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1997-03-21 第140回国会 衆議院 厚生委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月二十一日(金曜日)    午前十時一分開議 出席委員   委員長 町村 信孝君    理事 佐藤 剛男君 理事 住  博司君    理事 津島 雄二君 理事 長勢 甚遠君    理事 岡田 克也君 理事 山本 孝史君    理事 五島 正規君 理事 児玉 健次君       安倍 晋三君    伊吹 文明君       江渡 聡徳君    大村 秀章君       奥山 茂彦君    嘉数 知賢君       桜井 郁三君    鈴木 俊一君       田村 憲久君    根本  匠君       能勢 和子君    桧田  仁君       松本  純君    山下 徳夫君       青山 二三君    井上 喜一君       大口 善徳君    鴨下 一郎君       坂口  力君    福島  豊君       桝屋 敬悟君    矢上 雅義君       吉田 幸弘君    米津 等史君       家西  悟君    石毛 鍈子君       枝野 幸男君    中桐 伸五君       瀬古由起子君    中川 智子君       土屋 品子君    土肥 隆一君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小泉純一郎君  出席政府委員         厚生政務次官  鈴木 俊一君         厚生大臣官房長 近藤純五郎君         厚生大臣官房総         務審議官    中西 明典君         厚生大臣官房審         議官      江利川 毅君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省薬務局長 丸山 晴男君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省保険局長 高木 俊明君         厚生省年金局長 矢野 朝水君  委員外出席者         厚生大臣官房障         害保健福祉部長 篠崎 英夫君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十一日  辞任         補欠選任   家西  悟君     中桐 伸五君 同日  辞任         補欠選任   中桐 伸五君     家西  悟君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  介護保険法案内閣提出、第百三十九回国会閣  法第七号)  介護保険法施行法案内閣提出、第百三十九回  国会閣法第八号)  医療法の一部を改正する法律案内閣提出、第  百三十九回国会閣法第九号)      ――――◇―――――
  2. 町村信孝

    町村委員長 これより会議を開きます。  第百三十九回国会内閣提出介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桧田仁君。
  3. 桧田仁

    桧田委員 自由民主党の桧田仁でございます。  いよいよ介護保険法案議論が佳境に入ったように思います。今まで、財源の問題とかサービス基盤整備、市町村の事務の負担の問題、保険料の未納問題あらゆることが議論されております。特にこれからは、現金給付をどうするかということも大きな課題になるのではないかと考えております。しかし、そういう議論も非常に大事なことで、多く議論を呼んできているわけではございますけれども、三月十八日に橋本首相は、財政構造改革にのっとり、いろいろな御意見をいよいよ出していただきました。私は、この介護保険実施という問題も、いかに財源節減しながら国民介護のニーズにこたえるか、こういう気持ちでございますので、本日は、この観点にのっとって質問させていただきたいと思います。  まず第一は、小泉厚生大臣にお伺いいたします。  大臣も、三月十八日、御出席でございまして、財政構造改革では、首相はまさに聖域なき財政再建という御決意のように聞いております。ずばり、社会保障担当大臣でございます小泉大臣はどのような姿勢でこの介護福祉に関する分野を意識しながらの財政再建にお臨みになるお気持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
  4. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 けさも八時から閣議が行われまして、その後、閣僚懇談会財政構造改革会議の、会議がつい今し方まで行われたわけであります。時間が足りなくなりまして、各委員会が控えていますからまた次回ということで途中で議論を中断したのですが、その中でも、この財政構造改革橋本総理の打ち出した五原則、これは大変な内容を含んでいる、一切の聖域なしで十年度予算については前年度比マイナス予算編成をしようということですので、当然、厚生省としてもこの会議の成り行きについては重大な関心を持って臨んでいるところであります。  黙っていても、年金医療介護予算要求がふえてくる分野であります。しかしながら、将来、国民負担率公的負担率を五〇%を超えないように努力しよう、一切の聖域なしで歳出を削減していこう、増税はしない、赤字国債も発行しないということの中で、現実の問題でこれから議論しようというので、私どもも、この方針を了承したからには、厚生省関係予算全般を洗い直して、今後、この方針に沿って最大限努力をしていかなければならないな、そう思っております。
  5. 桧田仁

    桧田委員 小泉大臣の非常に真摯な御決断、高く評価したいと思います。  私は、医療現場福祉現場にもおります者の一人として、今までのこともいろいろ考えなければならないことがたくさんあった、前向きな、そして建設的な、そして改めるべきものは改めていく、重大な決意が要るという気持ちでもございます。そこで、今からの質問は、多くの切り口、視点があると思います。あるいは、いろいろな御意見もあり、いろいろな団体の方やいろいろな思いもあると思いますが、私は、あくまで一つ考え方として、これから政府委員大臣にお伺いしたいと思います。  次は、そういう視点に立ちまして、まず第一には、このたび、御存じのように医療保険制度改革が出てきているわけです。今までは、介護というのはいわばこの中にある程度含まれていた部分もあると思います。この財政再建という観点に立って、介護保険医療保険制度改革との関係はどのようになっているのか、保険局長にお伺いしたいと思います。
  6. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 今度の介護保険制度創設でありますが、これはまさに先生指摘のとおり介護医療保険から切り離すということで、介護については独立したシステムをつくろうということであるわけでありまして、医療の方はまた医療としてそれにふさわしいあり方を検討していく、こういうことだろうというふうに思っております。  そういった意味で、私ども、今回お願いしております医療保険制度改革でございますけれども、これは、二十一世紀の高齢化社会を踏まえまして、医療については良質かつ適切な医療というものを提供していく、それと同時に、医療保険制度につきましても安定的な運営というものを確保していく、この両立を図っていく必要がある、そういうことでこの抜本的な改革を行いたいということであります。そういった意味では、いずれにつきましても社会保障構造改革第一歩であるというふうに考えております。
  7. 桧田仁

    桧田委員 保険局長は大変重大な立場におりますので、ぜひ積極的に、かつ、この介護保険との関係も御努力いただきたい、このように思います。  そこで、今までの医療の中には、いわゆる社会的入院、言葉は適切かどうかわかりませんけれども、社会的入院というものがございます。日本ではいわば医療介護の中間型としてこの社会的入院アメリカではナーシングホームというものがございまして、これが日本のいわば社会的入院の一部にオーバーラップしているのではないかという気持ちもございます。  そこで、アメリカナーシングホームというのは一体どのぐらいあって、かつ、六十五歳以上人口一万人対比でどのぐらいの人数になるのか、さらには、これが日本では今のところ特養とか老人保健施設というものになっているというように考えますので、日本での、同じく対比をするとどのぐらいのものになるのか、お教えいただきたいと思います。
  8. 江利川毅

    江利川政府委員 アメリカ厚生省調査によりますと、ナーシングホームの数は、ベッド数で百七十七万でございます。六十五歳以上人口一万人当たりでは六百二十五床ということです。我が国のナーシングホームに相当する、先生お話にありました特別養護老人ホーム老健施設でございますが、合計しますと、ベッドの数は三十九万七千でございます。六十五歳以上人口一万人当たりでは二百十七床ということでございまして、比率にしますと三五%ぐらいということになります。
  9. 桧田仁

    桧田委員 ただいまの御発表は大変重大な示唆を含んでいると思います。社会的入院ということ、あるいは介護という問題、あるいは施設整備という問題で、アメリカナーシングホーム日本の約三倍あるという一つ数字だと思います。逆に言えば、施設介護という面からいいますと日本は三分の一しかないということで、今後、この施設介護にかける財源マンパワー、あるいは人というものの教育の仕方、大きな課題を呼んでいると思いますから、これは今後真剣に議論させていただきたい、このように思います。  そういう意味におきましても、私は、この介護保険制度創設に関しては、国民は今までの医療保険に加えて新しく介護保険料負担が加わるということですから、ただいまの社会的入院とかナーシングホーム、あるいは日本特養老健ということもよく考えながらいきますと、単に介護保険料を上乗せするのではなく、今までの医療との関連も真剣に考えながら、医療との整合性も考えながら、財源を検討し、また新しい方向に持っていくべきではないかという気持ちを持っておりますが、この点、いかがでしょうか。
  10. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険制度は、老後の最大の不安要因であります介護を社会的に支えていこうということでつくられるものでありますが、現在、医療保険の中に介護部分がある、これを医療保険から切り離して、いわゆる社会的入院を解消していくということを一つの目的とし、また、それによって医療効率化が図られるというふうに考えているわけでございます。  具体的には、現在医療で見ております老人保健施設あるいは療養型病床群訪問看護サービス、こういうものを老人医療から切り離して介護保険の方に持っていく、それからまた、老人医療老人福祉に分立しているためにいろいろな不合理、格差があるわけでございますが、これを再編成して、介護サービス基盤を充実しまして、整備を図りまして、利用しやすく、かつまた社会的入院の受け皿、こういうものをつくっていくというふうに考えているわけでございまして、こういうことによりましていわゆる社会保障構造改革第一歩、これによって医療保険構造改革前提が整理されてくるというふうに思うわけでございます。  介護保険料は確かに新たに賦課される保険料でございますけれども、今申し上げましたように、医療費の中の一部が介護保険に移る、あるいは医療そのもの効率化を図る、こういうことになりますので、介護保険料分すべてが新たな追加ということではないわけでございます。
  11. 桧田仁

    桧田委員 これらの社会的入院とか、医療介護境界線の問題、これも今後も大きく議論を呼ぶところと思います。この委員会でもこの問題はあらゆる方々から真剣に議論いただき、いい意味で、日本医療福祉を、理想と言うと言い過ぎでしょうが、きちっと分けていくものは分けていき、負担するものは負担していく、こういうことが必要だと思います。引き続きよろしくお願いします。  それでは、少し視点を変えて、財源を節約、あるいはまた国民同意を得ながらという問題ですからなかなか難題ではございますけれども、あえて財源節減するにはどうすればいいかという視点から考えてみたいと思います。  もう一つ問題点は、皆様委員御存じのように、今までの医療福祉というものは、いわば所得制限というものは徴収する側、税の側にはあったわけですが、給付を受けるという立場に立つとまさに差がない。ちょっと極端な例ですが、どんな大金持ちの方も、生活に困窮している方も、受ける給付に関するものは同等である。これも一つ大事な考え方理念でもあると思います。ただ、それだけで本当にいいのかという大きな議論になってきた時代というように私は考えております。  その意味におきましても、先ほど小泉大臣にお答えいただいたわけでございますけれども、聖域なき財政構造改革をするということになりますと、もう今までの既成の概念でなく、いよいよ真剣にこの問題を考えなければならない時期に来ている、こういうふうに私は感じております。  各論では大変というのはよくわかるのですが、まずは総論的に、今までの医療年金福祉についてはほとんど所得関係のないシステムになっておりますけれども、一律に給付するということ、一体これはこのままでいいのかどうか、あるいは、今後、厚生省やみんなはどう考えていくのか、国民同意はどういうぐあいに求めていくのか、こういう視点に立って、今後の所得の、もっと言えば高所得者に対しての給付制限をどのように具体的に検討すべきかということに関してお伺いします。
  12. 中西明典

    中西政府委員 一定収入以上の高齢者への公的年金医療等給付の見直しの施策につきましては、今般の財政構造改革会議の「歳出改革と縮減の具体的方策議論するに当たっての基本的考え方」において指摘がなされているところでございますが、厚生省といたしましても、この指摘を重く受けとめまして、財政構造改革という観点とあわせまして、少子・高齢化の進展に伴ってますます増大する社会保障給付あり方、とりわけ給付負担の公平という観点から、検討していくべき課題一つであるというふうに考えております。  今後、国民の納得、御理解を得られるものとするためには、それぞれの社会保障給付の特性を踏まえながら、どのような内容のものが考え得るのか、あるいは、実務を効率的かつ円滑に行うことができるのかどうか、そういった視点を踏まえ、幅広くこの問題については検討を行っていく必要があるというふうに考えております。
  13. 桧田仁

    桧田委員 この問題は今後も大きく議論を呼ぶということは先ほど申し上げました。福祉医療、もっと言えばきょうの介護という問題に関して、自分の収入が多いから、少ないからということが果たしてどんな基準になるのか。ある方々の御意見でいきますと、財産もあるではないかという御意見もあると思います。ある地方の方によりますと、都市と地方では単なる収入で比べてもらっては困る、生活態度物価指数、さらには地価、あるいは持っている財産とか、いろいろなことが全部関係しているから一概にいかないという御意見もありますので、今後もこの問題は大きく議論を呼ぶと思いますが、慎重に検討し、しかしながら、私は、基本的な理念としては、苦しい方々や弱者を救うための財源を確保するためにはどうしても収入の多い方にはある程度の我慢と負担をいただく、この問題を頑張りませんといずれこの財源の問題は厳しい状況になると思いますので、この問題は積極的に検討し、また、いい案を皆様にお諮りいただきたい、このように思います。  その意味におきまして、きょうは介護保険のことですから余りほかの方へそれたくないのですが、ずばり、年金の問題です。  年金も、必ずしも今後、非常に安心できる状況、若い方たちが十分年金を受けられますよということは難しいかもしれません。しかしながら、年金という問題と医療福祉、特にきょうの介護という問題はまさに密接な関係があるわけでございますから、この年金との関係も、今後、この委員会でも慎重に、また真剣に検討し、年金介護、あるいは給付との関係をどうすべきか、ぜひこれを真剣に考えたいと思います。  ですから、この年金の問題はまた別のところでの議論にはなると思うのですが、ともかく、介護保険あるいは介護という問題に関して年金との今後をどのように見ておられるか、お伺いいたします。
  14. 矢野朝水

    矢野政府委員 年金介護関係でございますけれども、年金制度といいますものは、高齢になるとか障害になる、こういった一定保険事故に該当いたします場合に加入期間等に応じまして一律の給付をする、こういう仕組みで運営されているわけでございます。一方、介護につきましては、受益者負担、こういう観点から一定負担をしていただく。こういう形で両者の役割分担が行われる、これが現在の考え方でございます。したがいまして、施設等に入っている場合につきましても、年金をカットする、こういうことよりも、むしろ適切な負担をしていただく、こういう考え方で対応することが適当ではないかということを考えております。  いずれにいたしましても、年金介護関係、いろいろな考え方があるわけでございまして、これにつきましては、今後とも、関係者の御意見なども伺いながら検討してまいりたいと思っております。
  15. 桧田仁

    桧田委員 特に、年金受給をカットするのか、あるいは、介護を受けて、在宅介護あるいは施設介護を受けるときに年金をどのような形で給付するのか、これは重大な問題です。多くの御意見があると思います。ひとつ真剣に御検討いただきたい、このように思います。  それでは、少しまた視点を変えまして、この介護保険ができたとしてもすべての方がサービスを受けられるのか、国民が非常に不安に思っている要素もあると思います。特に、財政構造改革の限られた財源の中で施設マンパワーサービス基盤整備というものをどのように進めていくおつもりか、お聞かせいただきたいと思います。何かよい知恵を出さないと、このままでは全部の方は受けられないということになりはしないかと思いますが、いかがでしょうか。
  16. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 先生指摘ございましたように、介護保険制度を円滑に導入いたしますためには、その前提といたしまして、現在進めております介護基盤整備、すなわち新ゴールドプランの達成ということにつきまして最大限努力をしていかなければならない、その中に特にマンパワー対策なども着実な推進を図っていかなければならないということは御指摘のとおりでございます。  その際には、一つには、財源をいかに確保していくかという問題がございます。そしてまたその財源を、現在、整備全国格差がございます、ばらばらでございます、そういったことで、介護サービス基盤整備がおくれている地域に重点的な整備を図っていくというようなことをやりますと同時に、限られた財源の中で進めていくという意味では、先生今、知恵とおっしゃっていただきましたけれども、公共施設だとかそういった既存資源をいかに活用するか、さらには民間活力の導入、民間事業をいかにサービス提供機関として、事業として位置づけていくかというような点を今後の重点の置きどころにして、効率的なサービス基盤整備に努めていかなければならないというふうに思っております。  こういった観点から、これからもいろいろ、ヘルパーの養成の問題につきましての民間のお力添えをいただくというようなことも含めまして、あるいは、他の社会福祉施設だとか地域公共施設あるいは余裕教室利用というようなことも含めましてさらにやっていく、さらに、九年度の予算でもお願いをしておりますような、公衆浴場だとか公民館あるいは空き教室等利用しました出前方式でデイサービスを展開するというような、一つの例示でございますけれども、そういったことをも含めた工夫がさらに要るものというふうに考えております。
  17. 桧田仁

    桧田委員 ただいまの答弁は、大変ありがたい答弁で、前向きだと思います。総論であります民活化、あるいはいろいろな、空き教室というのがいいかどうかわかりませんが、その他の既存施設、あるいは今から何とか利用できるものをするということはぜひ検討いただきたい。そして、前向きに皆さんの御意見を聞いて何か実現していく、これもお願いしたいと思います。  そこで、私は、大きく二つほど提案がございます。今、羽毛田老人保健福祉局長がお答えになったことに加えて、二つ提案がございます。  一つは、今まで病院というのは、あるいは診療所というのは病床利用率というのがございます。これは、調べてみますと一般病院八二%。八二%ですからあいているというふうにすぐ思われると困るのですが、一日、前の日にあけて、手術のために、翌日、それから一日後にあけるということもありますから、すべて一〇〇%という数字ではないのですが、少なくとも、ある程度まだ余裕があるということもわかっています。もう一方、有床診療所、すなわち医院というベッドをお持ちの診療所は、きょう現在、日本全国で約十五万床ぐらいいわばあいている状況でございます。これは、せっかく医療財源としてベッドをおつくりになり、お医者さんもおり、そして給食設備もあり、看護詰所もありながら、この十五万床といいますと実は約半分あいているという状況でございます。  そこで、私は、病院ベッドの約二十万床程度、そして特に有床診療所の十五万床、合わせて三十万床前後、これを何とか介護のために積極的にお使いいただくことはできぬだろうか。いろいろと問題点もございます。余裕も要ります。救急のための余裕、あるいは緊急入院のための余裕も要りますが、介護のためにこれを少し積極的に整備を図ってお使いいただく。  それは、今までやっていただいておるような療養型病床群という考え方有床診療所にも幅を広げていただいておりますが、どうも基準が厳し過ぎて、マンパワーの充足が厳し過ぎてできないのです。したいけれどもできない。でも、私は、財源節減から見ると、少し考え方を変えて有効利用できぬだろうか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  18. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今お話ございましたように、この介護保険制度の円滑な実施ということで、介護保険施設に予定をされております療養型病床群整備を促進していくということは、私ども非常に重要なことだと考えております。  今回の医療法改正におきましても、この療養型病床群整備目標というものを地域医療計画の中に必ず定めるという形で改正お願いいたしておりまして、そういう中で、今お話ございましたような、既存病院からの療養型病床群への転換ということも含めてその整備を図っていきたいというふうに思います。  また一方、先生空床があるからというようなお話がございましたが、そのことはともかくとして、やはり有床診療所というのが地域の中に密着をして存在をしている。また、そういうところで療養されている方の家族もできるだけ身近なところで療養生活を送ってもらいたいというような希望もあるというふうに理解をしております。  そういうことで、今回お願いをしておりますこの医療法改正におきましては、療養型病床群の設置というものを有床診療所に拡大をしてやっていきたいというふうに考えておりまして、そういうことで、いわゆる資源有効活用ということも含めて介護基盤整備促進を図っていきたいというふうに考えております。
  19. 桧田仁

    桧田委員 重要なことですので、ぜひ、ある意味では規制緩和して少し介護に使える形に検討できないかということを引き続きお願いします。  そして最後に、大臣に総括的にぜひお気持ちやお考えを聞かせていただきたいと思います。  私は、今言ったようなあらゆることで財源節減による介護のことを考えております。今言ったような療養型病床群の問題ももちろんございます。  もう一つは、私は、これから教育も、大臣教育ということはどうかと思いますけれども、教育ということも大事でして、何とか国民全員介護を一生懸命やる気持ちになっていただく、また、介護福祉士ヘルパーになりたいという教育が必要、こういうふうに思います。  それからもう一つ大事なポイントは、各都道府県や市町村には、現在、介護実習・普及センターというのがどんどん整備されており、これが国民の間に、おばあちゃんが急に寝たきりになったというときに、それをじきじき実習できます。二カ月で、ある程度の介護はできます。専門家とまではいかないけれども、非常に力になります。ところが、現実には簡単でありません。それは、二カ月間休んで研修ということが簡単でないのです。ですから、私は、この問題に関しては、介護実習休暇、もっと言えば介護実習センターで研修するための休暇を何とか制度的にできないか。あるいは、介護実習奨励金という言葉は余り使いたくないのですけれども、実習に行く者は少し助けてあげられないか。現代の社会では休むということはなかなか難しいのが現実でございますので、何とか応援してやれないか。こういう問題を持っております。  それとか、農協等は非常に、民間でもヘルパーを養成している。このように民間の力でどんどんヘルパーマンパワーを、積極的に応援したい、こういうような気持ちでございます。  このように、私は、既存施設の活用とか民間活力の活用、年金の見直し、このような幅広い視野のもとで、先ほど大臣がおっしゃったように国民負担率が五〇%を超えない、これは全国民に課せられた、あるいは私たちみんなに課せられた命題だと思います。この社会保障財政構造改革の強力な、小泉大臣、ぜひリーダーになっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  20. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 全体として、税、社会保険料等を含めても五〇%を超えない、今それはいいことだとみんな言うのですね。ところが、この制度を変えない、既存でいくと簡単に超えてしまう。そこが問題だ。  今、さまざまな、具体的な、建設的な御提案をいただいて、医療にしても介護にしても年金にしても、既存の制度で重複しているところはないか、あるいは調整できるところがあるのじゃないかというような点も含めてこれから見直していかなければならない。要するに、いかに効率的に限られた財源を使っていくかということだと思います。  単に民間だけを、民間の活力を導入するということは当然でありますけれども、既存施設もまた活用できないかというような視点も含めて総合的にこれから検討が必要ではないか、あらゆる今までの制度を見直していく必要があると思っております。
  21. 桧田仁

    桧田委員 ありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  22. 町村信孝

    町村委員長 松本純君。
  23. 松本純

    ○松本(純)委員 景気の低迷が長引く中、介護福祉関係はビジネスチャンスとして期待されているだけに、制度の構造によほど注意しないと、薬漬け医療ならぬケア漬け福祉の批判を生み、医療制度同様の問題を抱え込んでしまう危険性が秘められていると思います。厳しい財政のもと国民負担を求めるに当たっては、新たな投資よりも既存の社会資源を有効に活用し、合理的で安価で質の高いサービス給付を行う必要があると思います。そこで、桧田委員に引き続き、別の観点から医療介護福祉分野にわたる幾つかの質問をさせていただきたい。  まず初めに、医療法についてでありますが、医療法の一部を改正する法律案につきまして、改正医療法の第三十条の三第二項の五号にあるように、医療計画の必要記載事項の見直しが行われることとなっております。平成八年四月二十五日付の医療審議会の意見具申によれば、かかりつけ薬局による医薬分業について記載することとされておりますが、医療計画では医薬分業についてどのような内容のことを記載することとしているのか、そのお考えをお聞かせください。
  24. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今回の医療法改正におきましては、地域医療の体系的な整備を図るというような観点から、医療計画について、二次医療圏ごとに、医療機関、薬局その他医療に関する施設の相互の機能の分担、業務の連携、施設整備目標等の事項を必ず記載する、いわゆる必要的記載事項にするということにしたいというふうに考えております。今お尋ねの医薬分業ということにつきましては、病院診療所と薬局との機能の分担、業務の連携という形で記載をされることになるというふうに考えております。  医薬分業の具体的な内容をどこまでどういうふうに書くかということにつきましては、改正医療法を施行する際に医療計画作成指針といったようなものを示したいというふうに考えておりまして、指針の内容として、今後検討していかなければいけませんが、かかりつけ薬局の整備ですとか、医薬分業についての処方せん応需体制の整備といったようなことを指針の中に盛り込むというような形で考えていきたいと考えております。具体的な内容については、関係者の御意見を十分聞いた上で決めていきたいと考えております。
  25. 松本純

    ○松本(純)委員 介護保険制度介護保険料という新たな国民負担を求めるものであり、それだけに、国民に対し十分な周知を図り、理解を得る必要があると思います。  高齢者介護福祉については、今日、ゴールドプラン等に基づいてホームヘルプ事業特別養護老人ホーム等の介護福祉施設整備介護施設などにおけるデイサービス、ショートステイサービス等の事業が行われておりますが、これらの事業介護保険制度創設後は介護保険給付サービスとして実施されることになります。したがって、これらの現在の事業については国民によく知ってもらうことが必要だと思いますが、十分周知されるには至っていないとも聞いております。  医療保険によって病院などで医療を受ける場合と異なり、介護保険制度介護給付を受けるための手続は複雑で、一般国民にとって容易なものではないように思われます。現在の制度でも、特に高齢者だけの家族の場合、どのような介護サービスが受けられるのか、どのような手続を踏めばよいのか、よくわからないという声をよく耳にします。  このため、岩手県では、県が高齢者介護福祉サービスについて県民に知ってもらうために、介護制度街角相談モデル事業として、地域の薬局などを相談窓口として活用する事業実施していると伺っております。厚生省で承知していらっしゃるか、お尋ねをしたい。  また、現在、全国には約六万九千の薬局、薬店がありますが、地域住民に最も身近な健康相談の窓口として存在しております。現在の介護福祉事業について周知のために、介護保険制度実施後は介護給付の相談窓口として、地域の薬局、薬店を活用することは国民にとっても有用であり、また実際的であると思うわけであります。岩手県のような事業を拡充、実施して地域の相談窓口体制を整備することを検討すべきだと思いますが、いかがお考えでありましょうか。
  26. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 御指摘の岩手県の事業につきましては、昨年私ども、各県の老人保健福祉計画の進捗状況を聞き取りをいたしました際に、岩手県から、在宅介護支援センター事業の促進策としまして御指摘のようなモデル事業をやっているということで、その概要を御説明をちょうだいしておりましたので、私ども承知をいたしております。そして、私どもとしても、一つの有用な方法かということで、全国の担当者会議等の場を通じまして全国にもこれを紹介するというようなことをやってきております。  先生今御指摘のように、地域のさまざまな社会資源を活用しまして、住民の身近なところで、これが大事なところだと思いますが、住民のできるだけ身近なところでの相談あるいは情報提供ということを行う取り組みにつきましては、地域の要介護ニーズを発掘する、あるいはそれを地域のそういった資源に結びつけていくという意味から大変大事なことだというふうに思います。  そのようなことでございますので、私どもとしましても、今後とも、地域の実情に応じました独自の取り組みに関しまして積極的に情報を収集、紹介する、それから地域の創意工夫、そういったものが全国に有用なものは広がっていくというようなことについて努力をしてまいりたいというふうに思います。
  27. 松本純

