運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-04-02 第140回国会 衆議院 厚生委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月二日(水曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 町村 信孝君    理事 佐藤 剛男君 理事 住  博司君    理事 津島 雄二君 理事 長勢 甚遠君    理事 岡田 克也君 理事 山本 孝史君    理事 五島 正規君 理事 児玉 健次君       安倍 晋三君    伊吹 文明君       江渡 聡徳君    大野 松茂君       大村 秀章君    奥山 茂彦君       熊谷 市雄君    桜井 郁三君       鈴木 俊一君    田村 憲久君       根本  匠君    能勢 和子君       桧田  仁君    松本  純君       青山 二三君    井上 喜一君       大口 善徳君    鴨下 一郎君       坂口  力君    福島  豊君       桝屋 敬悟君    矢上 雅義君       吉田 幸弘君    米津 等史君       家西  悟君    石毛 鍈子君       枝野 幸男君    瀬古由起子君       中川 智子君    土屋 品子君       土肥 隆一君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小泉純一郎君  出席政府委員         厚生政務次官  鈴木 俊一君         厚生大臣官房長 近藤純五郎君         厚生大臣官房総         務審議官    中西 明典君         厚生大臣官房審         議官      江利川 毅君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省保健医療         局長      小林 秀資君         厚生省社会・援         護局長     亀田 克彦君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省保険局長 高木 俊明君         社会保険庁運営         部長      真野  章君  委員外出席者         議     員 金田 誠一君         議     員 山本 孝史君         議     員 枝野 幸男君         議     員 北村 哲男君         議     員 秋葉 忠利君         法務省民事局参         事官      揖斐  潔君         大蔵省主税局税         制第一課長   伏見 泰治君         厚生大臣官房障         害保健福祉部長 篠崎 英夫君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二日  辞任         補欠選任   嘉数 知賢君     熊谷 市雄君 同日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     大野 松茂君 同日  辞任         補欠選任   大野 松茂君     嘉数 知賢君     ――――――――――――― 四月二日  臓器移植に関する法律案金田誠一君外五名  提出衆法第一七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  介護保険法案内閣提出、第百三十九回国会閣  法第七号)  介護保険法施行法案内閣提出、第百三十九回  国会閣法第八号)  医療法の一部を改正する法律案内閣提出、第  百三十九回国会閣法第九号)  臓器移植に関する法律案金田誠一君外五名  提出衆法第一七号)      ――――◇―――――
  2. 町村信孝

    町村委員長 これより会議を開きます。  第百三十九回国会内閣提出介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。根本匠君。
  3. 根本匠

    根本委員 自由民主党の根本匠です。  介護保険法案及び医療法の改正について御質問いたします。  介護保険、これまでいろいろと議論がありました。だんだん論点が集約されていると思います。私も、今回の介護保険国民的議論を経て、そして国民的合意のもとでこれは制度化すべきだと思います。これまでの地方公聴会、あるいは私が地元で要介護認定モデル事業に携わった方々、いろいろな方々議論した意見なども踏まえて、国民の皆さんの疑問点等もありますから、幾つかの論点につきまして御質問したいと思います。  公的介護は、財源確保サービス供給体制、あるいはケアマネジメントシステムづくり、これが一番大事だと思います。財源論につきましては、これまでもいろいろと議論がありました。税か社会保険か、これが大きな論点一つになっております。改めて、税か社会保険かという点について質問をさせていただきたいと思います。  私は、税と保険の違い、これは四点ぐらいあるのではないだろうかと思っております。  一つは、財源論。必要な財源をどう調達するか。税かあるいは相互扶助保険か、これは手段になると思います。  それからもう一点は、公的介護サービス保障をどう担保できるか。ここで税と保険を比較しますと、租税に依存したサービスで最適なサービス確保できるか。租税はいわゆる補足性の原則がありますし、どうしても最低基準は国がやるけれどもその上は自分で、例えば生活保護、この辺が典型だと思います。したがって、実際に最適なサービスを公的に保障しようということになれば、私は、措置という税方式よりも、公的なサービス国民が選択できる、サービスレベルの設定によって負担給付レベルが決まる保険方式の方が柔軟でいいのではないか、こう思います。  それから三点目は、サービス供給促進効果保険給付負担関係がわかりやすいし、権利性もありますから、地域介護基盤供給体制、これを促進する効果が出てくるだろうと思います。  それから四点目が、サービスの効率的な提供という点であります。措置制度ではどうしても、サービス供給をやらせるにしても、市町村が枠組みを決めて、民間事業者はあくまでも委託という形にならざるを得ません。この点、保険制度利用者サービス提供者、これは利用者側の選択による契約関係になりますから、保険では利用者事業者を選択できる。反面、多様なサービス供給事業者が出てきて、ここに競争原理が働く。こういう点で、私は保険の方がすぐれているというふうに考えております。  もう一つ、今回の日本型介護保険の特徴、これは保険制度をベースにしながら、自己負担を除く費用の二分の一は公費投入、こうしております。  実は、税と保険との考え方を、一つ聞きたいのと、もう一つは、今回の日本型介護保険考え方、要は二分の一を公費投入しているという考え方。これは、私なりに理解しておりますのは、保険と税のそれぞれの長短がありますが、保険制度長所を生かして、ただし介護等福祉公的責任がありますから、財源論も加味して公費投入を二分の一するということと私は理解をしておりますが、この二点についての大臣考えをお聞きしたいと思います。
  4. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今いろいろな御意見を伺いまして、二点が主な質問趣旨だと思います。  一つは、なぜ社会保険方式を採用したのかというのと、社会保険方式でありながら公費を二分の一投入しているのはどういうことかということだと思うのですが、私は、介護を要する方というのは、まず限られたごく一部の人にはならないということ、むしろかなり多数の方が今後介護を受ける状況になるし、また、介護にかかわる方、家族も含めれば、これはかなりの人が介護問題に直面するであろうということを考えますと、自己責任基本としつつ、相互扶助で支える社会保険方式で対応した方がいいのではないか。  それと、これは社会保障制度審議会勧告ですけれども、昭和二十五年度に「社会保障制度に関する勧告」というのが出ています。昭和二十五年ですから、もう五十年近く、かなり前でありますけれども、依然として私はこれは新しいものだと思う。簡単に読みますが、  国民が困窮におちいる原因は種々であるから、国家が国民生活保障する方法ももとより多岐であるけれども、それがために国民自主的責任の観念を害することがあってはならない。その意味においては、社会保障中心をなすものは自らをしてそれに必要な経費を醸出せしめるところの社会保険制度でなければならない。 これは、昭和二十五年度の社会保障制度に関する勧告です。  平成七年度、同じ「社会保障体制の再構築(勧告)」が出ています。その中で、社会保障財源については、  今後、高齢者介護など立ち遅れの著しい分野への配分を大幅に高めるべきである。この場合、増大する負担については、自立と連帯の精神にのっとり、国民のだれもが応分の負担をしていくことが必要である。  社会保険は、その保険料負担が全体として給付に結び付いていることからその負担について国民の同意を得やすく、また給付がその負担に基づく権利として確定されていることなど、多くの利点をもっているため、今後とも我が国社会保障制度の中核としての位置を占めていかなければならない。したがって、増大する社会保障財源として社会保険料負担中心となるのは当然である。 これは平成七年度の社会保障体制勧告であります。  くしくも昭和二十五年度の勧告平成七年度の勧告が同一の趣旨で貫かれているということから見ても、私は、この社会保険方式を採用するのが妥当ではないか。  とはいっても、なぜ公費を二分の一投入するのかということでありますが、必要な費用を全部保険料財源で賄うこととした場合は、被保険者かなり保険料負担を強いることになるのではないか。そういうごとで考えて、給付費の五割を今の時点で賄うことは、これもまた国民理解を得やすいのではないかというふうに思います。
  5. 根本匠

    根本委員 ありがとうございました。  この介護保険については、保険と税の短所を合わせたようなものだという御批判もありましたけれども、むしろ私は、保険長所を生かしながら、公費投入という形も含めて日本型の介護保険を創設するということだと思います。  次に、もう一つ論点として、要介護認定の問題、これについて何点か御質問したいと思います。  介護保険制度が、利用者が自由にサービスを選択して、利用しやすく公平で効率的な社会システムになる、このためにはケアマネジメント、要介護認定一つポイントだと思います。特に、要介護認定は客観的な基準に従って、公平、迅速、そして合理性、透明に行われなければならないと思います。ケアマネジメント介護サービスの効率的な供給かぎでもありますから、まず、この介護認定の問題の観点から、ケアプラン作成の仕組み、体制、これについてお伺いいたします。  現在モデル事業がやられておりますが、モデル事業問題点として幾つか出てきております。訪問調査項目が非常に多くて数時間を要した例もある、あるいは調査員専門外の事項もある、本人よりも家族が詳細な説明をする例もある、もう一つは一次判定と二次判定に差が出てきている、こんな問題点が出てきておりますが、こういう問題点を踏まえて、これからのケアプラン作成をするための体制、仕組み、特にこれは専門がいろいろ多岐にわたりますから、福祉医療看護連携、バランス、これをどのように考えていくのかお伺いいたします。
  6. 江利川毅

    江利川政府委員 要介護認定が適切に行われる、これは基本でございます。そういう意味で、要介護認定項目につきましては、先生の御指摘にありましたように、モデル事業で今適切な姿を検討しているところでございます。まだ若干おくれておりますが、今、モデル事業をやった自治体から報告が上がってきておりますので、そこで出てきました項目をもとに、今の判定基準調査票等についてさらに検討をしまして、改善を加えた上で、平成九年度におきましても、さらに多くの地域モデル事業を実施して、その辺の蓄積を加えていきたいというふうに思っております。  サービスは、医療から福祉多岐にわたるサービスが総合的に要介護者に行き渡ることが必要でございまして、そういう意味で、保健医療福祉専門家連携をとって行うということが重要でございます。そのかぎケアプランを適切に作成するということになるわけでございますが、これにつきましては、要介護認定がなされますと、介護支援専門員中心に、サービス提供する医療分野の人、福祉分野の人、そういうところで会議を開きながら、本人の意向も聞きながらケアプランを作成していく、こういう形で進めていくということになります。
  7. 根本匠

    根本委員 私もこの点が大事だと思いますので、モデル事業の中で問題点、課題、これをきちんとシミュレーションをして、適切な体制にするように要望をいたします。  それからもう一点、訪問調査員の質と量の確保、この点についてお伺いいたします。  ケアマネジメントをきちんとやろうと思うと、ニーズの客観的な評価、これが最も重要だと思いますし、訪問調査が正確に行われるかが大きなポイントになります。その意味で、訪問調査員の質、特に専門性をどう確保していくか、それから具体的なマンパワー、量の確保、この点についてどうお考えでしょうか。
  8. 江利川毅

    江利川政府委員 訪問調査は、市町村職員をして行わせる場合と、市町村委託を受けて介護支援専門員が行う場合とがございます。市町村職員が行うような場合におきましては、恐らく、市町村職員のうちの福祉関係専門家であるとか、あるいは保健婦さんであるとか、そういう方々が行うことになろうかと思います。そして、必要な調査票につきましてしかるべく指導をして、適切な記入ができるようにした上でやっていただくということになります。  また、介護支援専門員でございますが、これにつきましては、相当な養成が必要でございます。私どもが今考えておりますのは、保健医療福祉専門職等で一定の実務経験を有している人、こういう人たちにつきまして所要の実務的な研修を行う、それでその任に当たっていただこうというふうに考えているわけでございます。平成八年度におきましては、都道府県において養成をする人、指導をする人、そういう人についての研修を行いました。九年度も同じように引き続き指導者養成を行いますとともに、都道府県において介護支援専門員養成を行えるようなことを進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  9. 根本匠

    根本委員 今、指導する人を養成しているという話ですが、指導する人を養成している、つまり、養成されている人がまだ戸惑いもいろいろありますので、この辺はきちんと、ここがかぎだと思いますからやっていただきたいと思いますし、どうもこれは平成十二年四月施行ということになりますと三年あるわけですが、この辺は多分時間との競争になるだろう、私はこう思いますので、この辺はしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  それから、この訪問調査員に関してもう一点お伺いしたいと思いますが、訪問調査員信頼性なり倫理性をどう確保するか、これはなかなか難しい話でありますけれども、例えば、今回の法案の中でも、サービス提供機関訪問調査を依頼できる、こうなっておりまして、この点についていろいろ御意見も出ております。やはり訪問調査員公平性客観性、これをどう担保するかが大事だと思います。より一般論として言えば、モラルハザードの問題、利益誘導や裁量、恣意性の排除、これが必要だろうと思います。  特にその意味では、介護認定調査員には、必要な能力と同時に、倫理性信頼性、これが求められます。本来であれば、ケァマネジメントはサービス提供機関とは別の第三者機関、これが望ましいと思いますが、介護認定調査員がそういう形ではなくて委託等によって行われるとなれば、その意味では、訪問調査員市町村職員介護支援専門員という話がありましたけれども、公務員に準ずるような倫理規範、これが必要だろうと思いますが、どうお考えでしょうか。
  10. 江利川毅

    江利川政府委員 訪問調査をする調査員でございますが、市町村職員であれば、当然地方公務員法適用を受けますので、これは大丈夫であろうと思うわけでございます。御指摘の、委託を受けて民間介護支援専門員を活用するようなケースでございますが、この法律上、介護支援専門員あるいはその関係事業者につきましては、守秘義務を課している、あるいはまた刑法の適用については公務員とみなすというような規定を設けておりまして、そういうことによりまして、公平性とか倫理性確保したいというふうに思っているわけでございます。  さらに、先ほど申し上げましたが、これから養成等研修に入るわけでございますが、その研修を行う中で、公平性客観性が必要であること、あるいは倫理性を高める、そういうようなことにつきましても研修の中に織り込みたいと思いますし、あるいはまた、介護支援事業者について運営基準というのをつくる考えでおりますが、その運営基準の中でも、そういう点についてきちんと留意するような形のことを考えていきたいというふうに思っております。
  11. 根本匠

    根本委員 私は、ここのところの倫理性確保が、この問題で一番大事なところだと思います。  次に、医療介護連携観点からお伺いいたします。  療養者本人のQOL、クオリティー・オブ・ライフ、生活の質、これを考えたときに、さまざまな保健医療介護サービスの組み合わせが必要になってきますが、大事なのはタイミングなんだと思うのですね。例えば、具体的な例を申しますと、高齢者脳血管疾患で三カ月間治療して在宅に移る。こうなると、在宅に移った後は通常何が必要かというと、入浴サービス訪問看護訪問診療、こういうことになるわけですね。このときに、要介護認定申請とそれから認定、ここに当然タイミングずれが出てくる。多分、この辺のことを想定して特例居宅サービスあるいは特例施設介護サービス、これを制度化しているわけですが、この条文は、「緊急その他やむを得ない理由により指定居宅サービスを受けた場合において、必要があると認めるとき。」と、特例的な考え方になっているわけですね。  それで、私は、そのタイミングが重要だと言ったのは、入院していて在宅に移る、それで申請から認定の間に時間がある。当然サービスは、訪問看護あるいは入浴サービス訪問診療、これを受けるわけですね。ですから、この考え方は、私は、申請から認定までは、入院から在宅に移った場合は暫定的なサービスだと思いますが、特例居宅サービスというのは、あくまでも必要やむを得ないと認めるときと、要は特例的に絞っていますので、ここのところが実態上どうなるのか。  それからもう一点、このサービスを受けた場合の費用支弁ですね。例えば典型例を挙げれば、訪問看護というのは介護の方の体系で行われる。そうすると、認定されたときに、訪問看護はあなたは必要じゃなかったんですよ、その費用は払えません、こうなったときに、実は医療保険体系だったら訪問看護はカウントされるわけです、出来高払いだから。この費用支弁の点でも、ここで問題が出てくると思うんですね。  この二点について、どのようにお考えか。
  12. 江利川毅

    江利川政府委員 まず初めの、申請から認定までの間どうするのかという点でございますが、介護保険では、認定されますと、認定の効力は申請日にさかのぼるということになりますから、申請したときから認定を受けたものとみなされるわけでありまして、申請を受けた後の介護サービスにつきましては介護保険から給付されたものになるわけでございます。  ですから、病院から退院をして、自宅で若干の医療的なケアを受けながら介護サービスを受けるというケースがあるような場合に、当然介護申請をするわけでありますが、状態から見て、恐らくは何らかの介護が要るだろうということは大体わかるんではないか。その場合に、その人は直ちに介護保険指定事業者から介護サービスを受け始めて構わない。ただ、認定されますとランクが決まりますので、ランクを超えた部分は、限度額を超えますとそれは自己負担になりますが、サービスは受けられるようになります。  それから特例居宅サービスの場合は、その申請自身が何らかの事情でできなかった、そういう緊急やむを得ない場合には、申請前の部分であってもこれは特例的に認めましようということでございます。  そういうことで、いわゆる申請から認定までいろんな調査や審査がかかりますので、その間にでもできるだけサービスが受けられるような形に法制度上しているわけでございます。  それから、医療保険における訪問看護介護における訪問看護サービス関係でございます。  その人の介護需要の中身に応じて訪問看護であるとかホームヘルプサービスとかを受けていくわけでありますが、その訪問看護サービスについても、当然必要だという方については、一週間に一回とか二回とかケアプランの中に入れ込んでいくことになると思います。それからまた医療保険におきましても、特別な場合を除きますと、週に三回までとか限度がございます。  そういう意味で、出来高といっても無制限にあるわけではなくて、週に回数が限られておる。回数が限られておるというのは医療保険で見る部分回数が限られているということでございますので、一応大きな乖離というのは余りないんではないかと思っておりますが、先生の御指摘の点につきましては、これから具体的にその辺のサービスをどう整理するかという中でよく検討させていただきたいと思います。
  13. 根本匠

    根本委員 その点はきちんとやってもらいたいんです。  それから、今ちょっとよくわからなかったんだけれども、特例居宅サービスというのはあくまでも特例的だという位置づけですよね。僕の言っているのは、入院から在宅に移った場合に、当然、タイミングが大事だから、連続的にサービスを受けるわけですよ。認定されたらさかのぼって適用対象になる、これはわかりますが、ただそうなると、この特例居宅サービスというのは、例えば入院から在宅に移るときには、ほとんどこれは特例居宅サービスということで認められる、こういうことになるんですか。つまり、暫定的なもの、特例的と書いてあるけれども、むしろ入院から在宅のときは私は特例じゃなくて暫定的なサービス体系ということではないかと思うんですけれども。
  14. 江利川毅

    江利川政府委員 先生の御意見のとおりでございまして、申請をしまして認定されますと、その認定効果申請までさかのぼるわけでありますが、申請をした後受けたサービスというのは、いわゆる本体の本来のサービスとして位置づけられることになります。  申請そのものができない特別な緊急事態があったというときが特例の問題でございます。何か特別な事情があって申請ができないけれども、サービスが要るというような場合に、申請前であっても事情が特に許せば、これはほんの数日間の話だと思いますけれども、それが特例の方でございます。  普通のものは、申請をした後はこの本体サービス対象になる。ただ、認定されませんとそれは自己負担になりますが、認定されればそのサービス介護保険給付対象になるわけでございます。
  15. 根本匠

    根本委員 じゃ、基本的にはタイミングずれは生じないので連続的にやれるということですね。特例というのは本当に極めて例外的な、申請されなかったようなところを想定している。わかりました。  時間がないので急ぎますが、もう一つ私は、サービス提供体制でちょっと懸念しているのは、在宅介護支援センター訪問看護、これがケアマネジメント等の主力になりますから、これがおくれているのを懸念しているんですが、これはぜひ促進してもらいたい、こう思います。  それから次に、医療法関連質問をさせていただきたいと思います。  日本の今回の介護制度の特徴、これは医学的管理サービスを組み込んだ、医療介護を一体的に提供する点、これが今回の日本介護保険の特徴ですよね、諸外国に比較して。福祉医療を一体的に提供するんだと。  今回、医療法の改正があったわけですが、特にこの改正に関連して、私は、有床診療所の療養型病床群への活用、この点を質問したいと思います。  介護体制の充実に伴って、社会的入院、これは減少していくだろうと思います。ただ、どうしても医療からも介護からも外れる落ちこぼれ的な社会的入院、これは存在するんだろうと思うんですね。その落ちこぼれ的な社会的入院への対応と、もう一つは、医療福祉の問題への緩衝材あるいは調整弁的な役割として療養型病床群を位置づけるべきではないか、私はこう思っているんですね。この点では、町中にある有床診療所が新たな役割を果たすべきだ、こう思っております。  視点を変えれば、今回の介護保険制度で想定されているような施設療養と在宅療養、この二つが二者択一的なのか、両方のいい点を取り入れた中間的な方法はないんだろうか、こういうことで考えますと、在宅療養に近い生活環境において、施設療養に近いサービス提供考えられないのか。この点でいうと、有床診療所、これは町中に、つまり高齢者が住んでおられる町中に根づいていますし、療養型病床群、これは医療プラス介護、この二つの性格を持った療養型病床群ですから、有床診療所に積極的な役割を与えて活用したらどうか、こう思っているんですね。  今回、医療法の改正で、要介護者の増大に対処して、有床診療所を療養型病床群に転換できますよ、それから医療計画の中にも療養型病床群の整備目標を書きましょう、こういう制度になったんですが、実際のところは必要病床数の規制というのがあります。二次医療圏でほとんど、地域では病床数が過剰になっていますから、実はこういう規定を設けたんだけれども、実際上は適用例が非常に乏しい、こういう状況になっちゃうんですね。  この点で二つお伺いしたいのは、一つは、現在の一般、精神、結核の三分野での必要病床数の基準考え方について、療養型病床群については、私は別枠でやるべきじゃないか。多分これは困難だという答えが返ってくると思うんですが。  それからもう一つは、有床診療所の機能、役割を考えた場合には、在宅で非常に大事なショートステイ、実は身近に小規模なショートステイ施設があると非常に利用しやすくなるわけですけれども、そのショートステイの短期入所療養介護、これが位置づけられておりますから、療養型病床群であるのが一番望ましいんですが、それが厳しい、困難であるといった場合には、有床診療所でこのショートステイを積極的にやってもらう。ただ、この場合にショートステイを受け入れられるような実行性があるのか、本当に動くんでしょうか、この点をお伺いします。
  16. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 有床診療所を療養型病床群に転換をするという形で医療法の改正の中に盛り込ませていただいておりますが、有床診療所につきましては、従来、医療計画のベッド数には算定をしないという扱いになっておりますが、今回の改正におきましては、診療所が転換をした療養型病床群につきましても病院の療養型病床群と同様の構造設備あるいは人員配置基準等を設けるというようなことから、病床としては同一の機能を持つのではないか、そういうような観点から、必要病床数の算定ということで、従来の病院の病床と同様に取り扱う必要がある。また、療養型病床群につきましても、従来そのような考え方でやってきているわけでございます。  ただ、医療計画におきます病床規制のあり方そのものにつきましては、昨年の暮れにまとめられました行政改革委員会意見の中で、社会的な入院の解消を図るとともに過剰な病床を削減すると、その必要性は認めているわけでございますが、一方、病床規制のあり方につきましては、必要病床数の枠の中で現在特例的に参入が認められている事項の見直しというようなことも含めて、急性期用の病床と慢性期用の病床とを区分するというようなことについての意見が出されておりまして、そういうようなことも含めて、病床規制全体については、必要病床数の枠の中という大前提ではございますが、検討してまいりたいというふうに考えております。
  17. 江利川毅

    江利川政府委員 後段の部分でございますが、現在でも療養型の要件を満たした有床診療所は診療報酬の中でその役割が位置づけられております。そういうことがあるわけでございますが、先生のおっしゃいますような短期入所療養介護サービスを行う、そういうようなものにつきまして、療養型病床群、これは当然対象になるわけでございますが、御指摘の類似の有床診療所、これにつきましては、一定の要件を満たして適当と認められる場合には、やはりそれの実施施設として考えていくべきではないかというふうに考えているところでございます。
  18. 根本匠

    根本委員 私は、今回の日本介護保険は、福祉医療を一体的に提供するという理念があるわけですから、これからの在宅療養を支える新しい医療体制の確立が必要なんだろうと思うのですね。かかりつけ医、訪問診療等の在宅医療と、それを支える地域医療支援病院、そして必要に応じて利用できる療養型病床群、これらがあって初めて介護保険が生きるし、よりよい運用ができるのだと思うのです。ですから、ベッド数がふえると医療費もふえるという医療財源論観点から必要病床数が設定されているわけですけれども、これは社会保障全体を考えた新しい医療体制の構築、あるいは地域の状況に応じた柔軟な支援が必要なんだと思います。  それからもう一つは、これから介護時代になると大きなテーマになると思いますが、ゴールドプランも量の数値目標だし、今の病床数も量の目標になっていますけれども、実は利用者の立場から、例えば、やはりこれから病院あるいは介護施設についても、介護保険は施設ケアあるいは地域ケアをどううまく組み込むかが大事ですから、その意味では、それぞれの施設の単なる量の目標ではなくて、地域に着目した都市計画的な施設の配置論、そういうものがないと、これは相当地域格差も出てくるし、うまく介護保険の理念が生かされないと思いますので、この辺の視点も入れながら療養型病床群の考え方について私も質問したわけですが、ぜひこれからこれらの視点を入れた対応をお願いしたいと思います。  終わります。
  19. 町村信孝

    町村委員長 田村憲久君。
  20. 田村憲久

    ○田村委員 自由民主党の田村憲久でございます。  本日は、質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。また、厚生委員会委員のメンバーの皆様方、連日、本当に御苦労さまでございます。本当に、厚生委員会、大変忙しい委員会でありまして、私も、配属をいただいたわけでありますけれども、大変やりがいのある委員会だなと感謝をさせていただいておるわけであります。  公的介護保険制度、この介護保険法案に関する質疑の中で既にいろいろな質問等々出尽くしておる感もあるわけでありますけれども、しかし、まだまだ確認をさせていただかなければならないところも多々ございます。重複する部分もあるのかもわかりませんが、どうかお答えをいただきますようによろしくお願いをいたします。  さて、先般、この厚生委員会の中でもいろいろな意味でのフリートーキングがあったわけでありますが、そこで、やはりこの公的な介護制度自体はこれからの高齢化社会が進んでいく中で絶対に必要である、これはわかっておるわけでありますが、その制度自体を、それこそ保険方式なのか、それとも税方式なのか、どちらがいいのかいまだにいろいろな議論が分かれるわけであります。税方式の中では、目的税化をした方がいいじゃないか、そういう御議論もあります。ただ、その中において、じゃ、その目的税化した部分というものを果たして細かい部分で、何%というような部分で数字を挙げられるのですかというような中では、なかなかそのお答えが上がってこない。そんな問題もあるわけでありまして、そのような意味からいたしますと、やはりかかる費用に関しての明確な負担という部分、これを明らかにしていかなければいけないわけでもあります。  この保険方式というのは、そのような意味からいたしますと、負担というものとサービスというもの、これの実感というものがまさにわかりやすい制度であるのではないのかな、そのように私は思うわけでありますけれども、改めてここでお聞きいたしたいのは、なぜ今回のこの介護保険制度において保険方式というものを導入されたのか、改めまして確認の意味でお答えをいただきますようにお願いいたします。
  21. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 これは、根本議員の御質問と重複すると思いますが、今いろいろ言われたことに含まれているのですが、私は、保険制度がいいという理由の中で極めて整理されて言われているのが、先ほど根本議員の質問に対する答弁で引用させていただいた勧告だと思うのであります。改めてその抜粋を読ませていただきますが、昭和二十五年度の「社会保障制度に関する勧告」の中でこう言っています。  国民が困窮におちいる原因は種々であるから、国家が国民生活保障する方法ももとより多岐であるけれども、それがために国民自主的責任の観念を害することがあってはならない。その意味においては、社会保障中心をなすものは自らをしてそれに必要な経費を醸出せしめるところの社会保険制度でなければならない。 これは昭和二十五年度であります。まだ戦後の荒廃、復興ならず、みんな困窮にあえいでいたころであります。にもかかわらず、社会保障中心をなすものは社会保険制度でなければならないと勧告しております。  平成七年度の社会保障体制勧告の中で、社会保障財源についてこう述べております。  今後、高齢者介護など立ち遅れの著しい分野への配分を大幅に高めるべきである。この場合、増大する負担については、自立と連帯の精神にのっとり、国民のだれもが応分の負担をしていくことが必要である。  社会保険は、その保険料負担が全体として給付に結び付いていることからその負担について国民の同意を得やすく、また給付がその負担に基づく権利として確定されていることなど、多くの利点をもっているため、今後とも我が国社会保障制度の中核としての位置を占めていかなければならない。したがって、増大する社会保障財源として社会保険料負担中心となるのは当然である。 これは平成七年度の勧告であります。  貧しいときも豊かになったときでも、同じような勧告が出ている。これは、十分参考にすべき勧告ではないかと思います。
  22. 田村憲久

    ○田村委員 昭和二十五年からそのような勧告が出ておる。私が生まれる前でありますから、かなり以前から議論がされておったことであろうと思います。  この中で、やはり私も保険制度の方がいいのであろう、そのように思っておるわけでありますけれども、もちろん保険ということになりますと、先ほど来話がありますとおり、自分自身が保険というものの中で保険料を払って、そして要介護介護が必要になったときに給付を受けるわけでありますから、それぞれ自分自身が意識を持って保険料を払う。まさにそこには、受ける給付に対する期待というものが当然深まってくるわけであります。サービス自体が充実をされていないということになりますと、これは保険料を払う被保険者方々から、当然いろいろな文句が出てきて、そして不平不満も出てくるわけであります。ある意味ではこの保険制度自体が成り立たないような状況にもなる可能性もある。  そこで、当然サービスの充実というものが必要であるわけでありますけれども、実は、先般公聴会に行ってまいりました。新潟であります。ここで、ある方が、実際問題、身内の方を介護されておられる方でありますけれども、もちろん、要介護者介護を受ける方々にとってのいろんなサービス、これを充実してほしいのも一つであるが、介護をしておる側のいろんなメンタルの部分でのケア、心のケアという部分に関してもどうかサービスを充実していただきたい、そういうような話があったわけであります。  まさに介護をされる方々の心の疲れというものは、これは大変なものであり、肉親であろうとも、時にはその肉親に対して鬼のような、悪魔のような心を抱いてしまう。そしてまた、その後にはそれに対する自責の念というものによって余計に落ち込んでしまう。いろんな問題があるわけであります。この保険制度の中においての介護をする側への心のケアといいますか、サービスについて、ぜひともお聞きをいたします。
  23. 江利川毅

    江利川政府委員 介護をしている家族についての支援でございますが、これは今までも、例えば在宅介護支援センター、そういうところが、家族の抱えるさまざまな悩みあるいは御苦労、そういうものについての相談を二十四時間体制で受け付けている、そういうことが行われているわけでございます。また、シルバー一一〇番というような形でいろんな電話相談を受けたりしているわけであります。こういうようなことで、現在でもそういう体制を整えているわけでございますが、さらにその充実に努めていくことが必要でございます。  また、介護保険制度におきましては、介護給付をする際にケアプランというのをつくることになりますが、そういうのをつくっていくときには、当然家族にも参加をしていただく、そして家族の抱えるいろんな不安や悩みを解消するような形でのサービス提供考える、こういうことをやっていくわけでございます。  そして、こういうような既存の施策の中での相談体制、あるいは介護保険制度の運用の中で工夫をしていく、こういうようなことによりまして、家族の心の不安であるとか悩みであるとか、そういうものに対応できるようにしていきたいというふうに考えております。
  24. 田村憲久

