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1997-05-07 第140回国会 衆議院 建設委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月七日(水曜日)    午前十時一分開議 出席委員   委員長 市川 雄一君    理事 赤城 徳彦君 理事 遠藤 利明君    理事田野瀬良太郎君 理事 中島洋次郎君    理事 太田 昭宏君 理事 増田 敏男君    理事 石井 紘基君 理事 中島 武敏君       井奥 貞雄君    金子原二郎君       佐藤 静雄君    高市 早苗君       谷畑  孝君    玉沢徳一郎君       東家 嘉幸君    中山 利生君       萩山 教嚴君    蓮実  進君       松本 和那君    赤羽 一嘉君       遠藤 和良君    岡島 正之君       武山百合子君    樽床 伸二君       西野  陽君    山本 幸三君       川内 博史君    辻  第一君       中西 績介君  出席国務大臣         建 設 大 臣 亀井 静香君  出席政府委員         国土政務次官  井奥 貞雄君         国土庁長官官房         水資源部長   振井 茂宏君         建設政務次官  佐藤 静雄君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省都市局長 木下 博夫君         建設省河川局長 尾田 栄章君  委員外出席者         議     員 石井 紘基君         議     員 細川 律夫君         議     員 渡辺  周君         議     員 小林  守君         環境庁企画調整         局環境影響評価         課長      高部 正男君         林野庁指導部計         画課長     金子  詔君         林野庁指導部治         山課長     安井 正美君         資源エネルギー         庁公益事業部発         電課長     真木 浩之君         会計検査院事務         総局第三局建設         検査第二課長  太田 雅都君         建設委員会調査         室長      白兼 保彦君     ――――――――――――― 委員の異動 五月七日  辞任         補欠選任   岩浅 嘉仁君     武山百合子君   葉山  峻君     川内 博史君 同日  辞任         補欠選任   武山百合子君     遠藤 和良君   川内 博史君     葉山  峻君 同日  辞任         補欠選任   遠藤 和良君     岩浅 嘉仁君     ――――――――――――― 五月六日  河川法の一部を改正する法律案石井紘基君外  三名提出衆法第二〇号) 四月二十五日  川辺川ダム建設の中止に関する請願(石井紘基  君紹介)(第二二九三号)  同(坂上富男紹介)(第二二九四号)  同(松本惟子君紹介)(第二二九五号)  同(佐藤謙一郎紹介)(第二三〇二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十五日  下水道事業財政支援に関する陳情書  (第  二五〇号)  渇水時等における水源確保対策推進に関する  陳情書  (第二五一号)  吉野川第十堰の可動堰による早期改築に関する  陳情書  (第二五二号)  道路網整備及び道路特定財源確保に関する  陳情書外十九件  (第二五三  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  河川法の一部を改正する法律案石井紘基君外  三名提出衆法第二〇号)  河川法の一部を改正する法律案内閣提出第五  七号)      ――――◇―――――
  2. 市川雄一

    市川委員長 これより会議を開きます。  石井紘基君外三名提出河川法の一部を改正する法律案議題といたします。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。渡辺周君。     —————————————  河川法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 渡辺周

    渡辺(周)議員 ただいま議題となりました河川法の一部を改正する法律案につきまして、提案趣旨内容を御説明申し上げます。  私どもは、本法律案を作成するに当たりまして、内容をより充実したものにするために幾つかの河川を実際に見てまいりました。  河川法河川に関して最も基本となる法律であり、昭和三十九年に利水に重点を置いた抜本改正が行われて以来、この基本法我が国河川に何をもたらしたかを確認をしてきたのであります。  足を運んだ川の一つに水のない川がありました。本来、この川に流れるべき水流は、川を見おろす山の中の大きな導水管を通って下流に至り、私たち生活に欠かせない電気を生み出してまいりました。その反面、川の流れは細くなり、川の両側には草木のない死滅した河原が広がっておりました。河川法はこの三十年の間に、便利な生活、あわせて水のない川を生んでまいりました。  河川はたびたび人間の血管に例えられます。それは、川が海と山をつなぐことによって自然循環が行われるからであります。すべての自然循環という形で互いに依存し合ってこそ存在できます。この循環を支える大きな役目河川は担ってまいりました。  河川がこうした役目を果たすためには源流から河口までの連続性が重要でありますが、政府提案改正案にはこの視点が欠落していると我々は考えました。  河川環境保全とは、堤防に挟まれた河原草木を植えたり、コンクリートの上に草や石を乗せるということでなく、私たちや未来の世代生存基盤である自然の大きな循環生態系を維持していくことであります。  戦後、多くの河川堤防も川底もコンクリート張りになりました。国が国民の安全に責任を持ち、効率的な水資源開発、配分が求められた現行河川法のもとではやむを得ない一面もあったとは思いますが、多くの川が三面張りとなり、山合いの川から水の流れがなくなることを人々は望んでいたのでありましょうか。人々生活が多様化した今、人々河川に求めるものもさまざまであります。河川管理は、その環境変化影響を受ける地域住民の意思を十分に反映させるべきではないでありましょうか。  さらに、河川法は最近批判が高まっているダム建設事業の根幹をなす法律でもあります。一昨年暮れに、会計検査院は、事業着手後二十年余を経過していまだダム本体工事着手のできない六つのダム事業を取り上げ、うち四事業について計画見直しを求めました。しかし、現在に至るまで、これら事業事業者による具体的な見直し計画提案されないままになっております。ここに現在の公共事業決定システム問題点があらわれていると考えます。  これら事業や先日潮どめが行われた諌早湾干拓事業に見られるように、公共事業は、一度計画されると、その事業推進自体目的とされ、本来の目的が失われても継続をされます。現在、公共事業推進システムのみが整備され、これらの必要性を検証するシステムが存在しません。  公共事業は、まるでブレーキのない車のような状態でありますが、そこでブレーキになり得るのは住民であり、その代表者たる議会ではないかと信じるのであります。住民住民代表者たる議会公共事業必要性を常に検証し、意見を述べる機会を明確に保障しておくことが何よりも肝要であります。平成八年度においても全国の河川で三百七十六個ものダム建設が行われておりますが、ブレーキなきままでは永遠ダムをつくりかねません。  財政再建が喫緊の課題となっている今、真に国民が求めていることに血税は使われなければなりません。公共事業においても地方分権推進して、受益と負担の関係を明らかにした上で、公共事業決定システムヘ住民参加推進していく必要があると考えます。  以上述べました考え方のもとに、私ども河川法改正案の概要を説明いたします。  まず第一は、河川環境保全であります。本法案では、河川を「豊かな自然水循環の下で多様な生物の生命をはぐくむ母胎」と位置づけ、河川環境への負荷を最小限にとどめることを原則としております。  また、河川管理における基本的な方針である水系管理基本方針の策定に当たっては、治水利水とともに、親水、環境への配慮を義務づけ、この方針を策定する水系委員会を幅広い専門家から構成することによって、幅広い視野から河川管理を行い得るようにしております。  二つ目は、二級河川管理を都道府県の団体委任事務としたことであります。現在の大きな課題である地方分権個別法レベルで先取りするものであり、先ほど申し上げた、河川管理流域住民でということを法的に担保する第一歩と考えております。  第三に、一級河川、二級河川とも水系ごと水系委員会の設置を義務づけております。これは、河川管理者諮問機関であるとともに、河川管理住民意見を反映させる受け皿となるべき機関であります。水系委員会は、河川環境生物、地理、都市計画等の幅広い専門家から構成され、河川管理基本方針である水系管理基本方針具体的な整備計画である水系管理計画その他当該河川に関する重要事項に関し審議を行い、河川管理者意見を述べることとしております。  第四は、情報公開住民参加の徹底であります。河川管理者水系管理基本方針水系管理計画の案を作成したときは、必ず公告縦覧に供することとし、これらを審議する水系委員会は、審議に用いられた資料を含めてすべて公開といたしました。さらに、それらの案について水系委員会意見を述べるに当たっては、公聴会を開催しなければならないことといたしました。現在の河川行政の執行に当たり、多くの市民から資料公開が不十分であるとの指摘にかんがみ、河川管理者情報公開を義務づけました。  最後は節水についてでありますけれども、水が無限でなく、河川水の際限ない収奪が自然環境を破壊するという観点から、河川管理者水利使用者水利使用合理化を促す規定を設けております。  そのほか、異常渇水時における円滑な水利使用調整実施水質事故処理等原因者施行原因者負担不法係留対策推進に関しましては、政府案と同様の改正を行うこととしております。  私ども政治家が今を生きる国民のみならず将来の世代に対しても大きな責任を負っていることを考えるとき、二十一世紀の多くの子供たち河原で遊ぶことができる我が国になることを心から願い、私の趣旨説明とさせていただきます。  何とぞ、議員各位におかれましても、おのおののふるさとの懐かしい情景を改めて思い起こしていただき、十分な御審議を賜りますようお願いを申し上げます。  ありがとうございました。
  4. 市川雄一

    市川委員長 これにて趣旨説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 市川雄一

    市川委員長 内閣提出河川法の一部を改正する法律案及びただいま趣旨説明を聴取いたしました石井紘基君外三名提出河川法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田野瀬良太郎君。
  6. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 自民党の田野瀬でございます。  それでは早速、河川法の一部を改正する政府提出法律案に対しまして質問を進めていきたいと思います。  治山治水利水重要性は私も十分わかっておるつもりでおりますが、今回の法律案の特徴は、言うまでもなく河川環境整備にあると思います。  冒頭から私ごとになって大変恐縮でございますが、私は、幼少のころから川とかかわってきた体験から、主にこの環境整備ということに照準を合わせてこれから質問をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げるところでございます。  私は、奈良県は五條市、といいますと、紀の川をずっとさかのぼっていきますと奈良県に入っていきます、その奈良県に入った最初の町が五條市でございます。下流紀の川、そして奈良県側に入りますと吉野川と命名されておるところでございます。  ちょうど昭和二十年代、三十年代の私の幼少のころは、それはそれは本当にきれいな川でございました。学校から帰りますと、それこそかばんもほったらかして、そして川に駆けていったものでございます。そして、魚とり、あるいはメダカすくい、夏になりますと、もう朝から晩まで川と遊んだものでございます。それはそれはきれいな清流、水も豊富でございまして、種々雑多な色とりどり川魚が生息いたしておりまして、その魚とともに泳いだものでございます。時にはせせらぎがあり、時には深いよどんだところがあって、絶壁かちよく飛び込んだものでございまして、本当に思い出しても懐かしい思いに浸るわけでございます。  また、その吉野川支流も私たち五條の町には何本も流れておりまして、吉野川のみならず支流にも遊びに行って、そしてカニをとったり、時には宵漬けといいましてウナギをとったり、それはそれは本当に、私の幼少のころは川少年といっても言い過ぎでない、川とともに育った、私はこういうふうに言っても過言でないと自分の幼少を振り返るわけでございます。  しかし、ちょうど昭和二十年代の後半からでしょうか、あるいは三十年代の前半にかけて、やにわに採石船がやってまいりまして、ちょうどその五條の町の中央、吉野川が蛇行しておるわけでございますが、ちょうど町の中心部大川橋といいまして大きな橋がかかっておりまして、その橋の上流下流、それはそれはきれいな玉砂利砂利がたくさん埋まっておりまして、その砂利をどんどん採石をし始めました。濁った水がもうそれこそ日常茶飯事のように下流流れていったものでございます。  その川は建設省直轄河川でございました、今もってそうでございますけれども。そして、気がついてみると、その砂利がすっかりとられてしまいまして、沼地のようになりました。そして、その大川橋の橋げたが弱ったといって、テトラポットが端から端までずっと橋脚を固め、今もってその状態にありますね、もうここ三十年ほどになりますけれども。  そして、河床が下がりましたので、両側堤防にずっとテトラポットが今もって並べられてあるわけでございまして、橋脚をずっと固めてありますテトラポットによりまして、しかも砂利をとっておりますので、大変流れが悪くなって、沼地のようになってしまいました。そして、上流にはダムがつくられておりますので、永遠砂利流れてこない。まさに夏になりますと、そのよどんだ水が腐って悪臭が立ち込める。昔、本当に色とりどりのきれいな川魚が生息しておりましたのですが、もう一匹も見当たらない。その沼地に、こんな大きな化け物のようなヒバチゴイだけが生息しておるというような、まさに死の川になってしまいました。それを見て、本当に私は心の悲哀を覚える一人でございます。  これは私のかかわりのあった吉野川体験で今申し述べておるのですが、こんな思い、心の悲哀を感じておる、そういう国民はそれこそ日本列島随所におるのではないかな、私はこのように想像いたすわけでございます。  そんなときに、ちょっと遅きに失したかなと私は思うのですが、しかしそれでも、このたび政府から「河川環境整備保全」という一項目を加えた河川法改正する法律案提出されたということは、本当に私にとりまして心から拍手喝采、何とかこの法律のもとで死の川になった川をよみがえらせていただきたい、こういう思いでいっぱいできょうは質問に立たせていただいた次第でございます。  ただ、この法律案を読んでみますのに、「河川環境整備保全」ということがうたわれておるのですが、さればどういうふうに環境整備をしていくのかということがイメージとしていま一つわいてこないわけでございまして、どうぞひとつ、まずこの河川環境とは一体何を指すのか、どういったものなのか、私に具体的なイメージを与えていただきたい、このように思うわけでございます。
  7. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま先生から、河川環境具体イメージは何かという御質問でございますが、ここで、今回河川法目的の中にお加えをいただこうと考えております「河川環境整備保全」といいますこの「河川環境」という言葉は、これは環境基本法でもそうでございますが、「環境保全」という言葉が使われております。この言葉環境基本法でも定義をなしに使っておるわけでございます。  そういう意味合いで、この河川法でも具体定義を条項の中に置いておらないわけでございますが、具体イメージといたしましては、まず河川が持っております水を流すための空間水そのもの、これと、その空間と水の中に生息をしておる生態系というもの、そういう対象物としての河川自然環境と申しますか、そういうものと、自然環境人間との間に発生をいたします人間から見て好ましい水と緑の景観、あるいは河川空間のアメニティーという言葉がよく使われますが、河川空間が持っておる快適性、あるいは河川人間のいろいろな生活に及ぼします、先ほど先生がおっしゃいました、もともと河川が持っておった日本人の原風景としての風土、そういうものを幅広く含んだ概念としてとらえておるところでございます。  そういう河川環境全体を整備をするとともに保全を図ってまいりたい、こういう趣旨でございます。
  8. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 幅広くいろいろな意味を込めて、人間とのかかわりの中での環境整備、こういうことでしょうかね。もうひとつまだイメージとしてぴんとこないのですが、さらにちょっと質問を続けさせていただいて私なりにイメージをつくっていきたいと思うのです。  さすれば、そういう環境をつくるために具体的にどういうことをしようとするのか。今申し上げた河川環境とは何なのかという説明があったわけでございますが、繰り返しになりますけれども、その環境づくりのためにどういったことをこれからするのかということをひとつ具体的にここでつまびらかにしていただきたいと思います。
  9. 尾田栄章

    尾田政府委員 具体にどういうことをするのか、こういう御質問でございますが、先ほど先生指摘ございましたとおり、紀の川吉野川におきましては、砂利採取高度成長時代日本国土建設を支えるという意味合いでも、コンクリート骨材としての砂利採取が行われたわけでございます。そういう中で、敗戦後、私ども国土の復興を図るということのために、まず、少々の雨では流域の中に水を入れない、洪水を何とか防ぎたいということで、治水優先という形で事業を展開をしてきたところでございます。  そういう中で、ともすれば、河川が持っております先ほど申しましたいろいろな機能を全体で上げていく、その総合的な調和のもとに治水効果を上げるということではなしに、御指摘ございましたように、都市河川の中ではいわゆる三面張りの川というようなものがつくられてきたわけでございます。  一方、ドイツ等々の非常に平野の低平地の川を中心にして、近自然工法と申しますか、自然そのものとして感じられるような形で河川改修を進めるという方式がとられてまいりました。  これは、私ども日本河川から見れば、急流河川でございますし、非常に洪水量も強いという中でそういう工法をとれないのではないかな、こう考えておったわけでございますが、いろいろな技術開発、そしてモデル的にそういうことをやっていく中で、日本河川でも自然との調和を図った中で河川改修を進められるのではないかというふうに考え方を大きく転換をしてきたところでございます。  多自然型川づくりというような名前で呼んでおります。必ずしもこの多自然型という名前がいいのかどうか私自身も釈然といたしませんが、自然との共生を図りつつ河川改修を進めるという形で、堤防にいたしましても急傾斜コンクリートのそういう形で改修するのではなしに、緩傾斜に、緩やかな堤防にして、そしてそこに植生を生やし豊かな生態系確保するというようなこと。  そしてまた、水そのものにつきましても、流域におきます下水道整備等、そういう流域の中での汚濁水を出さないという努力と相まって、川の中でも河川浄化、これはいろいろな植生を川の中に豊かにすること、あるいは礫間浄化というような形で石の間を水を通すということで水もきれいにできるわけでございますが、そういう工法を用いることによりまして、同じ治水効果を上げるために、今申しました自然配慮をした、自然を内部目的化したような工法をとることによって自然との共生を図りつつ治水の実を上げるという方向に現在大きく転換をしておるといいますか、この河川法目的改正をぜひ成立をさせていただきまして、そういう方向を大きく打ち出していただきたい、こう存じておるところでございます。
  10. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 局長の御答弁から、いろいろと試みておられるという印象は受けるわけでございますが、治水利水ですか、それと河川環境整備とはある意味では相反することをどう整合化させるかという大変難しいテーマであることは間違いないと私は思うのですね。しかし、どうしてもこれからの二十一世紀に向かってやっていかなければならぬ、このように思うわけでございます。  そういう意味におきまして、私は、この難しいテーマをやり抜くためには、やはりどこかの研究機関というか、あるいは工法あるいは技術というか、徹底的に研究する必要がこれからさらにあるのではないか。大変素人考えかもわかりませんが、治水のために擁壁をつくる、あの擁壁をもう少し五メーターなり後ろにずらして、そして前方に自然の土でもとに戻す、そういうふうなことはできないものかなというふうに思うわけでございます。  これから、技術開発工法開発というのでしょうか、それについてもう一遍、どういうふうに考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  11. 尾田栄章

    尾田政府委員 先生指摘のとおり、新たな技術開発、新たな工法開発というのが大変大事だというふうに私どもも考えておるところでございまして、自然共生研究センターと申すものを、これは木曽川本川のちょうど木曽川幾つかに分かれておる派川のところがございます、ここに実物そのもののいろいろな模型と申しますか、今先生から御指摘をいただきましたような護岸をいろいろなタイプのものを使うというような実験が可能な施設を持ったセンター研究を進めるということについて現在着手をいたしたところでございます。  それで、具体研究テーマということで申しますと、やはりでき得れば河川の中、まさに自然を感ずる、そういう空間の中にコンクリートのような人工構造物が目に見えた形でぎらつくということは好ましくないというのはだれもが感ずるところでございます。そういう中で自然の素材を用いた施行ができないかということで、のり面にネコヤナギ等々を植える、あるいはナルコスゲを植栽をするというような研究を進めております。また、実際そういう工法河川改修を進めておるところでございます。  ただ一方、そういう工法をとりました場合、日本のように本当にこれだけ流れの強い中でそういうものがもつのかどうか。これが洪水時に壊れたのでは、まさに人工災害を起こすことになるわけでございますので、そういう点についても十分検討しながら現在進めておるところでございます。  また、河川の中、河川河道計画をどう進めるかという面で申しましても、先ほど御指摘ございました瀬とふちを人工的につくっていく。従前、できるだけ河川をショートカットして真っすぐに流すという方向での工法を進めた時代もございます。そうではなしに、そういう瀬とふちを持った川づくりを目指して、具体のどういう形のものがとり得るか、安全を確認しつつ、そういうものを実施できるところから実施をしておるというのが現状でございます。
  12. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 治水環境整備、相反するものをうまく整合させていくという難しいテーマ、これから私はこれはやはり技術力だと思うのですね。そういうことで、技術開発工法開発にもひとつしっかりと取り組んでいただきたい、このように思うわけでございます。  さて、建設省の、あるいは局長のと言った方がいいかもわかりませんが、考え方、これからの進め方等につきましてお聞きをしたところでございますが、しかし、河川管理建設省のみならず大半が県にゆだねられておる実情から、私も県議会を経験する中で、ちょっと災害が起こったときに土木事務所に言って、ここ、ちょっとコンクリートで固めてくれというようなことを随分したものでございます。私、今言っていることと相矛盾することをしてきたかもわかりませんが、それをやることによって地主は大いに喜ぶものでございまして、今まで安易にそういうことをやっておるという嫌いがある。  しかし、この法律ができ上がった以上、末端の本当に小さな川であれ、私は、やはり今の法律趣旨を徹底しなきゃならぬ、こう思うのですね。県にはこれからどんな指導をしていくのでしょうか。非常に建設省直轄より県の管理の方が多いのですね。私は、これが大きく生かされるか生かされないか大事なところだと思うのです。
  13. 尾田栄章

    尾田政府委員 まさに先生指摘のとおり、直轄で管理をしておりますような大きな川では、ある意味コンクリートの護岸が張られておりましても、その川の持つほかの自然的な要素の大きさによりましてカバーをされてしまう面があるわけでございますが、二級河川、あるいは一級河川でも県で管理をされておる区間のように小さな河川、川幅も小さいというような川では、そこでどういう工法改修がなされるかということは、まさにそこからどういうイメージを受けるかということがより強い形で受けるものだというふうに考えております。そういう意味合いで、いわゆる補助河川、県の方で管理をされ改修をされておる河川において、こういう考え方がどういう形で実現化されていくかということがまさに大事な問題だというふうに認識をいたしておるところでございます。  そういう意味合いで、この多自然型川づくりというのも急に私ども思いついたわけではございませんで、平成二年の十一月に既にパイロット事業として、そういう豊かな生息環境を持った、生態系を持った、そしてまた自然景観を保全、創出するようないわゆる多自然型川づくりをパイロット的に実施をするということに取り組んでおるわけでございまして、これは都道府県の皆さん方と一緒になってパイロット事業を進めてきたところでございます。  そしてまた、平成七年度にはこのパイロット的な取り組みをすべての河川に応用していこう、多自然型川づくりというのを河川改修基本に据えようという形で大きく一歩を踏み出したところでございます。  そういう意味合いで、御指摘のとおり、個別の河川、一本一本の川において、そういう自然環境豊かな河川改修、なおかつ治水上所要の安全度を持った、そういう改修を進めていくということが大変大事だというふうに考えておるところでございます。  そして、御指摘のとおり、技術開発と申しますか、これも全国画一的に何かの工法でやるというのではなしに、各河川のそれぞれの特性を生かした形で、一番その川にふさわしい河川改修の仕方があるはずでございますので、そういうものを実現できるような技術開発と申しますか、考え方の確立ということに向けて、現在、私どもの土木研究所を初め民間の研究機関等々あわせまして、全力を挙げて取り組んでおるところでございます。
  14. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 しっかりと都道府県への指導方もお願いをしておきたいと思います。  先般、ちょっと連休で飛騨の方へ行ってまいりましたが、最近のJRも民間になってからサービス心旺盛でございまして、その都度その都度景勝地の案内を車内放送でしてくれるわけでございまして、心が和むわけでございます。そして、ある地点で、右に見える渓流は何とかいうんだ、すばらしい渓流をどうぞ見てくださいというような御案内がございまして、なるほど深い峡谷というのでしょうか、その端を列車が走ったわけでございますが、そのまさに中心に、道路からずぼっとコンクリートでちょうど景勝地のど真ん中に固めてあるのですね。  これを見て私は、河川局が何ぼ頑張っても、大体河川の側道のように道路がずっと続いておるわけでございまして、道路が崩れたらすぐコンクリート擁壁をつくってしまうというような道路局の考え方ではないかなと思うのですね。  河川環境整備保全、そして道路、路肩の補強と、私は、その辺、工事するときに道路局としっかりと話し合っていかないと、河川局ばかり幾ら頑張っていても、道路局が勝手にそんな工法を取り入れられてやられるとこの法律の意義が生かされてこないと思うのですが、道路局との話し合いはどうなっているのですか。
  15. 尾田栄章