    ○松本(純)委員 昨年の一月、厚生省はシルバーマークに係る国の関与を廃し、都道府県に通知しました。通知の趣旨は、行政関与により民間事業の活動を不当に制限することがないようにする配慮と理解をしております。その経過及び理由についてお伺いをしたい。  また、最近、地域介護機器関連企業等が介護福祉機器協会というような組織をつくる動きがあると聞いておりますが、中には、入会金が高額で、零細な介護用品などの供給業者が参加することは難しいというような例もあるようであります。このような組織は、大手企業が中心となり、地域の零細企業に対しては排他的なものとなりかねません。せっかく厚生省が通知を出しても、地域で同様の仕組みがつくられてしまうのでは意味がありません。厚生省は、こうした実態をきちんと把握しておられるのか、また、必要な対策についてはどのように考えておられるのか、お尋ねします。
  28. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 シルバーマーク制度でございますけれども、これにつきましては、当初の私どもの目的としましたところは、利用者が安心して良質なサービスを選択できるということがこういったお年寄り向けのサービスの場合は大事でございますから、そういった際の目安になるものといたしまして、社団法人のシルバーサービス振興会が認定、交付をするということで、いわば民間の動きとしてそういうことをしていただいているわけでありますが、これに対しまして、厚生省では、民間事業者への在宅サービスの委託を推進するという観点から、平成元年以降でございますけれども、市町村に対しまして、シルバーマークを取得した事業者に極力委託をするようにという指導をしてきたわけであります。  しかし、こういったシルバーマークに係りますいわば公の関与、国の関与というものにつきましては、一つには、もう既にシルバーサービスの普及ということが、そういう公がてこ入れをするというよりは、民間の自律に任せる段階に来ているではないかという御議論と、もう一つ、逆に、そういう形でシルバーマークにいわば公が関与をすること、シルバーマークに係る国の関与をすることによって、むしろ、競争制限的にといいますか、新規参入を妨げるような形になっているのではないかという御指摘を行政改革委員会等からいただきました。そういったことを踏まえまして、本年の一月に廃止をするということで、そのようなことを、廃止を実施したわけでございます。  その際に、先生、二点目でお話のございました、こういったものが、国の今の関与だけではなくて、地方公共団体レベルあるいは民民規制的な形で、いわば民間の形の中でもそういった競争制限的になることについては、私どもとしても、そういうことにならないようにということの周知徹底ということは、都道府県等を通じまして周知徹底を図ってまいりました。  今般廃止をされましたシルバーマークに係ります国の関与と同様のことが地方公共団体レベルでやられている、そういった特定の認証制度に対して地方公共団体が関与しているというような事例については、私どもまだ承知をいたしておりませんけれども、今後とも、今申し上げましたような趣旨にのっとって、今回、シルバーマーク制度に対して国の関与を廃止した趣旨というものが国といわず地方公共団体といわず徹底をしますように、関係機関とも連携をしながら、良質な介護サービスの提供の確保に努めながら、そういった方向を目指してまいりたいというふうに思います。
  29. 松本純

    ○松本(純)委員 次に、医療法に関して、病院診療所における薬剤師の新たな職務についてお尋ねします。  医療法改正案第一条の四第二項においては、医療の担い手に、医療を受ける者への適切な説明とその理解を得るよう努めることが求められております。さらに、厚生省の各検討会の報告では、医薬品情報管理業務を薬剤部門が中心となって実施する重要性、治験担当医師を支援すべき治験担当薬剤師の配置の必要性、あるいは副作用情報の収集、評価に当たってチーム医療の中で薬剤師が一定の役割を果たすことができる体制整備の必要性が指摘をされております。病院診療所薬剤師は、従来から行っている調剤、病棟業務等に加えて、それら情報提供の徹底、治験の支援、副作用情報の収集、評価等、医薬品の適正使用を推進しなくてはならないと考えます。また、来月から施行される改正薬剤師法でも、患者またはその看護に当たっている家族等への、調剤した薬剤に関する情報の提供が義務づけられることになります。今後、病院診療所薬剤師に求められる期待がますます大きくなると感じられますが、業務局長の見解をお聞かせいただきたい。  また、病院診療所薬剤師には、従来の業務に加えて、医薬品市販後調査の支援、副作用情報の管理等の遂行が求められます。医療審議会の意見書の中には、「病棟単位に薬剤師一人を配置するなど入院患者数等を考慮した基準に見直すことが適当」と記されております。薬剤師法改正の目的、そして厚生省の各委員会の報告の目的を果たすためには、病棟業務及び調剤業務ばかりではなく、それらを行う薬剤師数の配置が必要です。国民が望む医薬品の適正使用を推進するために、今後、医療法改正に伴い省令で検討されることになると思いますが、健康政策局長の御見解を伺いたいと思います。
  30. 丸山晴男

    ○丸山政府委員 前半のお尋ねに関しまして、近年、社会の急速な高齢化あるいは医療技術の高度化など、医療をめぐる状況は大きく変化してまいっておりまして、医薬品の適正な使用を確保していく上におきまして、薬剤師の方が医薬品の専門家として、他の医療関係者と連携しながらその責務を果たしていくことが重要であると考えております。  病院診療所におきます薬剤師の業務は、従来、調剤ですとか病棟からの請求に応じた医薬品の供給など、ややもしますれば臨床の場から離れた薬局の中での業務が中心だったと考えております。しかしながら、近年、作用が強く、取り扱いに注意を要する医薬品が増加しておりまして、薬剤師の方が入院患者に対して直接、薬歴管理、服薬指導などを行うとともに、そこで把握された情報を医師や看護婦へフィードバックするなど、薬剤師が臨床の現場において医療チームの一員として積極的に取り組むことが期待されているわけでございます。  一方、医薬品の安全性に対する国民の関心が高まっております中で、治験から市販後に至ります各段階におきます医薬品の安全対策の充実強化が求められておりまして、昨年六月に薬事法等の一部改正の法律が成立いたし、この四月から施行の運びとなっておりますけれども、ここにおきましても、薬剤師の方の役割が期待されております。  まず、改正薬事法の一つの柱でございます治験の適正化につきましては、これを適切、円滑に実施するため、医療機関におきます体制の整備が必要でありまして、治験担当医師に加えまして、これを支援すべき治験担当薬剤師など、いわゆる治験支援スタッフを確保していくことが重要であります。現在、厚生省におきましてGCP適正運用推進モデル事業実施しておりますけれども、こうした試みを通じまして、具体的な薬剤師の方の治験への関与の方途についても明らかになっていくものと考えております。  また、改正薬事法のもう一つの柱であります市販後の医薬品の安全対策につきましても、質の高い副作用情報が医療機関から積極的に提供されることが不可欠でございまして、来年度から、モニター病院制度を改めまして、すべての医療機関からの副作用情報を求めることとしておりますけれども、こういったことも、病院におきまして、いわゆる医薬品情報管理室、DI室を中心にした副作用情報の収集、評価、分析を行うなど、薬剤師の方の積極的な関与が求められている次第でございます。  さらに、薬事法と同時に改正されました薬剤師法におきましても、患者あるいはその看護に当たっておられる家族などへの、調剤した薬剤に関する情報提供が義務づけられるようになった次第でございます。  このように医薬品の適正使用のほかに、治験あるいは市販後における各般の医薬品安全対策の充実が図られるためには、病院診療所における薬剤師の方、現在四万五千名ほどの方が勤務されておりますが、この役割が今後ますます大きくなるものと考えております。これに対応して、厚生省といたしましても、薬学教育、実務研修を中心とした生涯研修の強化などによりまして薬剤師の方の資質の向上を図るとともに、薬剤師業務の充実などの環境整備に努めてまいりたいと考えている次第でございます。
  31. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 後段の病院薬剤師の人員配置基準の見直しについてお答えをさせていただきます。  医療におきます薬剤師の役割、特に病棟業務がふえてきた、薬歴管理あるいは服薬指導、そういう業務がふえてきたということで、これを見直していく必要があるということは医療審議会からも御意見をいただいております。私どももそのように考えております。  そういうことで、医療法改正の施行に合わせまして、今後、病棟業務の今申し上げましたような薬剤師の役割の拡大、変化ということを踏まえまして、具体的な配置基準関係者の御意見も聞きながら検討してまいりたいと考えております。
  32. 松本純

    ○松本(純)委員 次に、介護法に関連し、療養型病床群介護力強化病院における診療包括化についてお尋ねをいたします。  施設介護サービスとして、現在、医療保険の対象となっている療養型病床群介護力強化病院老人保健施設などの介護施設介護保険に移行させることを考えていると思うわけでありますが、介護保険制度における介護給付に対する費用は、医療保険のようないわゆる出来高払い制ではなく、包括点数制と聞いております。包括制は、医療保険においても既に一部で採用されており、薬剤費の節減や不必要な検査の抑制に有用であると言われておりますが、その一方、医療の質を低下させるのではないかとの懸念もあります。  例えば、平成四年の第二次医療法改正により療養型病床群制度が新設されましたが、その際、療養型病床群の投薬、検査、看護などの技術料が丸められ、包括点数とされました。そして、病院薬剤師の病棟臨床薬剤業務もその包括点数の中に丸められました。このため、名古屋市のある病院で、薬剤部が病棟業務を開始した直後、その病院療養型病床群の許可を取得したため、病院経営者が病棟業務を中止してしまったという事例があったと聞いております。現在は、病院薬剤師の病棟臨床薬剤業務は包括点数から外され、独立した点数として設定されておりますが、この事例に見るように、包括制は医療の質を向上させようとする努力を阻害してしまいかねない面も持っております。  療養型病床群介護力強化病院などを介護保険に移行させ、一律に包括点数を適用した場合、医療の質を下げてしまうということがないよう介護保険報酬上の工夫が必要と考えておりますが、いかがお考えでありましょうか、御質問します。
  33. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険制度が導入されますと、その法律のもとで適用されますサービスにつきましては介護報酬を定めるということになります。介護報酬は、施設の場合には、サービス内容であるとか利用者の要介護度、それから事業所の所在地、そういうことを勘案しまして、平均的な費用をもとに定めるということになっております。具体的には、今後、介護費用の実態を調べまして、関係審議会の意見を踏まえて、適切な内容となるものにするということでございます。  療養型病床群とか介護力強化病院関係でございますけれども、これにおきましても、要介護度別の定額制がやはり介護報酬の基本になるのだろうというふうに考えておりますが、適切なサービスが提供されますように、それに当たりましては十分な工夫、そういうものを検討してまいりたいと思います。
  34. 松本純

    ○松本(純)委員 次に、介護法に関連し、老健施設における薬剤管理指導の重要性についてお尋ねします。  高齢者は医薬品の使用頻度が高く、また、老齢化によって肝臓や腎臓機能が衰えており、若年層以上に薬剤使用についての指導、管理が必要と言われております。特に寝たきり老人等の要介護者のほとんどが医薬品を使用していると言われ、要介護者のADLやQOLに対する医薬品の副作用の影響は大きいと言われております。このため、高齢者介護には薬剤使用についての指導や管理が重要な項目であるとされております。  ところで、このような高齢者に対する薬剤の安全確保の重要性が指摘されているにもかかわらず、現在の老人保健施設施設及び設備、人員並びに運営に関する基準に関する厚生省の通知によれば、三百人未満の老人保健施設では薬剤師の配置の必要はないとされておりますが、その理由が何か、お尋ねをいたします。  また、老人保健施設の患者のほとんどが医薬品を使用していると思いますが、調剤や患者に対する服薬指導はだれが行っているのか。  さらに、例えば老人保健施設を併設している病院の薬剤部が調剤を担当しているとも言われておりますが、実態はどのようになっているのか、また、法的に問題はないのか。  そして、薬剤師法の改正により、この四月から調剤時の薬剤師の患者への情報提供義務が実施され、一般の医療機関や薬局の服薬指導が強化されることとなりますが、老人保健施設では情報提供や服薬指導は必要ないのでしょうか、あわせてお尋ねをいたします。
  35. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 老人保健施設におきます薬剤師の方の配置につきましてのお尋ねでございます。  御案内のとおり、老人保健施設と申しますのは、その入所対象者は、本来、急性期の治療が一応終わりまして病状安定期に入ったということで、積極的な入院治療というよりは、むしろ、リハビリテーションでございますとか看護、介護といったような医療ケアを中心に提供していく、あるいは日常生活上のお世話をしていくというようなことを主体にした、いわゆる寝たきり老人等の方々のいわば中間施設ということで位置づけられているものでございます。したがいまして、濃厚な投薬だとか治療というようなものは本来的には想定をされていない、そういう老人保健施設としての性格がございます。  そうしたところから、今先生お述べになりましたように、病院あるいは専属薬剤師が配置されております診療所に併設されている場合は除きまして、入所定員が三百人以上の大規模な老人保健施設につきましては薬剤師を必置といたしますけれども、それ以外のものについては施設の実情に応じた数を配置することでいいということにいたしているわけでございます。  しかし、老人保健施設には医師が必置ということでございますから、今、薬剤師が配置されていない、そういったような老人保健施設にございます場合には、通常、この医師が調剤、服薬指導を行うということが行われているわけでございます。  実態でございますけれども、平成七年の調査報告でございますが、平成七年十月現在で申しますと、その時点で全国に千百九十五の老人保健施設がございましたけれども、その中で、専任が二十三人、兼任が三百九十人、合計四百十三人の薬剤師ということでございますから、今お述べのございましたように、実態的にも専任あるいは兼任の薬剤師を置かないところがございます。それから、そういった兼任の薬剤師が調剤を行うということについては、法的に問題はないものというふうに私ども考えております。  そこで、さらにお尋ねのございました、調剤時の情報提供、服薬指導というものは老人保健施設においても必要ではないのかというお尋ねでございます。  当然、私どもとしても先生と同じように考えているわけでありますけれども、老人保健施設の入所者に対しましても、薬剤の投与が行われる場合にございましては、必要に応じまして、薬剤の情報提供、服薬指導が行われるべきものであるというふうに考えておりますし、それは、もし薬剤師が配置されていない老人保健施設の場合には、医師が必置でございますから、医師の方々にこういうことをやっていただくという実態になっておるということでございます。
  36. 松本純

    ○松本(純)委員 介護法に関連し、老健施設における薬剤給付と薬剤師配置についていろいろとお話をいただくところでありますが、老人保健施設は入所者三百人未満の場合は薬剤師を置かなくてもよいこととされている一方、老人保健法の規定による医療並びに入院時食事療養費及び特定療養費に係る療養の取扱い及び担当に関する基準によりますと、厚生大臣が定める以外、老人保健施設では院外処方せんを発行してはならないとされております。つまり、厚生大臣が定める場合だけ処方せんを発行してよいとされているわけでありますが、そのような場合として、抗がん剤については処方せんを発行してよいとされております。  一般の医療機関では、むしろ抗がん剤は患者への告知の問題があって処方せんは発行されない場合が多いのに、老人保健施設では逆に抗がん剤のみ処方せんの交付を認めています。この理由は一体何か、お尋ねをいたします。  そして、このように老人保健施設の薬剤管理に関する基準は、薬剤師の配置を不要としたり、高薬価の抗がん剤の処方せんの発行だけを認めるなど、余りに経営者的発想に偏り過ぎ、医薬品の適正使用、安全管理という視点が欠けているように思います。この際、これらの基準を再検討するとともに、老人保健施設における薬剤師の配置が必要と思いますが、御所見を改めてお伺いしたいと思います。  最後に、小泉大臣にお尋ねをしたいと思います。  逼迫する財政の中、国民に新たな負担を求めるには、合理的かつ効率的な医療介護福祉サービスが不可欠であります。現在の医療制度の問題点を改善しながら、医療保険制度を補完し、介護保険制度を構築していく必要があると思っておりますが、厚生大臣の御所見をお尋ねいたします。
  37. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 前段のお尋ねの部分につきまして、お答えをさせていただきます。  先ほどもお答え申し上げましたように、老人保健施設は、本来、濃厚な投薬とか治療は通常想定されないということでございます。したがいまして、老人保健施設におきまして、がんの治療というものが通常行われるという施設にはならないと思います。しかし、がんの病を持ちながら長期にわたってのいわゆるケアという面での部分が必要になってくるというような例外的な場合におきまして、抗悪性腫瘍剤の服用が必要な方も出てまいるわけでございます。  それにつきましては、その専門性といいますか、そういったことを考慮いたしまして、例外的に老人保健施設以外の医療機関からの処方せんの交付を認めるという形で、いわば例外の扱いをいたしておるということでございまして、そのことが一般的に、むしろ老人保健施設における積極的な投薬治療というようなものを本来想定しているということには必ずしもならないというふうに私ども考えております。  したがいまして、今の点についてはそのとおりでございますけれども、老人保健施設における薬剤師の配置について考え直すべきではないかという再度のお尋ねでございますけれども、今申し上げましたような老人保健施設としての性格ということからいたしまして、やはり、三百人というような大規模になりますれば、これは必置をするということにいたさなければならないと思いますが、それ以外のものにつきましては、施設の実情に応じた数という形でやっていくのが現実的であり、また現時点では合理的ではないかなというふうに考えておりますので、そういった薬剤師の配置されていないところにつきましては、医師による調剤や服薬指導という形でやっていくということでいきたいと考えておりますので、御理解を賜りたいというふうに思います。  後段部分につきましては、厚生大臣からお答えを申し上げます。
  38. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 全体の財政構造改革の中で社会保障関係費をどう賄うかということなんですが、介護保険を導入するにしても、これから高齢者の保健福祉施設等介護サービス等の施設は拡充していかなければならない。同時に、今まで医療保険で賄っていたところを今度は介護保険の方で賄って、効率的な費用の調整を考えていく。公費がふえる部分と、これから公費をそうふやすことができない、あるいは減らしていかなければならない点をどうやって調整していくか。  総論はみんな賛成してくれますけれども、各論に踏み込めば踏み込むほど、社会保障関係費の公費の抑制というのは容易ならざることだ。それだけに、効率的な、現在の資源をどう有効に活用していくかということが大事ではないか。ともかく最大限、今までの制度を見直して、努力していくしかないなというふうに思います。
  39. 松本純

    ○松本(純)委員 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  40. 町村信孝

    町村委員長 山本孝史君。
  41. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 新進党の山本孝史でございます。  介護保険につきましては、これまで百五十を超える質問を文書で厚生省にさせていただきました。輪郭はほぼ理解できましたけれども、まだまだお聞きしておかなければいけない点が多いというふうに思っています。  今回、新進党で、全国の自治体に介護保険に関する緊急アンケートをさせていただいております。今まだ回収の途中でございますけれども、その内容の一部を本日は紹介しながら質問をさせていただきたいというふうに思います。  本日、お聞きしたい点は二点あります。  一つ目は、社会保険のメリットを強調し過ぎておられませんかという点です。そのために、このまま制度を発足させると、国民が、期待と現実のギャップの前に、介護保険に対して、あるいは社会保障全体に対して、さらに政治に対して大きな失望を持たないかというふうに危惧している点。  二つ目は、そもそも介護保険とは一体何なのですかということを考えたときに、私は、医療福祉の世界にどんどん入ってくる、少し悪く言えば、医療福祉を切り取っていくのだというぐらいに感じを持っております。この点については午後にお伺いしますけれども、どうもやはり医療介護の関連というものについてまだまだ議論が深まっていないのではないかというふうに思います。  きょうは、委員長にお許しをいただいて、パネルをつくらせていただきました。  社会保険を導入することによるメリットということで、いつもこの四つを挙げておられます。給付負担関係が明確になる、普遍性がある、選択性がある、権利性があるというのが今までずっと政府が御説明をなさっておられる点です。  権利と負担の問題については、せんだって福島先生の御質問の中で、これは順番が逆ですよ、これはどれだけ負担をしないとどれだけの給付がもらえませんよということであって、恐らく、この介護保険を導入することで、この先は医療保険年金もきっちりと負担をされませんと給付されませんよという形にしっかり話を持っていこう、国民の意識を変えていこうという一助だろうというふうに私は思っています。  問題は、普遍性の問題なんです。  普遍性をいつもおっしゃっているときは、すべての人に心身の要介護状態だけで要介護認定をするのだ、家族の介護力もあるいは本人の資産状況も考えません、だれでも介護保険の利益を得ることができるのですということで普遍性をおっしゃっておられる。  二月十九日の本委員会で、私は小泉大臣に、日本社会保障の将来像はどうなりますかという点で何点か御質問させていただきました。その中で、高額所得高齢者への支給の制限はどうですかと申し上げたときに、ある程度制限していいのではないかというふうに大臣はお答えになりました。先般来出ております、きょうも議論になっております、橋本総理が今おっしゃっておられる財政構造改革の五原則を発表された中で、「一定収入以上の高齢者への公的年金医療等給付の見直し」について触れておいでになります。この「医療等」の「等」の中に今審議しております介護保険も入っているというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  42. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 一切の聖域なしに検討するということですから、当然入ってくると思います。
  43. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 保険は、皆さんもおっしゃっているように、期待権を生んできます。この財政構造改革五原則、このとおり、これは口先だけの話ではないのだ、必ずこのように実現しますよということでおっしゃっているというふうに理解をすれば、当然そうならなきゃいけないわけですが、そうしますと、将来の社会保障においては、所得状況においては給付対象から除外される、あるいは減額支給となるケースが必ず起こってくるのだということを今おっしゃっておられるのだと思うのですね。  そうしますと、介護保険は普遍性を一つのセールスポイントにしながら、保険料を払ってもだめですよということが起こり得ますよということをもう今から言っている。そういうことを今制度がスタートする前に言っていますと、保険料を払っても損じゃないかという気持ちを当然起こさせることにはなりませんか。  私は、先ほど申し上げたように、政治や行政への信頼感も損ねると思うし、今ここで介護保険の審議をしているときに、この制度ができ上がったら将来どうなるかわからぬということを政府みずからおっしゃるようでは、審議のしようがないではないか。普遍性の保障というのは、一体どこまでこの介護保険を出すときに御検討になったのか。この介護保険のセールスポイントとおっしゃっておられる普遍性というものをこの介護保険の中ではどこまで貫徹していこうというふうに思っておられたのか。将来において、当然給付の水準は下げなきゃいけないということはだれもが考えていながら、なぜ介護保険で普遍性をそこまで強調されておられるのか。どこまで検討されて、どこまで貫徹する意思がおありになるのか、大臣にお聞かせをいただきたいと思います。
  44. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それは、あらゆる聖域なく一切見直しをしていくという方向の中で、当然、高額所得者に対してどこに基準を置くかで違ってくると思いますね。年金においてもそうです。受け取る方で制限を設けるのか、あるいは税で制限を設けるのかで違ってくる。当然、介護保険においても、どの範囲に高額所得者と位置づけるのかによっても違ってくる。その点も含めて、今から特定の、これだという固定観念を持たずに、いろいろな意見を踏まえて、それでは高額所得者に対して一定の制限を設けるのだったらどういう点があるのかということを含めて検討する必要があると思っております。
  45. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 申し上げているように、平成十二年に四十歳になる人たちがそこから保険料を二十五年間払い続けて、ようやく六十五歳になるとどんな状況でも介護保険の対象になり得るということになるわけですから、そこのところでもし高額所得であるということになれば、一生懸命働けば将来は介護保険の対象にならないのだという、私はまたこれから検討かと思ったけれども、今の大臣の御説明でいくと、高額所得、どこに線を引くかわからないけれども、必ずここから外れる人がいるということは、これはもう普遍性、今の状況では私はないと思いますよ。だから、今の話でいけば、これはもうセールスポイントではない方になってしまうというふうに私は思いますよ。  だから、やはりそこのところがはっきりしないのですね。十九日にお聞きしているときでも、日本の将来の社会保障構造はどうなるのですか、将来像はどうなるのですかという前提において高額所得者の人はどうするのですか、あるいは被保険者の範囲はどうするのですか、各制度でそれぞれみんな違いますけれどもどうなるのですか、地域格差はどうするのですか、いろいろなことを私はあのとき御質問させていただきました。  医療保険だって、リスクに備えるという保険の原則から外れて、完全に高齢者に対する所得移転になっているじゃないですか。世帯単位で考えるのですか、個人単位で考えるのですかという中で、将来の社会保障構造を考えるときにどうしても高額所得者の問題が出てきますね。それは制限した方がいいのだ、制限せざるを得ないだろう、それが一般的な庶民の感情だろうとおっしゃる。橋本総理は、感情論を超えて財政改革の一環としてこれをやるのだとおっしゃっている。だから、そこのところをどこまで検討された上でこの介護保険の仕組みを普遍性だということを言ってお組み立てになったのか。ちょっとそこは余りにもずさんではありませんかというか、議論が薄過ぎませんか、私はそう言っているわけですね。  きょう午前中の質問の時間に限りがありますので、済みません、もう一つおっしゃっておられる介護保険の権利性という部分のところも、一号被保険者と二号被保険者で給付の要件が異なるというところは法の目的を極めてあいまいにしているというふうに思います。  すなわち、外因性の事故等に起因する障害者は、障害者となった後も保険料を払い続けなければいけない。しかしながら、介護保険からの給付は四十から六十四歳の間はありません。片一方で、同じ障害状況になりながら、すなわちそれが外因性であるがゆえに、保険料を払い続けなきゃいけないけれども介護保険の対象にはならない、これは非常に差別的だというふうに思います。  高齢者介護サービスに権利性というものを言う反面で、障害者福祉は従来どおり措置制度でいいのだというふうにおっしゃっておられる。これは障害者に権利を認めていないのじゃないかという石毛先生の御主張もこの間ありましたけれども、私もそう思います。なぜこういう形をとるのか。極めてあいまいな法律の書き方をして、障害者を介護保険の対象外に置いて、しかも、そこで障害に遭った人は全員権利があるのだという形、一号被保険者と二号被保険者の給付要件が異なるような権利性を言うのか、私には理解ができないのですけれども、御説明をお願いします。
  46. 篠崎英夫

