということがあるわけでございまして、高齢者負担というのは同時にさまざまな形で重くなっていく、そういうことも勘案すれば、未納者というのはふえざるを得ないのではないかというふうに私は感じておりますが、この点について御見解をお聞きしたいと思います。  そして二点目は、上谷参考人にお聞きしたいのでございます。  サービスは縮小せざるを得ないという、配食サービスにつきましてもお話してございましたが、先日お伺いしましたときに、配食サービスがどれだけ高齢者の、要介護者生活を維持するために意味があるのかというお話をお聞きしまして、私は感銘を受けました。  そうしますと、自治体の単独事業として継続されていくことがやはり要望として出てくるのじゃないか。そうすると、自治体の財政負担というのは大きくならざるを得ないと思うわけでございます。この点についての御見解をお聞きしたいと思うのと同時に、要介護認定につきまして、市町村で原則的に行うことになっておりますが、ここにかかわる問題につきまして御意見をお聞きしたいと思います。
  32. 町村信孝

    町村委員長 それでは、喜多市長さんからどうぞ。
  33. 喜多洋三

    喜多参考人 福島先生の御質問にお答えをいたしたいと思います。  先ほどの意見の中でも申し上げたわけでございますが、これは全国市長会市長さん方の間でも非常に危機感を持っております。はっきり申し上げまして、未納者対策については大変だという感覚を持っておるということを明確にしておきたいと思います。  お手元に参考資料を差し上げておるわけでございますが、国民健康保険でも、私どもの例を申し上げましても、夫婦二人で生活保護をもらっておられる方が月額十七万少し、それに該当する所得以下の国民健康保険保険者が私どもの市では六九%あるわけでございまして、この保険料を徴収するということが非常に大変で、毎年厚生省の方から、九〇%を割っておるということで非常にき  ついおしかりを受けております。その上に今度は、年金から徴収するうち、厚生年金から引ける方はいいわけですが、低金額の年金者についてはそれぞれの市町村で徴収をしろということになっておるわけでございます。つまり、金額の非常に低い方から市町村が徴収をしろと。これを、私、先ほど、ある市長の代弁で申し上げましたが、市町村長は鬼になれというのか、悪代官の役目を果たせというのかという表現になってくるわけでございまして、非常に危機感を持っております。  以上でございます。
  34. 上谷好一

    上谷参考人 一点目のサービス内容ですけれども、今、枚方市が二十四時間在宅の中で、その方の自立のために、最高六回、毎日行くとか、また、当然要介護者ですから訪問看護との組み合わせも出てきます。ところが、訪問看護の場合は週三回しが請求できないという矛盾がある。だからといってほかの四日は行かなくてもいいのかというのもあります。  こういうような具体的なサービスを、特に重介護を対象とした場合に、今のモデル案で出ている内容からいくと、かなりの回数をどこかで削らなければならないのかなというところで、サービスは少な目にして、いわば単独でのサービスをどこかでまた加えなければ、今よりも低下さすことができないので大変かなという気がしております。  それから二点目は、ちょっと聞き取りにくかったのですけれども、要介護認定の基準が市町村で求められた場合ということでしょうか。(福島委員「はい、枚方の場合にはどうか」と呼ぶ)  これにつきましては、今、枚方の場合、拠点型でやっていますので、介護支援センターがすべて設置をしていっています。その支援センターに任すことが本来は理想的で、現場も預かっていただいて一番いいとは思うのですけれども、やはりこれは人間のやることですから、行政支援センターとの双方のかかわりを持ちながら、そこにケースワーカーとソーシャルワーカー等の組み合わせで要介護認定をやらなければならないのじゃないかなと。  ただ、この要介護認定についても、三カ月程度で一度見直しをするというような話もちょっと聞いておるのですけれども、高齢者の方では日々状態が変わることが大いにあります。ですから、三カ月後では遅い。たとえ三日でも状況が変わる場合がありますので、その辺は、現場の方での認定ハンドを、そこに一定の権限を移譲していただきたいなというふうな考えを持っております。  以上です。
  35. 町村信孝

    町村委員長 児玉さん。
  36. 児玉健次

    ○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  糸氏さんと森さんにお伺いしたいと思います。  先ほど糸氏さんからは、インフルエンザで特養で起きた痛ましいことと関連して、介護医療の関係についてお話がありました。それから、森さんからは、鬼子母神病院で六六%の方が在宅復帰をなさった、その辺の御苦労をもう少しお聞きもしたいなと思っております。  それで、お二人にお尋ねしたいのは、この新しい制度が今準備されようとしているときに、医療介護ともに進めるという立場に立てば、今の提起されている法案に対してどんな御意見をお持ちか、その点、立ち入ってお伺いしたいと思います。
  37. 町村信孝

    町村委員長 それでは、糸氏さんから。
  38. 糸氏英吉

    ○糸氏参考人 まず、特養の方でございますけれども、現在、厚生省の通知の中で、特養もそうですが、老健施設もそうでございますが、そこに入っている患者さんとその主治医との連絡ということは、みだりに往診してはいけないということが書いてあるわけです。それでは、特養が医療サービスをちゃんとやっているかというと、これはほとんど名義を貸している程度のことで、余り、きちっとやっておられることも多いのですが、やっておられないところも間々ある。ということで、インフルエンザのような場合に、早く予防的な手当てをしようと思っても医者が診なければ、いよいよ死ぬときでないと診てもらえないというようなことは人権問題でございますので、私どもは早くから厚生省に、こういうような通達はやめて、すぐお医者さんにかかれるようにしてほしいということをお願いしてきたのですが、厚生省はいまだにこの項目は取り下げないということで、現場では、これは非常に困ったものだというふうに考えております。  私は、今度の介護保険については、介護保険という一つの定額の医療の中で、あなたはもういよいよだめになってきた、しかしその方が、いろいろなアクセスが、介護の定額のために、もっとこれをしたらという、いい治療ができないというようなことがあってはならない。だから、介護保険の中で、介護は主体とし、医療は医学管理程度にとどめるのはわかりますけれども、一たん緩急の場合は医療保険給付するような、そういうオプションをぜひつくっておいてほしいということでございます。
  39. 森芙紗子

    ○森参考人 今、六六%の方が在宅に復帰されておりますが、最初のところにちょっと書きましたように、私どものところでは、訪問看護ステーションですとか、それから往診も含めまして、在宅にどのようにして住み続けられるかというのを中心にした、医療のところでのネットワークを今つくっています。それがありませんと、なかなか自宅の方で受け入れていただくというのは困難な状況があります。  かなり細かなところのケアと、それからリハビリを含めたところをやりませんと、高齢者の方の場合には回復が難しいというのがありますけれども、障害は障害として、残ったことは残ったこととして、どういうふうに自宅でそれを補っていけるのかというのを入院中のときに考えていきます。それに即した形で準備を進めて、お帰りいただく。それで、最初、御家族の方は、やはり退院時一週間くらいは不安が募りますので、その間はかなり密にお伺いをするなどの手だてをとりながら、おうちの方にきちんと定着ができる形をつくっていく。  それでも、この間、在宅への復帰率がちょっと下がってきておりまして、ずっと七〇%以上を誇っていたのですが、先ほどちょっと申し上げたように、かなり重度の方がふえてきて、六六%にむしろ下がってきた状態があります。  それから、もう一点のところですが、医療介護もという点で言いますと、今の状況でも、特養ホームなどから救急で私どもの病院にいわば担ぎ込まれてくるという方が結構いらっしゃいます。思うには、誤嚥でいらっしゃる場合もあるのですね、詰まってしまうというか、食事中の出来事ですので。中には、いらっしゃったときはもうほとんどという、ぐあいが悪いというときもありますが、そういうときに、起きたときにすぐ対応するという体制が今ありませんと救命には難しいというふうに思いますけれども、今の福祉の中ではやはりそれが不十分ではなかろうかというふうに思っています。  高齢者の方の場合には、やはりそこのところが充足する、きちっと保障があるということが必要で、それで生き抜いていけると思いますので、医療介護というのは分けられるものではないというふうに思います。何かが起きたら医療にも行け、福祉のところの手も必要だということで、高齢者の人の自立というのは社会的な援助なしにはもうあり得ないというふうに言ってもいいのではないかと思いますので、ぜひ、そのような方向で私たちは考えています。
  40. 町村信孝

