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1997-05-26 第140回国会 衆議院 決算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成九年五月十五日(木曜日)委員会 において、設置することに決した。 五月二十三日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       高市 早苗君    山口 泰明君       吉川 貴盛君    野田  毅君       辻  一彦君    佐々木憲昭君       武村 正義君 五月二十三日  辻一彦君が委員長指名で、主査選任され  た。 ───────────────────── 平成九年五月二十六日(月曜日)     午前九時二分開議  出席分科員    主 査辻  一彦君       石崎  岳君    今村 雅弘君       高市 早苗君    橘 康太郎君       宮路 和明君    山口 泰明君       吉川 貴盛君    赤羽 一嘉君       鍵田 節哉君    鴨下 一郎君       野田  毅君    吉田  治君       佐々木憲昭君    武村 正義君    兼務 滝   実君 兼務 大口 善徳君    兼務 斉藤 鉄夫君 兼務 坂上 富男君    兼務 藤田 スミ君 兼務 前田 武志君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 古賀  誠君         建 設 大 臣 亀井 静香君  出席政府委員         運輸省運輸政策         局長      相原  力君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         運輸省自動車交         通局長     荒谷 俊昭君         運輸省海上交通         局長      岩田 貞男君         運輸省港湾局長 木本 英明君         運輸省航空局長 黒野 匡彦君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省建設経済         局長      小鷲  茂君         建設省都市局長 木下 博夫君         建設省河川局長 尾田 栄章君         建設省道路局長 佐藤 信彦君         建設省住宅局長 小川 忠男君  分科員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   米田  壯君         警察庁交通局運         転免許課長   吉田 英法君         北海道開発庁水         政課長     清治 真人君         大蔵省主計局司         計課長     田頭 基典君         運輸省鉄道局都         市鉄道課長   榊  正剛君         運輸省鉄道局技         術企画課技術開         発室長     山下 廣行君         運輸省航空局監         理部国際航空課         航空交渉官   遠藤 信介君         建設省建設経済         局宅地課長   塩島 高雄君         自治大臣官房企         画室長     牧野 清文君         会計検査院事務         総局第三局長  山田 昭郎君         住宅金融公庫総         裁       高橋  進君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     小野和日児君         参  考  人         (阪神高速道路         公団理事)   仙石 泰輔君         決算委員会調査         室長      天野  進君     ───────────── 分科員の異動 五月二十六日  辞任         補欠選任   山口 泰明君     宮路 和明君   吉川 貴盛君     石崎  岳君   野田  毅君     鴨下 一郎君   佐々木憲昭君     石井 郁子君 同日  辞任         補欠選任   石崎  岳君     吉川 貴盛君   宮路 和明君     橘 康太郎君   鴨下 一郎君     吉田  治君   石井 郁子君     瀬古由起子君 同日  辞任         補欠選任   橘 康太郎君     今村 雅弘君   吉田  治君     鍵田 節哉君   瀬古由起子君     矢島 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   今村 雅弘君     山口 泰明君   鍵田 節哉君     赤羽 一嘉君   矢島 恒夫君     辻  第一君 同日  辞任         補欠選任   赤羽 一嘉君     野田  毅君   辻  第一君     佐々木憲昭君 同日  第一分科員大口善徳君、坂上富男君、前田武志  君、第二分科員滝実君、斉藤鉄夫君及び藤田ス  ミ君が本分科兼務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  平成六年度一般会計歳入歳出決算  平成六年度特別会計歳入歳出決算  平成六年度国税収納金整理資金受払計算書  平成六年度政府関係機関決算書  平成六年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成六年度国有財産無償貸付状況計算書  平成七年度一般会計歳入歳出決算  平成七年度特別会計歳入歳出決算  平成七年度国税収納金整理資金受払計算書  平成七年度政府関係機関決算書  平成七年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成七年度国有財産無償貸付状況計算書  (運輸省建設省所管及び住宅金融公庫)      ────◇─────
  2. 辻一彦

    辻主査 これより決算委員会第四分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。どうぞよろしくお願いいたします。  本分科会は、総理府(北海道開発庁所管北海道東北開発公庫沖縄開発庁所管沖縄振興開発金融公庫国土庁所管)、運輸省、郵政省、建設省所管及び住宅金融公庫についての審査を行うことになっております。  なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明会計検査院検査概要説明及び会計検査院指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。  平成六年度決算外二件及び平成七年度決算外二件中、本日は、建設省所管住宅金融公庫及び運輸省所管について審査を行います。  これより建設省所管住宅金融公庫について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。亀井建設大臣
  3. 亀井静香

    亀井国務大臣 建設省所管平成六年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、各会計別収納済み歳入額は、一般会計三百九十五億三千六百万円余、道路整備特別会計五兆六千六百十四億四百万円余、治水特別会計治水勘定二兆二千五百二億七千五百万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定三千二百七十四億九千六百万円余、都市開発資金融通特別会計千五百七十四億千九百万円余となっております。  次に、歳出につきましては、各会計別支出済み歳出額は、一般会計八兆二千百二十八億七百万円余、道路整備特別会計五兆四千百二十億三千八百万円余、治水特別会計治水勘定二兆千八百三十七億五百万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定三千七十一億二千百万円余、都市開発資金融通特別会計千五百六十五億二千百万円余、大蔵省共管特定国有財産整備特別会計のうち建設省所掌分五百四十六億七千九百万円余となっております。  以上が、平成六年度における建設省所管決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。  引き続き、建設省所管平成七年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、各会計別収納済み歳入額は、一般会計六百七十八億四千百万円余、道路整備特別会計六兆三千二十七億二千百万円余、治水特別会計治水勘定一兆七千七百六十五億二千七百万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定三千五百五十七億九千六百万円余、都市開発資金融通特別会計三千百五十四億六千四百万円余となっております。  次に、歳出につきましては、各会計別支出済み歳出額は、一般会計八兆三百六十三億七千百万円余、道路整備特別会計五兆八千九百三十二億八千百万円余、治水特別会計治水勘定一兆六千五百五十二億四千四百万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定三千二百二十二億千六百万円余、都市開発資金融通特別会計二千八百三十九億千五百万円余、大蔵省共管特定国有財産整備特別会計のうち建設省所掌分四百五十七億八千万円余となっております。  以上が、平成七年度における建設省所管決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 辻一彦

    辻主査 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院山田第三局長
  5. 山田昭郎

    山田会計検査院説明員 平成六年度建設省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項九件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項一件であります。  まず、不当事項について御説明いたします。  検査報告番号一九三号は、岩手県が実施した積雪寒冷地域道路事業におきまして、施工設計と相違していたため、スノーシェッド受け台が不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号一九四号は、宮城黒川富谷町が実施した道路改良事業におきまして、設計が適切でなかったため、橋台等が不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号一九五号は、千葉佐倉市が実施した緊急地方道路整備事業におきまして、買収した土地道路用地として使用されておらず、その目的を達していないものであります。  検査報告番号一九六号は、東京都新宿区が公営住宅家賃収入補助金交付申請に当たって、補助金交付額算定が適切でなかったため、補助金が過大に交付されているものであります。  検査報告番号一九七号は、新潟県が実施した小規模河川改修事業におきまして、施工設計と相違していたため、橋梁上部工が不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号一九八号は、奈良県が実施した道路改良事業におきまして、施工設計と著しく相違していたため、橋台等が不安定な状態になって  いるものであります。  検査報告番号一九九号は、島根県が実施した道路改良事業におきまして、施工設計と著しく相違していたため、モルタル吹きつけ工が工事目的を達していないものであります。  検査報告番号二〇〇号は、高知県香美郡土佐山田町が実施した公園整備事業におきまして、設計が適切でなかったため、雨水管が不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号二〇一号は、長崎東彼杵東彼杵町が実施した道路改良事業におきまして、設計が適切でなかったため、ボックスカルバートが不安定な状態になっているものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について御説明いたします。  これは、国庫補助事業に係る食糧費の使用及び経理処理に関するものであります。  補助事業で行う道路事業河川事業等において、食糧費、中でも懇談会経費について補助の対象となる範囲を具体的に定めていなかったなどのため、使用された食糧費事業実施のために直接必要であるか否か判然としていなかったり、経理処理が明確でなかったりしている事態が見受けられました。これについて指摘したところ、改善処置がとられたものであります。  引き続き、平成七年度建設省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項九件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項二件であります。  まず、不当事項について御説明いたします。検査報告番号二〇八号は、福島県が実施した道路改良事業におきまして、施工設計と著しく相違していたため、暗渠工等工事目的を達していないものであります。  検査報告番号二〇九号は、鳥取県が実施した道路改良事業におきまして、吹きつけのり枠工施工が著しく粗雑となっていたため、工事目的を達していないものであります。  検査報告番号二一〇号は、広島県が実施した道路改良事業におきまして、設計が適切でなかったため、橋台等が不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号二二号は、山口県が実施した中小河川改修事業におきまして、連節ブロック張り工費等積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二一二号は、高知県が実施した道路災害復旧事業におきまして、アンカー工の削孔費積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二一三号は、佐賀県鳥栖市が実施した都市公園整備事業におきまして、暗渠排水管設置工費積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二一四号は、長崎長崎市が実施した道路改築事業におきまして、諸経費積算が過大となっていたため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二一五号は、大分県が公営住宅建設事業費補助金交付申請に当たって、補助金交付額算定が適切でなかったため、補助金が過大に交付されているものであります。  検査報告番号二一六号は、沖縄県平良市が公営住宅家賃収入補助金交付申請に当たって、補助金交付額算定が適切でなかったため、補助金が過大に交付されているものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について御説明いたします。  その一は、開削工法による下水道管布設工事における埋め戻し工費積算に関するものであります。  補助事業で行う下水道整備事業実施に当たり、下水道管布設後の溝の埋め戻しに使用される機械の性能が向上するなどして、管の周辺部の埋め戻し土砂の投入を機械により経済的に施工することが可能となっているのに、適切な積算を行えるような措置が講じられていなかったなどのため、百七十九工事の埋め戻し工費積算額が過大になっておりました。これについて指摘したところ、改善処置がとられたものであります。  その二は、国庫補助事業に係る道路用地取得事務処理に関するものであります。  補助事業で行う道路整備事業における道路用地取得に当たり、百五十八事業主体において、建設省の通知に定められている補償金支払い要件の確認が徹底されていなかったり、権利関係状況の把握が十分でなく、必要な手続が遅滞していたりなどしていたため、所有権移転の登記が未了のまま補償金支払いを完了していて、事務処理が適切を欠いておりました。これについて指摘したところ、改善処置がとられたものであります。  引き続きまして、平成六年度住宅金融公庫決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項四件であります。  これらはいずれも、優良分譲住宅購入資金貸し付けにおいて、住宅貸し付け目的外に使用されていたものであります。  次に、平成七年度住宅金融公庫決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三件であります。  これらはいずれも、優良分譲住宅購入資金市街地開発購入資金貸し付けにおいて、住宅貸し付け目的外に使用されていたものであります。  以上をもって、概要説明を終わります。
  6. 辻一彦

    辻主査 ただいまの会計検査院指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。亀井建設大臣
  7. 亀井静香

    亀井国務大臣 平成六年度決算における会計検査院の御指摘に対し建設省のとった措置について御説明いたします。  地方公共団体等が施行する国庫補助事業につきましては、その適正な執行を図るよう常に指導しているところでありますが、平成六年度の決算検査報告におきまして、工事施工設計と相違していたもの等九件について不当事項の御指摘を受ける事態を生じましたことは、まことに遺憾であります。  御指摘を受けました事項につきましては、国庫補助金等を返還させ、または事業目的を達成するよう手直し工事施工させる措置を講じたところであり、さらに指摘に係る補助事業者に対しては、関係法令遵守設計審査徹底施工の厳正な監督検査実施等になお一層努めるよう通達を発するなど、注意を喚起したところであります。  今後は、このような御指摘を受けることのないよう指導を一層徹底し、事業の適正かつ効率的な執行を図ってまいる所存であります。  引き続き、平成七年度決算における会計検査院の御指摘に対し建設省のとった措置について御説明申し上げます。  地方公共団体等が施行する国庫補助事業につきましては、その適正な執行を図るよう常に指導しているところでありますが、平成七年度の決算検査報告におきまして、工事費積算が過大となっていたもの等九件について不当事項の御指摘を受ける事態を生じましたことは、まことに遺憾であります。  御指摘を受けました事項につきましては、国庫補助金等を返還させ、または事業目的を達成するよう手直し工事施工させるなどの措置を講じたところであり、さらに指摘に係る補助事業者に対しては、関係法令遵守設計審査徹底施工の厳正な監督検査実施等になお一層努めるよう通達を発するなど、注意を喚起したところであります。  今後は、このような御指摘を受けることのないよう指導を一層徹底し、事業の適正かつ効率的な執行を図ってまいる所存であります。
  8. 辻一彦

  9. 高橋進

    高橋説明員 平成六年度の決算検査報告におきまして、優良分譲住宅購入資金貸し付けの四件について御指摘事態が生じたことは、まことに遺憾であります。  御指摘を受けました事項につきましては、いずれも貸付金の全部につき繰り上げ償還措置を講じたところであり、さらに、受託金融機関に対する貸し付け審査及び管理に関する指導監督をなお一層強化するよう注意喚起をいたしました。  今後はこのような御指摘を受けることのないよう、貸し付けの適正を図ってまいる所存であります。  また、平成七年度の決算検査報告におきましても、優良分譲住宅購入資金等貸し付けの三件について御指摘事態が生じたことは、まことに遺憾であります。  御指摘を受けました事項につきましては、いずれも貸付金の全部につき繰り上げ償還措置を講じたところであり、さらに、受託金融機関に対する貸し付け審査及び管理に関する指導監督をなお一層強化するよう注意喚起をいたしました。  今後はこのような御指摘を受けることのないよう、貸し付けの適正を図ってまいる所存であります。
  10. 辻一彦

    辻主査 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 辻一彦

    辻主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────    平成六年度建設省所管決算概要説明                建設省  建設省所管平成六年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、各会計別収納済歳入額は、一般会計三九五億三、六〇〇万円余、道路整備特別会計五兆六、六一四億四〇〇万円余、治水特別会計治水勘定二兆二、五〇二億七、五〇〇万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定三、二七四億九、六〇〇万円余、都市開発資金融通特別会計一、五七四億一、九〇〇万円余となっております。  次に、歳出につきましては、各会計別支出済歳出額は、一般会計八兆二、一二八億七〇〇万円余、道路整備特別会計五兆四、一二〇億三、八〇〇万円余、治水特別会計治水勘定二兆一、八三七億五〇〇万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定三、〇七一億二、一〇〇万円余、都市開発資金融通特別会計一、五六五億二、一〇〇万円余、大蔵省共管特定国有財産整備特別会計のうち建設省所掌分五四六億七、九〇〇万円余となっております。  以下、各事業について御説明申し上げます。  まず、治水事業につきましては、第八次治水事業五箇年計画の第三年度として、河川事業では、直轄河川改修事業百二十三河川中小河川改修事業七百六十河川について工事実施し、ダム事業では、直轄六十七ダム補助二百五十五ダム建設工事実施いたしました。また、砂防事業では、直轄三十四水系及び土地区補助三千八百二十九渓流及び九百九地区工事実施いたしました。  海岸事業では、第五次海岸事業五箇年計画の第四年度として、直轄十二海岸補助六百十二箇所の工事実施いたしました。  また、急傾斜地崩壊対策事業は、第三次急傾斜地崩壊対策事業五箇年計画の第二年度として、二千四百八十九地区について補助事業実施いたしました。  災害復旧等事業につきましては、直轄及び補助事業についてそれぞれ事業実施いたしました。  次に、道路整備事業につきましては、第十一次道路整備五箇年計画の第二年度として、一般道路事業では、一般国道及び地方道の新設及び改築三、三九八キロメートルを完成させたほか、特定交通安全施設等整備事業維持修繕事業等実施いたしました。  有料道路事業では、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団に対して出資等を行い、また、有料道路事業実施した地方公共団体等に対して資金の貸付けを行いました。  次に、都市計画事業につきまして、御説明申し上げます。  都市公園事業につきましては、第五次都市公園等整備五箇年計画の第四年度として、国営公園十六箇所、都市公園等千六百七十二箇所の施設整備等実施いたしました。  下水道事業につきましては、第七次下水道整備五箇年計画の第四年度として事業実施し、管渠四、九二二キロメートル、終末処理場施設二百六十二万人分を完成いたしました。  次に、市街地整備事業につきまして、御説明申し上げます。  市街地開発事業につきましては、二百七地区事業実施いたしました。  都市開発資金貸付事業につきましては、百六十二箇所の用地の買取り等に対し、資金の貸付けを行いました。  次に、住宅対策事業につきましては、第六期住宅建設五箇年計画の第四年度として、公営住宅四万五、五五九戸、特定優良賃貸住宅二万六、一八六戸、住宅金融公庫融資住宅九八万九、三六六戸、住宅都市整備公団住宅二万二七七戸のほか、農地所有者等賃貸住宅等建設を推進いたしました。  最後に、官庁営繕事業につきましては、合同庁舎等三百四十五箇所の工事実施いたしました。  以上が、平成六年度における建設省所管決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほどを、お願い申し上げます。     …………………………………    平成六年度決算建設省についての検査概要に関する主管局長説明                会計検査院  平成六年度建設省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項九件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項一件であります。  まず、不当事項について御説明いたします。  検査報告番号一九三号は、岩手県が実施した積雪寒冷地域道路事業におきまして、施工設計と相違していたため、スノーシェッドの受台が不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号一九四号は、宮城黒川富谷町が実施した道路改良事業におきまして、設計が適切でなかったため、橋台等が不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号一九五号は、千葉佐倉市が実施した緊急地方道路整備事業におきまして、買収した土地道路用地として使用されておらず、その目的を達していないものであります。  検査報告番号一九六号は、東京都新宿区が公営住宅家賃収入補助金交付申請に当たって、補助金交付額算定が適切でなかったため、補助金が過大に交付されているものであります。  検査報告番号一九七号は、新潟県が実施した小規模河川改修事業におきまして、施工設計と相違していたため、橋りょう上部工が不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号一九八号は、奈良県が実施した道路改良事業におきまして、施工設計と著しく相違していたため、橋台等が不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号一九九号は、島根県が実施した道路改良事業におきまして、施工設計と著しく相違していたため、モルタル吹付工が工事目的を達していないものであります。  検査報告番号二〇〇号は、高知県香美郡土佐山田町が実施した公園整備事業におきまして、設計が適切でなかったため、雨水管が不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号二〇一号は、長崎東彼杵東彼杵町が実施した道路改良事業におきまして、設計が適切でなかったため、ボックスカルバートが不安定な状態になっているものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について御説明いたします。  これは、国庫補助事業に係る食糧費の使用及び経理処理に関するものであります。  建設省では、道路事業河川事業、公営住宅建設事業等の公共事業実施する都道府県に対し、国庫補助金を交付しております。  これらの公共事業に係る国庫補助対象事業費には、工事費のほか事務費が含まれており、事務費は、国庫補助事業実施に直接必要な人件費、旅費、庁費及び工事雑費から構成されております。そして、この庁費の一部に食糧費が含まれておりまして、食糧費の使用範囲は、交付規則等によると、補償交渉等補助事業の遂行上特に必要な場合に限るとされております。  しかしながら、食糧費国庫補助事業補助目的に沿って適切に使用されているか、経理処理は適切に行われているかという観点から経理関係書類等に基づき調査したところ、食糧費の使用が国庫補助事業実施のために直接必要であるか否か判然としていなかったり、食糧費経理処理が明確でなかったりしている事態が見受けられ、改善の要があると認められました。  この点について当局の見解をただしましたところ、建設省では、七年十一月に都道府県に対して通達を発するなどして、 (1) 用地買収交渉等国庫補助事業実施のため特に必要な場合の地元関係者、学識経験者等との懇談会を除いて、原則として懇談会経費補助の対象としないこととするなど国庫補助の対象となる範囲を具体的に定め、 (2) 食糧費の使途内訳について、建設省審査・確認の徹底を図ることとし、 (3) 都道府県に対し、①国庫補助対象事業費と単独事業費の経理を区分する、②経理関係書類に目的、内容、出席者の範囲等を明示する、③都道府県の会計機関において的確な審査・確認を行うよう指導し、食糧費の使用及び経理処理を適切に行うよう処置を講じたものであります。  以上をもって概要説明を終わります。     ─────────────    平成六年度住宅金融公庫業務概況               住宅金融公庫  住宅金融公庫平成六年度の業務の計画と実績につきまして、御説明申し上げます。  貸付契約予定額は当初、住宅資金付け八兆五千四百四十七億六千七百万円、関連公共施設資金付け五十億円、宅地造成資金付け三千百三十四億三千三百万円、財移住宅資金付け三千億円、合計九兆一千六百三十二億円でありましたが、その後、資金需要の変動に伴い、貸付契約予定額を、住宅資金付け十六兆八千三百五十億二千八百万円、関連公共施設資金付け三億六千六百万円、宅地造成資金付け一千五百八十四億六千四百万円、財移住宅資金付け九百十一億七千六百万円、合計十七兆八百五十億三千四百万円に改定いたしたのでございます。  この貸付契約予定額に対しまして貸付契約の実績は、住宅資金付け十六兆八千三百八億三千二百六十五万円、関連公共施設資金付け三億六千三百二十万円、宅地造成資金付け一千五百八十四億六千四百万円、財移住宅資金付け九百一億七千三百七十万円、合計十七兆七百九十八億三千三百五十五万円となったのでございます。  資金の貸付予定額は当初、平成六年度貸付契約に係る分四兆九千三百六十一億二千八百万円、前年度までの貸付契約に係る分四兆六千七百二十四億三千七百万円を合わせた計九兆六千八十五億六千五百万円でありましたが、その後、前年度決算による改定等により、合計十四兆七千百十一億一千四百万円余に改められたのでございます。  この原資は、資金運用部資金の借入金十一兆五千四百八十五億円、簡易生命保険積立金の借入金五千九百十五億円、民間借入金三千五百七十五億円、財移住宅債券発行による収入九十一億六千八百万円余、住宅宅地債券発行による収入九百七億四千四百万円余のほか、貸付回収金等から二兆一千百三十七億円余をもって、これに充てることとしたのでございます。  この資金の貸付予定額に対しまして実績は、前年度までの貸付契約に係る分を含めまして、住宅資金付け十四兆三千九百十二億二千八百二十八万円、関連公共施設資金付け三十二億七百八十万円、宅地造成資金付け一千九百三十八億八千四百四十万円、財移住宅資金付け一千十四億九千二百二十四万円、合計十四兆六千八百九十八億一千二百七十二万円となったのでございます。この実績は、前年度に比べますと、三兆四千二百九十七億二千四百二十九万円、率にいたしまして、三〇・五%増となっております。  また、年度間に回収いたした額は五兆五千五十八億七百七十九万円余でありまして、前年度に比べますと、一兆二百士二億八千八十四万円余、率にいたしまして、二二・八%増となったのでございます。この結果、年度末貸付残高は六十四兆四千九百六十三億二千五百五十九万円余となりまして、前年度末に比較いたしますと、九兆一千八百四十一億九千八百九十万円余の増加となったのでございます。  貸付金の延滞状況につきましては、平成六年度末におきまして、弁済期限を六箇月以上経過した元金延滞額は三百八十億九千五十九万円余でありまして、このうち一年以上延滞のものは二百六十三億六千百五十七万円余でございました。  次に住宅融資保険業務につきましては、平成六年度におきまして金融機関との間に保険関係が成立する保険価格の総額を六千五百億円と予定し、この額の百分の九十に相当する五千八百五十億円を保険金額といたしましたが、保険関係が成立いたしたものは四千七百四十億七千八百二十二万円余でございました。  収入支出について申し上げますと、収入済額は、収入予算額三兆三千八百三十六億七千五百五万円に対し、三兆三千七百四十六億一千三百二十五万円余となりました。支出済額は、支出予算額三兆四千三百九十五億二千八百九十七万円余に対し、三兆三千百十四億八千百五十七万円余となり、支出より収入が、六百三十一億三千百六十八万円余多かったのでございます。  損益計算の結果につきましては、総利益三兆四千八百十四億二千九十三万円余、総損失三兆四千八百二十二億五千六百六十四万円余となり、差し引き八億三千五百七十一万円余の損失金を生じましたが、これは、住宅融資保険特別勘定の損失金によるものであります。  この住宅融資保険特別勘定の損失金は、住宅金融公庫法第二十六条の二第四項の規定により同勘定の積立金を取りくずして整理することとしました。  なお、平成六年度において、同法附則第十四項の規定により特別損失として整理した額は三百八十九億円でござます。  以上をもちまして、平成六年度の業務概況の御説明を終わらせていただきます。     …………………………………    平成六年度決算住宅金融公庫についての検    査の概要に関する主管局長説明                会計検査院  平成六年度住宅金融公庫決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項四件であります。  検査報告番号二〇二号から二〇五号までの四件は、優良分譲住宅購入資金の貸付けが不当と認められるものであります。  この資金貸付事業は、自ら居住するため住宅を必要とする者に対し、住宅の購入に必要な資金で、一般の金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接又は金融機関に委託して貸し付けるものでありますが、優良分譲住宅購入資金の貸付後の調査が十分でなかったため、貸付対象となった住宅が貸付け目的外に使用されていたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     ─────────────    平成七年度建設省所管決算概要説明                建 設 省  建設省所管平成七年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、各会計別収納済歳入額は、一般会計六七八億四、一〇〇万円余、道路整備特別会計六兆三、〇二七億二、一〇〇万円余、治水特別会計治水勘定一兆七、七六五億二、七〇〇万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定三、五五七億九、六〇〇万円余、都市開発資金融通特別会計三、一五四億六、四〇〇万円余となっております。  次に、歳出につきましては、各会計別支出済歳出額は、一般会計八兆三六三億七、一〇〇万円余、道路整備特別会計五兆八、九三二億八、一〇〇万円余、治水特別会計治水勘定一兆六、五五二億四、四〇〇万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定三、二二三億一、六〇〇万円余、都市開発資金融通特別会計二、八三九億一、五〇〇万円余、大蔵省共管特定国有財産整備特別会計のうち建設省所掌分四五七億八、〇〇〇万円余となっております。  以下、各事業について御説明申し上げます。  まず、治水事業につきましては、第八次治水事業五箇年計画の第四年度として、河川事業では、直轄河川改修事業百二十三河川中小河川改修事業七百六十二河川について工事実施し、ダム事業では、直轄七十ダム補助二百五十七ダム建設工事実施いたしました。また、砂防事業では、直轄三十四水系及び十一地区補助三千八百五十五渓流及び九百三地区工事実施いたしました。  海岸事業では、第五次海岸事業五箇年計画の最終年度として、直轄十二海岸補助五百五十七箇所の工事実施いたしました。  また、急傾斜地崩壊対策事業は、第三次急傾斜地崩壊対策事業五箇年計画の第三年度として、二千四百九十三地区について補助事業実施いたしました。  災害復旧等事業につきましては、直轄及び補助事業についてそれぞれ事業実施いたしました。  次に、道路整備事業につきましては、第十一次道路整備五箇年計画の第三年度として、一般道路事業では、一般国道及び地方道の新設及び改築四、一九一キロメートルを完成させたほか、特定交通安全施設等整備事業維持修繕事業等実施いたしました。  有料道路事業では、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団に対して出資等を行い、また、有料道路事業実施した地方公共団体等に対して資金の貸付けを行いました。  次に、都市計画事業につきまして御説明申し上げます。  都市公園事業につきましては、第五次都市公園等整備五箇年計画の最終年度として、国営公園十六箇所、都市公園等千八百四箇所の施設整備等実施いたしました。  下水道事業につきましては、第七次下水道整備五箇年計画の最終年度として事業実施し、管渠五、八六二キロメートル、終末処理場施設三百十四万人分を完成いたしました。  次に、市街地整備事業につきまして、御説明申し上げます。  市街地開発事業につきましては、百八十三地区事業実施いたしました。  都市開発資金貸付事業につきましては、百六十九箇所の用地の買取り等に対し、資金の貸付けを行いました。  次に、住宅対策事業につきましては、第六期住宅建設五箇年計画の最終年度として、公営住宅五万九六五戸、特定優良賃貸住宅三万九、四五四戸、住宅金融公庫融資住宅六三万七、二三六戸、住宅都市整備公団住宅二万一、七〇二戸のほか、農地所有者等賃貸住宅等建設を推進いたしました。  最後に、官庁営繕事業につきましては、合同庁舎等四百四十八箇所の工事実施いたしました。  以上が、平成七年度における建設省所管決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほどを、お願い申し上げます。     …………………………………    平成七年度決算建設省についての検査概要に関する主管局長説明                  会計検査院  平成七年度建設省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項九件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項二件であります。  まず、不当事項について御説明いたします。  検査報告番号二〇八号は、福島県が実施した道路改良事業におきまして、施工設計と著しく相違していたため、暗きょ工等が工事目的を達していないものであります。  検査報告番号二〇九号は、鳥取県が実施した道路改良事業におきまして、吹付法枠工の施工が著しく粗雑となっていたため工事目的を達していないものであります。  検査報告番号二一〇号は、広島県が実施した道路改良事業におきまして、設計が適切でなかったため橋台等が不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号二一一号は、山口県が実施した中小河川改修事業におきまして、連節ブロック張工費等の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二一二号は、高知県が実施した道路災害復旧事業におきまして、アンカー工の削孔費積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二一三号は、佐賀県鳥栖市が実施した都市公園整備事業におきまして、暗きょ排水管設置工費積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二一四号は、長崎長崎市が実施した道路改築事業におきまして、諸経費積算が過大となっていたため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二一五号は、大分県が公営住宅建設事業費補助金交付申請に当たって、補助金交付額算定が適切でなかったため、補助金が過大に交付されているものであります。  検査報告番号二一六号は、沖縄県平良市が公営住宅家賃収入補助金交付申請に当たって、補助金交付額算定が適切でなかったため、補助金が過大に交付されているものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について御説明いたします。  その一は、開削工法による下水道管布設工事における埋戻工費積算に関するものであります。  建設省では、下水道の整備を計画的に推進するため、下水道事業実施する事業主体に対し、毎年度多額の国庫補助金を交付しております。  事業主体実施した開削工法による下水道管布設工事における埋戻工費積算につきましては、溝の低面から布設した管の天端上三〇cmまでの管部分につきましては、管にき裂や横ずれ等が生じないよう人力による土砂の投入とし、管部分より上の部分につきましては、バックホウ等の機械による土砂の投入としておりました。  しかし、施工の実態等を調査しましたところ、埋戻しに使用されるバックホウについては、作業性能が向上し、管に衝撃を与えないように管の天端上の所定の高さまでバケットを下げて、土砂の投入が容易に行えるようになっていたり、管の両脇を土のうで固定したりなどして管の横ずれ等を防止する工法が採られていたり、一部の事業主体では管部分の土砂の投入を機械によることとして積算し、実際の施工機械により特に支障なく行っている状況でありました。  したがって、埋戻工における管部分の土砂の投入は、現場条件等に支障がある場合を除き機械によることとし、これにより積算すべきであると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、建設省では、八年十一月に都道府県に通達を発して、管部分の埋戻しの土砂の投入についても機械により行うよう処置を講じたものであります。  その二は、国庫補助事業に係る道路用地取得事務処理に関するものであります。  建設省では、道路交通の安全確保とその円滑化を図ることを目的として道路整備事業実施しており、道路建設のための用地取得を行う事業主体に対し、毎年度多額の国庫補助金を交付しております。  そして、公共用地取得の適正な事務処理を図るため、公共用地取得事務処理の適正化についての通知を都道府県知事等へ発し、補償金の支払に当たっては、土地所有権移転の登記の完了などの支払要件を確認することとしております。  しかし、補償金の支払の実態を調査したところ、所有権移転の登記が未了のまま補償金の支払を完了している事態が見受けられました。  これは、事業主体において、用地取得事務処理について適正化通知の趣旨が十分に理解されていないことに加え、事業主体が定めた登記前の支払を認める特例措置を安易に適用していたことなどによるものと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、建設省では、八年十一月に都道府県等に通達を発して、登記前の支払を認める特例は、土地区画整理法等による土地取得以外への適用を認めないこととするなどの国庫補助事業に係る用地取得事務処理を適切に行うための処置を講じたものであります。  以上をもって概要説明を終わります。     ─────────────    平成七年度住宅金融公庫業務概況                住宅金融公庫  住宅金融公庫平成七年度の業務の計画と実績につきまして、御説明申し上げます。  貸付契約予定額は当初、住宅資金付け九兆八千九億八千二百万円、関連公共施設資金付け五十億円、宅地造成資金付け三千百三十七億二千八百万円、財移住宅資金付け三千億円、合計十兆四千百九十七億一千万円でありましたが、その後、資金需要の変動に伴い、貸付契約予定額を、住宅資金付け十一兆二千五百七十三億六千百万円、関連公共施設資金付け二十一億七千四百万円、宅地造成資金付け八百七十七億七千五百万円、財移住宅資金付け四百七十三億五千七百万円、合計十一兆三千九百四十六億六千七百万円に改定いたしたのでございます。  この貸付契約予定額に対しまして貸付契約の実績は、住宅資金付け十一兆二千二百九億六千六百九十五万円、関連公共施設資金付け二十一億七千三百五十万円、宅地造成資金付け八百七十七億七千五百万円、財移住宅資金付け四百五十八億八百七十万円、合計十一兆三千五百六十七億二千四百十五万円となったのでございます。  資金の貸付予定額は当初、平成七年度貸付契約に係る分六兆一千二百六億三千万円、前年度までの貸付契約に係る分五兆四千百六十一億七千七百万円を合わせた計十一兆五千三百六十八億七百万円でありましたが、その後、前年度決算による改定等により、合計十二兆四千百二十九億五百万円余に改められたのでございます。  この原資は、資金運用部資金の借入金四兆六千九百億円、簡易生命保険積立金の借入金二千八百億円、民間借入金二千百八十五億円、財移住宅債券発行による収入二十六億九千九百万円、住宅宅地債券発行による収入九百五十九億三千五百万円のほか、貸付回収金等から七兆一千二百五十七億円余をもって、これに充てることとしたのでございます。  この資金の貸付予定額に対しまして実績は、前年度までの貸付契約に係る分を含めまして、住宅資金付け十二兆一千八百二十八億三千百十七万円一関連公共施設資金付け二十一億六千七百七十万円、宅地造成資金付け一千八十二億一千七百四十万円、財移住宅資金付け六百三十九億六万円、合計十二兆三千五百七十一億一千六百三十三万円となったのでございます。この実績は、前年度に比べますと、二兆三千三百二十六億九千六百三十九万円、率にいたしまして、一五・九%減となっております。  また、年度間に回収いたした額は、十二兆一千百七十五億八千四百六十六万円余でありまして、前年度に比べますと、六兆六千百十七億七千六百八十六万円余、率にいたしまして、一二〇・一%増となったのでございます。この結果、年度末貸付残高は、六十四兆七千三百六十二億四千九百九十七万円余となりまして、前年度末に比較いたしますと、二千三百九十九億二千四百三十七万円余の増加となったのでございます。  貸付金の延滞状況につきましては、平成七年度末におきまして、弁済期限を六箇月以上経過して延滞となっている貸付けの元金残高は、一千九百三十六億六千二百七万円余でありまして、このうち一年以上延滞のものは、八百七十五億一千二百五十万円余でございました。  次に、住宅融資保険業務につきましては、平成七年度におきまして金融機関との間に保険関係が成立する保険価額の総額を六千五百億円と予定し、この額の百分の九十に相当する五千八百五十億円を保険金額といたしましたが、保険関係が成立いたしたものは、四千七百七十三億九千四百十六万円余でございました。  収入支出について申し上げますと、収入済額は、収入予算額三兆六千四百二十七億三千六万円余に対し、三兆五千六百十六億六千三百四十万円余となりました。支出済額は、支出予算額三兆七千九百九十八億六千六百八十万円余に対し、三兆六千五百四十七億一千六百四十二万円余となり、収入より支出が、九百三十億五千三百一万円余多かったのでございます。  損益計算の結果につきましては、総利益三兆六千九百二十八億九千三百四十七万円余、総損失三兆六千九百四十一億四百九十三万円余となり、差し引き十二億一千百四十五万円余の損失金を生じましたが、これは住宅融資保険特別勘定の損失金によるものであります。  この住宅融資保険特別勘定の損失金は、住宅金融公庫法第二十六条の二第四項の規定により同勘定の積立金を取りくずして整理することとしました。  なお、平成七年度において、同法附則第十四項の規定により特別損失として整理した額は一千九十八億円でございます。  以上をもちまして、平成七年度の業務概況の御説明を終わらせていただきます。     …………………………………    平成七年度決算住宅金融公庫についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  平成七年度住宅金融公庫決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三件であります。  検査報告番号二一七号から二一九号までの三件は、優良分譲住宅購入資金等の貸付けが不当と認められるものであります。  これらの資金貸付事業は、自ら居住するため住宅を必要とする者に対し、住宅の購入に必要な資金で、一般の金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接又は金融機関に委託して貸し付けるものでありますが、貸付後の調査が十分でなかったなどのため、貸付対象となった住宅が貸付け目的外に使用されていたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  12. 辻一彦

    辻主査 以上をもちまして建設省所管住宅金融公庫説明は終わりました。
  13. 辻一彦

    辻主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。  また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いをいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鴨下一郎君。
  14. 鴨下一郎

    鴨下分科員 おはようございます。  第四分科会のトップバッターを務めさせていただきます新進党の鴨下一郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず初めに、今回の通常国会で河川法の一部が改正されましたが、その「目的」の中に「河川環境の整備と保全」を加え、地域の意向を反映した河川計画を導入、一つに、河川の持つ多様な自然環境や水辺空間に対する国民の要請の高まりにこたえるため、河川管理目的として、治水、利水に加え、河川環境、特に水質、景観、生態系等の整備と保全を位置づけるというふうに書かれているわけでございます。  今私の住んでいる足立区でございますが、足立区には幾つかの川がございます。その中で荒川がありますが、荒川の河川敷に、今、地域の住民がサッカーや野球やさまざまなスポーツなんかに多く使っている大きな空間があるのです。そこで非常に不便を感じているところは、付随して例えばトイレやシャワーなどの施設がなかなかつくりにくい、そして現実に、例えばサッカーの後にシャワーを浴びる施設ぐらいはせめて欲しいというようなことがございます。そのことについて、今回の法案改正の中の趣旨にのっとって、言ってみれば地域の方々の要請をどの程度許容できるのか、この辺についてお答えをいただきたいと思います。
  15. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 ただいま先生御指摘河川敷の利用の問題でございますが、これにつきましては、自由使用というのを原則にしておるわけでございますけれども、特別の公的な目的の利用につきましては、河川敷地占用許可準則に基づいて許可をいたしております。  そういう中で、今御指摘のトイレとかシャワーとか、そういう利便性を向上させる施設につきましては、これは洪水時等に撤去できる、洪水時には安全に流下をさせるということを保障できるというようないろいろなチェックは必要でございますが、そういうことの安全が図られるならば、そういうものの設置についても従前からも認めさせていただいているところでございます。
  16. 鴨下一郎

    鴨下分科員 それからもう一つですけれども、あそこは昔は熊谷堤と言いまして、五色桜が咲いていた場所だったのです。ところが、そこを広げて荒川放水路をつくったわけですけれども、その桜がポトマック・リバーに行って大変な日米親善に役に立っているというのは皆さん御存じの話なのですが、その中で、地域の方々の要望として、ぜひそういう桜並木を復活させたい、そのことを望んでいる方が多いわけです。例えばあの堤に桜を植えるというようなことが可能なのかどうか、このことをお答えいただきたいと思います。
  17. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 従前、堤防の上に木を植えますと、洪水時等、これは台風期と重なるわけですが、そういう木が倒れて大きな穴があいて、そこから堤防が壊れたというような事例がございまして、木を植えることを禁止をしてきたところであります。ところが、今先生御指摘のとおり、昔は堤防の上に桜がある、桜堤を形成しておる、そういう日本の風土を踏まえまして、堤防の定規断面を拡幅をいたしまして、その拡幅したところにはそういう木を植えることも可能、逆に、特にそういうことを進める施策も現在は講じておるところでございます。
  18. 鴨下一郎

    鴨下分科員 あそこはもともと大変な桜の名所でした。ところが、治水という目的ですべて切り払われて、言ってみれば、結果的には無味乾燥な土手になってしまった。このことを踏まえて、建設省の方もぜひこれから、例えば地域の景観という目的にかなうことでございますので、これから桜堤ができていくことについて御協力をいただきたい、このことをお願いを申し上げたいと思います。  それからもう一つ、やはり同じ地域なのですが、綾瀬川という川があります。この川は去年、水質の中で全国の二位になったのですが、それまではもうずっといわば悪名高い、水質汚濁の第一位、日本一汚い川と言われています。  汚い川というのですけれども、実際には、その川の周辺は大変高いかみそり堤防で境をされていますので、地域の住民の方々が実際の川を見るのは橋を渡るときにちょっと見る、この程度なのです。この川が、都市河川の最も特徴的な、水が汚い、かみそり堤防、そして地域の景観という意味では全く寄与していない、ある意味で迷惑施設であります。  それからもう一つ私が心配しているのは、万が一、例えば阪神・淡路規模の大震災が起きたときに、あの堤防が亀裂が入って、そもそもあの地域は海抜ゼロメーター地域ですので、潮が満ちてくると、そのときに周辺が水没してしまうのじゃないか。このことも含めて非常に心配している川なのですが、まず、綾瀬川という川に限定しまして、その川が今後どういうふうに、例えば防災上の問題点について今建設省は認識しているのか、このことをお答えをいただきたいと思います。
  19. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 綾瀬川につきましては、先生御指摘のとおり、もともと低平地でございますし、荒川と江戸川、具体的には中川との間に挟まれたようなところでございまして、まさに治水上一番処理のしにくい川の一つでございます。そして、その川の流域が大変都市化が進む。東京の足立区付近に限らず、上流の埼玉県側の方も都市化が進む。都市化に従って、同じ雨が降っても河川への流出は早くなり、ピークは大きくなる、そういう状況でございまして、非常に対応に苦慮している川というふうに考えております。  そして御指摘のとおり、水質の問題、そしてまた河川改修の仕方といたしまして、パラペット堤防と申しますか、コンクリートのそういう堤防で守らざるを得ない、そういう治水対策しか現状ではとれていない、そういう川で、まさに河川環境として好ましいものだというふうには私どもも考えてはおりません。
  20. 鴨下一郎

    鴨下分科員 まず具体的な話ですけれども、あの堤防はどの程度の地震に耐えられるようにできていて、例えば前回の阪神・淡路規模の大震災が起きたときに堤防に亀裂が入るというような、こういうようなことはないのでしょうか。
  21. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 堤防の耐震上の考え方につきましては、大きくは堤防の種類、土でつくった堤防か、ああいうコンクリートでつくった堤防かということによって大きく違うわけであります。  まず、土手の方で申しますと、これは非常に長い区間にわたってつくっておる構造物でございますし、また復旧が非常に早くできる、そういうこともございまして、地震力を考慮せずにつくっております。ところが、この綾瀬川のパラペット堤防のような構造物につきましては、これはなかなか復旧といいましてもすぐにはできないということで、標準的なコンクリート構造物の地震力を考慮に入れてつくっておるところでございます。  それで、阪神・淡路との関係でどうかと申しますと、阪神・淡路の大震災に際しまして、阪神地区のいろいろな堤防についても被害を受けました。被害の内容をずっと調査をしてみますと、大体液状化現象による被害でございまして、この液状化に対してどう対応していくかというのもこれまた大変大きな問題でございますが、コンクリート構造物が壊滅的に壊れたという被害は幸いにも受けなかったところでございます。  そういう中で、堤防の総点検を行いまして、標準的な地震に対して安全かどうかという確認を行ったところでございます。
  22. 鴨下一郎

    鴨下分科員 確認を行って、大丈夫だというような結論になったわけですか。あそこの地域は、綾瀬川の地域は、非常に地盤も軟弱で液状化が起こりやすい地域だというふうに言われている場所ですよね。その堤防の構造図として、こういうふうにくいを打って、その上に堤防を乗せているわけですけれども、こういうような形で、例えば全体的に液状化が起きたときに、一部は沈み、一部はそのまま、現状のままというようなことでの亀裂が起こって、そしてひびが入ったときには──満潮になってくるともうあそこら辺はいつも海の底なわけですよね。ですから、そういうことで、特別な、高潮、津波、それから例えば川の水の豪雨等によっての増量ではなくて、一般的な潮の干満によって水没してしまう、こういう地域なものですから、私はそういう意味で、堤防がどれほど強度を保てるものなのかというようなことについて非常に心配しているのです。  ですから、もう一度、大丈夫なんだったら大丈夫だというようなことをお答えいただきたいと思います。
  23. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 大丈夫かということで申しますと、堤防自体は、大きな地震に対しては破壊は免れ得ないというふうに考えております。しかし、今お話がございましたとおり、堤防の高さは洪水時の水位を対象につくっておりますので、少々破壊をいたしましても、満潮位、朔望平均の満潮位よりは高いところでとどまることが可能だというふうに考えております。  阪神・淡路の震災に際しましても、淀川の左岸堤防が破堤をいたしました。これは土手でございますが、この堤防破壊に際しましても、最大三メートルぐらい沈下をいたしましたが、幸い朔望平均の満潮位よりは高いところで破壊がとどまりましたので、海の水が大阪市内に流れ込むという事態は避けられたところでございます。  そういう意味合いで、この綾瀬川におきましても、堤防が破壊をされても、その破壊が壊滅的な被害に結びつくことがないという形で当面考えざるを得ないというふうに私ども考えております。
  24. 鴨下一郎

    鴨下分科員 それでは、もう一つの話として、例えば、万が一ですよ、万が一そういうような堤防が決壊したときに、この周辺の地域はどの程度の広がりで水害を受けるというふうなことでのシミュレーション等はございましょうか。
  25. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 当該流域、荒川と中川に挟まれたこの地域でございますが、ここで申しますと、十六平方キロメートルが浸水をするというふうに考えております。これは満潮位、朔望平均の満潮位よりも低い土地の面積でございまして、大体、地盤高から一番高いところで一メートル五十ぐらい、そういう深さになるわけでございますが、全体で十六平方キロメートル。うち足立区分だけで申しますと九平方キロメートルでございますので、いわゆる満潮時に水が入り得る、そういう可能性のある面積は足立区全体の一七%ぐらいになろうかというふうに考えております。
  26. 鴨下一郎

    鴨下分科員 いずれにしましても、残念ながらといいますか、海より低いところに我々は住んでいるものですから、何らかの形で堤防が破れたときには水が入ってくるのは、これは必然なわけです。せめてこの現状の中でさまざまな防災上の対策がとられるのだろうと思いますけれども、具体的にはどういうような対策をお考えになっているのか、このことについてお答えいただきたいと思います。
  27. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 この地域の洪水対策といたしまして、大きく二つの観点から進めております。  一つは、今議論が出ております高潮対策でございまして、まず海からの高潮をとめるということでございます。これにつきましては昭和四十年度から取り組んでおりまして、昭和四十四年には上平井水門が完成をいたしまして、一応海からの高潮をとめるという形は綾瀬川についてはでき上がっておるところでございます。  ただ、そうなりますと綾瀬川自体の高さがなければならないということで、堤防のかさ上げ工事を進めておりまして、このかさ上げにつきましても、先ほど先生お示しのそういう特殊堤防といいますか、自立式の特殊堤防でございますが、そういう堤防でほぼ概成をいたしております。ただ、まだ三カ所橋梁部分であいておりますので、この橋梁部分を閉めるといいますか、橋そのものを上げるということが大変大事だというふうに考えております。  これの高潮対策でございますが、まず高潮対策をして海からの海水あるいはそういう大きな川の水の流入をとめた上で、今度はその流域の中の水を処理をしていくということになるわけでございます。ここの綾瀬川につきましては、昭和五十四年度から総合治水特定河川というものに指定をいたしまして、まず河川の中での洪水対策と流域の中での洪水対策、すなわちいろいろな貯留施設をおつくりをいただくというような、そういう両面から事業を進めてきておるところでございます。  特に綾瀬川につきましては、上流部分で大きな川に排水をしていくということが大変重要でございます。そういう観点で綾瀬川放水路について工事を進めまして、平成四年度に暫定通水、一本通しまして、平成八年度に二本通しまして、二次を通しまして全面的な通水を行うとともに、八潮の排水機場を整備をいたしまして、ポンプで中川に排水をする、綾瀬川の水をできるだけ上流部分でより大きな川に排水をする、そういう事業を鋭意進めておるところでございます。
  28. 鴨下一郎

    鴨下分科員 余り綾瀬川のことばかり聞いていますと、地元のことだというようなことで言われてしまいますので、一般的な都市河川についての話として多少普遍化して伺いたいと思います。  綾瀬川に限ってのことではありませんけれども、あの周辺の川は非常に、かみそり堤防であったり、それから水質が悪い、それから潮の干満によって高潮等のいろいろな危険がある、それからもう一つ重要なことは、橋以外はもう地域がかなり分断されて、しかも塀が高いところで、城壁のように地域地域が分断されてしまっている、そういうようなことで、言ってみれば典型的な都市河川のさまざまな問題点を抱えている川だということで伺わせていただいたわけであります。今これ、東京都の中でも、江東区、江戸川区それから葛飾区、足立区の周辺ですね、人口でいえば東京都の約二割ぐらいは住んでいらっしゃるところが、現実には海の底なわけでありますよね。ですから、そういうようなことでいいますと、まず防災上の対策、それからもう一つは今度景観、水辺の環境をどう保つかというようなことも含めまして、局長は大変都市河川について御関心もおありで、なおかつ問題意識もお持ちだそうでございますので、そのことについて、今後都市河川をどうしていくのか、防災上の目的、またはアメニティーという意味も含めてお答えをいただきたいと思います。
  29. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 ただいま先生から御指摘いただきました点、昨年、平成八年の六月に河川審議会からいただきました提言の中で、川の三百六十五日を大事にしていこう、まさにこういう提言をいただいております。これが今回の河川法改正で、河川法の目的河川環境の整備と保全を入れていただいて、治水、利水、そして環境を三本柱として、そしてそれぞれが別個でなしに、一つの施策の中にその三つの機能が全部満足できるような、そういう形で河川整備を進めていきたいというのが私どもの願いでございます。  ただ、御指摘のとおり、この綾瀬川流域といいますか、そういう都市河川においてどういう形でそれを具体に実現できるかというのは大変難しい問題でございます。敗戦後、日本経済の復興という中で、まず、少々の雨では流域に水を入れない、人命を守るということを最優先に、できるだけ経済性の便益の出るような、そういう形での河川改修ということで進めてまいりました。その結果、今御指摘のように、東京都内もそうですし、大阪市内もそうであります、そういうコンクリートの構造物が町を分断するというような形になっております。これをどういう形で、そういう従前持っておる治水の機能をさらに充実をしながら、そういうアメニティーの効果といいますか効用も高めていくのかというのが大問題でございます。  そういう中で、河川の再生事業というのを平成七年度から始めております。これは二段河川にいたしまして、洪水流は今おっしゃいましたとおりある意味では邪魔者でございますので、そういうものは地下で処理をして、上の地表に出ておる川は昔の川らしい川にするというような事業も始めておりますが、ただ、これはなかなか進めにくい面もございます。要するに、都市サイドから河川をどのように見ていくのか、そこの議論が非常に大事ではないかなというふうに私は思っております。  今はいろいろな建物が川に背を向けて建っておるのが実情でございますが、川の方を向いていろいろな建物が建つ、そして川の空間が都市の皆さん方のいろいろな交流の場になる、あるいは水面自体をいろいろな形でお使いをいただく、そういうことがどんな形でやれば実現できるのか、これからも私ども十分検討してまいりたいと思っております。
  30. 鴨下一郎