    ○田村委員 この保険制度が実施されるに当たり、保険制度の中でのいろんな絡みの部分も出てこようかと思います。どうかその点を御考慮いただきまして、サービスの面において充実をお願いいたしたいと思います。  さて、これも先ほど根本先生から御質問があったと思うんですが、あえて御確認も含めて御質問をさせていただくわけでありますけれども、要介護認定の場に至ったときであります。  要介護認定の仕方によりまして、当然、介護保険における費用というもの、総額で増大する可能性がある。甘く見れば、今、実施当時、平成十二年四・二兆円と見られておると思うのですが、これがもっとふえてしまうことも十分に考えられる。そこで、もちろんその数字の算定根拠という問題もあるわけでありますけれども、この要介護認定をするに当たって、先ほど来話がありましたとおり、公平性でありますとか合理性、透明性、さらには全国的な一律性といいますか、そのようなものの観点に立った審査が行われなければならない。  その中において、訪問審査、訪問していろんなチェックをされるというようなお話でありますけれども、一つその中で今ありましたのが、役場の方が、実際問題、訪問されていろんな項目をチェックされる、そしてそれによって審査会において審査をする、そのような話であったと思うわけであります。当然、役場の方となりますと、地方に行けば地方に行くほどそこには地域の住民の方々との連帯感、いい意味でもあるわけでありますけれども、それが逆に公平なチェックというものに対して害を及ぼす可能性もこれあるわけであります。知り合いのおばあさんが、何々さん、もうちょっとサービスが多目になるようにチェックしてほしいとか、口に言わなくてもそのようなことをついつい、これは情という部分で感じながら判断をしてしまう可能性がある。  でありますから、そのような恣意性といいますか、そのようなものを防ぐためのいろんな対策を講じなければ、これまた私は費用の増大を呼んでしまうのじゃないのかな、そのようにも思うわけであります。そのような恣意性を削除するために何か対策というものをお考えになっておられるのか、お聞きをいたしたいと思います。
  25. 江利川毅

    江利川政府委員 要介護認定は、一つはかかりつけ医の意見書というのがございます。それから、今お話しのありました訪問調査でいろいろな項目をチェックした調査票というのがございます。そういうのをもとに、介護認定審査会で専門方々専門の目で見て判断をするわけでございます。そういうことで、幾つかの違った角度での目がありますので、できるだけこれは客観的に行われるようになるものというふうに期待しているわけでございますが、先生の御指摘は、その中で特に訪問調査部分で情が入らないかというようなお話でございます。  私どもとしましては、この調査票というのをできるだけ客観的なものにしたい、そういうものにしてできるだけ機械的につけられるような工夫をしたいということが一つでございますし、また、先ほどもちょっと申し上げたことでございますが、いろいろな研修とかあるいは事業運営のための運営基準とか、そういう中でそういう公平性についての意識というものを高めてもらう。やはり人間の心の問題でございますので、どうしても意識を高めていただいて、それで公平性を保てるようにやっていきたいというふうに考えております。また、要介護認定は、三カ月後とか六カ月後というふうに何度も行われるわけでございますので、いろいろな違った角度の担当の方がチェックをしていくことになりますから、そういう形でその公平性ができるだけ担保されるようにしていきたいというふうに思います。
  26. 田村憲久

    ○田村委員 大変重要なところであると思うわけでありまして、恣意性が入らないようないろんな防止策というものをぜひともお願いをいたしたいと思います。  いろんな意味で皆さんからいろんな議論がある中で、本当に十二年までの間に施設やマンパワーの整備というものが間に合うのか、そういう議論もあります。事実、地方に行きますと、地方においてはなかなか中央で思っているほどうまくいかないんですよねというようなお声も地方の首長さんからもお聞きするわけであります。もう何度もこういう御質問あると思うわけでありますけれども、実際問題、平成十二年にスタートするに至って、この施設やマンパワーの整備というもの、現状とそれからまた目標の達成の見通しというものを改めて御確認をさせていただきたいと思います。
  27. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 御案内のとおり、介護基盤の整備につきましては、新ゴールドプランという形で、介護保険導入に合わせまして十一年度末を目途とした全国的な計画を立てておるわけであります。そのよって立つ基盤は、それぞれの地方公共団体がおつくりをいただいております老人保健福祉計画でございます。  その中で、現在、これも幾度か御答弁申し上げましたように、特別養護老人ホームあるいはホームヘルパーといったような、施設、在宅のいわば代表選手的なサービスにつきましては、今日までの整備状況は比較的順調に来ております。しかしながら、デイサービスあるいは老人保健施設というようなものにつきましては、正直やはりまだ整備が若干おくれがちであるということに加えまして、全体的に十二年度でその整備は終わりということではなくて、その先に向けてさらに整備をしていかなければならないという大きな課題もございます。  このような観点に立ちまして、特に当面やはり新ゴールドプランの目標達成ということが大変大事でございます。特におくれた部分等もございますものですから、これにつきましては、地域の特性を踏まえまして、例えばデイサービスについて小規模化をしていく、そういうものも認めていく、あるいは学校等の公共用の施設のあるいは土地の有効活用を図っていく、それから、都市あるいは過疎地等におきましてなかなかニーズのまとまりというものが大きくはとれないというようなところにつきましては、小規模の特別養護老人ホームの整備を促進していくというような、それぞれの地域の実情に応じましたサービス整備を進めていくということで今日も努力をいたしておるわけであります。  平成九年度におきましても、そういう観点から幾つかの新しいいわば弾力的な事業化というようなことにつきましての面も出しております。そういったことを含めまして、何とか平成十二年度に向けて、まず新ゴールドプランに掲げております目標を達成をしていく。さらに、その先の介護保険事業計画という介護保険法自体が規定をいたしております基盤整備計画につなげていって整備を進めていきたいということで、努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  28. 田村憲久

    ○田村委員 地域、地方といろいろと御相談をしていただきながら、ぜひとも整備の方を進めていただきたいわけであります。  ただ、新ゴールドプランにおいていろいろな目標を立てて、今それに対して達成の準備をしていただいておるわけでありますが、例えばこういう問題が私の地元でも起こっております。新ゴールドプランのイメージというのは、大体中学校の校区単位でサトビスの提供体制というものを数字的に示して整備していくという話であるわけであります。全国じゅうを老人保健福祉圏域というような圏域で分けて整備を進められておるわけでありますが、その中で、バランスが崩れている、アンバランスが生じておるという問題があるわけであります。  数字だけ見ておりますと、事実、達成の方向に向かっておるように見えましても、中を見ますと施設が足らない。地域によっては、たまたま圏域が一緒でありますからその中で数というものが整備されているわけでありますけれども、もし利用するなんということになりますと山を越えていかないと行けない、そんな問題が起こってきております。その中で、地域地域にいたしますれば、これじゃ困るから、目標数を一応達成しているけれども何とか我々の地域にも施設をつくってもらえないか、そういう要望も上がってきておるのも事実であります。このような点に関しましてこれからいかに御配慮をされていかれるつもりであるのか、お答えをいただきたいと思います。
  29. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 介護基盤の整備を進めるに当たりまして、どういう圏域でそのサービスを完結する形にするのがよろしいかということになりますと、それは施設のサービス在宅サービスと、おのずとそれぞれのサービスによりまして、例えば特別養護老人ホームでございますと、それぞれの市町村単位で必ず一つということではなくて、やはり老人保健福祉圏域の中でどうかということが大事でしょうし、それからホームヘルパーでございますと、やはりそれぞれの市町村の中でどの程度の整備が具体的になっているかという点が重視をされるというようなことになってまいるとは思います。  いずれにしても、そういったものにつきましては、先生も今御指摘ございましたように、いわゆる老人保健福祉圏域という、全国で三百数十カ所になりますから広域医療圏や何かと大体同じ感じになりますけれども、そういった単位でサービス基盤がどう整備をされているかということを、それぞれの市町村だけではなくて、むしろ県の段階で広域的に調整をするという観点から、その整備を進めるに当たってもその中の配置というものを考えて実は整備をしていくというのが本来の趣旨だったわけでございます。そういう意味からいえば、先生今お挙げになった交通事情等も考えて、この圏域の中ではこういう配置でつくっていこうという形で進めるべきものでございますし、これからもそういう観点に立って適正な配置ということを念頭に置きながら進めていかなければならないと思います。  しかしながら、現実の地理的な環境等によりまして、おっしゃるような状況が既に現実として出てきているというような場合がございますので、これにつきましては、私どももいわば補完的にいろいろきめ細かな配慮が要るという要素だろうと思います。  そういったところにつきましては、やはり在宅サービスと施設サービスを総合的に展開を図るという観点に立ちまして、そういった状況の中で各種の在宅サービスを総合的にまず実施をするということを考えていただく。そのための手段をどうするかということを考えていただきました上で、なお、例えば特別養護老人ホームヘの入所というようなところが、どうしても必要な部分部分的に出るというようなところにつきましては、やはり今後の方向として在宅サービス体制を整えていくということを大事にしながらやっていくという観点からいきますと、そういう場合につきましても、むしろ在宅サービスの展開の拠点となりますような、特養ホームにしてまた在宅サービスの拠点になるような複合施設のような形で、小規模の特養と在宅サービスとを組み合わせたようなものについて需要があるということでございますれば、ここはよく県とも相談をしながら、先生もおっしゃいましたように、これは都道府県の御判断というものをよく判断をしながら検討したいということで、県ともそういうような方針でやっておるところでございます。
  30. 田村憲久

    ○田村委員 本当に、保険あってサービスなしというのがあっても問題でありますし、また地域によって格差というもの、ある程度サービスの格差によって保険料の差をつけるというか、実質的にそのような形に数字的に機械的になってしまうわけでありますから、サービスが少ないからかわいそうだから、この地域に関しては申しわけないから料金を下げようという意味合いとはまたこれは違ってこようかと思うわけでありますけれども、そのようなことが余りに格差が開き過ぎても問題があるわけであります。  確かに、新ゴールドプランを進めていく中で、圏域の中では目標が達成されているから一応はいいですよということも言えるのかもわかりませんが、実情といたしましては、サービスを受ける側といたしましては、事実自分の近くにサービスがないことにはなかなか受けられないという現実もあるわけであります。  これからいろいろな要望が上がってこようかと思います。難しい点もあろうと思いますけれども、将来に向けてでも結構です、どうか御配慮をいただきながら、地域の声というものをもう一度きめ細かく政策の中に反映をしていただきますようにお願いをいたしたいと思います。  さて、いよいよ要介護認定審査を受けまして、ケアプランをつくってサービスを受けようという段になるわけでありますけれども、その段になりましたときに、なかなかそのサービスを受ける要介護者が、どこに何を聞きに行き、どこでどうサービスを受ければいいのかわからない状況というものが生まれてくるのじゃないのかな、そんな不安感を実は感じておるのです。  本来ですと、どこかに情報の窓口がありまして、一元的にいろいろな情報をそこに収集しまして、そこに行けば要介護者が、いろいろなサービスでありますとかプランニングに関しての相談者、要するにプランナーの方々と会えるとか、そういうような部分が一元的に窓口が整備されておればいいわけでありますけれども、そのような指針といいますか、方向性というものがどうもこの保険の制度の中においてはまだ見えてこないわけであります。その点、今どのようにお考えになっておられるのか。  また、もちろんこれは地域地域がそれぞれ特色といいますか、独自性を出しながら進めていかなければならない保険制度でありますから、上からこうしろ、ああしろというようなことはなかなか難しいのかもわかりませんけれども、しかし、一応方向性といたしまして、このような方向で各地域考えてくださいよというような各地域への指導というものはこれまた許されていいのじゃないのかな、そのように思うわけでありまして、その点に関してどのようにお考えになられておるのか、お聞きをいたしたいと思います。
  31. 江利川毅

    江利川政府委員 要介護者介護サービスを利用するときに自分に適したものを選べる、そのためには、先生がおっしゃいますように、どういうサービスが行われているか、その情報がきちんと利用できるようになっていなければいけないわけでございます。  一つには、サービス事業者そのものが自分はこういう事業をやります、これは当然行われているだろうと思うわけでございます。これもまた、まずは基本になる情報でございます。  それから、都道府県におきまして介護サービス事業者を指定いたしますので、県内でどういう介護サービス事業者が指定されていて、どういうサービスを行っているか、これも都道府県でわかるわけでありますので、これもまた利用可能な状態に置かれる必要があるわけであります。  また、そうはいっても、都道府県全域というとかなりこれは利用できないところもあるわけでありますから、当然、保険者であります市町村も、そういう事業者の情報や県の情報も含めて、住民にそういう情報が渡せるようなことが必要になってきます。これは保険者一つの役割でもあろうかと思います。  それから、ケァマネージャーというのでしょうか、ケアプランの策定のアドバイスをします介護支援専門員でございますが、この人もいろいろな相談に乗ってもらう必要があるわけでありますから、そういう事業者の情報、県の情報、市町村の情報を含めまして、当然その情報を持っている努力が要るわけであります。  そしてまた、要介護者から相談がありましたときは、そういう情報を提供して、その人にふさわしい、その人の好みに合った選択ができるようにしていく。そういう意味で、事業者都道府県市町村介護支援専門員、それがそれぞれの立場で情報を要介護者提供していってもらうということが必要だというふうに思っております。
  32. 田村憲久

    ○田村委員 要介護認定を受けた後、当然介護をされておられる方々も御年輩の方、お年寄りの方というような、そんな家庭もたくさんあるわけであります。余りにも情報源というものが多様化しておりまして、どこに行けばいいのかわからない、そういう形になりますと、受けたいサービスが受けられない、そういう事態も起こるわけであります。本来であるならば、役場なら役場のどこかの窓口、これは上からそうしろというふうになかなか国の方から言えないのかもわかりませんが、そこに行って今こういうような認定をもらいましたというふうに言えば、こういうようなサービスがありますよ、要するにケアプランを組むためにはこのような手続をしてここに行ってくださいよ、そんな情報がすべてそこに集まっているような窓口といいますか、システムができ上がっておれば、これは混乱も生まれないし、また受けたいサービスというものを平等に受けられるのではないか、そのようにも思うわけであります。  もちろん、いろいろなサービスを受けるという意味からいたしますと、自分が住んでいる地域だけではなくて、ちょっと離れた地域までもその圏域となってこようかと思うわけであります。都道府県の中においてそれぞれの保険者等々がネットワークを組みまして、最終的にはコンピューターネットワークを組むところまでいけば一番いいのでありましょうけれども、ネットワークを組みまして、そしてある意味では全国じゅうのいろいろな情報も入るというような形の中で要介護認定を受けた方にとって一番有益な情報が手に入る、そういう窓口というものをぜひともわかりやすい部分でこれからおつくりをいただくような方向でお考えをいただきたい、そのように思うわけであります。  時間がなくなってきたわけでありますけれども、実は公聴会に行きましても、いろいろな御質問をさせていただく中で、一般の住民の方々も含めて、介護保険という今上がってきておる法案に関しての制度をまだ十分に御認識いただいていない部分があるわけなのです。特にサービスのメニューという部分に関しますと、何がメニューなのかよくわからない、どんなサービスがあるのかよくわからない。でありますから、今回、保険料とそれから給付されるサービスとを比べまして、漠然とですけれども、これぐらいの保険料は妥当だと思いますかなんというような御質問をさせていただきましても、いやどんなものがあるかわからないからわかりませんよというようなお答えしか返ってこないわけであります。  これから当然、私も、この保険制度、この法案を通しまして早急に整備していかなければいけないと思うわけでありますが、それに関しましての、情報を提供する、周知を進めていく方針、施策、どのようなことをお考えになられておるのか、お聞きをいたしたいと思います。
  33. 江利川毅

    江利川政府委員 まだ法案の段階で、細部がこれから詰まってくる部分もありますので、いわゆる細かいところまで住民の理解がいくというのは、もう少し時間がかかる部分もあろうかと思います。ただ、私どもとしましては、骨格につきましては、いろいろなパンフレットをつくったりあるいはビデオを作成したりして、市町村を通じて住民の方々に説明できるように努力をしてきたのもまた事実でございます。  ただ、まだまだ不十分な点もたくさんありますので、こういう国会での審議もまた恐らくマスコミ等を通じてやられていきますし、いろいろな形でテレビや新聞でも特集を組んで介護問題を取り上げたりしておりますし、また私どもも行政のサイドでできる周知というものに努力をして、施行までには十分理解が浸透するように努力をしてまいりたいと思います。
  34. 田村憲久

    ○田村委員 ありがとうございます。  まだまだ確かにいろいろな部分で不安点は多いわけでありますけれども、しかしもう目前に超高齢社会が迫ってきておるわけであります。そのような意味から、何としてもこの法案を通していかなければいけない。低所得者に対するいろいろな対策なんということも言われておりますけれども、それもある意味では私は、例えば保険料の軽減策でありますとか、また高額介護サービスに関してのいろいろな軽減策等々をお考えになられておるわけでありますし、ある一定のそのような政策というもの、対応というものをお考えになられておるのだな、そのようにも思うわけであります。いろいろな難しい問題、まだ解決されていない問題があるわけでありますけれども、十分に慎重にその点を御審議といいますか御考慮いただきまして、運用面でよりすばらしい保険というものをつくり上げていただきますように、どうかよろしくお願いをいたしたいと思います。  これにて質問を終わらさせていただきます。
  35. 町村信孝

    町村委員長 桝屋敬悟君。
  36. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 引き続き介護保険の質疑をさせていただきます。  介護保険の話に入ります前に、二点ほど、それ以外の問題で非常に重要なことがございますので議題にさせていただこう、このように考えております。  最初が例の彩福祉グループ等の問題で、かねてから厚生省内部におかれまして施設整備業務等の再点検のための調査委員会で鋭意お取り組みをいただきまして、三月三十一日付で最終報告書をお取りまとめになった、これを見させていただきました。  最初に申し上げたいことは、確かに、前回の委員会でも私は申し上げましたけれども、厚生省の幹部職員もかかわった、皆さん方厚生省にとりましては極めて厳しい批判の中で再発防止のためにお取り組みをされた、この努力について私は評価を申し上げたいというふうに思うわけであります。  特に前回の委員会で私も指摘をさせていただきましたけれども、改善事項の大きな柱の中に、やはり皆さん方お役所において襟を正して、しっかりと現場を、こういうことの再発を防止するように取り組みを進めていくというようなことで、「監査・考査の改善」というような項目も入れていただきまして、物品の購入手続等、こういう具体的な問題まで論究をしていただいたということについては、私も敬意を表したいというふうに思います。どうぞこの内容について、また今後再発防止、二度とああいう事件が起きないようにお取り組みをお願いしたい。  ただ、現場でよく聞きますのは、本当に一生懸命やっている人が今まで以上に単に厳しくだけされるということは、これもまた難しい話でありまして、その辺のバランスということがあろうと思いますが、いずれにしても介護保険議論をこうやってやっているときに、ああした事件が絶対起きないように取り組みをお願い申し上げたい。とりあえずは私は、かかわりました関係職員方々の御労苦に敬意を表したいと思います。  そのように申し上げた後でまた申し上げにくいのでありますが、最近の新聞で、毎日新聞の三月三十日で、厚生省管轄の社会福祉医療事業団から特養開設リストが漏れておったという記事が出ました。これの内容を見ますと、施設整備のときにかかわる業者の方に、設備整備の方でありますが、当該年度の施設整備の認可されたものの資料が出回っておった。それを持ってもちろん業者の方は一生懸命商売に励まれるのだろうと思うのでありますが、これもある意味では、現制度の上では非常に問題でありまして、特に社会福祉医療事業団、ここから情報が漏れているというようなことについては、介護保険で新たにまた厚生省の利権が大きくなるのではないかという世間の認識もある中で、私は本当に残念な事件だな、こういうふうに思っております。  毎日新聞の調べでは、事業団は内部資料の漏えいを認めた、厚生省が調査に乗り出した、このように書いてございますが、その辺のてんまつといいますか、今日までの状況で結構でございますが、委員会で御報告をいただきたい。この席で御報告をいただきたいと思います。
  37. 亀田克彦

    ○亀田政府委員 御指摘の、報道されました調査表でございますが、これは社会福祉医療事業団が、毎年二月ごろでございますけれども、翌年度の福祉貸付事業の借入申込予定額、これらを把握いたしますために、都道府県にお願いいたしまして執務資料として取りまとめているものでございます。この調査表には、社会福祉法人ごとに翌年度に計画しております施設整備費の総事業費あるいは事業団からの借入予定額、こういうものが記載をされておるわけでございます。  新聞に報道されておりますのは、平成五年度とそれから平成六年度の調査表が外に出ておる、こういうことでございますが、先生指摘のように、事業団が都道府県の協力を得まして業務処理のために作成しましたこういう資料が何らかの形で流出した、こういうことであれば、大変残念な、遺憾なことである、こういうふうに考えておるところでございます。  私どもといたしましては、早速事業団に対しまして、まず事実関係調査すること、それとともに、こういうことが起こらないように文書管理を本当に徹底していただきたい、こういう指示を先般いたしたところでございます。  現在の状況はそういう状況でございます。
  38. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今事業団が調査をされておられるということでありますが、また調査結果が明らかになりましたら、ぜひ御報告をいただきたいと思うわけであります。  社会福祉医療事業団、当然ながら理事長は厚生省のOBの方が行かれるというようなこともあろうと思いますし、密接に厚生行政とかかわって民間の社会福祉事業等の施設整備等の支援をされておられる団体でありますので、私は、ある意味では、こういう情報が漏れているということが、今回発覚したのはこれだけで、実はこういうことが日常茶飯事に行われているということなのではないか、またかという気もしないでもないわけであります。私は、これは公益法人も含めた行政、そして業者、こうしたものの関係といいますか、癒着とまでは申しませんけれども、そういうことがもしあるのであればとんでもないことでありまして、しかもこの漏れた資料というのは、翌年度の施設整備の計画が事前に漏れると当然それを早くつかんだ業者は有利な営業ができるわけでありますから、私は大変に大きな問題だろうというふうに思います。背景に何か嫌なものを感じるわけでありまして、そういう意味では、私は、三月三十一日におまとめいただいたこの最終報告書も、確かに御努力をいただいた、評価は申し上げたいと思うけれども、二度とああいう彩のような問題を起こさないという観点から、私は当委員会においてもあの内容を徹底的に審議をするぐらいの、介護保険議論のさなかにおいても時間をとって議論をするぐらいの姿勢が必要ではないか、このように思っているわけであります。  こんなことを申し上げながら、介護保険の本題に入りたいと思います。  本日、私は介護保険につきましては、若年障害者の問題を一点、それから私ども具体的な介護保険の制度、最終的にどうするかは大変悩んでいる部分でありますが、我が新進党内で検討した項目でいわゆるバウチャー、利用券の方式、具体的な介護保険の運用ということになろうかと思いますが、この二つをきょうは議論をさせていただきたいと思うわけでございます。  最初が若年障害者の介護の問題でございますが、実は、今、国会介護保険議論が始まったということで、私の方にも多くの障害者の方々からいろいろなお声をいただいております。せんだっても、障害者の方と国会内で親しく懇談をさせていただいたわけでありますが、一つは、介護保険議論の情報をお持ちでない。それから二つ目は、自分たちは介護保険の導入、政府案が今提出されておりますけれども、この導入によってどういう影響を受けるのかということを大変に心配をされておられる。これは当たり前のことだな、こう思ったわけでありますが、残念なのは、具体的な政府案の姿というものが障害者の方々にまだしっかり見えていないということがございました。  そういう意味で、本日は、まだ内容的に煮詰まっていない部分もあろうかと思いますが、かなり具体的な部分で確認をさせていただきたいというふうに思うわけでございます。それで、いろいろな場合があろうと思うのですが、幾つかの事例でお尋ねをしたいと思います。  二十歳未満で、二十になる前に重度の障害が発生した方、この方が在宅生活をされる場合、あるいは身体障害者療護施設あたりで大人になって生活される場合があろうと思いますが、そうした方々保険の加入、政府案の介護保険の加入はどういうことになるのか、それから保険給付はどういうふうになるのか、具体的にちょっと再度確認をさせていただきたいと思います。
  39. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険制度は四十歳から加入するということになっているわけでございますが、今お話のありました二十歳未満、二十以前に重度の障害が発生して在宅におられる方でございますけれども、そういう場合には四十歳到達時点から介護保険に入るということになります。介護保険に入りますと、当然保険料を納めるということになるわけでございますが、ただ、実際、その人たちは働いていない、あるいは働いている方の被扶養者になっているということでありますと、その保険料分というのは医療保険の仕組みの中で払うわけでありますから、現実には医療保険の被保険者が分担して支払うということになるわけでございますので、みんなで分担して払っていただくということになるわけでございます。  それから、その人が四十歳以降でその後、政令で定めるということになっておりますが、特定疾病になったような場合、そういうような場合には、介護給付対象になるわけでございます。  それから、身体障害者療護施設に入所しているケースはどうなのかというお話でございましたが、その場合には介護保険適用除外ということになっておりますので、四十歳になりましても保険料を納める義務はございません。それからまた、当然介護保険からの給付もないわけでございまして、いわゆる身体障害者療護施設でその人のためのサービス基本的に全部行われるということになるわけでございます。  以上でございます。
  40. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 わかりました。  いずれにしても、若年障害者は基本的に介護保険の世界には入りませんよということですね。六十五歳になればその時点から介護保険、あるいはさっき言われた特定疾病、加齢を要件とする疾病であればその時点からということだろうと思います。  それで、例えば四十歳で健常者の方が介護保険に加入をしました。四十五歳で中途障害者、加齢を要件とするのだから、例えば脳血管障害で障害発生というような場合については、当然これは介護保険になろうと思うのですが、その理解でよろしいですか。  もう一つ聞きたいのは、当然ながらそういう方々は、私は非常にわかりにくいのは、障害者の福祉施策と公的介護保険介護給付がどういうふうな取り扱いになるのか、競合になるのか、あるいはどっちかが優先なのか、あるいは両方受けるのですよ、両方うまく利用していくのですよということになるのか、その辺を御説明いただきたいと思います。
  41. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険給付対象になりました場合には、先ほどの、例えば特定疾病によりまして要介護状態になったような場合には、まず介護保険から給付が行われます。いわゆる介護保険給付が優先されます。ですから、障害者施策として行われるサービス介護保険から行われるサービスが同じようなものであれば、それは介護保険のものが優先して行われることになります。  ただ、障害者施策では介護保険から出ます給付サービスとは違った種類の施策も行われているわけでございまして、それにつきましては、従前どおり障害者施策としてそのサービスが行われるわけでございます。
  42. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 そうしますと、確認をいたしますと、四十を過ぎて具体的に障害者福祉施策とそれから公的介護保険、両方受けられる可能性がある方については、当然ながら介護という部分については介護保険の用意する介護給付、これがまず優先ですよ。当然ながら障害者施策というのはもっといろいろな多様なものがあるわけだから、それはそれとして福祉措置として受けられるのですよ。ダブってはだめですよということですね。どうでしょうか。
  43. 江利川毅

    江利川政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  44. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 さて、そこでもう一点確認をしたいのですが、適用除外は身体障害者療護施設等ということになっていると思うのですが、適用除外はどこまでお考えになっているのか。一番広い幅はどこまであるのか、御説明いただきたいと思います。
  45. 江利川毅

    江利川政府委員 適用除外施設は、先ほど申し上げました身体障害者療護施設、それからそのほかに重症心身障害児施設を想定しているところでございますが、さらにほかにあるか、今後検討を進めるということでございます。いわゆる典型的にそれは間違いなくそういうものになるだろう、さらにほかにどういうものがあるか、もう少し検討を進めたいということでございます。
  46. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 この二つ、検討を進めるといったって、今もう施設はたくさんあって、ほとんどある施設はわかるわけですから、端的に重心の施設と療護施設は適用除外ということですね、現在のところは。  それで、一つ確認したいのは、そういう適用除外を受けておられる方が、例えば四十からその施設へ入って六十五を迎えた。六十五を迎えて、六十五以降も施設にいれば当然ながら介護給付はないわけでありますが、施設を出た、六十六で施設を出たという場合は、六十六歳から当然ながら公的介護保険給付対象になろうと思うのです。ただ、その場合によく皆さん心配されるのは、適用除外でずっと来たものだから、何らかのペナルティーが自分にはあるのではないか。この介護保険は短期給付ですから恐らくないのだろうと思うのですが、そこを明確にお答えをいただきたいと思います。
  47. 江利川毅

    江利川政府委員 先生のお見込みのとおり、ペナルティーはございません。施設に入っている人たち介護保険適用除外になっているわけでありますから、適用されていないわけですので、未納とかそういう問題は生じないわけでございます。そういう意味で、未納によるペナルティーとかそういう問題はございません。
  48. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 わかりました。そこは明確にないというふうに理解をさせていただきたいと思います。  それから、あと適用除外はいわゆる施設入所の方に限られていますが、これは自民党の安倍晋三先生も質疑をされておりました。ただ、安倍先生の質疑では具体的なやりとりまでいっていないものですから確認をしたいのですが、在宅の障害者についての適用除外というのは検討されておられるのでしょうか。それとも、いや、その方向はないということなのか、お示しをいただきたいと思います。
  49. 江利川毅

    江利川政府委員 在宅の重度の障害者についてでございますが、施設に入っている場合には多分ずっと施設に入っているだろうということもありまして適用除外にしているわけでございます。在宅の場合には介護保険対象になる可能性というのはまたあるだろうということで、これは適用除外とすることは考えていない。在宅の障害者につきましては介護保険対象になります、適用いたしますということでございます。
  50. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 在宅の障害者で適用除外になるケースはないというふうに考えていいですね。わかりました。  そうしますと、あと問題なのは、もうちょっと後からも議論をしたいと思うのですが、理論的な整理をこの際させていただきたいと思うのですが、今回の政府案、介護保険法の法案をお出しになった中で、若年の障害者をこの介護保険対象にはしないという理論的な整理ですね。なぜそうするのかということについて何点か我々も伺ってはおりますが、改めて簡単に御説明いただきたいと思います。
  51. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険制度対象者をどうするかということにつきましては、いろいろな議論があったわけでございまして、その中で若年障害者をどう扱うかということも議論のあったところでございます。  実は、これにつきましては、一つには、障害者施策につきましては公の責任として公費で実施すべきものである、そういう認識が関係者、障害者の関係者の方でございますが、そちらの方でそういう認識が強いということが一点でございます。  それからまた、障害者施策につきましては、一元的に市町村で行われていない。高齢者につきましては、保健医療福祉市町村の方に全部権限がおりているわけでございますが、障害者についてはそのようになっていない点が二点目でございます。  それから三点目は、障害者の介護サービスの内容といいますのは高齢者に比べて多岐にわたっているということでございまして、これに対応したサービス類型を確立するには、なお、さらにさまざまな検討が要るのではないかということであります。  それから、保険に仮に移行するとなりますと、障害者の介護サービスを初めとして現行施策との調整を十分検討しなければいけない、こういうようなこともありまして、若年障害者を介護保険対象にするかどうかということにつきまして関係者の認識が必ずしも一致していないということで、今回のような形で法案提出させていただいたところでございます。
  52. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 これは私も耳にたこができるほど伺った今回の政府案の説明でございます。若年障害者は、基本的には障害者福祉というものは公的な責任においてやってもらいたいという要望が強い、これが一点。それから二点目が、障害者福祉施策の実施体制市町村で一元化されていないという問題。そして三点目が、障害者の介護サービスはお年寄りの介護に比べてより多様化している、あるいは類型化が難しい、体系化が難しい、こういうことだろうと思います。  しかし、私ども悩むのは、一番最初に言われた障害者福祉というのは公的な責任においてやってもらいたい、公費でやってもらいたいという声が強いからやるのですよ、こうなれば、実は私どもがこの議論をする中で、お年寄りの介護だって国民の声は公の責任でやってもらいたい、介護という問題はその国が国民の老後をどうみとるかという問題なんだから極めて大事な問題であるし、それは公の責任においてやってもらえるものならやってもらいたいという声があるわけでありまして、いや、そんなことはないですよと言えるわけでもないのでありますが、我々もそんな声をよく聞くわけであります。  加えてよく説明されるのが逆の話で、まさに権利としてサービスを受け取るのだ、こういう御説明を介護保険長所として、メリットとしてお話しになる。そうすると、障害者は除かれる、障害者は権利がないのかという裏腹の議論にもなるわけでありまして、そこは私は若干の誤解があるのだろうと思いますので、どうぞ障害者の問題も、きょうは篠崎障害保健福祉部長さんも説明員としておいでいただきました。政府委員になっていないというのはちょっと私も驚いたわけでありますが、ぜひこの介護保険議論と同時に障害者の施策の関係性というものを、今から申し上げますが、しっかりと詰めていただきたい。それを地域の障害者の方々はしっかりと見守っているということを御理解をいただきたいと思うのであります。  それから、二つ目に理由とされたのは、障害者福祉施策の実施体制市町村で一元的にされていない。これはわかります。精薄者とそれから知的障害者と障害児童、これはまだ一元的に市町村におりていないということはよくわかるのですが、これは将来的にはどうなるのでしょうか。  それで、私はもう一点江利用さんに確認したいのは、公的介護保険で若年障害者を当面対象にしないという姿勢なのか。それは裏を返せば、将来的には一元化したい、だけれども今はいろいろなことが調整できないから別々なのです、将来は一体化を目指しますということなのか、いやいや、もともと性質の違うものです、こういう姿勢なのか、そのどちらかをまずお聞きしたいということと、それからもう一点は、今の一元化の問題なんかも、将来は厚生省としてどういう方向をお持ちなのか、この二つをお尋ねしたいと思います。
  53. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険に障害者を将来対象として含めるかどうかということにつきましては、この法案の附則のところに書いてあるわけでありまして、障害者施策の進展その他いろいろな項目も書いてございますが、そういうことを見て検討する事項となっているわけでございます。そういう意味で、いわゆる実施後における検討課題というふうに認識はしておりますが、今の時点で一元化の方向であるとかばらばらの方向であるとか、そこはまだ確定しておりません。
  54. 篠崎英夫

