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1997-02-28 第140回国会 衆議院 厚生委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十八日(金曜日)     午前十一時十五分開議 出席委員   委員長 町村 信孝君    理事 佐藤 剛男君 理事 住  博司君    理事 津島 雄二君 理事 長勢 甚遠君    理事 岡田 克也君 理事 山本 孝史君    理事 五島 正規君 理事 児玉 健次君       安倍 晋三君    伊吹 文明君       江渡 聡徳君    大村 秀章君       奥山 茂彦君    嘉数 知賢君       桜井 郁三君    鈴木 俊一君       田村 憲久君    根本  匠君       能勢 和子君    桧田  仁君       松本  純君    山下 徳夫君       青山 二三君    井上 喜一君       大口 善徳君    鴨下 一郎君       坂口  力君    福島  豊君       桝屋 敬悟君    矢上 雅義君       吉田 幸弘君    米津 等史君       家西  悟君    石毛 鍈子君       枝野 幸男君    瀬古由起子君       中川 智子君    土屋 品子君       土肥 隆一君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小泉純一郎君  出席政府委員         厚生政務次官  鈴木 俊一君         厚生大臣官房長 近藤純五郎君         厚生大臣官房総         務審議官    中西 明典君         厚生大臣官房審         議官      江利川 毅君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省社会・援         護局長     亀田 克彦君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君  委員外出席者         厚生大臣官房障         害保健福祉部長 篠崎 英夫君         労働省婦人局婦         人福祉課長   村上  文君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ――――――――――――― 二月二十八日  長時間夜勤・二交代制導入反対、よい看護に関  する請願石田幸四郎紹介)(第三三八号)  児童福祉法の理念に基づく保育公的保障の拡  充に関する請願山原健二郎紹介)(第三三  九号)  医療保険制度改悪反対医療充実介護保障  の確立に関する請願佐々木憲昭紹介)(第  三五三号)  医療保険制度改悪反対医療充実に関する  請願木島日出夫紹介)(第三五四号)  介護保障確立に関する請願石井郁子紹介  )(第三五五号)  公的介護保障制度早期確立に関する請願(大  森猛紹介)(第三五六号)  同(金子満広紹介)(第三五七号)  同(木島日出夫紹介)(第三五八号)  同(穀田恵二紹介)(第三五九号)  同(寺前巖紹介)(第三六〇号)  同(中路雅弘紹介)(第三六一号)  同(正森成二君紹介)(第三六二号)  同(松本善明紹介)(第三六三号)  厚生省汚職の糾明、医療保険改悪反対に関する  請願児玉健次紹介)(第三六四号)  同(佐々木陸海紹介)(第三六五号)  同(志位和夫紹介)(第三六六号)  同(瀬古由起子紹介)(第三六七号)  同(辻第一君紹介)(第三六八号)  同(中島武敏紹介)(第三六九号)  同(春名直章紹介)(第三七〇号)  同(東中光雄紹介)(第三七一号)  同(平賀高成紹介)(第三七二号)  同(不破哲三紹介)(第三七三号)  同(藤木洋子紹介)(第三七四号)  同(藤田スミ紹介)(第三七五号)  同(古堅実吉紹介)(第三七六号)  同(矢島恒夫紹介)(第三七七号)  同(山原健二郎紹介)(第三七八号)  同(吉井英勝紹介)(第三七九号)  国民健康保険制度抜本改革に関する請願(塚  原俊平紹介)(第三八〇号)  同(今井宏紹介)(第四〇四号)  同(棚橋泰文紹介)(第四〇五号)  同(塚原俊平紹介)(第四〇六号)  同(飯島忠義紹介)(第四二九号)  同(棚橋泰文紹介)(第四三〇号)  同(塚原俊平紹介)(第四三一号)  同(萩山教嚴君紹介)(第四三二号)  同(飯島忠義紹介)(第四四九号)  同(塚原俊平紹介)(第四五〇号)  若中年層を含めた介護保険創設医療保険改革  の見直しに関する請願石橋大吉紹介)(第  三八一号)  同(桑原豊紹介)(第三八二号)  同(五島正規紹介)(第三八三号)  同(土肥隆一紹介)(第三八四号)  同(葉山峻紹介)(第三八五号)  同(濱田健一紹介)(第三八六号)  同(山元勉紹介)(第三八七号)  同(土肥隆一紹介)(第四〇七号)  同(濱田健一紹介)(第四〇八号)  同(横路孝弘紹介)(第四〇九号)  同(坂上富男紹介)(第四三三号)  同(中西績介紹介)(第四三四号)  同(土井たか子紹介)(第四五一号)  高齢者医療費値上げ中止に関する請願不破哲  三君紹介)(第四〇三号)  放課後保育法制化に関する請願土井たか子  君紹介)(第四四七号)  公的介護保険制度創設反対消費課税による介  護サービス充実に関する請願神田厚紹介  )(第四四八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  介護保険法案内閣提出、第百三十九回国会閣  法第七号)  介護保険法施行法案内閣提出、第百三十九回  国会閣法第八号)  医療法の一部を改正する法律案内閣提出、第  百三十九回国会閣法第九号)      ――――◇―――――
  2. 町村信孝

    町村委員長 これより会議を開きます。  第百三十九回国会内閣提出介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。  各案につきまして、審査の参考に資するため、委員派遣いたしたいと存じます。  つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 町村信孝

    町村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、派遣地派遣の期間、派遣委員人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 町村信孝

    町村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  5. 町村信孝

    町村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江渡聡徳君。
  6. 江渡聡徳

    江渡委員 自由民主党江渡でございます。  今回審議に入っております介護保険法案等に関しまして御質問をしたいと思っておりますけれども、私自身議員になる前に福祉現場の方にいた経験を持っている者でございまして、特に今回の介護保険法案導入に対しましては並々ならぬ期待を持っている者でもございまして、ぜひとも成立させていただきたいと思っているわけでございます。  現在、要介護者方々は百七十万人あるいは百八十万人いるとも言われておりまして、介護保険法案導入されようとしております平成十二年においては二百八十万人の要介護者がいるというような状況になるわけでございまして、ですからこそ、特に福祉現場にいる者として、いつでも、どこでも、だれでもが必要なときに必要な福祉サービスを得られるような形の保険制度導入ということは、私は、本当に大事なことだと思っておりますし、また、そのことがスムーズに行われるような形になっていただきたいと思っているわけでございます。特に、日本における第五番目の社会保障制度として位置づけて、この保険制度というものはよりよい形のものになっていただきたいと思っておるわけでございます。  そこで、小泉大臣にお伺いしたいわけでございますけれども、今回導入しようとしておりますこの介護保険制度概要につきましてお聞かせいただきたいと思うわけでございますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
  7. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 概要といいますか、この介護保険制度導入趣旨というのは、今議員が御指摘のように、介護を要する方が既に二百万人を超え、毎年十万人ずつふえるという見込み、こういう状況において、もう家族だけで介護する、これにも限界があるのではないか。今後、だれでも介護を要する状態というのは想定される、それを家族だけのこととして一体いいのだろうか、やはり個人の努力というもの、家族努力というのにも限界があるのではないか。お互い社会全体で支えていくべきではないかという強い御意見を踏まえまして、今回、社会保険方式でこの家族介護保険制度導入したいということで今御議論いただいているわけであります。  介護を要する方ができるだけ、在宅サービスにしても施設サービスにしても、そのサービスを受けやすいような整備拡充に努める、同時に、市町村責任を持っていただいて、適切な保険料と、そして介護を要する方も、その程度に応じて給付サービスが受けられるような介護サービス制度導入することによって、お互いが、年金、医療介護というこれからだれもが避けては通れない――自立した社会、この構築に向かって助け合い、支え合い、よりよい社会保障制度を築こうという趣旨からこの介護保険制度導入に踏み切ったわけでございまして、当委員会におきましても先般来熱心な御議論をいただき、きょう、こうして再度、予算委員会開会中ではございますけれども、この法案重要性を認識いただきながら、このような委員会を開催して御議論をいただく。できるだけ多くの方々理解を得ながら、この法案成立に向けて御理解、御協力をいただきたいと思います。
  8. 江渡聡徳

    江渡委員 どうもありがとうございます。  私自身も、税の形で行う福祉というよりも、保険という形の導入によりまして福祉サービス給付を受ける権利というものを得るということは非常に大事なことではないのかなと思っているところでございまして、そういうような観点から、具体的な中身のことにつきまして、ちょっとお聞きしていきたいと思うわけでございます。  今回、この法案が通りまして導入されるという形になりますと、現物給付方式というような形になってくるわけでございます。今までもそうであるわけですけれども、福祉事務所等措置という形の中で行っていたわけですけれども、今度、この保険というものの考え方導入され現物給付方式になった場合、どうしても市町村事務関係、特に保険料徴収等にかかわる市町村事務コストというのは導入時期の段階においてはかなりかかるような形になるのではないのかなと危惧されておるわけですが、大体そのコストがどのぐらいと見込んでおられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  9. 江利川毅

    江利川政府委員 市町村事務コストについてのお尋ねでございます。  先生も御指摘のように、保険料徴収であるとか被保険者管理であるとか、新しい事務がふえます。それから、要介護認定関係事務も入ります。一方で、今までの措置制度のような事務がなくなります。  そういうことでございますが、全体としてかかります事務を私どもは国民健康保険事務をもとに推計しておるわけでございますけれども、平成十二年度、この制度がスタートをするときの費用は、七年度価格でございますが、大体八百億円ぐらいかかるだろうと思っております。ただ、老人福祉措置事務等事務が減少する分がございますので、そうしますと、費用的には、新たな事務費の増というのは大体五百億円ぐらいになるのではないかというふうに見込んでいるところでございます。
  10. 江渡聡徳

    江渡委員 五百億というと結構大きい数字になるわけでございますけれども、できるだけこの辺のところは少ない形でいけるような形で対応していきませんと、なかなか保険制度というのは定着しにくいというような形も出てくると思います。特に市町村に対しましての御配慮ということもお考えいただきたいと思います。  この保険関係のところで少し、特に施設の方のことに対してお聞きしたいと思うわけでございます。  特に特別養護老人ホーム、これが介護保険施設に指定されるわけでございますけれども、そうなりますと、今までの措置費請求とは違いまして、今度、保険請求という形になります。そうなりますと、実際の保険請求業務というのがスムーズに行えるかどうかということは、私自身、かなり危惧しているものでございます。  ですからこそ、施設の方の事務請求者レセプトということを理解していかなければ、なかなか思うようにいかない。特に、自信を持ってレセプト請求していこうというような場合ですと、介護の実態というものをよりよく知っているというところがなければ、なかなかレセプト請求というのはスムーズにいかないということが考えられるわけでございますけれども、その辺のところに対しましての対応というのはどのようにお考えでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
  11. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険制度下になりますと、特別養護老人ホームにおける措置費利用の流れ方が全く変わってくるわけでございます。今の医療保険が例えば国保連請求しているような形の保険請求になります。  このような新しい事務になりますので、これが適切に、混乱なく行われますように、例えば講習会の開催など、関係者に適切な知識、やり方が伝わっていきますような準備を検討してまいりたいというふうに思っております。
  12. 江渡聡徳

    江渡委員 できるだけ、特に特別養護老人ホーム等におきます事務員方々に対する研修というのをしっかりやっていただきたいなと思っています。そうでないと、事務請求の方がスムーズにいきませんと、お金が入ってこないという形になります。そうなりますと、せっかくよりよい形のサービスを提供しようとしてもなかなか思うようにいかないという部分も出てきますので、何とぞその辺のところをよろしくお願いしたいと思っています。  あと、被保険者範囲のことについてちょっとお聞きしたいと思うのです。  今回の保険によりまして、四十歳以上の方々対象という形になるわけでございますけれども、そういった場合に、保険対象者保険料を払ってまいりまして、途中で事故等によりまして障害を持った場合、あるいは障害が残った、そういうサラリーマン等に対しての給付をどのように考えているかということなんです。  というのも、今まで一生懸命頑張って保険料を払ってきた、しかし、障害を持った場合には違う法のもとにおいて対応するという形になりますと、なぜかしら納得いかないというような、そういうふうに思うのも当然ではないのかなというふうに私は思っておるところであります。  ですからこそ、今回、特に高齢者介護リスクということだけに限定しないで、できればドイツ介護保険法みたいな形に準じて、こういう成人した障害者方々対象とすべきではないかなというふうに私は思っているところなんですけれども、御見解をお聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席佐藤(剛)委員長代理着席
  13. 江利川毅

    江利用政府委員 御指摘の、障害者方々に対する介護介護保険対象にするかどうか、これは大変議論のあったところではございます。  議論がありましたが、障害者につきましては、現在、障害者施策が公の責任として公費で実施されている、そして、障害者プランというものもできたわけでございますが、そういう形で進めていくべきだという関係者意見もまた強いものがございます。それから、若年障害者の場合、生活援助的な介護のほかにも、さらに、授産であるとか更生であるとか、さまざまなサービスがあるわけでございます。そういうようなことなどから、若年障害者につきましては障害者プラン対応するというふうにしたわけでございます。  今、例を挙げられました、サラリーマンの方が交通事故等に遭われたというようなケースでございますが、六十五歳を過ぎますと介護保険制度対象になるわけでございますが、それまでの間は障害者施策の方で対応するというようなことになります。
  14. 江渡聡徳

    江渡委員 しかし、そのような形で六十五歳以上というわけですけれども、介護という中身のことで考えていくならば、サラリーマン等におきまして障害を持った方々に対する配慮ということももう少し考えていただきたいと思うわけです。  法案導入された後、五年後に見直すということになっております。ですからこそ、この介護というものをもっと広い意味でとらえていただいて、私自身考えとしては、できれば、本当の意味での日本における第五番目の社会保障制度として位置づけるならば、二十歳以上の方々保険に加入していただきまして、成人の方々介護というものを総合的に考えた形のものになっていただければありがたいなというふうに思っているわけですけれども、次の法案見直しのときにこういうところも具体的に審議もしていただければなというふうに思っておるところなんです。  続いて、在宅サービス給付の方の範囲のところにおいて、ちょっとお聞かせいただきたいと思うのです。  今回、家族介護ということに対しては、ホームヘルプサービスあるいは在宅福祉サービス等々によって対応するというふうになっているわけですけれども、しかし、現在、家庭の中において一生懸命高齢者方々介護している、そういう家族方々がいるわけです。そういう家族介護というものを、こういう言い方すると失礼に当たるかもしれませんけれども、福祉という枠の中における含み資産的な考え方というのは持つことはもうふさわしくないのではないかなというふうに私は考えています。ですからこそ、そういうことを社会化するということ、特にこの家族介護というものを社会化するべきではないのかなというふうに私は思っております。  ですからこそ、できることならば、家族介護考えた場合に現金給付導入というふうなことも考えられないかなというふうに私は思っております。特にドイツ介護保険のように、家族による介護というものを経済評価いたしまして現金給付する、こういうような考え方を持てないのかということをお聞きしたいと思うわけでございます。
  15. 江利川毅

    江利用政府委員 家族介護につきましてどういう対応をするかということも、法案成立過程におきまして、いろいろ議論のあったところでございます。  この法案におきましては、家族介護するような場合には、例えば、それを支援する形で、ホームヘルプサービスは受けないのであれば、ショートステイの枠を拡大するとか、住宅改良貸付金などを活用してもらうとか、そういう形で家族介護を支援する。そしてまた、現在、まだサービス基盤をもっともっと整備しなければいかぬ状況でございますので、その限られた財源サービス基盤充実に振り向けることが適当というようなことで制度を整理しているわけでございます。  ドイツにおきましては、確かに、御指摘のように現金給付が行われております。これは現物給付の場合の半分ぐらいの水準で行われております。ただ、我が国の場合は、我が国の現在置かれている状況を見ますと、まずはそういう基盤整備充実することが大切ではないか、そして、家族にも現物給付の形で何らかの形で活用してもらう、そういう形が適当ではないかというふうに判断しているところでございます。
  16. 江渡聡徳

    江渡委員 御趣旨はわかるわけですけれども、その総体の枠の中でできるだけよりよいサービスということになりますと、その予算というか、その枠の中のパイの分捕り合戦的なところももしかしたら出てくるかもしれません。そうなった場合に、国民の多くの方々によりよいサービスを提供するというためにも、できればドイツ方式のように現金給付というものも考えるべきじゃないのかなと私は思っているわけです。  と申しますのも、ドイツにおきまして、現金給付制度導入しまして、そして介護保険法案が通りましたときに、かなり多くの方々がこの現金給付というものの選択をしました。そして、先ほどお答えいただいたように、大体五割から六割ぐらいの形の給付がされるということになったわけですけれども、逆に、そういうふうに現金給付を選択した方々が多くなったがゆえに全体の介護費用がかなり低く抑えられたというような現実もあるわけでございます。  ですからこそ、この保険というもの自体をスムーズに運営させ、そしてより長期間安定化させようと思った場合に、やはりこういうことも考えるべきじゃないのかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。     〔佐藤(剛)委員長代理退席委員長着席
  17. 江利川毅

    江利用政府委員 ドイツの場合には、確かに現金給付を受けている人が八〇%ということで大変高い水準でございまして、ドイツ政府担当者のお話によりますと、これほど多く申請するとは思わなかったというようなことも言われております。  しかしながら、一方で、その人たちも、現金給付の場合には介護現物サービスが必ずしも保障されないという問題はあるのだという現金給付問題点は認識しておりまして、今後だんだん現物サービスがふえるのではないかというようなことも言っているところでございます。  また、費用全体が安くなったかどうかということについては、ドイツは必ずしも明確な言い方をしておりませんで、現金給付であれば申請者の数も多くなっているので、果たして、総枠が少し、手を挙げる人が膨らんでいるのではないかという議論もあるようでございまして、必ずしも低くなったとは一概に言えないような状況でございます。  ただ、我が国の場合におきましても、これについて大変議論があったところでございます。先生の御指摘も私は一つの御意見だというふうに思っているわけでございますが、その制度をつくっていく過程におきまして、この制度では、現物給付を基本にして、家族サービスをする場合でもその中で現物給付利用してもらうような仕組みを考えて、限られた財源基盤整備に充てるというようなことで整理をしたところでございます。この点、御理解を賜りたいと思います。
  18. 江渡聡徳

    江渡委員 できるだけ、次の段階においての改正におきましても、この辺のところも審議の中に含めていただきたいと思っています。  ちょっと細かい点をお聞きしたいと思うのですけれども、施設サービス利用者負担があるわけでございますけれども、特に食費などの日常生活費の設定の基準というふうなものをどのような点に置いているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  19. 江利川毅

    江利用政府委員 施設に入りますと、基本的に費用の一割を負担していただきますが、それ以外に、食費につきましても負担をしていただく、あるいは日常生活費負担していただくということになります。  食費につきましては、在宅で生活している要介護者とのバランスという問題もございますので、平均的な家計における食費状況を勘案して別途定めることになっておりますので定める、それから、日常生活費などにつきましては、在宅であれば本人が負担している理美容代とか教養娯楽費などについて、費用範囲内で御負担をいただくというふうに考えております。
  20. 江渡聡徳

    江渡委員 まだまだ質問したいことがいっぱいあったわけですけれども、もう時間が来たということで、終了させていただきます。ありがとうございました。
  21. 町村信孝

  22. 大村秀章

    大村委員 自由民主党大村秀章でございます。  介護保険法案につきまして御質問をさせていただきたいと思います。  今、もちろんもう既にここでも御議論になっておるわけでありますが、我が国は諸外国にも例のない速さで人口構造が劇的に変わっていく、こういうことでございます。二十一世紀と言わずに、ここ数年でもう高齢化社会というふうに言っても過言ではないと思っております。そうした中で、高齢者対策の中核をなします介護制度化というものを今回この介護保険法案で行おうというわけでございまして、そういう意味で、この早期成立ということはどうしても大事だというふうに思っております。そういう観点から御質問をさせていただくわけでございます。  この保険制度中身といいますか枠組み、そういったものにつきましては、先ほどの江渡先生を初め諸先生方から質問されておりますので、私は、特に公的介護保険制度導入ということを前提といたしまして、これが導入された場合に実際にその介護サービスがどういうふうに提供されるかといったことについて、その基盤整備といいますか、そういったことにつきまして御質問をさせていただきたいというふうに思っております。  今回の介護保険導入いたしますと、保険でありますので、財源はある程度、もちろんこれは財源を確保するのが目的だろうと思いますけれども、できるわけでございますが、実際に財源ができたからといって直ちに介護サービスが提供されるわけではもちろんないわけでございます。もちろん、現金給付を私も否定するものではありませんけれども、介護とか福祉、こういったものは人が人に対して行うということでありますので、その体制、マンパワーというものをどうしても整備していかなければならないというふうに思うわけでございます。  そこで、お伺いをさせていただきたいのは、今回の介護保険制度導入、これは実施するのが平成十二年度からということであれば、在宅の介護サービスを提供する体制といいますか、十二年度にどういうふうになるか、どういうふうな見通しかということにつきまして、まずお伺いをさせていただきたいと思います。
  23. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 先生指摘のとおり、介護保険制度を円滑に導入いたしていきますためには、平成十二年度を目指して介護サービス基盤整備を進めていくことが極めて大事でございます。そういう観点から、御案内のとおり、全国の地方自治体が必要なニーズを踏まえまして作成いたしました老人保健福祉計画の集大成でございます新ゴールドプランをまず着実に実施していくということが大事であるというふうに思っております。  そういう観点に立ちまして今日まで整備を進めてまいっておりまして、今お話のございました在宅サービスでいえば、例えばホームヘルパーを、最終的に十七万人を目標にして、十一年度末を十七万人ということでやっておりますけれども、これにつきまして、九年度の予算ということで申し上げれば、十五万一千人を超える約十五万二千人の予算を確保していただくということで、着実に整備を進めてきております。新ゴールドプラン全体につきましても、平成九年度は八千億を超える費用を計上していただきまして、在宅施設サービスの強化充実を図っていただいているところでございます。ただし、そうは申しましても、やはりそれぞれ地域間の格差というようなものがございまして、そういったばらつき等の問題が非常に大きくございます。  そういったことで、在宅護サービス基盤整備がおくれておるような地域につきましては、重点的な整備ということで、予算の配賦等についても配慮いたしますとともに、既存のいろいろな施策を拡充していく、あるいは、公立学校用地でありますとか施設の転用も含めました既存資源の活用をする、それから、特に民間活力を導入していくということについて意を用いていくというようなことで、サービス基盤の全体的な整備を進めていかなければならないというふうに思います。  そして、これは何と申しましても各自治体の御努力というものにまたなければならない部分も多うございますので、そういった整備がおくれているところにつきましては、それぞれのおくれている理由なりを分析していただいて、私どもとしてもその分析に基づく対策をきめ細かく打っていくというようなことをしながら、この目標達成を図っていきたいというのが現時点での私どもの努力の方向でございます。
  24. 大村秀章

