運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-05-27 第140回国会 衆議院 決算委員会第三分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十七日(火曜日)     午前九時開議  出席分科員    主 査 上田 清司君       栗原 博久君    菅  義偉君       浜田 靖一君    原田 義昭君       草川 昭三君    仙谷 由人君       渡辺  周君    兼務 根本  匠君 兼務 一川 保夫君    兼務 笹木 竜三君 兼務 達増 拓也君    兼務 吉井 英勝君  出席国務大臣         農林水産大臣  藤本 孝雄君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      近岡理一郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     沖村 憲樹君         科学技術庁長官         官房審議官   興  直孝君         科学技術庁科学         技術政策局長  近藤 隆彦君         科学技術庁科学         技術振興局長  青江  茂君         科学技術庁原子         力局長     加藤 康宏君         科学技術庁原子         力安全局長   池田  要君         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         農林水産省構造         改善局長    山本  徹君         農林水産省農産         園芸局長    高木  賢君         農林水産省畜産         局長      中須 勇雄君         林野庁長官   高橋  勲君         水産庁長官   嶌田 道夫君  分科員外出席者         大蔵省主計局司         計課長     田頭 基典君         厚生省保健医療         局企画課長   木村 政之君         農林水産省経済         局統計情報部長 遠藤 保雄君         農林水産技術会         議事務局企画調         査課長     大森 昭彦君         工業技術院総務         部技術振興課長 林 由紀夫君         建設省河川局治         水課長     渡部 義信君         会計検査院事務         総長官房審議官 山崎彌代一君         会計検査院事務         総局第四局長  小川 光吉君         会計検査院事務         総局第五局長  森下 伸昭君         決算委員会調査         室長      天野  進君     ───────────── 分科員の異動 五月二十七日  辞任         補欠選任   菅  義偉君     新藤 義孝君   原田 義昭君     栗原 博久君   渡辺  周君     仙谷 由人君 同日  辞任         補欠選任   栗原 博久君     中野 正志君   仙谷 由人君     渡辺  周君 同日  辞任         補欠選任   中野 正志君     原田 義昭君 同日  第二分科員根本匠君、一川保夫君、達増拓也  君、第四分科員笹木竜三君及び吉井英勝君が本  分科兼務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  平成六年度一般会計歳入歳出決算  平成六年度特別会計歳入歳出決算  平成六年度国税収納金整理資金受払計算書  平成六年度政府関係機関決算書  平成六年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成六年度国有財産無償貸付状況計算書  平成七年度一般会計歳入歳出決算  平成七年度特別会計歳入歳出決算  平成七年度国税収納金整理資金受払計算書  平成七年度政府関係機関決算書  平成七年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成七年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府科学技術庁)、農林水産省所管及び  農林漁業金融公庫〕      ────◇─────
  2. 浜田靖一

    浜田(靖)主査代理 これより決算委員会第三分科会を開会いたします。  主査が所用のためおくれますので、その間、指名により、私がその職務を行います。  平成六年度決算外二件及び平成七年度決算外二件中、本日は、農林水産省所管農林漁業金融公庫及び総理府科学技術庁所管について審査を行います。  昨日に引き続き農林水産省所管農林漁業金融公庫について審査を行います。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。渡辺周君。
  3. 渡辺周

    渡辺(周)分科員 民主党の渡辺周でございます。  私は、三十分という時間でございますが、農林水産省、本日お見えの大臣初め関係者方々干拓事業について質問をさせていただきます。  どこかの党の党首と違いまして私大きい声を出したりしませんので、そういう意味では、ぜひ紳士的に質疑をしていきたいと思っております。  まず第一番目でございますけれども、現在、農林水産省がいわゆるインターネットを通して、今何かと議論になっております諌早湾干拓事業についてPRを行っております。PRといいますか、ユーザー方々から寄せられた意見、大変批判的な意見が多い。これは先般の毎日新聞の中にも、何か四月中には、その内容ばかりではないということは承知をしておりますけれども、大変な、三十万件というアクセスがあった。私も、なかなかつながりませんので根気強くホームページを開いてみまして、いろいろなユーザーからの意見を見ております。  そうした中で、それに対して、農水省として、この諌早湾干拓事業についての反対に対する反論といいましょうか、農水省さんのお考えを伝えられている。そうした資料を、私、ちょっとプリントアウトしてまいりました。資料としてここにあるわけでございますけれども、この幾つかの事実関係について、まず一番目、お尋ねをしたいと思います。  一つは、「事業実施にあたっての環境対策」という点の中で「本事業実施に先立って、環境影響評価を行っています。環境影響評価は、地域住民に対する公表や説明会開催等の手続きを経ています。」云々、こうあるわけでございますけれども、この環境影響評価調査、これは平成三年に実施された再評価を指しているものと思うわけでありますけれども、もしそうであるとするならば、このときには既にもうこの事業計画を決定していたわけでございます。それを考えますと、この再評価は一体どんな意味があったのか、また、この再評価によってもともとの事業計画に何らかの見直しが行われたのかどうか、まずその点についてお尋ねをしたいと思います。
  4. 山本徹

    山本(徹)政府委員 ただいまお話のございました環境影響評価でございますけれども、これは昭和六十一年に、事業計画を決定する前に、長崎県の指導要綱に基づきまして水質生物等に与える影響等について環境影響評価を行い、その手続を了して工事計画を決定したわけでございます。平成三年度に再度環境影響評価要綱に基づいて実施いたしておりますけれども、これは、このときに事業計画を変更することになりました。  具体的には、七キロの潮受け堤防に一カ所、六十一年当初の事業計画では排水門を設置することを予定いたしておりますけれどもマイナス一メートルへの水位調整円滑化等を図るために、北部に約二百メートルの排水門、南部に約五十メートルの排水門を二カ所設置することに事業計画を変更することにいたしましたので、この変更に当たって再度環境評価実施いたしまして、水質等についての予測を行い、この評価により、環境への影響が問題ないという判断を経た上で事業計画を変更し、今日まで事業を進めさせていただいております。
  5. 渡辺周

    渡辺(周)分科員 そうした環境影響評価を受けて、そして現在まで来ているわけでありますけれども、これはけさ新聞なんで、私も三、四十分前に目を通したところでありますけれども、何か農水省さんと環境庁さんが非公式にこの水面環境調査を行った、それによって検討委員会を設けて一時的に開門をすることもあり得るんだというようなことも、けさの朝日新聞だったでしょうか、報道の中でございましたけれども、ひとつこの事実について、そういうことが今本当に検討されているのかどうか、この報道が正しいかどうか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
  6. 山本徹

    山本(徹)政府委員 この報道については、これは全く誤りでございます。  事実関係を申し上げますと、先週の金曜日に藤本農林水産大臣より石井環境庁長官に対して、大変御苦労をおかけしておりますけれども、これからもよろしくというお話がございました。また、これと同時に、農林水産大臣よりの指示で、環境保全対策については万全を期するようにという御指示に基づきまして、環境庁水質保全局企画調整局自然保護局担当課長構造改善局担当課長より成る諌早湾干拓環境保全連絡会議を設置することにいたしましたのは事実でございまして、今週中にも早速、これは五月三十日を予定いたしておりますけれども、第一回の会合を環境庁において開催することにいたしております。  この連絡会議の議題となりますのは、調整池の今後の水質保全対策や動植物の保全対策また育成環境整備対策等議論するものでございますが、排水門につきましては、工事計画に決定されておりますとおりマイナス一メートルに維持し、長崎県、地元諌早地域住民の長年の悲願でございました、高潮洪水の不安から住民を解放し、災害対策に万全を期するために、淡水湖としてマイナスーメートルの水準の水位調整池は維持することにいたしております。
  7. 渡辺周

    渡辺(周)分科員 ということは、私も決して報道がすべて、私も報道の仕事を少しばかりやっておりましたので、決してこれが正しいということで物を言っておるわけじゃございませんけれども、この新聞では、諌早湾干拓連絡会を設けて、一時開門を検討する。なぜという理由の中には、水質調査長崎県が最近非公開実施した、環境庁はこの調査水素イオン濃度浮遊物質量などすべての項目が環境基本法で定められた基準値を満たさなかった点を重視、賛成している石井環境庁長官も当面の水質改善のためには水門の適切な開閉を求めてきた環境庁意見も考慮してほしいと農水大臣に申し入れをしたというふうに報道されているわけであります。  今、これは誤りであるというふうにはっきりと明言をされましたけれども、では、実際、長崎県が最近非公開で何らかの水質調査を行ったのかどうか、この点について再度確認をしたいと思います。
  8. 山本徹

    山本(徹)政府委員 水質調査につきましては、長崎県や私どももこれは実施いたしております。水質保全につきましては、かねて環境庁から私どもにも、水質保全のための必要な対策を講じるようにということは申し出がございます。  私どもとしては、かねてから水質保全に留意してきたわけでございますけれども、ただいま、締め切り後一カ月たちまして、塩水から淡水生態系が切りかわる時期にございまして、塩水下における生態系から淡水下における生態系に切りかわり、淡水生態系で安定すれば、またこれで水質が維持安定するわけでございますけれども、この経過途上にあるということ。  それから、今みお筋の整備等工事実施いたしておりますので、それで底質土砂等を巻き上げているようなこともございますので、ある時期をとって、この水質がどうであるということを判断するのはなかなか難しい面がございます。  いずれにいたしましても、水質保全するということは大変重要でございますので、私どもはそのために、これからの協議会での検討課題として、具体的には河口湖へのアシ等浄化植物植栽とかあるいはエアレーション、曝気の実施等さまざまな工夫を凝らしながら、水質保全のための努力を進めてまいりたいと考えております。
  9. 渡辺周

    渡辺(周)分科員 私お尋ねして、ちょっとお答えがあったかどうか。非公開でされたということで、今回のこの諌早に我々がなぜ非常に疑念を持つか。  もともとの、事業計画の前に行われたいわゆる諌早防災検討委員会においても代替案が提示されないで、まず複式干拓のやり方がありきだと。そして、なぜ三千五百五十ヘクタールということになったのか。これについても、それ以外の三千九百ですとか三千三百だとかいう数字がありますけれども、なぜ三千五百五十ヘクタールなのか。そして、なぜ複式干拓方式でなければいけないのか。そういう情報が、すべてにおいて非常に事業者側のサイドで行われている。そしてまた今回も、これは事実かどうかひとつ確認したいと思いますが、この水質調査も非公式である。要は、我々が判断するようなデータというものが出てこない。  そしてまた、これもお答えいただきたいと思うのですけれども、今月の十三日、十四日と諌早湾沿岸地域で雨が降った。そして、冠水した面積というものが、九州農政局が当初発表していた、我々が聞いていたものから訂正があった。これに対しても非常に疑念を持つわけであります。  どうも情報公開という点で、判断するだけの材料が各方面から与えられてこない。そういう問題を考えたときに、果たして本当にこの事業というものが、各有識者も含めて、あるいは市民運動家、あるいはもっと言えばほかの省庁、建設省などは、これは防災効果としてはちょっと考え物ではないかというような発言もあるわけでありますけれども、そうしますと、この事業自体正当性というものが判断できづらい、あるいはできない状況にあります。  その点について、幾つかの点に限って質問をさせていただきますが、一つには、この水質調査がなぜ非公開であったのか。そしてまた、なぜ今回の冠水面積が後になって訂正をされたのか。この点についてお尋ねをしたいと思います。
  10. 山本徹

    山本(徹)政府委員 まず第一点の水質調査でございますけれども、これは、ある時点を区切って調査すると、これが傾向値として正しいものかどうかというようなこともございますので、五月三十日に、先ほど御説明申し上げました諌早湾干拓環境保全連絡会議、農林省、環境庁担当課長で構成いたしますこれの第一回を開催いたしまして、ここに、調査いたしました水質データを持ち寄りまして、点検、検討し、御説明することにさせていただきたいと考えております。  それから二点目の、湛水被害状況調査でございます。  これにつきましては、五月十三日、十四日にかけて相当量雨量がございました。この被害状況については、十五日の段階で諌早市についての被害状況が判明いたしました。約六十ヘクタールの水田で一時的に湛水が生じたという結果報告がまとめられております。  諌早市につきましては、昭和五十六年に市が独自に「浸水区域調査概図」というものを作成されております。十三、十四日の降雨量が四十三ミリでございましたけれども諌早市が作成されました調査概図では時間雨量四十ミリ程度ということで、ほぼ同程度雨量でございますが、このときに想定される浸水地域面積はおおむね千八百ヘクタールであると推定、公表されております。したがって、諫早市の五十六年の調査と今回の十三、十四日の被害が六十ヘクタール、これを比較いたしまして取りまとめ、御報告したものでございます。これは五月十五日の時点取りまとめられ、とりあえず御報告いたしました。  災害報告というのはしばしば、取りまとめの時期がだんだんずれてまいります。これは諫早市だけの調査結果でございますけれども、そのほか、この周辺には森山町、高来町、吾妻町、愛野町という四つの町がございます。この町の被害報告は、この時点ではまだまとまっておりませんで、その後まとまりました。これについては二十三日に全体が取りまとめられまして、諫早市は六十ヘクタールでございましたけれども、今申し上げましたその他の四町は九十七ヘクタール、合わせて湛水面積百五十七ヘクタール、これは二十三日に取りまとめ、御報告したものでございます。  あわせて、このときの被害額もこの時点で判明いたしました。諫早市については、湛水被害による農作物被害として六百十万、それから森山町が二百十万、合計八百二十万と取りまとめておりまして、十五日の時点で判明した諫早市被害、四町を含めた湛水面積及び被害額、これは二十三日の時点取りまとめられましたので、これを御報告した次第でございます。
  11. 渡辺周

    渡辺(周)分科員 今お話ありましたように、取りまとめの時期によって若干の違いがあるんだと。ただ、今回これだけ世の中を、本当に各界が注目している。そして我々も超党派で、公共事業をチェックするという点から諫早湾考える。今こういうふうなさなかにこの干拓事業自体があるわけでございます。  そうした中で我々が常に疑念を抱くのは、まず情報が常に行政の側にあること。そして、今出たような数値が何か非常にぶれている。その点について非常に大きな判断過ちを犯すわけでありますけれども農林水産大臣、例えば、当初のこの事業正当性ということが言われるときに、従来の雨であればこのぐらいの被害だった、しかし、今回の事業実施したおかげでこの程度被害で済んだというようなことが言われておりますが、これは、私が質問主意書を出した後に、閣議の中で、排水門をあけないということで意思統一がされた。これは私も非常にがっかりしたわけでありますけれども、そうしたところで、ひょっとしたら誤ったデータ最高責任者あるいは総理に行っていたのか、あるいは閣議に伝えられたのかということをどうしても疑うわけであります。  その点につきまして、総理に対して当初のデータというものが伝えられたかどうか。そして、もしそうであるとするならば、その責任をどうお考えになるか。簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  12. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 先ほどから御答弁申し上げておりますように、いろいろな事業を推進していく上に、その判断の基礎となるデータ、正確な資料というものは、これは取りまとめ判断材料として非常に大事な問題だと思います。我々も、いろいろな判断に至る、そのために材料を集めるということ、これは十分そういう考え方でおります。  若干例えて言えば、先ほどのお話のように、当初出した報告と後から出した報告に差がある。これは、日にち経過によって当然そういうことになりますけれども、しかし、どうも、報告数字に差が出てきますと、そこだけ見て誤解される、そういうこともあろうかと思うわけで、今申し上げましたように、その点は十分御理解いただけたと思いますが、今後、一つの注意の問題として十分考えていきたいというふうに思います。  それから、総理に対して、いろいろこの諫早湾干拓の問題について事業説明資料を差し出しておりますけれども、これは、あくまで干拓事業目的というものが優良な農地の造成と防災対策、この二つにあるわけでございまして、そういう観点から全体を考えていけば、私は、おのずからいろいろ問題になっていることについて適切な判断が行われると思うわけでございまして、仮にこの水門をあけるかあけないかという問題について考えてみましても、防災上の見地からいたしますと、この水門をあけて外海の海水を入れるということについては、これから梅雨時期も迎えるわけでありますし、そういうことを十分に御理解いただけるものと思います。
  13. 渡辺周

    渡辺(周)分科員 私がお尋ねしたのは、今あった、日にちによって差があるのはやむを得ない、しかし、今回の場合は、我々は、とにかく生態系を崩さない、そして共存できる形でもう一回、あやふやな、こういうことを言ったらつくった方に申しわけないのかもしれませんけれども、しかし、幾つかの指摘がされている課題についてもう一回検討し直す間は、もとの生態系保全しながら考えればいいではないかというふうなことを再三言っているわけであります。  そういうことで、時間がないわけなんですね。こういう事業をやるときには、日にちによって当初の話が実態と少々違っていたのはあることだと言いますけれども、我々も時間と勝負をしなければ、生態系を壊した上で、あれはどうだったこうだったと言われてもどうしようもないわけでありまして、もう一回お尋ねしますけれども、そうすると、その点について、総理には当初の訂正前の数字が伝えられたということで判断してよろしいわけですね。
  14. 山本徹

    山本(徹)政府委員 それのみではございません。これは災害報告でございますので、時々刻々その時点での正確な情報をお入れするという点から、先ほど来申し上げましたように、十五日には諫早市災害について御報告し、二十三日には、森山町ほか四町の災害も含めて事実が判明いたしましたので御報告したわけでございますが、それらを含めて、官邸として御判断されていると考えております。  それから、生態系とおっしゃいますけれども、この事業昭和六十一年に決定いたしたものでございますけれども高潮洪水の常襲地帯として、昭和二十八年ごろから地元でずっと長い間関係住民議論して、この工事計画地元関係者総意としてまとめられたわけでございます。もちろん、生態系を破壊することが本意ではございませんので、この生態系の問題についてもいろいろな議論の上で、こういった事業地元住民の、特に昭和三十二年の諫早大水害、八百人の死者が見られました、地元住民生命財産を守るためにはこの事業しかないということで、地元総意で熱い事業実施の要望がされ、また今日、現に十三、十四日の被害についても、地元住民方々生活実感としても、これまでより随分被害は軽かったという報告が寄せられておりまして、私どもは、この事業を着実に推進することが、諫早湾地域住民生命財産を守り、かつ優良農地を造成するために非常に大事であるということを考えておりまして、地元住民総意に沿って、これからも着実に事業実施してまいりたいと考えております。
  15. 渡辺周

    渡辺(周)分科員 生命財産を守る、そしてあの諫早の大水害、私もこれを読んでいまして、そういう水害があったことも知っております。しかし、三千五百五十ヘクタールの締め切り面積では幾つ問題点指摘されている。そして、干拓地の中に導水しなければならない、背後地に余裕がないということも防災検討委員会資料で言われているわけですね。なぜそんなところが優良農地か。実際そういうことを知った上で、ここの干拓地の中に果たして本当に現状の中で入る人がいるかどうか。  ただ、この議論をしていましても、もう残り時間がありませんので、できないことが大変残念でありますけれども、実際、この事業の矛盾というものは、調べていけば調べていくほど突き当たる。しかし、もう時間がありませんので、二点だけお尋ねをしたいと思います。  一つには、ムツゴロウに関する農水省データに疑問ありと新聞報道がされています。佐賀県のムツゴロウの多くは諌早湾でとられたもので、佐賀県の人が長崎へとりに行っている、それがイコール漁獲量になって、いかにも佐賀県でとられたようなことになっている、こういうことが新聞報道されていますが、これが正しいか、それとも過ちか。  そしてもう一つは、農水大臣に最後にお尋ねをしたいのでありますけれども、過去幾つかの干拓事業がございました。そして、これが総務庁の行政監察あるいは会計検査院指摘等で、営農状況というものにもつと努力をせよということが非常に書かれています。  例えば、これは鳥取県の崎津工業団地ですか、ここでは、当初は干拓ということで、農地ということで進められた。ところが、転用されて工業団地になった。しかし、工業団地になったけれども、これもまた進出企業がなくて、これは太陽党岩國哲人さんがこういうことをおっしゃっているわけですけれども、かつてはお隣の出雲市長だったということで、実は今、ここに場外馬券売場をつくってはどうか、地元でそういう論議がある。これだけ目的が変わってきた。  確かに、戦後の食糧難あるいは引揚者の営農というような国家目標の中で出てきた。しかし、減反政策ということが行われることによって方針が変わり、最終的には当初の目的と変わってきた。こうした干拓事業ということについて、我々は歴史にさかのぼって学べば、果たしてこの事業というものが、本当に莫大な金額をつぎ込みながら、最終的に、今おっしゃった優良農地の提供というような視点でできるとお考えか。  そして、これに対して目的外の使用、当初の干拓事業から最終的にはどのような形になるか、幾つかの例を見てまいりました。こういうことに、手続の上で国会の関与というものがこれまでなかったということについてどうお考えか、閣僚の  一人としてお尋ねをしたいと思います。
  16. 山本徹

    山本(徹)政府委員 ムツゴロウについて御答弁申し上げます。  ムツゴロウは、有明海あるいは八代海の周辺に幅広く生息いたしておりまして、佐賀県の漁獲量は五年前に比べて倍増いたしておりますけれども、これは佐賀県のみで漁獲されたものではございませんけれども、逆に、諌早湾でも一部でございますけれども、大部分が諌早湾という事情にはございません。  かつ、佐賀県の水産試験場では、人工ふ化等の増養殖技術が確立して、稚魚の放流等も行っておられまして、積極的にムツゴロウの増殖に努力しておられるところでございます。また、大学の水産の専門家によりましても、ムツゴロウが最も減少していた時点から生息個体数はやや回復傾向にあるという報告はされておりまして、ムツゴロウあるいは干潟が、今回の干拓によって諌早湾の約千五百ヘクタール消滅するわけでございますけれども、決して日本全体のムツゴロウ、干潟が消滅するという事情にはないということを御理解いただきたいと思います。
  17. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 優良農地の確保という問題は、私どもは非常に必要な事業だと考えております。それは、昨年秋のローマ会議、食料サミットでも、大多数の国がこの意見に賛成だったことは、食糧安保という観点からいたしますと、それぞれの国がそれぞれの資源を活用して食糧の増産に努力していかなければならぬ、こういうことが結論として出されたわけでございまして、我々も、将来の食糧の不確実性から見れば、国民の皆さんに必要とする食糧を安定供給するためには優良農地を確保していかなきゃならぬ、これはまず基本的な考え方としてあると思うんです。  それで、そういう考え方と、今、しかし減反をして生産調整をしているじゃないかという意見もありますけれども、我々が申し上げているのは、米は確かに生産過剰でありますけれども、米以外の食糧は自給率が非常に低い、ですから優良農地は、米をつくるのではなくて、野菜、大豆であるとかその他必要な、そういう食糧をつくる、そういうための干拓優良農地の造成ということを申し上げておるわけでございまして、その点はどうぞ御理解いただきたいと思います。  それから、干拓事業における他用途転用についてどう思うか、こういうことでございますが、他用途転用につきましては法律等に認められておるということがございますけれども、この問題は、私どもはすべてフリーパスで他用途を認めるということではないわけでございまして、法律に基づいて所要の手続を踏んだ上でそういうことが行われております。  また、造成地の農地以外への転用について国務大臣としてどのように考えているかということにつきましては、この問題は国会がどのように関与されるかということでございまして、国会がどのように関与されるかという問題については、これは立法府において判断されるべき問題だと思うわけでございます。
  18. 渡辺周

