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1997-06-17 第140回国会 衆議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十七日(火曜日)     午前九時三十二分開議 出席委員   委員長 草川 昭三君    理事 栗本慎一郎君 理事 高市 早苗君    理事 根本  匠君 理事 浜田 靖一君    理事 上田 清司君 理事 大口 善徳君    理事 辻  一彦君 理事 佐々木憲昭君       熊谷 市雄君    佐藤  勉君       新藤 義孝君    田邉 國男君       滝   実君    原田 義昭君       柳本 卓治君    山口 泰明君       西村 章三君    野田  毅君       若松 謙維君    生方 幸夫君       渡辺  周君    平賀 高成君       岩國 哲人君    前田 武志君       武村 正義君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 松浦  功君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 三塚  博君         文 部 大 臣 小杉  隆君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         農林水産大臣  藤本 孝雄君         通商産業大臣  佐藤 信二君         運 輸 大 臣 古賀  誠君         郵 政 大 臣 堀之内久男君         労 働 大 臣 岡野  裕君         建 設 大 臣 亀井 静香君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     白川 勝彦君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 武藤 嘉文君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         長官)     稲垣 実男君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      麻生 太郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      近岡理一郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石井 道子君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 伊藤 公介君  出席政府委員         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房会計課長  吉井 一弥君         内閣法制局長官 大森 政輔君         警察庁交通局長 山本 博一君         防衛庁経理局長 佐藤  謙君         防衛施設庁建設         部長      竹永 三英君         経済企画庁調整         局長      土志田征一君         科学技術庁長官         官房長     沖村 憲樹君         科学技術庁長官         官房審議官   興  直孝君         科学技術庁科学         技術政策局長  近藤 隆彦君         科学技術庁原子         力局長     加藤 康宏君         科学技術庁原子         力安全     池田  要君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵大臣官房金         融検査部長   中川 隆進君         大蔵省主計局次         長       細川 興一君         大蔵省理財局次         長       戸恒 東人君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部省学術国際         局長      林田 英樹君         厚生政務次官  鈴木 俊一君         厚生省保険局長 高木 俊明君         社会保険庁運営         部長      真野  章君         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         農林水産省構造         改善局長    山本  徹君         通商産業省機械         情報産業局長  中川 勝弘君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岡本  巖君         郵政大臣官房総         務審議官    濱田 弘二君         建設大臣官房長 小野 邦久君         自治大臣官房総         務審議官    嶋津  昭君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省財政局長 二橋 正弘君  委員外出席者         大蔵省主計局司         計課長     田頭 基典君         会計検査院長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局次長    平岡 哲也君         会計検査院事務         総長官房総務審         議官      牛嶋 博久君         会計検査院事務         総長官房総務課         長       重松 博之君         会計検査院事務         総局第一局長  深田 烝治君         会計検査院事務         総局第二局長  諸田 敏朗君         会計検査院事務         総局第四局長  小川 光吉君         会計検査院事務 森下 伸昭君         参  考  人         (海外経済協力         基金総裁)   西垣  昭君         参  考  人         (海外経済協力         基金理事)   清川 佑二君         決算委員会調査         室長      天野  進君     ───────────── 委員の異動 六月十七日  辞任         補欠選任   正森 成二君     平賀 高成君   前田 武志君     岩國 哲人君 同日  辞任         補欠選任   平賀 高成君     正森 成二君   岩國 哲人君     前田 武志君 同日  理事森成二君同日理事辞任につき、その補欠  として佐々木憲昭君が理事に当選した。     ───────────── 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  閉会中審査に関する件  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書      ────◇─────
  2. 草川昭三

    草川委員長 これより会議を開きます。  まず、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事森成二君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 草川昭三

    草川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ございませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 草川昭三

    草川委員長 御異議なしと認めます。  それでは、佐々木憲昭君を理事に指名いたします。      ────◇─────
  5. 草川昭三

    草川委員長 平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、各件について締めくくり総括質疑を行います。  質疑に入るに先立ちまして、質疑者各位に申し上げます。質疑時間は申し合わせの時間を厳守されるようお願いいたします。  また、政府におかれましても、各質疑者質疑時間は限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。根本匠君。
  6. 根本匠

    根本委員 自由民主党の根本匠です。  きょうは決算委員会締めくくり総括でありますが、決算委員会としては行財政改革推進は本来のテーマでありますから、私は特に先般示された財政構造改革中心に関連する質疑を行いたいと思います。  橋本内閣は「改革創造」を掲げまして、これまで、行政改革あるいは経済構造改革財政構造改革金融制度改革福祉医療改革教育改革、六つの改革を同時並行的に、精力的に取り組んでまいりました。私は、六大改革は壮大なビジョンであると思います。改革対象範囲、幅、そしてスピード、改革を進める仕掛け、この三点において、今までにない改革への取り組みだと思います。  既に金融ビッグバン──行革も、行革第一弾として、雇用促進事業団を初め十一の特殊法人等の廃止、民営化、これを打ち出しました。経済構造改革も打ち出しました。次々に具体案を打ち出しているわけでありますが、先日は、財政構造改革の具体的な推進方策を提示しておられます。  財政構造改革は、総理みずからが財政構造改革会議の議長を務め、最終の数値目標もみずから決定する、そして、財政構造改革五原則を初め節目節目で明確なリーダーシップを発揮してまいりました。この財政構造改革基本理念とねらい、総理が重点を置かれたポイント特徴、これを率先垂範してリードされてきた総理自身のお考え方をお伺いしたいと思います。
  7. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 申し上げるまでもなく、今、我が国の財政先進諸国の中で最悪とも言える状況に置かれております。しかも、それは国だけではなく、地方財政においても悩みは変わりません。もし、こうした状況をこのまま放置いたしておきました場合、やがて我々は本当に国民生活そのものの破綻を覚悟しなければならないというぐらい、この事態を深刻に受けとめております。それだけに、財政構造改革というものを何としても仕上げなければならない、そんな思いで今日まで参りました。  そうした中、与党・政府が一体となりまして財政構造改革会議をつくり、その中で、まさにこれは政治が決めていくことということで、従来の枠組みにとらわれない議論をしながら、あらゆる角度から議論をしたそのものを、財政構造改革推進方策として取りまとめ、世間に公表したところでございます。  この推進方策は、経費ごとの具体的な削減目標にも踏み込み、また削減策まで踏み込んでおります。そうしたところを見ていただき、国民にも御理解をいただかなければなりません。  また、それぞれの、例えば公共事業につきましても、背景となっておりますそれぞれの長期計画を、例えば期間を延長することによりまして削減期間内における投資の額を縮減する、そういった意味では、今までとは全く違った手法をとってここまで持ってきております。  今後、これから一層考えていかなければならない部分として、当然ながら、官から民への仕事の移しかえ、さらには国と地方役割分担見直しの中で分権を進めていく、その中における公平な受益と負担というものを実現しながら、新たな経済活力をどうつくり出していくか、そうした考え方土台にしながら、新たな財政構造を構築していく、そんな思いでここまでを進めてまいりました。
  8. 根本匠

    根本委員 今回の財政構造改革、私も非常に重要なポイント指摘されていると思います。  一つは、財政健全化のマクロ的な目標を設定して健全化への道筋をつけた。具体的な数値目標も設定しておりますし、とりわけ、政治が決めていくということで総理がトップダウンで意思決定をされた、私はこの辺のところが大変大きな、今までにない改革への取り組みだと思っております。  今総理のお話にもありましたけれども公共事業ども一切の聖域なしということで、社会保障、防衛、ODA、これも切り込んだわけでありますが、実は、歳出削減もめり張りをつけておりますけれども、一部に、めり張りがついていない、あるいは単なる数字合わせという指摘もあります。この点についての総理のお考えをお伺いしたいと思います。
  9. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私もそういう報道を拝見をいたしました。そして、その方々の考えられるめり張りというのは一体何だろうと思っておりますけれども、いまだに私には答えが出てまいりません。  例えば、ODA公共事業あるいは社会保障、それぞれの削減目標数値も違いますし、手法も違います。そして公共事業、例えば五カ年計画を二年、あるいは十カ年計画を四年、これを延ばしていきました結果、もし割り戻していただけば、この年度ごと増減率というものは相当なばらつきを生じます。そういうところまで考えながら進めてきたものがめり張りがないとおっしゃるのであれば、めり張りという言葉の定義はどんなものなのか、まあ一度浅学非才の私に教えていただきたいな、そんな思いを持っております。
  10. 根本匠

    根本委員 私も総理と同感でありまして、めり張りがついていないというのはためにする議論であろうと思います。  ただ、今回、財政構造改革削減目標等を掲げて大きな枠組みを提示されました。これから、財政健全化とともに、財政構造そのもの見直し、各種の既存の制度事業あり方に踏み込んだ幅広い観点からの改革、さらに幅広く切り込んでいく必要があると思います。数値目標等を設定されたわけでありますが、今後、財政再建法あるいは夏の概算要求あるいは来年の予算編成、中身がさらに具体化していくと思いますが、財政構造改革のさらなる見直しに今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いしたいと思います。     〔委員長退席上田(清)委員長代理着席
  11. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず、恐らくこれは今大蔵大臣大変御苦労をかけておりますけれども、先般まとめましたものは政策ごとテーマでありますから、現実の各省庁のフレームにこれを振り直す、そうした作業をどうしても避けて通ることができません。同時に、この方策財政再建法、仮の名前でありますけれども、といったような方向法案としてまとめていきますための作業というものを、これから迅速に進めていかなければなりません。  その中で非常に大事になりますのは、実は国家財政地方財政との絡みの部分であります。一方で、国の歳出を一生懸命に減らそうとしてそれを地方ツケ回しをしたのでは、これは意味がありません。ということは、実は国も地方もこれに合わせていかなければならない、そういう努力を必要とするわけであります。私どもとしては、こうした手順をきちんと踏みながら、まあ七月に入りましょう、間もなくサミット等で私は海外に出なければなりません、大蔵大臣もそうであります、そうしますと、そうした作業土台にして、一方では財政再建に向けての法案作成作業、同時に具体的な各省庁としての概算要求ルールづくり、こうした作業を先行させることにより、実質的なものにこれをきちんと位置づけていく。そして、いずれの日にか国会でこれを御審議をいただきながらよりよいものに仕上げていきたい、今そうした方向を考えております。     〔上田(清)委員長代理退席委員長着席
  12. 根本匠

    根本委員 財政構造改革の中で特徴一つは、一切の聖域なしという中で、科学技術振興費、これは増加額を大幅に抑制するとしながら、伸び率を五%以内の伸び率にするという伸びを認めておられます。科学技術創造立国橋本内閣ビジョンの大きな柱であると思いますが、将来の日本経済活性化、これを図るためには、新規産業、新分野の創出が不可欠であると思います。とりわけ基礎研究中心とする科学技術振興、これは財政再建の中でも、将来を考えますと取り組むべき優先課題でありますから、基礎研究分野国家的投資を行って的確な政策対応、これが必要だと思っております。  平成年度補正から基礎研究推進事業平成年度平成年度予算を大幅に増額されておりますが、私は、この基礎研究推進事業は今までにない非常に画期的な予算だと思っております。一件当たりの補助金の額、これが五千万から一億、あるいはやり方は提案募集型でアイデアを含めて評価をする、これによって大学国立試験研究機関基礎研究が非常に活性化しております。大変これは評判がいい。  しかも、科学技術基本計画をベースにいたしまして、新たな産官学の連携の模索、大学の教官の兼業規制の緩和、あるいはベンチャーのためのエンゼル税制、これらの基礎研究あるいは科学技術インフラともいうべきものも整備されてまいりました。総理は、これまで科学技術創造立国を掲げまして、各省庁連携強化研究あり方について直接指示もしておられましたが、これからの科学技術創造立国に向けて今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いしたいと思います。
  13. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 たしか一九九二年版の環境白書であったと思いますが、二十一年前の公害多発の時期に環境庁が生まれ、そのころ環境行政としてどのような取り組みをし、そのためにどのような分野投資を誘導しようとしたか、そして、それに対して産業界がどうこたえたかという非常におもしろい分析をしたことがございます。  そのときに出てまいりましたもの、うろ覚えでありますけれども、要するに、実験室段階において成功しているものを企業生産ラインに乗せていくためには、世の中がそれだけのニーズがあり、同時に企業のトップの決断を迫るだけのインセンティブをいかに付与するか、こうした点の指摘がございました。  また、その中でもう一つ出てまいりましたのは、応用技術分野についての企業研究投資というものは十分に行われても、その土台になる基礎という部分基礎研究にはなかなか投資が向かないということであります。今後の日本を考えますとき、我々は何としても、科学技術研究開発というものを重視していき、その中から新しい産業の芽を育てていかなければ、将来の日本はない、私はそこまで考え、思い詰めております。  それだけに、目標を設定し、一方では非常に大きな制度改正までを含めた削減目標を立てながら、この分野に関しては、五%以内というルールではありますけれども、増額をしていくべき分野である、その中において国として行う部分はやはり基礎中心にした分野であろう、そしてそれをどう民間の技術に移していくか、こうしたことに注意をしながら進めなければならないと思っております。  同時に、この締めくくり総括に当たりまして、逆に政府関係各省諸君にもぜひ聞いてもらいたいと思いますのは、昨年、本年度予算を編成するために、初めて、科学技術研究中心としたテーマに対し各省庁の新しい要望を内閣において全体を整理をする、そういうことで項目を出させてみました。そういたしますと、本来共同研究テーマとして選べばより大きな成果を上げるであろう分野について、それぞれの省庁が、甚だしい場合には一つ省庁の中における局ごとに、似たようなテーマ要求を出してきていた。これを統合し、共同体制に持っていくには内政室諸君に随分苦労をかけましたけれども、結果として、そういう試みはそれなりの成功をしたと思っております。  むしろ今回は、内閣自身がそうした作業をしなくても済むように、要求段階において、各省庁が昨年の経験を生かされて、共同で取り組むべきテーマ共同テーマとして取り上げる工夫をしてもらいたい、それが予算の効率的な運用にもつながっていく、そのような思いを持ってぜひ計画を進めてもらいたいものだ、そのよりに考えております。
  14. 根本匠

