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1997-06-04 第140回国会 衆議院 建設委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月四日(水曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 市川 雄一君    理事 赤城 徳彦君 理事 遠藤 利明君    理事田野瀬良太郎君 理事 中島洋次郎君    理事 太田 昭宏君 理事 増田 敏男君    理事 石井 紘基君 理事 中島 武敏君       井奥 貞雄君    金子原二郎君       佐藤 静雄君    高市 早苗君       谷畑  孝君    玉沢徳一郎君       東家 嘉幸君    萩山 教嚴君       蓮実  進君    松本 和那君       岩浅 嘉仁君    岡島 正之君       笹木 竜三君    高木 義明君       樽床 伸二君    中野  清君       西野  陽君    山本 幸三君       葉山  峻君    山本 譲司君       辻  第一君    中西 績介君       畠山健治郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 亀井 静香君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 伊藤 公介君  出席政府委員         国土政務次官  井奥 貞雄君         国土庁長官官房         長       近藤 茂夫君         国土庁計画・調         整局長     塩谷 隆英君         国土庁大都市圏         整備局長国会         等移転審    五十嵐健之君         議会事務局次長         建設政務次官  佐藤 静雄君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設大臣官房総         務審議官    村瀬 興一君         建設省都市局長 木下 博夫君         建設省河川局長 尾田 栄章君         建設省道路局長 佐藤 信彦君         建設省住宅局長 小川 忠男君  委員外出席者         科学技術庁研究         開発局企画課防         災科学技術推進 岩渕 晴行君         調整官         大蔵省主計局主         計企画官    樋口俊一郎君         農林水産省構造         改善局計画部事 太田 信介君         業計画課長         農林水産省構造         改善局建設部開 江頭  輝君         発課長         林野庁業務部業         務第一課長   藤原  敬君         通商産業省産業         政策局商政課長 藤野 達夫君         中小企業庁小規         模企業部小売商         業課長     近藤 賢二君         運輸省自動車交         通局技術安全部 三宅 哲志君         保安・環境課長         運輸省海上技術         安全局船員部労 隈元 道雄君         政課長         労働省労働基準         局賃金時間部労         働時間課長   松井 一實君         自治大臣官房参         事官      滝本 純生君         参  考  人         (本州四国連絡 藤川 寛之君         橋公団総裁)         建設委員会調査         室長      白兼 保彦君     ――――――――――――― 委員の異 六月四日  辞任         補欠選任   赤羽 一嘉君     笹木 竜三君   岩浅 嘉仁君     高木 義明君   樽床 伸二君     中野  清君   中西 績介君     畠山健治郎君 同日  辞任         補欠選任   笹木 竜三君     赤羽 一嘉君   高木 義明君     岩浅 嘉仁君   中野  清君     樽床 伸二君  畠山健治郎君      中西 績介君     ――――――――――――― 五月二十二日  川辺川ダム建設事業促進に関する請願園田  博之紹介)(第三〇六八号)  同(園田博之紹介)(第三一三九号) 同月二十七日  川辺川ダム建設事業促進に関する請願園田  博之紹介)(第一一二八七号)  同(園田博之紹介)(第三二三五号)  同(園田博之紹介)(第三三〇六号) 六月四日  建設省公共事業関係職員大幅増員に関する  請願金子満広紹介)(第三五二八号)  同(中島武敏紹介)(第三五五四号)  同(不破哲三紹介)(第三五五五号)  同(古賀一成紹介)(第三六〇五号)  同(穀田恵二紹介)(第三六〇六号)  同(佐々木陸海紹介)(第三六〇七号)  同(藤田スミ紹介)(第三六〇八号)  同(正森成二君紹介)(第三六〇九号)  同(山原健二郎紹介)(第三六一〇号)  同(吉井英勝紹介)(第三六一一号)  同(安住淳紹介)(第三六五一号)  同(大森猛紹介)(第三六五二号)  同(小平忠正紹介)(第三六五三号)  同(古賀正浩紹介)(第三六五四号)  同(近藤昭一紹介)(第三六五五号)  同(佐々木憲昭紹介)(第三六五六号)  同(坂口力紹介)(第三六五七号)  同(辻第一君紹介)(第三六五八号)  同(寺前巖紹介)(第三六五九号)  同(松本龍紹介)(第三六六〇号)  同(矢上雅義紹介)(第三六六一号)  同(矢島恒夫紹介)(第三六六二号)  国民本位公共事業推進に関する請願金子満  広君紹介)(第三五二九号)  同(中島武敏紹介)(第三五五六号)  同(不破哲三紹介)(第三五五七号)  同(古賀一成紹介)(第三六一二号)  同(穀田恵二紹介)(第三六一三号)  同(佐々木陸海紹介)(第三六一四号)  同(藤田スミ紹介)(第三六一五号)  同(正森成二君紹介)(第三六一六号)  同(山花貞夫紹介)(第三六一七号)  同(山原健二郎紹介)(第三六一八号)  同(吉井英勝紹介)(第三六一九号)  同(安住淳紹介)(第三六六三号)  同(大森猛紹介)(第三六六四号)  同(小平忠正紹介)(第三六六五号)  同(古賀正浩紹介)(第三六六六号)  同(近藤昭一紹介)(第三六六七号)  同(佐々木憲昭紹介)(第三六六八号)  同(坂上富男紹介)(第三六六九号)  同(坂口力紹介)(第三六七〇号)  同(辻第一君紹介)(第三六七一号)  同(寺前巖紹介)(第三六七二号)  同(松本龍紹介)(第三六七三号)  同(矢上雅義紹介)(第三六七四号)  同(矢島恒夫紹介)(第三六七五号)  公共事業における地元中小企業受注機会の確  保に関する請願児玉健次紹介)(第三五三  〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月二十二日 瀬戸大橋の通行料金値下げに関する陳情書  (第三四〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 市川雄一

    市川委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として本州四国連絡橋公団総裁藤川寛之君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 市川雄一

    市川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 市川雄一

    市川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中島洋次郎君。
  5. 中島洋次郎

    中島(洋)委員 本日は、一般質問ということでございますので、これまでの当委員会審議経過等も踏まえながら、国土建設関連行政の諸点についてお伺いをいたしたいと存じます。  今国会における当建設委員会審議を振り返ってみますと、もちろんまだ会期も残っておりますし、審議も行われる予定でございますが、既に十本を超える法案を当委員会審議をしてきております。その審議時間も既に三十五時間を優に超える、真剣かつ真摯な議論が行われてきておるわけであります。そうした今委員会委員会運営というのは、私は、評価されてしかるべき運営が続いておると思っておりますし、それはまさに委員長における公正公平、積極的な委員会運営によるものであると思っております。この場をおかりして、委員長の御尽力に敬意を表したいと思っておる次第でございます。  国土庁長官においでいただいておりますので、まず国土関係から御質問させていただきます。  昨日、財政構造改革最終報告案というものがまとまったわけであります。この財政構造改革も、国土の基盤への投資というものと密接に関係を持っているわけでありますが、まとまった最終報告案というのは大変厳しいものであったかと思うわけであります。しかし、今全国国土を覆っている時代閉塞感というものを打ち破るために、将来に向かって夢と希望を持てる国土ビジョン、そういった将来に向けての明るいビジョンを求める声が全国にある中で、この状況下国土庁におきましては新しい全国総合開発計画をどう策定されていくのか。  そしてもう一点、首都機能移転の問題がございます。一部に凍結を含めてのさまざまな声が上がっておりますが、これは長官よく御承知のように、国会でも推進を決議し、進めておるものでございます。この新しい総合計画、そして首都機能移転をどうするのか、長官の口から、はっきりとしたお言葉お答えをちょうだいしたいと思います。
  6. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 委員指摘のように、財政構造会議方向が昨日示されて、私たちは将来の子供たち時代にはもっといい財政事情の国を残したい、我々はこれ以上将来にツケを回すことはしない、そうした決意の中で大胆な財政構造改革に取り組んできたわけでありますし、また、内閣としてその方向を示させていただいたところでございます。  こうした財政構造改革の行方、そうした方向をしっかり受けとめながら、新しい全国総合開発計画というものも、それに沿った形で私どもはできる限り早く策定をして、国民皆さんに、新しい二十一世紀、我が国のこれまでの全総とはいささか内容を異にした、委員指摘のような、将来日本国民皆さんが豊かな大自然というものと共生をしながら夢やロマンを託せるような、そうした新しい全国総合開発計画を可能な限り早く策定をしてお示ししたいというふうに考えております。  長い間、各歴代の内閣も過疎と過密を解消して均衡のとれた国土行政ということを進めてきたわけでありますが、今私たち生活環境社会環境というものも非常に大きく変化をしてまいりました。日本人の言ってみればライフスタイルも変わりつつある。そうした中で、この新しい全国総合開発計画というものは、国民の新しい暮らしもまた想定をしながら進めていかなければならないと思うわけでありまして、国民皆さんにいささかこれまでとは内容を異にした新鮮な全総計画だと言っていただけるように、今後とも努めてまいりたいと思います。  なお、御質問の中にありました首都機能移転の問題でありますが、当初、凍結ではないかというような報道も一部ございましたけれども、その後、それぞれの調整、また意見の集約をいたしまして、当然のことでありますけれども、今二十世紀から二十一世紀という日本の長い歴史の中で大きな転換のときに、また、規制緩和であるとか、地方分権であるとか、そうした社会構造の大きな転換のときに、我々は新しい政治都市を白いキャンバスの中に民族のエネルギーとして新しい都市づくりにチャレンジをする、そういう意気込みで、特にこれは議員立法として進められてきた件であります。  内閣としては、その方向に従ってしっかり取り組んでまいりたいと思っております。  審議会等のこれからの進め方もございますけれども、審議委員皆さんにもよく御相談を申し上げて、ただ二〇〇三年というのは財政改革期間に入るわけでありまして、こうしたタイムスケジュールというものも当然のことながら私たちは頭に入れてやっていかなければならないと思います。  十分審議をし、また調査をしていけば、それらの時間もまた必要ではないかというふうに思っているところでありまして、全国各地から新しい政治都市についてはかえって逆に大きな関心をいただいているところでもございまして、今後とも国土庁としてしっかりこの問題には取り組ませていただきたいというふうに思います。
  7. 中島洋次郎

    中島(洋)委員 ありがとうございました。ぜひ、その決意で進んでいただきたいと思います。  次に、建設関連質問に移ります。  建設省は、先ほど申し上げました行財政改革について、当委員会においても大変に自主的に能動的に行財政改革に取り組んでいらっしゃるということを答弁で随分とお聞かせをいただいてきております。特殊法人の問題でも住都公団等改革規制緩和の問題では容積率緩和等の新しい法案をこの委員会にも提出をされました。公共事業でも他省庁との連携や透明性確保等々のさまざまな改革案をみずから発表してきておるところでございます。  私は、建設行政を一番わかっていらっしゃるのはもちろん建設省御自身であると思いますので、そういった行財政改革に対して建設省みずからが能動的に改革を引っ張っていくような形でこれに対応しているという姿勢がこれは大変に大事であると思っております。  また、私も国会議員としてさまざまな改革はやらなければいけないと思っておりますが、一つ懸念をすることは、さまざまな改革の中で財政改革のみがどうも突出をしておる。本来は、これは財政改革のみならずたくさんの改革があって、それは横並びのはずであった。例えば、日本国際社会の中できちんと競争力を持っていけるようにするための経済構造改革等、これらも財政構造改革とは本来横並びであったというのがスタート時点での議論であったはずであります。  そうして財政の問題が突出して、その中で公共事業マイナス面ばかりが強調される。さらに言えば、公共事業の中でも、公共事業はさまざまな省庁にまたがっておりますが、建設省における公共事業のみが世論の中で矢面に立っているという感じが私は昨今大変に強くしておるわけであります。  しかし、公共事業必要性がなくなったのか、あるいは著しく少なくなったかというと、私はそんなことはないと思っております。日本経済全体にとって公共事業は必要でありますし、しかも国民のごく一部ではなくて国民の広い層に波及効果を持つのは建設省が所管する公共事業が大変に多いと私は認識をしております。  先ほど申し上げました経済構造改革の中におきましても、経済構造改革の最大のテーマの一つ日本のそういった高コスト構造是正でありますし、そのためには高規格道路を中心とする交通網整備していく。これは当時のこの経済構造改革を提唱した橋本通産大臣もはっきりと述べておるところでございます。  そして、先ほど申し上げました財政構造改革最終報告案におきましても、この集中改革期間内においても優先的、重点的に整備するものとして幾つかきちんと明記をされております。これは経済構造改革関連社会資本というようなことで、その中には、高規格幹線道路市街地整備というものはきちんと明記をされていることがあります。  そこで、この高規格幹線道路について、時間も余りないので具体的な質問にちょっと移らせていただきたいと思います。  首都圏から最も近いところに北関東横断道路というのが、一部あります。一部はまだありません。これは、内陸県群馬地方から茨城の海岸線をずっと横断していく、そして東北、関越、常磐といった縦軸高速道路もずっとこれをつなげていく、大変にこの北関東地域においては期待の高い道路でございますが、これは一番西の端に当たる県庁所在地に近い高崎から東の十五キロ区間は、もう既に平成三年には整備計画ができています。そして既に平成五年には着工命令が出て工事が始まっておりますが、その区間のすぐ続く東側は、その後丸五年金く計画の進展を見ていなかった。昨年十二月の国幹審で何とか丸五年以上おくれてやっと整備計画になったところでございます。  基本的なことですが、高規格道路もある程度きちんとした点と点を結んで線になりませんと、経済的な波及効果はほとんどと言ってはあれですが、余り出ません。これは、早くきちんとしたある地域とある地域を結ぶというところまでは持っていって早く経済波及効果を出していく、これが投資を行っていくための一つの眼目でもあると私は思っております。ですから、こうしたおくれている区間は、特に必要性緊急性が高いというふうに思っております。  これは多少私ごとにもなりますが、私の父も、もう三十年も前に内陸の県と海岸線を結ぶ交通網重要性を本当に強く訴えて選挙に初めて出た。そうして、海なし県というものをこうした交通網でなくしていくんだ、こういった声がだんだんだんだん地域の方にも浸透して、今、この道路に対する期待も高まっておりますが、この整備計画決定からこの後一体どういう見通しでこれは進んでいくのか、ある程度の見通し地域の方も知りたいというところだと思います。  あえて言えば、従来の平均ですと、整備計画から着工命令まで二年半かかっているということでございますが、これはちょっと長いのではないかという感じもしております。そこら辺等を含めましてお答えをちょうだいしたいと思います。
  8. 佐藤信彦

    佐藤信彦政府委員 お答えいたします。  北関東自動車道は、先生おっしゃられるとおり、北関東重要地点を結ぶ百五十キロの路線でございますが、これはでき上がりますと首都圏を迂回する、首都圏に万が一のことがあった場合に、むしろ迂回路としての役割も果たす、そういった重要路線でございます。  そういったことで、おっしゃられるとおり、現在事業中の区間高崎から伊勢崎の間、それから都賀から上三川、それから友部水戸南、百五十キロのうちこの五十六キロについては、現在事業を着実に進めております。これにつきましては、次期五カ年計画の中ごろには一部供用ができるのではないかといったことで、用地買収工事を進めているところでございます。  それから、それ以外の区間でございます。これも、昨年末の国幹審におきまして、早くやはりつながらなくてはならないといったことで、残っておりました区間につきましては、整備計画をすべて出しております。特に、群馬県内では、伊勢崎市から岩船町区間三十九キロ、それから、上三川から友部町の四十キロ、これが整備計画が出ておりまして、現在、道路公団におきまして、道路予備設計地方協力、それから関連公共事業にかかわります関係機関との調整を行っているところでございます。  これもおっしゃられましたとおり、この期間が、従来は二年から三年ぐらいかかっております。こういう時期でございますので、なるべく早く調査を行いまして施行命令に持っていきたいということで、特にその中でも調査熟度が進んできているもの、これを全部そろえてということになると遅くなりますので、むしろそういう調査熟度の進んできたものにつきましては、今までの半分ぐらいの期間でも施行命令を出せるように、そういった検討もあわせてやらせていただいております。  そういったことで、北関東自動車道も早期に完成が図られるよう、今後とも努力していきたいというふうに思っております。
  9. 中島洋次郎

    中島(洋)委員 道路局長から今までの半分ぐらいまで期間を縮小したいという、大変に心強いお言葉がありました。  それでは、期間も急いでもらうとともに、これは、でき上がったときに、地域はもちろん、全国からそれを利用する方、あるいはその地域周辺の経済的な効果等々考えるときに、その道一本、もちろん道が一本通るわけですが、当然それに附帯して、周辺アクセス道路等々、周辺整備北関東横断道という、全国もそうですが、大きな国の資金も導入しながらやっていくときに、周辺の住民、地域、市町村と密接な協力をとりながら、周辺交通網整備を進めていく、これも大変大事であると思います。そこら辺のアクセス道路整備計画と、また、地域とはどのようにして協議をしていくか、その方針をちょっとお伺いいたしたいと思います。
  10. 佐藤信彦

    佐藤信彦政府委員 特に北関東自動車道につきましては、かなり事業も進んでおりますが、これについて例として挙げさせていただきます。  特に、現在、もう施行命令が出ておりまして、事業が実施されている区間、これにつきましては、当然供用開始されたときに、関連道路整備されていなくては用を足しませんので、例えば前橋市内におきましては、主要地方道前橋玉村線、それから前橋館林線、この二本につきましては、インターチェンジからの重要路線になりますので、それぞれ改良工事を進めているところでございます。  それから、伊勢崎市内におきましても、国道十七号、これは上武国道でございますが、これにつきましても、インターチェンジとの出入りをよくするよう、そういった検討を個々に行わせていただいておりまして、既に事業が円滑に進んでいるところでございます。  それから、整備計画区間、先ほど申しました、道路公団がいろいろ調査検討している区間でございますが、その区間に当たります伊勢崎市から太田市の間につきましては、インターチェンジが二つございます。薮塚インターチェンジ、これは仮称でございますが、そういったものと、太田インターチェンジ、これをそれぞれ、県道大原境線及び一般国道の百二十二号線につきまして、北関東自動車道整備具体化とあわせてこれらのものが整備できるよう現在検討しているところでございます。  今後も、そういったことで、地元の方々の御協力、御理解等を得まして、本線とあわせてアクセス道路整備も努めていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  11. 中島洋次郎

    中島(洋)委員 ありがとうございます。  地方道路、これからの公共投資の場合、費用対効果というものを考えた場合にも、また地域格差是正ということを考えた場合にも、またこういうふうに産業集積の進んでいる地域における高規格道路は、さらに物流の効率化等々、今求められているさまざまな条件のもとで、地方全般と言ってもいいと思いますが、地方幹線道路はまだまだ本当に必要である。地元道路をちょっと例にとらせてもらいまして、そういったことをちょっとお訴えをさせてもらいながら、質問させてもらいました。  次の、ちょっと別の角度からの質問に移らせてもらいたいと思います。  これは当委員会ではなくて、商工委員会の方で審議をされたものでございますが、特定産業集積活性化法案というのが今国会で行われました。これは産業集積の進んでいる地域空洞化で大変苦しい地域、これを通産省建設省、文部省、労働省と一体となって産業を再活性化させようというための法律であります。ちょっと建設省に関する部分の、これは通産省の方の答弁をちょっと読ませてもらいます、  これは議事録ですが、この法律案における「まず建設省との関係でございますけれども、都道府県が作成いたします活性化計画、この承認に当たりましては建設省と共同で承認をするということでございます。この計画承認段階から建設省道路整備計画適切性実効性を判断して、重点的な整備の実施を確保していくという形」でございますというふうに、これは説明に立った通産省政府委員ですが、こういう答弁をしています。  この法律は本委員会では審議をされませんでしたが、当然、これは共管の法律でございますから、建設の方はこの答弁等も聞いていらしたのではないかと思いますが、この法律地方の中小企業は大変に喜んでおります。  何に喜んでいるかというと、建設省が共管になってくれたことを喜んでおります。これは、従来の一省庁による産業振興、産業育成というものにやはり地方の中小企業はある程度の限界を感じていた、これは事実でございます。  そういった中に、産業振興という法律建設省が入ってきてくれる。そしてこの答弁によりますと、建設省がその指定された地域の中において、社会資本幹線道路等々を優先的に整備を行っていくというふうになっている。これは地方の中小企業からすれば、従来の産業育成の貸付資金のようなものだけでない、より地域全体にとってこれまでにないような大きな経済波及効果を与える法律なんだという認識でみんなおります。  建設省がおやりになる社会資本整備、これは決して建設業界のみに波及効果があるものでも何でもございません。これはそんな狭いものではなくて、建設省がやれる経済、社会資本整備波及効果は、ありとあらゆる産業に及ぶんだということを私は申し上げたかった。  そして、この建設省に対する地方の中小企業の熱い思いに対して、今後、建設省としてどうこたえていかれるか。私は、建設行政効果的な遂行というものが日本経済発展のかぎを握っているというふうに思っております。ぜひ建設省の方でこの地方産業の熱い思い、この法律に対してどう対応していくのか、御答弁をちょうだいしたいと思います。
  12. 木下博夫

    ○木下政府委員 先生お話ございましたように、我が国の今の都市の状況を見ますと、言うまでもないことでございますが、大変都心部におきまして人口が減少し、かつ高齢化している。あるいは各種のいわば産業が大変疲弊化しておりまして、店舗等が空き店舗になっておる。それぞれ都市によって様相は多少異なると思いますが、総じてそんな状況ではなかろうかと思っております。  今回の法律も、そういう状況にかんがみまして、さらに施策を重点的に、計画的にやっていこうということで、関係省庁で相集って出させていただいたわけでございますが、過去から既に中心市街地の問題についてはいろいろ種々対策をやっておりますが、私、先ほど申し上げましたような状況の中で、これからはインフラ整備も含めてでございますけれども、関係省庁でしっかり手を組まなければいけないということで、現在、暮れにかけてでございますけれども、中心市街地の活性化について大きな課題として認識してやっております。  先生、大変建設行政に対して温かい御注文をいただいたわけでございますが、限られた公共事業という厳しい状況であることは十分承知しておりますが、一方では、限られた予算の中でしっかりとそれぞれの地域必要性、必要な事業を見定めながら、地元の意欲に対してこたえていかなければならないと思っております。
  13. 中島洋次郎

    中島(洋)委員 政務次官にいらっしゃってもらっておりますので、さまざまな諸課題についても指摘をさせていただきました。私が今指摘した以外でも、これまでの委員会での審議等々を踏まえて、これからの建設行政、新しい時代に向けての建設行政に対する政務次官の信念、御決意等ございましたら、最後にお聞かせいただきたいと思います。
  14. 佐藤静雄

    佐藤(静)政府委員 先ほど先生も御指摘があったとおり、社会資本整備というのは、特に地方にとっては、地方産業を育成していく、地方産業を変えていく、そういう大きな効果を生み出していくものです。それだけに、財政難だから社会、資本整備をおくらせる、そういうことでなくして、できる限り我々も地方の将来を考えて頑張っていきたい、そう思っております、また、これからは特に地方の知事の皆さんや市町村長の皆さんや、そういう方々が意欲的に地域のグランドデザインをつくって、未来をつくって、それに合わせて我々が国としてお手伝いをしていく、そういうことではないかと私は思っております。  先生御指摘のとおり、社会資本整備はたゆまない努力をしなければなりませんから、全力を挙げてやっていきたいと思っています。私どもの大臣も、厳しい中においても、どんなことがあっても地方の経済を考え、これからの日本のことを考えたら、社会資本整備は着々と進めていくと言っております。どうぞ、これからもまた何かと御指導いただきますように、お願い申し上げます。
  15. 中島洋次郎

