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1997-04-09 第140回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月九日(水曜日)     午前十時四十四分開議 出席委員   委員長 市川 雄一君    理事 赤城 徳彦君 理事 遠藤 利明君    理事田野瀬良太郎君 理事 中島洋次郎君    理事 太田 昭宏君 理事 増田 敏男君    理事 石井 紘基君 理事 中島 武敏君       井奥 貞雄君    金子原二郎君       熊谷 市雄君    佐藤 静雄君       高市 早苗君    谷畑  孝君       玉沢徳一郎君    東家 嘉幸君       中山 利生君    萩山 教嚴君       蓮実  進君    松本 和那君       赤羽 一嘉君    岩浅 嘉仁君       岡島 正之君    樽床 伸二君       西野  陽君    山本 幸三君       葉山  峻君    藤田 幸久君       山本 譲司君    辻  第一君       中西 績介君  出席国務大臣         建 設 大 臣 亀井 静香君  出席政府委員         国土政務次官  井奥 貞雄君         国土庁防災局長 福田 秀文君         建設政務次官  佐藤 静雄君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省建設経済         局長      小鷲  茂君         建設省都市局長 木下 博夫君         建設省住宅局長 小川 忠男君  委員外出席者         運輸省航空局飛         行場部管理課長 各務 正人君         消防庁防災課長 山口 勝己君         建設委員会調査         室長      白兼 保彦君     ――――――――――――― 委員の異動 四月九日  辞任         補欠選任   谷畑  孝君     熊谷 市雄君   山本 譲司君     藤田 幸久君 同日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     谷畑  孝君   藤田 幸久君     山本 譲司君     ――――――――――――― 四月八日  不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三九号)(参議院送付) 同日  公共事業における地元中小企業受注機会の確  保に関する請願(辻第一君紹介)(第一五四四  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月三日  水資源対策の充実・強化に関する陳情書  (第一五  六号)  土地区画整理事業における調整池に係る補助制  度の新設に関する陳情書  (第一五七  号)  道路網整備及び道路特定財源の確保に関する  陳情書外七件  (第一五八  号)  高速自動車国道整備促進等に関する陳情書  (第一五九号)  高規格幹線道路等整備促進に関する陳情書  (  第一六〇号)  本州四国連絡橋建設促進に関する陳情書 (第一六  一号)  太平洋新国土軸構想及び地域連携軸構想推進  に関する陳情書  (第一六二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  密集市街地における防災街区の整備促進に関  する法律案内閣提出第三一号)  密集市街地における防災街区の整備促進に関  する法律施行に伴う関係法律整備等に関す  る法律案内閣提出第三二号)  不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三九号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 市川雄一

    市川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律案及び密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷畑孝君。
  3. 谷畑孝

    谷畑委員 おはようございます。谷畑孝でございます。  私は、参議院議員を六年務めさせていただきまして、過日の総選挙におきまして衆議院議員に当選をさせていただきました。そのときにはまた亀井建設大臣、本当にお忙しい中応援に駆けつけていただきまして、この場をおかりいたしまして感謝申し上げます。立派なバッジをいただいて、しっかり仕事をしなきゃならぬ、こう思っておるところでございます。  さて、今回のこの法案、ちょうど淡路阪神大震災が起こりましてから二年が経過をいたしまして、たくさんの人たちが犠牲になり死んでいったわけでありますけれども、私も、通産政務次官といたしまして、また大阪でございますので、もう数回にわたりましてあの焼け野原の中を歩いてきたわけでございます。その中で、やはり都市づくりというものは、そういう防災を兼ねた、非常にいい町づくりをしなきゃならぬな、そういうように強く決意をいたしておるところでございます。  さて、そういう意味で、過日、亀井建設大臣平成八年の十二月に、密集市街地整備推進について大阪府の知事兵庫県知事東京都知事との会談をなされたということでございますけれども、その中身等含めてお聞きをしたいということと、同時に、今回はやはり防災目的とした法案でもございますので、その成立についての決意と、今後の方向などをお伺いをしておきたいと思います。
  4. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員におかれましては、あの大震災のときに精力的な御活動をされまして、災害地被災者の救援、また復旧、復興について大変な御努力をされましたことを心から敬意を表したい、このように思います。  その経験を踏まえられまして本法案についてのいろんな感慨もお持ちであろうと思うわけでありますけれども、私どもも、災害はいつどの規模でやってくるかということは予測しがたいことであ りまして、それに対して万全の対策は、これははっきり申し上げて、天災に対してはとれないわけでありますが、しかし、できるだけの、あとう限りの努力をしなければならない。その点につきまして、やはりポイント一つは、市街地をそうした災害に強い形で整備をしていくという努力は、我々の、人間の知恵と努力でやれることであります。それについて、私どもとしては全国的に、法律的な面について、それをしやすいインセンティブを与えながら整備をしていこうというのが、このたびの趣旨でございます。  もちろん防災的観点もございますけれども生活機能を、そういう形で都市生活機能を格段に飛躍をさせていく、また都市生活環境をそれで整備をしていく、また環境保全と、いろんな多目的目的を持っておることも当然であります。  なお、こうした私どもの立法への気持ちから、昨年三知事においでをいただきまして、そうした問題に対しましての率直な御意見もお伺いをし、私どもの今後のそうした御方向お話しいたしまして、自治体としての協力方をお願いしたわけでございますが、三知事とも、ぜひひとつ推進をしてくれという強い御要望でございました。  今後とも、皆様方の御協力をいただきまして早期にこれを成立をさせていただき、具体的な取り組みを自治体とともにやっていきたい、このように考えております。
  5. 谷畑孝

    谷畑委員 どうもありがとうございました。  次に、住宅局長にお伺いをしたいわけですけれども地域整備促進を進めるに当たっては、たくさんの障害といいましょうか、なかなかネックになって、町づくりの、住民の皆さんたちが何回も何回も集まってはやろうということになるのですけれども、途中で挫折をしたり立ち消えになります丁今回の阪神大震災の場合でも、あの長田という地域においてもなかなか町づくりが困難な状況がございます。  それは、もう御存じのように、そこに長い間お住まいされておられるお年寄りの方あるいはひとり暮らしの方、そういうようにして、土地所有者と、そこに住んでおられる方、いわゆる借地権者、そしてまた小さい零細工場など、そういうものがいろいろと入りまじって、権利関係が非常に複雑になっておる、こういうような状況があると思います。  そういうことで、本法案は、防災街権利移転等促進計画において権利移転を容易にするということが一つの柱になっておりますし、また、防災街区の整備推進機構による土地取得等措置を行い、円滑な整備を進める、こういうようになっておるわけでございますけれども、私、先ほど申しましたように、やはり借地借家法との関係、あるいは土地取得におけるそういう支援に対してどのように考えておられるか、ぜひひとつ明快な答えをお願い申し上げます。
  6. 小川忠男

    小川政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘いただきましたように、密集市街地整備するというふうな場合に、やはり一番大きな問題点というのは、今お話しになりましたような権利関係といいますか、借地あるいは借家あるいは入居者対応策、こういうふうなことであろうかと思います。  ポイントは二つあろうかと思います。  一つは、やはり防災上危険であるというふうな建築物についてはできるだけ速やかに建てかえなり除却が行われる、これを制度的に担保するという観点一つ。  それからもう一つは、そこには現実に人間関係が二重三重に重なっておりますし、特に高齢者等々がいらっしゃるケースが多いというふうなことでございますから、やはり何をおいても居住の安定ということをきちっと担保をするということが最小限必要になろうかと思います。  したがいまして、私ども制度をつくる場合には、やはり、片方で危険な建築物をできるだけ速やかに除却するというふうな観点と、しかし一方で居住の安定を確保する、この二つを制度的にどう調整するかというふうなことが、実は法制上の最大問題点だったわけでございます。  これにつきまして、御審議いただいておりますように、一方で、居住安定計画というふうなことで、市町村が持てる力を動員していろいろな意味での代替住宅を確保する、家賃対策も総力を挙げて講ずるということを制度的に構築する一方で、借地借家法正当事由、これをめぐってはいろいろ問題が民事上もございます。これにつきまして、片方居住の安定を確保するという制度的裏打ちをする一方で、正当事由適用を除外するというふうなことで、両方の調整といいますか、バランスをとったということが制度の眼目の一つでございます。御理解賜りたいと思います。
  7. 谷畑孝

    谷畑委員 先ほど局長がおっしゃいましたように、そういう借地借家法を含めて、そこらをよく配慮しながら進めていかないと、なかなかネックになって進まない、こういうようにも思うのですね。  それと、この市街地密集化におきまして、従来、やはり幾つかの法律がありますね。促進法だとかさまざまな法律がある。それにもかかわらず、今回は防災法案を少しそこに加味してつくり出しているわけですから、私は、ただ単に、密集化して、もう少しそれを、土地有効利用して、そして、区画整理をしながらしていこうということもさることながら、防災とついている限りは、ただ単にそういうように町づくりに対して誘導していく、そういうものからもう少し一歩踏み出して、相当強い意思というのか、やはり財産と命にかかわることでありますから、多少困難が伴っても、まあ悪く言えば、強権とは言いませんけれども、少しここはやはり粘り強く都市づくりをしていく、そういうことが必要になると思うのですが、もう一度、その点についてはどう考えているか。従来の法律があるにもかかわらず、今回の法案を出したことですから、その点を。
  8. 小川忠男

    小川政府委員 若干、先ほどの舌足らずな点を補足させていただきたいと思いますが、いろいろな事業制度、例えば区画整理であるとか再開発法であるとか、これは適用可能であるならば大いに適用してもちろん結構でございますが、ただ、事の実態からすれば、必ずしもそれだけでは対応し切れないというふうな面があろうかと思います。そういうふうな観点から、きょう御審議をお願いいたしております法律をお願いするわけでございます。  先ほど申し上げましたように、片方居住の安定に最大限の配慮をするという最大限の度合いといいますのは、恐らく、今までいろいろな法制が準備していた担保措置に比べまして、やはり市町村に対して最大限努力を求めるような中身になっていると思います。  また、法制上、民事上いろいろな問題が起きております借地借家法正当事由条項を、法律の条文をもって適用しないと明言した法律というのは、今回の法律が初めてであろうかと思います。  そういうふうなことも踏まえまして、ある意味ではかなり強力な制度的手当て片方でしながら、さはさりながら、そうは言っても、やはりいろいろな方々の合意を得ながら進めるというのが基本であるというふうなことから、組合制度であるとか助成措置というふうなものもいろいろ組み込ませていただいたというふうなことでございます。
  9. 谷畑孝

    谷畑委員 ぜひそのように、防災が加わっている限りにおいては、やはり強い意思を持って進めていく必要がある、こういうようにひとつお願いをしたいと思います。  特に、大阪におきましては、もう昔から、門真、守口、寝屋川、豊中の庄内、私が住んでいます八尾駅前でもそうです。特に八尾駅前などは、私の経験では、もう二回ぐらい、地元皆さん、熱が上がってきて、市の当事者と、再開発しようということで一生懸命にやってきましたけれども、結局、挫折し挫折し終わってしまっているわけであります。だから、今回は、そういう防災に強い町づくりということでありますので、私も、この法案ができるということで、過日も座談会をさせていただいたり、いろいろとこの説明をしているわけでございます。  そのときにも、少しお話があるわけですけれども、これはぜひ都市局一長の方にお伺いしますが、割と大阪の町は中小零細企業の町でございまして、西成におきましても、生野におきましても、皆当該のこの法案にかかわりのある町でございますけれども、どうしてもやはりそのところで継続して商売をしたい、そういう意思が非常に強いのですね。だから、そういうことでありますから、この町づくりにおきましては、できる限り住んでいる人も、できたらやはりそこで住みたい、こういうことになろうかと思いますので、その点は十分にそういうことが可能なような感じが必要ではないか。  幸い、今度通産省におきましても産業集積法というものができますし、そういうような問題も大いに絡んでひとつやっていただきたいと思うわけですけれども、それに当たりまして、居住及び事業の継続に対する支援については都市局長としてはどういうように考えておられるか、意見をお伺いさせていただきます。
  10. 木下博夫

    木下政府委員 ただいま大変広い視野からの御質問を受けたわけでございますが、先ほど来の議論の中で、我々、今回の法律の対象としておりますのは、全国で約二万五千ヘクタールぐらい予定しておりますが、それぞれの地域によって事情が違います。  先ほど住宅局長から申し上げました点は、どちらかといえば大変ミクロ世界のところで、いわば、借地借家法等適用を従来していたところを今回いろいろ改正、改善させていただいたわけですが、先生おっしゃったように、もう少し町として広がりを持つというのは、先ほど大臣から申し上げましたように、大変、それぞれの町の生活環境なり生活機能というのを我々、重視していきたい。  そこで、都市計画世界での権利移転計画前提といたしましてのいわゆる町づくりによって、双方がそれぞれの事情の中で移りがえる。こういうときには、生活だけではなく、当然、お話のございました事業用関係についても念頭に置いております。  とりわけ、こうした権利移転計画を決めますと、税制上の点では、事業用資産の買いかえ特例とか、あるいはその土地等を、地元町づくり公社等が今回は推進機構として指定されますと、それらが関与する場合には、土地関係する低利融資とか、あるいは税制の本来の特別控除どもいろいろ考えておりますので、こういうものを大いに使いまして、先生おっしゃったように、できるだけ従来からそこに生まれ育った生活者あるいは事業者に対しても、我々としては、その地域でますます、引き続き、何といいますか、活躍していただくということを念頭に置いた事業がこれから行われることになろうかと思っております。
  11. 谷畑孝

    谷畑委員 住宅局長に再度お聞きするのですけれども先ほど議論をさせていただいたり質問をさせていただいた中で、どうしてもやはり、その地域で長年住みついておるのだ、やはりその地域から離れがたい、やはり高齢になりまして他のところで住むというのはなかなか、命にもかかわる、精神的な負担が大きい問題にもなりますし、また商売においてもそういうことだと思うのです。  そういう問題を円満に解決していこうとすれば、やはり容積率規制緩和といいましょうか、今まで五階建てられたものを倍、十階にする。そういうようにして、できたら、その町づくりにそれを利用できるような形にしていただいたら、私は、すべてが解決する糸口になるのじゃないか。幸いにして、先日閣議で、新総合土地政策推進要綱というものが出されたらしいのですけれども、これも土地有効利用ということだと思います。ぜひひとつ、都心においては、土地有効利用を生かす意味で、それらの点について積極的にひとつ取り組んでいただきたいと思いますけれども、その点についてはどう考えておられますか。
  12. 木下博夫

    木下政府委員 私どもは、土地高度利用をやっていくことについてはいささかもちゅうちょはしておりません。  ただ、今お話ございましたように、今回の密集市街地のいろいろ特性を調べてみますと、用途は、くどいのですが、十二、現在用途が決められておりますが、例えば一種住居地域とか、あるいは準工業地域のようなところが比較的多いと認識しております、もちろん、地域によっての差はございますけれども。  そういうようなところで、今私ども、実はこの後準備をしております都市計画法なり建築改正の中では、できるだけその中心にお住まいいただくような都心居住を進めていきたいという考えを持っておりますが、その前提となりますのは、基盤整備がある程度できておりませんと、全くそこを無視した形というのは、少し言葉が過ぎるかと思いますが、その容積を変えてしまいますと、大変そこにはまた一種の混乱があろうかと思いますから、一定のやはり熟度といいますか、そういう基盤整備ができたところへ、今後は、我々としては、用途をある程度前提に置きながら、高容積地域を考えていきたいと思います。  ただ、お話ございましたように、やはり地域によっては、ある程度既にできているところはもちろん我々は高度利用を考えていきたいと思いますが、原則高度利用念頭に置いたがゆえに、かえってまた大変密集がまたさらに密集になってはいささか問題であると思いますが、そこは御趣旨に沿ったような形で、十分地域地域を照らしながら、これから地域づくりの中にうまくそういう都市計画あるいは基準法制度が使われるように、さらに検討を進めさせていただきたいと思っております。
  13. 谷畑孝

    谷畑委員 時間の関係ではしょりたいと思いますけれども、やはり結論としては、せっかく防災をきちっと据えた中での市街化促進ではございますから、きょうびの時代に合わせてやはり潤いのある町をつくっていただきたいと思いますし、また、障害者とか、そういう優しい、いわゆる福祉条例というのが大阪はできているわけですけれども、エレベーターをつけたり、あるいは公園があったり、いろいろと潤いのある、変化のある、そういうような町づくりにぜひひとつ頑張っていただきたいと思います。  最後に、それをしていくためには、当該市町村ももちろんノウハウもあるわけですけれども、あるいはまた民間の力も利用しなければならぬわけですけれども、やはりそれに住宅都市整備公団、今いろいろ特ににぎやかになっておりますけれども、私は、やはり住宅都市整備公団などのノウハウをぜひこの町づくり市街化整備について、もう全力を挙げてひとつやっていただきたい。やはりそれなりの信用性がありますし、ノウハウもありますし、それなら自分の土地もゆだねても大丈夫だ、そういう点が大事だと思いますので、そのことだけ、一言だけ、その点についてはどうかということをお伺いをして、次の質問に移りたいと思います。
  14. 小川忠男

    小川政府委員 こういうふうな地域整備する場合のもう一つのやはり大きな問題というのは、やはり専門家集団によるマンパワーをどの程度投入できるかというふうなことであろうかと思います。そういうふうな観点から見た場合には、御指摘のように、住宅都市整備公団、恐らく我が国が持つ最大専門家集団町づくり専門家集団だろうと思います。現に、神戸での震災直後から累計数千人が送り込まれ、現段階でも二百七十数人が現地に駐屯をして町づくり応援しております。  そういうふうな経験を踏まえまして、きょう御審議賜っております法律でも、住宅都市整備公団が、公共団体から委託があった場合には、言うなれば片手間ではなくて、本来の業務として町づくり支援するというふうな条項もこの法律で設けさせていただきたいと思います。  全力を挙げて公団応援体制として送り込みたいと思います。
  15. 谷畑孝

    谷畑委員 どうもありがとうございました。  それでは、ちょっと時間がございませんので、次の問題に移りたいと思います。次は、広域防災拠点整備について少しお伺いをしたいのです。  先ほども冒頭に申し上げましたように、淡路阪神大震災から二年がたっわけでございます。そして、そのときの経験で、いわゆる私どもでいいますと神戸がああいう大震災になったわけであります。そのときは、神戸自身はもう本当に現地でも麻痺といいましょうか、行政そのものがそういう状況になりました。そのときに、大阪とかあるいは奈良だとか、そういう近隣の都市応援に駆けつけていったわけであります。消防の自動車支援し、あるいはまた人も支援をしていったわけでありますけれども、従来、関西というのは大きな地震が今まで経験がなかったものですから、いっときに皆たくさん行きますと、なかなか指揮体系から含めて難しかったように思うわけです。  と同時に、私も現地に入って思うのですけれども、例えば阪神高速道路を含めて、幹線がもう地震でやられてしまって、また国道地震でやられてしまう。そんなことで、行きたいのだけれども、そこへ行くのにもう一日かかって行くということでありました。私もボランティアで水と握り飯と巻きずしをつくって支援に行くのですけれども、 一日がかりでございました。  そういうときに、私が住んでいる隣に八尾空港というのがありまして、私、いつもそこで朝起きてはジョギングしたりいろいろと飛行場の中を走らせてもらっておるわけですけれども、この八尾空港も非常に役に立ったわけですね、そんなことがございます。  そこで、広域防災拠点整備についてお伺いするわけですが、過日、近畿二府七県でそういう防災機能としてのいわゆる相互応援に関する協定というものを結ばれました。また、同年七月には、全国知事会でも全国都道府県における災害時の広域応援に関する協定、そういうものが結ばれたわけでありますけれども、国としてそういう広域防災についてどう評価し、考えておられるのか、少しその点ひとつお伺いをしておきます。
  16. 山口勝己

    山口説明員 お答えをいたします。  都道府県間の相互応援協定につきましては、阪神淡路大震災以降、ただいまお話のございました、全国都道府県における災害時の広域応援に関する協定や、近畿ブロック相互応援協定を初めとして、全国すべてのブロックにおいて広域応援協定締結をされております。このような広域応援体制は、大規模災害時には極めて重要な役割を果たすものと認識をいたしております。  消防庁といたしましては、広域応援協定締結など、地方公共団体連携体制強化について指導してきたところでございますが、今後とも非常用物資の購入備蓄の充実や、ヘリコプターの離着陸場の整備など、広域応援体制整備のための財政支援措置等を通じまして、一層の推進に努めてまいりたいと考えております。
  17. 谷畑孝