    大村委員 在宅の介護サービス体制、特に新ゴールドプランを着実に推進していただきたいわけでございますが、そのうち、今お答えいただきました、特にホームヘルパーの養成につきまして、十七万人が目標ということになっておりまして、数字といいますか、予算面を見ますと着実にそれに近づいているということだろうと思うわけでありますけれども、それじゃ実際に福祉現場で本当にホームヘルパーがこの数字にあるようにしっかり確保されているのかということを若干懸念する声があるのも事実だというふうに思っております。  そういう意味で、これからは社会全体で介護といいますか、そういったことを支えていく必要があるということであれば、行政はもちろんでありますけれども、いろいろな機関、民間機関、企業も含めて、ホームヘルパー養成のための研修をありとあらゆる機会をとらまえてやっていく必要があるのではないか、そういうような社会全体の意識をも変えていく必要があるのではないかというふうにも思うわけでございます。ですから、そういう意味で、特にホームヘルパーの養成についての積極的な施策を講じていく必要があると思いますけれども、その辺の御所見をお伺いできればと思います。
  25. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 ホームヘルパーの養成につきましては、現に市町村等でヘルパーとして就業されるということを予定されておられます方に対しまして、国庫補助をもちまして研修を実施していただいております。そのほかに、むしろ民間も含めた自主的なお取り組みとして、社会福祉協議会が都道府県の指定という形の中で研修、あるいは民間法人が厚生大臣の指定を受けて行っておられるような研修がございます。  こういった補助を受けてやっておられる研修あるいは自主的にやっていただいている研修を含めまして、平成七年度で申しますと受講予定者が六万人というようなことで、この数字自体で申し上げますと、ヘルパーとしての先ほど申し上げました新ゴールドプランでの毎年の養成数、平成九年度予算におきましても前年度対比で約三万人増ということでやっておりますが、これから比べましても、それを大幅に上回るような研修が行われているということでございます。  しかし、今お話しのとおり、何と申しましても、介護サービスというようなものはすぐれて人によるサービスという要素が強うございます。したがいまして、人の養成をどうしていくかということがこれの一つのかぎでございますので、私ども、これから介護サービスの研修につきましては、量の面それから質の面、両方におきまして養成研修を充実していくということで臨んでいきたいというふうに考えておるところでございます。
  26. 大村秀章

    大村委員 ぜひホームヘルパーをしっかり確保できるように施策を積極的に推進していただきたいというふうに思っております。  続きまして、施設面での介護サービスといいますか、その提供体制につきましてお伺いをしたいと思います。  これも同じように平成十二年度までにどういうふうに整備をされるのかということでございます。いろいろ数字を見ておりますと、今の新ゴールドプランの推進状況を見ますと、特別養護老人ホームでありますとか老人保健施設、そういったものにつきましてはまあまあ一定の水準で、もちろんこれとても今の時点で目標とされている数字が確保できているわけではありませんので、これも積極的に推進していく必要があると思うわけでありますが、そういったものももちろんでありますけれども、特に今回の医療法改正によりましてその整備促進をしていこうというふうにされておられます療養型病床群につきましても、これがどうもまだ少ないのではないかと思っております。  そういったいろいろなステージといいますか、いろいろなパターンがあって、多様な介護サービスを提供できる、こういったことがやはり大変重要だと思っております。そういう観点から、施設面での整備、サービスの提供体制の整備、特に療養型病床群についての整備、そういったことにつきましてどうかということについてお伺いをしたいと思います。
  27. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 施設サービス基盤整備に当たりましては、特に今お話のございました療養型病床群につきましては後ほど健康政策局長からお答えをさせていただきますが、全体につきまして、整備の進んでいるもの、おくれているものが確かにございます。それから、やはりこれも、進んでいるものにつきましても非常に地域的なばらつきがございます。  そういう意味でのことで申し上げれば、特別養護老人ホームなんかにつきましても、過疎地あるいは都市部、こういったところでの整備が思うに任せないところがございますので、こういったところにつきましては、特別養護老人ホームの定員基準を緩和するとか、小規模な特別養護老人ホームの設置を認めていくとか、そういった工夫をしながら基盤整備を重点的に進めていかなければならないというふうに思っております。  さらに、施設サービスが重要であると同時に、在宅サービスも重要でございます。そういう意味では、施設サービス在宅サービスがそれぞればらばらにあるのではなくて、施設サービスをする拠点がまた在宅サービスの拠点でもあるという形での整備ということを今後考えていかなきゃならないということで、各種の在宅サービスを総合的に実施した上で、なお施設への入所需要があるというようなときにつきましては、在宅それから施設、両方をあわせ持ったような複合的な小規模施設というようなものについてもきめ細かく展開を図っていくというようなことをこれから考えていきたいというふうに思っております。  療養型病床群につきましては、健康政策局長の方からお答えします。
  28. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 介護基盤の整備を図るということで、今回の医療法改正において、療養型病床群は有床診療所にも設置できることとする、また療養型病床群の整備目標を医療計画の中に必ず定めるというようなことによって療養型病床群の整備促進を図っていくことにいたしております。  具体的な整備促進策といたしましては、一つは、医療施設近代化施設整備補助事業によります一般病床からの療養型病床群への転換に対する国庫補助を実施する。二番目といたしましては、老人保健拠出金事業によります助成金を交付する。三番目といたしましては、社会福祉医療事業団によります融資枠を拡大する。四番目といたしましては、昨年から実施をいたしておりますが、診療報酬による適正な評価。  こういったようなことを組み合わせることによりまして療養型病床群の整備促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  29. 大村秀章

    大村委員 在宅面そしてまた施設面でも基盤の整備は、制度はもちろんでありますけれども、並行的に着実に基盤整備をしていただくことをぜひお願いしたいわけでございます。  そしてまた、この公的介護保険制度というものを定着させていくには基盤整備がどうしても必要なわけでありますけれども、そのためには、市町村が先頭に立ってやるということは当然のことだというふうに思っております。そして、社会福祉協議会、そういった従来の福祉の主体、こうした方々が本当に一生懸命やっていただく。現に一生懸命やっていただいておると思うわけでありますが、それはもう前提だと思いますが、さらに、こういった方々に加えて、民間企業、民間事業者を含めました多様な事業主体が介護サービス分野に参入していく、また、そういった方々を活用していく、社会でありとあらゆるいろいろな方が介護に興味といいますか、かかわりを持ってサービスの主体となっていくということがどうしても必要だというふうに思われます。そういった点につきましてのお考えをお伺いできればと思います。
  30. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 これも御指摘のとおり、私ども、公的なサービスに加えまして民間サービスを積極的に活用するということが、サービス供給を必要とする方々の多様な需要に弾力的に対応するということからも大事なことだというふうに思っております。  従来から、そういう意味では、在宅福祉事業につきまして、民間の事業者あるいは農協等の多様な主体への委託というような方向に逐次拡大をしてきておりますけれども、今度の介護保険制度におきまして、これについてはさらに、在宅サービスヘの参入に当たりまして、公的サービス主体と民間サービス主体とを同一の取り扱いにする、あるいは、サービス利用は基本的に利用者の方々が選んでいただくという形にすることによりまして、そこに民間活力を活用する、あるいはいい意味での競争というものが働いてくるという仕掛けをしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  31. 大村秀章

    大村委員 ぜひそういう方向で、いろいろな方に介護サービスの分野に参入できるようにしていただきたいというふうに思うわけでございます。  そして、今のお答えの中にも一部あったわけでありますけれども、特に農村部、農村部だけではもちろんありませんけれども、農村部におきましても、福祉サービスの事業主体といたしまして、農協というのが大変重要な存在ではないかというふうに思うわけでございます。  平成四年に、今から五年ぐらい前でありますけれども、農協法改正をいたしまして、農協自身福祉サービスに取り組めるようになっておるということでございます。実は、私自身、当時、農水省で役人をやっておりまして、この農協法の改正をやらせていただきました。そのときに、農協の事業といたしまして、老人の福祉に関する事業、こういうのを、貯金だとか購買だとか、そういったものとあわせて加えさせていただいたわけでございます。当時の厚生省の、当時は老人保健福祉部だったと思いますが、その担当の方には大変熱心に御指導いただきながら、通常、役所間というのは大体余り仲がよくないというのが通り相場でありますけれども、大変熱心に好意的に御指導いただきまして、そういったことをやらせていただいたわけでございます。  当然、農協も、そのホームヘルパーの養成であるとか、そういったことにつきましてしっかりやろうということで取り組んでおる。そしてまた、農協自身、全国に支店といいますか、金融の窓口みたいなのが一万八千ある。ちなみに、大臣が大変御熱心な郵便局が二万五千あるのは御存じのとおりでありまして、末端では郵便局と農協は闘っておる、これはどうでもいい話でありますけれども。  そういうことで、地域の金融機関としても、福祉もしっかりやろうということになっておるわけでございます。ぜひ、農協がせっかくやる気になっておるわけでありますので、それにつきましてもぜひ活用していただきたい。そしてまた、そうしたものを含めた民間活力、いろいろな事業主体の活用といったことにつきまして、ぜひ大臣の基本的なお考えをお聞かせいただければと思います。
  32. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 福祉の分野にも民間の活力を導入せよという声が各方面から起こっております。今回の介護保険制度導入につきましても、市町村が主体になっていただくわけですけれども、同時に、民間でもこの介護サービスを提供できるということを考えますと、今委員指摘のように、農協というのは全国津々浦々に存在している、そして地域に密着している、そういう方々がこの介護サービスに進出したいというような環境を整えていくということは、介護サービス全体の水準が上がると思いまして、農協のみならず、非営利法人等民間がこの介護サービスに参入しやすいような環境はぜひとも積極的に整えていきたいと思っております。
  33. 大村秀章

    大村委員 それでは、きょうは本会議も迫っておるようでありますので。  いずれにいたしましても、制度が人を介護するわけではありませんので、あくまでも人が人を介護する、施設面も含めて、そういった体制をしっかり整備していかなければならないというふうに思っております。そういった点で、制度はもちろんでありますけれども、ぜひそういった面での体制整備、基盤整備をしっかりやっていただきますことをお願いさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  34. 町村信孝

    町村委員長 午後一時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十五分休憩      ――――◇―――――     午後一時五十二分開議
  35. 町村信孝

    町村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。青山二三君。
  36. 青山二三

    ○青山(二)委員 新進党の青山二三でございます。  厚生大臣には、大変お疲れのところ恐縮でございますが、引き続き、この委員会におきましても、ただいまのような元気いっぱいの御答弁を御期待いたしまして、質問に入らせていただきたいと思います。  公的介護保険の件でございますけれども、ドイツ介護保険制度は、十年かけて導入されました。大変な国民議論を経て導入されたということでございます。我が国介護の問題は緊急かつ最重要問題ととらえておりまして、私たち国民にとりましても、老後の不安は介護の問題でございます。ですから、介護の問題にかけては、時間をかけて、国民的な議論をもっともっと巻き起こして導入すべきだと私は考えております。  しかしながら、この国会でこの法案を上げてしまおうというような空気も見られますが、私は、まだまだ国民的な議論は進んでいない、いよいよこれからであると思っておりますけれども、大臣は国民の合意を得られているとお考えでしょうか。
  37. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私は、基本的に、与党も野党も、この介護保険制度についての御意見を聞いていると大して違いはないな、介護支援制度を創設しよう、介護支援が社会的要請に基づいて、全体で支えていこうという認識においては大して違いないと思っております。  そういうことから、今、方法において若干意見の違いはありますけれども、何らかの形で介護というものは、もう個人だけでは限界がある、社会全体で支えていこうということでこの介護保険制度導入した。当然、先行しておりますドイツ制度もいろいろ参考にしながらこの制度を創設したわけであります。議論を積み重ねていくと、私は、与党、野党、大して差はない、国民の大方の理解は得られるのではないかという期待をしております。
  38. 青山二三

    ○青山(二)委員 この介護保険導入の一番大きな目的は、医療保険の赤字がずっと構造的になりまして、その穴埋めのためにはどうしても新たな財源がほしい、どうしても必要になったからではないかと私は思っております。介護保険のかなりの財源の部分が看板を書きかえた老人医療費に回るのではないか、このように心配をしている人もいるぐらいでございます。本当に多くの皆さんは、介護は待ったなしたとか、今は地獄のような介護社会全体で支えていかなければならないのだ、そのようにはおっしゃいますけれども、やはり一番大きな目的は、赤字をずっと続けておりますこの財政を何とかしなければならない、その猶予が一瞬もない、本当に待ったなしなのは厚生省のお台所の方だと私は考えておりますが、小泉大臣はいかがでしょうか。
  39. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 この財政の窮迫状態は厚生省だけではないと思います。各省庁、国民全体、この財政状況をどうするかということで、今、与野党を通じて、歳出を徹底的に見直そう。当然、橋本内閣の最大の課題が、歳出の削減に対して聖域はないということで取り組んでおります。当然必要なところには必要な財源を手当てしなきゃならないわけでありますが、いざ各論が出てきますと、ここは例外にせよという議論が多いところは事実であります。  そういう中で、今後、既存の制度をそのまま維持しようということになりますと、むしろこれからの高齢社会、少子社会を迎えますと社会保障関係費用というのはますます増大していきます。厚生省関係の仕事はふえることはあっても減ることはない、お金もふやす必要はあっても減らす必要はないというくらい国民の税金を一番使っている役所でもあります。  そういうことを考えまして、今までの限られた財源やら人的資源その他をどうやって有効に使うかということから、医療保険制度介護保険制度、それぞれ関連はございますけれども、制度的にもより整合性のとれた、さらには介護と治療というものが効率的になされるような施策を考えよう、そして、若い人ばかりに負担させてはいけない、お互い全体で年金も医療介護も支えよう、そういうことを考えて出した案でございまして、私は、何も厚生省だけがこの台所の苦しさの負担を負っているわけじゃない、各省庁、全国民がどうやってこの給付負担の均衡を図るかということが問われているのではないかな、そう思っております。
  40. 青山二三

    ○青山(二)委員 昨年十月の総選挙の折でございますが、マスコミ各社が国民の八割はこの公的介護保険制度に賛成している、このようなことを報じましたけれども、大臣はそのようにお考えでしょうか。
  41. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 八割と言われますけれども、それはわかりません。八割という数は相当なものです。投票率だって、八割なんというのはめったにいかない。知名度だって、どんな有名人だって八割の知名度がある人はめったにいるものじゃない。というと、何割かわかりません。それは定かでありません。しかし、できるだけ多くの理解を得るように我々は努力しなければいかぬ、そう思っております。
  42. 青山二三

    ○青山(二)委員 昨日でございますが、たまたまドイツ大使館の一等書記官のザビーネ・ザイドラさん、女性の方ですけれども、私の部屋に訪問してくださいまして、日本の女性の政治参加の状態とか労働状態などを教えてほしいということでお見えになりまして、いろいろとお話をしました中で、大変いいチャンスでございましたので、ドイツ介護保険制度に対しまして国民がどのような議論をしたのか、どのようなことで導入したのかということを、手短でしたけれども、お聞きいたしました。やはりドイツ日本と同じように、医療費が大変赤字が続いて、どうしても新しい財源が必要になったということで、国民の合意を得て介護保険制度導入した、こういうことでございまして、国民みんなが納得した、こんな感じをしたわけなのでございます。  私は、今、日本国民の多くの皆さんが本当にこの制度を正しく理解した上で賛成したり反対したりしているのかなと思いますときに、これは、何もわからないけれども、厚生省のいろいろな説明によりまして、あたかも平成十二年から公的サービスが始まるのだ、待ちに待った公的サービスが始まるのだ、しかも、当初、厚生省は一月五百円ということで提示されましたね、高齢者でも五百円だったらさほど過重な負担ではない、こういうふうに受けとめての賛成だった、このように思うわけでございます。  公的介護サービスは現在もいろいろと行われておりまして、ゴールドプランや新ゴールドプランで年々充実されております。平成十二年度から新たに始まるのは国民保険料負担という制度であるということを正しく認識されてはおりません。保険料とはいえ、法律によって負担を義務づけられる強制保険でありまして、いわば直接税にも等しいものを、マスコミが報じますように国民の八割が喜んで賛成するなどということは絶対あり得ないと私は思うのでございます。本当に、これから始まるのは国民負担をお願いする保険料負担なんだ、税金という名前を変えた強制保険なんだ、こういうことはやはり大臣として国民の皆さんにお話しすべきではないかと思います。  先ほどの本会議の答弁のような勢いで、国民の皆さんに納得していただけるような、そういうPRが必要ではないかと私は思うのでございますが、いかがでしょう。
  43. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 負担があって何の給付もないということでは、これは当然、理解は得られません。給付負担のバランスというものをどうやってとるかというのも大事でありますし、これは本当に細部まで国民理解しているかと言われますと、そうだという確信も私は持てませんが、制度導入して利用されるたびに理解度が深まってくるのではないかということで、まずはこの制度導入して、しばらくたってまた不備な点も出てくると思います。見直しをしながら改善措置を講ずる。この公的介護をどうやって導入しようかという介護の必要性ということについては、私は大方の理解が得られるのではないかというふうに考えております。
  44. 青山二三

    ○青山(二)委員 それは当然なんですね。家族介護がもう地獄のような状態に陥っているということを思えば、やはり一刻も早くやらなければならない。しかし、厚生省は何もやっていないかといえば、今までゴールドプランとか新ゴールドプランでやってきた。ところが、今回導入するのが、今度は税という名を変えた保険料なんだ、そのことをやはり国民がしっかり認識してからの導入でないとおかしいと私は思うわけでございます。  昨年の九月十九日、全国の市長会あるいは評議員会議の席上で、厚生省からいろいろと介護保険の骨格の説明がありまして、質疑応答をして、終了後にこの介護保険法案を了承することに決まったということでございます。  市町村の皆さんは、このお話、一年余りしか議論は進めていない。よくよく調べてみますと、余りにも重大な内容が含まれていて、将来に禍根を残し、市町村行政が大混乱になるということが予想されるということで、今、市町村長さんは賛成をしたかに見えますけれども、やはりこれは大変なことだということで、あれだけ反対の声が上がっております。厚生省は、市長会の理解が余り深まらないうちにこの介護保険導入をやってしまおう、早々と合意を取りつけようというふうに急いだのではないか、こんな思いがするわけでございます。  市長会のこうした反対の動きを知っておられますでしょうか、また、このような反対の声に対してどのような対応をおとりになるおつもりか、お聞かせいただきたいと思います。
  45. 江利川毅

    江利用政府委員 介護保険制度は、具体的な保険実施主体が市町村でありますから、その市町村理解と納得を得る、これが何よりも重要であるというふうに認識をしております。そういう観点から、これまでもいろいろな角度で合意形成に努力をしてきております。  具体的には、全国市長会あるいは全国町村会と精力的に協議を重ねてきておりますし、また、昨年の夏には、全都道府県におきまして、市町村関係者等々に対しまして制度を説明し、あるいは意見を交換してきたところでございます。さらに、昨年は、与党三党の介護保険のプロジェクトチームにおきまして、全国六カ所で地方公聴会を開いて関係者意見を徴する、当然、自治体の代表者の意見も聴取をしてきたところでございます。  こういう合意形成の努力を重ねまして、昨年の九月十九日、与党合意ができたわけでございますが、そのときに、市町村から出されております幾つかの要望、例えば、一つは、市町村に対する財政支援方策を拡充してほしい、あるいはまた、要介護認定等事務運営の懸念というものを解消してほしい、在宅給付施設給付の同時実施をやってほしい等の要望に基本的に沿った内容で与党合意がまとめられたわけでございます。この与党合意を踏まえまして、同日の昨年九月十九日、全国市長会、全国町村会の役員会におきまして、市町村保険者になることについて基本的に御了解をいただいたというふうに認識しているところでございます。  現在におきましてもなお一部の市長の方々介護保険制度に対していろいろと意見を言われておりますことは承知しておりますが、厚生省といたしましては、引き続き、制度に対する理解を求める努力を重ねていく、そしてまた、制度の安定的かつ円滑な実施に向けて市町村関係者等と調整をより一層緊密に行っていくというふうに考えているところでございます。
  46. 青山二三

    ○青山(二)委員 市町村が一番心配しておりますのは、新ゴールドプランに基づく介護基盤整備が、全国の五割から七割の市町村が達成困難と言われている点でございます。この介護保険制度導入された場合、大混乱に陥るのではないか、そういうことや、膨大な事務経費がかかるということであります。ですから、財政力によってパンクする市町村が出るのではないか。それと、もう一つ大きいのは、未納者とか未加入者に対する対応を一体どうすればいいのだ。厚生省は介護保険で自分の好きなサービスを選択できるということをうたい文句に推進しようとしておりますけれども、実際は認定審査会がサービスの指定をするという仕組みになっておりますため、サービスの選択はできないのではないか。今こんないろいろな心配をしているわけでございます。  それで、介護保険導入する以外には年々膨らんでいく介護費用が見当たらないということではないかと私は思っているのでございます。どうしても社会全体の問題として解決を図らなければならないとすれば、それは当然、税によって賄うことが理想であるということは国民のだれもが認めるところであります。ところが、消費税では国民のアレルギーがあり、介護財源をどこにも求められなくなったために、最後は受益者であるお年寄り自身にもある程度負担をしてもらおう、負担をさせようということになったのではないかと私は理解しておりますけれども、いかがでしょうか。
  47. 江利川毅

    江利用政府委員 現在でも、介護につきましては老人福祉施策あるいは老人医療施策ということで行われているわけでありますが、それぞれの制度は、片方は社会的弱者に対する福祉施策から始まった制度が拡大していった、片方は一般的な医療から始まってきた制度が老人の長期療養のような形で拡大していった、そういうために、中身が拡大していくことによって当初とは違う事態に対応しているわけでありますから、既存の制度には新たなる矛盾というものが生じてきているわけでございますし、制度間の問題もあったわけでございます。この福祉医療にまたがっております老人の介護というものを再編成してより効率的また公平な制度に変えていこうというのが介護保険制度のねらいでございます。  保険料か税かというお話がございましたが、この基本は、費用負担の取りやすさとかそういうところに視点があるのではなくて、老後の生活というのは一体どういう責任のもと、だれの責任のもとにおいて行われるものか、六十五歳を過ぎたら国なり地方自治体の責任で老後生活を保障すべきものか、それとも自分の責任、自助努力というものを前提にしながら考えていくものか、そういうところから考えの原点というのがあるのではなかろうか。  そういう考え方に立ちまして、個人生活の自助を基本としながら相互扶助によって賄っていく、こういう保険方式が、介護というのは、一生涯を通じますと二人に一人ぐらい要介護状態になる、家族を踏まえて考えますと何らかの形で介護問題というのに人はかかわりを持つ、そういう一般的な問題でございますので、社会保険方式でやることが適当だというふうに考えて、この方式を提案しているところでございます。
  48. 青山二三