    中島(洋)委員 ありがとうございました。   これで質問を終わります。
  16. 市川雄一

  17. 笹木竜三

    笹木委員 新進党の笹木竜三です。  質問を始めさせていただきます。  きょうは、地方の中心市街地あるいは地方の商店街の現状が空洞化しているということ、それに対してどうするのだ、活性化の方法について質問をさせていただきます。それと、その後で、これからの町づくりについてもいろいろ質問をさせていただきたいと思います。  私も、地方県庁所在地の商店街ですとか市街地の現状なんかは、よく地元の方から、深刻な現状、いろいろ訴えられたり聞かされたりもしております。  いろいろな統計類なんかを見ましても非常に深刻でして、例えば去年の調査あるいは九五年、おととしの調査、これなどを見ますと、全国の主要都市二百十四、中心の商店街を調べていくと、空き店舗のあるような商店街の率、これが七〇%から八〇%に上るとか、この三年間で小売店はどんどん減っている、地方の商店街での小売店が減っている、一日に大体九十六店舗くらいずつ減っている、そういう計算になるのだ、いろいろな調査があります。  こういったことは、かなり前から深刻な空洞化だということでずっと言われているわけですけれども、この現状について、まず通産省の方に現状認識をお伺いしたいと思います。
  18. 近藤賢二

    近藤説明員 お答えを申し上げます。  今先生御指摘のように、我が国の中小企業、非常に厳しい現状でございまして、例えば商業統計によりますと、平成三年から平成六年までの三年間で、小売商業者百六十万企業が百五十万企業に、約十万店舗減っておるという厳しい現状でございます。  また、御指摘いただきましたような空洞化に伴う空き店舗の問題も非常に厳しいものがございまして、全国の八五%の商店街に空き店舗がございます。しかも、平均で八・八%でございますから、百軒ある商店街でありますと八軒くらいあいているという厳しい現状でございます。空き店舗比率が一割を超える商店街も全国の三分の一を占めるということで、現状、非常に厳しいものになっておるわけでございます。  今私どもとしても、御指摘のような認識を持って、これからいろいろ対策を講じようと思っておるところでございます。
  19. 笹木竜三

    笹木委員 現状の認識は今お伺いしたわけですけれども、こういったことは大分前から訴えられているわけですし、よく議論もされてきました。通産省としても、地方の商店街の活性化ということで、いろいろな政策、施策をこれまでにも行われてきたと思います。これまでどういうことを行われてまいったのか、その経過について、ざっと御説明いただきたいと思います。
  20. 近藤賢二

    近藤説明員 今御指摘いただきましたように、まずバックグラウンドとして、どういうことで減っておるかということを事前に少しお話をさせていただきますと、最近では地方都市においても、日本全体そうでございますけれども、モータリゼーションの進展というのが非常に大きな原因の要素としてございます。  大型店の郊外出店等に伴いまして、中心市街地から人が遠のいてしまうというような実態がございます。また、中心市街地の人口の減少が著しいとか、さらには、消費者行動が非常に深夜に及んで、しかもワンストップショッピングを好むといったような状況もございます。また、女性の社会進出に伴いまして、なるべく短時間、しかも深夜にかけてワンストップでショッピングができるようなことを消費者が望むといったような、いろいろな要素があるわけでございます。  そういう中で、中心市街地がなかなか苦しい現状にあるわけでございまして、御指摘のように、私どももそういう認識に立ちまして、いろいろと対策を講じてございます。  まず一つは、商店街が商業集積として魅力あるものにするために、例えばハードの整備をやろう、アーケードの整備でございますとか、街路灯、それからカラー舗装といった整備の支援制度を十年前につくっていただきました。これまで建設省さんにも非常にお世話になりながら、一緒に制度の強化をしてまいりました。  それからソフト面での支援も必要だということで、例えばイベントの支援をしようということで、現在、全国に千三百六十億円の中小小売商業活性化基金という基金を積んでおるわけでございますが、そういったものも活用しながら、ソフト面での支援をしてございます。  最後に、今年度の予算で新たにお認めいただきましたものも多うございます。これは中小小売商業者が大型店に負けないように、これから情報化を進めなければいかぬということで、もちろん商店街単位での情報化、例えばポイントカードであるとか共通のカードを発行することによっていろいろやっていくような、商店街としての情報化、さらには、例えば眼鏡屋さんなら眼鏡屋さんが、小売屋さん、卸屋さん、メーカーまで一緒になってやっていくような情報化、そういう情報化も進めていかなければいかぬ、そういった視点での支援策、そういったものを含めまして、今年度も中小企業予算、なかなか全体としては厳しい現状でございますが十一億円の増ということで、かなり力を入れて努力をしておるつもりでございます。
  21. 笹木竜三

    笹木委員 今お答えがありまして、イベントに対する助成をしたり、カラー舗装ですとかリニューアルですとか、そういったことでバックアップをしたり、あるいは情報化に対するいろいろな施策もやってきたということだと思います。  しかし、さっきお話ししましたように、平成三年からで見ましても、大体一日当たり九十六店ですか、毎日毎日そのくらいの数が減ってきている、地方の商店街においては。こういった、ソフト面、イベント、情報化、いろいろバックアップされたにもかかわらず、結果としてはなかなか効果が上がっていないという現状があると思います。  結局、何が一番ネックなのかということについて再度お答えいただきたいと思います。
  22. 近藤賢二

    近藤説明員 どれが本当に問題なのかというのはなかなか難しいことかと思います。  今申し上げましたような、小売商業をめぐるいろいろな難しい問題、さらには後継者がいない問題等々、さまざまな問題が絡み合ってこういう現状になっておるのではないかというように認識をしておりまして、これさえやれば商店街は生き返るというのはなかなか難しいことかと思いまして、いろいろな、今申し上げた、モータリゼーションであるとか消費者行動の変化であるとか後継者問題であるとか中心市街地の疲弊ぶりであるとか、そういったものが複合的に出てきた結果ではないか、このように考えております。
  23. 笹木竜三

    笹木委員 次に、建設省の方にお伺いしたいわけです。  中心の商店街だけではなくて、中心の市街地そのものも非常に空洞化しているというふうに言われます。まず、現状についてお伺いしたいのと、さらに中心市街地の活性化策として、シェイプ・アップ・マイタウン計画ですとか福祉ですとか、そういった公共の施設を中心部に立地させよう、そういった施策もいろいろされてきました。現状認識と、そういったこれまでの施策の経緯について、お伺いしたいと思います。
  24. 木下博夫

    ○木下政府委員 状況としては、今通産省の方からお答えしたことで大半は私は尽きると思っておりますが、先生の御質問は、単に商店街ではなく、それらを含めた中心市街地をどう認識するかということの御質問ではなかろうかと思っております。  私どもは、中心市街地を中心といたしました町の成り立ちからいきますと、例えば車社会の発展が、結果的には中心市街地についてアクセスが非常に不足する結果をつくっているということも一つであろうかと思っております。  それから、第一次産業の場合も後継者難があるわけでございますが、今お話ございましたように、深夜まで営業するような商店に対しては、やはり後継者だけではなく、例えばそこに新しいお嫁さんが来られるということなどについてもなかなか難しい状況であるということは我々思っております。  ただ問題は、そうした例えばハード面とか産業構造の問題は当然でございますが、これからの方策として、通産省お答えしましたように、ただ一つのことだけではなかなかこの問題は解決しないという認識で関係省庁で今相談に入っておるわけでございまして、それはどういうことかと申し上げますと、もちろん我々としてできることは、一つのハード面の整備はございますけれども、やはりそこに多くの方々が住んでいただく。具体的には、例えば住宅の問題もそうでありましょうし、あるいは関連する社会福祉関係の施設もやはり住み方としては必要な施設ではなかろうかと思っております。  個々については大変具体的なお話になりますのではしょらせていただきますが、いずれにせよ、今後我々としては、そうしたハード面とあるいはソフト面で、ぜひ意欲のある商店街あるいはそういう地域に対しては全面的に関係省庁協力をして応援してまいりたいと思っております。  今までやってまいりましたものも、多少くどくなりますが、五十九年に、御質問の中でも御紹介いただいたシェイプ・アップ・マイタウン計画というのを発足させまして、これは、単に単品の事業を施行するだけではなく都市の必要な事業をいわば一まとめにして事業化していこうということで、現在二十六の都市にやっております。七割ぐらい事業的には各都市の事業は進んでおりますが、ただ、大変状況は厳しゅうございますので、事業の進捗ほどそれぞれの町の活性化はまだ図られていないのも、正直言って事実でございます。  その後、いろいろ通産省あるいは厚生省等の役所ともこの問題に対しては総合的に取り組んでまいっておりますし、先ほどの委員の御質問もございましたような、今回新しい法律も出させていただいたりしております。  いずれにせよ、これからの町づくりというのは、大変私は複雑であろうと思いますし、ただ規模だけを追うわけではなく、それぞれの魅力を持った町づくりをするには、その要素としてどういうものがあるかということについて、なお検討を続けてまいりたいと思っております。
  25. 笹木竜三

    笹木委員 私も地方の中心部の空洞化というのは実感しているわけですけれども、大臣も地方出身でおられます。今政府委員の方にいろいろお尋ねしまして、なかなかこれという決め手はないのだ、原因についてもいろいろ複合的で難しい、簡単に言いますとそういう答えだったと思いますけれども、現状の認識ですとか、大臣はこのことについてどういうふうにお考えなのか、一言コメントいただきたいというふうに思います。
  26. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 委員と同じように、私も、このままで進んでいった場合、地方都市というのは、全く無味乾燥な、もう町と言えない、そんな状況になるのではないかというように心配をいたしております。  これをどうすればいいかということですけれども、これについては、政府として努力をしなければならないことと、商店街の方々あるいはその地域の住民の方々自体がやはり努力をしていただかなければならない両面があるのではないかなと思います。  町自体、商店街自体あるいは買い物自体が非常に魅力がある、そういう状況をつくることも一つだと思いますし、また個性のある商品を提供していく、また提供するだけではなくて、提供する仕方の問題等、いろいろあろうかと思います。東京あたりでも、原宿とか、あのあたりですね、これは若者があふれているような、どれだけ本当に買い物しているかどうかわかりませんけれども、しかし、人が集まってくることは事実ですね。  そういう意味では、地方都市においても、何々銀座とか東京をまねしたそんなことではなくて、やはりそれぞれが個性のある商店街、買い物に出てみたい、行ってみたいという気持ちを持たせるような商店街をどうしてつくったらいいかということは、通産省に考えてくれというよりも、まず私は、地元の商店街、特に若い人たちが中心になっていろいろなアイデアを出して、それを通産省なり建設省なりあるいは地方自治体がバックアップをしていくということでないと、いわゆる通産省建設省のかたい頭で商店街づくりをしたって、お客さんが来るわけはない、そう言ったら、ちょっと役人は怒るかもしれませんけれども、という感じがいたします。  また、提供する商品にしても、最近は安ければいいということはありませんね。バナナだって、今は一本が三百円も四百円もするようなのが、私、もらって食べたけれども、そんなにうまいと思いませんけれども、それが一方では飛ぶように売れるようなこともありますし、必ずしも値段だけではないという、そういうようなものについて、もっと商店街の方々も必死になって考えていただく、我々も全力を挙げてバックアップする。建設省も、今御承知のように街路整備あるいはそれに関係する駐車場の整備を含めまして、全力で支援をいたしておりますので、そういう意味では一体となってやっていく必要がある、このように思います。
  27. 笹木竜三

    笹木委員 今お話の中で、国もいろいろやっていくけれども、まずは、その地元の商店街の方のみずからの運動というか提案、それが大事なんだ、店についても町についてもそうなんだ、そういうお話もありました。  そのとおりだと思いますし、実際、もういろいろな地方都市で、なかなか地方の行政にしろ、中央の行政にしろ、自分たちの気持ちにマッチしたような施策が出てこないとかあるいは縦割り行政とかいろいろな文句もありまして、自分らみずからで計画をつくっていこうとか、そんな動きもあります。かなりそういう動きも活発になってきていると思います、それについては後でまた質問の中でお話ししたいわけですけれども。  ただ、その一方で、よく話題になりますけれども、大型の郊外店の進出、これに対していろいろ外からも圧力がかかって、さらにこれを緩和していこうというそういう流れではあるわけですけれども、余りにも無防備過ぎて、小売商業に対する施策が、大型店の出店に対する抑制がきいてないのじゃないかという議論もあります。このことについて認識をお伺いしたいと思います。
  28. 藤野達夫

    ○藤野説明員 大店法についての御質問でございますけれども、大型店の出店や営業に対しまして、これは日本だけではなくて諸外国でもいろいろな動き、制度等がございます。  それは、諸外国の例を見ましても、それぞれの国の歴史的な事情でありますとかあるいは流通構造の状況でございますとか、土地の利用に対する基本的な考え方とか、そうしたものを反映しておりまして、都市計画的な観点からとかあるいは商業調整的な観点とかさまざまな形での規制が行われているのが現状だというふうに認識しております。  我が国の場合には、大規模小売店舗における小売業の事業活動について、大店法という法律によりまして、消費者の保護と、それから周辺中小小売業の事業活動の機会の確保、そういう双方の観点から、大規模小売店舗審議会の審議を経まして、大規模小売店舗の活動につきまして調整を行っているのが現状でございます。  こうした大店法の制度につきましては、本年の五月より産業構造審議会それから中小企業政策審議会の合同会議におきまして、制度の見直しについて審議を開始したところでございます。  流通に関する規制のあり方、これはそれぞれの状況の変化の中で考えていく必要がございますが、こうした検討に当たりましては、さまざまな諸外国の例、そういったものも参考にしながら、今後広く関係者の意見を聞いて検討を推し進めていきたいというふうに現在考えております。
  29. 笹木竜三

    笹木委員 例えば、アメリカは別としましても、ヨーロッパの大型店に対する出店の規制ということで、イギリスの場合、九六年の六月から、こういった大型店の商業者も極力中心部に出店するようにとかなり強い誘導をやっております。  あるいは、ドイツの場合、立地そのものに対して、中心部と、その他では特別に指定された地区にのみ立地が許される、大型店の出店が許される。  フランスの場合、もともとのロワイエ法、これは九六年に大幅に改正をしておりますけれども、これも小売施設の新増設には県か国の商業都市計画委員会の許可が要る。その場合に、改正で三百平方メートル以上のものは必ずこの委員会の許可が要るということで、立地そのものに対して非常に厳しい規制というか抑制がかけられております。  例えばフランスの九六年の大幅改正、ねらいは何かということで、中小の商業者に対する支援と雇用の創出なんだ。経済の原則にばかり、スケールメリットにばかり任せていては町が壊される、あるいは雇用もどんどん減っていくということで、雇用の創出と中小の商業者の支援ということで改正でさらに厳しくしている、こういう流れがあります。  こういうような流れの中で、日本はどうなのか。大店法の例えば五百平方メートル以上の売り場面積の店舗についても、立地については、商業地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、準工業地域及び工業地域、どこでも建築が可能だ。これは、比べてみますと、非常に甘いというか、余りにも無防備じゃないかという気がします。まず、このことについてどういうふうに考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  30. 木下博夫

    ○木下政府委員 大店法の所管につきましては通産省の方からお答えするのが筋かと思いますが、たまたま最後の方に御質問が都市計画の世界に少し触れられましたので、私の方から少しお答えをさせていただきたいと思います。  おっしゃるとおり、各国によって、いわばこういう商店規制についてはそれぞれ制度が異なることを我々も承知しておりますし、なお最近の状況については一層我々も研究してみたいと思っております。  お話ございましたように、我が国の場合は、いわば各建築物がどのような発生交通量を生じているか等々から、現在まで用途あるいは容積という手法を使いまして町づくりをコントロールしてまいりました。確かに、個別の進出については、私は十分であったかどうかという御議論はあろうと思いますが、それなりに発生交通量なんかを念頭に置いた容積の問題で整備をしてまいりましたけれども、これからの状況の中で、先ほどお話ししましたような新しい都市構造をつくっていくという背景もございますので、なお一層この辺の制度については関係省庁とも十分議論してみたいと思います。  私が申し上げたかったのは、いずれにせよ、各国、例えばアメリカの例をさらに申し上げれば、ニューヨークなどはかなりきめ細かいゾーニングをやっておりますが、商業規制としては別の法体系は持っておりませんので、それぞれの国の生い立ちなり町づくりの形成過程においてつくられてきたというふうに承知しております。
  31. 笹木竜三

    笹木委員 通産省の方にもあわせてお聞きしたいわけですけれども、大店法の担当をされているわけですけれども、今言ったゾーニングですとか都市計画建設省の所管だ、そのとおりなんですけれども、商業者の実態なんかを見ておられて、余りにも無防備じゃないかという質問をさせていただきました。このことについて何かコメントをいただければと思います。
  32. 藤野達夫

    ○藤野説明員 ただいま建設省の方から御説明ございましたように、それぞれの町のなりわいあるいはそれぞれの国の歴史的な事情の中でこうした商店街の問題あるいは大規模小売店舗の出店の問題について取り扱われてきたのが現在までの経緯であろうと思っております。  大規模小売店舗法自身につきましては、先ほど申し上げましたように、大規模小売店舗が行います小売業の事業活動につきまして、消費者の利益とそれから周辺事業者の影響というところの調整ということをこれまで主な任務としてきたものでございます。  ただ、ただいま御指摘ございましたように、また、中小の小売商業を取り巻きます、あるいは商店街を取り巻きます状況の変化というのが、先ほど来御指摘ございましたようなさまざまな複合的な要因の中で起きておりますという現状については十分認識しておりますし、また、中心市街地の空洞化の問題ということが喫緊の課題であるということにつきましても、これも私ども十分に認識をしている状況でございます。  こうした点も、先ほどちょっと触れました産業構造審議会と中小企業政策審議会の合同会議におきまして、望ましい都市のあり方という視点も踏まえた中心市街地の商業を活性化させるための振興策のあり方について検討を進めることといたしている次第でございます。  今後、こうした面での総合的な対策の推進のために、建設省、自治省その他の関係省庁とも連携を密にしながら、幅広い観点から、御指摘いただきました大店法につきましても検討を進めていきたいというふうに考えております。
  33. 笹木竜三

    笹木委員 ここでまた、大臣、一言御意見をお伺いしたいわけですけれども、今お話ししましたように、フランスの場合には、一九九六年にさらに抑制というか規制を強めている。大型の店舗が新規に立地しようとする場合に対する、どこにつくらせるかということについては、場所については非常に厳しい拘束をさらに強めている。  日本の場合、現状は、外国からの圧力というか要望ということで、限りなくそちらに合わせていくというか、そればかりの動きが見え過ぎていると思うわけですけれども、こういったフランスの動きが一方である。  大臣自身は、この大店法、大型店の新規あるいは増設に対するもう少し抑制が必要じゃないかと私は思っておりますけれども、それについてどうお考えなのか、御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  34. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 私は、いわば資本の論理といいますか、資金力に任せて一時的に地域の商店街を抹殺していくようなそういう状況が起きるとすれば、それを政治は放置をすべきではない、このように思います。  短期的な経済効率性のみを求めていった場合、これは地域社会の荒廃にもつながっていく危険性があるわけでありますから、そういう意味では、もちろん競争原理を否定するわけにはいきませんけれども、やはり大事なものを失うことがあってはならない。その地域における文化でもあり、かつまた人間関係でもあると思います。  残念ながら、現在の日本の状況、地域によって多少違いはありますけれども、そうした資本の論理がまかり通り過ぎているという感じがするわけでありまして、通産省が手に負えぬのであれば、建設省が、都市計画その他の分野の中で、そのあたりについて、いわゆるふるさとづくりという観点から、それが破壊されることのないような都市づくりとは何かということを建設省なりに追求もしていきたい、このように考えております。
  35. 笹木竜三

    笹木委員 ぜひお願いしたいと思います。  私個人で考えても、あるいは同世代で考えても、さっき通産省の方の説明にあったように、郊外で大型店があって、そこに行けば例えば働く女性なんかも短時間で何でも買える、これは確かに便利だし、そういう施設も必要なのは事実です。  しかし、そういう場所と、少し時間があるときにゆっくり歩いて買い物をしたい、そういう町が欲しい、これは当然両方欲しいわけですから、気がついてみたら時間があってゆっくり買い物するような場所はなくなっていた、そうならないように、今言ったゾーニングの問題で、立地に対する抑制というか、もう少し規制をしっかりと、これは計画的にやる必要があると思いますけれども、考えていっていただきたい、そう思います。  それと、次に、中心部での町づくりにかかわる施策だと思うわけですけれども、例えば先ほども、福祉施設ですとか文化施設という話もありました。そういったものを中心部に持ってくるんだという話もありました。  あるいは、この間通産省が発表されました経済構造改革行動計画案、こういったものの中にも、中心の市街地の活性化ということで、文化、福祉関連などの公共施設を誘致、こういったことも書いてあります。  こういったことで、例えば中心部において、合築、福祉施設との合築とかそういった動きもある。あるいはハートビル、高齢者を意識したようなそういった町にしていこう、建物にしていこうということで、ハートビルの施策もある。こういったことについて、まず、これまでやってこられたこと、その成果について御説明をいただきたいと思います。
  36. 小川忠男

    ○小川政府委員 まず、公的な住宅についての福祉施設などなどとの合築あるいは併設でございますが、主としてこれまで、公営住宅の建てかえを契機にいたしまして、団地を単位にいたしまして、厚生省といろいろ御相談しながら進めております。全国でもう既に四百団地で福祉施設との併設が実現いたしております。  それから、ハートビル法の話にもお触れになりました。これについては、法律が施行になりまして若干まだ日が浅いというふうなこともございますが、全国で、デパートですとか大規模な店舗、福祉施設、これを中心にいたしまして、今までに三百六十件の認定件数が既に生じております。  今後の方向でございますが、先ほど団地単位の併設、合築と申し上げました。ただ、私ども、考え方といたしましては、これからは単体としての公営住宅あるいは特優賃、公団の住宅、こういうふうなものであっても、地域に必要な福祉施設ですとか文教施設ですとか、いろいろ地域にお役に立つようなものを、併設、合築というふうなことで、やはり地域の御要望を踏まえながらどんどん進めていくべきだろう、こういうふうな考えでおります。
  37. 笹木竜三

    笹木委員 それで、ハートビルについてのねらいとしては、いい政策だと思うわけですけれども、対象について確認をさせていただきたいんです。大体どういう建物を対象にされているか。
  38. 小川忠男

    ○小川政府委員 基本的には、この法律は、不特定多数の方がお使いになるような公共性の高い建物というふうなことでございますので、実績から見ますと、やはり百貨店ですとかマーケット、これがウエートとしては一番多くて、その次には老人福祉センター等々の福祉施設、この辺のウエートが非常に高くなっております。それに次いでおりますのは劇場とかレストランなどなどでございます。
  39. 笹木竜三

    笹木委員 例えば駅の構内とか、それについてはどうなのか、あるいは学校施設はどうなのか。あるいはさらに開銀の融資なんかにしましても、二千平方メートル以上のものというふうな規定がついていましたけれども、そういうようなことも書いてありましたけれども、二千平方メートル以下の建物についてはどうなのか、お答えいただきたいと思います。
  40. 小川忠男

    ○小川政府委員 基本的には建築物を対象にいたしておりますので、たまたま今御指摘になりました駅舎等につきましては、制度上の対象にはなつておりません。  ただ、基本的な考え方として、建築物だけではなくて町全体を高齢者、身障者の方に優しい町にするというのは、基本的なスタンスとして私ども建設省として持っております。そういうふうな観点から、ハートビル法の精神にのっとりまして、駅舎についてもぜひよろしくお願いしたいというふうなことで、運輸省とはいろんな御議論をさせていただいております。  それから、政策融資、確かに現段階では、規模は二千平方メートルを超える大規模な建築物についての融資というふうな制度になっております。
  41. 笹木竜三

    笹木委員 駅については、今他の省庁検討を始めているというお話でした。町全体に広めていく必要があるというお答えもありました。  最後に、確認で、二千平方メートル以下の建物に対して、このハートビルということの適用はどの程度、どのぐらいの数が実際になされているのか、その辺も……。
  42. 小川忠男

    ○小川政府委員 統計的に掌握しておりますのは、認定というふうな、いろんな政策融資、補助の前提となります認定で掌握しておりますので、二千平方メートル以下が実際どのくらいあるかというのは、恐縮でございますけれども、データ的には掌握いたしておりません。
  43. 笹木竜三