    町村委員長 ありがとうございました。  次に、中川さん。
  41. 中川智子

    ○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。  市吉さんと池田さんのお二方にお伺いしたいと思います。  まず、市吉さんに伺いたいのです。  一生懸命働いて、一カ月のお給料が一万円で、そして地域を支えているという方がこの委員会に入られたのは、恐らくお給料が一万円だということは初めてだと思います。そして、実際の自分自身の経験の中で、ともに支え合う、それが公的なものとも結びついていって、今、介護保険法の中で非常に心配されておりますマンパワーの不足を、地域の女たちの力でつくり上げていくということに対して、もう少し伺いたいと思います。  今のサービスの中身は多少お話しされた中でわかったのですけれども、将来的にグループホームですとかミニ・デイサービスをやっていきたいとおっしゃられましたが、それをどのようなイメージでされていこうとしているのかということが一点。  もう一点は、この間、さまざまな御苦労があって立ち上げたと思うのですけれども、財政的なところで補助が、助成がちゃんとなされているのかですとか、また、行政との対応の中で思うことがあったらお述べになっていただきたい。  この二点をお願いいたします。そして、言い残したこととおっしゃいましたので、私もその辺の思いをもう少し伺いたいと思います。  それと、池田さんに伺いたいのです。  おっしゃったとおりで、市民参加、本当にそこのところが決定的に抜けていると思います。その運営委員会の具体的なイメージをもう少しお聞かせ願いたいと思います。  以上、よろしくお願いいたします。
  42. 町村信孝

    町村委員長 それでは、市吉さんからどうぞ。
  43. 市吉七海

    市吉参考人 グループホームとかミニ・デイサービスを今後やりたいというのは、実際に支援をしまして、在宅支援をし続けていきますときに、どうしてもお泊まりがないと難しいなというケースが多々見え始めています。  そのあたりで、イメージとしては、福岡で「宅老所よりあい」というのが民間で非常にいい取り組みをしております。そこのイメージで、私たちは、ミニですから、五人ないし十人くらいを、できるだけ近い場所で昼間お預かりして、お食事を差し上げて、おふろがなかなか家庭で入れにくいというのがだんだんに出てきますので、家庭に行ってお手伝いをするよりか、私たち自身も一緒に、来ていただいた中で、もうちょっと条件のいい設備の中で、家庭のおふろが本当に入れにくい中で介助をしておりますので、そういうところで、もうちょっと施設を整えた中でお預かりできればというふうに思います。  子育てのときに保育所があるように、これから先は、高齢者を昼間預けて、そして働き続けながら住みなれた家で支援をしていく自助努力というのと組み合わせをできるような、そういうのがやれたら一番いいと思います。そういうイメージでいます。  ぜひやりたいと思うのですが、公的援助が私たちワーカーズに対しては全くあっていませんので、まだ委託を受けるという体験も余りありませんので、そういう中では、私たちは、入れ物をつくるのにまず自分たちでお金をつくらなければいけないという事情があります。  今、グリーンコープ生協でどういうふうに考えているかというと、組合員が毎月百円ずつ、年間千二百円を出し合いながら、例えば、私の所属しているグリーンコープふくおかでは、今、年間二千二百万を積み立てて福祉に使うということで、私たちワーカーズ・コレクティブに対して年間六十万の、コーディネートが月一万円しか今の現実で私たちの保障がないという現実を踏まえて、六十万の支援をその中からもらっていますが、月に割ると五万円です。それを運営費に全体で分けますと、代表の責任手当は一万円ということで、なかなかに、家族の理解がないとやれない、事務所も持てないという現実です。早く公的支援が始まれば、私たちのようなサービスがもっと身近なところで保障されていくと、本当に利用者にとっても負担が軽くてやれるのではないかというふうに思っています。  これから先、私たちがやれるとすれば、女性たちの潜在的なマンパワーというのはあるのです。現実に今、私たちが月に四百時間ほど、だんだんにしり上がりにケア時間がふえておりますが、現実には、メンバー二十六人ですけれども、二十六人が毎回働けるほどの状況にはまだ利用の程度が定着しておりませんので、四百時間を十四人ほどで割りますと、一人何時間ケアしているかというのが出ると思います。  利用料金は、価格差を、先ほどの六十万円の支援をもらっているという関係で、本来一時間九百円で設定しているのですけれども、グリーンコープ生協の組合員に対しては七百円という設定をしております。  そのあたりで、実際、一時間七百円ですので、家事支援の場合だと、一回に対して大体二時間支援をすると、お掃除をしながら食事の準備をして食べさせるというのがほぼ可能だというふうに思います。  介護の場合は、もうちょっと長時間になりまして、大体四時間くらいを支援するケースがほとんどです。それで、介助をしながら、排せつのお世話から、時にはおふろに入れるというまでやって、お食事ひとり暮らしの場合はつくりまして、昼から入って、昼御飯を食べさせて、夕方までの準備をして、並べて、そして介助をしながら帰ってくるのです。  実質的に四時間の支援をするときには、前後に移動する時間とかありまして、そういうのは全く計算に入っていませんので、私たちが価格設定するときは、利用する立場で値段を決めていますので、道中の費用とかいうのは全く計算に入れていません。  そういうことで、現実的には、四百時間を十四人で割ったら、今一人どのくらいもらっているかというと、ケア時間が多い人で三万円から四万円。ワーカーとして定着するには、せめてその倍くらいの保障があれば、女性たちは自分の家庭のことをしながらこういう働き方が可能になるというふうに思っています。それは、雇用されて働く人たちを無視するわけではありませんけれども、そういうものも必要だし、それから、もう圧倒的に足りないマンパワーを今すぐに間に合わせるという意味では、私たちのような存在というのは不可欠だと思います。  ぜひお願いしたいのは、こういうワーカーズ・コレクティブにぜひ公的支援をもうちょっとやっていただいて、せめて介護支援センターみたいな拠点を保障されるとかそのあたりの、今、電話代とかそういうのを払うのですら、だから、十円単位で私たちは今月やれるかどうかを心配しながらやっている、非常に経済的には脆弱な基盤の上でこういう仕事を試みているという状況です。もっと支援があれば、私たちはもっと生き生きと、もっと早い時点でやれると思います。
  44. 池田省三

    池田参考人 介護保険運営委員会という形をとって市民参画ということを考えるとき、二つの性格があると思います。  一つは、市町村介護保険事業計画というものをつくるということが法案では義務づけられておりますから、その内容を市民の立場からチェックし勧告する、そういう機能をその委員会に持たせたいということであります。  もう一つは、介護保険になりますと、サービスの利用者は、従来の行政処分の給付の対象ではなくて、ある意味でコンシューマー、消費者になるわけですね。そういうふうに考えますと、被保険者は集団でもってサービス提供側とパーゲニングをしてもおかしくはないわけです。例えば、本来ならば、健保連と日本医師会がバーゲニングをして診療報酬を決めるというのが本来の筋だと私は思うのですが、日本はそうなっていない。  そのような形で、一つは、地域ケアシステムをどのようにつくっていくかということについて直接市民が参画をするということ、もう一つは、そのサービスの価格、質あるいはその量、それをサービス事業者と対等に交渉し得る能力、そういう二つの能力を持つというのが委員会ではなかろうか。  そこで、国民健康保険運営協議会と少し比較して考えた方がいいのかもしれませんが、基礎自治体で役に立たないものの有名なものは、議会を別にいたしますと、監査と国保運協だと言われております。国保運協がなぜ役に立たないかというのは三者構成になっているからです、サービス提供者と被保険者と公益委員ということで。つまり、これはあくまでも金を出している人間が自分たちの権利というものを確立していくというか主張していくということですから、被保険者代表だけによって構成されるべきだ、これが一つ重要なことです。  それからもう一つ、それではどういうふうな形でその委員を選出するのかということなんですけれども、議会との関係がありますから、選挙というのは極めて困難であろうと思います。ただ、議会がそれをやればいいではないかという議論が必ず出るのですけれども、今の議会が役に立つか立たないかということは別にいたしまして、少なくとも介護保険は、法案どおりでいけば、四十歳以上が保険料を払って、完全給付を受けられるのは六十五歳以上です。年齢構成が議会とは違います。そういった意味で、そういった年齢構成あるいは男女構成というものをきちんと基本に置きながら、選出の仕方としては、恐らく、商工団体、労働団体あるいは市民団体、地域の主要な団体が男女一名ずつを推薦する、それに公募を加える、そういうような形で構成するのが現段階においては適当ではないか、そういうふうに考えております。
  45. 町村信孝