    谷畑委員 それで、当該大阪府などは、その大震災が終わりましてから、八尾空港、ヘリポートの役割が余りにも大きな役割をしたということもありまして、この八尾の空港の、とりわけ運輸省が持っておられる土地、相当大きな土地を所有しておるわけですけれども、この点につきましても、ぜひひとつ防災拠点として活用したい、こういうことを大きく発表されまして、それから統一地方選挙があり、もう本当に皆党派を超えてこの問題が議題になって、もう私ども地元においては、まさしく防災拠点がそこでできるというぐらいに浸透してしまったわけですね。ところが、実際には、運輸省のその大きな土地はそのままでございますし、防災拠点としてもなかなかこれは進まないというような状況もございます。  その点について、ヘリコプターあるいは物資、人員、そういう陸上交通等を含めて、そういう八尾空港の跡地、我々は評価をしておるわけですけれども、時間の関係がありますので、防災局長おられましたら、その点どういうふうに考えておられるか、ひとつ率直にお聞きをしておきたいと思います。
  18. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 先生御指摘の広域防災拠点でございますけれども、これは、被災地においては一般には交通が極めて混乱し合うというようなことが予想されるわけでございますので、それを救援するということからすると、その広域拠点整備というのが極めて重要なことであるというふうに認識をしております。  八尾空港の場合、阪神淡路震災のときの活動状況あるいは利用状況を見てみますと、自衛隊とか消防、警察のヘリコプターの活動拠点あるいは救援物資の中継基地として大いに活用されたわけでございまして、航空機の離発着も最も多い日では七百回を超えておった。発災後間もない時期で、陸上交通が被災地では大混乱というさなかでございますので、その果たした役割というものは極めて重要なものであったというふうに認識しております。
  19. 谷畑孝

    谷畑委員 そうしたら、防災局長については、そういう広域防災ということで八尾空港のヘリポートの役割も非常に高いものがある、こういうように評価をしていただいた、こう思うわけであります。  そこで、これは微妙で非常に難しい、それぞれの都道府県も含めて絡んでくる問題でもございます。大阪府におきましては、近隣の都道府県全体がお互いに防災においては一緒にやっていこう、そういう協定もあるわけですから、そういう広域拠点として八尾空港のヘリポートの跡地等を含めて、運輸省の持っておられる跡地も含めて活用したい、こういうことでありますので、評価というのはありがたいのですけれども、評価だけではいつまでも評価で終わってしまって前へ進みませんので、ぜひひとつ、東京の立川基地並みのいわゆる西日本の防災拠点として、もう一歩踏み出していただきたい、私はこう思うわけです。  そこで運輸省にお聞きしたいのですが、いわゆる八尾の陸上自衛隊があり、そして運輸省のヘリポートがあり、そしてまたヘリポートを一カ所に移転するに当たって九・一ヘクタールという広大なる土地が、空き地がそのままある、もう長い間放置されてしまっている、ただ単に犬が散歩しているぐらいの程度になってしまって非常によく目立ってしまうわけですね。  これは、余り人の土地を云々ということはできませんけれども、やはり国ということを考えますと、地元も一生懸命やると言っておりますし、そういう点についてどのように考えておられるのか、運輸省におきましてこの跡地について考えておられるのか、少し率直な意見をお聞きしておきたいのです。
  20. 各務正人

    ○各務説明員 八尾空港の西側の跡地につきましては、先ほど先生御指摘のとおり、昭和五十九年に新ターミナル地域にターミナル地区が移転したことに伴いまして発生したものでございます。  運輸省といたしましては、当該跡地が受益者負担を原則とする空港整備特別会計の貴重な財源であることを踏まえつつ、具体的に関係者間で活用計画が策定されますれば、検討を行わせていただきまして適切な対応をとってまいりたい、こういうふうに考えております。(谷畑委員「もう一回、最後のところ」と呼ぶ)具体的な活用計画が策定されますれば、検討を行いまして適切に対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
  21. 谷畑孝

    谷畑委員 国土庁の防災局長、これからひとつ国土庁も建設省に負けずに、省としても、これからやはり各省庁の統廃合ともいわれておるような状況でありますから、この際、せっかく運輸省の方も計画が決まれば大いに前向きに考えましようというように私なりで解釈させてもらったところであります。  もう一度国土庁の防災局長に、地元も燃えておりますし、また阪神大震災から二周年ということでもございます、そしてまた今建設大臣の方からも、防災に基づいた市街地町づくりもやっていくのだということでありますから、この際、さらに大きく前進をしてそれを促進するためにも、防災局長としてぜひひとつ、省際とか、あるいは研究に当たるための財政的支援を含めて、ここをもう一歩踏み出していく決意があるのかないのか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  22. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 地元で中心となって今推進をしていただいているのが大阪府でございます。従来から私ども大阪府と密接な連携をとってきております。それで、関係する県が二府七県に及んでおりまして、今、地元の方でこれをどのように進めたらいいかということをさらに掘り下げて協議をしておる段階でございます。  さらに国土庁としては、一層地元と連携を密にして、その状況に応じて関係省庁と地元大阪府も加えて会合を開きまして、連絡、協議を強めてまいりたい、こう思っています。
  23. 谷畑孝

    谷畑委員 どうもありがとうございました。終わります。
  24. 市川雄一

    市川委員長 赤羽一嘉君。
  25. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 新進党の赤羽一嘉でございます。  本日は、与えていただきました四十五分間の時間で、密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律案に関しまして質問させていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。  まず本法律案提出の経緯の御説明を建設省の方からしていただきまして、本法律案は、先ほどお話にもありました二年前の阪神淡路大震災の教訓といいますか経緯を踏まえて、今回国会に提出されたものというふうにお聞きしております。  実際、阪神淡路大震災では、神戸市内で百七十五件の火災が発生したわけでございます。これは大臣も記憶にとどめていただいていると思います。この焼損延べ床面積は、実に八十二万五千平方メートル。五千平方メーター以上の大火災は二十二件あった。中でも大規模火災といわれるのは、建設省の御説明のとおり、いわゆる長田区、これは私の小選挙区の選出区でございますが、長田区では全焼損面積の六四%に当たる五十二万四千平方メートルという大変な大火災があったということでございます。  ですから、長田といわれると基本的には下町で、いわゆる密集地域で、ですから今回の大火災が起こったのだ、そのためにその教訓を生かして密集地域整備していかなければいけないというのは極めて大筋正しい考えだと思います。しかし、この密集地域整備というのは、恐らく個人の居住権とか所有権というようなものを侵食する大変難しい問題であるがゆえに、今回の震災、大火災の延焼原因というのは本当に密集状況にあったのかどうかということが分析されなければいけないというふうに私は思っております。  事実、長田は、確かに火災のところは、大火災のあったところは密集地域も多かったわけでございます。しかし、焼けてしまった密集地域以上に密集度の高い長田区の地域の中で、火災が出ながら、初期段階で消火活動ができ、焼け落ちずに済んだという地域がまたありました。ケース・バイ・ケース、いろいろあると思います。  私なんかは、密集度というよりも、家屋でいえば耐火構造の点で非常に貧弱だったということも言えると思いますし、実はあそこはケミカルシューズという家内工業の地域でございまして、どんな小さな家にも火災にうってつけのというか、燃えやすい素材をたくさん持っていて、火災荷重というのですか、建物の発熱量としては極めて特異な地域であったということの方が要因の大きさとしては大きかったのではないかというふうに思うわけでございます。  あれだけの大規模火災ですから、少々隣との密集度合いがとられていたとしてもそれほど結果的には大差はなかったのではないかというようなことを考えますと、まず政府として、今回のこの法案が出てくる経緯にもつながるかと思いますが、特に長田区また兵庫区という、これも私の小選挙区なんですが、そこで起こった大規模延焼火災の原因についてどう分析されているのか、お答え願いたいと思います。
  26. 亀井静香

    亀井国務大臣 局長がお答えするよりも、御質問趣旨からいたしますと、当時、私運輸大臣をやっておりまして、当該地震の発生後、被災者の救出、また復旧、復興について責任を持つ閣僚の一人でもあったという立場もございますので、お答えしたいと思います。  当時、赤羽議員が、地元に大変な事態が起きたことに対しまして、即刻現地状況を把握されながら、また被災者救出等についての具体的な活動もあわせてやられながら、現場の状況を国会並びに我々政府の方に対しましていろいろな形でお伝えを真摯な形でしていただいたことを今も私よく覚えておるわけでございまして、私どもも、議員御指摘の、何でそういう大規模な被害になったのかということ、もちろん地震規模そのものもあります。しかし地域によってはマグニチュードの度合いの高いところでも被害の少ないところもあった、まだら模様であったことは事実でございますので、その原因につきましては、当時政府としてあらゆる角度から専門の調査団も動員いたしましてやったわけでありますが、黙って座ればぴたりと当たるような、これが真実だというようなものはなかなか残念ながら結果としては出ないわけであります。  ただ、あそこがあれだけの火災が発生し大勢の犠牲者が出られましたことは、ゴムという非常に火を誘引するような、そうしたものがあったことも事実でありますが、やはり一つは、倒壊あるいは火災に対してその地域の建物が非常に弱い構造であったということも一つあると思いますし、また、その地域の道路の構造等から延焼がされやすかった。また消火活動がそういう面で極めて困難をきわめる地勢にあったということもあると思います。  また、これは残念なことでありますけれども、消火に伴う水が十分そういうことを予定して、消火栓等を含めてのそれがやはり非常に手薄であったというようなこと等も私はあろうかと思います。  いろいろ原因はありますが、やはりそうした密集市街地の倒壊をもたらす、あるいは火災が発生しやすい状況は、人の知恵、努力によって解決可能であります。これはもちろん協力し合わなければなりませんが、そういう観点から、このたびの密集市街地に関するこの法律は、今後いつ起きるかわからぬわけでありますから、それに対しての備えという意味でも重要だというふうに私どもは考えておるわけであります。
  27. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ありがとうございます。  今、大臣の御答弁にもあったように、実は神戸市の消防局では、大火災があった長田区の二件で延焼のシミュレーションをしております。消防局の方にはそういう資料があって、私も手元にいただいております。  その中で彼らの結論というか提言として、今後このような事態を食いとめるためにということで七つの指摘があるわけでございまして、一つ目には、消防力の強化。これは先ほど私、話させていただきました、より密集度の高い地域でも、そのときにたまたま水があったとか、日ごろからの消火栓が用意されていたとか、町の消防団の態勢がよかったとかというところでは火災は食いとめられた、そういう意味で延焼阻止効果が検証されているということで、まずこの消防力の強化をすることが大事だ。  二つ目には、似たようなことですが、消火用水の確保。  三つ目には、延焼拡大要因の減少。この延焼拡大要因というのは、見てみますと、ガスの漏えいとか危険物、ゴムの材料とかということに対する放置をしてこないというようなことの内容で書かれています。  四つ目には、防火壁または緑地帯の計画的配置。ガソリンスタンドなんかの防火壁は延焼をとめる効果が非常にあったということで書かれています。  そして五つ目には、今回のこの法案にかかってくると思いますが、道路の幅の検討だ。要するに、延焼中の建物が倒壊して、道幅を越えて向こう側に移ったというケースがかなりあったということで、八メートル以上の道路をつくらなければいけないということが挙がっております。  そしてまた六つ目には、沿道の不燃化。これは先ほど言いました家屋の耐火構造化です。  七つ目に防災道路。先ほどお話にもありました緊急車両の道路ネットワークの確保ということの提言がされているところでございます。  この中で、いわゆる今回の密集地域の改善云々ということは出てきていないのですね、市の消防局のかなり細かいシミュレーションをやっている結果として。これは何で外されているのかは定かではありませんけれども、この辺というのは、私は後ほどお願いもし、提案もしたいと思うのですが、要するに、道をつくるのが大事だ、セットバックをする。そうすると建ぺい率の問題が出てきて、ただでさえちつちゃい家が多いわけです。十坪のところが二メーター下げられる。その中でまた建ぺい率六〇%なんというと、五坪ぐらいの家になってしまう。こんなところは家じゃない、だからだめなんだということで、今実際長田の区画整理事業の中では非常にトラブっているというような状況の中から、ぜひ建ぺい率の大胆な緩和というのをお願いしたい。  その根拠としては、耐火構造の家であれば隣と少々くっついていてもそれが列としてかえって延焼阻止効果となる、そういう効果もあるというふうに私は思っておりますので、ぜひその点を検討していただきたいということで今このお話をさせていただいたわけでございます。  ちょっと嫌らしい質問かもしれませんが、もし震災の前に今回のこの法律が法制度として実行されていれば、延焼というのはどの程度防げたものなのか。防ぐために出てきているわけですから、その辺の余地もない、いいかげんな法律案だとは思わないのですが、どうなんでしょう。
  28. 木下博夫

    木下政府委員 御質問が大変多岐にわたっておりまして、お答えがあれですが、後また住宅局長の方からもお答えしたいと思いますが、神戸市の消防局の分析等については私ども大変傾聴に値するお話だと思います。これはやはり、今回の地震というものは単に一つの歴史的事実だけではなくて、将来に向かっての教訓にしていきたいということは当然でございます。  お話がございましたように、大変幾つかの要素がございますけれども、決して今回の法律お話のあった七つとは遊離はしていないと私は思います。といいますのは、先ほど来御議論をさせていただいておりますように、今回の法律は大きくいきまして二つの流れがございまして、一つはいわば町づくり世界で、地区計画を決めまして、その際に、より権利移転等促進計画等によって当事者同士が、いわば町づくりにどう活用されていくかということと、もう一つは、従来からございます。そういう老朽木造住宅を大家さんを含めてどう建てかえていくかということが、ピンポイント的という言葉が適当かどうかわかりませんけれども、いわばミクロ的な対応でございます。私どもは、それらが相まって防災に強い町づくりができていくと思います。  お話のございましたようなことで、今回の地震などを見ましても、戦前からを含めてでございますけれども、かなり面整備、具体的には区画整理事業と言っていいと思いますが、そういうものが行われておりますとやはり一定の街路がしっかりしておりますから、先生のお話にございましたように、消火の段階はもちろんでございますが、その前の延焼あるいは類焼という世界でも、そういう都市の構造がしっかりしているところはそれなりに防げたと思います。  ただ、そこにありますいわば産業、そういうものによって、発生しやすい環境があれば、当然そういう危険もより持っているわけでございます。  いずれにせよ、私どもとしては、一つは、道路とか公園、そういう基盤整備をやることと、もう一つは、建物の建てかえ、不燃化ということは、何はさておいてまず基本ではなかろうか、こう考えております。
  29. 小川忠男

    小川政府委員 先ほどの御質問に一、二点補足的に御説明させていただきます。  一つは、いろいろなシミュレーションがございますけれども、例えば密集市街地で木造の建築物が現況で九割あるというふうに想定した場合のシミュレーションでございますが、この九割の木造建築物を半分程度、五割くらいに減らすことができれば市街地大火の確率はほとんどなくなるというふうなシミュレーション結果もございます。したがいまして、単なる密集度だけではなくて、木造と耐火建築物の割合というふうなことなどもやはり決定的なかぎを握っているというふうな点が一点あろうかと思います。  それから、もう一つ、建ぺい率の問題がございました。非常に難しい、悩ましい問題だと率直に申し上げて思います。  ただ、密集地域のやはり一つの属性というのは、道路が狭い、かてて加えて敷地が狭小であるというふうなことがあろうかと思います。その場合に、建ぺい率を緩和すれば解決できるのだろうかというふうに見ますと、恐らくまた別の問題を惹起する可能性が極めて大きいというふうな点が懸念としてございます。  それで、先ほどおっしゃいました防火地域がかかっている場合について、そこで耐火建築物を建てる場合には、現行制度でも、既存の建ぺい率を一割割り増しするというふうな制度がございます。それなりの対応策は打ってございます。  それから、もう一つ、敷地が狭いこと自体は、基本的な解決というのは実はないわけですから、そこはやはり、多少お互い知恵を出すことによって敷地の狭さを克服するというふうな努力も必要であろうかと思います。  例えば、きょう御審議賜っております法案の中にも、共同協調建てかえ、つまり、敷地は複数であるけれども建物の計画を隣の方々と一緒にワンセットで考えましょう、そうすれば建ぺい率はかなり有効に使えるという点がございます。そういうふうなものを、いろいろな経費を法律補助で応援をしたいというふうな制度も用意してございます。  それから、もう一つ建築基準法制度でございますが、複数の敷地を一つの敷地というふうな形にみなして総合的に設計をするというふうな制度もございます。一団地の総合的設計というふうな概念でございます。  したがいまして、敷地の狭いこと自体は、くどいようでございますが、物理的には解消できないわけでございますから、そこはいろいろな制度をフルに活用していただいて、知恵で乗り越えていくというふうなことも一つあるのかなというふうな感じはいたします。
  30. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 知恵は随分出されておりながら、隣の家ほど仲が悪いというふうな状況もあったりして、共同化が極めて、神戸市の対象とするところでも、恐らく二・五%ぐらいしか進んでいないというふうなこともありますので、そういったことも踏まえて私はお願いするつもりですので、また時間があれば最後の方で出したいと思います。  局長言われましたシミュレーション、結果があれば、後ほど勉強のために資料をいだだけたらど思います。よろしくお願いします。  それでは、この法案の中に入りたいと思います。  まず、「防災上危険な密集市街地」というところが出ています。この「防災上」というのは、恐らく地震、火災というのを想定されているような内容になっているかと思いますが、特に東京の下町ではゼロメートル地帯というようなところもありますね。日本でいうと、風水害というか、台風による災害というのはかなりの頻度がある。その中における、洪水とか浸水で密集市街地が受ける被害というのは、地震以上に頻度、回数としてはかなり高いと思うのですが、この「防災上危険な」という「防災」の概念にそういうものは入っていないのかどうか、もう一度確認をしたいと思います。
  31. 木下博夫

    木下政府委員 いわば土地の安全性といいますか、地域の安全性というのは、先生おっしゃったように、いろいろ広い意味で我々も解釈すべきだと思います。  余談でございますけれども、最近のように、日本は大変安全な国だと言われながら、例えば夜間における治安問題なんかも提起されておるわけでございます。  話は別といたしまして、我々今回の法案で考えています「防災上」というのは、委員からございましたように、火事あるいは地震が発生した場合における延焼等の防止ということを念頭に置いていますから、地震時に同時多発的に起こる問題も当然念頭に置いておりますが、基本的に今回の法案については、火災への対応力を主眼に我々としては考えておると申し上げていいと思います。
  32. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それはあれですか、地震によって、繰り返しになりますが、例えば東京の下町での浸水状況とか洪水状況みたいなことは想定していないということなのですか。また別の法律制度として拡充しようということなのか、どうなのでしょうか。
  33. 木下博夫

    木下政府委員 計画としては当然総合的に対応すべきものであろうかと思いますが、今回の法律の中では、くどく申し上げておりますが、いわば火災発生時におけるということを念頭に置いておりますので、先ほど来申し上げておりますように、耐火建築物等をできるだけ誘導していきたいということをまず第一に置いて考えておると申し上げていいと思います。
  34. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 また、ここで「老朽化」とか「密集」とか出てきますけれども、この法律における「老朽化」「密集」、対象となる要件というのですか、これは、定量的というか、どういったものを規定しているのか、教えていただけますか。
  35. 木下博夫

    木下政府委員 現段階で特に具体的な数字を申し上げるようなことではございません。といいますのは、もともとこの「防災上危険な密集市街地」を決める際には、都市計画の立場からいわば防災的なマスタープラン的なものをつくらせていただいてその中で考えていきますので、それぞれの地域においての判断がまず第一義であると思います。  ただ、そうはいうものの、おっしゃられるように、私ども全国的な中で、今までの経験則の中で、御質問のありましたような、例えば老朽化とか密集性について過去からも経験を積んでおりますので、やはり先ほど来御指摘いただいた火災の発生状況、そういうところから見ましても、大変危険なところというのは、経験的には数字を持っておりますが、具体的にこの線でなければならないという基準は、今のところこの法律において定める考えは持っておりません。
  36. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 また、その法案の「密集市街地」の定義の中で、今の「老朽化」「密集」云々の後に、「かつ、十分な公共施設がないこと」というところがあると思うのですが、これはどういうことを示しているのですか。
  37. 木下博夫

    木下政府委員 公共施設につきましては、各種の施設がこういう防災対策上貢献できると私ども考えておりますが、とりわけ、御議論のございましたような例えば道路とか公園というものがその主力の公共施設になるのではなかろうか、こう考えております。
  38. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 この法律案先ほど説明ありましたような内容を聞いていますと、建てかえ事業が主眼に置かれているようなお話もありましたが、今「十分な公共施設」云々ということに関連して言うと、自然災害時にその町に緊急避難用としての公園がかなりの役割を担ったというのも今回の震災の教訓であったというふうに思っておりますが、除却勧告をして、つぶして空き地になった跡に公共施設としての公園をつくれるような制度にこの法律案はなっているのか。また、言葉を言いかえれば、緊急避難用の公園としてつくれば、何らかの補助が出るようになっているのでしょうか。
  39. 木下博夫

    木下政府委員 恐らく御質問趣旨は、基本的には我々は、先ほど委員もございましたように、そこのところでできるだけ住みたいという御要望の強いのが一般的ではなかろうかと思いますが、大変密集度の高いところでございますので、例えばお移りいただいた後、公的な立場でそこの空間を将来的に例えば公園的なものに使っていく、それが防災にもつながるというところであれば、いろいろ財政的な問題もあろうかと思いますが、そういう手を使いながらできるだけ空地的な、空間的なものをぜひ確保していきたいと思います。  ちなみに、平成七年度の補正予算時から私ども対応しておりますグリーンオアシス制度などというのがございます。これは従来の公園的発想よりはもう少し弾力的に考えまして、広域防災的公園を核といたしまして、その周辺の一定のエリアの中に空地ができてまいりますとそれを一括で採択させていただくというような形での、いわば予算的には従来にない弾力的な運用によって空間を確保していくというようなことにもなっておりますので、そういうようなものも今回の計画とあわせて意味のある事業として実行できるのではなかろうか、私はこう考えております。
  40. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 防災上危険な密集市街地というのは、先ほど全国で約二万五千ヘクタールあると推定されている。ここの面積上に、人口というのですか、どのぐらいの人がそういう危険なところに住んでいるのか、資料があれば教えていただきたいのです。
  41. 木下博夫