    ○篠崎説明員 市町村との問題でございますが、障害者が地域社会で自立した生活を営むためには、障害者施策の実施主体である地方公共団体、とりわけ障害者に最も身近な自治体であります市町村における取り組みが極めて重要であるというふうに考えております。この件につきまして、障害者プランにおきましても、保健福祉サービス体系市町村中心のものとする方向で検討すべきというふうに言われております。今後、障害者関係の三審議会の合同企画分科会におきまして御審議をいただきまして、さらに検討を進めていきたいというふうに考えております。
  55. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 お二人の御答弁も、二人とももうよくわからないのでありますが、一つは、今回は介護保険で若年障害者は別の形にします、障害者プランでやりましょう、将来はこれは附則でまた考えるということですな。方向性はそれはやってみなければわかりませんということ。それから、今の二点目の市町村の一元的な実施については、これはその方向で検討する、こういうふうに理解していいですか。わかりました。  やはり障害者の皆さんはどういうふうにこの議論が進んでいくのか、もちろん、とりあえず導入してそれから考えるよということなのかもしれませんが、この部分は理論的に整理し得るのではないか、煮詰めれば十分煮詰まるのではないかというふうに私は思います。私は、当面はもちろん別々であるべきだ。我が新進党内部では、いやいや、一緒にやるべきだという声は強いのでありますが、私は、今の制度からいきますと、実態からいきますと、別々の方がいい。そして、将来は一体化を目指す。というのは、理論的に考えて、介護という観点から見れば、お年寄りも障害者も共通の束ねで整理できる部分は必ずあるはずだということであれば、将来は理論的に一体化できるのではないか、そう考えるべきではないかと思うのですが、どうでありましょうか。
  56. 江利川毅

    江利川政府委員 先生のような御意見を言われる方もいらっしゃいますし、先はどのように、公費でやるべきだということで言われる方もまだいらっしゃるわけでございます。障害者プランが二〇〇二年に向けて実施をしていくわけでありますが、そういう中におきまして、どういう方向で皆さんの考え方がまとまっていくのか、そういうのを踏まえながら検討させていただくということでございます。
  57. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 江利用さんのお話を聞いていると、じゃ、公費介護保険も一緒にやった方がいいのではないかという気持ちにもなるわけでありますが、いずれにしても私は、理論的に介護という部分では、もちろん障害者の福祉施策については、単なる介護という部分だけではなくして、社会参加や職業あるいはもっと幅広い障害者の施策があるということは理解できますけれども、少なくとも介護するという観点では必ず整理できるものはあるはずだ。それを別にしていくのですかどうですか、恐らく一体化ではないですかと私は思っておりますし、その方向は、実はこの介護保険議論の中で整理をして、将来を志向しながら進んでいくべきではないかというふうに私は思っております。  別の角度から議論をさせていただきたいのでありますが、実は障害者にとりましては、平成元年からゴールドプランが導入されましてから、大変に寂しい経験をした時代があります。消費税の導入で、ゴールドプランが策定をされ、どんどんと予算が二倍、三倍と拡充をしてきた。片方ではエンゼルプランもスタートした。障害者施策は一体どうなるのだろう、これは谷間の世界かというようなことをずっと言われ続けてきたのであります。  その中で、平成七年の十二月に、これは自民党さんも随分御努力をいただいて、障害者プランを策定していただいた。我々野党としても、これはもうやるべきだ、こういう思いがありました。この障害者プランでやっと何とか一線に並んだかな、こういう気もしているわけでありますが、しかし実際に現場の実態からしますと、実はゴールドプランで進んできないわゆる高齢者介護サービスの大変な拡充、その部分が実は障害者の介護という部分では私はかなりおくれているのじゃないかと、実際に現場ではそういう実感を持っているわけであります。  そういう意味では、この公的介護保険議論の中で若年障害者は別ですよ、こういうことで一概に整理して進まれますと、実は障害者プランの中でしっかりと煮詰めていかなければいけない障害者の介護サービスという部分では、せっかく高齢者介護議論した蓄積といいますか成果が、この障害者福祉介護の中に生かされないという問題が出てくるのではないか。今までも現実にあるのであります。  老人のデイサービスが中学校区に一カ所できてばんばん拡充されてくる。これに比べて障害者の施策というのはなかなか厳しいものがあった。しかも、例えばホームヘルパーをとってみても、表裏一体で運営されている。今までの制度はそうですね。ホームヘルパーさんというのは二枚看板を持っていまして、きょうは障害者のホームヘルパー、きょうは老人のホームヘルパー、制度としては一体的にやられていた。その中で老人の方はどんどんと進んでいく、障害者の部分はなかなかそうでない、こういう議論があったわけであります。  より具体的なお話をさせていただきたいと思うのですが、厚生省においては、ゴールドプランを進める中で、もちろん将来の介護保険を想定して、一生懸命市町村のおしりをたたいて今までやってきた。その有効な手段として老人保健福祉マップというもの、私は最初見たときは随分乱暴なやり方だなと、あれで全国三千三百の市町村は比べられるわけでありますから。私も県の職員をやっているときに、あれを常に利用されながら、おくれているじゃないかとしりをたたかれながら取り組んできたわけであります。羽毛田さんは私がやったのじゃないという顔をされていますが、私は随分それでむちをたたかれた立場であります。  しかし、そういう実績というのは、障害者の部分にないわけであります。したがって、総合的に見ると、障害者施策というものが、特に介護部分で大きなレベル差が出ているのではないかという気が私はするわけであります。  そこでお尋ねをしたいのは、保健福祉マップで言われているホームヘルパー、デイサービス、ショートステイだけで結構であります、障害者の現在の施策とどのぐらいのレベルになっているのか。いやいや、大体同じぐらいいっていますよということなのか、差があるのか。これは比較がなかなか難しいと思います。単純に比較できませんから言えませんなんということを言わずに、工夫すれば幾らでも比較の余地はあるわけでありまして、さっきから言っているように、老人保健福祉マップというのは随分乱暴なやり方なのです。その乱暴なやり方で結構でありますから、この場で大体こんなものでありますということをお示しをいただきたい。お願い申し上げたい。
  58. 篠崎英夫

    ○篠崎説明員 障害者に対する施策につきましては、今回の介護保険の方と格差のないように努めていきたいというふうに考えております。  障害者施策は、その実施の相当部分を、今先生指摘のように各地方自治体が行っておりまして、自治体において障害者プランの具体化のための取り組みが着実に進められることが重要であるということでございます。そのため、まず市町村における障害者計画の策定を推進しつつ、その策定状況と計画内容の十分な把握に努めますとともに、障害者プランによる各種サービスの各自治体における事業の実施状況についても、障害者プランが今年度初年度を終えたことでもございますので、今後十分に把握して、今後の効果的な施策の推進に努めてまいりたいと考えております。  なお、平成九年度予算におきましては、プラン関係予算として、対前年比一〇・九%の二千二百四十六億円を計上したところでございまして、プラン二年目として所要の予算額を確保していると考えておりまして、御指摘のようにさらに十分調整をして、また検討してまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  59. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ですから、そういう答弁じゃないんですよ。それを聞いたのではないのであります。おわかりになってお答えになっているんだろうと思うのですが、私が聞きたいのは、これは単純な比較はなかなか難しいと思いますが、今一番新しい老人保健福祉マップ、七年度ですから六年度実績、多分七年度のマップが一番新しいのではないかというふうに理解をしております。だから実績は六年度ベースの数字でありますが、ホームヘルパーでいきますと、老人百人当たりの年間利用日数、私はこればっかりいつも委員会でやっておりますが、現場で苦しんできた者としてどうしても言いたいわけでありまして、百人当たりのホームヘルパーの年間利用日数が八十三・七という数字ですね。デイサービスが九十一・六、ショートステイが二十六・四。これに対応する障害者の施策は、出ないと思います、簡単に。簡単に出ないと思いますが、大体比較するとして、例えば老人介護がしていると同じような、在宅介護、現にホームヘルパーさんが来られている、あるいはデイサービスを利用しているその実態としてこういう比較の工夫ができます、こういうものが老人福祉の世界ではどんどん発表される。障害者の方では何もないわけですよ。いや、これは障害者は多様だからなかなか言えないということでは、介護保険議論で障害者は置いていきますよじゃ納得できないわけでありまして、どうかその辺の状況を工夫の上、今御説明いただきたいと思います。
  60. 篠崎英夫

    ○篠崎説明員 障害者プラン、ようやく二年目に入ったところでございますし、また、今申し上げましたように、市町村での障害者プランの策定の実施状況もこれからというところでございますので、そういう実績も踏まえまして、また、老人のマップなども参考にしながら、実績の把握、それから公表について検討させていただきたいと思います。
  61. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 正直に言ってください。お答えできませんというならできませんで結構ですから。  何で私がこんなことにこだわっているかといいますと、やはり在宅の障害者は、大臣も聞いてもらいたいのですが、介護保険でしっかりお年寄りの介護はどんどんいっている。片方では、障害者プランで若年障害者は対応します。本当に介護保険というのは結構絵面が出てきているわけです。ホームヘルパーは、障害区分によりますけれども、毎日のようにホームヘルパーさんに来てもらえる、あるいは二十四時間ホームヘルパーなんという新しい言葉もある。障害者の部分で二十四時間ホームヘルパーという言葉が現にあるのかどうなのかということも伺いたいわけでありますが、やはり、いやいや大丈夫ですよ、一生懸命やっていますということを私はこの場で実は明らかにしたい。私は、きょうの議事録を障害者団体にお渡しして、また声も聞かなければならぬわけでありますから。  じゃ、質問を変えて、ホームヘルパーだけでいきましょう。ホームヘルパーというのは表裏一体でやっているんだから、これぐらいは出せるんじゃないですか。老人の場合は今全国で八十三・七、これが高いか低いかの問題はあるけれども、これに比べて、いや、障害者は大体六十ぐらいいっています、それぐらい自信がありますとか、そういうお答えをぜひいただきたいのでありますが、どうでしょうか。
  62. 篠崎英夫

    ○篠崎説明員 先ほど申し上げましたように、介護におけるサービスと、それから障害者に対するサービスに格差のないように努力をしてまいりたいと考えておりますし、また、今御指摘のようなサービスについても、二十四時間のホームヘルプサービスというのがございますが、今の介護保険サービスの中で若干まだこちらの方にないものもございますが、それについては格差のないようにこれから努力してまいりますし、また今、年度末でございますから調査をいたしておりますので、その結果もわかり次第発表させていただきたいと思っております。
  63. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 篠崎部長さん、一つ部長さんが説明員ということもあって、本当に何で説明員なんだろうなと思ったりしておるのです。もちろん数に限りがあるのでいたし方ないかもしれませんが、機構改革されて新しい部ができたという。私は大変大事な部だろうと思いますし、介護保険議論の中で、ゴールドプラン以来、やはり老人のセクションと障害者のセクションというのは、何か部長さんの立場から見るとくそっと思えることもあるんじゃないですかね。何でおまえのところだけ盛り上がって、それで、何か障害者も一緒にまぜてサービスをやってもらいたい、こう思っても江利用さんが余りいい顔しないという実態が私はあるのではないか。現場ではありますよ、現場では。  したがって、大臣、これはお願いなんですけれども、公的介護保険で、若年障害者は障害者プランでやりますからこちらは公的介護保険ではやりません、障害者プランでやりますという言い方だけではなくして、今のように、厚生省全体としては、マップまで出して、具体的な数値まで出して、こういうサービス水準になっているんだというようなことを片方ではやられているわけでありますから、片方でも、単純な比較はできないにしても、少なくとも今この席で部長さんは、絶対に老人なんかに負けません、必ず障害者の介護だってやりますよ、現にやっています、こういう答弁があってしかるべきだと思うんだけれども、そういうふうにはなっていない。聞けば聞くほど不安になってくるのでありまして、どうかそういう努力を介護保険議論の中でもやっていただきたい。これは大臣にお願いをしたいと思うのですけれども、いかがでしょう。
  64. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 障害者に対する施策は、介護保険が導入されようとされまいとやらざるを得ない、またやっていかなきゃいかぬ。そして介護保険が導入されて、これはなかなかいいな、これに統合したいという、実態を見て障害者の団体がそう思えば、私はそうしていくべきだ、将来。私は、介護保険が導入されてこのサービスがどの程度行われるのか、障害者に対するサービスと統合、融合する面も出てくると思うのであります。そういう点を踏まえて、将来は統合すべき点、融合すべき点あっていいと思います。
  65. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 いま一歩大臣にお聞きしたいんですが、大臣は何でも思い切って御発言をされる方でありますから。私は、さっきの議論の中で、障害者の介護とお年寄りの介護、これは将来一体化するべきだと理論的に思っているわけでありますが、大臣の御見解のように、まあ声を聞いて、様子を見てということでは僕は許されないんだろうと思うのです。将来はこういうふうに展望しているということをぜひ申し上げなければならぬのじゃないか、こう思うのですが、再度お尋ねしたいと思います。
  66. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私もその意見なんです、本来。障害者だろうがそうでない者であろうが、介護を受けるという点では同じではないか。本来、これが理解が進んで全体で支え合おうとなれば、それは四十歳以上に制限する必要もないし、一緒にやった方が国民理解は進み、支え合うという連帯感も出てくるのではないか。しかし、最初に導入するんですから、これはまずできるところから、理解を得やすいところからやるというのも大事な方法ではないかなと思います。
  67. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  障害者の団体も、このたびは別でいい、ただ、将来は一体化していただけるんだろう、いわゆる介護という部分では一体化していただけるんだろうという要望がある。これはもう大臣も恐らく御認識だと思いますが、そのことも報告をさせていただきたいと思います。  それで、さっきの大臣の答弁の中で、まだ現場の声がおわかりになっていないなと思うところがありまして、それを申し上げたいと思うのですが、障害者の施策は介護保険があろうとなかろうと営々としてやっていくものだ、これはそのとおりなんですが、実は、介護保険議論の中で明らかになってきたこと、あるいは新たにつくられてきたもの、あるいはどんどん拡充をされてきたもの、その蓄積がこちらの障害者の介護部分にちゃんとスライドしなきゃだめですよ、リンクしてくださいよということを私は申し上げているわけで、実はそれはもう本当に現場にいる者にとって切実な声であります。  具体的に申し上げますと、私は、障害者プランでおやりになるというけれども、例えば公的介護保険でホームヘルパーのナショナルミニマムとして今整理されようとしている限度額、その限度額から当然ながら想定される、例えば一週間のうちどのぐらいヘルパーさんがいらっしゃる、あるいはデイサービスは週三回使えるとか、ショートステイは二カ月に一回使えるとか、こういうレベルがありますね。その部分がいわゆるミニマムとしてあるわけですから、介護部分であるんだったら、障害者の施策でも、同じような介護が必要な方はそういう部分が入ってこなきゃいけない。いわゆる障害者の措置最低基準の見直しということは、こっちが上がれば当然こっちも上げなきゃだめですよと。置いていかれるんじゃないかという心配が私は物すごくあるわけであります。  そこは、実は介護保険議論の中で初めて、大臣、週何回行くとかというのは、あれは革命的な出来事でありまして、昔のホームヘルパーさんというのは一週間に二回しが行かない。一回二時間、あとは何を言われても行きませんよというのがホームヘルパーのちょっと前までの世界です。本当ですよ。それは実は障害者の施策はそうかもしれない。老人だけは介護保険が始まるからもう逃げられない、権利だから逃げられない、こう現場は言っているわけです。ところが障害者の方はそういうことはないから、これは置いていかれるということになるのではないかと。  もっと切実な話をしますと、今回、介護保険の中で明確になる大きな成果は、僕の立場は介護保険に余り賛成してはいけないのですが、この介護保険を整理すると、いいところは、確かに医療福祉がきちっと整理される。お互いの役割が明確になり、それぞれが、谷間になって面倒な人を全部よそへやってしまうということがなくなるようにきちっと整理される。私はすばらしいことだと思う、その部分は。だけれども、その成果物は障害者施策に行くのですか。介護保険で明確になる、法律で明確になる医療福祉連携、そしてお年寄りの介護をちゃんとやっていきましようというこの部分が、障害者の施策の中でちゃんと整理されるのかどうか。これは篠崎部長さん、どうでしょうか。障害者プランの中で大丈夫だ、こう言えるのかどうか。もっと元気出して、責任持ってお答えいただきたいと思います。
  68. 篠崎英夫

    ○篠崎説明員 障害者施策の分野におきましても、医療福祉連携は極めて重要であるというふうに考えております。  障害の軽減ですとか回復のためには、更生医療ですとか育成医療の実施のようなことがございます。また、国立身体障害者リハビリテーションセンターあるいは各地方公共団体の総合リハビリテーションセンターなどに病院等が併設をされております。そういうことも含めまして、医療施設と福祉施設の一体的な試みが現に進められているところでございます。  今後とも、医療福祉の施策の連携を図ることによりまして、障害者の自立と社会参加が的確に進められるように努力をしてまいりたいと思っております。
  69. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 現場の切実な声をどこまで御理解いただいているか、大変不安であります。  と申しますのは、今私が申し上げた医療福祉連携という部分、確かに今部長さんおっしゃったように、現場でしっかりとした取り組みをされておるということも事実でありますが、問題は、障害者の場合は、この委員会でもよく出ますけれども、例えば、希少難病と言われているような、本当に難病で介護などというものも医療の世界でしか手当てできないというような方々、なおかつその方がALSと診断されたら、直ちに国立病院からはどうぞお帰りくださいと言われてしまう、一たび出れば行くところがない、こういう実態があるわけでありまして、そういう方々というのは結局たらい回しにされている。  私の事務所の市民相談でも私はその相談を受けて、確定診断を受けてその方がお亡くなりになるまでずっとおつき合いしました。最終的には国立療養所がしっかり受けていただきましたけれども、本当に普通であればたらい回しにされてなかなか行くところがない、そういう部分があるわけであります。今回の介護保険で、実は介護保険の方は法律の中で医療福祉というものがお年寄りの介護の中で整理されるわけでありますので、どうかそういう成果が障害者プランの中にきちっと受け継がれていくように、あるいは時差がないように、タイムラグがないように、ぜひ私はお願いをしたい。  そういう点でもう一点申し上げますと、身体障害の部分は、介護という問題はガイドヘルパーとかいろいろな制度もあって結構議論をされておりますけれども、知的障害者それから精神障害者、この精神障害者の方も障害者プランで新たにその範疇に入ってきておりますけれども、こういう方々介護という観点では余り議論されていないというふうに私は感じております。この辺の議論というのはなされているのかどうなのか、あるいは、いや、こういうことがありますよという御説明になるのか、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
  70. 篠崎英夫

    ○篠崎説明員 今御指摘の点でございますけれども、障害者プランにおきましては、身体障害者だけではなくて、知的障害者や精神障害者につきましても、その障害の特質を踏まえて必要な介護サービスを盛り込んでいるところでございまして、例えば、ショートステイですとかデイサービスなどの在宅サービス、それから精神薄弱者更生施設の整備などの目標数値も出されているところでございます。  今後とも、身体障害者のみならず、知的障害者そして精神障害者につきましても、その特質を踏まえた必要な介護サービスにつきまして、さらに検討を進めてその施策の推進を図ってまいりたい、このように考えております。
  71. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 知的障害、精神障害もいろいろな制度があるという御説明ではありましたが、私は実感として、今、お年寄りの介護ということで老人介護の中で検討されているようなそこまでの部分に、知的障害や精神障害の介護というのは残念ながらいっていないのじゃないかという気がいたします。確かに、介護という観点だけで知的障害や精神障害を議論することはできませんけれども、少なくとも、さっきから何度も言っていますように、今回の公的介護保険議論されている成果物はどうかこの部分にも敷衍をしていただきたい、このことを重ね重ね申し上げたいと思います。  私はこの後バウチャーをやる予定でございましたけれども、全く時間がなくなりました。それで、もう一回入念に確認をしたいのでありますが、基本の確認というか私の主張ですが、私は、障害者の介護部分は将来は必ずこの介護保険と一体化すべきである、このように感じております。どうかその部分を御認識いただきたい、このように思います。  それからバウチャーは、本当に時間がないので基本的なことだけお尋ねをしたいと思います。  大臣、実は私は、山口県で職員をしておりますときに利用券方式なるものをやったのですよ。私の前任が始めまして、ショートステイが利用券を導入するだけで――当時はゴールドプランが導入時期で、全然ふえないという時代でありました。予算はあるけれども消化できないなんというような時代であったわけでありますが、実は、地域の知恵を出しまして利用券方式を導入しました。要するに、利用券を導入して、利用券さえあれば、ここがポイントなのですが、役場に行かなくてもそのままサービス提供機関に電話してお願いをする。これをショートステイでやったのです。それで、いろいろありましたけれども、倍々でふえていきました。役場に行かなくていいというふうにしただけで利用はどんどんふえました。  したがって、そういう意味では、今回の介護保険権利性なりサービスの拡充という意味では非常に有効な方法かなとも私は考えているのでありますが、余り言いますと理事から怒られますから言えないわけでありますが、ただ、どういうシステムにしろ、バウチャーといいますか利用券、今回の政府案では被保険者証になっておりますが、サービスを利用する方々にとってここは本当にいい設計をしていただきたい、いい運用をしていただきたい。  実は、時間があれば一つ一つその利用手続等について議論したいところでありますが、時間がないのでそこはまたの機会にさせていただきますが、一番問題なのは何かといいますと、当然、介護認定を受けて被保険者証をもらう。そうすると要介護とか書いてある。そしてサービスのパッケージあたりが書いてあるのかもしれません。上限額が書いてあるのかもしれません。この上限額についても私はぜひお尋ねしたいのですが、もう政府案では何が何やら全然わかりません。そうではないのだろうと思うのですが、国民から見たらごまかしているとしか思えないような言葉が、支給限度額は全く私には理解できない言葉が並んでおります。またの機会にそれは確認をさせていただきますが、一番問題なのは、利用券と総量規制、被保険者証と総量規制という問題が必ず出てくると思います。  実は、山口県で私は利用券を開始するときに、羽毛田さんの、その当時は羽毛田さんじゃありませんがスタッフの方から、あなた、こんなものを入れたら、これは、そこまで話しても守秘義務にかからぬと思います、大丈夫とは思います、制度の非常に大事な部分でありますから。総量規制はどうするんだ、利用券出したらどんどん行きますよ、どこで規制をするのですか、どんどん出せばいいというものじゃないですよという、予算の枠があったわけであります。  しかし、今回は介護保険でありますから、被保険考証と利用促進、権利性という観点と総量規制ということでは、実は、もう幾つか被保険考証の記載事項の中に、審査会の意見でありますとか要介護状態区分でありますとか、それからサービスの種類の指定、あるいは限度額を記載するようになっています。これは、言ってみれば総量規制になるのではないかというふうには思うのですが、私は、制度発足時、権利性を皆さんおっしゃるのであれば、本当にいい被保険者証、総量規制が前面に出ないような、利用の利便性のあるそういう被保険者証、バウチャーに近い、バウチャーを意識した被保険者証をぜひお考えいただきたい。私は、ここは一致できるのではないかと思っておるのですが、最後にその点だけお答えを、これは羽毛田局長、ぜひお願いいたします。
  72. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 今先生のお話しの点でございますけれども、目的におきまして、本来、現物としてのサービスが行き渡るように、現に使えるサービスが使われない状態にならないようにというのが本旨だろうというふうに思います。  そういう意味で、被保険者証の記載もございましたし、これからあれしていきますようないろいろな側面での、例えば今のあれでいきますれば、いわゆるケアプランをつくるとき、あるいはいわゆる専門員が助言をするときに、そういったことについて、いわばニーズに合ってちゃんとサービスが行き渡るようにという配慮をしていくということがまず第一だろうと思います。  バウチャー制度そのものの端的な問題につきましては、それが本当に現物のサービスにきちっと結びつくのかどうか。例えば、渡しきりにしてバウチャーが行ってしまいますと、今度は逆に、サービス提供業者の方は自由化をするということになりますと、それぞれの料金で、本来、十のサービスが買えるところが料金によっては五しか買えないというような状態があって、あとは全部自己負担でやらなければならないということ。それをしも自由だから選択でいいではないかという状態もあると思いますし、ある種のサービスが行き渡った状態であればそういう形の中でのいわば競争ということもあるかもしれませんけれども、やはり最初をあれするという段階でいきますと、しっかり本当のサービスが行き渡るということは大事でございますから、そういったことも考えながらやっていかなければならない。  そうすると、被保険者証の今の記載も問題もございましょうし、繰り返しになりますけれども、いわゆるケアプランの作成あるいはケアマネジャーによる助言の仕方、こういった点について十分配慮をしていかなければならない。運用の中で十分配慮できるように工夫をしてまいりたいというふうに思っております。
  73. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今の政府案では絶対に工夫に限界があると私は思っておりまして、私どものバウチャー、また次の機会にぜひ御説明もし、御理解も賜りたいと思っておりまして、しっかりこの部分は次の審議にさせていただきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  74. 町村信孝

    町村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  75. 町村信孝

    町村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉田幸弘君。
  76. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 私は、新進党の吉田幸弘でございます。  高齢者社会を迎えるに当たり、国民の多くが不安に思い、また、今回の介護保険に大きな期待を寄せていることと思います。この介護という言葉に対する新鮮味と期待がやや先行してしまい、従来から行われている制度、すなわち老人福祉制度と老人保健制度の評価がいま一歩なされていないのではないかと私自身は思っております。  そこで、従来の老人保健制度と老人福祉制度について、今までの評価と、そして、今後この二つの制度を再編成し、介護保険制度を新設する意義について、大臣の所見をお伺いいたします。
  77. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今まで、老人保健制度、いわゆる医療と、今回導入する介護保険介護の問題、福祉の問題、分立していたために、いろいろ資源のむだがあるのではないか、あるいは適切な医療福祉サービスを受ける場合において支障を来しているのではないか、いろいろな点が指摘されてまいりました。その典型的な具体例が、本来医療を必要としない人でも病院に入院している人が多いのではないか、いわゆる社会的入院の問題が随分多くの方から批判をされてまいりました。事実、その面もあると思います。  そういうことから、介護保険を導入することによって、医療福祉を分立させながら、お互いの連携をとりながら、医療保健福祉、総合的に施策を充実することによって今までの制度が整備され連携がとれてくるのではないかという趣旨で、今回、介護保険制度の導入に踏み切ったわけでありまして、この老人保健制度と福祉介護保険制度の整備によって、私は、分立しながらも相互の関連が密接になる点もありますし、連携をとりながら、人間としてより総合的な医療サービス福祉サービス介護サービスが受けられる基盤が整っていくのではないか、それを期待して、今回、介護保険制度導入をお願いしているわけであります。
  78. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 今お答えいただいたように、分立をしながらも連携をとりながら、国民の健康面というか体の世話をするというか、これを一つ考えに持っていこうではないか、これは私も同じように考えてはおりますが、今回の再編成に当たって新たに財源確保する必要があるのかどうか、どこの部分が特に必要になってくるのか、この件に関して改めて確認をさせていただきたい、こう思っております。
  79. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険サービス全体の総費用でございますけれども、これは、基本的には、現在、老人保健医療で見ている部分と老人福祉で見ている部分の再編成ということでございますから、現行から大きく動くわけではないわけでありますが、介護保険制度になりますと、一つには、この介護保険制度考えています給付水準というものが今までよりはある程度高い水準を考えていること、また、介護保険制度になりますと利用する人の割合がだんだん高まっていくのではないか、いわゆる潜在的な需要が少し顕在化する部分というものがあるだろう、そういうことで費用の増大の要素があるわけでございます。  一方、介護保険制度を導入しますと、例えば社会的入院の解消ができるとか、あるいは民間活力を活用してサービス提供の効率化を図るとか、そういうことで全体としての費用を効率化する面があるというふうに考えているところでございます。  それをトータルしますと、現行制度でいった場合より、そういう給付水準の伸び等がございますので、介護保険制度を導入したときの方がトータルとしての費用は若干ふえるのではないかというふうに思っております。
  80. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 今のお話の中で、トータルとしてふえると。  一方では、医療費の問題もあわせて考えていかなければいけないと私自身は思うのですが、今お話のあった社会的入院を解消するために、現行の医療施設から介護施設への転換が推奨されております。しかし、要介護者の中には特別養護老人ホームよりもむしろ医療体制が整っている病院に入院することを望んでいる人たちがいるのではないか、このような声も聞こえてまいります。この件に関しての御意見等ございましたら、お伺いします。
  81. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険対象となる施設は三種類あるわけでございまして、療養型病床群、老健施設、特別養護老人ホーム、現在のそういう三つの施設が介護サービスの施設になるわけでございます。その施設にはそれぞれの需要に応じてといいますか、入る人の態様に応じてその施設を使っていくということになるわけでございます。  医学的な管理をなお必要とする人、そういう人たちは療養型病床群の方に入っていただいて、医療的な管理も受けながら介護サービスを受けるということになります。ただ、そういう医療的な管理がほとんど要らないというような場合には特別養護老人ホームの方に移っていただく。これは、特別養護老人ホームの方が居住空間も広くて居住性に富んでいるわけでございますので。  そういうことでございますので、それぞれの施設にそれぞれの特徴があって、その人の介護状態、ニーズに応じてそれを選択していただくということになるわけでございます。通常の病院に介護を念頭に置いて長期的に入院する、そういうようないわゆる社会的入院というような事態につきましては、介護保険制度ができました、そういう施設、基盤整備ができましたときには解消して、繰り返しますが、療養型病床群とか特養とか、その態様に応じて介護施設に入っていただくということになろうかと思います。
  82. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 また介護の問題なんですが、もう一つ介護を行う場所として家庭内介護、こういうものがございます。家庭内介護を希望している人の数というものは決して少なくはないと思うわけであります。この家庭内介護にはいろいろな多くの問題点があると言われておりますが、この問題点に対する対策も急務ではないか。例えば、奥さんが朝から晩まで寝たきりの方を介護するとか、いろいろな問題があると思います。  そこで、今回の介護保険における家庭内介護に対する具体的な施策、特に給付についてどのようなお考えがあるのか、そして、将来はどのような方向になっていくのか、このことについてお伺いをします。
  83. 江利川毅