    町村委員長 佐藤さん。
  46. 佐藤剛男

    ○佐藤(剛)委員 自由民主党の佐藤剛男でございます。  本日は、それぞれ専門の参考人、ありがとうございます。  私は、医師会副会長の糸氏参考人、それから滝上参考人池田参考人、三人の参考人に質問をさせていただきます。  糸氏参考人には、質問というよりも、大都市においては施設がおくれ、マンパワーの面では大都市は十分だが地方がおくれているのだという分析の上で、利用者本位という形の問題を提起されました。利用者本位、要介護者本位ということでございまして、それは、池田参考人が別の言葉で、質問に対して消費者というような言葉を使われたり、ある部分で非常に共通している部分である。  私、驚きましたのは、私ども立法機関というのは、どちらかといいますと行政に対するオンブズマンでございまして、みだりに特老に行ってはいけないという通達があるとか、それは一例なんだろうと思うのですが、いろいろあるのじゃないかと思うのですが、そういう点につきまして、私個人でもこの問題に関心を持っておりますので、厚生当局が動かないということでありますれば、ぜひこれは動かさなければいけませんから、ひとつまとめてお出しいただきたい。これは御要望でございます。ありがとうございました。  次に、滝上参考人に、滝上参考人の問題分析、団塊の世代が早く来るのだから早くやらなければいかぬ、それから、少子・高齢社会の少子という問題を重視しないと大変なことになる、非常によくわかるわけでございます。  そこで、問題は財源論なのでございますが、財源論の問題で、このシステムは半分公費になっているわけなんですね。ですから、税金か、保険かという議論じゃなくて、折衷みたいな形なんですね。そういうことを前提の上で御発言されておられるのかどうか。  それから、参考人もおっしゃられましたけれども、結局最後は消費税、節約だけで十分でなければ消費税を導入するしかないでしようということで、そうなってくると、消費税の二%アップなり何々するという法律を出さないとこのシステムは動かなくなってしまう、できないということでございますので、そこら辺のところまで、それをできなければこの制度スタートできないという話ですから、そういうことに理解してよろしいかどうか。  次に、池田参考人に対してでございます。  先ほど中川委員からも質問もあったのですが、オンブズマンの創設による市民参加という方式、その具体的なイメージというのを今おっしゃられました。それで、国民健康保険運営協議会というのは法律で成っているけれども、余りこれは動かないものだということもずばり一刀両断されたわけであります。  ですから、こういうものについては、法律が仮に通った場合ですが、通ったときの実施通達あるいは運用通達、そういうような中において、市町村介護保険事業計画との関連において、そういうシステムというような一種の、消費者関係でいいますと消費者苦情処理機関というのがあるのでありますが、そういうのがオンブズマンであろうと思いますが、それから、そういうものについていろいろ出てくるものを――訪問販売だの何だの出てきたものを反映して法律をつくっているのですね、通産省とかそういうようなものは。それで消費者行政というのは随分充実しておるわけでありますが、そういうふうなことは非常に重要なことだと思いますので、そういう一種の、似ているなと私は思ったのですが、おっしゃられました消費者という言葉、コンシューマーという言葉を使われましたが、かぎは被保険者ですね、そういうふうな形でやれば、別に法律的な事項ということではなくていいのでしょうか。法律事項ではなくて、附帯決議とか通達とか、そういうふうに私は理解いたしたわけでございますが、それの確認でございます。  それから第二は、障害者の問題についてのお話がございました。障害者を入れるべきである、それから、四十歳の部分を撤回しろということでございますが、一方で、直ちにそういうようなこともできないから、それについて段階的にというお話がありました。そうすると、そういう面についても、これは法律的にそういうことが必要とは思わない感じに私は受け取ったのですが、そういうふうに理解してよろしいかどうか。  それから第三に、私も非常に共感なのでございますが、選択の自由という形、バウチャー方式などとかいろいろな点でこの委員会でも議論したわけでありますが、そういう面についての修正の部分というもの、法律修正というのが絶対に必要なのかどうか。私は、これは運用の面で、解釈とか通達で相当できるのじゃないかと思っております。  なお、広告制限についての示唆的な御提言についてはテークノートさせていただきます。  以上でございます。
  47. 町村信孝

    町村委員長 糸氏さんの方から、ございますか。
  48. 糸氏英吉

    ○糸氏参考人 はい。まず、これから介護施設、収容施設として、特養、老健施設、療養型病床群、この三つが大体想定されておりますが、それぞれ医療へのアクセスというのは違うわけです。そういう違ったものをそのままやっていった方がいいのか、あるいは、どこへ入っても適切な医療が確保されるという平均的なものを将来イメージしていくのか、これはこれからまだ議論のあるところでございますけれども、ある施設に入ったら十分な医療が提供され、ある施設に入ったら全く医療が提供されないというようなことではやはり困るのではないか。そういう意味で、今度、介護施設として認定されるであろう特養については、今までのように医療が欠如するということのないように特別の御配慮をお願いしておきます。  特養につきましては、現在、嘱託医師というのがおります。それがないと許可にならないことになっておりますが、この嘱託医師が非常にしっかりやってくれているところと、全く名前だけというようないい加減なところとあるわけです。これは、特別養護老人ホームというのは長年あるわけなんですから、厚生省が全くそういうことについてのフォローをしておらないということは、私は本当に問題であろうというふうに思っています。今度のインフルエンザの事件でも、病院へ来たらもうほとんど死んでいるというようなことが現実に起こっているわけですから、特養については、きちっと嘱託医師がやっているかどうかということについて厚生省がフォローすべきだ。それについてのきっちりした行政のフォローは全くなされていなかったということが、何かマンネリ化した一つの原因じゃないかというふうに思っています。  確かに、今の医療保険の点数表の中に、特養については、みだりに往診してはならないということをはっきり書いてあります。このことは、私は、以前から中医協等でも、こういうのは人権問題だと言いましたところ、特養は自宅とは違うのだからそれは仕方がないというような解釈でございました。  しかし、現実に、こういう特養であれ、老健施設であれ、これからは自由に自宅へ帰ったり、また入ったり、また出たりということが保障されているということが大事であって、そういう意味では、かかりつけ医がなぜそこへ往診して患者を診ることができないのか、そういうことをしてはならないなんということを厚生省がどういう権利で言えるのか、本当に国民不在も甚だしいものだと私はかねてからこの点については厳しく指摘しているが、いまだにこれは解釈が直されていない。これは先生方にぜひお願いしたいというふうに思っております。  老健施設についても似たようなところがあるわけです。今、老健施設の患者が外へ出て何か病気が起こった場合は、これは、診た先生は請求できないのですよ。それはその老健施設へ請求してください、こういうことですね。その老健施設の先生が同意しないことにはみだりに治療してはいかぬということになっております。ここにも一つの、厚生省の非常に独断的な解釈というものが出ております。また、老健施設の中で行われる治療範囲についても、非常に厳しい制限が加えられているのが現状でございます。  こういうところを見ますと、入った人がその施設で人質になっているような、あるいは刑務所へ入れられているわけじゃないのですから、施設に入ったからといって、もっと自由を確保すべきじゃないか。そのための配慮を行政こそが担保しなくちゃいけないのじゃないかと私は思っておりますが、事実は全く逆でございます。こういうことについてはぜひ今後改めていただかないと介護保険法が泣く、私はかように思っておるわけでございます。  以上です。
  49. 町村信孝

