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1997-02-19 第140回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月十九日(水曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 中馬 弘毅君    理事 荒井 広幸君 理事 熊代 昭彦君    理事 住  博司君 理事 柳本 卓治君    理事 遠藤 和良君 理事 武山百合子君    理事 前原 誠司君 理事 木島日出夫君       飯島 忠義君    江渡 聡徳君       大村 秀章君    桜井 郁三君       戸井田 徹君    松本  純君       富田 茂之君    西川 知雄君       西野  陽君    西村 眞悟君       吉田 幸弘君    鳩山 邦夫君       山花 貞夫君    秋葉 忠利君       堀込 征雄君  出席政府委員         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君  委員外出席者         自治大臣官房審         議官      的石 淳一君         自治省行政局選         挙部選挙課長  大竹 邦実君         自治省行政局選         挙部管理課長  山本信一郎君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       岩尾  隆君         参  考  人         (読売新聞社取         締役論説委員長荻野 直紀君         参  考  人         (日本経済新聞         社論説顧問)  金指 正雄君         参  考  人         (産業経済新聞         社東京本社編集         局次長論説委         員)      花岡 信昭君         参  考  人         (朝日新聞社論         説委員)    吉田 克二君         特別委員会第二         調査室長    田中 宗孝君     ───────────── 二月十七日  選挙投票制度の改善に関する陳情書(第八三号)  船員の洋上投票実現に関する陳情書(第八四号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件 参考人出頭要求に関する件  公職選挙法改正に関する件(衆議院議員選挙制度あり方)      ────◇─────
  2. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。  昨年十月二十日、小選挙比例代表並立制による初めての総選挙が行われました。当委員会におきましても、昨年十二月十二日に、さきの総選挙の経験を踏まえ、衆議院議員選挙制度あり方につきまして、小選挙比例代表並立制評価について、重複立候補について、選挙運動あり方について、以上三項目について自由討議を行ったところであります。  本日はさらに、参考人方々の御出席をいただき、御意見をお聞きすることにいたしました。  本日御出席いただいております参考人は、読売新聞社取締役論説委員長荻野直紀君、日本経済新聞社論説顧問金指正雄君、産業経済新聞社東京本社編集局次長論説委員花岡信昭君、朝日新聞社論説委員吉田克二君、以上四名の方々であります。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人皆様方におかれましては、何かと御多忙のところ、まげて本委員会参考人として御出席賜りましたこと、まことにありがたく、委員会代表して心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。  本委員会は、公職選挙法改正に関する調査特別委員会というその名のごとく、代議制民主主義基本であります議員選出方法につき、その公職選挙法をより民主的に、より公正なものとなるように改正すべく調査研究、討論し、立法する委員会であります。  御高承のとおり、昨年十月には、それまで四十数年続いた衆議院のいわゆる中選挙区制を改め、小選挙比例代表並立制で総選挙が実施されました。  この大きな制度改革には相当な議論がありましたし、立法過程におきましても、衆議院では僅差での可決通過でありましたが、参議院においてはこれが否決され、両院議員協議会において修正の上成立したという経緯があります。それだけに、この制度自体国民各界各層のさまざまな意見があり、また、実際に実施してみての問題点ども指摘されております。議会制民主主義基本であるだけに、国民の大多数の合意の上の制度に改正する義務が我々立法府に課せられていると認識しております。  参考人各位におかれましては、社会の木鐸としての自負をお持ちの立場であり、より多くの国民の声を代弁されるお立場でもあります。それゆえ、過去にとらわれることなく、我が国の議会制民主主義がよりよく機能するためにその選挙制度はいかにあるべきかという視点で、率直に御意見を述べていただくと同時に、積極的な御提言を賜れば幸甚に存ずる次第であります。  会議の進め方といたしましては、荻野参考人金指参考人花岡参考人吉田参考人の順序で、お一人十分程度に取りまとめて御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたく存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず、荻野参考人にお願いいたします。
  3. 荻野直紀

    荻野参考人 読売新聞の荻野でございます。  こういう席で私の意見を聞いてくださるというのは大変ありがたいことと思って参りました。それと、選挙制度に絶対なものというのは、選挙制度に一〇〇%完全なものはないと言われておりますし、事実そうだと思います。私たちもまだいろいろ勉強することが多いと思いますので、この機会先生方からいろいろな御意見も伺うことを実は期待して参りました。逆質問は許されないそうでありますので、あえて質問はいたしませんけれども先生方からいろいろ御意見を拝聴したいと思います。  早速私の考え方に入らせていただきますが、一般論として重要なことは、今も申し上げましたが、一〇〇%完全なものはあり得ないという以上、やはり一番重要なことは、制度趣旨が生きるようにいかにうまく運用するか、いかなる選挙制度のもとでも、まずそういう考え方が根底にないといけないのだろうと思います。  それで、順番にここに書かれてありますまず最初、小選挙比例代表並立制評価についてという点でありますが、結論を申しますと、私は、この新しい制度、小選挙比例代表並立制については、見直すべき点はあるが、見直した上で続けていくということがいいのだろうと思います。これが結論であります。  読売新聞社さき選挙の直後に世論調査をいたしましたところ、このまま続けた方がいいという人が八・九%と、これは比較的少ない数字ですが、それに対して中選挙区に戻すという人が三二・三%、それに対して見直して存続していくという人が四三・六%ございました。いずれにしても、見直して存続する、このまま続ける、合わせると過半数になっております。  こういうバックグラウンドもありますし、そもそもこの小選挙比例代表並立制を導入されたときの趣旨というものを考えれば、つまり政党中心政策本位選挙をする、特に政策本位というところは、私、今後の日本あり方考える上でも非常に重要な点だと思いますので、そういう意味で、見直して存続するというのを結論にさせていただきたいと思うわけです。  そうしますと次に、見直すポイントはどうかということになりますが、ここに、紙に書かれております二番目として重複立候補についてとありますが、確かにこの重複立候補、これについては大分有権者の間から戸惑いもあり、異論もあり、これが一番大きな問題点になったというのが客観的事実だろうと思うわけです。  では、この重複立候補をどう考えるかという点でございますが、私は原則的には認めてよいと考えます。これは、政党としてどうしても当選してきてもらいたい人が小選挙区で非常に惜しくも落ちるというようなこともあり得る場合に、人材活用という点を考えれば、重複立候補は何かおかしいからやめろということはいささかどうかなという気がするわけです。よく言われますが、ドイツのコールさんやゲンシャーさんも小選挙区で当選したことがないが比例代表で通ってくる、こういう例もございますし、重複立候補を原則的には私は結構だと思います。  ただし、条件といいますか、ここが見直すポイントになろうかと思いますけれども幾つ条件めいたものを申し上げますと三点ほどございます。  一つは、この重複立候補を導入するのは、先ほど申し上げましたように人材活用という点があろうかと思いますが、それを裏返すと、候補者選びにかなり、人材難といいますか、各党ともお困りになった面があったやに聞いております。したがいまして、候補者難というのも一つ理由として。それから、皆様方の中でもそういう御意見がかなり強いようですが、比例選についての定数を削減したらどうかな こう考えます。その数については、私は、本来は比例代表よりも小選挙区を重視した方がいいのではないかと考えるものですから、数については皆様方の今後の御検討にもちろんまつわけでありますが、五十ないしあるいは百ぐらいまで、やや乱暴な言い方かもしれませんが、削減してもいいのではないか、これが一つです。  それからもう一点は、同一順位の問題です。  同一順位、それを惜敗率で当落を決めていくというやり方、非常に有権者にとってわかりにくいと言われる一番の原因、理由がここにあろうかと思います。よくよく考えればそんなに難しい話ではないかとも思いますが、一方で、同一順位にするというのは、政党でなかなか順位を決めにくいのである意味で責任を逃れるような感じで同一順位にしたという側面もないわけではないでしょうし、同一順位で小選挙区で大いに競わせれば、集票力がアップしてそれが比例にはね返るというような、政党としてはそういうお考えもあったのでしょうが、わかりにくさというものがこれだけ指摘されている以上、やはりこれはやめた方がいいのではないか、そう考えます。  それから、今の二つに比べるとあるいは問題はそう大きくないのかもしれませんが、三番目の問題点というか条件というのは、小選挙区で当選に必要ないわゆる法定得票数に達しない方、あるいは供託金まで没収された方が比例で上がってくることには、ちょっと割り切れないという考え方有権者の中に多いように思います。小選挙区と比例代表というのは全く別のものでありますから、小選挙区の結果に比例代表の方がとらわれる必要がないということは原則的には言えることでありますし、それはそれで私もいいと思うのですが、少なくとも供託金没収というのは、本来そういうことがあってはならない、そういう人は出ない方がいいという趣旨が裏に込められていることだとすれば、供託金没収者は少なくとも、さらに言えば、小選挙区で当選資格のなくなった法定得票数未満の方、これについて相当厳重に考えてみるべき必要があろうかと思います。  それが見直しのポイント重複立候補についての私の考えです。  選挙運動の方ですが、どぶ板選挙になるといういろいろ批判がございますけれども、どぶ板選挙も、考えてみれば、候補者にとっては大変なことだということは重々わかりますけれども有権者にとってみれば、候補者の人となりを目の前で知るということにおいてばいい機会でもありますし、一方で、このために政策を訴える暇がなくて、握手したり、身の回りの話をして終わってしまうのが実態だという話も伺いますけれども、これこそまさに、政策重要性ということを候補者の方がよくよく認識されて、むしろ有権者をリードしていくんだという意識に立たれてやれば、運用次第で克服できない問題点ではないのではないか。これが克服できないと非常に難しいのだろうと思うのです、今後の日本考える場合に。それだけ重要なことだと思いますので、ぜひともこれを見直して、存続する場合には、運動あり方政策中心政策重点にやっていくということを運用面でお考えいただければと思います。  時間が尽きますので、あとはまた質疑の点で述べさせていただきます。ありがとうございました。
  4. 中馬弘毅

    中馬委員長 ありがとうございました。  次に、金指参考人にお願いいたします。
  5. 金指正雄

    金指参考人 日本経済新聞金指と申します。  実は、選挙制度の問題というのは、皆さん方にとってもそうかもしれませんけれども、我々にとっても一種悩ましい問題なのですね。なぜかと申しますと、さっき荻野さんも言われましたけれども選挙制度というのは非常に相対的なものでありまして、絶対的なものではない。どこを見るかで、いい点も見えるし欠点も見える。  要するに、今コップに半分水がありますけれども、よく言われますけれども、半分しかなくなったというのとまだ半分あるという、それぞれの立場からする認識の相違というものがありまして、まさに選挙制度はその一つの典型だと思うのですね。しかも、結果として非常に党派性を持つ。A党に有利である、B党には不利であるとか。しかも、政党議員の人も、当選しているか、野党か与党かということによって、またその都度有利、不利が変わるというわけで、そういう意味では、絶対的物差しがないものですから極めて難しいわけです。  私どもといいますか、きょうは個人の資格で出てまいりましたけれども、一連の選挙制度に絡む政治改革につきましては、若干慎重な対応をしてまいりました。私ども、中選挙区制についてのある種の限界感じておったのです。というのは、もう戦後五十年たって、日本政治状況というのはさしたる変化がないじゃないかという意味で一は、その前提にある選挙制度を見ますと、ある種の限界かなというような感じもしたわけであります。では、当時言われました小選挙区制を中心とする制度がまるで打ち出の小づちのようなものかといえば、そうじゃない。むしろ欠陥が、ある意味では、これも見方によって欠陥と見えるのがプラスに見える場合もありますけれども、いろいろ問題点がある。そういう問題点を並行して解消した上でやるならばいいだろう、大体そういう主張で私どもは来たのですね。  例えば、さっき出ましたけれども、どぶ板選挙、これは実は選挙制度に絡む部分もあります。サイズが小さくなって、その分頻繁に回らなければいかぬ、あるいは、一つ選挙区から一人しか出ないから、その地域の利害を全部一人の人間がしょって東京に出てくる、そういうことになるのですね。ですけれども、それは選挙制度だけではなくて、要するに日本地方制度の問題に非常にかかわっていくわけですね。要するに、補助金でもって地方行政を行う、あるいは許認可中央が持っているものだから、それに頼むよというようなことで代議士が陳情する、そういう地方中央の仕組みというもの、それだけではなく、あるいは政党のありようというようなものもありますけれども、いろいろなものがまざり合って、ある意味ではどぶ板選挙というのが出てくる。  ですから、どうも選挙制度ばかりにすべての問題の解決をゆだねるのは、余りにその荷物が重過ぎると思いますね。もうちょっと複合的に処方せんを出して、しかも衆議院だけじゃなくて参議院がありますから、そういうコンビネーションの中で少し時間をかけてやる。  あるいは、そのやる順番も、これは理想論かもしれませんけれども、本来的に言えば、地方分権というのを先行させて、あるいは許認可権というものの撤廃などを先行させて、そういう中で小選挙区制を軸にした今回のような選挙をやると、前回の選挙で見られたようないろいろな問題点幾つかはかなり解消するのじゃないか、そういうふうに私ども考えております。そのことは、今回選挙をやってみまして、大体そう間違いなかったなということを一つ感じます。  ただ、選挙制度をそうやたらに変えるということは、それこそ党派性党利党略というふうな部分と非常に絡むわけでありまして、結論的に言えば、そういう問題点をなくすために、選挙以外の、先ほど申しましたような地方分権とか許認可の問題とか、あるいは政党自身あり方の問題とかいうようなことを同時並行してやりながら、この選挙をしばらくやるというあたり現実的なのかなという感じがいたします。  それから二番目に、重複立候補の問題ですけれども、これは常識的に判断すればいいわけで、比例区の二百のうち八十四人が重複立候補当選したということですが、この重複立候補というのは、小選挙区制というものにはいわゆる死に票といいますか、投票したけれども議席に結びつかなかった、有権者側からするとそういう問題があるわけですけれども、死に票は少ない方が当然いいわけで、それを緩和する。  あるいは、小選挙区制というのは制度的に第一党に非常にバリューを与える。今回も、第一党の自民党は四割ぐらいの得票率でありましたけれども、いわゆる議席率の上では六割近い。ですから、もうかっているわけですね。ボーナスをつける制度だ。制度はそういうものですから、それはそれでいいのですけれども、やはり少数政党というもの、特に昨今のいろいろな考えを持っている人がふえてきている中で、そういうものを議会に反映させるという、これもやはり一つの役割でありますから、そこを補充するという意味で、比例、特に重複立候補というのがあるわけで、これはあっていいと思いますね。  今回見ますと、重複立候補当選した議員が全体の当選者の中に占める割合、これは少数党の方がパーセントが高いですね。自民党が十数%、たしか一三%ぐらいです。要するに、当選者全体に占める重複立候補当選者というのは、自民党は一三%ぐらいですけれども、民主党以下、少数党といいますか、数が少ない方はその割合が高いですから、この部分でバランスを若干とったなという感じで、一応いいと思います。  ただ、選挙制度というのは、一方で常識国民常識といいますか、それに支えられていないと、やはり代表を選ぶという根本のところが揺らぐわけですから、びりの人がばっとトップに上がる、当選してくるとか、あるいは法定得票数、あるいは供託金を没収された人がまた出てくるというのは、政党の中ではそういう事情はありますけれども国民の方から見ますと、いかにもこれはおかしいじゃないか。選挙というのは、当選させたいというだけじゃなくて、落とさせたい、そういう側面もあるわけですから、これまた出てくると、これは程度問題ですけれども、その辺のところは常識という網でしゃくわないと、選挙制度そのものに対する不信といいますか、それが出てくるというふうに思います。  それから、選挙運動あり方というのは、先ほど荻野さん言われたようなあたりが一番の問題で、マスコミを使った、メディアを軸にした選挙運動アメリカ型の選挙運動というものが少し出てきたのが特徴だと思いますけれども、この辺はこれからネガティブキャンペーンの問題などを含めて論議しなければならぬ。もう一つ政策重視というふうなことになりますと、戸別訪問イギリスなんかの選挙を、私、見たことありますけれども、これこそ一軒一軒訪ねて、政策やそれに伴う予算、どうやってやるのかというふうなことを含めて議論する。そういうことになっていけばいいわけですけれども、そのためには選挙運動というものを、べからず集からもうちょっとこれこそ規制緩和をしていかなければならぬのじゃないかと思います。  最後に、あと一言つけ加えますと、この間の選挙特徴というのは、御承知のように大変低い投票率、せっかく政党本位といいますか政党が軸になる選挙になったのですけれども政党の数が非常にふえたり、あるいはその後の展開でもありますように、投票すべき政党そのものがなくなってしまったとか、あるいは政党といったって、全然違う人が同じ政党にいるというようなことで、政党本位選挙になりながら、政治現実では政党そのものが何か流動的な状況になっている。非常に論理矛盾の最たる状況が起きているわけですね。  この辺のところをひとつ考えていただきたいのと、もう一つは、低い投票率というのは、そういった意味で一般的に政治不信の問題もあるのですけれども、実はこの小選挙区制という選挙制度とかかわっているわけですね。  要するに、小選挙区というのは、アメリカの例もそうですし、イギリスもそうですけれども、大体すごい激戦のところと圧倒的無風区が多くなるわけですね。イギリスなんかは六百五十一下院のシートがありますけれども、本当に接戦区というのは百ぐらいですね、ほかのところはもう決まっていますから。日本でいいますと、圧倒的に強い知事さんの出る知事選とか参議院補選とか県会議員選挙、ここはほとんど投票率は四〇%、場合によっては最近は三〇%ぐらい、こういうことになりゃせぬか。そうすると、国民の半分以上の人が参加していないチームが成り立つのかという問題がある。  むしろ、今度の選挙制度ではその辺が根本問題であって、重複立候補の問題というのは、これはある意味では技術論常識で判断すればいいわけで、私、今のところはなかなかその辺のことがよくわからないのですけれども、そういう問題点がありますよということを何やらもっと将来に向かって議論してもらいたいというふうに思います。  終わります。ありがとうございました。
  6. 中馬弘毅

