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1997-02-21 第140回国会 衆議院 厚生委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十一日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 町村 信孝君    理事 佐藤 剛男君 理事 住  博司君    理事 津島 雄二君 理事 長勢 甚遠君    理事 岡田 克也君 理事 山本 孝史君    理事 五島 正規君 理事 児玉 健次君       安倍 晋三君    伊吹 文明君       江渡 聡徳君    大村 秀章君       奥山 茂彦君    嘉数 知賢君       桜井 郁三君    鈴木 俊一君       田村 憲久君    根本  匠君       能勢 和子君    桧田  仁君       松本  純君    山下 徳夫君       青山 二三君    井上 喜一君       大口 善徳君    鴨下 一郎君       坂口  力君    福島  豊君       桝屋 敬悟君    矢上 雅義君       吉田 幸弘君    米津 等史君       家西  悟君    石毛 鍈子君       枝野 幸男君    瀬古由起子君       中川 智子君    土屋 品子君       土肥 隆一君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小泉純一郎君  出席政府委員         厚生政務次官  鈴木 俊一君         厚生大臣官房長 近藤純五郎君         厚生大臣官房総         務審議官    中西 明典君         厚生大臣官房審         議官      江利川 毅君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省保険局長 高木 俊明君         社会保健庁運営         部長      真野  章君  委員外出席者         自治省財政局調         整室長     岡本  保君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ――――――――――――― 二月二十一日  高齢者医療生活安定等に関する請願(今田  保典君紹介)(第一五六号)  医療保険制度改悪反対医療充実に関する  請願不破哲三紹介)(第一七四号)  医療保障充実介護保障制度確立に関する  請願児玉健次紹介)(第一七五号)  同(瀬古由起子紹介)(第一七六号)  同(児玉健次紹介)(第二九九号)  同(瀬古由起子紹介)(第三〇〇号)  医療保険制度改悪反対医療充実公的介  護保障確立に関する請願山原健二郎紹介  )(第一七七号)  介護福祉医療年金改善に関する請願志位和夫紹介)(第一七八号)  介護保障確立医療福祉年金改善に関  する請願藤田スミ紹介)(第一七九号)  同(藤田スミ紹介)(第二七一号)  介護保障確立医療福祉年金改善に関  する請願寺前巖紹介)(第一八〇号)  介護保障確立に関する請願松本善明紹介  )(第一八一号)  公的介護保障制度早期確立に関する請願(藤  木洋子紹介)(第一八二号)  同(児玉健次紹介)(第二二九号)  同(穀田恵二紹介)(第三〇一号)  厚生省汚職の糾明、医療保険改悪反対に関する  請願東中光雄紹介)(第一八三号)  同(児玉健次紹介)(第二三〇号)  同(寺前巖紹介)(第三〇二号)  国民医療及び建設国保組合改善に関する請願  (中島武敏紹介)(第一八四号)  難病のための新国立病院リューマチ科及び  プール療法に関する請願土肥隆一紹介)(  第二〇八号)  介護保障制度確立医療福祉年金改善  に関する請願児玉健次紹介)(第二二七号  )  児童福祉法の理念に基づく保育の公的保障の拡  充に関する請願中路雅弘紹介)(第二二八  号)  公的介護保険制度創設反対消費課税による介  護サービス充実に関する請願吉田公一君紹  介)(第二四八号)  国民健康保険制度抜本改革に関する請願(田  中昭一紹介)(第二四九号)  同(中尾栄一紹介)(第二五〇号)  同(堀内光雄紹介)(第二五一号)  同(森英介紹介)(第二五二号)  同(石橋一弥紹介)(第二七二号)  同(河村建夫紹介)(第二七三号)  同(臼井日出男紹介)(第二八五号)  同(高村正彦紹介)(第二八六号)  同(浜田靖一君紹介)(第二八七号)  同(浜田靖一君紹介)(第三〇三号)  同(穂積良行紹介)(第三〇四号)  同(松本和那君紹介)(第三〇五号)  同(山口泰明紹介)(第三〇六号)  医療等改善に関する請願畠山健治郎紹介  )(第二九七号)  若中年層を含めた介護保険創設医療保険改革  の見直しに関する請願畠山健治郎紹介)(  第二九八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  介護保険法案内閣提出、第百三十九回国会閣  法第七号)  介護保険法施行法案内閣提出、第百三十九回  国会閣法第八号)  医療法の一部を改正する法律案内閣提出、第  百三十九回国会閣法第九号)      ――――◇―――――
  2. 町村信孝

    町村委員長 これより会議を開きます。  第百三十九回国会内閣提出介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  この際、お諮りいたします。  各案につきましては、第百三十九回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 町村信孝

    町村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――  介護保険法案  介護保険法施行法案  医療法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  4. 町村信孝

    町村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安倍晋三君。
  5. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 私は、介護保険法案、同施行法案、そして医療法の一部を改正する法律案について質問いたしたいと思います。  この介護保険制度については、我が党においても随分といろいろな議論があったわけであります。  特に議論が集中をいたしましたのは、この法案施行される平成十二年までに果たして基盤整備が十分にできるかどうかということであります。このことにつきましては、おとといの委員会におきましても質問が出たところでありますが、これは保険料を徴収するわけであります。そういう意味におきまして、確実に給付が受けられるという体制をつくっておかなければ、これはもう信頼そのものに大きな影響が与えられるわけであります。  また、当然我々は、過疎過密の中で地域間格差が出るのではないか、こういう心配もあるわけであります。公平性を担保するためには、この地域間格差も絶対に解消していかなければいけない、このように思っております。しかし、そういう中で、現在存在するこの地域間格差が果たして平成十二年までに解消されるかどうか、大変心配をいたしておるわけであります。  そしてまた、この制度在宅介護中心にやっていくということになっているわけでありますが、当然、在宅ということになれば、ホームヘルパー中心とした人的な資源確保していかなければいけないわけであります。この意味におきまして、果たして人材供給が十分にできるかどうか、そういう点も大変心配をいたしておるわけであります。  まず大臣にお伺いをしたいと思うわけでありますが、平成十二年施行時において十分に体制が整っているかどうか、大臣の所感をお伺いしたいと思います。
  6. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 この介護保険制度平成十二年度導入を目的にしておりますので、平成十一年度までには新ゴールドプラン老人保健福祉計画整備が着実に進んでいなければいけない。そして、介護保険制度導入時にあわせて、このゴールドプラン、新たに見直しが同時並行的に進められていくと思っております。そういう中で基盤整備が着実に進んでいくように努力をしていきたい。  日本人というのは、一つ目標ができますとそれに向けて精力的に英知を結集していくのが、私はうまい国民性があると思っております。今回も、ことし今御審議いただきますが、前もってその十二年度実施に向けて準備をしていくならば、今まで以上にいろいろな基盤整備が進んでいくのではないかと私自身期待しております。  また、過疎地都市部の部分で基盤整備がおくれている地域、こういうところには小規模の特別養護老人ホームの設置を認める、あるいは整備を促進していくという施策も講じております。  さらに、これからはこのサービス事業に向けていろいろな人材確保するということが大事である。今回、公的サトビスだけでなくて民間施設サービス参入も促すということによって、私は、サービス水準も向上していくし、基盤整備も進んでいくのではないか。  そういうことを考えますと、できるだけ早くこの法案を通していただき、この基盤整備に向けていろいろな各方面からこの事業に参加する、目標が立てやすい、意欲をかき立てるというような整備促進に向けて、この法案というのは大きなきっかけになるのではないかということを期待しております。
  7. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 ただいまの大臣の御発言、私も大変心強く思うわけでありますが、しかしながら、現在の時点では大変な格差が歴然とあるのも事実であります。  大都市部におきましては、中心部には、特に施設関係が用地がなかなか確保できないということで不足をしているわけでありますし、他方、過疎地あるいは離島においては全くそうした施設がない。しかしながら、この制度施行されれば保険料は徴収をされるわけでありますから、そういう地域には特に目配りをしながらしっかりとした基盤整備していっていただきたい、このようにお願いを申し上げる次第であります。  そしてまた、ゴールドプランを現在推進しているわけでありますが、初年度段階で、恐らくこの介護保険対象となるであろうお年寄りの数が約二百八十万人であります。これは、要介護、要支援を合わせた人数であります。この二百八十万人に対して、ゴールドプランにおきましては、特養二十九万、老健施設二十八万ということになっておりまして、この施設に収容し切れない方々につきましては、もちろん在宅中心でありますから在宅でやっていくということなんですが、しかし、その在宅に対しては大変な人的支援が必要になっていくわけでありますが、ホームヘルパー十七万人あるいは在宅介護支援センター一万カ所で数字が果たして合うのかどうか。二百八十万人という膨大な数に対して、この十七万人のホームヘルパーあるいは一万カ所の在宅介護支援センターで帳じりが合うのかどうかということであります。  厚生省のこの試算、何人に対して何人ぐらいのヘルパーで十分であるというお話を伺いたいと思います。
  8. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 お話しホームヘルパーあるいはデイサービスセンターでございますけれども、新ゴールドプラン、御案内のとおり、全国の地方自治体におきまして、それぞれの地域ニーズをそれぞれの地方団体市町村段階から計画を積み上げられて、その集大成として実施をいたしておるものでございます。  老人保健福祉計画におきましては、これがベースになるわけでありますけれども、要介護状態にございます高齢者のうちで実際にサービス利用する者の割合というものが、それぞれ要介護状態になられましても、実際の問題としていえば、皆さんが全部そういった在宅サービス利用されるという実態にはございませんので、それもだんだんにふえていくという要素もございますので、そういったサービス利用されます人の割合地域の実情を踏まえまして設定いたしてまして、サービス目標量を算定したわけであります。そういうことをそれぞれの地方団体でやっていただいた。  結果的に、全国的に平均をいたしますと、この割合はおおむね四〇%ということでございますので、そういった要介護、要支援方々のおおむね四〇%の方々利用されるというのが平成十二年度時点での実態として出てくるニーズであろうということで、それを前提にいたしまして、その方々に、なべて言えば、例えばホームヘルプサービスで申し上げれば、要介護老人については週三回から六回ぐらい、要支援老人については週一回から二回といったような利用というものを標準といたしまして、新ゴールドプラン目標であります十七万人のホームヘルパーというものが各地方団体の積み上げの中で出てまいっておるわけであります。  したがって、このサービス利用を希望する高齢者に対しましては、十二年度時点ではこのようなサービス利用を十七万人というものでホームヘルパーについては確保することができるであろう、またデイサービスにつきましても、同様の手法においてそのニーズを把握した上で整備目標を積み上げてあれしておりますので、これが達成できれば需要にこたえていけるものというふうに思っております。しかしながら、需要そのものはさらに段階を追ってふえてまいりますから、それに応じた整備は引き続き必要になってまいりますけれども、十二年度時点で申し上げればそのようなことになってまいるであろうというふうに思っております。
  9. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 ただいまの局長お話では、この二百八十万人のうち希望するであろうお年寄りが約四〇%であろうという予測だそうでございますが、しかし、私は、果たしてそうだろうか、このように思うわけであります。  これは保険料を払っていただくわけでありますから、保険料を払ったからには、もし要介護あるいは要支援になったら、できるだけ給付の方もお願いしたい。給付というのは当然の権利として発生するわけでありまして、そこが私は今までの措置と大きな違いがあると思うのですね。ですから、私は、この四〇%、少し甘いのではないかなという危惧がいたすわけでありますし、そこに我々が今大きな不安を感じているところであります。ですから、そういう点も踏まえて、今後とも、厚生省も、果たしてこの四〇%で正しいかどうかということも早急に検討して、世論調査等も含めまして検討していただきたい、こんなように思うわけであります。  そしてまた、先ほどの質問に関連してなんですが、特に在宅中心でいくということになってまいりますと、ホームヘルパーあるいはPT、OTの拡充も図っていかなければいけないわけであります。当然、新ゴールドプランにおきましては予算が張りついていくわけでありますが、果たしてその希望者がちゃんといるかどうかというのも今大変心配になってきているわけであります。現在のそうした福祉学校等に対する希望者の数あるいは学校の定員の数、将来の卒業見込み等も含めて御答弁をいただきたいと思います。
  10. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 今お尋ねのございました関係につきまして、その前に、最初のお尋ねの関連で、ニーズはそれで十分かということで、四〇%ということでは甘いのではないかという御指摘がございました。  私どもも、介護保険ができましたならば、そういう介護保険ができることによってサービスニーズがふえるという要素が当然ございますので、最終的には八〇%ぐらいの方々が希望するであろう、そういう利用率が上がってくるということを前提に、それはただし平成十二年度から十年ぐらいかけてそのぐらい上がっていくという計算でやっております。そこらのニーズの把握につきましては、今後、介護保険基盤計画もつくるわけでありますから、その中でさらに先生指摘のようなことを踏まえて精査をしてまいりたいというふうに思っております。  それから、お尋ねの、ホームヘルパー十七万人にしても、実際そのマンパワー確保できるかというお尋ねでございます。  現在、実績を申し上げますと、平成七年度末までに九万五千五百七十八人、約十万弱が人数としては全国的に見れば既に確保されております。予算の面におきましては、平成九年度予算におきましては、平成八年度が十二万二千強だったわけですけれども、約十五万二千人を確保するということで増員を行ってきております。  今日までのところでは、ホームヘルパーにつきましては、比較的、人員確保という意味では全国的には確保がされてきているという実態にございますけれども、これも先生先ほど御指摘ございましたように、地域的な格差の問題というものがございます。  したがって、私どもとしても、そういった格差の是正のために、いろいろ予算の面あるいは実際の実施の面で工夫をしなければならないという要素がございますので、まず、ホームヘルパー養成の面につきましては、現に市町村等ヘルパーとして就業予定をされております者に対しまして、国庫補助を出しまして研修実施しております。そのほかに、社協でございますとか、あるいは、特に今、農協等都道府県の指定を受けて研修を行うというような形で、民間参入も得てホームヘルパー養成というものが現在行われておりまして、これも平成七年度で申し上げますと、そういった研修受講予定者数が六万人ということで、私どもの毎年のヘルパー採用数を上回る人数が出てきております。  そういった中で、今後のことで言えば、さらに大きなそういう潜在的な層として言えば、特に主婦層で、既に子育てを終わって新たにこういった介護業務について働いてみたいということを希望されている主婦層方々も、いろいろにこれは推計できますけれども、例えば三十万あるいは八十万というような推計の方々も潜在的にはございます。こういった家事従事者からのホームヘルパーへの就業というようなことにつきまして、養成研修等の機会を提供することによって参加をしてきていただく、あるいは、先ほどの農協等におきまして最近大変熱心に、特に農村部における高齢化というものを農協組織におきましても大変問題意識を持っていただいておりますので、そういった方面の協力を得ながらやっていくということの中で、その量的な面は確保、十七万人というものは確保していけるものであろうというふうに思っておりますし、そのことのために、今申し上げました方面につきまして、養成研修あるいは民間のそういった養成ということとの連携というようなことに今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  11. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 人的資源は十分に確保できるというお話でありまして、私も大変安心したわけでありますが、しかし、今局長答弁の中で、二〇〇〇年から二〇一〇年にかけて恐らく希望者は四〇%から八〇%に上がっていくだろう、そういう予測であります。  しかし、その四〇%から八〇%に上がっていくという予測の中でさらにパワーアップして整備を急いでいかなければいけないわけでありますが、それと同時に対象者の方も、予測では、二〇〇〇年から二〇一〇年にかけて二百八十万人から三百九十万人と百万人もふえるのですね。百万人ふえて、かつ、四〇%から八〇%になるわけでありますから、大変な数がふえてくると考えていい、私はこのように思うわけであります。  その中で、新ゴールドプランから次の、二〇一〇年に向けて当然これでは足りなくなってくるわけでありますから、ポスト新ゴールドプランをどのように考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  12. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 先生指摘のとおり、今後、平成十二年度にスタートいたしましても、今申し上げたようなことでニーズはだんだんにふえる。それは、高齢者方々が増加する、そしてまた、介護保険制度導入等を契機といたしまして、そういうニーズそのものがそれぞれふえてくるということで御指摘のようなことが見込まれると思っております。したがいまして、介護保険法が通りました後における介護基盤整備ということが極めて大事であるというふうに思っております。  したがいまして、介護保険成立前における整備を一生懸命やる、あわせまして、介護保険法が成立した後においても引き続きそういった介護基盤整備を進めていくということでございまして、そのために、介護保険法におきましても、市町村介護保険事業計画あるいは都道府県支援計画の策定を通じて新たな介護サービス整備目標を策定して介護サービス基盤計画的整備を進めるということで、新ゴールドプランが終了いたします十一年度末に、引き続いて十二年度を初年度とする新たな計画をつくって、それに従って整備を進めていくということにいたしたいと思います。  その中において、先ほどのマンパワーにつきましても、先生お話しのとおり、十七万人という数字は、当然、その後におきまして大幅な増加が必要になってまいります。このことにつきましては、一方において、先ほど申し上げましたけれども、潜在的なホームヘルパーというようなものにしましても、そこにそれを引き出す努力というものがないと実現できませんので、そういった面での努力はさらに必要になってくるものというふうに考えております。
  13. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 今回、果たしてこの介護保険の範囲をどれぐらいにするかという議論もたくさんあったわけでありまして、その中で虚弱老人をどのように扱うかという議論もありました。今回、この法律の中では、虚弱老人を要支援者というように位置づけているわけであります。私は、介護認定というのは極めて困難な作業であると思うわけでありますが、この虚弱老人について、要支援者に対する認定というのは極めて困難ではないかな、このように心配をいたしておるわけであります。  この虚弱老人は要支援者とするわけでありますが、法律の中におきましては、七条の四項の中で、「要介護状態となるおそれがある状態にある」者ということになっております。しかも、二号においては、六十五歳以上ではなくて以下の人たちでありますから、「要介護状態となるおそれがある状態にある四十歳以上六十五歳未満の者であって、その要介護状態となるおそれがある状態の原因である身体上又は精神上の障害特定疾病によって生じたものである」という決まりになっているわけでありますが、おそれがあるということになりますと、これは、私もそのおそれがあるという方はたくさんいると思うのですね。しかも、六十四歳以下で特定疾病によってそのおそれがある状況というのは一体どういう状態なのかというのが極めてっかみにくいわけでありますが、この認定をどのような基準でやるかということをお答えいただきたいと思います。
  14. 江利川毅

    江利川政府委員 御指摘の、要介護のおそれのある状態ということでございますが、これは、概念的には、心身の障害のために、常時介護を要するというところまではいかないけれども日常生活を営むために継続して家事等の援助が必要な状態にあるものということでございます。  ただ、この要支援状態認定するに当たりましては、要介護状態認定する場合と同様に、排せつであるとか入浴であるとか、日常生活動作に関する調査を行います。さらに加えて、主治医の意見を踏まえて介護認定審査会判断していただくことになるわけでございます。その判断基準、判定の基準というものを明確にすることが必要なわけでございまして、現在、全国の六土地域モデル事業実施しておりまして、その判断基準について研究をしているところでございますが、その成果を踏まえてできるだけその基準を明確にする、そういう努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  15. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 また、この法案におきまして、一つの宿題になっていると私は考えておりますのは、若年障害者に対する扱いであります。  この若年障害者につきましては、特定疾病以外は対象としていないわけであります。しかも、私は特にこれはやはり問題ではないかなと思いますのが、既に小さいときから身体障害があって、しかもそれが要介護である、その子供が四十歳を超えた段階になりますと、これは介護保険を払わなければいけないわけであります。その段階でも既に要介護であるけれども給付はない。そして六十五歳になったら、これは初めてそちらの保険の世界に入っていくわけであります。そうしますと、その人たちに対してどのような説明ができるのかというのが実際は大変大きな問題である、こんなように私は思うわけであります。  当初から、若年障害者に対しても、これは対象にすべきであるという意見もありました。あるいは、その人たちに対しては負担を免除するべきではないかという議論もありました。小さいときからずっと要介護でありながら、たまたま収入があるために給付は受けられないのに保険料も払うということになってしまうわけでありますから、これは大きな矛盾がある、このように私は思っております。この人たちに対してはどのような考えで臨んでいるかということをお伺いしたいと思います。
  16. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険法案では、みずからの要介護リスクに対応するということと世代間連帯という観点から、四十歳以上の者を第二号被保険者ということにしておりまして、四十歳以前に既に障害があり、あるいは要介護状態である人でありましても第二号被保険者になることになっているわけでございます。この人たちがもし仮に働いていて医療保険の被保険者になっているというような場合には、その医療保険制度にのっとりまして介護保険料を負担していただくということになるわけでございます。被扶養者でありますと、被保険者本人から取ることになっておりますので、保険料は取られないということになるわけであります。  そのほか、観念的な整理のようになるかもしれませんが、こういう方々が、四十から六十五未満の間で脳血管障害などによりまして要介護状態になるということになりますと、六十五歳未満でありましても給付対象になる、六十五歳以降は先生のおっしゃるとおり対象になるわけでございます。  また、重度の身体障害者施設に入っていてずっと施設に入っているのではないか、そういうことで介護保険給付を受ける可能性がほとんどない、そういうような人につきましては、介護保険被保険者の適用除外ということにしておりまして、保険料の負担はしていただかないということになっております。
  17. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 施設に入っている方はもちろんその対象外になっておられるわけでありますが、しかし同時に、家で面倒を見てもらっている人たちもたくさんいるわけなんですね。ですから、そういう人たちのことも十分に考えてもらいたいと思います。しかも、これはやはり財政との関係もあると思います。もしその人たちに枠を広げれば大変な財政負担になるというのであれば、これは介護保険法案そのものに大きな影響があるわけでありますが、しかし、実際は若年のそういう方々は数万人のオーダーだと思うのです。ですから、これは二百八十万人に対して十万人以下であれば十分に対応ができる、こういうふうに私は思うわけであります。ですから、そこのところもこれから十分に考えていただきたい、こんなように思うわけであります。  最後に、これは大臣にお伺いをしたいと思うわけでありますが、介護につきましてあるべき姿というのは、もし万が一、体に障害が出たときには子やまた孫たちが親の面倒を見る、しかも温かい愛情のきずなの中で助け合っていくということがあるべき姿である、このように私は思うわけでありますし、実際に、現在もたくさんの方々がそのような介護を実践しておられるわけであります。しかしながら、介護の長期化あるいは家族単位の変化によって、国あるいは地域、世代間で助け合っていかざるを得ない状況になっている中でこの制度が生まれたわけでございます。しかしながら、この制度が生まれたからといって、こうした介護はもう自分たちがやらなくていいのだ、国や地域に任せればいいのだという考えがはびこってはとんでもないことになる、私はこのように思うわけであります。  そういう中におきまして、家族介護をどのように評価するかということが大きな問題である、こういうふうに私は思います。介護保険制度が誕生して、保険料が徴収されて給付体制が整ったとしても、しかしながら、なおかつ家族が介護をしていくという家庭もたくさん存在すると思います。また、そう望んでおられるお年寄りも多いわけでありますが、その人たち介護保険料を払いながらも給付がないという状況になっていくわけであります。このことについてはいろいろな議論があると思いますが、この人たちに対して給付をどのようにしていくか。ドイツでは現金の給付をしておりまして、そのために当初は現金給付を希望する人が大変多かった、このように聞いておりますが、現在のドイツの状況、果たして現金給付がどうなっているかということについて、一点お伺いしたいと思います。  あわせて、これは大臣にお伺いをしたいと思うわけでありますが、今後、この家族介護に対してどのように対応していくべきかという御所見もお伺いをしたい、このように思います。
  18. 江利川毅

    江利川政府委員 ドイツの現金給付関係につきまして、私の方からお答えさせていただきます。  一九九五年にドイツで介護保険制度施行されているわけでございますが、ドイツにおきましては、介護サービス、現物で受ける場合、あるいは介護手当、現金で受ける場合、あるいはまたその両方をあわせて受ける場合というふうにあるわけでございます。介護手当は、要介護状態に応じて三段階に分かれておりまして、かつ、現物給付よりも低い水準になっているわけでございます。現在、現金給付を受けている人が八〇%、現物給付を受けている人が二〇%ぐらいでございます。ただ、これにつきまして、ドイツ政府の方は、だんだんと現物給付がふえていくのではないだろうか、そういう見込みを述べられているところでございます。
  19. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 介護保険制度導入されたことによって家族介護が軽視されるのじゃないかという御懸念でありますが、そうではなくて、介護される方にとっても、できれば親しい身内の家族から介護してもらいたいという方が圧倒的に多いと思うのであります。また、家族にしても、できれば身近に置いて介護をしたい。しかしながら、この介護の問題が深刻になればなるにつれて、むしろ家族の過重な負担になっているのではないか、家族だけの介護ではもう手に負えない、やはり社会的な支援が必要ではないかということから今回この介護保険制度導入を進めているわけでありまして、この介護保険制度ができたから家族の介護の面において軽視しているということではございません。むしろ、この家族の負担をどうやって軽減していこうか、そして、この足らざるところ、介護基盤整備を社会的にどう整備していこうかということで導入を進めているわけでありまして、今後とも家族の介護支援を社会的な面から支えていこうということを御理解いただきたいと思うのであります。  また、どちらかといえば両方、基盤整備と現金給付、できれば両方するにこしたことはないと思うのでありますが、今は基盤整備を重点的に進めていく方がいいのではないか。さまざま現金給付について賛否両論があります。しかし、限られた財源を有効に使うということを考えるならば、基盤整備を進めていって、現金給付についてはその後にまた議論をする必要があるのではないか、そういうふうに思っております。
  20. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 この問題については、大変私は地域間の格差もあると思っております。地方の町や村におきましては、やはり家族が面倒を見るというのが当然のようなコモンセンスになっている地域もあるわけでありまして、そういう中においては、施設に入れたりということは大変やりにくい状況になっているわけであります。ですから、そういう人たちのことも今後ともぜひとも配慮をしていただきたい、このように思うわけであります。  また、もし現金給付ではなくて現物給付において弾力的に考えていただいているというのであれば、今考えられている制度では大変難しいということではありますが、例えばショートステイとかデイサービスを、ある時間まとめて、それまでためておいてまとめて使えるようにということも含めて、今後ともぜひとも検討していただきたい、このように思う次第であります。  時間が参りましたので、これで質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  21. 町村信孝

    町村委員長 佐藤剛男君。
  22. 佐藤剛男

    ○佐藤(剛)委員 佐藤剛男でございます。  一昨日、同僚議員の有益な種々の御指摘がございました。山本議員からは、市町村格差の問題、福祉移民の問題、そういうような問題の指摘もありました。また、五島委員からは、高齢者介護制度導入には医療保険改革の一体的な断行の必要性が強調されました。そして、保険あってサービスがないということにならないような、そういう懸念が表明されたわけであります。同議員は、薬価の問題にも触れられながら、老人医療の問題についても触れられたことは御承知のとおりであります。私も、お聞きいたしておりまして共感するところが多いわけであります。また、ただいま同僚の安倍議員から、在宅介護の問題を含めて種々の問題点が指摘されたわけであります。そして、一昨日、大臣また局長さんの方から、在宅サービス整備いたしていきます、それから、特老、老健、そういう施設サービスについてもふやします、何とか頑張ります、こういう真摯な、悩みを持ちつつ非常に真摯な御答弁を賜ったわけでございます。  この基盤整備の問題というのは、私は非常に重要な課題だろうと思っております。施行されたときに、保険制度のシステムはでき上がっているけれども、実際のサービスが提供されないというようなことになってはならぬわけでありまして、その意味で、他日におきますいまいましい不祥事の問題というのは、私は、施設サービスの提供がおくれる、これはおくれないようであってほしいわけでありますが、懸念いたしている者であります。  御承知のように、巷間、介護保険は要らない、こう言う識者もおります。例えば「諸君!」という本の中で、渡部昇一先生は、江戸時代というのは貧しかった、貧しかったなりに貧しかった家は例えば養子制度をとって行ってきたのだという点を強調しながら、そういう介護保険の本質に絡む問題について指摘もいたしております。  しかし、私の周囲を眺めてみますと、私、福島でありますが、ただいま安倍議員の質問に対しまして大臣がお答えになられましたように、どうも血族の中ではもはや解決できない問題がある。子供の還暦に親も立ち会う長寿国になって――多いところになりますと親四人おりますから。眺めてみまして、六十の子供で大体二人いますね、妻の方それから本人の方ですね。そういうありがたい国に、長寿国としてなったけれども、いろいろな悩みが出てきちゃった。介護離婚というのも現実にあります。もうあなたのところはあなたで見なさい、私は私の親を見ます、こういう話もありますし、それから、会社が転勤になって、東京に住んでいた人が福島に来て、そして毎週週末に介護に東京に帰る、それで過労死ならず介護死みたいな形で倒れていくというケースもあるわけであります。  そんなことを眺めて、身内にもあるのを状況を見ていますと、何とかこの介護問題というのは、政治、我々が真剣に考えないといけない課題であろうと思います。それについて、当委員会におきまして、一人一人が高齢者介護の方法、システム構築を考えなければならない問題なのではないか、あるいは議員同士で考えるような大きな課題であるかもしれない、私はそういうものになじむ問題ではないかと思っているわけでございます。  私の場合には、安倍議員に関連する話ですけれども、私は娘ばかりでございますが、パパは君たちに面倒を見てもらうのだからね、こういう教育をいたしております。そうしませんと、自由に巣立ちなさいなどと言ったら、巣立って帰ってこなくなってしまいますから。そういうことで、そういう教育からやっていくような問題でもあるわけでありまして、ぼけず、寝つかず、ぽっくりとというのがこれからの生き方としては一番いいのかもしれない。私のところの福島には、ぽっくり教というものが出ておりまして、そこに連休になりますと人がみんな寄って、毎年毎年それがふえて神社みたいな形になって参っているくらいでありまして、介護の問題というのは、非常に長寿国になった日本ではありますが、それに絡んで大きな悩みを我々に投げかけているということであると思います。  福祉という問題は、かつては貧しい人、体が悪い人に福祉と言っていたわけでありますが、皆すべて老いるわけでありますし、私も百歳くらいまで生きようと思っているわけでありますが、そうなってくると、当然、車いすの世話にならなければならぬ、ならないで済みたいと思っておりますが。もう人生八十年ではなくて、人生九十年、百年の時代になってくる。そうなってくると、福祉というのが、特定の人ではなくて、貧しいとか体の悪い人という概念ではなくて、すべての人の問題に今なってきておるのではないか、私はかように考えるわけであります。  さて、そういう総論はあれとしまして、本論に入らせていただきます。  私は、まず、こういう急速な高齢化に日本は進んでおる、何かの形で、言うならば社会全体としてバックアップしなければならぬ、国民もこれを望んでおるわけですから政治もやらなければいけない、しかしこれは持続可能な制度でなければならない、ここがまた非常に根本問題になると思うのです。  それで、国民は介護保険ができるのだなという気持ちを持っていますが、その姿がまだ浸透しておりません。十分なサービスが受けられるのか、あるいは民間活力を生かした多様なサービスが受けられるのか、あるいは国の負担はどのような姿になっていくのか、こういう面についてさまざまな疑問それから不安を持っているのが現状ではないか、私はかように感ずるわけでございます。  その意味におきまして、これは平成十二年の話でございますが、法律が仮に通ったとしましても、その後における問題というのはあれですし、その前に、地方においてこれからの運用の問題についていろいろな意見を聞いてくるということが不可欠の部分でありまして、それぞれの市町村等の実際の運営の問題というのが一番重要な問題でありますから、できるだけ多くの地において公聴会等の実施、当然行うことになっているわけでございますが、よろしくお願いいたしたいと私は思っているわけであります。  ところで、第二に、今、在宅サービスには、民間の株式会社とか事業主体が認められているわけであります。ところが、施設サービスについて、民間といいますか、株式会社とかそういうような形をとっていただきたいと思うのですけれども、なぜ入ってこれないのか。  私が心配しておりますのは、厚生省の粗い試算でありますが、高齢者介護費用、平成十二年、総費用が四兆円という数字を出しております。そのうちの在宅関係は一兆円、施設関係は三兆円、一対三ぐらいの感じで、いろいろのケースを試算いたしております。平成十二年のときの見通しというのを眺めてみますと、既に在宅サービス自身が一〇〇じゃないのですね。四〇%から五〇%を前提にしてやっているわけであります。そこに私は、保険制度があってサービスがないということの懸念を言っておるわけでありますが、そういう課題を抱えている。  それから、施設サービスについての問題というのは、これは施設でありますから相当急速に進めていかないと、保険が動き出しますとこれに追いついていかない。私は、猛烈な勢いで認定が出てくるのじゃないかという気すらいたしているわけでございます。そういう意味で、施設サービスについて、民間参入を認める方向というのを考えておく必要があるのじゃないかということを私は思っているわけであります。  ということは、今、施設サービスについては、施設内でどのようなサービスが行われるか、虐待だとかそういうことで十分チェックする必要があるのだということで福祉法人というような形をやっているわけでありますが、そういうのは立入検査とか情報の開示とか第三者による評価とか、そういう形で対応すればできる話であって、事前の参入規制を行う必要性というのはないのじゃないか。そういうことに多様な事業主体の参入を競争で出す、そういうことを相当やっていかないとこれは追いつかないのじゃないかという懸念を私は持ち続けているわけでありまして、これが懸念だけで終われば、コンサーンで終わればいいわけでありますが、そういう問題を含んでいます。  もう既に在宅介護については、二十四時間の問題がありますから民間がやっているのです。福岡あたりばこれで成功しているケースがあるわけでありまして、特定の会社のことですから名前は言いませんが、そういう感じを持っているわけでございます。そのあたり、民間サービスの問題につきまして、大臣、どのようなお考えでおられるか。  さらに、この認定の問題すら、少し民間に委託するぐらいの感じでもいいの七やないのかな。これも相当のことを考えないと。今の法律のシステムは、市町村がだめの場合には県に持っていきますね、県に委託するという話になる。一番近いところの市町村がわからないと、今度は遠いところの県に持っていくというこのメカニズムも果たしていいのかどうか。ここら辺の問題を見ますと、今、老人人たちのレントゲンを見ますと、これは大体、看護婦さんでも医療行為にならない限りはわかる、こういうことのようでございます。  こんなことを含めましたいろいろな知恵を出していく必要があるのじゃないかということを、まず問題を指摘いたしまして、大臣の御所見をお聞きいたしたいと思います。
  23. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険制度導入しまして民活を考えるということは、一つ目標でございます。そういう観点から、委員お話にもありましたが、在宅サービスにつきましては、民間セクターと公的セクターとを同じような基準で考えて、民間事業者の参入が図れるようにということを考えているところでございます。  施設につきましては、施設の規制が、現在、医療法それから老人福祉法あるいは老人保健法という幾つかの法律に基づいて業の規制が行われているところでございまして、これを踏まえて、老人保健福祉審議会の最終報告では、将来の方向としては、介護施設に関する制度体系の一元化を目指す方向が適当であるとしつつも、現状では、各施設によって事業主体等の取り扱いが異なっていることを踏まえて一元化は漸進的にということになっておるわけでございます。そういうことで、施設につきましては、当面は現行の事業主体でやらせていただきたいというふうに考えておるところでございます。
  24. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 民間参入できる基盤、これは福祉分野においても大事だと思います。今、あらゆる規制緩和に向けて推進体制を政府も党もとつておると思いますが、今までは、官は民の補完であるという考え方から、今後は、むしろ民が官の分野に進出できるような環境を整えていくことが私は大事だと思います。  民間でも、民間人でも官の分野、いわゆる公共的な仕事に参画できるのだ、営利を求めながらサービスが公的な官よりもできるのだという実例はたくさんあります。利益を求めているから公共的な仕事ができないというのはとんでもない間違いでありまして、むしろ利益を追求することによってよりよいサービスが展開できるのだというのが自然だと思います。そういうことによってサービス競争を促して国民の多様な要望にこたえていくという面において、むしろ民が官の分野に進出できる環境を挙げて整えていくべきだと私は思っております。
  25. 佐藤剛男