    町村委員長 次に、滝上さんから。
  50. 滝上宗次郎

    ○滝上参考人 介護保険方式の中に半分税金が入っているということはよく存じ上げております。そのような御質問が出るように、国民は、これは保険方式だというふうに認識しているわけでございます。国民保険方式ということを認識させることで、私は、これは市町村の予算を土木建設のようなものから福祉に劇的に変えていくという作用を持たせているのではないかということで、これは実態的には税方式なのではないかなと思っております。  もう一つ、四十歳未満方々保険料を払わなくてよいことになっております。なぜこうなっているかといいますと、いろいろな理由がつけられてはおりますけれども、保険方式がもはや日本の中で意味をなしていない、四十歳未満に払わせれば、そこに未納者、不払い者が大量に出てくるのではないか、こういったことが制度の当初の前提から考えられているのではないかということであります。これほどまで無理をして保険方式、保険方式と言うのではなくて、これははっきり言って税方式でやられた方がいいのじゃないかということでございます。もう八五%や九〇%のところまで、実質は税方式なのではないかということでございます。  それから、年金も老人医療も税が大変入っております。そのために、国民から見て大変わかりにくい。社会保障給付費が多分七十兆円ぐらいいくと思いますけれども、国家予算の中で十四兆円が厚生省に行っております。それで、国民から見て、医療福祉、年金などにどういうふうにお金がどこから行っているのか非常にわかりにくい。形骸化している。この際、そこら辺をしっかり区別すべきだと思います。  それから、消費税の二%アップができるのかという御質問でございますけれども、本当にこれは悩みの多いところでございます。  といいますのは、つい一週間ぐらい前も、大蔵大臣が国会で消費税を上げるのか上げないのかといったらょっとしたニュアンスを投げかけただけで、株価は大きく下がりました。そういうふうに考えますと、消費税をいじれるのかといった問題があります。  しかし、先ほど私申し上げましたように、今の医療費の中に相当のむだがある。例えば、薬剤費を見ますと七兆円以上使っている。これは人口当たりで見ますと欧米の二倍使っております。老人病院が定額制に移行しただけで、薬剤費の使用量は三分の一になったというように言われております。多額の薬剤費が使われている。こういうところをきちんとやれば、当初の二%分ぐらいは出てくるのではないか、こんなふうに思っております。  それから、やはり政治、選挙というものは短期の人気取りでございますけれども、社会保障というものは二十一世紀に向かう長期の戦略です。日本の国家計画であります。国民に正しく、消費税の増税というものを、政治家の皆さんは言いにくいかもしれませんけれども、言っていかなければいけないのではないか、私はそう思っております。  以上でございます。
  51. 池田省三

    池田参考人 第一点の市民参画の方法でございますけれども、実は、佐藤先生が大変痛いところを突かれたというふうに思っております。  つまり、条例でつくって一向に構わないわけですから、本来、自立した基礎自治体があるとするならば、それはそれに任せていいのです。しかしながら、現実を見ますと、行政通達墨守派が九〇%を占めるというのが市町村の実態でありますから、何らかの形で法律の中に市民参画のシステムを埋め込んでいかなきゃいけないだろう。  その場合、最もはっきりわかるのが、介護保険運営委員会というものの設置を規定しまして、それを施行規則か何かで書くということが一番いいのでしょうけれども、百歩譲って、そのような運営委員会という規定でなくても、具体的に住民の意向をくみ上げるシステムを、これは理念規定、訓示規定のような書き方もあるかと思いますけれども、その幅の中で、いずれにしても具体的に法律の中にこれを組み込んでいただきたいということは私の引けない要請でございます。  それから二つ目の、障害者の方の問題なんですけれども、この法律が施行される時点では、六十五歳以上の要介護高齢者の方と、四十から六十四歳までの特定疾病、特定疾病をもう少し広げてもいいと私は思っておりますが、その方々を当面の給付の対象にするということから出発することについて、私は異議はございません。  問題は、障害者プランができたとはいえ、あれは市町村に義務づけられているわけではございませんので、谷間で全くサービスを受けられない方たちがかなり存在していることは間違いないわけです。その方たちへの手当てを一体どうするのだということがはっきり見えないと、なかなか納得しがたいところがあるのではないだろうか。  そこで、法律そのものをどう書くかということは別にいたしまして、附則で見直し事項は入っておりますから、その中に書くことも一つやり方としてはあると思います。  ただし、将来にわたって障害者の方たちも含めて介護保険給付というものを広げていくという普遍的な制度にしていくとするならば、少なくとも、第一条の「目的」のところで加齢に伴う疾病等、この加齢疾病条項についてはどうしても削除をしないと後年つじつまが合わなくなるということがありまして、そこはやはり必ず修正を置くべきことではないだろうかと思います。  三つ目の選択の自由のことなんですけれども、意見の中では余り展開できませんでしたが、西暦二〇〇〇年度において介護保険法が施行されたとして、施設在宅サービスは絶対的に不足することは明らかであります。  そういたしますと、保険者サービスの配分を一定程度しなければならないという措置的な要素が残らざるを得ないということは否定しがたい事実だと思うのです。もしそうであるとするならば、このような選択というものを市町村がある程度指定できるような規定というのは、本来、介護保険法施行法案の方に入れるべきです。施行法案の方に入れて、これは経過措置であるので、その経過措置が終了した時点で消滅する、そして利用者の選択権の自由はそこに一〇〇%保障される、本来はこう書くべきだというふうに私は思っております。  だから、そういった意味では、本来のあり方から言えば、このサービスの種類を指定できるというような規定については、施行法案の方に回して経過措置としてきっちり位置づけて、将来的にそれを消していく、そういう手法をとるのが一番望ましいと思います。  もう一つは、大臣の答弁などを見ますと、政府の説明では、この指定というのはリハビリテーションを受けるようにする規定であるというようなニュアンスでのお答えがあるようであります。もしそうであるとするならば、私は、リハビリについて適当な助言をすることができるというような表現にすればいいと思いますし、考えてみますと、利用者の自己決定を尊重するなら、リハビリを拒否する権利だってあるのじゃないかということも検討されてしかるべきである、そんなようなことを考えております。
  52. 町村信孝

    町村委員長 山本さん。
  53. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 新進党の山本孝史です。  せんだって、枚方にお伺いして、上谷さんから給食の持っている意味の重さを教えられたのですけれども、きょうのお話の中では、この介護保険が入ればむしろサービス水準が下がるというふうな受けとめをされておられるようです。  そこで、滝上さんと喜多さん、お二人にお伺いをしたいのです。  今回、この介護保険が入ることによって、今全国一律のサービス水準を保障しようとしているゴールドプランより一体何がよくなるのでしょうか。特に喜多市長には、この保険でペナルティーということが入っておりますけれども、このペナルティーという部分給付の制限という部分をどういうふうに思っておられるのでしょうかということをお伺いしたいと思います。  介護保険の中で、今回、競争原理がかなり色濃く表に出てくるという部分の中で、消費者保護という問題、利用者の保護の問題がどうしても出てくる。きょう、いろいろ皆さんおっしゃっているとおりだと思います。そこで、オンブズ制度、いろいろ言われていますが、滝上さんにお伺いしたいのですけれども、こういうふうに機能が、オンブズ制度部分が、この消費者保護、利用者保護というものをどういうふうにこの法律の中に組み込んでいったらいいのか、あるいはどういうふうな体制をつくるべきなのか。  もう一人、その点に関して岩田さんにお伺いをしたいのです。  施設のお立場でおられる。今度、医療という部分介護の分野にどんどん入ってきます。都市部では、特にきょうは都市部を中心としての参考人のお話を聞くということになっておりますけれども、都市部では有床の診療所なり病院が老健施設をつくるという中で、そこがケアプランを作成しということで、私はむしろ、その医療機関が高齢者の囲い込みをやっていくのじゃないかという気もするのですね。そういう中で、施設側と医療との間の一種競争のようなものがこの介護保険の中で起こってくるのじゃないだろうか。皆さんの方は確かにさっき経営者の発想の転換とおっしゃいましたけれども、その辺が、取り残されていくのじゃないか、今度サービスの競争ですから、ちゃんとしたサービスが供給できるのかという点をどう思っておられるのか。  もう一点、喜多市長、先ほどから滝上さんのお話を聞かれながらうんうんとうなずいておられるのですが、ひょっとすると税方式の方がいいというふうに思っておられるのじゃないかというぐらいに思うのですけれども、この点はどうなんでしょうか。あわせてお伺いしたいと思います。
  54. 町村信孝