    渡辺(周)分科員 大変不本意でありますが、ルールでございます、時間がオーバーしましたので、終わります。
  19. 浜田靖一

    浜田(靖)主査代理 これにて渡辺周君の質疑は終了いたしました。  次に、栗原博久君。     〔浜田(靖)主査代理退席、主査着席〕
  20. 栗原博久

    栗原(博)分科員 お時間をいただいて恐縮でございます。私、ちょっときょうの質問はいろいろ脱線するかわかりませんけれども、お許しいただきたいと思います。  まず、刑法で禁止されている賭博行為を、その違法性を阻却するという、競馬法はそういう規定で、それは国家財政あるいはまた地方財政に寄与するということが阻却の主たる目的だと思っておるわけです。  そういうことで、きょうは中央競馬、地方競馬の問題、そしてまた地方競馬の財政が悪化する中においてどのような措置をされるかということ。あるいはまた、同じ動物でございますが、人畜共通感染症という問題が最近国際間においても、また我が国においても大変問題にされておりますので、そういうことについての御見解。あるいはまた、動物保護法というものが成立されまして相当年数がたっておるわけですが、そこにおける各団体の運営方法について。動物に限って幾つ質問したいと思います。  日本中央競馬会並びに各地方競馬開催団体があるわけでありますが、過去、この十年間で、中央競馬会の売り上げは約二・五倍ほどに上がっている、そして約四兆円近い売り上げをして、年間五千億ぐらいの国庫納付金があって、国庫への貢献は大変いいわけであります。それに比較しまして、全国で二十五の主催団体があります地方競馬、三十の競馬場があるやに伺っていますが、過去、百の主催団体が、昭和五十五年ごろにたしかあったと思うのでありますが、当時また五十の競馬場があった。現在、どんどん主催団体も減っているし、競馬場も二十ほど減っておるわけでありますが、そういうことで、地方競馬と中央競馬の現状をひとつお聞きしたいと思うんです。  私は、まず中央競馬のディスクロージャーの問題もあると思います、必要性ですね。そしてまた、中央競馬は常にやはり地方競馬の下支えがあって可能であると思うんですね。この団体の目的には、国庫の財政をよくすると同時に、畜産の振興に資するということもあるわけなんです。  例えば、馬は北海道等で年間約一万頭ほど生産されている。実際、中央、地方で必要なのは七千頭ぐらいですが、しかし、その余った分は地方でもって支えて、要するに中央の予備軍として地方もある。ですから、その分地方競馬の負担もやはりあるわけだと思うんです。  あるいはまた、馬主の方々とのお話なんかで感じるんですが、中央競馬の賞金の問題と地方競馬の賞金が、これは中央と地方だからいたし方ないと言うかわからぬけれども、大変差があるわけですね。特に、中央競馬においては、一つは、年間約百億近い宣伝費を使って、武豊とかそういうヒーローをつくっている。要するに、マスコミの力によって大きな売り上げも供している。  あるいはまた、ウインズですか、全国に多くの場外馬券売り場がどんどんできてきている。地方競馬が減った分といいましょうか、むしろ全国の、中央競馬のウインズの最近の開設を見ますと、それが地方競馬を圧迫していることは衆目一致の事実である。今の中央競馬の売り上げの恐らく八〇から九〇%は場外馬券売り場で売られていると思うのであります。  こういうことを踏まえながら、中央と地方の現状をまずお聞きしたいと思うのであります。
  21. 中須勇雄

    ○中須政府委員 御指摘のとおり、我が国の競馬は中央競馬と地方競馬という二本立てで行われているわけでございますが、中央競馬については日本中央競馬会が、地方競馬については二十五の地方公共団体というか主催者が実施をしておる、こういう状況でございます。  最近の売上額で申し上げますと、先ほど先生がおっしゃったとおりでございますが、中央競馬で三兆九千億ということで、約四兆円という水準でございます。それに対しまして、地方競馬は六千九百五十億円、約七千億ということで、大変大きな差があるわけでございます。  中央競馬と地方競馬の関係につきましては、先生が御指摘になったとおり、地方競馬はやはり軽種馬の広大な底辺をつくっている、その上に立って中央競馬があるわけでございます。そういった意味では、非常に密接な補完関係にあるということは御指摘のとおりでございますし、また、お客様に対して馬券を売っていくという面では、一面競合する部分もある、そういうふうなことで、競合する部分、補完する部分を持ちながら、それぞれが併存しているという状況であります。  特に、競馬については、バブルの崩壊後いろいろな影響を受けました。中央競馬で申しますと、平成七年が特に、阪神大震災等の影響もございまして、前年比一・一%の売り上げの減ということがございました。しかし、八年度は、先ほど申しましたように増加をいたしまして、約四兆円近い水準、国庫に対する納付金も約四千七百億円の納付を行った、こういう状況でございます。  ところが、地方競馬につきましては、平成三年度をピークに、景気減退とともに売れ行きが減少いたしておりまして、平成八年度で、先ほど申しましたように約七千億円ということでございます。これは前年に比べると二・七%の減で、それまでの減少に比べれば、減少率としてはかなり低くなったな、小さくなったなという感じはいたしますが、なお八年度においてもこのような形で減少している、こういうことでございます。  私どもといたしましては、基本的に、中央競馬と地方競馬、先ほども申しましたように、我が国の軽種馬生産ということを支えにしながら補完する関係にございます。両方がそれぞれ特色を生かしながら安定的に発展をしていただくということが一番の筋ではないかというふうに思うわけであります。  ただその場合、率直に申しまして、先生御指摘になりました現在の賞金の差でありますとか宣伝広報の差とか、そういうことも、まさに先ほど申しましたように、売り上げにおいて非常に大きな格差がございまして、それが根底にあるという意味では、一面やむを得ない部分もあるということでございますが、やはり、今の地方競馬の厳しい状況、これについては、中央競馬も可能な限りで手を差し伸べるべきではないか、こんなふうな態度で私どもとしては臨んでいきたいというふうに思っております。
  22. 栗原博久

    栗原(博)分科員 中央競馬は、私が言うまでもなく、払戻金が約七五%で、国庫納付金が一〇%、それから中央競馬の経費が一五%である。この一五%の中身は私はくどくどと申しませんが、それに対してやはりディスクロージャーを求めている声もあるわけであります。きょうは時間がございませんから、深いことは、実は質問したいのですが、いたしません。  これに対しまして地方競馬は、御承知のとおり、やはり今大変厳しい財政である。例えば平成七年度の決算を見ますると、過半数の十八団体が単年度の赤字を計上しておって、積立金の取りましもやっているという団体があるわけであります。地方競馬という本来地方財政に寄与するものが、むしろ地方財政を圧迫している、そういう立場に陥っている。要するに、これによって、では地方競馬の存在とはどういうものであるかということを問わねばならぬと思うのであります。  今局長からもお話がございましたけれども、地方競馬の売上額は、平成八年度で六千九百四十九億、平成三年度では九千八百六十二億あったということでありますが、それが平成六年度では七千三百二十億、そして、先ほど局長の御説明がありました七年度では七千百四十一億ということで、年々売り上げが大変落ちておる。そして収支を見ましても、例えば平成七年度においては、収支全体が二百十一億二千七百万の赤字であるのですね。昭和六十一年度は、収支が百四十億の黒字であったわけですね。  こういうものを見ましても、私は、中央競馬のやり方がまずいところもやはりあるのじゃないか。地方競馬をこれからどのように育成していくか。私は賭博を推奨するわけじゃありませんが、事実、刑法の賭博の違法制の阻却を認めながら競馬法はあるわけですから、その観点からいうならば、当然、地方財政を圧迫するような状況になってはならないということで、その監督官庁である農林水産省から、この地方競馬の再生といいましょうか、地方財政に貢献するためには具体的にどのようなことを今までやってまいったか、そして、今後どういうものをやるかということについてお聞きしたいと思うのです。
  23. 中須勇雄

    ○中須政府委員 地方競馬の売り上げ等の状況につきましては、先ほど先生御指摘のとおりでございまして、ピークでございましたのが平成三年度九千八百六十二億円、こういうことでございますが、先ほど申しましたように、平成八年度六千九百四十九億円ということで、この八年度の水準というのが大体六十一年から六十三年程度の水準、そこまで戻ってしまった、こういうような形をとっております。ただいま御指摘のとおり、単年度経理と申しましょうか、そういうもので見ますと、二十五団体のうち十八団体が赤字になっている、こういう状況でございます。  地方競馬は、御指摘のとおり、地方財政に寄与する、やはりそういうことが大きな目的でございますので、そういった目的が達せられるような意味において、早急にこういった状況を是正しなければならない、やはりそういうことだろうと思っております。  そのために、具体的な、ただいま中央競馬等からの支援のお話がございました。この点に関しましては、今、私どもでいろいろ指導しながら取り組んでおりますのは、一つは、中央競馬を含めた交流競走。従来は中央と地方というのは厳然と垣根があったわけでございますが、その垣根をある程度外して、交流競走によって、ファンにとって魅力のある地方競馬のレースづくり、こういう点が第一点。  それから二点目は、これも先生御指摘のとおりでございますが、今、中央競馬では場外売り上げが大体八八%を占めている。それに対して地方競馬では三割強ということでございまして、やはり場外の売り上げをどうやってふやしていくかということが売り上げをふやしていく上で大変重要でございます。  そういう意味で、地方競馬についても、地方競馬相互間の場外発売であるとか電話投票の発売網の拡大であるとか地方競馬の場外施設の充実であるとか、そういったことに取り組まなければならない、そういったことに関して中央競馬会等もできるだけの御助力をしていくということがございます。  それから、言うまでもございませんが、ファンにとって魅力のある競馬という意味では、施設等も重要でございます。スタンド等の設備の改善であるとか、そういうことがどうしても欠かせないわけでありまして、この点については、日本中央競馬会及び地方競馬全国協会が財政的な支援を行っている、こういうことがございます。  そのほか、私ども国の立場でできる話といたしまして、いわゆる馬番連勝等の新しい種類の馬券を発売して、馬券の売り上げというものの増大に資するようにしていく、そういうふうなことに現在取り組んでいるところでございます。
  24. 栗原博久

    栗原(博)分科員 地方財政の健全化のために、ぜひひとつ地方競馬に対する中央の援助、私は、中央競馬会と地方競馬全国協会、本来やっておることは同じですから、これは合体すれば一番いいのだけれども、それは皆さんの事情もあるようだから、私、それ以上申しません。しかし、今度機会があったら農林水産委員会でこれを重点的にひとつ取り上げてみたいと思っております。  それから、今局長からも、交流競馬でもってやるということで、この前新潟も、地方競馬でも交流レースで、地元の市町村、県あるいは馬主協会等も大変好意を持って迎えていたようであります。新潟競馬は中央競馬と併設されておりますから、ほかの競馬場でできないこともまた新潟はできると思うのですが、その点をひとつよろしくお願いします。  それと、私の選挙区に新潟競馬の三条競馬場があるのであります。これは河川敷で競馬場をやっているということで、約十町歩近い国有地、河川敷、そして六反歩の市街化区域でスタンドがあるわけですが、新潟競馬、中央競馬にあれだけいい施設があるわけでありますから、地元の市町村長あるいはまた馬主の方だとか関係団体の御意見のもとで申し上げているのではありません、私の主観で申し上げておるのですが、新潟の競馬場に三条でやるレースを持っていきまして、三条に場外馬券場をつくるか、あるいはまた、今あれだけの競馬が開かれると、国道八号が大変渋滞いたしますから、今の場所からよそに移すような形で、今の競馬場を、もっと別の市民に利用できるものにすることが私は可能だと思っているのです。  例えば、あれは河川敷でございますが、河川敷公園でやるとか、あるいはまた、今三条でも、三条高校の移転問題がいろいろあるようでありますが、大変環境のいい場所でございますから、開催団体あるいはまた馬主の関係方々とか、そういう方の理解があったならば、三条競馬場を移転できるかどうかということを、それは明確な答えはできないかわかりませんが、検討の余地があるかどうかということをひとつお聞きしたいと思うのであります。
  25. 中須勇雄

    ○中須政府委員 現在、新潟県競馬組合で行っております地方競馬につきましては、平成九年度でございますが、年間百五日開催予定、そのうち新潟競馬場で八十二日、三条競馬場で二十三日の開催ということで、これは歴史的にはもう少し三条は多かったわけでございますが、徐々に新潟競馬の方をふやしてきている、こういうような状況にございます。  ただいま御指摘のございました、三条競馬場をまた違った用途に用いて競馬を一本化してはどうか、こういう御提案でございます。  この点につきましては、実は難しい問題としては、新潟県競馬組合というのは、新潟県のほか新潟市、三条市と、まさに競馬場のある場所の市町村が実施主体になっているということでございまして、そういった競馬組合の構成要素そのものが変更されるということにもつながる問題である、同時に、そのことは新潟における競馬開催のあり方の基本にかかわるような事項ではないかというふうに思う点が一つ。  それからもう一つは、実は新潟競馬場は、ただいま御指摘のとおり、中央競馬とそれから地方競馬が同一の競馬場で行われている、こういう状況でございまして、例えばことしのゴールデンウィークは、ほぼすべて地方競馬の方に割いて、お客さんを地方競馬にぜひ来ていただく、こういうこともしたわけでございますが、その辺の調整が大変今厳しい状況になってきております。これ以上開催がふやせるかどうか、そういった議論もございます。  しかし、やはり何といっても、地方競馬の問題については地方でのお考えということが一番基礎でございますので、新潟県を含めた地元で今後十分慎重に検討をしていくべき課題ではないか、こんなふうに思います。
  26. 栗原博久

    栗原(博)分科員 そういう課題地元の方で集約いたしましたら、中央競馬会の方で財政的な支援とか、そういうことで、今提案申し上げたことについて、指導をひとつお願いしたいと思います。  もう一つ、最近、馬の輸入実績がどんどん上がっておる。一九九四年には二千四百頭で百億の輸入でございましたが、一九九六年では二千七百二十三頭で二百五億にはね上がっておるわけですね。私は、今競馬は、賭博も結構であるが、やはり生産農家の立場も考えながらやっていただく、それが我が国の畜産の振興であるわけです。WTOの関係もいろいろで、外国馬の輸入についての問題もあるかわかりませんが、外国馬は、あくまでも我が国の賞金が高いから外国の馬が入ろうとしているわけですから。  そういうことで、やはり国内の馬の生産農家というものの保護といいましょうか、推奨について、ぜひひとつ行政のお立場でお取り組みをいただきたいことをまずお願いし、あるいはまた、今また馬主の海外登録、海外居住者の登録という問題も出てくると思うのですが、絶対にこれを許してはならない。我が国の伝統ある競馬を守るためにということをまず要望して、私の競馬関係質問を終わらせていただきます。  次に、時間がございませんが、きょう、人畜共通感染症の問題について厚生省お越しであったので、短く御質問申し上げます。  今、我が国は動物愛護とかいろいろな法律があって、多岐にわたっていますが、それを一元化するということがなされておりません。その中川で、農林水産省農林水産省の立場で、厚生省は厚生省の立場で、あるいは総理府総理府の立場とか、あるいはまたワシントン条約においては通産省の立場と、いろいろ立場はあるようでありますが、この人畜共通感染症が問題になっている。これに対してどのように厚生省はお取り組みになるのかということを簡単に、申しわけございませんが、ひとつお答え願いたいと思います。
  27. 木村政之

    ○木村説明員 厚生省の保健医療局の企画課長でございます。  現在、伝染病予防法の見直しを含みます感染症対策の全般の見直しを行っておりまして、平成十年の通常国会への法案の提出を目指しまして、公衆衛生審議会伝染病予防部会に基本問題検討小委員会を設置しまして、検討を行っているところであります。  ペット等の動物が媒介して人間にうつる感染症、これを人畜共通感染症と呼んでおりますが、この問題につきましても、この委員会で検討課題と位置づけ、議論を行っているところであります。  今後、本年の十二月を目途に公衆衛生審議会の結論をいただく予定で、人畜共通感染症対策につきましても、感染症対策全体の中で総合的な検討を行ってまいりたいと考えております。
  28. 栗原博久

    栗原(博)分科員 家畜伝染病で人への感染事例とか、あるいはまた届け出伝染病の人への感染事例、いろいろ掲げられておるわけですが、農林省におかれましては、現在の動物の輸入におけるチェック機能をやはりもっと強化していただき、そしてまた厚生省と十二分に連絡して、日本医師会あるいはまた日本獣医師会とのリンクの中でこれに対処していただきたいことを、ひとつお願い申し上げたいと思います。  次に、動物保護に関する法律が昭和四十九年に議員立法で提案されて、可決されておるわけであります。今こうして高齢化社会になってまいりますと、家庭に話し相手がいない、そうしますと、犬とか猫を相手をしながら、特に私ども過疎の地帯においては、本当にそこに動くもを人間と同じように扱うから、やはりそこで人間も共存できるということもあると思うのです。私はこういうペットというものが、今後の高齢化社会においてやはり大変重要になってくると思っておるわけであります。  そういうことで、その関連でひとつお聞きしたいのでありますが、総理府農林水産省、厚生省などではこのペット関係の主管として、日本動物愛護協会とか、あるいは日本動物病院福祉協会とか、あるいはまた日本愛玩動物協会とか、あるいは日本動物保護管理協会とかいろいろあるようですが、その中で、かつて新聞紙上にもいろいろ出たこともありますが、皆さんの公益法人になりますジャパンケンネルクラブについてお聞きしたいと思うのです。  ジャパンケンネルクラブは約十四万人の会員がおられて、そして年間三十四万頭の犬の登録血統書を発行しているやに伺っています。  農林水産省では、経済動物の中で、家畜改良推進法ですか、促進法ですか、というもので家畜の登録を認めている、黒毛和牛あるいはホルスタインあるいは豚について。これは法律三十二条の登録規定に準拠して実はやっておるわけですね。これについて、もし偽りがあった場合は、同法三十八条で罰則を科しておるのですね、登録に違反した場合、あるいは虚偽の申請をした場合。  特に登録とか何かでやっておるのは、ジャパンケンネルクラブ、日本シェパード犬登録協会、日本コリークラブなどがこういう登録血統書を発行していると思うのです。農林省設置法、あるいはまた、このジャパンケンネルクラブ等が公益法人の指定であるところを見ましても、この家畜促進法ですか、家畜改良法では罰則規定、要するに偽りの登録をした場合は罰則を科すわけですから。私は、ペットというよりも、これからやはり介護とか、あるいはお年寄りが話し相手とするために動物の改良がいろいろ必要となってくる、相当高度なものも必要となってくると思うのです。  今、ジャパンケンネルクラブがこのようにどんどん大きくなっているようであります。そしてまた登録の手数料、犬舎は六千円ですか、あるいはまた子犬が生まれたら一匹二千円で、今度は買った側がまた千円出すということらしいのですが、私は額のことは言いません。言いませんが、例えば、馬とか牛は鼻紋ですか、個体を確認しているのですね。ところが、ジャパンケンネルクラブはペーパーでもってやっていると思う、ペーパーでもって。何も個体を確認していない。  私も、うちの選挙区でこの血統書についていろいろ疑義を言う人がおるのでありますが、これはやはり十四万人もおるわけですし、そして血統書についての公正公明性、信頼性等を考えたならば、やはり立法措置の中でこれはやらねばならない時代に来ているのではなかろうかと思うのであります。  この点について、おたくの農林省設置法、あるいはまた各課の業務設置法を見せてもらいますと、確かに主管課である家畜生産課の小動物係では、社団法人ジャパンケンネルクラブに関する規定がある。それは監督をいろいろやると思うのでありますが、私は勉強不足でこんなことを言っても申しわけないけれども、家畜生産課においての事務の中に、血統書登録についての項目がないというふうに見ておるわけであります。  この中で、私は、こういう愛玩動物、そしてまた動物に対するこれからの社会的ニーズがあるわけでありまして、少なくとも年間十億か二十億の金を取る団体、あるいはまた公益性のあるものについては、やはりもう少しそれを何か指導、拘束するというものが必要ではなかろうか。ペーパーだけで証明して、ペーパーだけで金を取るということは果たしてどうかと思うのでありまして、この点について、ひとつ責任あるお立場で御答弁ください。
  29. 中須勇雄

    ○中須政府委員 ただいま先生から御指摘のございましたジャパンケンネルクラブは、御指摘のとおり、民法三十四条の公益法人として昭和五十一年に設立をされております。  基本的な目標としては、優良な犬の普及あるいは国民の動物愛護精神の高揚等、そういった基本的な目標が掲げられているわけでございますが、実際に活動している内容といたしましては、一つは犬の正しい飼い方というか、動物保護ということを含めたそういった飼い方の指導、普及というふうなことが一つ。それから、ただいま先生から御指摘のございました、血統を明確にするための犬籍登録と言っておるいわゆる血統登録の仕事。それから犬に関するいろいろな調査研究。それからもう一つ、四点目に大きな話としては、ドッグショーというふうに呼ばれておりますが、いろいろな展覧会等の主催を行っている。そのほか最近の新しい話としては、災害救助犬の育成、こんなことにも取り組んでいる。こういうような団体でございます。  この団体の仕事のうちの血統登録のお話でございますが、これについては率直に言って法的な根拠あるいは規制というものはないわけでございます。一方、牛とか豚とかそういった家畜については、御指摘のとおり、家畜改良増殖法に基づきまして、一定の登録事業を行う場合の規制ということが定められております。  これは、基本的に牛とか豚という経済動物については、その改良増殖ということが経済的に非常に大きな意味がある、それを進めていく上で血統登録というか品種登録というのが一番の基礎になるわけでございまして、そういった大きな産業的価値を持っている、そこからしてやはり一定の公の規律に服すべきではないかというような趣旨で、かかる規制が行われているというふうに思っているわけであります。  その点、率直に申しまして、犬の登録につきましては、愛好家、犬を好きな方々の中での自発的な事業として登録がそもそも始まったというような歴史的な経緯がございますし、諸外国においても大体そうでございますし、それにあえて今の時代に規制を行うことが妥当であろうかどうか、そういうような議論があるということで、私どもとしては、もちろん公益法人の業務が適正に執行されるという観点から必要な指導なり監督はやっていかなければならないというふうに思っておりますが、なかなか法的規制というふうな面では難しい問題があるのではないかと思います。  それから、次に血統登録、ジャパンケンネルクラブがやっております血統登録については、ジャパンケンネルクラブというのは、そもそもクラブ組織が下に会員としてある、犬を飼っておられる方々がクラブを組織して、それが会員になってケンネルクラブという全国組織をつくっているわけでありますが、その単位のクラブを通じて申請をする。  その際に、繁殖者は交配証明書を添付の上、所属クラブを通じてジャパンケンネルクラブに申請を行っている。一応コンピューター等によりまして、交配日から出産日までの間隔であるとか母犬の前回出産日から次の出産日までの期間であるとか、そういったことを確認の上、不明な点を確認した上で血統登録証明書を発行しているというふうに聞いております。  ただ、率直に申しまして、経済的な意味、社会的な意味という点では、先ほど申しましたような家畜の血統登録とは趣を異にするということで、それに比べれば基本的に緩やかなやり方で行われているというのは御指摘のとおりであります。  ただ、現在ジャパンケンネルクラブは、いろいろこれをめぐって問題等が起きた場合に備えまして、血液検査であるとか、あるいはDNA鑑定ということによって親子の鑑定というのを客観的に証明する、こういった研究を今行っておりまして、将来の話としては、そういったことも加味したような形で世の中から信頼を受けるような血統証明というふうに持っていくべきではないかなというふうに考えておりますが、当面の運用としては、先ほど申しましたような形で行われているというふうな状況でございます。
  30. 栗原博久