    中馬委員長 ありがとうございました。  次に、花岡参考人にお願いいたします。
  7. 花岡信昭

    花岡参考人 産経の花岡でございます。大変貴重な機会をお与えいただいて、ありがとうございます。  小選挙比例代表並立制というのは、先ほども委員長からお話ありましたように、非常にダイナミックな国会の攻防を経て成立したわけでありまして、この数年来政治改革への取り組みをしてきたことが現実のものとして実ったということで、非常に大きな評価をしていいだろう、その第一回目の選挙が行われたということに、まずもって大きな評価を与えるべきであるというのが基本的なスタンスであります。ここから先、政治改革はこれで終わりなんではないのでありまして、次なるステージは、恐らく単純小選挙区制への移行ということが早晩浮上してくるのではなかろうかという気がしております。  私、政治改革推進協議会という、民間政治臨調という委員もしておりまして、その中で、東大の佐々木毅さんを主査にして今政治改革検証委員会というのを精力的に進めておられるのですが、実はけさもその会合、勉強会がありまして、そちらへ回ってからこちらへ伺ったのですが、私の発言民間政治臨調見解そのもの代表するものではありません。かなり個人的な意見であるということを事前に申し上げておきたいと思うのです。  政治改革というのは一体何だったのかというのを改めて振り返っておく必要があるのではなかろうか。といいますのは、やれ熱にうなされていたとか選挙制度改革に矮小化されただとか、いろいろ言われる向きがありますが、それは決してそうではない。  政治改革というのは、これは手段でありまして目標ではなかった。目標というのは一体何であったか。これは先ほど来お話に出ていますが、戦後五十年で日本はあらゆるいろいろなシステムがもう限界に来てしまっている、このままいったら日本は二十一世紀に沈没するのではないか、ジャパン・バッシングからパッシングになって、今やもうナッシングである、日本無視というような、大変危機意識というのが出ているわけで、それをやはり政治の側から克服していくための何か装置が必要ではなかろうか、それが選挙制度改革に求められたのであろうというふうに私ども理解しているわけです。  そういう考え方からいきますと、中選挙区制というものこそが諸悪の根源であって、これに風穴をあける、ここから政治改革がスタートしたわけでありまして、小選挙区制こそ日本にはふさわしいシステムであるというのは、まさにそういうことであります。かなり理想論になりますが、政権交代可能な二大政党制、これが我々の夢であります。とにかく、平成の時代になって八年余りたちますけれども、この間に我々は八人の総理大臣を持ったのでありまして、先進国でこれほど政治が混迷している国というのは恐らくはかにはないであろう。安定した強力な政権がどうしても必要である。その政権が失敗したら次の総選挙で政権交代がたやすく行われるというシステム、これが小選挙区制ではなかろうかと思うのであります。  選挙制度は、小選挙区制か比例代表制か、どっちにより傾斜すべきかという議論はありますが、後ほど質疑の中で恐らく出てくると思うのですが、比例代表のメリットとされてきている民意を鏡のように反映するとか、いろいろありますが、小選挙区制のデメリットと言われている死に票、そんなもの士かりが強調されますけれども、これはためにする議論にすぎないのではないかと思います。  それで、今回の小選挙区三百を検証してみますと、自民と新進で合わせて九割近い議席を得ているのでありまして、小選挙区三百に限って言えば、二大政党時代は到来したと言って過言ではないのではなかろうかと思います、いろいろ御議論があるかと思いますが。それで、自民、新進の差が七十三、これは非常に大きな差がついたように見えますけれども、一万数千票ぐらいの開きで見ますと、五分五分ぐらいの戦いなんですね。一万票ぐらいの差ということは五千票動けば当落はひっくり返るわけですから、自民、新進、この両党は結果に見られるほどの大きな開きは実はなかったのではなかろうか。これはこれからのもっと具体的な検証にまたれるところですが、二大政党時代というものの芽が見えたのではないかという点に我々は着目していきたいと思うわけです。  重複立候補については、並立制を採用する限りこの重複立候補そのものが悪いとは思えません。むしろ小選挙区で法定得票に達し得ないような候補を立てた政党にこそ問題がある。ちょっと言い過ぎかもしれませんが、あえて申し上げておきます。  選挙運動あり方その他については、時間もありませんので、あと質疑の方に回させていただきます。  一言、その他というところでつけ加えさせていただければ、この選挙制度という今度のシステムは、今橋本行革を初めとして日本システムそのものを変えていかなければいかぬということが行われつつありますけれども、そういうシステムそのものを改革していくこと、そのこととの連動によって初めて選挙制度が機能するのではなかろうか。一つの例で言えば、小さな政府、地方分権ということが実現していけば、それぞれの地域への利益誘導ということが遮断できるわけで、埼玉で起きたような厚生省汚職事件、要するに特別養護老人ホームを埼玉のどこにつくるという箇所づけまで中央の政府、行政がやるというところに問題があるのでありまして、小さな政府、地方分権という一連の流れが根づいていくことによって、並立制のいわゆる弊害と言われる部分が消されていくのではなかろうかと思います。  そのほか、やはり政党というものがもっと成熟しなければいけない。政党そのものの中にシンクタンクのようなものを持って、政党が民意を吸収して統合して政策を形成していくという力を持たなければいけないというのを、今度の並立制というシステムはあらわしているのではなかろうかというようなことをちょっとつけ加えさせていただきます。  最後に、小選挙区三百を衆議院として、二百を参議院としたら理想的な形になるのではなかろうかという、これは極めて非現実的な夢のような提言をして、冒頭発言を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  8. 中馬弘毅

    中馬委員長 ありがとうございました。  次に、吉田参考人にお願いいたします。
  9. 吉田克二

    吉田参考人 朝日新聞の吉田でございます。  きょうは、機会を与えていただきましてありがとうございます。昨年の総選挙の結果を踏まえて新しい制度についての意見を述べよということですので、私の意見をかいつまんで申し上げたいと思います。  ただ、こういう問題を考える場合に、新しい選挙制度選挙制度だけの改正であったのではなくて、政治の腐敗、国民政治不信、そういったものの解消を目指して、政治資金の制度あるいは政党助成の導入、そういうものを含めた一連のセットの改革であったということであろうと思います。選挙の面では、政党政策本位選挙ということを目指し、金のかからない選挙というものを目指したものでありますので、やはりこの問題を考えるときは、そういう改革の趣旨に照らして、では実際の結果はどういうことであっただろうかという点に絞って考えるべきであろうと私は考えております。  その第一の、政党政策本位選挙であったかという点でございます。  既にお三方お話しになっておりますけれども、このどぶ板選挙と言われた選挙、これは私は、どぶ板選挙というのは名前は余りよくないけれども、もしこれが政党が主導した選挙運動であり、なおかつその中で政策が真っ当に訴えられたものであれば、大変すばらしい、ある意味では選挙運動のモデルと言ってもいいような、そういう選挙であろうと考えます。  しかし、現実はそうではなかったのであって、多くの陣営は、政党中心というよりは後援会が中心の従来型の選挙を行ったと私は考えております。党の政策あるいは公約というものをもちろん訴えられたでございましょうけれども、実際の場面場面では、地域の政策、地域の利害に絡むような訴え、やはりそういうものが中心になったというふうに言わざるを得ないと思うわけであります。この点で、やはり今回の制度は十分に生かされていないというふうに思っております。  しかし、このことは、制度が悪いのか、あるいは政治風土が悪いのかと考えますと、私は、そうではない、やはり何といっても政党政治家の姿勢というのが第一義的に大きな問題ではないかというふうに考えておるわけですね。  その中で、制度に引きつけて申し上げますれば、一番大きな問題は、政党地方の支部、とりわけ多くの政党が三百の小選挙区の中でつくられました選挙区の支部、このあり方の問題に帰着するのではないかと考えております。  政党が主導権を持って、党員やその支持者が候補者とともに政策を訴える、政党の支部がそういう核になるべきですし、もしそうなっておればよろしかったのでしょうが、実態は後援会にあったと考えます。また、この政党の支部というのは、年間三百億円ほど出ております政党交付金、これはもちろん政党中央本部もお使いになるわけですけれども、それのうちのかなりの部分が現場にも流れ、その資金の受け皿となっておるのがこの政党の支部でありますので、そういう政党の支部が政党としての活動の拠点になっていないという状態であれば、せっかく出した政党交付金というのが泣くのじゃないか、私はそういうふうに考えるわけであります。こういう支部のあり方というものを、ぜひ政党政治家の方々に篤と考えていただきたいということが第一点であります。  第二点は、では、金のかからない選挙というスローガンが実現しただろうかという点でございますけれども、私どもの新聞社で選挙後一月ほどのところで、当選された全衆院議員にアンケートをいたしました。中選挙区に比べて金がかからなくなったという方が、かかるようになったという方に比べまして三倍ほど多い、かからなくなったという方が多いわけでございます。これは本当であれば大変すばらしいことであります。  ただ、この最大の原因はこの並立制の導入という点にあるのではなくて、連座制の強化というものを行いました法改正、これに大きな原因があるというふうに私は考えております。  一方で、小選挙区の選挙運動の密度が非常に濃くなりましたものですから、かえってお金がかかるようになったとおっしゃる方もいらっしゃるわけですね。特に、今回の選挙から政党選挙運動というものを認めるようになりました。昨年の制度改正によりまして若干分量は減りましたけれども、それでもかなりの分量の活動があるわけでございますけれども、この資金を、本来ならばこれは政党の支部が賄うべき活動であると思いますが、実際のところは、余り支部が整っていないところは候補者の方が御自分でしょってやるというような現実もあったのではないかと思うのですね。  そうしますと、トータルとして本当にお金がかからなくなったのかどうかという点は、ことしの秋ぐらいに発表される九六年の政治資金収支報告等を見なければ、実際のところよくわからないと思います。ただ、もし本当にお金がかからなくなったということであるならば、私は、かねてこの制度改革一つの大きな柱であった企業・団体献金の削減ないし廃止という点について、一層の御努力をいただく大変よい機会ではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから三番目に、比例区の問題、それから重複立候補の問題について申し上げたいと思いますが、私ども基本的に比例代表的な選挙がよろしいと考えておりまして、もし並立制か併用制かということであれば、併用制がよいと考えております。また、もし今並立制の中で改善を施すのだとすれば、比例区の定数というものをもうちょっと手厚くしていただいた方がよろしいのではないかと考えておるわけです。  そのことはちょっとおいておきまして、重複立候補でございますけれども、私は、小選挙区の候補者が重複して比例区に出馬できるという制度は、これ自体がそんなに悪いとは思っておらないわけでございます。やはり一番大きな問題は、同一順位という問題にあったのではないかと思います。  この同一順位惜敗率ということによって当選が決定されるという仕組みがやはり大変わかりにくいし、小選挙区の争いというものをかなり生の形で比例区に持ち込んでしまうということで、比例区のあり方を相当ゆがめたのではないかなと考えておりまして、私は、政党政党であるならば、少なくとも拘束名簿の中で当選順位というものは責任を持ってお決めいただくのがよろしいと考えます。もしどうしてもそれができないというのであれば、同一順位は少なくとも制度上おやめになった方がよかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。  もう時間もなくなりましたのであれですが、いずれにしても、この政治改革、まだ途中でございまして、私、この選挙でネガティブな面を若干申し上げましたけれども、全体として大きな政界再編成というものがその途次にあって、累次進んできておるという点は十分に評価をしなければならないと思うわけでございまして、ぜひ一層の政界再編成、対立軸の整理というものを皆様方なりに施していただいて、この制度を生かす中でやっていっていただきたい。  併用制がよろしいかと思いますが、直ちに、では済みませんがまた併用制に変えろ、このようなことはなかなか現実的でもないし好ましくもないと考えておりますので、そのような政党あり方、そして、どうしても必要なことであれば制度の手直しというようなものを施しながら進めていただきたいと思います。  以上でございます。
  10. 中馬弘毅

    中馬委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     ─────────────
  11. 中馬弘毅

    中馬委員長 参考人に対する質疑は、理事会の協議に基づき、まず、各党を代表する委員が順次質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  なお、着席のままで結構です。  飯島忠義君。
  12. 飯島忠義

    ○飯島委員 自由民主党の飯島忠義でございます。  昨年の十二月十二日、当委員会で我が党の柳本議員意見表明をしたところでございますけれども、新選挙制度について、党内の意見集約、これについてはさまざまな意見がありまして、きょうも私自身、個人の立場質問させていただきたいと思います。  今、四人の参考人の方からいろいろな御意見をいただいたわけでございますけれども、私自身のこの小選挙比例代表並立制評価、これにつきましては、例えば小選挙区、それから比例の方ですけれども基本的に全体的に見直すべき点はありますけれども、まず、制度としての存続は望ましいのではないかと思っております。とりわけ重複立候補、指摘もございましたが、小選挙区で敗れて、そして法定得票率、なおかつ供託金没収、そういう方が当選されたということについての国民の批判が強いということも十分承知しております。これについては、やはり委員会としても論議を重ねて改革すべきだと思っております。  さらには、これは基本的な問題になるのかどうかわかりませんけれども重複立候補順位の問題ですね。これを拘束式にした方がいいという方もいらっしゃいます。それは政党が責任を持って順位を決めればいいと。現実に、例えばけさのニュースなんかを見ておりましても、あるキャスターに言わせますと、オレンジ共済の問題も絡めての話ですが、自民党の方がもっと悪いじゃないかという指摘もあるのですね。例えば、党員を何万人集めて、それから後援会員を百万人とか八十万人とか集めて、それも全く一緒じゃないか、集めた方が順位が高いということは似たような土壌を持っているのだという指摘もありました。  私自身も率直なところ、これについては、逆に、批判にたえ得る名簿順位を公党としてどういう条件の中でつくり上げていくか、これは大変な、とわのテーマに近いものだと思うのですね。人の評価というのは実に難しい。各界各層から当然のように候補者の擁立というものを図っていく、その各界の中における評価はなされているけれども、今度は政党の中における評価となるとまた別のものになると思うのですね。  これの問題については、お四方のうちお三方ですか、御意見で若干触れた部分があると思うのですけれども、この辺について、逆に私どもとしては、例えば批判にたえ得る名簿順位条件的なものといったら、思いつきでも結構ですから、まず一点目、お考えをお願いしたいと思います。  お四方にお願いできればと思います。
  13. 荻野直紀

    荻野参考人 それでは私から。批判にたえ得る順位づくりの困難さということは、おっしゃった意味はよくわかるのですが、それこそまさに政党の見識が問われるところで、十分な調査と、その人となりのことを調べた上で、もうそれ以外にないのではないですか。それで今後の国政に携わっていく人にふさわしいと政党が判断すれば、それを世に問う、これでいいのではないですか。
  14. 金指正雄

    金指参考人 これは、やはりそこで政党は勝負するわけですね。だから、いろいろなやり方がありますけれども、我が政党はこういうところを、例えば国会の論戦にたえるような人材を今回は優先するんだとか、そういうことでもよろしいし。ところが、今までは選挙当選可能性ということが大体唯一の物差しで、したがって、官僚の古手とか、組織をバックにした人たちが出てきた。  だけれども、それは、それこそその政党が何を考えるかに尽きるわけで、あるいは地方支部が充実すれば地方支部がそれぞれ推薦者を出すということもできましょうし、それからジャンル別に、文化系統とか、同じ質問でも経済の専門家とかあるいは外交の専門家を幾つか分けて、党内推薦制度でやるというのもありましょうし、これはもう、それこそ政党のまさに勝負どころといったところではないですか。
  15. 花岡信昭

    花岡参考人 一番世間的に言われているのは、法定得票に達しないような人が当選してしまうというのは一体どういうものかというところだと思うのです。ですから、必要があれば、法定得票に達しない者は除くという一定の歯どめをつければよろしいかなと思うのです。必要ならばそうされたらいいでしょうという、ちょっと突き放したような言い方で恐縮ですが、要するに、政党側の問題なんですね、政党側がそれで有権者に問うたわけですから。我々というか、世間的な感覚は、何だ、おかしいなと。衆議院議員に、金、銀、銅、さらにしんちゅうバッジと、何か四種類できてしまったみたいな言い方もされたりするわけで、その辺はやはり政党の側でお考えになるべきではなかろうかという気がします。
  16. 吉田克二

    吉田参考人 まず、比例区の候補者が、今もお話があったけれども、ちょっと各党、魅力的な人を十分に発掘していないのではないかなと。松井、清原がいないで一番から九番までの打順のラインアップを説明しろといってもなかなかできないのと同じようなもので、まず、候補者の発掘が一番重要だと考えます。  それから名簿づくりについて、私は、選考の経過というものをやはりもっとちゃんと有権者にお示しになるべきだと考えています。もちろん、党によっていろいろな事情があるから、それはそれぞれバックにある団体の代表の方、その勢力に比例して選考される、そういうやり方が一概に悪いということを申し上げるわけではありませんが、そういうことが有権者によく感得できるように公表されるということが肝要ではなかろうかと思います。往々にして、公示直前になって候補者名簿が決まる。私どもは締め切り直前にならないと原稿を書きませんので、似たようなものだと思うのですが、少し早目にお決めいただいて、公示までにそこいらも十分な消化ができるような形でやっていただくということが必要ではないかと思っています。
  17. 飯島忠義

    ○飯島委員 ありがとうございます。  昨年の十月二十日以降、自由民主党の方も、選挙制度調査会等々含めて論議がなされてはいるのですけれども、この評価に対して、皆さん方から御意見がありました。  相対的なものですから、絶対的なものでないという意味でいいますと、欠陥はあるわけです、欠点は。長所があって、その裏には必ず欠点がある。そういう面でいいますと、やはりそういう部分を改善していく。この辺の論議をこれから党内で。御案内のとおり、与党の三党合意の中でも、行政改革の推進とか含めて、この選挙制度についての例えば定数削減、これについても早急に取り組むべきだ、こういう合意になっておりますので、とりわけ、小選挙区そのものの定数をいじれるかどうかは別として、比例についてはやはり若干、例えば百という意見もございましたが、五十とかそのぐらいの数については減らすべきではないかという個人的な考え方を持っております。  それと、大胆な提言として、花岡さんですか、将来的には、衆議院が小選挙区三百、それから参議院比例の二百、こういう御提言もいただいて、これは波紋を投げかけていただいて大変うれしい提言なのですけれども、両院、二院制のよさというものを考えるのであればこういう形なのかなということも理解できました。  あと一問だけお願いしたいのですけれども質問時間がないそうなので、また午後の自由討議の中で質問させていただきたいと思います。
  18. 中馬弘毅

    中馬委員長 では、次に、武山百合子君。
  19. 武山百合子

    ○武山委員 新進党の武山百合子です。きょうは、皆様お忙しい中、ありがとうございました。  早速質問に移りますが、私は、アメリカに二十年ほど住んでおりまして、アメリカの社会の二大政党の中で二十年間政治を見てまいりました。そして、外から日本を見てまいりました。私、実は、自分の選挙で全く理想を行ったのですね。まずボランティア選挙で、そして後援会組織も全くありませんし、理想どおり九三年の総選挙で行いました。その結果、袋だたきに遭ったのです。武山百合子は、人件費も払わず、お金も払わず、地域に酒は持ってこない、ただで来たと、ある人口二十万近くの町じゅうに広まったわけですね。その経験があったものですから、いや、政治というのは、今度は選挙制度が変わって、お金をかけられない選挙、お金をかけてはいけない選挙になったのだということで、次の隣の町を歩いたときはそう説明しました。ああ、そういうことはわかっているよということで、この選挙制度になってから、少しずつ国民選挙制度の内容を理解しつつある段階だと思います。  私は、旧細川政権のもとだったものですから、この選挙制度をつくるのに大変苦労をしたと同時に、当時、二百五十、二百五十の併用だったので、私は、これはまさに理想的で、このとおりいけたらいいなと思っていたのです。先ほど朝日新聞の吉田さんからお話がありましたように、きちっとそのよさをわかっていただけるマスコミもいるということで大変心強く思っておりますけれども、ドイツやなんかは、まさに比例からコールさんとかゲンシャーさんとか出てきているわけですね。同じように、参議院の方で比例があるのだから、衆議院はもっと特色を持った小選挙区でいくべきじゃないかというお話もありますけれども衆議院の方のいわゆる専門分野、それから、この人は残しておきたい、この人は政治の世界で頑張っていただきたい、そういう特殊な方を、やはり、小選挙区では勝てない、そういう部分比例の方で救う、そういう政治の理想に燃えた人を育てていくという意味で、私は、併用制、仕方なく併用制が並立制になりましたけれども比例制はやはり残しておくべきだという考えであります。  まあ、私自身の個利個略じゃないかと言われるかもしれませんけれども、私は、今回、党の事情によりまして比例で出ました。それは小選挙区で出たかったのですけれども、いろいろな事情で比例になりました。  ということで、前置きが長くなりましたけれども、個人的に質問したいと思います。  読売新聞の荻野さんにお尋ねしたいのですけれども政党中心に、政策本意の政治に変えるべきだ、まさにそのとおりなのですね。私もそのとおりだと思い、そのようにやって行動しているのですけれども、この政治の世界に入りまして一番感じたことは、やはり当選回数で長い方とそれから新人とは非常に考え方が違うということですね。それで、当選回数の多い方は今までの政治の流れをもちろんよく知っており、日本の社会に密着したものがどういう政治かということもよく御存じなわけですけれども、その中に新しいフレッシュな感覚というのがなかなか入りにくいのですね。それで、政党中心に、政策本意に、もちろん皆さん表向きはそう言いますけれども、実際の選挙運動になりましたり、それから党の政策の決定過程では、なかなか政策本意、政策中心にならないというのが実情なのですね。  ですから、やはり政治家個人の問題、政党の問題にやはり一番根差しているのではないかと思うのです。それをどう打破していったらいいか。あなた方の責任だろうと言われればそのとおりなのですけれども、私自身の責任でもあるわけですけれども政治家個人の問題、政党の問題ですけれども、どのように我々の心の中のジレンマを解決していったらいいか、助言をお願いしたいと思います。
  20. 荻野直紀