    木下政府委員 二万五千ヘクタールという規模を申し上げました。余談でございますが、山手線の中が大体今六千ヘクタールぐらいでございますので、この四倍ぐらいが全国の主要な都市密集市街地として存在しているということでお話ししてよろしかろうと思います。  それで、御質問のあっなどのぐらいの人がそこに住んでいるのか。これはなかなか実態的には、個々の地区については一応の把握もさせていただいていますが、大ざっぱなお答えでお許しいただければ、人口密度で大体ヘクタール二百から二百五十ぐらいでございますので、それを掛け合わせますと、算術的なことで大変恐縮でございますが、約五百から六百万ぐらいがお住みだと思います。もちろん、地域によって大変密度の大きいところ、あるいはそういう意味では若干密度の低いところを合わせておりますから、そういう数字というふうに御理解いただいてよろしくお願いしたいと思います。
  42. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 この法律案ができる、そして防災再開発の促進地区の設定が見込まれる面積によって、今五、六百万人と言われましたが、この法律案によって設定された危険な状況ではなくなるというのは、どのくらいの人口の割合を占めるのか、推定予想数値になると思いますが、建設省が考えている数字を教えていただきたいと思います。
  43. 木下博夫

    木下政府委員 この事業は、現場の私ども当たってみますと、地権者の方々あるいは行政、従来からも努力しておりますが、正直申し上げて大変時間のかかる事業でございますから、あす直ちに救済できる人口ということではございません。  先ほどお答えいたしましたように、人口密度から推計いたしますとおおむね五、六百万人という数字を申し上げました。もちろんこれ以外のところに防災上の危険なところもあるわけでございますから、それぞれ織りまぜてお考えいただきたいと思いますが、私ども、そういう意味ではこの二万五千ヘクタール、今回の法律をぜひお認めいただいた上で実行に移す際には、救済というとちょっと言葉があれですが、対象として考えているところはそのぐらいの規模だとお考えいただいていい数字だと思います。  くれぐれも申し上げますが、これは掛け合わせの数字でございまして、それが直ちにということではないことは重ねて申し上げたいと思います。
  44. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それでは、私の地元の問題に今の関連で戻るのですが、今回、被災地神戸、特に長田の中でも随分焼け落ちたり倒壊したり、現状二年たった今なお、かなりの密集度がありながらぽつんぽつんと空き地になっているところがある。こういったところは、密集度としては、震災前に比べて単純に言えば低くなった、震災によって低くなった。この法律案の認定要件というのですか、対象地域から外されるのかどうかというのが地元の心配の声の一つなのですが、このことについてはぎうなのですか。
  45. 木下博夫

    木下政府委員 この地区については、先ほど申し上げましたように、都市計画世界地元でお決めいただきますので、いわば認定とかそういうことではなくて、それだけの地区が指定されますと、できるだけ国も御一緒にいろいろ各種事業、従来からやってまいりました事業もあわせて集中的にそこを行うということでございます。  むしろ問題は、ふるい落とすというよりは、先ほど来申し上げましたように、やはり危険地域ということについて地元として十分に御認識いただければ、そこは積極的に都市計画世界でのいわば促進地区として、区域として指定をなさって、そこに地元の方々と一緒に町づくりをして防災対策を進めていくということで取り組んでいただけることがまず第一ではなかろうかと思います。
  46. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 そうなると、自治体ごとにその地区の設定基準というのは違ってくるケースも出てくるわけですか。神戸の場合はちょっと歯抜けになっているけれども、それは神戸市として危険だということで認定したとか、隣の大阪ではそうじゃないとか、比べてみるとちょっと基準としてのレベルが違ってくる。建設省としては、これは地元に任せた、自由にやりなさい、こういうスタンスなのですか。
  47. 木下博夫

    木下政府委員 先ほど申し上げましたように、区域の指定の仕方につきましては、くどいようでございますが、まずは地元の考えを優先させていただきたいと思っております。  ただ、そうはいっても、先生お話のございましたように、地域間で極端な差が出ることは望ましいことではありません。限られた財政の中で集中的にそういう防災対策をやっていくわけでございますから、そういう意味では、我々も一定の全国的視野から、またはそれぞれの地域の問題について御相談にあずかることはやぶさかではございません。
  48. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 その辺の、非常にあいまいなというか、ちょっとわかりにくいなとも思います。阪神大震災という特殊な状況を勘案して、ぜひ大臣、この点は地元の心配、憂いの残らないように措置をお願いしたいと思います。
  49. 亀井静香

    亀井国務大臣 地元の御要望どおりにいたします。
  50. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ありがとうございます。  それでは次に移らせていただきたいと思いますが、建てかえ計画がありますね、また延焼等危険建築物への除却勧告、この認定の要件はどうなっていますか。
  51. 小川忠男

    小川政府委員 まず勧告の対象となる建築物の要件でございますが、二つのファクターがございます。  一つは、その建物自体が、例えば相当程度の地震が来た場合に主要構造部が致命的な打撃を受けるというふうなその建物自体の要件が一つでございます。それからもう一つは、その建物が危険であるというふうなこととの関連で、周辺の町の建築物状況、要するに、その建物の周りの建築物状況が、延焼しやすいといいますか、その建物が倒壊し、火が出ることによって周辺が一気に燃え上がってしまうというふうな建築物状況であるという二つの側面からいろいろな要件というふうなものを規定いたしたいというふうに考えております。
  52. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 除却勧告の場合、そういった状況であれば勧告はできる、居住者の同意というのは勧告自体には要件としては必要ないという理解でよろしいですか。
  53. 小川忠男

    小川政府委員 勧告自体の要件としては、その建物とその周辺の町並みの状況という客観的、技術的な基準によって勧告をしたいというふうに思っております。必ずしも入居者が賛成する、反対するというふうなことではなくて、そのものそのものの客観的な性格、属性、条件からいたしたいと思います。
  54. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それから立ち退きですね、その後の段階かと思いますが、除却勧告すると。ただ、僕は除却勧告というのは非常に影響力としては大きいと思うのですね。市長が除却を勧告しているんだ、早く立ち退かんかいみたいな、神戸では気の荒い建築業者みたいなところが家をぶつ壊したみたいな話も、ニュースも以前あったようなこともありまして、そのお墨つきみたいなことというのは非常に大きいと思うのですが、この立ち退きについて、現行法で立ち退きをさせることはできないのですか。
  55. 小川忠男

    小川政府委員 現行の基準法では、除却命令というふうなより強力な行政処分の体系がございます。保安上危険である、あるいは衛生上支障があるというふうな場合には、建築物に対して除却を強制的に命令することができるというふうな制度がございます。  それに比べますと、今回の法律で準備しております勧告というのは、法制的には、言葉が適当かどうかよくわかりませんが、かなり緩やかな行政指導に類するものだとは思いますが、ただ、今先生御指摘になりましたように、現実的な、社会的な影響というのは、単なる行政指導の域を超えて極めて重い効果を持つものだろうと私どもも思います。  したがいまして、勧告する場合には、法制的にも立入調査とか建築物を精査するというふうな条項がございますので、いろいろなことを綿密に調査検討し、また、当然でございますが、実態上は恐らく所有者の皆様と十分相談した上での勧告というふうな段取りになるものだろうと思います。
  56. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ただ、今回の法案、貸借人に対して賃貸契約の更新の拒絶の通知、それからまた解約の申し入れができるものというふうになっておりますね。借地借家権がここで緩められるというか、これはどういうことなんですか、現行法でできるのに。
  57. 小川忠男

    小川政府委員 この法律一つ目的は、やはり建築物が危険な場合にきちっと除却できるということを担保すると同時に、しかし、現実にはそこに人間が住んでいらっしゃる、貸借人がいらっしゃる、その方々の居住の安定を一方で制度的に担保するという二つを同時並行的に達成しようというのが一つ制度目的でございます。  したがいましく運用上、貸借人に対していろいろな意味住宅を提供することはもちろん可能だとは思いますが、ただ、それを法制的に、居住安定計画市町村が認定する計画というふうなことで、代替する住宅をきちっと責任を持って準備するというふうなことを法制上位置づけることとの見返りで、借地借家法に言う正当事由という条項、これを適用除外にするというふうなことで、両者のバランスをとろうというふうなことでございます。
  58. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ちょっと細かいもので難しいのですけれども、代替のところは用意しますよと、ところが、それが必ずしも居住者にとって満足いくようなものではないケースもありますよね。そういった場合に、この借地借家権の除外の項目というのですか、ここはどうなんでしょう。  限界的事例かもしれませんが、出ていきたくない、用意されたのもちょっと不便だとか満足いかないといったときに、契約を更新したい、従来の借家権を行使したいということは出てくる、かなりのケースで出てくるのではないかと思うのですが、そういった状況の中ではどう居住者の権利は担保されているのですか。
  59. 小川忠男

    小川政府委員 法律の条文といたしましては、そこに現に住んでいらっしゃる方々、居住者ごとにといいますか、居住者にそれぞれ対応して、広さでございますとか規模、それから家賃の相場、それから設備の水準というふうなものをほぼ対応するような形で、しかも現在の生活状況を著しく損なわないような範囲内の地域内できちっとした住宅を用意するというのが法律上の要件としてセットしてございます。したがいまして、一〇〇%満足いくのかというふうなことを言われますと、いろいろな議論があろうかと思いますが、そこはやはり社会的に許容できる範囲内できちっとしたものを準備するというのが法律上の要件でございます。  それだけの要件を法律できちっと整備することとの見返りで正当事由適用除外にする、言葉をかえますと、若干くどくて申しわけございませんが、借地借家法で想定している正当事由、裁判のいろいろな積み重ねがございます、その正当事由と、ほぼ類型的に対応可能なような要件を、置きかえることが可能なような要件をこちらの方の法律で準備したというふうなことでございます。
  60. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ちょっともう一回繰り返しになりますが、勧告の場合、市町村長が、ここは危険だ、老朽化して危ないといって認定できるわけですよね。そこにはある意味で余り定量的なものはないわけですね。その辺、ガイドラインをつくることはないのか。もしくは、市町村長が非常に恣意的な、これもありにくいことかもしれませんが、地元の業者と結託してそこをのかせようと。まあ、いろいろな市長さんもいらっしゃいますので、全国でいろいろケースが出てきますと、そういうことがないとは言えないわけで、というようなことに関して、ガイドライン、もしくはそういった恣意的なものが行われたら、何かそれを覆せるような制度的なものを補充する考えはありますか。
  61. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は、非常に現実的な、悩ましい問題を含めての御質問だと思います。非常に現実的な御質問だと思いますが、要は、自分だけが幸せになるのじゃなくて、みんなで幸せになっていこうというその地域の方々の気持ちがなければ、こういう法律ができましても私は機能しないと思いますし、また、市町村長にいろいろな方がおられるかもしれませんが、これは住民の方々がお選びになる市町村長でございますから、そういう方々の御判断というのを私どもとしては信用するといいますか、信ずるといいますか、そういう立場でやはりこの法律も運用していかなければならない、このように思います。
  62. 小川忠男

    小川政府委員 ただいまの大臣の答弁を制度的に若干補足いたしますと、勧告の対象となる建物の要件、例えば具体的には延焼の危険性でございますとか構造の耐力といったものを、技術的な基準を建設省令で具体的、明確な形で決めたいと思います。
  63. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それで、今回、勧告に従って出ていくということも調って、建てかえた、これは、低利で公的な融資を受けられたりとか、いろいろな特典があるわけですよね。この建てかえたものを転売するとか、これは性善説に立つと、ないというふうな考えもあるかもしれませんが、性善説に任せていていいのだろうかということもあって、建築後の転売に対する何らかの制限というのはこの制度の中に盛り込まれているのですか。
  64. 小川忠男

    小川政府委員 ただいまお話しになりましたいろいろな優遇措置というのは、恐らく住宅金融公庫の特例的な融資だろうと思います。それで、この法律に限りませんが、特例的な融資を受けた場合の転売の規制というのはございません。この法律でもございません。ただ、ないという意味は、転売をした場合には金融公庫の融資を繰り上げ一括償還をしていただくというふうなことがワンセットになっておりますので、転売抑制の措置はございません。  また、繰り上げ償還さえしていただけますれば、社会的な資産としてきちっとした建築物が現にでき上がった、存在するというふうなことの価値自体はなくなるわけではございませんので、繰り上げ償還していただければ必要にして十分というふうなことであろうかと思います。
  65. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 わかりました。  もう時間があと限られていますので、居住安定計画のことについてちょっと触れさせていただきたいと思うのです。  この話は、移るということが合意できたら、従前のそこに住んでいた最初の家賃と今度移るところの差額を見ますよ、五年間ですか、六分の一ずつの補助をするということなんですが、阪神大震災のとき、仮設住宅の調査報告がありましたね。ああいう密集地域、ほとんどが長田や兵庫から出ていった人たちの年収というのは、三百万円未満が七割、百万円未満が三割だ。それまでの家賃が二万円以下、一万円前後で住んでいた人がかなり占めた。こういった生のデータから災害公営住宅も、高齢者向けとは限られています、広さも限られておりますけれども、家賃が五千円とか六千円という公営住宅の中でも格段の低家賃の制度がしかれたわけです。  これは別に神戸のあの地域だけが極めて低い家賃の状況であったとは考えにくくて、全体的にこういった地域はおおむね似たような状況なのではないかということを考えますと、それぐらい家賃が低いというふうな、現状のそういう認識でこういったものをやっているのかどうかということが一つ。  そうすると、六分の一ずつ、年々ふえていくわけですね、払う方にしてみると。これは入るところの家賃と現状の家賃のギャップがかなりありますと、年々倍々にふえていくみたいな話、事例も出てくるかと思うのです。そういった人たち、基本的に仕事をせずに国民年金なんかで暮らしているような人にしてみれば、建設省が幾ら代替の住宅は用意しましたよ、家賃補助制度も完備していますよといいながら、実態としては、その人たちにしてみれば、古いとはいえども長年住みなれたこの町、この家でずっと居続けたい、どうせ向こうへ行ったって、最初はいいかもしれないけれども翌年からどんどん家賃がふえていってしまうということになると、制度として完備している、受け皿としてはできているよといっても、実態としてはかなり圧迫する制度になりはしないかというのを非常に懸念をしているのですが、そのことについてまずお聞かせいただきたいということ。  それと、やはり、先ほどの議員のお話もありましたけれども、戻ってきたいという方もかなり多いと思うのですよ。そうすると、戻ることに対する支援策というのは全く欠落しているのですね、この法律、私が読む限りにおいては。これは追い出すだけ追い出して――例えば仮の住居に出ていってもらう、二年後には従来どおりの家賃として戻っていいですよみたいな話ができるのであれば、それはそれなりの受け皿としての制度の完備というのは認めたいと思いますが、何となく今、言葉は悪いけれども、追い出すための方便みたいな現状になることは、非常にこの法律の本来の趣旨を曲げてしまうのではないかというふうに危惧をしているのですが、その辺はどうなんでしょうか。
  66. 小川忠男

    小川政府委員 二点についてお答えいたしたいと思います。  一つは、現況の家賃が非常に安いというふうな認識は持っております。ただ、昨年公営住宅法を基本的な点で改正していただきました。そのポイントは、公営住宅の家賃というのは入居者の収入に応じて決めます、ある意味の応能家賃でございます。  したがいまして、例えば神戸市の密集市街地を具体的に念頭に置きまして、年金生活をやっていらっしゃる高齢者がいらしたとした場合に、その方に四十平米くらいの公営住宅を用意するとすれば、現行の制度で計算いたしますと家賃はおよそ二万円前後になります。したがいまして、仮に従前の住宅が一万円ちよいくらいであったとしても、一万円から二万円前後の家賃まで五年かけてすり上がって、すりついていくというふうなことでございますので、通常の相場からすればもちろんでございますが、非常に低廉であろうかと思います。  ポイントは、くどいようでございますが、公営住宅の家賃そのものが入居者の収入に応じた家賃水準を設定する体系に昨年から切りかわっているというふうな点が一点ございます。  それから、さらに所得が低いというふうな場合には、公営住宅法の体系内に通常の家賃をさらに減額するというふうな特例制度はもちろんございます。その適用のケースもあろうかと思います。  それからもう一点、戻り入居というか、もともと住んでいたところに戻ってきたいというふうな場合の措置でございますが、恐らく、行政の知恵といたしましては、建てかわった賃貸住宅、新しい賃貸住宅の一室なり幾つかを、市町村借り上げ住宅という制度をこの法律で準備いたしました。  それは公営住宅的にも運用できるし、もう少し収入の高い方用の住宅としても運用できるというふうな制度でございまして、それに対しても家賃補助あるいは五年間の激変緩和措置は通常の公営住宅等と同じような形で、この法律に基づいて支援措置をいたしたいと思います。それをフルに活用すれば、戻り入居というのは行政の知恵としては十分に可能であろうかと思います。
  67. 市川雄一

    市川委員長 質疑時間は終了しています。(赤羽委員「最後」と呼ぶ)簡潔にお願いします。
  68. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 どうもありがとうございます。ですから、特例制度で現状をよく見て把握していただき……(発言する者あり)わかりました、それだけですから。  まだ問題があるのですが、また個別によろしくお願いいたします。ありがとうございます。
  69. 市川雄一

    市川委員長 午後一時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ――――◇―――――     午後一時四分開議
  70. 市川雄一

    市川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石井紘基君。
  71. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 このたび、密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律案ということで、こうした防災をも十分予想した法案が審議になっているわけですが、私も、阪神淡路大震災のときにはいち早く現地に駆けつけまして、今建設政務次官をやっておられる佐藤さんも一緒に現地の救済について手伝いをしてきたわけですが、そういう意味で大変重要な法律であろう。ついては、やはり一定の居住についての法的な制限等も含まれているわけですので、この法律を円滑に、しかも十分意義を効果あらしめるために、幾つかの詳細な部分について御質問を申し上げたいと思います。  まず、代替住宅を準備をするということが一つの大きな特徴になっているわけですが、地方公共団体における代替住宅に充てられるべきものがどれくらいあるかというのがよくわからないのですが、つまり公営住宅そのものはどのぐらいあるのか。その中で、いざ建てかえあるいは整備計画といった場合に、スムーズにこれに移っていただけるような、そういう状況にあるのかどうなのか。  それからまた、それが不十分な場合、民間をも含めた借り上げというようなこともあるわけですが、これはひとつ、もう少しさらに、国の関係でもって持っている住宅も相当あるわけでありますが、そうしたものまで含めた代替住宅の確保策というものは考えられないものかどうかということもあわせて御質問したいと思います。
  72. 小川忠男

    小川政府委員 代替住宅の大半を占めるのは、恐らく県あるいは市町村が管理している公営住宅であろうかと思います。厳密な意味で対応関係はございませんが、目安といたしまして、全国で公営住宅の管理戸数は二百十万戸管理いたしております。東京都が二十三五尺大阪府が二十三万戸というふうな内訳でございます。また、公営住宅以外にも、もう少し収入の高い方々を念頭に置いた特定優良賃貸住宅というふうな制度がございます。特定優良賃貸住宅のうちで公共団体が借り上げて管理しているものは八千数百戸ございます。これも有力な代替住宅一つになろうかと思います。  ただ、これはあくまで全国のマクロ的な数字でございますので、現実の代替住宅としてどこまで機能するのかというふうなことについてのチェックは当然これからでございます。  ただ、問題は、量的なことだけではなくて、やはり具体的な居住者の方にとって現実的な意味での代替住宅たり得る公的な住宅はどのくらいあるかというふうなことだろうと思いますが、そのためには、今申し上げましたストックを活用することに加えまして、やはり具体的な場所を念頭に置いた形で新しく公営住宅として借り上げるというふうなこともやはり手段としては大いに活用しなければいけないのではないだろうかというふうな感じがいたします。  また、国の関係住宅というふうにおっしゃいましたが、恐らく住都公団あたりが典型的な例だろうかと思います。例えば、住都公団について、神戸での、被災地での実態を見ますと、公団が賃貸住宅として建設したものを神戸市なり兵庫県が公営住宅として借り上げるというふうなやり方は現実的にかなり使っております。その意味では、現実的に都合のいい場所に公団住宅があるかどうかというのは別途の問題としまして、考え方としては、うまくマッチする住宅があれば、積極的に代替住宅として市町村が借り上げるというふうなことも大いに活用してしかるべきであろうかと思います。
  73. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 政府の関係住宅というのは、住都公団だけではなくて、雇用促進住宅とかいろいろあるわけでございますので、相当あいているようですので、所管は違うけれども、何らかの方法というものはあるのではないかという気もするわけであります。  それから、居住安定計画を立てるに際して、またその認定を得るに際して、ここには「代替住宅居住者の生活環境に著しい変化を及ぼさない地域内において確保される」とか、あるいは「居住者ごとに、」「居住者に関する状況を勘案して、その規模、構造及び設備並びに家賃が妥当な水準」であるというふうになっているわけですが、例えば、賃貸で居住している、借りている人たちの中には、密集市街地ですから、当然、相当古くからいる、あるいは木造の古い建物でありますから、そういう中には、かなり低所得の方々といいますか、あるいは高齢者の方々が相当予想されるわけですが、やはり特に配慮しなければならぬのは、こういう高齢者の扱いですね。  この手続の過程について私はちょっと質問したいのですが、まず、この居住安定計画というものを賃貸人がっくる。そして、それをそれの市町村長が、これは認定を与えるということになっているのだけれども、先に居住安定計画をつくる。そのつくる際に、そこに住んでいる貸借人をどうするかという問題があるわけですね。ここには、その問題を片づけないとこれが認定されない。しかし一方では、その貸借人はしかるべき公営の住宅なりなんなりをあっせんしてもらえる、そういうことになっているわけですが、そうすると、この市町村長に行く前に、やはり市町村長がこの計画の段階でかかわって、そしてそうしたものの配置をといいますか、条件を満たす作業をするということなのでしょうか、どうなのでしょうか。
  74. 小川忠男