    ○佐藤(剛)委員 心強い大臣の御答弁を賜りました。要するに、非営利法人がという考え方じゃなくて、営利法人であっても、そういう中に入ることによって、今大臣がおっしゃられましたような、大臣の行政改革の持論でもおられます。そういうことをやる適切な分野ではないかと私は思うわけでございます。  それから同時に、介護サービス利用者、認定を受けまして、要介護者としての認定を受ける。そうした場合に、選択権を確保する。選択権を確保するという意味は、事業主体が、A事業主体、B事業主体というのが施設においてもある、そうした場合に、Aにも行ける、Bにも行く、Cにも行ける、こういう考え方というのが介護切符という、英語で言いますとバウチャーということなんでありますが、そういう給付が、事業主体間の中の競争、そんなことで指摘もされているわけでございます。いろいろバウチャーが不正に流通すると適正なサービスが行われないおそれがあるとかいう話も聞くのですが、私はそんな心配する必要はないので、これは保険証とかICカードなどによりまして本人の確認ということができるわけでありまして、そういう不正流通などということの防止の面というのはきちんと確保しつつ、そういうこともいろいろ考えてみる。  これは、ちょうど一昨日、大臣の御答弁に興味を持っているのですが、保険制度が皆保険に、昭和三十年になるわけですね。なるまでの過程というのはいろいろあるわけですね。一遍になったわけじゃないわけでありまして、初めは働いている人たちがなり、最後に国民全体がなっていく。国民皆保ができ上がったのは昭和三十五、六年でございましたか、たしかそうだと思いますが、法律自身は、今でも健康保険の病院指定なんというのは片仮名の法律でやっておるわけでございます。例えば、指定された病院が報酬の不正請求をしますと、罰則は、取り消しなんというのは、これは片仮名の法律だ。  私は、かつてこの問題を取り上げたことがありまして、片仮名法律をもう少しきちんと平仮名に直して現代風に行うべきじゃないかというふうなことも指摘したわけでありますが、そういう歴史を通っているわけでございまして、その意味において、大臣がいろいろな限られた中において、保険であれする、税でする、今回の場合、五〇%国が入っているわけでありますからこれは折衷だと思いますが、そういうことを経て、この問題に取り組む知恵が必要だと私は思っております。  それで、私が一番心配しているのは、市町村のこれの運営なんです。  大臣、郡というのがあります。私の選挙区には郡というのは二つあるのでありますが、全国で平均しますと、一つの郡に大体四つか五つ、町がある。東京とか都市の御出身の先生は余りぴんとこないかもしれません。郡の場合だと四つか五つの町、村があるのです。一つの町の平均の予算というのはどのぐらいかといいますと、四十億円か五十億円です。そして、四年ごとに村長さん、町長さんの選挙が行われているわけです。そういう中で、四十、五十億といいますと、小学校を二つか三つつくるともうできない。  ですから、そういうふうな依存体系になっているところに根本の、今、地方分権論とかいろいろありますけれども、この地方の問題、市町村の数だけで三千二百三十二ありますけれども、この問題をきちんとしませんと、これは、今、企業が国を選んで中国に行く、あるいはインドに行く、インドネシアに行く、こうなっていますけれども、それと同じように、人が、国民が町、村を選ぶ、財政をきちんとやって福祉サービスがいいところを選ぶ、そういう国民というか人が、住民が町、村を選ぶ時代にこの問題は入ってくるし、そして、それができないような町村の体系だとこの保険メカニズムは動かないだろうと私は思います。  そういう意味において、一つの帳簿をつくる、それから保険証を出す、これはどれだけの人間が要るのかということを一つの例としてお伺いしたいと思うのです。  東京の場合、東京二十三区、私は質問しておきましたので調べてくれていると思いますが、どのぐらいのマンパワーが必要で、どのぐらいの事務量が要るのか。東京二十三区、東京の場合、すべての市町村が都に委託した場合、認定はどのぐらいでできるのか。もしも不服の者が出てきた場合、私が聞くところによりますと、認定に三カ月かかる、不服に三カ月かかる、こういうふうに言われているわけでもありますが、そういう面について、どのような形をもって本件に取り組んでいくか。これは一つの一例です。東京二十三区という例をとって、どのように厚生省は真摯に本件に取り組んでおられるか、お答えいただきたいと思います。
  26. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険制度ができましたときの全国ベースでの事務費全体、これは八百億ぐらいかかるのではないか、その中に既存の事務の削減する分がありますので、追加的な事務量、金額に換算して五百億ぐらいふえるのかなということでございます。東京都ですと、金額にしましておおむねその十分の一ぐらいの水準だろう、そう思うわけでございます。  それから、認定に係る事務でございますが、申請がありましたらできるだけ迅速に処理をするということが基本でございますが、法律の規定におきましては三十日以内に行うというようなことになっておるわけでございまして、これが的確に行われるようにしてまいりたいというふうに思っております。  不服審査は、その判定に不服がありますときに行うものございますが、その委員につきまして、対象者の数に応じて委員の数を、条例で決めていくわけでございますが、動かせるようにして、件数に見合った体制が組めるようにしていただくということになろうかと思っております。
  27. 佐藤剛男

    ○佐藤(剛)委員 今の答弁は不満であります。もう少し真剣にいろいろ調べてみてもらいたいと思っております。  これは、行政改革の部分と、マンパワー、事務量の増大という問題を抱えるわけであります。そして法案では、要介護認定だけの問題でも身近な町村ができない場合は都道府県に委託するということに、これは非常に自己矛盾しているような感じもするわけでありますが、なっているわけでございます。住民から遠い存在な都道府県にやっていく、そうしたときに、では東京の話ということで二十三区のお話をしたわけですが、私はそれは甘いのじゃないかと思っております。  そういう意味で、広域的な町村でやりますよ、こういう話なんですが、これはすごく難しいケースです。私は地方なんですが、郡という中において、郡の町の中においてもそれぞれ縦型ですから。縦型の商工行政、農林行政、なにがあって、郡というのは端から端まで大体一時間ぐらいのところでありながらそういうような形になっておるわけでありまして、そこのところの部分を考えると、これは厚生委員会におきまして地方への公聴会というようなことで実情を聞くことになるわけでありますが、そういう面で、私ども、実情を十分聞いて、そして、これを審査の過程に生かさなければいかぬと思っているわけでありますが、もう時間でございますので、その問題の重要さをとりあえずこの機会に指摘いたしておきます。真摯に取り組んでいただきたい、そして、これは非常に大変な問題だということを申し述べておきます。  時間でございますので、これをもちまして私の質問を終わります。
  28. 町村信孝

    町村委員長 鴨下一郎君。
  29. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 新進党の鴨下一郎でございます。  きょうは、私は、介護保険制度につきまして、ある意味で反対の立場で質問をさせていただきたいと思っておりますが、誤解のないようにあらかじめ申し上げておきますけれども、私は公的介制度については大賛成なんです。ただ、保険制度ということについてだけは反対ということで、まず前もってお話をさせていただきたいと思います。  公的介護ということは、言ってみれば、今までは、例えば奥様が家庭の中での介護というようなことで本当にくたくたになってしまって、それをいかに社会が支えるか、このことについては我々はもう大賛成なんです。そして、それをぜひ進めなければいけない。これが基本的な考え方です。  そうしますと、例えば日常生活において、基本的な動作、例えば食べることとか排せつすること、衣服を着たり脱いだりすること、おふろに入ること、こういうことを支える介護支援サービスは、国民の基本的権利として、どこに住んでいても、だれでも、いつでも、ひとしく受けることのできる体制整備しなければいけないのだろうと思います。また、予防やリハビリテーションに重点を置いた政策も進展していかなければいけない。こういうようなことを支えるのが公的介制度なんだろうと思うのです。  その公的介護を進めていく上で、今、厚生省ゴールドプランをずっと進めておりますけれどもゴールドプランの理念だとか目的というのは今私が申し上げたことでよろしいのですか、まず確認をさせていただきたいと思います。
  30. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 ゴールドプランは、先生お話しのように、今後の高齢社会を控えまして、お年寄り方々が、介護を要する状態になりましても、地域社会において、あるいは家庭において、できるだけ自立した人間として生活ができるようにということを大きな理念として、そのための体制づくりということで進めておるものでございます。
  31. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 ということは、いつでも、どこでも、必要とあればそのサービスを提供できるシステムであるのですね。
  32. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 いつでも、どこでもというお話意味合いが、いわば自立という意味合いの中には、みずから努力する、あるいは助け合っていくということをも含めまして、そういう意味で、高齢者方々が人間らしい生活をできるような体制づくりを進めるという意味合いにおいて理解をいたしております。
  33. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 ということは、必要とあらばというのは、単に御本人が必要ということだけではなくて客観的な事実も含めてということですから、そういうことで、ゴールドプランであれば、もしここに要介護老人がいらして、この人が我々だれが見ても介護が必要だというときには手を差し伸べることができる制度なはずなんですね。  私は、今回政府が提案している保険方式による介護保険というようなことを考える上で、こういうことができなくなってしまうのではないかという懸念をしているのです。  言ってみれば、介護保険制度そのものがまず保険ありきで議論が進んでしまっていまして、しかも、国民的な議論を十分にできないうちに今国会にこうして出てきているわけですけれども、この議論の経過をずっと拝見していますと、現行の措置制度は硬直化した利用しにくい制度という前提のもとに、初めから、租税方式は利用者本意でない、こういうような考え方になっているように思います。  それから、新たな介護システムをどういった方式でスタートさせるかというようなことについて、将来における日本の社会保障制度の全般にわたる、非常に重要な転機にこれはなるのだろうと思います。  ですから、例えば税方式のいいところ、悪いところ、それから保険方式のいいところ、悪いところ、こういうことをあまねく皆さんに知らせて、その中で議論をしていくというようなことが大前提なんだろうと思いますけれども、まず、政府は保険方式をとったのだというようなことの考え方、これについてきょうここで明らかにしていただきたいと思います。大臣、よろしくお願いします。
  34. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 介護保険制度は、介護は公的に支えていくということについては必要だという御認識というのは、大方の国民の気持ちだと思います一時期尚早ではないかと言いますが、むしろ、去年の通常国会にもこの法案を出せという要望がかなり強かった。なおかつ、十月の総選挙前の国会でも出せという声も強かった。しかし、結果的に総選挙後になりました。私は、この介護制度導入するという問題については、かなり多くの国民が関心を持って議論を重ねてきたと思います。  そこで、大事な点は、今の状況で介護基盤整備を進めていくためにどうやって財源を調達するかということを考えますと、介護基盤整備なり在宅サービスなりを進めていく場合にはどうしてもお金が必要です。  それで、今の年金にしても医療にしても、保険制度が日本においてはかなり定着している。介護を税でやろうという場合に、どこで税負担を求めるかという論議が欠かせないのです。消費税を三%から五%まで実施しようという場合にでもこれだけの反発、批判があります。となると、消費税はだめだとなると、法人税、所得税に財源を求めなければなりません。今、法人税増税できるか、所得税増税できるか。これまた消費税の反発以上の抵抗が起きるでしょう。では、どこに財源を求めるのか。結果として消費税を上げていくということになるのではないか。となると、この税に対する批判、反発は、今の状況で私はとてもできないと思います。  それで、消費税が導入されたときに目的税構想ができました。私は、考えようによっては、この社会保険導入というのは一つの目的税ととらえることができるのではないか。本来、税の理論からいえば、目的税というのは余り好ましいことではありません。自分がこのために使ってくれというよりも、税というのはどうやって有効に使うかということから考えますと、私は、消費税はむしろ福祉に使ってもらいたいという気持ちを考えるならば、目的税にはできないけれども一般の財源を投入する、同時に、この自分たちの保険料介護に使うのですよ、年金に使うのですよ、医療に使うのですよ、この社会保険方式というのは一種の目的税だと考えていいと思うのであります。  となれば、税負担はもうとんでもないというのだったらば、より、このために使われるのだったらやむを得ない、保険を払おうという形で、私は、税方式よりもはるかに国民の理解を得られやすいのではないかということで、完全な税方式よりも税と公費と保険を一緒に組み合わせた今回の介護保険制度の方が、税で全面的にやるよりもより国民の理解を得やすいのではないかというふうに考えております。
  35. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 大臣はいきなり核心の話に入ってきて、私は最後にその議論をさせていただこうと思っていたのですけれども。  ということは、要するに、今回の介護保険というのは、ある意味での目的税で、財源対策というようなことで理解してよろしいわけですね。
  36. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 財源の問題は避けて通れない。両方から考えなければいけない。財源だけではありません。必要な需要にどうこたえていくか、基盤整備をどう進めていくか、財源を離れて福祉の問題は論じられない、そういう点で話しております。
  37. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 今、ゴールドプランから新ゴールドプランというものが進んでいます。これは、一般財源から基盤整備に充てようというようなことで、今厚生省が進めているわけですけれども、税金でやっているわけですね。この基盤整備平成十一年ないしは十二年までに完成させると言っているのですが、新ゴールドプランが完成したというようなことで、福祉というのはこれ以上、言ってみればそれが最低限の福祉を支えるというようなことで不十分なんですか。保険を導入するというようなことによって、一体プラスアルファの何が出てくるのですか。
  38. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 今、新ゴールドプランという形で進めておりますものは、いわば介護基盤をどう整備するかということで、公費を投入いたしまして、特別養護老人ホームでございますとか、あるいはそのほかの在宅施設にわたるサービス基盤整備いたしておるわけであります。  しかし、この基盤整備いたしましても、今度はそれを動かしていくための費用なり、あるいは動かしていくためのシステムなりというものは必要になってまいります。これが今回提案をいたしております介護保険制度でございますから、新ゴールドプランを公費で進めておることと介護保険制度を提案しておることとは、そういう意味では両方ながらに必要になってくることであろうというふうに思っております。
  39. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 基盤整備を十一年までにやるというようなことについては、それはまあいいですよ。では、その後も今のように、ゴールドプランを進行させていくと同じように一般財源でやったらいかがですか、保険を入れないで。どうして十二年から保険を入れなければいけなくなるのですか。
  40. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今のゴールドプランを十一年を目標にして進めておりますが、十二年度に介護保険制度導入され、そして、それにあわせて老人保健福祉計画は十二年度から見直しを進めて整備を進めていきます。その際に税を投入していくのは当然であります。消費税でも目的税ではありません。一般財源です。という観点から、公費を導入しないと整備計画は進みません。一般財源、当然使っていきます。
  41. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 いや、ですから、私が申し上げているのは、新ゴールドプラン基盤整備をしてランニングができないという話でしたら、基盤整備が十一年までに終わるのだったら、その後は保険を入れなくても、今まで基盤整備に充ててきたお金をランニングに充てていけばいいではないですかという単純な話を申し上げているのです。
  42. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 平成十二年度の介護保険制度創設後におきましても、いわゆる施設整備等の基盤整備は必要でございます。そのために、基盤整備計画をつくり、そこには公費を投入していくということは依然として必要でございますし、それはまた、今後、要介護方々がふえるということを踏まえれば、先ほど来の御質問ございましたように、むしろそういった費用はふえてまいります。しかし、そのことを、そういう基盤整備の上に立って、先ほど保険あってサービスなしということになってはいけないという御議論がございましたが、そういうサービス基盤を整えながら、そこのサービスそのものにかかる費用というものを保険制度でやっていく。  保険制度でやるゆえんは、財源論として先ほど大臣がお答えを申し上げましたような側面、それから、利用する立場に立ったときに、いわゆる措置というような形での公費体系ではなくて利用者本位の保険のシステムでやっていくことがいいであろう、また、今後、要介護方々がふえてくるという一般のだれしものいわばリスクとしてそういうことになってきたときに、それに備えるという保険のシステムを導入していくのがいいであろう、そういう観点からやっておるものでございます。
  43. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 局長、それでは、この話をずっとしていても水かけ論になりますので、税方式をとらずに保険方式をとった、保険方式の積極的なメリットについてまずお答えをいただいて、次の質問に移ります。
  44. 江利川毅

    江利川政府委員 要介護状態になるというのは、人の一生で見ますと二人に一人の確率でなるものでございます。配偶者、親というのを考えますと、かなり頻度があります。そういう一般的なリスクには社会保険というのがなじむのではないかというのが一つの考え方でございます。  これを導入いたしますメリットでございますが、一つは、給付と負担の関係が明らかになる。また、保険料を納めていくことによって給付を受ける権利が生ずるわけでございます。その権利が生ずるということは、利用者がみずからサービスを選択するというようなことができる。そしてまた、これによりまして、民間活力の活用ということも可能になる。保険制度導入いたしますのは、そういうようなさまざまなメリットがあるということですることにしたものでございます。
  45. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 保険制度導入するということの積極的な理由にはなっていないように私は思いますけれども、とにかく政府案は介護に関しては保険制度でこれから支えていこうではないかというような案でございますので、そのことを前提にさらに質問を進めさせていただきたいと思います。  まず、介護保険の徴収につきましては、基本的には国民健康保険の上に乗せていくというようなことを聞いていますけれども、国民健康保険の例えば全国的な滞納状況や無保険者、こういうようなものがあるのかないのか、この辺についてお答えをいただきたいと思います。
  46. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 まず、国民健康保険の保険料あるいは保険税の収納状況についてでございますけれども平成七年度で見ますと九三・三%の収納率という格好になっております。  また、国民健康保険の加入というのは、これは手続上、住民登録をいたしますと国保に加入した形の届け出とみなされておりますので、そういった意味では、住民登録をしている方は国保にみんな加入をする、こういうことになります。  なお、例外として、生活保護の被保護者につきましては国保の適用除外という形になっておりますから、この方は、被用者保険に入っていれば別でありますが、そうでない場合には国保の適用除外、こういうような形になります。
  47. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 今のお答えでは、大体七%弱の滞納者がいて、さらに、無保険者については原則はいないというようなことなんですが、そうすると、例えば滞納者については、国民健康保険についてのペナルティーというのは何かあるのですか。
  48. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 市町村それぞれ、保険料の収納率を上げるためにいろいろと御努力をいただいておるわけでありまして、いろいろな工夫をしながら、着実に保険料をお支払いいただくようなことをやっていただいておりますが、保険料を滞納している場合、これにつきましては、一つには、通常の被保険者証にかえまして、短期被保険者証というふうに呼んでおりますけれども、有効期間が短い保険証を交付する。あるいは、療養費払い等々の場合がございますが、そういった際の現金給付の一時的な差しとめをさせていただく。あるいはまた、被保険者資格証明書というふうなものを交付いたしておりますが、これはどういうものかと申しますと、通常ですと、被保険者証を持っていけば医療機関でいわゆる現物給付を受けられるわけでありますが、このケースの場合には、一たん医療機関で診療費をお支払いいただくというような形のものであります。  これらの一種のペナルティーと申しますか、こういうふうなこと等もやりながら、滞納のないように保険料の納付をしていただくというような努力をしていただいているわけでございます。
  49. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 いずれにしましても、滞納している方にはペナルティーを科さないとなかなか滞納者の数を減らしていくことができないということは、これは現実だろうと思いますし、実際に一生懸命払っている人と差がつかないのは、これは払っている方々に対して公平性を欠くというようなことにもなりますから、そのとおりだと思うのですね。  次に、国民年金の滞納状況、それから未加入の方々の状況というのはどうなっているでしょうか。
  50. 真野章

    ○真野政府委員 国民年金におきます収納の状況につきましては、先生御案内のとおり、検認率ということで把握をいたしておりますが、平成七年度の検認率は八四・五%でございまして、一五・五%が未納ということでございまして、この検認率等から推計をいたしますと、国民年金保険料の未納者の数は約二百数十万人というふうに考えております。  それから、未加入の方でございますが、これは平成四年の調査がございまして、約百九十万人の方が未加入というふうに承知をいたしております。
  51. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 国民年金では大体四百万人ぐらいの方が未加入それから滞納、そして国民健康保険では約七%弱の方がそういうような状況ということを考えますと、例えば、介護保険制度導入して保険が入っていく場合に、滞納者の発生状況についての可能性ということについての予測はございますか。
  52. 江利川毅