    鴨下分科員 綾瀬川だけではありませんけれども、例えば隅田川にしても、多少堤防をいじって人が水に触れやすくすることによって、大変な公園、それから言ってみれば桜を含めた人のくつろぎの場になっていくわけであります。私は、これからの都市を考える上で最も重要な一つに、川をもう一度復権させるといいますか、今まで治水のために水を閉じ込めてしまったこの川をもう一度人との触れ合いの場にしていく、このことが重要なことなんだろうと思います。  地元の綾瀬川のことで申しますと、綾瀬というのは瀬があやなすという意味で、言ってみれば、川が幾重にもいろいろなところを勝手に流れたということの象徴の川なんですね。私たち子供のころには、あの川でカラスガイをとったり水泳をしたりというようなことで、本当に水と親しんできた懐かしい川なわけでありますけれども、ここ三十年ぐらいの間にたちまち、水は汚くなるわ、周囲からは見えなくなるわ、川がそこに存在していることすらも地域の方が御存じないような、こういうような事態になっていっているわけであります。もちろん高度成長の中で、洪水対策最優先、そして結果的に治水のために堤防がどんどん高くなる、それから同時に、地下水等のくみ上げによって地盤も沈下していって水面下にあるような町が多くなっていった、この二つの原因で結果的に川が住民から離れていってしまった、こういうことなんだろうと私は思います。  ただ、このままほっておくわけにはいかない。一つは、地震が来たときには大変なことになる、こういう論点と、もう一つは、今申し上げてきたように、もっと水辺を復権させなければいけない、この二点であります。時間もございませんので、大臣、一言で結構ですから、そのことについての御感想をいただきたいと思います。
  31. 亀井静香

    亀井国務大臣 鴨下委員から、非常に建設省自身が悩んでおる問題を直撃するような御質問をいただいておるわけであります。  簡単に申しますと、治水をきっちりとやり、都市計画をきっちりとやった上で人々が住みついていただくということであれば、何の問題もないわけでありますけれども、御承知のように、逆の中で河川行政を進めていかなければならぬわけであります。そういう意味では、さっきからおっしゃっておられますような、最近人間の命よりもムツゴロウの方が大事だという人もおるようでありますが、やはり人の命を守るということが、政治、行政の最低のこれは目的でありますから、河川行政においてそれを、特に大震災いつ来るかというような地域については、防災を最優先とは言いませんが、それをやりながら進めていかざるを得ない。  そういう意味では、それを徹底的に追求しますと、確保する過程におきましては、いわゆる環境の問題、美観の問題、そういうものが崩れていかざるを得ない、そういうことに建設省自身がある意味では悩みながらやっておることであると思います。  しかし、今度河川法の改正、新進党におかれましても賛成をしていただいたわけでありますが、環境に対して、そうした中でも人知の限りを尽くして徹底的に配慮していくというのが我々の覚悟でありまして、それをこういう河川法の改正という形で盛り込んだということも御理解いただいておると思います。  しかし、そうしていくためには、財政事情が厳しいからといって、公共事業を大根を切るようにばたばた切ってしまえといういわゆる荒っぽい政治をやってまいりますと、そういうところには手が届かなくならざるを得ないという面も出てこようかということを私は心配しておるわけでございます。御協力をお願いしたいと思います。
  32. 鴨下一郎

    鴨下分科員 これからは都市河川に重点を置いて建設省も取り組んでいただきたい、このことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  33. 辻一彦

    辻主査 これにて鴨下一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、前田武志君。
  34. 前田武志

    前田(武)分科員 太陽党の前田武志でございます。  きょうは、建設大臣も御出席いただいておりますので、限られた時間でございますが、幾つかの問題を地元の問題と関連づけて、できれば普遍的に、建設省の背負っておられる責任、その建設行政の中で特にある断面で問題意識を提起したい、こういうふうに思います。  もう少し申し上げれば、もちろん建設行政というのは国づくり、町づくりでございますから、その中で都市行政、都市計画、こういった面では、土地利用の高度化あるいは経済構造の変化に伴って町づくりというものがどういうふうにあるべきかということは、日々建設省においては研究されて生かしておられると思います。そういった町づくりの面から申し上げて、今の経済構造の変化、特に大規模店みたいなものがどういうふうに影響を与えてきているかというようなことを地元に即して若干議論をさせていただきたい、こういうふうに思います。  それからもう一点は財政構造改革会議、大臣ももちろんメンバーに入っておられるわけでございますが、この財政構造改革等を通じて公共事業基本計画なんかの問題がいろいろと議論もされております。そういったことと、建設省が責任を持っているインフラストラクチャー、社会の公共基盤というものの重要性、そこをどういうふうに調和させていくかといった問題、これをまた地元の道路の問題と関連づけて若干議論をしてみたいと思います。  それから、今鴨下議員が議論されていた、河川法を改正して環境の視点から河川行政というものも大いにこれから進めていこうということだろうと思いますが、そういった面において、ある意味では地元のそれぞれ河川の流域というのは、非常に特徴を持った、日本の文化の源流でもあるわけです。そこには当然、河川流域の自然特性といったようなものを背景にして、人がそこで河川の恩恵を受け今まで歴史を発展させてきた、そういった地元の特徴あるいろいろなものがあるわけでございますから、地元の資材、特徴ある産物、私はこの場合、特に日本は木の国でございますから、木材、森林、そういったものの利用といったようなことと関連づけて若干論じたい、こういうふうに思うわけでございます。  まず最初に都市計画の面でございますが、例のプラザ合意そして円高、日米構造協議といった中で、大店舗法というのが規制緩和されてきた。そこへもちろん我々自身もこの状況の中で、世界と同じグローバル化した経済の中で、なるべくグローバルスタンダードでやっていかなければ日本の経済というものが世界の中で伍していけないのではないかという一般論、そういったことでやっております。もちろん私は、この数年の間、特に建設省さんに対して叱吃激励しているのは、もっと土地の高度利用を図れ、そしてそのためには土地の税制なんというのは大蔵省の言いなりになるな。もう全く土地の取引なんというのはペナルティーみたいな税金がかかっておるじゃないか。これをもっと緩和しろ、あるいは撤廃しろ、手続的な税なんというのは手数料でいいわけでありますから。そしてまた、これをもっとセキュリタイゼーションして土地の高度利用というものを市場に乗せろ、金融・証券と同等の大きなグローバルな市場に出せ。そうするためには、土地利用の規制というものももっともっと緩和していかなければいけないのですね。  しかし、そういった経済論と、実際にはやはり自分たちの住む地域あるいは私たちの人生の舞台というのは、これはあくまでも我々の地元、地域になるわけでございますから、そこの町づくりというのが、自分たちの過ごしやすい生きがいのある人生の舞台になるような町づくりでなければならないわけです。したがって、土地利用というものについては、都市計画の面から地域計画の面からやはりきちっとした計画があり、その制約のもとに大いに自由経済、市場経済というものを享受できるような競争原理が働くようにしていくべきではないか、こういうふうに考えるわけであります。そこの調整が難しいのですね。  具体的に申しましょう。私の地元が奈良県の橿原市。奈良市が県庁所在地でありますが、これは奈良県の北の端に寄っております。そのちょうど奈良県のへそに当たるような都市が橿原市、これまた歴史発祥の地と言われているところですが、近鉄が東西南北にクロスし、そして国道二十四号線あるいは百六十九号線、あるいは百六十五号、百六十六号、あるいは百六十八号、そういったものがすべてここに集中してくる、まさしく交通のかなめなんですね。  そういったところで大店舗の進出がどんどん始まった。特に日米経済構造摩擦のときに、これは日本の経済構造を開放するといいますか、外国の大店舗も大いに入れますよという一つのモデルケースになって、外国の大スーパーが入ってきた、数年前のことでございますがね。  そのときには恐らく建設省は、都市計画の観点からこれに対してどういうことになるかというチェックをしたかどうか、私は若干疑わしく思っておるわけでございますが、結果はどういうことになったかというと、これは土曜日、日曜日、二十四号線がまだバイパス京奈和ができておりませんからもうとんでもない渋滞を引き起こすのですね。もちろんその後、大店舗がそのほかにも随分と立地をしてまいりました。そして結局すごい交通渋滞になって、奈良県の中南和、これは山岳地帯なんですが、そこから都市部に出てくる、その一番出てきた結節点が橿原市ですから、そこでもうすべて車が滞ってしまうというような惨状を呈しているわけですね。  さて、こういった実情を踏まえて、片一方でいわゆる大店舗法といったようなものは、規制緩和三カ年計画ですか、そういったものでさらにもう撤廃というような方向に行くのかというぐらいの議論になっているように聞いております。  もちろん規制緩和、活発な経済は重要でございます。しかし、あくまでもそういったことも、我々それぞれの個人そしてまた御家庭の人生の舞台である地域、町づくりそのものが安全な潤いのあるそういうものでなければいけない。特に大規模な商業施設、スーパーマーケット、百貨店あるいはショッピングモール、ショッピングセンター、そしてまたもっと人の集まるいろいろなものがこれからもどんどん出てくるでありましょう。そういった施設については、交通渋滞であったり環境面であったりあるいは町の空洞化であったり、いろいろな面、町づくりという面から都市計画の面からきちっとした評価をすべきである、こういうふうに考えるわけであります。  この面に関して、まず、建設省側はどういうような対応を今考えておられるか、お聞きをする次第です。
  35. 木下博夫

    ○木下政府委員 先生おっしゃられましたように、現在日本の都市問題は、防災とかあるいはゆとり等含めました環境問題あるいは活力という点で、そこそこ着実な発展はしていると私は思いますが、まだまだ足らないところがあると思います。  そういう中で二つばかり私どもは都市問題について今念頭に置いております。一つは既成市街地の再生問題ということでございまして、これは、東京都心のような大きなところでの都心居住問題あるいは地方都市の中心市街地の空洞化問題が該当すると思います。もう一つは、各都市ごとがかなり広域的な圏域を持つようになってまいると思いますが、その都市間ごとのいわば連携問題であろうかと思います。  お話もとに戻りますが、今、そういう都市問題の位置づけの中で、大店法等で国際的な要請もありましたことも事実でございますが、多くの大規模店舗が郊外に進出していくというのは、今私が申し上げた意味では第一の既成市街地の再生問題とも絡んでいると思いますが、そういう郊外型のいわば出店、これについて都市計画は何をやっているのかということであります。  基本的には、今の制度だけまず申し上げますと、各地域、都市計画区域ごとに一つのマスタープランを持っております。しかし、これは多少の都市ごとの差はございますけれども、基本的な町づくりの考え方等が記述されておりまして、個々の店舗の進出その他については、必ずしも全部それをカバーしてチェックするという形でございません。一方、各地区ごとには地区計画制度という手法などを持っておりますが、これも、今おっしやられた大規模店舗が郊外に進出する際のいろいろ交通量等の発生問題等について、それでは対応できるのかということにつきましても、正直申し上げて、まだまだ手法として十分でないことも承知しております。  私ども、ことしの後半におきましては、いわば地方都市の中心市街地問題の一環といたしまして、郊外の出店問題をあわせまして、それはおっしゃられたような交通問題も一番典型的でございますが、多くの都市問題を抱えておりますから、これに対してさらに制度的なものを含めて検討してまいりたい、こういう状況でございます。
  36. 前田武志

    前田(武)分科員 局長の答弁、率直に今の状況指摘されていると思います。マスタープラン、多分この改正都市計画法の十八条で各都市の基本計画をつくるということになっているのだろうと思うのですが、そのマスタープランの中で、こういった、それぞれの町に大きな影響を及ぼすような大型の施設、人をたくさん集めるような施設、あるいは交通形態がそれで変わるような施設、そういったものについては、どういうような形態であるべきかというガイドライン的なものを考えるべきではなかろうか、こういうふうに思うのですね。  今、局長のお話を聞いておりまして、もちろんその方向でやっていっていただきたいわけではありますが、まだとらえ方が都市と都市との連携といった、日本の都市計画というのは、ゾーニングにしても何にしてもきちっと決めますが、その中の施設計画あるいは街区全体の景観設計なんというのは、やっと最近特別のところにおいてなされるようになってきただけである。これだけ成熟した社会になってきたら、むしろ、自分たちの町が本当にその住む人たちにとって懐かしいふるさととして、人生の各ステージにおいて我が町だと言えるような、そういう町にいかにしていくかという観点から見れば、入ってくる施設によっては、そういう町のあり方というものを、中の構造をがらりと変えたり、よきものを寸断してしまったりするわけでありますから、そこは都市計画がもう少し責任を持たなければいけないと思うのです。  言ってみれば、私から見ると、多少厳しい言い方になるかもわかりませんが、そこは余りにも縦割り行政過ぎて、そういう中の商業、経済的なことについては通産省だとか、あるいは農業関係の施設については農水省だというようなことで、ある意味では、遠慮し過ぎているといいますか、やはり町づくりという、面的に、しかも非常に奥行きのある、一人一人の人生のあり方というようなところまで舞台を提供するようなものですから、もう少し積極的にやる必要がある、こう思うのですよ。  これは、ドイツだとかあるいはイギリスなども、都市計画において、そういういろいろな多くの人たちを集めたり交通が渋滞するような施設については、そこで規制というかある基準を示しているのですね。アメリカだってそうなんですよ。調べていただければおわかりいただけますが、地方自治レベル、市町村レベルなどにおいては、そういった考え方を都市計画の中に打ち出しているということを若干私も知っているわけであります。  この辺の問題については、都市計画についてはこのぐらいにいたしますが、大臣、何かこの議論で、御見解をお聞きいたします。
  37. 亀井静香

    亀井国務大臣 私の地元等含めて、委員御指摘のような共通の問題がまさに今起きておると思います。  外国との例で規制緩和だとかいろいろなことがよく言われるのですが、商店について考えてみれば、外国の場合は、商売をするためにそこに人が入っていって店を出す。日本の場合、住んでいる人が自然発生的に、相互扶助といいますか、分業といいますか、そういう形でいろいろな商売をずつと長い間続けておられる。そういう意味では、日本の商店の場合は、その地域社会にとっては、ぴたっと最初から存在しているという意味においては、そのコミュニティーにとって不可欠な血であり肉である存在であろう。それが今、御承知のように、そういう組織がぼろぼろと死んでしまっている。そうした組織が本当の意味で幸せなコミュニティーなのかということになると、私はやはりそうではないと思います。  ただ安ければいいという経済効率、あるいはそうした効率のみを求める風潮が非常に強いわけですけれども、値段が高い、安いという次元だけでその地域に住んでいる方の幸せ感があるのかというと、必ずしもそうではない。隣近所へ簡単に行ってばっと買い物ができる、そういう意味で、本当に生活に密着した利便性の問題、あるいは釣りに行って魚を釣ってきて、自分の家では手に合わなかったから、近所の魚屋さんに行って、ちゃちゃっとやってちょうだいよ、やりましようというような、そうした人間関係。そういうものを抜きにした、ただ効率性、安いというだけで世の中が進んでいくことを行政が助長していいのかという基本的な問題がある。  そういう意味で、建設省としては、そうした商店街等の中で車の置き場はどうするのかというような問題もありますね。また、そこの町の中に、外ではなくて町の中に人が土曜日曜にどう集まってこられるか、そのためにどういう施策が建設省としていいのかということを、現在も通産省と連携をしながら、抽象論ではしようがありませんが、先ほど言いました駐車場の問題等含めて、商店の活性化等について建設省としてやれることをいろいろメニューを考えてやっておるということを御承知をいただきたいと思います。
  38. 前田武志

    前田(武)分科員 大臣からこの考え方、自分たちの住むコミュニティーのあり方論というところでまさしく意見一致、意を強くしたわけでございますが、ぜひ建設省におかれましてもそういった意味から、要するに、経済というよりも、いかに自分たちの幸せないいコミュニティーがあるのかということが目的だろうと思いますので、その観点からの取り組みを期待します。  次に、道路の話でございますが、平成九年度、今年度で第十一次道路整備五カ年計画が完了するわけでございますが、話題になっております公共投資基本計画ですか、これを先延ばししよう、もちろん国の財政再建というものは喫緊の課題でございます。  さてそこで、道路問題、これはいろいろなところでいろいろなことを言われておりますが、意外と真実が国民に理解されていない面もあります。  道路なんというのは、日本の場合には出発したのが遅いわけでございます。いや、もちろん我が地元の大和、ここに高市先生もおられますが、歴史の発祥の地でありますから、その当時の上つ道、中つ道あるいは下つ道なんという奈良朝時代のそのころの道というものは、今でも姿を変えて活用されているのですね。しかし、日本の交通形態を歴史的に見ると、馬車時代がなかったということがあって、しかも明治以来は鉄道時代でありますから、本格的な車のための道路、車交通を前提にした道路ができ始めたのはまさしくここ数十年のことであります。したがって、物すごくおくれているわけですね。  しかし、実態の方は、経済社会、地元の地域あるいはコミュニティーもまさしくとっくに車社会になり、特に地方に行くほど、所得もそれほど都会に比べて高くないようなところでも、家族は、お父さんの作業車、お母さんの買い物も含めて軽四輪、そして娘さんや息子さんの通勤の車、一家に二台三台なんというのは当たり前の時代になっているのですね。そういう車がなければ成り立たないような御家庭の生活であり、通学、学業であり、あるいは通勤、お仕事であり、商売であり、すべての経済社会が車社会を前提に成り立っている。にもかかわらず、地方に行くほど整備が随分おくれているわけであります。  これは、ある意味では、やはり道路予算の配分というものがコストベネフィットという一つの原則で配分していくというところにもあるわけでありまして、車なんか余り要らぬというような大都会、代替交通が幾らでもあるのですけれども、コストベネフィットでいうとそちらの方がはるかに高い。したがって、大深度地下にまで、一キロ何千億というような事業費をかけてでもバイパスをつくらなければいかぬ。そんな大都会の一キロ、二キロ、その分を我々の地元に回していただいたら、これから指摘する我が奈良県の京奈和道路なんというのは、たちまちある区間ぐらいでき上がるわけですね。  そういったことを考えると、幹線道路体系というものは、早ければ早いほど国民生活の利便性が随分と確保される。もちろんこれも、道路局はどれだけ経済効果があるかというのははじいておられると思いますが、そういう経済効果の莫大なベネフィットだけでははかり知れないような地域社会の安定、発展、そして将来に対する可能性、若い人たちの将来に対する希望、あるいは年老いた人たちの充実したこれからの生活、そういったものが確保されるわけでございますから、少なくとも幹線道路等については、むしろ計画を前倒しして、それこそ徹底的に、早急にやるべしというのが私の考え方であります。  まず、この考え方についてちょっと大臣から。
  39. 亀井静香

    亀井国務大臣 私、基本的には全く賛成でありますし、来年度予算以降、公共事業に対する思い切った削減というような風潮も何かいろいろあるわけであります。削減は五原則で認めておるわけでありますからやむを得ないと私も思いますけれども、私は、社会資本整備、当面の飲んだり食ったり楽に生活することに金をつぎ込んで、そういうものから手を抜いていくということは、政治の基本のあり方からしてもやはり間違っている、このように思いますので、今、委員御指摘の特に道路整備につきましては、これはまさに、生活面また経済コストということを考えました場合、基本的な社会資本でございますから、おっしゃいますように、我々としては思い切って整備を今後とも進めてまいりたい。  そういう意味では、国幹審でこの間、九百八十二キロ整備計画に決めましたが、従来、二年半後に大体大臣の施行命令を出しておるわけでありますが、ことしは一年以内に、全部ではございませんけれども、重要度に従って出していく考え方でございます。  ただ、全体として非常に苦しくなってまいることは事実でありますから、委員御指摘用地費の比率の低いところを重点的に道路整備もやらざるを得ない、私はこのように考えております。  特に大都会を中心として、そこに住んでおる評論家とかいろいろな方々は道路整備はもういいとか言っている方が多いわけであります。別にそうだからというわけではございませんが、やはり用地費比率というのは一つのメルクマールにせざるを得ない、このように思っておりますし、また、委員のように御熱心に、社会資本整備は必要だ、このあたりはまだ整っていないぞとおっしゃる、そういう声は大事にしたい。一方では、公共事業はもういいというようなことを代表として言っておられる地域は、もういいのだなという判断をせざるを得ない。当たり前のことの方針でまいりたい、このように考えております。
  40. 前田武志

    前田(武)分科員 大臣も、公共事業全体についてはもちろん内閣としての方針を示される、しかし、その中でも重点的に道路ということで、非常に力強いお言葉でございました。もちろん、公共事業全般については、それぞれ、既にかなりピークを超えたものもあるのでしょうし、その辺はめり張りをつけて、ぜひ道路の整備にお取り組みをいただきたいと思います。  さて、道路局長に来ていただいておりますので、具体的に言えば京奈和道路と言われる、奈良県内では二十四号のバイパスに当たる道路です。  御承知のように、今、大阪湾ベイエリア構想というのが具体的に進んでおります。そして、かつては重工業主体であった大阪・関西経済圏というものが今必死に頑張って、ついに関西空港もできましたし、関西学研都市というのもどんどん新しいノウハウ、価値が生み出されている。しかし、そういう中で、阪神震災という、我々関西にとっては本当に悲劇が生起した。  この京奈和道路、これは言ってみれば、大阪を中心に考えると大体三十キロ圏前後のところをぐるつと大きく取り巻いている関西大環状、こういうふうにも言われる路線でございまして、明石海峡、そして第二名神などですか、さらにぐるつと回って、京都から奈良、そして五條、和歌山、こういうふうに至るわけであります。また、これは将来は、東海、南海道あるいは新太平洋国土軸で紀淡海峡を渡ってというふうな格好で、ぐるつと回るような構想になっているわけですね。  どうも、東京あたりから見ると余りぴんとこないかもわかりませんが、位置的にいうと東京の外環よりもまだ内部ぐらいのところを回っている道路ですから、こんなものは、本当に、少なくとも国の多極分散をまずは二眼レフにするという、言うならば、これは大臣の地元とも関係ある、大阪湾・瀬戸内海経済圏の一番大きな重要な環状道路になってくるわけでございますから、ぜひここについては大いに促進をしていただきたい。  これは、第十一次道路五カ年計画ができるころに、私も道路局と随分と協議をして、関空の関連の道路がピークを過ぎたから次はこれだということになっていたのですが、その後、阪神震災の悲劇があったために、その復興等で関西における道路関係の予算はかなりそちらにもとられたところは否めません。  しかし、それも一段落ついたわけでございますから、この京奈和道路を含む幹線道路、地元にはそのほか地域高規格道路も何本かありますし、百六十八号は直轄して代行も指定していただく、ぜひ道路局の積極的な取り組みをお聞きしたい、こう思います。
  41. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 京奈和自動車道は、先生がおっしゃられるとおり、高規格幹線道路の中でも、特に関西におきます大事な路線でございます。百二十キロの延長を持っておりますが、これが関西圏の外郭環状道路をなしているところでございます。  これまでの状況でございますが、平成九年度に新たに事業化しました紀北西道路を含めまして、全体の八割に相当する六カ所、百二十キロのうちの九十二キロ、これを全面事業化しております。既に、平成五年の三月、今度の五計でございましたが、京奈道路の十四キロ区間の供用を図ったところでございます。したがいまして、その残り、まだあるわけでございますが、これも早期供用を目指しまして、重点的に投資して事業を進めていきたいというふうに思っているところでございます。
  42. 前田武志

    前田(武)分科員 残り時間が少なくなってきたわけですが、同郷の高市議員の御好意によって、若干時間が食い込むかもわかりませんが、最後の質問をさせていただきます。  河川関係を例にとって若干の質疑をさせていただくわけでございますが、要するに、公共事業実施に当たって、地域の環境あるいは文化、そういったものに合った工法あるいは工事というものをやっていくべきではないかといったことを申し上げたいわけでございます。  特に、河川法を改正して、環境重視という姿勢を打ち出されたわけであります。  さて、日本の河川事業というのは、土木事業の一番の源流みたいなところがあるわけでございまして、武田信玄流の河川事業もありました。いずれにしろ、土木、土と木でございます。それは、もともと地元の資材を有効に使って事業をやってきたという経緯があるわけですね。これが、先ほど来同僚議員が議論していた水辺の復権であるとかそういったことにもつながる、ふるさとの川というものを取り戻すことにもなる。日本の河川事業は、明治以来、特にまた戦後、疲弊した国土の中で、何とか大洪水を防がないかぬということでやってきた。洪水を何とか排除しよう、あるいは守ろうというその機能一点張りでやってきたところに、ある意味では専門家に任せておけ、よらしむべし、知らしむべからずとまでは言いませんが、若干そういうところもあったと思うのですね。そういうものの反省の上に、まだそういう環境面もとらえてというのは非常に結構なことだと思います。  もともと河川事業というのは、その地域地域を防御していくというところからきておりますから、地域の特性というものを踏まえなければ当然計画も成り立たない、また、地域に受け入れられない、喜ばれないというところがあって、そこは、事業を通じて地域の特性というものは常に配慮してきた、また一方では必然性があったと思うのですね。  前提をちょっと長々申し上げましたが、実は最近、全国の六七%を占める、日本の国土の一番基本をなす森林、これが腐りかけているのですね。戦後植林したそういうものが、手がなくなってきておる。本来は、間伐をしていかなければ、間引いていかなければ、木がきちっと成長していい森にならない。かつてはそういう間引く木というものが建設あるいは土木に随分と活用されたものでございますが、そういう用途も今はなくなってしまっている。  そういう中で、建設省なんかも積極的に取り組んでいただいて、ウッドブロック、間伐材を用いる護岸工事ですね、あるいは防壁、そういったものに随分と使っていただけるようになってきているのですね。たしか河川局長のところで、通達ではないにしてもそういう指導をされたというふうに聞いておりまして、それが我が地元においても、実は私が大分陳情したわけでございますが、砂防工事なんかに随分と活用していただいている。  ちょっとその辺のところを簡単に御紹介をいただけますか。
  43. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 ただいま先生御指摘の間伐材を使っての工法といたしましては、例えば砂防ダムの型枠に間伐材をそのまま残して、埋め殺しといいますか、外から見ますと木製の砂防ダムができているように見えるというような使い方もいたしておりますし、できるだけ河川の護岸なんかも、もともとはそういう木を使っての枠工が主体であったわけでございますので、そういう旧来の工法をもう一度見直して現代に生かしていこう、こういうことでやっておるところでございます。
  44. 前田武志

    前田(武)分科員 実は、きのうの日曜日は我が地元では普請の日でありまして、すべて一家から必ず家族が出ていって、草刈りをやり、家の前の水路を整備し、こういう日なんですね。これは奈良県だけなのか、ほかにも、多分日は違ってもやっているはずですね。これは何からきているかというと、要するに、田植えの前に水利を、みんなでみずから水路をきちっと整備するというところからきているのですね。  私は、実は東京のど真ん中で、かなり最近まで水利組合があったのを承知しているんですが、これは地方都市クラスになれば、どの都市でも、ちょっとその都市の一番表面をはがせば、もちろん排水は都市下水だとか一生懸命やっているんですが、そのほとんどは実はかつての農業排水路なんですね。  ということは、利水、治水、そういった水利のマネジメントというものがいかに日本の面的な地域社会の骨格にあるかということでありまして、そういう意味で私は河川行政というもの、治水というものの重要性というものは、単に洪水あるいはそういう大河川にとどまらず町づくりの中にまで、それは機能分担で下水道というだけにとどまらず、町づくりの中に今も実は根づいておりますし、これからも重要なんだろうと思います。  ちょっと話がそれましたが、そういったことも含めまして、実は建設省には、もともとこういった間伐材であったり、その地域の石材であったり、土であったり、そういうものを活用していこうという伝統があるわけでございまして、かつて私は全木連の会長なんかと随分道路局を回って、消音壁に間伐材を使えというようなことをお願いして、今の梶原岐阜県知事が時の道路局の次長さんで、非常に熱心に取り組んでいただいて、道路公団のどこかでこれを活用していただいたという事実もあったのですね。  ここに林野庁からも来ているはずでございますが、もう時間がありませんので聞いておいていただきたいのですが、ここもまた縦割り行政になって、建設省は何もその責任は持っていませんから、しょっちゅう林野庁なりからそういう要請をする、そして木の、間伐材なんかを含めてそういう土地の資材の活用というものについて蓄積していく、継承していく、そういうふうにしていかないと、熱心な担当者がかわるとまた切れるというようなことにもなりかねない。  そんなことで、最後にちょっと官房長に、ひとつ林野庁、各省調整も含めて、大いにこれから、一応材料の例として間伐材ということにいたしますが、土地土地の個性あるものを、資源を活用していく、そういう公共事業を目指していただきたいという観点からお答えをいただきます。
  45. 小野邦久

    小野(邦)政府委員 先生御指摘のとおり、日本は木の国、水の国ということで、木を利用したいろいろな事業というものも従来にまして今後大変大事な課題になってくるわけでございます。  御指摘のとおり、河川事業、砂防工事、小規模ダムだけじゃなくて、道路事業等につきましても、防音壁、これは中国縦貫で利用した例もあるわけでございます。そういうものも、林野庁とも十分連携をとりながら、より以上に今後とも利用していくという方向で事業を進めてまいりたいと思っております。
  46. 前田武志

    前田(武)分科員 ありがとうございました。
  47. 辻一彦

    辻主査 これにて前田武志君の質疑は終了いたしました。  次に、高市早苗君。
  48. 高市早苗

    高市分科員 自由民主党の高市早苗でございます。  前田代議士に続いて奈良県民なんでございますけれども、恐縮ですが、前半は地元奈良県の継続事業も含めて河川事業についてお伺いしたいと思います。  先般、河川法改正を審議いたしましたけれども、河川事業推進によって国民の生命と財産を守るという国家の責務を着実に果たすと同時に、環境への配慮も行っていく、これが今後の建設行政の課題だと考えているわけでございます。  奈良県の大和川流域には、県人口の九割、それから資産の八割が集中しておりますが、河川事業のおくれがたびたびの浸水被害と慢性的な水質悪化を招いております。  昭和五十七年八月に、奈良盆地を中心に一万戸以上が浸水する洪水があり、これを契機に流域二十五市町村、県、建設省は、十年計画であります大和川流域整備計画を策定し、治水対策、流域対策、こういったものを行ってまいりましたけれども、十年たった現在、進捗率は五〇%であります。そして、平成七年七月の洪水で、またもや千六百戸が浸水をいたしました。  そこで、内水問題やそれから大和川の出口に位置します狭窄部、亀の瀬の地すべり対策事業、これは直轄なんですが、これも含めて事業費の大幅な増額が必要な状況でございます。あわせて環境面でも、水質汚濁では全国トップ級の汚い川でありますので、清流ルネッサンス計画に基づく水質改善対策事業費の増額もあわせて求められております。  以上、大和川流域の安全と環境のための事業費について、今後の見通し等、河川局長にお願いをいたします。
  49. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、大和川の治水対策、これは大変難しい課題でございます。大和川はちょうど大和盆地の水を全部集めてきまして、御指摘の亀の瀬のところで大阪の方へ、堺の方へ流れていくということで、その亀の瀬のところは全国でも有数の地すべりでございまして、かつて、昭和の初めにはこれが落ちまして、当時大動脈でございました関西本線が一年間にわたってとまるというようなこともございました。そして、そこのところを通らないと海に流れていかないということで、王寺のあたり、いつも洪水被害を受けている、まさに御指摘のとおりでございます。  そういう中で、奈良県の北部、大和川の北部河川を対象にいたしまして、総合治水対策ということを進めてまいっております。これは、川の中の整備とあわせまして流域での治水対策、両方相まって治水の実を上げよう、こういうものでございますが、御承知のとおり、大和盆地は大変ため池が多いわけでございまして、そういうため池を利用をする、ため池の堤防をかさ上げをして治水機能を持たそうということで、既に事業に取りかかりましてから百六十六万立方メートルの工事対策用の容量を確保いたしておりますし、河川事業そのものとしても調整池事業を進めておりまして、三百七十三万立方メートルの容量を確保いたしておるところでございます。  そういう意味合いで、調整池そのものの事業は七〇%ぐらいの進捗まで来ておりますが、御指摘のとおり、河道部分につきましては約半分、五〇%ぐらいにとどまっているというのが残念ながら実態でございます。ため池の利用の方も、先ほど申しました数字は全体で考えておる数字の大体三分の一程度ということでございまして、なかなか当初の予定どおりは進んできていないというのが実態でございます。  それから、亀の瀬の地すべりをとめるためには、これは直径六メートルを超えるそういう大口径のコンクリートの柱をずっと、地下大体百メートルぐらいまで埋めて、そして物理的に地すべりをとめるとともに、排水をする、排水施設をつくってその地すべりの動きをとめるという工事にかかっております。これも現在非常に力を入れてやってきておりまして、徐々にではありますが、効果が出てきておるというふうに考えております。  そしてまた、水質の方につきましても、残念ながら平成七年はワーストナンバーワンということで、先ほど議論がございました綾瀬川を抜いて、残念ながら全国最悪になったわけでありますが、これも清流ルネッサンス21ということで、平成六年の十一月十八日に大阪府と奈良県、そして流域の三十八の市町村がお入りになりました協議会で対策を決めてやっていこう、そういう効果がこれから出てくるのではないかなというふうに考えておるところでございます。
  50. 高市早苗

    高市分科員 かなりおくれているということで御認識いただいているのですけれども、ただ、これ以上また洪水が起こって被害が出てくるということではどうしようもありませんので、具体的に、どうでしょう、もう洪水の被害に関しては問題ないと言われるぐらいのところまでの進捗というのはいつごろがめどなんでしょうか。
  51. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 残念ながら、現時点においていつまでにこの総合治水対策が終わるということが言えるところまで進んでいないというのは大変残念に思いますが、全国の治水事業につきましては、同種同規模の河川は同じような治水の安全度を備えるべきだ、こういう大東判決を受けて、整備を進めておるわけでございます。そういう中で、この大和川につきましても全力を挙げていきたいと考えております。
  52. 高市早苗

    高市分科員 ぜひよろしくお願いいたします。  次に、紀ノ川流域の住民の生命にかかわります大滝ダム事業についてお伺いしたいと思います。  伊勢湾台風によって紀ノ川のはんらん、これ以来、近くは平成二年、六年と重なる水害に遭っております。一方で、平成二年、六年、七年、八年と恒常化しておりまする水にも苦しんでおります。水害と渇水の両方を解消できると県民が期待する大滝ダムなんですけれども、これも何とか平成十一年度完成に向けて来年度も特段の応援をいただかなければいかぬわけですけれども、これもあわせて建設省の御見解をということでお願いいたします。
  53. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 大滝ダムでございますが、これは実施計画調査に入りましたのは昭和三十七年でございまして、建設段階に上がったのは四十年でございます。  その後なかなか地元の御了解を得られないという中で、先ほど先生御指摘の治水上の必要性、そして大和盆地全体、これは紀ノ川の流域を超えて流域外分水になりますが、この大和盆地での利水上の必要性というものを粘り強く御説明をする中で地元の御了解を得られて、現在鋭意事業を進めておるというのが現状でございます。昨年の十一月にコンクリートの打設を開始をいたしたところでございます。  今お話ございましたとおり、平成十一年度にはダム本体のコンクリートの打設を完了させたい、そういうことを目標に、現在、必要な予算の確保をしつつ、特に、この地域でいろいろな猛禽類等も生存確認をされておるわけでございますが、そういう環境面にも配慮しつつ、全力を挙げて事業の推進を図っておるというのが現状でございます。
  54. 高市早苗

    高市分科員 大和川とかそれから紀ノ川などのように現在でも流域の住民が水害に苦しんでいる、こういった河川が全国に一体何カ所あり、それで、これを解消するための対策に今後どれほどの国費の投入が必要なのか、大体、概算で結構なんですが、お伺いいたします。
  55. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 現在、我が国には一級水系が百九水系ございます。二級水系が約二千七百ございます。合計二千八百の水系があるわけでございますが、この水系すべてに水害の危険性は内包をしておるところでございます。そういう意味では、全国の川、どこでも水害が起こり得るというのが実態でございます。  それで、それの対応の仕方、先ほど申しましたが、同種同規模の河川を同じような治水の安全度を確保する、そういうことを目標に、ちょうどかんなをかけるように順次治水の安全度の向上を図ってきておるところでございます。  もちろん、非常に激甚の災害を受けた河川につきましては、特別に、いわゆる激特事業と呼んでおりますが、五カ年でそれと同じ規模の災害が起こっても安全なようにしよう、そういうスキームも設けてございますが、基本的には、全国の河川を同種同規模なものは同じような安全度を持つということを目標に整備を進めている。  そして、残念ながら、水害は天然現象でございますので、どういう順番で水害が起こってくるかわかればそれに見合ってやれるわけですが、それができない。そういう状況の中では、同種同規模の川は同じような安全度を持ってやる必要があるということで考えております。  そして、当面の整備目標でございます時間雨量五十ミリ対応、これを対象に考えましても、今後、少なくとも、今申しましたすべての水系で約百兆円の事業費を要するというふうに考えております。
  56. 高市早苗

    高市分科員 この間から建設委員会河川法改正の審議をしたのですけれども、国家財政の厳しさとか環境問題から、かなり河川事業の推進に否定的な意見を言われる委員がおられました。さっき亀井大臣おっしゃったように、否定的な意見を言う委員のところには予算は要らぬのかなと思いましたけれども、それにしましても、私は、河川事業を怠ることによって河川のはんらんが起きると、結局、国費を節約したつもりでもそれ以上の大きな損失が出てくるのじゃないかな、こんなことをいつも感じます。  尾田局長には、過去の河川はんらんによる経済的損失の例でわかりやすい数字があれば、お示し願いたいと思います。  亀井大臣の方には、今までの議論を踏まえて、今後の河川事業への御決意もあわせてお伺いいたします。
  57. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 それでは、まず私の方から、経済的な損失の事例についてお話をいたしたいと思います。  戦後、昭和二十二年、これはカスリン台風が主体でございます。そして二十八年、これは西日本の水害でございます。三十四年には伊勢湾というような、主として台風による水害が相続きまして、こういう年度におきます被害額は、それぞれ当時のGNPの一割を超える、あるいは一割近辺まで行くという、そういう大被害を受けたところでございます。  特に、昭和二十二年のカスリン台風について申しますと、これを、現時点において起こった場合にどういう経済的な損失があるか、これも直接被害だけでございますが想定をいたしますと、同じように栗橋のところで破堤をしたという想定でございますが、十五兆円という額を見込んでおります。浸水面積そのものも、当時は四百四十平方キロでございましたが、五百五十五平方キロまでふえる。これは、主として地盤沈下によりまして相対的に地盤が下がっておりますので浸水面積もふえる、そういうこと。この地域における経済活動が集積をしたということで、そういうふうに見積もっておるところでございます。  そしてまた、先ほど来議論がございました綾瀬川の事例で申しますと、平成八年に放水路が完成をして、そしてポンプ場も完成をいたしました。この効果といたしまして、平成八年の九月に、この施設が完成したすぐ後でございますが、集中豪雨が起こりました。  これを、従前この地域はそういう施設がない状態でのはんらんを繰り返しておりますので、そういうものをベースに試算をいたしてみますと、約一万戸、千六百ヘクタールの浸水が想定をされるところでございます。被害額にしまして、これも本当に直接被害だけで百五十億円の被害があっただろうと見込んでおります。  このほか、ダムにつきましても、早明浦ダム、玉川ダムと完成した直後に非常に大きな雨が降りまして、この完成によって下流の被害が免れたという事例も多くございますし、また砂防事業についても同様でございます。  そういう意味合いで、治水事業については、一年、二年のおくれということが致命的になるという場合も多々あるというのが実情でございます。
  58. 亀井静香

    亀井国務大臣 高市委員も御熱心に御議論いただきました河川法の改正の議論の中でもございましたけれども、どうも河川に対するとらえ方というのが、母なる恵みの大河という、そうした面が人間との関係にあることは間違いないと思います。しかし、そうした川も時によっては荒れ狂う、ヒステリー女性とは言いませんが、手のつけられない状況に突如として変わるということもあるわけであります。我々は、経験則によってこれを知っておるわけであります。  我々としては、人命をいかに守るかということが政治、行政の基本であります。ともすれば、日本人の国民性だと思うのですけれども、台風一過ということがよくありますが、台風一過、晴れちゃいますと、もうけろっとしてしまう。これもいいわけでありますけれども、災害が通り過ぎたら忘れて、そういう予算は削れ削れというような、国会議員ですらそういう大合唱をやる現在の日本であります。我々は、それに絶対に安易に流されてはならない、このように思っておるわけでございます。  これにつきましては、それぞれの地域、建設省の地建も出張って、市町村と都道府県ともそういう問題について、常時治水という観点、利水という観点から検討させていただいておりますが、何よりもその地域から代議士あるいは国会議員が選ばれておるわけでありますから、そういう方々もその地域に責任を持つという意味において、この治山治水、利水をどうするかという議論をしていただく、そうした中で建設行政は進めていかなければならない、このように考えております。  高市委員のように非常に熱心に、地元のこと中心がちょっと多いようでありますが、地元のことを含めて、そうした整備の重要性を説いておられることは、しっかりと私ども胸にたたき込んで具体的な行政をやらせていただくつもりでございます。
  59. 高市早苗

    高市分科員 河川の問題は以上にいたしまして、引き続き地元奈良県の事業を中心に、交通の問題をお伺いしたいと思います。  JR奈良駅周辺では、鉄道が平面であることで市街地が分断されておりまして、円滑な交通が確保できないことが良好な町づくりと奈良市都心部の発展軸を阻害しているという状況でございます。一方、鉄道を横断している道路の方は、踏切部の交通遮断、そして変則交差点による交通混雑が激しく、危険箇所も多くなってきております。  そこで、JR桜井線とJR関西線を連続して立体化することにより、踏切遮断による交通渋滞や踏切事故を解消し、また踏切の除去による交差道路の拡幅や変則交差点の解消、こういったことで幹線道路ネットワークの機能強化、これも図れると思います。同時に、鉄道による市街地分断を解消することで、周辺市街地土地利用の高度化が図れます。また、国際文化観光都市、県都奈良市の玄関口にふさわしいものをつくるというのは、奈良県民の夢でもあると思います。  こういったことから、JR奈良駅付近の連続立体交差事業、これは平成七年度に新規事業として採択をしていただいたところで、県も事業推進に全力を挙げておりますけれども、建設省として、これまでの経緯の中に当事業に困難な点があるとしたら、それは何だと思われたか、また事業費の確保も含めて今後の見通しをお伺いしたいと思います。
  60. 木下博夫

    ○木下政府委員 今、連続立体交差化事業についての御趣旨は先生の方から十分お話しいただいておりますので、繰り返すまでもないと思いますけれども、おっしゃるとおり、我が国の都市のあり方の中には、どうもその都度その都度で一つずつの事業が行われている傾向がありまして、そういう意味では過去のことを問うても仕方がありませんけれども、ぜひ我々としてはしっかりとした計画立った事業を行っていかなければいけないと基本的に思っております。  御質問のございました連続立体は、当然、お話ございましたように、渋滞解消とかあるいは踏切におきます事故防止、あるいは鉄道によって町を分断しているということを解消していくためには、我々大変有力な事業であろうと思っておりますが、残念ながら、一方では大変費用のかかるものでもございますし、全国からいろいろ御要請いただいておりまして、どちらかといえば事業に対する要望と予算との間に多少のギャップがあることは、我々担当者としては心苦しいところでございます。  また、あわせて、実はこの事業の御認識をぜひ各界にいただかなければいけないのは、道路予算を使っておるということでございます。総体的な事業の中では八割から九割ぐらい、圧倒的に、いわば踏切を解消するという鉄道を高架にするだけですと、九割何分までが道路事業で行われているということが意外と世間に知られておりません。我々のPRも足らないところがあろうかと思います。  そういう意味では、我々これからも、この事業をいかに効率的にやっていくかということでは、各界の御理解なり御協力をいただかなければいけないと思っております。  お話のございました奈良駅周辺につきましては三・五キロ、関西本線分が二・二キロ、それから桜井線分が一・三キロ、これは先生御承知でございますが、これによって六カ所の踏切が解消されるわけでありますが、単に鉄道を高架にするだけでは意味がないわけであります。現在、その周辺におきまして二つの区画整理、一つは奈良駅周辺で約二十ヘクタールでございますが、これは六十三年度から既に着工しておりまして約六割、それから今後、ことしの秋にかけて、もう一つ奈良駅の南の土地区画整理というのもやってまいりたいと思っております。こういうことで、町とそういう鉄道を含めた交通機関の整備とが一体的になるべきだと思っております。  今回、事業についての困難な問題とお話ございましたが、一つは、鉄道高架についてはいろいろ御理解いただいていると思いますが、周辺のそうした町づくりといいますか、面整備をあわせてやることについて、多少地元の御理解をいただくために手間取っておりましたが、お話ございましたように、七年度に採択をいたしまして、九年、ことしの二月に都市計画決定ということで、一応私どもとしてはそれなりの進みをしていると思いますし、秋、これは具体的には十一月ごろを念頭に置いておりますが、都市計画事業認可もできるのではなかろうかと見込んでおりますから、そうなれば、後は具体の用地買収を初めとして積極的な事業展開をしたいと思います。  考えますと、ことしのたしか正月早々に大臣室の方へも御要請をいただいて、大臣のもとでこの話も私聞いておりますので、担当のレベルでもこの事業に対しての意気込みをさらに高めてやってまいりたい、こう思っております。
  61. 高市早苗

    高市分科員 ありがとうございます。秋の事業認可を楽しみに、またこれからもみんなで頑張りたいと思います。  さて、今度は奈良県の中和地域、私の選挙区よりはかなり南の方なのですが、ここは大阪都市圏のベッドタウン化によって人口の増加、それから地域開発の進展で年々交通量が増大しております。主要道路では交通混雑がかなり激しく、日常生活それから地域の産業にも影響が出てきております。そこで、東西の幹線軸となります中和幹線の整備促進、これが期待されているのです。  この中和地域を東西に横断する中和幹線が整備されますと、市街地の交通安全性の向上はもちろんですけれども、沿道の桜井市、橿原市、それから大和高田市、広陵町、香芝市、この辺の連携が強化されまして、各拠点地区でまた開発事業を連携していくことで、広域的な地域集積圏、これが形成されると思います。  また、西名阪自動車道、それから先ほど前田代議士の質問にも出ました京奈和自動車道、こういったものと連絡しますと、奈良県中和地域と大阪府、三重県、京都府、和歌山県、かなり大きな連携が可能になってくるのです。  以上の効果を現実のものとするために、どうしても中和幹線整備促進のための予算重点配分ということも必要になります。あと、京奈和自動車道、さっき前田代議士は一般的な御質問でしたが、特に郡山インターチェンジから南の三十五・一キロ、これは事業化されているところですが、この部分の早期完成、こういったものが伴わないと結果的には問題が解消しないと思いますので、中和幹線とそれから京奈和自動車道、あわせてお伺いいたします。
  62. 木下博夫

    ○木下政府委員 私の方から中和幹線についてお答えして、その後に、道路局長の方から後半の部分をお話ししたいと思います。  お話がございましたように、中和幹線道路につきましては、桜井、橿原、大和高田、香芝、この四つの市を東西に貫く、二十キロを要する幹線でございまして、既に平成六年には第一回の地域高規格道路の計画路線あるいは候補路線ということで指定を受けているわけであります。  それぞれ各区間は、県あるいは地元、市で事業化をしていただいておりまして、昭和五十三年から事業着手しておりますから、それぞれ区間ごとに若干着手時期は違っておりますけれども、いささか進行が遅いじゃないかという御指摘があろうかと思いますが、精いっぱいこれは頑張っていきたいと思います。特に今年度からは、大和高田の一・二キロ、それから桜井市の二・五キロにつきましても、地域高規格幹線道路の整備区間として桜井の二・五キロについては指定をいたしまして、今年度から新たな事業着手をするということで、それぞれの区間ごとの事情は多少差はございますけれども、道路でございますから、全部が通って一つの効果があろうということで、この二十キロについては力を入れてやっております。  今お話がございましたように、地元ではいろいろ各種の地場産業も発展しておるようでございますし、先ほどお話がございましたように、関西圏という意味では通勤等のルートとしても、あるいは国のまほろばとしての奈良という中での中央部でございますので、そういう意味では観光客も当然イメージされた道路整備もあろうかと思いますので、そういうことからいきましても、地域にとっての大変重要な動脈であろうという認識を持っておりますので、しっかりやらせていただきたいと思います。
  63. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 京奈和自動車道でございますが、御指摘の郡山インターから南の三十五・一キロ区間でございます。この間は二つの道路で区分して事業を進めております。  一つは、大和御所道路でございます。この間の中でも、特に大和郡山市の伊豆七条町、それから五條市の居博町に至ります区間、この間につきましては、現在用地買収を進めるとともに、本線の工事平成九年度から始める予定でございます。今まで本線区間の工事はほとんど実施されておりませんが、ことしから本格的にそういうものを行っていくといった状況です。  それから、御所区間の十三キロにつきましても、現在地元説明を行っておりまして、一部区間について用地測量に入っていくといった状況でございます。  それから、五條道路についてでございますが、この間につきましては大分用地買収が進んできておりまして、今年度には用地買収、概成になってきておりますので、工事なども推進していけるのではないかといった状況でございます。  そういったことで、一刻も早い完成を図るために、地元でいろいろ皆様方の御協力を得ているところでございますが、またいろいろ御指導方お願いいたしたいというふうに思っております。
  64. 高市早苗

    高市分科員 ありがとうございます。  次は、大臣と道路局長に、先ほどの河川事業に関する質問と同様のことなのですけれども、道路事業におきましても、事業量を減らして公共事業費を節約したつもりでも、結果的には渋滞による時間損失、それから事故による損失、企業誘致の失敗などによります地域経済への影響、こういった悪影響が発生しては、中長期的な国家財政に必ずしもよい結果が出るとは思えません。まず亀井大臣、この点についてどう思われるか。  それから道路局長には、例えば渋滞による時間損失をお金に換算するとどうなるのかといったような、幹線道路整備の経済効果を数値化したデータがあったらお願いいたします。
  65. 亀井静香