    荻野参考人 年齢の高い人と若い人のその差ということはちょっとこっちに置いておいて、これは失礼に当たったらお許しいただきたいのですが、各党とも現時点においては、よく言えば柔軟なのでしょうが、政策が非常に右と左という表現でわかりやすく言ってしまえば、その幅があり過ぎる、その中で物事を党として決めようと思っても、なかなかこれだという一本にまとまった政策が出しにくいのが現状じゃないかと思うのですね。  ですからその点は、これはよく言われることなのですけれども、もう一度いわゆる政界再編的なことを視野にお入れいただいて、政権をとってしまうと、右も左も相当幅があっても政権をとっている、そのことのうまみといいますか、それに引きずられてなかなか再編的な方向が出しにくいのかもしれませんが、現実には各党とも、各党ともと言うと多少語弊があると思いますけれども、そこが一番の悩みで、そこが有権者にとっても、何というか、もうまどろっこしくてしようがない。このまま一体どうなるのだ。政党基本は、やはり理念と政策が一致する者が集まって政党をつくる、これが理想ではあっても当たり前のことなので、その原点が今非常に問われている時期なので、年寄り、若いという段差もあるいはあるのかもしれませんが、それ以上に、私はもっと根本的な問題がそこにあるので、これを何とかする必要がある。  それにはどうするかというと、いろいろな方の御意見も聞いてみますが、これは選挙を二度か三度やれば自然に収れんしていくのだということもありますが しかし それをやってしるには相当時間もかかりますし、その間、今のようなお悩みをずっと続けているということだと、これは本当に国政の停滞という問題に結びつくと思うのですね。  ですから、やはりここは、あなた方の責任だと言われてしまえばそれまでだとはおっしゃいましたけれども、我々できることは幾らでも、側面的に、手が出せないというのが実態ですけれども、国権の最高機関におられる方に、やはりその辺はしっかりやっていただかなければならぬ部分というのは相当大きいのじゃないかと思います。
  21. 武山百合子

    ○武山委員 ありがとうございました。  やはり、この新しい選挙制度を私たちが生んだ以上、つくった以上は育てていかなければいけないと思うのですね。  それで、日本経済新聞金指さんにお尋ねいたしますけれども金指さん、先ほど絶対的物差しはないということなのですけれども、ある程度の物差しをぜひお示ししていただきたいことと、複合的処方せん、ちょっと前向きな処方せんをお話ししていただきたいと思います。
  22. 金指正雄

    金指参考人 今の御質問ですけれども、私は個人的に言うと、やはり比例代表みたいなものが衆議院にあって、参議院は例えば各県ごとに二人ぐらいとか、アメリカの上院にやや近い形ですけれども、ああいうあたりがいいのかな。私は小選挙区制というものは、アメリカとかイギリスを見て、やや限界に来ているという印象を取材した結果持っているものですから、やや慎重論、否定していませんけれども慎重論を持っております、個人的には。  政権のありようはいかにあるべきかということは、結局その政策を軸に国民が賛同すれば多数派になるわけで、選挙制度で人為的に誘導するというのは、まあプラスもありますけれども、どうなのかなという部分もありますね、これだけ世の中が変化してきますと。  それで、私はもう前から、政治改革の議論もそうなのですけれども、先ほどもちょっと申しましたように、複合的にやらなければだめで、選挙制度だけに荷物を預けてはよくなるはずがないわけで、それは限界があるわけで、ですから今橋本さんがなさって、できるかできないかは別にして、とにかくやろうという、そういう規制緩和とか分権問題とかそういうものを一つ一つやっていくということが大事だと思います。  それから、もうこの数年、我々は同じことを繰り返しているのですけれども、国会というものは一番の政治のセンターに、憲法でそういう位置づけがあるのですから、そこをうんとうまく利用する。要するに、例えばこの間出てきた大蔵省改革なんかも、それこそお役人の世界をいじくるわけですから、議員さんが主体的にこういうものでいこうじゃないかと、それこそ党派を超えて立法府として一致できる部分もある、そういうチャンスをどうして政府立法にゆだねたのかという感じも私は持っているのです。そういう一つ一つのケースを地道にやっていくということが大事なのじゃないですか。
  23. 武山百合子

    ○武山委員 ありがとうございました。  もう少し質問したいのですけれども、時間が来てしまいました。またフリートーキングにしたいと思います。
  24. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、前原誠司君。
  25. 前原誠司

    ○前原委員 民主党の前原でございます。  きょうは参考人皆さん方におかれましては、お忙しいところを来ていただきましてありがとうございます。  民主党も、現在、山花政治改革調査会長を中心として意見の集約を行っているところでございまして、党としての決まった考え方というのはまだございません。したがいまして、きょうの私の発言も個人的な発言ということで御理解を賜ればと思います。  まず、私のスタンスといいますか、選挙制度考え方についてお話をしますが、この小選挙比例代表並立制、三百、二百というものは、私はかなり気に入っている選挙制度であります。中選挙区が派閥を生み、政権交代が起こりにくいという観点から、小選挙中心にということを私自身も考えておりました。確かに候補者としては小選挙区というのは厳しい選挙戦でありますけれども、しかし政権交代を起こすような枠組みに収れんをさせていくという意味で、この三百、二百という、言ってみれば民意の集約の小選挙区と民意の反映の比例代表という部分がうまくマッチした選挙制度ではないか、そういう思いを私自身は持っております。  そして、重複立候補については、確かに法定得票数に足りない人が当選をするとか、あるいは供託金没収の人が当選をするとか、そういったところのわかりにくい部分はありますし、政党がどういう候補者当選させたいのかといったところ、それから、基本的には小選挙区と比例は違うのだという有権者に対する周知徹底、こういうものを図っていけばある程度私もクリアできる部分があると思います。そういったところで、きょうお話しいただいた拘束名簿にすべきだ、あるいは、同一順位そして惜敗率というのは、政党のだれを通したいかというところの問題を放棄した部分じゃないかという御指摘については、今後我々で検討していく部分ではないかという感じがいたしました。  そこで、四万に御質問をさせていただきたいわけでありますが、私自身地方議員選挙も含めて三回の選挙をやりましたけれども、期間中の選挙運動というのは余りにも儀礼的になってきたし、ああいう車で走り回ることが本当に選挙運動なのかということを常々思ってきたところであります。選挙運動のやり方も変えていかなければいけないのではないか、そういう思いがありまして、その点について、参考人皆さん方でいいアイデアがあれば教えていただきたい、これが第一点。  第二点は、今のにも絡んでまいりますけれども投票率が低い、それで、投票率を上げるためのいろんな対策を今後とっていかなくてはいけないと思いますけれども、そのアイデアについて。  まず、この二点について、四万から何かアドバイスがありましたらお聞かせいただければと思います。
  26. 荻野直紀

    荻野参考人 選挙運動期間中の運動が儀礼的とおっしゃった。確かに、一定のあの限られた中で、そこで改めて政策をとことん訴えるというのはなかなか難しいということの実態がわかるので、そういう儀礼的というお感じを抱かれるのはそうだなとつくづく思いますが、じゃどうすればいいかというお話になると、やはりこれは日常をどう過ごすかという問題になるのではないでしょうか。  つまり、日ごろの選挙民との対話というか、そういうことが非常に重要で、ついでにちょっと言わせていただきますと、選挙のときだけそういうことを言い出すと、とにかく当選しなきゃいかぬということが先に立つので、これは失礼があったら本当にお許しいただきたいのですが、自分はこう考えているけれども、こう言ったら落っこつちゃうから違うことを言うという傾向がありはしないでしょうか。そうだとすると、これは非常に日本にとって恐るべき事態を招来するので、まさに日ごろからじわじわと、私はこういうことを信ずるんだ、我が党はしたがってこういう政策を出しているんだと、選挙になったらもうそのときはじっとしていてもいいぐらいのことを日ごろから、政策の浸透というのはそうやらないとできないのではないでしょうか。お答えになっているのかどうかわかりませんが、私はそう思っております。  投票率は、そういうことに伴って私は出てくると思います。その日ごろの活動に説得力があれば、当然説得された人は投票しに行くでしょう。日ごろ何にもしていないのをお願いしますと言っただけじゃ、なかなかこれは投票率というのは上がらぬのじゃないでしょうか。
  27. 金指正雄

    金指参考人 命の御質問との絡みで申しますと、やはりそれぞれの、例えば国の政治の風土と言ってはちょっと希薄になりますけれども、そういったものと絡んでいまして、日本の場合は何といったって人と人のつながりというところで大体いくわけで、よほどせっぱ詰まった政策なんかになりますとみんなそれを中心に物事を考えていきますけれども、普通の場合ですと、まああの人には世話になっているからというあたりで選ぶわけですから、これは選挙運動を変えようといっても、そういう前提のところがありますからなかなか難しかろうと思いますね。  ただ、ほかの国の選挙を時に見たりするのですけれども、例えば、先ほどちょっと出しましたイギリスの下院の選挙ども候補者と一緒につき合って選挙運動を見たことがありますけれども、これは、まことに実直というかまじめといいますか、玄関先で自分たちの政策を訴えて質問を受けて、ではこのためには予算はこうします、税はこうします、いやそれは違うのじゃないかというやりとりがある、まことにある。だけれども、同じ小選挙区でもアメリカなんかの下院は、ある意味では利益誘導型の典型的な選挙ですね、決して外から見ている理想の選挙をやっていませんですね。ですから、これはなかなか難しい部分がありますね。  しかも何か、先ほど言ったように、選挙制度がプラスに働けばいいのですけれども、下手をするとどこの政党政策が同じということになりかねない。例えば、アメリカでは今度クリントンが当選しましたけれども、これはクリントンが共和党寄りの政策をしたからなわけですね。ある意味では効果を上げて、だけれども政策的には非常に似てきてしまった。これは我が方も大体似たような傾向が若干ある。戦前の政友、民政もそうですね。ですからこれは、小選挙区にすると政策本意の二大政党になるかというと、理屈はそうなんですけれども現実の生身の人間が選挙目当ての、次の選挙当選しようと思ってやっているわけですから、これは政権党に近い方が有利ですから、だんだん似てくるのです。  二番目の投票率の問題は、さっき私がちょっと最後につけ加えた選挙制度の関係でどうなのかということを除きますと、要するに政治がおもしろければお客は集まってくるわけで、それに尽きますね。
  28. 花岡信昭

    花岡参考人 まさにそのとおりだろうと思うのです。どぶ板選挙というと何かマイナスイメージですが、草の根選挙というとプラスイメージに聞こえるわけですね。ですから、有権者一人一人と、個々の有権者と話をしながら選挙運動を進めるというのは、決して悪いことではないだろうというのが一つ。  それから、投票率を上げるために何が必要か。これは例えば、九割を超えるような投票率だとこれはかえって全体主義国家みたいな感じで恐ろしいことなんでありまして、では六割を切ったからどうかというと今度のはちょっと低過ぎるかなという気はありますが、技術的には、例えば投票時間の延長とかいうことは考えられてもいいのじゃないだろうか、そんな考えを持っております。
  29. 吉田克二

    吉田参考人 選挙運動は、ただいまお三方がお話しの点とほとんど同じでございます。私は、もし可能であれば、もちろん政党政策本意が前提でございますけれども戸別訪問の解禁というものをお考えになられるのがよろしいのじゃないかと思っております。それから、比例区でございますけれども比例区は政党選挙運動を行うということで候補者個人の活動、運動というものを禁止されておりますけれども、これは一概にはちょっと申せませんが、どうもちょっと候補者の方がかわいそうかな、小選挙区の候補者にぶら下がってどこかの集会でちょっと前座でもやらせていただくというのを拝見すると、若干お気の毒な感じもいたしまして、この点は何とかならぬのかなというふうに考えています。  投票率については、これは妙策はなかろうかと思います。今お話があったように、選挙がおもしろければ投票率は上がる、それ以上のことはないのであります。
  30. 前原誠司

    ○前原委員 時間が参りましたので、資金のことについて、また午後皆さん方にお話を聞かせていただきたいと思います。以上で終わります。
  31. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、木島日出夫君。
  32. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  四人の方から御意見を拝聴いたしまして、率直な感想を述べさせていただきますと、根本的な選挙制度の改変が行われた後の初めての委員会で、しかも日本代表する言論界の皆さんから、しかも論説の代表者の皆さんから意見を聞いたわけですが、いささか期待外れだったという感じが率直にいたします。  それは、選挙あり方考える最も大事な根本問題は何かということを聞きたかったからでございます。  今、日本国民主権の国です。そして代議制民主主義であります。しかも議院内閣制です。衆議院は当然政権をつくり出す機能を持った院でありまして、そういう基本において、どういう選挙制度があるべき選挙制度なのか、選挙制度考える場合に一番の根本問題は何かということが、やはり今真剣に論じられてしかるべき時期ではないかと考えております。民意の反映か政権の選択かというこの二つのメルクマールが、常にどちらをとるかが論じられてきたわけですが、私個人的には、何といっても基本的には民意の反映だと考えるわけでございます。  そういう観点からいたしますと、今回の選挙制度、特に小選挙区制の部分が、自民党が三八・六%の得票で五六%の議席を占有するというこの結果は、この根本的なところで欠陥があると指摘せざるを得ないわけです。  そこで、四人の方から、選挙制度考えるときに、特に衆議院選挙制度考えるときに一番大事な点は何か、どう考えているのか、ずばりお聞かせいただきたい。その理由は、こういう理由からだと理由も述べて、簡潔にお聞かせ願いたいと思います。
  33. 荻野直紀

    荻野参考人 それでは、簡潔に申し上げます。  政権というものは、安定度を私は第一に考えたい。もちろん民意の反映も重要であるので、小選挙比例代表並立制というのが出てきた。先ほどのお話に期待外れとおっしゃいましたが、ここに書かれてある、いただいた紙に沿って申し上げたのであって、それ以上の何物でもございませんが、今申し上げたことで補足させていただきます。
  34. 金指正雄

    金指参考人 今の御質問ですけれども、これまでの話で私の選挙に対する考え方は述べているわけで、もしどうもよくわからぬということなら、若干席を外されたのかと思っておるのですけれども。  要するに選挙というのは、先ほどおっしゃったように、日本の場合は国会を通じて政治をやるということですから、その民意の代表機能が果たされているかどうか。要するに民意というものをまず国会の議席に反映させるというのが選挙の仕組みで、ただし先ほどの、これは憲法に出ていますけれども衆議院が最高権力、政治権力をつくるということになっていますから、政権をつくる、そういう観点も無論あるわけですけれども基本的には民意を的確に反映する、その場で、国会の中でその時代にふさわしい政治権力をつくっていくということ。ストレートに、例えば政権をつくるというならば、むしろ大統領制にした方がいいかというふうに私は思っております。  ですから、これは先ほどから二、三度話をしておりますけれども、なお御理解がいかないというのは、私としては非常に解せないという感じですね。
  35. 花岡信昭

    花岡参考人 選挙制度あり方基本というのは、やはり国の政治が、いかに大きな政治といいますか、国家として、あるいは国際社会の中で日本政治が、ちまちました小さな政治ではなくていかに大きな政治を堂々と遂行していける体制をつくれるかどうか。強力、安定した政権をつくるということによってそれは可能であるのであろうと私は確信を持つわけです。  今言われた自民党得票率が三九%で議席率は五六%であるといりのは、これは、実は小選挙区制のデメリットでなくてメリットでありまして、得票率に比べて過剰な議席を与えるということによって安定した政権ができる、これが小選挙制度の最大のメリットである、そういうふうに思っております。
  36. 吉田克二

    吉田参考人 選挙制度の根本は何かというお話ですが、政策中心に争われ、民意を正しく反映する、これが最も肝要であろうと思います。ただ、もし木島さんがおわかりにくかったとすれば、私が申し上げたかったのは、どのような立派な選挙制度であろうとそれを担う政党がきちんと確立しておらなければ十分に機能しないのだということを申し上げたかったわけでございます。
  37. 木島日出夫

    ○木島委員 今度の選挙投票率が六割を割って五九%台、そしてなおかつ、生き票、死に票という言葉、余りいい言葉ではありませんが、有権者の一票が議席に反映できた票を生き票と見ますと、四五%台。それを見ますと、主権者国民の全有権者の二七%の意思しか議会に反映されなかったわけであります。この政党に、この政治家に日本政治日本の将来を託したいといって選挙をやるわけです。それはいろいろ政策政党はあるでしょう。しかし、そういう国民基本的な願いは全国民の共通する基本的な要求であり、それを最大限全うすべきがよりよい選挙制度じゃないかというふうに考えるわけですね。  そうすると、二七%の国民の意思しか今現在の衆議院には議席として反映されていないと考えますと、そういう形で選出された国会でどんな形の政権がどういう組み合わせでっくられようとも、それが安定政権か非安定政権かいろいろあるでしょうけれども、それは主権が国民にあるという今の憲法原則からいったら、やはり政権の正当性の根本が疑われてしかるべきではないか。今度の小選挙区制というのはそういう結果をもたらしていると考えるわけです。  もちろん、投票率が下がったのは選挙制度のせいだけではなくて、政党が公約をしっかり守っているかどうか、国民の要求をしっかり担っているかどうかというそちらの方が大事かもしれませんが、きょうは制度考える場ですから、そう思うのですが、そういう指摘に対して四人の方の御意見を、時間がありませんのでこれも簡潔にお述べいただきたい。
  38. 荻野直紀

    荻野参考人 私は、より多くの国民の意思が反映される、つまり投票率が高まることが望ましいと考えております。それでお答えにならないかな。  もし、どうやって上げるのかと言われると、先ほど申し上げたような、政党同士が、候補者同士が日常活動をやって切磋琢磨する以外にないのではないかというのが一つのお答えです。
  39. 金指正雄

    金指参考人 先ほども申し上げましたように、今回は別にして、これからは選挙制度投票率というのは少し関係が出るのではないか、そういう懸念を私は持っていることを申しました。例えば現状固定化になって選挙がおもしろくない、当選者は大体決まってくる、そうすると投票率が下がる、今回はともかく、これが定着していきますとそういう問題があるのではないか、むしろ皆さん方に今後考えていただきたいなということを申しました。  それから、いわゆる死に票の問題は、私も申し上げたとおりで、これは若干問題があるんですけれども、反面、それを避けるために比例制度というのを並行してやっているわけですね。それで、今議員は御指摘になりませんでしたけれども、先ほどもちょっと触れましたように、復活率というのですか、小選挙区ではおっこちたけれども比例で救い上げられた、この率を見ると、少数政党に非常に手厚くなっているわけですね。  具体的に言いますと、例えば自民党当選者全体の中で、いわゆる復活した、救われた人たちはどうかというと、自民党の場合は一三・四%です。新進党は別々にやりましたからこれは非常に少ないのです。逆に、例えば今共産党の方の御質問ですけれども、共産党の場合は六一・五%の人が復活で救われているわけですね。社民党なども六〇%ぐらいですか。だから、十分でないかもしれませんけれども、ある程度の是正措置といいますか、それは出ていると思いますね。  ですから、物事はどこを見るかということで非常に違うわけですけれども、死票の問題はあるのですが、今回並立制ということでやることによってある程度救われた部分、救済措置が行われたということは言えると思いますね。
  40. 花岡信昭

