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1997-05-09 第140回国会 衆議院 建設委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月九日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 市川 雄一君    理事 赤城 徳彦君 理事 遠藤 利明君   理事 田野瀬良太郎君 理事 中島洋次郎君    理事 太田 昭宏君 理事 増田 敏男君    理事 石井 紘基君 理事 中島 武敏君       井奥 貞雄君    大野 松茂君       金子原二郎君    佐藤 静雄君       桜田 義孝君    高市 早苗君       谷畑  孝君    玉沢徳一郎君       東家 嘉幸君    中山 利生君       萩山 教嚴君    蓮実  進君       松本 和那君    茂木 敏充君       赤羽 一嘉君    岩浅 嘉仁君       大野由利子君    岡島 正之君       樽床 伸二君    西野  陽君       山本 幸三君    川内 博史君       山本 譲司君    辻  第一君       畠山健治郎君    濱田 健一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 亀井 静香君  出席政府委員         国土政務次官  井奥 貞雄君         国土庁長官官房         水資源部長   振井 茂宏君         建設政務次官  佐藤 静雄君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省都市局長 木下 博夫君         建設省河川局長 尾田 栄章君         建設省住宅局長 小川 忠男君  委員外出席者         議     員 小林  守君         議     員 細川 律夫君         議     員 渡辺  周君         議     員 石井 紘基君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課産業廃         棄物対策室長  仁井 正夫君         建設委員会調査         室長      白兼 保彦君     ――――――――――――― 委員の異動 五月九日  辞任         補欠選任   金子原二郎君     茂木 敏充君   玉沢徳一郎君     大野 松茂君   松本 和那君     桜田 義孝君   樽床 伸二君     大野由利子君   葉山  峻君     川内 博史君   中西 績介君     濱田 健一君 同日  辞任         補欠選任   大野 松茂君     玉沢徳一郎君   桜田 義孝君     松本 和那君   茂木 敏充君     金子原二郎君   大野由利子君     樽床 伸二君   川内 博史君     葉山  峻君   濱田 健一君     畠山健治郎君 同日  辞任         補欠選任   畠山健治郎君     中西 績介君     ――――――――――――― 五月八日  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出第八五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月九日  市街化調整区域内における既存宅地以外の宅地規制緩和に関する陳情書(第二九二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  河川法の一部を改正する法律案内閣提出第五七号)  河川法の一部を改正する法律案石井紘基君外三名提出衆法第二〇号)  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出第八五号)      ――――◇―――――
  2. 市川雄一

    市川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出河川法の一部を改正する法律案及び石井紘基君外三名提出河川法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野由利子さん。
  3. 大野由利子

    大野(由)委員 おはようございます。新進党の大野由利子でございます。  時間が三十分しかございませんので、主に環境の観点からできるだけ簡潔に質問をさせていただきたい、このように思っております。答弁の方も簡潔によろしくお願いをいたします。  今まで河川治水利水だけが役割だった状況から、今回、河川法改正によって、河川の目的に河川環境整備保全が位置づけられたのは大変な前進ではないか、このように思っているわけでございますが、何点か法律質問させていただきたいと思います。  十六条に、河川整備計画を作成するとございますが、この中で、河川管理者は、河川整備計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、学識経験者やまた住民意見を聞かなければならない、こういう条文になっておりますが、その必要があると認めるかどうかというのはだれが判断するのか、また、関係住民というのは、地域住民というか、その地域に住んでいる住民を指すのか、それともその問題に関心を持つ住民を指すのか、これについて伺いたいと思います。  政府案についての質問でございます。
  4. 尾田栄章

    尾田政府委員 関係住民意見を徴する場合、だれが判断をするのかという点、まずその点につきましては、河川管理者の方で判断をさせていただくというふうに考えております。  それから、どういう範囲までどういう状況に対してそういうことを考えておるのかという御質問でございますが、これは、関係住民方々から意見聴取お話、そういう御要望があった場合には、必要がある場合、必要があると認めるときというふうに考えまして、意見聴取をさせていただく、幅広に運用をしてまいるということで考えております。
  5. 大野由利子

    大野(由)委員 関係住民というのは、地域に住む住民だけではなくて、関心を持つ住民、このように解釈をさせていただいていい、そういうことではないか、このように思っておりますが、意見の言いっ放し、聞きっ放しで終わったのでは何にもならない、これがどのように担保されるのかについて伺いたいと思います。
  6. 尾田栄章

    尾田政府委員 先生指摘のとおり、言いっ放し、聞きっ放しというのでは全く意味がないというふうに考えておりまして、具体河川整備計画の案を策定する段階で、十二分に案を策定するために、案の案、原案の案、そういう意味では原案でございますが、これを御提示をいたしまして、それについて御意見をいただく、その上で必要なものについては修正をするという形で考えておりますので、まさにその河川整備計画関係住民皆さん方の意向が反映をしていくというふうに考えております。
  7. 大野由利子

    大野(由)委員 現在、大規模なダムとかそういう堤防とかにつきまして閣議アセスが行われていると思いますが、どの段階閣議アセスが行われているのか、また、今、環境アセスメント法が衆議院を通過をいたしまして参議院に送られております、間もなく法案が成立するかと思いますが、環境アセスメント法が成立したら、どの時点でアセスメントが行われるのかについて伺いたいと思います。
  8. 尾田栄章

    尾田政府委員 現在、環境アセスメント要綱、これは閣議決定されたものでございますが、現在の状況についてまず御説明をさせていただきますと、閣議決定をされました環境アセスメント要綱に従いまして、ダムにつきましては、一級水系湖面面積二百ヘクタール以上のダムにつきまして環境アセスメント実施をいたしておるところでございますが、この場合、ダム基本計画を作成をするという段階環境アセスメントを、従前、そういう作業をいたしております。  そして、今後、環境アセスメント法案が成立した段階では、その具体対象ダムがどうなるかはこれから具体に決められていくことになろうかと考えておりますが、私どもといたしましては、ダム事業が持っておるその影響の大きさを十分勘案をいたしまして、できる限り対象を広げて考えていきたいというふうに存じております。
  9. 大野由利子

    大野(由)委員 今環境アセスメント法が成立したらどの段階で行われるかということについて御答弁があったので、ちょっと私、あいまいな答弁だったような気がするんですが、従来のアセス事業アセス、このように言われておりまして、事業がほぼ、大体、計画が煮詰まった段階アセスが行われたものですから、事業アワセメントアセスメントじゃなくてアワセメントだ、また、開発の免罪符である、このように今までのアセスが非常に評判が悪かったということで、今回、実に十六年ぶりにアセス法が提案されて、国民の待望久しいアセスメント法が成立をする、こういう状況でございます。  ほぼ事業が固まった段階アセスをやったのでは意味がない、もうそれをいかに認めるかという方向でのみアセスが働くわけですから、そうではなくて、まだその前の段階アセスをやらなければいけない、事業アセスではなくて計画アセスにしなければならないということが、中央環境審議会答申の中でも、計画の早い段階アセスを行うことが妥当である、このように答申をされているわけですね。  それで、今ちょっと答弁があいまいだったのでもう一回確認したいんですが、大体、河川について、ダム建設するのがいいのか、それともダム以外の方法がいいのか、また、ダム建設するにしても、どの場所がいいのかというふうな、そういう代替案というんでしょうか、そういうものがきちっと明示されるようになるのかどうか伺いたいと思います。
  10. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま先生お尋ね河川整備計画段階環境アセスメント段階と、その間でどういう調整をとるのか、こういう御質問の趣旨かと受けとめますが、まず、従前工事実施基本計画という形でそれぞれの河川計画を決めておったわけでございますが、これを大きく、方針と整備計画というふうに分けまして、この整備計画河川整備計画の中で個別のダムについてもそれぞれ盛り込みまして、住民皆さん方の御意見を伺うということでございまして、そういう中で河川整備計画を決めます。  その上で、それぞれの事業の、ダム事業塾度が上がった段階環境アセスメント実施するわけでございますが、そういう段階環境アセスメント実施した結果、そのダム環境アセスメントとして認められないということになりますと、これはまた、ダムの位置、構造、あるいはその水系でのダム存在そのものについて見直すことになるわけでございまして、そういうことに至りますれば、河川整備計画そのもの見直しということになろうと考えております。
  11. 大野由利子

    大野(由)委員 今の御答弁によりますと、ダム建設予定ができた、それに対してアセスを行って、住民皆さんの賛同を得られないときにはもう一回考え直す、そういうお話だったと思うのですが、それだと今までの事業アセスなんですね。そうじゃなくて、ダム建設するのがいいのか、した場合はこうで、しない場合はこうで、また、する場合も、ここに建設する場合はこうで、違う場所にすればこうでという、そういう最初の段階で選択肢を幾つか提示する、代替案をきちっと明示する、それが必要だ。それがきちっと行われるかどうか、そういう質問をしているのでございます。
  12. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま先生指摘の、そういう視点から物を見ますと、まさに河川整備計画そのものが、今後二十年または三十年にわたってその河川をどういう形で整備をし、保全をしていくかという計画をつくるわけでございます。そして、その計画の中では、どこにどういうダムをつくるかということの原案をつくりまして、それを地方公共団体の長、そしてまた関係住民皆さん方にお示しをして議論をいただく、そして、その上で河川整備計画の案をまとめるということでございますので、まさに先生指摘の形で議論が進むというふうに考えております。  そしてまた、先ほど来お尋ねの、環境アセスメント法案にかかわる環境アセスメントとの関係ということで申しますと、これは、それぞれの事業塾度が上がってまいりませんと、その中で実際に調査を行います内容も違うわけでございますから、その段階でまた環境アセスメント実施する。  その上で、その環境アセスメントの結果として、これは仮定の話でございますが、許されざるダムだということになりますと、そのダムに代替するものがあり得るのかどうかという検討をする必要がございます。そうなりますと、また河川整備計画そのもの見直しということにつながってくるということでございます。
  13. 大野由利子

    大野(由)委員 この環境アセスメント法が有効にこの河川法の中にも生かされることを、そして、この河川整備計画の中に、早い段階住民皆さん学識者皆さん意見が反映された整備計画になるように、ぜひお願いをしたいと思います。  それから、河川整備計画に関しますダムだとか堰だとか堤防とかの基本計画、それから特定水利使用に関する許可、こういうものは河川管理者がつくるにいたしましても、それ以外の、例えば、河川敷の利用だとか河川の景観とか環境整備とか、そういうようなものは市町村に任せるべきではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。
  14. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま御質問の、市町村河川事業がなされないのか、こういう御質問でございますが、従前河川の仕事は、水系一貫指定ということでございまして、国直轄、あるいは都道府県知事管理者となって工事を行うということでございましたが、まさにただいま先生指摘の、そういう地先に限っての環境、そしてそれが水系全体の治水利水影響をしない、大きくかかわらない、そういう事業につきまして、市町村長さん方がみずから事業実施をされるという枠組みが既にでき上がっておるところでございます。
  15. 大野由利子

    大野(由)委員 もう一回、今の御答弁をちょっと確認をさせていただきたいと思うのです。  二級河川の場合ですが、市町村が施行する河川工事、一定のものについて協議に応じようとする場合、建設大臣認可が必要、今こうなっておりますが、建設省との協議に多大な時間を要しているという現状でございます。  二級河川管理に関する建設大臣認可制度というものは廃止して、県に一元的に管理を移すべきだと思いますが、これはいかがでしょう、よろしいでしょうか。
  16. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま御指摘の、二級河川における市町村施行工事大臣協議、そして大臣認可見直しがどうか、こういう点でございますが、昨年の十二月二十日の地方分権推進委員会の第一次勧告におきまして、この認可は廃止をし、事前協議を行うこととする旨の勧告をいただいておるところでございまして、今後、勧告実施のための地方自治法等一般法における改正に合わせまして、合意を要しない事前協議という形で処置をしてまいりたい。要するに、認可ということではない形にしていきたいというふうに考えております。
  17. 大野由利子

    大野(由)委員 これはぜひ早急にお願いをしたいと思います。  それから、河川管理権限見直しについて、平成五年八月に、建設省総務庁行政監察局より勧告を受けていらっしゃいます。  その勧告内容は、政令指定都市の市や区域の県知事が管理する河川については、ちょっとこれは長いのですが、「河川のうち当該市域内に水系がとどまっている二級河川については、都道府県知事が有する河川管理権限のうち、基本計画策定特定水利使用に関する許可等基本的な権限を除き、その権限政令指定都市の長が行使し得るよう措置することについて検討すること。」こういう勧告が出ておりまして、建設省は、河川法改正等の問題もあり、検討をする、こういう答弁になっているのですが、今回、その河川法改正案を今審議中なのですが、どのような回答になるのでしょうか。
  18. 尾田栄章

    尾田政府委員 平成五年の総務庁行政監察結果の勧告をどのように受けとめ、実行に移そうとしているか、こういうお尋ねでございますが、私どもも、勧告内容については、その方向で実現を図りたいという考え方に立って物を進めておるところでございます。  ところが、その権限を受けられる立場の政令指定都市の方の御意見平成六年度以降ずっと聞いてまいっておるわけでございますが、積極的に自分たちで受けたいというところと、それはいろいろな面でまだ困るんだ、こういうところと、残念ながら現状では半々でございます。  そういう中で強引に私どもの方でそういう形をつくるということはいかがなものかということで、現在、勧告内容が実現されるような状況を何とかつくれないかということで、私どもなりに努力をいたしておる段階でございます。
  19. 大野由利子

    大野(由)委員 今の御答弁ですと、地方分権がいつまでたっても進まないなと。政令指定都市の側で不安を持っていらっしゃるとすれば、その不安を取り除くようにいろいろな支援を建設省がやってあげればいいわけでございまして、私は、政令指定都市が必ずしも前向きな人ばかりじゃない、前向きな市ばかりじゃないということで、そのまま進まないということであれば、行政はいつまでたってもまた変わらない、このように思いますので、この点についてもぜひ積極的に御検討お願いしたい、このように思います。  それから最近、都市型の、いろいろ、渇水による給水制限断水騒動が毎年のように起こっているわけでございます。今、工業用水というのは、使用済みの水をリサイクルして使うところがふえたから横ばい状況のようですが、農業用水も大体横ばい生活用水が大体一貫して増加傾向にある。特に都市人口密度が高いわけですから、生活用水が非常にこれからますます増加する、こういう状況にあるわけです。  日本は、平均年間降水量約千八百ミリと、世界平均年間降水量の約二倍あるわけですが、それを余り利用しないで下水に流してきた。水が足らなければ巨大ダムをつくればいいという安易に、安易にと言えば恐縮ですが、そのような政策がとられてきた傾向がございます。  巨大ダム建設というのは、やはり上流の山林を伐採したり、山を削ったり、多くの農耕地をつぶしたり、環境破壊自然破壊、そういうものにつながるわけでございますので、できるだけ巨大ダムはつくらないで、できるだけ町の中にもミニダムというか、そういうものを多くつくる。そういうふうに建設省方向転換すべきではないか、このように私は思っているわけでございますが、建設省が過去、過去というか、公共建築物の中で雨水貯水槽を併設された建物の件数がどれだけあるか。  そしてまた、あわせて伺いますが、平成七年度を初年度とする第三次の官庁施設整備十カ年計画というのをつくられて、総額二兆二千五百六十億円の策定をされていらっしゃるわけですが、この中で雨水利用のための施設整備費が含まれているかどうか、そういうものを含んだ建物計画されているかどうか、伺いたいと思います。
  20. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま先生の方から雨水利用施設の数についてのお話がございましたが、その前に、日本水資源状況として、確かに世界平均の二倍、単位面積当たりで申しますと確かにそうでございますが、一人当たり降水量ということで見ますと世界平均の五分の一しかないというのが実情でございまして、そういう意味合い日本水資源というのは必ずしも豊富ではないという点について、ぜひ私どもも心にとめて事に当たりたいと思っております。  まず、雨水利用施設の数でございますが、昨年の三月に国土庁実施をされました実態調査によりますと、庁舎、会館、学校、運動公園等々ひっくるめまして、合計二百八十六件でございます。  そしてまた、第三次の官庁施設整備十カ年計画でどういう形で定めているかということでございますが、この十カ年計画では施設構造等まで定めるものではございませんので、そういう意味合いではこの雨水利用施設についての特別の記述はないということでございます。
  21. 大野由利子