    江利川政府委員 先ほども申し上げましたように、要介護状態というのはかなりの確率でなる。自分の一生の中で、親族等を含めますと、何らかのかかわりを持つというのが一般的でございます。そしてまた、世論調査等では、老後における最大の不安の一つということになっております。こういうようなことから、介護保険制度の趣旨を十分説明をし、理解を求めていきましたら、保険料負担についても御理解をいただけるのではないかというふうに思っているところでございます。  また、保険料につきましては、所得に応じた五段階制というようなことを取り入れまして納入しやすいような形にしておりますし、国保の高齢者の実績で見ますと、七十歳以上の方の国保保険料を納めている状況は九九%でございます。そういう意味で、保険料納付はかなり確実に行われると思っております。  しかしながら、もし保険料の徴収努力にもかかわらず未納が生ずるというようなことになりますと、現に保険料を納めている人との公平の関係からやはり何らかの措置が必要になってくるということでございまして、この法案におきましては、償還払い化であるとか、給付の一時差しとめであるとか、そういうことを実施して未納対策を講ずるということになっているところでございます。
  53. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 保険に加入している方々が一〇〇%支払いをするということではないだろうと思うのですね。それは、国民健康保険もそうですし、それから年金もそうですから、多少のそういう方々が出てくるのは、これはもう当然見込める話なんだろうと思いますけれども、そのときに、私は、介護ということの趣旨からいいますと、ここに例えば要介護老人の方がいらしたときに、その方が滞納しているとか未加入だとかということだけを理由にサービスを与えないということが果たしてできるのだろうか、このことを強く懸念しているのですね。  ですから、そういうような場合に、例えばペナルティーを科します。これはそうですよ、保険ですからね。ペナルティーがなければ、みんな払わなくなってしまう。当たり前のことです。ですから、当然なんですけれども、そういうことで、滞納をしているからあなたの面倒は見ないよというような仕組みになったら、一生懸命払っている人たちだって心が痛むのです。自分たちは一生懸命やっていたから、払っていたからサービスを受けられる、だけど、隣のおばあちゃんは払ってなかったのでサービスも受けられない。そうしたら、隣に住んでいる人にとってだって心は穏やかじゃないです。  ですから、私は、保険制度の欠陥というのはそこにあるのだろうと思うのです。いつでも、だれでも、必要があれば、必要というのは客観的な必要性をみんなが考えればいいのですけれども、その中で介護サービスが受けられるということが、これはもう不可欠な条件なんだろうと思うのですけれども、要介護状態になった滞納者について、どういう扱いで救済していこうというふうにお考えですか。
  54. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険料は、一定の金額以上の年金受給者は年金から天引きするとか、先ほど申し上げましたように、低所得者には段階的な保険料にして対応するとか、納めやすく、未納ということが生じないように制度的な工夫をしているところでございます。  御指摘のように、仮にごく少数であっても未納が生ずる、その人が要介護状態になったときにどうなるのかということでございますが、要介護状態になりますと、やはり介護サービスは提供されるわけでございます。介護サービスは提供されて、そしてその上で、その費用について償還払いをお願いするということでございます。ですから、サービスが受けられなくなるというような事態になるわけではございません。
  55. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 繰り返し申し上げますけれども、では、今のゴールドプランの中でそういうようなケースが生じたときはどういうふうに今は扱っているのですか。
  56. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 現在の仕組みの中におきましては、いわゆる要介護方々に対するサービスは二様の体系で出ております。  一つは、医療保険の体系の中で出ております療養型病床群でございますとか老人保健施設がございます。これは、それぞれの法律の中におけるいわば保険料を納めない場合の滞納の措置というようなことについては、同様の論議になってまいります。  それからもう一つは、措置という形での公費の体系で、特別養護老人ホームでございますとかホームヘルパーがございます。これにつきましては、費用そのものをむしろ所得に応じた徴収という形でやっておりますから、いわゆる保険料を納める、納めないということはございません。  しかしながら、今のことに補足して申し上げれば、たとえ公費、いわゆる税方式でやるにいたしましても、これからみんなの、だれしものいわばリスクになってきた要介護状態というものに備えるという側面からいけば、一方的に天から金は降ってこないということを考えれば、何らかの形でみんな助け合わなければならない、そういった中での共同連帯の仕組みとして保険という仕組みがなじむではないかということを申し上げているわけですから、今先生お話のございましたあれからいきますと、そういった負担に、いずれにしても国民の中でバランスのとれた負担にしていただかなければならないという一点がある以上、そこは必ずしも社会保険方式であるから今のようなことになる、あるいは税だからそうなるということではなくて、いかにそういった介護に要する費用をみんなが公平に、しかも、そういったみんなが支えるという理念に沿うように支えていくかということだと思います。そのことは、先ほど来のゴールドプランの理念ということから申し上げれば、そういった理念に沿うものであるというふうに思っております。
  57. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 大臣、例えば保険方式、税方式というのは、これは政治家が議論する話なんだろうと思うのですが、最終的にそれで保険方式をとるというようなことの言ってみればデメリットの部分というのはセーフティーネットで受けなければいけないのですよ、こぼれていってしまう人がいるのですから。ですから、その辺のところを、大臣の御見解をまずちょっと伺わせていただきたいと思います。  要するに、保険で滞納していたり、たまたまそういうような保険に加入していなかったような人たちが要介護状態になったときにどう扱ったらいいのかということについての政治家としてのお考えをいただきたいと思います。
  58. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今の議論を伺っていまして、保険を納めない人と納めた人と同じというのはおかしいじゃないか、不公平が生じるじゃないか、かといって、要介護状態になって、納めていないから何もしないよというのも、これまた見るに忍びないではないかという議論だと思うのですね。  その辺がどういうふうに今後対処されるかというのは、医療保険にも起こっているのですね。特に、第三国人が日本に入ってきて保険料を納めていない、しかし、病気になったら診ざるを得ない。  これはお互い今後いろいろな議論をして何らかの措置が必要だと思いますけれども、私は、ある程度の差があってしかるべきだ、払っている人と払っていない人は。ということで、少し時間をかけて議論する必要があるのではないか。今ここで結論をこうだと言うことはなかなか難しいと思いますので、各方面の意見を伺いながら、導入した段階でその問題が出てくるなということを想定しながら考えていかなきゃならない問題ではないか、そう思っております。
  59. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 大臣が誠実にお答えいただいて、もうそのとおりなんです。私もその両方で悩みに悩んで、それで実際どうしたらいいのかというような話なわけですから。決して私は政府案を責めているということじゃなくて、本当に保険ではカバーできない部分が出てくるし、さりとて保険でやるからには納めた人に対してそれなりのサービスを提供するということなわけですから、そうすると、それじゃ今までのゴールドプラン、新ゴールドプランのままじゃいけないのですかというようなことを再度申し上げたいと思うのです。ゴールドプラン、新ゴールドプラン基盤整備だけじゃないのですよ、ホームヘルパーさんだとかなんかのランニングのことについてだってあの中には含まれているわけですから。  ですから、少なくとも最低限のセーフティーネット部分というのは、新ゴールドプランが完成すれば、無保険者の方それから滞納の方もそこで救うことができるのです。ところが、保険を入れることによって、保険の要件を満たさないから今まで基盤整備してきたサービスを受けられなくなってしまうのですよ。そこに問題があるので、極端なことを言えば、保険制度を入れないで、今までの基盤整備を粛々と進めていく方がよっぽどそういう底辺にいる方々にとっては安心なシステムなんです。申しわけありませんけれども大臣、もう一度お答えいただきたい。
  60. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 しかし、保険制度導入することによって、むしろ介護を受けられる人もある程度の負担をしていただく。税だとそれはできませんね。より働く世代あるいは企業に負担を負わせ ることになる。あるいは、直接税でなければ消費税アップをしなきゃならない場合も出てくるかもしれない。そういう点をどう考えるか。それは政治家の選択ですから、政党が消費税を上げた方がいいというのだって、それは国民の支持を受ければそうなっていくでしょう。しかし私は、それはなかなか難しいのじゃないかなと。  自由民主党としては、消費税の増税は避ける、よりよい国民の理解を得るのだったらば、消費税は据え置いて、何とか多くの方々公的介護が必要だという要望にこたえていきたいといった案がこの介護保険制度ではないかということで御審議いただいているので、よろしく御理解と御協力をお願いしたいと思います。
  61. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 大臣は冒頭に、ある意味で、こっちのポケットから消費税として払うのじゃなくて、左のポケットから目的税として介護保険を納めてもらう、これが介護制度そのものを充実していくことなんだというような趣旨のことをお答えになったのだろうと思うのです。  ですから、私は、国民の社会的な公的介護システムをどうつくっていくかという議論については、これはもう大いに議論するべきだし、大賛成なんですよ。そうしなかったら、これから高齢化していって、八十歳、九十歳まで生きていくときに、どんなに愛し合っている御夫婦だって、必ずどちらかがひとりぼっちになるんです。そのひとりぼっちになったときから、奥様が大体二十年ぐらいひとり暮らしになったときに、すごく不安になる。そのことを支えていくのは、厚生省は、新ゴールドプランでやっていきますよと言ったはずなんです。ところが、それが財源の部分でこれ以上なかなかうまくいかないということの話で、保険を入れましようというふうに、不純な動機で保険が入ってきたというふうに私は理解しているのですね。財源論なんですよ。  それで、ゴールドプランそのものは私は立派な計画だと思います。仮にその発案者があの岡光さんであっても、そんなことは問題ない。そういうことじゃないのですよ。本当に公的介護を支えていこう、それから、施設充実させていこう、ヘルパーさんをふやしていこう、それによって、本当に家の中で疲れ果てていた介護をしている家族の方々を救済していこう、こういうことには大賛成です。それで、今それが粛々と進んでいるのです。進んでいるにもかかわらず、保険を入れることによって制約されることが出てくる。  これは、各マスコミなんかのアンケート調査介護保険については賛成八割というふうに言っているのですけれども、それは例えば、自分はひとり暮らしになって家族からももしかすると面倒を見てもらえない、そういうような人が、自分が御飯もみそ汁も食べられないような状況でひとりぼっちになったらこれは困るから、だから保険制度を、これが言ってみれば自分を支えてくれることだというふうにある種の誤解をして賛成をしているのですよ。実は、その前に厚生省はもう立派にゴールドプランを進めてきて、ひとり暮らしになっても、いざとなったらせめて御飯とみそ汁ぐらいは食べられる、ここまでは用意しましたよということをなぜ最初に言わないのですか。それで、保険制度を入れたら、もしかしたら保険をきちんと納めてくれた人に関しては幾ばくかの焼き魚がつきますよという、このくらいの話なんですよ、保険制度というのは。  ですから、それを、今までは何にもありません、あなたたち、もしひとり暮らしになって要介護になったら餓死しますよ、だから保険制度を入れることによってみそ汁と御飯ができますというふうに言うのじゃなくて、その辺の説明をきちんとすれば、国民の皆さんは、ああ、何だ、せめてその必須条件の御飯とみそ汁ぐらいの介護はしてもらえるんだな、それじゃあえて保険制度を入れなくてもいいじゃないかという議論だって巻き起こるかもわからない。私は、この辺のところをきちんと厚生省そして厚生大臣は説明する、そして説明して明らかにする、こういうような責任があると思うのですが、いかがでしょう。
  62. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 税だけでやりますと、当然、これ以上のサービスは自分でやってくださいという面が出てくると思います。最低限のこれしかやりませんよとなると、所得制限の問題が出てくる。となると、私は民間保険が出てくると思いますね。民間保険制度というのが普及してくる。より所得のある人は、こんな最低限のサービスより私はもっといいサービスを期待したいと。そこに民間保険の入ってくる余地がある。  しかし、そうなりますと、全体の水準を考えると、利用者全体を考えると、持てる層と持てない層のサービスというのは格段に開いてくる。それよりは、全体の水準を上げていこうということになれば、保険制度の方が私はすぐれていると思う。そして民間参入も求める。それで、高額所得者でも幾らでも利用できるわけですから、この今の保険制度導入した以上のサービスをもっと期待したい人は、公的保険制度も使える、同時にそれも使える。そして、税だけだったらサービスは低いけれども、保険制度導入することによって水準が上がるというのだったら、はるかにこの恩恵を受ける人はふえていくと私は思います。  そういう点において、税をたくさん取れるならいいですよ。私は、今の税に対する非常な拒否反応、増税に対する拒否反応ということを考えれば、なおかつ、消費税は目的税に使ってくれという多くの国民の声があるのだったらば、むしろ、目的税とは言いませんけれども、自分のお金はこの介護に使えるのだ、保険料介護に使えるのだ、年金に使えるのだ、医療に使えるのだという、年金医療制度でさえも保険制度なんですから、今、介護は保険じゃなくて税で見るというよりも、既に年金医療でも保険制度が定着しているということを考えるならば、国民の理解を得られる方法としては、公費と保険を両方導入したこの保険制度の方が理解を得やすいのではないかなというふうに思っております。
  63. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 大臣、苦しい御答弁でお気の毒なんですけれども、私は、受益者負担に関してはおっしゃるとおりだと思います。ですから、保険制度でも税方式でも、結果的にさらにアメニティー部分について何か欲しいということ。例えば、ヘルパーさんだって一日三回しが来てくれないけれども二十四時間ついてもらいたい、それを受益者負担でやるのは、民間保険だとかなんかでやるそのアメニティー部分についてはそれでいいと思うのですよ。  ただ、保険方式の一番の欠点はそこじゃないのですよ。下なんです。低所得者の方々、もしくは、意識してかそれとも不可抗力でどうしても滞納せざるを得なくなった人たち、この人たちの救済措置ということがなかなかうまくいかないのです。私は医者だったですから保険のことでいえば、無保険者の方がおなか痛いと来て、でもあなたは保険がないからと言って、多分自己負担がふえるだろうと思って薬だけしか出せないのです。本当は注射もしてあげたい、でもそれができないという、こういう現実があるのですよ。  だから、ゴールドプランをそのままやっときゃいいじゃないですか。そして一般財源の中で、それこそ大臣がお得意の、さまざまな民間の、民営化をしていってそれを財源に充てていくような努力をするのが政治家の役目でしょう。ただ金が足らなくなりました、目的税で保険で入れますといったって、介護はそれになじまないのです。ほかのことはいいですよ。受益者負担を強いるようなことというのはほかの制度の中にあってもいい。まあ年金もいいかもわかりません。ただ、介護というのは、もう本人の好むと好まざるとにかかわらず、要介護になっちゃうのです。その人たちを我々は見過ごすことができないし、そういう人たちが隣にいたら心穏やかに平和に社会の中で過ごせないです。  ですから、介護は、きちんとしたセーフティーネットとしての新ゴールドプランを完成させて、それを政府はしっかりと維持していく。そのために新ゴールドプランをつくったのじゃないですか。これだけきちんと充実するだけで随分いろいろなことができるのですよ。それ以上、御飯とみそ汁以外に焼き魚少々のために一もしかすると、お年寄りなんかは消費税負担よりも介護保険負担の方がふえちゃうのですよ。そのことについて再度お答えいただきたいと思います。
  64. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 ゴールドプラン基盤整備ですから、在宅サービスということを考えるとまた別の観点が出てきます。それと、公費と保険と両方で進めてはいけない、ゴールドプランだけではだめだという声が多いからこそ、この介護保険制度導入しているわけであります。  そして、医療でさえも保険なんですよ。介護医療とどっちが必要かといったら、必要度の度合いというのは医療の方がはるかに強いと私は思います、生命に関係あるのですから。介護サービスを受けなくたって生命には関係ない場合がある、快適さには関係があるけれども医療でさえも保険だということを考えるのだったらば、私は、介護は保険で当然の理解は得られると思います。(発言する者あり)
  65. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 津島元大臣からの答弁をいただいているのですけれども、要するにゴールドプランというのは、それじゃ在宅だとかなんかのサービスについては考えてなかったということですか、施設整備だけということだったのですか。
  66. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 もちろんゴールドプランの中には、施設整備とあわせましてホームヘルパー等の在宅サービスも入っております。しかしながら、それを利用者が利用するという側面のところになりましたらば、保険でやられているものは別にいたしまして、いわゆる福祉制度でやられているものにつきましては、措置という形で、言ってみれば役所がサービスを配る形でやっております。  それで、そういうことが、おっしゃるように、非常に例外的に低所得の方々に対していかに税でもって対応していくかという側面で考えていた時代であれば、ある意味からいうと、そういうやり方でいいのかもしれない。しかし、今後、国民だれしもの要介護というものがふえてくるという状態の中になりましては、やはりそういうやり方ではよくないので、一つの権限として、保険料を払う、そのことに見合う形で給付というその権限を得るというシステムでやる方が、要介護がだれしものリスクになり、またその絶対的な量も大きくなってきているという状況の中でいけばいいのではないか。  あわせまして、現在、そもそも介護と言われている需要につきまして、福祉の措置、今申し上げたようないわば処分の形、つまり役所がサービスを配給する形でやっているもの、それから保険という形でもう保険化されているもの、それらが混在した形でやられています。しかし、それぞれの利用手続だとか利用者負担だとかばらばらになっていて非常に利用しづらいということで、これを再編成して一本の制度にする、一本の制度にするときは、今申し上げましたように、介護というものは国民だれしものリスクになってきているということを踏まえれば、保険方式でやった方がいいではないかというのが今回のやり方だと思いますので、そのことが新ゴールドプランを進めてきたことと矛盾するとか、あるいは、新ゴールドブラシがここまで来たからいいではないかということにはならないと思います。  さらにつけ加えて言えば、新ゴールドプランをあれして整備いたしましても、施設整備に伴う部分につきましては当然運転経費がかかりますし、それから、ホームヘルパー等につきましても、ここまで公費でやってきたにしましても、これからの需要についてそれだけの費用はますます今後かかってまいりますので、費用の財源をどこに求めるかという論点につきましては、新ゴールドプランをやってきたからそういう財源を求める論議は要らなくなるということは決してございませんで、今後のことを考えれば、それをも含めてもう一回ここで考えるということは当然必要になってまいりますし、その中で生まれてきたのが今回の介護保険の構想でございます。
  67. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 揚げ足とるようで恐縮なんですけれども、ということは、基盤整備在宅を含めて施設整備ゴールドプラン、新ゴールドプランで進めてきた、そして、それに関してはある意味でもう完成をしてきて、次に今度はさらに保険を導入することによって国民はどういったメリットを受けられるのですか。  ゴールドプランができ上がりました。それは平成十一年までにやるのですよね。それで、終わって、保険制度が入りました。そうすると、その保険によって介護サービスがどれほど飛躍的に国民にとってありがたいものになるのか、この辺のところをわかりやすく説明をいただきたいと思います。
  68. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 それでは、例を引いてあれさせていただきたいと思います。  今回の介護保険制度は、従来、保険制度と措置の制度でありましたものを再編成して保険のシステムを使ってやろうということですから、財源論はおきまして、その保険のシステムということで申し上げれば、現在の福祉の措置でやられておるものにつきましては、例えば特別養護老人ホームに入りました場合には、中堅所得以上の方々につきましては、やはり税がそこに投入をされているということで、介護というような状態が例外的な状態、しかも、それについて低所得の方々に対して税をもって充てるといういわば従来の福祉の延長でやられていたものにつきましては、利用者負担という形で、高額の方々につきましては、中堅所得層以上の方々については非常に大きな利用者負担を取られる。そうすると、その方々は、そういうふうな負担を負ってまで特養に入るよりは少し居心地は悪くても病院で過ごそうかというようなことになっていわゆる社会的入院というような形になりますけれども、病院は御案内のように長きにわたって生活をするような場にはなっておりませんから、そういういわば居心地の悪いベッドで、社会的入院というような形で長期にわたってあれされるというようなことがございます。  こういったことを、いわゆる保険制度の仕組みを通じまして、利用手続なり利用者負担を均等にする、また、その前提として保険料を払うということによって給付と負担とのそれぞれの明確化が図られるという中でそういうシステムを導入していくというようなことで、今回の介護保険は、言ってみれば、利用者にとって従来非常に使いづらかった制度を、こういう形で利用者負担の面あるいは利用手続等の面で再編成をして使いやすい制度にしたというところが一つの大きなメリットだと思いますし、そういったことを含めて、国民がそれを選ぶという御議論につきましては、これは確かに政治的に御判断をいただくべき事項ではございますけれども、先ほど世論調査ということもございましたけれども、いろいろな世論調査の中には、保険料という形である程度の負担をしていただくということをもいわば御回答の前提にしながらも、やはりそれでも保険制度というものがいいではないかというお答えをいただいているのが相当多数に上っているというのが現状であることもつけ加えさせていただきたいと思います。
  69. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 今、一連の答弁をずっと伺っていて、ゴールドプラン、新ゴールドプランが進んでいって、さらに保険が入ってくるメリットというのが、国民サイドから一体どういうことというようなことについては、どうも局長答弁でも、保険を払ったらこんなにいいことがあるよというようなことには余り聞こえてこないのですね。  一つは中堅所得者の人たちの負担が減りますよということなんだけれども、それはそのとおりだと思います。でも、そういう人たちは、今入院して、社会的入院の中で何とか受け皿になっているわけですけれども、そうすると、介護保険導入するということは社会的入院を減らして医療費を減らすということにもつながってくるわけですよね、社会的入院が減るのだから。だったら、その部分を、保険ではなくてゴールドプランの方で、税方式で、さらに新ゴールドプラン充実する方向でやったらどうですか。そうすれば、社会的入院が減る、その分だけ医療費が減ってくる。そうすると、言ってみれば財源論としてだって社会的入院を介護の方で受ければいいじゃないですか。
  70. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 どんどん税を払っていいという国民的合意ができればそれはできますけれども、現在の制度を維持して――年金にしても医療にしても介護にしても、このサービスを受ける人数はますますふえていきます。そして、それでは、これを負担する世代、働く世代、あるいは企業にしても、働く若い人にしても、この支え手として負担結構ですよと言うかというと、そういう状況でもない。なおかつ、余分な財源は今二百四十兆円以上を超えた借金の返済に回さなければならない。どこで財源を見つけるかというのは今政治の最大の課題です。そういうことを考えて、浮いた財源は別の福祉に回せと言っている状況ではないということは、委員も十分認識していると思います。  そういうことを考えれば、一切の聖域なし、効率的なむだのない社会保障構造改革をするのであったらば、私は、社会保障費用だけどんどんふやせという時世ではないなということを御理解いただきたい。
  71. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 いずれにしても、介護保険を入れるというのは、確かに、介護を支えていく財源をどこからどういうふうに調達するかという議論なんだろうと思うのです。ですから、私は、そういう議論を国民の皆さんにあからさまにするべきだと思うのです。それを、保険が入ったら何かいいことあるような感じ、それから、今は介護のシステムが全くなくて、早く保険を入れないとあんたたち路頭に迷うよというような話で介護保険の理解を求めていくというやり方は、言ってみればある種邪道だというふうに言っているのです。  ですから、私は、小泉大臣は非常に率直に物をおっしゃる方ですから、ぜひ国民に、今の介護制度というのはここまで来ています、ある市町村ではもうそこそこいっています、だけれども、それを維持していくために、今は、これからは借金も多い、財源もない、それを維持していくのはもしかすると苦しいかもわからないから、ついては、皆さん、保険で何とかしてくれませんか、こういうふうな話だったら納得できる人だっているかもわからないけれども、そうではなくて、介護制度は、今のところ、何だかよくわからないけれども、ないのですよ、それで、保険を早く入れて、早くつくらなかったらあんたたちは困るというような、こういうことだけでは、国民はやはり慌てて八割の方は賛成しますよ。  だけれども、大体基本的な安全ネットとしての介護制度がもう既にできています、これだけでいいですか、これ以上のことをやるためには多少の負担をいただきますけれども、いかがでしょうかというこの説明を、大臣、ぜひ国民の皆さんに、この国会の間じゆうに再三再四にわたって説明をしていただきたい。このことで国民に選んでいただきましょうよ。  消費税もしくは一般財源から入れていって多少どこかをカットするということも必要かもわからない、そして、福祉充実するかどうか、このことは、我々は言ってみれば国の財政そのものを立て直す政治家としての責任がありますけれども、その責任のもとに、どうしても捻出できない福祉の部分については、こういう形、消費税の形なのか、保険の形なのか、そういうようなことで何とぞ選んでください、こういう説明をしていただきませんと、保険を入れなければ介護はないのですよというような話ではだめなんですということだけもう一度申し上げて、最後に大臣答弁をいただきたいと思います。
  72. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 大変重要な御指摘だと思います。いかなるいいサービスを受けるためにはどこかで必ず負担しなければならない、サービス改善されます、しかし、その負担として保険料を払ってくださいというのが今回の保険制度導入一つの意義でありますから、この説明はこれからも十分していかなければいけないと思っております。
  73. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 終わります。
  74. 町村信孝

    町村委員長 福島豊君。
  75. 福島豊

    ○福島委員 新進党の福島豊でございます。  大臣、長時間にわたりまして、本当に御苦労さまでございます。大臣の率直な発言には、私、大変共感を抱いております。通告しておりませんが、ただいまの鴨下委員との質疑応答に対しまして、私が感じましたことがありましたので、一、二点お聞きしたいと思います。  大臣は、国民は増税ということに対しては大変反対で、抵抗が強いということを繰り返しおっしゃられました。私は、その最大の理由は、税金がどう使われているのかということに対して不信感があるということだと思います。わけのわからないところに消えているのではないか。消費税の導入の折にも、高齢社会に備えるべき財源とするというような話があったわけでございますが、実際に高齢社会対策に使われているのはわずかなわけです。そういうことを国民はよくわかっている。ですから、消費税を介護の対策のために使うのだ、だから引き上げますと言っても、またまゆつばだ、そういう思いがあるのだと思います。ですから、その責任は政府の姿勢にあるし、日本の国民はそんなにばかじゃないと私は思います。何のために使うのかということがはっきりしていれば、受け入れることはできる。  かつて、国民福祉税構想が浮上しました折に、地元から大変な反発が私もありましたが、もう遠い昔になってしまいましたけれども、その折に地元で、何のためにこれは要るのか、幾らかかるのか、ずっと説明いたしました。中高年の御婦人の方でもよく理解をしていただきました。その説明がない、そしてまた、税金の使い道について政府に対しての信頼感がない、そこに私は一番の問題があると思います。  例えば、スウェーデンは大変な重税国家でございますね。だけれども、スウェーデンの国民は重税にあえいでいるかというと、決してそうではない。むしろ悠々と暮らしている。それは、みずからの税金の使い道ということについて、政府に対しての信頼感があるからだというふうに思います。  この点につきまして、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  76. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 国というか政府というか役所というのは、予算があると必要でなくとも全部使ってしまうという癖がある。これは非常によくない傾向で、民間の経営者と違います。余ったら別の方に回そうとしない。次に大事なところに使おうとしないで、ともかく与えられた予算は、むだとしても不必要であっても全部使わなければいかぬ。そして、また次には前年度以上の予算を要求してくる。こういう傾向を見ていますと、安易に増税をオーケーするわけにはいかぬ。やらなくていいことをやっているのではないかな。各役所、もっとたくさんあると思うのです。  その一環として、私、厚生大臣に就任してから、年金福祉事業団なんという、年金のお金を利用して大規模保養地とか住宅融資して、有利に運用されるわけがない。そんなことを必要だと言って平気でやっている。これは一例であります。だから、これを廃止したらどうかということを言っているのですが、今の各役所を見ても、本当に必要なことをやっているか。当然必要なことをたくさんやっています。しかし、不必要なこともやっているというのは、今予算委員会の審議を見ても、皆さんがこれは必要ないのではないかという公共事業を見ても結構あるのです。これをやらないで、いや、福祉に必要ですから増税してくださいというのは、ちょっとこれは国民の理解というのは私は得にくいのではないか。  消費税三%の導入、私は賛成しました。なぜかというと、所得税減税する。所得税の累進税率は高過ぎる。中堅サラリーマン層にしても、働けば働くほど税率が上がるものですから、可処分所得にならない。それよりは、やはり可処分所得をふやしてくれ、日本の累進税率は高過ぎるということで、所得税を減税するのだったらば、財源がないのだったら一般の消費税の方がいいだろう、あるいは物品税を廃止するのだったら消費税の方がいいだろう。個別で、どれをぜいたく品でどれを必需品かというのを決めるのはもう政府が決めることはできない。これほど国民の趣味が多様化している場合に、どれがぜいたく品でどれが必需品かというのは国民に決めさせてくれ、政府、勝手なことを決めるなという声も強かった。それじゃ、物品税を全部廃止するのだったら一般消費税がいいですよということで、私は三%導入に賛成しました。  今回の五%も、ことしの四月から導入する場合も、所得税、住民税を十一兆円減税する、二年先行して減税するというので、三年後に消費税を導入するということに賛成しました。しかし、減税を先行して、十一兆円、所得税、住民税を減税するということがあって、当時は賛成しても、選挙が近くなると、もう減税食い逃げ、食べちゃったのを忘れて後から負担するのは嫌だという声が強いことを見ると、この消費税に対する反発は私が予想した以上に強い。これから五%以上に上げるというのは容易ではありませんよ。  そのために、まず、政府がやらなくていいことをやっているところを全部見つけて、むだなところを全部切って、政府は本当に必要なところだけしか使わないという構造にしなければいかぬということで、まず増税を考える前に今の歳出全般を見直すべきではないかという方向を考えると、福祉だからといって、全部必要なところをやっているかというとそうでもない、結構むだなところもあるということが今までの議論の中でもわかってきた。そういうことを考えると、まず増税を考える前に既存の制度、構造を洗い直していく方が先ではないかということから、増税を避けて、いろいろな点を洗いざらい総点検していこうという方が私は国民の理解を得られやすいのではないかというふうに考えております。
  77. 福島豊

    ○福島委員 私は、大臣が税金の使い方を徹底して見直すということには大賛成でございます。どんどんやってほしいというふうに思います。ただ、その税金の使い方を見直すということと、介護に当たってその財源が税がいいのか保険がいいのかという議論は全く別の問題だということでございます。それをごっちゃにしないでいただきたいと思っております。  先ほど大臣は、医療も保険でやっている、定着していると。だけれども、保険の原理が高齢者が余りにも多くなり過ぎたために破綻を来しつつあるのが国保ではありませんか。国保制度そのものは今の保険制度で本当に運営していけるのか、そういう懸念があると私は思います。それはリスクが余りにも高過ぎて、保険原理になじまない人口構造になってしまっているということなんです。それを持ってきて、医療も保険だから介護も保険ですよ。介護対象になる保険集団というのは高齢者中心なわけですよ。同じようなことが起こるに決まっているというふうに私は思うわけでございますが、この点については大臣はどうお考えですか。
  78. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 この医療保険についても、未納者の問題というのは大きな問題です。全部納めてくれればもっと財政的にも安定しますし、受益者といいますか、患者さんに対する負担もそれほど上げなくて済むし、働く世代の方々保険料もそれほど上げなくて済むという点が出てくると思います。しかしながら、この保険制度導入していても、医療についても、医療だけ見ても税は六兆円以上投入されていますから、保険なくしてそれでは税だけでといったならば、これはどこまでかかるかわからない。  そういう中で、今、介護保険導入されようとして、我々努力しているわけですが、既存のサービスだけでは不十分である、そして介護の問題はこれからますます切実になってくる、多くの方々がかかわってくる、それを整備していくためには、税でいいのか保険でいいのかという議論になってくると思うのでありますが、私は、今まで言ったように公費も投入していく、また、多くの方々が負担していただくことによってこの介護サービスの水準も上がってくるのではないか、民間参入も促していくということを考え、なおかつ利用者がどれほどのサービスが受けられるかという選択の余地も出てくる、税だけで措置するよりも保険の方が選択の余地が出てくると思うのであります。  そういうことを考えて、より国民に理解を求めやすい、ある程度の給付を提供する場合にどこかで負担をお願いするという場合には、税だけでお願いするよりも、税と自分たちの払ったお金がどこに使われていくかということがわかりやすい保険の方が私は多くの国民の理解を得られやすいのではないかな、そう思っております。
  79. 福島豊

    ○福島委員 これは後ほど聞こうと思っておりましたが、今大臣が、保険制度導入するとサービス水準が上がるのだという趣旨の御発言がありましたので。実は必ずしもそうではない。  例えば、東京都の自治体ではサービス水準は結構高いです。これは東京市町村自治調査会というのが本年の一月に出しました「介護保険と自治体負担」、自治体のサイドでどういうふうな負担に今後なっていくのか、検討しなければいかぬ、深刻な危機感を持っているわけですね。それでまとめられた本なんですが、その中ではこんなことも言われています。厚生省がモデルプランとして出しているサービス量よりも今自治体がやっているサービス量の方が上だ、保険が導入されて保険料を取られて、なおかつサービスが下がる、こんなことはとてもできない。ですから、保険が導入されてサービスが上がるのだというような誤解を与えることは私はやめてほしいというふうに思います。それとはまた全然別の問題だ。  これは一言申しおくということだけなんですけれども、本論に戻りまして、私は、今、大変大きな社会保障の変化が起こっていると思います。  それはどういうことかというと、高齢者にもっと負担をしてもらえということです。年寄りから、端的に言ったらもっと取れ。医療保険制度改革もそうです。高齢者にどう負担をしてもらうのか、介護保険も端的に言えばそういうことだと私は思います。  「介護保険制度案について」ということで介護対策本部事務局のペーパーがございますけれども、「制度創設のねらい」の第一点目、「老後の最大の不安要因である介護を社会全体で支える仕組みを創設」、これをじっと見ていまして、被保険者は四十歳からだし、社会全体と言うのだったら二十歳からすべきだな、そんなふうにも思いました。ただ、これは実はもっと違うのだ。社会全体というよりも、今まで負担を余りしてこなかった高齢者にも負担をしてもらうという意味から社会全体なんだなと。  また二番目、「社会保険方式により給付と負担の関係を明確にし、国民の理解を得られやすい仕組みを創設」、これは先ほど鴨下委員から発言ありましたように、未納者等々の給付の問題をどうするのかということと絡んでおりますけれども、今回、国保の二の舞になるまいということで、介護保険は未納者対策にはかなり強力な仕組みをビルトインしております。私はひどいなというふうにそれを見て思いましたけれども。ですから、これは「給付と負担の関係を明確にし」という順番じゃないのです。負担と給付関係を明確にするのです。まず負担してくださいよ、負担しなかったらだめですよ、それは国民はわかってください、お年寄りも例外じゃありません、これは一種の老若戦争の始まりなんだなというふうに私は思います。  確かに、大臣がおっしゃるように、財源がなければ何もできないというのは当たり前だと思います。ただ、問題は、どういうふうにして負担をしてもらうのか。特に高齢者の方というのは、貧しい方もおります。裕福な方もおります。その高齢者の方にどう負担をしてもらうのかということは、相当な配慮が要るし、また、どんな負担になるのかということを国民にもっと知ってもらわなければいかぬ、私はそう思います。  よく厚生省は、厚生省だけじゃございませんけれども、政府は、高齢者の所得そしてまた資産というのは非常に最近は上昇してきているという話があります。ただ私は、実際はそうじゃないのじゃないか。非常に裕福な人と貧しい人と二極分化をしている。真ん中をとって判断すると、これは間違えてしまう。貧しい人の方が大変になる。私は、今回の法律案の審査の中では、その点につきまして十分な議論をしていただきたいと思っております。  余り本論と違う話をしておりますと話がだんだんそれていきますので、通告しておりました質問についてお聞きしたいと思っております。  先ほどこの本を紹介いたしましたが、市町村は、今後の財政負担がどうなるのかということについて大変な危惧感を持っております。先ほども佐藤委員の方からも御質問がございました。  例えば、これは多摩にあります一自治体の今後の見通しでございます。総事業費は一体どれだけ伸びるのかということでございますが、一九九五年度は十億三千七百万、二〇〇〇年度が三十一億八千六百万、端数ははしょっております。二〇〇五年度が六十六億六千七百万、二〇一〇年度が百十六億一千四百万、こういうふうに推計いたしております。これは現場で実際にかかっているものを基盤にして出した数字ですから、私はかなり正確さが高いのではないかと思いますが、およそ十五年間で十倍に増加する。十倍というのは、私は大変な数字だと思います。それに伴って市の負担も同様に、九五年度が三億五千万、それに対して二〇一〇年度は三十七億六千万、そういう負担になるわけでございます。これだけ福祉予算が占めるウエートが大きくなるということは、市の財政のあり方そのものが変わってしまう可能性があると私は思っております。  まず、二〇一〇年までの十五年間の試算を自治体がしておりますけれども、この点について厚生省はどういう見通しを持っておありか、その点についてお聞きしたいと思います。
  80. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 私ども高齢者介護費用の試算を出しております。物価の推移等、今後わかりませんので、平成七年度の価格であれしておりますけれども平成七年度では実績二兆二千億円というものが、介護保険導入後の平成二十二年度で申し上げますと、要介護高齢者等の増加あるいは介護サービス充実に伴いまして、平成七年度価格で約六兆九千億ということで、約三・二倍にふえるであろうというふうに推定をいたしております。  ところで、御指摘の東京市町村自治調査会の推計でございますけれども、私ども、試算の前提等々につきましては、話も現段階ではつまびらかにしておりませんので、どのような試算に基づくものかということは必ずしも詳細は明らかではございませんけれども一つありますのは、名目価格でございます。それから、たまたま一市の例ということになっておりますから、その間の人口構成が、どういうふうにその市が変化をしたかというようなことによってその間のふえ方は大分違うと思います。  いずれにいたしましても、今、政府全体のあれで出しましても、ふえるということは申し上げているわけでありまして、それは介護保険だからふえるわけではなくて、東京市町村自治調査会のその記述にもございますように、制度のいかんにかかわらず、先ほどの、公費でやるというその前提に立ちましても、そもそもそういうサービスが必要な状態になったらば同じように費用はふえるという前提で恐らくお考えになっておられるのだろうと思います。されば、そういうことを前提にしてその調査会報告でも、現行の制度のまま推移するよりも介護保険制度の方が市町村の公費負担は少なくなるということをお述べになっておられます。  したがいまして、こういった問題についていえば、やはり今後、そういった意味での介護に要する費用というものは増加はある程度避け得ない、ただし、そこが十倍であるかどうかについては、今のようなことだけでは即断はできませんけれども、それにつきましては、どういうふうにこれを負担をしていくか、どういうふうに負担をし合っていくかということは避けられない論議であろうというふうに思います。  そして、この介護保険法案におきましては、市町村が大変だという側面につきましては、財政面あるいは事務運営面にわたりまして、先ほど先生からもお挙げいただいたようなものも含めまして、支援のシステムというものを組み込んでおるところでございます。
  81. 福島豊

    ○福島委員 今局長は保険制度にした方が市の負担は軽くなりますよというお話をされましたが、それは当初です。当初の見通しで軽くなりますという話でありまして、時間の経過とともにそれがどうなるのかということについてまでこの中では発言はないと私は思います。そこのところは誤解をしていただかない方がいいのではないかなというふうに思っております。  自治省の方にもおいでいただいているわけでございますけれども、十倍かどうかというのは、確かに推計そのものがどうなのか、パラメーターも変わるだろうという話が当然ございますので、どうなるかわからないところもありますけれども、大変ふえるということは事実でございまして、これについて、自治体の財政をどう安定的に運営するのかという観点から自治省としてはどのように御認識なのか、お聞かせいただきたいと思います。
  82. 岡本保

    ○岡本説明員 介護保険の創設にとりまして、いろいろ御指摘ございましたように、市町村からは、保険料の未納でございますとか、当然給付費がふえてまいります、そういう給付費増に対応できるような安定した財政運営の図れる制度にしてほしいという意見が強くございました。  私どもといたしましても、厚生省あるいは大蔵省、関係省庁と議論をいたしまして、今御提案いたしております介護保険法案の中にできるだけそういうものを未然に防止できる仕掛け、例えば保険料の未納対策でございますとか、給付費増に対する完全な精算でございますとか、あるいは国保の反省に立ちました広域調整の規定でございますとかいうものを入れることとさせていただいたわけでございます。  また、そういう措置を講じました上で生じます地方の負担につきましては、所要の地方交付税等の地方財政措置を講じまして、市町村の財政運営に支障を生じないようにというふうな措置を講ずる予定でございます。  今後、給付費等の見込み、どういうようになるか、これはいろいろ御議論があろうと思いますが、今回の法の附則の中にもいろいろな見直し規定等もございます。その中で、地方団体の意見を十分尊重するという規定も設けられておりますし、また、それに基づきまして、市町村の財政運営に支障が生じないように適切に対応してまいりたいという考えでございます。
  83. 福島豊

    ○福島委員 市町村の財政を守るために全力で自治省としては努力していただけるという御見解の御表明かと思いました。  財政安定化基金というのが設けられまして、財政運営上の赤字につきましては、貸し付けをして補てんしていくという制度がビルトインされておりますね。  ただ、私が非常に懸念しておりますのは、総事業費等々が膨れ上がりますと、当然また保険料が引き上がっていく、これは三年ごとに引き上げていくという一つのスケジュールが示されておりますけれども保険料の引き上げ、その三年ごとの引き上げ、物価スライドに合わせてということで済むのかどうかという問題。利用率も高まっていく、したがって、総経費としてはより膨らんでいって、保険料をもっと上げなければいかぬというような事態も起こるのじゃないか。  そうなりますと、保険料が上がると今度はまた未納者がふえる、そういうことも当然起こってくるだろう。そうすると、また赤字が拡大する。確かに、国保に比べると、条件設定がぱぱっとできていますし、滞納者に対しての対策もできているということで、かなり強力にはなっておりますけれども、しかし今後の、十倍にも膨れ上がる、十倍かどうかわかりませんけれども、そういう中では、予想もつかぬような赤字が出てくる可能性もあるのじゃないか。  果たして、この財政安定化基金というようなものだけで対応ができるのか、どっちもこっちも自治体が同じような状態になったらとても全部カバーできないというようなことも起こるのじゃないか、そんなような気がするのでございますが、これは懸念でございましょうか。よろしくお願いいたします。
  84. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険料の設定は三年ごとに見直すということになっておりますが、これは、自治体におきまして五年ごとに介護計画をつくっておる、これを三年でローリングをすることになっております。そうすると、ローリングをする際に、五年間での給付料、サービス基盤がどのぐらいになるかということが見えるわけでありまして、それをもとにして保険料を設定するわけでございます。  したがいまして、またその計画をつくるに当たりましては、関係の地元の意見とかを聞きながら、あるいは実態を把握しながらやるわけでありますが、そういう計画をつくり、それに基づくサービスの供給量を見込み、それを前提保険料を考えていく。それで、サービス利用量も、前の質問先生に対しまして局長が答えましたように、利用率がだんだん上がっていくということも見込んでいるわけでございます。  そういうことを見込みながら、私ども全国ベース、平均で計算しましたところが、資料等でお示ししているところでございまして、例えば十年後ぐらいになりますと、現在、平成七年価格ではございますが、二千五百円が三千五百円ぐらいに上がるというようなことでございます。十分な説明をしていくことによってそれらの御理解を得ていくということになろうかと思います。
  85. 福島豊