    尾田政府委員 先生指摘のとおり、山岳地帯に入りまして突然コンクリートの構造物がいろいろな形で見えてくるということに対する大変強い御批判があるのは、私どもも十分認識をいたしておるところでございます。  そういう意味合いで、御指摘のとおり、道路整備におきましても、そういう点について、これは従前から道路のり面植生植栽ということについても道路局としても努力をいたしておるところでございますが、そういう河川と一体的に景観を形成しておるようなところにつきましては、今後とも十分協議をして、そういうものをより保全、あるいはよりよい環境として再生できるような形で考えていきたいというふうに思っております。  特に、先生指摘の道路事業の中でも、山の中でそういう構造物が突如出てきますのは災害復旧事業が多くございまして、この災害復旧事業は私ども河川局が担当いたしておるわけで、道路ののり面等々もひっくるめてでございますが、そういう反省の中で、災害復旧事業は、従前、ともしますと災害を受けたものをなるべく早く復旧する必要があるということでコンクリート構造物で復旧をするということになりがちでございます。  これは地元からも大変強いそういう要望を受けるわけでございますが、私どもとしては、そういう災害復旧に際しましても、災害復旧の基本的な考え方は原形復旧でございますので、もともと道路なら道路、川なら川が持っておった環境のそういう原形にも配慮したような形の原形復旧ということに今後取り組んでいきたいというふうに思っております。  ただ、これにつきましては、非常に急いで復旧をしなければならない等々いろいろな制約条件がございますが、そういう中で、できる限り私どもとしては全力を挙げて前向きに取り組んでいきたいと思っておるところでございます。
  16. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 路肩が崩れた災害の復旧は河川局でやっておるということ、ちょっと私無知で認識を新たにしたのですが、しかし、ちょうど川べりに道路をつくるというケースもたくさんあろうかと思います。どうぞ、道路局ともしっかりと話し合って、環境保全ということにも、ひとつ道路局との話し合いもしっかりと怠ることのないようにお願いしておきたいと思います。  さて、これから地元誘導型の話になって恐縮でございますが、冒頭申し上げたように、私が育ちました吉野川、その大川橋上流下流がもうまさに死の川になっておる。河川局長とまでは言わないとしても、ぜひ一遍見ていただいて、その実情を目の当たりにしていただきたいと思うのです。  この河川法の一部を改正する法律案が成立の暁には、この法律にのっとった第一号のモデルケースとして、その前後をひとつ整備してもらいたいという思いがいっぱいであるわけでございます。ぜひお願いしたいのですが、いかがですか。
  17. 尾田栄章

    尾田政府委員 先ほど来御指摘をいただいております吉野川砂利採取に伴います大川橋コンクリートで固められたところをどうするかというお尋ねでございますが、これはこういう構造物、そういう形になっておりますので、河川の水量が少ないときには魚自体もなかなか上れない、あるいは下れないという状況になっております。  そういうことで、私ども現在所管をしております魚が上りやすい川づくりという事業がございますが、今年度、この魚が上りやすい川づくりの一環としまして、この大川橋橋脚のブロックで固めている間を魚が自由に上れるような構造にどういう形にすれば持っていけるか、検討の上、なるべく早く着工したいというふうに考えておるところでございます。
  18. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 確かに、私が申し上げたその大川橋より紀の川河口まで井堰が私の調べたところでは四つありまして、その四つの井堰が全部つぶれてしまって、川魚が遡上しない、アユも上ってこないという惨たんたる状況にあるわけでございまして、ただいま局長から、その井堰をまず改修するところからというお答えでございました。  冒頭私申し上げましたように、その町の中心部にある、テトラポットで橋げたを固め、流れが悪くなり、もうせせらぎがないものですから、砂利の上を水が流れることによってそのせせらぎが溶存酸素を豊富にして有機物を分解して自浄作用が働くようでございますが、全く腐った水になるわけでございます。まず、その橋脚が弱ったのであれば橋脚をきちっと確かなものにして、そのテトラポットを取ってもらいたい。堤防を固めておるテトラポットも実に自然を破壊しておるわけでございまして、川にごろごろとテトラポットが散在しているところでございまして、その辺のところのひとつ早急な整備お願いしたいと思うのですが、いかがですか。
  19. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま先生指摘大川橋のところの処理をどうするかという件でございますが、先ほども申し上げましたが、まさに先生指摘のとおり、河川の水量が減りますと、ブロックの間を水がちょろちょろと流れるという形で、魚が上れないという状況でございます。そういう中で、魚が自由に遡上そして降下できるように、そういう構造物としてどういうものが成り立つのか、十分検討の上、今年度からその対策に取り組みたいというふうに考えているところでございます。  それから、御指摘の四つの井堰につきましては、まず一番下流の井堰につきまして、紀の川大堰の改築に合わせて魚道を設置する中でこれは対応を考えておるわけでございますが、残る三つについてどういう形で取り組んでいくのか、この問題につきましても、これは農林省の井堰でございますが、そういう関係をいたしますところとも十分協議をして対策を考えていきたいというふうに存じております。
  20. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 どうぞ、ひとつよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。  時間がなくなりましたのでちょっと急ぐのですが、そこで、その吉野川の我々の体験から、私はこの川の砂利採取が非常に心を痛めるのです。  奈良県に吉野川以外に十津川というきれいな、まだ自然が残っておる川がございますが、この十津川のほとりも道路が走っておるわけでございまして、今もって随所で砂利をとっておるのです。あるところでは、砂利をとってしまって土がむきむきになっている部分もあるので、あれは大丈夫かなと私は本当に心配しておるところでございます。  これは十津川のみならず、全国の河川で、今砂利をとっておる河川は随分あるのではないでしょうか。もしお答えできるならお答えしていただきたいし、資料がないならまた後でいただきたいのですが、全国の河川でどれぐらい砂利をとっておるのか、それをちゃんと管理してとらせておるのかどうか。  私は、川の砂利をとるのではなくて、山の砂利はとった後で再生がききますので、できるだけ建設省主導で山砂利開発するというような方法はないものだろうかどうかと常に考えておるのですが、時間がないので簡単にひとつ、あと、大臣の答弁をちょっといただきたいので……。
  21. 尾田栄章

    尾田政府委員 先生指摘のとおり、河川砂利の採取をどうするかというのはかつて大問題になって、その後遺症がまだ残っておるところでございます。  御指摘紀の川について申しますと、昭和四十七年に既に全面規制をいたしておるところでございまして、現在は河川河道計画上支障にならない範囲で規制計画というのをつくって、その範囲の中で採取をするという形で進めておるところでございます。  また、山砂利への転換の問題につきましても、所管の通産省と一緒になりまして、従前から対策を進めておるところでございます。  川砂利を採掘することによりまして、河道断面が広がるという治水上の効果もございますので、そういう河道断面として掘削をする必要がある、そして掘削をすることによって橋脚とか護岸の根固めに支障がないというようなところに限って現在採取しておるつもりでございますが、御指摘のようなところがございますなら、さらにまた調査をした上でお答えをさせていただきたいと存じます。
  22. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 一度建設省として、全部全国の河川砂利採取しておるところを一遍拾い上げていただいて、大半は県の管理下にあるかもわかりませんがへ県がちゃんと管理しているかどうか。ややもすると、地域へ行きますと、県が地元の業者とどうしてものっぴきならない関係になって、そこから以上はとるなというようなことの言えない状況にありはしないか。そういったことをぜひひとつ調査をして、適正な指導をしていただきますようにお願い申し上げたい、このように思うわけでございます。  それと、次から次と地元の話になって恐縮でございますが、また吉野川の話でございますが、現在、大滝ダム建設中でございます。これは、とみに最近予算を加えていただいて急ピッチで進んでおることは私も重々承知をいたしておりますが、このダムはもう始まって三十五年たつのですね。三十五年たっていまだかつて完成しておらないダムというのは、もう全国でこれが最後じゃないでしょうか。これは最初にして最後じゃないでしょうか。この三十五年間、二十の人間が今やもう五十五歳。人生の大半を荒れに荒れて、つけかえ道路だとか何だとか、もう工事だらけですね。  そんなことですから、ちょっと大雨が来ますと、下流にずっと赤い水が流れてきまして、それがきれいな岩や小石に付着するものですから、みんな出て岩をたわしてごしごしこするんですが、なかなか泥が取れないというようなことで、先ほど死の川になったという一つの理由は、上のダム建設も私は一因しておると思うのです。水が流れないものですから、底に、にこというのですか、泥土がたまってしまって、それが岩に付着して取れない。ちょっと渇水期になりますと、岩がむき出しになって、赤茶けて、とても岩というような状況じゃないわけでございます。  そんなことで、もう村人も村も荒れに荒れ、すさびにすさんでおると言っても過言ではないと私は思うわけでございます。ですから、環境整備保全という意味におきましても、これをいっときも早く仕上げてもらいたいと切望するわけでございますが、いかがでしょうか。
  23. 尾田栄章

    尾田政府委員 大滝ダムにつきましては、まさに紀の川奈良県そして和歌山県全体にかかわる死命を制するダムでもございます。また、紀の川流域外でございます大和平野にも水を供給をする、水資源開発上も不可欠な事業であるということから、奈良県御当局を初め、地元の皆さん方からも、一日も早い完成を望まれておるところでございます。  また、大車輪で工事を進めるとともに、ただいま御指摘いただいたようなことが起こらないように、工事中の環境保全にも、濁水処理施設をつくるとか、最大限努力をしておるつもりでございますが、もし御指摘のようなことが起こっておるといたしますれば、私どもとしてもまた十分検討してみたい、こう考えております。  いずれにいたしましても、まず早く完成させることが大事だという御指摘でございますが、昨年の十一月にコンクリートの打設を開始をいたしたところでございまして、ダム本体のコンクリート工事が本格化をいたしております。平成十一年度には何とかダム本体のコンクリートを打ち上げたい、そういう意気込みで現在取り組んでおるところでございます。  もちろん、急ぐからといって工事期間中の環境に対する配慮を失することなく、できる限りの努力をするとともに、ダムが完成した後の残りますいろいろな切り取ったのり面等々の植生植栽等々についても、今後とも十分意を尽くしてまいりたいと考えておるところでございます。
  24. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 行財政改革の折、大変厳しい状況にはありますが、もう用地の方も全部話が済んで、あと予算がいかにつくかという段階、最後の追い込みにかかっておりますので、一年でも早くでき上がりますように、ひとつ格段の御配慮をよろしくお願い申し上げたいと思います。  最後に、大臣に一言お答えいただきたいというか、一言お尋ねするわけでございますが、きょうの朝日新聞に、   一九九〇代になって欧米先進国では、河川政策の見直しが進んだ。米国では「ダム建設の終わり」が宣言され、フランスでは流域ごとにつくられた委員会河川管理するようになり、ドイツでは川の「再自然化」が目標になっている。 こういうふうに記されておるところでございます。  今回の河川法改正法案成立を期して、我々も環境面ということに力点を置いた河川づくり、ぜひ期待をするわけでございまして、ひとつ大臣の所信をお聞きしたいと同時に、私は奈良県第四区、もうそれこそ山また山の選挙区でございます。大臣もそのようにお伺いしておるところでございます。私の地元にまさるとも劣らない大変な田舎地帯で、私は昔から、山、川を大事にしない者は愛郷心がない。愛郷心がない者は愛国心がない。そういう国民を育てるべきでない。川、山を大事にする国民を育てていくべきだ。このように思うわけでございまして、そういう環境におられる大臣の所感、所信をひとつぜひお聞きしたいと思います。
  25. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 先ほどから、委員のふるさとに対する思いを込めての御質問をお聞きしておりまして、委員のお気持ち、私はやはり、それぞれのところに住まいしておる方々の同じようなお気持ちじゃないかと思います。  河川行政というのは、治水利水をもちろん目的にはいたしておりますけれども、美しい山河をあわせて守るということも、同時にこれをやっていかなければならないことであります。  先ほど委員は、二律背反というような表現もされましたけれども、確かに非常に難しい問題があると思います。自然をそのままにしていくことが一番これは美しくてきれいなんだ。大都会からたまの休みにレジャーで行く人にとってみれば、太古の自然がそのまま残っているところがこれはいいわけでありますが、その地域に住んでいる方が洪水に遭って生命を失う、財産を失うということがあってはならぬわけでありまして、そういう面から自然を加工せざるを得ないという面があるわけであります。  それにいたしましても、戦後の建設行政、廃墟の中から、荒れ果てた中から、雨露をしのぐバラックをとりあえずつくろうというのが建設行政でありましたが、今からはやはり二十一世紀へ向けて本格建築をあらゆる分野でやっていきたい、このように考えておるわけでございまして、当然、ただ単なる治水あるいは利水ということじゃなくて、美しい自然環境をできるだけ残していく。  ただ、これもちょっと私ども今困っておりますのは、公共事業のコストを削減しろという大合唱がございまして、そういう面で環境配慮する工事を施行してまいりますと、これは単価が上がってくるわけでございまして、その意味で、もう予算は削るわ、環境配慮をした工事はやれと。日本はしょっちゅう台風も襲ってきます。地震も襲ってきます。そうした非常に難しい行政を今から、しかし委員等の御指導も賜りながら一生懸命やっていきたい、このように考えております。
  26. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 終わります。
  27. 市川雄一

  28. 武山百合子

    ○武山委員 新進党を代表いたしまして質問いたします。  今回、河川法改正案対比ということで民主党案と政府案が出たんですけれども、いわゆる二十一世紀日本はどんな社会をつくるのかと先日予算の一般質問でいたしましたら、総理大臣が欠席しましたので官房長官が、二十一世紀は国際化そしてグローバルスタンダード、国際基準に日本も近づけていかなければいけないということなんですね。  それで、まず日本の国は地方分権情報公開それから住民参加、そういう意味で大変おくれているということをもうほとんどの国民もわかっているわけなんですね。おくれている部分は行政と政府なわけです。  それで、この対比表を見ますと、私は新進党ですけれども残念ながら対案が出ないんですけれども、この民主党案の方が情報公開の点でもそれから地方分権の点でもまた住民参加という点でも明らかにこちらの方がいいんですけれども、今の現状ですと、議院内閣制ですので、もう政府提案が通ることに数の上で決まってしまって、その辺が非常に政策で決まらないというところにジレンマを感じます。  まず、その目的について、河川環境を位置づけておりますけれども、この河川環境の位置づけとして河川環境整備保全ということで、これは国民にどんなメリットがあるのか、ぜひ政府案に対してお聞きしたいと思います。
  29. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 先ほどの田野瀬委員にもお答えしたこととちょっとダブってまいると思いますけれども、私どもとしては、まず前提としては、やはり生命、身体、財産を守るという国家としての基本的な使命を達成をしなければならないと思います。  しかし、そのことが自然を無制限に破壊をしていくということがあってはならない。そういう面で、今回の改正案ではそうした目的を達する過程の中において環境に対して十分な配慮をしていこうということでございまして、従来も配慮していなかったというわけではございませんけれども、これをきっちりと法律の中で位置づけていったということでございます。
  30. 武山百合子

    ○武山委員 これは位置づけるというだけで、制度が担保されていないわけなんですね。それで、今後どのようなふうに、ただ位置づけるだけでは国民にとってわからないと思うんです。国民にとっては、制度がきちっと担保されたいというのが国民の願いだと思うんですけれども、将来何か制度を考えているのかどうか、お聞きしたいと思います。
  31. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 そうした行政目的を達するための具体的な施策については、建設省責任を第一義的に持っておるわけでございまして、地方自治体に対して機関委任事務としてゆだねる場合もあるわけでございますが、制度として何が担保かとおっしゃりますと、それは建設大臣が担保でございますし、建設省の役人が担保でございまして、私どもはそのことで飯を食っておるわけでございますから、そうしなどの川のどの点について環境上の配慮をすべきかというようなことにつきましても、それぞれ現地に地建もおるわけでございます。関係都道府県のそれぞれ住民から選ばれた代表者もおるわけでございます。また、公務員もおるわけでございますから、それが税金泥棒と言われないように、それぞれ個々具体的な状況にきっちりと対応していく行政を実施していかなければならない。しかし、その場合も、その地域の一般住民の方々の御意見もできるだけお聞きをして、そうしていくということであろうと思います。
  32. 武山百合子

    ○武山委員 建設大臣にこんなことを言っては失礼ですけれども、今お話しになったことは今までやってきたことですね。今も行われていると思います。  私の町は埼玉県の東部に位置します江戸川、一級河川を持っております庄和町といいます。私はそこで生まれ育ちました。人口三万九千ですけれども、自分の町に江戸川があって、実際は自由に使えないわけです。  それで、私は幼少のころからその川を見ながら育ったんですけれども、土手というイメージはもうただ単に無味乾燥にあるだけ、ちょっと雑草が生えていて、それで堤内というか堤防の中の方にヨシが生えていて川が流れているというその程度なわけなんです。そこをやはり私たち住民国民は、自分の町に流れていながら使えないわけですから、それを使いたいという願いがあるわけですね。  そういう願いは、今おっしゃったような、地方に公務員がい、機関委任事務で県にあり、そして国が権限を持っているわけですけれども、ほとんど全部持ってしまって、住んでいる住民の本当に使いやすさという点では非常に欠けているわけなんです。何が欠けているかといいますと、そこに地方分権がされていないという意味です。機関委任事務で手続が簡素化されていないとか、もっと自由に使いたいとか、その手続ももう幾つもあってそれですぐ使えるようにならないとか、いろいろな問題が含まれているんです。  そういう意味で、私は、地方分権もやはり進めていかなければいけないし、その中で解決もしていかなければいけないと思いますけれども、私の町ではそういうふうにして自由に使えないという地元の不満があります。それをぜひ胸に受けとめておいていただきたいと思います。それは、私の町だけではなく、全国どこでも、一級河川、二級河川は同じ状況であろうと思います。  私、先日、ずっと江戸川の庄和町から南に一時間ぐらい下りました。その中に、河川を持っている市町村が使っているところは一カ所だけでした。それはゴルフ場として河川敷を使っているわけなんですね。それ一カ所だけなんですよ。それで国は、もう機関委任事務で自由に手続をして簡単にできるんだと口では言いますけれども、実際にやはりできないというところが現状なんです。それ一カ所しか使われていない。  例えば私の町でいいますと、私は昭和二十二年生まれなものですから、カスリン台風、一九四七年秋に大きな台風が来まして、一級河川は利根川、江戸川、全部決壊しまして、非常に大洪水の起こったところなんです。それで、長い間堤防改修されていく状態を見て育ってまいりました。  しかし、その中で、やはり町としましては、優先順位としてスーパー堤防をつくりたいというわけなんです。そこはなぜスーパー堤防をつくりたいかといいますと、漏水というんですか、やはり雨がたくさん降ったりすると漏水がある、それでそこの堤防を強化したい、そういう願いがあるわけなんですね。ところが、町として優先順位が一位であっても、やはり権限は国が持っているものですから自由に決められないわけです。そういうところに地方自治体は非常にジレンマを感じているというところですけれども建設大臣、その辺は将来どんなふうに道筋を、担保してくださるという建設大臣を信用しておりますので、その辺を聞きたいと思います。
  33. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 確かに率直に言いまして、河川管理のあり方がちょっと、簡単に言うとかた過ぎるんじゃないか、そうした住民の方々の御意見があるということも私も肌で感じております。私自身がもうちょっと融通をきかしていいんじゃないかというように思ったこともないわけではございません。  ただ、委員がもう全部御承知の上で言っておられるわけでありますけれども堤防も何も河川局は趣味で予算を消化するためにつくっておるわけじゃございませんで、やはりそうした大型台風が来てもその地域が被害に遭わないようなということを目的にやっておるわけであります。その後の管理にいたしましても、御承知のように、河川管理者としてはいつ台風が来るかわからぬわけですから、あした来るというので泡食って河川管理を変更するわけにもいかぬわけであります。だから、そうした場合にもやはり洪水防止という目的にとって阻害にならない、そうした状況をどうしても保とうという意思が働くのは、私はやはりある面ではしようがない面があるんじゃないかという感じがいたします。  しかし、それが行き過ぎて、何もこれは日ごろ市民に開放したっていいじゃないか、そういうところまでなかなかうんと言わないというような窮屈な面があることは事実でございます。  さっきも河川局長とこの委員会が始まる前にそのようなこともちょっと話しておったのですが、そこらはそうした目的との関係でやはり柔軟に、日ごろ市民の方々が憩いの場その他としてお使いいただけるような配慮は、建設省自体としても、また機関委任事務を受けておる自治体としてもしていただくような指導はしてまいりたい、こういうように考えております。
  34. 武山百合子

    ○武山委員 それでは、細かいことをもうちょっと突っ込んで聞きたいのですけれども、今、配慮というお話でした。機関委任事務の中でも配慮していくということですけれども、細かくその配慮の点を、例えば手続の簡素化といいましても、幾つもある手続が一つぐらいなくなっても簡素化ですけれども、それをもう住民は、手続自体を一つにするとかゼロにしてもらいたいわけですよね。  治水利水という点では、地方分権は非常に難しいと私は思います。河川というのは本当に短い長さじゃありませんので、江戸川も利根川も日光の奥の方から来るわけですから長い川の長さですので、治水利水という点では建設省がやはり管理すべきであろうと思いますけれども、その使用する権利というのは、結局、住んでいる人たち生活に一番大きな影響を受けるわけですね。住んでいながら、それでいて自分たち意見が反映されなくて、なかなか自由に使えないというところですね。ですから、その配慮の点で、どのような具体的な配慮か、お聞きしたいと思います。
  35. 尾田栄章

    尾田政府委員 詳細の点について私の方から御説明をさせていただきたいと思います。  先ほど来、委員の方から、河川敷の占用をめぐっての議論が展開をされておるところでございますが、私ども河川敷の占用というのは、これは本来河川というのは、先生指摘のとおり、どなたでもお使いをいただく、自由使用というのが原則だというふうに考えております。そういう中で河川の敷地を占用してお使いをいただくという場合は、これは営利目的では困るわけでございますし、そういう占用をしてお使いをいただく場合は公営の市町村に管理者になっていただいてお使いをいただく。  ただいま議論が出ております庄和町の事例で申しますと、庄和町が占用されて運動場として整備をされておられる、スポーツ広場あるいは野球場、ソフトボール場というふうな形でお使いになっておられるわけでございまして、そういうところは占用してお使いをいただくということが地域全体の河川の利用として望ましいということで、そういう占用をしていただいておるところでございます。ただ本来、河川そのものは自由使用、どなたでもお使いをいただけるというのが原則だというふうに受けとめておるところでございます。  それから、具体にどういう施策をとってきたかということでございますが、従前、河川事業は、国直轄あるいは都道府県の事業に限られておったわけでございますが、昭和六十二年に改正を行いまして、市町村長さん方が施行主体となってやっていただく、そういう補助事業について道を開いたところでございまして、そういう形で、地元でぜひそういう河川をある公園的と申しますか環境整備をしたいという場合につきましてはそういう道もございます。そういう意味合いで、大臣が申したとおりでございます。
  36. 武山百合子

    ○武山委員 自由使用ということですけれども、この自由使用ということは非常に易しい言葉であって、大変義務が伴うことだと思うのですね。それで、自己責任というものが必ず入っているわけなんですけれども、ぜひ、自由使用だということを河川を持っている市町村に建設省が改めて通達していただきたいと思います。  やはり住んでいる人々は自由使用だと思っていないわけですね。やはり建設省があらゆる権限を持っていて、許認可をもらわないと使えない、国民はそう思っているわけなんです。ですから、自由使用だとおっしゃったこの言葉をぜひ河川を持っている市町村に、自由使用なんですよということを広くPRしていただき、そして通達していただきたいと思います。  私は今そのお話を聞いて、自由使用ということで、ああ、自由に使えるんだと改めて認識いたしましたけれども、ぜひそれは通達していただきたいと思います。いや、答弁は結構です。  それで、次に移りますので、大変答弁が長かったですので……(亀井国務大臣「完全に自由じゃないだろう。もしあなたが転落して死んだら管理者の責任が出てくる」と呼ぶ)いえいえ、それにはもう自己責任というものが必ず伴うと思いますけれども……。
  37. 尾田栄章

    尾田政府委員 自由使用の言葉をめぐって議論がございますので御説明をさせていただきますと、自由使用と申しますのは、占用をされるように排他独占的に一定の地域を使うという意味合いではございませんで、河川空間は、本来どなたでもそこにアクセスをしてへそして河川が持っておるいろいろな機能を享受をいただくという趣旨での自由使用でございまして、そういう自由使用をされた場合に、先生指摘のとおり、そこにある危険、リスクが伴うわけでございます。それについては、基本的には使用者、そういう形で河川にアクセスされた方のみずから律していただくべきものだと思いますが、ただ、どこにどういう危険性があるかというようなことをよく明示をしておく、そういうことが非常に大事だというふうに考えておりまして、私どももそういう努力はいたしておるところでございます。  ただ、それが行き過ぎまして、転落防止のためのさくをずっと張りめぐらす、これも、訴訟になって負けてやむを得ずそういうことをやったりしておるわけでございますが、その辺は、世の中のコンセンサスとしてどういう方向に動いていくかというのが大きな事柄ではないかと受けとめております。
  38. 武山百合子

    ○武山委員 私、今のようなことをおっしゃるのであれば、やはりその町、その市、川を持っているその市町村が責任を持ってやるべきだと思うのですね。一々、ここが危険だとかというのはそこに住んでいる人たちが一番よくわかっているわけですから、それまでも建設省でやっているということ自体が私はおかしいと思います。  それで、ちょっと時間がありませんので、その件につきましてはもう結構ですので、次に移らせていただきます。  それから、今の私の町の問題でもう一つ、どこの河川にも共通する問題ですけれども、不法係留の船舶等の排除を促進するということです。それも大切なことなんですけれども、それと同時に係留の施設の整備、施設の整備がないから不法係留するわけなんですよ。その必要なものがなくて、それでみんなもう先に、国民の方が使いたくて不法係留しているわけなんですね。  それで、このたび、排除を促進することだけがうたわれていて、ここに施設の整備がうたわれていないのですね。それは明らかに手落ちだと思いますけれども整備されてそういうところがなかったら、やはり係留できないですよ。それはおかしいと思います。
  39. 尾田栄章