    大野(由)委員 建設大臣に伺いたいのですが、両国の例の有名な国技館は千立方メーター雨水貯水槽を持っておりまして、トイレの洗浄とかそれから植木の水とか、そういうのをそこで使っている。消毒すれば飲めるくらい良好な水である。  こういうことで、墨田区役所はやはり千立方メートルの容量の雨水タンクを持っておりまして、常時五百立方メートル雨水をためている。トイレの水の五〇%はその雨水利用しているそうなのですね。残り五百立方メートルというのは洪水対策用にあけてある。ですから、洪水のときにも役に立つし、また何かそういう利水の面でも役に立つ、そういう役割を果たしているわけですね。  そういう意味で、私は、この前阪神大震災生活用水に非常に困ったということがございます。今いろいろ貯水槽をつくったりということは多少行われているようでございますが、もっと雨水利用した、そういうものを常につくって、そして利水にも使うし、洪水防止にも使う、また防災対策にもなるというふうに大変大きな力を発揮するわけでございますので、ぜひこれからつくる公共施設というのは、私は、こういう雨水対策を施したものでなければ公共施設と言えない。もうこれは義務づけるのだ、また、こういうものが設置されたものに対して初めて補助金も出すのだ、そういうふうに変えるべきではないか。  建設省は、大きなダムばかりにお金を使うのじゃなくて、そういう、細かいといえば細かいかもしれませんが、これが私は大変大きな一つの河川対策にもつながる問題ではないかと思うものですから、大臣の所見を伺いたいと思います。
  22. 亀井静香

    亀井国務大臣 まことに私、不明でございまして、雨水利用ということに対して強い関心を持っていなかったこと、今委員の御質問で非常に恥じておるわけでございます。  これは、地震を初めそうした防災対策上も、また雨量が諸外国に比べまして絶対的に少ない、また日本の地形というのは非常に急峻な、そうした山地によって形成されている、人口密度が高い、そういう状況の中で、ダムによって天然の恵みをためるということももちろん必要でありますけれども委員指摘のような、個々にそうした努力をしていくことは非常に大事だ、こういうふうに考えます。  ちょっと事務方に後でしかられるかもしれませんが、官庁営繕、ほとんど建設省が主管もいたしておりますので、今後そうした官庁構築物につきましてその点を積極的に取り入れるように早速指示をいたしたいと思いますし、また都市局等を含めて、都市づくりについて、民間におきましてもそうしたことをどんどん積極的に取り入れることについて何かいいインセンティブを与える方法はいろいろな形でないかどうか、これもぜひ至急検討させたい、このように考えております。
  23. 大野由利子

    大野(由)委員 雨水貯水槽があるものに対して補助金が出る、それがなければ補助金が出ないというようなぐらいの積極的な対策をぜひお願いをしたいと思います。  最後に、この間、ロシアのタンカー・ナホトカ号から大変な重油流出事故がございました。この問題でちょっと質問させていただきたい。  多くのボランティアの方々大変努力をしてくださいました。回収された重油重油まじりの砂がどのように処理されたか、大変心配をしているわけでございますが、厚生省通達を出されました。油分を五%以上含むものは焼却処理をする、五%未満のものは管理型処分場に処分する、このような通達を出されているわけでございます。  石川県の加賀市の塩屋から片野の海岸部にありました重油まじりの砂、約一万八千立方メーターあったそうですが、その一部は粟津温泉付近管理型産業廃棄物処分場に埋め立てられた。しかし、一部は金沢の伏見上流の平栗にある産業廃棄物処分場に埋め立てられました。  この産業廃棄物処分場厚生省に昨日聞きましたら、管理型ですよ、管理型の廃棄物処分場ですよということなのですが、実際には排水処理もない。管理型の免許を持っている業者なのかもしれませんが、実際にはそうでないというところに埋め立てられた、こういう実情がございます。  これをぜひちょっと見ていただきたいと思うのですが、(パネルを示す)伏見川のこのすぐそばに、伏見川が走っておりまして、一級河川の犀川に合流しているわけですが、このようにただの、何というのでしょうか、砂が埋め立てられて、穴を掘って埋め立てられて、そして行われている。管理型であればセメントで固化する必要などないわけですが、上に少しだけセメントがばらまかれている。ほんの、これはちょっと見にくいかもしれませんが、セメントが少しばらまかれて、大分にじんでいる、こういう実態がございます。ぜひちょっと見ていただきたいと思うのです。  この反対側も見ていただきたいと思うのですが、このもう一方の写真は、これは加賀片野海岸、非常にきれいな海岸になっております。  しかし、この海岸線から十メーターか二十メーター入ったところに穴を掘りまして、このように穴を掘って、そしてこの砂を埋め立てている。  それで、これは掘って一メーターぐらいのところなんですが、この写真を拡大したものがこれなんですが、もう重油のまじった砂がいっぱい出てきている。一メーターほど掘っただけで重油まじりの砂がいっぱい出てきている、こういう状況なんですね。  ですから、私は、非常に大変な、あれだけの大きな事故がありました。これが通達を出して、それでよしとされていたら、これは大変なことになるなと。海岸線とか河川建設省の所管でございますし、この問題について今後どういうふうに対応をされようとしているのかについて、建設省厚生省の御見解を伺いたいと思います。
  24. 市川雄一

    市川委員長 質疑時間が終了しておりますので、答弁もなるべく簡潔にお願いいたします。
  25. 尾田栄章

    尾田政府委員 今、海浜部における油の処理の点と、産業廃棄物として処理されたものが河川に流出した場合どう対応するのか、二点御指摘をいただいたわけでございます。  海浜部におきます今回の重油影響につきましては、現在いろいろな調査実施いたしております。特に、重油が下の方にたまって、それがどういう影響を持つのか、また、それが生物的にどう処理されるのか、そういう点についても検討いたしておるところでございます。そういうものを踏まえて今後対応したいと思います。  それから、産業廃棄物からの排水の問題につきましては、これはそれぞれの所管の行政の中で処理をされておられると受けとめておりますが、そういうことを超えて突発的な事故として水質事故が起こるという場合、そういうものに対応するべく今回河川法改正お願いをいたしておるわけでございますので、そういうものを踏まえて今後対応してまいりたいと思っております。
  26. 仁井正夫

    ○仁井説明員 お答えいたします。  御指摘の油まじりの砂につきましては、石川県の方から金沢市と小松市の二つの処理業者に委託されて、それぞれ管理型の最終処分場で処分されているという報告を受けておりますけれども、御指摘ございますので、さらに詳細な事実関係を調べるように指示したいと思います。
  27. 大野由利子

    大野(由)委員 以上で終わります。
  28. 市川雄一

    市川委員長 太田昭宏君。
  29. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 私は、昔、建設省工事事務所でダム建設工事に加わったことがあります。熊本県の緑川上流の緑川ダム、それから天竜川上流の砂防工事や、あるいは小渋ダムというのがちょうど建設中だったのですけれども、そういうことで、流量計算をしたりいろいろなことをしたことがあります。  当時からダム建設ということについては、治水利水、電力、農業、工業、さまざまな生活の面から大事であったということは、これは当然のことだと思いますが、今明確に一つの転換点に来ているということもまた事実であろうというふうに思います。  川が非常に荒れ果てている。この間石井委員の、大井川の写真も提示されていたわけですが、大井川などは本当に水がなくなってきているというような状況もありますし、ダムの時代は終わったというビアードさんのお話というのが、これはアメリカという状況もあるでしょうし、きょうの日経新聞を見ますと、今度はヒマラヤの方では、将来のかんがいあるいは農業ということを考えたり、あるいは食糧ということを考えると、ヒマラヤではダムを二十ほどつくっているというようなこともあります。  日本という現在の状況からこれをどうとらえるかということに対しては、私は、今回、環境ということを大事にしていくという方向を大いにとらなくてはいけない、そしてまた、ダムだけに頼っていくというこれまでの方向もある程度転換をしていかなくてはいけない、このように思います。  そこで、予算委員会でも私は亀井大臣にも質問させていただいたのですが、ダムをどうしても十年、二十年、三十年かかって計画をしていく、なかなか撤退ができない、こういう状況にあります。つくる方のプログラムとかシミュレーションというのは随分されるのですが、撤退のプログラムといいますか、その点が非常に弱いし、私は、ぜひとも撤退のシステムというかプログラムというか、そういうようなシミュレーションということについて建設大臣がリーダーシップをとってやるようにお願いをしたい。  細川内ダムでも、私の質問に対して、自分の任期中には結論を出したいという明確な答弁がありましたが、ぜひともそういうようなリーダーシップをとっていただきたいということをまず最初に亀井大臣に申し上げたいと思います。
  30. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員が再三御指摘のように、刻々と我が国の社会経済あるいは自然条件というのは変わってまいるわけでありまして、一たび将来を見通して着手したプロジェクトは状況が変わってもそれに固執しなければならないということは絶対ない、そういう点は、委員のお考えと私は全く同じでございます。  ただ、その状況がどう変わってきておるかということについては、やはり私は冷静に判断をしていかなければならない、このように思います。  近年、環境問題が非常に大きく取り上げられております。きょうも天野礼子さんが傍聴においでになっておられますけれども、そうした民間の市民団体、いろいろな方々が積極的にアプローチをし、建設省河川行政等に対していろいろな建設的な意見も、あるいはまた、それらの意見もいろいろとお寄せいただくわけでありますけれども、我々としては、行政に責任を持つ者としてそのあたりを冷静にきちっと判断をして、やめるべきものはやめるという結論を早急に出していきたい。  ただ、先ほど細川内ダムのことに触れられましたけれども、私は、その地域に責任を持つ者が、水没地域に責任を持つ村長さんが、住民の代表として、ダム審議会という、地域方々の御意見を聞くという、そうした手順を踏んでおるわけでありますから、そこへ出られて堂々とその意見を述べられるということがなければ、村長が責任を果たしておることにはならない、このように私は思います。  我々としては、知事あるいは関係市町村住民方々、それぞれの御意見も聞きながら、この問題について、必要性あり、継続すべしという決断をするか、あるいは撤退することを決断するか、そうした手順の中で考えていきたい、このように考えております。
  31. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 村長さんたちがなぜそこに出てこないかというのにはそれなりの理由があるわけで、そういうこともよく含めて私は決断を下さなくてはいけないというふうに思いますから、よろしくお願いしたいと思います。  例えば大井川ですが、去年の二月に「渇水に対する利水安全度」という調査を出していて、例えば、愛知県の豊川というのが四年に一回の渇水状況ということが言われています。私の生まれ故郷で、豊かな川で、まさにずっといつも流量がある。ここが果たして本当に四年に一回渇水なのかなと、その基準というものについても私はちょっと疑問に思ったりして、そういうことだからということでダムが必要だというようなものに持っていかれるというようなことまで勘ぐりたくなったりする場合が時々あるのです。  私は、大井川なら大井川が、非常に維持水量といいますか維持流量というか、この算定ということ自体、農業用水とかあるいは工業用水等でいろいろ難しい問題はあると思いますが、この辺、水が非常になくなって川が死んできているということは事実ですから、維持流量、この用水にどれだけ要る、ここにどれだけ要るというだけで、利水にどれだけの水量が要るんだということと同時に、維持流量というものの算定基準というものについても再度考え直していかなくてはいけない。ここもあわせてやることが、私は、利水というものの考え方の大事なポイントであろうというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  32. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま先生の方から、維持流量についてどうかというお尋ねがございました。  私どもも、維持流量を、これが利水計画を考える上で非常に一つの大きな基本の量だというふうに考えております。そして、従前、維持流量、これは欧米各国でも同じでございますが、年間を通じてその量を確保するという、向こうの言葉でも全く同じように、維持流量、こう申しておるわけですが、それがそういう概念でいいのかどうか。  維持流量そのものは、生態系を保持をし、そして河川の景観を守る、そういう面もあるわけでございまして、今回の河川法の目的に、「河川環境整備保全」という目的を入れていただく、そして、その目的を踏まえた治水利水環境の三本柱で河川整備を図っていくという、その際に、検討すべき一つの大きな量というよりも、維持流量をどう考えるべきかというのが非常に大きなテーマだというふうに受けとめております。  特に、この維持流量をどう保つかということが河川の水質をどう保つかということにもつながるわけでございまして、量と質をあわせた河川の水の管理という意味合いでは大変重要な概念だと思っております。  そういう意味合いで、これから河川審議会等々の場も通じながら、この問題、さらに検討して、その上で具体にいろいろな河川にそういう考え方を反映できるよう努めてまいりたいと思っております。
  33. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 渇水対策ということで、すぐダムというのに論議の焦点が行ってしまうのですが、今大野さんからもお話のありましたように、いろいろな意味での、私は、大野さんは雨水ということを言われましたけれども、総合的なそうした対策を施していかなくてはいけない。雨が少ないです、また、どしゃ降りとそうじゃないときの差が最近は激しいです、ダムが必要なんです、私は、これは非常に安易な論法であろうというふうに思っているわけです。  きょうは五十嵐先生も来ていらっしゃるのですが、高橋裕先生も言っていることなんですが、数十年に一回というような異常渇水にも万全に対応できるような水供給体制を従来型の水資源施設によって整備するのは無理であると。私もそのとおりだと思うのですね。  そのためには、河川開発もやるけれども、それ以上に、もう一度、多様な水資源を各地域の特性に応じて組み合わせていかなくてはいけない。多様な水資源というのは、循環資源としての水の特性を生かしての水の再利用とか、あるいは下水処理水利用、これらのリサイクル、あるいは異なる用水間の転用、あるいは雨水利用、海水の淡水化、少ない量であるかもしれないけれども、こういうことをちゃんとシフトをして、そして節水も、後から述べますけれども、やっていく、その上で、無理やりダムというのに固執しないでいく、そして環境にも配慮していく、こういう総合的なことの憲法的なものが、私は今回の河川法改正の意義であろうというふうに思っております。  そこで、この多様な水資源活用ということがなかなか進まないように思うのですけれども、今雨水利用ということがありましたが、下水処理水の再利用ということについても、建設大臣、私は全く同じことであろうと。上水道、下水道、中水道といいますか、そのビルの中での循環ということもあるし、あるいはまた、河川にまた戻してというような下水処理水の利用方法もある。それらについても、ぜひとも、この雨水と、あるいは地下水、これも地盤沈下の問題もありますが、もう一遍地下水ということも考える必要があるし、総合的な、そうした多様な水資源利用ということに建設省としてはむしろ重点をある程度置いてやるという必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  34. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま先生の方から、水資源開発のあり方、特に、その多様性をどのように求めているのか、こういう御趣旨、ダム開発からそういうものの方にシフトしてはどうかという形での御提言というふうに受けとめさせていただきましたが、先ほど来議論が出ております雨水貯留につきましても、先ほど来の議論のとおり、洪水対策としての効果もございますし、水利用を節水型に持っていくという効果もございます。  ただ、残念ながら、雨水貯留施設だけでは、渇水時には、これは雨が降らないから渇水になるわけでございまして、なかなか利用しにくい。  そのような中では、ただいま先生指摘のとおり、下水処理水の再利用といいますか、一度使った水を再生利用するということが大変大事になってくると思っています。その際の循環利用の仕方として、閉鎖型と開放型、二つの方法があろうかと思っております。  先生指摘のとおり、ビル等の中だけで循環をする、あるいは地域の中でそういうものを循環するという形の利用になりますと、必ず二重配管をしないとだめになるわけでありまして、そういう上水系と中水系と申しますか、そういう二重配管の問題が出てまいります。  それに対して、下水処理水をもう一度高度処理をして、河川に戻して、あるいは、取水をされているところに戻してもう一回使っていただくというような、あるいは地下水に入れて使うというような、そういう開放系の利用というものもあろうかと思います。  そういう、御指摘のとおり、まさに循環して利用できる、水質を浄化をするという機能をそこに加えればそういう利用ができるわけでございますので、私どもも、そういう方式については積極的に従前からも対応しているところでございまして、例えば、大阪の池田の方では、下水処理水の再利用ダムとの組み合わせで、より効率的に水を使うというシステムを既に実施に移しておるところでございます。  そういう面については、今後とも十分いろいろな地域状況を踏まえながら対応していく必要があろうかと思っております。  そして、アメリカのダムの問題についてのお尋ねがございましたが、カリフォルニア州では、一九九四年にカリフォルニア州における水資源開発計画というのを策定をし、二〇二〇年時点では、平水年で約二十六億トンから五十億トン、渇水年では三十六億トンから五十億トンの水が不足をする、そういう計画をつくり、その上で、昨年の十一月に、そういう水資源開発に対するボンドの発行についての住民投票がなされ、賛成多数でそういうものが認められたというふうに承知をいたしております。  三十六年間、大規模な水供給システムというのが今まで投資をされなかった、それに対して、これからそういう投資をしていこうということが認められたということもございます。  そういう中で、そういう水の貯留施設、そして水を再利用する、そういう下水処理水の再利用というものと総合的に、有機的に組み合わせる中で、委員指摘のとおり、より安定して水を使える、そういう社会に持っていく必要があろうと考えております。
  35. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 ダム建設する、地方自治体もお金を出す、負担金もある、支払いもしなくてはいけない。節水と一方では言いながら、そういうのを水道料金というようなことで、豊富にあるときにはある程度使っていただいた方がいいとか、いろいろな、そういうような構造問題というようなことも、これは建設省の所管ではないかもしれないけれども、私はまた別のところでもお話をしたいし、あるいは特殊法人の問題も、そこにはいろいろ構造的な問題もあろうと思います。  もう一つ、大量生産、大量消費型社会ということを言うと、余り言われないけれども、大々的に、この河川法改正のときに節水型社会に向けてスタートしようというような大キャンペーンをむしろ張った方がいいと私は思うのです。  昨年の二月、先ほど申しました利水の安全度、ここで、ここでも足りません、ここも危険性もありますといういろいろな指摘があった後に、この調査で節水意識を高めていただく一助にしたいなんということが書いてあるのです。新聞等では、頼みは節水だけである、こんなことが書かれていたりする。  私は、これは遠慮がちに建設省が一助にしたいなんて言っているのではなくて、むしろ節水ということは非常に大事だと。日本は水は非常に豊かな国である、日本国民はむしろそう思っていますよ。非常に水が足りないんだ、大変だ、二十一世紀はもっと大変になるという意識が非常にないと私は思います。  渇水になったところは、例えば福岡県なんかは十数%節約した、これがちゃんと伝統として生きていく。そういうことがあるわけで、今回の河川法の論議を通じて節水社会に向けてスタートをしていく。そういうことがあって初めて、ダムがいいか悪いかというのは、ダムを悪玉に仕立て上げるというよりも、節水社会の方にシフトしていくということをもっともっと建設省みずからが、また政府がそういう流れをつくっていく努力というものが今こそ必要ではないか、私はこう思いますが、大臣、いかがですか。
  36. 亀井静香