    花岡参考人 今の死票の問題は、若干誤解されているといいますか、私などの認識では、例えば一対一の小選挙区の場合、五一%をとった方が勝ちで四九%が負け、四九%が死に票になる、こう言われていますけれども、本当はそうなんじゃなくて、恐らく、A候補とB候補がいたら、二割ぐらいずつのそれぞれかたい支持基盤があって、間の部分を、六割ぐらいをお互いにとり合っているのだろうと思うのです。ですから、死に票なのじゃなくて、次の選挙に向けてどっちがどう頑張ってとるかということなのだろうと思うのです。  それから、今回の選挙のあの投票日の新聞の大見出しは、自民過半数に至らず、新進振るわず、共産躍進、こうなっていたわけで、このシステムは共産党にとっては大変いいシステムではなかったのかなということだけちょっと申し上げておきます。
  41. 吉田克二

    吉田参考人 御指摘の自民党が三九%の小選挙区の得票率議席を五六%得られた、これは私は、小選挙制度が予定している程度のものであろうと思っています。ただ、申し上げたように、私は併用制論者でありますので、もちろんそのことは好ましいとは申しませんけれども、その数字自体を論じるつもりはございません。  それから、もう一点、死票というお話でございますが、もちろん死票は少ない方がよろしいかと存じますけれども、不幸にして落選された方に投じられた票が死票であるという考え方は、私は余りとっておりません。やはり、批判票として非常に重要な票であったと考えておりますし、ぜひその死票を次回生き票にされるように捲土重来を期していただきたいと思います。  それで、二十何%で今の政治の勢力地図が決まるのはどうだろうかというお話でございますが、これは一にかかって投票率の問題であったと考えます。
  42. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、秋葉忠利君。
  43. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 社民党の秋葉でございます。  まず最初に、今四人の方、大変お忙しい中、一日私どもにおつき合いいただきまして大変ありがたいと思うのですけれども、一言、これは恐らくはかの委員の皆さんの気持ちを代弁するというのも僭越なのですが、ちょっと我々と認識の微妙なずれがあるのかなというような気がいたしました。  それは、例えば選挙のときに何もやらないで日常活動だけで当選できる、恐らくほとんどの人がそういう政治活動をしたい、そういう選挙をしたいというところではそれほど変わりはないと思いますし、それから、やはり有権者とひざを突き合わせていろいろな問題についてきちんとした話し合いをする、そういうことでも、やはりできるだけそういう機会を持ちたいし、努力をしているというのが私は大多数の議員だと思います。そうじゃない人もいるかもしれませんけれども、少なくとも今まで私が国会の中でいろいろ話をしてきた議員のほとんどは、やはりそういうことを考えているのではないかと思います。  ただ、それができないのは、一つには、やはり国会の仕事というのは非常に忙しい。この委員会出席率は割にいい方だと思いますけれども、必ずしもそれは怠惰だから一ほかにどこかに遊びに行ってということもたまにはあるかもしれませんが、ほとんどの場合には重複した仕事があって、それも三つも四つも重複して、どの委員会に出るのか、どの会合に出るのかといったことが常に優先順位の問題として我々の頭の中にあってというような事情があります。したがって、例えば行政の問題にしても、官僚対立法ということになって、立法がもっと、国会がもっとしっかりしなくてはという気持ちがあっても 例えば時間的制限でできないというようなことも結構あるわけです。  そういう状況の中で、もっと有権者との対話をする時間をふやせというのは、それはもっともなのですけれども、そうすると国会の仕事がおろそかになったりする。そういうことを提案されながら、同時に国会議員の数は減らせという提案を出されている。私は、より理想的な形での政治活動をするためには、恐らくもう少しきちんとした形で国会議員の時間が使えるような全体的なシステムの見直しをすべきだと思いますけれども、その中で、今までの経験から考えると、国会議員の数はもう少し多い方が仕事がやりやすいなというのが実感です。  そういう感想をとりあえず申し上げておきまして、そこのところはいろいろ複雑な問題がありますから、またどこかで時間を十分とれるときに問題提起をさせていただければと思うのですが、きょうは、選挙制度に関連して一つずっと気になっていたことを伺いたいと思います。  今回の選挙制度が導入された一つの大きな契機というのは、第八次選挙制度議会における答申があったということなのですけれども、私は、その中で、ここに出ていらっしゃる皆さん個人ではないと思いますけれども、マスコミがその第八次選挙制度議会に参加をした、このことがやはり大きな問題ではないかというふうに考えております。  私も武山議員と同じようにアメリカの生活が長いのですけれどもアメリカ社会と日本社会の中の違いの一つにコンフリクト・オブ・インタレスト、利益相反と日本では訳すらしいですけれども、その概念がどのくらい社会に定着しているのかというのが日米社会で非常に違う気がいたします。これは利益相反ですから、泥棒が裁判官になってみずからを裁くというようなケース、一人二役で相反する利害関係を持った役を担うということなのですが、アメリカ社会ではこの言葉が日常的に出てきますし、概念が出てきて、それで整理される部分が随分あるのですが、残念ながら、日本社会ではそれがまだ十分に定着していないような気がいたします。  そういうことを申し上げるわけですから、私は、これが大事な社会的な考え方としてより定着することを希望しているのですけれども、その点から考えて、やはりマスコミが選挙制度議会に参加をして、一つ制度というものを提案して、それが、さっきおっしゃったように完璧な選挙制度はないという中ですから、当然マスコミとしてはある意味で中立の立場で、中立という定義にもいろいろありますけれども、いろいろな意見をきちんと公平に提供して議論の場を与えるという役割を果たす方がより大切なのではないかというふうに私は考えておりますし、それからもう一つは、仮に参加したにしても、選挙制度議会の審議の内容をマスコミの責任として公開する側に回るべきであったのではないか、そんな感想を持っております。  その点についてここにいらっしゃる皆さんはどうお考えになっていらっしゃるのか、そのお考えをお聞かせいただければ大変ありがたいと思います。順にお願いいたします。
  44. 吉田克二

    吉田参考人 八次審にマスコミ、私どもの朝日新聞からも個人の資格で一名参加いたしましたが、ただ、マスコミだけで八次審が構成されておったわけではなくて、その一部であったということでございます。  結果として八次審の答申に割と近い形の選挙制度になりましたが、私の理解するところは、八次審の答申を参考にされて、九三年の総選挙以降、政権が形成される過程の中でいろいろな経過を経て皆様方がお決めになった制度であるというふうに私は理解しております。  一般的な意味の、こういうものにマスコミが参加するのはいかがかというお話でございますが、それは物によりけりでございまして、本日お招きいただいたことについても大分悩みましたが、やはり国民にとって大変大事なことであるという考えに立って出席させていただきました。八次審においても同様の認識であったと思います。
  45. 花岡信昭

    花岡参考人 八次審に私どもの社からも確かに一人出ておりましたが、これは恐らく、メディアに長い聞いたその蓄積なり経験なり知識なりが多少でもお役に立てればということなのであって、全体の議論をリードしていくという立場にはなかっただろうと思います。最終的にはこれが法案化されて国会でお決めになったわけですから、そういう意味で、特にマスコミが第八次審に参加していたということで問題があるというふうには私ども認識しておりません。
  46. 金指正雄

    金指参考人 私のところも八次審には、当時の社長か会長でしたか、肩書は忘れましたけれども出ておりました。ただ、個人で出ておりまして、私は論説とか編集局両方に籍を持っておったのですけれども、そのことによって影響を受けたということはありません。  先ほど来申しましたけれども、むしろ八次審とはやや違う慎重論を大体終始展開しておりまして、出た人間と別に議論を、意見調整をしたりとか、そういうことは全く、まあ私の性格かもしれませんけれども、ほとんど関係なく、論説は論説の議論の中で、対立的な意見といいますか、対立ではありませんが、我が方はどちらかというと慎重論というか、問題点をむしろ積極的に出して、そこをどうするのかということを終始書いてきたつもりです。
  47. 荻野直紀

    荻野参考人 八次審のたしか会長が我が社の人間であったというのでちょっと目立つのかもしれませんが、先ほどもお話がありましたように、マスコミ関係者だけで八次審をつくっているわけではなく、さらに言えば、会長という立場に立つと物が言えなくなってしまうので、取材者の方が随分苦労していたという実態があるように思います。  それと私、当時は一論説委員として政治改革を担当しておりましたことを考えると、八次審が何をやっているかの前に、こうあるべきでないかというような社説を書いていったら、結果として後から八次審の答申が我が社の社説に非常に似ていたというのでびっくりしたという記憶がございます。したがって、その因果関係は、もしおっしゃる意味を誤解してないとすれば、逆ではないかなと思ったぐらいであります。
  48. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ありがとうございました。  先ほど申し上げたように、日本社会ではコンフリクト・オブ・インタレストという概念そのものが定着していないというように私は考えているのですが、今の大新聞の論説委員レベルの方の意見を、日本社会の理解度、浸透度の典型的な例としてこれから引用させていただきたいと思います。  時間が終了いたしましたので、幾つかの点について、また午後、御意見を承れれば大変ありがたいと思います。
  49. 中馬弘毅

    中馬委員長 堀込征雄君。
  50. 堀込征雄

    ○堀込委員 四人の方、きょうはありがとうございます。堀込でございます。  きょうは日本のオピニオンリーダーの皆さんお出かけなので、一点だけどうしてもお伺いをしたいと思っていたわけであります。  小選挙制度になりますと、マスコミによる投票予測の世論調査に基づくアナウンス効果というのは非常に投票行動に影響を及ぼすものであります。特に、前の青島さんの当選された都知事選の投票行動の変化などについて、選挙学会なんかでも幾つか検討されておるようでありますが、そういう意味でこの予測報道ですが、いろいろあるわけです。週刊誌なんかもう半年も前に二重丸、三角、バツをつけたり、新聞報道でも、相当調査件数の少ない世論調査の段階からやられる予測、それから終盤予測。甚だしいのは、今回の選挙では当日の出口調査を、投票箱の締め切り前にその予測を流すというようなことも実はあったわけでありまして、これはやはり相当投票行動に影響を及ぼしておる。御存じのように、フランスでは一九七七年法というのがあって、一定期間の世論調査の報道を規制する法律があるわけであります。  これについて、これから私自身も問題意識を持って検討しなければいけないと思っておりますが、どのようにお考えか。それぞれ四人の方にお答えをいただきたいと思います。
  51. 荻野直紀

    荻野参考人 マスコミのアナウンス効果で選挙の結果が大きく左右されるようなことがあるのは、これは極めてまずいと私は思います。その点については、新聞社はそれぞれいろいろの、アナウンス効果をどう余り外部に影響を与えないかということに相当苦心していると思います。我が社でもそれはやっております。  ただ、これは責任を転嫁するわけではないのですけれども、新聞社の報道というよりもテレビの方の報道で、あれと思うようなことが私自身あったように思うので、自分の新聞社としては非常にそこは慎重に考えておりますけれども、ほかのメディアのことを言うのはちょっとあれですが、そういうこともありました。
  52. 金指正雄

    金指参考人 私は、選挙運動というのは基本的になるべく自由であった方がいいと思っている立場なのです。今のお話は確かに一つ問題点ですが、やはり行き過ぎてはいけませんけれども選挙予測というのは一つ政治報道のあり方で、それを見てまた有権者一つの判断材料にされる、こういう仕組みはある程度あった方がいいと思うのですね。例えばイギリスなんというのは、選挙当日にでかでかと書くわけですね、結果的に間違っちゃったなんというようなことも多いわけですけれども。  私は長く政治記者をやっておりますけれども選挙戦報道、予測報道も少しずつ変わってきまして、特に個人レベルではかなり抑えるようにしておりますね。これはもうここ数年、あと一息とか、いろいろな表現で変わったりするものですから表現なども無論気をっけますし、選挙区ごとのものは大体各社とも抑えぎみだと思いますね。ただ、党派の情勢というのはある程度出していると思いますけれども、これは選挙報道のかなり重要な一部だと私は思っております。  ただ、今回、終わらないのにもう出口調査、ああいうのはやはりちょっと問題ではないかと思いますけれども、あれは一番読者の反応があるのですな。要するに、選挙報道、やはり人間というのは、おれがやろうと思っていたらあいつもやったのか、それならいいなというふうに、いろいろあるわけですね、選挙心理というのは。だから、あれもだめこれもだめでは、気をつけなきゃなりませんけれども、まあ気をつけつつやるということで今やっておるのですけれども
  53. 花岡信昭

    花岡参考人 今度のシステムになって、予測報道のあり方を実は私どものメディアの内部でかなり検討しまして、若干変わっているはずです。というのは、勝ち馬に乗るという心理がより働くのではなかろうかという懸念がありましたので。かつて中選挙区制のころは「あと一歩」と書いてもらうと大変喜ばれたということがありますが、小選挙区では「あと一歩」じゃだめなんでして、そんなようなことを我々もかなり注意はしました。  それで、恐らく今度、数日前、一週間ぐらい前ですか、「自民党過半数に迫る」というようなのが各社一斉に出た、これが問題ではないかということかと思うのですが、やはり選挙報道の自由といいますか報道、評論の自由という観点からいって、これを法的に規制するという方向だけは何とか避けていただきたい。それで問題があれば、新聞協会なり民放連なりで、我々のメディアの内部で検討していくことは全くやぶさかではないということであります。
  54. 吉田克二

    吉田参考人 選挙に限らず、報道、評論の自由というものが私どもの読者に対する責任であり、同時に私どものよすがであるわけで、これは何としても守らなきゃいけないと思っております。そのためには、当然にそれに伴う責任、自分たちで律していかなければいけないと考えておりまして、世論調査に基づく選挙の情勢報道というものについても同様に考えております。当然、そういう責任に照らして、出口調査の結果が投票締め切り以前に漏出するというような事態はあってはならないことであったと考えております。
  55. 中馬弘毅

    中馬委員長 それでは、午前の質疑はこれで終了させていただきます。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  56. 中馬弘毅

    中馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  午後からは、参考人に対し、各委員が自由に質疑を行います。  質疑の際は、議事整理のため、委員長の指名により発言されますようお願いいたします。また、所属会派及び氏名を述べた上、お答えいただく参考人のお名前を告げていただきたいと存じます。  なお、一人一回の発言は三分以内にまとめていただくようにお願いをいたします。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
  57. 住博司

    ○住委員 参考人に対する質疑をさせていただきます。  そして、参考人に対する質疑にも関係のある話でございますけれども、ただいまオレンジ共済事件という問題が、友部参議院議員の逮捕ということで捜査が進展中でございます。その際に、友部議員比例第十三位という形で名簿登載をされた、それに絡んでの多くの疑惑が出ているというふうに伝えられております。  私どもは、選挙に関して、比例名簿の言ってみれば順位決定というのは政党にとっても非常に重要な意味を持つ、これはただ単にいろいろな政党と名指しをすることではなくて、すべての政党が背負わなければいけない責任だと思います。そして、こういう問題について疑惑を持たれた以上、私どもはそれについてのできる限りの真相究明をしなければならないと思っております。  そういう意味で、今回、この疑惑に対して三人の方を参考人として当委員会に招致をし、そして意見をお聞きをしたいというふうに思いますので、委員長によって取り計らいをいただきたい。三人のお名前は、初村謙一郎前衆議院議員、それから新渡英夫都議会議員、そして斉藤麗二こと斉藤衛氏でございます。
  58. 中馬弘毅

    中馬委員長 ただいまの住博司理事のお申し出は、後刻理事会において取り扱いを皆さん方と協議したいと思いますから、さようにお願いいたします。
  59. 住博司

    ○住委員 それでは、続行させていただきます。  そういうことなのですけれども参考人方々にお聞きをしたいのですけれども、今回の言ってみればお金で議席を買ったのではないか、こういうふうに言われる問題について、それぞれ参考人方々はどういうお考えを今持っておられるのか、お聞きをいたしたいと思います。  荻野参考人からお聞きいたしたいと思います。
  60. 荻野直紀

    荻野参考人 名簿十三位登載に関して金の動きがあったのかなかったのか、いろいろ言われていることは承知しておりますが、これに関して、あったともなかったとも私は断言する立場にもないし、それだけのものは持っておりません。  ただ、これで考えられるのは、お金の授受があるとかないとかじゃなくて、ああいう方が十三位になったことを例えば新進党としてどう考えているのかという、そこの辺が明らかには必ずしもなってない。疑惑はなかったという調査は出されたようですけれども、その疑惑とは別に、どういう基準で十三位になったのかというようなあたり、これは明確にするのが公党としてやはり責任を果たす道、まずそういうことが言えるのだろうと思います。実際の金銭の動きなんということは、これは司直の手で調べてもらうなり、あるいは皆さんが参考人ないし証人喚問などでそのことをおやりいただければ、それはそれでいいんだろうと思っております。
  61. 金指正雄

    金指参考人 今の問題は、ひとえに政党の世の中に対する責任とかそういう問題にかかわるわけで、事実関係については私はよく存じません。新聞などで見ることで、それこそ捜査当局に真相を解明していただかなければならぬわけですけれども、それとは別に、それぞれの政党が、あるいは政治の場できちっとした説明をする必要があると思うのです。  これは今たまたま、まことにだれが見たっておかしいというケースが起きているわけですけれども、例えば茶谷なんという自民党の候補もありまして、これも言ってみればおれのところの売り物だぞといって出したわけで、そういう意味ではまた別途責任もあるし、それぞれの政党が自分らの出しているそれこそ公認候補に対してどの程度の責任と、世の中に対する、有権者に対する務めを果たすかという、これは非常に大事な問題で、それは今日の議題であります小選挙比例代表並立制という問題の実は運用にかかわる問題で、ある意味では格好なテーマが出てきたということだと思いますね。
  62. 花岡信昭

    花岡参考人 お二方の今言われたとおりだろうと思うのですが、要するに政党比例代表の候補の順位づけをどうするか、これはまさに政党そのものが問われているものであろう。かつて自民党も、党員集めをどのぐらいしたかというようなことをメルクマールにして、党員集めというのは要するにお金ですね、あのころは本当に犬、猫まで党員にしたというようなこともあったり。それから、衆院の今度の並立制の場合も、比例順位づけで正直言ってそれぞれのブロックによっては、おやと思うような、これでいいのかなと思うのも確かにありました。これはあくまでも政党内部の問題。  それから、今言われたオレンジ共済の問題については、これはもう司直の捜査をまっという以外にはちょっと申し上げられないと思います。
  63. 吉田克二

    吉田参考人 同じでございますけれども基本的に新進党において選考の経過を含めて真相が究明されるべきものと考えております。さらに必要であれば、国会の委員会において一層の真相究明というものが必要であろうというのが私ども考えです。
  64. 住博司