    根本委員 私は、この分野は、特に各省庁政策連携、全体的な政策体系の中で進める必要があると思いますから、昨年度総理指示は大変的確だったと私も思います。  次に、社会保障分野で御質問をしたいと思います。  六大改革一つ社会保障構造改革であります。これは財政観点からも必要でありまして、特に医療については、社会保障構造改革の第一歩として健保法改正をいたしました。負担増大前提医療の抜本的な大改革、これが負担増大前提であります。  今回の財政構造改革の一環として、平成年度社会保障予算、これは八千億円の自然増経費がありますが、これも五千億円の削減が必要ということになっております。八千億円のうち五千五百億円が医療費でありますから、この医療費抑制が大変重要な課題になっております。医療費抑制するためには、医療提供体制そして医療保険制度、この両面の抜本的な構造改革、それと同時に、総理常々重要性指摘しておられますが、医療費適正化対策、これにも地道に取り組む必要があると思います。この点についての御所見をお尋ねしたいと思います。
  15. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 本年度予算編成に際しましても、医療保険改革には手をつけざるを得ない状況で、特に財政についての安定化を図るために厚生省諸君には大変な苦労をかけました。  しかし、今御指摘のように、毎年百万人ずつ年金受給者が新たに受給権を発生させる。約、自然増八千億と言われますうち年金でふえますものは千五百億円ぐらいでありまして、公共福祉サービス分野が約一千億円ぐらいでしょうか、ということは、議員御指摘のとおり、医療費部分でふえていくものが五千五百億円ぐらい。当然のことながら、やはりこの伸び抑制には、私ども努力をいたさなければなりません。そのためには、診療報酬体系から薬価の問題を含めまして医療保険制度そのもの、同時に、医療提供体制構造改革というものを早急に進めなければなりません。  でき得る限りのものを平成年度から着手していきたいと考えておりますが、同時に、現時点からも始められること、それは指導監査強化であり、レセプト審査レセプト点検拡充強化による医療費適正化対策というものでありまして、こうしたものにも積極的に取り組んでいかなければなりません。常に大臣を通じ事務方諸君にそうした指示はいたしておりますけれども、積極的に取り組んでいくことを、どんなことがあっても我々はやらなければならない、そういう状況に置かれていることをぜひ御理解を賜りたいと思います。
  16. 根本匠

    根本委員 続きまして、厚生省にお尋ねしたいと思います。  保険制度はどうしても過剰需要、過剰供給されやすい、そういう制度的な、内在的な特徴を有しております。薬漬け検査漬けと言われる構造にも切り込む必要があるわけでありますが、一方で、地味でありますが大変大事なのは、不適切な医療費の支出、これも厳しくチェックする、むだを省いて効率的にして、削って、改革もして、その上でだれがどのように負担するのかを決める必要があると思います。  医療支払いが不適切として会計検査院から指摘された事項に関する国庫負担額、これは昭和六十一年度以降平成年度までに約八十三億円に上っております。平成年度実地検査でもさまざまな不当事項指摘されておりますが、医療費適正化対策について、厚生省として今後どのように取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたします。
  17. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 このたび成立させていただきました健保法改正、これは国民負担増をお願いするという形でございますけれども、それだけに我々は、従来の延長線の医療費適正化ということではなく、やはりもっと厳しい目できちっとしたことをやっていかなければいけないというふうに考えております。  そういった意味では、改めて大臣からも御指示いただきまして、診療報酬請求明細書につきましても、これまで以上に厳しい目でチェックをしていただく。  それからまた、とりわけ点数の高いレセプトを専門的に審査する審査専門部会、こういったものについての体制強化を図っているところであります。  それからまた、保険医療機関につきましてもそれぞれの個別指導等をさらに充実をする、とりわけ診療報酬の請求点数の高い医療機関につきまして十分医療保険制度についての御理解をいただくということで、再度そういった面の指導監査体制というものも強化を図っているところでございます。  今回の健保法改正の際におきます附帯決議におきましても、この医療費適正化ということについては特に強く指摘されておりますし、私どもとしてもさらに一層充実をしていきたいというふうに考えております。
  18. 根本匠

    根本委員 医療費適正化対策、これは三本柱で、保険医療機関等に対する指導監査強化審査体制の充実、保険運営者のレセプト点検、これが三本柱であるわけであります。  今回の健保法改正によりまして患者の自己負担がふえるわけでありますが、これからは、患者などの支払い側が医療の質やコストを点検できる仕組みづくり、これが必要だと私は思います。例えば、レセプトをデータベース化すれば過剰な投薬、検査がわかりますし、レセプトを開示すれば患者のコスト意識も喚起される、不正請求を抑止するアナウンスメント効果も期待できるわけであります。  今、健保組合向けにレセプト審査を代行する企業もありますし、最近では個人向けのサービスも出てまいりました。あるいは適切な医者、医療機関を選択できるような情報ビジネスも出てきております。大手健保では医療費削減のための健康増進運動あるいは合宿で予防セミナーを実施する、こんな例もいろいろと出てきておりますが、これからの医療費削減するためには、市場原理も活用しながら多様な工夫、さまざまな取り組みを促進する必要がある、私はこう思いますが、厚生省、どうお考えでしょうか。
  19. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 私ども全く先生の御指摘のとおりであるというふうに考えておりまして、画一的な指導監査ということではなくて、やはりあらゆる角度からきめ細かい工夫というものが必要だというふうに考えております。  とりわけレセプト情報のデータベース化という面につきましては、現在の紙で請求をしておりますシステムというものの電算化をできるだけ早く実現をしたいというふうに考えておりますし、また、医療情報の公開というものも積極的に進めていかなければいけないというふうに考えております。  ただいま御指摘いただいた点を踏まえまして、私どもとしてもこれから前向きに取り組んでいきたいと考えております。
  20. 根本匠

    根本委員 次に、社会保険の保険料の徴収問題についてお尋ねいたします。  社会保険制度の安定的運営を図る、このためには、一方で支出の適正化を図る、他方で歳入の適切な確保も重要であります。しっかりと確保することがこれは大前提であります。  一方で、会計検査院平成年度決算報告、健康保険、厚生年金保険の徴収不足、これが百五十八億円に上っております。この徴収不足は、社会保険制度未加入により本来徴収されるべき保険料が徴収されなかったものでありまして、これはいわゆる補助金等のむだ遣いとはやや性格は異にいたしますが、指摘額が大きい、またここ数年毎年指摘を受けている、こういう状態を踏まえて、厚生省として社会保険の保険料徴収不足に対しましてこれからどのような対策を講じていくのか、お尋ねをいたします。
  21. 真野章

    ○真野政府委員 平成年度の決算につきまして会計検査院から指摘を受けました点は、今先生から御指摘のとおりでございます。  私どもも、国民皆保険、皆年金ということで、保険料の徴収ということにつきましては今後最も基礎的な部分であるというふうに考えております。  ただ、今回指摘を受けました点につきましては、医療法人の事業所でいわば国民健康保険組合に入っておられる事業所、それから六十歳から出されております特別支給の老齢厚生年金等の受給者、この方々が、健康保険なり厚生年金の被保険者になるべきであるにもかかわらず被保険者の資格取得届がなされていなかったということでございます。  これらにつきましては、そういう国保で国民年金という意識もございまして、そういう点につきましても、事業所につきまして関係団体から指導をするということを徹底をいたしますとともに、制度の周知徹底に努めたい。また、特別支給の老齢厚生年金の受給者の方々の場合には、年に一回提出していただいております現況届に必要事項を書いていただくということを規定をいたしまして、こういうことを通じまして適用の適正化努力してまいりたいというふうに考えております。
  22. 根本匠

    根本委員 しっかりと取り組んでもらいたいと思います。  最後に、農業問題についてお尋ねをいたします。  今般の財政構造改革の中で、農業については、ウルグアイ・ラウンド対策の二年延長、六兆百億円の事業内容については、実績の検証を踏まえて、新しい国際環境に対応し得る農業経営の確立、地域特性の活用により資するよう見直しを行い、農業農村整備事業とその他事業との比率を六対四から五対五に変える、こうされております。  まず、公共事業たる農業農村整備事業、これは、農業の生産性の向上を図る観点からの区画・圃場整備等の分野と、農村下水道等のような生活環境を向上させる事業、いずれも重要な事業でありまして、この分野については、コスト縮減対策を的確に実施しながら、より効率的な、重点的な事業執行にまず取り組んでいただきたいと思います。  もう一点、この点をお尋ねしたいと思いますが、非公共事業、これについてはできるだけ早く、早期に、農業の生産性の向上あるいは農業の体質強化を図るように、私は、二つの視点で重点的に施策を実施すべきだと思います。  第一点は、労働時間の短縮あるいは高付加価値の農産物の供給、これを通じて短時間に生産性の向上するような施設の整備、具体的にはライスセンター、カントリーエレベーター、あるいは農産物の処理加工施設であります。これは私の地元の事例でも、最近、ピーマンの袋詰め、選別を機械化いたしましたところ、労働時間が四分の一に減りまして、労働の生産性が四倍になった。今まで夫婦二人で十アールしかピーマン畑をやれていなかったものが四十アールできるようになって、専業農家も出てきた。私は、これはガット・ウルグアイ・ラウンド対策の優等生だと思っておりますが、やはりストレートに農業の生産者の生産性が上がるような分野、これに重点を置いていただきたいという点。  もう一点は、担い手への直接支援方策。スーパーL資金あるいは農家負担軽減支援特別資金、こういうものもありますが、これらは規模拡大あるいは施設整備などを支援するための融資制度でありまして、これについては、制度の改善も含めて、より使いやすくすることを含めての拡充、これをお願いしたいと思います。  農業の生産性の向上にストレートにつながるような施策、二つの視点から申し上げました。私は重点的にやるべきだと思いますが、ウルグアイ・ラウンド対策の見直しについての農林大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  23. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 いよいよ三年という折り返し点にウルグアイ・ラウンド対策事業も来たわけでございまして、今後、今までの事業の検証、またニーズに即して真に実効が上がる、そういう事業になるように見直しを進めていくわけでございます。  その見直しの柱につきましては、今委員が言われましたように、農業農村整備事業、これは事業費が縮減されるわけでございますので、重点的に、効率的に進めていく。  それから、非公共事業と言われております事業につきましては、生産、流通、加工の面において高度化を進めていく、それから担い手農家の育成を加速していく、これも私ども非常に大事な見直しの柱だと思っております。  また、三番目に言われましたその他の問題につきましては、ニーズに合わせて、しかも融資等が借りやすくなるように、その点も十分に配慮しながら見直しを進めてまいりたいと思っております。  具体的には平成年度予算の編成の過程におきまして、関係者の意見も十分に承りながら、実効のある予算編成を行っていきたい、かように考えております。
  24. 根本匠

    根本委員 ぜひ強力に取り組んでいただきたいと思います。  ありがとうございました。終わります。
  25. 草川昭三

    草川委員長 次に、上田清司君。
  26. 上田清司

    上田(清)委員 上田清司でございます。  早速ですが、私は、二月の六日の予算委員会でODAあり方について、海外経済協力基金の融資について二十三億融資しながらもその事業が破産してしまった、回収こそできたけれども破産してしまったという点について、融資の問題とかいろいろあるのじゃないかというようなことを質疑をさせていただいてまいりました。また、六月十日の決算委員会で、一次、二次、三次、これは今申し上げました二十三億の融資事業でございましたが、その後の、第四次として十億五千万の融資事業を行ったけれども、これは保証状もとらずに融資したために破産した後回収ができない状況になっているということについて、実は決算委員会で総裁を通じながら質疑をさせていただきましたが、極めて十分でない答弁がございましたので、この点について改めて、西垣総裁を中心質疑をさせていただきたいというふうに思っております。  先般の質疑録も読んでいただけたと思いますが、総裁はしばしば答弁の中で、我々もびっくりした、あるいは遺憾である、内部のルールにも反していると言いながら、一方では慎重に審査をしたというふうに言っておられます。どのように慎重になされたのか、普通の審査と慎重な審査というのは違うのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  27. 西垣昭