    亀井国務大臣 全く同感であります。  ぜいたく放題、やり放題、水も使い放題をしながら、環境を守れというのは矛盾でありまして、そういう意味では、我々政治家自体、役所自体が貴重な水をいかに大事に使っていくかということが、環境問題のみならず、我々の生活を守るという点でも極めて大事であると思います。我々としても、今後提唱していきたい。  また、きょう傍聴の市民運動家の方々も、水と緑を守るにはやはりそうしたことも生活の中できちっとやっていこうではないかというような運動を、天野さん、五十嵐先生皆さん方もぜひやっていただきたいと私は思うわけでございまして、委員の考え方に私は全く大賛成でございます。努力をしてまいります。
  37. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 ダムをやめて農業用水路合理化へシフトをしていくというような話もあったりして、私は、一つ一つそういうことも真摯に受けとめてやっていくという必要があろうと思います。  今回、渇水調整の規定が初めて改正されようとしていて、渇水調整協議会というのは、審議会の提言では法制化の方向にということだったんでしょう。しかし、これが見送られて、盛り込まれていない。  私は、これらについて、渇水対策、渇水調整に及ぶ影響がかなり出るのではないのかな。いろいろな論議があったことはよく存じています。しかし、そういう論議は終わらないで、これについてはやはり考えていかなくてはいけない。渇水対策、渇水調整にそういうことが及ぼす影響がないのかと心配しているのですが、どうですか。
  38. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま先生指摘の、渇水調整協議会の法定化の議論でございますが、渇水調整協議会は、水利権の調整の場ではございませんで、渇水が起こった際に、いかに各水を使っておられる方々がお互いに節水をしながら調整するか、こういう枠組みづくりの話でございます。それで、農業用水の転換の問題につきましては、この渇水調整協議会とは別の場で、各省連携のもとに従前からいろいろな検討を進めてまいりまして、相当数の水量を転換をしてきているところでございます。  一方、実際の渇水が起こったときの渇水の調整をするための渇水調整協議会の法定化というのをぜひお願いをしたいということで、昨年来私ども関係機関とも協議をし、全国のいろいろな水利用者の方たちとも協議をさせていただいたわけでございます。そういう中で、どうしても今の河川法の渇水調整は、まず利水者から、利水者の間で、水利用者の間で調整をするんだという原則論、そこのところの議論がやはり現体制の中での議論でございまして、そういう意味合いで、水利用者の御理解を残念ながら得られなかった。そういう得られない中で、渇水調整協議会の法定化だけをしましても、これは協議会そのものが機能しないということになりますので、今回見送ったわけでございます。  ただ、先生指摘のとおり、現時点では、一級水系六十二水系、百九のうち六十二しか渇水調整協議会、これは通達に基づく協議会でございますが、それが設置をされておらない。また、二級水系で見ますと、二千七百のうち二十六水系しかない、こういう状況でございます。  私ども、今回この一連の作業の中で、水利用者との間でもいろいろな話し合いをする場ができたわけでございますので、そういう場を通じて、今後渇水調整により努めるとともに、水利用者の御理解を得て渇水調整協議会の法定化というものについては今後考えてまいりたいと存じておるところでございます。
  39. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 ちょうど一週間前にプレジャーボートの不法係留問題が発表されて新聞にも出ていますが、これまた私の地元でも結構深刻だったり、問題になったりして、いっぱいあってイタチごっこになってしまっている。地元の人は、例えば、ここを入ったあそこにマリーナをつくったらどうですかというような提案も随分あるんです。  一日に発表された、運輸、建設、水産の三省庁の調査結果で改善されていないということが発表されているわけですが、実に、全体の二十万八千のプレジャーボートのうち、十三万八千が違法で、七万が合法。今回取り締まりを強化するというのは私は余りにもおかしなことだろうというふうに実は思うのです。  大体、駐車違反というのは、ほとんどの車が全部駐車違反でございます、これを取り締まりますよ、そうではなくて、例外だから取り締まるわけで、はるかに放置艇の方が多いというような現状について言えば、これはもう体制の問題だと私は思わざるを得ないわけです。  そういう意味では、公共マリーナの整備とか、PBSの整備とか、民間マリーナの整備とか、体制をつくります、つくりますだけ言っているのですが、もう一遍この機会にしっかりした体制をつくらないととんでもないことになるし、実は、売った側からいくと三十四万隻売ったというのですが、建設省調査では何と二十万隻あったというのです。あと十四万はどこに行ったのですか。どっかの納屋にあるのか。  私は陸に上がったプレジャーボートを見たことがないのですが、そういうようなことも含めて、この体制というものをしっかりつくらないとだめだ。ぜひともこれは早急に、二年前でもこうしましょうということが言われているのですが、取り締まりという以上に体制をつくれ、つくっていかなくてはこれは解決しないと私は思います。いかがですか。
  40. 尾田栄章

    尾田政府委員 まさに先生指摘のとおり、私ども全く同じ問題意識でございまして、そういう需要がある以上、それを収容する場所がないままに規制をするということであってはならない、こう考えております。  そういう意味合いで、関連をいたします、運輸省、農水省、漁港、港湾、そういうプレジャーボートが係留されるところの施設管理しておる立場の皆さん方と一緒になりまして、そういうマリーナの整備というものについても積極的に考えてまいりたい。  そしてまた民間でそういうものを整備される場合、あるいは公的な、市町村整備される場合、そういうそれぞれの対応に応じて、河川管理の原則は踏まえつつではございますが、そういう需要に対応するべく、最大限努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  41. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 時間がもうなくなって、大きな問題なのですが、水質の問題です。  今回、「環境」が入ったということは、生活環境の保護あるいは飲み水の安全、こうしたことを第一義に考えることである、そういう角度も非常に大事だというふうに私は思っています。  日本の、この水質の汚染に対しては、いわゆる排出規制というか、出口でシャットアウトする。これは飲み水とか、そういうことでは大事なのでしょうが、しかし、全体を汚しておいて、最後そこで塩素をぶち込んで殺菌をする、そして発がん性とかいろいろなことが指摘されていて、各家庭には浄水器を全部置かなくてはいけない、あるいは東京都等では、金町浄水場にいろいろな装置を施して、少しでもきれいな、おいしい水になるようにという努力をしているというような状況です。  これは出口規制あるいは排出規制というだけではない、それだけではだめだということで、河川全体を何とかしようということで、例えば伊東市とかいろいろなところでは、ゴルフ場についても、こうしましょうとかいう条例で補っているというところもいっぱいあるわけで、これは国の責任で、河川全体の浄化ということについて、水源の保護とかいうことについて、もう一歩強い姿勢で臨んでいかなくてはいけないのではないか、私はこう思います。よろしくお願いします。
  42. 尾田栄章

    尾田政府委員 まさに今委員指摘の問題意識で今回の河川法の目的改正お願いいたしておるわけでございまして、従前の水利権行政の中でも、水量、量については規定をいたしますが、水質については規定をしておりません。まさにそういう意味合いでは、水量水質一貫管理と申しながら片手落ちの面なきにしもあらずと反省をしておるところでございます。  今後、そういう問題について積極的に、先ほどの維持流量の問題とも絡む議論でございますので、そういう問題について、これからいろいろな面で検討を深めてまいり、具体の施策に結びつけてまいりたいと考えておるところでございます。
  43. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 水源二法というのも、そういう意味ではちょっと弱いし、中途半端なものだなというふうに私は思っておりまして、流域全体でこれは水質保護をやる必要がある。  最後に大臣、それについて一言。
  44. 亀井静香

    亀井国務大臣 全くお説のとおりでございます。トータルとして努力をしなければならない、このように考えております。
  45. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 終わります。
  46. 市川雄一

  47. 川内博史

    川内委員 民主党の川内博史でございます。  前回に引き続いて、今回の河川法改正案政府案並びに民主党案に対して質問をさせていただきます。  前回、私の質問のときに、大臣、民主党案のすばらしさを聞きたくなかったのか、どこかへ行かれていましたので、きょうはずっと座っていただいて、よく聞いていただければと思います。  まず、根本的なところから質問をさせていただきます。  民主党が今回政府案に対してなぜ対案を出そうとしたのか、そしてまた民主党が、政府案河川法改正案に対して、どこが違う、どこがいけないと考えたのか、その出発点、また、その結果として、政府案並びに民主党案のどこが決定的に違うのかという点について、御説明をいただきたいと思います。
  48. 小林守

    ○小林(守)議員 民主党の小林守です。  川内議員の御質問にお答えをいたします。  一言で言うならば、多様な命をはぐくむ母なる川を今こそよみがえらせたい、こういう思いからでございます。  「国破れて山河あり」という詩がありました。敗戦の焦土に立った国民は、新しい民主主義の輝きのもとにふるさとの山河を見詰め、命のいやしを山河の息吹から受けとめたと思います。そして、復興への熱意と希望を感じ取ったのではなかったでしょうか。  そして五十数年がたちました。経済的な豊かさと安定を求めて、開発と成長の路線をやみくもに私たちは走り抜けてきました。そして今、国栄えて山河なしという時代状況に私たちは立っているとあえて言わなければなりません。豊かさとは何か、ゆとりとは何か、私たちは足元から問いかけられています。私たちは、なぜこんなに山や川や海と疎遠になってしまったのだろうかという反省の思いであります。  さて、今回の河川法改正は、明治二十九年、旧河川法から百年、そして昭和三十九年の現行河川法を挟んで、二十一世紀の河川行政方向を政府なりに開こうとするものとして提案されたものだと思います。  しかし、この改正案は、これまでの治水利水に偏重した河川行政にプラスして、「河川環境整備保全」という言葉をつけ加えておりますが、国が河川を所有し、中央集権的に支配し、管理するという旧河川法以来の河川法の本質は変わらないと言わざるを得ません。  第一に、河川行政建設省が一元的に行うことは変わっておりません。一級河川はもちろん、都道府県知事管理する二級河川も、いわゆる機関委任事務として建設省の支配下に引き続き置くものであります。  第二に、河川環境に大きな負荷を与えているダム堤防は、今後もつくり続けることが予定されております。住民の合意が得られず、二十数年以上にもわたって未着工の状態にあるダム総務庁が社会的、経済的条件の変化に対応して見直しを求めているダムも含めて、新たな治山治水五カ年計画は二十四兆円の規模であり、何百ものダム計画されているわけであります。  さらに、情報公開や住民参加というシステムは、民主主義の基本的なインフラであります。現在及び将来の国民の共通の財産である河川環境は、民主的な国民合意形成の仕組みのもとで、その利用環境保全がなされなければならないものであります。政府の情報公開と住民参加の仕組みは、河川管理者、つまり国、建設省の裁量にゆだねられている部分が極めて多く、部分的、制限的なものであると言わざるを得ません。  以上が、政府提案の問題点、ひいては建設省河川管理思想の問題点であります。  これに対し、民主党の改正案は本質的に異なっていると主張いたします。  第一に、河川建設省だけが管理するのではなく、関係当事者が、それぞれの地域の条件に応じて柔軟な対応ができるようにしなければなりません。中央集権的な河川支配から、地域主権の時代を構想して、民主主義を地域で成熟させていくような役割を担う組織、いわゆる水系委員会の設置を考えているわけであります。  第二に、水系委員会は、治水利水と同等に河川環境を重視すべきといたしております。河川法の「目的」の部分に、「河川が豊かな自然と水循環の下で多様な生物の生命をはぐくむ母胎」であり、「多様な河川環境を健全な状態に保全して将来の世代に引き継ぐ」といたしましたのは、これまでの川を殺す河川行政に関する深い反省からであります。  なお、河川に対するこのような認識は、アメリカやヨーロッパでは既に常識となっているところであります。ちなみに、アメリカ内務省の開墾局総裁であったダニエル・ビアード氏は、一昨年、アメリカにおけるダム開発の時代は終わったと発言をされております。  ドイツにおいても、河川の再自然化という課題が大きな課題になっておりまして、主流を占めることになっております。さらにフランスでは、流域協議会を中心といたしまして地方分権を徹底させ、そして国の所管する省は環境省ともなっております。  このように、我が党の案は、今までの河川管理の概念を根本から転換しており、河川ダムや堰やコンクリートの三面張りで支配、管理しようとしてきた二十世紀の河川思想から、二十一世紀の自然的生存基盤である川をよみがえらせ、川とともに生きる新しい河川管理思想へと一歩踏み込んだものと自負しているところであります。  議員各位の御理解や御支援を心からお願いを申し上げる次第であります。
  49. 川内博史

