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1997-05-27 第140回国会 衆議院 決算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十七日(火曜日)     午前九時三十分開議  出席分科員   主 査 栗本慎一郎君       大野 松茂君    河井 克行君       熊谷 市雄君    柳本 卓治君       大口 善徳君    生方 幸夫君    兼務 中野 正志君 兼務 渡辺 博道君    兼務 武山百合子君 兼務 平田 米男君    兼務 若松 謙維君  出席国務大臣         法 務 大 臣 松浦  功君         大 蔵 大 臣 三塚  博君  出席政府委員         法務大臣官房長 頃安 健司君         法務大臣官房司         法法制調査部長 山崎  潮君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         法務省訟務局長 森脇  勝君         法務省入国管理         局長      伊集院明夫君         公安調査庁長官 杉原 弘泰君         大蔵大臣官房審         議官      尾原 榮夫君         大蔵省主計局次         長       細川 興一君         大蔵省理財局次         長       戸恒 東人君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      榊原 英資君         国税庁課税部長 舩橋 晴雄君  分科員外出席者         衆議院事務総長 谷  福丸君         衆議院法制局長 坂本 一洋君         裁判官弾劾裁判         所事務局長   藤田 教稔君         裁判官訴追委員         会事務局長   濱井 一夫君         国立国会図書館         長       緒方信一郎君         総務庁行政管理         局行政情報シス         テム企画課長  藤井 昭夫君         環境庁自然保護         局計画課長   鹿野 久男君         環境庁大気保全         局大気規制課長 飯島  孝君         外務省条約局条         約課長     竹内 春久君         大蔵省主計局司         計課長     田頭 基典君         建設省都市局公         園緑地課長   冨田 祐次君         会計検査院事務         総長官房審議官 関本 匡邦君         会計検査院事務         総局第一局長  深田 烝治君         決算委員会調査         室長      天野  進君     ───────────── 分科員の異動 五月二十七日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     大野 松茂君   柳本 卓治君     河井 克行君   生方 幸夫君     川内 博史君 同日  辞任         補欠選任   大野 松茂君     熊谷 市雄君   河井 克行君     柳本 卓治君   川内 博史君     玄葉光一郎君 同日  辞任         補欠選任   玄葉光一郎君     生方 幸夫君 同日  第二分科員渡辺博道君、武山百合子君、平田米  男君、若松謙維君及び第三分科員中野正志君が  本分科兼務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  平成六年度一般会計歳入歳出決算  平成六年度特別会計歳入歳出決算  平成六年度国税収納金整理資金受払計算書  平成六年度政府関係機関決算書  平成六年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成六年度国有財産無償貸付状況計算書  平成七年度一般会計歳入歳出決算  平成七年度特別会計歳入歳出決算  平成七年度国税収納金整理資金受払計算書  平成七年度政府関係機関決算書  平成七年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成七年度国有財産無償貸付状況計算書  (国会法務省大蔵省所管国民金融公庫、  日本開発銀行及び日本輸出入銀行)      ────◇─────
  2. 栗本慎一郎

    栗本主査 これより決算委員会第一分科会を開会いたします。  平成六年度決算外二件及び平成七年度決算外二件中、本日は、大蔵省所管国民金融公庫日本開発銀行日本輸出入銀行並び法務省及び国会所管について審査を行います。  前日に続いて、大蔵省所管国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行について審査を行います。  質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力お願い申し上げます。  また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河井克行君。
  3. 河井克行

    河井分科員 皆さん、おはようございます。自民党の河井克行です。  きょうは、衆議院に昨年上げていただきまして、決算委員会で初めての質問でございますけれども大蔵大臣、本当に御みずから大変お忙しい中お出ましをいただきまして、まるで天にも上るようなうれしい気持ちでいっぱいでございます。何とぞ名答弁をいただけますよう、大変短い時間でございますけれども、お力をおかしいただけますようお願いをいたしたいと思います。  きょうは、一応決算委員会ということですので、平成六年度、七年度の決算について一つだけ最初質問をさせていただきたいと思います。  いわゆる外為特会状況についてですけれども、この数週間、特に為替相場が変動をいたしております。具体的な数字に入る前に、きょうは国金局長にお越しをいただいておりますけれども、かなり今回の相場局長さんのいろいろな御高説が市場にインパクトを与えて、もちろんそれが起こるような客観的な土壌があったにしても、随分とそういう面では、従来アメリカではルービンさんとその他の方々協力し合って割といい相場をつくってきたという評価が一部であったわけですけれども、今回は榊原相場だというふうな見方もあるようでございます。  ちょっと最初に個人的な感想も含めましてお尋ねしたいのですが、なかなかうまくいったなというふうにお思いでしょうか。それから、今後の見通しについても少し教えていただきたいと思います。お願いいたします。
  4. 榊原英資

    榊原政府委員 日本政府為替に対する考え方というのは三塚大蔵大臣が示されたところでございまして、私もそれに沿った発言をしております。我々の立場は、四月あるいは二月のベルリンで出されたG7声明に沿った考え方を表明しておるということでございます。
  5. 河井克行

    河井分科員 では、ちょっと数字お尋ねさせていただきたいと思いますが、平成六年度、七年度それから八年度の見込み数字で、外国為替等売買の差の損益、こちらはフローベース収支になると思いますけれども、その数字。及び外国為替等評価損益、これはストックベース損益になると思います。それに加えまして、日米金利差から来る収支損益についても教えていただければありがたいと思います。
  6. 榊原英資

    榊原政府委員 六年度から八年度までの外国為替等売買損益、これはフロー損益でございますけれども、六年度が二千二百三十八億円の益、七年度は八百六十六億円の損、八年度の見込みは百三十二億円の益でございます。  また、外国為替評価損益、これはストック評価損あるいは評価益でございますけれども、六年度は七千四百五十二億円の評価損、七年度は三千三十九億円の評価損、八年度の見込みは二兆九千三百二十億円の評価益ということになっております。  このフローベース損益ストックベース損益を足してみますと、六年度は五千二百十四億円の損、七年度は三千九百五億円の損、八年度の見込みは二兆九千四百五十二億円の益ということでございます。  また、要するに外国からの利子収入等ということでございますけれども、これは当然のことながらフローベース損益に反映されております。フローベースの益の大宗は外国からの金利収入ということでございます。  それで、運用収入を含めた収益状況でございますけれども、最近の収益状況は、六年度で八千五百九十六億円の利益、七年度で六千七百八十二億円の利益、八年度で九千三百三十三億円の利益見込み、これはフロー数字でございます。
  7. 河井克行

    河井分科員 この特別会計は昭和二十年代から設置をされたというふうに伺っておりますけれども、これまで、全部足してもうかっているのでしょうか、もうかっていないのでしょうか、教えていただきたいと思います。
  8. 榊原英資

    榊原政府委員 八年度末の外国為替評価損につきましては、円高是正による評価益が生ずる結果、七年度末の繰越評価損十兆九百二十三億円から大幅に減少して、七兆一千六百三億円ということになっております。これが累積評価損でございます。  ただ、この評価損に見合うものとして、私ども利子収入等を積み立てておりまして、八年度末の積立金の合計は、これは見込みでございますけれども、七兆六千二百二十一億円であり、積立金評価損を四千六百十八億円上回っております。ですから、八年度末は実質黒字に復帰しているということでございます。
  9. 河井克行

    河井分科員 つまり、平成八年度見込み数字が入って初めてそういうふうないい数字累積でなってきたというふうに理解してよろしいわけですね。
  10. 榊原英資

    榊原政府委員 そういうことでございます。
  11. 河井克行

    河井分科員 八年度見込みは、いわゆる円高是正ということで大幅な評価益が生じたために、約三兆円近い評価益が生まれてきたわけですけれども、最近の相場動き、またこれからの動きを見てきたとき、相場というのはある意味ではくちの世界にも似ているというふうな例えもございますので、いいときはいいわけですけれども、悪いときも来ないとも限らないというふうなことを考えております。そうしたときに、いわゆる利子益等と損の差が五千億円足らずだというのは、決して大きな数字ではないように考えております。  そういう意味で、今、橋本政権は一生懸命財政構造改革そして財政再建を全力を傾注して進めていただいておりますけれども、そういう観点からも、この特会に大きな穴があくことがないように、どうか名局長さんの名采配をいただきまして、国民が本当に安心して生活をすることができますように、さらに一生懸命お仕事をしていっていただきたいというふうに思います。  相場につきまして、今後の見通しを、もしできましたらちょっとお教えいただけますでしょうか。
  12. 榊原英資

    榊原政府委員 相場見通しは、私、立場上言ってはいけないということになっておりますので。  けさ大蔵大臣が、G7合意が浸透してきたようだ、為替が安定してきたようだ、こういうような発言をなさっているところでございます。
  13. 河井克行

    河井分科員 続きまして、次は大蔵大臣お尋ねをしたいわけですけれども、第一勧業銀行事件が発生をいたしました。そこで言われておりますのは、本当に、銀行に対する大蔵省検査監督が十分ではなかったのじゃないだろうかというふうな指摘がいろいろなところから起こってきております。そういう意味で、銀行の自主的な申告を今までは信頼するという部分があったわけですけれども信頼性自体がだんだんと損なわれてきたという指摘もございます。そういう意味で、先日、橋本総理銀行法罰則規定強化をするべきだというお考え記者団に懇談の席で表明をされたというふうに伺っておりますけれども、私も全くそのとおりだというふうに考えております。  九五年九月に発生しました大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件では、アメリカ地検当局は十年分さかのぼって三億四千万ドルも罰金を徴収した。ですから、まあ大体三百四十億円以上の罰金を徴収したということになっております。今の日本の法では本当にわずかの金額しか科することができないというふうに伺っておりますけれども、その点、大臣がこの罰則強化についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。
  14. 三塚博

    三塚国務大臣 今回の第一勧銀不祥事件、極めてあり得べからざる事態でありまして、遺憾千万と言う以外にないわけでございます。  銀行公共性の高い民間企業であります。信頼がまたその基本にあるわけでございますから、透明であるということが極めて重要なことであります。銀行検査を行った際の大蔵省銀行局の取り組みが不十分であったのではないかという指摘も一面強くありますが、必要な書類が提出されなかった疑いこれありということが、みずから銀行首脳陣が会見で言われておるということ、そのようなことであると私も報告を受けております。残念な事柄であるなということでございます。  よって、アメリカの例も引かれましたが、一罰百戒というのでしょうか、そういうことの必要性国民間に出てまいりますことは当然。首相もその辺の感懐を申されたということであります。  透明かつ公正な金融市場の構築を図っていくことが主管大臣として絶対の要件、内閣としても絶対の業務であります。そのような観点から、重要な課題、ビッグバンがスタートを切っておるさなかにおいて基幹銀行の、トップ銀行一つがさようなことは、まことに表現のしようのないことであろうかと思っております。  今後、検査実効性を担保する観点から、十分かどうかといった点、不十分であったとするならどこにあったのか、こういう事実解明をいたしまして、幅広い角度から、また国民世論の動向を踏まえて対処をしていかなければならぬところである、こう思っております。
  15. 河井克行

    河井分科員 罰則規定強化銀行法の中で、それについて踏み込むべきだというふうに私たちは思っているわけですけれども、もしそれをおやりいただけるとすれば、大体いつごろをめどとしてお考えになっていらっしゃるのか。それとも、もう少し慎重にお考えになっていかれるのか。その辺、教えていただければと思います。
  16. 山口公生

    山口政府委員 今大臣が御答弁申し上げましたように、大変重大な事件ととらえておりまして、検査等実効性の担保の観点からの罰則強化ということは、私どもも早急に取りかかっていくべき課題だというふうに思うわけでございます。  ただ、銀行法だけごらんいただきましても、この検査回避の五十万という罰金以外にもいろいろな罰則懲役刑あるいは行政罰としての過料等々がございますし、また経済犯罪でありますと、別に銀行だけの罰則部分的に引き上げるということが果たして整合性観点から十分だろうか、ほかの経済犯罪に対する法令、その絡みもございます。したがいまして、この問題は一つ銀行法の、しかも検査にかかわる問題だけにとどまらず、広く経済犯罪に対する罰金刑あるいは懲役刑等の問題になります。  したがいまして、法務省あるいは法制局、そういった関係者とよく相談しながら、しかし、こういった問題はやはり大臣がおっしゃったような意味もありますので、できるだけ早急に検討したいと思っておりますけれども、かなり広がりのある問題であるということもひとつ御理解いただければ幸いでございます。
  17. 河井克行

    河井分科員 本当に、今おっしゃいましたようにかなり早急にやっていただきませんと、もう国民金融行政に対する信頼自体が損なわれかねない、あるいは金融機関に対する信頼自体が損なわれかねない問題でござしますので、かなり早急というのは秋の臨時国会ということでしょうか、そういうふうな気持ちでぜひ早急に一生懸命やっていただければというふうに思っております。  続いて三点目なんですけれども、これもやはり、同じく金融界全体に対する信頼の欠如につながりかねない重要な問題だと私は受けとめさせていただいております。朝銀大阪信用組合破綻処理についてのお考え方お尋ねをさせていただきたいというふうに思います。これは下手をしますと、私は、第二の住専のようなことに、国民世論感情に火をつけかねないというふうにも考えております。  まず、この朝銀大阪信用組合経営が行き詰まった経緯、そして、それをこれからどのように救済をしていくのか。国の関与も含めて、その辺のスキームについてお聞かせをいただきたいと思います。
  18. 山口公生

    山口政府委員 今御指摘の朝銀大阪信組経営問題につきましては、いろいろなバブルの崩壊の影響等がかなり深刻になってまいりまして、かねてより監督官庁であります大阪府を中心に関係機関におきまして、預金者保護地域信用不安回避等観点から協議が行われてきたところでございますけれども、去る五月十四日に、近畿地区の朝銀五信組が合併して新たに設立します信用組合にこの御指摘の朝銀大阪信組事業譲渡を行うという方針が示されたところでございます。  信用組合破綻が相次いで発生していることは大変残念でございますけれども当局としましては、金融機関不良債権早期処理我が国経済の緊急かつ象徴的な課題であり、金融機関破綻に陥った場合は、いたずらに先送りすることなく、早期に抜本的な処理方策を講ずることが我が国金融システムの一刻も早い機能回復につながるものと考えておりまして、今回の朝銀大阪信組の問題につきましても、このような観点に立ちまして、大蔵省としては、抜本的な処理方策の取りまとめについて協力している次第でございます。
  19. 河井克行

    河井分科員 そこで、その受け皿となる新しい信用組合、これはちまたでは仮称銀近畿と言われているそうですけれども、この仮称銀近畿に対して預金保険機構がお金を出す用意があるわけでしょうか、教えていただきたいと思います。
  20. 山口公生

    山口政府委員 朝銀大阪信組は、他の信組と同様に我が国法令に従って設立された金融機関でございまして、預金保険制度にも加入しております。したがって、破綻処理に当たりまして、一般信組と同様に預金保険の方からの資金投入ということは十分に考えられる、こういうことでございます。
  21. 河井克行

    河井分科員 現時点、そしてこれからも厳密な精査をしていただきたいわけですけれども、大体いかほどの金額の支出を予定をしていらっしゃるのか、あるいは大ざっぱな数字でも結構ですから、お教えをいただきたいと思います。
  22. 山口公生

    山口政府委員 まだ精査が十分でございませんけれども、大体の感じで言いますと、二千億前後ではないかというふうに考えております。
  23. 河井克行

    河井分科員 やはり二千億というのは、随分私は大きな数字だというふうに考えております。  せんだって摘発されました北朝鮮からの覚せい剤密輸事件におきまして、この信用組合の元副理事長さんが検挙されたという報道もございまして、一部では北朝鮮本国に不法な送金が行われているのではないかという報道もあるわけですけれども、そのあたりの実態については既に調査をしていらっしゃるんでしょうか、教えていただきたいと思います。
  24. 山口公生

    山口政府委員 この信用組合自身は、外為法上、外国為替公認銀行としての認可を得ておりませんので、信用組合自身がそうした海外に不正な送金をすることはできないという形になっておるわけでございますが、お尋ね貸出先の方からということのお尋ねかというふうに思うわけでございます。  その点につきましては、監督官庁大阪府でございまして、大阪府の方から私ども報告を受けている限りにおきまして御報告申し上げたいと思いますが、朝銀大阪信組に対する検査を通じ、これは大阪府の検査でございますが、可能な限り融資先資金使途確認を行ったが、把握した限りにおいては北朝鮮への送金の事実は見当たらなかったという報告を今受けているところでございます。
  25. 河井克行

    河井分科員 現時点では見当たらなかったということでございますけれども、先ほど大臣も少しお触れになりましたように、第一勧銀のような立派な銀行ですら裏で何やっていたかわからないというふうなことが実態として明らかになったわけであります。しかも、あの国は、今いろんな疑惑が、我が国に対していろんなことをやってきたんじゃないか、現にやっているんじゃないかというふうな指摘が強く、濃厚にその疑惑指摘をされている国家でございますので──国家じゃないんですね、あそこは、国家承認していなかったわけですから。そういうふうな地域であるわけですから、私、冒頭に第二の住専になりかねないというふうに申し上げましたけれども、何でそういういろんなうわさがあるようなところに対して、朝銀大阪一行だけで、その後始末だけで二千億円も使わなくちゃいけないのかという疑問が浮かび上がってくることは、これだけ景気が余りよくない、そして財政構造も改革しなくちゃいけない、財政再建もしなくちゃいげないというときに、ごくごく当然の国民感情ではないかなというふうに思っております。  それ以外の朝銀糸の信用組合状況、あるいはそれ以外の、逆に南の、韓国系信用組合状況等につきましてもやはり厳しい指摘がされている部分がございますけれども、それについてはどのように実態を把握をしていらっしゃるのか、あるいは今後の展望についてどのようなお考えをお持ちなのか、教えていただきたいと思います。
  26. 山口公生

    山口政府委員 今先生の御指摘にありました、国民感情からしていろいろと疑問が出てくるかもしれないという御懸念でございますけれども預金保険機構制度は、金融機関を助けるという趣旨ではございませんで、預金者保護するための制度でございます。この信組我が国の法律に基づいた我が国信組でございますし、預金者はほとんど我が国国民方々だろうというふうに思うわけでございます。  そうしますと、預金者保護のためにやるということで、その発動の前提としましては、やはり経営責任の厳格な追及とか出資者損失負担を求める、それから関係金融機関の可能な限りの協力を求めるなどを前提処理策を取りまとめておりまして、金融機関そのものを救済するための制度でないことは、ひとつ国民の皆様にもぜひ御理解いただきたいと思うわけでございます。  それから、それ以外の信組につきまして、私の方から余り具体的に申し上げるのは適当ではないと思いますけれども、もし万一、どの信用組合でありましても、不幸にして破綻処理に追い込まれてしまったというときになりますと、それはやはり預金者保護という観点から私どもとしては万全を期すべきであろうというふうに考えております。  全般的に言って、信用組合経営状況はなかなか苦しいということが一般に言われておりますけれども、非常に今リストラをして頑張っているところもございますし、そういった努力を見守っているわけでございますけれども、一方で、そういった万一の場合の備えというのは、預金者のためにも十分なことをやっていくべきだろうというふうに考えておる次第でございます。
  27. 河井克行

    河井分科員 もちろん、大多数の信用組合というのはしっかりとした健全な経営をしていらっしゃるというふうに信じております。私の地元にある信用組合も、いずれも健全な経営だというふうに伺っておりますけれども、であるからこそ、こういうふうなごく一部の、しかもいろんな特殊な関係がささやかれている信用組合がこういうふうな事態に陥ってしまったことが、ひいては信組業界全体に悪い影響、それは心理的な面も含めて悪い影響を与えるんじゃなしかという懸念が、現実問題その業界の中にはあるわけなんですね。  そういう意味で、ぜひ大臣にもう一度確認をさせていただきたいのですけれども、徹底的にこの問題につきましては、本当にあの地域への不法出資あるいは送金がなかったのか。私は、ないというのはなかなか一概には信じがたいというふうにいろいろな報道を知る限りでは思うわけですけれども、ぎりぎりと厳密に捜査そして調査をしていっていただけますようお願いをしたいと思います。その辺の確認をさせていただきたいと思います。
  28. 三塚博

    三塚国務大臣 本件の信用組合、五信組処理策についてでございますが、この起点に、ただいまの御指摘の点、十二分にチェックをしながら努力をしていかなければならないポイント、御指摘であろうと思っております。
  29. 河井克行

    河井分科員 最初に申し上げました銀行法罰則規定強化についてですけれども、私はやはり、こういう金融機関にこそこういうふうな意味でやはり罰則強化すべきじゃないかな、そういうふうに思っております。そういう意味では、銀行法はこの業界には適用されないわけですけれども、そちらの業界に適用される法律の改正も含めて、もう一度最後にお尋ねをさせていただきたいと思います。  先ほど局長さんの答弁では、どうもいろいろなことを多角的に考えながら慎重に考えていきたいという趣旨かなというふうに解釈をさせていただいたわけです。それはそうかもしれませんが、やはり政治としては、こういう点については私はもっと踏み込んだ考え方を示していくべきだ、国民の皆さん方の金融行政金融機関に対する信頼を向上させるためにももっと踏み込んだ対応をすべきじゃないかというふうに思いますが、最後に、もう一度大臣からその点についてのお考えをお示しいただければと思います。
  30. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま捜査をいたしております。銀行局も再度の検査態勢にあるわけでございまして、民主主義社会、十二分の法制上の対応をして、それに罰則の問題が重要なポイントとして浮かび上がる、こういうことであります。その解明をまち、その時点から早急に結論を出すということにしたいと思っております。
  31. 河井克行

    河井分科員 それでは、少しまだ時間が早うございますけれども、次の大野先生にかわらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  32. 栗本慎一郎

    栗本主査 これにて河井克行君の質疑は終了いたしました。  次に、大野松茂君。
  33. 大野松茂

    大野(松)分科員 おはようございます。自由民主党の大野松茂でございます。  相続税に係る緑地保全について、首都圏の緑の保全、殊に武蔵野の原風景としての雑木林、屋敷林の保全、それに対する税制について質問をさせていただきます。  首都圏、中でも私の埼玉県は、昭和三十年代以降の人口集中と産業の発展によりまして、土地利用が著しく変化いたしました。平地や丘陵の農地や雑木林が住宅地、工業用地等に転用されまして、市街化区域はもちろんのこと、近年、市街化調整区域についても身近な緑は急速に失われてきております。武蔵野の基本的風景としての雑木林や屋敷林は、武蔵野のみが持つ四季折々の美しい景観でございます。その貴重な緑が消えていきます。国木田独歩の「武蔵野」は、まさに風前のともしびでございます。  改めて、首都圏の緑の持つ機能、そしてその保全について、まず環境庁の考え方をお示しいただきたいと思います。
  34. 鹿野久男

    ○鹿野説明員 武蔵野丘陵など首都圏近郊に残されました雑木林等の自然は、いろいろな環境保全機能を有しておると思っております。中でも、多様な動植物の生息、生育の場として、また都市住民の自然との触れ合いの場として貴重な存在であるというように認識いたしております。  平成六年十二月に策定されました環境基本計画や、平成七年に策定されました生物多様性国家戦略におきましても、都市近郊に残された自然の適正な保全と 自然との触れ合、の場の確保、さらには身近な生物の生息・生育空間の保全の重要性を掲げているところでございます。  環境庁といたしましても、こうした基本的な方針を踏まえ、地方公共団体や民間の保全活動とも連携しつつ、都市近郊の自然が適切に保全されるよう努力してまいりたいと考えております。
  35. 大野松茂

    大野(松)分科員 そうした姿勢の中でのこれからの取り組みもまたお願いしたいところでもございますが、ともかく環境危機が叫ばれている中で、首都近郊の農地、雑木林などの緑は、食糧生産のほか、今お話もございましたように、大気浄化、気象の緩和、防災機能、景観保全、自然観察、環境教育などの多くの機能を果たしております。環境の時代とは、こうした農業への積極的な評価と市民の合意、そして参加を必要としている、このようにも思っております。  首都圏の緑は、農地、森林、都市公園、河川、工場や公共施設の植栽地等、多くのものによって構成されてきております。これらのうち、都市公園、また施設の植栽地は増加しつつございますものの、緑の多くを占めております農地や森林の減少には実は著しいものがございます。新たにつくり出す緑についても、数多くの政策や事業が推進されているところでございますが、その投資額も大きなものがございます。  一方で、古い時代から引き継がれた緑、武蔵野の自然景観を保全していくことは、土地所有者のみの努力ではとてもとても達成できる状況にはございません。首都圏の緑の創出とそして保全は建設省のまた大きな使命である、このようにも思っておりますが、その対応について建設省にお尋ねいたします。
  36. 冨田祐次