    亀井国務大臣 全く委員のお考えに私は同意見でございまして、アメリカ経済の過去の推移を見ましても、委員御承知のように、社会資本整備に手を抜いた時期がございまして、それだけが原因じゃございませんけれども、それが直接、経済の停滞につながっていき、現在の大変な調子がいい状況は、社会資本整備を財政事情が悪いときも手を抜かずにやってきたことが各種の経済コストに確実に反映をされて好調な一因になっているということは、もうだれしもが認めておることであります。我が国の場合、アメリカと比べるまでもございません、道路整備を含めて他部門につきましても、すべて半分程度の整備事業でございますから、そういう中では、我々としてはほかの部門、社会保障費等の中で、そこまでしなくてもいいじゃないかというようなところについてはやはり思い切って切っていく、例えば高額所得者の年金なんというのは思い切って私は切っていけばいいとも思うわけであります。また、教科書なんというのは、これは母の愛情でありますから、父親の愛情ですから、こんなものは買って与えるということにしたからといって何ら経済に影響を与えるわけじゃない。  そういう意味では、いわゆる目先の生活が楽になるということに主眼を置いた予算の執行が今後あるべきではない。そういう面は思い切ってどんどん切り込んでいくという考え方、私は全く委員のお考え、同感でございますので、ぜひひとつ今後ともバックアップをいただければありがたい、こう思います。
  66. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 幹線道路の整備効果という御質問でございますが、幹線道路個々につきまして整備効果をどうするかというのは非常に難しい問題がございまして、特に時間短縮効果とか単純に出るものは押さえることができます。  さらに、それによりまして出るのですが、その後、交通量がふえてきたりしますとその効果もよくわからなくなってきてしまうといったことで、個々のとらえ方というのはまだこれから十分勉強していかなくてはならないといったふうに思っております。  ですが、一般的に道路の整備の効果という場合には二通りの効果がございます。一つは、フロー効果でございます。財政支出を行ったときの、それによって有効需要が創出されてGNPが上がってくるという、その工事を行ったことについての効果、それからもう一つは、道路の場合には、その道路ができたことによりまして、先ほどの移動時間の短縮とか、それから輸送コストの低減とか、そういったもろもろの効果、これがストック効果でございます。  それで、今回の第十一次五計におきましては、これについてマクロに一応試算しております。今回の五カ年計画は総額七十六兆円の道路投資を行うといった計画になっておりますが、フロー効果としましては、平成五年から平成十四年、ですから、五カ年計画をやっているときと、それからその後の五年、それを合わせまして、累計で試算した結果によりますと、フロー効果については百三十八兆円、ストック効果については七十四兆円という数字。ですから、合わせまして二百十二兆円の効果が、GNP増大効果があるというふうに推計されております。  それから、お尋ねの交通渋滞についての時間損失でございますが、これも試算でございますが、平成二年度、五カ年計画を試算していたころにやった計算で換算しますと、国民一人当たり五十時間。これは、子供から何から全部ひっくるめてばんと割った数字でいきますと五十時間。金額をどういうふうにとるかというのはいろいろありますが、この場合には、時間損失は人によって違うわけでございますが、平均的な換算値を掛けまして、年間で大体、平成二年度の場合には十二兆円に及ぶ損失があったのではないかというふうに計算させていただいております。  以上でございます。
  67. 高市早苗

    高市分科員 どうもありがとうございました。  次は、建設省全体のことでございますので、官房長もお見えなのでお願いをしたいのですけれども、公共投資予算の縮減率、これはマスコミ等では七五三なんという数字が出ております。平成十年度七%減らして、十一年度五%減らして、十二年度三%減らすというようなことに万が一なると、つまり、平成九年度を基準に見たら、十年度が七%で、十一年度が一二%で、十二年度には一五%も減っちゃうというようなことですから、本当に、万が一現実になると、かなり大きな影響が出るように思います。  公共事業の九六%が継続事業というふうに聞いておりますけれども、本当に、万が一平成十年度に七%減が現実のものになったときに、なったと仮定すれば、現在進行中の継続事業とかはどうなるのでしょうか。休止というようなことも起こり得るのかどうか、この影響についてお伺いいたします。
  68. 小野邦久

    小野(邦)政府委員 現在、財政構造改革会議等でいろいろな御議論がございます。新聞紙上等でも、一般歳出は既にマイナスということは決まっておるわけでございますが、具体的な、例えば公共事業あるいは防衛とかODAとか、これの歳出の削減等についてはどうするかという議論が現実に今行われているわけでございます。  新聞紙上等で七五三というようなことも言われておりますけれども、私は、先ほど建設大臣がお答えをされましたとおり、公共事業というのは、やはり国の投資的な部分を担う大変重要な部門だと思っておりまして、これが大幅に削減されるというようなことになりますと、これは、国民生活あるいは産業基盤といったような観点から、将来にわたって日本経済に大変悪い影響が出てくるというふうにも思っております。  仮に七五三ということだったらどうかというお尋ねでございますけれども、まだ具体的な数値が示されておりませんので、新聞情報等でお答えすることは大変難しいわけでございますけれども、例えば国の、建設省関係の公共事業関係費でございますと、継続事業は九六%ございます。あるいは、歳出経費といいまして、既に歳出が義務づけられている経費もあるわけでございます。そういうことになりますと、今新聞紙上等に躍っております数字で仮に来年度予算を組むということになりますと、継続事業にも大変大きな影響が出てくるわけでございます。まして、新規事業というものにつきましても、これを採択する余地が大変厳しくなる、こういうことがございます。  いずれにいたしましても、仮定のお話ではございますけれども、公共事業自体に大変大きな影響が出ないように、私ども、今全力を挙げて、いろいろな部門について必要な公共事業関係の予算が確保できるようなことを考えたいと思っているところでございます。
  69. 高市早苗

    高市分科員 まだ仮定ですから、かなりお答えになりにくい質問をしてしまいまして、済みませんでした。  平成六年度、七年度の会計検査院報告の建設省管轄の公共事業の部分を読ませていただきましたけれども、むだが指摘されたケースというのは、大概、設計ミスだったり、積算ミスだったり、設計施工の違いだったり、何かそういったものがほとんどで、事業そのものの意義が全然ないというようなケースはそんなにあったとは思わないんですね。そうしますと、今後公共投資の予算縮減が現実のものとなったときに、一体どの事業予算をどんな基準で削るんだろうなという疑問を感じます。よく、ちまたに、事業量を減らさなくてもコスト縮減で対応できる、例えば、コストを一〇%減らしたら、それで予算も一〇%節約できるというような意見をおっしゃる方もいらっしゃるんですけれども、これにはやはり、納得がいかないわけですね。  平成九年四月に建設省が公表されました、公共工事コスト縮減に関する行動計画ですか、これを拝読しましたところ、「実施スケジュール」のところを読みますと、「遅くとも平成十一年度末までに完了し、」その後、「その効果が可及的速やかに得られるよう最大限の努力をする」ということですから、その効果がどれぐらいの時期にあらわれるのかということも教えていただきたいのですが、いずれにしても、平成十一年度末までの完了ですから、平成十年度の予算縮減は、この計画をもってしても不可能だということになるんで、そうなると、公共投資の中で一体何がカットできるのか、教えていただきたいと思います。
  70. 小野邦久

    小野(邦)政府委員 御指摘のとおり、ことしの四月に政府といたしまして、公共工事コスト縮減に関する行動計画というものを定めたわけでございます。これを先生読んでいただいたということで、私ども大変ありがたいと思うわけでございますが、その中で、効果がどの時点で出てくるかということでございます。  遅くとも平成十一年度末まで、今から三年後、ほぼ三年後ということでございます、これまでにいろいろな施策を完了いたしまして、その効果は可及的速やかに得られるように努力をする、こういう表現になっております。  これはなぜかと申しますと、あらゆる施策をとにかく三年間で思い切ってやろうということは決められるわけでございますが、その具体的な効果ということになりますと、例えば基準類の見直しでございますと、まず基準の整備をしてから設計にかかる、設計にかかった後工事をするということになりますと、相当その効果の発現自体は時間がかかるわけでございます。必ずしも、三年以内ですべて事業をやったから、効果が全部三年以内に出てくるわけではないわけでございます。  こういう点を含めますと、三年以内にあらゆる事業に着手をして、できるだけ、効果が前倒しで三年以内に出てくるように努めていく、最大限の努力をするということが限界かなというふうに思っておりまして、そういう意味で全体が一〇%というのが、もちろん努力目標の部分を含めてではございますけれども、そういう点も入れて、一つの目標と申しますか、指針の中の我々の努力目標、全体をでございますね、そういう観点で定めたものでございます。  したがいまして、時期がどの時期に、何がどういうふうに出てくるということは、必ずしも明確に決められないわけでございます。むしろ、コスト問題等につきましては、事後のフォローアップで、どういう時点でどういう効果が出てきたかといったようなことこそ、本当は一番重要な、フォローアップの結果の検証ということになると思うわけでございます。そういう方向ではございますけれども、ただやはり、こういう大変厳しい財政状況のもとでございますから、できるだけ早く効果があらわれるように最大限の努力をしていきたいと思っております。
  71. 高市早苗

    高市分科員 それで、公共投資の中でカットできるものというのは、結果的には、今のコストの話に尽きるわけでございますか。
  72. 小野邦久

    小野(邦)政府委員 できるだけ可及的速やかに効果自体があらわれるようにしていくということを考えておりまして、結果として、コストが一〇%を目標にしているから、例えば公共事業事業量自身をその部分減らせることができるとかいうようなものとは全く質の違う、私どもの考え方では質の違う問題だというふうに思っております。
  73. 高市早苗

    高市分科員 それでは、最後の質問にいたしますが、先ほど亀井大臣がアメリカの例を話してくださいましたので、ちょっとそれに触れます。  アメリカの八〇年代の生産性の低下というのは七〇年代の公共投資の低水準の結果だという指摘がベイツ大学の教授によってなされた。また別のところでは、七〇年代に公共投資を怠ったために、道路不足による生産コストの上昇、それから下水道不足による環境汚染を招いている。これは米国公共事業運輸委員会調査監督委員会というところの指摘だそうですけれども、クリントン大統領も議会演説の方で雇用の問題に触れておられます。四年前に比べて、道路と橋梁が強化されたのと同時に、千二百万人の雇用創出を達成したが、そのうち建設産業では百万人の効果があった。こういうことを言っておられます。  私自身も八〇年代のアメリカに生活した経験から、以上の分析は正しいと感じるのですけれども、日本の二十一世紀を考えても、今この時期に公共事業を減らしてしまうことが中長期的に見て財政全般の好転材料になるとは、どうしても思いにくい。  先般来ずっと聞いてまいりました、河川事業を怠った悪影響、道路事業を怠った悪影響、そういう質問をしてまいりましたけれども、こういった考え方につきまして、日本の過去の公共投資と雇用や景気との関係、こういった過去の経験から、このクリントン流の考え方、どう評価されるでしょうか、お願いいたします。
  74. 亀井静香

    亀井国務大臣 御案内のように、戦後五十年間好不調の波を繰り返しをしながら我が国経済は発展してきたわけでありますが、特にバブル経済の高揚、崩壊という激しい経験をいたしたわけであります。私も宮澤内閣当時の政調会長代理をやっておりまして、当時のブラックホールに吸い込まれていくような感じのする経済をどうやったら、少なくとも若干の光が見える状況まで改善できるかといういろいろ苦労をさせていただいた一人でございます。そうした状況の中で、私が担当しただけでも、二度にわたる大型の公共投資を含めての景気のてこ入れをいたしました。  人によっては、そんなことをやったって景気がばっとよくなっていないじゃないかといういちゃもんをつける方がいらっしゃいますが、それは、それをやったからブラックホールに吸い込まれていかなかったということなのであって、下支えをして現在の緩やかな回復基調になったという大きな力になっておることは、私は絶対これは否定できないと思います。  ただ、私も当時、従来型の公共事業だけでは景気に対する影響というのは、これは大分低下してきておるんで、当時、新社会資本整備というのは私が命名した名前でありますけれども、大蔵省はこれは同意をいたしませんでしたけれども、科学技術その他の分野の研究所等の整備、研究機関の整備等も含めて大きな意味の社会資本整備を推進すべきだということで、当時景気てこ入れの大きな対策をやってきたわけでありますけれども、それが今完全に自力反転の回復軌道に乗っていないから過去何十兆もつぎ込んだ公共事業費がむだだったという論理というのは、私は全然通用しない、なかった場合はどうなっているかということを考えるべきであると思います。  大ざっぱにいきまして、建設関連というのはGNP比にいたしまして一六、七%、また、雇用に対してもその程度の影響があるわけでありまして、特に地方に対しての影響というのは圧倒的でございます。現在の景気もまだまだら模様でありまして、大企業がリストラによって、東京や大阪の会社が地方工場に対する下請に出す単価をうんと圧縮する、そういうような措置をとり、人を切っていく。今まで、建設関係の分野がその切られた人たちも吸収をしていくというようなそういう関係にあったわけでございまして、一部の大企業が好決算をしておるから日本経済全体が中央も地方もトータルとして自力反転の軌道に乗っていけるとは私は思いません。  その意味で、財政再建は経済の活性化なくしてはあり得ないわけでありますから、その視点を見失わない財政再建策が出てこなければならない。幸い、財政構造改革会議のメンバーの方々は、今の財政、経済について責任を持っておられた方、おられる方でございますから、プロでございますから、そういう点について御協議をなされまして、国家の将来にとって危ういことのない結論を出される、このように私は期待をいたしております。
  75. 高市早苗

    高市分科員 本当にありがとうございました。  きょう質問時間を十一時二十六分までいただいているんですけれども、私も当分科会の副主査でございまして、ちょっと日程がおくれておりますので、戻しますため時間を返上いたしますので、以上で終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  76. 辻一彦

    辻主査 これにて高市早苗君の質疑は終了いたしました。御協力ありがとうございました。  次に、宮路和明君。
  77. 宮路和明

    宮路分科員 私は、今回の私の地元の数次にわたる地震の発生に伴う被害の復旧対策に関連して、建設大臣並びに建設省当局に幾つかの質問をさせていただきたい。そして、ぜひその災害復旧の制度の改善に向けてのお取り組みを賜りたい、このような気持ちで質問をさせていただきたいと思います。  実は、三月二十六日に地震が起こり、そしてその後四月三日、五日、九日と地震が起こりました。そしてそれらの災害対策について、私、四月十七日の災害対策特別委員会で質問をさせていただきましたけれども、十五分という時間でございましたのでちょっと時間不足でありましたし、また今回は、その後五月十三日に再度大きな地震が起こりまして、そこで被害もさらに大きくなっておるという事情もございます。そして、きょうはまた、建設大臣も出ておみえになるということでございましたので、この決算委員会で再度これらの問題を取り上げさせていただきたい、こう思って質問に立った次第であります。  まず最初に、今回、先ほど申し上げたような数次にわたる地震によって、建設省関係、公共土木の関係の被害の状況はどうなっているか、その点を最初にお聞きしたいと思います。
  78. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 一連の鹿児島県におきます地震の公共施設被害の状況でございますが、まず道路関係でございます。  国道五百四号線あるいは県道鶴田大口線等、五月十三日の地震での被害といたしまして三十八路線、そして、お話が出ました三月二十六日以降四月の初旬にかけての地震、合わせまして五十八カ所で交通規制を実施をいたしておるところでございます。  また、河川の災害につきましては、川内川で天端のクラックが発生をいたしました。これは長さ七百メートルでございまして、左岸側のところでございます。  このほか、ダムでも、これは串木野市が管理をされている農地防災ダムでございますが、天端のクラックが確認をされております。  そのほか、海岸砂防施設等については、現在のところ被害の報告は受けておりません。  いずれにいたしましても、今申しました被害を復旧すべく、全力を挙げて今取り組んでおるところでございまして、川内川の天端クラックにつきましても、この二十八日に応急復旧をほぼ終わるということにいたしております。
  79. 宮路和明

    宮路分科員 今、河川局長から、具体的な箇所も挙げられながら、公共土木の関係の被害の状況のお話がありましたが、鹿児島県がまとめた資料によりますと、最初の、第一次地震といいますか、三月二十六日と、それからその後の四月の引き続く地震によって生じた土木関係の被害が三十七億だ、こういう数字が今出ております。それから、五月十三日の地震によって生じた公共土木の関係の被害が二十七億、これはまだ被害を取りまとめ中でありますから、これから多分もっとふえていくと思いますが、今のところ二十七億、そういう数字になっておるのですね。  それで、政府の方も調査団をいち早く出していただいたりして現地からいろいろと要望も聞いておられると思うのですが、そこで、これらの公共土木の被害の復旧を図っていく上でみんなが一番関心を持っているのが、これが局激、激甚災害の指定を受けて、より高い補助での復旧が行われるかどうかということに非常に関心が地元として、とにかくお金のない田舎の市町村でありますから、そこのところを非常に心配をし、関心を持っているということでありますけれども、その見通しはどんなものでありましょうか。
  80. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 いわゆる局激につきましては、それぞれの市町村の標準税収入に対して、被害を受けた額がそれを上回るというのが指定の基準でございます。それで、現在、今先生御指摘ございましたとおり、私どもが今県の方からお聞きしておる被害額はそれよりももう少し多いように聞いておりますが、いずれにしても、そういう被害額、被害の実態について、県並びに市町村の方で調査をされておられるところであります。そういうものに基づきまして今後査定をいたすわけでありますが、そういう査定の結果と、そして十二月に標準税収入が確定をいたしますので、それを受けた上で局激の指定の検討をするというふうに考えております。  現在のところ、今まで受けた報告の中では、どうも鶴田町さんがちょうど該当するかどうかの基準のところぐらいでなかろうか、そのほかの市町村につきましてはそれよりも被害額は低い、それぞれの市町村の標準税収入額よりは低い、こう考えておりますが、いずれにいたしましても、これから年末、年度末にかけての作業になります。その中で十分対応を考えていきたいというふうに思っております。  それから、災害査定につきましては、三月末から四月初めの分につきましては、たまたまきょうから三日間ということで現地に入っております。その災害査定とともに、今回の五月十三日の地震の被害についても調査をしてまいるということを予定いたしております。
  81. 宮路和明

    宮路分科員 今、河川局長、鶴田町の例を出して話をされましたが、鶴田町はもう最初の、第一次の地震による被害の額だけでも、多分、当町の被害額とそれから標準税収入との比較において該当していくのじゃないかなという見込みを、大体そんな感じを我々は持っておったのですが、その後さらに二次が起こりまして、そしてこの二次がまた大きな被害でありますから、鶴田に限らず、ほかの近辺の町村もその可能性は多分にあるのじゃないかというふうに私どもは思っているんですよ。  ですから、先ほど申し上げたように、二次の被害の状況はこれからさらにまた被害の額がはっきりとしていくでしょうから、ぜひ精査していただいて、そして十二月ですか、その時点できちっとした対応をしていただきたいものだな、このことを強くお願いをしておきたいというふうに思うのです。  今申し上げたのは公共土木の関係なんですが、公共土木はおっしゃるようにきょうから、これは第一次の被害の分でありますが、査定に二十六、二十七、二十八日と入ってもらうというようなことで対応もずっと進んできておるわけであります。今度また、二次が起こった分についても同じようにやっていっていただけると思うのですね。ですから、それをぜひよろしくお願いしたいと思うのです。  問題は、民間の一般の住宅ですね、この被害が非常に大きいということなんです。それで、現時点で、これが特にお年寄りが多い、あるいは独居老人も多い、農山村の地域でありますから、そういう大変な、非常にゆゆしき状況なんですけれども、この辺について建設省の方でどう把握しておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  82. 小川忠男

    ○小川政府委員 住宅についての被害でございますが、現段階での累計でございますが、全壊につきましては八戸、半壊につきましては五十五戸、ただ、一部破損、これは屋根がわらが落ちたというふうな被害が多いようでございますが、合計いたしまして六千戸を超える被害が出ております。  今回の災害の特徴といいますのは、全壊、半壊に比べまして、屋根がわらを中心とします破損と申しましょうか、これが非常に多いというのが著しい特徴でございます。  被害状況は今申し上げた状況でございますが、これにつきましては、金融公庫の南九州支店を通じまして市町村等々に対して、通常で公庫融資をお受けいたしますというふうな形で、何度か説明会、周知徹底というふうなことをやらせていただいております。
  83. 宮路和明

    宮路分科員 今数字を、全壊、半壊それから一部損壊、こう挙げてお話をされたわけでありますが、実は、地震の被害というものは非常に、一部損壊と言ってもあるいは半壊と言っても、台風によるものなんかと違うところがあるんですね。  それはなぜ、どこが違うかというと、現地に行ってみると、私もきのうも地元を回ってきたのですが、上の建物だけじゃなくて、上の建物もかわらが落ちたりあるいは壁にひびが入ったり、あるいは家がやや傾いたりしているところもあるわけですが、建物それ自体のみならず、建物が建っている基礎の部分というのですかね、それが液状化現象でその敷地自体にひびが入っている、あるいは土盛りをしたところなんか完全にそれが陥没したり、あるいは壁というか塀がやられてしまったり、敷地自体がもうかなりダメージを受けているということです。一部損壊というところにどういうぐあいにこの辺が評価されているのか、よくわからない。  建物は確かに一部損壊だけれども、底土から見ると、敷地から見るとかなりのダメージを受けているというところもあるし、あるいは裏の山が崩れてきて、これはもう相当崩れてきているところがある。皆さんの方でもそういうのをとらえておられると思うのです。  裏山が崩れてきた、そしてそのためにもう家そのものもおかしくなっているけれども、もう危険を感じて避難をして、自分のうちには住めないということで避難をして、そして町が仮設住宅をつくった、あるいは町営住宅のあいている部分に入れたというようなところとか、それから、きのう東郷町というところへ私も行ってきたのですが、そこももう近々住めなくなって、いずれ集落ごと移転をせざるを得ないだろう。今そこに住んでいるのですけれども、上がもう砂防の大工事を、急傾斜地の崩壊防止の事業をいずれやっていかなければならぬわけですけれども、今、それとともにもう住めなくなるから、下の集落へどこか適地を見つけて移転しなければならぬといったような非常に悲惨な、一部損壊あるいは半壊といってもほぼもう役に立たなくなってしまった家なんかも、そういう条件から見て、トータルとして判断した場合に、もうそこにいずれは住めなくなるという家なんかも結構あるわけです。  ですから、そこらを考えると、この数字に出てきたもの以上の大変な被害の状況が、先ほどの底土というか敷地の部分なんかも相当やられておるわけでありますから、そこらも含めてやると、これは相当金を突っ込んで修理するにしても建て直すにしてもやらなければならないというような状況なのですよ。  ちなみに、保険あるいは農協の共済、これがどうなっているかということで、私、若干数字を持っていますから言いますと、地震保険に入っている人というのは、これは損保の関係ですけれども、これはもうめったにないのですね。これは特約をつけないと地震保険は入れないけれども、今まで地震なんてなかったわけですから、地震保険なんか入っている例というのはめつたにない。そこで、農協の共済は地震も対象にしてくれるのがあるのですよ、建物更生共済というのがある。これが第一次の災害、第一次の災害というか地震で、それで幾ら、どういうぐあいの状況になっているかというと、その数字をちょっと私持ってきておるのですが、かなりなものが第一次の災害、地震ですね、地震の災害だけでも生じている。  ちなみに数字を申し上げると、さつま農協という農協がありまして、宮之城とか鶴田とかそういったところを区域とする農協なのですが、四町村を区域とする農協でして、そこで支払い金額、第一次の分ですよ、それの支払い金額は三億七千万ぐらいになるだろう。それで、対象戸数が七百七十戸なのですよ。これに対象の共済金を支払うことにした。ですから、平均五十万近く払うわけですね。そのさつま農協の管内の、先ほど局長が言った被害の戸数は千八百六十戸ですから、千八百六十戸のうち七百七十戸に共済の資金が第一次の地震の災害で出ることになって、平均五十万円近くである。ところが、農協共済に入っている人たちというのは全部が全部入っているわけではないですから、千八百六十戸のうち七百七十戸は出る、しかも足切りというのがあって、被害額が小さい場合は出ないのですよ。ですから、もっともっとたくさん農協共済に入っているでしょうけれども、お金が支払われることになったのは七百七十戸だ。それで、地震は五十万ぐらいなのです。  ところが、これが満額出るんじゃないのですね。満額出ない。共済金額、例えば一千万円の建物だとして、初め一千万として、ところが、自分は共済金額は五百万だけ入りますと。五百万、つまり半分入った。一千万のうち五百万入った。ところが、五百万について全部掛けておっても、その損害被害率で出るのであって、だから、被害が三割の被害だとすると、五百万円掛ける三割ですから百五十万だ。それで、百五十万にさらに、地震の場合は普通の台風なんかと違ってそこに二分の一がかかってくるものですから、七十五万ぐらいになっちゃう。七十五万ぐらいなのですよ、三割の被害でも。  ところが、これを見ると五十万ぐらいですから、倍掛けて、百万、百万もうちょっと、だから二戸当たり百数十万ぐらいの恐らく被害になっておるのだろう。百数十万は出ておると。この出た人たちの平均ですよ、百四、五十万は恐らくいっているのじゃないかなと、この農協共済から推してですよ。ですから、これはやはり相当の被害なのですよ。  そういうことで、これをどうやって救済していくかというか援助していくかということなのですけれども、先ほど言われたように、何か、住宅金融公庫資金をそれに対して貸すように現地の住宅金融公庫、その他関係機関に指導している、こういうことでありました。ところが、この住宅金融公庫の融資条件を調べてみると、どうも普通の住宅改良の資金と同じだ、住宅改良の場合と。若干、融資の申し込みの申請の期間がいつでも申し込みをできるようにしてあるとか、あるいは融資率が普通の住宅改良の場合と違って若干高いとか、一般の住宅改良資金に若干毛の生えたぐらいの優遇措置しか講じられていないということなのですね。  それで、災害資金としてはどういう場合に適用されるかということであるわけですが、どうも今の住宅金融公庫の仕組みからいうと、災害救助法の適用がないと災害復興資金というものにつながらない。金利も、災害復興資金であると二・六%だけれども、今の一般のそうでない場合は三・二で、そして据置期間もない。一方は据置期間もちゃんとあって優遇されている、それから貸付限度額も高い、こういうことなのですけれども、今度の地震による災害については災害救助法も適用されていない。そういうことで、どうも、この制度が非常に冷淡というか、被害者の立場に立った制度になっていないのではないかというふうな気がしてならないのですが、それはどうですか。
  84. 小川忠男

    ○小川政府委員 実は、今御指摘になりました問題、非常に難しいといいますか、悩ましいといいますか、問題だと思います。といいますのは、公共土木施設と違いまして、住宅というふうな場合には、基本的には個人財産だという点がございます。ただ、それに対して、天災によって被害を受けたというふうな場合にどういうふうな形で救助するのかという考え方について、現行制度を申し上げますと、二通りの系統があると思います。  一つは、災害の規模といいますか、被害状況というふうなものを把握した上で、国が国家財政としてどこまで応援をするのか、地方財政にお任せする、国家財政との仕切りでどこまでやるのか、その場合の要件というのはどう考えるべきかというふうな観点から構築してある通常の制度と、それからもう一つは、天災というふうな点からすれば、周りがどうであろうが、被害を受けた方にとってみれば同じじゃないかという議論も確かにあるわけでございまして、その場合に、ある方が被害を受けた、それに対して通常よりは優遇するという形で救助をするというふうな系統でつくってある制度と、二つの系統がございます。  したがいまして、どちらをどういうふうな形で割り振りをしていくのか、あるいはその場合の優遇度合いをどう考えるのかということについては、いろいろな議論があろうかと思います。  今回の話について、いろいろなことを今先生御指摘されましたけれども、一つには、冒頭申し上げましたように、全壊、半壊というふうな状況は極めて少ないわけでございますが、一部損壊といいますか、これが非常に戸数的には多いというのが今回の特異的な状況でございます。その意味では、現行制度を前提にする限りは、やはり国家財政が出動する、そのために災害救助法の発動を援用しているというふうな制度はなかなか適用ということにはならなくて、今先生、通常の融資に比べて毛の生えたようなとおっしゃいましたが、住宅改良融資の特例措置を講じて適用するというふうな形で対応するということでやらせていただいているわけでございます。
  85. 亀井静香

    亀井国務大臣 今お聞きしておりましたら、今住宅局長が、現在の建前でありますけれども、私は、災害が起きた場合、国と自治体との関係というのは、確かにその災害の規模等を勘案をして、国がそうした地方に対して財政出動していくとかいう、そういう視点は当然であろうと思います。規模その他が問題なのは当然。  ただ、住宅金融公庫と国民一人一人という関係について言いますと、私はそれをそのまま当てはめるのは間違いだと思います。災害に遭った仲間が多い場合には特別な優遇措置を受ける、そうじゃない場合には普通の住宅金融公庫貸し付けと同じ条件にしかしないというのは、私は考え方としてやはりこれは間違っておると思う。  そういう意味で、委員からの御指摘というのは極めて重要な指摘でありまして、利息をどの程度にするかというようなことを含めて、今省令等で規定をしておるようでございますけれども、この辺、住宅局長は幾らでも知恵が出る男でありまして、くめども知恵が出るわけでありますから、委員御指摘のその点を具体的に解消をさせるように努力をさせます。委員、地元にはしっかりそのようにお答えいただいて結構でございます。私が責任を持ちます。
  86. 宮路和明

    宮路分科員 亀井大臣、さすがやはり大物政治家としての御配慮に富んだ今の答弁だったと思うのですが、やはり大臣おっしゃるように、私も、この住宅資金について、災害救助法の適用の有無でこれを判断するというのはやはりおかしいというふうに思うのですね。  災害救助法自体も、これは見てみましたところ、何か全壊の戸数プラス半壊の戸数の二分の一、そして今度は床上浸水の世帯数の三分の一、それを足して一定の数に達すれば、市町村の人口規模によって、例えば四十戸とか五十戸とか、今申し上げた数字、全壊の戸数プラス半壊の戸数掛ける二分の一プラス床上浸水の戸数掛ける三分の一のその和が一定の数値に達すれば、災害救助法を適用する。  では、地震の場合、床上浸水なんてないんですよ。ところが、床上浸水よりももっともっとでかい被害が一部損壊といえども起こっているわけです。にもかかわらず、これを尺度にして、住宅公庫の災害対策を考えていくかどうかということのメルクマールにこれをするというのは、どうもやはり時代おくれじゃないかな、そう思っておったのですが、大臣の方からもいみじくもそうだという御指摘をいただいたので、私もこれで安心をいたしまして、また地元に勇んで帰ることができることになった、こんな気持ちであります。どうかひとつよろしく、その辺政治的な英断を持ってこの問題は御措置を賜りますよう、心から重ねてお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  87. 辻一彦

    辻主査 これにて宮路和明君の質疑は終了いたしました。  次に、石崎岳君。
  88. 石崎岳

    石崎分科員 自由民主党の石崎岳であります。  きょうは、いろいろな意味で政務御多忙の亀井大臣に時間を割いていただきまして、大変ありがとうございます。その一挙手一投足、片言隻句が政治に大きな影響を与えます大臣に、前向きな答弁をぜひお願い申し上げたいということであります。  きょうのテーマは、私の地元が関係しております北海道の千歳川放水路問題であります。私の選挙区内ではないのでありますけれども、広く北海道にかかわる問題です。  この千歳川放水路問題、思い起こしますと、昭和五十年の八月のことであります。私は大学の一年生でありましたが、帰省中に旅行に出ておりまして、その旅先で石狩川水系が大はんらんをするということがありまして、しばらく自宅に戻れなかったという記憶があります。大変な水害でありました。  その後、昭和五十六年の八月にも再び石狩川水系の大はんらんということがありまして、このとき私は北海道の放送局に勤務をしておりまして、記者をしておりましたが、そのときも大変な規模の水害で、札幌市内の川のそばにあります高層マンションが激流に洗われて倒壊寸前というような記憶も鮮明にあります。  そういう経緯があって、昭和五十七年に千歳川放水路計画というものができました。計画の内容については紆余曲折がいろいろありましたけれども、もう既に十五年の歳月が流れております。二十代の青年でありました私は、今もう既に四十代に入りまして、後厄の年であります。亀井大臣も還暦になられておりますけれども、膨大な月日が流れてしまったにもかかわらず、その計画はいまだに事業着工の見通しすら立っていないというのが現状であります。  そこで、きょうは決算委員会でありますから、この十五年間、どれだけの国費がその計画遂行の前段に投入されたのかということをまず確認しておきたいのであります。  調査費という名目でありますけれども、これまでの調査費の総額、そしてそれがどういったものに使われたのか、そしてその計上された予算というものは、まだ計画着工していないのでありますが、適正に全額執行されたのかどうかということを確認しておきたいと思います。
  89. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 千歳川放水路関係の今までの調査費の額でございますが、昭和六十三年度から平成八年度まで合わせまして百九十六億円でございます。  そして、この百九十六億円をもって進めてまいりました調査の内容は、まず治水計画の検討でございます。これは、千歳川放水路の規模、ルートの検討でございます。御承知のとおり、一度ルートの変更をしたこともございます。そういうことをひっくるめての検討でございます。  それから、自然環境調査でございます。これは、御存じのとおり、放水路の出先でございます美々川あるいはウトナイ湖、大変自然環境のすぐれたところでございます。そういうところの自然環境への調査でございます。  そして、そういう調査のもととなります地形、地質調査でございます。これは、いろいろな調査のもとになるものでございます。  そして、この放水路が出ます出先の漁業に対する関連影響調査、そしてまた農業地を通るわけでございますので、そういう農業への関連影響調査というものがございます。  それにあわせまして、土地利用あるいは経済関連の調査ということで、この千歳川放水路、大変大きな、大規模な自然改変を伴いますので、そういうものを行うことによります地域整備の計画検討というものでございます。  以上申しましたような調査にそれぞれ適正に執行いたし、百九十六億円の執行をいたしてきたところでございます。
  90. 石崎岳

    石崎分科員 昭和六十三年以降百九十六億、今年度は二十億円ですからトータルで二百十六億、六十三年以前、独立した項目ではないにしても千歳川関連に執行された予算もあるでしょうから、その額は膨大な額になるというふうに認識をしております。  一口に二百億円余りといっても、まあ年間十兆円弱の公共事業予算からしますと大したことはないというふうに見れば見られるかもしれませんけれども、五十万、百万という補助金をもらっていたり、そういうことで活動していらっしゃる方々もいるわけですから、非常に巨額であるというふうに私は率直に思います。一般の国民の方もそうだろうというふうに思っております。  そうした中で計画が遅々として進まない。十年間事業費としていろいろな調査をしたということでありますから、かなり綿密な調査をして、もう事前調査は十分ではないかというふうに私は思います。そうした中で、十五年たってもなかなか建設に着手できない、めどすら立っていない、その原因は何でしょうか。
  91. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 御指摘のとおり二百億円、私どもも大変巨大な額だというふうに受けとめております。そういう額を今まで執行してきながら具体の放水路に着手できない、なぜか、こういうことでございますが、まず、状況だけを御説明をさせていただきます。  先ほども申しましたが、千歳川放水路で、従前は石狩川に流れておった水を新たに太平洋側に流すということでございまして、まず何といいましても放水路の水が流れる先でございます。そこの地域における漁業への影響、特に漁協を中心に大変強い反対がございます。そしてまた、先ほども申しましたが、ウトナイ湖そして美々川という大変貴重な自然環境の中を流れていくそういう放水路による環境への影響、その対策というところが大変大きなテーマの一つでございます。  そういう中で、この調査が進展をいたしまして一つ大きな山場となったのが、私は、平成四年六月に北海道知事から出されました五項目の要望事項でなかったかと思っております。  これは、それ以前までのいろいろな調査に基づいて北海道庁の方から、知事から出された要望事項でございますが、ルートの迂回等による美々川の環境保全、千歳川の当面の洪水対策、農業への影響、漁業への影響、そして苫東計画との調整という五項目の要望が出されたわけでございます。それを受けて、北海道関係市町から成る連絡協議会の場で議論を重ねた上で、平成六年七月にその要望に対する回答をいたしたところでございます。ところが、この回答が出された以降もなかなか大きな展開が得られずに、ずっと現在に至っておるというのが状況でございます。  千歳川流域の皆さん方、特に農業者の皆さん方、土地改良区から大変強い千歳川放水路への要望、それもみずからいろいろな経験に基づいていろいろな計算をして、その上で要望を出されたりされております。  一方漁協の方は、たしか平成四年に被害が出た、これは近くを流れております鵡川でホツキガイヘの濁水問題が出たというようなことも受けて、漁協の全道漁協組合長会議で反対が表明をされるということ、そしてまた、自然保護団体からも環境に対する配慮を求めて非常に強い反対がございます。  そういう両方のはざまの中で、今まで北海道開発局を中心に現地の皆さん方の御理解を得べく最大限努力をいたしてきたつもりでございますが、なかなか合意に達せずにおるというのが現況だと考えております。
  92. 石崎岳

    石崎分科員 非常に大規模な自然改造を伴う計画ですので、上流、中流、下流でそれぞれいろいろな利害の衝突、反対、推進ということがあると思います。  そういう中で、そういうことを打開するために北海道庁の方で円卓会議を開こうというような構想がありますけれども、これもなかなか進まない。つまり、利害の対立がそのまま衝突して開催にこぎつけられないというのが現状でありますけれども、先日も、自然保護団体の方は計画の撤回が条件である、それから漁業団体の方は参加しないんだ、全く参加しないという方針で、全く開催のめどが立っていない。  つまり、何とか状況を打開しようという円卓会議であるにもかかわらず、その見通しすら立っていないということであります。そして、その円卓会議がなければやはりこの事業の進捗ということはないのだろうというふうに認識をしておりますけれども、この辺について、その円卓会議をどうするのか、お考えをお聞きします。
  93. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 御指摘のとおり、この円卓会議と申しますか話し合いの場、これをどういう形で持つかという場づくり自体をめぐってまだ合意に達していないのが現状でございます。  この千歳の地元の皆さん方も、この放水路を必ずしも前提にせずに白紙の立場でこの円卓会議に臨みたい、こういうお話も私自身お聞きをいたしておりますし、そういういろいろなレベルでの皆さん方の努力、一歩一歩の努力によりまして何とか早くこの話し合いの場が動き出すことが一番大事なことだというふうに私は思っております。  北海道庁の方でも、知事さんを初め皆さん方、この問題について十分認識をしていただいております。今まで非常に長期間にわたって調査をしてきたわけでございます。調査だけを続けるということでは今の時代の流れに合わないわけでございますので、今まで行ってきた調査の結果すべてをテーブルの上に置いて、その上で皆さん方に自由に討議をいただいて一定の方向を生み出していくということが大変大事ではないかなと思っております。
  94. 石崎岳

    石崎分科員 そのテーブルがなかなか用意できないということでありますけれども、先ほども高市委員から河川法改正のお話がありました。今国会で成立をすると思いますけれども、この河川整備計画については、住民の意見を反映させる、あるいは地方公共団体の長の意見も反映させるということであります。  地元の意向を重視するという方向、この千歳川放水路計画も当然この改正河川法の適用になりますね。そして、そういう前提でありますと、今の事業に着手できないという状況、この河川法改正によってますますその影響が大きくなるという認識でいいのでしょうか。
  95. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 現在お願いをいたしております河川法改正の中では、河川整備計画を策定するに際しまして、地元の意向を反映させる、そういう手続を組み込むことをお願いをしておるわけでございます。この手続によりまして、こういういろいろな問題が具体に発生する前に、その河川で今後二十年なり三十年にわたってどういう事業を展開しようかということをお示しをして、これは計画の案の案の段階でお示しをして、その上で意見をいただいて案をつくって、地方公共団体の意見を踏まえてまた計画をつくっていく、こういう手続でございますので、こういう問題が事前に十分テーブルの上で議論をされるということで、私は、こういう問題を未然に防止をするということにつながればいいな、こう思っております。  千歳川放水路に限って申しますと、この放水路につきましては、既に建設省に設けております大規模公共事業に関する総合的な評価方策検討委員会におきましても、都市計画決定をする、そういう対象事業にいたしております。都市計画決定は、御存じのとおり、地域の意見を聞く、そういう手続がございますので、そういう意味合いでは、この事業については既に走っている事業というふうに理解をいたしておるところであります。
  96. 石崎岳

    石崎分科員 先ほども来年度の公共事業予算についてやりとりがありましたけれども、七五三というような話も出ました。継続案件の維持すら厳しい、新規については大変厳しい状況であるという中で、新規に着工ができないで調査費が累々と積み上げられてきたこの千歳川放水路計画のあり方というものも、現在の財政構造改革の論議の中で、あるいは来年度予算の編成、来年度の公共事業予算のあり方との関連の中で厳しい目が向けられるのはやむを得ないというふうに私も思います。  そして、そういう現在の財政構造改革論議の中でこの千歳川放水路計画の見直しが迫られているという状況を、この計画に反対をしておられる方々も変な意味では持久戦、それを待つ、それを利用するというような立場で、ここでしばらく反対を続けていれば今の財政構造改革の中ではこの計画は維持できないだろうというような見方を計画に反対をされている方は抱いてらっしゃる部分もあろうかと私は思っております。  そういう中で、やはり客観的に見ても、ことし中に何らかの方向性、決断をしなければならない事業ではないかというふうに私は思っております。  私自身の認識としては、治水計画としてはベストの計画であろうというふうに思いますけれども、ベストの計画が必ずしも実現されるものではないというのはこの世界ではよくあることであります。ですから、次善の策、またその次の策というものを考案するということも一つの方策であろうというふうにも思います。  大臣、円卓会議がなかなか開かれない、それに対して、円卓会議が開かれるのを待つのか、それとも違う事態の打開策を考えるのか。円卓会議を開くためには、計画は一時撤回します、白紙にしますとおっしゃった方がいらっしゃいますけれども、撤回しますというような方向を打ち出すのか、あるいは違う案を出しますという方向を打ち出すのか。これは何らかの政治的なアクションがなければ先に進まないのではないかと私は思いますけれども、計画を撤回するのか、それとも現状のままで円卓会議が開かれるのを座して待つのか、その辺の認識はいかがでしょうか。
  97. 亀井静香

    亀井国務大臣 この千歳川放水路の問題、委員が御指摘のように、百九十六億の調査費が現に今までつぎ込まれてしまっているのですね。それでもなお地元のコンセンサスが生まれない。さらにことし二十億調査費をつぎ込む。  私は申し上げたいのですけれども、これはまさに行政と住民の怠慢ですね。何も私の地元の広島県の人が──観光には行くかもしれませんよ、東京の人が観光には行くかもしれない。生命の危険、これに直面している人は住民の方でしょう。あのかいわいの、北海道の方でしょう。みずからの危険をできるだけ排除するために、国も全力を挙げて取り組もうと言っている。そういうときに、十何年間それだけの調査費がつぎ込まれてなお地元としての結論が出せない。  私は、北海道の方がそうだと言っているのではありませんよ、一般論で言うわけですが、愚かな民は滅び去るしかないということになりかねない。一般論として私は申し上げている。  やはりそういうことについて、私は、北海道開発庁も建設省もそうだけれども、道庁、地元住民の方々がもっと、他人事というのではないんだ、台風とか集中豪雨は制御できませんよ、いつ起きるかわからない、委員がそういう経験を実際されたということでありますけれども。そういう意味で、私どもとしては国の立場からも、そういう危険を全力で排除していく上においては財政再建下においても努力はいたしますけれども、しかし、地元の方が取り組まなければやりようがない。  私は、場合によってはことしの調査費二十億は執行させませんよ。そんなことに、そんな状況に国民の大事な税金を、牛のよだれみたいにずるずるつぎ込むわけにいきません。──だめだよ、言っておくけれども。  それが私の結論であります。
  98. 石崎岳

    石崎分科員 私も愚かな民の一員という厳しい御指摘でありますけれども、(亀井国務大臣「一般論だから」と呼ぶ)はい。大臣の一般論はなかなか一般論には認識されないというのが常でありますけれども、そういう中で、本当に厳しい御指摘であります。場合によっては二十億は執行しないという大変厳しい中で、地元で決着をつけろという大臣の御指摘であります。その地元が利害の対立でなかなか結論を出せないという状態であります。ですから、もう時間がない、結論を出せということであろう、この問題は大変重い問題であろうというふうに思います。  そういう中で、事務方として事業の変更、縮小代替案というものの腹案はないのでしょうか。
  99. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 この千歳川の治水方策をどうするかということに関しましては、放水路案、ポンプ案等々、いろいろな代替案をひっくるめた上で、先ほど先生自身、治水としてはこの案がベストだというお話をいただきましたが、私どももこの案をベストだと考えております。  ただ、いかにベストの案でもつくれない計画では意味がないわけでありまして、そういう中で、どういう対応がとれるのか、この話し合いの場すらつくれない、現時点ではできないわけでありますが、それに向けての努力が本当に地元で真剣になされております。  今年度の予算につきましても、新たな調査には一切取りかからないということで今までもやってきまして、今までの調査を取りまとめて評価をする、そういう部分しか見ておらないわけでありますが、先ほど来の議論を踏まえまして、私どもも事務的な対応を考えてまいりたいと思っております。
  100. 石崎岳

    石崎分科員 そういう中で、調査費として累々二百億円余りが使われてきたわけでありますが、先日の北海道の地元の新聞報道によりますと、その事業費の中から、開発庁あるいは開発局OBが数多く天下っている法人、そういうところがこの事業費の一部を多額に受注していたというような実態が報道をされております。  十五年間あるいは十年間、巨額の国費が投入されて事業がスタートしていないという、その点だけでも問題があるという中で、その予算が、OB、身内の中で多額の国費がやりとりをされているのではないかという疑いが持たれている。その予算のあり方自体が批判されている中で、その予算の執行においても問題点があるというような報道がありました。これは世論の批判に油を注ぐことになるというふうに私は思いますけれども、この点はどう認識されますか。
  101. 清治真人

    ○清治説明員 お答えいたします。  千歳川放水路につきましては、極めて広い範囲にわたり希少水生動植物等の自然環境や地域の社会環境に対する影響を把握するため、広範かつ高度な調査を行う必要がございます。  また、その検討の実施に当たりましては、幅広い知識が求められますので、多方面の学識者等による委員会を設置、運営しながら進める必要がございます。そのため、道内における公共事業の環境影響調査や、学識者を構成メンバーとする委員会運営等のノウハウを有している公益法人を活用し、これまで適正に調査を実施して、その成果を得てきたところでございます。(亀井国務大臣「成果、出てないじゃないか」と呼ぶ)  いずれにいたしましても、議員御指摘のような批判を招くことのないよう、今後とも、局を十分指導してまいりたいと思います。
  102. 石崎岳

    石崎分科員 議事録に亀井大臣の発言は記載されるのでしょうか。亀井大臣は、開発庁の説明に対して成果が出ていないと発言されましたので、今私が補足をして、ぜひ議事録に記載されるように発言をさせていただきます。  こういう中で、この事業のあり方、手詰まりの中で、本当に行政責任を全うするということがやはり必要だというふうに思います。治水というものが必要である。千歳川水系というのは低いわけです。水位が低い、土地が低い。その上に石狩川水系という巨大な川がある。その水かさが増したときに千歳川水系がひとたまりもなく巻き込まれてしまうという地理構造でありますから、構造的に水害の可能性がある。  そういうものを何とかしよう、そういう知恵というものを出し合って、今議論がされているわけでありますけれども、この手詰まり状態を続けていくということは、大臣御指摘のとおり、行政責任を全うしないということであります。ある意味では治水対策を放置するということになりますから、これは、関係者全員が何らかの方向性を出さなければならない、それもことし中に出さなければならないというふうに私は認識します。  そういう中で、この千歳川放水路計画も、環境への影響が非常に大きいものだというふうに思います。大規模な自然改造を伴うものであります。昨今の諌早湾干拓事業についても、自然の大改造というものに対する批判というものが巻き起こっている。諌早湾については、現在、いろいろな見方がされておりますし、十年前に議論をすべきであったという地元の声ももちろんあります。ああいう堰をあれするというテレビの映像に端を発した最近の動きということであります。  せっかく大臣がお見えであります。  環境に、自然に大きな影響を及ぼす公共事業のあり方というものが今大きな論議を呼んでおります。問題意識を持たれております。大規模な公共事業、今の諌早湾の干拓事業もそうでありますし、きょうの千歳川放水路計画もそうであります。それから、三月に、二風谷ダムの裁判の訴訟判決が下されまして、大変厳しい内容でありましたけれども、その上流に平取ダムというものをつくる計画もあります。建設省です。これについての批判、反対、これも現在たくさん出ております。  ですから、この機会に、民主党的な質問でもありますけれども、諌早湾干拓、平取ダム、そして千歳川放水路について、自然に大きな影響を与える大規模公共事業についての考え、認識、個別にコメントをしながら、ぜひ大臣の見解をお願いします。
  103. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は、自然環境、これを、理想で言えば太古のままで残しておくのが一番理想だと思いますね。  人間なんて、偉そうなことを言いますけれども、小さな惑星に、何万年前か地球の歴史からいうとまだほんのわずかな期間、へばりついてヤドカリみたいに生活している動物であります、しかしまた、宇宙よりかでかい存在であるかもしれませんけれども。それがある意味では自然と調和しながら、自然の恵みを受けながら、しかし、かつ自然との過酷な闘いをしながら生きてきましたし、今からもそうであろうと思います。  いかに科学技術が発達いたしましても、大自然の力学といいますか、そういうものを制御する力はありません。震災にいたしましても、マグニチュード七で終わるのか、一〇に行くのか、一二に行くのか、太古からの地球の激怒の状況というのは予測がっかぬことであります。台風にしてもしかり、集中豪雨にしてもしかりであります。  しかし、そうであれば、もう自然のままにほっておいて、川の流れも自然にあれで蛇行させて、それによって自然の恵みを受けるということで生活すればいいのではないかという人もおりますが、それは、昔は可能であったでしょうけれども、現在のような人間の生活のあり方から見ればこれは不可能でありまして、やはり、そこに住まいする者の命を、財産を守るということをあとう限りやらなければなりません。これも、もう一〇〇%ということは自然との関係で不可能であります。  しかし、過去の経験則に従って、あるところに目線を置いての整備を我々がすることによって守っていくということしかないわけでありまして、その過程の中で、残念ながら、自然を事実上破壊するということも起きてくるわけであります。また、生物が生息できなくなるという事態も起きてくる。  我々としては、それをできる限り、この地球上に同じ生きている生き物としてその今も大事にしていく、景観も大事にしていくという努力は必要でありますけれども、しかし、私は、人の命にはやはりかえられない。  また、今の人たちは皆、少々生活が不自由になっても我慢します、渇水期になって水が飲めなくても我慢します、そういう覚悟はおありかということでありますけれども、ないですね、残念ながら。そういう中ではやはり、ダムもつくり、自然を事実上破壊するということも起きてこざるを得ないということ。  諌早湾の問題もありますが、これは、私はこの間から農水省の幹部にも言っておる。あれは干拓事業だぞ、干拓事業ということが何か悪いみたい、後ろめたいみたいな答弁をしてはだめだということを私は言っておる。  もう日本みたいに狭い国土ですから、農地もあり、そこでいろいろ、今では減反をやっているではないか、今そういう話なので、今から遠い将来、食糧事情が世界的にどうなるか、いろいろな方が逼迫をしてくるということを言われている。そういう中で、狭い国土の中で優良な農地をあとわずかで確保できる状況になっているときに、千七百億今までつぎ込んだのをパアにしてムツゴロウの命を助けるという議論が本当に正しいのかどうかという問題もあると私は思います。  そういう意味で、河川法について民主党の方々の御意見を聞いていますと、清らかな川のせせらぎ、ハエや小ブナが泳いでいる、何かそういう状況だけを確保するのが河川行政だみたいに言われまして、これは困るのだ。治山、治水、利水、これをきちっとしない河川行政なんてあり得ない。しかし、先ほど言いました、我々は自然の中で生かされている立場でありますから、その自然を徹底的に大事にしていこうという視点をこのたびの河川法の改正の中でもきっちりと憲法として組み込んだということであろうと思います。
  104. 石崎岳