    ○住委員 そのことと関連をするのですけれども政党助成金も出た、そして、比例名簿で衆議院にも参議院にも、政党有権者方々評価を厳しく受けるような形での名簿を出さなければ選挙にならないという形になった。そういう中で、政党という存在が依然として定義づけがはっきりされていない。政党法という議論がございますけれども、そういう問題については、参考人方々はどういうふうにお考えになっているのか、その点についてもお聞かせをいただきたいと思います。  吉田参考人からお聞きしたいと思います。
  65. 吉田克二

    吉田参考人 政党法というものを具体的にどのような定義でおっしゃっているかちょっといま一つわかりませんけれども、私は、基本的に政党の活動というものは自由であるべきだ、あらゆる制約から解き放たれているものであるべきだと考えております。したがいまして、今現在の政党助成法の程度でよろしいのではないかというのが私の考えです。
  66. 花岡信昭

    花岡参考人 政党をどうとらえるかということかと思うのですが、指摘したい点は、政党というのは政権をとる、政権を獲得するということを最大の目標とした政治集団であるということかなと思うのです。それに徹していかないと、この小選挙比例代表並立制というシステムのもとで、我々が実現できるかどうかはともかくとして理想に近い形として描いていた二大政党制は、あるいはそれに近いような形というのはなかなか実現しないだろう。だから、政党というのは、いろいろな利害を調整して、民意を吸収し統合し、それから政策形成の能力を持って、政党自体が一つの自己完結性を持った組織体になるべきである。そうしないと霞が関官僚軍に負けてしまうわけですね。だから、政党というのはそのぐらいの成熟度といいますか、それが今求められているのではなかろうかというような思いをしております。
  67. 金指正雄

    金指参考人 確かに今の政党というのは、よく私は学生なんかに言うのですけれども、サークル活動と同じで、文化団体というか、そういう意味では日本政治を事実上担っている、そういう存在にすればまことに心もとないというか、非常に野放しなのですけれども、私はそれでいいと思うのですね。政党というのは結社の自由ということを基本にして出ているわけで、ただ、今回の選挙制度もこれあり、政党のウエートというのはますます高まるわけで、政党自身がみずからの、例えば党運営の実態あるいはその財政状況、あるいは先ほどお述べになりましたような候補者選定のいきさつ、要するにオープンな存在にしていかなければならぬ。外から法の規制のもとにああせいこうせいと言うのは最低限にして、逆に言えば選挙という大変な心配があるわけですから、それを恐れておのれをオープンにしていく、説明していく、そういうことができれば一番望ましいので、恐らくこれから政党選択の一つの物差しというのは、有権者側にとってみればそういうことと非常に絡むのじゃないかと思いますね。
  68. 荻野直紀

    荻野参考人 政党というのは基本的には自由でなければならないということは、もうそのとおりで、私もそこに何の異論もないのですが、助成金も出たということ、それから今回の疑惑に関して、金が動いたとすればということで言えば、それにひっかかる条項というのがありますね。そうすると、一体だれがその順位を決めたかというような問題もそこから当然出てくる、これが犯罪になるとした場合ですよ。しかし、そういう条項もできているという意味からすれば、最低限のことを政党法で明確にするというのは、もうここまで来たら必要なことではないかな、そういう感じを持っているわけでございます。
  69. 西野陽

    ○西野委員 新進党の西野でございます。  今そちらの方から発言がありましたことで、私はまさに、今回の選挙制度が変わった中でのあの第四十一回総選挙というものは、御指摘がありましたとおり、政策本意で、しかも政党が問われる、そういう選挙に持っていこう、こういうことであっただろうと思うのですね。  そんな中で、今具体的に公認候補者の選定問題で、例の事件についての御指摘で御意見を聞かれました。新進党におりまして、私も、個人的な考えでありますけれども、公党が責任を持って公認をした場合、明らかに、後日起こってきた、あるいはその順位というものについて、どなた様から指摘をされても答えられるだけの体制というもの、手法というものを党としてお互いに持たなければならぬ、このように反省もし、考えてもおります。  そのことは一方、例えば自民党さんだと思いますが、比例区の上位に認定されるためには、まず後援会員を百万、あるいは特に党員を各団体に十万以上あるいは二十万、要するに党員一人四千円でございますから、十万、二十万、多くとった方を上位に位置づけるということも、党員さんが個人の費用で出してやるのではなくて、その団体が全部立てかえてやっているという現実も、私はかつて自民党員でありましたからよくわかっております。  だから、今御指摘のありましたとおり、いわば党のあるべき姿というもの、公認をどうするかということについてまさしく今回は問われているのでありますから、お互いにどなた様から御指摘をされても、かくかくしかじかの客観的な状況で公認を、順位を決めましたと抗弁できるような党のあり方というものを、何か問題提起をたまだまされたような気がいたしてなりません。  そこで、ちょっとお尋ねしたいのでございますが、ちょっと話は違いますが、比例区で当選した、この方がそれなりの事情があって離党したと。小選挙区の場合は御案内のとおり個人の名前で書きますから、これはこれとしてのものがあるのかもしれませんが、比例区の場合はあくまでも党名によって当選をしてきた方がいろいろな事情で離党される、その場合は、離党は議員としての資格を問われるのでまないかという気がしてならないのでございますが、参考人の皆さんでここらあたりのお考え方がありましたら、ぜひお聞かせをいただきたいなと思います。  恐縮でございますが、四人の参考人方々に、離党した場合の処遇はどうすべきかということを、個人的な見解で結構でございます。
  70. 吉田克二

    吉田参考人 国会でも二つの御議論があったかと承知しております。一たん当選した以上は国民代表になるのだ、したがって、党派の変更によってその地位を奪うことはできないという考え方に立っているのが現在であろうかと思います。一方で、やはり政党でやられたものがその党籍が変わったら、直ちに議員の身分を失うべきだという考え、両方あろうかと思います。  私は、そのことを最終的に決定するのは、そういう離党が好ましいこととは一般的には言えませんが、最終的には、次の選挙においてその政治行動が適当であったかどうかということを有権者が判断されるということ以外に道はなかろうかと存じます。  それからもう一点、比例区についてはとりわけそうであって、小選挙区についてはちょっと違うようなお話でございましたが、私は、この新しい制度政党中心制度でありまして、小選挙区においてもその名簿届け出は政党において行われるということでありますので、小選挙区と比例区においてその離党の評価が大きく食い違うということはちょっとおかしいのじゃないかなと思っております。
  71. 花岡信昭

    花岡参考人 その問題、大変悩ましい問題でありまして、実は私、民間政治臨調の中でも今議論している一つのテーマです。  問題は、当選後の党籍変更なり離党なり、引き抜きに遭ったりということで党籍が変わるということを法律で規制すべきなのか、あるいは政党の内規みたいなもので規制すべきなのかということかなと思うのです。  今、吉田さんが言われたように、その政治家の行動がよろしくないということであれば、その次の選挙でそれに対する言ってみれば制裁が加わるわけですから、余りがんじがらめに法律で規制してしまうというのもどうかなと。ですから、政党内部で自浄作用といいますか、一定のそういう規律みたいなものを構築していく努力が必要なのではなかろうか、何かそんな思いに今傾いているのですけれども
  72. 金指正雄

    金指参考人 お二方の言われたことに尽きているように思うのですけれども、やはり基本は、政治家としての節操の問題とか、それから離党の場合でもいろいろなケースがありますし、いわゆる政治変動の中で出ていくという場合もあるでしょうし、選挙に有利、不利なんということから出る人もいましょうし、かなりケースによって違います。  選挙というのは、それまでの行動を見て有権者政治家あるいは政党を判断するわけですから、次の選挙のときに必ず何かあるわけで、そこに期待する。あとはそれぞれの政党が、自主管理というのですか、自分らの商品管理をきちっとするというようなことに尽きると思うのですね。何というか、例えば悪いですけれども離婚みたいなもので、もう嫌だと思ったら嫌なんで、それを法律で絶対別れちゃだめだよといったって、実質がない結婚なんてしようがないわけですから。なかなか難しい問題ですけれども基本的には次の選挙有権者が判断するということに期待する以外にないのではないですか。
  73. 荻野直紀

    荻野参考人 きょうはこの御質問が出るなと思って、何て答えようか、実は悩んできたわけです。  政党本位比例選政党名で書かれて当選してきた人が勝手に政党を離れるというのは、確かにこれはどう考えてもおかしいことはおかしいと思います。おかしいのですが、では、もう既に出ましたけれども、どうやってこれを規制するのかという規制の方向もこれまた難しいように思うのですね。  それと同時に、私はさっき政界再編のことをちょっと申しましたが、今仮にそういう流動化が始まっているとすれば、あるいは将来流動化がおさまって二大政党制になるのか三党制になるのか、その辺はまだ定かではないにしても、こういう時期に余りそこを厳しく言うのもいかがかなと、一方ではそんな気もいたしますので、お答えにならないのですが、実に悩んでいるというのが実態であります。
  74. 富田茂之

    ○富田委員 新進党の富田でございます。  午前中の質疑の中で、荻野参考人の方から、比例区を五十から百ぐらい減らしたらどうだというお話と、あと花岡参考人の方から、最終的には小選挙区三百でどうだという具体的な数字の提言があったのです。  午前中、そちらにいらっしゃった秋葉委員の方からもお話ありましたけれども、議院内閣制のもとで本当に議員がきちんとした活動をしていこう、また議員が内閣を構成していくわけですから、先ほど金指参考人の方からイギリスの例を挙げられていましたけれどもイギリスのように、日本より人口が少なくて六百五十一ですか、あれは閣外大臣とかいろいろ内閣に入っていく議員が多いわけですね。そういうことを考えますと、ある程度のパィがないと本来の議員活動はなかなかできないのではないかなというふうに私自身は思っています。  今、行革論議の中で国会も血を流せということで、まず比例区五十削ったらどうだ、百削ったらどうだという話が出やすい状況にありますし、議員立法の動きもあるのですが、今回の選挙制度の結果を見て、小選挙区三百、比例区二百というバランスがどうだったのか。その点について、金指参考人吉田参考人の御見解を伺いたい。それが一点。  もう一つ。今のお二人は、午前中の質疑の中で戸別訪問についてちょっと触れておられました。本当に政策本位選挙をやろうと思えば、日常からの戸別訪問もそうですし、選挙のときの戸別訪問をして政策を訴えるというのが本当に必要になってくると思うのですが、デメリット論ばかり言われて、買収に使われるのじゃないか、あるいは組織、手足のある政党に有利になるというようなところで、今回の選挙制度改革でも、最終段階で戸別訪問禁止規定の削除というのはできなかったわけですね。その点についてお二人はどう思われるか。まず金指参考人の方から。
  75. 金指正雄

    金指参考人 今委員御指摘のように、行革をやる、ついては役人だけじゃなくて議員議会も血を流せ、その一つとして議員定数の削減というふうな声が出ておりますけれども、私は反対ですね。そういう意味では今の富田さんの意見にやや近い。  要するに、国会というものが憲法上最高機関とされながら実は内実がなかなか伴わなかった。むしろ大事なのは、私なんかの行政改革論というのは、国会を中心とした政治をつくっていく、その一点にあるというふうに思っております。そのためにやはり国会が、政策決定について、単に政府法案を法にするというのではなくて、議員立法を含めてその政策形成の能力を高める、そこに尽きると思うのですね。  そのために、やはり議員というものがある程度なければ、大体今かけ持ちしてふらふらしているのではしようがないわけで、やはりじっくり腰を据えた体制ができるということ。あるいは、よく言われますように国会の政策スタッフ機能。私は衆参二院制論者でありますけれども、例えば衆参に法制局がある、あるいはそれぞれの調査室にスタッフがある、いろいろなことがあるのですけれども、ある部分ではそれを一本化して国会として総力を挙げてやるというふうな体制があってもいいと思うのですね。  私は、行政改革をやっているのだから国会も血を流せということは、実は国会がそういうことをやる、国会らしいことをしていくということが、行政改革、国会としての務めだと思うのですね。世の中はそういう民意、そうだ、そうだ、議員が多いじゃないかというようになりがちですけれども、私はそれは違うと思うのですね。むしろ国会が本来のきちっとしたことをやれば、国民は決して議員が多いなんとは思いません。  御承知のように、イギリスなんというのは日本よりか人口半分ですけれども、下院が六百五十一名ですし、むしろ本会議なんか見れば、もう立ち席がいっぱい、立って議論しているわけですから、その方が活気があっていいと言っているわけです。ですから、きちっと問題の根本を押さえることが僕は大事だと思いますね。  それからもう一つ戸別訪問は、イギリスなんかは典型的にやっているのですけれども、根本は、日本は性悪説といいますか、買収するのじゃないか、二人が一緒になって悪いことをするのじゃないかという、要するに徒党の考え方ですね。ですから、向こうは一時期大変買収もあったわけですけれども、一応卒業したレベルにありまして、我が方は捕まえると大体九五%は買収犯ですからね、どうしてもそういう発想になるのですが。そこはある程度、何でもそうですけれども地方分権の場合もそうですけれども、やはりやらせてみる、やってみる、そこからおかしいところは直していくということをしないと、これはいつまでたっても、一〇〇%のもの、百点満点書けないから任せられないということでは世の中済まないわけで、そこはある程度信用して、その中でチェックをしていくという仕組みで少し前に転がしてみたらどうかなというふうに私は思いますね。
  76. 吉田克二

    吉田参考人 まずこの三百と二百の定数のバランスの問題でございますけれども、私は小選挙区と比例区の議席の乖離としてはもう限界にあるというふうに考えております。もし変更するのであれば、むしろ比例区をふやした方がよろしいと先ほど申し上げました。  つまり、比例区というのは何なのかという問題でありますけれども、決して小選挙区のつけ足しであるわけではなくて、やはり政党の支持模様というものを反映させる、補助的ではあれ、そういう支持模様を反映させるために導入されたものであって、どうもその使い方が重複立候補等で何となくつけ足し的に見えているだけだと私は考えております。特に、小選挙区において十分な基盤はなくても、その政党政策遂行においてどうしても欠かすことができないような人たちをこの比例区において名簿に登載して、議員のバッジをつけていただくということもまた非常に大切なことであろうというふうに考えておるわけであります。  それから、戸別訪問の問題でありますが、もちろん前提は政党本位でなければならないわけであります。つまり、この戸別訪問を後援会の方たちがやるという前提で考えられるのであれば、これは余り好ましいこととは思っておりません。日本には政党組織が十分に成熟しておらないので難しいと思いますけれども、やはり政党の支部の方たちが手弁当で、党員の方が有権者にじかに政策を訴えられるという対応が確保されれば、私は解禁し得ると考えております。特に、九四年秋の制度改正によって、連座制の強化で大変買収、供応がやりにくくなったように見受けられますので、それが可能な素地はあるのじゃないかなと思います。
  77. 熊代昭彦

    熊代委員 私は二点についてお伺いしたいと思うのですが、一つ比例制度のことでございますけれども、やはり比例制度順番をつけると、どうしても腐敗が生ずる余地があると思います。三百にして二百を廃止しろという話もありましたが、しかし参議院に二百という話もありましたので、参議院比例があるとやはり腐敗が生じるのじゃないか。政党幹部というのはどうしても腐敗しなければならないような要素がいろいろあるのじゃないかというふうに思うのですね。小選挙区の候補者を定めるにしても、腐敗がある可能性はありますけれども、やはり直接に有権者の方の審判を仰ぎますから、その最後の歯どめがあるというふうに思います。  そういう意味で、小選挙制度の中で、特に比例があるということは私は反対だったんですが、参議院比例考え直してみるべきじゃないかと思うのでございますけれども、この点について、先生方どのように思われるのか、これが第一点ですね。  それからもう一つは、企業・団体の政治献金でございますけれども、禁止すべきだという御意見もありましたけれども、五年後に見直しということになっています。私は、五十万円に限って、五万円以上は透明にする、全部透明にしてもいいわけですけれども、とにかく透明にするということが理想的なのじゃないかというふうに思うのですね。その点について御見解をお伺いしたいのです。  なぜかといいますと、これはアル・カポネの時代の禁酒法と同じで、酒を飲んではいけない、酒を製造してはいけないと言うからやみ酒がはやるのですね。酒を禁止するからやみ酒がもうかるようになる。それと同じように、もし五十万円の企業献金、団体献金をなくしますと、やみ金を平気で取る人間だけが栄える。ところが、五十万円単位の寄附金というのは、もし妙な要求をするところがあればどんどん切ってもいいのですね。そんな妙な要求をするような人があれば、切ってもこちらにはいささかも差し支えない。それは、多くの人に支えられなければ選挙はできないわけですから、変な人はどんどんやめていただいて結構だ、こういう非常に厳しい対応ができると思うのです。ですから、表の金で選挙ができるということと、やはり今まで問題を起こしたのは必ず裏金なんですね、表で、政治資金の枠内で問題が出たというのは、私はちょっと寡聞にして聞かないのですけれども。  その辺、裏金が出てくる可能性と、表できっちりやれる可能性があるということで、政治献金というのは、五年後、もう数年たちましたけれども見直すということになっていますが、この見直し後の姿をどのようにすべきかということ、この二点について荻野参考人から順にお願いしたいと思います。
  78. 荻野直紀

    荻野参考人 一点目でありますが、比例順位づけをやるところに何か問題が生ずる余地がある、こういうお話ですか。
  79. 熊代昭彦

    熊代委員 はい。
  80. 荻野直紀

    荻野参考人 実は、私の周辺で、周辺というのは会社の中の話ですが、選挙制度のことをいろいろ関心持っている人間の中で話しましたときに、さっきは全然申し上げていないわけですが、実は、今の比例あり方を抜本的に改めて個人名で投票するようにした比例にしたらどうか、こういう意見がかなりあったのです。  それをさっきなぜ申し上げなかったかといいますと、一見大変私もいいと思うのですが、これは弊害が生ずる。まず、それぞれがしゃにむに選挙運動をやり出して、あるいは党幹部は恐らく有名人、タレントとかいろいろその手の、人気投票的に一般大衆から支持を得られそうな人をどんどんそこへつぎ込んできたら一体どうなるのかということを考えますと、これはまさに政党の見識でお願いすればいいじゃないかという声もあったのですが、過去の例を見て、政党の見識がそこまで今高まっているかどうかという現実論を考えたときに、冒頭からこの話を持ち出すのはいささか私としてはいかがかと思ったので。しかし、今お尋ねがありましたので、そういう考え方があると。それで今申し上げた弊害がなくせるというのでしたら、日本人というのは、政党名を書くよりもやはり個人名で書く方になれているのだろう、そういう面もあり、そのことをちょっと申し上げたいと思います。  それから、政治資金の方の話ですが、私は、政治に金がかからないで済めばそれはいいのですが、全く金をかけない選挙をやれといっても無理なので、ある程度はやむを得ない。ただ、それが透明でなきゃいかぬということは明確ですし、その政治資金の企業献金、団体献金の方ですが、日本ではまだ残念ながら、個人が献金するという慣習がないですね。いずれそういう方向を目指すということで暫定的に制限を課した企業献金、団体献金が認められているのでありますが、これはやはり当面は続けていっても私はいいのではないかと思います。ただ、個人の政治意識が高まるような方向に政治としては誘導していって、いずれそういう企業・団体献金をなくしてもやっていける、そういう方向に進むということが前提になろうかと思います。  以上です。
  81. 金指正雄