    ○西垣参考人 お答えいたします。  柏塘養鰻事業に対する出資は、大変残念な結果になりました。私どもも遺憾に思っております。  ただ、御理解をいただくために申し上げたいのでありますが、これは二つの段階に分けて考えていただいた方がよろしいかと思います。つまり、貸し付けをするかしないか、決定に至るまでの審査が十分であったかどうかと、それから、審査を経て決定されたものが今度は実行の段階で適切に行われたかどうか、こういうことでございます。  先生が言っておられます審査の段階につきましては、私どもは、ずさんないいかげんな審査ではなかった、きちんと審査をした、こういうふうに理解をいたしております。  御理解をいただくために詳しく申し上げますと、我々が審査で確認いたしましたのはまず事業目的でございますが、この事業は、日本側の日盛産業が六〇%、中国側の恵州市が四〇%出資をする現地の合弁会社、これは恵州柏塘養鰻有限公司、こういう名前の会社でありますが、この会社が広東省の恵州市博羅県柏塘で第一期分養鰻場を建設する、こういうものでございます。  審査に当たりまして、まず私ども審査いたしましたのは経済協力性があるかどうかということであります。審査の結果、本事業は近代的な養鰻方式によるパイオニア的事業である、我が国からの養鰻技術の移転に役立つとしりふりに理解いたしました。それから地域農民の所得向上、雇用促進につながる、こういうふうに考えられました。それから第三に、中国の貴重な天然資源でありますシラスウナギ、シラスというのはウナギの稚魚でございますが、この有効活用を図るとともに、成鰻の輸出を通じて同国の外貨獲得に資する、こういうふうに認識をいたしまして、経済協力性が高い、十分意義のあるものであるというふうに考えたわけであります。  それから、パイオニア性があるかどうかという点でございます。汕頭、東昇事業を進めている傍ら日盛産業の調査研究が進みまして、池の中央に排水施設を設置する改良露地池によりまして、地元の伝統的な露地池に比べまして収穫量を上げられることが判明いたしました。柏塘養鰻事業はこの改良型の露地池を中心とする養鰻事業でありまして、かかるパイオニア性を評価いたしたものであります。  次に、事業計画でございますが、本事業におきまして海外経済協力基金は、事業計画として、投資計画、資金計画、生産販売計画、損益計画について確認するとともに、事業達成の見込みとして、技術面、経営面、原料供給及び販路、推進企業である日盛産業の経営状況につきまして、現地調査を含め十分審査を行い、基金法、基金業務方法書等に照らして適切な事業として融資を決定したわけであります。  ただ、実行段階において問題があったことは御指摘のとおりでありまして、これは、私ども前回の決算委員会におきましてもはっきり申し上げました。本事業につきましては、役員会の審査及び稟議書におきましては中国銀行の保証状をとることになっておりましたが、その権限を委譲しております貸し付け実行のプロセスにおきましては、以下のとおりであったと。つまり、このことを意外であったと私は申したわけであります。  貸し付け実行時点では、業務担当部は、日盛産業及びその子会社、これはリッセンと申す日盛産業の香港法人でありますが、この連帯保証を入手していたのみで、中国銀行の保証状がまだ入手できていなかったという報告を受けました。  当時、日盛産業は、海外経済協力基金がさきに融資を行ってきた、本事業に先行する汕頭及び恵州東昇事業において順調に事業を推移させてきた実績がありました。また、本事業に関しましても、二次にわたる融資の第一次分であり、日盛産業は第二次分も期待していた状況の中で、業務担当部は、中国銀行の保証に関しまして日盛産業から、北京政府、国家計画委員会の了承があり次第中国銀行広東省分行は保証決裁すると確約している、こういった説明を受けておりまして、同社の説明するとおり近日中に中国銀行からの保証状を入手できると判断したと、後になって報告を聞きました。  そして、業務担当部は、事業の早期実施を求める借入人からの要請に応じまして、中国銀行の保証状を取得しないまま、国内邦銀にある柏塘公司口座に十億五千万円を振り込んだものであります。その後、中国銀行から保証状は入手したものの、保証状に条件が付されていたために、いまだに有効になっておりません。  このような実行プロセスは、九五年十一月の日盛産業の和議申請後に初めて報告を受けたところでありまして、私といたしましては、まことに残念な事態ではありますが、開発を使命とする基金としては、まず再建を優先すべくその旨を指示した、これが経緯でございます。
  28. 上田清司

    上田(清)委員 総裁は私の質疑に正確にお答えになっておりません。経緯は私もよく存じておりますので、それを聞きたかったのではありません。  基本的に、銀行保証をとらずに融資ができた。銀行から保証状が着きました、有効条件をつけて。この有効条件に合致していませんから、事実上、これは保証がついていないのと同じですが、一九九四年の三月三十日に融資が決定して、銀行からの保証状が届いたのは六月の十三日です。二カ月と少々、約七十日ぐらいかかっております。  七十日かかっても構わないという仕組みが、OECFの中にあるのか。担当部局で融資をするときにそういう保証条件とかを添付しなくてはいけないでしょう、内部で決裁するときに。それがないままなぜ役員会で決裁され、総裁が印鑑を押されているのですか。そのときだれも気づかなかったのですか。約一年後に報告があったというようなことを言っておられますけれども、そういうずさんな融資の仕方でいいのですか。そのことを問われているのです。お答えしてください。
  29. 草川昭三

    草川委員長 西垣参考人。  なお、参考人に申し上げますが、経過は前回承知をしておりますので、問題点のみ要点を御答弁願いたいと思います。
  30. 西垣昭

    ○西垣参考人 これは繰り返しになる部分もあることをお許しいただきたいと思うのですが、融資決定までは、役員会あるいは関係部局が精査をいたしまして、最終的には総裁稟議決裁ということで決定するわけでございます。その実行に当たりましては、その融資決定に基づきまして担当部局が条件が満たされているかどうかということを確認いたしまして、資金を支払う部局に対して通知をする、そういうことで実行が行われるわけであります。  本件について、まことに残念なことでありますが、いわば事務当局に任せていたことがルールどおりに行われていなかったということで、不測の事態が起きてしまった。つまり、本来ならば保証状が確認されてその上で資金の支払いが行われるべきところを、確認をしないままに出ていってしまったということでこのような事態が起きたわけでありまして、基金としては、このような事態が発生しましたのは今回が初めてのことでございます。
  31. 上田清司

    上田(清)委員 事務局でというようなお話でございますが、当時の担当課長、担当次長、担当部長のお名前も資料としていただいております。その時点で十分な根拠もないままに融資を決定して、ただ役員会や総裁は追認されただけだというふうにおっしゃるのですか。
  32. 西垣昭

    ○西垣参考人 これも重ねての御説明になるかと思いますが、さっきも申し上げましたように、融資決定に至るまでは、役員会それから総裁までの稟議ということで決定がなされます。なされた決定につきましては、その決定にいろいろと事務的なチェックの条件がありまして、そのチェックの条件を満たしているということについての判断は、これは事実行為の判断でございますので、担当の部長あるいは担当の課長に委任しているわけでございます。通常の場合はそれでも済んでいるわけでありまして、順調にいっているということで、すべての案件はそれで円滑に進んでいる。本件についてはそれがうまくいかなかった。  ですから、問題は、担当の部長課長のところでルールに従ったチェックがなされなかったという点であります。そのことを総裁あるいは担当理事が承知しているかといいますと、そういう事柄の処理でありますので、承知していなかった、こういうふうに申し上げざるを得ないと思います。
  33. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、総裁、チェックもしないままに、上がってきた書類を担当理事、総裁が決裁されたということであれば、あなた方の責任ではないですか。国民の税金であるところの十億五千万を事実上回収できなくなった、これはだれが悪いのですか。はっきり言っておられませんよ。審査の過程と実行行為が云々というようなこと、わけのわからないことを言っておられる。  要するに──聞いてください。きちっと答えなくてはだめですよ。融資が決定されたときに添付資料として保証状がなかったのですよ。なかったのになぜ決定されたのかということで、それを追認されたのは総裁たちではありませんか。では、責任はだれにあるかといったら、総裁にあるではありませんか。
  34. 西垣昭

    ○西垣参考人 融資の決定までは、手続をしまして、最終的には総裁の責任で決裁をする。決裁された案件の実行につきましては、これは担当部局の責任におして処理する。後で役員が追認をするというふうなことではないわけであります。
  35. 上田清司

    上田(清)委員 わけのわからないことを言っていらっしゃいますよ。  要するに、総裁は、融資を決定したときに、保証状の添付状がないにもかかわらず決定をされたということを言っておられるのですから、責任があなたにあるということを言っているのに、もちろん、後で実行していくのは、大枠が決まれば担当の部課長を通じて仕事がなされていくのは当たり前のことです。それは追認されていくことと同じことでしょう。そうではなくて、融資決定に関して私はずっと問うているのです。
  36. 西垣昭

    ○西垣参考人 私は、十分明らかになるように説明しているつもりでおります。  私が申しておりますのは、保証状を取りつけることを条件として融資を決定する、その決裁をしたわけであります。その条件を満たしていることをチェックしながら実行をするのは、事務局に任されているわけであります。そのことをさっきから繰り返し申しているわけでありまして、総裁のところで保証状がついているかどうかということをチェックするという仕組みには、していないわけであります。そこを十分御理解いただきたいと思います。
  37. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、一般の銀行とかで、担当部課長から融資の条件をつくってきたときに、その条件を見ないままに総裁は決定をするわけですか、例えば銀行においても。普通はこういうことはあり得ないのですよ。総裁は責任逃れしていますよ、今の答弁だと完全に。  これは、先ほどあなた自身が申されたように、大枠で十億五千万というパイオニア事業でしょう。しかも、今までは、日本の法人に貸し付けをして、それから現地法人に貸し付けしたのが、初めてこれは現地法人にじかに貸し付けるという、全く新しい事業だったのですよ。そういう事業にもかかわらず、銀行の保証状もとらずに融資を決定して、三カ月後にその保証状をとる。しかし、その保証状も有効条件がついているから有効でないという、極めていいかげんな保証状であります。そういう決定を、内部の課や部を通じて役員会に上がり、総裁で決された。責任はないのですか。おかしいですよ、総裁の答弁は。
  38. 草川昭三

    草川委員長 西垣参考人。  参考人にちょっと御注意申し上げますが、海外経済協力基金の総裁として、参考人としておいで願っておるわけでございます。どうかひとつ質問者の、責任の所在について明確な御答弁をお願いしたいと思います。
  39. 西垣昭

    ○西垣参考人 どこの金融機関でもそうだと思うのですが、融資の決定に当たりましては、保証人がちゃんととれているかどうか、あるいは、担保物件があるかどうか、そういうことで融資決定がなされると思います。そういうことで融資決定がなされた後に、その実行を総裁が一々やるということには、あるいは頭取が一々やるということには、多分なっていないのだろうと思うのですね。  この日盛産業の養鰻事業につきましては、これは四つ目の案件でございます。第一回目、第二回目、これは銀行保証でやりました。一つが、たしかチャータード・バンク……(上田(清)委員「もういいです、それは知っていますから」と呼ぶ)いずれにしても、そういうものを要素として十分考慮に入れて融資決定をした。その三件とも、実際にお金を出す場合は、担当部局はちゃんとチェックをして、それでお金が出ているわけです。そんなことは一々総裁には報告はしておりません。しかし、問題なく回収ができたわけであります。第四回目も同じような扱いで、当然担当部局がチェックしている、こういう前提で話が進んでいたと。それがそうでなかったということで、私は前回、全くびっくりいたしましたと、こういうふうに申し上げたわけです。  私が責任を回避しているというふうに言われましたけれども、決してそうではないというふうに申し上げたいと思います。
  40. 上田清司

    上田(清)委員 それが責任を回避しているというのですよ。  部下の部分に重大な瑕疵があった、重大な過失があった、そのことに関して、では、部下に対してどういう御処分をされたのか、それから、その処分に対して自分自身がどういう責任をとられたのか、おっしゃってください。
  41. 西垣昭