    栗原(博)分科員 わかりました。また後日、この件も改めて御質問したいと思います。  ありがとうございました。
  31. 上田清司

    ○上田主査 これにて栗原博久君の質疑は終了いたしました。  次に、達増拓也君。
  32. 達増拓也

    達増分科員 新進党の達増拓也でございます。  私の方からは、農業農村整備を中心にいたしまして、農業、林業、水産業関係についての質問をさせていただきたいと思います。  農業農村整備ということで、かんがいですとか区画整理ですとか、極めて伝統的な農業政策という側面もある一方で、今日的な諸課題、例えば国際競争力の強化ですとか、あるいは農地のそばまで、農村のそばまで住宅地が来ている、あるいはもう農村の中にまで住宅地ができている、こういった都市と農村の生活の差というのは少なくなってくる、そういう現象があらわれてきている今日、また新しい意味での農業整備、農村整備というのが必要になってきていると思うわけであります。  今日、行政改革、大胆な行革を進めていかなければならないという環境の中で、未来志向の農業政策そして農村政策を考えるに当たって、この農業農村整備の効果についてきちんと検討していくことが不可欠と考える次第であります。  第四次土地改良長期計画、平成五年から平成十四年まで十年計画で四十一兆円の予算を投じて行われるという計画が進行中なわけでありますけれども、その中で、まず農業生産基盤の整備につきまして、圃場整備事業について質問をしたいと思います。  圃場整備事業は、かんがい排水事業と並びまして、農業生産基盤整備の根幹の一つなわけでありますけれども、まずは、第四次土地改良長期計画のもとでの圃場整備事業実施状況について伺いたいと思います。
  33. 山本徹

    山本(徹)政府委員 圃場整備実施状況でございますけれども、これは水田三十アール程度の区画整理、さらに最近では、一ヘクタール以上の大区画圃場整備等を中心に実施いたしておりますが、水田については第四次土地改良長期計画発足当初の五〇%から七五%に整備率を引き上げる、また、一ヘクタールの大区画圃場については計画当初の三%から三〇%にすることを目標にいたしております。  これまでこの圃場整備を進めて整備率は上昇しておりますけれども、まだ予算の制約等々によってこの目標値に完全に達成するかどうかはっきりいたしませんけれども、各地域の要望に沿ってこの事業を推進し、農業生産のコストダウン、経営の効率化に役立つように、私ども事業の効率的な実施に最大限の努力を図ってまいりたいと思っております。
  34. 達増拓也

    達増分科員 今答弁の中にコストダウン、効率化ということが出てきたわけでありますけれども、我が国農業の国際競争力を強化していくに当たって、圃場整備事業というものが具体的にその労働生産性の向上にどの程度寄与しているのか、そこを確認させていただきたいと思います。
  35. 山本徹

    山本(徹)政府委員 圃場整備実施と、また、これを通じまして大型の農業機械の導入が可能になるわけでございますけれども、この圃場整備によります労働時間の節減、生産性の向上の効果、具体的に申し上げますと、圃場整備がほとんど実施されておりませんでした昭和四十年、この時点におきまして十アール当たり水田稲作の労働時間が百四十一時間でございましたけれども平成七一年におきましては、これは三十アール区画、五〇%を相当超える水準になっておるわけでございますけれども平成七年におきましては三十八時間と、四十年に比べまして、すなわち約三十年前に比べまして三〇%以下、三分の一以下に稲作の労働時間が軽減され、また労働も非常に機械化に伴いまして軽労化といいますか、作業が楽になって、お年寄りあるいは婦人の方々もこの作業が、四十年代以前には非常に重労働でございました水田の農作業というものが大幅に楽になっているという成果が上がっております。
  36. 達増拓也

    達増分科員 労働生産性について、かなり労働時間について劇的な低減、そしてあと省力化ということがあるということでありますけれども、経営の効率化という観点からは、労働生産性のほかにもう一つ農地流動化との関係というのがあると思うのですね。特に我が国は、基本的に大規模な農地、農業経営というものが諸外国に比べてなかなか進まないという構造的な問題があったわけでありますけれども、その辺、この圃場整備事業農地流動化にどのように寄与しているのか、伺いたいと思います。
  37. 山本徹

    山本(徹)政府委員 先生御指摘のように、諸外国に比べて日本は国土が狭く、土地の資産的な保有性向、資産として持ちたいという意識が大変強いものでございますから、農地の売買あるいは貸し借りというのがなかなか進みにくい、規模拡大が進みにくい事情にございますけれども、圃場整備を行う過程におきまして、あるいはこの圃場整備事業の結果として農地流動化が飛躍的に進む契機になるような事例がたくさんございます。  この理由は、圃場整備を進めますためには二十ヘクタールあるいは五十ヘクタール以上の農地をまとまって対象として事業実施する必要がございますので、地域ぐるみで合意形成、農業者の話し合いによる合意形成が必要、こういう圃場整備を進めよう、こういう合意形成が必要でございます。この話し合いの過程で、これからの地域の担い手はだれにしようか、あるいは自分はもう農業をリタイアしようか、あるいはほかの作物に取り組もうかというような、いろいろな話し合いが行われ、農地流動化がこれを契機に進んでまいります。  また、換地という作業によりまして、農道等の非農地を生み出したい、あるいは土地の交換分合等を行われ、地区全体の土地の権利関係を合理的に再設定されることになります。  また、この圃場整備実施され、圃場の作業条件が改善されることによって、売買をしても、買い手、借り手にとっても大変魅力ある農地になってまいりますので、これを契機にそういった流動化が進むという可能性が大きくなってまいりまして、この圃場整備を契機に流動化が大きく進み、担い手への農地の利用集積を行う大きな契機となっております。  具体的な数字で申し上げますと、平成三年度に完了をいたしました圃場整備地区では、未整備地区の約四倍の農地流動化率となっております。  さらに、これらの圃場整備を契機に農地の利用集積を一層進めますために、圃場整備の中でも担い生育成型の圃場整備という、補助率を一般の事業に比べて五%高くした事業の創設、また土地改良区を活用した農地流動化の促進、また農業委員会も、こういった圃場整備が進められるところについて集中的に農地の流動化のためのあっせん活動等を行うというようなことを工夫しながら、今後とも、圃場整備を契機にした担い手への農地の利用集積を推し進めてまいりたいと考えております。
  38. 達増拓也

    達増分科員 圃場整備をうまくやっていくと、労働生産性の面でも農地流動化の面でも、コストダウンや効率化に極めて高い効果があるということで、地元の方でも、農家あるいは農業関係者、現場の方でも圃場整備に対する期待はかなり高いものがあるというふうに私も承知しております。  ただ、手元の資料で圃場整備による都道府県別の水田整備率を比較いたしますと、東京、神奈川一%というように、首都圏あるいは大都市周辺では整備率が低いというのはわかるのですけれども、同じ農業県と呼ばれるような都道府県の間でも整備率にかなりばらつきがあるわけなんですけれども、この辺、どういう事情からそうなっているのでしょうか。
  39. 山本徹

    山本(徹)政府委員 先生御指摘のように、農業県でも非常に圃場整備が進んでいるところとまた低いところがある、大きなばらつきがございますが、この理由として三つございます。  一つは、圃場整備が可能となるようなある程度、二十ヘクタールとか五十ヘクタールまとまつた平たん地がどの程度あるか。今私どもも中山間の圃場整備を進めるための特別の事業を創設いたしておりますけれども、やはりまとまった農地がある方が圃場整備を進めるのに有利でございますので、まとまった圃場整備がどの程度あるか。  それから、圃場整備実施してその事業効果が上がりますためには、用排水の施設が整備されていることが一般的に重要でございますが、まだこの用排水の整備が進んでいないところは、圃場整備を進めるため、まず用排水整備を先行させたいという地域の意向がございますので、用排水施設がどの程度整備されているかという点が二番目。  それから三番目には、地元の意欲でございます。圃場整備、これはもう地元の負担がございますので、この圃場整備に対して地域の合意形成ができるかどうか、意欲が高いかどうかという点がございまして、こういった点によって圃場整備の水準が県によって大きく変わってまいります。
  40. 達増拓也

    達増分科員 いろいろ問題とかもあるとは思うのですけれども、答弁の最後にもあった地元の意欲というのがやはりポイントだと思いますので、その地元の意欲をきちんと、農家本位といいましょうか、そういう地元本位の対応がきちんとできるように、また、かんがい排水事業との有機的な連関につきましてもきちんと対応していくような施策が望ましいと思います。  次に、農業農村整備事業、近年、圃場整備といった生産基盤から、徐々に農村整備、生活環境整備にウエートが移ってきているということを承知しております。それは、農村の住環境というものをもっと今日的な都市部における住環境とそれほど差のないものにして、後継者問題ですとか、農村の生活全般の水準を高めて農業の活性化を図るという趣旨で、そのような予算のシフトが実際起こっているというふうに承知しているわけであります。  その都市と農村の生活環境の違いを象徴的に示すものが下水道の普及率だと思うのですけれども、この点について、現在、都市と農村の格差の現状はどうなっているか、伺いたいと思います。
  41. 山本徹

    山本(徹)政府委員 御指摘のように、下水道の整備率、これは、トイレの水洗化、あるいは家庭、台所の排水を円滑に処理できるかどうかというのは、特に若者、婦人の方々にとっても、農村生活が魅力あるかどうかの大変重要なポイントでございます。  この下水道施設等の整備率を地域別に見てみますと、政令指定都市では九五%とほとんど整備されておりますのに対して、人口十万人以上の中規模の都市は約五九%、六割、三分の二程度でございます。これに対して、町村部、農村部は約一七%でございまして、農村における生活環境整備、この生活環境の象徴でございます排水処理施設の整備というのは、残念ながら、都市と比較して著しく立ちおくれている状況にございます。
  42. 達増拓也

    達増分科員 この下水道という基本的なインフラストラクチャー、行革という大使命がある中でどのように全国的に推進していくかという問題だと思うのですけれども、今の答弁にあった、政令指定都市と中規模都市、さらに地方との格差というのは、やはりかなり著しいものがありまして、これをそのまま放置することはやはり不適当であると考えるわけであります。  そういう中で、第四次土地改良長期計画のもとでも農業集落排水事業が進んでいるわけでありますけれども、その実施状況について伺いたいと思います。
  43. 山本徹

    山本(徹)政府委員 町村部では現在一七%と大変低い水準にございます集落排水施設の整備を行うために、第四次の土地改良長期計画におきましては、二十一世紀初頭までに現在の中都市並み、すなわち四五%、この四五%も、二十一世紀初頭には、これは中都市も整備されてまいりますので相当水準が上がってまいりますけれども、せめて現段階の水準でございます四五%の中都市並みには向上させることを目標に、計画期間中に約三万の農業集落において農業集落排水施設の整備を行うことにいたしております。  五十八年度からこの事業は本格的な実施に入りましたけれども、五十八年度には国費約二十二億でございましたけれども平成九年度には千四百五十四億をもってこの事業を強力に進めますとともに、また、都市周辺の農村部では下水道の整備によることも考えられますし、また、過疎地域等では厚生省の合併浄化槽の活用も考えられますので、こういった三省のそれぞれの事業を合理的に地域に導入するための県段階での計画なども策定しながら、下水処理の施設の整備を強力に進めてまいりたいと考えております。
  44. 達増拓也

    達増分科員 農業政策というものには、ビジネスとしての農業という側面と同時に、やはり生活の場としての農村という要素が不可欠だと思いますので、その点を踏まえ、これもまた農家本意、地元本意の施策を進めていくことを期待したいと思います。  また、そういうビジネスとしての側面と生活の場としての側面という観点から、やはり同様の問題が畜産にもあると思うわけでありまして、次に、畜産環境総合整備事業について伺いたいと思います。  農村に住宅地がどんどん入ってきているとか、また農村での暮らしを都会の人が体験するとか、そういうのと同じように、畜産につきましても、そういう住宅地との近接の問題というのが出てきたり、あるいはもっと積極的に、都会の人、町の人に来てもらって、動物がどうやって育っているか実際に見てもらいたいとか、そういうビジネスの発想、生活の発想、両方から畜産環境というのを改善していく必要性が今日的課題として出てきているわけで、七十億円規模のそういう事業費がついているわけでありますけれども、この畜産環境総合整備事業の現況について伺いたいと思います。
  45. 中須勇雄

    ○中須政府委員 御指摘のとおり、今後各地域における安定的な畜産経営の発展ということを図る上では、家畜ふん尿の適切な処理ということが不可欠であろうというふうに思っております。しかも、その場合、特に家畜のふん尿というのは多くの有機物を含んでいるということでございますので、単に環境保全という観点のみならず、資源の有効利用という観点から、基本的にこれはリサイクル、いわゆる堆肥化して農地に還元していくという形で処理を進めていくということが基本だろうと思っているわけであります。そういった考え方に立って、ただいま御指摘のございましたとおり、畜産環境整備事業ということで現在私ども取り組んでおります。  具体的に、各地域において、家畜排せつ物の還元用草地を初めとする基盤整備、あるいは家畜排せつ物の処理施設の整備、あるいは、例えば林をつくるとか、そういうことを含めた畜産施設周辺の環境整備、そういったものをメニューとした助成事業を仕組んでおりまして、平成九年度におきましては約四十八億程度の国費を手当てしているところでございます。  一方、一般事業の方におきましても、環境保全型畜産確立対策事業という形でもって、家畜ふん尿の適切なリサイクル利用、処理のための都道府県、市町村における指導でございますとか、一部共同利用の家畜ふん尿処理・利用施設の整備、いわゆる堆肥センターの建設に対する助成、こんなことも行っております。  なお、このほか、個人が家畜ふん尿の処理・利用施設を整備するという意味では、低利融資とかリース事業、こういうことの用意もしてあるということでございます。  こういった事業が相まって、適切な環境保全、ふん尿の処理が進められるということを私ども期待しているわけでございます。  今後とも、私どもとしては、畜産施策における一つの重点課題として、こういったものの充実に努めていきたいというふうに思っております。
  46. 達増拓也

    達増分科員 私のふるさとの岩手県では、昨年、宮沢賢治生誕百年ということで、宮沢賢治が描いた牧歌的な、理想的な農村生活、そういう環境と調和しつつ、先端技術を生かして、また生活の場としても豊かな、そういう農村をつくっていかなければならないということを改めて確認しておりまして、また、それは今日的な、全国的な課題でもあると思いますので、その方向で頑張っていただきたいと思います。  次に、もう少し危機管理的なせっぱ詰まったお話なのですけれども、林業関係で、松くい虫の被害対策について伺いたいと思います。  松くい虫、西日本から東日本の方に飛んできて、北上して今岩手県の南の方でとまっているわけでありますけれども、松くい虫被害地域北上の現況について伺いたいと思います。
  47. 高橋勲

    ○高橋政府委員 松くい虫の被害は、西日本を中心に昭和四十年代後半から急増いたしまして、昭和五十四年度に二百四十三万立方メートルとピークに達しております。その後減少してきているのですが、被害の北上の状況でありますけれども昭和五十四年度に岩手県、五十七年度に秋田県において新たに発生しておりまして、現在では北海道、青森を除く四十五都府県で発生しております。  その北端の県であります岩手県では、県の中央部の北上市周辺、それから秋田県では、県の北西部の男鹿市周辺まで被害が発生しております。
  48. 達増拓也

    達増分科員 松くい虫被害対策特別措置法、これは五年ごとに見直して改正を続けて、今回、期限切れに伴いまして森林病害虫等防除法というものの中に組み込まれてまた見直しされたわけでありますけれども、今現在、特に最前線地域をこれ以上北上させない対策を中心に、どのような対策実施されているのか伺いたいと思います。
  49. 高橋勲

    ○高橋政府委員 松くい虫の被害平成七年度にはピークの四割程度までに減少してきたわけでございます。しかしながら、なお百万立方メレトルという水準で推移しているわけでありまして、一たんこの被害が軽微になりましても、またそれが気象条件等によりまして再発するというふうなこともあります。このために、本年三月に、松くい虫被害対策特別措置法を廃止しまして森林病害虫等防除法の改正を行ったところでございます。  今後、この改正した森林病害虫等防除法に基づきまして、対策を講じる松林の範囲を限定して、重点的にそこに対策を講じる、それから特別防除とか特別伐倒駆除、樹種転換等の防除の推進、被害木の早期発見のための対策、特に最先端、北端にあるようなところではこの早期発見というふうなことが大事でございますし、感染源を除去するというふうなことのための森林の適切な整備を推進するということで総合的な対策実施し、激しい被害のさらなる抑制と再激化の防止を図ることによりまして、被害の終息が早期に図られるように最善を尽くしてまいる所存でございます。
  50. 達増拓也

    達増分科員 それでは最後、水産業関係質問をさせていただきたいと思います。  全国的にも漁村の生活はかなり厳しいものがありまして、例えば岩手県の場合でも、漁業従事者の所得というのは農家やあるいは勤労者に比べましてまだまだ顕著に低いということがあるわけであります。  そういう中で、国産水産物と輸入水産物の間の競争が国内水産物にとってはなかなか厳しい状況になってきている。ただ、そういう中で未来に向かって展望が開けてくるような動きといたしまして、地域ごとに、例えば岩手であればアキサケがそうなのですけれども、市場も開拓して、販路の開拓もあわせて、また高度化した漁業を進めてブランド化等の努力をして、その売り上げを伸ばそうという努力が地域に出てきているわけであります。  その辺、まず最近の国産水産物と輸入水産物の間の競争の状況と、そういう中で地域のそうした努力を応援する地域水産物高度化推進圏形成事業はどういう感じで進んでいるか伺いたいと思います。
  51. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 まず、水産物の輸入の状況でございますけれども平成八年の水産物の輸入状況を見ますと、数量ベースでは、魚粉が一昨年非常に輸入がふえたということの反動もございまして約三割方減少したということで、数量は七年ぶりに前年を下回っておりますけれども、金額ベースで見ますと、前年比一一%増の一兆九千億近くとなっておりまして、近年、全体として増加傾向にございます。  この背景といたしましては、エビ、マグロ、カニ、サケなど国内水産物だけでは消費者のニーズを満たすことができないということもございますし、さらに、供給の安定性でありますとか大きさ、品質などの均一性というような面で、量販店でありますとか水産加工業者がこれら輸入水産物を扱いやすいというようなことで扱っているということも一つの原因であるわけでございます。  しかし、他方、国産水産物でございますが、輸入水産物にないメリットがありまして、例えば消費地、消費者へ距離が近いということがございますし、さらに、鮮度が高い、国民に根強い信頼感、安心感があるというようなこともございます。したがいまして、今後国産の水産物が輸入水産物に対抗するためには、このような利点を生かしました、言うなれば、鮮度、信頼感での利点を生かしました努力を一層進めていくことが必要だろうというふうに考えているわけでございます。  このようなこともございまして、先ほど言われました地域水産物高度化推進圏形成事業というのがございますけれども、これは、複数の漁協が広域的な協力体制をとりまして、原料供給でございますとか選別、加工等の役割を分担しながら、生鮮及び加工品につきまして一定の品質、数量を確保する。さらに、地域としてのブランド化の推進でありますとか、販路開拓に向けました人材育成等の取り組みを支援するものでございます。  今後とも、このような事業の推進によりまして国産水産物の競争力の強化を図っていきたいというふうに考えております。
  52. 達増拓也

    達増分科員 国産水産物の競争力強化、特に国内の消費拡大という側面につきましては、水産物消費改善総合対策事業という一億円規模の事業もありまして、学校給食に地域地域のブランド化を目指しているような水産物を取り入れていくとか、これは地道な作業ではあるのですけれども、やはり水産業についてもビジネスの側面と同時に、生活改善、地域づくりという側面もあると思いますので、そういう観点からさらに頑張っていっていただきたいと思います。  以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  53. 上田清司

    ○上田主査 これにて達増拓也君の質疑は終了いたしました。  次に、仙谷由人君。     〔主査退席、草川主査代理着席〕
  54. 仙谷由人

    仙谷分科員 きょうは諌早干拓問題を中心に、農林大臣あるいは農林省にお伺いをいたしたいと思っております。  初めに、大臣、国営干拓事業というものがずっと続けられてきたわけですが、どうも少々検討してみますと、この事業はほとんど建設国債、国の一般会計から、建設国債で調達したものが特別会計に振り込まれて使われている。それから、地元負担分といいますか、県の負担分というのはこれまた運用部資金が利子つきで使われている、こういうことですよね。そうだとしますと、相当高利回りの部分もある利子つきの借金で、つまり将来世代の負担でこの農業土木、干拓事業というものが行われているという事実は覆い隠せないと思うのですよ。  そういう国民の税金、血が出るような思いをして払った税金の使い方の問題である。あるいは建設国債まで、あるいは政府の運用部資金まで使って、利子つきのお金でつくっている事業である。ここは、農林省の関係者大臣に緊張感を持って考えてもらわなければならない問題だと思うのですよ。何か、もう決めてしまったからずっとやるとか、農林省の技術者を食べさせるためにやるとか、そういう評判が出るような事業であっては困る、こう思うのですね。これが第一点です。  そこで、まずお伺いするのですが、この諌早干拓事業、今まで使ったいわゆる事業費、特に土木と言われる事業費、この事業費の受注企業のうち農林省のOBがおる企業が受注したのが何%ぐらいで、もう一つ、社団法人土地改良建設協会九州支部という団体に所属している企業が受注したのが全部で何%か、これをお答え願います。     〔草川主査代理退席、主査着席〕
  55. 山本徹

    山本(徹)政府委員 私ども干拓事業についても、貴重な国民の税金を使っておるという点から、緊張感を持って効率的な実施に努めており、かつ、事業効果を早期発現し、未来永劫に利用できる農地の開発、また、諌早につきましては、高潮洪水の防止という非常に長い間の地域住民の悲願であった事業を効率的に実施するために推進しておるわけでございます。  今、建設業者に農林水産省の農業土木のOBが何人在籍しておるかという御指摘でございますけれども農林水産省の職員の再就職につきましては、国家公務員法に基づいて適正な手続により行って……(仙谷分科員「問いにちゃんと答えなさいよ、そんなこと聞いていないでしょう」と呼ぶ)はい。農林水産大臣承認により再就職している者は十四名でございまして、その建設業者の受注件数は四十三件、受注額は三百十四億円でございまして、平成四年から八年までの数字でございますけれども、この工事の発注件数の三三%、発注額の三七%でございます。  それから、二番目の、土地改良建設協会九州支部の会員である建設業者が工事の受注額の何%を受注しているかという点でございますけれども、これは諌早湾干拓事務所で平成四年度から八年度までに発注した工事の件数でございますけれども、百二十九件、発注金額は八百四十三億円、このうち同協会の九州支部の会員の受注件数は七十九件、六一%、受注金額は七百三十一億円、八七%でございます。
  56. 仙谷由人

    仙谷分科員 局長、農林省から、この間の工事発注関係を、受注業者と発注金額を出せと言ったら、一覧表をくれました、四年から八年まで。それを累計しますと、私のところの累計では五百七十二億八千二百万。それで、私が先ほど質問をした土地改良建設協会九州支部に加盟している業者が受注したのが五百六十三億一千万円、九八・三%じゃないですか。どうして私にでたらめな資料を渡すのですか。それともあなたの方の計算が間違っているのですか。  時間がないからもう一つ聞きます。  それで、協会加盟でOBを受け入れている企業、これの受注率は九三・三%になりますよ。総額で五百二十五億四千五百万円。改めて、予算委員会のときにおたくから開示された「全国農業土木技術者名簿」、受注企業について何人おるか全部調べました。もう一つ言うと、十億以上の受注ができておる会社はほとんどが十人前後おるじゃないですか、農林省のOBが。専務から始まって、大概は九州地方農政局出身の職員がおって、各会社の支店の営業部長とか支店長とかになっているじゃないですか。そういう実態をどうしてそういう数字でごまかそうとするのですか。  私の今指摘した数字が誤っているかどうか答えてください。つまり、おたくからもらった資料をもとにOBがおるかどうか調べ、土地改良建設協会に加盟しているかどうか調べた。それだけの単純な話なんですよ。
  57. 上田清司