    ○冨田説明員 緑の創出と保全につきましては、建設省といたしましても、首都圏に限らず、緑の保全、創出、活用に関する施策を総合的かつ計画的に推進していくことが建設省の使命であると認識しております。  このため、建設省では、平成六年七月に緑の政策大綱を策定しております。また、平成八年十二月にはそのアクションプログラムとしてのグリーンプラン二〇〇〇を策定いたしまして、緑の保全、創出に係る建設省所管諸施策の総合的な展開を図っているところでございます。  このうち、新たにつくり出す緑につきましては、御指摘のとおり、都市公園の整備や河川、道路の緑化など、さまざまな事業により推進しているところでございますが、古い時代から引き継がれた緑につきましては、民有緑地を保全するための都市緑地保全法に基づく緑地保全地区や市民緑地などの制度の普及活用を図るなど、多様な手法を駆使して都市の緑の保全、創出を進めてまいりたいと考えてございます。
  37. 大野松茂

    大野(松)分科員 建設省としても積極的な取り組みを展開されているとは承知をしているわけでございますが、従来からの取り組みの中で見てまいりますと、市街化区域の緑については実はさまざまな手厚い施策がございます。例えば税の優遇を初めとしてさまざまな施策があるのですが、なかなかそれもまた現実的に展開できない背景もあるわけでございます。そうした背景の中には、例えば市町村が多額の負担をしなければならない事業もありますものですから、市町村の段階で取り組めないということも私はたくさんあるようにも思うわけでございます。  ともかく、そうしたことの中で、市街化区域に対する緑の対策、そしてまた、冒頭申し上げましたような市街化調整区域におけるところの緑の保全につきましても、これから積極的な対応をまたお願いしたいと思っております。  ところで、今この首都圏の緑の中で、特に私の地元にもかかわるところでもございますが、この地域の雑木林が姿を変えております。産業廃棄物処理施設、あるいは霊園、さらには建設資材置き場が緑のベルトを断ち切って、産廃処分場の焼却炉や野焼きの煙に異様な臭気と黒煙を排出しております。極端なところでは 半径五百メートルの範囲に十五ものこうした焼却施設があるという実態にもあるわけでございますが、せっかくの緑の景観も台なしてございます。その上に、周辺の樹木の枯れ込みが拡大している状況も生じております。  そしてまた、連日、新聞やテレビはその煙からダイオキシンの発生とその恐ろしさを報道し続けております。住民の間には大きな不安が広がっておりまして、国や県、市に対しましてダイオキシン対策を求める署名運動が大きな広がりを見せている現状にもございます。  環境庁といたしましてもさまざまな対応をされていることとは存じますけれども、この現状の認識と、そしてこの地域に対する対応についてお尋ねをいたします。
  38. 飯島孝

    ○飯島説明員 先生御指摘になりました三富地域におきましては、多数の廃棄物の焼却炉が集中して設置されておりますことから、地元の地方公共団体から、ダイオキシンによる環境汚染防止対策の推進につきまして私ども再三要望を受けておりまして、現地の状況は十分承知しているところでございます。  環境庁といたしましては、このダイオキシン問題は、国民の健康影響を未然に防止する観点から、対策を急がなければならない重要な課題と認識しております。昨年五月に有識者で構成されます検討会を設けまして、ダイオキシンの健康リスク評価及び排出抑制対策のあり方について検討を進めてきたところでございます。今月の初めに取りまとめられました検討会の報告におきましては、ダイオキシンによる健康リスクをより小さくするため、環境中の濃度を低減する必要があるとし、ダイオキシン類を大気汚染防止法に基づく指定物質として指定し、排出量が多いと考えられます廃棄物焼却炉等につきまして排出抑制の措置を講じるべきことを提言しております。  具体的な排出抑制の措置のあり方につきましては、現在、中央環境審議会大気部会におきまして御審議いただいているところでございますが、環境庁といたしましては、答申をいただき次第、速やかに政令改正等所要の措置をとってまいりたいと考えております。
  39. 大野松茂

    大野(松)分科員 地域の住民の極めて大きな不安でございまして、ぜひこれらにつきまして早急な対応をさらにお進めいただきたいと心からお願いを申し上げるところでございます。  先祖代々受け継がれてきた雑木林、この雑木林がこんな恐ろしいダイオキシンの発生源になる、こんなことはだれも予想したことではございません。もちろん、産業廃棄物処理施設の土地を手放した農家にとりましても全く予想していなかったことでありまして、農家は、雑木林を売りたくて売ったわけではありません。これから本題に入るわけでございますけれども、相続税を払うためにやむなく手放さざるを得なかったわけでございます。農業を継続するためには、畑を手放すことは経営規模の縮小につながります。ために、手放された雑木林は、市街化調整区域のゆえに、産業廃棄物処理施設や霊園に、そしてまた資材置き場にと姿を変えてきております。これが今この地域実態でございます。  既に、緑地の保全対策、林地に係る相続税納税猶予制度について、七都県市首脳会議や全国市長会も大蔵省に要望を続けておられます。そして、東京都また神奈川県、私の県埼玉県も同様に、相続税に係る評価倍率の大幅引き下げや農地並みの相続税猶予制度の創設を大蔵省、建設省に陳情を重ねている、このようにも承知をいたしております。  さきには、東京都の北多摩地区の七市の自然保護関係団体が、市街化区域内の山林の生産緑地並みの評価を求める十万人の署名を集めたと新聞は報じております。今までは、農家の方たちが自分の雑木林の税金をどうしてくれという運動でございましたが、今度は、都市住民の皆さん方が、市街化区域にある雑木林を保全していくためには生産緑地並みの税金にすべきだという形の運動でございまして、私は今までにない運動であると思っております。  これらの要望や陳情について、そしてまた減少し続けている雑木林の実態について、建設省やまた大蔵省立場でも掌握なさっておられるのではないか、このようにも思うわけでございますが、あわせて、大蔵省、建設省の考え方をお聞かぜいただきたいと思います。
  40. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 今の緑の保全の問題に関連しまして、埼玉県からも私ども御要望を聞いているところでございます。  相続税の考え方でございますが、相続税は財産課税でございまして、いわば取得した財産価値そのものに対して税負担を求めるものでございます。したがいまして、すべての財産を平等に取り扱うということが課税の公平上どうしても必要になってくるわけでございます。  そういった中で、都市の緑地について配慮しているものがございます。一例を挙げますと、都市の緑地として保全すべきものといたしまして、例えば、都市緑地保全法の緑地保全地区として都市計画に定められ、私権、使い道が制限されるなど、その保全を図るためいろいろな措置が法律上位置づけられているというものにつきましては、相続税の評価に当たりましても相応のしんしゃくをする。これは私権が制限されるわけでございますから、そうなるわけでございます。また、相続税の納付に音たりましても、延納期間、利子税率などについても特例措置を設けているわけでございます。  今先生のお尋ねの雑木林のような問題でございますが、実は、そのような位置づけがなされていないわけでございます。税制上、どのようなものを特例的に配慮するかという位置づけは税制上では困難でございまして、そのような措置を検討するためには、やはり今一例として申し上げましたように、このような緑地が、私権制限を伴いますような形で、土地利用計画上きっちり法制上も位置づけられるということが検討の条件になるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。  それからもう一点、こういう林地について、農地のような納税猶予制度を設けたらどうかというお話がございました。  確かに、農地につきましては、相続税の納税猶予制度がございます。これは税制上極めて異例の措置でございますが、なぜ設けられているかということを申し上げますと、一つは、農地といいますのは所有と経営が不可分である、つまり、農業を経営している人がその土地を持っていることが最も適当であるという農地法上の位置づけがございます。さらには、農業基本法におきましても、いわば均分相続の例外といたしまして、お一人の方が土地を持っていくことが農業政策上も大切なことである、こういう位置づけがございまして、そのような位置づけに基づきまして、極めて異例ではございますが、納税猶予制度を設けているわけでございますので、先生の今お尋ねのありました件とはいささか事情が異なるというふうに認識しているところでございます。
  41. 冨田祐次

    ○冨田説明員 緑地の保全対策としての相続税の問題でございますけれども、都市の緑を保全する観点から、相続税の扱いが重要であるということにつきましては御指摘のとおりだと思います。このため、緑地を保全するための規制を伴います緑地保全地区、市民緑地等につきましては、ただいま大蔵省の方から御答弁がありましたように、相続税の評価減等の一定の措置が実現しているところでございます。  今後とも、御指摘の点を念頭に置きながら、建設省といたしましても、都市の緑の保全施策の充実に努めてまいりたいと考えてございます。
  42. 大野松茂

    大野(松)分科員 こうしてさまざまな施策を講じていただきながらも、実は、市街化調整区域の緑についての対応というのは、農家の立場から見ましても薄いものでございます。先ほど、減少し続ける雑木林の実態を御承知かというふうにお尋ねしました。特にお答えはございませんでしたが、ぜひ、その実態を建設省の立場からもまた大蔵省立場からも掌握していただきたいのです。掌握することによってこの地域の緑が、今私たちが、特に都市住民が楽しんでいる緑というのは、農家の皆さんが守っている雑木林の緑をもって、武蔵野の緑は美しいと言っているわけです。これが農家の皆さん方は持ちこたえられなくなったという現実に直面をしているわけでありまして、そういうことの中で、これから問題はたくさんあると思いますが、検討をお願いしたい、このようにも思っております。  実は、大蔵大臣により具体的に申し上げさせていただきたい、ぜひお聞きいただきたい、こう思っております。  私の選挙区に隣接をいたしております、先ほど来お話のありました三富新田、これは埼玉県所沢市と三芳町にまたがります地域でございまして、この三富新田は、ことし、開拓の完成から三百年を迎えました。東京の都心から三十キロメートル、そして武蔵野台地に広がる千四百ヘクタールもの畑作地帯でございまして、川越イモを初めとする野菜の大産地として、比較的規模の大きい野菜経営が、意欲的な後継者によってしっかりと実は受け継がれている地域でもございます。  この地域の農家は、開拓当初に植えた雑木林を既に十世代にもわたって維持してまいりました。地元ではこの雑木林のことをヤマと呼んでおりますので、私もこれからヤマと申し上げますが、御理解をいただきたいと思います。このヤマは、冬の強風を防ぐとともに、燃料、まきの供給源にもなりました。落ち葉は集めて堆肥にいたしまして、肥沃な土をつくってまいりました。この地域の宅地が広いのは、堆肥を積んだり、家畜を飼ったり、そして苗床を設けるなどの場所でもありますから、この地域の農家の宅地は広い面積がございます。  広く武蔵野台地の農業というのは、畑とこのヤマ、雑木林と屋敷、住宅地、この三点セットで成り立っております。生産と生活の場が一体化しておりまして、農業を続けることでその景観が保たれてまいりました。環境保全型農業、また、美しい村づくり、今盛んに叫ばれておりますが、殊にこの三富新田の三百年の歴史はまさにそのモデルと言えるものでございます。  農家は、そんな大事なヤマを売りたくて売っているわけではございません。急激に減少している状況にございますが、売りたくて売っているわけではございません。相続のために手放さざるを得ないのです。東京に近いところは、東京に近いという立地の中で地価の高騰を来しておりまして、相続税は膨大な額になりますこともまた当然といえば当然でもございます。  例えば、私の知人でもございますが、三ヘクタールのヤマのうち八十アールを売りました。八億円の相続税を払うためにでございます。隣接した畑については納税猶予制度がありまして、農業を継続すれば免税になる可能性もあるわけでございますが、ヤマは対象になりません。彼は三ヘクタールの野菜農家、後継者と同時に立派な経営者でございます。しかし、この億単位の金となりますと、農業収入ではとてもとても逆立ちしても払える額ではございません。  ヤマは単なる資産ではありません。農業を続けるために欠かせない手段でございます。先ほどの御答弁にございましたように、所有と経営は不可分の関係にございます。ヤマでは、もちろん野菜をつくることはできませんが、野菜畑への有機質が大量に供給され、環境と調和した農業ができます。ヤマと結ばれていた有機農法の崩壊にもつながる事態になります。持続可能な環境を守りたくても、農業を続けたくても続けられなくなる、こういう状況にもあるわけでございます。この地域では、一反の畑と一反のヤマがリンクして、土づくりを初めとする有機農業が実は展開されてまいりました。三百年の歴史でございます。  現行の農地法では、このヤマは農地ではありません。したがって、納税猶予などの適用を受けることはできないわけでございますが、市街化調整区域でありながら、一ヘクタールの相続税の評価額というのは何と四億円を超えてしまいます。この地区は農振地域に指定されておりますので、一ヘクタールの畑の評価額はヤマの半額でございます。猶予農地として申請するとさらにその六分の一くらいに減額をされるはずでございます。同じ市街化調整区域の一ヘクタールの土地でも、ヤマと畑地では評価額にもこのような物すごい開きがあるわけでございます。将来、相続が発生したらヤマを売らなければならないとほとんどの農家の人たちが口にしております。  もはや、このヤマを維持していくこま農家だけの力ではいかんともしがたい。ヤマを農業の貴重な生産手段として活用している地域では、行政がヤマを農地として認識することがぜひ必要でございます。そのような声がまた大きな世論にもなりつつあります。耕地だけに有効な市街化調整区域や農振地域の指定だけでは、ヤマとセットになって初めて維持できるこの地域での農業の可能性自体も切り捨ててしまうことにもなります。このままでは、三回の相続で武蔵野の固有の雑木林、ヤマの緑は消えてしまうと思います。武蔵野の緑として都市住民の皆さんに大変愛されているわけでございますが、雑木林もこんな運命にあるわけでございます。  保全の観点からも、相続税の納付に当たってヤマを売らずに何とか物納できないか、これもまた緑を守ろうとする農家の願いです。売らなくても済む、緑が破壊されなくて済むからでもございます。私自身、市長の時代に、雑木林、緑の公有地化を市民から要望されてまいりましたが、市の財政ではとても買うことのできない状況にもございます。いかに要望されても、市民の夢をかなえることはできませんでした。  長々申し上げましたけれども、大変難しい問題であることは十分承知をいたしておりますが、大蔵大臣の御所見をぜひお聞かせいただきたいと思います。
  43. 舩橋晴雄

    ○船橋政府委員 物納のお尋ねについて、国税庁の方からお答えさせていただきたいと思います。  相続税におきましては、金銭で納付することが困難である場合に物納という制度が認められております。何でもかんでも物納できるというわけではございませんで、適正な価格による処分を妨げるような事情のあるものとか、円滑な管理を阻害するような事情のあるものにつきましては、これは、国における管理、処分が不適当なということで物納を許可しないということもあるわけでございます。  しかしながら、雑木林、今先生御指摘のヤマというそういう形のものにつきましては、雑木林であるからといって一律にこの物納不適当財産というふうになるわけではございません。現にこの三富新田におきましても既に何件か物納を許可した例がございますので、この点、御報告させていただきたいと思います。
  44. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま大野議員、市長として武蔵野のヤマ、雑木林を保存したいということの努力のエッセンスの話を承りました。しかと心にとめてまいります。  同時に、保全地域であり、人の心の安らぎをそこに求める。東京、大都市でありますから、唯一残された地域であろう、こう思います。都市計画、町づくりの中でどのようにこのヤマを位置づけをしていくかということは、都政、また国政の分野でも重要な課題であると思います。関係官庁と検討を願いまして、私も最大の関心を持って勉強してまいりたい、こう思っております。
  45. 大野松茂

    大野(松)分科員 ありがとうございました。  物納についての対応をしていただいているということ、これは大変ありがたいことでございます。ただし、これからが問題なんですけれども、緑の物納で取っていただける──出す農家の立場は、その緑をそのまま保全していただきたいという物納なんです。これも大事なことでもありますので、ぜひとめておいていただきたい、こう思います。  それと、納税猶予制度の対象となる農地等のうち、農地及び採草放牧地については農地法第二条第一項の規定を用いるものとされております。それで、この解釈を雑木林にも適用できないものかと私は願っております。  ともかく、きょうは大蔵大臣決算委員会の場で、長年の悲願を国会議員という立場で直接訴えることができました。かけがえのない武蔵野の緑を保全していくために、今後とも地域の皆さんとともにあらゆる努力を注いでまいりたい、こう思っております。何とぞ、今後ともこうした地域の緑、武蔵野の雑木林を守る上での格別の御理解を賜りますようにお願い申し上げて、時間になりましたので終わらせていただきます。  大変ありがとうございました。
  46. 栗本慎一郎

    栗本主査 これにて大野松茂君の質疑は終了いたしました。  次に、中野正志君。
  47. 中野正志

    中野(正)分科員 自由民主党の中野正志でございます。  私は、三塚大蔵大臣、かつて禄をはんだ一人でございますから大変質問しづらいのでございますけれども、胸をかりるつもりで質問を申し上げたいと存じます。  平成六年度、平成七年度、日本国有鉄道清算事業団に対する国の支出額として、六年度補助金七百六十二億円、七年度補助金六百三十五億円計上されました。また、同事業団に対する財投額でありますけれども平成六年度、一兆五千七百二十四億円、平成七年度は一兆二千百九十七億円となっております。  それに関連して、まずその前提として、大蔵大臣に国鉄民営化十年の総括をお伺いいたしたいと思います。  実は、私は当時、御存じのように県議会議員でございまして、おそばで勉強もさせていただきました。あの国鉄改革が仕上がる前の数年間、三塚大臣が若手、中堅を糾合されて、本当にすばらしい国会議員としての高い志、また使命感を持たれながら、国権の最高機関としての立法府の議員が国鉄はどうしたって改革をしなければならない、毎年二兆円近い赤字を生んで経営破綻だ、これをしっかり民営化させて明確な経営責任のもとで再生させることが、即、将来の日本のためなんだ、子供、孫のためなんだ。ひたすら国鉄改革の道に頑張られた。大変な苦難でありました。夜中の遅くまで、あの当時の労働組合と称する人たちの脅迫もありましたし、朝早くの脅迫もありました。曲げずに、信念とそれに基づく行動で国鉄改革を仕上げられて、そしてこの十年を迎えるわけであります。  先日、識者にお伺いをいたしましたら、もし国鉄改革がなければ、恐らく、その債務は今日の勘定で五十兆円を超えるのではないだろうか、また、国鉄運賃も大分値上がりしておったのではないだろうかと予測をされております。私は、そういう意味では、大変成功だった、率直に大きな御評価を申し上げたいと思うのでありますけれども、改革のまさに先陣、先頭を切られた三塚大臣に国鉄民営化十年の総括についてお伺いをいたしておきたいと存じます。
  48. 三塚博

    三塚国務大臣 中野議員、段々の経過の中の分割・民営の総括いかん、こういうことであります。  まさに、火の車ではなく破産でございました。破産ですが、公営企業として走り続けなければならない、こういう中で、悪慣行、経営権が労組にあるとすら言われた真っただ中の改革は、分割・民営化をもってなし、こういうことであります。  その中で最大のポイントは、毎年六千から七千億円の国庫補助金が支出をされておりました。財投による借りかえ措置、当然累積をするわけでございます。さらに、そのほかの数々の諸問題がある中で、国民各位の御支援もこれあり、最終的には、当時の民社党を初め公明党の衆議院段階における理解を得て、法律が通るということになりました。  過去顧みて、あの改革なかりせばということで言及がありましたが、ただいまのJR各社、全力を尽くして頑張っておることだけは間違いありません。既に、法人税、地方税を含めまして、本州三社が利益を上げて頑張っておる 三島は持参金つきでございますから、利子収入によって収支を合わせるということですが、超低利でありますので、昨今は大分苦労をしながら、それでも黒字決算、わずかでありますがやられておるということは、御同慶にたえません。本州三社は、二千からことしは二千五百億程度になるのかという、国税、地方税の納入にあります。  そういたしますと、分割後、民営化後十年になりました、それがなかりせま国庫補助金はさらにふえたでありましょうし、さらに、今言われたように累積赤字が累増したでありましょう。それがなくなったということだけで、国庫に大いな貢献を、地方に大いな貢献をしておる、こうなると思います。  補助金の面における問題、それで納税の問題、生まれ変わった形の中で頑張っておることだけは間違いありません。民間鉄道として、他の交通機関とのサービスの競争をやりながら頑張っておるということは正解だったな、こう思っております。
  49. 中野正志

    中野(正)分科員 言及されましたように、国鉄時代には国から毎年六千億円の補助、今やJRから毎年二千億円強の納税ということで、差し引き八千億円強の財政貢献をしている。私は、大変よかったなと、なおさら思います。  さて、そこで、国鉄清算事業団長期債務処理の基本的考え方についてお伺いをいたしたいと思います。  マスコミで、清算事業団の長期債務処理問題、国会議員は全然議論をしていないとかつて批判もされたことがございました。私ども自民党では、精力的に議論を続けております。また、いろいろ識者もお呼びを申し上げながら、お知恵もおかりいたしておるところであります。二十八兆一千億円の債務をどう処理するか。まさに国民的な課題でもあり、国民の皆さんには大変大きな興味を持たれる問題でもあります。  調べてみますと、そもそも分割・民営化の際、処理すべき国鉄の長期債務等は三十七兆一千億円。その中で、JR各社が十四兆五千億円の債務を背負いました。発足初年度、売り上げ見込みの四・五倍というのでありますから、大変な数字であります。大手私鉄の三倍の債務をしょってスタートいたしております。そして、国鉄清算事業団が二十二兆七千億円。国鉄の遊休資産、JR株式を処分してその一部に充てて、残る債務については最終的に国が責任を持って処理することとされました。  国とJRとの責任分野は、国会審議、その前には閣議決定ということで明確に区分をされておるわけでありますけれども、この長期債務処理の基本的考え方について、大蔵大臣にお伺いをいたしておきたいと存じます。
  50. 細川興一

    ○細川政府委員 国鉄の清算事業団の債務等の処理につきましては、先生御存じのように、昨年の十二月二十五日の閣議決定におきまして、平成十年度より長期債務等の本格的処理を実施する、そのため、その具体的処理方策の検討を進め、平成九年中にその成案を得るというふうに閣議決定されております。  これを受けまして、現在、与党内等におきましてさまざまな処理方策等が議論されているところでありますが、基本といたしまして、仮にすべてを一般会計負担で償還し、その結果赤字国債が累増するということになりますと、単に政府の中で債務の主体がかわったということにすぎないということになります。このため、先般の財政構造改革会議において最初に示されました基本的な考え方にもありますが、「将来世代への負担の単なるつけまわしとならないよう、あらゆる選択肢を精力的に検討する。」ということが基本の考え方であろうと考えております。
  51. 中野正志

    中野(正)分科員 細かい議論は追って申し上げたいと思いますが、JR各社、十年間の経営努力で当初見通しを大きく上回った、先ほど大蔵大臣からもお話がありました それでもJR本州三社は、いまだ売り上げの三・二倍の実は債務をしょっております。十二兆円強だとお伺いをいたしておりますけれども、今日の売上額からいたしますと、大分に長期の返済になるだろうな。ところが、この事実が忘れられた議論が実は横行いたしておるのであります。  そこで、お伺いをいたしますけれども、この十二兆円強、いまだ長期債務、長期の借金を持っておりますこれらJRに、特別追加負担の形で債務処理に充当するという考え方が一部に示されておりますけれども大蔵省はいかに考えられますか。
  52. 細川興一

    ○細川政府委員 先ほど申し上げました長期債務の本格的処理につきましては、今御指摘のありましたJR負担も含めて、各方面でさまざまな議論がなされております。いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、九年中に本格的処理を行うというに際しましてはあらゆる選択肢を検討していくということが必要であると考えております。
  53. 中野正志

    中野(正)分科員 あらゆる選択肢にこの特別追加負担という形もあるということに理解をすればいいのか、その辺ちょっと定かでありません。  ただ、私は議員の立場で申し上げますけれども、やはりこれから行政改革しっかり進めていかなければならないという前提に立ちますと、国鉄改革のときの債務処理の枠組みはしっかり厳守されるのでなければならない、国鉄改革の趣旨に反することはすべきでないと考えております。国鉄がJRに変わりまして、JRは上場された民間企業なわけですよね。株主に対する責任もあります。伺いますと、一一%海外の株主もあるということでありますから、私は、国際的な信用上、追加負担ということになりますと大変な問題になりますよ。また、株主代表訴訟を起こされましたら、とてもでありませんが耐え得る形になるのでしょうか、実は懸念をいたしておるわけであります。  私自身は、そういう意味で、JRに対する追加負担ということは、戦後最大の行政改革の成果、それを無にするものだ、ですから認められるべきではないと考えております。まして三塚大蔵大臣、あの十年前に、JRの経営に政治の介入を許してはならないのだと声高らかに宣言をされたあの信念ということからいたしますと、私はそういった意味での負担というのは邪道であるなと考えております。  同時に、このごろでありますけれども、鉄道利用税あるいはJR利用税の名目でJRの運賃に利用者負担をさせたらという考え方も、実は一部に出てきております。財政構造改革会議で三塚大臣がそういうことに言及をされたとの報道もあるのでありますけれども、直接の追加負担ではなくて、それが無理ならこういった利用税名目で負担をいただこうではないか、こんな考え方もあられるようでありますけれども、これまた大蔵省、ひとつ感想をお聞かせをいただいておきたいと思うのです。
  54. 細川興一