    小川政府委員 賃貸人が居住安定計画を作成する場合には、入居者のまず意見を聞く。どういうふうな希望がおありなのかというふうなことを聞くという手続が法律上ございます。また、市町村が認定をする場合にも、今度は、市町村から入居者に対してどうですかというふうなことを確認する意味での手続がございます。  法律上の手続は以上の二点でございますが、恐らく、現実の行政運用を考えた場合には、やはりかなり早い段階から入居者の希望というか、場所、それから現実にどの場所が用意できるのかというふうなことを、市町村が直接というふうなことももちろんでございますが、例えば、町づくり公社あたりを中に立てて、その辺での、現実の希望と実際に用意できる住宅との突合といいますか、意見調整というふうなことをやはり二回、三回と繰り返して、その上で、大体方向が見えてから現実の安定計画を申請する、それで認定するというふうなのが現実的な行政運用の実態になるのではないかというふうな感じがいたしております。
  75. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 では、現実には、現実に対応したそうした手続を十分行うということだと思いますが、ここの、さらにこの「居住安定計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。」というので、随分これ、たくさん複雑な、難しいことがあって、これは、例えば個人の賃貸人などはなかなかできそうもない手続なのですが、こういうことについても、それでは町づくり公社だとかあるいは市町村だとか、そういうものと事前に、その手助けを得て、支援を得て、これ、人に任せてこういう書類を整えるとしたら費用負担なんかも相当かかってくると思うのですが、そういう点についても、それは市町村)認定権者の方で面倒を見るということでいいのですね。
  76. 小川忠男

    小川政府委員 法律で書いてございます書式、手続というのは、恐らくは、見かけよりはもう少し簡単かという感じはいたしますが、そうはいいましても、現実の密集市街地におきます賃貸人といいますか所有者の方、高齢者の方々が多いというのもこれまた現実であろうかと思います。  その場合には、先ほど申し上げましたような、やはりマンパワーを持っている町づくり公社の職員あたりがいろいろ御相談に応ずるというふうなのが現実的であろうかと思います。
  77. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 先ほど言いました高齢者の問題とも関係するのですが、この代替住宅に移る場合の激変緩和の措置ということで、五年間、相当の家賃の開きがある場合に、最初は安くして、だんだんとそのレベルに持っていくという、五年間のそういう措置というのがあるのです。これは、高齢者なんかの場合は、だんだんと払うのは大変になってくるので、まあその分安くしてあるといえば安くしてあるのですが、そういう傾斜の方法というものが果たして適当なのかどうかというふうに私は思うのですよ。こういう点もやはり、高齢者等についてはまたさらに特別の配慮が必要なのではないでしょうか。
  78. 小川忠男

    小川政府委員 五年間の激変緩和措置議論するのもさりながら、恐らく、それ以前の問題として、前提となっている家賃の考え方が妥当かどうかというのがまず基本であろうかと思います。  といいますのは、昨年の公営住宅法の改正で、公営住宅の家賃というのは一体どうやって決めるのか、こういうふうになりますと、かつての公営住宅の場合には、原価をベースにして画一的な決め方をいたしておりました。一種と二種というふうに分けてはいますが、割合粗っぽく、二種類の家賃体系しかないというふうなことでございますが、新しい公営住宅の考え方というのは、割合きめ細かく、入居者の収入の度合いに応じて家賃がきめ細かく決まってくる。したがいまして、収入の少ない方には少ない方なりの家賃というふうな形で、社会的に妥当と思われる水準の家賃が設定されるというふうなことでございます。  先ほど神戸の例で二万円前後というふうに申し上げましたが、例えば高齢者用の単身用の公営住宅、東京に若干話を戻しますと、例えば豊島区なんかで試算いたしますと、四十平米くらいで二万五千円を少し超える程度かなというふうな水準の家賃になります。  したがいまして、基本的には、密集市街地に住んでいらっしゃる方々にとっても、その方々の収入に応じた家賃でしかるべく用意をするというのがまず基本にあって、しかし、さはさりながら、現在の方がそれよりはもっと安いのだというふうな場合に、五年間の激変緩和措置を国の補助のもとに講ずるというふうなことでございますので、御理解いただければというふうに思います。
  79. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 ぜひその辺は、十分に行政の方でも気を配って、心して対応してもらいたいと思います。  それから、違う問題ですが、都市計画法に風致地区という規定があるのですが、この風致地区の行政上の目的、これはどういうことでございますか。
  80. 木下博夫

    木下政府委員 先ほど来の御議論の中に、都市の中にもいろいろ空間をつくっていかなければいけないと思いますが、我々はそういう意味では公園、道路の整備ということも申し上げたわけですが、御質問の風致地区につきましては、現在の都市計画の中で、いわばそれぞれの地域の、いわば、何といいますか、都市の持つ豊かさというものの中で、大変、風致点、それぞれの風土といいますか、その都市の持ち味というものを一つ注目しておるわけでございまして、そういう意味では、風致地区というのは、従来からその周辺の樹林地とかあるいは丘陵地、こういう自然景観との調和を図る、そういう中で一定の住宅建築に対しての規制を行っていく、そういう地区として位置づけております。
  81. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 これが、せっかくこの風致地区というものが法律で定まっているのに、事実上、その市町村の開発計画というもの、市町村でありますとそういうものによってっぷされて有名無実になってしまうということがあるのですね。  この風致地区での建設について、規制の除外として、建ぺい率は四〇%、容積率八〇%というのがあるのですが、これが、地区計画というのがまた別に市町村にあるわけですね。この地区開発計画というようなものに協力すると、これは建ぺい率が五〇%になってしまう。角地なんかの場合には六〇%になる。容積率はこれはもう一〇〇%になってしまうというようなことがございまして、各地でいろいろ問題になっているわけですが、風致地区というものの規定と市町村の開発計画というもの、地区計画ですね、これは一体どっちが法的に強いのですか。
  82. 木下博夫

    木下政府委員 先ほど申し上げましたように、当然、風致地区というのは、それぞれの土地柄といいますか、そういうものを、風土を、我々としては、各町がみずから選択しながら有効に残していこうというような風土、風致について都市計画の線からやっておるわけであります。  ちなみに、先生も御案内かと思いますが、東京都の場合などは具体的な条例を持っておりまして、かなり、そういう意味では、風致地区におきます許可を要する行為などというのは、逆に地元からしますと大変厳しいという声もあることも一方では事実でございます。しかしながら、その中で、現実的に、今お話のございましたように、ある一定の広がりの中で地区計画というものも定めながら、いわば、何といいますか、応用編として地域整備をやっているということも事実でございます。  こういう中で、本来の風致地区なりあるいは地区計画というのをどう重ね合わせていくかというのは、それぞれの地域の中で我々としては選択していただく中でございまして、法的にどうかということになりますと、むしろ風致地区というものが前提となって、まず基本ベースをつくっていく上で、今お話のございましたそれぞれの一定のエリアの中で地区計画は、またこれは地区計画、都市計画としての制度としてその上にかぶさっていくというような認識でやっております。
  83. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そうすると、やはり地区計画を立てる際には、風致地区の指定というものについては、相当重きを置いたというか、そうしたものに相当程度規制をされるということでいいのですか、風致地区に。
  84. 木下博夫

    木下政府委員 一般論としてお答えした方が適当かと思いますけれども先ほど申し上げましたように、各風致地区のやはり条件というのは多様でございますので、我々は考え方としては、それぞれのケースにおいての取捨選択があろうかと思いますが、制度的には、やはりそういう風致地区というものについては大変重い意味があろうかと考えております。
  85. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 わかりました。  次に移りますが、都市計画という問題で非常に長期にわたって、四十年、五十年と都市計画が立てられてからたって、手がつけられていない、そういう道路だとか公園というものがたくさんあるのですが、この問題をちょっと申し上げたいと思うのです。  例えば東京都に、幹線道路は別として、これに対して補助道路というのがありまして、この補助二百十七号線とか補助五十二号線とかいうものがあるのですが、これはいつごろから、これは大体、事業の決定権者は都知事で、建設大臣が認可権者になつているわけですが、これはいつごろの都市計画になりますか。
  86. 木下博夫

    木下政府委員 今御質問のありました補助幹線道路は二百十七号と五十二号と承知しておりますが、それぞれ都市計画決定は、二百十七号については昭和四十一年、それから補助第五十二号線は昭和二十一年にそれぞれ都市計画決定をしております。  ただ、申し添えさせていただきますと、やはり町づくりというのは、言うまでもないことでございますが、大変時間を要しておることも、決して褒められたことではないと思いますけれども、それぞれ従来からの墓京都の町づくりの中で出ておりますので、都市計画決定された事業を一刻も早くするための手法は我々も当然組まなければならなやかと思いますが、今のような状況でございます。
  87. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 町づくりは時間がかかるというのはよくわかるのですが、それにしても、東京とか大阪とか、大都市は非常に年々変化の激しいところでありまして、つい十年前は非常に、畑があったりして、空き地が多くてゆったりしていたところが、十年間でもう密集地になってしまうというような変化の激しいところでありますので、恐らくそういうこともあって、この都市計画法には、第六条でもって、おおむねこの立てられた都市計画は五年ごとに基礎調査をやるべきだ。そして、その際にさまざまな、人口の規模だとか、あるいは就業人口の数、ふえぐあいだとか、あるいは土地の利用形態の変化だとか、交通量のふえぐあいとか、こうしたものをそうした基準に沿って基礎調査を行うべきであるという規定がございます。  そして、この二十一条には、変更する必要が生じた場合には遅滞なく変更しなければならないというふうに書いてあるわけであります。そして、例えば東京都の場合には、東京都はこれは十年ごとにやっておるわけですが、そして十年以内にこうやって、基礎調査をやって、そして十年以内に着手する路線とそれ以外の路線というものを分けているわけですね。  先ほどの答弁ですと、例えば都道補助五十二号線というのは昭和二十一年に計画が立てられておりまして、五十年たっているわけですが、こういうふうに都市計画法に規定されているということは、やはりそれなりの意味が私はあるのだろうと思うのですね。道路の線を昔引いたときには、そこは畑だった。けれども、その後いろいろな店ができたり住宅が建ったり、変更が進んできた。  中には、もう五十年もたてば、その当時は線を引かれたということを知っていても、その人はもうお亡くなりになって、息子さんや孫まで住んでいるというような状況の大きな変化があるわけです。  ですから、五年ごとに基礎調査を行うということは非常に重要なことだと思うのですが、この基礎調査というものは何のために行うのかということを確認したいのと、そして、この基礎調査の結果というものは、当然法律に書いてあるのだから重視しなければならぬと思うのですが、いかがですか。
  88. 木下博夫

    木下政府委員 各都市計画施設の事業化が大変おくれているということは我々も認識しております。この委員会でもたびたび御指摘がございまして、例えば今お話ございました幹線道路についても、東京都の場合は、もう何回かお答えしておりますが今五二%という状況であります。これは、我々としてもこの問題に対して大変重く受けとめなければならないと思っております。  今お話ございました五年ごとに都市計画法六条によります見直し、これは言うまでもないことでありますが、各地方公共団体がその都度やります。都市は生きておりますから、ダイナミックな動きの中でそれぞれの点検をすることは当然でございますから、法律もその趣旨で規定されておるわけであります。  ただ、しかしながら、我々が今使わせていただいておる道路とか公園については、むしろ逆に戦前から確保されているところが多いわけでございまして、そういう意味では、現代に生きる人間としては、むしろ今までの都市計画決定された道路を必要なものは一刻も早く仕上げるという方が我々の果たすべき役割ではなかろうかと思います。  そういう意味では、最近はいわば周辺の土地利用とあわせた事業化ができないかということで、例えば街路と周辺の都市整備を一体的にできる手法なども編み出しておりますが、ただ、先生おっしゃったように、そういう中でも、長い中でいろいろ生活あるいは産業が変わるときに、それぞれのネットワークが本当に現時点において必要かどうかということは、当然我々も真摯に点検しなければいけないと思います。  東京都は、そういう意味で最近は十年とかあるいは二十年という一つのタームを決めまして、その中で、相当財政的な面も厳しく査定する中で、目標を決めてそれぞれの事業に取り組んでいくことも事実でございます。御指摘のルートが今後どういう形で地域とつながるかということは改めて点検はしなければいけないと思いますが、私は、今東京都の点検している道路のネットワークの必要性というのは相当厳しい中から出ていると思いますから、むだのない道路予算を執行する意味からいきましても、ぜひ残された我々の世代の間でのいわば社会資本整備ということには取り組む必要があろうかと思っております。
  89. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そもそも都市計画を決定する場合にはどういうことをやるか。この決定過程の問題ですが、例えば今の五十二号線でいえば、昭和二十年と言いましたか、その際には、まず地図に線を入れて、ここを計画決定したいということで、これを二週間一般に縦覧する。その間、意見書の提出が住民サイドはできる。その意見書を含めて都市計画地方審議会にかけて、そして都市計画を決定するということになるわけですが、それが三十年、四十年、五十年とそれでもって進んでくる。  後は、今度は事業認定を受ける際はどうするかというと、それは昔そこに線が引いてあったから、あなたのところのここからここまでは今度事業にかかることになりますよ、なりましたよ、こういうことで説明会なんかを、これは規定されていないのだけれどもところによっては開く、開きたくなければ開かなくてもいいということで、今度は予算を決めて、そして現地の住民に通知をする。そして測量なんかをしてしまって、認定する。そうすると、この事業認定というのはある意味では非常に自動的に進んでいってしまう。  事業認定がおりたら、これはすぐおりますから、おりたら今度は住民はそれに協力してもらうのだというだけのことでありますから、これは住民にとっては、まさに五十年もたって、もうすっかり忘れておったのに、あるいは初めから引っ越してきたときに知らなかったのに、降ってわいたように突然、寝耳に水といいますか、冷水を浴びせられたように、ここは道路になりますよというふうになるわけであります。これはやはり非常に不自然である。しかも、先ほども言いました五年ごとに見直しとか、そうした法の趣旨からいっても、これは必ずしも適切ではないというふうに思うのです。  そこで私は、少なくとも五年ごとにこうやって基礎調査をやるわけですから、基礎調査をやって、まだこれはしばらく、あと五年、十年は着工できない、着手できないというふうになった場合、それは十年後には着手できるというのだったらいいでしょうけれども、すっかり様相が変わってしまって、状況が変わってしまって、そしてもとの計画どおりにはいきそうもないという事例が非常に多いわけですから、そういった場合にはこれを見直す。  そういった場合にも見直そうとしないわけです。見直そうとしない理由の中に二つありまして、一つはどうしても将来この線で何とかいきたいという場合と、これは相当変更しなければ無理だろうけれども、変更する代案が今立てられないし、どうしていいかわからない、だから見直しをしないということで、もう大部分が基礎調査をどのぐらい誠意を持って丁寧にやっているかどうか、そこも問題なのですけれども、同時に、さらに問題なのは、そういう規定があるにもかかわらず見直しというものをしないということなのですね。そうやっていくと、結局、ここに書いてあることは何の意味もなさないで、四十年、五十年とたっていってしまうわけですよ。  ですから、これは少なくとも十年ぐらい、あるいは計画を通してから一定の長期間たったものは、再度同様の、例えば事業化しようという場合は住民に縦覧するなり、あるいは都計審にかけるなり、そういう手続をやり直す。あるいは、さらに時間のたってしまったものは、これはもう計画をとりあえずもとに戻す、一たん計画を廃棄するという措置が必要だろうと思うのですね。そうしないと、これはもう住民の不安と、それからまた現にいろいろな利害関係の対立とかいうものが持ち上がってきてしまって、市町村なんかでもこうしたものに対する対応というものは非常に大変なことになってくるわけですよ。どうですか、その点。
  90. 木下博夫

    木下政府委員 御質問の点は、都市計画に常につきまとう大変大きな問題といいますか課題ではなかろうかと思います。先生も十分御承知で御質問いただいているわけですから、あえて答えるのはいささか気が引けるわけでございますが、手続は御披露がございましたようなことで、それなりに公衆の縦覧をするということを含めて民主的にやっていると思いますが、最近につくられたものはそうであっても、例えば、もう五十年前につくられた計画が一体どういう意味があるのかということでございます。  ただ、各施設とも同じでございますけれども、とりわけこういう帯状と申しますか線状に引かれるような道路なんかの場合には、やはり一たん決めたものについて例えば五年ぐらいで見直すというのは、これは私はかなり冒険ではなかろうかと思います。裏返してみれば、したがって、そういう計画をつくるときには、住民の方々の御理解をいただく上で、相当の覚悟で決めるべきだと思います。  先ほど申し上げましたように、したがいまして手続の民主性はもちろんでありますが、一方では、用地提供を受けられたり、あるいは都市計画上の規制を受けるという意味では、大変そういう意味では公的な規制をかけることで私的制限が限られることは都市計画の持っております宿命でございます。やはり私は、その計画に当たっては相当慎重にやるべきだと思いますが、計画についての変更は、五年置きの見直しをもちろん拒むものではありませんけれども、特に申し上げたような施設については、私はそう軽々にはなかなかできないと思います。  ただ、時代が変わりますからその中で見直しを一切しないとは申しておりませんが、特にお話のあった中で一部、私これは教えていただきますが、情報の提供という問題については、私どもぜひやらなければいけない。  例えば、住民の移動があった中で、自分の住むところが一体そういう都市計画決定がされているかどうかということがとかくわかりにくいとすれば、これは例えばおうちを買い求められるとかそういうときにしっかりそういうものが見られるような縦覧システムなども当然つくるべきであろうと思いますし、現にもうそういうものをやっておるわけです。  いずれにせよ、先ほど申し上げましたように、これからの町づくりの中でぜひ残さなければいけないところを絞りに絞った中で要は都市計画決定されていると私どもは信じたいと思いますが、常に見直しをしながらでありますけれども事業執行に当たってはそういう御指摘のあったところを十分念頭に置いてやっていきたいと思っております。
  91. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 事業認定に当たっては、この手続というものについて若干触れたいのですが、これは具体的にはどういうふうになりますか。  私がさっき申し上げたように、予算をつけて、それではここは着手しようということを例えば認定権者の方で決める。そして建設大臣の認定を得る。そして今度は、そうすると測量に入るとか、あるいは測量に入って、決めれば法的にはそれでもう工事に着工できるわけですね。最近は地元説明会なんというのももちろんやられたりしますけれども、基本的にはそれだけですね。
  92. 木下博夫

    木下政府委員 御質問趣旨に私ちょっと沿わないお答えをするかもしれませんが、本来都市計画の場合で決めます範囲、事項と、事業認可の場合と、構造的なものとかいろいろ加味されますから若干異なると思います。  したがいまして、当初、どこのあたりにどの程度の幅員の道路を通すかということについての都市計画決定の段階では、住民の方々にそれぞれ御説明するわけであります。例えば、具体的に道路が入ってまいりますと、予算の関係もございますけれども、周辺の環境とマッチするような道路づくりをするとか、そういうたぐいの話は事業認可の段階で住民の方々に御説明して、より詳細なそうした計画、要素というものが提示されるわけでございますから、その段階で二段階になるわけでございますけれども、住民の方々のいわば確認をしていただきながら協力を得て事業を進めるという意味で、計画決定と事業認可の差が出てくるのではなかろうかと思います。
  93. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 住民の確認とはどういう意味ですか。これはちょっといいかげんな言い方なんじゃないですか。住民にはただそれをお知らせすればいい。お知らせするというだけのことでしょう。それで、場合によったら、これは法律にはどこにも書いていないわけだから、別に知らせなくてもいいわけですよ。それでもう進めてしまう。あとは、大体のところは立ち退いたんだけれども、どうしても立ち退かないところが何軒かあったら、これはもう土地収用法で立ち退かせる。そして立ち退き料といいますか、この補償というのは、これはどうやって決めるのですか、土地や建物の買収基準といいますか……。
  94. 木下博夫