    町村委員長 それでは、まず喜多さんの方からお願いします。
  55. 喜多洋三

    喜多参考人 二つ御質問をいただいたわけでございますが、まずペナルティーの問題は、意見の中でも私申し上げました。  市町村立場からいきますと、困っておられる方々を助ける、福祉充実していくという立場と、一方では、みんなが保険料を払うのに、その保険料を払わない人に対して、どうするのだと、ペナルティーを科すという制度になっておるわけであります。だから、払っていないから目の前で倒れている人を助けないのかということについては、これは、我々の立場として、決して見逃すわけにはいかないわけでございまして、そのはざまに立って非常に困っておるのも事実です。  しかしながら、国民健康保険の実態を見ましても、払わない方が私のところでは二二%あるわけで、払えない人と払わない人と両方あるわけであります。そういう意味では、ひとつ、本委員会の所管外になると思いますが、税の公正な把握というものを基本的にやってもらえば、払わない人の分は納入がされるのではないかなと思っております。したがって、このペナルティーは市町村長にとっては非常に重要な問題でございまして、先ほど申し上げましたように、悪代官という職につかなければならないのかなという苦しさがございます。  それからもう一つ、私、市長会の立場で申し上げておりますので、保険制度についてはやむを得ないという、これは機関決定をいたしておりますのでいいのですが、私は審議会の委員をさせていただいて、当初から、税ですべてやるべきじゃないか、しかも、消費税が一〇%に上がっても、そのことを国民の皆さんに十分納得してもらえばそれを払ってもらえるのじゃないかということを主張してきた立場がございますので、先ほどの御意見にうなずいておったわけです。  現に、私どものを人クラブなり婦人団体の皆さん方に、私は審議の途中いろいろなことを皆さんに問題をぶっつけて聞きました。きっちりしてくれるのだったら消費税でも払いますよ、しかし、今の消費税はどこへ入ったかわからぬ、ごまかされているような感じがする、そういうのが大方の市民の意見でございます。  以上でございます。
  56. 滝上宗次郎

    ○滝上参考人 山本先生の御質問は、喜多市長に対しましては、本音は税方式じゃないのか、本音を言わせよう、こういうことでございます。一方、私の方に対しましては、保険方式というものを前提にして御質問をいただきましたので、そこを申し上げたいと思います。  一つは、保険方式におきまして消費者保護といったものをどういうふうに考えるかということでございますけれども、現在出されている法案を見ますと、消費者保護という観点がかなり落ちているのではないかなと思っております。その点につきましては、先ほど池田さんが冒頭の十分間の中でるる申し上げたことに対して、私はかなり共鳴いたしております。市民をそこにたくさん入れていくのだ、こういうことであります。  それから、私なりに申し上げますと、ドイツ介護保険法は契約という概念を非常に強く出しております。そのために、契約という概念を強く出しておりますから、消費者に対して質の確保あるいは消費者保護といったものを強く言っております。  どういうところで消費者がいじめられるかといいますと、福祉におきましては、閉鎖された場所であります。要するに、老人ホームとか老人病院の中でいじめが行われたり、虐待が行われたり、縛られたり、薬でよれよれになるわけですね。そのためにドイツではホーム法というものがございまして、法律で、老人ホーム、有料老人ホームを含めまして厳しく縛られております。ですから、ホーム法でホームが閉鎖されたということも幾つかございます。  ドイツ介護保険法案というものができてまいりましたときに、このホーム法を前提にいたしまして、介護保険というものが在宅に入っていくところで消費者の権利をいかに守るかといったことがさんざん議論されて、それが法案になっております。こういったところがすっぽりと抜け落ちているのが日本の介護保険法案ではなかろうかと思います。これは極めて問題です。  それから、苦情処理委員会なんかのメンバーを見ましても、そこに法律関係者が入っておりませんですね。要するに、認定に不服な者は苦情処理委員会に持っていってもう一回認定し直してもらえ、こういうような考え方で苦情処理委員会ができているのではないかと思いますけれども、そうではなくて、苦情処理委員会の方は、これは契約でありますから、そこには家庭裁判所の調停委員をやったような方々が入って、はっきりと、これは契約であるのだから消費者側に立った罰則とかそういったことをやっていただきたいと。ですから、苦情処理委員会は根底から変えていただきたいと思います。  次に、オンブズマン制度が役に立つのかどうかといいますと、これは余り役に立ちません。多分、オンブズマンと老人ホームの経営者とかいったものはつるむと思います。つるむのが日本社会でございます。  一番いいのは何かといいますと、老人ホームをやっていてわかりますのは、ボランティアがホームに来ることです。ボランティアがホームに来ますと、もう中を全部見られてしまいます。ですから、いい特別養護老人ホームを見ますとボランティアがいっぱい来ますね。それで、新聞、テレビなどで発表されるとますますボランティアが集まってくる、ますますいい介護ができる。悪いホームは、どこにも見せられないから、少ない人数でどんどん縛ったりする。そういう意味では、私は、ボランティアの活用というのはいいことだと思います。  それから、競争原理で申し上げますと、先ほど私は、保険を前提にしての御質問ですから、保険者市町村であるということは極めて価格に対して強い立場に立つだろうというふうに申し上げましたけれども、こういった介護保険というもの、税でもできますけれども、市町村コスト意識を強く持てば、これは将来、医療にも応用できていくのかなと思います。まず、介護保険者というものを鍛え上げて、次に医療によって保険者を鍛え上げる、そして、保険者が病院、医院を選択していく、そういったような大きな展望があるのかと思います。  以上です。
  57. 岩田克夫

    岩田参考人 特養ができましたのは昭和三十八年でございますが、あのときに、ナーシングホームという名前で国に要望して予算化したことがあるわけです。ところが、ナーシングホームは医療系じゃないかといって医療サイドの方からクレームが出て、急遽、特別養護老人ホームというのが生まれたわけなんですね、歴史的に見て。  そうしますと、生活施設だということで、健康管理をする医者があればいいということで、嘱託医が生まれてきたわけです。そして、その嘱託医の手当が若干ついてきたわけですね。その先生が健康管理をしながら、外部の医師にかかるということがずっと今日まで続いてきたわけでありますが、現実老人高齢化してきたということは、同時に、その裏には疾病を持っておるということであって、当然、この医療介護とが裏腹の関係の中で老人ホームの生活を見ていかなくちゃいけないのですが、医療がないという。これは生活施設だという前提があるものですから、医療がどうしても薄い。ですから、少し重くなったらすぐ病院に入院させてしまうというのが特別養護老人ホーム現実なんですね。  ところが、これからはそうはいかなくなってくるということで、実は、特養の今一番頭を痛めているのが、医療をどうつけるかということなんです。意見としましては、内部に医療機関を置けという意見と、外部の先生に自由に来ていただいて診察してもらうのも一つの考え方ではないか。  ということは、老人は何も内科だけではない、精神科、外科あるいは耳鼻科、皮膚科、あらゆる科が必要になってくるのが老人ホームの実態であると考えた場合には、中に医療施設を置いておいて、そして、外からそれぞれの専門の先生に来てもらうという方法をとった方がいいのではないかという考え方もあります。  あるいはまた、過疎地へ行きますと、そう先生はいないということで、施設が独自で医療施設を併設していこう、そして、外から先生が常勤して診ていただく。  そういうことで、特養にとって一番頭の痛いのが、医療との関係をどう持っていくかということであります。  ですから、また、入る人も、医療があるかないかによって選択をすることは多分これから生まれてくるだろうと思います、だれでも医療があることに安心感を持ちますから。どんなにそこにいいサービスがあっても、医療がないという不安感は払拭はできないだろうと思います。したがって、今後、特別養護老人ホームにどういう医療機能を持たせるかということは、これから行政との話し合いの中で整理していただかなければいけないのではないかと思っております。
  58. 町村信孝