    ○西垣参考人 お答えいたします。  本件の貸し付け実行に係る責任者は、九五年十一月にこの事業推進者でありました日盛産業が経営破綻いたしまして和議開始の申し立てをいたしましたその後、担保措置を十分に講じないで貸し付け実行を行っていたという事実を報告してまいりました。それから間もなく、辞意を表明してまいりました。  しかし、私といたしましては、やめたから済むという話ではないわけなのでありまして、辞意をお預かりして、処分問題も一時保留をいたしまして、むしろ、経済協力案件であります本事業をあらゆる手段を講じて再建をして、再建することによって貸付金債権の確保を図ろう、そのためには、基金内で、事業内容、経緯に最も通暁していた本人に対しまして、日盛産業にかわるパートナーを探すなど、善後策に最善の努力を傾注するように指示をいたしました。  しかし、本人は本当に一生懸命やりましたが、関係業界への本人の懸命な働きかけも、残念ながら、功を奏しませんでした。一年以上の期間を経ましても日盛産業にかわるパートナーが見つからない上、ことしのシラス購入シーズンも逸してしまいましたから、そういったことから、本事業の再建は極めて困難と判断せざるを得ないということになりました。そこで、基金といたしましても、借入人に対する一括繰り上げ弁済、これをことしの五月八日に請求いたしまして、事業の再建という従来の方針から、基本的に貸付金の回収に重点を移すということを決めたわけであります。  貸付金の回収につきましても、本件の経緯、事情に詳しい同人が適当であるという考えもあったわけでありますが、今後の債権回収についてはなお相当の時間を要すると判断されますので、これを断念いたしまして、権限を移譲されていた職員が実務上の事務手続において不適切な処理を行ったことにつきまして、早急に結論を出して、厳正に対処することとしたい、こういうふうに考えております。
  42. 上田清司

    上田(清)委員 総裁自身の責任については言及されておりません。  それから、清川理事に伺いますが、いわゆる海外投融資事業で、所要資金の七〇%限度枠をもって融資するということになっております。これは法律ですか、それとも内規ですか。
  43. 清川佑二

    ○清川参考人 お答え申し上げます。  内規によりまして融資の限度を決めております。
  44. 上田清司

    上田(清)委員 そうすると、第四次の柏塘養鰻事業は、七〇%以内だったのですか。
  45. 清川佑二

    ○清川参考人 お答えいたします。  内規によりまして、原則として借入人の所要資金の七〇%を融資対象としておりますが、特に必要がある場合には八〇%まで融資をいたしております。  この事業につきまして、次のような理由から八〇%の融資をいたしております。  一つには、既存の養鰻場の建設を自己資金で既に先行投資しながら実施している、そういった借入人の投資負担の問題を考えております。第二には借入人が中小企業でございまして、企業規模から見て、投資額と市中銀行からの調達の関係を見ますとこのような問題があります。さらに、本件につきましては、養鰻の試験、これを自己資金で実施をいたしておるというようなこともございまして、このような投資を含めまして多くの投資を必要とするということから、八〇%の融資をいたしました。
  46. 上田清司

    上田(清)委員 破綻したような融資事業に、特別に八〇%の融資をしております。  総務庁が出した、行政監察局の「経済協力に関する行政監察結果報告書」の中でも、OECF民間セクターの開発融資に対する案内を引き写しされまして、ちゃんとこの中のマニュアルにおいても融資限度額は七〇%だと書いてあります。  経済企画庁長官にお伺いしたいと思いますが、この限度額は、一般のマニュアルで七〇%というふうに決めております。しかし、この柏塘有限公司の投資事業に関しては八〇%出しております。しかもこれは、破綻して一切回収ができないという状況になっております。先ほど申し上げました経緯もございました。いかにもこれはずさん、ずさん、もう大いにこの限度を超えているような融資の仕方をしている、私はそう思います。  企画庁長官、この限度額を超えた、内規の七〇%以内という限度額を超えて特別の場合には八〇%もやっているというお話ですが、これは内規にもあるのか、書類としてそのことが書いてあるのか──待ってください、長官。中身がよくわからなければ調整局長でも結構ですけれども
  47. 土志田征一

    ○土志田政府委員 お答えをいたします。  確かに、原則としてというふうな内規になっていると承知をしておりまして、本件については、先ほど理事から説明がありましたように、その時点においてはいろいろな状況を考えて八〇%という判断をしたというふうに承知をしております。  ただ、結果としてということについては、その後、私どもも、問題があるということはたびたび指摘をしているところでございます。
  48. 上田清司

    上田(清)委員 内規の原則の七〇%を超え、銀行保証も取りつけずに融資をしているというこの事実が現にある。極めてずさんじゃありませんか、中身として。  それで、総裁の責任は何も言わなかったですよ。担当職員から辞意の表明があったのでとりあえず預かって、再建で走りなさい。しかし、再建をもうあきらめた。結果ももう出ております。残ったのは、十億五千万という回収し損なった国民の貴重な税金です。この間に、さまざまなミッションも出したりして、中間の監理報告なんかもさせています。膨大な費用がかかっていますよ、いろいろな意味で、それについてどういう責任をとられるのですか、総裁は。一言も言っていませんよ。お答えください。──メモは要りませんよ。
  49. 西垣昭

    ○西垣参考人 正確を期させていただきたいと思いますが、内部規定上、権限を委譲しております事項の決裁において職員に瑕疵があった場合に総裁の責任はどうだと。これは一般的には、当該授権を定めた規程自体の合理性、人事権者として法規違反を犯した者をその任に任じたことの合理性等の視点から判断されるもの、いわば善良の管理者の注意ということを十分守ったかどうかということだと思います。  今回、これらの点に照らして考えてみますと、第一に、当該授権を定めた専決規程の合理性については、基金では、貸し付け承諾時の重要事項については役員及び総裁の決裁を得ることになっておりますが、貸し付け承諾後の実務の事務手続につきましては、事務の合理化の観点から、重要度に応じ各部等に決裁権限を委譲しているものであって、そのこと自体、一般金融機関でも通例でありますし、特段問題となる点は見当たらないものと考えております。  次に、人事権者として法規違反を犯した者をその任に任じたことの合理性につきましても、当該職員のこれまでの勤務実績、勤務態度、豊富な業務経験等から適切な人物であると判断したものであって、特段の問題は見当たらないものと考えております。  しかしながら、私は、一九九〇年の基金総裁就任以来、基金全職員の長として、職員と苦楽をともにすることを信条としてきているところであります。これまで当該職員は、瘴癘地における勤務を含めまして、長年にわたり基金のために尽くしてきたところでありまして、このような職員を処分せざるを得ない事態に陥ったことは、断腸の思いであります。  自分としても、監督責任といった問題は問題として、当該職員に対する処分につきましては、この職員の悲しみと苦しみをどうして分かち合ったらいいか、あるいはこのような処分というのは基金三十何年の歴史で初めてのことでありまして、一般の職員がかたずをのんで心配しながら見守っているところであります。そういった職員たちの気持ちも自分の気持ちといたしまして、私自身、どうしたらいいかということを十分考えてみたいというふうに思っております。
  50. 草川昭三

    草川委員長 上田清司君にちょっと申し上げますが、ただいまの西垣参考人の答弁は、前回の決算委員会の答弁とほとんど同じでございますし、質問者への、責任の所在についての答弁を明確にいたしておりません。  それで、このまま押し問答しておりましても、これは質問者の満足のいく答弁にはならぬと思いますので、これは今、関係筆頭理事の御意見を聞き、後日また理事会で今後の方針を決めていきたいと思います。  でございますので、この問題はここでとりあえず保留にしていただいて、次の質問に移っていただきたい、このように思いますが、よろしゅうございますか。
  51. 上田清司

    上田(清)委員 はい。栗本筆頭理事並びに大口理事委員長の御配慮に感謝いたします。  それでは、先ほども総裁の答弁の中でも申しておられましたけれども、再建の努力をして、五月にいわば一括繰り上げ弁済の要求をなされた、これが九七年、本年の五月でございます。ところが、御承知のとおり、九五年の十一月に日盛産業は破産しております。ちょうどこの時期に、第四次、いわば柏塘事業の現地の養鰻池がほぼ完成された時期でありまして、中間監理のミッションが当地に行って大体九〇%程度の完成状況を確認してきたという御報告が、さきの決算委員会でもありました。  しかし、私が御指摘しましたように、本来この養鰻池に関連するボイラーであるとか発電機であるとか電気施設であるとか、あるいは施設の、小屋と言っては大変恐縮ですが、工場であるとかそういうものは一切できていない。ただ穴を掘って、語弊がありますけれども、コンクリートで埋めただけ。  十億五千万の使途について、破産状況から見てもこれはおかしいなと思って極めて丁寧に慎重にその使途状況を調べなければならないにもかかわらず、現実に調べ始めたのはことしになってからではありませんか。昨年の十二月に会計検査院に対して、利息の支払いが遅滞しているという御報告はあったけれども、実際に日盛産業、つまり本体であります日盛産業に対して何ら、この使途、目的に関しての追っかけ作業をやっていないじゃないですか。全面的に信頼しているという状況じゃないですか。これは常識からしておかしいと私は申し上げたい。この点について、いかが御見解ですか。
  52. 清川佑二

    ○清川参考人 資金の使途についての基金の解明努力についてのお尋ねでございます。  先ほどお話がありましたように、九五年の十一月に日盛産業による和議の申し立てがあったわけでございますが、基金といたしましては直ちに、日盛産業に九五年の十一月に資金使途の報告を求める書簡を発出いたしまして、また、日盛産業及び柏塘公司に説明を求めてきているわけでございます。  この段階におきまして、総額におきまして十二億八千二百万円に及ぶ説明でございますけれども、養鰻池の建設仮勘定に五億三百万円、その前払い金に三千四百万円、固定資産に二千七百万円、事業地土地使用権四億一千万円、受取勘定、シラス購入の前払い金に二億五千四百万円、開業費五千四百万円、以上の合計が十二億八千二百万円に及びますが、この一部として基金の融資十億五千万円を使用したという説明を受けたわけでございます。  これにつきましては、私どもは、資金の使途の裏づけとなる銀行間の資金の流れの証拠あるいは土木工事、設備などの支出のエビデンスを再三にわたりまして要求をしてしるわけでございますが、まだ得られていない段階でございます。  また、九五年十一月の和議開始後に数次にわたりまして現地にミッションを派遣いたしまして、この柏塘公司を訪問いたしております。また、恵州市政府も訪問いたしております。これは、当事業は日盛産業と恵州市の合弁事業でございまして、恵州市の水産局副局長がこの柏塘公司の社長である総経理を務めているという関係もございまして、市の関係事業であると私ども認識しているわけでございます。このような市の政府、柏塘事業の株主、このような方々との協議を行い、そして資金の使途についても説明を求めてきているわけでございます。  このような形で、基金といたしましては、債権回収の観点から何回も資金の使途の確認を求めているわけでございますが、再度資金の使途を確認するために、本年五月に、借入人に対しまして、そしてまた日盛産業に対しまして、資金の流れに関する資料の提出を改めて求めております。そしてまた、これが出てきておりませんので、引き続き督促状を出しているところでございます。  私どもといたしましては、さらに、六月には弁護士等から成ります現地調査団も派遣いたしまして、資金の使途の解明の努力を行っているところでございます。今後、この資金の使途について不正な使用があるというようなことが明らかになるような場合には、私どもといたしましては、法的措置を含めて対応策を講じていく、このようなつもりで取り組んでいるところでございます。
  53. 上田清司

