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1997-05-27 第140回国会 衆議院 決算委員会第四分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十七日(火曜日)     午前九時開議  出席分科員   主 査 辻  一彦君       下地 幹郎君    砂田 圭佑君       高市 早苗君    山口 泰明君       吉川 貴盛君    木村 太郎君       佐々木憲昭君    武村 正義君    兼務 菅  義偉君 兼務 生方 幸夫君    兼務 川内 博史君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 堀之内久男君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      稲垣 実男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 伊藤 公介君  出席政府委員         阪神・淡路復興         対策本部事務局         次長      生田 長人君         北海道開発庁総         務監理官    松川 隆志君         北海道開発庁計         画監理官    八木 康夫君         沖縄開発庁総務         局長      嘉手川 勇君         沖縄開発庁振興         局長      牧  隆壽君         国土庁防災局長 福田 秀文君         郵政大臣官房長 天野 定功君         郵政大臣官房総         務審議官    濱田 弘二君         郵政省貯金局長 品川 萬里君         郵政省通信政策         局長      木村  強君         郵政省電気通信         局長      谷  公士君  分科員外出席者         大蔵省主計局司         計課長     田頭 基典君         社会保険庁運営         部年金指導課長 河崎 靖紀君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     安江 二夫君         農林水産省農産         園芸局果樹花き         課長      清家 金嗣君         郵政大臣官房人         事部長     安岡 裕幸君         建設省河川局治         水課長     渡部 義信君         建設省河川局防         災・海岸課長  山中  敦君         会計検査院事務         総長官房審議官 山崎彌代一君         会計検査院事務         総長官房審議官 増田 裕夫君         会計検査院事務         総局第三局長  山田 昭郎君         会計検査院事務         総局第四局長  小川 光吉君         北海道東北開発         公庫総裁    宍倉 宗夫君         沖縄振興開発金         融公庫理事長  塚越 則男君         決算委員会調査         室長      天野  進君     ───────────── 分科員の異動 五月二十七日  辞任         補欠選任   山口 泰明君     下地 幹郎君   吉川 貴盛君     砂田 圭佑君   野田  毅君     木村 太郎君   佐々木憲昭君     吉井 英勝君 同日  辞任         補欠選任   下地 幹郎君     山口 泰明君   砂田 圭佑君     吉川 貴盛君   木村 太郎君     笹木 竜三君   吉井 英勝君     佐々木憲昭君 同日  辞任         補欠選任   吉川 貴盛君     佐藤  勉君   笹木 竜三君     野田  毅君 同日  第一分科員生方幸夫君、川内博史君及び第三分  科員菅義偉君が本分科兼務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府(北海道開発庁所管北海道東北開発  公庫沖縄開発庁所管沖縄振興開発金融公庫  、国土庁所管)及び郵政省所管〕      ────◇─────
  2. 辻一彦

    辻主査 これより決算委員会第四分科会を開会いたします。  平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件中、本日は、郵政省国土庁北海道開発庁所管北海道東北開発公庫沖縄開発庁所管及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。  これより郵政省所管について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。堀之内郵政大臣
  3. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 平成年度郵政省所管一般会計郵政事業特別会計郵便貯金特別会計及び簡易生命保険特別会計決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  郵政省主管歳入につきましては、歳入予算額一兆三千四百七十四億五千三百万円余に対しまして、収納済み歳入額は一兆四千三百三十九億五千三百万円余であり、差し引き八百六十五億円余の増加となっております。  また、郵政省所管歳出につきましては、歳出予算現額四百七十五億七千九百万円余に対し、支出済み歳出額は四百七十一億一千八百万円余、翌年度繰越額は一億五千四百万円余でありまして、差し引き不用額は三億五百万円余となっております。  次に、各特別会計について申し上げます。  最初に、郵政事業特別会計について申し上げます。  郵政事業特別会計決算額は、歳入では六兆九千七百三億三千七百万円余、歳出では六兆九千三百十九億一千五百万円余となっております。  次に、郵便貯金特別会計につきましては、主なものといたしまして、一般勘定決算額は、歳入では十二兆九千三百七十九億八千万円余、歳出では十兆一千六百七十七億二千百万円余となっており、差額二兆七千七百二億五千九百万円余は、法律の定めるところに従い翌年度歳入に繰り入れることといたしました。  次に、簡易生命保険特別会計決算額につきましては、歳入では十七兆五千三百六十八億二千万円余、歳出では九兆二千六百四十三億五千四百万円余となっており、差額八兆二千七百二十四億六千六百万円余は、法律の定めるところに従い積立金として積み立てることといたしました。  以上、平成年度における郵政省関係決算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。  次に、平成年度郵政省所管一般会計郵政事業特別会計郵便貯金特別会計及び簡易生命保険特別会計決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  郵政省主管歳入につきましては、歳入予算額一兆四千六百九十二億八千五百万円余に対しまして、収納済み歳入額は一兆六千二十五億三百万円余であり、差し引き一千三百三十二億一千七百万円余の増加となっております。  また、郵政省所管歳出につきましては、歳出予算現額一千三百十五億七千三百万円余に対し、支出済み歳出額は一千二百七十二億一千九百万円余、翌年度繰越額は四十億二千五百万円余でありまして、差し引き不用額は三億二千八百万円余となっております。  次に、各特別会計について申し上げます。  最初に、郵政事業特別会計について申し上げます。  郵政事業特別会計決算額は、歳入では七兆一千五百七十六億二千九百万円余、歳出では七兆九百二十五億三千百万円余となっております。  次に、郵便貯金特別会計につきましては、主なものといたしまして、一般勘定決算額は、歳入では十三兆四千四百二十六億九千七百万円余、歳出では九兆六千八百三十二億二千三百万円余となっており、差額三兆七千五百九十四億七千四百万円余は、法律の定めるところに従い翌年度歳入に繰り入れることといたしました。  次に、簡易生命保険特別会計決算額につきましては、歳入では十九兆九千七十三億二千万円余、歳出では十兆九百七十六億七千八百万円余となっており、差額九兆八千九十六億四千二百万円余は、法律の定めるところに従い積立金として積み立てることといたしました。  以上、平成年度における郵政省関係決算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  4. 辻一彦

    辻主査 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院小川第四局長
  5. 小川光吉

    小川会計検査院説明員 平成年度郵政省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項四十五件であります。  検査報告番号一四二号及び一四三号は、庁舎警備請負契約における警備費積算に当たり、算定のもととした積算参考資料に記載された警備料金の適用を誤って、必要のない休祝日割り増しを行うなどしたため、契約額が割高になっていたものであります。  検査報告番号一四四号から一八六号までの四十三件は、職員不正行為による損害が生じたもので、郵便局出納員等が、契約者から受領した保険料定額郵便貯金払戻金等を領得したものであります。  次に、平成年度郵政省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三十八件であります。  これらはいずれも、職員不正行為による損害が生じたもので、郵便局出納官吏出納員等が、契約者から受領した保険料預金者から受領した定額郵便貯金預入金等を領得したものであります。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  6. 辻一彦

    辻主査 ただいまの会計検査院指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。堀之内郵政大臣
  7. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 平成年度決算に関する会計検査院指摘について講じた措置等につきまして、その概要を御説明申し上げます。  職員不正行為による損害が生じたものとして指摘を受けたものがありましたことは、まことに遺憾に存じます。  今後とも、日常努力を積み重ね、防犯施策の一層の徹底を図るとともに、業務考査及び会計監査を厳格に実施し、不正行為根絶を図る所存であります。  次に、庁舎警備請負契約における警備費積算を誤ったため契約額が割高になったものとして指摘を受けたものがありましたが、本件積算が適切でなかったことは、まことに遺憾に存じます。  今後は、なお一層適切な契約実施に努め、この種事例再発防止を図る所存であります。  以上、平成年度決算に関する会計検査院指摘について講じた措置等につきまして、その概要を御説明申し上げましたが、今後、この種事例発生未然に防止するため、より一層指導監督徹底を図る所存であります。  これをもちまして概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。  次に、平成年度決算に関する会計検査院指摘について講じた措置等につきまして、その概要を御説明申し上げます。  職員不正行為による損害が生じたものとして指摘を受けたものがありましたことは、まことに遺憾に存じます。  今後とも、防犯施策の一層の徹底を図るとともに、業務考査及び会計監査を厳重に実施し、不正行為根絶を図る所存であります。  これをもちまして概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  8. 辻一彦

    辻主査 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 辻一彦

    辻主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────    平成年度郵政省所管一般会計及び各特別会計決算に関する概要説明                郵 政 省  平成年度郵政省所管一般会計郵政事業特別会計郵便貯金特別会計及び簡易生命保険特別会計決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  郵政省主管歳入につきましては、歳入予算額一兆三、四七四億五、三三六万円余に対しまして、収納済歳入額は一兆四、三三九億五、三四七万円余であり、差引き八六五億二万円余の増加となっております。  これは、収入印紙収入予定より多かったこと等によるものであります。  また、郵政省所管歳出につきましては、歳出予算現額四七五徳七、九一八万円余に対し、支出済歳出額は四七一億一、八四一万円余、翌年度繰越額は一億五、四八四万円余でありまして、差引き、不用額は三億五九二万円余となっております。  支出済歳出額につきまして、主な事項を申し上げますと、まず、科学技術振興費でありますが、通信総合研究所等における電気通信利用開発に関する基礎的研究及びその応用に関する研究等に要した経費が一一四億三、一七七万円余、その他の事項経費として、情報通信基盤整備等に要した経費が三五六億六、四九八万円余となっております。  次に、各特別会計について申し上げます。  最初に、郵政事業特別会計について申し上げます。  郵政事業特別会計歳入予算額は七兆九四〇億九、三九五万円余、歳出予算現額は七兆一、四六二億四、八七五万円余でありまして、これに対する決算額は、歳入では六兆九、七〇三億三、七一二万円余、歳出では六兆九、一三九億一、五二五万円余となっております。  この中には、収入印紙等の売りさばきによる収入及びこれらの収入関係法令に基づき他の会計へ繰り入れる等のため必要とする支出、並びに借入金局舎其他施設費等資本的収入支出が含まれていますので、これらを除きました事業運営による歳入歳出は、歳入では三兆九、〇七四億五、四五一万円余、歳出では三兆五、八六七億三、一七一万円余となっております。  郵便事業損益につきましては、収益総額は二兆二、三四八億二、一五八万円余、費用総額は二兆一、二〇〇億六、七一七万円余でありまして、差引き一、一四七億五、四四一万円余の利益を生じました。  この結果、郵便事業累積利益金は一四五億八、六四四万円余となっております。  次に、郵便貯金特別会計について申し上げます。  郵便貯金特別会計につきましては、一般勘定歳入予算額は一二兆八、四四六億五、三六一万円余、歳出予算現額は一〇兆一、六七七億二、一二六万円余でありまして、これに対する決算額は、歳入では二一兆九、三七九億八、〇八一万円余、歳出では一〇兆一、六七七億二、二一六万円余となっており、差額二兆七、七〇二億五、九五五万円余は、法律の定めるところに従い翌年度歳入に繰り入れることといたしました。  金融自由化対策特別勘定歳入予算額は六兆四、一五九億七、七二三万円余、歳出予算現額は六兆四、一一七億七四九万円余でありまして、これに対する決算額は、歳入では六兆三、七一二億四、五八三万円余、歳出では六兆三、六三七億三、三一九万円余となっており、差額七五億一、二六三万円余は、法律の定めるところに従い金融自由化対策資金に組み入れることといたしました。  郵便貯金事業損益につきましては、一般勘定では、二、一七三億一、五一三万円余の利益を、また、金融自由化対策特別勘定では、一七七億二、三一六万円余の利益を生じました。  次に、簡易生命保険特別会計について申し上げます。  簡易生命保険特別会計につきましては、歳入予算額は一八兆二四三億一、〇九九万円余、歳出予算現額は一〇兆三、一〇九億六、二三三万円余でありまして、これに対する決算額は、歳入では一七兆五、三六八億二、〇八六万円余、歳出では九兆二、六四三億五、四六一万円余となっており、差額八兆二、七二四億六、六二五万円余は、法律の定めるところに従い積立金として積み立てることといたしました。  簡易保険事業損益につきましては、六、五九〇億一、九八九万円余の剰余金を生じました。発生した剰余金については、法律の定めるところに従い加入者へ分配することとされております。  以上、平成年度における郵政省関係決算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。     …………………………………    平成年度決算郵政省についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  平成年度郵政省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項四十五件であります。  検査報告番号一四二号及び一四三号は、庁舎警備請負契約における警備費積算を誤ったため、契約額が割高になっているもので、札幌中央郵便局及び名古屋貯金事務センターにおきまして、警備費積算に当たり、必要のない割増しや加算を行うなどしたため、積算額が過大となり、ひいては契約額札幌中央郵便局及び名古屋貯金事務センターにおいてそれぞれ割高になっていたものであります。  検査報告番号一四四号から一八六号までの四十三件は、職員不正行為による損害が生じたものであります。  これは、米沢郵便局ほか四十三郵便局におきまして、簡易生命保険郵便預金等事務に従事している職員が、契約者から受領した保険料定額郵便預金払戻金等を領得したものであります。  なお、このうち一五八号から一八六号までの二十九件については、七年十月末までに損害額のすべてが補てん済みとなっております。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     …………………………………    平成年度決算に関する会計検査院指摘について講じた措置等説明                郵 政 省  平成年度決算に関する会計検査院指摘について講じた措置等につきまして、その概要を御説明申し上げます。  職員不正行為による損害が生じたものとして指摘を受けたものがありましたことは、誠に遺憾に存じます。  このような不祥事を防止するため、日ごろから職員防犯意識の高揚、業務正規取扱い徹底相互けん制励行等を通じて、防犯体制充実強化を図り、不正行為未然防止早期発見に努めているところであります。  今後とも、日常努力を積み重ね、防犯施策の一層の徹底を図るとともに、業務考査及び会計監査を厳格に実施し、不正行為根絶を図る所存であります。  次に、庁舎警備請負契約における警備費積算を誤ったため契約額が割高になったものとして指摘を受けたものがありましたが、本件積算が適切でなかったことは、誠に遺憾に存じます。  今後は、なお一層適切な契約実施に努め、この種事例再発防止を図る所存であります。  以上、平成年度決算に関する会計検査院指摘について講じた措置等につきまして、その概要を御説明申し上げましたが、今後、この種事例発生未然に防止するため、より一層指導監督徹底を図る所存であります。  これをもちまして、平成年度決算に関する会計検査院指摘について講じた措置等についての概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。     ─────────────    平成年度郵政省所管一般会計及び各特別会計決算に関する概要説明                郵 政 省  平成年度郵政省所管一般会計郵政事業特別会計郵便貯金特別会計及び簡易生命保険特別会計決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  郵政省主管歳入につきましては、歳入予算額一兆四、六九二億八、五七六万円余に対しまして、収納済歳入額は、一兆六、〇二五億三二四万円余であり、差引き一、三三二億一、七四七万円余の増加となっております。  これは、収入印紙収入予定より多かったこと等によるものであります。  また、郵政省所管歳出につきましては、歳出予算現額一、三一五億七、三六九万円余に対し、支出済歳出額は一、二七二億一、九〇二万円余、翌年度繰越額は四〇億二、五七一万円余でありまして、差引き、不用額は三億二、八九五万円余となっております。  支出済歳出額につきまして、主な事項を申し上げますと、まず、科学技術振興費でありますが、通信総合研究所等における電気通信利用開発に関する基礎的研究及びその応用に関する研究等に要した経費が三三五億八、〇三九万円余、その他の事項経費として、情報通信基盤整備等に要した経費が九三六億一、九〇一万円余となっております。  次に、各特別会計について申し上げます。  最初に、郵政事業特別会計について申し上げます。  郵政事業特別会計歳入予算額は七兆二、八九四徳五、〇九二万円余、歳出予算現額は七兆三、四六四徳五、四八五万円余でありまして、これに対する決算額は、歳入では七兆一、五七六億二、九七五万円余、歳出では七兆九二五億三、一九九万円余となっております。  この中には、収入印紙等の売りさばきによる収入及びこれらの収入関係法令に基づき他の会計へ繰り入れる等のため必要とする支出、並びに借入金局舎其他施設費等資本的収入支出が含まれていますので、これらを除きました事業運営による歳入歳出は、歳入では四兆十三六億七、九二二万円余、歳出では三兆六、六二四億七、二三九万円余となっております。  郵便事業損益につきましては、収益総額は二兆二、八六四徳七、〇六九万円余、費用総額は二兆一、六四七億七五七万円余でありまして、差引き一、二一七億六、三一一万円余の利益を生じました。  この結果、郵便事業累積利益金は一、三六三徳四、九五五万円余となっております。 次に、郵便貯金特別会計について申し上げます。  郵便貯金特別会計につきましては、一般勘定歳入予算額は十三兆三、〇八六億二、六十六万円余、歳出予算現額は一〇兆一、五〇〇億七、九一五万円余でありまして、これに対する決算額は、歳入では二二兆四、四二六億九、七四一万円余、歳出では九兆六、八三二億二、三三五万円余となっており、差額三兆七、五九四億七、四〇五万円余は、法律の定めるところに従い翌年度歳入に繰り入れることといたしました。  金融自由化対策特別勘定歳入予算額は六兆六、三八三億七、〇七六万円余、歳出予算現額は六兆六、三四〇億三、六〇四万円余でありまして、これに対する決算額は、歳入では六兆五、六〇九億六、八四六万円余、歳出では六兆五、五九六徳一、四四七万円余となっており、差額一三億五、三九八万円余は、法律の定めるところに従い金融自由化対策資金に組み入れることといたしました。  郵便貯金事業損益につきましては、一般勘定では、一兆一、二三七億五、四三八万円余の利益を、また、金融自由化対策特別勘定では、十六七億四、八五六万円余の利益を生じました。  次に、簡易生命保険特別会計について申し上げます。  簡易生命保険特別会計につきましては、歳入予算額は一九兆二、七三三億五二三万円余、歳出予算現額は一二兆二、四八五徳四、六七七万円余でありまして、これに対する決算額は、歳入では一九兆九、〇七三億二、〇五七万円余、歳出では一〇兆九七六億七、八一四万円余となっており、差額九兆八、〇九六億四、二四二万円余は、法律の定めるところに従い積立金として積み立てることといたしました。  簡易保険事業損益につきましては、五、二四〇億五、七九一万円余の剰余金を生じました。発生した剰余金については、法律の定めるところに従い加入者へ分配することとされております。  以上、平成年度における郵政省関係決算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。     …………………………………    平成年度決算郵政省についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  平成年度郵政省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三十八件であります。  検査報告番号一六五号から二〇二号までの三十八件は、職員不正行為による損害が生じたものであります。  これは、茶志内郵便局ほか四十四郵便局におきまして、郵便貯金や簡易生命保険等の事務に従事している職員が、預金者から受領した定額郵便貯金預入金や契約者から受領した保険料等を領得したものであります。  なお、このうち一八一号から二〇二号までの二十二件については、八年十月末までに損害額のすべてが補てん済みとなっております。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     …………………………………    平成年度決算に関する会計検査院指摘について講じた措置等説明                郵 政 省  平成年度決算に関する会計検査院指摘について講じた措置等につきまして、その概要を御説明申し上げます。  職員不正行為による損害が生じたものとして指摘を受けたものがありましたことは、誠に遺憾に存じます。  このような不祥事を防止するため、日ごろから職員への防犯指導の強化、厳正な業務取扱いの徹底業務取扱手続等の改善、相互けん制の励行、各種検査・監査の強化を通じて、防犯体制充実強化を図り、不正行為未然防止早期発見に努めているところであります。  今後とも、防犯施策のなお一層の徹底を図るとともに、業務考査及び会計監査を厳重に実施し、不正行為根絶を図る所存であります。  これをもちまして、平成年度決算に関する会計検査院指摘について講じた措置等についての概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。     ─────────────
  10. 辻一彦

    辻主査 以上をもちまして郵政省所管説明は終わりました。     ─────────────
  11. 辻一彦

    辻主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。  また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いをいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅義偉君。
  12. 菅義偉

    ○菅(義)分科員 おはようございます。自由民主党の菅でございます。  早速質問いたしますが、郵政三事業についてであります。  去る五月二十二日、横浜アリーナで全特全国大会が開催をされました。私も、地元の国会議員として出席をしたのでありますけれども、大臣も御来賓として御出席をされて、お祝いのごあいさつを述べておられました。  その中で、大臣は、三事業の維持、発展について大変力強い決意を披露されておられました。私も、立場を同じくする者としてうれしかったのでありますけれども、ただ、この三事業を取り巻く環境というのは極めて厳しいものがあり、さらにまた、さまざまなこれは議論のあるところであります。  特に、財政投融資の原資であります郵貯や簡保、これに対しましては、公共事業の大幅な見直しや、天下りの温床とも言われます特殊法人の累積赤字の拡大などと相まって、改革の論議が今行われようとしておるところであります。この出口が悪いからといって入り口まで一体で改革しようとするこうした動きに対して、まず大臣の考えをお伺いしたいと思います。
  13. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 先般、横浜で全国の特定局長大会が盛大に行われましたが、その節、菅議員も御出席をいただき、ともに局長会の皆さん方を激励いただきましたことは感謝にたえません。私も、昼間はちょうど委員会がございまして、夕方出席をさせていただいたところでありましたが、大変熱気あふれる大会でございました。また、日ごろ第一線で御活躍いただいております特定局長の皆さん方に、感謝の気持ちを申し述べさせていただいた次第でございました。  何といっても、今いろいろ議論になりましておるのは、郵政三事業の経営形態の問題でありますが、幸いに、出席されました諸先生方からは大変力強いごあいさつをいただきましたので、特定局長の皆さん方も大変力強い考え方でお帰りになられたもの、こういうふうに理解をいたしておるところであります。  委員も御承知のとおりでありますが、郵政三事業というのは、何といってもユニバーサルサービスを目的に、二万四千六百のネットワークを利用いたしまして、農村地域、過疎地域はもちろんでありますが、都市部においても適当なバランスよい店舗の配置をいたしまして、国民の最も基本になります金融サービスを提供いたしておるわけであります。また、これは郵便と同じでありますが、簡易保険、こういうものも提供いたしておるのは御案内のとおりであります。  こういう郵便局が身近にありますということは、やはり高齢者の方々にとっては非常に利便的で利用しやすい、こういうことから大変な評価をいただいておるというように考えておりますので、郵便局が、郵便と同じように貯金、簡易保険というものが、今後大きな役割を持って国民生活の向上あるいは利便性に寄与していかなければならぬと思います。  ただいま先生の御指摘のように、今財投論議が、財投投資について、融資について非常に議論がなされておるところでありますが、私どもは、これはもう当然なことだと思いまして、十分活力ある、あるいは社会資本の整備について適切な財投投資がなされることを期待するわけでありまして、今後ともこの議論の行く末をしっかり見守ってまいりたい、こう思っております。  我々郵政省といたしましては、今日まで財政投融資の原資であったことはもちろん間違いありませんが、自由化対策資金として、約四十五兆円、約二〇%以上のものを自主運用として運用をいたしておるわけであります。そして、今日までも立派な実績を上げておるわけであります。これからも、預金者利益の確保あるいは郵便貯金事業の健全経営の確保、そして二十一世紀にふさわしい社会資本の形成等に貢献するという立場に立ちまして郵便貯金の健全運用を図っていきたい、こういうように考えておるところであります。
  14. 菅義偉