    ○篠崎説明員 保険制度にはいわゆる権利性というメリットがあると言われておりますけれども、障害者介護サービスにつきましては、むしろ公の責任として公費によってサービスを提供すべきという認識が障害者団体を含めて関係者に強いことが一つ、また、障害者に対しては、介護サービス以外にも、授産事業とか社会参加のための施策など多様なサービスが必要であること、そういうことを踏まえまして、従来どおり、身体障害者福祉法など公費によるサービス体制により対応していくということにいたしております。  障害者に対する施策につきましては、現在進めております障害者プランの着実な推進を図ることによりまして、サービスの水準において高齢者格差のない介護サービスを確保していきたい、このように考えております。
  47. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 どうも、ここの説明を何遍聞いていても、この間の委員会の議事録を読み返しても、よくわからないのですね。障害者に対しては公費できちんと対応していきますというふうにおっしゃる。それじゃ高齢者介護については公費で対応しないのですかというと、そうじゃないのです。これはやはり公的な対応なんですね。  しかも、我々が社会保険方式じゃなくて税方式の方がいいのじゃないですかと申し上げると、いやいや、先生そうおっしゃるけれども、これは税方式とほとんど一緒なんです。大臣は、介護目的税というか、これは一種の目的税的なものだとおっしゃる。強制保険ですから一種これは必ず取られるわけであってほとんど税金と一緒の形、という意味でいけば、ほとんどこれは公費と同じじゃないかという答えが逆に幾つも来るわけですね。二分の一以上公費を使っているのだからほとんど公費と同じですよと。片一方で高齢者介護に社会保険を適用するがゆえにそういう説明をしながら、障害者の方は、これは全部公費で対応しているのです。だったら全部公費でやればいいじゃないですかというふうにやはり思うのですよ。  それで、公費で対応しているから権利性があって、公費で対応していないから権利性がないとか、権利性と公費との関係というのは、それはやはりどう考えたって説明がつかない。私は、そこのところはどう考えても説明がつかないのです。もう一遍、済みません、私の頭が悪いのかもしれませんけれども、大臣なり、障害者担当ではない方のお答えをいただきたいというふうに思います。
  48. 江利川毅

    江利川政府委員 介護は老後生活の最大の不安だというふうに言われています。そうすると、一生において老後の生活のそういう問題をだれの責任で考えるのだろうか。自分の老後の生活は、いわゆる個々人の責任というのでしょうか、自己責任というのがまず社会の原則としてあるのではないだろうか。  保険といいますのは、そういう将来の問題に備えて保険料を拠出してやっていく、社会連帯、みんなで連帯してそういう危険に対応していくという仕組みでございまして、保険料を拠出していきますから、それによって、保険事故に該当する事態が生じましたら権利として受給ができるというものでございます。そういう意味で、こういう社会保険制度をとって保険料を払って将来に備えていく、そういう仕組みの中で権利を形成し、それに該当する事態が出たら権利として実行できる。  障害者施策につきましては、いわゆる福祉施策として公的な責任でしかるべきサービスを提供することが適当である、そういう考え方あるいはまた関係者の声、そういうこともありまして、そういう仕組みをとっているということでございます。  ですから、こういう保険方式をとることによって権利が形成されるのだということでございます。
  49. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 保険料を払うから権利が生ずる、それはそうでしょう。だけれども、公的な責任でやっているところで、結局、これまでずっと国がやってきていることは権利を認めていないわけですよ、この措置制度の中においては、反射的な権利でしかないのだ、利益でしかないのだという形で。ここはやはり社会保障構造の構造改革をしていこうというのであれば、それは権利として認めたらどうですか、障害者だってそれは権利として生きているのだから。それを、保険料を払ったから権利があって保険料を払っていないから権利がないのだとかという形の御説明はもうおやめになった方がいいのじゃないか。  この制度そのものは、四十から六十四歳の人たちに保険料を払ってもらうのに、保険と給付関係をはっきりさせるためにはどうしても四十から六十四歳の人にも給付をしないと話が合わないという状況の中で、それじゃその人たちにはどういう状況だったら給付をするか、それは加齢に伴う疾病によるところの要介護状態だったら給付しますという形にしたわけですね。それが二号被保険者への給付でしょう。でも、一号被保険者への給付は、そういう状況も含めて何でもいいのですよ。要介護状態だったら全部だと言っている。  だから、一号被保険者の給付要件と二号被保険者の給付要件が違うものを一緒にしているところにこの制度のややこしさがあるのであって、そこのところは、一号被保険者の方たちに、申しわけない、あなたたちは高齢者介護を支援するためにお金を出してくれという形にした方がよほどすっきりするのじゃないか。あるいは、そうしないのであれば、四十歳以上全員が全員を支え合うところの、障害者も全部含めた形の障害者福祉保障制度というものにした方がよほどわかりやすいのじゃないですか。  この保険方式というものを導入するがゆえに、あるいは四十歳から六十四歳の人に保険料負担してもらうがために、保険と給付関係を無理やりここの中につくってきて、ややこしい制度にして、制度も複雑にして、事務量もふやしてということをするよりは、こっち側だけの制度にするか、あるいは全体の制度にするか、どっちかの選択に切りかえた方がいいのじゃないですかというふうに私はこの権利性という問題を考えていて思うのですけれども、その点はどうなんでしょうか。
  50. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 言っている疑問なり趣旨はわかります。しかし、新しい制度を導入するというのと、既存の制度を維持していこうという両方組み合わせていかなきゃならない。将来は一緒にしてもいいじゃないかという議論は、私もその点は理解できます。しかしながら、新たな制度と既存の、既に障害者にしてもいろいろな制度でやっている、その中で、介護という観点から見れば、障害者、介護を受ける高齢者一つの障害を持っているわけですから似たような面も十分ある。いろいろな制度が分立している中でいわば両方が、新しい制度で介護が導入された段階で、簡素、効率という中で今の問題は一本化なり整合性を持った制度に変えていこうというふうな理解はできないでしょうか。
  51. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 できるだけ理解しようとしているのですね。  だから結局、将来において日本社会保障制度はこういう形になりますよというものが、恐らく今もう御検討されていて、ある意味でいけば意図としてお持ちになっていて、それを出してくるに当たって、今回の介護保険の導入というのが日本社会保障構造改革第一歩だというふうに大見えを切っておられるのであれば、もう少し将来の姿とつながる形でこの介護保険というものが出てきてもいいのじゃないか。  だから、ここでとにかく入れて、これから先三年間の準備期間で考えますよ、その先また、見直し規定を置いていますからいつでも検討して見直すことができますよというような、問題のいわば先送りをするのではなくて、もう少しその制度を筋道に合った形で出してみんなに理解を求めていくという形の方が、私はまだ国民として理解がしやすいのじゃないかというふうに思うのです。そこのスタートのところで余り変な理屈をつけてしまうとかえっておかしくなりませんかというのが、実はきょう、私の午前中の質問の趣旨なんですね。きっちりとした将来像を見せていただきたい。その意味で、さっき、普遍性というのはやはりないのじゃないですか、あるいは、みずから出しておきながら普遍性というものがないという方向性に、すなわち、だれもが使えるということが普遍性ですから、そうじゃない形にもう既になってくるのであれば、そこは盛り込みを検討を十分にしていただいているはずだろう。  今回の、一号被保険者と二号被保険者の給付要件が違うというのも、与党の皆さんというか地方公聴会の中で、こういう形でないと保険料を払ってもらえないという不安の中でこの制度になったのだと思いますけれども、しかし、そこのところは国民にもう少し理解を求めていけば、この高齢者介護というものに対して、あるいは高齢者医療というものに対して――そこはもう少し制度としてすっきりしたものにできませんかね。
  52. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 高額所得者の場合は、私は、普遍性というのは制限されても本人は利用できると思うのです。自前でやるということを考えれば十分普遍性があるのですね。自分は払うだけだ、しかし、やむを得ないといって払ってくれているのです。それは十分普遍性に通ずるのじゃないでしょうか。
  53. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 それは普遍性と言わないと思います。  介護保険の選択性と効率性についても、私はこれもやはりおかしいと思うのですね。  とにかく今のお話の中で、私は、権利性というのは絶対的に、障害者に対しても同じように保障すべきだと思うし、あるいは、そうでないのであれば、六十五歳以上の老人にきっちりとした権利性を保障するのだという形の、すっきりとした制度の組み直しにしていただきたい。やはり私は、クェスチョンもしくは三角印くらいの採点しか上げられないと思います。  介護保険の選択性と効率性の問題なんですけれども、今回の我々の調査の中で、各自治体に選択性が本当にあるだろうか、政府が言っているような形になりますかという質問をしました。七三・七%、四分の三の自治体が、選択性などありません、サービス基準は到底そこまでいっておりませんと言っています。ゴールドプランについてこれまで政府のお話を聞いていますと、ゴールドプランは各自治体がそれぞれみずからの目標としてお立てになったことだから、それを努力して達成するのは各自治体の責任であって、そこはやっていただかなければいけないというような言い方を常にされて、責めをどちらかというと地方自治体の方に持っていっておられる。しかし、やはり財源問題もあるわけで、なかなかそこはうまくいかない。しかし、本当に政府が今おっしゃっておられるような選択性を保障するのであれば、平成十二年のサービスの提供時点にはやはりそれだけのサービスがないといけない。  そういう意味において、ゴールドプランを前倒しして実施していく、前倒しするに当たってもやはり財源問題は出るわけですけれども、本当に選択性を売り物にするのであればゴールドプランを前倒しして実施して、これだけのサービスを提供しましたよ、本当にいいサービスを、皆さん選択してくださいという状況に持っていくのが政府の責任。選択性をおっしゃるのであれば、それはそうすべきであるし、それがないというのであれば、余り選択性があるというのは言われない方がいいと思う。だから、ここも少しトーンを下げられる、もしくは、選択性が本当に持てるのは一体いつから持てるのか、そこのところをはっきりとしていただきたいと思います。
  54. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 今、新ゴールドプランの達成ということにつきましてまずお話がございましたけれども、私ども、介護保険制度を導入します。その前提として、新ゴールドプランの十一年度末をめどにした達成ということは大変大事だというふうに思っております。それは、地方公共団体がつくった計画の集大成だから地方公共団体に責任があるよということを必ずしも申し上げているわけではなくて、これはやはり、国といわず地方公共団体といわず、挙げて取り組まなければならないことだと思います。  しかし、その目指すべきは何かということについて申し上げれば、まず、新ゴールドプランというものは、それぞれの地方公共団体がお立てをいただいた目標、そういうものに基づいてできている計画でございますから、そのことにつきまして国の財源の面、もちろん地方公共団体の財源の面もございますし、それから、先ほどほかの先生からのお尋ねもございましたように、現在まだ十分に進捗していない部分をどう重点的にやっていくかということにつきまして、この介護保険の制度の創設をにらんでさらに力を入れていかなければならないという意味合いで申し上げました。  さらに、介護保険制度導入後におきましても、介護保険の今御提案を申し上げております制度によって、最終的な、いわば全体的に満度のと申しますか、整備達成水準を、目標として達成するめどを一応二〇一〇年というようなことに置いてやってきておりますし、したがいまして、介護保険制度創設後におきましても介護保険事業計画という形でさらに整備を進めていくということで、その間に財源も確保しながら、あるいは在宅サービスを中心にした既存施策の拡充、あるいは民間活力の導入等、多様な方法を活用することによって達成していくということはやはり並行してやっていかなければ、おっしゃるようないわば選択性に実を与えるということについて、そういう形での努力が一方において大事であるということは、私ども、そのようなことで考えておるところでございます。
  55. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 前段が長かったのでもう一遍聞き直しますけれども、平成十二年の四月の時点で、局長として、その利用者すなわち要介護認定を受けた被保険者に対して、私の欲しいサービスがないと言われる状況、それはないというふうに言い切れるのか。あるいは、その後ずっとそのサービスをしていくがゆえにようやく選択性ができるというふうに言えるのか。だから、平成十二年の時点で、サービスに選択性がないじゃないかと言われたときに、ありますと言えるのか、そこはどうなんですか、責任持てますか。
  56. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 選択性という言葉にはいろいろな段階があろうと思います。そういう意味で、先ほど満度のと、余り使いなれない言葉を使いましたけれども、本当に理想的なといいますか、満度の状態が平成十二年度から直ちにできるかと言われれば、それはやはり、先ほど申し上げましたように、私どもの計画でも、標準的なサービスモデルというものの一応の達成水準ということは介護保険制度創設後の十年間で最終的にやっていこうという段階的なことも考えておりますし、それは必ずしもその時点、時点でのニーズというものに対応していないということではございません。  そもそも、介護保険ができることによってニーズがだんだん顕在化してくるということは現実問題としてございますから、そういうことも含めてサービスをしていますからそういう要素はございますけれども、それを差し引いても、それでは平成十二年度で本当に満度に充足できるという意味での選択性があるかということについては、それはやはりある程度段階を追いながらやっていくという要素は残ってくると思いますけれども、しかし、そのことをもって選択性がないというのもまたいかがかというふうに思います。むしろ、そういうものをつくることによってより選択性がきくような制度に持っていくという努力を並行してやっていくということが施策の努力の方向ではないかというふうに思います。
  57. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 私なりに今のを解釈すれば、平成十二年度の時点では満足いくサービスは十分に提供できていないだろうと思う、その後の、見直し規定で規定されている十年間の間にできるだけ選択性の保障できるような制度に持っていきたい、整備努力をしていきたいという多分意味合いだろうと私は理解をしました。  この法律の施行は十二年ですけれども、実際のところは、今その導入に向かってどんどん準備を進めておられるのだろう。介護保険事業計画を、言ってみれば新しい形の、ニュー・ニューゴールドプランというような形で各自治体がこれから計画を立てていかれる。計画を立てていかれる中で、それぞれの自治体の中で介護を必要とする人がどのぐらい出るだろうか、あるいはどのぐらいのサービスを提供しないといけないだろうかということをこっち側で計画として洗い直しをされるわけですね。こっち側で、いよいよ十二年から始まりますよということで、介護に対する潜在的なニーズを喚起してくるわけですね。当然のごとくに、供給しなければいけない水準というのは両方の側から上がってくるわけですね。こっちの方は高い水準を期待している、こっちの方はどうも実際に計算してみるとこれじゃ足りないのじゃないかということでどんどん上がってくるということになると、平成十二年のスタート時点は、実は今想定している新ゴールドプランの水準ではなくて、それよりも上のところから本当はスタートしないと、この選択性云々の部分にできるだけおこたえできる、選択できなくてもできるだけたくさんのサービスを供給できるという状況には至らないのですね。  四〇%の在宅の利用者ということを想定するというのは、逆に言えば四〇%の在宅の利用率しか保障できませんよと言っているのと同じであって、そこのところは、これからの三年間の間にどれだけ地方事業計画等をおつくりされる中でそこの水準を上げていかなければいけないということになるのか。早くもこれは、事業計画を取りまとめてみました、各自治体がつくったのを見てみましたという数字を出したときに、十七万人というヘルパーさんの数はぽんと上に上がるだろうし、施設介護数字もぽんと上に上がるかもしれない。そういうことを考えると、そこのところは、十二年度スタート時点の水準の見直しをやはり早くしないといけないのではないかというふうに思うのです。ゴールドプランのできるだけ前倒し実施ができるように努力をすべきではないかと思いますけれども、この点はどうですか。
  58. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 私ども、現在の段階でのいわば力の入れどころと申しますのは、現在の新ゴールドプランというもの、これにつきまして、達成がまだ途上にございますから、これをまず全国的にできるだけ格差のない形で達成していくということに施策の重点を置きたいと思います。  その後における、先生おっしゃった十二年度以降におけるいわば新しい基盤の体制というものにつきましては、これは当然、介護保険制度というものを織り込みまして、それはある部分については新しいニーズもありましょうし、あるいは、今まで私どもの施策の方向でいえば、施設よりは在宅を充実していくということによって、逆に施設のニーズというものがどのように変わってくるかというような要素も押さえなければなりません。  したがいまして、むしろ介護保険のスタートする十二年度から直ちに新しい事業計画が引き続き新ゴールドプランからやれますように、その間におきまして、私どもとしてもニーズを把握し、平成十二年度、十二年度一時点というよりは十二年度以降におけるそういう新しいニーズを把握した介護基盤整備の水準というものを新しい計画の中でやっていくということで目指してまいるということになろうかと思います。
  59. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 国民のためを思っても、やはりできるだけ早く介護保険事業計画に着手して、法施行後の話にはなっていますけれども、前倒しで早くそこのところをやっていって、これだけの基盤整備をしていかないといけないのだという実態を国民の方に知らせて、だからもう少し負担をしてくださいとかという、見直し規定そのものは施行後の見直しでしかありませんけれども、私は、平成十二年の施行前においてもどんどん見直していくぐらいの柔軟さがあった方が、多分、介護保険制度としてはうまくいくのではないかというふうに思うわけです。  今のお話を聞いていても、やはり私は、この選択性というものは今の時点では到底保障できない。だから、すべての人が十二年の四月からすべてのサービス利用できますよという形をおっしゃるのは私は無理があると思うから、ここのところの御説明の仕方ももう少しうまく工夫をされた方がいい。私は、申しわけありませんけれども、今の状況においてはこれはないと思います。だから、そこのところはきっちりとした制度の、余りいいこと、いいことをおっしゃらない方がいいですよという、私の半ば忠告めいたというか、失礼でございますけれども、そういうお話であります。  江利用さんは、権利性が強いから選択が働く、選択が働くから競争が生じる、競争が生じると効率化や質の向上につながってくると。これは確かにストーリーとしてはそのとおりなんですけれども、同じ社会保険である医療保険で、本当の意味で良質の医療とは言えない医療が今提供されている。残念ながら、こういうストーリーに医療の世界ではなっていない。サービスに対するチェックも働いていない。私は、介護保険医療保険と同じような道をたどっていくのではないだろうか、そういう心配をしているのですけれども、そういう心配は全く私の杞憂でしょうか。
  60. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険制度ができますと、保険給付九割ということでございますから、一割の自己負担で十割のサービスを買うことができる。そういう意味で、今まで介護需要を持っていた人たちが、そのニーズが市場に顕在化しなかったものが、一割の自己負担で買えるようになるという意味では顕在化する。民間事業者もまた、そういう購入力を持った人に対するサービスであれば安心して事業参入ができる。そういう意味で、今までの介護分野というのは比較的公的なセクターが中心でサービスをやっておりましたけれども、民間事業者の参入も期待できるのではないだろうか。  そういうことになりますと、公的セクターのほかに民間セクターが入っていく、そして、要介護認定を受けた人がケアプランの中で、同じホームヘルプサービスであってもどういう事業者のものを受けるかということになってくれば、そこに選択が働き、それが競争を生んだり効率化に資していったりというふうになるのだろう。  平成十二年段階で十分にそれが整っているかとなれば、これは介護保険で目指すべき保障サービスに向けて、すべてそうだというのではなくて、やはり段階的にいかざるを得ない部分があると思いますけれども、選択性は、バツではなくて、スタートにおいてもある程度の範囲ではあるのではないかと思うわけでございます。  医療保険でございますが、医療保険介護サービスに比べまして専門性が高い分野でございます。そういう意味で、医療保険につきましては、いわゆるサービス等を提供する側と受ける側とにおきまして、情報の非対称というのでしょうか、持っている情報の格差があるわけでございまして、単純にそのままでは市場機能は十分働き得ない部分があるわけでございます。それを補う意味では、例えば第三者による医療機関の評価とかさまざまな情報の提供とかをやっていかなくてはいけないのでしょうけれども、ここは今、そういう道を厚生省としても探しているというのでしょうか、段階的に取り組んでいるところでございます。  ただ、医療保険制度ができましたことによりまして、我が国の国民は諸外国に比べましても医療へのアクセスというのは十分保障されているのではないか、そしてまた、患者側の、受け手から見た医療機関の評判という形でいろいろな選択も行われているのではないかと思います。全体的に、諸外国等を見ますと、医療について、いろいろな議論があるにしても、我が国の医療は、国際的に比較しましても、比較的コストパフォーマンスというのでしょうか、それはよく機能しているのではないかというふうに思います。
  61. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 コストパフォーマンスとして諸外国に比べて日本医療はうまく機能しているというお話に多分なる、それは数字の上では確かにそうなのかもしれないけれども。だから、介護保険の話は医療保険と同じように議論をしないと、介護保険を先に採決して医療保険の話を次に考えるというのではなくて、介護保険医療保険、実は一緒に考えないとこの話はいけないのじゃないかと私は思っているのですね。  これまでの答弁を読み返していて、今のところで保険を導入した方が効率はいいのだ、質の向上が見込めるのだ、保険を導入しないとその質の向上がないのだとか効率がよくならないのだというふうにも実は聞こえてしまって、これは私がひねくれているのかもしれませんけれども。  これまでの答弁を見直しても、十九日の能勢先生の質問に対して大臣が、今回の介護保険制度を導入することによって、どのようなサービスが必要かは窓口一カ所に行けばわかる、総合的サービスを受けるという点で格段に進歩するとおっしゃっておられる。これは保険を導入しなければこうならないのかというふうに私は首をかしげます。  「今回の介護保険は、言ってみれば、利用者にとって従来非常に使いづらかった制度を、こういう形で利用負担の面あるいは利用手続等の面で再編成をして使いやすい制度にしたというところが一つの大きなメリット」ですと羽毛田局長が鴨下先生の御質問に対して答えておられる。こういうものは、介護保険という、保険という新しい制度を導入しなくても、今の制度そのものを見直していかなければいけないことは当然であって、これは介護保険を導入するメリットというだけのものでは多分ないだろうというふうにも思います。ここは言いっ放しにさせていただきます。  介護保険について、きょうは午前と午後に分かれますのであれですが、私はやはり、メリットを強調し過ぎてはいけません。保険、保険、あるいは介護保険が導入できればこれですべてが解決するというようなバラ色の夢を与えるのはやめた方がいい。そのために、このまま制度を発足させると、国民の間に、介護保険、さらには社会保険全体あるいは政治そのものへの不信感が生まれるだけだ。取られたけれどもサービスがないという状況、あるいは一部の人にはあるのかもしれない、しかし、それは本当にいいサービスになるのか、将来、普遍性があるのか、権利性はあるのか、選択性はあるのか、そこはやはりもう一遍考えた方がいいと思うのですね。  私は、別にこれは税方式を導入するがためにそういうことを言っているわけではなくて、これまでのいろいろな議論を読み返してみても、九六年の七月、去年ですか、与党が地方公聴会を精力的におやりになっておられる。横浜で高秀横浜市長がお出になったと思います。市長がこんなふうにおっしゃっていました。福祉医療サービスの一体化、選択に基づく利用者本位の制度などは、必ずしも社会保険を前提としなくても、法改正で今の制度でもやっていけるし、やっていくべきだと思う、国が介護保険制度導入のメリットとして掲げているものは必ずしも保険制度でなければならないとは思わないというふうに、去年七月の横浜の公聴会で横浜市長がそうおっしゃっておられました。  今度の介護保険導入に当たって各自治体にいろいろアンケートをさせていただいております。その中で、公費負担方式、税負担方式、どっちがいいですかという御質問をすれば――今の時点で、すなわち、社会保険の制度での法律が提出されて、しかも、法案がここでこれだけ審議されているという状況の中でお聞きしている。その状況の中でお聞きして、社会保険方式、今のままでいいとおっしゃるところが五〇%そこそこ、公費で対応した方がいいというところが四割、全国の自治体の四割はいまだにこの制度に対しておかしいと思っているわけなんですね。  自由記述でいろいろお聞きしますと、要はやはり消費税なんですよ。「消費税の一部を特定財源とする方が良い。また、自己負担があるとサービスを受ける人がずっと減るのではないか。自己負担なしを検討すべき。」という意見もあります。「普通税方式の方が多数の国民の感情を平穏なものに維持できるだろう。弱き高齢者等を確実に手当するシステムをどのように構築するかの検討、論議に時間をそそぐべきだった。五%消費税の一定割合を「福祉税」と位置づけるべきだった。」と言っておられる方もある。「消費税の導入目的は当初から福祉高齢者社会)対策の為だったので、税の一部でなく税そのものを福祉にあてるべきだ」というふうにアンケートに対して自由記述でおっしゃっておられるのですね。  やはりここ、議論は私は少ないと思う。余りにも、この制度を導入するために財源論として社会保険制度というのを持ってこられて、そこを強調されるがために、おかしな制度になっているのではないでしょうかというふうに思うわけです。介護保険、保険とおっしゃるのではなくて、本当は高齢者介護制度というふうにおっしゃった方がよかったのではないか、あるいはそうすべきではないか、老人保健の拠出金制度との一体化を考えて、高齢者医療福祉を統合して保障するような制度に組みかえていくという形をとった方がいいのではないかというふうに私は思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  62. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今までのお話を聞いて、大体わかりました。完全なものを求めていらっしゃるね、完全なものを。しかし、私は完全なものはないと思います。  消費税を福祉に使えといったって、四月から五%に上がります。全部福祉に使ったって、それ以上の福祉関係の費用を使っています。しかし、何とか介護の問題についても公費で負担するような公的な介護保険制度を導入せよという声があったればこそ、今回の介護保険制度、法案提出にこぎつけたと思うのであります。  今の世の中、十人が十人賛成するものはありません。そういう中で、それでは完全じゃないからやめようか、私はそれはもう無理だと思います。それでは税負担でやれ。どこを増税するのですか。私はできないと思います。医療保険だって年金だって、完全だと言う人はいないですよ。何らかの不満がある、弱点がある。私は、完全を求めて何もやらないよりは、若干不備な点もあるだろう、実施するにおいて、少しでもいい点がある、そこで改善を促そうという方をとりたい、そう思います。
  63. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 だから、とにかく制度を導入して、その後で検討して直していけばいいじゃないかというこの間からの御主張は、あるいは厚生省の担当者の方たちが介護保険というものを出したからここまで議論が深まったのでしょう、だから皆さんこれを中心に議論してくださいよとおっしゃることは私はわかるのです。だから、国民的な課題としての介護の問題をどういうふうに解決していかなければいけないかということは大切だから、その方法の一つとして出されておるということは私は理解しているのですよ。  しかしながら、日本の将来の社会保障構造がどうなるのかというその将来像を当然念頭に置きながらこの制度というものは組み立てがされているべきであって、そのところ、先、先に行って、その場面、場面で変えていくのだということではあんまりじゃありませんか。余りうそを言うというわけではありませんけれども、きっちりとしたことを御説明なさった方がいいのじゃないか。  三月九日の全国の新聞に、消費税に対してのPRの政府広報が載りました。一億二千万円かけて全国の七十五紙にこの同じ広告が載ったのだそうであります。「活力ある福祉社会へのプラスです。」と書いてある。「3+1+1」、「1」は「未来へプラス1(ワン) これからの高齢化社会に備えて」と書いてある。大蔵省にお聞きしましたら、二兆一千三百九十億円がこの一%に当たるのだそうです。それで、ここのところ、「四月一日~ 消費税率五%」「高齢化社会をしっかりと支えるために」という説明がわざわざついている。その中に、「高齢者介護等の一層の充実を図るほか、」という、高齢者介護等の一層の充実をこの一%で図っていきますよと書いてある。  でも、この一%、実はこの説明は、これまでの減税の部分を穴埋めするというか、先にあなたたちはいいところを食ったのでしょう、だからこれはそれで埋めていくのですよとおっしゃっているわけでしょう。本当はそうお書きになればいいのに、これからの「活力ある福祉社会へのプラスです。」と書いて、「高齢化社会をしっかりと支えるために」「高齢者介護等の一層の充実を図る」ためにとお書きになって、一体ここに幾ら当たっているのですか、国費で一体ここの部分に当たっているのは幾らなんですか。
  64. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それは、税に色はついていないから難しいと思いますよ。所得税だろうが法人税だろうが、あるいは消費税だろうが、この税金はここに使うというよりも、全体の税収の中で――それじゃどれだけ社会保障関係に使われているかというと、十四兆円を超えている。消費税五%を全部充てたって十兆円は来ない。言うならば、丸々五%を全部社会保障関係に充てていますということも言えないこともない。そうでしょう。だから、そういう議論は余り建設的じゃないのじゃないかなと私は思います。
  65. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 今回の税制改正において、少子・高齢社会に備えるための福祉施策として、九年度以降四千億円、国費二千億円の財源を確保しました、さらに、税制改革時の与党合意において、七、八年度においてもそれぞれ一千億円、二千億円、国費で五百億円、一千億円、すなわち、これまで三千五百億円の費用をこの少子・高齢社会に備えるための福祉費用としましたよと。  お金に色はついておりません、活力ある福祉社会というものが高齢化社会のためであるというならば、それは何に使っても、道をつくろうが下水道を引こうが、それは何だってここにあるところの「高齢化社会をしっかりと支えるために」ということになるのでしょう。なるのだろうけれども、そこはきっちりとした説明をされた方が、このコマーシャルというか、これは厚生省がおつくりになったわけではなくて、政府広報ですから政府広報の担当者の方の問題ですけれども、こういう形でおっしゃると、制度の中身も、これから将来の社会像もどんどんわからなくなるのではないかということを午前中最後に御指摘を申し上げて、午後に質疑を引き続きさせていただきたいと思います。
  66. 町村信孝