    上田(清)委員 総理もお疲れのところ恐縮ですが、ODAに関しては、御承知のとおり我が国の外交の、ある意味では目玉でございます。また、世界一の予算規模を持った形での日本ODA支出が行われております。  経済企画庁長官にもお尋ねしたいのですが、先ほどからのお話のとおり、これは十億五千万という現地法人に対する直接投資で、そして限度枠をある程度超えてまで、なおかつ銀行の保証状もとらずに、こういういわばルール違反してまでも出した事業が破綻して、今日に至っておる。なおかつ、それからもう二年近くたつにもかかわらず、何ら回収の事業もできていない。そして、十億五千万の使途状況についても、現地の説明を聞いて いるだけで、実態として何一つ把握していない。これは極めてずさんな事業だ。なおかつ、フォローアップができていないとしか言いようがないと私は思っております。  総理経済企画庁長官にこの問題についての御見解と、そして、この問題をどんなふうに処分すべきか、あるいはどんなふうにしてこの問題をとらえていかなくてはならないのかを御答弁賜りたいというふうに思います。
  54. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 先ほどから御指摘になっておりました事業については、これを含めて四回ですが、これが始まる前、過去三回にわたっての事業というのは、それなりにうまくいってきた。  問題は、そのような仕事の成果を得て、ウナギを日本に輸入して、その輸入したウナギを国内において販売するルートを主にやっておられたのがこの日盛産業というところだと伺っておるところなんですが、この日盛産業その本体が、このウナギの事業以外の仕事に手を染めて、主にバブル関係、土地関係のものにたしか手を染めたと聞いております。それで資金繰りがうまくいかなくなって仕事ができなくなったというこの日盛産業本体の仕事と、こちらの現地の話とは少し分離してやらぬとちょっと公平さを欠くのではないかという感じはするのです。  その日盛産業自体の問題が起きて、現地のウナギの仕事の方がうまくいかなくなってきた、そのところにたまたま四回目の仕事がちょうど出てきた。その仕事の内容に関して従来の形と違っても、過去三回実績がそれなりに上がったものですから、まあ市も介入したことでもあるしということで、ここに直接融資をするという新しい融資の方法に当たっては、中国銀行の担保の保証を取りつけることになっておったのですが、それが、御指摘のあったように約三カ月少々、三カ月近くのずれがそこに出てきておるという結果になっておるのです。そこのところは、基本的にはもらうものをもらえるというのと、過去何回かの信用でそこはもらえるだろうという前提でそれをやったところに詰めの甘さがあったというところなんだと思います。  問題は、後から保証状はちゃんと来たのですが、その保証状の内容は、中国銀行に口座を開いて使わなければいかぬというところで、今まで過去の経過、中国銀行以外の銀行も使って、三カ月の間の時間差、結論そういったもので、中国銀行に今さら行けないという形になって、そこが中国銀行との融資の条件を満たすことにならなかったという経緯なんだと理解をいたしております。  いずれにいたしましても、そういったものが確認されない段階で融資をするような段階になったのは、これは明らかに手落ちと言われてもやむを得ぬところではないかなと、お話を伺いながら、また話をいろいろ調査をさせていた段階では、そういった感じがいたしております。  いずれにいたしましても、こういったようなミスというのは、現場ではいけるという──現場では、ある程度信用状況なり信頼関係で話は前に進んだんだと思いますけれども、こういったようなことが過去のその他の信用等を全部だめにすることにもなりましたし、いろいろな意味で今回のものは大変痛い教訓なのではないか、私どもはそう思っております。  いろいろ海外事業をするというのは、私も海外で何回か仕事をしたことがありますけれども、なかなか思ったようにはいかないところもあるのだとはよく理解できるところでありますけれども、この種の単純ミスに近いような話はまことにいただけぬところでありますので、今後ともこういったことがないように適切に指導していかなければならぬと思っております。
  55. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは、私は自分で海外で仕事をしたことがありませんので、麻生長官のように経験に基づいた御返事はできません。  六月十日の議員との議事録を最初に見せていただき、その後、第一回から第四回までの融資の実態をチャートに起こさせたものを見てみました。第一回から第二回が同じ形態、第一回、第二回と第三回とは、既にその手法が異なっております。そして第四回目の今問題になっておるものは、明らかに中国銀行の保証というものが不成立であれば成立をしない形態だと私は思います。にもかかわらず、その中国銀行の保証を受けないままに融資が先行したということは、私は、どう言われてもそれだけの責任はあるケース、遺憾だと申し上げる以外にないケースだと思います。  企画庁長官海外での経験をみずから語られましたから、そうした経験を生かして、こうした事態にきちんと対処してくれるであろうことを私は信じたいと思います。
  56. 上田清司

    上田(清)委員 時間ですので終わります。ありがとうございました。
  57. 草川昭三

    草川委員長 次に、辻一彦君。
  58. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この前、総理に対しても総括で原子力について二、三質問したのですが、きょうも、最後でありますので、原子力問題についてお尋ねをしたいと思います。  それは、この二年間、六年度、七年度を顧みると、「もんじゅ」から東海の再処理工場、そして「ふげん」というように、一連の原子力の、動燃を中心としたいろいろな問題が起きておりますので、そういう意味で、締めくくりに原子力関係を尋ねたいと思っております。  まず、総理一つお尋ねしたいのですが、四月に、「ふげん」がいろいろ問題があるということで原子炉の停止を命じたのですね。これは、安全上に問題があって原子炉を停止させた以外では異例の措置ということになりますが、内閣総理大臣の名によって科技庁長官を通して命令されておるわけです。どういう根拠で、そしてどういうねらいを持って原子炉停止を命じたのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  59. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私がこの命令を出しましたその根拠と申しますものは、動力炉・核燃料開発事業団法第四十条第二項の規定に基づいたものであります。  そして、まさに議員から御指摘のありましたように、事態は、事故と申しますか、そのこと自体を問題としたのではなく、四月にこの事件、重水の漏えいだったわけでありますけれども、「もんじゅ」の事故あるいは東海における火災爆発事故の教訓が依然として生かされないままに、動燃事業団から関係機関への通報連絡が丸一日以上おくれるという事態でありました。こうした状態でそのまま運転を続けておりまして同じ過ちを繰り返された場合どうなるか、そうした思いから、一たん「ふげん」の運転を停止した上で、情報連絡体制について徹底的に点検し、改善を図るように指示する、これが私の指示したことであります。  もし、これが、その日即座に通報を受け、そしてその連絡がきちんと流されておりましたなら、あるいはこのような処置はとらなかったかもしれません。しかし、「もんじゅ」、そして東海村と連続する中におきまして、なおかつこの重水漏えいという問題について関係機関への連絡通報というものが一日以上おくれる、これは一度情報連絡体制というものを見直させる必要がある、真剣にそのように思いました。
  60. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この問題は、詳しいことを聞くのは、きょうはその論議の時間もないと思いますから割愛しますが、定期検査が八月八日に三カ月の予定で始まりますが、その前に、二カ月前ですが、非常に急いで今度はまた原子炉起動を指示しているのですが、これはどういう理由によるのか、簡潔で結構ですからお尋ねいたしたい。
  61. 加藤康宏

    ○加藤(康)政府委員 「ふげん」をとめました理由につきましては、総理から今お話がございました。  その後、約五十日間かかりまして、動燃事業団では情報伝達体制の改善をいろいろ図ってまいりました。その結果につきまして六月三日に動燃事業団から正式に報告がございまして、その内容が妥当である、こう判断いたしましたので、また、もとの運転状態に戻させていただきました。
  62. 辻一彦

    ○辻(一)委員 その論議はここでは割愛しますが、今、立地の県、また立地の市町村は、「ふげん」についてはこれからどうするのかという目的を明らかにしてほしいということと、それから、このままでいくと立地の原子力発電所の貯蔵所に、プールの中に使用済み燃料がどんどんたまって、いつ持ち出してくれるのかわからぬ、そういう点で非常な不安といいますか、あるいは問題を持っておりますが、まず、この目的を明確にするということが大事であると思います。  というのは、御承知のとおり、ATRいわゆる「ふげん」は新型転換炉の実証炉の道を開く原型炉で、実験炉、原型炉であったわけで、しかし、電力業界はコストが高くつくというので新型転換炉の開発を中止をした。そうなると、その開発を目指しての研究炉の第一の目的は終わったと言わざるを得ない。その中で、さらに急に慌てて点検二カ月前に動かす。これからどうするかということについてはっきりさせてほしいというのが非常に強い問題であると思いますが、これについてどうお考えか、科技庁長官にお尋ねしたい。
  63. 加藤康宏

    ○加藤(康)政府委員 先生御指摘のように、今後の「ふげん」の扱い、これにつきましては、地元からも明確にするようにという要請が来ております。  御指摘のようこ、「ふげん」につきましては、平成七年八月の原子力委員会決定によりまして新型転換炉の実証計画が中止されたことによりまして、役割が変わったわけでございますが、その以降、核燃料サイクルの進展に資する研究開発の一環として生かしていきたいということで、地元とお話を始めたところでございます。そのやさきに「もんじゅ」の事故が起こりまして、その調整につきましても中断しております。  現在におきましては、科技庁に設けました動燃改革検討委員会におきまして、「ふげん」も含めました動燃の業務全般につきましての検討を行っていただいておりまして、そこで「ふげん」の今後の扱いについても明らかにしていきたいと考える次第でございます。
  64. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これは総理にも見解をお尋ねしたいのですが、世界の大きな原子炉事故、チェルノブイリ、スリーマイル等を見ると、原子力政策が揺れたとき、動揺しているときに、やはり研究者、従事者の緩みといいますか不安定感、そういうもののヒューマン的な関係から事故を起こした例もかなり多いと私は思うのです。そういう点で、「ふげん」をどうするのかということをはっきりさせないと、あそこに働いている研究者、技術家というのは、随分と蓄積した研究技術を持っておるのですが、こういう人たちが非常に不安定感を持つ、これは私は非常に大きな問題ではないかと思います。そういう意味で、一日も早く「ふげん」をどうするかということを明確にすべきであると思いますが、いかがでしょう。
  65. 近岡理一郎

    ○近岡国務大臣 原子力施設を運転するに当たりましてまず一番大事なことは、安全確保に努めることだと思います。したがいまして、原子力事業者の当然の責任でありますし、動燃におきましても、施設の運転管理につきまして、改めて安全の確保に万全を期すことが重要だと思っております。  したがいまして、先ほど局長からもお答えしたわけでありますが、「ふげん」の今後のあり方につきましては、現在、科学技術庁におきまして、動燃改革検討委員会で、動燃の業務全般にわたって抜本的な改革を図るべく論議が進められております。きょうも第四回目が行われております。そういった議論を踏まえながら、また地元の意向も十分伺うことが大事だと思っておりますし、そういった意味で、早期にあり方を明らかにしてまいりたい、このように思います。
  66. 辻一彦

    ○辻(一)委員 早期というのは、時期をやはりはっきりさす必要があると思いますが、およそいつごろを考えておるのか、伺いたい。
  67. 近岡理一郎

    ○近岡国務大臣 今申し上げましたとおり、改革検討委員会では、七月末までには最終結論を出したい、しかし基本的な根幹だけは、実はきょう吉川座長試案を提示するようになっておりますし、できるだけ早い機会に道筋を立てたいと思っております。行政改革会議、あるいはまた党の方の推進本部の方、あるいは政調会の各部会の進みぐあい等も十分に論議の参考にしながらこの問題に取り組んでまいりたい、このように思います。
  68. 辻一彦

    ○辻(一)委員 研究者や技術者がやはり安定した気持ちを持ってこの仕事に専念できるような条件を早く明確にさすということが大事でありますから、強く要望しておきたいと思います。  そこで、「ふげん」の問題は、実はその使用済み燃料がたまってもう満杯になっている、このままでいくと、持ち出すことができないと、「ふげん」はそういう面からとめざるを得ないという状況にありますが、どうする考えか、簡単で結構ですから伺いたい。
  69. 加藤康宏

    ○加藤(康)政府委員 御指摘のように、「ふげん」につきましては使用済み燃料のプールがかなりいっぱいになっている状況でございます。本年度夏に予定されています定期検査時には、全体二百二十四体ございますが、そのうちの四十体の燃料交換が行われる予定でございますので、その使用済み燃料について適切な対策をとる必要がございます。  現在では、現在のプールに一炉心分余裕がございます。幸い「ふげん」は、軽水炉と違いまして、一つ一つの燃料が圧力管と申しますか圧力容器のようなものに入っておりますので、二百二十四体分、全部のプールをあけておく必要もないではないかという、そういう可能性、それから東海の再処理工場の使用済み燃料のプールにも余裕はございますので、そういうところに搬出できないか、そういうことも含めまして、関係自治体とも相談しながらそういうことにつきましては適切に対応していきたいと考えている次第でございます。
  70. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この安全問題については、論議をすればいろいろ問題がありますが、またそれは別の機会に譲りたいと思います。  ただ、申し上げておきたいのは、原子力の安全というのは、多重防護とそして安全にゆとりを持つというのがかなめであると思います。そういう意味で、実は有力な原子力委員がかつて、ECCS、緊急冷却装置等は、あんな太いパイプが切れるようなことは考えられないのだから要らないのじゃないかというような御発言があって、私たちも非常に批判をしたことがありますが、その後のチェルノブイリの事実と、現に美浜の発電所に日本で初めて緊急冷却装置が作動したというこの事実を見れば、これは、多重防護とそしてゆとりを持つことが安全上大事であることを示しておると思います。  そこで、そういうお話はもう消えましたが、今の原子力局長の話を聞くと、普通の軽水炉ならば一炉心分をちゃんとあけておかなければいかぬが、形が違うのだから違うというような、要するにこういうお話でありますが、私は、大地震が起きたときに保管をするプールは恐らくAで、大きい地震に対応できるようにしている、しかし水を循環さす冷却水、これはB構造になっていると思います。そうしますと、万が一大地震で冷却水のパイプが切れた、次の水が来る期間にゆとりがないと安全上極めて大きな問題を起こす、そういう意味で、安全の点からいえばゆとりを狭めるべきではない、ひとつこのことを強く警告をしておきたいと思います。論議は次の機会に移します。  それから、この使用済み燃料の問題は、「ふげん」だけではなしに、全部の立地の府県やあるいは立地市町村の大きな問題になっております。  委員長、ちょっと資料を配付させていただけますか。よろしいでしょうか。
  71. 草川昭三