    ○菅(義)分科員 今大臣からもお話がありましたが、これからは、高齢化時代とか国際化時代が急速に到来をしておるわけでありまして、こうした対策も必要であろうと思いますが、特に来年の四月一日からは、いわゆる日本版ビッグバンのフロントランナーと言われております改正外為法がいよいよスタートをするわけであります。そうした中で、海外の金融機関が我が国のこの千二百兆円と言われる個人資産を目当てに、これは大変な大競争の時代になってくると私は思います。こうした流れの中で、郵政省としてこの国際化時代にどのように対応されていかれるのか、お尋ねをします。
  15. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘ありましたとおり、来年の四月から外為法が改正されまして、より金融の自由化が進むわけでございますが、いわゆる金融ビッグバンの中で、私どもの認識といたしましては、金融市場において、運用の分野においても、またそれから商品提供の分野においても、非常に市場の厚みが増すといいましょうか、より豊かなものになっていくのではないか、その中で個人投資家あるいは預金者の利便向上というのがさらに図られるのではないかというふうに思っております。大変結構なことではないかと思います。  ただ、これは予測の域を出ませんけれども、イギリスの例なんかを見ますと、大変金融機関の合理化が進むということも言われております。店舗が大幅に縮小されまして、基本的な個人金融サービスを受ける機会において、地域間格差とかあるいは顧客間格差が出ているということが言われます。  そうした点を考えますと、先ほど大臣から答弁ございましたように、今郵便局のサービスというのは非常にバランスよく、一・一キロずつぐらい歩けば、小学校と同じ距離でございますから、子供でも歩いていけるところという感覚で郵便局舎が置かれておりますので、民間金融機関において、いわゆる今後は合理化のための合併が進むというような話も言われております。そうしますと、郵便局の機能というのがまた新たな役割を担っていくのではないかと思っております。この中で本当に基礎的な、個人の金融サービスを利用する機会を全国津々浦々きちんと提供申し上げるということも、この豊かな金融市場ができるということと両々相まって我が国の国民福祉の向上に寄与する道になるのではないか、このように考えておる次第でございます。
  16. 菅義偉

    ○菅(義)分科員 同時に、今もお話がありましたけれども、郵便局は今小学校一校につき一つぐらいですか、地域に点在をしておりますけれども、銀行は駅前に集中をいたしております。そうした中で、高齢化が進行すると、この地域重視の政策というのは極めて重要になってくると思いますけれども、サービス産業として郵便局はこうした地域に対しての対策、あるいはまたいろいろな情報化にも対応していかなければならないと思いますけれども、この点についてはどのような考えを持たれているのか、お尋ねをします。
  17. 天野進

    天野政府委員 先生ただいま御指摘のように、郵便局は現在二万四千六百ございますけれども、これは先ほどから出ておりますように、お年寄りでも歩いて行ける、一・一キロに一つの局があるという大変周密な配置状況になっておりまして、まさに地域住民に身近な郵便局を通しまして提供されるサービスは、地域社会に今日深く根をおろしまして国民の信頼を得ております。今後我が国の社会が少子・高齢化に向かってどんどん進展してまいりますけれども、こういった郵便局の役割はますます重要になると認識しております。  そこで、私どもといたしましては、二十一世紀を展望した郵便局ネットワークとそのサービスのあり方につきまして、幅広く論議いただいて検討いただきますために、去る二月に郵政審議会に諮問いたしました。その結果でございますが、四月二十二日に中間報告が出ておりますが、この中間報告におきましては、郵便局は国民共有の生活インフラでありまして、情報、安心、交流の拠点として社会的に活用されるべきではないか、このための方策としまして、高齢者等の住宅サービスの充実とかあるいはワンストップ行政サービスなど幾つかの提言がなされております。  これから最終の答申が予定されておりますけれども、少子・高齢化社会に向けまして、国民本位で地域社会との連携を目指した郵便局ネットワークの一層の活用に向けまして、郵政省としても努力してまいりたいと思っております。
  18. 菅義偉

    ○菅(義)分科員 私は地方議員の出身でありますけれども、ここ数年来地域重視のいろいろな施策展開が市民からも強く要望をされておるわけでありますから、地域に密着した郵便局の役割というのはますます重要になってくると考えておりますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思っております。  さらに、郵便局のカードを持っている人は郵便局でしかお金をおろせない。銀行のカードを持っている人は銀行でしかおろせないわけであります。特に地方に行きますと、銀行のないところが結構あるわけでありますから、使用する側としては非常に不便である。これは郵便貯金と銀行、いわゆる民間の金融機関と一体となった形で、お互いに相互乗り入れをして、お互いの機関からおろす、出し入れすることのできるようなそうしたシステムを私は早急につくり上げていくべきである、こう考えますけれども、これについてはいかがですか。
  19. 品川萬里

    ○品川政府委員 今先生御指摘ございましたとおり、おかげさまで平成年度の予算におきまして、郵貯のオンラインシステムと民間のオンラインシステムとお互いオープンに接続し合って国民の利便の向上に努めようではないかという施策につきまして、実験予算というのが認められました。  今いろいろ準備を進めているところでございますが、今先生御指摘のありましたとおり、文字どおり国民の皆様の利便の向上に資するわけでございます。同時に、災害時等におきましては、今それぞれオンラインシステムというのはいわばライフラインでございますので、そういうことを考えますと、平時あるいは非常時を問わず大変意義ある施策ではないかと思っております。  したがいまして、これから関係の皆様方に、ネットワークの相互開放ということにつきましてこうした国民生活に非常に多面的な効果を持つのだということを広く御理解いただきまして、ぜひこの施策が成功されればというふうに思っております。  なお、我々の郵貯のネットワークというのは国民共有の財産でございますから、いわば行政財産でもありますが、これが民間の方々にも有効に使われる、そういう意義もあろうかと思っておりますので、そうした多面的、多角的な効果、効用につきましても十分意義が理解されますように、関係機関の方々とよく話し合ってまいりたい、かように存じております。
  20. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま貯金局長から答弁申し上げたとおりでありますが、実は私はキャッシュカードを持っておるのです。これはマスターカードでありますから、これがいろいろな店屋さんですか、また前は、私が大臣になるときまではキャッシュカードだけだったのですが、これがいろいろなデパートや皆さんとの連携、オンライン化ができまして大変便利なんですね。それと、私も田舎に住んでおりますから、銀行まで七キロあるわけです。だから、そういう不便なところであると、これはもう非常にどこへ行っても利便であります。  今金融機関が郵便貯金に対して非常に門戸を閉ざしておりますが、我々も農協あるいは金融機関、こういうものと国民のための側に立ってオンライン化ができるように、ぜひこの点は今後私どもも努力をしてまいりたい、こう思っておるわけであります。
  21. 菅義偉

    ○菅(義)分科員 ぜひ早急に実現をされますように期待をいたしております。  さらに、この郵政省の三事業で大切なことは、やはり職員の皆さんだと思いますね。私、よく郵便局にもお邪魔をするのですけれども、職員の皆さんは一生懸命に頑張っておられます。こうした職員の皆さんがいるからこそ、世界に冠たるこの日本の郵政三事業が構築されたと私は思っております。  この給料体系でありますけれども、調整手当によって地域間によって若干の差はあるようであります、この調整手当の地域内である場合は忙しいところとそうでない局の給与の格差はないということでありますけれども。実は私は、生まれ育ったところが秋田県の田舎の町でありまして、人口約一万人であります。今の選挙区は横浜で三百四十万であります。田舎の郵便局は、私のいとこが局長をしておりましたからよく行っていました。また、今横浜の郵便局へ行くと、忙しさというのが全然違うのですね。とにかく都会の人は、昼飯を食う暇もないほどお客さんがずっといっぱい来ている。それだけ利用されておるということでありますけれども、私は職員の給与についても若干の競争原理、こういうものを考えてもいいのではないか、こう思いますけれども、これについてはいかがですか。
  22. 安岡裕幸

    ○安岡説明員 お答えを申し上げます。  郵政職員の給与は、国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法ということで、職務の内容と責任に応じて定める、こういうことになっております。これを受けまして、郵政省では、その内容や責任が類似した職務ごとに全国一本の俸給表をつくっておるところでございますけれども、その俸給の調整額を支給するという格好になっております。したがいまして、同一俸給表の適用を受ける職員の間になお存在します職務の内容や責任の違いを反映した給与ということになっております。  ただいま先生御指摘の、繁忙ごとにということでございますけれども、郵便局の繁忙には確かに差もございます。したがいまして、それに応じまして各種の俸給の調整額を支給しておりまして、例えば普通郵便局の郵便内務の職員につきましては、その取り扱い部数に応じまして俸給の調整額に差を設けるということで、繁忙度合いを反映したものになっております。今、いろいろな、無集配特定局というケースもございますけれども、それも繁忙度合いに応じまして調整額をつけるという格好で、繁忙度合いを反映した給与になっているということでございます。
  23. 菅義偉

    ○菅(義)分科員 この郵政三事業でありますけれども、六年、七年度決算においても非常に健全な経営をされております。しかしこれから、先ほど来申し上げていますけれども、まさにビッグバンによって大変な大競争の時代に突入するわけでありますから、果たして将来的にも大丈夫かなという懸念も正直言って私は持っております。この将来的な見通しについて、これは大臣にお尋ねしたいと思います。
  24. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 先生も御承知のとおりでありますが、第二次橋本内閣は、何といっても行政改革を最大の目玉にいたしております。六つの改革を挙げておるわけでありますが、その中の一つの行政改革、これは、当然ながら私も閣僚の一員として今後あらゆるこうした政府組織の改革に取り組んでいかなければならぬ、こういうように思っておるわけであります。  郵政省の三事業におきましては、先ほど先生も御指摘になりましたが、職員の非常な努力によりまして、現在も独立採算で、そして税金を一切、一銭も投入することなく、国営・非営利という、そして三事業一体となって運営をなされておりまして、現在、健全経営を確保しておる次第でございます。  今後とも、こういう経営形態を維持しながら、そして健全経営を確保していくためには、郵政省では、郵政省独自の第九次定員削減計画というのを、昨年七月三十日ですか、閣議決定をいただきまして、現在その計画に従って人員の合理化、そしてまた、来年二月から郵便事業においては新郵便番号制の導入等をいたしまして、より一層の効率化や合理化を進めてまいる所存であります。  そういう意味では、今後とも、とうした合理化とあわせて、さらに職員努力によりまして国民の信頼、評価をいただいていくならば、必ずや立派な経営ができると思っております。幸いに今日まで、昨年の八月でしたか、日経新聞が窓口調査というのをやったわけですが、金融機関、そして我々郵便局、全部やりましたが、相談しやすい、親しみやすい、窓口の関係では郵便局は全部一番なんですね。これには私もびっくりいたしましたが、郵政省職員が第一線でそのような努力をしていけば、今後とも健全経営は確保し、また国民の信頼も必ず確保できる、こういうように思っております。
  25. 菅義偉

    ○菅(義)分科員 私は、郵政三事業が、独立採算による健全経営が続く限りにおいては、民営化論というのは現実論にはなってこない、このように考えるものであります。特に、国鉄の民営・分割と同じて論じられる方もおりますけれども、当時は、労使関係というのは全くひどい状態にありましたし、毎年一般会計から六千億円を超える補助金が出されていたわけでありますから、それと郵政三事業と、全くこれは違うわけでありますので、ぜひ国民の期待にこたえる形で今後とも頑張っていただきたいと思います。  次に、携帯・自動車電話について質問をいたします。私はアメリカしか知りませんけれども、その携帯電話と比べて日本の携帯電話というのは、非常に雑音が多かったり、つながらなかったり、途中で切れたりして性能が悪いのではないか、あるいは電波が弱いのではないか、こんなことを実は思って郵政省の人に質問したのですけれども、そんなことは絶対ないということでありました。  そこで、なぜかなと思っていろいろ資料をちょうだいをしたのでありますけれども、やはり私はこれだと思うのです。昨年の四月に、需要予測で、二〇〇〇年次においては加入者を二千五百万から三千二百五十万人と見ていた。しかし、たった一年間で、今年度の予測では四千二百八十万から四千七百三十万という、大変に加入者予測がふえておるわけであります。それだけ利用される方が圧倒的に多い、その結果としてアンテナがまだ追いついていっていないのではないか、こういうように私は思っておりますけれども、これについてはどのようなお考えですか。
  26. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 御指摘のとおりでございまして、確かに日本の携帯電話の方式はアメリカとは異なるわけでございますけれども、内外の専門家とも、技術的な音質などの性能が日本の場合劣っているものではないという評価をしておりまして、私どももそのように思っております。  ただ、今先生御指摘がございましたように、非常に伸びが著しいわけでございまして、ことしの四月末の利用者の数は、携帯電話二千百七十九万加入でございまして、この一年間で千八十二万加入、つまり一年間に倍増するという非常に急激な伸びを示しております。当然これに対しては周波数が必要になるわけでございまして、アメリカでは、携帯電話の周波数といたしまして五十メガヘルツの周波数の幅を利用しているわけでございますが、日本はその二・八倍の百四十四メガヘルツ帯をこれに充てておるわけでございまして、周波数としてはかなり十分な割り当てを行っておるつもりでございます。  ところで、先生御案内と思いますけれども、この電話のシステムにつきましては、半径数キロごとに無線局の基地局というものを設けまして、その一つの基地局のエリアから次の基地局のエリアに移動しながら通信回線、通信路を確保するというシステムでございます。ただいま申し上げましたように、非常に携帯電話の利用が急増している一部の基地局エリアというものがありますわけで、そういうものにつきましては通話のふくそうが生ずるわけでございますが、ある基地局エリアからこういったふくそうを生じておりますようなエリアに移動いたしますと、その際に空きチャンネルへの切りかえができませず、そこで通話が途切れるといった場合があり得るわけでございます。  それからまた、こういった場合以外にも、新たに建物等が建設されることによりまして、電波の伝わる伝搬環境が変化をするということによりまして電波が弱くなって、移動中に切れるということも起こり得る、音質が悪くなるということもあり得るわけでございます。  こういった状況に対しましては、各携帯電話事業者が、競争環境の中でやはりサービスの改善に努めなければなりませんから、基地局の通信回線の容量の増設でございますとか基地局の新設でございますとか、そういったことで逐次対応しておるところでございます。  私どもといたしましても、利用者に御不便をおかけしないように、一層事業者が万全の体制で、ただいま申し上げましたような措置を講じて品質の維持向上に取り組んでいくべきだというふうに考えております。
  27. 菅義偉

    ○菅(義)分科員 私が非常に懸念をしておりますのは、余りにも商業主義に走り過ぎているのではないかという感じを持っています。毎日、新聞に携帯電話の宣伝がどんどん出ていますね。さらには、新しい機種が次から次へと出ています。内容はほとんど変わってない。そういう形でどんどん電話を売る方にだけ力を入れて、肝心のそうした基地の充実、そうしたものに対しての認識が甘いのではないか、私はこのことをぜひ指摘をさせていただきたいと思っております。  それと同時に、今、PHSもそうですけれども、未成年の人に街頭でただで配っていますね。これは私の友人から言われたのでありますけれども、その子供が浪人生なんですが、やはり街頭でもらったからということで親にないしょで契約をした、しかし実際お金が入ってないので銀行から催促が来て、初めてわかったようであります。ただ、そういうことになると、将来的に銀行の方のブラックリストに載ってしまうらしいのですね。これは大変なことだということで相談がありましたけれども、そういうこともありますので、やはりこの公共性というものもあるわけでありますから、その辺のことをもう一度考え直していただきたいと思います。  このことを指摘いたしまして、私の質問を終わります。
  28. 辻一彦

    辻主査 これにて菅義偉君の質疑は終了いたしました。  次に、生方幸夫君。
  29. 生方幸夫

    生方分科員 郵政大臣、朝早くからどうもお疲れさまでございます。決算委員会ということなので、決算に関連した質問をさせていただきたいと思います。  郵政省が各種通信インフラに対していろいろな育成策をとっておること、これは、通信インフラを整備しなければいけないということは当然でございますので、大いにやっていただきたいのですが、やはり限られた予算の中で費用対効果ということを考えますと、最大限に効果を発揮するような援助ないしは融資というものがとられてしかるべきだというように思っております。  きょうお尋ねしたいのは、郵政省並びに通産省が行っております基盤技術研究促進センターについて、政府は多額の投資を行っておるわけですが、それはどのぐらいの成果が出ておるのかということを、まず最初にお伺いしたいと思います。質問に入る前に、私も新聞報道等で見る前はよく存じ上げておらなかったのですが、この基盤技術研究促進センターというものがどういう経過でできてきて何を目的にしているのかということを、まずお伺いしたいと思います。
  30. 木村強

    木村政府委員 お答え申し上げます。  基盤技術研究促進センターでございますが、まずその設立の経緯は、民間におきまして行われております基盤技術に関する試験研究を促進するため設立をされました、郵政、通産省共管の認可法人でございます。昭和六十年十月に設立をされたということでございます。  それから、センターの業務でありますけれども、今申し上げましたような趣旨で民間におきます研究開発に対する出資及び融資等を実施しており、その原資は、産業投資特別会計帰属のNTT政府保有義務株式の配当益、年間約二百六十億円でありますけれども、これを原資としてそれぞれの試験研究法人等に出資をしておるという性格のものでございます。
  31. 生方幸夫

    生方分科員 原資はNTTの政府保有株の配当金ということなのですが、毎年、大体どれぐらいの額が融資ないしは出資をされておるのでしょうか。
  32. 木村強

    木村政府委員 最近の例でありますと、約二百六十億円ということでございますので、二百億円が出資、約六十億円が融資ということで回っております。昭和六十年から具体的な出資あるいは融資がスタートしておりますので、当初は少のうございましたけれども、最近の平年レベルでは、今申し上げました二百六十億、そのうち、出資が二百億、六十億が融資ということで、通産、郵政のそれぞれの分野に使われておるという現状でございます。
  33. 生方幸夫

    生方分科員 これまでの累計というのは幾らになりますでしょうか。
  34. 木村強

    木村政府委員 出資につきましては、昭和六十年からスタートいたしまして、平成年度まで、約二千二百億円ということになっております。
  35. 生方幸夫

    生方分科員 融資については。
  36. 木村強

    木村政府委員 約七百億円強でございます。
  37. 生方幸夫

    生方分科員 融資の方は結構なんですけれども、出資というのは、どういう形で出資をなさっておるのか、出資対象となっているのはどんな企業なのかということをお伺いしたいのです。
  38. 木村強

    木村政府委員 出資案件を民間から公募いたしまして、試験研究法人という、いわゆる、新しく試験研究、基盤研究をするための株式会社といったような法人をつくります。その法人に対しまして、基盤促進センターから出資を行う。その際に、国の基盤センターからは約七割を上限とする、残りの三割につきましてはそれぞれ民間会社がこれを持つという形で、新しい試験研究の法人をつくる、その法人に対してトータル出資をする、こういう形でございます。
  39. 生方幸夫

    生方分科員 出資を行うわけですから、当然その回収ということをお考えになっていると思うのですが、政府が出資したものをどのように回収するシステムになっておるわけでしょうか。
  40. 木村強

    木村政府委員 先ほど申し上げましたように、まず、産投会計から基盤技術研究促進センターに出資が行われます。基盤技術研究促進センターは、ただいま申し上げました研究開発会社というものに対しまして出資を行うということでございます。その研究開発会社が研究を行い、成果を得るということになりますと、いわゆる特許権あるいは実用新案権等の、いわゆるそういった基礎特許というものを得ます。この特許を得たものを民間の会社に開示などをいたしまして、具体的な研究の成果は、その民間の例えば製造会社などがそれを使って製品を実用化して売り上げる、その売り上げたものから研究会社にロイヤルティー収入というものを得て行うという仕組みでございまして、その研究開発会社が利益を生ずるということになりますと基盤促進センター等に配当が返ってくる、こういう仕組みになっております。
  41. 生方幸夫

    生方分科員 具体的に出資している会社としてどんなところがあるのかということと、これまでにどんな成果が上がっているのか、具体的な例がございましたらぜひお示しをいただきたいのです。
  42. 木村強

    木村政府委員 昭和六十年十月のセンター設立以来これまで、電気通信案件、鉱工業案件合わせまして百六件の試験研究に出資をいたしております。  その結果でありますけれども、既に三千件を超える特許を出願する等、出資事業に係る研究開発につきましてその成果を上げておるということでございまして、例を挙げますと、一つには、日本衛星放送、いわゆるWOWOWでございますけれども、そのデコーダー、スクランブルをかけました有料放送を見るというための技術でありますが、こういったデコーダーでありますとか、あるいは、事実上の国際標準となっております画像圧縮技術、MPEG2と呼ばれております。そういった画像圧縮技術といったものも、この基盤センターの出資による成果ということでございます。  それから、ATR、国際基礎技術研究所というのがあるわけですけれども、このATRの中では、現在、音声翻訳電話等の研究開発が進んでおります。これができますと、アメリカその他へ電話をかけますときに、日本語でしゃべれば、相手には英語で翻訳をされた中身が入ってくるということで、これからのグローバル社会におきまして非常に画期的な研究であろうということで、この研究については、まだ成果という形ではありませんけれども、相当な形でその研究開発が進められておるということでございます。  これは研究中のものでありますけれども、またATRの具体的な実績といたしましては、既に商品化済みのものといたしましては、アルツハイマー病の診断を行う装置、こういったものもこのATRの中で行われて、もう既に商品化をして各病院で販売がなされております。それから、日本人の苦手なRとL等の聞き取り学習用ソフト、こういったものもこのATRで既に研究をして商品化されておりまして、各大学校等にもそういった学習用ソフトとして販売が行われておるということであります。また、音声合成ソフトなどもそうだということでございます。  たくさんの研究がございますけれども、基盤研究として民間が行うというものに、それは民間だけでは立ち上がれないので国が応援をいたします。ハイリスクで長期にわたるというものでありますから、すべてがすぐ成果が出ておりませんけれども、今申し上げましたような中で実績の上がっておるものもございまして、私どもとしては、こういう基盤研究について力を注ぐ必要があると考えておるところであります。
  43. 生方幸夫

    生方分科員 そこで、質問なんですけれども、これまで出資金に対して、さっきおっしゃいましたように、回収は特許料等のロイヤルティーフィーだということですから、ほぼ十年間やっておりまして、どれぐらい回収し、ロイヤルティーフィーが入っているのか、お伺いしたいのです。
  44. 木村強