    町村委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十分休憩      ――――◇―――――     午後二時一分開議
  67. 町村信孝

    町村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山本孝史君。
  68. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 午前中の質問で、いろいろお話をお伺いしました。  完全な制度はないと思います。制度スタート時は多少不完全な部分があるということは、私もそういうものだろうと思いますけれども、申し上げておりますように、日本の将来の社会保障制度の姿というものを念頭に置きながら新しい制度というのは当然つくられるべきであろうと思うし、そこを少し、整合性といいますか、考え合わせながらぜひ御提案をいただきたかった。今、私たちのやっております調査の中でも、地方自治体の四割の方たちが社会保険制度で行われる今度の公的介護保険制度というものに対して疑念を呈しておられるというあたりは、やはり真摯に受けとめていかないといけないのではないか、これは大変大きな数字であるということを申し上げているわけであります。  公的介護制度を創設して良質の介護サービスを量的にも十分に供給する体制というのは、今、国民が一番望んでおりますし、これはつくらなければいけない、そう思っていますが、私、絶対この一点だけは譲るわけにはいかないという点があります。  それは、制度の施行後に、老健施設あるいは療養型病床群介護力強化型病院、これらの医療法の領域で扱われてきた領域、それをそのままにしながら今度の介護保険の対象にするということになっています。そうであるならば、療養型病床群あるいは介護力強化型病院の設備基準、設置基準を、この際、絶対上げるべきであるというふうに思うわけです。したがって、施行法第十条に書いてあります介護力強化型病院に関する経過措置、これはぜひ外していただきたい、そして、設置基準をぜひ上げていただきたいと思います。そうしないと、社会的入院の本質的な解決にはなりません。狭い居室に要介護者を閉じ込めておくということは、介護保険理念に全く合いません。  念のために申し上げれば、特養の患者一人当たりの居室面積は十・六五平米以上ということになっておりますが、介護力強化型病院は四・三平米以上で、半分以下でありますね。これをそのままで持ってくるということは、繰り返しになりますけれども、狭い居室に要介護者を閉じ込めておく、社会的入院をそのままにしておくということは、これは介護保険理念に全く合いません。この点はどうなんでしょうか。
  69. 江利川毅

    江利川政府委員 療養型病床群基準までいっていない介護力強化病院、これを経過措置で三年間、介護保険の対象とするということになっているわけでございますが、この介護力強化病院は、先生御案内のとおりでございますけれども、療養型病床群と同じ職員の配置基準を持っておる、そして、いわゆる老人の慢性疾患患者が入院治療をする、この介護保険法が対象とする要介護者が多く入院している施設でございます。  そういうことで、いわゆる介護サービスができる施設でございますのでこの施設の活用を考えるわけでありますが、しかし、おっしゃいますように、余りにも狭い基準では好ましくないということで、そうするとハードの部分を変えなければいけない、そうなりますので、いわゆる転換には一定の期間を要することから、期限を切って、三年以内ということで療養型病床群と同じような水準に転換してもらう、それできちんと介護サービスをしてもらえるような施設に変わってもらう、そういうことで経過措置を設けているものでございます。
  70. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 介護サービスをするのだとおっしゃっているけれども、老人病院あるいは介護力強化型病院に必要な施設病院に必要な施設であって、介護サービスをするための施設は持っていないわけですね。療養型病床群になって、ようやく食堂だとか談話室だとかというものが出てくる。転換型の療養型病床群でもそういうものは設置基準には入れていないわけです。  申し上げているのは、経過措置として介護力強化型病院を入れるのではなくて、転換されてから、もう少し基準が上がってから対象にすべきではありませんか。あるいは、療養型病床群の設置基準も、この際、介護保険の対象とするのであれば、老健施設が一人当たり八・〇平米以上、特養が十・六五平米以上という基準を持っているわけですから、少なくともそこの基準に上げてから療養型病床群を対象にすべきではありませんか。  午前中の質疑の中で、自民党の議員さんが、社会的な規制が厳しいので療養型病床群もなかなか厳しいのだというようなことをおっしゃいましたけれども、療養型病床群の中で社会的入院を温存していくということは、繰り返しますけれども、介護保険理念に合いません。だから、ここの部分は、もっと設備基準を上げるか、設置基準を上げるか、もしくは、経過措置の中でそのまま介護力強化型病院をやるということはやめていただきたい。そういうふうに思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  71. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今お話のございました療養型病床群につきましては、病室面積について一般の病院より広げる、また、機能訓練室あるいは談話室等を設けるというようなことで、長期療養を必要とする方々生活面に配慮した構造設備あるいはまた人員配置となっております。そういう意味で、介護保険給付対象施設として私どもとしては適当であるというふうに考えておりまして、現行の療養型病床群施設基準ということでやっていきたい、このように考えております。
  72. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 いろいろな意見があるなと思っていますが、それはよりよき基準というのは望ましいのですが、施行の段階で、待機者が出た場合、少しぐらい基準が悪くても入りたいという人は出てくると思いますね。そういう場合、移行期として、私は、ある程度望ましい基準よりも落ちるかもしれないけれども、そちらの施設でカバーするという点も必要ではないかなと思います。
  73. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 結局、この法案の審議を通じてもう一つみんなの頭をクリアにしなければいけないのは、介護医療というものをどういうふうに組み合わせていくのですかというところを、単に、こっち側で従来医療保険の対象にしていたものをこっち側の介護保険の組み合わせのところに持ってきて、右のポケットから出していたものを左のポケットから出すことでという形ではなくて、社会的な介護というものを国が公的責任でもってやっていきますよというのであれば、個々の医療水準というか、こちら側で行っている社会的入院というのをそのまま介護保険の枠の中に持ってくるのではなくて、せめてその施設内容というのも上げていかなければいけないのではないか、実は上げていく方向に持っていくべきだというふうに思うわけです。  確かに、施設として、困っておられる方があるのだから、そういうところでしばらくは受けなければいけないのだというお話はそうかもしれないけれども、せめて制度のスタート時点においては、私が余り完全を求め過ぎているのかもしれない、あるいは理念を言い過ぎているのかもしれないけれども、せめてそういう理念をきっちり掲げた上でやっていくということでないといけないのではないのですか。どうですか、大臣
  74. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 何事も、最初は質より量だと思うのですね、何でも。量がある程度充足してくると質を求める。今の時点において介護施設が足りないという面から考えると、それは質を求めるのもいいですけれども、ある程度量が充足してから質を向上させていくという段階も必要ではないかなと思います。
  75. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 きのうは質問取りでいろいろお話ししているので、聞いておられればもういいと思いますけれども、そうすれば、養護老人ホームは給付の対象にならないのですね。従来から措置制度の中でやってきています特別養護老人ホームは今度対象になりますけれども、養護老人ホームは介護保険の対象にならないのです。有料老人ホームは介護保険の対象になるのです。何で養護老人ホームはこの介護保険の対象にしないのですか。
  76. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 今お話しの、有料老人ホームと養護老人ホームの違いということでございますけれども……(山本(孝)委員「違いとは言っていない」と呼ぶ)養護老人ホームだけでよろしいですか。  養護老人ホームでございますけれども、御案内のとおり、養護老人ホームの対象というのは、本来、要介護ということではなくて、身体上、精神上あるいは環境上の理由と、あわせまして経済的な理由で住むところが得がたい、居宅での生活がしがたいということでお入りになっている施設でございます。  したがいまして、そういう意味からいえば、むしろ、そういう経済的な理由というようなことのかぶさった方に対して住宅、つまり住むところをどう確保していくかというところに主眼がございますので、そういった意味での施設としていえば、経済的な理由によるということで措置の世界に残しまして、今の介護保険の体系には入れないという仕切りを一応いたしました。  しかし、養護老人ホームといいながら、やはり介護を要する方が入っておられるという実態がございますから、そこはただ建前だけでは確かにぐあいが悪いということで、実態上そういう養護老人ホームが介護型のいわば特別養護老人ホーム化している、そういうことにつきましては、転換という形で基本的に対応していく。その際に、全部が転換しがたい場合には、併設あるいは小型のものを認めていくというような形で柔軟に、そういう実態に合わせた対応をしていくという形でこの問題に対処していこうということにいたしたわけでございます。
  77. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 今御説明にありましたように、養護老人ホームの中にも要介護あるいは要支援の高齢者がおられる、しかし、そこのところは措置制度でそのまま残してやっていくのだ。  今回の公的介護保険制度を導入されるに当たって、何遍も申し上げますけれども、皆さんは、措置制度というのは悪いのだ、措置制度を変えていくのだとおっしゃりながら、同じように処遇されている高齢者がおられる養護老人ホームは介護保険の対象にしないでそのまま措置制度で残していくというところがやはり私は理解ができないのですけれども、大臣、おかしいと思いませんか。
  78. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 今回、特別養護老人ホームを初めとする要介護老人に対しまする諸サービスを、措置の体系からいわば契約の体系、保険の体系に移したということにつきましては、要介護ということがいわば普遍化して、例外的に非常に経済的に困っている方に対する措置をするというような、そういう限定されたサービスというよりは、先ほど来、普遍化の御議論がございますけれども、だれしものいわばリスクという形になってきたということの背景の中で実は今回の提案を申し上げているわけでございます。  したがって、過去において特別養護老人ホームが措置をずっとやってきたこと、それはそれなりに、歴史的にはそういう意義があったと思います。そういう意味合いにおきまして、養護老人ホームは、今、その施設の性格、施設にお入りをいただく、まさにそういう施設サービスをすること自体が、経済的にそういうことができない人という形で、居宅での生活が困難な人というのが大きな要件としてぴしっとかぶった施設でございますから、そういう意味合いにおきましては、特別養護老人ホームとは趣を異にするということでこのようにしているわけでございます。
  79. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 私は、今の説明もやはり聞いてわかりません。であれば、養護老人ホームの中におられる要介護老人あるいは介護保険の対象になるようなお年寄りはどうすればいいのですか。
  80. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 今申し上げましたように、基本的には、そういう要介護状態の老人の方々については、今度の特別養護老人ホーム、老人保健の体系による施設にお入りをいただくということで対応ができますし、それから、先ほど申し上げましたように、施設がそういうふうに要介護老人のための施設化しているところにつきましては、転換という形で施設そのものを転換をしていく、それも併設のような形でやっていくというような対応によって基本的にはできると思いますし、それから、そうは申しましても、養護老人ホームに経済的な理由で入られた方についても、体が弱いというようなことで手のかかるというようなことにつきましては、養護老人ホームの体系の中でもそれなりの加算等の対応を現在もいたしておるところでございます。
  81. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 時間があったらもう一遍ゆっくりやりたいと思います。  私は、今回の介護保険制度が導入されることによって、午前中も言いましたけれども、医療福祉分野になだれ込んでくるというふうに思います。私は、基本的には、高齢者介護というものは福祉というものが中心になって担っていくべきだと思っているのですね。  競争の原理をこの福祉施設問に持ち込んできて質を向上させるとおっしゃっておられますけれども、資金力の豊富な医療というものが老健施設療養型病床群という形で今回どんどん入ってきますと、そこにいわば医療福祉の間の競争が始まる。片一方にはかなりの財政力があるわけですね。そういう意味でいくと、アメニティーだとかサービス水準というところで、医療がバックについている介護保険対象施設の方が多分いいサービスが提供されるということになって、福祉部分がかなり苦しい立場に追いやられていくのじゃないか。なかなか理解していただけないかと思いますけれども、私、いわば旅館というものがホテルに駆逐されたと同じような状況がこの高齢者介護施設の中において起こるのじゃないかという心配をしているのです。  本当は、被保険者側がサービスを選択できる、選び取れるはずなんだけれども、今、サービス供給側による要介護老人、要介護者の選別が静かに進んでいることは事実。参議院の地方行政委員会で青柳老人福祉計画課長さんが、質問に対して、「処遇が困難なケースほどどちらかといえば避けたいという施設側の意向が微妙に影響」する場合があるというふうに御答弁されていますけれども、実際、施設というのはそうなんですね。全部が要介護老人になってしまったのじゃ困る、軽度の人もいなければいけないというふうに思うわけです。老健施設においても、軽度な人ほど実はもうかるのです。  そういう意味において、必ずサービス供給側による要介護者の選別というものがこれからもさらに進むのじゃないか、ある意味において、医療が供給する介護サービスというものの方が医療側の思いによってどんどん広まっていくのじゃないだろうか、そういうふうな思いをしているのですけれども、そんなことはないですね。サービス供給側による逆選択はないというふうに理解していいですね。
  82. 江利川毅

    江利川政府委員 医療福祉というのがいかにも対立概念のようなお話をされますが、医療というものはいろいろなサービスの中身の総称でありますし、福祉というのは、ここで言っている福祉という意味は、いわゆる昔からの福祉施策というふうな意味でおっしゃっているのではないかと思うのですが、この介護保険制度になりましたときは、そういう従来の医療であるとか福祉であるという仕分けではなくて、ホームヘルプサービスとか訪問看護とか、そういう具体的な個々のサービスの中身、そういうさまざまなサービスをこの保険給付の対象にしていくということであって、何か医療福祉の戦争みたいなのが介護の場で行われるというのではないのだと思うのです。  そして、このサービスの選択は、どういうサービスを受けるかというのは御本人が選択していくわけでありますが、その選択に当たって、御本人だけの判断では難しいときは介護支援専門員がアドバイスをして、そして最終的には本人が、本人の希望を入れて選択していくということですから、いわゆる供給側からの争いというのじゃなくて、受ける側が自分に適したサービスを選択していきますので、そういう意味で、医療福祉を駆逐するみたいな、そういうふうなことは起こらないものというふうに考えております。
  83. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 江利用さんも現場をよく御存じの上でそうおっしゃっている。私も、いろいろな老健施設だとか病院だとか老人福祉施設を回ると、こんなにサービスの水準に違いがあるのかなと。やはり財政力のあるところで、これは大臣なりに言えば、いいサービスが受けられるのだったらいいじゃないかとおっしゃる。確かにそうだと思うのですね。やはりこっちの施設に行きたい、僻地に設置された特養に行くよりは、自分の身近なところにある老健施設に入りたいなと思うのですよ。思うときに、それじゃ今まで一生懸命に福祉を担ってきていただいた方たちのサービス水準というのはどうなるのだというあたりがやはり不安ですし、実のところ、こう言うと、おまえは医療に対して偏見を持ち過ぎているといって怒られるかもしれないけれども、医療の経営者の経営マインドというのはなるほどすばらしいものでありまして、私はそれをそのまま認めるわけにはいかないというふうに申し上げているわけであります。  質問時間が終わりになりますので、若干の私なりの御要望というか、ぜひ検討していただきたいと思っているのですけれども、私の福祉マインドからいきますと、要介護認定なりケアプランの作成というのはぜひ医療側ではなくて福祉側が中心になって担っていただきたい。生活を一番見ている福祉が中心になるべきであるというふうに思っています。  サービスの質の評価をぜひ第三者機関で行う仕組みをつくっていただきたい。お年寄り、高齢者の場合はその特性からして社会的な経験とか知識がやはり乏しい部分がありますので、その方たちの側に立ってくれる人とか機関というのをぜひつくっていただきたい。  選択の前提となるサービスに関する正しい情報をしっかりと提供する仕組みをつくっていただきたい。正しい情報がないと選択というものもあり得ないのじゃないかと思います。  養護老人ホームも対象にされたらいいのじゃないかと思います。  この間来、石毛さんがおっしゃっている、配食サービスというか食事というものをもっと重要視して、給食サービス、配食サービスもぜひ給付対象の中に入れるべきである。私は、衣食住という中において住も今度は見ていくわけですから、ぜひ食という部分も重要視していただきたいと思います。  我々、実態調査をさせていただいて、現場の担当者の率直な御意見を寄せていただきました。介護保険現場に立つであろう地方自治体の職員の皆さんは、国民は九五%はこの制度の内容理解しておりませんと。今の時点ですから、これから三年間、一生懸命理解させるように努力するのだとおっしゃるのでしょうけれども、今の時点ですらほとんどの国民理解していないという部分はやはり問題があるなと思っています。  それで、医療法改正についても、きょう午前中、何人かの方が急に医療法に関しての質問をされ始めましたけれども、インフォームド・コンセントの問題であるとか地域医療支援病院の問題であるとかというのは医療の供給というものに対して大きな変化を及ぼしますので、ぜひこの部分の審議も十分にやらせていただくお時間を委員長にも御配慮いただきたいということを最後にお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  84. 町村信孝

    町村委員長 大口善徳君。
  85. 大口善徳

    ○大口委員 新進党の大口でございます。  きょうは、この介護保険法、まだまだ審議が不十分であると思いますし、地方公聴会に行きまして、地方現場の声というものは相当いろいろとこれに対してはあるということを体験いたしました。そういう点でもっともっと現場の声を聞いていかなければいけないなと痛感しております。  今回、三月十八日に、財政構造改革会議におきまして財政構造改革五原則というものが出されたわけでございます。その中で、さきの委員お話がありましたように、一定収入所得を持っている人について給付を受けられない可能性もあるということを大臣も示唆されております。  そういう中で、今、医療保険制度改革法案あるいは児童福祉法の改正法案、また介護保険法案におきましても、応能主義から応益主義という方向に流れているのじゃないか。これの一番の問題は、低所得者方々負担が大きくなって、そして中高が軽くなる、こういう現象があるわけでございます。  例えば特別養護老人ホームにつきまして見ましても、新潟県の地方公聴会で石田さんという新潟県老人福祉施設協議会の副会長さんは、一万円以下が五二・九%、二万円から三万円が二一・四%、七四・三%の人が三万円以下の負担であると。ところが、今度は、平均四・七万円というような形で特別養護老人ホーム利用料が上がるわけですね。こういうことを一つとってみましても応益主義についての低所得者に対するしわ寄せ、こういうことにつきまして大臣にお考えを聞きたいと思います。
  86. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 制度が変わりますと、高額所得者のみならず低額所得者についても、負担がふえる場合があると思います。それは、社会保障全体のこれからの見直しの中で、給付だけでなく税の面でも言えると思います。その点、税の把握度の問題もあります。  私は、給付だけ、税だけということじゃなくて、これからは税負担の面も考えながら、年金医療介護、全体的な見直しの中でその議論は当然出てくるし、検討していかなければならない問題ではないかなと思っています。
  87. 大口善徳

    ○大口委員 また、この財政構造改革五原則の中で、社会保障制度との関係といいますか、これが議論になっておりますが、聖域なし、こういうことであるわけです。  そういう中で、これは前の委員との関連もあってお伺いするわけでございますけれども、羽毛田局長も、今回の介護法についての整備について四〇%である、それを平成十二年から十年かけて八〇%ぐらいにしていきたい、こういうふうにおっしゃっておられるわけでございます。その場合に、これはこの法案の百十六条で国が基本方針を出して、そして百十七条、百十八条で市町村介護保険事業計画あるいは都道府県の介護保険事業計画、そういう中で五年ごとに整備をしていこう、こういう計画をつくるわけでございます。  この国の基本方針と都道府県、市町村事業計画、こういうことと、財政構造改革五原則の四項の「歳出を伴う新たな長期計画は作成しない。」こういうことの関係についてお伺いしたいと思います。
  88. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 今回の介護保険お願いをしております法案の中には、新ゴールドプランに引き続きまして、各地方自治体におきまして介護基盤整備のために介護保険事業計画をつくっていただいて必要な整備をしていくという方針が法律自体として入れてあります。  今回の構造改革会議の基本方針なり「考え方」という中におきましても、こういった介護保険そのものにつきましては今回ぜひ成立をお願いするということは明記してありますように、介護保険をつくることによりまして、もちろんこれからの高齢社会におきまして介護需要というのは出てまいりますから、それをいかに財政的な面からいっても効率的に対応していくかという視点は既にこの介護保険法案の中に入っておりますので、そういう意味において、むしろ、介護保険は今回通していただくのだということが明記してありますので、そういう意味におきまして、介護保険事業計画というものは今回の「基本的考え方」におきましても事業計画そのものがっくれなくなるというようなことではないというふうに思っておりますし、私どもとしても、そういった介護保険をつくるに当たりまして、保険と同時にそういったサービス基盤整備というのは大変大事なことでございますから、引き続きやっていくという姿勢でやってまいらなければならないと思っております。  ただ、今申し上げましたように介護保険自体がそういう意味でのいわば全体の合理的、効率的な社会保障あり方を追求する一環にもなっておりますけれども、さらに、今回の財政構造改革会議の基本方針等を受けまして、私どもとしても、今まで以上に、さらにそういった意味での効率的にやれる要素はないかという点については、新ゴールドプランあるいは今度の介護保険事業計画を通じまして、そういった点でのさらなる検討というものは当然必要となってくると思いますので、そういった意味での幅広い検討は引き続きやりたいというふうに思っております。
  89. 大口善徳

    ○大口委員 我々としましては、本当に果たしてこのサービス水準が充足できるのかということで非常に心配しておるわけで、そういう点で、新ゴールドプランに加えてスーパーゴールドプランも策定すべきだ、こういうことであるわけでございます。今の局長の話ですと、この介護法案の中に組み込まれた事業計画については、この第四項の「歳出を伴う新たな長期計画は作成しない。」これに当たらないということであります。そのことについて、大臣にもう一度確認をさせていただきます。
  90. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 介護保険制度導入に際して、今までのゴールドプランの計画を着実に推進していかなきゃならない。そして、この財政構造改革にしても、介護保険法案医療保険制度改革法案、これの成立を前提にして五原則をどう生かしていくかという視点でとらえておりますので、そのような手順で、私も、どういう切り込み方があるか、省内で最大限検討して努力をしていきたいと思っております。
  91. 大口善徳

