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1997-04-18 第140回国会 衆議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月十八日(金曜日)     午前九時三十分開議 出席委員   委員長 市川 雄一君    理事 赤城 徳彦君 理事 遠藤 利明君    理事田野瀬良太郎君 理事 中島洋次郎君    理事 太田 昭宏君 理事 増田 敏男君    理事 石井 紘基君 理事 中島 武敏君       井奥 貞雄君    金子原二郎君       佐藤 静雄君    高市 早苗君       橘 康太郎君    谷畑  孝君       玉沢徳一郎君    東家 嘉幸君       中山 利生君    萩山 教嚴君       渡辺 博道君    赤羽 一嘉君       岩浅 嘉仁君    岡島 正之君       樽床 伸二君    西川 知雄君       西野  陽君    山本 幸三君       葉山  峻君    辻  第一君       中西 績介君  出席国務大臣         建 設 大 臣 亀井 静香君  出席政府委員         国土政務次官  井奥 貞雄君         林野庁長官   高橋  勲君         建設政務次官  佐藤 静雄君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設大臣官房総         務審議官    村瀬 興一君         建設省河川局長 尾田 栄章君         建設省道路局長 佐藤 信彦君  委員外出席者         建設委員会調査         室長      白兼 保彦君     ————————————— 委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   蓮実  進君     橘 康太郎君   松本 和那君     渡辺 博道君   赤羽 一嘉君     西川 知雄君 同日  辞任         補欠選任   橘 康太郎君     蓮実  進君   渡辺 博道君     松本 和那君   西川 知雄君     赤羽 一嘉君     ————————————— 四月十八日  河川法の一部を改正する法律案内閣提出第五  七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六四号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 市川雄一

    市川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西川知雄君。
  3. 西川知雄

    西川(知)委員 おはようございます。西川知雄でございます。  きょうは、今の五カ年計画、それから緊急措置法の改正、これについて私からまず質問をさせていただきたいと思います。  そこで、一つだけ、質問に入る前に、昭和三十五年、こういう発言が大臣の先輩である村上大臣からあったことを御紹介したいと思います。ある質問お答えになりまして、大臣がこう答えられました。  まあ、私どもから考えますと、御指摘のように、この治山治水緊急措置法案というものは重要法案であろう、かように思っております。従いまして、あるいは本会議でこれを取り上げて、本会議で一応その提案理由説明をするものじゃないかと、私はこう思っておりました。次がなかなかおもしろくて、ところが、これは国会対策議運法案の取り扱いは全部やっておりますので、別に議運の方でもこれを本会議で取り上げるということが、多少議題にはなったように聞いておりますが、しかしまあ、その必要もなかろう——と申しますのは、大体大きな問題ではありますけれども、ほとんどこれは各党みなこれにあまり疑義をはさむものもないのじゃないかという点、まあ超党派的に治山治水緊急対策というものはやらねばならないというようなことから、これが委員会にそのまま付託になったのじゃないか、こう思っております。 これが一番初めにできたときの大臣答弁でございまして、本会議でも取り上げてもいいほど非常に重要な問題であるというふうに昔から言われている。  これは第九次治水事業五カ年計画でございますから、第一次、第二次、したがいまして、第一次の精神を引き継いで第九回目になっております。そこで、第九次についてまずお尋ねをいたしたいと思います。  これは、亀井建設大臣は、それは間違いだとか、おれは知らないと言われるかもしれませんが、きのうの日経新聞、そしてきょうの日経新聞記事の中でも公共工事の、また公共事業のことについて記載がありました。特に、きのうの日経の「公共事業長期計画 一律二年間延長」という記事が載っております。私、実は大蔵省建設省事務方の皆さんにこれは本当かということをお尋ねいたしましたところ、そんなことは知らぬというふうにおっしゃっておりました。  ところで、世間の流れはこういう流れでございますけれども、と私は理解しているのですが、この第九次治水事業五カ年計画、これを見せていただきますと、実は、第八次の計画総額で十七兆五千億、第九次の五カ年計画が二十四兆になっております。そして、治水事業費、これが十兆九千から十一兆六千、災害関連地単が四兆百億から六兆、調整費が二兆五千九百から六兆四千になっております。  一応説明を聞いて、いろいろと、例えば治水事業については実績が一〇四%である、そしてその四%分については本来調整費のところで調整すべきところを、それも最終年度に当たるので調整をしていない等々の議論を聞きます。  それは一応基本的にはわからないことでもないのですけれども、今、国会の中で建設大臣にも私は予算委員会でも何回か御質問させていただいたときに、これからの見直しも、公共事業のことについては、まだ見直すとは決定していないけれども、見直すことも頭に入れて十二分に検討していくというふうに非常に慎重な態度をとられてきたわけでございます。  ところが、今申しましたように、こういう重要な法案である。しかも重要な計画である。ところが、八次と比べて九次は非常にふえておる。そして、新聞では調整費も含めて総額が決められますというふうに書いてありますので、国民は、十七・五兆から二十四兆に、これだけふやすのか、一体何なんだ、こういうような気持ちになると思うのです。まずこの辺のお考えというものを、簡単で結構でございますので、大臣の方から、なぜこういうような今の状況のもとで二十四兆というふうに、十七・五兆から大幅にふえる、そういう計画策定されたのか。  また、策定されるのは、実際には河川審議会のいろいろな審議を経てから、九月ごろとか、それぐらいに閣議決定されるのでしょうけれども政府案としては一応そうなっておりまして、パンフレットもつくられておりますから、まずその辺のところを簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  4. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員が、公共投資社会資本整備は長期的な視点でなされるべきという御観点からだと思いますが、古い古いそうした議事録までお調べになられた上での御質問大変敬意を表するわけでありますけれども、私どもといたしましては、九次につきまして、二十四兆というのは満額財政当局が了承したものではございませんで、値切られたわけでございまして、値切られて二十四兆になったわけでございまして、私はそのときの閣僚折衝で、将来これを見直すこともあり得るという留保条件つきで承諾をしたわけでございます。  そういう意味では、まさに治山治水国民の生活を守る上において基本的なことであります。我が国の整備が万全であるとは言いがたい。そうした中で、この二十四兆が我々としてはもう万々歳の額だ、このようには考えておりません。  ただ、このたび五原則を総理もお示しになられまして、財政再建ということの中で、これを今後どういう形で具体的に各年度予算等において取り扱っていくかという、そうした今後の問題はございますけれども、私どもは基本的には、この二十四兆というのが万々歳の、認められたというふうには考えておらぬわけでございますので、そのように御理解をいただきたいと思います。  なお、新聞報道でということでありますが、マスコミ等が勝手に議論をされるのは自由でありますけれども、あたかもそれが政府の意思であるがごとく報道するということは、報道機関責任において極めて不適切である、私はこのように思います。
  5. 西川知雄

    西川(知)委員 一応御説明は承りましたが、こういうことは具体的に話さないとなかなかわかりませんので、具体的に若干御質問をいたしたいと思います。  建設省の方から「第九次治水事業五箇年計画策定に向けて」というのが出ておりまして、その中でいろいろな「基本目標」というのが掲げられていることは、大臣御存じだと思います。  そこで、例えば「河川」につきましては、例えば五年から十年に一回起こる洪水、はんらんを防止するために必要な面積が約三万八千平方キロメートルある。これのはんらん防御率を約五割から約六割に変える。この五年間でそれだけにする。また、例えば「水資源開発」については、安定した給水人口を約四千五百万人から六千五百万人にする、こういうふうに書いてあるのです。そして、四項目ありまして、「河川」「土砂災害対策」、「水資源開発」「うるおいのある水辺空間」、こういうふうに四つに分かれているのです。  この計画は、一応予算ではございませんけれども、また後で御紹介いたしますが、極めて予算に正確に反映され得るものである。しかもその予算というのは当然のことながら国民お金である。これを大切に使うというのは建設大臣も重々おわかりのことだと思うのです。そこで、こういう計画を立てられて二十四兆だと言われるのであれば、綿密な、正確な計算というものがなされたのではないかというふうに私は考えており、それが普通の考え方だと思います。  そこで、お尋ねしたいのは、このはんらん防御の率を約五割から約六割に上げることについて、その二十四兆の中で大体幾らぐらいの予算を組んでおられるのか。これは非常に重要な問題ですので、大臣からお答え願いたいと思います。
  6. 尾田栄章

    尾田政府委員 個別の数字お尋ねでございますので、私の方から御説明をさせていただきたいと存じます。  ただいま先生御指摘の「基本目標」につきましては、「河川」、「土砂災害対策」「水資源開発」「うるおいのある水辺空間」という四つ基本目標を置いておるところでございまして、それぞれ、「河川」につきましては六兆六千億円、「土砂災害対策」については一兆四千億円、「水資源開発」については一兆四千億円、「うるおいのある水辺空間」については五千億円という形で考えておりますが、これらの間には相互にダブりもござひますし、また、今申しました数字がすべてをカバーしておるわけではございませんで、「基本目標」として大きく掲げるに値するそういう大きなものを拾い上げて、特別にくくり出して申し上げると、今申したような数字になるわけでございます。
  7. 西川知雄

    西川(知)委員 そこで、今のは数字の問題だから、河川局長お答えになるというのもちょっとおかしな話で、さっき、国民税金をどれだけ五年間で二十四兆使うかということで、これは極めて大きな問題なので、本来は大臣からお答え願うべきような性質の問題だと私は思っておりますが、次は河川局長お答えになって結構でございます。  亡の詳細を見ますと、いろいろな数字が載っております。  例えば、「ゼロメートル地帯堤防耐震強化」というので、「約六百キロメートルの堤防耐震強化実施」します。それから、「都市山麓グリーンベルト整備」、「土砂災害の発生の危険性が高い都市域のうち、緊急に整備が必要となる約二十都市域山麓部約二百四十キロについてグリーンベルト整備を進め」る等々、いっぱい数字が出てくるのです。  それで、建設省の担当の方に聞いたところ、これは箇所づけしているはずだ。箇所づけというのはちょっと正確ではございませんが、大体積み上げ方式でやっているはずだから、どことどこの地域をこういうふうにやるど、大体ここで幾らかかるかが総計で十一兆六千となる、こういうふうなことが当たり前のはずであるというふうに申し上げたところ、いや、それはまだ決まっておりません、大体のことですと、こうおっしゃる。  そこで、私はそんなはずはない、正確な箇所づけというのは、その地域、その場所によって、時期によって違ってきますから、これは構わない。しかし、こういう二十四兆ものお金を五年間で使うのであれば、その基礎となるデータというものは精査をして、そしてそれは十分に検討されているはずだと私は思うのです。  それで大蔵省を呼びまして、そして、どうなのだ、建設省はこう言っているけれども本当かと聞いたら、いや、そんなことはありません、全部資料をいただいて検討をしております、こういうふうにおっしゃいました。これから毎年の予算において具体的な箇所づけはするけれども、それは当然の話です。こういう話を聞いて、私はどっちが本当なのだろうと思ったのです。  河川局長、出番ですけれども、今言った大蔵省の説と建設省の説とどっちが正しいのでしょうか。
  8. 亀井静香