    尾田政府委員 御指摘のとおり、施設なしで規制だけをしては行き場がない、まさに私どもそういうふうに問題をとらえておるところでございます。  それで、私ども、そういう船が係留されていますのは、河川そして港湾、漁港、こういうところがそういうプレジャーボートの係留場所になっておるわけですが、あるところだけで規制をしてもだめですし、あるところだけで整備をしてもだめですので、三省一緒になって現在実態調査を行い、そしてその結果を踏まえた上で、そういう係留施設をどういう形で整備をすれば不法係留がなくなるか、まさにそういう視点で現在検討を進めておるところでございます。  また一方、私ども河川事業の中で河川利用推進事業というのがございますが、この中で、船舶の収容空間となるような河川マリーナの整備を支援をするような施策もとっておるところでございます。  現在、まだ五カ所で九百隻程度のマリーナでございますので、先ほど申しました実態調査でまだまだ不法係留は河川だけでも四万六千隻ございますので、まだその量としては少ないわけでございますが、そういう方向で今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  40. 武山百合子

    ○武山委員 今のお話ですと、なかなかレジャーに対して門戸が開かないと思います。そういう数字の発想ですと、やはり国民は豊かさを感じる機会がないわけですよ。市町村はみんな河川を使いたいわけなんです。私は地方分権がまず第一だと思うのですけれども建設省でそういうところまで権限を持っているからなんですね。市町村が自分たちでここの地域で、ここを係留の整備をしよう、そういうことを自分たちで自分の町の自治はできるわけですから、そういう権限を外していって、そして、自分たちでこの部分に係留先をつくろう、そういう判断をさせるような地方分権住民参加という形でやはり進めていかなければ、もうみんな国民政府を、行政を信用しなくなります。  ですから、今言ったような少ない数ではないわけですよ。みんな使いたいというのは、安くてそういうレジャーを楽しみたいというのは国民みんなの願いなのですから、ぜひ今後、一億二千万も人口がいるのに五カ所とかそんな少ない数のことをちょろちょろ言っていないで、どの町でもいいですよ、自由に自己責任で使ってくださいと、そのぐらい言わないと国民はもう政府を、行政を信用しないですよ。ですから、その辺の心構えあるいは将来の見通しをぜひお話しください。
  41. 尾田栄章

    尾田政府委員 先ほど申し上げた数字は完成しておるものでございまして、現在進めておる事業、このほかに十一カ所、合計二千七百隻、これでもまだ少ないわけでございます。  それで、先生の方から、自由に町の方に使わせればいいじゃないか、こういう御提案でございます。私どもも、各市町村から積極的な御提案があれば、それを受けて対応を検討してまいっておるつもりでございますし、これからも進めてまいりたいと考えております。  ただ一点、ぜひ御理解をいただきたいのは、こういう係留施設をつくりますと、洪水時に支障になる可能性がございます。係留された船が流されて、橋脚にぶち当たって橋を壊す、あるいはそこの係留施設そのものに水が当たっていろいろな水流を起こして堤防を壊す、そういう可能性もあるわけでございまして、そういう点について私ども河川管理者としてチェックをしておるということでございます。何も問題がないものまですべてだめだと申し上げるつもりは全くございませんで、御指摘のとおり、そういう施設については今後とも積極的に考えていきたいと思っております。  ただ、世の中の動きとして、そういうプレジャーボートの対策を進めるよりも、もっと自然の景観のまま残して使いたいという御意見もございます。そういういろいろな考え方調整をしながら一番うまい形で施設を配置をしていくということも、これまた大事なことではないか、こう考えております。
  42. 武山百合子

    ○武山委員 環境保全は大切なのです。みんな国民も思っているのです。  それで、河川というのはかなり長い長さをそれぞれの市町村が持っておりますので、ある部分は環境保全して手をつけない、ある部分は、今の御説明にありましたように、係留先をつくる、いろいろなバランスの中で国民というのは豊かさを実感するのであって、今危険性を、確かに危険性は危機管理でしていかなければいけません。しかしそれも、地方分権の中で、自治を育てていく中で地方が解決していく問題だと思うのですよ。できの悪い息子をいつまでもこうだああだと指導しているような面もあると思うのですね。やはりそれは渡して、渡した中で、そういう経験をしながら、時にはボートも流されますでしょう、時にはひどい状態になると思います。しかし、そういう経験の中から、体験の中から地方は自立していくのだと思います。そういうふうな方向にやはりしていっていただきたいと思います。  それから、もう時間がなくなってしまいました。次に移ります。  河川に関する水質、それから生物の生息状況など、さまざまな観測が頻繁に実施されていると思いますけれども、そういうデータについてどの程度一般の人々公開されているのかどうか、その辺の情報公開がどの辺までされているのか、そして、県の方でされているのか、市町村でされているのか、国の広報でされているのか、その辺、情報公開を聞きたいと思います。
  43. 尾田栄章

    尾田政府委員 私ども河川管理者、これは直轄の場合は建設省でございますし、二級河川については都道府県知事でございます。そういう河川管理者が収集をいたしました情報については、できる限り遅滞なく公開をしていくということを原則に考えておるところでございます。  そのデータといたしましては、まず河川の中では流量、水質、水位、そして流域の中の降水量というようなものをはかっております。そして、これは経年的にずっとはかっておるわけでございますが、各河川の中の生物としてどういうものがあるのか、どういう生態系があるのか、これは川の国勢調査という形で調査結果を本にいたしまして公表いたしておるところでございます。どなたでもごらんをいただけるという形で、できる限り今後とも川の情報、まさに川を市民の皆さん方、住民の皆さん方に十分お使いをいただくという意味合いでも、そういう情報公開は大変大事だと考えておるところでございます。
  44. 武山百合子

    ○武山委員 それは市町村で手に入るのでしょうか、国の方で手に入るのですか。それとも買うのでしょうか、無料なのでしょうか。
  45. 尾田栄章

    尾田政府委員 流量とか水位につきましては流量年表、水位年表という形で公刊をしておりますので、これはお買いをいただくということになろうかと思っております。それから川の国勢調査につきましても、これは本の形でまとめておりますし、また、CD−ROMにも入れてお使いやすくいたしております。もちろん私どもの事務所あるいは県のしかるべきところでそういう資料をごらんをいただくことは全く可能でございます。もし自分で十分お使いをいただきたいという場合には、購入をしていただければ自由にお使いをいただけるというふうに考えております。
  46. 武山百合子

    ○武山委員 国民にとっては、あれもこれも分厚い資料を見るというのは大変面倒くさいものなのです。わかりやすくて、そして薄くて、簡単にどこでも手に入るということを国民は願っているわけなんですね。ぜひそういう方向でつくっていただきたいと思います。  そして、もう時間もなくなりました。最後に建設大臣に聞きたいと思うのです。  対案として民主党案と政府案が出たのですけれども、残念ながら新進党から出なかったのですけれども地方分権という意味でも、また住民参加、それから情報公開という意味でも、民主党案の方がいいのですけれども、政策を中心に見まして、建設大臣はどちらの方がいいと思いますか。
  47. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 ひどい御質問を受けまして、私は今ショックを受けているわけでありますが、当然建設省の出しました案が現在の時点においては、ベストということはないと思いますがベターである、このように思います。  民主党案、大変御苦労されて、市民の方々の御参加もされておつくりになられたということも聞いておりますけれども環境配慮し、かつ地域住民の方々の意見を手続面においても具体的に取り込んでいくというような、そうした案でもございますが、私ども建設省の案も、国が国民の生命、身体、財産を守るということに全責任を持つという前提に立って、その上に立って、地域の住民の方々の御意見も聞き、かつ環境に対しても配慮をするというすばらしい案だ、私はこのように考えております。
  48. 武山百合子

    ○武山委員 私とは大変違いますけれども、それはもう中央集権国家の基本的な骨格だと思いますね。二十一世紀情報公開地方分権、そして住民参加、もちろん環境保全という意味で、民主主義というのは民が、すなわち国民が主になった、やはり国民主権でなければいけないと思うのですね。それで、国民が主になったものではないのです、日本法律は。ぜひそういう形で私は闘っていかなければいけないなと痛感いたしました。  ありがとうございました。
  49. 市川雄一

    市川委員長 武山百合子さんの質疑は終了しました。増田敏男君。
  50. 増田敏男

    ○増田委員 増田敏男です。河川法の一部改正に関連をしてお尋ねをいたします。  まず、亀井大臣にお尋ねをいたします。  私は、このままいくと、二十一世紀初頭、恐らく二〇一〇年前後にはこの国に三つの大きな問題が起きるだろう。その一つが水不足です。そして、もう一つは食糧難であり、もう一つは石油、すなわちエネルギー問題であると考えています。  そこで、現行の河川法昭和三十九年にできました。それから、以来我が国の高度経済成長時代河川行政を支えながら、四十七年の流況調整河川制度の創設から準用河川制度の拡大、スーパー堤防の関係だと思いますが、高規格堤防特別区域制度の創設、それから平成七年の河川立体区域制度の創設等、時代時代に応じた改正を行って現在に至っております。  近年、河川を取り巻く状況が大きく変化をしまして、治水利水の役割だけではなく、多様な生態系を持つ豊かな自然環境を持つ河川、そして水と緑の空間と潤いも安らぎもというような河川への期待、同時にまた地域の個性を生かした川づくりが強く求められてきております。同時にまた、近年の少雨化傾向や頻発する渇水等、社会的影響も著しくなるなど、渇水調整推進等も大きな課題となってきております。  これから具体的にお尋ねをいたしますが、海水から真水をとるということが、経済的に、エネルギー的に簡単にできるならば、これにこしたことはないと考えます。そこで、生活水準の向上に従って、水はますます足りなくなります。今後の水需要と供給の見込みについてはいかがか、それから将来の水需要に関してどのような取り組みをしていこうとしておられるか、あるいはどういう考えで水不足を解消しようとしておられるのか、対応しようとしておられるのか、まずお尋ねをいたします。
  51. 尾田栄章

    尾田政府委員 まず、私の方から、数字と申しますか、水資源の状況について御説明をさせていただきまして、その後大臣の方からお答えをさせていただきたい、こう存じます。  まず、水需給の現況でございますが、全国で申しますと、水資源の賦存量、これは降水量から蒸発散量を除いたものでございまして、この全量が使えるという数字ではございませんが、これで申しますと、全国が四千二百億立方メートルでございます。平成五年度時点での水利用量というのが九百十億立方メートルでございまして、利用率が二二%ぐらいでございます。ところが、十年に一回ぐらい起こる渇水年についてどうか、こういうことで申しますと、二千八百億立方メートルしかございませんで、水利用率で申しますと三三%ということになる。  そしてまた、水資源は、全国的に幾らバランスがとれましても、地域間での我が流域の水という意識が大変強い、そういう資源でございます。そういう意味合いで、例えて関東について数字を申し上げますと、平水年で三百五十四億トン、渇水年で二百三十六億トンでございます。水利用量が百七十億トン毎年でございます。利用率で申しますと、平水年で四八%、渇水年では七二%という数字になっております。  そういう意味合いで、大変関東地域におきましては、特に首都圏を中心に近年渇水を繰り返しておるわけでございますが、その背景として、水資源の今申したような降ってくる雨のうち使っている量が非常に多いという状況が背景にあるわけでございます。  以上、数字の状況だけをまず私の方から御説明させていただきました。
  52. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 今局長から御答弁を申し上げましたように、委員が先ほど御指摘のように、日本という非常に細長い、しかも平野の少ない急峻な地形の国家にとりまして、水の確保というのは、豊かな大陸を大きな川が流れていく欧米とは違った特別な事情があると私は思いますし、しかもそこに一億何千万という多くの人間が住んでおるという自然環境の制約の中でどうやって水を確保していくかということは大変大きな問題である。  ところが、最近は、ダムをつくるのは悪だみたいな風潮も非常に、どこかからかしら生まれてきておるわけでございまして、やはり人間生活にとって水はまさにこれは基本であります。そういう意味で、やはり天の恵みである雨、水をどうためて、これをどう有効に使っていくかという視点を除いてこれの解決はありません。  海水を真水にするといいましても、これは膨大な費用もかかるわけでございますから、そういう意味では、水系ごとの水利用ももちろん必要でありますが、委員、前からかねて熱心に御研究もされておられますので、私、大変敬意を払っておるわけでありますが、場合によっては水系を越えた、やはり同じ日本民族でありますから、水をお互いに融通し合うというようなことまで含めて、この問題については、広域、長期的に対応をしていかなければ大変な事態になると思います。  本当に日本人というのは、渇水のときは、大変だ、大変だと大騒ぎする。洪水になると、何でちゃんとした堤防をつくらぬのだと言う。ところが、平時になるともうけろっと忘れてしまって、公共事業やめた方がいいなんて大合唱を始める。私は、こんな民族はこのままでは滅びる、このように思います。
  53. 増田敏男

    ○増田委員 はっきりと御答弁いただいて、恐縮をいたしておりますが、その次に私は、河川の水は、流域各地域のものであると同時に、国民全体のものである、このように実は考えております。首都圏では利根川や荒川を結んで河川利用をしておりますが、現実にはここのところ毎年渇水に悩まされている、大きな問題が起こっているわけであります。  特に、ちょっとお尋ねをするのですが、首都圏で現在建設中、計画中のダムを全部つくっても水は不足すると聞いております。利根川の年総流量は七十六億トンであります。何のことはない、二千メートル四万の升一杯です。随分流れているようでも結局二千メートル四万の升一杯、そしてそれは大雨から台風まで全部計算した平均の量であります。したがって、利根川がもう一本あっても足りないだろうというのが私の見方であります。  中国では、南水北調事業という、長江の水を黄河流域に導水しようというまことに壮大なプロジェクトの検討が進められています。平成六年の利根川水系でダムにかかわる都市用水需要量は毎秒九十三トン、現況利水安全度は、おおむね二年に一回渇水、それからまた平成十二年の利根川及び荒川水系の水資源開発基本計画のうち利根川水系の上流ダム群にかかわる都市用水需要量、これはおおむね毎秒百四十トン、現在の施設でこの需要が発生した場合の利水安全度は、ほぼ毎年渇水、毎年水が足りない、こういうことに実はなっておると聞いております。  したがって、我が国においても海水の利用や、これは簡単にいきません、おっしゃるとおりですね。私も調べてみました。どのくらいエネルギーがかかるのか、経済性がかかるのか、人工降雨は大丈夫なのか、あるいは風力は、地熱は、太陽電池は、海流は、結局どれをとっても私の時代には間に合わない、こういう結論を私は持っております。  そこで、今大臣がおっしゃったように、分水嶺を越えた導水を検討することも結局考えなければならないのかな、こんな思いを持ちました。今大臣から御答弁をいただいております。したがって、これは研究課題としてぜひ頭の中にたたき込んでいただかなければならない、このように思います。しかし、もちろん流域への影響環境問題等、多くの問題が当然考えられます。したがって、これはぜひ研究してください。  私も、青年の日、尾瀬から銀山湖に流れます奥只見電源開発があります。水が放流されています。放流した水が信濃川を通って新潟に入る、あれを何とか関東でいただけないものか……(「だめだ」と呼ぶ者あり)というようなことで実は研究をしたことがあります。六日町付近から自然流下でもって前橋の方まで来るというようなことも考えました。今、やじの中にだめだというような御意見がありますように、分水嶺を越えて水を利用するということは大変な問題であると思います。  しかし、私がここのところでちょっと申し上げたいのは、残念ながら、こう言うと変ですが、一人当たりの水の貯水量が私の調べたところでは、東京では三十トン、ニューヨークでは二百八十五トンで約十倍。それから香港でさえ日本の三倍で百二トン。そしてソウルは実に十三倍で三百九十二トン。これが一人当たりの貯水量であります。したがって、くどくど繰り返しましたが、とてもこの姿のままでは私たち日本の国は水がなくなります。引き続いた御検討を、これは大臣にお願いしておこうと思います。  そこで、今回の改正に先立って、平成八年六月の河川審議会の答申では、洪水渇水という異常時の河川を対象とした従来の河川行政から、平常時の河川も視野に入れた、川の三百六十五日と一口に言われておりますが、新たな視点に立った河川行政への転換提案されています。  今回の改正法案は、これを踏まえて、第一条の目的改正しており、これは昭和三十九年以来、基本的には実は初めての目的改正、このように私はとらえております。河川行政基本的な方向について、大きく変えようという建設省の意気込みが感じられるところであります。  この期待のように頑張ってもらいたいなと申し上げながら、このような河川行政の大転換や、先ほど来私が述べたような考え方も踏まえて、二十一世紀河川行政の進むべき道について、建設省としては何か水全体に対してグランドデザインでもつくるようなお考えがあるのか、あるいは大臣は何か特別お考えか、あったらお聞かせいただきたい。
  54. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 私は、特別にそうした、黙って座ればぴたりと委員指摘の問題を解決できるような案を持っておるわけではございませんけれども委員の御認識と同じように、やはり水の問題、これを二十一世紀に向けて解決しなければ、国民生活が真に豊かな形で展開されることはあり得ない。豊かどころではなくて、もっと大変な事態に立ち至る危険性が私はあると思います。  そういう意味では、今よそには水はやらぬというようなやじもちょっとありました。それぞれ地域の利害というのはありますけれども、やはり同じ日本国民でありますから、それぞれがお互い助け合って天の恵みを分け合っていくという基本的なことはやはり必要であろう、私はこのように思います。  また、そうした天の恵みをいろいろな形で大事に使っていく。ダム建設もその一つであろうかと思います。また、リサイクルといいますか、下水を再利用していくような方向も今いろいろな形でやられておりますけれども、そういうことも推進していく必要があると思います。  そうした中で、本法律にきちっと位置づけました環境を守っていくということがやはりいい水を確保していくという面においても大事なことでありますし、また我々にとって本当に美しい山河は心のふるさとでもありますから、それを大事にしていくという必要があると思うのです。しかし一方、フナやハエも大事でありますけれども人間の命がもっと大事である、私はこのように思います。そういう観点から河川行政を進めてまいりたいと思います。
  55. 増田敏男

    ○増田委員 今回の改正法案では、河川法目的として、治水利水河川環境を追加しています。これは環境基本法の精神や、平成六年一月につくられた建設省環境政策大綱を踏まえたものと理解をしています。特に環境政策大綱では、「「環境」を建設行政において内部目的化する」とされているところであります。この方向は、今後の建設行政にとって大事なことであり、当然よいことだ、このように私も思っています。  そこで、目的河川環境を追加したという意義はわかりますが、改正案を見ても、今回の目的改正によって具体的な河川管理がどう変わっていくのか書かれてありません。したがって、これでは不十分ではないのか。目的改正効果をぜひ説明をいただきたい、これが一点であります。  それからもう一点、事業面で河川環境整備保全のためにどのようなことを行っていくのか。具体例があったらこれはぜひ担当の方から説明していただきたい、このように思います。
  56. 尾田栄章

    尾田政府委員 今回の目的改正に伴い、どういう効果具体にあるかというお尋ねでございますが、今回の目的に「河川環境整備保全」という文言を入れることによりまして、河川法第二条に河川管理は、第一条の目的が達成されるように適正に行われなければならないとございます。従前はここに治水利水ということであったわけでございます。これに河川環境が加わるということでございまして、治水利水環境の三本柱として今後の河川管理がより総合的に展開をされなければならない、そういう責務を負うものだというふうに自覚をいたしておるところでございます。  そして、この目的改正に連動する改正といたしまして、環境も含めて地域の意向を反映させるための計画制度の改正、そして環境調和のとれた治水利水対策として樹林帯制度の創設、そして環境を悪化させる水質事故あるいは景観に悪影響を及ぼします不法係留対策というようなものに対しての原因者施行原因者負担制度の改善というような項目の改正お願いいたしておるところでございます。  そして、具体にどういう事業がなされるかということでございますが、まず河川環境保全という面で申しますと、従前から河川環境管理基本計画というのを定めまして、河川の主として洪水時期、空間、先ほど来議論が出ていますように、こういうものをどういう形で管理をするのが流域の皆様方に一番有効にお使いをいただけるかという視点でそういう計画を定めることにしておるわけでございます。そういうものを受けつつ、保全を図っていく。  そしてまた、水質の汚濁の非常に著しい河川につきましては、浄化用水の導水や河床の汚泥のしゅんせつというようなものも実施をいたしております。  また、平成二年度からは、自然を生かした川づくりというような形で多自然型川づくりを進めておるところでございます。今後ともより一層、自然環境河川環境を生かした川づくりに努めてまいりたいと存じております。
  57. 増田敏男

    ○増田委員 具体的なことを一つお尋ねをいたします。  荒川中流で荒川をせきとめるような大規模な六堰の改築が実は計画されております。魚類の遡上のために、全く変わりますから、水が全部とまるような形ですから、今恐らく魚道をつくられているのではないかと思うのですが、問題点か、あるいは進捗状況でもちょっとお聞かせをいただきたい。
  58. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいまお尋ねの六堰でございますが、これは農林水産省で管理をされておる堰、取水堰でございます。現在、魚道等についても不完全なものでございまして、魚道の設置につきまして、私ども河川管理者の方で検討いたしております中で、農林水産省の方でも六堰の堰自体の改築というのを計画されました。  そういう中で、農水省と建設省が連携をしながらこの堰の改築を行う。新六堰を建設する。その際に、魚道と下流河川の維持用水を流下させる堰をつくる、そういう形で事業を進めるということにいたしております。  ただいま施設の詳細設計を行っておるところでございまして、平成十年度、来年度には工事に着手できるようにしたい。  これは、もちろん農水省さんの堰と同時に着工をいたし、仕事自体は農水省さんの方で施行いただくということになろうかと考えておりますが、そういう形で、旧六堰、現六堰でございますが、この堰が阻害をしております魚の遡上、あるいは下流河川の維持用水の確保という面に今後とも我々としても最大限努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  59. 増田敏男

    ○増田委員 河川環境ということになりますと、建設省河川局だけでは対応は無理で、同じ省内であれば下水道、さらには環境庁等との連携がうまくいかなければ河川環境整備保全を行うことはできないと思いますが、これらの連携についてどのような取り組みをしていこうとお考えなのか、その辺は大丈夫なのか、お尋ねをいたします。
  60. 尾田栄章

    尾田政府委員 まず、下水道との関係でございますが、これは、河川の水質を守るという意味合いでは、流域からの汚濁負荷を減少させるという意味合いで、家庭排水を処理する大変大事な事業だというふうに受けとめておるところです。もちろん、このほか工場排水等々もあるわけでございますが、水質汚濁防止法、いわゆる水濁法の枠内でのいろいろな規制等々と相まちまして、汚濁負荷を減らすという作業は大変大事なものだというふうに考えております。  そういう中で、これは下水道法の範囲の中になりますが、流域下水道計画というのを定めることになっておりまして、各流域ごとに、下水道河川がどういう連携のもとに河川の水質、公共用水域の水質を守っていくかということを計画をつくって、従前からその計画に従って事業実施してきておるところでございます。河川管理は水量、水質一体でございますので、今後ともより一層連携を深めて対応していきたいと考えております。  そして、環境庁との関係でございますが、今回の河川法改正の作業の中で、環境庁さんとも大変いろいろな局面で議論を深めました。そういう成果として、今後、局長クラスでの検討会、連絡会議を定期的な連絡会議として設けまして、今後より一層連携を深めていきたいと考えておるところでございます。  環境庁の中でも、従前ともすれば水質汚濁規制の部面だけが強調されておった嫌いがございますが、それに加えまして自然保護局のサイドにも配慮をいただいて、より広い範囲から河川環境の問題に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
  61. 増田敏男

    ○増田委員 今回の目的改正によりまして、河川の水質、景観、さらには生態系といったさまざまなものに配慮しながら事業推進していくものという理解をしました。  その基本的な方向性には賛成ですが、さまざまなものに配慮する分へそのコストも割高となってしまうのではないかということを懸念をいたします。もちろん配慮しなければならないのですが、その懸念もあります。  今年四月に政府が公表した「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」、これで、公共工事のコストを三年後には一〇%縮減するというふうな数値目標を立てているようでありますが、財政改革の途上であり、まことにその辺の兼ね合いが大変ではないか、この辺がいかがだろう、これが一点。  もう一点尋ねますが、先ほど大臣の言葉にもございましたが、河川環境を重視する余り、肝心の洪水対策が進まないこととなってはもちろん問題だと私も考えています。当然、人命、財産の保護を重点に考えるべきではないかと思っていますが、かといって、環境をなおざりにしてよいと言っているわけではもちろんありません。  そこで、この辺の整合性が、仕事の量において、予算において強く求められるところであり、苦心の要るところかと思います。どう対処するのか、大丈夫なのか、お尋ねをしたいと思います。
  62. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 まことに私が悩んでおる胸中を委員にお話しいただいたというような感じがいたします。  コスト縮減はやり抜かなければならぬわけでありますけれども、問題は、それをいわば大根を切るみたいな形で機械的な処理をいたしますと、一つは、下請、孫請を含めてそうした弱いところにしわ寄せがいって、そこで働く方々の労働条件等にまで影響が起きるという危険性があると私は思います。そういう問題と、委員も御指摘のような、安全面あるいは環境配慮する、そういう面からの費用がカットされていくという危険性があるわけでございます。  そういう意味では、コスト縮減の具体的な努力につきましては、本当に神経をめぐらせながら、先ほど申し上げましたような弊害が起きないような努力をしていかなければならない。しかし、これは言うはやすくして大変難しい問題である。建設省といたしましては、地建を含めて末端にまでそうしたことについて徹底をする所存でございます。
  63. 増田敏男