    江利川政府委員 先生の御指摘にもありましたように、自宅で介護を希望する人といいますのは結構多い水準でございます。総理府の世論調査によりますと、「両親等の介護在宅か施設か」という質問に対しまして、全体で五三%ぐらいの方が「自宅で介護を受けさせたい」と答えております。  今度の介護保険法案におきましては、家族と一緒に住んでいるようなケース、そういう場合には、本人の希望や家族意見を踏まえてその人なりのケアプランをつくりまして介護サービスをするわけでありますが、介護サービスは、本人介護需要に対応することとあわせまして、家族負担を軽減するというところにも目的があるわけでございます。そういう介護的な面での、作業的な面での負担を軽減して、家族にしかできない精神的な支え、そういうものをきちんと果たしてもらえるような環境づくりをしたいと思っているところでございます。  また、家族介護をします、ホームヘルパーは要りませんというようなケースでありましても、例えば医学的な管理というのが要るようなケースもあるでしょうし、それから、疲れた場合にショートステイというものをほかのケースに比べて少し多く使ってもらう、そういうような形によりまして家族負担を軽減する。  こういうような形で、給付内容を本人家族の希望を聞きながら組み合わせていく中で、本人にも家族にも支援になるような給付サービス考えていく、提供していくということになります。
  84. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 いずれにしても、介護を受ける人、また介護を行う人、場所を問わず手厚くというか、我々、QOL、生活の質の向上に向けて介護していかなければいけないというふうに思っておるのですが、その中で、人間の楽しみの中で、おいしく食事をいただくということはやはり欠かせないことだと思います。  現在、在宅及び施設入所の要介護者において、摂食や嚥下障害により食べる楽しみを失っている人たちが非常に多いというふうに聞いております。この現状をどのように認識されているのか、そして、その対策について具体的に何かお考えがありましたらお知らせいただきたいと思います。
  85. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今先生のお話にございましたように、在宅及び施設入所の介護を必要とする高齢者それぞれの方々の食の確保、あるいはその食の確保を通じた心身機能の維持、回復というのは大変重要だという御指摘はそのとおりだというふうに思います。こういったような高齢者に対します歯科の対策、特に歯科関係の対策でございますが、歯科疾患の有病率が高く、歯の健康づくりに対する関心を高めていく必要があるというふうに考えております。  この要介護高齢者に対する歯科保健対策事業ということで、現在、在宅介護者歯科保健推進事業というものを実施いたしております。具体的には、歯科保健推進事業費補助金というものを九年度からメニュー化の予算といたしまして、予算額としては八千万でございますが、この予算を確保いたしまして、その中で、実施主体も市町村ということで実施いたしております。また、老人保健事業の中で、歯科衛生士による訪問口腔衛生指導というものを実施いたしております。  こういったような事業を通じて、今先生がお触れになりましたような歯の健康ということについて適切に実施してまいりたいと考えております。
  86. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 今お話しいただいたように、歯科のこと、歯のことに対して御検討いただいているということはまことにありがたいことだと思います。  しかし、現在の医療保険、こういうものをあわせて考えていくに当たっては、疾病状態にないと医療保険給付対象になっておりません。介護保険では予防的な観点からの給付対象として、結局、病気でない状態は介護保険で扱われる、急に悪性化した、または、けが等が起こった場合に医療保険対象に移行するような連携が必ず必要となってまいります。この件に関して、どのような手続が必要で、どのような手技を使って行っていくのか、このことに関して詳しくお伺いをいたします。
  87. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険法案におきましては、居宅の要介護者に対しまして、かかりつけの医師とか歯科医師、それが居宅療養管理指導という全体的な健康衛生管理指導のようなことを行うことになっているわけでございます。  御指摘の口腔衛生管理という問題につきましては、かかりつけ歯科医師によって行われる口腔管理指導等につきまして、一定のものを介護保険給付対象とするというふうに考えているところでございます。これは、予防的というよりは、衛生管理というのでしょうか、そういうふうな形になろうかと思いますが、いわゆる治療ではなくて、その人の状態を指導するということでございます。そういう中で、歯科治療が必要であるということが判明いたしますと、今度はその治療部分医療保険の世界になりますので、治療して医療保険の方での給付ということで対応していただくということになります。  そういう意味で、在宅の寝たきり老人の人についてそういう管理をいたしますと、通常の口腔衛生管理から始まって、必要があれば医療保険による治療の方に移れるというふうになろうかと思います。
  88. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 今、歯科のことだけお答えいただいて、詳しくお答えいただきましてありがとうございます。私が今申し上げたのは、もっと全体の意味でも伺いたいなと思ったわけでありまして、今のことから推測すれば、ほかの疾病においても同じような処置が行われると解釈していいものと理解します。  それと、介護保険において、今おっしゃっていただいた口腔衛生の指導管理を行わなければいけない。この際に、歯科衛生士が実際に行うことになると思います。この歯科衛生士が行った口腔衛生指導に関しても実質的な評価をするべきと考えますが、その点、どのようになっているのか、お伺いをいたします。
  89. 江利川毅

    江利川政府委員 歯科衛生士が行います口腔衛生指導につきましては、在宅の要介護者等に対します口腔ケアの内容あるいは実態、そういうものを踏まえまして、また、医療保険制度におきます訪問歯科衛生指導、そういうものとの関連にも留意しながら、この介護保険制度の中で一体どう扱うのが適当なんだろうか、その辺を今後検討させていただきたいというふうに考えております。
  90. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 それでは、検討していただけるということで、この件に関して、歯科衛生士の確保についても積極的に御検討していただかなければ、今、その数というものが必要十分ではありません。また、介護保険制度の新設や地域保健法の全面施行に伴って、地域における歯科衛生士の役割というのは非常に重要になってくると思われます。その中で、今おっしゃっていただいたように、検討いただく、そして、その確保にも全力で努めていただきたい、そのように思っております。  医療施設と介護施設の連携が非常に重要になってくる、このような中で、医療施設から介護施設への移行、患者さん、病気が治られて、積極的な診療が必要でないと判断をされて介護施設へ移行されます。医師は、また医院というか診療所の方は、どのような判断に基づいてこの患者さんを次の介護施設へ送ろうと判断されるのか。  これにはいろいろな要素が含まれておると思います。これは、期間的な問題もありますでしょうし、家族意見等もございますでしょうし、我々が知る限りでは、本当にさまざまな要因が絡み合ってこの移行というものが行われると思います。ただ、真実は、やはり病気が治って治療がもう必要ではないというところで移行をするべきだと思いますが、この件に関して、現在懸念をされていること、それに対する対策、そして、今後の推移というか、こんなようになっていくのではないかなというようなことがございましたら、少し具体的にお話しをいただきたいと思います。
  91. 江利川毅

    江利川政府委員 病院は、急性期の医療基本的にそういう治療の場でございますので、病院そのものは、その施設は、いわゆる長期間生活するのにふさわしいような場所ではないわけでございます。そういう意味で、治療が終わりましたら、治療の場である病院を退院して、その人にふさわしい必要なサービスを受けられるような形になるのが望ましいわけでございます。  したがいまして、病院で治療を終えて、もう急性期のような疾病の入院治療というのがほとんど要らなくなった、そういうような状態になりますと、そしてまた、その人には、仮に医学的管理が要るにしても、非常に長期的な、いわゆる管理的なもので足りるというようになりますと、その人がもし身体等に障害がありまして要介護状態であれば、退院するに当たって要介護認定申請をしていただいて、それで、要否の判定を踏まえながら、その人に適した、在宅であるとか施設であるとか、そういうところに移っていただくことになります。  そこにおきましては、本人の意向や家族の意向を踏まえて、その人の需要にふさわしい介護サービスができるようにケアプランをつくりまして、その中で、なお医学的管理が要るようであれば主治医の方に引き続き管理をしていただく、そういう形で総合的なサービス提供できるようにさせていくということになります。
  92. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 それでは、逆の方向というか、介護施設内で医療が必要になった場合、医療の診療所に戻さなければいけないというようなことがあると思います。それは今の説明の中で理解はできますが、限局して、介護施設内での実質的な診療行為、医療行為において、例えば転んでけがをされたとか、急に歯槽膿漏がはれて抜歯をしなければいけなくなった、このようなケースは多々あると思います。このようなときに、介護保険医療保険、いずれ保険の方から給付されるのか、この点に関して明確に教えていただきたい。
  93. 江利川毅

    江利川政府委員 老人保健施設であるとか療養型病床群、そういう施設に入っているようなケースにつきましては、日常的な医学的な管理、これは介護保険の中で見られているわけでございます。もし急性疾患等になるというような場合には、原則としては、しかるべき医療施設の方に移っていただいて、そこで、医療保険でその治療を見ていただくというのが基本になります。  ただ、急な場合等、転院が困難で、その施設の中で医療が行われるケースもあろうかと思います。そういうような場合には、介護給付医療給付との区分けというのは大変難しいものですから、介護保険医療部分を含めて対象にするということになります。  具体的な例を挙げられまして、けがをした場合とか、あるいは歯の治療とか抜歯をするとか、そういうケースでございますが、けがの治療は、その程度にもよるわけでございますけれども、手術をするとか、大けがだということになりますと、しかるべく医療機関に移してそこで治療をしてもらう、それは当然、医療保険の請求になります。それほどではなくて、ある程度の治療で足りてその施設の中でできるというものは、介護保険の中で対応します。  歯の治療ということになりますと、普通はどこかの歯医者さんに来ていただくということになりますので、それはいわゆる外来診療という形になるわけでありまして、その部分医療保険で対応するということになります。
  94. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 また歯のことを答えていただきまして、ありがとうございます。  これは確認事項なんですが、今の場合、歯科医師を呼んだ場合には、これは往診の扱いになるわけですか。今、抜歯の場合は歯科医師に来てもらってそこで治療を受けるといった場合には、これは往診扱いになるかということなんですが、その点に関してお伺いします。
  95. 江利川毅

    江利川政府委員 外来診療であるとか訪問診療であるとか、そういう形になります。
  96. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 ありがとうございます。  いよいよこの介護保険というものが制定に向かって進んでまいりますが、医療法に基づく宣伝広告、このことについて、二点ほどお伺いをしたいと思います。  医療関係者は、従来から、法規制がありまして、宣伝行為が得意でないか、やってはいけないということがありまして、なれていない。ただ、今後参入してくる介護関連の民間事業者の宣伝というものは極めて巧みであり、入所者の誘導が行われるおそれがあるのではないか。例えば、うちの施設は飯がうまいとか、きれいだとか、窓から海が見えるとか、本来病院ではやってはいけないような広告が打たれることが予想されます。この民間業者に対して、従来、医療関係者が持っていた広告に対する考え、また、医療をビジネスとして見ないという倫理観を求めるべきではないか、そのように考えますが、この件に関してどのようにお考えなのか、教えていただきたい。
  97. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険制度の中で行いますサービス、例えば医療関係するものでありますと療養型病床群についての話、これは、行います主体が医療機関でございますから医療法の中でやられますので、同じサービス提供する主体であれば、そこには、広告宣伝については、同じ水準、同じもので考えるべきことになります。  例に挙げられましたのは医療の話でございますが、その他につきましても、基本的には、そのサービス内容に応じて広告の規制の仕方というのは変わってくるのだと思いますけれども、同じサービスについては同じような規制のもとで、平等な規制のもとで平等な広告ができる、そういうふうに行っていくべきものだと思いますし、そのような対応をしてまいりたいと思っております。
  98. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 この件に関して、少しくどくなりますけれども、私ども歯科医業界においても、この規制がかかってまいります。ということは、従来の、場所を書いたり、診療時間を書いたり、院長の名前を書いたり、標榜名というのがございまして、それは歯科、小児歯科、矯正歯科で、現在は口腔外科が入れられるようになった。ただ、手法を変えると、美容歯科だとか人工歯根だとか、歯槽膿漏が専門だとか、このように広告を打てないこともないと言い切る先生方もおります。  こういうようなことが私は心配であって、今御回答いただいたようなことは十分承知はしておりますけれども、例えば、我々のグループで行っておる介護のシステムはすぐれております、これはどこの病院で、どこの施設で受けることができるのです、こういうような広告は可能になってくると思うのです。これは患者誘導が最もできる方法として、新聞社は行っておりませんが、いろいろな雑誌社等は、こういうことによって媒体料というか、お金を取って広告を載せてあげるのだというようなことを、よく私の医院にもやってまいりました。  こういうようなことも含めてより強化しないと、精神的な弱者であったり、また、お年寄りの場合はそういう広告に左右されることが非常に多いのじゃないか。私の診療所でも、やってもいない診療内容のものをやってくれ、病状を優先せずに治療方法を優先して、こういう治療をあなたのところでやっていますか、こういうようなことを言ってきた患者さんがたくさんおります。  ですから、具体的な方法というよりは、今後より一層強化していただくという意味で今お話をさせていただきました。できれば今までの医療法以上に厳密な規制をかけていただきたい、そのように思っております。  一方では、医療施設について、必要な情報を提供する観点から、医療法の広告制限に関して緩和するべきじゃないか。要は、今の医療法が規制が厳し過ぎて情報が出ていない、情報が十分国民に知らされていないというような見方もあると思うのです。この辺のバランスを考えていただいて、広く国民に何が正しいのか伝えていただきたいなというふうに思っております。ですから、医療法の広告制限に関して緩和すべきじゃないか、この点に関して御意見をいただきたいと思います。
  99. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今先生議論されておりました広告の問題、介護保険との関係あるいは現行の医療法との関係についてでございますが、今後の方向としては、医療についての広告というものが、情報提供を一層推進していくという観点、また、患者がみずからの病状に応じた医療施設を適切に選択できるように進めていくという観点から、広告規制の緩和をできるだけ進めていくということが必要だという認識を持っております。  現在審議をお願いしております医療法の一部を改正する法律案におきましても、例えば療養型病床群の有無ですとか、どういう病院を紹介できるのかといったようなことを広告事項として盛り込むということで審議をお願いしておりますが、このほかに、具体的に、医療審議会の意見の中でも、診療や治療行為といった医療そのものについては内容の評価が非常に難しいということから、そういうこと以外の、客観性、正確性を確保し得る事項については広告事項として広く認めていくことが適当ではないかという御意見もございます。  そういうようなことで、今具体的にお示しをした事項以外に広告事項として追加するべきものがあるかどうか、これにつきましては最終的には告示という形になりますが、検討をしていきたいというふうに思っております。
  100. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 非常に情報公開という意味医療の内容というか診療所の広告に関して御検討いただいている。  ただ、一つ最後に申し上げたいことは、この広告費というのは極めて高額であります。雑誌等一ページ使うに当たっても、何十万、何百万という費用がかかってきます。これが今の診療所に対して大きな負担となって、回収しようという傾向にある。このようなことも日常聞こえてきております。ですから、その辺に関しての考慮もぜひしていただいて、広く国民に、どの診療所が、どんなことが行われていて、患者さんの交通整理が円滑にできるような対策を講じていただきたい、そのように願っております。  以上で終わります。ありがとうございました。
  101. 町村信孝

    町村委員長 福島豊君。
  102. 福島豊

    ○福島委員 この介護保険法案の審議も回を重ねてまいりましたが、まだまだ質問しなければならない点はあると考えております。大臣も大変御苦労をおかけしますが、引き続きよろしくお願いいたします。  まず初めに、私は、成年後見制度の創設につきまして、本日は法務省にもおいでいただきまして、お聞きしたいと考えております。  保険の導入ということで、そこでは高齢者権利性というものが生まれる、措置制度ではなく、保険では権利性が生まれるということを厚生省は繰り返し御主張になっておられます。この権利ということを考えますときに、例えば痴呆性老人の場合ですと、権利があったとしてもそれを十分行使することができないケースということは当然あるわけでございまして、であるならば、当然、その介護保険というものの創設に関連した形で成年後見制度の創設というものも必要不可欠である、そのように私は考えております。  日弁連もこの点につきましては提言を出しておりまして、御紹介をさせていただきますと、  高齢者は、自己の意思にしたがって日常の生活様式を選択し、社会参加、雇用、経営などを含めた社会的、文化的、経済的活動や、施設入所、ヘルパーの選択などを含めた自己の身上にかかわるすべてのことがらについて自己決定が尊重されるべきである。 中略といたしますが、  高齢やそれに伴う障害により自己の意見決定に支障が生じたり、自己の意思決定による適切な財産管理ができない場合には、公平な他者ないし機関の援助によって適切な身上ないし財産に関する行為が実現される制度が確保されるべきである。したがって、高齢者のために新設される成年後見制度は、高齢者の自己決定権の尊重、残存能力の重視と自立への支援に留意したもので、単なる財産管理に限らず、財産の適切な管理と身上監護、公的福祉サービスとを連携させるシステムになっていることが必要である。 このように述べております。  まず初めに、法務省の方にお尋ねしたいわけでございますが、諸外国におきましては、既に成年後見制度が制定されている場合が多いというふうにお聞きいたしておりますが、その状況について御説明をいただきたいと思います。
  103. 揖斐潔

    ○揖斐説明員 今の御質問でございますが、高齢化の進行という先進諸国に共通の社会変化に対応いたしまして、特に欧米先進国におきまして、時代の進展に対応した成年後見制度が整備されてきていると承知しているところでございます。  主な国の状況について申し上げますと、フランスでは一九六八年に、ドイツでは一九九〇年に、いずれも民法改正という形をとりまして成年後見制度が整備されてきている。あるいはイギリスでは、一九八五年に持続的代理権授与法による任意後見制度の充実が図られてきたと承知しております。そのほか、スウェーデンですとか、あるいはアメリカ、カナダの幾つかの州におきましても成年後見制度に関する法改正が行われてきていると承知しているところでございます。
  104. 福島豊

    ○福島委員 ただいまの御説明をお聞きいたしますと、民法を改正するのか、それとも全く新しい法を制定するのか、種々のケースがあるようでございますけれども、しかし、今後日本の高齢化がさらに進行していく、そしてまた介護保険が想定されている現状におきまして、この後見制度の創設に向けて政府としても努力を注ぐべきである、そのように考えますが、法務省の御見解をお聞きしたいと思います。
  105. 揖斐潔

    ○揖斐説明員 お答え申し上げます。  法務省におきましても、今先生の御指摘のとおり、急速に高齢化が進行しております我が国におきまして、それにふさわしい成年後見制度を確立していくということは緊急で重要な課題であると認識しているところでございます。  このような観点から、法務省におきましては、従前から内部的検討を進めてきているところでございますけれども、平成七年六月に開催されました法制審議会民法部会財産法小委員会におきまして、時代にふさわしい成年後見制度のあり方を検討課題として取り上げることといたしまして、平成七年七月、民法部会におきます調査審議の準備作業といたしまして、法務省内に設けられました成年後見問題研究会におきまして、その検討が開始されてきているところでございます。  現在、この研究会におきましては、高齢者あるいは知的障害者等の財産管理に適切に対応できる民事法の枠組みを創設するという観点から、禁治産あるいは準禁治産という制度にかわる新たな行為能力制度をどのようなものとするのか、あるいは後見人、保佐人の制度をどのようなものにするのかといった観点につきまして検討を進めてきているところでございます。  法務省といたしましては、成年後見制度につきまして、社会的な要請が強いということにも配慮いたしまして、ただいま申し上げました民事法の観点から積極的に検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  106. 福島豊

    ○福島委員 積極的に検討を進めておられるということで大変安心をいたしまして、今後とも努力を重ねていただきたいと思っております。  そこで、厚生省に御質問したいわけでございますが、成年後見制度という枠ができましても、それを実際に運用していくインフラの整備が必要だということでございます。後見制度ができましても、だれが後見をするのか、それを整えていかなければ、民法の改正ができたとしましても実質的にはそれは動いていかない。  例えば、東京都社会福祉協議会では、一九九一年から「すてっぷ」という名前の権利擁護機関を設置いたしております。また、私の地元の大阪府におきましても、大阪後見的支援センターの設置が平成九年度に予定をされております。  こうした機関を設置していくということが成年後見制度の制定に向けた基盤整備として必要ではないかというふうに私は考えております。こうした支援センターの全国的な運営、設置の状況につきましてお聞きしたいと思います。
  107. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 先生今お挙げをいただきました東京都それから大阪府の例以外で、痴呆性老人等の支援センターと銘打った機関を独自に設立しているという例は、私ども、今のところ聞いてはいませんが、品川区ですとか中野区等におきまして、地方自治体みずから、あるいは社会福祉協議会におきまして、痴呆老人等の財産の保全・管理サービス在宅生活支援の一環として行っているというような機関はあるということを承知いたしております。  また、現実に、そういう財産保全とかということではなくて相談というような意味におきましては、都道府県高齢者総合相談センターにおきまして、相談の充実の一環として、こういった痴呆老人の方々等のための財産権の保全あるいは身体面の保護といったようなことにつきまして、具体的な相談体制の強化ということで、私どももそういったことについての相談事例をいわば手引書の形でつくりまして、これを活用するというような方向をやっておるというようなことはございますので、御披露させていただきます。
  108. 福島豊

    ○福島委員 大臣にお尋ねしたいわけでございますが、支援センターというような形できちっと整備されているのは全国的に東京と大阪である、あとは例えば高齢者総合相談センターのような形でそれなりの対応をしているということでございますが、高齢者権利性ということを高く掲げました介護保険の創設ということに邁進されるということでございますれば、厚生省としましても、その権利性を十分に支えるような体制づくり、後見制度を支える体制づくりというものを平成十二年度に向けて全力で取り組まれるべきではないか、そのように考える次第でございますけれども、大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
  109. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 成年後見制度については、法体系の整備も必要であります。それと同時に、身近にそういう相談できる場所を確保するということも大事だと思いますし、後見人が適切な人でなければ困る。適切な後見人を選ぶような仕組みをどうやってつくっていくか、そういう点も含めて、今の御指摘を踏まえて厚生省としても検討していきたいと思います。
  110. 福島豊

    ○福島委員 ぜひとも積極的な取り組みをよろしくお願いしたいと思います。  同じく高齢者権利をどのように守っていくのかという観点から、関連の御質問をしたいと思います。それはオンブズマン制度のことでございます。  私、これは二月二十一日の御質問でもお聞きをいたしましたが、オンブズマン制度の創設ということに関連しまして、審議官の方から、これは国保連に置くというような答弁をちょうだいいたしました。そのときの御答弁でございますが、「公的な団体でもありますので国保連に置くということにいたしました。」「一市町村のエリアにとどまらず広域的に民間事業などで行われるのではないだろうかというようなこともありまして、そしてまた、審査・支払い事務を通じて介護サービス事業者一つのパイプというのでしょうか、そういうものを持っている、関係を持っている、」という意味で国保連に置くことにしたのだというような御答弁がございました。  ただいま大臣から御答弁ございましたように、相談の窓口が身近なところになければいけないというお話があったわけでございますけれども、まさにオンブズマン制度というのはそういう意味では高齢者にとって利用しやすい制度でなければならない。したがって、私は、身近なところにやはり置くべきではないかというふうに思います。  この点につきましても日弁連の御指摘を御紹介しておきたいと思いますが、このように申しております。「恒常的で専門的な救済機関が身近に存在することが必要である。」身近に存在することが必要であると。  ですから、私は、端的に言いまして、市町村の水準に置くべきである。そうしますと行政機関の中に置くのかという議論がございますけれども、やはり行政機関から独立したような形にすべきだろうというふうに私は思います。市町村レベルで、そして、行政組織としては独立した機関を設置すべきではないか。事例的には、例えば中野区にオンブズマン制度というものがございますが、これは区長が任命するところのオンブズマンを置いております。この点につきまして、改めて厚生省としましてどのようにお考えなのか、お聞きをいたしたいと思います。
  111. 江利川毅

    江利川政府委員 介護サービスの利用に関しまして、利用者意見、苦情、そういうものを的確に運営の中に反映していくということは重要なことでございまして、そういう意味で、先生が、利用しやすいものでなければいかぬというのは確かにそのとおりだと思います。  ただ、今度の制度の中で、国保連でこれを行うというふうにいたしましたのは、先生のお話にもありましたが、オンブズマン的な業務でございますので、行政そのものが行政権限を持ってやるというのとはちょっと違って、いわゆる第三者機関で苦情等に柔軟に対応していこうというようなことでございますし、また、サービス事業者の圏域等を考えますとある程度の広域的業務を行うことが必要だ、そういうようなことから、国保連に置くことが適当だろうというふうに考えたものでございます。  ただ、実際の業務の運営に当たりましては、利用者の苦情や意見というのができるだけ迅速に届くように、あるいは的確に届くようにというような観点から、身近な市町村の窓口あるいはケアマネージャーを通じても苦情とか情報が届くような、そういう簡易迅速な情報伝達の仕組みというのでしょうか、苦情が伝わっていくような仕組みを工夫してまいりたいというふうに思います。  また、国保連の通常の事務の中に溶け込まないように、国保連の通常の事務局とは別に苦情処理等に係る独立性の高い組織を設けまして、それでそういう業務がきちんと処理できるように、そういう工夫を織り込んで、先生の御指摘のような、身近なところで苦情が受け付けられるようにという趣旨も生かせるような工夫をして対応してまいりたいというふうに思っております。
  112. 福島豊

    ○福島委員 国保連に置いた方がいいという御答弁を繰り返しになられたわけでございますが、例えば、身近で国保連は一体どこにあるのかということすら大体よくわからないわけでございまして、そういう意味では、決してなかなか身近な組織にはなりにくいのではないか。  ただ、さまざまな観点からそれが望ましいということであれば、例えば介護一一〇番のようなものを設置いたしまして、だれでもがそこに容易にアクセスできるような、そういう工夫をしていただきたいと思います。そしてまた、国保連に置くということでありましたら、どういった方を任命するのかということにつきましても御工夫をいただきたいと考えております。  次の御質問でございますが、こうして国保連に置かれるというところのこのオンブズマンでございますけれども、一体どういう権限、機能を持たせるのかということにつきましてお尋ねをしたいと思います。  日弁連は、次のような権限を、機能を持たせるべきであるというふうに提言をいたしております。  一つは、情報入手権。施設の立ち入りですとか入所者への面接等を通じまして事実を調査する権限、また、さまざまな記録文書を閲覧する権限、これを与えるべきである。実際に、施設の中でさまざまな権利侵害が行われたとしましても、施設に立ち入り、そして直接に入所者にお話を聞くという権限がなければ、なかなかチェックができないのではないかというふうに思います。  そして、権利擁護活動を保障するべきである。自己の意見を決定できない状態の者に対しては、通告、通報を待って活動するのではなくて、向こうから来るのを待つのではなくて、その者の権利が侵害されている場合には積極的に擁護活動を行うという権限を与えるべきである。  そしてまた、三点目ですが、結果に即して意見を行政に対して明らかにする権利も必要であるというふうに私は思います。  ここのところは、さまざまな資料をちょうだいしましてもなかなか不透明でございまして、厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
  113. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険法案では、介護サービスの質を担保するという観点から、介護サービス事業者につきまして都道府県知事が指定をするというのがあるわけでございます。そしてそれは、一定の人員基準であるとか設備構造基準であるとかを満たしている、こういうことになっているわけでありまして、そういう基準を満たしていない、あるいはそれが下回っているということになりますと、これは都道府県知事がいわゆる行政的に対応する、そういうことになるわけでございます。そして、必要な改善をさせたり、あるいは指定の取り消しを行ったりということできちっとしたサービスが行われるようにする、これがまず行政的には基本になるわけでございます。  この国保連の行いますオンブズマン的業務は、オンブズマンというと、普通、行政を監督するような感じの業務が中心でございますが、これはどちらかというと利用者からの苦情をもとにサービスの質を改善すべき点を改善させていく、そういうところに目的があるわけでございまして、そういう意味で、国保連の行うオンブズマン的業務は、利用者の立場から、そういう苦情を聞いて、そして必要な調査を行って、サービスの質を向上させていく。必要に応じてサービス事業者に助言とか指導とか、そういうことを行って、サービスの質を改善していく。つまり、法律上問題だという筋のものは、当然、都道府県知事が行政権限でやる、そこまで至っていないけれども、いろいろな苦情がありまして、それで介護サービスの質を改善させる必要があるだろう、そういうものを国保連で行うオンブズマン的業務によりまして対処していこうということでございます。  そういう意味で、この行います業務、権限といいますのは、苦情を受けて、それに対して相談をして、必要があれば調査をして、そしてサービス事業者に対して助言とか指導を行う、そういう機能を果たしてもらうということでございます。
  114. 福島豊

    ○福島委員 苦情を受けて、相談をして、必要があれば調査をすると。この調査をする権限を与えるというふうに考えていいのですか。御答弁がよく理解できませんでしたので、重ねてお伺いしたいのですけれども、例えば老人虐待のような事例があったときに、そういう苦情があったときに、どうなっているのか、それは施設基準とかではわからないことですね。その施設に対して直接にオンブズマンが行って調べるということができるような、門前払いをされないような、そういう権限を与えるという意味ですか、調査というのは。
  115. 江利川毅

    江利川政府委員 この調査は行政権限に基づく調査とは違いますので、基本的に、調査は施設の協力を求めてやっていくものになります。具体的に運用面でどういう工夫ができるかということにつきましては、やる手順というのでしょうか、そういうことについてどういう工夫ができるかということにつきましては、さらに検討させていただきたいと思います。
  116. 福島豊

    ○福島委員 十分に御検討いただきたいと思います。  次に、利用者からの申し立ての手続でございますけれども、これに関しても幾つかの提言を申し上げたいと思います。  一つは、やはり匿名で申し立てができるようにすべきである。名前を言わなければ、どこそこのだれだということを言わなければできないということですと、入所しておられる方ですと逆にそれが不利益をこうむらせることになってもいかぬ、そういう御心配もあろうかと思います。  また、苦情を申し立てたときに、相談しました、いつの間にか消え去ってしまいましたということではなくて、調査なら調査をして、きちっと結果を出して、いつまでにその返事を返すのか、どう対応したのかということについて、一定の期限を限って対応するという仕組みにすべきであるというふうに私は思います。  まだまだ検討途上のことであろうかと思いますが、この点につきましても御見解をお聞きしたいと思います。
  117. 江利川毅

    江利川政府委員 国保連のオンブズマン的な業務がしかるべく機能する、そういう上では先生の御指摘になった点も大変大事な点だと思います。  具体的にどういうふうに国保連で事務を処理していくか、あるいは匿名の申し立てというのはどのように受けとめて処理をするか、あるいはまた処理した場合にどう返事をするか、まあ匿名のケースなどはどういう返事をするのかちょっと難しいところもございますけれども、いずれにしましても、そういうのが的確に行われるような検討は十分させていただきたいと思います。
  118. 福島豊