    ○細川政府委員 これも先ほどと同じような答弁になるかもしれませんが、御指摘のJR利用税等も含めまして、各方面でいろいろな議論が行われていることは承知いたしております。いずれにしましても、本格的処理に当たりましては、大変な問題でございますので、あらゆる選択肢についてぎりぎりの検討を精力的に行っていく必要があるというふうに考えております。
  55. 中野正志

    中野(正)分科員 私自身は、こういった利用税というのは、実態は運賃値上げの形であり、問題だと思います。  先ほど来お話がありましたように、JRはここ十年間、消費税分を除いては値上げはしておりません。必死の努力をされてきたということだけは率直に評価をしなければならない。ましてJR利用税ということでJRにだけというのは、税制上大きな問題があるのではないですか。ほかの鉄道機関との競争もあります。飛行機との競争もあります。まして消費税五%、減税なし、あるいは医療負担、介護保険の問題ありで、これ以上、言ってみれば国民大衆の方々に増税をなおさらにお願いするとしうことは避けられるべきだ JRの健全経営に支障をもたらしてはならないと実は考えております。  私ども、党の特別委員会、亀井委員会でも十三人の識者をお招きをいたしまして、JRの特別追加負担はおかしい、それから鉄道利用税であれJR利用税であれ、そんなことは合理的な理由はないと十三人中十一人の識者の方々発言をされております。また、先日のこの特別委員会では、三塚大臣ともども国鉄改革にひた走った桜井新代議士が、涙の出るような訴えで、こういったばかなことはすべきでないと率直に申されております。  よって、ここは大蔵大臣に一言お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  56. 三塚博

    三塚国務大臣 清算事業団、店じまいのところに来たわけでありまして、九年中にはこの負担についての結論を出す、こういうところにございます。社会保障関係費、小泉大臣中心に、三党を中心に血のにじむ努力をしながら法律改正を第一弾取り進めております。そういう中で、清算事業団が最終の締めとして、閣議決定のとおり、残について国民の負担とする。国民負担をどのような形で行ってまいるか、政治の根幹にかかわる重要な問題、こういうことになりました。  利子つきのお金を借りておりますものですから、私の計算によれば毎年九千億円の利払いが出る、こういうことであります。まずこの利子の解消策を考えることが第一、そのためにはどんな方式があるかということで、これまたそれぞれの御意見を党からも聞いておるところでございます。  私自身もそれなりに考えておるところでございますが、そういう中で、企画委員会でこのやりとりをした中で、ありとあらゆる選択肢、こういう議論の中で、単発でいくことは難しい、総合的な勘案の中で、その負担のあり方、財源の捻出方法、二つ、こういうことを考えるべきではないのか、これをそのままにして前に進むということはあり得ない、こう申し上げてきたところでございます。  指摘のように、単体のJRにだけ新たな負担を課するという問題は、公平の原点からいいましても難しい問題。交通税、利用税というのであれば総合交通税という問題もあるだろうという提起も、それなりにしておるところ。  税収の問題についても、他に選択肢として、亀井委員会においても無税国債を初め十項目にわたる検討項目が報告をされ、企画委員会、きのうの全体会議に報告した「清算事業団債務」の中に出ております。それらの項目全体を見詰めながら、最終的に年内に結論を出していきませんと、これは、先送りをしていくことには全くなりません。これをやりますと、財政構造改革が前に進みません。  よって、知恵の限り、また国民論議の中で理解を得つつ、また理解を得られるもの、理解を得るために努力をして、複合的なものに仕上げるかということであろうと思っております。
  57. 中野正志

    中野(正)分科員 要は、国鉄改革の原点だけは忘れていただきたくないという思いでいっぱいでございます。私は、長期債務の実態について、もっと国民にわかりやすくオープンに話しかけることが大事だと思っております。  六十二年の十月、閣議決定で、地価高騰に対処するため、清算事業団の土地売却見合わせということがありました。あの当時、与野党含めてマスコミも、もう土地は売るな。それがまた、バブル崩壊後の地価の低迷で売れなくなり、結果的に多額の債務だけが残ったという現実があります。財投その他の問題、大臣お触れになりましたけれども、これもまたいろいろ問題のあるところでもあります。議論は後日に譲りたいと思いますが。  そこで、私なりに長期債務処理の個人的な考え方を申し上げたいと思います。  一つには、国鉄改革のときの「国鉄長期債務等の分担及び処理考え方」で示された、最終的に国において処理されるもの十三・八兆円は、これは一般会計につけかえる。  二つ目、JR各社の二千億強の納税分を長期債務処理に充当する。そのうち国税は約一千億円と承知をいたしております。  三番目でありますけれども、目的税であります揮発油税、航空燃料税の名称を変えまして、軽油引取税もあるのでありますが、これは地方分でありますから手をつけられません、二酸化炭素・窒素税としてより広範な目的税化できないものだろうが。  実は、私どもの地元の新聞に河北新報という新聞があります。三月一日号。先進二十カ国の温暖化対策、日本ワースト二。世界自然保護基金通信簿発表。評価は国別CO2排出量など四項目。今年十二月、気候変動枠組み条約第三回会議が京都市で開催。ホスト国として緊急な取り組み必要。この保護基金では、「現在の各国の提案では、温暖化がもたらす破壊的な影響から地球を守れそうにない」と結論。まして、酸性雨、大陸からの偏西風に乗り、奥羽山脈ほかの一部に緑の立ち枯れ被害もある。  地球温暖化、酸性雨からどうこの地球を守っていくかということは、子供、孫に対する責任でもある、三塚大臣が常々おっしゃっておられることでもありますけれども、そういった対応策にはすべからく金であります。  そういう意味で、こういったものを排出するすべてに対して税の対象、ただし一般家庭だけは除くということでありますと、この、環境税と言ってもいいのでありましょうけれども、二酸化炭素・窒素税というのは一つ考え方なのではないだろうか。  そして、その集まった税収の使い道でありますけれども一つは、申し上げましたように地球温暖化、酸性雨対策の国内対策のみならず、地球的規模での総合的な取り組みに使う。二番目は、旧来の目的税の趣旨を生かして、道路や空港などの整備にも使う。また、三つ目、クリーンエネルギーで頑張った日本国有鉄道の結果としての赤字、いわゆる長期債務処理に当座使わせてもらう。終われば地球環境を守る予算として使う。さすればこの二酸化炭素・窒素税は一石三鳥の考え方になるのではないかな、こう勝手に考えております。  今私ども、若手の皆さんに、万機公論に決すべしでありますから、いろいろ意識改革を迫っておる最中であります。まして、こういう考え方であれ、ば国民の皆さんの理解も得られやすい。また、納得されて、なるほどと思われる。  CO2などを排出する工場は負担はありますでしょうけれども、今、幸いに法人税減税の問題も具体に進められるわけでありますから、それを前提とするならば決して難しい話ではない、そう勝手に考えておりますが、大蔵大臣考え方をお聞かせください。
  58. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 ただいま、二酸化炭素・窒素税、環境税についてのお尋ねがございました。  実は、いわゆる地球規模の環境問題へ税制上どう対応していくか、これからの一つの研究課題と認識しておりますが、ことしの一月に税制調査会が、「これからの税制を考える」ということで、国民各層に税制についての広い問題提起をしているわけでございます。その中で、個人の消費活動や企業の生産活動が、自然環境、居住環境などに対して悪影響を及ぼす場合、それにより生じますコストを製品やサービスの取引価格に反映させることなどで、適正かつ公平な経済的負担を求めるという考え方があるのではないかという環境税の基本になる考え方を紹介し、問題提起をしているわけでございます。  今申し上げましたような、二酸化炭素及び窒素税といった御指摘でございましたが、こういった問題提起も参考にいたしまして、国民各層での幅広い議論、また、今国際的にもいろいろ議論がなされております、その議論の進展を注視しながら、今後とも調査研究を続けていくべき課題であるというふうに認識しているわけでございます。
  59. 中野正志

    中野(正)分科員 最後に一つだけお伺いをいたします。  国鉄改革の目的でありますJRの完全民営化達成のためにも、事業団債務というのは速やかに減らすことが急務だと思います。  大蔵大臣初め大蔵当局の御努力にもよりまして、株価も上昇局面にあります。平成八年十二月の閣議決定で、九年度にはJR東海株式の売却・上場を目指す、また、東日本、西日本の第二次売却についても早期処分が図られるべし、こう決定をいただいておるところでありますけれども、そういう意味で、株式売却について、今こそタイミングなのではないかと率直こ考えておりますけれども、いかようにお考えでありましょうか。
  60. 細川興一

    ○細川政府委員 今先生御指摘がありましたように、昨年の閣議決定で、JR東海株については九年度、それから既上場株式の第二次売却についても早期処分が図られるよう調整を進めるというふうに閣議決定されております。  大蔵省としましても、国鉄長期債務等の早期償還を図るためにも、事業団が保有する資産については、JR株式を含め、これを早期に処分する必要があるというふうに考えているところではございます。
  61. 中野正志

    中野(正)分科員 ともども、この問題、重要でございますので、頑張ってまいりたいと存じます。ありがとうございました。
  62. 栗本慎一郎

    栗本主査 これにて中野正志君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺博道君。     〔主査退席、大口主査代理着席〕
  63. 渡辺博道

    渡辺(博)分科員 自由民主党の渡辺博道でございます。三塚大蔵大臣におかれましては、連日本当に御苦労さまでございます。  実は、私は、選挙区であります千葉六区、松戸、鎌ケ谷、市川、東京のベッドタウンとして発展してまいったところでありますが、この地域、御多分に漏れず、バブル経済の影響をもろに受けた地域でございまして、この二、三年の周辺の環境というものが大変大きく変貌を遂げております。一例を申しますならば、今まで農地であって畑を耕していたところが、あっという間に分譲地に、家が建ち並ぶ住宅地となってしまったり、また屋敷森に囲まれた家が、いつの間にか家がなくなってしまって更地になってしまったり、こういった土地が数々見受けられます。  この原因はと申しますと、相続だというお話でありました。また、「財界展望」五月号でありますが、この中にも一例として、寄附金で譲渡対策御用心というようなことで、今までの不動産業者まで相続税に絡んで手玉にとられたというような内容の事件が掲示されております。  このように、相続にかかわる問題としていろいろな現象が今各地で生じていると思います。先ほど、埼玉県選出の大野先生の方からの御質問もありました緑の保全についての相続対策、こういった点もございますが、特に、都市近郊におきます相続の問題、大変重大な問題が起きているというふうに思います。こうした状態は、まさに正常な状態ではないなというふうに思っておりますが、戦後五十年を経過した中で、特に農業従事者、または中小企業の経営者にあっては、世代交代の時期と相まって、事業承継の問題、大変重大な関心事であります。事業承継を円滑に行うということは、今後の日本経済の健全な発展に大きく寄与するものと思料されます。  そこでお伺いさせていただきますが、都市部を中心とした国有地の管理、処分のあり方について、基本的な考え方大蔵大臣にお伺いしたいと思うのです。よろしくお願いいたします。
  64. 戸恒東人

    ○戸恒政府委員 国有地の管理、処分につきましては、国有財産中央審議会の答申に従いまして、基本的には、国有地は国民の貴重な財産でございますので、公用、公共用の用途に利用する、そういうことで考えております。
  65. 渡辺博道

    渡辺(博)分科員 それでは、現在、私の周辺環境を見ても、かなり物納の物件が多いようでございますけれども、この物納の物件の状況について、過去どういう状況にあるか御説明いただきたいと思います
  66. 戸恒東人

    ○戸恒政府委員 物納の概要につきまして簡単に申し上げますけれども、相続税の物納制度がございまして、物納につきましては国税の方に物納の申請がございます。その件数は、平成四年、五年、六年度から非常に大量になってまいっておりまして、その物納の申請がなされましたものにつきまして、そのうち大蔵省の方に引き受けがなされるわけでございます。  この引受件数につきましては、申請がなされた後、二、三年後にやや、何といいますか、ふえてまいりまして、最近におきましては、例えば平成五年度では三千九百件、平成六年度では六千件、平成七年度では七千件、平成八年度では五千件ぐらいを引き受けております。  その結果といたしまして、ちょっと数字が古くて恐縮なんですが、平成八年の十二月末現在で、その引き受けた物件のうち、いわゆる未利用地、更地になっているものだけを申し上げますと、ストックで約七千八百六十八件ということでございますが、物納の物件でございますので、非常に面積の小さいものがありまして、例えば、三百平米以下の物件が全体の三六%、それから、三百平米を超えまして五百平米以下の件数が二二%、したがいまして、五百平米以下の土地というのが全体の五八%、このようになっております。  概括的に申し上げました。
  67. 渡辺博道

    渡辺(博)分科員 今のお話ですと、平成五年から大分ふえてきたということでございますけれども、実際に、この管理はどのようになされているのでしょうか。
  68. 戸恒東人

    ○戸恒政府委員 物納されました国有財産につきましては、基本的には、国有財産でございますので、先ほど申し上げました国有財産の管理、処分の基本原則に従いまして処理をしていくわけです。  まず公用、公共用を優先するということでございますので、地元の公共団体等に買い受けの希望がございましたら、そちらに優先をするわけでございますが、先ほど私がお答えいたしましたように、五百平米以下の小規模な土地が非常に多いということと、それから、物納される前の形状が宅地である、しかも、優良な宅地に点在するようなものでございますので、こういう土地は公用、公共用に使用しないというような可能性がありますので、我々としては、現下の厳しい財政事情等も考慮して、できるだけ早期に民間の方に売却をする、いわゆる物納不動産を再度宅地として利用できるように民間の方に売却をする、そういうことで、平成五年度以降かなりふえましたので、今積極的に売却を行っている、そういう状況でございます。
  69. 渡辺博道

    渡辺(博)分科員 今処分までお話をしていただきましたけれども、要は、管理をどのようにしているかという点をちょっとお伺いしたいのですね。件数からいいますと相当な件数ということで、具体的に申しますと、管理件数が平成七年度で七千三十二件ですか、そういうような件数、どこでどういうふうにそれを管理していくのか、その点についてお伺いします。
  70. 戸恒東人

    ○戸恒政府委員 管理の問題でございますけれども、物納された状況それぞれによりまして若干差がございます。先ほど申し上げましたように、地元公共団体の利用要望がないものについては売却にかけるわけですが、その間の状況といたしましては、まず売却対象にのりそうな物件につきましては、その全体の状況が、非常に草が生えていたり、あるいは段差があったりということでございますので、基本的には、売却ができるまでの間に、率直に言いますとできるだけきれいにしておくということでございます。  そのほか、現在行っております方法は、例えば物納された土地の中には、これまで駐車場なんかの用途に使われていた、そういう土地などがございますので、そういう土地につきましては、私ども、国有財産法上可能でございますが、現在は財団法人国有財産管理調査センターに委託いたしまして、そこを駐車場として利用する。あるいはかなり広い物納財産等がございましたら、そこに新しく駐車場をつくりまして、当分の間は地元の方々に駐車場として利用してしただく あるいはより広い物納財産等がございまして、地元の例えば自治体とかあるいは町内会とか、そういうところから要望がございましたら、ほんの一時的ですが、お祭りのときとかそういうときに広場にも利用するということなんです。いずれにしても、将来どのように処分していこうか、そういう態様に従いまして管理をしていく、こういうことでございます。
  71. 渡辺博道

    渡辺(博)分科員 ありがとうございます。  国有財産については、このような形で、国有財産管理調査センターというところですばらしい冊子になって、内容的にはすべての物件が掲示されているかどうかわかりませんが、こういう形で管理されているということでございます。  そもそも国有財産管理調査センターそのものが、ちょっと私も不勉強で申しわけないのですが、いつごろできて、どんな業務をしているのか、済みませんが、もう一度お尋ねいたします。
  72. 戸恒東人

    ○戸恒政府委員 国有財産管理調査センターは、国から未利用の国有地の管理委託を受けて有効活用を図るとともに、国有地の有効活用に関する調査研究を行うということによって、国民生活の発展、向上に寄与するということで、平成三年六月に設立されました財団法人でございます。  このセンターの事業内容は、先ほど申し上げましたけれども、国から国有財産の管理委託を受けまして、首都圏、東京圏それから大阪圏、名古屋圏におきまして、駐車場あるいは広場の管理を行っておりますけれども平成九年三月末現在、駐車場として六百五十七カ所、広場の管理として四百八十四カ所の管理を行っております。  もう一つの仕事でございますけれども、国有地、特に未利用国有地をいかに有効に活用するかということでございますので、それに関する調査研究を行っておりまして、国有地あるいは公有地をまとめて都市再開発事業用地として活用するような事例の調査研究、それから国有地、公有地の有効活用事例の研究、そういうものを行っております。  それから、先ほどちょっと私申し上げましたけれども、物納不動産の売買に関しまして、実は国が直接こういう事業を行いますと、多額の人員と経費もかかるということで、できるだけ国のそういう事務を委託しておりまして、国が行っております価格公示売却の事務につきまして、売却物件の物件案内をつくる、それから応募要領を配布する、応募の受付を行う、そういう事務を国からお願いし、それを受託している。  最後に、国家公務員宿舎がございます。全国に多くの国家公務員宿舎があるわけですが、その国家公務員の宿舎の維持管理業務も、三十八住宅について行っていただく。以上のような活動を行っております。
  73. 渡辺博道

    渡辺(博)分科員 大変なお仕事をしていると思います。本来は、業務目的、行政の目的を持って取得した物件ではありません、物納物件については。そういった中で、年々管理の件数が増えてまいります。ひとつ考え方を転換して、できるだけその管理を地元自治体に任せる、こういった考え方もあろうかと思うわけであります。  同時に、先般こんなコラムがありましたけれども、「今の子供たちの親の世代は子供時代に思い切り遊んだことのない遊び阻害世代に移行しつつある。」というようなコメントですね。これは文部省の雑誌「教育と情報」五月号の中に書いてあるわけですけれども、「一九五五年ごろからの二十年間に広場など遊び空間が十分の一に減った。九五年はその二割減だ。」というような内容であります。都会の子供たちはそういった遊ぶ空間がない。当然、親もそういった世代に生きておれば、空間がないことが当たり前だというふうに思うわけでありますけれども、こういった外で遊ぶことを、やはりこれからの子供たちの場所として提供することが必要ではないか。これから二十一世紀を担う子供たちに自由に遊べる場所、これを提供してしくことも大きな行政の目的ではないかというふうに思うわけであります。  それと同時に、これからの行政と住民との関係においても、対立関係にあるのでなく、基本的には協力関係にあって、これからの行政の運営についても、やはり自治体に地域の住民たちも協力し合う、こういった流れを出す必要があるのではないかなというふうに思っておるわけでございます。  したがって、物納物件においては、国有財産管理調査センターに委託することもさることながら、できるだけ地域住民の、地元の自治体に管理を任せたらどうかなというふうに考えておるわけでございますが、その点についていかがでしょうか。
  74. 戸恒東人

    ○戸恒政府委員 国有地の管理につきましては、国の財産でございますので、基本的には国みずからが行うべきものと考えておりますが、その事務の一部について受託をするということで、センターに委託をしているわけでございます。  そこで、物納不動産につきましては、現下の財政事情が厳しいということで、税外収入確保の観点からできるだけ小さなものは処分をしているわけですが、やや広めのものはなかなか処分も大変だというようなこともありまして、なおかつ、今先生のお話ありましたように、何かさくで囲ってだれも入れないというようなことではいかがなものであろうかということで、例えば地元の方々から一時的に使用できないかというような話がございますと、大体、地方公共団体等を通じて私どもの財務事務所とか財務局に御相談がございます。  そういうときにはできるだけ我々も応じておるところでございまして、実際には、地方公共団体に対しまして、広場として管理委託を行っていることがございます。そのほか、資材置き場としての利用要望があります方は有償で、料金をいただいて使用させるというような活用を図っているところであります。基本的には、お祭りのときのそういうことでは協力させていただいております。  ただ、地方公共団体などに管理の委託を、センターと同じように委託をする場合には、その管理費用を負担していただくということと、それから処分といいましょうか、その国有地を売却するまでの一時的な使用でございますので、使用期間が終わる、あるいは途中でこれが売却できるというようなことになりましたら、原状に復帰、回復して国に返還していただく、こういうことが我々の立場からはお願いせざるを得ない、このような感じでございますので、できるだけそういう要望がありましたら積極的にこたえていきたい、このように考えております。
  75. 渡辺博道

    渡辺(博)分科員 大蔵省の見解はよくわかりますが、国有財産管理調査センターそのものは民間でございます、公益法人、財団法人ですから。であれば、民間に比べて地方自治体に委託することがそれほどの差があるものかなというふうに私は思うわけでございます。これは後ほどまたいろいろと御議論させていただきますが、なるべくその土地がある地域で管理するのがやはり一番管理しやすいわけですから、こういった点もひとつ考えていただきたいというふうに思います。  もう一点、相続税の制度と事業承継という問題でございます。  この点につきまして、基本的にはどのような考え方で相続税が課せられているのか、これについてお伺いさせていただきたいと思います。
  76. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 相続税と申しますのは財産に対する課税でございまして、あらゆる財産を金銭に評価いたしまして、それに税負担を願うということになっているわけでございます。  ところで、相続税があるゆえに事業の承継ができなくなるというお話をよく聞くわけでございます。そこで、相続税法で特例措置を設けてございますのは、農地についてのみ特例措置を設けているところでございます。  つまり、農地につきましては、先ほども申し上げましたが、実は農地法及び農業基本法におきまして、まず第一点目が、農地の所有と経営は不可分であるというのが農地法上の制約でございます。それからまた、もう一つは、農業の自立経営を目指す者は、民法の均分相続制にとらわれることなく農地を引き継ぐことができるようにするというのが農業基本法でございます。  そのような農業政策の観点から、農地等の相続人が農業を継続する場合に限りまして、農地の価格のうち、農業投資価格を超える部分に対応する相続税につきましては、相続人が死亡した場合とか、あるいは二十年間農業を継続した場合は猶予税額を免除する特例措置を講じているところでございます。  先生お尋ねの点は、これを一般的に考えられないか、こういうお話かと思いますが、一般的な対応策といたしましては、二百平米以下の小規模宅地につきましては八割減額する、これは平成六年度の税制改正でございますが、そういう形で対応しているところでございます。
  77. 渡辺博道

    渡辺(博)分科員 農業従事者については、多分に優遇措置という形で、農業基本法または農地法を根拠として優遇措置がとられているというようなお話でございましたけれども、翻って、農業従事者も都市部においては農業だけで生活できない部分がありまして、それが宅地化していることによって、その宅地が路線価がかなり高い、そのために売らざるを得ないという現実があります。  こういった中で、農地はやはり都市部においても緑地空間として大変重要なものでございますので、ぜひとも都市部における農業のあり方、こういった観点からもひとつ御配慮いただきたいというふうに思っております。  もう一点は、中小企業の経営者についての事業承継であります。  中小企業の場合も、戦後一生懸命働いて、自分の財産を提供して会社をつくり、そしてどうにか安定的になったところで、この会社をどうにかして子供たちに引き継ぎたい、これが中小企業の経営者の本当の願いではないかなというふうに思うわけでございます。  中小企業経営者の事業承継についての税制上の優遇措置というものは、現実には余りないように見受けられるわけですが、この点についてのお考え方をお伺いしたいと思います。
  78. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 相続税につきましては、バブル等を契機に地価が非常に上がってきたというようなことなどを背景といたしまして、昭和六十三年度の抜本改正、それから平成四年度、さらには平成六年度と、三次にわたり大幅に改正をしてきたところでございます。  したがいまして、例えば課税最低限といいましょうか、控除額で申し上げますると、昭和六十三年の抜本改正前は、奥様等三人の方が相続された場合でございますが、課税最低限は三千六百万円から九千万円に引き上げられているところでございます。さらに、税率の累進度の緩和を行うというようなことを行っております。  それから、近年は、平成二年をピークにいたしまして、土地が年々下がっております。したがいまして、相続税の負担感でございますけれども、このような制度改正、さらには近年の地価の下落というようなことと相まって、負担感は相当程度緩和されているのではないかというふうに考えているところでございます。  それで、お尋ねの点は、中小企業につきましても農業のような納税猶予制度がとれないのかというお尋ねかと思いまするが、先ほど申し上げましたように、中小企業の事業用資産について申し上げますれば、農地のような、先ほど言った、まさに所有と経営が不可分であるということが法制上位置づけられているというわけでもございません、お気持ちはわかりますけれども。また、均分相続の例外ということでもないわけでございます。それから、農地につきましてはいろいろな意味での利用制限、処分制限がございますけれども、事業用資産についてはございません。  そうなってまいりますると、やはり相続税の基本に立ち返って、その資産が市場において幾らであるかという評価に基づきまして、同じように課税財産の中に含めて相続税を御負担しただくというごとにならざるを得ないわけでございます。  いずれにいたしましても、近年、相続税については大幅な改正を行ってきている、その中で、土地の価格も相当下落しているというようなことも御理解いただければというふうに思っているわけでございます。
  79. 渡辺博道