    木下政府委員 二点申し上げたいと思いますが、私、確認と申し上げた点は、先ほども申し上げましたように、事業説明を現場でそれぞれの事業主が関係者の方にさせていただいております。地元協力がなかりせば事業は進みません。したがいまして、そういう意味での確認と申し上げたわけでございますが、これはおよそどういう地域におきましてもそれぞれの事業主体が実施していると私は承知しております。  それからもう一つ、補償の話でありますが、これはやはり補償の差があってはなりませんので、本来公共事業補償のいわば基準というものを設けておりますが、それに準じてそれぞれの事業者が決めさせていただいておりまして、それぞれその時々の時価その他のことがベースになって決められておる補償基準で実施していると私ども思っております。
  95. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 それでは、確認と言われたので、その確認というものの意味を言ってください。どういうことですか。
  96. 木下博夫

    木下政府委員 今前半でお答えいたしましたように、事業主がそれぞれ地元での説明をさせていただく、事業計画に対して説明させていただくことについて申し上げました。
  97. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 それではただ説明するだけじゃないですか。確認じゃないじゃないですか。それを確認というのですか。  だから、結局何もしないで、要するに事業の着工については、もう計画が五十年前にあれば、着工は基本的には非常に簡単な形でできるということになっているわけですよ。しかし、この五十年 の間には大きな変化があるわけでして、五十年前に計画を縦覧されても、その人はもう生きていない。その後生まれた人には全然縦覧されていないわけですよ。  だからこれは、こういうふうに長期にわたって三十年、五十年というふうに計画が着工されない場合には、これは大臣から答えてもらいたいのだけれども、こういう都市計画が三十年、五十年というふうに全然着手されないという場合には、これはその都市計画の手続を何らかの形で見直すなり、やり直すなりということが必要であろうと思います。これは大臣も異存ないんじゃないかと思うのですけれども、日ごろの御姿勢から申し上げると。
  98. 亀井静香

    亀井国務大臣 個別具体的な問題でないと、抽象論的には御回答できないことでありますが、一般論として言えば、何十年もできないということはそれを実施する基盤が崩れている状況があり得るわけでありますから、見直すのは当然だと思いますね。
  99. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 ありがとうございました。  それから、あと公園なんかもあるのですね。例えばここに、これは実は私の地元なんですが、都市計画の中の都立祖師谷公園というのは、これは非常に広い、五十三ヘクタールもの公園計画の線がずっと引かれっ放しになっているのです。  経過を簡単に言いますと、昭和十二年に防空法というものが公布になった。それから昭和十三年に東京都市計画公園、防空小緑地ということで規定された。それから十四年には東京緑地計画というのがあって、その祖師谷普通公園というのに決定をされた。そして昭和十五年に都市計画法改正があって、そしてずっと来ているということで、その後、何と少なくとも平成二年までは何らの手もっけられなかった。  そもそもは関東大震災のころ、緑地が必要だというようなことがあった。それから今度は戦争中に防空緑地という概念があって、それで指定されているということで、今日までそれがそのまま都市計画公園ということになってきている。  この間、最初のうちは、これは少なくとも昭和十四年ごろはここに二十二軒ぐらいしか建物が建っていなかった。今はそれが何と千五百を超える家が建っておる。住んでいる人も、数千人が住んでいるという状況になっているわけでして、これを一々買収して、そして当初の計画されている五十三ヘクタールの公園をつくるなんということは、どう逆立ちしたってこれは無理な話です。やるとしたら何百年かかかる話です。こういう都市計画というものは、これはそのままでよろしいのでしょうか。
  100. 市川雄一

    市川委員長 質疑時間が終わっていますので、簡潔に御答弁ください。
  101. 木下博夫

    木下政府委員 簡潔にお答えいたします。  おっしゃったように、大変時間がかかっておることは私も心苦しくて、先生の御指摘もありますが、ただ逆に、御質問の中にありましたように、戦前、一生懸命公園候補地をつくるなり防災空地でつくっていたところを、どちらかといえば戦後我々は先人のそういう財産を食いつぶしているところがありまして、きょう御議論いただいている法案につきましても、いわばそういう空地をたくさんつくっていこうという方向も当然とらなければいけないわけです。  ただ、未供用、未開設の公園が大変多いことは我々も承知しておりますので、とりあえず現在は買い取り請求などに応じるという形でやっておりますが、今後もう少し、その公園整備が現実的な形で進むように、東京都ともよく御相談させていただきたいと思います。
  102. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 最後に、では、この点についても先ほどの道路の問題と同様に、建設大臣、もう五十年、六十年、七十年たってほとんど手がついていない都市公園なんかの計画についても、やはり見直さなければどうしようもないということだと思いますが、いかがでしょうか。
  103. 亀井静香

    亀井国務大臣 建設省は、やる気のないところまで支援するほど暇ではございません。
  104. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 最後に名答弁をいただきました。  ありがとうございました。
  105. 市川雄一

    市川委員長 樽床伸二君。
  106. 樽床伸二

    樽床委員 新進党の樽床伸二でございます。  先ほどの赤羽議員に引き続きまして、密集市街地における防災等々の法律案につきまして質問をさせていただきたいと存じます。  先ほど質問なさいました自民党の谷畑議員と同じく、私も大阪の選出でございまして、事情は大変よくわかっておるつもりでございます。そういった点に立ちまして、中央と地方とがいかに相協力をしてこの法律案が実効あるものになっていくのか、そういった観点、さらには、国政的な立場におきまして若干ひっかかる点等々もございまして、そういった点にも及んでの質問をさせていただきたい、このように考えておる次第でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。  まず、私ども説明を受けましたところ、この法律案の中に、住宅都市整備公団ノウハウを活用していく、こういうことがございます。住宅都市整備公団につきましては、亀井大臣が本会議場におかれまして思い切った発言をされ、そして住都公団の改革、よりよい方向への転換ということが進んでいっているように私は理解をいたしておるところであります。  さらに、もう一回確認をさせていただきますが、住都公団住宅事業からの撤退、町づくりへの特化、こういう流れであろうかと思いますけれども、それよりもさらに突っ込んだ改革の意思がおありであるか否か、ぜひともお聞かせをいただきたい、このように考えております。
  107. 亀井静香

    亀井国務大臣 基本的には、住宅政策につきまして、やはり民間にゆだねるべき点は思い切ってゆだねていく、ただ、低所得者階層を中心とする住宅への需要、そういうものに対して国なり地方公共団体が責任を持っていくということをあわせてやっていくというのが基本でございます。  そういう意味では、分譲住宅からは完全全面撤退をするという方針のもとで、今後住都公団事業方向は、都市の再開発、いわゆる町づくりを中心に、これは巨大な技術ノウハウ集団でございますから、それを生かしていく。しかし、その過程におきましても、民間のディベロッパーあるいは自治体との緊密な関係のもとにおいて推進していくということでございますので、私は、今後事業の中身、固定的なものじゃなくて、要は国民のため、地域住民のために、ああ、住都公団がやってくれるのはいいな、ありがたいな、そういうものがあればやっていく、迷惑であればその部分はやらないということであろうかと思いますので、議員からも具体的な、大阪あたりでもこういう方向に進んでいったらいいんじゃないかというような御提案があればどしどしといただきたい、こういうように思います。
  108. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。私どもも一生懸命頭をひねっていきたいと思います。  さらに、この住都公団につきましては、政府ではありませんが、政権与党の最大会派であります自民党の方から三月末に改革案が提示をされておるわけでございますが、この自民党の改革案につきまして大臣の御見解をぜひお聞かせいただきたいと存じます。
  109. 亀井静香

    亀井国務大臣 基本的に矛盾をしておるとは思いません。  ただ、自民党の改革案もまだ細部にわたっての詰めがされておるわけでもございませんし、我々も今改革案を練っておる最中でございますので、政権与党はもちろん、野党の各党の皆さん方のお知恵もいただきながらすり合わせをしてまいりたい、このように考えております。
  110. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  私は野党の立場から申し上げるわけでありますが、自民党の案におきましては、大方の方向性というのは今大臣がおっしゃった方向性と軌を一にしておるわけでありますが、一点どうも気になりますのは、「新たに設立する法人」、こういう文言が入っておりまして、一体これは何なのだろう、 名前を変えるのだったらそのままいけばいいじゃないかというような感じもしておるわけであります。この辺のところが私どもまだ今後いろいろお聞かせいただきたいな、大臣に限らず政権与党の方々にもこの内容は一体いかなるものかということをお聞かせいただきたいな、こんな思いもあることをこの場で申し上げたいと思っております。  さらに、今大臣の方から、地方から迷惑がられない形で住都公団が出ていくのだ、こういうお話がありました。  私どもが認識をしております今回の法律案におきましても、地方自治体から言われて出ていくのだ、こういう文言が入っておるわけでありますが、これは、地方自治体からの要請等々がなければ一切しない、こういうふうに考えてもよろしいのでしょうか。それとも、地方自治体と住都公団と協議をしながら、住都公団の方が主導権を持つというような場合もあるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  111. 亀井静香

    亀井国務大臣 これは、都市の再開発は、基本的には、国がああしろ、こうしろと指図すべきものではないと思います。  ただ、私ども防災行政を推進していく上からも、国全体の国土の整然とした整備というような観点からも、自治体に対して、この地域はこうされた方がいいのじゃないですか、それについては私どもとしてこういう御協力も申し上げられますよということは今後ともやっていくつもりでございますし、今も私、東京都知事なり各自治体の首長と逐次お会いをしながら、この法案との関係でも、そういう中身の問題につきまして御協議を申し上げておる最中でございまして、そういう中でのアドバイスを申し上げるということはあろうかと思いますが、主体はやはり地方自治体であろう、このように思っております。
  112. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  それから、先ほど大臣の方から、住都公団については町づくりノウハウは非常に高いものがある、このようなお話がございました。  私どももまだまだ勉強不足でありまして、どれほど高いのか、まだなかなかはっきりと認識できておりません。民間と比較して一体いかほど、どのようなノウハウの蓄積があるのか、お聞かせいただけたら幸いでございます。
  113. 小川忠男

    小川政府委員 住都公団と民間とのノウハウあるいは技術力の相違でございますが、なかなか表現方法は難しいだろうと思います。ただ、一つ言えることは、やはり公共団体との関連が非常に密接であるとか、あるいは大規模であって公共施設の改変を相当程度伴う、したがって、時間もかかればそれなりのマンパワーも投入しなければいかぬというものについては、やはり採算ベースだけで動かざるを得ない民間に比べまして、住都公団がかなり群を抜いて力量を持っているのではないかというふうな感じがいたしております。
  114. 樽床伸二

    樽床委員 ということは、民間に任すよりも住都公団がやった方がいいものができるとかなり自信を持っておられる、このように理解をさせていただくわけでありますが、ノウハウをお持ちであるということはそれなりに認識をさせていただくわけであります。  せんだって大臣が記者会見をされたというふうにお聞きをしておりますが、住都公団の関連法人の改革について、契約等々に関する改革、さらには関連法人に関する改革、こういったことでお話をされておられるというふうに私は認識をしておるわけでございます。  この関連法人の仕事は、実際に民間でできるはずであるというふうに私は認識をいたしておりますが、このあたりにつきましてはいかがお考えでございましょうか。
  115. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員御指摘のように、相当部分、民間において競争入札という形の中で参加をしていってやれる部分がある、このように考えます。そういう意味で、従来の住都公団の業務委託の状況が完全に適切である、私どもとしてはこのように判断をいたしておりませんので、このたび思い切ってそうした競争入札を実施し、また委託料等について逆に単価の面でいろいろ問題もある、このように我々認識をいたしております。  簡単に言いますと、貸すのはもっと高く貸す、それで、逆に業務委託につきましては競争入札という原理の中でこれを安く委託をするという両面のあれを働かせまして、財務内容をきちっと改善をし、国民の税金をつぎ込んでいくということについて少しでも是正をしたいということでございます。
  116. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  私自身、住都公団がこれまで全く意味がなかったと言うつもりは全くございませんし、戦後の五十年の流れの中で、我が国が復興をしていく過程、それからどんどん現在のような豊かな社会に突入をしていく過程において、住宅をいかによりよく、また大量に供給していくかということについての役目があったことは否定せざるものだろうと思っております。  しかしながら、時の流れの変化がまことに早いものがございまして、昨今マスコミ等々でもいろいろなことが言われております。私は、マスコミがおっしゃることがすべて正しいとは思っておりません。しかしながら、税金をいかに有効に使っていい施策をしていくのかというのが我々の政治、行政の仕事であるわけでございまして、そういった点から考えると、これまで私は、住都公団の役員の方々の中に多数のOBの方がおられて、そして住都公団の関連会社がかなり大きな黒字を残しておられるというのは少し合点がいかないというふうに常々思っておりました。  そういう点につきまして、今思い切った改革の方向に進んでおられるということでありますので、ぜひともそのことを強く御期待をさせていただきたい。さもなければ、今回の法案が、ちょっとこれは言い過ぎになるかもわかりませんが、また住都公団の仕事をふやしてしまった、こういうことにならないとも限らないわけでございまして、そういった点につきまして、やはりきちっと改革への道を進んでいただきたい、このように考えておるところであります。  その点につきまして、最後にもう一点だけお聞かせいただきたいと思いますが、関連会社からの出資の引き揚げをする、こういうお話で承っておるわけであります。  私が手元に持っておる資料によりますと、「出資目的をほぼ達成した会社からの公団出資の引き揚げについて、関係者との協議を直ちに始める」のだ、こういうことでありました。また、「その他の関連会社については、自立化、統合の可能性について検討。」する、こういうことであるというふうに聞いております。  「協議」とか「検討」、こういう言葉を聞いておりますが、一体いつごろからスタートしていただいて、どのあたりで大きな方向性を出していただくのか、あわせてお聞かせいただきたいと思います。
  117. 亀井静香

    亀井国務大臣 もう直ちに現在始めております。ことしの夏をめどにこれは完了させるつもりでございます。
  118. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  ことしの夏はいろいろなことが起こるかもわかりませんので、ぜひとも大臣の強力なリーダーシップで改革への道を突き進んでいただくように心からお願いを申し上げる次第でございます。  さて、住都公団の問題を今いろいろお聞かせいただいてきたわけでありますが、この法案の内容につきまして、次の観点からお聞かせいただきたいと思います。  といいますのは、防災という冠をつけることによりまして新たな施策を推進されていく、こういうことであります。これまでも密集市街地につきましてはいろいろと名前が二回、三回変わってきたような記憶をいたしておりますが、制度化されていろいろ進行をされておるわけであります。私が認識しておる限りにおきましては、密集住宅市街地整備促進事業というのが行われておる、このように聞いておりますが、この事業の進捗状況というのは一体いかがなものであるのか、ぜひともお聞かせをいただきたいと存じます。
  119. 小川忠男

    小川政府委員 ただいま御指摘の密集住宅市街地整備促進事業でございますが、これは昭和五十七年度に三大都市圏のいわゆる木賃地区を対象にして制度が創設されました。  その後、適用全国に拡大するとか、あるいは中身を充実するというふうな過程を経まして今日に至ったということでございます。  昭和五十七年以来今日までの間に、平成八年度末時点でございますが、全国の十四地区で整備が終了いたしております。また、現在進行形のプロジェクトといたしまして、全国で百五土地区、面積にいたしまして約五千七百ヘクタールについて現在整備を進めっっございます。
  120. 樽床伸二

    樽床委員 十四地区で終了し、百五十で現在進行形ということでございます。  この百五十の地区で進行形であるといたしますと、現在進行しております地域におきましては、今回の法律案成立をした段階でどのような影響を受けるのでありましょうか、また、今推進されておる事業はどのような扱いになっていくのでありましょうか、お聞かせいただきたいと存じます。
  121. 小川忠男

    小川政府委員 ただいま御審議いただいております法律適用は、市街化区域内のプロジェクトを対象にするというふうなことになります。ただいま申し上げました現在進行形の百五十のうち、市街化区域内で行われておりますのは全部で百二十八地区ございます。したがいまして、若干時間はかかるかと思いますが、百二十八地区の相当程度はこの法律に乗り移って整備が進む可能性がございます。それから、残りについては引き続き予算措置として最後まで努力いたしたいというふうに思っております。
  122. 樽床伸二

    樽床委員 可能性があるということは、結局それはへ知事の指定等々の問題、それから地元市町村の意向の問題があるので、可能性という言葉をお使いになったのでしょうか。
  123. 小川忠男

    小川政府委員 御指摘のとおりでございます。  制度を準備するのは私ども政府の責任でございますが、運用そのものは知事以下の市町村の行政にゆだねられております。したがって、全面的な財政的な支援、御協力はいたしますが、最終的には公共団体の御判断だという面が非常に大きいというふうなことを御理解いただきたいと思います。
  124. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  また密集住宅市街地整備促進事業に一回戻りたいわけでありますが、十四地区で終了しておって、百五十で現在進行形である、この状況につきまして、建設省とされては、非常によく進んでおるというふうな認識をされておられるのでしょうか、それとも、進捗がやはりこういう問題においてはなかなか難しい、このようにお考えでありましょうか、ぜひともお聞かせいただきたいと存じます。
  125. 小川忠男

    小川政府委員 率直に申し上げまして、若干歯がゆい感じがいたしております。なろうものならば、もう少しきちっと展開できないだろうかという思いがいたします。
  126. 樽床伸二

    樽床委員 非常に率直な御意見であろうと思いますが、その歯がゆい思いというのは、建設省からすれば、なかなか進捗状況が悪い、簡単に言えばそういうことだろうと思いますが、なぜでありましょうか、建設省の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  127. 小川忠男

    小川政府委員 基本的には、二つの要因があろうかと思います。  一つは、やはり対象としている地域そのものが持っている基本的な難しさというのがございます。例えば、木賃地区といいますか、古い木造賃貸住宅が非常に密集している、割合が非常に高い、あるいは関係公共施設といいますか、道路等々の整備が極めて不十分であるという地区そのものが持っている属性が一つございます。  もう一つは、さはさりながら、先ほど大臣が何回か繰り返して御答弁されましたが、やはり人間的な努力によって対応可能な要素というものもあるわけでございまして、それを支えるだけの制度が必ずしも十分ではなかったというふうな点があろうかと思います。  端的に申し上げますと、賃貸住宅権利関係が錯綜している、こういう問題というのは、ある程度までは、制度なり支援措置をきちっと準備することによって解決は相当程度可能だと思われますが、従来は必ずしも十分ではなかったというふうな思いがいたします。  二つの点があろうかと思います。
  128. 樽床伸二

    樽床委員 ということであるならば、今回の法律によりまして、かなりそういった点は改善し、前に進む、このように考えてよろしいのでございましょうか。
  129. 小川忠男

    小川政府委員 ただいま御審議いただいております法律では、一つには都市計画的な地域全体としてアプローチしていくというふうな枠組みと、それから単体の建築物をつかまえて建てかえる、ないしは除却勧告を行う、二つの類型でのアプローチを想定しております。  したがいまして、一〇〇%大丈夫かと言われますと、多少もう少し運用の実績で反省すべき点があるならばというふうな点は御容赦いただきたいと思いますが、従来の枠組みというものと現実の実態というものを突合いたしますと、可能な限りでの対応策は今回まとめて準備させていただいたというふうな思いがいたします。
  130. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  少し話が前後するような感じになるかもわかりませんが、一つ、ちょっと頭の整理をするために教えていただきたいのです。  本法案において創設されます防災再開発促進地区でございますね、これと、都市開発法に基づく再開発促進地区、さらには、先ほど申しました密集住宅市街地整備促進事業で位置づけられる密集住宅市街地、これは一体どこがどう違うのでございましょうか、そこら辺のことにつきまして整理をしていただきたいと思います。
  131. 木下博夫

    木下政府委員 お答えいたします。  再開発というのも大変広い意味でございますので、再開発法で現在対象としております促進地区というのは、全国の人口の著しい集中をしております二十二の大都市を中心に、基本的な方針を決めて、いわば再開発を促進すべきということで、二号地区というふうに呼んでおります。したがいまして、目的は、防災以外にも、例えばその地域の活性化的なことも当然入るわけでございます。  今回は、もちろん、そういうところが副次的に効果としてあらわれないというわけではございませんから、当然その分野もあるわけですが、午前中の御議論から引き続いてではありますけれども、基本的には、我々としてはやはり阪神淡路大震災の際のいわば防災地区、防災的観点から今回の地区を選ばせていただいていますので、そういう意味では多少目的が特化していると御認識いただいてよかろうかと思います。  ただ、くどいわけでありますが、一体的にかつ総合的に再開発していくという性格などはむしろ類似しておりますし、それから地域的には、大都市にある程度絞られております再開発法世界よりは、かなり地方部分についても念頭に置いておるというふうに御認識いただいて、地方部においても対象として考えてまいりたい、こう思っております。
  132. 樽床伸二