    ○上田主査 局長、答弁は簡潔に。
  58. 山本徹

    山本(徹)政府委員 ただいま御説明しました再就職者は、過去五年以内に退職し、人事院協議または大臣承認を受けて関係業界に就職した者を把握できたその範囲で集計したものでございます。したがって……(仙谷分科員「そんなこと聞いていないと言っているでしょう」と呼ぶ)(発言する者あり)
  59. 上田清司

    ○上田主査 静粛に。  再度お願いします。局長。  質問者も静かに。
  60. 山本徹

    山本(徹)政府委員 ただいま御説明いたしました数字は、農水省で把握している再就職者として、過去五年以内に退職し、人事院協議または大臣承認を受け関係業界に就職した者でございます。それで、ただいまの御指摘諌早湾干拓事業についての工事でございますので、九州農政局管内の再就職者に限り集計したものでございます。  先生の御指摘数字と異なりますのは、これは再就職後五年以上経過した者あるいは途中で入社した者等、私ども把握できない者がございますので、このような数字が異なる結果になったものとなっておりますが、いずれにいたしましても、協会名簿の詳細につきましては農林省として承知いたしておりませんので、そのような結果、過去五年という範囲で明確になる者を対象に御説明させていただいております。
  61. 仙谷由人

    仙谷分科員 ということは、純粋の農林省のOBが、五年以内であろうとなかろうと在籍している企業が、私が申し上げたような九〇%を超える九三・三%。これは、三菱重工が農林省のOBを採っていないから、三菱重工が大きい水門工事一つとっているからこういうふうになっているわけですが、これを除くとほとんど九八%ぐらいなんですよ、毎年、三菱重工の受注の年を除くと。こういうことになっている。  それで、全部土地改良建設協会九州支部に入っている。見方によれば、この土地改良建設協会九州支部に入れていない企業、入っていない企業はほとんど参入機会が与えられていない。もっと言えば、この協会で調整をしておるのではないか、分け取りをしておるのではないかという疑いすら生まれていますよ。  大臣、この社団法人土地改良建設協会、各農政局に対応して支部があるのですね、開発局と。それで、大手を中心に地場企業まで排除するような団体ですね。それで、九五%を超える受注をするような社団法人ですね。どこに公益性があるのですか。直ちにそういうのは解散を命ずるように検討を始めてください。
  62. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 これまで予算委員会等を通じまして委員からいろいろ御質問がございました、そういう種々の一環の御質問だと思うわけでございます。  私どもがいろいろ調べてみましたところ、この土地改良建設協会九州支部というのは九州地区の大手、中堅建設会社を会員として構成されておりますので、ほとんどの大手、中堅建設会社はこの土地改良建設協会九州支部に入っておる、こういう状況でございます。したがって、受注をしたその率は、会員にほとんどの大手、中堅会社が入っているわけでございますから、勢いそのパーセントは非常に高くなると思います。  ただ、工事の契約については、透明性、公平性というものはこれは当然のことでございますから、そのようなことは我々といたしましても十分指導していかなければならない、そういう問題だと思っております。
  63. 仙谷由人

    仙谷分科員 こういうある種の狭い仕切り、そして全部、OBが十人前後存在する、こういうところで干拓事業を初め農業土木の世界は受注、発注が仕切られているというのが、これが金額の高どまりをするというのを予算委員会のときも申し上げましたね。ここから手をつけない限り、大臣がおっしゃるような農業土木の適正化もできなければ、農業土木自身が自己目的化してまだまだ走ると私は思いますよ。そんな現状肯定的なお考えで、この今の財政の中央も地方も破綻的状況にある状態を乗り切ることはできないと思います。  質問を変えます。  国営干拓事業については、昭和五十五年に会計検査院が決算検査報告というのを出しているのを御存じですね。その前段階に、事務次官が、昭和四十四年開田抑制政策、開田抑制についてという通達を出していますね。平成九年二月の大規模な農業基盤整備事業に関する行政監察結果に基づく勧告によると、四十四年時点干拓事業のあり方を見直す必要があったんだということを言っておるのです。ところが、ずるずると見直さないできた。  そしてこの五十五年の決算検査報告でも、他転十七地区。他転というのは、事業中にはかの目的に変えてしまった、つまり、農業改良事業干拓事業農地造成事業でやっているのに、完成時には農地でなくなってしまった。  次には、転用地区が十三地区もあった。転用というのは、完成してから他用途に転用した、農地でなくしたというのがありますね。  それから、廃止土地区。未配分三地区。休止、これは羊角湾と佐賀のことのようですが、こういうものもある。  それから、実施中のものも、営農計画とか何とか、見通しが立っていない、あるいはいつ見通しが立つのかわからないと昭和五十五年で言われています。  いいですか。全部足しますと、当時の昭和五十五年段階で、百八十三地区のうち四十九地区が何と今の問題のある干拓事業ですよ、二七%です。面積に直すと、五万二千五百二十八ヘクタールのうち一万百九十七ヘクタール、一九%です。事業費に直すと、当時は全体として金額が小さかったのですね、全体として事業費が二千五百八十七億円のうち千三百四十二億円、五二%分が問題ありと指摘している部分なんですよ。  その後、そのときに問題ありというふうに指摘されたものが当然のことながら引き継がれて、羊角湾だ、佐賀だ、笠岡だ、中海だ、木曽岬だ、河北潟だと、これは全部、今残っているわけです。ずるずるやってきた。  これはさっき冒頭に申し上げましたけれども、国民の税金を使い、国民に借金をした格好でやらせたものが死屍累々たるこういう状況になって、農林大臣、現時点で何らかの反省とか国民に対する釈明とか弁解というのはございませんか。いや、大臣に聞いているのです、これは。
  64. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 干拓事業の問題は、我々としては、やる気のある農家の育成と優良農地を確保していく、これは我が国農政の基本的な課題であると考えておりまして、優良な、平たんな、生産性の高い農地をつくっていくための重要な政策の一つだと、干拓事業はそういうものだというふうに考え、今までこの事業を進めてきておるわけであります。  ただ、いろいろ申されましたように、この干拓事業というのは非常に長い時間をかけて計画し取り組んでくる事業でございますから、その事業を進めている段階において、社会情勢、経済情勢が変化するということもこれまた事実であります。国民の税金を使い、大規模な工事を進めていくわけでございますから、この他用途利用ということについては慎重に考えながら、その地域の状況に応じて他用途利用する場合にもそのように進めておる、こういうわけであります。  また、この行監、会検からの指摘、勧告については、要約すれば、環境に十分配慮をしながら、営農計画、土地利用計画をつくって有効に利用しろというのが行監また会検からの指摘でございます。それは至極当然のことでございまして、我々としても、そのことについてはこれからも十分に配慮をし、この計画を進めていきたいというように考えております。
  65. 仙谷由人

    仙谷分科員 全然反省がないということじゃないですか。私は諌早の問題はまだ聞いていないのですよ、行監の問題でも。  国営干拓事業全体がこんなに死屍累々たる状況になってきておるのに、そしてそれは国民の血税を使い、建設国債を使い、政府運用部資金、財投資金とあなた方が言っている金利のついた金を使っているのに、こんな状態になって何の反省もないのかということを聞いているのです。反省がないというのだったら結構です。  それで、今おっしゃった社会情勢とかなんとかという話は、経済情勢、社会情勢、当たり前じゃないですか。昭和五十五年のときからそれを考えてやりなさいと言われているのに、十七年もたった今でもそのことに頭がいっていないということをこの諌早湾は示しているだけなんですよ。  具体的に聞きますけれども営農計画をつくるについて五十八年に、五十二年から五十七年までの諌早市周辺の中核農家について県が調査をして、それを農政局が机上で算出して営農計画をつくったというふうに言われていますね。そうですね。──はいうなずきましたから。そこで、次に六十一年の五月には中核農家五百戸に対する調査をした。それで五九%が希望しないという結果があったにもかかわらず、いいですか、六十一年の五月の調査で六割もが希望しないという結果があったにもかかわらず、六十一年十二月二日に事業計画を決定した。こういうことになっておるのですね、諌早湾は。  その後、事業計画決定から、行監局の監察は平成七年から始まって平成九年の二月に勧告が出ていますが、その間に、行監局のこの監察結果の報告書によれば、中核農家は半減した、ここだけ書いてあるのです。  そこで、私がお伺いしたいのは、まず、中核農家というふうに言われておる人たちの、この間の耕作を放棄した土地の面積農地面積、減反で現在耕作をしていない農地面積、減反になったけれども転作をしている土地の面積、これをちょっと教えてください。なるべく直近の資料の方がいいです。
  66. 山本徹

    山本(徹)政府委員 耕作放棄面積、これは諌早湾干拓事業の周辺一市十町の数字でございますけれども、九百四十九ヘクタール、これは一九九五年の農業センサスによります。でございますが、こういった地域をつぶさに眺めてみますと、この周辺は平たんな地域が非常に少ない、中山間地域がございまして、耕作に条件の不利な地域でございます。そういった地域でございますので、諌早湾干拓によりまして、平たんで生産性の高い農地で効率的な、近代的な農業経営を実現したいという大変多くの農業者の希望がございます。  先ほど六割とおっしゃいましたが、逆に四割は、そういった規模拡大、効率的な経営の担い手として頑張っていきたいという農家がおられます。担い手は、確かにこれは大規模化等によって減っておりますけれども、私ども、千五百ヘクタールの農地について、野菜あるいは畜産等で十分効率的な農業経営を実現していただけるという見通しを持ちながら実施しており、また県の方でも、これは農業公社で一括して買い受けまして、効率的な事業実施していただくための中核的な担い手あるいは農業法人経営者等にリース方式でも実施するというような試みを考えておられまして、ここで先進的な、全国に誇れるような生産性の高い農業経営を実現するという構想のもとに事業を進め、この営農計画については着々と具体化を進めております。  減反面積につきましては、これは一市十町の平成八年度の県からの報告によりますと、全実施面積は千二百九十二ヘクタール。このうち、主要な作物は、野菜が三百九ヘクタール、麦二百十二ヘクタール、飼料作物二百六ヘクタール、大豆六十三ヘクタール等、大変多彩な作物で転作を達成しておられます。
  67. 仙谷由人

    仙谷分科員 今不必要なことをいっぱいおっしゃったけれども、少なくとも、客観的な事実の上では、放棄が九百四十九ヘクタールで減反が千二百九十二ヘクタール。要するに、あなた方が干拓地でつくろうとしている農用地は千四百七十七なのに、現在、減反とか放棄で、旧来の農地で使われなくなっているのが二千二百五十ヘクタールある、こういう数が出ているんですよ。  そうすると、放棄とか減反で、農政の失敗なのか方針なのか知らぬけれども、それで、農地として現在存在するけれどもこれが使われないで、ある土地はそのまま放棄しておいて、新たに国民の税金で、いいですか、これからまだ一千億強もかけてこんなことをやろうとしているという話になるんですよ、この話は。  今あなたがおっしゃった、せんだってまでは自給率の問題を言っていた。それで、野菜は、タマネギ、バレイショ、レタス、ニンジン、こう言っている。酪農経営は、あなた方が五十八年につくつた営農計画によると、四十二戸、平均八・〇ヘクタール、全部計算すると三百二十ヘクタールありますよ、これは単純計算で。長崎県の高田知事がきのうの毎日新聞のインタビューで何と答えているんですか。今は酪農は難しい、できないと言っているじゃないですか。じゃ、三百二十ヘクタール必要ないという話になるじゃないですか。  一方では、九州農政局長の菱沼さんという人は、これは朝日新聞に出ているんだけれども、「当初の営農計画はあるが、あんなものをいま出したら笑われるので、見直している」。今もあなた方おっしゃった、リースがどうのこうのというのは、見直しているというんでしょう。物事反対じゃないですか。  営農計画で、土地利用と農地の利用、営農の確実性について、土地利用の確実性について確認しつつというふうに書かれているんじゃないんですか、行政監察は。これは監察結果が出てから確認したんですか。あるいは、先ほどの局長の答弁を聞いていましても、農業センサスの数字しか出てきていないわけだ。具体的に、中核農家でだれだれが規模拡大をして、こういう営農を、農業を営みたいという調査をいっしたのか。していないのだったら、するまで中止しなさいよ、こんな事業は。国民の税金がもったいない。
  68. 山本徹

    山本(徹)政府委員 先ほど、転作面積及び耕作放棄面積を使われていない面積とおっしゃいましたけれども、先ほど御説明申し上げましたように、この地域では、野菜、飼料作物、麦、大豆等で、大変立派な成果をこの転作で上げておられる農家がたくさんおります。  それから、耕作放棄地は、先ほど申し上げましたように、条件の悪いところでございます。条件の悪いところがだんだん、効率的な農業経営ができないということでそういう状態になっておるわけでございまして、農業の担い手は、干拓地のような平たんで面積が大きい効率的な農業経営のできる土地を大変強く求められておりますので、これから二十一世紀に向けて希望のある農業政策を展開するためには、こういった地域において先進的な農業を実現していただくということを私ども進めてまいる必要がございます。  それから、バレイショ、レタス、それから酪農、肉用牛等でございますけれども、これは六十一年に策定したのを現時点で引き直して、私ども、これは経営として成り立つという検証をいたしておりまして、局長の発言もございましたけれども、これは、例えば六十一年時点に比べて、例えば酪農でいいますと、搾乳量が品種改良等によりまして当時六千キロが現在は八千キロ、約四割搾乳量が増加しておりますし、バレイショ、タマネギ等も、当時に比べて販売金額が一、二割増加しております。逆に、資材費も上がっているものもございますし、そういった当時の価格を現在時点の価格で引き直して、経営として成り立つかどうかということを検証しております。  私ども長崎県、この地域を中心とした農業者の御意向をさらに具体的に把握しながら、これからこの地域で効率的な、二十一世紀に向けて、食糧危機と言われ、また日本の自給率が大変低い状況の中で、模範的な農業経営を実現すべく、営農計画の具体化に全力を挙げてまいります。
  69. 上田清司

    ○上田主査 一分に限り許します。
  70. 仙谷由人

    仙谷分科員 営農計画を具体化してから事業をやらないといけないということを改めて申し上げておきます。  それから、自給率の問題ですが、バレイショとかニンジンとかレタスとかタマネギを挙げていますけれども、これは、日本の自給率は全部八〇%以上ですよ、言っておきますけれども。  菱沼局長が、こんな計画を今出したら、今言ったら笑われると言ったこの計画は、まさに絵にかいたもち、机上の空論でしかないということです。そういう営農計画にのっとってあなた方が事業を自己目的化してやっているのがこの事業だということを再度指摘しておきます。  終わります。
  71. 上田清司

    ○上田主査 これにて仙谷由人君の質疑は終了いたしました。  次に、一川保夫君。
  72. 一川保夫

    一川分科員 新進党の一川保夫でございます。  私は、農林水産省に対しまして、今日話題になっておる事柄につきまして、基本的な問題について確認をさせていただきたい、そのように思っております。  最近、マスコミ等を通じて大変にぎわっておりますけれども、政府におかれましては、財政構造改革会議の中でいろいろな議論がされているわけでございますけれども、この中にあって、特にウルグアイ・ラウンド対策の扱いということが当面の重要な課題になりつつあるというふうに認識いたしておるわけでございます。  私自身、毎週地元と往復いたしておりますけれども、生まれ育ちも現在住んでおるところも農村地帯でございますが、最近そういった、地方の農村に住んでいる方々なりまた農業に従事している皆さん方のいろいろな思いというのが非常に揺れ動いているというのが正直なところだろうというふうに思っております。  それはやはり、従来からいろいろ批判されていますように、農政は猫の目行政じゃないかというような言い方もされておることもございまして、そういう中にあって、ウルグアイ・ラウンド対策というものがスタートする時点では、いよいよ農業というものも国際化の時代に入ってきたという中にあって、我が国の農業なり農村というものをしっかりと体質を強化したり、あるいは構造を改革していく、農村を活力あるものにしていくという多くの方々の合意のもとでこの対策がスタートしたことは間違いないというふうに私は思います。  そういう中にあって、今日のいろいろな情勢の変化の中で見直しをせざるを得ない状況下にあるということも、これもまた事実だというふうに思いますけれども、私は、ウルグアイ・ラウンド対策というものが、どうも金額が余りにも先走り過ぎているのではないかという感じを持っております。六兆百億円という数字が、何かあたかも、何年かすると個々の農家の方々にその恩恵がすべて行き渡ってくる、素朴な農家の方々はそういうふうに思っている方もいらっしゃいます。しかし、今、このラウンド対策がスタートして既に二、三年経過した中で、正直言って、果たして今まで投資した金はどこに費やされているのだというような疑問を持っている方もいらっしゃるというふうに思います。  私は、このウルグアイ・ラウンド対策というものが、金額に余りこだわり過ぎると本来の対策のねらいというものがぼやけてしまうというふうに思うわけです。  基本的には、先ほど言いましたように、我が国農業の体質を強化する、また農村に活力を持たせるということであれば、次のラウンド交渉の段階までにやはり国際化に耐え得るような体質に持っていくということであれば、このラウンド対策期間中、平成十二年が一応最終年というふうに言われておりますが、それまでに、我が国の農業なり農村というものをどういうレベルにしておくのかというところがちょっと見えてこないんです。  まず、そのあたり、ちょっと大臣の見解をお聞かせいただきたいんですけれども、いかがでしょう。
  73. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 非常に基本的な問題の御指摘でございまして、我々といたしましても、ウルグアイ・ラウンド農業合意を受け入れました際に、代償措置として対策費というものを、六兆百億、六年間、そういう内容を政府で決めたわけです。  その目指すところは、一つには、新たな国際環境のもとで我が国農業が成り立つような足腰の強い農業をつくっていく。具体的には、やはり農業に携わっておられる方々が誇りを持って農業に携わることができるような農業をつくっていこう。二番目には、生産力を維持強化していかなければならぬ。三番目には、消費者に対しましては良質で安い安全な食糧を提供しよう。四番目には、住みやすく活力に満ちた農村地域をつくっていこう。  こういうことがウルグアイ・ラウンド対策を決めましたときの基本的な考え方でございまして、その線に沿って六年間この事業を推進していくことによって、そういう我が国の農業を実現しよう、こういう考え方でございます。
  74. 一川保夫

    一川分科員 基本的にはそういうお考えだというふうに私も思います。  その中で、平成十二年が最終年になるわけですけれども、このラウンド対策期間中に少なくともこういうレベルまでは持っていきたいというものが、やはりある程度具体的な説明なりそういうものが国民の皆さん方に理解されないと、ラウンド対策の予算というのは何となく過保護じゃないかとか、あるいはむだに使われているのではないかとか、そういうような言い方になってしまうわけですね心  ですから、今農村に住んでいる方々にそれなりに自信と誇りを持ってもらうためにも、また具体的に、農業に従事している意欲のある方々にも将来に向けて夢を持ってもらうためにも、このようないろんなラウンド対策議論というのは、本当に日本の農業の姿、農村のそういう状況を、少なくともこの期間中には最低限この姿まで持っていきたいというようなものをやはり農林省の方からしっかり示していただきたい、そのように私は思うわけです。  そうすることによって、金額はその次だと私は思うのですね。そういうものが達成できれば、多少金額の多い少ないはあったとしても、少なくともこういう状態に持っていくというものがしつかりと農林水産省の方から示されれば、それなりの意欲を持って取り組むという格好になるのではないかというふうに私は思うのですけれども、そのあたりいかがでしょうか。
  75. 堤英隆

    ○堤政府委員 基本的な考え方は大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、御指摘のように、この事業につきましても、できるだけ国民の皆様の御理解をいただいた形で実施していくということが何よりも重要というふうに思っております。  特に、先生御指摘のように、二〇〇〇年にはウルグアイ・ラウンドの再交渉ということを控えているわけでございますので、そういう意味で、国民の基礎的な物資であります食糧につきまして、できるだけ国民の世論を、何といいますか、余り分裂させないでコンセンサスができる、そういうためにも、このウルグアイ・ラウンドの実施の必要性なり目的、そういうことがはっきりわかっていただくような形で私どももこれから努力したいと思います。  ただ、現実問題としまして、公共事業であれその他の事業であれ、事業実施期間を非常に短縮化するとかあるいは基幹的な加工・流通施設をつくるとか、そういう形で、それぞれの地域におきましては、生産性の向上あるいは労働時間の減少ということにつきましてかなり明確な形では出ておりますが、こういったものが全国にすべて、この五年間、六年間で数字的に出るかというと、なかなか出ない、できにくい面もあることも事実でございます。  しかしながら、今御指摘のような形で、できるだけ国民的な御理解を得べく、各地域におきまして、それぞれの事業の進度あるいは達成の状況に応じて、こんな形で生産性が上がり、あるいは所得の機会がふえたというものにつきまして、これからも意を用いてまいりたい、努力してまいりたいというふうに考えております。
  76. 一川保夫

    一川分科員 各都道府県、市町村も恐らくそうだと思いますけれども、それぞれの地域においては、このウルグアイ・ラウンド対策期間中には少なくともこういう水準まで持ち上げたいというようなことを、国全体の姿はちょっとわかりませんけれども、その地域は地域なりにいろんな工夫を凝らして地域の皆さん方に説明しようとしているというのが今の実態だろうというふうに思うわけです。  そういうことであればなおさらのことなんですけれども、御存じのとおり、例えば農業農村整備事業一つ取り上げてみましても、今、きょう言って来年できるというものでもありません。やはり、今整備が割とおくれている地域というのは、いろんな権利調整なりあるいはまた地形条件なり、そういった自然的な条件も含めて非常に難しい地域が残されているわけです。そういう中で合意形成を図って事業に着手しようとすれば、世話をする方々も相当の情熱を持って取り組まなければならないということもございますし、また時間も要するということになるわけですけれども、今、この対策がスタートして二、三年経過した中で、この期間中にこういう重要な地域の仕事に今かからないと完全に立ちおくれてしまうという中で、いよいよやろうというような機運が今ようやっとできつつあるというようなところも結構多いと思うのです。  そこへもってきて、今こういった全体の農業施策の中でのウルグアイ・ラウンド対策費を、あるいは縮小するなり延期するなりというような議論が出てきたときに、そこのところをどうやって皆さん方に納得していただくかということが非常にまた難しい時代になりつつあるわけです。また、下手にすると意欲をなくしてしまうという危険性も十分はらんでいるわけです。  やはり農林水産省としましては、それぞれの都道府県なりからお聞きすればわかると思いますけれども、これまでにそれだけの精力を費やして取り組んできたプロジェクトなりいろいろな施設なり、あるいはいろいろな営農体系なり、そういうものについてきめ細かな調査をした上で、本当にこれまで熱心に取り組んできたところに対しては、計画どおりにその仕事が進むように面倒を見てあげるべきだというふうに私は思います。  また、新たにこれから着手するようなものがあるとすれば、そのあたりはある程度見直しをかけていくということも当然だろうというふうには思いますけれども、もう既にスタートしているところ、そういう地域の話し合いが進んでいるところについては、やはり農林水産省としても責任を持ってそれを支援していくというようなスタンスが当然あっていいと思うのですけれども、そのあたりの御見解はいかがでしょうか。
  77. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 ウルグアイ・ラウンド対策事業もほぼ三年たっわけでございまして、その事業実施状況、また地域における実態等については十分に検証しながら、私どもとしても、必要な事業はこれからもぜひ推進していかなければならぬ、かように考えております。
  78. 一川保夫