    ○増田委員 環境という言葉ダムの関係、先ほど大臣の御発言にもありましたが、環境といえばダム建設がすぐ問題になります。また、アメリカでは、開拓局の前総裁のダニエル・ビアード氏がアメリカのダム開発は終わったと発言をしたという話を聞きました。  しかし、ダムの一人当たりの貯水量が、先ほど私が言った数字はあれは首都圏と都市です、今度は全人口を踏まえた貯水量なのですが、日本では三十二トン、アメリカでは五百三十六トン、大きな差があります。したがって、ビアード氏の発言の意味が何となく理解できるような気がいたします。  我が国では、治水利水のために他に方策が定まらぬ限り、ほかにできる方法がない限り、どうしてもダム建設の必要は相変わらず高いのではないか、こう私は考え、とらえております。だめ押しみたいになりますが、建設大臣はいかがお考えでしょう。
  64. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 先ほどもちょっと御答弁いたしましたように、広い平野が多い、大地を川が流れていく、それから利水をする、あるいはそれに関して治水をするというところと、非常に幅の狭い日本列島、しかも急峻な地形の中で、降った雨があっという間に海に流れていってしまうという、そういう状況の中で、天の恵み、水をどう確保するかということは、私は全然条件が違うと思います。  そういう中で、しかも欧米の場合は、長年にわたって社会資本整備計画的にどんどんと進められてまいりました。そういう意味では、社会資本整備の水準が違うわけでございまして、今委員が御指摘のように、一人当たりの水の量も十倍以上の形になっておるわけであります。そういう意味では、我が国の場合は、今から二十一世紀へ向けて水をどう確保していくかという観点から、積極的に取り組まなければならない。  どうも、先ほどもちょっと申しましたけれども環境も私は大事だと思いますけれども、いかに自然環境が残っても、大洪水に見舞われる。しょっちゅうあることですね。また、渇水で大変飲み水がなくなっていくというようなことが現に起きておるわけでありますから、戦後においてもそうした大変な危機的な状況は何度もこの日本列島各地で訪れておるわけであります。そういうものを解決をすることを忘れて、ただ景色がよければいいとか、ハエやフナがちゃんと上に上っているかどうか、そういうことだけに着目をするということは、私はやはり間違いだと思うのですね。自然環境は、もちろんあとう限りの努力をして守らなければなりませんけれども、やはり先ほど申しましたが、ハエやフナの命よりもやはり人間の命が大事だと私は思います。  そのあたりが、最近の妙な風潮が日本列島を襲っておることを私は本当に心配をするわけでございまして、特に、都会に住んでおる方々がたまたまレジャーで地方に行かれて、ああいい景色だな、自然ができるだけ残った方がいい、それは当然でしょう。しかし、その地域に住んでおる方々の生活また安全、これをどうしていくかということの視点が抜けたそうしたことについての反対運動ということについては、私は、ぜひひとつ深い深い反省もいただきたい、このように時々思うわけでございます。もちろん理のかなった反対もあるわけでございますから、十把一からげで私は言っておるわけではございません。
  65. 増田敏男

    ○増田委員 大臣のお考えが大変よくわかりました。私も、質問趣旨は、将来、私たちのこの国に水の心配が起きないようにまず量を、質を確保していきたい、そこに視点を置いてきょうはお尋ねをいたしております。そして、それが確保できたら、すばらしい環境、もちろんあってほしいな、こう思います。まず第一にその辺を考えないとこの国の将来が成り立たなかろう、こういうことで質問はしてきたのですが、ありがとうございました。  今度、細かい話になります。こう言うと恐縮なんですが、利根川から荒川に向かって武蔵水路という水路が引かれています。昭和三十九年、東京オリンピックのときに、水を間に合わせよう、オリンピックもできない、東京に水がなくなるというので、たしか河野一郎建設大臣のときだったと思います、突貫工事で工事が行われました。結局は、何といいますかちょっと時間差はあったのですけれども、完成をしました。あれから三十二、三年たちました。ついに老朽化になって、残念ながらこのままではどうにもならないというので、大改築をするというので、現在取り組んでおられます。  そこで、せっかく取り組んでいるんだからきょうは正式にお願いをしておこうというので問題を持ち出すのですが、こう言うと恐縮なんですけれども、毎年水難事故が出ております。したがって、今度の改築に当たってぜひとも何か構造的な配慮ができれば願いたい。  それはどういうことかというと、水量が多く、深く、大変流れが速いです。かといって水資源公団では、もう非常に心を砕いて一生懸命これが防止に努力をなさっています。これが何か構造的に方法はないのかな、一点。  それからもう一点は、ちょうど武蔵水路があるところは、行田市内、昔の忍城の水攻めで有名なところなんですけれども、それを通って荒川まで引いております。堤防みたいな形になってしまいました。だから、内水面の排除というのが、恐らくサイホンでつながっているんでしょうが、だめになってしまったんだと思います。したがって、今度その内水面排除に対しても、構造的に考えられるものなら一緒に考えてもらいたい。  なお、せっかくやるのですから、あそこにさきたま公園という県立の公園もありますし、鉄剣の有名なところもありますが、ぜひ、今日に引き続いた環境整備も一緒にやってもらったら、こう思います。  細かい話ですから、局長からお願いをいたします。
  66. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま武蔵水路についてのお尋ねでございますが、委員指摘のとおり、武蔵水路、大変重要な水路でございます。首都圏に水を運ぶという役割を果たしておるわけでございますが、残念ながら、周辺の地盤沈下あるいは施設の老朽化ということによりまして機能低下をいたしておりまして、この改築の必要性が生じてきたところでございます。  その改築に際しましては、御指摘のとおり、この地域の内水排除、内水対策というのが大変大事だという認識に立っておりまして、平成六年の一月に、利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画の変更を行いまして、内水排除も目的に加えまして、武蔵水路改築事業が行えるようにいたしたところでございます。  そして、この改築に際しましては、これまた委員指摘のとおり、大変深く、そして水の流れが速いということもございまして、残念ながら、供用いたしました昭和四十三年以降現在まで五十四件、六十三名の犠牲、自殺の方も含んでおるわけでございますが犠牲者を出しておるということにもかんがみまして、二段水路、これは下と上を分離をいたしまして上の水路は浅い水路にして、より環境配慮したような形で事業を進めるというようなことにつきましても、現在、関係機関調整を行っておるところでございます。  今年度、平成九年度中にも、水資源開発公団の方で事業化ができるように、事業実施方針の指示をすべく、現在鋭意作業を進めておるところでございます。
  67. 増田敏男

    ○増田委員 うわさは聞いたり調査をしたり、二段水路の話は存じております。ぜひ頑張ってください。  そして、こう言うと変ですが、行田市内をほとんど通っています。でも行田市は、目の前に流れている水を水不足でも一滴ももらうことができません。水利権の話だと思います。したがって、自分の町を内水面を排除できないような障害物が通っているだけでというような市民感情もあるわけです。よろしくひとつその辺は配慮してください。  それから、次に進みますが、今回の改正の眼目の一つとして、地域の声を河川行政に反映していこうというようなことが実は掲げてあります。住民意見聴取手続を義務づけたのは河川整備計画のみであって、河川整備基本方針は従来どおり河川審議会の意見を聞いて策定するということにされております。  各河川の長期かつ基本的な方針は、今後行われる具体河川整備の出発点であり、基本方針にも地域の意向が十分反映されていかなければならない、このように考えます。担当としてはどう考えておりますか。見解を伺いたい。
  68. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま先生指摘河川整備基本方針に関して住民意見の反映をする手続が定めておらないということに関しまして、御批判をいただいておるのは重々承知をいたしておるところでございますが、私どもとしては、この河川整備基本方針と定める事項と申しますのは、全国的なバランスを考えた上で、いわゆる河川流域が持っております社会環境自然環境から科学的、技術的に決まってくるような基本高水流量、計画高水流量というような、ある意味では抽象概念でございます、そういうものを定めるという作業が河川整備基本方針でございます。  そして、この河川基本方針というのは、そういう意味合いで、まさに科学的、技術的に決められるべき、水系一貫をして上流から下流まで、上流に降った雨が下流まで、同じような雨の降り方の場合は下流まで安全に流し得る、上流で降った雨を途中で流域の中に入れるというようなことになれば、まさに人工災害という批判も受けるわけでございまして、そういう水系を一貫をして流量計画をつくる、そしてまたその計画自体が全国の同種、同規模の河川は同じような安全度を持つ、そういう視点に立って調整をすべき事項であるという観点について、その手続を定めておるところでございます。  そして、この河川整備基本方針に従いまして、ダムをどこにつくるか、どこに堤防をつくるか、そういう個別の事項につきましては、すべて河川整備計画の中で定めます。この河川整備計画については、まさに住民の皆さんの御意見、地方の御意見が反映できるように、そういう形で整備計画の案の段階でお諮りをして議論をいただくということを考えておるわけでございます。  そういう意味合いで、基本方針で定めた中ではこの整備計画がどうしてもできないということになれば、またこの基本方針のあり方についても再度検討をする、そういう仕組みを考えておるわけでございまして、この河川整備基本方針住民意見の反映の手続がないということをもって住民意見の反映がされていないという御批判は当たらないと私は考えておるところでございます。
  69. 増田敏男

    ○増田委員 河川環境整備保全河川周辺の地域づくりと一体となった川づくりのためには、河川管理者主導だけではなく、地域住民の主体性が不可欠と考えます。今回の計画における地域住民意見聴取も大変重要なものですが、これだけで地域密着の川づくりができる、こういうふうには単純に考えていません。そこで、住民が地元の河川に愛着、関心を持ってもらうために、イベントなり広報活動なり、そういった視点でこれは進めていくべきではないか、このような考え方を実は持っております。これは説明は要りません。  住民意見聴取といっても、災害等の場合、情報をきちんと住民に提供しなければ、住民から上がってくる意見はどうしても偏った意見となるおそれがあります。したがって、ハザードマップとか、あるいはそのような情報の周知徹底、こういうことについてぜひ徹底をしておかぬと、いろいろの住民運動の中で情報が届いていないというようなことが多々あります。その辺の考え方はいかがでしょうか。
  70. 尾田栄章

    尾田政府委員 まさに先生指摘のとおり、常日ごろからの情報提供が、災害時、これは異常な洪水時あるいは渇水時、両方に及ぶわけでございます、そういう際の情報提供に際しても大変大事なことだというふうに存じております。日常時、平常時からの情報提供といたしまして、先生指摘のハザードマップというのは大変大事な情報だというふうに考えております。  ただ、残念ながら、現在までのところの作業状況を申し上げますと、平成九年一月現在で、このハザードマップが策定をされ、公表されているというのは二十市町にしかすぎません。現在作業中のものが四十四市町村ございますが、そういう意味合いで、このハザードマップ、災害の場合にどういう状況になるかという情報を日ごろから住民の皆さん方に提供しておいて、いざというときの対応に参考にしていただくというのは大変大事なことだというふうに考えております。そういう意味合いで、今後ともこのハザードマップの作成につきまして、十分私どもとしても力を尽くしてまいりたいと考えております。
  71. 増田敏男

    ○増田委員 今国会においては、環境アセスメント法案も審議をされているところであります。ちょうど環境重視の法案が軌を一にして提出されている、こういうことになって、極めて意義深いものと考えます。  そこで、今回の河川法改正はアセス法案との整合のとれたものなのか、河川法案による計画とアセス法案の手続との関係はどうなるのか、お願いをいたします。
  72. 尾田栄章

    尾田政府委員 アセスメント法案との関係がどうかというお尋ねでございますが、河川整備計画というものは段階的な整備計画を定めるものでございまして、今後、大体二十年から三十年くらい先を見通しまして、その間にどういう整備を進めるか、治水、和水、環境の総合的な観点に立ちまして定めるものでございます。  そして、その計画にのっとりつつ、個別の事業ダム事業ならダム事業、放水路事業なら放水路事業堤防事業なら堤防事業が進められるわけでございます。そういう個別の事業につきましては、個別具体事業ごと計画をつくっていくということになります。  そして、そういう個別の事業実施に際しましては、ただいま先生指摘のとおり、現在国会で審議をされておりますアセス法案の手続にのっとって進んでいくという形で今後物事が進んでいくというふうに考えております。
  73. 増田敏男

    ○増田委員 超過洪水対策として樹林帯を整備するのは新しい発想で、環境対策としても歓迎できるものであります。他にもスーパー堤防等もあります。この辺をどういうふうに整備するのか、まだよくわかりませんけれども、これはまた具体的なことですから、後日教えていただきたいと思います。  今回の樹林帯整備は、保安林制度などとも連携、調整を図りながら行われる必要がもちろんあります。ひいては、治山と治水を一つのものととらえて国土保全を行っていくべきと考えます。しかしながら、実態は、治山は林野庁、治水建設省の両行政が縦割りで行われているのではないでしょうか。  そこで、樹林帯制度における治山治水の連携について、どのように考え、また、こう言うと変ですが、うまく取り組んでいくことができるのか、御説明をいただきたいと思います。
  74. 尾田栄章

    尾田政府委員 樹林帯制度に関して、治山治水がどういう形で連携をとっていくのかというお尋ねでございます。  まさに、この樹林帯構想を具体化する作業の中で、森林行政、林野行政を担当されておられます林野庁さんとの調整が一番大きな問題でございました。そして、いろいろな議論を尽くす中で、堤防あるいはダム等の河川管理施設と一体となって整備すべき、そういう樹林帯、樹林についてはこの河川法の枠内で考えていこう、そしてその樹林帯については、林野行政の中で保安林の指定をする必要があるようなものについては、それを重複指定もできるという形で物を考えておるわけでございます。  まさに先生指摘のとおり、ダム上流の水質を守るというような形での樹林帯をどう進めるかという場合には、その樹林帯、幅がダムから大体五十メートルぐらいを今考えておるわけでございますので、それからさらに上流をひっくるめた、林野の行政との連携をして進めるということが大変大事だというふうに考えております。  これからより一層林野行政と連携を深めつつ、所要の効果が上がるように努めてまいりたいと考えております。
  75. 増田敏男

    ○増田委員 渇水調整関係についてでありますが、年々渇水が頻発をするようになってしまいました。もちろん深刻化をしています。今回の改正案でも、これに対応して渇水調整に関する規定の改正も行われています。これらは具体的に渇水に対してどのような効果があるのかな、大丈夫かな、こう思うのですが、お考えがあったらひとつお聞かせをいただきたい。
  76. 尾田栄章

    尾田政府委員 渇水対策をどう進めるかというのも、今回の法改正お願いをいたしております一つの大きなテーマでございます。  現行の河川法では、渇水になってから渇水調整を行う、利水者間での渇水調整が始まるということでございまして、これは上流におきますダム、貯水池等がない、そういう水がめがない状態での渇水調整としては、目の前を流れておる川の水しか対象がないわけでございますので、渇水になってから調整を始めてやむを得ない、それで問題がないということでございます。  ただ、現在のように上流ダムの貯水池がある、水がめがあるという状況のもとでは、渇水のおそれがある状況、要するにダムの貯留水がずっと減ってきたという状況のもとで、そのダムの貯留水を今後どう使っていくかというところが非常に大きな調整の眼目になってまいります。そういう意味合いで、現行の渇水になってから渇水調整に入るというのではなしに、渇水のおそれがある段階から渇水調整に入るということが大変大事だというふうに考えておるところでございます。  そういう観点に立ちまして、利水者の皆さん方には、渇水のおそれのある段階から渇水調整にお入りをいただく、また河川管理者の方では、そういうおそれが生じた場合に遅滞なく河川情報をお伝えをしていく、的確に情報提供していくという努力を負うという形の法改正お願いをいたしておるところでございます。  あわせまして、ある意味では、先ほど来議論が出ております分水嶺を越えたような、そういう水を融通をするというような場合に、渇水時の特例として一時使用的なそういう形での水のやりとりに際して、水利権の処分を簡略化する、水融通をよりやりやすくする、そういう観点に立っての手続の変更もお願いをいたしておるところでございます。
  77. 増田敏男

    ○増田委員 次に、水利権の一時使用についてでありますが、河川管理者の承認があればオーケーとされています。普通、渇水調整するときは、水利使用者間の話し合いで行われますが、このような水利使用者間の話し合いは今後どうなるのか、新たに規制を加えることになるのかどうか、その辺はいかがでしょう。
  78. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいまお尋ねの例えば利根川等で現在行われております自分の水利権の範囲の中で渇水に際して自分たちの水の取水量を減らしていく、お互いに調整をした上で減らしていく、そういう場合につきましては、何ら水利権上の手続を要しません。  ここで水融通のための水利権処分の簡略化を考えておりますのは、例えば流域をまたがって、こちらの流域では水がある、こちらの流域では渇水になっているという場合、こちらの水の水利権をお持ちの方が、自分の水利権の枠の中ではあるけれども、その一部をこちらの方に回す、そういう場合でございます。そういう場合におきましては、こちらの水が豊富にある水系でそういうことを行っても、自分の水利権の範囲の中でございますので、他の水利権者の支障にはならない。そういうことにかんがみまして、そういう水融通についての手続の簡略化が図れるということで、より渇水時においてのいろいろな対応がとれやすいように、そういう手続の一環として考えたところでございます。
  79. 増田敏男

    ○増田委員 水利使用の許可が不要となることは理解をしましたが、そうすると、許可が承認、こういうことになっただけで、こう言うと変ですが、水使用者にとってみれば、手続の手間は何も変わらないのか、これによって本当に簡単に水の融通ができるようになるのか、問題は将来残らないか、残ることが考えられれば、それでいいのか、この辺はいかがでしょう。
  80. 尾田栄章

    尾田政府委員 今回の手続の簡素化において考えておりますのは、従前のといいますか、普通の水利権の処分に際しましては、他の水利使用者等の同意を要する、あるいは関係行政機関の長との協議、あるいは関係都道府県知事の意見聴取ということが必要になることになっておるわけでございます。先ほども申しましたが、その水を融通される水使用者の与えられた水利権の量の中でそういう融通をされるという場合には、下流の水使用者に悪影響を及ぼさないということでございますので、こういう手続について簡素化を図っても、下流の他の水使用者に御迷惑をかけることはない、そういうことで簡素化を考えておるものでございます。
  81. 増田敏男

    ○増田委員 紙が来まして、時間のようですからこれでもう結びますが、近年の渇水が、平成六年の大渇水を初めとして、その深刻さの度合いがさらに高まっておると私は心配をしています。これらへの対応については、ダム建設と並んで、水の有効利用あるいは水利使用の合理化、もちろん環境等を考えれば、下水道から始まって今度目的改正になった環境への配慮等いろいろ考え合わせながら、大切な今大きな分かれ道だと私は思っています。  だれかがしっかりと水の問題をとらえぬと、初めに警鐘を鳴らしたように、この国は恐らく二〇一〇年前後に水は大変なことになってしまうだろうということが私は頭から離れません。  したがって、先ほど大臣から力強い答弁をいただきました。これで、大臣は優秀な方だから国家の中核として方々で御活躍なさるでしょうけれども、水の問題だけはどこへ行っても大臣に頭の中へたたき込んでもらって、この国の水、この国の水ということでもう再認識をいただきたい。その辺の御決意だけ承って、終わりにしたいと思います。
  82. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 大変な御見識に基づく御質問をいただき、大変な御指導を賜りました。我々は、拳々服膺しながら、全力を挙げて取り組んでまいる決意でございます。
  83. 増田敏男

    ○増田委員 ありがとうございました。  終わります。
  84. 市川雄一

    市川委員長 午後一時二十分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ————◇—————     午後一時二十三分開議
  85. 市川雄一

    市川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石井紘基君。
  86. 石井紘基

    石井(紘)委員 まず私は、建設省が川について大変な大きな権限を持っておるということ、これまた建設省だけであるという点、いろいろ考えていくと、川というものは一体これは何なのかという思いがするわけですが、最初にこれは大臣に、建設大臣として、川とは何ぞやという話を聞きたいと思います。
  87. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 しょっぱなから何か禅問答みたいな質問をされますが、川とはやはり川じゃないですか。
  88. 石井紘基

    石井(紘)委員 カワというのは、面の皮とかいろいろカワがありますが、川というのは本当に、何というか、いろいろ昔を思い出したり、いろいろなロマンチックな思いがあったりするものでありまして、世界じゅうにいろいろな歌だとか小説だとか絵画だとかがありますね。日本にもいろいろありますが、こういうのがあるのですね。   知らず 知らず 歩いて来た   細く長い この道   振り返れば 遥か遠く   故郷が見える   でこぼこ道や   曲がりくねった道   地図さえない   それもまた人生   ああ 川の流れのように   ゆるやかに   いくつも時代は過ぎて   ああ 川の流れのように   とめどなく こういうのがあるわけですが、これは川の歌なのかあるいは人生の歌なのか、あるいはそれとも世の中、社会の歌なのか。私は、恐らくこれは全部だと思うのですね。  突然河川審議会の答申に入りますが、こういうふうに書いてあるのです。これは建設省諮問機関にしてはなかなか立派な報告書が出ております。   水は、水の惑星である地球の表面の海・大気・陸の三圏を太陽エネルギーと重力により循環している。陸にふった降水は、流域流れる地表水や地中へ浸透して地下水となり最終的には海へ流れ込む。河川は地表水が流れる最も基本的な経路であり、生物の一員たる人間にとっても河川とその流れは何ものにも代え難い存在 であるというわけです。  川というのは、山間部の森林だとか、あるいは地中からの湧水などからミネラルなどの養分を取り出して、そしてそれを含んで、雨などを集めて流れをつくって、そしてその過程でさまざまな出来事が起こり、雨なども集めて、そしてプランクトンだとか小魚などの動植物を擁して、またその中にいろいろ生きたり死んだりということがあり、魚や鳥や動物をはぐくんでいく。そして地下に浸透し、大地に流出し、そして大地には平野とか森をつくる。生も死ものみ込みながら大海に大変な養分を注ぎ込む。そして海の営みへと転化する。  そういうふうに川について思いますと、川は自然そのものであると同時に生命そのものであるわけでありまして、循環する生態系の母胎とも、あるいは血管とも言えると思うのですね。そういう意味で、人類の文化とか風土、歴史、川というのはこれの心の源泉であり続けてきたわけであります。  さて、これから先はちょっと次元がまた落ちるわけでありますが、このような何物にもかえがたい宝物を預かる預かり手が、建設省であっちゃいかぬというわけじゃないのですが、建設省ひとりであるということは一体何ぞや、どういうことか。  川はどういうものかということを、そうしたら今度は、建設省河川局長、いますか、建設省河川局長はどういうふうに思っているのか、そこでもう一回答えてもらいたいと思います。
  89. 尾田栄章

    尾田政府委員 私が川をどうとらえているか、こういうことでございますが、ただいま先生おっしゃいましたとおり、大きな水循環系、太陽をエネルギー源として、大洋、これは海の方でございますが、そこをある意味での貯留槽にして、大きな循環をしている。そういう大きな循環系の中で、たまたま地表に降った雨が流れ込んで海に至るまでの間をつなぐ、そういう役割をしているものだというふうに思いますし、また人間とのかかわりで申しますと、流域における人間のいろいろな活動の結果がすべて川にあらわれているというふうに受けとめております。  そういう意味合いで、まさに河川の水質を調べることによって、流域でのいろいろな活動が如実にその水質としてあらわれてきているというふうに思っております。  そして、何よりもまず、人間にとって、自分の心のふるさと、特に日本人にとっては自分の風土を形成している中で一番大きな一つのファクターだというふうに思っております。  日本の川の状況が変わるといいますか、そういうことになれば、古来のいろいろな日本の文学そのものもなかなか理解できなくなる。きょうの午前中の審議でも大和における川の議論がございましたが、万葉集を初めとするいろいろな文学についても、河川の持っておるそういう景観そのものも非常に大きな役割を果たしているというふうに考えております。
  90. 石井紘基