    亀井国務大臣 河川局長にかわって私がお答えいたします。  これは委員承知のように、長期計画を立てる上において、やみくもにヤマカンでやらないことは当たり前の話でありまして、全国、地方に地建がございます。そういうところが自治体ともちろん十分協議をしながら、危険な箇所等を含めて、これは緻密な検討をしておるわけでありまして、ただ問題は、それを、優先順位を含めて、先ほど言いましたように、建設が必要だというのが全部いただければ何のことはないわけでありますけれども、各自治体地域住民からの必死の要望に対しても、やはりそれを直ちに満足させるわけにはいかない、そういうことでありますから、具体的なそういう箇所を単年度予算の中できっちりと決める前に出していきますと大混乱になります、はっきり申し上げまして。  そういう意味では、そういう各箇所について、事前に、いや、黙っておくからおれにだけ教えろとおっしゃるかもしれませんが、そういう形で議会の審議過程の中にそれを出していくということは事実七難しいということを建設省という立場では言っておるわけでありまして、大蔵省としては当然要求過程の中で、こういう必要性がありますから二十四兆になるのですよという説明資料としては出していることは当たり前のことでありまして、これは立場の違いでございますから、大蔵省自治体との対応に責任を持ってやってくれるわけではない、我々の要求を削るわけでございますから、そのように御理解いただきたい。
  9. 西川知雄

    西川(知)委員 ということは、大臣、本会議でなくてもいいですけれども、例えばこの委員会に二十四兆の基礎となる資料は出せないというふうに理解してよろしゅうございますでしょうか。
  10. 亀井静香

    亀井国務大臣 我々といたしましては、御審議をいただく上において必要な資料は、我々は極力お出しをする、オープンにやっていくというのが方針でございます。  ただこれは、さきの予算委員会でもこの点がいろいろ問題になったわけでございますけれども自治体地元住民との間で、いつやってくれるの、ああ、そのうちというような形で折衝しながら進んでおることでありますから、それを、箇所が決まる前にお出しをするということはなかなか難しい。  なお、しかも我々としては必要がある、このように考えましても、地元住民の同意がなかなか得られないという場合もあるわけでございまして、そういう意味では、計画変更をしていかなければならぬ場合も出てくるわけでありますので、箇所を我々としてはやろうといってそれを全部出してしまった場合、場合によっては、反対運動が我々の知らぬところで、我々の了解も得ないで勝手に建設省が決めちゃっているという反発も生まれるわけでございます。  それは、委員もかつて建設省エリート役人であられたわけでありますから、その間の事情は、私は御承知の上で質問しておられるのかなと思うわけでございますが。
  11. 西川知雄

    西川(知)委員 また、昭和三十五年の参議院建設委員会議事録を、ちょっとしつこいようですが、持ってきましたので、ちょっと政府答弁大蔵省答弁でございますが、主計官がこういうふうなことを言っておられます。  五カ年計画ということは、その事業内容等につきましても、相当詳細に決めなければならぬではないか、こういうふうに考えております。「で、そういう場合におきまして、これが閣議決定になり、そうして認められて、予算要求という形に現われるということになりますると、これは、水系別河川状況自然条件が変化したとか、あるいは特別の事情があって、計画変更を必要とする事態がありますれば別でございますが、通常の場合であれば、当然その計画に基づきまして、予算要求が出ることと思います。こういうことに対して、私どもが当然賛成いたすことは言うまでもないことでございまして、」こういうふうに主計官が言っているんですが、「現に、道路整備五カ年計画に基づく予算査定等をごらん願いますれば、ほとんど全部が、要求通りになっておるわけでございまして、そういう点は、私ども十分心して参りたいと、こういうように考え」ております。  ということは、昔、今手ごわい大蔵省も、五カ年計画というのは基本的に詳細に決めなければならない。そして、現実としてその計画予算化されると、よっぽどのことがない限り、その五カ年計画というものはこの五カ年間の予算なんだ、こういうふうに言っておるわけです。  したがいまして、今二十四兆の積算根拠をなるたけ出すけれども全部は出せない。私が申し上げているのは、これから実際に箇所づけをするところの場所を全部出せと言っているわけじゃなくて、二十四兆円という五カ年計画策定したときの基礎資料というものを、当然のことながらそういう状況からはお出しになるべきであって、また説明をされるべきである、私はこういうふうに思うんですが、大臣の見解をもう一度お尋ねしたいと思います。
  12. 亀井静香

    亀井国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、御審議に必要なそうした資料は、極力私どもとしてはお出しをしたい、このように考えておりますので、そのように御理解いただきたい。ただ、先ほど申し上げましたような事情で、個々具体的な箇所まで全部お出しをするわけにはいかない行政上の事情があるということも御賢察を賜りたいということを申し上げます。
  13. 西川知雄

    西川(知)委員 よくわかりましたので、それでは折衷案といたしまして、ここの「五箇年計画策定に向けて」というところでいろいろとこういう数字が出ております。これがどういう数字で、どういう根拠で出されたのか。それは非常に重要な数字でございますので、ぜひお出しいただきたいと思いますが、それについての御確認をお願い申し上げます。
  14. 尾田栄章

    尾田政府委員 先ほど来、第一次の計画がつくられた昭和三十五年時点国会での議論のお話が出ておるわけでございますが、当時、三十五年当時は、公共事業直営工事実施をいたしておりました。すなわち、建設省におきまして、すべての工事現場において、労務者をみずから雇い、そして工事実施をする、そういう形でございました。  個別の箇所にどういう形で進めていくかということは、これはそういう意味合いでも大変重要性を持っておった時期でございます。それ以降、昭和三十六年以降、直営から請負に変わるという中で、個別の箇所議論は、従前とはそういう意味合いでは違う重みを持ってきたかなというふうに思っております。  それから、高度成長期に入りましてから、土地利用が非常にスプロール化して広がってくる。そういう中で、当初計画した箇所についてもなかなか思うように——当初計画したものと違うところで土地利用が始まる。あるいは、治水計画必然性としまして、出水が起こりますと、当初計画したのと違う形でやはり運用していかざるを得ない。そういうような事情もございます。箇所ごとの積み上げというものの持つ意味合いというのは、総体的に減ってきているのではないかなというふうに存じております。  それで、今お尋ねの個別の、パンフレットに書いているものの基本的な考え方はどうかという点でございますが、堤防耐震対策のところでの六百キロメートルはどういう形で考えておるかということで申しますと、耐震点検実施をいたしましたゼロメートル地帯堤防で、耐震性向上対策が必要であるというふうに考えました堤防のうち、非常に重要性の高いもの、要するにゼロメートル地帯平均満潮位より一メートル下とか、そういう条件で個別に拾い出したものでございます。
  15. 西川知雄

    西川(知)委員 私、ちょっと途中で失礼するんですけれども、私が申し上げたいことは、その個別の、今ここでとうとうと説明していただいたら五時間ぐらいかかるんで、それは不要なんです。  私の質問は、今六百キロの御説明をされ始めました。多分それは、六百キロは何で六百キロになったかということを御説明願えるんだと私は思うんですが、ほかのことについても、何でそういうふうになったかという根拠出していただけるんですね。ということで、これは簡単にイエスかノーか、それでお答え願いたいと思います。
  16. 尾田栄章

    尾田政府委員 この法律案を可決、成立をしていただきますと、その上で閣議決定という形で五カ年計画策定を行うわけでございます。そういう中で、個別のそういう重要な施設についての基本的な考え方については、その時点でお出しをいたしたいというふうに考えております。
  17. 西川知雄

    西川(知)委員 私の質問は違った質問であるということは、大臣、おわかりだと思うんです。私は、今ここで国民の代表として、国民が納めたお金税金をどういうところにどういうふうに具体的に使うのが重要か。しかも、治水五カ年計画というのは、先ほど申し上げましたように、実際は、その五カ年計画内容を尊重して、よっぽどのことがない限り予算化している。経済財政状況が変わったらこれは別かもしれないけれどもという前提のもとでやっている重要なものです。  したがって、村上国務大臣も、昭和三十五年のときに、極めて重要な法律である、こういうふうにおっしゃりたわけです。ですから、閣議決定してから、九月にそういうことを公表しますということを私は聞いているんじゃないんです。今ここの審議は、審議過程の中でこういう二十四兆というそういうものがパンフレットまでにされて、そしてみんなに配られているんです。じゃ、これがどういうふうに我々のお金が使われているんだろう、二百五十キロも要るの、例えばこの堤防ですね。そのときに、いや、二百キロでもいいんじゃないか、三百キロでもいいんじゃないかと素人なら考えるんです。  そのときに、こういう理由でこうなりましたということを説明いただかないと、審議しろといっても、これがいいものかどうかといっても、これはさっぱりわからないということになるんで、私は決まった箇所をそれぞれ教えろ、そんなことは言っていないんです。ここに書いてある計算根拠、二十四兆の根拠というものをちゃんと、全部というんじゃないんです、大まかなところを言ってくださいと言っているのですが、これはできるんですか、できないんですかということをお尋ねしたいんですけれども大臣
  18. 亀井静香

    亀井国務大臣 先ほどからも申し上げていることを聡明な委員におかれまして御理解いただけないのでちょっと私は戸惑っておるわけでありますけれども、この法律は五カ年計画策定することをお認めいただくということでございまして、その中身につきまして、これは今から御承認をいただいた後、きっちりと単年度それぞれどうやっていくかというようなことを含めてやっていくわけでありますから、その審議過程の中で今後、この建設委員会は永遠でございますから、その過程の中で逐次これは御質問があればその中身について我々としてはできるだけ、あとう限り資料もお出しをしていくということであろうと思いますが、現時点におきましては、二十四兆についての、今局長から申し上げましたような積算基礎につきまして御説明申し上げるものはできるだけ御説明申し上げたい、このように思っておるわけでございます。
  19. 西川知雄