    木村政府委員 基盤技術研究促進センターの出資案件につきましては、研究を完了する会社が初めて平成年度に出ました。六十年からスタートしているわけですけれども、研究が終了したという会社が平成年度に初めて出まして、翌年の三年度からその研究成果に係る収入が入り始めたというところでございます。  これまでの基盤技術研究促進センターの出資先会社が保有をいたします特許権あるいはプログラム著作権、実用新案権等に係りますいわゆるロイヤルティー収入というものにつきましては、先ほど申し上げましたように平成年度から収入が上がり始めましたけれども、平成年度までの五年、間につきましての累計で、約十三億円ということでございます。うち、電気通信関係では約七・一億円という状況になっております。
  45. 生方幸夫

    生方分科員 郵政大臣にお伺いしたいのですが、投資累計額が二千二百三億円、そして回収したのが十三二億円、わずか〇・六%です。幾ら何でも〇・六%という回収率は低過ぎるように思われるのですが、その点、郵政大臣、どのようにお考えになっておりますでしょうか。
  46. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 これまで先生と局長との議論の中で御理解いただいたと思うわけでありますが、この基盤技術研究促進センターが出資します開発というものは、何といっても非常に時間は長くかかる、そしてリスクは高い、こういうものでありますから、基礎的な研究に国が七割も出資するという大きな危険を冒しながら、やはり科学的な基礎研究は怠るわけにはまいりません。そういう意味では、それに参加する企業にも三割の負担をいただいて、ともに努力をさせていただいておるわけであります。  しかし、今御指摘のように、大変大きな二千億という出資をしながら、今まだ十三億という回収のロイヤルティーフィーしか入っていないということであります。この点、いろいろ御指摘を賜っておるわけでありますが、今後も私どもは、やはり大事な基礎研究であります、せっかく開発した特許、これをもう少し広く民間に開放いたしまして、それぞれこれを活用した実用化あるいは製品化を積極的に進めていくということがまず第一だとも思っております。そして、それによってまた資金の回収を図っていくべきだ、いわゆる特許の使用料という形で今後これを積極的に進めていきたい、こういうように考えております。  今後、やはりこの出資金の回収というものは長期にわたっていかなければ、性急にはできないということで、ただいま局長が二、三、今実用化のめどができております例えば翻訳技術の開発、これは画期的なものだと思いますが、こういうのが二、三大きく目に見えておりますので、ここ二、三年後には実用化の段階に入ると思います。いずれにいたしましても、今後そうした面の努力を、実用化の方向の努力をさせていただきたいと存じます。  そして、新たに今後はベンチャー企業等の中小あるいは中堅企業にいわゆる出融資をいたしまして、ことし新しく制度を創設いたしましたので、こういうベンチャー企業等の育成を図りながら、さらに新規産業を創出する、こういうことも大事だ、こういうふうに考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、今後、収益性の改善というものを念頭に置きながら、さらに研究開発につきましては柔軟、円滑に対応していきたいと思っております。
  47. 生方幸夫

    生方分科員 もちろん長期的に成果が出るものでありますから、そう短兵急に回収をしろというふうに私も申しておるわけではございませんが、十三・一億円というのは、いかに何でもこれは低過ぎるという感じは否定できません。今現在わかっているだけで、これは非常に難しいでしょうけれども、幾らぐらいこれから先回収する見込みがあるのか、それをお伺いしたいのですが。
  48. 木村強

    木村政府委員 回収のこれからの見込みということでありますけれども、これはただいま大臣も申し上げましたように、自動翻訳電話といったようなものがうまく功を奏すれば、これは世界的にも非常に貴重なものだ、アメリカだとかヨーロッパの国とも共同の研究もいたしておりますが、そういうことで、爆発的な伸びもあろうというふうに考えております。  しかし、このロイヤルティー収入がどの程度入るかということにつきましては、私どもとしましては、現段階で、現実にいつごろこれぐらいのお金が入るというような形で、ここでお答えをするというような試算は持ち合わせていないというのが現状でございます。
  49. 生方幸夫

    生方分科員 それはそのとおりだと思いますが、例えば自動翻訳電話などに関して言いますと、ここだけがやっているのではなくて、NTTも独自で行っておりますし、ほかの会社も独自で行っているところ、競合各社あるわけですから、なぜ国がそれをやらなければいけないのかという疑問があることは申しておきます。  それはさておいて、既にもう研究開発が終わったという言い方なんでしょうけれども、いわば何の特許も取らず、何ら成果も上げずに解散する企業が幾つか出ているというふうに聞いておりますが、その実態はどのように把握されておりますでしょうか。
  50. 木村強

    木村政府委員 既に平成年度から、研究開発事業を終えまして収益回収のために存続しております会社というのがございます。これにつきまして、もう既に幾つかあるわけでありますけれども、昨年末、通産あるいは財政当局とも折衝いたしまして、成果物がリターンとして返ってくるに至っていないというような会社がただ成果管理会社として継続をしているということでは、ランニングコストだけを食ってしまうというようなことにもなりますので、私どもとしましては、その辺の問題については、これを解散をしていくということでよりマイナス面を少なくしていくというような考え方につきましても、おくればせながらと言えば先生から御指摘を受けるかもわかりませんけれども、昨年末の段階で、そういった整理の方向というものも果敢こしなければ、ずるずるといくということでもいかぬということで、そういう方向づけも関係省庁との間でしたところでございます。
  51. 生方幸夫

    生方分科員 これは当然未回収ということで、どこかで会計上の処理をしなければいけないと思うのですけれども、これはどのように、例えば出資したものが戻ってこないということになったら会計上はどういう処理がなされるのでしょうか。それをお伺いしたいのですが。     〔主査退席、高市主査代理着席〕
  52. 木村強

    木村政府委員 今の先生の御指摘につきましては、その欠損金処理の仕方につきましては、今、そういうことで方向性を昨年末初めて出したわけでありますので、具体的な処理の仕方につきましては財政当局と折衝中という段階でございます。
  53. 生方幸夫

    生方分科員 具体的にはどのような形になるんでしょうか。全貌でなくてもいいのですけれども、こういう方向で多分処理をするであろうということをちょっとお伺いしたいのです。  二千二百億円出資していて返ってきたのは十三億円ですから、とにかくほとんどのお金がまだ出資しっ放しですよね。会社は既にもう清算されたものがあるというふうになれば、例えば二十億とか三十億投資をしていた会社が成果をこれからも全然上げられずに解散ということになったら、その二十億、三十億というお金を、これは国のお金ですから、会計法上はどういうふうに処理をなさるのか、なさった経験がないのならこれからどういうふうに処理をしていくつもりなのかということをお伺いしているのですが。
  54. 木村強

    木村政府委員 昨年末そういう方向を合意したわけでありまして、具体的な会計の処理の仕方については、ただいま申し上げましたように、大蔵当局等と折衝中でありますけれども、基盤センターに対する出資金というものが回収不能あるいは欠損という形の処理という方向になっていくのではないかというふうに考えております。  まだ全く折衝中でございますから、責任を持ってお答えはできませんけれども、先生の今の御指摘、そういうような処理の仕方というのも一案あるということでございます。
  55. 生方幸夫

    生方分科員 郵政大臣にお伺いしたいのですが、そもそもロイヤルティーフィーでこれを回収するというのが無理があるのではないかというような指摘もなされておりますよね。これは実績として一%に満たないロイヤルティーフィーしかない。これから先も、先ほどの自動翻訳電話云々と言っておりましたけれども、仮に成功したとしても、せいぜい百億もロイヤルティーフィーが入ってくればこれは大変なことですから、百億入ってきたとしても二千二百億のうちの百億にしかすぎないわけで、ロイヤルティーフィーで回収しようということ自体がそもそもおかしいのであれば、そのシステムを私は変えなければいけないと思うのです。  私は、先端技術に国が資金を出す、もちろんこれは当然やらなければいけないことで、どんどんやっていただきたいのですけれども、最初からそういう無理な方法をとって行っておりますと、最終的にどこかで大きな額を損金か何かで落とさなければいけないということになるのであれば、何も出資をするというような形をとらないで、上げてしまってもいいのですね、極端な話。上げてしまえば後の処理は要らないというようなこともございますので。  何かこれはまた、ことしも予算がちゃんと二百何十億ついたということで、これからもずっとNTTの配当金は入ってくるわけですから、いわば垂れ流し的に投資をしていくということよりも、どこかできっちり、回収方法について見通しがないのであればけじめをつけるべきだというふうに考えておるのですけれども、郵政大臣の御見解をお伺いしたいのですが。
  56. 木村強

    木村政府委員 少し事務的なお話にもなりますので、私の方から御答弁させていただきますが、先生申し上げられましたように、例えば一般会計という形でぽんと出してしまう。そうしますと、補助金みたいなものですから、回収というものは余り意識せずに国の基礎研究を立ち上がらせるということがあろうかと思います。  しかし、今回の基盤技術研究促進センターの出資といいますのは、ハイリスクで長期にかかるけれども、一発当てれば、ちょっと語弊がございますが、いいものが出てくれば民間がぜひやりたい、そういう性格のものなんですね。国が純粋にやるというものよりも民間がまずやろう、しかし民間だけではなかなかできないというものに対して国が支援をしようということですので、まあ言ってみれば一般会計でほうり投げて回収も全く意識しないというものではなくて、やはり民間がやるという話ですからリターンはある程度意識している、そういう中身なんですね。全く基礎的なものじゃない。  ところが、結果として、今先生がおっしゃっておりますけれども、これはこれから非常にいいものが出てくる可能性もありますが、出資の概念、リターンの概念というのは、百リスクのあるものに出資すればこの百がすべてリターンが戻ってこなければいかぬということでは、これはできません。したがって、百のうちもし十でも二十でもうまくいって全体についてのリターンが少しでもカバーできれば、こういう概念でございます。現時点では、確かに先生おっしゃいますように、リターンという面ではほぼ何%だというようなことであろうかと思いますけれども、非常に長期なものでありますし、可能性を秘めたものでもあるということでありますので、直ちにこれを、今国の財政も非常に困難な中ですから一般会計でもってどうかというよりは、やはりある程度リターンを意識しながらそういう基礎研究にぶち込んでいくのだという仕組みですね、ただ、柔軟性を持って、ニーズに合ってやらなければいけませんから、今回のようにベンチャー企業にも持っていこうというようなことで、収益性も配慮しながら、新しい起爆剤となってリターンも返ってくるという方向で引き続き努力をしたいというのが私どもの基本の考え方でございます。
  57. 生方幸夫

    生方分科員 重ねての質問になって恐縮なんですけれども、やはりどう考えても、戻ってくる戻ってくると言っても戻ってこない。リターンを意識しているのだって、これは大事ですけれども、それは一〇%とか一五%とか今あるのであればおっしゃることはわかるのですけれども、〇・六%というのは、これはないというのと同然ですよね、〇・六というのは。一%にもいってないのですから。せめて一〇%でも上げていれば、それは私も納得いきますけれども、一%もリターンがないのに、これからあるだろうと。  これは国のお金ですから、本来国庫に入るべきお金ですから、これだけの借金があるのならそれなら借金を返した方がいいというようなことにもつながりかねないときに、今局長がおっしゃったのは余り説得力があるとは私は思えないのですね。  したがって、無理があるのであればそれは変えなければ、今現在実績として一%もリターンがないのに、これから先に一五%あるだろうと考える人はいないわけですね。そうであれば、どこかでどうにか処理をしなければいけないのであれば、この仕組み自体をやはり考えていく。私は出資するのがいけないと言っているわけじゃないのですから、仕組みを考えていかないと、これは国民をだますことにもなるのじゃないか。戻ってきますよ、だから安心して出しなさいと言って、実際は戻ってこないわけですから、戻ってこれないわけですから。  第一、さっき申し上げましたように、ベンチャー企業に今度直接投資ができるというようなことになっていますけれども、これももちろん大事ですが、政府が出資を何割かしているベンチャー企業というのは、リスクをそこで国が負ってくれているということで、彼らが負うリスクは三割しかないわけですから、そうなると、私は、本当の意味のベンチャーというのはそこでは育たないような気がいたしますので、重ねて郵政大臣に、何か改善をするおつもりがあるのか。  これは今二千二百億円ですから、これがうんと累計していくと、三千億とか四千億の世界になると大変なことになると思いますので、ぜひ、回収するシステムをどのように変えるのか、変える方向があるのかどうかということをお伺いしたいと思います。
  58. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 これまでの生方先生の御指摘の点につきましては、よく私も理解をするところであります。  しかし、何といっても、橋本内閣でも科学技術立国ということを目指しまして、今年度の予算におきましても大幅なこうした研究開発の予算を認められたところであります。  先ほど局長が答弁いたしましたが、何といっても基礎研究でありますから、どうしてもそこにはできれば七割出資、まあ普通ならば補助金的なものでありますが、私は、これをリターンする、いわゆる出資だから返ってくるということに大きな期待を持っては研究開発というのはとても進まないのじゃないか、こういうように思っております。  今回、補助金という形よりは出資として、民間の方にも三割を負担をさせるということになりますと、やはり民間会社はこれを成功しないと自分たちも大きな損害を受けるわけですから、そういう意味では、現在の出資制度というのはいいと思います。  しかし、いかんせん、二千億も出してわずか十三億では、これはまた国民の理解も得られませんので、今後私どもも、今回から、研究開発と同時に、新たな出融資制度を設けまして、ベンチャー企業なりあるいは中小企業の中堅企業にいろいろ事業化を進めていくための融資制度とかこういうものをして、何としても少しでも多く回収ができるような方向をこれからも当然行うべきだと思いますが、基本的には、科学技術の研究開発というのは、むだ金というか捨て金というか、こういうのが起こることも万やむを得ないのじゃないか、こういうように思っております。出資金でありますから、回収できないものをどのように処理するか、これは今後大蔵省なり政府全体として検討してまいっていきたい、こういうように考えております。
  59. 生方幸夫

    生方分科員 趣旨もわかりますし、おっしゃっていることもよくわかるのですけれども、いかんせん、やはり特許料で返すのだ、戻すのだということを前提にしておるわけですから。していなければ、もうこれは捨てるものだ、捨て金だというふうになっていれば、私は、それはそれでいい。ベンチャー企業というのは百に一つも、千に一つも成功すればいいわけですから、それはそれでいいのですけれども、一応仕組みとしてそれを残しておきながら、実際としてはそれは捨てていいのだということでは、やはりこれは国民のお金になるわけですからなかなか納得がいかないわけです。それだったらそういうことを、少なくとも、半分は必ず損金として処理するのだというようなことを明示するとか、あるいは四分の三はそういうふうにするのだというふうに明示するということをしないと、やはりこれは国民をいわばだますことにつながるのではないか。  郵政行政全体に対する不信につながる危険性すらあるということで、私はあえて今この問題を取り上げさせていただいたので、ぜひ御検討いただいて、やはり二千二百億の十三億という数字が出れば、みんな何なんだというふうになるのは間違いないわけですから、きちんとやはり説明ができるようにしていただきたいということをお話ししまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  60. 高市早苗

    ○高市主査代理 これにて生方幸夫君の質疑は終了いたしました。  次に、川内博史君。
  61. 川内博史

    川内分科員 民主党の川内でございます。  ばたばたしておりますが、時間は三十分しかありませんので質問を始めさせていただきます。  大臣、きょうはお忙しいところありがとうございます。本日は私は、郵政省並びに厚生省が主管をしていらっしゃいます、一般的には公的宿泊施設と呼ばれているものについてお伺いをさせていただきたいと思っております。  公的宿泊施設というのは、厚生年金や簡易保険の保養センターあるいは郵便貯金会館というものがよく知られております。そしてまた、広く利用されているようです。私も、大臣、昨年の十月が総選挙でしたけれども、その前、落選中に夏休みに子供たちにどこか連れていけというふうにせがまれまして、落選中ですから余りお金も持っていないしどうしようかと考えたときに、ちょうどたまたま山口県光市というところの簡易保険のかんぼの宿というところに家族でお世話になりまして、大人が一人一万円でしたでしょうかね、大変すばらしい施設と立派なお料理をいただきまして、子供たちもパパありがとうということで喜んでもらったわけです。  自分自身はそういうふうに何となく利用してしまっているわけですけれども、よくよく考えてみますと、この公的宿泊施設というのは、民間の宿泊施設の業者、旅館あるいはホテルをやっていらっしゃる方々と比べて、競争の条件に大変な不平等があるのではないかというふうに思うわけでございます。  自分が利用しておいてこういうことを言うのも何か変だなというふうに思うのですが、しかし、これから金融の世界でも何でも、グローバルスタンダードというような言葉も出ておりますし、競争の条件をイコールにしていく、イコールの競争条件の中でお互いに競い合うということが大事なんだという前提に基づけば、これらの郵政省や厚生省の公的宿泊施設というものは何らかの形で改善なり改良なりを、あるいはもっと言えば民営化なりをしていく必要があるのではないかというふうに思うわけでございます。  まず、前提としてお伺いいたしますが、郵政省と厚生省に、それぞれ一体幾つの公的宿泊施設を持っていらっしゃるのか、またそれらの公的宿泊施設の年間の売上高はお幾らぐらいになるのか、そしてまたその決算の状況はいかがか、その経営母体、名称等を含めてまず御説明をいただきたいと思います。
  62. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  今私どもで所管しておりますのは、郵便貯金の普及のための施設ということで、郵便貯金会館を国有財産として持っております。これは全国十六カ所でございます。  この収支状況を申し上げますと、平成年度決算で、収入三百八十一億三千百万円、それから費用は三百八十億八千百万円で、収支差額は五千万円となっております。  これは郵便貯金法で、国が、郵便貯金の普及ということを目的といたしまして、その普及のために周知宣伝に必要な施設を設けることができる。したがいまして、郵便貯金会館というのはこの目的で設置されておるものでございまして、その運営につきまして、これも法律によりまして郵便貯金振興会というものに管理委託するという仕組みになっておりまして、郵便貯金振興会というのはいわば国有財産の管理委託をされている機関、このようになっております。  以上でございます。
  63. 河崎靖紀

    ○河崎説明員 私の方から、厚生省関係の年金福祉施設等の宿泊施設の数でございますけれども、厚生年金保険施設といたしまして、厚生年金会館、厚生年金老人ホーム、厚生年金休暇センターなど計八十七カ所、また国民年金施設といたしまして、国民年金会館、国民年金健康保養センターなど計五十七カ所、さらに大規模年金保養基地としまして十三カ所ございます。  これらの福祉施設の運営につきましては、原則として各施設ごとに独立採算性で運営しているところでありますが、平成年度における収支状況は、厚生年金の施設全体で、収入千百二十六億四千八百万円、支出が千百二十五億七百万円、収支差としてプラス一億四千百万円。また、国民年金施設全体で、収入が百五十八億九千五百万円、支出が百五十八億二千百万円、収支差プラス七千四百万円。最後に、大規模年金保養基地としましては、収入が百十三億四千七百万円、支出が百十七億二千百万円、収支差といたしましてマイナス三億七千四百万円となっております。  以上でございます。     〔高市主査代理退席、主査着席〕
  64. 川内博史

    川内分科員 郵政省、かんぽの宿の数がなかったですけれども、公的宿泊施設の数をということで。
  65. 濱田弘二

    ○濱田政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘の簡保の加入者福祉施設でございますけれども、平成年度におきまして全国に百二十三カ所設置されておりまして、一千二百五万人の方に御利用いただいておるところでございます。
  66. 川内博史

    川内分科員 かんぽの宿、加入者のための施設だとおっしゃいましたけれども、私は加入者ではないけれども利用させていただいておりますので、加入者のための施設という言い方は今後改められた方がいいですよ。  かんぽの宿が百二十何カ所ですね。そういう形で、郵政省並びに厚生省が公的な宿泊施設を持っていらっしゃる。全国に全部合わせると二百五十カ所ぐらいの公的宿泊施設が展開をされているという状況です、大臣。今経営の状況をお聞きしたわけですけれども、見事にほとんど利益も出さないし損も出さない。こんな経営者がいたら、これは松下幸之助か本田宗一郎かというぐらい大変に立派な経営の手腕を持っていらっしゃるなというふうに思うわけでございます。  ふだん私どもが旅館、ホテル業の方々とお話をしますと、最近は、バブル期に大変な設備投資をして、しかも人件費はそうそう圧縮できるものではない、また仕入れについてもそれほどの圧縮はできない、これはサービス業ですから。そうしますと、大変に経営は苦しいという状況で、皆さん一生懸命に地域で営業をされていらっしゃる。こういう状況の中でも、郵政省、厚生省のやっていらっしゃる公的宿泊施設は見事にプラス・マイナス・ゼロに近い形で経営ができるというのは、これは一体なぜなのだろうか。また、民間の旅館、ホテル業の方々と比べてどこが違うのかということをそれぞれ御説明いただけますでしょうか。
  67. 品川萬里

    ○品川政府委員 ただいまは七年度決算の数字で申し上げましたけれども、各年度によりまして収支差額というのは多々でございまして、やはりその時々の利用されるお客様、利用者の数とかそういったものに左右されておりまして、意図的に何か収支ゼロにするような、先生のお言葉をかりれば、松下さんのようなことはなかなかできません。この本来の趣旨に基づきまして精いっぱい経営をしているというのが実情でございますので、御理解賜れればと存じます。
  68. 河崎靖紀

    ○河崎説明員 今郵政省の方からお話しありましたけれども、我々も全く同様でございます。
  69. 川内博史

    川内分科員 いや、だから私がお聞きしたがったのは、なぜ経営的に、それは年度を通じてプラスマイナスがあることはあるでしょう、しかし、大きな欠損も出さずにやれているのは何が大きな原因ですかということをお尋ねをしているわけでございまして、それをお答えいただけますか。
  70. 品川萬里

    ○品川政府委員 郵便貯金会館等の施設につきましては、郵便貯金振興会が管理委託を受けておりまして、これは国の財産の管理でございます。しかし、その管理費につきましてはこちらから支給いたしませんで、その運営を委託された範囲の収入で全部賄うという独立採算が原則でございまして、国に依存することなくこれを運営するということが鉄則でございますから、この運営に当たっている責任者がそのような経営方針に基づいて経営している、その結果ではないかというふうに私は思っております。
  71. 川内博史

    川内分科員 もうちょっと国民の皆さん方にわかりやすく御説明をいただきたいのですけれども、結局、厚生省の宿泊施設についても、あるいは郵政省の宿泊施設についてもそうでしょうけれども、国が土地を取得して建物を建てるので、結局その経営をしている郵便貯金振興会あるいは厚生省所管の法人にしても、地代も払わなくていいし、家賃も払わなくていい、あるいは固定資産税も払わなくて済みます、だから経営が成り立っているのですというふうにお答えをいただくのが適当かと思うのですけれども、どうですか。
  72. 品川萬里