    町村委員長 奥山さん。
  59. 奥山茂彦

    ○奥山委員 喜多さんと上谷さんにお尋ねをしたいのです。  今回、この保険制度が新たに実施されますと、それは当然、施行者は地方市町村になるわけなんですが、そこで、一つは財政的な問題から考えると、例えば保険料の徴収、納付とか要介護認定、ケアマネジメント、あらゆる事務がふえてくるわけです。そういう場合に、そのふえた事務に対して、それぞれの市町村が従来の職員のままでいけるのか、あるいは新たに職員を入れてこなければならないか、こういうふうなことがあります。  それから、保険料の徴収の問題も、例えば国保の保険料の徴収、そういう制度に乗っかってやるということも一つあるし、サラリーマンですと源泉徴収とかそういうものの中に一緒に入れていく、こういうふうないろいろなことが考えられてくるわけであります。  そういう費用的な面、人員的な面とも一つは、従来から、いろいろな福祉制度というものはそれぞれ市町村の上乗せがあるのですね。国の制度にさらに上に乗せていく、いわゆる超過負担と言われるような制度があるわけなんですが、当然、例えばホームヘルパーの訪問サービスなんかにおきましても、ある一定の定められた制度の上にさらにまた、住民からは、もっとサービスをよくしてくれとか、回数をふやしてくれとか、夜間に来てほしいとか、いろいろな要求が出てくるわけでありますけれども、そういう場合の市町村の対応で、どうしても上積みをしなければならない、そういう問題がやはり住民から強く出てくると思うのです。  そういう場合の財政的な負担というものをどれほど見ておられるのか、いや、そんなものは市町村は一切負担はしませんということでいかれるのか、現在、市町村がとられている状況の中からはどういうふうな対応をされるのか、その辺をお尋ねしたいのです。
  60. 町村信孝

    町村委員長 喜多さん、出番が多くて恐縮でございますが、どうぞ。
  61. 喜多洋三

    喜多参考人 奥山先生の御質問にお答えをいたしたいと思います。  まず、徴収とか認定とかケアマネジメント、市町村がこの介護関係法案が施行されますとどうなるか、事務量がどうなるかという御質問でございますが、事務量は確かにふえると思います。  したがって、私どもの市で何人ふえるか、その金額が幾らになるかという計算はいまだいたしておりませんが、現実にふえることだけは確実でございます。これは各市の市長さん方にお聞きをしても、非常に不安を持っておられるというのが現状でございます。  それから、特に徴収で、国保の上に積み重ねるということになりますから、お手元に参考資料を差し上げておりますように、国民健康保険にお入りになっている方というのは、こういう言葉を言っていいのかどうかわかりませんが、低所得、低収入の方々が非常に多いわけでございます。つまり、お金を、徴収金として、納付金として払うについては懐が非常に小さい方ばかりでございまして、これも先ほど申し上げましたように、私どもの市で生活保護世帯よりも下のレベルの所得の方が六九%あるという実態からして、その上にさらにこの介護の分を積み重ねるということは非常に問題がある。さらには、先ほど他の先生から御質問がございましたけれども、年金の分で、非常に低額の年金者から市町村長が取るということになりますと、これはまさに悪代官にならざるを得ないなという危惧の念を持っております。  さらに、現在、市町村でやっておりますいろいろな福祉行政の上乗せ分については、これはそれぞれの市町村でどうするかは今非常に悩んでおられるのじゃなかろうかなというふうに思っております。現に大阪府でも、これは介護じゃないですが、老人医療で上乗せ分があったわけでございますが、大阪府が非常に財政が苦しいというので上乗せ分をカットする、それは市町村として、地元の市民の方々は当然今までの権利は確保してほしいという陳情があるわけでございまして、そうすれば、市町村がその分を自分のところの財源で確保しなければならないということがございます。  しかし、今の地方財政の現状からしまして、税収がふえておるわけじゃございません、むしろ減っているわけでございまして、そういうことからいくと、上乗せをしたくても上乗せができないという現状があるということを申し上げておきたいと思います。  以上でございます。
  62. 上谷好一

    上谷参考人 すべての質問に答えられるかわかりませんけれども、基本的に、介護保険制度になれば事務量は大幅にふえると思っています。  ただ、職員の数ですけれども、事務量ではふえていくけれども、今後のケアマネジメントの関係、枚方市の場合は市職員がケースワーカーで直接おりますので、その業務がどこまで支援センターに譲られて減らすことができるのかという問題はあると思います。  全体的な財源の問題ですけれども、具体的に先ほど申し上げましたように、ホームヘルパーの委託については国保基準があります。国保基準に枚方市は独自の一定の上乗せをしていることは事実です。できるだけ常勤ヘルパーで責任あるサービスをやっていきたい。  ただし、先ほど申し上げた、平成五年度までのああいった一般的なサービスの提供しかしていなかったものを、平成六年度に、大幅に、三百六十五日回転していただきたいことの契約を変更した。このときの契約金額は、五年度と六年度、全く変わっていないのです。ですから、我々は、枚方の場合、特別養護老人ホーム在宅はすべて民間福祉法人に委託という形をとっておりますけれども、まさにここでは民間福祉法人の活力が活用されて柔軟な対応をしていただいているというふうに理解しています。  もう一点、市の財源としては、先ほど申し上げた、昭和三十四年度より七十歳以上の方に敬老祝い金を支給しておりました。当時、年金制度がない時代ですから、それなりの効果はありましたけれども、こういう時代の変化ととも制度充実しながら、また、一人一人に渡す額はわずかであっても、トータルにすれば、枚方で平均約二億円の祝い金がある、この財源高齢者福祉の方へ充当するから廃止させていただきたいという、当初はかなりの反対がありましたけれども、おかげさんで、この三年間、こういう制度充実する中で、かなりの評価をいただいていると考えております。  ですから、市民のニードをすべて受けるのではなく、ホームヘルパーの役割業務につきましても、住民の要望は十人おれば十人いろいろありますけれども、少なくともケアマネジメントの段階で、必要のないサービスは我々は受けないということがはっきりしています。その方の必要なサービス、あくまでも対象者の自立を支えるというところに的を絞っていく。  今までであれば、例えば、御主人が倒れたから奥さんが介護に当たる、介護に当たっているから奥さんが炊事できないからヘルパー来てください、こういうパターンがあったと思うのです。これは間違っておるのではないか。あくまでもターゲットは対象者の自立へ持っていくということであって、奥さんは普通の生活へ戻ってもらえる、このことの役割業務を明確にしていくことによって、かなりのぜい肉をそぎながら、効率的な回転、または財源についても、それなりの発想の転換さえしていけばかなりの効果は生まれるのではないかなというふうな感じを持っております。以上です。
  63. 町村信孝

    町村委員長 五島さん。
  64. 五島正規

    ○五島委員 本日はどうも御苦労さまです。  私の方からは、他の委員から余り質問されてない点を簡単に御質問したいと思います。  まず、喜多さんにお伺いしたいと思います。  介護保険実施五年経過後まで給付についての限定を認めるというふうに、これは施行法でございますが、なっているわけでございます。そうなると、いつから完全実施されるかというのがわからない法案ということを先ほど池田さんは御指摘になりました。  一方、これらにつきましては、走りながら整備をしていかざるを得ない。特に基盤整備等との問題を考えますと、そういうことになるのかなと思うわけでございますが、市町村立場から見まして、先ほど池田さんがおっしゃいましたように、五年後という単位で基盤整備を行って給付の一定の制限というものを解除できるというふうにお考えか、それとも、もう少しこれぐらいは時間がかかるというふうにお考えか、そこの点についてお伺いしたいと思います。  もう一点につきまして、糸氏先生にお伺いしたいと思います。  一つは、先ほどからも御指摘になっておりますが、今回、療養型病床群も介護保険の対象になるということになっております。慢性期の医療に対する療養型病床というものに対しては、慢性期の患者の急性期への変化というものに対してフレキシブルに対応できないと医療は成り立たないのは当たり前でございまして、そこのところを配慮されていないと思います。  一方、介護施設を見ました場合に、いわゆる慢性期の疾患を持ちながら、医療としては、主として介護を主体とした方々中心になっているというふうに考えられます。そうした場合に、その方々の急性期に対する変化というものについても、これまたきちっとその対応が義務づけられていないとすると、療養型病床と急性期医療というものとの整合性はとれないのではないかというふうに考えるわけでございますが、先生の御意見をお伺いしたいと思います。  いま一つ、この問題につきまして、本法案の目的規定の中に、加齢による疾病等ということが入っております。先ほど来からも御指摘されているところでございますが、これは目的規定でございまして、実質上の規定につきましては四十歳以上ということで整理されております。果たして、この目的規定の中に、加齢に伴う疾病等というこの文言を入れる必要があるのかどうか。承るところによりますと、この疾病等という点については、日本医師会の御希望が非常に強いのだというふうに私どものところへも聞こえてくるわけでございますが、その点について先生の御意見をお伺いしたいと思います。
  65. 町村信孝