    一川分科員 具体的なお話でちょっと確認させていただきますけれども、農業関係の皆さん方も含めて地域の方々からよく聞かれる問題で、ウルグアイ・ラウンド対策費は従来の農業予算の別枠かどうかというようなことがよく言われます。そのあたりは、端的に言ってどういうことなんでしょうか。
  79. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 当初のいきさつ、御承知のように政府・与党口頭了解でございますけれども、このラウンド対策費については政府予算とは別枠で配慮する、こういう口頭了解はございます。私は、それは今も生きておるというふうに思っております。
  80. 一川保夫

    一川分科員 これまでそういう考え方で取り扱ってきたということであれば、今現在、先ほど言いましたようないろいろな議論がされておる最中でございますけれども、では、今後具体的な予算手当てのいろいろな手法の問題もあろうかと思いますけれども、このラウンド対策費というものは本来の農林水産省の予算の別枠的な扱いとして従来どおり取り組んでいかれるという、そのあたりのお考えはいかがでしょうか。
  81. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 先ほど申し上げましたような経緯からいたしますと、ラウンド対策費が農水予算と別枠で処理されるということについては、このスタートの経緯を考えれば、そのようなことが期待できると思っております。
  82. 一川保夫

    一川分科員 そういう期待感が非常に強いわけですから、ぜひ今大臣がお述べになったような趣旨で、当初の国民なり農業者、関係者の皆さん方にお約束したことをしっかりと守っていただきたいというふうに基本的に思っております。  ただ、私は、先ほどもちょっと言いましたように、余り金額のことでごたごた話題になり過ぎると、何かそのことだけで物事が処理されてしまって、本来の我が国の農業のあるべき姿、農村のあるべき姿というものを忘れてしまう。やはり、ある一定の時期までにはこういう水準まで持ち上げたい、こういうレベルに持ち上げたいということであれば、その目標に向かって国民の合意形成を図る努力をすべきだというふうに思っておりますし、また、そうすることによって、農業にこれから意欲を持って取り組もうとする人たちの大きな励みにもなるというふうに思います。  私たち農村に住んでいまして、農村に住んでいる方々なり、これから農業をやろうとするような方々の一番の不安感というのは、何となく国民全体の世論のバックアップがないということに対する不安感、それが仕事に対するやりがいにもつながってくるわけですけれども、若い夫婦が厳しい中で農業に取り組む、それなりの使命感を持ってやっているわけですけれども、そういう人たちに生きがいといいますか、仕事に対する誇り、自信というものを植えつけるためにも、やはり国民全体のそういうコンセンサスというものをしっかりととりつけるということが非常に大事なことではないかというふうに思っております。そのために、やはり当然農林水産省が中心になって、そういう国民全体の世論づくりということにもっともっと力を注ぐべきではないかというふうに思っております。  そういうことを基本に思うわけですけれども、今農林省でもう一つ大きな仕事として取り組んでおられる中に、農業基本法の見直しの問題が一方であるわけでございます。この作業もできるだけ早くということを大臣の方からも農林水産委員会等でお聞きしておるわけですけれども、こういう作業と、現在のウルグアイ・ラウンド対策のいろいろな動き、こういうものとはどういう整合性を保っていくかというのが今いろいろな話題になって、ウルグアイ・ラウンド対策実施期間を延ばすとか延ばさないとかいう議論も出てくると、今農林省がいろいろ調査会の中で議論してもらっている農業基本法にかかわる基本的な我が国の農政の問題とはどういうふうなかかわりになってくるのか、そのあたりを御説明願いたいと思います。
  83. 堤英隆

    ○堤政府委員 農業基本法につきましては昭和三十六年にできたわけでございますので、三十六年間の社会経済情勢の変化、先ほどから先生御指摘のように国際化の大きな進展、そういうことを踏まえて、二十一世紀に通用いたします、国民的な合意形成を受けた形で新しい農政を展開したい、そういう気持ちでやっております。  したがいまして、現在ガット・ウルグアイ・ラウンドの合意という新しい国際規律のもとで、先生おっしゃっておりますように、農業としては体質の強化、それから農村地域におきます活性化、こういうことについての事業を今一生懸命やっておるわけでございますので、その延長線上において二十一世紀におきます新しい農政のあり方ということはつながっていくというふうに思っております。道筋は大きく違っていない、大きな方向としては合っているというふうに思っています。  それだけに、六兆百億円という言葉が出ておりますけれども、ウルグアイ・ラウンドの対策を着実に実施をするということによって、生産性の高い、足腰の強い農業の育成ということと地域としての活性化、そういうことをできるだけ引き出していく。このウルグアイ・ラウンドの対策実施ということとその効果ということは、二十一世紀におきます新しい農政の展開につながっていく。そういう認識で、基本法の農政の見直しとウルグアイ・ラウンドの対策の着実な実施ということに私ども心がけていきたいというふうに思っております。
  84. 一川保夫

    一川分科員 私は、基本的に、農業を中心にした一次産業というのは、我が国全体の経済活動、産業活動の中では非常に効率の悪い部分であるというふうに認識いたしておりますけれども、効率が悪くとも世の中に必要なものというのはたくさんあるわけでございまして、そういう面では、私は、この農業なり林業、水産も含めて、こういう一次産業に類する産業プロジェクトというものは余り効率というもので議論をするということではなくて、やはり国民にとって何が大事か、何が必要か、地域にとって何が必要かということを尺度にしてもっともっと議論をしていただきたい。そういう中で公的な援助なり助成が必要であれば、やはり国民のしっかりとした合意形成の中で支援していくという基本的なスタンスをぜひ農林水産省の方にとっていただきたい、そのように思っております。  ちょっと話題を変えますけれども、先ほどの委員の方からも質問がございました、諌早湾干拓事業というものが最近非常に話題になってまいりました。今まで干拓事業というものを全然知らなかった国民なり、諌早湾というのはどこにあるかということも知らない国民もたくさんいらっしゃったと思いますけれども、今回のこの話題で、そういう場所なり事業の中身ということについていろいろとそれなりに関心を持ってきたという面では非常に意味のあることだというふうに私は思っております。  基本的に、こういう干拓事業といいますか国家的な大プロジェクトというのはすごく時間がかかるというのは、これはごく当たり前のことです。事業実施するのにも時間がかかりますし、その事業に着手するまでの準備期間に時間がかかるのも当然ですけれども、そういう中にあって、今、例の四月十四日、排水門を、ゲートを閉めたといった途端にこれが非常に大きな話題になってまいりました。これがなぜこういうふうになるのかというところが非常に腑に落ちない、もっと以前にチェックする段階が幾らでもあっただろうというふうに思うわけです。  この事業、こういうたぐいの事業にしては、環境影響評価的なものを含めて、割と慎重に手続をこれまでとってきたというふうに説明を聞いております。しかも、長崎県を中心に、地域の大多数の方々がこの事業の推進を非常に熱望しておられるという中にあって、今日、環境問題を含めて非常に話題になってきておるわけですけれども、この事業経過の中で大きな計画が三つぐらいあったというふうに聞いております。事業目的なりいろんなものに見直しをかげながら今日の計画になったんだろうというふうに思いますが、そのあたりちょっと御説明をお願いしたいと思うんですけれども
  85. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 まず、この干拓事業目的というものがはっきりしませんと、この事業を推進すべきかどうかということにならないわけでございまして、やはり第一は、優良農地を造成して、長崎県知事がいつも言っておりますけれども長崎は坂の多い地域で平たんな農地が少ない、水もない、干拓事業を進めることによって平たんな農地を確保することと、あの内陸部を、堤防をつくることによって淡水化をして、その水を使いたいという、このことがまずメーンだと思うわけです。  その反射的効果として、水害防災対策実施する。これは、堤防をつくることによって外海からの潮水が入ることを防止し、また内陸部から流れてくる、大体海抜ゼロからマイナス一メートルということでありますから、過去何十年、何百年、雨が降ればつかっておった地域ということもよくわかるわけでございまして、地域の皆さん方からすると、この防災対策農地の確保というものについては非常に希望が強い、こういうことでございます。  そういう地元の要望を十分にくみ上げ、内容については協議をし、そして合意を得てこの事業を進めておるわけでございまして、私どもとしては、この干拓事業はぜひ、いろいろな面で注意しながら実施をしていきたいというふうに考えております。
  86. 一川保夫

    一川分科員 この諌早干拓の計画の内容をいろいろお聞きしますと、当初大変大きな構想があったものを、環境等に対する配慮なり当時の農業情勢の変化なり、もろもろの考えをすべて総合勘案されて今日の計画規模になってきたんだろうというふうに思いますが、私は、この干拓事業というのは、今よくムツゴロウとか底生動物の画像が画面にぼおんと出てきますけれども、もともと海の底なり湖の底の土地をそのまま干し上げて使うというのが干拓の本来の目的だと思うんですね、埋め立てばもろに土を入れていきますけれども。だから、土を入れれば、恐らくそれは、ムツゴロウがいても瞬間的には見えなくなると思うんです。  そういうことと何か議論がごちゃごちゃし過ぎているんじゃないかというふうに思うんですけれども、私はやはり、そういった自然に生成された海の底を、また新たな目的で、我々人間にプラスになるように使っていくということであれば、それはそれで非常に意味のあることだろうというふうに思います。ただ、一方では、当然ながら自然環境なり我々の環境影響がある、悪影響があるとすれば、それは排除しなければならぬというふうには思っております。  特に、この排水門というのは、機械排水、ポンプ排水ということではなくて、その地域の要するに干満の差を利用して、今で言うマイナス一メートルに水準を管理していくということですから、そういう面では、技術をこれから後世にしっかりと伝えていくためにも、今の計画はやはり基本的にはしっかりと推進すべきだ、それがやはり地域のためであり、また我が国全体の国土造成という中にあっても非常に意義のある仕事だろうというふうに私は思います。  そういう面では、今日いろいろと話題になっている問題、批判されている問題、これはこれなりにしっかりとクリアされて国民の皆さん方の御理解を得るというのは当然だと思いますけれども、この事業の本来の仕事の進め方というのは、私はやはりしっかりと計画どおりに進めていくということが非常に大事なことではないかなというふうに思います。今日、公共事業がいろいろと批判されておる中には、計画どおり物事が進んでいかない、所期の目的を達成するのに非常に時間がかかるということが一つの批判の大きなあれでもございますので、農林大臣としまして、この事業について、今後の取り組みに対する決意のほどを最後にお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  87. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 この事業の有効性につきましては委員十分御理解をいただいておられるようでございまして、大変心強く感じるわけであります。  無論、環境問題、周辺対策については十分に配慮することはもとよりでございますけれども、我々といたしましては、地元の長年の悲願である防災対策、また大規模な農地を確保したい、この地元の希望を十分に反映するということが、地方分権の時代、地元の、地方の意見を反映させる、こういう意味におきましても大事なことだと思っておりますし、国全体から見ましても、この狭い国土の中で優良な農地を確保していく、大型の農地を確保していくということは極めて大事な事業だと思っておりますので、これからも十分気をつけながら努力をしてまいりたいというふうに考えております。  ありがとうございました。
  88. 一川保夫

    一川分科員 終わります。どうもありがとうございました。
  89. 上田清司

    ○上田主査 これにて一川保夫君の質疑は終了いたしました。  次に、吉井英勝君。
  90. 吉井英勝

    吉井分科員 私は、日本共産党の九州・沖縄比例ブロック代表の吉井でございます。ですから、きょうは、私の選挙区にかかわる問題について質問をしたいと思います。  まず、日本の農業の現状から少し見ていきたいと思うのですが、米の減反面積は大体三割に及び、長崎県で見ても、九六年の米の作付面積一万七千六百ヘクタールに対して減反面積は六千八百九十ヘクタール、作付の三九%に相当する、減反率で二八%という状況です。ですから、米がつくらせてもらえない。  そこで、野菜はどうかということを見ていきますと、八〇年代と違って輸入が急増しているというのが今日の状況です。例えば、八〇年代にはなかったバレイショの輸入が九三年から始まりました。それから、レタスは八〇年代には大体数トンから三百トン台までだったのですが、それが九〇年代に入って五千トン前後とけた違いの急増です。それから、ニンジンも八〇年代の三千トン台までだったものが、九五年には五万五千トンと十数倍に急増しておる。タマネギは八〇年代から輸入がふえていたわけですが、八五年と九五年の十年間で比べてみると、六万トンから二十四万トン台へと四倍にふえる。ですから、野菜などの農産物輸入の急増で、今農業生産は大打撃を受けてきておる、これが実態です。  そこで、長崎県が発表している統計を見ると、野菜の生産もなかなか大変でして、八五年から九五年にかけての十年間に作付面積の減少した状況を見ると、春植えバレイショが五千五百二十ヘクタールから三千八百八十ヘクタールへ、千六百四十ヘクタールも減少しています。秋植えバレイショで九百九十ヘクタールの減少、ニンジンで九十五ヘクタールの減少、タマネギで二百十七ヘクタールの減少と、いずれも深刻さをうかがい知ることができます。  そこで、農水省の方は長崎県のこの状況を農業統計の数字等でつかんでいらっしゃるかどうか、まずこの点だけ伺っておきたいと思います。
  91. 遠藤保雄

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  今御指摘のございました野菜を主体の統計でございますけれども……(吉井分科員「簡単でいいですよ、長崎県の状況を知っているかどうか」と呼ぶ)はい、わかりました。承知しております。
  92. 吉井英勝

    吉井分科員 そこで、国営諌早湾干拓事業というのは、この減反の時代に、米のための農地造成という当初の目的というのはだめになったわけです。八六年の計画書の中では、バレイショ、ニンジン、タマネギなどの営農計画というのが上げられておりますが、そのバレイショだけで十年間に、計画造成農地面積千四百七十七ヘクタールを上回る千六百四十ヘクタールが既に長崎県で減少しているわけです。ですから、当初の営農計画というのは明らかに破綻をしております。  そこで、酪農や肉用牛飼養農家を見ても、こちらは少し、一年新しい数字になりますが、八六年と九六年の十年間に、乳用牛飼養農家が九百五十九戸から四百七十戸へ四百八十戸の減、つまり、半分がやめてしまったわけです。肉用牛飼養農家は一万四千戸が七千八百戸へ六千二百戸、これも半分近くがやめてしまいました。農水省の方は、この事実についても統計数字としてつかんでいらっしゃいますか。
  93. 遠藤保雄

    ○遠藤説明員 農家戸数の動向については承知しております。
  94. 吉井英勝

    吉井分科員 それで、昨日の毎日では、高田長崎県知事が、今は酪農は難しいと言っておるし、去る五月十五日付の朝日では、菱沼九州農政局長が、当初の計画はあるが、あんな営農計画を今出したら笑われると言ったほど、実は、推進してきた当事者が営農計画の破綻を認めているわけですよ。  そこで、少し分譲価格の方を見てみますと、実際は計画から十数年たっていますからかなり変わっていますが、当初、分譲価格は一ヘクタール当たり一千百万円とされていたわけですけれども、これは造成コストからして二倍以上とか、かなり大きいものになってくるのでしょうが、仮に当初計画のままの価格としても、農政局の事業計画書にある、酪農家が飼料畑八ヘクタールを持つとして約九千万円の負担ですね、これに住宅部分も入ってくるわけですが。各種農業補助金が撤廃される方向の中で、農家の経営はやっていけるのかどうか、この点、端的に伺いたいと思います。
  95. 山本徹

    山本(徹)政府委員 昭和六十一年に事業計画の一環として営農計画を策定しておりまして、これを現時点のいろいろな指標に置きかえて検証いたしましたところ、この営農計画は成り立つという結果を県とも検討いたしまして得ておりまして、この営農計画のさらに具体化に向けてこれから努力してまいります。
  96. 吉井英勝

    吉井分科員 既に指標からして破綻している営農計画を、成り立つというふうにおっしゃるのですから、まあ大したものだと皮肉を込めて感心しておりますが。  その中で、特に優良農地規模拡大ということも、八ヘクタールとなるとかなり大規模農家を考えていらっしゃるわけなのですが、規模拡大で何とかなるという発想も、しかし、EUの規模を超える大規模な酪農をやっているところといえば日本では北海道ですが、ここでも、酪農だけじゃなくて、すべて大規模経営の方でやってきた北海道が今行き詰まってしまっている。そこで、最初に確認だけしておきたいのは、北海道の離農率は今全国一じゃありませんか。
  97. 遠藤保雄

    ○遠藤説明員 大変恐縮でございますが、今ちょっと手元にございませんので、至急調べて御報告申し上げます。
  98. 吉井英勝

    吉井分科員 小さい規模のところのサトウキビ畑が砂糖の価格問題その他で打撃を受けてやめていった、こういう沖縄の例とかそれはありますけれども、大規模農業をやっていて、破綻して、離農率日本一というのは、実はおたくの方からいただいた資料で北海道ということになっていますね。  では次に、これまで干拓して、農地を造成して、大規模な農業経営を進めるとしてやってきた、特に、先ほど来優良農地の話も出ている国営事業の実態はどうなっているのか。  これは先ほども少しお話があったようですが、総務庁行政監察局のことし二月の報告書、これを見ておりますと、例えば北海道の新十津川西部、ここは、高齢化、後継者確保困難の問題などを挙げておりますし、そしてここでは、事業は完了したが、当初五十戸の参加農家が、七戸、一団体になってしまったという状況ですね。それから、青森県の浪岡東部台地、これでは、リンゴ価格の低迷、リンゴの輸入自由化などで非常に大きな打撃を受けている。ここは、事業は完了したが、当初二百十戸の参加農家が、六戸、一法人になってしまっている。  干拓事業の方でも、例えば佐賀佐賀干拓事業は、当初三百八十七戸の参加を予定したが、二十二年前から休止している。熊本県羊角湾干拓事業は、四三%まで進捗してきましたが、断念決定ということが今伝えられております。  実例の紹介を全部やっておりますと時間がありませんので……。  この行政観察結果に基づく勧告の中でも、我が国農業を取り巻く情勢、減反政策の導入などを挙げた後、やはり高齢化の問題とか農産物輸入自由化の問題とか、そして、今日、日本農業が抱えている問題を指摘して、多額の国費を投入して造成された土地は農地として有効利用されなければならない、的確な営農計画の作成、見直しが不可欠だということとともに、見直しを行った結果、農地として有効活用されないと判断される場合には、他用途への転用が必要だ。つまり、大規模で優良農地としてやってきたこれまでの事業は、やはり行き詰まっていることは事実なのですよ。  そこで、本当に今解決しなければならないのは、農産物に価格保障がないから農家所得が非常に厳しいという問題ですね。それから、農業に希望が持てなくなってしまっている。だから後継者が出てこない。その結果、農業者の高齢化が進んでいく。そして、自由化によって輸入をどんどん進めるものですから、大きな打撃を受けている。やはり日本農業が持っているこの問題を解決しないと、今どんな農地造成とかいろいろ計画してみたところでこれはうまくいかない。  農水大臣、今一番力を入れなければいけないのは、価格保障とか輸入自由化に対する対応とか後継者問題とか、今の農業政策のあり方そのものにやはり手を入れないと大変なところへ日本農業は来ているのじゃないですか。これは大臣に、もう長い答弁は結構ですから、一言だけ伺っておきたいと思います。
  99. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 いろいろな御意見があると思います、確かに。しかし、我々としては、この干拓事業を通じて我が国の食糧安保という、そういう観点からいたしますと、ぜひ優良農地を造成して安全保障に備えていかなければならぬと思っております。  昨年の十一月のローマ食料サミットにおきましても、百八十数カ国の参加国で、各国ともに資源を活用して食糧安保のために増産を図らなければならぬ、こういう決議もあったわけでございまして、そういう世界の潮流ということも考えますと、今は苦しくても、将来のためにもこれらの事業は進めていかなければならぬと思いますし、先ほどいろいろな事実関係データをもとにして御質問になられましたけれども、私ども、生鮮野菜の輸入などということはついぞ想定していなかったわけですけれども、現実にはどんどん輸入がふえてきておる。  これらの問題を考えますと、やはり生産性の高い農業、生鮮野菜についてもそういうものを実現することによってそういう対策考えなければいかぬというふうに考えますと、この大規模な干拓事業を行って、生産性の高い、コストの低い、そういう農業を実現していくということは必要な対策ではなかろうか。  米の問題は、今、減反をしておるわけでございまして、干拓事業で米をつくるというようなことは毛頭考えておらないわけでございまして、その点も十分御理解をいただけておるものと思います。
  100. 吉井英勝

    吉井分科員 もともと日本のエネルギー安保、食糧安保については我が党はずっと言ってまいりました。カロリーベースの自給率で、凶作のときは四割を切る、今日で四〇%台にぎりぎり乗るというふうな状態ですね。これは本当に深刻な事態です。エネルギーの面でも、日本の国産エネルギーは六%しかないのですよ。  我が党はこれについて、これまでもエネルギーの自給率、食糧の自給率を高めるということを主張してきた党ですから、その点では、基本はさっき言ったように、価格保障とか輸入自由化にセーフガード措置を設けるとか、そして、農業後継者が希望を持ってやれるようにすることが大事なのであって、その根本を外れたところで幾ら優良農地だ大規模農地だということをやったって、これはうまくいかないということを申し上げているわけです。  さて、この国営諌早湾干拓事業の農業の計画について、知事は、もうだめだ。農政局長は、笑われる。先日、大臣の方も見直しの話、それぞれしてこられたわけですが、そもそも干拓の大目的であった農地造成について見直しを表明せざるを得なくなっている。目的が崩れているのに干拓だけは進めるというのは道理に合わない、初めに干拓ありきというこの発想に四十数年間ずっとしがみつき続けるというのは改めるべきだということを指摘をしておきまして、後でまた大臣と少し議論をしたいと思っていますので、後に回します。  大体、現地へ行きまして営農計画を聞きますと、営農計画は出てこなくて、防災計画を語られるのですよ。そのときに、これは知事も語られましたが、この間、長崎県の農林部長も、五七年の諌早水害で八百人以上の人命を失うということを経験した、だから国営干拓事業は、そうした自然条件を克服し、総合防災効果を発揮させるということを挙げておりました。  そこで、建設省に来ていただいていると思いますので伺っておきたいのですが、「諌早水害誌」では、諌早水害の犠牲者は全部諌早駅周辺の本明川中流部で発生したとはっきり示しております。諌早水害に基づく防災対策といえば、まず建設省の仕事であるわけです。  建設省に伺っておきたいのは、対策としてはこれまで、五八年七月に直轄河川に編入し、川の大きさを見直した改修計画を策定し、抜本的な改修工事を行い、被害の大きかった市街部を重点に都市計画と一体となった河道の拡幅、築堤、構造物の改築を行って、その後九一年に基本計画を改定して、八十年確率を百年確率の洪水に備えるものに見直して、今、本明川の改修を進めてきているという、これが建設省の取り組みだと思うのですが、長い答弁は要りませんから、これだけ確認しておきたいと思います。
  101. 渡部義信

    ○渡部説明員 建設省の取り組みといたしましては、ただいま先生御指摘のとおりでございます。
  102. 吉井英勝

    吉井分科員 次に、江東デルタなど低地帯の高潮対策というのは、建設省が取り組んでこられたのは、堤防を高く築き、水門と排水ポンプの組み合わせによって防災対策を進めるというのがこれまでの建設省の取り組みだったと思うのですが、これは間違いありませんね。
  103. 渡部義信

    ○渡部説明員 高潮対策といたしましては、高潮堤防をつくるということがまず第一の取り組みになっておりますが、河川区間に高潮影響が非常に大きいというようなところにつきましては、河口部に防潮水門をつくって締め切りまして高潮対策を行う、必要に応じてポンプを組み合わせるというような対策を講じておるところでございます。
  104. 吉井英勝

    吉井分科員 次に伺っておきたいのは、建設省直轄の一級河川が百九本ありますが、その一級河川の洪水高潮対策のために公有水面埋立免許を建設大臣が許可したという例はありますか。
  105. 渡部義信