    渡辺(博)分科員 今の中小企業の問題については、ほとんど現状のまましかないのではないかというお話でございます。  一つ八年度の予算の積算根拠を見ますと、これ八年度で申しわけございませんけれども、算出税額は一件当たり六千四百六十一万円、一人当たり二千二百二十八万円、平均税率三三%ということで積算しているのですね。これを具体的に一人の事案として考えたときに、税額が二千二百二十八万円、この金額を納める。普通に考えて、これは大変な金額ですよね。これが仮に中小企業であれば、何を売ってこういったものを手だてしていかなければならないのか、こういったものを考えていかなければならないというふうに私は思うわけでございます。  やはり事業を継続してこそ、国としてもそこから税収が上がるわけですから、むやみやたらに壊すこと、倒産を強いるようなことはないと思います。でも、やはり中小企業を育成していくことが、日本の経済を発展させる源になるのではないかというふうに私は思うわけであります。  そんな中で、外国の例でありますけれども、実際に国税収入に占める相続税収の割合というところの比較があります。日本は四・九%、アメリカは二・〇%、イギリスは〇・八%、ドイツは〇・五%、フランスは二・〇%、こういった例もございます。外国においては相続に対して、そういった意味ではかなり緩やかであるというふうに理解しているわけです。  日本の事業承継、この問題は経済そのものに直接かかわる問題でありますし、安心して事業を営む、その前提ではないかというふうに思っておるわけでございます。この点について、最後でございますけれども、相続税における事業承継のあり方について、大蔵大臣のお考え方をひとつお聞かせいただければというふうに思うわけでございます。
  80. 三塚博

    三塚国務大臣 本件は政府税調、党税調、三党協議、税制の中で絶えず課題として出ておるところであります。  農地との関連も含めまして、町並み形成の中小商店、事業者、地域発展のためにも定着させることが極めて重要、こういうことであります。そういう中で、公正公平という観点も含めながら、特例措置を講じつつも、ただいま御指摘のような御批判があることは承知いたしております。今後も、実態を把握しながら研究をして対応しなければならぬ、こう思っておるところです。
  81. 渡辺博道

    渡辺(博)分科員 相続に関しては、なかなか声を出す人間がいないと思います。こういった声なき声も、やはり前向きに受けとめて検討していただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  82. 大口善徳

    ○大口主査代理 これにて渡辺博道君の質疑は終了いたしました。  次に、平田米男君。     〔大口主査代理退席、主査着席〕
  83. 平田米男

    平田分科員 きょうは、大臣、この間も定期借地権の話を予算委員会の一般質疑で少し触れさせていただきましたが、日本の内需の拡大をどうしていくのか、あるいは、民主国家を支えているのは中産階級なんですが、その中産階級をいかに豊かにしていくのか、すそ野を広げていくのか、そういうようないろいろな政治的観点から、住宅投資というのは極めて重要であるし、それから、中堅サラリーマン、一般の中産階級が、一生の間に家一軒しか持てないという今のような貧しい状況から早く脱却をしていただいて、もっとゆとりある、豊かな生活をしていただきたい、こういうような視点から、定期借地権住宅の推進というのをやってまいりました。  約四年になりまして、これまで、昨年末に、約一万戸の定期借地権住宅が建築をされた、こう言われているわけでありますが、年間百数十万戸家が建っている状況の中で、非常に、数字としては微々たるものでしかない、このように評価されるわけであります。  この現状を打破するにはどうしたらいいのか、いろいろ言われております。土地を担保にしか銀行は基本的に住宅ローンを貸さない、そういう視点からしますと、定期借地権では土地がないではないかということで、融資の問題もございます。また、定期借地権の場合は、保証金を一割、二割、三割、地主に借り主が払うわけでありますが、それの融資の問題もございます。これは、いろいろな努力によって、金融機関もだんだん競争が厳しくなってきましたので、それぞれ努力をされて前向きな方向で進んでいるわけでありますが、問題は、土地の供給がなかながなされない。定期借地権というものが広く国民に知れ渡っていないというのも一つの大きな理由にありますが、地主さんが土地を提供しがたいと思っておりますのは、実は相続税の問題なんです。私の前も事業税制の相続の話があったようでございますが、私は、優遇してくれという話ではなくて、正当な評価をすべきなのではないかという視点で、きょう質問をするわけであります。  新総合土地政策推進要綱、ことしの二月十日に閣議決定をしているわけでありますが、そこでも定期借地権制度の活用ということを土地の有効利用の促進の大きな柱にしておりますが、実際上は、実は大蔵省がその前に大きく立ちふさがっている、こういう現実があります。  端的に申し上げますと、定期借地権の底地は、基本的に更地価額の八〇%の評価がされる。今後五十年間土地を貸すという契約がある、その初年度で八〇%の評価をされてしまうという現実があります。  それで、私は国税庁とも何度もやり合いました。専門家でいらっしゃいますから、税制の理論の整合性をおっしゃるわけでありまして、それはそれなりの理論的精緻さを持っているのだろうというふうに思うのですが、この間もお話をしたときに私が申し上げたのは、政治とか行政というのは一体だれのためにあるのか。国民のためにあるのであって、理論のためにあるのでもないし、国税庁や大蔵省のためにあるのでもない、だから、結果は国民が納得できるもの、理論的結果としても、その結果が理論として正しい結果であったとしても、国民が納得できない結果であったらそれは正しい結果ではない。  私も法律家でございますが、法理論をどんどん推し進めていって、法理論の結果としてはこうですということをよくやりますが、しかし同時に、具体的妥当性があるのかどうかということを常に検証しなければならない。逆に言うと、リーガルマインドで話を聞いて、落ちつくべき先はここだと。すなわち、具体的妥当の結論を出して、それに法理論を組み立てていく、そのぐらいでないと真の法律家たり得ないんだ、こう言っておるわけでありますが、私は、それは税制であったとしても同じだと思うのですよ。  それで、理論として、定期借地権は五十年後にはちゃんと返ってくるものでありますから、いろいろ計算をしますと、今後五十年間貸すにしても、底地は更地価額の八〇%の高い評価になりますよ、こういうふうに国税庁が言われても、国民は全く納得しない。  先般も、国土庁の土地局の土地政策課が定期借地権に対する土地所有者の意識調査というのをやりましたが、やはり相続税の評価はおかしいというのがその意識調査の結論なんですよ。私も、定期借地権にかかわっておられる業者の方あるいは税理士さん、弁護士さんともこれまで何度も話をしておりますが、やはりこの相続税の底地評価が異常だと。不動産鑑定士の権威の方もそうおっしゃっている。これが定期借地権の普及を阻害しているんだ、こうおっしゃっているわけであります。  一億円の土地を人に貸したのですよ。もうちょっとわかりやすく言いますと、一億円の更地価額の土地を、百坪としましょう、坪百万の土地を大臣に五十年間、地代はせいぜい一%ですよ。だから、一億円ですから年間百万円、高くても二百万円の地代でお貸ししますよと言って貸しました。大臣はそこに家を建てられるのですよ。五十年間地代さえ払っていればずっと使えるわけであります。五十年たったら返すという約束です。私は地主だとしますね。途中で地主が、私が死んだとします。そのときの相続税の評価が、貸してすぐ死んじゃいますと八千万なんですよ、八千万。これは、普通借地権だとまあせいぜい五千万。場合によると三千万、二千万という例もある。定期借地権だと八千万なんですよ。八千万の価額で相続税がどっとかけられる。  八千万の評価で課税がされて、ではこの底地を八千万で売れるか。今後五十年間も利回り一%か二%ですよ。買ってくださいと言ってもだれも買いません。業者に聞くと、まあ一千万か二千万一だったら買うかもしれません。一千万か二千万だったら百万円か二百万円の地代が入ってくるわけですから、利回りがまあまあいいから、五十年間資金は固定されてもいいでしようという判断をします。しかし、八千万なんかでは買ってくれません。また、では底地八千万の評価をするから地主にお金を貸しましょう、八千万の評価で貸しますよという、そういう金融機関もありませんよ、現に。  この間も国税庁に申し上げたのは、どこのディベロッパーが八千万で買ってくれるのですか、どこの金融機関が八千万で担保設定してくれるのですか、どこか紹介してくださいと。何の音さたもない。きょう答弁があるなら言ってください。  これが現実なんですよ。こういう異常な政治をやっておっちゃいかぬですわ。賢明なる大臣のもとで、これは変えてください。大臣、これは通達なんですから、基本通達で出しているだけの話ですから、通達をちょっと変えれば済む話ですし。  それで、前回も私は不動産共同投資事業の話をして、一千二百兆円の個人金融資産をもっと動かさなくちゃだめだ、不動産共同事業の場合も定期借地権を使うべきだ、使わなければ、また土地の値上がり益、キャピタルゲインねらいの事業でしかない、また日本は土地神話地獄に陥るだけだ、こう言っているわけであります。そういう点でも、定期借地権の底地の評価を適正にするかしないかというのは、日本経済がこれから土地神話から離れて欧米諸国と同じような資本主義社会になれるかどうか、それの瀬戸際なのではないかというふうに私は思っております。  そういう意味で、ぜひその辺の改善策、もう同じ答弁は聞きたくありませんので、改善策をぜひお示しをいただきたいと思います。
  84. 舩橋晴雄

    ○舩橋政府委員 この定期借地権の問題について、委員、昨年、質問主意書の形で問題提起をしていただいております。それから、せんだって、二月の二十六日には予算委員会でまた問題提起をしていただいております。  相続税に係る底地の評価、この問題について改善策を考えられないのかというお尋ねでございます。  私ども執行当局立場からいたしますと、まず相続税、先ほど主税局の尾原審議官の方からもそういう御説明をいたしておりましたけれども、相続に当たっていろいろな財産がございます。その財産を時価という形で評価をいたします。そして、その財産の間で不公平のないように、客観的、公正な価額を設定して、そしてそれに相続税を課していくということが必要なわけでございます。  そこで、定期借地権でございますけれども、この定期借地権をどう評価すべきか。実は、委員御指摘のとおり、この定期借地権はまだ創設されたばかりでございまして、実際に権利の取引形態も確立していないという現状にございます。そういう現状にございますのでなかなか難しい面はあるわけでございますけれども、現在までのところ、定借の設定されている宅地、それからそれ以外の通常の更地、それから今度は普通の賃貸借、定借でない形の借地権が設定されてしる宅地、こういったもののバランスを考え評価をしていかなければいけないだろう。  委員御指摘のとおり、五十年間ずっと貸すわけですけれども、五十年たったときには完全に更地になってくるという点もあるわけでございます。普通の賃貸借の場合には、これは自動的な更新ということが一般的でございますけれども、定借の場合には完全に更地になってしまう。そういう点も実は考慮の要素に入っているわけでございます。そういったことで、今御指摘のとおり、更地の価額の二〇%、これは処分上、利用上の制限を考慮して最大限二〇%の減額をするということでございます。  そういう取り扱いをしているわけでございますけれども、今後、この制度の定着、それから、ただいま委員御指摘のように、既に一万件くらいの実例があるということでございますので、これからの売買実例とかそういったことも参考にしながら、普及・定着の実態をよく見極めてまいりたいというふうに考えております。
  85. 平田米男

    平田分科員 大臣、全然答えてないですよ、今の答弁は。旧態依然としているのです。  きょう、資料を用意してこなかったのですが、これは国税庁がつくっている資料なんですが、要するに、底地価額、貸したときから三十五年間は全部二割ですよ、あと十五年は五%ずつ減らしていきます。だから、四十五年から五十年が五%減らします、それから四十年から四十五年までは一〇%減らします、三十五年から四十年は一五%減らします、あと残り三十五年間、すなわち、貸したときから三十五年経過するまでは全部二〇%だというのですよ。大体これがおかしいのだ。最後の十五年間を段階にするんだったら、何で残りの三十五年間もこういう階段状にしないのかというのですよ。おかしいのですよ、これ。  それから、今、取引事例が云々というような話がありましたが、創設してわずかですから取引事例なんかあるわけがない。取引事例がないときに、理論だけではなくて、まさに政治家とお役人の、皆さんだって生活者なんだから、消費者なんだから、ちゃんとそういう立場で最大限の常識を働かせて、何がいいんだろうか、どういう結論が妥当なんだろうかと考えてみなきゃだめですよ。そんな、取引事例が出てくるまで考え直しはできませんなどという、そういう木で鼻をくくったような対応というのは、要するに官僚行政なんですよ、官僚体質なんですよ。それが今問われているのですよ。  行政改革というのは、制度の改革だけじゃないのです、官僚の意識改革、政治家の意識改革なんですから。そんなときにそんな答弁しておったら、行政改革、一体やる気あるのですかと。我々も一生懸命政治改革をやってきましたが、選挙制度を変えたからといって政治改革が成ったわけじゃないのです。我々の、政治家の意識、姿勢というものが変わって初めてなし遂げられるわけで、まだまだ過程の段階ですよ。途中ですよ、今は。そういう意味で意識変革が全然できてない。しかも理論的にもおかしいんだ、これは。  私の質問主意書に対する内閣の答弁はこういうふうになっている。「不特定多数の当事者間で通常成立すると認められる価額である「時価」」が評価額ですよと言っているんですよ。だから、さっきから私は言っている。どこのディベロッパーが八割で買ってくれるんですか、八千万で買ってくれるんですか、一億円の土地を。そこに人の建物が建っているんですよ。どこの金融機関が八千万円を評価して融資をしてくれるんですか。一遍言ってくださいよ、どこの金融機関が貸しますとか、どこのディベロッパーが買いますとか。だれも言えませんよ。言えるんですか。言えるんなら、ちょっと答えてください。
  86. 舩橋晴雄

    ○舩橋政府委員 私ども、まだ具体的に、定期借地権についての売買事例がどの程度あって、そこでどういう、今委員御指摘のような時価といいますか、交換価格か設定されているかについて、先ほど申し上げましたように推移を見守っているという状況でございます。  しかしながら、先ほどちょっと申し上げましたけれども、相続税の評価に当たっては、要するに他の財産とのバランスということを私ども課税の公平をつかさどる立場から最も注視しているわけでございまして、先ほど例に出しましたいわゆる普通の借地権の設定されている宅地あるいは更地、それからこの定借と、いろいろな要素がございます。そういう要素を勘案いたしました中で、申し上げたような形の通達をお出しさせていただいているということでございます。
  87. 平田米男

    平田分科員 大臣、横で聞いておられておかしいなと思われるでしょう、大臣としても。答弁書にそんなこと書いてあらへん、何にも。ここに書いてあるのは、「不特定多数の当事者間で通常成立すると認められる価額である「時価」」を評価額としますよと言っているんですよ。ほかの評価とバランスとれなんて言っていませんよ。バランスとること自体が間違っているんだよ、それは。  あなた自身、あなた課税部長でしょう。あなた個人として、じゃ、私が一億円の土地を持っていて、それに定期借地権設定して、お金がなくなったから、これを八千万で買ってくれますか。あなた個人として買ってくれますか。どうですか、買う気ありますか。答えてください。
  88. 舩橋晴雄

    ○舩橋政府委員 私個人としてということではなくて、この答弁書に、今委員御指摘のありました「不特定多数の当事者間で通常成立すると認められる価額である「時価」として、適切なものと考えている。」というふうにございますけれども、これはあくまで、定期借地権の価額については、多種多様な借地契約が想定され、借地契約の内容も極めて個別性が強いということ、それから、先ほど申し上げましたような普通借地権のような更新がなくて期間の満了によって確定的に借地契約が消滅すること、それから、課税時期において借地人に帰属する経済的利益及びその存続期間をもととして評価していること、こういった形での評価をした結果として最大限二〇%相当額を減額するということが……(平田分科員「僕はそんなこと聞いていない」と呼ぶ)
  89. 栗本慎一郎

    栗本主査 簡明にお答えください。
  90. 舩橋晴雄

    ○舩橋政府委員 それを御理解いただきたいと思います。
  91. 平田米男

    平田分科員 あなた、買いますかと言っているんですから、要するに買わないという答弁をしたわけですよ。自分で買えないような評価をしちやいかぬですよ。国民の一人じゃないですか。まさに、国民と官僚が乖離している事実を明らかにしたんです、自身で、自分で買えないんだから。大臣だって買えませんよ。それはだれだって、僕だって買えませんよ。委員長だって買えないですよ。そんなばかばかしい投資なんかできませんよ。そういうことをへっちゃらでやっているんだわ。そういうのを積み重ねてきているんですよ。そういうのを打ち壊そうというのが行政改革でしょう。  大臣、もう一つ、実は保証金の債務控除の話もあるんですけれども、これはまた難しい話なんで、もうきょうは触れませんし、同じことを恐らくおっしゃるんで、これ以上やっていてもしようがありませんけれども大臣、本当に真剣に考えてください。  だから、お役人任せですとこういうこと。だから今、我々政治家がやらなあかんのですわ、何でも。基本通達は、何か我々は余りさわっちゃいけないようなことに思いますが、基本的に法律というのは常識なんですよ。みんなが納得できるものがいい法律であって、法律を上手に施行するためにつくられるのが通達なんですから、それが国民が納得できないものだったら、法律を悪法にする通達ですよ。悪政をやっているんだ、今、国税庁は。  しかも、税金というのは特に国民とそして政治との接点なわけですから、一番重要な接点なわけですから、これを過てば、これは国民のサイドから大きな逆襲を我々受けるわけですよ。何も選挙でどうのこうのじゃありません。経済全体がおかしくなっていく、日本国民の将来がおかしくなっていくということにじわじわときいてくるんですよ。  今、我々は、バブルの崩壊で土地神話は崩れたというけれども、じゃ、次なる手は一体何なのか。どうやって土地を有効利用し、国民の豊かな富をさらに大きく生かしていくことができるんだろうか。そこに登場したのが、みんなで知恵を出した定期借地権じゃないですか。  大臣も、あの質問以降、定期借地権については少しは勉強していただいたかと思うのですよ、お忙しい中でありながら。この重要性というものをしっかりわかればわかるほど、これを普及させなければいけない、そのときに一番のネックになっているのは大蔵省だ、国税庁だということをわかっていただけましたか。そういう観点で最後に御答弁ください。
  92. 三塚博

    三塚国務大臣 大変、政治の根幹にかかわる深刻な論議を聞きました。  大蔵大臣ですから国税庁舩橋部長を援護するわけではございませんが、決められた法令の中で、通達の中で、時価による評価は難しい場合があるというのが大きな悩みだな、それが乖離をしておるという、この辺のところをどう乗り越えるのか、こういう点が一つあろうと思います。  税務当局は、公正な課税という要請があります。決められたことは忠実にやる。全体を見てどうするかは、内閣であり、政治でありと、こういうことでありますので、私としても、ただいまの論戦を拝聴いたしておりましたし、また今後、この問題について国税庁を督励しながら、また主税局、政策という意味で私も真剣に研究してみますので、本日の場合は、よろしくこの辺で御理解を得たいと思います。
  93. 平田米男

    平田分科員 研究されるというお話でございますが、研究は一、二カ月にしておいていただいて、直ちに実行していただきたい、ぜひ。  きょうはこの程度にしてくれという大臣のお話でございますし、時間も参りましたので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
  94. 栗本慎一郎

    栗本主査 これにて平田米男君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして大蔵省所管国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行質疑は終了いたしました。  午後一時三十分から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ────◇─────     午後一時三十分開議
  95. 栗本慎一郎

    栗本主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  これより法務省所管について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。松浦法務大臣。     〔主査退席、大口主査代理着席〕
  96. 松浦功

    ○松浦国務大臣 平成六年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計の決算についてであります。  歳入につきましては、歳入予算額は九百八十一億五千三百二万円余であります。  これに対して、収納済み歳入額は九百三十億四千七百九十四万円余であり、歳入予算額に比べると五十一億五百七万円余の減少となっております。  次に、歳出につきましては、歳出予算現額は五千五百七億九千二百十三万円余となっております。  これに対しまして、支出済み歳出額は五千三百九十九億七千十九万円余であり、翌年度へ繰り越した額は七十三億九千六百八十五万円余であり、不用額は三十四億二千五百九万円余であります。  次に、登記特別会計決算についてであります。  収納済み歳入額は千六百七十九億八千四百三十九万円余であり、支出済み歳出額は千四百七十四億三千百六十九万円余で、差し引き二百五億五千二百七十万円余の剰余を生じました。  この剰余金は、登記特別会計法第七条の規定により翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。  次に、歳入につきましては、歳入予算額は千六百二十八億五千五百三十四万円であります。  これに対しまして、収納済み歳入額は千六百七十九億八千四百三十九万円余であり、歳入予算額に比べると五十一億二千九百五万円余の増加となっております。  次に、歳出につきましては、歳出予算現額は千五百八十八億四百二十九万円余となっております。  これに対して、支出済み歳出額は千四百七十四億三千百六十九万円余であり、翌年度へ繰り越した額は十億七千九百五十五万円余であり、不用額は百二億九千三百四万円余であります。  以上をもちまして、平成六年度決算の概要説明を終わります。  引き続きまして、平成七年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計の決算についてであります。  歳入につきましては、歳入予算額は九百八十四億一千五百六万円余であります。  これに対しまして、収納済み歳入額は九百四十億二千四百四十一万円余であり、歳入予算額に比べると四十三億九千六十五万円余の減少となっております。  次に、歳出につきましては、歳出予算現額は五千七百六十二億一千百四十二万円余となっております。  これに対しまして、支出済み歳出額は五千六百五十七億八千八百六十六万円余であり、翌年度へ繰り越した額は五十五億六千百五十九万円余であり、不用額は四十八億六千百十六万円余であります。  次に、登記特別会計決算についてであります。  収納済み歳入額は千八百七十二億五千四百三十七万円余であり、支出済み歳出額は千六百十四億二千四百八十三万円余で、差し引き二百五十八億二千九百五十三万円余の剰余を生じました。  この剰余金は、登記特別会計法第七条の規定により翌年度の歳入に繰り入れることとし、決算を結了いたしました。  次に、歳入につきましては、歳入予算額は千七百億三千九百五十七万円であります。  これに対しまして、収納済み歳入額は千八百七十二億五千四百三十七万円余であり、歳入予算額に比べると百七十二億一千四百八十万円余の増加となっております。  次に、歳出につきましては、歳出予算現額は千六百九十二億八千八百四十六万円余となっております。  これに対して、支出済み歳出額は千六百十四億二千四百八十三万円余であり、翌年度へ繰り越した額は七億七百九十七万円余であり、不用額は七十一億五千五百六十五万円余であります。  以上をもちまして、平成七年度決算の概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  97. 大口善徳

    ○大口主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院関本審議官
  98. 関本匡邦

    ○関本会計検査院説明員 平成六年度法務省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。  まず、不当事項について御説明いたします。  検査報告番号一号及び二号の二件は、職員の不正行為による損害が生じたもので、検察庁で罰金等の納付告知等の事務に従事していた職員二名が、現金を収納する権限がないのにこれを受領して領得したり、納付義務者から受領した現金を日本銀行歳入代理店に払い込まないで領得したりしていたものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。これは、謄本作成機の調達に関するものであります。  登記事務がコンピューター化されたことにより、謄本等の作成枚数が大幅に減少しているのに、法務本省において謄本作成機の配備基準を部内にとどめ法務局に明示していなかったり、法務局において余剰となる謄本作成機を他の登記所に供用がえする配慮が十分でなかったりなどしていたため、十二法務局で謄本作成機の調達費用が不経済となっていました。これについて指摘いたしましたところ、改善の処置がとられたものであります。  次に、平成七年度法務省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。  これは、矯正施設の下水道料金の支払いに当たり、蒸気ボイラー設備等に給水された水の相当量が蒸発するなどしているのに、関係地方公共団体に対して減水量の申告を行っていなかったため、水道水等の使用量をそのまま汚水排出量と認定されるなどしておりまして、十五施設で下水道料金が不経済となっていました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  99. 大口善徳

    ○大口主査代理 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。松浦法務大臣
  100. 松浦功

    ○松浦国務大臣 平成六年度に関し、ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、法務省のとった措置等について御説明申し上げます。  職員の不正行為の防止につきましては、従来から配慮してきたところでありますが、御指摘のような不祥事が生じましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。事件発生後は、管理者及び職員に対し、あらゆる機会をとらえて綱紀粛正の一層の徹底を図るとともに、内部監査の充実強化等により、この種の不正行為の根絶を期しているところであります。  次に、平成七年度に関し、ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、法務省のとった措置等について御説明申し上げます。  御指摘のあった各矯正施設においては、汚水排出の実態を把握した上、平成八年七月までに関係地方公共団体から減水量を控除した汚水排出量の認定を受ける処置を講じたところであり、また、同年三月には当省所管の各庁に対し通知を発し、関係地方公共団体の下水道条例等に基づく汚水排出量の認定などについて適切な措置を講ずるよう指示をしたところであります。
  101. 大口善徳