    笹木委員 非常に少ないんじゃないかと心配するわけですけれども、実際に余りないんじゃないかと思うわけですけれども、さらに御意見を聞きたいわけです。  昨年、住宅金融公庫法が改正をされました。あのときにも、住みやすい町、歩きやすい町、あるいは人に優しい町ということで、一つは、バリアフリーの町づくりということで、これは、個々の住宅に対して、基準金利をバリアフリーの家に対しては適用するんだということで、もう一つは、省エネ、エネルギー問題は深刻だから省エネ型の住宅に対しては基準金利を適用すると改正がされました。政策的な誘導を一層強めるという話もありました。  しかし、これにしても、今のハートビルもまだ個々の点だと思うわけですけれども、町全体でやっていかないとなかなか意味がない。高齢者、例えばバリアフリーといいます、あるいは障害者の場合に即して考えますと、自分の家だけが、あるいはある建物だけがバリアフリーになっていても、全く地域で生活していくことはできません。  あるいは省エネのことを考えましても、最近盛んに、もう実用化を待つだけなんだ、技術的にはほとんど何の問題もないんだ、いつでも実用化できるんだと言われる、コージェネレーション、廃熱による供給システム、まあ省エネのシステム、こんなものも、単体の家だけでやっていてもほとんどこれは実施することは不可能です。町全体で取り組んで、バリアフリーも町全体の空間に広げていく、このことをよほどやらないと、費やしている基準金利に対するお金、あるいは今言ったハートビルに対して費やしている予算、これもほとんど余り意味のないものになってしまう。  どうやって町全体に広げていくか。道路とかそういったものだけでもとりあえずどんどんやっていくことはできると思うわけですけれども、それに対する取り組みをお伺いしたいと思います。
  44. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 先生おっしゃいますように、町づくりの中で、連続的な生活空間のバリアフリー化を図っていくという必要があるというふうに私ども認識をいたしております。  例えば、そういうことで、私ども、平成六年の六月に「生活福祉空間づくり大綱」というものを策定いたしまして、住宅分野につきましては先ほど出たようなことをやっておりますし、それから、町づくりの分野におきましては、幅の広い歩道の整備でございますとか、それから公共的な建築物のバリアフリー化といったような施策を行っておりまして、住宅のみならず、生活空間全体の連続性のある面的なバリアフリー空間の整備を実施、支援しているところでございます。  それから、その町づくりの主体は市町村でございますけれども、市町村が線的、面的に連続いたしましたバリアフリー化の実現などの総合的な福祉の町づくり計画策定に取り組んでいただくことの手助けといたしまして、計画策定の手引を厚生省と連名で通達をしたところでございます。  ちなみに、先ほど申し上げました幅の広い歩道でございますけれども、平成七年度末で、三メートル以上の整備でございますが、実績といたしまして、三万二千七百キロございます。目標といたしましては、これを二十一世紀初頭までには、十三万キロを整備をいたしたいというふうに考えております。  それから、公共的建築物のバリアフリー化の推進ということでございますけれども、官庁営繕における高齢者等に配慮した施設整備ということに取り組んでおりまして、平成七年度までに千四百八十二施設につきまして改修を終わっておりまして、これも二十一世紀初頭までに、窓口業務を持つ国の官公庁施設のすべてについて改修等を実施したいというふうに考えておるところでございます。
  45. 笹木竜三

    笹木委員 ぜひ、個々のビルとか個々の家ではなく、町全体にそれを広げていくことで、さらに積極的にやっていただきたいと思います。  それに若干関係するわけですけれども、ここで大臣にお伺いをしたい点があります。  今まで個々の住宅に対する融資ですとか分譲ですとか、非常に建設省関係でたくさんの予算を数十年使ってまいりました。今お話ししましたように、むしろこれから町づくり、一方では非常に熱心な地元の方が提案とか計画をつくられている。  しかし、地方の行政においても縦割りだったり、いろいろな計画ができたときには住民はほとんど知らなかった、その後ほとんど変更することができない、いろいろな矛盾もありますけれども、とにかく今後必要なのは、いかに縦割りを超えて省庁横断的に町づくりに対してのノウハウというか、住民の意思を生かした町づくりを実現していくためのノウハウを積み上げていくかということが大事になっていると思います。  そこで、一つお伺いしたいわけですけれども、特殊法人の民営化とか廃止とか、こういった議論の中で、大臣が、住宅・都市整備公団について、今後はこういった個人の分譲の住宅とかそういうようなものからは撤退する、町づくりにかなり重点を置いて、住宅・都市整備公団は役割を果たしてもらうのだ。一月にはこういった発言をされていました。  その後、五月には、大臣の党の特殊法人についてのプロジェクトチームのいろいろな提案を受けて、いや住宅・都市整備公団全体を廃止、もうこの法案は来年に出してもいいのではないかということを発言されております。  別に廃止をしても構いませんし、それはそれでいろいろな考え方があると思うわけですけれども、この町づくりについての主体ということで、もう非常に情報の告知ですとか、住民参加がおくれていると言われているから、どんどん市町村におろしてやっていくのか、あるいはこういった特殊法人を一切使わないで、省庁が縦割りを克服してやっていくのかということもかかわりますので、この住宅・都市整備公団はどうするのか、ここでもう一回確認をさせていただきたいと思います。
  46. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 既にいろいろな場で住宅・都市整備公団の今後の方向についてはお話をさせていただいておりますけれども、繰り返して若干申し上げます。  分譲部門からは完全にこれは撤退をするという方針を固めております。さらに、賃貸部門につきましては、これは都市の再開発に関係をしていくとか、そうした一部、また建てかえ等についてのこれは居住者の意向、意思もございますから、そういうものとの関係で限定的にやらざるを得ない面はやりますけれども、基本といたしましては、これはもう地方公共団体あるいは民間にゆだねていくというのが方針でございます。  今まで住宅あるいは都市の再開発等についてずっと手がけてまいりました膨大なノウハウもございます、技術集団もおるわけでありますので、委員が先ほどから熱心にお話しなさっておられます町づくりにつきまして、自治体だけではどうも手に負えないという場合もございます。間接的にしろ直接的にしろ、国がコミットをした方がいいという場合もございますし、また民間のディベロッパーだけに任せておかない方がいいという場合もあろうかと思います。  そういう意味では、官と民の中間といったらおかしいのですが、中間的な性格を持つ新しい組織にすることになると思いますけれども、それを積極的にお手伝いをしていく、引っ張っていくというよりも、むしろ私は自治体なり地方住民の方々、あるいはディベロッパーの方々と一体となってお手伝いをしていける、そうした方向で今後活動をさせていきたい、このように考えております。
  47. 笹木竜三

    笹木委員 現状の公団のままではなくて新しい組織というお言葉がありました。新しい組織としてそういうことをやっていくということですね。  それと、余り時間がないのでもう一点だけ確認させていただきたいわけですけれども、例えば現場の地方都市の町づくりの視点で見ても、国がやっているいろいろな施策あるいはいろいろな事業工事も含めまして、やはりかなりむだがあると感じております。きのうからきょうにかけても財政構造改革のいろいろな報道がされておりますけれども、大臣はこれまでに何度か企画委員会議論が幼稚だというようなことを発言されております。大臣が言われる幼稚というのはどういう意味で言われているのか、そして本来の財政構造改革というのはどういう改革なのか、ここで確認をさせていただきたいと思います。
  48. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 私は表現力がございませんものですから、すぐそういう言葉を使うかもしれませんが、私自身が出席いたしました企画委員会における議論を聞いておって、率直に幼稚だと思ったから私は幼稚だという表現をさせていただいたわけでございまして、すべての議論が幼稚だと言っておったわけではございません。  要は、私は、財政再建は基本的には経済の活性化なくしては、これはなし遂げられるものではないということでありまして、単年度の収支にのみ着目をしていった場合、下手をすれば経済全体が縮小再生産の軌道に入ってしまうという危険があるわけでありますから、単年度収支について手を加えていく場合、そうした経済の活性化についてどうするかという、そうした処方せんを同時に用意をしていかなければならない、私はこのように考えておるわけであります。  そういう意味では、財政再建の議論は、一方ではやはり経済活性化をどうしていくかということについて真剣な議論検討がなされていくべきだ、私はこのようにも考えておるわけであります。
  49. 笹木竜三

    笹木委員 よくわかりますけれども、一方では非常にむだがあるのも事実です。それと、単年度の収支だけではなくてということ、これも賛成ですけれども、そうであれば、例えば国とか特殊法人の資産がどれだけ有効に活用されているか、これも経済の活性化にとって非常に大事なことです。現状では、その情報すら、実態すらなかなか見えておりません。  こういったことにもメスを入れるということはお考えでおられるのかどうか。それと、経済の活性化のためにも、既存のいろいろな事業でやはりかなりむだがある、これにメスを入れることには反対ではないのかどうか。これも最後に御確認をさせていただきたいと思います。
  50. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 委員の御質問はごく当たり前のことをお聞きになられたわけでありまして、そうした広い意味での国の財産も、これは国民から秘匿する理由は全然ございません。私はオープンにしていくべきだと思います。現にオープンにされておると思います。  ただ、これをしょっちゅうテレビのコマーシャルで国民に流しておくわけにはいかぬでしょうかち、知りたい方はちゃんとお知りになれるようなすべを含めて、できるだけ国民に公開をしていくべきだと思います。  また、それの活用ということです。眠っておる財産、資産があれば、これをさらに思い切って活用していくということも大事でございます。また、国や特殊法人事業について、思い切ってこれを見直し、活性化をしていくということは、これは財政再建、経済の活性化にとって不可欠なことであるというように考えております。
  51. 笹木竜三

    笹木委員 質問を終わります。
  52. 市川雄一

  53. 高木義明

    高木委員 新進党の高木義明でございます。  貴重な時間をお与えいただきまして、ありがとうございます。私は、本四架橋、いわゆる明石海峡大橋の建設問題、雇用の問題についてお尋ねいたします。  質問に入る前に、この地区のことを考えますと、どうしても忘れてはならないのは阪神・淡路大震災でございます。改めて私は被災者の皆さん方に心からお見舞いを申し上げたい、このように思います。  亀井大臣は、瀬戸内海のことは極めて明るく、詳しいわけでありまして、しかも運輸大臣も歴任をされております。したがって、この問題についての今日までの経過、よく存じておると私は承知をいたしておりますし、今回の問題につきましてもかなりの部分で御努力いただいておるということを、私は深く敬意を表したいわけであります。  そういう上に立って、実は、この明石海峡大橋は、来年の四月に供用開始の予定であります。この前の日曜日の「NHKのど自慢」におきましても、これは淡路島でやっておりましたが、地元皆さん方の一日も早い開通に寄せる期待、これが本当に大きいということを私たちもひしひしと感じております。したがって、私も、供用開始に間に合うように、建設の促進については積極的な姿勢であるという立場でございます。  ただ、問題は、この架橋の建設の陰に、多くの方々が非常に不安を持っておるという事実であります。去る五月二十六日でございますが、七月以降の建設工事に伴う海上の航行安全を審議する本四連絡橋航行安全対策明石海峡地方協議会、以下協議会と呼ばせていただきますが、また、二十八日には、この協議会を受けて、これまた七月以降の工事の許可申請を行うための本四架橋航行安全対策研究特別委員会、以下特別委員会と言わせていただきますが、それぞれ開催をされておりますが、しかし、雇用問題をめぐって抗議活動があっておりまして、それぞれ流会をした、そういう報道が私の目を引いたわけであります。  なぜこのような事態になったのか、その状況について、事実関係を明らかにされたい。本四公団、いいでしょうか。
  54. 藤川寛之

    藤川参考人 五月二十六日の地方協議会、それから五月二十八日の特別委員会を開いたわけでございますが、まず最初に、地方協議会とか特別委員会の位置づけとか、これまでの経緯を若干説明させていただきまして、状況をちょっと御報告させていただきたいと思います。  本四架橋の工事というのは瀬戸内海で実施するわけでございます。そういう、航行船舶の大変ふくそうした海域で工事を実施するためには、海上交通安全法に基づく申請とか届け出をやりまして許可を得なければいけない。それで、私どもといたしましても、やはり、万全の航行安全対策を実施する、そういう対策を講じて工事をやらなければいけないだろうと。そのためには、やはり、こういう航行安全の専門家でいらっしゃる方がたくさんおられますので、そういう方の意見をできるだけお聞きして対策を講じたいということで、私ども本四公団から、神戸海難防止研究会にそういう航行安全対策の検討を委託して、お願いしているわけでございます。  それで、委託いたしましたこの神戸海難防止研究会がそういう航行安全対策を検討する場ということで、学識経験者の方とか、あるいは関係機関の方、また海事関係者、そういう専門の、たくさんの方に集まっていただきまして、今お話がございました本四連絡橋航行安全対策研究特別委員会というのと、これはどちらかというと総括的な委員会でございますが、あと、ルート別に地域部会ということで、明石海峡に対しましては、本四連絡橋航行安全対策明石海峡地方協議会というのをつくりまして、そういう専門の方がたくさん出席された場で航行安全対策に関する御意見をちょうだいいたしまして、私どもとしては、そういう御意見をできるだけ尊重するような形で航行安全対策を講じて、必要な手続を進めて工事を進める、そういう経緯でやってきたわけでございます。  今もお話がございましたように、五月二十六日の地方協議会の開催でございますが、これにつきましては、最初に先生からお話がございましたように、明石海峡大橋の工事をやはり中断せずに何とか進めていきたいということで、七月以降の工事についていろいろ御議論いただくということで予定したものでございますが、これにつきましては、三月の半ばごろから、何とか開催したいということで準備を進めておりましたが、今もお話がございましたように、全日本海員組合の委員の方から、雇用対策が不満だということで、なかなか出席していただけないというような状況がございまして、二回この協議会を延期したというような経緯がございます。  その間、私どもといたしましては、雇用対策につきまして、やはり、できるだけ受け皿等の具体的な提示を積極的にやっていかなければいけないということで、雇用対策につきましても、個別に、これは都道府県ごとにこの受け皿提示のための打合会というのをつくりまして、二月から現在まで延べ十三回ぐらいやっておりますけれども、具体的な受け皿の提示を、私どもなりに、できる限りの努力をやってきたつもりでございます。  そういう努力をやってまいりましたが、結果としては、全日本海員組合の委員の方の出席がいただけないという形で五月二十六日の地方協議会を開催せざるを得なくなった。これは、先ほど申し上げましたように、明石海峡大橋の工事を中断せずに続行するためのタイムリミットになったということで、この地方協議会を開催した次第でございます。  それで、地方協議会を開催いたしましたが、当日の会議開催前に、全日本海員組合の方々が、会場入り口で出席委員の方の入場阻止行動を行ったわけでございますし、また、協議会が始まってから、組合員の方が議場に入ってこられまして議事を妨害するというようなことがございまして、実質的には議事を進めることができなかったということでございますが、議長の指示によりまして、各委員の方から航行安全対策についての御意見をやはりきちっとお聞きするようにという御指示がございまして、そういう航行安全対策についての委員の方の御意見を事務局の方で聴取いたしまして、その御意見と、それから、当日の会議の状況を特別委員会に報告するというような形で地方協議会がまとまったというふうに聞いているところでございます。  それで、五月二十八日に、その地方協議会の上の特別委員会というのを開いたわけでございますけれども、この特別委員会にも全日海の委員の方の出席がなされませんでした。私ども、再三、出席していただくようにお願いしたわけですけれども、委員の方の出席がなされませんで、結果的には、会議が開会した後に、やはり組合員の方が会議場の方になだれ込んでまいりまして、議場が大混乱で、議事が中断するというような形になったわけでございます。  ただ、こういう混乱が予想されましたので、委員長の方で、会議の冒頭に、こういう混乱した場合には委員長に一任してほしいということを出席者の中で全会一致で了承していただいておりまして、私どもとしては、その委員長の御指示で、個別に委員の方の御意見を聞く、それを取りまとめて委員長に提示いたしまして、委員長の方でそれを取りまとめることになると思いますが、私どもとしては、その委員長の取りまとめた結果を踏まえて、今後対応していきたいというふうに考えているところでございます。
  55. 高木義明

    高木委員 答弁はなるべく簡潔にお願いします。  今お話がありましたが、この話というのはやはり昭和五十六年、特措法ができたときから始まっておるわけです。昭和五十六年六月九日に、本四架橋に伴う旅客船事業者への支援や離職者の再就職を促進し、影響の軽減を図ることを目的に、本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関する特別措置法が公布されたのであります。いわゆる特措法ですね。  これに先立って、衆議院の建設委員会におきましても、昭和五十六年四月十五日、当時の斉藤滋与史建設大臣は委員質問に答えて、委員は、再就職の不安を残さないように万全の対策をとれ、こういう指摘をしたわけでありますが、これに答えて大臣は、雇用問題について、当然の責務として、万全の措置を図りながら事業推進する、このように答弁をしておるわけです。  すなわち、橋の建設と雇用対策というのは同時並行、同じスピードでやっていくという、そういうことではなかったのですか。しかし、今そういうことにはなっていない。  本四連絡橋の特別措置法ができたとき、その精神、国も公団も、関係自治体、関係者の共通認識であったと私は思うのです。したがって、全日本海員組合においても、こういう問題を十分に頭に置きながら、前提にして、今日まで協力をしてきたのであります。  ところが、この明石海峡大橋の神戸−鳴門間、いわゆるAルートと呼んでおりますが、運輸省の影響調査では、四十二業者、五十五航路、五千五百七十四人に影響を与え、事業の廃業、縮小で千三百人の人々が離職を余儀なくされる。これは平成八年、去年の十一月一日の調べです。  しかし、その後状況の変化によって、これは全日本海員組合の最近の調査では、千三百人から千五百人を上回る離職者が出るだろう、こういうことが予想されております。  しかし、この離職者に対する就職あっせん、何と二割程度の職場しか示されてないではないですか。就職をあっせんする、雇用対策だと言いながら、建設の方がどんどん進んでいく、このような状態では、関係旅客船業者あるいは乗組員、船員が生活不安におののくのは当たり前ではないですか。  今あなたは、妨害で流会になったと言っておりました。取り消してください、そんなのは。取り消してください、妨害なんという不穏当な言葉は。  どういう職場が今示されているのですか。どの程度の職場があっせんされておるのですか。これは、運輸省、きょう来ておりますか。——どうぞ。
  56. 隈元道雄

    ○隈元説明員 これまで、現地の連絡協議の場でございます本州四国連絡橋旅客船問題連絡協議会の場を通じまして具体的に提示されました数といたしましては、架橋に伴いますバス事業及び本州四国連絡関係の料金収受業務といたしまして、約三百二十名となっております。このほかに、まだ現時点で全部出そろっておるわけではございませんが、関係自治体の諸部門の方におきまして、約三百六十名程度の提示を受けておるところでございます。
  57. 高木義明

    高木委員 そういう実態なのですよ。就職あっせんがほとんど進んでいない。  船の現場が荒れるのは当たり前ではないですか。航行安全ということと雇用問題、これは別問題と協議会の委員長は言っていますよ。杉浦委員長、この方は神戸商船大学名誉教授であります。  建前としてはそうでしょう。しかし、海での安全というのは、船員が実際にかじをとって、これが担保されるのではないですか。その乗組員が、家族を抱えて、将来、自分の職場がどうなるかわからぬで、何の安全運航がありますか。したがって、安全航行と雇用問題というのは密接な関係がある。  したがって、今後、この協議会の進展次第では、安全に、極めて難しい試練が出てきますよ。大きな事故につながるおそれがありますよ。これを一体どのようにお考えですか。  時間がありませんから、私が申し上げます。  その後は、会議が開けないからと言って、個別に電話等で意見を聴取しておる。特別委員会にかえるということが承認されたと言われておる。だれがどういう根源で、いつどのように決めたのか、これ、はっきりしてください。  それからもう一つは、特別委員会のオブザーバーであり、許可申請を受ける立場にある第五管区海上保安部が指示をして、本四公団が個別に意見を聴取していると聞いております。これでは、船員の不信感を一層募らせるではありませんか。事態を悪化させるではありませんか。どうですか。
  58. 藤川寛之

    藤川参考人 御指摘がございましたように、橋の建設に伴いまして、影響を受けて、離職を余儀なくされる方がたくさんに上るということは、私どもも十分認識しているところでございまして、これは大変な問題だ、大きな問題だというふうに考えております。この転業、転職対策につきましては、私ども公団といたしましても、最大限の努力をしているつもりでございます。  先ほど申し上げましたように、具体的な受け皿の提示、私どもの公団の業務、料金収受等、新しい業務が出てまいりますので、そういうものにも優先的に就職していただきたい。それから、どうしても私どもだけでは十分な受け皿の確保が無理でございますので、関係する自治体あるいは経済界等々にやはり応援していただかなければいけないものですから、そういう方々との協議会というものをつくりまして、雇用の確保につきましては、今後とも、私どもとしてもこれは全力を挙げて取り組んでいかなければいけないというふうに考えているところでございます。  それから、二十八日の会議でございますが、特別委員会でございますが、先ほども申し上げましたように、委員会の冒頭において、委員長の方から、会議が混乱した場合には委員長に一任するということになっておりまして、委員長の方から個別に、皆さん方の海上航行安全についての御意見をお聞きしなさいという指示がございまして、それを今取りまとめをやっているという状況でございます。
  59. 高木義明

    高木委員 船員を締め出す形でそれを決めておるじゃないですか。これが何の話し合いですか。大体、本四公団は、雇用対策をないがしろにして建設促進のみを進めておるではないかという不信感が非常にある。  それから、本日、現地には海員組合の中西組合長が本四公団とお話し合いをするために出向いておる。ところが、総裁は、どうしたことか、初めはアポイントがあったのですが、いないということらしい。総裁は逃げておるんじゃないか。どこへ行ったのですか。知っていますか。
  60. 藤川寛之

    藤川参考人 総裁は逃げているわけじゃございませんで、特に行革絡みで今建設省とその対応をどうするかというようなことで打ち合わせをしておりまして、実は建設大臣と打ち合わせするという予定が入っておりまして、そのためにきょう上京してきているわけでございまして、急に上京せざるを得なくなったというのが実態でございます。
  61. 高木義明

    高木委員 行革も大事です。しかし、人の生活はなお大事じゃないですか。何を言っておるんだ、あなたは。  時間がありませんから、大臣、大臣はこの問題はよく承知のことと思っております。  かつて、国鉄の民営化のときに、国鉄職員を各地方自治体は受け入れたんだ。そして一つの雇用問題を解決したんです。当時は、事務次官通達で、各都道府県、政令指定都市、それぞれそれを受けてそういうことを努力をした。今回はそれまでにはいかないとしても、国家プロジェクトじゃないですか。この架橋というのは地域の振興につながるわけですよ。一日も早くこれを玉成していただきたいという願いは、これは皆さんの悲願でしょう。だとするならば、それと同様の苦労をするべきじゃないですか。  大臣、最後にお伺いします。この協議会、話し合いを円満に進めるためには、建設省、運輸省、厚生省、自治省、やっぱりそれぞれの省庁の連携が大事なんです。今国会においても、船員の直接の所管大臣たる運輸大臣は、政府一体となって取り組む、こういう答弁すらしておるわけですよ。亀井大臣、大臣は政府の中でも非常に実力者と言われておる。そうなんですよ。こういう弱者に対して今こそ政治の光を与えるべきじゃないですか。どうでしょう。どうぞひとつ善処するように、決意をお願いしたい。
  62. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 私は気が小さいものですから、余りがんがんやらぬでひとつあれしていただければと思うのですが……。  状況は私も掌握をいたしております。この雇用問題というのは、一言で雇用問題と言いますが、本四架橋のために今までの仕事を離れざるを得ない方、家族の方にとっては大変なことであるということは、これはよく承知しております。その方々の一生にとっては、これはもうかけがえのないことであります。そういう意味では、本四公団も、建設省、運輸省も、誠意を持って必死になって取り組んでおることは事実でございます。  ただ、雇用のことでございますから、右から左にばっぱっとやるようなわけにはいかぬことは委員も御承知のことと思うのです。また、今も経済が必ずしも完全に回復しておる状況ではございません。また、船員の方も、何の仕事でもいいというわけにはいかないと思うのですね。やはりそれぞれの御希望もあると思います。  そうした中で今必死の努力をしておるわけでありますから、ぜひ全日海あるいは個々の船員の方におかれましても、やはり人を信じないところでは何事も成果は生まれないと私は思うのです、悪意でやっておるわけじゃないのですから。必死になっている。ただ、それは時間がかかっている。  それに対してもうちょっと冷静に、航行の安全を図るための委員会とか特別委員会等については、やはりこれは冷静に対応していただくということがないと、その地域の方々から見られましても、押しかけていればというようなことになっちゃいますと、おっかながっちゃいますよね。これは、雇用の問題を解決する面におきましても、当事者がみんな必死になっておるのですから、全日海の方々も冷静に対応していただければ必ずいい結果が出ると私は思うのです。  我々は全力を挙げてやっておりますから、委員、余り大きな声を出されずに、ひとつ冷静に、しかも熱心にこの問題は対応をしていただきたい。私どももそのようにいたしたいと思っておる。本当にまじめに一生懸命やっているのですよ、これは。ほっておけないのです、これは。気持ちは同じです。よろしくひとつ……。
  63. 高木義明