    西川(知)委員 聡明な亀井建設大臣が私の、最初に何で私が村上国務大臣の発言を引用したかということをおわかりいただけると思って質問をしたわけでございます。  すなわち、今は、形式的に言えば、法律を今度変えて閣議決定をするということを認めてくださいということなんですけれども、それにつきましては、単にそれだけの話じゃないんですよ。これは非常に重要な法案であって、そして本会議でやってもいいようなものだというふうにこの第一次の、ですから、私はこれは第一次と言っていましたでしょう、これは九次なんですから。第一次のそういう計画策定するときに大臣答弁されておるんです。本会議でもやっていいようなものだ、だけれども、これは超党派的にやらないといけないんじゃないかというんで、委員会でもいい、こういうふうに言ったんです。  しかもおもしろいことを言っているんですよ。「ほとんどこれは各党みなこれにあまり疑義をはさむものもないのじゃないかという点、」を考えてと言っているんですが、本会議でも、御存じのように、そして私も若干疑義を持っているわけです。じゃ、疑義を持っているんであれば、この答弁を見れば、本来本会議でやるべきものだというように考えてもいいということで、私は法律議論としては建設大臣のおっしゃることはよくわかります。  だけれども、実態を見てみれば、これはこの場所で、じゃ、逆に言えば、閣議決定じゃだめだ、例えば、もっとこれを国会の中で議論してもっと違う場所でやらないといけない、閣議決定じゃだめだ、そういう話にもなるんですが、それは余りにも抽象論的なんで、私はここで申し上げるつもりはないんですけれども閣議決定をしてもいいようにちゃんと建設省の中で二十四兆というものをぴしっと計算されているんですね、そういう確認のために私は御質問をしたわけです。  そこで次に、質問しても回答は同じだと思いますので、違うことを質問します。  調整費というのがあります。これは第八次五カ年計画では二兆五千九百、第九次では六兆四千になっています。これはもうすごい倍率なんです。そこで私は調整費というものを第一次から全部調べました。昔はこれは予備費と言っていましたが、第六次から調整費になっております。六次は九千九百、七次は二兆三千六百、八次は二兆五千九百、そして第九次は六兆四千億です。  大臣、これは調整費というのは、私は説明を何十回聞いてもよくわからなかったんですけれども、万が一に備えるために置いてあるんだと言うんですが、じゃ、万が一に備えるために置いてあって実際使われたかというと、本当に使われたのは第七次の八千億だけなんです。先ほど申しましたように微調整はあります。達成率は一〇四%だけれども、四%は本来調整費の中に入れてもいいんだけれども、入れていないということもわかります。  だけれども、それにしても、こういうふうに使われていないのに六兆四千という、八次は使われていない。それを六兆四千まで上げる。これは一体どういうことなんでしょうか。阪神・淡路大震災のとき、そういう大災害に備えるといっても治水関係は二千億しか使われていないんです。そして、その復旧のために治水治山、ほかを含めて九千億のものが処理されましたけれども、六、七、八、それから九、六年の補正から。ですけれども、それだって全部が治水のために使われたって一兆一千億です。  これは何で二兆五千九百から六兆四千までになったのかということを御説明願いたいと思います。
  20. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま調整費についてのお尋ねでございますが、確かに、治水の五カ年計画におきます調整費につきましては、従前から増加傾向にございました。特に第八次と比べて第九次が六兆四千億と大きいのは、まさに事実でございます。  これを他の五カ年計画と比べてみますと、例えば都市公園……(西川(知)委員「それは全部知っていますからいいです」と呼ぶ)につきましても二三%を見込んでおりますし、そのほか一〇%台あるいは二〇%台というものがございます。そういう中で、私は治水事業については特に調整費必要性が高いものと認識をいたしております。  先ほど先生の方から阪神・淡路の大震災の事例が出ましたが、このときは河川の被害は淀川の左岸堤防が陥没をした、これも確かに大きな被害でございましたが、河川自体が被害を受けたというものではございません。  例えば、こんなことがあっては困るわけでございますが、淀川あるいは利根川が破堤をする、そういう大出水に見舞われるということになりますと、それに関連をして必要になるという改修費は数兆のオーダーに上がるというふうに考えております。  そういう意味合いで、一たん火急の事態が起こった事態にあらかじめ備えておくということは、天然現象を相手といたします治水事業においては、やむを得ざるものというふうに考えておるところでございます。
  21. 西川知雄

    西川(知)委員 それは河川局長、違うんですよ。こういうことが私は事実じゃないかと思うんです。  先ほど亀井大臣がおっしゃったように、十一兆六千とか、それから六兆、治水事業とか災害関連事業、その費用というものは、財政のこともあってそれだけ満額とれない、これは当然のことであ ると思うんです。  そこで、本来は、私の調査では二十四兆以上の工事を、工事と言うとおかしいですけれども治水事業をやりたかった、ところが、大蔵省等が認めてくれない、それで認めてくれたのは、ここに書いてある十一兆六千と六兆でした。だから、残りの部分の六兆四千というのは、本来五カ年計画の要望として出したもの、それと本当お金をつけてくれたものとの差である。だから、予備費とか調整費とはいうものの、場合によっては、緊急じゃない大幅な、物すごい災害が来るということを別としても、今の能力では十一兆六千しかできないかもしれないけれども、もっとできるようになったら二十四兆まではふやしましょう、こういう話なんですよ。  したがいまして、私がなぜこんなことを言ったかというと、そういうことを正直にぴしっと国民の前に言っていただければ私は何の問題もないと思うのですよ。さっきから申していますように、国民の血税を使って、そして本当に五カ年計画を立てる、そしてそれが予算化されてくる、そうした場合に、この五カ年計画というのは極めて重要であって、本来ならば閣議決定なんかするようなものじゃなくて、もっと国会の場で審議するようなものである、こういうような程度に重要である。そうしたら、調整費というのはどんなものかとか、何でこういうふうになっているのとか、その大体の根拠は何だとか、そういうことを明確に説明をできる、またする、したっていいのですよ。  私がいろいろなことを聞いたときに、全部違った答えだった。だけれども、私は、裏づけ資料をとって、こういう昔からの議事録もとって、そして勉強させていただいたら、ちょっと違うなと思ったのです。  だから、私が申し上げたいことは、そういうふうに根拠、それから情報が公開できるものは、さっき大臣がおっしゃったように、なるたけ公表する。公表したっていいのですよ。後で問題が起こるよりも、公表してもうパンフになっているもの、そういうものは公表する、そういうことを私はお願いをいたしたいと思うのです。  そこで、本来は、一時間であればもう少し大臣とのお話が……(亀井国務大臣「まだあと三分あるよ」と呼ぶ)まだ三分あるのですけれども、三分間はお答え願いたいので……。  今のような基本的な考え方、すなわち、ここに書いてある数字根拠、そして何で六兆四千という調整費が出てきたのか、そういう根拠を私は大体わかっているつもりなんですが、ぜひその限度においてまずお示し願いたい、こう思うので、これはぜひ大臣からお答えを願いたいと思うのです。
  22. 亀井静香

    亀井国務大臣 先ほどから委員の御質問を聞いておりまして、ちょっと違うとおっしゃったのですが、私はほとんど違わないのじゃないかなと理解しています。  切り口といいますか、おっしゃるように、現在の予算制度は単年度主義ですね。単年度主義との観点で、国会審議と行政権のあり方、そういう問題も私は委員の御指摘の中には絡んでくるかと思います。  我々は、まずそうした五カ年計画をつくる根拠をこの際お与えいただくということでもございますから、そうした中で、では、どうした中身をつくっていくかということにつきましては、これはある面では行政権の固有の権限、しかし、それは委員会において国会からの御理解をいただくという過程をとりながら、単年度予算についてはもちろん国会での御審議をきっちりといただくというようなそういう手続になっていこうかと思いますけれども、何度も申し上げますように、我々は隠すつもりはございません、何の意味もありませんから。できる限り私どもは皆さん方の御審議に必要なものはどんどん出していくというのが基本でございます。何も隠すメリットは建設省にはございません。  ただ、個別に先ほども申し上げましたようなことについては御理解のとおりでございます。また、どんどんと必要な資料は言っていただければ、局長、どんどん出すはずでございます。
  23. 市川雄一

    市川委員長 西川君の質疑時間はもう終わっておりますので、簡潔にお願いします。
  24. 西川知雄

    西川(知)委員 簡潔に。  それでは、この具体的な資料はきょうはお出しいただくことができないということでございますが、大臣、せっかくことしの九月まで、またここに来て質問をすれば出してやるというようなニュアンスを私今聞きましたので、ぜひその線でよろしくお願いを申し上げます。  では、私の質問を終わります。
  25. 市川雄一

  26. 中島武敏

    中島(武)委員 治山治水五カ年計画について大臣にいろいろお伺いしたいのですが、その前に、ちょっと確かめておきたいことを河川局長に伺います。  建設省それから林野庁からもらった資料に載っております第九次治山事業五箇年計画、それから治水事業五箇年計画、ここに掲載されておりますものを見ますと、投資規模、それから目標等が書かれておりますが、この性格について伺いたいのです。つまり、いつ、どこで、どのようにしてこれが決められたものなのか、それからまた、これは閣議決定するためのたたき台かなと思うのですけれども、そういうふうに理解してよいのかという点、この点について、まずお答えいただきたいと思うのです。
  27. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま先生お尋ねの、いわゆるパンフレットに掲げておる基本目標等々の性格はどういうことかというお尋ねでございますが、この五カ年計画につきましては、本日御審議をいただいておりますこの法律案が可決、成立をさせていただきました暁には、閣議決定という形で五カ年計画を定める、河川審議会の意見を聞いた上で定める、こういう形になっております。  そういう閣議決定に向けて、昨年末の政府原案を作成する時点で財政当局と私どもの間で合意を見た内容が、総額二十四兆円、公共投資十一兆六千億円というものでございます。その具体の内容の、今先生おっしゃいましたある意味ではたたき台と申しますか、そういう性格のものというふうに御理解をいただければと存じます。
  28. 中島武敏