    町村委員長 喜多さんからお願いします。
  66. 喜多洋三

    喜多参考人 五島先生の御質問にお答えをいたしたいと思います。  基盤整備でございますけれども、私どもの市で平成十一年のゴールドプランの完了時期には一〇〇%いきますかとお尋ねをされますと、はっきり申し上げまして、いや、一〇〇%まいりません、大体七五から一生懸命やって八〇。  その理由でございますが、一つは、それに入れる財源が非常に不足しているということがあります。もう一つは、私どもの市は十二平方キロのところに十六万人が住んでおりまして、ほとんど土地がないという特殊事情がございまして、いろいろ建物を建てるにも、用地を取得するということが非常に困難になってまいってきております。そういう事情もありまして、土地をお持ちの資産家の方々に、これやってくれ、あれやってくれといろいろお願いをしておりますけれども、なかなかそれもうまくいかないというのが現状でございます。  お手元に補足資料として差し上げておりますが、先ほどどなたかの参考人の方の御説明の中に、市町村はこの介護保険を実施することによって現在負担している財源が幾らか余るじゃないか、それを投入したらどうだという御意見もあったわけでありますけれども、例えば平成七年度で、私ども、市が出しているものを直ちに介護保険制度で計算をしますと、確かに市の持ち出し分は減額になります。しかし、それはもう数年すれば、たちどころにその額を上回る額になります。補足資料の三にありますように、平成七年で市の負担分が一〇〇としますと、平成二十二年ではその三倍、指数が三〇〇ということになるわけで、三倍になるこの財源を一体どう確保していくのか、これも頭が痛い問題です。  したがって、先ほど冒頭に述べさせてもらった意見の中で、こういう公費負担財源問題をはっきりと明確にしておいていただきたい。国が二分の一持つというお約束をされておるわけでありますが、国保の実情を見ても、補助金がカットされたり、また、計算の見込み違いがあっても、それを補てんをしてもらっていない過去の事情がありまして、それで我々は第二国保というふうに呼んでおるわけでございまして、その辺をひとつごしんしゃくいただきたいと思います。  それからもう一点、ゴールドプランの実施についてですが、これができれば本当に住民のニーズを全部満たせるのかどうか。私どもの市だけ考えましても、私自身が非常に疑問に思っております。  というのは、ゴールドプランは、厚生省さんに言わせれば、各市町村が自主的につくったものだ、したがって、それは市民ニーズを考えた上でのプランだというふうに言っておられますけれども、そうではなしに、むしろ府県からけつをたたかれてつくったものでございまして、財源をどうするかということが一番欠けておるわけであります。  したがって、決まった限りは、各市町村長、一生懸命やっておりますけれども、なかなか一〇〇%にならない。一〇〇%になっても、それは市民需要を満たすかどうかということは断言できない、このように思っております。  以上でございます。
  67. 糸氏英吉

    ○糸氏参考人 五島先生の御質問にお答えします。  療養型病床群は、現在、第一部、第二群と二種類ありまして、主として、第二群の方が老人対応、第一部の方が若い人の慢性期対応という形になっております。  慢性期対応の方は、多くの場合、出来高払いという形で、ある程度急性期にも対応できるようなシステムになっておりますが、恐らく、介護保険の場合は定額制ということで、もし何かあった場合には医療的な対応が十分できないということも起こってくる可能性はあると思うのですね。  そういうことで、患者の命というものを考えた場合に、あなたは年をとっているから別に特に手当てしなくてもいいのじゃないのですかと言うことはやはりできないだろうと思うし、国民のより長い生への希求というものを考えますと、そこで医療保険を提供するか、あるいは介護保険の中でどの程度のレベルの医療を保障していくかということについては、そこのところはまだこれから十分コンセンサスを図らなくてはいけない難しい問題があると思います。  これは財源の問題もございますし、いろいろ問題はあるわけでございますけれども、私は、介護保険の中では、ごく日常的な医学的管理あるいは軽度の医療というものについては介護保険対応ということで、死ぬか生きるかというような重体になってきた場合については医療保険の併給ということもやむを得ないのではないかというふうに考えておりますが、そこらの点についてはまだ検討する余地はあろうかというふうに考えております。  それから、加齢による疾病、目的規定の中のこの文言でございますが、我々は、介護保険法というのは、介護さえ十分いったらそれでいいじゃないかということであろうか。やはりその本質は、介護さえしてもらって生きておればいい、患者さんが介護さえしてもらったらそれでいいというだけではなしに、加齢によっていろいろな問題が起こってまいります。その中でも特に深刻なのは、やはり死というものがそこに迫ってくるわけでございます。この場合に、自分は十分これだけ生きたのだからもう安らかに死んでいきたいという御希望の方もありますし、中には、たとえ半年でも一年でもがんから逃れてもっと生きたいという個人の願いもあろうかというふうに思います。  そういうことを考えますと、私は、個人的なそこの差異というのはかなりバリエーションがあるだろうと思いますし、生きたいという生への希求というものに対しては、介護の中でもそれは保障すべきであるし、また介護そのものが、まさに人間の肉体、精神と裏腹にいろいろな問題が起こっているわけでございますので、医療というものが介護の中でそのベースを支えるものとして我々は重要視していかなくてはいけないということで、当然、この目的規定の中にこの問題を挿入するということは適切であろうというふうに考えております。  お答えになったかどうかわかりませんが、以上です。
  68. 町村信孝

    町村委員長 だんだん予定の時間が迫っておりますので、手短にお願いいたします。  岡田さん。
  69. 岡田克也

    ○岡田委員 池田さんにちょっとお聞きしたいと思います。  池田さんのお話をずっと聞いておりまして、大変共感できるところが多かったというふうに思っております。特に、市民参加という観点で幾つかの御提案をされました。それから、選択の自由ということも言われました。おっしゃるとおりだと思います。したがって、いろいろさらに意見交換をしながら、いい制度にしていきたいと私ども考えております。私ども、入り口のところで、税か保険かというところで考え方が違うわけですけれども、だからといって、個々の中身について、入り口が違うからそれで終わりということではなくて、少しでもいい制度になるようにいろいろな形で議論をしていきたい、こういうふうに思っております。  そこで、池田さんの御意見を聞きたいのは、そういう修正ということを考えていくときに、当然、法案修正ということになってくるわけであります。そのためには、もう少し議論もしなければいけない。しかし、率直に申し上げて、この委員会の中にも、ある程度審議もしたからもうそろそろ採決したらどうか、こういう声がございます。そういうことについて、池田さんとしてどういうふうにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  70. 池田省三