    金指参考人 第一番目の比例の問題ですけれども、これは前にも申しましたけれども、当面やはり比例を置いていくということは私は必要だと思うのですね。  それで、この間のオレンジなどもありまして、名簿問題というのがにわかにクローズアップしているのですけれども、これも繰り返しになりますけれども、これこそ政党がある意味ではアクセントをつけるいい、言ってみればショーウインドーみたいなものなんですね。ですから、自分たちがこの名簿について説明できるような、そういうことがあって、しかもそれを世の中に伝えるということをぜひやってもらいたいし、説明つかない順番とか人物が出てくるようじゃ仕方がないわけで、そういうことで政党自身の問題という以外にはないと思うのですね。  それで、特にこの問題は参議院選挙と非常に絡むわけですけれども、ここは、やはり選挙制度改革という場合は、参議院衆議院とをどうするのかというあたりをもう一回根本的に検討し直す必要があると思うのですね。我々も長く記者をやっているのですけれども、大概制度をスタートするときはいいことなんですね。例えば全国区から今の参議院比例代表、これももっともらしい話、だけれども、やってみるとまた別の弊害が出る。もうこの繰り返しですね、選挙制度というのは。ですから、これはもう制度そのものを余りいじくり回しても、ちょうど学校の受験制度と同じで、こういうのはいじくればいじくるほど悪くなるような嫌いがあるわけで、結局、政党のある意味で党運営といいますかね、そういうものに非常にかかわってくると思います。  金につきましては、私はやはり政党助成金、三百億からの金も出ておりますし、政党中心にした政治献金ということに持っていかなきゃいかぬわけで、そういう考えでは、企業献金なども当然のことながら減らしていくとか、そういう一つの連動するものだと思います。  それで、せっかく今回の選挙では、何となく選挙期間中については連座制ということが一つのモチーフになったと思いますけれども、金はかからなくなった、あるいはかけると身がもたないというようなことになってきまして、結構それで皆さん当選してきているわけです、苦しい苦しいといっても。これを一つのベースにして、金はかければこれは切りがないわけで、かけないで済むような、もう一歩出るいいきっかけじゃないかと思うのですね。  私は余り詳しいことはわからないのですけれども日本の場合、国が選挙のために金を出しているという額は相当な金です。選挙の公営が進んでおりますし、今度の政党助成もありますし、かなりの額が出ているわけですね。  ところが、アメリカあたりなんぞは、大統領選挙には予備選で国の金が出ていますけれども、国会議員選挙になると、国会のたびに国から金を出せるような法案が出るのですが、大概葬られていますね。なぜかというと、政党というのは、先ほどの質問にも出ましたけれども、国家とかそういうものと別個のものだ、自由な活動こそ政党である、したがって銭なんか、ひもつき銭をもらったってしようがないと。これは議員のある種の誇りといいますか、まあやせ我慢かもしらぬけれども、そういう部分で大概葬られるのですね。イギリスなんかは、逆に言うと、政党活動については政治資金の面で余り規制を加えていない。これはやはりイギリス議会主義というもののある種の誇りにのっとっているのです。  ですから、国情が違いますから右へ倣えというようなことは私は申しませんけれども、もう少し金をかけないで、かつ政党本来の方向、金をかけても政党本来の政策形成費とかそういうものに金をかけていくという形で、選挙制度も変わったわけですから、ぜひやっていただきたいなという感じがいたします。
  82. 花岡信昭

    花岡参考人 最初の、比例順位づけが腐敗につながる要因になりかねないというあたりは、今金指さんもおっしゃったように、これはもう政党自身の問題であろうと思います。  先ほど私が冒頭に、衆院三百は小選挙区で、あと二百は参議院にしたらどうだという、ちょっとばかみたいな提案をしてみたのは、その場合の比例というのは、それぞれの政党が、これぞ我が党が推薦し誇る、いってみれば日本の知能であるという人たちをずらっと並べて、それで競い合うというような姿を想定したわけです。そうすると、参院は衆院のカーボンコピーと言われるような段階からもう一つ成熟するのではなかろうかという、夢みたいな話です。  それから企業・団体献金、これは五年後廃止という方向にはなっていまして、だからもうあと三年後ぐらいになりますか。方向は方向なんですが、日本的風土からいけば、すとんと禁止するというわけには恐らくいかないだろうと思います。思いますが、やはり基本的には個人献金に移行するという方向そのものは正しいだろうと思いますので、個人の寄附行為をやりやすくする、あるいは税金での控除とかいうのをもっとやりやすくする方法ということが必要だろう。  それから、企業・団体献金が問題になるのは、要するに政治資金全体が極めて不透明で問題が多いということだろうと思うのですが、政治資金をめぐっては、とにかく透明性を確保すること、それから監視体制を強化する、制裁をどうするか、この三つぐらいがポイントかと思うのです。  もうこういうコンピューター時代ですので、政治活動費あるいは選挙に使う金は全部カードで決済する。指定口座をつくって、例えば熊代先生がどこかの銀行に、今度の選挙では法定費用二千万なら二千万であるという口座をつくって、選挙にかかった費用はそこからカードで全部決済していく、そうすると全部コンピューターに残りますから。そういうような時代にもう来ているのではなかろうか。それから政治資金収支報告も、今簡単なパソコンがあればパソコンでできるわけですから、パソコンでもって自治省に報告して、これをデータベース化してだれでものぞけるようにするという時代がやはり来ているのだろうと思うのです。  以上です。
  83. 吉田克二

    吉田参考人 比例区の問題については、先ほどその意味合いは申し上げたので繰り返しませんが、それに照らして考えて、やはりこの拘束名簿式の名簿作成について政党が十分な責任を負われるべきだというふうに考えます。  それから企業・団体献金の問題でございますが、私は別に、企業が悪いから企業献金がいけないということを申し上げるつもりはございません。ただ、企業は経済活動をしておる存在でございまして、当然その献金にはそれに対する見返りというものへの期待が付随しがちであると考えておりまして、そのことが政治の腐敗のある種の温床になりがちだという点で問題であると考えておるわけでございます。  一方で、そういう考えにも立って政党助成が出されておるわけでございまして、政党助成もいただく、企業献金もいただく、そういう二つの財布を持たれるということが余りよろしいことではないのではないかと思います。  ただ、ではあしたなくせるのかという問題でございますが、それはもちろんそう簡単にはいかないとは思っております。五万円超の公開基準を維持される中で企業献金の実態というものも次第に明らかになってまいりましょうし、そういう中で、少なくとも政治家個人が持っておられる資金管理団体、今一つでございますけれども、資金管理団体に対する企業献金というものは早急になくされ、その後次第に政党に対する企業献金というものも減らしていかれるという方向をぜひ望みたいと考えております。
  84. 柳本卓治

    ○柳本委員 自民党の柳本でございます。  鳴り物入りのこのたびの選挙制度の改正でありました。ふたをあけてみましたら、中選挙制度選挙よりも今回の選挙投票率ががくっと落ちた。果たしてこれで民意が反映されたのだろうかと思うような一面もあるのですけれども、それはさておきまして、いわゆる投票率が落ちたということ。  投票率アップのために不在者投票のあり方とか投票の二日制とかいろいろと案もあるわけでございますけれども参考人皆様方投票率アップの妙案がございましたら、ちょっと御参考までに、全員の皆さんから御意見を述べていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  85. 荻野直紀

    荻野参考人 妙案というのはないのですが、やはり選挙民は政治が何か遠いところにあるという感じを持っているから、投票行動にもつながらないということなんだろうと思いますね、非常に抽象的な言い方ですが。そうすると、やはり目に見える動きをしょっちゅう政党なり候補者なりがやられるということに尽きるのじゃないでしょうか。さっきから私が何度も申し上げていることの繰り返しになりますが。  あと、技術的なことを幾ら──技術的な面では何か自治省でもいろいろ投票率アップの方策などを考えているようですけれども、そんなことでは、妙案というほど飛躍的に投票率が上がるような現状ではないのだろう、かなり、政治離れしたものを取り戻すのは容易なことではないなという感じを持っております。
  86. 金指正雄

    金指参考人 同じことの繰り返しになるのですけれども、やはり妙案というのはないわけで、政治がおもしろいなといえば関心が集まってきますし、じゃおれも一票やろうかということになる。  そういう意味では、例えば国会中継なんというのがありますけれども、特に今は予算の総括ぐらいしか出ていませんが、ああいうときに、ほうおもしろいなと聞きほれてしまうとか、いいこと言ってるじゃないかというふうになってくる、そこが一つの、オーソドックスに言うと基本なんですね、国会の場がおもしろいと。  ですから、ぜひそういうことをやっていただきたいわけで、先ほど私の最後に指摘したんですけれども、今の選挙制度が、それも投票率の高い低いということに絡んでプラスに働くのかマイナスに働くのか。まあ、この小選挙区制というのを軸にしてやりますと、だんだんと選挙情勢というのは固定していくんですね、これはもう経験的にそうなっていく。  そうしますと、もう勝負が始まっている相撲なり野球試合に観衆が出ていかないと同様で、例えば五百シートのりちのもう七割から八割が決まっているというんじゃ、いいや、もう任せておこうということになる。ここが僕は今度の小選挙比例代表並立制というところが相当考えなきゃいかぬところだと思っている、将来について。  技術的には、それはやはり夜間遅くまでやるとか二日間にわたってやるとかいろいろあるけれども、それは基本的にはもう従の話で、政治自体がやはり非常に魅力的である、あるいは自分の生活に直結しているなという印象、そういうことが非常に大事だと思うんですね。それ以外は、いろいろあるけれども基本的には技術論にすぎないんじゃないですかね。
  87. 花岡信昭

    花岡参考人 おっしゃるとおりであって、自分の一票で政治が変わると思わせるような政治状況をいかに政治の側がつくっていくかということしかないんだろうと思います。  あと技術論で言わせていただければ、十八歳まで投票を引き下げるとか在外邦人の投票を可能にするとか、それから、いわゆる電子投票、最近いろいろなものが開発されています。というのは、開票区によっては投票所がえらい遠くにある。私なんか都内に住んでいるのですが、投票所まで歩くと三十分ぐらいかかるんですね、ちょうど端と端にあるものですから。そんなことからいうと、もっと近くに、割と狭いところで投票できるような場所をつくる。そのために電子投票みたいな、パソコンの小さいようなものを置いて、ぽんと押せば投票できるというようなものとか。  それは全部技術的な問題であって、基本的には、いかに政治が魅力あるものになるかということではないかなという気がします。
  88. 吉田克二

    吉田参考人 私も、選挙のときにたびたび出口調査というものをいたしておりますけれども、その結果から見ますと、今最大の政党支持層というのは無党派層と言われる層で、半分近くいると考えられますけれども、出口調査調査しますと、無党派層の率というのは非常に低いわけでございます。つまり、これを逆に考えれば、無党派層の方というのは棄権の率が非常に高いと言わざるを得ないわけでございまして、やはりそこのところに低投票率の一番大きな原因があると考えざるを得ません。  したがって、特効薬というのは存在しないと思います。やはり、政党の吸引力というものがいかに高まるかという点と、この投票率の問題は関連していると言わざるを得ないと思います。
  89. 西川知雄

    ○西川(知)委員 新進党の西川でございます。  きょうの四万の参考人からの意見聴取ということで、その質疑も各会派を代表して皆さんがやられるということを私聞き及んでいたのですけれども、先ほどの午前中の発言を聞きますと、自民党さんも新進党も民主党も、ほかの共産、社民、太陽はもう今おられませんのでどうか知りませんけれども、各党を代表するのではなくて個人の意見である、そしてまた、参考人方々も各社を代表するのではなくて個人の立場でいらっしゃっているということなんで、私は率直に言ってびっくりしたのですけれども。ともかく、委員長にまずお願いしたいのは、この場があることによって、この公職選挙法の改正についての党対党としての議論が十分になされたとか、そういうふうには皆さん御理解されないように、この辺をひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  それからもう一つ、私は、きょうの案件は公職選挙法改正に関する件で参考人の皆さんからの意見聴取というふうに通知を受けて理解をしておりましたので、理事の皆さんもそういう話のみということに理解してこの題をつけられたと思いますので、それ以外のことはまた別の機会にしていただきたい、これを私からまず申し述べたいと思います。  それで皆さんに御質問したいのですけれども政策本意ということが非常に今度の選挙区制で重要なことであり、今後もそうであろうということをおっしゃっているわけで、我々もそう思うのですけれども、実は、消費税、これは選挙のときに三%から五%への引き上げ、これに反対と、また命をかけても反対する、まず行革が先でそれから消費税の値上げた、こういうふうに言って選挙戦を戦った人たちがたくさんおられました。また、その人たちが選挙公報でも堂々とそういう意見を載せられてきた。  したがって、この間の国会での消費税の据え置き法案について、私は個人的には、その統計をとると三百人が新進党の案に賛成で、これは絶対可決するなと思っておったのですが、その半分ぐらいしか得られなかった。これが選挙公約をしてから一年たったとか二年たった後の話であればまだ話はわかるのですけれども、一カ月後にそういうような投票行動に移る、こういう国会議員現実の話としてたくさんいる。これは全く、政策本意の考えからすると、すぐにでも除名したり国会議員をやめていただいてもいいんじゃないか、こんなふうに私は考えるのです。  先ほど西野委員からの、党を移ったということに対しての皆さんのお考えというのは、次の選挙まで待って次の選挙で審判を仰げばいいんじゃないかとおっしゃるんですけれども、大体平均して二年半なんですね。二年半後には大体国民はそういうことも忘れていますし、また、もとの話はどうだったかということはもう記憶にないことが多いと思うんですけれども、こういう点について、参考人の皆さんはどういう御意見をお持ちで、またどういりふうにしたらいいのかということを、それぞれ簡単で結構ですが、荻野参考人の方から順次述べていただければありがたいと思います。
  90. 荻野直紀

    荻野参考人 命の御質問は、実に今の政治の最も問題点を指摘されていると承りました。  選挙のときに、さっき私もちょっと申し上げたんですが、あえて迎合という言葉を使わせていただきますが、本当は消費税は上げなければならないということを頭でわかっていながら、選挙のときにそれを言っちゃあ落ちるだろうという恐怖心から、あえて本心を隠して選挙民にそういうことを言うのを私は迎合と言うんですが、あの中選挙区のときでもありましたね。しかし、小選挙区になると、この迎合精神というのは、ほっとけばもっと助長されるおそれが十分あるんだと思います。  政策本意、政党中心でやるというのは、まさにその部分をどうするのかということが問われているんで、政策本意でやっていく選挙が正しいと私は思うんですが、当事者の、立候補された方が余りにも迎合精神で有権者の顔の方ばかり向いていると、結局今言われたようなことになると思うので、これは本当は大変な、さっきの政党をかわるの以上におかしな話だと私は思うのであります。これはどうやったらいいのかというのは、個々の皆さんのまさに日常からの心構えということになるんでしょうかね。しかし、これは、乗り越えていただかないと日本はおかしくなってしまうと私は思いますよ。だからどうしてくださいというのではなくて、迎合はやめてくださいということだけを申し上げたい。
  91. 金指正雄

    金指参考人 政党本位選挙になったということからすれば、大変矛盾なわけですね。  例えば消費税なら消費税で、政党でこういうことでやろうということを決めて、ところが、選挙区あるいは候補者によっては違うことを言う。それはまさに除名に値するわけで、党機関がしかるべき措置をまずとらなければいかぬわけでしょう。ところが、終わってみるとみんな、閣僚の中にそういう人が入っておったり、党幹部の中にも、選挙中からそういうことをむしろ使い分けて、うまく目くらましをしているというような、それが政党の実態なわけで、だから、政党といえばそんなものだよというふうになればそれまでです。  だから、繰り返しですけれども政党というのが実は本当に問われるわけですね、今の新しい選挙制度になりますと。それは有権者も同じですね。例えば消費税反対と自民党の人が言ったって、選挙区の人は、先生はああ言ったけれども腹は違うよと思っているわけです。だけれども、入れてしまうわけでしょう。これはちょっと、理詰めで言えば考えられぬことですけれども現実にはそれで当選してきているわけですからね。  こうなると、どこにかぎ穴をあけて物を解いていったらいいのか。普通の民間の会社がそんなことをやっていたらつぶれてしまうでしょうね。だけれども政党というのはやはり強いのですね。やはりそこら辺を変えなければ。それならどうしたらいいのかというのは、何といいますか、ぐるぐるぐるぐる回っているような感じもしますけれども政党本位というのはまさにそうだと思う。  それからもう一つは、政策論争に案外ならないんですよ、この制度は。だって、過半数をとらなければ出てきませんから。当選するにはグレーゾーンをなるべく広げるのが一番いいわけですね。さっき言ったように、アメリカの共和党と民主党が何だか同じようになってしまった。イギリスだって、労働党が保守党に近寄ってきたり、EU加盟なんというのは、今や労働党の方がわあっと盛んですからね。案外、理屈で言うと政党が違うんだから政策論議になろうかと思うのだけれども日本の現状を見ても、ある時期に比べれば、そういう意味政策的開きはなくなってきますよ。  じゃ、どこを選べばいいかというと、あの先生いいから入れようかという、政党本位が実は人間本位にだんだんなってきている、そういう実態もあるのではないですか、一面で。何か全然答えにならないかもしれませんけれども
  92. 花岡信昭

    花岡参考人 まさに難しい問題で、要するに、一足す一は二じゃないという政治の真髄に触れるような話じゃないかなとは思うのですが、まさに、政党そのものがそういう意味では問われているんだろうということ。  それから、感ずるところは、我々いわゆるメディアの側が、個々の議員の行動についてきっちりフォローできないんですね。本来そういうことをしなくてはいけないんだろうと思うのです、衆議院議員全員がどういう考え方を持っているか。例えば消費税については選挙のときにどういう発言をしたかというようなのも、一覧表にでもしてどんと出すというようなことをやらなきゃいけないのかもしれない。あるいは現にやったところもあるかもしれませんが、そういう意味でも、衆議院の数が少なくなると、メディアとしては大変やりやすくなるということは言えるかなと思うのですが。
  93. 吉田克二

    吉田参考人 直接のお答えになるかどうかわかりませんけれども、やはり今度の選挙は、政党が、大きな柱になるような政策によって整理された状態にないまま選挙に入ったために、各党の中にそれぞれ政策的なねじれを抱えていたのであろうと思います。消費税の例を出されましたけれども、もちろん、選挙で訴えられたことと選挙後の政治行動が異なるというのは好ましいことではございませんけれども、多かれ少なかれ、そのようなねじれというものは各党の中に見られたんじゃないかなと思います。  やはり政策的なディベートといいましょうか、これはメディアの問題もございましょうけれども選挙期間中そういうディベートというようなものがやはりもっと盛んに行われて、政策的な縛りというものがもっと浸透していく、それに照らして有権者はいろいろ判断できる、そういうような仕組みというものをこの選挙制度の中で累次涵養していくということではないかと思います。
  94. 荒井広幸