    中島(武)委員 もう一つ、これもちょっと河川局長に伺っておこうかと思いますが、結局この基礎には対米公約である六百三十兆円、今も触れられましたか、触れられませんでしたな、公共投資基本計画、これがあって、これをもとにして大蔵当局との間で合意をされているもの、そういうふうに理解していいですか。
  29. 尾田栄章

    尾田政府委員 公共投資基本計画との関係で申し上げますと、私ども治水投資として現下の状況で五二%という暫定目標、五十ミリ対応に対しても五二%という状況に対して、幾らでも予算が欲しいというのが偽らざるところでございますが、今先生御指摘ございました公共投資基本計画あるいは財政の状況等々を勘案をした上で財政当局と合意をしたものでございます。そういう意味合いでは、公共投資基本計画とも大筋で沿っているものというふうに理解をいたしております。
  30. 中島武敏

    中島(武)委員 今説明があったところから非常にはっきりしていると思うのですけれども、この二十四兆を決めるに当たっては、一番大事な問題として初めにこの公共投資基本計画ありきというようなところから出発をして、できるだけ多くということでいろいろと折衝されたというわけなんですね。実際にどれだけが本当国民生活の上で、治山事業にしても治水事業にしても、必要なのかということを大いに積み上げて、こういうふうにしたい、こういうふうにやるのが私は本当ではないかなと思うのです。  それからもう一つは、やはり閣議決定されたものを、中身も含めてこの国会にこの法律と一緒に提案をして私たちが審議できるようにするというのが、大臣本当ではないのかなと私は思うのですね。  やはり、さっきから議論にもなっておるようですけれども、情報も大いに公開をする、それから、総額はもちろんですけれども、主な事業内容とかそういうものをはっきり一緒に出して、それで国会審議にかける。非常に大事な問題なんですから、閣議決定に任せてしまうというやり方ではなくて、そういうふうにやるべきではないか。今度はそういうふうに出ていないのですけれども、これは大臣の方に伺いたいのですが、どうなんですか、私はこういうふうにあるべきではないかと思う。
  31. 亀井静香

    亀井国務大臣 これはまず、もう委員承知のように、根拠をお決めいただくということでありますから、その根拠、権限を我々に付与をしていただくことに合わせて、我々が、必要だという必要性についての細かい積み上げの中身そのものを、この法律審議過程の中で、全部細かいことまでお出しするということができないということは、さきの委員に対する答弁でも私は申し上げたわけでありますが、大まかなといいますか、我々、当てずっぽうでやっておるわけではございませんので、そういうことにつきましては、できるだけ御質問に対してもお答えもしたいと思いますし、資料を出せとおっしゃるのでございましたら、極力これは出していきまして、こうした権限をお与えいただくことの御判断を私はいただきたい、このように思っております。
  32. 中島武敏

    中島(武)委員 この法律は、申し上げるまでもなく、五カ年計画をつくります、中身はそれに基づいて閣議で決めてください、こういう法律なんですね。  私の言うのは、やはり、何から何まで、細かいものまでというのではないのだけれども、閣議で決定したものを、法律だけではなくて中身も出すべきではないか、そうでないと本当議論にならないでしょう、こういう意見なんですね。御理解いただけたのではないかと思うのだけれども……(亀井国務大臣「どんどん聞いてくださいよ」と呼ぶ)いや、だって、中身はまだ閣議決定されていないのだから。  続けます。  この間の予算委員会で、志位書記局長が総理に質問して、対米公約六百三十兆の公共投資基本計画、この問題についてただした。これに対して、総理は、聖域はない、どういうふうにお答えになられました。  それから、さっきも議論になっておりましたけれども、三月十八日に、政府・与党の財政構造改革会議が行われて、ここで財政構造改革五原則が決定された。あらゆる長期計画の大幅削減ということがうたわれております。  閣僚のお一人である亀井建設大臣は、この五原則、そして大幅削減、こういう方向で努力をされるのでしょうね、お伺いをします。
  33. 亀井静香

    亀井国務大臣 五原則につきまして、私も、閣僚の一員として、結構でございますということで私は受諾をしたわけでございますから、その責任を全うする義務があるわけであります。  ただ、個別のそれぞれの長期計画についてどうするかということについては、やはり、国民生活を守るという観点からそれぞれについて判断をされていくべきことでございまして、私どもの担当しておる分野につきましても、そういうことについて、我々としての懸命な検討をしてまいりたい、このように考えております。
  34. 中島武敏

    中島(武)委員 ちょっと抽象的でわかりにくい、もっとずばっと言っていただきたいのですけれども、これは、文書になってきちっとしております。あらゆる長期計画の大幅削減ということを言っているのです。このあらゆる長期計画の中には治水も治山も入っていると思うのですね。  そうしますと、この点について、やはり大幅に縮減の方向で検討するのではないのですか。
  35. 亀井静香

    亀井国務大臣 そう迫られましても、私、非常に困るわけでございまして、私どもといたしましては、予算の効率的な執行、また、財政事情がこういう状況の中で、財政再建に向けて、やはりこの公共事業について、将来にわたって、もっと期間を長期化していけるものについては長期化していくという場合もあるでしょうし、また、中身につきまして国民の方々に我慢をしていただくという面も出てこようかと思いますけれども本当に、大根を切るみたいな形ではさばさとやるわけにはいかぬわけでありまして、国民生活に我々は責任を持っておる立場でございますので、今、どの長期計画をどうするというようなことを現時点で個々具体的に申し上げる段階ではございません。
  36. 中島武敏

    中島(武)委員 私たちは、何でもかんでも削れというようなことを言っているわけでもないし、大根を切るようにばさばさやってしまえということを主張しているわけでもないのです。私たちは、必要なものは大いにやらなければいかぬ、ただし、必要のないものはやめるべきである、こういう立場でこの問題を論じておるわけであります。  次に、具体的な問題、細川内ダムの問題なんですけれども、この問題について、大臣に伺いたいと思っております。  これは、私も現地調査をやりました。それから、木頭村の村長、議長を初め関係者の皆さんの意見も聞きました。それから、日本共産党の春名代議士が質問をして、そして、これに対する大臣お答えも読みました。大臣はこう言っておられる。ダム以外にという意味でしょうが、ダム以外に代替的な方法があるのかないのか、総合的に検討していく、こういうふうに述べておられます。  また、予算委員会で、私の在任中に結論を出したい、こういうふうにも非常にはっきりと言っておられます。  そこで、伺いたいのですけれども、代替案、これは、具体的にその方向が明らかになってきているのでしょうか。その点を伺いたいと思います。
  37. 亀井静香

    亀井国務大臣 現在、村長におかれましては、知事の審議会への出席要請をお断りになっておられるという非常に遺憾な事態があることは、委員の御承知のとおりでございます。  ぜひ御説得を委員においてしていただければ私はありがたいと思うわけでございまして、我々といたしましては、あらゆる意見を審議会の場でお聞きをするという、極めてオープンな、民主的な手続をダム行政についてもやっておるわけでございまして、反対だから出席しないというのでは民主主義は成立をしない、反対であれば御出席をいただいて反対の理由を天下のもとで明白にお述べいただくということが私は大事だと思うわけでありますが、そういう非民主主義的な態度をおとりになることがどうも我々としては解せないわけでございまして、私は、共産党におかれましてはぜひ御説得をいただきたい、このように陳情を申し上げるわけであります。  私は、今まで申し上げておりますように、何も建設省のためにダムをつくるわけでもございませんで、その地域住民の方の安全、そうした意味治水、あるいは、生活の便という意味で利水、そういうために地元の要望に従って我々は建設をしておるわけでございまして、そういう意味では、知事初め市町村長さん、議会の皆様方、住民の皆さん方がそれをどうお考えになるかという視点を除いて、我々が、建設省が、一時方向を出したから、これを何が何でも、雨が降ろうが矢が降ろうがやるという性格のものではないということを言っておるわけでありますが、あそこにつきましては、知事を初め各市町村長、住民の方々、大勢やはり必要だという声も非常に強いわけでもございます。一方では反対の方もいらっしゃる。  そうした中で、いつまでもずるずる結論を何十年も延ばしていくわけにはいかない。やはり、その地域の住民のために何がいい方法なんだろうかということをやはりそれぞれの時点で真剣に判断をしていかなければならないというのが私の姿勢でございますので、願わくはそうしたオープンな場に住民の代表である村長さんがお出になってお話をしていただくというそういう手続はぜひ踏んでいただきたい、このように思っております。
  38. 中島武敏