    ○福島委員 ぜひともよろしくお願いいたします。  そしてまた、権利擁護ということに関連しまして、もう一点申し上げておきたいと思います。  こういう御提言がございます。社会福祉施設において、入所者の権利規定を明らかに提示すべきであるというようなことを決めた方がいいと。  例えば、具体的な例を申し上げますと、これは日弁連がおまとめになった本でございますけれども、  オーストラリアのメルボルン郊外にある高齢者介護サービスのセンターであるクイーンエリザベスセンターでは、以下のような「クイーンエリザベスセンターの住民のための権利書」を廊下に提示している。 若干御紹介しますと、     クイーンエリザベスセンターの住民のための権利書  各住民は尊厳される個人として受け入れられるべきである。  各住民は家族、友人や職員から活力、愛情、自由、モラルのサポートと安楽性を受ける権利がある。 飛ばしますが、  各住民は高性能なケア、環境、家具、食事と活動を受ける権利がある。  各住民は宿泊所、入浴、個人所有物、人間関係看護記録についてプライバシーを保持する権利がある。 等々のさまざまな権利について入居者に告知する、そういう掲示がなされているようでございます。  今回、介護保険ということで高齢者権利性ということを高らかにうたっておられるわけでございますから、当然、この権利規定というものを、お一人お一人の高齢者の方が、ああ、自分はこういう権利があるのだな、主張していいのだな、あるいは、一つの施設の中で、いろいろな処遇を受けて、じっと我慢していなければいけない、そんなことではないということを明確に理解していただくような、そういう仕組みをつくるべきではないか。特に、例えばプライバシー権でありますとか自己情報の管理権、これは非常に重要なものでございまして、逆にまた今の日本ではなかなか尊重されない権利であると私は考えておりますけれども、この点につきましての厚生省の御見解をお聞きしたいと思います。
  119. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 先生今お挙げになりました社会福祉施設に入っておられる入所者の方々のいわば権利擁護、あるいはそういうことを施設の運営の中でどう明確にしていくかという点でございますが、非常に大事な点であると私どもも考えております。  現在、老人福祉施設に対しまする指導監査を行っておりますが、その際の留意事項の重要な柱として、入所者の意向、希望の尊重といったようなことがちゃんと確認をされているかどうかといったような点を指導監査の際にきちっと見てくるようにということを、これは通知でもきちっと言っております。  そして、それに加えまして、今の直接の関係で申し上げますと、社会福祉施設の経営者や管理者がみずからの施設を自主的に評価する、こういうことをやっていただくということでその指針を定めています。どういうポイントをチェックしてもらえばいいかということを定めていまして、社会福祉施設運営指針と申しておりますが、その中で、「施設生活において、利用者の個人としての権利や尊厳が十分守られているか。」というような項目は重要な項目で、やはり挙げておりまして、それぞれについて四段階ぐらいの評価項目を決めていまして、自分のところがこれのどこに当たるかということを判断し、また、そういうところで評価の低くなったところは改善をして、人権擁護といったことに配慮するようにというようなことをやってきております。  今後とも、特に今おっしゃいましたように、今後、介護保険ができて、そういう意味でのいわば権利ということについて、もっときちっとしなければならないということを踏まえまして、今のような指導についてはさらに徹底を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  120. 福島豊

    ○福島委員 ただいまの、運営指針というのがございましてということでございますが、局長の答弁をお聞きしていますと、措置制度の枠の中の話のように聞こえてなりません。施設の側が主体的にどうするのか、自主的な注意といいますか、そういうものを喚起するような取り決めなんだろうと思います。  しかし、私が申し上げましたのは、権利というからには、お一人お一人の方にその権利があるのだということを告知する、知っていただく、そこから物事が始まるのだと私は思います。そういう意味では、この運営指針の中にそういう告知をしなければならないという項目を入れるべきではないか、そのように考えておりますが、これは御要望として申し上げるにとどめさせていただきたいと思います。  次に、医療介護関係につきましてお聞きをしたいと思います。  与党の中におきましても、医療保険をどういうふうに改革していくのかということにつきまして鋭意御検討が進んでいるように、新聞報道等を見まして伺っております。私は、医療介護が不可分であるという観点から、また、高齢者に最終的にどのような負担を求めるのかということについて現時点で必ずしも明らかではないという現状を踏まえると、この介護保険制度の創設というのは医療保険の改革と軌を一にしてその全体像を明らかにすべきではないかというふうに今思っております。  大臣は、二月二十八日の御答弁でございますが、  医療保険制度、介護保険制度、それぞれ関連はございますけれども、制度的にもより整合性のとれた、さらには介護と治療というものが効率的になされるような施策を考えよう、そして、若い人ばかりに負担させてはいけない、お互い全体で年金も医療介護も支えよう、そういうことを考えて出した案であるというふうにお答えになっております。  介護の方はこの介護保険ということでその姿が明らかでございますけれども、医療保険が一体どういうふうになるのか。医療保険における高齢者負担が一体どのようになるのかということは必ずしも明らかではありません。そういうことを考えますと、拙速に物を決めるよりは、きちっと全体像が見えた上で決めるべきではないかというような意見を私は持っております。  まず初めに、大臣にお聞きしたいわけでございますけれども、先日の新聞報道によりますと、与党では高齢者で一本の保険制度を想定して新たな負担を求めるというようなことが報道されておりました。本日の報道では若干それがまた変わったかのような報道でございまして、必ずしも方向が明確ではないわけでございますけれども、医療保険改革の方向性というものにつきましてどのようにお考えなのか、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  121. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 医療保険制度の構造的な改革案については、各種審議会、また与党においても野党においても、それぞれ今いろいろな意見が出ております。その中で、高齢者独自の保険制度をつくろうじゃないかというのは一つ考え方であります。ほかにも、退職した後、高齢者保険制度に加入するようになるけれども、あるいは前の、継続して加入してもいいのじゃないかという意見もあります。  いろいろ意見がありますけれども、この介護保険制度は、平成十二年度、西暦二〇〇〇年を目途にしていますから、そのときまでに抜本的な、構造的な改革案を出そうということで、今、与党の中でも鋭意協議していただいておりますので、それに向かって一つの具体的な案ができるように意見をまとめていきたいなと。今の段階においては、それぞれの案が出ている、どれを選択し、どれにまとめていこうかという決断はまだしておりません。
  122. 福島豊

    ○福島委員 大臣基本的な御認識をお伺いしたいのですが、先ほどの御答弁でも、「若い人ばかりに負担させてはいけない、」すなわち、高齢者もしっかりと応分の負担をすべきであるという御認識かと思いますけれども、年金に関しても、給付制限というような御発言が先日の委員会でございましたですね。また、医療においても、今般の医療保険制度改革はその入り口だと思いますけれども、それでも高齢者負担というものをやはり引き上げざるを得ない。  二十一世紀の社会保障のあり方全体を見詰めたときに高齢者にはどういう負担をしてもらうべきなのか、その点につきまして、非常に茫漠とした質問で大変恐縮でございますが、大臣の御認識をお聞きしたいと思います。
  123. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 高齢者への各種サービス、いわゆる給付医療保険にしても年金にしても介護にしても、いろいろなサービスを受けたい、また、受けてもらいたいという多くの国民の気持ちは当然でありますが、そのサービスを受ける側とそのサービス提供するために負担している側、これがなければ各種制度は成り立たないわけであります。  今までですと、一時期は、高齢者に対しては負担は要らないのじゃないか、あるいは負担は軽くていいのじゃないかということでやってまいりました。しかし、最近、高齢者はどんどんふえてまいります。逆に、少子化傾向と言われるぐらい、その給付を支える若い方の負担はどんどんふえていく。  これで本当にやっていけるのか。世代間の戦争が起こってしまうのじゃないかという危惧もなされるぐらい高齢者はふえていくという段階になって、お互い支え合うというのだったらば、高齢者だからといって給付を受けるだけでいいのか、やはりそれ相応の負担をしてもらおうという議論が出てくるのは時代の一つの流れだと思います。  現に、いろいろ統計を調べてみますと、高齢者の所得は若い人に比べて低いかというと、必ずしもそうでない。現在、世帯人員一人当たりの平均可処分所得というものを調べてみますと、六十五歳以上の世代と、二十代、三十代、四十代、ほぼ同じであります。  しかも、今、大学新卒で年収が二百七十万円、大体そのぐらいですね。そのうち、年間の保険料は十八万円払っている。大学卒業してすぐ会社に勤めた方も、そのうち半分は事業主が負担していますけれども、その方たちは、保険料を払って、むしろ健康で丈夫ですから医者に一切かからない人の方が多い。しかし、それだけの負担をしていただいている。高齢者は年収二百七十万円ぐらいの方はいないのかというと、とんでもない。  そういうことから、今、国民健康保険に入っている方は七割給付、三割負担していただいている。健康保険組合に入っている方は一割、これから二割にしてもらう。高齢者は、外来の場合は月千二十円払うだけで、何回診ても後は要らない。これはバランスを欠いているのじゃないかということから、やはり高齢者に対してもそれ相応の負担をしていただかないと、支える側の立場に立ったら、これはたまらぬ。税金も取られる、保険料も取られる。  ということから、私は、今後、医療保険においても、あるいは年金においても、介護においても、若い世代と老齢者との給付負担のバランスを図っていく、この視点が欠かせない。でありますから、ある程度、今後、福祉を充実していく場合において、今までのように、高齢者だからといって負担は要りませんよという時代ではない。それ相応の、若い人と同じとはいかないまでも、若い世代が負担を多くしているということを考えながら高齢者もそれ相応の負担をしていただくということを考えないと、これからの福祉充実というのはなかなかやっていけないのじゃないか、そういうふうに思います。     〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕
  124. 福島豊

    ○福島委員 大臣、それ相応の負担をすべきであると。確かに、人口構造も変化しております。ですから、高齢者負担がふえざるを得ないというのは、私もそのとおりだというふうに思っております。  ただ問題は、それ相応という言葉が非常に問題でございまして、具体的にどの程度の負担を求めてもいいものなのか。それは一つの哲学なのかなという気もいたしますけれども、その点について実はお聞きをしたかったわけでございます。  もう一つは、医療にしましても負担がふえる。そしてまた介護に関しても、これは新たに負担がふえるということでございますね。また年金も、給付制限というようなことを考えれば、これは負担がふえるということの裏返してございます。それぞれにまた所得制限というようなものも導入しようという考え方もあります。私は思うのですけれども、この負担をいかにふやすのかという全体像を示すべきだ。  こんな話がありますね。ゆでガエルの話ですね。おなべの中に水を入れておいて、カエルを入れる。だんだん温めていくと、カエルはそのまま中にいて、ゆでられるまでいる。熱いお湯ですと、カエルは中に入るとばちゃっと飛び出すわけです。  ですから、ちょっとずつ負担がふえていく、介護なら介護一つ入り口だ、次が医療だ、また次に年金がある、最後にはかなり大きな負担高齢者に強いるという形になるのではないか。まず、それを全体像として示すべきじゃないか。  また、少しずつ毛をむしっていくと丸裸になるまでわからないという、こんな例え方もあるかもしれません。  そういう意味では、先ほども言いましたように、高齢者にどれだけの負担を求めるのか。それ相応ではやはりよくない。それ相応という答弁ではなくて、高齢者の所得というのはこれだけのものがある、そうしたら、そのうちこれぐらいの負担はしていただいても当然ではないか、そういうしっかりとした議論をしてほしいというふうに私は思っているのです。  介護保険に関しましても、さまざまな基盤の整備ということは、当然、これはずっとやっていかなきゃいけない。ただ、保険料の徴収の問題、幾らぐらいにするのかという負担の問題、そういうことは、医療保険の方もまた新しい保険料を取られるかもしらぬわけですね、将来的には。そういうことも踏まえると、そういうこととセットにして議論したらどうなのかというふうに私は思うのですけれども、大臣のお考えはいかがですか。
  125. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 そういう将来的な負担の問題もありますから、当面、高齢者に対しても、今まで外来で月額千二十円を一回五百円にしていただきますよと。人によってはこれでも過重負担だと言う方がおられますし、同時にもう一方の人は、これは余りにもバランスを欠いているのではないか、もっと若い人と同じように取ってもいいのじゃないかと言う人もいるわけです。両論であります。  しかし、現在のところ、こういう高齢者に対して、月額千二十円を今度は一回五百円にして四回まで、四回行った人は二千円、五回、六回行っても二千円。千二十円が二千円になるから、今まで四回行った人に比べればこれでも過重負担と言う人がいますけれども、私はそれは当たらないと。どんな構造改革をやってもこの程度の負担は必要だ、私はそう思っています。  今回、これは第一段階の改革だ、こういう案が出てきたからこそ構造改革の話が出てきているのだ、私はそう思います。
  126. 福島豊

    ○福島委員 この点につきましては、引き続きまたいろいろと御意見を述べさせていただきたいと思います。次の質問に移りたいと思います。  先ほども、吉田委員の方から医療保険介護保険関係性についての御質問がございました。重複を避けるように私はしたいと思います。  まず第一番目に、御確認をしたいことでございますけれども、介護保険の受給者、要するに要介護認定者ということでございますが、医療を必要とする状態となったときに、医療へのアクセスが制限されることはありませんでしょうか、この点について再度確認をしたいと思います。
  127. 江利川毅

    江利川政府委員 在宅介護サービスを受けるというようなときには医学的管理というのが行われるわけでありますが、治療が必要であれば、当然、それは医療保険で治療が行われるわけであります。施設につきましても、施設の種類によって対応が若干異なりますが、急性期の治療が必要であればしかるべき医療施設において医療が受けられるわけでございます。  基本的に、要介護者でありましても、治療が必要な場合にはちゃんと医療が受けられるということになっております。
  128. 福島豊

    ○福島委員 最近は、社会保障の制度間の調整というようなことがよく語られるわけでございまして、介護保険医療保険の制度間の調整ということは、将来的にもこれはない、それぞれはもう別の制度である、それぞれ必要に応じて保険給付が受けられる、そのように認識してよろしいわけですね。再度御確認いたします。
  129. 江利川毅

    江利川政府委員 まず、基本的には、介護サービスについては介護保険制度で、それから、医療については医療保険制度というのが基本でございます。ただ、例えば療養型病床群におって急性期医療があって、かつ医療施設の方に移る余裕がない、緊急やむを得ないような場合には、その介護保険施設において医療サービスを受けることがあり得るわけでございます。それもちゃんと医療にはアクセスできる、ただ、その給付は、その場合には介護保険の方から給付される。  いずれにしましても、その人に対して必要な医療が制限されることはありません。
  130. 福島豊

    ○福島委員 わかりました。  では、次の御質問をいたしたいと思います。先ほども吉田委員の方から御質問がございましたが、医療サービスから介護サービスヘの円滑な移行ということでございます。  要介護状態に陥る場合には疾病を契機とする場合が多いと考えます。例えば、脳卒中が発症いたしまして入院をする、ぞして、例えば三カ月なら三カ月、リハビリ等も含めまして医療を受けまして、そして介護サービスの方に移行していく。ただ、現実にはこれがなかなかうまくいっていないのではないかと身近の事例を見ると思います。  脳卒中で入院をいたしました、入院期間が三カ月たちました、これは診療報酬の逓減制がございますから、三カ月たったらどこかへ行ってください、どこに行くか、それは御家族が一生懸命探してくださいと。それで、御家族の方は大変御苦労されることもあるわけでございます。そういった御相談が私どものところにもしばしば参ります。  今回、ケアマネジメントを行うということが導入されたわけでございますけれども、医療から介護サービスヘの移行ということについて、これを適切に円滑に、そしてまた家族負担というものをできるだけ軽減した形で行うためにどうしたらいいのか。私は、ケアマネジメントの一角、ケアプランの作成の一角に医療機関が積極的に関与していくということが重要なのではないかというふうに考えておりますけれども、厚生省としまして、この点につきましての御認識をお聞きしたいと思います。
  131. 江利川毅

    江利川政府委員 今度の介護保険制度では、要介護者に必要なサービスを総合的に、一体的に受けられるようにしようということが基本でございます。ですから、その人のケアプランをつくるということになりますと、サービス提供する福祉関係者であるとか医療関係者であるとか、そういう人たち関係者で会議をして、その人に合ったサービス提供しようということになるわけでございます。  特に、先生が例に挙げました、入院しているケースから介護サービスの方に移るような場合には、その入院した病院で治療していた医者の積極的な関与というのでしょうか、それが重要なことだと思います。その人のためのケァプランをつくるときとか、あるいは具体的なサービスをどう織り込むかというような中身については、積極的にその医療機関にも参加していただいてプランをつくっていただくということになろうかと思います。
  132. 福島豊

    ○福島委員 次に、療養型病床群のことについてお聞きをいたしたいと思います。  二月二十八日の谷局長の御答弁では、療養型病床群の整備促進策として、医療施設近代化施設整備補助事業による補助、老人保健拠出金事業による助成金、社会福祉医療事業団による融資枠の拡大、そして診療報酬による適正な評価、この四つの手段を使ってその整備を進めていくのであるという御答弁がございました。  御質問でございますが、まず、介護力強化病院が当初三年間は介護療養型医療施設とみなされるわけでございますが、この期間で果たしてこの介護力強化病院というのが転換が可能なのかどうなのかということについてお聞きをいたしたいと思います。  また、療養型病床群への転換ということでございますけれども、今、強力な推進のための施策を講じるということでございますけれども、その施設基準が厳しいということを考えますと、なかなかその転換が進まないのではないかというふうにも危惧いたしております。  この点につきまして、見通しといいますか御見解をお聞きしたいと思います。
  133. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 療養型病床群への転換あるいは療養型病床群の整備促進ということにつきまして、私どもが基本的な方策として考えておりますのは、もう既に先生がお触れになりました四点でございます。  現在のところ、過去三年間で療養型病床群というのは四万七千床になっております。この一年間で約一万床ということでございますけれども、私どもとしては、先ほど先生がもう既にお触れになりました、補助金、助成金、融資、診療報酬、この四つの方策を中心にして、転換の促進なり整備を図っていきたいと考えております。  介護力強化型病院というものは、確かに、現在のやっておられる内容、それから施設あるいは人員配置の内容からいっても、療養型病床群に最も近いというか転換をしやすい、あるいは内容的にも機能的にも、また、目指しておられるところも療養型病床群としてやっていくことが最も適当な施設の一つではないかというふうに思っております。  現在、介護力強化型病院というのはたしか十三万床程度あるというふうに承知をいたしておりますが、この介護力強化病院の方々が集まっておられます介護力強化病院連絡協議会というところがございますが、この協議会におきましては、平成八年でございますが、昨年の時点で、五年以内に療養型病床群への転換ということを決定した、決定をしたというか、そういうことを目指すという方針を明らかにしておられます。そういう意味からいって、もちろん先の話ではございますけれども、療養型病床群というものを、私どもとしては、そういう介護力強化型病院が転換をしていくということも含めて整備促進を図っていきたいというふうに考えております。  なお、施設設備の問題でございますが、これは療養型病床群を設置いたしました当初からいろいろな御議論がございました。先ほど申しました四万七千床という中にはいわゆる転換型というものがまだ多数を占めておりますが、しかし、いわゆる転換型ではない、完全型というのでしょうか、それが既に三分の一に達しているということでございまして、当初は移行型が約八割を超えていたのでございますが、現在では三分の二に減ってきている。そういうことから、現在の療養型病床群の施設基準というものによって整備を進めていくということはそれほど、構造設備基準ということでは現在のものによってやっていきたいというふうに考えております。
  134. 福島豊

    ○福島委員 次に、医療計画の病床数との関係でございます。  これは既に御指摘もございましたが、地方公聴会におきまして、有床診療所の療養型病床群の整備に関しては、地域医療計画の中の病床数の枠内で対応するのでは整備が進まないという御指摘がございました。  これに関しては、先ほども急性期用病床、慢性期用病床で区分して病床規制のあり方を見直すのだという御答弁が局長からございましたけれども、この見直しでございますけれども、余り先送りいたしましても実質的な効果はないということにもなりますし、こういった御指摘について具体的にどう対応されるのか、もう少し明確に御答弁をいただけないかと思います。
  135. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 医療法に基づく地域医療計画による必要病床数というものは、それぞれの地域におきます入院施設あるいは医療施設の必要量全体を示すということでございますので、この必要病床数の中には療養型病床群の病床数というものも含まれるというのが基本的な考え方でございますし、また、午前中のお話にございました、有床診療所を転換していくという療養型病床群もこの必要病床数の中にカウントすべきというのが基本考え方でございます。  また一方、この必要病床数ということにつきましては全体としては過剰であるというのが大方の認識でございますが、特に最近言われておりますいわゆる社会的入院の解消というような観点からも、過剰地域におきましては、基本的な方向としては、病床の整備が十分であるという前提でございますので、現在ある病院の病床の中で療養型病床群への転換を図っていくということが基本的な考え方でございます。  今先生のお触れになりました医療計画の見直しということでございますが、これは、昨年の暮れにまとめられました行政改革委員会論点一つに、病床規制をどういうふうに考えるかという一つの問題提起がございました。いろいろな御議論がございましたけれども、その行政改革委員会の結論の一つといたしまして、まず現在の病床規制について、急性期用の病床それから慢性期用の病床の区分、あるいは必要病床数の枠内での病床の新陳代謝が図られる仕組み、そういったようなことを検討する必要があるという指摘をいただいているわけでございまして、そういう意味で、私どもとしては、介護保険制度ということと必ずしも直接リンクするわけではございませんけれども、地域医療計画における病床規制のあり方ということについては、この行政改革委員会意見も踏まえながら今後検討していく必要があるということでございます。
  136. 福島豊

    ○福島委員 先ほどの局長の答弁、私が誤解していたようでございます。病床規制のあり方を見直す中で、介護保険の創設に向けての療養型病床群の、とりわけ有床診療所におけるそれの整備をリンクさせて対応していくというふうに先ほどの答弁をお聞きしましたので、今の御質問をさせていただいたような次第でございます。  引き続きまして、医療介護関係ということで、次は税の関係をお聞きしたいと思います。  大蔵省においでいただいておりますが、医療費控除というのが現行の税制のもとではあるわけでございます。今般、新たに介護保険の創設ということで、これについて、まず保険料については社会保険料控除がなされるということが施行法の第八十一条に規定をされているわけでございます。  問題は、この一部自己負担の問題でございますが、療養型病床群また老人保健施設など医療保険体系から介護保険に移行する施設が存在することを踏まえますと、継続性でありますとか社会保障制度間の整合性を踏まえて医療費控除と同様な介護保険の一部負担についての控除制度を創設すべきと私は考えておりますけれども、この点につきましての大蔵省の御見解をお聞きしたいと思います。
  137. 伏見泰治

    ○伏見説明員 お答え申し上げます。  御指摘の点でございますけれども、現在御議論いただいておりますこの介護保険でございますが、その利用者の方の一部負担の中には、現行制度上、今御指摘がございました医療費控除の対象となっているものも恐らく含まれてくるということがあろうと思っております。一方で、疾病等の診療あるいは治療のためではありませんで、御家族にかわりまして日常生活の世話をするための費用も含まれてくる、こういうことではないかと思っております。  したがいまして、すべてがその医療費控除の対象ということにはならないと思いますが、医療費控除の対象となるものかどうかということにつきましては、具体的な介護保険給付の内容、これにかかってくるということだろうと思いますので、そこを精査した上で判断していく必要があろうと思っております。(発言する者あり)
  138. 佐藤剛男

    ○佐藤(剛)委員長代理 挙手なき発言は慎んでください。
  139. 福島豊

    ○福島委員 あくまで医療費控除の枠の中で、その延長線上として考えていくというような御趣旨の御答弁かと思いますけれども、むしろ、社会保険の横並びというような観点からいま一度問題を考えていただけないか、そのように大蔵省の方には御要望をしておきたいというふうに思います。  最後になりましたが、御要望として一言申し上げておきたいわけでございますが、医療介護の問題を考えますときに、銭灸マッサージ師など高齢者にとって身近な医療職種が多数存在いたします。こうした方々も高齢社会におきましては大切な役割を担っているものと考えておりまして、介護保険施行に際しまして十分な御配慮を賜りますようにお願いをいたしておきたいと思います。  次に、時間もだんだん迫ってまいりましたが、前回、私が御質問いたしましたときに、一部負担につきまして御質問いたしました。局長がドイツの介護保険における施設介護給付の例を引かれまして、一部負担はドイツの介護保険にも存在するのだ、だから日本介護保険にも一部負担が存在してもおかしくないというような御答弁であったかと思いますが、私もその後、若干気になりまして、再度資料を調べまして、これはむしろ財政的な理由から施設介護の場合の給付に上限が設けられているということでありまして、一割の定率負担というような考え方で置かれているわけではない、例えば在宅におきます介護給付というのは一部自己負担というものは存在しないというふうに私は資料では拝見をいたしました。  この点につきまして、私の認識に誤りがないかどうか、局長にお聞きをしたいと思います。
  140. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 先日の答弁におきまして、ドイツの介護保険における一部負担についてのお尋ねについて、今先生お話のありましたような答弁を申し上げたと記憶いたしております。  その際も、少し形は違いますがということを一応申し上げたことも事実でございますけれども、しかし、いずれにしましても、いわゆる利用者負担があるということで申し上げたわけでありまして、施設介護給付につきましては、食費だとか室料に係る費用利用者負担をするという仕組みになっておりますし、また、給付額にはある種の上限額が定められているというのは先生も今お触れになったとおりでございます。したがいまして、これを超える部分については利用者負担することになるという意味では、利用者のいわゆる負担にはなります、いわゆる日本のような形での一部負担というのとは形が違いますけれども。  なお、在宅介護につきましても、給付上限という形で定められておりますから、そういう意味では、これを一部負担と言い切ってしまうのは、あるいは不正確かもしれません、その上限を超えれば利用者の方の負担になるという意味合いで申し上げたわけでありますが。  したがいまして、いわゆる日本と同じ意味合いにおける利用者負担という言い方が正確であったかどうかについては、あるいは不正確だったかもしれませんけれども、利用者負担という意味では、今のような負担がドイツの保険においてもあるということを事実として申し上げたかったのでございます。あるいは舌足らずだったかもしれません。
  141. 福島豊

    ○福島委員 当然、財源には制約があるわけでございまして、上限があるというのはそれはわからぬでもありません。ですから、むしろ、我が国の、厚生省が提案しておられますこの保険でも、上限を決めて、一割自己負担というようなことをやめてもいいのじゃないかと私は思うのです。  どうもいろいろお話を聞いていますと、余り利用してもらったら困る、午前中の桝屋委員に対しての答弁もございましたですけれども、余り利用者が多くなるとちょっと困るのだというような観点からこの一部自己負担というのが設けられているような気がしてなりません。医療においても定率負担というのは受診抑制を来すというようなことがあるわけでございまして、そういう観点でこの自己負担というのが設けられたというのであれば、それはちょっと御趣旨が違うのではないか、ドイツの介護保険趣旨とは違うのではないかというような気がするわけですね。その点について改めて御見解をお聞きしたいのです。
  142. 江利川毅

    江利川政府委員 介護サービスをどう受けるかということにつきましては、介護認定を受けました後、そのランクが決まるわけでありますが、その中身は、利用者の意向あるいは家族の意向を踏まえて、限度額の範囲内で利用していただくことになるわけでございます。その利用が、多く利用する人と少なく利用する人というのが出てくる、あるいはそういう介護サービスを受ける人と受けていない人が出てくる、そういうことがありますので、そういう間の公平を確保する、利用が多ければ多い人にその分少し余計に負担をしてもらう、こういう形で、全体の公平性確保するという観点から一部負担を導入するということにしているものでございます。
  143. 福島豊

    ○福島委員 公平性ということについてもさまざまな考え方があろうかと私は思います。  次に、具体的なことをちょっとお聞きしたいのですが、痴呆性老人対策がどうもおくれているのではないか、全体としてもおくれているわけでございますが、とりわけおくれているのではないかという実感を抱いております。  まず第一番目に、平成十二年の段階で要介護の痴呆性老人数の見通しはどうなるのか、また、そのうちで入所による対応が必要な痴呆性老人の数はどのようになると推計しておられるのか、確認をしたいと思います。
  144. 江利川毅

    江利川政府委員 平成十二年度におきます要介護状態にある痴呆老人の数でございますが、施設、在宅合わせまして約六十万人ぐらいというふうに見込んでおりまして、このうち四十万人程度が施設入所による対応が必要であろうというふうに見込んでおります。
  145. 福島豊

    ○福島委員 四十万人が施設入所が必要な痴呆性老人の数であるということでございますが、この四十万人に対しまして、実際に利用が可能である施設のベッド数というのはどのくらいになるのでしょうか。
  146. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 新ゴールドプランにおきます基盤整備の計画におきまして、痴呆老人だけを幾らという形での積み上げはいたしておりませんが、痴呆老人を含めまして要介護の老人の方々に対するいわゆる施設需要という形で、繰り返し申し上げておりますように、地方の老人保健福祉計画の段階から積み上げてまいっておりますのが新ゴールドプランでございます。  そういうことであれしますと、特養が二十九万人分、老健施設が二十八万人分、これが新ゴールドプランの枠組みでございます。療養型病床群につきましては、新ゴールドプランの中には入っておりませんけれども、これにつきましても十九万床の整備ということを目標に、これは平成十四年ぐらいまでの間に、先ほど健政局長が御答弁を申し上げましたような手段で整備をしていこうということで現在進めておるところでございます。これらを含めまして、痴呆老人も含めた要介護老人に対する施設需要に対応するためにこういった整備を進めていきたいということでやっているところでございます。
  147. 福島豊

    ○福島委員 痴呆性老人が入所可能だという仕分けはなされていないという話でございますが、現場では、老人福祉施設に御相談するときに、痴呆があるのですか、ないのですかというようなことを聞かれるのですね。痴呆があると手間がかかるという話だと思います。ですから、痴呆でも構いませんよ、痴呆性老人でも構いませんよという施設が逆に言うと限定される。そういうことが現実にある以上は、どの程度の数が可能なのか、それをやはりきちっと調べてもらいたいと私は思うのです。  介護保険が始まって逆選択が起こるのではないかという指摘を我が党の方からは繰り返しさせていただいておりますけれども、その中で、痴呆性老人の方が逆に逆選択ということで入所ができない、家族保険料も払うけれども、しかし、全然サービスが受けられないというような状態が続くということであれば、これは一番大変な状況なのではないかというふうにも思うのです。  グループホームの事業を始めましたよという話をしましたけれども、これとても一体どのぐらい整備するのかいま一つよくわからないのですけれども、この点はどうですか。
  148. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 まず、介護保険をにらんでそういった痴呆老人についてもその需要というものをきちっと把握すべきではないかという点でございますが、今後、介護保険事業計画の策定に当たりますニーズ把握に当たりましては、そういった点も踏まえながらやってまいりたいというふうに思っております。  そして、現実の対応をどうするかという点で、先ほど、痴呆があるとなかなか入るのをいわば遠慮してくれというような風潮があるというお話でございましたけれども、これにつきましても、私ども今、数の把握という面ではなくて現実の処遇という面では、御案内のとおり、痴呆性老人の方を抱える場合の加算というような形での対応というのをいたしてきておりますので、こういった点についての対策の強化ということを考えていかなければならないと思います。  そういった一環として、新たな試みとして、若干のモデル事業を進めましたその成果で、特に中程度の痴呆老人の方々については有効だ、効果があるという研究結果も得られましたので、また、先進国におけるそういう取り組みも私ども勉強いたしまして、この平成九年度から新たに痴呆老人の方々の共回生活支援事業、いわゆるグループホームというものを導入していこうということで、何せ今度、平成九年度から始めようということでございますから、まだ最終的に何カ所というところまでは、それぞれの受け入れ体制なりなんなりのめどが立っておりませんので、そういう最終的な目標まではあれしておりませんけれども、平成九年度、現在の全国の受け入れの状況から見れば二十五カ所ぐらいはまずやっていただけるということでございますので、そこから始めようということで、この平成九年度からそういった試みを始めたのも先をにらんでのことになっております。  こういったグループホームにつきましては、一方、介護保険制度成立後の給付にも予定をしておりますので、平成九年度、取り組みはやや、全体のあれからいえば歴史の浅い制度になりますけれども、今後ぜひ普及をするように、今回の九年度の整備あるいは実施を通じて得られた結果などを踏まえて、さらに普及を図る努力をしたいというふうに思っております。
  149. 福島豊