    ○福島委員 十分に了解はなかなかできかねるわけでございますが、時間も限られているわけでございますので、次に行きます。  次は、市町村の単独負担につきましてお聞きしたいと思います。  この自治体の推計によりますと、二〇〇〇年、二〇〇五年、二〇一〇年と、市の負担率が二七・七%から三二・四%にまで実はふえている。どうしてふえるのかといいますと、これは法定負担のみではなくて単独負担というものがあるからだと。これは、先ほど申しましたように、介護保険サービス水準に対して、市が現在まで給付してきたサービス水準というのが高い場合がある。それからもう一つは、介護保険サービス単価ということが決められることになります。現在は補助単価ということが決まっておりますけれども、それと、現場で払っているお金、総単価というふうに言うわけでございますが、その差がある。単価差がある。それからまた、サービス水準が違う。そしてまたもう一つは、サービス対象者、要介護者、要支援者等という規定になっておりますけれども厚生省が決める対象の人以外の人も今までのサービスでは対象にしてきている。それを介護保険導入されて切り捨てるのですかと言われると、自治体としてはなかなか切り捨てられない。そこを、そのままずっといったとしますと、市の単独負担というのがどんどんふえていくということを市町村は懸念いたしております。  ちなみに、これも推計でございますが、これは理事会で了解を得ていませんが、大体厚生省の考えている推計と、それから自治体の考えている介護医療の推計というのは、二〇一〇年になりますと三十億の差が出てきます。これは単独負担の部分が出てくるということになる。これは大変大きな負担になるわけでございます。この自治体の単独負担というものを介護保険導入に伴ってどうするのかということについての御見解をお聞きしたいわけです。  まず、単価差の問題。これは、介護保険のときの単価を決めるときに、できるだけ総単価に近い額にしなきゃいかぬし、一たん決めてしまったら、後は単価差があっても知らんぷりということではなくて、フォローアップしていくようなことも当然必要だというふうに思います。  そして、サービス水準の問題ですね。ここのところは、市町村特別給付というようなことが今回の介護保険では述べられているわけでございますけれども、その中で本当に果たして全部対応できるのかどうかというような点。  そしてまた、自治体の単独負担が増加していったときに、その財政的な支援策というものをどうするのか。それはあんたが勝手にやっていることだから勝手にやりなさいということになるのか。  そのあたりの見通しにつきまして、時間がありませんので随分はしょって申しましたが、お聞かせいただきたいと思います。
  86. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険制度から支払われます介護報酬でございます。  これは、施設であるとか在宅であるとか、あるいはまた行われますサービスの種類であるとか地域であるとか、そういうことを勘案しながら定めるということになっております。それにつきましては、今後、在宅サービスとか施設サービスについての実勢費用というのですか、そういうものを把握する、そういうものを把握しました上で、関係審議会あるいは関係団体等の御意見を踏まえながら、サービス提供に係る平均的な費用が支払われるような、そういう額を考えていくということになろうかと思います。  それから、サービス水準関係でございます。  介護保険制度によりまして給付を受けるという人は、当然、介護保険制度による要否判定で要介護者になる、あるいは要支援者になるという方でございます。そういう方以外の人に対する給付といいますのは、基本的には市町村の御判断でやっていただく話なんだろう。いわゆる認定の外ですから、保険のカバーする範囲を超えておりますので、そういうことになろうかと思います。  ただ、これをある部分につきまして、例えば、介護保険制度に基づく保健福祉事業として行うとか、先生がおっしゃいましたような市町村特別給付で行うという道もあるわけでございますが、そういう形でやるのか、あるいは市町村単独事業でやるのか、それは市町村の御判断ではないかというふうに思います。当然、単独事業でやりていくことになりますと、市町村の負担はふえるのだと思いますけれども、これは、介護保険制度の中でそれをどうするかというのは介護保険制度を超えた問題ではないかというふうに思います。
  87. 福島豊

    ○福島委員 今の御意見をお聞きしていますと、介護保険制度の外の話だから市町村で対応してくださいと。それは、時間の経過とともにそういうサービスは廃止せざるを得ないようなことにやはりなっているのではないかなという気がいたします。そういう意味では、私は、今回の介護保険サービス水準を決めるに当たりまして、自治体の実際に行っているサービス水準、そしてまた自治体が必要と思っている対象者ということについてどれだけ御配慮があったのかなというような疑問を持つわけでございます。  時間が参りましたので、引き続きの御質問につきましては、午後の部分でさせていただきたいと思います。
  88. 町村信孝

    町村委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ――――◇―――――     午後二時二分開議
  89. 町村信孝

    町村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。福島豊君。
  90. 福島豊

    ○福島委員 午前中に引き続きまして、大臣、大変御苦労さまでございます。  次は、間接費、保険料の賦課徴収、支払い、財務会計等々の新たな事務の発生に伴う費用につきまして、お聞きをいたしたいと思います。  これは、先ほども申しました自治体の推計では、例えばA市の場合には、九五年度でありますと一億二千二百万円でありますものが、二〇一〇年度には二億六千五百万円と倍増するというように推計がなされております。また、先ほど厚生省の方からは、五百億円と見込んでいるというお話がございましたけれども、ある方は、全体で二千億円ぐらいかかるのではないかというような指摘もございます。厚生省の推計は、必ずしも自治体の試算を積み上げて計算したものではありません。そういう意味では、大幅な違いが出てくる可能性があると思うわけでございますけれども、この点についてはどのように御認識でございましょうか。
  91. 江利川毅

    江利川政府委員 私どもが推計をしておりますのは、似たような業務であります国保の事務、こういうものを頭に置きまして、保険料徴収であるとか被保険者台帳管理であるとか、そういう事務を考えているわけでございます。  一方、老人福祉制度、今の措置制度がなくなるわけでございますので、こういう事務はなくなるだろうというようなことをもとに考えておりまして、介護保険制度ができましたからといいまして、市町村に生ずる事務すべてが新たに生ずるというのではなくて、減少する部分もあるということでございます。  先ほど八百億程度というふうに見込んだわけでありますが、実際にどのぐらい経費がかかるかというようなことにつきましては、そういう推計だけではなくて、実態的な調査もいたしまして、実施までには的確に対応できるようにしたいというふうに考えているところでございます。
  92. 福島豊

    ○福島委員 推計だけではなくて、具体的に調査をして対応したいということで安心をいたしましたが、国保の事務に関しましても、自治体からは超過負担というような声が現状でもあるわけでございまして、そういう意味では、適切な対応をお願いいたしたいというふうに思います。  この間接費のことにつきましては、先ほど大臣は、効率的に行うためには保険の方がいいのだというお話がありましたけれども、保険でありますと、こういう煩瑣な事務が生じます。税で行えば、ある意味ではこういう煩瑣な事務は生じなくてもいい。効率という意味では、私は税方式の方がはるかに効率のいい仕組みであろうというふうに考えております。  それはそれといたしまして、この間接費というものを少しでも軽減をしなければならないというふうに私は思います。  介護保険制度案大綱ではこんなことが書かれております。「被保険者証は健康手帳を活用するなど簡便な事務処理方法について検討する。」三年間の間に検討しなければならないわけでございますが、健康手帳と介護保険の保険者証を一緒にしてしまう、しかも、それを電子カードのようなものにいたしまして、老人保健に関しましては服薬歴、服用薬剤についてもちゃんと書き込めるとか、そしてまた介護に関しましてはケアプランが書き込めるとか、そういう効率化を図るような手だてを、医療費に対しての効率化ということも視野に入れて真剣に取り組むべきなんじゃないかというふうに私は思っているわけでございますが、この点につきましての御見解をお聞きしたいと思います。
  93. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険法案を成立して実施できるというようなことになりましたときに、市町村の事務負担を軽減して円滑に事務運営できる、そういうふうにすることは当然のことであるというふうに考えております。そういう意味で、事務処理の効率化、合理化は図らなければならないわけでございます。そのような観点から、ICカード等の活用を図るとか、全体の効率的な事務処理システムを構築する、そういうものに向けて、施行まであと三年ぐらいあるわけでございますが、さらに検討を進めてまいるということでございます。  健康手帳との一本化というお話もございましたが、老人保健制度の健康手帳と介護関係を一本化するというのは、事務の簡素化とか利用者の便宜という面からは望ましい点が確かにあるというふうに考えているわけでございますが、健康手帳の交付対象者介護保険の被保険者とが必ずしも一致しないとか、いろいろと実際上の問題がありますので、その辺は少し慎重に考えさせていただきたいというふうに思っております。
  94. 福島豊

    ○福島委員 制度間の調整が必要だというふうに思いますけれども医療介護が極めて密接に運営されていかなければいかぬ、そういう視点で、慎重にといいますか、積極的に検討すべきではないかというふうに私は申し上げたいと思います。  次に、利用者負担のことにつきまして申し上げさせていただきたいと思います。  これも自治体が大変に懸念をいたしておるところでございまして、例えばこれは同じく多摩地域の自治体だと思いますけれども、この先ほどの資料ではM市となっておりますが、介護サービス受給者の所得構成は一体どうなっているのかという資料が示されております。これでございますが、これを申し上げますと、ホームヘルパー派遣世帯の所得階層というのは、生活保護法による被保護世帯が一〇%、生計中心者の前年所得非課税世帯が六三%、七三%が実は現在利用者負担がないということになります。それから、日常生活用具給付事業を受けている世帯の所得階層というのは、生活保護法による被保護世帯が六%であり、非課税世帯が五六%で、六三%と。  今回、介護保険導入いたしますと、一割自己負担ということが行われます。これは実際にその場でお金を払ってもらうという仕組みである。この負担について、今まで負担がなかったのに、保険料を払うようになったら負担がかえって出てくるという事態になるわけでございます。それに対しては大変大きな抵抗があるのじゃないか。逆に言いますと、所得の高い人はいいのです。所得の高い人は、一割負担でも今までよりはまだ少ないということが当然起こってくる。低所得の人の方が今までよりも負担がふえるということが起こってくるわけです。そういう逆進性の高いことが起こってくる。  また、先ほども言いましたように、これは医療保険の改革とほとんど軌を一にする流れであるというふうに私は思っております。これでもし払えなければどうするのか。払えない人はサービスは受けられません、そういうことをおっしゃるつもりはないだろうと思いますけれども、自治体ではこういう意見があります。一割自己負担を取るのであれば、最初から九割給付にして自己負担を取るな、もしくは保険料をもうちょっと上げて十割給付にしなさい、そういう意見があります。それは、この自己負担分が低所得者層に与える影響を深刻に懸念する自治体の意見だというふうに私は思います。ドイツの介護保険では、介護保険でございますけれども、自己負担はないはずでございますね。この点につきましての御見解をお聞きしたいと思います。
  95. 江利川毅

    江利川政府委員 利用者負担につきましては、同じ保険料を納めている中で利用する人と利用しない人、そういう人のバランスというのでしょうか、負担のバランス、そういうようなことから、利用する人については利用時に負担をお願いするというのが考え方でございまして、一割という負担にいたしますことによって、かかるコストというものについても認識をしていただくということがあるわけでございます。  先ほどホームヘルパーの派遣の話をされましたが、その自治体の事業実施をつぶさに存じ上げているわけではありませんけれども、現在、ホームヘルパーを派遣するといいますのは、比較的低所得者優先、福祉の措置ですからそういう形で行われているのではないだろうか。介護保険制度になりますと、利用のある人につきまして、より一般的な形で使われるようになってくるのではないか。そういう意味で、その数字割合だけで果たしてこういうことが言えるのだろうか。  それから、非課税の話でございますが、年金受給者につきましては、公的年金等控除という税制上の問題もありますので、実際の所得がどのぐらいあるか、可処分所得がどのぐらいあるかということと、その辺は若干の差異があるわけでございます。  そういう意味で、私どもとしましては利用者の自己負担をお願いしているわけでありますが、数字の比較しやすい施設について申し上げますと、平均的な数字でありますが、特別養護老人ホームの場合には、現在四・五万円ぐらい月にかかっているものが、私どもの試算では、介護保険導入後は四・七万円ぐらいである、あるいは老人保健施設につきましては、日常生活品費などを入れまして今現在一月六万円ぐらいかかっておりますが、そういうものを除いて五万円ぐらいの負担、療養型病床群につきましては、医療施設などで現在月に四・四万円ぐらいかかっておりますが、これが六・一万円ぐらいの負担、これはそれぞれ、その施設にかかる費用が後にいくほど高くなっていますから負担が高くなっているわけでございまして、そういうような数字に見込んでいるところでございます。
  96. 福島豊

    ○福島委員 今の御説明には、余り理解できないところがあります。利用する人としない人のバランスをとるために自己負担を取る、保険ですから利用する人としない人がいて当たり前だと私は思います。しない方がいいわけですよ。するから取るのだというのはどういう理屈なのか。私の頭がきっと悪いのだと思いますけれども、よく理解ができません。  それから二点目の、保険に変わっても余り負担は変わらないじゃないかと数字をお示しいただきましたが、これは平均値だということだと私は思います。平均値では変わらなくても、非常に直撃を受ける人がいるということは事実でございまして、ある首長さんは、首長に鬼になれというのかという発言もございます。これはむしろ保険料にかかわるところでございますが、低年金の人の保険料を直接担うのは自治体だ、一番取りにくいところを自治体に任せている、自治体に鬼代官になれというのかというような御意見すらございまして、これは現場で実際にお金を集めなければいけないという人にとりましては大変深刻な話なのではないか、私はそのように認識をいたしております。  また、この自己負担というのは、医療保険とも話が関連してくるわけでございますが、過剰なサービス利用を避けるというような御意見もどこかであったかのように思っております。しかし、今回の介護保険制度におきましては、サービスの支給限度額ということが決まっておりますし、要介護認定ということで、それにつきまして、それとリンクした形で、全体としてのサービス需要というものが野方図に青天井に上がっていくということはあり得ない制度でございます。そういう制度の中にあえて自己負担を持ち込む必要はないのではないか、私は再度申し上げておきたいというふうに思っております。  続きまして、介護保険導入後に措置制度が残るように資料では御説明がございます。  介護保険導入後も、諸事情により契約による介護サービス利用が期待できず、老人福祉の観点から放置することができない場合に対して、行政による能動的なサービス提供を行う。この場合に、サービスを受給する者が介護保険の被保険者である場合には介護保険から費用が給付される。  これは当然でございますが、無保険者の場合には、措置に要する費用全体について負担能力に応じて徴収されることとなっております。そのように書いておりますけれども、これは最後のセーフティーネットなのかなというふうに私はこの資料を読みまして理解したわけでございますが、この無保険者の場合の措置にかかわりましてどのような費用の徴収をするのか、厚生省の現時点のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  それからもう一点は、この無保険者の措置に要する費用というのは、これは自治体が最終的には負担することになるのか、その点につきましてもお聞きしたいと思います。もちろん、介護保険から出ない部分ですよ。よろしくお願いします。
  97. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 お答えを申し上げます。  その前に、先ほどドイツの介護保険についてのお話がございましたけれども、ドイツにおきましても、形は少し違いますけれども、いわゆる利用者の負担というものは導入をいたしております。施設で申し上げれば、施設の何割額までという限度がございまして、その間は隙間がございます。  今お尋ねの無保険者に対しまする措置でございますれども介護保険は、御案内のとおり強制加入の保険という形で仕組んでおります。したがいまして、保険料を納める、納めないにかかわりませず、被保険者としての立場に変わりはございませんので、そういう意味からいえば、単に保険料を納めないということで無保険者ということになるわけではございません。  したがいまして、保険料を納められなかったから直ちにそれが老人福祉法に基づく措置の対象になるということにはなりませんで、先ほど来のお話関係でいえば、そういう場合には、市町村が通常の徴収努力をまずいろいろしてもらう、それで保険料を納めていただけない被保険者については、納めていただいている方との公平という観点から、いろいろ納入督促等をした上で、例えば現物給付というものを償還払いにするといったような段階的な措置をするということを、先ほど御答弁申し上げたようなことでございます。  ただ、四十歳から六十五歳未満の第二号被保険者につきましては、従来、医療保険の上に乗っかって被保険者からの納付金を納めていただくという仕掛けになっておりまして、四十歳以上六十五歳未満の生活保護受給の方は、国保の場合でございますと、介護保険の適用除外をするという格好になっておりますので、被保険者になりません。この方が加齢に伴います心身の変化に起因する疾病が原因で要介護状態になり、家族の介護放棄等によりましてみずからサービス利用できない場合には、現在と同様に、市町村によって老人福祉法に基づく措置の対象になりまして、この場合の費用は、収入に応じた費用徴収分を除きまして全額公費負担という形でやることになります。  ただし、今申し上げました非常に限定された場合になってまいりますので、その費用というものは極めて小さい部分に全体としてもなるだろうというふうに思っておりますし、地方財政への影響という意味では、これは、従来の老人福祉法と同様に、公費負担分は二分の一を国が負担するというルールになりますので、財政影響としては非常に小さなものであるというふうに考えてよろしいものであろうというふうに思います。
  98. 福島豊

    ○福島委員 局長お話をお聞きしておりますと、無保険者は絶対に出さないぞというかたい厚生省の決意を感じさせていただきました。  引き続きまして、時間も限られておりますので、次の質問に移らせていただきます。  要介護認定とケアプランということでございますけれども、この要介護認定またケアプランの作成というのが、新しい業務でございますが、今回の介護保険の実際の介護サービスの部分で極めて重要なものであるというふうに思います。  先ほども佐藤委員の方から御質問がございましたけれども、要介護認定またケアプランの作成ということは現場で本当にきちっとできるようになるのかな。平成十二年ですから時間もあとわずかしかないわけでございまして、これは大変な数の人をきちっと教育しなければいけない、養成しなければいけない。この点について、どういうスケジュールで養成をしていくのか、その点について厚生省は具体的なプランをお持ちですか。
  99. 江利川毅

    江利川政府委員 まず、中心となる指導者というのでしょうか、そういう人を養成していく必要がありまして、今年度予算では各県十名ずつ、そういう指導者の養成研修を行っております。来年度はさらに、そういう人たちがまた中心になりまして、各都道府県において研修をして人材養成をしていただく、そういうようなスケジュールで進めているところでございます。
  100. 福島豊

    ○福島委員 私は、本年の予算で組まれました事業で十名という数字を見まして、これで本当に足 りるのかなというふうに思いましたので、重ねて聞いたわけでございます。  そしてまた、要介護認定というのは全国どこでも同じように行われるということが極めて大切だ、水準が統一されていなければいかぬというふうに私は思います。これは今のような養成の仕方で果たして保障されるのか、親から子へ、子から孫へと伝わっていく間にだんだん変わるのではないか、そんな懸念もいたしております。そういう意味では、認定の水準をどうやって統一していくのか、きちっとした細かいマニュアルをつくるというような形にするのか、そのあたりのことにつきましても、厚生省はどんなお考えでおるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  101. 江利川毅

    江利川政府委員 要介護認定全国公平に、共通にできるようにするということは大変重要なことでございます。私どもは要介護認定基準を今つくる作業をしているところでございます。  これは以前、特別養護老人ホーム等の入所している人たち実態を把握して、一つのモデルをつくり、基準をつくりまして、それをもとに、現在、全国で六十カ所、モデル事業をやっておりますが、そのモデル事業をやっている中で、その基準のよしあし、あるいは判定のぶれとか、そういうものを検証しながら、より明確な基準をつくろうということで作業をしているところでございます。また、こういう事業を踏まえまして、その認定の手続あるいはやり方のマニュアルなどもつくっていく必要が当然あるというふうに思っております。
  102. 福島豊

    ○福島委員 それから、要介護認定については都道府県に委託ができるという話になっております。例えば大綱では「要介護認定については、効率的な事務処理や専門家の確保といった観点から、連合会、都道府県などへの委託を進める。」そういうように書かれておりますけれども、これからどんなふうに具体的に厚生省として指導されていかれるのか、私は大変懸念いたしております。  要介護認定はやはり自治体で行う、これが原則であるべきだ、身近で行うということが一番いいのではないか、これは先ほど御紹介いたしました自治体の書物でも示されている意見でございます。迅速に置きかえ、そしてまた、変化があったときにもちゃんと対応するためには身近でやってもらわなければいけない。都道府県でやって、たくさん集まってきてなかなか認定が行われないというような事態はやはり避けなければいかぬというふうに思うわけなんです。ですからそういう意味では、小さな自治体でもきちっとこういうことができるように厚生省は指導をしていってほしいし、支援をしていってほしい、そのように思いますけれども厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
  103. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険の保険者であります市町村、そこにおきまして要介護認定を行うわけでありますが、これは介護保険の適用の一番の入り口で、大事なところだと思います。それが市町村の事務としてきちんと行われるということがまず基本でございます。  ただ、市町村といいましても、市町村の規模あるいは地理的な問題、人口の大きさ、さまざまな差異があるわけでございまして、やっていただくのは基本ではありますが、なかなか処理をしにくい事例もあり得るのだろうというふうに思っております。その場合には、周辺の市町村と共同してやっていただくというようなことも一つの選択肢でありまして、そういう方法も法律の中に規定してありますし、そうやる場合には、都道府県支援をしながらそういう幾つかの市町村が共同してやるというやり方もあるわけでございます。  それによりがたい場合、難しいような場合に県に委託をするということもあるわけでありますが、要介護認定するに当たりましては、要介護申請者の、心身の状態調査する、訪問調査するのがまず第一でございます。この訪問調査市町村において行われますので、そういう意味で、都道府県に判定の業務が委託されたからといいまして要介護者と遠く離れたところで事務が進むのではなくて、その状態の把握は市町村においてやっていただくということになっているわけでございます。
  104. 福島豊

    ○福島委員 当初の対応では自治体で十分にできない、都道府県に、また連合会に委託しなければいかぬということがあったとしましても、基本的な考え方として自治体が身近でやるべきだということを私は御確認をいただきたい、そのような思いで申し上げさせていただいた次第でございます。  それから、時間もあと残り少なくなりましたが、不服申し立てのことにつきまして最後に申し上げておきたいと思います。  法案では、不服審査については都道府県に置かれた介護保険審査会に審査請求することができることとなっておりますけれども都道府県では、利用者にとりまして、また請求審査にも迅速性に欠けることになるのではないか。とりわけ、介護が今にも必要だという状態で申請するわけですから、この不服審査のあり方というのをどうやって迅速化するのか、どうやって身近なところに窓口を置くのか、これは私は真剣に検討をしていただきたいと思います。  それからもう一点、オンブズマン制度ということを今回の介護保険法案の中でうたわれていますけれども、どこに置くのか。  これは、オンブズマン業務は国保連合会に設置するというような形になっているかというふうに思います。ただ、オンブズマン制度ということを考えるのであれば、行政の中にといいますか、その中にどっぷり置いてしまって本当にオンブズマンになるのかという指摘は当然あると思います。行政不服審査法の対象とならないような介護サービスに関してのさまざまな苦情であるとか要望であるとか不服であるとか、そういうものを広く受けとめるようなそういう身近な存在として、私は、自治体ごとにオンブズマンの制度、まあ委員会でも何でもいいですが、それを置くような形に改めるべきではないかというふうに個人としては思っております。この点につきましての御見解をお聞きしまして、私の御質問を終わりにさせていただきたいと思います。
  105. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険制度事業をめぐります不服審査、これはいろいろなものがあると思いますが、その一つ先生が今御指摘になりましたのは要介護認定に係る不服審査のことではないか、特に関心を持っているのはその部分ではないかと思います。  通常のいわゆる権利義務に係る不服審査につきましては、三者構成で委員を選んでやっていただくというふうにしているわけでございますが、要介護認定につきましては公益代表だけでやるというようなことで、かつまた、それは人数を事務量に応じてふやすことができる、そういうような形で幾つもの班をつくって、多ければ対応できるというようなことが可能な仕組みになっております。そういうことで、たくさんけが人が来て順番待ちをしなくちゃいかぬということにならないように、迅速にできるような仕組みが考えられているところでございます。  それから、オンブズマン制度でございますが、行政に置く、市町村に置くというのも一つの考え方ではないかと思いますけれども介護保険制度の場合、市町村自身がある意味では事業者でございます。そういうこともありまして、国保連、公的な団体でもありますので国保連に置くということにいたしました。介護サービス事業そのものが一市町村のエリアにとどまらず広域的に民間事業などで行われるのではないだろうかというようなこともありまして、そしてまた、審査・支払い事務を通じて介護サービス事業者と一つのパイプというのでしょうか、そういうものを持っている、関係を持っている、そういう意味で、そこに苦情処理が入りましたら的確な相談とか指導とかが行われるというふうに考えているところでございます。
  106. 福島豊

    ○福島委員 どうもありがとうございました。
  107. 町村信孝

    町村委員長 矢上雅義君。
  108. 矢上雅義

    ○矢上委員 新進党の矢上雅義でございます。  本日は、公的介制度についていろいろ質問いたしたいと思います。  まず、公的介制度はいかにあるべきか、制度の基本理念について改めて大臣にお伺いいたします。
  109. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 介護の問題というのは今多くの国民が関心を持ってきましたし、現実に介護を要する方々が非常にふえてきた。現に、現在でも約二百万人を超える方々が何らかの介護を必要としている。そして、毎年十万人がふえる見込みである。こういう状況において、介護を身内の者だけに、家族の者だけにということでは家族の負担が大変だろう、一家族、一個人ではもう手に負えない面が出てきているのじゃないかということで、社会的に何とか介護支援体制をつくることができないだろうか。  少しでも家族の介護をしている方々の負担を軽減できないかということと同時に、医療の面を考えましても、本来介護を必要としている方が介護施設よりも病院の方に偏っている面が出てきているのではないか。いわゆる社会的入院と言いまして、治療よりも介護の方が適しているのにもかかわらず、病院の方に行く傾向がなきにしもあらず。ということは、本来治療されるべき人にもそのしわ寄せが来ているのではないか。  医療福祉、この両面から考えて、お互い役割分担をしつつ、より効率的な制度を設けて、この流れについてもすっきりとした形が構築できないものかという医療福祉、両面の観点と、それと、今後だれでも、自分が介護を受けなくても家族等身内の方が何らかの形で介護にかかわってくるという状況を想定すると、もう個人だけの問題ではない、社会全体で支えていこうという観点から、今回、介護保険制度導入をぜひともこの国会で御議論をいただき、成立させて、できるだけ早い機会に、平成十二年を目指してこの制度導入されて、そして、実際に具体的に利用される段階で当然また問題点が出てくると思います。よりよき社会保障制度の構築の一助になればなということで、今回、介護保険制度導入をお願いしているところであります。     〔委員長退席、住委員長代理着席〕
  110. 矢上雅義

    ○矢上委員 実は、各種審議会また政府案を見ましても、自立支援をする対象として高齢者に限定されております、四十歳から六十四歳までは一部の理由で特定疾病で認められますけれども。ただ、残念ながら、介護を必要としているのは高齢者だけでなく障害者も同じである、そういう指摘が随分前からされております。  以前の審議会でも、いつでしたか、社会保障の中で介護制度をつくる場合には障害にもきちんと留意すると書いてございますが、今回、政府案におきましても、その以前の審議会におきましても、なかなかそのことが触れられておりません。なぜ、高齢者に限定して若い障害者とか障害者全般を排除する、そういう制度をつくられようとしているのでしょうか、厚生省にお伺いします。
  111. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険制度対象者をどこまで広げるかというようなことにつきましては、大変な、いろいろな角度からの議論があったわけでございますが、この法案におきましては、今先生がお触れになりましたように、基本的には六十五歳以上の高齢者で、四十から六十五歳未満は特定のケースが対象になるという形になっているわけでございます。  障害者施策につきまして、これを介護保険に入れないというようなことになりましたことについて、幾つかの理由があるわけでございます。  一つは、障害者施策が現在公の責任で行われている、そしてまた、これはそういう形で行うべきであるという関係者の意見が強いというのが一つでございます。  それから、障害者施策のうちの一部につきましては、市町村で一元的に行われていない。老人につきましては、施設サービス在宅サービス医療につきましても市町村で一元的に行われておりますが、障害者施策につきましては、一部は必ずしも市町村で一元的に行われていない。  それから、障害者の介護サービス介護ニーズ、こういうものが非常に多様である。老人の場合には介護の援助、日常生活支援ということでありますが、障害者の場合にはそれが大変多様である、同じような形でなかなか議論できないところがあるというようなことでございます。  そういうこともありまして、現在の障害者施策をそのまま介護保険制度に乗せられるかどうかということについていろいろ問題があり、なお検討すべき点も多くて、また、これらの点について関係者の間での認識も必ずしも一致していない、そういうことから介護保険には直ちに入れないという形にしたものでございます。  なお、若年障害者につきましては、障害者プランというものに基づいてサービスを提供していく、サービス水準を向上させていくということになっているわけでございますが、この介護保険給付の適用に入れるか入れないかという問題につきましては法実施後ということになるわけでございますけれども、そういう障害者プランの実施状況であるとか、障害者関係審議会における検討の状況であるとか、そういうようなことを踏まえまして、この法律案の附則にも所要の見直し規定、検討規定がありますが、その際に改めて検討させていただく、そういうふうに考えているところでございます。
  112. 矢上雅義

    ○矢上委員 ところで、障害者については別枠できちんと基本的にやるというお答えでございますが、それでは、これだけ大きな問題になっているところでございますから、例えば精神薄弱者、今は知的障害者といいますか精神障害者の方、身体障害者の方、その総数と今本当に介護を必要としていらっしゃる方の数、そのくらいの数は出ると思いますが。
  113. 江利川毅

    江利川政府委員 今手元にあります資料で見ていきますと、身体障害者の数は全体で二百八十万、そのうち介護を必要とする者の数九万三千人、精神薄弱者の数は二十八万人、そのうち介護を必要とする者の数は約一万六千人、精神障害者の数は百二十四万人、そのうち介護を必要とする者の数は約九千六百人ということでございます。
  114. 矢上雅義

    ○矢上委員 ただいま公表されました数字ですが、厚生白書を見てみますと、身体障害者が二百九十五万人、精神薄弱者が三十九万人、精神障害者が百五十七万人の総数となっております。また、若年介護者数ということで、統計自体が十八歳から六十四歳までの統計だと思います。今言われた要介護者の十二万人というのは十八歳から六十四歳までです。障害者全体の総数をあらわすものではないと思われますが、障害者全体の要介護者数というのはいかほどになるのでしょうか。
  115. 江利川毅

    江利川政府委員 先ほど私の申し上げました数字はちょっと不正確で大変恐縮でございました。先ほど申し上げましたのは在宅障害者の数でございまして、先生が今御指摘になりました数字施設に入っている人も含めた障害者の数だと思います。  大変恐縮なんですが、私の手元にあります資料が全体の合計のうち四十から六十四歳の間の要介護者のデータしかございませんが、それによりますと、身体障害者二百九十五万人のうち四十から六十四歳の要介護者の数は七万七千人ということでございます。障害者のうち在宅であって介護を要する人の四十から六十四歳の人というのは七万七千人ということでございます。
  116. 矢上雅義

    ○矢上委員 改めて申しますが、私の手元にある資料も多分同じ資料だと思いますが、十八歳から六十四歳までの要介護者数と書いてございまして、在宅者か否かとは書いてございません。  それともう一つ、十二万人とか七万人とかおっしゃいますが、国会図書館でいろいろアンケートを調べました。つまり、一部介助が必要かどうか。入浴について一部介助が必要だと答えた方が、身体障害者二百九十五万人のうち五十五万人おられます。また、食事については一部の介助が必要だという方は二百九十五万人のうち二十三万人、トイレについて一部介助が必要だという方は三十二万人おられます。  入浴を例にとりますと約五十五万人、まあ六十万人近い方が何らかの一部介助が必要だ。これは、改めて言うと、虚弱者、老人介護の場合の虚弱者に当たるホームヘルパー程度の派遣から考えられる数字だと思っておりますが、仮にこの五十五万から六十万の数字障害者の要介護者数として正しいとして、果たして障害者プランの策定上これを十分満たし得るのでしょうか。
  117. 江利川毅