    石井(紘)委員 いつになく河川局長が、やはり河川は鉱物であるなんという話ではなくて、大分トーンの変わった話をされましたが、要するに、建設省だけが河川管理し支配権を持っているということは、建設省というのは——今河川局長がいみじくも言われたように、山と海との間をつなぐそういうものである。それはいろいろおっしゃっていましたけれども、やはりこれは、私は、自然の、あるいは地球上にある一体のものだ、河川だけを取り出してどうこうということのできないものが河川だというふうに思うわけで、そのことが、いみじくもこの答申の中にもこのように書いてある。  荒廃山地からの流出土砂による渓流河道部での堆積や山腹崩壊、地すべり、土石流による災害発生の問題、一部地域におけるダム貯水池の著しい堆砂によるダムの機能低下等の問題が、また、平野部や河口・海岸部では、河床低下、河口閉塞、海岸線の後退等の問題が発生している。   これまでの土砂対策は、それぞれの領域内でそれぞれの目的に従い、個別になされてきたところであるが、このような個別の対応では問題の根本的な解決には至らない。 というふうに書いてあるところをどのように建設省では受け取ったのか知りませんが、どうも、今回の建設省改正案の中には、このような趣旨が反映されているようにはどうしても思えない。まさに、ここに書いてあることは、私ども民主党の案にこそ反映されているのではないかというふうに思うわけであります。  そして、建設省がこうやって一元的に支配的に河川管理するということは、これは一方には環境庁なんというものがあるわけでありますし、世界的に見ても河川建設省管理しているというようなところはないわけでありまして、いわば概念的には環境と対極にあるような、環境に手を加えて造作物をつくる、建設省はどちらかといえばそういうタイプだとすれば対極にあるわけでありますから、ここのところはやはり建設省だけではまずいのかなという気がするわけです。  そこで、今回のこの改正案において、例えば河川整備基本方針だとか河川整備計画だとか、こういったものの作成に関しては、審議会の意見を聞くとかあるいは管理者が必要があると認めるときのみ意見を聞くとか、そういうふうになっておって、これは従来とこの点ちっとも前進していない。  さらにまた、従来と変わるところはどこかといえば、「環境整備保全」という文句が入ったという程度のことだ。しかし、その裏づけとなる、どうして環境整備保全というものを保障していくかということの措置は、これは全く入ってない。  整備計画を定めたときは公表するというふうになっているけれども、これは定められた後の話でありますし、しかも、情報の公開等についてはこの際もやはり公表されない。住民の利害関係者だとかあるいは専門家だとか、直接的なそうした意思の反映というものはやはり保障されていないわけであります。  こういう点で、私は、むしろ環境等々の文言をここに入れたということは、一体どこに意図があるのかと疑わざるを得ないわけであります。  先日の第九次治山治水五カ年計画では、七兆円もふえて二十四兆円も治山治水に金をかける。そうだとすれば、むしろダム建設をどんどん進めるために環境などの言葉を入れておいた方がやりやすいというふうにさえも思わざるを得ないというわけですね。私は、この狭い日本にもうこれ以上ダムをつくるべきじゃないと思っておるわけです。それは後ほどるる申し上げたいと思います。  しかし、恐らく建設省の立場からいえば、確かに川というものは洪水をもたらす。川は生き物ですから、それははんらんもしますよ。洪水から人々を守らなきゃならないから、それでここに建設省事業が必要なんだ。しかし、建設省がやる場合には、やはりこれは鉄とコンクリートダムをつくって、そして堤防で護岸を固めて三面張りなどのそうした川にしてしまう、現にこのようにしてきたわけであります。  その結果、川がどうなってきたのか。これは、川の上流下流、あるいは真ん中もあちこちが寸断されて、そして土砂が流れなくなってしまう。魚が上、下の移動ができなくなってしまう。水が浸透しなくなる。したがって、生態系が破壊されて、川そのものが死んでしまう。この間には無数の発電用のダムあるいは利水用のダム等があって、特に発電用のダムの場合には別の導管で引きますから、川から水さえもなくなってしまうという事態をもたらしているわけであります。  そして、そうしたダムに一方ではたまって、しかもダムは堆砂でもって底がずっと上がってきてしまって、そして水がないですから、これは流れませんから、そのダムの水は腐ってしまう。そして、それを横から発電用の導水管で流していくわけですが、それがまた再び川に戻ってきたときには、もう完全にそこには魚もいない、植物もいない、全く普通の川のようにジャボジャボとかボシャボシャとかバシャバシャという音が立たない。無言の川の流れに、まあ水がないのですから川の流れと言えるかどうか知らないけれども、せせらぎのようなものになってしまうわけであります。  こういうふうに、川を無機質な排水路の状態にしてきた。そのことを私は、幾つかの河川に行って現に見てまいりました。  その前に、そういうふうな状態になっているということを審議会の答申に書いてありますね。「治水利水事業を緊急かつ効率的に推進した結果、環境への配慮が足りなかった」あるいは「ダムや堰が設置されて上下流方向環境連続性が損なわれてきた河川もある。」「流域における開発の進展や河川改修整備により生物の多様な生息・生育環境が減少しつつある。」「湧水の枯渇、普段の河川の水量の減少などが生じている。」まさしく私が言ったとおりのことがここにも書かれているわけです。  私が幾つか行って見てきました川の状態というものは、私が言うことがうそではない、まさに至るところ、(パネルを示す)これは大井川ですけれども、水が流れていない。広い、昔は「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」と言った大井川が、水がないわけですから、砂漠のような状態になっておりまして、赤ん坊でも歩いていけば渡れるようになっているわけであります。  あるいはまた、先日、この連休に私は木頭村の細川内ダムを見に行ってまいりました。これはちょっと写真が小さいですから、大臣にちょっとプレゼント、お土産に。——委員長、済みません。
  91. 市川雄一

    市川委員長 どうぞ。
  92. 石井紘基

    石井(紘)委員 これは写真ですから、大臣もお忙しい中、時間がかからず見れると思いますので、ぜひごらんいただきたいのですが、そのように、これはちょうど五十一年に十七号台風というのがあったときですか、物すごい土石流、土砂崩れがあって、そういうものがあったものだから、この上流ダムが全部で五つあります、支流も含めて。この上流に何と、段々畑どころか、大きな墓地のように段々になって、あれは重堰というのですか、堰堤を築いているわけです。それはもう二百メートルも三百メートルも五百メートルにもわたって延々と築かれている。そこに全然水が流れていない。それを見ると、もう本当に墓場を見るような思いがします。  そしてもう一方には、今度はその下には四国電力の発電所のダムがありまして、その発電所のダムの水は腐っておって、そこからちょろちょろと落ちていく水が少なくて、そしてその下の、今度は砂漠のようなものではなくて、もっと大きいごつごつした黒い石が一面覆っているというか、延々と続いているわけです。それを見ると、地獄絵を見るような気がして、思わず物が言えなくなってしまう、そういう思いに駆られるのです。  これが、ただ単に細川内のある那賀川だけではない、その反対側、高知の方へ流れている物部川というのも似たり寄ったりの状況です。あるいはまた、全国そうした川が幾つあるかわからない状態です。  こうした事態を招いてきた。確かに、これは洪水を守ろうとしてやってきたのだろうけれども、しかし、結果としてそのようになってきているということは、私たちは大いに過去を振り返って、これまでのやり方がこれでよかったのか、将来の子供たち世代にこのまま続けていっていいのだろうかということを考え直さなければならない。どうしてもそうしなければならないと思います。  そこで、私は、今、日本全国で一体ダムというものが幾つあるのかということをお尋ねしたいと思います。ダムには、発電用の電力会社が持っているダムや、あるいは水資源公団が持っているダムや県が持っているダムやいろいろあるのですが、ひっくるめて幾つありますか。
  93. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま先生お尋ねの全国のダムの数が幾つかということでございますが、平成七年度末現在で完成しているダム、これは高さ十五メートル以上のダムでございます。これには、かんがい用の施設から発電用等々すべてのダムをひっくるめてでございますが、二千六百四ダムございます。
  94. 石井紘基

    石井(紘)委員 全国に二千六百四。  それを、先日資料をいただいた、川の長い順に上位十の川だけとって、それぞれ幾つあるかというのを出してもらったのですが、これを見ますと、例えば信濃川は七十六、木曽川七十七、石狩川六十七、北上川や最上川が三十八、阿賀野川が四十三、こういうような状態です。  一つの川の流域に七十六もダムがある。よくっくりもつくったものだと思うのですが、しかもこれは建設省がつくったものが全部ではないわけであります。勝手なところ、勝手なところと言っては悪いけれども、いろいろなところがつくっているわけです。その一つは水資源公団。  水資源公団のダムは何個ありますか。
  95. 振井茂宏

    ○振井政府委員 水資源開発公団がこれまでに建設したダムの数は、矢木沢ダム、これは利根川水系でございますけれども……(石井(紘)委員「数だけでいいです」と呼ぶ)完成したダムが二十二です。それから、現在建設中のダムが十三。それから実施計画中のダムが二。  以上です。
  96. 石井紘基

    石井(紘)委員 水資源公団は財政投融資等の借り入れの残高、一兆五千億ぐらいありますね。こういったダム水資源公団がつくる。水道等の水というのは大体都道府県が、地方公共団体が供給しているわけですが、何で水資源公団はこんなにこういった水事業をわざわざやらなければならないのかというのは、根本的な問題あるわけですが、こういうことをやることによって大変なコストもかかってくるから水代がえらい高いものになってしまうということがあるのです。これは後でまた申し上げますが……。  ところで、水資源公団にはいろいろな事業を随意契約で発注している、これはついでに申し上げるのですが、発注している企業があるのではないでしょうか。水の友という会社について、これの役員数とか役員の内訳、出身母体といいますか、それをちょっと教えてください。
  97. 振井茂宏

    ○振井政府委員 随意契約をやっているものにつきましては、これは一種の契約方式でございますので、水の友社だけではございません。  また、水の友社は、一般の民間一企業でございます。私どもが現在聞き及んでいることで申し上げますと、水の友社の役員数は十四、うち非常勤が五名だそうですけれども、そのうち国土庁出身者二名、その他官庁者一名、それから公団出身者十一名ということを聞いております。
  98. 石井紘基

    石井(紘)委員 役員数が十四名で、十四名のうち、そうすると十四名ともこれは国土庁なりあるいは公団なり、その他官庁の出身者ということですね。  これについて、後ほどで結構ですので、経営の規模だとか経常利益だとか、あるいは資産額だとか、あるいは、これは結局役所から行っている方々ですから、これらの年俸だとか、そうしたものについて資料をいただきたいと思います。どうせ返事はいい返事が出ないんでしょう。ちょっと一言、イエスかノーか。
  99. 振井茂宏

    ○振井政府委員 先ほども申し上げましたように、民間の一企業でございますので、得られる中身が限られるかとは思いますけれども、わかる範囲でお知らせしたいと思います。
  100. 石井紘基

    石井(紘)委員 とりあえずきょうはその答弁で結構でございます。  それからまた、ダムをつくっているもう一つのあれは電源開発、電源開発というのは財投の借り入れの累計額は二兆七千七百億円あります。それから、これまで補助金や交付金で予算から出してきた累計は一千億円ぐらいですね。この電源開発の持っているダムの数、運用中のもの、建設中のもの、計画中のもの、それから同時に、この電源開発の電源の種類別といいますか、火力発電が何割とか、水力が幾らとかについても数字を出してくれませんか。
  101. 真木浩之

    ○真木説明員 電源開発株式会社の所有しております既設のダムの数でございますが、平成七年度末現在で五十七ございます。それから、建設中のダムでございますが、四ダム、また計画中については二ダムございます。  また、電源構成でございますが、これは日本全体の電源構成ということで御説明させていただきますが、水力につきまして全体の約二〇%、火力につきましては五九%、原子力がまた約二〇%というような構成になっております。
  102. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうすると、ダムの数というのは、これは多目的ダムに加わっているというようなのも入っているんですか。
  103. 真木浩之

    ○真木説明員 先ほどお答えをいたしました電源開発株式会社のダムについては、電源開発株式会社が建設をしたダムでございます。
  104. 石井紘基

    石井(紘)委員 それ以外に、だから、多目的ダムの電源部分に算入しているとか、そういうのはあるんでしょうか。ないですか。
  105. 真木浩之

    ○真木説明員 電源開発株式会社に限らず、電気事業者独自で発電専用ダムをつくったり、あるいは他の事業者がつくりますダムに発電用として参加をする場合がございますけれども、その数字で申し上げますと、既設のダム、これはやはり平成七年度末現在でございますが、全体で六百二十九ございます。そのうち発電専用が三百九十一ございまして、残りが共同事業、こういうものでございます。
  106. 石井紘基

    石井(紘)委員 それから、種類別の割合を見ると、水力というのは二〇%というわけですから、五分の一の割合しか持ってないわけですよね。だから、恐らくかなりこれは効率が悪いんじゃないかと思うんですね、この発電所というのは。ということです。  そこで、この今の治水事業というのは、大体十年に一度ぐらいに起こる洪水を防ぐということでやってきている。これを三十年間大体やってきているわけですね。最終的な目標は、百かどうか知らぬけれども、百年に一度の洪水を防ごうというのが目標だというわけですね。  そうしますと、せんだっての治山治水の緊急措置法のときの審議の中でもありましたが、結局は、こういう調子で、いつまでかかれば完全に洪水を防げるのかということが全然わからない。この前も私聞いたんだけれども、これはわからない。つまり、今のやり方では、洪水というものを、つまり水を河道に押し込んでしまうということがすべてだということでやっているわけですから、これは不可能なんですよね。不可能だということを、今申し上げたことでも、これはあらわしているわけですよ。  そこで、むしろ、先ほども申し上げましたように、堆砂がずっと起こってきたり、例えば木頭村で、さっき申し上げました細川内ダムなんかも、大臣、先ほど写真をお渡ししましたけれども、三十年前ぐらいにできた橋があるんですよ。物すごく、川に建った橋ですから、橋脚の長さが長いんですね。その長い、どのくらいありますかね、あれは、その三分の二近くがもう堆砂で、砂で埋まっちゃっているんですね。このほんの二、三十年の間にそれほど砂がたまってくるわけですよ。  こういうふうになってくると、しかも森の方は水を吸収しにくくなっている、これも後で申し上げますが。そうすると、どっと来た水が、これまたがけも山も崩れやすくなっている、その水がだっと下まで流れていきませんから、結局、今度は下流だけじゃなくて、上流部や中流部でもはんらんを起こしやすいというふうになってくるわけですね。  この点で、河川審議会も実は述べているんですよ。「流域の保水・遊水機能が失われたため、洪水時の河川流量の増大を招き、水害の危険性を増大させた。また、丘陵・山地の開発に伴い、土石流、地すべり、がけ崩れなどの土砂災害のポテンシャルが急速に増大した。」こういうふうになっているわけですね。  つまり、建設省の今までのようなやり方でやればやるほど、洪水の大規模な災害が起こる可能性が高まるんだということを言っているわけですよ。これは建設省諮問機関だから、そう露骨には言えないもんだから、若干遠回しに言っているようなところもあるわけですがね。  そもそも太古の昔から、川の下流は、そのはんらんによって沖積平野ができる、何年かに一度やってくる洪水というものが養分をもたらし、土地に潤いを与えてよみがえらせる。だから、人々は川をふさぐという方法ではなくて、洪水があふれてくるということを前提にした治水の手だてをとってきた。そのごともこの答申に書いてあります。  江戸時代から明治の初めぐらいにかけて、地先の田畑及び集落を水害から守るため、左右岸や上下流であえて堤防の高さを変えるとか、堤防をこっち側は低いままにしておいてこっち側だけ上げておくとか、そうすると、こっちの集落のある方には水が行かないで田畑のある方に行くとか、あるいは地先の重要度や地形等の自然特性に対応した治水方式がとられていた。  はんらん水が集落に流入しないように堤防を川沿いではなくて集落の方の近くに設けていたり、あらかじめ洪水を越水させる場所に水防林をつくったり、要するに、水防林を集落に近い方につくったり、はんらん水の流勢をそぐ、そういう工夫をいろいろとしていたということはいろいろなところでも言われておりますが、この審議会の答申の中にも書いてある。  つまり、むしろ洪水というものを迎える、そもそも本来は迎え入れるという、そういう構えをとってきたというように思えるわけであります。  しかし、今、産業の発展と人口の増加あるいは交通の発達などに直面して、私たちはそういう平野地帯にもずっと家が密集したりなんかしてきたわけですね。だから、そこでやったことは、川というものを自然というものから切り離して、川は川だ、川は鉱物だ、これは手を加える対象だということにして、むしろ魚なんかも自然の魚を泳がすのではなくて放流した魚で魚釣りをやらせたり、そういうふうに文明社会の道具にしてきた。  川を切り刻んでしまって、あちこち護岸をつくったりいろいろやって、そして場合によったら蛇行しているこういうきれいな川を直線にしてしまったり、釧路川なんというのはえらいことになってしまっていますね。そういうふうにして建造物として扱ってきた。しかし我々は、そのようなことを続けていくということはできないことです、それは自殺行為になるからですね。  アメリカとかヨーロッパの諸国では、既にダム建設についての、ダムそのものをつくるということについて見直そうじゃないかという動きが起こっているということを建設省の皆さんはどれほど御存じか。  例えば、アメリカの内務省で、開墾局というのですね、アメリカは、これの前総裁のダニエル・ビアードさん、例えばエルワールダムだとかグラインズキャニオンダム、こういったダムを取り壊そうじゃないかというようなことを言い出しておる。なぜか。財政効率上非常に採算がとれない、それから社会的な支援、コンセンサスが得られない、治山治水の代替の措置、手だてというものが可能になってきた、こういうような理由を挙げて、ダムをむしろ壊そうじゃないかというふうになってきている。  イギリスなんかの場合にも、水法というものの制定を八九年にした。そして、環境管理ということは全国河川公社という権威のあるそういう機関に厳重にしてもらって、それを除いた水関係の事業についてはむしろ民間の水事業会社に移管をした。  あるいはドイツの場合には、これは西ドイツと東ドイツが合併した後の話ですが、西ドイツの人々としても東ドイツのいいものはいいものとして取り入れていこうということで、環境保護のシステムを取り入れた。このことによってわざわざ憲法の改正まで行った。  この憲法、ドイツ連邦共和国基本法第二十条aというのは、これは五十嵐敬喜さんという法政大学の教授が紹介しておりますけれども、「国は将来世代に対する責任を果たすという観点から」「自然生存基盤を保護する」このように明記をしまして、環境を守るための憲法改正を行った。それを受けて各州が、ヘッセン州などその他の州が水法を定めて、河川の再自然化、こういうことに取り組み始めています。  それで、ドイツの場合、この水法に従って流域委員会というもの、私たちの民主党の法案も本来は流域全体をカバーする発想に立っているわけです。そして河川管理者というのも、市町村長とか大臣とかというよりも、もっと住民参加で、情報公開でやろうということなんですが、現行法との整合性というようなこともありまして、水系委員会という名称をとっているわけでありますが、ドイツの場合、この水法の改正でもって、流域委員会というものが水資源管理に関する基本計画というものを策定するということが義務づけられた。それで、国のレベルでは、環境省というものが環境の立場からこれを監視しているという形をとっているわけです。  日本の場合には何から何まで水系一貫主義で建設省がやるということになっているわけであります。  そして、私たちは、こうして諸外国の実情等もあわせ見てまいりますと、自然というものを壊してきた、しかもよく考えてみれば、悪いことはあるけれども、いいことは余りない、こういうダムの政策というものをやはりそろそろ見直して、本来の水循環とか生態系というものを取り戻そうじゃないか、こういうふうに思うわけです。  そのためには、ただ単に川だけ見ていたのでは川を見たことにならない、それだけでは川をよみがえらせることはできない。川に注ぐ水というのは、先ほど来申し上げているように、山や森から集まってくる。洪水も山や森から発するわけでありますから、やはり山も海も、そして世の中もよく見ながら取り組んでいかなければならない。  建設省の皆さん、じっと聞いてくださっておりますけれども、この答申を解説しているような話なんですよ、私の話は。  そこで、林野庁に聞きたいのですが、大体、山とか森とかというものは水を含ませることが重要な役割になるわけです、水を含んでいるということが。そうすると、腐葉層があると保水能力が高いのじゃないかと思うのですね。だから、むしろ杉だとかヒノキだとかそういったものも、いろいろな山へ行ってみると、本当は、私なんかの小さいころは、田舎へ行きますと、杉とかヒノキを植えるのは、子供のころのことだからよく間隔わかりませんけれども、やはり二メーターか三メーターそれぞれ離して植えているのです。整然と縦横に並んでいる。  ところが、今行って見てみると、雑然としていて、もう密集しているわけですね。だから、針葉樹だから葉は落ちませんし、しかも下草も生えないわけですね、下に小さい木も生えてこない。したがって、葉っぱも積もっていかないから腐葉層というものができない。そういうところにやはり大きな問題がある、あるいは根の張り方とか。そういうふうにいろいろな人にも私も聞いたりして思っておるわけですが、林野庁、違いますか。
  107. 安井正美

    ○安井説明員 森林の保水力についてのお尋ねであろうかと思います。  森林の保水力は、主として土壌のすき間に雨水等を貯留いたしまして、この働きによってそのような能力を発揮しておるということでございまして、一般に土壌のすき間の形成のされ方でございますけれども、樹種によって異なるというよりも、地形の差やもともとの土壌の、土壌形の差などによって、このような立地環境によって大きく影響されるというふうに考えられておるところでございます。  しかしながら、御指摘のように、森林の手入れが十分になされない場合には、下層植生が十分に発達せず、土壌の流出等によりましてすき間を多く含む表土層が薄くなりまして水源涵養機能の低下をもたらすというふうに言われておりまして、良質な水の安定的な供給を確保するという観点から、森林を適切に整備することが重要であろうというふうに考えております。  具体的には、複層林施業でありますとか、あるいは針葉樹、広葉樹の混交したような林相をつくるような施業、あるいは間伐等を積極的に推進しまして、活力ある健全な森林の整備推進していく、これが重要であろうというふうに考えているところでございます。
  108. 石井紘基

    石井(紘)委員 ほぼ私が申し上げたようなことだと思いますが、やはり林野庁も、そういった林野をきちっと、洪水ということも視野に入れながら林野の整備を図る、建設省も、そうした林野庁、環境庁とやはり密接な連携をとって、そして河川というものを一体でもってとらえていく、守っていくということをやるべきだというふうに思います。  それから、きのうですか、環境アセスの、環境影響評価法というのが衆議院を通ったわけでありますが、ここにはスクリーニングだとかスコーピングだとかいろいろ新たな環境評価の手法というものが取り入れられていると思います。  これとダム建設についての関係を伺いたいわけですが、どういうふうになりますでしょうか、環境庁。
  109. 高部正男

    ○高部説明員 ダムにつきましては、これまで閣議決定要綱というのに基づきましてアセスメントが行われてきたところでございます。環境影響評価法案におきましても、一定規模以上のダムが対象事業となるということになります。  それで、現行の閣議アセスと比べまして手続面でどのように変わるかという点でございますが、今お話ございましたように、第一番目にスクリーニング手続ということを入れることにしておりまして、一定規模以下の事業規模のものにつきましても、地域の環境状況等に応じましてアセスメントを実施するかどうかの判定を行う手続というのが加わるところでございます。  二番目に、スコーピング手続というものも導入することにしておりまして、事業者が調査等の開始に際しまして環境影響評価方法書を作成いたします。一般の方々とか地方公共団体の意見を聞きまして、調査等の項目や手法を決定するといった手続を行うこととなります。  それから、三点目でございますが、環境庁長官が免許等を行う者に対しまして、みずからの判断により必要に応じて意見を述べることができるようになっておりまして、これまで以上に環境保全に万全を期することができるのではないかと考えております。  第四に、これまでは行政指導によっておりましたので、環境影響評価の結果を許認可等に反映させることに限界があったところでございますが、法律でいわゆる横断条項というものを規定することによりまして、事業にかかわる許認可等を定める法律環境保全の観点が含まれていないような場合にも、環境影響評価の結果を許認可等に確実に反映させることができるようになります。  このほかにも、事後のフォローアップ措置の導入でございますとか、環境基本法に対応した評価の充実でございますとか、環境庁長官等の意見を踏まえて評価書を補正する仕組みを創設するといったものもございまして、これまでの制度からより以上充実した環境影響評価が行われることになる、かように考えております。
  110. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうしますと、要するに、整備計画ダム実施計画あるいは基本計画、その前にもアセスを行うということでいいですか。  それからまた、そのアセスの際の評価基準といいますか、項目とか基準というものは、これは環境庁のイニシアチブ、環境庁の方でこれは出す、そして実行段階においても同様に、環境庁長官の主体的なあるいは能動的なイニシアチブというものが発揮されるということですか、それでいいですか。
  111. 高部正男

    ○高部説明員 具体的にアセスメントを行うタイミングでございますけれども、個別の事業具体的なアセスメントの手続に入ります際に、スコーピング手続というのが導入されるということになります。  それから、評価の項目等でございますけれども具体的には技術指針等で定められることになってございまして、この業種横断的な基本的事項というのを関係省庁と協議いたしまして、環境庁が定めることにしております。これに基づいて技術指針が定められるということになってございますし、それから、技術指針そのものは主務大臣が定めることになってございますが、環境庁長官にも協議するという形になってございますので、このような協議等を通じまして、環境庁としても適切に役割を果たしていきたいと考えております。  それから、個別具体の案件につきましても、これまでは主務大臣の求めに応じて意見を述べることができるという形になってございましたが、これからは必要に応じて意見を述べることができる、このような制度になっておるところでございます。
  112. 石井紘基