    川内委員 大変熱のこもった御答弁をいただきました。ありがとうございます。  大変に御謙遜をされて、二十一世紀の河川管理思想に一歩を踏み込んだものであると自負をしていると、自負というお言葉をお使いをいただいたわけでありますが、実は、この民主党の改正案というものに対しては、各方面から大変な評価もまたいただいているわけでございます。  大臣、ハトを守るタカと自任をされていらっしゃる大臣でございますから、言葉をかえて言うなら、ハトを守るタカというのは正義の味方ということでございましょう。ひとつ、いいものはいいということで率直に受け入れていただければ、正義の味方としての大臣の評価も大いにまた高まろうかというものではないかというふうに思っております。  民主党の案というのは、母なる川、それを本当の意味で再生をさせようということを志向しているということが今よくわかったわけでございますが、残念ながら、建設省さんの改正案に対する答弁を聞いておりますと、国民の生命財産を守ることは大変大事なことだ、それは異論がないことでございます。  しかし、その生命財産を守るためにはダム建設はまだまだ有効なんだ、やっていかなければならないのだというお考えをしているということを御答弁の中で何回も聞かされてきたわけでございます。  しかし、ダムというのは人間がつくるもの、コンクリートで構成されているもの、耐用年数がございます。また、砂がどんどん堆砂をしていく、そして埋まっていくわけでございます。例えば、静岡の天竜川の各ダムでは、砂がかなり堆積をしているようでございますが、実際にどの程度堆積しているのか具体的なデータをお示しをいただき、また、それは計画時に想定していたスピードと比べてどうであるか、あわせて御答弁をいただければと思います。
  50. 尾田栄章

    尾田政府委員 天竜川におけるダムの堆砂状況はどうか、こういうお尋ねでございます。  まず、具体の数字を先に御説明をさせていただきますと、天竜川では、現在直轄で管理をいたしておりますダムが三つございます。美和ダム、小渋ダム、新豊根ダム。それに、補助ダム、いわゆる県で管理をされておられるダムが、松川ダム、横川ダム、片桐ダム、箕輪ダムと四つあるわけでございますが、これの全体を通じて申しますと、堆砂率が一四%、これは総貯水量に対しての数字でございます。そして、計画堆砂量に対する率といたしましては六二・三%、こういうことでございます。そしてお尋ねの、当初計画をした堆砂量に対して、それを上回っているダムはどうかということで申しますと、美和ダム、小渋ダム、松川ダム、片桐ダムというのが当初の計画をした堆砂スピードを上回って堆砂をいたしております。  堆砂の問題というのは、これは大変難しい。要するに、降水、雨によってどれだけ土砂崩壊が起こり、どういう形で堆砂が進むのかという問題でございまして、これを、百年を見通して、百年間でどれだけの堆砂量が出てくるかというのを見通した上でダム計画をつくっておるわけでございますが、そういう計画で見通した量を超えているというのが今申したところのダムでございます。
  51. 川内博史

    川内委員 全体の数字としては、建設省さんがほぼ想定をしていたよりも天竜川の全体の堆砂率は低いということですね。どういうことなんですか。その堆砂率が予想を上回っている三つのダムの数字を答えていただきたかったのですけれども
  52. 尾田栄章

    尾田政府委員 先ほど申しましたのは、計画堆砂量に対する率が全体で六二・三%になっているということでございまして、計画堆砂量に対して、美和ダムは一〇〇%、小渋ダムは六五%、松川ダムについては一〇五%、片桐ダムについては三二%、概数でございますが、そういう形でございます。  そういう意味合いで、先ほども申しましたが、当初見込んだ堆砂量、堆砂量といいますか、堆砂のスピードを上回って現況堆砂をしておるという状況でございます。  御承知のとおり、天竜川は中央構造線沿いを流れておる川でございまして、この堆砂量をどう見るかというのは大変難しい、技術的な課題もございますし、また、堆砂は雨の降り方に非常に左右されますので、そういう点もぜひ御勘案をいただきたいと存じます。
  53. 川内博史

    川内委員 実際に想定していたよりも非常に速いスピードで砂がたまっているということを今やっと御答弁をいただいたわけでございますが、それを御答弁いただきたかったわけでございますけれども、実際には常にダムの内側をしゅんせつをしているわけですよね。そのしゅんせつをしながら、さらに砂がたまっている。大変なスピードでたまるわけでございますが、そのしゅんせつにかかる費用、ダムに関しては、ダムをつくる費用とともにまた砂をかく費用も必要になる、それは未来永劫必要になるのでしょうけれども、その辺の費用の関係についてはどのくらいになっているのかということを簡潔にお願いいたします。
  54. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま委員指摘ダムのしゅんせつは、小渋ダム実施をいたしております。そして、小渋ダムでは堆砂ダムというのを本体のダムの湛水末端のところにつくっておりまして、そこのところで骨材として使える分については砂利採取でおとりをいただく、こういうことでございまして、その採取量が約五万立方メートルございます。  そして、骨材としては使えないヘドロのような堆積物につきまして、年間約一千万円を投入いたしまして、約五千立方メートルのそういう土砂を排出をしておるということでございます。
  55. 川内博史

    川内委員 大臣ダムというのは、つくるだけではなく、また、そのメンテナンスも必要になってくる。しかも、そのダムが未来永劫に使えるわけではない。耐用年数もあるわけでございます。  建設省さんとして、このようなダム行政というものを今後ずっと続けていかれるのか、砂で埋まってしまったダムのしゅんせつをこれからもしていかれるのか、その辺について今後発想を転換していかなければならないという御認識を持っていらっしゃるかどうか、お聞かせをいただければと思います。
  56. 亀井静香

    亀井国務大臣 これは委員も御承知のとおりですけれども建設省としましても、河川局といたしましても、毎年毎年の予算を減らしたくないからどこかにダムをつくるところはないかと探してつくっておるわけではございません。  よく、役人は自分のところの予算を伸ばすのが生きがいでおるのではないかという批判もあります。確かに、私が役人をしておりましたときの雰囲気からいいましても、そういうところがないわけではございません。  しかし、河川局の役人も一生涯同じポストにおるわけでもございませんし、また、河川行政ダムをつくるだけではありません。河川を改修するというようなことで洪水を防止することもできるわけでありますから、いろんな形で、要は、国民の生命、身体、財産をどう守るか、そういう一点で、ダムをこの地域につくらなければ治水利水の面でこの地域方々が大変お困りになる、大変な事態になるということで御承知のように今までやってきましたし、今後もやるわけでございます。  委員は全部御承知と思いますけれども、やはり今からは、先ほど来、太田委員を初め大野先生等からもお話がありましたけれども、水、この非常に貴重な天然の恵みを我々がどう使っていくかということについて総合的に我々は対応していかなければならない。ダムをつくって、そこにためて使っちゃえという、そうした単純なことだけではいけないということは事実であります。しかし一方、膨大な国民が生活しておるわけでありますから、大量の水を確保するという利水の面も、文明生活が進めば進むほどこの必要が多くなるわけでありますから、そういう面もやはりダムという形でやらざるを得ない。  あるいは、もっとそれ以上に、洪水をどう防止するか。委員の地元もシラス地帯で、治山治水、大変なところですね。私も勤務しておりましたから本当によくわかります。鹿児島の自然、河川、これがいつまでも美しくなければならぬわけでありますけれども、台風が来るたびにそこで土砂崩れが起きて住民の方が犠牲になるということは防がなければならぬ。そういう意味で、やはり美しい自然を確保せざるを得ないということもあるわけでありまして、そういう観点で我々はやっておるわけでございます。  民主党が大変御苦労されたことは、私は非常に敬意を表します。政府提案だけじゃなくて、それに対する対案を各政党あるいは議員の方々がどんどん出されるということが今から非常に大事だと私は思いますので、敬意を払いますが、ただ、中身につきましては、残念ながら首をひねらざるを得ない。  何度も申し上げますように、我々は、環境ももちろん大事でありますが、ハヤやフナがすいすいと泳いでいる、そういう景色、これも大事ですけれども、そこに住んでいる人たちの生活、安全も大事だという視点を失ってはならない。  また、私、ちょっとこの御答弁で気になったのでありますが、建設省が所有しているとか、何か、その地域と対立するような、江戸時代の、住民とお代官さん、支配者とのような関係で見ておられますが、これはとんでもないことでございまして、私、この建設省を統括しておるわけでございます。私も住民から選ばれた存在でございまして、天皇陛下から任命をされたわけではない。私は、住民の意思によって選ばれて現在河川行政を統括しておるわけでございますから、国民のために建設省の役人はどうしたらいいかということを一生懸命考えながら、汗水垂らしてやっています。  昨夜も大雨が降りました。私はグーグー寝ておったわけで、申しわけないのでありますけれども建設省の職員は、地建の職員を含めて、徹夜でこれの洪水対策等に当たっておるわけでございました。その地域住民の生活を守るということで、どうしたらいいかということを必死になって考えている、この視点を外してこの問題について対案を考えられるということがあってはならない、私はこのように思います。
  57. 川内博史

    川内委員 ありがとうございます。  建設省さんのお役人の方々が一生懸命にやっていらっしゃるということを私どもは否定はしておりませんし、一生懸命おやりいただいているというのは十分に理解をしつつ、しかし、新しい視点も何とか盛り込ませていただければということで提案をさせていただいているわけでございまして、敬意を払っていただけるだけではなく、その提案もお取り入れをいただけるように、またこの場でお願いをさせていただきます。  お代官という言葉も出てまいりましたが、それはまあ大臣の人相に深く関係をしているというふうに私は思っておりますが……。  続きまして、時間もございませんので、情報公開の点についてお尋ねをさせていただきます。  河川局長、まず政府案の情報公開に対するお考えをお聞かせをください。お願いいたします。
  58. 尾田栄章

    尾田政府委員 先ほど来議論をいただいております、住民皆さん方の御意見をお伺いをして反映をさせていく、そういう新たな仕組みをお願いをしておるわけでございますが、そういう中で、河川に関します情報を適時的確にさせていただくということは大変大事なことだと考えております。  これまた、河川審議会の昨年十二月の提言でもそういうところが指摘をされたところでございまして、それを踏まえて、今回、今まで一番欠けておりました渇水時における情報提供、特に、先ほど来議論が出ておりますが、現在ダム等の貯水施設が相当整備をされてきております。このおかげで首都圏においても渇水を免れておるわけですが、ダムの貯水量がどうなっておるか、そういう情報を適時的確に出していく。  そして、その上で利水者の皆さん方にも節水をしていただく、そういうことが非常に大事だ、そういう視点に立ちまして、まず、渇水時における情報提供、今回そういう努力義務をみずから課したい、そういうお願いをしておるところでございます。  そして、洪水時につきましては、先ほど大臣から昨夜来の出水の御報告がございましたが、水防法にその定めがございますし、また水質事故についても、「緊急時の措置」ということで河川法施行令の中に定めがございます。そういうものを総合的に使いながら、的確な情報提供により一層努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  59. 川内博史

    川内委員 情報公開については努力をいたしますということで、非常に抽象的なんですけれども、民主党案の情報公開に対する考え方というのはどのようになっておりますでしょうか。
  60. 細川律夫

    ○細川(律)議員 情報公開につきましては、民主党案と政府案は大変違いがございます。  特に平常時、普通の場合のときの河川情報でございますけれども、民主党案では、河川管理者河川に関する情報をすべて公開しなきゃいかぬ、そしてそれも速やかに公開をしなければいけないということにいたしております。  具体的に申し上げれば、河川の水位とか水量あるいは水質など、あるいはまたダムの放水の操作情報、あるいは生物がどういう状態なのかとか、こういうような情報でございますけれども、これは、単に建設省とかあるいは地方建設局とか例えば県庁、そういうところにただそういう情報を備えておくだけというんではなくて、私どもは、いわば河川の情報の発信基地、それをきちんとしておく、そういうような考えに基づいております。  そして、今までの情報公開というのは、ただ数字や統計を出す。そういうものだけではなくて、これからは、地域の人たちにとってわかりやすい、そういう情報でなければいけない。そして、河川の問題について、地域皆さん方がこの問題を検討していく上にわかりやすい情報というのを公開をしていくというふうに考えております。  河川審議会の方では、その答申の中に、住民皆さん方が川というものを三百六十五日意識できる、そういうようなものにしていかなければいけないというような答申になっておりますけれども住民皆さん方にまさに三百六十五日、ふだんから河川の情報を提供をしていくような、そういう公開の仕方にしたいというふうに考えております。  もう一つ、先ほど申し上げました速やかにこの公開をしなければいけない、この点でありますけれども、どうもこれまでの情報というのは、ただ統計表にこういうふうになっておりますからとか、あるいは統計年鑑、流量年鑑にこういうふうに書いてありますから、それを見てくださいというようなことではだめだろうというふうに思っております。  それは、やはり情報というのはリアルタイムに住民皆さんに情報が届くように、例えばインターネットで常時情報を出したり、あるいはファクスなんかでも問い合わせにこたえることができるように、そういうようにしていかなければいけないというふうに思っております。
  61. 市川雄一

    市川委員長 審議時間が終了しておりますので、答弁はもう簡潔にしてください。
  62. 細川律夫

    ○細川(律)議員 はい。  民主党案では親水という言葉も使っておりますけれども、例えば子供が夏、川で泳ぎたいというようなときに、親がその情報を聞きたいと、どういうところで泳げるかとかというようなこともぜひ公開するようにしたいというふうに思っておるところでございます。
  63. 市川雄一