    江利川政府委員 大変申しわけないのですが、今の数字、ちょっと確認はできないのですけれども、今のお話で出てきました数字はひょっとしましたら障害者全数の中での数字ですので、六十五歳以上の高齢障害者を含む数字ではないかというふうに思うわけでございます。大変恐縮ですけれども、調べましてきちんと説明を後でさせていただけませんでしょうか。
  118. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 大変恐れ入りますが、障害者プランの関係につきましては、担当部局、きょう参っておりませんので、障害者プランにつきましても、公費の世界の中で、今回の介護でいろいろあれしています介護サービスに引けをとらないような整備を進めていくという方針でやっておりますけれども、具体的な答弁につきましては後日にお願いをいたしたいというふうに思います。
  119. 矢上雅義

    ○矢上委員 身体障害者一般を含むかどうかという問題は、この介護制度にとって一番重要な問題であると私は認識しておりますので、局長がおっしゃる、きょうは準備していないからというのは……(羽毛田政府委員「担当は障害ですので」と呼ぶ)担当がいないというのは準備していないということですから。私はこれは通知はしていませんけれども、これはだれが考えても論点になることですよ。そのだれが考えても論点になることを、その要介護者数さえ調べていない。  では、改めて申しますが、平成十四年度までの計画目標である障害者プランの収容能力というか、定員はどれだけですか。
  120. 江利川毅

    江利川政府委員 障害者プランは、障害者の態様、施設の態様によりまして目標がそれぞれ異なっているわけでございます。  グループホーム、福祉ホームにつきましては十四年度に二万人にするとか、重症心身障害児等の通園事業につきましては千三百カ所にふやしますとか、身体障害者の療護施設につきましては二万五千人までふやすとか、精神薄弱者の更生施設につきましては九万五千人にふやす等々の目標が掲げられているところでございます。
  121. 矢上雅義

    ○矢上委員 障害者プラン、平成十四年度までにホームヘルパー十四万五千人、いろいろ合わせても大体二十万人から三十万人ぐらいの介護能力しかないのじゃないだろうかと思っております。  ただ、国会図書館で調べた、五十五万人以上の要介護者がいることに比較しますと半分しか満たしておらない。その半分しか満たしておらないということをきょう質問してもすぐ答えられずに、障害者の方は基本政策できちんとやりますからお任せくださいという答弁ができるでしょうか。厚生大臣にお伺いします。
  122. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 障害者については、既存の公費で措置するということで何とか対応したい。  今回、新たに介護の方は保険を導入しますから、その点について若干準備について不備があったという点は否めないと思いますが、後ほど調査して御報告いたします。
  123. 矢上雅義

    ○矢上委員 この問題は大事な問題ですので、いろいろ論点を探してまた委員会質問させていただきたいと思います。  次に、二番目ですが、公的介制度実現のための財源案について。  これまで、二十一世紀福祉ビジョン、平成六年三月、社会保障将来像委員会第二次報告、平成六年九月、「高齢者介護保険制度の創設について」平成八年四月、老人保健福祉審議会というように、公費負担方式ではなく社会保険方式でいくということで一貫して脈絡が流れておりますが、なぜ公費負担方式ではなく社会保険方式でなければならないのか、厚生省にお聞きいたします。
  124. 江利川毅

    江利川政府委員 社会福祉の施策は、当初は低所得者等に向けた施策で始まったわけでございます。それが、だんだん福祉で対応している事案が一般化してくるという中で対象者を広げ、一方、その中に所得に応じた費用徴収というものを入れまして事業が拡大していったわけでございます。  ただ一方、社会保険の仕組みといいますのは、将来起こり得る事故に対しまして、例えば病気になる、これはある意味で自分の生活にかかわることでございますが、それに備えて保険料を納めてそういうものに備えていく、社会保険方式でやる、こういうもので医療等が行われてきたわけでございます。  高齢者の要介護状態の発生といいますのは、昔からずっとあるというよりは最近になって特にふえたものでございます。医学の発達で例えば脳卒中になっても若干障害を残しながら長生きをするとか、そういう事案が最近になって起こってきた課題でございます。そしてまた、家族そのものも変化をして、高齢者世帯、そういうものの割合がふえて、片方が要介護になりますと、年をとったもう片方の配偶者では対応できないというような問題があるわけでございます。こういうことでやってきまして、新しい時代に対応する。この要介護というのは、最近のあれで見ますと二人に一人ということでかなり頻度の高い、そして、配偶者や家族を含めますと必ずどこかでかかわりを持つ問題ということでございまして、そういう一般的な事案にはまず社会保険がなじむのではないかということでございます。  それから、社会保険制度でやりますと給付と負担の関係が明確であるということで、今後、高齢化の中でふえていく介護問題につきまして国民の理解を得やすいというふうに考えていることが一つでございます。  それから、利用者の選択によりましてサービス利用が可能になる。また、利用に応じて受益に応じた負担をお願いする。また、民間事業者など多様な事業者の参入が可能になる。  こういうようなことから、社会保険方式によることが現行の制度をより効率化する仕組みとして適当ではないかというふうに考えたところでございます。
  125. 矢上雅義

    ○矢上委員 社会保険方式のいいところもあれば悪いところもありますが、欠点についていろいろお聞きします。  未納の問題です。例えば介護保険料を払わない人たちの問題ですけれども医療保険、国民健康保険を払わない方がおられます、滞納されたり、あと減免されたりして免除されておるとか。その方たちは、第二号被保険者としてもなかなか保険料を徴収することは難しいだろうと思います。また、第一号被保険者の六十五歳以上ですけれども年金から天引きとされておりますが、そもそも無年金者の方がおられます。結局、公的介護保険制度でいきますと、国保の滞納者と国保の減免者、また六十五歳以上の無年金者からは保険料が取れなくなってしまいます。  このそれぞれの数の総数と、一月当たり、また一年当たりの欠損額について明らかにしていただきたいと思います。
  126. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険制度はこれから実施していく制度でございますのであれでございますが、私どもとしては、できるだけ、保険料を納めない、そういう事態が来ないように制度的な仕組みを考えているところでございます。  一つは、四十から六十五歳未満の第二号被保険者につきましては、医療保険と一体的に介護保険料を徴収するという形にしておりますし、六十五歳以上の第一号被保険者につきましては、一定額以上の年金を受給している人につきまして年金から介護保険料を天引きする。六十五歳以上の人でいいますと、七割ぐらいがその対象になるのではないか。全体の費用負担の中の五%程度を市町村が独自に御徴収していただくということになるわけでございます。そしてまた、国保につきましては、七十歳以上の人の国保の保険料の納付状況を見ますと、九九%の方が納めているということでございます。  そういうことでございまして、介護保険制度の意義、それからまた、多くの高齢者が老後の問題として介護について不安を持っているという現状、そういうことを考えますと、滞納問題というのは余り起こらずに進めていけるようになるのではないか、また、そのように努力をしたいというふうに思っているわけでございます。
  127. 矢上雅義

    ○矢上委員 質問に全然お答えにならないので困ったのですけれども、総数とか、一月の欠損額、一年間の欠損額です。  念のため申しますと、平成八年六月現在で国保の滞納世帯数が二百九十六万世帯、家族数が一・七人と計算しますと滞納者が五百万人、掛ける千二百五十円で六十二億五千万円、これは一月分ですね。もし間違っていたら次にまた訂正してください。国保の減免世帯数が六十万世帯ですから、一・七掛けると減免者が百万人で、千二百五十円掛けると十二億五千万円。また、無年金者が百六十万人で、これに二千五百円掛けますと四十億円。総額、一月で合計百十五億円です。症状の一番軽い要介護者にかかる費用が、厚生省の資料によりますと、ホームヘルパーさんを活用して月に六万円ですよ。一人六万円です、一番軽い方で。それで、百十五億円を六万円で割ったら、一体どれだけの要介護者数になりますか。お答えください。
  128. 江利川毅

    江利川政府委員 ちょっと数字を正確に覚えていなくて恐縮ですが、今、一万六千人ぐらいになるのかなということでございます。間違っていますでしょうか。
  129. 矢上雅義

    ○矢上委員 私も文系で、数学は余り強くないのですけれども、私の計算だと十九万二千人になるのじゃないかと思っております、一月ですね。  そしてまた追加して言いますと、特別養護老人ホームに入所した場合、二十九万円で割ると、大体一月に四万人が入所できるような計算になります。これは私も金額が大き過ぎて見たことがないもので、ちょっと間違いがあるかもしれませんが、これはきちんと精査してください。  ただ、これもごく当たり前のことです。欠損額がどれだけ出るか、それでどれだけの人がサービスを受けられないか、だとしたらどういうように未納対策をやるか、また逆に、未納対策が難しいとすればどこでむだを削るか、それが一番大事な問題だと思っております。これはこれ以上やっても、電卓がございませんので、次に進ませていただきます。  次に、実は先ほど午前中の審議で気になりました行政措置の問題についてでございます。  行政措置につきまして、先ほど羽毛田局長が、行政措置は役所がサービスを配ると。昔風に言うと権力者が恩恵を庶民に配るみたいな形ですけれども、行政措置制度と一口に言っても保育園制度、そしてまた公費負担方式と言っても大学があるわけです。  大臣にお聞きしますが、自分の子供が仮に保育園に通うときに、また大学に入るときに、行政措置だからといって、まるで収容所にでも行くかのように暗い顔をして通学しますか。それは大臣局長にお聞きします。
  130. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 措置をとった場合のいわば利用者にとってのデメリットについてのお尋ねでございます。  現在、福祉の措置でとられております仕組みにおきましては、一つは、やはり税でいわば限られた方に、やや象徴的な物言いをいたしましたから役所が配ると申しましたけれども、お許しをいただければ、役所が配るという形で、例外的に低所得の方にそういうサービスを配るということになりますので、利用者の方の所得能力を把握するということで所得調査というようなものが入ってまいります。そういうことについてのものがございますし、その所得能力に応じまして負担が、先ほど申し上げましたように、中高所得者にとりましては相当な負担になってくるというようなことはございます。そういった面での、所得調査というようなことに伴う心理的な抵抗というようなものも含めての手続面での使いづらさというものが現行の制度にはございます。  しかし、保険制度にしますれば、そこに――それはやはり程度の問題ではあろうと思います。それは、現在の仕組みがそうであるから絶対的に、公費でやれば宿命的にそこまでそういう形がぎちぎちだとは申しませんけれども、相対的に言えば、保険給付として、負担をする、負担に見合ったものとして、権利として給付が付与されるということになれば、それは、今のような部面でいえば、まず所得調査というようなものはございませんし、一定の負担を払えば権利として給付が受けられる、また、給付につきましてもみずからの選択という形で、先ほどの、役所が配るというものを措置という、いわば行政処分という形式でやられているということとの対比でいえば、より契約に近い形でやられるという点でのメリットがあるだろう。そういう彼我の比較ということを申し上げさせていただいたわけでございます。
  131. 矢上雅義

    ○矢上委員 教育の分野を先ほど例にとりましたが、例えば保育園、小中学校、大学と、各種、公民入り乱れて、また今は幼児のころから学習塾と、すべてにわたって自由競争が行われております。つまり、権利性もあるし、十分選択性もあるし、民間活力も既になされておる。  例えば保育園は厚生省の分野ですよね。保育園でさえそれだけ立派に成長しておるのに、障害者福祉、そして高齢者福祉が、局長が先ほどおっしゃったように、サービスを配るという発想でとらえられているとすれば――一つ違いがあると思うのです、子供と障害者とお年寄りと。子供の成長というのはみんな親は楽しいから、喜んで出しますよね。でも、障害者の面倒とかお年寄りの面倒というのは、しなくちゃいけないと思っていてもつい面倒くさいなと、やるのだったら嫌々やるみたいな、そういうのが私も含めてみんな心の底に少しはあると思うのですよ。  実は、うちの父ももう死んで、いないのですけれども、五年間、在宅施設と入っておりましたが、亡くなったとき、ほっとしました、はっきり言って。小泉さんがおっしゃるように、死んでかわいそうという気持ちが半分と、やっと救われたという気持ちが半分で、葬式のときはいわゆる寿ですよね、長寿というように。  ですから、基本的に、厚生省局長がどうのこうのと言うよりも、人間すべて心の中にそういう裏と表の部分があるわけですから、もしいまだに行政措置という言葉が、名前自体でそういう差別的な発想が思い浮かぶということは、私も反省しますけれども厚生省の中でもきょうこれから切りかえないと、すべて行政措置が悪いように聞こえますから。  この問題はとりあえずこれであれしますが、もう一つ最後にお聞きしたいのです。  今回の公的介制度ですけれども、社会保険が半分と公費が半分入っておりますね。社会保険方式であれば増税の苦労がないとか先ほどおっしゃいましたが、本当に、社会保険方式をとって今回公的介護保険制度導入すれば、与党の議員の皆様初めとして政府は、今後、福祉にまつわるというか公的介護にまつわる、関係する増税については一切関与しないということでよろしいでしょうか。また大臣答弁をお願いします。
  132. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 一切増税に関与しないとかいうのは国民と政党政治の選択の問題でありますから、よりよい給付を受けるためには必ずどこかで負担しなければならない。これはもう避けられません。どんな政党が政権をとったとしても、ただのものはないという観念を持たないとこれからはやっていけない。  そういう中にあって、今、公的介制度が必要だという声がかなり多数の国民から出ている限り、その部分を全部税で見ようとなると、税源を見つけるところはないと思いますね。直接税、法人税にしても所得税にしても、あるいは消費税にしても。となれば、現状の枠内でそれだけの需要を満たすためのサービスを提供するためには、国民全体で負担してもらわなければならない。  税と、利用者が選択できる保険で賄う方がより多くの国民の理解を得られるのではないかということで、保険の方がどちらかといえば、一つの考え方として、自分の払う保険はこの介護のために使われますよという形で、考えようによっては社会保険というのは目的税的な一種の税ではないかということも考えられるわけであります。自分の税がどこに使われるかわからないよりは、自分の納めた保険料がこの介護のために使われます、そして、いずれ自分が実際に適用される場面に遭遇した場合にはサービスの選択が可能ですよ、そしてまた、家族の介護をする場合にもそういうサービスの提供が受けられますよ、一割の負担で受けられますよという形で、不備ではあるけれどもまず導入しょう。公的介護保険制度が必要だという声にこたえるためには、私は、現状の財政状況を考えるならばこれしかないのではないかというふうに考えております。
  133. 矢上雅義

    ○矢上委員 公的介制度について、私の理解が間違っていたら御指摘いただきたいのですけれども、各種資料を見ると、施設基盤整備は当面は 一般の財源で支援する、そして、いわゆる介護サービスの運営費は公的介制度で賄う、そういうふうなとらえ方を私はしております。もし間違っていたら後から指摘してほしいのですけれども、もう一回言います。施設整備は当面一般財源で面倒を見る。介護サービスの運営費は公的介護保険制度で面倒を見る。  そうした場合に、ここ数日、委員会で、公費負担方式ですか、税金を使って基盤整備を進めようとすると、どうしても大蔵省の財政のコントロール下にあって基盤整備は進みにくくなる、だから、やはり公的介護保険制度を持ってきて、介護者、要介護者のニーズに合わせて基盤整備を進めるのだという答弁がなされております。  ただ、その施設基盤整備を一般財源でやるとすれば、当然、財政のコントロールが働いて施設基盤整備が進まない。施設基盤整備在宅サービスは今リンクされて非常に連携されておりますから、施設基盤整備が進まないままでいると、結局、それに引きずられる形で在宅の介護サービスの量とか質も進まなくなる。そうなると、保険料は払うけれども在宅サービスは進まない。そして、施設にお世話になろうかと思ったら、施設は税で面倒を見てもらっているわけですから、非常に抑制されて施設整備も進まない。そうすると、保険あってサービスなしという形になるのではないでしょうか。
  134. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 今の先生お話に関連をいたしますと、今後の財源という側面で申し上げますと、特別養護老人ホーム等の施設整備につきましては、従来同様、公費をそこに投入していって整備を進めるというのはそういうふうにしていますが、一方、介護保険方式をとりますけれども、財源について、これにつきましても公費を二分の一入れるという形で、つまり、全面的に税財源に依存をしたのでは一つの側面としてなかなか思うようにサービスも伸びないという側面を申し上げたのでございまして、今後のあれのときに、基盤整備施設整備は公費、それから介護サービスは全面的に保険料という形ではなくて、今のようなある種のミックスの形でやるというのが今回の提案の趣旨でございます。
  135. 矢上雅義

    ○矢上委員 私の質問の趣旨は、介護サービスの方で社会保険料と公費が半々かという部分ではなくて、施設整備に当面一般財源が充てられて税金が充てられるということは、先日から皆さん方が議論しておられた、税金でやると、公費負担方式でやると基盤整備が進みませんというのと矛盾しませんか。特に、ショートステイとかデイサービスというのはその施設をもとにして在宅サービスも行うわけですから、施設整備が公費負担方式で整備がおくれる、それに引きずられて公的介護保険制度充実がおくれる、そうなると、また何遍も繰り返しますが、保険あって給付なし。いかがでしょうか。
  136. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 今後におきましても、こういった介護の部分におきまして公費の果たす役割というのは依然として大きいものがございます。そういう意味で、介護基盤整備という意味での特別養護老人ホーム等への公費投入ということは今後もやっていかなければならない。  しかし、それに全面依存したのでは、一方において、そういう介護サービスそのものを伸ばすということを考えました場合には、今おっしゃいました、ホームヘルパーの派遣でございますとか、あるいはショートステイ、デイサービス、それは単に箱物をつくるということではなくて、むしろ、その中において人が働きまして、その必要な人に介護を与えるという事業そのものにつきましての財源をどこに求めていくかという部面におきましては、これは税のみならず保険料というものを組み合わせたやり方がよろしいのではないかということで申し上げているわけであります。
  137. 矢上雅義

    ○矢上委員 ちょっと時間がございませんので、これは宿題にしておきます。ただ、今の答弁ではよくわかりません。宿題にしておきます。  ついでに、今、介護サービスの供給体制についてとか施設整備についてお聞きしておりますので、ちょっと三番の項目に入らせていただきますが、ホームヘルパーの計算方法。  新ゴールドプランが十七万人ですね。その十七万人というカウントの仕方は、八時間労働のフルタイムのヘルパーさんなのか、二時間とか四時間のパートタイム的なヘルパーさんも含めたものなのか。もし仮に四時間しか働かないヘルパーさんが十七万人いても、この数字の十七万人ではなくて八万五千人になってしまいますよね。もし十七万人ですと、一人三人面倒を見たとして五十万人のサービス能力がありますが、八万人だと、八万人掛ける三人で二十四万人しかヘルパーさんが面倒を見る能力はなくなるわけですけれども、このカウントについて、きちんとしたお答えがいただければ。よろしくお願いします。
  138. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 新ゴールドプランの挙げておりますホームヘルパー十七万人でございますけれども、これにつきましては、基本的には各自治体で計画をしておられますもののいわば集大成でございますけれども、その各自治体で計画をされますときには、ホームヘルパーがやります業務量を計算しまして、実態的には、これを常勤だけではなくて非常勤もその中に入ってやっておられるというのが実態でございます。したがいまして、この計算の十七万人自体は非常勤、常勤を含めた数字でございます。  その含めた数字でもってどういうところを目標にしておるかということで、私ども、こんなところを参酌して計画をつくってくださいということで申し上げておりますのは、それぞれ、ホームヘルパーでございますと週に三回から六回ぐらいは行けるようにとか、あるいは、デイサービスについてこのくらい行けるようにというような一つの目安を示しまして、それにのっとって、業務量といいますか、それをはじきまして、そして、それを常勤、非常勤の組み合わせでもって達成をしていくという前提ではじかれた十七万人でございます。  したがいまして、先生言われるように、常勤換算をすればその分もうちょっと少ない数字ではないかと言われれば、数字的には確かにそういうことになります。
  139. 矢上雅義

    ○矢上委員 一番みんながわかりやすいのは、今おっしゃった、週に何回というのも実務の現場においてはわかりやすいですけれども、この厚生委員会において一番必要なのは、常勤でも非常勤でもいいのですけれども、結果としてこの十七万人が何人の人を面倒見切れるのかということをお聞きしたいわけです。その点についてお答えください。
  140. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 平成十二年度時点におきまして、要介護者の四〇%の方々に対して、このぐらいがこのサービスホームヘルパーについていえば利用されるであろうということで、その意向に沿うような形ということで計算した数字でございます。
  141. 矢上雅義

    ○矢上委員 これからたっぷり時間がありますので、ちょっとここは時間の関係で、また何遍も質問しますから次までにつくっておいてください。多分これ以上追及しても答えが出ないようです。  審議してくださいということでこの場に立たされて、ごく単純なこと、これは何も私が頭がよくてつくったわけじゃない。介護保険制度の簡単な薄い本にでも全部書いてある。その基礎的なことの想定問答集さえもつくっていないということは、本気で通す気があるのですか、局長
  142. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 常勤、非常勤で申し上げれば、十七万人のうち三対七という形で常勤、非常勤を計算した結果でございます。
  143. 矢上雅義

    ○矢上委員 要するに、きょうの時点で、何人面倒見られるということをはっきり答弁できるのですか、できないのですか、それを明確に今答えてください。時間の都合がありますから、できなければ、これはまた論点としてきちんと整理していかなければいけないですから。
  144. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 済みません。パーセントまであれしていましたけれども、計算を手間取りまして、失礼をいたしました。  要介護者の四〇%程度に見合う部分の在宅ホームヘルパーですから在宅でございますけれども在宅の四〇%に見合うぐらいの人数の面倒が見られますということを申し上げましたので、人数で申し上げれば、実際は少し使われる人、多く使われる人ありますからあれですけれども人数で申し上げれば、端的に言えば、八十万人相当の者の面倒が見られる数字になっておるということであります。
  145. 矢上雅義

    ○矢上委員 今、ヘルパーさんが約十万人いて、それで派遣された世帯数を割ると三・一世帯なんですよ。ホームヘルパーさんが一人で多分三人ぐらい面倒を見ているのです。先ほど局長がおっしゃったのは、十七万人のヘルパーで八十万人見ますよ。一人で約五人ですよね。一人で三人面倒を見ているのが一人で五人面倒を見られる根拠はいかにあるのでしょうか。
  146. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 その点は、要介護方々がふえてまいりますと、実際上、見て回ると今はある種のロスがどうしてもございます、そういった合理化、効率化できる要素というものがございますので、そういったものも含めていえば、数字で申し上げればそのようなことができるということで計算をいたしております。
  147. 矢上雅義

    ○矢上委員 これ以上ここはやらずに、また次の機会にやらせていただきますが、ちゃんと次までにきちんとやっておいてください。  次に、時間がどんどん行ってしまいますが、質問の四番で、要介護の有無を認定する方法についてお聞きします。  これは一番切実な問題ですが、まず要介護認定のやり方について、簡潔に、その構成とか構成員の役割とかお答えください。
  148. 江利川毅

    江利川政府委員 要介護認定の流れでございますが、保険給付の申請がありますと、一つは、生活状態調査する。訪問して調査をします。それからもう一つ、かかりつけ医師が意見を述べます。その両方を介護認定審査会にかけまして、そこは保健、福祉医療の専門家のいるところでございますが、そこで判断をしていただいて、その判断に基づきまして市町村認定をするということになります。
  149. 矢上雅義

    ○矢上委員 一般的な仕組みとしては、申請を受けて調査員が家庭に派遣されて、そしてペーパーに問診票みたいに書いて、それを専門家のところに持ち帰って見てもらうという形だと思います。  実は、私の父が半分寝たきりになったときに、体が大きいものですから、ふろに入れることができませんでした。それで、入浴車の申請を、もう七、八年前ですか、十年近く前に頼んだのですよ。ちょうどそのころ、寝たきりにさせたままではだめだということが医者の世界でも言われ始めまして、私のかかりつけのお医者さんから、お父さんは昼間は一時間でもいいから座らせておきなさいということで、ちょうど小泉厚生大臣が座っておられるような姿勢で座らせておいたのですよ。そうしたら、私は昔ホテルをやっておりましたので、スーパーに夕食の支度に買い物に行ったら、その間に市役所の方が来られて、矢上さんのところは息子さんもおられる、お父さんも座っておられるということで、入浴車の申請が却下されました。却下されて、それでは不服申し立てすればいいじゃないかと言われても、私はそのころ素人ですから、ああ、やはりだめなんだなと。そんなものですよ。役所を相手にして、わざわざけんかまでして申請を取り戻すということはあり得ないと思います。  ですから、幾ら専門家がついておっても、その訪問調査員の意識と経験が少なければ、公的介護保険制度の大変な欠陥になると思います。訪問調査員という一番末端の人たちが一番重要な役割を負うわけですから、その辺の資格とか経験をどのようにお考えでしょうか、局長
  150. 江利川毅

    江利川政府委員 調査員の資格につきましては、現在検討中でございますが、一定の資格を持っていて、かつ、介護につきまして研修等を受けて知識を持っている人、そういうふうな形で考えております。
  151. 矢上雅義

    ○矢上委員 この問題については、アドバイスですが、いろいろな失敗事例が各市町村に蓄積されております。しかし、厚生省の皆さんが行ってもなかなか言わないと思いますから、もっといろいろな角度からいろいろな手を使って訪問調査の失敗例というものをきちんと集められた方がよろしいと思います。その上で、また後日、どのような結果になるかはお聞きいたします。  時間がもうあと十分しかございませんので、少し問題を飛ばしまして、最後の八番、介護問題に関連して、家政婦さん、いわゆる付き添いさんの問題を質問させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。八番の付き添いさんの問題に移らせていただきたいと思います。  平成八年四月からですか、健康保険法の改正によって付き添いさんが病院から出されてしまったわけですけれども、その後の病院の中における混乱というものを厚生省はどのように御認識でしょうか、お聞きいたします。
  152. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 付添看護の関係でありますが、まず、原則として平成七年度末までに解消するということで、ただ、経過措置を設けておりまして、例外的に平成九年、ことしの九月末までは一定の経過措置を設けておりますので、そういった意味では、ことしの九月末まで付き添いがっくケースがございます。  昨年の十月一日現在で厚生省実施しました調査で見ますと、既にこの経過措置の数ということになるわけでありますが、病院については三百十七カ所、診療所が六百五十二カ所、この経過措置によってまだ付添婦の方がついておられます。  また、平成七年九月の付添看護実態調査を見ますと、付添看護を解消した病院においては、一病院当たり看護職員四・七人、看護補助者七人が新規に採用されておりまして、また、夜間の看護体制でございますけれども、当直制から二交代制をとる病院が増加しておる、このようなことで看護サービス充実が図られてきているというふうに認識しております。
  153. 矢上雅義

    ○矢上委員 私がただいまお聞きしたのは、病院の混乱をお聞きしたのであって、どの病院がどれだけ完全看護に移ったかをお聞きしたのではありません。  実態を申しますと、今、家族しかつけないようになっておりますが、実態は家族と偽って付き添いさんをつけております。ただし、院長さんと婦長さんにばれると、すぐ出ていってくれと言われます。しかし、看護婦さんに聞くと、何とかおってくれと言われます、付き添いをやってくれと。  その理由はわかりますか。看護婦さんは注射を打ったり点滴を打ったり、手がきれいな仕事を処理しますよね。一人の人間が下の世話をして、大便の世話をしていて手が汚れている状況で、急に呼び出しボタンが鳴って、いきなり今度は点滴をかえるとか注射をしなくちゃいけないとか、できませんよ。業務上、なかなか急にシフトはできない。それも、ちょっと待ってくださいねと言える仕事ではなくて、呼ばれたらすぐ行く仕事で、さっきまで手が、手袋はしていますけれども、手が大便で汚れているのに、いきなり点滴をかえに行ったり注射を打ったりできないわけですよ。そういうことで、看護婦さんからすると、何で付き添いさんを廃止したのだろうというわけですよ。  そこで、なぜ付き添いさんを病院から締め出したのか。それは法律の根拠に基づくのですか。きちんとした根拠に基づくなら基づくで説明してください。なぜならば、寝たきりになると腰とか足とかいっぱい床ずれして、皮膚よりさらに食い込むと、腐り出すととまりませんよ。生命とか健康に影響するから、家族は何とかつけたいと思ってつけるわけですよ。せっかくの愛情とか人権的な問題で付き添いさんをつけるのに、それを出したということはよほどの法的根拠があると推測できますが、いかがでしょうか。     〔住委員長代理退席、委員長着席〕
  154. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 付添婦さんによる付き添いを必要としない看護あるいは介護体制というものを早急に確保していかなければならない、これはかねてからの大変な懸案であったわけであります。  そういった中で、平成六年に健康保険法等の一部改正がございまして、その法律の附則四条の中に、付添看護療養費を平成八年三月三十一日までは支給するけれども、それ以降は廃止するということの規定がございます。  これが法的な手当てをまずさせていただいておるわけでありますが、さらに、保険医療機関及び保険医療養担当規則というのが省令でございます。これは法律を受けた省令でありますが、この十一条の二という規定がございまして、その中でどういうふうに規定しておるかと申しますと、十一条の二の規定を読み上げますと、「保険医療機関は、その入院患者に対して、患者の負担により、当該保険医療機関の従業者以外の者による看護を受けさせてはならない。」ということで、ここに明確に付き添いの廃止という規定を盛り込んだ次第でございます。同時に、保険医についても同じような規定がございますけれども、このような法律構成になっております。
  155. 矢上雅義

    ○矢上委員 現実には付き添いさんがいなくなつて大変な混乱を起こしておるわけですね。そしてたかだか、附則というのですか――現実問題、これと同じじゃないですか、農林水産省の減反と一緒。減反を達成しなければ公共工事をやらないのと一緒で、付き添いさんを完全に排除しなければ介護の点数はつけませんよ、要するにそういうニュアンスだと思うのですよ。本当に年寄り介護の質を高めたくてしたのかどうか。そして、排除することにきちんとした位置づけがなされておるのかな。これは私ももう少し勉強させていただきます、きょうは資料不足ですから。減反のペナルティーと似たような……。  ですから、看護婦さんはぜひつけてくれと言って、院長さんと婦長さんは出したがる。それは、介護点数がつかなくて困るのは院長さんですから。でも、現場で困るのは看護婦さんですよ。そこをもう一回きちんとやり直してください。  それともう一つ、戦後ずっと、付き添いさんがこれだけ病院の中で看護、介護の役割を果たしてきたわけですよ。しかし、今は資格ばやりで、介護士でなくちゃいけないとか、まるで大学を卒業していなくちゃ尻の世話をしてはいけないような雰囲気ですし、年寄りでは格好悪いような雰囲気ですよ。  厚生大臣は、病院介護の中で付き添いさんが本当に果たしてきた役割、また今でも果たしている役割をどのように評価されますか。
  156. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私は、厚生大臣になる前も、なってからも、今委員指摘された点、大分苦情を聞きましたよ。付添婦さんをなぜ廃止するのか、厚生省はわかっていないのじゃないかというおしかりをさんざんじかに、また手紙等で聞きまして、同じような疑問を持っていました。付添婦さんが医療現場において果たす役割は、看護にしても介護にしても大変大きかったと私は思っております。  要は、付添婦さんを廃止した最大の理由の一つには、病院に医療の責任を持たせようということだと思うのです。それと、患者負担を軽減しようと。病院以外の、患者さん自身が自分で付添婦さんと直接契約しなければならないから医療以外に自分の負担が多過ぎる。同時に、最近は医療の質、水準が向上してまいりました。看護婦さんの資質の向上もすさまじいものがあるし、医療技術の進歩も、普通の人ではわからないような今いろいろな医療機器が導入され、知識もないと扱えないような状況になってきたという点もあって、看護、介護の質も向上させよう、病院にきちんとした医療の責任を持ってもらおう、同時に、患者さんに余計な負担を負わせるのはやめようという視点からこの付添婦さんをやめてみたのだけれども、やめようという意見が多かったからそれを実施してみたのだけれども、現実には、患者さんの負担や看護サービスの質の確保を図るという点からいえば、かなりの病院においては逆に患者さんの負担がふえたり、むしろ、看護・介護サービスの質においても、手なれた付添婦さんがいない場合に劣っている場合もある。  今、制度は変わり目に、混乱期にあると思うのです。しかし、付添婦さんを廃止するというこの当初の目的、看護、介護サービスの質を確保する、患者に余計な負担をさせない、診療機関にきちんと医療の責任を持ってもらおう、こういう方向に向けて、今、いろいろな苦情を聞いてきちんと整理し直す必要があると私は思っております。今までの議論というものをよく厚生省はしっかり受けとめて、本来の、付添婦さんを廃止してより水準の高い医療介護を目指したような、あるべき姿に努力を傾注すべきだと思っております。
  157. 矢上雅義