    ○品川政府委員 この郵便貯金会館は、先生御指摘のとおり、客観条件がございます。これはあくまで国の施設でございまして、国の財産でございまして、先ほど申し上げました郵便貯金の普及という目的でこの施設をつくりまして、その管理費を、普通ですと管理委託をすれば委託費を払うわけですが、それを払わないということで運営をされているということでございます。したがって、確かに固定資産税は、これは国でございますから、払いません。ただ、税金は、これは公益法人並みの税金で払います。  すべてが民間の方と同じではございませんけれども、そうした条件の中で、やはり独立採算できちっとやっていく。できるだけ人件費も抑制しながら、コストに見合った料金もいただきながら、そして経営する。確かに、コストの中にはおっしゃったような固定資産税というものは入っておりませんけれども、これは郵便貯金振興会がということより、この管理委託の枠組みを前提にした話でございますので、その枠組みの中で郵便貯金振興会の運営責任者が精いっぱい努力しているということで、我々はこの運営が、独立採算で何とか頑張ってやっておるというふうに理解をしておるわけでございます。
  73. 川内博史

    川内分科員 一つの事業体を経営していくときに、固定資産税とかあるいは地代、家賃、それから設備投資に係る金利、大体の場合、これらが一番経営を圧迫するわけですよ。それらを全く払わなくて済む、だから何とかやっていけているのです。今御答弁があったとおりだと思うのですよ。それで、私の理解で、よろしいですね。もう時間がないから、そうですと言ってくださいよ。
  74. 品川萬里

    ○品川政府委員 先ほど申し上げました管理費は、本来であれば管理委託した側がこれだけの委託費で運営してください、管理してくださいということになるわけですが、それは国からは出しておらない。あくまで、きちんとして、この郵便貯金会館の設置目的に沿うような管理というものは、いわば郵便貯金振興会の自己責任で、自立した独立採算のもとで経営していくということでございます。  したがって、私は決して郵便貯金振興会を弁護するわけでもないのですが、条件としてそのような前提で、精いっぱいの経営努力をしている。ですから、固定資産税を払っていないからうまくいっているのではないかとか、その要素もございますが、それだけで、何とか収支相償っている、それだけで成り立っているのだというふうなことでなく、経営努力というものについての御理解もお願いをしたいと思うわけでございます。
  75. 川内博史

    川内分科員 いや、だからそれだけで成り立っているなんて言っていないでしょう。固定資産税を払わなくて済むし、地代も家賃も要らないし、設備投資に係る金利も払わなくて済む、だから成り立っているのでしようと申し上げているのですよ。
  76. 品川萬里

    ○品川政府委員 国の施設でございますけれども、郵便貯金会館のすべてについて郵便貯金振興会が費用を負担していないわけではございませんで、先ほど申し上げましたように、管理をする責任の分野についてはきちっとコストも払い、そして運営をしてもらっている、こういうことでございます。
  77. 川内博史

    川内分科員 だから、ほかの民間の業者と比べてどこが違うのですかという聞き方をしたわけですから、地代も家賃も払わなくて済んでいるし、固定資産税も払わなくて済んでいるし、設備投資に係る金利もかかりません、だからほかの民間の業者よりは有利な条件で経営ができるのですということでしょう。国の施設だからどうこうというのは関係ないのですよ。民間と比べてどうですかということをお聞きしているのです。もういいです。  今まで幾ら公的宿泊施設に投資をしたのか、それぞれ郵政省と厚生省、総額でいいですから、答えてください。
  78. 品川萬里

    ○品川政府委員 郵便貯金会館等十六カ所ございますが、建設費が七百三十一億円、土地取得費は百八十三億円でございます。
  79. 河崎靖紀

    ○河崎説明員 厚生年金、国民年金を合わせた福祉施設は、すべての種類の土地に関する土地取得費及び施設建設費の総額で、これは社会保険庁が発足した昭和三十七年から平成七年までの間、約一兆一千七百八十六億円の投資となっております。  また、大規模年金保養基地は、土地取得費及び施設建設費の総額で、昭和四十八年から平成七年までに約千八百三十五億円となっております。  以上です。
  80. 川内博史

    川内分科員 郵政省は、今郵便貯金会館の方だけですね。あと、かんぽの宿等を含めると、もうちょっと膨らむわけでございますが、その辺の数字は、今わからなければ後日資料でいただければいいのですけれども。
  81. 品川萬里

    ○品川政府委員 簡保事業団は私の担当ではございませんが、たまたま数字を持ち合わせておりますのでお答え申し上げます。  簡保事業団の固定資産額では三千四百四億円となっております。これは八十二カ所のものでございます。
  82. 川内博史

    川内分科員 郵政省の方が約三千四百億ぐらいですか、全部で。厚生省が一兆一千億、これだけの資金がいわゆる寝た状態ですね、結局。郵便貯金振興会なり、あるいは厚生省の所管の法人の方たちが生活をしていく上で、その法人自体の経営は成り立っているかもしれませんが、それはすべて国から出たお金が、大臣、これは寝ちゃっているんですよ、お金が。何にも生まない。ただ、その法人で、郵便貯金会館なりあるいは厚生年金福祉何とか会なり、その人たちが生活をするためだけに使われている。一方で、民業を圧迫しているんですよ。  こういった公的宿泊施設は、昭和五十八年の閣議で、行革の観点からも大変に問題が多いということで、民間と競合する会館、宿泊施設等の新設を原則的に中止するという閣議決定がされているわけです。それ以降にも、郵政省、厚生省、それぞれに施設を今建設していらっしゃるというふうに聞いております。これはなぜ、その閣議決定を無視して、しかも資金が寝てしまう事業に、国の財政が大変に厳しいときにわざわざ新たな施設をおつくりになるのか。それぞれ両省に御説明をいただけますか。
  83. 品川萬里

    ○品川政府委員 ただいま先生のお話ございました昭和五十八年の閣議決定でございます。私ども、これは承知しておりまして、その線に沿った対応をしておるわけでございますが、この昭和五十八年の閣議決定の趣旨と申しますのは、いわゆる郵便貯金会館、都市にありまして宿泊機能等も兼ね備えた、比較的そのウエートが高い施設をもう建設をやめようということであったと承知しておりまして、昭和五十六年の会館設置を最後に、いわゆる郵便貯金会館というものは設置しておりません。  先生御指摘の、その後つくっているではないかというのは、総合保養施設としての機能を備えた施設かと存じますが、これは、今申し上げましたような、いわゆる従来の郵便貯金会館とまた違った趣旨のものでございまして、しかし、あくまで郵便貯金法の範囲内の趣旨に沿った、また閣議決定にも沿った施設であると私ども理解しておる次第でございます。
  84. 河崎靖紀

    ○河崎説明員 お答えいたします。  民間と競合する会館などの宿泊施設につきましては、昭和五十八年の閣議決定以降、当時既に計画中であったものを除き、新設は行っておりません。なお、健康づくり施設などの設置につきましては、平成七年四月に、保険料負担者である労使関係者及び学識経験者を含めたあり方検討会の報告を受けまして、既存施設と同種のものは今後設置しないこととしております。また、大規模年金保養基地につきましても、閣議決定以降、既に着手していた基地以外の新設は行っておりません。
  85. 川内博史

    川内分科員 言葉をかえて言えばというか、御自分たちの都合のいいように解釈をすれば、それは幾らでも、何でもできるのかもしれませんが、この閣議の決定の趣旨というのは、民業を圧迫しない、民ができる部分は民に任せようというのが行政改革の趣旨なんじゃないですか。  それを、いやいや、都市部においてはつくっておりませんと。しかし、昭和五十八年の閣議決定のときには、いわゆる都市の施設しか郵便貯金会館は持っていないわけですから、これは、都市を前提にこの閣議が決定されているに決まっていますよね。それ以降、じゃ、都市部じゃなくて田舎の方だったらいいんでしようといっておつくりになるというのは、幾ら、リゾート法ができました、そのリゾート法にのっとって、地元の要請もありつくらせていただきましたと言っても、それはちょっと、今この御時世から考えますと、理解を、納得をするわけにはいかないというふうに思うんです。  最後に郵政大臣にお伺いをさせていただきますけれども、今、ずっと答弁をお聞きになっていらっしゃったと思いますけれども、大きな観点から見れば、二兆円に近い金額が何の利益も生まない。ただ郵便貯金の宣伝とか普及とか、あるいは年金の加入者に還元しますという名目で、二兆円近いお金が寝ているわけですよ。  それは、ただ寝ているだけならまだしも、民間で一生懸命に経営をされていらっしゃる方々の経営を圧迫している。私は、そういう民間の旅館、ホテル業者の方々の声を本当に切実に聞いておりますけれども、これは、何とか競争の条件だけでもイコールにしていかないと、やはり消費者というのは、なるべくなら安いところに泊まりたいというふうに思うのが常でありましょうし、こういった状態をいかにして改善をされていかれるおつもりなのか、最後に大臣の御答弁をいただいて、終わらせていただきます。
  86. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 これまで川内委員の御質問や、各局長からの答弁をずっと聞かせていただいておりましたが、恐らく、昭和三十年代、四十年代というのは、日本経済がようやく伸びる時代でありましたから、いろいろな施設というものが非常に少なかった、こう思うわけです。そういう時代にそれぞれ、郵政省にしましても、あるいはまた厚生省にいたしましても、そうした、国の財源をもって地域のいろいろな福利厚生を図るという立場から、この事業の計画がなされて進んできたと思います。  しかし、昭和五十八年の閣議決定、いわゆるここまでになりますと、日本経済も大きく進展をし、そしてまた、そういう旅館、ホテル業界というものも急速に整備をなされてまいりました。だから、もうこれ以上しなくても民間でできるということから恐らく閣議決定をなされて、これから公的な施設はやめる、宿泊施設はやめる、こういうような結果が出されたものと私は理解し、それは当然のことだと思うんです。  これは、先ほどから言われますように、国有財産だから安くていいんだとか、あるいは税金とかいろいろな面から非常に恩恵を受けておることだけはもう間違いないわけです。だからやはり、民間とやる場合に、その差を利用して、余りにも安い料金というか、それは利用する人は安いほどいいに決まっておりますが、しかし、地域経済というものは会館とか施設だけでもっておるわけじゃないわけで、やはりそういうホテル業界、そういうものがたくさん整備されて初めて地域の振興というのは図られるわけであります。  そういう意味では、節度ある料金というもの、お互いがまあまあ我慢できて、ここらならば、貯金会館ならそれぐらいはするだろうというぐらいの、国民みんなが理解できるような料金設定で、そしてともに生きていくというのがこれからのこういう公的施設のあり方だと私は思っております。  私は、そういう立場から──私も十年前でしたか、決算委員長をしておりまして、今のあなたの質問されたようなことで相当、当時は昭和六十年度決算だったと思いますが、厚生省だけが取り上げられたわけでありましたが、やはり業界から非常な不満があったことは事実であります。幸いというか、私が今郵政大臣でありますから、貯金局長や簡保局長にも、やはり業界がともに生きていけるような姿で行くべきだ、こういうように指示をいたしておりますので、今後は郵政省においては、そんなにめちゃくちゃ安いとか、それは利用する人は喜ばれるかもしらぬが、やはり地域のみんなのバランスをとっていく、こういうようにともに繁栄していくという方向で今後努力をさせていただくつもりであります。
  87. 川内博史

    川内分科員 終わります。ありがとうございました。
  88. 辻一彦

    辻主査 これにて川内博史君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして郵政省所管の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  89. 辻一彦

    辻主査 これより国土庁所管について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。伊藤国土庁長官
  90. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 国土庁平成年度歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、平成年度の当初歳出予算額は三千九百五十五億八千五百五十六万円余でありましたが、これに予算補正追加額百二十三億二千七百十四万円、予算補正修正減少額十三億三百五十三万円余、予算移しかえ減少額千八百七十二億四千四百万円余、前年度繰越額百八十九億三千四百四十五万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は二千三百八十二億九千九百六十一万円余となります。この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額二千二百七十九億五千八百四十二万円余、翌年度繰越額九十一億八百五十八万円余、不用額十二億三千二百六十万円余となっております。  以上が、平成年度国土庁歳出決算概要であります。  次に、平成年度歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成年度の当初歳出予算額は三千四百五十九億六千五百三十二万円余でありましたが、これに予算補正追加額八百六十三億八千六百八十四万円余、予算補正修正減少額十三億四千五百十六万円余、予算移しかえ増加額八百万円余、予算移しかえ減少額千九百七十八億千六百六十三万円、前年度繰越額九十一億八百五十八万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は二千四百二十三億六百九十七万円余となります。この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額二千二百四十一億四千四百六十七万円余、翌年度繰越額百六十八億七千九百七十一万円余、不用額十二億八千二百五十八万円余となっております。  以上が、平成年度国土庁歳出決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。
  91. 辻一彦

    辻主査 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院山田第三局長
  92. 山田昭郎

    ○山田会計検査院説明員 平成年度国土庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  また、平成年度国土庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  93. 辻一彦

    辻主査 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 辻一彦

    辻主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────    平成年度歳出決算に関する概要説明                 国 土 庁  国土庁平成年度歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、平成年度の当初歳出予算額は三千九百五十五億八千五百五十六万円余でありましたが、これに予算補正追加額百二十三億二千七百十四万円、予算補正修正減少額十三億三百五十三万円余、予算移替減少額千八百七十二億四千四百万円余、前年度繰越額百八十九億三千四百四十五万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は二千三百八十二億九千九百六十一万円余となります。この歳出予算現額に対し、支出済歳出額二千二百七十九億五千八百四十二万円余、翌年度繰越額九十一億八百五十八万円余、不用額十二億三千二百六十万円余となっております。  次に、支出済歳出額の主なものは、離島振興事業費九百七十二億三千七十一万円余、水資源開発事業費五百四十三億九千百九十万円余、揮発油税等財源離島道路整備事業費二百五十九億二千六百万円、国土庁二百三十一億千八百五十一万円余、国土総合開発事業調整費百七億六千二百九万円余、国土調査費百億八千三百八十九万円余、小笠原諸島振興開発事業費二十四億五千九百一万円余、航空機燃料税財源離島空港整備事業費十二億千二百三万円余、離島振興特別事業費六億八千百三十三万円余、国土庁防災施設整備費五億六千九百七十九万円余等であります。  さらに、翌年度へ繰り越した主なものは、離島振興事業費六十七億千百七十五万円余、水資源開発事業費十三億百八十六万円余等であります。  また、不用額の主なものは、国土庁六億六千九百五十万円余、水資源開発事業費三億六千五百二十七万円余等であります。  以上が、平成年度国土庁歳出決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。     ─────────────    平成年度歳出決算に関する概要説明                国 土 庁  国土庁平成年度歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、平成年度の当初歳出予算額は三千四百五十九億六千五百三十二万円余でありましたが、これに予算補正追加額八百六十三億八千六百八十四万円余、予算補正修正減少額十三億四千五百十六万円余、予算移替増加額八百万円余、予算移替減少額千九百七十八億千六百六十三万円、前年度繰越額九十一億八百五十八万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は二千四百二十三億六百九十七万円余となります。この歳出予算現額に対し、支出済歳出額二千二百四十一億四千四百六十七万円余、翌年度繰越額百六十八億七千九百七十一万円余、不用額十二億八千二百五十八万円余となっております。  次に、支出済歳出額の主なものは、離島振興事業費八百八十一億八千六百三十四万円余、水資源開発事業費四百五十九億九千八百二万円余、揮発油税等財源離島道路整備事業費二百七十八億二百万円、国土庁二百七十六億三千三百四十二万円余、国土総合開発事業調整費百四十五億四千七百八万円余、国土調査費百十九億八千五百五十六万円余、航空機燃料税財源離島空港整備事業費二十七億七千五百二十六万円余、小笠原諸島振興開発事業費二十五億七千六百三十一万円余、離島振興特別事業費六億二百九十四万円余等であります。  さらに、翌年度へ繰り越した主なものは、離島振興事業費百二十五億三千七十六万円余、水資源開発事業費三十一億七千四百四十五万円余等であります。  また、不用額の主なものは、国土庁九億六千百九十六万円余、地域活性化施策推進費一億七千七十七万円余等であります。  以上が平成年度国土庁歳出決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。     ─────────────
  95. 辻一彦

    辻主査 以上をもちまして国土庁所管説明は終わりました。     ─────────────
  96. 辻一彦

    辻主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村太郎君。
  97. 木村太郎

    木村(太)分科員 おはようございます。  委員長また大臣、皆さんに、ふだんの御努力に敬意を表したいと思います。  早速ですが、お尋ねしてまいりたいと思います。  私たちのこの日本という国は、台風、地震等によりまして自然災害の発生の多い国ということであります。特にあの阪神・淡路の大震災はいまだに大きな痛手が尾を引いておりますし、また最近でも、長野県の小谷村における土石流災害等もありました。  我が国では昭和三十四年に災害対策基本法を制定し、また政府においては中央防災会議が設置されていますが、より一層災害に強い国土づくりというのが国民の声だと思います。それは、気象や地震等をできる限り早く正確に予測、予知する体制、あるいは万が一の被害発生時には最小限にとどめる体制、そしてできる限り早くもとの姿に復旧、復興する体制の整備が大切と考えますが、平成年度決算で見た場合に、災害復旧等事業費の予算現額は一兆九千四百七十六億八千六百三十五万八千円でありました。  災害対策に関する施策の総合調整官庁であります国土庁にお伺いしたいと思います。大臣にお伺いしますが、この決算については、その中身において十二分に災害に対応したものであったと判断しているか、まずお伺いいたします。     〔主査退席、高市主査代理着席〕
  98. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 委員御指摘のとおり、日本はさまざまな災害が大変多い国であります。そうした災害の多い自然条件の中にありますこの国土、国民の生命、身体あるいは財産を保護することは、国家の基本であります。  したがいまして、国のさまざまな災害に対します対応については、これまでももちろん取り組んできたところでございますが、特に阪神・淡路以降、国民の皆さんの危機管理あるいは災害に対します関心は非常に高まってきておりますし、また、これはもう政党を超えて皆さんの御協力の中で、こうした災害が発生をしたときには迅速に、また的確に災害の復旧、復興対策を推進するということで私どもは取り組んできたところであります。  特に災害に当たっては、地方公共団体が直接情報を一番持っているわけでありますが、そうした地方公共団体との連絡をとりながら対応してまいりましたし、また、災害の復旧、復興が円滑に進むようにこれからもしっかり取り組んでいかなければならないというふうに考えております。  特に、災害に対しましては初動態勢、どれだけ的確に、早く確かな情報を得られるかということが大変大事だということを我々は痛感をしてまいりました。したがいまして、昨今の予算編成に当たりましては、特にそうしたことが重点的に配慮されてきたように思っておりますし、これからもしっかりその方向で取り組んでいきたいというふうに考えております。
  99. 木村太郎

    木村(太)分科員 ぜひ今後ともしっかり取り組んでいってほしいと思いますが、実は、今月の七日、八日にかけて日本列島が、メイストームと呼ぶそうでありますけれども、この低気圧によりまして、全国的な大雨、強風によって大荒れとなりました。私の地元でも被害が発生しましたし、またニュース等でも報道されておりますが、秋田県の澄川温泉では十一日になってから土石流が発生したというようなことも伝わっております。この七日から八日にかけての大雨、強風による全国的な被害状況がどうなっているのか。私、きょう、国土庁以外に建設省、農水省にも出席を願っていますので、その被害の状況というものをお知らせいただきたいと思います。
  100. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 今月の七日から八日にかけて、全国的に大変な強風、大雨によりまして被害が生じております。私の方で概括的なお話を申し上げたいと思います。  各県からの報告を取りまとめてみますと、全国的に合計しまして、住家の半壊が一棟、一部損壊が二棟、床上、床下浸水が六十一棟でございまして、そのほか、道路、河川等の公共施設につきまして約八百カ所に被害が生じておりまして、農地、農業用施設につきましては約二百五十カ所に被害が生じている、これが概略でございます。
  101. 山中敦

    ○山中説明員 今回の降雨によります建設省所管施設の被害状況でございますが、まず、直轄河川につきましては、岩木川、米代川等六水系で四十六カ所の被害が出ております。また、直轄国道につきましては、一般国道四十六号、これは秋田県内でございますが、路肩崩壊により一時通行どめを実施しております。  それから、地方公共団体の管理します道路、河川につきましては、東北を中心とします十三県及び北海道で七百六十二カ所の被害が報告されており、このうち青森県におきましては、弘前市の岩木川水系の平川で百メートルにわたり河岸決壊が生じたほか、大鰐町の宿川原橋の橋脚被災等七十八カ所の被害報告がなされております。  建設省といたしましては、地方公共団体の準備が整い次第、速やかに現地の災害査定を実施し、早期復旧に努めてまいりたいと考えております。
  102. 清家金嗣

    ○清家説明員 農作物の被害の関係についてお答えをいたします。先般の低気圧の通過に伴いまして、東北、九州地方を中心に、リンゴ等の果樹、野菜、麦類等に被害が発生しております。現時点の各県からの報告によりますと、全国で被害面積が約八千ヘクタール、被害見込み額は約十億円が見込まれております。  主な被害といたしましては、青森県のリンゴで樹園地約七百ヘクタールに冠水等の被害がございまして、現在の被害見込み金額としては四億円と報告をされております。そのほか、メロン、スイカ等にも被害が出ております。また、北部九州地域でも麦類等にかなりの被害が報告されております。
  103. 安江二夫

    ○安江説明員 青森県下におきます農地、農業用施設等の被害について御報告申し上げます。  農地が二十三カ所、被害額二億六百万、水路等の農業用施設が四十六カ所、被害額一億八千万という報告を受けております。
  104. 木村太郎

    木村(太)分科員 今の報告を聞いていますと、人的被害というものはほぼないに等しいということで、これは幸いなことでありますが、しかし、道路、河川あるいはまた農産物等に大きな被害を受けたのも事実だと思います。ただいま御答弁にもありましたが、大変ローカルな話になって恐縮でありますけれども、私の地元青森県でも、津軽地方を中心に、農産物関係を初め、その被害額が三十億五千万を超える、現在そういう被害状況になっております。もちろん、被害発生と同時に、地元においては県や市町村等がその調査と復旧に努力を続けておりますけれども、既にあると思いますし、今後も県や地元から国に対してもいろいろな協力要望等が出てくると思いますけれども、その際はぜひ国としても対応をお願いしたいと思いますが、長官から御答弁いただければ……。
  105. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 今回の災害に関しましては、現在、市町村また都道府県、関係省庁において災害復旧に向けた取り組みが行われているところであります。今それぞれ建設、農水などから御答弁をいただきましたように、地元の地方公共団体また関係省庁、十分連絡をとって、地元の対策にはしっかり私どもも取り組ませていただきたいというふうに思います。
  106. 木村太郎

    木村(太)分科員 そこで、先ほどの報告にあったことも踏まえて、少し細かくお尋ねさせていただきたいと思います。  先ほど農水省の方からも報告がありましたけれども、私の方の青森県は基幹産業がリンゴでありまして、また、リンゴを含め、農業というものが基幹産業であります。先ほどもありましたとおり、今回の災害で、リンゴ園地の場合、七百ヘクタールの園地が浸水し、そのうちの約五百ヘクタールの園地において樹冠浸水、いわゆるリンゴの木がすっぽり隠れるほどの水に浸ってしまったという被害が出ております。そして、今現在、四億円を超える被害額だということになっておりまして、こういう点でもう既に地元のJA、県のJA、中央会の方からもいろいろな要望等が出てきておりますが、国としても最大限のバックアップをお願いしたいと思います。  そしてまた、ちょうど今回の被害を見た場合には、浸水を見た場合に、リンゴでいえば白いリンゴの花が満開というか、咲いた時期でありました。また果物その他でいえば、メロンなんかでは定植直後の浸水ということでありましたので、今後、樹勢の低下やあるいはまた病害虫の発生というものも予想されますし、その被害の増加がこれからもあるのではないかな、特に、収穫時になってみないとわからない面もあろうかと思いますので、ぜひ国においても当面の対応にとどまらずの対応、取り組みを御協力をお願いしたいと思います。お答えをいただければ……。
  107. 清家金嗣