    中島(武)委員 今大臣から、木頭村長が審議会の場に出席をしないことは遺憾だ、こういう話がありました。  私はそうは思わないのです。といいますのは、今まで見直し審議会、俗な言葉ですけれども、見直し審議会が十二ですか、ありまして、そして、かなりのところが結論を出してきているのですけれども、むつ小川原関係以外は、結論の出たところは大体ゴーサインでしょう。  皆さん、一体こんなことでよいのか。つまり、見直しという形で審議会は設けられているけれども、初めから結論のわかるような構成になっているのじゃ、やはり公正な審議とは言えないという気持ちが強いのですよ。だから、そこへ出ていって意見を言えば、もう手続は一つ済んだということで前へ進められてしまうということを非常に懸念しているのですね。  だから、木頭村長は、聞くところによりますと、審議会を偶数にして、推進とそれから反対と半々にしてやってもらったらどうかというようなことも何か提案しているかのようでございます。私は、これも一理あるなと思うのですね。そういう点では、私は、やはりこの問題については本当に科学的な、公正な判断ができるような、そういう審議会にすべきなのじゃないかということを一つ申し上げておきたいと思う。  それから、きょうは時間が少ないもとでうんとやりたいと思っているものだから、そんなことを気にいたしておりますので、ちょっと続けて言わせていただきたい。  実は、私の手元に「細川内ダム建設事業の促進について」という陳情書が手に入ったのです。四月十五日付のものなんです。これは、細川内ダム建設促進期成同盟会会長阿南市長を初め連名で出されているのです。  ただ、私は、この中身を見て、これは本当なのかということをこの地元に問い合わせをしたのです。そうしたら、非常にこれは違うと言うのですね、書いてあることが。随分具体的な反論が出てきました。  簡潔に申し上げたいと思うのですけれども、ここに出されておるもの、一級河川那賀川は毎年のように洪水に見舞われている。そんなことはありません、毎年のようではありませんと。  それから、具体的に挙げられている四十六年の、一九七一年ですけれども、台風二十三号の豪雨被害、これは和食地区ですけれども、この問題について、これは確かに大きな被害はあった、だけれども、住民が逆に裁判を起こしたのです。そして、この問題について高松高裁でも非常にはっきりした結論が出されておりまして、長安ロダムの水を一気に流すというダムの操作ミスが洪水の原因となったことを推察するという結論が出ているのですね。  それから、一昨年の五月に、下流域の那賀川水系では、まれに見る局地豪雨に見舞われて、田畑、家屋等が浸水したというのです。どこが浸水したのかといいますと、これは那賀川の支流の加茂谷川だ、本流と合流するところ、そこだというのですね。  加茂谷地区というのは昔から大変低い土地で、そのために一部は川底より低い、そういうところなんです。だから、こういうところこそもう最優先で堤防をつくってほしいということを長年住民は陳情しているのですね。ところが、いまだにそういうことを何もやってくれない。  無堤防のところはもっとほかにもたくさんあると言ってきているのですけれども、吉井地区とか楠根地区とか持井地区というような名前を挙げておりますが、これはみんな阿南市なんですね。それで、ここは全部無堤防地帯なんだ。危険地域なんだ。  何で早く堤防をちゃんとつけてくれないのか、こういうふうに言って、何かダムがないからこんな洪水が起きるかのような言い方をされるのじゃ、本当に本末が転倒しているということを言ってきているわけなんですね。  それから、これはなかなか具体的なことを書いてあるから私も具体的に言うのですけれども、利水の問題でも、企業が操業停止、生産縮小に追い込まれたという問題について、これはもう日本じゅうが一九九五年、二年前のあの大変な渇水。これは何も徳島県だけじゃない、那賀川水系だけじゃない、全国みんなひどい目に遭ったじゃないかということですね。  しかも、そのときは梅雨に備えてダムを空にしておったのです。雨が降ると思って梅雨の前にダムを空にしておいた。そこへ、雨が降らないで、逆に空梅雨が続いたというような状況だったのじゃないか。  こういう点も、やはりよく現実を見て、無堤防地帯を解決するとか、あるいはさらに言えば、やはり河道の断面を拡大をしてちゃんと水がよく流れるようにするとか、受け入れることができるようにするとか、そういうことこそ一緒にやってもらいたい、こういう話なんです。  大臣、この点で、代替案について、いいものがあるかどうか、こういうお話だったのですけれども、私は、緊急に迫られていることを、無堤防をなくするとかあるいは河床断面を大きくするとかということに力を尽くすべきじゃないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  39. 亀井静香

    亀井国務大臣 私も実はダムの予定地に育ったわけでございまして、ダムの予定地にされている地域の問題というのは私なりにそれなりに承知をいたしておるつもりでございます。公共の目的のために協力をすべしということで、私が子供のころからもそうしたお役所からの説明会なりそういうものが部落の中でずっと持たれてきたことも経験もいたしております。  そうした中で私、一番大事だなと思いましたのは、やはり結論を、やるならやる、やらないならやらない、そういうコンセンサスの形成を含めて、それを急いでやりませんと、ダムの予定地であるがゆえに、二重投資を防ぐというような観点から道路もつけない、また、将来の子供たちの生活設計ができないというような問題もあるわけでありまして、つくるのであればきちっとつくる、つくらないのであればつくらないという結論を早急に出していくべきだということを私自身が感じております。  そうでございますから、私は、その地域の、今委員がいろいろ具体的なことも申されましたけれども、私のところにも、利水の面でも治水の面でも具体的に、委員のおっしゃっていることとは別な具体的なデータを添えたお話も来ております。  そうした中で、最初に申し上げましたように、知事さんや市町村長さん、地域住民の方々、特にそれを代表する知事が現時点でどう判断されるか、それについてはやはり村長さんが、住民の代表ですから、出てこられなければいかぬのですよ。  そうしないと、審議会は何も多数決で決める議決機関じゃございませんから、数が少なかったからといって、多いからといって、それが結論に影響を与えるものではございませんで、ただ、そういう手続に乗ってこられないという場合は、じゃ、本当に住民の意思を村長さんが解しておられるのかなあという、そうしたことにもなりかねないわけでございますから、私は、堂々とお出になった方がいいと思います。  御承知のように、現に、建設省は昨年から四つのダムは中止を決めております。そういう意味では、現時点必要性について知事とも相談をして、やる場合あるいは計画を変更する場合を含めて総合的な検討をしたいと思っておるわけでございますから、そのようにひとつ御理解をいただきたいと思います。
  40. 中島武敏

    中島(武)委員 まず、審議会のあり方の問題については、先ほど私は申し述べました。  それから、下流と上流の意見の違いというものは、それはそれとして私はわからぬのではないのですけれども、やはり事実に基づいた陳情も行ってもらいたい。それに対して、事実に基づかないことを言って、誇大に、大きく宣伝もして、ダムは必要なのだ、これではやはり木頭村の方も気色悪いと思うのだよね……(亀井国務大臣「それは審議会の場で」と呼ぶ)  ただ、審議会は、先ほど言いましたように私の見解は述べたのですけれども、これが通過地点ということに、ゴーサインのお墨つきを与える場所にならないようにということを先ほど申し上げました。  同時に、洪水を防ぐ問題について、木頭村自身が新しい提案をやっているのですね。これは御存じかもしれませんけれども、「百年に一回規模の洪水が発生しても、細川内ダムの洪水調節により下流域の水害を防除する」という、この問題についての反論を出しているのです。  それで、もう時間がないから簡単にしてしまいますけれども、実際にはダムを幾つもつくったものだから、実測すると、下流は一メートルも河床が下がってしまっている。そうすると、ダムをつくることによって調節できるのは一メートルじゃないか。一メートルは河床が下がっているから、もう必要なくなっているのじゃないかという論も出しているわけなのですよ。ぜひひとつ、建設省としても、大臣としても、こういうものもよく見て検討していただきたい。  私も現地調査に行きましたら、非常に驚きました。小見野々ダムなんというのは、もう砂で埋まっているのだ。それで豪雨が来ると、十メートル近く水位が上がってしまって、国道が冠水してしまうのですよ。だから、ぜひ国道も高いところにつけかえてもらいたい、こういう要望もありました。  これについても大臣の気持ち、先ほど道路の問題についてお話がありましたけれども、もう一つ、こういうこともある、だからそういうところもやはり解決しなければいかぬ。砂を掘り出せばいいじゃないか。砂を掘り出したって、計画堆砂量の何倍ものスピードでたまっていくのですから、すぐまたたまってしまうのですよ。  ですから、私はそういう点について、本当にこの問題を解決しようと思ったら、やはり何といっても山に保水力が戻ってくるというような政策が必要ではないかと思うのです。今、もう山は荒れ果てていますよ。僕も行ってみて、これではだめだということですね。  私、きょう、長官も来ておられますので、お話を伺いたいと思っておるのですけれども、これは林野庁が林政審議会に出された資料なのですね。これを見て私が非常に思ったことがあります。  それは、「森林による土砂流出の軽減」というところがあって、荒廃地だとヘクタール当たり三百七トン土砂が流出する。ところが、畑、耕地ですと十五トンだ。それから、よく手入れの行き渡った森林だと二トンだというのですね。だから、本当に荒廃してしまっている山、荒廃地、そういうところの何とこれは百五十分の一ですね、山がよく手入れされていたら。  私は、やはりこういうところに目をよく向けて、そしてこういうところに対する補助も大きくするというようなことが必要じゃないかと思うのですけれども、長官、この点についてはどうですか。
  41. 高橋勲

    ○高橋政府委員 森林は土砂の流出を防ぎ、水源を涵養するという非常に大切な役割をしております。戦後一千万ヘクタールの人工造林をつくりまして林業振興ということでやってまいりましたが、ただいまこの林業が木材価格の低迷等で非常に苦しんでおりまして、森林の管理、手入れというところで、残念ながら十分な実態ではございません。  間伐が必要なのですが、間伐の実行比率も必要な面積の約半分ぐらいというふうなことでありますので、私どもとしましては、間伐の推進を徹底する、それからダムの上流における森林の保全をしっかりやるということで、治山事業あるいは造林事業を通じて推進していきたいというふうに考えております。
  42. 市川雄一

    市川委員長 中島武敏君、簡潔にお願いします。
  43. 中島武敏

    中島(武)委員 これが最後です。  今長官からもお話があったのですが、建設大臣、これは所管外ではありますけれども、やはり本当に治山や治水をきちんとやろうというふうに思ったら、山に緑を復元するということが非常に大事な一つだと思うのですね。  そういう点では、間伐あるいは枝打ち、こういう山の手入れがうんとできるようにするということは、これは過疎対策にもなりますし、雇用対策にもなるし、それから治山対策にもなるし、治水対策にもなる、あるいは利水対策にもなる、私はこういうものだと思うのです。  僕は現地を見て、あの堆砂の状況を見て、砂がたまってしまって、もう本当にどうしようもない、歩いて渡れるぐらいなものですよ。橋の橋脚を見たって、もう三分の二が埋まってしまっているのですから……
  44. 市川雄一

    市川委員長 簡潔にお願いいたします。
  45. 中島武敏

    中島(武)委員 はい。  そういう点で、最後に、ひとつ大臣お答えを願って終わりにします。
  46. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員指摘のように、治山治水は極めて重要なことであります。日本の山がもうはげ山になりかけておる。特に西日本は大変な状況であります。  そういう意味で、委員並びに所属される党におかれまして、釣り人しかいない港湾だとか農道空港だとか、そういうマイナス面ばかりを摘出されまして、公共事業とか社会資本が必要じゃないということをおっしゃらないで、ぜひひとつそうした基本的な国土保全について大事だということを声を大にして御協力賜れればありがたいと思っております。
  47. 市川雄一