    石崎分科員 平取ダムについてはいかがですか。
  105. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 平取ダムにつきましては、現在、ダム事業審議委員会の方で、再開をして御検討いただいているところであります。  先生御承知のとおり、既に用地買収は終わっておるところであります。ただ、苫東開発との関係で、利水をどう見るか、こういう議論があるわけでございまして、そういう問題をどう考えるのか、審議委員会の議論を踏まえた上で、私どもも対応を考えてまいりたいというふうに考えております。
  106. 石崎岳

    石崎分科員 厳しい財政状況の中で、千歳川放水路計画のこれ以上の調査費の継続ということは大変厳しい状況ではないかと認識しておりますが、治水対策の重要性にかんがみて、ぜひ何らかの展望を開いていただきたい、そのときに、ぜひ亀井大臣の、特措法のときに示したような政治力をこの問題についても発揮をしていただきたいということを要望して、質問を終わります。
  107. 辻一彦

    辻主査 これにて石崎岳君の質疑は終了いたしました。  午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  108. 辻一彦

    辻主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管住宅金融公庫について質疑を続行いたします。坂上富男君。
  109. 坂上富男

    坂上分科員 どうも大臣、ありがとうございます。  本日、私は、第四分科会における質問は四項目質問要旨を提出しております。そして、もし時間が少し余りましたら、私は沖縄土地収用委員会の裁決に対する審査申し立てについて少し御所見を賜りたいと思っております。時間がありましたらの話でございます。  まず、大臣にお聞きをいたします。亀井大臣は、新潟にお出かけをいただきまして、大変心強いお話も承っておりまして、大臣の所信の表明は広く新潟県民が期待をして見守っておるというところでございます。  そこで、磐越自動車道、いわゆる高速道路でございましょうか、これについては一部、津川と西会津間がまだ工事中でございまして、開通をしていないわけでございます。  そこで、大臣は、二回にわたりまして、十月にこれが開通できるというお話があったんだろうと思うのでございますが、新聞では十月一日開通というふうにも実は書いてあるわけでございます。それは県民が一日も早い開通を望んでおるがゆえでございますが、この点、まず、十月の開通は、大臣おっしゃるとおり大丈夫なんでございましょうか。それからまた、十月一日という日時が新聞  では報道されているのでございますが、この点、どういうふうにして私たちはお待ちをしたらいいのでございましょうか。
  110. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は武士ではございませんけれども、二言はございません。十月一日午前零時にはちゃんと通行していただくようにやるということで、もう道路局長もそういう準備をいたしておりますから、それができなかったら、我々は打ち首でございます。
  111. 坂上富男

    坂上分科員 大変心強い御答弁で、大変うれしく聞いておりました。ぜひともひとつお願いをいたしたいと思います。ありがとうございました。  それからまた、きょうはまた運輸省からわざわざ来ていただいております。少し質問をさせていただきますが、これもまたお願い、要請にもなる質問でございますが、先般、私たちの知事、平山知事と申しますが、訪中されまして、新潟と中国の西安間でございますが、いわゆるここに飛行機を走らせようということで、準定期化を今検討中で、中国側とも話ができ、覚書の締結に向けて検討に入ることになった、こう言われておるわけでございます。  新潟にとりましては、いろいろと深いつき合いもありまして、例えば新潟の佐渡のトキでございますが、中国のトキをお借りをするというようなことも、いろいろと交渉しておる一つでございます。  そんなようなことから、西安便については私たち県民も大変期待をしておるのでございますが、これについて、今、運輸省とされましてはどういう御認識があり、これから私たちはどういう期待を持つことができるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  112. 遠藤信介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  その新聞報道については承知しております。国際航空便の運航については、地域における国際交流の促進、航空交渉上の観点、航空企業の運航計画等を踏まえ、運輸省といたしまして適切に対処することといたしておりまして、チャーター便の運航等により、国際旅客の需要が拡大することを期待しております。
  113. 坂上富男

    坂上分科員 ありがとうございました。ぜひひとつ一日も早くこれができますよう、要請もいたしたいと思います。  お帰りになって結構でございます。  それから、今度は建設省でございますが、まず一つは、新潟市から三条市、これは私の住まいの場所でございますが、三条市を経て福島県のいわき市に連絡する国道二百八十九号線がございます。これは新潟、福島両県を連結する重要な路線でございます。また、これについて私たちは、できるだけ早くお力を出していただきまして、開通をさせていただきたいと実は思っておるわけでございます。  大臣ももう既に御存じだろうと思うのでございますが、特に、新潟と福島県境には八十里越えという通称の場所があるわけでございますが、これは八十里あるというわけではございませんで、八里しかないのでございますが、大変難所でございますからその十倍かかるということで八十里越え、こういうことを言っておるわけでございます。また長岡の、長岡藩時代でございますが、河井継之助氏が、落城をいたしまして会津に逃げ延びられたわけですが、この県境を通っていったという、大変これまた歴史的な場所でもあるわけでございます。また、会津の殿様もこの場所をお通りになったというようなこともあるわけでございます。  そんなことで、今は全く道路がございません。もう本当にやぶでございまして、私は、ちょうど十年ぐらい前でございましょうか、歩きました。歩きまして、全く道がないものございまするから、私は滑って落ちました。それで、これは本当にざあっと下がったのですが、私は落ちながら不吉な予感がいたしました。どうもこの次の選挙はこのようなことになるだろうかと思ったら、案の定そうなりまして、これは本当に私にとっては忘れることのできない場所でございます。  これは一日も早く開通をさせていただきたいのでございますが、話によりますと、二十年間かかるとも言われておるところでございます。しかし、本当に私たちにとりましては夢の国道なんです。これが開通をいたしますと、無限に方向が広がるのではなかろうかと私は思っておりまして、期待をいたしておるわけであります。民間のボランティアがたくさんありまして、八十里越えという運動、おのおのの皆様方がそういう運動をなさっておりまして、皆様方がこの八十里越えをする、こういうような場所でございます。  私らは非常に期待をしておる道路でございますが、これに対する新潟県内の整備の状況、そしてまた交通不能区間となっておりますところのこの八十里越えの整備の進捗状況、そして今後の見通しについて、ひとつ御答弁をいただければありがたいと思います。
  114. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 この一般国道二百八十九号線でございますが、新潟市から三条市を通りまして、いわきに至ります二百六十二キロの幹線道路でございます。県境が、先生おっしゃられたとおり急峻な山地を通過していることもございまして、新潟県内におきます改良率は約六六%となっております。全国平均は七八ぐらいですので、ちょっと全国平均よりも悪いんではないかといった感じがいたしております。  現在、そういうことで、新潟県内におきましては、平地の都市周辺部においては渋滞対策、例えば三条市内では東大崎拡幅とか、燕市内では燕北バイパスの事業に着手するといったことで、鋭意事業を促進しております。  それから、八十里越えの山岳部でございます。これにつきましては、お話しのとおり、県境部分が交通不能区間になっております。これを解消するといったことを目的といたしまして、南蒲原郡の下田村から福島県の只見町に至る約十一・八キロにつきましては、建設省直轄事業として事業実施しております。  さらに、この前後区間、新潟県側につきましては、一・二キロ大江道路、それから福島側については七・八キロを入叶津道路として三者で事業を進めているといった、突貫をかけてやっているといった状況でございます。  直轄事業につきましては、こういった急峻なところでございますので、多数のトンネル、トンネルが十一カ所ございます、それからそれに伴って橋梁も大分ございます。中でも最も事業期間がかかると想定されております長大トンネル、三キロほどございますが、九号トンネルというのがございます。  それで、これに着手するのがクリティカルパスになってくるわけでございますが、これのためにまずアプローチの区間の整備が必要といったことで、新潟側のアプローチ区間、現道では丸倉橋付近と言っておりますが、ここについて平成八年度から改良に着手しておりまして、九年度にはこの区間の小規模な八号トンネルに着手するといった予定になっております。また、福島側につきましても、九年度よりアプローチの改良工事に着手する予定でございます。  なお、新潟県の施工しております大江道路につきましても、七年度までに用地買収を完了いたしまして、改良工事及び大江橋の下部工工事に着手しておりまして、平成九年度には大江橋の上部工に着手するなど改良工事を促進する予定でございます。  そういったことで、直轄とそれから新潟、福島、三者一体となって、早期供用を図るべく事業促進を今後とも進めていきたいと思っております。     〔主査退席、高市主査代理着席〕
  115. 坂上富男

    坂上分科員 今度は、国道四百三号線、三条北バイパスについての質問、それからこのバイパスの国道八号までの連絡に関する質問をさせていただきます。  まず、一般国道四百三号線の三条北バイパスについては、三条市付近の交通渋滞の解消、地域の振興のために早期に整備を図る必要があると考えているわけでございます。これは、まさに私の選挙区でもあるのでございますが、ずっとこの三年ぐらい前から、三条、加茂、田上、こうあるわけでございますが、行ってみるとびっくりするのでございますが、三十分、四十分も待たなければ通行できないというような四百三号線、そういう大変な状況にあるわけでございます。  したがいまして、どうしても早くバイパスを開通をさせてこの渋滞の解消を図らなければならないということで、まさにここは、一日も早い開通が通勤者を初めとする皆様方のまさに願望そのものでございますが、そういう意味におきまして、この整備の進捗状況、そして今後の見通し、これがどうなるかということをまずお聞きをいたしまして、これに関連する質問もさせていただきたいと思います。
  116. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 一般国道の四〇三号線でございますが、新潟市を起点といたしまして、新津、三条、長岡の新潟県の中央部の各市を経まして、長野県の松本市に至ります二百四十七キロの幹線道路でございます。新潟県内では、延長は百三十九キロで、現在、改良率は六四%となっております。  三条北バイパスでございますが、三条市から南蒲原郡田上町間の延長八・三キロの道路でございまして、三条市を中心とします県央都市核形成事業を支援するための地域活性化促進道路事業として重点的に現在整備を進めているところでございます。  整備状況でございますが、平成八年度末までに田上町側、北の方からでございますが、延長二・八キロについて暫定供用を現在行っている状況でございます。そのほか、九年度には用地買収の完了しております加茂市内において改良工事を進めるとともに、三条市内についても、なるべく早く用地買収に着手できるよう、用地測量に着手することとしております。  今後とも、地元の皆様の御理解と御協力を得ながら、なるべく早期に供用が図られるよう事業促進に努めていきたいというふうに思っております。  それから、三条北バイパスから八号に取りつくのにどうなんだという御質問がございましたが、これにつきましては、現在、新潟県が都市計画決定に必要な各種の調査を進めているところでございます。関係機関との調整、それから所要の準備が整い次第、都市計画の手続に着手することにしております。これができ次第、事業の着手を進めていくこととなりますので、当面は、このルートを決めて都市計画決定をまず行うといったことに全力をこの区間については注いでいきたいというふうに思っております。
  117. 坂上富男

    坂上分科員 二点ばかり追加して質問しますが、まず、北バイパスと八号線の連絡の場所でございますが、新潟県で今調査、調整中だ、こういう御答弁でございます。大体いつごろまでにこれはできるのでございますか。  もう私ら市民は、話は決まっているんだけれども、まだ発表にならないというような理解をしている人も結構あるのでございますが、大体の時期については、都市計画手続に着手できるのはいつごろだというふうにお聞きをしたらいいのでございましょうか。
  118. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 調査の状況の進みぐあいもあるわけでございますが、現在のところ予定しておりますのは、ことしの秋ごろにはそういった都市計画の手続に着手できるよう、それを目途に準備を進めているところでございます。
  119. 坂上富男

    坂上分科員 それからいま一点でございますが、用地買収についての用地国債の活用はどういうふうにお考えになっておりましょうか、これについては。
  120. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 用地国債の活用につきましては、現在、三条北バイパス、今事業をしておる区間でございますが、そちらの方について、平成七年度には加茂市内で実施しているところでございますが、三条市内については、先ほど申しましたように、用地測量が済み次第、次年度以降用地買収に当たりまして、用地国債の活用も含めて検討してまいりたいというふうに思っております。
  121. 坂上富男

    坂上分科員 ありがとうございました。  亀井建設大臣は、特に公共事業の削減問題につきましては、必要なものはやらねばならないということを大変おっしゃっておるようでございまして、私たち住民から見ますると大変心強いことでございます。ぜひひとつ、大臣の御手腕を期待しているところでございます。かつて建設大臣に河野一郎氏という大変力のある方がなられたことがございますが、私は、河野先生にまさるとも劣らない亀井大臣だと思っておりますので、期待をいたしたいと思います。よろしくどうぞお願いを申し上げたいと思います。  さて、通告もいたさないで大変恐縮でございますが、例の沖縄土地収用委員会における一部強制使用却下についての問題でございます。  これは、この間私が法務委員会でも取り上げまして質問をさせていただきました。そして、防衛庁は、やはり建設省の方に審査申し立てを出す、こうおつしゃつておるのでございますが、この審査申し立ての日はわかりますか、いつまでが期限だということ。これはだれか御答弁できましょうか。できませんければいいです、突然ですから。  そこで多分出るんだろうと私は思うのでございますが、しかし、もう少しくお考えいただきたい。これは、当事者が違ったのですね。当事者違いというのは、もうそのものは同一性がないわけでございますから、これは裁判だったら却下が当たり前なんですね。防衛庁は、同姓同名なものでございまするから、間違って、Aという人にやるべきことをBとして出したのですね。したがいまして、こういうことは補正では間に合わないのですね。同一性を欠くものでございまするから、これはもう却下の対象になるのは当たり前なんですね。それが少し気になるのでございますが、建設省の方に審査申し立てをするというのがどうも防衛庁の態度のようでございます。  そこで、法務委員会で、私は、これはやめたらどうだ、もう一遍やり直したらどうですか。今このことのみによってそれほど重大な影響があるとは思わない。やはり防衛庁のメンツだけなんじゃなかろうか。そうだとするならば、もうこれは、この部分だけは取り下げて、直ちに再度申し立てすることができるんだから、建設省に再審査、いわゆる審査の申し立てなどということはちょっと違うんじゃないか。もしこれで却下になったら、防衛庁、これは一体どうするんですか、防衛行政に対する信頼を失うよと申したわけでございます。  御存じのとおり、我が党は、民主党は、いわゆる特措法、賛成しました。しかし、私は、衆議院で私一人が造反をいたしまして、賛成をいたしかねたわけでございます。  これは、御存じのとおり、例の板付の裁判で私の尊敬する松本治一郎先生が、期限が切れたから返還せよといって、松本先生の土地だったのでございますが、返還要求の裁判に出たのですね。だけれども、確かに期限は切れているんだけれども、これをもって直ちに返還要求をするということは公共の福祉から見て権利乱用であるということで、松本先生の方が負けたのですね。だものでございまするから、この板付判決、多分私も、代理人の一人として委任状だけ出したのじゃないかと思っているのでございますが。  そんなようなことで、私は、特措法の必要性なしということでうちの党内で随分やったのですが、我が党は、いや、賛成するよ、これは党議拘束だよということになりまして、私は造反をするというような形になったのです。それはそれで別の話でございますが、やはりこの問題は、そういう観点から見ても、当事者違いの申し立てでございますから、これはまた却下になると私は思う。しかも、私は造反した。私は、法律家の良心としてこれは賛同するわけにいかなかったんだ、こう申し上げてはいるわけでございます。  そこで、私は非公式に防衛庁長官にも申しました。防衛庁長官、これはもう少し考えた方がいいんじゃないかと私は思いますがということを申し入れた。検討させてもらいますと言って、その後どうなったかわかりませんが、どうもまだ申し立てが出ていないんじゃなかろうか、こう思うわけでございます。  そこで、もし建設省の方に異議申し立てが出ますと、建設大臣がその審査の判断をなさるわけでございます。どうも防衛庁は、建設省に申し立てをすれば、建設省の方は破棄差し戻しをして、沖縄でもう一度収用委員会はやり直せというような決定が出るんじゃなかろうかということを、それとなく期待をなさっておるわけでございます。  そんなようなことになりますと、ぜひひとつ大臣にお願いでございますが、これはやはり法律の適用の問題でございます、また法律の解釈、運用の問題でございますから、防衛庁がそんなように考えておる問題にはならないだろう、私は実はこう思っておるわけでございます。もちろん、法律をよく熟知されております、ほかの大臣と違う亀井大臣でございますから、私の申し上げることについても御理解いただけると思うのでございますが、どうぞひとつ、まあ仮定の話でございますが、申し立てが出た場合の審査のあり方というのは一体どういうふうになるのか、そして、そういう問題があるんだということも十分理解の上で御判断をいただかなければならない、私はこう思っておるわけでございます。  これは突然の話で恐縮でございますが、私が言いました質問について、もしお答えいただければお答えを賜りたい、こう思います。
  122. 亀井静香

    亀井国務大臣 まだ防衛施設局長からそうした審査請求を私は受けておりませんので、どうこうするというようなことも申し上げるわけにもいきませんが、申請がなされますと厳正に手続を進めてまいるつもりでございます。  委員の御意見はよく伺わさせていただきました。
  123. 坂上富男

    坂上分科員 どうもありがとうございました。  突然で恐縮でございました。ぜひひとつ、我が地元のためにもお力をお願いをしたいし、また、沖縄問題にもきちっとした筋だけは立てていただきたいということをお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  124. 高市早苗

    高市主査代理 これにて坂上富男君の質疑は終了いたしました。  つぎに、大口善徳君。
  125. 大口善徳

    大口分科員 新進党の大口善徳でございます。  きょうはまず第一に道路整備の必要性ということにつきまして。大臣も過日、ある総会で大きな声で勢いよくその推進方を訴えておられました。私は静岡県静岡市でございます。昔から、東海道などの七道、これは、並木が植わって、道標があって、一里塚などがあって、人と自然を大切にしながら道づくりがなされてきた。そして、昭和二十九年ごろから本格的な近代的な道路の建設となった。やっとネットワークが形成され、それが地域の活性化、そしてまた広域交流、企業活動、また生活道として非常に重要な機能を果たしている。そういう点で道路整備というのは非常に大事である、私はこう思っておるわけでございます。  一方、この四十年間で自動車は、百人で一台から二人で一台、こうなってまいりました。それとともに、交通事故の死者が、昭和六十三年以降八年連続して一万人を超える。静岡もよくないのでありまして、この点につきましては非常に深刻である。高齢者がその中でも最も増加を続けておるし、また歩行中の交通事故、これは三千人というようなことで全体の三割を占めている、こういうような状況です。そして、その中の半数以上が高齢者です。  そういうようなことを考えますと、交通事故あるいは渋滞の解消あるいは環境問題も含めまして、これからは、人と自然に優しい、そういうことが大事でありますし、安心して暮らせる社会実現ということからいきましても、生活者を重視した道づくり、こういうものが非常に大事であろう、こう思うわけです。そしてそれを積極的に推進していくべきである、こう考えますが、大臣の御所見をお願いします。
  126. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員から、予算委員会建設委員会等含めて余り今まで議論をされてない視点から、そうした社会資本整備の重要性、道路整備の重要性のお話をいただきました。御承知のように一万人を超える交通事故者がもう毎年出ておる、考えてみたらこれは大変な数でございます。  その原因はいろいろありますけれども、私もかつては警察庁におりましたけれども、その中の一つは、本来なら事故に遭わなくても済む方が相当数遭っておる。それは何かというと、道路構造の問題、いわゆる歩行者と車の分離がきちっとできているか、あるいは自動車同士の中央の分離帯がきちっとできておるかというこのあたりの、いわば我々の努力で防げる死者が毎年何千人とおるというこの現実があります。  そういうときに、毎日の生活を楽にするという、目先の楽をすることのみに社会保障を含めて金が使われて、そういう面はもうとにかく引いてしまえという議論は、私はもう基本的に間違っておると思うわけでございます。委員のおっしゃる、そうした人の生命を守るあるいは環境を守る、渋滞がどれだけ大気を汚染するかということでも明らかであります。そうした面からも、社会資本というものは道路整備を含めてきっちりとやっていく。  ぜひひとつ委員におかれましても、こんなことは党派はございません、与野党もございません、声を大にしていただきまして、大蔵の餓鬼どもが、入るをはかって出るを制すみたいな極めて幼稚な議論で財政構造会議をどうもリードしている気配がありますけれども、ぜひひとつ声を大にして御主張いただければありがたいと思います。
  127. 大口善徳

    大口分科員 非常に大臣らしい表現をお使いになって、非常に意気盛んでございます。私たちも道路の整備の大切さということをしっかりと訴えていきたい、こう思っております。  我が静岡におきましても、二十九年という歳月を経まして、ここにも局長いらっしゃいますが、静清バイパスというのが、我が県都においても悲願でございましたが、これがやっと、ようやくでき上がって全線開通、こういうことになったわけです。私も、阪神・淡路大震災のときに、あの震災の当日、夕刻に現地に入らせていただきました。本当に緊急輸送路というのは非常に大事である、人命確保からいって非常に大事であると、つくづくそう思ったわけでございます。  その結果、国一、国道一号線、駅前、駅の北口にあるのですけれども、その質も量も大きく変化いたしまして、かなり渋滞も解消されたということで、地域の方々は非常に喜んでおります。長沼とか古庄とか日の出町だとか、交差点の渋滞の解消、それから通勤、通学、買い物等の日常生活の利便性、これが高まったわけであります。前々から、当初計画のときから実はきちっとしておけばよかったわけでございますけれども、地元等のそういう反対等もあったわけです、古い話になるわけでございますけれども。  そういう中で、平面構造区間の交差点、平面交差があるわけでございます。賎機トンネルから安倍川の交通渋滞というのが、この平面交差で渋滞になっております。そしてこれがまた、南北道路との交差点の交通障害ということにもなっておりまして、第二東名のインターのアクセス道路の整備という観点からも、ここ昭府町から安倍川間の交差点を立体構造に改良することを早急に進めなければいけない、それによって渋滞を解消しなければいけないということを強く求めるものでございます。その点について御答弁をお願いします。
  128. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 静清バイパスは、ただいまお話ございましたように、三十年ほど前に事業着手した路線でございますが、当初は田園地帯を通る雄大なバイパスであったわけでございます。その後、市街化も進みまして、現在その南北方向には住宅地、住宅団地が張りついてきているようでございます。そういったものの交通量が非常にふえてきておりまして、ただいま御指摘の昭府町付近ももちろんそうですし、それから清水のインターの周辺、ここら辺も大分渋滞が厳しくなってきております。  そういったことで、建設省におきましては、平成八年度より調査を、交通処理対策を始めているところでございます。ですが、バイパスの前後区間につきましては、まだまだ現道拡幅も進んでいないところとか、それから、今の高架橋も二車線で環境対策等を進めている中でございます。そういったこともございまして、この実施に当たって、これまでの平面構造になった経緯でございますね、これは先生も御承知のとおりかと思いますが、そういったことも踏まえまして、地元と十分に協議しながら、先ほどの調査、そこら辺を進めていきたいというふうに思っております。  事業実施等は、恐らく都市計画変更、またやり直さなくては進めることができませんので、そういったことに向けてこれから努力していきたいというふうに思っております。
  129. 大口善徳

    大口分科員 前向きの答弁をしていただいたと思います。  今その都市計画の変更については市の方でも準備をしておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  また、今回のバイパスは、これは暫定の二車線になっております。しかしやはり、冒頭述べましたように、東海地震というのも予想されますし、ここは大動脈でございます。そういう点で、緊急輸送路の機能の強化、そしてまた渋滞対策、環境対策、そしてまた、二車線の場合は遮音壁が低い、四車線になりますとこれが高さがアップするというようなこと等、そしてまた、国一の沼津バイパス、浜松バイパス、これは四車化はもう既に完成しておりますので、この静清バイパスの整備についても四車線化へ大いに推進をしていただきたいということで、その点について御答弁をお願いしたいと思います。
  130. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 静清バイパスにつきましては、ただいまお話のように、清水市の八坂西町から静岡市の丸子二軒屋の十七・五キロの間、これが暫定二車線の供用になっております。ここについての遮音壁は、八・二キロの間、高さ二メートルの遮音壁が立っているところでございます。まだ供用したばかりの区間もございまして、沿線の方々から騒音対策等の要望が出されているようでございます。そういったことで、五月の上旬から調査を実施してきたところでございます。ここら辺も、実態調査を踏まえまして、環境対策については検討していきたいというふうに思っております。  それから、四車線化のお話がございました。二車線で供用はしているのでございますが、これは高架橋で、完全に自動車専用道的な扱いになっております。したがいまして、本線部については渋滞は少ないかと思っております。ですが、ランプとか取りつけ関連道路とかそういったところでは、交通渋滞がやはり出てきているのではないかということでございます。それにつきまして、静清バイパスも、旧道でございます現在の国道一号線、それから周辺の関連道路、そういったものの交通状況、それから周辺の開発計画などを勘案しながら、これについてもまた検討してまいりたいというふうに思っております。
  131. 大口善徳

    大口分科員 このバイパスができたことによって、その辺の渋滞緩和というのか、非常に流れがスムーズになってきたということは本当に地元も喜んでおるわけですが、その中で、騒音問題といいますものが、これは必ずつきもののことでございます。  私も、騒音ということで、地元から苦情が出ておるところを一通り回らさせていただきましたけれども、あるところですと、これは昭府町というところなのですけれども、マンションがある、そのちょうどトンネルの開口部に面している部屋は、その部屋ではこれはもう眠れない。ですから、畳がない玄関のところで、玄関先で布団を敷いて寝ておられる、そういうようなこともありました。地元の国道工事事務所副所長もそれこそ夜中にその騒音の状況を調べるなり、一生懸命、事務所の所長さんあるいは副所長さんも、その点について検討されているようでございます。努力をされているということも私も承知しております。  その上であえてお伺いしたいのですが、唐瀬、瀬名インター、それから千代地区、昭府町、平和町二丁目の住民からそういう苦情の声が上がっています。そういう中で、特にトラックが、深夜に法定速度を守らないで八十キロとか百キロとか、そういうスピードで走行をしている。そのスピードということも騒音と非常に関係があるのじゃないか。そういう点で、これは警察の方にお伺いしたいのですが、まず交通規制、これに取り組んでいただけないか、私はこのことをまず要望しておきたいと思います。
  132. 米田壯

    ○米田説明員 騒音とか振動とかという交通公害の防止といいますものは、交通の安全と円滑と並びまして、道路交通法の目的でもございますし、警察としても従来から重点的に取り組んでおるところでございます。  お尋ねの静清バイパスにつきましても、既に速度違反の取り締まりというものを実施してございます。ただ、この道路は供用開始からまだ間もないために、交通の流れがいまだ安定化しないという面がございます。地元の静岡県警察におきましては、その交通の流れの安定化をにらみっつ、交通実態把握を十分に行った上で、さらにその指導取り締まりの強化、その他の騒音低減対策をとっていくものと承知しております。
  133. 大口善徳

    大口分科員 建設省にお伺いしたいのですが、そういう点では、私も現場を見てまいりました。唐瀬と瀬名のインターチェンジのランプですね、遮音壁を設置するスペースはあるのですが、まだ遮音壁が設置されていない。地元としてもこれは設置を要望しておると思います。また、昭府町のトンネルの開口部、千代地区の本線、それについても遮音壁等の設置をこれは早急にしていただきたい、こう思っておるわけですけれども、よろしく。
  134. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 これは先ほども申しましたように、実態調査の結果を踏まえまして、必要に応じて遮音壁の設置等、対応していきたいというふうに思っております。
  135. 大口善徳

    大口分科員 これは毎日夜を迎えるわけでございますので、そこら辺をきちっとやればまたその住民の道路行政に対する理解もさらに深まるのではないかな、私はこう思っておるわけでございます。  次に、交通安全対策ということでお伺いをしたいと思うのですが、全国における交通事故で亡くなった方は、先ほども申しましたけれども、一万人を超えておる。一九七〇年以来第二次交通戦争、こう言われておるわけです。そういう中で、建設省あるいは警察、それから地元の住民が、児童生徒等の交通弱者の視点から交通安全総点検というものを実施しておるわけであります。その点について、平成八年、九年の取り組み状況をちょっとお伺いしたいと思います。
  136. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 交通安全総点検というのを行っておりまして、これは、だれもが安心して利用できる道路交通環境の実現を図るといった観点から、高齢者、それから障害者、児童、もうさまざまな方々を主体として参加していただいて、道路管理者並びに公安委員会が連携して実施しているものでございます。  平成八年度でございますが、その初年度といたしまして、夏に三県六市、秋には全国交通安全運動時に十都道府県、二十三市町村におきまして、高齢者、障害者を初めとする約千五百名の地域住民の方々の参加を得ましてモデル的に行ったところでございます。  したがいまして、ことしから本格的にやるということで、平成九年の春の全国交通安全運動のときから全国的に展開しております。四十四都道府県、九十八市町村で、約四千二百名の方々の参加をいただいて点検を行ったところでございます。  今後ともこういったようなときに点検を一層推進しまして、安全で安心のできる道路交通環境の実現に努めてまいりたいと思っております。
  137. 米田壯

    ○米田説明員 先ほど道路局長から御答弁いただいたものにそれほどつけ加えるところもないわけでございますけれども、ことしの春から全国的に展開をいたしまして、この後さらに充実してやっていきたいと思っております。  私どもといたしましては、この実施結果を、交通規制の見直しでありますとか、あるいは安全施設の整備でありますとか、そういったことに反映をさせまして、交通事故防止に万全を期していきたいと考えております。
  138. 大口善徳

    大口分科員 交通の安全の点検をしますと、道路の構造的な問題とともに、信号の問題ですとか交通規制の問題ですとか、警察ももちろんこれは一体となって非常に努力していただかなければいけないと思います。  そこで、そういうことからいきましても、今コミュニティーゾーン形成事業というのを建設省でやっております。これにつきまして、もっと積極的に、安心して歩行者が歩けるようにやはり市街地等について推進していかなければいけないと思います。この辺についてお伺いいたします。
  139. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 車中心の道路から歩行者を中心とした道路へといったことが一つのテーマになってございますが、特に住居系の地域におきましては、先生御指摘のコミュニティーゾーン形成事業というのを行っております。これは、三メーター以上の幅の広い歩道を整備したり、あるいは車を余り入ってこない形で、むしろ歩行者中心のそういった道路をつくるといったことで、全国で今五十五地区を、各市町村でございますが、そういった地域に指定して実施しております。八年度から特に始めたわけでございますが、十二年度に至るまで、三百カ所を実施したいというふうに考えております。特に、静岡市におきましては、鷹匠地区において実施中でございます。
  140. 大口善徳

    大口分科員 最近の自転車事故の死亡者というのは、全体の約一〇%で推移しているわけです。その中で、中学生、高校生の死亡者数といいますか、自転車に乗用中の死亡者数というのは、これを調べてみますと、平成四年が百五、平成五年が七十三、平成六年が七十九、平成七年が六十九、平成八年が五十六と、だんだん減ってはいるのです。努力はされていると思いますが、それでもまだ五十六のとうとい命が失われている、こういう状況であります。  また、重傷者数ということについていきますと、平成四年が二千三十一、平成五年が二千百八十、平成六年が二千十三、平成七年が二千百一、平成八年が千九百八十二と、こちらの重傷者というのは大体二千前後であるということで、高校生、中学生の自転車、恐らく通学であろうと思いますが、この時点における事故というのがまだまだ減らない、こういう状況であります。静岡市におきましても平成六年から八年の三年間で高校生が登下校時に三名亡くなっておられます。また、平成七年から八年で重傷事故は四十一件、軽傷事故が百四十八件、こういう状況でございます。  そういう中で、県の教育委員会が県内を土地区に分けて、生徒指導地区研究協議会の研究の一環として、静岡市立高校の生徒指導科の職員の方が、交通事故の実態や危険度が一目でわかる通学路危険マップ、こういうものをつくられたわけであります。高校生の目から見た危険箇所の確認ということで、これは非常に先駆的な取り組みではないか、こう思っておるわけでございます。やはり学校の現場の職員、先生、そしてまた高校生がこういう形で取り組むということは私は非常に大事なことであると思います。  こういうことについて全国展開をしていくべきじゃないか、こう思っておりますが、いかがでございましょうか。
  141. 米田壯

    ○米田説明員 お尋ねの静岡市内通学路危険マップ集成、これはその代表校の校長先生の方から所轄の警察署長あてに御提出いただいておるわけでございまして、静岡県警察といたしましても大変意義のあるものと認識して、これに基づいて危険箇所に対する対策を検討しておると聞いております。  先ほどからお話のございました交通安全総点検、この実施箇所には通学路、学校周辺道路といったものも挙げておるところでございまして、警察庁といたしましては、今後、この交通安全総点検を推進していくに当たりまして、この通学路危険マップのようなものが作成され活用されるということは大変有意義であると考えております。その旨都道府県警察に対し周知してまいりたいと考えております。
  142. 大口善徳

    大口分科員 そういう中で、市内の通学路危険マップ集成というものが示され、地元の警察にも出されておるわけです。いろいろ改善策とか具体策とかいうものも提言されておるわけですが、それに対して警察の取り組みはどうなっておりますか。
  143. 米田壯

    ○米田説明員 このマップ集成は、提出していただきました所轄署あるいは県警本部におきまして、このマップ集成で挙げられました要望事項につきまして個別に吟味検討を加えまして、道路管理者などとも連携をいたしまして、必要な交通安全対策を的確に推進していくものと承知しております。
  144. 大口善徳

    大口分科員 これは危険なところでありますので、早急にすべてについて改善をお願いしたい、こう思うわけでございます。  その中で県道奈良間手越線の向敷地地区を朝の登校時に私も見てまいりました。大変危険なところでございます。これについては県の方も動かれておられるという中で、改良工事に不可欠な樋管と用水路のつけかえというのがこの改良工事のポイントである、こういうふうに伺っております。これについてどう取り組まれるのか。  それと、ちょっとその先の産女地先に老朽化した産女陸閘というものがあります。これも非常に危険な箇所でございまして、これについて、これは県道でありますけれども、例えば道路管理者が歩道部分をスロープ化等する場合、この陸閘というのは河川局の所管でございますので、改善策について検討した場合の河川管理者としての対応についてもお伺いしたいと思います。
  145. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 道路の方からお答えいたします。  奈良間手越線の事業は昭和六十三年から静岡県の単独事業として進められているところでございます。現在までに事業区間六百メーターのうち三百二十メーターが改良済みになっております。残りの区間についてでございますが、ただいまお話のございましたように、道路改良を行うに当たって、河川沿いでございますので、横断する水路がございまして、これの移設について現在協議中でございます。静岡県としては、この協議が調い次第、早期完成を目指して施行してまいるというふうに伺っております。建設省としましても、これが早期に供用できるよう、ことしからは地方特定道路整備事業として実施を加えることになっております。
  146. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 二点でございますが、まず向敷地の樋管の改築工事です。これは平成六年の七月に改築の許可申請が出されたわけですけれども、その後、どうも用地取得で難航して、申請を取り下げられたということがあるようでございます。そこで河川管理者の方でけったのではないかという誤解が生まれたようでございますが、そういうことではございませんで、用地の方の処理も終わったということで近々許可申請が出されると伺っております。速やかに処理をしたいというふうに思っております。  もう一点、産女地区の陸閲の問題でございますが、この陸間自体は古くはなっておりますけれども、陸間としての機能は維持しておるということでございまして、河川の方からこれを改築をするという予定はございませんが、道路の安全性ということでこの陸間について改築の必要が出てくれば、我々としても対応すべきところは対応してまいりたいと考えております。
  147. 大口善徳

    大口分科員 この陸聞についても私も朝見てまいりました。非常に危険であります。これからも推し進めていただきたいと思います。  最後に緑化対策についてお伺いしたいと思います。  建設省は環境大綱という大きな立派なものをつくりました。そしてまた、緑の政策大綱ということで、緑サンサン・グリーンプランという形で、その中でアクションプログラムということで、グリーンプラン二〇〇〇ということで、都市の緑化を推進していくということでございます。地球の温暖化、ヒートアイランド化、NOx等の大気汚染の悪化など、環境問題の重要性を考えますと、また緑の心理的な効果ということからいきましても、都市の緑化というのは非常に大事であり、積極的に取り組むべきである、こう思うわけであります。  中でも、都心部に山や海からの新鮮な空気を送り込む風のみちというものも重要であるし、それにどう取り組んでいくかということも大事であると思います。さらに、屋上の緑化といいますか、立体緑化といいますか、これも非常に大事である、こう思っておるわけでございます。屋上の緑化の整備促進についても非常に重要と考えますが、どのように取り組まれておるかということをお伺いしたいと思います。
  148. 木下博夫

    ○木下政府委員 緑の効果につきましては、今先生からお話があったとおりでございまして、私どものお答えする部分を先生がお答えいただきましたのであれですが、お話にございましたグリーンプラン二〇〇〇というのは、従来の公園とかそういうハードな施設整備に加えて、もっともっとソフトの部分も含めてのいわば施設計画を練ってみたい、あるいは建設省だけではなく関係省庁ともうまく連携していきたいということでございます。  それで、風のみちと屋上緑化につきましてお話がございました。グリーンプラン二〇〇〇に七つの課題が挙がっておりますが、二番目に広域レベルでの水と緑の骨格・回廊づくり、それから三番目に都市内での水と緑のネットワークの形成、これを挙げております。どちらかというとこの部分がお話のあった部分に関係すると思っております。  まだまだ事業としては実験的段階を脱しておりませんが、例えば公営住宅あるいは環境共生の市街地住宅整備、さらには公的な施設で、例えば京都の第二地方合同庁舎あるいは国立国会図書館の関西館、こういうところでは例えば屋上緑化もやっております。それだけではなく、例えばベランダなどにもつともっと市民の方々が心がけて緑とか花をつけていただくようなことも我々建設省としても大いに支援していきたいと思っております。御趣旨の線に沿ってこれからの緑化対策をやってまいりたいと思っております。
  149. 大口善徳

    大口分科員 最後になりましたが、屋上緑化について、地方自治体においてはいろいろやっておりますけれども、やはりインセンティブを働かせる施策がまだ十分ではないのじゃないか。  それで、市役所とか区役所とか地方公共団体の建築物の屋上緑化を率先してやっていくべきでないか、こう思います。そういう点で自治省にちょっとお伺いして、私の最後の質問とさせていただきます。
  150. 牧野清文

    ○牧野説明員 屋上緑化の効果につきましては先生御指摘のとおりかと存じます。  地方自治体におきましても、一部警察署でありますとか高校の体育館などにつきまして取り入れたところがあると聞いております。  公共建築物におきます屋上緑化、これは比較的新しい試みでございまして、事例数はまだ必ずしも多くはないと存じますけれども、自治省といたしましては、緑化推進を図るという観点から、例えば庁舎整備等に当たりまして地方債を起こすわけでございますが、そういった場合にその対象経費に含めるといったような前向きの対応が必要で  ある、そのように考えてございます。
  151. 大口善徳

    大口分科員 どうもありがとうございました。
  152. 高市早苗

    高市主査代理 これにて大口善徳君の質疑は終了いたしました。  次に、斉藤鉄夫君。
  153. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 新進党の斉藤鉄夫でございます。  最近、公共事業悪玉論が言われているわけですけれども、しかし、日本のおくれている社会資本を整備するという意味において必要なものは必要なわけでございまして、公共事業がすべて悪いという言い方には少し抵抗を感ずるのです。ポイントは、我々の国会の議論を通じて、必要と認められた公共事業、その公共事業をいかに安く、かつきちんとした品質のものをつくっていくかということではないか、そこがポイントなのではないかというふうに思います。  こういう問題意識で、前回の予算委員会分科会におきまして公共事業における検査の話をさせていただきました。日本の場合は、欧米と違って、公共工事をする、その工事をしたものを検査する、その検査システムが責任施工という考え方のもとでゼネコンの契約の中に検査も入っている。ですから、例えば鉄筋の検査をしているそのすぐ後ろで、すぐに生コン車が来て、早くコンクリートを打たなければコンクリートが固まる、そういう状況検査をしても、それはゼネコンの意を受けているわけですから、合格という検査報告書を書かざるを得ない。  そういう検査ではなくて、責任施工という考え方から第三者検査、つまり発注者がおり、また元請会社がいる、その二社とは独立した機関が独立機構としてチェックをすべきだ。そういう責任施工から第三者チェックという考え方にこれからの公共事業を進めていくべきではないか。そのことが回り回っていい品質を安くつくる、税金を最も効率的に使うということにつながるのではないか、そういう問題意識で前回質問をさせていただきました。  亀井大臣は、そういう考え方もこれから取り入れていくべきだ、公共事業にこれからそういう考え方も取り入れていくよう指示する、こういうふうにおっしゃっていただきました。きょうはこの検査のことについては質問いたしませんけれども、どうかその件につきましてよろしくお願いいたします。  それから、今回取り上げますのは、これも全く同じ問題意識でございます。公共工事をいいものを安くつくり上げるにはどうしたらいいかということで、一般に上請と言われておりますが、この上請の問題を取り上げてみたいと思います。  上請というのは俗語でございまして、技術力が全くない、もしくは技術力が劣る、そういう中小の建設業者が公共事業を元請をする、それを技術力のある大きな会社が下請をする。大手が下請になるので上請というふうな言葉が使われておりますが、この上請の問題についてきょうは議論をちょっとさせていただきたいと思います。  この問題は二つに分けて考える必要があると思います。一つは、全く建設業法に違反する丸投げという問題。それから、法律上違反ではないけれども、しかし品質の面またコストの面でやはりこれから見直していかなきゃいけない、そういう二つの問題に分けて考える必要があると思います。  まず、この法令違反に当たる丸投げ、一括下請についてですが、建設省はその存在を認めていらっしゃいますでしょうか。把握していらっしゃいますでしょうか。
  154. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 全貌につきまして把握しているというわけではございませんけれども、一般的にそういうことが行われているということはかなり広範に言われておりますので、あるいはそういうものもあり得るのかなというふうに理解をいたしております。
  155. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 これは「日経コンストラクション」という建設業界では権威ある雑誌、このことしの三月十四日号に、こういうある証言が載っております。   「建設業法違反。当たり前に見かけるよ」。東京都の城南地区に社屋を構える舗装会社の経営者はこともなげに言う。  「うちの前の環状幹線道路の二百メートルばかり先の改修工事。地元のヘルメットをかぶつているけど、中身は業界で三本の指に入る大手の職員だ。その先もそう。ごろごろある。私が知る範囲では、このへんでやっている舗装工事の半分以上は一括下請負に抵触する」。  首都圏だけではない。長野県内で営業所長をする舗装大手の幹部は「この辺りはまともな方だ」と前置きしながらも、「うちの受注の八割方が上請け。その三~四割は元請けが実質的に関与していない。厳密にチェックすれば、建設業法違反になるだろう」 こういう証言が権威ある雑誌に載っております。  この証言がどこまで信用できるかどうか、それはわかりませんけれども、発注の半分とか、また八割が上請で、その四割が建設業法違反というような証言もございます。そうしますと三割が建設業法違反の発注になる、こういうことになるわけですけれども、これだけ広範に建設業法違反が行われているとすると大変大きな問題だと思いますが、これに対して、どのように実態を把握し、対処していこうとされているのか、お願いします。
  156. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 御指摘のように、いわゆる上請の形態として、確かに建設業法で禁止をされておりますいわゆる一括下請に当たる、まさにずばり当たるような場合と、必ずしも法律上は一括下請に当たらないけれども実態として相当部分を他の業者が、特に技術力のまさる業者が行うという二つの態様があろうかと思います。  ただいまの御質問は、まさに建設業法二十二条で禁じております一括下請のようなケースについて、どのように実態を把握し、どう対応しようとしているのかという御質問であろうかと思いますが、ただいまの御質問の中で、三割程度と推定されるというお話がございました。私どもでは数字についてしかと把握しているわけではございませんけれども、まさに業法そのものに違反する事例はそれほど、三割というほどではないのじゃないかという感触を持っております。  しかしながら、ある程度はそういうものもあり得る、つまりペーパーカンパニーと言われております言葉と裏腹をなすわけでございますが、こういうものについては、もちろん法律に違反するということばかりではなくて、実態的にもそういうことを避けなければならないというふうに思っております。  ただ、我々がなかなかこの問題を取り上げにくいのは、一括下請というのは元請業者だけに禁止規定があるわけではなくて、受ける方も受けてはならないという相互についての禁止があるにもかかわらずそういう実態があるということは、事がなかなか表に出にくいという実態があるわけでございます。  しかしながら、先ほど言いましたように、こういう実態はなるべく排除しなければならないということで、一番効果的な方法は何かということでございまして、いろいろ考えました結果、やはり発注の際に、施工力のある業者をきちっと把握して選定するということも大事なのではないかということで、昨今、発注者支援のためのデータベースシステムというものが完成しつつございます。  具体的には、昨年の夏以降一部稼働し始めておりまするけれども、これによりまして、受注者の業者に関するもろもろのデータ、特にその業者が抱えております技術者の情報、その業者が現在どの工事に従事しておるかといったところまでわかるようなデータベースシステムを構築しつつございますので、こういったものを活用していただいて、発注の段階で技術力のない、施工力のない業者を選ばないということを自治体に対しても指導し、特に直轄においてはそれを励行いたしておる次第でございます。  また、直轄の場合には割合施工体制も充実しておりますので、発注後におきまして、施工の段階におきましても、現場に立ち入って、どういう施工をしておるのかということもチェックすることが一部可能でございますので、そういったことにつきましても今後努めてまいりたいと考えております。
  157. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 発注者支援データベースと今局長おっしゃいましたけれども、このデータベースをきちんとして、技術力のない会社に発注するようなことを防ぐ、そういう答えで、私もその点、徹底してやっていただきたいと思うのです。  国の工事については建設省が主導を持ってやられるということでいいかと思いますが、いわゆる地方自治体の工事が実際には規模の小さいものも多いわけですし、規模の小さいものをまたさらに分割して地元の業者に総花的に発注するというようなことも見受けられて、そこに、先ほど言ったような丸投げ、一括下請というふうな問題が起きているようですが、地方自治体に対してはどのように指導していかれますでしょうか。
  158. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 自治体の発注が問題だという御指摘でございますが、舗装工事につきましては、まさにそのとおりではないかというふうに思うわけでございます。  ちなみに、私の手元に舗装工事平成六年度の数字がございますが、全体の割合の中で工事件数で九五・四%、工事費に対しまして八〇・四%、これが地方公共団体発注でございまして、いわばそのほとんどが公共団体発注の舗装工事ということでございます。  しかも、なかんずく、このうち件数でいいますると五五%が市町村の工事ということでございまして、舗装の工事自体が最近小規模化をし、といいますのは改築工事というよりも小修繕が非常にふえてきておるという実態を反映しておるのではないかというふうに思いますが、地方の小規模工事がふえてきておる、こういう実態がございまして、そうなればなるほど地方の業者さんを優先的に選ぶ、こういう発注者の判断がございますので、まさに公共団体が的確に業者を選ぶということが大変大事になってくるわけでございます。  確かに、自治体に対しましては私ども法律上の指導権限、強制権限があるわけではございませんけれども、これは事柄の道理といたしまして、法律に違反するようなものは選ばないというのは権限云々の話以前の話ではなかろうかと思いますので、そういう指導を一般的にはやってきておりますし、先ほど御説明いたしました発注者支援データベースにつきましても、一部その公共団体に参加をいただきながらシステムの開発などを行ってきた経緯もございますので、まだまだ全市町村に普及するという状況には至っておりませんけれども、なるべく広範にこのシステムが活用されるように努力してまいりたいと考えております。
  159. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 確かに、建設省としては自治体になかなか意見が言いにくいということはあるかと思いますが、この業法違反はやはり建設業法を所管している建設省として見過ごすわけにはいかないわけでございますので、どうかこの発注者支援データベースを各自治体が使えるように、これからも強力に推し進めていただきたいと思います。  それから、先ほどもう一つ、丸投げする方もいけないけれども、丸投げを受ける方もいけない、こうおっしゃいました。私は、その上請をした、受注した業者に対しても、これはいろいろ資料を読んでみますと、背に腹はかえられない、この厳しい競争時代で食べていくためにはしようがないというふうな声もあるようですが、しかし業法違反は業法違反でございますので、受けた方もきちんと罰する、こういう姿勢が必要ではないかと思います。この点についてはいかがでしょうか。
  160. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 基本的姿勢としてはおっしゃるとおりではあろうかと思いますが、先ほど来申し上げましたように、なかなか個別具体の話として浮き上がってこないという実態がございますので、おっしゃる理念がどこまで現実として徹底できるかということにつきましてはいろいろ問題もございますけれども、姿勢としてはそういう姿勢で臨みたいと思います。
  161. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 何か聞くところによりますと、大手の職員が地元の業者の作業服を着て、ヘルメットもそういうふうにかぶりかえて、これから伸び行く若い技術者が非常にやる気をなくしているというふうな声も聞きますので、その点、よろしくお願いいたします。次に、今のは法律に違反するような悪質な場合ですが、次は法違反ではないけれども実質的な上請、確かに現場にはその元請の技術者が一人か二人は来ている、しかしその人には何の力もなくて、現実にはその大手がすべてを施工しているという場合について、ちょっと質問をさせていただきたいと思います。  こういうふうに言いますと、何か大手の代弁をしているようですが、そうではなくて、中小でも、自分のところに技術力を蓄えて、技術の研究開発を行って、それをコスト低減に結びつけて、一生懸命頑張って社会に貢献したい、こういう中小建設業者さんはたくさんいらっしゃるわけで、そういう方の声として、暴力団まがいのその元請が地元の政治家の圧力を使って入り込んでくる、そういうことをすると、本当に一生懸命努力している方としてはやる気がなくなってくる、こういう声を聞きます。  そういう意味で、まじめに頑張っている、技術開発をしているところがきちんと仕事をできるような業界にしていかなければいけない、そういう声を聞くわけでございまして、そういう意味でも、この法律に違反していないようなものについてもやはり大きな問題があるので、取り上げて、問題があれば改善していく必要があると思うわけでございます。  この問題は、一つは、これは言うまでもないことでございますが、コスト高に結びつきます。元請は中間マージンとして一〇%とか一五%ぐらいを取っていく。その分が天引きされた金額で工事施工するわけですから、当然品質にも問題が出てくるわけでございます。本来であれば、その一〇%低い金額で大手が受注すれば、つまり技術力があるところが受注すればそれで済む工事が、一〇%高い買い物を納税者は買わされているということになりますし、当然品質的にも、本来納税者が払った金額より安い金額で実際に施工しているところはやっているわけですから、品質も悪くなる。  それから、研究開発をしようという意欲がなくなる。一生懸命自社で研究開発をして、新しい工法、またコスト低減に結びつく工法を開発したとしても、そういう上請構造の中ではその努力が認められないというふうな問題。  それから、実際に工事をしているときに、間に技術のよくわからない人が入るわけですから、非常に円滑な工事を阻害をする、こういう問題が言われております。  そういう問題をひっくるめて、納税者に対しての犯罪とも言えると思うわけですけれども、こういう問題について、建設省はどのようにとらえておりますでしょうか。
  162. 小野邦久