    ○福島委員 グループホームというのは比較的小ぶりな施設でございますから、本当にやろうというふうに決意をすれば数はかなり確保できるのではないか、そんなふうに思うのです。ですから、二十五カ所ということでは、やっていますよという話にはなりますけれども、実際の需要にはなかなか追いつかない数でございます。この点につきましては、局長も、厚生省もよく御認識だと思いますので、全力で取り組んでいただきたい、そのように考えております。  引き続きまして、今回の介護保険の導入によりまして、介護サービス事業者競争する原理が生まれるのだというようなお話もございました。  まず初めにお聞きしたいのは、シルバーサービス振興会のシルバーマーク制度というのが実は参入規制として働いてきた、この点について今般改めたというふうに伺っておりますが、どのような現状になっておるのか、お聞きしたいと思います。
  150. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 シルバーマークのことでございますけれども、今御指摘ございましたように、シルバーマーク制度、シルバーマークを取得した事業者に、市町村等が行います在宅介護サービス事業をできるだけそういうところに委託するようにという、いわば推奨することを従来やっていたわけでございます。これは一にかかって優良なシルバーサービスを普及していくという観点からいたしたものでございますけれども、その結果、数で申せば約九百五十事業者ぐらいのものが、いろいろな事業がございますけれども、シルバーマークをおとりになっておられるわけであります。  これが御指摘を受けましたのは、そういう当初の意図とやや違って、むしろそういうシルバーマークを持っているところが、ある種の独占になって、市場に新しいシルバーサービスをやろうという人たちの参入の障害になっている、そういうことが逆に、シルバーサービス全体のすそ野を広げたり、競争の中において質を高めていったりということの障害になっているではないかという御指摘がございまして、かたがた、シルバーマークができましてある程度シルバーサービスそのものも定着をしてきているという実態も踏まえまして、今回、そういった国が関与してこれを推奨するというようなことはやめたということでございます。  こんなことで、本年一月、関係通知を出しまして国の関与を廃止をした。したがって、今後は、シルバーマークも含めまして、優良なシルバーサービスを育てていくということは大事なことでございますけれども、そういったむしろ民間の自主的な取り組みの中でやっていくということを主体にした形にいたしたわけでございます。
  151. 福島豊

    ○福島委員 推奨するのはやめたというお話でございますが、私が懸念しておりますのは、推奨をやめましたけれども、現実としてどの程度の独占状態になっているのか、私もデータを持ち合わせておりませんけれども、その事実は現実として残っているわけでございまして、介護保険ということが十二年だ、そこで都道府県知事が事業者を指定するということになるわけでございますが、現状を踏まえた上で指定が行われていくのではないか、状況としては必ずしも、国が推奨しなくなったけれども、事実が固定してしまってなかなか参入が容易ではないのではないかとか、そういう懸念をしているわけです。そしてまた、都道府県知事が指定をする場合にも、その指定のあり方そのものを極めて透明なあり方にしていかなければ同じ状態がやはり残り続けるのではないか、そのような懸念を抱いております。この点につきまして、どうやって透明性を担保し、さまざまな事業者が事業に容易に参入してそこで競争が起こる、実際にその競争が起こるようにするためにはどうするのか、その点につきましての厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
  152. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険制度におきましては、特に在宅サービス分野において民間活力を活用しようというふうに考えているわけでございます。  知事のサービス事業者の指定でございますが、これは、一定のサービス水準が確保されていなければいけませんので、そういう意味で指定基準を定める、指定基準を定めまして、この指定基準を満たしていれば原則として知事の指定が受けられるというふうにしようということでございます。この指定基準は審議会の意見などを踏まえてできるだけ客観的なものにして、そして、そういう意味で指定の透明性あるいは公平性確保していこうというふうに考えております。
  153. 福島豊

    ○福島委員 基準を明確にするということでございますが、同時に、その指定にかかわる情報公開でありますとか、そしてまたもう一つは、そのサービス事業者についての、これは利用者にとっての立場でございますけれども、どういう事業なのか、どういう内容なのかということについての情報公開、この一連の情報公開ということをしっかりと進めていくべきであると思いますが、この点につきましても追加してお聞きしたいと思います。
  154. 江利川毅

    江利川政府委員 要介護者が自分の利用したいサービスをきちんと選択できる、そういう意味では情報が的確に提供されていくことが必要でございまして、事業者みずからが自分たちがどうやっているかということを公開するとか、あるいは、指定しました都道府県知事、都道府県におきまして、どういうサービスをやる事業者が指定されているということをその中身も含めて公開する、あるいは、保険者であります市町村保険者の立場として、被保険者に対しまして、加入者に対しましてしかるべき情報を提供する、そういうような形で、指定されました事業者の事業内容が正確に利用者に届きますように、それも対応してまいりたいと思います。
  155. 福島豊

    ○福島委員 ぜひともよろしくお願いいたします。  そしてまた、この情報の公開ということと関連するわけでございますが、医療福祉保健連携する情報ネットワークということにつきましてお聞きをしたいと思います。  ケアプランの策定ということが非常に重要な要素だと私は思っておりますけれども、策定するに当たって、例えば、在宅にしましても施設にしましても、どのようなサービスが実際に活用できるのか、どこだったらあいているのかということが即時にわからなければ、非常に効率が悪いということになろうかというふうに思います。また、お一人お一人の利用者の意向も十分に反映することができない。  今回、権利性、選択性ということをうたった介護保険ということを提唱しておられるわけでございますので、この情報化ということは一つの充実したサービス供給するためのキーとなる概念であるというふうに私は思っておりまして、厚生省でもさまざまな形でこの情報化の推進ということに取り組まれておるとお聞きいたしておりますけれども、この点につきまして、今後の見通しというものをお聞きしたいと思います。
  156. 江利川毅

    江利川政府委員 御指摘のように、現在進んでおります。そういう情報化にうまく対応して、サービスの中身が利用者に届くようにするということは大変大切なことだと思います。老人保健福祉審議会の報告書におきましても、「介護サービスを身近で利用しやすいものにしていくために、保健福祉に関する情報システムの統合・整備を行う」ことが重要である、そういう趣旨のことが指摘されておりまして、これに対応していくための一つの検討課題ということで指摘されているわけでございます。  そのサービスの情報ネットワーク化というのは、地方自治体においてもさまざまな取り組みが行われております。そういうものがうまく活用されるようなことも考えながら、どういうやり方がいいか、いろいろなパターンがあろうかとは思いますが、そのやり方について、活用の方法につきまして検討をしてまいりたいと思います。     〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕
  157. 福島豊

    ○福島委員 しっかりとよろしくお願いいたします。  最後に一点、マンパワーの育成ということにつきましてお聞きをしたいと思います。  家族介護者でありますとかボランティアに対しての研修システムというものをやはり充実していかなければいかぬというふうに私は思っております。  私の地元には、関西主婦同盟という団体がありまして、さわやか介護推進本部というものを設置いたしまして、介護研修に積極的に取り組んでおられます。こうした民間の積極的な取り組みというものを厚生省がしっかりと後押ししていく、支援していくということが今後の超高齢社会を迎えるに当たって極めて重要なことであると思いますが、厚生省のお考え、御決意をお聞きしたいと思います。
  158. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 今先生仰せのとおりでございまして、私ども、ホームヘルパー等のマンパワー養成につきましては、単に国あるいは地方公共団体、公的セクターだけではなくて、農協あるいは今お話しのような民法法人、あるいは社会福祉協議会等を含めまして養成していただくということが大事だということで、従来より、そういったもの全部を含めまして、国庫補助で、今、市町村のヘルパーとして働こうとしている人たちに対する研修をしていますほかに、そういう厚生大臣指定あるいは都道府県知事指定という形の中で研修をお願いして、養成のすそ野を広げるということをしております。その結果、今、大体年間六万人ぐらいの養成が進んでおるわけであります。こういったことについて、今後とも力を入れていかなければならないというふうに思っております。  先生が具体的にお挙げいただきました関西主婦連の方でやっておられます、さわやか介護推進本部という形でやっておられますヘルパーにつきましても、もう何回か回を重ねられまして、相当数のヘルパーの方を養成され、その方々は、ある方はプロとして、ある方はボランティアとして、ある方はみずからの家庭における介護をそういった行き届いた形でやる人として、ある人はそういう予備軍として、それぞれにすそ野が広がっているという効果を生んでいるというふうに思っておりますし、今後もこういったものに力を入れていきたいというふうに思っております。
  159. 福島豊

    ○福島委員 以上で私の質問を終わります。大変にありがとうございました。
  160. 町村信孝

    町村委員長 家西悟君。
  161. 家西悟

    ○家西委員 家西です。  私は、保険とはどういうことなのか、お尋ねしたいと思います。  保険とは、一般論として、偶発事故によって生ずる損害の補償を得るため、その代価として契約に基づき掛金を支払い、相互扶助し合うことと解釈していますが、それで間違いありませんでしょうか。
  162. 江利川毅

    江利川政府委員 いわゆる保険、特に民間保険考えますと、その保険基本原則は今先生の御指摘のとおりだと思います。ただ、社会保険制度というふうになりますと、民間保険と違って、一定の一般的なリスクに社会連帯として備える、そういう意味で強制的な加入を要請する、そういう面がございます。  先生がおっしゃいましたのは、いわゆる純粋の民間保険というのでしょうか、そういう考え方でございまして、社会保険ですと、それに若干政策的な側面が加わっているということになります。
  163. 家西悟

    ○家西委員 それでは、本法案では、四十歳から六十四歳までの第二号被保険者について、加齢に伴って生じた要介護状態に対し保険給付を行うとなっていますが、例えば四十歳未満の年齢で不幸にしてクモ膜下出血など要介護状態になった場合はどうなるのでしょうか。
  164. 篠崎英夫

    ○篠崎説明員 四十歳前の方で介護保険制度適用がない方につきましては、障害者保健福祉施策において対応することといたしております。  具体的には、十八歳未満の身体障害児等につきましては、児童福祉法によりまして、ホームヘルパーやショートステイなどの在宅福祉施策や、あるいは重症心身障害児施設などへの入所といった施設福祉施策が講じられます。それから、十八歳以上の障害者につきましても、身体障害者福祉法などにより、同様の在宅福祉、施設福祉施策が講じられることとなります。  これらの施策につきましては、障害者プランの実現を目指しまして、今後とも鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
  165. 家西悟

    ○家西委員 それでは、クモ膜下出血とかそういうような症状を起こされれば障害者等級に適用するということですか。
  166. 篠崎英夫

    ○篠崎説明員 そういうクモ膜下出血等におきまして、日常生活介護等により障害者として身体障害者福祉法上の肢体不自由等の認定がされる方は、そちらで対応されるということになります。
  167. 家西悟

    ○家西委員 それでは違った面で、逆に今度は介護保険法を掛けていない人、五十歳以上の人についてちょっとお尋ねしたいわけですけれども、例えば五十歳で保険を掛けていなくて、加齢に伴い発病し要介護状態になって、その月から保険料を支払うということを条件に介護保険サービスを求めてきたときはどういうふうになるのでしょうか。
  168. 江利川毅

    江利川政府委員 二号被保険者の期間のうちに保険料を納めていなかった、そういう場合には、保険料の未払いにつきましては、医療保険の仕組みの中で保険料の未払いについての対応措置というのがあるわけでございますが、その後その人が要介護状態になったというような場合には、この介護保険給付対象となるものでありましたら介護保険制度における給付対象となります。前に保険料を納めていなかったからといって、その対象とならないということではありません。サービスは出るわけでございます。  しかしながら、六十五歳以上になりますと、その未納期間に応じて例えば償還払いをとるとかそういう形で、サービスはしますが、そのサービス提供の仕方について、いわゆる保険料を支払ってもらえるような、インセンティブが働くような仕組みが織り入れられております。
  169. 家西悟

    ○家西委員 よくわからないのですけれども、今言われている意味。それでは、例えばそういう場合についてはそういうようなことができるということで、掛けなくても結局はもらえるということになるのですか。要するに、介護保険料を支払わなくてもそういう状態になったらもらえるということで判断していいんですか。
  170. 江利川毅

    江利川政府委員 例えば六十五歳になりまして一号被保険者になる、ずっと保険料を納めていない、その人が要介護状態になります、そういう場合には介護給付はいたします。いたしますが、償還払いにする。償還払いといいますのは、全額まずは自己負担、自分で全額を払う。その領収書を持って保険者である市町村のところに行きますと、市町村において九割償還するということになるわけであります。ただ、その人が今まで保険料を納めていなければ、そのときに九割分、今までの未納分も納めてくださいというようなことを当然保険者としてその人に申し上げるということになります。
  171. 家西悟

    ○家西委員 では、そういうことだったら、要するに払わなくても、被保険者は償還払いはするけれども、結局はもらえるのですよね。そういうことですよね、それだったら。
  172. 江利川毅

    江利川政府委員 償還払いで払う。給付はすることになるわけでございますが、その際に過去の保険料を納めてもらうようにいたします。
  173. 家西悟

    ○家西委員 その場合でしたら、例えば逆算して十年間の分を支払うからまともなサービスをと被保険者の方から言われた場合は、それで十年分は納まっている、未納の分が納まっているから、保険として適用されるということですね。
  174. 江利川毅

    江利川政府委員 保険料を納めていない場合には、時効にかかる期間がございます。時効にかかった期間の扱いについては、介護サービスを受けるときには本来一割負担でありますが、給付水準を下げる、例えば七割で給付をする。それから、時効にかかっていない部分につきましては先ほど申し上げたとおりでありますが、償還払いにする。ただ、領収書を持っていきましたときには過去の保険料分はちゃんと払ってくださいということになりますから、保険料はいずれにしてもそういう機会にきちんと払ってもらうようにするということになるわけでございます。
  175. 家西悟

    ○家西委員 そうなると、まじめに払っている人が非常に不公平ではないのでしょうか。一生懸命収入の中から毎月払っているのにかかわらず不平等が生じると私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
  176. 江利川毅

    江利川政府委員 社会保険制度ですので強制徴収でございますから、基本的には入らなければだめなんです。そして入るのは、二号被保険者であれば医療保険の仕組みに上乗せして取りますし、それから高齢者につきましては、多くの高齢者は年金から天引きをして取ります。そしてその他の人については国保の保険料に上乗せをして取るということになります。ですから、基本的にはこの保険料は当然納めるということになるわけでございます。  ただ、おっしゃいますような非常にレアケースというのでしょうかそういうことで、もしあったときにどうなるんだ、これは前からお答えしているところでございますが、いわゆる要介護状態の心配というのは多くの人が持っているわけでありますし、この制度の趣旨については御理解をいただいてきちんと納めてもらうというのが原則でありますが、ただそれは極端な例外という意味で、そういうときはどうするんだというような場合には、制度の仕組み上、レアケースでしょうけれども仕組み上はこういうことになっている、最初に御説明したようになっているということでございます。
  177. 家西悟

    ○家西委員 最低限、不公平、不平等が生じないようにしていただきたいと思いますし、また保険料をなぜ払うのかという部分について、必要なんだという部分をやはり啓蒙するなりして皆さんに理解を求めなければ、払わぬ得みたいなことになってしまうと、やはり私は不平等だとしか言わざるを得ませんので、よろしくお願いいたします。大臣、お答えいただけるのならばよろしくお願いします。
  178. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 これは医療保険でも起こり得るのですよ、この前鴨下議員がお話ししたように。では、保険に入ってないから医療見ないか、そんな非情なことできないじゃないか。そして本来、介護保険に入ったら介護を受けた方が得なのかという問題じゃないのです。損得の問題じゃないのです。医療保険に入っても、介護保険に入っても、できたらお医者さんのお世話になりたくない、介護のお世話になりたくないという方がいいのですよ。しかしお互い支えていこうということであって、不公平だという観点だけでとらえると、では一切面倒見ません、そんなことできるかと。あす死ぬかわからない苦しんでいる人、だれもいない、そんな非情なことはできないじゃないかという例外的なお尋ねで、その際にはやろうと。しかし、本来大多数の国民は健全な良識を持っているだろう、自分がそういうお世話にならないから払わない、そんな国民でありたくないと思っているのが多数だと。お互い支え合うんだということでなければ、社会保障制度社会保険制度も成り立たないというふうに私は考えております。
  179. 家西悟

    ○家西委員 私もそのとおりだと思います。相互扶助であって、お互いに助け合うべきだと思いますし、そうあるべきだと思います、こういう制度は。そうしなければ全く意味がないし、何のために掛けていたんだということもあるでしょうし、またお互い、社会ですので、こういう構造で助け合っていくことこそ老齢化社会を迎えるに当たって必要だと思います。だけれども、その中でそういうような特定の人たちができてしまう、それが安易にまかり通るような制度ではまかりならぬのではないかと私は思いますので、よろしくお願いします。  その次の問題、質問させていただきます。  若年層が疾病、障害、老齢化等についての関心が薄いのは一般論です。しかし、成人で就職をし、そして収入を得た場合、介護保険料を掛けようという意思まで奪う必要性は私はないと思います。ですから、二十からでもいいのではないか。そういうような支払いをしようという人たちにも広く門を開くべきではないでしょうか。よろしくお願いします。
  180. 江利川毅

    江利川政府委員 被保険者の範囲を何歳からにするかということも制度の立案に当たって議論のあったところでございます。二十からにするべきではないかというような意見もありましたし、この案のように四十歳からというのが現実的な線ではないかというような意見もあったわけでございますが、そういう関係方面のさまざまな意見を踏まえながら、現在、四十歳以上の方が被保険者という制度になっているわけでございます。  これは、社会保険で強制加入ということでございますので、四十歳以上の方には強制的に保険料を納めていただくということになりますが、私は二十から納めても結構ですと、何というのですか、一人例外的に納めるというのは、強制保険の世界ですので、それはできません。いわゆる被保険者の範囲をどうするかということにつきましては、この法律の附則に、実施状況等を見てさらに被保険者の範囲等を検討するという検討規定が置かれておりますので、実施後の諸状況を見ながら、こういう御指摘の問題につきましては検討させていただきたいというふうに考えております。
  181. 家西悟

    ○家西委員 もしそこまで検討いただけるのなら、ぜひともそのあとの若い人たちというものも考えていただきたい。そして、付加給付というものをぜひとも考えていただきたい。例えば教育とか就労、そして授産等の別立ての付加給付というものも御検討いただければなと思いますけれども、いかがでしょうか。
  182. 江利川毅

    江利川政府委員 大変恐縮なのですが、何の付加給付と言ったのかちょっと聞こえにくかったのですが、何でございましょうか。
  183. 家西悟

    ○家西委員 一度制度の見直しということを御検討いただけるのならばその場合、年齢的な問題を踏まえて、付加給付、すなわち教育とか就労、授産、そういうようなものを含めての付加給付にして、年齢を幅広く持たれればいかがでしょうかということを言っているのです。
  184. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険制度で出す給付の範囲というのはどういうものがいいかということでございますが、基本的に、これは給付をどう考えるかということと、それから保険料負担をどうするかということは、非常に密接に関連するものでございます。この制度におきましては、いわゆる日常の介護支援ということが基本でございまして、まず、そういう範囲でのサービス考えているわけであります。  ただ、現在の制度におきましても、例えば六十五歳以上の一号被保険者保険料によって、保険者であります市町村におきまして、上乗せ給付であるとか横出し給付であるとか、そういうことが行える方法が残されているわけでございます。そういうことで、この介護保険で出しますサービスの周辺でなおそういう高齢者保険料でやるものがあるというような場合には、市町村において検討していただくということになります。ただ、その範囲を超えて大変広い範囲で付加給付を行うというのは、必ずしも介護保険制度にはなじまない部分があるのではないかと思います。
  185. 家西悟

    ○家西委員 それでは、ちょっと時間もありませんので、質問を変えます。  障害者の定義とは何でしょうか。そして、難病の定義とは何でしょうか。お答えいただきます。
  186. 篠崎英夫

    ○篠崎説明員 障害者につきましては障害者基本法で定義をされておりますが、それによりますと、「身体障害、精神薄弱又は精神障害があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者をいう。」このように定義をされております。
  187. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 難病についての定義のおただしでございますが、昭和四十七年に策定をいたしました難病対策要綱で、難病の概念を次の二つに整理をいたしております。その一つは、「原因不明、治療方法未確立てあり、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない疾病」ですね。それからもう一つが、「経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家庭の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病」という、この二つに分けております。
  188. 家西悟

    ○家西委員 障害者と難病ということで今お答えいただいたのですけれども、その辺はそのとおりだと私も認識しております。  私は血友病です。二次障害で関節機能障害を持って、私は四級の手帳を持っています。そして、今日、二級以上の障害者のものではそれなりのそういう障害者プランにも乗れる多くの制度はあるわけですけれども、それ以下の人たちというものは、なかなかそこまで障害者プランというものは恩恵を受けないというか、そういう部分はあると私は思います。  そして、障害者でもない難病でもないというはざまの人の問題が、今回この介護保険法でも引っかからないのではないかという私は危惧を抱いているわけですけれども、その辺はどうされるおつもりでしょう。
  189. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険制度の場合には、六十五歳以上の方につきましては、要介護申請を受けますと、一定の調査票をもとに調査をし、かかりつけ医の意見書をもらい、そして、認定審査会におきまして専門家の目でそれをチェックして、要介護状態であれば介護給付対象になるわけでございます。  ただ、四十歳から六十五歳未満の場合でございますが、この場合には加齢に伴う疾病に起因する障害ということになっているわけでございまして、この加齢に伴う疾病は、これから専門家方々に検討していただいてどういう疾病を指定するか決めていただくわけでございます。その指定された疾病に該当する人は、同じような条件を満たしておりますと介護保険介護サービス給付対象になります。
  190. 家西悟

    ○家西委員 できるだけそういう判定基準というか、それは広く持っていただきたいな、網を広げていただいて、そういう人たちにもぜひとも介護保険給付していただくようにお願いしたいと思います。  そして、次にですけれども、現在、付添看護婦制度は廃止されていますけれども、がんの末期等について、看護のほかに介護が必要となった場合、家族が面倒を見るといっても、仕事をし収入を得なければなりません。そして介護保険適用されない、年齢的にいいますと四十歳未満とか、そういう人たちはどういうふうにされるのでしょうか。
  191. 江利川毅

    江利川政府委員 四十歳未満の方は介護保険対象にはなっておりませんので、介護保険からの給付は当然あり得ないわけでございます。御指摘のがん末期というようなことであれば、若い人で御不幸にもそういうことになったというようなケースは、基本的にはこれは医療保険の世界になるのではないか。医療保険の中で、入院であればしかるべき体制でその治療を受けるということになりますし、最近は末期がんを在宅で治療するというケースもあるようでございますが、それも在宅医療訪問看護を組み合わせてサービスをしているようでございますので、そういう形で行われるのではないかと思います。
  192. 家西悟

    ○家西委員 看護介護との問題があると思うのですね。介護の場合はどうなるのでしょうかということを言っているのであって、医療保険では看護部分は出ますけれども介護部分はどうなるのでしょうかということをお尋ねしているのです。
  193. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 私の方からお答えするのが適切かどうかちょっとあれでございますが、今、江利用審議官の方から、要するに、四十歳未満の者についてはこの介護保険対象にはならないというのは、これはもう大原則でございますから、今お話しになりましたがんの末期の患者の問題については、基本的には費用負担という面では医療保険の中で賄われるものだと思います。  その中で、がんの末期の方についての介護ということにつきましては、何といいますか、がんの在宅医療なり、あるいは末期ということであれば、いわゆるターミナルケアと申しますか、そういう中での施設ケアなり、そういうことによって対応をしていくということが基本だというふうに認識をしております。
  194. 家西悟

    ○家西委員 その場合は障害者でもありませんね。何で救われるのでしょうか。
  195. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 がん患者ということじゃないかと思いますが、ちょっと御質問趣旨がよくつかめて……(発言する者あり)
  196. 町村信孝

    町村委員長 では、家西君、済みません、もう一度御発言願います。
  197. 家西悟

    ○家西委員 今、五島先生言われるとおりで、在宅介護の場合、それは出るのか出ないのか、そして、がんなら、四十歳からだったらそういう介護保険はできるけれども、それ以下の場合は全く何もないのかということをお尋ねしているわけです。
  198. 江利川毅

    江利川政府委員 がんの患者であれば医療保険サービスが出るわけでありますし、訪問看護とか看護婦を派遣するとか、そういう形でそこのサービスは行われるのではないか。介護が十分かどうかという議論についてはありますが、そういう患者であれば普通のホームヘルパーさんはとても簡単にはさわれませんですよね、治療の。そういう人にさわれるのは看護婦さんではないか。そうすると、訪問看護のような形でその人のケアをすることになるというふうに思います。
  199. 家西悟

    ○家西委員 時間がありませんので、最後の質問にさせていただきます。  巡回ホームヘルプサービスについてでありますけれども、厚生省が発表した在宅サービスのモデルのメニューを拝見しますと、ホームヘルプとデイケア中心になっているというふうに思いますけれども、北欧の成果を仄聞しますと、二十四時間型ホームヘルプサービスをきめ細かく当てはめたメニューを考えることが不可欠だと私は考えます。この制度を充実させることにより在宅ケアをより充実することとなると考えますが、いかがでしょうか。  そして、巡回型ホームヘルプサービスは、夜間サービスの面などにおいて、現段階では地域格差が余りにも大きいことを承知しています。しかし、福岡、東京などでは先進的に取り組んでおられます。北欧におけるノウハウを習熟させるために、教育を急ぐべきだと私は考えます。また、コスト面においても、施設ケアに比べ費用が高くつくことはありませんので、人材の育成を早急に講ずるべきと考えますが、いかがでしょうか。
  200. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 二十四時間巡回型のホームヘルプサービスにつきましては、先生今御意見として仰せのような方向で私どもも取り組んでいきたいと実は思っております。  現在、二十四時間の巡回ホームヘルプサービスを通常のホームヘルプサービスに加えましてメニューの中に加えて、今の段階ではまだ全国的にも七十五事業ぐらいですから余り多くはございませんけれども、今お話のございましたように、やはり、これを先進的な地域でのそういう取り組みが全国に広がるようにやっていかなければならないということで、今やっています事業の評価をいたしたいというふうに思っております。  そして、これが実はある種の循環になっておりまして、それが広がってくるとコストも比較的少なくて済む、しかし余り広がらないとコストがやや割高になるというような面もございますから、そういう意味では、いわゆる滞在型以外に深夜ですとか早朝等も含めたいわゆる巡回型の、滞在型以外に巡回型のホームヘルプサービスというものを組み合わせる形でやっていくという方向を目指して、今仰せのような方向で努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  201. 家西悟

    ○家西委員 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  202. 町村信孝

    町村委員長 石毛鍈子さん。
  203. 石毛えい子

    ○石毛委員 民主党の石毛でございます。  介護保険の審議は随分重ねられてまいりましたけれども、私は、きょう、何点かの確認とそれから質問をさせていただきたいと思います。  まず第一点でございますけれども、要支援者への家事援助ということについて確認をさせていただきたいと思います。  この介護保険法案の定義によりますと、訪問介護の定義につきましては、「入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって、厚生省令で定める」というふうになっております。それから、要支援者への居宅サービス一つの種類としまして、そこに用いられている用語も「訪問介護」というふうになっております。  要支援者には、入浴、排せつ、食事等の介護というよりは、むしろ家事援助の方がウエートが高くなると思いますけれども、ちなみに、この法案の中には家事援助という表現は一カ所もなかったように思いますので、要支援者への訪問介護のその主な内容は、家事援助を含む日常生活の世話というふうに理解していいのかどうか、そういうふうに厚生省令で確定されるのかどうかということを、まず確認させていただきたいと思います。
  204. 江利川毅

    江利川政府委員 この法律上は、訪問介護の定義しかなくて、そして、要支援者に対しましても訪問介護というサービスが行われるということでございます。  訪問介護というものにつきましては、先生指摘のように幾つかのサービスの中身が挙がっておりますが、その他日常生活の世話ということになっております。その中には、いわゆるどうサービスを使うかということになるわけでございますが、概念的には家事援助的なものも含まれるものというふうに考えております。
  205. 石毛えい子

    ○石毛委員 家事援助を含むということで確認させていただいてよろしいかというふうにお伺いしましたので、その点、ぜひよろしくお願いいたします。要支援者にとっては、非常に大きな期待をしているところはそこだというふうに思いますので、改めて強調させていただきたいと思います。  それでは、次の質問でございますけれども、この法案の中では、特例居宅介護サービス、第四十二条一項二号でございますけれども、それに関しまして市町村特例給付ということが規定されておりまして、市町村が居宅サービスとして、先ほども表現がされていましたけれども、ワーカーズ・コレクティブなどでございますけれども、主として有償サービス活動をしていたり、ワーカーズ・コレクティブなどのNPOによるサービス、それを事業主体として市町村が認めていくことが可能という法律になっています。  その点は、私は大変評価をしている点でございますけれども、この事業者の指定に関しまして、法人格を持たないNPOがやる場合、市町村が認めるということになるわけですけれども、その条件につきまして、法人格がないということを別にすれば、あとは指定事業者と同じ例えば職員数という基準ですとか設備の基準というようなことで、基準が非常に厳しいといいますか、リジッドではないだろうか。事業者は法人格を持ち、基準に当てはまり、員数を満たし、設備基準を満たしということになって、その中から、法人格がなくても市町村が認める場合はいいですよというのがこの法案になるわけです。  ですから、指定事業者の方のその内容で、基準がどう決まるかということに左右されると思いますけれども、そのハードルがかなり高くっくられまして、そこに横引きになってNPO的な活動も当てはめられますと、実際には市町村が認めれば事業に参加できるという規定がありましても、参加できないNPO的な活動がかなり出てくるのではないかというふうに考えるのです。  そこで、そこのあたりをどう考えておられるかということと、もし法人と同じようなハードルで基準とか人数とかということを設定されるという方向をとられるのでしたら、せっかくこの非営利の民間の活動に対して市町村が認めていくわけですから、市町村の裁量の幅を広げるといいますか、市町村の裁量でそれが可能になるという、そうした広がりをつくっていただいた方が地域で活動する側にとっては非常にやりがいが出てくる、やる気も起こってくるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  206. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険法案に基づきまして介護サービス提供する事業者は、基本的には都道府県知事の指定を受けるわけであります。ただ、市町村におきまして、法人格はないけれども継続して一定水準の介護サービス提供できるような活動主体があるというような場合に、市町村で身近ですから、その実態がわかりますので、そういうような場合に市町村の判断でそれを介護保険給付対象活動主体に入れてもおかしくはないだろうということでこの規定ができているわけでございます。  この場合に、どういうふうに要件を決めるかということにつきましてはなお検討を要するわけでありますが、法人格を有しないだけであとの要件はすべて法人格を有しているものと同じにするかどうかというのは、検討の余地があるのではないかと思っております。つまり、そこは同じでなくてもいいところがあるのではないかというふうに思っております。  ただ一方、この財源は半分が公費である、それからまた、二号被保険者保険料はプールをして全国的なベースで均等に市町村に支給されるものでありますので、市町村が余り独自に動き過ぎても地域的にバランスを欠くことにもなるわけでございます。そういう意味で、そういう点も配慮しながら、どういう要件を定めたらいいか検討をしてまいりたいと思います。
  207. 石毛えい子

    ○石毛委員 ありがとうございます。  先ほど福島委員の一番最後の御質問でも、大阪の活動が紹介されておられまして、羽毛田局長の御答弁では、既に六万人を超える方々が活動しておられると。何回もここの審議の場では、そうした地域で活動をしている市民団体といいますか、あるいは非営利の活動の方たちの力がどういうふうに発揮されるかということが、この介護保険が有効に機能するかどうかという非常に大きなベースになると。そういう意味でいいますと、ぜひ市町村でそうした活動が活発に展開されますように、柔軟性のある基準のつくり方といいますか、そういうことに御努力いただければというふうに要望させていただきます。  次の質問でございますけれども、介護保険法を読んでいますと、言葉が難しいのと、同じのがたくさん出てきて、もうちょっと法律って普通に読んでわかりやすく書けるということはないのでしょうかと。もう本当に、これに耐えて全部を読み通す入ってなかなか忍耐心の強い人だという、私も忍耐心が強い中の一人に入るか入らないか瀬戸際ぐらいのところなのですが、さておきまして、居宅介護支援事業者についてお伺いしたいのです。  この居宅介護支援事業者につきましては、先ほどの市町村特例給付にかかわる活動とは違いまして、全部法人格がなければだめですよね。そうしますと、たしか医療の場合には一人法人が認められていると思いますけれども、社会福祉関係の方がここに参画してこようというふうに考える場合は、一人法人は認められていないですね。それから、NPO法が成立しましたとしましても、最低限十人でしょうか。  だとすると、居宅介護支援事業というこの事業活動自体は、私は、例えば一定の経験を積んで、研さんをして、そして場合によっては資格という要件もあるかもしれませんけれども、一人事業としてできる事業であるわけだと思います。つまり、ちょっとわかりやすく言えばですけれども、私が現場で長い間経験を積んで、研さんを積んで、研修が必要だったら研修も受けて、場合によっては資格も持っていてということでいえば、私がケアマネジメントの任に携わってケアプランを作成するお手伝いを事業としてさせていただけばいいわけですから、一人でできるのだと思います。  この居宅介護支援事業が地域に密着した事業であればあるほど、一人でできるということの道を開いておくことが必要ではないか。つまり、市町村特例給付と同じような考え方を居宅介護支援事業についても、ハードルはいろいろあると思いますが、していいのではないか。その考えは当然とられてもいいのではないか。医療においても一人法人というのはあるわけですから、そういう道を開くべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  208. 江利川毅