    ○大口主査代理 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 大口善徳

    ○大口主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────    平成六年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算に関する概要説明                法 務 省  平成六年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  一 まず、一般会計の決算についてであります。  (一) 法務省主管の歳入につきましては、歳入予算額は、九八一億五、三〇二万円余であります。  これに対しまして、収納済歳入額は、九三〇億四、七九四万円余であり、歳入予算額に比べると、五一億五〇七万円余の減少となっております。  この減少しました主な要因は、罰金及科料三四億五、八四五万円余、刑務所作業収入二一億五、五九三万円余が減少したことによるものであります。  (二) 次に、法務省所管の歳出につきましては、当初予算額は、五、四〇四億六一三万円余であります。これに、予算補正追加額六二億六、六八三万円余、予算補正修正減少額八五億四、四四三万円余、前年度からの繰越額一二六億六、三六〇万円余があり、差引き一〇三億八、六〇〇万円余の増加がありましたので、歳出予算現額は、五、五〇七億九、二一三万円余となっております。  これに対しまして、支出済歳出額は、五、三九九億七、〇一九万円余であり、その差額は、一〇八億二、一九四万円余となっております。  この差額のうち翌年度へ繰り越した額は、七三億九、六八五万円余であり、不用額は、三四億二、五〇九万円余で、不用額の主なものは、人件費であります。  支出済歳出額のうち主なものは、人件費三、六三六億七一三万円余、外国人登録事務処理経費五二億九、八二〇万円余、検察事務処理経費四五億八、一六八万円余、矯正施設における被収容者の収容、作業等に要する経費二九一億三、五六五万円余、補導援護経費五七億九、六三三万円余、出入国管理・難民認定及び被退去強制者の収容、送還等に要する経費六三億九〇一万円余、暴力主義的破壊活動団体等の調査に要する経費二四億九、〇八八万円余、施設費二七五億九、三七〇万円余となっております。  二 次に、法務省所管登記特別会計決算についてであります。  (一) 収納済歳入額は、一、六七九億八、四三九万円余であり、支出済歳出額は、一、四七四億三、二八九万円余で、差引き二〇五億五、二七〇万円余の剰余を生じました。  この剰余金は、登記特別会計法第七条の規定により翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。  (二) 次に、歳入につきましては、当初予算額は、一、六三六億七、五七〇万円余であります。これに、予算補正修正減少額八億二、〇三六万円余がありましたので、歳入予算額は、一、六二八億五、五三四万円となっております。  これに対しまして、収納済歳入額は、一、六七九億八、四三九万円余であり、歳入予算額に比べると、五一億二、九〇五万円余の増加となっております。  この増加しました主な要因は、前年度剰余金受入五一億九、四七九万円余が増加したことによるものであります。  (三) 次に、歳出につきましては、当初予算額は、一、五九五億四、〇八三万円余であります。これに、予算補正修正減少額二〇億七、四二三万円余、前年度からの繰越額一三億三、七六九万円余があり、差引き七億三、六五四万円余の減少がありましたので、歳出予算現額は、一、五八八億四二九万円余となっております。  これに対しまして、支出済歳出額は、一、四七四億三、一六九万円余であり、その差額は、一一三億七、二五九万円余となっております。  この差額のうち翌年度へ繰り越した額は、一〇億七、九五五万円余であり、不用額は、一〇二億九、三〇四万円余で、不用額の主なものは、登記情報管理事務処理等経費であります。  支出済歳出額のうち主なものは、人件費八五三億二、〇九一万円余、登記情報管理事務処理等経費五三九億一、七二〇万円余、施設費八一億八、二九四万円余となっております。  以上をもちまして、平成六年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算の概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。     …………………………………    平成六年度決算法務省についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  平成六年度法務省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。  まず、不当事項について御説明いたします。これらはいずれも、職員の不正行為による損害が生じたものであります。  検査報告番号一号は、篠山区検察庁において、事務課の職員が、罰金等の納付告知等の事務に従事中、納付義務者が罰金の納付を申し出た際、現金を収納する権限がないのにこれを受領して領得したものであります。  また、検査報告番号二号は、山形地方検察庁新庄支部において、分任収入官まである職員が、罰金等の収納等の事務に従事中、納付義務者から罰金や過料として受領した現金の一部又は全部を日本銀行歳入代理店に払い込まないで領得したものであります。  なお、本件損害額は、いずれも全額が補てんされております。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。  これは、謄本作成機の調達に関するものであります。登記事務がコンピュータ化されたことにより、謄本等の作成枚数が大幅に減少しているのに、法務本省において謄本作成機の配備基準を部内にとどめ法務局に明示していなかったり、法務局において余剰となる謄本作成機を他の登記所に供用換えする配慮が十分でなかったりなどしておりました。このため、十二法務局で謄本作成機の調達費用が不経済となっていたと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、法務省では、平成七年十一月に各法務局に対して通知を発し、謄本作成機の配備基準を明示するとともに、これに基づいて調達を適切に行うよう、また、余剰となる謄本作成機についてはこれを供用換えするよう指導するなどして、登記事務のコンピュータ化に対応した謄本作成機の調達を行うこととする処置を講じたものであります。  以上をもって概要の説明を終わります。     ─────────────    平成七年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算に関する概要説明                法 務 省  平成七年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  一 まず、一般会計の決算についてであります。  (一) 法務省主管の歳入につきましては、歳入予算額は、九八四億一、五〇六万円余であります。  これに対しまして、収納済歳入額は、九四〇億二、四四一万円余であり、歳入予算額に比べると、四三億九、〇六五万円余の減少となっております。  この減少しました主な要因は、罰金及科料三九億七、八七二万円余、刑務所作業収入一三億二、六三八万円余が減少したことによるものであります。  (二) 次に、法務省所管の歳出につきましては、当初予算額は、五、五四〇億三、四二七万円余であります。これに、予算補正追加額二二二億二、八五八万円余、予算補正修正減少額七六億五、〇五四万円余、前年度からの繰越額七三億九、六八五万円余、予備費使用額二億二二六万円余があり、差引き二二一億七、七一五万円余の増加がありましたので、歳出予算現額は、五、七六二億一、一四二万円余となっております。  これに対しまして、支出済歳出額は、五、六五七億八、八六六万円余であり、その差額は、一〇四億二、二七六万円余となっております。  この差額のうち翌年度へ繰り越した額は、五五億六、一五九万円余であり、不用額は、四八億六、一一六万円余で、不用額の主なものは、人件費であります。  支出済歳出額のうち主なものは、人件費三、七一三億四、九一五万円余、外国人登録事務処理経費五一億五六八万円余、検察事務処理経費五四億一、二一六万円余、矯正施設におげる被収容者の収容、作業等に要する経費三一八億五七七万円余、補導援護経費五九億八、七三八万円余、出入国管理・難民認定及び被退去強制者の収容、送還等に要する経費七二億八、三三三万円余、暴力主義的破壊活動団体等の調査に要する経費二七億四、三五七万円余、施設費二七七億四、二九九万円余となっております。  二 次に、法務省所管登記特別会計決算についてであります。  (一) 収納済歳入額は、一、八七二億五、四三七万円余であり、支出済歳出額は、一、六一四億二、四八三万円余で、差引き二五八億二、九五三万円余の剰余を生じました。  この剰余金は、登記特別会計法第七条の規定により翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。  (二) 次に、歳入につきましては、当初予算額は、一、六七〇億二、九五六万円余であります。これに、予算補正追加額三五億八、八三四万円余、予算補正修正減少額五億七、八三三万円余があり、差引き三〇億一、〇〇〇万円余の増加がありましたので、歳入予算額は、一、七〇〇億三、九五七万円となっております。  これに対しまして、収納済歳入額は、一、八七二億五、四三七万円余であり、歳入予算額に比べると、一七二億一、四八〇万円余の増加となっております。  この増加しました主な要因は、前年度剰余金受入一二二億九、七一九万円余が増加したことによるものであります。  (三) 次に、歳出につきましては、当初予算額は、一、六五八億二、七四六万円余であります。これに、予算補正追加額四〇億八、六六八万円余、予算補正修正減少額一七億五二四万円余、前年度からの繰越額一〇億七、九五五万円余があり、差引き三四億六、一〇〇万円余の増加がありましたので、歳出予算現額は、一、六九二億八、八四六万円余となっております。  これに対しまして、支出済歳出額は、一、六一四億二、四八三万円余であり、その差額は、七八億六、三六三万円余となっております。  この差額のうち翌年度へ繰り越した額は、七億七九七万円余であり、不用額は、七一億五、五六五万円余で、不用額の主なものは、登記情報管理事務処理等経費であります。  支出済歳出額のうち主なものは、人件費八六九億三、一八六万円余、登記情報管理事務処理等経費六五四億四、七一八万円余、施設費九〇億四、五七九万円余となっております。  以上をもちまして、平成七年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算の概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。     …………………………………    平成七年度決算法務省についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  平成七年度法務省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。  これは、矯正施設における下水道料金の支払に関するものであります。矯正施設における下水道料金の支払に当たり、蒸気ボイラー設備等に給水された水の相当量が蒸発するなどしているのに、地方公共団体に対して公共下水道へ排出されない水量の申告を行っていなかったため、水道水等の使用量をそのまま汚水排出量と認定されるなどしておりました。このため、十五矯正施設で下水道料金が不経済となっていたと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、法務省では、八年三月に矯正施設に対して通知を発し、地方公共団体の下水道条例等における汚水排出量の認定について周知徹底を図るとともに、十五矯正施設では、汚水排出の実態を把握したうえ、同年七月までに地方公共団体から公共下水道へ排出されない水量を控除した汚水排出量の認定を受ける処置を講じたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     ─────────────
  103. 大口善徳

    ○大口主査代理 以上をもちまして法務省所管の説明は終わりました。     ─────────────
  104. 大口善徳

    ○大口主査代理 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河井克行君。
  105. 河井克行

    河井分科員 自由民主党の河井克行です。本分科会質問の機会をいただきましたことを感謝申し上げたいと思います。また、きょうは、大変お忙しい中、松浦法務大臣じきじきにこちらにお出ましいただきましたこと、あわせまして感謝申し上げたいと思います。  質問の一点目は、まず司法の改革についてお尋ねしたいと思います。  いわゆる三者協議会におきまして、法曹養成制度の改革に関するいろいろな動きが、つい先週の月曜日、五月十九日にあったというふうに承知いたしております。法務省の協議員が新しい提案を行ったということでございますけれども、今回のこの提案をされるまでの経過、そして今回の提案の概要などにつきまして、そのねらいも含めて、初めにお答えをいただければと思います。お願いします。
  106. 松浦功

    ○松浦国務大臣 これまでにいろいろな経過があった問題でございますが、一千人規模ということを前提にいたしました場合には、一年半ぐらいの研修ということ以外にはどうも進める道がないのじゃないか。仮に従来どおり二年ということにいたしますと、施設の問題が、当然狭隘になってくるという問題が出てまいります。研修の内容の充実とともに、あわせて一年六カ月ということで期間短縮を図っていきたいという提案をしたものと存じております。  なお、この問題については、極めて専門的な問題にもなりますので、担当部長から説明させたいと思います。
  107. 山崎潮

    ○山崎(潮)政府委員 この法曹養成制度の改革につきましては、昨年来、法務省、最高裁、日弁連の三者で協議会を設けまして、三者協議会と申しておりますけれども、検討を続けてきているところでございます。それで、今御指摘のとおり、本月の十九日に開催されました三者協議会におきまして、法務省の方から、司法修習の期間につきまして現行の二年から一年六月に短縮するという提 案をさせていただいたところでございます。  この提案の理由でございますが、第一点は、今後の司法修習におきましては、従来の訴訟技術の習得を中心とした内容から、法曹が実務上のいろいろな問題につきまして臨機応変かつ的確に対処するために必要となります実務的な法理論、あるいは実務処理能力、法曹として基本的に備えておくべき責任感、倫理観、あるいは柔軟な思考、バランス感覚等、こういうものを確実に養成するというところに重点を移す必要があるということが一つの理由でございます。もう一つの理由は、司法試験の合格者を千人程度とする新しい修習制度への円滑かつ速やかな移行を果たしまして、修習の効果を確実なものにするということが非常に重要なことである。  こういうような点にかんがみまして、また三者協議会におきます従来の議論の経過等も踏まえまして、現行の人的、物的体制等のもとで直ちに実現可能な方途を採用するという観点から提案がされたものでございます。  提案の内容につきましては、司法研修所におきます前期修習というのが四カ月、それから各実務庁におきます修習が十二カ月、一年でございます、それからまた司法研修所に戻ってまいりまして、最後の仕上げの後期修習を二カ月、こういうような内容になっているものでございます。  特に特徴がございますのは、司法研修所におきます修習科目をいわゆる再編成いたしまして、法曹の責任と役割という科目を新たに創設するということが一つでございます。また、各地の実務修習期間の最後に総合修習という制度を設けまして、その中で公共精神の習得あるいは社会の法的ニーズの把握ということを目的といたしまして、ボランティア活動等の実地体験を行うということも盛り込んでいるわけでございますが、これが大きな特徴でございます。  今後、三者協議会におきましては、この法務省の提案を前提として協議が進められるということになると思われますけれども、我々も、国民的な見地に立った改革案を実現するための具体的な方策につきまして、政府の規制緩和推進計画にのっとりまして、本年の十月中には結論を得て、次期通常国会に裁判所法等の改正案を提出できるように、また、それを御審議いただけるように最大限の努力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。
  108. 河井克行

    河井分科員 今、十月中に結論を得て、来年の通常国会に法案を提出されたいということでしたけれども、どうもちまたで聞く話では、本当にそれができるのかなというふうなうわさもちらほら聞いております。  私は、この司法改革というのは大変重要な仕事だというふうに思わせていただいております。私たち自由民主党は橋本政権の六大改革を是が非でも成功させなくてはいけないというふうに思っておりますけれども、恐らく六大改革の次に浮かび上がってくるのは司法面の大改革じゃないかな。そういう面では、松浦法務大臣のお力というのは本当に極めて大きいものがあるというふうに考えさせていただいております。  人数をふやさなくてはいけないということで、人的ないろいろな整備とか受け入れ態勢の面で一年六カ月というふうな話もあるわけですけれども、現場のいろいろな弁護士さんたちの話を伺いますと、研修期間が短くなることによっての不安感というのはやはり随分否めないのじゃないのかなというふうな話も伺っております。その点についての疑念をこれからどのように取っ払っていかれようとしていらっしゃるのか。  それから、先ほど、目玉として社会修習という制度を総合修習の中に創設されるという話をいただきました。大変重要なことだと思いますけれども、いろいろなボランティア関係の活動とか、生きた人間社会の血の通った生活現場の中に本当に若いうちから入っていって、そういう卵が大きくなって立派な法曹関係者になっていくのじゃないかな。絶対、机上の空論だけで立派な法曹の仕事はできないと思いますけれども、その辺につきまして、そういった疑念を取っ払うということについてどのようなお考えをお持ちなのか、教えていただければありがたいと思います。
  109. 山崎潮

    ○山崎(潮)政府委員 ただいまの御指摘の点、確かにそういう声も私どもも聞いております。  しかしながら、今回のこの提案につきましては、そういう点も十分配慮して、我々としてはこれでできるということで自信を持って提案させていただいたものでございます。今後、この三者協議会におきまして、さまざまな意見が出されるというふうに考えておりますけれども、十分にその趣旨を御理解いただいて、最大限努力してまいりたいというふうに考えております。
  110. 河井克行

    河井分科員 いずれにしましても、日本の裁判が本当に遅い、遅過ぎるということはもう国民の中でも半ば常識と化しておりまして、そういう面では、迅速な裁判を少しでも行うためにいろいろな環境整備が必要ですけれども、この法曹養成制度の改革というものは大変重要な位置づけになるというふうに思っております。大臣のより一層のリーダーシップを発揮していただきまして、ぜひ来年の通常国会にはきっちりとした形でお出しいただきたい、そんなふうに思っております。  二つ目の質問は、公安調査庁を中心にお尋ねしたいと思います。  いわゆる北朝鮮への不法な送金実態について、具体的なケースを取り上げて質問をさせていただきたいと思います。  朝銀大阪信用組合経営破綻に伴いまして、実は、午前中の分科会でも、大蔵大臣そして銀行局長さんに質問させていた、だいたのですけれども、今度新しく、五つの近畿地方の朝銀が合併した上で、その朝銀大阪の事業を譲渡する受け皿信用組合、今、仮称銀近畿と言っているそうですけれども、これが創設される予定だと伺っております。そして、そこに預金保険機構から、これはもちろん、もともとの原資は国民の税金ですけれども、今の感じでは大体二千億円ぐらい支出をされるんじゃないのかなというふうに、銀行局長さんがけさ方答弁をしていただきました。  私は、この二千億円という数字は決して安い金額ではないというふうに考えておりまして、やはり今、北朝鮮、いろいろな疑惑が、私たちの国に対してやったとか、今ちょうどやっているとかいうふうな疑惑がささやかれておりますけれども、そういうところを中心とする金融機関国民の血税を使っていいのだろうかという、私は、やはり率直な国民感情というのは、これはもう否定できない。まして、財政が厳しい折ですから、道路を削れとか、農業予算を削れとか、ああだこうだ言われているときに二千億円ぽんと出せというのは、なかなかこれは、感情としては難しいのじゃないかなというふうに思っております。  まず、この朝銀大阪信用組合の今回の破綻の事案については調査はしていらっしゃるのでしょうか、お尋ねをしてみたいと思います。
  111. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 私ども公安調査庁といたしましても、この朝銀大阪信用組合破綻に関する報道については承知しておりまして、これを機会に、我が国北朝鮮関係者等から、何らかの不法な形で北朝鮮本国へ相当の金額が流れているのではないかという点については、私ども立場でも関心を持っているところでありますが、それなりの情報収集に努めているわけですけれども、現在のところ、その実態については十分な把握ができていないというのが実情でございます。
  112. 河井克行

    河井分科員 この信用組合の前の副理事長が最近検挙されたということについてももちろん承知おきだと思うのですが、そのことについても調査をしていらっしゃるのでしょうか。
  113. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 お尋ね関係者は金という者であろうと思っておりますが、その人物についての関連情報の収集にも努めているつもりでございます。
  114. 河井克行

    河井分科員 一般的なお答えで結構なんですが、日本からあの地域に不法にお金が送られる手段として、どのような手段が考えられるのか、教えていただきたいと思います。
  115. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 まず、お尋ねの点につきまして、具体的には、朝鮮総連あるいは在日朝鮮人関係者から一定の日時に一定の形で全員が送付されたということについて、具体的な事実を把握しているものではないということを前提といたしまして、仮に、何らかの形で送金が行われるとすれば、一般的に考えられるのは銀行送金、つまり外国為替の形式による銀行送金、あるいは、日本からの北朝鮮への訪朝者が、航空機あるいは船舶等を利用して現金として持参をするということが一般論としては考えられると考えております。
  116. 河井克行

    河井分科員 けさ方の大蔵省への質問の際には、大阪府を通じて調査をしたけれども現時点ではわからないという、極めて、そうかな、本当にそうなのかなと思えるようなお答えしか実はいただけなかったわけですけれども、法務大臣、公安調査庁を指揮監督するお立場にいらっしゃるわけですけれども、私は、やはり政治家として、一つの、この朝銀糸の信用組合の救済だけで最低二千億円支出を迫られてくるということで、率直に申し上げまして、大都市部の金融機関を通じて、ほかにもしんどいところはたくさんあるわけですね。この金額が、これからふえることはあっても減ることはなしと言われているわけですけれども、その点につきましては、今まで以上に厳重な監視、関心と注意を持って、さらに調査、そして捜査、情報収集に努めていただきたいというふうに思っておりますけれども、いかがでございましょうか。
  117. 松浦功

    ○松浦国務大臣 全く委員のおっしゃるとおりで、何ら反論はございません。隣で長官も聞いております。より一層力を入れて捜査に当たってくれるものというふうに考えております。
  118. 河井克行

    河井分科員 そういう意味では、これまでは本当に深い霧のベールに包まれていた存在だったわけですけれども、こういう形で経営破綻ということになりましたので、基本的には、もうすべて資料を政府当局者が収集して閲覧をすることができる立場に今回なったわけですので、私は、これを逃すことは本当にもった、ない、必ず厳重にやっていただきたいと思いますと同時に、これは下手に処理を間違えますと一また第二の住専のように大きなことにも発展しかねない問題だというふうに考えております。本当に、なお一層、一生懸命、捜査、調査をやっていただきたいと思います。  それから、ひとつ長官に、関連なんですけれども、数年前に当時の公安調査庁の長官が、あの地域に年間六百億円ぐらい日本から行っているんじゃないかという、答弁といいましょうか、紹介、意見の開陳があったのですけれども、今はどうなんでしょうか。情報がありましたら教えてください。
  119. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 以前の長官がそのような、国会答弁の中で、六百億とか八百億とかいうような金額北朝鮮送金されていると言われているという答弁をしたことは承知しております。ただし、これは公安調査庁がそのような事実を把握しているという趣旨ではなくて、巷間そのようなことが研究者の間で言われているという一つの情報としてお答えした趣旨であります。
  120. 河井克行

    河井分科員 巷間というのはちまたの間と書くわけですけれども、どの辺の間でそういうお話がもともと情報としてあったのでしょうか。もしお答えいただければありがたいと思います。
  121. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 私、今具体的にその人の名前を覚えておりませんが、北朝鮮関係の問題についていろいろ研究しておられる方だというふうに承知しております。
  122. 河井克行

    河井分科員 そして、それはたしか数年前のことだと思うのですが、恐らく今の数字はお手元にはないか、言えないか、どちらかわかりませんけれども、感じとしては、ぐっとふえているのでしょうか、それとも減っているのでしょうか。長官の個人的なお気持ちでいいですから、教えてください。
  123. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 私の個人的な意見を申し上げるのは適当ではないと思いますし、先ほども答弁申し上げましたとおり、私ども調査の範囲内では、関係者から、ある形で何らかの送金が行われているというような情報も全くないではありません。しかし、それを裏づけるような確度の高い情報というものはございませんし、委員が御質問の、総額でどのくらいかというような点についてお答えするような資料は持っておりません。
  124. 河井克行

    河井分科員 これ以上は伺ってもなかなか難しいと思いますので、本当に日本の将来と、そして国益がかかった重要な事案だと思います。なお一層しっかりとお仕事に励んでいただきたいと思います。  続きまして、三点目は、ちょっと私の地元の問題について取り上げさせていただきたいと思います。  法務局の登記所が、今度、広島県、私は第三区選出の議員なんですけれども、統廃合が予定されているという情報を聞いたわけですけれども、そのあたりの今の基本的なお考え方、現状、そして今後の展望等につきまして御説明をいただきたいと思います。
  125. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 御指摘の法務局の出張所、いわゆる登記所の統廃合につきましては、御案内と思いますが、法務局の機構は大変小規模な庁が多いということで、事務処理上非効率となっておりますことから 国民の期待にこたえ、限られた陣容で充実した法務行政サービスを全体として提供するという観点から、これまで累次の閣議決定に基づきまして、行政改革の一環として登記所の整理統合を進めてきたところでございます。  しかしながら、なお現在でも全国に約九百九十カ所、千に近い登記所が存在しているわけでございまして、国のほかの機関の地方支分部局に比べて大変多いということから、一層の整理統合が必要とされております。最近の閣議決定としては、昨年十二月二十五日に閣議決定された行政改革プログラムにおきましても、登記所の整理統合を引き続き進めるようにという指摘があるところでございます。  そういう状況を踏まえまして、平成七年七月に、法務大臣の諮問機関である民事行政審議会にお諮りして、これからの整理統合の基準について答申をいただきまして、その答申を踏まえて整理統合を一層推進してまいらなければならないというふうに考えているところでございます。  今、全国でかなりの登記所について、地元にできるだけ早い時期にお話をして、その整理統合の趣旨、必要性といったことについて理解をいただいた上で整理統合するように努力をしているところでございます。
  126. 河井克行

    河井分科員 一般的な考え方はそれでいいのですけれども、広島の状況について、どこをどのように、いつまでにおやりになるおつもりなのか、教えていただきたいと思います。
  127. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 御指摘は、広島法務局の千代田出張所及び加計出張所の関係かと存じますが、この両出張所を可部出張所に統合したいというふうに考えております。これは、ただいま申しました民事行政審議会からいただいた基準に適合するということから、受け入れ予定庁である可部出張所の庁舎の整備を待ってこれを実現いたしたいというふうに考えておりまして、これから今申しましたような趣旨、必要性等について地元に説明をして理解をいただくという作業に入りたいというふうに考えております。  具体的な統合の時期につきましては、今申しましたように、受け入れ予定の可部出張所の庁舎整備、これは平成十一年ころまでかかるということが見込まれておりまして、その時期の統合ということを考えているところでございます。
  128. 河井克行