    草川委員長 はい、どうぞ。
  72. 辻一彦

    ○辻(一)委員 皆さんのところに差し上げてあります一覧表を、ちょっと閣僚席の皆さんもごらんをいただきたいと思います。  それを見ると、今、端的に言って、中ほどの関西電力の大飯は、貯蔵能力は八百四十トン、それに対して既に貯蔵量は二百七十トンで、一回の交換量は百二十トンずつ要るというわけですから、これは去年の三月の終わりですから、もう今になれば、百二十トンをプラスすれば、二百七十ト ン、百二十トンで三百九十トン、約四百トン。だから、大飯の百万キロのあの原発は、あと三年半でプールはいっぱいになって、このままでいけば発電所はとまってしまうということになりかねない。  また、その一番下にある日本原電のそれを見ますと、同様の論理からいきますと、二年半しかもう余裕はないということです。  だから、これをどうするかということをはっきりしないと、残念ながらこの発電所をとめざるを得ないことに追い込まれかねないのですが、どうする考えか、端的にお尋ねしたい。
  73. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今委員指摘のとおり、この発電所から発生する使用済み燃料については、プルトニウムを含む有用な資源であることから、再処理するまでの間、発電所内に適切に保管することが必要だと思います。  原子力発電が増大する中で、海外への再処理のための使用済み燃料の搬出はおおむね終了していること等から、発電所内の貯蔵量は累積しつつあり、貯蔵能力の増強が必要でございます。他方、発電所立地自治体は貯蔵の長期化というものを非常に心配しております。  そういうことで、これからは各電気事業者は、使用済み燃料を再処理のため六ケ所村再処理施設に搬出することになっておりますが、こうした搬出を円滑に行う観点からも、六ケ所再処理施設、プルサーマル等当面推進すべき核燃料サイクル事業、これを着実に実施するということが重要であろう、かように考えております。
  74. 辻一彦

    ○辻(一)委員 いや、今私がお尋ねしたのは、大飯と日本原電はもう三年半か二年半たてばいっぱいになって、処置ができないと動かなくなりますよ、緊急をどうするのかと、このことをお尋ねしているのです。
  75. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今申したように、非常に増大しておりますので、福井の敦賀の発電所と大飯の発電所等、一部の発電所では二〇〇〇年過ぎにも貯蔵の施設が不足する、こういうように思われます。  そこで、この使用済み燃料の貯蔵をいかにして確保するかは原子力発電所の運転に直接かかわる重要な問題でございまして、このため、総合エネルギー調査会原子力部会においても、敦賀市、大飯町を初め地元自治体に意見を聞きながら検討してきたところでございます。その結果、本年一月の部会報告において、当面、発電所内に貯蔵すべく地元自治体の理解を得るよう努力するとともに、長期的には、二〇一〇年をめどに発電所外貯蔵が可能となるよう所要の環境整備を行うことが重要であり、早急に検討に着手すべきという指摘がございました。その後、二月四日の閣議了解においても、同様な方針というものが確認されております。  こうした政府の方針については、閣議終了後、福井県知事、敦賀市長、大飯町長等に直接説明して、協力要請を行っております。  一方、電気事業者は、かねてよりサイト内の貯蔵施設の能力増強の計画について地元自治体に説明を行っており、福井県の敦賀市及び大飯町の発電所の貯蔵能力の増強については、昨日、電気事業者が福井県と敦賀市及び大飯町に正式に申し入れたと承知しております。  そういうことで、早急に地元の理解が得られることを期待しておりますので、委員の方もひとつよろしくお願いいたします。
  76. 辻一彦

    ○辻(一)委員 当面は、大飯原発それから日本原電に保管のプールを増設、あるいはいろいろなやり方によって貯蔵できるようにしたいということでありますが、今立地の県としては、まず第一に、その了解の前に将来一体どうするのだということをはっきりさせてほしい、それが必要なことだ、こう言っておるのですね。それがはっきりしなければなかなか同意ができませんよと言っていますね。これは御承知のとおりだと思うのです。  新しい使用済み燃料を保管をするために、水槽、プールを増設するとか、間隔を云々するとか、いろいろあるのでしょうが、そういうことをやるとすれば設置変更の願いが必要であり、それには安全審査をやらねばいかぬ。安全審査をやる手続をとるためには、事前に地元の立地の県や市町村の同意がなくてはならないというのですね。しかし、その同意のためにはまず長期的に、例えば今言ったように中間的な設備であるとか、そういうものをどうするかということを明確にしてくれなければ同意ができませんよと言っているのですね。その同意が得られなければ、プールができなければ、二年半か三年半で手を上げてしまうということになる。だから、それに対して一体どう考えておるのかということをお尋ねしたいと思います。
  77. 江崎格

    ○江崎政府委員 使用済み燃料の問題でございますけれども、現在、使用済み燃料は年間九百トンぐらい発生しておりまして、今後を考えますと、この使用済み燃料の発生量はこれよりさらに増加をしていくということが考えられます。一方、六ケ所村の再処理施設の処理能力でございますが、年間八百トンぐらいというのを想定しておりまして、これを上回る量が出るわけでございます。したがいまして、長期的にこの使用済み燃料の貯蔵量が増大していくわけでございますけれども、各発電所の貯蔵能力などにもよりますが、二〇一〇年ごろからは、多くの発電所で貯蔵能力の増強等新しい対策が必要になるというふうに認識をしております。  ことしの一月に取りまとめられました総合エネルギー調査会原子力部会の報告におきましては、こうした状況ですとか、あるいは使用済み燃料貯蔵の長期化への地元自治体の懸念というようなことを踏まえまして、二〇一〇年ごろを目途に発電所外貯蔵も可能となるよう所要の環境整備を行うことが重要であり、早急に検討に着手すべきであるということが指摘されておりまして、その後の閣議了解におきましてもこの旨が確認されております。  こうした基本的な方針に基づきまして、私ども科学技術庁、それと電気事業者によりまして、使用済み燃料貯蔵対策検討会というものを三月に設置をいたしました。そこで、安全性とか事業形態あるいは地域との関係等、発電所の外における貯蔵にかかわる種々の課題につきまして検討を始めたところでございます。  原子力発電の長期的な発展を図るためには、使用済み燃料対策というのは極めて重要だというふうに私ども認識しておりまして、二〇一〇年ごろの発電所外の貯蔵の実現に向けまして、今後最大限の努力をしたいと思っております。こうしたことで地元の御理解を得ていきたいというふうに思っております。
  78. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それでは答えにならない。私が聞いているのは、当面の応急措置をするために同意が要るが、その同意を得るためには長期にわたる発電所外の、敷地外の貯蔵設備をどうするかということをはっきりさせてほしいということなんですが、それには何も答えていないですね。そういうことではなかなか地元の同意をとるわけにはいかないだろうと私は思う。だから、発電所外で、敷地外で中間的に貯蔵するならいつごろそのことをやるのか、こういうことも明確にしなければ、今毎日いっぱいたまり続ける燃料を抱えている立地県や市町村はなかなか同意に応ずるわけにはいかないと思うのです。そのことを、端的で結構だから、いつごろそういうことをやるのかはっきり聞かせていただきたい。
  79. 江崎格

    ○江崎政府委員 今御説明しました検討会におきまして、二〇一〇年をめどに、つまりこれに間に合うように中間貯蔵のサイト外の貯蔵というものを考えていきたいというふうに思っております。  まだ具体的な立地地点については決まっておりませんが、最大限の努力をして二〇一〇年に間に合うようにしたいというふうに思っております。
  80. 辻一彦

    ○辻(一)委員 そういうのは、閣議了解であり、あるいは検討委員会で決めましたと言ったって、今これだけの不信感を和らげることにはならないと私は思うのですよ。明確に、何年度に敷地内にある燃料棒を移しますとか、搬出するとか、それまでに敷地外の貯蔵設備をどこにつくるか、どこにということは難しいがいつまでにそれをやるか、少なくも法律の中にそれぐらいは書き込むぐらいの覚悟がなければ、問題は解決しない。安易に考えていると発電所はとまることになりますが、事の重大性を通産大臣総理は御理解されているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  81. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今、委員が御指摘のように、これは我々としても大変重大な問題という認識を持っております。ただ、率直に言って、動燃のああしたような問題が発生をしまして、やはり地元の方々、国民の方々の御理解というもの、これに時間をかけなければいけないだろう、実はこういうような認識を持っておりまして、今すぐ何年までにということはなかなか出せないのが現況でございますが、問題意識というものは十分に認識しております。
  82. 辻一彦

    ○辻(一)委員 総理にお尋ねしたいのですが、今や、エネルギーや電気を湯水のごとく使うという時期はもう過ぎたと思うのですね。やはりいろいろなことを考えれば、当面原子力発電に一定の依存をせざるを得ないのも事実であると思うのですが、それをやれば、これはアメリカがやっているようにワンススルーで使い捨てをやるにしても、使用済み燃料というもので環境の負荷が出てくる。  では、今我が国やフランスやドイツがやろうとしている、いわゆる再処理によってプルトニウムを分離をしてそれを生かそうとする、しかしそれはさらに複雑な、貯蔵のためには困難な、保管に困難な廃棄物をやはり新たに生み出してくる。そのプルトニウムをプルサーマルで使おうとする。そうすると、使った後の使用済み燃料はもっと複雑な形で廃棄物として残っていく。  こういうような形でずっと残っていくことを見れば、エネルギーをもう湯水のように安易に使う時期は過ぎている。このエネルギーの問題を考えれば、国民全体がやはりこれについて痛みを分け合うというだけの覚悟をそれぞれ理解しなければいけないときに来ているのではないか。  私は、これは沖縄の基地問題と同じだと思うのですね。沖縄の基地はなくなるのが一番いい。しかし、今すぐにそれができなければ、縮小する。それは、沖縄だけに負担をかけて済むわけではない、本土もそれだけの痛みを分け合わなくてはならない、これが基地問題だと思うのです。  今、原発の立地県が抱えている問題は、これと共通している問題がある。今は国民がそういう痛みを分け合う必要がある、ここに来ていると思いますが、これについての総理の認識をひとつお尋ねしたい。
  83. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 委員は非常にこの問題を研究しておられますので、私の答弁で満足していただけるかどうかわかりませんけれども、少なくとも、原子力発電に伴って発生をいたします使用済み燃料、この取り扱いは最終的には、直接処分をするか再処分をするか、二つの方法しかないことは自明の理であります。ですから、全量の再処理を仮に行わないというような考え方をとりました場合には、残った使用済み燃料の直接処分をどう行うかという問題に直面しなければなりません。  資源に乏しい我が国の立場からいたしますならば、やはり将来にわたるエネルギーの安定確保とともに、放射性廃棄物の環境への負荷の低減という観点をとりましても、発生した使用済み燃料の全量をやはり再処理して、回収されたプルトニウムなどを再び核燃料として有効利用する、こうした政策は今後ともに私は必要だと考えておりますし、そのような思いで、先般、閣議了解もこれに与えたわけであります。  私は、議員がおっしゃりたいお気持ちがわからないのではありません。  先般、東海村の動燃で問題が起きましたとき、梶山官房長官は、御自宅から本当に十数キロしか離れていない場所、そして今まで自分がこれを推進してきた、そんな立場から、動燃の対応というものに対して非常に厳しい視点を持って対処をしていかれました。  往々にして、大消費地の住民、これは実はエネルギーばかりではありません、廃棄物なんかでもそうなんですけれども、自分たちの暮らしを支えている、そのために影響を受けている人々がどこかにいる、そうしたことをよく忘れます。これは間違いなしに、議員が指摘をされましたように問題ですし、国民全体がこうした認識を持たなければならないというその御指摘は、その限りにおいて私は正しい御指摘だと思います。しかし、それは原子力発電のみならず、廃棄物の処理でも同じことが言えると私は思うのです。  そういうことを考えますと、例えば今私どもがこうして国会で議論をいたしております東京、我々も自分の郷里だけではなく東京で暮らす時間が長いわけでありますけれども、その東京の生活というものを支えているエネルギーがどこから来るのか、それはだれかに犠牲を負わせていないのか、我々が無意識に捨てているごみは果たしてだれが処理しているのか、どこでそれを処理しているのか、国民的な受けとめとして真剣に考えるべきテーマである、議員の御指摘に、私は全く異論はありません。
  84. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この問題はもう少し論議をしたいのですが、残念ながらもうあと二、三分で終わりますから、最後に一つ、これはもう一度総理に伺いたいのです。  一連の動燃の、「もんじゅ」、東海村の再処理工場、「ふげん」と事故がある。こういう中で、安全に、監督に責任を持つ科学技術庁のあり方も問われているときであろうと私は思います。原子力の推進と規制ということについて、二つに分けてやるべきではないか。厳しさを十分持ち得ない一因は、一つの役所の中に推進側と規制、この両方を一緒にやっているところに問題が大きくあるのではないか。  アメリカは原子力委員会を分けて、原子力規制委員会という強力な行政委員会をつくった。これはこの前お話ししましたから、詳しくは申し上げません。またフランスは、原子力庁という推進側と、役所を二つに分けて原子力施設安全局というところをやっている。これを見ると、大きな流れは、分離独立をさせていると思うのです。  我が国も、この時期、しかも行政改革をこれだけやっている大きなときに、科学技術庁の持つ安全局、それから通産省エネ庁の持つ原子力問題の関係、運輸省の持つ核輸送の問題等々を統括して、第三条による行政委員会によるか、あるいは役所を別にして原子力安全庁等によってこれを統括して一元的にやる、そういう時期に来ておるのではないかと思いますが、今、行革という大事な組織の組みかえのこの時期に、あえて総理に一言、これをお尋ねしておきたいと思います。
  85. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 多分そういう御質問が出ることを想定して、事務方諸君が一〇〇%安全な答弁を書いております。しかし、これをそのまま読み上げるつもりはありません。  ただ、私は逆に一つ委員に申し上げたいと思いますのは、我が国は軍事利用の核を持たない国であるということであります。そしてその限りにおいて、米あるいは仏、これは当然ながら、平和利用の核についての行政組織を議員は例に挙げておられるわけでありますが、有形無形に軍事力の利用というものの影響を否定はできない組織であります。私は、それを横写しにすることが必ずしもベストだとは思いません。  そして、現時点におきまして、私は、行政庁から離れ、客観的かつ中立的な立場で原子力安全委員会がダブルチェックの機能はきちんと体制的に果たしていただいていると思いますが、体制が整備をされて、それで完全に安全が確保されるものでないことは言うまでもありません。むしろこれは、事故が起きた後のチェックに往々にしてなりがちであります。  今、行政改革全体の中で、原子力行政というものをどうとらえていくか、これはこれからの課題でありますけれども、確かに、推進業務と安全規制をいかに中立性を持ち、客観性を持たせるかという仕組みは、その中においても十分工夫をする必要がある、そのような思いで今の御提言をちょうだいしたいと思います。
  86. 辻一彦