    高木委員 終わります。ありがとうございます。
  64. 市川雄一

    市川委員長 午後一時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十五分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  65. 市川雄一

    市川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中野清君。
  66. 中野清

    中野(清)委員 新進党の中野清でございます。  私は、川越の商人として三十七年間、市議、県議として二十六年間、そしてまた川越の商店街連合会長として二十二年間以上やってまいりまして、商人としての誇りを生きてまいりました。そして同じように商店街の盛衰というものを自分の目で見てまいった者であります。そういう意味でもって、本日は、町づくりの問題についてお伺いをしたいと思うわけでございます。  亀井大臣、今、大型店により町は盗まれていると言われております。空き店舗に象徴されるように、中心市街地の空洞化の現象は深刻なものがございます。  空き店舗につきましては、日本商工会議所の調査によりますと、空き店舗のある商店街というものは全体の八五%に及んでおりまして、空き店舗比率も八・八%となっております。一商店街の平均空き店舗数は五軒でありまして、空き店舗比率が一割以上、それが三分の一になっております。商店街の衰退化、空洞化は、一地方の問題じゃなしに全国的な問題となっているということは明らかでございます。  こうした空洞化につきまして、深刻、問題であるとの危機感を持っている自治体は七四%ありまして、今後これが深刻になる、問題となると考えているのは八六%にも上がっております。  そこで、通産省は今まで空き店舗対策というのを積極的にやってきましたが、なかなかうまくいっていないというのが実情でございまして、空き店舗に新しい商店を持ってくればいい、そういう簡単な問題でないということだと思います。  今日、これからの日本の都市に与えられた課題は、これからどのような都市をつくるかというのでなしに、空洞化し活気をなくした都市をビジョンに従っていかにつくりかえるかであると思うのでございます。  私は、亀井建設大臣が予算委員会において、町について、美しく安全で人間のにおいのする町をつくりたいとおっしゃったことについて非常に共感を持った者でございます。この大臣のお答弁というのは、これからの町づくりというものが、経済性とか効率性とか市場性、それだけを追求するのじゃなしに、大きな目標とロマンを持って、その地域に住む住民の創意工夫を凝らしながら進めるべきであるということを私は御示唆したのではないかと思っております。  また、平成元年に施行されました土地基本法の四原則、もう御承知と思いますが、その中で、土地の所有権が絶対的なもの、所有権という観念から脱皮して、土地については相対的な所有権を明確にした点に私は大きな評価をし、特色と思っております。  今土地は、公共の福祉を優先させ、そして土地利用に関する計画に従って利用し、そして国民にとっては投機の対象にしないで、そして土地を持っている人が適当な負担をする、そういうことについての考え方があると思うのでございますが、まず町づくりについて、今日の現状とそれから問題点について、大臣の御見解がございましたならばいただきたいと思います。
  67. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 都市といいますか町でありますから、生活をしていく上の利便性とかあるいはいろいろな意味での効率性ということは当然必要であると思いますけれども、どうもこれは、何も町づくりだけの分野ではありませんけれども、今の世の中、どうもそうした経済効率性といいますか投資効率というか、そういうことにのみ目が向けられて、みんなが走っているのじゃないかな。下手をすると行政までが、政治までがその風に乗っかって舞い上がってしまうのではないかという感を強くいたしております。  そういう意味では、基本はやはり人間の幸せとは何かということであって、ただ単なる効率性だとかそういうことだけを追い求めた後、砂漠のような、確かに利便かもしらぬけれども、そうした社会があらわれてくるということが本当に政治の目的であろうかと私はそのように思うわけでありまして、そういう意味では、昨今の規制緩和、これは確かに経済の活力を持つ上においても必要なことでもありますし、不必要な規制は撤廃をしていくのは大事でありますけれども、ただ、それが、弱肉強食といいますか、資本の論理だけがまかり通って席巻をしていく、そうして、気がついてみたところは荒れ果ててしまう。  例えば、スーパーあたりも、採算が合わなくなるとすぐさっと撤退をしてしまうということの中で、そのときは商店街はもう荒れ果てて何も残っていない、そういう状況も全国あちこちで今あらわれておるわけでありまして、そういう面では、私はやはり、通産省の管轄ではありますけれども、そうしたことについても、ただ単なる資本の論理が地方都市を席巻しまくるということにならないような歯どめをきっちりかけていく必要があると思いますし、我々建設省の都市計画の中においても、自治体に対してそういうことを注意喚起しながら都市計画策定をしていくという、そうした国の立場からの意見も今後強く申し上げていかなければならぬのじゃないか。  一方、やはり住民といいますか、国民全体にも私は問題があると思うのですけれども、何か池のコイのように、市が何かしてくれるわ、通産省が、建設省がというのじゃなくて、住んでおる方々一人が、自分のエゴもありますけれども、エゴもある程度抑えながらみんなでいい町をつくっていこうという、そうした私はやはり気持ちを持っていただかないと、総論賛成、各論反対という形で、魅力ある商店街がつくれるわけでも私はないと思いますが、残念ながら今の状況は、国もあかんかもしれません、自治体もあかんかもしらぬけれども、住民もいかぬというその相乗作用の中で今荒れ果ててきておるのではないか、このように思いますが、人のことを言う前に、建設省としてやるべきことをやらにゃいかぬと思っております。
  68. 中野清

    中野(清)委員 今の御答弁、ありがとうございます。同感でございますので、そういう大臣のお心を心しながら質問させていただきます。  まず、今おっしゃった中心市街地の活性化につきまして、今大臣も、建設省ということでございましたけれども、大型店の問題については建設省としても私は考えていただきたい、そういう思いでもって、ちょっと大型店の問題について質問をさせていただきます。  この大型店の問題というものは、今おっしゃるとおり、単なる商業問題でなしに、都市問題そのものであるからでございます。外国では、大型店の問題を都市計画政策で対処をしております。例えばアメリカでは、各州とかいわゆる市町村とか、いろいろなところでもって都市計画条例などで用途地域を規制しているのが実情でございます。その目的は、土地利用の計画的な推進を図り、乱開発や商業施設の無秩序な拡散を防止するとともに、都市商業の健全な発展と生活利便性を保障することにあるわけでございます。  この点にかんがみますと、我が国においても都市計画制度において無秩序な商業集積の拡散を食いとめまして、美しく快適で個性的な都市をつくるべきと考えておりますが、その意味では、実は現行の大店法は大きな限界があります。というよりは、大店法に大きな負担がかかり過ぎているというふうに私は考えております。  そういう意味で、実は幾つか例を申し上げますと、第一に、都市における商業土地利用が混乱しておりまして、これは大店法では解決ができないのです。大型店の多くが、都市の中心部でなく郊外の地価の安いところに拡散をいたしております。その結果、中心商店街や長い年月をかけてつくられた繁華街というものが寂れて空洞化が深刻な問題になっている。今それは大臣の御指摘のとおりでございます。  この大店法には、大型店を都市のどの地域に立地するのが最適なのか、あるいはより望ましいか、そういう視点は全くないのです。都市の商業施設をどのように配置すれば、消費者の利便にとっても、土地利用の最適化という点にとっても、好ましいか、そういう政策もありません。  アメリカやヨーロッパでは、マスタープランや土地利用計画でどれぐらいの商業施設が妥当か、どこに配置すればいいのかということを中長期的な視野で計画的に進めていくシステムがあるということは、よく御承知のとおりでございます。  二番目といたしましては、大型店ができることによって副次的に発生する環境問題への対応が不十分だということなんでございます。  例えば、一例を挙げますと、北関東のある都市で、郊外に大型のショッピングセンターができましたが、来客の自動車が狭い道路に殺到して、大渋滞を起こしてしまった。この道路というものが工業団地の出入り口にありまして、大型トラックがたくさん通行する道路でありました。そうしますと、工場の材料や製品を搬送するトラックの輸送に支障が出てしまった。これは工場にとって大きな障害になっている。そういう例もございます。  また、一方では、大型店が東京などの住宅地にできる場合には、交通問題で深刻な問題がございます。例えば、世田谷の経堂に出店するのが決まっております。ある大型店の場合でございますけれども、幅員が大変狭い裏通りに大型店の配送出入り口ができておりますので、ただでさえ通りにくい道路が一層混雑して危険だ、そういうことで、付近の住民が配送出入り口の場所を表通りに変更してほしいと大型店に申し入れたという例がございます。  地元の警察も何回も変更を申し入れたようでございますけれども、一向に聞き入れようとしないのです。なぜかといいますと、大店法の許可が出たんだから、建築確認の許可が出たんだから、今さら変更には応じられない、そういう論法であります。  きょう、私、午前中に商工委員会で、これには実は十五条の二でいろいろな、余計なことを言うなという大店法の規定がございますから、それもありますけれども、こっちは建設委員会ですから、それは申し上げません。そういう現実がございます。  つまり、このような問題というものは大店法の審査の段階とか建築許可の段階において十分検討して解決すべき問題ですけれども、実際にはほとんど解決されていない。検討もされないで、大店法や建築基準法の許可がおりた後に問題として発生して、トラブルになっているというわけでございます。  アメリカなどでは、環境法とか都市計画、建築許可、都市の条例などできめ細かくこれをチェックしていると伺っておりますけれども、日本でもこういう交通問題や環境面での対策というものが私は不可欠だと思うのでございます。  中心商店街の空洞化とその大きな原因でございますところの大型店の問題を、町づくりを具体的に推進している建設省としてのお立場でもってどう対応なさるか、お伺いをいたしたいと思うわけでございます。
  69. 木下博夫

    ○木下政府委員 十分いろいろ例をお出しいただいて御説明いただきまして、私どもも参考にさせていただきたいと思います。  私どもは、今、大店法の問題につきましては、一方では政府全体で規制緩和計画の中にも載せてございますし、それからWTOの問題につきましては、現在訴訟の段階でございますから、余り個々についてコメントする立場でございませんが、大臣もおっしゃられたように、やるべきものはやるという姿勢は、私ども事務方も十分持っております。  ただ、問題は、今日の状況は、例えば従来商店街が拒否あるいは抑制という姿勢の中で、商調協等で取り扱っていたのが、一挙に規制緩和で戸惑いもあろうかと思いますし、一方では、時あたかも人口減少あるいは高齢化という現象の中で、後継者問題とかあるいは都心部における交通アクセスの不足というのが一挙に吹き出ている、こういう中でございますから、私もこの問題に対しては大変重要な問題であろうと思っておりますが、さはさりながら、施策としてそれでは何が一番決め手かということになりますと、恐らく結論的には、各都市の様相実態からしまして、それぞれ方策は異なるところも現実ではなかろうかと私は思っております。  したがいまして、現在、建設省として考えられますことは、従来やってまいりました、例えば駐車場対策とか、あるいは都心にどんどん車が商店街に入っていくことによってかえって混雑しているあたりにつきまして、例えば道路網のネットワークをもう少し変えてみるとかということがありますが、一方では、地元の方々でやる気のある方々を育てていくというようなことも、全体的な計画あるいは施策の中では十分考えていかなければいけないかと思っております。  いずれにせよ、都市計画が全部大店法問題を抱えるにもまた課題としては大き過ぎると思いますが、せっかくでございますから、私どもも都市計画の世界でこの問題をしっかり受けとめていきたいという姿勢を基本に置いておきたいと思います。
  70. 中野清

    中野(清)委員 御答弁いただきまして、本当に期待をいたしております。商業と都市政策という問題をこれからぜひ御検討願いたいと思っております。  次に、そういう意味で、都市における商店街、大規模施設の用途地域における適正配置ということについてちょっとお伺いをしてみたいと思っております。  商業施設のほかに、スポーツ施設とかコンベンション施設、テーマパークなどの大規模施設の中長期的な配置計画というものを、これはきっと市町村のマスタープランで盛り込んで誘導していくことが私は必要ではないかと考えております。  平成三年十二月の都市計画中央審議会の答申では、地価負担力の高い都市の商業、業務用建物、マンションなどについて土地利用規制を強化する、住居、商業、工業などの均整のとれた配置のための土地利用規制を強化するとうたつておるのは、私は当然なことだと考えております。  しかし、現実には、店舗について床面積が三千平米以上を超えるいわゆる大型のもの、これについて申し上げますと、第二種住居地域から工業地域までの広い用途地域に建築が可能だということでございまして、そこに実は大きな問題点があるような気がいたしております。  しかも、本来は店舗を建てるべき商業地域、これは三・九%、準商業地域が三・三%で、両方合わせましても、用途地域全体のわずか七・二%にしかいわゆる商業専門というのはないのです。ですから、そこに一つの用途地域の問題があるような気がいたしております。  特に、そういう意味でもって、用途地域と建ててよい建物の関係というものが非常に緩やかといいましょうか、ルーズといいましょうか、そういう点がございまして、これはもう一度考え直していただく必要があるのではないかということを思っております。  また、中心市街地の活性化で考えなければならないことにつきましては、例えばある意味で今言った用途地域のことはまだいいのです。それ以上に、市街化調整区域とか白地などといいまして、周辺地域の開発の問題もございます。ですから、周辺地域の開発を規制しながら、中心市街地の活性化を図らなければ、幾ら中心市街地、市街地といっても、これはなかなか難しいだろうということだと思います。  実はこれを受けまして、商店街の専門店会の連合会といいまして、専門店の小売店の皆さんが四つの要望を出しておりますので、ちょっとこれを伺いたいと思うのです。  都市計画の決定するところには、ぜひ住民参加の仕組みを入れてもらいたい。延べ床面積の敷地面積に対する割合については、商業地域内の建築物の制限が強化されましたが、これをもう少し、今までも強化されましたが、もう少し強化をする措置を講じてもらいたい。住宅系用途地域及び工業系用途地域に関しては、商業施設についてはある程度の制限も設けていただきたい。また、各用途地域に建てる建物については、市町村の権限である程度調整ができるようなお願いをしたいという要望が出ております。  これは、ある意味では、規制緩和の動きに逆行するとか、地区計画でやればできるのではないかという御指摘も私はあると思うのでございます。しかし、現実には、アメリカでも用途制限についてはいわゆるゾーニングの中で厳しい規制をかけているわけでございますし、現実問題として、後ほど申し上げますけれども、地区計画だけでは今日まで対応ができなかったわけでございますので、こういう点を踏まえて、今、日本専門店会、日専連の御要望をどのように建設省として評価なさっていらっしゃるか、お伺いをしたいと思うわけでございます。  それと、用途地域でございますけれども、もう一つだけ申し上げますと、先ほどの市町村の裁量ということを申し上げますと、もうちょっと具体的に言いますと、例えば都市計画法、建築基準法で住宅地に浴場、今までは普通の町の銭湯と考えられて浴場がどこでも建てられるとなっておったわけなんです。これは当然なんです。  ところが、現在はいわゆるレジャー型の何とかゆうゆうランドとか何とかという浴場をめぐりまして、住民とトラブルが起きておりまして、業者の方は建築基準法でちゃんと許可になっているんだから問題はないのではないかと、先ほどの話と同じようなことが出ているわけでございますけれども、この辺についてはやはり地区計画でやるべきでしょうけれども、なかなか難しい。そうすると、用途地域の中での、先ほどの市町村の裁量という点についての問題があるだろう。  私は、こういう点については、何といっても、先ほど大臣がおっしゃったのですけれども、自分の町だ、自分の町をどうするかということでもって、世の中の変化や実態に合わせたきめの細かい法の適用を図るべきではないだろうか。それから、自治体が地域の実情に応じて必要な規制を行うことができるということを何回か申し上げましたけれども、そういう点について例を申し上げまして、御見解を承りたいと思うわけでございます。
  71. 小川忠男

    ○小川政府委員 ただいま御指摘されました日専連というのでしょうか、日本専門店会連盟、これの要望というのは、平成四年に都市計画法、基準法を改正したときの要望だと思います。  そのときの改正の主眼点というのは、それまでの用途地域の種類をもう少しふやしまして、各ゾーニングに応じたきめ細かい規制を展開するというふうなことでございまして、例えば住居地域一つだけだったのが、第一種第二種、それから準住居地域の三つに分けました。そのときに、住居地域の場合には、商店については、規模にかかわらずすべてオーケーというふうな規制だったのが、例えば第一種住居地域では床面積三千平米超の店舗は禁止されるとか、こういうふうな新しいゾーニングをつくったわけでございます。  そういうふうな改正を踏まえました現在の基本的な考え方というのは、都市計画法、建築基準法でいろいろな基本的類型としてのゾーニングをつくっております。これは全国一律でございます。  ただ、それに加えまして、特別用途地区、例えば小売店舗地区とかいろいろなのがございますが、特別用途地区というふうな形で、それに上乗せして規制を追加する、ないしは緩和するというふうなやり方、それから、実際は余り動いてないではないかというふうな御指摘がございましたけれども、地区計画をあわせてその上に掲げることによって、その公共団体独自の、ないしはその地域に独自の規制を追加する、あるいは緩和をするというふうなことで、地域の属性にこたえるというのが現在の法体系でございます。  したがいまして、日専連の要望につきましても、その辺の運用を加味いたしますと、ある程度はこたえられているのかなというふうな思いもいたします。ただ、いろいろな意味で新しい問題が発生しつつあるというふうなのも御指摘のとおりだろうと思います。十二分に検討しながら対応させていただきたい、このように思います。
  72. 中野清

    中野(清)委員 今の局長さんの御答弁につきましては、実は私どもも、十二にしたのはわかっているわけです。それで、きのうも実は私ども、勉強会を、大学の先生を呼んで聞いたのですが、各地区へ行ってみますと、例えば用途地域について、これはいいかどうかわかりませんけれども、四十も五十もあるという話も聞いているのです。それはいろいろ、ですから、すべてそれを、全部正しいから五十にしろなんて言うのではないのです。  ですけれども、考え方としては、今までのものが四つふえたのだということでもってこれで十分だという用途地域のことについては、どうかもう一回現実を見ていただきたい。先ほどの例につきましては幾らでも、申し上げるのでしたならば幾つでも申し上げますけれども、時間がございませんから言いません。いろいろと、そういう意味での問題があるということだけは、どうか御当局として見ていただきたい。  特に、さっき言いましたように、町づくり、建築行政というものと商業との関係というのは、どうしても建設省さんは、今まではどちらかというとハード中心なんて言っては申しわけないけれども、そういう点では、これからは一番中心になる官庁でございますから、お願いをしたい、そういう意味でございます。それが一つでございます。  それと、一緒に申し上げますけれども、地区計画についても、これは実行ができれば非常にいい制度だと私は思っています。しかし、なかなか困難がある。しかし、期待をしている、評価をしている制度でございますから、これについてお伺いをしたいと思います。  しかし、この策定状況がまだまだ少ない、これが実情ではないでしょうか。  平成六年三月の統計を見ましても、全国の用途地域の面積が百七十四万三千六百六十ヘクタール、そのうち地区計画は三万九千四百八十五ヘクタールでございます、策定してあるのは。この地区計画に関連していると思いますのは、再開発地区計画とか沿道整備計画とございますけれども、それを足しても四万一千三百五十七、二・八%しかできていないのです。この地区計画の普及がなかなか進まない理由、これについてどういうふうにお考えになっているか お伺いしたいと思います。私は、少なくともこれは一〇%台とか二〇%台とかということを目標にして、建設省が努力をしていただきたい、やるべきだろうと思っておりまして、このことをまずお伺いしたいと思うのです。  それと、地区計画を普及させるためには、マスタープランに地区計画を明示して、推進体制、助成制度を設けるということが当然あるべきだと私は思います。そういう点で頑張っていただきたいと思うのですけれども、その中で具体的に、土地所有者の合意形成を促進するための組織の活用といいましょうか、そういうものをもう一回御検討願ったらどうだろうか。  それからまた、いろいろ、コーディネーターとかそういう方によって、目標づけ、ロマンとかそういうものをわからせて、計画策定の支援をすべきだろう。それから、地区計画策定促進や地区施設整備に対するいろいろな助成とか税制上の措置とか、そういう誘導策が必要と考えますけれども、これについてもお伺いをしたいと思います。  時間がございませんから、もう一つ。  よくガイドライン、ガイドラインと言います。ガイドラインというと、中央が指示するのだというので、今官庁は嫌がりますけれども、言いかえれば、では、都市計画の活用事例の策定でも、私、結構だと思います。しかし、各官庁が商業振興策とか特定商業集積法とか地区計画制度とか、そういう施策を組み合わせて、政策メニューとして地方自治体に示して、地方自治体がやりいいようにする政策というものがなければ、個々ばらばらでは、なかなか効果が上がらないのだろうと私は思いまして、これについての御所見をお伺いしたいと思うのです。  特に、地域間の競争とか企業間の競争とかについては、いわゆる利害関係がありますから、公正なルールづくり、そういうものについては、これはもうぜひ国に期待せざるを得ないだろうと考えておるわけでございます。  そして、そのために、国が地方公共団体にアドバイスをし、援助をするため、そういう意味での、都市計画を中心とした町づくりに対するガイドライン、そういうものも国がつくる、これは決して中央官庁が独善でもって押しつける、そういうものではないと思います。どうか、そういう意味で、活用事例の策定といいましょうか、ガイドラインの必要性、そういうものについての御見解もあわせてお伺いしたいと思います。
  73. 木下博夫

    ○木下政府委員 幾つか御質問ありましたので言い落とすかもわかりませんが、先ほど住宅局長からちょっとお答えいたしましたのは、用途地域の種類については、先生御承知のように十二でございます。昨年秋にようやく全国で一わたりまとまりました。多少見守っていただきたいというのが率直な気持ちでございますが、ただ、それだけで足りたと思っておりませんし、御案内のとおり、特別用途地区制度なども私どもも大いに活用していただきたいと思っております。  それから地区計画について、いろいろ大変温かい目で見ていただいていることは、私ども感謝にたえないわけでございますが、御案内のありました後、平成八年、昨年の三月ですと、もう少しふえておりまして、約六万ヘクタールにふえておりまして、パーセント的には三・四%くらいになっております。  しかし、決して、先生のおりしゃる一〇%とか二〇%に比しますと、まだまだという感がいたします。もちろん、今後地区計画制度そのものが大いに活用されることを私も期待したいと思っておりますので、そういう意味では、バックアップ体制をという御指摘もそのとおりでございます。  今のところ、現在、市町村の都市計画に関するいわゆるマスタープランというものの中で、今回の御質問を受けて申し上げるとすれば、各市町村の全体構想の中に、地区構想をつくっていくということを、既に関係市町村にもそれぞれ指示をしているところでございまして、そういう中では、先ほど御質問のありました、例えば商店街のあり方とか規模等についても触れていただくことになろうと思っております。  また、もちろんそういう商店街関係だけではなく、いい町並みといいますか、そういうものもこの地区計画によって、より具体的なイメージとして形成されていくかと思っております。  推進体制につきましては、お話のありました税制とか予算は言うまでもないことでありますが、やはりおっしゃられたような、人、そういうものを指導していく、あるいは育てていく、策定する方々を一方では育てることも必要であろうと思いますので、その点についても、予算上、いろいろ配慮して、先般委員会でも御審議いただきました密集法などにも、町づくり公社の場でいろいろ私どもとしてもその手法を使っておりますが、これは単に密集法だけでなく、同じ発想はこの中心市街地対策にもこれから使っていきたい、そう願っております。
  74. 中野清