    市川委員長 終わってください。
  64. 細川律夫

    ○細川(律)議員 はい。  そういうことで、より情報をふだんからみんなに、川に親しめるようなそういう情報にしたいというふうに思っています。
  65. 市川雄一

    市川委員長 もう終わり。
  66. 川内博史

    川内委員 石井議員と時間を調整いたしますので……。
  67. 市川雄一

    市川委員長 ああ、そう。はい、わかった。  では、川内博史君。
  68. 川内博史

    川内委員 済みません、委員長石井議員との間で時間を調整させていただきますので……。
  69. 市川雄一

    市川委員長 ルールは守ってくださいね。
  70. 川内博史

    川内委員 はい。  民主党案は昨年六月の河川審議会の答申を忠実に法制化をしたという御答弁であったと思いますが、政府案では平常時の川の情報公開について残念ながら答申どおりの法案化をできなかったということだろうというふうに思います。  情報公開が時代の流れとなっていることを考えても、河川審議会の答申を見ましても、積極的に情報公開をしていくということが必要であるというふうに考えます。時間もございませんので、大臣のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  71. 亀井静香

    亀井国務大臣 私どもは、常時必要な情報は、隠す必要はございませんので、河川管理上、情報公開することが私は大事だ、このように思っておるわけでございますから、今後とも積極的に公開をしていきたいというふうに考えております。
  72. 川内博史

    川内委員 終わります。
  73. 市川雄一

  74. 石井紘基

    石井(紘)委員 まず最初に、この間もちょっと申し上げたのですが、長良川河口堰の決算書があるのですが、この中で用地費及び補償費というのがございまして、これが五百三十九億円ということですが、この詳細を資料として私の質問時間中にお出しをいただきたい。  それからまた、苫田ダム関係に係るところの工事費、工事諸費の明細についてもお出しをいただきたい。それから、細川内ダム関係のこれまでの事業費の使途についてお出しをいただきたい。よろしゅうございますね。
  75. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいまお尋ねの長良川河口堰ほかの用地補償費の内容につきまして御説明を申し上げます。(石井(紘)委員「説明は結構です、お出しいただければ、後でまた聞きますから」と呼ぶ)  既にお渡しをしておろうかと思いますが……。
  76. 石井紘基

    石井(紘)委員 この間、私は、河川の問題についての総論的な話をさせていただきました。  川というものは、人間でいえば血管のようなものであって、そして太いところから細いところまで行き届いておって、その中で養分を運び、そして筋肉を支え、手足を支え、そしてさらにはまた、耳や鼻を支えて、視界を広げて、さらにはまた、頭脳を動かすということで、血管というものは人体そのものであるという話をさせていただきましたが、きょうは、ちょっと具体的な話に移らせてもらいたい。  この間の質問に対する答弁で、全国の川にあるダムの数というのは二千六百四というふうに言われました。これらのダムや河口堰のある川にはすべて堆砂が起こっておると言ってもいい状態であります。水害の危険がこれによって増しているということであります。  川というものは、水だけが流れるというのではなくて、上から多量の土砂が流れてきて、正常であればそれが河口や海まで行って、そして中州ができたり砂浜ができたりということになって、海岸に海草が生え、小魚が育つ。  その石や砂というものがダムでとめられてしまうために、結局、ダムごとにその上流部に、ダムそのものもそうですけれども、さっき堆砂の量を答弁されましたけれどもダムの中の堆砂だけが問題じゃないんです、むしろダム上流部に土砂が堆積してしまうという状況になっている。一方、河口の方は、こういうふうに堆積してしまうから石や砂が行かない、だから海岸線の砂浜はどんどんと削られていく。  そこで、海岸線の問題を申し上げたい。  例えば大井川を取り上げますと、大井川の河口線というものは、この二、三十年の間に何と百メートルから長いところでは二百メートル後退しているんです。私ども実際行って見てまいりました。  写真も今お見せいたしますが、こういうふうな、後退をするからこれをとめようと思って、こういう、皆さんにもお見せした方がいいと思います、こういうふうにテトラポットを並べてある。これは、並べてあるというよりも、延々と何百メートル、何キロにわたって、ただ一本並べてあるだけじゃないんです、二重、三重にテトラポットを並べてある。  一説によると、人によっては、この大きいものは一個五十万円ぐらいするとかいう話も聞いたことがあるんですが、これは一体何のために並べてあるのか、答えてください。
  77. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま先生の方から海岸侵食についてのお尋ねがございました。  海岸侵食の問題、これは大変複雑な土砂の漂砂の問題等々非常に絡みますので、一概にどういう理由で海岸侵食が起こっているかということは言えないわけでございますが、そういう上流からの土砂の供給のバランスの問題、そして、漁港等、あるいはそういう海岸の突堤がつくられることによりましてその対岸が削られていくというようなこともございます。そういういろんな原因が複合して海岸の侵食が起こるわけでございますが、そういう海岸侵食を抑えるために、波を殺すための構造物としてそういうブロックを設置をするというのが一つの海岸侵食に対する方策でございます。
  78. 石井紘基

    石井(紘)委員 波を殺すためにこういうものを置くんだったら、日本じゅうの海岸にこれを置かなきゃならないんじゃないの。そういういいかげんな答弁しちゃだめですよ。  建設大臣、これをごらんになってどういうふうにお思いになりますか。これは、駿河湾に注いでいる川というのは四水系で二百河川一級河川であるわけですが、これを置いておいても、これが河口ですよ、河口がもうこんなに狭くなってしまっている。そして、どんどんと新しい砂が入っていきませんから海岸線が削り取られて、長いところは二百メートルも下がってしまっているわけですがね。まあ、いいです、建設大臣黙っておられるから……。
  79. 亀井静香

    亀井国務大臣 私もあちこち行きまして、テトラポットのある景色なんていいと思ったことは一度もありません。  しかし、そうした自然が、我々が文明生活を含めて生活をしていく中で、破壊をされていく、それをいろんな形でできるだけ防御をしていく、制御をしていこうというそうした知恵の中から、そんなやむを得ず奇妙きてれつなものが並べられるという現象が起きておるわけでありまして、太古の自然の姿がそのままあることがいいということは、委員力説をされなくても、みんなわかっておることでありまして、そういう中でどうして我々の生活の安全を守るかという問題、あるいは利便性をどう確保していくかという問題でのまさに葛藤をやっておるのが行政の実態であることも、私は御理解いただけると思います。
  80. 石井紘基

    石井(紘)委員 今、こういう奇妙きてれつなものがやたらに置いてあるということ、これはいいことじゃないというお話でしたが、局長、今度の河川法改正案が通ればこういった事態は直るんですか。
  81. 尾田栄章

    尾田政府委員 海岸侵食をどう防ぐかというのは、これは大変難しい問題でございまして、先生指摘のとおり、上流からの土砂供給と、海岸が漂砂等で沿岸流で運んでいく……(石井(紘)委員「ちょっと、悪いけれども、直るか直らないかだけ言ってよ」と呼ぶ)そういうバランスを図るものでございまして、すぐ一朝一夕をもって、今すぐそういう構造物をなくしてしまう、それをなくした上で海岸の侵食をとめるということはできないと考えておりまして、ただ、そういうものが表に出ないような、潜堤と申しまして、そういうのが表に出ないような、潜った形で波を殺すというような工法も考えておりますが、この駿河湾は大変海底勾配がきついものですから、そういう工法はなかなか残念ながらとれないというのが実態でございます。
  82. 石井紘基

    石井(紘)委員 このテトラポットでさえもう沈んじゃっているんですよ。満潮になるとほとんど見えないというようなところもあるんですね。  こうした堆砂のため、今度はダムの、川の上流の方へ行きますと、ますます水害の危険というものが増している。例えば天竜川、先ほども太田委員から出ましたが、ダムがここには十五個あるんですね。この土砂の堆積の進行というのは天竜の流れにも増して早いんですよ。  これについて、今村真直さんというのかな、この方が「天竜峡で見た天竜川水位の変遷」ということを出しておられますが、この天竜川にある泰阜ダム、総貯水量は千七十六万トン、これに対して堆砂率は、完成してから二年で早くも五割を超えてしまった。そして八年たったら九五・六%になった。これは、堆砂率というのは、ダムの容量に対してこういう九五・六%になってしまったということなんですね。  このたまり方は、貯水湖全体にたまるんじゃなしに、さっきも言ったようにダム上流域にもうずっと堆砂しているわけですから、さっきの計画堆砂率なんということを同僚の川内議員に対して一〇〇%とか一〇五%とか言われましたけれども、しかし、ダムだけじゃないんです。ダム上流部に主としてたまっているわけなんです。こういうバックウオーターと言われるところに、幅広い、何というか、セメントを入れてない高速道路みたいなそういうような状況に細長い砂漠ができているわけなんですね。  これについて、大井川のもう一回別の写真をごらんいただきたいのですが、こういうふうになっておりまして、これが上流の方に堆砂している。この写真は、大井川の本川根町にお住まいの方なんですが、かつてここには、十年ほど前には、このあたりに今彼が立っている岩がそびえ立っていたわけです。大きな岩です。そこから川に飛び込みをやって遊んでいたものだというんです。ところが、今やこの岩はもう岩じゃなくなっちゃって、ただ単なるちょっとした砂の中から出ている石のように見える。しかし、これは巨大な石なんだ。高さ、こういうふうになってきている。  あるいはまた、先日行った木頭村には長安口ダムというのがあって、この上流の堆砂というのは、この堆砂計画というさっき言われたこれは二百万立米だったんですね。それがもう既に五倍を上回る百八万立米に達しているわけです。要するにそういうことになっているわけですね。  この近辺に助大橋という橋があります。先日、建設大臣、写真を差し上げたんですが、この助大橋というのは高さ三十メートルもあった橋なんです。これが二、三十年の間にもう十メートルしか橋脚が見えなくなってしまってきているわけですね。こういうことによって、この堆砂のためにむしろ洪水が起きやすくなっているという点を申し上げたいのです。  先ほどの天竜川の泰阜ダムにしましても、堆砂のために八三年までの間に十三回の大小の洪水を起こしている。このあたりは河路地区というのですけれども、これは水難の里というふうにダムができて以来ニックネームがつけられたということです。こうした例はもう挙げれば切りがない状態です。  そこで建設大臣、川というものは、先ほどそれは耐えなければならぬというようなこともあるとおっしゃいましたけれども、川というものがこういうふうにことごとくと言っていいほど砂でどんどん埋まってしまうという状況というものは、放置しておくわけにはいかないと思うのですが、今度の河川法、これを改正したら幾らか何とか手だてが尽くせるのでしょうか。
  83. 亀井静香

    亀井国務大臣 堆砂の問題は、この河川法改正でどうこうなる問題ではなくて、それは物事はプラスとマイナスがあるのですね。マイナスが起きたらそれは除去するのは当たり前の話であって、これはやっていると思うけれども、全国そうした堆砂の実態は、今も調べておると思いますけれども、さらに調査を進めて、せっかくダムをつくった以上は、ダムがきっちりと機能するようなそうしたアフターケアというのをやるのは当然だと思いますから、来年度の予算におきましても、堆砂を除去することについては思い切って予算をつけるつもりであります。
  84. 石井紘基

    石井(紘)委員 来年度の予算で、国の予算全部つぎ込むのですか。これは、大臣、そんなことで予算をつけるなんと言ったって、つけ切れるものではないのですよ。  このしゅんせつというのがいかに莫大な金がかかるか。私も専門家じゃないから余り大きいことも言えませんが、掘っているでしょう、パワーショベルで。これはどのぐらい掘れるかといったら、この堆砂の何万分の一。だから、一年間にふえる方が、幾ら掘ったって、幾ら金をかけて掘ったって、捨てる場所がまず第一ない。だから……(亀井国務大臣「探せばいい」と呼ぶ)探したって——質問中に何ですか。これは建設省が探したのですよ。  探して、どこへ持っていったかというと、(写真を示す)こういうところへ持っていったのです、河口の方に。それだったら、まだアリに運ばせた方が早いのです、こんなのは。一生懸命、とっとことっとこ、えっちらおっちら、ダンプでもって一杯ずつ運んだって、とてもじゃないけれども運び切れない。運んだころにはまた次の堆砂が押し寄せてきている。  こういうのを愚の骨頂というのですよ。イタチごっこなんかよりももっとひどい。だからどうすればいいかということを聞いているのだけれども、これはやりようが——ちょっと発言中に、あなた手を挙げないでよ。  さて、砂の捨て場がまずないということですね。それでは建設大臣、何か言ってくれませんかね。これはどうするのですか。——ちょっと、私が聞いているのに。(亀井国務大臣「いいから、まず答えてからしゃべりなさいよ」と呼ぶ)いや、局長がしゃべると長いから、時間がない。  それでは、行きましょう。こういうふうにして、しゅんせつの問題。  もう一つの問題は、今度は水が少なくなっているというさっきからの話。これはどうしてかというと、全国二千六百四のダムのうちの発電用に使われているダムというものが五百八十一あるわけです。  この発電所はどういうふうにやるかというと、ダムから直接、(写真を示す)こういうふうに導管でもって延々と上流から何カ所のダムからダムへ渡り歩くように導水管を引いちゃって、こっちの方に川の水が流れていっているわけですよ。だから、川に水がなくなるのは当たり前なのですよ。それでこういうさっきからの状態になっているわけですね。だから、これはもう河原こじきではなくて河原砂漠ですよね。川が川でなくなってしまっている。  確かにこれは、建設省が言っているように、川というものは鉱物というのですけれども、鉱物そのものになってしまっている。これは建設省にとって予定どおりのことなのか、あるいは、政府の河川法改正の中には環境保全ということが書いてあるけれども、この法律で川に生きた水が流れるようになるのかどうなのか、大臣
  85. 亀井静香

    亀井国務大臣 私どもは、治水利水の目的を達するとあわせて、あとう限り自然環境を守っていく、そうした意味を込めてこのたびの改正をしたわけでありまして、これによってすぱっと全国の川がきれいになりますというわけには私は恐らくいかないと思いますが、我々としては精いっぱいの努力をするということに尽きるわけであります。
  86. 石井紘基

    石井(紘)委員 建設大臣にもう一つ御見解を伺いたいのですが、例えば、さっきから環境ばかりではないとおっしゃいますが、そのことはもちろんですが、今、環境のことをちょっと申し上げたいと思います。  長良川には、例えばアユだとかあるいは動物プランクトン、シラウオとかサツキマスとかヤマトシジミとか、そういうものが豊富に生息していたわけです。あるいは建設省が今調整池を建設しようとしている例の諫早湾のあたりですね。あるいは本明川の改修もやろうとしている、こういうところには、タイラガイだとかニマイガイだとか、私も知らないのですが、ムツゴロウはもちろん、あるいはシラサギなんかも、渡り鳥が飛んでくる、こういった自然環境。  あるいは吉野川の場合には、シオマネキあるいはハクセンシオマネキとかいうような珍しいエビとかカニ、あるいはゴカイ、そういったものの底生生物、それに野鳥。  特に奥只見なんかの場合には、イヌワシとかクマタカとかいう猛禽類というものが、非常に珍しい種類のものが生息している。そういう貴重な鳥が生息している。大体、概してそうした河川あるいはその周辺には、オイカワだとかタナゴだとか、ウグイだとかアマゴだとか、ヤマメとかイワナとかゴリとか、こういうすばらしい生き物というものが生息する。それが川、一体とした川なのです。  この生き物を殺してしまうということは、ダム行政に何十兆円とか何百兆円とかいうふうにかけてこれを使う、そして、そのお金でもってその何十兆倍、何百兆倍のとうとい、取り返しのつかないこの私たちの環境を買っているというか、これに損害を与えているということになるのです。  川を殺すこと、これは自然を失うことで、未来を捨て去ることではないのか。子供や孫たちを見捨てるということにつながっていくのではないのか。政府は、この政府の河川法案でこれにこたえることができるのかどうなのかということを、はっきり大臣、ひとつ答えてもらいたい。
  87. 亀井静香