    ○渡部説明員 一級河川の中で公有水面の埋立免許を許可した事例はございます。
  106. 吉井英勝

    吉井分科員 その事例をお示しください。
  107. 渡部義信

    ○渡部説明員 例えば、広島市の元安川等におきましては、道路事業との関連におきまして公有水面埋め立てを許可している事例がございますし、この諌早湾干拓につきましても公有水面の埋め立てが許可になっているところでございます。
  108. 吉井英勝

    吉井分科員 ですから、今おっしゃったように、道路のためとかそれはあるのですよ。さっき私が言いましたように、洪水高潮対策のために公有水面埋立免許をやったという例はないわけですね。
  109. 渡部義信

    ○渡部説明員 治水対策目的にいたしまして公有水面の埋立免許をした事例はございませんが、埋立事業に伴いまして、結果としまして治水上の効果が出る事例はございます。
  110. 吉井英勝

    吉井分科員 ですから、今の答弁で明らかになったように、干拓事業というのはもともと建設省事業じゃありませんから、河川の河口部で洪水高潮対策干拓事業をやったというところは全国にないわけです。  このことはもういいのですが、次に、農水省に確認を、これは確認だけですからやっていただきたいのは、今回、潮受け堤防で締め切ったので、七年前より集中豪雨が来ても被害は小さくて、事業の効果があったという話がありました。調整池水位の方が高くなって、そのために自然排水ができないで十センチから三十センチ以上の冠水状態になった低地域が、農水省の発表では百五十七ヘクタールあった。これは事実ですね。これを一つ確認しておきたい。  もう一つは、七年前の十分の一の冠水面積で済んだという発表もありました。しかし、七年前の九〇年七月一日、二日の雨量というのは、実は同じ諌早の観測点で比較すると、今回より一・五倍も雨量が多かったわけです。ですから、今回の十倍の冠水面積というのは当然あり得るわけで、つまり締め切ったから調整池の機能で冠水面積が十分の一に減ったという、防災効果が出たなどという証明には少なくともならないと思うのですが、この二点、事実関係だけ確認しておきたいと思います。
  111. 山本徹

    山本(徹)政府委員 マイナス一メートルに調整池を調整いたしておりまして、十三、十四日の降水で、これはゼロメートルより上に上がりませんでした。常にマイナス一メートルからゼロに維持されることによって、排水機能が大幅に改善されて、今回被害が過去の類似の事例に比べて大幅に軽減されたというのが現地の報告でございます。
  112. 吉井英勝

    吉井分科員 ですから、あなたは事実を御存じないわけで、まず百五十七ヘクタール冠水したという事実は認められたわけです。これは新聞にも出ております。  二つ目に、七年前に比べて大幅に改善されたと言うのだが、雨量が違うわけです。雨量が違うというデータも実は農水省からきのう持ってきていただきました。一・五倍雨量が多いのです、七年前は。雨量が多ければ当然そこに流入する総水量がふえるわけですから、冠水面積が七年前は多かったとしても当たり前のことなのです。  だから、それ自体は、全く雨量が同じとか条件が同じにすれば成り立つ話が、条件が違うのにそれでもって効果が出たという証明にはならないだろうということを言っているのです。この点だけ一言言ってもらいたいわけです。
  113. 山本徹

    山本(徹)政府委員 これは、その時々の自然現象でございますので雨量が違いますけれども、私どもは、過去の比較的似た事例として、平成三年の七月二十八、九日、それから平成四年の八月十五日の雨量、これが、期間雨量がそれぞれ百四十八ミリ、百三十八ミリ、時間雨量二十九ミリ、五十四ミリ、類似の雨量でございますけれども、農業被害額がその当時、平成三年の七月については四億二千八百万、平成四年八月については三億六千三百万、今回が被害面積百五十七ヘクタール、被害額は八百二十万でございますので、大幅に被害が軽減されておりまして、地元からも感謝の声をいただいております。
  114. 吉井英勝

    吉井分科員 違うデータでもってまず比較できないのです。  それで、今まで効果が上がったと言ってこられたけれども、実は、調整池水位の方が旧干拓地の標高よりも高い時間が九時間とかあるいはそれ以上とかあったわけですし、さらに調整池の河口部の水位、これはデータを持ってきていただきましたが、非常に高いものです。ですから、このことによって防災効果が出たということにはならないということを指摘しておきたいと思います。  次に、データを持ってきていただいたら、今回排水門を全開したときに秒速三・四メーターの流れであったというのをいただいておりますが、これは確認だけしておきたいのですが、それはそのとおりですね。
  115. 山本徹

    山本(徹)政府委員 排水門を全開いたしますと、これは潮位によりますけれども、干潮時、満潮時には秒速八メートルの流速が発生いたしまして、漁業への大変な悪影響を生じ、また、低地の……(吉井委員「今回はどうかと聞いているのです、今回のデータ。今回は三・四メーターですね」と呼ぶ)今回は、これは全開状態となって、流速につきましては潮位及び内水面の水準との関係がございますので、結果としては流速は三・四メートルということでございました。
  116. 吉井英勝

    吉井分科員 排水門を全開すると鳴門の渦潮より速い八メートルとか、これは満潮と干潮のときの差だけの議論であって、全開しつ放しだったらそうはならないのです。実は半分以下なのです。これは計算してすぐ出てくるわけです。ですから、今回のデータによっても三・四メーター・パー・セカンド、こういうことがあって、八メートルで被害が大きいという証明にはならなかったということだけ指摘しておきたいと思います。  それで、時間がだんだん参りましたので、大臣に、不破委員長と橋本総理の五月二十三日の会談で、防災農地と生物環境の問題などで事実による検証が必要だということでは、立場はいろいろ違いがあっても、この三点で事実による検証が必要だということでは一致しました。この事実による検証という立場で、これは大臣も臨んでいただけますね。
  117. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 総理と不破さんとの間にそのようなお話があったかどうか私は存じません。したがって、お答えできません。
  118. 吉井英勝

    吉井分科員 これは私はちょっと驚きなのですが、橋本内閣の閣僚の一員としてぜひそれは総理からも聞いていただいて、やはり一つ一つ事実による検証ということが大事ですから、これはやつていただきたい。
  119. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 承りまして、事実関係については当然のこととして検証いたしますけれども、いろいろな状況によって今お答えしたような数字が違うということもこれまた当然あることでございまして、ある一点だけをもってすべてだというようなことはこれまた私は正当な評価にはならないというふうに思っておりまして、その点は我々も十分に注意していかなければならぬと思っております。  それから、地元の方の意見を聞きますと、もう何十年もの経験上、これぐらいの雨が降ればここまで水がつかるということはすぐわかる。したがって、あの十三、十四日の雨の量を見て、このあたりまでつかるだろうと思っていたのがっからなかった、非常にありがたかったという声が届いておりますのも事実でございます。
  120. 吉井英勝

    吉井分科員 その点では、また別な地元の方は別なことも言っておられるので、ですから、数字についても何にしても、今大臣がおっしゃったように一つ一つの事実をお互いに検証し合っていく、そういう立場でまず臨んでいただきたいと思います。  それで、けさ報道にもありますように、「長崎県が最近、非公開実施した干拓予定地の水質調査がある。環境庁はこの調査で、水素イオン濃度浮遊物質量などすべての項目が、環境基本法で定められた基準値を満たさなかった点を重視」している。環境庁長官から、「当面の水質改善のためには「水門の適切な開閉を求めてきた環境庁意見も考慮してほしい」」と藤本農水相に申し入れをしたというふうに伝えられております。  これは、少なくとも環境庁長官のこの申し入れについては、大臣は尊重して臨まれますね。
  121. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 新聞報道によりますと、「水門の適切な開閉を求めてきた環境庁意見も考慮してほしい」、そのように石井長官が私に申し入れをした、そういう記事がございますけれども、このような申し入れはございません。
  122. 吉井英勝

    吉井分科員 申し入れはなかったということですね。そうしたらそれはマスコミが間違っているのかどうか、これはこれとして検証が必要として、ただ、この環境庁の申し入れがなかったとしたら、環境庁も当然、こういうさきの委員会での答弁もありますから、申し入れをされるでしょうし、それは尊重して臨まれたいと思います。  そこで、最後に一点だけ。大臣、やはりこの農地造成という干拓の出発点が見直しということで、営農計画、今ないというのが知事のお答えでしたが、洪水高潮対策というならほかにもっと実証済みの方法もあるわけです。堤防で締め切って干潟の生物を死滅させ、渡り鳥のえを奪ってしまって国際問題を引き起こさなくても、問題解決はできるわけですよ。だから、防災で必要なときだけ水門を締め切ればよいわけですし、ふだんはあけておけば海水が入って、干潟と生態系環境を守れることになります。  生命と自然を守るには、実は今時間が差し迫っているのです。しかし事業の見直しには時間は十分あるわけです。まず、冷静に事実を検証していくために、とりあえず排水門をあけるべきだ、私は大臣にそのことを決意をしていただきたいと思いますが、この点だけ大臣にお聞きしたいと思います。
  123. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 この干拓事業目的は、たびたび申し上げておりますように、優良農地の確保、これも淡水化をするということが一つの前提になっておりますし、また、淡水化をすることによって水の不足している長崎県としてはこの水を使えるという大きな目的もあるわけです。  それからさらには、防災対策ということもございまして、これから梅雨時期に向かうわけでございますから、あの水門をあけることによって防災機能が損なわれるというようなおそれのある、そういうことにつながる水門をあけるということにつきましては、私といたしましては、それはできないと思っておりますし、また委員は地元の方でございますから、漁業関係者がこの水門をあけるということについて非常に強い反対をしておるということもよく御承知と思うわけでございまして、地元意見を反映させるということが地方分権の一つの大きな考え方であることを思えば、地方の意見地元意見を十分に尊重しながらこの事業を進めていくということは非常に大事なことだというふうに考えております。
  124. 吉井英勝

    吉井分科員 時間が参りましたので、終わります。
  125. 上田清司

    ○上田主査 これにて吉井英勝君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして農林水産省所管農林漁業金融公庫質疑は終了いたしました。  午後一時三十分から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ────◇─────     午後一時三十分開議
  126. 上田清司

    ○上田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  これより科学技術庁所管について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。近岡科学技術庁長官
  127. 近岡理一郎

    ○近岡国務大臣 科学技術庁平成六年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計の歳出決算について申し上げます。  平成六年度の当初歳出予算額は四千六百三十六億一千百三十八万円余でありましたが、これに予算補正追加額一億四千二百九十万円余、予算補正修正減少額百四十四億四千二百三十二万円余、予算移しかえ増加額六千六百二万円余、予算移しかえ減少額百億三千七百四十一万円余、前年度からの繰越額八十億七千五百十八万円余を増減いたしますと、平成六年度歳出予算現額は四千四百七十四億一千五百七十六万円余となります。この予算現額に対し、支出済み歳出額四千四百五十四億九千九百四万円余、翌年度への繰越額十四億七千三百三十四万円余、不用額四億四千三百三十八万円余となっております。  次に、電源開発促進対策特別会計のうち、科学技術庁所掌分の歳出決算について申し上げます。  まず、電源立地勘定につきましては、平成六年度歳出予算現額は四百十二億三百四十五万円余であります。この予算現額に対し、支出済み歳出額三百八億三千七百六十四万円余、翌年度への繰越額五十億三千四十三万円余、不用額五十三億三千五百三十七万円余となっております。  次に、電源多様化勘定につきましては、平成六年度歳出予算現額は一千六十一億三千六十八万円余であります。この予算現額に対し、支出済み歳出額九百九十九億八千四百九十五万円余、翌年度への繰越額三十一億一千九百二十九万円余、不用額三十億二千六百四十三万円余となっております。  以上、簡単でありますが、平成六年度の決算の概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。  科学技術庁平成七年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計の歳出決算について申し上げます。  平成七年度の当初歳出予算額は四千九百二十六億三千四百三十六万円余でありましたが、これに予算補正追加額一千四百五億五千九百二十一万円余、予算補正修正減少額百五十億八千二百七十五万円余、予算移しかえ増加額五千四百七十九万円余、予算移しかえ減少額百三十二億五千百十五万円余、前年度からの繰越額十四億七千三百三十四万円余を増減いたしますと、平成七年度歳出予算現額は六千六十三億八千七百八十万円余となります。この予算現額に対し、支出済み歳出額五千九百四十八億七千九百九十三万円余、翌年度への繰越額百九億五千七百五十八万円余、不用額五億五千二十八万円余となっております。 次に、電源開発促進対策特別会計のうち、科学技術庁所掌分の歳出決算について申し上げます。  まず、電源立地勘定につきましては、平成七年度歳出予算現額は四百六十五億三千百七万円余であります。この予算現額に対し、支出済み歳出額三百四十一億二百十五万円余、翌年度への繰越額五十億八千八百六十五万円余、不用額七十三億四千二十六万円余となっております。  次に、電源多様化勘定につきましては、平成七年度歳出予算現額は一千百十三億四百十七万円余であります。この予算現額に対し、支出済み歳出額九百七十一億七千百十九万円余、翌年度への繰越額二十七億九百四十一万円余、不用額百十四億二千三百五十六万円余となっております。  以上、簡単でありますが、平成七年度の決算の概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  128. 上田清司

    ○上田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院森下第五局長
  129. 森下伸昭

    ○森下会計検査院説明員 平成六年度科学技術庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。  これは、研究業務委託契約における一般管理費の積算に関するものであります。  研究業務委託契約において、委託先の一般管理費の積算に当たり、一般管理費を徴しないこととしている国立大学等の再委託先の直接経費相当額についても、委託先がみずから実施する事業に係る直接経費に対する場合と同じ率の一般管理費を積算計上していたことなどのため、八十七委託契約の積算額が過大になっておりました。  これについて指摘したところ、科学技術庁では七年十一月に新たに積算の基準を定め、業務の実態に適合した適正な一般管理費の積算を行うこととする処置を講じたものであります。  また、平成七年度科学技術庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  以上をもって概要の説明を終わります。
  130. 上田清司

    ○上田主査 ただいまの会計検査院指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。近岡科学技術庁長官
  131. 近岡理一郎

    ○近岡国務大臣 平成六年度の決算検査報告において掲記されております処置済み事項につきましては、会計検査院の御指摘に基づき、研究業務委託に係る一般管理費の積算が業務の実態に適合したものとなるよう、平成七年十一月に新たに積算の基準を定め、同月以降の委託契約に適用してきたところであります。  今後とも、研究に係る委託業務の適切な運用を図ってまいる所存でございます。
  132. 上田清司

    ○上田主査 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳一細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 上田清司

    ○上田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────    平成六年度科学技術庁決算に関する概要説明                 科学技術庁  科学技術庁平成六年度決算につきまして、その概要をご説明申し上げます。  まず、一般会計の歳出決算について申し上げます。  平成六年度の当初歳出予算額は、四千六百三十六億一千百三十八万円余でありましたが、これに予算補正追加額一億四千二百九十万円余、予算補正修正減少額百四十四億四千二百三十二万円余、予算移替増加額六千六百二万円余、予算移替減少額百億三千七百四十一万円余、前年度からの繰越額八十億七千五百十八万円余を増減いたしますと、平成六年度歳出予算現額は、四千四百七十四億一千五百七十六万円余となります。この予算現額に対し支出済歳出額四千四百五十四億九千九百四万円余、翌年度への繰越額十四億七千三百三十四万円余、不用額四億四千三百三十八万円余となっております。  次に、支出済歳出額の主なる費途につきまして、その大略をご説明申し上げます。  第一に、原子力関係経費といたしまして一千七百七十二億二千四百一万円余を支出いたしました。これは、日本原子力研究所における原子力施設の工学的安全研究、核融合の研究、高温工学試験研究、原子力船の研究開発等の原子力関連試験研究及び各種原子炉の運転、動力炉・核燃料開発事業団における高速増殖炉の開発、使用済核燃料の再処理技術の開発、ウラン資源の探鉱、ウラン濃縮技術の開発等のほか、放射線医学総合研究所における放射線による障害防止及び放射線の医学的利用に関する調査研究、原子力安全行政の強化等原子力平和利用の促進を図るために支出したものであります。  第二に、宇宙開発関係経費といたしまして一千六百五十四億五百二十万円余を支出いたしました。これは、宇宙開発事業団における人工衛星及びロケットの開発、打上げ及び追跡、宇宙環境利用の総合推進並びにこれらに必要な施設等の整備、航空宇宙技術研究所におけるロケットエンジン等に関する基礎的、先行的試験研究、種子島周辺漁業対策事業の助成等のために支出したものであります。  第三に、海洋開発関係経費といたしまして百三十二億四千八百十八万円余を支出いたしました。これは、海洋科学技術センターにおける深海調査技術の開発、海洋観測の研究開発等のために支出したものであります。  第四に、試験研究機関経費といたしまして、当庁の試験研究機関のうち、航空宇宙技術研究所、金属材料技術研究所、防災科学技術研究所及び無機材質研究所における各種試験研究及びこれに関連する研究施設の整備、科学技術政策研究所における各種調査研究等を行うための経費として三百三十億五千二百三十三万円余を支出いたしました。  第五に、科学技術会議の方針に沿って我が国の科学技術振興に必要な重要研究業務の総合推進調整を実施するための科学技術振興調整費、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムの推進のための経費、理化学研究所における基礎研究推進のためのフロンティア研究等を行うための経費、新技術事業団における創造科学技術推進事業、研究交流促進事業等を行うための経費、日本科学技術情報センターの事業を行うための経費等として五百六十五億六千九百三十万円余を支出いたしました。  次に、電源開発促進対策特別会計のうち、科学技術庁所掌分の歳出決算について申し上げます。  まず、電源立地勘定につきましては、平成六年度歳出予算現額は、四百十二億三百四十五万円余であります。この予算現額に対し支出済歳出額三百八億三千七百六十四万円余、翌年度への繰越額五十億三千四十三万円余、不用額五十三億三千五百三十七万円余となっております。  支出済歳出額の主なる費途について申し上げますと、これは、電源立地促進を図るため、地方公共団体に対する電源立地促進対策交付金及び電源立地特別交付金の交付並びに原子力発電所等の施設、設備の安全性を実証するための試験等を行うために支出したものであります。  次に、電源多様化勘定につきましては、平成六年度歳出予算現額は、一千六十一億三千六十八万円余であります。この予算現額に対し支出済歳出額九百九十九億八千四百九十五万円余、翌年度への繰越額三十一億一千九百二十九万円余、不用額三十億二千六百四十三万円余となっております。  支出済歳出額の主なる費途について申し上げますと、これは、基軸エネルギーたる原子力に係る技術開発の推進を図るため、動力炉・核燃料開発事業団における高速増殖炉原型炉の建設、新型転換炉の開発、使用済核燃料の再処理技術開発、ウラン濃縮原型プラントの運転等のための経費及び原子炉の解体技術開発の委託等を行うための経費として支出したものであります。  以上簡単でありますが、平成六年度の決算の概要をご説明申し上げました。  よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。     …………………………………    平成六年度決算科学技術庁についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  平成六年度科学技術庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。  これは、研究業務委託契約における一般管理費の積算に関するものであります。  科学技術庁本庁では、各種の研究業務を実施する場合には、民間会社、財団法人、特殊法人等に委託する方法によっておりますが、このうちには、委託先である民間会社等からさらに国立大学や地方公共団体の機関、民間会社等に再委託して実施しているものがあります。そして、委託費の積算に当たっては、費用ごとに必要な経費を計上した直接経費と、この直接経費に一〇%程度の率を乗じて得た額の一般管理費を計上しております。  これらの委託契約のなかには、再委託を含んでいるものがあることから、この場合の一般管理費の積算が適切に行われているかについて調査しましたところ、再委託先が国立大学等の場合、委託先への一般管理費としては、再委託に係る分も含めた直接経費相当額に一般管理費率を乗じて得た額が計上されていましたが、再委託先への経費としては直接経費のみが計上され、一般管理費は計上されていませんでした。  そこで、委託先における再委託先との連絡調整等の業務の実態をみましたところ、委託先が自ら実施する事業に係る一般管理費に比べて、連絡調整等の業務で発生する経費の程度は相当低いものと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、科学技術庁では、七年十一月に新たに積算の基準を定め、業務の実態に適合した適正な一般管理費の積算を行うこととする処置を講じたものであります。  以上をもって概要の説明を終わります。     ─────────────    平成七年度科学技術庁決算に関する概要説明                 科学技術庁  科学技術庁平成七年度決算につきまして、その概要をご説明申し上げます。  まず、一般会計の歳出決算について申し上げます。  平成七年度の当初歳出予算額は、四千九百二十六億三千四百三十六万円余でありましたが、これに予算補正追加額千四百五億五千九百二十一万円余、予算補正修正減少額百五十億八千二百七十五万円余、予算移替増加額五千四百七十九万円余、予算移替減少額百三十二億五千百十五万円余、前年度からの繰越額十四億七千三百三十四万円余を増減いたしますと、平成七年度歳出予算現額は、六千六十三億八千七百八十万円余となります。この予算現額に対し支出済歳出額五千九百四十八億七千九百九十三万円余。翌年度への繰越額百九億五千七百五十八万円余、不用額五億五千二十八万円余となっております。  次に、支出済歳出額の主なる費途につきまして、その大略をご説明申し上げます。  第一に、原子力関係経費といたしまして二千三百八十三億三千百十四万円余を支出いたしました。これは、日本原子力研究所における原子力施設の工学的安全研究、核融合の研究、高温工学試験研究等の原子力関連試験研究及び各種原子炉の運転、動力炉・核燃料開発事業団における高速増殖炉の開発、使用済核燃料の再処理技術の開発、ウラン資源の探鉱、ウラン濃縮技術の開発等のほか、放射線医学総合研究所における放射線による障害防止及び放射線の医学的利用に関する調査研究、原子力安全行政の強化等原子力平和利用の促進を図るために支出したものであります。  第二に、宇宙開発関係経費といたしまして一千九百十七億九千五百四十二万円余を支出いたしました。これは、宇宙開発事業団における人工衛星及びロケットの開発、打上げ及び追跡、宇宙環境利用の総合推進並びにこれらに必要な施設等の整備、航空宇宙技術研究所における宇宙科学技術に関する基礎的・先行的試験研究、種子島周辺漁業対策事業の助成等のために支出したものであります。  第三に、海洋開発関係経費といたしまして三百二十三億七千八百四万円余を支出いたしました。これは、海洋科学技術センターにおける深海調査技術の開発、海洋観測の研究開発等のために支出したものであります。  第四に、試験研究機関経費といたしまして、当庁の試験研究機関のうち、航空宇宙技術研究所、金属材料技術研究所、防災科学技術研究所及び無機材質研究所における各種試験研究及びこれに関連する研究施設の整備、科学技術政策研究所における各種調査研究等を行うための経費として四百二十八億七千二百七十七万円余を支出いたしました。  第五に、科学技術会議の方針に沿って我が国の科学技術振興に必要な重要研究業務の総合推進調整を実施するための科学技術振興調整費、地震調査研究の推進のための経費、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムの推進のための経費、理化学研究所における基礎研究推進のためのフロンティア研究等を行うための経費、新技術事業団における戦略的基礎研究推進事業、創造科学技術推進事業、研究交流促進事業等を行うための経費、日本科学技術情報センターの事業を行うための経費等として八百九十五億二百五十四万円余を支出いたしました。  次に、電源開発促進対策特別会計のうち、科学技術庁所掌分の歳出決算について申し上げます。  まず、電源立地勘定につきましては、平成七年度歳出予算現額は、四百六十五億三千百七万円余であります。この予算現額に対し支出済歳出額三百四十一億二百十五万円余、翌年度への繰越額五十億八千八百六十五万円余、不用額七十三億四千二十六万円余となっております。  支出済歳出額の主なる費途について申し上げますと、これは、電源立地促進を図るため、地方公共団体に対する電源立地促進対策交付金及び電源立地特別交付金の交付並びに原子力発電所等の施設、設備の安全性を実証するための試験等を行うために支出したものであります。  次に、電源多様化勘定につきましては、平成七年度歳出予算現額は、一千百十三億四百十七万円余であります。この予算現額に対し支出済歳出額九百七十一億七千百十九万円余、翌年度への繰越額二十七億九百四十一万円余、不用額百十四億二千三百五十六万円余となっております。  支出済歳出額の主なる費途について申し上げますと、これは、基軸エネルギーたる原子力に係る技術開発の推進を図るため、動力炉・核燃料開発事業団における高速増殖炉原型炉の開発、新型転換炉の開発、使用済核燃料の再処理技術開発、ウラン濃縮原型プラントの運転等のための経費及び原子炉の解体技術開発の委託等を行うための経費として支出したものであります。  以上簡単でありますが、平成七年度の決算の概要をご説明申し上げました。  よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。     ─────────────
  134. 上田清司