    小野(邦)政府委員 御指摘のとおり、大変貴重な税金をいかに効率的にうまく利用してきちっとした建設生産物をつくるかということが発注者のいわば責務でございます。  そういう観点から申し上げますと、違法でない下請、上請と申しますか、一応形としては、発注者と実際に施工を行う業者の間に元請業者がおられて、元請業者が一応の施工管理をされるとか、例えばそういう形態を先生おっしゃっているんだろうと思います。そういう場合の実際に工事に当たる方々が、例えば何らかの形の中間マージンを取られて施工されるということになるわけでございますから、納税者にかわって発注した場合に十分なものができてこないということもあり得るわけでございまして、建設省としては、こういうようなことのないように、発注の段階でいかに信頼できる企業を選ぶか、元請段階としてきちっと的確に施工する技術力に富んだ業者を選んでいくかというために、いろいろな努力をしているわけでございます。  ただ、遺憾ながら、建設生産というのは、一社だけで全部やるという場合はほとんどないわけでございまして、どうしてもやはり下請を使っていく総合的な生産活動ということもございますので、そういう点から申し上げますと、一社だけということより以上に、総合的なそういう形で物をつくり上げる業者をどう選んでいくのかということにもなるわけでございます。  そのために、具体的に工事を発注した後、でき上がった工事のできばえというものを十分調べまして、例えばそれを以後の指名に生かしていくとか、有資格業者の登録に生かしていくとか、あるいは技術活用パイロット事業といったようなものを利用いたしまして、新技術の現場への適用性を十分証明した上で、技術開発の推進に役立つような、そういう中でそれを実施できるような企業を選んでいく、そういうようなこともやっております。  くどくどいろいろ申し上げましたけれども、いかに納税者のために、納税者の代理人となって的確な業者を選定できるのかということが発注者にとっての一つの責務でもございます。そういう点から、今後とも、今お疑いの御指摘のあったような一括下請まがいと申しますか、違反そのものではなくても、それによって施工の安全が、あるいは的確性が脅かされるようなことのないような受注者の選定というものに十分意を用いていきたい、こう思っております。
  163. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 問題点をわかっていただけたと思いますので、その御努力、よろしくお願いいたします。  法令違反にはならないけれども、しかし、実質的に非常に高いものを買わされている、また品質の悪いものを高く買わされているという問題点、これを助長している一つの原因として、行き過ぎた地域、地元企業優先があるのではないか、こう言われております。  確かに、地元企業を育てるのは大事、大切なことですけれども、それは技術力のない地元企業に元請をさせるということではなくて、ある意味では、技術力があるほかの企業、その地元ではない企業ですけれども、技術力がある会社がやれば、その周辺の会社も技術力をつけていくわけですし、当然資材はその地域で買うわけですから、決してそれが、もともとの官公需確保法ですか、その精神に私は大きく外れることはないと思うのですけれども、この行き過ぎた地域優先主義があるのではないかという指摘に対しては、どのようにお考えでしょうか。
  164. 小野邦久

    小野(邦)政府委員 建設業の場合に、中小建設業者の占める割合というのは大変高いわけでございます。これは先生御案内のとおりだと思います。行き過ぎた中小企業対策が行われているのではないかという御指摘でございますけれども、建設業というのは中小企業の方々が大変多いということを考えますと、的確な中小企業対策、特に発注分野における的確な中小企業対策は、どうしてもやはりこれは必要でございます。また、官公需法という法律によってある一定の比率を設けまして、ある程度それを目標にして中小企業の方々に仕事が行くようなことも、国として長い間やってきたわけでございます。  問題は、要は中小企業対策をやる前に、きちっとした中小企業の方々と言ってはちょっと語弊がございますでしょうか、やはり技術的にすぐれて、経営もしっかりしている、また業法違反を犯すことのないような、そういう業者の方々に仕事をしていただくということが基本なわけでございます。中小企業対策一般、あるいはそれを念頭に置いて発注政策をとるということが悪いわけではございませんで、あくまでもそのとり方の問題だと。  先ほど経済局長からもお答えをいたしましたけれども、そのためのいろいろな制度的な枠組み、発注者支援のデータベースもそうでございますし、例えば直轄でございますと建設省ということになるわけでございますけれども、数多くの公的な発注機関が、それぞれ有資格業者の登録の場合に、厳正にきちっとそれを運用していくとか、あるいはいろいろな技術力の把握の仕方をより以上に実態に合った、あるいは的確な方式でやっていくとか、いろいろなことが考えられるわけでございます。  そういうようなことを総合的に実施することによって、適正な中小企業の方々に仕事が行くような中小企業対策、やはりそういうものをきちっとやっていく必要があろうと思っておりまして、その意味では、発注者の責務、あるいは業行政としての建設業行政というものも大変大きな課題を持っているということを我々は考えているわけでございます。
  165. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 あしき平等主義ではなくて、やる気のある、技術開発に対しても非常に努力をしている、そういう中小企業が伸びていく、そういう発注体制にぜひしていただきたいと思います。  先ほど、一括丸投げを防止するということで、発注者支援データベースシステムを整えているということが経済局長からお答えがありました。法律違反を取り締まるということですが、法律違反にいかないまでも、このような実質的な丸投げを防止する意味で、また受注形態を改善する意味で、このデータベースを活用される、そういう計画はありますでしょうか。
  166. 小野邦久

    小野(邦)政府委員 発注者支援データベースで完全だというわけではないわけでございますけれども、やはり相当の抑止効果というものはあるわけでございます。  現に、私ども地方建設局では、既にこの発注者支援データベースを全地建で用いておりまして、他の発注者の方々にもお勧めをし、あるいは、先ほど経済局長から御答弁いたしましたけれども、公共団体の方々にも、こういうシステムがある、これを使っていろいろな適正なあるいは的確な受注者の選定業務をやっていただくようお勧めをしているわけでございます。  基本はやはり、的確な受注者をどう選定をしていくかということに尽きるわけでございまして、直轄工事におきましても、より以上に、現在の制度あるいは制度の改善等も加えました上で、こういう制度を利用することによって、きちっとした発注業務ができるようにやっていきたいというふうに思っております。
  167. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 よろしくお願いします。  それから、あと、提案型受注というのでしょうか、自分は、この工事についてはこういう工法を提案する、地元の業者だからというか中小企業だからよくわかっているその地域の特性を利用して、こういう工法を使えばこれだけ安くなる、かつ品質もこれだけのものが確保できるんだ、そういう提案を受け入れる提案型の受注ということも、これから必要になっていくのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。  私、昔技術者だったころは、もう十五年ぐらい前になりますけれども、ある工法を考えつきまして、ぜひ公共事業でそれを取り入れてほしいということで、建設省の大臣官房の方にその技術の説明に来たことがあるんです。そのときは、けんもほろろに追い返されまして、どれだけ公共工事でこれが使われた実績があるんだと言われて、まだ提案している段階ですから実績なんかありませんと言ったら、じゃだめだと言う。そういうことでは、提案をしてよりいいものを安くつくろうという民間の努力をそぐことになると思うのですけれども、そういう体質が建設省の中には少し私は残っているような気がするのですが、いかがでございましょうか。
  168. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 おっしゃるような仕組みといたしましては、海外ではバリューエンジニアリングといったような形態の契約方式があるようでございます。  実は私ども、公共契約につきまして、従来、競争要素といたしましては価格を中心に決めておったわけでございますが、物によってはそれ以外の競争要素を取り入れることが適正な場合があるのではないかということで、おっしゃいましたように、技術の中身、これについても提案の幅を広げたらどうかということを現在議論をいたしております。建設業法に基づく中央建設審議会というところがございまして、そこで、現在行っております契約の方式以外に、適切な契約方式としてどんなものがあるのかということでいろいろ議論していただいております。  その中の一つとして、御指摘のありましたような設計あるいはその施工方法を業者さんの方から提案をしてもらう、それによりまして、コストダウンを図り、あるいは品質の向上を図る、そういった新しいタイプの契約方法を導入してはどうかということで議論をいたしております。恐らく夏ごろまでには一応方向づけがされると思いますので、答申が出次第実施に移してまいる準備を今いたしておるところでございます。     〔高市主査代理退席、主査着席〕
  169. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 最後に、大臣に一言お伺いさせていただきます。  こういうことで、いいものを安くということがこれからの公共事業、六百三十兆円使っていくということですけれども、いろいろな批判がありますけれども、その大前提は、できるだけ、必要なものをつくる、安いコストで品質のいいものをつくる、そういうことが大前提だと思いますが、今の上請の存在、それに対してどう対処していくかという議論をお聞きになりまして、どのように将来されていくか、御決意をお伺いして、私の質問を終わります。
  170. 亀井静香

    亀井国務大臣 下請についての問題は、よくいろいろな場面でその弊害その他を含めて議論をされるわけであります。委員の、上請という逆の形態もあり、それがまた公共事業のコストを非常に上げておる、あるいは競争の公平性を阻害しているというようなそういう御指摘、私はあると思います。  特に、中央官庁はないと思いますが、地方自治体発注の場合、その自治体に顔をきかす政治家とかいろいろなものがインフォーマルな形で介入をして、どうしても地元の業者がとりやすい、そんな状況もこれは部門によっては相当広範にある、私はこのように思います。  そんなことは決していいことじゃありませんで、また、大手もそういうことまでしていって仕事をとるというのもプライドのない話でありまして、私は、そこら両者が反省をしていただかなければならないと思いますが、とにかく大中小それぞれがやはり所を得てバランスよく公共事業執行していくということが大事なことでありまして、そういう意味では、大手が丸投げみたいな形でやってもいけませんし、下がそういう形でやってもならない。経済局長等そのあたり強い認識を先日来のいろいろな議論の中でしておりますので、今後頑張ってくれると思います。  また先ほど委員から非常に、前も言われたと思いますが、いわゆる建設工法をやはり積極的に競争入札の中に取り入れていくべきだということ、ありますね。何というんですか、普通いろいろな建物をつくることに対して競争、コンペみたいな形でやらせると同じような形で、例えば道路にしたって橋にしたって港湾にしたって、コンペで、うちはこういう新しい工法でこういうすばらしいものをやるんだ、そうした工法を含めて競争入札をさせていくという方法が、建設技術を向上させていく、コストダウンをさせていく、委員おっしゃるように決め手の一つだと私は思いますので、局長今申し上げておりましたように、この夏ぐらいまでの間、私が大臣しておるかどうかわかりませんが、委員の御指摘の点を具体的に実らす努力を私自身もしてまいりたい、このように思っております。
  171. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 ありがとうございました。終わります。
  172. 辻一彦

    辻主査 これにて斉藤鉄夫君の質疑は終了いたしました。  次に、吉田治君。
  173. 吉田治

    吉田(治)分科員 今、公共事業の不要論であるとか一律削減論というのが随分マスコミをにぎわしております。行財政改革という中、財政が厳しい折、議論が沸き起こるのは無理もないところだと思うのですけれども、一歩国民の生活の質の向上とか経済の活力というふうな部分から考えた場合に、必要なものを重点的に行うということこそが私は行財政改革の基本ではないかという気をこのごろ強くしているんですね。  全部一律にカットだ、縮小均衡だ、まさにシュリンクしているかのごとくの財政に対する考え方、これは戦前の金解禁のときの濱口雄幸内閣のときの、じゃ全部で同じように減らそうだと、大臣、まさに私は思うんです。政治というのはそうじゃないと思うんですね。みんなが痛みを分かち合うからみんな減らすというんじゃなくて、必要なときには必要なところへどんとかける。やはり明治維新以降、そういうふうなことが明治維新のときにはされたからこそ、今現実の発展があったんではないか、こういうふうに思うんです。  その中で私はまず、発注者責任というんですか、行財政改革の中で公共事業、特にその七割を所轄する建設省においてその出し方というふうなものに私はこのごろ関心を持つというか、そうする必要があるんじゃないか。いつかの委員会でも私は質問させていただいたことがあるんですけれども、今さまざまな技術を、大手、中小を問わず建設関係の人たちは研究所を持ち頑張っているところがある。しかしながら、現実には、大臣の答弁にも先ほどございましたように、何らかの力が働くとか、過去の経緯が、過去の実績が、一番いい例が、例えば登録業者のランクづけであるとかで、それは何も技術力ではない、受注額による。  そうしておりましたら、本年四月二十九日の日経新聞で発注者責任研究会、深く読んでまいりますと、まさに私がふだん思っておりましたように、技術力というふうなものによって、大手も中小も関係ない、発注者がみずからの責任によってそれを評価してやっていくんだ。  行財政改革の中で公共事業等々減らしていく。まずはパイが減っていくと同時に、私は何もそのパイを減らすんじゃなくて、今あるもののコストを減らしていくというまさに技術革新というんですか、テレビも自動車も、大臣は私よりお年を召されていますので多分御記憶かと思いますけれども、大臣が会社に勤められたときに、テレビ、カラーテレビ買えるかな、自動車、偉くなって警察庁長官になったら乗らせてもらえるかな。自分で持つということは多分想像は難しかったんではないか。  しかし、今私たちの時代になりますと、会社へ勤めてまず何を買うか、車を買う。やはり技術革新というようなものによってそれだけコストが浮いてくる。  それは建設の業界でも同じではないか。またこうすることによって、大臣が平素、甲乙型共同企業体というんですか、大きな仕事に対しては俗称Aランク、Bランクと言われている企業が合体して共同企業でやるべきだ、そうすることによって大手、中小のそういう仕事というふうなものを潤沢に回すという発想にも私は近づくんじゃないかと思うんですけれども、この辺のお考え、特に私は、この発注者責任は、地域経営責任という地方自治体の発想もあると思います。道路公団初め各公団も、こういう地域経営責任という中でもやはり発注者責任という発想を持って広げていく必要があると思うんですけれども、この辺について担当の部署から御所見を賜りたいと思います。
  174. 小野邦久

    小野(邦)政府委員 発注者責任研究会のお話が出ましたけれども、これはことしの四月発足をいたしました。要するに、公共工事の品質を確保しつつコストをどう削減をしていくのか、そのために、発注者、設計者、施工者それぞれの立場の方々が責任を持っていろいろな仕事ができるような、そのためにはどうしたらいいかということを研究するための内部的な機関でございます。  私どもの官房技術審議官をヘッドといたしまして関係者が集まりまして、そういう発注者の責任、特によりよき品質のものをより低コストで納税者の方々に提供するにはどうしたらいいかということ、それを基本的な任務といたしまして発足をしたものでございます。  今後いろいろ具体的な課題を検討していくわけでございますが、先生御指摘になりましたとおり、たとえ中小の建設業者であっても技術力にすぐれたものはやはりきちっとした競争の中に参加できるような、そういうことも当然考えていかなければいけないわけであります。  現在でも、例えば仕事のできばえを通じて、あるいは技術者、一級の施工管理技術者が何人いるのかとか一級の建築士が何人いるのかとかいうことによって点数制度もございます。そういうものが当然有資格業者の登録に反映されるわけでございますけれども、それだけで果たして十分なのかどうか。先ほど御質疑でも出ましたけれども、VEといったような新しい契約方式も今いろいろ考えております。  要は、技術的にいろいろすぐれた企業がどう仕事を受注し、低コストで完全なものを仕上げていただけるのか、こういう観点からの取り組みが財政再建の折から大変大事ではないかと私は思っております。そういう方向でいろいろ議論をする一環といたしましてこういう研究会もつくったわけでございまして、今後は、より以上にやはりそういう方向に意を用いていきたいと思っております。
  175. 亀井静香

    亀井国務大臣 なお、今官房長がお話ししましたけれども、私なんかも非常に生のいろんな経験を建設省との関係でさせていただいておるわけでございまして、今私は具体的なことは一切言いませんけれども、この業者、建設省の仕事をしたいと言っておるのだけれども、入れない、CランクでもBランクでもいいから何か入れて仕事をやれるようにしてもらえないか、ちゃんとした会社だし、技術力もあると言うと、実績はどうですかと必ず言うのですね、建設省。今までの実績がなければそれは無理ですよ、どこかの下請なんか入って実績を積んでからにしてくださいよと大体異口同音に──そうだな、今まで。そういう回答が必ず返ってくるので、それでは私は建設省分野で、いわゆるベンチャーと言ったらおかしいのですけれども、技術をぐんぐん革新をしていく、そんな会社とかグループは生まれないと思います。  今から、コンペということでもいいですから、ここの道路、ここの高速道路、ここのインターチェンジをやるのについて特別なノウハウ、やはり今あるんですよ、建築関係でもどんどん日進月歩で研究開発をしているところはおるわけですから。そういうところを、過去の実績がなくても、その技術力、うちも土木研究所等でそれを検証する力があるわけですから、そういうものをきっちりと検証できればそういうところに受注する機会を、思い切って過去の実績と関係なく与えていくということをしなければ、私は、日本の経済が将来へ向けて活力を持ち得ない、このように考えておりますので、委員の御指摘の点に従って努力をしたい、このように思っております。
  176. 吉田治

    吉田(治)分科員 それがひいては、大臣ふだん言われている、先ほども申しました甲乙型共同企業体というのですか、そういうふうになっていくと思うのです。そういうふうなのが、私の地元でありましたら、大臣も運輸大臣を務められまして関西国際空港の現実の仕事において反映された、あれは運輸省の所轄かもしれませんけれども、そうなるようにぜひともしていただきたいと思います。  こういうようなこととあわせていきますと、私ども、大阪というのですか、大都市圏の交通渋滞解消というのは、今まで、発想的にはネットワークを広げる、道路の線をふやしていくということですけれども、例えば阪神高速道路、まさに私の家の横を通っているのですけれども、ボトルネック対策などというのは非常に公共事業として費用対効果が大きい事業である、そういうふうに考えるわけです。やはり一つの渋滞箇所、そこに集中的に投下をしていく、これが先ほど私申し上げました公共事業のめり張り。  また、同じく日本道路公団が運営しております、これは大阪だけでなくて関西圏で考えた場合、日本全体を考えた場合に、名神高速道路など高速道路の機能強化というのも不可欠だ。  これは、大阪へもしも大臣おいでになられて車のニュースを聞いていたら、必ず高速道路の渋滞というと天王山、これは有名なんですね。天王山何キロ、自然渋滞何キロと。これは渋滞と自然渋滞、どう違うのかといつも議論されているのですけれども、わからないよと。しかしながら、それの拡幅工事が行われる、もうネットをふやすよりもまさにそういうボトル、ボトルでネックになっているものを解決するということが必要だと思うのですけれども、この辺の取り組みぐあいについて、阪神道路公団並びに日本道路公団の方で、重点的にやる、これからもやる、やり続けるという意思と、それから具体的にどういう活動をするのか、この二点についてそれぞれお答えを賜りたいと思います。
  177. 亀井静香

    亀井国務大臣 道路局長がお答えしますが、その前座でちょっと答えますと、おっしゃるように、地方だけじゃなくて、都市においても道路の整備、まだまだ今から進めていかなければならない、まだ緒についたところだ、このように私は思っております。  そういうやさきに、御承知のように、道路建設初め公共事業は悪だという大合唱がなされているんですね。もちろん委員のところはそんなことをされていないと思うわけですが、そういう中で我々がこれを具体的に進めていくには、やはり地域の声なんですね。  ところが、ノック知事はただの一度も、公共事業を減らすのはけしからぬ、ちゃんとやれという声を上げられたということを聞きませんし、そういうことで各大阪府選出の代議士のところのしりをたたいて回られたという話、私聞きません、はっきり言いまして。  それに比べて、大分の平松知事を初め各地方の知事というのは、お忙しいお方だとは思うのですけれども、上京されまして連日いろいろなところに、そうした道路網の整備を初め社会資本整備が喫緊の課題だということを精力的に説いて回られる、マスコミ等にも説いて回られるということをやっておられるのですね。  だから、私は委員にぜひお願いしたいのは、答弁しますが、その前提として、そういう努力を地域の代表の知事や皆さん方代議士の方々、もっともっとやっていただく必要が本当にある、このように私は思いますので、よろしくお願いいたします。
  178. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 両公団の方からまた個別の話はさせていただきますが、道路事業について、やはりめり張りのある投資を行うべきではないかといったことも私どもも十分考えているところでございます。特に道路は、国民生活を支えまして、経済社会活動を支える最も基本的な施設でございまして、その整備が依然として現在立ちおくれた状態で、都市部あるいは地方部を問わずその整備が急がれている状況でございます。  その中で、平成九年度の予算におきましては三つのことを中心に、重点的に行っていこうといったことでいろいろ進めております。  一つは、快適な町づくりを進めるための渋滞対策、それから沿道環境対策、それから町中では特に駐車場整備、こういったようなものが一つのポイントになっております。  それから二番目に、経済構造改革を進める上で、国土の骨格となります高規格幹線道路、高速道路を中心とした道路でございますが、これの整備を少しでも早く進めていかなくちゃならぬといったことで進めております。  それから三番目に、こういったでき上がった道路をいかに有効に使っていくかといった観点から、高度情報通信社会の推進を支援するといった形で、電線類の地中化を初め、VICS、これはナビゲーションシステムでございますが、そういったもの、それから自動料金収受システムなどのITSの研究開発、整備など、こういった緊急課題に積極的に取り組むといったことで、これらに重点的に予算を計上しているところでございます。  大阪圏におきましては、これから説明させていただきますが、阪神高速、名神高速の渋滞を初めとしまして、特に高速道路から都心部へのアクセスが整備途上であるといったこと、特に、アクセス道路だけではなくて環状道路が、けさ方も話ありましたが、京奈和を中心とした環状道路が整備途上といったことで、こういった緊急的な課題がございます。  こういったものについて地元の理解と協力を得ながら、整備効果が早期に伴うように事業の推進を積極的に図っていきたいというふうに思っております。そのために、道路整備特定財源等所要の予算の確保に私ども必死になって頑張っていくつもりでございますので、御支援方よろしくお願いいたしたいと思っております。
  179. 小野和日児

    小野参考人 先ほど先生お話しになりました名神高速道路などの高規格幹線道路、これは、経済構造の改革あるいは国土の均衡ある発展、活力ある地域づくりにとって欠くことのできない根幹的な施設でございまして、高速自動車国道等の整備に当たりましては、私どもとしてはやはり、バックアップシステムをつくるという点もございまして、早期にネットワークの完成を図ることが最大の課題であるという認識であります。  ただ、同時に、交通の現況あるいは交通需要に対応しまして道路の一定区間あるいは特定の箇所を強化するための改築などの投資、これも、既存ストックの有効利用を図る上からも大変重要であるというふうに認識しております。  関西圏におきましては、これらの点を踏まえまして、関西地域の活性化並びに渋滞緩和に資するよう、高速自動車国道につきましては、名神高速道路の改築事業あるいは第二名神高速道路等の新設事業、さらに一般用道路事業につきましては、第二京阪道路等の整備に取り組んでいるところでございます。  なお、これらの事業を進めるに当たりましては、建設省の近畿地方建設局並びに関係する地方自治体と十分調整を図りながら進めておるところでございます。今後とも、地元の御理解と御協力を得ながら、これらの事業を着実に進めてまいる所存でございます。
  180. 仙石泰輔

    ○仙石参考人 阪神公団では、渋滞対策といたしまして、先般十六号大阪港線の下り阿波座付近の改良をさせていただきました。これによりまして、阿波座を先頭とする環状線あるいは東大阪線への渋滞列が非常に解消いたしました。  しかし、そう申しましても、現在まだ大阪地区では、一日平均でございますが、三十四回あるいは五十一時間というような渋滞現象が出ておりまして、これらは、やはり道路容量を超える交通需要が集中しているということによって、約九〇%渋滞が起こっているような状況でございます。  公団といたしましては、これまで渋滞対策アクションプログラムということで、ボトルネック区間の拡幅あるいは出入り口の新設、料金所の拡幅等を実施してまいりまして、現在でも、出入り口につきましては三カ所ほど工事をしているところでございます。  今後とも、根本的な渋滞対策といたしましては、やはり必要なネットワーク整備ということが、中長期的あるいは既存ストックの効率をさらに高めるという点から必要だと思っておりますが、緊急的な対策といたしまして、出口の増設改良あるいは料金所の拡幅などのボトルネック対策、またあわせまして、工事渋滞の緩和でありますとか、あるいは的確な交通情報の提供といった総合的な交通渋滞対策を進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  181. 吉田治

    吉田(治)分科員 今るる御説明ありましたけれども、それの中でも、そういういろいろな事業をされる中において、やはり発注者責任であるとか技術力であるとか、そういうようなものを非常に念頭に私は置いていただきたい。  また、大臣の御答弁の中にございましたように、知事が来ないということですけれども、行ったら自民党を応援しろと言われると、なかなか行きづらいのではないかな。私たち議員も、来いと言われて行ったときに、そのまま、おいうちへ来ないか、そういうありがたいお言葉が出ても困りますので、皆さん遠慮されているのかな。行かなくても、大臣と政策と理念と行動をともにしようという勉強会もあるやに聞いておりますので、これはちょっと私の方から言うことではないかなと思っております。  今、道路局長さんの話の中で、ITSという言葉が出てまいりました。このごろ、高度道路交通システムという形で、これは日本のみならずアメリカまたヨーロッパでも非常に耳にする言葉、これが、よく言われていますように、新産業の創設の大きな一つのキーワードになるのではないかなということも私は思っております。  手持ちの資料からまいりますと、今後二十年間で約五十兆円の市場になる。そして、それは何も市場になるというだけじゃなくて、その中でさまざまな技術が生まれてくる。  また、先ほどからも質問しておりますように、交通渋滞等々で、何も渋滞するというのは込んで困るなというのじゃなくて、それによって浪費される時間、時間をお金に換算した経済力のものがなくなってくる。そして、輸送効率、安全性というものも非常に低くなってくる。まさに中央官庁でも、私の聞く話では、五省庁、そして民間も含めての大きな取り組みになっているというふうに聞いております。  ただし、もう時間がありませんのでまとめて質問させていただきますけれども、私はちょっと残念だなと思うのは、今局長の方から予算の話をされました。私の知る限りでは、本年度予算では大体七十億から八十億がこれに費やされるということですけれども、国土だとかそういう規模から考えて、比較するのはどうかと思うのですが、アメリカでしたら毎年二百億円近く、一九九七年の連邦政府の会計年度では二億三千五百万ドル。  これはもう局長に言うまでもなく、ISTEAという、一九九一年にこのシステムのための研究開発の法案が通った翌年、一九九二年には一億五千万ドル、それが九三年には二億ドルと、毎年二億ドルをキープし、九六年、九七年でこれが終わるのですけれども、続いてまた、NEXTEAという形で新たに二〇〇三年まで予算化していくというふうなことがされていくやに聞いております。我が国では実際どのように取り組んでいるのか、また、建設省として今後どういうふうに取り組んでいくのか。  そして、私はこのことに関して本当は別の、お答えをいただいた上での質問をさせていただきたいところなんですけれども、もう時間の都合上言いますと、やはり一番大事なのは標準化だと思うのですね。ビデオの問題にしても、安全性の問題にしても、もう局長御承知のとおり、なぜ今、日本のワンボックスカーが前面を張り出しているようになったかというのは、これはアメリカの安全基準がそうなったからみんなああいう形になっていった。まさにスタンダード、標準というものをとった国が世界を制覇できる。  アメリカという国はまさに、基礎開発などといいながら、最後の最後そのスタンダード、標準というものをとっていく。この分野において私は決して、多分局長の御答弁の中にもあると思いますけれども、日本がおくれているとは思わないのです。しかしながら、最後の最後の段階でこの国際標準というものがとれるかどうか、これが私は勝負だと思うのです。  官の立場ではよく御理解ですけれども、民の立場になると、こんな言い方はよくないですが、大臣よりもお年を召した方が経営陣におる。そんなことはかまへんやないか、基礎研究はどこかにやらせておいて、一番おいしい、もうかるところだけやったらええんや。  私はそうじゃないと思うのです。もうかるところをやろうと思ったら、それに対するロイヤルティーだ、やれパテントだと、気がつかないところにまた知的財産という形で勝負をかけられたりもするということを考えていくと、この標準化というのも、私はこのITSを進めていく中で非常に大きなポイントになると思うのですけれども、この辺を含めてお答えをちょうだいできればと思う次第でございます。
  182. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 先生おっしゃられるとおりでございまして、このITSは国際間の競争の真っただ中でございます。我が国におきましても、当初は各省で多少ばらばら的な要素もあったわけでございますが、このことについては、このスタンダードをとるためには断固としてやはり国内一致して連携して対応するべきだといったことから、平成七年の二月に、総理大臣を本部長とする推進本部がつくられております。これのもとに、建設省、警察庁、それから通産省、運輸省、郵政省の五省庁が連携して、全体計画を決めまして進めているところでございます。  建設省は、その中で、高速道路につきましての先ほど申しました交通情報通信システム、それから高速道路におきますノンストップの自動料金収受システムとか自動運転システム、こういったものについて、実際に研究段階から試行段階にもう移っております。これも、今度の次期五計の中では恐らくかなり実施段階にまで行くのではないかといったことで進めております。  それで、研究費が少ないのではないかというお話もございましたが、むしろ研究とその実施がばらばらにというのではなくて、研究しているものを即座に試行していくといった形で進んでおりますもので、そういった意味では、研究、実施、それから普及化といったことが一体となって転がっていくのではないかというふうに私ども期待して、進めているところでございます。また、これについても御支援方お願いいたしたいと思っております。
  183. 吉田治

    吉田(治)分科員 国際標準化のことについてはいかがですか。
  184. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 そういった国際間の協力も必要かと思いますが、我が国としましては、やはり我が国の中での使いやすいシステムをまずつくっていくことが必要ではないかと思っております。  といいますのは、例えば有料道路のいろいろシステムにしましても、我が国の有料道路としての形、タイプは大分海外の有料道路とは違います。そういったことで、それに合ったシステムをやはりつくっていかなくてはならないのではないか。  ただ、国際間の連携等は必要だというふうに思っております。
  185. 吉田治

    吉田(治)分科員 やはり局長、その辺もうちょっと具体的な答弁を本当は欲しいのですよ。  例えば、CEN、欧州標準化委員会というのは、国際標準化機構、ISOに先駆けて発足して、この問題について標準化を進めていこうと随分されていますよね。  また、アメリカにおいては、日本でもそうですけれども、ほとんど自動運転という形で東海岸から西海岸まで車が動くような技術を持ったらどんどんそういうことがされていく。それで、局長言われたように国内で使いやすいもの、そうじゃなくて、この五十兆円の市場というのは、国内で五十兆円だけじゃなくて、世界市場ということを考えての私は五十兆円だと思うのですよね。  そうしますと、国際的な標準というのはとれるかとれないか、まさに生死を分ける。今局長言われたように、国内でできればそれでということになると、国内で使うときも、いや、世界標準からしたらそれは異常、異常というか、違うんだよという形になると、またそれに組みかえさせざるを得ない。  まさに郵政においてハイビジョンの方式をどれにするか、一番国内で使いやすいと気がついたら、また携帯電話の型式にしてもそうなんですよね。これは今、先ほど局長の答弁の中で、高度情報化は道路行政の中で重要だと、まさにその最先端を行かれている。これについて私はもう一度局長に具体的な答弁をいただきたいと思います。
  186. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 ちょっと私の説明が不十分だったかと思います。  基本的には国際の場で標準化されておりますし、その中で対応していくことになるかと思いますが、先ほど我が国でと申しましたのは、ノンストップの自動料金収受システムがございます。我が国の有料道路というのは対距離タイプになっておりますし、よその国の場合には恐らく一回のゲートだけでぽんと対応するようなそういうタイプでございます。  こういうものについてはやはり我が国が先導してやっていかなくてはならないのではないかということで、かなりこういったものにも重点を置いておりますので、ちょっとそちらの方がウエートのあった発言をしたかと思いますが、国際間の中での対応かと思っております。
  187. 吉田治

    吉田(治)分科員 それと同時に、やはりこれは五省庁ですか、内閣にも推進本部ができたということで頑張られていますけれども、やはりもっと民間と一致し、そして民間にもでき上がった技術というものをどんどん普及していくという形なんですけれども、その辺は今どういうふうな対応になっているのですか、官民の協力というか連携というものについては。
  188. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 これの実際の研究活動等なんかにしましても、民間の方々がむしろ中心になったような、それから私どもの研究所では土木研究所も加わったりとか、そういった官民一体スタイルの研究活動、それから実施活動も始めていっているという状況でございます。
  189. 吉田治

    吉田(治)分科員 積極的に推進していただいて、本当に標準化というものをどうとってくるか。局長もある委員会でこういうことを言って、後で笑い話、年のことを言うなと。この技術は二十年後と、局長、二十年たったら、申しわけございませんが、第二の職も第三の先も終わって悠々自適に入られるかもしれない。でも、今これをしておかなければ、今後二十年たったとき、ことし入られた建設省の職員が、そのとき、行政改革があって変わっておるかもしれませんけれども、その人たちが、何で先輩、してくれなかったのかというふうな問題だと私は思いますので、その辺をお考えの上でしていただければと思っております。  最後になりましたけれども、大臣、先ほどから大臣のお言葉を何度もお聞かせいただいて、私は大臣答弁はこの質問だけにとお願いしたのですけれども、二回もしていただいて、本当にありがたいというのか、どう言っていいのかわからないのですけれども、いろいろ公共事業全体について、先ほどから私何度も申しました、一律削減なくと。大臣はやはりこわもてだ何だというマスコミ的なイメージとか、らつ腕だというイメージもあるかと思うのですけれども、でも、行財政改革という今のこの機会を機に、公共事業の七割を所轄する大臣として、もうこれはやるものはやるんだ、できないものはやめるんだという──こんなことを言ったら怒られますが、私のような、心優しいといったら怒られますけれども、こういうのはできないと思うのです。  大臣亀井という名前の大臣でしか、めり張りのある投資というのですか、そういうことができないのじゃないか。反対を言うと、亀井大臣がやったら、みんな、仕方がないねという話になるのかもしれません。しかしながら、公共事業の七割を所轄する大臣として、一律削減でなく、めり張りのある投資というふうなものについて、最後に所感を賜りたいと思います。
  190. 亀井静香

    亀井国務大臣 私はもとより非力でもございますし、極めて気の弱い男でありますから……。  建設省、私は大連合艦隊だという実感がするわけでありますけれども、これは道路公団とか住都公団を含めて、そういう特殊法人を含めて大連合艦隊が二十一世紀へ向けて社会資本整備についてきちっとした役割をどう果たしていけるか。今のままの組織ではやはり私は果たしていけないと思います。二重投資の問題もありますね、各省庁との間。  また、先ほどから委員が御指摘のような技術革新を具体的な業務の発注等の中でどうやり抜いていけるかというような問題、これも、従来の組織なり権限なり、そういうようなものに頼っておってはできないと私は思います。  そういう意味では、明治維新政府の最初の役人と同じような気持ちになって、自分たちが二十一世紀へ向けての絵を──番よく知っているのですからね、私や委員よりかよく知っていると思います。ただ、先ほど聞いていますと、メカの話は余りよく知らぬようですね。これは建設省、余り得意ではありませんが、新しい分野もそれぞれ勉強しながら、突き進んでいくための行政改革をやる、そのためには省庁の古い縄張りだとかそんなものを考えない、まさに今建設省は火の玉になって取り組んでおるということを、ぜひひとつ信頼をしていただきたい、このように思います。
  191. 吉田治

    吉田(治)分科員 火だるまではなくて火の玉という、日本語としては非常に間違いのないお言葉をちょうだいいたしましたので、これで終了させていただきます。  ありがとうございます。
  192. 辻一彦

    辻主査 これにて吉田治君の質疑は終了いたしました。  次に、鍵田節哉君
  193. 鍵田節哉

    鍵田分科員 新進党の鍵田でございます。決算委員会で質問をさせていただくのは初めてでございます。近畿ブロックから選出をされておりますが、きょうは特に自分が住まいをしております奈良県のことを象徴的にいろいろとお聞きをしたいな、こう思っておるのです。  実は、きょうは偶然にも奈良県から三人質問を、偶然と申しましたのは、それぞれ今は党を異にしておりますから、もとは一緒だったような気がするのですが、今それぞれ異にしておりまして、決して申し合わせをしたわけではございません。ただ、私も決算委員会は初めての質問でございますから、身近な点から質問をさせていただきたい、こう思っておる次第でございます。  今も公共投資の問題が吉田議員の方からもいろいろ出ておりましたけれども、公共投資が悪だとか善だとかというふうな議論はもともとナンセンスじゃないかなというふうに思うわけでございまして、必要な公共投資は善でございます。必要でない公共投資はもちろん悪でございます。そしてまた、高コスト構造などを見直していこうということも、これは大変結構なことではないかというふうに思っておるわけでございます。  そこで、私の住んでおります奈良県というのは、北半分の平野部には一部鉄道がございますけれども、南半分の吉野郡には鉄道というのは全くございませんで、道路に頼らざるを得ないというのが実態でございます。そういうことから考えますと、やはり道路の整備というものは住民の生活、産業の活性化、そういう面から見ても大変重要でございますので、幾つかの点についてお聞きをしたいと思っております。  午前中お二人から京奈和自動車道の建設の問題での質問があったということでございます。もう既に京都から奈良の一番北の端までは供用されておるわけでございます。これから奈良の中心部の建設に着工されるということもお聞きをしておるわけでありますが、あとこれから和歌山にかけてが非常に長距離でございまして、その辺がもう全く手つかずにあるように私は伺っておるわけでございます。  前田先生の質問の中でも、大阪、京都、奈良、和歌山、これを結びますベイエリアの環状道路ということで、大変近畿圏の発展のために重要な道路でございまして、これらをどのように今後進めていかれようとしておるのか、どのぐらいのスパンで全体の完成ということを目指しておられるのかということをまず一点お聞きをしたいと思っております。  幾つかまとめて聞かせていただいて、後でお答えをいただきたいと思うのですが、もう一つは、奈良県の南部は、先ほども言いましたように、鉄道が全くございません。随分昔に五新線か何かといって鉄道を敷く計画用地を買収をされて、何か専用バスが、今は走ってないのですか、一時期走っていた時期があったと思うのですが、その程度でございまして、あとは全部道路を使っておるわけでございます。  百六十八号線とか百六十九号線、さらには三百九号線などが、奈良県の南部を縦断をしまして和歌山県に続いておる大変重要な国道でございます。この百六十八号線が、谷瀬のつり橋という非常に有名な観光地のつり橋がございますし、十津川温泉というふうな観光地も抱えておるわけでございますけれども、この道路の開発が大変おくれておる。そのために、この地域の住民の皆さんの生活、観光開発にも大変な影響をしておるわけでございます。この辺についてもぜひとも早急に整備をしてもらいたいというふうな地元の意見があるようでございますけれども、これらについてどのようにお考えになっておられるのか。  また、もう一本、百六十八号線と百六十九号線の間に三百九号線という、宗教登山をする大峰山へ行く道路があるわけですけれども、ここに広橋峠という梅林で有名な峠があるのですが、これが大変道が狭くて、そして曲がりくねっておる。ここにトンネルをということが私の若いころからの住民の願いで、いつも看板をかけておるのを見ながらこの辺を私も走っておったわけでございます。これらにつきましても、一体建設省としてはどのような計画を持っておられるのか。  それらについて、とりあえず三つのことについてお答えをいただきたいと思います。
  194. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 京奈和自動車道でございますが、これは、京都から和歌山まで百二十キロの一般国道の自動車専用道路でございます。これは、すべて百二十キロを新しいバイパスでつくっていくといったことでございますので、既設の道路を一部拡幅したりとか、それから改良してといったものと全く違います。そういったことで、現在でも、事業化しているところでも五千六百億の残事業がございます。  したがいまして、全線ができるのはいつかというよりも、むしろ区間を幾つかに分けて整備していくといったことの方が効率的ではないかということで、規格そのものは一律になっているわけでございますが、各区間ごとの段階で供用開始を図っていくということを考えております。  現在、北の方からは、京奈道路の一部十四キロの区間、これが供用開始しております。それから、奈良の周辺でございますが、大和北道路、これは遺跡調査等いろいろございまして、現在まだルート、構造が決まっておりません。これの調査を行っているといった状況でございます。したがいまして、それから南の区間、道路としては大和御所道路、五條道路、それから橋本道路、紀北東道路、紀北西道路、この五つの区間の道路について事業化をしているところでございます。  特に大和御所道路、五條道路につきましては、これは奈良県内でございますが、こちらについては既に用地買収がかなり進んでおります。特に大和御所道路については、本線部分の工事をこれから着手するといった状況でございます。ですが、これも二千八百億ぐらいの残事業費を抱えております。ですから、完成の時期というのは、ちょっと部分供用が出てくるかと思いますが、まだ大分かかるのではないかと思っております。  それから、五條道路でございますが、五條道路は用地の買収がほぼ進んできております。工事も、本線ではございませんが、いろいろ対応をさせていただいているといった状況で、これも進んできております。これは、次期の五カ年計画の中で何とか部分供用ぐらいできないだろうか、そういった検討が今進められております。全線までも供用するということになりますと莫大な事業費がかかりますので、暫定供用などを含めて検討するといった方向で進んでおります。  それから、橋本道路から南の和歌山県の中でございますが、これにつきましては全部事業化しておりますが、まだ用地の一部を買ったところとか、それから都市計画の準備中のところがほとんどでございます。したがいまして、これからの事業の進捗を見るといった状況かと思います。  それから百六十八号でございます。これは奈良県南部を南北に貫く国道でございますが、特に奈良県内におきましては、地形の急峻な山岳地帯を通過していることから、国道の整備の状況は余り芳しくございません。改良率が六一%となっております。したがいまして、まだ未改良の区間がかなりあるといったことで、現在整備を進めているところでございます。  特に和歌山県との県境の付近におきましては、建設省自体が直轄で代行事業として十津川道路といった名前の改築を行っているところでございます。それから、県サイドでは、上野地バイパス、宇井バイパスなど、これは八カ所、幅員の狭いところとか線形の悪いところを中心に事業を進めている段階でございます。  それから、三〇九号でございますが、三〇九号も三重県の熊野市から大阪に至ります九十一キロの幹線道路でございますが、これも山岳地帯の急峻なところを通る形になっております。改良率はこれも四八%といった形で、まだ全国平均に及んでいないといった状況でございます。  その中で、特に現在、下市町から天川村付近につきましては、未改良区間の解消を図るといったことで、先ほどお話のございました下市町内では延長二・八キロの広橋バイパスと、それから延長約八・七キロの笠木道路の事業実施しているところでございます。  このうち、広橋バイパスにつきましては、これまで下市町の長谷地区におきまして延長〇・四キロぐらいを供用しまして、平成九年度は用地買収及び改良、それから橋梁が一部ございますので、橋梁についての工事を進めているところでございます。  広橋トンネルは六百七十メーターぐらいのトンネルになるようでございますが、これについては、やはり前後のアプローチの工事を行わなくてはならないといったことで、それを進めた後の工事になるかと思います。  以上でございます。
  195. 鍵田節哉

    鍵田分科員 それでは、アプローチが済み次第そのトンネルに着工するというふうにお聞きしてよろしいでしょうね。  次に、大臣に一つお伺いしたいのですが、今も申し上げましたように、奈良県というのは、どうしても道路に頼らざるを得ないというふうな土地の事情にございます。そういう面から見ますと、今後とも、道路財源を確保していただくということは大変重要なのではなかろうか。  特に、奈良県の盆地の中心の方は、道路もある程度発達していますし鉄道もあるのですが、ちょっとその周辺になりますと、大阪との県境のところでも、非常に道が狭くて防災上も問題がある。さらには、そこでもいろいろ産業があるのですが、その産業の上でも、また生活の上でも大変問題になる、こういう状況のところでございます。したがって、道路財源を、たっぷりとは言いませんけれども、確保していただくことは大変重要なことでございます。  どうも昨今、旧国鉄債務の返済のために道路特定財源を流用してはどうかというような議論が出ておるようでありまして、何かそれが名案であるかのようにひとり歩きをしているというような面もあるわけでございますけれども、もともとこの道路特定財源というのは、ほとんどが自動車に乗るユーザしが負担をしておるわけであります。  自動車というのはもう生活の一部になって自分の手足のようになってしまっておる、そういうユーザーが本当に泣きの涙で非常に高い負担をしておるわけでありますけれども、これはやはり、道路に使われるのだ、道路の改良のために使われるのだということがあるから、我慢して納入をしておるわけであります。それをほかに流用するというふうなことは、もちろん、国鉄の債務を早く返す、これはもう国民的な課題でありますから大変重要だと思いますけれども、しかし、道路財源をそれに充てるというのは、幾ら交通体系全体で負担するのだといっても、ちょっと私らには納得がいかない問題でございます。  そういう面からいきまして、大臣として、ぜひともこの道路特定財源を守っていただく、そういうことについての決意のほどをお伺いしたいというように思うわけです。
  196. 亀井静香

    亀井国務大臣 きょうの決算委員会は、奈良の社会資本整備を推進をするために開かれたようでございまして、私ども、きっちりと皆様方のそうした御熱意は胸の中にたたき込んでまいります。  また、今、道路特定財源についてのお話がございましたけれども、今運輸大臣がお見えでございますが、運輸大臣は決して、国鉄の長期債務に道路財源をむしり取ってやろうなんて、そんなけちなお考えはお持ちになっておらぬわけでございます。国鉄再建の過程の中でその分だけ切り離して処理をするという方針は、御承知のように決まっておることでございまして、株とか土地を処理をしてもなお残った分については、この国鉄再建によってその果実をだれが享受しているかというと、国民全体が享受しておるわけでありますから、国民全体がこれの処理については苦しみも平等に分かち合うというのが当たり前であります。  道路を整備をしてくれ、そのためには、現在は暫定税率でもございますけれども、ああした場合の形ででも負担いたしましょうという、そうしたユーザーのお気持ちを横に置いて、それを他の目的大蔵省が勝手に使うなんということがもしまかり通るといたしますと、これは詐欺と同じでございまして、そういうことは法治国家においてあるべきことではないと私は思います。  ただ、道路特定財源にいたしましても、現在もモノレールだとかあるいは交通安全施設その他にはこれは使っておるわけでございまして、そうしたユーザーの負担をするお気持ちの範囲の中で、そうした流用といいますか活用をする場面というのは私は出てくると思います。これは、一般財源化する話とは全然別の次元の話であろうと思います。  ぜひ、先生におかれましても、我々はそういう気持ちでございますから、大蔵省とかいろいろなところにどんどん出向いていただきまして、このわからないところを具体的に生の声でお教えしてやっていただければありがたい、このように思います。
  197. 鍵田節哉

    鍵田分科員 大変心強いお言葉をちょうだいいたしまして、我々もしっかり頑張りたいというふうに思っております。  時間がございませんのでできるだけ急ぎたいと思いますが、奈良県の水資源とか河川管理状況についてお聞きをしたいというふうに思っております。  奈良県の大台ケ原とか大峰山というふうな山系は、鹿児島の屋久島などと並んで日本でも有数の多雨地帯でございます。その雨のほとんどは、奈良県へ流れないで、和歌山とか三重県に流れてしまって、和歌山へ行きますと紀の川ですが、ほとんど吉野川だけにしか流れてきていない。また、その水利権は和歌山県が持っておるというふうなことで、昔から非常に水資源が不足をしておるところでございます。  大滝ダムがもう数年で完成ということでありますから、一応ほっとしたところではございますけれども、しかし、県の水の需給関係の調査では、もう五、六年もしますと不足をしてくるという状況にあるようでございまして、さらにこの次の準備をしてかからなくてはならない。あの大滝ダムは、私が物心ついて大台ケ原や大峰山に登りましたのが昭和三十年代の中ごろだったと思うのですが、その時分からダム建設反対、反対と言っておりまして、それが四十数年かかって今ようやく完成に向かってきておるわけでありますから、また次のダムをつくるとなりますと何十年もかかる。それまで水なしでいけということにはならないわけでございまして、やはり、今から早速水資源を確保するということが大事なわけであります。  奈良県が何かをすると言っても、常に水不足で悩んできたという経緯がございます。そういう意味で、何か、この大滝ダムのさらに上流に入之波ダムというのを調査をされたりしておるとお聞きをしておるわけですけれども、これが今どのような動きになっておるのか、また、建設に向かって、早急に着工になるという計画があるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  198. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、奈良県大和盆地、もともと水の少ないところで、ため池でやってきたところでありますが、そこの水資源開発として、大滝ダム、今大車輪でやっておるところでございます。  それに加えて、今御指摘の入之波ダム、これは昭和三十八年度から、私ども予備調査、予備的な調査でございますが、そういうものを行ってきております。  現状におきましては、この上流域に、トガサワラ原生林、これはマツ科の常緑高木のようでございますが、天然記念物でございまして、そういうものもある。そしてまた、吉野熊野国立公園の特別区域でもあるということ。そういうことで、この入之波ダム、そう簡単につくれるダムではないなというふうに思っておるところでございます。  現在、先生御自身御指摘をいただきました大滝ダムが、本体を昨年の十一月に着工いたしまして、今最盛期を迎えております。私どもとしましては、まずこのダムを一日も早く完成をさせて、紀の川筋、吉野川筋の治水の実を上げるとともに、大和盆地へ安定した水を供給をする、そういうことに全力を尽くしたいと考えておるところでございます。
  199. 鍵田節哉