    ○大口委員 次に、今回の要介護認定の規定を見させていただきましたが、この要介護認定に関する規定は、省令に委任されていることが多くて、具体的にどうなんだということは非常にわかりにくい条文なんですね。ほとんどあとは、法案をつくってその仕組みについては省令で厚生省がつくってしまえばいいというような、そういう姿勢がここにはあるのじゃないか、あるいは、むしろ実態というものは余り把握されていないので、そのためにきちっとしたものが出せない、ですから省令に委任しているのじゃないか、こういう感じがいたします。  今回、介護認定基準につきましては、大綱におきまして「公平かつ客観的な基準」、こういうことになっておるわけであります。そこで、厚生省の資料等を見させていただきまして、例えば要介護分類ごとの高齢者の状態像、こういうものを見させていただいておりますが、非常にあいまいな点がある。  これは岡山の公聴会で常久さんという方もおっしゃっておりますが、例えば、この項目の中に、高齢者の状態像という中に、寝返りを打つか否かということで分けているわけですけれども、移動といいますか、そういう要素がここにない。  あるいは、私もこの要介護度ⅠからⅥというものを見させていただきましたが、その対応の金額がありまして、例えば、その中の要介護度Ⅳが二十一万から二十七万円、こうなっているわけであります。これは在宅サービスの単価です。それがⅥの場合は二十三万から二十九万円ということで、重度の要介護度Ⅳで二十一から二十七、Ⅵで二十三から二十九、そうしますと、ⅣとⅥが金額によって重なるのですね。  あるいは、これは札幌公聴会で市村さんという看護協会の研修運営係長さんもおっしゃっておりましたが、この六段階に分けているわけですけれども、これにケースを適用していくのは非常に難しいということもおっしゃっています。  実際、これを見ましても、例えば「概ね」とか「なんとか」とか「一部」とか、非常にあいまいな用語が使ってある。私も驚いたわけですね。こういう制度において、「概ね」とか「なんとか」とかいうあいまいなのがあるわけですけれども、これでもって本当に「公平かつ客観的な基準」と言えるのかな、こう思ったりしておるわけでございます。そういう点で、この六ランクについてはいろいろと問題がある。  また、痴呆と障害だけのと一緒くたになっておりますけれども、痴呆は痴呆でもって一つ分類を考えるべきじゃないか、こういう議論もございます。  こういうことにつきまして、この要介護認定区分の六ランク、これを七ランク、八ランクにしていくということも厚生省は考えているのか。使いやすいランク分けということからいきますと、むしろ、いかなるサービスを提供するのかという視点で区分けをした方がいいのではないか、こういう意見もございます。この点について御意見をいただきたいと思います。
  92. 江利川毅

    江利川政府委員 要介護認定に当たりまして、どういう区分で要介護者を分けていくかということでありますが、これは、私どもとしては、サービスの提供量というのでしょうか、それが大体同じようなランクになるような人とどうグルーピングできるか、そういう考え方で考えているわけでございます。  要介護の区分の六段階という考え方、その一つのモデルとすると、要介護認定をするための調査項目というのがありますが、そういうものをもとに現在六十カ所でモデル事業をやっております。二十日までに国に返事をしてもらうということでお願いしているものでございますが、十九日の段階で三県から報告がありました。まだ少し県議会等がありましておくれるというような報告が来ておりますが、その調査結果の中で、例えばこういう判定がしやすいとかしにくいとか、このⅣランクとⅤランクが分けやすいとか分けにくいとか、今のグルーピングとそれを判断するアセスメントの指標、そういうものが使いやすいかどうか、こういうことを今モデル事業で検証しておりますので、この結果を踏まえて評価をして、改善が必要なところは改善をしてまいる、そういうふうにしてまいりたいと思っております。
  93. 大口善徳

    ○大口委員 調査項目ということがそういう点では非常に大事になってくるわけであります。  ただ、この調査項目につきましても、札幌の公聴会でいろいろ御意見がございました。札幌市の医師会の理事であります赤倉さんは、痴呆の判定はマークシート方式では対応不可能である、痴呆を同一のアセスメント票で判定することは困難である、こういうことをおっしゃっております。それから、これは七十一項目であるわけですけれども、調査項目が余り整理されていない、むしろMDSは三百五十項目である。あるいは、北海道看護協会研修運営係長の市村さんも、七十一項目では少ないと思う、MDSは三百五十項目ある、厚生省は七十一項目に絞り込んでいるけれども、これは調査項目が余り整理されていない、こういうことをおっしゃっているわけであります。  そういう点で、これは悩ましいことがあるのです。調査項目を多くしますと、それだけ時間がかかる。しかしながら、何のために調査をするのかといいますと、要介護者あるいはそのおそれのある人について的確にその状況を把握するということであるわけですから、この調査項目につきましても要検討事項である、こう思うわけですが、いかがでしょうか。
  94. 江利川毅

    江利川政府委員 七十一の調査項目でございますが、これは前年度の研究で介護の種類というものを細かく三百ぐらいに分けて、その三百ぐらいに分けた介護の種類と介護を受けている人の状態との関連というものを分析してきまして、そういう中で、このぐらいの介護の量である、そういう介護の量ごとのグルービングをしていくのを判断する上で、三百全部というのではなくて、その判断に影響を与える項目を精査していく、そういうプロセスを経て七十一項目というふうになったわけでございます。  そういう意味では、この項目はそれなりにいわゆる専門家の研究、分析を経てつくられたものでありますが、現実に当てはめてみますと、公聴会でも先生お話しのようなお話がありましたし、恐らく、これから上がってくる報告でもいろいろな意見が出てくると思います。そういう意見を踏まえて、できる改善は対応してまいりたいというふうに思っております。
  95. 大口善徳

    ○大口委員 今回の要介護度の認定といいますのは、心身の状況のみを参考にする。ですから、心身の状況が同じであれば、家族の介護力あるいは所得格差とかそういうものは全く考慮されない。とにかく心身の状況によって要介護度がⅠからⅥまでになる、こういうことであります。  そうしますと、これは、実際にそういう格差があった場合、低所得者あるいは家族介護力に乏しい人とそうでない人とが同等に扱われることになるのですね。そうした場合に、今までは低所得者あるいは家族介護力の乏しい人がある意味ではその実態あるいは実質的公平ということからサービスを受けていたものが、今度はそれが心身の状況ということで、新たなサービスを受ける方々が入ってくることによって、そのサービスが十分に行き渡っていれば別ですが、要求すれば必ず希望どおり満額返ってくれば別ですが、そうでないということが今までの審議で明らかであるわけです。そうなってきた場合に、こういう低所得者あるいは家族介護力の乏しい人に非常に過酷な結果になるのではないかということを危惧しておるのですが、いかがでございましょうか。
  96. 江利川毅

    江利川政府委員 要介護度の認定はその人の状態を判断するものですから、所得が多いから少ないからということと関係なく判断されるものでございます。  要介護状態にある人には介護サービスが的確に提供されることが必要でございます。そういう意味で、先ほど来いろいろな先生方から御指摘を受けておりますが、サービス基盤整備充実ということが大変大事なわけでありまして、民間事業者の活用等も含めて、総合的にそういう基盤整備を進めていくということが必要になってくるわけでございます。そういうことによりまして、介護サービスを的確に受けられるようにしていくということが原則でございます。  ただし、そのサービス基盤地域によって必ずしもしかるべき水準にいっていないというケースもあり得るわけでございまして、そういう場合には、いわゆる経過措置の中でその目標に向けて段階的に達成していくという形でサービス給付が行われるわけでありますが、そういうような形で、いわゆるサービスの程度を少し薄めて必要な人にサービス提供がいくようにするというような形でやっていきますので、何か低所得者がしわ寄せを受けて低所得者が受けられないとか、そういうようなことのないような運用ができるのではないかというふうに思っております。
  97. 大口善徳

    ○大口委員 しかしながら、薄まるわけですから、当然、しわ寄せが来るということであると思います。  次に、要介護認定のプロセスについてお伺いしたいと思います。  私も条文を読ませていただきました。条文を読む限りは、認定のプロセスとしては、まず申請があって、それで市町村調査をする。市町村の職員あるいは、後に挙げますけれども、介護支援専門員に委託してもいいということになっております。また、かかりつけのお医者さんの意見も添えて、これが認定審査会に上がってくる。認定審査会において要介護度の区分というものを認定して、そしてその認定に基づいて、利用者が希望すればケアプランを作成機関に依頼をする。そしてまた、そこでアセスメント、調査が行われる。こういう流れになっておるわけです。この流れの中では、調査のためのアセスメント、要するに認定審査会に行く前のアセスメントとケアプランを作成するためのアセスメント、こういう形で二重のアセスメント、こういう形になるわけでございます。  こういうことについて、現場の声として、札幌の公聴会でもそういうお話がありました。むしろ、申請があった場合に、ケアプラン調査機関が認定審査会の資料としての調査とケアプランの作成に必要な調査を同時に行う、そして、ケアプラン自体もつけて、この人にはこういうケアが必要であるというようなケアプラン案という形までつくって、それを認定審査会において承認する、それによって認定してサービスを受ける、こういう流れにした方が効率的ではないか、こういうお話がございました。  これは現場の声として非常に重要に受けとめていかなければいけないと思うわけでございますから、この法案において後者のようなタイプは認められるのかどうか、これを確認したいと思います。
  98. 江利川毅

    江利川政府委員 一つのアセスメントで要否判定をし、またそれを使ってケアプランをつくるということでございますが、それは可能でございます。
  99. 大口善徳

    ○大口委員 では、確認しますと、その調査員が、またはケアプランの機関のケアマネジャーであるその人が介護認定の申請のための調査またはケアプランのアセスも両方できる、そしてケアプランの案も出すというふうなことも可能ですか、もう一度お伺いします。
  100. 江利川毅

    江利川政府委員 ケアプランをつくるときは介護支援専門員が本人の意向等を聞きながらサービス提供事業者と調整をしながらつくるわけでございますので、調査に行き、アセスメントをし、それからケアプラン作成にそれをまた使っていくというその人がそういう介護支援専門員であれば可能だということになります。
  101. 大口善徳

    ○大口委員 では、申請を希望する人が介護支援専門員の人に相談をしてやれば、こういう第二の類型ということもある、この法案上可能であるということでございますね。実態としては後者の方がむしろ多くなるのではないか。むしろ、ケアマネジャーが積極的に相談に乗ってあげて、申請もし、そしてまたケアプランもつくってあげてやった方が介護認定審査会自体の中身も充実したものになるのではないか。逆に、第一類型の方ですと介護認定審査会自体の審査というものも非常に形骸化したものになるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  102. 江利川毅

    江利川政府委員 介護の要否とか介護の程度を判定する最初のアセスメントの方でございますが、やはりそれは、基本的には、そういう目的に照らして、かつ申請が出ているわけですから、できるだけ迅速にやる必要があるということでございます。そういう観点から、私どもは一つのモデルとして七十一項目のものをつくったわけであります。  先ほど御指摘のありましたアメリカのMDSといいますのは、これはケアプランをつくるときのアセスメントでありまして、そういう意味で、ケアプラン作成用のアセスメントというと、相当細かいものが必要になってくるのだろうというふうに思うわけでございます。  ですから、先生がおっしゃられた方法も当然あるわけでありますが、全体の事務の効率化、迅速化という面を考えましたときに、常にケアプラン作成用のアセスメントをもってやるのが適当なのかどうかというものはあり得ると思います。  そういう意味で、この法律上は、要否認定用のアセスメントは、できるだけ正確、客観的かつ迅速にという要素、ケアプランの方は、まさにケアプランをつくるために必要なアセスメントというふうに書き分けているわけでございます。どちらが主流になるかということは、ちょっとまだ今の時点で私は予想ができません。
  103. 大口善徳

    ○大口委員 ただ、全体の迅速性ということから考えますと第二類型の方が早いのではないか、要するにアセスメントが重複しませんので、そう思うわけです。  だから、そういうことも可能性があるというような法律の案でないと、この法律だけ見てみますと第二類型の方が全然見えてこない。そういう点では、この法案のつくり方そのものがちょっと何かを隠しているのではないか、そういうように思われても仕方がないのではないか、こう思っておるわけであります。  そういう中で、例えばサービス供給機関がケア機関としてケアマネジャー、介護支援専門員というのを抱えまして、そのサービス供給機関あるいはサービス供給機関を母体とする例えば在宅介護支援センターとか、そういうところの専門員が各戸を戸別訪問いたして、そして代行申請をしてあげましようということで代行申請をする。そして、代行申請をして訪問調査、これもお役所と話をつけて、私の方で訪問調査もやりましょう。そして、認定をして、ケアプランも作成して、サービス供給もしましょう。こうなってきますと、サービス供給主体は公だけではなくて民間もあるわけです。株式会社もある。もちろん、営利目的の株式会社も入ってくるわけです。そこがどんどんそういう形で、要するに、開拓からサービス供給まで一貫してやるということについて、逆にこれが例えば囲い込みになってくるのではないかとか、あるいは逆選択、要するに採算の合う人だけどんどんつまみ食いしていくのではないかとか、こういう危惧があるわけですね。そこで、こういうようなことについてどう考えているのか。  あと、訪問調査と申請代行、申請の代行というのは利用者側の立場、そして訪問調査というのはどちらかというと認定側の立場、これはお互いに相反する場合があるわけです。こういう場合も、申請代行をしたケアマネジャーが訪問調査もやる、こういうことが許されるのか、こんな点についてお伺いしたいと思います。
  104. 江利川毅

    江利川政府委員 申請は要介護者がやりますので、その人がどなたかに頼むという、頼む人を選ぶのは申請者の自由ということになります。  それから、そういう申請がありましたときに、市町村は職員を派遣してアセスメントをするわけであります。それは、先生おっしゃいましたように、委託をすることができる。この委託をするのは市町村の判断でございますから、その申請した人に必ず委託されるということではないと思うのですね。やはり、市町村の職員で行けるときには市町村の職員が行くでしょうし、あるいは、ほかの人に頼むことが適当なときは、いろいろな実績を踏まえて、しかるべき判断をされていくのではないかというふうに思うわけでございます。  また、申請がアセスメントをして上がってきましたものは介護認定審査会にかけられるわけで、ここは専門家がグループでその資料を見て判断していくわけでありますので、ここは、アセスメントを委託を受けてやるとか、あるいは申請を委託を受けてやる人とは全く違った人が客観的にやるわけでございます。そういうようなことで、客観的、中立なところで一応チェックが入っていくということでございます。  それからまた、そういう申請を代行したり、調査を委託を受けて行うような人につきましては、その業務の遂行が中立公平でなければいけません。  そういう意味で、そういう中立公平が確保されるような運営について何かしかるべき運営の基準等をつくって、先生が御懸念されるような事態にならないような工夫を考えていきたいと思います。
  105. 大口善徳

    ○大口委員 そうしますと、調査員を頼む、だれを調査員にするかということは市町村で決めることだということなわけですけれども、申請代行をしたケアマネジャーに対して市町村が訪問調査を依頼するということも、これは禁止はしないわけですね。
  106. 江利川毅

    江利川政府委員 法律上、それは禁止されてはおりません。
  107. 大口善徳

    ○大口委員 私の危惧についてやはりきちっと対応していただかなければ、それこそ利用者の皆さんに非常に、これは逆選択でありますとかあるいは囲い込みという形になるのではないか、こう思っております。  こういう形で見ていきますと、私は、市町村の責任というのはかなり重いと思うのですね。市町村がまず積極的に総合窓口というようなものを持って、ケアマネジメント機関というものをしっかりつくって、そして、そういう総合窓口に行けば本当に気軽に申請が受けられる、あるいは、出前ではないですけれども、保健婦さん等が回ってニーズというものをキャッチしていく、やはり公の役割というものが特に大事になってくるのじゃないか、こう思うわけです。  そういう点で、もちろん民間も大事であります。また、まじめにやっている民間の方もいらっしゃいます。ですから、それは非常に大事なことであるわけですけれども、自治体の責任といいますか、これを忘れてしまったら、あるいは実際上対応できなくて、果たしたくても果たせない、そのために民間に頼らざるを得ない、そして、自治体の責任の放棄ということがあってはいけないと思いますが、これは大臣お願いします。
  108. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 民間、自治体、それぞれ協力していかなきゃいけないのですが、恐らく要介護認定等ではかなり難しい点、あいまいな点も出てくると思いますけれども、それは何度か実施しているうちに、かなり施設整備してくるでしょうし、人材の方も充実してくるでしょう。決められたとおり全部いくかというと、そこまではなかなかあいまいな点もあると思いますが、お互い協力関係を維持していくということが私は大事ではないかなと思っています。
  109. 大口善徳

    ○大口委員 ただ、協力関係もいいのですが、癒着となって本来の目的を逸脱することのないように、これは厳に考えていかなきゃいけないと思います。  そういうことで、利用者がそういう点ではサービス提供機関の情報というものをしっかりと受けやすいように、情報公開といいますか、あるいはしっかりとデータベースというのを用意して、いつでもアクセスしてそのサービス機関についての情報が入るように、こういう整備を積極的にしていかなきゃいけない、こう私は思っておるわけです。そうしないと、サービス提供機関等に対する情報が不足していて利用者が被害をこうむる。こういうことがあってはいけないと思いますが、この点、いかがでしょうか。
  110. 江利川毅

    江利川政府委員 御指摘のとおりだと思います。  利用者が適切な選択ができるためには、どういうサービスが行われているか、的確な情報が利用者に届いていく必要がございます。そういう意味で、サービス提供事業者みずからがどういうサービスをしているか、事業者みずからがその事業内容等を公開していくことは当然でございますし、また、サービス事業者を指定します都道府県におきましても、そういうようなところに取り組んでいただく、あるいは、保険者としてこの事業実施の責任者でもあります市町村においても同じような工夫をしていただく、それからまた、要介護者といろいろな意味で接触することの多いケアプラン策定機関、介護支援専門員、そういう方々のところにも公平な情報が届くようにして、そういうところを通じて要介護者に適切な情報が届くようにしていくべきであると思います。  データベースのお話もありましたが、市町村によってさまざまな取り組みがございます。そういう中で、そういうものも生かせる自治体も多数あろうかと思いますし、そういう形も含めまして十分な情報の提供が行われますよう、実施当たりましていろいろな形で自治体と相談していきたいと思います。
  111. 大口善徳

    ○大口委員 この法案の二十七条の十四で、「処分は、当該申請のあった日から三十日以内にしなければならない。」こういうふうになっているわけです。それについては、できない場合についての規定もございますが、一カ月以内にやろう、こういうことなんですけれども、岡山の公聴会の常久さんが、実際に対象者を知っている私たちが要介護判定をしてみても判断が難しい部分もあり、かなりの時間を必要としました、一斉に申請書が出されて市町村の審査機関が審査する場合、何カ月もかかって援助がおくれるとか、逆に機械的な書類審査で実態にそぐわない判定がなされることも心配です、こういう危惧がございます。  この点について、果たして三十日というのはどういうところから出てきたのかということも含めて、そういうことが可能であるかということを聞きたいのです。
  112. 江利川毅

    江利川政府委員 要介護申請がありますと、市町村の職員がそこを訪問してアセスメントをする。それから、かかりつけ医師から意見書をいただく。一般的なケースとしては、月に一定の間隔で開かれます審査会におきまして、それをもとに判断していく。そういう流れを考えまして、基本的に三十日以内には処理が可能というふうに思っているところでございます。  公聴会で出ました御意見の背景には、現在のアセスメント票で混乱が生ずる、あるいは十分な判断ができない部分があるのではないかということもあろうかと思います。先ほども申し上げましたが、モデル事業の各実施主体から寄せられます意見、そういうものを踏まえて必要な修正をすることが的確に迅速に行われるように改善をしてまいりたいというふうに思っております。  また、公聴会で出ました御意見の、一度に多数の申請があった場合は大変ではないかといいますのは、多分、法施行時のことを想定してではないかと思うわけでございますが、法施行時におきまして大量の要介護認定申請が出てくるということは当然見込まれるわけでありますが、現に介護施設に入っているとか、現に介護の在宅サービスを受けているとか、そういうような人につきましては、あらかじめ予備的な審査というのでしょうか、そういうのを行って、施行時に事務が円滑に行われるような、そういう工夫はしてまいりたいというふうに思っております。  それから、要介護認定が遅くなるとそれまでサービスが受けられなくなるのではないかという懸念が表明されるわけで、一般的にいろいろな方から言われるわけでありますが、この法律におきましては、審査会で事実上要介護認定が行われていなくても、要介護認定が最終的に行われますと、その認定の効果というのは申請日にさかのぼるということになっておるわけでございますので、申請をしますと、介護支援専門員のアドバイス、そういうものを踏まえて、必要であれば介護サービスを受けていく。それで、認定の効果は申請日にさかのぼりますから、介護保険給付対象になるわけでございます。  例えば申請をどうしてもしようと思ったときにたまたま何らかの事情でなかなか申請ができなかった、そういうことは本当に数日ぐらいの問題だとは思いますが、そういう場合には、申請前であっても真にやむを得ないような場合であれば介護給付の対象にする、特別居宅介護サービスとかそういうような形で対象にすることになっておりますので、手続で仮に何らかの形で要介護認定までに申請から時間がかかったとしましても、その人に必要なサービスは提供できるような運用が可能な形になっております。
  113. 大口善徳

    ○大口委員 ただ、要介護状態というのはしょっちゅう変わるわけですね。フォローしていかなきゃいけないのですから。先ほどの説明だと施行時だけ大変だけれどもという話ですけれども、これは継続していく話ですので、また人も変わっていく話ですので説得力はない、こう思っております。  それから、今回、要介護認定に係る人員、介護支援専門員あるいは訪問調査員それから介護認定審査会の委員方々、こういう方々がどれぐらの数必要なのか。これは要介護認定の事務経費において非常に影響してくるわけであります。今までの議論の中で、今回の事務的経費について、八百億とかあるいは五百億とか、こういう話がありますけれども、こういう認定の事務的経費といいますか、これについては入っていないと思うのですね。これについてどういうふうに考えているのか。必要な人員あるいは金額、その見込みを教えてください。
  114. 江利川毅

    江利川政府委員 要介護認定に必要な人員数、これを正確に見通すというのは現時点では当然無理なわけでございますが、一定前提を置いて機械的に計算をしてみる、そういう形で事務費あるいは人というのを考えているわけでございます。  十二年度におきまして、実施の初年度でございますが、これにおきます訪問調査に必要な人員は、私どものそういう前提を置いた試算では約六千人ぐらいということでございます。  それから、介護認定審査会の委員の数でございますが、この審査会も三人でやるのか五人でやるのかということで大分変わってくるわけでございますけれども、五人ぐらいでやることを前提に考えて二万人ぐらいかかるのではないかというふうに思っております。  そういうことでございますが、認定事務に係ります経費は平成十二年度で、平成七年度価格でございますけれども、大体五百億円ぐらいかかるというふうに見込んでおるところでございます。  こういう事務費とかの所要経費がどうなるかというようなことにつきましては、現在、モデル事業等を実施しているわけでございますが、そういう結果を踏まえて、そういう実績を見ながらきちんと計算していく必要があろうかというふうに思います。そういう意味で、これで確定的というのではなくて、そういう結果を踏まえてさらに精査をしていく考えでございます。
  115. 大口善徳

    ○大口委員 今の中に介護支援専門員というのは入っておりません。これについて明らかにしていただきたい。  それから、今回、介護支援専門員という、これは業者が指定を受ける場合にも必須の要件になっておりますし、こういう介護支援専門員については、最終報告の中に、介護支援担当者は、医師、歯科医師、薬剤師、保健婦、看護婦、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士等の専門職のうち、一定の実務経験を有し、所要の研修を経た者、こういうことになっておるわけです。この中で社会福祉主事、これは社会福祉事業法の中にありますが、社会福祉主事、ケースワーカー、こういう人も含まれるのか、これについてお伺いします。  それから、こういう方々についてこれからいかに養成をしていくのか。例えば、こういう資格をどこが付与するのか、あるいはカリキュラムはどうなっているのか、能力のチェックはどうするのか、そういうことについて、いろいろと大事なことでありますので、この基本的な考え方を聞かせていただきたい。  それから、訪問調査の方におきましても、この訪問調査ということで定義が法案上なされておりません。そして、この訪問調査員というのも、これがかなりのそういう技術、経験というものを要すると思います。これについての養成をどうしていくのか、こういうことについてもお伺いします。これはみなし公務員にもなっておりますし守秘義務もある、非常に公の資格であると思うのですね。こういう公の資格について余りまだはっきりとされていない、国家資格になるのかどうなのか、このあたりについてお伺いしたいと思います。
  116. 江利川毅

    江利川政府委員 介護支援専門員、どういう方にそれになっていただくかということにつきましては、現在、専門家による委員会をつくっておりまして、そこで検討していただいているところでございます。福祉関係職種あるいは医療関係職種を初め、先生先ほど報告書に書いてある職種の方々を挙げましたけれども、そういうような方々を初めとしまして、あるいはまた介護現場一定の実務経験を持っているような人、そういうような人などを対象に、そういう基礎的な知識を持っているかどうか、そういうことをきちんとチェックした上で、さらには、ケアプランに係る作成とかそういう研修を積んで、そういう方に介護支援専門員になってもらうというふうに考えているわけでございますが、現在、その具体的なやり方、中身については専門家による委員会において検討しているところでございますし、最終的にはその結論を踏まえて老人保健福祉審議会において検討されることになります。  社会福祉主事につきましても、今検討の過程にあるわけではございますが、基本的には、その人がいわゆる高齢者介護現場経験を持っているとかそういうようなことなどを踏まえて、最終的にはそういう審議会を経て決まります基準に合致していれば、当然のことながら、介護支援専門員ということで業務に従事することができるようになるわけであります。  養成でございますが、今年度、介護支援専門員の指導者というのでしょうか、の養成を行っておりまして、これをやっているわけでございます。こういう人たちが核になりまして、各都道府県におきまして介護支援専門員の研修等を行ってもらうことを考えておりますが、その具体的なやり方等につきましても、先ほど申し上げました委員会におきましてできるだけ早く結論を出してもらうように検討を急いでいただいているところではありますが、今詰めている状況でございます。
  117. 大口善徳