    河井分科員 私は、行政改革の断行というのは絶対にやらなくてはいけないことだというふうに考えております。そして、その一方で、地域の住民の方々のきちっとした利便も確保すること、これも同時に同じぐらい重要性があるというふうに思うのです。  広島県ではつい先年、この登記所に絡んで、因島の方だったと思うのですけれども、大変大きな騒動が持ち上がりました。そのことは御承知おきだと思うのですけれども、この騒動の解決策としていろいろといいお知恵も浮かんできたやに伺っておりますけれども、もしその辺の情報がございましたら教えていただきたいと思います。
  129. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 登記所を廃止するということになりますと、どうしても当面の地域の住民の方々の不便ということは避けられないところでございます。ただ、全体としては登記行政サービスを充実させるという目的の一環として考えるところでございますが、当面の御不便は避けられない。  そういうことから、その御不便をできるだけ解消するということについて、いろいろな方策を具体的に地元の要望等を伺いながら、できる限りのことをさせていただいているわけでございまして、一般的に申しますと、一番大事なことは、自動車でおいでいただくということで、駐車場をしっかり確保するということが大変重要になります。  それから、住民の方々が登記所を使うというのは、不動産を取得して登記をするということはそう頻繁にあることではございませんが、謄抄本等の交付を受けるということで利用される場合が多いわけで、そうしうものは現在でも郵送で請求をしていただけるということですので、それができるだけ活用されるように、申請書の用紙を地元の役場とか郵便局等に置かせていただく、さらには要望に応じて、因島の場合そうでございましたけれども、廃止庁の近くの郵便局にファクスを置いて、そのファクスで請求をしていただくというような対応も考えたところでございます。  さらには、地元の司法書士の方々に委託をして、適宜登記相談等に応じていただくということも一つの方策として検討しているところでございますが、そういったことを地元の要望を聞きながら対応させていただいているということであります。
  130. 河井克行

    河井分科員 今局長の方から、いろいろときめ細かい対応をしていきたいという旨の答弁をいただきまして、一安心をいたしました。やはりこういうことはどうしても、特に過疎に悩んでいる地域としては、何だか自分たちのところからまた一つ政府系の機関がなくなってしまったという、実態以上に寂しさを心理的に感じるものでございますので、くれぐれも地域の町村長さんあるいは町村議会の議員、あるいはこの場合でしたらお仕事をしていらっしゃる商工会とか司法書士、そういった方々の意見というのにしっかりと耳を傾げていただいて進めていただければ、そんなふうに思います。  もう余り時間がありません。最後に少しだけ質問をさせていた、だきたいと思います。  中国からの不法入国難民がことしの冬はばあっと数がふえたわけですけれども、最近ちょっと一段落しているかな。報道されていないからそう思うだけかもしれませんけれども、もしその辺の数字の移り変わりがありましたら教えていただきたいのと、少なくなったのなら少なくなった原因、その背景についてもお聞かせをいただきたいと思います。
  131. 伊集院明夫

    ○伊集院政府委員 最近の中国人による集団密航事案の発生状況でございますが、昨年の十二月は十一件二百五十八名、ことしの一月は十一件百九十二名、二月も十一件、これは四百五十一名、三月は四件十一名、四月は八件百四十九名、五月は二十六日現在で二件五十八名ということで、昨年の十二月以降、四十七件千百十九名と急増している状況でございますけれども、中国人の集団密航の背後には蛇頭と言われる密航ブローカー組織が関与していることがわかっております。  この蛇頭と申しますのは、密航者を勧誘する勧誘蛇頭、密航者を目的地まで送り届ける引率蛇頭、密航手数料を取り立てる取り立て蛇頭等、それぞれ役割を担った蛇頭が存在している、これに我が国の暴力団関係者等が連携を強化しているといったことが判明してきております。  これに対しまして、私どもはまず、この蛇頭を初めとする密航ブローカーによる集団密航事案の効果的防圧を図るという観点から、集団密航を助長、援助する者等に厳しく対処するために罰則を新設するという入管法の一部改正を行いましたほかに、密航者の送り出し国でございます中国政府に対しまして、密航ブローカーの取り締まり、沿岸警備の強化等の出国防止措置を強化するよう直接申し入れております。また、日本の国内では、関係機関との連携の緊密化、それから入港船舶に対する船内サーチの強化などによりまして、水際での上陸防止を図りますとともに、既に潜入に成功した密航者やブローカー組織の摘発、解明に努めているところでございます。  まだまだ増加傾向がおさまったとは言えない状況でございますので、今後ともこの摘発等に全力を注いでいきたいと考えております。
  132. 河井克行

    河井分科員 中国政府に強硬に言っていただくことはもちろん大事です。そして、日本の国内の法整備も強化することはもちろん重要ですけれども、やはりこういうことは、政府が毅然たる姿勢を持っているということを国の内外に知らしめることが何よりの抑止力だというふうに私は思っております。これは、単に難民がちょっと数十人、数百人やってきたということではなくて、国家の一種の防衛といいましょうか、脅威にすらこれからなっていくんじゃないかなというぐらいの心配の気持ちを私自身は抱しております そういう意味で、引き続きましてきっちりとした対応をよりしっかりしていただければありがたいというふうに思います。  以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  133. 大口善徳

    ○大口主査代理 これにて河井克行君の質疑は終了いたしました。  次に、武山百合子君。
  134. 武山百合子

    ○武山分科員 武山百合子です。  それでは、法務省関係についてただいまより質問をいたします。  世界を揺るがせたペルー人質事件はフジモリ大統領の英断で解決したわけですけれども、ペルーにお礼に出向いた橋本総理は、共同声明の中で、国家テロには絶対に妥協しない、断固たる処置をとると世界に向かって明言しました。  ここで、もう一度決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  135. 松浦功

    ○松浦国務大臣 断固たる気持ちで事に当たらなければならないというふうに理解をいたしております。
  136. 武山百合子

    ○武山分科員 どうもありがとうございます。  私、さきの予算委員会で法務大臣から、破防法を見直す、議員立法も考えますというかたい決意の御答弁をいただいたのですけれども、感謝しております。たしか、理屈が立つ状況になりましたら新規立法も含めて十分に検討させていただきたいと思っておると御答弁くださったと思うのですね。  それで、十分前向きに検討させていただきたいというふうに私は聞いておりますけれども大臣の御答弁がマスコミで報道されて、その後、私の事務所には、破防法がだめになって不安でたまらなかったが少し安心しましたとか、私の町に拠点ができている、でも、この怖さをどこへぶつけていいのかわからなかったが、ほっとしているという、そんな電話が何本か入っていました。  国民の期待がいかに大きいかを知らされた破防法ですけれども、そこで、その後の進行はどうなっているのか、お尋ねしたいと思います。
  137. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 現在の破防法が、社会の情勢やあるいは時代の変化に照らして適正なものであるかどうかにつきましては、私ども、所管庁の立場で常日ごろから検討をしてきたところであります。現在も、そのような観点から、諸外国における団体規制に関する法制度あるいはその運用状況等についても調査を進めながら、必要な検討を行っているところであります。  また、このたびのオウム真理教に対する規制請求手続を進める上で発生したいろいろの問題、あるいは公安審査委員会の決定書の内容なども十分に検討いたしまして、また、委員の御指摘のような御意見も十分に参考にさせていただき、検討を進めていきたい、こう思っております。
  138. 武山百合子

    ○武山分科員 ありがとうございます。  国家の危機管理というのは、いついかなるとき、何が起こっても作用するようなものだと思いますので、ぜひともスピードアップをお願いしたいと思います。  オウムが国家を破壊しようという団体であったことは事実だと思います。将来に危険がないということが適用されない根拠のようですけれども大臣法務省もそう思っておられるのか、その辺、お聞きしたいと思います。
  139. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 オウム真理教は、本年の一月三十一日の公安審査委員会による棄却決定につきまして、教団が社会に認知されたというふうに受けとめておりまして、それまでの恭順の姿勢を翻して、活動が停滞していた中央組織の再生を初めといたしまして、地方支部、道場など活動基盤の拡充、あるいは脱会信徒に対する執拗な復帰工作など、組織の再興に向けた取り組みを活発に行っております。  全国の支部、道場では、相変わらず説教会あるいはセミナーなどを頻繁に開催しておりまして、正悟師クラスの幹部が、麻原彰晃、つまり松本智津夫の説法内容などを引用するなどいたしまして、従来からの教義を維持いたしております。また、信徒の団結力、結束力を高めようと努力している状況もうかがわれます。説法会などへの参加費を名目にして相当額の資金を獲得するとともに、組織防衛というような点にも腐心するなど、閉鎖的な集団としての性格も強めております。  このような状況から、私ども公安調査庁におきましては、オウム真理教は依然として危険性があるものと考えておりまして、引き続き調査を行っているところであります。
  140. 武山百合子

    ○武山分科員 ありがとうございます。  やはり危険性がないとは言えないということですので、そうなりますと、これに破防法が適用されない場合、それにかわる立法というものが大事だと思います。それにかわるものを早急につくっていただきたいと思いますけれども、そのスピードぐあいは、どのくらいのスピードで考えておりますでしょうか。
  141. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 破防法のあり方につきましては、先ほど答弁申し上げましたように、私ども公安調査庁の立場でなすべきことを今進めているところでありまして、やはりこの種の問題につきましてはできる限り早急に対応すべきものと考えておりまして、そういう観点で事柄を進めるつもりでおります。
  142. 武山百合子

    ○武山分科員 ない方がおかしいですので、早急に進めていただきたいと思います。  この法律を適用する結論を出した当時の総理大臣、官房長官はどなたでしたか、大臣お尋ねしたいと思います。
  143. 松浦功

    ○松浦国務大臣 総理は、村山富市先生、それから官房長官は、野坂浩賢先生でございました。
  144. 武山百合子

    ○武山分科員 ありがとうございます。  この方々は当時社会党の方ですけれども、連立政権であろうとも、村山元総理も野坂官房長官も破壊活動防止法成立のときには体を張って反対された方々ですけれども、その方々が相当な決意で適用やむを得ずとの決定をされた意義は実に大きいと考えますが、いかがでしょうか。
  145. 松浦功

    ○松浦国務大臣 そのとおりだと思います。
  146. 武山百合子

    ○武山分科員 私たち政治家は、国を守り国民の生命財産を守る義務があるわけですけれども、いかがですか、法務大臣
  147. 松浦功

    ○松浦国務大臣 全くお説のとおりだと思っております。
  148. 武山百合子

    ○武山分科員 そのお言葉をお聞きして、私も同感ですのでうれしく思います。  破防法適用せずと発表した公安審査委員会の論文は、マスコミが怖いとか法務省の顔も立てなければならないという、玉虫色で、国民の生命財産を守る国の存在すら頭にないような論文でした。  国の権威を示す法律を、不備があるからといって、法治国家でありながらマスコミに迎合して適用できないような国では、国民は安心して日本に住めず、国を信じられなくなりますが、いかがですか。
  149. 松浦功

    ○松浦国務大臣 全くおっしゃるとおりだと存じます。
  150. 武山百合子

    ○武山分科員 もう本当に、何度も何度も同じことなのですけれども、ぜひスピードアップをもって、早めにやはり対応していただきたいと思います。  それから次は、長野オリンピックにおけるテロ防止策でちょっとお聞きしたいと思います。  来年は、長野で冬のオリンピックが開催されますけれども、世界中から人々が参ります。そして、世界大会主催国ということで、世界の国に日本は安全であると宣言したことになります。日本が世界じゅうに危険のないことを保証したことになるわけですけれども、諸外国の人々が来日する途中また滞在中、何かが、それがオウムでなくとも、テロ的な行為が起きたときはどうするのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  151. 松浦功

    ○松浦国務大臣 直接法務省がどうこうという立場にはございませんけれども関係機関とよく協力をいたしまして、そういう事故が起きないように、未然にこれを防止するということを第一の基本原則として取り扱っていかなければならない、そんなふうに思っております
  152. 武山百合子

    ○武山分科員 万が一起こってしまったら、恐らく申し開きなんということはできないと思います。ですから、ぜひきちっとした防止策をつくっていただきたいと思います。  国として、招いた諸外国の人々を本国に無事送り返すことが招いた国の最大の仕事であり、世界への最大の義務でもあることは言うまでもありません。何もないことを願っていますけれども、もしということがあったとき、日本は世界じゅうから非難されるだけでは済まされず、軽べつされ、はじき出され、二度と国際社会の一員には入れなくなるのではなかろうかと思います。私たちが海外へ出ても、石を投げられるのは覚悟しなければいけないと思います。  近隣諸国も世界も大きく揺れ動いていますので、あらゆる方面から考えて、国家の威信をテロから守り、取り締まれる法律というものは絶対に必要であり、何としても早急に必要ですので、再度、大臣答弁をいただきたいと思います。どうされるおつもりなのか、その辺を聞きたいと思います。
  153. 松浦功

    ○松浦国務大臣 どんな事件が起きましても、現在の刑法の体系で十分取り締まれると思っております。それよりは、隣におります長官等の手によって、手早く情報を収集して未然にこれを防止するということが何といっても大切ではないか、こう思っております。
  154. 武山百合子

    ○武山分科員 現在の法の整備で大丈夫ではないかということですけれども、ぜひ大丈夫であるということを、もう念頭にしておりますので、絶対に何も起こらないことを期待しております。  まして、オウムの犯罪で犠牲になられた方々、残された御家族、親族、被害を受けた方々、その御家族、それからサリンの後遺症で大変な日々を送っている人々も相当おられるようです。この方々の日々の苦しみを思うと胸が締めつけられる思いですけれども、犯罪を犯した者の人権のみが強調されるために、犠牲者、被害者、残された御家族の人権が大きく発言されない現状をどう思われますでしょうか。
  155. 松浦功

    ○松浦国務大臣 まことに遺憾でございまして、本当に毎日のお苦しみに対しては心からおわびをしなければならない問題ではなかろうかと思っております。
  156. 武山百合子

    ○武山分科員 これだけの犯罪の被害者でありながら、当事者に弁済能力がないということから何一つ補償されず、その上破防法さえも適用できない状態ですので、死んでも死に切れないというところだと思いますけれども、私は、このような犯罪を取り締まる法律をつくっておかなかった国に責任がないとは言えないと思います。その辺、いかがでしょうか。
  157. 松浦功

    ○松浦国務大臣 なかなか難しい問題で、ここでにわかに結論を申し上げる段階には至っていない、こう思っております。
  158. 武山百合子

    ○武山分科員 オウムの事件もしかりですけれども、もうこの状況というのはかなり前から推移がありまして、やはり国としてこういう法律をつくるということは破防法にかわる法律ということに、単刀直入にお話ししますとそういうことであろうと思いますけれども、やはり一般国民から見ますと、加害者の人権が守られて被害者の人権が守られていないということが現状なのです。ですから、難しい中を越えてつくるのが政治家の役目だと思いますけれども、難しいものというその難しさの中を少し詳しく御説明いただけないでしょうか。
  159. 原田明夫

    ○原田政府委員 若干、法律の今後の整備のあり方に関するものでございますので、恐縮でございますが、事務当局からまず答えさせていただきたいと思います。  ただいま委員御指摘のさまざまなテロを初めとする治安に関係する立法につきましては、法務省におきましても、従来から罰則強化または国際協力の推進等の観点から法整備をお願いしてきたところでございまして、いわば刑罰法といいますか、罰則という観点からすればほぼ対応できる状況になっていると存じます。  ただ、ただいま委員御指摘の中の、いわば手続的な面に関しますと、組織的な犯罪というものに対処するためのさまざまな対処方策というものがあろうかと考えます。こういう点につきましてはさまざまな事情から、確かに対応についてなお検討すべきことがございますが、私どもといたしましては、現在法務大臣から法制審議会にもお願いいたしまして、制度的な面、そして手続的な面から何らかの対応ができないものだろうかということで、早急な結論をいただけるように御審議を願っているところでございます。  それから、被害者といいますか、刑事司法のために協力してくれる方々というような観点からいたしますと、やはりさまざまな観点から刑事司法の中で協力をしていただけるように、またそれらの方々気持ちをいやすための努力ということはまた別途考えていかなければなりません。  そういう点も含めて、私ども、今後できるだけ早急に検討いたしまして、成案を得まして御審議を願えるように、さまざまな観点から努力してまいりたいと考えております。
  160. 武山百合子

    ○武山分科員 国民の側から見ますと、議論はもう十分日ごろされているという国民の意識なのです。それで、常に結論を先送り先送りということで、結論を出さないところに問題があるわけです。なぜそういう節目節目に結論が出ないのか。長期で議論をしてきて、まあまとめるということなのですけれども、なぜその対応がその都度できないのか、そこはどんな難しさがあるのでしょうか。
  161. 原田明夫

    ○原田政府委員 対応が先送りという点、そういう印象を委員が持たれたことにつきまして、私どもとしても反省させられるところはあるわけでございますが、刑事立法という観点からは、必要な処罰法の点につきましては、相当程度国際的にも通用する水準まで至っていると存じます。  ただ、手続法の観点からまいりますと、刑事司法のあり方、そして特に犯罪の処罰という面と、はたまた手続的には関係者の人権を守っていかなければならないというその調和をどのあたりに見つけるかということで、やはり幅広い立ち入った御議論が必要ということで、それらの御議論を十分尽くしていただくということで努力してまいったところでございます。しかし、ただいま委員御指摘のような点でその関心が高まっているということにつきまして、十分心してまいりたいと考えております。
  162. 武山百合子

    ○武山分科員 関心も大変影響力を与えますけれども、こういうテロとか突然起こる問題には、関心が高まるとか高まらないとかとは別に、やはり常に危機管理でつくっておく必要があろうと思うのですよね。  それで、諸外国の例も大いに研究されていると思いますので、どのくらいのスパンで今考えておりますでしょうか。
  163. 原田明夫

    ○原田政府委員 先ほど申し上げましたいわゆる組織的なさまざまなタイプの犯罪に対処する方策ということに関しましては、現在法制審議会で議論をしていただいておりますけれども、できるだけ早期にということで審議をお願いしているところでございまして、ただいま、いつまでにということで申し上げるのは法制審議会の審議の状況から考えまして適当でないと思いますが、私どもといたしましては、可及的速やかに結論を得ていただきたいということでお願いしてまいりたいと考えております。
  164. 武山百合子

    ○武山分科員 審議会はどのくらいの頻度で開かれているのでしょうか。
  165. 原田明夫

    ○原田政府委員 現在、法制審議会の刑事法部会というところで審議をいただいておりますけれども、月二回という従来にない速いペースで審議をいただいているところでございます。
  166. 武山百合子

    ○武山分科員 月二回ということですけれども、こういう国家を揺るがすほどの大きな事件が起こり得るということを想定してする場合は、月二回では少な過ぎると思います。常に、議論が煮詰まらなければやはりとことんやるというのが危機管理状態だと思しますけれども それはいつごろまで、その審議会で答えが出るまでの期間という意味なんでしょうか。
  167. 原田明夫

    ○原田政府委員 事務当局として、いつまでにということをあらかじめ限ってお願いするということは独立した委員会の審議につきましてなかなか難しい点があるわけでございますけれども、私どもといたしましては、できるだけ早期にということでお願いしているところでございます。
  168. 武山百合子

    ○武山分科員 議論というのま、もちろんある一定の識者の方々が審議会のメンバーだと確信しておりますけれども、そういう方々がむやみやたらに議論しているとは思いません。あるテーマごとに、ある期間を区切って結論を出そうということで議論をしていると思いますけれども、そういう議論の方向性というものがある程度見えてきているのでしょうか。
  169. 原田明夫

    ○原田政府委員 委員御承知のとおり、法制審議会の刑事法部会には、実務家、つまり検察官、裁判官、警察あるいはその他の関係方々以外に、日本弁護士連合会に属する弁護士の先生方、また刑事法に関する学者の方々ということで幅広い立場から審議をいただいているところでございますが、その基本的な方向についてはほぼ議論が煮詰まりつつあるというふうに考えております。  しかし、やはりこれらの問題につきましては、基本的人権の立場ということから慎重な審議が必要だという点もございまして一なお若干時間を要するというふうに考えております。
  170. 武山百合子

    ○武山分科員 大分慎重な議論が煮詰まりつつあるということをお聞きしましてちょっと安心をいたしましたけれども、そうしますと、もう間もなくという形でしようか。あと半年くらいということなんでしょうか。恐らく何ともお答えが出ないかと思いますけれども、ぜひ早急にその辺は、もう待ったなしで何が起こるかわからないわけですよね。ですから、待ったなしの状態であるということで、何か起こると、だれも責任をとらないのですよね。命をなくした家族、やはり自分たちが悲しい思いをするという印象の方が強くて、だれもそこにかかわった者は、本当は責任をとらなければいけないものをとれないような今の社会状況ですよね。  国会の方でも、今議論が未消化でどんどん法案が出てくるような状態で、何となく私は国会議員の一人としましては非常に未消化の部分を感じるのですけれども、今、国会の方が早く法案が成立されているような状態で、審議会の方が非常に遅いような印象も受けますので、ある程度は煮詰まったということですので、ぜひそれにもう一歩進めて、スピードアップをもって対応していただきたいと思います。  労災だけでなく、特に被害者、犠牲者には、残された遺族、後遺症で泣く人たちにこそ法はぬくもりを持って執行すべきだと考えます。何かもう少しでも考えることはできないかなと思いますけれども、その辺のところを法務大臣にお聞きしたいと思います。
  171. 松浦功

    ○松浦国務大臣 恐らく、被害者に対する補償問題、何かもう少し突っ込んでできないのかというお尋ねじゃないかと思いますけれども、問題はこれだけではございませんで、いろいろ問題がございます。バランスの問題も考えながら、先生の御意見は十分胸に畳んでおきたいと思います。
  172. 武山百合子

    ○武山分科員 バランスも非常に大切ですけれども、もう本当に国家的犯罪だったわけですから、ぜひ英断をもってやっていただきたいと思います。  最後の質問になりますけれども、先ほど申し上げましたように、私ども国民の財産、命を守る義務があるわけです。橋本総理もマスコミの前で約束されました。さきの予算委員会で大臣にもお答えいただきましたように、テロ防止取締法を、法務当局が間に合わなければ議員立法を一日も早くつくるべきではないかと思いますけれども、法務大臣のかたい決意と具体的な進行方法をお聞きしたいと思います
  173. 松浦功

    ○松浦国務大臣 今刑事局長から御答弁申し上げましたように、できるだけ早期にその問題についてはまとめるように刑事局長のしりをたたいております。ある程度めどが一定の時期には立つものと私は考えております。
  174. 武山百合子

    ○武山分科員 できるだけ早くという言葉が今ここの私の質問の中で何度も出てまいりました。ぜひそういう言葉は使わないような、いついつとか一カ月先とか半年先とか、そういう確実性のあるはっきりとした言葉で答えられるような社会にしたいと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  私の質問をこれで終わりにいたします。ありがとうございました。
  175. 大口善徳

    ○大口主査代理 これにて武山百合子君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして法務省所管の質疑は終了いたしました。     〔大口主査代理退席、主査着席〕     ─────────────
  176. 栗本慎一郎

    栗本主査 これより国会所管について審査を行います。  まず、国会主管歳入決算及び衆議院関係決算の概要説明を聴取いたします。谷衆議院事務総長
  177. 谷福丸

    ○谷事務総長 平成六年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。  国会主管の歳入につきましては、予算額二十一億六百五十三万円余に対しまして、収納済み歳入額は二十一億三千八百九十二万円余であり、差し引き三千二百三十九万円余の増加となっております。  次に、衆議院関係の歳出につきましては、当初の歳出予算額は六百六十二億二千二百六十二万円余でありまして、これに前年度からの繰越額三億九千五百四十二万円余を加え、既定経費の不用等による予算補正修正減少額二十一億千三百四十八万円余を差し引きますと、歳出予算現額は六百四十五億四百五十六万円余になります。  この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は六百二十六億三千四百五十三万円余でありまして、その内訳は、国会の運営に要した経費六百一億千八百六十六万円余、衆議院の施設整備に要した経費二十五億千五百八十七万円余であります。  歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして、十八億七千二万円余になっております。不用額の主なものは議員秘書手当でありまして、議員秘書に欠員があったことに伴い不用となったものであります。  以上が、平成六年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係の歳出決算の概要でございます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。  引き続きまして、平成七年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。  国会主管の歳入につきましては、予算額二十一億六千二百二十五万円余に対しまして、収納済み歳入額は二十億八千八百九十七万円余であり、差し引き七千三百二十八万円余の減となっております。  次に、衆議院関係の歳出につきましては、当初の歳出予算額は六百六十九億三千八百三十八万円余でありまして、これに施設整備のための予算補正追加額二十五億千七十六万円余を加え、既定経費の不用等による予算補正修正減少額十八億七千七百六十七万円余を差し引きますと、歳出予算現額は六百七十五億七千百四十六万円余になります。  この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は六百四十一億五千四百二十五万円余でありまして、その内訳は、国会の運営に要した経費五百九十五億七千百五十五万円余、衆議院の施設整備に要した経費四十五億八千二百六十九万円余であります。  歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は三十四億千七百二十一万円余となっておりますが、このうち翌年度に繰り越した額は七億二千九百十七万円余であり、不用額は二十六億八千八百三万円余であります。翌年度繰越額の主なものは憲政記念館映像展示設備整備費であり 不用額の主なものは退職手当でありまして、退職者が少なかったことに伴い不用となったものであります。  以上が、平成七年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係の歳出決算の概要でございます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  178. 栗本慎一郎