    市川委員長 石井紘基君。
  48. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 石井紘基でございます。  今大臣、マイナス面ばかりおっしゃらないでとおっしゃったのですが、私、またマイナス面をいろいろ言わなければなりません。  これはいい面は確かにいろいろあって、治山治水事業というのは我が国の国土の保全にとって非常に重要な事業であります。  一方、そういう中で、私も幾つかの河川を見てまいりましたけれども、今大臣がおっしゃるように、山がはげ山になっているというだけじゃないのです。川が砂漠になっているのです。川に水が流れない、魚が泳がないということになっているわけでありまして、河川を中心とする治水あるいは治山の事業というものは極めて重要な問題であります。本来ならば、まさしく本会議でもって趣旨説明が行われ、質疑、討論が行われるべき、そういう問題だと思うのです。  そこで、こうした重要な河川事業というものについて、どのように計画策定されて、そして具体的な事業実施に移っていくのかという点が、先ほど国会審議が必要だ等々が言われておりますが、ここのところを具体的にさらに御説明をいただきたいと思います。
  49. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま先生御質問の、具体に河川事業がどういう形で進められるかというお尋ねでございます。  まず各河川ごとに、これは一級水系、二級水系それぞれでございますが、河川別に工事実施基本計画というものを定めております。この工事実施基本計画におきましては、一級水系では大体百年から二百年に一度ぐらいの大洪水、大雨に対していかに治水上の安全を確保するかということを主体に計画を決めておるわけでございます。  そういう計画を踏まえつつ、個別に、その計画では余りにもすぐ対応できない、ただ用地等を買う場合にはその工事実施基本計画で定めた河川幅で用地買収をするわけでございますが、個別の河川の改修におきましては大体三十年から四十年、これは河川によっていろいろでございますが、いわゆる五十ミリ対応ということで個別に改修計画を立てて対応していくということになります。  そういう中で、五カ年計画との関係で申します と、五カ年計画では今後五年間にどういう形で治水投資がなされるか、私ども河川治水を担当しております立場から申しますと、今本当に日本の河川状況はまだまだ整備すべきところばかりでございまして、幾らでもお金が欲しいところでございますが、経済計画との整合性あるいは財政状況等々の中で今後五カ年どういう規模の投資をするかということがその中で決まってくると受けとめております。そういうものを総合的に勘案しながら毎年の予算で個別に行う河川改修の場所が決まってくるという形でございます。  ただ、ダム等の大規模な施設につきましては、国庫債務負担行為という形の大体三年分、最大五カ年間にわたっての契約ができるという制度もございますが、基本的には単年度主義で毎年国会審議をいただいた上で事業実施しておるというのが現状でございます。
  50. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 その中で具体的な個別の事業実施をするに当たっての国会での審議というものが、これは非常に重要なんだけれども、これが十分なされないという点について、これはやはり個別の事業実施に当たってもやはり国会でもって十分情報を公開して、審議を尽くして精査して、そしてやるかやらないかということを、あるいはいかにやるかということについて決める必要があるという点は、各委員からも指摘をされていますが、建設大臣 これについていかがですか。
  51. 亀井静香

    亀井国務大臣 先ほど別な委員にも御答弁いたしましたけれども、これで根拠を与えていただいた後、河川審議会での議等もいただきながら閣議決定に至るわけでございますので、その間、当委員会も開かれるわけでありますので、一般質疑その他の中で、我々が計画策定をしているプロセスの中で、ぜひひとつ委員の方からもこういう点が大事じゃないかとか、こういう点は不要じゃないかというようなことを含めての大局的見地からの議論をいただければ、我々は計画策定の中に具体的に組み込んでいくつもりでございます。
  52. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 五カ年計画というものが出るわけですが、この五カ年計画の中で出されている数字というものも極めて抽象的でありまして、具体性がない。  そこで、それじゃ、大臣おっしゃるように私はもう少し突っ込んで伺いたいと思うんですが、この中で、まず第八次と比べて六兆五千億も事業規模がふえていることについて御説明をお願いします。
  53. 亀井静香

    亀井国務大臣 御案内のように、災害国家とも言われるような我が国の現状、御承知のとおりでございます。残念ながら、台風を制御するすべを我々は知りません。また地震発生を阻止するすべも知りません。  また欧米等と違いまして、広い豊かな大地を川が悠々と流れていくというような状況ではございません。急峻な、しかも狭い土地の中を、降った雨が短時間に急激に流れていくというそうした地理的な条件の中でどうやって国民の生活を守っていくかということになりますと、我々としては、二十四兆円じゃとても五カ年計画、その責任をすべて全うできるというほど自信は持っておらぬわけでありますが、財政当局は物わかりが悪いものですから、二十四兆ということで、私はこれも見直しをすることがあり得べしということで昨年の予算折衝では決着したわけでございますので、そういう意味では、我々は精査に精査を加えて、緊急なところから、危ないところを選別しながら進んでいかざるを得ない、このように考えております。
  54. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 二十四兆でもまだ少ないんだ、こう大臣はおっしゃるわけでありまして、そうしますと、これはどのくらいが適当なのかという気がいたします。  さらに、この中に調整費、用地費及び調整費ですか、調整費が二兆五千九百億から一気に六兆四千億にふえているわけでありますが、これは全体の規模の上積みの六割にも相当するわけです。この調整費というのは具体的に何に使うんですか。
  55. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま先生お尋ね調整費でございますが、初めの段階では予備費という名前で呼ばれておったものでございます。第六次から調整費、こういう形になっております。  調整費そのものは、河川のように一たん事があった場合すぐに対応する必要がある、原形復旧までは災害復旧で対応が可能なわけでございますが、それを超える部分、河川改修に係る部分についてはすぐに対応する必要がある、そういうことにも備えつつ、先ほど議論が出ておりますとおり、財政状況等々も含んだ上で今後この調整費については扱われていくものというふうに考えております。
  56. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 何ですか、それじゃ、内容は予備費ということですか。だから、何に使うのかということを言っているんです。
  57. 尾田栄章

    尾田政府委員 先ほど申しましたのは、今回が第九次でございますが、初めの段階では予備費という名前で計上をされておったというもの、そういうことを御説明をさせていただいたわけでございますが、調整費自体は今具体にどういうことに使うということを決めておるものではございません。  これにつきましては、今後、先ほど申しました大水系等々において大水害を受けたというような場合に、臨時に、臨機に対応できる、そのために調整費という形で盛っておるものでございまして、この調整費につきましては、治水に限らず、他の五カ年計画においても計上をしておるところでございます。
  58. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 それじゃ、突如不慮の災害が襲ってきた、そういう場合に備えて、使うか使わないかわからないけれども、とっておくものだ。  そういうことになりますと、この二十四兆円のうちの、これは六割を占めているわけですが、これは使わないでひょっとすると過ごせるかもしれない。大臣先ほど二十四兆円じゃまだまだ足りないとおっしゃいましたけれども、使わなくても済むかもしれないというようなものですか。
  59. 尾田栄章

    尾田政府委員 今先生お尋ねのとおり、調整費につきましては、そういう緊急時に対して備えておるものでございます。従前、今までの各五カ年の経過を見ましても、調整費を取りましたという形では実施をいたしておりません。ただ、第八次の治水事業五カ年計画におきましては、進捗率が一〇六%、一・〇六倍で、一般公共事業費の枠を超えて予算の配分をいただいたところでございます。  これはある意味では調整費を取りましたと同じ形でございますが、たまたま最終年度であったということもございまして、調整費を削って一般公共費に繰り入れるという手続はとっておりませんが、本来の趣旨としてはそういうことにも備えたものというふうに考えておるところでございます。
  60. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そうすると、調整費というのは使わなくても済むかもしれない。急遽災害が発生した場合には、そうすると、治山治水事業費以外での手だてという方法はあるのですか、ないのですか。
  61. 尾田栄章

    尾田政府委員 調整費につきましては、こういう額を五カ年計画の中に計上しておくということでございまして、具体に調整費というお金が担保されているものではないわけでございます。これは治水事業費そのものについても同じでございますが、治水事業費十一兆六千億につきましても、毎年度予算案の中でつけられ、国会審議を経た上で予算が決定をされて、私どもがそれを執行させていただく、こういう形でございまして、調整費につきましては、そういう必要性が生じた場合にこの枠の中で対応できるようにあらかじめ備えておく、そういう性格のものと理解をいたしております。
  62. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 それでは、六兆四千億というのは、そうした不慮の、思わざる災害がなければ使わないで済む。前の第八次五カ年計画の二兆五千九百億については使ったのですか、使わないのですか。一言でお願いします。
  63. 尾田栄章

    尾田政府委員 先ほどお答えを申しましたが、この調整費については使っておりません。  ただ、治水事業、十兆九千億を超えて十一兆五千億の実際の毎年の予算づけとしての結果が出ておりますので、そういう意味合いでは六千億、この二兆五千億余の中からそちらに回ったという形でございます。
  64. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 大体、そうした不慮の災害というか、緊急を要するものにこの予算というものは組んであるのですが、この法律そのものが治山治水緊急五カ年計画なのですね。緊急五カ年計画ということで第九次まできて、三十七年間やっている。これは一体どういうわけで緊急措置法なのですか。
  65. 尾田栄章

    尾田政府委員 治水事業の性格上、百年に一回の洪水と申しましても、これはあす起こるかもわからない、そういう現象を相手に治水事業を進めておるわけでございまして、私ども治水事業すべてが緊急な事業、こう受けとめておるところでございます。  そういう意味合いで、緊急に行うべき事業をまとめた総体を計画的に実施をする、そういう意味合いで緊急という名前をかぶさせていただいているというふうに考えております。
  66. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 今の話だと、緊急に行うべきものの積み重ねで総体があるんだ、そういうような答弁ですが、こうした、先ほど大臣がおっしゃったような、狭い国土の中で美しい自然、山河があり、海に囲まれておる、そういう大切な国土に対して、場当たり的にというような話ですね、緊急にやるべきものを積み重ねて総体が生まれるんだということでは、とてもこの法律というものはおかしなものだ。  我が国の貴重な自然を守り、そういう中で人々の生活の、水の糧を、あるいは魚介類の糧を得ていく、そうした調和のとれた治山治水の思想といいますか、そういったもの、そういった一つの思想を持って、そしてそういう中で治山治水事業というものはどういうふうに位置づけられるべきなのか、そしてそれを進めていく上では、他のさまざまな条件との兼ね合いの中で、何十年かかって、それでは水害が起こらないようにしようじゃないか、そのためにはまず五カ年計画があるかもしれない、あるいは三十年ぐらいでその考え方を示さなければならないかもしれない、また予算の決め方についても、一つ一つ、今は各年度ごとに予算をやるわけですから、そうするとその中で、十分にそのときそのときの移り変わっていく条件、さまざまな状況の変化に対応する中で、あるいは国民、住民の皆さんの意思も反映する中で、どうやってそれを進めていくかという全く逆の発想に立たなければならないのだろうと思うのですね。何か意見ありますか。
  67. 亀井静香