    江利川政府委員 この居宅介護支援事業者には、そういう研修を受けて専門的知識を持った介護支援専門員というのを置くことになるわけでありますが、例えば要介護者に対しますケアプランを作成する。これは介護支援専門員中心になって、サービス提供する主体と連携をとってつくっていくことになるわけでありますが、要介護者の状態というのは三カ月とか六カ月ごとに再認定をしたり、あるいは状態が変わったらまたケアプランをつくり直したりという、そういう継続性と従前からの流れ、変化への対応みたいなものが必要なわけでございます。  そして、一人でやるということになりますと、その人がやめたというと、そういう今までのケアサービスケアプランというものの蓄積が承継されないというのでしょうか、そういうようなことで、これもまた法人事業として行うことが適当だというふうに考えたものでございます。
  209. 石毛えい子

    ○石毛委員 法人事業として考えるということであれば、医療の場合と同じように一人法人ということがあり得るのではないか。連携性とか継続性ということでいえば、それは当然地域で同じ業の方がネットワークを組んでやっていくというようなことを考えれば可能となるわけですから、恐縮ですけれども、今の審議官のお答えでは、私はちょっと納得しかねる部分があります。
  210. 江利川毅

    江利川政府委員 法人事業者がふさわしいということは先ほど述べたわけでありますが、それではどういう法人かということにつきましては、それぞれその法人の根拠法というのでしょうか、それに基づいて認められる法人、社団もあれば社会福祉法人もあれば、あるいは物によっては株式会社というのもあるかもしれません。それはそれぞれの根拠法に基づいて法人設立ができるわけでありますので、そういう法人を対象とするということでございます。  この介護保険法自体の中で特別に新たな法人をつくる、そういう規定を置くということは考えておりません。
  211. 石毛えい子

    ○石毛委員 説明していただいた内容については理解いたしました。現行の法人制度を前提にする限りはということでは理解をいたしました。  私の場合は現行の法人制度を前提としなくてもよいのではないかというところですから、これ以上論議はしませんけれども、大事なのは居宅介護支援というその機能をどれだけよく果たすかということであって、その場合に、個人が法人として認められるという新しい道を開いてもよいのではないかという、これはずっと言ってもきっとすれ違うのでしょうから終わりにしますけれども、そう考えております。  次の質問でございますけれども、法案の中では、認定審査会の委員、それから介護保険審査会の専門調査員に関しまして、保健医療福祉に関する学識経験を有する者という規定がございます。これに関しましては地方公聴会でも随分御意見が伺われたところだというふうに私は記憶しております。  私もさまざまな現場の方から御意見を賜りまして、この学識経験というのは何ぞやということとかかわりまして、その定義をしていますとまたいろいろと難しい話になってくると困りますのでやめますけれども、ぜひ現場の実務経験を持つ方を重視するような方向でこの委員の選任を行うように市町村に、そういう方向で制度が動くような仕組みにしてほしいという要望が私のところにたくさん参っておりまして、私も、例えばぼけ老人を抱える家族の会の方たちの相談活動等々を拝聴し学ばせていただきますと、ケアに関する具体的な相談ですとか、それからそれをどういうふうにきちっとまとめて整理していくかというようなことでも大変すぐれた方がいらっしゃると思いますので、ぜひ、その学識経験を有する、その中に実務経験も重視してとらえていただくようにお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  212. 江利川毅

    江利川政府委員 二つの組織についてお話があったわけでございます。介護認定をする組織と、それから不服審査を行う組織と二つありまして、法律上はいずれ保健医療福祉の学識経験を有する者を委員とするということになっておるわけであります。  この具体的な任命は、介護認定審査会は市町村長が、それから不服審査の方は都道府県知事が行うことになります。当然、単に学問的知識を持っているだけでは判断できない問題もあると思いますので、そういう実務経験を持っている人、多角的な角度から問題が見られるというような形で人選が行われるのだと思います。人選を行います知事あるいは首長の御判断においては、多分、十分にそういう現場実態の判断ができるような人もその中には任命されるものというふうに考えております。
  213. 石毛えい子

    ○石毛委員 ぜひ実務経験をお持ちの方という、その中に、繰り返しになりますけれども、セルフヘルプ活動と申しましょうか、そうした活動が蓄積してきているノウハウというのはとても大きなものがあると思いますので、幅広くとらえていただけるように御理解いただければと存じます。  それでは、次でございますけれども、高額介護サービス費についてお伺いしたいと思います。  これにつきましては、一定以上の負担になる場合に高額介護サービス費という仕組みがとられるわけですけれども、「費用負担の家計に与える影響を考慮して、政令で定める。」高額居宅支援サービスについても同様の趣旨が規定されてございます。それで、政令で定めるということでございますので法律が成立しましたその後に動いていくことだというふうに思いますけれども、実際問題、それこそどこから高額になるのかということが大変不安に思われているところだと思います。  それで、私の方から改めて申し上げるまでもないわけですけれども、厚生省の国民生活基礎調査の最新の調査でも、六十五歳以上の方がいる世帯のうち年収二百万円以下の方が約二割に上っております。そうしますと、在宅の場合で一番要介護度が高いというふうになりますと、一割の負担として三万円近くなる。そうしますと、年額で三十六万円ですから、二百万円のうち三十六万円。施設に入った場合、どの施設に入るかによって違いますけれども、高い利用料金になる施設の場合でしたら年収の二五%ぐらいですか、それぐらいの負担になっていく。このあたり、これは世帯の所得ですから、お二人で利用されるということになるともっと多くかかっていくというふうになってまいります。  今から心配して伺うことではないのかもしれませんけれども、もしこのあたりで論議されていることがございましたら、御紹介いただければというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。
  214. 江利川毅

    江利川政府委員 高額介護サービス費の支給限度額の設定についてでございますが、議員の御質問の中にもありましたように、政令で定めるということになっているわけでありまして、今後、審議会で関係方面の意見を聞きながらその水準を決めていくことになります。  ただ、その場合に、医療保険制度の中にも高額療養費制度というのがございますので、そういうものの考え方、あるいは老人保健制度における自己負担の状態とかそういうような既存の制度との関係なども勘案しながら考えていくことになるのではないかというふうに思います。  また、その場合には、低所得者につきましては、高額療養費の限度額につきましてさらにそれを一般の場合よりも低い水準を考えるということになりますし、施設に入所している場合の食費の負担につきましても、これもまた低所得者については配慮するということになっているわけでございます。  具体的には、そういう既存の制度などを勘案しながら、今後検討していくことになります。
  215. 石毛えい子

    ○石毛委員 恐らく介護を必要とする高齢者の方は医療費の支払いも同時にされていらっしゃる方だろうと思いますし、そういう意味でいいますと、社会保険負担というのは介護保険だけの負担ではないと思いますから、かなり負担になるのではないかというのが多くの方の御心配になっているところだというふうに思いますので、いろいろな社会保険、総合的に勘案しながら、ぜひ納得できる線でこの費用限度額の設定がされますようにこれも要望をさせていただきたいと思います。  それでは、次に移りますけれども、きょうも多くの委員の皆様からオンブズマンについての発言がございました。私も、もう一度それについて発言をさせていただきたいと思います。  今までの介護保険議論に関連しまして、まあオンブッド等いろいろな表現の仕方がありますけれども、オンブズ機能について発言がされますと、審議官初め皆様、多くの場合に、苦情の申し出等があった場合に国保連が調査をし、あるいは必要な指導及び助言をするという、そういうお答えをいただいていたように思います。ただ、私はもう一度この法案を全部読み返してみましたけれども、私の記憶に違いがなければ、この法案の中には苦情の申し出という表現は一言も入っていないと思います。ケアプランも、利用者等の希望を勘案してという表現はありますけれども、そこにも意見を聞いてという表現はないわけです。  それで、重ねて、今回の場合百七十六条に限って質問をさせていただきますけれども、私は江利用審議官のお答えに意地悪な理解をするわけではございませんけれども、この百七十六条第一項第二号の規定は、「指定居宅サービス、指定居宅介護支援及び指定施設サービス等の質の向上に関する調査」等々で、「施設に対する必要な指導及び助言」とございます。何を契機に調査をするのかとか、何を理由に指導及び助言するのかという、その何を契機にどんな内容に関してという規定は百七十六条には全然ないわけです。  ですから、私なら私が国保連に行きまして、私の受けているサービスにこういう問題があると思うのですが、ぜひその問題を聞いていただきたいというふうに申しましても、この法案では、私は、国保連は必ずそれを聞かなければならないという読み込みはできないというふうに思います。ぜひもう一号というのでしょうか起こしまして、ちゃんとそのことを書いていただかなければ、法律としては整合性がないのではないかと私は考えるのですが、いかがでございましょうか。
  216. 江利川毅

    江利川政府委員 条文の規定は、確かに先生指摘のとおり、「居宅介護支援及び指定施設サービス等の質の向上に関する調査」、それから後、そういうものに対する必要な指導助言というようなことになっておりますが、この規定が置かれましたときの経過というのでしょうか、与党間での議論の経過で、いわゆる国保連にオンブズマン的な業務を負わせる根拠としてこれを置いたわけでございます。  具体的にこれをどういうふうに発揮させていくかということにつきましては、当然、実施していくときによるべき通知あるいは指導方針、そういうものが必要だと思います。そういう中で、具体的なやり方につきまして、このオンブズマン的業務が当初の目的をきちんと果たされますように的確に対応してまいる、そういう考え方でいるわけでございます。
  217. 石毛えい子

    ○石毛委員 あともう一問どうしても質問をさせていただきたいので、これ以上細かくこだわるつもりはございませんけれども、私は、介護保険法が権利保障する、そういう法律であると強調されるわけですから、権利を実現するそのプロセスについてきちっと書かれているということはとても大事なことだというふうに理解をしております。ぜひもう一号立てていただきまして、国保連に何々することができるというようなことを入れていただけたらとてもすばらしい、すてきなことだというふうに思いますので、もう一度いかがでしょうかということではなくて、要望させていただきたいと思います。  それでは、もう一問質問をさせてください。これも一、二度議論に出ていたことだと記憶をしておりますけれども、現在、養護老人ホームに入所をしている方についての介護保険給付でございます。  養護老人ホームは現在九百四十七カ所、約六万四千人が入所しております。この方たちも第一号被保険者として保険料負担されるわけですね。この方たちは、要介護認定されたら、あるいは要支援認定されたら、介護保険から給付がなされるのでしょうか。  それから、入所している方が全部認定されるとは限りませんので、要介護認定にも要支援認定にも当てはまらない方の場合には、今までと同じように養護老人ホームヘの措置入所としてサービスが継続していく、つまり安心して養護老人ホームに入り続けられる、こういうふうに理解をしてよろしいのでしょうか。これをお教えください。
  218. 江利川毅

    江利川政府委員 養護老人ホームの機能ですが、これは本来介護サービス提供する施設ではないわけでございます。そういうことでございますので、この施設におけるサービス介護保険対象とはなりません。もし養護老人ホームにいる人が要介護状態になるということになりましたら、要介護認定申請をしていただいて、判定を受けた上でその人に適したサービス考える。もし施設でサービスを受けることが必要であれば、特別養護老人ホームであるとかあるいは療養型病床群であるとか、そういうふうな施設に移っていただくということになろうかと思います。  ただ、審議会の答申などでも指摘されているところでございますが、養護老人ホームにつきまして実際に介護を要するような人も入っていることも確かでございまして、そういう観点から、そういう実態を踏まえて、いわゆる養護老人ホームそのものを特養に転換するとか、あるいは特養を併設してそういうものを受けられるようにするとか、そういうような形で施設のあり方を見直していくべきだという指摘もありますので、そこはそこでそういう対応を考えていくということになろうかと思います。  最後の措置の話はちょっとよくわからなかったのですが……。
  219. 石毛えい子

    ○石毛委員 要介護該当者がいる場合にはということに関する御説明は、おっしゃった内容については理解させていただきました。  恐らく、養護老人ホームにお入りの方は要支援に該当する方もおられるだろうと思います。それから、要支援に該当されない方もおられるだろうと思います。もし法律の前段の定義のところに記載されていることを当てはめていきますと、恐らく三種類、人を種類と言ってはいけないのですが、三層といいますか、そうしますと、要支援の認定をされた方はどうなりますかと。それから、要介護にも要支援にも当てはまらなかった方は養護老人ホームに安心して入所し続けていてよろしいのでしょうかと。七万人に近い人数がおられるわけですから、ちょっとケアハウスに引っ越していただきますというような、そういう話にもならないのではないかと思います。
  220. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 養護老人ホームにお入りになっている方については、本来養護老人ホームとしての機能があるわけであります。身体上、精神上、環境上の理由に加えまして、経済的理由によって居宅での生活が難しいということでございますから、そういう要件に合致している方で養護老人ホームに入っていられる方については、これは引き続き措置体系でやっていくということになっております。  というのは、やはり経済的な理由という、まさにいわゆる公費でもって限られた方にどういうふうにやっていくかという、その体系になじむということから養護については措置を残しているわけでありますから、そういう人については、今の養護老人ホームに入って入所要件に合致している限りは、養護老人ホームとしての措置による対応がなされるということになります。  ただ、養護老人ホーム自体がむしろ特別養護老人ホーム化している、あるいは部分的にそうなっているというときには、施設自体のありようとしてそういう転換を図るというようなことにつきましては、むしろ、全体が特養になられるものもありましょうし、部分を切って複合施設になられる場合もありましょうし、そういった対応が必要になったものについては、私どもの方としても柔軟にそういう動きができますように応援をしてまいります、こういうことでございます。
  221. 石毛えい子

    ○石毛委員 恐れ入ります。もう一度確認の意味でお教えください。  養護老人ホームにお入りの方で、所得要件がありますから保険料の減免に当てはまる方が多いかとは思いますが、保険料負担するわけですね。今、羽毛田局長のお話では、おおよそは理解させていただいたつもりですけれども、要支援認定に該当するかどうかの審査もないわけですね。そのほかの方についてはおっしゃったことで理解させていただきますけれども、要支援もないわけですね。つまり、介護保険適用は、要介護があった場合のみ何らかの代替策をとって、そのほかは養護老人ホームとして継続するということでよろしいですか。
  222. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 大体今先生がおっしゃったとおりでございます。  養護老人ホームに入りました人につきましても、いわゆる介護保険対象になりますれば保険料は払っていただきますし、先ほど来、それは養護老人ホームとしてのサービスということを申し上げておりますから、そういったサービスでない介護サービスを受けなければならないという状態は当然あり得ますので、それに備えるという意味では当然介護保険対象になっていただくということになりますし、それに入りました間の処遇につきましても、要支援というような形でありましても、養護老人ホームの要件に合致しています限りは養護老人ホームのサービスとして行われますので、それは措置の中でやられていくということになります。
  223. 石毛えい子

    ○石毛委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  224. 町村信孝

  225. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  憲法の二十五条では、  すべて国民は、健康で文化的な最低限度生活を営む権利を有する。  国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。 と規定しております。国民の健康で文化的な生活を国が保障するためには、国が民主主義の理念に立つことであって、国家責任は著しく重いと私は考えております。  この憲法の具体的なあらわれとして位置づけられてきたのが措置制度だというふうに思います。この措置制度が実は今、時代おくれだとか今日にはふさわしくないという論が横行しておりますけれども、果たしてそうでしょうか。本当に措置を必要とする人はいなくなったのか。  そこで、厚生省にお聞きいたします。  六十五歳以上の高齢者のうち、年金の未加入者は一体何人でしょうか。
  226. 真野章

    ○真野政府委員 国民年金に未加入の方でございますが、平成四年の公的年金加入状況等調査によりますと、国民年金の第一号被保険者となるべき者のうち未加入となっている者は約百九十万人と推計をいたしております。
  227. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 ありがとうございました。  実はこの年金の未加入者の大半は介護保険にも加入できない可能性が出てまいります。百九十万人です。  老齢年金の受給者は一体何人で、その平均月当たりの年金受給額は幾らでしょうか。年金の月額の平均以下の割合はどれぐらいになっているでしょうか。厚生省、お教えください。
  228. 真野章

    ○真野政府委員 国民年金の老齢年金受給権者数は、平成七年度末現在で一千百四十万人でございます。その平均年金月額は四万五千円でございまして、平成七年度末現在の国民年金老齢年金受給権者のうち、この平均年金月額四万五千円を下回っている者の割合は約六割弱というふうに見込んでおります。
  229. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 平均の年金受給額が月当たり四万五千円、それ以下の人が六割を占める、こういう状況ですね。  では、もう一度お聞きします。  国民健康保険保険料の滞納者はおよそ二百五十万人と言われております。国保料の収納率は九三・三%となっていますが、現在、軽減措置をとっている人、短期、資格などの証明書が交付されている世帯はどうなっているでしょうか。
  230. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 保険料軽減世帯は、平成六年度で見まして、その中で被保険者の資格証明書という格好で交付している世帯でありますが、これが五万三千世帯でございます。
  231. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 軽減措置をとっている世帯は四百五十九万世帯、それから資格証明書を交付されている世帯は十三万世帯あるというふうに言われております。全体では四百七十七万世帯です。五百万近い世帯の方々が実際には保険料をなかなか払えない、こういう状況があると思うのですね。  もう一度お聞きします。  高齢者世帯のうち、年収百万円以下の世帯は一体何%になりますか。年収三百万円以下の世帯は何%になるでしょうか。
  232. 江利川毅

    江利川政府委員 平成七年の国民生活基礎調査によりますと、今の御指摘の年収百万円以下の世帯数は九十四万世帯、高齢者世帯全体の一六・七%でございます。また、年収三百万円以下の世帯数は三百四十三万世帯、高齢者世帯全体の約六一・一%でございます。
  233. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 今厚生省に御報告いただいた内容を見ただけでも、年金の掛金が払えない、また国保の保険料が払えない、困難だという人が多数いるということがおわかりいただけると思います。  今その保険料を払えない人たちが、どうして介護保険料や利用料を負担することができるのか。実は私この介護保険での地方公聴会に参加させていただきましたが、新潟の公聴会では、二百五十円の利用料が払えないで介護サービスが受けられないお年寄りが多数いる、こういう指摘もされておりました。  私は明らかに、今措置制度をきちんと残さなければ、生活弱者の介護を受ける権利保障されないと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  234. 江利川毅

    江利川政府委員 国保の保険料滞納率の話が出ましたが、全体で見れば確かにそういう数字でございますが、七十歳以上の高齢者で見ますと九九%の方が国保の保険料は納付をしております。  介護につきましては、高齢者の最大の心配事である。そしてまた自分らで可能な、保険料の納め方も所得に応じて五段階に設定する考えでございますので、そういう低所得者への配慮をしていくわけであります。  そういうことで、保険制度でありましても、低所得者への配慮を加えながら保険制度へ加入していけば、その加入はかなりきちんと行われるのではないか。また、逆に低所得者だけ措置でやるということになりますと、措置を受けた人は低所得者という、ある意味でスティグマというのでしょうか、そういうような問題も生ずる可能性もあるわけでございまして、いわゆる保険料について配慮をし、利用時の一部負担に配慮をして、みんなと同じように平等に介護保険を受ける権利保障していくということが適当ではないかというふうに考えております。
  235. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 実際には国保料の徴収も大変困難な状態で、このまま介護保険が導入されれば国保の二の舞になってしまうと、各地方公聴会でも市町村長からお話もございました。そして、この措置制度を利用した場合に、実際には、措置制度といいましても、現在の老人福祉法や障害者の福祉法があるわけですから、こういう形で私はきちんと確保すべきだというふうに考えております。  では、今度の介護保険制度の導入によって、国民負担がどうなっていくのかということについてお聞きしたいと思うんです。  東京の保険医協会の試算によりますと、九四年のペースで二〇〇〇年の新ゴールドプランが完成した時点の主な運営費は四兆七千億円。これは若干変わってきておりますけれども、これで計算して現行制度と比較いたしますと、国民負担は一兆九百三十三億円だったものが、保険制度の導入で一兆九千六百三十二億円、八千七百一億円ふえることになる。八〇%も負担が実は国民にふえるということになります。国と地方公共団体の負担は一兆二千五百億円、四一%も削減されて、三兆八十二億円だったものが一兆八千億円で済むことになります。  考えてみましたら何のことはない、結果として、措置制度ではいろいろ選択の自由がないとかなんとか言うけれども、結局、国の負担を減らして国民負担をかぶせたい、そして措置制度を行く行くはなくしていく、こういう流れがあるのではないかというふうに思うんです。  日本社会保障費というのは、国内総生産比でも、国民所得比でも、国家予算比率などを見ましても、いずれの指標をとってみても、主要先進国と比べてはるかに低いんです。むしろ、措置制度を国の責任でもって、もっともっと私は豊かなものにしていく必要があるのではないかと思いますけれども、この点、大臣にお聞きしたいと思います。
  236. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 措置制度、いわゆる税金で全部やれというのと、やはり保険方式でやるかという議論は、今まで随分この委員会でもなされてまいりました。  介護の問題についても、今まではごく限られた一部の低所得者だけの問題かというと、最近そうでもない。既に介護を要する方は二百万人を超えて、これから毎年十万人ぐらいは増加するだろうと言われている状況において、介護を要する方は必ずしも低所得者でもないだろう。かなり中堅所得層の中にも介護を要する方もふえてきたし、また同時に、今や子供が親を介護するという時代から、親が親を介護するような状況になって家族負担も大変だ。これを全部税金だけでやろう、ごく一部の限られた人にだけ介護をやろうということではもう無理ではないか。  より多くの方が今後何らかの形で要介護の状態になったり、あるいは自分が介護を支える立場になるのではないか。その一般の多くの方に、どういう形で介護制度を社会的に支えていくか、社会全体で支えていくかということを考えますと、税金だけでやれと言ったらば、これは当然増税問題が出てきます。  今、委員の方は、介護だけが政治じゃないと思います。あらゆる場において、教育ももっとお金を使いなさい、あるいは福祉もほかの面もお金を使いなさい、あるいは公共事業ももっとお金を使いなさい、科学技術にはもっとお金を使いなさい、あらゆる場で、あれをやりなさい、これをやりなさいという要望が多いのが現実であります。その場合に、税負担国民が受け入れるのか。  四月一日から消費税が三%から五%に上がりました。この五%全部福祉に使ってもまだ追っつかない状況であります。今の年金、医療福祉も含めて十四兆円以上のお金が社会福祉関係に使われている。こういう状況になっても、もう五%でも税負担は嫌ですよという国民の圧倒的な声の中において、いかに介護が必要だからといって、これを全部税金で面倒見ろといって増税をオーケーするのかというと、私はそういう状況ではないと思います。  ということから、少なくとも社会全体で支えるんだったならば、何らかの財源調達方法を考える場合は、お互い保険料を拠出して将来に備えようじゃないか。そして公費も投入しましょう。なおかつ、サービスを受ける利用者からも負担をいただきましょう。税金と保険料利用者負担、これからだれが政権をとろうが、この組み合わせしかないんです。  そういうことから考えると、私は、今回それは御不満がいろいろあると思いますけれども、初めての制度を導入するという段階においては、増税も嫌だという状況において、ある程度保険料介護を要しない方からもいただく、そして介護サービスを受ける方には一割の負担をいただく、かなり国民の立場に立っても理解の得やすい制度ではないか。御理解をいただきたいと思います。
  237. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 私ども共産党は、何も全部この制度を税金でやりなさいという立場ではないんですね。当然、さまざまな税金というのは、福祉一つとりましても、年金の問題や医療の問題ありますからね。  しかし、今私が何回も厚生省に立っていただいてお答えいただきましたように、困難な状況の人は依然としてあるということなんですね。年金も、先ほど言いましたように、それこそ老齢年金の平均が四万五千円でしょう。そしてさらに、滞納、保険料を払えないという人もいる。こういう人にはやはりそれなりの配慮が必要だ。  公費という問題がありましたけれども、私は、そこに公費をつぎ込むのは当然で、それは措置制度というものがあるのではないか。公費のあり方もいろいろあります。また後で述べますけれども、消費税で導入するという場合もありますし、措置制度でもっとこれを充実して、きちんと、今当面こういう困っている人、低所得者の人、高齢者方々には一定の措置制度で配慮をするべきでないか。  しかし同時に、私たちは介護保険が、今政府が考えている新ゴールドプラン程度のものではいけないというふうに考えております。二十四時間ホームヘルパーの問題や、また、いつでも利用できるショートステイ、待たずに入れる特別養護老人ホーム、こういう提起をしてきました。そうすると、財源どうするかという問題がありますよね。そのときに、もちろんその措置制度だけではやれないし、北欧のように消費税を二〇%も三〇%も取って税金だけでやるという立場を私たちはとっていません。しかし同時に、この制度を早く実現してほしいという声もある。普遍的な声になっている。  そういう意味では、私たちは、企業にもきちんとこの介護保険制度には負担をしていただきましょう。そういった意味で、企業にも一定負担を求める保険制度というのが必要だと思います。同時に、国の公的な責任を明確にした、一層充実した措置制度を組み合わせた介護制度というのが考えられるんではないかというふうに思いますけれども、その点、いかがでしょうか。
  238. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 まさに御指摘のように、企業にも負担していただいている。保険料も折半していただいて企業に負担していただく。公費も投入する。保険料も多くの国民からいただく。利用者にも一割負担いただく。まさに私はよくバランスのとれた、最初の導入時期としては、多くの早くやれという声にこたえるためには、かなりバランスのとれた案ではないかな、そう考えます。
  239. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 ただし、公費部分は何も措置制度をなくす必要はない。今までの措置制度をさらに豊かなものにしていくということが必要だということを私は言っているんです。  そこで、公費部分の問題についてお聞きしますけれども、先ほど大臣は、もう五%嫌だという国民の声がある、これ以上税金かけられないというふうに言われましたよね。じゃ、本当に厚生省は、半分の、公費負担する分は消費税の増税考えていないのか。このことについてお聞きしたいと思うんです。  実は、逮捕されました岡光前事務次官は、保険局長の時代、九五年三月二十五日に仙台でこういう講演をしております。  まず彼は、老人医療費の七兆円のうち三兆円、この介護部分を切り離すことが大事だ、こう言った上で、  消費税は三%から五%に引き上げても、ゴールドプランや高齢者介護サービス充実のためにもらえる金はほんのわずかの二千億、四千億円といった程度のものである。消費税を一%上げると国庫に一兆円入るが、減税の補填にあてられるために介護の方にはほとんど回ってこないということになる。  それでは困る。とくに介護保険公費負担財源にそれをもらいたい。先ほどの三兆円の規模であれば、二分の一の国庫負担として一兆五千億円となり、消費税一%台で十分賄える。  介護保険公費負担に消費税をあてることになれば、それなりの財源確保できる。 こういうふうに言っているのですね。  介護保険費用の半分、公費負担を使いましようというのはいいですよね。しかしそれを、消費税を導入する、そしてさらに五%では足らぬ、もっと引き上げるということをもし考えてみえるなら、これはとんでもないことだと思うのですね。  逆進性の強い消費税、これは低所得者に限りなく負担、犠牲を強いるものだ。私はましてや、これは全額税方式、消費税で賄うということになりますと、消費税一二%、一五%になると言われておりますから、絶対この介護保険は消費税との抱き合わせばやるべきではないというように思いますが、その点は厚生大臣はどういうようにお考えでしょうか。
  240. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 消費税に対する反発なり抵抗は私は非常に強いと思います。  この四月一日に五%に引き上げられたときも、なぜ五%に引き上げられたかということは、既に二年前に所得税、個人住民税を減税したいという声にこたえて、二年間先に減税しますよと、十一兆円既に減税しているわけです。その後の財源考えれば、国債でまた若い人にツケを回して所得税、住民税の減税はよくないということで、本来だったらば同時があるべき姿だと思います。所得税を減税してくれ、住民税を減税してくれ。だったらその財源、ほかのどこに見つけるのか。同時だ。それが国民の反対が強いから先に先行減税して、後で、ことしの四月から導入した。これでも抵抗が強いのです。先に食べた後はもう忘れてしまった。食い逃げと同じですよ。これは政治的な技術としても、これから将来考えなきゃいけない。  これは、そういうことから見て五%でもこれだけの抵抗が強い。そして八年前の平成元年に消費税三%を導入したときにも、消費税が福祉に使われるのだったらいいと言う人はかなりいたのです。ところが、いざそうしましょうかと言ったらば、三%全部福祉に使っても足りっこない、もし消費税を福祉に充てるのだったらば消費税は将来一〇%、二〇%になってしまうだろう、だから嫌だという声が福祉関係者の中でも圧倒的に強かった。  ということで、今回五%に上げた直後ではございますけれども、これから将来消費税を上げるという状況には私はなかなかならない。また、国民の抵抗が強い。そういう中でどういう効率的な財源配分がいいかということで、今後とも大変頭を使っていかなきゃならない問題だと思います。できる限り税負担を少なくして、行政、財政にむだのないことで、今回その限られた中でも、今最も必要な介護の問題、将来ますます必要性がふえる、これに早くから対応しようということで考えられた案でありますので、今後ともこの財源をどこに求めるか、税と保険利用者負担、この組み合わせというのはこれから私は永遠の課題ではないか。  そういう中で、私は今回それぞれの立場でお互い支え合おう。給付を受けるということ、当然給付は多ければ多いにこしたことはありません。しかし、その陰でだれかがどこかで必ず負担しなきゃならないということを念頭に置いて、いろいろな制度の拡充をお図りいただきたいとお願いしたいと思います。
  241. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 福祉のために、高齢化社会のために消費税と言っていたのは政府自身だったと思うわけです。そうやって信頼したけれども、実際には医療も改悪され、大変な時代だというのは国民の声ですし、消費税そのものについては公約違反だということで大きな怒りがあります。私たちはもともと消費税そのものについては反対ですし、増税でも全くけしからぬというように思っています。しかし、今言ったように心配なのは、岡光前次官がわざわざこの財源に消費税を使うのだということを言ってみえるわけで、そこを私は心配したわけで、そのようなことは一切厚生大臣としてはないというように断言していただけますか。
  242. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私は消費税三%導入のときにも賛成しました。五%に引き上げるときにも、選挙のときでも賛成しました。私ははっきりと選挙でも言いました。なぜか。それは、所得税、住民税減税するのだし、物品税を全部廃止するのだし、はるかに公平だ。消費税はごまかせないから、所得税やそれよりも公平だ。しかし、これから五%以上に引き上げる、これは絶対安易に考えてはいけない。その中で行政改革という声が起こってきた。まず行政改革を徹底的にやる。これから幾ら福祉の金が足りないからといって、五%はまだ欧米に比べれば低いからといって、安易に上げることは絶対許してはならない、そういう姿勢でやっていきたいと思います。
  243. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 行政改革という点でもやはり税金のむだ遣い、こういう問題についても、大手ゼネコン中心の公共事業だとか軍事費だとか、こういうところも、小泉さん、いろいろやると言うなら大いにメスを入れていただきたいと私は思っております。  では、次の質問をさしていただきます。  民間企業のこうした介護福祉部分への参入の問題です。  福祉医療分野にまで市場化を持ち込んだり、営利追求を目的とするこういう民間企業が参入することがどれだけ大きな問題になっていくのか。低所得者や生活弱者にとって、もともと保険契約といいますか、こういう契約による選択の自由というのはなかなかないわけです。今、後を絶たない有料老人ホームのトラブルだとか、高齢者は病院から締め出されたりたらい回しされる、こういう状態になっているわけです。  九一年九月二十四日の老人保健法改正に関する参議院の厚生委員会の附帯決議では、「営利法人を老人訪問看護の事業主体とすることについては、事業の性格、事業運営の実情、普及状況等に照らし当面慎重に対応すること。」このように決めております。介護もほぼ同質の行為であって、極めて公的責任の重い医療福祉分野に営利企業の参入は私は適切ではないと思います。与党合意でも、民間の非営利サービスとの適切な連携、こういうようにしております。  医療福祉は、基本的には国や自治体が責任を持って、参入は少なくとも非営利の団体などに限定すべきだというように思いますけれども、いかがでしょうか。
  244. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私はむしろそういう考えが今まで強いということは承知しています。しかしこれからは、営利企業であるから公共的なことへの関心が薄いかというとそうじゃないと思います。営利企業であるからといっても、むしろ公共的な分野に進出したいという企業があったらどんどん参入を促すべきじゃないか。  営利企業であるからこそ、自分のことしか考えない、そんな企業というのはだんだん廃れていくのじゃないか。むしろしっかりした企業であればあるほどその社会的使命を自覚して、本来役人しか公共的なものをやらなかったという時代から、むしろ民間人でも公共的な分野あるいは公共的な全体の利益のために活動できるのだという雰囲気を守り立てないと、これから活力ある経済社会は生まれないのじゃないか。そういう意味において、むしろ営利企業の中で、今まで国しかやらなかった、役人しかやらなかった分野に対しても、自分たちがやるというのだったらどんどん参入してもらうことによって、役所もうかうかしていられない、役人だって威張っていられない。むしろ、福祉というのはサービスの究極事業です。このサービス競争民間企業、営利企業の参入によって活況を呈するようになったならば、私はいろんな水準が向上していくのではないかというふうに考えます。
  245. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 では、何で営利企業の参入が問題なのか、なぜ小泉さんが一生懸命民間活力を導入するというふうに言われているのかということについてお聞きしたいと思うのです。  実は、岡光前厚生次官も三月二十六日の公判で、わいろを受けたとする起訴事実を全面的に認めている。彩福祉グループの汚職事件は、国民の税金や保険財政をねらい、利益追求を目的とした悪徳業者と官僚や政治家が関与したと見られている恥ずべき構造汚職で、厚生行政の信頼はこれで失墜しております。しかし、これは岡光前次官だけの問題なのかということなんです。  具体的な例を示しましょう。  一九八七年九月に、財団法人社会保険福祉協会が「民間活力を活用した総合保健医療福祉サービスの研究」というものをまとめております。この研究は、在宅ケアにいかに民間活力を導入するかという課題を研究するものなんですね。この事務局を厚生省の保険局の企画課が務めていると言われていますけれども、本当でしょうか。お答えください。
  246. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 今御指摘の財団法人、これは保険局の企画課が法人の所管をしております。ただ、これはあくまでも法人の監督官庁としての立場でございまして、事務局というものではございません。
  247. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 当時の保険局の企画課長は岡光前次官です。この研究スタッフには生命保険、損害保険の企業の代表は入っていますか。
  248. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 ただいまこの質問をお聞きしたものですから、ちょっと資料を持ち合わせてございませんので、後ほど調べまして、必要があれば御報告したいと思います。
  249. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 私の調べたところによりますと、十三人のスタッフのうち六名が生命保険、損保の企業代表です。それ以外にも大企業の代表が三人、十三人のうち九人が企業の代表ですね。  生命保険関係でいいますともう一つ。一九九五年の七月四日付の朝日新聞によりますと、厚生省は、まだ政府の介護保険構想の骨格すら明らかにされていなかった、国会で聞かれてもまともに答えていなかった一九九四年の夏に、生命保険、損保の業界代表にこんなことを言っています。公的介護保険給付を限定したものであり、民間介護保険との共存を前提としたものだ、このように事前説明を行っていますけれども、間違いありませんか。
  250. 江利川毅