    栗本主査 次に、国立国会図書館関係決算の概要説明を聴取いたします。緒方国立国会図書館長。
  179. 緒方信一郎

    ○緒方国立国会図書館長 平成六年度国立国会図書館関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は百五十一億七千五百一万円余でありまして、これに前年度繰越額五億六千七百七十万円余を加え、既定経費の不用等による予算補正修正減少額五億一千一万円余を差し引きますと、歳出予算現額は百五十二億三千二百七十万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は百五十一億一千五百八万円余でありまして、その内訳は、国立国会図書館の管理運営に要した経費百二十四億九千五百九十三万円余、科学技術関係資料購入等に要した経費五億二千八百二十一万円余、国立国会図書館の施設整備に要した経費二十億九千九十四万円余であります。  歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして、一億一千七百六十一万円余となっております。  以上が、平成六年度国立国会図書館関係歳出決算の概要でございます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。  引き続きまして、平成七年度国立国会図書館関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は百五十四億三千百七十五万円余でありまして、これに電子図書館モデルの開発のための予算補正追加額五億二千八百二十五万円余、国立国会図書館の施設整備のための予算補正追加額六億八千五百七十三万円余を加え、既定経費の不用等による予算補正修正減少額四億二千五百五十四万円を差し引きますと、歳出予算現額は百六十二億二千二十万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は百五十三億四十四万円余でありまして、その内訳は、国立国会図書館の管理運営に要した経費百二十七億九千百七十七万円余、科学技術関係資料購入等に要した経費五億三千八百五十九万円余、国立国会図書館の施設整備に要した経費十九億七千七万円余であります。  歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は九億一千九百七十六万円余でありまして、その内訳は、翌年度繰越額七億九千五万円余、不用額一億二千九百七十万円余となっております。  以上が、平成七年度国立国会図書館関係歳出決算の概要でございます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  180. 栗本慎一郎

    栗本主査 次に、裁判官弾劾裁判関係決算の概要説明を聴取いたします。藤田裁判官弾劾裁判所事務局長
  181. 藤田教稔

    ○藤田裁判官弾劾裁判所参事 平成六年度及び平成七年度裁判官弾劾裁判関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。  まず、平成六年度裁判官弾劾裁判関係歳出決算の概要でございますが、当初の歳出予算額は一億二千二百五十一万円余でありまして、これから既定経費の不用等による予算補正修正減少額七百二十九万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億一千五百二十一万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は一億一千三百二万円余でありまして、このうち主なものは職員の人件費であります。  歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして、二百十九万円余となっております。  以上が、平成六年度裁判官弾劾裁判関係の歳出決算の概要でございます。  引き続きまして、平成七年度裁判官弾劾裁判関係歳出決算の概要でございますが、当初の歳出予算額は一億二千二百六十万円余でありまして、これから既定経費の不用等による予算補正修正減少額四百五十八万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億一千八百一万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は一億一千四百二十五万円余でありまして、このうち主なものは職員の人件費であります。  歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして、三百七十六万円余となっております。  以上が、平成七年度裁判官弾劾裁判関係の歳出決算の概要でございます。  よろしく御審議のほどをお願いします。
  182. 栗本慎一郎

    栗本主査 次に、裁判官訴追委員関係決算の概要説明を聴取いたします。濱井裁判官訴追委員会事務局長
  183. 濱井一夫

    濱井裁判官訴追委員会参事 平成六年度裁判官訴追委員関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は一億三千九百九万円余でありまして、これから既定経費の不用等による予算補正修正減少額千百十二万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億二千七百九十六万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は一億二千百二十七万円余でありまして、このうち主なものは職員の人件費であります。  歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして、六百六十九万円余となっております。  以上が、平成六年度裁判官訴追委員関係の歳出決算の概要でございます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。  引き続きまして、平成七年度裁判官訴追委員関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は一億三千五百七十万円余でありまして、これから既定経費の不用等による予算補正修正減少額七百五十八万円余を差し引きますと歳出予算現額は一億二千八百十二万円余となります。  この歳出予算現額に対し支出済み歳出額は一億二千七百二十六万円余でありまして、このうち主なものは職員の人件費であります。  歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして八十五万円余となっております。  以上が平成七年度裁判官訴追委員関係の歳出決算の概要でございます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  184. 栗本慎一郎

    栗本主査 この際、お諮りいたします。  参議院関係決算の概要説明につきましては、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 栗本慎一郎

    栗本主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────    平成六年度参議院関係歳出決算の概要説明                 参 議 院  平成六年度参議院関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は三七六億八、五六九万円余でございまして、これに前年度からの繰越額一〇億三、九七六万円余を加え、既定経費の不用等による予算補正修正減少額八億八、一九四万円余を差し引きますと、歳出予算現額は三七八億四、三五一万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は三六八億七、八七二万円余でございまして、その内訳は、国会の運営に要した経費三四八億三、二七六万円余、参議院の施設整備に要した経費二〇億四、五九五万円余でございます。  歳出予算現額と支出済歳出額との差額九億六、四七八万円余が不用額となっております。  不用額の主なものは職員及び秘書の退職手当であり、退職者が少なかったこと等に伴い、不用となったものでございます。  以上が平成六年度参議院関係の歳出決算の概要でございます。  よろしく御審議の程、お願い申し上げます。     ─────────────    平成七年度参議院関係歳出決算の概要説明                参 議 院  平成七年度参議院関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は三九九億七、七六三万円余でございまして、これに施設整備のための予算補正追加額一七億五、〇九九万円余を加え、既定経費の不用等による予算補正修正減少額九億八、六九七万円余を差し引きますと、歳出予算現額は四〇七億四、一六四万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は三九三億九、二八六万円余でございまして、その内訳は、国会の運営に要した経費三六一億八、三二五万円余、参議院の施設整備に要した経費三二億八四一万円余でございます。  歳出予算現額と支出済歳出額との差額は、二二億四、九九八万円余でございますが、その内訳は、翌年度への繰越額八三五万円余、不用額一三億四、一六二万円余でございます。  翌年度繰越額は、国会議事堂正門中央門扉改修工事費でございまして、不用額の主なものは議員秘書手当であり、議員秘書に欠員があったことに伴い不用となったものでございます。  以上が平成七年度参議院関係の歳出決算の概要でございます。  よろしく御審議の程をお願いいたします。     ─────────────
  186. 栗本慎一郎

    栗本主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院深田第一局長
  187. 深田烝治

    ○深田会計検査院説明員 平成六年度国会決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  次に、平成七年度国会決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  188. 栗本慎一郎

    栗本主査 以上をもちまして国会所管の説明は終わりました。     ─────────────
  189. 栗本慎一郎

    栗本主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。若松謙維君
  190. 若松謙維

    若松分科員 新進党の若松謙維でございます。  本日は国会所管という観点から質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。  その前に、今、平成六年度、七年度、一括審議となりましたけれども、やっと本来の決算委員会の機能を取り戻しつつあるということで、大変喜んでいる一人でございます。草川委員長初め、与党、野党の理事の方々の御努力に敬意を表する次第でございます。ぜひとも、この流れをさらに確かなるものにして、このチェック機能というものをさらに強化してまいりたい、そう強く願う一人でございます。  まず、きょうの質問の趣旨ですけれども、立法調査機能の強化充実、こういった観点から、調査室、法制局並びに図書館の関係者方々に御質問いたします。  まず、一点目ですけれども、憲法四十一条に、「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」と定められております。また、国会議員は、英語で言うとローメーカーというのでしょうか、そういう訳がされております。まさに国会議員は法律をつくるのが本来の仕事ということになっておりますけれども、果たしてそうなのかどうか。議員立法と政府提出法案、いわゆる閣法、この比率について、現状の御説明をお願いいたします。
  191. 坂本一洋

    ○坂本法制局長 お答え申し上げます。  第百十二国会から第百三十九国会までの過去十年間の数字で申しますと、衆議院において議員または委員会が提出した法律案は二百六十二件であり、このうち成立した法律案は百十三件であります。なお、この間に内閣が国会に提出した法律案は八百九十件であり、このうち成立した件数は八百六十四件であります。これを割合的に見ますと、内閣提出法律案に対する衆議院のいわゆる議員提出法律案の割合は、提出件数では二九%であり、成立件数では約一三%であります。なお、この間、内閣提出法案に対して衆議院議員が提出した修正案の件数は百九十二件、そのうち成立した修正案は百九件であります。  それから、これは付言ですけれども、この間に衆議院法制局において議員の依頼を受けて法律案の立案を行ったが、結果的に政党の法として提出されなかったいわゆる未提出件数は二百五十三件あります。
  192. 若松謙維

    若松分科員 今のお話を聞いておりますと、やはり諸外国と比較いたしますと、例えば議院内閣制をとっておりますイギリスですと、いわゆる提出は議員立法の方が閣法より多くなっていると認識しております。また、ドイツですと、議員立法と閣法がほぼ同数、こういう状況になっていると理解しております。当然、アメリカでは、大統領制もありまして、すべて国会が、いわゆる議員立法、こういう状況になっていることにかんがみますと、まだかなり日本は少ないという認識をいたしました。  特に、国会の法案審議機能としまして、閣法に対する議員修正も非常に重要だと思います。そういった点からの比較をいたしますと、日本が約一五%、それに対しましてイギリスが二五%、そしてドイツが六〇%ということで、非常に日本は修正率が少ない。これは与党の運営がうまいのか、それとも本来のチェック機能がなされていないのか、それとも強行採決なのか。いずれにしても、これはしっかりと議論されるべき問題ではないかと思います。  そういう観点から、さらに質問をさせていただきたいと思います。  今、世の中が非常に変わっております。そういう状況でいろいろな立法が必要とされておりまして、特に生活多様の中、中央集権というところから、いわゆる官僚の皆様が霞が関で、国民の隅々の生活まで行き渡らない。そういうところで、やはり議員立法というのはこれからますます必要になってくると思います。  そういう現状から考えると、今の議員立法の障害というところの要素ですけれども、まず議案の会派承認。先ほど、いわゆる会派承認でだめになった点が二百五十三あった、そういう御指摘もありました。さらに、三人の公設秘書のうちの一人の政策秘書、かなりの、特に小選挙区の議員の方が地元に張りつけと。本当に政策をしているのか。していなければ国民に対する冒濱です。  さらには立法事務費、これも月六十五万でした。果たしてその分だけ政党がしっかり使っているのかどうか、これも疑問だと思います。こういった政治側の努力に非常に私自身も不満足を感じている一人でありまして、国会の立法補助スタッフの強化と充実を当然期待するのですけれども、今までの議員の関与が正しかったのかどうか、やはり国会でこれをどんどん議論していただきたいと思います。  そこで、ぜひ決算委員長に分科会の委員長がお伝えしていただきたいのですけれども、こういった国会所管に関する費用が、果たして議員立法なりいわゆる閣法に対するチェック機能が十分なされているのかどうか、こういった観点からの決算委員会の審議もしていただきたいと思います。  さらには、やはり国会のいわゆるしきたりを決めるのは議運でありますので、議運の委員長にもお伝えいただきたいのですけれども、今まで、戦後五十年、国会の立法という観点からの機能が果たして十分だったのかどうか、単なる国対的な議論だけではなくて、国民の目から見てそういった議論がしっかりなされていたのかどうか、そういったところをぜひ議運で議論していただくようにお伝えいただきたいと思いますけれども、委員長、よろしいですか。
  193. 栗本慎一郎

    栗本主査 必ず趣旨を体してお伝えいたします。
  194. 若松謙維

    若松分科員 そこで、さらに具体的に国会調査立法機能の強化について数点お伺いいたします。  まず国会調査立法機能ですけれども、やはり直結するのか委員会調査室の職務でありますけれども、なかなかわかりにくい面もございます。まず、どういう職務なのか、国民にわかりやすいように、事務総長、御説明いただきたいと思います。
  195. 谷福丸

    ○谷事務総長 お答えいたします。  御案内のように、今の国会制度というのは、戦前の読会制度アメリカの委員会制度を組み込んだような形になりまして、それで常任委員会制度というのが発足するわけでございますが、この根拠法規と申しますのは国会法の四十三条に規定してあるだけでございます。  それで、この形は、一応委員会に属するような形になっておりまして、全部の常任委員会というのは、一つの統一された機構というよりも、各常任委員会の集合体がいわゆる今の衆議院調査室のような構成になってございます。  したがいまして、今先生がおっしゃったように、これからの問題としては、確かに機能充実の面でいろいろあろうと思いますが、この点につきましては、ちょっと長くなりますけれども、要するに、予算面だとかそれから人の面も確かにございますが、一つは機能をどうするかということが一番大事だろうと思うのです。  それで、今実はGAOという民主党の法案が提出されておりまして、ある政党間ではその勉強会をされていることは承知しております。私どももその勉強会に呼ばれて意見を申し上げたのですが、要するに、機能を充実するためには、法律を立法するのは当然でございますけれども、国政調査ということ、行政に対するコントロールの機能強化をすることが一番大事だろう。そうすると、もっと委員会が日常的に活動しなければならぬ。その日常的に活動するためにはどうすればいいかということで、既存の委員会を十分に使えば十分やれることは事実でございますけれども、やはり行政に一番目を光らせるのは決算委員会だと思うのです。それは、決算委員会が日常的に活動すれば大きな役割を果たすであろう。  ただ、もう一つ、GAOの趣旨を体しますれば、会計検査上の問題と、それから一つはオンブズマン的な機能をどうするかということがあるのだと思います。そういう意味では、新しい行政監視の委員会を国会の中に設けるのは結構なことではないかと。それで、その中で、日常的に活動する分野というのはやはり決算を取り込んで主体的にやった方がいいであろう、こういうことを私自身申し上げて、そういう感じを持っています。  それに伴いまして、委員会の活動が活発になりますれば、当然調査室は充実していかなければいけません。今のままだと統一的には仕事ができませんので、そのときに私どもの希望として申し上げたのは、要するに調査室が一体として機能できるように改善策を考えてほしい、こういう希望を申しておきました。
  196. 若松謙維

    若松分科員 かなり前向きな御認識を拝聴いたしました。  そうしますと、まさに常任委員会と一体化した調査室というところを期待しておりますけれども、ちょっと総長に確認したいのですけれども、この衆議院常任委員会調査室規程、これはあくまでも法律ではなくて内規という理解でよろしいわけですよね。
  197. 谷福丸

    ○谷事務総長 そのとおりでございます。
  198. 若松謙維

    若松分科員 そうしますと、この調査室に関する明確な権限なり、また調査能力なりに対する立法はないということのようでありますけれども、先ほど、この調査室なり委員会等に、会計検査院、オンブズマン等もっとGAO的なところをどんどん導入すべきではないか、そんなお話があったわけですけれども調査室に聞きますと、いや、とんでもない、そんな調査をする予算がないんだ、特に調査費とか旅費もなくて困っている、そんな話をよく現場から聞きます。  これについてはどういう現状になっているのか、これもやはり総長でしょうか、御説明いただきたいと思します
  199. 谷福丸

    ○谷事務総長 お答え申し上げます。  人件費を除きまして、調査活動費と申しますか、そういうものの総額は九年度は九千九百万でございます。この中で、いわゆる旅費と申しますか、派遣旅費等で国内の派遣旅費に使っているのが大体八百万ぐらいございまして、それから海外の研修に出しているのが約一千万ぐらいの予算を使ってございます。これは年度によってちょっと差がありますけれども、一カ月ないし一、二週間のものが三人程度、それから一年ぐらいの長期の留学が大体一人ぐらいの予算で使える額でございます。  それで、実は、先生御指摘のように、これでは不十分ではないかというのはもう当然でございます。実際は衆議院の事務局の中の予算と一緒に、一緒にといったらあれがございますが、一応調査室に配分をしているというような感じがこの額でございまして、実際にはもっと多く配分してございますのでこれ以上の金額にはなるのでございます。ただ、一調査室当たりの金額は大変少のうございますので、今後ともそれは予算の獲得に努めてまいりたいと思います。
  200. 若松謙維

    若松分科員 その少ないというところですけれども、例えば一般的な比較でいいますと、例えば大学の研究室もやはり調査室みたいな、調査費みたいな予算がつきますね。そんなところと比べると多いのですか、少ないのですか。ちょっとわかりやすく説明していただけますか。
  201. 谷福丸

    ○谷事務総長 ちょっとその点につきまして比較のあれを持っておりませんが、後刻また調べさせていただきたいと思います。
  202. 若松謙維

    若松分科員 いずれにしても、先ほど国内旅費が八百万、それを十八で割ると大体五十五万、これが皆様の予算だというお話だと思います。  そうしますと、本当にこれからの議員立法をさらに活性化する、または調査機能を強化するには、やはり議運が大蔵省としっかり交渉してもらって、それでこれからのいろいろなニーズに対応する、そういう立法機能を強化するための交渉を強化してもらいたいと思います。  委員長、それもぜひ議運の委員長に伝えていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
  203. 栗本慎一郎

    栗本主査 了解いたしました。
  204. 若松謙維

    若松分科員 本当は議運の委員長をここに、政府委員じゃないのですけれども、説明要員として御招待すれば一番よかったのでしょうけれども、それがなかなか慣例がなくて、別の会でやっていただきたいということを期待申し上げます。  それでは、調査員の調査権限の根拠は、先ほど国政調査権というお話もございましたけれども、国政調査権、これは憲法で保障されている。ところが中身がない。かつ、各個人の調査能力はどの程度まであるのか。かつ、先ほどの調査員の権限というのでしょうか、そういった関係が非常に不明確なんですけれども法制局はたしか、法制局の作業に必要ないわゆる調査権限はある、ただ調査対象が答えるという義務がない、そういうふうに認識していますけれども法制局、こういう理解でよろしいのですよね。
  205. 坂本一洋

    ○坂本法制局長 そのとおりだと思います。
  206. 若松謙維

    若松分科員 今度は、先ほどの調査員の調査権限に戻りたいのですけれども、事務総長、先ほどの国会もしくは委員会ですね、いわゆる全体としての国政調査権、各議員の調査権、また調査員の調査権、ちょっとこれをわかりやすく整理して御説明いただけますか。
  207. 谷福丸

    ○谷事務総長 これは大変難しいところがございますが、建前を申し上げさせていただきますと、憲法六十二条に国政調査権というのが規定されてございます。それは、各議院がそれぞれ行使するということになってございますが、国会法あるいは衆議院規則等では「議院」及び「委員会」というような規定にされておりまして、それで「調査」という言葉が使われておりますが、その場合の「調査」というのは、あくまでもその国政調査権による調査、こういうことでよろしいかと思います。ただ、実態といたしまして、本院みずからが国政調査権を行使するということは慣行としてはやっておりません 全部委員会におろして、委員会がその国政調査権を行使している、こういうことになっております。  したがいまして、今、先生御指摘のそういう調査権限の問題と絡みますのは、議員個人個人に国政調査権があるか、こういう議論が一つあると思うのです。  国政調査権というのは、この院内の国政活動、特に委員会、本院が使う場合のことでございまして、議員は国政に委員会なりなんなりで活動するあれは持ってございますから、それは当然、そのために資料収集とか調査とかを行う、その補佐をするのは調査室は行いますけれども、外に向かって、要するに調査権限を何か明示できるか、あるいは公権力というような形で明示できるかというと、それはできない。あくまでもハウスの国政調査権の、外に出るのは議長名義で出る、こういうことが今の事務のやり方でございます。
  208. 若松謙維

    若松分科員 今、非常に大事な問題なので総長に再度確認したいのですけれども、先ほど、憲法六十二条ですか、国政調査権は各議員にも付与されて当然委員会にも付与されている、だけれども、各議員等においては慣行として行われていない。ということは、各議員の国政調査権は、一応憲法上あるという理解でよろしいわけですね。
  209. 谷福丸

    ○谷事務総長 これは、先生、メンバーではございませんで、ハウスに持っているということでございます。メンバーは持っていないということでございます。
  210. 若松謙維

    若松分科員 法制局、ちょっとこの点について、何か御意見があったら言ってください。特に各議員の……。
  211. 坂本一洋

    ○坂本法制局長 今、議員の言いましたのは、メンバーの議員個人でなくてハウス、衆議院、参議院にあるということです。議員個人にはないということです。
  212. 若松謙維

    若松分科員 そうすると、各議員にはないということですね。そこら辺が何か、もう一度、これは法制局の方がいいですかね、各議員にそういう調査権が付与されていないというのは、これは法解釈の問題ですか、それとも法律でもう既に規定されているということですか。
  213. 坂本一洋

    ○坂本法制局長 これは、憲法の規定上は、ハウスに国政調査権を与えられておるわけです。それで、それを実際行使する場合には委員会で行使する、委員会単位で、こういうことになっている、こういうことではないかと思います。
  214. 若松謙維

    若松分科員 そうしますと、委員会で決議をすれば、当然調査室を調査機能として使うわけですけれども、その場合には、調査室と委員会の決議というのは一体とみなして、調査室のいわゆる国政調査権はおのずと付随する、そういう理解で私は解釈するんですけれども、よろしいでしょうか。
  215. 坂本一洋

    ○坂本法制局長 この場合、あくまでも調査員が行うのではなくて、委員会の名として行うのです。調査員の権限として行うということではないのです。
  216. 若松謙維

    若松分科員 その委員会というのは何ですか、今おっしゃっている委員会というのは。単なる名前だけですか。それとも、それぞれの委員会の各メンバー、各議員そのものが委員会であって……。
  217. 坂本一洋

    ○坂本法制局長 各議員で構成する議会の機関だということです。
  218. 若松謙維

    若松分科員 そうしますと、委員会を構成するのが議員ですね。これは人格同一説じゃないのですけれども、実質的に一体だと思いますので、やはり議員も調査権があるということに、私は解釈として成り立つと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  219. 坂本一洋

    ○坂本法制局長 これは機関とメンバーとやはり別に考えた方がよろしいと思います。いわゆる委員会として議決して、実際はその議員が赴くわけですけれども、これは委員会としての調査、こういうように考えた方がよろしいのではないかと思います。ですから 委員会として議決を行って、これは必ず国政調査承認を受けておいて行くわけですから、議員が個々、個別に行くということではないわけです。
  220. 若松謙維

    若松分科員 その委員会所属の議員と委員会の、この区別というのが、何か今すごくあいまいなように見受けられるのですけれども。ですから、委員会に所属する議員であれば、その議員一人の要求によっておのずと国政調査権は付随されるのではないか、そういう解釈も成り立つと思うのですけれども、それは法律でどうなっているんでしょうか。
  221. 谷福丸

    ○谷事務総長 私、先ほど申し上げましたのは、要するに、いわゆる議員、メンバーが国政活動をするためにいろいろ調査することは当然ございます。それは委員会とかハウスが行う調査とは同一のものではございませんで、要するに、国政調査権と申します場合には、ハウスあるいは委員会が議決すれば、結局資料要求なり記録の提出を求めるのは、最後には証言法にいくわけです。ところが、議員、メンバーが、ではそれをできるかというと、そこまでの担保はございませんから、要するに国政調査権というのはあくまでも機関が行使するものであるという建前をとっている、こういうことでございます。
  222. 若松謙維

    若松分科員 あくまでも国政調査権ですか、それは機関がやる。これは、ではもう一度復習しますと、どこの条文に書いてありますか。
  223. 谷福丸

    ○谷事務総長 国会法には、それぞれの記録の提出なり、それから証人喚問の要求の規定は、全部メンバーを単位にしておりませんで機関を単位にして書いてある、こういうことでございます。
  224. 若松謙維

    若松分科員 機関、それは間違いありませんか。例えば具体的に何条とか、それはわかりますか。これは非常に大事な問題なので、もし明確になっていなければ、私は、国会法をしっかりもう一度見直して、解釈の幅が出ないように国会法改正なりが必要ではないかと思いますけれども、いかがですか。
  225. 谷福丸

    ○谷事務総長 一つは、今よく話題になります国会法百四条でございますね。それから、衆議院規則の五十六条あるいは二百五十六条、それから、証人喚問でいいますと規則の五十三条等でございます。
  226. 若松謙維

    若松分科員 では、そこら辺に機関というところを明確にうたっているということですね。  ただ、本来の、さらに国会調査能力というものを高めるには、どうしても委員会というところを、各議員がやみくもにいろいろ調査しろ、しろというのは確かに混乱のもととなりますけれども、ただ、委員会で決定しなければならないという、これは非常にきつい話ではないかと思います。  それだけに、先ほど事務総長が、国会に期待を込めて委員会のもっと活発化と、これも必要ではないかと思いますけれども、これをここで議論を詰めてもなかなか結論が出ませんので、また別の機会で議論していただきたいわけですけれども、やはりこういった点も、まだ釈然と私自身していないので、もっともっと各議員の、いわゆるせっかくの調査室なりの機能があるわけですから、別な形で調査能力が発揮できるような、私は国会法なりの改正が必要ではないか、個人的にはそう思っております。  これはぜひ、議運マターになると思いますので、委員長にお伝えいただきたいと思いますけれども、ひとつよろしくお願いいたします。
  227. 栗本慎一郎