    ○大口委員 専門員は、人数はどれぐらいと予定していますか。
  118. 江利川毅

    江利川政府委員 これも一定前提を置いた推計でございますが、全国で四万人を超える程度の人が必要になるのではないかというふうに思っております。
  119. 大口善徳

    ○大口委員 今、調査員が六千、専門員が四万、それから審査会の委員が二万ということですけれども、これを養成するのに、その指導者を養成するというところから始まりますと三年間ということで養成できるのか、これは極めて重要な役でございまして、非常に疑問なしと言えません。  次に、今回のこういう介護認定の処分に対する不服申し立てということで、百八十三条、百八十四条で介護保険審査会が設置される、これは都道府県であって市町村でないということなんですが、やはり不服審査につきましても、これは身近なところに置くべきである、こういうふうに思います。  それから、サービス状況についてのいろいろな苦情ですとか、そういうことについて身近なところにやはり苦情が出せるようにしていかなきゃならない。そういう点で、オンブズマンというかそういう制度をきちっと、これは利用者の身近なところに置かなければいけないと私は思います。  指定業者につきましては、これは指定の取り消しというのがございます。その中で、都道府県がこれを指定するわけでありますけれども、業者が都道府県に報告をするわけですね。こういう都道府県に対して指定の取り消しを求める申し立て権とかこういうことも認めるべきではないか、そういうことによって利用者の人権を守っていかなきゃいけないのじゃないか、こう私は思うわけですが、いかがでしょうか。
  120. 江利川毅

    江利川政府委員 まず、不服審査の関係でございます。  不服申し立ての審査機関を都道府県ではなく市町村に置くべきではないかという御指摘でございますが、市町村が保険者として事業実施主体でございますので、そういう意味で、その処分の当事者たる市町村に置くのではなくて、もう少し中立的、第三者的立場である都道府県に置くのが適当ではないかということで都道府県に置くことにしたわけでございます。  ただ、これは一カ所に一つだけという考えではございませんで、公聴会も北海道で行われましたが、大変広いという話がありました。全部札幌市では大変だというような話もたしかあったと思います。そういう意味で、そういう広いところにおきましては、県の責任でやっていただく話ではありますが、幾つかの審査会を置いて、広いところには広いところなりのやり方というのでしょうか、そういうようなものを考えて、的確に運営できるようにしたいというふうに考えております。  それから、オンブズマンの関係でございますが、オンブズマン的な業務を国保連がやるということになっているけれども、身近な市町村において行うべきではないかという御指摘でございました。  これも、オンブズマンといいますと、いわゆる行政に対する監査的な立場でありまして、特にこの実施主体が市町村ということでございますので、そういう意味で、実施主体の中に置くということなんだろうか、やはり外に置く話ではないだろうか。そしてまた、サービス事業者につきましては都道府県知事が指定をいたしますので、広域的な事業展開が行われるということになりますと、県単位で物を考えられる国保連、公法人である国保連というのが適格ではないかというふうに考えているところでございます。  ただ、これも、県に一つ国保連があって、そこだけが窓口では事実上なかなか声が届かないというような問題も考えられるわけでございますが、そういう御懸念での御指摘だと思いますけれども、市町村がそれを取り次ぐとか、あるいは別の、例えば介護支援専門員のような方がかわりに届けるとか、何かそういうような工夫で地域の声がきちんと届いていく、そういうようなことを心がけたいというふうに思います。  それから、取り消しのお話がございまして、都道府県に対して、あの事業者はおかしいから取り消しをさせるとか、そういうようなことを求めていくようなことというのはどうだろうかという御指摘だったと思います。  サービス業者としての指定を受けた人を取り消すというのは指定要件に合致しなくなったときにやる話でありまして、そういう意味で、それは指定をしました都道府県の専権的な機能ではないかというふうに思います。
  121. 大口善徳

    ○大口委員 それでは次に、サービスについて若干お伺いしたいと思うのです。  一つは、ケアプランを作成する自由も作成しない自由もある、こういうことなんですが、ケアプランを作成しない場合は現物給付にならない、償還払いになる。ケアプランの提出というのが現物給付の要件である、これはその自由の制約ではないか。  それから、介護認定審査会がサービスの指定をするということ、これもサービスの選択権に反するものではないか。  それから、虚弱高齢者に対して足切りをされるおそれがあるのではないか、これも危惧がされておる。  そしてまた、要介護認定の更新との関係もありますけれども、サービス提供者が努力して要介護の改善が成った場合、それだけ要介護度が、ランクが上がるわけです。その場合に特養から追い出されないか、こういう心配がある。  この点についていかがですか。
  122. 江利川毅

    江利川政府委員 ケアプランは、その人に必要な介護サービスを計画的、総合的に受けてもらうために、その人に合った的確なサービスをきちんと受けてもらうために重要なものというふうに認識をしているわけでございまして、御本人みずからケアプランをつくるか、あるいはケアマネジャーのアドバイスを受けながら、あるいはケアマネジャーに自分の意見を伝えてケアマネジャー自身につくってもらうとか、そういう形でケアプランをつくって、計画的、的確にサービスを受けてもらうということが基本だというふうに思っております。  ただ、そういうものなしに受けるということになりますと、どういうサービスがどう提供されなかなかなかわかりにくいこともありますので、その場合には償還払いという方法をとっているわけでございます。これは、ケアプランを作成する、しないの自由を制限するというよりは、的確なサービスをきちんと受けてもらうということと、いわゆる審査支払いというのでしょうか、そういうふうな面からの実務の関係等を総合的に考えまして、こういうやり方が適当ではないかというふうに思っているわけでございます。  それから、介護認定審査会の意見を聞いてサービスを指定することがあるというようなことでございますが、これは常に行われるものではなくて、審査会において必要があると認めたときに行われるわけでありまして、これは要介護状態の軽減とか悪化防止のために何か必要な療養を受ける必要があるとか、そういうようなことで行われる。例えば、特にリハビリが要るのではないかとか、そういうときに行われるものでありまして、選択権に反するというよりは、専門的な見地からその人に的確なサービスを提供するというもので行われるわけでございます。  それから、要介護認定が行われますと虚弱の人の足切りが行われるのではないかということでございますが、判定の基準については客観的、公平なものをつくっていくということが必要でありますけれども、足切りをするというのではなくて、やはり必要な人にはきちんと対象になるようにしていく。現実にあるかどうかわかりませんが、もし判定基準に照らして従前受けた人が対象でなくなるということが仮にあるとしたら、それは私どもの立場からいえば、そもそも前に受けたときが必要だったのだろうかというような問題も含めて考える話ではないかというふうに思います。  それから、特養に入った人が、施設の職員の、あるいはその施設でのサービスを受けて、例えばリハビリ等をやって機能回復をして前よりも要介護度が低くなる、改善するということがある、そういう場合にどうなんだということでございます。  これは、今後の検討課題というか、よく考えなければいけない問題でありまして、確かに、一生懸命リハビリをして要介護度が低くなるというのは、その人にとっても大変幸せなことでありますし、ただ、それによって介護度が低くなるから単純にレベルが下がって給付費が下がりますよというだけでいいのだろうかというようなこともありますので、一体どういうふうに考えたらいいか、この部分についてはこれから検討する課題でございますので、御指摘の趣旨も十分頭に入れて検討さぜてもらいたいというふうに思います。
  123. 大口善徳

    ○大口委員 以上で終わります。
  124. 町村信孝

    町村委員長 石毛鍈子君。
  125. 石毛えい子

    ○石毛委員 民主党の石毛でございます。  私は、前回に引き続きまして、介護保険に関する市民参加という視点で質問をまずさせていただきたいと思います。  前回、私は大臣に措置と契約の違いについて質問させていただきましたけれども、そのときいただきました大臣のお返事を踏まえまして、私、もう一度考えますに、保険制度という場合には、非常に大きなポイントになる点は、保険者と保険契約者、つまり被保険者との双務的な関係が成立するという、そこのところが一つ大きな要件であるというふうに考えております。  無論、前回大臣は、措置は公のサービスであり、契約はさまざまな主体が参加するというふうにおっしゃられました。そのことも重要なポイントかと思いますが、ただいま申しましたように、契約といいます場合、双務的な関係が成立する、したがいまして、当然、社会保険であります介護保険についても、被保険者である市民が契約の当事者としてあらわれるということに大きな意味があると考えております。つまり、一般的な意味での市民参加を超える、市民の制度における権利性の担保がさまざまになされているという特徴がある、この点が契約についての重要なポイントだというふうに私は考えるわけでございますが、再度大臣に、措置と契約についての御認識をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  126. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 措置と契約、この明確な区別はどうかと言われても、はっきり言えるかどうかわかりませんが、私は、保険の方が公費だけの措置よりもサービスの自由な選択度の度合いが広がると思います。  あとは、専門的な、哲学的な見解はどうかと言われても、ちょっと私の能力を超える面があるものですから、サービスの選択の度合いは保険の方がはるかに広がる、そして多くの施設においても、公費だけではない、民間の参入が促される、この点では保険の方がその度合いははるかに高いであろうと思っています。
  127. 石毛えい子

    ○石毛委員 選択の度合いが広がるというのは、午前中の山本委員さんとの御論議の中でもポイントになった点でございますし、私も、選択の度合いが広がるという方向性で、ぜひよりよい制度が実現しますようにと期待をするものでございますけれども、この際、大臣に、私は、契約という場合に、制度の運営主体である市町村が責任をさまざまに持つのは当然のことでございますけれども、同時に、被保険者もさまざまな意味で制度への参画ができていく、つまり、決定システムへの参画ができていくというところが重要ではないかというふうに考えておりますので、ぜひ、今のような、哲学的ななどというふうにはおっしゃいまぜんで、極めてプラクティカルな問題だというふうに思っておりますので、そういうレベルでお受けとめいただけたらというふうに御要望をさせていただきたいと思います。  契約であるという点に非常にこだわっておりますのは、私は実は、介護の社会化を進める一万人市民委員会という介護保険に関して大変大きな関心を寄せてまいりました専門家市民グループ、そういう市民団体に所属をしておりまして、その市民団体でこの介護保険の政府原案に関しまして三つの修正を要望しております。  簡単に紹介させていただきますと、まず第一点は、介護保険運営委員会の設置をお願いしたい。これは、男女同数の被保険者が代表として参加できるような介護保険運営委員会を設置して、そこで、何を情報公開するかというような問題、あるいは介護保険事業計画の策定、あるいはそれの検討への参画、あるいはオンブズマン機能を確立すること、そういうような機能を含めまして、繰り返しになりますが、介護保険運営委員会を設置してほしい。  第二点目は、今大臣が御指摘なされた点とかかわりますけれども、利用者が自由にサービスを選択できるようにするには、現行法案では、例えば認定審査会が市町村サービスの適用に関して意見を述べることができるというようなこと、あるいは市町村サービスの種類を指定できるというようなところで、過渡期の政策プロセスの間では仕方がないことかもしれませんけれども、選択権をいわば制約するようなことが法文にございますので、この点を何とか考慮していただきたい。  そして第三点目は、私、前回も指摘をさせていただいた点でございますけれども、加齢条項やあるいは特定疾病などという限定を削除していただきたい。  この三点を要望させていただいております。  恐らく、一万人市民委員会の方から厚生省にも要望書の提出がきっとなされているというふうに思いますけれども、介護保険といいますのは、被保険者が参加して制度をつくり上げていく双務的な関係の制度だというところをぜひ御了解、御認識いただきまして、その方向でいい方向に介護保険の制度化を考慮していただければというふうに考えております。  これは、質問というよりは、前置きが長くなりましたけれども、要望という観点で、大変恐縮ではございますが、述べさせていただきまして、もう一点、私は、きょうは、ぜひ市町村のエリアあるいは幾つかの市町村にまたがるエリアでNPO的な団体の参加を含む、これは私の表現でございますが、介護情報センター的な組織を設置するということをお考えいただけたらいかがかと思いますが、いかがでしょうかということを質問させていただきたいというふうに思うわけです。  と申しますのは、ずっとこの介護保険の審議に関しまして、大臣あるいは担当者の皆様のお答えの中に、立ち上げていい制度につくっていくという、つまり、プロセスを重視していくというような観点お話が随分ございました。介護保険は、立ち上がりましてから、恐らくサービスに対する苦情が随分出るでしょう。あるいは、さまざまな事業者が参加してまいりますので、その事業者の間での認識の不一致ですとか、あるいはサービスの質、量の格差とか、さまざまな問題が出てくると思いますので、そうしたことがずっと続いていくのでは保険制度の信頼性というものも危うくなってくるかと思います。  そこで、保険者であります市町村が、情報の開示ですとか情報の提供、さまざまな場面で責任を持たなければならないのは当然のことでございますけれども、もう一つつけ加えてぜひ御検討いただきたいのは、介護保険はさまざまな民間が参加をして進める、そういうシステムでございますから、施設ですとかあるいはさまざまな事業者、この場合、介護のNPOそれから高齢者福祉に取り組む市民活動団体、そうした市町村行政以外の営利、非営利の民間活動が参加して構成する介護情報センターあるいは介護サポートセンター、そういう機能を考えていただくことはできませんでしょうかという質問でございます。  そこに市民からの、あるいは被保険者からのさまざまな質問やら意見やら苦情やら提案やらが寄せられる、あるいは営利、非営利、そして行政も含んで事業の運営に携わるメンバーからも相談がされたり方向性の検討がされたりという、そうした、問題を共有し合意形成を図り、場合によってはそこでの事業者あるいは被保険者への研修等々もできるような多機能の機能をぜひつくっていただきたい。これは法律にはないことでございますけれども、そういう機能の設定をしていくということをお考えいただきたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  128. 江利川毅

    江利川政府委員 先生が御指摘になりましたような機能というのでしょうか、介護サービスに関する情報が集まってくる、あるいは関係者がいろいろと意見交換をするような場が持てる、そういうようなものは、この介護保険制度が円滑に運営されるために必要なことではないかというふうに思います。  ただ、今、総合的な事業が行われる場所として在宅介護情報センターという構想をお話しになられたわけでございますが、部分的には幾つか行政施策で取り組んでいるものもあるわけであります。例えば在宅介護支援センターとかシルバー一一〇番とか、こういうところでは、いろいろな相談機能というのでしょうか、そういうことはやっていたり、あるいは接続というのでしょうか、事業者の紹介みたいなことをやったりしているわけでございますし、研修などにつきましては、例えば社会福祉協議会とか、そういうところでも行われてきているわけであります。ただ、今行われているからそれで十分だということではなくて、そういうものがより強化される、より充実されること、そのことは大変重要なことだというふうに考えております。  ただ、御構想の在宅介護情報センター、これを公的な施策として支援していくということになるとなりますと、既存の施策との重複というのでしょうか整合性、そういうものについて十分考える必要があるのかな。直ちにぽんとそういうものが総合的にできるかどうかということについては、そういう既存の取り組みとの整合性、そういうものについて十分検討する必要があるのではないかと思います。  ただ、御指摘の趣旨、そういうものは大変必要なことを一つ一つ指摘されているというふうに受けとめておりまして、そういうような御指摘の趣旨というものがどうやったら生かせるか、そういうことはこれからの運用を考えていくに当たりまして十分検討させていただきたいというふうに思います。
  129. 石毛えい子

    ○石毛委員 ありがとうございます。  在宅介護支援センターは、例えば介護を必要とする者あるいはその関係者在宅介護支援センター、その組織との関係でございますし、あるいは研修組織は今事業提供に参画している事業者だけが集まる組織で、私も十分に精査しているわけではございませんけれども、恐らく今の組織は非常に限定された方たちにそれぞれが分散している組織だというふうに了解しております。  私は、繰り返しになりますけれども、サービスを提供する方、運営に携わる方あるいは利用する方それぞれがそれぞれの立場で出会いながら、いい情報を交換し、いい方向性をつくっていく、そういう機能が必要ではないかというふうに申し上げたいわけでございまして、ぜひ審議官おっしゃられました方向を豊かに膨らませていただきながらと申し上げるとちょっと言葉が過ぎるかとも思いますが、ぜひ御検討いただきますようにお願いをして、次の質問に移らせていただきたいと思います。  もう一つ、きょうぜひお尋ねしたいと思いますのは、ホームヘルプサービス、ホームヘルパーのことについてでございます。  言うまでもなく、介護保険制度が安定的に定着するかどうかという非常に大きな、本当に大きなポイントが、このホームヘルプサービスの確保ということにかかわっているというふうに私は認識をしております。  そこで、まず確認させていただきたいのですが、介護費用の積算の単価の中で、その計算基礎が公開されておりますけれども、身体介護中心業務が三千百三十円、家事援助中心業務が千四百十円、一時間当たりの単価がこれで積算されているというふうに聞いておりますけれども、これは介護報酬という意味ではないですね。その点の確認をまずさせていただきたいと思います。
  130. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 ホームヘルパーの単価につきまして、今回の法案を提案申し上げる際に出しました介護費用の推計という中で、先生今御指摘のような推計を行っております。これはもとを申し上げますと、現在の、平成七年度民間に市町村が委託をいたします場合の国庫補助基準単価、これをもとにしまして、それに管理コスト的なものを含めまして一時間当たりを出すという形でやっております。したがって、これはあくまでも今の推計として用いているものでございますが、もちろんかけ離れたものを使っているわけではありませんで、現にそういう補助単価に使っているものを用いているという意味では妥当な単価として推計に用いているものでございます。  ただ、今後これを介護報酬でどのように決めていくかというところにつきましては、推計に用いたサービス単価がそのまま自動的に介護報酬になるというものではもちろんございませんで、介護保険導入後の介護報酬につきましては、サービス内容利用者の要介護度、事業所の所在地といったようないろいろな要素を勘案いたしまして、平均的な費用を勘案して定めていくということで、今後、これは実態を勘案して関係審議会でも御議論いただいて、その上で決めていくというものでございますから、それが自動的にもう現在これは決めてしまっているというようなものではございません。あくまでも介護費用のいわば見当をつけていただきますために出しておるものでございます。
  131. 石毛えい子

    ○石毛委員 そうしますと、今のお答えで、介護報酬という受けとめ方をさせていただきますと、介護報酬を構成する、コスト構成といったらよろしいのでしょうか、私の問題意識は、ヘルパー労働に対して支払われる労働対価をどれぐらい含んでいて、それから、ヘルプ業務を運営するのに必要なコストをどれぐらい含んでいるか、さらには、その労働対価のうちには、ヘルパーの業務には仕事につく準備あるいは仕事が終わってからの報告書の作成、それから研修の必要性等々、いわば間接労働に対する賃金支払いも当然含むべきだというふうに考えますけれども、介護報酬のコスト構成はおおよそどんなふうに考えられておられるのかという点をお答えいただきたいと思います。
  132. 江利川毅

    江利川政府委員 介護費用を推計するに当たりましたときは既存の補助単価を念頭に置いて計算したわけでありますが、具体的に介護報酬をどう定めるかということになりますと、これは実態を調べて、いわゆる平均的な介護費用、そういうものを把握してそれに基づいて設定をしていくということになるわけでございます。  そういうことでございますので、今の段階では、おっしゃられますようないわゆるヘルパーの費用と単価というのはまだ定めている段階では全くございませんので、その中に労働コスト分がどうであるとか準備分がどうであるとか、まだそこまでの検討には至っておりません。実態を調べた上で、それを踏まえながら検討していくということになります。
  133. 石毛えい子

    ○石毛委員 介護保険に関するこれまでの審議の中で、三級ヘルパー、二級ヘルパーあるいは一級ヘルパーの養成を積み重ねながらヘルパーの確保を図っていきたい、おおむねこういう筋での御答弁を何度かなさっておられると思います。  私は、三級ヘルパー、二級ヘルパーの講習を受けた方々が現在どういうふうに介護労働力として定着しているのかということに大変心配をしている者でございます。今の登録ヘルパーといいますのは、一時間働いたら幾ら、極端に言えばこれ以外に保障がない。在宅サービス総合保険というところに入っている自治体もございますけれども、非常に厳しいといいましょうか危ういといいましょうか、そういう条件で働いているヘルパーさんが大変多いというふうに思っております。全部が全部そうというふうに言うつもりはありませんけれども、とりわけ登録ヘルパーさんというような形はそういう形で進行しているのが実態だというふうに思っております。  こういう形が続いていきますと、ヘルプ労働力というのがどれだけ定着していくかというのは大変不安ではないかというふうに思っているところでございます。これから貴重な在宅介護を担う基幹労働力になる方々の、少なくとも私はフルタイムではなくて。パートタイムの労働自体は肯定するわけですけれども、パートタイム労働としてもきちっと定着するような労働報酬のあり方というものが実現していかないと、なかなかホームヘルプサービスが広がっていくということにはなりにくいのではないかというふうに思っておりますので、この点に関しまして、簡単にお答えをいただきまして、それで私の質問は終わらせていただきたいと思います。
  134. 江利川毅

    江利川政府委員 先生のお考えになっている問題意識ということは、今のお話で十分承りました。  ただ、この介護報酬がどうなるかというと、現時点では先ほど答弁した域を超えることはできませんで、実態を調べて平均的な費用を勘案して、関係の審議会にかけまして、そこで議論をしていただいて定めていくということになりますので、そういう手順を踏んでまいります。先生の問題意識ということにつきましては、十分承りました。
  135. 石毛えい子

    ○石毛委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  136. 町村信孝

    町村委員長 中桐伸五君。
  137. 中桐伸五

    中桐委員 民主党の中桐です。  私は、介護保険制度の導入は、高齢者及び国民生活の質の向上のために、また社会的理由による社会的コストの削減を行うためにも極めて急いで導入すべきであるという立場から、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  まず第一に、我が国の行政においては、市民からの苦情を処理するシステムの導入という点からいいますと全般的に非常に不十分でございまして、極めておくれていると言わざるを得ないというふうに思います。私が知る限りにおきましては、今、福祉オンブズマンという形で制度ができているところが、都内に中野区と世田谷区の二カ所にございます。また、市に一つ、横浜市にできております。三カ所しかございません。また、一般的に行政をチェックし改善するオンブズマン制度は、都道府県で二カ所、市町村では六カ所しかございません。つまり、十一カ所しかないという状況でございます。  そういう中で、今般、介護保険制度の導入に伴いまして、厚生省は都道府県の単位で設けられております国民健康保険団体連合会にオンブズマン機能を持たせるようにするという方向で検討しているというふうに聞いているものでございますが、この点について、私は、利用者がアクセスしやすいというふうにするためには市町村単位あるいはより身近なところに、都道府県に一カ所というのではなくてより身近なところに置く必要があるのではないかというふうに考えます。先ほど幾つかのエリアに設けるということでございますが、その点についてどのような形で厚生省は具体的に検討されているのか、再度御質問いたします。     〔委員長退席、住委員長代理着席〕
  138. 江利川毅

    江利川政府委員 オンブズマン機能を国保連に持たせるということで制度案ができているわけでありますが、先ほども申し上げましたように、市町村にオンブズマン機能を置くといいますのは、いわゆる今度の介護保険制度実施主体が市町村でありますので、市町村の中に行政監視的な機能を置くというのはちょっといかがなんだろうか、市町村が対処、いわゆる行政がかかわりを持つということでありますと、外に置くという形になるのではないか、そういうことから、全県的な、都道府県単位でカバーできる公法人である国民健康保険団体連合会にオンブズマン業務を担わせるというふうにしたわけでございます。  ただ、その場合に、いろいろな苦情、相談等が持ち込みやすいような工夫をするということは必要だというふうに思います。そういう意味で、先ほども、例えば、そういう苦情やら調査依頼その他の申し入れというのを市町村に届ければ、市町村から国保連の方にその話が伝わって、国保連として必要であれば調査を行うとか、そういうふうな機能をする、そういうような形で、県に一つの国保連だから苦情処理がしにくくなることのないように、いわゆる窓口的なものはいろいろな形で便宜を図る工夫、これの運用を考えていくということが必要だというふうに思っているところでございます。
  139. 中桐伸五

    中桐委員 私は、オンブズマン制度というのは、行政のあり方をチェックして改善するというものでありますから、やはり行政がつくる。パブリックなものでありまして、いわゆる市民オンブズマンというような形でほうはいと市民団体がいろいろな運動をされている、これはいいことなんですが、それは市民オンブズマンという名前がついているように本来のオンブズマン制度ではない。オンブズマン制度というのは、これはやはり公正、効率、中立性あるいは迅速性を担保するために、つまり行政訴訟は非常に時間がかかるし、あるいは,現にある民生委員では、これはちゃんとした権限を持っていないし、アクセスはできるけれども改善勧告を出せない、そういった問題があります。そういう意味で、現在ある制度の中では非常に不十分であるということでありますから、つまり、オンブズマン制度というのは、公的な、行政を推進する長が別の独立した権限を与えるというのが本来のオンブズマン制度でありまして、そういうふうに理解しているのです。  そうしますと、国保の団体連合会に置くというのは、本来これは介護保険を運営する主体でありますから、行政全般をカバーする、つまり介護保険制度というのはすべての国民に関与する問題でありますから、これは狭過ぎるし、また、そういう運営団体の中に置くというのは、本来、オンブズマンの機能としてはおかしいというふうに私は考えるわけです。そういう点でどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
  140. 江利川毅

    江利川政府委員 まず、国保連は、審査、支払いについては国保連の業務になりますが、いわゆるサービスそのものの実施主体ではないわけでございます。一方、市町村は、保険者であるとともに、市町村みずからサービスを提供するというサービス実施主体ということもあるわけでありまして、そういうサービス実施についての苦情処理機能をまた市町村に置くということなんだろうか、そこは少し市町村を離れたとごろからいわゆる第三者的に、サービス実施主体とは違った形で、いろいろなそういう機能を持ったところに置く方が適当ではないだろうかというふうに考えたわけでございます。  また、市町村だけではなくて、民間事業者も介護サービス事業に参入できるわけでありますが、その民間事業者は市町村のエリアを越えて広がりを持って活動するわけでありますし、そういうことに対する、そういう事業者に対する調査というようなことになりますと、あるいは意見を申し上げるというようなことになりますと、都道府県を単位にするようなところで行うのが適当ではないか、そういうことから国保連に置くということにしたわけであります。
  141. 中桐伸五