    ○荒井委員 自由民主党の荒井でございます。  先ほど西川委員さんからお話がございましたけれども理事会で協議をして、今回は、小選挙比例代表並立制評価、それから重複立候補、それから選挙運動あり方、場合によってはその他がありますよということで、それにふさわしい参考人方々に御多忙の中きょうお出ましをいただいているということは、理事会で、そして各党委員の皆さんに周知がいっていると思っておりますので、御了解をいただきたいと思います。  それから、議事進行の妨げにならない範囲でその時々の必要と思う発言があり、委員長の采配にお願いするということもまたこれは許される範囲ではないかというふうに思っております。  そこで、質問でございますが、私、党と政治家個人に結局は最大の責任があるということだと思います。そのときに、ある程度、きょうお越しの皆様方の言論の立場としても、いいことは褒めてもらいたいし、また、啓発ということも必要だろうと私は思うのです。政党政治家と有権者をつなぐという意味での立場、それから双方に対する啓発という立場。これは与党に厳しくあっても、それは当然いいと思いますけれども。  そういう意味では、例えば先ほども世論調査の件がありましたが、実は、勝ち負け、優劣ということが非常に多いと私は見るんです。自分自身の当選がかかわっているからかもしれません。しかし、実際には、政策、そしてその政策を形成する過程、そういったものについてのいわゆる皆様方の御判断あるいは判断の材料の提示ということ、こういったことだろうと思うので、私は、まさに世論調査という意味でいっても、政治家、政党の資質を高めるという意味で温かく見守っていただく、育てていただく、こういった立場が少し欠落をされているんじゃないか。それが政局報道、政界再編報道的になりまして、余計おもしろくない政治の世界をつくっておられる責任の一方はあるんではないか。  そういうことで、国会自身としても、国会放送、どのような形式かは別ですが、ノーカット、ノー評論、ありのままの委員会の放送をお茶の間に、傍聴席としてお届けしよう、こういう自己改革も進めていくのは、当然そういった一環でございます。  そういった点におきまして、要望としてはそういうことがあるのですが、意見としてそれを踏まえてお聞きしたいのですが、今度の公職選挙法改正においては、選挙前でも、今までも可能だったかどうか、ちょっと技術的な話なんですが、個人と政党意見広告を出せます。これらを選挙前、公職選挙法に当たらない範囲、事前運動に当たらない範囲で私たちがお願いした場合、その中身いかんにもよりますが、あるいは中身によって載せる載せないで結構でございますが、各社の個人的見解として、載せていただけるものかどうか、こういったことをお聞かせをいただきたいと思います。ちなみに、それはまさに政策広告というようなところを主体としております。  四名の方にお願いしたいと思います。
  95. 吉田克二

    吉田参考人 私ども、広告の掲載基準というのは、社の中の綱領に従って判断をしておりますので、それに照らして問題がなければ、そのようなことは十分に可能であろうと思います。
  96. 花岡信昭

    花岡参考人 私どもの新聞は比較的意見広告というのを出す機会も多いものですから、かなり可能であると思います。
  97. 金指正雄

    金指参考人 大分ふえてきているのじゃないですかね。  新聞社の場合は、先ほど出たように広告掲載基準というのがありまして、そこをクリアすればいいわけで、よほど変なものと言うとおかしいですけれども、偏ったものは別にしまして、ある程度の普遍性を持ったものならば、特に政党というようなことならば、従来も載せていたと思いますし、これからもふえるのじゃないですかね。
  98. 荻野直紀

    荻野参考人 私も、今とっさに自分の社の広告の基準というのがどうであるか思い出せませんが、今おっしゃったような意見広告なら何の問題もないだろうと私は思います。
  99. 前原誠司

    ○前原委員 政治資金についてまたちょっとお伺いをしたいと思うのですけれども、私個人の意見としては、政治改革というのは三つの柱だろうと思っておりましたし、今も思っております。一つ選挙制度の改革、二つ目が政治資金規正法の強化、三つ目は腐敗防止策の徹底、この三つだと思っています。  選挙制度の改革は、何はともあれやった。そして、腐敗防止策の徹底も、連座制の強化の中で一歩は前進かなという思いを持っています。政治資金規正法強化も、個人については資金管理団体を一本に絞って、上限が企業は五十万ということで、それなりの私は成果が得られていると思うのですね。私は、企業・団体献金については、原発は将来なくすべきだというのと同じような感覚で、将来はなくすべきだ、こういう思いは実際持っているのです。  ただ、私の実体験からして、地元と東京でお金集めをやっていますけれども、地元は月一万、年間十二万の会をやっているのですね。政治資金規正法が強化をされて、五万円を超えるものについては公表しなければいけないということになりましたけれども、地元だと、大体そんなの関係ないよということで、十二万とかあるいは二口とか、そういうのは引き続きやってもらえる。東京については、いろいろな議員さんが入っておられる中で、やっぱりおまえのところだけやっているというのがばれたら困るということで、大体五万円以下に下げられるのですよね、ただ皆さん方も同じような経験をされていると思いますけれども。  そういうことで、個人については、十二万とか五万とかいう形の献金だと、みずからの企業にかかわる問題で頼まれるということは私自身に関してはほぼ一〇〇%ありません。頼まれてやらなかったら、そういう人たちは離れていくし、むしろ頑張れということで応援していただいているところは残っていく、これは多分皆さん方も一緒だと思うのですね。  問題は、逆転の発想になるかもしれませんけれども、党に対する企業・団体献金というのが、私はむしろ額もそうだし問題じゃないかと思うのですね。例えば銀行協会なんか問題になりました。私はさきがけにいたのですけれどもさきがけ自体が金集めが下手で余り集まっていなかったこともあるのですけれども、八一%ぐらい銀行協会から、企業・団体献金の全体の割合になったのですね。だから銀行協会の意見を聞いたのかどうかといえば、その点は我が党については疑問でありましたけれども。そういう大きな献金を受けられる素地がある政党の企業・団体献金の方がむしろ私は問題じゃないかな、そして大きな圧力になりやすいのじゃないかなと思うのですね。  ですから、将来的には公的助成というものを国民のコンセンサスを得て充実し、個人の献金にシフトするという意味で、企業・団体献金の禁止というのが将来的には達成されるべきだと思いますけれども、当面のこの政治資金規正法の強化においては、むしろ限定をされた個人に対するものは企業・団体もある程度は認めて、政党に対するたがをはめていった方が利益誘導政治になりにくい、私はこういう実態的な体験的な活動からそういうふうに思っているのですけれども、四人の参考人方々の御意見をお伺いしたいと思います。  吉田参考人の方からお願いします。
  100. 吉田克二

    吉田参考人 先ほど政治資金についての考えを申し上げましたけれども基本的に私は企業・団体献金は最終的に全部なくすべきだという考えに立っておりますので、今の前原さんのお話は大体了解できることなんであります。  政党が先なのか、個人の資金管理団体のことをおっしゃっていると思いますが、個人が先なのかという問題でございますけれども、やはり政党に入った献金というのは、特定のだれかに向けて最終的に流れるというようなこともないわけじゃないかもしれませんが、やはり政党の全体の器の中に入るものであって、特定の政策あるいは事業というようなものと結びつく可能性が若干低いのかなというふうに私は考えております。だから、そういう面で、先ほどまず資金管理団体を先にやって、それから政党も順次なくしていくべきだという点を申し上げたわけでございます。
  101. 花岡信昭

    花岡参考人 個人献金への移行というのは理想でありまして、まさにそのとおりだと思います。それから、いわゆる国からの交付金、この両方でもって運営していく。  問題は、やはり透明性の確保だろう。いわゆる政治活動費というような形でかなりまとまったお金がぽんと政治家から政治家に渡されて、そこから先どう使おうと構わないというシステムですね。だから、いわゆる現金授受の禁止ということがうたわれていないのは先進国では余りないそうでありまして、これはちょっと厳密に調べてみないとわからないのですが、政治に金がかかることは確かなんでありますが、問題はどういうふうに使われているかでして、そこから先の透明性の確保というのをどう図っていくかということかなと、それで、先ほども申し上げましたカード決済というようなものにしていってはどうかということを提案したわけであります。
  102. 金指正雄

    金指参考人 政治献金の問題は、結局、透明度といいますか、ガラス張りかどうかということに尽きると思うのですね。政治に金がかかることはある程度しようがないわけで、政治資金規正法も、この法律の目的はとにかく公表性、公開性ということが第一なんですね。それを明らかにすることによって有権者が、この政党はこうなんだな、その政治家はこうなんだなと判断ができる、その資料にしてくれということを前文で書いているわけですね。  まさに個人の場合でも政党の場合でもそのとおりで、特に政党助成金みたいなものがばんと出てくると、ますます党財政の公開といいますか、これはもう避けて通れない。しかも、昨今のように、官官接待その他で地方自治団体の間ではそれがもう当然のようになってきまして、昨今幾つか裁判所の判例も出ていますけれども、これはもうだれと飲み食いして、どこで酒を食らったかなんということまで明らかにするのは当然じゃないかというふうなことになってきますと、政党もそのらち外であることはあり得ないので、政治家も同様ですね、公人ですから。  ですから、確かに量というものは質に非常にかかわるわけですけれども政治資金規正法のシステムにもう一回立ち入って、おれのところはこういうふうにやっているんだと、むしろ積極的に政党が競い合ってもらいたいという感じがしますね。個人については、先ほどおっしゃったように、かなり今度厳格になってきて、いい傾向だと思うのです。
  103. 荻野直紀

    荻野参考人 大体同じ意見なんですが、余り金を締め過ぎると、つまり一般社会に、政治家が金をいじったらすべて罪悪視されるような風潮にややなりがちな面もないとは言えないと思うのですね。したがって、ポイントは、今お話があったように入りも出もすべてガラス張りにしてこれでどうでしょうかと出せば、それがおかしければ、そこで問題が、マスコミもいろいろ動き出すでしょうし、そういうことでいくのがいいのではないかなと思うのです。  余り最初から規制、規制、規制とやってしまうと、潜るという行動がまた生じますし、政治には一銭も金がかかってはならないんだというような、そういう感覚を一般に植えつけてしまうと、ちょっとこれは難しくなりはせぬかな、そっちの面も私は心配しております。
  104. 堀込征雄

    ○堀込委員 今のお金の問題に関連をしながら、一、二お尋ねをしたいのです。  この政治改革を進めたときに、もちろん腐敗の問題もありましたし、政権交代可能なシステムをつくろうとか、いろいろな問題がありました。もう少し日本政治を、世界大の問題にも対応できるような、政治の復権みたいな、そういうことをつくり出していこうということもあったと思いますし、あるいはまた、立法府が本当に政策形成の主体となっていくんだ。つまり、そういう意味では、与党対野党ということもあるけれども、立法府対行政府、官僚制との闘いみたいなところで、政治を取り戻していこうという発想があったと私は思っておりまして、それは進めなければならぬというふうに思っているわけです。  今お金の話が出たのですが、そういう意味では、日本は、中央集権、画一社会を色濃くしている国でありまして、今公共事業などが非常に大きな問題になっているわけでありますが、国から公共事業で予算が落ちる、その周辺に業者がいろいろな形でかかわる、そこに政治家が絡むという形で、過去幾つか問題があったわけであります。  ついこのごろも、今は国から資本金とかそういうものを受けておる団体は禁止でありますが、それ以外に、例えば厚生族の皆さんには、総理初めずっと、これは政治資金規正法違反ではありませんが、政治献金が集まっているという実態。それから、建設族と言われる皆さんには、そういう大手ゼネコンとか、いろいろなところからの政治献金が多いという実態。これは、各省庁みんなあるわけであります。  そういう意味では、私は、この政治資金規正法というのは、やはり企業・団体献金をきちんとなくしてしまおうというところまでいかないと、これはそういう仕組みを直せないのではないか、こう思っていまして、吉田参考人意見に私は全く賛成であります。  そうでないと、やはりこの国の仕組みは、何だかんだ業界システムの中とかかわりを持っていかざるを得ないのではないかというふうに思うわけで、今の政治資金規正法も、そういう意味では資金管理団体については五年後禁止だし、それから全面禁止についても、五年後改めて協議しましょう、見直そう、こういうことになっているわけです。  これは、厚生省の一連の事件が起こった後、各党の幹部も少しこの検討を早めたらどうだというようなことを、実は昨年の暮れごろは新聞で発言した幹部も多かったのですが、どうも年が明けたら大分変わってきたようなのです。やはり、のど元過ぎて熱さを忘れてはいけないわけでして、そういう意味では、私は、そういうことをきちんとやるべきではないか、それが政治改革を目指した運動一つの方向ではないかというふうに思います。  今、この点は余り締めてはいけないという御発言がございましたので、荻野参考人金指参考人、お二人からちょっと御意見をお聞かせください。
  105. 荻野直紀

    荻野参考人 私は、皆さんが話し合ってもしそういう方向で合意されるのなら、それには何の異議も唱えるつもりはございませんが、方向として、ふやす方向より減る方向の方がそれはいいのは当然でありますけれども、さっきもちょっと申し上げましたが、個人献金というのが、まだそういう風土が全くできていないときに余り急激な締め方をすると、政治には金をかけてはならないのだ、一般的にそういう思い込みがあると、結局皆さんがお困りになりはせぬかな、そんなことを考えたわけです。
  106. 金指正雄

    金指参考人 今の堀込さんの意見と私も同感なのです。どうも、選挙の後は役人と業界の話に行ってしまったものですから。だけれども、いわゆるトライアングルということからすれば、政界だって何かあるかもしれぬぞ。これはたまたま話が官界に行っているからあれなので、やはり、政治自身のありようというものを、当然政治資金の絡みで引き続きやっていただきたいと思っておるのですね。  これは、午前中のときも申し上げたのですけれども、とにかく総合的な絡み合った問題ですから、何かここまで行ってしまったからもうおしまいというのじゃなくて、せっかくいいムードもあるし、部分的に見ますと、例えば先ほどのお金のかからない選挙、どうもかけては危なくなってきたというふうな様子もありますし、ぜひ政治資金につきましても、もう一歩、二歩進めていただければこれにこしたことはないわけであります。
  107. 武山百合子

    ○武山委員 武山百合子ですけれども、先ほどお話の中に、今回の選挙政策本位選挙ではなかったということで、目標としましては政権交代可能な二大政党ということで、もちろん私もそう思っておりますけれども政党の成熟が問われて、と同時に個人の政治家の成熟も問われるわけですけれども、その政党の成熟を促すために、また成熟していくために、また政治家個人が成熟していくためには、一つの選択肢としてシンクタンクがやはり欲しいのですね。  それで、私は、父親が政治家だったとか他の人のように二世議員とか三世議員とか、そういう政治の環境に全くいなかったものですから、型どおりの政策のとり方しかわからなかったわけですね。それは省庁に聞いて、それから秘書から聞いて、今までどういう政策が行われていたかということを聞いて、それをもとに自分の考えを発表するような形なのです。  確かに、政党にシンクタンクがあったら、例えばブルッキングス研究所とか、いろいろな形でイギリスにはイギリスにあると思うのですけれども、また新たに今からシンクタンクをつくるとなったら莫大なお金がかかると思うのですよね。それで、政党交付金をもらっているにもかかわらず、またくれなんという環境は今整っていないと思うのですね。  やはり、どのような形で今シンクタンクをつくったらいいか。ブレーン集団ですね。そのアイデアをぜひお聞きしたいと思います。花岡さんにお聞きしたいと思います。
  108. 花岡信昭

    花岡参考人 アメリカなどは、共和党系、民主党系、それぞれシンクタンクをいっぱい持っていまして、シンクタンクそのものもちゃんとそれが商売になっているわけですね。日本の場合のシンクタンクというのは、銀行系だとか証券会社系だとかいろいろありますけれども、ほとんどが経済データ中心でして、政策ものなどでは、せいぜい開発途上国の開発計画とか、要するに自分のところの商売にかかわってくるものでないとやらないということがあります。  だから、現にあるシンクタンクを今の政党活用するというのは非常に難しいところもあるかもしれないのですが お金がかかるのならばそれなりのお金を出せばいいわけで、政党がそういうところへお金を使えばいいだろうと思うのですね。  かつて、自民党一党支配といいますか、自民党政治全盛のときは、霞が関がまさに自民党のシンクタンクであったわけですが、それが、自民党が一回野党になって、それでまた戻って、今度はまた霞が関が自民党のシンクタンクになっているのかもしれません、現在は。  これはやはり、与党も野党もそれぞれが、どんな形にしろ、まずそういう政策形成能力を自分たちの政党の中からつくり出すんだということで一歩一歩スタートさせていく以外にないんじゃないでしょうか。
  109. 武山百合子

    ○武山委員 例えば民間の方にお願いしたときに、それこそボランティアという形で参加していただけるような機運がありますでしょうか。
  110. 花岡信昭

    花岡参考人 こんなところでぶつちゃけた話は恐縮ですが、私なんかもある党の幹部の方から、なかなか政策がまとまらないんだけれども一席設けるから話を聞かしてくれと言われてつたない話をしたことなどが、結構そういうことはあります。だから、言ってみればその延長上で、ボランティアというのは幾らもいるんだろうと思います。
  111. 武山百合子

    ○武山委員 では、次に吉田さんにお聞きしますけれども、シンクタンクについて今これからつくって育てていかなきゃいけないんですけれども、どうしたらいいでしょうか。つくるための知恵をおかりしたいと思います。
  112. 吉田克二

    吉田参考人 私は、皆様方国会議員が地域の事情も知り、国政の事情も御存じで、これが最高のシンクタンクだと思っておりますが、これをつくるとなると相当お金がかかる話で、当面は政策秘書の方々の充実活用というようなところから私は始めていかれるのがよろしいんじゃないかと思います。  この政策立案機能を高めるというのは、やはり最大のものは議員立法といいますか、国会の議員の方が法案を作成され提出する、私、そんなことが一朝一夕にすぐできるということはないと思いますけれども、そういう御努力をされる中で、つまり、必要に迫られて御勉強なさるという努力抜きに、ただどこかからお知恵を拝借しようというのはどうなんでしょうかね、国会の機能とちょっと乖離しているんじゃないかと私は思いますけれども
  113. 武山百合子

    ○武山委員 ありがとうございます。  同じ質問ですけれども金指さんお願いします。
  114. 金指正雄

    金指参考人 私は、先ほどもちょっと触れたと思いますけれども、やはり国会自身がスタッフ機能を持っているわけですから、それはアメリカ議会なんかに比べると数は少ないとかいろいろな問題はありますけれども、衆参にも法制局もありますし、それぞれ委員会ごとに調査スタッフもありますし、そこにはかなりレベルの高い人もおるように聞いております。国会図書館なども、私などはかなり利用しますけれども、もう非常にいろいろ物知りが多いですね。せっかくそういうところがあるんですから、そこをやはり使う。  使うに当たっては、政策政策といっていましても、具体的に言いますと予算であるとか法案とか、そういう形で政策というのは出てくるわけですね。予算の中には補助金とかあるいは許認可に絡む話とか、政策といっても、具体的に考えるとそういう形で展開していくわけで、そうすると一番いいのは法案をつくる。特に今話題になっていますが、行政改革というのはまさに行政を改革するんですから、それを政府、行政にやらしておいては、まないたのコイが何か動き出して包丁を振り回すようなことになるわけですね。ですから、料理する人はそれこそ国民から選ばれた立法府の人々で、ある意味じゃ党派を離れて共通の利害があると思うんですね。  例えば、さっきも言ったように大蔵省の改革なんというのは実はいい機会だったんですね。これを議員立法でやる。これは大蔵省設置法の改正、それから新規立法その他の関連法規の改正という大変膨大なものですけれども、それの具体的な作業をする中で勉強というのは進むわけで、抽象的に勉強したってこれはできないわけですね。ですから、それこそ難しいです。あるいは、専門的なものですから、それは例えば民間の人にそこは聞いていく、学者に、じゃこの点はどうなのかと聞く、国会のスタッフは無論ですけれども。  そういう、具体的に各条ごとに検討することで国会議員の皆さんの立法能力というんですか、それが実は政策能力で、政策形成能力というのは飛躍的に私は増大すると思うんですね。その機会を、どういう経過か知りませんけれども何か放棄してしまって、政府に今やらしているわけでしょう。ですから、なるべく、全部全部議員立法にせよなんとは私は思いませんけれども、ある問題については議会が引き受けて、その実施訓練の中で議員なり国会の政策形成能力というものを高めていく、もうこれ以外に道はないと思うんですね。  シンクタンクもいろいろありますけれども、それはあくまで私に言わせれば従の話でありまして、国会という、そのために、まあほかのアメリカなんかに比べれば少ないかもしれませんけれども、いろいろなスタッフ機能を置いているわけですから。聞いてみると、法制局なんかも無恥をかこっているわけですね。ですから、やはり仕事を一緒にやる。しかもいい球が来ているわけですから、ぜひやっていただきたいと思いますね。
  115. 武山百合子