    ○矢上委員 先ほど局長さんの質疑でちょっと混乱しましたので、終了となっていますが、三分ほどください。最後、要望で結構です。  実は、公的介制度における家政婦の活用をどのように位置づけるかという問題が一つあります。これは、長寿社会対策大綱、昭和六十一年六月の閣議決定で「高齢者就業・社会参加等の活動を促進し、その知識・経験を活用する」と書いてあります。となれば、付添婦さんなんかは一番これに当てはまるわけですね。今回、公的介制度の中に民間サービス事業者を入れる。その中に付添婦さんという言葉は一つも入っておりません。実績のある付添婦さんは民間でございます。それに対して、生協も農協も入っております。今まで福祉関係のない生協と農協が入るのに付添婦が入らないのはなぜかという、そこをきちんと位置づけてほしい。  もう一つ、最後に。実は、この間ニュースを見ておったら、橋本龍太郎総理大臣が出てこられて、毎週お母さんをお見舞いに行く。お母さんのお世話のためにお手伝いさんをつけておられるそうです。お手伝いさんは、イコール家政婦です。病人につけるお手伝いさんは付添婦ですよ。厚生族のドンと言われる橋本総理が、その方でさえも付添婦を必要としておる実態。  きちんと法律どおりやるのだったら、調査して、橋本総理のお母さんが入院しておる病院の介護点数をつけない、そこまでできますか。それとも、権力者には適用せずに一般市民は付添婦を出す。そういうことですよ、法律というのは。法律で決まっているというのは権力者も庶民も同じように扱うということですよ。この点についてだけ、答えられる人が答えてください。
  158. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 やはり、法のもとの平等、これはもう当然でありますから、きちっとした対応をしなければいけないわけでありまして、今御指摘がございましたので、私どもも十分まず実態をきちっと勉強させていただきたいと思います。
  159. 矢上雅義

    ○矢上委員 よろしくお願いします。終わります。
  160. 町村信孝

    町村委員長 石毛鍈子君。
  161. 石毛えい子

    ○石毛委員 民主党の石毛でございます。  介護保険法案の審議でございますが、その内容に触れてまいります前に、介護保険制度化が実現したといたしますと、八兆円とも、行く行くは十兆円とも言われる大きな規模の費用を動かすという制度になろうかと思います。この間、厚生行政の公正性、透明性ということが前議会でも大変大きな議論になったところでございます。そこで、制度案に入ります前に何点かお尋ねしたいことがございます。  一つは、公益法人に関連してでございますけれども、十九日の予算委員会で、小泉厚生大臣が公益法人への補助金の支給は五割ぐらいまで減らせるのではないかというような御答弁をされたという旨、新聞報道で拝見いたしました。私は、先議会のこの厚生委員会のこの席で、厚生省関連の公益法人につきましても、現在、今日の時点で公共性にふさわしい公益性があるのかないのか、それから、補助金支出はどういう実態であるのか、それから、いわゆる天下りと申されている実情がどのようにあるのか、きちっと精査をしてその実情を明らかにして、厚生行政関連、全部透明性を担保していくべきではないかという発言をさせていただきました。その折、きょう議事録を持ってまいりましたけれども、厚生大臣、「御指摘のとおりだと思います。そういう指導をしていきたいと思っております。」と、大変私にとってはうれしい御答弁をいただきました。  そこで、十九日の御答弁、それから前回いただきました御答弁をあわせまして、今この件はどういうふうに進行しておりますでしょうか。できますれば、九八年度予算編成までの段階では、実情、それから、それに対してどのような評価をされるか、どのような政策的方向性をとられていくか、そのあたりを明らかにしていただけますでしょうか。ぜひよろしく御答弁をいただきたいと思います。
  162. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今、石毛議員が言われた答弁にありましたように、お話を聞きまして、もっともだなと思いまして、公益法人の予算についても改めて見直すべきだと考えました。そして昨年末、予算編成がもう大詰めに差しかかっておりましたので、来年度、ことし四月からの予算等についてはもう間に合わないということでありましたので、平成十年度の予算から、公益法人が真に公共性に値する活動をしているか、運営がしっかりしているか、あるいは天下り等の問題も批判されている、そういう点をしっかり踏まえながら、中には補助金も、必要ないところに行っているかもしれないし、あるいは足らないところもあるかもしれない、ともかく全廃は無理にしても現在の公益法人に対する補助金は半減を目指して精査すべきだという指示を与えました。  それで、一部の新聞に、すべての公益法人の補助金を半額にするというような報道がされたということを聞きましたけれども、そうじゃないのです。全額の半減を目指すということなんですけれども。ある法人についてはむしろふやさなければならないところがあるかもしれない、あるところは補助金を全然与えなくてもいい法人があるかもしれない、ともかく全体の半減を目指して精査すべきだという指示を与えて、当然、精査するからには基準がなければいけませんから、その点については、皆さんでも御審議いただけるような資料は委員会でも出すのは、私は当然だと思っております。
  163. 石毛えい子

    ○石毛委員 ぜひよろしくお願いいたします。  もう一点、厚生大臣にお伺いしたいと思いますけれども、やはり前国会が開催されておりました当時、政治献金の問題も随分大きな議論になったところでございます。厚生省関連の公益法人関係団体から厚生大臣にも政治献金がなされまして、その折の大臣の御答弁は、私が質問させていただいたわけではございませんけれども、政治資金規正法にのっとっての献金であるので合理であるという趣旨の御答弁であったと記憶をしておりますけれども、現在の時点で、公益法人関係の政治献金についてどのようなお考えを持っておられますでしょうか、お聞かせください。
  164. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 公益法人からの政治献金は、私は受けておりません。(石毛委員関係団体」と呼ぶ)それは、関係というのはどういう点かわかりませんが、公益法人の関係が政治団体をつくる、その政治団体から受けるというのはどの議員もやっていることであります。また、法的に認められていることであります。政治資金規正法にのっとって政治団体から政治献金を受けるというのは、これは当然、悪いことでも何でもない、そういうお答えをしたわけであります。  今後、企業献金を禁止すべきだとか団体献金を禁止すべきだという議論もありますけれども、それは各政党の考え方でありますし、これは国会で十分御議論をいただきたい。全部税金で政治献金を出すのがいいのか、個人で全部やるのがいいのか、それは政党によって、個人、議員のよって立つ基盤によって違ってくると思いますから、それは国会で十分御議論いただきたいというふうに思います。
  165. 石毛えい子

    ○石毛委員 この時点での大臣の御所見を伺わせていただきました。またそのことが議題として審議されます折にお話し合いをさせていただけたらと存じます。  もう一点、大臣にお答えいただきたいと思いますけれども、一月の末に、老人ホーム施設整備の再点検の調査結果と方針が出されました。施設への補助金のつけ方、それから社会福祉法人の運営のあり方について、そのほかございますけれども、主としてそういう内容で方向性が提示されました。それをめぐりまして、大臣の御感想あるいは御所見をお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。
  166. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 ことしの一月末に、昨年の厚生省に絡む不祥事を反省して、二度とあのような不祥事を起こさないために、今までの補助金のあり方を再点検し、国会にもその結果、今後の方針というものを御報告したわけであります。  特に特別養護老人ホームに関しましては、申請者に問題はないか、申請者選定手続というものをもっとはっきりとわかるように透明化すべきだ、さらに、工事の契約等の手続、これも丸投げみたいなことが起こらないようにする、さらに、現実にこの法人の運営ということを勘案する場合、適切に運営がなされているのか、こういう点をしっかりと調査して、二度とあの不祥事が起こらないように改善措置を講じたわけでありますので、この調査結果をもとに、今言ってきた改善措置を講ずるならば、不祥事を防止して、国民から理解され、信頼されるような施設の拡充がなされるのではないかということを私は期待しております。
  167. 石毛えい子

    ○石毛委員 ありがとうございました。  総括的には前向きの対処の仕方であるというふうに私も受けとめますし、大臣もそういうふうにお認めになっていらっしゃると思いますけれども、少し具体的な内容に踏み込んで質問をさせていただきたいと思います。  局長がお答えくださいますでしょうか、あるいはどなたがお答えくださいますでしょうか、適切に対応していただければと存じますけれども一つは、社会福祉法人の運営のあり方についての改善の方向性についてでございます。  例えば理事会構成、理事メンバーの中に地域での社会福祉関係者等々の参画を多数求めるというような意味では前向きの方向性がとられたというふうに私も受けとめますけれども、私は、法人理事会につきまして、もう少し基本的なとらえ方が必要なのではないかというふうに思っています。  法人理事会は何を決めますかといいますと、主な内容は、社会福祉サービスの提供に関しまして財政状況、予算、決算を決めたり、それから、事業計画を決めていくわけでございますね。そうしますと、事業計画を決めていくということになりますと、私は、その施設にかかわる方たちが理事構成の中に入るのは当然ではないかというふうに考えている者です。現状の理事構成の中では施設長ぐらいですね。ですから、評議員会に対する見解もございますけれども、時間もございませんから余り細かい話には入れませんが、理事会構成の中に、例えばその施設に多く来られるボランティ ア団体の方々の中から代表になっていただいて理事の中にお入りいただきますとか、それから、サービス利用するお立場にある、特別養護老人ホームの場合は高齢者の方になろうかと思いますけれども、あるいは高齢者方々の御困難な状況があるとすればそれを代理する方、もう少し施設の運営内容に直接かかわる方が理事構成の中に代表してメンバーになるのが私はあり方ではないかというふうに思っております。  個別の施設によりまして状況は違うと思いますから断定は差し控えなければなりませんけれども、考え方の問題として、私は、今の理事会のあり方というものと施設運営サービスのあり方というのが乖離しているようなところが多分にあるというふうに、例えば理事構成などを見るときに思っております。  それから、法人のあり方に関しましては、情報公開の内容が財務関係を主としてされておりまして、事業方針等に関しましては広報紙等というふうになっておりますけれども、広報紙が配られる範囲というのは非常に狭うございます。ですから、所轄官庁で事業報告書ですとか、それから、これは東京都が、厚生省の皆様も入手されごらんになっておられると思いますが、東京都が今回のことに関連しまして、これから補助金の支出の仕方等々に関しまして中間報告を出しております。その中間報告の中には、施設自体が自己評価の報告書をつくるべきだというようなことを提示しております。  私は、前回の質問で、厚生省は全社協さんとも関連しながらさまざまな評価の推奨はされていますけれども、それがどういう実効性を持っているかについては非常に対応が薄いのではないかというようなことを申し上げさせていただきましたけれども、所轄官庁の情報公開の中に、法人メンバーの役職員だけではなくて、事業報告書ですとか、あるいは法人が御自分たちのサービス提供事業をどのように評価したかというようなことも含めて情報開示をしますと、それは地域に暮らす市民の方、場合によっては何かが起こった場合の利用者の方々にとって非常に大きな情報アクセスが可能になるというふうに思っておりますので、もう少し積極的にこの改善報告を進めていただきたいという要望も含めて、質問でしょうか、要望でしょうか、よく性格がわからなかったことがありますが、なぜしなかったのでしょうかということは質問になると思いますけれども、もっと積極的にすべきではないかという要望として申し上げたいと思いますので、お答えをいただければと存じます。
  168. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 今回の改善措置におきまして、社会福祉法人にかかわる部分につきましては、主として情報開示と申しますかといったような一つの側面につきましては、認可された法人の役員については氏名を公表する、公開するということをまず一つやりましたのと、それから、各施設、各法人の自主的な判断において公益法人の業務あるいは財務、そのほか、事業をどういう方針でやっているかというようなことも含めて、情報を自主的に開示していくことを、指導と申しますか奨励するということをやりました。そこをさらに一歩進めて、先生お話では、それをルールにするというところまで行けないかというお話だと思います。  それともう一つ、今ございました、社会福祉法人の理事会等への参加ということにつきまして、今回の措置では、地域福祉関係者等の理事会への積極的参画ということを方針として打ち出したわけでございます。これにつきましても、先生は今、地域福祉関係者という中で、例えば地域のボランティアであるとか施設の職員であるとかが必ず参加をするというような形のことが考えられないか、あるいは必ずということじゃなかったのかもしれませんが、できるだけかもしれませんが、そういうお話がございました。  方向としましては、私ども、例えば今の参加のことについて言えば、地域のボランティア等で適当な方、要は、福祉の心があり、その地域福祉実態のわかっていらっしゃる方がここに入られるということが非常に大事ということでございますから、そういった方で適当な方があれば、理事会に参画するというのは今後の方向として十分望ましい方向であろうと思います。  ただ、そのことをやや強制めいたやり方のところまで踏み込みませんでしたのは、公益法人といい社会福祉法人といい、ある種の法人でやっておりますから、そういったところについてはやはり自主性というものを尊重していかなければならない。例えば、地域へどう溶け込んでいくかというようなことにつきましても、それぞれの福祉法人において、あるいは福祉法人の理事長さん、施設長さんにおいて、そこはもう先生御案内のとおり、いろいろに知恵も絞り、また心も砕いてやっておられますから、そこをいわば監督庁的な立場で、こうやれというようなことをやるよりも、むしろ、今申し上げたような方向を踏まえて、自主的にやっていただくというところを目指した方がよかろうということで今のようなことをいたしました。  気持ちといたしましては、先生のお気持ちの方向でやっていくということで今後とも対処をしてまいりたいというふうに思っております。
  169. 石毛えい子

    ○石毛委員 いただきました調査報告書を拝見しますと、改善事項といたしまして、今の社会福祉法人のところですけれども、「地域福祉関係者等の理事会への積極的参画」ということが文字化されてございます。「社会福祉協議会の委員等、地域福祉関係者等」というふうに書かれておりますから、これに、施設にかかわるボランティアの代表等というふうにつけ加えていただくのは、私は何の異論もないのではないかと思います。  それをどう具体化していくかというところでは、おっしゃいますとおりに、法人理事会の意向あるいは理事を選択する評議員会の意向もございますでしょうけれども、気持ちの上ではとおっしゃらずに、文字を出されるのでしたらば、出されないのだったら別ですけれども、通知等々で出されるのでしたら、ぜひ私は加えていただきたいというふうに重ねてお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  170. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 今回の方針でも、「地域福祉関係者等」ということであれしています。「等」とついておりますように、当然、先生のおっしゃった、地域のボランティアといったような方々の中に適当な人がいた場合には、そういうことをも想定をいたしております。それを例示として、一番典型例としてどう示したらいいかという点については、よく検討をさせていただきたいと思っております。
  171. 石毛えい子

    ○石毛委員 それでは、この件はこれで。次に移りたいと思います。  委員長にお認めいただきまして、今回の調査に関連いたしまして、調査内容の一端、特別養護老人ホーム一平米当たりの本体工事実態単価表というのを厚生省の方から御提示いただきまして、委員の皆様にお配りさせていただきました。  私は、きょうは、これについて発言をさせていただくというつもりはございません。ただこれは任意の事例というふうにきのう来の議論で伺っておりますけれども、事例ですから、普遍化してとらえるということは行き過ぎであるのは私も承知しております。例えば東京都のある施設のということになろうかと思います。  実態単価一平米三十五万、補助単価二十一万、ほぼ三分の二というような事実がございます。こういう乖離がどういう理由で生じているのか。これは単価差の問題もあろうと思いますし、施設をどういう仕様でつくるかとか、さまざまなことがあろうかと思いますので、お答えをいただく予定は今ございませんけれども、ぜひ詳細な調査をしていただきまして、補助単価をどういうふうに設定したらよろしいかということの方向性のときに明らかにしていただけたらというふうに、これは要望させていただきます。よろしいでしょうか。
  172. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 二点だけ前提のところを申し上げまして、先生の直接の御意見についてお答えをしたいと思います。  この表でございますけれども、「B 補助基準単価」とございますが、大都市等につきましては、これ以外に特例割増単価等の細やかなあれをしておりますから、ストレートにこのままではないというところはちょっとつけ加えさせていただきます。  そのことと、確かに、かつて実態調査をいたしましたときに、そういうことで実勢との間に乖離があったということで、毎年単価の引き上げということで今日まで努力をしてまいったという経過は、ひとつ御報告をさせていただきます。  それで、先生の今の御意見ございました、それにしても実態単価というものをよく調べて今後の補助なりなんなりの上に反映をするようにという御指摘につきましては、私ども受けとめまして、平成九年度に実態調査をいたしたいというふうに考えております。
  173. 石毛えい子

    ○石毛委員 それでは、これから介護保険法案に関連した質問に移らせていただきたいと思います。  まず第一が、介護保険制度前提となる基盤整備についてでございます。  基盤整備に関しましては、先ほど来諸委員の皆様の御質問の中でさまざまに議論がされてまいりましたけれども、私ども一番心配しておりますのは、やはり、仮に二〇〇〇年から介護保険法施行になるというふうに受けとめたといたしまして、二〇〇〇年までにサービスが実現するだろうかという不安でございます。  そこで、まず第一に、実現の見通しはどのようでしょうか。それからもう一つ、財源についてどのように考えておられるでしょうか。これは二〇〇〇年までです、明確にしないとごちゃごちゃになってしまうと思いますので。  それから、関連しまして、このほど新しい人口推計が出されました。その新しい人口推計に基づいて必要な介護サービスの量それから必要な介護費用等を計算しますと、もう少し金額が上がっていくかというふうに思います。私どもは人口推計でごく概略的な試算をしましたので、本当にアバウトな金額です。厳密に言えばもっと違ってまいりますけれども、金額にいたしまして二〇〇〇年で三百二十二億、二〇〇五年で六百十九億、二〇一〇年でおよそ一千億ぐらいの費用増になるのではないかというふうに、これは今まで厚生省老人保健福祉局で出されているデータをベースにして単純に計算していったものでございます。  ですから、その人口増に関連しまして、これから担当部局ではどういう見直しをされようとしておられるかということをあわせて、まずは二〇〇〇年までの見通し、財源、それと今の点とを含めて御答弁いただければと思います。
  174. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 まず、二〇〇〇年までの基盤整備の見通しと、それから財源ということでございます。  介護サービス基盤整備につきましては、新ゴールドプラン、これはもう繰り返しお話がございますように、平成十一年度末が目標年次になっております。つまり、二〇〇〇年までの整備という形での計画でございます。今日までの実績で申し上げますと、例えばホームヘルパーにつきましては、この九年度で十五万二千人程度のどころまで持っていく予算措置をいたしております。また、特別養護老人ホームの定員増につきましても、平成九年度で二十六万二千強の人数に対応する施設整備を進めるということで予算化もしておりますし、実績もこれらのものにつきましては比較的順調にまいっております。  ただし、そのほかのものの中で、特に在宅サービスの中でまだ整備がおくれているもの、それから、今のも含めまして地域的に格差のあるものというようなものがございますので、それを二〇〇〇年までの間に達成をするということになれば、私どもの相当の努力も要りますし、いろいろ予算配分の面、あるいは施設等についての弾力的な扱い等を含めまして相当の努力が要ることは事実でございますが、何とかこの新ゴールドプラン整備目標を達成したいということで努力をしてまいりたいというふうに思っております。  その財源につきましては、新ゴールドプランを策定いたしましたときに、消費税の引き上げとの関連におきまして一応の財源というものを政府部内において合意に達して、その合意の上に基づいてこの整備が進められてきております。そういう意味におきましては、通常のほかのものと違いまして、単年度ごとのものと違いまして、大枠での財源というものについての一つのめどが立っているということで今日やっております。  しかしながら、そうはいいましても、毎年度、毎年度の予算の中での勝負という部分もございますから、今年度も大幅な予算増をちょうだいいたしましたけれども、今後におきましても必要な予算確保をいたしまして、また中身においては、例えば平成九年度では、先ほどのいろいろな配慮という中で申し上げれば、過疎地あるいはなかなか在宅サービスが伸びないようなところでは、公衆浴場ですとかあるいは公民館等も利用しまして、出前型と申しますか、サテライト型のデイサービス事業実施するなど、新しい工夫も盛り込みながら、この達成に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、新人口推計に基づきまして、今まで費用をはじいていたものと変わってくるのではないかということで、確かに新しい人口推計で高齢者の人口が新しく推計が変わってくる。そのことによりまして、もちろんそれに要介護者の発生率というものを掛けますから、それがストレートに出てくるわけではありませんけれども、その新人口推計に基づく影響というものは出てまいります。  これにつきましては、どの程度の差が生ずるかにつきましては、早急に今作業をいたしておりますので、今日ただいまのところではまだ具体的なところの数字にまでいっておりません。早急に出すべく努力をいたしたいと思いますが、総じて申し上げれば、それほど大きな影響というものは、事介護費用で、これからずっと先まで考えれば別にいたしまして、ここ十年、二十年というところで申し上げれば、非常に大きな影響ということにはならないであろうというふうに考えております。いずれにしましても、きちっと計算をいたしましてお示しをしなければならないものというふうに考えております。
  175. 石毛えい子

    ○石毛委員 実は、もういただきました時間がほとんどなくなりかけておりますので、基盤整備についてはかなり地域格差があると思いますので、その格差につきまして厚生省としてどのような御対応をされているかということを伺いたかったのですけれども、これは割愛させていただきます。  そこで、今度は二〇〇〇年以降の基盤整備の問題についてお伺いしたいと思います。  先ほど来議論に上っておりますように、二〇〇〇年の時点で、施設整備については一〇〇%の整備ということを予定している、在宅サービスについては四〇%の水準というふうにプランをしているというふうに、これは明らかにされていると思いますけれども、それでは、その四〇%の水準では保険料を払ってこの制度を維持していくということに意味があるのだろうかというのは市民の率直な実感ではないかと思います。  そこで、二〇〇〇年以降、その四〇%のラインを引き上げてまいりますのに、この制度介護保険制度に変わってまいりますと、従前の老人福祉法ですとかあるいは老人保健法の国庫負担の金額に比べまして国庫負担分が減少してまいりますよね。その減少した財源も含めまして、ですから、その財源をほかに回すことをせずに介護保険基盤整備に回すということも含めまして、二〇〇〇年以降のプランをどういうふうに描いておられるか、財源対策としてどう描いておられるかということですね。  それから、もう時間がありませんので、もう一つあわせて伺わせてください。  介護保険法施行法案の方では、政令で定める日まで介護サービス給付水準が法定したものより下回ってもよいというふうになっております。その政令で定める日は、介護保険施行になった日の五年よりその後というふうになっております。これでは、私たちは、とてもではないですけれども、二〇〇〇年以降の介護保険に対して、これで私たちも保険料を納めて介護サービスを安心してというふうな合意形成にはなかなか難しいものがあるというふうに思っております。ですから、四〇%の整備水準をどこまで、どういう財源対策をプランニングしながら引き上げていくのかということ。  それからもう一つは、五年以降のある日などと推理小説じみたような日にちの設定の仕方ではなくて、五年なら五年というふうに、きちっと五年後に見直す。私は三年後に見直すとしてほしいというふうに考えておりますけれども、そのサービス水準を法定どおりにするのはいつかということに対してきちっとした定めをすべきだというふうに考えておりますけれども、いかがでございましょうか。
  176. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 二点のお尋ねがございました。  一つは、二〇〇〇年時点以降の基盤整備ということでございます。つまり、介護保険施行になりました後の整備でございます。  これにつきましては、先生も御指摘ございましたように、今後の、この介護保険導入をされましたことによりますサービス内容の充実によります給付水準の高まり、あるいは介護ニーズが新しく掘り起こされてくるというようなことで、利用率の向上は当然織り込んでいかなければならないというふうに思っております。したがいまして、そのことに対応した基盤整備ということが法施行後においても非常に重要になってくるということを考えておりまして、そのことのために、新しい法律におきましても、介護保険事業計画という形で平成十二年度以降のサービス必要量をもとに計画をつくっていくということで、その中には当然そういった利用率の向上を織り込んだ形でつくっていくことになります。  その際に、介護保険導入によりました財政的な影響というようなものも踏まえまして必要な財源を確保していくということで、これらの計画に基づいて、平成十二年度以降も新ゴールドプランに引き続きまして新しい計画のもとで計画的に整備を進めていくということでやっていかなければならないというふうに思っております。  それから、経過措置で、在宅サービスにつきまして施行後五年を超えて政令で定める日までは市町村給付の制限を加えることができるということで、低い水準を設定することができるという点についてのお尋ねでございます。  在宅サービスにつきましては、先ほど来御答弁申し上げておりますように、新ゴールドプランによる精力的なサービス充実に努めておるわけでありますけれども、しかしながら、相対的にサービス基盤整備がおくれている地域というものは、これはどうしても残ってくることがあり得るということに立ちますと、やはり段階的にサービス水準を引き上げていくという手法をとらざるを得ないという部分もいわば経過措置としては残ってまいります。それをどこの期限に置くかということにつきましても、確かに固定的にここと置くことが非常に目標としてはよろしいのでございますけれども、やはり実態がついていかないということになりますと非常にぐあいが悪うございますので、全体の基盤整備の達成状況等を考慮しながら、全部の市町村で円滑に制度施行ができるようにという配慮から設定をしてまいらなければならないということで、今回の施行法では、今申し上げたような配慮のもとであのような規定になっておるわけであります。  しかし、いずれにいたしましても、各市町村に可能な限り早い時期に十分なサービス量を達成していただくということは当然でございますから、そういう経過措置をとった市町村につきましては、いわば重点的に介護基盤整備を進めていただくという仕組みを制度の中にも入れておるわけであります。
  177. 石毛えい子

    ○石毛委員 今御答弁いただいたわけですけれども整備水準がどういうプロセスをたどるかということに対して明確には見通せないので、経過措置とすれば政令で定める日を特定するわけにはいかない、こういう御趣旨の御答弁であったように伺わせていただきましたけれども、それでよろしいのでしょうか。もう少しはっきりとしていただかないと、いつまでたっても在宅サービスの水準は整備されなくて保険料だけは納め続けるというようなことでしたら、恐らくパニックが起こってくるのではないでしょうか。もう少しきちっとした見通しを、いっするか、法定に戻す日がいつかということと、見直すのがいつかということと二様の議論の仕方というのはあろうかと思いますけれども、もう少し確定した御答弁をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  178. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 先生の御指摘の御趣旨はよくわかりますが、要は、そういう形でできるだけ早く全市町村が一定の水準を達成するということが非常に大事でございます。その際に当てもなしということではもちろんいかぬわけであります。  したがって、法律的には今申し上げましたような規定になっておりますけれども、一方において、先ほど申し上げました新しい法律に基づく計画は、五年の計画で三年ごとにいわばローリングをするという計画になっております。その中に整備目標を立ててまいりますので、そういう意味では、目標もなしに、ただいたずらに整備の日を延ばして整備がいかないということではないように、そういう形で計画の中でその点を督励もし、先ほど申し上げましたように、重点的な整備を進めていくという形でやっていくということでございます。
  179. 石毛えい子

    ○石毛委員 私にいただいた時間は終了いたしましたと来てしまいました。申しわけありません。要望だけ述べさせてください。  介護保険事業計画、三年ごとにローリングをするのであれば、五年後の適当な時期というとらえ方もあろうかと思いますけれども、三年後には適切な時期というとらえ方もあろうかと思います。これは要望といいますか指摘をさせていただくということだけでお許しをいただきたいと思います。  時間が参りましたので、半分だけしか質問させていただけませんでしたけれども、また機会をいただければありがたいと思います。終わらせていただきます。
  180. 町村信孝

    町村委員長 五島正規君。
  181. 五島正規

    ○五島委員 今の石毛委員質問と大変重複するところがあるわけですが、この介護保険議論に入るに当たって、かなり重要な論点がけさから各委員からも指摘されてきていると思います。かなり重複しますが、私もその点についてお伺いしたいと思っております。  まず、平成十二年度からこの法を実施するということになっているわけですが、平成十二年に実施する段階において、新ゴールドプラン平成十一年度で達成できる、達成できたということを前提に置いて、施設並びに在宅それぞれについての基盤整備は発足の状態においては十分であると考えておられるのかどうか、そこからお伺いします。
  182. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 新ゴールドプランをもちろん全国的に格差のない状況で整備がされたということになれば、一応、介護保険制度を十二年度からスタートをするについて、スタートができないというような状況にはないというふうに思います。しかし、それで十分かといえば、先ほど申し上げましたように、利用率等の向上等は当然ございますから、そういったものをあれしながら、その後においても引き続きの整備をしていかなければならないというふうに考えております。
  183. 五島正規

    ○五島委員 私は、これを施設在宅と両方に分けて聞いています。それから、地域格差がないように実施されたらという仮定の条件をつけてもらっては困ります。現状の中において在宅並びに施設について、平成十二年度、ゴールドプランが現在の計画のもとで予算上の措置が終わったとして、その段階においてどうなのか、二つに分けて御返事をいただきたいと思います。すなわち、施設についてはどうなのか、在宅についてはどうなのか。それが介護保険出発に当たって、十分というか出発できるだけの基盤整備ができているかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  184. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 現状においてそれができておるか、あるいは十二年度に向けてそれができる見込みであるかということにつきましては、相当に努力をしなければならない部分がございます。特に在宅につきましては、まだ施策の種類によりましては進捗率の悪いものもございます。それから、施設在宅を含めまして全国的な格差の問題については、先ほど来いろいろ申し上げておりますように、相当政策的な努力もしないとなかなか平成十二年度に向けてのあれは容易ではないという気持ちはございますけれども、何とかそれは達成をしなければならないということで、政策的な努力を傾けるという方向の中で対処していきたいというふうに思っておるところでございます。
  185. 五島正規

    ○五島委員 施設サービスについては、現在、福祉の措置あるいは老人保健の適用という形の中でさまざまな形でやられているわけですが、その中で、御案内のように入所待ちとかいう形での大変な問題が残っている。そして、都会地においては特にこうした施設整備状況が悪くて大変問題になっていることは、局長よく御承知の問題です。また、在宅の問題につきましても、これは新たな問題でございますから、当然、地域において格差が発生するだろうということは予想されます。  もちろん、在宅について全国一律それで十分だという状態でいかないということは理解するとしても、それぞれ四十歳以上の国民が保険料を負担しながら、しかも、いわゆるケアマネジメントを受けて、それで入所サービスが必要である、そういう判定をされながらも現在のように施設の入所待ちというふうな状態があるということになれば、これは出発の段階から国民には大変な不信感を持って迎えられることになるだろうというふうに思うわけですが、そういうことは絶対にないようにできるのでしょうか。
  186. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 私ども努力の方向としては、そういったニーズに対して施設あるいは在宅サービスがないという状態については、これを解消する努力を最大限しなければならないと思っております。  ただ、その場合に、今の入所待ちというような形で施設需要という形に現在なっておりますものも、一方において在宅サービス基盤整備することによって、それは本来施設に向かわなくて、在宅サービスが十分であれば在宅でやられるという形で、ニーズとしては在宅に振りかわるようなものもございましょう。それから、同じ施設の中におきましても、今後、老人保健施設あるいは療養型病床群といういわば医療的なサービスをも含めた介護施設整備していくということがございますから、そういった体制がつくられることによって、従前ひたすら特養という形でお待ちになっていた部分が、むしろそういう形の中で、療養型病床群なり老人保健施設ということへの需要という形になるものもあると思います。これは、施設整備をやりながら並行してそこらのニーズの見きわめということを、それぞれの地方団体のレベルにおきまして、あるいは私どもとして対応を考えていかなければならない事柄であろうというふうに思っております。
  187. 五島正規

    ○五島委員 羽毛田局長の決意を聞いても仕方ないのですが、どうも聞いていると決意としか思えません。  具体的にこの問題を考えていった場合に、やはり厚生省の、もう少し具体的に平成十二年の発足の段階までに何をどのように整備していくかというのを、新ゴールドプランがあるからということでなくて、その新ゴールドプランの中においても、現実問題として都会部における施設の進捗率が非常に悪いという事実があるわけですね。そういうふうなものに対してどういうふうに対応していくかというもう一つ別の施策がないと、やはりこれは大変問題になってくるのではないかと私は思っております。  また、そのことと関連いたしまして指摘しておきたいのは、介護保険実施するに当たっての基盤整備ですね。これは国の責任でやるということになっていますね。介護保険からその基盤整備、インフラの整備等々をやっていくということじゃなくて、これは保険のほかに国の施策としてやるということになっていますね。そこのところをもう一遍ちょっと確認しておきます。
  188. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 従来、公費をもって実施をいたしております特別養護老人ホーム等の施設整備につきましては、私どもとしては、介護保険ができました後におきましても、公費を中心整備を進めていくという方針でまいりたいというふうに考えております。
  189. 五島正規