    鍵田分科員 確かに、今言われるような環境問題があることも事実でございますけれども、また、奈良県における水不足ももう数年をして深刻になってくるということも事実でございまして、それらをあわせてひとつ十分な御検討をいただきたいと思っております。  もう一つ、水問題では高市先生も何か質問をされたようでありますが、大和川の清流ルネッサンスのことでございます。  実は私も連合大阪という労働団体におりましたときに、どうも当時はワーストツーだったのですが、もう現在ではワーストワンになったようで、大変不名誉な冠をいただいたわけであります。この浄化を何とかしたいということで、連合奈良と一緒になって建設省なんかにもお邪魔をしたり、いろいろ運動をしたわけでございますけれども、逆にまた悪くなってきておるというふうなことでございます。  これはやはりいろいろ問題がありまして、開発が進んで富栄養化が進んでおるということもありましょう。そして開発に見合う下水道の普及状況も非常に悪いということもあります。  それからまた、水量が非常に少ない。雨が降りますとどっと水が流れるわけですけれども、雨が上がったらすぐにまた水量が引いてしまうというようなこともございます。  それからまた、ため池がもともと奈良県は多いと先ほどもお話がありましたけれども、昭和二十年代には一万三千ぐらいあったものが、今はもう半分を切っておるのではないかというぐらいに、農業用のかんがいの水もある程度確保されてきた、そしてまた開発も進んでおる、減反もあるというふうなこともあって、ため池が非常に少ない。ですから、ため池である程度水を保水するというのですか、そういうふうなこともできない。水源地も開発されて保水もない、こういうふうなことになっておるわけでありまして、こういう保水対策といいますか、そういうことについてどのようにお考えになっているのですか。
  200. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 大和川は、先生御指摘のとおり平成七年からワーストナンバーワンということでございまして、この水質をいかに改善していくかというのは、私どもとしても大問題だと考えております。  御指摘のとおり、清流ルネッサンス21ということで、二十一世紀初頭には所要の環境基準を賄えるようにやっていきたいということで、大阪府、奈良県、そして沿川の三十八市町村集まって協議会をおつくりになって、そういう努力を続けられてきておるところであります。  そういう中で、私ども行政サイドももちろん全力を挙げておるところでございますが、流域の中でのいろいろな活動の反映として水質の現状があるわけでございますので、そういう取り組みも今後とも大変大事なことではないかなと思っておるところでございます。
  201. 鍵田節哉

    鍵田分科員 確かに二府県にわたります十九市十九町三村ですかが協力をして、そういう推進協議会をつくっておられるということもよく存じておるわけでございますけれども、しかし、さらに水質が悪くなってきておる。  さらに、見た目にも川が汚い。といいますのは、農業ではビニールなんかを随分、温室とかそういうふうなもので使いますし、また、買い物用のビニールなんか、ああいう自浄作用が働かないようなものがどんどん川に流れてくる。こういう実態でありまして、やはり住民や自治体やみんなが協力してやらなくてはならないことは事実でございますが、二〇〇〇年までにそれが実際にある程度の成果が上げられるというふうに、そういう確信を持っておられるのかどうかお聞きしたいと思います。
  202. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 二〇〇〇年までということになりますと自信がございませんで、先ほど二十一世紀初頭、こう申し上げたわけでございますが、いずれにいたしましても、行政サイド、我々は全力を挙げますが、それだけでは不十分と思っております。流域でのいろいろな活動、特に流域の住民の皆さん方の川をきれいにしたいという思いが実際の行動に結びついていくということが大事だと思っております。ぜひともよろしくお願いをいたしたいと思います。
  203. 鍵田節哉

    鍵田分科員 時間がいよいよもうなくなってきたようでございますので、最後の質問に入りたいと思いますが、京阪奈文化学術研究都市について、これは運輸省の方に御質問をしたいと思っております。  京都と大阪、奈良の隣接します広大な丘陵地帯を活用しまして、学研都市が開発されつつあるわけでございます。既にもう稼働しておるところもあるようでございますけれども、これのアクセスの問題、予算委員会でも若干問題になったようでございますけれども、やはりこれは全国的なアクセス、さらにはその地域内でのアクセス、こういうふうなことが不十分なのではなかろうか、こう思うわけでございます。  ちょっと今整備新幹線、いろいろ悩ましいところでございますけれども、しかし、新しい国土軸でありますとか多重型交通ネットワークというふうなことで、今リニアの計画があるわけでございます。公害とかそういう面から見ましても、このリニアが一日も早く実用化されるということが望まれておるわけでございます。  大変我田引水になって申しわけないのですけれども、奈良県というのは大変な文化遺産を持っておるわけでありますし、そこに学研都市ができるということで、非常に意義があるわけでございますから、そこにこのリニアを引っ張ってきていただくということも非常に意義のあることではなかろうかというふうに思うわけでございます。  さらには、近鉄の京都線とか、またはJR学研線なんかもあるわけでございますけれども、もともとが学研都市とのアクセスを考えてできた交通機関ではございません。もともと学研都市ができるときには、新しい新線というのですか、学研都市への新線が計画をされておったようでありますが、これが全くまだ手がついておらないように見受けられるわけでございます。これらを運輸省主導でひとつ積極的に進めていただきたいと思うわけでありますが、これについての見解を少しちょうだいをしたいと思います。
  204. 山下廣行

    ○山下説明員 お答え申し上げます。  御指摘のリニアにつきましては、今、山梨の実験線で実験を開始したばかりでございます。今後三年をかけまして、平成十一年度をめどに技術上のめどを立てたいということで、今後三年間、走行試験を実施する予定でございます。  御指摘の点は、中央新幹線のリニアで整備をしてというような御指摘かと思いますが、中央新幹線につきましては、今、どういう形で進めるかということがまだ確定してございません。私ども、今リニアモーターカーの技術開発を重点を置いて進めさせていただいているという状況でございます。
  205. 鍵田節哉

    鍵田分科員 もう一つ、例の新しい線の……。
  206. 榊正剛

    ○榊説明員 京阪奈新線でございますけれども、運輸省といたしましても、京阪奈新線は関西学研都市へのアクセス手段として大変重要だというふうに認識をいたしております。残念ながら、今のところ補助制度等ございませんので、十分この重要性については認識しておりますが、この整備推進に向けまして、近鉄、関係自治体とも協議いたしまして、整備推進のための施策について検討してまいる所存でございます。
  207. 鍵田節哉

    鍵田分科員 時間が来たようでございますので、終わります。ありがとうございました。
  208. 辻一彦

    辻主査 これにて鍵田節哉君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして建設省所管住宅金融公庫の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  209. 辻一彦

    辻主査 これより運輸省所管について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。古賀運輸大臣。
  210. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 平成六年度の運輸省所管一般会計及び特別会計決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計につきまして申し上げます。  第一に、運輸省主管の歳入でありますが、歳入予算額八千二百八十七億七百二十四万円余に対し、収納済み歳入額は八千百三十四億八千八十二万円余であり、差し引き百五十二億二千六百四十二万円余の減少となっております。  第二に、運輸省所管一般会計歳出でありますが、歳出予算現額一兆三千九億四千五百九十三万円余に対し、支出済み歳出額は一兆一千二百三十九億八千三百四十九万円余でありまして一その差額千七百六十九億六千二百四十四万円余のうち、翌年度へ繰り越しました額は千七百二十億千七百四十六万円余であり、不用となりました額は四十九億四千四百九十七万円余であります。  次に、特別会計につきまして申し上げます。  まず第一に、自動車損害賠償責任再保険特別会計でありますが、保険、保障及び業務の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は三兆六千八十四億三千九十五万円余であり、支出済み歳出額は一兆三千四百九十九億千三百七十四万円余でありまして、差し引き二兆二千五百八十五億一千七百二十万円余の剰余を生じ、この剰余金は翌年度の歳入に繰り入れました。  第二に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は七千四百八十五億九千五百九十八万円余であり、支出済み歳出額は七千百九十三億九千五百四十五万円余でありまして、差し引き二百九十二億五十三万円余の剰余を生じ、この剰余金は翌年度の歳入に繰り入れました。  第三に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済み歳入額は五百四十四億千九百五十四万円余であり、支出済み歳出額は四百三十四億六千四百四十九万円余でありまして、差し引き百九億五千五百四万円余の剰余を生じ、この剰余金は翌年度の歳入に繰り入れました。  第四に、空港整備特別会計でありますが、収納済み歳入額は五千九百三十三億千二百九十七万円余であり、支出済み歳出額は五千三百六億七千四百四十二万円余でありまして、差し引き六百二十六億三千八百五十五万円余の剰余を生じ、この剰余金は翌年度の歳入に繰り入れました。  以上が、平成六年度の運輸省所管一般会計及び特別会計決算概要でありまして、このうち主要な事項につきましては、お手元に配付いたしました平成六年度決算概要説明書をごらんいただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。  平成七年度の運輸省所管一般会計及び特別会計決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計につきまして申し上げます。  第一に、運輸省主管の歳入でありますが、歳入予算額三千六百十億千六百八十九万円余に対し、収納済み歳入額は三千三百八十五億七千八百七万円余であり、差し引き二百二十四億三千八百八十一万円余の減少となっております。  第二に、運輸省所管一般会計歳出でありますが、歳出予算現額一兆七千三十五億八千八百二十六万円余に対し、支出済み歳出額は一兆三千五百三億四百八十一万円余でありまして、その差額三千五百三十二億八千三百五十四万円余のうち、翌年度へ繰り越しました額は三千四百六億一千八百七十二万円余であり、不用となりました額は百二十六億六千四百八十一万円余であります。  次に、特別会計につきまして申し上げます。  まず第一に、自動車損害賠償責任再保険特別会計でありますが、保険、保障及び業務の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は二兆八千五百五十億一千二百十二万円余であり、支出済み歳出額は八千五百七十九億三千七百六十八万円余でありまして、差し引き一兆九千九百七十億七千四百四十三万円余の剰余を生じ、この剰余金は翌年度の歳入に繰り入れました。  第二に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は七千八百二十七億九千六百六万円余であり、支出済み歳出額は七千七十六億七千四十一万円余でありまして、差し引き七百五十一億二千五百六十五万円余の剰余を生じ、この剰余金は翌年度の歳入に繰り入れました。  第三に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済み歳入額は五百九十四億八千八百四十二万円余であり、支出済み歳出額は四百六十八億八千四百九十九万円余でありまして、差し引き百二十六億三百四十二万円余の剰余を生じ、この剰余金は翌年度の歳入に繰り入れました。  第四に、空港整備特別会計でありますが、収納済み歳入額は六千二百三十七億三千四百七十六万円余であり、支出済み歳出額は五千五百二十三億二千八百八十八万円余でありまして、差し引き七百十四億五百八十七万円余の剰余を生じ、この剰余金は翌年度の歳入に繰り入れました。  以上が、平成七年度の運輸省所管一般会計及び特別会計決算概要でありまして、このうち主要な事項につきましては、お手元に配付いたしました平成七年度決算概要説明書をごらんいただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  211. 辻一彦

    辻主査 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院山田第三局長
  212. 山田昭郎

    山田会計検査院説明員 平成六年度運輸省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項三件であります。  まず、不当事項について御説明いたします。  検査報告番号一四〇号は、北海道旭川市が実施した空港整備事業におきまして、設計が適切でなかったためボックスカルバートが不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号一四一号は、沖縄県が実施した地方バス路線維持費補助事業におきまして、事業用車両に係る減価償却費の計上が適切でなかったため、補助金が過大に交付されているものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について御説明いたします。  その一は、空港用地管理に関するものであります。  空港用地管理に当たり、空港事務所の用地管理部門においてその使用実態を把握していなかったこと及び管理体制が整備されていなかったことなどのため、使用許可を行っていない空港用地が荷さばき場として航空会社等に占用されており、これらについて使用許可を行ったとすれば使用料を徴収できました。これについて指摘したところ、改善処置がとられたものであります。  その二は、国庫補助事業に係る食糧費の使用及び経理処理に関するものであります。  補助事業で行う港湾事業海岸事業等において、食糧費、中でも懇談会経費について補助の対象となる範囲を具体的に定めていなかったなどのため、使用された食糧費事業実施のために直接必要であるか否か判然としていなかったり、経理処理が明確でなかったりしている事態が見受けられました。これについて指摘したところ、改善処置がとられたものであります。  その三は、岸壁等築造工事における基礎捨て石背面の荒ならしの設計に関するものであります。  補助事業で行う岸壁等築造工事において、波浪による散乱の防止等のため行う基礎捨て石表面の荒ならしの設計の基準が現場条件を考慮したものとなっておらず、波浪による影響を受けない基礎捨て石の背面についても荒ならしを施工することとしていたため、工事費が不経済になっていました。これについて指摘したところ、改善処置がとられたものであります。  引き続き、平成七年度運輸省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項一件であります。  まず、不当事項について御説明いたします。  検査報告番号一六三号及び一六四号の二件は、徳島県において海岸侵食対策事業実施に当たり、施工設計と著しく相違していたため、護岸が不安定な状態になっているものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について御説明いたします。  これは、公共マリーナ等の管理運営等に関するものであります。  港湾整備事業により整備した公共マリーナ等において、利用を促進するための広報活動等を十分に行っていなかったなどのため、プレジャーボートが係留・保管されていない保管スペースがある一方、港湾区域に放置艇が見受けられ、七府県における八カ所の公共マリーナ等が有効に利活用されておりませんでした。これについて指摘したところ、改善処置がとられたものであります。  以上をもって概要説明を終わります。
  213. 辻一彦

    辻主査 ただいまの会計検査院指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。古賀運輸大臣。
  214. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 平成六年度の予算の執行につきまして、不当事項として指摘を受けた検査報告番号一四〇号の「空港整備事業実施に当たり、設計が適切でなかったためボックスカルバートが不安定な状態になっているもの」及び同一四一号の「地方バス路線維持費補助事業実施に当たり、事業用車両に係る減価償却費の計上が適切でなかったため、補助金が過大に交付されているもの」について御説明申し上げます。  地方公共団体等が施行する国庫補助事業については、その適正な執行を図るため常に努力しているところでありますが、なお工事設計が適切でないもの、補助金を過大に交付しているものについて指摘を受けるような事態を生じたことは、まことに遺憾であります。  これらについては、補助事業者に対し設計審査徹底、厳密な審査等になお一層努めるよう通達を発するなど、注意を喚起したところであります。  今後は、このような指摘を受けることのないよう指導を一層徹底し、事業の適正かつ効率的な執行を図ってまいる所存であります。  なお、指摘事項につきましては、次のとおり措置いたしました。  一四〇号の旭川空港整備事業については、平成八年三月二十五日に補強工事を完了させました。  一四一号の沖縄県の地方バス路線維持費補助事業については、超過交付相当額を平成七年十二月一日に返還させました。  平成七年度の予算の執行につきまして、不当事項として指摘を受けた検査報告番号一六三号及び一六四号の「海岸侵食対策事業実施に当たり、施工設計と著しく相違していたため、護岸が不安定な状態になっているもの」について御説明申し上げます。  地方公共団体等が行う国庫補助事業については、その適正な執行を図るため常に努力しているところでありますが、なお工事施工が適切でなかったものについて指摘を受けるような事態を生じたことは、まことに遺憾であります。  今後は、このようなことのないよう、さらに補助事業者に対し指導徹底を期する所存であります。  なお、指摘に係る補助事業者に対しては、今後十分注意するよう指示を与え、本件工事については、平成八年十一月二十九日に補強工事を完了させました。
  215. 辻一彦

    辻主査 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 辻一彦

    辻主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────    平成六年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算に関する概要説明                運輸省  平成六年度の運輸省所管一般会計及び特別会計決算につきまして、その概要をご説明申し上げます。  まず、一般会計につきまして申し上げます。  第一に、運輸省主管の歳入でありますが、歳入予算額八、二八七億七二四万円余に対し、収納済歳入額は、八、一三四億八、〇八二万円余であり、差引き一五二億二、六四二万円余の減少となっております。  第二に、運輸省所管一般会計歳出でありますが、歳出予算現額一兆三、〇〇九億四、五九三万円余に対し、支出済歳出額は一兆一、二三九億八、三四九万円余でありまして、その差額一、七六九億六、二四四万円余のうち、翌年度へ繰り越しました額は一、七二〇億一、七四六万円余であり、不用となりました額は四九億四、四九七万円余であります。 次に、特別会計につきまして申し上げます。  まず、第一に、自動車損害賠償責任再保険特別会計でありますが、保険、保障及び業務の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は三兆六、〇八四億三、〇九五万円余であり、支出済歳出額は一兆三、四九九億一、三七四万円余でありまして、差引き二兆二、五八五億一、七二〇万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度の歳入に繰り入れました。  第二に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は七、四八五億九、五九八万円余であり、支出済歳出額は七、一九三億九、五四五万円余でありまして、差引き二九二億五三万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度の歳入に繰り入れました。  第三に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済歳入額は五四四億一、九五四万円余であり、支出済歳出額は四三四億六、四四九万円余でありまして、差引き一〇九億五、五〇四万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度の歳入に繰り入れました。  第四に、空港整備特別会計でありますが、収納済歳入額は五、九三三億一、二九七万円余であり、支出済歳出額は五、三〇六億七、四四二万円余でありまして、差引き六二六億三、八五五万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度の歳入に繰り入れました。  以下、部門別に主要な事項につきまして御説明申し上げます。  まず、鉄道整備の推進につきまして申し上げます。  整備新幹線の建設につきましては、新幹線鉄道整備事業補助として、鉄道整備基金を通じて日本鉄道建設公団に対し四〇八億六、六七六万円余を交付いたしました。さらに、整備新幹線建設推進準備事業補助金として三〇億二、一〇〇万円を交付いたしました。これによりまして、整備新幹線の建設促進を図るとともに所要の調査を行いました。  また、都市鉄道の整備につきましては、地下高速鉄道整備事業補助として、鉄道整備基金を通じて帝都高速度交通営団ほか一都八市二会社に対し五五九億六、五三三万円余、ニュータウン鉄道整備事業補助として、鉄道整備基金を通じて神戸市、横浜市、住宅・都市整備公団及び大阪府都市開発株式会社に対し二五億八、〇一五万円余、貸付線及譲渡線建設費等利子補給金として、鉄道整備基金を通じて日本鉄道建設公団に対し四六億一、二八三万円余を交付いたしました。さらに、幹線鉄道の整備につきましては、幹線鉄道活性化事業補助として、鉄道整備基金を通じて北越急行株式会社及び道東高速鉄道開発株式会社に対し一〇億三、六五二万円、地方鉄道新線建設費等補助金として、鉄道整備基金を通じて日本鉄道建設公団等に対し一五三億九、七四七万円余を交付いたしました。これによりまして、都市鉄道及び幹線鉄道整備の事業の推進を図りました。  次に、日本国有鉄道清算事業団の長期債務対策につきまして申し上げます。  日本国有鉄道清算事業団に対し、日本国有鉄道清算事業補助金として七六二億円を交付いたしました。これによりまして、過去債務に係る利子負担の軽減を図りました。  次に、空港、港湾、海岸等運輸関係社会資本の整備促進につきまして申し上げます。  第一に、空港整備につきましては、第六次空港整備五箇年計画の第四年度として、空港整備特別会計において五、三〇六億七、四四二万円余を支出いたしました。  このうち、主な事項について申し上げますと、まず、新東京国際空港公団に対する政府出資等として六二億一、八六七万円余を支出いたしました。これによりまして、新東京国際空港の整備を推進いたしました。  次に、東京国際空港の沖合展開事業として一、二三八億六、七五一万円余を支出いたしました。これによりまして、沖合展開事業の整備を推進いたしました。  次に、関西国際空港株式会社に対する政府出資等として二五九億九、一七六万円余を支出いたしました。これによりまして、関西国際空港の整備を推進いたしました。  次に、国内空港の整備を図るため一、五三六億八、二一二万円余を支出いたしました。これによりまして、名古屋空港ほか七十八空港の整備を実施いたしました。  次に、公共用飛行場周辺における航空機騒音障害防止のため二八二億七、九〇三万円余を支出いたしました。これによりまして、特定飛行場の周辺における移転補償等を行うとともに、緩衝緑地帯等の整備を実施いたしました。  以上によりまして、航空輸送力の増強等に対処するとともに、航空の安全の確保と環境の整備を推進いたしました。  第二に、港湾整備につきましては、第八次港湾整備五箇年計画の第四年度として、港湾整備特別会計において七、一九三億九、五四五万円余を支出いたしました。  このうち、港湾整備勘定においては六、九七六億八、五一四万円余を支出し、直轄港湾改修事業として百三十港、十六航路及び六海域の工事を、港湾改修補助事業として七百九十六港の工事実施したほか、海水油濁防止施設整備補助事業、港湾公害防止対策補助事業、港湾環境整備補助事業、港湾事業調査補助事業等を実施いたしました。  特定港湾施設工事勘定においては二一七億一、〇三万円余を支出し、エネルギー港湾施設工事として二港、鉄鋼港湾施設工事として一港、物資別専門埠頭港湾施設工事として一港の工事をそれぞれ実施いたしました。  以上によりまして、効率的な物流体系及び快適な旅客交通体系の形成、豊かで潤いに満ちたウォーターフロントの創出、地域の活性化、海上交通の安定性の向上等を図りました。  第三に、海岸事業につきましては、第五次海岸事業五箇年計画の第四年度として五三七億四、七九三万円余を支出し、海岸保全施設整備事業として直轄事業海岸補助事業三百七十八海岸海岸環境整備補助事業として百十三海岸、公有地造成護岸等整備補助事業として九海岸工事実施いたしました。これによりまして、海岸保全施設等の整備を促進いたしました。  また、港湾施設災害復旧事業及び港湾施設災害関連事業として三四七億九、八三三万円余を支出し、直轄事業四十五箇所、補助事業五百六十五箇所の工事実施いたしました。これによりまして、港湾及び海岸の災害復旧を促進いたしました。  次に、地域における公共交通の維持整備につきまして申し上げます。  第一に、地方パス路線維持費補助金として、北海道ほか四十五都府県に対し一〇九億九、八四四万円余を交付いたしました。これによりまして、地方における乗合バスの運行を確保し、民生の安定に寄与いたしました。  また、特定地方交通線代替輸送事業運営費補助金として、宗谷バス株式会社ほか十一事業者に対し三億七、三一六万円余を交付いたしました。これによりまして、特定地方交通線の代替輸送を確保いたしました。  第二に、バス活性化システム整備費等補助金として、名古屋市交通局ほか十九事業者に対し四億八、七五二万円余を交付いたしました。これによりまして、バス輸送サービスを改善するためのシステムの整備等の促進を図りました。  第三に、離島航路補助金として、百十航路を経営する百五事業者に対し四二億二、〇八七万円余を交付いたしました。これによりまして、離島航路の輸送力を確保し、民生の安定と向上に寄与いたしました。  次に、交通施設利用円滑化促進対策等につきまして申し上げます。  交通施設の利用円滑化に資するため、財団法人交通アメニティ推進機構に対し、交通施設利用円滑化対策費補助金として三、九七三万円余を交付いたしました。これによりまして、特に整備が急がれている鉄道駅における障害者対応型のエレベーター等の整備を促進いたしました。  また、観光交流の拡大・観光の振興を図るため、国際観光振興会等に対し二八億八、三一一万円余を支出いたしました。これによりまして、国際コンベンション振興事業等の実施及び観光基盤施設の整備を推進いたしました。  次に、海運、造船、船員雇用対策等につきまして申し上げます。  まず、海運対策につきまして申し上げます。  外航海運対策の推進のため、既に締結した外航船舶建造融資利子補給契約について、日本開発銀行が昭和六十二年度以降の海運会社の利子補給金相当額の利子支払いを猶予することに伴い、外航船舶建造融資利子猶予特別交付金として、同行に対し三六億六、九二五万円余を交付いたしました。  次に、造船業基盤整備対策につきまして申し上げます。  造船業基盤整備事業協会に対し、高度船舶技術研究開発費補助金として一〇億三、七〇〇万円を交付いたしました。これによりまして、同協会が実施する次世代船舶研究開発促進業務等の円滑な推進を図りました。  次に、船員雇用対策等につきまして申し上げます。  第一に、最近における船員の雇用情勢にかんがみ、船員雇用促進対策事業として二億七、五〇一万円余を支出いたしました。これによりまして、離職船員の雇用の促進等を図りました。  第二に、財団法人海事国際協力センターに対し、開発途上国船員を対象とする研修を促進するため、事業実施に要する経費の一部として七、三七一万円余を支出いたしました。これによりまして、開発途上国船員の養成に協力・貢献いたしました。  次に、国際社会への貢献につきまして申し上げます。  運輸分野における国際社会への貢献を一層促進するため、開発途上国への調査団派遣、研修員の受入れ等に必要な経費として五億四、四〇五万円余を支出いたしました。これによりまして、運輸関係の国際協力を推進いたしました。  次に、貨物流通対策の推進につきまして申し上げます。  貨物流通対策を推進するため二、三九〇万円余を支出いたしました。これによりまして、物流効率化の推進を図るための調査を行いました。  次に、運輸関係の技術開発の推進につきまして申し上げます。  まず、鉄道整備基金を通じて財団法人鉄道総合技術研究所に対し、鉄道技術開発費補助金として五五億六、六七七万円余を交付いたしました。これによりまして、超電導磁気浮上方式鉄道に係る技術開発をはじめとする鉄道技術開発の促進を図りました。  また、造船業基盤整備対策でも申し上げましたように、造船業基盤整備事業協会に対し、テクノスーパーライナー等次世代船舶研究開発促進業務等の高度船舶技術研究開発費補助金を交付いたしました。  次に、海上保安体制の充実・強化につきまして申し上げます。  第一に、船舶の航行安全体制の確立、警備救難体制の強化等を目的として、広域的哨戒体制の整備及び海洋調査の充実・強化を推進するため一二七億五、二六五万円余を支出いたしました。これによりまして、引き続き巡視船六隻、巡視艇二十六隻、航空機一機の整備及び海上保安通信体制の整備並びに管轄海域画定のための諸調査等を行ったほか、新たに、巡視艇三隻、測量艇一隻及び航空機二機の代替整備に着手いたしました。  第二に、航路標識の整備を図るため七五億三、八九一万円余を支出いたしました。これによりまして、引き続き広域電波航法システム(ロランC)一部の米国からの移管整備を行うとともに、灯台等光波標識四十七基、マイクロ波標識局一局、船舶通航信号所一箇所及び海上交通情報機構一部の整備並びに既存航路標識の改良改修を行いました。  次に、気象業務体制の充実・強化につきまして申し上げます。  第一に、台風・集中豪雨雷対策等観測予報体制の強化を図るため三四億七、九五六万円余を支出いたしました。これによりまして、静止気象衛星業務の推進、地上気象観測施設及び気象レーダー観測網の整備を行いました。  第二に、地震・津波対策及び火山対策の強化を図るため六億五、二四二万円余を支出いたしました。これによりまして、地震観測施設及び火山観測施設の整備並びに南関東地域における応力場と地震活動予測に関する研究を行いました。  第三に、気候変動対策の強化を図るため二億八、六七二万円余を支出いたしました。これによりまして、観測・監視・予測体制の整備を行いました。  第四に、海洋及び海上気象観測体制を整備するため一〇億九、九三〇万円余を支出いたしました。これによりまして、海洋気象観測船の代船建造を行いました。  以上をもちまして、平成六年度の運輸省所管一般会計及び特別会計決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。     …………………………………    平成六年度決算運輸省についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  平成六年度運輸省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項三件であります。  まず、不当事項について御説明いたします。  検査報告番号一四〇号は、北海道旭川市が実施した空港整備事業におきまして、設計が適切でなかったためボックスカルバートが不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号一四一号は、沖縄県が実施した地方バス路線維持費補助事業におきまして、事業用車両に係る減価償却費の計上が適切でなかったため、補助金が過大に交付されているものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について御説明いたします。  その一は、空港用地管理に関するものであります。  運輸省では、東京国際空港ほか二十一空港において、国有財産法等に基づき、空港ビル会社に対し、貨客取扱施設の敷地として空港用地の使用許可を行っております。  このうち、貨物取扱量の多い東京国際空港ほか五空港について空港用地の使用実態を調査したところ、その管理が適切でなかったため、使用許可を行っていない空港用地が荷さばき場として占用されており、使用許可を行ったとすれば使用料が徴収できたと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、運輸省では、七年十一月に通達を発し、空港用地管理体制を整備するとともに、研修等を通じ空港用地管理の意義を認識させるなどの処置を講じたものであります。  その二は、国庫補助事業に係る食糧費の使用及び経理処理に関するものであります。  運輸省では、港湾事業海岸事業等の公共事業実施する都道府県に対し、国庫補助金を交付しております。  これらの公共事業に係る国庫補助対象事業費には、工事費のほか事務費が含まれており、事務費は、国庫補助事業実施に必要な人件費、旅費及び庁費から構成されております。そして、この庁費の一部に食糧費が含まれておりまして、食糧費の使用範囲は、交付規則等によると、補償交渉等補助事業の遂行上特に必要な場合に限るとされております。  しかしながら、食糧費国庫補助事業補助目的に沿って適切に使用されているか、経理処理は適切に行われているかという観点から経理関係書類等に基づき調査したところ、食糧費の使用が国庫補助事業実施のために直接必要であるか否か判然としていなかったり、食糧費経理処理が明確でなかったりしている事態が見受けられ、改善の要があると認められました。  この点について当局の見解をただしましたところ、運輸省では、七年十一月に都道府県に対して通達を発するなどして、 (一) 用地買収交渉等国庫補助事業実施のために特に必要な場合の地元関係者、学識経験者等との懇談会を除いて、原則として懇談会経費補助の対象としないこととするなど国庫補助の対象となる範囲を具体的に定め、 (二) 食糧費の使途内訳について、運輸省審査・確認の徹底を図ることとし、 (三) 都道府県に対し、①国庫補助対象事業費と単独事業費の経理を区分する、②経理関係書類に目的、内容、出席者の範囲等を明示する、③都道府県の会計機関において的確な審査・確認を行うよう指導し、食糧費の使用及び経理処理を適切に行うよう処置を講じたものであります。  その三は、岸壁等築造工事における基礎捨石背面の荒均しの設計に関するものであります。  千葉県ほか十二事業主体補助事業実施した岸壁等築造工事におきまして、基礎捨石表面の荒均しについては、波浪による影響を受けない基礎捨石の背面についても施工する設計としていたため、工事費が不経済になっていると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、運輸省では、七年十月に岸壁等築造工事における基礎捨石背面の荒均しについては、原則として施工しない設計とするよう設計の基準を改正して、適切な設計が行われることとする処置を講じたものであります。  以上をもって概要説明を終わります。     ─────────────    平成七年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算に関する概要説明                 運輸省  平成七年度の運輸省所管一般会計及び特別会計決算につきまして、その概要をご説明申し上げます。  まず、一般会計につきまして申し上げます。  第一に、運輸省主管の歳入でありますが、歳入予算額三、六一〇億一、六八九万円余に対し、収納済歳入額は三、三八五億七、八〇七万円余であり、差引き二二四億三、八八一万円余の減少となっております。  第二に、運輸省所管一般会計歳出でありますが、歳出予算現額一兆七、〇三五億八、八三六万円余に対し、支出済歳出額は一兆三、五〇三億四八一万円余でありまして、その差額三、五三二億八、三五四万円余のうち、翌年度へ繰り越しました額は三、四〇六億一、八七二万円余であり、不用となりました額は一二六億六、四八一万円余であります。  次に、特別会計につきまして申し上げます。  まず、第一に、自動車損害賠償責任再保険特別会計でありますが、保険、保障及び業務の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は二兆八、五五〇億一、二一二万円余であり、支出済歳出額は八、五七九億三、七六八万円余でありまして、差引き一兆九、九七〇億七、四四三万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度の歳入に繰り入れました。  第二に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は七、八二七億九、六〇六万円余であり、支出済歳出額は七、〇七六億七、〇四一万円余でありまして、差引き七五一億二、五六五万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度の歳入に繰り入れました。  第三に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済歳入額は五九四億八、八四二万円余であり、支出済歳出額は四六八億八、四九九万円余でありまして、差引き一二六億三四二万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度の歳入に繰り入れました。  第四に、空港整備特別会計でありますが、収納済歳入額は六、二三七億三、四七六万円余であり、支出済歳出額は五、五二三億二、八八八万円余でありまして、差引き七一四億五八七万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度の歳入に繰り入れました。  以下、部門別に主要な事項につきまして、御説明申し上げます。  まず、鉄道の整備につきまして申し上げます。  整備新幹線の建設につきましては、鉄道整備基金を通じて日本鉄道建設公団に対し、新幹線鉄道整備事業補助として四二四億四、七〇〇万円、整備新幹線建設推進準備事業補助金として三三億八〇〇万円、整備新幹線駅整備調整事業補助金として九億七、五〇〇万円を交付いたしました。これによりまして、整備新幹線の建設推進を図るとともに所要の調査を行いました。  都市鉄道の整備及び幹線鉄道の活性化等につきましては、地下高速鉄道整備事業補助として、鉄道整備基金を通じて帝都高速度交通営団ほか一都八市三会社に対し八七二億九、六一一万円余、ニュータウン鉄道整備事業補助として、鉄道整備基金を通じて神戸市、横浜市、住宅・都市整備公団及び大阪府都市開発株式会社に対し二六億六、五〇三万円余、貸付線及譲渡線建設費等利子補給金として、鉄道整備基金を通じて日本鉄道建設公団に対し三一億九、五〇〇万円余、幹線鉄道活性化事業補助として、鉄道整備基金を通じて北越急行株式会社及び道東高速鉄道開発株式会社に対し二億四、四三二万円余、地方鉄道新線建設費等補助金として、鉄道整備基金を通じて日本鉄道建設公団等に対し一四二億五、二四三万円余、鉄道施設災害復旧費補助金として、鉄道整備基金を通じて神戸市ほか十会社に対し一七〇億八、一九四万円余を交付いたしました。これによりまして、都市鉄道の整備及び幹線鉄道の活性化等の事業の推進を図りました。  日本国有鉄道清算事業団につきましては、用地の処分等を適切に行い、長期債務等の処理を円滑に進めるため、日本国有鉄道清算事業補助金として六三五億円を交付いたしました。これによりまして、過去債務に係る利子負担の軽減を図りました。  次に、空港の整備につきまして申し上げます。  空港整備事業につきましては、第六次空港整備五箇年計画の最終年度として、空港整備特別会計において五、五二三億二、八八八万円余を支出いたしました。  このうち、主な事項について申し上げますと、第一に、新東京国際空港公団に対する政府出資等として一〇〇億七、四七六万円余を支出いたしました。これによりまして、新東京国際空港の整備を推進いたしました。  第二に、東京国際空港の沖合展開事業として一、七二三億九、七〇九万円余を支出いたしました。これによりまして、沖合展開事業の整備を推進いたしました。  第三に、関西国際空港株式会社に対する政府出資等として一〇五億七、五九〇万円余を支出いたしました。これによりまして、関西国際空港の整備を推進いたしました。  第四に、国内空港の整備を図るため一、二四五億一、四〇八万円余を支出いたしました。これによりまして、福岡空港ほか八十八空港の整備を実施いたしました。  第五に、公共用飛行場における周辺環境対策として二八四億八、三〇二万円余を支出いたしました。これによりまして、特定飛行場における移転補償等を行うとともに、緩衝緑地帯等の整備を実施いたしました。  第六に、航空路施設の整備を図るため三三一億二、一七〇万円余を支出いたしました。これによりまして、航空交通管制情報処理システム等の整備を実施いたしました。  以上によりまして、航空輸送力の増強等に対処するとともに、航空の安全の確保と環境の整備を推進いたしました。  次に、港湾及び海岸の整備につきまして申し上げます。  第一に、港湾整備事業につきましては、第八次港湾整備五箇年計画の最終年度として、港湾整備特別会計において七、〇七六億七、〇四一万円余を支出いたしました。  このうち、港湾整備勘定においては六、八五六億五、八四三万円余を支出し、直轄港湾改修事業として百三十港、十六航路及び六海域の工事を、港湾改修補助事業として七百八十港の工事実施したほか、海水油濁防止施設整備補助事業、港湾公害防止対策補助事業、港湾環境整備補助事業、港湾事業調査補助事業等を実施いたしました。  特定港湾施設工事勘定においては二二〇億一、一九七万円余を支出し、エネルギー港湾施設工事として四港、鉄鋼港湾施設工事として一港の工事をそれぞれ実施いたしました。  以上によりまして、効率的な物流体系及び快適な旅客交通体系の形成、豊かで潤いに満ちたウォーターフロントの創出、地域の活性化、海上交通の安全性の向上等を図りました。  第二に、海岸事業につきましては、第五次海岸事業五箇年計画の最終年度として四九七億八、五八二万円余を支出し、海岸保全施設整備事業として直轄事業海岸補助事業三百九十海岸海岸環境整備補助事業として百十三海岸、公有地造成護岸等整備補助事業として十海岸工事実施いたしました。これによりまして、海岸保全施設等の整備を促進いたしました。  また、港湾施設災害復旧事業、神戸港埠頭公社港湾施設災害復旧事業及び港湾施設災害関連事業として二、〇七五億六、〇三七万円余を支出し、直轄事業四十六箇所、補助事業五百十二箇所の工事実施いたしました。これによりまして、港湾及び海岸の災害復旧を促進いたしました。  次に、地域における公共交通の維持整備につきまして申し上げます。  第一に、地方バス路線維持費補助金として、北海道ほか四十二都府県に対し八九億二、三八二万円余を交付いたしました。これによりまして、地方における乗合バスの運行を確保し、民生の安定に寄与いたしました。  また、特定地方交通線代替輸送事業運営費補助金として、神姫バス株式会社ほか四事業者に対し四、四九一万円余を交付いたしました。これによりまして、特定地方交通線の代替輸送を確保いたしました。  第二に、バス活性化システム整備費等補助金として、大阪市交通局ほか三十一事業者に対し五億八、八八一万円余を交付いたしました。これによりまして、バス輸送サービスを改善するためのシステムの整備等の促進を図りました。  第三に、離島航路補助金として、百七航路を経営する百三事業者に対し四二億五、八四七万円余を交付いたしました。これによりまして、離島航路の輸送力を確保し、民生の安定と向上に寄与いたしました。  次に、交通施設利用円滑化促進対策等につきまして申し上げます。  交通施設の利用円滑化に資するため、交通施設利用円滑化対策費補助金として、財団法人交通アメニティ推進機構に対し一億九七万円余を交付いたしました。これによりまして、特に整備が急がれている鉄道駅における障害者対応型のエレベーター等の整備を促進いたしました。  また、観光交流の拡大及び観光の振興を図るため、国際観光振興会等に対し二九億七、三七九万円余を支出いたしました。これによりまして、国際観光交流支援事業等の実施及び観光基盤施設の整備を推進いたしました。  次に、海運、造船、船員雇用対策等につきまして申し上げます。  第一に、海運対策につきましては、外航船舶建造融資利子猶予特別交付金として、日本開発銀行に対し二一億三、三〇七万円余、外航船舶等解撤促進費補助金として、財団法人船舶解撤事業促進協会に対し九、五〇五万円余、船舶整備公団補給金として、船舶整備公団に対し一〇億四、三〇〇万円を交付いたしました。これによりまして、外航海運対策等の推進を図りました。  第二に、造船対策につきましては、高度船舶技術研究開発費補助金として、造船業基盤整備事業協会に対し一〇億三〇〇万円を交付いたしました。これによりまして、同協会が実施する次世代船舶研究開発促進業務等の円滑な推進を図りました。  第三に、船員雇用対策につきましては、最近における船員の雇用情勢にかんがみ、船員雇用促進対策事業として七、二八八万円余を支出いたしました。これによりまして、離職船員の雇用の促進等を図りました。  また、財団法人海事国際協力センターに対し、開発途上国船員を対象とする研修を推進するため、事業実施に要する経費の一部として八、八〇六万円余を支出いたしました。これによりまして、開発途上国船員の養成に協力・貢献いたしました。さらに、新時代の船員養成に対応した練習船の代船建造を行うため、三箇年計画の初年度分として二八億八七三万円余を支出いたしました。これによりまして、代船建造工事実施いたしました。  第四に、国際社会への貢献につきましては、運輸分野における国際社会への貢献を一層促進するため、開発途上国における交通基盤の整備、人材養成、環境保全、輸送安全への協力等に必要な経費として五億六、四六四万円余を支出いたしました。これによりまして、運輸関係の国際協力を推進いたしました。  第五に、貨物流通対策につきましては、貨物流通対策を推進するため二、〇八四万円余を支出いたしました。これによりまして、物流の効率化を推進いたしました。  次に、運輸関係の技術開発の推進につきまして申し上げます。  まず、鉄道整備基金を通じて財団法人鉄道総合技術研究所に対し、鉄道技術開発費補助金として五八億三、二二万円余を交付いたしました。これによりまして、超電導磁気浮上方式鉄道に係る技術開発をはじめとする鉄道技術開発の促進を図りました。  また、造船対策でも申し上げましたように、造船業基盤整備事業協会に対し、超大型浮体式海洋構造物等次世代船舶研究開発促進業務等の高度船舶技術研究開発費補助金を交付いたしました。  次に、海上保安体制の充実・強化につきまして申し上げます。  第一に、けん銃・麻薬等の密輸入、不法入国等の事案や、広大な海域における捜索救助等に的確に対応するほか、航行安全対策の推進等の業務を的確に遂行することを目的として、広域的哨戒体制の整備及び海洋調査の充実・強化を推進するため三五四億八六〇万円余を支出いたしました。これによりまして、引き続き巡視船四隻、巡視艇四隻、測量艇一隻、航空機二機の整備及び海上保安通信体制の整備並びに管轄海域画定のための諸調査を行ったほか、新たに、巡視艇十五隻、航空機三機の代替整備を行うとともに、巡視船三隻、巡視艇十五隻、測量船一隻及び航空機六機の代替整備に着手いたしました。  第二に、航路標識の整備を図るため九九億八七八万円余を支出いたしました。これによりまして、灯台等光波標識七十五基、電波標識(ディファレンシャルGPS)一部、海上交通情報機構一部及び船舶通航信号所一部の整備を実施したほか、既設の航路標識については、地震等災害に対する防災対策を始めとする改良改修を実施いたしました。  次に、気象業務体制の充実・強化につきまして申し上げます。  第一に、静止気象衛星等観測予報業務の強化を図るため二一億三、八一二万円余を支出いたしました。これによりまして、静止気象衛星業務の推進、地上気象観測施設及び気象レーダー観測網の整備を行いました。  第二に、地球環境問題への対応等気候変動対策の強化を図るため一四億五、九六六万円余を支出いたしました。これによりまして、観測・監視・予測体制の整備を行うとともに、海洋気象観測船の代船建造を行いました。  第三に、地震・火山対策の強化を図るため七一億二、七五七万円を支出いたしました。これによりまして、地震観測施設及び火山観測施設の整備並びに南関東地域における応力場と地震活動予測に関する研究を行いました。  以上をもちまして、平成七年度の運輸省所管一般会計及び特別会計決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。     …………………………………    平成七年度決算運輸省についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  平成七年度運輸省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項一件であります。  まず、不当事項について御説明いたします。  検査報告番号二八三官庁及び一六四号の二件は、徳島県が実施した海岸侵食対策事業におきまして、施工設計と著しく相違していたため、護岸が不安定な状態になっているものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について御説明いたします。  これは、公共マリーナ等の管理運営等に関するものであります。  京都府ほか六事業主体が港湾整備事業により整備した公共マリーナ等におきまして、利用を促進するための広報活動等を十分に行っていなかったこと、また、利用状況等の実態の把握及び有効利用を図るための管理運営方策等についての検討が十分でなかったことなどのため、プレジャーボートが係留・保管されていない保管スペースがある一方、港湾区域に放置艇が見受けられ、保管スペースが有効に利活用されていないと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、運輸省では、関係省庁間の協議機関を設けるなどして、公共マリーナ等の有効利用による放置艇の解消のための管理運営方策等について検討するとともに、八年十一月に各港湾管理者に対し通達を発して、公共マリーナ等の利用促進を図るため広報活動等を十分に行い、放置艇等の公共マリーナ等への誘致・保管を図るよう指導するなどの処置を講じたものであります。  以上をもって概要説明を終わります。     ─────────────
  217. 辻一彦

    辻主査 以上をもちまして運輸省所管説明は終わりました。     ─────────────
  218. 辻一彦

    辻主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橘康太郎君。
  219. 橘康太郎

    ○橘分科員 自由民主党の橘でございます。  きょうは決算委員会ということでございまして、先ほど来大臣並びに会計検査院の方からそれぞれ御報告をいただきました。金銭的なものにつきましてはともかくといたしまして、やはり運輸省におかれましては、相当の金額を使いながら政策の実施に当たっておられるわけであります。その政策の問題について、運輸省が最近になりまして相当基本方針を変更され、いろいろな点で国民が困惑をしておるというふうなことで、多くの問題点が見受けられます。私は、その中で特に、先般来問題になっております全日空の問題について大臣の御見解を賜りたい、このように思うわけでございます。  全日空におきまして、社内人事の点で少しく問題があったようでありますが、新聞紙上によりますと、大臣は、十六日と二十日に再度にわたって新聞記者団に、個人的な見解と称しながら、この問題についていろいろと発言をしておられますが、その真意はどういうところにあるのか。運輸省が介入しようとしての発言であるのか、その辺のところを聞かせていただきたいということであります。
  220. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 先般来の全日空の人事の問題について、私の発言について橘議員からの御質問でございます。  確かに二度にわたりまして記者会見で、個人的な見解ということでお断りをいたしまして、運輸行政の中で航空の分野というのはある意味では最も公共性が高い、また直接人命にかかわる、安全を第一とする業務でありますだけに、言われているような経営陣の中での人事をめぐってのごたごたがあるということであれば、それは大変ゆゆしきことであるということで発言をさせていただきました。  ただ、先生がお尋ねになっております、運輸省として行政の立場で民間会社の大事についてとやかく申し上げるということはあってはならないことであるし、また、そういうことを行うことについては、事務局の方とも、私の方からそういうことのないようにということでの協議というものは再三いたしているところでございます。私もその辺は十分考慮しながら、ただし今申し上げましたような観点に立って、やはり経営陣が打って一丸となって、社員の動揺だとか士気をそぐことのないような、人事面でのそういう混乱というものがないような業務であってほしいという立場の中で、私の個人的な見解として記者会見で申し述べたことは事実でございます。
  221. 橘康太郎

    ○橘分科員 大臣のお言葉は、大臣のお人柄からしてそのとおりであろう。私は大変大臣を信頼しております。いつも言っておりますように、あなたは別に大臣になりたくてなったわけではない。どちらかといいますと、運輸関係の仕事については、はっきり申し上げまして疎い方であります。大臣が進んでどうのこうのということはあり得ないだろうと思うのですけれども、しかしながら、きょうの日本経済新聞の一面、「杉浦全日空会長も辞任 きょうにも表明」。そして、中身には、「先週末までに全日空幹部や、運輸省関係者から「問題の解決にならない」「お辞めになるしかない」などと退任を促されていた。」これが日本経済新聞でございます。  大臣のお気持ちがそのままであるならば、なぜこのような記事が出てくるのか、御説明を願いたい。
  222. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 私もその記事は承知いたしております。運輸省関係として杉浦会長についてとやかく言っているということは、私はまことにその記事について遺憾なことだというふうに思っております。運輸省のどういう立場の人が、また一人でもそういったことを言った人がいるということであれば、私はまことに残念でありますけれども、決してそういうことはない、まさに推測でその記事は書かれたものだというふうに、その記事を読んで理解いたしたところでございます。
  223. 橘康太郎

    ○橘分科員 大臣のお話は、私はあなたのお人柄からしてそのように承りたいと思います。  しかしながら、もう一つ、私どもの富山県において二つの新聞が発刊されております。一つは北日本新聞、一つは富山新聞、この二つの新聞が、「表層 深層」という、後でお見せいたしますが、同じ解説記事を載せております。ということになりますと、これは共同通信が流しておると思います。  これを読みますと、このことについては、完全に運輸省運輸省OBの方々の一連の作戦によって若狭氏は退任させられたもの、このように書いております。若狭さんは、御存じのとおり富山県の出身でございまして、私ども富山県選出、後ろに萩山議員もおりますが、これは富山県人にとって非常に大きな問題だ、若狭さんを我々は尊敬して今日までやっている、その若狭さんが運輸省にしてやられた、これは一体どういうことなのか、橘先生、あなたは国会へ行って何をやっているのだ、もっと真相を究明してこいという厳しい指摘も現在我が県内で猛然として起こっておるわけであります。こういう誤解を、もしこれが誤解とするならば、誤解を与えるような記事を運輸省が出させておいて、そのままほおかむりというわけにはいかないのじゃないでしょうか。いかがですか。
  224. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 先生の御指摘でございますが、私は最初にお答え申し上げましたように、民間会社の大事に運輸省の行政の立場でとやかく関与するということは、絶対にあってはならないことであるし、やっていません。行われていないということを明確にさせていただきたいと思います。
  225. 橘康太郎

    ○橘分科員 再度御質問申し上げますが、これは記者会見等できちっとおやりになるという意味でございますか。
  226. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 機会があれば私の方から、私個人としての立場の発言は、記者さんの前で会見の場でお話ししていることでございますが、そのときにも再三、民間会社の大事について行政の立場で介入することはないということは明言いたしておりますから、何回聞かれてもそのとおりの答えを申し上げたいと思います。
  227. 橘康太郎

    ○橘分科員 大臣は、そのようなことがない、決して自分にもそういうことはなかったのだと思われるのであれば、やはりこれは一刻も早く記者会見をされ、絶対に運輸省はそんなことをしていない、民間の人事介入などは一回もしたことがないのだということをやってもらわないと、新聞各社にありもしないことを堂々と言われて、それで運輸省は黙っておる、そういう無責任な態度でやってもらっては困ると思いますよ。これはお約束していただけますね。
  228. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 先生の御発言を重く受けとめまして、明日の記者会見のときに、そういう再度の御質問があるとするならば、私は運輸行政の立場で民間会社への人事の介入はあり得ないということは、はっきりと明確に伝えさせていただきたいと思います。
  229. 橘康太郎

    ○橘分科員 ただいまの御発言では、記者サイドの方から再度の質問があればという話でありますが、それでは余りにも無責任であります。いやしくも国の税金を使って、そして国の政策を責任を持って、我々国民が運輸省の行政というものを信頼しながら今日までやってきておる、それを全然違った方向で報道されておって、それは質問されなければ記者会見できないのだ、こういう無責任な態度であっていいのですか、大臣。もう一度お伺いいたします。
  230. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 決して無責任な立場ではございません。私は、記者会見のときに再三、民間会社の大事に少なくとも行政の立場で介入することはあり得ないということは言い続けているわけでございますから、記事の中でその点がどういうふうに扱われているかどうかということの問題であって、私は決して無責任な発言をしているというふうには承知いたしておりません。
  231. 橘康太郎