    樽床委員 趣旨はそのようなことであっても、結果としてはかなり似たような地区が指定されるというふうに考えてよろしいわけでしょうか。
  133. 木下博夫

    木下政府委員 地方部のお話で例として申し上げますと、例えば駅裏あたりの大変密集しているようなところも例示として言えるのじゃなかろうかと思います。そういう意味では、再開発のいわば従来の法律の対象としているところも重なっておると思いますが、先ほどから申し上げておるように、我々はより防災に視点を置きたいと思います。  特に、住宅局長からも答えましたが、御質問のありました密集住宅市街地整備促進事業ども従 来からの事業としてあるわけでございますので、これはこれとしてでなくて、今回の施策の中に織り込んでいくことによって、より従来の施策も生かされるという意味では、ある程度目標はそこのところにまたすり寄っていくのじゃなかろうかと思います。  いずれにせよ、やはり事業だけという問題ではなくて、神戸のときもそうでございましたけれども一つはそこにお住まいの方々、それからもう一つは、それを支える意味での行政と、いわばコンサルタントといいますか、そういうサポート役もしっかりしていなければいけませんので、今回の法律は、御質問のありましたような、地区をどう選ぶかということも一つの課題でございますが、主体としてそういうものを応援する、従来の町づくり公社をより活性化していくという意味での推進機構とか、あるいは地域の方ができるだけまとまるという意味での整備組合などもこれの中に入れておりますので、私は、それぞれのそういう主体が今後いろいろな税制上の恩典も含めて活性化できる仕組みをこの法律の中に入れさせていただいていると御認識いただきたいと思います。
  134. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  実は、この法律案先ほど密集住宅市街地整備促進事業をかなりこれがカバーしていくのだ、こういうお話でございました。  非常に話が大ざっぱになって恐縮かもわかりませんが、ここで、実際にこの事業を行っていくのは市町村である、こういうことであります。知事が設定をし、決めたにいたしましても、やはり市町村がそれを推進していく、こういうことに相なるわけであります。  私の経験則から申し上げますと、大体こういう密集市街地をたくさん抱えておる地区、市町村というのは、総じて財政が非常に厳しいというのが私の経験則であります。間違っておるかもわかりませんが、私自身はそのような認識を持っておるわけであります。私が住んでおります市もまさにその典型である、こういうことでありますので、どうしても人はみずからの経験でその認識を左右されるところがございますので、私はそのように認識をしておるわけであります。  そういった状況におきましては、恐らく、想像でありますが、市町村の方々からすると、方向性はいいにしても、一体我々はどんな仕事がふえるのだろうか、こういうことを今大変御心配をされておるのではないか。いや、別にこの問題で地元の市に連絡をとっていろいろ意見を聞いたわけではありません。しかし、私はそのように想像するわけであります。そういった観点に立ちまして、若干細かい点でありますが質問をさせていただきたい、このように考えております。  まず、居住安定計画において代替住宅として公営住宅とか特定公共賃貸住宅等々を提供していく、こういうことでありますが、量的にしっかりと確保できるという見込みはきちっと立てておられるのでありましょうか、御質問をさせていただきます。
  135. 小川忠男

    小川政府委員 代替住宅の大半をなすものは、恐らく全国に既に二百十万戸前後ございます賃貸住宅であろうかと思います。  ただ、現実の代替住宅として十分に機能できるかどうかという具体的な問題は当然ございます。したがいまして、現在あるストックを代替住宅として活用しにくい、難しいという場合には新たに準備するというふうなことになろうかと思いますが、その場合には、昨年改正していただきました改正公営住宅法には借り上げ制度、買い上げ制度というふうな点がございます。これを十分活用して、具体的な、ここならば大丈夫だと思うような民間の賃貸住宅を借り上げるというのも一つの方法でございます。  また、この法律で新たに市町村の借り上げ住宅制度というふうな制度を創設しております。といいますのは、あらかじめ公営住宅だ、あるいは特定優良賃貸住宅だというふうなことを決めつけないで、一般的に市町村が借り上げて、入居者の属性いかんによって公営的に運用する、あるいは特優賃として運用する、非常に弾力性に富んだ制度を準備いたしております。  したがいまして、基本的なストックを十二分に活用することを前提としながら、足りない部分については借り上げ制度等々を活用していただければというふうに考えております。
  136. 樽床伸二

    樽床委員 まことに不勉強で申しわけないのですが、そういうときに市町村の財政負担というのは一体どのようになっていくとお考えでございましょうか。
  137. 小川忠男

    小川政府委員 この問題を解決する場合には、マンパワーの補強と並びまして、やはり財政的な問題というのは大きいと思います。今何度か繰り返し、公営住宅を借り上げるとか、あるいは家賃の激変緩和措置を講ずるとか、いろいろな言い方をさせていただきました。  それについても、国庫補助としては、恐らく補助率としては最高水準の補助率で応援をさせていただくというふうな形で準備いたしております。それから、先ほど昭和五十七年に今の予算制度の原型がスタートしたと申し上げましたが、そのうちの相当程度はこの法律の根拠を持つ法律補助に切りかえてございます。法律補助になりますと、いろいろと地方財政対策というふうなことで、裏負担についてもいろいろな措置制度的には可能になってまいります。それについても財政当局、自治省とは十分御相談をさせていただきたいというふうに思っております。
  138. 樽床伸二

    樽床委員 今、一つの例で質問をさせていただきましたが、私ども説明を聞かさせていただきましたときに、そのほかいろいろ、国が補助とか融資とか税制上の措置等々があって、考えられる範囲のかなり思い切った地元市町村に対する支援というものを考えておられる、そのようには認識をいたしておるところでありますが、先ほどから御答弁にもありましたように、もう一つマンパワーという問題があります。  いかにそういうような措置をいたしましても、マンパワーという問題は人の問題でありますので、国が金を出せば人が雇える、そう単純に考えてもいかぬだろう、このように考えております。これは市町村それぞれの自助努力でやっていくというのが本旨かとは思いますが、このマンパワーの問題につきましては、どのようにお考えでございましょうか。
  139. 小川忠男

    小川政府委員 マンパワーの不足というのはかなり深刻な問題だというふうな認識は持っております。具体的な市町村に果たして専門家が何人いるんだろうかとなってきますと、恐らく片手で数えられるような感じじゃないかと思います。  したがいまして、県にいろいろな公社等々がございます。また、いろいろな目的に使うために市町村単位で町づくり公社的なものは設置されている例もございます。そういうふうな外回りの組織をフルに活用するというのも一つの知恵だろうと思います。それから、かなり大規模なプロジェクトになってまいりますと、先生冒頭に御質問されましたように、住宅都市整備公団、恐らく日本で最大の技術者集団の総力を挙げて応援させていただくというふうなことも一つの方法であろうかと思います。
  140. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  結局、この問題をいろいろ議論をしていく中で、地方自治体のやる気というもの、最終的にはそこにたどり着くだろう、私の見解ではそのように実は思っております。  しかし、いかんせん、これまでの我が国の縦割り行政の中で、どうも市町村は上を上を見る癖がついておりまして、市町村都道府県を見、都道府県は霞が関を見、こういう癖がまだなかなか抜け切ってはいないというふうに私は認識をいたしております。難しい問題が出てくると、いやそれは都道府県が決めたことだ、さらには、いやそれは国が決めたことだということで、責任をどんどん中央に中央にと持っていく、この癖が抜けない限りは、こういった施策を推進していくに当たりましてもいろいろな弊害また障害が出てくるんだろう、私はこのように認識をいたしております。  そういった現状の中で、ぜひとも現状はそういうものであるということをしっかりと認識をしていただく中で、この密集市街地防災の問題につきましても、また密集市街地全体の再開発につきましても考えていただきたい、このように強くお願いを申し上げるところであります。  さらには、私冒頭に、防災という冠をつけることによってという言葉を少し挟まさせていただきました。私も、阪神淡路大震災はお隣の県の話でございましたし、かなりまだまだ記憶に強烈に残っております。しかし、昨今、ややもすれば、防災という冠をつければ何かすべてがそれで免罪符のような形で、防災防災といえば何でもかんでもそれでフリーパスだ、こういうことになってはいかぬだろう、このように思っております。  ですから、先ほど密集市街地の問題につきましても、そういう事業をされておって、今回の防災という冠をつけたこの法律案が出てきて、それが通ったらそちらに移行するのであろうという可能性が高い、こういうお話でございましたが、ぜひとも防災という冠をつけることによっていろいろな制度の屋上屋を重ねないように強くお願いをいたしたい、このように考えておるところであります。  やはり新たな施策ができて、そしてこれまで類似のようなことをやっておった、それは吸収して一本にするとか、また別々に前の制度を残したままで新たなものをしていくというようなことが決してないように、心からお願いを申し上げる次第であります。  そういった観点につきましていろいろ質問をさせていただきました。時間がまだ十分ほど残っておるようでありますが、非常に前向きなお答えも多数ちょうだいをした関係もございまして、私はもうこれ以上お聞かせいただくことがございません。  ぜひとも建設省の、また大臣の強いリーダーシップの中で、一人でも多くの方がよりよい環境で住み、そして生きていくことができるように御尽力をいただきますことを心からお願いを申し上げまして、私の質問を終了いたします。  ありがとうございました。
  141. 市川雄一

  142. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、最初に大臣にお伺いいたしたいと思います。  今回の法制定は阪神淡路大震災の教訓を生かしたものであると趣旨説明をされました。問題は、私は、この法律によって密集住宅市街地防災対策が進み、そしてそこに住んでいる人々が安全な居住環境を確保することができるかどうか、ここにあると思うわけです。  それで私は、この法制定に当たって、次に述べる三つの点、これが基本原則でなければならないと考えております。  その一つは何かというと、そこに住んでいる居住者が住み続けることができるかどうか、そしてまたその権利が守られるかどうか、これが第一であります。  第二に、そのために住民参加、情報公開を徹底することだと思います。  そして、第三には、結果として良好な市街地と豊かなコミュニティーが形成されるということではないかと思うわけですが、このような考え方について、建設大臣は、大枠、この方向をお認めになりますか。
  143. 亀井静香

    亀井国務大臣 要は、人のための行政であり政治でございますから、今委員が申されましたことは極めて大事なことだ、私はこのように考えております。  ただ、問題は、私権との関係で、全体の利益をどう図っていくかということについていろいろと個別難しい問題が生じてこようと思います。結局、自分だけが幸せになるということじゃなくて、みんなで幸せになるために協力していこうという視点がなければ、こういう事業は絶対に成功しない、成立しない、私はこのように考えております。
  144. 中島武敏

    中島(武)委員 大臣の見解を伺っておいて具体的な点に入りたいと思っておりますが、今度の法律案の第二条の「定義」のところですけれども、この問題について、密集市街地及び防災街区については、具体的にどのようなところがその対象になるのか。面積要件とか密集度とかあるいは老朽住宅の割合だとか、具体的な基準はどうなっているのでしょうか。
  145. 木下博夫

    木下政府委員 お答えしたいと思います。  午前中からの御議論の中でも御質問ございましたが、具体的に地区を指定するのはあくまでも地方公共団体でございます。ただ、従来、この法案をつくるにつきまして、先ほどお話がございますように、何といっても、地元でみずからが自覚をし責任を持っておやりいただくことが必要だと思っておりますので、重ねて地方公共団体との意思疎通は十分図って現在までやってきております。  その中で、地域によっての差は多少ございますけれども、従来のいわば建物の老朽度とかあるいは木造率、さらにはいわば不燃化状況、こういうものを含めて約二万五千ヘクタールぐらいあるだろう、我々はおよそこう見込んでおります。  しかし、現在、法律ではっきりそれを尺度を決めまして、決めつけるというのではなく、地方のある程度その辺の過去のいろいろな経験則に基づいてお決めいただくことがまず第一でございますし、その際、我々も十分御相談に乗って、よりよき町づくりのために御支援をさせていただきたい、こういう姿勢でやっております。
  146. 中島武敏

    中島(武)委員 次に、既にもう東京都とかあるいは大阪府などでは建設省の示した制度要綱に基づいて事業を進めていることは、御存じのとおりであります。そこで伺いたいのは、この事業とそれから新法による事業、これとの関連は一体どうなっているのか。  具体的に聞きたいと思っておりますのは、この法律成立をしても、この法律に基づいてやっていくのか、あるいは従来の制度要綱に基づいてやっていきたいという自治体があればどちらかを選択することはできるのかという点についてお尋ねいたします。
  147. 小川忠男

    小川政府委員 まず、基本的に、法律が制定した場合の運用主体は公共団体であるというふうなことを大前提にお答えいたしたいと思います。  予算措置でやってまいりました事業は、現在進行形のものは百五十弱あると申し上げました。この法律市街化区域を対象に制度化しておりますので、市街化区域に行われている予算措置制度は全部で百二十八地区ございます。したがいまして、百二十八地区については、公共団体がその気になれば、法律制度に切りかえた上で、この法律に基づいて残りの事業を執行していくということが可能になりますし、また相当程度そういうふうな動きになるだろうというふうに思っております。  ただ、残余のものについて、あるいは市街化区域外のものについては、引き続き従来の予算措置事業として継続する、こういうふうなことになろうかと思います。
  148. 中島武敏

    中島(武)委員 今のことは、市街化区域においては従来の事業を継続する、あるいは今まで発表されております要綱に基づいてやることは市街化区域についてはいけない、こういうことになりますか。  では、ちょっとよくわからなかったんだけれども、そこを一つ明らかにしていただきたいのと、それからもう一つは、既存の要綱に基づいてやるのと、それから今度の新法ですね、これとの違いといいますか、新法の方は権限とか財源保障とかその他非常にすぐれた点があるという点はどういう点ですか。
  149. 小川忠男

    小川政府委員 まず第一点でございますが、先ほど御答弁申し上げましたのは、この法律適用範囲が市街化区域ということを念頭に置いておりますので、現在予算措置で行われている事業のうち、市街化区域で行われているものについてはこの法律に切りかえることが可能だし、相当程度が 切りかわるのではないだろうかというふうなことをお答え申し上げたわけでございます。  それからもう一つ法律に基づく措置とそうでない措置の違いでございますが、決定的な違いというのは、従来の制度というのは文字どおり予算措置でございますから、予算面での措置しか国としては応援のしようがない、この制約がございます。したがいまして、今回お願いしております法律については、居住安定計画であるとか、あるいはその他の地区計画の制度的効果であるとか、あるいはその他もろもろのこの法律が準備している制度というものが全面的に適用になるというふうな決定的な違いがあろうかと思います。
  150. 中島武敏

    中島(武)委員 今の先の問題は、選択権は地方自治体にあるということですね、はっきり言うと。  それでは、次に伺いたいと思うのですけれども、新法では、防災再開発促進地区で個別に建てかえを促進する措置が盛り込まれているわけですけれども、これは防災上有効な建てかえ計画について地方公共団体の認定を受ける制度を創設し、そして認定計画の共同建てかえ事業に補助する、こういうふうになっていますね。  その四条二項なんですけれども、「建替計画についてこれらの者のすべての同意を得なければならない。」とありますけれども、「これらの者」というのは関係貸借人を含むわけですね。念のため伺います。
  151. 小川忠男

    小川政府委員 御指摘のとおり、貸借人を含みます。
  152. 中島武敏

    中島(武)委員 次に、第十二条で費用の補助についての規定がありますが、この補助対象、補助の割合というものについて明らかにしていただきたいと思います。
  153. 小川忠男

    小川政府委員 御指摘の点は、共同協調建てかえに関する補助でございますが、具体的には、政令あるいは建設省令を待ってというふうなことになろうかと思いますが、現在考えておりますのは、共同協調建てかえにつきまして、老朽建築物除却費、さらには建築工事費のうちの廊下でございますとか階段等々の共同施設の整備費、これを補助対象にしたいというふうに考えております。  その結果として、全体工事費に占めます補助の割合でございますが、これは物によってかなり違ってくるかと思いますが、数%から最大一〇%、総工事費の一〇%弱くらいまでが結果的に補助対象になるというふうな感じでおります。
  154. 中島武敏

    中島(武)委員 その次に、第十四条の代替建築物の提供、あっせんについてなんですけれども、ここで、市町村長は除却勧告を受けた建物の貸借人の要請に基づいて代替建築物の提供、あっせんに努めるとありますね。また、代替建築物の提供、あっせんが困難な所有者の要請の場合も同様の規定を置いておられるわけですが、これは、代替建築物が貸借人に必ず保証されるものと考えてよろしいですか。また、これでよろしいというのであれば、どこにその保証が担保される点がありますか。
  155. 小川忠男

    小川政府委員 ただいま御指摘になりましたのは恐らく法律の十四条の規定だろうと思いますが、この規定の意味するところは、あくまでも市町村長による代替建築物の提供、あっせんの努力でございまして、法律的な意味で保証をしているというふうなことではございません。
  156. 中島武敏

    中島(武)委員 そうなりますと、仮に、今言ったようにきちんとした保証はない、こういうことになりますと居住安定計画は認定されない、除却勧告制度成立しない、そういうふうに考えてよろしいですか。
  157. 小川忠男

    小川政府委員 除却勧告そのものは、建築物の客観的、技術的な基準に基づいて勧告は可能でございます。  ただ、現実、世の中を動かす際に、そこに貸借人がいる場合には、きちっとした形で話がついて代替住宅が確保されるというふうなことが運用上の当然の前提になろうかと思います。
  158. 中島武敏

    中島(武)委員 今も住宅局長が言われたように、一生懸命努力するのだけれども法律上は保証できるというふうに納得していないということになりますと、居住者が納得をしなくてもこの制度を動かしていくということ、法律上はそうなっているということになるのじゃないのでしょうかね。そこはどうですか。
  159. 小川忠男

    小川政府委員 若干補足的に、体系的な御説明をさせていただきたいと思いますが、除却勧告をした場合に、その建物が賃貸住宅である場合には、賃貸人が居住安定計画を作成した上で、自分の勧告された賃貸住宅に入っている入居者の方々をどこに移すのかというふうな計画をつくります。また、賃貸人でできない場合には市町村代替住宅の提供をお願いする、こういうふうなことになります。それで、市町村代替住宅を用意した上で居住安定計画を認定した場合には、何度かお話が出ておりますように、借地借家法正当事由の規定は適用しないという形で制度が体系化されておるというふうなことでございます。
  160. 中島武敏

    中島(武)委員 法律的にはなかなか、ちょっと厳しい話をしておるのですけれども努力はするけれどもやはり法律的にそれは保証されているわけじゃないということになりますね。  それから、関連してもう一つお尋ねしたいのは、代替住宅というのは従前居住住宅の家賃で入居できるようなものと考えて差し支えありませんか。  実は私、東京墨田区の京島を詳しく話も聞き、また実地も見ていろいろと調査をいたしました。それで、当然ですけれども、ここでは居住者は相当年齢が高いのですね。平均年齢五十一・五歳。それから、世帯主の平均年齢は六十一・八歳なんですね。それで、従前居住住宅の家賃は一、二万円。ところが、一生懸命努力して代替住宅として供給するコミュニティー住宅の家賃、これはやはり四万とか五万とかいうふうに高くなってしまうのですね。それで、四万、五万では入居し続けるという保証がないのですね。担当者もこの家賃が非常に高くなるということについては非常に頭を悩ましているわけですよ。  それで、強権的に除却するのであれば当然、従前のところと同じ家賃で住んでいくことができるというようにしなければいかぬと思うのですけれども、これは一体どうなんですかね。もう京島は本当に努力している、うんと努力しているけれども、やはりこういう問題にぶつかって非常に頭を悩ましているという状況なんですね。
  161. 小川忠男

    小川政府委員 家賃の問題というのは非常に難しい問題だろうと思います。ただ、何度かお答えさせていただいておりますように、昨年からことしにかけての制度改正前提にいたしますと、公営住宅法、当然裏側としては国の負担がふえるというふうなことと対ではございますが、例えば年金生活高齢者、恐らく収入分位でいけば一〇%未満というふうな方々を念頭に置いて家賃計算をいたしますと、もちろん場所によって違いますが、恐らく京島あたりでは二万から三万の間ぐらいになるのじゃないかと思います。公営住宅の家賃でございます。  したがいまして、現在どのぐらいで入っていらっしゃるかというふうなことは、恐らくかなりのばらつきがあろうかと思いますが、先ほど先生、一方から二万円というふうにおっしゃいました。したがいまして、公営住宅の最低限の家賃でも若干高くなるのは認めざるを得ない点があろうかと思います。  したがいまして、五年間かけて激変緩和をするというふうなものも国の補助対象としながらすりつけていくということでございますし、万やむを得ない場合には、公営住宅法について言えば、最低限の家賃類型でもなおかつ支払い不能という方々については、さらなる特別の家賃減免措置というのは公営住宅法の体系内にあるということでございますので、制度的には恐らく必要にして十分な枠組みが準備されているだろうというふうには思います。残るのは、確かに財政的な問題がございますので、非常に財政面、厳しいわけでございますが、できるだけ支障のない応援体制を組みたいというふうに思っております。
  162. 中島武敏

    中島(武)委員 次の問題で伺っておきたいのですが、除却勧告を受けた賃貸住宅居住者の居住の安定のための措置、これは講じられることになっているのですけれども、その措置によって、除却勧告を受けた賃貸住宅の場合には、所有者が除却及び居住安定計画を作成し、市町村長が認定する、こうなっておりますね。この仕組みはそういうことですね。  それで、この居住安定計画を作成するときは、居住者の意見を求めなければならないというふうになっています。ところが、この所有者が非常に高齢だということのために、御自身で居住安定計画をつくる能力もない、あるいはその意思もないという場合に、一体どうするのかという問題が出てまいります。  それで、このときに、民間のコンサル会社とかあるいは不動産会社がかわって居住安定計画をつぐるのかという問題が出てくるのですね。そうすると、貸借人の意向が反映しない、あるいはそれに反した計画になってしまうということがあるのじゃないか。この辺についてどういう見解をお持ちなのかという点について伺います。
  163. 小川忠男