    石井(紘)委員 次に、会計検査院に伺いたいのですが、会計検査院は、ダム建設について過去幾つ指摘をしてこられましたけれども、細川内ダム、矢作川河口堰、八ツ場ダム、思川開発事業、小川原湖総合開発事業の六つについて指摘をした。そのうち、それ以前にも指摘をしていたのは矢作川河口堰建設事業、愛知県、それから八ツ場ダム建設事業、これについてはもう二度にわたって指摘をしている。  つまり、地域住民意見を十分考慮しなさい、その上で事業の総合的な調整を図るべしと。八ツ場ダムにおいても同様に、地元関係者の理解を得るようにということで、盛んに地元の理解をと。細川内ダムや矢田ダムにおいても、関係諸機関と協議を重ねるとともに地域住民意見を十分考慮し、総合的な調整を図るべし、こういうふうに言っているわけですね。このとおりでよろしいですか、イエスかノーかで結構です。
  113. 太田雅都

    太田会計検査院説明員 平成六年度の検査報告掲記事項につきましては、先生おっしゃるとおりでございます。
  114. 石井紘基

    石井(紘)委員 はい、ありがとうございました。  そこで、ダム審議委員会についてお尋ねをしたいと思います。  ダム審議委員会というのは、これはそもそもどうしてできたかというと、二年ぐらい前に、これは建設大臣が野坂建設大臣のときですか、大規模公共事業は透明性と客観性が必要であるから、基本計画ができてから長期間たっているもの、こういったものについて審議委員会を設けて検討しよう、見直しをしようというのか検討しようというのかはっきりしませんが、そういうことでつくられた。  最近まで、これが全部で十二ですかね、そのうちの九つは意見書が出た。五つはおおむね妥当であるという意見、四つについては中断をしているか大幅変更を求められているか、かなりネガティブな答申であるということでありますが、基本的に、このダム審の答申、意見というものは当然尊重されていくということですか。
  115. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいまお尋ねのダム事業審議委員会についてでございますが、御指摘のとおり平成七年七月から試行、試みの行いということで実施をいたしておるものでございまして……。(石井一紘)委員「尊重するかしないかということだけ」と呼ぶ)はい。  現在、十三のうち、細川内ダムで設置ができておらないわけですけれども、十二が設置をされまして、御指摘のとおり九ダム、九事業で中間的なものもひっくるめて答申が出ておるところでございます。  出された意見については、尊重をして今まで対応してきておるところでございます。
  116. 石井紘基

    石井(紘)委員 もともとダム建設推進しようということの線上でダム審ができたわけでありますから、ダムをつくるのは嫌だと言っている現地の地域の、あるいは公共団体に、これはどうするのか。そういうものは、現地が嫌だと言っているものは、やはりダム審ができた趣旨からいって、これは推進するというわけにはいかないのじゃないかと思うのですね。  それからまた、透明性と客観性というわけでありますが、そういう意味においても、やはり地域の意向というものを十分尊重をすべきだと思います。  時間がないから答弁は結構ですが、そこで細川内ダムの問題に移りますが、細川内ダムというのは、まさしく今言われたように、ダム審に村長さんが参加をしないということで拒否をずっと二年間近くしてきているところでありまして、木頭村ですね、ここの村会は十人で構成されておりまして、そのうちの八人が明確なダム建設反対。  先日、四月に村長の選挙が行われたけれども、これは村こぞって現村長を無投票で選出した。同時に補欠選挙も行われたけれども、賛成派、反対派で、若干の賛成派もいるようでありますので出たようですが、明確に反対を打ち上げている方が圧倒的に勝利をしたということであります。  ここは、私もこの連休で行ってまいりましたけれども、地形的にも非常に、さっき申し上げた、墓場のような水が流れていないダムがあったりして、川幅も狭い。石灰質の地盤でありますから、川がうんと深いところをもともとは流れていたのですね。ですから細いのです。そういうところへだあっと流れてきたら、これはたちまちにしてあの村は、結局人口は二千人ぐらいしかいないのですが、大変な被害が起こることは明らかであろう。  こういう中で、しかも水も、これは下流の地域ではもう需要が下降ぎみになっているというわけでありますから、何としてもこれを強引に今後とも進めるということはできない、すべきではないというふうに思うのですが、建設大臣、率直に申し上げまして、場合によったら私もお供させていただきますので、現地へ一回行ってみてくださいよ、ひとつ。
  117. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 細川内ダムの問題につきまして、予算委員会でもたびたび質問を受けて御答弁を申し上げておりますが、はっきり申し上げまして、地権者の方を含めて関係者が反対をされれば建設をしない、つくってくださいとおっしゃればつくるという性格のものではないと私は思います、基本的には。  やはり治水利水等の観点から、公共のために、そうした地権者の方々、関係者の方々がとうといそうした先祖伝来の土地等を含めて御提供を賜る、御協力をいただくという場合があると思うのですね。粘り強くその必要性等について御説明を申し上げて御協力をお願いするということは当然あってしかるべきで、そこに住んでおられる方が反対されるからやめたということになってまいりますと、私は、先ほど来委員のお話を聞いておりまして非常に心配なのは、洪水の発生をどう防ぐのか。台風を制御するわけにもまいりません。集中豪雨を制御するわけにもまいりません。自然現象をどうやって制御していくか。問題は、そういうことが、自然現象が発生した場合、被害をどう最小限度に食いとめるかという問題だと思う、政治のやることは、行政のやることは。  そうした場合に、一切そうした努力をしないということでいいのかですね。住んでいる人たち洪水に苦しみ、渇水にあえぐ一方で、アユやフナがすいすいと泳いでいる、これは私はあるべき姿ではないと思いますよ。  やはり環境を守りながら、また、愛着のある先祖伝来の土地に住みたいという、住んでずっといたいという方々、そういうお気持ち、そういうものを勘案しながら、どうしたら治水利水がやれるかという、そういう選択をしていくわけであります。  そういう意味で、反対をされておるからやりませんという、私は、無責任な態度をとるつもりはございません。細川内ダムについては、村長さんがダム審議会にも出ておいでにならない。住民の代表としてあるべき姿ではありません。堂々とお出になって、治水利水の問題を含めて堂々と意見を開陳をされるのが筋であって、その点、私は、村長さんの今の態度に対して強い反省を求めたいと思います。  今後これをどうするかについては、私は予算委員会でも当委員会でも申し上げたと思いますけれども、いつまでも、牛のよだれのようにやるのかやらないのかわからないようなことを私はやるつもりはございません。  私も生まれましたのはダムの予定地でございます。何十年間も一この間河川局長にやるのかやらぬのかはっきりしろと言ったら、やりませんと言うから、やらぬことにしておるわけでありますけれどもダムの予定地にされて、子供の教育はどうするのか、将来の生活設計はどうするのか、そういう問題がある。道路が予定地だからということで整備されない、そんなことがあってはならない。やるんであればきっちりと早急に進めて、やらないんであればやらないという結論を私は早く出すべきだというのが基本的な考え方であります。  細川内ダムについては反対が強いから大臣がやめたなんということを私は言われたくない、はっきり申し上げまして。堂々と村長さんが意見を開陳をしていただいて、そうした中で知事、関係市町村が、ただその地域だけのことじゃなくて、下流を含めてその地域がみんなで幸せになっていくにはどうしたらいいかということをみんなで考えてもらう、そういう中で結論を出していくべきだと思う。反対しておればダムもできない、そんなことに私は屈するわけにはまいらない。
  118. 石井紘基

    石井(紘)委員 それは、反対をしているから進めるんだというそういう意味じゃないと思いますがね……(亀井国務大臣「反対だから進めるべきと言っているんじゃない、反対しているからやらないというわけにはいかない」と呼ぶ)だから、そこではもう下流でも水の需要も減っているとかあるいはいろいろなダム建設による被害があるとかいろいろな状況があるわけですから、何もエゴだけで反対しているわけじゃないわけですから、そこは総合的なやはり賢明な大臣の御判断をぜひお願いをしたい、そして大臣もこれからますます輝ける大臣になっていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  119. 市川雄一

    市川委員長 石井紘基君に申し上げます。質疑時間が間もなく終了します。
  120. 石井紘基

    石井(紘)委員 もう一つやらなきゃならないのが苫田ダム。これは、苫田ダムでは、これまた時間がないから改めて別の機会にやりますけれども、とにかく町長さんが、これは反対の町長さん、そして町を挙げてずうっと反対してきた、一九五七年からずうっと反対してきた。そうすると、岡山県が、やれ公共事業の予算をなかなか決めないとか、あるいはさまざまなあの手この手の弾圧をしたんです。これまた別の機会にやります、もう時間がないから。  二週間にわたって毎日のようにこの「苫田ダム あなたと私」というやつを、県のこういうビラをこの地域に全戸に配った。そしてそこには、やれ、これに反対していると予算がほかの事業につかない、学校の予算がつかない、何だかんだといろいろなことが書いてある。これは詳しくもう一回やりますよ。  そうして、しかも協力感謝金とかいうやつを、これは県自体が払ったわけじゃないんだけれども、これを五百万円ずつ出す。ことしじゅうに判を押した者には五百万円出す、来年になったら三百万円だ、再来年判を押した人は一銭もやりませんというようなことを露骨にこれはやってきて、そして、何と三年半の間に町長さんが四人できた。最初の町長さんは反対派で、こうやって締めつけるものだから動きがとれない、手を挙げちゃった。すると、次また反対派の町長さんが選ばれる。またその人も手を挙げちゃう。そして四人ずうっと三年半の間に町を挙げて反対の町長さんができている。  それをそうやってあの手この手でやりまして、とうとうあと水没予定地域に一人か二人残すだけにしてしまった。こういうようなやり方で、私は一これは民主主義という問題もあります。人の人権とか人格とかいう問題もあります。こういうようなやり方で一体やっていいのか。ただつくることが目的なのか。ダムというものは何か口実を、まあ全部が全部とは言いませんが、つけてつくればいいのかという問題ですね。  ぜひひとつ、私は声を大にして問題を提起をいたしますので、賢明な大臣を初め、皆さんの御判断をぜひお願いをしたいということを申し上げまして、質問を終わらしていただきます。
  121. 市川雄一

    市川委員長 川内博史君。     〔委員長退席、増田委員長代理着席〕
  122. 川内博史

    川内委員 民主党の川内博史でございます。  ただいま、河川法改正案提出者でございます我が党の石井議員から質問があったわけでございますけれども、大臣いなくなっちゃいましたけれども、大臣が一生懸命お話しされていたように、治水利水環境を守り、また、付近の住民の方々の生命財産を守ると、みんなの意見を聞きながら流域のことを考えてまいりましようと、先ほど大臣がおっしゃっていたとおりのことを、私どもが、民主党が提案をさせていただいたのがこの河川法改正案であるわけでございます。  建設省のお出しになられた河川法改正案も立派なものでありますが、私どもはさらに検討を重ね、いろいろな方の御意見を聞きながらつくらせていただいたわけでございますが、残念ながら、私どもがつくった案が余りにもすばらしいために、そのすばらしさが際立つからではないでしょうけれども、自民党や新進党さんから御質問をいただけないということで、若干のじくじたる思いはありますが、私が民主党案に対して質問をさしていただいて、そのすばらしさを委員の皆さんに御理解をいただきたい、そういうふうに思っているところでございます。  けさの朝日新聞の社説、ごらんになられたかと思いますが、河川法改正案は「民主党案がいい」というふうに書いてございまして……(発言する者あり)今だれかがおっしゃられたように、当然、新聞が幾ら褒めてくれたところで、委員の皆さんに褒めていただかないことにはどうにもなりませんので、ぜひお耳を傾けていただいて御理解をいただければと、私が何か提案者のようなことを言ってもしようがないんですが、それでは早速質問に入らせていただきます。  まず、先ほど石井議員から、細川内ダムのことについて大臣への質問があったわけでございますが、先ほど御指摘もあったように、会計検査院でもダム建設についてはいろいろな厳しい指摘がされているわけでございまして、政府側の対応というのは、先ほど建設大臣の御答弁でも、何が何でもやるんだということをおっしゃられていたわけですが、民主党案では、今後この細川内ダムについてはどのような対応になっていくのかということをまずお聞かせをいただきたいと思います。
  123. 石井紘基

    石井(紘)議員 民主党では、ダム建設事業自体を、それは将来の世代に渡し得る適正な環境を維持できるかどうか、山と川の一体性を維持し得るかどうかというそういう視点から見直していこうというふうに考えているわけであります。  ですから、ダム建設を盛り込んでいるところの水系管理基本方針を今後新たに作成する際に、その今申し上げました視点を考慮に入れていくとするならば、あるいはまた、十年ごと水系管理基本方針見直していくということにしているわけでありまして、こういうことに立つならば、今の細川内ダムのようなダムについては、当然これは、地域の住民の皆さんの意見を反映しないどころか、むしろ皆さんに大変な迷惑をかける可能性がありますので、しかも長期にわたって滞っておるということでありますので、細川内ダム建設を中止するということを明確に申し上げたいと思います。
  124. 川内博史

    川内委員 よくわかりました。  さて、今話題といたしました細川内ダムについては、その反対派、付近の住民で反対をされていらっしゃる方々というのは、環境破壊というのが一番大きな理由であろうかというふうに思うわけでございます。もちろん、治水利水というのも大事な考え方でしょうし、今までは、どちらかというと治水利水考え方が勝っていたというところだと思うのですね。  それが、環境というものが、河川法だけではなく、地球を取り巻く非常に大きな問題になっているというときに、治水利水を満足させながら、いかにまた環境も守っていくのかということを両立をさせなければいけないというのが、本来、政治がこれから果たしていくべき役割だと思うのですね。  先ほど大臣は、とにかく、そんなものは何でもかんでもつくるんだみたいなことをおっしゃっていましたけれども、行政側というのは、往々にして、生命財産の方が大事なんだ、生命財産が大事だからつくるんだ、つくることの理由を、生命財産が大事なんだ、あなた、命と財産のどっちが大事なんだみたいな二者択一の選択の方向に持っていきがちなんです。これは日本全国どこでもそうだと思うのです。  私は、それは間違いだと思っている。治水利水も大事だが、環境も大事だ。それをどう両立をさせるかということを考えるのです。両立をさせることを考える。  だから、ここで、政府、それから民主党さん、お二方にお聞きをしたいが、今回、河川法のキーワードとしては、環境保全というのがキーワードの一つとして書き加えられているわけでございますが、環境保全とは一体どういうことなのかということを、それぞれに御答弁をいただきたいと思います。
  125. 石井紘基

    石井(紘)議員 では、私から先に答えさせていただきます。  環境保全のために治水利水をやらないというのではないわけでありまして、当然のことながら、治水利水も必要だ。そこで、どう両立していくかということについては、先ほど大臣はどうも私の質疑に対して、いかにも一方的に、建設を行わない、それじゃ一体、水や田畑はどうするんだというふうにとらえられたような答弁がありましたけれども、そうではなくて、川を流れるようにする、そして、川に来る水が山でもって蓄積されるようにする、あるいはまた洪水が起こらないように山を整備して水を吸収するようにする、あるいはまた節水というようなことを私たち社会の中で進めていく。  工業用水なんかは幾ら使っても料金が同じなんというのじゃ、使わなければあほらしいというようなことでありまして、至るところのダム審議会なんかでも、水の需要は横ばいないし下降ぎみであるから、もう要らない。名古屋市でもどこでもそうです。  そういうような状態でありますから、私どもの主張は、環境のために水を犠牲にする、決してそういうようなものじゃないということを御理解いただきたいと思います。
  126. 尾田栄章

    尾田政府委員 お答えを申し上げます。  まず、先ほどの大臣の答弁、私が聞かせていただいて受けとめましたのは、ダムサイトの地元の首長さん、議長さんが反対だから、そのことだけをもってダムをやらないということにはならない、こういう趣旨でお答えになられたというふうに受けとめております。  現に、細川内ダムにつきましても、下流の市長さん方あるいは商工会議所の皆さん等々から、このダム必要性についてのお話もございますので、総合的に物を考える必要があるのだから、ぜひダム審議会に出てきていただきたい、そういう趣旨であったというふうに受けとめております。  まず本論の、河川環境をどう考えるかという議論でございますが、先ほど来議論が出ておりますとおり、我が国河川は、ヨーロッパ、アメリカとはやはり基本的にその性格が違います。日本では、残念ながら、河川のはんらん域、もともと河川がつくった集積平野、国土の一〇%しかございませんが、ここに人口の五割が集中し、資産の四分の三が集中しているわけでございます。  そういう中で、いかにして洪水の被害と闘うか。そして渇水、先ほども申しましたが、首都圏のようなところでは水をほとんど渇水面では使い切るというような形でございます。  そういう中で、いかに安定的に水を確保していくか。そしてまた、河川環境、これも先ほど来議論が出ておりますとおり、我が日本にとって非常に大事な資源でございます。河川環境をいかに整備し、保全をしていくか。ここで整備と申しましても、必ずしもすぐ手を入れて何か事業をやるという趣旨ではございませんが、そういう三本柱でもって物を考えていくということが大事だというふうに考えておるところでございます。
  127. 川内博史

    川内委員 地元の首長さんというのは、地元のことを一番よくわかっていらっしゃると思うのですね。中央のお役所というのは、自分たちの都合のいいときには、地元の人たちが要望しているとか、地元の意向だということをおっしゃる。都合が悪くなると、地元の首長が反対しているが、治水利水には必要だからやるんだ。  都合よくいろいろなことをおっしゃるが、そうではなくて、ルールをきちんと決める必要があるんだと私は思うのですよ。私ども民主党の案で水系委員会というのがございますが、その中で、幅広い意見を集約をしてやっていこう、みんなが納得する形でやっていこうということだと思うのです。  また、河川局長は、大変に狭い面積の中にいろいろなものが、人口や財産が集中している、被害が、洪水が起きたらどうするんだとおっしゃいます。しかし、洪水が起きないようにするために、では、山を切ってダムをつくって水をそこにためようという時代ではもうない。もっと新しい発想をしていきましようということを私どもは主張を申し上げているということでございます。  日本という国はモンスーンの気候で、大変に四季がはっきりとしているわけです、春夏秋冬。すばらしい自然環境がある。そういう中で、山々がゴルフ場になり、ダムがつくられ、日本の三十七万平方キロメートルの国土を、私たち環境を守りましたよと言って次の時代に残すのか。それよりも、もっと違う環境の守り方、もっともっとすばらしいやり方があるのではないかということをお互いに考えていきたいというふうに思っています。  最後の質問でございます。  今回の河川法改正案では、やはり住民参加とか、あるいは情報の公開というものもキーワードになっております。民主党案については、この住民参加情報公開具体的にどのような形で実現をするのか、また、政府案では情報公開住民参加がどのような形で実現をするのかということを最後に御説明をいただいて終わりたいと思いますが、手短にお願いいたします。  済みません、委員長、ちょっと時間が延びますが、よろしくお願いします。
  128. 細川律夫

    ○細川(律)議員 政治に対して住民が直接参加ができるという仕組みをつくらなければいかぬということは、これはかねてからの民主党の主張でありますけれども、特に河川とかあるいはダムという生活に密着した問題につきましては、その地域の住民意見をよく聞くのは当然でございます。といっても、住民の皆さん方が政治に参加するあるいはいろいろな意思決定をするとしても、当然いろいろな情報をまず知らなければいけない。いろいろな情報をよく知ってからいろいろな意見も言わなければいけないということで、まず情報公開が大事だろうというふうに思います。  そういう意味で、我が党では、一つは河川情報の公開というのを義務づけております。これは河川の水量とかあるいはダムの放水量、水質あるいは生物の状況など細かい情報がありますけれども、こういう情報を住民の方々がいつでも、どこでも、だれでも情報を知り得るように、例えばインターネットでいつでも情報が知れるように、そういうのをつくりたいというふうに考えております。  それからもう一つ、情報公開につきましては河川管理者、これは一級河川建設大臣、二級河川は都道府県知事になるわけでありますけれども、この管理者が水系管理基本方針あるいは水系管理計画、これらの案をつくったときには必ず公告をし、そしてその縦覧をしてもらう、こういうふうにしなければいけないというふうに情報の公開を義務づけております。  そして、水系委員会というところでこの管理計画なんかについて議論をしますけれども、その水系委員会のいわゆる議論の資料とかあるいは議論の内容も、すべて公開をするように義務づけております。これが我が党の情報公開でございます。  その情報公開を前提に、住民参加もまた民主党案ではいろいろと規定をしております。それは、この水系管理方針あるいは管理計画、これらの案が出ましたときに、これが公告縦覧されますから、それに対して住民の人たちからきちんと意見が言えるという制度をつくっております。  そして、水系委員会でいろいろな議論をするときに公聴会を開催をいたしまして、その公聴会の中でいろいろな方々の意見を聞くということを我が民主党案の中では規定をしているところでございます。こういう住民の参加のことは大変大事なことでありますから、我が党にはそれが十分組み込まれているということでございます。  以上であります。
  129. 増田敏男

    ○増田委員長代理 簡明に答えてください。
  130. 尾田栄章

    尾田政府委員 政府案におきましても住民の積極的な参加をいただくという趣旨のもとに河川整備計画にその定めを置いておるところでございます。  また、情報の公開につきましては当然のことと受けとめておりまして、洪水時の情報につきましては水防法の定めも別途ございますし、今回渇水時における情報提供の努力義務を課したところでございまして、もとより情報の公開についてはできる限り今後とも努力をしていく、当然のことと受けとめております。
  131. 川内博史

    川内委員 残念ながら、時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
  132. 増田敏男

    ○増田委員長代理 辻第一君。
  133. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、政府案、民主党案の河川法の一部を改正する法律案について質問をいたします。  まず初めに、政府案について尋ねます。  今日、政治のあり方、行政、財政のあり方など、極めて国民の関心を呼んでいるわけでありますが、公共事業についてはそのむだやあるいは浪費をどうなくするのか、また、住民参加情報公開の問題あるいは特殊法人の問題など、国民各層、マスコミなどの間で大きな問題になっています。今回の河川法に関連しますダム建設については大きな問題になっているわけです。  この間の河川行政を見ますと、洪水の流下を最優先して自然環境を破壊する河川改修、過剰と言わざるを得ない水需要予測、不透明な洪水流量算定に基づくダムや放水路など巨大な構造物の建設が続けられてきました。  こうした事態に対して、多くの国民から、河川自然環境保全が叫ばれ、また巨大な構造物に依存した水源開発洪水制御の転換が叫ばれ、従来の河川管理のあり方に批判が強まっています。社会経済情勢の変化を無視した既存計画への固執、例えば長良川河口堰も、当初の目的を失っているにもかかわらず巨額の資金が投入をされる。地元自治体や住民の意向に反する計画の押しつけ、これは熊本の川辺川ダムあるいは四国の細川内ダム、ほかにもたくさんあります。また、いわゆる河川情報の独占だとかあるいは秘密主義が続いています。  こうした中で、昨年、河川審議会の答申を受けて今回提出された河川法でありますが、まず、法案の内容に関して逐次質問をいたします。  まず第一に、建設省河川行政の姿勢に関連して、建設省河川行政国民の声を反映させることをどう考えているのかという問題です。今回の改正で工事実施基本計画制度が改められて、河川整備基本方針河川整備計画制度になりました。そこで、河川整備基本方針の策定に当たっては、河川整備基本計画のように住民などの意見を聞く制度をなぜ取り入れなかったのか、まず伺いたいと思います。  二番目には、知事が河川整備基本方針を定める場合、都道府県河川審議会が置かれている場合にはその意見を聞くことになっていますが、都道府県河川審議会が置かれている都道府県はどれだけあるのか。そして、置かれていない都道府県では審議会の意見さえ聞かないで定められるということになります。このような場合、住民意見の反映がないこと、このことが最大の問題点と考えますが、お尋ねをいたします。     〔増田委員長代理退席、委員長着席〕
  134. 尾田栄章

    尾田政府委員 三点のお尋ねでございました。  まず第一点目、どうして河川整備基本方針住民意見を聞く措置を講じていないのかという点でございます。  この点につきましては、先ほど来御討議をいただいておりますとおり、この河川整備基本方針におきましては、全国的な視野に立ちまして同種同規模の河川については同じような治水の安全度を確保する、これが従前からの基本方針でございまして、これにつきましては最高裁の判決、大東判決でも示されておるところでございます。  また、これは我が国のように、一級水系だけで百九水系ございまして、二級も二千七百ございます、こういう非常に多くの水系を抱えている。先ほど来、議論の中でヨーロッパの事例が出ておりますが、こういう河川では、それぞれ一国の中、水系が、たかだか六水系とか五水系とか、そういう水系でございまして、そういう水系と基本的に性格を異にしておるわけでございます。全国的に、そういう意味で、調整と申しますか、全体の視野に立って基本的な整備の水準を決める必要があるというのが、まず大きな一点目でございます。  そして、その決める内容は、計画高水流量あるいは基本高水流量というような非常に抽象概念でございまして、これは水系一貫して決める必要がございます。そして、そういう水系一貫して決められたそういう基本量に対して具体河川整備計画をどうつくるかというのが次に問題になるわけでございまして、この中で、堤防をどこにつくるか、ダムをどこにどういうふうにつくるかということを、この河川整備計画の中で決めるわけでございます。  こちらの計画につきましては、案の段階で、住民の皆さんの御意見、そしてまた地方公共団体の長の御意見をお聞きをするということでございまして、そういう形で進めることが、河川のようにどうしても技術的、科学的に決めざるを得ない、そういう分野においては、そういう面がある、そういうところを基本的に持っておる、そういう分野では必要なことではないかと考えておるところでございます。  二点目でございますが、都道府県の河川審議会が設置されておりますのは、残念ながら、現時点で三県でございます。静岡と兵庫が昭和四十年に設置をされまして、それ以降、ずっと設置がございませんでしたが、昨年、平成八年に福島県に設置がされたという状況でございます。  そういう状況でございますので、私どもといたしますれば、都道府県での二級水系のそういう基本方針を御討議をいただく、そういう審議会をおつくりをいただきたいという気持ちを持っておりますが、それぞれこれは、河川管理者でございます都道府県知事がお決めになることでございますので、私どもとしては、そういう審議会の設置が進められるように、私どもとしてやり得ることがあれば、そういうことについて全力を尽くしてまいりたいと考えておるところでございます。
  135. 辻第一