    中野(清)委員 今御答弁いただき、ありがとうございました。  私は、このマスタープランとか用途地域の問題、地区計画につきまして、これからの、いろいろな意味での、手法としてはこれを生かす以外にないと考えております。それだけにそれを、もっとぜひ現場の声を聞いていただきたいと思っているわけなのです。  一つの例で申し上げますと、用途地域についていいましても、今先ほど来言ったように、非常に緩やかといえば言葉はいいのですけれども、ある意味では、ヨーロッパなんかに行ってみれば純化といいましょうか、そういうものがあると思うのです。しかし、それも、ヨーロッパのように、何でもかんでも純化しろとは言いませんけれども、そういう意味で、日本型に考える必要があるだろうということを一つ考えております。  それから、マスタープランなんかにつきましても、ほかの官庁に聞きますと、これは建設省さんの仕事だ。これからどうしても建設省が中心になるべきだろうと思いますけれども、それについても、実施計画とその前の計画というようなことで、これからぜひ御指導願いたい。  きょうも私、商工委員会で大店法のことでお願いしましたけれども、大臣、実際に我々がお願いするとなると建設省に頑張っていただかなきゃしようがないという意味で、きょう私はあえて場違いな大店法の話を申し上げているということも、これからこの後お伺いいたします中心市街地の活性化、実はみんな同じ関係なのでございます。  しかも、その中において中心になる建設省さんの姿勢、それからまた、その中においては、私は最後に申し上げますけれども、今のやり方でもって全部いいんだというお考えについてはぜひ検討していただいて、もっと柔軟性を持っていただいた中で——皆さんが間違っているなどということでは決してありませんけれども、いろんな問題があります。いろんな弊害があります。  それは日本じゅうの中でございますから、確かに中には裏をかく人もいるでしょうし、さっき大臣おっしゃったようにエゴの方もいらっしゃるだろうし、いろいろあるけれども、しかし、我々の、国づくりに対する、町づくりに対するロマンとすれば、いろいろな制度についていろんなことが御指摘があった場合には、むしろ建設省さんがぜひそれを受けとめていただく。そしてその中で、柔軟な対応の中でやっていただかなければ、どっちかというと、私たち建設省から受ける今までの印象というのは、もう制度があります、これがあるからと言うと、ああもうだめだというので戻っちゃうというような感がございますので、その点、大臣、いかがでしょうか。ちょっとお伺いいたします。
  75. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 建設省のために法律があるわけでもございませんし、予算があるわけでもございませんので、おっしゃるとおりでありまして、私どもとしては、そうした今の制度なり法律がその地域にとって役に立たないのであれば、役に立つように運用面で弾力的なあれを図るとか一あるいは場合によっては法律そのものを変えるとか、あるいは政令、規則を変えていくとかということはどんどんやっていかなければならないと思います。  私は最近つくづく思うのですけれども、建設省の役人というのは余り逃げませんね。非常に泥臭いのですよ。なれているんですね。地元用地買収その他で無理難題を言われる方を相手にしながらやってきている経験を積んだ連中ばかりですから、そういう意味では、余り四角四面に対応するという体質はないと私は思います。  しかし、そういう面も反省しなければなりませんので、ぜひひとつ、今後、具体的なことにつきましてどんどん御意見を賜れば具体的に処理もさせていきたい、このように思っておりますし、また、全国の各都市との共通点の問題もあるでしょうし、そういう問題についてもきちっと整理をさせていただきたい、このように思っております。
  76. 中野清

    中野(清)委員 本当に大臣の御答弁期待をいたしておりまして、おっしゃるとおり、まじめな皆さんでございましょうが、どうかそのまじめさをいい意味で生かしていただきたい。お願いをしたいと思います。  続いて、中心市街地の活性化対策についてお伺いをしたいと思うのでございます。  御承知のように、五月十六日に閣議決定されました「経済構造の変革と創造のための行動計画」、その中で中心市街地対策というものが取り上げられました。新たな事業シーズを生み出す新規事業の苗床でございますけれども、各地で空洞化が進み、それへの対応として、市町村での総合的な町づくりを行うことの重要性に触れまして、「都市機能の再構築」、「商業の活性化・産業業務機能の集積の促進」の二つの御提案を行っているようでございます。  私は、今しかこの町づくりの再生はない、そういうチャンスがない、そういう気持ちでおりまして、ぜひ建設省を中心にしてこの計画に頑張ってもらいたい、そういう期待を寄せる一人でございまして、その中で御質問をさせていただきます。  これは、大臣とか皆さんがこのことを御提案したのでございますから、私が申し上げるまでもなく、この背景といたしまして、今日の中心市街地の商店街の現状、これは今いろいろと指摘されておると思いますけれども、空き店舗、空き地の発生、夜間人口の減少と高齢化率の上昇、人通りの減少と商業活力の低下、生活関連施設の郊外立地、駐車場やアクセス道路の不備というような現実があるということは、もう御承知のとおりでございます。  中心市街地の再生、再構築を図るためには、中心市街地とマスタープランとの関係、先ほど来申し上げておりますけれども、そういうものを明確にする必要があると思うのでございます。ただマスタープランがありますというだけでは、これはもう御承知のとおり、乱開発が防げるわけがございませんから、拡散し過ぎた商業というものをもう一度再集積し直すことも必要と考えております。どうか、そういう意味で、後ほど少し申し上げますけれども、御見解を承りたいと思うのです。  それから、第二といたしまして、さまざまな市街地の現況に対して、全部都市が違います、条件が違いますから、幾つかの場面に適合する施策のメニュー化、言いかえれば、先ほど言いました、市町村が受け入れやすい、計画しやすい施策への展開、そういうものを求めたいと思うのです。  そのことをもうちょっと言葉をかえて言わせていただきますと、実は商店街の中には、振興組合、最近一番組織としてはよくて、活力のある組合の全国商店街振興組合連合会で、今、中心市街地活性化について非常に期待をしておりまして、勉強会をして、こういう文書も出ておりますので、今度お届けして、見ていただきたいと思っております。  その中で、実は、空洞化に対応した町づくりというので五つのことを提言しておりますので、これについても一緒に御答弁をいただきたいと思うのです。  それは、一つは一地域の特性やストックを地域ぐるみ、町ぐるみで見直していくことが必要だろう。  二つ目として、商業集積内といいますか、中心市街地といいますか、その中での大型店の役割を見直すべきだろう。冒頭から申し上げておりますけれども、大型店の問題を言っておりますけれども、決して大型店が全部だめだというのではなくて、やはりお互いに節度ある共生が必要だろう。その中においては、この中心市街地の中の問題としては、大型店の存在というものも見直す必要があるということも実は私どもも考えておりますが、御見解をいただきたい。  それから、三つ目としましては、今まで、例えば商店街のアーケードにしましても何にしましても、どこへ行っても銀座がございまして、全国画一的な町づくりでございました。今後は、いわゆる周辺の環境だとか地域特性とか、そういうものと商店街とが調和した町づくり、特にそれを中心市街地において求めるべきではないだろうかというのを三つ目に提言をしております。  それから、四つ目といたしまして、アメニティーと都市の町並み景観、この確保というものも当然必要だろう。  最後に、町と商店街の共存が必要だろう。特に官の役割と民の役割の分担を明確にすべきだろう。官は官としてお願いする。国は国としての役割があるでしょう。県は県としての役割があるだろう。市町村は市町村の役割があるだろう。そしてまた、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、民間は民間として、官だけに頼るのではなしに、それぞれ役割がある。  このことを提言をいたしておりますけれども、この点についての御見解をいただきたいと思うわけでございます。
  77. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 委員は川越市の老舗のお生まれで、また、それの家業にずっと携わっておられる、また、その中で市会議員を若いときからおやりになっておられ、私が二課長でお世話になっておったときは市会議員をやっておられたと思うわけであります。  あの川越という町は、本当に古くからのすばらしい、本当に個性のある町であったと私は思うのですが、今はどうもそうでもなくなっていますね、私この間行ってみましたけれども。  そういう意味では、おっしゃるように、そうした、その地域の、ふるさとといいますか、ふるさととしての町、そういうものがだんだん消えていってしまっておる。ただ買い物だけすればいいとか、ただたまたま人が集まって、寝たり、ぶらぶらしているみたいな、そんな町にだんだん全国的になってきておるというように私は思います。  そういう意味では、この町づくり、建設省もそのお手伝いをする責任があるわけでありますから、やはり、建設省がこれをやりなさいと言うのじゃなくて、お仕着せじゃなくて、そこの住民の方、その自治体がどういう町をつくろうとしておられるのか、それに対してどういうお手伝いをすればいいのかという視点でコミットしなければならぬと思います。  そういう意味では、地域整備公団も地域の町づくりに大変貢献をしておりますが、住宅・都市整備公団もそうした町づくりに現に今加わってお手伝いをしておるわけであります。今度、どちらかといいますと、というよりも、そちらに特化をしようというふうに考えておるわけでありますので、地域整備公団との関係をどうするかという問題がありますけれども、全国のいろいろな経験なりノウハウをどんどん自治体等にもお教えをしながら、具体的に職員を派遣していけばいいわけであります。  現在も、神戸の復興につきましては、再開発等含めて整備公団の職員が大量に参加して今やっております。そういうことで、ぜひ今後都市整備公団はそういう方向でやらせようと思っておりますので、よろしくひとつ御指導をお願いしたいと思います。  先ほど、振興組合からの御提言、いろいろされておりますが、まことにもっともなことが多いと思います。特にスーパーとの関係、午前中この委員会でもいろいろと議論もされましたけれども、ただアメリカ側からの要求がこうだからとか、あるいは経済の効率性だとか規制緩和だとか、そうしたいわゆる一つの画一的な文言、風潮に流されるということじゃなくて、具体的にその地域を今後どうしていくかという観点から大店法の問題も取り扱っていかなければならない、私はこのように思います。  これは通産省関係もありますが、我々も都市計画については担当しておるところでありますから、そうしたいい町、いい都市をつくるという観点から、スーパーの進出等について、都市計画上どう位置づけるかというような問題は我々としても自治体と一緒になって考えて発言をしていくべきだ、このように思っております。  なお、振興組合の方々、大変御努力いただいておるんですが、ぜひ私は、私自身も今までいろいろな経験をしておりますけれども、自分たちでもっと具体的な知恵を出して、それについて市町村なり国がこういうバックアップをしてくれという、それをもうちょっと強力におやりになれないのかな、また、それをおやりになっているところは割と前に進んでおるということもあろうかと思います。何も安いだけが魅力のある時代じゃありませんで——委員の店はよく売れているんですか。(中野(清)委員「ええ、おかげさまで」と呼ぶ)それはそれは。  とにかく、少々高くても、高いかどうかは知りませんけれども、いい物にはやはり消費者がついてくる、わざわざ買いに来るということもあるわけでありますから、やはり個性あふれる、魅力のある商品をどうそろえていくかということについては、やはり商店の方々自身も、いろいろな御事情はあると思いますよ、あると思いますけれども、そういう努力もなければ商店の活性化はなかなかできないんじゃないかな、このように思います。
  78. 中野清

    中野(清)委員 本当に、大型店の問題を含めまして、また商店街の姿勢についても、私は大臣のおっしゃるとおりだと思いますから、やはり自分たちが努力しなければだめだ。しかし、その中で行政にもお力を願うという点は同感でございますから、よろしくお願いしたいと思いますし、都市整備公団を町づくりに特化していただく、ぜひこれもきちっとお願いしたいということを、期待をさせていただきます。  時間がございませんので、あと二点だけ申し上げたいと思います。  まず一点は、先ほどマスタープランとかいろいろな問題について申し上げましたけれども、その中で、マスタープランを推進するにはいわゆる町全体を視野に入れたタウンマネジメントの導入というのが必要なはずなんでございます。  具体的には、建物を管理するだけじゃなしに、景観づくり、コミュニティー活動とかマーケティング活動、イベント活動、空き店舗対策、テナントミックス、交通対策、総合的な町づくりを進める必要があります。そのためにタウンマネジメントを行う人材というものを、つまりタウンマネジャーの育成というのが不可欠なはずでございます。  昨日伺いましたならば、ミュンヘンでは、二千四百人の市の職員のうち八百人が都市計画を中心とした町づくりの職員だ。なぜそういうふうにするかといえば、都市間競争の中で、大勢の皆さんのためにはこうしなければやっていけないんだというのを伺っております。したがって、我が国におきましても、魅力的な都市づくりを進めるためのタウンマネジャーを制度として創設するなど、人材育成が必要じゃないか。  その点と、今、例えば建設省ではタウンマネジメントセンター、商工関係では街づくり会社、いろいろございますけれども、そういうものをどうやって個々ばらばらでなくやっていくんだ、そのことについてまずお伺いをしたいと思います。  最後に簡単に御答弁願いましておしまいにしますので、大臣にもう一点だけ、簡単に今の点は御答弁願いたいと思います。
  79. 木下博夫

    ○木下政府委員 町づくりにつきましては、いろいろな主体があるわけでございますが、簡単に申し上げまして、やはり民間のそうした意欲を何とか引き上げるというためには、民間の方々のやる気は言うまでもないことでありますが、行政と、それからその両方に橋渡しをするコンサルタント的な立場の方がやはり必要だと思います。  先生のおっしゃられた御趣旨の立場に立つ人は、これは行政側に向かっても、あるいは民間の方々に向かっての両方の役割があると思います。私どもも、いろいろ、まだまだ十分でございませんが、今そういう視点に立っての人材養成あるいは人材派遣に対する支援というのを組んでまいりたいと思っておりますし、先ほどちょっと答弁漏れをしておりましたが、全国でのいわば優良な町づくりの事例集を集めておりまして、それを各ブロックごとに開催する場所で、各市町村の方々に、成功例だけを集めるということも問題かと思いますが、いろいろ失敗例も含めまして今発表の機会をつくるようなことも心がけておりますので、この輪をだんだん広げていきたい、そう思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  80. 中野清

    中野(清)委員 本来ですと、町づくりの中で、例えば良質な集合住宅をつくるとか、またいろいろな公共施設の問題とか、それから土地建物の有効利用とか、それからまた市街地へのアクセシビリティーの向上というような問題がございますけれども、これはきょうはもう終わりにさせていただきまして、時間がございませんから、大臣に二点だけ実はお願いをさせていただきます。  先ほど来本当に前向きな御答弁をいただいておりますから、あえて申し上げるわけじゃないのでございますけれども、私も、過日予算委員会の分科会で大臣から、スーパーだけあって商店街が火の消えたような町、そんなものが整然と開発されようが、人間の住んでいる町と言えないという御答弁をいただきまして、非常に感銘を受けたものでございました。  今こそ、最後のチャンスとして、私は、衰退した町の活気を住民の手に取り戻さなければならないと考えておるのです。そのためには、今おっしゃるとおり、その町に住む市民や商店街や自治体が一緒になってやらなければならない、これはもう当然のことでございますから、そういう意味で、私どもも、大型店とも共存をしながらも頑張っていきたいと思います。  しかし、現行の都市計画法や建築基準法を生かす、これは当然のことでありますけれども、それだけでなしに、新しい視点からの、特に中心市街地の活性化を強力に推進するためには、今までのやり方でいいんだろうかという反省とか、またこれからの目標とか、私は、そういうものがあってしかるべきと思います。そういう意味で、例えば町づくり法のようなものをつくった方がいいんだろうか、そういうことについてちょっと取り上げたいと思うのです。  私は、今までの法律は、やはりそれぞれ目的がございますから、それぞれそれを全部当てはめて、このとおりやれというのは、既製服に体を当てはめるのと同じだと思いますから、それはそれとして尊重すべきだろうけれども、中心市街地の活性化、そういう問題についての大きな取り組みとなってくれば、できればそういう町づくり法みたいのがあってもいいだろうし、それからまた、それを集約するようなものがあっていいんじゃないだろうか。そういうことについて、大臣の御見解をいただきたいと思うのです。  それからもう一点は、先ほど来お話がございましたけれども、町づくりというものは、ただ建設省だけじゃない。おっしゃるとおりでありまして、例えば今九つの九省体制といいましょうか、そういうものでやるということが報道されておりますけれども、具体的にはどうなっているんだろうかということが、私どもも、今本当に期待をしておるわけでございます。  その中で、私は、今こそこれまでの縦割り行政の限界というものを打ち破らなければこの中心市街地の活性化という問題は解決できない。建設省さんだけでもできないけれども、通産省さんだけでもだめだ。自治省さんだけでももちろんだめだ。みんなそれぞれがやっていたんでは、これはもう絶対に解決できない。ですから、そういう意味では一体となっていただきたい。  しかしながら、そうはいったって中心の官庁として、建設省さんが今までの、物、ハードをつくる、町づくりをするというのが専門でありますから、そういう意味では、例えば駐車場という問題をとりましても、大臣、道路の下にある駐車場は道路課でもって、今度は公園、再開発のところは再開発何とかで駐車場をつくる、建設省さんだからといって、駐車場一つとったってあっちもこっちもあるというのが事実でございます。  そういう点で私は、日本の町をどうするか、そういう意味での強烈な政策意思がない、弱かったというように思われますので、そういう点についてのひとつ大臣の御決意でも結構でございますし、お考えでも結構でございますから、この際、お伺いしたいと思います。時間がオーバーしましたけれども、よろしくお願いいたします。
  81. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 私は、委員の非常に強い問題意識に対して共鳴をいたしますが、今後やはり町づくり、郷土づくりといいますか、そういうことは、国が画一的にこうしなさいとか、すべきだとか言うのじゃなくて、やはり地方自治体、住民の方がみずからの青写真を描いていく、それを国が支援をしていくというのが基本であろうと思うのです。  その国の支援にいたしましても、今は各省庁にわたっておりますので、そんな弊害が御指摘のように出ております。それでこのたび行政改革をやって、国の機能別にこれを分けて、恐らく建設省もなくなるでしょう、通産省もなくなるでしょう、そういうことの中で、今委員が、自治体がこうしてもらいたいということをセクトで処理するんじゃなくて、トータルとして国が御支援できる、そうした行政組織なり機能、機能に変えていくという作業の中で、今委員の御指摘のことは取り組んでいかなければならない、このように考えております。
  82. 中野清

    中野(清)委員 終わります。ありがとうございました。
  83. 市川雄一

    市川委員長 石井紘基君。
  84. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 建設大臣にお伺いしたいと思います。  昨日、財政構造改革会議が開かれて、公共事業費を九八年度は対前年比マイナス七%にするということが決められたそうですが、建設大臣、建設省が担当しておる公共事業というのは全体の公共事業の約七割になるわけです。そうしますと、七%削るということになると、建設関係公共事業というものは相当額になると思うのですが、建設大臣としては、この財政構造改革会議の決定の趣旨を忠実に守って行政を進めていくおつもりかどうかを伺いたいと思います。
  85. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 財政構造改革会議は総理の私的諮問機関でございますから、そこで出された御意見を総理が受けて、総理が我々閣僚に対してお諮りになり、御決断になったということでございます。財政構造会議から我々は指示を受けるということでは、まず筋としてはございません。この点はきっちり御認識をいただきたいと思います。(石井(紘)委員財政構造会議から何ですか」と呼ぶ)財政構造会議が我々に指示をしていることではないということ、これは私的諮問機関ですから、それを受けて総理が御決断をなさった、我々は閣僚としてそれに同意をしたということでございまして、当然私どもは、閣僚として総理の御方針を受けたわけでありますから、忠実に実行していくことは当然のことであります。
  86. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そうしますと、では、建設省としても、大体七%ぐらい公共事業費が来年度は減ることになりますか。
  87. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 これは公共事業トータルでありますから、各省の分野にまたがっておるわけでございますので、建設省の分がどうなるか、これは省庁の枠を超えて、真に必要な公共事業は今後とも思い切って実施をしていかなければならない、そういう観点から協議を進めていくことになろうと思います。
  88. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 しつこいようですけれども、真に必要な事業は進めていかなきゃならぬということですが、そうすると、真に必要でないものを削るのか、あるいは全体として七%ですから、全体の公共事業の七割を占めるということですから、やはり建設省だけが七%に満たないで三%か四%、あるいはほとんど削らないということでは、この総理の趣旨が生きていかないことになるわけなので、建設省としてもこれは大体の目標値をやはり決めて減らしていかなきゃならないのじゃないかと思いますが、もう一度。
  89. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 具体的な予算編成にはまだ取りかかっておりませんが、間もなく取りかかってまいりますすれども、私は、やはり大事なことは、我々も不必要な公共事業をやっているというつもりは全然ございません。必要であるという判断でした。ただ、その中で、こうした財政事情であり、財政再建をやるという観点から、テンポを若干抑えてもいいものと、そうではなくて、その地域の方々の生活をきっちり守る、特に防災的な観点は大変私は重要だと思いますが、そういう面からやはり早期に完成をせざるを得ないもの、こういう色分けをしていかなければならぬ。  そういう中で、委員を初めその地域から出ておられる方々がもう公共事業は結構だということをおっしゃっておられる場合は、その声は十分に我々は尊重したい、こういうふうに考えております。
  90. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 どうもちょっとまだよくわからないのですが、例えば、それだったら高速道路だとかあるいは住宅だとか、まあ防災は必要だとおっしゃいましたけれども、そうすると、そういう事業がどっちかというと減っていくということになりますか。
  91. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 私が申し上げましたのは、何よりも人の命が大事だということは、すべての行政の基本であります、これは建設行政だけではなく一そういう意味で緊急性とかそういう面でも、やはり利便性よりもそうした人の命を守るということへの金をつぎ込むというのが優先するだろうということを言ったわけであります。それ以外にも、御承知のように、高速道路も経済コストを含めてこれは経済に大変な影響を与える面でもございますし、地域開発にとっても重要なことでありますから、そういうことは今後省内におきまして、また他省庁とまたがる分野につきましては他省庁と協議をしながら、そうして特化をしてまいりたい、このように考えております。
  92. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 ひとつ橋本総理とそごのないように進めていただきたいと思います。  それでは、諫早湾の問題であります。  これは、防災という面とそれから営農という面と、両面から申し上げたいと思うのですが、どうも建設省の見解は、今の潮受け堤防を初めとする諫早湾の干拓事業というものは当面、防災に必ずしも結びつかないんだというのが建設省の見解であろうと思うのです。  その点は後にもう一度質問をいたしますが、その前に、ここの諫早湾に流れ込んでいる主な河川であります本明川の、防災のためのダム建設を中心とする本明川の改修事業について、その計画の概要を簡単に述べてください。
  93. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 本明川の改修につきましては、昭和二十四年度から長崎県において開始をされておるところでございます。昭和三十二年の七月に例の諌早大水害が起きまして、昭和三十三年七月から直轄河川に編入いたしまして、改修工事に着手をいたしたところでございます。  この三十二年七月の大水害に際しましては、特に本川中流部におきまして大水害となりまして、亡くなられた……(石井(紘)委員計画だけを言ってください。過去のことはどうでもいいです」と呼ぶ)はい。そして、その後、平成三年三月に本明川水系の工事実施基本計画策定いたし、その後、その計画にのっとって事業を進めておるところでございます。また、本明川のダムによる洪水調節につきましても、現在、工事段階と申しますか建設段階に入っておるところでございます。まだダムの基本計画はできておりませんが、ダムをつくります段階としましては、実施計画段階を終わりまして建設の段階に入っておるというところでございます。
  94. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 今この本明川の計画について聞いたのですが、そして今基本計画に入っているというのですが、いっ完成する予定なのですか。
  95. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 ダムを実際につくり出すまでには、先ほど申しましたダムの基本計画というのを策定する必要がございます。これは多目的ダムでございますが、その基本計画もまだ現在策定できておらない段階でございますので、残念ながら、いつの時点までにこのダムを完成させることができるかというのを現時点では申し上げられないということでございます。
  96. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そうすると、先ほどちょっと述べられた、諫早大水害等のこの地域の水害を予防するための重要な施策であるところの本明川のダム計画というものは、まだ実施計画も基本計画もできていないから、いつ完成するやらということは一切今のところは未定である、そのように申されたと思うわけであります。  そこで、諌早湾の今の干拓事業というものは、専ち世間では防災のために必要だというふうに認識をされている面が強いわけでありますね、あそこに酪農場をつくるとか、そういう計画も出ているのですよ、今でも生きているのですよ。酪農場をつくるとか水田をつくるとかいうような計画があるわけでありますが、しかし、まさか、この減反政策を進めていく中で、あるいは農業が非常に厳しい状況にある中で、莫大なお金をつぎ込んで、そこに何億円もかけて土地を買って農業をやろうなんて人がいようとは考えられないわけであります。その点も後で農水省に伺います。  そこで、ずっと現地の周辺地域皆さん、漁業関係皆さん、あるいは農業関係皆さん、みんな反対してきたものを、ある時期から賛成に回られたというのは、あの五七年の諌早大水害がありまして、それ以降、防災というものを前面に立てて事業を進めるようになった。私は、この要素が非常に大きいだろうと思うわけです。  一九八二年に、長崎県出身の金子岩三さんという農水大臣が出現をされて、この金子さんは立派なことを言っておられました。この人は、南総計画に反対だ、長崎南部総合開発事業、今の諌早湾干拓事業ですね、これに反対だということを突如として発言をされたのです。そして、そのときにこのように語っておられる。「南総は二千億円を超える事業費がかかるといわれているが、仮に着工して十年、二十年後に完成する時には倍の四千億円に膨れ上がるだろう。こんなにコストがかさんでは酪農を中心とした干拓入植地として成功するはずがない。投資効果のない計画を惰性で続け、この財政再建の折に貴重な国費を乱費するわけにはいかない」、十五年前に、今私たちが言っているようなことを言っているわけですよ、まだ今でもわからない人たちも大勢いるわけですが。  こういうことで、防災対策ということが前面に出てきた。  そこで、五七年の諌早大水害というのはどのような状態だったかということをもう一回みんなで思い起こさなきゃいかぬわけです。  ここに地図があります。それで、主にはんらんしたのは——大臣、後で伺いますので、よく聞いておいてもらいたいのです。  本明川というのはここに流れておりまして、これが市内を通って、途中で半造川とかその他の小さい川と合流して、そしてしばらくこう来て諌早湾に注いでくるわけですが、むしろ、この途中で、市内で本明川があふれてきた。あるいは半造川でも雨量がふえたために流量がふえてはんらんをしてきた。したがって、市内の地域、諌早湾に至る相当手前の部分ではんらんを起こしているわけですね。  だから、建設省はさすがに防災の専門でありますから、ここのところの本明川を改修しなきゃならない、そして高水流量も抑えなきゃいけないというので、普通にいきますと、諌早湾の災害時の想定でいきますと、千七十立米がここを流れてしまうけれども、これは流れ切れない。これはもたない。だから、この千七十立米を、途中にダムをつくって二百六十立米ぐらいを調節水量としてここで調節して、そして河道への配分流量、要するにこっちへ流れてくる流量を八百十立米ぐらいに抑えようということで、そのために今のダム建設やら本明川の計画というものが話に持ち上がってきたわけですね。もちろん半造川だとかその他の河川についても改修が必要になってくるということなんです。  ですから、これが進まないと、幾ら諫早湾をどうこうしたところで、諌早湾のあの台風のようなものが来ると、ここに水がはんらんしてしまうのですね。  これは、建設省はどういうふうに思いますか。
  97. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 昭和三十二年七月の諫早大水害に際しましては、先生御指摘のとおり、上流に降った雨、それが中流部ではんらんをしたというのが三十二年の大水害の大きな原因であったというふうに受けとめております。
  98. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 というところまでは私の申し上げたとおりだというふうな建設省の理解だと思います。  そこで、農水省に伺いたいと思います。  もう一回確認しますが、そうすると、農水省は何のために諌早湾の干拓というのを進めるのですか。
  99. 太田信介