    ○上田主査 以上をもちまして科学技術庁所管の説明は終わりました。     ─────────────
  135. 上田清司

    ○上田主査 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。根本匠君。
  136. 根本匠

    根本分科員 自由民主党の根本匠です。  私は、科学技術創造立国への取り組みという観点から、科学技術庁を中心に質問をさせていただきたいと思います。  科学技術創造立国、これは橋本政権の大きな柱でありまして、最近打ち出された経済構造改革、この中身でも重要な柱になっておりまして、重点的に提起をされております。今後の我が国の少子・高齢化社会あるいは昨今の産業の空洞化、こういうことを考えますと、二十一世紀に豊かな日本を築き上げていくためには経済を再活性化する、そして日本は売り物は頭脳でありますから、科学技術を中心に経済の振興を図る、新産業、新分野を創出していく、これが何よりも大事だと思っております。  この点でいえば、特に私も政治家として取り組んできたわけでありますが、日本の弱い、立ちおくれている基礎研究、この分野に思い切った国家的な投資を行うべきだということで、平成七年度の補正予算から基礎研究への重点的な国家予算投資、これが講じられております。私は、この基礎研究への重点的な予算投入、これをベースにして科学技術創造立国に向けた戦略的な政策対応が必要だ、こう思っております。  平成七年度補正から公募・提案募集型の基礎研究推進制度、これを平成八年度には三百二十億円、平成九年度には五百六十九億円と重点的な国家予算の投下が行われておりまして、これは現在では七省庁になっているようでありますが、七省庁に基礎研究予算がつく、これは私は非常に画期的な措置だと思います。  ここで大事なのは、この予算を大切にしながら、産官学の連携あるいは産業政策も含めて、これを確かに新産業、新分野の創出に結びつけていく、これが大事だと思います。その意味では、基礎研究予算、平成七年度補正で始まったわけでありますが、この予算を契機に、科学技術の基本法あるいは計画という形で政策が体系づけられてきておりますが、私は、一番大事なのは、七省庁を通じて共通する政策理念を整理して、基礎研究から将来の新産業、新分野の創出に結びつくような政策のシナリオと体系の構築が重要だと思っております。  それで、この点を踏まえまして、科学技術創造立国というある意味で壮大な政策に向けて、現在、基礎研究予算の活用を含めましてどのような政策体系で取り組んでいるのか、この現状とそして評価あるいは今後の取り組み、この点についてお伺いいたします。
  137. 近岡理一郎

    ○近岡国務大臣 私から、科学技術創造立国に向けての取り組みにつきましてお答えしたいと思います。あとの点につきましては、局長の方から答弁させたいと思います。  今先生から御指摘ありましたように、我が国が二十一世紀へ向けて、産業の空洞化、社会の活力の喪失等を回避し、豊かな国民生活を実現するためには、新産業の創出等を目指し、積極的に基礎的、独創的な科学技術を振興することが重要だと思います。  このような観点から、先生御指摘のありましたとおり、科学技術基本法が制定され、また昨年七月には同法に基づく基本計画が閣議決定されたところであります。現在、同計画に基づきまして、柔軟かつ競争的な研究開発環境等を実現すべく、新たな研究開発システムを構築するための制度改革あるいは政府研究開発投資の拡充等に努めているところであります。  今後とも、科学技術振興について全般的に責任を有する私としましても、関係省庁との一層の綿密な連携のもとに、基礎的、独創的な研究開発の積極的な推進に努めまして、科学技術創造立国の実現に全力を尽くしてまいる所存でございます。
  138. 青江茂

    ○青江政府委員 基本的なポリシーということにつきましては今大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、ちょっと補足をいたしまして、特に基礎的、独創的な研究というものを進める、その具体的な方策といいましょうか施策といった点につきまして少し御説明を申し上げたいと存じます。  科学技術庁におきましては、基礎研究強化というふうなことをもちまして、さかのぼれば約十五年ほど前に創造的科学技術推進事業というものをスタートさせまして、本格的に基礎研究強化のための施策を打って出たわけでございますが、それ以降、さきがけ21というものでございますとか理化学研究所のフロンティア研究でございますとか、そういう基礎研究のための方策というものを随時施策として打ち出してきたわけでございます。  今先生も御指摘になられましたように、平成七年度の補正の段階から、特殊法人への出資金を活用した、公募方式によりましての基礎研究推進制度というものをスタートさせたわけでございますが、これはもう先生御指摘のとおり、今七省庁でもちまして、平成九年度におきましては五百七十億円の規模にまで達しておるというものでございますが、今申し上げましたように、各般の施策の中でもこの制度というのが基礎研究を推進する上で最も基幹的な制度であるというふうに私ども認識をしております。  この制度についてもう少し敷衍させていただきますと、研究者の方々から大変好評と申しましょうか評価を受けておる仕組みでございまして、国といたしまして重要な領域というのはどこにあるのか、国家という見地から見まして重要な研究領域というのはどこなんだというふうなことを整理いたしまして、ここでもってこういう研究をしてほしいんだということでもちまして、研究者の方々に一般公募をかけます。その方々から、我々はこういう研究をやりたいということが来ますので、それをセレクトいたしまして、共同研究という形でもって研究を推進していくというわけでございます。  その際に、研究費の規模といたしましても、数千万円から二億円程度ということで、基礎研究といたしましては資金的には相当大規模なものもなし得るような非常に弾力的な形、加えて、若手の研究者の雇用でございますとか外国人研究者の招聘といった、今までの研究費ではとかく非常にやりにくかった、手当てのしにくかった側面にも十分配慮を払うといったふうなことにも努めております。そういう形でもちまして運用しておるわけでございますけれども、現にこの制度に対しましての応募状況というものを見てみますと、私どもの制度で約三十倍というふうなことで、研究者からは大変熱いまなざしをもって迎えられております。そういう状況でございます。  したがいまして、この制度というものを、先ほど申し上げましたように基幹的な仕組みとして位置づけ、その制度を通じまして独創的な基礎研究というものをさらに推進を図ってまいりたい、かように考えているところでございます。
  139. 根本匠

    根本分科員 私が次に聞こうと思っていたことを答弁していただいたようでありますが、私も、この基礎研究推進事業、これは大変高く評価しております。  今答弁ありましたように、私は二つの観点が必要だと思います。  一つは、テーマの設定に当たっては、国家戦略的な視点からのテーマの重点化が必要だろうと今お答えがありました。そして、これは今までの科研費等々と画期的に違うのは、今までですと五百万ぐらいでやっていたのを、一件当たり数千万あるいは一億、それも三カ年、場合によっては五年ぐらいのところもあるようでありますが、非常に大規模にやれる。  それからもう一つ、この点はこのやり方で私も非常にいいと思っていますのは、研究者の自主性、自発性、これが尊重される。特に、民間の創意工夫の発揮やあるいはアイデアに共鳴した人が集まって大きくするような仕組みがここに内蔵されている。私は、ここが非常にこの提案募集型の特徴だと思うのですね。しかも三十倍という競争率ということでありますから、いわば知恵の競争のインセンティブが働く仕組みでもある。  ですから、科学技術創造立国に向けてのいろいろな取り組みは今まで十数年にわたってやられてこられたのでしょうが、この平成七年度補正から講じられた基礎研究推進事業、この提案公募型という新しいやり方を導入した基礎研究推進制度、私はこれを非常に評価しておりまして、ぜひこの制度を大事にして、円滑に活用して、科学技術創造立国に向けてさらに強力な取り組みをしていただきたいと思います。  それで、この基礎研究推進制度についてさらに敷衍して質問さしていただきたいと思いますが、この基礎研究推進制度でいろいろな基礎研究をやってもらう、これは独創的な研究をやってもらう。次のステップで大事なのは、この研究成果をどう普及し、実用化し、活用してもらうか、これが大事だと思うのですね。これはいわば知的資産ですから、この知的資産を応用研究さらに商品化研究、実用化研究、新分野、新産業の創造につなげる、つまり成果をどう普及し、実用化に向けて具体化していくか、これが大事だと思います。  その意味では、七省庁それぞれの分野でいろいろな基礎研究推進制度を活用してやっておられるのでしょうが、私は、七省庁それぞれの研究成果、これを研究機関、研究者の評価も含めて情報提供する、あるいは評価する総合的な一つの仕組みが必要ではないかと思っておりますが、この点どうでしょうか。
  140. 青江茂

    ○青江政府委員 お答えを申し上げます。  先生御指摘のとおり、まさに出しましたものをどう本当に実用化へ向けて展開をしていくのかというところというのは大変重要な課題だというふうに思っております。  そういう意味におきまして、一つ評価の問題というのが重要、と同時にその実用化への橋渡しをしていくというところ、この二つの側面があろうかと思うわけでございます。  評価という点につきましては、一つは、この制度は御案内のとおりまだスタートして間もないところでございますので、事後におきましての評価をするという段階には至っておりませんが、今後、御案内のとおり、国の研究開発全般に共通する評価実施方法のあり方についての大綱的指針というものが策定される運びになっておりますので、そういったものを踏まえまして厳正な評価を行い、その研究の進捗及びその事後の評価ということにつきまして反映させてまいりたい。  その上で、その実用化へ向けてのステップをどう踏ませるのかということにつきましては、私どもの方策といたしましては、科学技術振興事業団というものが昨年の十月に発足しておるわけでございますが、これは従前、新技術事業団というものと日本科学技術情報センターが統合されましてスタートしておるわけでございますけれども、その旧新技術事業団、今の科学技術振興事業団におきまして、その企業化、実用化へのいろいろな取り組みをいたしております。  具体的には、一つは、大学も含めてでございますが、公的部門におきましての本当にいい種というものを全般的にスクリーニングしていく、そしてそれを企業サイドにあっせんをしていく。こういったいい種というものを、技術的なところを詰めれば企業化に持っていけるというふうなところの橋渡しをする、委託開発のような形で研究費を委託いたしましてそれで橋渡し、もう一歩のところを進める、こういうふうな事業をやっておりまして、その辺の方策というものを活用しながら、その川下部分につきましても十分配意してまいりたい、かように考えております。
  141. 根本匠

    根本分科員 非常に前向きな取り組みをされておられますので、評価をいたします。  次の質問に参ります。  科学技術創造立国、新産業、新分野の創出につなげるということで、一連の政策体系の頭を整理いたしますと、日本の弱い基礎研究予算に思い切った国家投資をした、それで研究が活性化された、では次のステップはどうなるかといいますと、具体的に新産業、新分野の創出につなげるということになりますと、基礎研究への支援の次なるステップとして、やはり研究体制の活性化、整備、これが重要だろう。要は、私は、研究体制の活性化とそれからいい意味での産官学の連携、これをどう構築していくか、ここが大事だと思うのですね。  例えば、産官学の連携協力、資金と人の相互協力あるいは協力し合う体制づくり、こういうところが重要だと思います。その意味では、アメリカは非常に基礎研究が充実しているわけであります。例えばアメリカでは、産官学の連携あるいは研究体制の活性化という点でいうと、どういう対応、取り組みが行われているかといいますと、大企業は、大学の研究者、大学と数多くの研究協定を結んで技術ニーズヘのアクセスを拡大している。産官学は相互連携的な技術共同体を形成している。こういう特徴がありますし、大学での地位を保持したままスピンオフして企業をスタートさせる、こんな取り組みも行われておりますし、あるいは特にベンチャー企業への投資に利益、損失双方の税制の優遇措置が講じられておって、資本市場におけるファイナンスが容易である、こういう条件整備がなされております。  日本でも、今年度の税制改正で、例えばエンゼル税制というのが講じられましたし、あるいは大学の教官の兼業規制の緩和、今これも経済構造改革の中で次々に制度改革が行われております。  私は、ぜひこういう制度改革をどんどんやるべきだと思いますが、この観点からの制度改革について、どういう対応、取り組みになっているかということをお伺いします。私が六点ほど申し上げますので、これについての御答弁をお願いしたいと思います。  第一点は、国立大学、国立試験研究機関との共同研究の実施形態の弾力化。  それから二点目は、国立大学、国立試験研究機関からの企業への技術移転の促進。教官、研究員の兼業規制の緩和。  それからもう一点は、働いた者が報われるようなインセンティブを付与していく必要があるだろう。その意味では、国の機関と企業との共同研究の成果、これを研究者個人に帰属させるようなことが必要ではないか。つまり、特許を取得した場合に、国の研究機関の研究員であれば、それが一部個人にも属するような仕掛け。  もう一点は、研究者、研究機関、研究課題等の研究評価をどうするか。  それと、ポストドクターの育成。  国の研究者の任期制。  私は、この六点ぐらいがこの制度改革の課題だと前々から考えていたのですが、この点について、随分これは実現しているものもありますけれども、その取り組みの内容についてお伺いしたいと思います。
  142. 近藤隆彦

    ○近藤(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  研究の成果を実際に生かして活用されるためのいろいろな制度の改革、改善が必要でございまして、これは、科学技術基本法に基づきまして昨年七月に閣議決定されました科学技術基本計画が大きな柱になっております。新しい研究開発システムの構築のために、現に、その基本計画策定後、各省庁一丸となって協力しながら、おのおのの立場で制度改革に努めているところでございます。  今先生御指摘になりましたように、幾つかの点につきまして着実に今進んでおる面もございまして、御紹介を申し上げますと、特に産官学の連携、交流の一層の推進、あるいは若手研究者を中心とする創造的な研究者の育成、そういった観点から、できるだけ弾力的あるいは柔軟な研究環境をつくるという観点からのいろいろな制度改定がございます。  まず、国立試験研究機関等におきます研究者に対します任期制の導入でございますけれども、これにつきましては今、関係法案が国会で議論されておりまして、これも法案の成立後、現に相当期待している部分もございますので、着実に実現していくものというふうに見ております。  それから、民間との関係におきましての民間に対するインセンティブということでございますけれども、例えば、国の研究者が民間等との研究開発等に参加する場合の兼業につきましても、兼業許可が円滑に進みますように、関係の規定の改定が各省庁で進んでおります。  また、共同研究の成果でありますいろいろな特許権等につきまして、民間の方に優先的な実施権が与えられるように、このような観点からの規定の整備も進んでおります。  また、研究者自身の自分に対するインセンティブといった観点からの研究者個人への特許権等の帰属につきましても、これも着実に進んでおります。  また、先生がおっしゃいましたようなポストドクターにつきましても、一万人計画という計画を持っておりまして、これに従いまして年々着実に進んでおりますし、また今後とも引き続き進めていこうと思っております。  さらに、外部評価の制度の導入を中心とします厳正な評価制度でございますけれども、これにつきましても、現在、科学技術会議で専門の委員会をつくりまして、国費を使うすべての研究に共通するような評価のガイドラインをつくっておりまして、これに基づきまして厳正な評価をしたいというふうに進めておる最中でございます。  このように基本計健盛られましたいろいろな事項、特にその研究環境の流動性あるいは競争的な環境をつくるための制度につきましては、今後とも関係省庁と密接な連携をとりまして、私ども全力を挙げてその実現に向けまして頑張っていこうと思っております。
  143. 根本匠

    根本分科員 科学技術創造立国、これは橋本政権の大きな柱なのですね。この分野は予算面でもあるいは制度面でも随分と改革が進んでいまして、私もこれは政官挙げての大きな取り組みの成果だと思っております。  いろいろな改革、制度改善あるいは新しい制度の創造、取り組みが行われているわけでありますが、例えば今いろいろな制度改革がなされているわけでありますけれども、アメリカと比べて、この科学技術創造立国の仕組みということを考えた場合に、要は、今お話しになったようないろいろな対応を含めて、研究条件あるいは企業が新しくベンチャーで創出できるような条件を含めて、アメリカと比較してどの程度まで日本は条件が整備されたという状態なのか。いろいろな指標、いろいろな視点があると思うのだけれども、アメリカを取り巻く環境条件と日本の環境条件を比較して、今どの程度まで日本は来ているのか、それから残された課題は何か。  この辺の日米間の比較という観点から、今の産官学の連携や研究体制の活性化という視点から、私が質問した項目を踏まえて、今アメリカと比較した場合、どんな状況になっているのか、それから今後日本はどういうところをもう少し強調あるいは課題として取り組んでいくべきだと思っているのか、その点をお伺いしたいと思います。
  144. 近藤隆彦

    ○近藤(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  今、アメリカとの比較、科学技術の現状につきましての御質問でございますけれども、特に若手研究者を中心としました人材交流の点でありますとか、あるいは研究機関等に対します適正な研究評価とかいう点につきましては、日本はまだまだ十分ではないという評価が、大体、専門家、特に日本とアメリカの両方の経験をした人が特に言っている点でございます。  この点につきましては、先般私どもの方から平成八年度科学技術の振興に関する年次報告という格好で国会に提出しましたいわゆる科学技術白書におきましても、いろいろな調査をしておりまして、例えば日本の先端科学技術者の二千名程度にアンケートをしまして、意識調査におきまして、アメリカといろいろな点で比較をしたわけでありますけれども、七〇%近くの研究者が、アメリカの研究環境の方が総体的に日本に比べてすぐれているというふうに回答をしております。特に研究補助者の人材が日本に比べて圧倒的に豊富であるといったこと、あるいは研究交流が特に産と学の関係で大変活発であること、それから今先生がおっしゃいましたような、特に企業化に対するいろいろな仕組みが進んでいることといった点でございます。  このような問題意識を私どもも持っておりまして、科学技術基本計画におきましても、こういった問題を踏まえまして、さらに活発な人材交流を促進するために、先ほど申しましたような制度も含めて一層の改善をしたいと思っておりますし、また企業化につきましても、関係省庁と協力しながら税制等でいろいろな面での推進をしたいと思っておりますし、また評価につきましても、単に厳しく見るということだけでなくて、前向きに、いいものはいいという格好で評価されまして創造性が引っ張られていくような、そういった方面も含めて適正な評価をしたいと思っております。  そういう意味で、今後ともさらに関係省庁と連絡しながら、全体的な研究環境の向上にさらに一層の努力を進めてまいりたいと思います。
  145. 根本匠

    根本分科員 ぜひこれからも強力に取り組んでいただきたいと思います。当然、我々も政治家でありますから、政治の場でも取り組んでいきたいと思います。  科学技術庁関係は今一連の質問をさせていただきましたが、今度ちょっと角度を変えて、基礎研究推進制度、これが平成七年度の補正から講じられたわけでありますが、実は同じような視点で、NTT、JTを民営化したときに、NTTの配当等を活用した出融資制度、これは通産と郵政でつくられております。これは通産省ですけれども、公募型の基礎研究推進制度というのが今あるわけですが、この出融資制度の内容と公募型基礎研究推進制度との役割分担をどうしているのか。  本来、研究というのは、基礎研究、応用研究、商品化・実用化研究、この三つぐらいのジャンルに分かれると思いますが、この出融資制度については、どうも私の感じでは、多分応用研究的なところをねらったのだろうと思っておりますが、基礎研究的な内容も一部含まれていて、何かお話によりますと、特許を売ったお金で採算がとれないというのは変ですけれども、融資されたものが戻せない、こんな課題も出てきているようであります。  出融資制度の考え方、内容、公募型の基礎研究推進制度との役割分担の考え方、そして現段階における出融資制度をどう評価しているのか、あるいは課題があればどう取り組もうとされているのか、この点をお伺いしたいと思います。
  146. 林由紀夫

    ○林説明員 御説明申し上げます。  ただいまの御質問いただきました基盤技術研究促進センターでございますが、これにつきましては、御指摘のように、NTT配当益等を財源とします産業投資特別会計、ここからの出融資を受けまして、民間におきます基盤技術の研究開発促進のために出資事業、融資事業実施してまいりました。  実績について申し上げますと、昭和六十年に設立したわけでございますが、出資事業につきましては、平成八年度末までに百六件、出資総額二千二百億円、融資事業につきましても、平成八年度末までに三百三十二件、融資残高四百二億円という状況になっております。  この評価でございますけれども、このうち特に出資事業でございますが、これまでに三千件を超えます特許を出願する等、着実な成果を生んでおるというふうに評価をいたしておりますし、また最近になりまして、この研究成果を利用した製品も幾つか出始めているという状況でございます。  一方で、先ほど来質疑ございますように、現在、新規産業の創出につながる研究開発の促進というのが極めて緊要な課題になっておるというふうに認識をしておる次第でございまして、この観点から、平成九年度から、この基盤センターにおきまして、新たに中堅中小企業が行います事業化を目指したハイリスク・ハイリターンの研究開発を対象とした出融資制度を創設したところでございます。  したがいまして、通産省としましては、郵政省とも連携をしながら、こういった民間の研究開発をより効果的に促進していくようにこの基盤センターの運営を図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。  特に提案募集型の基礎研究推進制度との分担でございますけれども、これにつきましては、一言で申し上げますと、いわゆる提案公募制度につきましては、技術シーズを発掘育成するために、国が主体となりまして、産官学の研究者の能力を活用しながらシーズ発掘を進めておるという制度でございます。  一方、この基盤技術研究促進センターでございますが、特に今年度から、先ほど申し上げましたような制度改正を行いまして、民間企業におきますより直接的な事業化につながる研究開発、こういったものを中心として支援をしていこうというふうに考えておるところでございまして、したがいまして、両制度が相まってこの研究開発の成果が着実に新規産業の創出につながっていくことを期待していきたいというふうに考えておるところでございます。
  147. 根本匠

    根本分科員 各省庁とも連携をしながら活用して、十分に成果を上げるようにお願いしたいと思います。  最後に、農林省にお伺いしたいと思いますが、ガット・ウルグアイ・ラウンド対策、六兆百億円のお金である。今まで進めてきたわけでありますが、やはりこれから日本の農業の生産性を高める、特にバイオ分野というのは非常に重要な分野ですから、農林省でもこの公募型の基礎研究推進制度を活用されてやっているわけでありますが、農林省におけるこの取り組み、特に現状の評価、多分研究員の皆さんに大変喜ばれていると私は思うのですね。  農林省でどのように取り組んで、そしてこれを日本の農業の振興にどのように結びつけていこうとしているのか、その点をお伺いいたします。
  148. 大森昭彦