    池田参考人 まず介護保険を論ずるスタンスのことで、少しずれてしまうかもしれませんが、御説明申し上げたいのは、介護保険を租税でとらえるのか社会保険でとらえるのかという議論は、もうちょっとちゃんと整理する必要があるのじゃないかと思うのです。  実は私、介護保険という制度は、少なくとも三つの国の特徴を寄せ集めた混合体だと思っております。  例えばサービスの提供システムというのは、ケアマネジメント・システムが入っておりますが、これは基本的にイギリスあるいは北欧の租税負担方式のところなんですね。ですから、サービスの動きを見てみますと、比較的、租税負担方式の北欧型に近い。  それで、名前は介護保険でございますから、これはドイツと同じでございますし、定額給付というところもドイツ介護保険と非常に似ているところがあります。ところが財政は、御存じのとおり、ドイツ介護保険というのは税金が一切入っておりません。社会保険料だけで行われておりますから、日本の介護保険ドイツ介護保険とは似ても似つかないものである。  それじゃ一体何なのかといいますと、先ほど滝上先生の方からも指摘がございましたけれども、これは半分税金です。三三%が第二号保険料と言われる、四十歳から六十四歳までが出す、これは拠出金ですね。保険料というよりは、拠出金的な性格が強いものです。したがって、一七%の第一号保険料、これが純粋の給付負担の相関関係がある保険料と言えるわけです。したがって、これは一七%の社会保険なんです。  それじゃ、それは一体どこに例があるかといいますと、アメリカのメディケアのパートBがこれに該当するのではないかと私は思っています。パートAが入院で、パートBが外来なんですが、パートAは確かに全額税金で賄っておりますが、パートBの方は二〇%を高齢者保険料で賄い、残り八〇%を連邦予算ということで税金で賄っている。  そういう、言ってしまえばさまざまな国の特徴を集めたごつた煮的システムといいますか、あるいはアジア的システムといいますか、日本的システムといいますか、だから理論モデルでけんかをしても意味がないところがあるのです。だから、そういったモデルが日本になじむかどうか、もしなじむとするならば、それをどのような形で効果的に、要するにベストミックスにしていけばいいわけで、下手するとワーストミックスになるわけで、どうやってベストミックスをつくっていくか、その議論が必要だろうと思うのです。  そこで、そういう議論を踏まえた上で、私、実はこの厚生委員会の議事録、まだ全部持っておりませんので読んでおりませんから、どこまで議論がされたかということについては中途半端な見解しか持っていないのですけれども、少なくともまだ議論は足りないというふうに市民は見ている。それは皆さんの議論が足りないせいではなくて、マスコミが報道してくれなかったということがあるかもしれません。しかし、今の段階できちんとした修正論議を行わずにそのまま法案というものが成立していくとなると、これは一体何だという意識が必ず市民の中に起こり得ると思います。  したがって、私は、もう少しきちんと議論をしまして、そして、本当に修正というものをどうするのだと。それで、修正をすれば、とりわけ私たちが出しているのは市民修正ということで、一種の市民立法的な政治的性格を持っておりますから、それがここで実現したとなると、これは新しい局面を開いたわけですから、そのこと自身が逆に国民に対する政治的な感覚というものを変えていく可能性もあるので、そういった意味では、拙速ではなくきちんと議論をして、本当に修正というものを避けないで議論をして、介護保険制度それ自身は早期に施行した方がいいと私は思いますけれども、そういった手順をとっていただきたいというのがお願いでございます。
  71. 町村信孝

    町村委員長 瀬古さん。
  72. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  時間がございませんので、限って質問させていただきます。  上谷さんと森さんに御質問いたします。  一つは、低所得者層への費用負担の問題なんですが、上谷さんが二十四時間ホームヘルプ体制など大変厚い介護体制を引いてみえるわけですけれども、それによって低所得者層への費用負担がどうなっているのか。これは、介護保険が実施されるとどのようにその点をお考えなのか。  森さんの方には、先ほど痛ましい事例も御報告されて、大変私も胸が痛みました。これも、実際に森さんの病院などで扱っているケースの中で大変そういう低所得者の方々などもおられると思うのですが、具体的なケースでどのようになるのか、その点を教えていただきたいと思います。  それから、森さんの方で出された資料の中で、「在宅患者の施策活用状況」で「必要だが活用していない理由」というのが一覧表になって出ておりましたが、具体的にどういう、本当は必要なのに現行の制度が不備で使えないのか、その点、よろしくお願いいたします。  以上です。
  73. 町村信孝

    町村委員長 それでは上谷さんから。
  74. 上谷好一

    上谷参考人 低所得者の方に対しましては、在宅サービスでホームヘルパーは無料です。それから、配食サービスについては、デイサービスとの関係もありますので、一食について、原材料費として三百円を徴収しています。それから、デイサービス等に通所されますと、一日、その利用によって食事代、入浴代といういただき方で、基本的にホームヘルパー派遣はすべて公費負担で見ておるというところです。  以上です。
  75. 森芙紗子

    ○森参考人 先ほど報告いたしましたケースは、一つの例として出しましたけれども、実際上は、お金の問題というのは、お年寄りにとって、気持ちの上でも肩身の狭い思いをどれだけ抱かせるかというのはたくさんあります。実際、医療保険が今度変わるという話がぱっと出ましたときにも、次からはちょっと来られなくなりますので、どうもありがとうございましたというふうに、三月段階でそのようなごあいさつをなさった人もいらっしゃるというふうなこともありますし、やはり、家族の世話になるというか面倒をかけたくないというのがあります。御自分では、収入がないという負い目のところで生活している中で、自分がいることによってどれだけ家族負担がかかっているかという思いは非常に絶えず、それがずっとあります。  ですから、私どものところに入院されるときも、今は、一般的に老人病院と言われているところですと、都心部の近いところですと、いろいろな費用で最低でも十五万ぐらいはかかります。それで、御自宅から御家族が今度は面会に行くと、都心部から遠いところになりますので、交通費が相当かかります。そういうことも含めると、自分が生きているということ自体が、社会的にというよりは御自分の家族にとっても重荷になっているという思いを抱きながら生きているというところがいろいろなところに出てくるというふうに思いますので、具体的な事例ではほかにたくさんありますが、そういうところでは共通している問題だというふうに思います。  それからもう一点の、どのような施策かというところですけれども、これは私どものところでとりましたデータなんですが、例えば訪問入浴サービスでなぜこういうふうに、「制度不備」でというふうに出るかといいますと、結構活用していらっしゃるように私たちには見えるのですけれども、一つずつのところで本当に、例えば来られる日を待っていなければいけないのですね。その日を逃しますともうずっと後になりますから、その日は朝から待っていなければいけないのです。何時に来るかなんというのはわかりませんし、都心部においては、交通事情では一時間ぐらいは平気でおくれてしまいます。だから、一つの入浴サービスを受けるためには、家族は一日がかりです。そして、それをやるのには、バスタオルですとか敷物も含めまして、相当な量を用意しませんとこの入浴サービスは受けられないです、それまで持ってはきませんので。それで、終わりますと、今度は御家族は洗濯の山なんですよ。それをせっせと洗濯しなければいけない。ですから、一つの入浴サービスを受けるのにそのぐらいの家族負担が伴ってくるということもあります。  もっとそういう点でいうと、銭湯が町中にたくさんありまして、今、銭湯というのは都心部では瀕死の状態にあります。ここの活用というのは、本当に制度的には公の場でそういう人たちにどんどん公開して、それで活性化のもとにもなりますから、ぜひそういうことも検討の余地があるのではないかなというふうに思います。  それから、今後、高齢化が進みますと痴呆の問題が一番深刻になります。歩けるとか歩けないとかの車いすの活用とかというのと痴呆の問題が介護保険に出てはいますが、家族にとっては非常に切実でして、そういう意味では、グループホームというのが先ほど出ていましたけれども、そういう制度が、グループホームということ自体がどういうことなのかがわからないでいるという状況が今非常にたくさんあろうかと思いますので、そういうことでは非常におくれているかなというふうに思います。  なぜかというと、最終的にこういう情報を知らないというのが大きいのです、活用されていない状況では。それがありますので、知らされるということがまず大事だろうと思いますので、そういう点で、先ほど私どものところの例をとりまして発言しましたけれども、情報をどんどん出していけるような在宅介護支援センターというのが、高齢者の人で多少足腰が弱くても歩いて相談に行ける、それで駆け込み的にも行ける、そういうふうなところに点在するべきだというふうに思っているのです。まずそこが非常に大きいことではないかと思っています。
  76. 町村信孝

    町村委員長 それでは、まだまだ御質問があろうかと思いますが、予定の時間をオーバーしてまいりましたので、大変恐縮ですが、これにて参考人に対する質疑を終了いたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人皆様方におかれましては、大変長時間にわたりまして貴重な御意見をいただきましたこと、心から御礼を申し上げます。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。本当にどうもありがとうございました。(拍手)  次回は、来る八日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時六分散会