    ○辻(第)委員 結局、広い視野とか水系一貫だとか、あるいは技術的、科学的、そういう要素が多いということだからということのようでありましたけれども、しかし、基本方針に定められる基本高水流量だとか計画高水流量の妥当性などの議論も必要でありますし、これをダム河道などがどう分担するのかという問題、整備計画に深く関係しているわけです。  審議会の意見を聞くといっても、審議会の委員は、建設大臣は河川管理者でもありますが、建設大臣が選んでいる。現実は、必ずしも住民意見を反映するものになっていないわけであります。これは大きな問題だ、重ねて指摘をして、次に移りたいと思います。  河川整備計画に関して聞きますが、これについては、学識経験者や関係住民、関係知事、市町村長の意見を聞くことになっています。当然、意見を聞く前には、河川整備計画の原案を示すのでしょうか。また、意見を言う者が意見を言うために必要な河川に関する資料の提供を求めたとき、河川管理者はこれに応じて資料を提供すべきだと考えますが、答弁を求めます。
  136. 尾田栄章

    尾田政府委員 まさに、先生指摘のとおり、河川整備計画の原案、河川整備計画の案の案と申しましょうか、それを具体的にお示しをするということが必要だと考えております。  そしてまた、御審議をいただくに必要な資料はすべて公開をさせていただくということも、もちろん、個人情報にかかわることとか情報公開の原則はございますが、そういう中で、できる限り情報を公開していくというのは当然のことだというふうに受けとめておるところでございます。
  137. 辻第一

    ○辻(第)委員 意見の聞き方でありますが、学識経験者については「必要があると認めるときは、」意見を聞く、また、関係住民については「必要があると認めるときは、」公聴会の開催等住民意見を反映させるために必要な措置を講じることになっている。  なぜ「必要があると認めるとき」なのか。必要なときとはどのような場合か、必要がない場合とはどのような場合なのか、具体的に事例を示していただきたい。
  138. 尾田栄章

    尾田政府委員 「必要があると認めるとき」というのがどういうことか、また、どうしてこういう条項を置いたのか、こういう御質問でございます。  先ほども申しましたが、一級水系で百九水系、二級水系で約二千七百水系ございます。このすべての水系について、今後、基本方針を定め、整備計画をつくっていくということになるわけでございますが、それぞれの河川、特に二級河川につきましては、それぞれの河川の特性によりまして、ほとんど工事も行わないというような、そういう河川もあり得るわけでございまして、そういう中で、必ずしもすべてについてそういうものを設置を必要というふうには解する必要がないのではないかという考え方でこういう条項を置いておるところでございます。  もちろん、ダム等、あるいは堰等、そういう大規模構造物が含まれるような、そういう水系につきましては、当然、すべて住民等の意見をお聞かせを願うという処置をとるのは当然と考えておるところでございます。
  139. 辻第一

    ○辻(第)委員 今、ダムだとか、あるいは放水路など、大型構造物をつくる場合は当然聞く、こういうことのようでありますが、ダムに限らず、住民意見は、必ずしも、その規模の大小というのですか、そういうもので決まるものではないと思います。なるべく多くの場合に意見を聞く必要があるのではないか、いかがなものか。  あわせて、河川管理者が必要なしとした事業に対し、学識経験者や関係住民から、意見を聞くべきだとの要求があった場合に、当該河川管理者はどう対処されるのか。必要なしとしたのだから聞く耳持たずという態度になるのか、それとも、要求に応じて意見を十分聞く場合もあるのか、明確にお答えをいただきたい。
  140. 尾田栄章

    尾田政府委員 私どもといたしましては、必要な場合というのをできるだけ幅広に解釈をして適用をしてまいりたいというふうに考えております。そういう意味合いで、住民の皆様方から、そういう御要望が、意見聴取のお話が出てまいりました場合には、「必要があると認めるとき」に当たると考える、そういう方向で、今後、事に当たっていくというふうにしてまいりたいと思っております。
  141. 辻第一

    ○辻(第)委員 本当に幅広く住民意見を聞くという立場でやっていただきたいと思います。  住民意見を聞く場合は、「公聴会の開催等」となっていますね。公聴会以外にどのような方法で住民意見を聞くのか、具体的に示していただきたい。  さらに、公聴会を開くとき、関係住民にどのように周知徹底するのか、また、公述人はどのように選ぶのか。学識経験者の意見に関しても、意見を聞く学識経験者はどう選ぶのか。河川管理者が任意に選ぶのか、希望を募るのか。どのような選び方をやるにしても、客観性、公平性、科学性というのが担保される意見の聞き方が本当に必要だと思うのですね。そういう点について明確にしていただきたいと思います。
  142. 尾田栄章

    尾田政府委員 公聴会の開催以外のどういう手法をとるのか、こういうお話でございますが、まず第一点目でございますが、これにつきましては、今後それぞれの河川の特性、流域の特性に応じていろいろな対応がとられるものと考えております。例示的に申し上げますと、説明会の開催、公告縦覧意見書の提出を求める、あるいはインターネットによる意見聴取等さまざまな手法を今後考えていく必要があるというふうに考えておるところでございます。  それから二点目の、公聴会の開催に当たっての周知の方法、公述人の選定方法についてどうか、こういうお話でございますが、周知方法につきましても、それぞれの流域の特性に応じて考えていくことになろうかと存じますが、公告をする、あるいは新聞折り込み、インターネットの利用等々いろいろな手法が考えられようかと思っております。  また、公述人の選定方法につきましても、今後、いろいろな法定計画、ほかにもございますので、そういう手法も参考にしながら、これからできる限り的確に流域の皆さん方の総合的な意見をお酌み取りできるように努めてまいりたいというふうに思っております。  また三点目の、学識経験者の選出方法でございますが、これにつきましては、それぞれの河川の特性あるいは流域の特性をできるだけ反映できるように幅広に、河川工学や自然環境専門家等に限ることなく、これまたいろいろな幅広い観点から学識経験者をお願いをするということを考えてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  143. 辻第一

    ○辻(第)委員 その選び方については、客観性、公平性、科学性が本当に担保されるような選び方をぜひやっていただきたいと思います。  それから、河川管理者の作成した案のとおり進めるために意見を聞くのではなく、意見に基づいて計画案に修正を加えることを恐れないという態度で臨むべきであると思います。その点についていかがですか。
  144. 尾田栄章

    尾田政府委員 御指摘のとおり、単に意見をお聞きするということでは全く意味がないと考えております。そういう意味合いで、河川整備計画の原案、案の案の段階でお示しをさせていただきまして、そして、真剣に討議をする中でよりよいものとしての河川整備計画をつくれるよう、そういう御意見を反映させられるように考えていきたいと思っております。
  145. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、河川情報の公開の問題でお尋ねします。  改正案では、情報公開に関する規定は、渇水時の協議の円滑化の場合の情報の提供しか規定がありませんね。  河川審議会の提言では、河川情報の提供により、施策の効果推進、危機管理対策等の推進を図るため、河川管理者による情報提供の責務を河川法上明らかにする必要があるとしています。  今回の改正案はこの点で審議会の意見とは大きく後退しています。なぜ河川審議会の提言を十分尊重できなかったのか、お伺いします。
  146. 尾田栄章

    尾田政府委員 河川情報の公開につきましては、これもまた大変重要なことと考えております。そして、河川審議会の御提言をいただきまして検討を進めたわけでございますが、まず、洪水時におきます情報につきましては、既に水防法等、あるいは緊急時の措置と申しますか、水質事故が起こったような緊急時の措置につきましては、河川法施行令に既にそういう定めがございます。  そういう中で、一番抜けておる分野が渇水時における情報の問題でございます。特に、ダム、貯水池等の水源施設と申しますか、そういう貯水施設を持っております段階には、そのダム等の水位がどうなっておるか、貯留量がどうなっておるかというのは大変大事な情報でございますので、そういう情報についてできるだけ公開をしていく、そういう努力義務をみずから課したところでございます。
  147. 辻第一

    ○辻(第)委員 河川情報の公開というのは非常に大事なことでありますので、ぜひもっともっと十二分にやっていただきたい、要望しておきます。  次に、水質事故処理の問題でお尋ねをいたしますが、水質事故の処理等を原因者に施行負担させるのは当然のことだと思うのですが、この場合、原因者ということですから、その者が特定される必要があることは言うまでもありません。  では、河川管理者がどのように特定するのかが問題になります。せっかく法律改正したのに実際に適用するのは難しいということであってはならないと思うのです。間々、法律はあっても適用が困難な事例も少なくないと思うのですが、この点では日常的に河川を監視するといいますか、管理する体制が不十分では、流れ去って原因者を特定できないということにもなると思うのですが、こういう問題、どのように対応されるのか、簡明にお答えをいただきたいと思います。
  148. 尾田栄章

    尾田政府委員 御指摘のとおり、水質事故の原因者の特定は必ずしも簡単な作業ではないわけでございます。  ただ、油の流出事故につきましては、これは目視で確認ができますので従前も大きな流出事故についてはほとんどすべて原因者を特定できておるところでございます。  ただ、シアンの流出あるいは六価クロム等の流出、これは全国で年間大体一件か二件ぐらいの発生状況でございますが、こういう非常に重大な事故につながるものにつきましては、水質汚濁防止法の、水濁法のいろいろな手続と合わせて特定作業を進めることによって特定できているのがほとんどでございます。  ただ、そのほか、小さないろいろな水質事故についてはなかなか特定しがたいという面もあるわけでございますけれども、今後とも水質汚濁防止連絡協議会、これは水質汚濁防止を流域の皆さん方一緒になって図ろう、こういう組織でございまして、そういう場も通じて御指摘の点についても十分努力をしてまいりたい、こう考えております。
  149. 辻第一

    ○辻(第)委員 今回の改正で、河川環境整備保全河川総合管理の重要な内容の一つとして位置づけられたと思います。これまで、端的に言いますと、環境整備保全というのはないがしろにされて、三面張りというのですか、そういうことも含めて本当に河川環境や美しい自然環境、そういうものが破壊をされてきたということだったと思うのですが、今度はこの河川環境整備保全が重要な内容になってきた。  これが河川行政具体的にどのように生かされるのか、具体的にこれまでとどう変わるのか、示していただきたい。
  150. 尾田栄章

    尾田政府委員 まず、先ほど来三面張り河川に対する御批判、大分いただいておりますが、従前、十年、二十年前におきましては、地方部あるいは都会部でもそうでございましたが、土手といいますか、そういう形で残しますと、草が生えて大変だから早くあれをコンクリートの護岸に変えろ、こういう地元から大変強い御要望をいただいたりしておった時期もございます。  そういう中で、私どもも、河川環境がどうあるべきかというのを従前からも見詰めてまいったつもりでございますが、今回御審議お願いをいたしておりますこの河川法目的の中に「河川環境整備保全」というのを入れていただくことによりまして、二条の、この目的に合わせた形で河川管理を進めろということでございますので、従前の治水利水にともすれば重点が移りがちであったのに対して、治水利水環境を合わせた三本柱でこれからの河川事業河川行政を進めていくということになろうかと考えております。これも、それぞれが対立概念としてどうしようもない場合も間々ございますが、それぞれ総合的に三つの目的が一つのものに、一つの形として結実をしてくるという場合も多いというふうに考えておるところでございます。
  151. 辻第一

    ○辻(第)委員 河川環境の問題を考えるときに、きょうは午前中に田野瀬議員から吉野川河川の汚染の問題、崩壊の問題がありました。全国的にこのような実態がいっぱいあるのですね。  そういう中でも、これも私ごとになるのですが、私は京都に生まれて京都で育ったのです。母親が滋賀県で生まれたので、琵琶湖というのが、子供のときからしばしば泳ぎに行ったりボートをこいだりということで、本当に懐かしいのです。京都は琵琶湖の水で生きてきたわけで、飲料水もそうでしたね。そんなことで、今琵琶湖は、京都や大阪や兵庫の皆さんの本当に大切な大切な命の水ですね。  それが、私は数年前、最近も行っているのですが、調査もさせていただいたのですが、水質の悪化、自然環境の悪化は深刻ですね。ちょっと見ますとまだ琵琶湖はきれいだなと思うのですが、よく調査をさせていただいて、教えていただいてということになりますと、実態は深刻なのですね。  そういう中で、滋賀県民の皆さん方はもちろんのこと、殊に学者だとか研究者だとか、あるいは漁民の方ですね、それはそれは何としてもこの琵琶湖——日本で一番大きな湖であり、その成り立ちからいって世界で非常に古い湖だとかいろいろ言われているわけでありますが、それからいろいろな生物がそこには生きているというようなこともありますね。  そんなことで、この琵琶湖は本当に、言うたら瀕死の状態というのですか、脳死じゃないですけれども、かなり厳しい状態に今なっているのですね。これを何としても生きた、美しい、そしてきれいな琵琶湖を守っていただくということが本当に今求められていると思うのですね。  そういう中で、ことしの三月末で琵琶湖総合開発法というのですか、これの期限が切れました。これは二十五年間続いたようでありますが、その後滋賀では琵琶湖の総合的保全が本当に大きな課題になってきているのですね。  琵琶湖の現状を見てまいりますと、南湖、南の方は、殊に大きな埋め立てなどがやられたりして、自然の湖岸はわずかになってしまっているのですね。自然湖岸は四〇%にまで減少した。それから、ヨシというのがありますね、あれが浄化をする非常に大事な役割をするそうでありますが、これも半分に減ってしまった、こういうことですね。  言い方によりますと、琵琶湖総合開発法で琵琶湖がコンクリートで固められたというような表現もあるわけでありますが、そういう中で、いろいろな要素があってこの水質の悪化が、自然破壊がやられているわけでありますけれども、そういう中で、琵琶総は二十五年間に約一兆八千億を投じられた。いろいろなことがやられてきたわけでありますが、そういう中で、先ほど申しました自然湖岸が減り、ヨシの地帯が半分になったりして、自然環境を破壊し、自然浄化力がなくなった。  そういう中で、滋賀県の「琵琶湖総合開発の総合評価(中間的取りまとめ)」というのがあるのですが、そういう中でも、琵琶湖の富栄養化が進行し、水道水にも異臭味というのですか、においがするのですね。この発生、赤潮、アオコなどプランクトンの異常発生、外来生物の繁殖と在来生物の減少などの事態が進行した、こういうふうに言っておられるのですね。  水質の汚濁、悪化、自然環境の破壊の問題は深刻な事態であります。この琵琶湖総合開発法が終了したからもうこれでいいのだというようなことではなしに、琵琶湖やその周辺の河川、その河川環境保全のために国としてはどのように対処していただくのか、お尋ねをいたします。
  152. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま先生指摘のとおり、琵琶湖は世界的に見ても大変古い起源を有する湖でございまして、独自に進化を遂げてきた固有種が生息をする等々大変豊かな生態環境を有する貴重な湖沼だというふうに私ども認識をいたしておりますし、また同時に、近畿圏千四百万人に貴重な水を提供する、そういう機能も有しておるわけでございまして、この琵琶湖を水質——水だけでなしに、その周辺環境もひっくるめて、良好な環境保全をしていくということは大変大事なことだというふうに認識をいたしておるところでございます。  また、そういう認識を地元の地方公共団体、そしてまた住民の皆さん方も同じ思いを共有していただいて、行政と一緒になっていろいろな取り組みをしていただいているというふうに受けとめております。  具体的に申しますと、先ほどお話がございました琵琶湖及び流入河川のしゅんせつ、流入河川の直接の浄化、ヨシ群落の保全、特に湖の周辺の沼地でのヨシ群落の保全というのは水質保全上大変効果があるというふうに承知をしておるわけでございますが、そういう事業。  そしてまた、流入河川の一つでございます八幡川では、平成六年度から私ども河川事業に合わせて下水道事業、そして流域住民の方たちによります家庭排水対策等を総合的に実施をいたします清流ルネッサンス21計画というようなものにも取り組んでおるところでございます。  また、農水省と建設省と一緒になりまして、連携をしつつ、いろいろな事業を集中的に実施をする湖沼水質保全対策行動計画というものを策定をして、水質の浄化に取り組むということについても準備中でございます。  そういういろいろな各省との連携、私どもと地方公共団体の連携、住民の皆さんとの連携という、そういういろいろなレベルでの総合的な取り組みによって、貴重な琵琶湖が今後とも守られていくという形になるよう、私どもとしても頑張ってまいりたいと思っておるところでございます。
  153. 辻第一

    ○辻(第)委員 琵琶湖の環境保全を図る上で、殊に琵琶湖の水源を保全するためには、琵琶湖そのものだけでなく、周辺地域の環境保全は欠かすことができないと思いますね。  ところが、琵琶湖周辺で八カ所ものダムをつくろうとされています。その一つに、高時川の上流に丹生ダム、これは近畿で一番大きなダムで、総貯水量一億五千万トン、黒部第四ダムとも同じ大きさだということですね。これは琵琶湖の北の方で豪雪地帯であります。雪解け水をためておいて、渇水期に琵琶湖に流そうということであります。結局富栄養化した水が北湖に流れて汚染を進めることになるということですね。  私も数年前に聞いたんですが、あの深いきれいな北湖、これの一番下の方は溶存酸素量というのが極端に減って、いわゆる酸欠というような状態になっている。これは四年ほど前ですね、そういうお話も聞きました。  山からの雪解け水が北湖に入って、そして琵琶湖の水質をきれいに浄化してきた。こういう働きがあったのを、これをせきとめて、富栄養化して、それを渇水のときに一度に入れるというようなことになりますと、これはさらに一番深い大事なところで水質汚染が強まるという危険があるわけですね。こういう面からまず大問題だと思いますし、それから、今下流域の水の需要、これは横ばいになっているんじゃないでしょうか、現実。  これは滋賀県が最近調査をされた中での報告で、琵琶総が始まった一九七二年、二十五年前に比べて淀川下流の上水道の取水量は横ばいだ、工業用水に至っては昭和四十七年、一九七二年に比べて四割ほど減少している、こういう報告もあるわけであります。こうした中で、大規模なこのような建設、その必要性やあるいは環境汚染、琵琶湖の汚染、こういう問題から考えてみてもこの計画は見直すべきではないか、このように考えるんですが、いかがですか。
  154. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま先生指摘の丹生ダム、これは旧名高時川ダムでございますが、このダムにつきましては、御指摘のとおり大変大きなダム、高さ百四十五メートル、一億五千万トンの貯水容量を持つダムでございます。  目的としましては、洪水調節と下流の流水の正常な機能の維持、それにあわせまして、水道用水の供給、大阪府、阪神水道、京都府等々に対する上水道の供給、こういう役割を持って、建設に向けて進めておるダムでございます。  このダムの水質がどうか。特に下流に琵琶湖のように湖を持っておるそういう上流ダムの水質の問題につきましては、そのダムのBOD等のそういう指標だけでなしに、窒素、燐というような物質をどう処理できるかという問題、富栄養化現象に対していかに対応するかという問題も含んでまいるわけでございます。  そういう意味合いで、このダムの水質問題については私どももいろんなモデルを使って、現地の水質調査の結果等を用いながら、これは水質予測でございますのでいろんなモデルを使う必要があるわけでございますけれども、そういうモデルを使って検討した結果では、ダム貯水池における富栄養化現象、いわゆるアオコ等が発生する可能性は低いというふうに予測をいたしておるところでございます。  いずれにいたしましても、下流にそういう大きな湖を持っておるわけでございますので、この丹生ダムに流入いたします河川の水質の監視を継続するとともに、貯水池の水質についても十分監視をし、曝気装置をつける等々の浄化施設の検討等もあわせまして、万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  155. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間がなくなってきたんです。最後になって恐縮なんですが、民主党案についてお尋ねをいたします。時間がないので、二つに分けてと思ったんですが、固めてお聞きいたしますが、お許しをいただきたいと思います。  民主党案は、水利使用者の義務、水利使用合理化指針などの規定がございます。これらと農業用水の関係について伺いたいんですが、これらの規定により農業用水に悪影響といいますか著しく不利な状況が生まれるのではないかという意見があるようですが、これについての提案者の見解。  それから河川情報の公開というのは、先ほどもお尋ねしたんですが、大変重要な課題でございます。どのような形で公表されることになるのか。また水系委員会、二級水系では複数の県にまたがる水系もございますが、水系委員会の設置方法はどのようにされるのか、以上三点お尋ねをいたします。
  156. 渡辺周

    渡辺(周)議員 辻委員のお尋ねにお答えをいたします。  水利使用者の義務として節水がある。この節水の努力義務が農業者にとって大変不利になることはないかというような御懸念かと思います。  私どもの法案では、第二十九条にすべての水使用者に対する節水の努力義務、そしてまた水系委員会河川管理者の定める水利使用合理化指針、これを審議をする。当然この節水義務は農業水利者というだけではなく、上水の使用者あるいは当然農業水利者も含めて、関係する水利者に節水の義務を持っていただく。  そういう観点から我々はこの義務規定を設けておりますけれども、当然水が足りないところはお互い融通するということも出てこようかとは思いますけれども、現実問題として、これは農業水利者のみに何か不利なことがあるということはございませんし、また、先ほど申し上げました水系委員会審議をされる中で当然農業水利権者も参加をしております。そしてそれを公開で、我々は表に出す、情報公開をするわけでございますので、農業水利権者のみに負担がふえるというようなことはないと我々は考えております。
  157. 細川律夫

    ○細川(律)議員 河川情報の公開、これは私どもでは、いわゆる情報公開というのは住民参加と同じように一つの大きな重要な位置づけをいたしております。  河川情報につきましては、河川の水量とかあるいはダムの放水量あるいは水質、生物の状況など河川のあらゆる情報というものを含むというふうに考えておりますけれども、これは随時速やかに提供できるようにしたいというふうに思っております。  具体的には、今は情報社会でございますし、特にインターネットなんかも盛んになっております。したがって、そういう中に情報も入れまして、いつでもだれでも河川の情報について知ることができる、そういう仕組みを考えているところでございます。  それから、二級河川について二つの都府県にまたがる場合の管理についてはどうするのかというお尋ねでございます。  その場合には、その重なる都府県におきまして協議をしていただきまして、具体的にどういうふうにするかということが決まったならば、それを公示をするということにいたしております。  ただ、二つの都府県にまたがる二級河川というのは数は余り多くないようでございまして、したがって、具体的には、関係都府県で自主的に具体的な管理を決めていただくということになろうかと思います。  そういう中で、一方の県に全部管理を任せるのか、あるいは共同管理をしていくのか、そういうことはお互いのいわゆる協議で決めていただくということになると思います。  以上であります。
  158. 辻第一

    ○辻(第)委員 終わります。ありがとうございました。
  159. 市川雄一

    市川委員長 中西績介君。
  160. 中西績介

    ○中西(績)委員 現行の河川法につきましては、一九六四年に制定されて以来、河川行政の基礎になって現在に至っておると思います。その間、七二年、八七年、九一年、九五年と、時代の要請に従って改正を行ってきたようでありますが、近年の河川を取り巻く状況の変化が極めて激しいものですから本法の改正提案していると思いますが、その特徴的内容、特にこの点についてお答えいただきたいと存じます。
  161. 尾田栄章

    尾田政府委員 先生指摘のとおり、旧河川法が制定されまして以来、百一年がたつわけでございます。明治二十九年四月八日に制定をされておるわけでございます。これをもって近代河川制度が新しい時代を迎えたわけでございますけれども、その後、昭和三十九年七月十日に新河川法、現行の河川法でございますが、これに大きく転換をしたところでございます。  従前の旧河川法におきましては治水主体でございましたが、新河川法では、治水利水を合わせた河川行政という、そしてまた水系一貫の思想というのも盛り込まれたわけでございますけれども、そういう中で戦後の日本のある意味で経済成長を支えてきたというふうに認識をいたしております。  その後、先生指摘のとおり、いろいろな世の中の変化を受けまして、昨年の六月に河川審議会から、今までのように異常時、洪水時、あるいは渇水時の河川管理、それを主体にした河川管理ではなしに、川の三百六十五日、普通の、平常のときの河川も大事にした、そういう河川管理に向かって新たに動き出せという形の御答申をいただいたところであります。  それを受けまして、昨年の十二月、また河川審議会から制度の改革の方向について提言をいただいたところでございます。その提言を受けて、今回河川法改正お願い申しておるところでございます。  そのポイントといたしまして、一つは、河川法目的に、治水利水に加えまして、「河川環境整備保全」というものを加えるということ、そして、それを受けて、治水利水環境の一二本柱で総合的な河川管理に努めていく、そういう責務を河川管理者が負うということでございます。  二番目といたしましては、従前一本でございました工事基本計画というのを大きく二つに分けまして、河川整備基本方針と、ダム等の具体の位置、大きさ等を決めます河川整備計画に大きく二つに分けまして、そして、この河川整備計画について、地方公共団体の長の、あるいは流域住民の皆さん方の意向を反映をする手続を導入をするということ。そして、渇水調整の円滑化、これは、ダム等の貯留施設が整ってきた、そういうものの整備が相当進んできたという状況のもとで、渇水のおそれがある段階から渇水調整に入るということ。そしてまた、ある意味では環境目的の一つの具体の方策でございます樹林帯の制度の導入、創設をお願いをする、そういうところが大きなポイントと存じております。
  162. 中西績介