    ○五島委員 これから本格的な高齢社会がますます深刻化してまいります。そして在宅制度が進んでいくと、かなりの程度、我が国で非常によく指摘されてまいりました寝たきりの問題というのは、それなりにホームリハ等々の進捗もあって、私は改善されなければならないと思っておりますが、もう一つ、やはり嫌なことでございますが、痴呆老人の増加ということについては非常に深刻になってくるだろう。これは厚生省も十分御承知の問題でございます。  そして、そういうふうな患者さんに対して、あるいはお年寄りに対して、もちろん在宅デイサービスその他を通じてその発生の予防をする、あるいはその進行を予防するという技術はでき上がりっっありますが、最終的に最期まで在宅でそうした方々をやっていけるのかどうかということについては、今のところまだ医学界の方もそうは言い切れないという状況にあることは御案内のとおりですね。  そうしますと、何らかのそういう施設が、新ゴールドプラン達成後も長期的に見た場合、三十四万床の特養だけではどうしようもない。やはりふやしていかざるを得ないという見通しというものは長期的に持たざるを得ないと思います。そうした場合に、今、羽毛田局長が言われましたが、これまでどおり特養を公費の負担をもってやっていくというふうなことが可能なのかどうか。  例えば、痴呆のお年寄り中心として、前回の新ゴールドプランではかさ上げしなかった老健施設等を滞在型としてふやしていくとかというふうな、これからの財政状況とも照らし合わせた、こういう介護保険を支えていく基盤整備のあり方について何らかの検討が必要なのではないかと思うわけですが、その辺いかがでしょうか。
  190. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 新ゴールドプランにおきまして先ほども申し上げましたように、新ゴールドプランそのものは財源につきまして一つの合意のもとにできておるということでございます。そういった財源の見通しなしに施設をふやすというような選択肢というのはなかなかとりがとうございますけれども、そうした中で、先生の今の御指摘に関して言えば、老人保健施設につきましても、従来は、そもそも医学管理のもとでの看護、介護あるいは機能訓練を行って家庭に復帰をしていただくということを目的とする施設ではございますけれども、そこに痴呆性の老人方々も受け入れるとなりますというと、痴呆性老人等の重介護方々については長期入所となるというような場合があるのも事実でございますから、そうした中で、この老人保健施設の中のいわば一つの類型として、そういった長期入所型の痴呆老人のような場合についての老人保健施設というようなあり方についてもその一つの工夫として考えていく余地はあるし、やはり考えていかなければならないだろうと思います。そういう意味での検討課題はございます。  さらに、療養型病床群につきましては、実は今回の新ゴールドプラン計画の中ではもともと入っておりませんけれども、新しく今度の介護保険という側面で見ますというと、この療養型病床群がまた一つの役割を果たしてもらわなければならないということになっておりますので、この療養型病床群を年々の予算を重点的に入れることによりまして整備を図っていくということも同様にやらなければならない。したがいまして、その施設整備につきましても、そういった先生指摘のような工夫も含め、また療養型病床群の整備というようなことも含めまして、特養ともどもそういう整備を進めてまいるということにしたいと思います。  それから、特養につきましても、特に過疎地等におきましてなかなかこれが進まないというところにつきましては、小規模の特養をつくる、あるいは、先ほど申し上げました在宅サービスを進めるということで、在宅サービスの拠点になるような複合的な特養という形で、収容施設としての特養それ自体は比較的小規模のものにして、それをてこに在宅サービスを進めるというようなタイプのものを必要に応じて検討を個別にしていくというような、そういったようなことも含めて対応していかなければならないというふうに考えております。
  191. 五島正規

    ○五島委員 時間がありませんので次へ行きますが、もう一つ、この介護保険の中で、いざこの保険を三年後に実施するという前提のもとで検討した場合に、例えば在宅介護の中においてヘルパーさんの問題、ヘルパーという言葉で一括しているわけですね、ヘルパー何人という形で。これはちょっと問題なのではないか。やはり、身体介護ヘルパーを何人ぐらい必要なのか、それから生活支援ヘルパーがどれぐらい必要なのか、そこを分けてそれぞれのマンパワーをどのように確保していくのかということまで含めて議論していく。そういうふうなところが分離されずに議論されている中で、先ほど矢上さんの指摘なんかも非常に混乱している面があると思います。そういう意味では、今までヘルパーという名前で一言にくくられているわけですが、その辺をどうしていくのかということをやはりきちっと出していくべきでないかということが一つ。  それからもう一つは、この介護保険というものについて、どうも議論が不十分なままに、まるで老人医療も含めた老人の保険なのか、医療介護を分離した介護の保険なのかという、基本点のところが大変不明確な議論があるように思います。  基本的に、介護保険である以上、介護を提供するためのサービスの保険である、これは当然であると思いますね。そういう意味かちいえば、今回、年齢的に四十歳以上でやってきているというのは新たな制度であり、高齢者介護の問題が非常に深刻な問題というところで四十歳以上の人の介護の問題を扱っているということであって、したがって、高齢者医療の問題を介護保険の中で全部取り込んでしまうということとは基本的に違うわけです。そこのところの仕分けをこの介護保険の中できちっとしておかないと非常に混乱を起こすのではないか。療養型病床の入院費等々の施設費はいいと思いますよ。その医療費はどうするのかとか、あるいは、訪問看護と介護とを同じように介護保険で払っていくということがいいのかどうか、そういうふうな細かい点についてやっていかないと、高齢者保険なのか、介護保険なのか、限りなく混乱してくるのではないかというふうに心配しているということを二点目として指摘させていただきます。  それから三点目として、今、石毛委員からも指摘ございましたけれども、法定居宅給付の支給限度額を下回るのを当面、発足の段階において認めることはやむを得ないなと私も思います。しかし、それを五年以上のある日ということでは、いつになるのかわからない。これはやはり五年以内の政令に定める日とかいう形にすべきであって、そこのところは五年以上のいっかなんというのは、そんなばかな法律はないのじゃないかというふうに思います。  それから、最後の点としてもう一つ、時間がございませんので質問をあわせてしておきます。  介護支援の区分の問題でございます。これは省令で定めるということになっておりまして、各地方においても現在さまざまな試行中であるというふうに承知しています。しかし、この介護支援との区分の問題の現在やられている表を見てみますと、かなり問題だろう。  身体的介護の区分についてどうするのか。それからもう一つは、それと別個に痴呆の問題について、痴呆の進行状況というのはあるわけですから、それにふさわしい支援の方法あるいはケアの問題というのはありますし、身体介護とは必ずしもイコールになりません。これを一緒にするというのは問題だろう。だから、痴呆は痴呆についてどのように区分化するのか。  そして、身体的な障害としてはいわゆる虚弱と言われるところであるにしても、それは一律でいいのかどうか。虚弱であったとしても、そういう方であるがゆえに、その方のお住まいの環境、独居である、非常に急傾斜地の住まいである、そういうことによって車いすで買い物にも出られない、外へも出られない。結局、閉じこもりにならざるを得ない。マンションであればエレベーターがない。独居である。そういうふうなものがすべて、支援の場合に違いが出てまいります。しかも、支援介護というのは基本的にやはり生活支援でしょう。それに提供されるサービスの中身にはやはりそういう生活環境というものをリンクして考えるという考え方がないとだめだろうと思っております。  これを、虚弱は一であって、何か六つぐらいの区分で痴呆も虚弱も何もかも一緒くたというふうな形で今検討しているようですが、ここのところはぜひ考え直していただきたい。この点について御返事いただきたいと思います。
  192. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 幾点かございましたけれども、第一点目は私から答弁させていただきます。  ヘルパーにつきまして、身体介護と家事援助の業務、これをきちっと分ける中で、それぞれの業務に応じた形で体制整備ということを考えていくべきではないかというお尋ねでございます。  現在の目標としております十七万人につきましては、実態としていいますと、一人の常勤のヘルパーが身体介護もすれば家事援助もするというようなことがございますので、これを人数的にどういう形で考えているかということを区分してお示しするというのはなかなか難しゅうございますけれども、今後の方向として言えば、やはり技術の程度あるいは技術の中身というものが違いますので、そういう意味でのヘルパー方々養成という側面におきまして、平成八年度にこの養成の課程を見直しました際に、私どもは、身体介護というようなことに力点を置いたものにつきましては二級課程を修了していただくというところまでやりまして、家事援助までの方々については三級課程を修了したという形で、言ってみれば、ヘルパーさんの養成課程、そこによって生まれてくるヘルパーさんにそういう形でのいわば業務分担ということがおのずと出てくるような形にいたしました。  したがって、こういったそれぞれの専門性あるいはそれぞれの得意分野と申しますか、そういったことを踏まえて効率的な事業運営が弾力的に行われるように心がけていきたいというふうに思っております。
  193. 江利川毅

    江利川政府委員 介護につきまして、三点御質問がございました。一つは、法施行後五年経過の後の話でございます。  これにつきましては、先ほど老健局長からも答弁したところでございますけれども施行の前に新しく計画をつくります。やはりそれで頑張ってもらうというのが基本だと思いますが、地域にまだ差があるのだと思います。その実態を見ながら考えさせていただきたいということでございます。  それから、医療介護とのすみ分けに絡む話でございまして、すみ分けるという意味で、そこに障害者も含めて介護は考えるべきではないかという御指摘でございます。  障害者につきましては、前にも答弁しておりますが、現在の障害者プランとの関係等がありまして、当面これでやらせていただく、そして法施行後、附則に検討規定がございますので、そのときに検討させていただきたいということでございます。  それから、要介護認定についての問題でございます。身体介護、生活支援あるいは痴呆、こういうものに分けて考えるべきである、あるいはまた生活環境にも着目すべきであるという御指摘でございます。  現在六十カ所のモデル地域モデル事業をやっておりまして、現在つくっております案がどれだけ的確かということを調査検討しているところでございますが、先生の御指摘も踏まえて、すべてがすべて受け入れられてうまくいくかどうか、ちょっとあれでございますが、よく検討させていただきたいというふうに思います。
  194. 五島正規

    ○五島委員 終わります。
  195. 町村信孝

  196. 児玉健次

    児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  この法案は非常に重要な法案であって、私たちが国民の期待にこたえられる十分な審議を尽くしたい、こういうふうに考えております。  さて、公的介護保険を考える訪問看護婦の会、東京・訪問看護婦有志一同、一昨年の十二月四日の日付で「「公的介護保険」についての要望について」、こういう文書を厚生省にお届けになっております。  冒頭のところで、「私たちは訪問看護婦と地域看護研究者です。」こういうふうに自己紹介をされた上で、その三つ目のところで「家族の役割の明確化」、「家族には家族にしかできない役割がある。」「疲労困憊の状態である。」「「本当はやさしく面倒をみてあげようと思っても、疲れるとつい怒ってしまうのよ。そんな自分もいやになってしまって落ち込んでしまう」などという声をよく聞く。」「家族しかできない役割を十分発揮してほしい。」「家族の役割としては、たとえば一年に一回はいっしょに旅行にいく、孫たちが定期的に手紙を書く、みんなで誕生パーティをして長生きを喜ぶ」  この部分の結論としてこういうふうに述べています。「家族の役割を十分発揮してもらうためにも、日常的なおむつ交換や食事介助、起こすことなどの具体的な介護ケアは二十四時間専門家が責任をもって保障できるようにすることが求められているのではないだろうか。」私は全く同感です。  それぞれ身内に、あるいは高齢化によって、または生得の障害、そして生活の途中で何らかの事故に遭う障害、こういう方々を抱えて、その方に対する介護の責任を家族から社会全体のものに移していく、そうすることによって、それぞれ肉親の身内に対する愛情が本当に生かされる。先日、本会議での代表質問の締めくくりを私はこの言葉で終えましたが、そこが今肝心なところだと思います。  公的介護保障確立て国がみずからの責務を十分に果たす、このことは日本国憲法第二十五条に言う、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」これにこたえる確かな道だ、私はそのように考えますが、この点で厚生大臣のお考えを伺います。
  197. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 ただいまの御指摘、だれもが感ずるところでありまして、これからの福祉充実に当たりましても、どうやって介護の問題というものを家族だけでなく社会全体で支えていくかということの重要性をわかっているからこそ、こうした介護保険制度導入の御審議をいただいていると思うのであります。  戦後五十年たってみて、公衆衛生の点においてもあるいは福祉施設の点においても、医療においても、多くの国民の努力によって、むしろあの揺りかごから墓場までというヨーロッパの模範的制度を見習いながら、かなりの点で整備拡充が進んでいると思います。しかし、現在に至ってみれば、また新たな問題が出てきておりますし、これからいろいろな点において施策を充実していかな  ければならない。  今、児玉議員が指摘されました家族の親愛の情、自分の親に対して子供がそろって介護の手を差し伸べる、あるいは親、子供、孫という形でそれぞれの温かい家族の触れ合いがなされるというのは大変すばらしいことでありますが、最近は、親がその米寿なり喜寿なりを祝う、子供が訪れる、手紙をくれる、感激します、一緒に食事をする、誕生日をする、ありがとう、ありがとう、うれしい、これは大変いいのです。  ただ、さらに深い問題は、今は、それがわからなくなってきた後なんです。祖父、祖母が、子供が寄ってきて喜んでくれる、孫が来て喜んでくれる、みんなわかる状況はまだいいのですけれども、問題はそれがわからなくなった後、なおかつ介護しなければならない。これで大変苦しんでいる方が多い。その点を家族だけの負担に任せてはいられないということで、これから介護の問題が今議論されて、この介護保険制度導入が今議論され、これから進めていかなければならないのですが、この介護保険制度導入されることによって、今までのゴールドプラン老人保健施設整備拡充も着実に進めていかなければならない。  そして、来年からこの介護保険制度導入するというわけじゃありませんから、この平成九年度で国会で御承認いただいた後、十二年度にこの制度が立ち行っていくような整備を進めていこうということで、今後、今国会議論された問題点を十分受けとめて、あるべき施設の拡充、サービスの拡充に努めていくならば、私は、着実に介護サービスの重要性が国民に理解され、お互い支え合おうという環境が生まれ、種々の施設の拡充が進んでいくものということを期待し、それに向かって厚生省努力していかなければならないな、そう思っております。
  198. 児玉健次

    児玉委員 私は、まず介護サービス基盤整備内容、水準について量と質の面から伺いたい、そう思います。  いわゆる施設介護、この分野で国民の関心が一番強いのは、言うまでもなく特別養護老人ホームです。新ゴールドプランでは二〇〇〇年三月末までに二十九万人分、そして一九九五年三月末までの達成は二十三万三千五百六十人分、進捗率八 〇・六%、そのとおりですね。そのことだけ答えてください。
  199. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 予算ペースを含めて言えばそのような数字になってございます。
  200. 児玉健次

    児玉委員 その特別養護老人ホームの入所待ちの待機者が現在非常にふえています。例えば東京都、私たちの調査では、一九八五年の段階で、東京全体の待機者は二千九十五人でした。九六年三月、一万二千九百八人、六・一倍になっております。私の住んでいる札幌は、ちょっと比較のポイントが違いますが、九二年の十二月で百九十三人でした。九六年十二月、昨年末で千二百五十六人、実に六・五倍です。五年間の間に入所待機者が六・五倍になっている。なぜだろうか。待機者の急増には、高齢化社会の進行とあわせて国民の公的な施設介護に対する理解の深まり、期待の強まり、これがあると私は考えております。  厚生省に伺いたいのですが、全国の入所待機者はどのように推移しているか。先日伺ったところによれば、平成元年十月一日で二万八千三百九十八人、平成二年十月一日で二万九千四百四十五人、その後の推移はどうですか。
  201. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 特別養護老人ホームの入所待機者につきましては、今、平成元年、平成二年の数字をお挙げいただきました。これにつきましては、各都道府県、指定都市が調査をいたしましたものを集計した数ではございますけれども、この中には、どうも単に申し込みだけを行ったというものだとか、重篤な、むしろ医療的ケアが必要だというようなものも入っておりますし、そういった意味で必ずしも特養の入所要件に該当しないものも含まれているということで、意向希望、純粋な希望だけで把握がされているというようなものが相当ございましたものですから、なかなかそういうものの数字をあれするということになります というと、かえって全体をミスリードするというようなことから、平成三年以降、入所待機者数というような形では集計をいたしておりません。
  202. 児玉健次

    児玉委員 その点がきょうの審議で一つ集中的に議論をしたい点です。さまざまばらばらだと、私はそうは思わない。  これは、例えば札幌市でこの特別養護老人ホームの判定をどのような手続でやっているかという一連のペーパーです。それによれば、入所判定審査表を作成する仕掛けになっている。そこには、医師会精神科支部代表、施設長の代表、保健所長、地域福祉課長、高齢者福祉相談主査、老人福祉担当者、それらが集まって、特養への入所の申請が出たら、非常に詳細な項目に従ってそれぞれ集団的な論議、判定を行い、必要であれば検査も行って、そして最後の「総合判定」、そのア、イ、ウの中で「特別養護老人ホーム対象」に指定されてなおかつ入所していない人を待機者という。どの都道府県でも同じじゃありませんか。同じかどうか、別のものがあれば教えてください。
  203. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 全国的な状況で申し上げますと、特別養護老人ホームの入所判定、御案内のとおり、入所判定委員会を設置して行っておるわけでありますけれども、自治体によりましては、偶々の手続によりまして、特別養護老人ホームヘの入所措置を要するものと判定をされたけれども、まだ入所していないという者をもって入所待機者ということにとらえているものもございます。  それから、今後の在宅サービス等の整備によっては、あるいは療養型病床群あるいは老人保健施設整備によってはそちらの方に向かうものということで、それをむしろ希望する、あるいはそこにふさわしい人であろうと思われるようなものも中に入っておるというふうに思っておりますので、そういう意味では、そこらをさらに詰めなければならないだろうというふうに思っております。
  204. 児玉健次

    児玉委員 大臣、こういった議論は事実に即してやらなければいけない。先ほどの札幌市の例で言えば、今局長の言った、例えば特別養護老人ホームでなく療養型病床群に入るのが適当、それはアの項目で「要入院」という形で別のカテゴリーになっています。特別養護老人ホームの入所というものはさっき言ったウ、非常に限定的です。厚生省が調べていない、全く無責任ですね。  それで、私たちは手分けをして全国の待機者が今どうなっているか調査をしました。相当手数をかけたけれども、やってみました。例えば、北海道、九六年四月、待機者四千二百九十五名、青森、九六年四月時点、千六百九十六名、東京、九六年三月、一万二千九百八人、最後に沖縄、九六年四月、四百五十六人、全国すべての都道府県について私たちの照会に答えてくれました。そして、その合計は七万六千六百五十人です。我々でできることがなぜ厚生省にできないのか。もし、ある計画について責任を持ってそこにアプローチしようとすれば、計画の常識は進捗度をつかむことです。特別養護老人ホームについてそれをつかもうとしていない、この点を私は改めてほしい。  そこで言いたいのです。あなたたちの新ゴールドプラン目標数は二十九万人分です。そして、先ほど厚生省もそのとおりとお認めになったように、九五年の到達数は二十三万三千五百六十人です。これに私たちが調べた入所待機者を加えますと、三十一万人を超します。二〇〇〇年の三月三十一日までに皆さんが二十九万人分を準備したとしても、なおかつ二万人を超える人が入所できないではありませんか。これで放置していいのですか。
  205. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 今先生がお挙げになりました数字そのものは先生の方でお調べになりましたものでございますから、それに直接お答えをするわけではございませんけれども施設サービス整備に当たりまして、在宅を重視するという観点から、入所待機者ということについて、その時点で、それは入院なりを希望ということではなくて入所を希望ということでありましても、在宅サービス整備よろしきを得れば、やはりそこは在宅に向かうという者も入っておりますし、それから、今後の介護保険というものをにらんで言えば、施設の中でも、新たに療養型病床群というような形でのいわば一つの長期療養にふさわしい場の整備というようなものを進めてまいります。こういったことを前提にして、もう一回その需要を把握しなければならない。それはむしろ、新しい介護保険の発足ということを前提にしたニーズの把握をして、そのことに基づきまして今後の整備を考えていくということでございます。  現在の新ゴールドプランは、それぞれの市町村あるいは都道府県におきまして、それぞれの自治体がその地域需要というものを踏まえまして、上からつくった計画というよりは下から積み上げた計画でございます。そういう意味においては、今そういう地方団体それぞれがこれだけの整備が必要だということで出てきておりますものの集大成としての新ゴールドプランの達成ということを現時点においてはやはり最優先に考えていくべきであろうというふうに思っております。
  206. 児玉健次

    児玉委員 厚生省にお願いしたいのですが、説明は要らないから、答弁をしてください。  今のお話も、もしあなたがこの入所判定の書類を緻密にごらんになれば全部崩れてしまいますよ。家族の状況はどうなっているか、これは五項目めにはっきり書いてあります。在宅介護が適当という人は特別養護老人ホームの入所判定からは除外されているではありませんか。そして、地域がそれぞれ積み上げたものをやればしかるべくいくはずだというお話だけれども、そうなっていないところに現在の問題点があります。  例えば北海道、新ゴールドプラン目標は一万六千七百人、九六年到達数は一万五千六百二十四人、待機者は四千二百九十五人、約三千二百人足りない。このことの指摘に対して、北海道庁の生活福祉部長は今のような答弁はしておりません。入所を待っている人が三千二百人いる。計画見直しに当たっては、市町村を初め関係団体から御意見をお聞きする場を設定することも必要と考えています、日本共産党の議員の質問に対して、つい先日、道議会でそう答えています。なぜ国会でそのように答えられないのですか。見直しをしたらどうですか。
  207. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 見直しは当然いたすわけでありますけれども、新しい介護保険に向けて新しい介護基盤施設につきましても在宅サービスにつきましても一つの新しい体系のもとでやっていこうということを今御提案申し上げているわけでございますから、こういった新しい状況に従った見直しをし、それに従った計画をつくる。それから、現在のところでは、まだ新ゴールドプランによります整備、これはそれぞれの地方が需要として出してこられました施設整備がまだ達成をされていない状況でございますから、その達成をまずは第一番に進めなければならないと思います。  それから、今、北海道の例もお挙げになりましたけれども、それは、入所待機者が多いといっても、施設サービス在宅サービス整備の落差というようなものをそのまま放置して施設整備を進めるということではなくて、やはり入所待機者の状況や必要度、あるいは在宅サービス利用に結びつける方策などを、この際、それぞれの都道府県でもう一回そこをきっちりしていただいた上でどうかという中で、そういったものを総合的に整備して、なお施設への入所が必要だということになれば、在宅サービスがおくれているということも含めていえば、例えば在宅サービスの受け皿ともなりますような小規模な複合施設をつくるというような具体的な対応もその中で工夫としてやっていかなければなりませんが、いずれにしても、そういったことをきちっとそれぞれで都道府県と協議をしながら進めていかなければならない事項であろうというふうに思います。
  208. 児玉健次

    児玉委員 その都道府県が、見直しのための関係市町村との協議の場をつくらなければならない、こう言っています。そして、私は厚生省に、あなたたちがいまだかつてやったことのないことをやれと言っているのじゃないのです。ゴールドプランというのがありました、しかるべき目標が設定されていました、それが不十分だからあなたたちは新ゴールドプランをつくったのじゃないですか。立派に見直しをしました、その十分、不十分さは別として。そして今――論議というのはそらしたらだめです。私はあえて特別養護老人ホームの問題に絞って言っているのですから。共同グループその他の問題は後からまたやりましょう。  特別養護老人ホームというのは進捗度が一番高い分野の一つです。そして、市町村都道府県によって若干のでこぼこはありますけれども、そんなひどいでこぼこはないですね、いただいた資料をつぶさに見ています。そうすると、これは二〇〇〇年末まで届きそうだけれども、それでなおかつニーズにこたえられない。ゴールドプランを新ゴールドプランに切りかえたときと同じ、国民に対して責任を持つ立場から、あるジャンルについては見直してはどうですか。これは小泉大臣答弁を求めます。
  209. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 当然、現状をしっかりと把握するということは重要なことであります。ゴールドプラン、新ゴールドプランも、平成十一年度に目標を達成するようこれから努力していかなければならない。十二年度に新たな視点から見直して、ちょうど介護保険制度導入されて、いざスタートする年に合わせてその新ゴールドプラン見直しもなされると思いますので、両方から、その時点で十分でないところが当然出てくると思います。そして、この介護保険制度導入しないことによってそういう実情把握が進むかというと、そうじゃない。介護保険制度導入することによって、私はもっと実情把握が進んでいく、整備拡充が進んでいくと思います。その点は御理解いただきたい。
  210. 児玉健次

    児玉委員 今のままでいきますと、特別養護老人ホームの分野に関して言えば、新ゴールドプラン自身が都道府県がつくりたいと思っている計画を抑え込む役割をしていますね。  あなたたちは、圏域、圏域とよくおっしゃる。例えば十勝という北海道のある圏域は、目標が千三百三十三、九六年度の達成は千三百三十三。今の厚生省の論理でいえば、もう一ベッドもつくることができない。そして、待機者は四百九十一人ですよ。他のおくれているところで整備が進むまであなたたちは待てというのですか。その点の矛盾を私は強く指摘しておきたいと思います。この後、また論議をしましょう。  次は、質の面です。  この点で、最近の特別養護老人ホームでのインフルエンザの蔓延、先日、厚生大臣にも直接申し入れをいたしました。全国で、ある全国紙によれば、二百四十人を超す死亡者が特別養護老人ホームで生まれている。痛ましい限りです。なぜだろうか。この点でも特別養護老人ホームの質が今こそ問われなければなりません。  厚生省大臣官房統計情報部、社会福祉施設調査、これは九四年十月一日のなかなか見やすい、説得力のある調査です。その調査を拝見すると、特別養護老人ホーム、個室のところ、二人部屋、三人部屋、四人部屋、五ないし六人部屋、七人部屋。四人以上の部屋数が全国特別養護老人ホームの部屋六万七千八十の中で実に四万三千七百三、六五・二%が四人部屋以上です。だれかがインフルエンザに感染したら、あっという間に四人、六人、全員に蔓延してしまう。  今、ここを直すことが急務ではないでしょうか、質の面で。特別養護老人ホームで、新ゴールドプランの達成を急ぎ、前倒しでやり、必要な計画見直しをしながら個室をふやすのが急務ではないかと思いますが、厚生省の端的な答えを求めます。
  211. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 特別養護老人ホームの質ということで、個室化という一つの例をお挙げをいただきました。これにつきましては、私どもの方もだんだんに個室化を進めていくという姿勢で、現在、三割までの個室化につきましては、補助の面で単価の面倒を見るというところまで来ております。  それから、実態について先ほどお触れになりましたけれども実態は確かにお触れのようなことで、四人部屋以上がそういったウエートを占めておるというのも事実でございますが、これらにつきましては、また改築というような場面ごとに今のような方向で努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  212. 児玉健次

    児玉委員 その努力は私は強く求めます。  もう一つの問題は、特別養護老人ホームにおける職員の定員配置の問題です。  なぜインフルエンザがあれほど蔓延したか。年末から年始にかけてでした。嘱託医の開業医の先生は大体お休みになっている。そして、定員八十人を超しても、百人になろうと、百二十人になろうと、看護婦の配置は三名を超すことがありません。そうすると、年末と一月四日にかけては医療関係者が空白という状態特別養護老人ホームも生まれた。この状態に代表される定員配置基準改善が急務ではないか、いかがでしょう。
  213. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 特別養護老人ホームの定員の充実、配置を改善をするということにつきましては、私どもも、方向としてはそういう方向で努力をしなければならないことであるというふうに考えております。  今回の介護保険におきますいわば運営費の積算におきましても、そのことを、段階的に職員配置を改善していくということを織り込みながら費用の計算もいたしております。
  214. 児玉健次

    児玉委員 きょうの最後の問題に入りたいと思います。  介護保険制度が提起されて、輪郭が示されてくる。さまざまな経過があって、ある新聞は、この構想はダッチロールだと書いたこともありました。確かに相当振れましたね。  私たちは、介護保険制度の輪郭が明らかになり始めた一九九五年の十二月十五日に「介護保険制度についての日本共産党の見解」、これを発表いたしました。その中で、私たちは、政府案では保険あって介護なし、こうなる危険性が極めて濃厚であると述べました。これはあえて申しますが、狭い党派的見地から述べたものではありません。国民の声がそこにあります。  マスメディアの論調も国民の声を反映しております。例えば、私たちが先ほどの見解を発表したおととしの十二月十五日、その十日後に、朝日新聞が「保険料払って介護なしては」と題する社説を明らかにされました。その中で、「問題は介護サービスの内容と保険料や税金の負担だ。「たいしたサービスじゃないのに、負担ばかり求められるのではないか」と警戒する国民も多い。」そう言って、最後のところで、「厚生省は、介護サービスの量と質の充実のためにもつと努力しなくてはならない。そうでないと、」「制度創設に国民の同意は得られないだろう。」この指摘は残念ながら今当たりつつある、こう考えます。  ではどうするか。やはり、公的介護保障制度前提となる今の新ゴールドプラン、不十分なところについて思い切って見直しをし、そして達成がおくれているところはプッシュしていく、その点で国の努力が非常に問われているのではないか。  日弁連の調査で、調査対象となった自治体において、二〇〇〇年三月末までに新ゴールドプラン目標が達成できると答えた自治体は二七・〇%でしかありません。どこがネックか、はっきり言っています。財源難、人材難、こう言っていますね。そこのところで国は手を差し伸べるべきではないでしょうか。  先年、私は、北欧の社会保障を見学に参りました。デンマークの政府の担当者から、一九七〇年代にデンマークの老人介護は停滞があった、そのとき、国が自治体の所要経費に対する補助を五〇%から七〇%にふやしたのを契機にして高齢者福祉が前進した、こういうふうに聞きました。  この努力を、大臣、今すべきではないでしょうか。財源、財源と言われる。しかし、この分野の財源については国民の合意が可能です。例えば公共事業の浪費にメスを入れていく、それで立派な 財源が生まれる。  私たちがこの二月十三日に予算案の組み替え案を出して、その中で、新ゴールドプラン関連予算を二倍にしようということを提案しました。そのことについて、衝に当たっていらっしゃる厚生大臣として、ともに努力しょうじゃありませんか、いかがですか。
  215. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 やるべきことはたくさんあるのです。我々の先輩たちは、戦後一貫してヨーロッパのすばらしい福祉制度を見習いながらここまで進んできて、今や、年金にしても医療にしても、いろいろヨーロッパの制度に比べて遜色のないような水準までようやくたどり着いてきた。これから新しい社会保障の拡充を目指して今努力しているところで、この介護保険制度導入もその一環であります。  スウェーデン、デンマーク等、確かに日本に比べてすぐれている点がたくさんあります。しかしながら、スウェーデン一つとってみても、消費税は二〇%を超えております。日本の国民で消費税二〇%いいという声が起こるでしょうか。私は起こらないと思います。三%、五%でもこのすごい反発であります。  結局のところ、サービスを求めるのだったら負担をどこかでしなきゃならない。この問題はやはり国会でも国民でも考えていただきまして、今やれる範囲でどういうことが可能なのか、その一環として、介護保険制度は公費も投入します、同時に国民もしかるべき御負担をお願いしたいということで保険で負担してもらう、介護サービスを受けるために一割は利用者が負担してください、あとの残った半分は保険で負担します、その半分は国と都道府県市町村で公費を導入しましょうという形でスタートさせることによって、私は、一歩一歩、スウェーデンなりデンマークなりのすぐれた福祉制度の拡充につながっていくのではないか。彼らばかりを見ないで、前を向いて、希望を持ってこの法案成立に御努力をいただきたいとお願いいたします。
  216. 児玉健次

    児玉委員 時間ですから。財源の関係については、この前の予算の総括でやりましたので、この後やりましょう。国の補助率が問題です。強く指摘しておきます。
  217. 町村信孝