    ○青山(二)委員 私、栃木県の出身なんですけれども、二月六日の朝日新聞、これは栃木県版なんですけれども、ここに栃木県の大田原市長さんのお話が出ておりました。  その中で、県内五選挙区ございまして、全員、自民党の国会議員で占められております。それで、選挙のときに、介護財源はどちらがいいのか、税金がいいのか保険方式がいいのかという朝日新聞のアンケートに対しまして、何と五人のうち四名までがやはり税がいい、このように言っているのですね。これは選挙の前です。  そのアンケートでこういう結果であったということで朝日新聞さんが載せてくださったわけですが、こういうことを見ますと、与党三党で合意したとかいろいろおっしゃっていますけれども、やはり自民党さんの中にも税がいいとかいろいろおっしゃっている方がいるのではないかと思いますが、こういう点はどのように調整なさっていくのでしょうか。
  49. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それはまだ認識が足りなかったのではないでしょうか。よく考えてみれば、公費と社会保険方式を組み合わせた方がいいという結論に落ちついたのではないかなと思っております。
  50. 青山二三

    ○青山(二)委員 それじゃ、私は栃木県ですから、四人の国会議員の皆さんに、大臣がそのようにおっしゃっていたと申しておきます。  それでは、この保険導入による介護サービスについてお聞きしたいと思います。  国民のほとんどは、この公的介護保険こそが特別養護老人ホームの入所待ちを解消するものであると大きく期待をいたしております。そこで、大変基本的な問題についてお伺いしたいのですけれども、この介護保険導入によりまして一体どの程度の介護サービスのレベルアップがあるのか、新ゴールドプランをもとに具体的な数字でお示しいただきたいと思います。
  51. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 公的介護保険制度導入によってどの程度介護サービス基盤整備が進むかというお尋ねでございます。  先ほど先生、既に新ゴールドプランというようなものを進めておるのであるから、それを進めていけばあえて介護保険導入しなくてもというお話がございましたが、これから介護保険であれあるいは税であれ、介護サービスの必要性というものはますます増大をしてまいります。その意味からいえば、そのことを整備するためにそれなりの財源というものは今まで以上に必要になってまいります。  そういう前提に立ちまして、一つは、その財源保険料に求めるか、税に求めるか、あるいはそれの両方の組み合わせに求めるかというのが財源論としての問題。それともう一つは、現在、老人の医療に属する介護の部分につきましては医療保険の中で見られている、それから、福祉措置としてやられている分については公費の部分でやられていて、それぞれが手続等もばらばらである、これはやはり利用者にとってよくないということで再編成をしようという二つの意図から出ているわけであります。したがいまして、今後、介護保険の場合におきましても、当然介護に対するニーズは膨らんでくるという前提に立ってこの制度導入考えておるわけであります。  介護保険制度導入をされますれば当然サービス内容が充実をしてまいりますので、そのことによります給付水準の高まりによりまして、当然それは基盤も必要になってまいります。それから、保険という形で言ってみれば経済的な面での裏打ちができてくるということによりまして、介護ニーズが新たに顕在化してくるという部分もあると思います。そういう意味での利用率の向上といったようなことが当然出てまいります。  したがいまして、今後におきましては、施設サービスにつきましても今後の要介護高齢者の増加に応じました対応をするとともに、在宅サービスに重点を置いて、新ゴールドプランの達成時の利用率からだんだんにニーズが上がるということで、十年ぐらいかけてニーズの引き上がりに伴いまして整備を進めていくということでやってまいるつもりでございます。  さらに、介護保険導入によりまして要介護者の安定的なサービス利用が見込まれるということから、事業者のサイドからも、経営も安定をするということで、そういう意味サービス提供がしやすくなるというような側面も恐らく出てまいると思います。当然そういったことを踏まえて今後における介護サービス基盤整備を進めていかなければなりません。  しかし、それにつきましては、これから私どもとしていえば、具体的な介護保険事業計画を作成いたしまして、これに基づいて、それを全国的に積み上げる中で全体の需要に対応していくということでございますから、今後、そういったサービス水準の向上に伴います介護保険導入後の需要の高まりということを前提にいたしながら、この介護保険法自体が導入しております計画の中でそういったものに対して必要な整備を進めていくということで進めてまいりたいというふうに思っております。そして、その計画につきましては、法の成立をお認めいただけますならば直ちにその準備に入りまして、これはそれぞれの地方団体、自治体がそこについて積み上げてまいらなければなりませんから、その作業に入りたいというふうに考えておるところでございます。
  52. 青山二三

    ○青山(二)委員 それじゃ、大いに期待してよろしいのでございますね。  それでは、保険料についてお伺いいたします。  第一号被保険者は、保険料を全額自己負担することになっております。第二号被保険者につきましては、半額を企業負担あるいは公費で負担されるということになっているわけですね。これは、実質的には、高齢者若年者、また若年者の間でも保険の種類によって負担に大きな格差が生じるということになりまして、国民の間に不公平感が残るのではないかと私は心配しておりますけれども、この点について納得のいく御答弁をいただきたいと思います。
  53. 江利川毅

    江利用政府委員 保険料設定の考え方でございますが、介護保険制度案は、半分は公費で賄って、半分が保険料ということでございます。この保険料は、四十歳以上の方々の頭割りで平均をしますと、二〇〇〇年、スタート時点におきましては現在価格で二千五百円程度になろうという計算をしているところであります。このうち、第一号被保険者、六十五歳以上の方は、みずからその保険料を納めていただくわけでありますが、所得の程度に応じて段階的に、所得の低い人は低い水準、高い人は高い水準というふうに納めてもらいます。四十歳から六十五歳未満の方々につきましては、医療保険制度に乗っかって納めていただくということになります。したがいまして、医療保険制度におきまして事業主負担のあるものにつきましては事業主負担が入り、あるいはまた、国保のように国庫負担が入るものは国庫負担が入るということになります。  そこで、それが果たして公平か不公平かという議論でございますが一現実に要介護状態に遭遇する割合というのでしょうか、要介護状態の発生率の高さというのを考えますと、六十五歳以上の方々の発生率の方が極めて高いわけでございまして、そういう点などを考えますと単に不公平とは言えないのだ、それからまた、この制度自身が、若い世代、いわゆる自分たちの介護状態に対応するということとあわせまして、四十歳からというのは、いわゆる親の世代に対しての危険というのを考えて加入していただくというふうになっているわけでございまして、そういう世代間扶養の観点から考えましても、これをもって不公平ということにはならないのではないかと考えております。
  54. 青山二三

    ○青山(二)委員 この社会保険方式の最大の弱点と申しましょうか、それは、保険料の未納者それから無保険者の発生でございます。  これは何回か質問にも出たようでございますけれども、今回の法案ではこうした未納対策について事細かに規定されておりまして、無保険者を絶対に出さないぞ、そういう意気込みも感じられるわけでございます。その厳しさは国民健康保険の方とはけた違いであるように思われます。しかしながら、その結果、低所得者に配慮して所得段階別の定額保険料を設定したとはいいましても、この設定の仕方ではまだまだ不十分ではなかろうかと思います。  低所得者の老人を中心に無保険者が大量に発生して、最も公的介護保険を必要とするこれらの老人がそれを受けることができなくなるという危険性が大きくなるのではないかということで私は心配をしておりますが、この点はどのようにお考えでしょうか。それから、未加入者が要介護状態となった場合、どのように対処するのか、また、市町村にはどのように指導されているのか、お伺いをしたいと思います。
  55. 江利川毅

    江利用政府委員 要介護状態に対する不安といいますか、世論調査等によりますと、高齢者になったときの最大の不安というのは要介護状態になったときであるというのはよく出ているわけでございます。先ほども御答弁申し上げましたが、人の生涯で見ますと二人に一人は要介護状態になるという確率があるわけでございまして、そういう意味で、この問題というのは本当に生涯においてかかわりの深い問題であると思います。まずこの点につきましてよく国民の皆さんに御理解をいただいて、そうすれば加入というものはかなり進むのではないか、いわゆる無加入問題というのは相当回避できるのではないかというふうに思っています。  それからまた、制度的には、先ほども申し上げましたが、給付費の半分は公費で見ている、そして保険料が半分である、かつ、第二号被保険者がその保険料の中の三分の二を負担するわけでございまして、その三分の一の本人につきましても段階的にやっていくということでございます。こういう工夫をし、さらに一定の金額以上の年金受給者に対しましては年金から天引きをさせていただく、こういうようなことによりまして無保険者が極力発生しないようにしているところでございます。  そういう制度的な仕組みあるいは周知徹底、理解を賜るというような工夫をして、まずは未納者が生じないという事態をつくり上げていきたいというふうに思っております。  また、国保に加入している人の保険料納付状況を見ますと、七十歳以上の方は九九%の人が保険料を納めているという意味で、非常に高齢者はきちんと保険料を納めているわけでございます。こういうこともきちんと保険料を納めていただけるという一つの支えというふうになっているわけであります。  そういうふうにやりましてもなお未納者が出てくる、そういうケースにつきましては、まずは最初に督促であるとか納付相談であるとか、そういう形で納付促進策を市町村においてやっていただくことになりますが、それでもなお未納であるという場合には、給付面におきまして、その未納者の態様に応じまして償還払い等の措置段階的に講じていく。給付はやります。給付をやらないわけじゃない。給付をやった上で償還払い等の措置を講じていく、こういう仕組みを設けておるところでございます。
  56. 青山二三

    ○青山(二)委員 また栃木県のお話になりますけれども、私の住んでおります大田原の市長さんがおっしゃっていました。現在でも一六%、国保の未納者があるそうでございます。本当にこの集金というのですか、納めてもらうには苦労している。というのは、小さな市でございますので、職員が一生懸命に集金に行きましても、ああ、どこちゃんちのだれちゃんなんだなという、本当に身近なために、これぐらいのことを勘弁してくれないのじゃ今度は市の事業には協力しないぞなどということまで言われまして、本当に苦労しているのだそうです。ところが、こういう未納者を出しますと、国からは、統治能力がない、このようにしかられると言っておりまして、ここにこの介護保険がまた行われるとなるとどんなことになるのだろうということで大変心配しております。  そういういろいろなこの介護保険の詳しい中身をお話しいたしますと、何と女性の団体であります「くらしの会」という会が、ああ、やはり保険というのは大変なんだな、それじゃはっきりと税ということでいいのじゃないかということで、五千百十七名の皆さんが、税にしてほしいということで、こういう署名を大臣のところにもお持ちしていると思います。そして、老人クラブの方々が、これは大変なことになるということで、やはり税にしてもらいたいということで、何と四千百名の署名があっという間に集まった。それも大臣のところにお届けしていると思うのです。  そういうことで、やはりこの今の法律にはいろいろな不備がある。市町村長さんたちが一番恐れているのが、心配しているのが未納者あるいは未加入者である。国民健康保険というのは、病気になったときにお医者さんに診てもらえる、必ず病気にはなるという前提があるにもかかわらず、払えない人がいる。ましてや介護になりますと、私は介護なんかしてもらう必要はないのだ、まさか寝たきりにはならないということで納めない方が国保以上にふえる。地元の市長さんたちが今、大変だという声を上げているということをよく厚生省は認識をしていただきたい、このように思います。そのあたりの御答弁、大臣にお願いいたします。
  57. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 この社会保障制度充実しようという難しいところは、やはり税がいいなという人でも、それでは消費税上げましょうかというと、恐らく私は反対すると思いますよ。所得税上げようか、これも反対すると思います。そこが難しいところですね。  当然、保険料を徴収するのに簡単にはいかないと思います。未納者も出てくると思います。これは率直に、絶対ないとは言えない。その辺をどうやって工夫して、御理解をいただきながら協力いただくか。まさに、福祉は全体で支えるのだと。おれは利用しないからいいというのではなくて、自分は介護保険制度サービスを受けない、給付を受けなかったらむしろ幸せだったという気持ちを持っていただくような理解をどうやって持っていただくか。  医療保険に入っているから病気になった方がいいという人は、私はいないと思います。保険料を払っても、むしろ病気にかからない方がいい。介護保険負担しても自分は介護を受けない方がいいということでも、準備していただく。もし介護を必要とした方に対しては自分は何か役に立つことができたという形で喜んでいただけるような社会的連帯感を培っていくのが、私は大事だと思います。
  58. 青山二三

    ○青山(二)委員 小泉厚生大臣には大変理想的なお話をお伺いいたしまして、そうなれば幸せだなと私も思います。  それでは次に、利用料についてお伺いしたいと思います。  利用料は定率一割負担となっておりますために、現在の定額負担と応能負担に比べ、低所得者の負担が急増することが考えられるわけでございます。例えばホームヘルプサービス利用した場合、応能負担から一割負担への変更に伴い、現在高額の利用者負担を支払っている中所得者層、それ以上の人たち負担は相当引き下げられることになりますけれども、利用者の負担を免除されている、そういう低所得者の負担は増大するわけなんですね。そして、施設入所にしても、日常生活に要する費用及び食事材料費相当分が全額自己負担になりますために、低所得者の負担がふえるということになるわけでございます。ここに一番大きなこの保険制度の問題があるわけなんです。  このように保険料の一割や施設使用の際の食費日常生活費が受益者負担ということになりますと、負担にたえられない人たちが出てくることが考えられるわけでございますから、この保険制度を適用して一割の負担を払えない、そういう人がどれぐらい出てくると見ておられるのか、また、その要介護認定をされてかつ利用料を払えない、そういう人についてはどのような対応考えているのか、お伺いしたいと思います。
  59. 江利川毅

    江利用政府委員 先生指摘のように、今度の制度では利用料の一割を負担していただく、そして、施設に入所しますと食費につきましての負担、そういうものがあるわけでございますが、この制度の中では高額介護サービス制度というものを設けておりまして、いわゆる負担額に上限を設けるというようなことにしてあるわけでございます。そしてまた、これは一般的な制度でございますが、その基準の設定に当たりまして、低所得者について配慮をするということになっています。また、施設に入所した場合の食事に係る費用負担でございますが、これにつきましても、同様に、低所得者に対して配慮を行うというようなことになっております。  また、現在施設に入っている人につきましては、施行後五年間は利用負担負担能力に応じまして減免する、軽減するという仕組みも入れているところでございます。  こういうことによりまして、無理のない範囲での負担で介護サービス利用をしていただくことが可能になるのではないかというふうに考えております。  また、先生から、サービス利用できない者はどの程度か、数はどのぐらいあるかというお話がありましたが、数というのはなかなか推計のしにくいところでございまして、制度的にそういう払えない人が出てこないように工夫をして運営させていただきたいというふうに考えておるところでございます。
  60. 青山二三

    ○青山(二)委員 もう一度確認させていただきますが、保険料に関しては曲がりなりにも減免規定がある、利用料に関しましては減免規定はないということでいいのでしょうか。
  61. 江利川毅

    江利用政府委員 利用料につきましては、利用料が一割負担ということになっていますが、これが高くなり過ぎるのを抑える、そういう意味で高額介護サービス費、上限があります。一割であっても、一定の金額を超えた場合はその金額に抑える、そういう上限があります。  それからもう一つは、その上限の設定の仕方につきまして、低所得者についての配慮があります。これは軽減をする。免除ではありません、軽減でございます。引き下げるということであります。  食費につきましても同様でございます。
  62. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、家庭内介護についていろいろと質問させていただきたいと思います。  本当に、今の日本の現状を見ますと、介護に関しましては、社会の慣習上から、長男の嫁あるいは特に同居している方たちのそういう御苦労は大変厳しいものがございます。高齢社会の他のいろいろな国と比べますと、日本は特に古い風習がありまして、嫁という立場の介護負担が大変大きいという状況がございます。ですから、こうした状況のまま家族介護への現金給付をするということは、介護を密室化させて女性に介護を固定化させ、そして社会サービスの供給拡大という質の向上を停滞させる危険があり、安易に認められないのだという意見もあります。  昨年の老人保健福祉審議会では、消極的な意見と、いや、積極的に導入すべきだという意見が併記されたまま、最終報告がなされましたね。厚生省としては、原則としては現金給付を当面行わないということで決めたようでございますが、午前中の質問者が、五年後に見直す気はあるのか、見直していただきたい、このような質問がございましたけれども、どのようにされるのでしょうか。
  63. 江利川毅

    江利用政府委員 現金給付につきましては、先生の御指摘のとおり、いろいろな議論があったわけでございます。  それで、現金給付をしても、それが直接介護に結びつかない可能性もある。この制度は、要介護者に直接介護サービスを提供して、実際上、質の高い生活を送っていただく、そしてまた家族を支援するということでございまして、サービスが的確に届くという仕組みにしようということでございます。  介護サービス基盤整備といいますのはまだまだ課題がありますし、これからの高齢化を考えれば、さらにまだこの先も推進していかなければなりません。そういうこともございまして、まずは限られた財源基盤整備充実に振り向けるということで、当面、現金給付は行わないということになっているわけであります。  五年後の検討、施行後の検討の話があったわけでございますが、そのときにどういう議論を行いますか、これは、実施の状況、それからこういう問題をめぐる世の中の議論の熟度、さまざまな点を総合的に判断して決めるところでございまして、現時点で、五年後の検討のときに何か方向が決まっているというものではありません。実施状況を見ながら、また、関係の専門家に議論していただきながら判断をしていきたいというふうに考えております。
  64. 青山二三

    ○青山(二)委員 今回は現金給付は行わない、五年後はいろいろと皆さんの御判断をいただいてどうするかを決めるということでございました。  ところが、全国の地方自治体では、例えば慰労金あるいは激励金、介護支援金、名前は違うのでございますけれども、いろいろな介護手当に当たるものを出しております。例えば、支給額の最も多い東京都では、七十歳以上の寝たきり老人には月五万三千円、年にいたしますと六十三万六千円の支給となっております。神奈川県では年額三万五千円、何と東京から見ますと十八分の一。ですから、東京が十八倍になる。こんな地域格差が随分大きな状況にあるわけでございます。  まず、全国で介護手当のような形で行っている都道府県、それからその実施状況、支給状況など、ちょっと手短に御説明いただきたいと思います。
  65. 江利川毅

    江利用政府委員 平成六年度に厚生省が行った調査でございますが、実施都道府県の数は二十三都道府県でございます。金額でございますが、六年の数字でございますから先生の数字よりちょっと低いのでございますが、東京都におきましては、東京都が最も高くて、七十歳以上で月額五万円、六十五歳から六十九歳の間で、これは所得によって月額は変わりますが、四万二千円または二万八千円となっております。最も低い県におきましては、年額三千円というものもございます。
  66. 青山二三

    ○青山(二)委員 そういたしますと、このような各自治体の今お示しいただいた介護手当は、ホームヘルパーの不足あるいは特別養護老人ホームの待機が一万人を超えているという現状をカバーするものである、そういう不満や批判の声もございます。そういうことで、介護手当の現金支給を打ち切ろうというような動きもあるように聞いております。また、介護手当を支給している自治体におきましては、不十分な在宅護サービスを補完するものとして現金の支給をしているというどころもあるかと思います。  このような自治体について、今後、介護保険制度導入した場合にどのように対応していくのか、取りやめさせる方針なのかどうか、このあたりをお伺いしておきたいと思います。
  67. 江利川毅

    江利用政府委員 自治体の独自の施策として行っています手当の支給でございますが、これを介護保険制度導入後継続するか否かといいますのは、これはひとえに実施自治体の御判断というふうに考えております。
  68. 青山二三

    ○青山(二)委員 それじゃ、厚生省としては判断に任せるということでよろしいのですね。  例えば、私、何度か取り上げたことがあるのでございますが、乳幼児の医療費の無料化、これは自治体で大変な思いをして、少子化対策というようなことでやっているところもあるのでございますが、厚生省がそういうところにはペナルティーを科している。これは事実でございますが、こういうことはない、このように思って差し支えないのですね。ペナルティーを科すとか、やめた方がいいとかという指導はないというような認識で結構ですね。  現状を考えますと、介護手当を現在支給されているところが急に支給されなくなると大変な混乱を生じるということでございますので、政府の慎重な対応をお願いしたいということでお尋ねしたわけでございますが、もう一度その点、ペナルティーを科すとか指導をするとかということはございませんね。
  69. 江利川毅

    江利用政府委員 介護手当についての御質問でございますが、自治体が独自にやっている、これは、今の自治体の制度の仕組みは本人または家族に対する慰謝・激励的なものということで配られているものでございまして、いわゆる介護費用を賄うという趣旨のものではないというふうに理解をしております。  そういう意味で、自治体が独自の判断で、この制度を続けるかどうか、これは介護保険制度導入した後も自治体の御判断で決めていただいて結構だというふうに考えております。
  70. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、現金給付に関しまして、お金が出てもサービスが伴わなければ家族介護に縛られたままになるということを考えますと、現金給付に使うお金を集める分、サービス充実に充てた方が当面は我慢を強いられてもより早く家族介護から解放されるということになるということはわかりますが、一方、サービスが絶対に不足しまして介護する家族のニーズを賄い切れない、そういう現実があります。  厚生省の将来推計を見ますと、介護保険利用できる在宅サービス量は、二〇〇〇年で対象者の四〇%から五〇%、二〇一〇年で八〇%という状況でありまして、結局、介護保険がスタートいたしましても家族介護には何の保障もないということになるようでございます。ですから、サービス量の絶対的な不足という事態によって多くの要介護者介護認定を受けられない事態が予測されるわけでございますが、こうした場合、当然、家族に大きな負担がかかってくるわけでございます。そうした保険でカバーできない部分について、政府としては何らかの対応をお考えになっておられますでしょうか。
  71. 江利川毅

    江利用政府委員 まず要介護状態の認定は、その人の生活上の状態ですね、心身の状態、それからまた、かかりつけ医師の判断、そういうものをもとに審査会、専門家の意見、合議体の議論の中で要介護の認定が行われるわけでありまして、要介護状態にある人が要介護認定をされないというようなことはないわけであります。要介護認定されますと、所定のプロセスを経て介護給付というものが支給されることになります。  先ほどのホームヘルパーの利用が四〇ないし五〇というお話がございましたが、これは、給付の絶対量を一人当たり一〇〇%利用換算で四〇ないし五〇%の水準だ、そういう給付の量を一つの指標であらわしたものでありまして、現実には、利用者の数が多ければそれに応じてその中で利用をしていくということになるわけでございます。  基盤整備の進捗、介護保険制度の実施に向けて基盤整備を積極的に進めていくことは当然でございますが、なお努力をしましても相対的に介護サービス基盤整備がおくれているという市町村も現実にはあり得るわけでございます。そういうケースの経過措置といたしまして、支給限度額、そこのサービス水準が標準的な水準にまでまだ達していないというような場合には、それに見合った形で利用が少なくなるわけでありますので、その分、保険料を引き下げる、そういうような形でサービス状況に応じて進めていくというようなことになっているわけでございまして、したがいまして、そういう措置を組み合わせますと、スタートにおきましても、混乱を回避してこの制度の実施ができるものというふうに考えております。
  72. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、時間も間もなくなくなろうといたしておりますので、最後に大臣にお尋ねしたいと思います。  サービスの供給が十分でない現状を考えますと、介護で仕事をやめるというケースが後を絶ちません。これは女性にとっては大変な御苦労でございます。九九年四月から施行になる介護休業法では、原則三カ月までしか介護休業がとれないということになっておりまして、雇用主にはその間の賃金の支払い義務がありません。仕事を休んでも経済的な援助は一切ないということになります。健康保険では、本人が病気で仕事を休んだ場合、収入の六割を補う傷病手当金があるわけでございますが、介護で休んだときには何の補償もないというのはいかがなものかと思います。  この点につきまして、介護休業法だから労働省だろうとおっしゃらずに、介護という大きな面から、そういうことに対しましてどう考えるのか。大臣に、また先ほどの本会議のようになりますけれども、労働省にかかわることであろうかと思いますが、介護休業で休む女性、何の補償もない期間をどのように考えておられるのか。通告はしませんでしたけれども、大臣のお考えをお聞きいたしまして、終わりたいと思います。
  73. 村上文