    中桐委員 やはり、権限をどのように与えるかということがこのオンブズマン制度の一番重要なところでありまして、この権限を行政の最高責任者が任命するというところに私は重要な意味があるというふうに思っておるわけです。その点で、国保の運営団体のところに持っていくならば幅が狭くなるというふうに私は考えるのですが、そこはいかがでしょうか。
  142. 江利川毅

    江利川政府委員 このオンブズマン的な業務の機能でありますけれども、国保連に置いたからといって幅が狭くなるわけではないと。この置かれました機能は、利用者、市民等から受けた苦情をもとに、必要があれば調査をし、必要があれば意見を申し上げるというようなことができるようになっているわけでありますので、そういう意味では、国保連に置いて機能が狭くなるというふうには考えておりません。  また、このオンブズマン的な機能を附置しました趣旨は、サービス料に関する利用者の意見、こういうものが的確に反映される仕組みをつくるということでございまして、そういう考え方から、強制的な権限発動ということで臨むのではなくて、いわゆる利用者の立場から出てくるいろいろな意見を踏まえて、サービスの質の向上につながるようないろいろな注文を事業者に助言していく、そういうような機能で考えておりまして、そういうようなことで、その機能は現在の案で十分行えるものというふうに思っております。
  143. 中桐伸五

    中桐委員 私の質問の意図がよくおわかりいただいていないのではないかと思うのです。この介護保険法の百十六条、百十七条、百十八条の関連でいいますと、事業計画なるものをつくらなければいけないということになっている、その事業計画というのは必ずしも国保の連合会がカバーしている問題だけを取り扱うわけではないと思うのですけれども、その点で私は非常に納得いかないのでありますが、どのようにお考えですか。
  144. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険事業計画の策定に当たりましては、例えば要介護者等の介護サービス利用に関する意向とかその他の事情などを勘案しながら作成するというようなことでございまして、介護サービス利用する側の希望とか意見とか、そういうものが把握され、そういうものを踏まえて、幅広い関係者から検討が行われて策定されるべきものだというふうに考えているわけであります。  現につくられております老人保健福祉計画、これをつくりますときも、住民とか関係者意見を踏まえて作成するということで、学識経験者とか保健、医療福祉関係者が参加する体制を組んで計画を策定していただいたわけでございます。そして、これを踏まえて、その地域におけるサービス目標というのでしばうか、そういうものが固まってき、それに向けて事業を推進していくことになるわけでありますが、今度の介護保険法に基づきます介護保険事業計画をつくるときも、恐らく、基本的には同じようなやり方で、幅広く関係者意見を聞いて策定していくということになろうかと思います。  こういうこと自身は、私は、オンブズマンのような、現実に利用して、苦情処理をする、あるいはサービスを提供している事業者に改善すべき点等を助言等をしていく、こういうこととは別の次元で進められるものではないかというふうに思っております。
  145. 中桐伸五

    中桐委員 別ではなくて極めて重要な、そこが非常に重要なところでありますし、国保の団体というのは関係者の中に入るわけですから、より中立性を持った委員を選ばなければいけない、それがオンブズマンだと思う。その委員には改善を勧告できる権限を持たせるということが重要なんです。そこがおわかりいただいていないのではないかと思うのですが。
  146. 江利川毅

    江利川政府委員 国保連を使う場合の具体的な実施の仕方としては、いわゆる国保連の通常のルーチン業務とは別に、しかるべき形というのでしょうか、そういう形を考えて、公平、中立性を持って行われるような工夫は要るのではないかというふうに思っています。  ただ、私どもは、この仕組みは、いわゆる行政権がいろいろな改善命令を発するような強制的な権限を付与する仕組みということでは考えていなくて、利用者等から上がってくるさまざまな苦情をもとに、必要な調査を行い、改善すべき点を助言等をしていく、そういう形で自主的に的確なサービスが確保されるように、サービスの質が上がっていくような、そういう機能を果たすべきものだ、そういう形で構成しているものでございます。  そういう意味では、先生のお考えになっているいわゆる典型的な意味でのオンブズマン制度そのもの、私ども、オンブズマン的業務とか機能とかというふうに申し上げておりますが、典型的な意味でのオンブズマン制度ということではなくて、そういう機能を国保連というところを使って果たせるような仕組みにしたということでございます。
  147. 中桐伸五

    中桐委員 ほかの質問がありますので、簡単にまとめまして要望をさせていただいて、次に移りたいと思うのです。  今日の市民の苦情を処理するシステムというのは、先ほど申し上げましたように不十分なわけです。現に、市民が行政にいろいろ問題を感じたときに行う手段としては行政訴訟という方法がありますけれども、これは非常に時間がかかる、これでは迅速に行うことは難しい。それから、地方自治法に監査委員という制度がありますが、このカバーしている範囲が非常に狭い。それから、民生委員というのは、今さっき言いましたように、パブリックに改善勧告を出せるほどの権限を持っていない。アクセスまではサービスとしてはできますけれども、できない。それから、国が、行政相談委員、これは総務庁、人権擁護委員、これは法務省が設けておりますが、これも、市民がアクセスするには非常にアクセスしにくいシステムなんです。それから、行政監察というのがありますが、これは国の行政監察ですから、自治体が主体になって行う業務を監察できない。  このように考えますと、やはりきちんとした自治体におけるオンブズマン機能を持ったシステムをスタートさせる必要がある。特に、介護保険制度は、制度の創設が急がれるのですが、反面、いろいろなサービス提供の公平性や適切性をめぐって混乱を起こす可能性があるわけですね、十分な基盤整備ができるのを待つまでもなく導入すべきだと私は思いますから。そうしますと、それに対する丁寧な苦情処理システムをつくってほしいということを強く要望しておきたいというふうに思います。  次に、介護サービス事業者を指定する場合、現在の法案では、介護保険法案の第四十一条あるいは第七十条から八十五条の関連で、厚生省で定めるところによって、都道府県知事が指定する者というふうにされております。ここはやはり、団体委任事務として市町村の事務とすべきではないかと私は思うのでありますが、いかがでしょうか。
  148. 江利川毅

    江利川政府委員 今の指定の事務は、都道府県の団体委任事務、団体委任事務であることは先生の御指摘のとおりでございますが、市町村ではなく都道府県の団体委任事務ということになっております。  それは、まず国が一つ基準を定めるということになっておりますが、「厚生省令で定めるところにより、」とありますが、これは、この介護保険制度そのものに国費もかなり入っておりますし、あるいはまた、二号被保険者の保険料というのは全国的にプールされながらいくということもありますので、そういう意味で、全国的に一定サービス水準を確保するという観点から事業者の基準そのものは国が一応定めるということにしているわけでございます。  それで、指定をするに当たりましては、その事業者が一市町村にとどまらないで市町村を超えていろいろと恐らく広域的に活動するだろう、そういうことを考えますと、市町村単位でやるということになりますと、相当重複というのでしょうか、幾つかの市町村から受けなければならないということになるわけでありまして、その活動がある程度の広がりを持つということを考えますと都道府県で行っていくことが適当なのではないか。また、市町村がやるとなりますと、当然、監査等も必要になってくるわけでありますが、同じ事業者にいろいろな市町村が監査に入るということになっても、これまた事務が重複するのではないだろうか。そういうことから、事業が広域的に展開されますので、都道府県単位が適当ではないかというふうに考えたものでございます。
  149. 中桐伸五

    中桐委員 その場合、都道府県の団体委任事務であるということはわかったのですが、市町村が主体になるということがやはり基本ですから、そこで、その調整機能というのはいかがお考えになるのですか。要するに、都道府県というだけで、これから市町村の自律的な機能を高めるという点で非常に問題があると私は思うのですが、そこで、やはり市町村に移行させるというか、そういう方向性というのはどのようにお考えなんですか。
  150. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険制度実施主体は市町村でありますし、具体的なサービス利用というものはそこに住む住民がみずからに適した形で選択をしていくわけでありますから、基本的な、具体的な実施というものは市町村中心に、いわゆる住民に身近なところで行われる部分というのが多いのだと思います。  ただ、事業者の指定というのは、そういう事業者の活動が一市町村を超えて広域的に行われていることが多分多いだろうということを考えますと、市町村単位にやって市町村ごとに事業者を指定するということになりますと、相当重複が出てきたり、あるいは監査の事務なども相当重複が出てくるのを考えますと、どう使ってどうサービスを組み立てるかということはそういう地域単位で考えていく話になってこようかとは思いますが、事業者の指定については都道府県において行われた方が基本的には効率的なのではないかというふうに思います。
  151. 中桐伸五

    中桐委員 重複、重複とおっしゃるのですけれども、市町村が行う業務、市町村の枠内でカバーできるものと、広域的にカバーした方がいいということとをごちゃごちゃにして話をされると、市町村の自律的機能を高めるということが前向きに話されるように思われない。重複しているからどちらかというとそれはまずいというイメージで受け取れるのですが、そこは、前向きにそういう方向でいくと言うのですか、それとも、いや、これは絶対都道府県しかないというふうにおっしゃるのですか。
  152. 江利川毅

    江利川政府委員 的確な例では必ずしもない面も含んでおりますが、医療保険国民健康保険があります。医療機関の指定というのは都道府県知事が行っているわけでありますが、そういう保険診療機関としての指定は都道府県知事が行っておりましても、いわゆる国保の運営というのは市町村が自主性を持ってやっているというわけであります。  今回のこの指定については、私は、サービスの中身をどう組み立てていくかという住民に密接した部分ではなくて、事業者を指定するということでございますので、市町村の上にさらにその事務を移すことが適当かどうかということは、少し慎重に考える問題ではないかという気がいたします。
  153. 中桐伸五

    中桐委員 調整機能を持たせるという意味で都道府県が間に入ってということは私は認めるものでありますから、その点でぜひ前向きに――市町村の現在の規模自体がいいかどうかという問題はあると思うのですよ、非常に重要な問題が。それは今後の課題といたしまして、やはり前向きに、そういうふうに検討をぜひお願いしたいということを要望しておきたいと思うのです。  時間がありませんので次のところに移りますが、私は、介護保険制度は早期に導入すべきだというふうに大変強く思っているわけでありますが、しかし一方で、基盤整備という問題が、未来的に時期を切って基盤整備を急ぐというふうにすべきだと私は思うのですね。  つまり、これは制限給付の経過措置の終了の期日というものを、未来から切り取って今明記すべきではないかと思うのです。これが、国民が非常に不安を持って、公聴会等でも、保険はあるけれども給付が不足するのではないかという懸念を異口同音に出されておるわけですね。ですから、ここは、未来の完全給付の期日をここでやはり決断すべきだと思うのですが、これは厚生大臣にぜひお聞きしたいと思うのです。
  154. 江利川毅

    江利川政府委員 大臣の御答弁の前に、ちょっと事務的に少しお話をさせていただきます。  新ゴールドプラン等に基づいて、今、基盤整備を進めているわけでございますけれども、しかるべき水準まで達していないような場合には、先生指摘のように、法律実施後五年を超えたある時期まで、政令で定める時期まで少し低い水準でも構わない、それが認められるという形になっているわけでございまして、そして、これは先生の御指摘のように、できるだけ早く実現して、きちんとしたサービスが提供できる体制になるということが望ましいわけでありまして、考え方、姿勢につきましては先生の御指摘のとおりだと思います。  ただ、市町村の、現実にそれが本当にできるかどうかというのが見きわめがつかないとその踏ん切りがつかないところもございまして、この法律の条文ではこういう書き方になっているわけでございます。
  155. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 全く新しい制度を導入する際に、まだわからない点があると思いますね。導入してみて、どの程度のサービスができるのか、また、どの程度の申請者が出てくるのか、あるいは認定の面においてもどういう点が問題になってくるか、現実にやってみないとわからない点が随分ある。そういうことを考えれば、最初からぴしっとこうだというのは、私は無理だと思います。ある程度実施を見て、そしていろいろな意見を聞いて、サービス状況整備状況を見て、段階的に整備していくというのが現実的ではないかなと思っています。
  156. 中桐伸五

    中桐委員 そのこともわかりますが、やはりここは、社会的コストの効率的活用という点からいっても、介護保険制度というのは非常に有効なシステムになると私は思うのですね。ですから、ここはやはり政治的決断が要ると思うのですよ。ですから、見直す時期をもう少し、いつぐらいまでにもう一遍再検討するというふうなこととか、そういう決意はないですか。
  157. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 この介護保険制度というのは、当然国がやる、厚生省が進めているわけですが、同時に、国民が関心を持てば持つほど国民のものとなっていくと思うのです。今から時期を示すというよりも、多くの国民が関心を持つことによって見直すべき点も明らかになってきますから、その辺は、今から時期を何年というよりも、実施状況を見ながら、そして国民がより多くの関心を持ってこの制度の充実を願うならば、私は必然的に充実していくのではないかなと思います。
  158. 中桐伸五

    中桐委員 できるだけ早くこれを立ち上げて、その実施状況を中間点的にチェックして、できるだけ早い時期に完全給付の時期というかそういったものを示していただきたいということを要望しておきたいと思います。  次に、もう時間がなくなったのですが、簡単で結構ですので、加齢疾病要件ということが第一条にございますが、この点について、例えば進行性に筋が萎縮して移動の機能が低下してしまうというふうな筋萎縮性側索硬化症とかあるいはリューマチ、そういったものは明らかに加齢に伴って状態が悪化してまいります。そういったものについてはどのように考えるのか。  それからもう一つは、介護保険法施行法案の第十一条の関連で、障害者については当面外す。しかし、その点について、障害者プランの終了時において介護保険との統合というものをするおつもりなのかどうか。  この二点について、簡単で結構ですからお願いします。
  159. 江利川毅

    江利川政府委員 御指摘のALSとかリューマチでございますが、調べてみますと、確かに四十ぐらいを超えてふえているわけでございますが、また六十過ぎぐらいになりますと発生率が減っていっている。間違いなくこれはなるのだろうと思っております脳卒中であるとか初老期痴呆というのは加齢とともにずっと右上がりで上がっていくわけでありますが、そういうもので、同じような流れでは必ずしもないわけでございます。  ただ、これにつきましては、高齢者医療の専門家による研究会を設置して検討しておりますので、そこで専門的な目で見てどうなのかということを議論していただいて、最終的にどういう扱いにするかを検討したいというふうに思っております。  それから、障害者プランが終了した時点で介護保険と障害者とを、今の介護保険の中に障害者を入れるということでしょうか、そういうことを考えたらどうかという御指摘でございますが、この法律の附則に検討規定が置かれておりまして、そういう障害者施策の実施状況等も踏まえて検討すべき課題だというふうに書かれているわけでございます。私どもも、そういう認識でいるところでございます。
  160. 中桐伸五

    中桐委員 時間が来ましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。
  161. 住博司

    ○住委員長代理 次に、児玉健次君。
  162. 児玉健次

    ○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  私たちは、この法案の前提となるべき新ゴールドプランの達成がどこまでいっているか、そこをまず明らかにする必要があるのだろう、こう考えて、第一回目は特別養護老人ホーム、二回目は瀬古由起子議員が担当してホームヘルパーの問題に絞って質問いたしました。きょうはその二つ分野を除く部分がどうか、まずそこからお聞きをしたいと思います。  厚生省からいただいた資料で私たち計算をしましたが、老人保健施設についていえば、目標が二十八万人で九七年度末の進捗が四三・〇%。ケアハウスは目標十万人、一六・九%。高齢者生活福祉センター、四百カ所に対して四六・五%。ショートステイは六万人に対して五五・〇%。デイサービスは一万七千カ所、三七・六%。在宅介護支援センター、ちょっと一言コメントしたいのですが、この前、地方公聴会の岡山で、在宅介護支援センターが適切に機能を発揮したらどのくらい大きな役割を果たすか、本当にビビッドなお話がありました。目標は一万カ所ですが、今二六・五%。老人訪問看護ステーション、五千カ所に対して二四・七%。構造的に見れば、今、事態は非常に立ちおくれていますね。  それで私は、あえて例示的にショートステイと在宅介護支援センター、二〇〇〇年三月三十一日までちょうどあと三年ありますから、この三年のうちにショートステイと在宅介護支援センターについて厚生省がどのように努力を強めて目標に到達するか、制度の説明など要りませんので、どのように努力をしてそこに至るか、この点について端的にお答えいただきたいと思います。
  163. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 今先生指摘のように、今回の新ゴールドプランのメニューの中で、進捗の比較的順調なもの、それから多少おくれているものがございまして、御例示のございましたショートステイあるいは在宅介護支援センターにつきましては少し進捗がおくれております。中には、在宅介護支援センターのように立ち上げ自体が、制度そのものが新しいという要素がある部分もございます。したがいまして、その後の進捗が比較的急ピッチというようなものもございますので、それはそれで力を入れていかなければなりませんが、いずれにしても、こういった部分についてどう目標達成に向けて努力をしていくかというのは大変な努力が要る話でございます。  したがいまして、私どもとしては、それぞれおくれている部分につきましては、実態の部分につきまして改めてヒアリング等も行いまして、もちろん予算のつけ方等につきましてもそういった部分への重点的な配分をしておりますけれども、あわせまして、制度を普及するに当たってそこに弾力的な要素をもう少し入れなければ普及ができないではないかというような要素もございますので、ショートステイの要件の緩和でございますとか、あるいは在宅介護支援センターをつくりやすくするためにはどうしたらいいかというようなことについての要件上の地方団体からの御希望でございますとか、そういったものを鋭意伺いながら、大車輪でここらの整備を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  164. 児玉健次

    ○児玉委員 全体としておくれているということについては率直に今御発言があったし、そして、この後それを押し上げていくときに、予算のつけ方、重点的な配分、そして何が困難なのかということについてのヒアリング、これは私は、もう思い切って、ある意味では蛮勇を振るってほしいと思いますね。思い切って努力をされなければ、この三年間はあっという間に推移してしまいますよ。文字どおり保険あって介護なしということになる。  それから、基盤整備の重要な要素である人的な要素、この点で恐らく一番困難な分野一つが看護婦さんの部分だと思います。  厚生省がおつくりになった資料をいただいているのですが、平成五年度で介護保険制度において必要な人材数、看護婦等二万人となっていますね。そして、平成十二年度八万人、二十二年度十六万人。これは療養型病床群で必要とする人材を除いています。平成五年度二万人で、十二年度に八万人にならなければいけない。今、全体として社会的に看護婦不足が大きな問題になっているときに、ここのところの目標の達成という点で皆さんどのような努力をなさろうとしているか、そして、先ほど指標の一つとして挙げた九五年度末までの到達点はどうか、この二つについてこれまた簡潔に答えていただきたい。     〔住委員長代理退席、委員長着席〕
  165. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 人材の中で特に看護婦の確保ということでお尋ねがございました。  看護婦の需給計画につきましては、全体としては、先生御承知の平成十二年に需給を均衡させる計画をつくっております。この中にはもちろん、ゴールドプランにおける必要看護婦数というものも含まれています。現在、実績として平成六年までのものしかございませんが、平成六年の実績としては、平成三年につくりました平成十一年を最終目標とする需給計画の供給は予定数を上回っております。私どもの感じでは、看護婦職員の供給というのは今後この計画を上回って推移していくというふうに予測をしております。
  166. 児玉健次

    ○児玉委員 これも努力お願いしたいし、そして、今の厚生省お話、全体の需給計画を文字どおりトータルで言われているので、介護の幾つかの分野にどのようにその方たちが配置されるかという問題はそれはそれで厳しく見ていかなければいけませんから、この点の努力を私は求めておきたいと思うのです。  そこで、大臣、先ほどの質疑の中で、あなたは、制度というのは発足時においては質よりも量だと言われたのだけれども、しかし、新ゴールドプラン全体、在宅そして施設介護二つの領域で、先ほど二つ分野は除いてずっと数字を挙げました。全体の状況を言えば、今やはり非常に厳しい状況ですね。  ところが、これはことしの二月九日、全国の主要な新聞に文字どおり一ページ全部を使って、「しあわせに暮らす二十一世紀のために、」大臣のお顔もこうやって掲載されている。その中でこう言っています。「今度の介護保険では、利用者が受けたいサービスが総合的に利用できるようになります。利用者本位のサービスになり、質も向上すると思います。」そうなってほしいと私は思います。ところが、今の論議からも明らかなように、そうなっていないのじゃないですか。  そこで、ここは大変な努力が今求められていると思うのですね。新ゴールドプランについて多くの委員が前倒しの実施について既に述べていらっしゃいます。私たちもそうだと思う。  特別養護老人ホームについて言えば一〇〇%到達しても二万人以上待機者が出る。ホームヘル。八一は、常勤と非常勤、三対七で言えば、ホームヘルプサービスが行き届くのは五十万人にならない。そして、その他は先ほどのパーセンテージのとおりですよ。  私たちは、この際、計画を前倒しにするためには関連予算を二倍にしなければいけない。ともあれ、おくれている分野について、二〇〇〇年の三月三十一日といったらあと三年ですから、そこに向けて到達するためのこれは政府を挙げた努力が必要だと思うのです。いかがでしょう。
  167. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私は、この介護保険制度を導入することによって、介護サービスは量的にも質的にも導入しないよりもはるかに向上すると思います。最初から完全なものを求めようという議論はわかります。今からいろいろ心配をしていただいて、よりよいものを目指そうという気持ちがあるからこそこうして連日御審議をいただいている。  私は、昭和十七年生まれですけれども、私の小学校時代は二部授業でした。遅番、早番というのがありまして、一週間ごとに交代していました。学校教育を受けたい、義務教育、戦後の荒廃から、教育は大事だ。一週間ごとに、きょうは早番というと午前中、帰ってくるころになると午後番の人が通う。朝起きる場合、ああ午後番の人はいいよな、朝早く起きなくていい。午後番になると、今度は、みんな帰って遊ぶときに行かなきゃならない。そういう状況でしたよ。いつの間にか、中学になるとそれは五十人、六十人学級。四十人学級にしなきゃいかぬ、やはりだんだん四十人学級になってきましたね。  最初は、どうしてもサービスを受ける方と提供する側、そんなに完全にはいかないと思います。今回の御審議もそういう御心配をいただいておると思いますし、その御心配、関心こそがこの介護制度を充実させていくものと思われ、三年かかってできるだけよりよいものにしていこうという努力、これだけの多くの皆さんが心配をしていただき、多くの国民が関心を持って、いざ実際にサービスを受けるという段階になって、私は、ますますこの介護保険制度の必要性が認識され、そしてよりよきものにしていこうという声が大きくなってくると思いますが、ともあれ三年後を目指して精力的な努力が国も県も市も民間も必要ではないか、それに向けて全力を投球していきたいと思います。
  168. 児玉健次

    ○児玉委員 小学校のお話がありまして、私はあなたより多分十歳上なものだから、原爆の落ちた後の広島で、集団疎開から帰って、国民学校から旧制中学に入りました。そのときのひどさと、そして今のかなりの前進、そのことに最も貢献した人たちが今私たちが議論している介護保険の対象になろうとしているのだから、だから本当に国の総力を挙げてその方々努力に報いる、その点で大いに議論をしていきたいと思うのです。この点は今後にまた議論したいと思うのです。  そこで、次の問題なんですが、介護保険にかかわる国民負担についてです。  第一号被保険者、難しい言い方で、要するに年金受給者、高齢者からの保険料の問題ですよ。今、この人たちの三五%が住民税非課税です。正確に言いましょう。この方たち、高齢者世帯の三五%が住民税非課税です。そういう方々から、月額千二百五十円または千八百七十五円の保険料を徴収する。それから、住民税非課税者は三九%の広がりがありますけれども、この方々からは月額二千五百円を徴収する。その方々生活の状態はどうだろうか。  現役のサラリーマンなどについて言えば、事業者、事業主、そして国保の場合、国からの負担が入っています。ところが、第一号被保険者について言えば、事業主、国からの負担は入っておりません。そして、今、老齢年金受給者の過半数千四十四万人は月額平均四万三千円の年金で暮らしていますよ。こういう方々から先ほど述べた保険料を徴収する。世代間の均衡という言葉がよく言われるけれども、他の世代に比しても、この第一号被保険者の保険料負担というのは重きに過ぎないか、こう思うのですが、見解を伺います。
  169. 江利川毅

    江利川政府委員 住民税の非課税である世帯の数などを先生指摘になったわけでありますが、年金等控除等がございますので、世帯全員が市町村民税非課税である場合、高齢者夫婦世帯で見まして年金のみの収入というときに年金額が約二百七十万円以下ぐらいの世帯になるわけでございます。ですから、二百七十万円以下ですから、当然またこの中にも幅があるわけでありますが、税制非課税といいましても、公的年金等控除とか老年者控除、結構大きい数字でございまして、そういう意味で、税制で非課税だからといって相当低い水準かというと必ずしもそうでもないというふうに考えているわけでございます。  それで、私どもとしては、高齢者につきましては、二〇〇〇年段階におきまして現在価格で平均二千五百円の負担、真ん中の人が二千五百円程度で、五段階に分けてというふうに考えております。四十から六十五未満の人も平均すると一人当たり同じ額ではございますが、これは医療保険とか国保に乗っかっできますと、当然、その制度に基づく国の負担であるとか事業主の負担があります。ただ、一方でまたサービスを受ける頻度というのでしょうか、そういうもので見ますときに、四十から六十五未満の人たちが要介護状態になる確率というのは大変低くて、一方、六十五歳以上の人の受益は大きいわけでございます。そういうことを全体的に考えまして、私どもはこれで妥当に運営できるのではないかというふうに思っているところでございます。
  170. 児玉健次