    太田説明員 国営諌早湾干拓事業でございますが、第一に、長崎県が非常に山間地が多くて平たんな農地が少ないということから、優良な農地を確保するということが非常に困難であったというところでございますが、この事業によりまして、平たんでまとまったかんがい用水が確保された生産性の高い農地を新たに生み出しまして、ここにおきまして畑作物あるいは肉用牛等の生産を進めようというのが第一の目的でございます。  第二に、諌早湾地域の背後地域は非常に土地が低く、台風あるいは集中豪雨に見舞われることが多くて、昔から、高潮あるいは洪水によって農作物が冠水し、住宅が浸水などの災害に見舞われてまいりました。潮受け堤防と調整池をこの事業によりまして整備し、あるいは内部の干拓地の整備を行いまして、このような災害に対する防災機能、そして優良な農地を造成するということを目的といたしております。
  100. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 さっき建設省は、災害に備えるには、干拓地よりはるかに上の方のこの地域が問題だ、こっちの方ではんらんするんだと言っているのに、農水省は、この先の方のこの干拓地だと。農業のこともおかしいですけれども、酪農をやるなんといって、これはまた言いますけれども、こっちの方の防災だと言うのです。  もう一回建設省に伺いたいと思いますが、この諌早湾の干拓を行うと、こちらの諌早市を中心として、市よりも河口に近い部分、これでいうと川内町だとかこの辺のかつて埋め立てられた地域ですけれども、この辺は防災対策となりますか。災害の危険が相当減少しますか。どうでしょうか。
  101. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 先ほど私がお答えをいたしましたのは、三十二年七月洪水の水害の実態はどうかというお尋ねでございました。それに対しまして、今回の潮受け堤防は、これは昭和三十四年に九州を宮古島台風が襲ったわけですが、このときは高潮の被害を受けております。そういう意味で、河川のこういう低平地におきます治水対策としては、上流からの雨の対策と海からの高潮対策と両方相まって初めて治水の安全性が保たれるということでございます。  そういう意味合いで、この潮受け堤防ができることによりまして、そういう海からの高潮に対する被害を防ぐという効果が反射的に出てくるというふうに考えております。
  102. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 ちょっと、局長、違うことをあなた答弁しないでくださいよ。私は、そこの潮受け堤防云々なんということは言ってないのですから、干拓事業と言っているのだからね。この干拓事業が災害を防ぐことになるのかどうなのかと言っているのだから、聞いたことに答えてくださいよ。
  103. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 干拓事業そのものは治水とは直接関係ございません。
  104. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 この干拓事業は治水とは関係がない、それはもうまさにそのとおりのことを今河川局長が初めて言われた。  ということは、農水省、もう一回聞きたい。今、建設省の河川局長は、これは防災とは関係がないと言っているのだけれども、どうなんですか、もう一回言ってください。——いや、大臣には後でちゃんと聞くから、最後の断を下してもらうから。
  105. 太田信介

    太田説明員 この事業、干拓事業という名前でございますが、実際に整備する内容としては、複式干拓ということで、潮受け堤防、調整池、そして内部に設けます干陸地、この三つのセットになっておりまして、そういった意味で、潮受け堤防と調整池自体は防災的な機能を発揮することが可能だということでございます。
  106. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そうすると、今河川局長が言った高潮対策だけということになりますよ。それでいいのですか。
  107. 太田信介

    太田説明員 建設省さんの方で実施いただきます水害対策につきましては、本明川の上流に降りました雨が大水となりまして中下流部を流れまして、そこではんらんして被害を起こすことを防ぐために上流にダムを建設する、あるいは中下流部の河道整備を行っていただくという内容でございます。  農水省の方の防災対策につきましては、潮受け堤防と調整池をつくることによりまして高潮災害を防ぐこと、それから潮汐の影響を排除して調整池の取水を低く管理することによりまして、本明川流域以外のところも含みまして諌早湾周辺地域の洪水の排除及び常時の排水不良の改良を行うという内容になっておりまして、建設省と農水省、両方の事業によりまして、高潮、洪水、排水不良への対策が初めて可能になるという内容でございます。
  108. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 だんだんはっきりしてきましたが、建設省の本明川等の河川の改修工事あるいはダム工事、そうしたものと相まって防災対策になる、現在のところは高潮対策だけであるということを言われたと思うのですが、そうすると、先ほどの答弁では、本明川のダムあるいは改修工事というのは、まだ計画もできてない段階だから、いつになるかはわからない。  そうすると、今、農水省が考えておられる防災ということの効果というものは、いつになるかわからないということですか。考えてはいるけれども、いつになるかわからないということですか。
  109. 太田信介

    太田説明員 先ほどもお話しいたしましたように、諌早湾干拓事業は、優良農地の造成と周辺地域の防災機能の強化を目的として置いています。  防災機能の強化のうち、高潮対策と常時排水の改良につきましては、本明川の治水計画とは直接的には関係がございませんで、別途に効果の発現が可能だということで、地域からも早期実現を強く要望されている状況にございます。また、優良農地の造成につきましても、早期完成が求められているという状況にございまして、そういったことから、本明川の治水工事に先立ちまして事業推進しているところでございます。
  110. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そうすると、盛んに農水省は高潮対策、高潮対策、こう言うわけですね。高潮対策は結構だと思いますよ。だから、さっきも河川局長が何か口を滑らせて、聞いてもいないのに潮受け堤防の話をされましたけれども、潮受け堤防、私はそのことが悪いとも何も言ってないわけですよ。潮受け堤防は、高潮対策のためにはそれは効果はあるでしょう。だけれども、あそこに二千三百七十億円投じて、あるいは恐らくもっとかかるでしょう、投じてやる事業を防災対策だと言って、いかにもあれをやれば諌早水害のようなことが起こらないようなイメージを植えつけながらやっているということは、私はけしからぬ話だと思うのですね。  高潮対策だけだったら、それだったら、高潮が起こる危険のないときはあの潮受け堤防をあけることはできるじゃないですか。建設大臣、ここで答えてください。
  111. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 委員はいつから国会議員をやっておられるか私は正確には知りませんが、委員が所属しておられます政党の幹部を初め相当大勢の方々は、相当長い国会議員の御経験があるように私は承知をいたしておりますが、この工事は去年、ことしてやったことではございません。非常に長期間、今まで一千七百億の金を投じてやったわけでありまして、これは、先ほど農水省からお話がございましたように、あくまで優良農地を取得するという目的でつくられた。あわせて、その干拓地に対する高潮からの被害を防ぐということを含めて堤防がつくられたという経緯があることは御承知のとおりでございます。  それを国としても、今までどの政党からも何の批判もされることなく今日まで来て、完成したので、スケジュールに従ってこの門を閉じたということでありまして、それによって、残念ながら建設省のダム建設等、河川改修等が十分進捗しておりませんから、全体の洪水を防ぐことについては我々はまだ大丈夫ですよと申し上げる状況にないことは遺憾に思いますけれども、高潮の点についてはこの堤防のおかげでそれが防げるということでございまして、そういう意味では、私は、現時点も効果が生まれている。  なお、千七百億を既に、今からやるというのではありませんからね、国会議員も政府も認めて、もうつぎ込んでしまっているのです。そうすると、あとわずか足せばこんな国土の狭い日本に新しい優良農地が生まれるわけですから、今から何十年かのサイクルで考えれば、国土の狭い日本に優良農地が確保できるということは、将来の世界の食糧事情等から見た場合も、私は、ここでやめてしまえと千七百億円パアにするよりも、あとわずか足してできるのならいいというのは、国民的コンセンサスだと思います。ここでやめてしまいましたら、ムツゴロウ一匹が何万円あるいは何十万円という値段になってしまうと私は思いますよ。  そういうことを選択すべきなのかどうか、まさにその問題でありまして、洪水については私ども建設省がまた御協力をいただきながら全般的に対応していくもの、ただ、高潮対策という面については、反射的利益として私は防災上の効果があるというように言っておるわけであります。
  112. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 民主党は去年できたばかりでございまして、余り昔から反対していたというわけではないわけです。  それはともかくといたしまして、大臣の御説はそれなりに一つの高い御見識であって、千七百億円パアにしてしまうなんということは、私もそんなことは望んでいるわけではありません。ですから、あの潮受け堤防は取り外せと言っているわけではない、取り外すには千七百億円ではなくてもっとさらにお金がかかりますから。取り外す必要もない、あれは高潮対策に私は役に立つだろうと思いますよ。  だから、今おっしゃるように、今のところは高潮対策だけです。ですから、何も高潮が来ないのに、ムツゴロウやら何やら、あそこの漁業者はたくさんいるわけですよ。昔からあそこで、古風なというか伝統的な方式でいろいろな魚介類をとったり、魚をとったり、あるいは鳥も飛んできて、やっているわけですね。だから、高潮の危険がないときはあけておいたらどうですか。
  113. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 これは私が答弁することではないかと思いますけれども、申し上げますと、今後あれを、干拓事業は、あとわずか足してやっていくんだという意思が恐らく私は明確だろうと思いますよ。だから、それを委員はお認めになりますか。いや、だから問題はそこなんですよ。  それは、事業はきっちりとやっていく。それまでの間に、あそこの海水面ですね、今閉じています。それが水質面その他について、干拓が完成されるまでの間どぶ池になっていいわけではありません、環境問題も出てきますから。水質その他について、門をあけたり閉じたりするような調整をしながら水質を良好な状態に保全をするということは、これは私は別の次元の話だと思います。  問題は、もうあれはやめてしまえという形で、膨大な千七百億をかけた事業をこの際やめてしまえということと関連した形であの門を閉じるとかあけるとかということがされるということはおかしいと私は言っているわけであります。水質保全という観点から、干拓事業推進する上において支障のない範囲であれば、それは臨機応変にやればいいことであって、それは私は現場の判断に任せればいいことだと思うのです。
  114. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 一九五二年にこの計画が出たときに、ここへ酪農家四十二戸、八・一ヘクタール、肉牛肥育経営三十戸、三・五ヘクタール、野菜農家五百二戸、二ヘクタール、農地が千四百七十七ヘクタール、こういう干拓農地をつくるというわけですが、これで値段をつけるとどれぐらいになるかというと、これは今どきとても買えるような値段にならない。  恐らく農水省は、これでもって補助金を湯水のごとくどんどんつけて、そして何とかここを意地でも農地にしたいというふうに思っているのだろうと思いますけれども、では、具体的な農地をつくるその計画を言ってみてください。
  115. 太田信介

    太田説明員 営農計画でございますが、増反、いわゆる周辺の農家が自分の農地をふやすという形で、もともとあった農地、それからこの干拓地の中に求めた農地、これを合わせて経営する形の野菜作経営、それから肉用牛の肥育経営、これが増反による内容になっております。それから入植につきましては、酪農ということでございますが、都市近郊等の酪農家が経営をそちらの方からこの干拓地に移転するといったことも含む内容になっております。  それぞれの経営につきましては、最近におきます野菜の単収、一頭当たりの乳量、生産資材費等の実態を踏まえまして農地価格を算定の上、平成八年時点で経営収支の算定を行いまして、長崎県の新農政プラン、平成五年につくられまして十三年を目標としたプランでございますが、それにおきます所得の目標七百万円から八百万円の範囲を確保できるということを検証いたしております。  こうした営農類型につきましては、モデルとして示しておるものでございまして、干拓地に増反あるいは入植して営農される方々の創意工夫を縛るという内容ではございませんで、むしろ、それぞれの農業者がその経営能力を十分に発揮していただくということを想定したものでございます。  干拓地におきます生産性の高い魅力ある農業には、若い担い手の参画が期待されます。長崎県におきましては、営農開始当初に少ない自己資金で営農を可能とするような方法だとか、あるいは営農者の研修指導等の支援策についても検討を進めていただいているところでございまして、県、市町、農業団体等と一体となりまして営農の具体化を図るということにしております。
  116. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そんなことは、時間がないから言いませんけれども、私は余りにもいい加減過ぎる話だと申し上げたい。  それから、漁業補償で二百七十億円ぐらい漁協に出しているのですか。これはこの間どこかで言ったけれども、何か一人当たりか一戸当たりだか、千九百万円とかなんとか言っているのだけれども、それは、私は補償するのは生活の補償だから悪いことではないと思うのですが、どういう算定でやっているのですか。  漁業に従事されている方々は、今まで先祖代々、これからも子孫も漁業に従事していくことができるのに、それをその生活権を奪って、幾ら払ったのか知らないけれども、それはどういう算出の基準、根拠でこういう金額を払ったのですか。
  117. 江頭輝

    ○江頭説明員 今御指摘の漁業補償の件でございますけれども、湾内の漁業補償額が総額で二百四十三億円であります。それで、組合員、準組合員、いろいろな漁業の経営の形、規模があるわけですけれども、単純に平均すれば千九百万円、このようになります。この漁業補償につきましては、漁業者との長年の話し合いに基づき合意されたものでありまして、適切に措置されている、このように考えております。
  118. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 何度か交渉が続けられて、いろいろ、がたがたすったもんだしながら、またふやしたりとかなんとかいう経過でこうなってきたようですが、これは、私は、結局は漁民の皆さんがいいようにしてやられたんじゃないかと思いますよ。私も行ってみましたけれども、あの広大なすばらしい漁場で、先祖代々漁業を営んできた、将来もそういう場所なんですから、それをたかだか千九百万円で召し上げるというのは、これはやはりこういう点でも漁民の皆さんを愚弄した話じゃないかというふうに思います。別に、私はもっと高い補償を出せと言っているんじゃないのです、この事業そのものがおかしいから。  それで、最後に一つ伺いたいのですが、先ほどの話ですが、そうすると、建設省河川局は、この事業が当面進められても、この諌早市を中心とした湾の上流域、今の市内の地域ですが、このあたりの洪水等の可能性は、諌早程度のそういう台風、あのころぐらいの台風が来ると、ここは冠水する可能性というものは依然として改善されていないということですか。
  119. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 諌早大水害のときの降雨は、これは集中豪雨でございまして、そして高潮との関連、両方見ながら治水計画を本来つくっておるところでございます。  ただ、先ほど来御答弁申しておりますとおり、現在の治水事業全国的な整備水準が算定目標に対してまだ五二%というのが全体的な数字でございます。そういう中で、諌早水害と同じような豪雨が降った場合、すべての被害を防ぐということにはならないと考えております。
  120. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 いや、改善されないでしようというのです。もう一回言いますよ、本明川のダムだとか、あるいは改修工事というものがまだ計画ができてない段階だから、そうすると、以前のような状態はまだ変わってない、したがって、冠水の可能性というものについては改善されてないでしようと。
  121. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 今回の潮受け堤防によりまして、調整池の水位がマイナス一メートルに保たれておりますので、諫早水害のときは海面の高さが二メートル五十まで上がっております。そういう意味合いでは、そこのところの調節能力によりまして改善される面が出てくるというふうに思います。
  122. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 ちょっと今の質問はあれだから、だから、それはさっきの高潮の話であって、上からの水は違うでしようと言っているのですよ。
  123. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 上からの水の議論でございまして、上からの水も最終的には海面に着きますので、この海面の水位がどこにあるかというのが非常に大きく影響いたします。それで、ここではマイナス一メートルまで水位を下げておりますので、そういう意味合いで、治水上の効果期待できるという理解でございます。
  124. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 いや、もう時間がなくなってしまったからいいですけれども、海面は関係ないのですよ。
  125. 市川雄一

    市川委員長 辻第一君。
  126. 辻第一

    ○辻(第)委員 きょうは、交通安全の問題について質問をいたします。  昨年は、国民皆さん関係省庁皆さんの御尽力で、一年間の交通事故死者数が一万人を切りました。九千九百四十二人でございました。しかし、まだ一万人近い方が、事故後二十四時間以降の方を加えますと、一万人をはるかに超える方が、かけがえのない命が失われる、また、膨大な方の負傷者が出ているのでございます。依然として、極めて深刻な、重大な問題だと考えます。まず最初に、交通安全問題について一層の御尽力をいただきたい、道路管理者でございます建設大臣の御所見を伺いたいと思います。     〔委員長退席、増田委員長代理着席〕
  127. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 しょっぱなから当てられまして、ちょっとぼさっとしておりましたが、委員指摘のように、一万人という大変な数であります。一万の棺おけがずらっと並んでいることを想像しただけで、これは大変な話でありますが、これについては、もちろん警察を初め、各省庁国民の方々が大変な御努力をしていただいて、昨年はそれを切るという成果を上げたわけであります。  これについては、やはり一つは、交通安全運動というような運動、ドライバーが心がける、警察が取り締まる、そういうこともありますけれども、私は、やはり道路構造上の問題がある。道路構造上きちっとした上で、死者が出る、事故が起きるというのなら仕方がないわけでありますが、そういう意味では、中央分離帯もできていない、歩道と車道との区分もきちっとできていない、そういう状況の中での交通事故は、ある意味では人災であると私は思います。  そういう意味では、共産党におかれましても、ぜひ、道路予算を初め公共事業をしっかりやれという御支援を賜りたいと思います。
  128. 辻第一

    ○辻(第)委員 きょうは、具体的な、名阪国道の問題でお尋ねをいたします。  もう御存じのように、一般国道二十五号線、自動車専用道路ですね。東海と関西を結ぶ大動脈です。奈良県を東西に横断をしているのですが、一日に六万台を超えるようです。それで、昭和三十八年に着工して、昭和四十年に大部分が供用開始された。当時の河野一郎建設大臣のもとで、いわゆる千日道路と言われて、緊急工事、突貫工事で建設をされた、こういう道路でありますが、昨年一年間で、千四十四件の事故件数ですね。人身事故は百四十件で死者は十二人ということであります。昨年は全国的に少し減ったのですが、ここは昨年はふえておるのですね。事故件数で三十七件、人身事故で十六人、死者は四人ふえております。  この中でも、大阪行きの車線で、高峰パーキングから天理東インターまでの七・二キロメートル、ここは標高差が約四百メートルですね。そういうところでありますので、六とか五%の急勾配、また急カーブがいっぱいあるということですね。ですから、魔の急カーブとか急勾配とか言われて、ここに重大事故が集中をしているということでございます。全国の高速とか自動車専用道路の中で、一キロ当たりの死亡事故の発生率が二番目に多い、こういうふうに聞いています。  私も最近自分でハンドルを持つときはこの道を通るのほかなわぬのです。ほかの一般道を通る。それぐらい僕はこのごろこの道が怖いですね。そんな状況。その重大事故は主に大型トラックだとか大型トレーラーによって起こっているようであります。  さて、大臣、先ほどいろいろ話がありましたが、ここは道路の構造上の問題があるのですね。かなり古く、そして突貫工事で今の状況を想定しない状況の中でつくられた。それから、西側と東側が高速自動車道で、ここだけが一般国道自動車道ですから、やはりスピードを出すのですね、出るのですね。  そういういろいろな状況、いろいろな要件が重なっておるわけでありますが、私はやはり構造上の問題も大問題だと思うのです。先ほど申しました急な勾配だとか急カーブ、あるいは、これまでいろいろ建設省も御努力をいただいて、私どもも地元ですので何度かここの問題で御要望を申し上げて、いろいろ改善に努力をしてもらったわけでありますが、そこで、事故を減らすためにどうするのか、そういう点で何点か提案をし、お尋ねをしたいと思うのです。  建設省としては、スリップ事故を減らすために排水性舗装の整備というのを大変御尽力をいただいて、これは非常に効果があったようでございます。約六割の道路まで普及しているというふうに聞いています。また、インターチェンジの改良もいろいろと進めていただきました。この排水性舗装あるいはインターチェンジのさらなる改良、これは全箇所で進めていただきたいと思うのですが、建設省答弁を求めます。
  129. 佐藤信彦

    佐藤信彦政府委員 名阪国道でございますが、先生おっしゃられるとおり、昭和三十年代に規格ができた道路でございます。したがいまして、不十分なところがあれば、供用後、そういった対応を何らかの形でやっていかなくてはならぬといったことで、いろいろ整備を進めてきているところでございます。  その中で、ただいまおっしゃられたように、スリップ事故に対しましては透水性舗装、それから中央分離帯の剛性化とかいろいろございますが、透水性舗装につきましては、今までやっていたものに加えまして、平成九年度はさらにそれを十一キロふやすといった形で、名阪国道七十三キロのうち危険なところを早く整備していきたいといったことで考えております。  それから、路肩がやはり十分でないところがかなりあるといったことで、路肩につきましても、平成九年については三キロ。それから中央分離帯、これは中央分離帯を飛び越して反対車線に飛び込むと大事故になりますので、そういったところについては中央分離帯の下にコンクリートの押さえでございますが、剛性化と私どもは言っておりますが、これについても一キロ。それからインターが比較的簡易なインターでできております。これも五カ所を整備していくといった方向で進めております。  今後も、そういったことで名阪国道の総合的な交通安全対策についてやっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
  130. 辻第一