    ○村上説明員 先生指摘のとおり、育児・介護休業法は、すべての企業に一律に介護休業制度を義務づけることとする一方、義務づけの部分は最低基準といたしまして、これを上回る部分につきましては、労使の自主的な努力にゆだねるという基本的な考えに立っております。  法で義務づける介護休業期間につきましては、家族による介護がやむを得ない場合の緊急的な対応措置でありまして、家族介護に関する長期的な方針を決定できるようになるまでの期間として三カ月程度が必要と判断されたことや、既に制度導入しております事業所で実際に介護休業を取得された者の大部分、七七・七%が三カ月以内に復帰しているというようなことから三カ月といたしております。  賃金については、先生指摘のとおり、労使に任されておるわけでございますが、労働省といたしましては、義務化されるまでの間におきましても、各事業所における可能な限り早期の介護休業制度導入を推進するために、奨励金などを活用して、あらゆる機会をとらえて事業主に対して啓発を図るとともに、きめ細かい相談や指導、援助に努めまして、制度ができるだけ早く普及するように全力を挙げて取り組んでまいりたい、それから、介護休業期間中の公的な経済的援助につきましては、介護休業が義務化されるまでに検討を進め、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとしたいと思っております。
  74. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 財源が豊かでありますと、あれもこれもやりたいというのはいいと思うのでありますが、このような財政状況で、まずは在宅介護で苦労されている方々負担をどうやって軽減しようかということで、施設サービスやら在宅サービス等、基盤を整備して、それを活用してもらって、その実施・施行状況を見ながら、もしそういうことが必要ならばまたいろいろな改善方法が必要だと思いますけれども、まず、限られた財源でどうやって必要な施策を実施するかという場合、選択肢の一つとして――あれもこれもと、現金給付を受けられれば受けられるにこしたことはないのです。しかし、その現金給付を受けても、肝心なサービスが受けられない、人もいないということじゃ困る。どちらを優先させるかといえば、今、施設サービス在宅サービスの各基盤整備、人材養成、その点を重点的にやっていくのが先じゃないかな、私はそう思っております。
  75. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変ありがとうございました。女性が会社をやめてまで両親の介護に当たる、そういう思いを大臣に酌み取っていただきまして、今後ともよき方への改善をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  大変ありがとうございました。
  76. 町村信孝

    町村委員長 坂口力君。
  77. 坂口力

    ○坂口委員 久しぶりに質問をさせていただくことになりました。  一番最初に、基本的なことを一つだけお聞きしておきたいというふうに思います。  今回提案されました介護保険法案の第一条、第二条を拝見いたしますと、かなりがっちりとした表現になっておりますが、これを実現しようというふうに思いますと、今までのいわゆる施設介護よりも在宅介護を行うことの方が財政的には非常に多くかかるという気がいたします。この在宅介護を進めるに当たってそこのところは、在宅介護を行うことによって財政的に今まで以上に多くかかってもそれはやむを得ないという、そこの割り切りはきちっとできて出発をしているのかどうかということをまずお聞きしておきたいと思います。
  78. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 私ども、介護保険制度を提案いたしましたときに、在宅重視ということは、先生お読み上げをいただきましたように、法律の理念としてもうたっておるところでございます。  そのことを進めようという考え方の第一は、財政に出るものではなくて、やはり、高齢者方々が要介護あるいは要支援という状態になられましても、できるだけ家庭あるいは地域社会で生活をしたい、その中で必要な療養等をしたいというのが人間だれしものいわば幸福という意味では、できるだけそういう希望のある人にはそういうことができるような体制を組むということが大事であるという観点からいたしております。したがいまして、そういう意味で、財政的に安上がりになるから在宅を選んだというような形でこれをやったものではございません。  ただ、私ども算定いたしております中で、在宅については、先般来御説明申し上げておりますように、直ちに顕在化してこない、また、在宅サービスの整備自体も段階的にするという要素を入れておりますので、在宅の方が施設よりも費用的に大きくなるというふうには必ずしもなりませんけれども、繰り返しになりますけれども、費用という観点よりはむしろ、一言で言えば、そういうお年寄りの幸せという観点からどちらであろうかというところから発想をいたしたということでございます。
  79. 坂口力

    ○坂口委員 幸せはよくわかるのですが、同時に、財政的にこれは見合わなければなりません。当然のことでございます。  この第一条を拝見いたしますと、「自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、」云々、こう書いてあるわけで、これは「必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行う」ということでありますから、かなり幅が広いわけですね。だから、これは、医療の方にも関係していますよ、療養型病床群にも適用しますよということを言っているのかもしれませんし、あるいはそのほかのことも言っているのかもしれませんが、そのほかに「保健医療サービス及び福祉サービス」と、保健にまで及んできている。  そして、第二条を見ますと、「介護保険は、被保険者の要介護状態又は要介護状態となるおそれがある状態に関し、必要な保険給付を行うものとする。」「要介護状態となるおそれがある状態に関し、」と、いわゆる予防的措置も行うということを書いているわけですね。  御承知のとおり、今までの医療保険はなかなか予防まではいかなかったわけです。これは医療だけ、臨床部門だけしかいかなかった。予防まではとてもじゃないけれども回らなかったというのが医療保険であります。しかし、今回の介護保険は予防にまで言及をしている。  ということになれば、これはかなり幅広い展開にならざるを得ない。そういう目的でつくられたのだろうというふうに思いますが、そういうことを考えますと、これは今までの施設看護とは違って広範な目標に対して行おうというふうにしておりますから、財源もかなり多くかかるということを覚悟の上でおやりになっているというふうに思えるのですが、だからそこは大丈夫ですかということを申し上げているわけです。
  80. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お話しのように、今後介護を要する方々、それから、先ほど予防ということをおっしゃいましたけれども、私どもそこで想定をしておりますのは、従来でいきますといわゆる虚弱老人と言っておりました、まだ要介護という状態までには至りませんけれども、対応をしませんと要介護状態に陥ってしまうという方々、いわゆる虚弱老人に対する支援サービスというものを想定しておる。そういったものも含めて考えますと、今後、費用というものはそれなりにふえてくるという前提で試算等をいたしておるわけであります。そして、そのことを具体的に今度あれしますのは、先ほども御答弁申し上げましたけれども、介護保険事業計画というものの積み上げの中で出てまいりますけれども、私ども想定をしております費用の中でも、そういったものは当然ふえてくるという前提で制度設計をいたしておるところでございます。
  81. 坂口力

    ○坂口委員 それなりにふえてくるというのはよくわかりますが、何となくもごもごとしていてよくわからぬところもございます。  先ほど言いました第二条の第二項に、「前項の保険給付は、要介護状態の軽減若しくは悪化の防止又は要介護状態となることの予防に資するよう行われるとともに、医療との連携に十分配慮して行われなければならない。」これはなかなかはっきりと予防にまで踏み込んで書いておりますので、正直言って、これはかなり広範囲であるし大変だな、施設介護よりも財源的には非常にかかるなという気持ちが私はするわけでございます。  それで、するなということを私は申し上げているわけではありません。しかし、こういうふうに言う限りはやらなければならないわけで、言うだけは言いましたけれども、後でやりませんと言うのは国民をだましたことになります。だから、できないのならできないということを初めから言っておかなければならないと思いますから、大丈夫ですか、本当にやるのですかということを私は率直にお聞きしているわけでございます。  それでは、「予防に資するよう」というのは、予防するためには何をおやりになろうとしているのかということをちょっとお聞きしておきたい。
  82. 江利川毅

    江利用政府委員 予防といいますのは、虚弱な老人というのでしょうか、寝たきりになるおそれのある老人に対しまして行う給付でございまして、法律では五十二条以下に予防給付というのがございます。具体的には、居宅支援サービスというようなことでその事業が書いてあるわけでございますが、普通の訪問介護等のほかに、一般のケースにもあるわけでありますが、訪問リハビリテーションであるとか通所リハビリテーション、福祉用具の貸与等などをやって寝たきりになるのを予防していきたいということでございます。
  83. 坂口力

    ○坂口委員 リハビリテーションというのは予防ではありませんね。もう病気の後の、これは回復のために行うことでありますから、予防とは言いがたい。ですから、この文章を見る限りにおきましては、将来このままでおいでおいでは寝たきりになる可能性がある、そういう人に対して、現在は寝たきり状態ではないけれども介護の手を差し伸べるということも含まれるというふうに読まざるを得ない。  これはまた後で認定の問題でお聞きをいたしますけれども、そうなってくると、認定のときになかなかこれは難しいことになってくるなという気がいたします。現在全く寝たきりの人を見るか、あるいは、現在は寝たきりではないけれども、将来寝たきりになる可能性のある人を見るか、両方全部見ればそれにこしたことはありませんけれども、選択に迫られることもあるだろう、そうなったときにどうするのかな。そこまで広くこの介護を広げていけるのであるならばいいのですが、本当にそこまでできますかということを私は言いたいわけでありまして、そこのところはどうですか。一遍よく相談して答えてください。
  84. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 先生今御指摘のように、今後の介護保険制度におきましても、いわゆる要介護認定の際に六段階と申しております。まだこれもさらに専門家の意見を今聞きつつ詰めておりますけれども、今のところあれして六段階ぐらいということを申しておりますが、その一番低い段階につきましては、今先生がお挙げになった、予防給付対象になる要支援者というものを対象にするという形で制度を仕組んでおるところでございます。  なお、これにつきましては、現在の老人福祉等の体系におきましても、虚弱老人という形の中で、これをその福祉サービス等の対象にはいたしております。したがいまして、今度新たに対象になってくるということでは必ずしもございません。
  85. 坂口力

    ○坂口委員 その虚弱老人というのも内容がよくわかりません。もともと病弱な人を言っているのか、それとも、だんだんと動けなくなっていく一過程にある人のことを言っているのか、ちょっとわかりにくいですね。  それでは、私は後で認定のお話を聞くつもりでおりましたけれども、ついでですから、先に認定のお話を聞いておきたいというふうに思うのです。  いずれにいたしましても、認定をしなければならないということになるわけですね。その認定をいたしますときに、厚生省がお示しになりました内容を拝見いたしますと、調査票をまず配る。七十一項目か何かありますね。七十一項目かの調査票を配って、それに記入をしてもらって、それでまず第一段階のふるいにかけるということをやるわけですね。その調査票でふるいにかけるというのは、これで六段階を恐らく決められるのだろう、こう思うのですが、これに加えて、主治医と申しますか、かかりつけの先生の診断書を、あるいはまた意見書といったものをあわせてそこへ出してもらう。両方見ながら、そして認定審査会で認定をしていくということになるのだろうというふうに思います、経過といたしましては。  そのときに、私は、たくさん介護する人を抱えて、全部見ればそれは言うことないというふうに思うのですが、現実問題としましてはそうはいかないのだろうと思うのですね。介護をなさる方の人数というのは限られるのだろう。その中でどの人を介護対象にするかということを決めなきゃならないのだろうと思うのです。そうでなければそんな調査票をやる必要もないので、言ってもらったら全部その人たち受ければいいわけですけれども、そんなわけにはいかないのだろうと思うのですね。  ですから、それを見て認定をいたしますときに、この人は現在もう寝たきりの状態にありますから受けます、それは、寝たきりの状態の人を受けるのははっきりしておりますから受けやすいと思うのです。ところが、寝たきりの人を全部受けるということになりますと夜何回でもベルを押されるというようなことになりますから、そうすると、これは、見るといいますか、介護する人数というのは非常に限定されてくると思うのですね。人がそこに、一人の人にたくさんかかりますから非常に限定されると私は思います。  それで、その間に、ここに書いてあるとおり、予防的な意味で、現在は寝たきりではないけれども、将来のことを考えてそういう人たちも見るということを挟んでいきますと、そうすると、だれを認定し、だれを認定しないかということが非常に難しくなってくる。だから私は、ここを一体どのようにしていくのかということはよほど科学的にきちっと詰めておかないと後で大きな問題になるのだろう、だから、予防も含めてやるのですか、財政面でも大丈夫ですね、また認定も大丈夫ですねということを申し上げているわけでございます。  初めに申し上げましたのは、財政上の問題としてここまで手を本当に広げられますかということが一つであります。二番目は、そうなりましたときに認定がうまくいきますかということでございます。あわせてひとつ御答弁いただければありがたい。
  86. 江利川毅

    江利用政府委員 要介護認定を客観的に正確にやるというのは大変重要なことでありまして、現在、要介護認定をいかに正確にできるかということにつきまして、モデル事業を実施して調査をしているところでございます。  特養に入っている人を中心に一つの判定基準の表、案をつくりまして、それをもとに少し整理をして、それを現在、モデル事業で実施して、この基準でやってチェックをしていってチェックがしにくいかどうか、判断が客観的にできるか、あるいは第一次的なチェックと専門家の認定審査会のようなところでやるチェックとの間に差異が生じないか、そういうことをモデル事業でやっているわけでございます。  これを整理しまして、さらに問題点があれば整理して、できるだけ客観的な調査ができるようにしていく。来年度も引き続きその事業を拡大してやることにしておりますが、そういう形で、要介護認定ができるだけ客観的にできるようにということでございます。  その判断の基準は六つのランクに分けるわけでございますが、そのチェックと、それから、かかりつけ医師の意見と審査会での専門家の議論、そういうものを踏まえて六つの段階に分けていく、それがきちんとできるかどうか、一番軽い段階は虚弱の段階でございますが、そういうところに該当できるかどうか、こういうものをモデル事業を通じて明らかにしていくという作業をしておるところでございます。
  87. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 費用的に、今のようなことをちゃんと織り込んでやっていけるのかというもう一つのお尋ねでございます。  私ども、今設計をしておりますときに、一種の費用ということで考えておりますのが、平成十二年度で大体四兆一千六百億ぐらい、約四兆二千億ぐらい、それが平成二十二年度には七兆円ぐらいのところにいくであろうということを予測して、そういう設定のもとに計算をいたしておるわけでありますけれども、その中におきまして、施設在宅ということになりますれば、在宅の部分には、先ほど先生おっしゃったいわゆる予防給付といいますか、要支援者という形のものに対する給付というものを織り込みまして、したがいまして、平成二十二年度と平成十二年度の間におきますと大幅に在宅が、今の七兆円の中におきまして在宅給付費が伸びるという形で、ウエートを在宅の方が上げるような形で見込みをいたしておるところでございます。そういったことを前提にいたしまして今回の介護保険を御提案申し上げております。  ただし、新人口推計によりまして、今後、若干の異動はあると思いますけれども、今のところは、そのようなことで計算をさせていただいておるところでございます。
  88. 坂口力

    ○坂口委員 それじゃ、きょうのところは、予防給付大丈夫ということで受け取らせてもらってよろしいですね。ここはちょっと大臣からお答えいただけますか。
  89. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 これは予防給付という言葉が適切かどうか、介護を必要とするその程度によると思いますね。これは実際施行していかないと、どの程度が予防になるのか、寝たきりになってしまうのか、私は実施状況を見る必要があると思います。
  90. 坂口力

    ○坂口委員 私は、今の大臣の答弁の方が正直だと思います。重度の人を見るだけでも手いっぱい、なかなか予防的に、これからなるであろう人まで見るだけ手が本当に回るのかどうかということについては、私は疑わしいと思って聞いているわけであります。しかし、羽毛田局長はそれもやるという。えらい自信に満ちて言っておみえになりますけれども、どうも私は疑わしいと思って聞いていたわけで、大臣の御答弁の方が率直だというふうに私は思います、いい悪いは別にしまして。  本当はやらなきゃいけない。寝たきりにならないように先手を打つのは大事なことだと思うのです。それは啓蒙活動でありますとか、いろいろなことを総合してやっていくということ以外にないのかなという気がいたしますが、本当はやってほしいけれども、現在提案されている介護制度の中でそれをやるということは甚だ難しいのではないかという気がいたしましたので、まず最初に聞いたわけでございます。  ついででございますので、私も話が前後してしまいましたが、「自分で寝返りすることはできるが、日常生活行動には介護を必要とし、療養上の管理を必要とするケース。要介護高齢者が一人暮らしの場合。」これが一番重い場合ですね。この場合に想定しておみえになりますのが、週十五回訪問ということになっております。毎日夜は巡回ヘルプサービス、火、木、土と週三回はデイサービス、そのほかの日はホームヘルプで午後に一回ずつ行く、それから、デイサービスのない日には朝  一回ずつ行くということになっております。これは週十五回行きまして、時間としては七時間四十分、こう書いてあります。  七時間四十分ということは、分に直しましたら四百六十分でございますので、十五回でありますから三十分ちょっと、三十一分もない三十分でございます。この一回三十分は、行き帰りの時間も含めて三十分ですか、それとも正味三十分ですか。
  91. 江利川毅

    江利用政府委員 今のケースは夜間に巡回ヘルプサービスをするとかというものでございますが、これは巡回で回っていくものでありまして、この時間は、正味のといいますか、そこでサービスをする時間でございます。
  92. 坂口力

    ○坂口委員 これはここで申し上げていいのかどうかわかりませんが、羽毛田局長にいっか私の部屋に来ていただきましたときにお聞きしたのでは、一日にホームヘルパーさんが行く人数は大体八人ということをお聞きしたことがございます。あれから変わったかもわかりませんけれども、一遍説明を受けましたときに八人。  今、看護派遣センターで大体三人か四人でしょうか、一日におやりになっているのは三人ぐらいでしょうか、お一人、大体二時間ぐらい見ている。二時間ですから、せいぜい三人だと思うのです。一人のところへ行って、次のところに行くまでの時間もかかりますし、田舎でしたら随分距離もあるわけで、都市部でしたら次へ行くのにそんなに時間はかからないと思いますが、かなりこれは時間もかかる。それから、行くのには準備もしていかなければならない、帰ってきたらきちっと記録もしなければならぬのでしょうし、あるいは食事の時間も介護さんもとらなきゃならぬということになりますと、一日大体八人ということになりますと、計算をしてみますと、せいぜい実働時間というのは、五時間からよく言えても六時間はちょっと無理ではないかな、たくさん行けて六時間。お食事の時間だとか記録の時間だとか用意の時間だということをのけて、八時間労働の中で実際にヘルパーさんのお仕事に携わっていただく時間は一番多く見て六時間、六時間はちょっと無理ではないかという気が私はいたしますけれども。その中で八人行こうと思いますと、短いところは十五分ぐらいだと私は思うのです。長いところで三十分。これはこういうヘルプにならざるを得ないと私は思う。  それで、先ほどの一番重い場合、寝返りはできるけれども、日常生活ができない、動けない寝たきりの人。寝返りはできるといっても、それは寝返りぐらいはできるでしょう、だけれども日常生活はできない、それでひとり暮らししている、その人にせいぜい三十分。まあ三十分おってもらったとしても、朝昼晩と三十分ずつおってもらって、それでこれ、家で豊かな生活が保障されますかね。これはなかなか難しい。これはもう答えてもらうまでもなく難しいだろう。どなたか介護の人がお見えになって、その介護の手助けをしていただくというのならこれは話がわかりますが、ひとり暮らしでだれもいない場合を想定しての話だと、それは非常に難しいのではないか。だから、重症の場合にはもっともっと人がかかると私は思うので、これは非常に抑えた書き方だと思うのですね。これではとてもじゃないけれども在宅で生活はでき得ないと思うのですね。いかがですか。
  93. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 先生言われた八人というのは、ちょっと私、記憶に残っておりませんので、それはちょっと調べさせていただいて改めて御説明させていただきますけれども、現在の新ゴールドプランにおきますホームヘルパーの計算の基礎になっておりますのが、一日三回、二時間行きまして、そのほかに、先ほど先生の言われました記録だとか、そういった時間をそれに織り込むという形で想定をいたしております。  今度の介護保険によりまして保険化されることによって、これもケースがいろいろで地域もいろいろですから一概には言えぬと思いますが、平均的なところで申し上げれば、やはり多くのケースを今度も見ていくということにより、それからまた逆に、頻回に行くことによって一回当たりの滞在時間は短くて済むということを、専門家の御意見考え方を聞きまして、そういう効率的なホームヘルパーの使われ方ということができるという前提に立ちまして、数字で申し上げれば、全体の平均で申し上げますと、それは、先ほど先生がおっしゃったように、ひとり暮らしのときにはより手がかかるでしょうし、ほかにあるときは手助けで済むでしょうし、そういったことをなべて申し上げれば、サービスを提供する回数は一日に五回ぐらいで、そのかわり滞在時間を、平均的に申し上げれば、先ほど一回を二時間と申し上げましたのを一時間ぐらいという想定にして、そのほかに、いわゆる記録等あるいは通勤等のものを三時間織り込みまして、平均的な稼働の一応のイメージということにして費用を算定しておるということでございます。  したがって、介護保険後におけるホームヘルパーのいわばサービスの仕方と申しますか、あるいは稼働の仕方というものについて、効率的に回るということをも含んで、今のモデルなどはそのような考え方に立って、平均的には今のような考え方で計算をしたものでございます。
  94. 坂口力

    ○坂口委員 この計算ですと、非常に重い人は、これ以上手間のかかる重い人はどうぞ施設へ行ってください、在宅介護はもうこれが限度でございますということなのかなというふうに私は拝見をいたしました。認定をいたしますときに、非常に重い人はどうぞひとつ施設でお願いをしますということで、これは頭切りというのですか、頭切り、軽い人はどうぞ家族で、あるいはまたお一人で自分で頑張ってくださいといって足切り、上と下を切って、その中間のところを在宅介護で見るということになるのかなという気がいたしますけれども、そんなふうになるのですか。それとも、それは私の考え過ぎで、いや、重症の人は、全部それは、私は家で、とにかく在宅でひとつどうしても看護を受けたいのだという人には、それは徹底的にその人にはおこたえをするということなんですか。そこはどうなんですか。
  95. 江利川毅