    亀井国務大臣 河川行政についての哲学みたいなことにも触れられておるわけでありますが、基本的にはいわゆる環境行政と相反するものではないと私は思います。  委員も御承知の唱歌にもありますように、ウサギ追いしあの山、小ブナ釣りしこの川と、美しい山河というのは、これは我々心のふるさとでもあるわけでありますから、そういうものを大事にしながら、しかし一方では、我々の生命、身体、財産を守っていくということであろうかと思います。  今緊急ということにこだわっておられますけれども、これはちょっとおかしいと思うのですよ、議員、はっきり申し上げまして。  今、一応そういう自然の脅威に対して万全の備えができているという判断に立った場合とそうではない場合があると思うのですね。我々は万全な体制がとれておると思っていないのです、はっきり言いまして。しかし、いつ台風が来るかもしれない、大災害が来るかもしれぬ、これは待ったなしでありますから。  そういう意味では、緊急にそうした状況を解消していく、万全とは言わないまでも、そうした措置をとるべきだという、そういう気持ちから緊急と言っておるわけでありまして、現時点、一応できておるからという立場に我々は立っていないのですね。であるがゆえに、急いでやりたい。  しかしながら、これは財政上の制約もあります、また施行能力の問題もあります。そういう意味で、緊急に、とにかく急いでそうした措置をとっていこうという意味で緊急という言葉を使っておるわけでございますから、私は、議員がのほほんとしておられるというようには理解いたしませんけれども、災害に対してはのほほんとしておるわけにはいかない、常に緊急という気持ちで整備をしていかなければならぬということであろうかと思います。
  68. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 大臣の御説はわかりましたが、それでは一体この五カ年計画というのは、これから一体五カ年計画とか七カ年計画というのは、よく社会主義国なんかでは予算五カ年計画でずっといきますけれども、この場合の五カ年計画というのはいつまで続くのですか。
  69. 尾田栄章

    尾田政府委員 この五カ年計画がいつまで続くかということでございますが、河川事業先ほど議論がなされておりますように、事業そのものは大変緊急性があるわけでございますが、とは申せ、ばたばたと進めるというわけにもいかない性格の事業でございます。  そういう、自然環境等々とも十分融和のとれた、共生しながら進めるということも大変大事でございまして、そういう形で進める、あるいは、河川はずっと長い期間にわたって事業を進めるということでございまして、どうも単年度だけで物を見た場合にはなかなか計画的な執行ができない、そういう性格の事業だというふうに思っております。  そういう意味合いで、五カ年ぐらい、先ほど先生がおっしゃいましたとおり、五カ年でも短いのかもわかりません。少なくとも五カ年ぐらいで物を見ながら進めていくということは、私は非常に大事なことではないかなと思っておるところでございます。
  70. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 何回続くかというような返事はなかったように思いますが。
  71. 尾田栄章

    尾田政府委員 そういう意味合いで申しまして、現在の河川整備率が、中小河川、大河川合わせまして、大体、暫定目標であります時間雨量五十ミリ対応ということで五二%ということでございます。そういうことでございますので、五年刻みで今後まだ相当期間続けざるを得ないというふうに考えておるところでございます。
  72. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 これは五カ年では短いというのはあるけれども、それは、私が言ったのは違う発想に立った話ですから。むしろ、大臣のおっしゃるような意味でいえば五カ年でも長過ぎるぐらい、緊急ということですから、ということになるわけで、そうではなくて、もっと大きな、総体の、日本の国土の中で治山治水というものの位置づけというものをやはりやる必要がありますね。ぜひそういう点を理解をしていただきたい。  まだいろいろ言いたいことがあるのですが、きょうは何か時間が、急いでいるようでありますので、それでは最後に注文だけしておきたいと思うのですが、長良川河口堰についての決算書類を私はもらったのですが、これは国土庁からもらったのですが、この中に「用地費及び補償費」というので五百三十九億円使っていると書いてあるのです。この詳細については、これは水資源公団がやったことだけれども、国土庁ではなくて建設省に聞いてもらわなければわからないというので、これについての詳しい内容を、後でいいです、出していただきたい。  それから、大井川の流域における過去の治水事業、それと、この水害の発生状況といいますか、発生経緯、そうしたものをそれぞれひとつ、きのうからお願いしているのですが、きょうは時間がなくなりましたので、後で結構ですので、お出しください。いいですね。
  73. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま先生お申し越しの資料につきましては、先生の方に御提出をさせていただきたいと存じます。
  74. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 以上です。
  75. 市川雄一

    市川委員長 中西績介君。
  76. 中西績介

    ○中西(績)委員 この治山治水緊急措置法は、昭和三十五年から、以来第八次五カ年計画まで、三十五年を超える長い間の政策として展開をしてまいったわけでありますけれども、やはり、日本の国土の特徴として、災害に最も脆弱であるということ、そのために多くの災害が発生をしておるという、こうしたことに対応するものとして設けられておるということは十分わかりますが、ただ、この間ずっと、精査してみますと、治山治水施設整備水準が依然としてやはり低いという、このことはだれしもが認めることであります。  私はまず、こうした点についての対策のための法律でありますので、賛成をする意味から、さらにこれを強めていく方策は何かないのか、こうしたことを考えながら質問を申し上げたいと思っております。  そこで、確認をしておきたいと思うのですけれども、第八次五カ年計画まで、現在までのこの進捗状況でありますけれども、その結果、そして、これをどのように評価をされて新しくこの五カ年計画を作成しようとしておるのか、この点についてお答え願いたい。
  77. 尾田栄章

    尾田政府委員 第八次治水事業五カ年計画の評価がいかがかというお尋ねでございますが、第八次治水事業五カ年計画におきましては、平成四年度からの五カ年間に総額十七兆五千億円ということで、そのうち、治水事業費については十兆九千億円を計画をいたしておったところでございます。  これに対しまして十一兆五千三百二十五億円の五カ年間治水事業費予算措置されたところでございまして、十兆九千億円に対しては一・〇六倍ということで、当初の計画を上回って予算措置がされたところでございます。  これは、この間補正予算等々があったことにも助けられておるわけでございますが、その結果、時間雨量五十ミリメートル相当の降雨に対します整備率と申しますか、整備の目標に対しまして、平成三年度末四五%でございましたが、五二%まで上がったということでございます。  そういう意味合いで、第八次については、一応ほぼ予定どおりの形で事業が進んだというふうに受けとめておるところでございます。
  78. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、長い間、ただ単に第八次五カ年計画の評価だけでなしに、今まで何回か重ねてきたその経過がやはり十分把握をされ、そしてその結果がこうなっておるという総括的なものがないと、今度の場合も皆さんに御理解をいただくようになかなかなりにくいのではないか、こう思って、今までのものについてお聞きをしようと思ったけれども、時間がございませんので一応それをおくといたしまして、整備率を見ますと、治水の場合、全河川が五二%、土砂災害が二七%、水資源確保が五〇%という平成八年度末の見込みであります。治山の場合が四〇%、これを今度は四七%にというように言っておりますけれども、いずれにしても、この整備率は非常に低い、こういう状況にあるということであります。  そこで、時間が、私、二十分ということでございますから、治山の方を中心にしながらきょうは質問を申し上げたいと思っています。  整備率が四〇%と言われておりますこの治山に例をとってみますと、全国山地災害危険箇所数が、各事業計画が立てられるごとに継続しまして、林野庁と県が、二年前に五年ごとに調査をしておる結果が出ております。  これを見ますと、一九八六年、昭和六十一年に十二万六千カ所、そして、平成二年には十六万七千カ所、平成六年には二十一万三千カ所という膨大な数に膨れ上がってきておることを見逃すことはできないのではないかと思います。  こういう傾向があるのに、これはまた全体的なものを考えると、そういう箇所とあわせて、その奥にある山林をどうするかという問題も考えなくてはならぬようになってくるのですけれども、いずれにいたしましてもこういう状況にあるわけでありますから、この増加傾向というのはとまらない、私はこう見ておるのですが、この見通し、何かお持ちですか。
  79. 高橋勲

    ○高橋政府委員 山地災害の危険地区といいますと、荒廃地、地すべり地等のうちで人家などに直接被害を与えるおそれのある地区で、具体的には山腹の崩壊危険地区、それから地すべり危険地区、それから崩壊土砂流出危険地区があります。それから、雪崩によりまして人家等に直接被害を与えるおそれのあるところを雪崩危険箇所ということで、これも含めて山地災害危険地区というふうにしております。  先生御指摘のように、平成三、四年度に調査した結果では、危険地区が二十一万一千カ所、こういうことになっておりまして、これは確かにその前の調査よりもかなりふえております。  このふえた原因でありますけれども、地震とか豪雨、それから新たな荒廃地の発生、それから山地とか山ろく部による都市化というふうなことも進展しまして、保全対象も近接してきているということでございます。  山地災害危険箇所を何とか危険でないような対策を講ずるということで、この五カ年計画でもこの対策に取り組んでいるところでありますが、なかなかこれだけ膨大な箇所でありますので、今後もふえる見込みもありますし、我々といたしましては、こういう治山事業五カ年計画というふうなことできちっと整備をしていきたいというふうに考えているところであります。
  80. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、これはやはり今説明のございました増加傾向にございます地域そのものの後背地がどうなっておるかということも一つ考えなくてはならぬと思っています。  このようにふえていくのには、後背地の問題と、もう一つは開発のあり方がまた一つ大きな問題があるわけでありますから、こうした総合的なものの中で発想していかなくてはならぬと思うのですけれども、特にこの後背地と言われる山林地域におきましては、官民有林の荒廃は目に余るものがある。  私は、一昨年ずっと調査をしてまいりましたけれども、ちゃんとした林道のあるわきにおきましてももう山が荒れておるという状況等があるわけでありますから、採算からしますと、ある程度切り出しをしたといたしましても、あるいは手入れをしたとしても採算の立つようなところだってそういう地域がもう既に出始めておるという状況ですね。  こういう内容であるし、さらにまた山村の過疎化進行、こうなってまいりますと、特に民間林では、今までは災害発生前に、従前いろいろな防止策をしていったんだけれども、そういうものが今全くなされないとすると、これは一挙に発生をしていく、こういう形になるわけですね。  こういうような状況とあわせまして、山林における生産の停滞等、これらを考えてまいりますと、まさに先ほど大臣お答えになっておられましたけれども、こうした根本的な対策をどのように政策的に計画立てていくかということが立てられなければ、緊急五カ年ということだけでは済まされない問題として、もうこのことは多くの皆さんが認めておられるのではないかと思います。  したがって、閣議で決定する際には、やはりそこいらをどうするかということを論議をし、一定の方向性をどのようにしていくということを出しながら、こうした問題について当面五カ年計画をこうするんだということぐらいにしていただかないとだめではないかということを私感じるのですけれども、どうでしょうか。
  81. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は、委員のお説のどおりだ、このように思います。そうしたトータルな視点からやってまいりませんと、決して目的は達成できるものではない、全く同感でございます。
  82. 中西績介