    ○清家説明員 お答え申し上げます。  リンゴの被害につきましては、今先生御指摘のとおり、園地の浸水や開花初期のリンゴの枝の冠水等があったというふうに県からの報告を得ております。青森県におきましては、このような開花初期のリンゴの枝が冠水をするといった事例はこれまでなかったものですから、今後の生育や収量への影響がどういうことになるかということを追跡調査をするために調査指導チームを設置し、調査を開始したというふうにお聞きをいたしております。  リンゴの被害対策につきましては、先生から御指摘がありましたように、今後具体的な県からの御要請があった場合には、その被害の実態を踏まえまして内容を十分に検討させていただき、必要に応じて適切に対処をしてまいりたいと考えております。
  108. 木村太郎

    木村(太)分科員 いま一つお願いしたいのは、先ほどもありました農地、農業用施設の被害も出ておりますので、この施設、国においては農地、農業用施設災害復旧事業というものがあるというふうに伺っております。こういう点でも早期の査定など心強い対応をお願いしたいと思いますが、これについても御答弁いただければと思います。
  109. 安江二夫

    ○安江説明員 被害額につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、これらの被災をいたしました農地等につきましては、地元の準備が整い次第、災害査定を実施いたしまして、順次復旧工事を進めることとしておりまして、全力を挙げて早期復旧に努めてまいる所存でございます。
  110. 木村太郎

    木村(太)分科員 ぜひ全力を挙げてお願いしたいと思います。  次に建設省の方にお伺いしたいと思いますが、先ほども報告にもありましたけれども、私の地元津軽地域というのは、最大の河川として岩木川という河川を持っております。この岩木川を見た場合に、過去においても、昭和五十年あるいは五十二年にも洪水に見舞われまして、今回の被害以上に大きな被害を経験しております。また、平成二年、三年、五年にも洪水が発生しておりまして、ある面では慢性的な洪水の発生する地域と言ってもいいと思っております。ですので、将来にわたって水害の不安を解消するためにも抜本的な対策がこの地域においても不可欠なわけですが、河川の修理あるいはダムの建設あるいはまた砂防関係等を含む治山治水あるいは利水の整備の促進がやはり必要だと思っております。  国においては、本年度、九年度から第九次の治水事業五カ年計画を進めるというふうになっておりますが、それに沿って考えた場合でも、岩木川については、今後特に中流部というものを重点に改修事業というものをどのように進めていこうとしているのか、お尋ねしたいと思います。
  111. 渡部義信

    ○渡部説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、岩木川の改修は大正七年に直轄河川改修事業として始まっておりますが、下流域を中心に改修を進めておりました。それで、昭和五十年に戦後最大になる非常に大きな洪水がございまして、支川の平川とか土淵川で大はんらんを起こしまして、弘前市が壊滅的な被害を受けたところでございます。  こういうようなことがございまして、河川激甚災害対策特別緊急事業によりまして平川、土淵川については取り組みまして、本川上流部につきましても重点的に改修を進めてきたところでございますが、先生御指摘のとおり、岩木川の中流部にはまだ無堤の箇所がたくさんございます。現在、弘前市の青女子地区とか板柳町の小幡地区等を重点的に取り組んでおりますが、特にこの中流部につきましては、今回の洪水、出水被害もございましたので、今後とも重点的に取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  112. 木村太郎

    木村(太)分科員 今答弁にもありましたけれども、その昭和五十年の大洪水のときには私のうちも大分被害に遭いまして、それこそ地域全体でかなりの被害が出たわけですが、今御答弁にあったことも含めて、適時適切に改修等、努力を続けていってほしいと思っております。  今河川のことを取り上げましたけれども、私は、先ほども言ったように、根本的な、抜本的な対応としては、やはりあの地域においては津軽ダムというダムの建設が大切だと考えております。  この津軽ダムについては、建設省の御努力によりまして、平成五年に基本計画が告示され、またその工期としては昭和六十三年から平成十五年までとし、建設費用の概算額というものが千四百五十億円となっております。事業スケジュールでは、平成年度、昨年度から用地補償交渉に入る予定でしたけれども、進捗状況では、この補償基準の発表でさえ平成年度末ごろと見られています。ということは、何かこう、事業そのものが既におくれているのではないかというふうに思うわけです。私も調べてみましたら、事業費ベースでの進捗率というのが昨年度末、平成年度末で四%弱、そして十五年度完成に向けた予定工程と照らし合わせると、今現在でも既に二年はおくれていると指摘ができます。  ダムには必ずある移転なんかの住民対策などでは、地元の県や西目屋村というところでは努力を続けておりまして、また、この津軽ダムというものが完成すれば、治山治水、利水という視点においても、あるいはまたダムの発電なんかの多面的な機能を考えた場合には、地域にとっても大変大きな貢献というか、あるいはまた安全な暮らし、安心した暮らしを送るためにも大変な貢献ができるものと思っております。  今現在は、西目屋というところに目屋ダムというものがあるのを御承知だと思います。この目屋ダムにおいての計画高水流量というものを見た場合に、これを上回る洪水というものがたびたび発生している、これが現状だと思います。この計画にある津軽ダムの計画高水流量というものは、現在の目屋ダムの六倍以上ということでありますので、このことだけを比べてみた場合でも、津軽ダムの完成というものは、先ほどあった岩木川なども含めて、洪水に対しても安全度が大幅に向上するものと思います。  ですので、私自身も早期完成、早期着工というものを強く希望したいと思いますが、現在、津軽ダム建設に向けての現状というものを確認させていただきたいと思いますし、今後の進め方、特に、建設省みずから告示されました基本計画による平成十五年度完成という、この実現に向けての国の対応をお伺いしたいと思います。
  113. 渡部義信

    ○渡部説明員 御答弁申し上げます。  津軽ダムにつきましては、現在、水理調査とか地質調査等の各種調査を行うとともに、水没地域の用地補償調査、生活再建に対する検討などを実施いたしております。水没地域におきます。地調査につきましては、地権者の方々の協力のもとに実施中ではございますが、先生御指摘のとおり、協議に時間を要し、数年程度おくれているのが現状であります。  本年五月の岩木川の出水を契機といたしまして、津軽ダムの早期完成に対します要望が高まっているというふうに承知いたしておりますし、建設省といたしましては、岩木川において治水対策として津軽ダムが大きな効果を有しており、極めて重要と認識しておるところでございます。そういう認識のもとで、今後建設省といたしましては、地元の方々の協力のもとに用地補償調査等を進め、引き続き津軽ダム事業を鋭意促進してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  114. 木村太郎

    木村(太)分科員 しつこくて済みません、鋭意促進を目指して頑張るということでよろしいですか。御答弁、もう一回お願いします。
  115. 渡部義信

    ○渡部説明員 津軽ダムの事業を鋭意推進してまいりたいというふうに思っております。
  116. 木村太郎

    木村(太)分科員 大変力強い御答弁をいただきまして、ありがとうございます。ぜひそのように対応していただきたいと思います。  しかし一方で、政府は、最近におきましては十六日、あるいはまた、きょうの朝刊にも載っておりましたけれども、昨日においても財政構造改革会議というものを開いておりまして、その方向性というものを報道等で私も目にさせていただきましたが、例えばその中においては、六百三十兆円の公共投資基本計画、これは十年間というものの三年の延長とか、あるいはまた各種長期計画の一律二年延長、先ほども言いました第九次治水五カ年計画等ありますが、そういった各種長期計画の延長などによって、単年度においての歳出削減をする方針ということなどが報道されております。  私も、国の危機的状況にある財政の再建というものは重要と考えます。もちろん、公共投資事業についても、その見直しを否定はいたしません。しかし、もし一律的な削減の考え方が余りにも強過ぎて進められるとしたならば、例えばダムや道路、河川等の歳出を一律的に何%まずは削減するとしたとしても、その後で地域別あるいはまた事業別にその奪い合いとなったならば、根本的なものが何も変わらないというふうにも私は思います。  大事なことは、その見直しにおいて、本当に必要な事業なのかどうか、効果があるものかどうか、あるいはまた緊急性、優先性というような、そういった視点も含めての見直しというのがまずは来なければならないと考えますが、その点についての考え方があればお伺いしたいと思います。
  117. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 委員が御指摘をされました基本的な考え方は正しいと私も思います。  今、私たちは、財政構造改革の真つただ中、もうその最終結論を出すという段階に来ています。それは、これからの日本のいわゆる財政ということをどうするか、そしてまたそうした中で、将来にわたって日本の経済、あるいは私どもの立場からいえば国土行政ということをやはりたゆまずやっていかなければならない。その中で、時代や経済や社会の大きな変化の中で当然見直していかなければならないものもございますし、また効率性、コストがどうなるかということも、当然国家の財政上は考えていかなければならないことでございまして、委員もお話をいただいているように、そうした国の大きな変革の中で、財政構造改革を進めながら、しかし国家的に必要な事業というものは継続もしていかなければなりません。  そういう中で私たちが今求められているのはやはり選択だ。何を優先するか、そしてそれは効率性があって、国民の将来にとって欠かせざるものであるかということを厳しくチェックしていかなければならないというふうに思っておりまして、それは総理自身がいささかの聖域も設けずにすべてのものを見直していくという基本的な姿勢に立って、我々はこの改革に臨んでいるわけでございます。しかし、エネルギー政策などなどは国家にとって大変大事な仕事でありますから、そうしたことが後退しないようにも十分配慮してやっていかなければならないと考えているところでございます。
  118. 木村太郎

    木村(太)分科員 今、長官みずから御答弁いただきまして、本当にありがとうございました。  通告的には言っていなかったのですが、長官にいま一度お尋ねしたいのです。ただいま御答弁いただいたこと、その中で、私がその前にお話しさせてもらったことを、基本的には同じだという御答弁でありましたが、これからも政府・与党の財政構造改革会議においても、長官としての考え方というものは今答弁にあった基本姿勢で臨んでいただきたいと思いますが、いかがですか。
  119. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 これは、各党間といいますか、今、政府、連立内閣でありますから、そうした意見というものも集約をされますし、また最終結論を出す前の段階で、我々閣僚がきちっと発言をさせていただく、そういう場面も当然あるわけでございまして、私は、今申し上げたような基本的な立場に立って、政府一体となって改革を進めていきたいというふうに思っております。そしてまた、その中で、国家的な大事な事業というものはしっかり継続をされていかなければならないということも、当然認識をしてやってまいりたいと思っております。
  120. 木村太郎

    木村(太)分科員 ありがとうございました。  そこで、ただいま私と長官とのやりとりの中でも言ったことも含めてお尋ねしたいのですが、一方では国の財政動向、しかし一方ではきちっと意味ある見直しにおいての公共事業の見直しということが大事だということでありますけれども、この考え方と、そしてプラス、災害から私たちの命と財産を守るという視点に立っての津軽ダムの建設の位置づけというものをどう考え、どう進めていくのか、いま一度その視点に立っての御答弁を建設省の方からいただきたいと思います。     〔高市主査代理退席、主査着席〕
  121. 渡部義信

    ○渡部説明員 先ほど国土庁長官の方からお話ございますが、我々といたしましても、必要な事業にはやはり早く効果を上げていくというような観点で取り組んでいきたいというようなことで、津軽ダムの推進につきましては重点的に進めていきたいというふうに考えています。
  122. 木村太郎

    木村(太)分科員 時間が参りましたので終わりますが、ぜひ必要な事業ということで進めていただきますことをお願いし、終わります。  ありがとうございました。
  123. 辻一彦

    辻主査 これにて木村太郎君の質疑は終了いたしました。  次に、砂田圭佑君。
  124. 砂田圭佑

    砂田分科員 私は自由民主党の砂田圭佑でございます。  きょうは、私は阪神・淡路大震災の被災者でありますので、震災に限って質問をいたしたいと思います。  これまでも何度か国土庁長官にもお話を聞いていただいておりますので、御理解をいただいているところでありますけれども、重ねて質問を申し上げますのは、私は機会あるごとに阪神・淡路大震災についての質問を申し上げているその理由は、震災後二年四カ月経過をいたしました今日、中央と現地の温度差は広がる一方でありまして、また国民の関心も薄れがちであります。まことに憂慮すべきことではないか。  先般も、鹿児島県の川内市でマグニチュード六・三という震災が起こりました。たまたま都市ではなく山の中でありました。それでもかなりの被害を受けたと伺っております。あの地震がまた再び都市の直下型であったら、大変な被害が発生したであろうということは容易に想像のつくところであります。  日本じゅうでいつどこで起こっても不思議でないこの大震災に対して、阪神・淡路大地震の教訓から何を学び、将来に何を残すか、今一番政治が問われているところではないかという気がいたします。そういう意味で、重ねて機会あるごとに震災について質問をさせていただいているわけでございます。  まず、阪神・淡路の大震災の復旧、復興のために、国としてはどのような分野にどれくらいの国費を投入していただいたか、その辺をぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  125. 生田長人

    ○生田政府委員 お答えを申し上げます。  これまで政府といたしましては、四回の補正予算も含めまして平成年度までに予算措置をされました阪神 淡路関係経費は、国費ベースでございますけれども、約三兆九千六百億円でございます。なお、平成年度分につきましては、全国枠計上が多いために、現在の段階ではまだ阪神・淡路関係分は明らかになっておりません。  これまでの三兆九千六百億円の内訳についてでございますが、最初に、阪神高速道路あるいは神戸港を初めといたします各種インフラ施設の復旧及び整備に約一兆九千四百億円が投じられております。  次に、被災者の支援に関連する施策に約一兆一千五百億円が投じられておりますけれども、これらの中には、例えば公的住宅の早期大量供給などの住宅再建のための経費約五千九百億円、それから応急仮設住宅の建設などの災害救助費あるいは災害弔慰金等の支給に約三千百億円、それから被災者の保健、医療、福祉といったことに八百億円などがこれらに含まれております。  三番目に、中小企業対策を初めといたします経済の復興に約二千百億円が投じられておりますが、その他約六千五百億円を含めまして総計三兆九千六百億円、このようになっているわけであります。
  126. 砂田圭佑

    砂田分科員 ありがとうございます。  多大の国費をもって、特に社会的な資本でありますインフラは大変な復旧を見ているところであります。特に、一つも使えなかった神戸の港の機能が二年間で一〇〇%復旧したことは、世界が本当に目をみはって驚く復興でありました。大変神戸市民としてありがたいことだと感謝をしておるところでございます。  長官に伺いますが、この震災の復興の対策について今後はどんなところに重点を置いて取り組んでいかれるのか、そこのところをお伺いをいたしたいと思います。
  127. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 砂田委員におかれましては、地元であるということもございまして、終始一貫阪神・淡路の復旧から復興についてしばしば委員会でも御質問いただき、また現地の皆さんが抱えております切実な情報について私どもにも御提供いただいておりますことを、大変感謝を申し上げたいと思います。  今事務当局からも答弁をさせていただきましたとおり、恐らく平成年度の予算を含めますと四兆円を超える国費を投入をして、阪神・淡路の復旧から復興へ国も全力を挙げて支援をさせてきていただいたところでございます。  まず、今当面の最大の課題は、何といっても二年四カ月経過をいたしまして、仮設住宅に入っている方々がスムーズに恒久住宅に移っていただくということであろうというふうに考えております。入居を既にされた方々が約八千戸、さらに入居決定、入居されるということがもう決まったという方々も含めますと、二万に近いというふうに報告をいただいております。したがいまして、この仮設住宅から公的住宅に円滑に移行できるということを当面は全力を挙げて支援をしてまいりたいと思いますし、恒久住宅に移りますと、また被災者の方々は新たな生活が始まるわけでありますけれども、そのときにきめの細かい生活再建の支援策が必要であろうというふうに思っております。  なお、恒久住宅に移るということだけではこの阪神・淡路の復興にはならないわけでございまして、現地の方々がやはりそれぞれの職場を回復するといいますか、自分の生活基盤であった商店がなくなってしまった、そうしたものの復旧を早くしていかなければなりませんし、また阪神・淡路全体のいわゆる地場産業あるいは小売サービス業、そうした立ちおくれている部分について、我々は可能な限り復興できる状況を、環境を整備するための支援をしていかなければならないというふうに思っております。  なお、神戸港は、お話にもございましたように、完全復旧をしてきたわけでありますけれども、再び世界の神戸港として、地元におきましては新たないろいろな復興の計画がございます。そうした地元から上がってまいりますプロジェクトについて、国としてはできるだけの支援を今後もしていかなければならないというふうに思っております。  また、阪神・淡路が復興されてまいりましたときに、恐らく世界の人々がこの地を訪れて、そして日本の力でどう復興してきたかということを見ていただくことになると思います。そういう意味で、防災に強い、そして快適な、未来の響きのあるそうした復興につながっていくような支援を私どもは期待をしておるわけでありますし、また地元も、そうした単に復旧だけではなくて、新しい神戸をつくる、新しい復興をする、そういう気概で地元の市長さん、県知事さんを初めとして取り組んでいただいているところでありますので、そうしたことに対して国もしっかり情報交換をしながら今後も支援をしてまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、現地のことは現地の地方自治体の方々が最も詳しいわけでありますから、地方公共団体の皆さんと十分密接に連携をして、一層早い復興に向けて我々も努力をしてまいりたいと思っております。
  128. 砂田圭佑

    砂田分科員 ありがとうございます。もう地元では大変期待をいたしておりますので、ぜひともそれらの復旧策を早急に実行に移していただきたいと思います。  昨今、被災者を支援する法案が野党からも提出をされております。実際に地元にいて、確かにお金を上げようという話は大変に地元の人はありがたい話でありますから、お金の話になりますと、地元は挙げて、いつのことかというふうに期待をされているのでありますけれども、私は、この震災はただお金を渡せばそれで解決するという単純なものではないというふうにかねがね考えております。確かに、困っている方々をいち早く助けることは当然のことであります。そのことは既にいろいろな形で政府の方でもそれなりの対策を講じていただいている。  そういう状況の中で、一つは被災者という概念が少し偏って、仮設住宅で本当に生活に困っている方だけが被災者という雰囲気に、報道機関でも、新聞でもテレビでも取り上げられたその結果、どうしてもそういう見方になりますが、被災者というのはやはり神戸市民全部、本当にあの地震を体験した人たちが被災者であります。特に中間的な存在であります方々が、家もつぶれて自力再建する方々は大変苦労しております。そういう意味で、被災者というものの概念を広く持っていただきたい、みんなが被災者なんだということで対策を講じていただきたいと思います。  そこで、今何が一番必要なのか、やはり長官がおっしゃったように、住宅がまず一番であります。そして、住宅に住む、あるいは公営住宅に入って、そこで生活を完結できる状況というのをいち早くつくることが今最も望まれているところでございます。そして、その後経済が活性化して、その経済活動の中で、そこでいただいた給料で生活ができるということが一番の救済策ではないかというふうに考えるものでございます。  そういう意味で、住宅の現状でございますけれども、兵庫県では、今公的住宅七万七千戸を三年間で新たに建設をして供給するという計画を立てて、その早期実現のために日夜努力をしているところでございます。五月一日現在では、災害復興公営住宅等のうち新規の建設分については、既に用地の確保が終わっております、建設工事も順調に進んでいる状況でございます。また、災害復興公営住宅七万七千戸のうち、約七割が既に発注を終えているという状況でもございます。民間住宅の再建も、被災地の十市十町の新設住宅の着工統計では、既に平成九年の二月までに十六万六千戸、そのうち半分ぐらいが民間の復興住宅であるというふうに考えられているわけでございます。  また、先ほどのお話にもありましたように、既に第三次の公営住宅の募集が行われ、約六千三百人の当選者が新たに決まっているというのも実情であります。  また、災害復興公営住宅などの建設は順調に進んでいるようでありますけれども 現在、まだ三万三千世帯が仮設住宅で暮らしているというのも、これまた現実であります。これらの方々が公営住宅の恒久住宅へ一日も早く円滑に移行するということが大変望まれているわけであります。  地元では大変順調に進んでいるようではありますけれども、公営住宅建設の事業そのものは大変な難事業であります。応急仮設住宅入居者全員の移行がなされるまでには、受け皿となる住宅の戸数の問題や高齢者等の弱者に対する生活支援の問題など、残された課題はまだまだたくさんあるところであります。  兵庫県や被災地の各市町では、被災者、とりわけ自立再建が極めて難しい高齢者の被災者に対しても、一日も早い生活復興のため、それぞれの生活実態や生活再建の段階応じて、総合的な、体系的な諸施策の推進に努めているところでございます。  今後、公営住宅などの供給が進み、恒久住宅への移行が本格化するために、被災者世帯の希望に応じた一層きめ細かな対応が必要になってきます。残された課題を克服して被災者全員の恒久住宅への円滑な移行を進めていくためには、これまでと同様に、政府において関係各省が一体となって被災地の自治体との緊密な連携を図り、必要な財源の確保を初めとして万遺漏のない対策をぜひとも国土庁でおまとめをいただいて推進をいただくように、要望としてお願いを申し上げたいと思います。  そして、恒久住宅への移行に当たっては、被災者の個々の事情に応じた施策が必要と考えますけれども、今後の取り組みについてお伺いをいたしたいと思います。
  129. 生田長人

    ○生田政府委員 先に大臣から御答弁がございましたように、恒久住宅に円滑に移行するということが残された大きな課題の一つでございます。同時に、このことは被災者の方々が生活再建をするためにはどうしても必要不可欠なことであるというように認識しております。このため、私どもでは、昨年の二月になりますけれども、地元の兵庫県、神戸市と、それから関係省庁との間で住宅実務者会議というものを設置いたしまして、この場で具体的な対策を検討いたしまして、実施に移してきているところでございます。  特に今回の被災の場合、先生御指摘のとおりに、住宅を失った方々の中には非常に多くの高齢者の方々がいらっしゃいますし、それから、低所得の方々が多数おられます。特に、もと住んでいた場所に戻りたいという大変強い声がございますし、もとの家賃以上の負担が非常に難しいという声も強くございました。このため、昨年の六月になりますけれども、この住宅実務者会議等で検討いたしまして、政府として三万九千戸の大量の公営住宅を建設しなければならないということを決めましたし、大幅な家賃低減のための施策を実施しなければならないということも決めさせていただきました。  これを受ける形で、地元では、昨年の七月になりますけれども、住宅供給のための総合プログラムというのを策定していただいておりまして、現在これに沿った形で、いろいろな地元の要望に配意をしつつ、平成年度末までにすべての仮設住宅の解消を行うことを目指しまして、公営住宅への移行に励んでいるところでございます。  これらの公的住宅の供給に当たりましては、先ほど少しお話がございましたように、仮設住宅で成立したコミュニティー、こういったものを大切にして移行したいという要望も強うございます。このために、先般行われました第三次の一元募集で、初めて公営住宅に関しましてグループ募集ということも実施させていただきました。  それから、もと住んでいた場所にどうしても戻りたいんだという声に対応するためにいろいろな施策をやっておりますけれども、この点に関しましては、先生御承知のとおり、用地取得が大変難しゅうございまして、すべての要望にこたえることはなかなか難しい点がございますけれども、私どもといたしましては、借り上げ公営住宅制度、こういったものも十分活用いたしまして、できる限りの対応をしていきたいというように考えております。
  130. 砂田圭佑