    江利用政府委員 この制度では、目指すべき水準としましては、例えば高齢夫婦世帯等で、一方が寝たきり等になった場合でも在宅で自立した生活を送ることができるような水準を目指すというふうに考えております。  先生がおっしゃいましたようなケースでございますが、基本的には、要介護認定をしまして要介護度を決める、そして、その人のケアプランをどんなふうに考えるかというときは本人とか家族の意向を聞いて決めていくことになります。どうしても在宅でということであれば、基本的にはそれを支えるということでありますが、介護度に応じて給付の上限というのがございますから、その範囲で公的な給付は出していく。さらに、自分で自己負担をしてでも追加して、是が非でも在宅でということまでもこの制度では拒否するものではございません。そして、ひとり暮らしで、特に最重度で周りにだれもいないということになりますと、この巡回型のヘルプサービスを使うといっても、これは限界があるかと思います。こういう場合には、要介護認定をしたときに、介護支援専門員は施設が適当でしようということでお勧めをするということになろうかと思います。
  96. 坂口力

    ○坂口委員 わかりました。多分そうではないかという気がいたしました。  そういたしますと、上限といいますと三十万、額にしまして三十万、大体三十万以上のところは、ちょっと無理ですよ、こういうことになるわけですね。
  97. 江利川毅

    江利用政府委員 その人の置かれている様子様子で大分変わるかと思います。  まず本人の希望がありますので、その希望は聞ける。そして、その範囲でできれば、もちろんその希望に沿って在宅でやるケースもありますし、施設を希望すれば施設に移ることもあります。その要介護認定をして、本人なり家族の意向を確認して、その人に適したサービス考える。先ほど申し上げましたように、置かれている状況から見て、やはり常時だれかがそばにいて見てもらった方がいいだろうという場合には、介護支援専門員は施設の方を推薦することになるということでございます。
  98. 坂口力

    ○坂口委員 わかりました。では、この問題はこれだけにしておきます。こんな細かな問題まで言うつもりはなかったのですが、話のついでに聞いたわけでございます。  一番最初に実は聞きたいというふうに思っておりますのは、この全体像の問題でありまして、今回の介護保険法案を拝見いたしますと、どうもどの方面から見ましても何となく中途半端にできている。  それは、保険がいいのだというふうに皆さんは主張されて、厚生省の方は主張されて、保険がいかにいいかということを宣伝これ努めておみえになる。ところが、五〇%は公的に出るわけですから。半分は保険で、半分は税で賄うということになっております。その五〇%のほかに、国保の四十歳から六十五歳未満の人の掛金の半分はこれまた国が見ることになるわけですね。それから、政管健保の人はお一人一三%ずつ、これはまた国が見ることになるわけですね。ざっとこれを見ましただけでも、そうすると全体でどれぐらい国が見ることになるのでしょうか。丸めて大体六割ぐらいは国が見ることに、国といいますか、公費負担するということになるのだろうという気がいたします。  このほかに、ハードの面、例えば施設なんかの建物その他は公費で見るわけでありますし、それから、在宅介護支援センターあたりの費用は一体どうなるのでしょうか。これも公費で見るのでしょうか。もしもそうなってくると、公費の分というのはもっと膨らんでくるのじゃないか。  保険保険とおっしゃるけれども、保険の部分の方がうんと少なくて、公費の面の方はうんとふえてくるということではないか。だから、保険半分と言いましたけれども、保険は三割なのか四割なのか、その辺で公費負担がかなり多い。ここも中途半端、保険なのか保険でないのか中途半端ですね。  それで、保険の中にも、医療保険のようにいわゆる短期保険というのでしょうか、掛金をする、そして給付を受ける、常にそういうことが繰り返されているいわゆる短期保険かというとそうでもない。では、年金のように長期保険、すなわち、若いときに掛けておいて高齢になってから受けるという長期保険の形態をとっているかというとそうでもない。四十歳から掛金をして、本格的にもらうのは六十五歳から。これまた中途半端なことになっている。  給付も中途半端ならば、この保険のあり方も中途半端。税と保険関係も中途半端。後で人材のことも聞きますが、人材のこともまた中途半端。何もかも中途半端。中途半端というのは聞こえが悪いですが、どうも、すべてを足して二で割ったのか三で割ったのか知りませんけれども、すっきりしない形になっている。これで、この制度で本当に長続きするのかな、二、三年したら必ず行き詰まるのじゃないかという気がいたしますが、どうですか。
  99. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 もう委員は何でも知っている中でそういう質問をされているのはわかっておりますが、中途半端と言いますけれども、私はこれはよく考えられた案だと思っています。  それは、去年の通常国会で早く出せという声があったのです。それをおくらせたというか、今言われたような問題点もある、公聴会も開く、いろいろ考えられて、むしろ新たな介護という社会的要請にどうこたえていくべきか、保険がいいのか税がいいのか、そういう議論を重ねていって、一番理解のしやすい方法はこれだなという形で税と保険を組み合わせる、なおかつ、中途半端と言いましたけれども、二十歳の方から理解を得にくいのじゃないのかということから四十歳以上にさせていただいた。  事実、実施してみないとわからない点があります。だからこそ、今年度、早く整備をして十二年度導入を目指す。早くこの法案成立すると、十二年度を目指して準備は進んでいきます、ゴールドプランと一緒に。そういう問題点があるからこそ、早く準備をするためにも、私は、十二年度を目指したということはよかったのじゃないかな、来年を目指したってこれはなかなかできないと思います。そういう面において、何とか早く成立させて、その施行に向けて準備を進めていく方がいいのではないか、そう私は思っております。
  100. 坂口力

    ○坂口委員 大臣が先を急ぐ気持ちはわかりますけれども、考え考えて悪くなるということもあるわけでありますから、世の中では。みんなの意見を聞いて聞いて、そして二で割り三で割り、そして気がついてみたら初めの姿がどこへ行ったかわからなくなっているというのがこの案だと私は思うのですね。  したがいまして、書かれた文言、それは立派なことを書いてありますし、そのとおりになっているかというと、中身はそうなっていない。先ほどの第一条、第二条にも立派なことを書いてありますけれども、現実はそうなっていない。だから、これは困ったことだな。文章だけ残って、そして中身はそうなっていない。  障害者の人はまた別にやってくださいでしょう。それじゃ、悪性リューマチで動けなくなった、その人を見るのかといったら、それは見ないわけですね。悪性リューマチで動けない人も保険料は納めておるわけですね。悪性リューマチで動けない人が脳卒中で動けなくなった人の面倒を見るという保険ですよ、これは。そうなりますでしょう。悪性リューマチでしたら、それは障害者の中に入るから、もうそれは等級がつくからと皆さんおっしゃるかもしれない。それじゃ、交通事故で大腿骨骨折になって入院したとしましょう。この人は治るのに半年間かかります、半年間動けません、こういうことになったとしましょう。この人は通用するのかといったら、六十五歳以上だったらいいでしょうけれども、四十歳から六十五歳未満の人でしたらだめですね、加齢に関係ないのですから。そうでしょう。だから、これはだめ。そういうリューマチで動けない、あるいは交通事故で動けない、そういう人たちもこの保険料は払っている、しかし保険は受けられない。  そもそも、疾病別に、この疾病はいい、この疾病は悪いと分けること自体も問題があるわけですね。これまた中途半端なことになったわけであります。それも保険にこだわったからそうなったわけで、保険にこだわるのだったら全部保険にこだわって、障害者の皆さんもそうするというのならまた筋は通っているわけですけれども、障害者の皆さんは、これはみんな税でいきます、保険はやめます、こういうわけですから余計わからなくなってくるわけです。  だから、そんなに社会保障の中を、医療があり福祉があり、その福祉の中で介護をまた別枠にし、そして障害者の分はまた別枠にし、こんなにまでずたずたにして幾つも幾つもに分立させていいのですか。よく大臣が言われますように、社会保障はこれから統合化を目指していかなければならないときだと思うのです。そうしなければ、財政的に非常に逼迫してくる。もう逼迫してきておるわけですから、もっと統合化をし簡素な形に、シンプルな形にしていかなければならないときに、またさらに複雑な形にこれは今してきておるわけであります。だから、急がれる気持ちはわかりますけれども、せいては事をし損じるということもありますので、これはよくよく考えてやらないと、しまった、もうちょっとよく考えてやればよかったなということになってはまずい。また、第一条、第二条に立派なことが書いてありますが、国民に約束をしたけれども現実問題としてはできないということになってもまずい。できないことはできないと初めからきちっとそう言って皆さん方にお願いをするというのが筋だろうというふうに思うわけです。  この辺のところ、どうですか。ちょっと私の方が一方的にしゃべりましたけれども、何となく、いずれの方向から見ましてもこの案はこのままではいかんともしがたいという気がしますが、いかがですか。
  101. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 言わんとするところはよくわかります。障害者というのは、現実に公費で措置したり、個人でお願いしたり、都道府県でやったり、市町村でやったり、現在の制度でこの介護保険制度とすぐ一緒にしろという点については現状を考えるとなかなか難しいが、将来のあり方として、坂口先生が今言われたようなことは私よくわかります。  それで、交通事故で六十四歳以下の方はどうなんだ。これは現在でも医療の方で見ているわけですから、その医療の方で対処できる点も私は、現実的にやっているわけですから、これはできる。  しかしながら、今、障害者の問題と医療の問題と介護の問題、確かにわかりにくい面もあると思いますが、それを介護保険導入したことを契機にして、医療障害者介護をどうやってうまく整理していくかということは、介護保険制度導入されて実施されている段階でまた必ず起こってくる問題だし、整理統合していくのはそれからの問題じゃないか、私はそういうふうに考えていますが、いかがでしょうか。
  102. 坂口力

    ○坂口委員 私の方は考えてから走ると言っているのですし、大臣の方は走りながら考える、こういう話でございます。しかし、これはかなり問題があるというふうに思います。  それから、先ほどの認定の問題にいたしましても、本人の意向を尊重するということでございますから、それは私は結構だと思うのですね。ただし、本人の意向と家族の意向とが必ずしも一致しない場合が非常に多い。本人は在宅で、自宅で世話をしてほしい、こう思っておりますけれども、家族施設に入ってほしいと思っているケースが非常に多い。また、逆のケースもあります。そうした場合に、一体それらはどうするのかというようなケースも中にはありますが、そうした問題はケース・バイ・ケースだというふうにおっしゃればそれまででございますが、これは認定の問題としては非常に難しい問題でございますので、そうしたことについても一定の基準みたいなものをつくっておく必要があるのではないかというふうに思っております。  もう一つ、この問題で大きな問題として、介護制度をつくるわけですから、その主役を演じるのはだれかといえばやはりヘルパーさんだと私は思う。ヘルパーさんという名前が、呼び方がいいのか、介護士さん、介護福祉士さんと言った方が正確なのか、ちょっとよくわかりません。ヘルパーさんが言いやすいからヘルパーさんと言いますが、ヘルパーさんがやはり主役を演じるのだろうというふうに思うのです。  ここでお聞きしたいのは、看護と介護はどう違うのですか。一言お聞きをしておきたいと思う。
  103. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 介護と看護の関係でございますけれども、御案内のとおり、看護というのは診療の補助あるいは療養上の世話ということを指すものでございます。これについては看護婦等のいわゆる業務独占ということになっておりまして、看護婦等でなければこれを業として行うことはできないということになってございます。  介護につきましては、これは法律上ストレートに定義をしたということではございませんけれども、身体上あるいは精神上の障害があるということによりまして、日常生活を営んでいくのに非常に支障があるという人につきまして行われますところの入浴でありますとか排せつだとか食事等のいわゆる世話を指すというふうに例示をされておるところでございます。  したがいまして、入浴、排せつ等の世話でございましても、患者の状態に照らしまして医学的な観点から看護婦が行うにふさわしいというものにつきましては看護としての療養上の世話というものに含まれるということは、これは介護保険ではなくて、そもそも看護と介護というものの中にはそういう関係があろうと思います。逆に申し上げれば、入浴とか排せつがすべていわゆる看護になるわけではありません。医学的な観点から患者の状態に照らしまして、医学的にそういう対応が要るものが言ってみれば療養上の世話ということで看護になるわけでありますから、そうでない通常の入浴、排せつ等の世話については、看護に該当しない限り、看護婦でないホームヘルパーさんでも当然できるということになります。  それで、今回の介護保険制度は、保健、医療福祉の各サービスを総合的、一体的に給付をしていきましようということでやっているわけでございますから、介護保険サービスとしていえば、いわゆるホームヘルパーさんがやるところの介護サービスも、それから、より医学的な観点の必要になってきます、いわゆる訪問看護というような形でお願いをします看護婦ざんの業務でやられる部分も、両方取り入れた形で給付を構成しているということになっておるわけであります。
  104. 坂口力

    ○坂口委員 なぜ私はこんなことを聞くかといいますと、現場が混乱するから私は聞いているわけです。  今も御指摘になりましたように、看護というのは、これは病気の回復または予防のための援助であり、介護の方は、これは日常生活に対する援助と言えば簡単明瞭ではないかというふうに思っております。  しかし、この看護の中に介護は含まれるのかどうかということはどうですか。看護という中には介護も含まれるのですか、看護と介護は別なんですか。これはどうなんですか。
  105. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 先ほど先生もお挙げになりました看護なり介護というものの業務の性格からいえば、事柄としていえばダブっている部分というのはあると思います。しかし、片方が片方に完全に包摂をされているというものではございませんけれども、先ほどのあれでいえば、入浴だとか排せつの部分でいわゆる療養上の世話というものに該当するような、すぐれて看護的な観点の要る部分とそうでない部分とは、当然、入浴、排せつについても介護を要する方の状態等によって出てまいりますから、そういう意味からいえば、看護と介護は部分的に、言ってみればこういう感じになっておる。  それは、実は介護業務ということにつきましては、看護と介護もそうでございますし、問題を広げるように申し上げて恐縮でございますけれども医療介護というような部分についても、そういう意味では、医療的要素を全部排除した中での介護というものはございませんし、したがって、そういう意味での介護あるいは看護あるいは医療というようなものがダブりながら一つの介護というものを構成しているという部分はございます。それを一体的にという形の中で、例えば先ほどの訪問看護でございますとか、あるいは医学的管理という意味で、これは直接先生のお尋ねとは外れますけれども、お医者さんの関与する部分でございますとか、そういったもの、あるいは施設で申し上げれば、老人保健施設だとか療養型病床群とかいう形でのものを介護サービスの中に取り入れておるわけでございます。
  106. 坂口力

    ○坂口委員 今のお答えは、看護の中には介護は大体含まれておるという御答弁ですね。(羽毛田政府委員「重なっている部分がある」と呼ぶ)重なっている部分があるというのは、それは必ずしも看護の中に介護は入っていないという部分もあるということですか。簡単に言ってください。  もう一つは、医療の中に看護というのは含まれるのですか。これはまた医療と看護は別ですか。ここを二つちょっと。
  107. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 ちょっと申し上げようがあるいは不正確だったと思います。ダブっているというふうに申し上げると、そのこと自体を業務独占からなしましに外しているのではないかという御疑念が当然出てまいりますけれども、もう一回正確に申し上げれば、行為としていえば、例えばそれは入浴のお手助けであったり食事のお手助けであったりというその行為自体は、ある意味からいうと介護も看護も共通であります。しかし、その共通の行為の中に患者さん、あるいは患者さんでない方もおられるわけで、介護を要する方の状況によりまして医学的なあるいは看護的な観点の要る部分については、それは同じ行為としては入浴であったり食事であったりいたしましても、それはいわゆる療養上の世話ということで看護業務になりますので、これは看護婦さんの専らなし得るところということになるわけでございます。  したがいまして、先ほど申し上げようでダブっているという言い方をしましたのは、ちょっと言い方としては不正確だったと思います。
  108. 坂口力

    ○坂口委員 聞けば聞くほどわからぬようになりますが、今おっしゃりたいのは、それじゃ看護と介護は別だというふうに今おっしゃりたかったわけですね。そういうふうにとらせてもらってよろしゅうございますね。  それで、このヘルパーさんというのは、いわゆる業務独占ではないわけですね。業務独占の業種ではございません。しかし、いずれにしてもこの介護制度をつくります以上はその中心になりますヘルパーさんの、介護さんの立場というものを明確にしなければいけないと私は思うのです。介護制度をきちっとしながらその中心で働く人の立場を非常にあいまいにしておくということは、これは許されないと私は思うのです。私、ヘルパーさんの制度をつくりますときに、医師会が反対したというようなこともよく存じております。看護協会が反対をしたということもよく存じております。知って申し上げております。しかし、こうして介護の問題をここまで大きくし、そして介護の問題をやります以上は、その中心に働く人の職業の立場をあいまいにしておいてはいけないと私は思うのです。これはやはりきちっとしてあげないといけないと思うのですね。  今までは施設の中で多くの人の目前で仕事をしていたわけでありますが、これからはそれぞれの家庭の中に入っていくわけであります。一人では行かないかもしれません。あるいは複数で行くようになるのかもしれません。しかし、個々の家庭の中に入って、そしていろいろなことをお手伝いをするということになれば、これはかなりさまざまな面での教育が必要であると私は思います。先ほどの、私の前の青山さんへの答弁でございましたか、あるいはその前の方の質疑であったかもしれませんが、このヘルパーさんに対するかなりいろいろの研修をやっているというお話がございました。研修ぐらいではなかなか難しいのじゃないか、研修もいろいろですけれども。しかし教育は、これはきちっとしなければならぬと思うのですね。これはどうするおつもりですか、このままでいくつもりですか。
  109. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 ホームヘルパーさんの研修についてでございますけれども、先ほども申し上げましたように、これから在宅サービスに力を入れていくということになれば、ホームヘルパーさんの量的な養成ということが非常に大事になってきますと同時に、先生言われました質的な面での研修というのは非常に大事になってまいります。  そういう観点から、実は、ホームヘルパーの研修につきまして、従来の研修のあり方を改めまして、ホームヘルパーさんの業務も少し、いわゆるチームのリーダーになってやられるような方、身体介護までを非常に主体にやられる方、それよりさらに基本的な日常生活上の生活介護的な部分を主体にした考え方のものというような形で、一級、二級、三級という形でそれぞれ、それも課程を経てだんだんに習熟をしていただけるというような形にカリキュラムを改正いたしまして、そういった点への配慮をいたしたわけであります。  これから介護保険制度をスタートいたします。その中で、ホームヘルパーさんであればホームヘルパーさん、そのほかのマンパワーも当然でございますけれども、ホームヘルパーさんを例にとれば、ますますそういったことが大事になってまいりますので、これからそういった研修の質的な充実ということにつきましてはさらに意を用いてまいりたいというふうに考えております。
  110. 坂口力

    ○坂口委員 いや、私が聞いているのは、その業種をどうするのですかということを聞いているのです。ヘルパーさんの業種を一体どうするのですか、今のままにしておくのですかということを聞いておるわけです。  病院の中におきましては、医師がおり、そして看護婦さんがおります。私は、医学と看護学というのは本来は別体系なんだろうと思っておりますけれども、医療の世界の中では、医療の中で医師がおり、看護婦さんがいて、看護婦さんは医師の命に従いということでやることになっております。その中で、またその下で働きます看護助手という人がおりますけれども、これはヘルパーさんに当たる人がその下で働いておるということなものですから、病院の中におきましては縦の系列ができ上がっておりまして、比較的スムーズにいっているわけです。  ところが、福祉施設にいきますと、そうはいかない。ヘルパーさんはヘルパーさんの立場として、私たちは責任を持ってやっておりますというふうにして、看護婦さんの下請ではありませんという思いが非常に強い。非常に教育程度の高い人もお見えになるわけであります。  看護婦さんは、病院から来た延長線上で、ヘルパーさんというのは自分たちの言うように動く人だというふうに思っている節がある。そこで意見の衝突がよく起こるわけで、意見の衝突が起こるだけではなくて、入所している人に対して、ヘルパーさんは動きなさいと言うし、看護婦さんは動くなと言うし、入所している人はどっちを選んでいいかわからぬ場合が起こってくる。それは、先ほど言いましたように、看護婦さんというのは疾病を中心にして考えて、病気のためには動かぬ方がいい、こう判断をするわけで、しかし、介護さんは日常生活のことを中心に考えますから、日常生活ができるということからすれば動いた方がいい、こう判断をするわけで、逆のことを言う場合もありまして、入所している人はどちらを選んでいいかわからないというようなことも起こってくるわけなんですね。  そうした場合にだれがこれを采配を振るうかというようなことも起こってくるわけですが、そうしたこともありますので、私は、今まで以上にこのヘルパーさんの立場というのは大きくなると思うのですね。在宅でも指導をする、もちろん施設の中でも指導をする、そういうことになっています。今度は、この介護保険ができて、そして療養型病床群で、病院の中でも介護さんは働かれるわけでしょう。そうなるのですか、ならないのですか、病院の中では働かないのですか、そこはどうなんですか。     〔委員長退席、住委員長代理着席
  111. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今先生、ヘルパーさんということでお話がございました。  具体的には、現在、療養型病床群の中にも介護福祉士の方が相当数働いておられまして、介護福祉士養成施設協会が昨年の四月にやりました調査では、約二千九百人の方が病院に就職をされている、働いておられるということでございます。先ほど来御議論ありますように、介護保険制度が実際に施行されれば、事実上、こういったような福祉士の方が療養型病床群の中に働いていくということはさらにふえてくるというふうに思っております。
  112. 坂口力

    ○坂口委員 いや、働いている人数が多い少ないではなくて、病院は介護福祉士というのを認めているのですか、きちっと位置づけているのですか、そこを聞いているわけです。数の多い、少ないを聞いているわけではない。
  113. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 現在、病院では介護福祉士の方を職員として配置するということについての義務づけはございません。したがって、事実上、この方々は看護の補助者として働いておられるということでございます。
  114. 坂口力