    ○中西(績)委員 今お答えいただいた中で、昨年の六月に河川審議会から「二十一世紀の社会を展望した今後の河川整備基本方向について」という答申があり、さらにそれを受けて、昨年十二月四日に「社会経済の変化を踏まえた今後の河川制度のあり方について」という提言がなされておるということを今おっしゃいました。この答申なりあるいは提言をつぶさに見てみますと、いろいろ多くの内容、きょう一日論議された多くの問題が含まれております。  そこでお聞きしたいと思いますのは、この答申なりあるいは提言に今度の法改正がこたえておるかどうかという、この点について率直にお答えください。
  163. 尾田栄章

    尾田政府委員 十二月にいただきました御提言の中で、今回の法改正で盛り込めなかった点が三点あると受けとめております。  一つは、水路兼用河川制度の創設というものでございまして、二つ目渇水調整議会そのものを法定化するということ、そして三つ目が河川情報の提供の推進、これが不十分ではないか、こういう御指摘、その三点がいただいた御提言の中で実現できなかった、今回の提案をさせていただいております改正案の中では盛り込めなかった点というふうに受けとめております。  まず一点目の水路兼用河川制度の創設でございますが、これは、町の中で水と緑のネットワークをつくっていこう、既存の農業用水路等々、そういう既存の水路に冬なんかはなかなか水がないというようなことがあったりいたしまして、なかなか町の中の水と緑のネットワークとして機能しない、そういう中で、そういう農業用水路をそれ自体河川との兼用工作物だ、こう考えることによりまして、河川の水を、余剰水を河川の維持用水という形でそういう水路に入れていこう、こういう制度でございます。  そういうことで、いろいろな担当部局等々と調整に入ったわけでございますが、残念ながら農業者の皆さん方からなかなか御理解を得られなかったわけでございます。  特に、みずからちゃんと水路を管理しているんだから、あとは水だけを水利権という形で入れればいいじゃないか、こういう議論がございます。これはまた水利権の、行政のサイドから申しますとなかなか難しい問題がございまして、なかなかこの点についてうまい調整点を見つけることができずに、今回は断念をいたしたわけでございます。  ただ、そういう調整作業を農業者、農業サイドと繰り返す中で、水と緑のネットワークを都市の中に再生していくということの重要性については相互に認識は一致をしておりまして、それを具体にどういう形で実現するかというところが問題点でございます。  それで、農水省と私どもと一緒になりまして、今後、具体のいろいろな事例につきまして具体に検討してみまして、どういう制度が必要になるのか、それを検討した上で再度また御討議をお願いをいたしたいというふうに考えておるところでございます。  それから、二点目の渇水調整議会の法定化でございますが、これにつきましても、主として農業水利者の皆さん方からの賛同が得られなかったところでございます。もともと日本河川は江戸時代から農業者が主体となって管理をされてきた、そういう経過の中で今の水秩序があるわけでございますが、そういう中で、渇水調整をどういう形で進めるかということに関して、従前から、水利用者の間でまず渇水調整を進めるべきだ、そういう渇水調整の場に最初から河川管理者が入るのはいかがなものか、こういう議論でございました。  そういう議論の中で、もともと渇水調整というのは水利用者の間の互譲の精神で成り立っているものでございますので、無理やりに何か法制度をつくるというものではないと私どもも理解をいたしておりまして、理解を得られるまでの間、この問題についてはさらに十分検討していくということにいたしたわけでございます。  三点目の河川情報の問題でございますが、この点につきましては、先ほど来の御討議でもお答えさせていただいておりますとおり、洪水時の処置については既に水防法等に定めもございますし、水質事故等の緊急時の処置につきましては既に河川法施行令の中に定めもございます。そういう中で、一番抜けておる渇水対策、そういう時期、そういうときの情報提供というものについて今回の法制度の中で盛り込ませていただいた、こういうことでございます。
  164. 中西績介

    ○中西(績)委員 この昨年六月の審議会での「基本方向について」、これを見ますと、大体四点くらいにまとめておりますよね。特に、例えば一番の問題にありますが、洪水渇水という異常時の河川を対象とした従来の河川行政から平常時の河川も視野に入れた川の三百六十五日の河川行政への転換、こういう基本的な指摘がありますね。ほかにもございますけれども、この点一点だけ、三百六十五日の河川行政、これは何を指しておると建設省、行政の方は把握しておられるのですか。
  165. 尾田栄章

    尾田政府委員 従前、河川行政、先ほど来治水利水を主体に新河川法改正をされたと申しましたが、そういう意味合いでは、洪水時あるいは渇水時という、川の三百六十五日のうち、十年に三千六百五十日のうちの一日とか二日とかあるいは十日とかそういうところを対象に、これはこれで大変大事なことだ。  特に日本のように、洪水が頻発する、国土の利用状況からいいまして、山から海までの間を一線堤防で守らざるを得ない、そういう土地利用を進めてきた国土でございますので、そういう中で、それはそれで大変大事な作業だと存じますが、それだけに余りにもシフトし過ぎたのではないか、こういう御指摘。逆に申しますと、三百六十三日ぐらいは普通の川だ。そのときの河川環境、地域の住民の方たちがこの河川にアクセスをされて、そしてそこから得られる、いわゆるウエルネスという言葉が最近はやりのようでございますが、そういう川から受ける有形無形の作用が大事だ。  そういう意味合いでは、河川環境整備保全を図っていくというその目的改正が、まさに川の三百六十五日を大事にするということだと受けとめております。
  166. 中西績介

    ○中西(績)委員 今お答えいただきましたように、基本的な考え方の答申、そしてさらにまたこれを具体化した提言、こうしたものが今日本河川行政を大きく変えていこうとしているわけですね。したがって、先ほどから皆さん御論議になっておられる内容等につきましても、やはり率直にこれをお互い認め合って、十分な今後の河川行政の中でさらに発展をどうさせるかということを考えていかなくてはならぬと思います。  特に、今お答えございました水路の河川としての云々だとか、渇水調整議会の設置、位置づけだとか、河川管理者による情報提供等を含みまして、まだまだ多くの問題が具体化されていないということもあるわけでありますから、こうした点、特に良好な河川環境整備保全あるいは地域住民の意向反映のための制度について検討を行うようにということでこの答申がなされておったのですけれども、こうしたことを十分反映をするように今後の行政はあるべきではないか、こう考えられますので、これらについても十分今後体制を整えていただいて、行政的政策の転換を求めていくようにお願いをしておきたいと思っています。  そこで、今度は、「河川制度の改正方向」の中に、治水利水を主眼としてつくられた現行河川制度では、河川環境整備保全のための制度が未整備で、種々問題が生じておるということは指摘されたとおりですね。  いろいろな措置を講ずるよう審議会の提言があっておりますけれども、この中で、河川法目的への環境の位置づけだとか、今ありました水と緑のネットワーク整備だとか水質事故処理対策だとか、さらにまた不法係留対策だとか、こういうように幾つかあるわけでありますが、その中の二番目に申し上げました河川周辺の樹林帯問題をきょうは取り上げてお聞きしたいと思っています。  河畔林あるいは湖畔林の整備保全が挙げられておりますけれども、今回初めて河川管理システムとしてこれを導入したようでありますが、そして法制化されておりますけれども、その目的あるいは背景は何ですか。
  167. 尾田栄章

    尾田政府委員 今回御審議お願いいたしております樹林帯は、大きく分けて二つの種類に分かれようかと存じます。  まず一つは、堤防と一体となって機能いたします樹林帯でございまして、これは、堤防を乗り越えるような水あるいは非常に長期間にわたって通常の洪水の作用を超えて作用するような力によって堤防が破壊をいたしたような場合に、その堤防の破壊をできる限り最小限にとどめて、そしてまた後ろに樹林帯があることによって、そういうものがない場合には、落堀と申しますか、大きく深掘れをして、そしてそれがさらにまた堤防の拡大につながる、そういう形になるわけですが、堤防の背後に樹林帯があることによってそういうものが防げるということでございます。  私ども、模型実験によりますと、幅二十メートルぐらいのそういう森林を堤防の後ろにつくっておきますと、洪水がはんらんした場合のはんらん量を三〇%から四〇%ぐらいは減少させることができる、こう考えております。  こういう考え方は、まさに阪神・淡路の震災の事例にかんがみましても、万全といいますか、ある想定をした力を超える力というのは必ず起こり得るわけでございますので、そういう形で堤防が破壊をした場合でも、その被害を最小限に食いとめる。これは、ある意味ではスーパー堤防の発想と軌を一にするものでございますが、スーパー堤防がそういう大都市対策であるのに加えまして、こういう樹林帯によってそういう異常洪水に対応しようというのが一つの考え方でございます。  もう一つは、ダム周辺の樹林帯でございまして、これは、ダム湖の水質を守る、あるいは堆砂をできるだけ減少させる、そういう立場から、ダム湖周辺に樹林帯として森林を整備をすることによって、そういう水質汚濁防止、堆砂減少に資する、こういうものでございます。  そういう意味合いで、従前、河川管理施設と申しますと、堤防ダムあるいは堰という非常にハードなものが今までイメージされたわけでございますが、今回、こういう樹林帯というものが新しく施設として明示をされたということでございます。
  168. 中西績介

    ○中西(績)委員 今お答えいただいた河畔林あるいは湖畔林、その役割は、今お答えになったような内容の程度ですか。
  169. 尾田栄章

    尾田政府委員 まず、堤防と一体となります樹林帯につきましては、先ほども申しましたが、堤防を越えた水によって堤防が破壊をしても、その破壊の程度を抑えることによりまして、流域に入ってくるはんらん量を三〇%から四〇%ぐらい減じられるということでございまして、これは相当の効果を持っているのではないかなというふうに思っております。  それからもう一点、ダム湖の方の樹林帯の効果について御説明するのを忘れたわけでございますが、これは、樹林帯がダム湖の周辺に整備されることによりまして、樹林帯の土壌の持ちますフィルター効果によりまして、道路等の浮遊物質がダム湖に流入するのを抑制をして、ダム湖の水質悪化を防止するという効果を有します。これは、樹林帯の幅五十メートル程度であれば、その斜面の上部で発生をした濁水は、SS、これは浮遊物質でございますが、その九割程度は低減をさせることができるというふうに考えております。  また、ダム湖にとって一番怖いと申しますか、大事な問題の一つでございます富栄養化対策としての栄養塩類を防止する。その効果でございますが、栄養塩類を養分とするものを樹林帯の根が吸着をするという効果によりまして、そういう栄養塩類のダム湖への流入を防止するという効果をも有しておるところでございまして、そういう意味合いダム湖の水質悪化防止に非常に大きな効果を有するものと期待をいたしておるところでございます。
  170. 中西績介

    ○中西(績)委員 今いろいろ言われました役割があるということでございますけれども建設省が樹林帯を所管することになるわけでありますから、そうなってまいりますと、適正な維持管理がやはり必要になってくると思います。そのためには専門的な林業技術を要することになりますが、本来なら、林野行政が万全であれば不必要と、例えば湖畔林について例をここに移しますと、私は思うのです。  今、林野庁の行政は三兆円を超える借金があるということで、行政的措置が十分でないという、そのために森林の荒廃が進み、湖畔のそうした点が処理されてないということ、だから、建設省としてはダムを守るためにやらざるを得なかった、私はこういう推測をするのですけれども、この点はどうでしょうか。
  171. 尾田栄章

    尾田政府委員 ダム湖周辺の樹林帯構想につきましても、先生指摘のとおり、当初、林野庁の行政とどう調整をしていくのか、それぞれの役割分担がどうかという真剣な議論をいたしたところでございます。  その中で、ダム貯水池と一体となって機能する森林部分、そういう樹林帯部分についてはダム管理の一環として整備をすべきだという結論に達しました。そういう中で、この制度の創設をお願いをしておるところでございます。  もちろん、ダム湖の水質を守るという視点で申しますと、今申しましたように、ダム湖の周辺五十メートルの樹林帯でも、濁度を下げるという意味では効果はあるわけでございますが、より大きくは、ダム上流全体の森林をどうするかという大きなテーマもございまして、その大きなテーマにつきましては、まさに林野行政を担当されます林野庁さんの方と一緒になって取り組んでいくべき課題だというふうに考えておるところでございます。
  172. 中西績介

    ○中西(績)委員 林野庁に聞きますけれども、私の理解をしたようなことでよろしいかどうか。
  173. 金子詔

    金子説明員 ただいま尾田局長さんから御説明がございましたとおり、樹林帯につきましては、河川管理上の必要性から、河川管理者が、堤防ダム貯水池の直近の限定された範囲で設けるというものでございまして、ただいまお話ありました国有林野事業の累積債務の問題、これは別途、今、林政審議会で論議、討議、検討を行っておりまして、本年じゅうに政府一体となって抜本的な改善策を検討、策定していくことになっておりますが、そのこととは全く関係ないものと考えております。
  174. 中西績介

    ○中西(績)委員 特に、私、湖畔林を挙げたのですけれども、湖畔林を考えるときに、林野行政、その地域全体、国有林であり、あるいは民有林であり、これらについて今指摘されましたように、フィルター的効果があって汚水処理ができるとか、あるいは浮遊物を処理できるとか、いろいろ例を挙げましたけれども、そういうことがわかっておりながら、なぜそういうところが残っておるのか。  これは、例えば国有林の中で、湖水周辺がもし荒廃をしておる、こういうところに五十メーター帯状に樹林帯を設けよう、こういうことになっておるわけですから、そうなってくると、手抜きをしたのか、そうしたものに手がつかないのか、ここいらについてはどうなんですか。
  175. 金子詔

    金子説明員 森林の整備につきましては、森林、林業、大変厳しい情勢の中で、何というのですか、活性化等に努めているところでございまして、森林の適正な整備という点では、この河川法改正目的としている樹林帯の整備、これは、森林が現に整備されていないからこういった制度を設けるということではなくて、私どもの理解としては、堤防ダム貯水池の河川管理上の必要性から、堤防、それからダム貯水池の機能維持上必要な最小限度でそういったものを設けるという理解をしているところでございまして、決して森林整備が停滞していることによって森林が荒れてこういったものが必要になったというような理解をしているわけではございません。
  176. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうすれば、ちゃんとされておれば必要ないですからね。この点ははっきりしていると思うのですよ。ちゃんとそれがありさえずれば、こういう樹林帯をつくらなくてはならぬということにはなりにくいのではないのでしょうか。  そこで、林野庁にお聞きしますけれども、今度は河川との関係です。  林野行政の中で、平成三年に森林法の改正によりまして、流域を単位とした森林整備方向を打ち出し、現在鋭意取り組んでいると聞いておりますけれども、これはこの樹林帯とのかかわりはないにいたしましても、そうした問題は現状どのようになっていますか。
  177. 金子詔

    金子説明員 先生お話ございましたように、平成三年に森林法を改正いたしまして、緑と水の源泉としての多様な森林整備と国産材時代に向けての条件整備推進するということで、流域を単位にいたしまして、民有林、国有林の連携のとれた森林計画を策定するなどの法改正を行ったところでございます。  現在、全国に百五十八の流域がございますが、民有林、国有林で連携のとれた森林計画を策定するとともに、これを流域単位で具体的に実行しまして、林業、林産業の活性化を通じた森林の整備推進していくということで、各流域流域林業活性化協議会をすべて設置し終えまして、森林整備、林業の活性化に関しましての流域内関係者の自主的な取り組みを推進しているところでございます。  さらに、具体的な取り組みといたしましては、流域を単位に間伐を推進します流域総合間伐対策とか、総合的な森林資源整備を行います流域森林総合整備事業など、流域を単位といたしました森林整備推進策を講じているところでございます。  森林、林業をめぐる状況は大変厳しいものがございますが、今後ともこのような流域管理システム推進を通じまして、森林、林業、林産業の活性化と流域を単位とした森林整備を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  178. 中西績介

    ○中西(績)委員 百五十八流域でやられておるということでありますけれども、これらの問題、時間がもうありませんから、もう少し聞きたいところがございますけれども、これは一応おくことにいたします。  そこで、治山治水河川行政というのは、国土保全環境保全あるいは水資源確保の面からいたしまして密接不可分である。この点については十分認識しておると思いますけれども、今後は、先般の治山治水法一部改正論議のときにもいろいろ論議されてまいりましたし、指摘をしてまいりましたけれども、先ほどの論議の過程でも出ておりましたように、山から海まで総合対策なしにもう議論はできなくなったという状況になっておると思います。そのように認識しなくてはなりませんが、建設、林野両省庁の縦割り行政だけではもうどうすることもできない、こういう状況にあると思います。  したがって、総合的対応を迫られておるわけでありますけれども、それぞれの省庁の今後の対応についてお聞かせいただきたいと存じます。大臣にお答えいただければ……。
  179. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 委員指摘のように、これはもう総合的な対策なくしては治山治水の万全を期すわけにはまいらない。御承知のように、行政改革、もう待ったなしで取り組んでおるわけでありますが、今後の行革の中においても一つの省庁間の縦割り行政をどうしていくかということは大きな焦点になってこようかと思います。  そういう意味では、建設省の業務と林野庁の業務を将来どういう形で有機的にこれを一体化していくのか、あるいはどうしていくのか、重要な課題であろう、このように考えております。
  180. 安井正美

    ○安井説明員 治山事業治水事業は、国土保全施策として、森林から河川まで流域を総合的に整備するなど密接な関連を有しております。  例えば、洪水等を防止する観点からは、上流の森林地域の後背地等の復旧整備を図ります山地治山事業や防災対策総合治山事業等の治山事業、それから砂防設備や堤防の設置等によります河川の流水による被害を防止する治水事業、さらに、渇水等を防止するというような観点からは上流の水源地域におきまして保水力の高い森林整備等を図ります水源地域整備事業等の治山事業と多目的ダム等を整備する治水事業といったように、それぞれの役割分担のもとに連携を図りながら事業推進しているところでございます。  具体的には、治山治水緊急措置法に基づきまして五カ年計画を策定しているところでございますけれども計画の策定に当たりましては、治山事業治水事業の総合性を確保するため相互に調整を図ることとされておるところでございます。このため、第九次の五カ年計画の策定に当たりましても、治水事業、治山事業との連携を一層図りながら総合性を確保するため相互に調整を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。  また、事業実施に当たりましても、流域におきます特性を勘案して相互に連携を図るために、従前から、治山砂防連絡調整会議等を通じまして、事業計画や工事、管理等につきまして協議をして効率的な事業実施に努めているところでございますが、これに加えまして、平成九年度からは建設省の砂防事業との連携によりまして、ダム流域の後背地の復旧や森林整備、流出土砂の抑制等を集中的かつ計画的に実施するダム等の堆砂・濁水防止緊急対策を新たに実施することといたしているところでございます。  今後とも一層の連携を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  181. 中西績介

    ○中西(績)委員 特に林野庁に私は要請をしたいと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、債務問題等大きな問題を抱えておるわけですから、これから後のあり方については、先ほどから皆さんが論議されておりますように、本当に私たちが今、山から海までの間のあり方を本格的に——林野庁はもうちょっと胸を張って、大蔵省ばかり見ておどおどしたような態度ではだめなのですよ。ちゃんとこれからもそうした政策的なものを真っ正面に掲げて国民の負託にこたえるような体制をどうとっていくかという行政を打ち立てるかということが今一番大事ではないかと思っています。  したがって、ぜひこの点を、きょうお帰りになりましたら、それぞれの上司の皆さんに伝えていただきたいし、特に長官にはそのことをお伝えいた薄きたいと思います。  最後になりましたけれども質問要旨はお示ししませんでしたけれども、きょうの論議を聞いておりまして、民主党の皆さんの御主張もよくわかりました。今までの、きょうだけでありますけれども、論議の過程の中で最も皆さんが主張なさっておられる主要な点だけ、一、二だけでも申し述べていただきたいと思います。
  182. 石井紘基

    石井(紘)議員 まず第一は、流域全体でもって流域単位で見ていこう、そのために水系委員会というものをつくって、その水系委員会をもとに情報公開住民参加ということで、そういう考えでもって開かれた河川行政というものを進めていこうということが骨子でございますが、さらに詳しい補足を同僚からさせていただきます。
  183. 渡辺周

    渡辺(周)議員 お時間をいただきましてありがとうございます。  私どももやはりこの河川法改正案を出すに当たりまして、平成八年十二月四日、河川審議会が出されました「社会経済の変化を踏まえた今後の河川制度のあり方について」、こうした答申をざっと読みまして、またじつくり読みまして、いろいろな観点から我々として案を考えたい。また、政府案はどのような案が出てくるかということを見きわめながら我々として判断をしていったわけです。  この答申の中にも何度か出てまいります地域の意向を反映する手続の導入、あるいは川づくりの姿を地域に提示しつつ地域の意見の十分な反映に努めていくべきである等々、地域の意見、地域の手続といった言葉が何度も出てまいります。しかし、残念ながら、こうした住民参加ということが政府案では具体的に示されなかった。  私ども民主党は、まず原則の中に、河川環境に対する負荷、いわゆる開発行為等は最小限にとどめるべきであるということを前提に置きました。  さらに我々は、水系ごと水系委員会に、こうした答申にもありますように、いかに住民の方々の意見を反映させるか。そこで、いわゆる我々が言っておりますのは、河川管理者から出ました河川管理基本方針、これには、住民への公告縦覧を義務づける、そしてそれによって意見書が出た場合は、その意見書を添えて水系委員会の判断を仰ぐ、判断というよりも審議と建議をいただく、そういうことによって、いかに住民が参加する担保というものを確立していくかということを考えてまいりました。  そしてまた、こうした審議の過程、あるいはどういう方がどういうことを発言されたか、こういうことに関しては常に公開をする。そこで用いられた資料等についても公開をする。当然そこには関心のある地元住民の方や報道関係の方も来られるでしょう。  決してこれがすべて我々が理想とする方向に行くとは思いませんけれども、あるときは河川環境に負荷を与える行為に対してはブレーキにもなるでしょうし、運用によってはこれはアクセルにもなり得る。そういうことをあえて織りまぜた上で総合的に判断をしまして、水系委員会というものを設ける。そして審議なり建議なりを河川管理者の方に重要な執行の判断としていただく、そういうことを我々としては訴えてきたつもりでございます。  我々が理想とします河川具体的な、現実的なステップの一歩として我々は今回提案をしたわけでございますが、繰り返しになりますけれども、どうぞ委員の皆様方の御良心といいますか、御判断、ぜひとも仰ぎますようにお願いを申し上げたいと思います。  ありがとうございました。
  184. 中西績介

    ○中西(績)委員 今お二方から述べられましたけれども、これに対して、建設省の方から何か意見がございますか。
  185. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 民主党におかれましての大変御苦労されました御努力に対しては高く敬意を払いたいと思いますが、ただ、非常に気になりますのは、本日の論議の中で私も御答弁申し上げましたけれども環境はもちろん大事でございます。しかし、人間の命がやはり一番大事であるというこの視点、治水また利水、この視点を外した河川行政は私はあり得ない、このように思いますし、また、住民の方々の御意見を聞くことは大変大事なことでございます。  しかし、水系委員会というと、二千七百というようなそうした委員会を全国につくり上げるということが、現在の行政の簡素化を含めて行政効率が求められておるときに、果たして実際にこれが現実的に機能するのかどうかというような問題を含めまして、大変な御苦労をいただいた案ではございますけれども、私どもとしては現実的なものとして評価することが残念ながらできない、このように考えております。  なお、私どもは、住民の意向はもちろん尊重しながらやりますけれども建設省の役人も現場で血みどろになってその地域をどう守っていくかということで努力をしておるわけであります。建設省は自分たちのためにダムをつくったり堤防をつくるわけではございません。同じ日本人同士として、役人の努力に対してやはり信頼を置いていただくこともぜひお願いを申し上げたい、このように思うわけでございます。
  186. 中西績介

    ○中西(績)委員 終わりますが、いずれにしましても、今大臣おっしゃいましたけれども住民意見なりあるいは主張なりを、今までは、反対をする、あるいは住民意見というと絶えず拒絶的な態度というものがあったために、大変な誤解を招いておるということは事実なんですね。  ですから、やはり両者の主張がございましたように、この点をどのように調和をとり、これからの行政を進めていくかということが極めて重要でありますので、その点を十分お考えいただくことを最後に申し上げまして、終わります。
  187. 市川雄一

    市川委員長 次回は、来る九日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十七分散会      ————◇—————