    砂田分科員 ありがとうございます。一日も早く住宅が完備されて仮設住宅から望むところへ移転ができるということについて、一段の御努力、御配慮をお願いを申し上げる次第でございます。  さて、やはり経済的な面というのは非常に重要であります。神戸市民が神戸の町の中で生活し一生を完結するためには、やはり経済活動が一番重要であり、大きな経済のプロジェクトということもさることながら、やはり町の零細企業等がしっかりと立ち直っていただかなければならぬという思いも非常に強うございます。いろいろな社会資本の復活については、先ほど来長官にもお話しいただきましたとおり、確実に産業復興というものについて進歩、進展をしているところでありますけれども、やはり零細な方々、町の駄菓子屋のおばちゃんが生き返ってこなければ、本当の意味で経済が復活したという状況にはなかなかなりにくいのではないか、そんな気がいたします。  そこで、被災した中小零細企業は、震災後、兵庫県の緊急災害復旧資金、あるいは神戸市の震災復旧特別資金、これは三年間据え置き、十年間償還というような融資を受け、復旧を進めてまいりましたけれども、ぼつぼつ三年の据置期間が経過をして、平成十年あたりから多くの企業が返済を開始することに相なります。しかしながら、景気回復がおくれる中では厳しい経済状況にありまして、被災した中小企業の多くが返済が大変難しいというような状況にあります。そういう意味で、例えば据置期間の延長、あるいは融資期間の延長というようなことが当然一つの問題として起こってくるだろうという気がいたします。復興対策本部として、何かその辺の策がありましたら、ぜひともお聞かせをいただきたいと思います。
  131. 生田長人

    ○生田政府委員 震災から二年と四カ月がたちまして、今の現状につきましては、先生が今お話しされたとおりだというぐあいに認識しております。大変順調に復興を果たしてきた企業と、そうでないうまくいかない企業が、かなり格差が広がってきているというのが現状だというふうに考えております。特に、ケミカルシューズあるいは商店街、小売市場、こういったところの小さな業者が大変苦況に陥っているということも、私どもとしては認識をしておるわけでございます。  ただ、これらの復興がおくれている業態を見ますと、それぞれの企業が置かれている状況がそれぞれ違う、課題も大変複雑かつ多様なものがございます。決して一律の対応で問題が解決しないというのが現状であろうというふうに考えております。そこで、今後、被災地のいろいろな産業、企業が直面している課題を、私どもとしては業種、業態ごとに的確に把握しまして、大変きめ細かな対応策を講じていかなければならないというぐあいに考えております。  私どもは、従来から地元経済界と定期的に連絡会議を開いておりまして、この場で、いろいろな現状、あるいは被災企業が抱えるさまざまな具体的な課題というものを直接お聞きしてきたところでございます。  さらに、先月の十八日になりますけれども、兵庫県知事さん、あるいは神戸市長さんも出席をいただきまして、関係省庁の幹部と兵庫県、神戸市との間で、産業復興をテーマとした協議会を開催させていただきました。この場で、今後の産業復興をどのように進めていくかについて協議を行ったところでございますが、具体的には、今後、非常に問題が細こうございますので、実務者レベルで、地域の実情をよく伺いながら対策を検討していかなければならない、こういうことが決められております。現在、そのための検討作業を進めているところでございます。先生御指摘のいろいろな問題点につきましても、恐らく確実に、この場の検討の対象に、俎上に上がりてくるものというぐあいに私ども考えております。なお、蛇足になるわけでございますけれども、既存産業の復興策とあわせまして、地元の方では、新しい産業の育成といりことこつきましても大変意を用いていかなければならないということが言われておりますので、この見地からも我々の方としては全力を尽くして対応していきたいというふうに考えております。
  132. 砂田圭佑

    砂田分科員 今のお話の中の新しい産業育成というのは大変重要であろうかという気がしますが、金融面でもなかなかそういうリスクマネーは借りにくい現状にありますし、新しい産業がこれから何かを始めようとするのもなかなか難しい、障害があるわけであります。さりとて、古い産業をもう一度という思いも当然でありますけれども、中には、経済の構造がもう既に変わりつつある、あるいは競争相手が外国から出てくるというようなこともあって、太刀打ちできないというようなものもございます。そういう意味では、新しい産業、そしてそれが地場産業につながる、そんなために、復興本部でも目配りを、気配りをいただいて、そういうところが比較的気楽に金融面での活動ができますように、ぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思います。  時間がなくなりましたが、先般来、長官には大変御努力をいただいておりますし、大変な意欲を持って御指導いただいております。しかし、今般、野党からこういう被災者に対する法案が出てくる。前段、長官あるいは政府委員からお話がありましたように、日本の政府としての大変な御努力をいただいて復興を着実に進めつつある中で、まだまだ被災者が十分にそれを実感として受け取っていないという状況があります。それだけに、新しい法案で五百万円だ、二百五十万円だと言われると、被災者もそっちへ気が移るのは無理もないことだという気がいたしますけれども、もっと大きな意味で、この阪神大震災の教訓をもって日本じゅうのこれからの震災に、防災面あるいは復興面、あるいは危機管理面でどうやって対応していくかということは大変重要なことではないかという気がいたします。  その一環として、今長官に御努力いただいている地震共済制度、全国の知事会の見通しと、もう一つは、今まで何度も申し上げておりますけれども、私は、やはり全国民的な補償制度、そういうものを考える場所、検討する場所だけでもぜひとも何かお考えをいただけないかという気持ちを常に持っています。それだけでも、阪神の震災の経験を生かしたという意味で後世に残るのではないかという気もいたしますので、その辺のことを長官からお伺いをいたしたいと思います。
  133. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 阪神・淡路の経験を我々は将来にどうしても生かしていかなければならないと思っております。  そうした中で、村山総理のときでございましたけれども、内閣総理大臣が設置をした防災問題懇談会の提言を受けて、今全国知事会で検討をされているところでございます。今、白紙から、何か新しい、懇談会というか検討委員会みたいなものをつくって始めるというのではなくて、既にいろいろな角度から、災害に対してどう対応していくかということはさまざま御議論をいただいてきたところでございますので、それを受けて、この懇談会が既に知事会でも提言をされて、それぞれ知事さんのところで検討されているところでございます。  実は、私どもも手をこまねいているわけではございませんで、ことしになりまして、二月六日、それから四月十四日、それぞれ静岡、埼玉、兵庫県の知事さん、あるいは南関東地域の、特に直下型地震などがいろいろ指摘をされております、そうした事態が起きたときには大変な事態になるのではないかということを認識をされておられます知事さん方にもお集まりをいただいて、知事会でできる限り早く意見をまとめていただきたいということを申し上げてまいりました。  私が今いただいております報告の中では、小委員会があるようでありますが、小委員会の中ではかなり意見が集約されつつあるというふうにお話を伺っております。  実はきょう、この委員の質問を受けた後、私は国土庁で、また兵庫県の知事さんとお会いすることになっております。兵庫県知事は、きょう、総理にも既にお会いをされているのではないかというふうに思います。具体的な兵庫県知事さんなどなどの意見交換の中でまとめられた提案が、きょうは総理にも渡されていると思いますし、近く知事会でもその意見が集約されるのではないかというふうに考えております。  今後とも、地方公共団体、特に知事会の方々とは連絡を密にいたしまして、国としても、こうした災害に対して十分対応のできるような体制というものを、阪神・淡路の経験から十分将来に生かしていきたい、そうした新しい制度も、ぜひ皆さんの協力でできたらいいというふうに考えておりまして、引き続きの努力をしてまいりたいと思っております。
  134. 砂田圭佑

    砂田分科員 時間になりました。ありがとうございました。
  135. 辻一彦

    辻主査 これにて砂田圭佑君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして国土庁所管の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十九分休憩      ────◇─────     午後一時三十分開議
  136. 辻一彦

    辻主査 休憩前に引き続き会議を開きます。これより北海道開発庁所管北海道東北開発公庫について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。稲垣北海道開発庁長官
  137. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 平成年度及び平成年度における北海道開発庁決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成年度の当初予算額は一兆一千百三十六億二千八百二十八万円でありましたが、これに予算補正追加額六百六十六億四千三百六十六万円余、予算補正修正減少額三十四億九千三百万円余、予算移しかえ増加額五千四百四十八万円余、予算移しかえ減少額三千五百四十六億三千九十三万円余、前年度繰越額五百八億七千五百六十六万円余、予備費使用額六千五百五十六万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は八千七百三十一億四千三百八十二万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は八千五百二十八億三千八百二十四万円余、翌年度繰越額百九十八億五千九百八十三万円余でありまして、その差額四億四千五百七十四万円余は不用額であります。  次に、平成年度決算概要でございますが、平成年度の当初予算額は九千六百三十二億一千五百十九万円余でありましたが、これに予算補正追加額二千四百五十六億七千二十七万円余、予算補正修正減少額二十億七百十万円余、予算移しかえ増加額七千五万円余、予算移しかえ減少額三千五百二億五千八百九十八万円、前年度繰越額百九十八億五千九百八十三万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は八千七百六十五億四千九百二十七万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は八千四百五十八億二千五百一万円余、翌年度繰越額三百一億九百一万円余でありまして、その差額六億一千五百二十五万円余は不用額であります。  以上をもちまして決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。
  138. 辻一彦

    辻主査 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院山田第三局長
  139. 山田昭郎

    ○山田会計検査院説明員 平成年度北海道開発庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  また、平成年度北海道開発庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  140. 辻一彦

    辻主査 次に、会計検査院増田審議官。
  141. 増田裕夫

    ○増田会計検査院説明員 平成年度北海道東北開発公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  また、平成年度北海道東北開発公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  142. 辻一彦

    辻主査 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 辻一彦

    辻主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────    平成年度北海道開発庁決算概要説明                北海道開発庁  平成年度における北海道開発庁決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  北海道開発庁は、北海道総合開発計画について調査・立案し、これに基づく事業実施に関する事務の調整・推進を主たる任務としております。  当庁に計上されている経費は、北海道開発事業費、北海道開発計画費、一般行政費等でありますが、このうち開発事業費につきましては、総合開発の効果的な推進を期するため一括計上されているものでありまして、治山治水対策・道路整備・港湾漁港空港整備・農業農村整備等事業費であります。  これら開発事業の執行に当たりましては、関係各省所管の一般会計への移し替え又は特別会計への繰り入れの措置を講じ、直轄事業については北海道開発局など、補助事業については道・市町村などが実施に当たっているものであります。  平成年度の当初予算額は一兆一千百三十六億二千八百三十八万円でありましたが、これに予算補正追加額六百六十六億四千三百六十六万円余、予算補正修正減少額三十四億九千三百万円余、予算移替増加額五千四百四十八万円余、予算移替減少額三千五百四十六億三千九十三万円余、前年度繰越額五百八億七千五百六十六万円余、予備費使用額六千五百五十六万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は八千七百三十一億四千三百八十二万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は八千五百二十八億三千八百二十四万円余、翌年度繰越額百九十八億五千九百八十三万円余でありまし一て、その差額四億四千五百七十四万円余は、不用額であります。  次に、開発事業の執行のため、関係各省所管への移し替え及び繰り入れの状況を申し上げますと、移し替えた額は、厚生省所管へ九十一億円、農林水産省所管へ二千百八十四億四千二百九十四万円、運輸省所管へ十一億五千七百五十万円、建設省所管へ一千二百五十九億三千四十九万円余、合計三千五百四十六億三千九十三万円余であります。  また、特別会計への繰り入れとして支出した額は、農林水産省所管の国有林野事業特別会計へ二百六十六億二千七万円余、農林水産省所管の国営土地改良事業特別会計へ八百二十七億二千二百四十二万円余、運輸省所管の港湾整備特別会計へ五百九十五億三千八百十五万円余、運輸省所管の空港整備特別会計へ百三十三億三千三百七万円余、建設省所管の治水特別会計へ一千八百三十一億四千三百六十六万円余、建設省所管の道路整備特別会計へ四千七十四億一千百十三万円余、合計七千七百二十七億六千八百五十四万円余であります。  その他の経費支出につきましては、北海道開発庁の一般行政費百七十億一千九百六十万円余、北海道開発庁施設費二億二千九百二十一万円余、北海道開発計画費一億三十八万円余、北海道開発事業指導監督賞三億八千九百八十万円余、北海道開発事業の各工事諸費六百二十一億九千四百十二万円余、北海道特定開発事業推進調査費八千二百九万円余、科学技術振興調整費二千二百五十万円余、国立機関公害防止等試験研究費一千三百八十七万円余、地球環境研究総合推進費三百四万円余、地域活性化施策推進費一千五百四万円余であります。  以上をもちまして決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。    平成年度北海道開発庁決算に関する概要説明                北海道開発庁  平成年度における北海道開発庁決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  北海道開発庁は、北海道総合開発計画について調査・立案し、これに基づく事業実施に関する事務の調整・推進を主たる任務としております。  当庁に計上されている経費は、北海道開発事業費、北海道開発計画費、一般行政費等でありますが、このうち開発事業費につきましては、総合開発の効果的な推進を期するため一括計上されているものでありまして、治山治水対策・道路整備・港湾漁港空港整備・農業農村整備等事業費であります。  これら開発事業の執行に当たりましては、関係各省所管の一般会計への移し替え又は特別会計への繰り入れの措置を講じ、直轄事業については北海道開発局など、補助事業については道・市町村などが実施に当たっているものであります。  平成年度の当初予算額は九、六三二億一、五一九万円余でありましたが、これに予算補正追加額二、四五六億七、〇二七万円余、予算補正修正減少額二〇億七一〇万円余、予算移替増加額七、〇〇五万円余、予算移替減少額三、五〇二億五、八九八万円、前年度繰越額一九八億五、九八三万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は八、七六五億四、九二七万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は八、四五八億二、五〇一万円余、翌年度繰越額三〇一億九〇一万円余でありまして、その差額六億一、五二五万円余は、不用額であります。  次に、開発事業の執行のため、関係各省所管への移し替え及び繰り入れの状況を申し上げますと、移し替えた額は、厚生省所管へ一一四億六、〇〇〇万円、農林水産省所管へ二、一〇四億三、九一八万円余、運輸省所管へ一一億九、六〇〇万円、建設省所管へ一、二七一億六、三七九万余、合計三、五〇二億五、八九八万円であります。  また、特別会計への繰り入れとして支出した額は、農林水産省所管の国有林野事業特別会計へ二六一億九、一二八万円余、農林水産省所管の国営土地改良事業特別会計へ一、〇二八億五、二九九万円、運輸省所管の港湾整備特別会計へ六七四億八、〇二八万円余、運輸省所管の空港整備特別会計へ一一〇億六、二九六万円余、建設省所管の治水特別会計へ一、六九五億三一二万円余、建設省所管の道路整備特別会計へ三、八七七億一、八八五万円余、合計七、六四八億九五〇万円余であります。  その他の経費支出につきましては、北海道開発庁の一般行政費一七五億九、八三〇万円余、北海道開発庁施設費一億三、九三五万円余、北海道開発計画費九、九四四万円余、北海道開発事業指導監督費三徳七、四四五万円余、北海道開発事業の各工事諸費六二六億五、〇八九万円余、北海道特定開発事業推進調査費八、二九九万円余、科学技術振興調整費二、九七一万円余、国立機関公害防止等試験研究費一、三七三万円余、地球環境研究総合推進費二七四万円余、地域活性化施策推進費二、三八五万円余であります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。     ─────────────    平成年度決算概要             北海道東北開発公庫  北海道東北開発公庫平成年度決算について、概要をご説明申し上げます。  当公庫平成年度事業計画は、一般出融資二千五百億円(うち貸付金二千四百八十七億円、出資金十三億円)、社会資本整備促進貸付百八十九億円、合計二千六百八十九億円を予定しておりました。これに対し、実績は、一般出融資一千九百五十五億五百万円(うち貸付金一千九百四十三億五百万円、出資金十二億円)、社会資本整備促進貸付三十六億七千二百万円で、合計一千九百九十一億七千七百万円となりました。これらの出融資の原資といたしましては、政府出資金二十一億円、政府借入金及び債券発行による収入等一千九百七十億七千七百万円、合計一千九百九十一億七千七百万円をもってこれにあてました。  次に、平成年度収入支出の状況をご説明いたしますと、収入済額は、収入予算額八百二十二億四百九十三万円余に対し八百九億八千八百十六万円余、支出済額は、支出予算額八百八億八千八百十三万円余に対し七百七十一億八千八百二十五万円余でありました。  また、平成年度損益状況でございますが、貸付金利息収入等の益金総額が八百七十億一千四百十八万円余、支払利息、事務費等の損金総額が、貸倒引当金繰り入れ前で七百九十三億八千八百六十一万円余となり、差額七十六億二千五百五十七万円余を全額貸倒引当金に繰り入れたため、利益金は生じませんでした。  さらに、平成年度末における資産負債状況をご説明いたしますと、主な資産は、貸付金一兆四千七百九億七千八百二十三万円余、出資金百三十億八百五十万円、主な負債は、政府借入金六千五百九十一億六千二百八十万円余、債券発行高七千四百十五億二千六百八十万円、貸倒引当金七十六億二千五百五十七万円余であります。また、政府出資金は六百三十五億円であります。  なお、平成年度末において、弁済期限を六ケ月以上経過して延滞となっている貸付の元金残高は百五十四億二千四百三十万円余でありまして、これは貸付金残高に対して一・〇%になっております。  以上、平成年度北海道東北開発公庫決算概要をご説明申し上げましたが、何とぞよろしくご審議のほど、お願いいたします。     ─────────────    平成年度北海道東北開発公庫決算に関する概要説明             北海道東北開発公庫  北海道東北開発公庫平成年度決算について、概要をご説明申し上げます。  当公庫平成年度事業計画は、一般出融資二、三〇〇億円(うち貸付金二、二八七億円、出資金一三億円)、社会資本整備促進貸付二四六億円、合計二、五四六億円を予定しておりました。これに対し、実績は、一般出融資一、六二六億三、〇〇〇万円(うち貸付金一、六二二億三、〇〇〇万円、出資金四億円)、社会資本整備促進貸付三七億四〇〇万円、合計一、六六三億三、四〇〇万円となりました。これらの出融資の原資といたしましては、政府出資金三五億六、一〇〇万円、政府借入金及び債券発行による収入等一、六二七億七、三〇〇万円、合計一、六六三億三、四〇〇万円をもってこれにあてました。  次に、平成年度収入支出の状況をご説明いたしますと、収入済額は、収入予算額八四二億一、三二〇万円余に対し七六七億四、九八六万円余、支出済額は、支出予定額八二七億二、三二五万円余に対し七六九億一、五二七万円余でありました。  また、平成年度損益状況でございますが、貸付金利息収入等の益金総額が八四〇億九、七六九万円余、支払利息、事務費等の損金総額が、貸倒引当金繰り入れ前で七六一億二、二二一万円余となり、差額七九億七、六三八万円余を全額貸倒引当金に繰り入れたため、利益金は生じませんでした。  さらに、平成年度末における資産負債状況をご説明いたしますと、主な資産は、貸付金一兆四、六二九億二、一二八万円余、出資金一三四億八五〇万円、主な負債は、政府借入金六、三九八億五、二〇二万円余、債券発行高七、五三一億六、五〇〇万円、貸倒引当金七九億七、六三八万円余であります。また、政府出資金は六七〇億六、一〇〇万円であります。  なお、平成年度末において、弁済期限を六ケ月以上経過して延滞となっている貸付の元金残高は二〇一億八、四九八万円余でありまして、これは貸付金残高に対して一・四%になっております。  以上、平成年度北海道東北開発公庫決算概要をご説明申し上げましたが、何とぞよろしくご審議のほど、お願いいたします。     ─────────────
  144. 辻一彦

    辻主査 以上をもちまして北海道開発庁所管北海道東北開発公庫説明は終わりました。     ─────────────
  145. 辻一彦

    辻主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。吉川貴盛君。
  146. 吉川貴盛

    吉川分科員 委員長に御指名をちょうだいいたしましたので、順次質問をさせていただきたいと思います。  ただいま平成六年、七年の決算の報告がございましたが、いずれにしても違法、不当がないという会計検査院の御報告でありまして、いかに北海道開発予算が正しく執行されていたかをうかがえるのでありまして、私も道民の一人として大変安心をしているところでございます。  きょうは、私は、今日まで大きな役割を果たしてまいりました北海道開発庁につきまして大臣にお伺いをしてまいりたいと存じますが、大臣におかれましては、北海道と沖縄という、大変二十一世紀に可能性を秘めたこの二つの大臣をやられておるわけでありまして、その真摯な御努力に対しまして、まずは心から敬意を表するものであります。  私が言うまでもなく、北海道開発法は昭和二十五年に制定をされました。同時に開発庁が設置をされまして、翌年の昭和二十六年には開発局が設置をされたのであります。今日まで大きな役割を果たしてきたと思いますが、事務的にお伺いをさせていただきます。どのような役割を果たしてきたのか、そして、その役割というものはもう終わってしまったのか。端的な聞き方で大変申しわけありませんが、その辺を御説明をいただければと思います。
  147. 松川隆志

    ○松川政府委員 お答えいたします。  北海道開発庁は、御承知のとおり、北海道の総合開発計画の調査立案、あるいはそれに必要な予算の要求、さらには公共事業等の実施まで一つの組織で担当しておりまして、本州等では、建設、農水、運輸の三省がそれぞれ地方支分部局を個別につくってそこで実施しているわけでございますが、これを現地北海道開発局におきまして、縦割りの弊害を排して一元的にこうした公共事業実施しているという性格を持っているところでございます。  北海道開発庁は、昭和二十五年に創設されて以来、北海道における道路、河川あるいは農業生産基盤、港湾等の社会資本整備に努めてきております。一例を挙げますと、例えば道路延長が八万五千キロまでになった。あるいは耕地面積も百二十万ヘクタールだとか、一戸当たりの耕地面積も、これはEC並みでございますが、一戸当たり十五ヘクタールというふうに非常に大きな大規模農業が可能になったというような面で、いろいろと着実な社会資本整備が図られてきているというふうに考えております。  ただ、その結果、これは結果でございますが、人口も、ちょうど創設時の二十五年には四百三十万人でございましたが、平成七年では五百七十万人近くに増加しているということで、人口も着実にふえている。食糧基地と言われておりますが、平成六年では、我が国の、カロリーベースでございますが、二〇%近い食糧を生産しているということでございまして、それなりに北海道開発にかなりの成果を上げてきたのではないかというふうに考えております。  しからば今後はどうかということでございますが、やはり開発の歴史が短かったということもございまして、まだ社会資本整備が十分でない面もございます。例えば高速自動車国道の整備率、これは本州の二分の一に満たない水準でございますし、河川の整備に当たっても全国平均の大体六、七割というような水準であるということで、まだ社会資本整備におくれをとっている面があるということでございます。  それから、やはり非常に広い国土、これは全国の二二%を北海道は占めるわけでございますが、人口が四・五%ということ、あるいは都市間距離が本州の二倍ぐらいに長いということで、非常に広域分散型地域社会を形成しているということ、こうした中で、本州とは違った意味で社会資本整備の必要性はなお高いというふうに考えております。  使命は終わったかという御質問でございますが、こうした現状をかんがみると、今後引き続き北海道における社会資本の総合的、計画的かつ効果的な整備に取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
  148. 吉川貴盛