    ○児玉委員 厚生省、ここはよく御存じだと思うのだけれども、年金受給者などの世代に対する税制における控除が比較的高い部分で設定されているというのは、長い間の税制論議の一つの到達点なんですね。そのことを理由にするのは私は大いに議論しなきゃいけないと思うのです。  それから、頻度のことについておっしゃったけれども、もし皆さん方がこれを保険制度として押し出そうとされるのであれば、そもそも保険制度というのはある種の危険が起きたとき保険全体から保障を受ける、その頻度云々で年代の保険料が異なるというのは、これは保険制度の本来の姿から外れていますね。その二重の意味で私は言っているのです。  働いている人たちには、言ってみれば事業主そして国からのお金が入ってくる、二分の一。ところが、第一号被保険者になるとそこは断ち切られてしまって、そして先ほどの負担になる。これはやはり構造上問題ですね。どうですか。
  171. 江利川毅

    江利川政府委員 同じような話の繰り返しになるわけでありますが、二号被保険者の保険料負担考え方は、四十から六十五未満でありましても加齢に伴う疾病等によって要介護状態になることがある、これはただ確率的には確かに低い。一方、そういう人たちにとっての親というのでしょうか、両親、それが場合によったら介護を受けるような危険性のある年齢に入っていく。そういう意味でいうと、構造的には世代にまたがるというのでしょうか、相互扶助、社会連帯という中でやっていこうというものでございます。  そういう意味で、民間の保険でありますと、当然、発生の危険度の大きさによって保険料も違うというような形になるわけでありますが、社会保険ですので、基本的な一人当たりの単位の保険料というのは同じにする、リスクが違う分、それがある意味で世代間扶助のような形になっていく。  ただ、この仕組みをどういうふうに仕組むか。介護保険制度のこういう仕組みは全く新しい保険制度でございます。本人、いわゆる要介護度の高い、確率の高い高齢者について負担をしていただき、あるいはまた若い人たちは医療保険という仕組みの上に乗っかって保険料を払っていただく、こういう中で、トータルとして一人当たり保険料の比率が、金額が平均すると同じような水準に設定したわけでございまして、私はこれは議論をすればいろいろ議論の余地はあるとは思いますが、一つ考え方というふうに御理解を賜りたいと思います。
  172. 児玉健次

    ○児玉委員 その点も重要な論点ですから、この後、議論したいと思うのです。  そうやって利用料を上積みしてその保険料は徴収する。今、特別養護老人ホームについて言えば、月平均四万五千円ですが、しかし、収入の段階によって細かに刻まれていますから、入所者からの徴収額という点で言えば、全くゼロの部分、千円の部分、それから八万一千百円、もっと上回る部分、非常に細かになっています。  ところが、今度皆さんから示された資料によれば、厚生大臣が定める基準により算定した額の百分の九十、これが約二万四千円、それから、食事提供費から食費の標準負担額を控除した額、これが二万二千八百円、合わせて四万六千八百円、一部ではむしろ負担が減る部分もあるけれども、多数の部分について言えば、ここで大幅に負担がふえていきますね。  私は、きょうの議論の最後で一つ述べておきたいのですが、この制度が発足する二〇〇〇年時点で国の負担はどうなるか。いろいろ資料をいただきました。現行制度で一兆五千五百億日それがこの制度が発足することでふえるのかと思ったら、逆に一兆一千八百億円になる。三千七百億円、国の負担はむしろ減少してしまう。市町村を含めれば、公費負担トータルで四千五百億円も減少してしまう。自分の方は身軽になって、国民の側からはがっちり取り立てる、これは本末転倒だと思うのですね。  国が、この際、事柄の重要性からして、財政負担についても、その他いろいろな分野の浪費は削りに削ってここに必要な予算を振り向けていく、そうでなければならない。負担は力に応じて、給付は平等に、そういう立場から措置制度を思い切ってこの際拡充して、それと保険制度を組み合わせてこの介護保険制度を発足させたいと私たちは思っておるのですが、この点について、皆さんの言ってみれば大局的なお考えをまず聞かせておいていただきたいと思うのです。
  173. 江利川毅

    江利川政府委員 要介護者の介護サービスをどう提供するか。これは今まで、医療保険老人医療という制度と福祉、措置制度ということで行われてきておりますが、それぞれの制度の当初の原点からいえば、福祉制度は低所得者に対する対策、医療の方は一般的には医療保険、いわゆる急性期の医療が中心。それが、戦後の医療技術の進歩や生活水準の向上等によって長寿化がどんどん進み、また、要介護者もふえてきたわけでございます。これは新しい社会の事態への対応が求められる、今までの古い伝統的な仕組みからではカバーできない新しい課題が出てきているわけでございます。  これをどういうふうに考えるかといいますと、私どもの方では、まさに老後の生活も含めて生涯の生活というのは自己責任を原則として考えるべきではないか。そういう意味では、将来の自分の生活に備えるという意味で、若いときから保険料を入れて、年金もそうですし、医療もそうですし、また、介護という新しい問題もそういう仕組みで考えるということでございます。  措置というのは行政に責任があって、ですから特別養護老人ホームや措置に基づく事業をするときも、行政自身がやるか、行政が委託をしてやっている。そうではなくて、保険でやるというのは、自己責任のもとに自分で自分の生活を設計していく。そういう意味では、サービスも自分で選択をしていく。戦後になって長寿化それから高齢化、医学の進んだ、こういう新しい事態に対応する新しいいわゆる自己責任のもとに確立するバックアップ体制というものを、保険というものを中心に考える。  ただ、自己責任といっても、自分の保険料だけでは大変ですから、それを支援するという意味で、あるいは今までの制度との接続という意味で、公費負担というものをかなり入れ込んだ仕組みになっているわけでございます。これは、そういう自己責任のもと、あるいは権利、選択、こういう考え方からいきますと、基本的にはこういう方向を目指すべきものではないかというふうに思っております。
  174. 児玉健次

    ○児玉委員 重要な論点が今浮き彫りになってきていると思うのですね。時間ですから、次回以降、その点で質問いたします。  ありがとうございました。
  175. 町村信孝

    町村委員長 中川智子さん。
  176. 中川智子

    ○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。  先ほど大臣は昭和十七年生まれとおっしゃいまして、私は二十二年生まれで、何か性格的に、五つ年上のお兄さんではないかと思うぐらい私も楽観的でして、何でもやってみなければわからないというところはございます。それでも、私がきょうから禁酒禁煙をするという、自分自身で責任がとれる範囲の楽観的な性格ならそれでいいのですけれども、介護保険法というのは、国民全体の将来をきっちりと保障していく、この介護地獄からみんなが抜け出していけるのじゃないか、解放されるのじゃないかという期待がすごくございますので、やはりしっかりとした修正案を伴った、よりいいものをなるべくスタート時から発足させていきたいという思いが強くあります。ですから、この国がもっと人間にお金をかけてくれるものならいいなということを痛感しております。  大臣が本当に物すごいいい顔で郵政三事業の民営化をおっしゃるときに、ああ必死なんだな、本当にこの国を人間の国にするために必死なんだなとかなり心の中で拍手は送っているのですけれども、やはり公共事業の抑制などを同時に言っていただいて、もっと大蔵省、建設省とけんかしていただいて、郵政以外にもっと削るところはたくさんあるのではないかと思っております。予算の執行時にはしっかりとそのあたりも大臣よろしくお願いいたしまして、先日の地方公聴会での感想を少し述べさせていただきます。  私も、熊本にいる五年間に、しゅうとの介護をして介護地獄の真っただ中に日々生きていたわけでございますけれども、地方はやはり在宅介護が主なサービスの中身になっていくと思うのですね。とても信じられないのですけれども、年寄り、高齢者施設に入れる、特養に入れるとかになりますと、三代後まで指を指されて生きていかなければいけない、そのような状態です。まだまだ本当に保守的な中で、在宅サービスの充実が今どこまで進んでいるのかということがみんなのすごく大きな関心で、毎日のように手紙やファクスをいただいております。  地方の女も、最近、女性はとても元気でございまして、いろいろな地域の生協などがワーカーズ・コレクティブとかいろいろなところで、今は食の問題と同じぐらいの重さで福祉分野ができていまして、その人たちが自分たちでそのような施設をつくっていこうということで頑張っているのですが、まだまだ、自分たちの貯金をはたき出して、へそくりをはたき出して小さな家を借りて、そこでそのようなサービスを始めているという状態がございます。  ですから、今、基盤整備がおくれている中で、圧倒的なマンパワー不足の中で、民間活力、特にそのような地方で今起こっている民活に対してこれからはどのような政策をとっていこうと考えていらっしゃるのか、お教えいただきたいと思います。
  177. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 今先生るるお述べをいただきましたように、これからの介護問題を考えますときに、いかに在宅で支えていくか、その在宅で支えるそういったサービス基盤民間活力をも含めていかに確保していくかということは大変大事になってくるというふうに思っております。そういう観点から、私どもも、今後は民間サービスの積極的な活用が必要だというふうに考えておりますので、そういった方面の施策に力入れをしていきたいと思っております。  したがいまして、従来から在宅福祉市場分野におきましては、農協あるいは先生お話のございましたワーカーズ・コレクティブというような非営利の、あるいは営利のものを含めました民間団体といったようなところへの委託というようなことについても積極的に進めてまいりましたが、今度、介護保険ができますれば、さらにそれを進めまして、在宅サービスそのものへの参入に当たりましては公的サービスと条件を同じにするということで、公的であるがゆえに優遇するというようなことにしないというのを基本にしながら、もちろん、公的であれ私的であれ、一定サービス基準といいますか、適正な基準は満たされなければならないということは当然の前提としながらでございます。  それから、それを選ぶのは、言ってみれば消費者としての利用者が基本的に選んでいくという方向をできるだけ制度的にも仕組んでいくというような形で考えたいというふうに思っております。  そして、具体的な展開に当たりましても、先ほどワーカーズ・コレクティブの話が出ましたけれども、事業展開が比較的小規模にとどまっているというようなものもございますから、そこは、都道府県単位でいわゆる指定の事業者になる道と、さらに僻地等で、そういう大ぶりな施設よりも、もうちょっときめ細かいといいますか小回りのきく対応が要るというようなものにつきましては、市町村単位でのそういったサービス展開ということも制度上認めるという格好で、いろいろそういうきめ細かな配慮も加えながら、先生お話しの方向で力入れをしていきたいというふうに思います。  それは、施設に入れることについて後ろ指をさされることをいとうがゆえに在宅というよりは、これからさらにもう一つ高い段階で、だれしも家庭で、地域で過ごすことが基本的には幸せだし、そういうことがしたいという人はできるようにするということが大事だという視点に立って進めていくことだろうというふうに思っております。
  178. 中川智子

    ○中川(智)委員 いろいろな、たくさん、できるだけの声を、この間、公的介護保険法に関しては聞いてきたのですけれども、最近はこういうことを言う友人たちも出てきました。  まるでオレンジ共済のようにお金だけ取られちゃうのじゃないのとか、普通の人が出せないぐらいの負担がかかってきてしまって、普通のサラリーマンではこんなふうにお金が上がってしまって、一割負担が二割負担になり三割になり、膨大な負担で、普通私たちはとても受けられないようになってしまうのじゃないかという声がある一方では、もう解放される、これでバラ色の、私たちは、もう自分たちの老後も心配せずに、本当になけなしの貯金を一生懸命つめに火をともすような形でやらなくても済むのだという声と、両極端なんですね。  何かきっちりとした情報が行き渡っていないということを実感するのですけれども、そのような極端な形になってしまっている原因は、こういう議論の中身をもっと正直にというか、みんなで国民議論して、これをともにつくり上げていく姿勢というのがなくて、単にお金さえ出せばどうにかなるという状況が今あるような気がします。  それで、先ほど石毛さんも中桐さんも話しておられましたけれども、私も、特にこの準備段階の中で、各都道府県の窓口とは言いませんが、日本の幾つかの場所で市民が参画するような、介護保険をより充実するためのプロジェクトチームのようなものをつくったらいいと思うのです。先ほどの返事と同じになるかもわかりませんけれども、社民党もそのような気持ちがすごく強いということで、少し御答弁をいただきたいのです。
  179. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険制度は新しい制度の実施でありますので、これが的確にできるように、我々もいろいろ検討しながらモデル事業実施して、実際に当てはめて、例えば要介護認定は、これは的確かどうかとか、こういうことをやってきているわけでございます。  このモデル事業は、九年度におきましてはさらに圏域を拡大して実施する。そして、今回やったモデル事業を修正して、要介護認定の基準とかチェック項目とかそういうものを見直して、それを踏まえて、また新しいものでもう一回さらに実施していく。それは、できれば単に要否判定とかだけじゃなくて、今度はケアプランのところまで進めるとか、一歩一歩実施に向けて、先にモデル事業を進めてやっていこうというふうに思っているわけでございます。  そのときに、モデル事業のやり方については、いろいろな地域の取り組み方ができるような工夫というのを、大枠の中で地域の個性を生かしながらできるような工夫というのを考えてみたいというふうに思っております。
  180. 中川智子

    ○中川(智)委員 ありがとうございます。  地方公聴会でとても印象に残ったのは、私も本当に最近勉強し始めたばかりで、とても地方公聴会の意見というのが胸に刻まれているのですけれども、現金給付の問題がかなり出ました。そして、圧倒的なマンパワー不足の中で、経過的な措置として現金給付というのはかなり実効性があるものだというような気持ちになってきたわけなんですけれども、厚生省としましては、この現金給付に関して、地方公聴会の皆さんの御意見を受けた中で今のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  181. 江利川毅

    江利川政府委員 介護をしている家族に対して現金給付をするということにつきましては、この介護保険制度を考えて検討していただいた審議会、最初は審議会で検討していたわけでございますが、その審議会でもかなり意見が分かれたわけでございます。  私は、先生方のお供をして岡山と広島で聞かせていただきましたけれども、そこでも、現金給付をやるべきだという意見と、やるべきでないという意見と、それから、基盤整備が整うまでの間、暫定的に現金給付をやるべきだという意見と、逆に、整備が整ってからならいいけれども、今やるのは問題ではないかという意見と、非常に意見が分かれていたと思います。どちらかに軍配が上がるというようなことではなくて、まさに本当に意見が分かれているという状況だったのではないかというふうに思っているわけでございます。  この介護保険法案をまとめるに当たりましては、この問題についてはそういう関係者意見も分かれているということもありまして、今の時点でどっちかに決めるというのではなくて、実施後のさまざまな状況を見てからの検討課題一つというのでしょうか、そういう先の問題ではなくて、今の段階で方向は決められないのではないか。それよりも、今の段階でいえば、基盤整備についてなお充実しなければならない点がございますので、それは基盤整備の充実のために使っていくということが必要ではないか。各公聴会とも基盤整備の充実を求める声も多かったわけでございまして、今の段階では、私どもは、従前どおり、基盤整備の充実にまず力を注いでいくことが先決ではないかというふうに思っているところでございます。
  182. 中川智子

    ○中川(智)委員 わかりました。  先ほどの石毛さんが、介護の社会化を進める一万人市民委員会のことを話されましたが、私もこのメンバーになっているのです。会費一万円払って一生懸命勉強したのですね。一万円委員会ではないかと思うのですが。一万人委員会なんですが、そんなにお金を出してその会に入り、そして、みんな手弁当で一生懸命この間勉強してきて、すごく中身の濃いものでございます。  「介護保険法案に市民修正を」このときに、社民党と民主党は市民という言葉に対して余り違和感ないのですが、市民という概念を私どもの市民フォーラムで意思一致したので、市民、市民という言葉がぶわっと出ますが、ちょっと市民という定義を聞いてください。  市民とは、労働者、農民、庶民、女性、青少年、企業家などの広範な国民意味し、自分たちの生活を自分たちで選び取ろうとする自発的な人々を意味しています。  そういう意味で市民という言葉を聞いてください。そして、その市民が精いっぱいお金と時間をかけてつくったこれに対して、この三つの修正案をぜひとも要求いたします。これは千円で買ったのですが、ただで小泉大臣にプレゼントしますので、ぜひとも次のときにはこの三つの修正案に対してのお答えを私の持ち時間にいただきたい、これを心からお願いいたします。それではプレゼントを。――よろしく。これです。でも、夜はゆっくり休んでください。朝早く起きて読んでください。  それでは、次の答えを楽しみに、これで終わります。ありがとうございました。
  183. 町村信孝

    町村委員長 土肥隆一君。
  184. 土肥隆一

    ○土肥委員 あと十分ですから、皆さん、御辛抱いただきたいと思います。  私は、今回の公的介護保険が導入されることについていろいろな思いを持っているわけでありますけれども、これが三年間の準備を経てスタートしても相当混乱があるだろうと思います。ある意味で大混乱かもしれないですね。しかし、私は、当然混乱は生じる、その混乱の上に立ってどうするかということが真価が問われるわけでありまして、この委員会で余り整然たる準備をして実際うまくいくのかというと、これはやってみなきやわからないというのがたくさんあるわけですね。  そもそも行政というのは、住民に対して、私は市民よりも住民、地域住民と言うのですけれども、個別的な対応をしたことがないわけです。もちろん、生活保護でありますとかさまざまな福祉サービスがありますけれども、例えば神戸、私は神戸出身ですが、被災地で個別支援と言ったときに行政はとまってしまうのですね。個別支援をしてほしい、個別対応をしてくれと言ったときに行政ははたと足がとまるわけです。つまり箱物、公営住宅を建てましょう、インフラ整備しましょう、港湾をやりましょう。しかし、お一人お一人の被災者の、あるいは仮設住宅に入っていらっしゃるお一人お一人の問題について、ああしてくれ、こうしてくれという要望が出ると、それは対応ができない。だから、今までの行政対応というのは、言ってみれば大ざっぱな、大枠で、特にインフラを中心にしてやるわけです。  今度の介護保険というのはまさに在宅福祉サービス、恐らくスタート時百万人ぐらい手が挙がるのじゃないでしょうか。そうしたときにどうやってこれをくぐり抜けていくか、乗り越えていくかといったら、私は、住民の参加しかないと思うのです。地域住民の参加なくしてこれは絶対に克服できない。  ですから、きょう私が論点として申し上げたいのは、混乱するのはいい、混乱したら地域住民とがっぶり四つに組んで、この町を、この高齢者たちをどうしようということを初めから地域住民を当てにしてというか、地域住民を入れてやらない限り、この介護保険はいつも不満の残る、いつも不十分さが残る結果を生むだろうということを申し上げたいと思うのであります。  したがって、極端なことかもしれませんけれども、市町村介護保険事業計画、これは法文によると行政がやるのですね、行政が計画を立てる。そうすると、行政は、あの老人保健福祉計画のときもそうでしたが、計画は立てるのです。だけれども、いざやるとすると、とんとそこに知恵が出てこない。そして結局、行政がやりますとその計画に縛られますから、なぜやらないのだとか、ちょうどゴールドプランがそうですけれども、計画を立てました、はい、やれ、こう言われるわけですね。私は、ちょっと立ちどまっていてもいいのじゃないか、在宅福祉をやってみて、その後、ボリュームとしてインフラ、特にハード物、箱物が一体どれだけ必要かということを考えてもいいのではないかと思っているくらいであります。  したがって、この保険事業計画を市町村がやるというときに、もちろん厚生大臣の指針が出るわけですが、どうでしょうか、もう最初からこの事業計画にも地域の住民の参加があって、そこで情報の公開も行われて、こんな計画でどうだろうというふうなクッションを置いたらどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
  185. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険事業計画を市町村が策定する場合に、これは、そこの地域の人たちの意向というのでしょうか、そういうものが反映されて、住民の望んでいる目標に向かって動くものが期待されるわけでございます。  先ほども答弁したことがございますが、そういう意味で、どういうニーズが地域にあるかというものを把握する、あるいはまたいろいろな学識者というのでしょうか関係者、そういう人たちの参加を、声を聞いて検討して策定する、こういうことが行われてしかるべきだろうというふうに思っております。
  186. 土肥隆一

    ○土肥委員 ですから、それはやはり制度として保障しないといけないのじゃないかと思って、この法案を読むにつけて、何か従来の上から下の措置制度のような、上から下の税金を使ってやる手法にすぎないような感じがしておりまして、これはよほど注意しないと、本当に国民あるいは地域住民のものにならないということを申し上げたいと思います。  それと同じような論旨でありますけれども、介護認定審査会というのがつくられますけれども、ここが一番大事なわけで、ここには多様な人材を集めましてなるべく客観的な審査をしようということのようでありますけれども、例えば二十七条の第二項で「市町村は、前項の申請があったときは、当該職員をして、当該申請に係る被保険者に面接させ、その心身の状況、その置かれている環境その他厚生省令で定める事項について調査をさせるものとする。」こう書いてあります。  もちろん、民間事業者に委託してもいいわけでありますが、これまた役所の、役所の人が悪いというのじゃないですよ、その事業計画を背負って、そして自分のできないことがいっぱい頭の中にあって、これもできない、あれもできないといってそのクライアントの前に立ったときに、それはもう本当に実のない話になってしまうのです。  在宅福祉というのは、一人一人のおたくのお年寄りなり家族とどういう人間関係や信頼関係をつくるかというところが根本的に大事なことであって、これもだめです、あれもだめです、審査票か何か持って、テレビで私見ましたけれども、そうやってだめだだめだと言っている間に、一体何なんですかこれはと当然なるのです。そこで何回かやりとりしながら、しかも、一たん引き受けますと真夜中でも電話がかかりますよ、大変だとか、すぐやってくれとか。この法律では三十日以内にやりなさいといって一カ月間の幅を持たせておりますけれども、私はこれでは到底無理だと思っています。あす、あさってがどうか、あるいはきょうの午後何とかしてほしいというような話も入るわけでありまして、当該市役所の職員が出かけていって、そして調査票を持って、こんなことをやっていたら間に合わない。そして、そのケースを持って帰って審査会にかけて、やるかやらないか、やれないときには文書でどうだこうだというような話をしていると、もうどんどん先に行ってしまいます。お医者さんの診断書をとったって、きょうは風呂に入れていいよと言うけれども、次の段階で風呂に入れてはいけないという診断だって出るわけでありまして、そういう即応体制を十分とれるような体制にしないとこれは非常にまずいというふうに思っているのですが、どうでしょうか。  ケアプランの作成もありますが、もう少し時間的に圧縮して、しかも、瞬時にと言ったら語弊がありますけれども、なるべく早くクライアントに対応できるようなシステムを考えなきゃいけないと思うのですが、いかがでしょうか。
  187. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険制度実施されますと、福祉の世界でいえば、従来の措置事務が新しい保険の事務になりますので、そういう意味で、担当する市町村の職員も意識を改革してというのでしょうか、新しい意識で仕事に取り組んでもらうことが必要であろうと思います。そういう意味で、先ほどの計画の話も、それから今のお話につきましても、そういう従来の発想の延長ではなくて、新しい仕組みを実施するという意識で考えてもらうことが必要だというふうに思っています。  期間につきまして、これは三十日以内となっておりますが、もちろん迅速に行われることが望ましいということであります。ただ、この制度は、申請をしますと、要介護認定が仮におりなくても、専門家が見て、これはやはり介護が要るなというふうになれば、あるいは本人が指定業者等から介護サービスを受けて、後で保険請求ができるようになるわけでございますので、それからまた、何らかの事情で申請がおくれたような場合には、申請の前に受けてそれがやむを得ないような場合、申請の前にそういう指定業者から介護サービスを受けて、それを後でまた介護保険制度の中で費用を支払うこともできるようになっておるわけでございますので、手続的なものはきちんとやらなくちゃいけませんが、そういう緊急のときにはそれに応じて対応できるような形になっておるわけでございます。
  188. 土肥隆一

    ○土肥委員 要するに、特別な人材養成をしないとこれは間に合わない。しかも、それに非常に意欲を持った人で、本当に自分の地域住民の生活は私が担っているのだという人材をつくらない限り、ちょっと公務員では無理なんじゃないかというふうに感じております。  最後に、やがて介護費用の単価が出てくるわけですね。今の公的ヘルパーでいきますと、行政ヘルパーさんは年間で三百万円以上の賃金を得ている。しかし、パートになりますと、パートというか部分的な介護ヘルパーになりますと、介護で千九百円とか、あるいは家事援助では七百何ぼですか、ちょっと資料をここに持っておりませんけれども。しかし、今度、介護保険ができて単価が設定されると、介護という労働に対する対価としての世間の評価が出るわけです。これは重大な問題ですね、大変意味のある問題だと思っております。  つまり、今まで家事や看護というようなところで隠れていたものが明らかになって、世間的に、あの人はこういうような仕事をすればこれだけのお金がもらえるのだなということが大体わかってくるわけです。そうすると、行政ヘルパー、行政が抱えているパートヘルパー、あるいは今度一般的に参加する業界のヘルパーだとか、いろいろな人たちが入り組んでまいりまして、これも大混乱になるわけです。  私は、ここで、どんな料金設定をするのかということは問いません。私が申し上げたいのは、ここにいわば市場原理というか競争の原理が働かないと、ただそれだけをやればいいというふうにしますと、結局、健康保険と同じで出来高払いみたいになるわけでありまして、その辺の料金設定が非常に難しい。あるいは入札制度なんか入れたらいいのじゃないかなとも私は思っているのですが、最低限の見積もりを出して、そして入札をするというようなこと。それから、このグループ、この事業者は非常にいいけれどもこの人はだめだというような、そういう評判やユーザーの選択ができるようなさまざまな事業者をつくらなきゃいけないと思うのですが、料金設定について今どんなお考えか、お聞かせください。
  189. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険のいわゆる介護報酬というのでしょうか、それの設定は、これから実態を把握して考えていくということでございますが、御指摘のありました、市場機能が働くような仕組みを工夫しろというようなことは十分頭に入れて、これから検討してまいりたいと思います。
  190. 土肥隆一

    ○土肥委員 終わります。
  191. 町村信孝

    町村委員長 次回は、来る二十五日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十四分散会