    亀井国務大臣 こたえようと思ってこの河川法改正をしておるわけであります。  私は、あえて委員に反論するつもりはございませんけれども、長良川周辺も、太古の昔を初め、秀吉や信長や徳川家康があのあたりで合戦をしておったころは、恐らく自然のままのすばらしい景観であり、生物が自由に生きている、本当にすばらしい状況であったと思います。  しかし、あれだけの人たちがあの周辺に今住まいをして、生活を現にしておられる。その方々の安全を守り、また利便性を確保するということは、これは政治と行政の責任であります。ハエやフナが長良川を泳ぐことも大事でありますけれども、ハエやフナやアユ以上にそこに住む人たちの命が大事だということも、私はぜひ思いをいたしていただきたい。我々は、そうした観点から行政をやっておるわけであります。  そういう中で、あとう限り自然環境を守っていきたい、そういう努力をしていることも私は評価をしていただきたい、このように思います。
  88. 石井紘基

    石井(紘)委員 ハエやフナというのは、比較的小さい小川のようなところにどこにでも結構すんでいるようなものですが、それは、ある意味では大臣のおっしゃるとおりでもあるわけであります。  そこで、それでは、水の使い方、電気の使い方、こういったものに対して、政府がこれまで一度でも節水だとか節電だとかということを奨励して、本格的にその努力を払ってきたか。  愛知県の矢作川の河口堰については、もう利水は堰をつくらなくても間に合う、これはダム審の委員長がそう言っている、県民の負担が増すだけだと。あるいは、この問題で名古屋市なども、水を持ってくるのはもう勘弁してくれと言っているじゃないですか。  あるいは沙流川総合開発、これは苫小牧東、工場が来ないのに水ばかり差されても困る、水を差さないでくれ。至るところ、水の需要が伸びないのに、なぜ買わなければならないのだ、こういうふうに言っているわけです。  工業用の水を買わされている企業の多くは、愛知県あたりでは特に、使わないのに何で同じ料金を払わせるのだ、社員にはみんな節約しろ、節約しろと言って、紙一枚、鉛筆一本節約させているのに、水は幾ら節約しても同じ値段ということは一体どういうことだ、これはまさに水を使え、むだに使えということを奨励しているのと同じことではないかということを言っているのです。  要するに、我が国の水とか電気の政策というものは、つくれつくれ、使え使えということじゃないのですか。東京都の環境衛生局は、企業が真剣にこうした水の問題に取り組んでいけば、水の使用量は半分に減らせると言っていますよ。回収力を高める、節水思想を広めるということこそ、建設省がこの河川法の中にまず最初に明記しなければならぬことです。  昭和五十三年から三重県の企画調整部長を務めておられた竹内源一さんという人がいる。揺れに揺れたこの長良川河口堰問題の大詰めのときに、企画調整部長として大変な御苦労をされた方です。この方が、この河口堰の仕事を最後に退庁されたのですが、その後、回想録を書かれて、「官僚の生き方」という、こういう本です、「官僚の生き方」。これは、中央省庁の皆さんについてのいろいろなやりとりの経過を書かれておる。  詳しいことは言いませんが、彼はこの中で、長良川河口堰の問題を振り返りながら、計画どおりに事業が進めば、三重県の場合、工業用水分だけでも毎年二十億円、二十億円といえば高校を一つつくる金額だ。これを向こう二十年間払い続けなければならない。しかし水の需要はない。水が売れなければ、伊勢湾へ税金が流れていくのと同じことになる。土砂が流れないかわりに税金が流れていくことになる。  これは取り返しのつかないことになるというふうに、通産省や厚生省国土庁、そして建設省、これはお役所だから、縦割り行政の中で、知事とも相談しながら駆けずり回った。すると、建設省はこう言った。あんた、お門違いだよ、工業用水の話だったら通産省に行って、解決してもらいなさいと追い返された。それで、持参した資料も突き返された。  その一年後、今度は知事と一緒に行った。建設省へ行ったときのことを、建設省河川局長に同席していた計画課長、だれだか知りませんが、こう言ったと。知事さん、名古屋段階検討しますけれども工事は進めましょう、こういうふうに一言言った、着工に踏み切りたいというのが課長の執念だったと竹内さんは書いている。  知事は、この失礼な物の言い方に黙ってしまった。そして、河川局長は、話が済むや否や席を立っていった。知事も立った。名古屋の段階での検討がその後二年間あったけれども、結局は三重県の要望は実現せず、水禍の問題解決を先延ばしにしたまま着工に取りかかってしまった。  この事情を書きながら、竹内さんは、長良川河口堰についての諸事情を明かすことは、この件の調整に骨を折ってくださった各位に対して申しわけなく思うけれども、旧来の体制変革が必要な我が国のこの時期、あえて公にする次第だ……
  89. 市川雄一

    市川委員長 済みません、石井さん、質疑は終わりました。簡潔にしてください。
  90. 石井紘基

    石井(紘)委員 こういうふうに彼はこの一件を結んで、本省、つまり中央官庁の官僚の縄張り根性と一たん決めたことを変えないという頑強な姿勢を知らされたと。  この人は、大変責任感の強い人だと私は思います。並みのお役人だったら、こんなおっかない建設省や通産省などへ行くよりも、後は野となれ山となれでもって、三重県がつぶれようと、税金が重くのしかかろうと、子や孫の代がどうなろうと、さわらぬ神にたたりなしでもって済ませてしまったでしょう。  これは、これからの河川行政を進めていただく上にも——こういうふうに、水が要らないと言っているのに無理やりにつくる。そして、しかも一たん決めたことはやることが目的だとどうしても感ぜざるを得ない。  こういうことをもう一度ぜひとも、建設省皆さん、先ほど大臣が言われたように、皆さんが一生懸命国のためによくしようということでもって努力をしておられることは、昨夜も私も、夜中の十二時を回って一時になってもまだ会館でやっておった。電話をかけたら、建設省の人たちも、各局の人たちがみんなまだ仕事をしておられた……
  91. 市川雄一

    市川委員長 石井紘基君に申し上げます。質疑時間は終了しました。
  92. 石井紘基

    石井(紘)委員 そういう努力はよくわかりますが、今後の我が国の将来、未来のために、ひとつよろしくお願いを申し上げます。  委員長、どうも失礼をいたしました。  以上です。
  93. 市川雄一

    市川委員長 この際、休憩いたします。     午後零時七分休憩      ————◇—————     午後二時二十六分開議
  94. 市川雄一

    市川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中島武敏君。
  95. 中島武敏

    中島(武)委員 政府案について伺います。  この改正案では、現行の河川工事実施基本計画を、河川整備の基本方針とそれから河川整備計画に分けたわけですけれども、基本方針は第三者の意見を聞く仕組みになっておりません。しかし、基本方針で何を決めるかといえば、これはもう私から申し上げるまでもないのですけれども治水利水あるいは環境の基本方針、それから基本高水流量、そしてその流量をダムや河道などにどう配分するかというその配分の問題、さらには計画高水流量、主要地点における水位、また河道の横断形、こういうことを定めるものでありまして、まさに河川整備計画の基本的な枠組みを定めるものと言わなければなりません。  整備計画はそれを具体化するものであって、必要とされるダム全体の規模などは基本方針で事実上決まってしまう、こういうことであります。  このように、非常に重要な基本方針を決めるに当たって第三者、すなわち住民などの意見を聞くことをしないのであっては、過大であってもそれをチェックするということができないのではないか、こういうふうに思わざるを得ないのですけれども、まず、そういう点についてお伺いをいたします。
  96. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいまお尋ねの、河川の基本的な計画でございます整備計画をどう決めるのかという議論でございます。  確かに、先生指摘のとおり、現行の河川法では、工事実施基本計画一本でございます。これを今回の改正案では二本に分けまして、河川整備基本方針と河川整備計画に分けておるわけでございます。  これをどうして二つに分けたかということで申しますと、まず、河川治水に関して特にそうでございますが、全国の同種同規模の河川については同じような治水の安全度を確保する必要があるということ。そしてまた、降った雨は上流から下流まで一貫して流れるわけでございますので、水系全体として見てそごのない計画である必要がございます。そういう意味合いで、先生指摘の基本高水流量あるいは計画高水流量という基本にかかわるそういう抽象的な概念につきましては、これは河川審議会の意見を聞いた上で定めるという形にいたしております。  そして、この河川審議会におきましては、特別委員の制度がございます。そういう意味合いで、先生指摘の第三者という点で申しますと、学識経験者または地方公共団体の長の方の御意見をお聞きをするということになるわけでございまして、そういう意味合いでは、まさに科学的、技術的に決まる、そういう抽象概念として決まるものが河川整備基本方針でございます。  今度は、それを受けまして具体河川整備計画をどうつくるか。御指摘の、ダムをどこにどういう規模のダムをつくるか、どこにどういう堤防をつくるか、そういう基本的な事項もひっくるめまして、河川整備計画の中でお決めをいただくということでございます。  まさに、そういう意味合いでは、住民皆さん方地域の意向を反映するためにどういうシステムが一番いいのか。その際、全国的なバランスを見る点、そしてまた治水のように、水系の上から下まで通して物を見る必要がございます。そういうところの両方を満足する形のものとしてどういうものが一番いいのかということでいろいろな視点から検討した結果、こういう河川整備基本方針と河川整備計画の二本立てでいくという方法を御提案申し上げているところでございます。
  97. 中島武敏

    中島(武)委員 今答弁をいただきましたけれども、基本的なことについては住民皆さんが参加できるというふうになっていないのですね。私はそこが非常に大事な問題だと思う。  今局長も認めているとおりに、とにかく基本高水流量だとか、あるいは計画高水流量というような、抽象的な概念と言いますけれども、そこで決めたら、今度は具体的な整備計画でそれを実行していく、こういう格好なのですから、最も肝心なことなのですね。最も肝心なこと、この最も肝心なところに一言で言えば住民参加を認めないというのは、今度の河川法改正案の中で最も肝心なところを実は改善していないというふうに私なんか思うのですよ。はっきり、率直に意見は言うておきます。  同時に、これに引き比べて、民主党案について私は聞きたいのですけれども、この民主党案の方は、今まさに政府案が触れていないその点、基本方針に対して実は住民参加の方針を出しておられるのです。私は、この重要性について、民主党案はどういう考えに基づいてこういうことを出しているのかという点について述べてもらいたいと思っています。
  98. 渡辺周

    ○渡辺(周)議員 今御質問いただいた点についてお答えをさせていただきます。  私どもの民主党案では、これまでの現行法の基本計画であります工事実施基本計画、そして政府案では河川整備基本方針というふうになっておりますけれども、我々は水系管理基本方針というふうに位置づけまして、河川管理者の案の公告縦覧の義務づけ、そして住民がこれに対して意見を挟める余地をつくろうということで、意見書の提出、それを可能にしました。  そしてまた、水系委員会がこの方針を審議するに当たっては公聴会の開催を義務づける。これは、一昨日ですか、新進党の武山委員からも大変心強いお言葉をいただきましたけれども、やはり今、時代の流れの中で、住民参加、そして情報公開ということはもう時代の必須条件であるというような御意見もいただきました。そうした中で、我々は住民参加、情報公開が時代の中で必然であるということで、当然の手続として定めたものでございます。  現行の河川管理基本計画工事実施基本計画では、この作成に当たっては、御指摘のように、河川審議会の意見を聞くのみでございまして、住民意見は全く聞いていない。  これは我々がもとにしました河川審議会の昨年十二月の答申を見てみましても、流域住民の参加ということを繰り返し書いている。これに忠実に基づきまして我々はこの法案を作成したわけでありますけれども、こうした中で、確かに内容的には専門的なこと、あるいは抽象的なことが含まれているからというのがありましたけれども、私どもとしましては、住民の主体性のもとにやはり意見を反映させる。そして、何よりも我々がこの流域住民、これまでずっと住んできた方々の知恵、工夫、ともに生きてきたその経験を考えましたときには、やはり河川管理に基づく、素人ではない、そうした方々のとうとい意見というものも反映させていきたい。  住民の知らない間に河川管理の基本方針が決まって、そしてその基本方針があるがゆえに具体的な整備計画が行われる。そこにまで意見が反映されない。これは、我々としては今の時代にこれから逆行していくことであろうという点を考えまして、基本方針作成の際には住民意見を聞くことは当然であり、また必要なことであるというふうに認識をし、このように法案に取り入れた次第でございます。
  99. 中島武敏

    中島(武)委員 次に、もう一度政府案の方に返りますけれども、十六条の二の四項なのです。ここで、河川整備の案を作成しようとするときは、「公聴会の開催等関係住民意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。」こういうふうに規定されております。  さてそこで、この「等」なのですけれども、「公聴会の開催等」の「等」、これはずばり聞きますけれども事業者と住民が対等の立場で河川のあり方について議論をするあらゆる方式と解してよろしいかどうか。もっと端的に言います。いわゆる円卓会議どもこの中には含まれるのか。この点についてお答えいただきたいと思います。
  100. 尾田栄章

    尾田政府委員 この「公聴会の開催等」、その場合にどういう立場でお互いが参加をするのか、こういうお話でございます。まさにその河川のよりよい整備計画をつくっていく、そういう立場で、みんな同じ立場で議論をさせていただくというふうに考えております。  そういう意味合いで、今、円卓会議というのがどういう意味合いのものか、これまたいろいろな定義があろうかと思いますが、いずれにしても、その場においてはお互い真剣に、よりよい河川整備計画を求めて議論をするというふうに考えております。
  101. 中島武敏

    中島(武)委員 円卓会議、過去の例でいえば長良川のときなどもそういうことがやられましたし、さらにまた別のところでもやられていますね。やはり対等の立場で住民皆さんが思い切って意見が言える。それに対して反論もあるかもしれない。だけれども、それに対してまた反論があるという、とことんやはり議論をしていくという、こういうことがあって初めて納得した行政というのが私はできると思うのですよ。  そういう意味で、聞きようによっては大体それに近いようなことを局長は言うたかなあ、こういう感じもするのですけれども、いま一つ歯切れが、ずばりとは来ていない。ずばりと来るかどうか、もう一回聞きます。
  102. 尾田栄章

    尾田政府委員 先生指摘のとおりの方向で考えております。
  103. 中島武敏

    中島(武)委員 それでは、国土庁、おられますか。——おられますね。では、国土庁に伺います。  全国総合水資源計画であるウオータープラン二〇〇〇、これにおける都市用水の二〇〇〇年需要予測と、それから一九九三年実績がどうなっているかということを伺います。
  104. 振井茂宏