    吉川分科員 道民にとりましては、私から言うまでもなく、この北海道開発庁というのは大変心強い機関であります。そういった点があるわけでありまするけれども、残念ながら、ただいま進んでおります構造改革の中の一環であります行政改革の中で、北海道開発庁の統廃合問題が検討をされているというふうに承知をいたしております。  今総務監理官から答弁をいただきましたように、北海道開発庁は、設置以来、北海道の開発について、企画調整から事業実施までを一体化する体制のもとで開発事業を効果的に推進する機能を発揮しまして、北海道の発展に大きく寄与してきたというよりも、今現在寄与していると申し上げてもよろしいかと私は思います。これが一つ。  さらに二つ目には、稲垣大臣のような大変御立派な大臣をいただいて、専任の大臣がおられる中、この北海道の専門的な行政機能であるということ、これは今も申し上げましたように、道民にとりましては大変力強い部分であります。  さらに三つ目に、公共事業予算に関する制度として、予算一括計上の制度やあるいは特例補助率というのがあると思うのです。残念ながら、昭和六十年だったと思いますが、この補助率が下げられたということもございます。  この三つの点からも、再三申し上げますが、北海道にとって大変心強い限りであり、これからも道民はこの開発庁を中心にして我々の生活を考えていきたいという気持ちが大変強いわけであります。その点は、申し上げるまでもなく、大臣を初め皆様御承知のとおりだと思います。  ただ、反面、こういった御批判もあります。例えば、二つの道庁、あるいは制度に甘んじて北海道は自立性が少し少ないのではないのか、あるいはいろいろな北海道の歴史の中で、国のプロジェクトに対する協力度が薄いのではないのかというようなことであります。  そういうような御批判も反面あるわけでありまするけれども、北海道は、御承知のように、政令指定都市札幌市を含めて、二百十二の市町村を有しているところであります。面積も全国土の二二%。まだまだいろいろな面で開発を進めていかなければならない部分というのがたくさんあるわけでありまして、開発庁やあるいは開発庁の機能が全くなくなるなどというようなことになりますと、果たして北海道は大丈夫だろうかという心配をいたします。そして、この二百十二の市町村は、札幌市は政令指定都市ですから国と直結する部分が多いわけでありまするけれども、二百十一の市町村が今すぐに自立する能力だとかあるいは体力が、能力というと大変失礼でありまするけれども、体力があるだろうかと心配をするわけであります。  予算面等から、あるいは数字の上から見て、この二百十一の市町村が、本当に今北海道開発庁が統廃合をされた中で、自立していけるのか、それだけの体力があるのか。事務的にどうでしょうか、どんなふうに見ていらっしゃいますか。
  149. 松川隆志

    ○松川政府委員 道内の市町村等の財政力の問題をちょっとお答えしたいと思うのですけれども、道内市町村が置かれている状況というのは非常に厳しいものがあるというふうに考えております。  例えば、財政力指数で申しますと、北海道の市の平均が〇・四三で、四十七都道府県中四十五位である。あるいは町村の平均は〇・二一で、これも四十一位であるというふうに極めて財政力が脆弱であるというふうに考えております。また、過疎の指定を受けている市町村の割合が北海道は七三%、全国がこれは三八%でございますから、その二倍となっているという状況であります。  また、一市町村当たりの平均面積、これが約三百七十平方キロメートルでございますが、これも全国平均の三・二倍と非常に広い面積を持っている。ところによっては一つの県並みの市町村もあるというふうに聞いておりますが、そういう広い面積を持っているのに対し、その平均人口、一市町村当たりの平均人口は二万七千人と全国平均の半分近い状況であるということで、市町村の面積と人口のアンバランスというものが非常に著しい状況にあるわけでございます。  こういうところで、しかも広域分散型社会という中で、例えば厳冬期に病院に行くにも道路の整備が十分ではない、救急車もなかなか走れないというような厳しい環境にあるわけでございまして、こういう中で、道内市町村だけで、あるいは道庁の、いわゆる道の財政力だけでこうした開発を進めていくということはなかなか厳しい状況であるというふうに考えております。  また、国策としても、食糧供給を初めとして豊かな開発可能性を有する地域でもございますし、やはり国として、道内の市町村等を初めとする、そうした自助努力を援助していかなければいかぬというふうに考えております。  そういう意味で、我々としては、今後ともこうした面で、地元の市町村あるいは道庁の自助努力に加えて、国策としても北海道開発の推進を果たしていきたいというふうに考えております。
  150. 吉川貴盛

    吉川分科員 今総務監理官からのお話、全くそのとおりだと思うのですね。過疎指定の町村が七三%とか、財政力も他府県に比べて相当弱い。ですから、いずれにしましても、私はこの北海道開発庁というものがいかに北海道にとって大切であるかということが、もう数字の上からも明らかなわけであります。  道民所得が全国の二十二位とか、こういうふうに言われていますけれども、実際には、北海道民はそのような感じを持っているとは私は全く思いません。これからの食糧基地としての北海道の位置づけ、農業対策、あるいはまだまだやはり北海道はインフラの整備がおくれておりますし、他府県と同様の扱いにはたえられないだろうというふうにも私は思うわけであります。  ただ、北海道は今やはり早急に将来の自立に向けてグランドデザインを起こす必要があるだろう、私はこう思うのです。そのデザインを起こすに当たりましては、開発庁はもとより、道庁やあるいは民間、経済界の皆さん方、我々もそうでありますが、一体でつくっていかなければならないだろうと思っております。  そこで、私はこのグランドデザインが完成をして自立する北海道ができるまで、少なくとも開発庁を存続すべきだ、あるいは最低線、最低でも現行の開発体制の機能維持が必要であると思うのです。大臣の所見を伺わせていただきます。
  151. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 委員が御指摘のとおり、北海道は国土の約五分の一という広大な空間を有しておるのでありまして、国土の均衡ある発展や豊かで質の高い生活空間の実現を図る上で、大きな可能性に富んでいるわけでございます。  さらに、二十一世紀を展望いたしますと、私は、北海道は非常に食糧基地として大きな条件といいますか、要素を持っているわけでありますし、北の国際交流の拠点として、あるいは観光、リゾート空間として、我が国の発展に非常に貢献するところであると期待されておるのであります。  また、北海道の一人当たりの道民所得は、全国でも、先ほどから説明ありますとおり、中位にありますが、人口、産業の集積がまだ低い。また、道内の自治体の約七割が過疎団体であるなど財政基盤が極めて脆弱であること、高速自動車国道の整備率が全国の半分程度であるなど、開発の歴史が非常に浅いことなどによって基盤整備がおくれていることなど、道民所得水準以外の構造的な問題を有しておりますので、都府県と同様の取り組みだけでは極めて不十分ではないかと思うわけであります。  したがって、現行の第五期北海道総合開発計画が今年度で終了するために、現在、委員が御指摘のとおり、自立する北海道の実現を目指して、新たな開発計画の策定に取り組んでおるところでございまして、新しい産業などの振興方策や、これを支える基盤整備のあり方について検討を進めているところでございます。  実は委員、私、北海道開発庁長官になりまして、長官室へ参りましたら、大きな北海道の地図がかかっております。私はよく見ました。それから、日本の地図をずっと見ていますと、非常に平面的に見ると、なるほど北海道は北の端だな、沖縄を見ると南の端のように見える。しかし、今私の長官室へお出ましいただきますと、地球儀が置いてあります。私の田舎にも地球儀が置いてありまして、私はよく地球儀をなぶっておりますが、そういった世界的な視野にわたる、グローバルな視点というものが今こそ必要であろうと私は思うのです。  ちなみに、北海道の位置、北緯四十三度とか四十五度のところを指さして、くるくるっと地球儀を回しますと、実にあの地域は、中国でいえば北京とか、あるいはまた欧米諸国へ行きますと、主要な都市はほとんどあの位置にあるんですね。しかし、残念ながら、ソ連時代から今ロシアというふうになりましたけれども、航空路がなかなか、開設するのにいろいろな条件でこれが至難だ。これが自由に飛ぶようになりますと、私は、東南アジア等を含めましても、また日本の位置の中でも、千歳から行きますと一番短距離にあるわけですね。  そういうことでいきますと、何といいますか、物流センターを例えばやるといたしましても、ドバイが中東で、今まさに空港を一つつくった。これがどえらい物流基地で、大繁盛しておる。もう何もない砂漠のところにつくったのが、今日ではそうだ。私は、そういう観点でいうと、新千歳空港、ちょっと小さいんじゃないかなという、これはちょっと個人のことを言って申しわけないですが。そういうようなことから考えてみたときに、そしてまた、シベリア開発はこれからであります。  それから、不凍港ということでいきますと、苫東、苫小牧の港なんて貴重な存在であります。あの地域がこれから二十一世紀にかけて開発されてくると、これは貴重な北海道の港というものが大きな意義を持ってくるであろう。国内だけじゃなくて、もう少しグローバル的な見方をすれば、私は、この北海道の位置というものは、二十一世紀にまさにすごい視線を浴びるところではないのかな、こう思うわけです。  そしてまた、苫東の開発が今なかなか難しいとか言われておりますけれども、そういうことからいえば、これからまだまだ大きく発展する要素をもって見ると、これはちょっと目を大きく見開いてもらわねばいかぬ。道民の皆さんもそうだが、日本国民全体として目を開く必要があるじゃないか。  こんなふうに実は思っておるところでありますが、さきに、ゆめプランを募集したら、全国からいろいろなアイデアがどんどん出てまいりまして、私も読んでみて、日本の人たちはみんな北海道に向けて熱い視線を、思いを持って見ておられる。これは事が実現していくように、これから考えていかねばいかぬな。  そういう意味で、これらの取り組みについては、現行の北海道の開発体制の機能をさらに最大限に活用して、官民一体といいますか、全国民一体となって、開発庁の機能の新たなる視点に立った体制が必要ではないか。積極的に推進する必要があると私は考えておる次第であります。
  152. 吉川貴盛

    吉川分科員 大臣の大変力強い所見をお伺いいたしました。ありがとうございました。今いろいろとグローバルな視点からも、北海道の開発の重要さというものが大臣から御指摘がございました。全くそのとおりであります。  もう一つ私は、違った視点で考えてみたいのでありますが、それは北方領土であります。  この北方領土に関しましては、つい今月の二十三日にも、池田外務大臣とエリツィン大統領あるいはプリマコフ外相との間で協議が行われたわけでありますが、その折に、「領土問題及び環境整備」ということで、  領土問題、平和条約交渉の問題については、日本側より「帰属の問題」と「環境整備」の両面において「車の両輪」のように同時に努力を傾けつつ、もって東京宣言の確認に止まらず、同宣言から一歩でも二歩でも前進していくことが重要であるとの我が方の考え方を強調した。これに対しロシア側からは理解が示されたが、同時に環境整備や実際的措置を積み重ねていくことも必要との姿勢も表明された。 なかなか進むようで進まないこの北方領土の問題でありまするけれども、水面下で相当ロシア側の態度も変わってきているというやにも聞くのであります。  いろいろと民間の方々がやられておりますビザなし渡航、実は私も七月にこのビザなし渡航で択捉の方に渡りますが、つい先日も、北海道知事を初めとしてこのビザなし渡航が行われたところであります。この領土の返還が実るということを我々は願っておりますし、ある面では確信をいたしておるところであります。  この領土が返還というような現実性を帯びたときに、私は、北海道開発庁というのは、この北方領土の本土並みの発展をさせるためにも大きな機能を果たすのだろうと思うんです。そういった観点からも、長い視点で見ていただいて、この北方領土そのものの返還運動もさることながら、返還をされた後のことも考えながら、北海道開発庁の機能というものも私は考えていく必要があるだろうというふうに考えます。  この辺の大臣のお考え方と、間もなくこの六月に、行革委員会というんでしょうか、行革会議でしょうか、ヒアリングがあると聞いておりますが、大臣としてどのようなスタンスで臨まれるか、お伺いをさせてください。
  153. 松川隆志

    ○松川政府委員 北方領土の方についてお答えいたします。  北方領土の面積は約五千平方キロメートルということで、愛知県に匹敵する広いところでございますが、インフラ整備はほとんど整備されていないという状況でございます。そういうこともございますので、北方領土は北海道に所属している地域でございますので、返還が行われた場合には、北海道開発庁がその必要なインフラの整備に当たるということになると思います。北方領土の有する多くの特殊事情、豊かな開発可能性にかんがみれば、北海道開発の一環として北方領土の計画的な開発に努力する必要があるというふうに考えております。
  154. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 今、北方領土の問題については総務監理官から話がありましたが、私も、ロシアとの関係等が好転しつつありますし、これから相当日本が、北の地域は北方領土を含めてそうでありますが、カムチャツカのこの間の油の問題等々言うと、あの地域は本当に困っておるということも伺っておるわけでありますので、やはり北海道がある程度手を差し伸べていかなきゃいかぬじゃないかという気もいたしておるわけであります。また、資源も非常に豊富である。ネックを解決すれば、私はもう一歩進んでいって、まさに非常にいい状況ができるんじゃないかと期待をしておるところであります。  そこで、御承知のとおり、先ほど来から北海道は極めて豊かな開発の可能性を未来に向けて持っているわけでありまして、我が国全体の問題解決に寄与することが非常に期待されるところでありますので、現行の体制は北海道開発を推進するにおいて相当な成果を上げてきたところでございますし、以上のような認識を踏まえてみると、今後の北海道開発のあり方を検討する上で極めて重要なことは、引き続き北海道開発を着実に推進するための仕組みがやはり必要だ。  それから、地域の実情に即した総合的な行政を推進するための組織の体制がやはり必要だ。私は、未来をきちっと見た上でのそういった視点に立ったものに対しての体制といいますか、そういうものをきちっとやっていく必要があろうかと思います。そういうものを確保することが非常に大切であると思いますので、このような方向でただいま、先ほど、六月に行政改革会議からのヒアリングがあるということでありますので、その回答を取りまとめをしておるところでありまして、行政改革会議に対して十分説明するように事務当局にただいま指示をしておるところでございます。
  155. 吉川貴盛

    吉川分科員 大臣の行動力に御期待を申し上げたいと思います。  終わりに、これは私見でありまするけれども、沖縄と北海道がよくなればこの日本の国は必ずすばらしい国になりますから、どうぞ大臣、自信を持って頑張っていただきたいと思いますし、我々もまた一生懸命応援をさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。終わります。
  156. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 大変激励をいただきましてありがとうございました。  私は、北と南のいわゆる北海道と沖縄がよくなってくることによって新たな日本の未来が開ける、こういうつもりで頑張ってまいりたいと思いますので、よろしく御支援のほど、お願いいたしたいと思います。
  157. 辻一彦

    辻主査 これにて吉川貴盛君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして北海道開発庁所管北海道東北開発公庫の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  158. 辻一彦

    辻主査 これより沖縄開発庁所管沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。稲垣沖縄開発庁長官。
  159. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 平成年度における沖縄開発庁の歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成年度の当初歳出予算額は三千五百二十三億五千五十二万円余でありましたが、これに予算補正追加額七十一億五千三十七万円余、予算補正修正減少額一億六千八百万円余、予算移しかえ増加額九十一万円余、予算移しかえ減少額一千四百六十三億三千五百七十四万円余、前年度繰越額二百二十四億八千三百二十三万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は二千三百五十四億八千百二十九万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は二千二百五十二億四千三百五十四万円余、翌年度へ繰り越した額は九十五億八千七百一万円余、不用となった額は六億五千七十三万円余であります。  続きまして、平成年度における歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成年度の当初歳出予算額は三千百四十一億百九十八万円余でありましたが、これに予算補正追加額六百六十八億三千六百三十四万円余、予算補正修正減少額一億六千六百三十二万円余、予算移しかえ増加額九十一万円余、予算移しかえ減少額一千五百五十五億九百三十四万円余、前年度繰越額九十五億八千七百一万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は二千三百四十八億五千五十七万円余となります。この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は二千二百十八億八千二百七十二万円余、翌年度へ繰り越した額は百二十五億七千百二十二万円、不用となった額は三億九千六百六十二万円余であります。  以上をもちまして平成年度及び平成年度沖縄開発庁の決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。
  160. 辻一彦

    辻主査 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院山田第三局長
  161. 山田昭郎

    ○山田会計検査院説明員 平成年度沖縄開発庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  また、平成年度沖縄開発庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  162. 辻一彦

    辻主査 次に、会計検査院増田審議官。
  163. 増田裕夫

    ○増田会計検査院説明員 平成年度沖縄振興開発金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  また、平成年度沖縄振興開発金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  164. 辻一彦

    辻主査 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 辻一彦

    辻主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────    平成年度沖縄開発庁歳出決算概要説明                 沖縄開発庁  平成年度における沖縄開発庁の歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成年度の当初歳出予算額は三千五百二十三億五千五十二万円余でありましたが、これに予算補正追加額七十一億五千三十七万円余、予算補正修正減少額一億六千八百万円余、予算移替増加額九十一万円余、予算移替減少額一千四百六十三億三千五百七十四万円余、前年度繰越額二百二十四億八千三百二十三万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は二千三百五十四億八千百二十九万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は二千二百五十二億四千三百五十四万円余、翌年度へ繰り越した額は九十五億八千七百一万円余、不用となった額は六億五千七十三万円余であります。  支出済歳出額の主なものは、沖縄の振興開発のための財源として、治水特別会計、国有林野事業特別会計、道路整備特別会計、港湾整備特別会計、空港整備特別会計及び国営土地改良事業特別会計へ繰り入れた経費二千一億五千五百九十六万円余であります。  次に翌年度へ繰り越した額九十五億八千七百一万円余は、計画及び設計に関する諸条件、用地の関係等により事業実施に不測の日数を要したため、道路整備特別会計等への繰入れが年度内に完了しなかったことによるものであります。  また、不用となった六億五千七十三万円余は、沖縄振興開発金融公庫において貸付金利息収入予定を上回ったこと等により沖縄振興開発金融公庫補給金を要することが少なかったこと等により生じたものであります。  以上をもちまして平成年度沖縄開発庁の決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。     ─────────────    平成年度総理府所管一般会計決算に関す    る概要説明                 沖縄開発庁  平成年度における沖縄開発庁の歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成年度の当初歳出予算額は三、一四一億一九八万円余でありましたが、これに予算補正追加額六六八億三、六三四万円余、予算補正修正減少額一億六、六三三万円余、予算移替増加額九一万円余、予算移替減少額一、五五五億九三四万円余、前年度繰越額九五億八、七〇一万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は二、三四八億五、〇五七万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は二、二一八億八、二七二万円余、翌年度へ繰り越した額は一二五億七、一二二万円、不用となった額は三億九、六六二万円余であります。  支出済歳出額の主なものは、沖縄の振興開発のための財源として、治水特別会計、国有林野事業特別会計、道路整備特別会計、港湾整備特別会計、空港整備特別会計及び国営土地改良事業特別会計へ繰り入れた経費一、九四三億八、五七四万円余であります。  次に翌年度へ繰り越した額一二五億七、一二二万円は、計画及び設計に関する諸条件、用地の関係等により事業実施に不測の日数を要したため、道路整備特別会計等への繰入れが年度内に完了しなかったことによるものであります。  また、不用となった三億九、六六二万円余は、退職手当の必要額が予定を下回ったこと等により生じたものであります。  以上をもちまして平成年度沖縄開発庁の決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。     ─────────────    平成年度沖縄振興開発金融公庫業務概況            沖縄振興開発金融公庫  沖縄振興開発金融公庫平成年度業務の概況につきまして、御説明申し上げます。 沖縄振興開発金融公庫は、沖縄における産業の開発を促進するため、長期資金を供給すること等により、一般の金融機関が行う金融及び民間の投資を補完し、又は奨励するとともに、沖縄の国民大衆、住宅を必要とする者、農林漁業者、中小企業者、病院その他の医療施設を開設する者、環境衛生関係の営業者等に対する資金で、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通し、もって沖縄における経済の振興及び社会の開発に資することを目的とするものであります。  平成年度事業計画は、貸付として二千八百十四億円、出資として三億円、合計二千八百十七億円を予定しておりました。  この計画に対する実績は、貸付契約額が二千八百十二億四千万円余でありまして、出資が一億八千万円、合計二千八百十四億二千万円余となっております。  次に、貸付残高について御説明申し上げます。  平成年度末の貸付残高は一兆三千七百八十四億円余でありましたが、平成年度中に貸付けを二千八百四十九億七千万円余行い、回収が一千二百二十四億九千万円余ありましたので、平成年度末においては一兆五千四百八億九千万円余となっております。  なお、貸付金の延滞状況につきましては、平成年度末におきまして延滞後六か月以上経過した元金残高は百九十四億八千万円余でありまして、このうち一年以上のものは百五十八億一千万円余となっております。  次に、平成年度収入支出決算について御説明申し上げます。  収入済額は八百十七億八千万円余でありまして、これを収入予算額七百七十四億八千万円余に比較いたしますと、四十三億円余の増加となっております。この増加いたしましたおもな理由は、貸付金利息収入予定より多かったためであります。  支出済額は七百八十一億五千万円余でありまして、これを支出予算額八百二十五億円余に比較いたしますと、四十三億五千万円余の減少となっております。これは借入金利息等が予定より少なかったためであります。  最後に、平成年度における損益計算について御説明申し上げます。  貸付金利息等の総利益は九百三億円余、借入金利息等の総損失は九百二億六千万円余となり、差引き四千万円余の利益金を生じました。  この利益金は、本土産米穀資金特別勘定の利益金でありますので、沖縄振興開発金融公庫法施行令附則第五条第二項の規定により同勘定の積立金として積み立てることとし、国庫納付金は生じませんでした。  以上が平成年度における沖縄振興開発金融公庫業務の概況であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。     ─────────────    平成年度沖縄振興開発金融公庫業務概    況            沖縄振興開発金融公庫  沖縄振興開発金融公庫平成年度業務の概況につきまして、御説明申し上げます。 沖縄振興開発金融公庫は、沖縄における産業の開発を促進するため、長期資金を供給すること等により、一般の金融機関が行う金融及び民間の投資を補完し、又は奨励するとともに、沖縄の国民大衆、住宅を必要とする者、農林漁業者、中小企業者、病院その他の医療施設を開設する者、環境衛生関係の営業者等に対する資金で、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通し、もって沖縄における経済の振興及び社会の開発に資することを目的とするものであります。  平成年度事業計画は、貸付として二千五百二十一億円、出資として三億円、合計二千五百二十四億円を予定しておりました。  この計画に対する実績は、貸付契約額が二千五百二十億五千万円余でありまして、出資が一億八千万円、合計二千五百二十二億三千万円余となっております。  次に、貸付残高について御説明申し上げます。  平成年度末の貸付残高は一兆五千四百八億九千万円余でありましたが、平成年度中に貸付けを二千三百五十九億三千万円余行い、回収が一千九百三十八億九千万円余ありましたので、平成年度末においては一兆五千八百二十九億三千万円余となっております。  なお、貸付金の延滞状況につきましては、平成年度末におきまして弁済期限を六箇月以上経過して延滞となっている貸付けの元金残高額は二百十億円余でありまして、このうち一年以上のものは百六十三億八千万円余となっております。  次に、平成年度収入支出決算について御説明申し上げます。  収入済額は八百二十三億三千万円余でありまして、これを収入予算額七百九十三億三千万円余に比較いたしますと二十九億九千万円余の増加となっております。この増加いたしましたおもな理由は、貸付金利息収入予定より多かったためであります。  支出済額は八百三十一億九千万円余でありまして、これを支出予算額八百五十五億四千万円余に比較いたしますと、二十三億四千万円余の減少となっております。これは借入金利息等が予定より少なかったためであります。  最後に、平成年度における損益計算について御説明申し上げます。  貸付金利息等の総利益は九百十四億六千万円余、借入金利息等の総損失は九百十四億一千万円余となり、差引き四千万円余の利益金を生じました。  この利益金は、本土産米穀資金特別勘定の利益金でありますので、沖縄振興開発金融公庫法施行令附則第五条第二項の規定により同勘定の積立金として積み立てることとし、国庫納付金は生じませんでした。  以上が平成年度における沖縄振興開発金融公庫業務の概況であります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。     ─────────────
  166. 辻一彦