    ○辻(一)委員 少しこの論議をしたいのですけれども、またの機会に譲りたいと思います。  どうもありがとうございました。
  87. 草川昭三

    草川委員長 次に、佐々木憲昭君。
  88. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  野村証券、第一勧銀の総会屋に対する利益供与の事件というのは、日本のトップクラスの企業の経営者が次々と逮捕されるということで、内外に大変大きな衝撃を与えております。  第一勧銀側の大蔵省検査に対する虚偽報告、これは極めて重大でありますけれども、同時に、大蔵省側が第一勧銀に対して一九九〇年、九四年の検査を行いましたが、その際にこの実態を掌握できなかったという問題がありました。なぜ掌握できなかったのか。この点についてまず最初に総理に、大蔵検査のどこに問題があったというふうに考えておられるか、お聞きしたいと思います。
  89. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 まず事実関係をお答えを申し上げます。  今委員指摘のとおり、大蔵省の第一勧銀に対します検査は一九九〇年ある、は九四年の二回、この一連の事件との関連では、この間、二回検査をしておるところでございます。  個別の金融機関の検査の中身ということでございますので、詳細なお答えは控えさせていただきます。また、現在捜査中という段階でございますし、あるいはまた、一勧みずからが内部調査の途中の段階でございますので、詳細なコメントは控えますが、この一連の取引に関しまして、第一勧銀みずから、この過去二回の検査に際しまして、本件債務者に関して抽出、分類を回避した、あるいはその疑念があって、調査中であるというふうにしているところでございます。  なお、我々の検査でございますが、一般論として申し上げますと、検査の対象となる事項は大変多岐にわたっているわけでございます。例えば、一勧の場合でございますと、一勧みずからがもう既に発表しておりますので申し上げることは可能かと思いますが、融資案件は百二十万件ということでございます。このため、すべてを悉皆調査というわけにはいきません。  検査官は最大限の努力をするわけでございますが、その中で一定の基準を設けまして、個別の取引につきまして問題がある、回収可能性等あるいは金融機関として融資に問題があるといったものについて、一定の基準を設けましてチェックをするわけでございますけれども、金融検査は、銀行法にもございますように、犯罪捜査を目的とするものであってはならないと明確にあるわけでございます。したがいまして、個々の取引を網羅的に調べ上げて個々の不正発見を主眼とするものではないということは、委員も御理解いただけることだと思います。  また、限られた検査人員の中で、限られた検査期間の中で、おのずから限界があるということも事実でございます。したがいまして、金融機関等の協力を求めまして、協力を前提に検査を行っているものでございますけれども、検査時における金融機関の適正な対応を担保するため、銀行法等に罰則が規定されているわけでございます。これは、海外でも同じでございます。  いずれにいたしましても、本件は現在捜査中あるいは当事者の調査中でございますので、事実関係の確定が先決でございます。それを待ちまして厳正に必要な対処をするということは、当然であろうかと存じます。
  90. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の答弁で、どこに問題があったかということについては明確なお答えがなかったように思います。  具体的に申しますと、例えば、野村証券事件の発端となりました、野村証券を含む四大証券の株式百二十万株を購入する資金となりました総会屋小池隆一の親族企業への三十一億円の融資、これにつきまして、大蔵省は一九九四年十月の検査の時点では報告を受けていた、しかし不良債権化していると判断し、償却が必要な資産に分類したとされております。しかし、それが総会屋関連企業への融資というように把握できなかった、報告を受けていたのにその内容について把握できなかった。なぜ把握できなかったのか、この点について大蔵大臣はどのようにお考えでしょうか。
  91. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。事実関係でございますので、お答えをさせていただきます。  六年十月の検査時でございますが、今御指摘のとおり、大蔵省の検査に際しましては、個別事案のことでございますが公表されておりますので申し上げさせていただきたいと思いますが、株式会社小甚ビルディングヘの融資に関しましては、資料は提出されました。その資料に基づきまして、検査官はその内容についてチェックをいたしました。ただし、銀行みずからが言っておりますように、小池嘉矩容疑者に対する融資につきましては、検査を、いろいろ方法を使いまして回避をしたということでございます。  この株式会社小甚ビルディングに対します融資につきましては、検査官は、この回収可能性等々について検査をいたしまして、不良資産というふうに認定をされましたものですから、適切に分類を行い、また、金融機関の方は、それを受けまして、翌年三月に、これは間接償却、有税でございますが、二十六億四千万円の償却を行った、こういう事実経過でございます。
  92. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 小甚ビルディングに対する融資三十一億円ということは、報告を受け、それをチェックした。チェックしたと言われますけれども、しかし、その小甚ビルディングの性格、その内容、ここについては明確な検査が行われていないと思うのです。  大体この小甚ビルディングというのは、資本金が四千五百万円で、小池容疑者が所有するマンションの一室に事務所があって、役員は実弟を含めて四人。全員が小池容疑者の親族である。不動産売買による収入はほとんどない。そういう会社に対して三十一億円という融資を行った。それをチェックした。チェックしながら、その実態について把握できなかった。  なぜそういうことが起こるのですか。
  93. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  これは第一勧銀みずからが公表をしているわけでございますけれども、御指摘の点に関しましては、第一勧銀みずから、検査官に適切な説明を行わなかった、検査官も最大限の努力をし、いろいろ質問をしたというふうに私も承知しておりますが、それに対して適切な説明は行わなかったというふうにみずから明言をされ、公表をされているところでございます。
  94. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 適切な説明を行わなかったからわからなかった。  しかし、例えば、一度に二十億円、三十億円、四十億円という巨額の融資を行い、その融資残高が百億円あるいは二百億円、こういう状況にある企業に対して、融資先の企業の実態、それをみずから調べなかった、あるいは、担保があるのかどうか、返済能力はどうか、返済状況はどうか、こういう点についても、大蔵省の検査の内容自身が、報告がなかったからということではやはり済まされない問題があると思うのです。その内容を具体的にチェックするというのが大蔵検査のあり方ではないでしょうか。
  95. 中川隆進

    中川(隆)政府委員 御指摘の案件につきましては、個別の案件でございますけれども、当時の検査官は、担保の状況、回収可能性の状況等について適正に検査をしたと私は思っておりますし、それを踏まえまして、回収可能性に疑問のある部分については厳正な償却引き当ての対応はするように指導をしたわけでございますけれども、一連の問題との関連については、銀行からは適切な説明がなかったわけでありますし、その他の小池嘉矩等個人、「コジン」という音が共通しますが、個人に対する融資については回避が行われた、いろいろな仕組みを使って回避が行われた、そういう事情にあったということも事実かと存じます。
  96. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 検査の内容そのものにやはり問題があったというふうに私は思います。  検査の内容の改善というのがやはりこの事件を契機に求められているというふうに思いますけれども、具体的にどのような改善策が必要なのか、罰則の強化というお話もありますけれども、その点について、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  97. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 具体的にと言われましても、私は検査の専門家ではございませんから、その手法まではわかりません。  しかし、金融監督庁が誕生させていただけることになれば、ここには、検査監督のいわばプロの集団を養成するわけであります。しかも、現時点においては想定し得ない新たな金融商品というものも、恐らく今後開発されていくでありましょう。こうしたものをも考えましたときに、当然ながら検査手法というものは、むしろ、彼らが専門家として開発をいたしましたその手法というものを公表してしまうことがベストなやり方だとは思いません。むしろ、万全を期して新たな手法を開発したならば、それを実際の検査のときに彼らが駆使してくれれば、そしてそれが国民の資産運用の安全を確保するものであれば、それでよいわけでありまして、手法をオープンにすること必ずしも、専門家がすべきことではないように私は思います。
  98. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 より厳密な改善を求めたいと思います。  次に、融資の問題であります。これは、銀行にとっては極めて厳密性を求められていることでありますが、政党に対する融資の問題であります。  六月五日の衆議院予算委員会での参考人質疑で、第一勧銀の近藤頭取に対しまして自民党の議員が、「あなたの上司の奥田会長が全銀協の会長のときに、自由民主党の融資を断った。」こういうふうに述べまして、私は大変奇異に感じたわけですけれども、そこで、自民党に対する銀行からの融資についてお聞きをしたいと思います。  自民党は、一九九〇年に第一勧銀を含む都市銀行九行から百五十億円、九三年に都銀八行から百億円の融資を受けているというふうに言われていますけれども、これは事実でしょうか。
  99. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私はそういう御質問があることを想定しておりませんでしたので、経理局長からそういう数字をもらっておりません。
  100. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 これは一般的にも既に報道されておりますし、九〇年、九三年というのは、総選挙の資金として銀行から融資を受けたということで、既にこれは客観的にだれも否定していない数字であります。  それで、銀行からの融資というのは極めて厳密なものだと私は思うわけであります。合計しますと二百五十億円でありますが、この融資を受ける際に、自民党としては当然担保を提供し、利子も払い、返済計画もつくっていると思いますけれども、その点はどのようになっているでしょうか。
  101. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は内閣総理大臣としてここに呼ばれておるのだと思っておりましたが、自由民主党総裁分につきましては、自民党の経理局から私はそこまで、あなたの御質問を前提に説明を聞いておりませんので、答弁をするだけ十分に細かいことを存じません。
  102. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 これは、これだけ大規模な融資が行われ、そしてその融資というものが選挙資金として総選挙のときに使われているわけであります。したがって、どのような状況で借りたのかという点について当然総裁としての橋本首相は認識していると私は思っておりますけれども、例えば担保を出しているのかいないのか、こういう事実は当然知っておられると思います。いかがでしょうか。
  103. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 その点では、マスコミの皆さんが毎日の私の行動を大変よく細かく報道してくれております。そして、ごらんをいただきますと、自由民主党総裁としての事務に費やす時間がほとんどないことにもお気づきでありましょう。内閣総理大臣としての仕事に集中をし、党務は幹事長以下に預けているのが実態でありまして、必要ならば、党の方にお問い合わせをいただけば結構であります。
  104. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 これは九〇年と九三年の融資についてなんです。現在の総理の問題ではないんです。
  105. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 九〇年と九三年はますます、私は総裁でございませんのでわかりません。
  106. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 しかし、現在自民党の最高幹部であり、最高責任者なわけですよね。当時も自民党の幹部であられたわけであります。担保を出しているのかいないのか、こういう点についてはっきりとお答え願いたいと私は思います。
  107. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、内閣総理大臣として呼ばれているのだと思いながらこの席に座りました。あなたは、自民党総裁として私を喚問されたのでありますか。(佐々木(憲)委員「喚問じゃありません、質問しているのです」と呼ぶ)であれば、自由民主党総裁としての私に対する御質問、殊に九〇年あるいは九三年は私は総裁ではございませんので、その当時のことを聞かれて、私はわかりません。
  108. 草川昭三