    小川政府委員 若干遠回りなところから御答弁させていただきたいのですが、マンパワーとか資金不足ということを考えますと、例えばこういうふうな地区であっても民間的な意味において資本が投入され、マンパワーが投入され、プロジェクトが成立するということが可能であるならば、私どもは一概に否定すべきではないと思います。ただ、現実の可能性というのはほとんどないような地区ではないかと思います。  したがいまして、今御指摘になったようなケースというのは恐らく余りないだろうとは思いますが、ただ、問題は、そういうふうなケースが仮にあっても、最後は認定するのは市町村であるということでございます。そこは、私どもはやはり市町村という行政体を信頼すべきだろうと思いますし、信頼するという前提のもとに制度が構築されているというふうなことを御説明させていただきたいと思います。
  164. 中島武敏

    中島(武)委員 これは信頼しないという話じゃないのですけれども、しかし、本当に信頼してよろしいということであるならば、居住者の意見を聞くというだけじゃなくて、同意を求める、あるいは同意を必要とするというふうに変えてもいいのじゃないか、そうすべきじゃないかということを私は思うのですね。  だけれども、ここでは、居住者について言えば、意見を求めるということだけであって、この法律では同意が前提となっていないのですね。これで本当に居住者の権利が保障されるのかということなのですけれども、この点についての見解はどうなっているのですか。
  165. 小川忠男

    小川政府委員 市町村居住安定計画どいいますか、それの制度的な意味合いというのは、片方代替住宅を確保するということ、家賃がしかるべき水準であるというふうな事柄と、借地借家法正当事由の要件を適用除外にするというものが組みになって一つ制度を構築いたしております。したがいまして、その場合に、何がどの程度まで確保されれば借地借家法正当事由適用除外にすることが可能かというふうな法制上の議論という面が一つございます。  それから、もう一つつきまとっているのは、単なる法制上の議論を超えた、社会的な、現実的な実態というふうなものが当然のことながらあろうかと思います。  ただ、その場合に、私ども、両方の面から見て、もし同意というふうなことが一〇〇%文字どおりの同意、つまり、いかなる場合でも貸借人といいますか入居者がイエスと言わない限りすべてが動かないということ、言葉をかえますと、拒否権という言葉がいいかどうか、語弊がございますか、もしそういうふうな意味であるならば、制度とのバランスからはやや行き過ぎではないかと思います。  やはり市町村が認定した上で、社会的に許容し得る範囲内において代替住宅を準備すれば、私どもは必要にして十分ではないだろうかと思います。そこには、当然、社会的には若干の幅があろうかと思います。
  166. 中島武敏

    中島(武)委員 後でその適用除外の話はもう一度伺いたいと思っておるのです。  代替住宅を保証するからというお話なのですけれども、その代替住宅は、住みなれたその地域に必ず保証されるのですか。どうも話を聞いておりますと、そういう場合もあるが、そうでないみたいな、その場所ではちょっと無理だから遠くでというようなことになると、今までつくり上げてきたコミュニティーというのは破壊されてしまうのですけれども、近くでちゃんと保証いたしますという考えなのか、その点をもう一つ
  167. 小川忠男

    小川政府委員 代替住宅の要件でございますけれども、従前住んでいた住宅規模、広さでございますが、あるいは構造、設備というふうなものがほぼ同水準ということのほかに、従来の生活環境を著しく破壊しないような範囲内で用意をするというのが一つの条件になっております。したがいまして、全くとんでもないところにというふうなことは制度上あり得ない。それは、この法律で言う代替住宅、つまり、この法律で言うという意味は、正当事由適用除外にし得るという意味での代替住宅ではないというふうなことでございます。
  168. 中島武敏

    中島(武)委員 それは程度の問題ですから、どこまでをその程度にするのかという問題が依然として残ってしまうのですね。お話はわかります。わかりますが、そのことは残るというのが私の受けることですね。  それからもう一つ、公営住宅入居階層でない人は特優賃を代替住宅にというお考えのようです。これは言うまでもないのですけれども、もともと毎年五%ずつ上がっていくという制度なのですね。だから、激変緩和措置を行っても、結局激変緩和措置が終われば住み続けていくという保証はやはりなくなるというふうに考えざるを得ないのですけれども、いかがですか。
  169. 小川忠男

    小川政府委員 公営階層につきましては、たびたびお答えしておりますように、公営の家賃体系にさらに激変緩和措置を加えた措置ということでございますが、公営を超える収入といいますと、収入分位で二五%以上というふうなことでございますので、政策的にはやはり特優賃の体系で対応するというものが基本になると思います。それにさらに激変緩和措置を加味するというふうなことであろうかと思います。
  170. 中島武敏

    中島(武)委員 実は、このことは私の単なる個人的なおそれだけではないのです。杞憂だけではないのです。  大阪府の門真市朝日町、もう御存じとは思いますけれども、ここの具体例を申し上げますと、結論的に言うと、木賃住宅は一新したのです、しかし借家人は消えてしまった、こういうふうになりました。  というのは、この地区というのはもともと築後二十五年の古びた木賃住宅がひしめき合っているという地域だったのですね。だから、当然と申しますか、建物は傷んでいるし、それから設備も不十分だし、部屋は狭くて暗い、風通しも悪い、そういうところなのですね。道路も狭い私道が多くて、次第に住む人が減って、六割ぐらいは空き家になってしまって、それで不気味な町になっておった。そこで、地主さん、家主さんたち八人がこれを建てかえるということになって、大阪府とか門真市の全面援助を得て、共同建てかえに踏み切ったのですね。  確かに立派なものはできたのです。だけれども、結果を見ますとどうなっているかというと、百八世帯この地域にいたのです。だけれども、そのうち、新住宅に入ったのはわずか八世帯だけで旧すね。百八世帯で八世帯しか残らなかったのです。結局その八世帯以外の人はどうなったかというと、この住みなれた地域を離れていかざるを得なかった、そういう状況になったのですね。  なぜこんなふうになっているのかというところが問題なのですけれども、これは最大の原因というのは何かと言えば、当時、月一万三千円の家賃を払っておったのです。ところが、新しくなったのは十万円なのですね。結局激変緩和措置を受けても新しい住宅に入居することは不可能、こういう状況だったのです。  だから、私は東京の京島地区に行ったときにも非常に感じた問題なのですけれども、現居住者の合意を抜きにしてこの事業を進めることは非常に困難だなということを痛感いたしました。仮に、強引に進めるというようなことになりますと、そこに住めない人たちがたくさんできてしまうというのがどうしても実態になってしまうなというのが、京島を見、それから門真市を見、いろいろ調査をしてみて、私は一番感じていることなのです。  だから、このことを救う。同時にこの事業を進める。同時に事業を進めるのだけれども、しかし、その際に何が必要かといったら、やはりその居住者の同意ということを前提としなければならぬのじゃないかというのは私は非常に痛感した問題なのですよ。ここは非常に考えてもらわなければならない大事な問題じゃないかというふうに私は思います。  それでは続けて、私はこの問題について、何でその居住者の同意を必要とするかということの理由を申し上げたのですけれども、次に、さっきお話のありました第二十四条の賃貸借契約の更新拒絶における借地借家法正当事由要件の適用除外、この問題なんです。これは何で適用除外にしたんですか、これをまず伺います。
  171. 小川忠男

    小川政府委員 実は、この制度を考えました際の前例が一つございます。公営住宅法に建てかえの規定がございます。公営住宅法で建てかえる場合に要件がございます。一つは、例えば公営住宅が耐用年数の二分の一を過ぎているとか、幾つかの条件がございます。もう一方で、公営住宅法には、戻り入居を保証する、それから仮住宅を用意しましょう、移転料は出しますという幾つかの条件が法律で規定してございます。  それをベースにした上で、実は昭和六十二年の最高裁の判決がございます。これは何を争った裁判かと申し上げますと、それだけの体系を準備している公営住宅の建てかえに対して、それを不服として入居者の方が市町村と争ったという事案に対して、最高裁判所の判決は、公営住宅法の要件をきちっと満たしておれば、個別に正当事由があるかないかというふうな判断に立ち入るまでもなく、法律上、正当事由が類型化して書いてある、規定しているという認定のもとに裁判を終わったというふうな経緯がございます。  そういうことをベースにした上で、正当事由として、今のような問題状況密集市街地という状況のもとにおいて、正当事由に代替するような法律条項を類型的に書くとすれば何であろうかというふうなことを民事局とも議論をした上で、代替住宅をきちっと準備する、その代替住宅というのは、従来住んでいた住宅規模ですとか設備ですとか建築年数というのはほぼ同じであって、しかも従来の生活環境を著しく破壊しないような範囲内で代替住宅を準備しますというのを法律上きちっと明定しておく。明定してある法律条項を満たせば、民事法で言っている正当事由というふうなものに代替し得るという法律上の推定が成り立つという前提のもとに、かくかくしかじかの要件ということを代替住宅制度化する一方で、借地借家法正当事由の規定を適用除外にするというふうな形で、両者のバランスの上に制度を構築したということを御理解いただきたいと思います。
  172. 中島武敏

    中島(武)委員 今の話は、短く言えば、代替住宅を保証するからということが一番大きな根拠になっていますね。それで、代替住宅は保証される、したがって正当事由は要らないということなんですけれども、そうなりますと、当事者の貸借人の同意抜きで、しかも適切な代替住宅が本当にできるのかというと、先ほどから議論しておりますように、確実に保証されるというわけではないんですね。  だから、こうなってくるとちょっと、はっきり言えば、見せかけの保証というのは言葉は悪いかもしれません、一生懸命努力をするということは私は認めているのですけれども、その程度の保証で正当事由ということの適用除外をやってよいのかという問題が出てくると私は思うのです。  それで、仮に適用除外を正当化し得るほどの代替措置が保証されるんだというのだったら、正当事由要件を残しておいてもいいんじゃないか、私はそういう気がするのですね。だから、ちょっと裏を読むわけじゃないのですけれども、この点でやはり何か強権的に追い出すというような危惧、そういうものを持たざるを得なくなるのです、この話は。  さっきから多くの、実例的にも挙げましたし、それから今の論拠も伺いました。伺いまして、いろいろ努力をするとかいうようなことはわかります。わかりますけれども、しかし、法律的に本当にここを適用除外にしていいというようなことになるだけの保証があるのか、やはり無理じゃないかというのが私のこの問題についての見解ということなんです。  次に進みます。  それで、別の問題なんですけれども、危険な建築物除却勧告、これが出されましても、実際に除却工事着工までの条件整備には、貸借人の合意とか納得とかいろいろ時間がかかるんですね。その間に、実行している市町村に安全確保のための特別の対策、補助、助成なども含めての特別な対策とか、それから何よりもマンパワーが必要だと思うのですね。  私、京島なんか視察して思ったのは、随分たくさんの人間を張りつけているんですよ。大変だなと思います。どこでもここでもみんなそんなふうにやっているかといったら、そうじゃないと思うのです。これは京島の場合には合意を得て実行するということを原則にしておりますから、だからたくさんの人たちが張りつけられているし、それから、それらの人たちが町の人たちとすっかりなじんでいるんだね。僕も一緒に案内してもらってびっくりしちゃった。気軽に住民の人たちがいろいろ声をかける、こっちからも、職員の人たちからも声がかけられる、そういう関係になっているんですよ。  そういう関係になるぐらい行政の側からの努力がないと、この問題というのはうまくいかない。だから結局、かかってくるところは、私はこの辺にかかってくるんじゃないかという気がもう一つの問題としてするんですね。  だから、この辺で思い切って、局長もそれから大臣もなんですけれども、やはり僕は、特別な援助体制、対策とか、あるいはマンパワーの問題についてもどうするのか。地方自治体がおやりになることですから、いわゆるそのうちの一部を補助すればよろしいですというものじゃないという気が私はするのです。これじゃうまくいかない。その辺について、これは真剣な話なんですから、どうぞひとつ見解を述べていただきたいと思います。
  173. 小川忠男

    小川政府委員 ただいまお話がございましたように、マンパワーが決定的な重要性を持つというふうな点については、全く同感でございます。財政と違って国が応援できることにはおのずから制約があるとは思いますが、いろいろなルートを通じて最大限努力をいたしたいと思います。  それから先ほど居住安定計画で、くどいようでございますが、空手形といいますか約束されないのではないかということがございましたが、これは、認定の際には代替住宅の確保、これは現実に住宅が確保されるというふうなことが大前提制度でございます。  先ほど若干混線が、私の説明がまずかったのかなと思いますが、保証されていないと申し上げましたのは、建てかえ計画のときに代替建築物をあっせんするというふうな規定がございますが、これはあっせんの努力であって、物を確保することを保証したものではないというふうなことを御答弁申し上げたわけでございまして、建てかえるときのあっせんと、今回の居住安定計画の認定で代替住宅を確保するということとは制度が全く別でございまして、くどいようでございますが、代替住宅は確保されるという大前提のもとに制度を構築してあるというふうなことを御理解いただきたいと思います。
  174. 中島武敏

    中島(武)委員 大臣、何かありますか。
  175. 亀井静香

    亀井国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、国、自治体、またそこに現に住んでおられる方々が全体の利益といいますか、防災上非常に危険だということで指定されるわけでありますから、住んでおられる方御自身の安全のことを含めて、自分たちだけじゃなくて、その地域全体のためにある程度は我慢することは我慢もしながら協力しようとする、そういう住民の方の意思がなければやはり成功しない、国はそういうものに立って全力応援すべきだ、私はこのように考えています。
  176. 中島武敏

    中島(武)委員 局長から、誤解のないようにという趣旨でしょうか、居住安定計画においては住宅確保は前提条件だ、それはわかっています。別に誤解もしておりませんし、言い方がまずかったわけでもありません。  ありませんが、ただ私が言うのは、それが本当にその人たちが、ああ、ここなら喜んで住みたいと言うようなものであるかどうかというのは、これまた別物なんですよ、残念ながら。それから、お家賃の問題もある。そして、結局は住み続けられない、こういう事態が生まれてくることというのは、冒頭にも大臣にも申し上げましたけれども、私は、そこへ住み続けられるということを非常に大事な大きな原則としてこの問題を考えぬといかぬのじゃないかという意見なんです。だものですから、先ほどから同意とか、あるいは適用除外はだめよ、こういう話をしているわけなんですね。  それから、建設大臣から重ねてのお話がありました力ありましたけれども、私は、この問題を本当に実行していくためには、全体計画の中で個人の利益だけではなくというお話は、それはそれとしてわからぬわけではないのですが、しかしここに当てはめると、結局今まであったような、従前の居住者はほとんど住むことができないという事態が生まれてきてしまうのですよ。それでもやむを得ないという見解なのですかね。私は、ここはやはり考え直さなければならない点ではないかということを非常に痛感いたしております。  時間も来たようなんですけれども、これでおしまいにいたしますが、私どもは、密集市街地防災整備というのは非常に緊急な大事な必要な事業だ、そういうふうに思っております。同時に、国や自治体の責任において、居住者の同意を得ながらその整備を進めるということが非常にこれまた大事なのじゃないかというふうに思っております。  しかし、今るる私も質問で明らかにしたように、また申し上げたように、やはり一番弱い立場の高齢者とか低所得者とか、こういう人たち居住権が実際問題としては侵害されてしまうという事態が生まれてくるということからいうと、率直に言ってこの法案に、話はわかるのだけれども、ちょっと賛成しがたいというのが私どもの態度になるのですね。  それで、居住安定計画の要件である関係権利者の同意条項について、権利者から借家人を除外する規定を削除するということと、それから借地借家法適用除外を削除するということを後ほど修正案として提起することを申し上げまして、質問は終わりにしたいと思います。
  177. 市川雄一

    市川委員長 中西績介君。
  178. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、午前中から随分の皆さん、同僚が質問を重ねてまいりましたので、大変狭い範囲での論議でございますので重なる分野もあるかと思いますけれども、できるだけ重複を避けながら確認をしていきたいと思っております。  まず問題は、今度のこの法律については、今まで都市計画法あるいは都市開発法など法の整備が進められまして、事業はある程度努力をし進展をしてきたということについては認めますけれども、九五年、二年前の九月二十八日、総務庁が建設省に、都市再開発に関する行政監察の結果を報告をしております。  これで見ますと、建てかえ率は一・六%、特に東京、神奈川、大阪、愛知あるいは兵庫など五都府県を見てみますと、対象地区の老朽住宅というのは十九万九千七百八十九戸、建てかえは三千二百二十七戸ということになっております。特に、時間がありませんから、一番低いところだけを申し上げますと、兵庫の場合が〇・六%にしか達していない。しかも、この震災のありました神戸・長田区の長田南部地区におきましては〇・三%になっておるということ、この地区が全壊あるいは全焼被害の最も大きなところであったということを考えてみますと、この事業は、やはり全国的に一・六%と示されますように、まだまだ不十分であるということを意味しております。  このことを考えますと、その後二年間にわたってどのような措置がされてきたのか、この点について、特に指摘をしておりました点については、事業区域内で借家借地権を持つ人が共同建てかえのため設立した組合に対しまして、政府関係金融機関が助成するための新制度を設けるとか、あるいは年次別の建設予定プログラムを組むとか、いろいろな点を指摘しておったものですけれども、この点がどのように進展していったかということについてお聞かせいただきたいと思います。
  179. 小川忠男

    小川政府委員 ただいま御指摘ございましたように、総務庁から、平成七年九月でございますが、都市再開発といいますか、端的には密集市街地関連につきましての行政監察がございました。その中で、今先生御指摘になりましたように、密集市街地促進事業、予算措置でやっております事業でございますが、それの計画は決めたものの建てかえ率が非常に少ないというふうな具体的な数字を挙げながら、いろいろな御指摘をいただいたわけでございます。若干詳細になりますが、今回の法律制定の土俵になった、土台になったという面もございますので御答弁申し上げたいと思いますが、大きく分けて五つの点で御指摘があったかと思います。  一つは、具体的な整備のプログラムをつくって、きちっと計画内容を充実するようにという点がございます。それから、都市計画一つでございます地区計画制度を活用したらどうだというふうな監察結果がございました。それからもう一つは、共同建てかえ、これを推進するために、いろいろな建てかえの助成措置を講じたらどうだろうかというふうな提案もございました。それから、道路用地でございますとか従前の居住者用住宅用地を取得するための措置というふうな話でございますとか、あるいは従前の居住者用の住宅対策というふうなものをもう少し積極的にしたらどうだというふうな、おおむね五つぐらいの監察の中身であったかと思います。  私ども平成七年九月にこのような監察結果をいただきまして、一言で申し上げますと、若干時間がかかったというふうな思いはございますが、この辺の監察結果をベースにして、いろいろと関係公共団体、東京都、兵庫県あるいは大阪府などなどから意見調整をしながら、この監察結果を相当程度法制度の骨格に組み込んだ上で、今回の法案提出をして、御審議を賜っているという結果につながったというふうに私どもとしては理解をいたしております。  また、総務庁に対する行政監察結果の最終的な御報告は、もう少し、一、二カ月後になるようでございますが、この法案一つの大きな監察結果の結果として御報告したいというふうに考えております。
  180. 中西績介

    ○中西(績)委員 私がこのことを聞く理由というのは、今、行政改革の分野から、こうした査察制度なりいろいろな問題等が政府側にあることがチェックできない理由になっておるとか、いろいろ理由づけられておりますので、やはり、みずから主体的にどうするかという問題等含めまして、この種問題については、これから改革を遂げていく上に大変大きな課題になってくるわけであります。  こうしたものがこのように生かされて、しかも、今一番重要視されている震災等に対する措置が計画的に進められておるというようなことが明らかになってくる、そのことがまた今の行政改革に大きく寄与していくということになっていくと思う、そのことを考えまして指摘をさせていただきました。  そこで、私は、今までやってみた結果、先ほどもちょっと出ましたけれども先ほどの同僚の質問に対しまして、困難さはどこにあるかということについて局長は二点ばかり挙げておられました。  そこらをどのようにこれから整理をして皆さんに提示をし、納得をしていただくかということがなければ、こういう新しい法律をつくったといたしましても、これは今度、屋上屋を重ねるような格好になってしまう。ですから、そういう点をやはり大胆に整理をして出すべきではないかと私は思うのですけれども、今のところ、そうした問題点、今までの現行法による問題、あるいはなかなかできなかったというような点あたりについて、もう少し御回答をいただけますか。
  181. 小川忠男