    ○辻(第)委員 それから、やはり渋滞も、最近車がどんどんふえまして大変な状況を迎えていると思うのですね。そういう渋滞を解消することも大事ですし、登坂車線を大分つくっていただきまして、これは非常にありがたいことだったわけでありますが、できれば車線をもう一車線ふやすということになれば渋滞もなくなり、もっと安全性が高まるのではないか。そういう点でもひとつ御尽力をいただきたい。  それから、今お触れになりました路肩の幅も狭いのですね。あれが広いのと狭いので大分事故の度合いが違うというふうに聞いておりますので、ぜひその辺も御尽力をいただきたいと思います。  それから、今のあの道路のままではやはり限度があるのではないかというふうに思うのですが、そういう点で、建設省にも、いわゆるバイパスですか、そのようなお考えもあるのではないかというふうに聞いておるのですが、いかがでしょうか。ただし、もしそういうものをつくっていただくということになりましたら、また大臣嫌がるかもわかりませんけれども、住民参加、住民合意、十分なアセスメント、そういうことでやっていただきたいというふうに思うわけですが、いかがですか。
  131. 佐藤信彦

    佐藤信彦政府委員 渋滞対策等でございますが、渋滞対策につきましては、現在できておるものについて登坂車線等の整備を行っているところでございます。さらに、そういったハード的な意味だけではなくて、情報板とかそういうものを活用することによって、別の路線を回っていただくとか、そんなことにも努めております。  その次におっしゃられました名阪国道の近畿寄りの方の非常に下っていくところとか縦断勾配が非常に急なところ、最大六%とか七%とかいっておりますところとか、それから線形の非常に悪いところ、こういったところについては、やはり事故が大分あるといったことで、九年度、ことしからでございますが、そういったところについての交通等の調査を始めているところでございます。  そういったところでございますが、何分にもこういった時期で事業費が大分抑えられておりますので、調査を十分やった後にいろいろ対応等を考えていきたいというふうに思っております。
  132. 辻第一

    ○辻(第)委員 そして、ここで起こる重大事故は、先ほども触れましたが、大型のトラックとかトレーラーというものが重大事故の中心的な問題点になっているわけですね。そういう点で、長距離のトラックの運転手の皆さん方は非常に長時間働いておられますね。そして、疲労の蓄積の上に仕事をされておる。そういう中で、事故の一番原因は前方不注視とかいうのですね。それからもう一つは、動静不注視というのが一番の事故の原因だそうですね。もっと平たく言えば、疲労が高まって、そして判断力だとかそういうものが鈍くなって、中にはちょっと瞬間的居眠りとかいうようなことがありますね。そういうことが事を起こしているのではないかというふうに聞いているわけです。  あの名阪国道では、僕も経験があるのですけれども、眠たくなっても休むところが余りないのです。僕らは小型ですからまだましですけれども、大型のトラックなどが休憩する場所が非常に少のうございます。あっても狭くてとても入れない。ですから、高速バスの停車場があるのですね。そこはちょっと広いのですね。そこで休んではいけませんと書いてあるのに、そんなところで休んでいる大型のトラックを見たこともあります。この土地を僕もちょっと調査に行ったら、やはりそんなものを見ました。それから、インターチェンジに入る道路周辺、そこにいっぱい並んで仮眠をとっている大型車をたくさん見ました。そんなことで、休憩ができるサービスエリアなんかが非常に少ないということと、あっても非常に狭いからとても利用できないという状況です。  私の聞いたトラックの運転手さんは、東京と大阪を往復をしておる人でありましたけれども、愛知県の上郷というところに大きなサービスエリアがあるようですね。ここは非常に大きいから十分使えるのだけれども、ほかのところは使えないので、名古屋から大阪までノンストップで走るんだ、こういうことでありました。  そこで、私は、やはり建設省としても、トラックなどが休憩できるサービスエリアなどをもっと十分につくっていただいて、長距離の運転者が休憩できるような体制をぜひとっていただきたいと思うのですが、いかがですか。     〔増田委員長代理退席、委員長着席〕
  133. 佐藤信彦

    佐藤信彦政府委員 建設省におきましては、全国の主要な幹線道路におきまして、交通安全の確保という観点から、長距離の交通といったものについて、運転する方の疲労を防止するといったことで、休息するための駐車施設といったものの整備を行っているところでございます。一般道路につきましては、今回の五カ年計画から道の駅といった形で進めておりますし、こういった高速道路につきましては、サービスエリアをつけていくといった方向で進んでおります。  現在、名阪国道につきましては、七十キロの区間で、上下線方向におのおの三カ所ずつございます。ですが、大型車の駐車できるスペースが必ずしも十分ではないといったことで、こういったところを十分に活用できるように、これから整備を進めていきたいというふうに思っております。
  134. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ、サービスエリアなど、大型車が十分休憩できるようなところをつくっていただきたい、重ねてお願いをいたします。  きょうは労働省と運輸省にも来ていただいていると思います。御苦労さまです。  トラックの運転者、非常に長時間の労働、非常に厳しい労働条件の中で働いておられるわけでありますが、私も何度もこの問題を取り上げたことがあるのですけれども、依然として長時間労働が続いております。労働省、まずその認識と対応についてお尋ねをしたいと思います。
  135. 松井一實

    ○松井説明員 お答えさせていただきます。  トラック運転手の労働条件の改善という点でございますけれども、まず数値的なこと、平成八年で道路貨物運送業の年間総労働時間、いわゆる毎月勤労統計、これによりますと二千二百四十九時間でありまして、実はこれは前年の数字と比べますと四十五時間ほど減少はしております。しかしながら、御指摘のように、いわゆる全産業計という数値、これが実は一千九百十九時間でありますから、これから比べると依然相当長いという実態があることは否めません。  次に、労働省の対策ということなのですけれども、労働省としましては、運送業につきましては拘束時間というものと運転時間というものにつきまして上限基準を定めまして、これを告示として示しております。もちろん、この告示を定めるに当たりまして、労使で十分話し合っていただくということをやっておるのですけれども、これで指導を進めてきております。実際、この告示につきましては、実はことしの四月から週四十時間労働制ということになりましたものですから、その前、ことしの一月にこの告示を改善するという作業をいたしてもらいまして、拘束時間や運転時間につきましてその上限をさらに短くするといったような改正をいたしております。  したがいまして、この改正後の基準というものを今関係者の方々に十分周知するというか、徹底するための作業をやるとともに、特にトラックにつきましては、いわゆる監督署、こういった監督官が指導してまいるのですけれども、その指導監督に当たっての重点対象の一つにして徹底を図るという対応をさせていただいております。  ただ、これはいかんせん労働行政だけでということでカバーし切れませんので、今後とも関係行政機関とも連携を図りながら、特にトラック運転者を含めました自動車運転者全般につきましての労働時間の短縮等を含めて、いわゆる労働条件の改善ということに努力していきたいというふうに考えております。
  136. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは運輸省にお尋ねをいたします。  今申し上げましたように、本当に長時間労働ですね。そういうことを生み出していくような環境の問題を含めて、運輸省としても十二分の対応をしていただきたい。この問題は繰り返し私も要望してきたわけでありますけれども、一層御尽力をいただきたい。労働省とも力を合わせてやっていただきたい。お尋ねをいたします。
  137. 三宅哲志

    ○三宅説明員 お答えいたします。  運輸省といたしましても、事業用自動車の運転者の過労防止対策というのは、交通事故を未然に防止する上で非常に重要なものであるというふうに認識しております。このために、運送事業者に運行管理者という専門の職でございますけれども、その方々を選任させまして、運転時間を自動的に記録するような運行記録計というものを自動車につけてございますが、これなどをもとに、運転者ごとの運転時間を把握させております。これらをもちまして、事業者監査などにおきまして、基準の違反が見られた場合には処分を行っております。また、処分を行った際には、労働省との間で相互通報を行ってございます。  それから、過労、過積載、速度超過といったものは重大事故になりやすい要因でございますので、これらに関します法令違反というものが見受けられた場合には処分を行いますけれども、その処分基準というのをこの四月から大幅に強化しております。  運輸省といたしましても、今後とも、事業者監査などを通じまして、過労運転の防止について指導、徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
  138. 辻第一

    ○辻(第)委員 今思いついたので恐縮なのですが、運輸省は、陸運支局というのがございますね、そこで第一線の御指導をいただいているのですね。輸送課というのがありますね。本当に数が少ないですね。そして、庶務の仕事もしていただいていますね。僕はいつも言うのですけれども、あの少ない人数で、トラックも観光バスもタクシーも全部御指導していただかなければならない。それが、一生懸命話をしていただいたり、御指導をいただいても、なかなか話に入っていけないという状況があるのと違いますか。  ですから、私は、ああいうところはもっと体制を強化をして、今はどんどん人減らしの流れでありますけれども、ああいう本当に必要なところには十分人を配置していただきたいということを今ちょっと思いついて言ったのですけれども、何か御答弁は。
  139. 三宅哲志

    ○三宅説明員 お尋ねのように、陸運支局で運送事業者の監査を行っておりますが、輸送課というのとそれから整備課というのがございまして、その合体で監査を行っています。平成七年の監査でございますが、トラック、バス、ハイタクなど、千五百六十六事業者を監査しております。トラックが大半で、九百四十二事業者を監査しております。  以上でございます。
  140. 辻第一

    ○辻(第)委員 ひとつ、あなたの一存ではどうにもならぬと思いますけれども、運輸省として、本当に重要なところにはきちっと人を配置して十分な対応ができるように御努力をいただきたい、お願いをいたします。  最後に、この名阪国道を維持管理していただいておるのは奈良国道工事事務所ですね。その中でも奈良維持出張所というところ、これが直接的に管理をし、安全を守っていただいているのです。ここも十六名の方でやっていただいているのですが、常勤職員は十六名のうちたった五人なんですね。あとの方はいわゆる業務委託だとか非常勤の職員であります。  業務委託にしても非常勤の人も一生懸命やっていただいているのですよ。それは一生懸命やっていただいているのはわかるのですが、緊急の場合、雪が降りますと凍結をしますし、いろいろな異常事態、非常事態というようなときの体制ですね。そうなりますと、やはり常勤の方が中心にならざるを得ぬのです。そういうときにはやはり二十四時間勤務だとか、ひどいときは三十六時間連続の勤務ということがあり得るのですね。  そういう点で、今定員削減計画ということで、もう何十年来どんどん定員が削減をされているわけです。しかし、その分を業務委託だとか非常勤の職員でカバーしておられるというのが現状です。ここは特別その割合が多いのですが、国道工事事業所その他のところでもそういうことになっているのです。やはり本当に必要なところ、本当に大事なところには、とにかく定員削減ありきということでずっと削っていくのではなしに、そういうところは十分な対応をいただいて、増員をしていただくとか常勤の職員をふやしていただくとか、そういうことをやっていただきたいと本当に思うのですね。  これは直接、建設省のなにでありますけれども、北海道の豊浜トンネルの事故の教訓でも明らかなように、安全で良質な社会資本の構築を進めるためには、やはり必要な職員を確保し、専門技術や知識の面でも蓄積されていくことが必要ではないか、このように思うわけであります。こういう点で、建設省として十分の職員の体制をとっていただきたいと強く望むのでありますが、御答弁をいただきたいと思います。
  141. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 委員におかれましては、建設省の現場で昼夜問わず仕事に精励をしている職員の実態を把握していただきまして、そういう現場の声を私どもに届けていただいておるということに対して大変敬意を払いたいと思います。  私ども、今、行政改革の厳しい嵐の中でありますけれども、結局、すべてをロボットでやったり機械化できるわけではございません。安全あるいは利便、いろいろなことについての最終的な責任というのはやはり人が負うわけでありますから、特に現場の職員の苦労というのは大変なものがあろうかと思います。そういう意味では、マンパワーをいろいろな形できっちりと忙しいところにできるだけ配置をしていく、そういうことを含めて努力もいたしたい、このように考えております。  ぜひひとつ、委員におかれましても、今後とも職員のそういう苦労に対しましていろいろとねぎらってやっていただければと思います。我々も頑張ってまいりたいと思います。
  142. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間が参りました。終わります。
  143. 市川雄一

  144. 中島武敏

    中島(武)委員 私、きょうは、今社会問題になっている諌早湾干拓問題に関連して、主として防災の観点から質問したいと思っております。  農水省、来ておられると思いますが、最初に農水省にお聞きいたします。  農水省は諌早湾の干拓事業によって防災効果があると強調しておられます。堤防で高潮を受けとめる、海面より低く保った調整池で河川の流入をため込む、そして引き潮時に排水門から吐き出す、こういう仕組みで防災を解決できる、そういうふうに強調しておられると思うのです。  ところで、これに対して市民団体等から疑問が提起されております。農水省からきのう出してもらった資料によりますと、締め切り面積三千五百五十ヘクタール、調整池面積千七百十ヘクタール、干陸地面積千八百四十ヘクタールの現計画によって、締め切り面積、これは諫早湾防災対策検討委員会中間報告にあるものですけれども、締め切り面積三千九百ヘクタール案とほぼ同様の防災効果が見込まれ、妥当な規模である、こういうふうにされております。  しかし、この中間報告の三千九百ヘクタール案では、干拓ができても、洪水時には背後地の旧干拓地で広範な浸水被害が起きることが想定されております。三千九百ヘクタール案によりますと、湛水面積、浸水面積ですね、湛水面積が二千三百ヘクタール、最大湛水深、深さですが、二・五三メートル、最大湛水時間二十八時間、家屋床下浸水百八十戸、床上浸水九十一尺こういうふうに想定されております。  この間、五月十三日、十四日に、大した雨じゃなかったのですけれども、相当広範囲に浸水がありました。私は、防災対策というのは、床上浸水、床下浸水の家屋被害を抑えること、なくすることはもちろんですけれども、浸水地域をなくするように対策をとることではないかと思っているのです。この点で農水省の見解を伺いたいと思います。
  145. 太田信介

    太田説明員 諌早湾防災対策検討委員会におきます中間報告書でございますが、漁業者の意向を踏まえた漁場の確保、防災機能の確保、こういった観点から締め切り面積を比較検討して、これを中間的に取りまとめたものだということでございます。  この中間報告をもとにしまして、さらに漁業関係者との調整を行う中で、先生御指摘のとおり、農地造成面積を削減する等によりまして調整池容量をできるだけ大きくして、堤防構造等の見直しも行いながら、三千九百ヘクタール案と同程度の防災機能を確保した、締め切り面積を三千五百五十ヘクタールといたします現在の計画策定しております。  中間報告書におきます三千九百ヘクタール案、それから現計画におきます三千五百五十ヘクタール案では、計画しております高潮洪水、これは伊勢湾台風クラスの高潮に対しまして、諌早湾大水害の洪水が一緒に起きたときの災害でございますけれども、この場合に家屋の床上浸水等が生じるという実態でございまして、そういう推計ができますけれども、現在の締め切り規模につきましては、長い期間をかけて、先ほども申し上げました漁場の確保あるいは防災の観点を含めて、地域関係者、漁業関係者、農業関係者、県、市町村等々の調整を経て地域の総意として取りまとめられたというものでございます。  一般に排水計画におきましては、費用と効用の観点から整備水準を決定するという状況にございまして、この結果としてでございますが、伊勢湾台風級の高潮と諌早大水害級の洪水、これが同時に発生した場合という発生頻度の非常にまれな災害においてこうした湛水被害が生じることはやむを得ないというように考えております。
  146. 中島武敏

    中島(武)委員 今、地元の何回もの話し合いの中でこれでいこうというふうになったんだ、いわば地元皆さんの要求だ、こういうお話なんです。ただ、今、直接の漁業者とかそういう人たちの話、私自身はわからないわけではありません。また、農民の方の要求もわからないわけではありません。だけれども、協議を重ねてそれらの人たちの要求を入れてつくったと言われるんですけれども、今これだけ社会問題になってきたという状況の中で、世論調査をいろいろな新聞がやっているんですね。  これはもう既に御存じだと思うのですけれども、朝日新聞全国調査を見ますと、「いったん排水門を開けた方がよい」というのが五八%、それから「開けない方がよい」というのが一二%。地元中の地元である諌早市の調査はどうかというと、あけるべきだというのが四九%、それから、あけない方がよいというのが二六%という格好で、ほぼ倍ぐらい、地元でもやはり水門をあけなさいという話になってきているわけですよ。  毎日新聞の調査を見ましても傾向は同じでありまして、全国的には、諌早干拓中止というのが五一%、推進を求めるというのが一七%。地元の長崎県の調査も、推進すべきは三一%に対して、中止すべきが四三%、こういうふうになっているんですね。  私は、こういう結果が出ているということについては、やはり農水省としても考えなければならない問題じゃないだろうかということを思うのですね。  私は、防災の観点から、今度は建設省に伺いたいのですけれども、建設省で治水対策を行う場合に、事業が完成してなおかつ浸水被害があることを想定した、そういう事業のやり方ということをやるでしょうか。そういう場合があるでしょうか。  私は、基本的に言いますと、建設省皆さんがやっていらっしゃるものをこんなふうに理解しているんです。もう百年に一回なり何年に一回なりの大雨が降る、そのときの基本高水流量がどれぐらいになる、それを治水対策によって講じなきゃいかぬのでこれこれこういうふうなやり方でこれを防ごう、こういうふうに対策を講じるのが建設省の考え方じゃないかなと思うのですけれども、どうでしょうか。
  147. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 御指摘の河川の水そのものを外には出さない、一滴も外に出さない、計画規模以下の洪水に対してはそういうことで計画をいたしておりますが、ただ、堤防と堤防で挟まれましたいわゆる内水問題、この内水問題の処理におきましては、便益性を考えて、例えば水田等についてはある程度の湛水を許容する、そういうことを考えた上でポンプの規模等を決めております。
  148. 中島武敏

    中島(武)委員 つまり、ポンプの規模などを決めて排出をする、こういうことをおやりになるということですね。私も、それはそうだと思うのです。だけれども、今さっきから申し上げておりますのは、農水省のこの計画というのはちょっと違うんだね。さっき紹介しましたように、浸水面積だとか、広大なものが浸水する、それから、床上浸水、床下浸水なんかもやはり出てくるということを認めているんです。私は、そういうことからいうと、これは本当の治水対策というふうな名前を使ってよいのか、初めからこの干拓工事というのはそういうことを許容するという前提に立ってつくられている。だから余り、率直に申し上げて、これは防災のためのものだ、こういうふうに言うのはどうかなという気がするんですよ。  それで、何でこんなことになってきているのかということなんですけれども、これはやはり、農水省のもともとのこの事業の目的というのは農地の造成だったんですよ、もう御承知のことですから余り申しませんけれども。しかし、政府が米余りで減反政策に転換をする、それからさらに、畑作も新たに農地造成をするという合理性がなくなってくる。そうすると、そこで防災対策ということを事業目的に追加されたんじゃないか。だから浸水被害が予想される防災対策という非常に奇妙なものになったんじゃないか。だから、防災対策ということは、ちょっと言ってみれば国民だましじゃないか。こういうことはやめるべきじゃないかと率直に私は思います。そういう言葉を使うことはやめるべきじゃないか。そして、初めに干拓ありきという立場でやるものですから、環境の破壊だとか、あるいは干潟だとか貴重な自然だとか生物だとかを死に追いやる、これもやはり私はやめるべきじゃないか。  まだ後でいろいろと論じたい点があるのですけれども、私はそういうことをはっきり申し上げて、ちょっと次の問題に移りたいのですけれども、本明川の治水対策について伺いたいのです。  これは、この治水計画というのはどうなっておりますか。簡単にちょっと言ってください。
  149. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 本明川の治水対策は、百年に一回起こる、そういう洪水を対象に計画をつくっております。
  150. 中島武敏

    中島(武)委員 そうなんだそうですね。工事実施基本計画策定されて、私も資料としてこれもいただいており、また読んでおります。  ところで、掘削は一体どうなっているか、特にこの河口部はどうしているかという点を伺いたいのです。私、視察したのです。よく目で見ました。広い河口部、いや、土砂が随分たまっているんですよ。あんなに土砂がたまっているんだけれども、一体掘削はやっているのかなということを思いましたけれども、どうですか。
  151. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 河口部の河道断面につきましては、大きな傾向としては堆積傾向にございますが、現時点において治水上支障があるというふうには考えておりません。そして、そういう治水上の支障が出てくるなら当然掘削をするということになります。
  152. 中島武敏

    中島(武)委員 あなた、その答弁されたんですけれども、実際見ましたか。そして、いろいろ調査されておりますか。私なんかが見ると、いやもうひどいものだということをこれは思いますよ。治水の障害にならないなんて言っているけれども、とても信じられない。  それから、もう一つ続けて伺いたいのですけれども、何で河口部にあんなに土砂の堆積が今進んでいるのか。これの一つの大きな原因は、締め切り堤防で締め切ってしまった、そのためにどんどん流れていくはずの土砂が流れなくなってしまった、堆積してしまった、こういうことが原因じゃないかというふうに思うのですね。  これは私が思うだけじゃなくて、どれぐらい土砂が堆積しているかということについて長崎大学の教育学部生物学教室と自然保護団体長崎の自然と文化を守る会が合同で調査をした。そして一九九〇年の農水省の数値と照らし合わせて、ひどいところは一メートルも高くなっている、低くても五十センチとか、いろいろな調査をやった結果を発表しておられますね。その原因としては、今申し上げたように、やはりこの締め切り堤防のせいじゃないか、すべてがそうだというわけじゃありませんが、それが一つの原因じゃないか、こういう指摘もしておるわけです。私もそんな気がするのですね。
  153. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 潮受け堤防が締め切られたのはつい最近のことでございまして、その影響がどうかということにつきましては、私ども河道の縦横断測量というのを定期的に行っておりますので、今後そういう調査、測量の結果が出てまいりますれば、その結果で正確な判断ができようかと思います。  現時点におきましては、干満の差がなくなってマイナス一メートルに水位が保たれておりますので、従前は干潟で、干満によって見えなかった部分が干陸化してひび割れをする、そういう中で河床が上がったという印象を持たれているのではないかというふうに考えております。
  154. 中島武敏

    中島(武)委員 続けて、これにかかわるのですけれども、農水省の諌早湾干拓計画で、今言ったようなことなんかも含めて、河床が上がることによって本明川の流水を妨げるものになる。こうなると、建設省の治水対策に非常に大きな影響を与えることになると思うのですね。干拓事業のための中間堤防が今度つくられていく、そうなりますと、土砂の急速な堆積によって本明川河口部のふん詰まりが起きるんじゃないか、それから調整池の容量が減少してしまうんじゃないか、そういうおそれは非常にあると思うのですね。そういうことはお考えになっていらっしゃいますか。
  155. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 一般論として申し上げますと、そういう河口部を締め切ることによって堆積傾向がより強まることになろうかと思いますが、それがどういう形で具体に推移するのか、これは、よく実態を調査をし、測量をする中で初めてわかってくることだと考えております。そういう調査を必要に応じて実施をし、対策が必要なら対策を講じるということを考えております。
  156. 中島武敏

    中島(武)委員 潮受け堤防は農水省、調整池ももちろん農水省、堤防によって高潮を防ぐとか、あるいは調整池は内水排除を行うという上では役立つと思うのですね。したがって、諌早水害や伊勢湾台風クラスの台風が来ても被害は防げるんだ。被害を防げるといったって、こういう場合には浸水しますよという話は先ほどしたのですけれども、農水省はそういうことを言っておられるのです。しかし、その調整池の水位が上昇することになつたら、そしてまた、これから調査されるそうですけれども、内水排除ができないときには、逆に被害が増大してしまうことになりますね。  それで、私が言いたいのは、建設省は、潮受け堤防それから調整池、こういう施設を含めて現在の工事実施基本計画策定しているのかということを聞きたいのです。
  157. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 現行の工事実施基本計画におきましては、河口部の処理、高潮対策につきましては、この干拓事業との関係において今後検討するという形になっております。
  158. 中島武敏