    栗本主査 了解いたしました。
  228. 若松謙維

    若松分科員 そうしましたら、今度は、先ほど各調査室の調査室規程ですか、これを紹介させていただきました。いわゆる議員立法の要綱作成、こういったことを初めといたしまして、付託案件の問題点、または利害得失の調査及び参考資料の作成、これがこの規程に書いてあります。  では、こういった調査室の作業が日常的にどの程度行われているのか、それが私たち国会議員にどのように還元されているのか、それを見える形でちょっと御説明いただきたいと思うのです。
  229. 谷福丸

    ○谷事務総長 ひとつ差し上げたいと思いますが、これは商工委員会の議員に配付する資料の一つの例でございます。  調査室によってそれぞれやはり資料作成の仕方なりなんなりが伝統的に違っているようには思いますが、大体、先生も御存じのように、そこに、五条に書いてあることに付随する事項とか、それから実態としては、それ以外に、結局議員個人個人の御依頼による調査とかそういうこともたくさんございまして、それが量としてどういうものかというのはちょっとあれですが、非常に多忙な調査をこなしているというふうに思っています。  それからもう一点は、これは今整備中でございますが、立法情報化ということを進めておりまして、これは各常任委員会がそれぞれの工夫を凝らしまして、先生方の立法に資するために情報を今組み込んでおりまして、これを十月から開始しよう、こういうあれでやっているところでございまして、そういう状況でございます。
  230. 若松謙維

    若松分科員 ちょっと質問が総括過ぎてお答えしにくいと思うのです。  ただ、確かにこの商工委員会の調査室、これはそれぞれの法案ごとにしっかりと問題点も把握されて、議員に届けられている。これは非常にいい方だと私も思っております。  それに対して、ちょっと幾つか紹介しますと、これは大蔵委員会の調査室ですけれども、これは法律案に関する一連の流れなのですか、いろいろなステートメント、それがばっと載っている。ところが、問題点は指摘しておりません。そこら辺がまず違うのかなということで、問題点を指摘していないこういう資料物というのは、価値は半減するのではないかと私は思っております。  それと、これが建設委員会調査室。これは、どちらかというと議事録がずっと載っている。若干資料がくっついている。これも特に問題点は指摘していない。  こんなものとあわせて、我が決算委員会。これは、どちらかというと議事録程度で、確かに決算委員会というのは法案審査がありませんので、それに関する特段の調査報告書はございません。主に過去の議事録とか、あとは最近、平成六年、七年度決算に関する参考資料ということで資料が出てまいりましたけれども、やはりこれは分析ではございません。  資料の張りつけばだれでもできると私は思うので、調査室が本来要求される使命というのはやはり分析だと思うのですね。そして批判、チェック。そういったところからすると、かなり委員会でばらばらではないか、そう認識するのですけれども、事務総長、どういうお考えでしょうか。
  231. 谷福丸

    ○谷事務総長 おっしゃるとおり、私どももその事実は承知しておりまして、これはやはり今までの建前が、常任委員会にそれぞれの調査室が帰属するような形になっているということが一点ございまして、それで、いわゆる委員会の指揮命令のもとに、それぞればらばらな事務が行われた、こういう実態ではないかと思います。  それで、私どもの希望といたしましては、調査室というのはやはり一体的に仕事ができるように機構改革をしていきたい、こういうことで、先ほどその点も含めて申し上げたということでございます。
  232. 若松謙維

    若松分科員 今一体的ということですけれども、例えばつい最近、あれは逓信委員会でした、ちょうど新進党の原口議員が、調査室を通して資料要求をいたしました。そうしたら、調査室と委員部が一緒に来て、ちょっとそれはやめてくれ。それは何でそうなったかわからないのですけれども。そういうことで、原口議員が、一期生ですので非常に新鮮な感覚で、それはおかしいということで上申書を出しました。そんなやりとりをして、それから態度が変わって一生懸命やるようになったのですけれども。  まだまだこういう形で、調査室の本来の、いわゆる国会に帰属する、国会のためにあるというところが、その意識が薄いところがかなりあるのではないか、私はそう思うのです。  こういうばらばらな状況をなくすために、また薄めるためにも、例えば調査室、十八なら十八が定期的に一堂に集まって、それぞれの情報交換会をする。こうやってお互いの、相手の委員会の頑張りを見る。また、衆議院内だけではなくて、衆参、ハウスを超えたところの情報交換会、それも定期的に持つべきではないかと私は思いますけれども、事務総長、どんなお考えでしょうか。
  233. 谷福丸

    ○谷事務総長 全く御異存はありませんで、私どももその方向で、いわゆる、ありていに言えば、調査局長さんみたいなものを一人置いていただきまして、その下に各専門員の会議を持ちまして、一体的な仕事ができるようにできたら、こういう希望を持っておるわけでございます。
  234. 若松謙維

    若松分科員 これは、先ほどの調査室規程六条にしっかり書いてありますので、また来年あたりでもその結果を報告していただきたいと思います。  そして、今度、人事の問題に関してですけれども、まず、調査室のトップですか、いわゆる室長ですね、この人事ですけれども国会プロパーの職員が登用できているかどうかというのは非常に重要な観点だと私は思います。  過去におきましても、平成四年の予算委員会で、ちょうど国会図書館の緒方館長が当時衆議院の事務総長をやっておられまして、そのときに、この議事録を読ませていただきましたけれども、議事録には、これでいいとは決して思っていない、できるだけ早く中の人を育て、抜てきしてその地位につけたい、鋭意努力している、このように御答弁されました。  それで、昨年の八月ですかに発表されました、そして良識ある関係者の共感を呼んでいるという土井・鯨岡提言、議員立法活性化のための指針、これがこういう形で、本でまとまって、非常にいいものだと私も感銘を深くしております。  この指針ですけれども、どういうふうに書いてあるかといいますと、立法補佐機構の「枢要な役割を担う職について人材を行政府に依存することとならないよう計画的に人材育成を図るとともに、現に行政府からの出向者を当てている当該職については、計画的に速やかに国会職員を登用すること。」とあると理解しております。  ですから、あえて、各省の出身者がトップだ、室長だということで調査が甘くなる、そういうふうには別に認識しているわけでもないし、それが絶対ということもないわけです、あくまでも人によるということなのですけれども。ただ、この立法調査機関というのはどうしてもチェック機能ですから、まず、そのチェックする人が、立場上チェックを弱めるような誤解を与えるようなところは努力をして排除すべきではないかと私は思います。  そういった、いわゆる役割の性格上、室長というのはどこまでも政府に批判的な立場というのが最優先されるべきですので、そういったことがどうしても想定されない、どうしても省庁──以前、高市早苗議員がどこどこの調査室に頼んだら、即省庁の担当者が来て、その質問、やめてくださいと。何か、国会議員のためではなくて、省庁のスパイになっている、そんな事実もかなり頻繁にありますし、もう一つ言わしていただければ、例えば、国会プロパーの方がもう生え抜きから一生懸命頑張って、とにかく立法のために役に立ててほしいと一生懸命働いていて、さあ、いよいよ私が新しい感覚でこの調査室をさらにいいものにするんだという士気が満々たるときに、横から省庁からぽんと来る、これはやはりやる気をなくしますよね、プロパーの方の。  そういったことを考えますと、この室長のポスト、これをやはりプロパー登用というのはもっと真剣に考えるべきだと思いますけれども、谷事務総長になられまして、新たに決意をお伺いしたいと思います。
  235. 谷福丸

    ○谷事務総長 その点は、かねて各党、各方面からも御指摘がございまして、特に土井議長、鯨岡副議長の時代に提言がありまして、私どもそれは重く受けとめてございます。今後、鋭意それはもう努力していかなければならぬことだと思っております。  ただ一点 どうしてそうしうことに相なったかという御説明をさせていただきますと、戦後急に常任委員会制度を導入したときに、当時でいえば若い職員が入ったわけでございます。昭和三十年前後に膨らんだ職員が、平成元年ぐらいから大挙して退職の時期を迎えまして、それで結局その後の人繰りがなかなかうまくいかなくて断層ができた、こういう面も一つございまして現状のような状況になっておるのでございますけれども、先生が後の方に述べました点では、幸いにして若い衆議院職員というのは、非常に今衆議院の職場というのは人気があるのか、受験率、競争率も高くなっていまして、優秀な人がここずっと集まっておりますので、将来は本当にそういう意味でも人材が充実するようになるのだろうと私どもは思っております。
  236. 若松謙維

    若松分科員 ちょうど当時の緒方事務総長が、平成四年三月七日の予算委員会で、今谷事務総長がおっしゃったような説明をされております。あれから四年とちょっとたっております。私は、もう随分この議論は長い議論だと思っていますし、先ほどの平成元年の特殊事情というものもあるわけですけれども、これは早急に私、具体的な改善が見られてしかるべきものではないかと思います。  そういった観点から再度、さらにあと五年、十年待ってくれ、そういう話なのか、すぐにでもできる話なんだと、ちょっと明確にしていただきたいと思います。
  237. 谷福丸

    ○谷事務総長 五年、十年とは申しません。ただ、一年、二年でそういうふうに片づく話ではございませんで、恐らくことし、来年にかけては少しずつふやしていきますけれども、本当にプロパーの方が主流になるのは、やはりちょっと、二年、三年ないしはかかるのじゃないか、こういう感じでございます。
  238. 若松謙維

    若松分科員 二、三年ということですので、そんな遠い将来ではないと。  それで、実態をちょっと調査しましたので報告させていただきますと、特に衆参の調査室、法制局国会図書館、それの調査部署のトップ人事ですけれども、まず衆議院におきましては、十八の常任委員会調査室長のうち十三人、いわゆる七二%が各省庁の出身者ということです。この数字というのは、先ほどの平成四年度の答弁と全く変わっておりません。これが先ほどの平成元年の理由なのか、いわゆる努力自体なのか、これは何とも申し上げられませんけれども。さらに、それだけではなくて法制局、これも五つ部がありますけれども、実質的に三つの部長ですね、いわゆる六割が各省庁出身者となっておりまして、調査室と法制局を合わせますと約七割、これが省庁出身者、こういう現状がございます。  そして、先ほどの緒方事務総長、当時のですね、御答弁からももう五年過ぎておりますので、これは早急に、七割というのは、ちょっとチェック機能としては私は、国会の一部では説明つくでしょうけれども、諸外国に対してはもう不透明きわまりない結果だと思いますので、ぜひこれは頑張っていただきたいと思います。再度その決意というか、姿勢をお聞きしたいと思います。
  239. 谷福丸

    ○谷事務総長 もう先生のおっしゃる御趣旨を体しまして、これは万全の努力をしていきたいと思っております。
  240. 若松謙維

    若松分科員 せっかくの機会ですから、今度は参議院との比較もやはり記録に残していきたいと思います。  参議院は、十五の常任調査室長のうち六人、そして法制局では五部長のうち一人、これが各省出身者でございまして、その比率は、先ほどの衆議院の約七割に比べて三五%ということで、参議院の方がいわゆるプロパーの起用の率が高くなっている。そういうことで、土井・鯨岡提言、これがそれなりの日の目を見ているのかな、こういう認識もございます。あくまでも国会は行政のチェック機能なんだ、そういう認識をしっかり信念として持っていただいて、さまざまな、日本的ないろいろなしがらみがございますけれども、ぜひとも国会の威信回復のためにも頑張っていただきたいと切に要望する次第です。  それで、今度は法制局、図書館、これもまたいわゆる人事面で事務総長と違った観点にございますので、その点についても指摘していきたいと思います。  法制局、図書館ですけれども、まず図書館は、十一の調査室のうち八人の主任もしくは室付というのですか、そういった方々がいわゆる省庁出身、そういうことで、法制局も先ほど説明しましたけれども法制局長並びに図書館長、この御両人に、いわゆるプロパー起用なり省庁出向というのですかについての御見解、並びに今後の決意をお聞きしたいと思います。
  241. 坂本一洋

    ○坂本法制局長 衆議院法制局としましては、従来からいわゆるプロパーの職員を養成し、主要な職のほぼすべてを内部登用を行ってきたところであります。ただ、年次によってプロパー職員の数が少ないこともあり、近年この部分について、やむを得ず行政庁の出向者を充てております。これはあくまでも経過的な措置であって、今後においては内部登用で対応できるような人材構成になっております。
  242. 緒方信一郎

    ○緒方国立国会図書館長 国立国会図書館でございますが、調査及び立法考査局という一つの局がございまして、局長、次長の下に十二の室がございます。現在、合わせて十五人の専門調査員が任命されておりますが、十五名のうち、先生のおっしゃる外部からの登用者は八名、図書館の出身者は七名、そういう数字になっております。  これは、先ほど谷総長がおっしゃっておったこととの関連で申し上げますと、共通する点と若干違う点があるのですけれども、いわゆる国立国会図書館の専門調査員というのは、先ほど谷総長が調査室一体化の話をされましたけれども、既にもう一体化されておりまして、調査局長、次長のもとに全部統括をされておりまして、それぞれ専門的な調査をしていただいている、こういう状況でございます。  もちろん、基本的に私どもも内部で立派な人が育っていくということがいいという考え方も同じでございまして、鋭意人材育成に努力しておるところでございます。ただ、物によってはいろいろ実務上の知識、経験等から外部の方を任用するということもあるということでございまして、現在大体半々ぐらいでございますけれども、それがいいのか悪いのかという問題がありますが、一定のバランスを見ながら、適切に対処し、もちろん極力内部の優秀な人材を育てるように今後とも努力していきたいというふうに思っております。
  243. 若松謙維

    若松分科員 やはり決意ということでどうしても抽象的な表現にならざるを得ないと思うのですけれども、ぜひ、こういった一連の、今までの議論を踏まえて、本当にやる気を出させるプロパー登用というものを積極的に、先ほどの衆議院事務局そして法制局並びに国会図書館、お三方にお願いをする次第でございます。  特に、先ほどの常任委員会とか図書館等のそれぞれの省庁出身の方ですけれども、特殊法人経由の人事が非常に多いことも一つ感じました。ちょうど我が新進党としてきょう特殊法人基本法を明日の内閣で閣議決定いたしまして、これも早急に国会内での議論となるわけですけれども、そういった点もぜひ、見直しというのでしょうか、再考していただきたいと要望する次第でございます。  では、また法制局に戻りますけれども、ことしの通常国会はとにかく大変忙しくて、法制局、御苦労さまでございます。私の事務所も議員立法の依頼をしまして、忙しいということでわかりますけれども、私に力がないのか、ちょっと待ってくれということで後の方に置かれてしまいました。  これは法制局が怠慢と言う気はございません。やはり絶対的な人手不足かなと。特に通常国会で集中審議ですので、一時期にかなりたまってしまう。そういうことで、法制局内にもそれぞれ部局があって、関係外の局にも頼んでいる、そういうやむを得ない処置もして努力されていると認識しているわけですけれども 先ほど申し上げましたように、今後、議員立法が非常に多くなってきますので、そういう増加に対応できるようにやはり人員確保等が必要ではないかと思いますけれども局長、どんなお考えでしょうか。
  244. 坂本一洋

    ○坂本法制局長 近年、業務が著しく増加していることは議員御指摘のとおりであります。当局としては、現有の職員数で最大限対処できるように、例えば依頼された案件について担当部局で処理できない状況であるときは、所掌を問わず、若干でも余力のある部局に担当させる等の措置をとって対応しております。  ただ、こういう状況は今後も続く見込みが高いと思われることに加えて、国会の活動が今後より多方面にわたることとなるのではないかと思われることを考えると、衆議院法制局においてもこれらに対応できるような体制の整備に努力していかないといかぬと考えております。
  245. 若松謙維

    若松分科員 これはお金の問題も関係しますので、委員長、恐縮ですけれども、ぜひまた議運の委員長に御報告いだだいて、しっかり大蔵省との交渉に御尽力いただきたいという旨を伝えていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
  246. 栗本慎一郎

    栗本主査 予算の充実ということですか。
  247. 若松謙維

    若松分科員 そうです。法制局充実のための予算獲得です。
  248. 栗本慎一郎

    栗本主査 伝達いたします。
  249. 若松謙維

    若松分科員 気がついたところの衆議院事務局体制並びに法制局そして国立国会図書館、こういったところの立法機能強化という観点からの大方の質問をさせていただきました。  国会所管という切り口の質問は非常に珍しく、だけれども大変重要だと思いますし、国民の関心も高いと思いますので、また引き続き議論をしていきたいと思いますので、その節はよろしくお願いいたします。  それで、やはり決算委員会で、行政の方にもちょっと話を進めさせていただきまして、総務庁と外務省に例として出頭していただきました。  今度は、さっきの国会の各種調査機関、調査室とか法制局国会図書館、こういったところが行政から情報を収集するのに大変苦労されている、そういう話もよく議員に伝わってまいります。  例えば、常任委員会の調査室の室員の方が議員の依頼を受けて、それで必要とされる資料を各省庁に依頼する。ところが、その提供はあくまでも行政側の判断ですということで、かなりつつけんどんにはね返されてしまう、また、そんな必要ございませんということで終わってしまう。これは実態面で非常に多いと思うのですね。  さらには、図書館におきましても、これは具体的に言いますけれども、いわゆる図書館法というのがありまして、この法に基づきますと、当然、政府刊行物がございますが、一つの政府刊行物につき三十冊ですか、国会図書館に納めなければいけない。これさえもしっかりやっていない省庁があると聞いております。こういう状況で、まさに国会の立法機関が省庁からもなめられているな、こう思います。  だから、こういう姿勢でいいのか。本当に行政がおごっているのかどうか。また、情報独占という現状が見られるわけですので、特に今、行政改革の中心でやっております総務庁、この点についてどのような認識でしょうか。
  250. 藤井昭夫

    ○藤井説明員 ちょっと私の方からお答えするのが適切な御質問かどうか、非常に重い御質問だと思います。  ただ、私どものやっていますところでは、今、情報公開法の策定とか情報化とか、あるいは個人情報保護法とか、こういう国民の皆様のみならず国会方々からも非常に御関心の高いテーマをやっておるところでございます。  これは私の実際の経験でございますが、結構、国会の事務局から説明に来ていただきたいとか、あるいは資料を欲しいというような御要請はございます。そういった場合は 私どもとしてはいつも最大限努力して、できるだけ丁寧に御説明するというような態度でやってきたつもりでございます。  そういうことで、よろしゅうございますでしょうか。
  251. 若松謙維

    若松分科員 御努力の表明を承りました。しかし、具体的な話になりますと、特に総務庁が作成しました法令検索システムですか、かなりお金をかけられていわゆる行政側の法令検索システムをつくられたわけですけれども、当然、いいものですので、国会調査機関からもそれを使いたいという要望がかなり伝わってまいります。そういうことで、この行政の法令検索システム、ぜひとも国会にも使えるような場を提供していただきたいと思うのです。  これも過去においていろいろなやりとりをして、非常にかたい、総務庁は余り前向きではないと私は理解しましたけれども、今でもそのような状況ですか、それとも変わりましたか。
  252. 藤井昭夫

    ○藤井説明員 先生御指摘のとおり、過去いろいろ話し合いの機会があったようでございます。そのときの話の内容は、それぞれ国会なり行政なり、自分たちの使いやすいようなシステムを整備していったらいいのではないかというようなことで、その際、総務庁としては、法令データそのものの提供とか、それから、私ども前からいろいろ情報システムの開発をやっておりますので、そういったノウハウ、そういったものはできるだけ御協力申し上げるということで過去対応してきたというふうに聞いております。  ただ、最近、聞くところによりますと、国会の方でも、国会図書館の方で法令検索データベースをつくっておられるとか、あるいはそれぞれの衆参法制局でもデータベースをつくっておられる。当面はそういうことで、それぞれ使いやすい、自分たちの使いよいシステムというものを整備されていくことになろうかと思っておりますが、今後とも、いろいろと御要請があれば、データベース、それから私どもの、そんなに自慢するほどのものはないかもしれませんけれども、いろいろ御相談に応じて御協力申し上げていきたいと思っておるところでございます。
  253. 若松謙維

    若松分科員 今、総務庁の方から、それぞれ行政並びに国会で使いやすいものをつくっているというよりも、やはり国会側からすれば、総務庁が使わせてくれない、だからあえて、二重経費になるけれども、まさに国民のお金のむだ遣いは承知しながらこれをやらざるを得ない、そういうのがどうも国会側の認識だと私は理解しております。そうではないのですか。どうですか。
  254. 藤井昭夫

    ○藤井説明員 ちょっとお答えをしづらいところがあるわけですが、要するに、過去の経緯を十分把握しているわけではないわけでございますけれども、ただ、どの部分にお金がかかるのかは別として、いずれにしてもデータベース、データそのものの入力部分みたいなものについては相当やはり費用がかかるのだろうと思うのですが、そういったものについては、既に総務庁の方でも、何も国会だけではなしに、民間にももう提供するというような態度でやっております。  今後とも、一つ先ほど言いましたように、情報公開法の要請という観点からは、むしろアカウンタビリティーとかオープンネスとか、そういう観点からどんどん行政情報というものを公開していくべきという考え方がありますし、また経済界からも、社会的な有効活用というような面からもどんどん行政情報は公開すべきというような御要請もございます。  それと、情報化の観点からでも、単に今までのような内部的な効率化、合理化という観点だけではなしに、もっと行政というものは、本当に国民から見ても便利になったとかサービスがよくなったとかあるいは非常にわかりやすくなったとかいうようなことから見直していただけるような、そういうふうなことで、情報化のいろいろな媒体とか手段とかそういったものを使って、今電子情報化された情報というものを国民国会も含めてどんどん提供していくべきだというふうに考えております。  そういうことで よろしくお願いいたします。
  255. 若松謙維

    若松分科員 ぜひデータと、やはり大事なのはソフトですから、いわゆるアプリケーションソフトですね。そこにかなり総務庁さんはお金をかけていますので、それもぜひ国会側も使えるようにしていただきたい、そういう理解でよろしいわけですね。
  256. 藤井昭夫

    ○藤井説明員 既に国会の方でも国会LANを整備されていられる御計画と承っております。行政の方では霞が関WANということでやっております。それぞれLANとかWANに乗っかっているソフトということになろうかと思いますので、いずれにしてもそのまま使えるかどうかということはちょっと検討させていただかなければいかぬと思うわけですが、私どもとしては、いろいろこれからも、国会事務局からの御要請があればそれに真摯に対応していくというような態度で進めてまいりたいと思っております。
  257. 若松謙維

    若松分科員 ぜひ協力を強く要請しまして、時間がもうありませんので、実は、外務省も要請をいたしました。  特に外務省ですと、条約交渉とか外交の非常に際どい問題がございまして、これは結論を要求しても出ませんので私の方から考え方だけを述べさせていただいて恐縮ですけれども、特に情報公開法ができますので、これからそういう外交情報がどの程度いわゆる国民のもとに提示されるかというところです。私は、ぜひ国会議員も、例えば米国の秘密公聴会方式、こういったところも導入して、それに外務省がどんどん情報提供していただいて、かなり重要な条約に関する審議等も国会でやれるように、これは外務委員長に、委員長、恐縮ですけれども、お伝えいただきたいと思います。よろしくお願いします。  それと、国会テレビと国会LAN、いよいよことしの十月、これは御努力に敬意を表します。これは最後の御質問ですけれども、これは国会事務所にそれぞれ一つずついわゆるパソコンが入って活用できる。せっかくいいものですから、やはり国民も何らかの形で、この国会情報、ホームページという形ではあるのでしょうけれども、もっと活用できるような形の、国民に対するアクセス、それも検討してはいかがかなと思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
  258. 谷福丸

    ○谷事務総長 その点につきましては、十月に大体衆議院内のLANは完成いたしますので、それに伴いまして各議員室に、先生方の部屋に一台ずつパソコンを置くことになっています。  それに関連しますけれども一つは、議案の審査経過、これは議事部が主管でやっておりますが、一回国会から全部のものを検索できる。それから会議録も発言者等が全部検索できる。それから立法調査情報システム、これは調査室がやるのでございますが、いろいろな委員会関係についての資料全部。  それで、実はことしの一月からもう既にホームページを開設しましてインターネットに乗せておりまして、これと同趣旨なものを実験的に供用しておりますが、さらにおっしゃるように、WANの方まで広げるように努力していきたいと思っております。
  259. 若松謙維

    若松分科員 ぜひお願いしたいと同時に、これは意見だけですけれども、今ちょうどこの国会テレビ、衆議院と参議院、どちらかというと参議院の方の議論が少ないようで、衆議院が先にやるのをどうも嫌がっているというような声も聞きます。そんなことを言っていないでどんどん、これはやはり委員長に、議運の委員長にまた伝えていただきたいのですけれども、もう情報公開、待ったなしですので、できるところから進めていく、そういう発想でぜひ衆議院国会放送、これを参議院に遠慮することなく進めていただくよう要望いたしまして、私の質問とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
  260. 栗本慎一郎

    栗本主査 これにて若松謙維君質疑は終了いたしました。  以上をもちまして国会所管質疑は終了いたしました。  これにて本分科会審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。  これにて散会いたします。     午後三時五十七分散会