    ○中西(績)委員 そこで次に、こうした中で今、治山事業の緊急かつ計画的な実施計画推進と言われて基本方針が三つ出され、そして整備目標、先ほどちょっと触れましたけれども、四〇%から四六%に拡大をしていっている。  そして所要経費についても、先ほどから種々論議をされておるように、治山につきましては三兆七千七百億、丁三七倍の目標でもって設定をしていこう、治水については、先ほど随分言われておりましたので省かせていただきますけれども、こういう状況が出てきています。  そこで、私は、これらを考えるときに、山地災害危険箇所のすべての整備に要する経費なり全体のそういうやつを一回試算するなりなんなりしてみて、国民の皆さんにそのことをやはり示すことが必要じゃないかと思うのですね。  その上に立って、後から申し上げますけれども、財政問題をどうするかということにしていかないと、全体が見えない中で今出ておるやつだけを論議していきますと、矮小された論議しか成り立たぬと思うのですね。  したがって、私は、これはもう余り意味はないかと思いますけれども、山地災害危険箇所のすべての整備に要する経費、及び現在のテンポで進んでいった場合に、所要年数は、この災害危険箇所だけを考えてみましても、将来増大をするであろう、今までの率を掛けて、どれくらい年数がかかるのか、また経費はどれくらいかかるだろうかという、これくらいは出した方がいいのじゃないかと思っているのですけれども、これはおわかりですか。
  83. 高橋勲

    ○高橋政府委員 治山事業の経費を積算するときに、山地災害危険箇所の復旧をするための予算だけでなくて、荒廃している森林とか機能の落ちている森林を回復するための予算とか、そういうふうな経費も含める必要がありますので、山地災害箇所二十一万カ所あるから、それでどういう予算だというふうには実は積算しておりません。  そういう意味で、治山事業に必要な面積、これにそれを整備するために必要な単価を乗じて計算をいたしまして、先ほどのような五カ年計画予算というものも計上しているわけであります。  しかしながら、先生の御指摘のように、今のこのままではとても進捗率といいますか、なかなか全貌がつかめないじゃないか、こういうお話に対しまして、今申し上げた中で、整備をしたい、整備をしなければならぬという総体の面積は約四百八十万ヘクタールございまして、この五カ年計画では、その中の二十九万ヘクタールを整備対象とする、こういうような状況でございます。それによりまして全体の治山の整備率を四〇%から四六%に引き上げる、こういうような実態でございます。
  84. 中西績介

    ○中西(績)委員 今指摘されましたように、私は、山地災害危険箇所だけでもと思ってお聞きをしたわけですね。  後背地にある今言う山林の荒廃、あるいはそれらの問題については、また後で資料なり何なりを出していただきたいと思うのですけれども、いずれにしても、そういう問題を、大蔵省との折衝だとかなんとかだけの問題でなしに、国民の前に全部情報を公開して、これだけのものがある、そして、皆さんが要求する水の問題から災害の問題からすべてを処置をする場合には、こういう計画を今立てておるのですというふうな問題がやはりわからなければ、部分的に矛盾した要求をみんなするわけですね、お互いに。ここら辺をやはり整理してかかっていく必要があろうと思いますので、ぜひそうした問題について出してほしいと思います。  そこで、財政構造改革会議で三月十八日に五原則を決定いたしまして、あらゆる公共事業長期計画を大幅に縮減する、こういうことになっておるようでありますけれども、国土問題を考える場合には、先ほどから私が申し上げておりますように、財政問題とあわせて、今当面これだけはどんなことがあっても必要なんだというのはこれだけたくさんあるのですよということを明らかにしておく必要があろうと思います。  したがって、こうした治水あるいは治山問題等を含みまして、特に山の荒れようというのは、先ほど申し上げましたように、この荒廃、そして後継者がない、過疎地域の荒廃、もう全部がそういうふうに重なってきておるときだけに、これをどのようにして調整をしていくのか、これは今度、大臣のこれからの閣議等決定をなさる際に大きな課題になってくるだろうと思いますけれども、この点についての御決意をお聞かせください。
  85. 亀井静香

    亀井国務大臣 先ほどから委員本当にトータルとしてのこの治山治水本当に感銘深く聞かせていただきました。  本当に残念なことでありますけれども、今の治山治水を含めての社会資本といいますか、そういう整備について妙な雰囲気があることが私は本当に気になって仕方がないのですね。  いつもは美しい山河、まさかこれが荒れ狂う状況、美しい、心を和ませてくれる山河が逆に人に襲いかかってくる状況、これをなかなか日常生活では我々イメージできない。しかし、現実は現実であります。  そういうことに対して、我々はどういう備えをすべきかというようなことを含めて、今委員が御指摘のように、そうしたトータルの、いわば国民にとって目に見えないものを我々が、あらゆるそうした調査等を含めて、こういう危険があり得るのですよ、あるのですよというトータルの姿をお見せをして、さて、どうするのでしょうかということを国民の方々に御判断をいただくという努力をもっとしていかなければならないのではないかな。  ただ単なる財政事情が悪いから切り詰めちゃえというような、そんなことで政治がいいんであろうかということを、私は今本当に今の風潮に対して悩んでおるわけでございまして、委員本当にそうした高い御見識をお聞かせいただきまして非常に意を強くいたしております。
  86. 中西績介

    ○中西(績)委員 したがって、林野庁の三兆円問題等につきましても、やはり根本的にどうするかということは、国民的課題としてとらえていかないと解決しないのじゃないか。  ですから、これからの行政というのは、やはり全部さらけ出して、選択を皆さんどうなさるのですかということを訴えていく、この民主的な仕方をこれから私たちがつくり上げていくというのが一番大事じゃないだろうかという感じがしますので、河川法の問題だって、そういうところからまた見なければならぬということになってくるでしょう。  時間が来たようですけれども、もう一つだけ言わせせください。昨年の長野県の小谷村土石流災害の原因と対策はどうなっておるのかお聞きしたいし、特にこれを徹底しておかないと、特に両省庁の指導監督強化などを含みましてやっていかないと、治山事業を担う技術あるいは技能労働者、並びに単純労働者も含めて確保できなくなってくるのじゃないかということを私は感じますので、この点はやはり徹底して明らかにしておく必要があるだろうと思いますが、どうでしょう。
  87. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま先生御指摘の蒲原沢につきましては、過去二十五年間で十二月に発生したことはない土石流でございます。そういう意味合いで、現在、砂防学会の方で鋭意原因究明に努めていただいておるところでございます。  実は、昨日も委員会が開かれたところでございまして、五月の二十六、二十七日に現地調査を行った上で、二十九日に委員会を開催をするという予定でございます。  この委員会におきまして徹底的な原因究明をしていただきまして、それに対してどういう対策を今度は具体にとれるか、そういう点もひっくるめまして、我々全力を挙げてこの問題に取り組んでおるところでございまして、これからも取り組んでまいりたいと考えております。
  88. 中西績介

    ○中西(績)委員 終わります。
  89. 市川雄一

    市川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  90. 市川雄一

    市川委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。辻第一君。
  91. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました治山治水緊急措置法の一部改正案に対する反対討論を行うものであります。  近年においてもなお水害、土砂災害、渇水などが発生しており、治山治水対策が必要であることは言うまでもありません。昨年十二月に起こった長野県小谷村の土石流災害でも、日本共産党は、現地調査を行い、建設大臣に対してその抜本的対策について緊急申し入れを行いました。  必要な事業を緊急的に行うことは当然です。しかし同時に、財政再建が現下の最大課題となっている今、公共事業全体についてむだや浪費がないかを徹底的に明らかにし、それにメスを入れることも重要な課題であります。その点から、五カ年計画総額をまず決めて、それに基づいて予算箇所づけを行うことについて厳しい批判があるのであります。  本改正案では、五カ年計画総額も決定されておらず、そのすべてを政府に白紙委任し、計画延長だけを決めることとなっています。これでは到底国民の理解を得られないものであります。私たちは、治山治水に関するすべての情報、資料を公開し、計画総額はもちろん、その詳細な内容、主な事業の概要を明らかにし、国会審議することを強く要求するものです。  特に、治山治水事業の重要な柱になっているダム建設事業については、長良川河口堰の問題に見られたように、水需要がないのに事業を継続するなどの問題点が指摘されています。ことしの予算でも、会計検査院から多大の事業費を使っているのにいまだに事業着手されていないなどの問題点を指摘されているダムに予算がつけられています。また、熊本県の川辺川ダム、徳島県の細川内ダム、北海道の千歳川放水路などに見られるように、過大な水需要や環境破壊などで強い反対運動がある事業を推進しようとしています。  さきに述べたように、国、地方合わせて五百兆円に及ぶ借金で財政再建が課題になっている現在、五カ年計画の一つ一つの事業についてのその必要性を徹底的に論議することこそ必要であります。それを回避し、ただただ五カ年計画の推進のみを決定をしようとする本改正案には賛成できないことを明らかにして、討論を終わります。(拍手)
  92. 市川雄一

    市川委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  93. 市川雄一

    市川委員長 これより採決に入ります。  治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  94. 市川雄一

    市川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 市川雄一

    市川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  96. 市川雄一

    市川委員長 次回は、来る二十三日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十分散会