    ○武山委員 ありがとうございます。  同じ質問なんですけれども、最後になりますけれども荻野さんお願いします。
  116. 荻野直紀

    荻野参考人 シンクタンクといっても、これは大きな規模を考えると大変難しいことになるんだろうと思うんですが、さっきもちょっとお話が出ていましたが、先生はよくアメリカの例を御存じなんで、各議員に相当政策秘書的な人がおりますね。とりあえず日本では今政策秘書というのは一人一応認められたことになっているとは思いますが、誤解をしているのかもしれませんが、必ずしも政策マンでない方も秘書になっているという実態もあるようですけれども、もうちょっとその面を充実させるというところからやった方が現実的ではないんでしょうか。  それで、ボランティアみたいのだとこれは非常に不安定ですね。したがって、例えば政党助成金の、これは各党それぞれでお考えになればいいのかもしらぬけれども、何%は政策費に回すとかそういうのを明確にするとか、先ほど私ちょっと申し上げた、定数削減で浮いたお金をそっちに回すとか、そういうことで議員個人個人の政策スタッフの充実というのがまず第一歩としてあってもいいような気もいたします。
  117. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 電子式投票あるいは機械的な投票制度についてまだ質問が出ていないようでしたらしたいんですけれども、実は、現在世界じゅうで自書式、自分で候補者の名前を書いて投票する制度になっているのは日本だけで、大体記号式あるいは進んだところでは機械的なものあるいは電子的、つまりコンピューターを使った投票様式をとっています。私は、日本でも情報化時代で、コンピューターその他の使用が非常に進んでいますので、ぜひ国政選挙を手始めとして、投票の場合には、ただ国会の中での採決というのはちょっと違うと思うんですが、選挙の際の投票に電子式のシステムを使うべきだというふうに思っているんです。  簡単にその理由を申し上げますと、一つは、昨年十月の選挙で全部で無効票が大体四百四十万票ぐらいになって、これは社民党が比例とそれから小選挙区両方でいただいた票とまあまあおっつかっつなんですね。だから、この票が全部社民党に入っていればもっと当選できたのにということを申し上げるつもりはないんですが、そのくらいの多数の無効票が出ているということで、やはり問題じゃないかと思います。その防止のためにも一つ役立つと思います。  それから、先ほども出ましたけれども、事前に、投票結果がわかる前にいろいろ新聞報道があったりする、あるいはテレビの報道があったりするということとも関連するんですが、これは選挙が終わった途端こ電子式の投票だったら当落がはっきりわかりますから、そういう意味では、朝の七時までかかった事務作業が一瞬で終わってしまうというメリットもあります。  それからもう一つ、これは余りよく知られていない点だと思うのですが、ワシントンに国際選挙制度財団という、これは一種のシンクタンクなんですけれども、それがあって、そこの理事だか専務理事だかの話によると、日本の現在の投票制度は秘密投票制度とは言えないという判定が下されているのですね、これは財団としてあるわけじゃないのですが。それはなぜかといいますと、例えば日本の投票所はカーテンもないし、手の動きでだれに書いているかわかったり、ちょっと簡単に隣がのぞけたりということで、秘密投票とはとても認められないという判断をされているようなところがあります。  アメリカの例ですと、例えば機械でがちんと引っ張るわけですけれども、それもちゃんとカーテンが閉められていますから完全に秘密投票になっている。それが、例えば最近の若い人は、やはり自分の行動がそういった形で人に見られるのが嫌だという理由で投票に行かないなんていう、これはサンプル数の少ない調査ですけれども、そんな調査もあります。  そういうことを考えると、最初の初期投資は少しかかりますけれども、電子式投票制度にすべきではないか。逆にこれを導入すべきではないという積極的な理由が余りないような気もするのですが、そのあたりについてどんなふうにお考えになっているのか、四人の参考人の方にそれぞれ簡単に御所見をお聞かせいただければありがたいと思います。  ほかのことについてもちょっと聞きたいことがあるのですが、これはいずれ機会を改めて、一席設けられるかどうかわかりませんけれども、ぜひまた議論を続けさせていただければと思います。
  118. 荻野直紀

    荻野参考人 最もそういうことに不得手な人間でありまして、ちょっとお伺いしたいのですが、電子式投票で今回もしやったとすると、無効は四百四十万からどのぐらい減ると見られるのですか。逆質問ですが。
  119. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 恐らく、棄権というボタンをつくるかどうか、その処理にもよると思うのですけれども、意図的に白票を入れるというのは、それを許すとすればそんなに減らないかもしれませんけれども、誤記とか、つまり田中と書いたのか田村と書いたのかわからないとか、そういう判定ですごく時間がかかっていたり、それから投票用紙を配り違えたり、そういったことでの無効票がすごく多いというふうに聞いています。
  120. 荻野直紀

    荻野参考人 この問題は、今後機会があったら秋葉先生から私は教えていただきたいと思います。何も今のことにお答えする知識を持ち合わせておりません。申しわけありません。
  121. 金指正雄

    金指参考人 流れとしては恐らくそういう方向に行くのでしょうね、技術革新ということを前提にすれば。ただし、選挙の場合はほかの情報と非常に違いますのは、その公正さをいかに保つかというこの一点で、この一点が崩れてしまうと根本的にだめになりますから、技術的にそういうことが可能である、例えば国民総背番号というようなことも入ったり、いろんなことを含めて、それが技術上も可能であるということになれば、一つの流れとしてはそういう方向に行くかと思いますね。  ただ、そういうふうに一般的には思いますけれども、同時に、これから年寄りがふえていく、四人に一人がやはりじいさんだ、ばあさんだと言われますと、自分らを考えてもそうですけれども、何かどぎまぎしちゃって機械の操作ができないんじゃないかなというようなこともあるかもしれませんし。流れとしてはそうですけれども、乗り越えなきゃならぬ技術的な問題は幾つかあると思いますよ。
  122. 花岡信昭

    花岡参考人 もう既にその時代になりつつあるのだろうと思います。そのときは恐らく、今金指さんがちょっと言われたように、個人カードがあって、そこに自分の医療データから年金なりなんなり全部入っていて、そこにいわゆる選挙権の行使をしたかどうかが、要するに何度も投票できちゃ困るわけですから、こういうようなカードがあって、それを差し込んでやるという、もう既にシステム的には開発されています。  これをやるときにはやはりまず国会が範を示す、国会の押しボタン投票方式をまずやらないとだめじゃないだろうか。土井さんが衆議院議長をされておられるときに、私は政治部長をやっていまして、政治部長会のみんなにお昼をごちそうしたいというので、珍しいこともあるものだというので、議長公邸へ昼間みんな集められまして、たしか吉兆か何かのすごいお重の、まあ余計な話で恐縮ですが、弁当をごちそうになったことがあるのですが、そのときに、いろいろ議会改革をやりたい、いろいろなことをやっているんだけれども、だれも何も書いてくれない、こう土井さんがおっしゃるものですから、じゃ、それはもう押しボタン投票しかないでしょう、社会党の土井さんが押しボタン投票をやろうと言い出せば、これは牛歩ができないということですから、これはもう絶対みんな賛成してみんな書きまくる、そう言ったら土井さん、ぶっと横を向いてしまってそれっきり何も、何か非常に不機嫌な顔をされたのをいまだに覚えているのですけれども。  やはりそういう時代がもう来ているのだというのはまず国会が範を示して、衆参両方とも押しボタン投票。あんなものはテレビのスタジオみたいなものですから、配線やなんかが簡単なんです。あっという間にできてしまいます。いわゆる投票のためのシステムというのは既に開発されて、もうデモンストレーションなんかも行われています。もうやる気になればすぐにでも可能です。  問題は、例えば午後六時に投票締め切り、それで即結果がわかってしまいますから、開票速報で一喜一憂するというあのおもしろさがなくなるということです。
  123. 吉田克二

    吉田参考人 電子式投票については、金指さんと全く同じ意見を持っています。技術的に可能でかつ投票の秘密が確保されるのであれば、私進められるべきじゃないかと思いますね。  ただ、当初、記号式投票を今回の選挙で予定しておられたのが、おととしてしたか、自書式に制度変更が行われましたけれども、その理由というのはいま一つわかりませんが、私の想像では、やはり記号式だとどうも浮気がしやすい、新しい人のところに行ってしまうかもしれない。自書式であれば、やはり何度も繰り返し書いたその人に投票しやすいというところに自書式に戻った発想の一つがあったんじゃないかなと想像しておるわけです。そういう人と人のつながりというところに選挙の根幹が置かれているような風土といいますか、そういうもとで、じゃ、果たしてその電子式投票というものに一挙にジャンプできるのかという点は若干の危惧を持っております。
  124. 大村秀章

    ○大村委員 それでは、いろいろ御質問、議論も出たわけでありますけれども、私非常に単純な御質問なんですが、今回、冒頭で小選挙比例代表並立制評価についてということで諸先生方の御意見をお伺いしたわけなのでありますけれども、その中で、特に冒頭荻野参考人の方からお話がありましたように、選挙直後の世論調査、各紙でもいろいろな世論調査がありました。この選挙制度どうですかというのが必ずあったわけであります。  その中で、大体一番多かったのが、いろいろな弊害があるので見直してこの制度をもっと改良したらどうか、多分これが一番大きな流れになるんだろうと思うのですが、世論調査によってはそれとほぼ拮抗してかそれ以上に、中選挙区の方がよかったという意見もあったのは事実だろうと思います。  私自身選挙をやったのが初めてですから、中選挙区がどうだったかというのは伝聞でしかわからないのですけれども、確かに、戦後五十年間続き、有権者の頭の上からっま先までもうしみついているという感じ選挙区にしてもするわけですね、区割り一つとってみても。ですから、そういった中選挙制度を、確かに民意を反映するいい制度じゃないかと評価する意見もありますし、今現在、今後の制度考える上においても、そういう声も議論としてはあるわけですね。  ですから、今後それをどうするかということはこれからの議論だとしても、これからの参考ということで、参考人それぞれの方々に改めて中選挙制度評価ということについてお聞きをしたいと思います。  では、荻野参考人の方から順番にお願いでさましたら。
  125. 荻野直紀

    荻野参考人 中選挙区制の評価といいますと、あのリクルート事件以後、自民党さんで政治改革大綱を出されたりいろいろありましたが、あの中で、それこそ戦後数十年を経て中選挙区制の弊害ここにきわまれりということで今回の新選挙制度になった経緯を見ますと、やはりこれをある程度、試行錯誤もあるでしょうが、続けていくことが私はいいと思っておるわけです。  したがって、たしか自民党さんのあの政治改革大綱によれば、諸悪の根源が中選挙制度だという趣旨の表現があったように思います。たしかありましたね、そういうことが、諸悪とあったか、あったと思うのですが。したがって、そこまで言われているものですから、確かにそういう弊害が非常に際立っていたことも事実だということですから、冒頭も申し上げましたが、一〇〇%これがいいんだという選挙制度がない以上は、この新しい制度を育てる方向でやっていくのが現実的ではなかろうかというふうに考えます。
  126. 金指正雄

    金指参考人 今も委員もちょっと言われたのですけれども、要するに絶対的な選挙制度はないということを大前提にして言いますと、中選挙制度が諸悪の根源だと私は考えていないわけですね。プラスもあればマイナスもある。例えば新人なんかが出やすいのは、中選挙区の方が出やすいでしょうね。恐らく、今の新しい選挙制度でやっていきますと地盤の固定化なんというようなことがこれから出てくるに違いないですね。ただし、敵は同じ味方同士ということで、同士打ちみたいなことで、そうすると政策上の違いがないものですから、それこそ世話役活動で違いを出すとか、そういうことに伴って冠婚葬祭のためのお金がかかるというようなマイナスは無論あるでしょう。ですからプラス・マイナスいろいろあるわけですけれども、私は、単純にスローガン的に諸悪の根源だということは思っておりません。  日本選挙制度というのは、明治二十三年の帝国議会の開設以来あるわけですけれども、最初十年間が小選挙区、それから一種の中選挙区になって、また大正のたしか原敬のときに小選挙区になって、普選を前にして各党の意見をまとめるために、ちょうど比例代表と、比例代表というのもあのとき出てきたことがあったのですけれども比例代表と小選挙区の間をとって中選挙区、そうすると、大きい政党も飯を食えるし、小さい政党もそう割を食うこともない、ハッピーじゃないかというのでまとまった、それで七十数年たっているわけですね。  七十数年たったということはそれなりの理由があるわけで、弊害が自立っことも事実ですけれども、同時にそれを受け入れてきた日本社会といいますか、日本人の政治の物の考え方、これもあることも事実で、ですから、要は、結局この時点で、政治考える場合にどういう選挙制度がいいのかという形で選挙制度考えていく以外にないのではないですか。
  127. 花岡信昭

    花岡参考人 私も冒頭に申しましたように、中選挙区制に風穴をあけるというところから政治改革が始まったのだろうという基本認識を持っております。  おっしゃるとおり、中選挙区制なるものが極めて日本人的体質といいますか、これになじんできたことは確かです。日本人というのは、白か黒かとかAかBかという分け方が非常に苦手でありまして、例えば、ある地域でだれもかれもがみんなうまくけんかしないで仲よくすみ分けるという形ですね。特に農村部の議員の方に言わせるとあれなのですが、例えば四人家族がいる、中選挙区制の時代は、父ちゃん、また今度おれのところへ入れてくれよな、母ちゃんはあっちでもいいや、あっちでもというのは同じ自民党の別の候補ですね、それで、息子と娘は少し革新かぶれしているから社会党へ入れても構わないや、これで当選できたわけですね。今度の小選挙区制の場合は、四人家族全部おれのところへ入れてくれなければ当選できないよ、こういう話になりますので、大変しんどい選挙であっただろうと思うのです。  だけれども、やはり中選挙区制がもたらした弊害といいますか、その壁をぶち破っていかないと、これから先、新しい時代の非常に強力な、安定した政権、それから政権交代可能な二大政党時代、あるいは二・五大政党時代でも結構ですけれども、それを目指す上で、やはり小選挙区制を軸にした選挙制度がどうしても必要だったということだろうと思います。
  128. 吉田克二

    吉田参考人 私は、中選挙区制というものが、どちらかといえば、結果的に比例代表に近いような結果を生じるという点で、必ずしも悪い制度だとは思っておりません。  ただ、この一連の政治改革というものが、中選挙区制のもとで起きたいろいろな弊害をなくすために、選挙制度政治とお金のかかわりあるいは政党あり方、そういうものをトータルとして変更をしてここまで歩んできたという道筋を考えれば、現実問題として、今、もとのままの中選挙区制に戻すというようなことは到底あり得ないことだと考えております。
  129. 江渡聡徳

    ○江渡委員 今まで諸先生方からいろいろな御意見をいただいてきたわけですけれども、先ほどから何回か投票率のことについての御質問が各委員方々から出されまして、そして、参考人先生方から、最終的には政治がおもしろければアップするんじゃないか的な意見があったわけでございます。しかし、その中におきまして、小選挙区制、何人かの先生方は、政治が安定するための二大政党制的なものを目指していく段階においてということになったわけですけれども、そうなった場合に、安定していきますと本当に政治がおもしろくなるのかどうなのか、こういうところも出てくると思います。そうしますと、なかなか投票率がスムーズにアップになるかどうかという部分もありますし、また、ある意味合いでは、無党派層がなおさらふえていくんじゃないかというようなところもあるわけです。  ですから、そういうようないろいろな兼ね合いの中から、ちょうど十月の二十日の選挙が終わりまして即、各政党方々投票率の低さという問題に対して、報奨制度的なものを導入すべきだとかあるいは罰則制度的なものを導入するべきだというような形で、あめとむち的な形の考え方が随分御意見が出てきたわけですけれども、その辺のところにつきまして、参考人の各先生方、いかようにお考えか、ちょっと聞かせていただきたいと思います。
  130. 吉田克二

    吉田参考人 御質問趣旨は、投票に関して、報奨制度あるいは罰則制度というようなものを設けることの適否ということですか。
  131. 江渡聡徳

    ○江渡委員 はい。
  132. 吉田克二

    吉田参考人 投票する自由もございますけれども、投票しない自由も当然確保されなければならないので、罰則的なものを導入するということは賛成ではありません。  ただ、投票の誘導になるなら適当でないかもしれませんけれども、投票に対して何らかの、それを進めるのに役に立つような報奨制度というようなものは検討してもいいかなとは思っております。
  133. 花岡信昭

    花岡参考人 ちょっと表現が穏当でないかもしれませんけれども、開発途上国ならいざ知らず、日本であめとむちのようなことを絶対してはいけない、これは先進国日本としては恥だろうと思います。
  134. 金指正雄

    金指参考人 私はちょっと議員と同意見部分といいますか、やや心配しているのは、先ほど来何度も繰り返していますけれども、新しい選挙制度の中で、下手をすると投票率がますます下がっていく懸念がありますよというのは、まさにステーブルになるからですね。おもしろくないと言っては語弊があるかもしれませんけれども、世の中のためにはいいのかもしれませんけれども、要するに、自分の一票というものに関係なく動くということになれば、それは当然人情として行きませんね。じゃ、それはしりをひっぱたいて行くかというと、これまたできないわけですね。馬を川辺まで連れていきますけれども、水は無理して飲ませることはできないのと同じで、それはまた選挙趣旨からやってはいかぬことで、この辺が難しいわけですね。行けば何かくれるという、これもまた難しい。  だから、今の新しい制度をしばらくやってみましょうかということに大体今なっているにしても、そういう問題点をどうしてほぐしていくのかということも、これは私もまだ答えを持っていないのです。  アメリカあたりというのは、三〇%か四〇%台になってしまうのじゃないですか。そうすると、定足数だって国会は三分の一ですから、三分の一を切った選挙というのは、大体選挙として成り立つのかどうかという根本問題につながってくるわけですね。そこについて、私はまだいい方法というのは……。御心配になる点も、アイデアですけれども、実際問題としてはなかなかできないでしょうね。
  135. 荻野直紀

    荻野参考人 罰則というのは、私もいかがかと思います。  それで、政権交代が可能な二大政党というものができた暁には、やはり相当その双方が緊張感を持っていないと、いつ交代するかもわからぬ。政権交代可能な二大政党という場合には、少なくとも基本政策はある程度共有するというような形にもなるでしょうし、したがって何か不祥事のようなもの、それから政策的失敗があれば、これは直ちに響くというようなことを考えますと、これはやはりかなりな緊張感を持ってそれぞれの政党が対応しないといかぬことになるし、そうなればそこに有権者を引きつける要素も私は生まれてくると思うのです。
  136. 中馬弘毅

    中馬委員長 どうもありがとうございました。  予定した時間も参りましたので、本日の参考人に対する質疑は、この程度で終了することといたします。  参考人方々におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  それでは、参考人方々には、御退席をしていただいて結構でございます。     ─────────────
  137. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  公職選挙法改正に関する件調査のため、来る三月五日水曜日に、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 中馬弘毅

    中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次回は、来る三月五日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三分散会