    江利川政府委員 そこでどのようなことを話されたかは私確認しておりません。必要であれば調べてみたいと思います。
  251. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 その当時の報道でいいますと、保険会社は、寝たきりや痴呆症状になったそういうときの保険をつくっていたんだけれども、全然売れ行きが伸び悩んでいる、ところがこの介護を契機に危機感が吹っ飛んで、公民補完構想が業界に示されたこれ以降は、ビジネスチャンス拡大の好機、こういう見方が業界内では支配的だ、こういうふうに載っています。  もう一つお聞きします。  厚生省には、生命保険また損保などの保険会社からいわゆる天上がり、厚生省の職員になっているような人がいるんですか。お聞きします。
  252. 中西明典

    ○中西政府委員 厚生省の非常勤の職員といたしまして、社会保障専門調査員の資格で、生命保険会社あるいは損害保険会社から五名の職員が派遣されております。これは必要な予算措置を講じた上で、官民人事交流の観点から受け入れているものでございます。
  253. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 厚生省と生命保険会社、損害保険会社と一緒になってこの介護保険制度をつくっているんじゃないか、どうやったら保険会社がもうかるかと。厚生省の中に生命保険会社や損保の会社の社員が五人いるわけでしょう。こんなひどいやり方ないですよね。実際には、きょうは時間がありませんからもう言いませんけれども、保険制度の動向を大きく左右する保険審議会の構成メンバーにもこの業界の代表者が含まれております。  こういう数々の癒着問題があるわけです。幾ら民間活力だと言っても、薬害エイズの問題でもそうでした。薬価の問題でも製薬会社と一体となる。介護保険では、生命保険、損保の業界と一緒になって業界もうけの仕組みをつくる。どこにどんなサービス会社をつくればもうかるか、こういうふうに業者に岡光前次官は指南をしていたわけですけれども、こういう厚生省の癒着の中でこの事件というのは起こったものじゃないのか。そこにメスを入れないで、幾ら民間の活力だと言ったって国民は信頼できないのじゃないでしょうか。最後に大臣の見解を伺います。
  254. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 これは癒着とかいうことではなくて、保険会社として、保険考える場合だったら今までの長年の知恵もあるでしょう、工夫もあるでしょう、経験もあるでしようということで、現場の意見を聞かないと新しい制度を導入する場合にはいろいろ不備な点も出てくるだろう。医療保険をやる場合にも、お医者さんの意見も聞かなきゃならないし、いろいろ専門家意見も聞かなきゃならない。そして役所だって、むしろ天下りだけじゃなくて民間からも交流したらどうかという意見が随分出ているのも現実であります。  そういう人事交流する場合にも、ただ役所が民間へ行けばいい、地方へ行けばいいだけじゃない。民間からも役所と交流して結構、地方から中央に来ても結構。その場合は、役所は民間とつき合ってはいかぬとかそんなことやったら、役人はもう特殊な人間ばかりしかなれなくなってしまう。そういうことを考えると、私は、節度を持っていろいろな民間の知恵を活用していく。そして民間企業というのは利益を上げるということが大事なんです。利益を上げてサービス提供するところに経済の発展があるのです。その経済の成長の成果を福祉の充実に任すというのだったならば、私は民間の活力を活用する以外、これから福祉の充実はあり得ない。  そういう観点からこれからも、民間人を活用したり民間人の知恵を聞くということは民間人の言いなりになるということじゃないのです。むしろ国民の各界各層の声を聞いて、全体の利益のためには何が必要か。役人も特殊な人間じゃない、国民の常識に外れるようなことはしちゃいかぬ。そして倫理観を持ち、責任感を持ち、使命感を持ってそれぞれの仕事に歩むということにおいて、節度を持って、自己規律を持って接するならばいろいろな人と接しなきゃいかぬ、私はそう考えます。
  255. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 民間保険会社、損保、生命保険の会社を厚生省に入れて、何が節度を持ってでしょう。こんなこと国民は納得できませんよ。それで、わざわざ、介護保険の水準は低くしますから大丈夫ですと生命保険会社に約束する。こんなばかなことありません。  消費税の増税も押しつけ、また特別減税も中止する、その上これから医療保険の改悪問題も出てくるわけですけれども、こういうことを国民に押しつけながら、みずからのこうした汚職事件の土壌、こういう癒着構造にメスを入れられない、これでは私はとても国民は納得できるものではないと最後に言いまして、私の発言を終わります。ありがとうございました。
  256. 町村信孝

    町村委員長 中川智子さん。
  257. 中川智子

    ○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。  午前中の審議の中で、一九五〇年、昭和二十五年、保険か税かというところで大臣が引用されたのですけれども、一九五〇年の国のいわゆる社会保障に対する姿勢、そして、それから四十五年たった一九九五年のいわゆる国の社会保障に対する姿勢、この四十五年間ずっと同じ姿勢であったということに対して、私は、午前中あの言葉を聞いたときには感動したのですよ。ところが、お昼御飯を食べながらよく考えていましたら、ではこの四十五年間は何をしていたのかなという、とてもそのような思いにとらわれました。  そして、この介護保険法の制定、保険、税という問題はあったとしましても、この保険で今在宅介護しているたくさんの人たちが、主に女性たちが助かっていく、そのような法律として、この間ずっと、もっと中身の濃いものに修正するべき点ほどこなのかということを議論してまいったわけなのですけれども、この間の報道の中で、介護保険法は先送りかというような一連の報道がございまして、私はとても心配しております。  その報道に対する大臣の今の意見と、そして、この間ずっと議論されてきた中で、大臣が、ここのところはやはり今の介護保険法の中で抜け落ちていたと率直に思われるところがありましたならば、お聞かせいただきたいと思います。
  258. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 介護保険制度、先送りだろうという一部の新聞報道。新聞報道というのは、何でも先走って書く場合が多いわけですよ。しかし決めるのは国会ですから、一部の、そういう先送りだろうと予想する人は勝手です。例えば、まだ選挙直後なのに、もうじき解散があるんじゃないかと言う人もいるぐらいですよ。可能性としてはゼロではないですよ、いつでも解散できるのだから。しかしそんなことは現実的ではない。可能性をぱっと出せば、少数意見でもそれが広がってしまう。そういう意味において、可能性としては当然あると思いますよ、一%でも可能性はあるのですから。  しかし、去年の臨時国会介護保険法案国会提出させていただいて、これだけ毎日熱心に議論していただく。今、全委員会で審議していますが、恐らく一つ法案でこれだけ議員が熱心に審議している法案はないんじゃないですか、この介護保険。そういう中で、まだこの先、六月いっぱいまで会期があるのに先送りだなんて、そんな一部の報道で一喜一憂するべきじゃない。ここまで熱心にやってきたのだし、みんなが、国民が必要だから保険をやろうと言ってきたのです。もっと自信を持って、どうしても自分たちがこの法案を通すんだということでこの審議に向かっていただきたい。  そして、この介護保険法案は不備な点があると言われますからいろいろ聞きまして、私は、これは二〇〇〇年に実施するわけですから、平成十二年度、この実施する中で不備な点を改善していけばいいと思うのです。予測し得ないことはたくさんありますよ、人間の知恵ですから。制度の実施前と実施後、これはどんなものだって、幾ら練習したって試合になれば練習どおりうまくいかないという点はあるのですから、似たようなもので、この制度を導入すればいいだろうと思っても、いざ実施すると不備な点が出てくるということを私は否定しません。しかし、実施して、実施した中で現実の問題として不備な点があったならば改善していけばいいんじゃないか。まずは早く法案を通して、平成十二年度に向かってこれを整えていこうとする努力が大切ではないかと感じます。
  259. 中川智子

    ○中川(智)委員 安心しました。大臣の話を聞くと元気になります。私は、社民党は一人なものですから、毎回毎回かわってもらう人がいませんものですから疲れ果てておりましたが、再び元気になりまして、この法案を早期に通すために頑張りましようという感じです。  それで、いろいろな議論の中で基盤整備が問題になっておりますが、いわゆるスーパーゴールドプランの早期策定が早急に必要だと考えますが、スーパーゴールドプランの早期策定を含めて、具体的なところで今厚生省の方から伺いたいと思います。
  260. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 介護保険創設に向けまして、基盤整備の重要性は繰り返し御指摘をいただいておるところでございます。そのために、私どもとしましても、平成十一年度宋を目標としている新ゴールドプランの着実な達成ということがまず急がれるであろう。そうした中にまだいろいろ課題を抱えております。サービスの内容によりまして非常にまだおくれがあるものがあり、また地域的におくれているものなどがございますので、まずはそういったことにつきまして、地域の実情に応じた対策というものを立て、予算を確保して新ゴールドプランを達成していきたいというふうに思っております。  さらに介護保険創設後もにらむならば、やはり新しい介護保険を創設した後の需要に見合うように、新しい介護保険の事業計画という中で介護サービス基盤の整備を立てていかなければならないことも事実でございます。それもできるだけ急いでということになるわけでありますけれども、これもやみくもに、ニーズを把握をしないままにやるというわけにはまいりませんので、前提となりますこの制度の創設ということが決まりましたならば、そのことを前提にいたしまして、まずはこれは市町村から積み上げる形で必要量を把握をし、また、それも新しい介護保険制度のもとにおける必要量を把握し、事業計画という形を作成し、それを全国的に積み上げていく中で、新しい介護保険の事業計画という形で新計画にできるだけ早期に着手をし進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  261. 中川智子

    ○中川(智)委員 ありがとうございます。  私は、自分の老親がとうとう自宅の介護が非常に困難になったときに、介護施設をあちこち回りました。そうしたらほとんど、本当に山奥へ山奥へ電車が走っていって、終点からまたバスに乗ってというところですとか、行くところ行くところ、人里離れたという表現がぴったりのところに施設がたくさんつくられていました。七カ所回りましたが、町中に、本当に地域住民と一緒に老人が暮らしていくという、そのような施設は一カ所もございませんでした。そして、ああやはりうば捨て山、介護施設というのはそのようなところにしか今つくられていないんだ、世間の目に見えないところに隔離されていく一つの隔離施設だということを痛感いたしました。それは自分自身が歩いて痛感したわけなのです。  その中で、部屋も四人部屋ですとか六人部屋。個室の比率は今二%です。プライバシーというのは全くないという印象を受けました。そしてまた、入所に当たって持ち込むのは段ボール二つぐらいのものです。七十年、八十年のいっぱいの思い出をたった二つの段ボールに詰めて入所しなければいけない。このような施設に対して、私は、憤りを通り越して、本当に悲しいなと思いました。  いわゆる介護施設の立地条件というのは、本当にみんなこともに暮らす、町の中にそのような施設をつくって共生していくということを基本的なものとして持っていただきたいということを訴えたいと思うのです。欧米なんかでは、介護施設は住宅政策の中にきっちり位置づけられていて、特養なんかの部屋は、その人の家の延長、自宅のような雰囲気を持ち、またその中のさまざまなものも、その人が自宅で住めない事情によって、それにかわるものという認識を基本的に持っているように思われますが、その介護施設に関しての現状、そしてこれからのこと、教えていただきたいと思います。
  262. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 先生おっしゃいますとおり、できるだけそこに入っているお年寄りの方々地域と離れた形でない、精神的にもつながるというような形の中で運営あるいは立地が行われていること、あるいは施設そのものがそういった生活ということを考えてやっていくようになっていることは非常に大事なことだというふうに思っておりますし、現状が、今まである程度の量を確保するという中で、必ずしも十分であるかどうかという点については、おっしゃるようなことがあったと思います。ですから、今後は、一つには基本的にはできるだけ在宅でお暮らしをいただけるような形にしていくという方向を目指すべきだろうと思います。  したがって、いわゆる住むところにいたしましても、特養を唯一絶対のメニューにするのではなくて、車いす等でも生活をしやすいケアハウスというようなものを地域に建てていくというのも、やはりそのバラエティーの一つとして考えていかなければならないでしょうし、それからもちろん在宅で、自宅で暮らせるという条件づくりも要りましょうし、それから特別養護老人ホームにいたしましても、仰せの個室化等をさらに進めていく、それからもちろんそのほかの生活環境上の配慮を十分していくというようなことは十分しなければならないでしょうし、そうした中で、入っている方々地域とのつながりを感じられるような工夫というものはやはりやっていかなければならないと思っております。  これはそういう方向でいきたいということですけれども、一朝一夕にはまいりません。そういう方向での努力をしていくということでやっていきたいというふうに思っております。
  263. 中川智子

    ○中川(智)委員 わかりました。そのような方向でぜひともお願いしたいと思います。  介護報酬のことについて次に伺いたいのですけれども、いわゆる今介護に当たっている人、すごく条件が違うわけですね。特に、介護の仕事というのは物すごく力が要ります。私自身もボランティアで長くやっていましたけれども、非常に重い方が多いのですね。私も要介護状態になったらやせなくちゃと思うのですけれども、やはりすごく重くて、腰痛の方がすごく多いのですよね。そして、一カ月ぐらいボランティアで行ったけれども、腰痛になってこっちが介護されるようになったら大変だからといって、身の危険を感じてボランティアから離れていくという人もいます。  ですから、いわゆる介護報酬は、いろいろなそのような重労働だという基本的に立ちまして、私は、できればこの介護の現場に当たる人は全部地方公務員にしてもいいのじゃないか。非常に今の行革から離れた意見を申すようですけれども、身分保障ということがすごく大事だと思うのです。特にこれからのいわゆる福祉を担っていく人たちに対しては、きっちりとした介護報酬を設定し、そしてそれと同時に身分を保障していくということが大切だと思うのです。それがマンパワー確保基本的な考えだと思いますが、介護報酬、そしてまたその方たちの身分に対しての御意見をお願いいたします。
  264. 江利川毅

    江利川政府委員 介護サービス提供する事業者サービス提供しましたら、介護保険制度から報酬が支払われるわけでありますが、その報酬を一定の基準で支払っていくということになるわけでありまして、それが介護報酬という形で具体的に定められることになるわけでございます。これは、施設サービス在宅サービスとは分けて考えることになります。  施設でありますと、施設の種類、あるいは在宅の一環にはなりますがショートステイみたいな、やはりこれも施設サービスですが、そういうものにつきましてはその施設において提供されるサービスの種類、それからそのサービスを受ける人の要介護度、介護の重さ、それとかあるいは施設の所在地、そういう地域性も踏まえながら平均的費用を勘案して設定をいたします。  それからまた、在宅サービスにつきましては、同じように、どういうサービスでやるかというサービスの種類あるいはサービスの内容、事業所の所在地ごとに、またそれぞれの平均的な費用の額を勘案して設定するということになるわけでございます。  具体的にどういうふうに設定するかということでございますが、これは基本的には実勢費用等を踏まえながら考えていくということになるわけでありまして、今後関係審議会等で検討していただきながら、一方でこの実勢費用というものを把握して、そしてその平均的な費用を賄えるような介護報酬を決めていくということになるわけでございます。  これはサービス提供する事業者に対して出されるわけでございますので、実際サービスを行う人たちは、そういう事業者に雇用されている人ということになるのだと思います。身分保障という意味がちょっとわかりかねる部分がありますが、いわゆる普通の企業に雇用されるような形と同じになるわけでございますので、そういう形での保障確保されるということになります。
  265. 中川智子

    ○中川(智)委員 時間がないので、次に進みたいのですけれども、私はこの介護保険に関しては本当に素人で、自分自身一生懸命勉強しながら、いろいろな委員会とかさまざまな話し合いに参加しながらここで意見を述べているのですが、ぜひとも聞いてくれと言われたのがあります。  ここで質問しますと一番最後なんですね、いつも。そうしたら、たくさん質問を用意してきて、質問取りさんが前日いらしていただいて、私は一生懸命質問取りさんに、こういうことを質問したいのですと言うのですけれども、全部言われてしまう。そして質問に書かなかったことを質問したら気の毒だなと思うのですが、でも専門家でいらっしゃる、私より何十年も長く勉強していらっしゃるので、全然気にしないで本当に頭の中にあることを述べていただければ十分です。後で揚げ足をとったり何かかんかは全然しませんので、ぜひとも質問に答えていただきたいのですが、例えば四十三歳でアルツハイマーになったときには、この保険サービスが受けられるのか、もう一つ、五十歳で白内障の人が目が不自由なために交通事故に遭ったときには、この人はこの保険給付が受けられるのか、この二つを聞かせていただけますでしょうか。
  266. 江利川毅

    江利川政府委員 四十歳から六十五歳未満の人たちに対しますこの介護保険制度での介護サービス給付は、加齢に伴う疾病による障害を持っているかどうかということで決まるわけでございます。前にもお答えしたことがございますが、加齢に伴う疾病というものはどういうものかということは、今現在専門家の間で研究をしていただいておりますが、これからその中で決めていくことになる、今はまだ決まっているものはないわけでございます。  ただ、一般的にデータ等から考えれば、脳血管障害であるとかあるいは初老期痴呆であるとか、そういうものは加齢に伴う疾病に該当するだろうというふうに想像されるわけでございます。そういうものに該当しますと、介護保険制度からの給付対象になります。  したがいまして、アルツハイマーの方は多分いわゆる初老期痴呆ということになるのではないかという感じがするわけでございますが、五十歳の交通事故ということになりますと、その事故そのものが加齢に伴う疾病とは必ずしも言えない。通常これが加齢に伴う疾病と指定されることは考えられませんので、これから専門家が研究して決める話でありますから先取りしてしまってあれなんですが、そういう可能性が高いと思いますので、対象とならなければ介護保険サービスは受けられない、この法律サービス対象にはならないということになります。
  267. 中川智子

    ○中川(智)委員 江利用審議官、お顔を拝見すると無口なようですが、おしゃべりになると長いので、ちょっと時間がなくなってしまったのですけれども、先ほど大臣のお話を伺っていますと、本当に良識ある国民、それを信じて、この介護保険法というのはより充実してみんなのためになるんだということでした。ですから、市民の修正案というのをお出ししましたが、最後に、私がしつこく言っております、国民を信じるならば、各自治体に委員会をつくって市民をきっちりと入れてもらって、これを充実したものにしてもらいたいという、その三つの修正、五つの提案に対して、一つ一つは結構ですので、ぜひともこの市民修正案に対しての大臣の声を聞いて、私の質問を終わりにいたします。
  268. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 先日の委員会でいただきました一万人委員会の御提案、多くは言いませんが、修正案について三つ具体的な案を出しています。市民の手で介護保険の運営をとか、あるいはサービス選択の権利保障をとか、介護保険適用年齢の見直しとか、それぞれ傾聴すべき意見が多かったと私は感じます。これから在宅サービスや施設サービスについて実態がだんだんわかってきますから、関係審議会とか関係団体等の意見を踏まえながら、その提案がどう生かせるか。そしてこれを運営する上において、やってみなければわからないことがありますけれども、具体的に実施していく場面において配慮すべきものもあるのではないか。そして今言った意見は、今後制度の細則を決めていきます、その法案が通った後に細則を決定していく段階において何か配慮できることがあれば、またその点で検討をしていきたい。  いずれにしても大変いい提案だと私は理解しておりますので、今後参考にさせていただきたいと思います。
  269. 中川智子

    ○中川(智)委員 ありがとうございました。      ――――◇―――――
  270. 町村信孝

    町村委員長 次に、本日付託になりました金田誠一君外五名提出臓器移植に関する法律案を議題といたします。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。金田誠一君。     ―――――――――――――  臓器移植に関する法律案    〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  271. 金田誠一

    金田(誠)議員 ただいま議題となりました臓器移植に関する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  まず、臓器移植と法制定の関係についてでございますが、諸外国の移植医療においては、法制定が先行したいわゆる先進国ではデンマークがあるものの、他は医学界の自己責任により実績が重ねられ、国民的信頼の上に法律が整備されてきました。中でも、イギリスやドイツ、アメリカの一部の州などは、我が国と同様、今もって脳死を人の死とする法律は制定されていません。また、我が国においても、例えば脳死臨調最終答申には「臓器移植は、法律がなければ実施できない性質のものではない」と明記されています。つまり、先進的医療行為一般が法律の制定により初めて可能となるものではないのと同様に、脳死状態からの臓器移植法律制定を必須要件とするものではありません。  しかし、にもかかわらず、なぜ我が国の脳死状態からの移植医療については、医学界の自己決定ではなく法律の制定が期待されているのか。私は、その理由の一つは、三十年前の和田移植に始まった日本移植医療の不幸な歴史にあり、いま一つは、カルテの本人開示さえなされていない日本医療の特殊性にあると考えます。本来であれば、移植学会を中心とする専門家方々は、法制定による解決を求める前に、自己責任においてこうした本質的な問題に正面から取り組んでいただきたかったと思います。  しかし、事ここに至っては、私たちは立法府に寄せられた期待にこたえなければなりません。その場合、議論しなければならないことは次の二点です。  第一に、脳死状態を医学的な意味にとどまらず、法的、社会的にも人の死と認め、脳死状態にある人を法律で一律に死体と規定してすべての人権を失わせていいのかということであり、第二に、脳死を人の死としなければ、いかなる厳しい条件のもとでも脳死状態からの臓器摘出は一切容認できないのかという点でございます。  これについて、本法律案は、第一の点については、脳死状態を死体と規定しない立場をとります。  一九九二年、平成四年一月の脳死臨調の最終答申においても、多数意見は脳死を人の死とすることに賛意を示したものの、それに反対する意見が付記されました。  私たち提案者は、現在の日本の社会においては、脳死を人の死とすることに社会的合意はないと考えています。医学的な知識に基づいて人の生と死を見る医学的な観点と、心臓が鼓動し血管に血が流れている患者をベッドの横で見守り看病を続ける家族たちの目とが違うのは当然のことです。  このような社会的合意がないまま、脳死を人の死とすることを前提とした法律をつくることは、脳死判定後の治療に関する医療側と患者の家族の意識の溝を深めるとともに、医療資源や医療実験対象としての利用など、さまざまな人権侵害の危険を生じさせます。また、人の死が権利義務の取得と喪失の要件となっている法令は、相続開始を初めとして無数に存在するために、その法規と整合性をつけないまま脳死を人の死とした場合には、さまざまな法的、社会的な混乱を生じさせるおそれがあります。  したがって、私たちは、心臓死を人の死として法的にも社会的にも対処してきた我が国において、新たに脳死を人の死と法律で定めることには強く反対するものでございます。  次に、第二の点については、本法律案は、医師が移植のために脳死状態の人の身体から臓器を摘出してよいかという医師の視点からでなく、脳死状態になった自己の身体から臓器提供してよいか、その臓器提供により死期を早めることになってもその権利行使は許容されるかというドナー、提供本人の自己決定権の視点からとらえます。そして、そのような権利の行使、つまり提供行為には医師の摘出行為が不可欠であり、その権利行使に関与する医師の行為を許容してよいかという形で医師の摘出行為の是非が問われることになると考えます。  今日、生体からの臓器移植については、健常な身体からの肝臓の一部についての移植は、ドナーの提供意思に基づき認められています。これは、本来は刑法で禁止する傷害罪に該当する行為ですが、身体の損害を受ける提供者の同意、言いかえれば身体の機能の保全という保護法益の主体による法益の放棄により違法性がないものと考えられています。法律の根拠としては、刑法第三十五条の、法令または正当な業務による行為はこれを罰しないとの規定に基づき、「正当な業務による行為」として犯罪にならないとされています。  これと同じように、脳死状態という状態が、蘇生限界点を超えて確実に死の過程に入ったものと厳格な手続により判定でき、移植医療という目的のために、臓器を摘出されることで死期を早めても臓器提供したいという人にその権利行使を認めることは、憲法上禁止されていることではないと考えます。  私たちは、脳死を人の死とした上で臓器移植を認める法律よりも、人の死についてはいろいろな考え方が存在することに配慮し、従来の死の概念を変更することなく、厳しい条件のもとに脳死状態からの臓器移植に道を開くことこそが、国民的合意を得るものであると確信いたします。  以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、この法律は、移植術に使用されるために提供する本人の意思に基づいて行われることを目的の中に定めております。  第二に、脳死を人の死とせず、脳死状態にある人も、死体ではなく、人権の享有主体であることを前提にしておりますので、いわゆる中山案、法律名が長いもので、このように便宜的に呼ぶことをお許しをいただきたいと思うのですが、いわゆる中山案のような「死体(脳死体を含む。)」との表現は使わず、法律の規定としても、「死体」と「脳死状態にある者の身体」と明確に区別しています。また、臓器提供について拒否する権利を持つ近親者を、死体の場合には「遺族」という用語を使い、脳死状態にある者の身体の場合には「家族」という用語を使っています。  また、脳死判定後の身体は、死体ではなく、生きている者として健康保険法など医療給付関係各法の適用を受けることは従来と変わりませんから、いわゆる中山案の附則第十一条のような、「脳死体への処置」を「当分の間、」各法に基づく「医療給付としてされたものとみなす。」との規定は不要であるため、置いていません。  第三に、脳死状態にある者の身体からの臓器摘出の要件として、提供本人提供意思が書面で表示されている場合に限り、脳死状態の身体からの臓器移植を容認し、さらに提供者の家族臓器摘出を拒まないとき、または家族がないときを要件としています。  つまり、本人提供に関する意思が書面で表示されていない場合に、家族の承諾のみで摘出することは許されません。これに対し、いわゆる中山案では、家族の承諾のみで摘出された場合の罰則適用は事実上困難であると考えます。  第四に、従来の三徴候死により判定された死体、いわゆる心臓死からの臓器移植の要件については、提供本人提供意思が書面で表示されている場合で、遺族が拒まないとき、または遺族がないときとしています。しかし、角膜及び腎臓の移植については、従来の角膜及び腎臓移植に関する法律と同様に、附則で、提供に関する本人の意思が表示されていない場合に、遺族の承諾による移植も認められるものとしています。  第五に、脳死状態の身体からの臓器摘出が、犯罪捜査手続や刑事訴訟法第二百二十九条一項の検視など犯罪や死因の解明を妨げることのないように、医師の捜査機関に対する通知を義務づけるとともに、臓器摘出に関する捜査機関の異議権を認める規定を設けています。  第六に、臓器摘出に関する記録の作成、保存について定め、関係者による閲覧に加え、謄写を認めています。  第七に、血管、皮膚その他の組織の移植について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとしています。  このほか、必要な罰則規定等を定めるとともに、との法律の制定に伴い、現行の角膜及び腎臓の移植に関する法律は廃止することといたしております。  なお、この法律施行期日は、公布の日から起算して三月を経過した日としております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重かつ十分な御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。  どうもありがとうございました。
  272. 町村信孝

    町村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。      ――――◇―――――
  273. 町村信孝

    町村委員長 去る三月二十八日の委員会において、第百三十九回国会、中山太郎君外十三名提出臓器移植に関する法律案について、参考人の出席を求めることとし、日時、人選等につきまして、委員長に御一任を願っておりましたが、来る八日、お手元に配付いたしましたとおりの方々に御出席を願うことにいたしたいと存じます。     ―――――――――――――    厚生委員会参考人名簿     杏林大学学長     竹内 一夫君     日本大学医学部救急医     学科教授       林  成之君     九州大学生体防御医学     研究所免疫学部門教授 野本亀久雄君     広島大学名誉教授     県立広島病院病院長  魚住  徹君     順天堂大学医学部循環     器内科主任教授    山口  洋君     順天堂医院副医院長     弁護士        石川 元也君     東京大学名誉教授   平野 龍一君     三菱化学生命科学研究     所社会生命科学研究室     長          米本 昌平君     ノンフィクション作家 柳田 邦男君     ニューハートクラブ連     絡班長        木内 博文君     ―――――――――――――
  274. 町村信孝

    町村委員長 この際、お諮りいたします。  金田誠一君外五名提出臓器移植に関する法律案の審査のため、来る八日、ただいま御報告いたしました方々から参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  275. 町村信孝

    町村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、来る八日は、第百三十九回国会、中山太郎君外十三名提出及び金田誠一君外五名提出の両法律案について、参考人から意見を聴取することといたします。  次回は、来る四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十四分散会      ――――◇―――――