    ○橘分科員 大臣のお気持ちはそのとおりだと思います。しかし、マスコミがこのようにはっきりと運輸省の介入ありと書いておるわけですから、間違いは間違いとして、それは大臣の御発言はそうかもしれませんけれども、運輸省当局として一切していないのであれば一切していない、こういう間違いの記事は書くなということを、はっきり言うのが行政当局としての責任者の立場ではないのですか。
  232. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 私は事実関係として、常に私の、この問題について民間会社の大事に運輸省として行政の立場で介入することはあり得ないということは申し上げておりますということについては、明日の記者会見で明確にさせていただきましょう。
  233. 橘康太郎

    ○橘分科員 あなたの行動についてはよくわかっているのです、何遍も言っていますけれども。しかしマスコミは、どこからどう取材しておるのか知りませんけれども、こんなようにはっきりと運輸省が仕組んだシナリオであるとかいうことを書いておるわけですから、間違いなら間違いとして正々堂々と明らかにしなかったら、国民は本当に迷惑をこうむりますよ。ミスアンダースタンディングをするのです。いかがですか、これは本当にはっきりしてください。
  234. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 国民にも御迷惑をおかけするわけでございますが、行政を担当いたしております運輸省にも大変な迷惑な話でございますから、私の方から、明日、記者会見で再度そのことは申し上げ、若狭名誉会長の辞表についてはみずからの御判断で、私は大変立派な態度ではないかということを記者会見で申し上げておりますが、その旨、もう一度記者会見の場で、私の感じとして、また私の理解として申し上げさせていただきます。
  235. 橘康太郎

    ○橘分科員 再度しつこいようでありますが、大臣のお気持ちはよくわかっておりますし、またそのようなことはないと思うのですけれども、しかし運輸省がこれほどはっきりとマスコミに、運輸省の仕組んだ芝居なんだと、大臣から言われれば、これは全くのとんでもないこと、何の関係もないことをマスコミが勝手に書いておるのだ、こうおっしゃりたいのでしょうから、それはそのとおり、運輸省の立場として、これは国民が全部読んでいるのですよ。このままほっておけば運輸省が民間に介入しておるのじゃないかということでみんな理解するわけですから、それははっきりとやるべきであるし、我々立法府の一員としても何となく釈然としない。  これは大臣のお立場と、運輸省がそういうふうなことをしたのだとマスコミがこんなにはっきりと、まだおわかりでないのだったら、これはそちらの方へ上げますけれども、書いておるわけですから、どうぞひとつこれははっきりしていただきたい。こんなにはっきり書いておるわけです。これは共同通信。いかがですか。
  236. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 明日の私の記者会見で、再度、運輸省行政の立場でこの問題に介入したことはない、名誉会長みずからの御判断によって辞表を提出されたものだということの理解を、もう一度明確に記者会見で申し述べたいと思います。
  237. 橘康太郎

    ○橘分科員 平素尊敬申し上げる大臣の、全く私はお気持ちはよくわかっておりますし、そうやって国民の信頼を取りつけていただくことこそ、我が日本にとって今後二十一世紀の運輸行政に対する信頼が深まるものと考えております。ありがとうございました。  ところで、政策面で、この前の運輸委員会で私も相当しつこく申し上げました。しかし、その後一向に、申し上げたことが御理解をいただけているのかいただけていないのか、次から次と運輸関係の需給調整の廃止を行うんだというふうなことで、各方面でこれがやられるもんですから、相当な誤解が生じています。  この前の運輸委員会で、私が御指摘を申し上げたとおり、需給調整の廃止という言葉は、言葉としてはちょっと強過ぎる、今の日本の運輸業界の、あるいは交通関係の背景を考えますと。言うべくしてできない分野があるんですよ。そういうところまでも需給調整を廃止すると言われるから、今の記事と全く同じように国民は物すごくミスアンダースタンディングをしておられる。  例えば、ここに航空局長がおられますけれども、この前の国内線の発着枠の問題、これは運輸省において需給調整の廃止を本当にやるつもりであれば、そのときは今のような結果になってなかつたと思うんですね。はっきり申し上げまして、これをオークション、つまり入札制にしてやるということであれば、あの発着枠については、確かにおっしゃるとおり、需給調整を廃止してでもできるかもしれない。しかし、もしそうやったときには、大手の企業に有利であって、今北海道なんかででき上がってくる新しい航空会社が、せっかく入れてやろうと思ったって、そんな資本力のない会社にオークションで高いもので売った場合、一ころでやられてしまいますから、審議会の中でもこういう批判の声が出たということで、航空局はこの方法をとらなかったわけですよ。  ということになれば、需給調整の廃止と言葉で言いながら、それは現実にできないという問題なんだ。しかし、それを最後の最後まで、私は運輸委員会でも申しておるんだけれども、あれだけ言っても、まだ最後の最後まで需給調整を廃止するんだというふうなことをやっておるから、今のようないろいろなところで、これは単に全日空だけじゃありません、航空業界あるいは海運であれ、タクシーであれ、いろいろなところでトラブルが起こりつつあるんですよ。はっきりとできないものはできないと言う、それを明確にしなかったら、国民が迷惑するんだ。できもしないことをやめるというふうな、そういういいかげんな発表については、私はいかがなものかと思いますが、大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  238. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 先生から、このたびの行政改革の柱であります規制緩和、長い間運輸行政の根幹をなしてきた需給調整という問題について、いろいろな論議の中で先生一貫して、規制緩和を推進していく中で需給調整の廃止というのだけはだめなんだ、これはよほど慎重に言葉を使わないと本当にいろいろな、国民はもちろんですけれども、事業者の方々にも誤解を招くというような御叱正と、また御指導をいただいているのは事実でございます。  私は運輸行政、先生からも触れていただきましたように、素人でございます。まさに皆さん方と一緒になって勉強させていただく中で、今の運輸行政に求められているものは何なのだろうか、またそれは、日本の国が新しい転換や変革の時代に、今運輸行政はどういうことを考えていかなければいけないんだろうかという点については、私もまことに非力ですけれども、素人でありますけれども、素人なりに先生方の御指導や部会の先生方のお話を聞いて取り組んでまいりました。  そういった中で、橋本第二次内閣が掲げる六つの改革、これから日本の国が二十一世紀、そして子供さんやお孫さんたちの時代、どういう国であるべきなのかということを私なりに考え、運輸行政に携わる幹部の皆様方とも話し合いをさせていただきました。  運輸行政の根幹をなしてきた需給調整を原則廃止するという大前提をひとつくみ上げていこう。しかし、その中には、今先生がおっしゃるように、さまざまな問題がございます。さまざまな誤解もあります。だからこそ、運政審の中で、今までかつてないような緻密な、分野ごとのさまざまな部会をつくらせていただいて、条件、環境整備というものをひとつ徹底的に議論していただこうではないか。その中で、どうしてもこの分野にはこういう問題というものがクリアできなければだめなんではないかというような問題が出てくるかもわかりません。真剣に一年間、運政審がそれぞれの部会を通じて御議論をいただく。その論議を十分見定めながら、私たちは国民の皆様方のことも、またそれぞれの分野に携わっていただいている事業者の方々のことも、また国民が運輸行政、運輸サービスに何を求めるかということについても、いろいろなことを踏まえながら、運政審の答申を踏まえ、そういった中で、結果として私は収れんしていくものだというふうに思っております。  やはり原則需給調整を廃止するということは、そういう意気込みでこの難しい転換期を運輸行政もやっていくんだという、運輸省挙げての熱意といいますか、そのことを原則廃止という言葉の中でにじませさせていただき、そして努力をするということで、先生にもぜひ御理解をいただきたい、再三お願いを申し上げさせていただいているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  239. 橘康太郎

    ○橘分科員 大臣のお言葉は全くそのとおりだと思います。原則需給調整の廃止ということであれば、意味が通るんです。そうじゃなしに、とにかく幾ら言っても、委員会でまで御指摘申し上げても、需給調整の廃止一本やりであの言葉を全部並べてしまったところに、私は問題点をあのときも指摘しておるわけですけれども、現実的にできもしないことを何でそれ一本でやるのか。原則ならわかる。できない分野もあろうけれども、こういうふうに目指してやるんだということであるならば、だれしも理解できるわけです。小学校の生徒でもわかるような言葉について、私はあのとき御指摘を申し上げたわけです。  これからも、国民は本当に皆様方のちょっとした発言によって随分惑わされるということがあり得るわけですから、この点について、これから運政審もあることでありますし、おっしゃるとおりであります。どうかひとつ御理解をいただいて、国民を惑わせない、しかも規制緩和の中でも、大店舗法が施行されれば、これはもう中小の商業者はとてもじゃない、おかしくなるということで、ちゃんと通産省はそういう言葉が出ると、途端にもうきちっと対応しているわけです。  今の需給調整の廃止という、そういう原則でいけば、もう賢明な大臣ですからおわかりだろうと思います。大企業が生き残って、中小企業はみんなやられてしまう、労働者もやられてしまう、これでは自民党は勝てない。東京の大きなところでやっておるタクシー会社だとかいろいろなところでやっておるのと、あなたの田舎でやっておる仕事とは、天と地の差がある。したがって、すべて同一に扱ってやれというのではなしに、地方での公聴会もやる。そして中小の皆さんが二十一世紀に向かって、生きがいを持ってこの日本で仕事ができる、二十一世紀の運輸関係の仕事はこういうふうになりますよと経済構造改革実現目標の中にちゃんと書いておるわけですから、もっとそういう明るい部分を、大臣ひとつ、あなたが大臣になってからたたきつぶすだけたたきつぶして、何か知らぬけれども破壊に次ぐ破壊で、二十一世紀は破壊のみで、古賀運輸大臣は破壊しかやっていかなかったということではなしに、二十一世紀のこういうすばらしい日本の社会をつくるんだという古賀構想を今こそ打ち出して、我々も一緒に応援しますから、明るい日本づくりのために、二十一世紀の交通関係というのはこのようにすばらしく変革を遂げて立派になっていくんだよ、そのためにはハード面でもしっかりするし、ソフト面でもこういうふうなところでしっかりやるんだという、経済構造改革の中での古賀イズムと申しましょうか、これはぜひ、我々もバックアップしてやりますので、お願いしたいと思います。それとともに、この需給調整廃止の問題につきましては、原則、それだったらわかりますから、もう少し国民にわかりやすくその辺のところを御説明いただかないと、もうすべてこれでいくんだ、では、大企業のものだけ残って、中小はとにかく虫けら同然で全部つぶれてしまうのかという危機感をみんな持っておるわけですから、そんなことは早くあれしませんと、自民党は参議院戦で勝てません、これは。本当に心配しているのです。  だから、そういうことも御理解をいただいて、しっかりとした運輸行政をやっていただきたい。きょうは決算委員会でございますから、はっきり言えば、会社でいえば決算役員会でありますから、少しきついことも申し上げたかもしれませんが、御理解をいただきたいと思います。いかがなものでございましょう。
  240. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 行政改革ということをやり上げなければ、二十一世紀、将来の日本の国、国民の幸せというものがないということも、また事実であります。ほかの省庁のことは、私よくわかりませんけれども、運輸省に来てまだわずかな期間でございますが、運輸省の諸君は本当に愚直なまでに正直でまじめでございます。それに輪をかけて私がまた責任感旺盛で、誠実なところだけが私は唯一の取り柄だと思っておりますので、極めて表現の仕方等に先生のお気にさわることも多いことだと思っておりますけれども、私も、やはり国民というのは、各界各層の方々の努力によって、その人たちがみんな手をつなげて、そして喜び合えるような社会でなければいけない。改革というのは、その改革が目的ではなくて、新しい国、そして新しい人間関係が構築されるための改革、その点だけは、私も先生方と同じように、また負けないつもりで運輸行政の中で取り入れていきたいという決意でございます。  いろいろ御指摘いただくことを十分踏まえながら、精いっぱい先生たちの期待にこたえていくように、そしてそれが二十一世紀の国家のためであり、国民のためであるということで、私は、やはり将来に向かっての運輸行政でありたいということを考えながら、微力を尽くしてまいりたいと思いますので、よろしく御指導のほど、お願い申し上げます。
  241. 橘康太郎

    ○橘分科員 大臣、本当に御苦労さまでございます。新聞はこういうふうに書いておりましたから、ひとつその辺のところをしっかりしていただいて、と同時に、二十一世紀に向けて運輸省は、ブロークンだけではなしにクリエーティブな政策でどんどんやっていくんだという、すばらしいところを後半見せていただくことを期待申し上げます。  時間がなくなりましたので、きょうは二つ申し入れておりましたが、あとの問題につきましては、後日、報告書で局長、私のところへ答弁をいただきたい旨お願い申し上げ、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  242. 辻一彦

    辻主査 これにて橘康太郎君の質疑は終了いたしました。  次に、吉川貴盛君。
  243. 吉川貴盛

    吉川分科員 運輸行政というのは、陸あり、空あり、海ありで大変幅広いわけでありまして、その幅広い運輸行政を、まことに真摯な態度で古賀運輸大臣、お務めになられておるところでありまして、心から敬意を表しながら質問をさせていただきたいと思います。  きょうは私は、行政改革に関連する地方分権に合わせて若干お聞きをしてまいりますが、私のような者の質問に対しまして、せっかく大臣の御出席をいただきましたが、大臣に御質問する項目がございませんので、ゆっくりお休みをいただきたいなというふうに思います。  まず、行革に関する私の考えでありますが、このたびの行革は、明治維新、戦後の改革に次ぐ第三のドラスチックな改革だと私は思っております。この行財政改革を初めとする構造改革は、自己責任と自助努力が強く求められているのではないかと思います。また、そう強く認識をしなければならないところであります。  地方分権と地方行革の推進に関しまして、運輸省に関する部分についてお伺いをしたいのでありますが、地方分権推進委員会の第一次勧告のうち、運輸省関係はどんなものがあったのでしょうか。まず、それをお聞かせ願いたいと思います。
  244. 相原力

    ○相原政府委員 お答え申し上げます。  地方分権推進委員会の勧告でございますが、第一次勧告といたしまして、昨年の十二月二十日に勧告がなされております。国と地方の新しい関係あるいは新たな地方自治制度の枠組み等があるわけでございますが、その中で「地域づくりと地方分権」という項目がございまして、運輸省に固有に関係するものといたしましては、この「地域づくりと地方分権」の中で、港湾計画の関係、それから地域交通の関係が含まれているところでございます。  簡単に中身を御説明させていただきますが、港湾につきましては、臨港地区の設定手続、あるいは港湾計画の策定手続等につきまして、より地域の自主性にゆだねるなどの改善を図るよう指摘されているところでございます。  また、地域交通につきましては、バスの関係でございますが、ちょっと読み上げさせていただきます。「過疎地や一部の都市地域などの交通空白地帯において、地方公共団体がバス事業を自ら行う場合又はバス事業者に委託して運行させる場合は、地方公共団体の意向を尊重して、申請どおり直ちに許可することとするとともに、地方運輸局から陸運支局に事務を移管することとする。」という内容が一点ございます。また、これに関連いたしまして、二つ目の指摘といたしまして、「近々、規制緩和の観点から、バス事業そのものの規制のあり方を見直すに際しては、上記の場合の許可制の廃止をも含め検討することとする。」という、大きく分けまして二つの点について勧告されているところでございます。
  245. 吉川貴盛

    吉川分科員 よくわかりました。  第二次勧告が間もなく、七月だと言われておるのであります。私も道議会議員を経験をさせていただきまして、地方分権やら地方行革に深く携わってきたものでありますから、特にこの件に関しましてはいろいろな希望や要望を持っているものであります。このたび地方六団体は、第二次勧告に向けまして、一つは「国庫補助負担金の整理合理化」、二つ目には「地方税・地方交付税の充実確保」、三番目に「国から地方への権限委譲」、四番目に「機関委任事務制度廃止後の自治事務化」、五番目に「国の関与の実質的縮減」、さらには「地方議会の活性化」等々について、強く要望を出されているのです。  特にこれからお伺いをしたいのは、「国から地方への権限委譲」、あるいは「国の関与の実質的縮減」ということに関しまして、運輸省に関連をする、きょう私、六団体の要望と申しましょうか、意見書ではなくて、指定都市、全国に十二ございますが、その指定都市の団体が、第二次勧告に向けて指定都市の意見というものを出されておるのです。  その中で、運輸関係は五つの項目がございます。「港湾計画の策定」、「特定重要港湾における小規模な公有水面の埋立免許に際しての運輸大臣の認可の緩和」とか、「市営交通の運賃及び料金の設定・改定に係る」云々、さらには「市営バス路線新設の免許及び事業計画変更に係る運輸大臣の認可の緩和」、そして「地下鉄の工事計画及び鉄道施設の変更に係る地方運輸局長の認可の緩和」と五つあるわけであります。このような要望が運輸省にもう既に届いているものと思いますが、確認をさせていただきますけれども、いかがですか。
  246. 荒谷俊昭

    ○荒谷政府委員 ことしの四月十七日に今先生がおっしゃったような要望を私ども、受けてございます。
  247. 吉川貴盛

    吉川分科員 受けているということでありますので、議論がしやすいのですが、それではお伺いをさせていただきます。私の率直な意見ですから、お気にさわるところはお許しをいただきたいと思います。  この意見、五つともに全部「緩和」という言葉を使ってきているのですね。地方に権限をゆだねてほしいという要望ではないのです。何となく運輸省に気遣いをしたのかな、あるいはこれからも運輸省に気遣いをしていかなければ、特に市営バス、市バスなんかはやっていけないのかという感じを強く受けたわけであります。私は、先ほど申し上げましたように「認可の緩和」という表現ではなくて、地方の時代だとも言われているこの時期は、ただ単に緩和をすればよいというものではございませんから、市バスなんかにつきましては、特に地方公共団体が十分能力を有しているわけでありますので、運賃や路線免許、事業計画の変更等に関しましては、地方に分権をすべきだという考えを持っているものでありますが、いかがでしょうか。そのような検討を運輸省としてなされておりませんか。
  248. 荒谷俊昭

    ○荒谷政府委員 この問題につきましては、私どもも行政改革推進委員会の事務局とも十分協議を重ねてまいっております。交通の特殊性と申しますか、行政区域、行政区画を離れて広域的なネットワークを張っているという中で、しかも、バスとか鉄道というそれぞれの交通機関ごとではなくて、パスと鉄道との関係あるいは空港との関係、そういった交通機関相互の関係まで視野に入れた調和のとれた交通体系をつくっていくということが、大変大事であるというふうに私どもは考えてございます。そういったことで、全体を国が一元的に見ていく必要があるのではないかというのが基本的な考え方でございます。  さらに、パスに限って申し上げますと、現在、公営バスというものがございます。収入ベースでいきますと、全国の四分の一ほど公営バス事業事業経営をしているわけでございますけれども、この公営バスにつきましては、実は経営の効率化ということが大変大きな問題になってございます。私ども、できるだけ効率的な経営をしていただいて、利用者に低廉な料金でサービスを提供していただきたい、こんなこともございまして、運賃改定の際などには、そのブロック内の民間事業者との比較をしたり、あるいは全国のほかの公営交通事業者の経営と比較をしたりしながら、いろいろと経営の効率化を指導させていただいているという現状にございます。そういった意味で、それぞれの公共団体がみずからの経営するものについて自分ですべてを決めていくということではなくて、国が全国的な視野に立って、いろいろと指導させていただいているということでございます。  それからもう一つ、特に都市部でございますけれども、公営事業者と民間事業者の競合の問題がございます。競合している路線につきましてのさまざまな調整ということになりますと、やはり公平な立場の国でやる必要があるのではないか。こんなことで、確かに地方公共団体、それなりの組織も能力もあるわけでございますけれども、バス事業という観点から、公営、民営含めまして、国が一元的に事業監督をやっていく必要があるというふうに考えてございます。  ただ、権限の移譲につきましては今申し述べたとおりでございますけれども、そもそも、できる限りの規制緩和をやっていく、規制が非常に少なくなっていけば権限がどこにあるのかということは、ある意味ではそれほど大きな問題ではなくなるということもございまして、私ども、規制緩和に真剣に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
  249. 吉川貴盛

    吉川分科員 規制緩和の中身までちょっとお答えいただければよかったのですが、もう既に予算委員会等々で大臣を初めとしていろいろな答弁をされておりますので、あえてお伺いをいたしませんが、運賃の上限制とか路線免許に関しては、需給調整は平成十三年度に廃止をするとか、そういった、ある面では私は非常に画期的だと思うのであります。  分権と規制緩和、これは交わる部分があるようでないのかもしれませんが、私も札幌でありまして、政令指定都市十二のうち九都市がバス事業をやっているのです。もちろん交通事業として特別会計でやっておりますが、毎年赤字でして、一般会計から繰り入れているという実態もあるのですね。  先ほど私が最初に述べましたように、まさしく構造改革というのは自己責任と自助努力でありますから、地方の主体性をもっと重んじていくべきだ、こう思うのです。しかし、公共交通体系というのは、きちっと足も確保しなければならないという部分もございます。どうか需給調整廃止めど、めどといいましょうか、廃止されようとしている平成十三年度以降、私は、地方公共団体に権限をいろいろな面でもっとゆだねていくべきだというふうにも考えますので、ぜひ検討をしていただきたいと思います。  答えは要りません。時は金なりと申しますから、以上お伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  250. 辻一彦

    辻主査 これにて吉川貴盛君の質疑は終了いたしました。  次に、藤田スミ君。
  251. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 私はきょうは、関空の開港に伴って発生した、JR阪和線と南海本線の騒音、振動、風圧の問題についてお伺いをしたいと思います。  大臣に聞いておいていただきたいと思いますが、関空が開港されてからもう二年八カ月たちました。関空の開港に伴って、鉄道のアクセスとして運行されている列車は大幅に増便されまして、南海本線では一日四百六十本が五百七十本、阪和線の方は五百二十本が五百八十本、恐らくこれだけの増便をされた軌道というのは全国でも例はないというふうに言われています。  ところが、この沿線には騒音、振動、風圧問題が発生いたしまして、住民はもう早朝から深夜まで、毎日耐えがたい苦痛と被害を強いられるようになったわけであります。騒音や振動は、昨年の五月、大阪府や沿線自治体が二土地点を調査いたしましたが、特急の騒音平均で八十六デシベル、最高は九十一デシベルにも達しています。全列車平均でも、南海本線で八十三、JR阪和線で八十六デシベルになっています。音のレベルで見れば、地域住民は、言ってみれば、連日、地下鉄車内あるいはまたガード下で生活を余儀なくされていると言っても言い過ぎではないわけであります。  ちなみに、新幹線の環境基準が、商業地域では七十五デシベル、住宅地では七十デシベルであります。だから、赤ちゃんが、乳を飲んでいても列車が通ると途端に飲まなくなったり、寝ていてもびくっとして引きつけのような症状を見せたり、あるいは睡眠薬や精神安定剤に頼らなければならない人が出てきたり、仕事の疲れをいやすために日曜日に家にいると逆に疲れが加わるというような、例を挙げれば切りがありませんが、大変な問題であります。  私は、こういう問題について、直接かかわっていらっしゃる運輸省として、地域住民の被害をどう認識していらっしゃるか、できれば大臣にそれをお伺いしたいと思います。
  252. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたとおり、平成六年の九月に関空のアクセス鉄道が開通いたしまして、南海あるいはJRがそれぞれ特急サービスを行うということで、運行回数がふえ、それから騒音レベルも御指摘のような状況であるということは、私どもも十分承知しております。  この問題でございますけれども、かねてより御指摘もいただいておりますが、私どもの方も、地域の実情に応じまして対策を実施するように、南海電鉄とJR西日本を指導してきたところでございます。昨年十月には、近畿運輸局、大阪府、沿線の市町、それから鉄道事業者から成ります南海本線・JR阪和線騒音・振動等問題協議会を設置いたしまして、この問題にできる限りの措置を講ずるという観点から、会議を重ねてまいりまして、この問題につきましての対策の取りまとめを行ってきたところでございます。
  253. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 大臣、今御答弁がありましたように、決して私は大げさにここで言っているわけではない、そのことは御認識いただけましたね。
  254. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 ただいま鉄道局長の方から答弁を申し上げましたように、また先生の方から御指摘をいただきましたように、関空の開港に伴いまして、アクセス鉄道において、先生から御指摘いただいたように、大変な本数の増加でございます。そのことを私も十分認識をいたしております。また、それに伴いまして、地域住民の方々が、騒音問題また振動問題について大変お困りになっているということも承知をいたしております。  また、先生がこの問題に大変熱心に取り組んでいただいて、今局長が答弁いたしましたように、十月からこれらの問題について関係者の協議機関もできたということについても承知をいたしているところでございます。
  255. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 その協議機関が、先ほど御答弁にありましたように、中間報告を出しております。そこで、私は、その中間報告に基づいて少し質問をしたいと思います。  この中間報告では、騒音、振動が発生し、深刻な状況であると認識されるということで「沿線の騒音・振動について、低減を図るため以下の対策を講じ、」というふうにして対策を示しています。私は、ここでまず聞きたいのは、対策を講じることでどれぐらい低減されるというふうに考えていらっしゃるのか、あるいはまたその目指す目標を示してください。
  256. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 直接的に騒音レベルを幾らから幾らというような数値目標みたいなものは決めておりませんが、考えられる対策を、例えば防音壁を設置するとか弾性まくら木を敷設する、その他線路の道床を固めるとか、設備あるいは車両関係につきまして、考えられる対策をすべてやっていこう、こういうことでございます。  なお、御参考でございますけれども、防音壁につきましては、実際に防音壁を設置する前と後といいますか、あるいは設置したところとそうでないところとにつきまして、特急が走行した場合に、同じようなはかり方をいたしまして約六・六デシベルの低減効果がある、このような実測のデータが得られております。
  257. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 私は、直接的に数値目標を決めていないというところが納得できないわけであります。特急で六・六デシベル低減できると。私の持っております南海が測定した資料では、六・五あるいは四・七というのもありますが、一・八というような極めて低い数値の低減効果しか見せていない、そういう数値もあるわけであります。  したがって、数値を見せる、見せていくというのが、ここまでこの対策で低減できるのだという数値を見せて当たり前じゃありませんか。違いますか。
  258. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 各種の対策を組み合わせるというようなことで、もちろんその費用面の観点はございますけれども、各種の対策を組み合わせて、できるだけ効果的な措置をしていこうということでございます。その対策を講じた結果、どの程度の効果があるかということは適切にフォローをしていく、こういうことでございまして、定量的な目標があらかじめ決めにくい、それぞれ施策の効果につきましても、ケース・バイ・ケースということもございましょう。  したがいまして、当初にそういったようなことで数値目標的になかなか決めがたいということもございますので、考えられるあらゆる対策をまず組み合わせていこう、その上でどれだけ効果があったかというのをフォローしていこう、こういうような考え方を持っております。
  259. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 それではお伺いいたしますが、新幹線はピーク騒音レベルで住居地七十デシベル、商業地七十五デシベルの基準を持っています。この基準というのは、沿線住民の生活環境保全のために守られるべき基準ということで、運輸省自身も納得して決められたものであります。南海やJR阪和線に基準がないからということで、住民が新幹線基準をはるかに超える騒音、振動に我慢しなければならない理由はないわけでありますが、この点についてはいかがお考えですか。
  260. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 環境対策といたしましての騒音の基準でございますけれども、新幹線につきましては先生御指摘のような状況でございますが、これは、在来線につきましては、もともと日常生活等に不可欠であるということから、新設をするとか、大規模改良に際しまして騒音対策の指針を定める、このような考え方でやっておりまして、既設線につきましては、今申し上げましたように、鉄道そのものが非常に重要な生活上の役割もございますし、措置を講ずるのはなかなか難しいといったような問題もございますので、新幹線のような基準を設けておらない、このような状況でございます。
  261. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 そういうことを知っての上で聞いているのです。だから、あなた方は、基準がない沿線だから新幹線の基準をはるかに超えたものであっても住民は我慢していい、そういうふうにお考えなのかということを聞いているわけです。
  262. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 そういう住民の方々の苦情等も私ども十分承知しておりますし、できるだけの対策を講ずる必要があるというような認識のもとに、先ほど申し上げましたとおり、関係者が集まりました協議会でさらに対策の充実に向けまして努力をしているところでございます。
  263. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 そうすると、できるだけの対策を講じて、その結果というものの評価は、住民が毎日生活をして一番その低減の効果を体感的に知っているわけですから、そういうことで住民の意見を尊重し、住民の期待するレベル、そういうものが一つの目標というふうに聞いていいですね。
  264. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 何といいますか、対策を講じまして住民が期待されるような十分な効果があるかないかというのは、確かに問題の一つだろうと思います。ただ、これはこれから相当程度の費用もかけて、あるいは自治体の御協力もいただきながら考えられる対策を全部やっていって、その上で効果を分析してその評価を行うというようなことであろうかと思います。  今先生御指摘のとおり、それは住民が期待するものに達しなければ、何といいますか、十分に評価し得るものでないのではないかといったようなことに関しまして、施策の効果等々もございますので、今この場で、そのように御理解していただきたいと、していただきましても差し支えありませんとはなかなか申し上げにくいのでございます。いずれにいたしましても、考えられる対策を講じましてその評価をやっていきたい、このように思っております。
  265. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 私は、その御答弁に納得するわけではありませんが、せっかくの低減対策等を打ち出された以上、やはりその効果が、本当に住民の生活に安心が取り戻せるようなところを目指すのだという運輸省の決意というものがなければ、困るわけであります。  大臣、そういう点では、住民はもう今でも、本当につらい思いをこの三年間してきたのです。これから三年間待つのだよではなくて、一日も早く解決して、やはり低減効果のその結果は住民の生活環境が保全できるようなレベルまで運輸省は頑張りましようという、そこのところを聞かせてください。
  266. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 先ほども私も御答弁申し上げましたが、住民の方々が騒音、振動ということで非常にお困りになっている。そのことについては、その問題の重要性にかんがみまして、今政府委員が答弁申し上げておりますように、それぞれの機関で協議会をつくって中間報告を出されたところであります。  先生にもこの問題について随分いろいろな角度から御指摘をいただいたと承知いたしておりますけれども、そういう結果として一つずつ手順が踏まれて、住民の皆さん方の不安、それから騒音、振動に対する低減についていろいろと今作業が行われているわけでございます。これが何年たたなければできないとか、そういうことではなくて、例えば防音壁だとか、まくら木の振動を軽くするためにラバーを敷くだとか、そういった具体的なことも着実に進められているわけでございますから、そういうことをぜひひとつ御理解をいただきまして、今後の御協力をいただければというふうに思います。
  267. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 それでは、実施する対策について鉄道事業者に対しても指導していただきたいと思いますのは、今大臣がおっしゃったように、問題の解決を一日も早く図っていくためにという立場に立つならば、その施工は可能な限り組み合わせて一体で進めていく、そういうことで対策の効果を早めていただきたい。  二つ目の問題は、対策を講じたらその都度その対策の効果を測定、検証して、その結果を沿線の住民に公開していくべきだと考えます。  二点、簡潔にお答えください。
  268. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 中間報告でも指摘されておりますけれども、防音壁の設置であるとか、弾性まくら木の敷設、レールの削正、その他ロングレールの更新、道床の更新、軌道の整備、伸縮継ぎ目部の溶接、分岐器の弾性化、車輪の転削といったようなメニューが合意を見ております。こういったものにつきまして、計画に従いまして着実にやっていくように私どもも指導してまいりたいと思います。  それから、対策の効果でございますが、対策がなされた区間におきまして、適宜施策の効果把握を行うということになっております。当然のことでございますが、この場には関係の市とか町の方もおられますので、こういった場を通じましてその効果が住民にわかるような形になる、私どももそのように期待いたしております。
  269. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 南海本線の浜寺公園と羽衣の間で、実はもう住民の要求に押されて南海電鉄が防音壁を設置したところがあります。その設置後、南海電鉄は、騒音レベルの変化を測定しているわけです。確かに低減の効果は出ました。しかしそれでも、その地点のピーク騒音は八十六、八十五、八十四というような記録を出しています。平均でも八十三・八、八十三・五というような数値であります。  こういうところには今回示された幾つかの対策を上乗せしていくことで、中間報告自体が示している対策の効果を早く検証することができるわけであり、その上で速やかにさらなる対策に取り組んでいく、メニューに示されているものだけじゃなしにもつと探求していく、そういうことにつながっていくわけでありますから。そういうふうには考えられませんか。
  270. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 南海の沿線の中で、各地域それぞれの事情に応じまして対策を実施していくべきかと存じます。今御指摘の区間につきまして、詳細、どのような計画になっておるかということ自体は私どもも承知いたしておりませんが、何といいますか、それぞれの地区の事情がございますので、それに適合する対策を講じていく、これが基本ではないかと思います。
  271. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 どうも私の質問をよく聞いていただいていない。  既に防音壁という、これは対策の中でもかなり大きな効果を期待される対策が講じられたところがある。そこを設置した南海電鉄自身が測定したところが、確かに低減の効果はあったけれども、なおかつ八十デシベルをはるかに超える、そういう数値しか出てこない。つまり、住民の苦痛は解決しなかったわけです。だから、そういうところは、多分補足をしていったらその騒音を低減する対策というのがまだあるかもしれない。全部対策をしている地域ではありませんから、そういう点ではそういうところに、短い区間です、対策を集中させることによって三年計画で示された対策の効果を推しはかることができるのではないか。そうすれば、このメニューを並べた計画を、並べたということではなしに、次なる対策にいろいろと研究もできるではないかということを申し上げているのです。いかがですか。
  272. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 それぞれ具体的にどこでどれだけの対策を講じていくか、あるいは併合的な対策を講じていくか、これはやはり地元の協議会の場で、関係者間で十分打ち合わせてお決めになっていくべき問題だと私どもは思います。御指摘のような点もあろうかと思いますけれども、今、何といいますか、沿線でそれぞれの地域の要請もあると思いますので、具体的な区間につきまして、まずそこに集中的な対策を講じてみて、そこでその効果を分析するといいますかはかって、全体のための参考とする、このような基本的な考え方でやっていけるものかどうか。これはやはりそれぞれの地域の事情もございますから、協議会の場で十分検討していかれるべき問題だと思います。
  273. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 人ごとみたいなことを言われたら困るのですよ。運輸省も入っているではありませんか、この関係協議会に。だから質問しているのですよ。後でその点については追加してください。  中間報告は、騒音、振動の対策として、減速という問題を項を起こして明記しています。大阪府は当初から、即効性のあるのは減速なのだと、減速について鉄道事業者に要望してきました。また、地元の一つである堺市も、中間報告が出た後、南海電鉄に対して、改めて減速については検討されたいという要望書を出しています。被害の大きいところには減速を、これは沿線住民の切実な基本的要求でもあるわけであります。中間報告も、「低減効果を検証した上で、更に対策が必要と認められる場合に」、つまり対策の効果が低ければ減速も行うというふうにしているわけでありますが、その点については、運輸省の姿勢もそのとおりでございますね。
  274. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 減速につきましては、ただいま先生から御指摘がございましたとおり、防音壁の設置でありますとかそういうような対策を講じました後に、「騒音・振動の低減効果を検証した上で、更に対策が必要と認められる場合において、各般の問題を踏まえて行う。」このように位置づけております。  したがいまして、私ども、減速の問題は、先ほど来申し上げております防音壁の設置であるとか、言ってみればハード面の施策につきましてこれを実施し、その効果を検証した上で、今後検討すべき課題だと考えております。
  275. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 先送り、先送りするような答弁ばかりしないでください。あなた方は、その中間報告を余り後退させるような言い方をしたら困るわけです。  それに、そもそも関西国際空港というのは、大阪国際空港の騒音公害訴訟などがあって、その公害を抜本的に解決を図り、地元には迷惑をかけない空港ということを原点にして、地元住民との合意を経て推進されてきたものであります。地元住民はそう信じてきました。ところが、開港とともに、まさに降ってわいたような耐えがたい騒音、振動に沿線住民が悩まされるということになったわけでありますから、もともとあなた方にも責任があるわけです。重大な責任がある。だから、さらに対策が必要な場合、減速も十分行っていくという立場で、もっと毅然とした姿勢を示していただきたいわけであります。一言だけ、いかがですか。
  276. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 減速の位置づけにつきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。各般の対策を講じて、その効果を検証した上で、さらに必要があればこの問題も検討していく、こういう位置づけでございますので、私ども、先ほど先生が御指摘のとおり、いろいろな検証をしていって、それが不十分な場合は各般の問題を踏まえてこの問題も行う、こうなっておりますので、その段階で検討されるべき問題だと思っております。
  277. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 実は、先ほど紹介した南海が防音壁を設置したところの方々、またこの問題で運動している会の皆さんが、防音壁設置だけではどうも問題の解決にはつながらないということで、運輸局に訴えて、そして、一度ぜひ現場を見てほしい、現場を見てもらったら、それをまた対策協議会の検討の中にも生かしてもらえるのではないかということで、現地調査を求めました。  大臣、この協議会には確かに地元の自治体が入っています、大阪府も入っています、しかしながら、その協議会に被害を受けている住民が直接発言できる場をどうして設けなかったのかということを私は思っています。ところが、運輸省の方は、こういう問題が起こり、住民から要請をされているのに、それを拒否したまま、今もって現場調査を行っていません。私は、住民の苦情を解決していくという誠意を運輸省が持っていらっしゃるとしたら、ぜひとも現地調査を行っていただきたい。きょう、質問の最後に、私はそのことを大臣にお願いをしたいわけであります。いかがでしょうか。
  278. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 先生の御熱意はよく伝わってまいりますけれども、さまざまな経過の中で、関係者のお集まりいただいている協議会というものがつくられているわけでございます。住民の方々が直接その協議会の中で声を出されるとかなんとかということができるかどうかは、協議会の運営の仕方によってさまざまなことが考えられるわけでございます。地域を代表する方々には、当然関係者としてこの協議会の中に、大阪府またその地域の自治体でございますか、そういった方々、意見を聞いた中での関係者というものがいらっしゃるわけでございますから、やはりそういった協議会の協議というものをまず第一に考えながら、そして、この協議会のあり方というものを十分尊重しながら進めていくことではないか、このように承知いたしております。
  279. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 私は、協議会を十分尊重するということを何にもとやかく言っていません。協議会の議論というものを大いに尊重して、より実りのあるものにしていかなければならない。  南海電鉄、JR阪和線そして関係自治体は入っています。入っていますが、そこに運輸省の近畿運輸局も入っているのです。近いのです、目と鼻の先でしょう。そんなにもったいつけなくても、もう本当に、車でなら三十分、電車に乗っても二十分、それで現場に行くことができるのです。どうしてそんな簡単なことが、そんなにしち難しく言って、足を運ばれないのか。私は、そこにどうも運輸省の誠意を見ることができない。だから調査を、運輸省として一度現地を訪れてください、私はそのことを申し上げているのです。まさか皆さん、現場を見ないで、机の上の数字だけで物を考えているばかりじゃないでしょう。  私は、五〇〇系の新幹線が走るについて、あの新幹線の皆さんがこのごろどんな動きを見せているかということをよく知っています。そして、大きく変わったなと思っているのです。ああいうふうにやるべきだと思っているのです。そういう点では、それを指導されている皆さんでしょう、だから一度現地を訪れてください、調査をしてくださいと言っているのです。
  280. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 この協議会の方のことについては尊重するということは、先生みずからもおっしゃっていただきました。  協議会の関係者の方々も、その中の一員が運輸省でございますから、協議をした中で、実際にその地域の状況を視察するかどうかということは、協議会の議論を踏まえながら、前向きに検討させていただきたいと思っております。
  281. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 もう時間が参りましたから、終わらなければなりません。  そうすると、協議会のメンバーが、運輸省、一回来てくれとそのメンバーが求めたら、運輸省としては足を運ばれる、私はそういうふうに理解をいたします。運輸省が調査要求を拒まれたわけではない。大臣、そうですね。はいだけ言って、終わってください。
  282. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 十分先生の御熱意を検討させていただきます。
  283. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 以上で終わります。ありがとうございました。
  284. 辻一彦

    辻主査 これにて藤田スミ君の質疑は終了いたしました。  次に、赤羽一嘉君。
  285. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 新進党の赤羽一嘉でございます。  本日、三十分間お時間をいただきまして、私がかねてより、地元最大の問題でございます、また国会でも予算委員会分科会で取り上げさせていただき、運賃の値上げの際には当時の伊藤運輸大臣のところにも直接陳情に行かせていただきましたが、神戸の六甲山の裏側に登山鉄道並みの走り方をしております神戸電鉄と、また、六甲山系をトンネルで通っております北神急行の問題について、きょうは質問をさせていただきたいと思います。  恐らく大臣、よく御存じであればあれですけれども、ローカル線でもありますので、ちょっときょう地図を持ってきましたので、委員長、よろしければこれをお見せしたいと思いますので、御許可を。
  286. 辻一彦

    辻主査 はい。
  287. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 見ながらの方がお話がしやすいと思いますので、よろしくお願いいたします。     〔主査退席、高市主査代理着席〕  その緑の線が神戸電鉄でございます。神戸電鉄というのは、六甲山の裏側をずうっと走っている電車でございます。実はその緑の沿線が、近年、兵庫県、神戸市、住宅・都市整備公団、また民間ディベロッパーの住宅開発が非常に盛んでございまして、新しい、ニュータウンと言いながらも二十年ぐらいかけて開発をされているところでございます。ですから、その神戸電鉄にしても、北神急行にいたしましても、裏六甲と神戸の都心中央部を結ぶ唯一の大量公共交通機関として輸送需要が急速に増大をしている。増大をする中で、その神戸電鉄自体、また北神急行の輸送力の増強が最重要の課題になっているというのが、今の実態でございます。  また、特に二年前のあの阪神大震災を契機に、実は仮設住宅もこの神戸電鉄の沿線、岡場というのが赤い丸印で出て、その上の方ですね、載っていますが、その周辺に藤原台の仮設住宅、これは実はニュータウンと共存しておるんですが、そこにも相当の人数がいまだに住まれておりまして、非常にこの問題が顕在化してきているという実態がございます。また、震災の折には、沿岸部に実は阪急、阪神、JRというのが三本並行線で通っておるんですが、そこが壊滅的に打撃を受けまして、神戸電鉄、北神急行というのは迂回のルートでも使われたということで、大阪にも三田から出ていますので、非常にその震災を機にいろいろな意味で地元では大変な問題になっている。  私自身も東灘区というところで震災に遭いまして、自宅を失い、今は北区の神戸電鉄の沿線に移り住んだ一人でございまして、これは私だけではなく、東灘区、灘区また兵庫区、長田区といったところに住んでいるかなりの多くの人たちが、この北区、神戸電鉄の沿線もしくは西区の西神ニュータウンの方に家を求めて移り住んでいるというのが実態でございます。  この中で何が問題かといいますと、先ほども申し上げました複線化が進んでいない地域がかなりある。神戸市内で複線化が進んでいない地域といってもなかなかぴんと来ないかもしれませんが、山合いを縫っているような電車でございます。また、非常に時間もかかると。特にこの赤の北神急行につきましては、一区間で一線という、多分日本でもこれだけではないかと思いますが、七・五キロで一区間四百三十円、一区間当たり、距離当たりでいっても日本で一番高い鉄道なんではないかというふうに私は思っております。私自身も、新神戸につながっているものですから、毎週週末、週明け、東京との行き来には利用しているところでございます。  そして、その運賃の問題、利便性の問題については、地元の地域では大変な問題でございます。毎日の問題でございまして、余談になりますが、その神鉄線沿線のところで各所で街頭演説をしますと、神戸電鉄の運賃というこのせりふが入りますと、みんなぱっと振り向いて、ほとんどああいう政治ビラというのはとらないと思うんですが、みんな、一枚見せてくれということで、朝全員が配ったビラを、四百枚、五百枚というのがあっという間にさばける。実に、地元では、消費税を上げるというような問題以上に大変な毎日の問題であるということを、かねてより私は国会で質問に立たせていただいているところでございます。  その声が通ったというふうに理解しておりますが、近畿運輸局、兵庫県、神戸市、北神急行、神戸電鉄、そして、親会社といいますか親元の阪急電鉄、こういう六者で北神地域における鉄道問題検討委員会というのが平成七年八月に発足をいたしまして、過去四回会議が行われているということを伺っているわけでございます。きょうは、多分問題意識は同じだと思いますので、その会議の結果を踏まえながら御答弁をいただき、また、運輸大臣の御所見も賜りたいというふうに思っております。  それで一つ目なんですが、まず、神戸電鉄三田線の複線化につきまして、質問をさせていただきたいと思います。  緑色の線の、有馬温泉で有名な有馬口から、そこから北に向かって三田にかける十二キロ区間なんですが、これがニュータウンで今大変な開発が行われておるわけです。この十二キロにつきましては、実は昭和五十八年の十二月に複線化の事業認可がおりておるわけでございますが、まず、この進捗状況につきまして御答弁をいただけたらというふうに思います。
  288. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 進捗状況でございますが、まず、横山から三田の方でございますけれども、これにつきましては、昭和六十二年に着工いたしまして平成四年に竣工している、こういうような状況でございます。  それから、有馬口と田尾寺の間でございますけれども、この間の岡場と田尾寺につきまして昭和五十九年に着工いたしまして、それでこの工事、阪神・淡路大震災の影響で会社側はその復旧に手いっぱいであった、こういうこともございまして一時スローダウンいたしましたが、これを再開いたしまして、平成九年度末には完成にこぎつけたい、このような状況でございます。  なお、これが終わりました後、残りの岡場と有馬口の間に着手をする、このような計画でございます。それで、これが終わりました後に田尾寺と横山の間の、いわゆるこれは第三期の区間でございますが、これに着手をしたいというような計画で今考えております。
  289. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 岡場と田尾寺の間でようやく、かなり時期がずれ込みながらも、平成十年度末に完工の予定だということですが、要するに、岡場から神戸都心部に向かっていく需要の方が当然多いはずなんですね。岡場から有馬口、それから谷上経由新神戸、三宮という南に向かっておりていく、これが輸送力を増強するという意味では本当は大事な課題でございます。  しかし、この有馬口-岡場についての着工の見通しがあるのかどうか、また、そこの部分と、田尾寺-横山の間、五・一キロありますが、ここについても手つかずの状況でございます。まず、残りの区間の総事業費をどのくらいに見積もられているのか、お知らせしていただきたいと思います。
  290. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 有馬口と岡場の間でございますけれども、私ども、今申し上げましたように、岡場と田尾寺の間が今年度末に完成ということでございますが、その後、やはり有馬口-岡場に着手をする、こういう計画であると聞いております。  残工事につきまして、申しわけございませんが、ただいま手元に資料がございませんので、調査いたしまして御答弁申し上げたいと思います。
  291. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 私の手元では、残事業費用、総事業費用四百億円というふうに出ておる。実は、神戸電鉄というのは、私の手元の資料では、平成八年度末、負債トータル一千億を超えているのですね。約一千九十億円の負債を抱えている。これは、震災で百十億円ぐらいのダメージがあったということもあるのですが、神戸電鉄の毎期の利益率というのですか、利益を上げる力から考えると、四百億円の総事業の複線化を単独でやるというのは基本的には極めて難しい、困難な状況であるというふうに私は認識するのですが、運輸省としてはどう考えられているのでしょうか。
  292. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 確かに、会社の経営状況から申し上げますと、ただいま先生御指摘のような大変大きな問題があろうかと思います。  そのような状況の中で、今先生御自身も御指摘がございましたけれども、要するに、有馬口サイドへの輸送力増強として残された分をどうするかというのは、やはり会社にとりましても、そもそも工事計画したものでございますから、期間の問題はございますけれども、着実にこれに取りかかっていくというのが基本的な考えであると、私どもは承知しております。
  293. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 どんな答弁なのかちょっとよくわからないのですけれども、要するに、この問題は地元県議会でも市議会でも大問題でございまして、いろいろな答弁の中で、地元自治体として、四百億の総事業の複線化を神戸電鉄の単独事業で整備するのは困難だと。何らかの公的支援の必要性を県としても認めている。県自体も潤沢なのであればできるのでしょうけれども、これは運輸省に対してもお願いをしなければ、何らかの助成制度なりなんなりを検討しなければ、とてもじゃないけれどもやっていけそうにもないというような答弁もあるようです。その辺の運輸省の認識というのは、どうとらえられているのでしょうか。
  294. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 先ほど申し上げましたとおり、会社の経営状況からいたしますと、これは非常に重荷であることは間違いございません。ただ、輸送力増強等が必要であることも間違いございませんので、ここら辺の支援策といいますか、そういうことも含めまして、検討委員会の場で今後十分検討されていくことになるだろう、このように私どもは考えております。
  295. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 過去四回やった検討委員会で、このテーマについての何らかの方向性というのはまだ出ていないのですか。
  296. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 そういった問題意識は当然ございまして、今後どうするかといったような議論が行われているというぐあいに聞いておりますが、方向性に関しては、まだ見えてくるといったような状況ではございません。
  297. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 これは多分、過去の運政審の答申を受けてなんだと思うのですが、横山から先のウッディタウンとかニュータウンのところに全部事業を、要するに、開発者である住都公団が開発者負担というものをしているというふうに認識をしておりますが、このことについて、建設省の方はきょうは来ているのかな。
  298. 塩島高雄

    ○塩島説明員 宅地開発事業におきまして、鉄道整備に宅地開発事業のサイドで負担するということにつきましては、宅地開発事業に関連して行われます新線の整備、それから新駅の設置に関する費用につきましては、宅地開発事業の採算という問題もございます。そういうものも勘案しつつ、受益の範囲内において負担するというのが一般的にとられている考え方でございます。  神戸電鉄三田線の輸送力増強のための費用につきましても、こういう一般的な考え方を踏まえまして、住宅・都市整備公団事業地区内の道路との立体交差ですとか、地区内の駅の移設等につきまして、応分の負担を行っているところでございます。  ウッディタウンとの方の鉄道整備についても同様でございます。
  299. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 新線の方を今、受益の範囲内でやられているということはよくわかりますが、藤原台とか鹿の子台という、仮設住宅で有名になったところですが、ここは実は、住都公団の委託を受けて県や市が大開発したニュータウンであるわけですね。ですから、ちょうど今、工事が未着工の部分の複線化の事業に対して、そこの部分にかかわる何らかの開発者負担としての支援というのですか、負担というのは考えられないのでしょうか。
  300. 塩島高雄