    ○坂口委員 そうですね。その延長線上が老人保健施設にも来ているわけで、老人保健施設においても、ヘルパーさんというのは本当の位置づけというのはないわけですよ。だから、資格を取っている人も取っていない人も同じように扱われているということなんですね。きちっとした扱いがされていないということであります。  だから、この介護というものをきちっとしていこうということになれば、中心の役割をするのは介護士さんですから、そうする以上は、その前にきちっとこの問題の決着をつけるべきだと私は思うのですね。この問題をあいまいにして、だれでもできますよということにして、そしてこの問題に入っていってはいけないと思うのですね。  家庭でだれでも介護はやっているじゃないですか、だからこれはもういいのです、そんなことは私はないと思うのです。家庭で介護というのはやれるかもしれないけれども、しかし、プロはプロですよ。ゴルフはだれでもやれるけれども、ゴルフにも、プロはプロですよ、おるのです、例はちょっと悪いですけれども。みんながやれるからプロはいないかといったら、そうではありません。みんながやれるけれども、その道のプロというのはきちっと私は認定をすべきだと思います。認めるべきだと思いますね。そうしなければやはり現場は混乱をすると私は思うのですね。  そこは、既成の業種のところから反発もあるだろうと私は思います。当然あるだろうと思います。しかし、介護という一つのエリアをつくって、そして進めていこうというふうに政府は思われるわけですから、この道を進める以上は私はちゃんとすべきだと思うのです。医療の中の一部分という位置づけの中でいかれるのなら、それはそれでよろしいですよ。だけれども、そうじゃないのですよ。今度は一つのエリアをつくろうというお話ですから、それならば、ここはきちっと整理をすべきだというふうに私は思いますね。  そうしなければ一これから多くの人が雇われる、その人の給料をどうするのかという、給与体系だって決めなければならないわけでしょう。看護婦さんだとかほかの、業務独占にちゃんとある人のものはきちっとできますけれども、ない人のはどうするのですか、各市町村にそれぞれ任すのですか。  あるいはまた、ヘルパーさんになりたいという人があったら全部雇うのですか、そうはいかないでしょう。いろいろの角度から見て、この人はふさわしいという人を選ばなければならない。いろいろの病気を持っている人はやはり御遠慮願わなければならない。日常生活における常識的なこともちゃんとわかっている人でなければならない。介護に行って、そこでお世話をするその人から、そこの引き出しに印鑑が入っていますから印鑑をちょっと出してください、ここに書類がありますから私にかわって印鑑を押してくださいと言われたときに、ああ、わかりましたと言って、ぽんと印鑑を押すような人であってはならぬわけですよ。だから、ただ単に生活上のお世話ができる、できないということだけではなくて、これはかなりの教養が要求されますし、そしてまたさまざまな技術が要求されると思うわけであります。  そうした意味で、この介護保険法案を出されて、そして介護というエリアをひとつこれから大きく育てていこうというふうに思われるのならば、私は、ここはきちっと整理をされるべきだというふうに思います。あいまいなままでこのままいったら、市町村は大変困るだろうというふうに思います。勇断をもって処理されることを望みます。
  115. 亀田克彦

    ○亀田政府委員 介護の職員でございますけれども、先生お話しのように、介護の職員につきましても、専門性を高めていくということがこれから大変重要であると考えておるわけでございます。そういうことから、先生御案内でございますが、昭和六十二年に社会福祉士及び介護福祉士法という法律を御制定いただきまして、介護福祉士の資格制度ができておるわけでございます。  この介護福祉士の資格制度でございますけれども、これまでに出ておりますが、その業務が、身体上または精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者に入浴、排せつ、食事等の介護を行う、こういうことになっておりますことから、いわゆる名称独占の資格制度になっておるわけでございます。そういう名称独占ということでございますけれども、私どもといたしましては、この介護福祉士の資格を有する方が、特別養護老人ホームの寮母、あるいはヘルパーさんということもございますけれども、そういう福祉現場に普及していきますように努力をしていきたい、こう考えておるところでございます。  したがいまして、現在のところ、この介護職員の皆様につきまして、業務独占の資格にする、免許を持った者でなければできない、こういう資格にするということは考えていないわけでございますが、ただいま申し上げましたように、引き続き介護福祉士の養成、数をふやす、それから、現場への普及を強化する、さらに、この職についてからの現任研修も充実する、こういうようなことで先生指摘介護職員の資質の向上を一生懸命図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  116. 坂口力

    ○坂口委員 今の答えは、しないということですね。長々と答えてもらったけれども、しないということですね、一言で言えば。それじゃこの介護保険、これはもうやめておきなさいよ。現場で一番中心になってやるのはヘルパーさんでしょう。ヘルパーさんが中心になって、チーフになってやるのじゃないのですか。例えば看護婦さんがやるとか医師がやるとか、ほかの人がチーフになるのですか、これは。ヘルパーさんでしょう。ヘルパーさんが中心になってやるのでしょう。中心になってやらなきゃならないのに、ほかの職種の人から、それはこうだ、ああだこうだと意見が出たときに何も物が言えない、それじゃなかなかできないですよ。  だから、この法律を乗り越えるためには幾つも幾つもの乗り越えなきゃならないハードルがあると私は申し上げている。すべてをいいかげんな問題にして先へ進むわけにはいかぬということを言っているわけです。できないならできないとはっきり一言言ってもらえばいいですよ。長々とそんな言ってもらったってわからぬですよ。
  117. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 これは、介護福祉士に業務を独占させるとまた別の問題が起こってくると思います。私は、介護サービス充実していくにおいて、もし希望者が多ければ、法人が介護福祉士資格を取った人を採用するという雰囲気が生まれると、なりたい人は資格を取るでしょう。しかし、資格を持っていなくても介護はできるのだという人も当然出てくると思います。そういうサービスが向上する中で介護福祉士の資格を取ろうという人がどれだけふえていくか。また、資格を持った人と資格を持たない人のどういう違いが出てくるか。法人によって、あの法人だったらいい人が集まっているからあそこに頼もうという機運がどう生まれてくるか。私は、この資格をきっちりしないと進まないという問題ではないと思いますが。
  118. 坂口力

    ○坂口委員 それは大臣にしては割にあいまいな答弁だというふうに私は思いますね。  業務独占でなければならないかどうかということ、そこまで私も言い切りませんけれども、しかし、そこに何かの資格を与えて、そしてやれるという体制をつくらないと、だれでもできる職種ということにしておいたのではいけないと思うのです。今はだれでもできるのです。これは名称独占だと言いますけれども、名称独占というのはだれでもできる、それでいいのかということを私は言っているのです。これだけ大事な仕事を任すわけであります。大変大事な問題を任すわけであります。ですからそこは、いろいろ周辺の――先ほども申しましたように周辺とのいろいろな問題があることを私もよく知った上で言っているのですよ。知った上で言っておりますが、しかし、そこは、だれでもできるという形にしておいてはいけない。やはり責任を持ってやらす以上は、それだけのことをきちっとしなきゃいけない。いい人も集まらないと私は思います。  そういった意味で、私は、この身分ということに対する整理をひとつしてほしい。必ずしも一足飛びに業務独占ということにならないまでも、私は、もう少し整理をして、この人たちが、本当にやりがいのある職種だ、私はこの職種を選んでよかったとヘルパーの皆さん方が思ってもらえるような環境をつくってあげることが大事だというふうに思います。  そのことを一言申し上げて、ちょっと一、二分早いかもしれませんけれども、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  119. 住博司

    ○住委員長代理 石毛鍈子君。
  120. 石毛えい子

    ○石毛委員 民主党の石毛でございます。  具体的な質問に入らせていただく前に、厚生大臣にエールを送らせていただきたいと思います。  先ほどの本会議で、行政改革を果敢に進めていくという観点で大変力のこもった御答弁がございました。エールを送らせていただきますと同時に、この介護保険の制定に関しましても、先ほど来、実施過程見直していくという御答弁を何度かなさったように記憶をしておりますけれども、それも当然大事なことだと思いますけれども、成案といいますか、制定に至る過程で十分な議論を進めて、できるだけ私たち市民、国民が望んでいる制度として実現できますように、ぜひ力を込めてよろしくお願いしたいと思います。  それでは、質問に入らせていただきます。  先ほど坂口先生が御質問なさっていたことに若干重なる部分がございますけれども、今、要介護・要支援認定に関しましてモデル実施が進行しているというふうに聞いております。そのモデル実施は、私は、介護保険給付対象を決定していくのに大変重要な作業だというふうに理解をしております。介護保険、きょうずっと諸先生方の御質問ございましたけれども、そして大臣がお答えなさっていらっしゃいますように、介護の不安に対して社会的なシステムが欲しいということではみんな共通していると思いますけれども、その実像に見えない部分があるというところで不安感が強い部分があるのだというふうに私は理解をしております。  そこで、話が戻りますけれども、そのモデル実施のプロセスあるいは結果をどう導くかということは大変重要だと思いますので、その進捗状況、それから、いつごろ厚生省としての第一次案といいましょうか、そこのあたりが私たちに公開していただけるのかということについて質問をさせていただきたいと思います。
  121. 江利川毅

    江利用政府委員 御質問のモデル事業でございますが、現在、全国六十カ所で行われておりまして、具体的には、介護認定が的確にできるかどうかとか、あるいは調査についてその調査票にうまく記入できるかどうかとか、そういうことを検証しているわけでありますが、三月二十日までに事業実績を実施市町村から都道府県を通じて国に報告をしてもらうということになっております。  報告された結果につきましては、国において集計、分析、評価を行う、その上で公表を考えているわけでございまして、そしてまた、その成果を踏まえて、来年度実施する予定でありますモデル事業に反映させたいということでございます。  詳細な分析、評価には若干時間を要するかと思いますけれども、年度明け早々ぐらいには取りまとめて、概要の公表をいたしたいというふうに思っております。
  122. 石毛えい子

    ○石毛委員 ありがとうございます。ぜひ、来年度初めぐらいに私どもにも情報を公開していただきまして、多くの人たちがこの議論に関心を寄せ、参加できるような、そういう進め方をしていただきたいと要望させていただきます。  それでは、次の質問に移ります。  介護保険法の「目的」の第一条に「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等」という文章がございます。これは、伺うところによりますと、当初原案として考えられていた部分にはなかったやに伺っております。私自身は、この「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等」というのが加わることによりまして、介護という概念がかなり医療の方にシフトしたのではないかという感想を持っております。  そこで、お尋ねしたいと思いますけれども、法案策定の過程で「加齢に伴って」、以下省略いたしますけれども、その文章が加えられたのはなぜでしょうかというのが第一点でございます。  それから、第二点といたしまして、この文章は、四十歳以上六十五歳未満者についても、この「加齢に伴って」という文章が記載されてございます。法案には、括弧して「特定疾病」というふうに書かれております。そして、これは、要介護についてだけではなくて要支援者についても同じような文言が記載されていて、「特定疾病」というふうに記されております。次の質問ですが、この加齢に伴って生ずる疾病に起因する障害状態をどのように特定するのかというそのお考え、方法についてお教えください。これがこの件に関しまして第二点の質問でございます。  質問をまとめさせていただきたいと思いますが、続きまして、とりわけ四十歳から六十五歳未満の方です。六十五歳以上の方につきましては、法律に要介護状態にある者というふうに記されておりますので特段の問題はないかと思いますけれども、四十歳以上六十五歳未満者につきましては、私どもが思いますところでは、特定疾病以外の要介護、要支援という状態がかなりあるのではないかという疑問といいますか、思いを持っております。  私が日ごろいろいろな情報をいただいたりしております。ある自治体の在宅介護支援センターで相談を受けました四十歳から六十五歳未満の相談者は、九五年ですが、一年間に八十二人おられました。その八十二人のうち四十三人は、厚生省は特定疾病につきましては、脳卒中それから初老期痴呆、骨粗紙症、もう一つございましたね、四つあったというふうに記憶しておりますけれども、それに該当する方でございます。その四つの病気には当てはまらない、つまり、もし特定疾病が今申し上げました病気でよろしいとすれば、それに当てはまらない方が八十二人のうち三十九人おられました。そして、その三十九人のうち約三割の十一人が介護あるいは支援が必要でした。結論的に申しますと、八十二人のうち十一人は、恐らく特定疾病には当てはまらないであろうけれども、介護あるいは支援が必要とする人という報告をいただいております。  先ほど坂口先生も御指摘なされていらっしゃいましたけれども、少しだけ私の方でも事例を挙げさせていただきますと、例えば、三十二歳のときに脳幹脳炎にかかられて、五十歳になってから非常に身体状況が、ADLその他低下をして支援が必要になっている、あるいは、四十七歳で、交通事故に遭っていて記銘力が低下して絶えず誰かが付き添わなければならない、あるいは、私は病気のことはよくわからないのですが、専門家の方に伺いますと、廃用性症候群と言われるのでしょうか、内部疾患を持った方が肺炎等により機能低下を起こしているという状態等々、恐らく特定疾病に当てはまらないのではないかという方たちが少なからずおられると思います。  ここで私が強調させていただきたいのは、恐らく厚生省のお考えとしましては、障害者プランでというお答えをいただくのだろうというふうに推察しておりますけれども、特定疾病にも難病にも、それから身体障害者等級にも当てはまらない方が恐らく出るだろうというふうに私は受けとめているわけですけれども、特定疾病以外の要介護、要支援についてはどのように受けとめられるおつもりでしょうかということが質問の第三点でございます。  以上、まとめて質問させていただきましたので、御答弁よろしくお願いいたします。
  123. 江利川毅

    江利用政府委員 まず、目的規定の関係でございます。  これは法律を制定する内部の条文整理の段階で入ったものでありますが、基本的に、第一号被保険者、第二号被保険者に共通する要介護の原因というのですか、そういうものを定めておく必要がある、そういう法制上の考え方から入れたものでございます。  したがいまして、目的規定を読みますと、「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等」というのが具体的に書いてありますが、「等」というのが入っておりまして、それ「により要介護状態となり、」云々となっているわけであります。ですから、これに限ることなく、広がりはあるわけでございます。現に、その後の条文を見ていただきますと、第一号被保険者に対しましては、それ以外のものも全部、要介護の定義等を見ていただきますと、入っているということが明らかでございます。これが入ったことによって、法律的な意味での実質的な変更はございません。  それから、「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病」というのをどう特定するのかということでございます。  これにつきましては、高齢者医療の専門家による研究会で検討を始めているところでございまして、いわゆる加齢に伴って要介護状態になる有意差のある疾病というのはどういうものがあるか、これを検討していただいて、その検討成果をまとめ、関係審議会に諮って指定をしていく、決めていく、政令で定めていくということになります。四疾患ということを先生おっしゃいましたけれども、現段階で具体的に決まっているものはございません。  それから、障害者関係でございます。  私どもの介護保険制度では、四十歳から六十五歳までの方につきましては、そういう政令で定めた疾病によりまして要介護状態になる人が対象になるわけでございます。それ以外の障害者障害者プラン対応するということでございまして、先生が、そういうものにも当てはまらない人がいるのではないかということでございますけれども、ちょっと具体的に想定しかねるところでございます。     〔住委員長代理退席委員長着席
  124. 石毛えい子

    ○石毛委員 私は、法律についての技術的な理解といいますか、知識は持っておりませんけれども、「等」という文言にさまざまに含まれるのでしたら、あえて「等」ということを入れる必要はどこにあるのでしょうか。要介護状態にある者という特定の仕方だけで十分ではないのでしょうかということが、ただいま御答弁をいただきましたお答えの内容に対します私の率直な疑問でございます。  それからもう一つ。それでしたら、どうして第二号被保険者については、「その要介護状態の原因である身体上又は精神上の障害が加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病であって政令で定めるもの(「特定疾病」)」というのが入ったのでしょうか。目的条文、第一条ですから、それを入れなければ七条等々を含めた整合性がつかないというおっしゃり方になろうかと思いますけれども、繰り返しますが、それでしたら、後半の、四十歳から六十五歳未満者についてなぜこれが入ったのでしょうかということを重ねてお尋ねしたいと思います。これが一つです。  それからもう一点は、身体障害者で該当しない人がいないだろうというふうに審議官はお答えになられたと思いますけれども、障害者プランないしは障害者施策の中で、在宅サービス措置、厳密にいえば措置ではないわけですけれども、事実上、今のホームヘルプサービス、ホームヘルパーさんの人数等々、あるいはデイサービスの数等々を考えますと、一級ないしは二級というような条件にある方でなければなかなかサービスに該当しない。難病についても、今回は障害者プランに入ったからというふうにお答えをいただくのですけれども、そうはいかない方がかなりおられるでしようということです。  ですから、今まで特別養護老人ホームに例えば五十歳代で入れないような方、制度の谷間というようなとらえられ方がされていましたけれども、今回、この「特定疾病」ということを規定してしまいますとまた制度の谷間を生むのではないかというような疑念があるわけです。ということで、どうして四十歳から六十五歳未満のところにはそれがっくのでしょうかということについて再度お尋ねをさせてください。
  125. 江利川毅

    江利用政府委員 介護保険制度対象をどのように決めるかという議論があったわけでありますが、その中で、六十五歳以上の要介護者と、四十から六十五歳未満の方の中では特定の人が対象になるということに大きな枠組みを決めたわけでございまして、それ以外の若年障害者障害者プラン対応する。一応大きな枠組みを決めたわけでございます。  この介護保険制度対象となります四十から六十五歳までの人というのは、典型的な例で言えば、加齢に伴って体の状態が要介護状態になっていく、そういう、いわゆる高齢者のケースと同じで、六十五歳以降で通常出てくるのが早く出てきたようなケースである、そういうイメージで考えているわけでございます。それを法律上は、四十から六十五歳未満の方につきましては、「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病」によってそういう要介護状態になっている人というふうにしているわけであります。この法律第一条の「目的」は、第二号被保険者と第一号被保険者、六十五歳以上の人と共通する要介護の原因というものを「目的」に書こうということでこういう書き方になっている、一つの条文整理上の考え方ということでございます。ただ、これによりまして、当初から考えていた、四十から六十五歳未満の人の要介護、この介護保険法案対象者の範囲とか、あるいは六十五歳以降の人のこの法案対象範囲とかというものは、変化はありません。  障害者の問題につきましては、担当の部長が来ておりますので、担当の部長から説明をさせていただきます。
  126. 篠崎英夫

    ○篠崎説明員 私の方から御説明をさせていただきます。  特定疾病以外の原因、例えば事故による脊髄の損傷ですとかあるいは先天的な原因などによって介護の必要な状態にある方々に対しましては、介護保険制度ではなく身体障害者福祉法などによるサービスによって対応していく、そういうようにいたしております。  障害者施策につきましては、先生御存じのように、平成七年十二月に策定されました障害者プランにおきまして、ホームヘルパー、デイサービスなどの在宅サービスとかあるいは身体障害者療護施設の整備などにつきまして、数値目標を定めまして計画的に進めているところでございます。今後とも、障害者プランの着実な推進を図ることによりまして、介護保険と格差のない介護サービスを確保いたしますとともに、手話通訳ですとかあるいは点字サービスなど、障害者特有の多様な需要に応じた各種施策の充実に努めてまいりたい、このように考えております。
  127. 石毛えい子

    ○石毛委員 もう一度繰り返させていただきますけれども、ただいまの障害者プランの御説明で、例えば、先ほど私が例示で挙げさせていただきました、交通事故に遭って、身体上の、外見ではかなりの復活度があるけれども、記銘力が低下したりあるいは神経症状が出てきたりして絶えず支援が必要というような状況。今の身体障害の認定、私が申し上げるまでもありませんけれども、上肢がないとか下肢がないとか、外形上の理由によることが一級とか二級の場合は多いわけでございます。私は、一番心配しますのは、介護保険法ができましても、また新しい制度との間に、谷間に落ちる方たちが出てくるのではないだろうか、そこへの対応をどうするのだというところで伺っているわけで、これはちょっと論点をずらすことになりますけれども、今、老人福祉法でホームヘルプサービスやデイサービスにいっておられる方がもし介護保険の認定漏れということになってサービスから外れた場合に、特別養護老人ホームについては経過措置がありますけれども、在宅サービスについての経過措置はどうなるのでしょうかというような問題も含めまして、要するに、法制度の谷間に落ちる方がかなり出てこられるのではないか。その出てこられるという理由を考えてみますと、「特定疾病」というその疾病の限定の仕方が大変重要な課題としてあるのではないかということを強調させていただきたいと思って申し上げておるのです。  なぜ第二号被保険者について要介護状態にある者ではいけないのでしょうかということもございます。それは、もう一回繰り返せば、障害者プランでというふうにお答えになろうかと思いますので、そこをもう繰り返したくはありませんから、必ず福祉制度の谷間に、もし出てくる方があったら、その方に対しては身障福祉法でもあるいはほかの福祉法でもあるいは介護保険法でも、どういうふうに見直していくか、フォローアップしていくかということは大変重要な課題ではないかということを、質問と要請とを兼ねて申し上げたいと思っておるわけです。重ねて御答弁がありましたらお伺いして、次に進ませてください。
  128. 江利川毅

    江利用政府委員 同じような繰り返しになるのですが、障害者につきまして、どういう介護保険対象にするのがいいかどうかというのは大変な議論があったわけでございます。その中で、現行の障害者施策充実する方がいいという考え方の方も結構いらっしゃいまして、そういうことでこの案になっているわけであります。  この法律の附則に検討規定というのがありまして、今のような被保険者範囲であるとか対象者の範囲であるとかということも、実施の状況を見ながら検討するということになっております。施行後の話になりますけれども、実施状況を見た上での一つの課題だというふうに受けとめさせてください。
  129. 石毛えい子

    ○石毛委員 もう一度強調させていただきたいと思いますけれども、諸法律の間でなかなかサービスにアクセスできない、実現できない方たちの存在についてこれからもぜひ議論をさせていただきたいということを申し上げて、この問題から次に移らせていただきたいと思います。  今回、介護保険法の制定に関しまして議論を重ねてくる過程の中で、老人福祉法に基づく介護サービス措置、それから、介護保険法に基づくサービスは契約関係に基づいて実施されるという説明が随分されてきたと記憶をしております。前回のこの委員会では、措置保険ということではかなり議論がなされたと思いますけれども、私は、その質問ではなくて、措置と契約ということにつきまして、まず厚生大臣の御所見を伺いたいと思います。そして、もし契約というふうに、もしじゃなくて確実に厚生大臣は契約というところでお答えをいただくと思いますけれども、契約ということでいえば、今回の介護保険法で契約という概念がどういうふうに具体化されているかというようなところを少し御指摘いただければと存じます。
  130. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 措置と契約、大ざっぱに言って本質的な違いは何かといえば、措置制度では、市町村または市町村から委託を受けた社会福祉法人等の公的主体が中心となってサービス提供をする、この社会保険方式の契約では、一定の基準を満たせば事業参入できる、多様な事業主体の参入が促進されて、その結果、利用者の選択の幅も実質的に広がるということがかなり大きな違いではないかなと思っております。
  131. 石毛えい子

    ○石毛委員 今、措置は、公的主体によってサービス給付が決定される、契約は、一定の基準を満たせば多様な供給主体が参入してサービス供給が展開されるというお答えをいただいたと思います。  そのことは、今回の介護保険法の中には、事業主体の多様化というようなところで具体化されているというふうに存じますけれども、私の見解を申し述べさせていただければ、これは前回たしかどなたか御答弁なさったと思いますけれども、措置は行政処分でありという御答弁があったと記憶をしております。そのことに対比して申しますと、契約といいますのは、保険者と被保険者の双務関係と申しましょうか、保険料を支払って負担してサービスを受けるという双務関係にございます。あるいはまた、民間事業者も被保険者との間では双務関係としてサービス供給の責任を負うという意味であると思います。いずれにしましても、措置と契約といいますのは、縦の関係で物事が決定されるということから、フラットな横の対等の関係で物事が決定される仕組みに変わることだというふうに枠組みを私は理解をしております。そして、私が最も介護保険のコンセプトとして介護保険に期待をするのは、この点が一つございます。  そこで、具体的な質問に移らせていただきたいと思いますけれども、介護保険法を拝見していますと、いろいろございますが、介護保険制度の運営に関して、被保険者である高齢者や市民の参加の場面が少ないのではないかという思いがいたしております。そこで、私は、介護保険事業計画、これは介護保険を運営していく場合の大変大きな制度的な支柱になる事柄だと思いますけれども、介護保険事業計画の策定など基本的な事項に関して、市民参加、被保険者参加の仕組みを加えていくべきではないだろうか、いろいろな仕組みがあろうかと思いますけれども、市民参加の仕組みを加えていくということにつきましてどのような見解をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  132. 江利川毅