    町村委員長 中川智子さん。
  218. 中川智子

    ○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。よろしくお願いいたします。  私は一九四七年に生まれまして、いわゆる戦後のベビーブームの一番最初の人間で、私たちが年をとるときに、この今議論している介護保険制度が、私たち自身が本当に安心して老いることのできるような、そのような法律として生きていくことを心から願っているわけなんです。  現在の、特に介護の現場にいますのは九割以上が女性です。しかも、子育てを一生懸命やってきて、そして、子育てがやっとほっとしたなと思ったら次は親の介護が待ち受けていて、結局、女性の社会への参画とか言われながらも、ずっと家庭の中で子育てと介護に明け暮れていて、気がついたら、要介護者の自分のしゅうとめや母親が死ぬ前に自分の力が尽きていくという、このような悲惨な状況もたくさん生まれています。そのような経験も私自身が持ち、そして、たくさんの女性たちの叫びを今ここの場で語れることを、私自身はある意味では幸せだと思います。  そのような思いに立って、もう一つ私ごとで申しわけないのですけれども、代表質問のときも愛する夫の母というふうに申し上げましたけれども、その義母がよく言っていました。私が倒れたらもうあなたは飛んでこなくていいよ、区役所の前に私を置いてちょうだい。戦争で一生懸命国のために、力の限りお国のためにと生きてきて、そしてずっと税金を払い続け、そして、私たちを倒れたからといって何にも面倒を見てくれないこの国に対して、私が倒れたら区役所の前に置いてちょうだいということを言い続けていました。  でも、やはりそれはできません。倒れましたので、飛行機に飛び乗って一そのときに私の子供は二歳と五歳でしたが、その子たちをどこに預けていくか、まずそこから探し始めて、そして私はやっと妹や、自分の母親も余りぐあいがよくありませんでしたけれども、頼み込んで、数カ月、病院のベッドの横に付き添いました。夫は一人っ子ですから、私以外に見る人間がおりません。六人部屋でした。私はそのころから体形が変わっておりませんので、ベッドとベッドの間の細いあの補助ベッドというのに、もう何というか非常に苦しくて、詰め込むようにして二カ月近くその病院で泊まり込んで介護をしました。そういう人たちがまだまだたくさんいる。  そしてまた、家の中で、アルツハイマーとか痴呆というのは、また寝たきりになった老人というのは、体が動かなくても口は結構達者なんです。この御飯はまずいとか、あんたはもう私のおむつの当て方いつになったら上手になるのとかいろいろなことを言われながら、本当に精いっぱい看護をしてもののしられるという状況の中で、殺してしまいたいと思うことは一度や二度じゃなかったと、私自身はそこまで思いませんでしたけれども、そういう声をいっぱい聞きました。  その人たちが一番待っていたのはこの法律です。ですから、しっかりと審議して、これほど待ちわびていた法律が私たちのこの苦しみを救ってくれたという形でスタートさせたい。ですから、しっかりと、今までのこの数時間、そしてこの後に続く何日もの審議を受けとめて、大胆に見直し、また大胆に足りないところを補う御決意が小泉大臣におありかどうか、まずそこをお伺いしたいと思います。
  219. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 何事もやってみなきやわからないという点はあると思います。今の予想が狂う場合も当然あります。しかし、現時点で現状を考えてよかれと思ってまず導入してみよう、そして、導入してみた段階で不十分な点があれば、この国会委員会で御審議いただく点を踏まえながら、より拡充策を目指していこうというのが私はいいのではないかと。まず導入してやってみる、そして現実に利用者がこの制度の恩恵を受けて、どういう点がいいか、どういう点が悪いかというのは、今想像していた以外の点も出てくると思います。そういう点も踏まえて、まず導入して、少しずつよりよきものを目指していくことが肝心ではないかなと。  御意見をしっかりと受けとめて、そして、この法案の審議の最中の各議員からの御意見を参考にしながらよりよき制度を目指していきたいと思っております。
  220. 中川智子

    ○中川(智)委員 私も結構説得力のある話をすると言われるのですが、小泉大臣のお答えもやはり説得力がとてもあるということはすごく痛感するのですけれども、阪神・淡路大震災の質問予算委員会でしましたときにも、やはり小泉大臣は前向きに検討したいと、そして、被災者の今の痛みを受けて新しい法律をつくるか、また災害救助法を見直してというふうなお話がありましたが、その後、私は毎日一日千秋の思いで、あのお答えが具体的にどのように目に見えた形で生きてくるのか、お答えが来るのかなと待っておりますが、そのお答えに対してやはり一つ一つ責任を持っていただきたいというのを強く要望するのと同時に、先日、私が代表質問介護保険法のことで質問した中で、小泉大臣のお答えに、四十歳から六十四歳までの疾病に対して、要介護というところに対して、  難病についても、加齢に伴うものかどうかによって給付対象とするかどうか検討することとしております。介護保険対象とならない若年障害者や難病患者については、障害者プランなどの保健福祉施策により対応することとしております。 とおっしゃいましたが、これに対してもう少し具体的にお教えいただきたいと思います。大臣以外の方でも結構です。
  221. 江利川毅

    江利川政府委員 四十歳から六十五歳未満の第二号被保険者が要介護状態になることにつきましては、政令で疾病を指定するというようなことになっております。専門家による検討を経て決めていくというプロセスを踏みますけれども、四十歳を超えて顕著に要介護になる難病、そういうものを調べていきまして、それに該当するものがあれば指定する中に入れていきたいというふうに考えております。
  222. 中川智子

    ○中川(智)委員 四十歳から四十五歳というのが、子供を育てている一番大変な時期なんですね。もうだれも介護する人がいないという、そのような状態になります。そして、私もそうだったのですが、夫は転勤であちこち行っている。そして、子供の面倒を見ていて、そのときに自分が倒れるかもしれない不安というのがすごく強いわけなんです。  ですから、四十歳から六十四歳、最初のここのところを取っ払っていただきたいというのが大胆に修正していただきたい大きな希望です。第二号被保険者、四十歳以上六十四歳以下の医療保険加入者の加齢による疾病というところを削除していただいて、すべての要介護状態になった人に対してこの保険給付が受けられる、介護サービスが受けられる、これに対してどのあたりまで御決意があるか、伺いたいのです。
  223. 江利川毅

    江利川政府委員 今までの中で何度かお答えをしたことでございますが、今回の法律の中では、若年障害者につきましては障害者プランで対応するということで考えているわけでございます。ただ、この法律の附則に、障害者に対する施策の進捗状況も踏まえて検討するという規定がございますので、その段階での検討課題というふうにさせていただきたいと思います。
  224. 中川智子

    ○中川(智)委員 ぜひともよろしくお願いいたします。  それと、認定への不安がやはりかなり強いのです。被保険者、いわゆる利用者の声をそういう自治体の場に入れていただきたいと考えているのですけれども、そのような計画も具体的におありでしょうか。
  225. 江利川毅

    江利川政府委員 要介護認定を受けまして、どういうサービス利用するかということになりましたときには、御本人あるいは家族の意見も聞きまして介護サービスの中身を決めていくということになります。そういう意味で、利用者の意見が反映されるというような仕組みになっております。
  226. 中川智子

    ○中川(智)委員 不服申し立てをする窓口を、ちゃんと行政の、自治体の窓口としてつくっていただきたいのですね。そこのところで、そのような、一括して、一カ月に一回でも、認定に対してこういう不服が来ているというのを、行政だけの対応ではなくて、地域のさまざまな活動をしているいわゆる市民をその中に入れていただきたいと考えておりますが、いかがでしょうか。
  227. 江利川毅

    江利川政府委員 この制度利用するに当たりまして、さまざまなことがあろうかと思いますが、その際、例えばサービスの中身に不満があるとか、いろいろあり得るだろうと思います。この制度の中では、私どもは、各県ごとに置かれています国保連、そこにオンブズマン的なものを置きまして、利用者の苦情相談を受けまして、そして、必要があれば調査を行いまして関係業者に助言等を行う、そういうことを考えているわけでございます。そういう形で、利用者の声を集約して生かせるようにしていきたいというふうに考えております。
  228. 中川智子

    ○中川(智)委員 自治体というか地域でいろいろ聞きますと、最近、介護に関して、割と小さな町なんかでは、ボランティアに期待するという形で、ボランティア募集、ボランティア募集で、いろいろな講座であなたもボランティアをしませんかというPRがすごく多いのですね。介護に関しては、やはり一番主婦が経験しているというか、結局、家庭でずっと生きてきて介護の経験のある女性たちが、何か地域の役に立ちたいということで積極的にボランティア活動をしているわけですね。ボランティア活動をしている人たちというのはとても大事な力ではあるのですけれども、容易にその力を行政が取り込んで、ただ働きという形で使っているという感じがすごくございます。  私自身も阪神・淡路大震災の後では一生懸命ボランティア活動をいたしましたけれども、このような、一つの行政としてきっちり責任を持ってやらなければいけない場面でボランティアを安易に使って、そして経費、コスト削減を図るということに関しては、とてもそのような形でいっていただいては困る。ホームヘルパーも足りなければ、やはり自治体が非常に焦りまして、ではボランティアさんをということで、呼びかけがすごく多いわけなんですね。でも、実際に利用者の声を聞きますと、ボランティアというのは、してやっている、してやっているというふうな形で、仕事としてとらえてない方が多いので、苦情に関しては、とてもボランティアに対して苦情が多いのです。  ですから、最近、いわゆる民活とか女性の起業、会社を起こすということで、宝塚でもポレポレという会社がございまして、介護福祉人材派遣をしているのですが、スワヒリ語でゆっくりゆっくりという意味なんですけれども、そのような会社を女性たちが起こそうとしても、やはりお金がない、最初の起業の資金がない。だけれども、私たちはちゃんと自分たちも仕事として成り立っていって、しかも地域の役に立つことということで、いろいろな人たちが今、起業に対して意欲的なんです。でも、具体的にそれを支援する制度がまだまだ足りない。それで、結局、ボランティアが、行政としても使いやすいと言ったら語弊がありますけれども、使いやすくて、ボランティアの方に流れていく。  ぜひとも、女性の起業を応援するという意味でも、このような介護の末端部分というか現場の部分をもう少しそのような形で、女性の仕事に結びつくような施策をとっていただきたいと思うのですが、お答えをお願いいたします。
  229. 江利川毅

    江利川政府委員 要介護認定されまして、その人に介護サービス給付するというふうになりますときには、通常の場合、介護サービス計画をつくるということになります。そのときに、しかるべき要件を満たしていると県知事から指定された事業者の中で、本人等が要望する事業者からサービスを受けることになるわけであります。  通常、ボランティアにも大変幅があるわけでありまして、いろいろなボランティアがあろうかと思います。かなりきちっとした組織をつくって継続的にサービスをやっているようなものから、まさにボランティアというのでしょうか、そういう非常にさまざまなタイプのものがあろうかと思います。  この介護保険制度の中では、仮にボランティア活動でありましてもしっかりした組織のもとで行われている、そういうものの場合には、一定の要件を満たしているものにつきましては、介護サービスの供給を行うことのできる事業者というのでしょうか、そういうふうに位置づけるわけでございます。そして、その場合には、介護保険からそのサービスに対して対価が出る、給付をされる、そういう形になります。もちろん、その要件を満たしてないボランティアが適宜やるボランティア活動はまたこの介護保険とは別の世界ではございますけれども、きちんとした組織で一定の要件を満たさせてきちんとしたサービスが行えるものであれば、法人組織がない場合には市町村長の御判断になりますけれども、ここのところには任せて大丈夫だというような場合には介護保険対象になるということでございます。
  230. 中川智子

    ○中川(智)委員 自治体によって、いわゆる純粋のボランティアという形ではなくて、今、有償ボランティアという何か変な、有償ボランティアというのは何なのかと思うのですけれども、そういう言葉で言われているのですが、その有償ボランティアの方たちの時給というのがまちまちで、交通費だけしか支払われていないところ、時給が五百円ぐらいのところ、八百円ぐらいのところと非常にまちまちなんです。  ですから、有償ボランティアという変な名前ではなくて、ぜひともきっちりとした名前、ネーミングも考えていただいて、自治体で平均的にその人たちへの――仕事として働いて私自身こんなに生きがいを持てたと、本当に介護の部分というのは生きがいが持てる部分なんです。そこにもつと女性の力を、また地域の力を生かしていく上でも、もうちょっときっちりした施策の中にそれを入れていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。前向きな御意見で結構ですので、お願いします。
  231. 江利川毅

    江利川政府委員 ボランティア活動でありますと、恐らくその市町村長さんはよくその実態がわかっていると思います。前向きに取り組んでいるところにつきましては、きっと前向きに評価してくれるのではないかと思います。  そういう評価が介護保険にうまく乗るものについては、制度的にそのサービスを保障するというのでしょうか、そのサービスに際して介護保険から給付をするというふうな形になるわけでございます。
  232. 中川智子

    ○中川(智)委員 今のボランティアの話では、今非常に問題になっておりますNPO法案が絡んでくるのですが、ぜひともNPO法案をいい形でつくりますとここのところも解決に近づくということを申し添えたいと思います。  本当にたくさんの中身の濃い質疑がこの間ございましたので、後から質問させていただくと質問が全部、最初にお答えがあって、何度も大臣局長お話しいただくのはとても申しわけないのでほとんど省いてしまいましたけれども、こういう場で言うのがとてもつらいことの一つに、厚生省の一連のあの事件の後で、一部に、介護医療のいわゆるおむつから何から、そういうふうな業界に対して一つの懸念が払拭できないという実態がございますけれども、もうそこはお答えは結構です。ぜひとも透明性のある、二度とあのような形がないようなことを心からお願いしたいということ。  もう一つは、先ほど児玉議員が御質問されましたけれども特養のいわゆる部屋割りに関して、私どもが年をとって特養に入るときには、個室というか、その中でみずからもまたいろいろなことが勉強できたり、そして、みんなと食事をしたいときには、食事の場に行けばいろいろな人と話ができるというような形で、ぜひとも個室をどんどんとつくっていただいて、そして一人一人のプライバシーがきっちり守られて、別のまた新たな人生計画がそこでできるような、夢のあるような特養の中身をこれからも考えていただきたいと思います。  もうおしまいにします。何か質問は全部していただいて、きょうはすごく実りあるいい質疑があったと思いますので、これで終わりにいたします。ありがとうございました。
  233. 町村信孝

    町村委員長 土屋品子さん。
  234. 土屋品子

    ○土屋委員 21世紀の土屋品子でございます。  介護保険につきましては、本当にいろいろな問題点がございますけれども、十二年に開始をするということで考えますと、一番の問題点はやはりヘルパーの問題であると考えております。その中で、ヘルパー平成十一年度末までに新ゴールドプランの中では十七万人を目標として計画は着々と進んでいるということでございますけれども、私は、長いスパンで考えた場合に、もっとすそ野を広げるべきではないかという考えを持っております。  先般、予算委員会におきましても、ホームヘルパーの三級資格を高校のカリキュラムへ導入できないだろうかということを質問させていただきました。その中で、橋本総理からも「非常におもしろい視点であり、可能性のあるもの」であるという答弁をいただきました。これは文部省の問題が大変大きいとは思いますけれども、やはりホームヘルパーといいますと厚生省の問題でもありますので、これは省を超えて検討していただくのが一番いいかと思いますが、そのとき、小泉大臣にも、「大変興味深い、いい提案だと思います。」、厚生省としても協力していきたいというお答えをいただいております。  これは、はい、すぐ実行に移すという形にはなかなかならないとは思います。本当に介護保険充実したものにするためには、今は四十歳からということでございますけれども、長い目で見たら、多分三十歳から導入とか、そういうふうに考えていかなければならないのかなという中では、若い人たちに、より福祉に対する理解を持ってもらうということが大切だと思います。そういう中で、この問題について、厚生省として取り組んでいけるでしょうかということで、お伺いしたいと思います。これは小泉厚生大臣にお願いしたいと思います。
  235. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 高校教育ということを考えますと文部省にも随分この問題は関係してくると思いますが、この教育問題を当てはめてもホームヘルパーの増員にはすぐつながらないにしても、これは、今委員指摘されたように、すそ野を広げる、さらにホームヘルパーの質を改善していくという面においても大事な問題だと思います。  「企業は人なり」と言いますけれども、私は「福祉も人なり」だと思うのです。最終的に介護をしてくれる方の人によって、明るくもなるし暗くもなる。そういうことを考えますと、人材教育といいますか、実際、人の養成確保、教育という点については大変重要だと思っておりますので、直接的には文部省だと思いますが、厚生省としてもできることがあれば積極的に協力していきたいと思います。
  236. 土屋品子

    ○土屋委員 大変理解がある御答弁をいただきまして、ありがとうございました。私も、機会あるたびにこのことについてはお願いをしてまいりたいと思います。  それから、次の点でございますけれども介護保険の広域的な運営についてお伺いしたいと思います。この点に関しては、何度も御質問が出ていると思いますので重なってしまう面もあるかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。  私は、地元の市町村の方から、このたびの介護保険導入に当たっての問題点、悩み、そういうものについてお伺いしてまいりました。それで、厚生省の方からお役人さんが行って、地元の担当の方または市町村長さんあたりにいろいろお話を伺っていただいても、皆さん、表では余りはっきりした難しい面を言わないようでございまして、私どもがさりげなく会合の席などで、市長さん、いかがでしょうかとお伺いしますと、この問題、この問題、この問題といろいろおっしゃいます。そういう点では、もう少し市町村との話し合いも必要なのではないかと思っております。  その中で、保険あってサービスなしと皆さん何度もおっしゃっておりますけれども、そういう状態を非常に危惧していらっしゃいます。特に小さな町では、自分のところでは採算性が合わないということで導入が厳しいだろうということ、また、民間事業者が入ってこられないということで、広域について考えたいということもあるのですけれども、この点については、多分、厚生省も広域については考えていらっしゃると思うので、その点についてお伺いしたいと思います。
  237. 江利川毅

    江利川政府委員 介護保険制度の運営に当たりまして広域的に実施する、これは全体の効率性を考えたときに一つの方法だというふうに考えるわけでございます。そして、具体的な実施の方法としましては、地方自治法に基づきまして広域連合であるとか一部事務組合を設立してやる方法がございます。  それからまた、介護保険法案の中にもこのことを考えている条文がございまして、市町村間で財政力の格差等があるわけでございまして、そういう場合に普通なかなか一部事務組合などをつくるのが難しいというのがあるわけでございますが、そういうことにかんがみまして、広域的な財政運営を行いやすい仕組みということで、市町村相互財政安定化事業というものを法律の中に位置づけております。これは、介護給付など各市町村間で共通に行われる部分の財源につきまして市町村間で財政調整をするというふうな仕組みでございます。  こういうことで広域化を図りまして、そしてまた、これがうまくいきますように、市町村間の調整とか技術的な援助というものを都道府県にやっていただく、そういうようなことが法律上位置づけられているところでございます。  それから、今のは実施の部分でございますが、介護認定審査会、要否の判定を行う審査会でございますが、これにつきましても、共同設置を行う、そういう仕組みが設けられておりまして、その場合には都道府県市町村支援するというようなことになっております。  こういうものがうまくいきますように、私どもも、手引というのでしょうか、そういうものを検討して、よくまとめて整理をして自治体の皆さんにお示ししたいというふうに思っております。
  238. 土屋品子

    ○土屋委員 広域で考えていった場合、国保の例などに見ても、費用負担が大きくなって高い保険料を払うことになったりということで、サービスが低下するということと、お互いに広域運営をやめるというようなことが起きていると思うのですけれども、この点についてもう少し詳しく御説明いただければありがたいと思います。
  239. 江利川毅

    江利川政府委員 国保についてのお尋ねでございます。  一部事務組合で行っておりますのが、ちょっと今私の手元にありますのは、和歌山県と新潟県で行われているわけでございます。これは昭和二十四年ぐらいから非常に長く行われている。それだけある意味でずっと一体感があるので今日まで続いているのではないかと思います。  確かに、広域的にやる場合に、市町村間の格差というものが出てきますので難しい問題があるわけでございますが、恐らく、介護保険につきまして共同事務を行うような場合には、町村あたりの同じような感じのところが中心になって行われることが多いのではないか、そこを県が間に入ってまとめていく、そういう形になるのではないかと思います。
  240. 土屋品子

    ○土屋委員 関連しまして、先ほども答弁いただきましたけれども、要介護認定の事務、それが大変多くなるだろうということで、県にしても市町村にしても大分危惧しているようでございまして、その要介護にかかわる事務への対応、人材及び経費について、現状ではまだ不透明ではないかという声が上がっております。  その点と、あと、ドイツあたりの例によりますと、認定審査について不服申し立てが大変多いということで、その点について、不服申し立てを受けた場合の仕組みについて、できていればお伺いしたいと思います。
  241. 江利川毅

    江利川政府委員 要介護認定をしました結果に不服がある場合には、不服審査の仕組みが法律上規定されております。これは都道府県に置かれるということになっております。  どのぐらい出てくるかということによるわけでありますが、不服審査の審査会は三者構成になっておるわけではございますけれども、特にこの要否判定の部分だけは公益委員だけで別途検討ができる、そして、かつ公益委員のところは人数をふやすことができるということになっておりまして、件数が多い場合にはそういう形で対応していただくということになります。  ドイツでは不服審査が大変多かったという話でございますが、ドイツの制度と日本の制度を比較して大きく違います点は、ドイツの制度は、要介護判断する水準が結構厳しいというのでしょうか、私どもは、完全には固まり切っておりませんが、現在六つのランクに分けて要介護認定をするということになっておりますけれども、ドイツの制度は、重たい方の四つ目前後ぐらいではないかというふうに言われております。そのために、そこからふるわれた人について不服審査が多いのではないか。  我が国の場合に、これから制度は運営されるわけでありますから、どうなるかまだ確定的なことは申し上げられませんけれども、もう少し要介護度の軽い人も含めて対象となるような仕組みになっておりますので、ドイツほどたくさんわっと出るということはないのではないかというふうに思っております。
  242. 土屋品子

    ○土屋委員 どうもありがとうございます。いずれにしましても、地方ではまだまだ理解が深まっていないようでございますので、市町村ともっと審議をしていただければありがたいと思います。  それから、最後にもう一つお願いしたいのですけれども介護保険制度導入に当たって、平成十二年度に導入予定でございますけれども医療保険改革と切り離しては考えられないのではないかという気持ちでございます。医療保険改革も大分いろいろな審議の末ストップしているようでございますけれども、そこら辺も、十年度にまた赤字になるのではないかと言われている中では、ぜひ平成十二年度導入と並行して御審議いただければありがたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  243. 町村信孝

  244. 土肥隆一

    土肥委員 きょうは十五分という、おとといの十五倍の時間を与えていただきまして、本委員会委員長初め理事の皆さんに心から感謝を申し上げます。大変喜んでおります。  今回の介護保険法案で、私は大変な期待をしております。小泉厚生大臣もしきりに、人材そして国民の善意というふうにおっしゃいます。この前の質問では、もう施設は善意ではできませんよという話をしました。本当にいい人にやってほしいと思ったら、いい人、いい人材施設を運営し、設立できるようにしてあげなきゃいけない。そうしないと土建屋さんがやってくるわけです。  在宅介護福祉在宅福祉サービス、この介護保険は、最大のターゲットは、在宅福祉をいかにこなしていくかということで介護保険法案が提案されているというふうに私は理解しますけれども、これまた本当に、これこそすばらしい人材が必要なんです、それぞれの家庭に入っていきますから。そして、入っていったらもうマンツーマンでやるわけですから。これはその人の人間関係をどう築くかということによって、ヘルパーさんが来たら、この人が来るたびに地獄に陥るような思いでお年寄りが応対しなきゃならないことだってあるわけなんです。ですから、やはり今度の介護保険法案で、いかにしてよき人材を得るかということが最大の課題だと思います。  そして、今度の法案で、これまでの福祉政策に保険が導入された。従来の、税金だけでやる場合は措置ということでございますから、一方的に上から下に仕事が供給される。ところが、保険となりますと、これはユーザーとの間に水平の関係になるわけでありますから、そして、お年寄りは権利として介護を求めるわけでありますから、全くこれからの福祉介護保険導入された福祉は質的に変換するということを、これは議員も承知しなきゃいけないと思うのであります。  ですから、従来は、税金でやる場合には役所を責めていました。しかし今度は、保険というのは、半分は国民の側が負担して、しかもユーザーとなって権利として福祉を要求する、在宅福祉を要求する、施設福祉も含まれますけれども。そういう保険が入ったということをしっかりと認識しないと、従来のやり方では、従来の考えでは、この保険の持つよさというものが実現されないのじゃないかと思うのであります。したがって、保険を入れたことによって一体この日本の福祉はどうなるのか、保険の最大のねらいは何なのか、大臣からちょっと御説明ください。
  245. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それは、公的介護を必要だという声が今圧倒的に多いという場合に、それじゃ税でやるか保険をやるかというのならば、税だけでやる場合には、今我々が目指しているような介護サービスの提供は無理であろう。そこで、介護サービスを受ける給付の面とこれを支える負担の面を考える場合に、公費と税と、そして利用者の負担を求める保険、これを組み合わせることによって一つのあるべき介護サービスの水準が維持されるのではないかということで、どちらがより多くの国民の理解を得られるかといったら、私は、公費と保険の組み合わせの方が税で全部見るというよりもより理解が得やすいのではないか。  なおかつ、日本においては、医療においても保険であります。といっても、公費が導入されております。ということを考えると、年金医療も保険だというのだったらば、医療介護というのは、分かれますけれども、密接に関連している面もあります。言うならば、同じように公費、税と保険で両方とも拡充していこうという方が国民の理解が得られやすいのではないか、そう私は思います。
  246. 土肥隆一

    土肥委員 厚生大臣でありますから、当然、プロバイダーの側からのお考えでしょうけれども、私は、長年福祉をやってまいりましたけれども、今度はいい福祉ができるなと思うのですよ。というのは、今度はユーザーの側に視点を置いて、しかも最も大切な在宅護サービス充実させていく、一番おくれている日本のサービスですから。ユーザーの側に立つことができたというふうに思うのですね。ちょうど医療保険が、自分の好きな病院に、お医者さんにかかれるように、この医者はやぶだと思ったら次の医者にかわればいいわけでして、そのようにユーザーであるわけです。今度は利用者なんです。措置だったら、もうとにかく措置してくださいと言って、措置にあずかった人はハッピーで、順番でまだ待っている人もいるというようなことでありますから。  だから、この法案をつくり上げて、一つ一つ実施要綱をつくる場合に、ユーザーの立場に立っていかにこの介護保険を生かすかということだろうと思うのであります。ですから、これからいい福祉が行われるなと思うのです。なぜならば、それは権利として、ユーザーの側に立って福祉ニーズを満たしていくわけであります。さあ、それが十分満たされるかどうかということは、これからですね。我々、全力を挙げてやっていかなきゃならないと思うわけであります。  そのときに、もう一つ大事なことは、提供する側の論理に立ちますと、看護婦さんにしても、あるいはホームヘルパーにしても、あるいは認定事業者にしても、何か物すごく専門性を我々はすぐ想定するのですけれども、私の経験からいうと、最初は全然経験がない人でも、一定の訓練を受ければ、後は人間性によってすばらしい仕事をそれぞれの家庭で行っていく。だから、余り専門性を要求してはならない。むしろ、経験を重ねていって、訓練されて、とても質のいい在宅福祉サービスの担い手になるということがあると思うのですね。  そのときに、どういう人材を想定しているのかということです。この人材の問題からいきますと、先ほど中川さんの質問もありましたけれども、私は実は有償ホームヘルプ事業をやっているわけです。有償ボランティアの元祖なんです。もう十六年前からやっておるのですね。その経験からいきますと、恐らく在宅護サービスというのは、国がこの保険を使って、税金も入れますけれども、やる場合には、大体ニーズの半分も達成されたらいいと思うのです、いろいろな要求がありますから。だから、それは大変結構で、公的にそれをやる。その上にもう一つ、公的に乗らない、ケアプランなんかに乗らない要求がたくさんあるわけですから、そういう民間のいろいろな在宅護サービスにかかわっている人たちを入れていくということが非常に大事じゃないかというふうに思います。  そのときに、この法律では法人でないといけない、こうなっております。今、NPO法案の提出もなされようかとしておりますけれども、一体どのくらいの人材を、つまり介護保険を担ってサービスを提供する人たち、どういう人たちを想定しているのでしょうか。政府のお考えを聞きたいと思います。
  247. 江利川毅

    江利川政府委員 基本的には、今の制度の中で、福祉施設あるいは療養型病床群、あるいはまたホームヘルパー、訪問看護、あるいは理学療法士、社会福祉士、そういう介護あるいはケア関係に携わっている人たちを考えているわけでございます。人の人間性というところまではなかなか、制度でございますので、そこは、今後の介護保険の中では、利用者の選択という中でそういうものが評価されていくのではないかというふうに思っております。
  248. 土肥隆一

    土肥委員 今、江利用さん、専門家集団をずらっと並べられたのですけれども、もし私どもの神戸ライフ・ケア協会というボランティアグループに言わせたら、では専門家になりませんと言います。ならないけど十分にやれます、こう言いますよ。ですから、やはりNPO法案などでこれを幅広く考えて、訓練されたら相当な仕事ができる。  例えば、もう末期がんの患者さんで、もうお医者さんが家で頑張りなさいといって家庭に帰す場合があるのですよ、病院はもういっぱいですから。そうすると、痛い痛いと言いながら、その人にモルヒネなどの薬を飲んでもらいながら、そこの死に逝く人を見ているわけですね。そういうことすらできるのでありまして、素人をばかにしちやいけないのです。問題は人間性なんです。  だから、ぜひとも今度のこの介護保険を担う事業者というのは、なるべく自由に、自由というのはなるべくフレキシブルに、大胆に、その会を育てていくぐらいの気持ちでこれから広げていきませんと、結局、遠いところから専門家がやってきたって間に合わないのです。物すごいサービスの要求がありますよ。そうしたら、隣の町であるとか自分の町でそういうグループができないと、到底それは援助ができないのです。ですから、ぜひとも柔軟に考えていただきたい、このように思います。  もう一つ質問いたします。  福祉施設あるいは老健施設、これは医療法上の施設であります。それから、療養型病床群の施設ども保険対象になる。私、大変結構だと思うのです。今、老人ホームがたくさんつくられている。最終的には二十九万ベッドおつくりになるわけですけれども、その中でこれが介護保険対象になれば、いわば社会的な目が今度施設の中に入っていくわけです。そして、施設設置者は、運営者は、ユーザーが来るわけです。だから、これは福祉施設を根本的に変えてしまう法律だというふうに思っております。  しかし、福祉施設は一体これからどういうふうに運営をされるのでしょうか。あるいは、福祉施設介護保険を適用するときに、従来の、ただ措置費をもらって、その五十人なら五十人のお年寄りを面倒見ていればよかった、それだけで済んでいた実態から相当変わる。どういうふうにお考えでしょうか。
  249. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 今先生お話がございましたように、今度、介護保険という形で、言ってみればユーザーの方が施設を選ぶという基本的な体系になる。これは在宅サービスも同じでございますけれども、そうしたことになりますと、従来の、いわゆる措置という形でお役所のサイドで施設を選んでそこに入っていただくという差配をしてしまうというのと違いまして、言ってみれば、そこでは施設の方が逆に選ばれるという要素がだんだんに出てくるということになります。そういたしますと、施設も、下世話で申せばうかうかしていられないということで、ちょっと言葉は悪いかもしれませんが。したがって、施設自体も、どういうサービスを、どういう施設の処遇をしていくかということが、今まで以上にそれぞれ経営の中できちっとしていかなければならないというふうに思います。  そういう形で、選ばれた施設介護報酬という形で費用も裏打ちがされていくというのが根本的な仕組みだと思いますので、そのためには、一挙にはいかないと思いますし、そのためのまた努力というものも要りますけれども、方向としてはそういうふうに変わっていくだろうというふうに思いますし、そういうふうに変わっていく方向にこの介護保険を契機に持っていかなければいけないのだろうというふうに思っております。
  250. 土肥隆一

    土肥委員 最後に、今回のこの介護保険法案は、二十歳以上を切りまして、四十歳以上にしましたね。私、非常に残念だと思うのです。これはもう国民総がかりでこの高齢化社会を乗り越えようというわけですから、若い人にも参加していただかなければならない、そのように思います。それからもう一つ障害者が抜けましたね。在宅障害者障害者サービスで、障害者福祉でやるのだということでしょうけれども在宅障害者にほとんど満足なホームヘルプ事業は展開されておりません。  そういうことからいいますと、これからの話ですけれども、二十歳に繰り下がってくるというようなこと、あるいは障害者介護保険対象にするというふうなことは、どれくらいの見通しで考えていらっしゃるのか、お答えください。.
  251. 江利川毅

    江利川政府委員 御質問にお答えする前に、先ほどの質問の中で言い忘れたことを一言申し上げますが、ボランティアで継続してやっているところにつきまして、法人格がないような場合には、一定の水準を満たしていますと市町村が介護サービス主体として認めることができるようになっています。NPO法案が通って法人格を持つようになれば、都道府県知事の指定を受けて介護事業者になるということも起こり得るということになります。  それから、今の二つの問題でございますが、両方とも法案をつくる過程で、審議会を含めまして大変議論のあったところでございます。ただ、この新しい制度をつくるに当たりまして、四十歳以上からということであれば、自分自身がある意味障害を考えるようになるとか、あるいは自分の親が要介護ということを考えるようになるということもあって、こういう形が受け入れやすいのではないか。障害者については、障害者プランとの関係等々があって、もう御案内のとおりでございますが、原案になっているわけでございます。  こういうことにつきましては、実施後の諸状況を見ながら検討するという規定が附則にありましく実施をしていく過程でいろいろと関係方面議論を聞きながら検討していきたい、検討課題と考えておりますが、いつまでにというところは現時点ではまだ決まっているわけではございません。
  252. 土肥隆一

    土肥委員 終わります。委員長、どうもありがとうございました。
  253. 町村信孝

    町村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三分散会      ――――◇―――――