    ○塩島説明員 藤原台等の関係で、道場駅ですとか岡場駅関係の改築につきましても、応分の費用を負担するということをしておりますけれども、三田線の複線化ということにつきましては、計画というのが定められた時点で、鉄道事業者と宅地開発事業者との協議にゆだねられるというふうに認識しております。
  301. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 どうなんでしょう、ちょっとよくわからないところもあるのですが、検討委員会の議題に、開発者負担のアイテムに、この複線化事業というのが入ってくる可能性がないのだろうかということを検討するというのはどうなんですか。
  302. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 検討委員会は、先生も御承知のとおり、北神急行電鉄の経営問題、それから神戸電鉄におきます輸送力増強対策等々のことが、本来、検討課題となっておりますので、具体的にどのような方式で整備をしていくか、これを検討する際に、支援できる措置というのはどういうものがあるかというのは整理されていくことになりましょうし、あるいは関係者の意見もそこで聞きながら、調整をしながらやっていくことになろうかと思います。  したがいまして、そういう意味では、御指摘の点も入っていないというわけではないと存じますが、具体的にこれをどうしていくかは、先ほど申し上げましたとおり、まだそこまで話が煮詰まってないといいますか、こういう段階でございます。
  303. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 わかりました。では、私からの地元の要望として、県議会でもこういう質問が出ておりますので、ぜひ、開発者負担、その対象として複線化事業も検討課題に入れていただきたいということを要請します。  それと、鉄道整備基金。これの使われ方というのは、基本的にJRとか第三セクターというところまで適用範囲ですが、当然、財源の問題があり、民鉄は対象外になっているとは思うのですけれども、この辺の鉄道整備基金の活用の対象先として、限定的にこういった神戸電鉄の複線化の事業というようなものは考慮できないのかどうかを、お答えいただきたいと思います。
  304. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 鉄道整備基金の無利子貸付制度でございますが、これは、三大都市圏の都市鉄道と主要幹線鉄道のうち緊急に整備を要するもの、これにつきまして、私ども、高速化とかあるいは高質化と言っておりますけれども、スピードアップ等々の施策を講じております。この制度でございますけれども、これは基本的に既設新幹線の譲渡収入の一部を財源といたしておりまして、国鉄清算事業団の債務の償還に支障を生じない範囲内で鉄道整備の方に充当する、こうなっております。  この関係で申し上げますと、実は財源的にもう余裕がないということでございまして、性格的に、神戸電鉄の三田線につきまして、三大都市圏でございますので、この問題、地理的なことからは必ずしも除外されるわけではないと思いますが、今申し上げました財源の余裕がなくて、その点から申し上げますと、まことに申しわけございませんけれども、余り期待していただいても難しいという状況でございます。
  305. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 わかりました。  ちょっと似たようなことを主張したいので、北神急行の累積債務状況についての抜本的対策も検討委員会の課題になっているはずですから、質問を移らせていただきたいのです。開業当時、北神急行というのは資本金八億円だ、それに対して、トンネルの費用ということなのでしょうけれども、借入額が六百六十四億円。要するに、毎年毎年初年度から支払い利息が三十二億ぐらいですか、出ていて、結局平成八年度で二百六十五億円という累積債務が残ってしまっている。  これは、そもそも、論として、資本金八億円のような中で借入額六百六十四億円ということは、ちょっとこのプロジェクトというか、案件自体が余りに無謀だったのじゃないか。その利便性はわかりますけれども、許認可だけ与えておいて、あとは民間だから自分たちでやれ、見込み違いは自分たちの責任だ、受益者負担で住民の運賃にはね返るというのは、民間鉄道といえ公共的な役割が大きい現状ですから、このことは認可をした運輸省にやはり責任はあるというふうに私は思うのです。まず、このことについて、認可した理由というのですか、僕らが考えたらとてもじゃないけれども、ちょっとおかしいのじゃないかと思うのですが、その辺はどうなのでしょうか。
  306. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 この北神急行の建設でございますが、これは民間企業が確かに巨額に上る建設資金の調達がなかなか難しいということで、日本鉄道建設公団のいわゆるP線方式というものを活用いたしまして建設をするということにしたものでございます。その際でございますが、大規模なニュータウンの開発によります需要増を見込みまして、開業後八年目には単年度黒字になる、こういうような見通しのもとに、すなわち資金回収が可能である、しかも鉄道の場合、開業後八年目に単年度黒字といいますのは相当程度いい路線でございまして、そのような見通しのもとでこの免許をしたというのが実情でございます。  その後は、ただいま御指摘がございましたとおり、ニュータウンの開発がなかなか進まなかった等々の事情がございまして、おおむね半分強でございますけれども、需要が当初の見通しに及ばない。このような状況から、会社の経営は大変な状況になるのは事実でございます。
  307. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 これで、申請時、申請の中で、多分九五年度の輸送人員、持っているうちの資料では一日当たり五万三千人ぐらいという申請で、実態としては三万五千人だということだと思うのです。これは、では、一日一万八千人増加すれば、いわゆる八八年から八年目ですからもう今ぐらいなのですが、黒字転換したのだというふうに見込まれたのですか。ちょっと僕、それは非常に納得がいかないのですけれども、数字的には。
  308. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 工事費が予定よりも上回りまして、そういったような事情もございまして、直ちにこれが現在の段階で見込みどおりの輸送量がありましたら黒字になるという点は、検証が必要でございます。工事費が当初計画より相当程度上回っているという事情もございますので、それだけでは、見込みどおりの需要があるということだけでは、必ずしも黒転をしていく、もう既にしたはずである、こう言えるかどうかは疑問でございます。
  309. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 ですから、さっきの神戸電鉄の複線化の問題ともちょっと絡むのですが、運輸省として、この北神地域の神戸電鉄、そして今言った北神急行の状況についてどういう知恵を出すおつもりなのか。  いろいろなところからレクを受けて話を聞きますけれども、結局、民間鉄道だからということで終わってしまっている。ところが、大臣、地図も見てわかっていただけると思いますが、鉄道はそれしかないのですね。山間鉄道ですから。現実にこれだけの高運賃ですから、実態としてはバスの利用者とか、バスも神戸北町という谷上周辺から一日一万人乗っているのですね、市営バスに。それは、利便性といい、値段といい、そちらの方が三宮に安く早く着けるからということになって、鶏と卵みたいな話であって、この傾向を続けていって、受益者負担だということで運賃を上げ続けていくとしたら、これはもう永遠に解決しない状況になるというふうに私は思っておるのです。  ですから、今までの制度をなるべく使っても難しい。P線制度についても、五%の利子を超えた分の利子補給ですから、現実としては今ほとんど補給されてない。最初のころは年間二億円ぐらいの助成金が出されていたわけですけれども、現実、昨年度は年六百万円。要するに、運輸省からすると、五%を超えた高負担の部分は何とかしましょうという発想なのでしょうけれども、もらっている方からすれば、毎年二億円ぐらい助成をもらっていたのが突然六百万円になってしまった、何とか一%、五%を四%に引き下げてくれないかな、それだけでも随分助かるのにというのが実態なのです。出している方はそういうロジックではないと思うので、なかなか難しいとは思うのですけれども。  その辺の知恵というか、考え方というのを、これからどうなのでしょう、民間鉄道でも何らかの公共的な役割を認めて、何らかの制度を創設することに前向きに取り組んでいくのかどうかということを、大臣、この質疑の中で……。     〔高市主査代理退席、主査着席〕
  310. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 先生のお地元のことで、大変詳しく問題点を御指摘をいただいて、政府委員が答弁をさせていただいているのを拝聴させていただきました。  かねてから北神急行の路線、また神戸急行ですか、この路線、大規模な開発が思うように進んでいないとか、いろいろな状況の違いが出てきているという、その辺の問題点はあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、先生がお取り上げいただいているように、この問題については、鉄道問題検討委員会というのが平成七年の八月以来できているわけですね。この場でいろいろな関係者の方々が御検討いただいているということでございますが、今聞いておりますと、この取りまとめの方向も、時期等についても明確に示されていない、七キロ半ぐらいのところで四百三十円という運賃、しかもこれが、検討委員会はできているけれども、今申し上げましたような進捗状況であって、しかも、先生のお話を聞くと、何か年に、年じゃなくて今までに四回ぐらいしか開かれていない、こういう状況でございます。  私は、確かにいろいろな問題がございまして、国がどういう支援ができるとか、そういうことを申し上げる前に、まずこの検討委員会、積極的に、例えばどういう支援ができるのかとか、沿線開発の促進にはどういう必要な分野があるのかとか、やはり七年にできたもので今まで四回しが開かれないということ自体、私は、残念ながら大変、運輸省を含めてですけれども、熱意が足りないのかなというような気が率直にいたします。  検討委員会という一つの土俵があるわけでございますから、この分野を十分生かすために、熱心にひとつ検討が続けられるように、まず私の方から指導していきたいというふうに思います。
  311. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 もう時間が来たのですけれども、今の大臣の御答弁で心強い思いをしたのですが、自分で手書きしたものですけれども、ちょっとこれを参考までに。  いろいろな中で、二線乗り継ぎ割引というのをやっていただいているのですよ、二線で乗り継ぐと十円引くとか二十円引くとか。しかし、これを見ていただけるとわかるのですが、花山-谷上、谷上-新神戸、これは六百円から二十円引くから五百八十円、しかし、三宮まで行くと七百七十円なんですね、三線は引けない。  ところが、これをよく見ていますと、切符を二枚買った方が十円安く行けるのですよ。利便性向上のためにできた割引制度が、一回おりて切符を買い直した方が安くできるというのは、僕は、本当に真剣に討議されているのかなというのが一つ。  もう一つ、それに対応して三線乗り継ぎ割引というのをするということなのです。しかし、三線乗り継ぎ割引というと当然十円ずつ引くのかなと思えば、そうではなくて駅が少し遠くまで使えるみたいな話で、実態としては余り安くならないというのは、せっかく制度を設けて、十円引かれることだけでも、たかだか十円といえばそれまでなのですけれども、非常な朗報でありがたいとみんな思っているのですが、何でこういう矛盾が出てくるのかなということもあります。  ぜひ二線乗り継ぎ割引の検討の中で、三線乗り継ぎ割引も本年度の四月一日からやっていただいているのですけれども、やった割には、ちょっと制度として穴ぼこが随分あるのではないかと思います。この点も含めて、できれば三社で十円ずつ三十円を引くという、何か細かい話で恐縮なんですけれども、できるはずですので、その辺をぜひ具体的なスケジュールにのせていただきたい。その点だけ要望して終わりたいと思います。もし何かありましたら。
  312. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ただいま御指摘をいただきました乗り継ぎ割引、これは私も必ずしも十分なものではないと思います。  ただ、先生御承知と存じますけれども、乗り継ぎ割引を拡大いたしますと、その減収分を、会社がそれを吸収できればいいのですが、吸収できない場合は他の利用者に負担してもらう、こういう仕組みでございますので、私ども、首都圏などでは運賃改定の際に少しずつ拡充をしてまいりましたが、この地域におきましても、そのような機会をとらえまして、乗り継ぎ割引の拡充についてぜひとも検討させていただきたい。  これは、事業者のみならず利用者の皆様、全体の利用者の皆様の御理解もまた必要なものでございますが、私どもとしましては、今先生が御指摘なされました方向で努力をしていくべきである、このように思っております。
  313. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 どうもありがとうございます。
  314. 辻一彦

    辻主査 これにて赤羽一嘉君の質疑は終了いたしました。  次に、滝実君。
  315. 滝実

    ○滝分科員 自由民主党の滝実でございます。  大変遅くなりまして、お疲れのところ恐縮でございますけれども、三十分時間をいただいておりますので、私は主として環境問題に関連して御意見を承りたいと存じます。  実は、阪神大震災のございました平成七年の年末に兵庫県が条例をおつくりになりまして、自動車のアイドリング防止の条文をその中に入れ込みました。要するに、自動車を駐停車するときにはアイドリング防止と申しますか、エンジンを切るように、こういうことでございまして、私どもの地元でもこの兵庫県の条例が大変高く評価をされておりまして、兵庫県に倣って条例をつくって、こういうような地球環境問題を皆さん方にアピールすべきだ、こういうような声が出ているわけでございます。たまたまことしは、年末に京都でもって地球環境対策、特に温暖化防止の世界会議が行われるわけでございまして、そういう意味でも、この平成七年の兵庫県の条例というのがこの際脚光を浴びているわけでございます。  特に、数字的に見てまいりますと、日本の地球温暖化防止対策も、一九九〇年のレベルに維持するんだ、こういうことが方向づけされているのでございますけれども、しかし、家庭用とかの民生部門あるいは交通関係、そういう部門でのCO2排出抑制というものが大分おくれているのではないだろうかなという感じもございまして、特にこういうような兵庫県の条例の考え方というのは、それなりに評価されるのだろうと思うのでございます。  問題は、よく考えてまいりますと、同じ自動車を操作するのでも、単純にアイドリングだけの問題ではないように思うのでございます。近ごろよく言われておりますように、急発進をしないようにとか、同じ時速で走るようにとか、いろいろなことが言われておりますけれども、運輸省としてはこういう自動車関係の地球環境対策、温暖化防止対策についてどういうような角度からお取り組みになっているのか、ひとつそれを承りたいと存じます。
  316. 相原力

    ○相原政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、地球環境問題というのは、我々二十世紀の人間がよりよい地球環境を将来にわたって承継し得るかどうかというような、非常に重要な問題であるというふうに考えております。  お尋ねの地球温暖化の問題は、CO2が主原因になっておるわけでございますが、運輸部門は全体の約二割を占めておるということもございまして、運輸省としても、この対応策を真剣に検討しているところでございます。  具体的には、昨年十月に運輸政策審議会の総合部会で、運輸部門におきます地球温暖化問題の対応方策について審議をしていただきまして、ことしの四月にその取りまとめがなされているところでございますが、その中で、環境に配慮した自動車の使い方、エコドライブといっておりますが、その推進が短中期的にとるべき重点施策の一つとして取り上げられているところでございます。  それで、先生御指摘のとおり、環境に配慮した自動車の使い方といたしましては、一つは駐車中のアイドリング防止というのが非常に大きな効果があるわけでございますが、それ以外に、例えば急発進、急加速を自粛するとか、あるいは高速道路におきましていわゆる経済速度での走行が重要である、タイヤの空気圧を適正にする、相乗りの促進、不要な荷物を積まないこと等が含まれているというふうに考えております。自動車の運転の中でこういう点が着実に実行されることが、環境対策の面で非常に有効であるというふうに考えているところでございます。  こういう観点から、先般、自動車関係団体あるいは環境関係団体等から成りますエコドライブ普及推進協議会というのが、五月上旬でございますけれども、発足いたしました。そういう協議会を通じましてエコドライブの普及推進のための活動を行っていくということになったわけでございますが、運輸省といたしましても、この問題への国民の理解が深まるように、今後とも積極的にエコドライブの普及推進に努めてまいる所存でございます。
  317. 滝実

    ○滝分科員 そういう機構をおつくりになっているのであれば、ぜひひとつ積極的なPRを期待申し上げたいと思うのです。  その際に、私も運輸省の関係の方から数字的な資料をいただきました。今局長さんもお述べになりましたように、アイドリングの防止でありますとか、急発進の防止とか、抽象的に言ってもなかなかぴんとこない面がございますので、それを数字的にあらわすとどうなるのかという資料をいただきましたら、五分間、車をとめてエンジンだけかける、要するにアイドリングをいたしておりますと、二千ccの車でガソリンが七十cc消費される、七十ccから百cc、こういうことでございますね。これはかなりの消費量だろうと思うのでございますね。  それから、急発進や急加速を十回やると、それだけで百二十ccのガソリンが消費されるとか、かなりそういうような、いろいろ実験をやってみての数字が出ているわけでございますので、やはりそういう数字を出してもらわないと、なかなか抽象的にはぴんとこない面があるんじゃなかろうかなというふうに思うのでございます。こういう数字でございますから、正確なものはなかなか出にくいと思うのでございますけれども、そういうような例示をしていただきますと、国民の方もなるほどという感じがあるんだろうと思うのですね。  ちなみに、一般の乗用車でございますと、ガソリン一リッター当たり、大体普通の車ですと六キロか七キロぐらい走る。そういう中で、アイドリングを五分間やると七十ccから百ccだ、こういうことになりますと、かなり強烈な印象が持てるんじゃなかろうかな、こういう感じがいたしますので、私は、同じ車の扱いにいたしましても、そういうような、総合的にもう少し数字を示していただいた方がいいんじゃないだろうかなと。  私の方は専らアイドリング防止ということでございまして、私も、自分の車は運転する者にやかましく言っておりまして、とにかく車をとめたときには必ずエンジンを切るようにということを言っているのでございますけれども、考えてみれば、どうもそれだけじゃなかった、こういうことでもございますので、そういうような観点から、せっかく機構をおつくりになったのでございますから、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それから、車の種類についても問題があるんじゃなかろうかと思うのですね。この一、二年、RV車がかなり人気を呼んでおりまして、町の中を走りますと、とんでもない大きな車まで登場しているというのが昨今の状況でございます。それで、これも運輸省の方で数字的な資料があるわけでございますけれども、どうもRV車といっても、もう少し平たく言えば、二輪駆動の普通車と四輪駆動の車と比べますと、数字的にはかなりの差があるんじゃないだろうかなと思うのでございます。運輸省の数字をちょっとこの際お聞かせをいただきたいと思うのです。
  318. 荒谷俊昭

    ○荒谷政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、同一の車種で比べますと、いわゆる四輪駆動の方が二輪駆動よりも燃費効率が悪いわけでございます。数社の平均で申し上げますと、一リッター当たり何キロ走れるかということで比較いたしますと、四輪駆動の場合は十・九キロ、それに対して二輪駆動は十二・八キロ、このような差がございます。
  319. 滝実

    ○滝分科員 ただいまの数字は、かなり相当によく走る車のようにお見受けするのでございます。一般に、乗ってみた感じでは、普通の乗用車で一リッター当たり六キロか七キロ走ればいい、高速に乗ると八キロまでいくかなという感じじゃないかと思うのでございますけれども、これが四輪駆動になると、恐らくこれの一割か二割普通車の場合より少なくなるだろう。  それから、もっと極端なことを申しますと、軽四輪になりますと、これがもう少し極端に出てくるんじゃないだろうかなと。軽四輪ですから、性能にいろいろな違いが出てくると思うのでございますけれども、私は、そういう意味では、燃料の節約になるということもございまして、自分の車は、割と四輪駆動の軽四輪に乗っているのでございます。要するに、軽四のジープですよ。四輪駆動というと格好いいのですけれども、軽四のジープに乗っているのです。  これを平均で見ますと、私のジープは、大体リッター当たり十キロしか走らないのです。一遍に三十リッター入りまして、統計をとると、三百キロ走っているのですよ。ということは、リッター当たり十キロです。ところが、一般に言われるのは、軽四輪の場合には、一リッターで十五キロから十八キロ走ると言われているのですね。ですから、同じ軽四ですから、いろいろなばらつきがあると思うのですけれども、正確な実験データをとったわけではありませんけれども、かなりの違いがある。それでも私は、普通車へ乗るよりは、この軽四のジープの方がガソリンの消費量が少ないから、恐らくCO2も少ないだろうということで、ほかの排出物はともかくとして、少なくともCO2の排出量は少ない、こういうことでこのジープに乗っているのでございますけれども、やはりその辺のところはもう少し考えた方がいい。  どういうふうに考えた方がいいかというと、四輪駆動は、町の中を走るときは二輪駆動に切りかえられるような装置をつけるべきだ。これは高級車になるとみんなついているのでございますけれども、私の乗っているような軽四輪は、そういうような装置がもともとございません。それから、もともと四輪駆動は、雪道を走るとか、そういうような大変走りにくいところを走るときには有効ですけれども、平たんな町の中を走るときに、わざわざ四輪駆動を駆使して本当は乗ることはないのですね。平たんなところは二輪駆動に切りかえ装置がついていればそれにこしたことはないと思うのですけれども、その辺の事情をひとつお聞かせいただきたいのです。
  320. 荒谷俊昭

    ○荒谷政府委員 四輪駆動車につきまして、町中の平たんなところを走る場合に二輪駆動に切りかえられるような、そういった装置のついた車も確かにございますが、どうも運転者からいたしますと使い勝手が余りよろしくないというようなことで、最近では、その切りかえのない四輪駆動車がふえてきているというふうに聞いてございます。私どもそういったことで、必ずしも使い勝手がよくないというふうにユーザーが感じていることもございますし、また、ユーザーに対して切りかえを強制するということも事実上難しい面もございますので、むしろ四輪駆動車の自動車そのものの燃費向上を図っていくということが大変重要ではないかなというふうに考えてございます。  そういったことで、いわゆるガソリン車につきましては既に燃費目標値を設定をいたしてきておりますけれども、ディーゼル乗用車、四輪駆動の場合ディーゼルが多いわけですけれども、このディーゼル乗用車につきましても、ガソリンと同様に燃費目標値を設定をすべきではないかというふうに考えてございまして、現在、専門家に集まっていただきまして、検討会を設けてございます。今年度中にこの検討会での取りまとめを目指して今一生懸命取り組んでいるということで、車の燃費そのものの向上を基本に対策を考えていきたい、このように考えております。
  321. 滝実

    ○滝分科員 運輸省の御努力を御期待申し上げたいと思うのでございます。特に、今のお話のように、ディーゼル車でございますと、それはそれなりに、ガソリン車よりもはるかにCO2の排出量が少ない、こういうことでもございますから、そういうディーゼル車、ガソリン車を問わず、燃費効率ということがやはり最終的には目標だろうと思いますので、その辺の技術的な改良、それからもう一つは、ユーザーにもその辺のところは、燃費を明示するような方向がやはり必要じゃないだろうかなというふうに思うのです。  私も乗ってみて、随分ガソリンを食うなというのが実感でございましたので、データを自分なりに整理すると、そういう結果が自分で出てくる、こういうことでございますから、買って、乗ってしまってからでは後の祭りでございます。せいぜいが、慰めは、軽だから、まあまあ普通車よりははるかにましたということで納得しているような次第でございまして、やはりその辺のところはそういう角度が必要だろうと思うのですね。  自動車税の区分も、今までの単なる排気量ではなくて、燃費でもって自動車税の区分にした方がいいではないかとか、そういう議論もある今日でございますから、やはり地球環境という観点からの、供給側、消費者側、両方のそういう心がけが必要ではないかと思います。局長さんにおかれましては、そういういろいろな対策を講じておられる角度から、よろしくお願いを申し上げたいと思うのです。  それから今度は、これは予算の分科会のときにも申し上げたのでございますが、私どもの奈良県は、余り褒めたことではないのですけれども、もともと道路が悪いということもございまして、恐らく、全国の路線バスの中で、使用しているマイクロバスではいわば日本一だろうという余り自慢にならないことを自慢にいたしておるわけでございます。現在、県内の路線バスで、マイクロバスが動いているのは一千台ぐらいあると思うのですね。  これは、聞きますと、マイクロバスというのは排気量が少ないですから、当然CO2の排出量が少ない、こういう単純な話ではあるのでございますけれども、お客さんを乗せて走る効率からすると、やはりバスですから、例えば普通のマイカーに比べてそれなりの効果がある。それから、大型バスを走らせますと空気を乗せる割合も高いのでございますけれども、マイクロバスですから、平均してお客さんを乗せて走る度合いも高い。こういうようなことを考えますと、マイクロバスというのは、いわばCO2削減にそれなりに役に立つのではなかろうかなという感じがするのでございますけれども、その辺のところはどういうふうにお考えになるでしょうか。
  322. 荒谷俊昭

    ○荒谷政府委員 おっしゃいますように、確かにバスの単体として比較をいたしますと、大型バスに比べてマイクロバスの方が低公害であるということは事実であろうと思います。しかし、乗車人員当たりで見ますと、必ずしもマイクロバスの方が大型バスに比べて低公害とも言えない面もございまして、これは釈迦に説法でございますけれども、マイカーはマイクロバスよりももっと小さいわけですが、マイカーが必ずしも低公害ではないというふうに見られているのと同じような関係だと思います。  そういったことで、私ども、できるだけ乗車効率が高い、空気を運ばない、そのような需要にマッチした大きさの車両を事業者としても選んでいかれるのが、これは事業の経営の効率化という意味からも、あるいは地球環境という観点からも望ましいのではないかというふうに考えてございます。
  323. 滝実

    ○滝分科員 そこで、いよいよ、ちょっと我田引水なところもあるのでございますけれども、今の局長さんのお話でございますと、マイクロバスは普通のバスに比べて輸送人員という観点から必ずしも効率的ではない、こういうような御意見もございますが、やはりマイカーしか通らないところをバス路線として開拓していく、狭い道路であってもバス路線として開拓していく、それだけの努力というのは、この時代にはやはり評価すべきではなかろうかなという感じがございます。  それで、お尋ねしたいと思うのでございますけれども、現在、低公害車を導入する際には、運輸省で助成金が設定してございます。中身は、電気式のハイブリッドバスでありますとか、あるいは圧縮型の天然ガスを使った車でありますとか、とにかくそういうような低公害車と言われるものについては助成措置があるわけでございますけれども、私は、マイカーを抑えて狭い道にも路線バスを充実させていくのだという観点からいたしますと、マイクロバスというのは、その面でそれなりの低公害性を認めて、これに準ずる助成措置を考えてもらった方がいいのではなかろうかなという感じがするわけでございます。  実は最近、私は、地元の某団地と某工業団地に呼びかけをしまして、今まで通勤にはマイカーを使っているのを、何とかマイクロバスを使った路線バスが導入できないか、そういうような話を持ちかけているのでございますけれども、やはりバスというのはそれなりの意味は持つのではなかろうかなという感じがしますので、ひとつお答えをいただきたいのです。
  324. 荒谷俊昭

    ○荒谷政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、マイクロバスの評価につきましては、乗車人員当たりでどうかという観点からも見ざるを得ないのかなというふうにも思っておりまして、そんなこともございまして、現在のところは、単にマイクロバスであるからという理由での助成はしておらないわけでございます。  ただ、これは先生の御質問に対する的確なお答えになるかならないか、ちょっと自信がございませんが、私ども、一般的にマイカーに比べてバスは環境に優しいということで、バスの利用促進に向けていろいろと活性化対策を講じてきております。  この中で、バスの中でも特に低公害のバスにつきましては、従来から助成の対象としてまいっております。ただ、今までの助成の仕組みですと、結果としてどうも大型パスしかなかなかこの助成を受けられないような仕組みになっておりまして、ここらあたりにつきましても、低公害のマイクロバス、こういったものについてもきちっと補助ができるような、そのような仕組みに今後変えていきたいということで、現在検討しているところでございます。
  325. 滝実

    ○滝分科員 ありがとうございます。現在の形のマイクロバスが必ずしもベストというわけではありませんので、ぜひいろいろな格好で、とにかくマイカーを抑えていく方法というものが必要ではなかろうか。マイカーはマイカーでそれなりの意味を持ちますけれども、やはりバス路線が充実できるところは充実していくというのがこれからの方向ではないだろうかなと。特に、高齢化社会ということを考えますと、年寄りになったら、なかなか自分で車を運転していくというのは難しくなってまいります。今度の道路交通法の改正でもシルバーマークまで登場する御時世でございますから、それにかわるマイクロバスによる路線パスということも、やはりきめ細かな国民の足を確保するという観点からは必要ではないだろうかなというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  そこで、警察庁に一つ二つお聞きしたいのでございます。  これは、いわば立法論でございますのでなかなか無理なところがあるだろうと思うのですが、現在、マイクロバスといえども大型免許が必要でございますね。十一人乗り以上のバスは大型車両だというので、大型免許が必要だ。それを路線バスのように業務用に使う場合には大型の二種、こういうことに相なるわけでございますけれども、マイクロバスと普通の大型バスでは、やはり運転する感覚が大分違うのだろうと思うのですね。  そういうような観点からいたしますと、これからの問題になりますのは、マイクロバスをふやしますと、運転手の数が要るのですよ。今の運輸省局長さんではありませんけれども、お客さんを運ぶ数が少ないところでマイクロバスをたくさん動かすわけですから、どうしても運転手が必要になってまいります。  これを全部従来の普通のバスの運転手の大型二種で賄おうとすると、なかなか難しいのですね。現在、大型二種の運転免許証所持者は、警察庁の調べでは、恐らく、全体として年々減ってきていると同時に、逆にその中で、当然のことながら六十五歳以上の高齢者がふえている、こういう実態だろうと思うのでございます。  そこで、マイクロバスをふやそうとすると、どうしても、もう少し簡単に取れると言ってはなんでございますけれども、普通のバスまでいかなくてもいいような、もう少し簡易な免許、なおかつ安全性が要りますから、単なる大型免許ではぐあいが悪い、やはり二種という安全性を加味した試験、運転免許の試験が必要だと思いますので、立法論としてそういうようなことを検討する余地がないか、その辺のところをお尋ねしたいと思うのでございます。
  326. 吉田英法

    吉田説明員 現在の道路交通法でのマイクロバスの取り扱いについては、乗車定員十一人以上であれば大型自動車とされ、さらに、旅客を運送する旅客自動車であれば二種の大型免許というのを取得しなければならないこととされているわけでございます。  ところで、委員御指摘の質問の趣旨は、免許を取得しようとする者の負担の軽減なり利便の向上を図るための措置ということにあると考えるものでございますので、道路交通の安全を確保しつつ、そのような負担軽減等のための措置をとることの可能性については、今後の課題として多角的に検討してまいりたいと考えております。
  327. 滝実

    ○滝分科員 なかなか答弁が難しいところを、大変御親切な答弁をいただきましてありがとうございます。そのとおりだと思います。  ただ、大型バスとマイクロバスは根本的にどう違うかというのを見ていますと、マイクロバスは車輪の上に運転台が乗っているのですよ。ところが、大型バスはどうも車輪よりも前に運転台がありますから、なかなか大型の車を動かすのは心理的に難しいという面もあるでしょうし、やはりずうたいが大きいですから、それなりの配慮がある、こういうことでございますので、ひとつ将来の課題として御検討をいただければありがたいと思います。大変難しい難題を持ち込みまして恐縮でございますけれども、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  それから、これも警察庁に対して要望なんでございますけれども、担当課長さん来ていませんね。運転免許課長さんしかきょうは御出席いただいていませんので、これ以上のことはどうかと思うのでございますけれども、ただ、警察庁全体に対する交通問題の要望としてお聞き取りいただきたいのでございます。  実感として、夜でも幹線道路を走っていまして、どうも信号のリレーがうまくいっていないんじゃないか、あるいは故意に赤信号にしているんじゃなかろうか。これは乗ってみてのひがみと申しますか、そういう感じを受けるわけですね。  昔は地域的に、暴走族が走らないように、余りスピードを出さないようにということで、公安委員会がスピードを抑制するために意図的に赤信号をところどころに入れたということもあるんじゃなかろうかと思うのでございます。今やそれよりも、たびたび信号によってストップされることによるいわばCO2の排気ガスの増大をいかに防ぐかというようなことにむしろ力を入れる時代じゃなかろうかという感じがございますものですから、もともと警察庁は、交通渋滞をなくすために信号をスムーズに動かすのだという趣旨から交通管制システムを導入されている経緯もあるわけでございますので、その辺のところの一段の御検討を、これは要望として申し上げますので、運転免許課長さん、まことに申しわけありませんけれども、右代表でひとつお聞き取りいただきたい。これは要望でございますので、申し上げるだけ申し上げておきますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  それでは、大変長くなりましたけれども、時間でございますので、私の質問はこれにて終わらせていただきます。  まことにありがとうございました。
  328. 辻一彦

    辻主査 これにて滝実君の質疑は終了いたしました。  次に、今村雅弘君。
  329. 今村雅弘

    今村分科員 自由民主党の今村でございます。  本日は、遅くまで御苦労さまでございます。また、大臣どうも本当にお疲れさまでございます。  本日、貴重な機会をいただきましてまことにありがとうございます。私も運輸関係の出身の者でございますが、灯台もと暗しと申しますが、知らないこともたくさんございますし、また、多少関係者でございますので質問しづらいところもありますが、どうかよろしくお願い申し上げます。  御案内のように、まさに運輸、交通というこの事業、大変な事業でございまして、何といっても国民の皆様の一人一人の命をお預かりしているという非常に使命の重いものでございます。そして、かてて加えまして、この狭くて険しい日本の国土を効率的に使うという中で大変な使命を帯びているわけでございまして、大臣の御苦労を多とするわけでございます。  そういう中で、ただいま申しましたが、何よりもこの問題につきましては、安全第一ということがまずこの業界の憲法と言ってもいいかと思います。そしてもう一つは、国土の均衡ある発展といいますか、こういったことが大事なのじゃないか。  そういう中で、特に最近心配なことでございますが、幾つかございまして、一つには、最近新聞をにぎわしておりますが、全日空の人事の内輪もめ、そういったことでございます。こういったことが原因で事故が起きないように、くれぐれも指導をお願いしたいということでございます。  それともう一つは、やはり同じようなことでございますが、いわゆる日本国有鉄道清算事業団に係る長期債務の問題でございます。こういったことにつきまして、ただいまJR各社の経営陣の皆様がいろいろヒアリングにお呼ばれになったりしておりまして、経営の主力陣がこういったことに多少エネルギーを割かれるといいますか、そういったことで、安全面でも欠けることがないようにと、これまた私も指導の方をお願いするわけでございます。  そしてもう一つ、この問題がやはり足を引っ張っているといいますか、いわゆる整備新幹線の問題につきましても、何か事あると、どうも余りできのいい政策といいますか案ということではない、非常にばらまき等々と言われておりまして、これもどうも旧国鉄の長期債務の問題が影を落としているというようなことも多々あるんじゃないかというふうに思っております。  けさのですか、日経新聞にも第一面で「整備新幹線 新規着工を凍結」とでっかく出ておりまして、期待しておられる関係の地方の皆様方、非常にショックなんじゃないかというふうに思っているわけでございます。  ただ、これをよく見ますと、昨夜、加藤幹事長と三党の政策責任者、そして与謝野官房副長官が二十五日夜、都内のホテルで原案づくりをめぐって云々ということがございましたけれども、実は昨日、加藤幹事長は、私のふるさとの佐賀県の方に応援に参っていただきまして、たしか八時半ごろの飛行機で帰られたと思っております。こちらに着くのが十時ごろになると思いますので、それからホテルに行ってやるとなると大変なことかと思いますけれども、やはりそのくらいタフでないとこういう仕事もできないのじゃないかなと思ってこの新聞を読んでいたところでございます。  そういう中で、いよいよ本題に入りますが、今申しましたような中で、この国鉄の長期債務の問題、これについて今いろいろなところで方策をめぐらしているところであるわけでございます。それにつきまして、まず、いわゆる国鉄清算事業団の有利子債務といったことについて、財投でありますとか、あるいは民間借入金の残高でありますとか、あるいは利率等、そういったものにつきまして、簡単で結構でございますけれども、その状況等について御説明を願いたいと思います。
  330. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 平成九年度首におきます国鉄清算事業団の有利子債務でございますけれども、財投資金の残高は、合計約十五兆五千億、平均利率は五・二%でございます。  この内訳でございますけれども、資金運用部からの調達が十一兆二千億円、平均利率五・四三%、簡易保険から残高約七千億円、平均利率五・五九%、それから民間引き受けの政府保証債によります調達が残高約三兆七千億、平均利率四・四六%となっております。なお、民間借入金が残高約二・八兆円、平均利率二・一九%、こういう状況でございます。
  331. 今村雅弘

    今村分科員 ただいま御説明いただいたわけでございます。  そうした中で、この間、事業団、六十二年のJR発足以来、この問題につきましてはいろいろなところで議論されているわけでございます。こういったものにつきまして、当初の債務残高等々よりかなりふえているかと思っておりますが、そこらについてはいかがでしょうか。
  332. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 国鉄改革時に清算事業団におきまして処理すべきものとされました債務は、先生御承知のとおり二十五・五兆円でございます。これが現在まで、昭和六十二年度から平成八年度まで、この十年間でございますが、利払い等々による負担が、これは主に利子とそれから鉄道共済年金の負担でございますが、この関係で十四・六兆円の新たな負担が発生いたしました。これに対しまして、清算事業団が持っております土地であるとか株式であるとか自主財源の収入、それに補助金も入れまして、収入の全体が十二・九兆円ということでございまして、収入を利払い等が上回りまして、差し引き、平成八年度末の債務の残高が二十七・三兆円になっている、こういう状況でございます。  なお、今年度首に鉄道共済を厚生年金に統合いたしましたが、その際に移換金債務の八千億がございますので、九年度首の残高は二十八・一兆円になっている、このような状況でございます。
  333. 今村雅弘

    今村分科員 そうしますと、もう一度確認の意味も含めて申しますが、平成九年度首見込みでの有利子債務の額は幾らであるのでしょうか。
  334. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 平成九年度首の有利子債務でございますが、今の厚生年金の移換金八千億も入れまして、十九兆一千億という状況でございます。
  335. 今村雅弘

    今村分科員 その十九兆一千億の内訳をそれぞれ、財投資金、それから民間借り入れ等の内訳を教えてください。
  336. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 十九兆一千億の内訳でございますけれども、財投で約十五兆五千億。この財投資金の内訳といたしまして、資金運用部から約十一兆二千億、簡易保険から約七千億、それから民間から調達しておりますけれども、政府保証債というので約三兆七千億、こういった状況でございます。なお、民間借入金が約二兆八千億ある、このような内訳になっております。それから、そのほかに厚生年金の移換金といたしましては八千億がある、こういうことでございます。
  337. 今村雅弘

    今村分科員 そういたしますと、ただいま申されましたが、いわゆる財投資金と申しますか、この額が大変な膨らみになっているわけでございます。こういったものについて、これは過去いろいろな資金繰り等々の中でやってこられたと思いますが、極めて大きなウエートを占めてきているということが言えるかと思います。  そうした中で、最近財投の問題もいろいろと議論を呼んでおりますが、こういったものについて、言ってみれば、どうやって返すかといったことについてはこれは今後の大きな課題になるわけでございますけれども、その前段として、やはり事業団と申しますのは、ある意味では、国鉄が分割になって、JRを新しくつくって、そこにしかるべき債務を持たせ、そしてどうにも処理できないものについて、土地等の売却あるいは株式等の売却等によって残った借金を返すという仕組みだったと思っております。そういった中で、土地売却でありますとか株式の売却の収入等を除けば事業団そのものはある意味では事業体ではない、まさに名前のとおりの清算事業団といったことでありますから、そういったところに本来企業活動でもって利益を生むようなことを前提にした財投資金、そういったものを適用するといいますか、これについていかがなものかと思うわけでございますが、ここらについて御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  338. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 国鉄清算事業団は国鉄の長期債務を処理するために設立された特殊法人でございますが、基本的な考え方は、もう先生御承知のとおり、清算事業団が持っております土地であるとか株式であるとかこういった自主財源をまず充てて、これを効果的に処分することによりましてできる限り国民負担を少なくする、この自主財源を充ててもなお残る債務につきまして最終的には国において処理をする、こういうような考え方で出発をし、これまでやってきたわけでございます。  運輸省といたしましては、こういう観点から、地価高騰問題であるとか、あるいは不動産の市況あるいは株式の市況が低迷している、こういったような厳しい制約条件の中で、まず事業団の自主財源でございます土地やJR株式の効果的な処分を行うということでやってまいりました。  それからまた、厳しい財政事情ではございますけれども、昭和六十二年度から平成八年度まで、この十年間に総額約一兆六千億に及ぶ補助金を交付してきております。  また、平成二年度には、営団地下鉄に対する出資持ち分の評価額、これと同額の資金運用部からの有利子債務を一般会計に承継する、要するに、事業団が持っておりました交通営団に対する出資持ち分を一般会計に移しまして、その分有利子債務を消すといいますか、一般会計におきまして承継していただく、このような措置も講じまして、私どもといたしましては、そのときそのとき最大限の措置を講じてきたつもりでございます。  ただ、結果といたしまして、この十年間、先ほど申し上げましたように利子の負担が大変大きかった、そういうことによりまして債務の残高は膨らんだ、こういうことはやはり認めざるを得ない、こう思っております。
  339. 今村雅弘

    今村分科員 先ほど申しましたように、こういった金利のついたお金をこういったところにつぎ込むことについての是非、これについてはもう少しまた後日議論したいと思いますが、そうした中で、特に私感じますのは、いわゆるバブルの時期、このときには、御案内のように、とにかく土地は処分するな、ますます地価高騰を招くということで売却が抑えられた。  そしてまた片一方では、当時、それまで平均大体四ないし五%程度で推移しておりましたいろいろな金利、長プラも含めましてそういったものが平成二年度あたりには、民間借り入れのベースで調べたところによりますと、最高八・九%近くあったし、財投金利もたしか七・九ぐらいに上がったと思います。  こうした中で、私が調べたところによりますと、平成二年度に財投関係だけで一兆三千億もの、しかもこれは当然のことながらといいますか、一応決まりとして十年物といったことになりまして、こういう調達をやっておられるわけでございます。まさに、平成二年度の高金利と申しますのは、バブルの時代の熱冷ましといいますか、そういったことで金利を上げたわけでございます。やはり長い目で見ました、日本の経済のいわゆる安定期に入ったといいますか、低成長期に入ったといいますか、そういった中ではこの現象は、ただいま申しましたように、まさに熱冷ましということでの金利だったと思うわけでございますが、にもかかわらず、十年物といったことでこれを調達してある。  こういった場面につきましては、やはり短期で、もっと民間借り入れをウエートを大きくして対処すべきだったと思うわけでございますが、その点はいかがでしょうか。
  340. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 平成二年度におきまして、国鉄清算事業団では、御指摘のとおり、財投資金約一兆四千億円、平均金利は六・九九%で借り入れております。なお、民間借入金もその当時約七千億円、平均金利七・三六%という金利で調達いたしていると思います。  そこで、平成二年度の状況を見ますと、金利の面で見ますと、確かに財投資金は長期の固定金利であるのに対しまして、民間借入金は短期の変動金利でございますから、単純に比較することはできませんけれども、二年度の時点では、民間借入金の金利の方が高いというような事情がございまして、財投資金の方が有利であるということが言えようかと思います。  ただ、御指摘の点は、その後も含めてどう見通したかということでございますが、平成二年度の時点でその後の急激な金利の低下を予測し得なかった、こういうことから、私どもとしましてはそのときそのときの事情に応じて選択をしてきたわけでございますけれども、やむを得ないものではなかったか、このように思っております。
  341. 今村雅弘

    今村分科員 それにも関連いたすことでございますが、要するに財投で借りる、あるいは民間で借りる、こういったものについての決定といいますか、どういったことでやられるのか。  そういったこともお伺いしたいと思いますし、それに関連いたしてでございますが、例えば平成元年度には民間借り入ればないわけでございます。そして二年、三年とあって、また四年、五年がない。こういったことになっておりまして、この辺の考え方といいますか、先ほど申しましたように、財投を使うのか、民間借り入れでしのぐのか、こういったものについてどういう考えであったのか、よかったらお聞かせ願いたいと思います。
  342. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 清算事業団におきます借り入れでございますけれども、その時々におきまして、調達の条件であるとか貸付期間を総合的に勘案して借り入れをしてきたわけでございます。  相当巨額に及びます調達でございますので、幾つかの観点にまとめられると思いますが、一つは、長期間安定的な金利の資金が必要であるという要請、安定的であるということでございます。二番目に、他方で、できる限り低金利の資金である必要があるという要請。それから、資金の需給バランスであるとか資金調達の安定性であるとか、その後の資金調達の平準化、こういったようなことをいろいろ勘案いたしまして、今までその時々の金利の状況等を見ながら財投資金と民間資金のウエートを決めてきたわけでございます。  民間の資金が低利になりましてからは、私どももできる限り民間の資金を導入するということで、言ってみれば従前の方針を変えまして民間資金の拡大に努めてきております。そのときそのときにおきましては、結果的にもっと民間の資金の方を多く入れればよかったではないかという御指摘があるいはあろうかと存じますけれども、先ほど申し上げました平成二年度におきましても、これはまだ財投の方が金利が安かったというような事情もございまして、その時々で判断をしてきた、こういうような経緯でございます。
  343. 今村雅弘

    今村分科員 では、端的にもう一回聞きますが、どこからどう借りるというのは主務官庁なり何なり、責任官庁はどちらになるのでしょうか。
  344. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 清算事業団は運輸省所管の特殊法人でございますから、私どもが財政当局と相談してその資金調達を決めておる、こういう状況でございます。
  345. 今村雅弘

    今村分科員 そうすると、ここで先ほど申しましたように、平成元年度なり、それから、二年、三年はともかくとして、四年、五年とこれを民間借り入れなしで財投でやったということについては、運輸省の判断でやったということでよろしいのですか。
  346. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 先ほど申し上げましたように、協議をいたしまして、相談した上でこのように予算として決めさせていただいたわけでございます。
  347. 今村雅弘

    今村分科員 この辺の問題がどうもみんな、長期債務の問題、大変な問題なものですから、なかなかおれが責任を持ってやるということにどうもなじまないような感じもいたしておりますが、そういうことのないように、今後ともきちんと責任を持って、あるいは協議をして進めてもらいたいなというふうに思うわけでございます。  そうした中で、御案内のように、昭和六十三年の一月二十六日、「日本国有鉄道清算事業団の債務の償還等に関する基本方針について」ということで閣議決定がなされております。その中で、二項「債務の償還等のために行う資産の処分その他の業務に関する事項」ということで、二項の(一)で「極力国民負担の軽減に努めるものとする。」、それから、今度は三項の(一)で「土地処分収入等の自主財源を充ててもなお残る事業団の債務等については最終的には国において処理するものとする」というくだりがございます。  この辺、最近、いわゆる債務をどこにしよってもらうかといったことで、JRの利用者とかあるいは交通関係にしょってもらうとか、そういうことがございますが、これはこの閣議決定の中ではっきりと「最終的には国において処理」ということがうたってあるわけでございますが、そういった方針は今も変わっていないということでよろしゅうございますか。
  348. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 御指摘のとおり、昭和六十三年の閣議決定はそのようになっておりますし、私どももこの六十三年の閣議決定を受けまして、具体的に処理策をどうしていくか検討しているところでございます。
  349. 今村雅弘

    今村分科員 先ほど来言っていますように、この財投資金も本当に国民の皆様からお預かりした大切なお金を運用しているわけでございます。財政当局は片一方ではそれを調達し、そしてまた片一方ではそれを予算として使うということになっておりまして、やはりそういったものについては、この使い方といいますか、将来返し損なっちゃったというようなことのないようにしっかりやってもらいたい。  特に、これについては、古い法律でございますけれども、昭和二十六年の資金運用部資金法というところでも「その資金を確実且つ有利な方法で運用することにより、公共の利益の増進に寄与せしめる」ということがうたってあるわけでございますから、この趣旨にのっとって、今後とも国民の期待に沿うような解決の仕方をぜひお願いしたいというふうに思うわけでございます。よろしゅうございますか。
  350. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 清算事業団の調達いたしました資金の問題に関しましては、御指摘も踏まえてちゃんとやっていかなければならないと思います。
  351. 今村雅弘

    今村分科員 それでは、時間もあれでございますが、ちょっとほかの方に移ります。  先ほど全日空の話にちょっと触れましたけれども、そういう中で何かと天下りとかいろいろ言われているわけでございます。航空業界そのものが非常に国益と絡むという中で、政府当局とある意味ではきちんとしたパイプがあった方がいいということも含めて、また有能な人材の活用といったことも含めて、そういった任用もやっておられるというふうに思っているわけでございます。  しかし、そういう中で、ちょっと細かい話になりますけれども、いろいろなつながりといいますか、支援措置等ある中で、ちょっと伺いましたところ、いわゆる航空機の導入に際しまして支援措置と申しますか、そういったものがあると伺っておりますが、どういったものがありまして、またその目的といいますか、どういうものなのか、お聞かせを願いたいと思います。
  352. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 航空機の導入につきましては、一番大きいのが航空機に係ります法人税の特別償却制度、九%の特別償却を認めていただいております。二番目が、航空機に係ります固定資産税の軽減措置ということでありまして、これにつきましては、国内路線を専ら飛ぶ航空機につきましては三分の二、それから国際線については五分の一でございます。それ以外に、離島につきましても、離島に使う小型の航空機でございますが、これに対します空港整備特別会計からの助成制度、こんなものがございます。  離島だけはちょっと特殊な事情でございますが、それ以外の制度につきましては、欧米、特にアメリカあるいはアジアの航空会社との競争力の確保、さらには環境対策、それから安全性の向上等のためになるべく新しい機材を導入する、こういうことを推進しておりまして、以上のような措置を認めていただいているところでございます。
  353. 今村雅弘

    今村分科員 ただいま固定資産税の軽減措置と言われたわけですが、国内路線に就航するものが課税標準額を価格の三分の二、そして国際線が五分の一と言われたようですが、この違いは何か理由があるのでしょうか。
  354. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 国際競争の場で我が国の航空機がなるべく不利にならないようにということで、国内に比べまして、国際線に就航する航空機につきましては若干手厚い措置をいただいているわけであります。  参考のため、諸外国がどうなっているかということを申し上げますと、航空機を固定資産とみなして税金を課しているところと、そもそも動くのだから固定資産ではないというところとありますし、また、固定資産とみなしても非課税あるいは税率が低いところ等々さまざまでございまして、一口で申し上げますと、日本の今の税率というのは国際的に見ても若干高いぐらいかなと思っているところでございます。
  355. 今村雅弘

    今村分科員 国際競争といったところではそういうことなのかもしれませんが、特に国内についてもそうでございますが、やはり航空会社がいわゆる揺籃期のときには、確かに巨額の投資を必要とするわけでございますし、こういったことも必要かと思いますが、もう今や立派な上場会社でございます。こういったものを今後とも続けていくのか、あるいは少しずつ減らしていくといいますか、そういったことにいくのか、そこらはどういうことでお考えでしょうか。
  356. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 航空行政を預からせていただいている立場から申し上げますと、少しでも国際線の場での競争力が強くなることをぜひ実現したいと思っておりますが、実際には徐々にこの優遇措置の幅が削られているというか狭まっておりまして、税制上の議論とそれから国際航空をこれからも競争力あるものにするという私どもの政策目標と、その両方でのぎりぎりの調整の結果がこの数字だというふうに私は思っております。
  357. 今村雅弘

    今村分科員 この件につきましては、特に国際線、あるいは国内線もある意味では同じ会社が運航しているわけですから関係すると思いますが、外国との競争において、こういった財政支援措置につきましては、協定上なりなんなり問題にはならないのですか。
  358. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 固定資産税につきましては各国それぞれ固有の制度でございまして、今私の手元にある資料でも、若干申し上げますと、例えばアメリカのハワイとかイリノイとか、さらにはニューヨークというところは全く非課税でございます。  それから、すぐ隣の韓国、これにつきましては、固定資産というか資産課税として財産税がかかっておりまして、税率は〇・三%、さらに国際線はその上に五〇%減免するということで、各国ともそれぞれ独自の制度を採用しているようでございます。  少なくとも私どもの固定資産税の扱いについて、国際的に問題になったことはございません。
  359. 今村雅弘

    今村分科員 最後になりましたけれども、当初申しましたように、とにかくこの運輸、交通のお仕事は大変な、大きなものがあるわけでございます。そういう意味で、何といっても安全第一、そして国土の均衡ある発展ということで今後とも御努力いただきますことを心より祈念いたしまして、終わりにいたしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  360. 辻一彦

    辻主査 これにて今村雅弘君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして運輸省所管の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十七日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十六分散会