    江利用政府委員 介護保険法案におきましては、介護保険事業計画を市町村が策定するわけでありますが、この際には、市民のサービス利用に関する意向等を勘案して作成するということになっているわけでありまして、そのために、介護サービス利用する方の希望などに関する調査あるいは幅広い関係者による検討、そういうものが必要となるというふうに考えております。このような観点から、できる限り幅広く市民の意向やニーズが反映されるような形で計画策定が進められますように、市町村等に対しましてそういう徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。  計画につきましては、その計画でサービス量が決まりますので、そのサービス量をもとにその地域におけるサービス量を踏まえた保険料水準というのが決まっていくことになるわけでございます。そういう意味で、この計画がどう決まるかということはこの介護保険制度全体の運営に大きな影響を与えるわけでありまして、その計画をつくる際にそういう市民の意向、関係者の意向が十分反映されるようにすることができるわけでありますので、今の仕組みで市民の意向やニーズ、そういうものが反映された適切な運営が可能なものというふうに考えております。
  133. 石毛えい子

    ○石毛委員 法案にもそのように記載されていたというふうに記憶をしておりますけれども、私は、もう少し踏み込んだことを考えていただきたいというふうに思っております。  例えば、ここに私は都市計画法を持ってまいりましたけれども、都市計画を立案する場合には、公聴会の開催等というようなことがございます。それから、それに対しまして、策定されました計画の案について関係市町村の住民及び利害関係人は意見書を提出することができるというふうになっております。  先ほど審議官は、意向等を勘案してというふうに申されましたけれども、老人保健福祉計画の策定等のときの意向の調べ方といいますのは、大変率直な表現になるかと思いますけれども、かなりプランナーに依拠してアンケート調査をして、それをシンクタンクがまとめてというようなところが多かったように私は感じております、今データを持っていませんから断定することはいかがかと思いますけれども。ですから、審議官の、意向等を勘案してという回答は理解できますけれども、私の考えからすれば、そこのところをもう少し積極的に、被保険者、市民が参加できるような仕組みとしてつくっていただきたい。  私は、自分が地域で保健福祉計画の策定に加わってまいりました経験から申しましても、市民に開かれれば開かれるほど、厳しいですけれども、いい計画ができていくというのは事実だと思いますので、もうこれ以上踏み込んだ御回答をいただくつもりはございませんけれども、意向等の勘案というのは、ぜひ一歩も二歩も進めてお受けとめいただけたらというふうに要望をさせていただいて、次の質問に移らせていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。  少し具体的な質問をさせていただきたいと思います。  今度の介護保険法の中では、在宅サービスに関しまして、訪問介護ほか全部で十一種類が限定列挙になっております。介護保険法は、先ほどの契約ということとも関連しまして、サービス選択の自由というのを実現していくということが制度をつくり上げてくるときの理念として大きな一つのポイントとしてあったと思います。私は、そもそも選択の自由というのなら、サービスを限定列挙することが限界があるのではないかというふうに受けとめております。それから、限定列挙するのでしたら、ケアマネジャーがせっかくケアマネジメントを行うにしても、ケアマネジャーの腕の振るいようがないだろうと言いますと少し日常感覚的な表現になろうかと思いますけれども、サービスのアイテムというのは自由にたくさんあった方がいいというふうに私は理解しております。  きょう、そのことに踏み込んで質問をしていく時間的余裕がありませんので、サービスに関しまして一点だけ確認させていただきたいと思いますけれども、この十一種類の在宅サービスが限定列挙された中で、なぜ食事サービスが入らなかったのでしょうかということです。  私は、食事サービスというのは大変大事なサービスだと思っております。食べることは生活の基本であるわけですし、それから、食べることによって生活力が回復してくる。本当に、鼻腔栄養をとっていた方でも少しずつ少しずつスープ、流動食をとることによって食事のパターンに戻るというようなこともあります。  それから、私がさまざまに食事サービスにかかわっておられる活動団体の方から随分事例をいただいているのですが、一つだけ紹介させていただきますと、八十代の御夫妻で、夫は高血圧でほぼ寝たきり、介護をしている妻はパーキンソン病で、時々はショートステイを利用している。この方のところに週五回配食サービスが入っていて、その配食サービスはこの御夫妻にとっては何よりも大事なサービスであるわけです。  実際に、在宅で暮らしている方で食事づくりができなくなったから施設入所を希望するという方はかなりいらっしゃると思います。これから高齢者世帯がどんどん増加していく。もちろん、三世代家族がふえていくよりは、一人あるいはお二人で暮らす、あるいは高齢者と単身の家族、単身の息子さんあるいは単身の娘さんという、そういう家族がふえていく。そういう家族がふえていく中で、食事サービスというのは生活の基盤として非常に大事だと思いますけれども、なぜ十一種類の中に配食サービス等の食事サービスが入らなかったのかということをまずお聞かせください。
  134. 江利川毅

    江利用政府委員 介護保険制度対象にいたしますサービスの種類は、現在やっているものより範囲も広げておりますし、それから、厚みも恐らく今やっているものより厚くなるのだろうというふうに思います。  配食サービスでございますが、これもサービス範囲に含めるべきかどうか議論のあったサービスでございますが、その議論の中で、この配食サービスというものは対象者が要介護者に限らない、例えばひとり暮らしの人なんかは、配食サービスがあると、それによって非常に元気にというのでしょうか、安心して家庭で生活ができる、自分の家で生活ができるというように要介護者に限らないサービスである、そういう意味で、介護保険制度の中にのせる、これによる給付対象とすべきサービスではなくて、一般施策でやるべきものではないだろうか。あるいはまた、その地域で特に独自に必要だということであるような場合には、介護保険制度の保健福祉事業として実施すべきものではないか。そういうことで、本体の給付サービスに入っていないものでございます。
  135. 石毛えい子

    ○石毛委員 要介護者に食事サービスは要らないのですか。今、そういうお答えをいただいたのでしょうか。
  136. 江利川毅

    江利用政府委員 そういうお話を申し上げたのではなくて、配食サービスというのは、要介護者に限らず、ひとり暮らしの人たちとか、そういうような幅広いというのでしょうか、そういうサービスではないだろうか、そういうことから、この配食サービス事業というのは一般施策でやることが適当ではないかということで、この法律の本体には入っていないわけでございます。  ただし、その市町村におきまして、地域の独自の判断で介護保険制度の保健福祉事業として行う、そういうことであれば、それはそれで実施できることになります。
  137. 石毛えい子

    ○石毛委員 要介護者に限らない広いサービスだからというお答えですけれども、広いサービスを要介護者に提供するというのは矛盾することなんでしょうか。要介護者介護という観点のみで必要とする、例えばかなり治療的に近いようなサービスもございますでしょうし、例えば排せつというようなことも必要かとも思いますけれども、おっしゃられることでいえば、例えば入浴サービスなどでも、要介護者と要支援者の間で入浴サービスの必要がどうかというのは非常に微妙なところがあると思います。広いというのはよろしいのですけれども、広いからといって要介護者給付してはいけないという理由はないのではないでしょうか。いかがでしょうか。
  138. 江利川毅

    江利用政府委員 繰り返しになりますが、そういう広い施策でありますので、一般施策としてやるのが適当ではないかということでこういう整理になったものでございます。
  139. 石毛えい子

    ○石毛委員 私は、それには非常に疑念を持ちます。  そしてもう一つ、審議官は、一般施策で行うべきというふうにお答えになられました。  それに関連して重ねて質問させていただきますけれども、今、老人福祉法のもとで、在宅介護のたしか支援奨励事業として、いろいろな供給主体がその地域にトータルに食事サービスを普及できるというシステムをつくれるのだったらば奨励補助として補助金を出しますという仕組みがあると思います。原価補償でしょうか、一食たしか四百円か五百円ぐらいの補助金が出て、地域では、特別養護老人ホームが取り組んだり、食事サービスの市民活動、事業活動が取り組んだりということで、ネットワークをされて実施されているという状況がぼつぼつ広がってきております。ただ、それは、全体に地域でシステム化されないと補助事業にならないという補助上の制約条件が今あるということもありまして、実際問題としては、なかなかそれにそこまで広く取り組んでいる自治体は少ないというか、決して多いとは言えないのではないでしょうか。  ですから、一般保健施策で実施したらというふうにおっしゃいますけれども、それでは、一般保健施策で、例えば老人福祉法ないしは障害者福祉法等々でその食事サービスをきちっと位置づけてこれからも実施していきますという確約をいただけるのでしょうか。
  140. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 食事サービスにつきましての介護保険における扱いにつきましては、今、江利用審議官から御答弁申し上げたとおりでございますけれども、これを一般施策の中でということは、要介護者だけではなくて、高齢者のひとり暮らしの方でありますとか、そういったことを含めてどういうふうに食事をあれしていくかという問題は残りますから、これにつきましては、やり方につきましては、やはり食事という、言ってみればだれでも食べなければならないというのは共通のあれでございますから、それをどこまでを、いわば税金にしろ保険料にしろそれを財源にしてやっていくかという問題はございます。  むしろ、私どもとしていえば、そういう食事なりが給食がされるようなシステムを公の助力によってつくっていくということが大事だと思っておりますので、そのやり方については今後とも工夫はいたしたいと思っておりますけれども、一般施策の中で給食サービスのシステムをどう組んでいくかというようなことについては、今後もやり方を工夫する中で引き続きやっていきたいというふうに私ども思っておりますし、そういうシステムができるだけ普及していくということについて、これを公の助力によってやるという方向については力を入れていくということが必要であろうというふうに思っております。
  141. 石毛えい子

    ○石毛委員 私はやはり、とてもこだわりますけれども、例えばひとり暮らしで体力がとても落ちていく、要介護状態になる、それでもリハビリに励んで車いすに乗って一人で暮らす、あるいは高齢御夫妻で助け合って暮らすというようなときに、とても大事なのは食事ではないでしょうか。もちろん、入浴も大事、それから排せつも大事です。これはもう排せつがきちっと循環しなければ命は危うくなるわけですから大事です。でも、介護というのは食事の介護、入浴の介護、排せつの介護といいながら、その介護をするという食事がきちっと確保されなければ在宅というのは継続しないのじゃないでしょうか。現に、ひとり暮らし、高齢御夫妻の方で、施設に入所しようと決断するとても大きな理由の一つというのは、食事を自分たちの家族でつくるというのは無理になったからということではないでしょうか。私は、食事というのは非常に大事なんだというふうに思います。  それで、もう要介護者だけではなく、だれでもが必要なんだから、それは一般施策でというふうにおっしゃいましたけれども、それでは今、一般施策の中で食事サービスがどれだけ広がっているのでしょうか。羽毛田局長は、そのシステムをつくることにというふうにおっしゃいましたけれども、介護保険に対して私どもが信頼を寄せる大きな基盤といいますのは、介護保険給付の中にそのサービスが入っていれば給付を受けられる、要介護認定、要支援認定が前提になりますけれども、受けられるというところではないでしょうか。  そして、何度も何度もこの委員会議論の中で回答いただきましたのは、福祉サービスというのは枠組みとすれば措置行政であって、そして財政上もさまざまな制約があって、確実にサービスを広げていくというところに難しい面があるから、保険という手法を導入して、そして確実にサービスが届くという、そこをつくっていくというふうにおっしゃられたというふうに私は思っております。ですから、確実にサービスが届くというその観点から、私は、食事サービスもぜひ在宅サービスの中のメニューに加えるべきだというふうに考えております。  それから、私の仲間たち、地域で食事サービスに取り組んでいる方たちがたくさんいますけれども、そのメンバーはやはり、私たちがつき合っている人がどうして施設入所に変わっていくかということの大きな理由に、食事だというふうに言われます。恐らく食事サービスを入れると、これは私の勝手な推察ですけれども、施設に入った場合に日用生活品費と食事代は自己負担になるということですから、在宅の場合の食事代も自己負担になりますと、一番初段階は六万円程度と言われておりますから、そこで食事代の負担をどうするかというのは在宅ではやはりクリアすべき一つの課題としてあるのだと思いますけれども、それはクリアすべき課題としておきまして、私個人だけではなくて、私の周りでさまざまな活動をしている方たち、その訪問先の食生活の実態からいって、ぜひ介護保険在宅サービス給付に食事サービスを加えていただきたいという声を強くしております。  もう一度、御見解を賜れればと思います。
  142. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 要介護のお年寄りの方に生活上のさまざまな需要がございます。その中で、どこを保険料という形の給付で見ていくかということを考えました場合に、やはり今の、食事をするということは、要介護であるとないとにかかわらずある行為でございますし、それは必要なことでございます。  そういったことについては、そのことを非常に日常生活上の障害として考えておられる者については、要介護以外に、先ほど来申し上げておりますようなおひとり暮らしの方、これはお元気であってもなかなかそれができないという方もございますし、そういったことを含めて全体の中で、食事自体は個人個人の生活の中であれしているいわば基礎的な需要でございますから、それについては、むしろ、そういう食事が、要介護の方、あるいは要介護にかかわらずひとり暮らしの方、こういった方々が地域で生活していく上で、どういうふうにしたらそういういわば提供のシステムができるかという切り口でこのことを考えていくことが大事ではないかなということで、そのことに私どもとして政策的な努力もしていきたいということは、先生先ほどなかなかこれ自体が普及をしていないということをおっしゃいまして、今後、私どもの方ももっと力を入れていかなければならないというふうに思っておりますが、そういった方向でむしろやっていくべきで、今すぐそれを介護給付の中に入れるということにつきましては慎重であるべきではなかろうかというふうに判断をいたしたわけでございます。
  143. 石毛えい子

    ○石毛委員 やはり納得できる御答弁をいただけなかったと思います。保健福祉のシステムとして広げるということについては私は異論はございません。ぜひやっていただければというふうに思います。  ただ、それではなぜ食事サービスを要介護者に届けるということを、入れてはいけないとは申しませんでしたけれども、入れないのかということに対する積極的な御見解を承ったというふうには私は理解させていただけませんでした。つまり、一般システムでやるということはよろしいのですけれども、なぜ要介護者にはやらないのか。介護保険でやるかどうかというのは、繰り返しになりますけれども、一番確実なのは、保険でやれば、給付、反対給付関係で、要介護認定、要支援認定が前提ですけれども、確実にサービスが届きますというそこがポイントなわけです。ですから、確実性と奨励補助の違いはあるでしょう。なぜ入れないのかというところです。もう時間が過ぎましたので、もし御答弁いただければ簡単にお願いいたします。
  144. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 絶対的に入れてはいかぬということはもちろんないと思います。要は、その保険という一つの財源の中でどこまでの給付を優先的に見ていくかという問題だろうと思います。そういう意味合いで申し上げれば、これも例が悪ければおしかりをいただくかもしれませんけれども、例えば住宅の給付というようなものについてどこまで入れるかというときに、要介護者であって住む家のない方は非常に困っておられるというときに、どこまで入れるかとなれば、介護保険という保険のシステムの中で考えれば、やはり改修費というような形での、手すりをつけるとかそういうところまでを給付として見るべきではなかろうかということで一つの線を引いております。  やはり配食サービスについても、そういった要介護者であるがゆえに生ずるニーズと一般的なニーズとの間に、何がしかそこへ線を引いていかなければならないということにはそれはなると思いますので、そうした中での一つの判断ということも言えるのではないかというふうに思います。
  145. 石毛えい子

    ○石毛委員 時間が参りましたので、こういう終わり方というのはあるのかどうか存じませんけれども、この議論につきましてはまた繰り返してお願いさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  146. 町村信孝