    小川政府委員 先ほどこの事業が難しい理由として、地区が持っている客観的な条件そのものが非常に厳しい状況下にあるというふうな点と、いろいろな意味での権利関係が錯綜していて極めて人間的な意味での難しさがあるというふうな二つの点を申し上げたつもりでございます。  これについては、やはり公共団体と、いろいろなチャンネルを通じて、国と私ども意思疎通をした上で、やはり現地に入って、いろいろな意味での制度の精神というか、考え方と具体的な対応策というふうなものを現地にお示ししながら、やりとりの過程でいろいろな共通認識を育て上げていくということが一番必要かと思います。  また、こういうふうな制度をつくるときには、私どもしみじみ思いますのは、国が頭で考えるだけではなくて、やはり法律そのものをつくるプロセスにおいて、公共団体ともいろいろな意味でのやりとりをする。  これは私よりも大臣からお答えした方がいいと思いますが、恐らく、法律をつくる前座において、やはり東京都知事大阪知事兵庫県知事大臣と、あらかじめいろいろなテーマについて会談をした上で、それを踏まえてというふうなプロセスをたどったというのは、役人としての私の経験にある限りは初めての経験でございます。非常に重要なプロセスであったと思います。
  182. 中西績介

    ○中西(績)委員 そこで、先ほど大臣の方からもお答えがあっておりました、阪神大震災にかかわる問題等についても、三県知事と接触をいたしまして十分意見の交換等を行ったということをお聞かせ願いました。  先ほどもちょっと出ておりましたが、私は、やはりこれからの問題というのは、現地の行政あるいは住民の意思がどのようにその中に生かされておるかということによって、協力の度合いなり進展の度合いというのが決定づけられてくるのではないかという気がするのです。そのときの基本姿勢がやはり一つ問題ではないか。  それは、今後のこの法施行に当たって、よりよい結果が生まれるようにするために、やはり、今までのような企業社会的な構造なりなんなりを考えていくこともさることながら、人間社会というものをどう構想し、そして、今、例えば都市を考えるときに、中央が空洞化していくとか、いろいろな問題がたくさん出ておるわけですから、こうした問題等考え合わせていったときに、大臣がこれから後のそうした問題を追求していく上においての基本的な姿勢なり、ありましたならばお聞かせいただければと思っています。
  183. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は、市街地の再開発を含めて、町づくりというのは、あくまでこれは人間が住むわけでありますから、ここがやはりふるさとでもあるわけでありますから、ただそこで寝起きできればいいというものであってはならないと思います。やはり、人間のにおいといいますか、そういうものが満ちあふれた町でなければならない、このように思います。  そういう意味では、こうした市街地の再開発も、ただ人間の住む入れ物をつくるということではなくて、そこには金持ちの方もいらっしゃるでしょうけれども、ここは金持ちしか住めないというような町であってはならない。先ほど中島議員からの御質問の中にもございましたけれども、そこに今、現に住んでおられる方が、ここでこのまま住んでおると危険だから、建てかえて、防災上きちっとした町にしようということであれば、やはりその人たちもそこに今後住んでいける、自分たちもこの町の町づくりに参加するんだ、できるんだということがなければならないと私は思います。  そういう意味では、再開発をされた後の、そうしたアパートといいますか賃貸住宅等にしても、そういう方々が住めるような規格なり規模なり値段、そういうものもやはりそうした中につくっていくというような配慮、そういう意味では、付加価値をうんとつけて、そういう方々が安い家賃で新しくそこに住み直すことができるような工夫も再開発事業の中全体でやっていく。  そういう面では、容積率等について、今度、今国会に基準法改正で提出をいたしますけれども土地を集積していった場合に割り増しで容積率をうんと認めていくというようなことも予定をいたしております。そういうような形で、建て直したら単価だけが高くなって今までの人が住めないということではない工夫というのもやっていく必要がある。その中で、みんなが参加して、やはり自分たちのふるさとを、より安全な、より魅力的なところにしていくんだ、そういうエネルギーがなくて、お上が防災上危険だからというふうなことでやってしまうような町づくりというのは、私は、やはりこれは間違っておる、このように思うわけでございます。
  184. 中西績介

    ○中西(績)委員 今、大臣が言われましたように、容積率問題等を含めまして、周辺住民の権利、環境、そういうものをすべて含んでこれから政策的に展開をするということのようでございますが、いずれにしましても、今回のこの法案というのは防災を中心にしてありますので、残り時間がわずかでありますけれども、これらの問題について触れていきたいと思います。  先ほどから論議されておりましたのをお聞きいたしまして、私は一、二聞きたいと思いましたのは、問題になっておる都市開発法の二条の三、都市再開発方針に沿って、促進地区、二号地区と言われておりますけれども、こういうものを指定いたしましてずっと計画してきたと思います。  これが先ほどいろいろ答弁あっておりましたけれども、これらの問題と今度の防災再開発促進地区、ここの関連は、先ほど説明があっておりましたから大体わかりました。  そこで問題は、これをどれくらいの年限なりでもって計画を推進しようとしておられるのか、この点ちょっとお答えいただけますか。
  185. 木下博夫

    木下政府委員 見通しとして、今回の法律の対象を約二万五千と先ほどから何回かお答えしております。ですから、これを全体を整備するのがどのぐらいかというのはなかなか答えにくいところでございます。  ちなみに、先ほど住宅局長もお答えしましたように、今回の法律をつくるにつきまして、代表的な東京とか大阪、兵庫、そういうところと御相談しておる中で、例えば東京都などは、今現在防災都市づくり推進計画というのを一つ提起しておりまして、これは本年度をスタートといたしまして、大体二十年ぐらいをタイムスパンに考えておられます。  そのうちの不燃領域というのを現在約四〇%以上ということで当面の目標にしておりますが、その特に急ぐところを重点地区と言っておりまして、これにつきましては、さらにそれよりは高く、十年後には大体五〇から六五%ぐらい、さらに二十年たちますとそれが約七〇%ぐらいということでございます。数字だけ申し上げてもいささか実感がわかないわけでございますが、そういうことで、現在の大変危険な地域がかなりの部分は私は解消されていくと思います。東京においてそういう状況ならば、こう申しているとあれですが、それぞれの規模その他において、多少地方部なんかの場合にはコンパクトな状況でございますから、これらにつきましては、それに匹敵するようなスピードで何とか整備していきたい、こういうふうな感じでございます。
  186. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうして推進をしていただくことを期待をするわけでありますけれども、特にもう少し具体的な問題についてお聞かせいただきたいと思うのは、延焼等危険建築物について、神戸市の長田区を初めとして、大都市圏の中におきましてはそういう地区が相当あるわけでありますから、中小企業の関係で、貸借人が住んでおる居住の家と、同時にまた商業あるいは工業生産等を含んで、特にまた下請部品工場なんかを持っておる人たちというのは、そういう生計を立てるための場と居住の場とが同居しておるわけでありますから、こういうところの例は相当あると思います。  こうした場合に、この計画の中におきましては、住宅の用に供するためにされたもので、住宅以外の用途を兼ねるためにされたものではないというようなことが言われておる。ということになつておりますと、相当制限された中の問題になってまいりますので、こうした場合に、果たしてこの計画がうまくいくだろうかということを考えなくてはならぬと思います。  したがって、これらについて、兼ね行う場合には、どのような関係を打ち立て、そして了解を求めていくかという点についてお答えください。
  187. 小川忠男

    小川政府委員 確かに今先生御指摘のように、この法律では、居住安定計画の認定制度の対象は住宅のみでございます。これは一つには、先ほど借地借家法正当事由適用除外にするために、住宅の場合には、居住の場合には適用除外にするだけの代替措置が定型的に類型化できるというふうな観点と、もう一つは、長田地区のような例はございますが、やはり全国的にはむしろ通常の居住をベースにした借地借家関係が大きな問題だという点を念頭に置いて、普通の居住だけを制度化したわけでございます。  ただ、さはさりながら、一般的には生計としての中小企業、あるいは商売というふうなものがかなりあるというのも事実でございます。これにつきましては、法律としては直接触れておりませんが、ただ一点だけ、建築物を建てかえる場合には代替の店舗ですとか工場の場所をあっせんを要請できるというふうな規定はございます。  これについて最大限努力はいたしますが、むしろ政策的な努力は、法制度そのものというよりは、やはりいろいろな中小企業政策等々を総動員して、持てる力を総動員して御了解いただく、応援をするというふうな政策努力にゆだねられるということではないかと思っております。最大限努力をしたいと思います。
  188. 中西績介

    ○中西(績)委員 ですから、いろいろ中小企業対策とあわせ考えるということでございますけれども、例えば住居とそういう商業なり工業なりを行うに当たっての面積の関係だとか、あるいは敷地面積がどれだけなくてはならぬとか、こういうふうなところあたりを十分配慮した上でやるということを言っておられるということでよろしいですか。
  189. 小川忠男

    小川政府委員 御指摘の点も重要なポイント一つだろうと思います。  金融公庫の例について申し上げますと、生計の場としての店舗等が併設されているというふうな場合には、住宅部分のウエートが高いものであれば、店舗部分についても金融公庫の最大限の特例措置の融資を行いたいと思っております。  具体的には、例えば三年間償還を据え置きにするとか、あるいは普通の住宅金融公庫の金利といいますのは、国のお金は十年間しか入らないわけですが、段階金利と申しておりますが、二十数年間、初めから最後まで補給金を投入して低金利でお貸しするというふうなことも、店舗部分等々についても投入をするというふうな制度は、先ほど失礼いたしましたが、あわせて講じております。
  190. 中西績介

    ○中西(績)委員 それでは、先ほど大変問題になりました代替住宅の問題でございますけれども、私は北九州の筑豊なものですから、ここでこれに似たような経験をしております。例えば、建設省の所管になるのですけれども、炭住の改良住宅制度があります。  この中におきましては、新しくつくられた場合には、もう今これが四十年も五十年もたって、台風でも来ると大変危険な状況にあるわけですから、ちょうどこの災害防止するための措置と全く同じような意味合いもあるわけなんですね。  そこでやられておるものにつきましては、例えば先ほど出ておりました家賃の問題等についても、これは特別措置をして、今新しくつくれば、田舎ですけれども、三万なら三万を超えることになる。しかし、その分については、改良していく住宅の数だとかいろいろなものの制約はございますけれども、それを半額近くにして、従来から住んでおる高齢者皆さんの場合には、ずっとこの方がおられる間その制度を続けていく。さっき出ておりましたような緩和措置によって暫定的に五年なら五年を期限にしてもとに返すとか、こういうものでなしにやっておる場合だってあるわけなんです。  それは、高齢であるとか収入の問題、いろいろな条件があるわけでありますから、これらについてはやはり十分精査をしていただいて、これから後の政策としてどのように可能であるかということと同時に、先ほどから指摘されておりましたように、特にこういう危険建築物地域における居住者というのは高齢者の方が相当いらっしゃるわけでありますし、地域コミュニティーを考える場合には、やはりそうしたことを考えて、戻り入居をむしろ推進できるような体制というものをつくっていかなくてはならぬのではないだろうか、こう私は思っております。  ですから、従前から比べますと、炭住のあの狭いあれからしますと、内容的には、間取りからいたしましても、あるいは設備からいたしましても相当高まった中で、一定の住居としての、あるいは周囲の環境も整った中でのそういう状況があるわけでありますから、こうした点についてお考えいただけるかどうか、もう一度お答えをいただけませんか。
  191. 小川忠男

    小川政府委員 何度かお答えいたしたと思いますが、公営住宅法の体系は、収入に応じてそれなりにというふうな体系になっているというのは御答弁いたしました。  ただ、それを前提に、制度そのものが、さらにそれでもなおかつというふうな場合についての特例措置を既に制度としては持っております。したがいまして、恐らくは制度としてはいろいろな場合に備えた枠組みは既に準備されていると思いますが、問題は、それを現地に当てはめた場合に特例なるものがそう簡単に発動できるかどうかとか、現実の財政力とのバランスとか、いろいろな観点からしがらみが出てくるというふうなことが問題なんだろうと思います。  したがいまして、制度としては、いろいろないざという場合の制度も弾力条項も準備されておりますので、いろいろな意味での運用をしてみて、そのときに特例的な制度というのはどういう場合に発動するのかということを現実的に積み上げていくことが現実的な近道なのかなというふうな感じがいたします。
  192. 中西績介

    ○中西(績)委員 これは、新しくこうした住宅ができた上でどうなったかということはまだわかりませんから、一つのイメージ的には我々も考えますけれども、実際に、先ほどから指摘されているように、戻り入居をする人が少なかったとかこういうことにならないようにしておかないと、何のためのものであったかということがまた問われるわけでありますから、こうした点等を十分お考えいただくということを一つ前提にしていただいて、これからの詰めを、そしてさらにまた政策的に展開をお願いをしたいと思います。  時間がいよいよありませんので、もう一点だけお聞きをしたいと思います。  先ほどちょっと出ておったのですけれども、所有者がみずから資金調達をして代替住宅を用意したり、あるいは除却などを行うことには極めてこれは限界があると思うのですね。したがって、密集市街地の解消を促進する、そのためには公的支援が非常に重要になってくる。したがって、この重要な役割を果たすそういう財政的な面を、市町村の場合をどうするのか。あるいは、先ほども、直接こういう所有者に対する措置の仕方とか、これらについてもう少しお答えをいただきたいと思います。
  193. 木下博夫

    木下政府委員 先ほどから住宅に関連しての御質問が多かったわけでございますが、もう少し広い立場で多少お答えを補足させていただきますと、何といいましても今回の法律の流れは、一つは、個々の住宅の中で密集住宅といいますか、密集木造住宅を解消していくという除却世界もございますが、もう少し我々はやはり長い目で見ますと、町全体をできるだけ換気をしていこうということで、今回もいわば地区指定を行い、あるいは地区計画ということで、新しい防災の概念も入れた計画事項を加えた地区計画をつくりまして、その中にいわば権利移転促進計画などをつけ加えましたのは、まさにその権利ができるだけうまく融通されることを考えておりまして、先生お話のございました入居の問題なんかも広くそういう世界の中でクリアできないのか。  先ほどお話に出ました京島の話なども、私ども見ますと、かなり従来からの下町の工場なんかも取り込んだ地域でございますから、そういう意味では住だけの問題でなく、広く言えば、大臣からお答えいたしましたように、そこにぬくもりのある、やはり住みたいという気持ちの出る町をつくらなければいけない、そういう意味では、おっしゃったように財政的なことも我々したいわけでございます。  それは、予算的に集中的に取り組みますが、一方では、サポート役として町づくり推進機構的なものをやはりつくりまして、地元の方々が組合をつくったときに、みずからが町をどう考え、どう実施するかということはもちろんでありますが、一方では、その推進機構の方から例えば町づくりに対する情報とか、あるいは土地の先行取得とかというようなことを側面的にも応援させていただきたいと思っております。  私どもも現場に参りまして、なかなかこれは大変だなという印象を強く持っておりますが、いろいろ都市計画世界も織りまぜながら、先ほど住宅局長がお答えいたしました、住宅除却は一方では公庫の融資その他もいろいろ従来から持っておりますけれども、それをさらに全体の体系の中に組み込みながらやってまいりたいと思いますから、金の足らないところは少し知恵でという答えもいたしましたけれども、それだけではなく、今まで持っておりました道具立てをこの際ここに集結をしたいということで、この法律をぜひよろしくお願いしたいと思っております。
  194. 中西績介

    ○中西(績)委員 最後、本当にこうした問題については、地方分権に向けて、特にこの取り組みは、今最終的なまとめとして言われましたように、ぜひ成功させていかなくてはならぬ問題だと思っています。したがって、財政問題等を含めまして、またこれは別のところで、地方分権というよりも自治ですね、やはりここに主体を置いたスタイルを確立をするためにもまた極めて重要な法律でありますだけに、この点、これからの真摯なる追求をお願いを申し上げて、終わります。  以上です。
  195. 市川雄一

    市川委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  196. 市川雄一

    市川委員長 この際、密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律案に対し、中島武敏君から、日本共産党の提案による修正案が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。中島武敏君。     ―――――――――――――  密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  197. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、日本共産党を代表し、密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律案に対する修正案の提案理由及びその要旨を御説明いたします。  阪神淡路大震災の教訓からも、密集市街地防災整備は急務であります。これらの密集市街地は、権利関係が複雑で細分化した土地建築物密集しており、権利者の多くが高齢化していることなどから、自力による建てかえや市街地整備が困難であり、その防災整備には特別の支援措置が必要です。本法案がそのための施策を盛り込んでいることは評価できます。  しかし、防災機能強化は、単に建築物の不燃化や防災道路の整備だけでなく、住民の防災意識の向上と地域の連帯の確保が不可欠です。密集市街地の再生事業の円滑な実施は住民の信頼なくしては不可能であり、あくまでも地権者や住民の合意のもとに進められなければなりません。その際、居住者が安心して住み続けられるようにすることは最も基本です。  ところが、本法案では、居住者の同意がなくても居住安定計画を定めることができるとされており、居住安定計画が認定された場合には、借地借家法借家人保護規定が適用除外されることになっています。居住安定計画による代替住宅の確保が理由とされていますが、公営住宅等に特例入居できたとしても家賃負担が大幅にふえることは確実で、五年間の家賃補助の終了後に住み続けられる保証はありません。本法案を利用した借家人追い出しや悪質な地上げ行為が広がることも懸念されます。  防災街区の整備が緊急の課題であることは論をまちませんが、その結果そこに住んでいた高齢者などが住めなくなるのでは、本末転倒であります。借地借家法適用除外などの強制手段を講ずるのではなく、住民が安心して同意できる計画とすることに力を注ぐべきであります。  これが本修正案を提案する理由です。  次に、修正案の要旨を御説明いたします。  第一に、居住安定計画の認定申請の際に同意を得なければならない関係権利者に居住者を含めることとします。  第二に、借地借家法適用除外の条文を削除することとします。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
  198. 市川雄一

    市川委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  199. 市川雄一

    市川委員長 これより両法律案及び修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。辻第一君。
  200. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律案について反対、本法案施行に伴う関係法律整備法案については賛成の立場で討論を行うものであります。  一九九五年一月の阪神淡路大震災は記憶に新しいところであり、その教訓から、老朽木造建築物密集している市街地を再整備し、安全な町づくりを行うことは当然のことであります。また、そのための実効ある法制定の必要性は言うまでもありません。  しかし、法制定に当たっては、第一に、安全で快適な町につくりかえることとともに、豊かなコミュニティーを目指すことが重要であります。 第二に、安全で快適な町づくりは、そこに住み暮らすすべての人々の参加と合意に基づいて進められるべきであります。  そして第三に、何よりもそこに住む居住者の権利が最大限尊重されるべきであります。  この基本的な原則に立つならば、今回の法制定は幾つかの重大な問題点を持つものであり、反対であります。  次に、反対理由を述べます。  その第一は、延焼等危険建築物に対しての行政庁による除却勧告制度についてであります。  除却勧告を受けた賃貸住宅の所有者が居住安定計画を作成し、市町村が認定することになっているが、この居住安定計画をつくる際には、居住者の意見聴取を求めるだけで、同意を要件としていないことであります。  除却勧告という居住者にとってその生活上重大な影響を与えることについて、当事者の同意抜きに進められれば、居住者とりわけ貸借人に対する居住権の侵害につながるおそれがあると言わなければなりません。  しかも、それは、何が何でも除却するという行政の専横を許すものにつながるおそれがあるのであります。  第二に、居住安定計画の対象になった居住者に対する賃貸借の更新拒絶へ解約申し入れには、借地借家法正当事由の規定が適用されないことであります。  正当事由の有無は、家主と貸借人双方がその住宅を必要とする事情を基本として、司法の場で個別に判断するというのが従来の法務省の見解であります。この適用除外によって、それを武器にした地上げ、居住者の追い立てが進行するおそれが十分あるのであります。  しかも、正当事由の規定を適用除外にした理由である代替住宅の規定についても、居住者がその地域に住み続けられる保証があるものではありません。  以上の理由から、本法案に反対、施行法案には賛成、日本共産党提出の修正案に賛成することを明らかにして、討論を終わるものであります。(拍手)
  201. 市川雄一

    市川委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  202. 市川雄一

    市川委員長 これより採決に入ります。密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、中島武敏君提出の修正案について採決いたします。  本修成案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  203. 市川雄一

    市川委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  204. 市川雄一

    市川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、密集市街地における防災街区の整備促進に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  205. 市川雄一

    市川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 市川雄一

    市川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  207. 市川雄一

    市川委員長 次に、内閣提出参議院送付不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。趣旨説明を聴取いたします。亀井建設大臣。     ―――――――――――――  不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  208. 亀井静香

    亀井国務大臣 ただいま議題となりました不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  我が国の最近における社会経済情勢の推移等にかんがみ、市街地開発事業等の土地有効利用推進を図ることが必要かつ緊急の課題となっております。一方、いわゆるバブル経済の崩壊以降、これらの事業を実施するに当たって、広く投資家の事業参加を募る不動産特定共同事業が有効な事業手法の一つとなっております。  この法律案は、このような状況にかんがみ、不動産特定共同事業の積極的な活用を図る観点から、不動産特定共同事業に係る規制の合理化を図るため、事業参加者がいわゆる投資の専門家である場合には、主に一般投資家の保護を念頭に置いた行為規制を緩和しようとするものであります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  第一に、事業参加者等が不動産に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者等である場合については、事業実施時期の制限、金銭等の貸し付けまたはその媒介等の禁止、不動産特定共同事業契約の成立前及び成立時の書面の交付義務等を定めた規定の適用を除外することとしております。  第二に、届け出事務等の手続について負担の軽減を図ることとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いを申し上げます。
  209. 市川雄一

    市川委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  次回は、来る十一日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十七分散会      ――――◇―――――