    ○振井政府委員 全国総合水資源計画、俗にウオータープラン二〇〇〇と称しておりますけれども、これにおける都市用水の需要の二〇〇〇年の見通しは、年間約四百三十億立方メートルでございます。一九九三年の都市用水の使用実績値は、年間約三百二十四億立方メートルでございます。
  105. 中島武敏

    中島(武)委員 今お答えになった数字をもとにして、実績とそれから計画、予測ですね、これがどうなっているかということを私なりにちょっと計算をしてみたんです。  それは、九三年の以前七年間の伸びは十八億立米ですね。それから、九三年から二〇〇〇年までの間は同じく七年間ありますから、ここを同じだけふえるというふうに仮定をいたしますと、三百二十四億トン、三百二十四億立米、まあ同じことですが、これに十八億立米を足しますと三百四十二億立米と、こうなります。これは、ウオータープラン二〇〇〇の四百三十億立米と比較しますと、相当に大きな開きが出てくる。つまり、予測の方は相当かなりな過大予測を行っていたということになるんじゃないでしょうか。  それで、そのことを指摘しておいて、もう一つ私は伺いたいんですけれども、全国七水系のフルプラン、これは水資源開発促進法に基づいてつくられるわけですけれども、その基礎は何かといえば、今言ったウオータープラン二〇〇〇、これが土台になる。そうすると、フルプランでは、具体的な供給計画、それからその施設、つまりダム、こういったものもみんな入るわけですよ。決められるわけですよ。そうなりますと、この過大な予測に応じて供給計画やらダムやらがつくられていく、こういうことになるんじゃないですか。  こういう点について国土庁はどうしようとしているのかということについて伺います。
  106. 振井茂宏

    ○振井政府委員 水資源開発基本計画、通称フルプランと申しておりますけれども、これを定めている地域は今後さらに発展が期待される一方、近年、全国でも御承知のとおり渇水が頻発しております。安定的な水資源の確保が重要課題でございまして、このためには、長期的な観点から計画的かつ先行的な水資源開発を推し進める必要があると思っております。フルプラン関係都府県も、将来の発展に伴います水需要の増加に対処するため、水資源開発の促進を強く要望しているところでございます。  お話にありましたフルプランの需要予測につきましては、先ほどお話に出ましたいわゆるウオータープランとの関係におきましては全く同じものではございませんし、このフルプランの需要予測に当たりましては、近年の経済社会状況あるいは各県の長期計画等をもとに、第四次の全国総合開発基本計画あるいは全国総合水資源計画との整合をとりつつ行ったものでございまして、過大とは考えておりません。また、現在国土庁におきましては、新しい全国総合開発計画あるいは全国総合水資源計画の作成作業中でございます。  フルプランの変更に当たりましては、これら計画で示される二十一世紀の経済社会の動向を十分に踏まえる必要があると思っております。このため、フルプランの変更につきましては、これらの計画策定の後に検討したいと思っております。
  107. 中島武敏

    中島(武)委員 結局イコールじゃない、そのウオータープランとフルプランはですね。それはわかっているんです。わかっているんだけれども、ウオータープランで考えの基礎というのは共通していなかったらおかしいんですよね。だからそういうものに基づいてつくる。  今再検討の話も言われましたけれども、ウオータープランが再検討されたら、今度はフルプランの方も再検討すると、こういうふうにおっしゃっているんでしょう。そうなんです。だから、全く一緒じゃありませんというようなことだとか、いや、当時の考えとしては正しかったんですというのは、現実の方は今日もう何年間もたっていてそうなっていないんですから、そしてこれから先も、もう今までの考え方というのは私はやはり考え直さなきゃだめだと思うんです。  右肩上がりの社会経済発展でしょう。そういう状況のもとで考えて、いろいろなウオータープランにしろあるいはフルプランにしろ、考えてきたわけですよ。だから、そこをちゃんと改めるというきっぱりした態度を持ってこの問題に対処をしなければならないんじゃないか、見直しをするというときには、やはりそこは十分考えなきゃいかぬのじゃないかということを私は指摘しておきたいと思います。  それで、次に徳山ダムの問題について伺いたいと思うんです。——国土庁、これで結構ですから。  それから、徳山ダムの問題なんですけれども、まずその最初に、徳山ダム審議委員会の問題、この問題について伺いたいと思っています。  これは、審議委員二十二人のうち十四人は知事を初めとするいわば推進派、これの自治体の関係者であります。これは建設省通達でそういうふうになっているんではありませんか。
  108. 尾田栄章

    尾田政府委員 ダム審議委員会委員の構成についてのお尋ねでございますが、ダム事業審議委員会は、それぞれのダムの目的、内容等に対します地域意見を的確にお聞きをするということを目的に設置をいたしておるものでございます。  審議委員会委員は、私ども事業者が選定をするということでは透明性の確保の観点からいかがなものかということで、それぞれの地域の総合行政の責任者としての関係都道府県知事の推薦を受けまして、そのまま委員に御就任をいただくということにいたしております。  ただ、ダムにつきましては、水源地の所在地の行政の長、そして議会の議長の存在は大変重いということで、その方たちについては必ずお入りをいただくということにいたしておるわけでございます。  その他につきましては、今申したような形で、地域の総合行政の責任者としての都道府県知事の御推薦にゆだねているということでございます。
  109. 中島武敏

    中島(武)委員 私はその点でも率直に申し上げたいんですけれども、自治体関係者、議会の関係者を含めて過半数を占めるというふうになっているんですよ、私もこの通達を拝見いたしておりますが。十人の場合だったら自治体関係者が六人と、二十人の場合でも六割を占めると、三十人の場合は六割六分ですか、を占めるというふうになっているんですね。ですから、これは初めから推進の結論が出てくるような委員会構成になっている。  私は、大事なことは何かといったら、ここで見直さなきゃいかぬということで始まった審議会でしょう。ですから、その審議会では賛成、反対はまあいわば半々、それであって初めて本当の科学性と公平性、公正性を担保することができるんじゃないかと考えているわけなんです。そういう点で、この構成の仕方についての通達というのは私は正しいものだとは思っておりません。  しかも、徳山ダム審議会の委員長というのはどなたがやっているかといいますと、これは、現知事である梶原さんの後援団体である未来の県政をひらく会の名誉顧問なんですよね。それで、その方は選挙のときにいろいろ采配を振られたと言われているんです。そういう方が委員長で果たして公正な運営ができるのかということは、私だけじゃなくて、マスコミも指摘をしているんですね。私は、この点でも考え直さなきゃならない点が証明されているんじゃないかというふうに思うんです。  時間もありませんから私もちょっと急ぎますけれども、それから、名古屋市が三トンの返上をしました。これは渇水対策容量としてその分上積みをしたわけですけれども、これは建設省が提案したのではないですか。事実、委員長は、建設省の案が出てほっとしたということをNHKテレビで語っています。  私は、こういう点では、建設省内部の委員会だと言われるかもしれないけれども、やはり見直しということをやる以上は、この趣旨からいうと、やはり公平性、科学性が担保される、そういうふうにしなければならないのではないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
  110. 尾田栄章

    尾田政府委員 先ほど、ダム審議委員会の構成並びに委員長の人選の方法について御指摘ございました。委員長につきましては委員の互選で選んでいただくということになっておりまして、そういう形で選出されたというふうに受けとめております。  そして、渇水対策容量の確保の点でございますが、先生御承知のとおり、平成六年の大渇水、特に中部地建、大渇水でございました。そういう背景のもとに、平成八年七月に、岐阜県知事から加茂・東濃地域の水の利水の安全度の向上に向けての御要望が出されておる、そういう背景のもとに平成八年十月の第九回徳山ダム事業審議委員会におきまして、渇水に強い木曽川水系とする方策を事務局で検討するよう課題を出されたところでございます。  それを受けまして、平成八年十一月の第十回のダム審におきまして、事務局を務めております中部地方建設局の方から、雨水利用、節水PR、海水の淡水化、徳山ダムでの渇水対策容量の確保など、いろいろな方策について提示をさせていただいたところであります。  そして、この委員会におきまして、名古屋市さんの方から、毎秒三トンの減量の御発言がありました。これを踏まえて議論がなされ、その結果、ダム規模を変えずに名古屋市の新規利水三トン減量分に相当する部分を渇水対策容量として充当する、そういうことによって異常渇水時における木曽川水系の補給に有効との結論が出されたところでございます。
  111. 中島武敏

    中島(武)委員 今局長がお答えになった渇水に強い木曽川水系にするための方策、一地域全体で考えられる方策、徳山ダムで考えられる方策、渇水対策容量の確保、その方法はいかにということで挙げられておって、ダムの高さは現在どおりとして他の目的を変更するということの中に新規利水容量を減少する、こういうのがあるのですね。このままうってつけじゃないですか。だから、私は、そういう点では、これは建設省指導のものだと言わざるを得ないなあというふうに思っているのです。  それで、私は、NHKテレビで聞いたのです。聞きますと、この委員長は、水需要を決めるのは利水者である自治体だということも言っているのです。それはそうかもしれないけれども、問題は、これは見直しなんですよ。いろいろな意見があって、見直しをするというときなんですから、やはり一体どれだけ水需要はあるのか、必要なのかというようなことについて、自治体が言っているからうのみにするというのではなくて、ダム審みずからがよく見直しをするということが私は必要だったのではないのか。  それをやらなかったら、何だって自治体の言っていることのとおりと、これでは何のために見直しをやっているのかわからなくなってしまうのですね。私は、そういう点では、やはり本当の見直しだったら、それにふさわしい、今申し上げたようなやり方をするべきだったのではないかというふうに思っております。いかがですか。
  112. 尾田栄章

    尾田政府委員 利水計画そのものにつきましても、この徳山ダムダム審議委員会におきましては、平成八年の二月の段階で既に利水計画と渇水状況等の説明をさせていただき、その上で委員会の方で御討議をされておるわけでございます。  そういう意味合いで、このダム審議委員会のそれぞれの御判断によりまして、利水計画につきましても、そのダムの目的、内容についての審議の一環という形で、それぞれのダムの必要に応じてなされてきておるところでございますし、徳山ダムについても同じようにされておるということでございます。
  113. 中島武敏

    中島(武)委員 次に、徳山ダム利水治水問題について、私も簡潔に申し上げますから、ひとつできるだけ簡潔にお答えをいただきたいと思うのです。  名古屋市が、さっき申し上げたように、また御存じのように、六トンのうち三トンを返上するということをやったのです。私は、こういう点からいうと、利水計画自身が、それぞれの自治体がやっていることというのは、どういう言葉を使いましょうか、科学的ではなかったということの証明ではないかと思うのです。名古屋は半分要らないと言い出した。それは、半分を足した倍のものが必要だという利水計画自身が破綻をしているということではないかと思うのです。  そういうことからいえば、名古屋はそうだったら、愛知県はどうなんだ、岐阜県はどうなんだ、三重県はどうなんだ、そういうことを真剣に検討するべきだったのではないかと思うのですけれども、どうですか。
  114. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま御指摘の、各利水者が自分たちの将来の水需要をどうするかという点について、このダム審議委員会の中でそれぞれ御報告になり、それを踏まえた上で議論をなされたというふうに理解をいたしております。  それで、ダムの水量開発で、何億トンの需要に対して何億トンのダム開発をするという議論で非常に誤解を生みやすい点は、例えば二億トンの需要に対して五億トンのダム開発をしたといたしますと、この三億トンが全くむだに流れているというイメージを持たれがちでございます。  しかし、そこで一番違いますのは、要するに十年に一回ぐらいの渇水年を相手にいろいろな計画を立てております。そういう意味合いで、ダムに余裕があるということになりますと、それだけ利水の安全度が上がるわけでございます。ですから、ダムがあって、そのダムがあることによってむだに水が流れているというのではなしに、より厳しい渇水のときでも対応できるという特性を水資源としては持っておるというところもぜひ御理解を賜りたいと存じます。
  115. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、今国民的な批判が何に集中しているかということをもう少し考えていただきたいと思うのです。これも率直に言います。  そういう点からいうと、大きなダムをつくっても決してむだではないのだ、こういうお話なのです。しかし、適切なダムにして、そして渇水、渇水と言われますけれども、それはちゃんと農業用水との融通だとかいろいろなことをやはり考えていくということも非常にまた大事なことなのだということを私は指摘をしておきたいと思います。  それで、この問題の最後になりますけれどもダムができるのは相当将来だと思うのです。私も現場に行っていろいろ話を聞いて、ああこれは大変だな、共有林問題とかいろいろあって、これはまだまだやはり何年間もかかりそうだなということを私は思いました。  百年に一回の洪水にはんらんしないで耐えられる流量ということ、それがダムの目的とされているようですけれども、私は百年に一回というのは、何も百年先に一回来るのではないのです。そうではなくて、ことしかもしれない、来年かもしれない。だから、それに対応するということが非常に大事です。  そういう点からいって、堤防のかさ上げあるいは強化だとか、あるいはまたしゅんせつとか、さらには上流にあるダムの堆砂の排除とか、こういうことをやらなければいかぬけれども、その進捗は一体どうなっておるのかということを伺います。
  116. 尾田栄章

    尾田政府委員 揖斐川の堤防状況でございますが、現在、整備率、これは、堤防が必要な断面を確保しておる延長を必要な延長で割ったものでございますが、約六〇%ということでございます。残念ながら、まだまだ取水工事を進める必要があると考えております。  そしてまた、先生指摘のしゅんせつの問題でございますが、ここは、御存じのとおり長良川と揖斐川が背割り堤でずっと続いておりまして、それから途中から、河口から二・八キロのところで一つの川になるわけでございますが、その河口部のしゅんせつを今鋭意進めておるということでございます。  そして、今申しましたとおり、堤防の定規断面、必要断面に対して、この地域は地盤沈下地域で、高さも足りない、断面も足りないということでございまして、堤防のかさ上げ、増強に今全力を挙げて取り組んでおるというのが現況でございます。
  117. 中島武敏

    中島(武)委員 堆砂の排除の件については答弁はありませんでしたけれども、ほとんど進んでいないようですね。私いろいろ調べているのです。  それで、ちょっと時間の点で窮屈になってきましたので少し先へ進ませていただきますが、やはり、本当に全力を挙げると。ダムができることを期待しておったって、あした来るかもしれない。そこが非常にこの問題での大事な点なんですね。だから、その点は、今局長が言われたとおり全力をひとつ挙げていただきたいと思うのです。  それからその次に、ちょっと性質は違いますが、千葉県の茂原の水害問題について伺いたいと思うのです。  これは、昨年の九月の台風十七号で一宮川がはんらんしたのです。それで、千葉県茂原市やそれから一宮町などに、床上浸水が千三十戸、床下浸水千六百四十七戸の被害があったのです。既に建設省は、はんらんした一宮川について激特事業に指定をして、五年間にわたって総事業費百六十五億円で堤防工事などを始めておられます。  事業の進捗状況について伺います。
  118. 尾田栄章

    尾田政府委員 御指摘のとおり、二級河川一宮川は大変激甚な災害を受けたところでございます。  一日も早い復旧を図るということで、激特事業、これは、基本的に五カ年で必要な再度災害を防止する事業を進めるものでございますが、現在、平成十二年度までに完成をさせるということで全力を挙げておるところでございます。  地元の協力体制も、大変一致協力して御協力をいただいているところでございまして、私どもも、一日も早く完成をさせたいと全力を挙げておるところでございます。
  119. 中島武敏