  147. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  先日の委員会児玉議員が、特別養護老人ホームについて、日本共産党の独自の調査をもとにしまして、政府の新ゴールドプランどおりに進んだとしても大量の待機者が生まれる、このことを明らかにいたしました。私は、きょうはもう一つの介護サービスの、在宅の柱でありますホームヘルパーについて質問したいと思います。  厚生省の、要介護者二百八十万人、この見込みですけれども、新ゴールドプランはヘルパー十七万人を目標にしております。この十七万人にはパートの数、非常勤の数が七割含まれていると言われております。非常勤の勤務時間が週十四時間から十五時間ぐらい、大体常勤者の三分の一になっているようですけれども、これによりますと常勤者は五万人少しとなります。そして、この十七万人を常勤換算しますと、九万人にしかならないという状態なんですね。これでは、例えば一日一回三時間、一週間で三日訪問したとしても、四十五万人の人しか対応できません。新ゴールドプランは施設入所者が大体七十万ぐらいと言われておりますけれども、合わせますと百十五万です。二百八十万人から百十五万引きますと百六十五万、この人たちは一体どうなるのでしょうか、最初に伺いたいと思います。
  148. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 今先生お挙げになった数字でございますけれども、私ども、確かに今回の十七万人の中には勤務実態が非常勤というものも含めた数字でやっております。  さらに、今どのくらいのサービスかという形のときに、介護者をいわばフルに利用する人とそうでない人という形でお挙げになったように思いますけれども、ホームヘルプサービスに対しまするニーズは、当然のことながら、要介護者の状態でございますとか、あるいは他のサービス利用ぐあい、こういったものの組み合わせの中で必要な利用回数等が決まってまいります。したがいまして、要介護者二百八十万人という数字から、直接に必要なホームヘルパーの人数を数学的にただ導き出すというわけにはまいらないと思います。いろいろな前提を置き、また、その状況に応じたそれぞれの地域での必要数の積み上げということが要ると思います。  そういった観点から、新ゴールドプランによりますホームヘルパーの目標数十七万人につきましては、いわば参酌すべき一つの尺度という形で、国におきまして、ホームヘルパーについては週三回から六回、虚弱の方々は週一回から二回ぐらいをめどに行くということを一応想定しまして、その中で、それぞれのホームヘルパーのいわば必要時間数というものをそれぞれ積み上げていただいて、それを常勤と非常勤の実態に応じまして、この常勤、非常勤の扱いにつきましても、私どもやはり、先ほど申し上げましたホームヘルプの需要と申しますものがいろいろでございますから、それに応じて弾力的に対応するという意味では、ホームヘルパーのすべてを常勤でというふうには考えておりませんので、そういったことをあれした上で提案したものでございます。
  149. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 では、厚生省は在宅の要介護者をどのぐらいと想定して今回の介護保険法を発足させるつもりなんですか。簡単に答えてください。
  150. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 一応二百万人というふうに想定をいたしております。
  151. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 在宅ですよ。二百八十万人が要介護者でしょう。在宅はどれぐらいを対象にして、どれぐらいの方にホームヘルプや在宅介護サービスをやる予定なんですか。
  152. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 そのホームヘルパーの需要につきましては、濃淡はございますけれども、先ほどの二百八十万人のうちで在宅の部分を二百万と考えております。その中には、従来の範疇で言えば虚弱という観点になります、サービスとしては比較的薄くていい部分の方々を百三十万人ぐらいを見込んでおるわけであります。
  153. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 ホームヘルプのサービス対象はどれぐらい見てみえますか。
  154. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 今申し上げました人たちホームヘルプサービスをも利用し、それからショートステイをも利用し、それからデイサービスをも利用するという一つの考え方の中でやっておりますので、その中の部分で人を分けまして、これはデイサービス、これはホームヘルパーという形ではいたしておりません。
  155. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 大体十七万人で、常勤と非常勤の割合が三対七と言われている。そうしましたら、大体どれぐらいの人を対象にというのはもう御存じでしょう。言われないですけれども、大体四割ぐらいだと言われておりますよね。そうしましたら、私たちの計算では大体五十万、四十五万ぐらいですから、実際には大半の方々、六割ぐらいが受けられない、こういう状態で発足なんですね。そうしたら、結局、これは保険あって介護なしという状態ではないのかと私は思います。  具体的にお話ししましょう。私の地元の名古屋なんですけれども、ここでは、計画では介護に必要な人が大体二万八千人なんです。しかし、ホームヘルパーの増員計画の達成率というのは、ここは九五年度で二〇・六%です。大変ひどい状態です。この目標を達成したとしても五千人しか対応できないというわけです。施設サービスの目標は五千百人ですから、合わせて一万人少しの人だけが介護可能で、あと残りの一万八千人は放置される。これが地域の実態なんですね。今度、名古屋ではようやく二十四時間ホームヘルプ体制をやろうというふうに言っていますから、さらにヘルパーの増員が必要になってきます。計画そのものが、それぞれ幾つかの自治体を見ていただければわかりますように、実態と合っていない、計画が破綻しているというところがたくさんあるわけです。  そこで、私は伺いたいと思うのですけれども、厚生省は、「老人保健福祉計画について」一九九二年に老計第八十六号の通達でこんなことを出しています。ここへ持ってきました。この通達では、「計画の実施状況高齢者をめぐる状況の変化に対応し、計画の妥当性を評価するため、期間の中間点前後において見直しを行うことが適当である。」このように述べているのですね。これは間違いありませんか。端的に答えてください。
  156. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 そのような通達があること自体は間違いがございません。
  157. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 こういう通達を出しながら、昨年三月に、全国高齢者保健福祉関係主管課長会議というのが開かれております。ここで出された資料を私は持ってまいりましたが、ここではこのように書いております。「新たな介護制度に関する検討の状況等を踏まえながら、老人保健福祉計画の見直しの時期、内容等について別途通知する考えであるので、宜しくお願いする。」その後、通達を出したのでしょうか。端的に答えてください。
  158. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 その後の通達は出ておりません。
  159. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 要するに、厚生省は見直しをやれと最初は言った。ところが、その後、いろいろあるので、後で見直しについては時期とか内容は通達すると言ってそのままほうってある。一体見直しをやれと言うのか、やるなと言うのか、どちらなんでしょう。見直すと言っていた方針を途中で変えたのですか、伺います。
  160. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 今のお尋ねの件についてお答えをします前に、先ほど四〇%のものしか想定をしておらぬではないかというお話がございました。  これは誤解がありますといけませんので、ちょっと加えさせていただきますけれども、四〇%というのは、いわばトータルの整備量として言っているわけであります。したがって、それぞれホームヘルパー、先はどのように短時間利用される方もある、そういった部分がございますから、それぞれそういう形で需要が顕在化してトータルの整備量として言えば、そこまであれば今ニーズにこたえられる、それは段階的に実はさらに高まってまいります、高まってくることに応じて介護保険施行後におきまして整備量を上げるという前提でやっておりますということを、ちょっとお断りをさせていただきました。  今お話のございます、計画期間中の中間点で見直すというふうにしておったではないかというお話でございます。  事実関係は先ほど申し上げましたとおりでございますけれども、これにつきましては、最初、老人保健福祉計画を法律に基づいてつくることを全国にお願いしました段階におきましては、計画の実施状況あるいは高齢者をめぐる状況の変化に対応するために、五年の計画でございますから、期間の中間点において見直すことが適当であるという判断をいたし、そういうことで通知をしたことはそのとおりでございますし、すぐれてこれはそれぞれの地方団体のそれぞれの地域における事情がどうかということにおいてやることでございますから、そういう観点において、それぞれ中間的な見直しなさったところも実は事実としてはございます。  しかし、厚生省の方針と申しますか、国全体の対応として申し上げれば、介護保険制度の創設ということが具体的スケジュールにこの期間上ってまいりました。したがって、その介護保険制度が創設をされれば、これは各自治体の老人保健福祉施策に大きな影響を及ぼします。そして、その結果によりまして、在宅にしても施設にしても、どういうサービスを整備していくかということは介護保険制度を抜きにしては考えられないということになってまいります。  したがいまして、国全体の全国的な統一方針としては、こういう新たな事態を踏まえまして、計画の見直しの時期なり内容等については、この介護保険をめぐる論議を踏まえて別途通知をするということを申した経緯はございます。  その意味は、この介護保険制度成立をするということは、これは私どもがするのではなくて、国会の御意思によって法律の制定を見なければなりませんので、その制定を待ちまして、新しい条件下における新しい計画ということでその需要をもう一回それぞれ積み上げていただいて、それで新しい計画、これは具体的に言えば平成十二年度かち介護保険事業計画というものをこの法律の枠組みにも入れておりますから、そこに反映をする形で新しい計画に結びつけていこう、こういう意図でしたものでございます。
  161. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 最初の、どれだけを対象にして在宅サービスをやるかという問題でいえば、はっきり言って、今の需要はこの程度という話なんでしょう。四割程度で、そのうちに要求がどんどん上がってくれば考えていきましようということなんですが、私の言っているのは、保険という制度をつくる以上は、あなた、将来ちゃんとヘルパーが来てくれるかどうかわかりませんよなんて言って保険をつくられたら、本当にその保険料を払うかということなんです。国民が信頼するかという問題なんですね。自分がヘルパーが必要なときには必ず来てもらえるような基盤整備も、そういう人材の確保もやっていますよ、そういう信頼がなかったら、みんな、介護保険をつくったって本当にやってくれるのかという不安になるわけです。そういう点では、最初の出発時点からきちんとその要望にこたえるものをやるべきだというのが私の考えです。それが初めからもう四割程度では、足元が崩れていくわけです。  それからもう一つは、計画そのものについて、介護保険が出てきたからちょっと待てという話なんですね、見直しは。しかし、それぞれ市町村が積み上げた実態がもうがたがたと崩れている、これは変えなければいかぬと市町村も思っているわけですよ。ところが、政府は、厚生省は、もう介護保険を実施するからちょっと見直しを待ちなさいというと、全く砂上の楼閣といいますか、実態と合わないものを積み上げて、それで介護保険を実施する、こういうむちゃくちゃなやり方はないと思うのです。  やはり介護保険を実施するなら、出発時点でちゃんと実態に見合うものになっているかどうか、そういう計画の見直しは当然やるべきじゃないですか。長期の計画でいえば、途中で狂うなんということはあるわけですよ。先ほどお話ありましたように、住民参加で検討すれば、こういうふうに変えてもらいたい、実態に合うヘルパーをふやしてほしいとなるわけでしょう。厚生大臣にちょっとお聞きしたいと思いますが、いかがでしょう。
  162. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 できるだけ早くこの介護保険法案成立させていただいて、平成十二年度を目指して、保険あってサービスなしの状況はないように改善を進めていきたいというので努力しているわけであります。医療保険導入されたときも、保険あって医者がいないのじゃないかという不安がございました。当然その不安があると思いますが、それをないように、いかに我々知恵を絞って努力していくかということが大事だと思います。
  163. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 政府がつくった新ゴールドプランも、各自治体の計画をもとにしてつくられているわけですね。ところが、その自治体の計画がもうがたがた崩れてきている。そういう段階で、見直しをしないでそのまま強引に突っ走るというのは大変問題があると私は思います。指摘しておきます。  次に入ります。介護に対する第一義的な責任は国と自治体にあるというふうに私は考えております。介護保険導入したときに、いつでも、どこでも、だれでも、希望する人々に同水準介護が保障されるかどうか、これは介護保険の信頼につながるものですね。  ところが、ホームヘルパーは自治体によって随分大きな格差が生まれてきております。あるところでは二十四時間ホームヘルプ体制をやって、本当にひとり暮らしで体が弱ってもその地域に住み続けられるような体制をとっているところもありますし、同時に、重度でも放置されたままの自治体も率直に言ってあります。同じ保険料を払っても受けるサービスが自治体によってこれだけ大きく違っていれば、何のための介護保険かということになるわけです。  それで、実際には格差がある上に、全体としてはホームヘルプサービスの事業は、全国でも目標の五四%しか進んでいないという状況がございます。厚生省は、なぜこのヘルプサービスに各自治体によって格差が生まれているのか、整備がおくれている原因は何だと考えていますか。短く答えてください。
  164. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 確かに、在宅サービスにおきまして地域的なばらつきが非常にある、それから、全体的にまだ整備の進んでいないものがあるということでございます。  地域的なばらつきにつきましては、特に在宅サービスといえども土地を必要としたり、あるいはある程度の人数がないとなかなかできないというようなものについては、それは過疎地、都市部でございますけれども、そういったところについてはそれなりの難しさがございます。それから、在宅サービスにつきましては、いろいろ在宅サービスの拠点を施設に求めている部分がございますので、施設サービスがスタートをして、少しおくれて在宅サービスが出てくるというのも実態としてはございます。例えば、特養をつくりまして、その後、その特養の付加機能としてショートステイをやります、あるいはデイサービスをやりますという形で計画が出てくるというようなケースなんかがございますので、そういった面もございます。  もろもろそういったものがございますが、いずれにしても、先生おっしゃったようにまだ整備が進んでいないということは、全国的にもですし、地域的なものについても、先ほど新ゴールドプランそのものが破綻をしておるではないかとおっしゃいましたけれども、新ゴールドプラン自体がまだ達成されていないということをまず私どもとしては大変よろしくないというふうに思っておりますので、その着実な整備という意味では、ホームヘルプサービスにしましても、そのほかの在宅サービスにいたしましても、全体の予算の面、それからそれぞれを進めるための工夫の面、それぞれで努力していかなければならないということをまず考えておるところでございます。
  165. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 何で進んでいないのかというのは、市町村に聞けばよくわかりますよ、私も各市町村回ってきましたけれども。一つは、自治体リストうで、これ以上人がふやせないという問題がありますね。ふやすな、ふやすなと国が言うわけですからね。  もう一つは財政問題です。例えば、国のヘルパーの補助基準でいいますと、九六年度の予算で常勤では年額三百三十八万です。ところが実際はどうか。名古屋市の例をとってみますと、六百八十万かかっている。だから、この超過負担で、常勤者だけでも三億一千万になるのですね。財政力のあるところとない自治体との格差が出るのは当然なんですね。私は、ぜひこういう公平性の確保という点でも、実態に合った、思い切った補助単価の見直しをやるべきだ、超過負担を国の責任で解消すべきだというふうに思うのですけれども、厚生大臣、いかがでしょうか。厚生大臣にお願いします。
  166. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 二点お答えをしたいと思いますが、まず、介護サービス市町村で進まない理由の中で、市町村で人が雇えないということをおっしゃいました。  これにつきましては、確かに今、直営で、いわば公務員をふやすというようなことについて、そういうことをやってどんどんこのセクションをふやすべき時期ではないと私ども思います。したがって、ホームヘルパーにつきましても、あるいはそのほかのサービスにつきましても、先般来申し上げておりますように、民間活用という中で、ホームヘルパーについて申し上げれば、最近、民間でのそういった養成ということも非常に意欲的に行われている状況にございますから、いかにこれを活用していくかということを今度の介護保険システムの中で考えていくべきであろうと思います。  例えば、過疎地で申し上げれば、農協組織におけるそういったホームヘルパーの養成というようなことも今非常に御熱心にやられておりますから、そういったことも含めてやっていくというのが一つの方向ではないかと思います。  それからもう一つは、補助単価の問題をお尋ねでございました。  これにつきましても、私どもとしては私どもなりに相当にいわば力入れをして単価を上げてきたというふうに思っております。特に、これは平成四年に大幅に引き上げを行いまして、その後も人事院勧告等の線に沿いまして上げております。したがって、先ほどお話ございましたけれども、一般のヘルパーの場合、先ほどのような額、それを今度はあれで申し上げれば三百四十一万円ぐらいになりますけれども、いわゆるチーム運営方式でやりましたときの主任の場合ですと、それにいわば加算がつきまして四百万円ぐらいになるというような形の中で、業態に応じて一生懸命やっております。  その一方において、これは……(瀬古委員「超過負担の解消を見直すかどうかだけを端的に」と呼ぶ)ですから、それは、超過負担と申し上げるものは、いわばそこの実態からどういうふうに、超過負担と申し上げても、それぞれのかかったものをそのまま全部認めようということになれば、これは今の国家予算の中でやはり難しい問題がございます。それに関連をしてちょっと一言申し上げたかったので申し上げておるわけですが、一言申し上げさせていただけますでしょうか。  平成七年度に会計検査院が実施しました常勤ヘルパーの活動状況についての実地検査におきまして、派遣活動が全くないヘルパーだとか活動が著しく低いヘルパーについても常勤単価でやっているというような形での御指摘も逆にいただいたりしております。したがいまして、超過負担というようなことについての解消努力はもちろんしていかなければなりませんけれども、一方において、そういった補助金の効率的な使われ方ということにも意を用いていかなければならないと思いますので、そういった点で、事業実績に応じた補助というような形を今後やはり施行していかなければならないのではなかろうかというふうに考えております。
  167. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 常勤と非常勤の問題なんですけれども、なぜ常勤を入れるかというと、ヘルパーの場合は、専門性の確保だとか高齢者家族の人権を配慮する問題や、ある意味では人の待遇といいますか、そういう措置もかなり必要なわけですね。そういう点では、今までパートで入れていたところ、ボランティア中心だったところを常勤にせざるを得ないという状況も地方ではあるわけです。そういう点でも、それにふさわしい待遇改善というのは大変必要だというように私は思います。  それからもう一つ、今言われた中身で、例えば過疎地域の問題、これは格差が大変大きいわけですよ。例えば離島、山間部、農漁村、こういうところでは、財政力もありませんし、高齢化率もまた大変高いわけですね。実際に全国の自治体のうち三分の一が過疎地で、面積でいうと半分ぐらい占めているわけです。  私の住んでおります愛知県の豊根村というところですが、三人に一人が高齢者。村で初めてのヘルパーさんが十年間一人でヘルプをやってきている。お正月でも早朝でも呼び出しがある。大体毎日六十キロから七十キロ走り回るというわけですよ。それでも一日何軒も回れない。豪雪地帯なんか特に大変で、そういうところには民間のサービスもなかなか入ってこないという状況があるわけですね。  そういう意味で、私は、この過疎地域には特別な財源的な措置、人の確保についての対策というのが重要ではないかというように思うのですけれども、最後に伺っておきたいと思います。
  168. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 先生おっしゃったとおり、私どもも、過疎地域におけるそういった人材の確保あるいはそのほかのサービス基盤をどうするかという点については、正直なかなか頭の痛いところであることは事実でございますし、私どもも、そうした中で何とかそこをクリアしていきたいということでのいろいろな工夫をいたしております。  今度の予算の中でも、そういった過疎地域における在宅サービスの展開に関しましてモデル事業等も幾つか施行もしておりますし、それから、過疎地域といえども民間のサービス、例えば農協でございますとか、そのほかの非営利的な住民組織等におきます住民参加型のサービスとか、そういったものをも含めて確保するというようなことについても考えていかなければならないだろうということで、いろいろの工夫もしていかなければなりませんし、それから予算の配賦というような面につきましても、そういったところを重点に考えていかなければならないだろうというふうに考えております。
  169. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  170. 町村信孝

    町村委員長 中川智子君。
  171. 中川智子

    ○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。  きょういただいたお時間は十五分ですので、よろしくお願いいたします。  この間、ずっと審議の中で一番語られるのは、やはり基盤整備の問題でございます。保険料を払って給付がないという事態にならないかというところをいかに国民に、これだけ努力している、今はここまで進んでいる、そしてこのように前向きに事業に取り組んでいる、基盤整備もここまでできたということを常に国民に見せていくことはとても大切だと思います。  それで、この間の議論、そしてこれから公聴会が開かれるわけですが、そこでの不安を十分酌み取って、魂の入った介護保険法成立していくことを願っておりますが、ただいまの基盤整備に関しましても、私のそばは、やっと去年、おととしくらいからデイサービスというものができ始めて、近所のお年寄りがうれしそうにそこに出かけていって、プロの手によるさまざまな温かい介護を受けまして、ドア・ツー・ドアでドアからドアまで運んできてくれて、そして毎日毎日、きょうはデイサービスの日かねとおばあちゃんがお嫁さんに聞く、きょうは違うのかねと一日寂しそうにしている。それほど地域のデイサービスというのがだんだん住民のものになってきている状況というのはございますが、一歩自転車で隣の町に行きましたら、それ何やと言われたのですね。本当に、全く地域間での格差が今ある。それじゃ引っ越そうかというくらい、そこの町に引っ越したら手厚い介護が受けられていく、地域のそのような施設が整っている。  このような地域間格差というのがとても不安なんですけれども、今現在、マンパワーの不足ですとか、デイサービス、ショートステイが特におくれている地域を、具体的にでなくてもいいですけれども、大体この辺がこのようにおくれているという状況を教えていただきたいのですが、よろしくお願いいたします。
  172. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 デイサービスその他在宅サービスのおくれている地域ということでございますけれども、実は、これはそれぞれ地方公共団体に御奮起をいただくという意味合いも込めまして、毎年、老人保健福祉マップというものをつくりまして、整備の状況やなんかも積極的に公表するようにいたしております。  そうした中で、それを見ていただきますと、おくれているところ、そうでないところ、一目瞭然になっておりまして、一概にはなかなか、名前を挙げればすぐに出てくるのでございますけれども、名前を申し上げるのがいいのかどうか、先生の御質問の本意もどこの県がというようなことではないと思いますので、あえて名前は伏せますが、やはり大変格差があることは事実でございますし、それぞれの抱えておられる、それはいわばよって立つ条件の厳しさの差もございますし、端的に申し上げれば、それぞれの取り組みの姿勢の差もございます。そんなことでいろいろ差がございまして、これはやはり解消していくような努力をしないといけないというふうに思っております。
  173. 中川智子

    ○中川(智)委員 その解消していく努力というのも、やはりお答えとしては抽象的なお答えになるのでしょうか。具体的にどのような努力をなさっているか、もうちょっと教えてください。
  174. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 取り組みの意欲という部分については、私ども、繰り返し必要性を説いていく、そしてまた、高齢化が進む中で、住民の方々のそういった強い声が入っていくという中でこれはやっていかなければならないことだと思いますが、条件の悪さというところの部分は私どもなりの工夫が要りますので、そういった中で申し上げれば、例えばで申し上げますとデイサービスなんかは、通常の大きい規模の方が経営効率という意味ではよろしいのですけれども、そこの地域ではそういう大きなものではなかなかできないというときには小規模なものもどんどんつくっていくという方向で認めていこうとか、あるいは学校等の公共施設用地を活用していこうとか、それから、今度の平成九年度の予算で申し上げれば、出前型と申しますか、サテライト型と言っておりますけれども、公衆浴場だとか公民館なんかでできましたら、そこへ職員、スタッフが出向いて行きまして、そこでデイサービスをやるというようなサテライト型のデイサービスというようなことをも考えるとか、そういった工夫を一方においてやっております。  それから、施設サービスの部分では、補助金の単価の部分でそういった条件の悪いところについては加算をする等のこともやっております。  そういったもろもろの工夫をいたしておりますが、まだそれでも今のような格差がございますので、今後ともそういった面についても力を入れなければならないというふうに思っております。  それからもう一つは、意欲ということで申し上げましたけれども、私ども、そういうことを促すという意味で、整備のおくれているところについては、何がゆえに整備がおくれているかということを改めてそれぞれ御申告いただいて分析をする、そして分析に基づいて対策を計画という形でつくっていただくというようなことをもするということで今やっているところでございます。
  175. 中川智子

    ○中川(智)委員 ぜひとも、地域間格差というのが給付される被保険者にとってはかなりの不平不満、そしてまた失望をもたらすものであると思いますので、どうか前向きに一生懸命よろしくお願いします。  それと、介護保険法施行後の事業者である自治体や民間業者などが受ける介護報酬でございますが、この介護報酬の積算について、これもまた地域間の、過疎地でありますとか、冬、暖房費がとてもかかるところ、そしてまた東京都や大阪など地価や人件費が高いところ、その辺の違いによって負担の不平等が生じることが容易に予測されます。その実勢価格をきっちりと行うべきだと思うのですけれども、それに対しての方策はお持ちでしょうか。
  176. 江利川毅

    江利用政府委員 介護報酬につきましては、御指摘のように、介護費用の実態を踏まえて決めるべきだというふうに考えておりまして、かつ、事業所や施設の所在地域を勘案して、いわゆる地域的な差異ということも当然考慮に入れるべきである、そういうものを踏まえて平均的な費用を勘案して具体的な額を設定する、そういうふうになろうかと思っております。したがいまして、適正な運営をしていれば、いわゆるサービス事業者が基本的にはそれでやっていけるというような水準になろうというふうに考えています。  ただ、この場合に、地域差でどういう要素を考慮すべきかということにつきましては、今後もう少し詰めさせていただきたいというふうに思っております。
  177. 中川智子

    ○中川(智)委員 やはりこの介護保険法案で一番声を聞かなければいけないと思いますのは、地域でこれからこれを利用する人たちの声だと思うのです。それをきっちりと聞くために各市町村にそのような、委員会というかた苦しいものでなくてもいいのですが、きっちりとその声が反映できる、できれば今のこの時点からそのような人たち意見を聞ける――特に、審議会とか委員会とかいいますと、地域の自治会長さんとかがすごく多くて、結局、実際に介護で苦しんでいる女性たちの声がなかなか反映されないという状況があります。組織された人たちはそのような委員会にとても入りやすいのですけれども、個人で一番そのことに対して声を持っている、その声を生かして、その声によってもっと介護保険法中身のあるものになると思われますけれども、その方たちの声がなかなか反映できないという状況があります。  ですから、市町村でそのような委員会をつくるということを今からぜひとも積極的に始めていただいて、そのときには、このようなものをつくるに際して意見を聞きたい、こういうふうないろいろな思いを持っている人はどうぞ応募してくださいという形の公募でも結構ですので。何か自治会長さんとか――自治会長さんが悪いとは言いません。中には一生懸命苦労されている方もいらっしゃるのですけれども、組織された方ばかり、審議会でも何とか会の偉い人ばかりで、何かまるで偉い人ばかりなんですよ、そういう委員会は、行政がつくられる委員会は。ですから、ぜひとも組織されてない普通の人たちもそのような委員会に入れて、公募のような開かれた形でやっていけるものをつくっていただきたい。ぜひともそれはお願いしますし、法案ができてから見直しのときにやりましようとかというのじゃなくて、今からでもそういう委員会をつくっていただきたい、きっちりと魂のあるものにしていくためにつくっていただけますか、大臣。お願いします。
  178. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 委員会をつくる、つくらないは別にして、市町村が主体になるわけですから、市としても住民の意見をいろいろ聞くのが当然だと思いますし、私は、住民も、議会とは何ぞやということを持ってもらうことが大事だと思います。  議員をもっと活用する。何のために市町村の議会があるのか。議員というのは住民と一番密接に触れています。我々でさえも選挙民の声というのはよく聞きます。まして市町村議会。自治会の長だけじゃない、市町村議会というのは地域の肩書き抜きに一番接しているわけです。その議員を市民運動の皆さんはなぜもっと活用しないのか。貴重な民主主義の財産であります。その財産である市町村議員をむしろ皆さんの方が使おうと。  議員は何のためにあるのかということで、一番効果があるのは市町村の議会です、議員です。これを動かすという方法を考える方が、私はもっと有効ではないかと思います。
  179. 中川智子

    ○中川(智)委員 それがそうはうまくいかないのですね。お話しに行っても聞いてくれないのですよ。そこはどうしてでしょうね、大臣。
  180. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 そこがまさに議員の質だと思うのです。よく敏感に反応する議員を選ぶこと、これがまさに地方自治であり、民主主義のいいところなんですから、むしろ、よさを使わないところに今問題があるのじゃないか。それをお互いやはり考えていかなければならない。一緒に努力しようではありませんか。
  181. 中川智子

    ○中川(智)委員 私、これをいつもビデオに撮ってもらって、たくさんダビングして地域にみんな回しているのです。もうとても皆さんに顔が売れてしまって、大臣のファンが私の宝塚の地元でもふえてしまって、私も非常に困ってしまうのですけれども……。いや、本当ですね。では、その声をぜひとも伝えて、それが生きるように……。  そして、委員会の設置は別としてというのが最初のお返事にありましたが、ちょっと別としないで、委員会の設置はどうでしょうか。
  182. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 委員会を設置するかどうかは別にして、そういう市民の幅広い意見を聞くというのは市町村が主体となってやるべきだと私は思います、どういう形だろうとも。それに必ず市町村議員は反応してきます、選挙に敏感である議員ならば。それを我々はうまく生かしていく、それが民主主義としても大事じゃないか。主体性を持って、自分たちの議員なんだという意識をやはり住民も持ってもらうことが大事じゃないでしょうか。両方大事だと思います。
  183. 中川智子

    ○中川(智)委員 局長委員会設置はどうでしょうか。
  184. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 大臣にあれされまして、難しいのを私に振っていただいてもつらいのでございますけれども。  私ども、市町村介護保険の主体をお願いした、そのゆえんのものは、要介護老人が地域に出たといったときに一番最初に心を砕いていただくのは、やはり一番身近な自治体である市町村であろうということからしたのでございますけれども、そうした中には、それぞれの地方団体ごとにどういうふうに保険を運営していくか、どういうふうにその中に市民の声をくみ上げていくかということは、すぐれてそれぞれの地方自治体としての自主的な判断というものがあってしかるべきで、これは官制で、むしろそれを国から押しつけるような性格のものではないのではなかろうかなという思いもひとつございまして、今のようなお話は、やはり市町村としての御判断を待つべきことではなかろうかなというふうに思っております。どのように市民の声をくみ上げるかは、それぞれの市町村の御判断というものがまず優先をされるべきじゃなかろうかなというふうに考えるところでございます。途端でございましたので、ちょっと準備が……。
  185. 中川智子

    ○中川(智)委員 そういうふうに市町村に任せたら、ばらばらになってしまうのです。ぜひとも厚生省がこの介護保険法を命のあるものにするために優しい通達などをお出しになったらいかがかと御助言申し上げて、終わりにいたします。  ありがとうございました。
  186. 町村信孝

    町村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十一分散会