    ○大森説明員 先ほど来の先生のお話の中にございました制度全般の改善ですとかあるいは基礎研究の推進ということで、私どもも各省庁と連携しながら、この点について積極的に対応しておるところでございます。  お尋ねの、特に基礎研究の関係につきまして、私ども所管の生研機構におきまして、平成八年度から提案公募型の基礎研究推進事業に取り組んでおるところでございまして、予算額は、平成八年が十九億円、九年度が三十六億円でございます。  応募状況は、先ほど科技庁の方からもございましたが、私ども関係も昨年は二十倍近い応募状況でございまして、今年度も、ただいま募集中でございますが、同様の状況でございます。  そこで、この制度自体の評価と申しますか、先生先ほどおまとめいただきまして、テーマの重点化、あるいは研究費の大きな研究ができるというふうなことですとか、自主性が発揮できるというふうな形でおまとめいただいておりましたが、私どもも全くそのような形でとらえておりまして、特に国研の研究者にとりましては、従来の農林水産関係全般の研究勢力を結集しながらこういう研究に取り組めるという面から、その交流等も含めまして、大変歓迎をしておるところでございます。  また、大学等にも広く開いておるわけでございまして、かなりの部分、大学にもこのテーマが行っておりますが、そういう点で、いわゆる政策目的に沿ったような研究開発に大学の方からも支援をしていただくというふうな観点で、私どもとしては、これからこの制度を大きく育てていきたいと思っておるところでございます。  やはり出口をにらんで成果につなげていくというところが重要でございますので、私ども、これから基礎研究から出てまいりますシーズを広く拾い上げながら、ひとつ実際のUR対策等の場面で使える技術に組み立てていくというあたりにこれから一層力を入れてまいりたいというふうに思っております。
  149. 根本匠

    根本分科員 終わります。ありがとうございました。
  150. 上田清司

    ○上田主査 これにて根本匠君の質疑は終了いたしました。  次に、笹木竜三君。
  151. 笹木竜三

    笹木分科員 新進党の笹木竜三です。質問を始めさせていただきます。  きょうは、すべて原子力政策について質問させていただきます。  最初に、一点目なんですけれども、「ふげん」について。新型転換炉、ATRについては実証炉については断念をしているわけですけれども、「もんじゅ」の事故あるいは東海村の事故その他で、「ふげん」についても廃炉を検討せよといった声もいろいろなところから出たりしております。この「ふげん」について、今後の展望、方針についてまずお聞かせ願いたいと思います。
  152. 加藤康宏

    ○加藤(康)政府委員 「ふげん」につきましては、四月に重水の微量な漏れがございまして、それに関する連絡通報が非常にまずかったということで、その点を徹底的に直していただくために、原子炉をとめてそれをやっていただいているわけでございます。  我々としましては、今回「ふげん」が停止されているのは連絡通報体制がまずかったということでございますので、そういうことが改善されればまた運転を再開したいと考えている次第でございます。  なお、「ふげん」の長期的な課題につきましては、ATR実証炉を断念した折に、今後十年ぐらい核燃料サイクルの研究に資するというようなために運転するということで、地元にも御説明している最中でございましたが、そのときに「もんじゅ」の事件が起きまして、必ずしもそういうことにはなっておりませんが、そういう経緯がございました。  その後、東海の再処理工場の事故の関係におきまして、現在、動燃改革検討委員会というところで動燃事業団の抜本的な見直しをしている最中でございます。「ふげん」の将来につきましても、そういう中で方向が出てくるものと考えている次第でございます。
  153. 笹木竜三

    笹木分科員 今までの計画ですと、八月の上旬から定期検査が入ることになっております。今、改革検討委員会での結論の中でそういったことについても報告が出るはずだというお話ですけれども、この通常の計画どおりであれば、八月に定期検査が入るということになるわけですね。
  154. 加藤康宏

    ○加藤(康)政府委員 そのように聞いております。
  155. 笹木竜三

    笹木分科員 その場合に、いろいろなところで報道がなされて心配もされているわけですけれども、使用済み燃料の貯蔵のスペースがなくなるのじゃないか、その部分はどうするのだ、再処理工場が動いていない場合にその部分はどうするのだ、再処理工場が動いていないのに使用済み燃料だけ受け取るのはちょっと困るといったことも発言されているわけですから、その場合に使用済み燃料についてはどうされるのか、方針をお答えいただきたいと思います。
  156. 加藤康宏

    ○加藤(康)政府委員 御指摘のように「ふげん」の使用済み燃料は東海に運び込む予定でございまして、今回、東海再処理工場でトラブルが起きましたけれども、東海の使用済み燃料のプールにはまだ余裕がございます。したがいまして、我々としましては、地元方々の御了解を得ながら、東海の再処理工場に使用済み燃料を運び、そして運転は続けるようにしたいと考えている次第でございます。
  157. 笹木竜三

    笹木分科員 再処理工場が動いてなくても東海の方で必ず受けてもらえるということなわけですね、確認をさせていただくわけですけれども
  158. 加藤康宏

    ○加藤(康)政府委員 その辺は地元の方によく御説明して、御了解を得てと考えている次第でございます。
  159. 笹木竜三

    笹木分科員 もう一つ確認をしたいわけですけれども、さっきお話ししましたように、「ふげん」での使用済み燃料の貯蔵プールの最大の可能容量が七百三十本、現在の貯蔵量が四百九十九本、通常の貯蔵の可能容量が五百六本というふうになっております。この通常の容量は定期検査で超えてしまう、容量を超過してしまうということで、仮に東海の方で受け入れることが拒否された場合ですけれども、炉心燃料を取り出さなければならない緊急時に備えている空きスペース、これを緊急で使う、そういうことも可能性はあるのかないのか、今のところ絶対にそういうことは考えていないのか、そのことについて確認をさせていただきたいと思います。
  160. 加藤康宏

    ○加藤(康)政府委員 その辺はいろいろな事情を勘案しながら検討しなければいけないと思いますが、緊急最大可能容量としましてはさらに二百二十本ぐらいあるわけでございますので、そういうものの利用の可能性につきましては、またそれなりに関係するところにいろいろお聞きしたいと考えている次第でございます。
  161. 笹木竜三

    笹木分科員 その場合には、県とか地元の反応といいますか、確認はとらなくてもそういった対応はできるとお考えなのか、お答えいただきたいと思います。
  162. 加藤康宏

    ○加藤(康)政府委員 いずれにせよ、通常の運転方法ともし違うことをとるということになりますれば、地元には事前に説明する必要があるかと考えている次第でございます。
  163. 笹木竜三

    笹木分科員 ここで、「もんじゅ」の安全性総点検とか動燃の改革検討委員会のことにも話を移させていただきたいと思うわけですけれども、例えば「ふげん」での使用済み燃料の問題、これも最悪の場合には今言った緊急用のスペースを使うこともあり得るということだと思います。その場合には県の確認もとるというお話なわけですけれども地元の方は、高速増殖炉あるいはプルサーマル、そういったことすべてについてですけれども、国としてのはっきりした方針が決まらないうちには、もうその都度その都度の方針変更というのに対応するのはいいかげんにしてもらいたいということを再三言っているわけです。  まず、この「もんじゅ」の安全性総点検、六月に改善策を示すというふうに言われておりますけれども、今までどのように議論が積み上げられてきているのか、現状についてお答えいただきたいと思います。
  164. 池田要

    ○池田政府委員 「もんじゅ」の安全性総点検についてお尋ねでございますけれども、この総点検を始めましたのは昨年の十月でございました。私ども原子力安全局に専門家から成ります安全性総点検のチームを設置いたしまして、まず総点検の基本方針でございますとか、具体的な点検内容、点検手法等についてここで定めまして、動燃に対して提示をしてきた。  これを受けまして動燃は、昨年の十二月ごろからでございますけれども実施計画をつくりまして、この「もんじゅ」についてのナトリウムに関連する設備類でございますとか、それから緊急時のマニュアル等についての総点検を実施してございます。当初事業団は、ことしの六月までには改善策を示したいということでそれを表明したところでございますけれども、作業はややおくれているというふうに承知しております。  科学技術庁といたしましては、現在、こういう状況を踏まえまして、安全性総点検のチームが動燃によります点検内容の確認を進めているところでございますけれども、先日、この五月十九日、二十日には、チーム自身が直接「もんじゅ」の現場に赴きまして点検活動を行ったところでございますし、今後もこうしたチーム自身によります確認、それも現場の確認等も適宜行いながら点検を進めることにしてございます。できるだけ早い時期に結論を出すようなことで進めてまいりたいと考えているところでございます。
  165. 笹木竜三

    笹木分科員 安全性の総点検、六月に改善策を示すという予定だったけれども、若干おくれそうだというお話が今ありました。その一方で動燃の改革検討委、これは最初の予定では七月に報告を出す、夏ごろに報告を出すということだったわけですけれども、それを、その後いろいろなところからの要望もありまして早めるということになりました。この経過について確認したいと思います。御説明ください。
  166. 加藤康宏

    ○加藤(康)政府委員 改革検討委員会は、四月にスタートいたしまして、七月の末に終える予定ということでございまして、それ自体は変わっておりません。  ただし、その議論の中で、動燃の抜本的な見直しと申しますか、骨子的な、そういうところは早目にある程度輪郭を出さないと最後の報告書がまとまらないということで、その部分の骨格的なものを六月ぐらいにある程度決めたい、そういう趣旨でございまして、改革検討委員会報告自身はやはり七月末までに予定している次第でございます。
  167. 笹木竜三

    笹木分科員 今までに二回委員会が行われているのですか。この内容について、議論がどのぐらい委員によってされていて、あるいは事務方からあるいは動燃からの報告がどのぐらいされているという、そういった内容についてお答えいただきたいと思います。
  168. 加藤康宏

    ○加藤(康)政府委員 過去二回は、最初は、第一回目は、動燃事業団がどういうことをしているのかとか、そういう概要的な御説明と、それから各委員が新聞等で、動燃の問題をいろいろ既にお考えだったものですから、それぞれの委員の御体験から、この問題を自分はどう考えるというような御意見の披瀝、そして、ではこれからどのように会合を進めていくかという論点を今回の委員会で整理する、そういうふうな議論をしていただきましたし、第二回目では、その論点の整理を引き続き行っていただきましたのと、あと事務局から動燃事業団の業務について、どのようなことをやっているかとか、そういう御説明をいたしました。そういうことでございます。
  169. 笹木竜三

    笹木分科員 いろいろ説明があって、それぞれ意見を言い合って、論点の整理もあったというお話なんですけれども、過去二回、それぞれどのぐらいの時間をかけて、今言った現状についての説明とかに充てられた時間、委員からの意見が出されてその論点を整理した時間、その二種類に分けたとしたら大体何割と何割になるか、お答えいただけますか。
  170. 加藤康宏

    ○加藤(康)政府委員 ちょっと時間をはかっておりませんので、少し間違っているかもしれませんが、全く感覚的に申しますと、基本的には議論をする時間の方が非常に長い。事業団とか事務方からの説明は一件やってせいぜい十分とか、二件やると二十分とか、全体が二時間でございますが、そういう意味で過半は委員同士の御意見議論を闘わせる方が多いということでございます。
  171. 笹木竜三

    笹木分科員 それで、六月の上旬には大体の報告、最終報告は七月、これは変えていないけれどもということですけれども、六月の上旬には大体の報告を出すということです。これであと一回ぐらい開けるわけですか。
  172. 加藤康宏

    ○加藤(康)政府委員 次回は六月六日でございますが、第二回目の会合の最後のときに、次回に座長が、動燃改革の基本的な方向、そういうものをとりあえず取りまとめて、それをベースに議論していただくということでございますので、次回で骨格が固まるという状況ではないと思っております。  いずれにせよ、全体、どういう方向で考えるかといったたき台をつくっていただきまして、そこで議論をしていただく。でございますので、その前に各委員が座長にそれぞれの私見を文書で出していただいて、そういうものを参考に座長が一つのたたき台をつくっていただく、それを通じて議論をする、そういうことでございます。
  173. 笹木竜三

    笹木分科員 六月六日に座長がたたき台を出して、それで大体の基本的な方向性を、出していくということになりますか。
  174. 加藤康宏

    ○加藤(康)政府委員 基本的な方向というのが人によってイメージが違うと思うのですが、これは座長がこれから案をつくられますので、私の方からどのようなものになるというのはちょっと言うわけにいきませんけれども、その回だけで、例えば業務の抜本的な見直しの方向がすぐ出るとか、そういうことよりはもうちょっと基本的な話じゃないかというふうに考えている次第でございます。
  175. 笹木竜三

    笹木分科員 確認をさせていただきたいのですけれども、この動燃の改革検討委員会、おととしに「もんじゅ」の事故が起きて、それでまた今回の東海村の事故が起きて、ほとんど経験が生かされていないということで、これはもう廃止も含めてゼロからの検討をするんだということでこの検討委員会が始まったと思います。そういう御説明も受けました。その結果、今、過去二回やった、それで三回目に向けて各委員からそれぞれの意見を出してもらって、座長がたたき台を出す。今まで何十年も積み上げてきて、そして続けてきたFBRの路線に対して、あるいはそれを実施主体としてやっている動燃のあり方について、この三回で大体の基本的な方向を出す。非常にまた大丈夫なのかなという不安もあるわけですけれども、外部の監査も入れる、外部のコンサルタントによる評価も受けて、それも動燃の改革の検討に生かしていくのだというお話でした。  このアーサーアンダーセンですか、これによるコンサル、もう始まっていると思うわけですけれども、六月の上旬に大体の基本的な方向を出すということで、この外部コンサルの作業は大体間に合っているのでしょうか。
  176. 加藤康宏

    ○加藤(康)政府委員 動燃改革検討委員会報告書が七月末を予定しておりますが、その中では、動燃の体質と申しますか、業務の進め方、組織の問題、体質、そういうような問題も含めて七月末には方向を出していただきたいと思っておりますが、今御指摘の第三者のコンサルタントには、主として、動燃の組織の運営、業務の遂行体制、そういう内部的な問題を中に入って調べていただいております。したがいまして、そういうようなものにつきましては次回も報告があると思いますが、さらに七月に入ってまた報告いただく、そういうことをもとに七月三十日の報告書をまとめる、そういうことでございます。
  177. 笹木竜三

    笹木分科員 最初の予定書なんかを見ますと、事業所、これは「もんじゅ」であれ「ふげん」であれ東海であれ大洗であれ、事業所については五月の末までに意識調査をやる。これは職員の方々の意識調査ですか。あるいは、事業所の方針ですとか情報、保守安全、危機管理等の実務についての調査分析、これも五月末までにやる。最初の計画書では、この外部コンサルによるそういった事業所に対する分析は五月末で終わるというふうになっておりました。  そういうことで、大体もうその調査は少なくとも終わっていると思うわけですけれども、その結果を踏まえて、それでさっきの検討委員会の、六月六日までに各委員が出していただく意見にも反映させるということで考えてよろしいわけですね。
  178. 加藤康宏

    ○加藤(康)政府委員 コンサルタントの報告は、六月六日と七月に入ってからのものと二回報告があると思っていまして、六月には、とりあえずわかっている範囲での調査結果であると思います。そして、それは当然たたき台等を議論していただく際に参考としていただくということでございます。
  179. 笹木竜三

    笹木分科員 意見を出してもらうに当たって、各委員にも当然事前にそういった結果は見ていただくということでよろしいんですね。
  180. 加藤康宏

    ○加藤(康)政府委員 それは間に合うかどうかでございますが、間に合いますれば当然事前にお配りいたしますが、そうでなくてもまだその次の回にも議論する場があるわけでございますから、特に事業団の組織、体制、業務の遂行的なものにつきましては七月にも議論があるかと思いますので、そういう中で生かせると考えている次第でございます。
  181. 笹木竜三

    笹木分科員 ここでもう一度確認させていただきたいわけですけれども、今、「もんじゅ」の事故、東海村の事故、そして「ふげん」のいろいろなトラブル、こういったことを受けて、今までの体制のままではとてもこの原子力政策を動燃には任せられない、さらに、こういった外部のコンサルを導入して動燃の評価をしていること自体が、科学技術庁の監督のあり方、これに対しても非常に不信が強い、そういった事実を踏まえて外部による監査、調査も受けている、私はそう認識をしております。  いずれにしても、そういったことを踏まえて、原子力のいろいろな政策、方針についても、さらにその実施主体についても、何を変えるべきか、そして何を続けて、守っていくべきか、この深刻な結論を近いうちに出すということだと思います。  その非常に深刻で重大な結論を出すに当たって、六月に一回出して、また七月にもう一回出す。この六月に出す報告の位置づけをもう一回はっきりと明確にお答えいただきたいと思います。
  182. 加藤康宏

    ○加藤(康)政府委員 まず、先ほどもございましたけれども、原子力の政策について議論はしておりません。  原子力の政策、特に核燃料サイクルにつきましては、むしろ、この前原子力委員会でも確認しておりますが、我が国にとって非常に重要なものであるから、核燃料のリサイクルと申しますか、使用済み燃料を採集してプルトニウムを使っていく、そういうものをやはりやっていく、それは重要であるということを認識しておりまして、改革検討委員会は、そういう政策を遂行するに足る実施機関と申しますか、研究機関がどうあるべきかということを議論していただいているわけでございます。  それと、もう一点は、六月に入りまして何か報告書をつくるということではございませんで、そういうことに対して議論していただく、骨格といいますか、座長の取りまとめました基本的な方向、それについて議論していただくということでございまして、そこで何か報告書をつくるということは特に現在考えておりません。報告書は、やはり七月の末の最終報告といいますか、そのときに出るものと考えている次第でございます。
  183. 笹木竜三

    笹木分科員 報告書は出さないということでわかりました。  ここで、さらに質問をしたいわけですけれども、今お話ししました、動燃の改革は必要だ、これはもう当然そう思います。今の動燃にはこの原子力政策を担っていく力はないと思っております。今の形ですべてを動燃に任せている体制は絶対に変えないといけないと思っております。  科学技術委員会でも何度か話させていただきましたけれども、「もんじゅ」の事故の経験を生かしていない、これは動燃だけじゃありません。例えば、この間、東海村の事故が起きたときに、あれだけ「もんじゅ」の事故のときに、モニターがないとだめだ、そうじゃないと、一々現場まで走っていって、それに時間がかかるし、窓から内部の様子を見ているという非常にお粗末な状況だったということで、このモニターなんかは絶対に必要だという議論がたくさんあったにもかかわらず、事故の前ですけれども、この東海村の事業所にモニターがあるかどうか、その確認が全くなされていなかった。あるいは、さや管の構造についても、機能については、どのような機能を持つ温度計かについては監督する義務があったけれども、形については義務がなかったというおかしな理屈で、全く形が違っていたという事実を、事故が起こってその後報告書が出るまで科技庁が知っていなかった。こういうお粗末な点がたくさんありました。  我々も一般の国民の皆さんも、決して動燃にだけ不安を持っているわけじゃございません。科技庁の監督のあり方、検査のあり方、これに対して非常に不安を持っている。危機管理体制のあり方についても、科技庁では、とても今の体制ではどうしようもないのじゃないかと思っております。科技庁自体の監督のあり方も含めて、外部の機関、組織に検査、調査をしていただくことがどうしても必要だと思っております。それをしなければ、原子力政策全体にもっと大きな打撃を受けるだろうと心配をしております。  このことについて、大臣、まずコメントをいただきたいと思います。
  184. 近岡理一郎

    ○近岡国務大臣 ただいま先生御指摘のとおり、私も先生と同じような考えを持っているつもりでおりますが、やはり今回の一連のこういった動燃の対応につきまして、一昨年の「もんじゅ」の教訓が生かされていなかったというふうなことは全く遺憾のきわみでありまして、特に私としましても、今御指摘のとおり動燃に対する指導監督が不十分だったということは認めざるを得ない、こう思います。ですから、毎回委員会でも、そのことを深く反省しているところを申し上げたわけであります。  したがって、動燃の体質、組織あるいは体制について徹底的な見直しを行うために、今もお話ありましたとおり、動燃改革検討委員会を私直轄で開催することにしたわけでありますが、これは動燃だけの改革ではございません。その改革を進めていく上で、動燃に対する科技庁の監督のあり方についても検討することといたしております。  また、本委員会の検討に資するために、今も御指摘ありました外部のコンサルタントも活用しているわけですが、その調査は、動燃のみならず、当庁と動燃の関係等についても行われております。このような調査から、当庁の監督のあり方等の考慮すべき点が必ず出てくると私は思います。  したがって、いずれにしましても、当庁の改革につきましても、改めるべきものは断固として根本から改めるという柔軟な姿勢で取り組んでいかなければならぬという強い決意を持って臨んでおります。
  185. 笹木竜三

    笹木分科員 ぜひそのことをお願いしたいと思います。  もう一つだけ言いますと、あの「もんじゅ」の事故で、あれだけ初期の連絡体制が大切だという指摘がたくさんあって、動燃に対してはたくさんの批判がありました。しかし、今度の東海村の事故におきましても、科学技術庁が通報を受けたのが、二十時三十分、動燃から連絡を受けている。しかし、その後、官邸に対して連絡しようと始めたのが二十一時三十五分、一時間五分たってからです。動燃に対するいろいろな批判、それと共通する体質が科技庁にはあると思えてなりません。  今長官からお話があったように、外部による評価調査、これを科技庁自体にもぜひしっかりとやっていただく、そのことが原子力政策にとって大事だと思っております。ぜひお願いをしたいと思います。  それと、もう一つ確認したいわけですけれども、この動燃の改革の中で、今動燃がやっている事業について民間にいろいろ移行させたい、移転をさせたい、そういった議論、一般からもたくさんありますし、当の動燃の理事長からもそういった発言がありました。この点について確認をさせていただきたいと思います。事務方の方で結構です。
  186. 加藤康宏

    ○加藤(康)政府委員 これは、動燃改革検討委員会が始まる前から国会等でも御答弁しておりますし、動燃理事長もされておりますが、今民間の方で実力がついていると申しますのは、ウラン濃縮、それから海外探鉱というのも、長期契約等で民間がウランを購入しているということがございまして、そういうようなものにつきましては、動燃事業団の役割は昔に比べてかなり減っているわけでございます。そういう意味で、海外探鉱につきましても縮小する、それからウラン濃縮につきましても民間に技術移転をして、動燃の役割を縮小していく、そういうようなことかと考えております。  あと、再処理につきましては、民間で既に六ケ所村に大きな再処理工場を建設中でございまして、二〇〇三年の運転開始を目指しておりますが、それにつきましては、日本では動燃事業団しか技術がございませんので、そこで運転員の研修をするとか、そういうようなことで技術の研修をして、六ケ所の工場がスムーズに運転するように支援する、そういうようなことをさせていただいている次第でございます。
  187. 笹木竜三

    笹木分科員 それと、もう一つお話しさせていただきたいわけですけれども、先ほどFBR、高速増殖炉の基本路線、政策についてはこの検討委員会では検討していないのだ、その実施の運営主体について検討しているのだ、それは事実としてはそのとおりだと思いますけれども、今このFBRの実用化の方針についてもどうなのかどいう意見が国会でもたくさん出ております。こういったことを全く議論抜きにして、実施主体のことだけで議論をしてもとても納得はされません。  今度、委員会でも自由討論で原子力政策全体について討論することになっております。こういった問題、さらに実施主体の問題、科技庁に対する外部監査の問題、こういったことも含めて議論をしてまいりたいと思っています。ぜひ長官の積極的な御発言もいろいろお願いしたいと思っております。  最後に一言コメントですけれども、核融合の誘致もむだだからやめたらどうかといった意見もあります。こういったのはもう明らかに行き過ぎだと思っております。何を続けるべきか、そして実施主体、何を変えるべきか、政策で何を現実的に変えるべきか、路線も何を変えるべきか、しっかりと分けて議論をしていくことが必要だと思っています。  質問を終わらせていただきます。
  188. 上田清司

    ○上田主査 これにて笹木竜三君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして科学技術庁所管質疑は終了いたしました。  これにて本分科会審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。  これにて散会いたします。     午後二時四十一分散会