    中島(武)委員 私、「茂原市から水害をなくす会」の長谷部さんという方がいらっしゃるのですが、この方の話を聞いてびっくりしてしまった。実は、詳細に記録しておられるのですけれども、七八年に水害二回、七九年三回、八〇年は四回、八一年は一回、八二年は二回、八三年二回、八五年二回、八六年一回、八八年一回、八九年一回、九〇年二回、九一年二回、九二年一回、九三年二回、九五年一回、九六年、昨年は二回。  大変な水害に見舞われているのですよね。ほとんど毎年みたいなんです。主な原因は何かといえば、河川のはんらんです。溢水です。  今、全力を挙げておると言われましたけれども、激特は五年ですけれども、五年かかってやれということではないのですよ。これは、五年以内に、ずっと手前へ近づける、これが大事だと思うのですね。住民皆さんの話によりますと、ことしの夏までにはかさ上げやしゅんせつはやってもらいたいものだという強い意見が出ております。  その点で、住民皆さんの合意と納得ということはもちろん前提とされますけれども、どうですか、相当ピッチを上げる、こういうことになりますか。
  120. 亀井静香

    亀井国務大臣 私どもは全力を挙げて治山治水利水と取り組んでおるわけでございます。特に、そうした洪水の被害はどうしても防がなければならないということでやっておりますが、私、お願いでありますが、共産党におかれましては、そうした防災を含めての公共事業、どうでもいいととられかねないような御主張は引っ込めていただきまして、公共事業は必要だということをぜひひとつ声を大にして応援をしていただきたい、このようにお願いいたします。
  121. 中島武敏

    中島(武)委員 共産党は、公共事業は必要ないものなんだ、そんなことを言ったことはないので、ちょっと被害妄想なのではないですかね。  そういうことを言っておきまして、では、もう一つ大臣に聞きます。  なぜこんなはんらんが起きるのかというと、その根本的な問題は、上流におけるゴルフ場の大規模な開発、さらに、工業団地や宅地開発が無秩序で建設をされていく、それから、政府の減反政策によって水田の荒廃化が進んで遊水地機能が失われていく、その他等々のことが考えられるのです。  私は、大臣に、こういうような政策についてやはりストップをかける、山は復元する、ゴルフ場なんというのはだめだと。だめといっても、すべてだめというわけではないのだけれども、いいですか、無秩序な開発はだめだと。それから宅地開発にしても、鉄砲水が流れてくるような、そういう無秩序なやり方はだめと、そういう、もっとさかのぼった、根本的なところに対してもぴしゃっとした見解を述べていただきたいし、また、それによって県をも指導していただきたいと思います。
  122. 亀井静香

    亀井国務大臣 橋本内閣は、今委員が御指摘されるまでもなく、そうした自然を無秩序に破壊をしていくような政策はとっておらぬわけでございます。  しかし一方、国民もゴルフをする楽しみもなければいかぬわけでもありますし、その地域における方々の生活の向上のためにはそういうゴルフ場が必要だという場合もあるわけでありますので、そのあたりをあんばい、勘案しながらやっておりますのが橋本内閣の政治でございますから、御理解いただきたいと思います。
  123. 中島武敏

    中島(武)委員 それは違うと思うな。適切にやられておったらこの種の問題は発生しないのですよ。これが適切にやられていないから発生しているのでありまして、亀井大臣、そこはひとつもう一度お考えください。  最後にもう一つ、この法案にもかかわって私は申し上げたい、聞きたいことがあります。  それは何かというと、私、ことしの三月でしたか、高知県の本山町と土佐町の境にある早明浦ダムの視察を行いました。これは吉野川水系上流に位置しておって、四国全体の重要な水がめであります。一九七五年に完成しております。  ところが、たしか七六年と思いますけれどもダムが完成して間もなく、ダムが大雨で満水になったためにゲートを開放したのです。水資源公団によりますと、六時間にわたって三千五百トンの水を流し続けた。このためにゲートの真下の十七戸は水浸しになってしまって、とうとう全部引っ越しを余儀なくされたのです。これは、ダム治水に役立つと言われているわけですけれども、しかしこれでは反対に水害につながってしまうという例であります。  さらにもう一つ申し上げますと、建設省は、ダムが完成しても水は濁らないと宣伝してきたのです。ところが、冬場に赤茶色の水になって、とても町民の飲料水にはならないというので、水源を吉野川の支流である汗見川に変更せざるを得なくなりました。  ところが、電源開発株式会社、電源開発が途中の上流部に汗見取水ダムをつくって、導水管を引いて早明浦ダムに毎秒七トンの水を落としております。そのため、取水口から下の汗見川は極端に水が減って、私も見たのですけれども、まあ無残なものです。以前は、景観のすぐれた、アユなどの釣れる清流だったのです。  それで、言っておかなきゃいかぬのは、ところが、来年の三月三十一日で建設大臣の水利使用権の許可期限が切れるのです。本山町では、町を挙げて川をもう一度再生したいと念願しております。そして熱望しています。町では、この自然を資源として町おこしの一助にしたい、こういうふうに言っているのですね。  大臣、この本改正案というのは、環境整備保全ですか、これを言っているわけなんですよ。私は、そういう観点からも、このダムの村がこういう切実な声を上げているということについて、期限切れ後の水利使用権はもう認めないという、それは上げてくると思うのですよ、そういう建設大臣の勇断ある見解を聞きたいと思います。
  124. 亀井静香

    亀井国務大臣 共産党の御意見ではあっても、建設的なものであれば私はこれは採用することにやぶさかではございませんで、また、今いろいろと建設行政の過去のことについて御批判ございましたが、私どもも、神様がやるわけじゃございませんから、時々、もうちょっとやる方法はなかったのかな、ああすればよかった、こうすればよかったという反省点は多々あるわけでございますが、そういう反省を生かしながら、きちっとした建設行政を進めてまいりたいと思います。  なお、今委員指摘の件については、私ども、まだ聞いておりませんので、地元の方々からもきちっとした形で要望いただければ検討いたしたい、このように考えております。
  125. 中島武敏

    中島(武)委員 終わります。
  126. 市川雄一

    市川委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  127. 市川雄一

    市川委員長 この際、内閣提出河川法の一部を改正する法律案に対し、中島武敏君外一名から、日本共産党の提案による修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。中島武敏君。     —————————————  河川法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  128. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、日本共産党を代表して、河川法の一部を改正する法律案に対する修正案について、その提案理由説明を行います。  今日、我が国の河川行政について、国民の批判が高まっています。それは、長良川河口堰に代表されるように、経済社会情勢の変化を無視した過大な水需要予測に基づく既存計画への固執、ダムなど巨大な構造建設優先の河川管理などに対してであります。また同時に、このような河川管理によって、貴重な自然破壊が大規模に推し進められ、生態系が破壊されてきました。  治水利水、あるいは発電などに万全を期することは当然でありますが、今日も求められている河川の総合的な機能を高め自然環境保全するために、関係住民を初めとする国民の声に耳を傾けることが必要であると考えます。  政府案の最大の問題点は、河川整備の基本を定める基本方針について、従来と同様に住民意見を聞く制度がなく、また、河川整備計画についてのそれも不十分なことであります。また、焦眉の課題である国民への情報公開も極めて不十分であります。  以上のような根本的な問題点を改めるため、必要な部分に限って次の修正案を提出するものであります。  その要旨を申し上げます。  第一は、河川整備基本方針を定める際、その案及び関係資料を示して、関係都道府県知事及び関係市町村長意見を聞くことであります。また、河川審議会が公聴会を開催しなければならないこととするとともに、公述人は資料請求ができることとしております。  第二は、河川整備計画について、河川管理者はその案を作成するに当たり関係住民意見を反映させるために、公聴会を開催することとしております。河川整備計画を定めようとするときには、その案を公告し縦覧に供し、関係市町村住民意見書を提出することができることとしております。意見書は、河川審議会に提出しなければならないことにしております。さらに、河川審議会及び関係都道府県知事並びに関係市町村意見を聞いて河川整備計画を定めることとしております。  第三に、河川審議会の会議の公開、会議録、会議に用いられた資料の公表を義務づけています。また、都道府県審議会については、その設置を義務化しております。  第四に、河川整備基本方針については少なくとも十年ごと、河川整備計画については少なくとも五年ごとに見直しを行うこととしました。  以上が、その内容であります。  委員の皆様の御賛同をお願いして、提案理由趣旨説明を終わらせていただきます。
  129. 市川雄一

    市川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  130. 市川雄一

    市川委員長 この際、石井紘基君外三名提出河川法の一部を改正する法律案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。亀井建設大臣
  131. 亀井静香

    亀井国務大臣 反対であります。     —————————————
  132. 市川雄一

    市川委員長 これより両案及び修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。山本譲司君。
  133. 山本譲司

    山本(譲)委員 私は、民主党を代表して、河川法の一部を改正する法律案において、民主党案に対して賛成、政府案に対して反対の立場から討論を行います。  今回の改正に当たって、民主党案、政府案ともに環境保全住民参加、情報公開をキーワードにしております。しかし、その中身は全く異なるものであります。  政府案は、環境保全といっても、法の目的にその言葉を書き加えるだけのものであり、具体的な河川管理手法においては従来と全く変わらず、現在でも各地で問題となっているダム建設事業の継続を前提といたしております。  これに対して民主党案は、河川を国民共通の財産と位置づけ、河川を含めた生態系の維持が人類にとって不可欠という前提のもとで河川管理を行うべきだという基本理念を明らかにしております。  住民参加においては、政府案は、河川管理者が必要と認める場合のみに公聴会が開催をされるとしておりますが、民主党案にあっては、河川管理に関する計画作成時には常に公聴会の開催が義務づけられております。  情報公開では、政府案は、異常渇水時のみにおいて従来より一歩前進しましたが、民主党案は、平時の河川情報の全面公開、水系委員会の透明化など、河川管理のすべての段階において情報公開を基本としております。  住民参加、情報公開は時代の必然であります。民主党案は、この時代の要請にこたえるものであり、今回、河川法改正の方針を示した河川審議答申内容とほぼ同じ内容になっております。  明治二十九年に旧河川法が制定されて以来、河川は、戦前は内務省に、戦後は建設省に一元的に管理される国のものでした。国民は、河川に関与することを許されなかったわけであります。  この国民不在の河川管理の結果、コンクリートで固められた川、あるいは水のない川が全国各地につくり出されたわけであります。河川建設省管理下にあったこの百年間を、川殺しの世紀、こう呼ぶ人がおります。  今回の民主党案は、これをとめるため、百一年目にして初めて河川を国の財産から本来あるべき国民共有の財産とする歴史的な法案であります。同時に、住民参加、情報公開を盛り込んだ当たり前の法案でもあります。  この法案が仮に否決をされますと、また百年間川殺しが続きかねません。巧妙に表面のみ緑が覆い、また表面だけ住民意見を聞いて行われる河川管理がもたらす百年後の河川とは一体どういうものになるのか。将来の世代から預かった大切な自然環境を良好な状態で引き渡していくことは、私たちの責務であります。  これを果たすためには、民主党案による河川管理がより適切であり、二十一世紀において必ずこういった形で河川管理が行われていくことは自明の理であると信じます。  私たち民主党は、最低限でも現在ある川の清らかな流れを失わないためにも、政府案に反対、民主党案に賛成の立場を表明いたしまして、討論を終わります。(拍手)
  134. 市川雄一

    市川委員長 辻第一君。
  135. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、日本共産党を代表して、政府案に反対、日本共産党の修正案及び民主党案に賛成の討論を行います。  まず初めに、政府案について申し上げます。  今日、洪水の流下を最優先して、自然環境破壊河川改修、過剰な水需要予測、不透明な洪水流量算定に基づくダムや放水路などの巨大な構造物の建設などを進めてきた河川管理に国民の大きな批判が高まっております。こうした中で、今求められているのは、社会経済情勢を無視したダム等の既存計画への固執、地元自治体や住民の意向に反する計画の押しつけ、さらには河川情報の独占と秘密主義など、建設省河川行政、さらにこうした事態をもたらした河川行政の枠組みを改めることであります。  ところが、今回の改正は、河川整備基本方針、河川整備計画など河川法の基本的な枠組みにかかわる改正であるにもかかわらず、今日問題となっている河川行政の問題を抜本的に正すものにはなっておらず、大型構造物中心の河川管理を温存するものにほかなりません。  例えば、河川整備の枠組みを定める河川整備基本方針の策定には、関係自治体や関係住民意見を聞くことなく、河川審議会の意見を聞くだけで策定する仕組みであり、これでは巨大ダム建設など国民批判の的である河川行政の基本姿勢は改められません。河川整備計画策定についても、国民や学識経験者意見は必要に応じて聞くだけであり、これでは意見の反映方策としては不十分であります。  さらにまた、情報公開に関する規定は、渇水調整関係する規定の新設のみで、河川審議会の提言からも大幅に後退しています。  以上のような改正内容には到底賛成できません。  政府案には、環境の位置づけ、水質事故処理等河川の維持の原因者施行・負担、不法係留対策など、制度の改善策も含まれておりますが、さきに述べたような根本的問題点を持つ本法案には反対であります。  本案に対する日本共産党の修正案は、政府案の持つ問題点を改めるものであり、当然賛成であります。  次に、民主党案について申し上げます。  今日、河川行政に求められているのは、さきに政府案に関して申し上げたように、大規模プロジェクト、開発主体の河川行政から、河川環境を守り、住民関係自治体の意見を反映した、国民本位の河川行政に転換することにあります。  民主党案は、政府案の中で特に問題のある、河川行政への自治体や住民意見の反映の不十分さ、河川整備基本方針や河川整備計画の決定プロセスについて、水系委員会を通じての自治体や住民意見の反映、意見書の提出など、政府案の持つ問題点を改める内容になっております。また、河川環境保全や情報公開等についても改善措置が盛り込まれております。  よって、民主党提案の河川法の一部を改正する法律案には賛成であります。  以上、各案に対する態度とその理由を申し上げ、日本共産党を代表しての討論を終わります。(拍手)
  136. 市川雄一

    市川委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  137. 市川雄一

    市川委員長 これより採決に入ります。  まず、石井紘基君外三名提出河川法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  138. 市川雄一

    市川委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。  次に、内閣提出河川法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、中島武敏君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  139. 市川雄一

    市川委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  140. 市川雄一

    市川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 市川雄一

    市川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  142. 市川雄一

    市川委員長 次に、内閣提出都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。亀井建設大臣。     —————————————  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  143. 亀井静香

    亀井国務大臣 ただいま議題となりました都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  この法律案は、近年、長時間通勤の増大等をもたらしている都市構造現状にかんがみ、土地の有効利用を通じて利便性の高い高層住宅等の供給促進を図り、職住近接の都市構造の実現に資するため、容積率制限等について合理化等の措置を講ずるものであります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  第一に、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため、都市計画に高層住居誘導地区を定めるとともに、同地区内の建築物については、その住宅割合に応じて容積率を最大六〇〇%まで引き上げるほか、建築物の形態制限について所要の合理化を行うこととしております。  第二に、共同住宅の容積率算定に当たって、その延べ面積から共用の廊下または階段部分の床面積を除外することとしております。  その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いを申し上げます。
  144. 市川雄一

    市川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る十六日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十八分散会