    中島(武)委員 続けて伺います。  工事が完成すると、この調整池の管理はどこが行うのでしょうか。
  159. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 工事がすべて完成した段階におきましては、この調整池そのものを河川区域にする方向で今後検討することになると考えております。
  160. 中島武敏

    中島(武)委員 実際には建設省が受け持つという可能性が一番大きいでしょう。いや、今の答弁ははっきりそういうふうにおっしゃったのですか、建設省が受け持つと。
  161. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 すべて完成した段階で河川区域に指定する方向で考えております。
  162. 中島武敏

    中島(武)委員 わかりました。  そうした場合に、今もちょっと答弁があったのだけれども、本明川の工事実施基本計画の見直しというのは当然やられなければならないと思うのですけれども、おやりになるわけでしょう。
  163. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 本委員会でも御審議をいただきました河川法の改正によりまして、実はきょう公布されましたが、ここにおきまして工事実施基本計画を二つに分けて策定をし直すわけでございますので、その改定の中でこの計画全般が見直されることになると考えております。
  164. 中島武敏

    中島(武)委員 そこで、私はもう一つ言いたいのです。  それは何かというと、河川は建設省でしょう。それから旧干拓地の内水排除は農水省でしょう。それから、さっき言ったように、農水省は言い分があるかもしれないけれども、私に言わせると、かなり広範囲な床上、床下浸水が残されているような防災計画が立てられている。要するにばらばらで防災対策がやられているのじゃないかと思うのですね。これも率直に言うと縦割り行政の弊害じゃないかなと思います。  それで、どうするかということなんだけれども、この点では、私はこの干拓事業推進する立場ではないのですが、仮に、高潮のときのみに水門を閉めて普段はあけるようにするとか、あるいは洪水が予想されるときは水位を下げる、これも当たり前なんですけれども。それから、通常の旧干拓地の低地帯の洪水高潮対策は、護岸堤防と樋門、内水排除のためのポンプ設置がやられておって、これを組み合わせた対策を実際にとっているとか、いろいろなことがやられているのですけれども、農水省は農水省としてやっている、あるいは建設省建設省としておやりになっていらっしゃるということで、やはりちょっとばらばらになっていると思うのですね。建設省が考えるという場合だったら、内水の問題についても完璧に排除できる計画を立てるのが当然、さっきお答えがあった。  一番いいのは、こういう問題については、やはり建設省が防災問題の一番能力のある役所なんですから、建設省が中心になって総合的で統一的な防災対策が立てられる必要があるんじゃないかと思うのですね。そういうふうにしていきませんと、干拓が進んでいく、堤防は締め切られている、大雨が来てしまった、内水問題が解決しないでずっと水がついてしまうというようなことが、ばらばらになってしまうと思うんだね。  そういう点からいうと、総合的な統一的な対策を立てるべきじゃないか、建設省が乗り出さなきゃいかぬのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  165. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 先生御指摘の総合的な治水の計画が従前の工事実施基本計画でございまして、そういう意味合いで、高潮対策についても、この干拓事業に伴って潮受け堤防がつくられるというのがわかっておりましたので、それとの調整をとって二重投資を避けたということでございます。  そういう意味合いで、総合的な計画、これがありますし、さらに今後は、河川法改正を受けまして、より充実したもの、地域の声を反映したものになっていくと考えております。
  166. 中島武敏

    中島(武)委員 ただ、旧干拓地の方は現在だって農水省でしょう。違いますか。河川そのものについての防災は建設省でしょう。私は、それはそれならそれでもいいけれども、やはり直ちにやるべきは、総合的な対策を立てられるようなそういう機関をつくるべきじゃないかということを申し上げているわけなんです。  それで、いや、首をひねっておられるから。なぜかというと、やはり浸水が許されるような対策というのは本当の対策じゃないということを私は最初に申し上げた、だからなんです。  それで、時間が来ましたので、ちょっとはしょります。  今、潮受け堤防の排水門の締め切りによって、諌早湾の湾の奥、それから調整池の水質が極度に悪化しているわけですね。  実は、この文書なんですけれども、九州地建に対して藤本農林水産大臣が「国営諌早湾干拓事業に係る調整池の水質について(協議)」、これは平成九年四月九日のものですけれども、これを私は拝見いたしております。その一番最後のところに書いてあるのですよ。「不測の事態への対応」として、「局所的に予測不可能な水質障害(アオコの増殖や低層水質の悪化等)が発生する可能性は否定できない。」こういうふうに言っております。  ところが、現在、長崎県の調査によりますと、既にCODで締め切り前が二ないし五ppmだったものが一カ月後の五月の中旬には七ppmに達したということを言っているわけです。つまり、環境基準をオーバーしてしまったのですね。だから、当初の考え方はもう破れてしまっているわけですよ。つまり、環境基準をオーバーしてしまっている、こういう状況なんですね。  一方、下水道の普及率を見ますと、本明川流域関係市町村の下水道の普及率は二八%でしょう。下水道の整備がいつごろが目標にされているのかというと、平成十二年だというのですね。あと四年しかないのですよ。四年しかない。それで三次処理までできるのか、あるいは一〇〇%普及できるのか。これは、力を入れてやりますというお答えかもしれぬけれども、私はそんな簡単にいきはしないというように思うのですね。そうすると、水質がますます悪化してしまうという問題が起きてきます。  そこで、四年間で達成するということが前提になっているのだけれども、まず、この点についてどうするつもりであるのか。それから、現在もう既に環境基準をオーバーしてしまっているのですから、この問題は、干拓計画を認可した建設省の建設大臣としても農水大臣に、環境基準が達成されるまでは門の閉め切りというようなことはやめなきゃいかぬよ、あけなさいということを申し入れるべきなんじゃないか。  それから、時間ですから、もう一つ最後に伺っておしまいにしたいと思うのです。  きょうは防災対策の面からしか問題を検討できなかったのですけれども、しかし、環境の問題とか、今も最後は環境問題に触れておるのですけれども、それから農地造成の問題とか、こういう問題を、これだけ社会問題になっているのですから、一たんやはり門をあけて、それで本当に総合的にじっくりと検討するということが必要じゃないかということを建設大臣に申し上げたいと思うのです。
  167. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 大変熱心な議論をいただいておりますが、工事着工する前にもっとやっていただければよかったんじゃないかなという感がなきにしもあらずでございますが、干拓事業を私が建設大臣として妨害するような措置を求めるという気持ちは全然ございません。  ただ、干拓事業が完成するまでの間に、その地域の環境が良好に維持をされていくということは大事である、このように私は思いますから、そういう観点から、ポンプとか門とか技術的なことは私はよくわかりませんけれども、干拓事業はこのまま進めていくけれども、事業完成までにそういう観点からいろいろな措置がなされるということは、これは次元の違う問題であろうかな、このように思います。
  168. 中島武敏

    中島(武)委員 大臣、やはり今度の問題というのは、環境問題もあれば、防災問題もあれば、そしてまた農地の造成問題もあるのです。やはりこれらすべてがあるわけですから、早くと言いますけれども、今ここで、これだけ社会問題になっている今こそ本当に英知を結集すべきときじゃないかということを再度申し上げて、終わりにしたいと思います。
  169. 市川雄一

  170. 畠山健治郎

    ○畠山委員 私は、去る五月の十一日、秋田県の鹿角市八幡平で発生いたしました土石流災害について、関係省庁にお伺いをいたしたいと思っております。  その前に、大臣初め委員の先生の皆さん方に少しでもこの災害についてのイメージを知っていただきたい、そういう立場から、時間もありませんから端的に申し上げさせていただきたいというふうに思っています。  その一つは、十和田八幡平国立公園のちょうど中間にある地点、しかも国道三百四十一号線で結ばれておるその途中に発生した、公園地内ではありませんけれども国有地で起こった土石流であるというようなことがイメージの第一の点であります。  第二の点は、起こった二百五十万立米の土石流でありますが、この量というのは雲仙・普賢岳の土石流に匹敵する量である、こういうことでイメージを抱いていただきたいというふうに思っています。  そして、三つ目のイメージとしては、二百五十万立米が落ち込んだわけでありますけれども、実際、川底まで流出をしたというのはそのうちの五十万立米。残り二百万立米というのは、言葉は悪いかもしれませんけれども、まだ宙づりにある。したがって、いつ二次災害が起こっても不思議でない、こういう状況にあるというようなことと同時に、その五十万立米がこの川の四カ所の砂防ダムと国道三百四十一号線の赤川橋でとまりになっている、土石流をとめておるという役割を果たしておる、そのことが幸いをして下流に大きな災害がなかったというようなこと、こういう状況であります。  そして、四つ目の問題は、八幡平の災害というようなことから、観光地のシーズンなわけでありますから、盛んなキャンセルがどんどん起こってまいりまして、風評災害に大変悩んでおる、こういう状況で、地域経済にも大変大きな打撃をこれから先受けていくだろうということが心配されるというようなことであります。  いま一つには、これは大変喜ばしいイメージでありますが、災害が発生したのは朝の八時ちょっと過ぎでした。ところが、私が現地に入ったのは翌日でしたけれども、いろいろと事情を聞かせていただいたら、災害が起こった八時の約四時間前、朝の四時に東北地建の災害対策者が現地に入っておる。大変素早い対応であったというようなこと、感謝をしておったところでありますが、ただ、残念ながら、早くは入ったけれども手を下すことができなかった、じっと見ている状態であった、大変悔しい思いをなさったというふうに思います。  いずれにしても、対応が非常に早かった。それには、前兆が少しあった、何日か前に前兆があった。その前兆を正しくとらえながら現地の旅館や鹿角市が対応して、幸いにも人災がなかったということは不幸中の幸いだというふうに言ってよろしいかと思っております。  以上が今度の災害のイメージでございます。  いずれにしても、先ほども申しましたように、いつ二次災害が起こっても不思議でないという状況が続いておるわけでありますから、したがって、下流の住民、数は決して多くありませんが、長い避難生活がこれから先も続いていくというようなこと。それから、水田面積にも、かなり土砂、濁流が入っておりますから、被害が及んでおるというようなこと。そういうことから、精神的にも経済的にも大変大きな被害を受けておるというようなこと。こういうことを勘案していただきながら、一日も早い復興を願いたい、そういう立場から、幾つかこれから御質問申し上げたいというふうに思っております。  まず、土石流発生の原因についてお尋ねいたしたいと思います。  この間、関係省庁、専門家による原因調査を行っておったはずでございますが、これについて建設省はどのように御認識なさっておられるのか。  また、八幡平は火山灰地帯でございまして、例えば鹿児島のシラス台地と同様に、大量の降雨によって、常に今回のような災害の発生が予想される地域でございます。そうして見ますと、国有林地内で起こった今回の災害は林野行政との関係を抜きにしては考えられないと言わなければならないというふうに思っていますが、私のイメージからすれば、その肝心の林野庁が、御案内のとおり、営林署の統廃合あるいは職員の急激な減等々からすれば、日常の監視体制が果たして十分であったのかなという気がしてならないというふうに思っています。このような観点から、林野庁はどのように認識しておられるのか。  それぞれお答えをいただきたいと思います。
  171. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 今回の発生原因でございますが、融雪期でございまして、その融雪に加えて降雨が起因をして地すべりが発生して、その一部が流れ下ったものと考えております。一部水蒸気爆発説もあるようでございますが、専門家の今までの御判断では、今私が申したところがこの原因だというふうに私ども建設省としては受けとめております。
  172. 藤原敬

    ○藤原説明員 地すべり発生の原因でございますが、林野庁が発生後直ちに派遣した調査団の調査結果によりますと、第一に、地すべり発生地点の地層が第三紀凝灰岩の上に火山性の堆積物が乗っているということでございまして、この地層の境目に生じた温泉変質が地すべり発生の大きな原因である。さらに、雪解け水と五月八日の百十ミリの雨量が地すべりを助長し、さらに、斜面に存在する埋没谷の存在も地すべりのメカニズムに影響を与えている。これらによって地すべりが発生したものでございます。
  173. 畠山健治郎

    ○畠山委員 それから、一つ御報告がおくれたことがございました。それは、今、監視体制がずっと続いておるわけでありますが、その監視の映像が同時に官邸まで入っているというふうなことを承ってまいりまして、いよいよ危機管理体制も整ってきたなというようなことをしみじみ感じてきた一人でございますので、あえてつけ加えさせていただきたいというふうに思います。  それから、科学技術庁防災科学技術研究所の調査速報によりますと、当該地すべりの存在は、既に当研究所より一九八四年に発行した地すべり地形分布図にその位置と規模が示されており、今回発生した地すべりは、過去に発生した地すべりの再動と報告されておる。さらに、この分布図を知れば、そこが地すべり発生の潜在的危険度が高いことがわかりますし、本分布図を防災、開発の基礎資料として活用することができるとも指摘しております。  そこで、この分布図並びにこの速報内容について、間違いはないのか、確認させていただきたいと思います。
  174. 岩渕晴行

    ○岩渕説明員 科学技術庁防災科学技術研究所では、これまで、地すべりに関する研究を推進するための基礎資料といたしまして、空中写真などによる地形判読によりまして、地すべり地形の分布図を作成しております。一九八四年に同研究所が発行いたしました地すべり地形分布図におきまして、過去の地すべりによる痕跡が今回発生したものと同じ場所にほぼ同じ規模で示されております。  また、同研究所が五月二十一日から二十四日にかけまして今回の地すべり地域調査を行いました結果、今回の地すべりは、過去に発生した地すべりが再度動いたものであるということを確認しております。
  175. 畠山健治郎

    ○畠山委員 この分布図を活用していれば、今回の地すべり箇所は危険箇所として認識でき、防止対策、あるいは地盤の不安定を招くようなある種の要因を起こさなければ回避することも可能であったと言えると考えますが、研究所の皆さんの研究結果が行政に活用されるように対応なさったのかどうか、その点をさらにお伺いいたしたいと思います。  それから、その後の秋田大学鉱山学部の丸山教授の調査報告によれば、今度の隣接地にさらに亀裂が生じておるというような報告がなされております。こういう状況を見れば、再度現地踏査をする必要があるのではないかと考えますが、研究所のお考えを承ります。
  176. 岩渕晴行

    ○岩渕説明員 防災科学技術研究所が作成しております地すべり地形分布図でございますが、こちらは地すべりに関する研究を推進するための基礎資料として作成したものでありまして、これ自身は必ずしも防災対策の指針とすることを目的としておるものではありません。しかしながら、過去の地すべりの痕跡を示す本資料は、地すべり発生の潜在的危険度を示しており、防災的意義をも持つことから、同研究所では、大学、国立試験研究機関、図書館、自治体の防災担当部局などに広く配付しております。  科学技術庁といたしましては、今後とも、地すべりに関する研究を推進するための基礎資料として、地すべり地形分布図の作成を継続するとともに、同分布図を関係機関に広く配付して、研究成果が活用されるよう努めてまいりたいと考えてございます。
  177. 畠山健治郎

    ○畠山委員 研究資料とはいえ、可能な限りやはり行政に生かしてもらわなければ困ると思うのです。ぜひひとつその点を今後とも配慮していただきたいというふうに思いますし、行政機関もぜひひとつ生かすような方向で頑張っていただきたいと思います。
  178. 市川雄一

    市川委員長 何かさっき答弁漏れがあるみたいだから。科学技術庁岩渕調整官
  179. 岩渕晴行

    ○岩渕説明員 失礼いたしました。  再度の調査というお話でございますが、先ほど申しました五月二十一日からの調査に続きまして、再度詳細な現地調査を行うことを予定してございます。
  180. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 御指摘の分布図につきましては、私どももいただいておりまして、平成四年に、全国の地すべり危険箇所、これは一万一千四十二カ所をこの時点で挙げておりますが、その中にも含まれております。  ただ、この調査は必ずしも完全なものではございませんので、昨年からことし、平成八年から九年にかけまして見直しをいたしておるところでございます。
  181. 畠山健治郎

    ○畠山委員 その点につきまして、林野庁の見解を求めたいと思います。
  182. 藤原敬

    ○藤原説明員 先生御指摘の科学技術庁が発行しております地すべり地形分布図、これは私どもも承知しております。林野庁におきまして、人家や道路などの公共施設に被害を及ぼすおそれのある地すべり危険地区の把握につきましては、山地災害危険地区調査を実施しているところでございます。この調査に当たりまして、既往の文献等を参考にしておりまして、当該地形分布図も参考にしているところでございます。
  183. 畠山健治郎

    ○畠山委員 現実には、今回の発生箇所は、地すべり危険箇所とされてはおりますが、防止工事を必要とする箇所とは指定されておらないということでありまして、まことに残念であったというふうに言わなければならないと思っています。いずれにしても、八幡平全体の地質からしても、こうした分布図による指摘からしても、今回の災害を教訓として、この際、この地域の全面的な調査、点検が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  184. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 御指摘のとおり、地すべりが発生をいたしましたところは保安林でございまして、そういう意味合いでは、林野庁さんと一緒になって今後対策を進める必要がある地域だと理解をいたしております。幸い、先ほど御指摘ございましたが、赤川一号砂防ダム、平成八年二月二十一日に竣工したばかりのダムでございます、これが、今回の災害で満砂をいたしました。そういう意味合いで、まさに機能を発揮したわけでございますが、今後、こういう危険に備えて対策を講ずるべきところ、先ほど申しましたが、地すべり地域だけで一万件を超えるということでございます。必要な所要額の確保に向けまして、私どもとしても全力を挙げたいと考えております。
  185. 畠山健治郎

    ○畠山委員 私も現地に二度ほど行ってまいりました。二次災害防止のための監視体制がかなり綿密にとられておるように見てまいりましたけれども、それがベストであるのか、まだこれからやらなければいけないことがあるのか、その点についてお伺いをいたします。
  186. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 二次災害を何としても防止をしなければならないということで、鹿角市が中心になりまして、現地対策本部、本部長が鹿角市の助役さんでございますが、ここに、私ども建設省、そして林野庁さんが連携をいたしまして監視をしておるところでございます。監視といたしましては、ワイヤセンサーの設置、あるいは監視カメラの設置等々、万全の体制で臨んでおるというふうに考えております。そしてまた、監視した結果として、それが実際のいろいろな行動に結びつく必要もございますので、その辺につきましても十分意を尽くして現在対応しておるつもりでございます。
  187. 畠山健治郎

    ○畠山委員 流出した土砂の除去、そのための取りつけ道路を初め、直接的な応急対策だけでも多大な経費が見込まれます。これについては国の責任で予算措置をされると考えますが、その点、明らかにしていただきたいと思います。
  188. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 先ほど来議論が出ております二百五十万立米のうちの崩壊地に残っております二百万立方メートルの措置につきましては、保安林地域であるということもございまして、林野庁さんの方で、現在、その対策について検討されておるところでございます。それが土石流として流出をした部分、これにつきましては、私ども建設省といたしまして、現在、除石作業を行っておるところでございまして、災害関連緊急砂防事業ということで、事業費三億三千万、除石量、目標として二十七万五千立方メートルを取り除く、そして新たなポケットを確保する、こういうことを目標に、現在、鋭意作業を進めておるところでございます。そして、上流にあります堆積物が崩壊してくる危険が常にあるわけでございますので、そういう上流部におきましては、まさにこれも二次災害防止ということで、無人化施工を行っております。  そして、先ほど御説明をしました監視体制で十分対応できる下流部につきましては、そういう無人よりも早くできる、人間の手を入れた形での除去作業に全力を挙げておるところでございます。一刻も早く避難態勢から解除できるのを目指して、私どもも全力を挙げたいと思っております。
  189. 藤原敬

    ○藤原説明員 対策工事でございますが、林野庁の派遣調査団が現地調査を実施しまして、緊急に、地すべり地における表面水処理、それから不安定土砂の流出防止、地すべり末端部の侵食防止、この三点のための対策が必要であるとの見解が出されているところでございます。これを踏まえまして、地すべりを助長する地すべり頭部の表面水の流路切りかえによる地すべり地への流入防止と、地すべり地内のポンプ排水、これを緊急に実施してきたところでございます。今後、その他の復旧工事につきましても適切に対策を講じてまいりたいと考えております。
  190. 畠山健治郎

    ○畠山委員 現地の被害は、土砂の流出、濁水の流入によって、水田の被害が広範囲に及び、特に、濁水流入は少なくとも二百三十四ヘクタールとされており、これによる米の生産及び水田被害は、決して大きくはないのですけれども、長期に及ぶことが予想されます。これに対する補償等についてはどのようにお考えでしょうか。
  191. 市川雄一

    市川委員長 答弁はどなたに要求しますか。
  192. 畠山健治郎

    ○畠山委員 農水は見えていなかったでしょうか。
  193. 市川雄一

    市川委員長 農水省は見えておりません。
  194. 畠山健治郎

    ○畠山委員 では、結構です。後で農水に確かめます。  では、観光地であることから、今後の恒常対策として、さっきもちょっと触れましたように、国道の新たな整備が重要な課題となっております。土砂によって寸断された国道三百四十一号線の応急対策が強く求められておるところでございますが、これについての建設省の見解をお伺いいたします。
  195. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 一般国道三百四十一号、鹿角市から田沢湖町を経まして本荘市に至ります幹線道路でありまして、この地域において大変重要だというふうに私ども認識をいたしておるところでございます。  五月十一日に発生をいたしました土石流によりましてこれが埋まるという状況になっておるわけでございまして、応急対策として、仮設道路をまず確保しようということで、現在、秋田県におきましてボーリング等の調査、あるいは仮設道路の構造についての検討を行っておるところでございます。  その秋田県の実施されております調査結果がまとまりますれば、それを受けまして応急復旧の方針を速やかに策定をしていきたい、その方針を受けて建設省としても対応してまいりたいというふうに考えております。  また、本復旧につきましては、そういう仮復旧のめどがっくといいますか、それと並行した形で、関係をいたしますところと十分調整を行った上で、なるべく早期に着工できるようにしていきたいと考えております。
  196. 畠山健治郎

    ○畠山委員 二次災害の危険から、現在五世帯二十数名が避難生活を余儀なくされてございます。このための仮設住宅、食糧、飲料水あるいは河川をめぐる漁業の問題、先ほども申し上げましたような風評災害等々、地元鹿角市の負担は今後も累増するものと思われます。これら避難対策費を初めとする地元自治体負担に対する財政措置についてお伺いをいたします。
  197. 滝本純生

    ○滝本説明員 今回の災害によりまして、被災された地方団体におきましては、応急対策あるいは災害復旧対策に多くの財政需要が生じるものと考えております。したがいまして、自治省といたしましては、県や市の実情というものを十分お聞きしながら、特別交付税や地方債措置を講じまして、被災団体の財政運営に支障のないように適切に対処してまいりたい、このように考えております。
  198. 畠山健治郎

    ○畠山委員 最後になりますが、大蔵省にお伺いをいたしたいと思います。  大蔵省、大変答えにくいということで抵抗しておりましたようですが、総論で結構ですからお答えいただきたいというふうに思います。  阪神・淡路大震災による被害者等に対する災害特別見舞金の支給を内容とする災害弔慰金支給法の改正案が現在提案されておることは、御案内のとおりでございます。今回の八幡平の場合も、こうした改正が仮に成立すれば対象となるべきものと考えます。この際、政府は、公的支援なくして被災者の生活基盤整備はないとの立場から、支援措置を検討すべきではないかと考えますが、お答えをいただきたいと思います。
  199. 樋口俊一郎

    ○樋口説明員 お答えいたします。  一般的に、自然災害によりまして個人が被害を受けた場合には、自助努力による回復を原則としているということでございます。ただ、政府としましても、各種融資措置等、現行制度の運用によりまして、幅広く、かつ、きめ細かく被災者の方の生活支援を行っているということで御理解いただければと思います。  ちなみに、今回の八幡平で発生いたしました土石流災害につきましては、災害対策関係省庁連絡会議を開催いたしまして、地元自治体と緊密な連携をとりながら、これまで生じた被害に対しても対応を講じておるところでございます。今後とも関係省庁におきまして適切な対応がとられるものと考えております。
  200. 畠山健治郎

    ○畠山委員 終わりたいと思いますが、改めて建設省、林野庁の努力に感謝を申し上げながら、これから雨季に入るわけであります。二次災害を地元も大変心配しております。万全を期していただきますように重ねてお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  201. 市川雄一

    市川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三分散会