    辻主査 以上をもちまして沖縄開発庁所管沖縄振興開発金融公庫説明は終わりました。     ─────────────
  167. 辻一彦

    辻主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。下地幹郎君。
  168. 下地幹郎

    下地分科員 質問させていただきたいと思っております。  大臣、本当に大変お疲れさまでございます。今、沖縄も非常に大事な時期を迎えております。大臣の今頑張られている姿が、百二十八万県民にとっても大きな支えになります。どうか、お体に気をつけて頑張っていただきたいというふうに思っております。  沖縄問題、この二年間、基地問題を中心として大きく揺れてまいりました。沖縄問題の、この基地の問題がある程度目鼻がついたと申しますか、SACOの一つの方向性が出て、このことをしっかりと守っていかなければならない、そういうふうな作業を具体的に進めることが沖縄の県民の望みである基地の整理縮小、そういうふうなものの具体的な姿になるだろうというふうに思っております。そして、これとともに、復帰して今度で二十五年目を迎えました。沖縄も本当によくなってまいりました。これは大きな役割は開発庁にもあったというふうに私は思っております。  そこで、今、橋本内閣、六大改革、それのプラスワン沖縄というふうなことを言われております。その中で、行政改革という言葉が出てまいりました。先ほど吉川先生からも話がありましたけれども、北海道開発庁、沖縄開発庁、その廃止とか外庁構想だとか、いろんなことが今言われております。そして二十五年間を振り返って、私は役割は大きかったと冒頭で申し上げましたけれども、まさに数字にしても形にしてもそうだったと思うのです。  そして、一週間、二週間前になりますけれども、新聞の記事に、沖縄総合事務局の労働組合の方々が県の商工労働部長のところに、沖縄開発庁の廃止を何とかやめてくれと行くのですね。新聞記事ですよ。そうしましたら、新聞記事の中では、それは私どもが関知をする問題ではなくて国が考える問題だから、答えることはできませんというふうな話でありました。私から言わせると非常に残念な答弁でございまして、その総合事務局の組合員の方々の期待に、私が沖縄県の商工労働部長だったら、君たちの気持ちはよくわかる、県も沖縄開発庁の重大さはよく認識をしているのでともに頑張りましようと答えたと思うのです。しかし、答えませんでした。  そこで、この行革の問題が六月から、いろいろな声が出ておりますけれども、もうまとめの段階に入りました。財政的には今週いっぱいで数字を入れましようというふうな話が出ておりますけれども、昨日の橋本総理大臣と大田知事の会談で、会談が終わってから夕食会まで一緒になされて、本当に気兼ねない話ができた、仲がいいものでというコメントがあったとか、いろいろなことが言われております。  私は、きょうの新聞記事の一面、今の六大改革が盛り上がって、もうそろそろ行革に対する結論も出なければいけないとき、そのときに、大田知事と橋本総理の会談の中で、私が、今度は商工労働部長じゃないですよ、大田県知事だったら、沖縄開発庁ぜひ存続を総理大臣お願いをしたい、沖縄開発庁の二十五年間の役割は大きなものでありました、今度からも、二十一世紀に向けて沖縄が自立をしていくという意味では、沖縄開発庁の役割を何とか今までの中で認めていただいて存続をお願いしたいという、お願いが新聞記事に躍るかなと思っていたのですけれども、きょうは一言も書いていなかったのです。非常に残念でありました。そのことに関して開発庁長官としてどう思うのか、答えにくいところかもしれませんけれども、ぜひお答えをいただきたい。  この質問は、私は非常に大事なことだというふうに思っております。認識論のずれは将来の沖縄にとっても大きな禍根を残すような結果になりかねないというふうに思っておりますので、冒頭ではございますけれども、このことをしっかりと大臣の口からまず御答弁をいただきたいというふうに思っております。
  169. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 今、下地先生から大変厳しいといいますか、まさに今まで沖縄の問題でいろいろなことが新聞記事も出、また沖縄県民の今日までの苦しみの問題がいろいろ出てきた、そしてまた基地の問題が例の特措法で解決がされると、何かしらこの沖縄の問題もしぼんじゃったじゃないかとか、もういろいろな記事等が出てまいって、私も心を痛めておる一人であります。  大田知事が総理官邸で橋本総理にお会いになった。お互いに協力して沖縄の振興開発を推進するお立場にあって、これまでの振興開発の成果やあるいは沖縄開発庁が果たしてきた役割については十分理解されておられると私は考えておりますし、総理とのお話の内容について私からどうこう申し上げるのは適当でないかもしれませんが、新聞の面で出ることと、あうんの呼吸といいますか、あるいはまたお二人で、一緒になってやろうや、この辺のところはお互いに心と心のうちで、こういうところもあったのじゃないかなと私は想像するのです。  知事さんは、もちろんこれは県民のことを考えておるのだから当然でありますが、総理も、今比重は、もう沖縄が一段落したというのではございませんが、今はまさに行政改革を手がけなきゃならぬ、今月いっぱいまでにある程度のめどもつけていかなきゃならぬ、六月四日には事務当局に命じてヒアリングもやらねばならぬということで、非常に今、極めて今、国内の政治改革へ向けて努力を進められておるところでありますので、そういったことで新聞の記事も、どうもそちらの方に気が移っているのじゃないかなと。まあ、想像しては申しわけないですが。  しかし、いずれにしましても、今後、行政改革会議において中央省庁の再編等の議論が進められることになっておりますので、私としては機会があるごとに、沖縄開発庁がこれまで果たしてきた役割、また今後果たすべき役割の重要性については各方面に理解を求めておるところでございまして、これからでございますし、また、視点も従来と違って、前に官房長官も言われますとおり我が国の南の拠点として、グローバル的に地球的な感覚で見ると、なくてならないところでございますので、従来の観点とは私は非常に違った視点というものが生かされていくだろう、また生かさなければならぬ、そのために乗り越えていかなきゃならぬ、こうはっきりと官房長官がおっしゃったように、思い切って大胆なことが私はされるのではないか、こう思うわけでございますので、内閣も挙げて、私も担当長官として真剣に取り組んでまいる覚悟でございます。
  170. 下地幹郎

    下地分科員 長官のお気持ちはよくわかりました。あうんの呼吸、まだ政治経歴は短いもので、なかなかわからないんですね、長官のように長くやると、あうんの呼吸もわかってこようかと思うのですけれども。ただ、私は、やはりしっかりと言葉でお願いをすべきだろうというふうに思うのです。大田知事がよく今の沖縄の現状を理解して、今長官がおっしゃったように、これからグローバルな考え方で新しい沖縄をつくっていかなければならないというときに、開発庁がどうしても必要だというふうなことをお考えになるならば、私は、しっかりとスタンスを持って知事はお話をしなければいけないというふうに思っております。  そしてもう一つには、党の中でも、聖域なし、財政再建や行革という風がやはり身にしみて強さを感じるんですね。だから、そういう意味では、やはりしっかりと今のうちからスタンスを持ってやられるということが大事だろうというふうに私は思っております。  そしてもう一つでありますけれども、今度は、復帰して二十五年になります。沖縄振興開発というものが、第一次、第二次、第三次も後半に入ってまいりました。一次、二次、三次の振興開発、それの計画の目的、それはまさに、本土との格差是正、一次もこの文句が入りました。そして、自立的発展の基礎条件の整備、これが一次にも二次にも三次にも入りましたね。そういうふうな形でこの一次、二次、三次が進められてきました。この格差是正というもの、そして自立的発展の基礎条件の整備というものの、その策定をされた意義みたいなものを短い時間でちょっとお話をしていただきたい。もう一回これは初心こ戻って確認を今の時期にすることも大事だろうというふうに思っておりますので、どうかお願いを申し上げたいと思います。
  171. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 一次振計、二次振計の目的は何であったのか、今ここで振り返る必要がある、また、三次振計の中でどのようなことをするのかというお問い合わせでございます。  そこで、簡略に申し上げますと、一次振計及び二次振計においては、本土との格差の是正を図って、自立的発展の基礎条件を整備することを目標にしておったのでありまして、三次振計においては、一次振計及び二次振計に引き続き本土との格差を是正して、また自立的発展の基礎条件を整備する、そして広く我が国の経済社会及び文化の発展に寄与する特色ある地域として整備することを目標としておる。この辺のところが、一、二、三次で発展的にこの目的が進行してきたわけであります。  そして、このような基礎理念に基づいて、沖縄の有する多くの地域特性を積極的に活用して、一つは特色ある産業の振興、二つ目は我が国の南の交流、協力拠点の形成、三つ目は国際的な観光、保養地域としての整備を図ることを重点施策としておるのでありまして、また、三次振計は新たに平成年度から計画期間のちょうど後半を迎えることから、委員よく御承知のとおり、三月に沖縄振興開発審議会において三次振計の後期展望が取りまとめられた、こういう経緯を持っておるわけでございまして、今後とも、これを踏まえて三次振計に基づく諸事業を推進して、計画の目標達成のために一層努力してまいります。
  172. 下地幹郎

    下地分科員 この一次振計、二次振計、三次振計、三次振計も平成年度から後半を迎えてまいります。この二十六年間ですか、その時間の中で、長官が見て、今の激動期に長官になられてみて、達成度、どの程度とお考えですか。そして、この基準、長官がこういう基準で達成度をつくりましたというふうなことをちょっとだけお話をしていただきたいと思います。
  173. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 これはまた、一体達成度というのは何を基準にするかというと、なかなかいろいろ視点が多くございますが、三次にわたる振興開発の達成状況につきましては、計画の目標に照らしまして全体的にあるいは総体的に見ていくことがまず必要であろうと思います。  例えば、計画に示されておる「人口及び経済社会のフレーム」については、人口、労働力人口等は順調に推移をしておる。県内総生産及び一人当たりの県民所得については、目標年次におけるフレームの達成は極めて厳しい状況にあろうかと思います。現在、一人当たり県民所得は全国の最下位だし、特に失業率についても全国平均の約二倍になっておる、産業振興や雇用機会の確保の面では課題が極めて多いと認識しておるのであります。  さらに、社会資本の整備状況を見ますと、委員御指摘のように、今日まで累計約五兆円の国費を投入して、水資源の開発、交通体系の整備あるいは生活環境施設の整備、農林水産業基盤の整備など、沖縄の振興開発のための諸施策が講じられてきたのであります。  その結果、例えば道路でいいますと、人口当たりの道路延長については、復帰時の格差は、全国を一〇〇といたしますと沖縄は四六・四であったのが、最近では六二・九になった。それから、廃棄物処理施設、ごみ焼却処理率については、復帰時の格差は沖縄は四四・三であったのが、最近では九〇・四、農業基盤、農地の整備率については、復帰時の格差は沖縄は八・一であったのが、最近では八四・七となっておる。このように、施設整備における本土との格差は次第に縮小されるなど、沖縄の経済社会は総体として発展をしてきたのではないかと思います。  しかしながら、生活、産業基盤の面ではなお整備を要する問題が多い、また、産業振興や雇用の問題など、解決すべき多くの課題があると認識しておりますので、今後とも計画達成のために一層努力してまいるわけでありますが、公共施設の整備状況というようなこと等で、復帰時のときと最近の状況、あるいはまた人口、経済のフレームで見ますと、基準年次を平成二年、目標年次が平成十三年、現在の最近の数値はどうだ、こういうフレームで見るというようなことで、この達成率がどうだ、こういうことを言われるわけであります。  一人当たりの県民所得で見ますと、平成年度で一人当たり国民所得との格差が七一・二、こういうことでありますし、県内総生産が三兆一千七百二十六億円で、平成年度名目で見るとそうだが、基準年次の平成二年から見ると二兆八千億だからまあ伸びておる、目標年次はさらに四兆九千億円から見るといまだし、こういうことになるわけでありまして、そんなことで、ひとつ考えていかなければならぬ、こう思います。
  174. 下地幹郎

    下地分科員 もう一つでありますけれども、大臣にいろいろ読み上げていただきましたけれども、私の資料によりますと、道路なんかの場合ですと、もう一一九%ぐらいになっているのですね。そして、その他の住宅の問題も一〇〇を超える数字になっております。下水道も九八%、し尿処理とかいろいろなごみ焼却場も九三、農業基盤がまだちょっと低くて八二%、全国平均というものにどんどん追いついているのですね。高等学校のプールなんて一三二%、もう全国平均をずっと超えております。こういうふうに、全国平均を超えるものはもうどんどん多くなって、最低でも八〇%を超えるような状況になってまいりました。  しかし、農家の所得などを見ますと、まだ五六%、年間大体五〇〇万ぐらいの所得に対して、沖縄県の場合は三〇〇万ぐらいの所得なのです。これは、農業の達成率が八二%と低いのがやはりこれにもあらわれてきていると思うのです。そして、先ほど大臣からお話をいただきましたけれども、沖縄の県民所得は七〇%弱、その程度になっております。  こういうふうなものを総体的に見て、今の私の考えでは、まあ所得が低いとか失業率が高いとかいうのがありますが、実感、体感、そういうようなものも含めて、大臣は達成率一〇〇のうち何パーセントぐらいと、どういうふうにお考えですか。
  175. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 これは客観的なことと主観的なこと、大分視点やいろいろなことで違うわけでありますが、私は、以前、復帰当時あるいはまたその途中等々参ってみると、極めて発展をしてきたなと、しかし数値で見ると、先ほど来から、道半ばである、さらに基地を抱えておること、あるいはお苦しみのことを考えてみると、いまだしたと。  先ほど道路の改良率が一一九とおっしゃいましたが、人口当たりの道路延長でいうと、全国を一〇〇とすると六二・九ということで、これは人口当たりでいうと低まっておるわけですね。これはやはり国道の、本島あるいは島というようなこと等からいうと、道路計画からいえば改良率は進んでおるというように見えるけれども、それは国道とか県道とかということであって、まだ市道とか町村道というようなことでいくと、そうでもないなという感じはしておるわけであります。  それから、農業所得の面におきましても、いろいろな沖縄でなければできないような作物を私はつくるべきだな。例えばニンジンでも、細長い、あれは何というニンジンですかな、ありますね、特色のある、あれは食べるとなかなかおいしいのですが、中国に私がこの前行ったときには、一カ所の市場で出ておったのでも大体十種類ぐらいあったのですよ。赤黒いようなやつから白っぽいやつから、たくさんあった。やはりニンジンでも、それぞれその種類によってみんな成分が違う。そういういろいろな、あそこでなければでき得ないものをどんどんこれからつくっていけば、それからまた冬春季でありますと、本土ではなかなかハウス栽培をやってもそうそう野菜が十分にとれないということからいってみると、あそこは極めて、亜熱帯地域でありますから、種類をうんと選べば、あるいはまた畜産ということも考えていけば、私はまだまだこれから伸びてくるところだろう。  ただ、鉄道とかあるいは道路でも直接本土と結ぶものはないわけでありまして、船を利用しなければならぬ、あるいは航空機を利用しなければならぬ、こういった点に大きなハンディがあることは確かだと私は思いますが、そういった点を勘案して、これからそういう工夫をしていけば、十二分に本土と比べても遜色のない、いや、それ以上に所得が上がるようなことはでき得ると私は思うのです。そういうことをこれから検討してまいりたいと思います。
  176. 下地幹郎

    下地分科員 大臣、私は、本土の平均というと、沖縄はもう九〇%ぐらいまで来たと思う、平均という言葉を入れさせていただくと。その九〇%まで来たという一番の貢献者は沖縄県民ですよ。努力をした、頑張った、それが一番の貢献だというふうに思っています。そして、この沖縄県民の貢献、努力を支えてきたのが私は開発庁だったと思うのです。まさにこの二十五年間、開発庁は大きな役割を果たしてきた。これは私は立派なものだというふうに思うのであります。  近ごろの論調で、総理のお話でもいろいろな方々でも、沖縄に同情していただくのはありがたい。しかし、沖縄に何もしてこなかった、沖縄の苦しみを理解していなかった、そういうふうな声が政治の場で聞こえるのです。しかし、私が申し上げました九〇%、それは沖縄振興法、一次、二次、三次、これは立派に沖縄に対して振興政策をもって、沖縄にだけしかない法律をもって、沖縄には過大の予算をつけながらこれができてきたというふうに私は開発庁がもっと自信を持っていただきたいと思うのです。そのことを今しっかりと長官がアピールをしていかないと、今この大事な時期に長官になられている稲垣長官がアピールをしていかないと、間違ったような論理が閣内でも党内でも起こったら、これは百二十八万沖縄県民にとって、将来にとって禍根を残すようなことになる。  だからぜひ、黒子などという表現ではなく、官房長官が沖縄担当、そのこともいいかと思いますけれども、やはり主流は、二十五年間振興策をもって沖縄をつくってきた沖縄開発庁なくしてできないということを自信を持っていろいろなところで訴えていただきたい。そして、きょうは総務局長も振興局長もいますから、事務次官もいろいろなところでこの活動をやっていかなければ大変なことになるのではないかというふうなことを私は思わせていただいております。  そして、九〇%という点数をつけさせていただきましたけれども、まだまだやらなければいけないことがありますね。今までは振興策でした。復興でした。しかし、これからは沖縄の自立です。まさに沖縄振興開発計画の一次、二次、三次に書いてあります自立的発展の基礎条件の整備、九〇%で整備をできて、あとは自立という言葉に向かっていかなければならない時期になった。だから、振興開発計画が終わった後の政策というのが、非常にこれからの沖縄にとって大事な政策になってくるというふうに思っております。  その意味におきましても、これから開発庁がやろうとしていること、この前、総合事務局の中に基地の跡地利用対策課というのができましたね。天久の解放地、十五年から二十年ほったらかしにされました。五十年前に無理やり土地をとられて、そしてもう必要ないと返されて、その次の日からは固定資産税から何から払っていかなければいけない苦しみになって、耐え切れなくなって地主の皆さんが売り抜いていく。ほったらかしにされてきた。  そういうふうな状況を踏まえて、あの総合事務局の跡地利用対策課ができて、沖縄の経済にも、その地権者を守るという意味でも、早急な対応を今のうちからして、絵をかいて準備していこう。基地問題から解放された後は、防衛施設局から沖縄開発庁が、普天間の開発から何から中心になってやらなければいけないというふうな形になってくると思うのです。そのことが新たな沖縄開発庁の役割になってくることだけは間違いないというふうに思うのです。  一例を挙げさせていただきましたけれども、このような観点から、沖縄開発庁が新たに取り組もうと思っているものは何なのか、お気持ちと、そして具体的なものがありましたら、お答えをいただきたいというふうに思っております。
  177. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 委員が御指摘のとおり、沖縄開発庁が今日まで役割を果たしてきたことはそのとおりでありまして、私どもも自信を持って、誠意を持って当たってきたところでございます。  さて、これからはということになりますと、ちょうど今、先ほどから申し上げましたとおり、三次振計の後期の展望に明らかにしておるようなことで、いろいろな視点もあり、これを展開していかなければならぬところでございます。  特に、本土との格差が次第に縮小されておりますし、着実にまた発展をしてきておるわけでありますが、沖縄開発庁は沖縄の振興開発に極めて大きな役割を果たしてまいりました。しかし一方、まだ道半ばなところもあるわけでございまして、沖縄振興開発計画に基づいた必要な事業量を確保しながら、バランスよく、また全力を挙げて計画の目標達成をしていかなければならぬところでございます。  政府を挙げて取り組むべき最重要課題でもありますし、今委員が指摘ありましたとおり、沖縄開発庁には基地の問題もございますし、またアジア全体を見た上での問題もありますし、アジアの平和と安定ということからいきまして、基地をお願いしておる問題もあるわけであります。その中にありまして、やはりこれからのとるべき道ということでも、開発庁は今後振興策のさらに取りまとめや推進に中心的な役割を担っていかなければならぬわけでありまして、開発庁全体がそういった新たな視点に向かって最善の努力をしていく。  したがって、沖縄開発庁は必要欠くべからざる機能を持っているわけでありますので、そういう体制や組織や、そういうものをさらに強化して新しい時代に向けて出発していく、こういう気持ちでいっぱいでございまして、ここで今述べるには時間が余りにも少のうございますが、委員の御指摘があったとおり、着々と、次から次へと展開してまいりますので、ぜひひとつ御指摘や御支援をお願いしたい、こう思うわけであります。
  178. 下地幹郎

    下地分科員 もう時間がなくなりました。  沖縄県民のアンケートによりますと、復帰してよかったと答えた方が八〇%を超えました。これは、よかったという気持ちと、もう一つ、期待というものもまだまだ入っておると私は思います。ぜひこの県民の期待というものを深く受けとめていただいて、大臣に、この時期の大臣というのは今までの大臣と違って大事であるという認識を持っていただいて、頑張っていただきたい。最後に申し上げさせていただいて、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  179. 辻一彦

    辻主査 これにて下地幹郎君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして沖縄開発庁所管沖縄振興開発金融公庫の質疑は終了いたしました。  これにて本分科会審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚くお礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後二時四十一分散会