    草川委員長 佐々木委員にちょっと委員長から問題提起をします。  今、いわゆる事前通告のない御質問だということが一つ。それから、自民党という党に対する内部の質問を今されておるわけでございまして、我々は今、六年、七年の決算を審議しておりますので、その決算の内容について御質問があれば我々もどんどん進行させていただきたいと思うのですが、大変恐縮でございますが、若干私も、答弁──別に政府の味方をするつもりは全然ありませんが、ちょっと答弁がしづらいのではないかという感じがしますので、もし了解を得られるならば、本来の七年なり六年の決算の御質問に移っていただきたいということを委員長からお願いをしたいと思います。
  109. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 いや、私が質問させていただいたのは、銀行の融資のあり方との関連でお聞きをしたつもりなんですけれども、それでは、橋本総理自身の御発言に関連してお伺いをいたします。  昨年の二月でありますが、銀行からの献金について、献金は、住専問題などいろいろありますので自粛をするという発言をされました。現在でも、この自粛というのは変わりませんか。
  110. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、私自身が余り細かい点までを存じているわけではございませんので、先ほど来、古い話のお尋ねについてはそのように申しました。  九六年以降、住専問題等によりまして都銀、地銀、第二地銀、信託、生保よりの献金は自粛をしておると承知をいたしております。
  111. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 献金を受けているということですか。(橋本内閣総理大臣「自粛と申し上げたのです」と呼ぶ)ごめんなさい、自粛をされていると。それでは、これは今でも変わらないということですね。  そうしますと、報道によりますと、昨年末に、自民党の要請に基づいて銀行業界、都銀と長信銀十三行ですけれども、自民党に対して二億四千万円の政治献金を行ったということが報道されております。この献金は、経団連の仲介で全銀協が取りまとめて、融資の一部返済に充てられた、こういうふうに報道されていますけれども、これは事実ですね。
  112. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変恐縮でありますが、そこまで私は一々細かいものの報告を受けておりません。報告を受けておりませんというよりも、今とっさにお尋ねを受けてお答えをする資料を持ちません。  党の方の話は、どうぞ党の方にお尋ねください。
  113. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 これは、党の方のと言いますけれども、橋本総理自身が銀行からの献金を自粛するとおっしゃったわけですので、その関連でお聞きをしているわけであります。  それで、献金が実際に銀行業界から昨年末に行われた、これは献金に間違いないんじゃないでしょうか。
  114. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほど来繰り返し申し上げておりますが、私は内閣総理大臣として当委員会に呼ばれております。日本共産党が自由民主党に対してお尋ねのことがありますならば、どうぞ党の方にお尋ねください。
  115. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 私はどうも納得できないわけであります。つまり、銀行からの融資を受け、そして融資の返済のために銀行から献金を受ける。これが実際に、自粛をされたというその献金を再開したということになるのではないかという点を、橋本総理政治姿勢との関連でお伺いをしているわけであります。
  116. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変失礼ですが、私の政治姿勢と先ほどから言われますけれども、何でそういうお問い合わせになるのか、どうもよくわからないのです。党が借金の返済のために努力をしていることも事実です。同時に、九六年以降、住専問題などによりまして、都銀、地銀、第二地銀、信託、生保よりの献金、新たなものを自粛していることもまた事実です。ですから、それ以上どうしても御説明を自民党からお聞きになりたいのでありましたなら、日本共産党として自民党の方にお問い合わせください。私は内閣の責任者としてこの場に呼ばれている者、その立場でお答えをいたしております。
  117. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 私が質問させていただきましたのは、銀行融資のあり方との関連で、今いろいろな問題が議論になっているわけであります。つまり、融資というのがどういう形で行われているのか、これが問われているわけであります。国民全体が、銀行の融資のあり方について、なぜか、預金者がみずから預金をしているその資金がどのように使われているのかと。これとの関連で、今回の野村証券事件あるいは第一勧銀事件というのが起きているわけですから、そういうこととの関連で、銀行の融資というのは極めて厳密なものである、厳格にしなければならない。  そういう点で、例えば自民党が二回にわたって計二百五十億円融資を受けた。その融資というのは、正常にきちっと銀行の中で処理をされて融資されているのかどうかというのが問われているわけであります。つまり、この融資が、担保がない、あるいは返済計画がどうなっているのかが不明確である、こういう状況というのがいろいろ報道されているわけですので、その点について今お尋ねをしたわけでありまして、これは自民党の……
  118. 草川昭三

    草川委員長 佐々木委員に申し上げます。  時間が来たようでございますので、まとめてください。
  119. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 わかりました。もう終わります。  そういう意味でお尋ねをしているわけでありまして、真意を御理解をいただき、御答弁をいただければと思うわけであります。
  120. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 銀行がどのような姿勢でどのような融資を行っているかは、銀行にお尋ねをいただけばよいことであります。また、自民党について御議論、御質問がおありでありますならば、自由民主党にお問い合わせをいただけばいいことであります。内閣の関知することではありません。
  121. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 終わります。
  122. 草川昭三

    草川委員長 次に、岩國哲人君。
  123. 岩國哲人

    岩國委員 岩國哲人でございます。太陽党を代表して質問させていただきます。  私は最後の質問でありますけれども、一番最初の質問は総理にも少し御意見を伺いたいところがありますので、あと二分間だけお願いいたします。  最近橋本総理は、あらゆる政治命題の中で、財政改革行政改革、いろいろな案件の中で、熟慮された結果、首都移転、いわゆる首都機能移転についてはしばらく凍結あるいは先送りといった方針をお出しになりました。私は、こうした環境の中では大変時宜を得た適切な判断であったと賛成いたします。  その中で、つい二日前でありますけれども、自民党宮城県支部連合会から、このような立派な冊子が送られてきております。これは、首都機能移転を今こそやるべきだと。そして、これは自民党宮城県支部連合会の会長三塚博さんから私あての手紙であります。これを読みますと、六月十三日の日付、これは明らかに、総理としての決断を国民にお伝えになった日から後の日付、六月十三日であります。あらゆる課題の中で「最も重要かつ緊急な課題であると考えます。」と。この中を見ますと、これは大変立派な、今まで官公庁でおつくりになったものの中では一番微に入り細に入り、大変勉強になるものであります。  しかし、こういう時期に、そして国民のいろいろな財政改革に対する期待が盛り上がり、総理みずから指示された首都機能移転を先送りという苦しい決断をされた後で、予算を担当される大蔵大臣がこのような書類を国会議員にお配りになるということは一体どういうことなのか。  今、公共事業あり方公共事業予算あり方、あるいはそうした我田引水的な公共事業が多過ぎるというときに、国の財政を預かっておられる大蔵大臣みずから、自民党宮城県支部連合会の名前においてこのように立派なものをあちこちに配っていらっしゃるということについては、これは問題だと私は思います。総理の御意見をお伺いします。
  124. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 実は、私にはその。パンフレットを送ってくれていないものですから……(岩國委員「では、差し上げます」と呼ぶ)いや、刊行しておりますのは、それは国費を使ってのものでございましょうか、自由民主党のものでございましょうか。──それが自由民主党のものでありますなら、私は、党が党の各都道府県連にその活動を規制することはない、党の財政の中において、それだけのものを党活動の中で行うことを規制するものではないと思います。  そして、三塚大蔵大臣は、私以上に財政構造改革に厳しい姿勢をとっておられますので、幾ら御郷里がそういう運動をされたからといいまして、首都機能移転を促進され、地元に誘致しようなどということをお考えになるとは、私は思いません。
  125. 岩國哲人

    岩國委員 総理の最後のお言葉は、後ろを向いて言っていただきたかったと私は思います。  こういうことだからこそ、先ほどの佐々木議員の問題もあります。自民党の金の借り方についても、決して総理とは無関係ということではないのです。やはり自民党の最高幹部である以上は、銀行からの借り入れがどうなっておるか、これだけ問題になっておるときには、直接の責任者であろうとなかろうと、私は、そういう点については当然お調べになって頭の中にしっかりと答えを持っていらっしゃるはずだと思っております。  総理、大変お忙しいと思いますから、この辺で御退席いただいて結構でございます、答弁は私は求めておりませんので。  次に、公共事業あり方について、私は……
  126. 草川昭三

    草川委員長 よろしいですか。
  127. 岩國哲人

    岩國委員 いや、特に答弁は私は求めておりません。私はこういう資料を皆さんの前で御披歴申し上げまして、大蔵大臣であり、そして自民党の幹部である以上、どちらを優先してお考えになるのか、私はその点について問題であるということを指摘させていただきました。  そして、公共事業の支出についてお伺いいたします。  最近の諌早あるいは中海の公共事業を見ていますと、いろいろと途中で事業目的が変更されているものが非常に問題になっております。それは、時代環境の変化とともに事業目的が変わるということは当然のことであります。しかし、事業目的が変わった以上、予算委員会へもう一度持ち帰って、そこで、その変わった事業目的に応じてこの予算が適切かどうかを国会が審議するということは、国会の審議権を尊重する以上、当然のことではないかと思います。  一つの例を申し上げます。  中海干拓の中で、崎津干拓というのがございます。これは鳥取県に属し、そして米子市の中にありますけれども、この崎津干拓は、戦後農地が欲しいということで、五一年に農業団地として完成しております。ところが、塩害等の問題があって、結局農業用地としてはほとんど使われることがなく、六五年に今度は工業団地と名前を変えました。しかし、企業誘致にも成功せず、今度は八〇年にまた名前を変えております。今は九七年、地元でその土地を使って、馬券売場に使おうと。最初は農業で出発し、次に工業で使い、それから馬券売場という商業用地。六五年、八〇年、そして九五年と、十五年ごとに規則正しく事業目的が変更されておる、同じ土地を舞台にして。  一番最初は、市役所あるいは県庁、国が主体となってこの計画をつくったわけであります。士農工商という言葉があります。私の「シノウコウショウ」は武士の士ではなくて、行政の、市役所の市を使っております。まさにこの崎津工業団地あるいは崎津干拓は、市が始めて農が、そして工業、商業。市農工商を絵にかいたように、規則正しく十五年ごとに目的を変えて、そして今、住民反対も出ておりますけれども、馬券売場に使おうと。  最初の農地干拓はいつの間にか馬券売場、このような大きな事業目的の変更の中では、当然のことながら環境アセスのやり方も途中で変わったでありましょうし、何よりも、この国会で国会議員の皆さんが当時お決めになったのは、農業のための予算として予算が組まれたはずであります。それが工業団地に使われる、あるいは商業目的に使われる、あげくの果ては馬券売場に使われる。このようなことを地元で見ていますと、この国会というのは、一遍決めてしまったら、後は農水省が事業目的をどのように変更しようと、県庁がどのように変更しようと、自分たちの税金の行方については全くコントロールがきかない、そのような思いを持ってしまうものであります。  こうした、事業目的が変わった場合には予算等は再審議すべきではないかと思いますけれども大蔵大臣の御所見をお願いします。
  128. 三塚博

    ○三塚国務大臣 ただいま御指摘の案件については知悉をいたしておりません。御質問のときには、きちっと通告してくださいよ。そうすれば、きっちりとあなたの要望に、お答えを申し上げます。
  129. 岩國哲人

    岩國委員 それでは、この事業の担当官庁であります農水大臣にお答えいただけますでしょうか、あるいは政府委員の方でも結構であります。
  130. 草川昭三

    草川委員長 だれかいますか。
  131. 山本徹

    山本(徹)政府委員 ただいま先生御指摘の崎津地区でございますけれども、御指摘のとおり、この干拓地については、農地として当初配分されまして、水田等農地として利用されていたわけでございますが、その後、社会経済情勢の変化によりまして農地としての有効利用が図られないという判断、地元の御判断もございまして、諸法令に基づく適法な手続のもとで工業団地としての造成手続が行われたもので、これは適法であると考えております。  それで、その後、最近に至りまして、これは既に工業団地として造成されておりますので、御案内のとおり市街化区域に編入されております。市街化区域の土地につきましては、これは工場用地あるいは住宅用地等々に利用される、活用されるものでございまして、農林水産省としてはこれについて特別の御意見を申し上げる立場にないわけでございます。  私ども、いずれにしても、干拓についてはその目的に従って事業が実施されるということを期待しておるわけでございますが、その後の諸法令に基づく転用等については、崎津についても適法に処理されていると考えております。
  132. 岩國哲人

    岩國委員 私が期待しましたのは、質問の仕方も不十分だったと思いますが、こうした大きな公共事業が長い時間の流れの中で大きく変わっていった場合には、当然この場所に返ってきて、そして国民的なコンセンサスを、当然そのときには国会議員の顔ぶれも変わっているでありましょうし、やり直すことが今の国民の行政不信に対するこたえ方ではないかという問題意識を持って、私はこの質問をさせていただきました。通告がなされておらなかったということで、大臣の、そのようなことに対する政治家としての御答弁をいただけなかったのは残念であります。  今後は、そのような、事業目的が変われば──変え方については書類の上では適法であった、私はそういうことを期待しているのではありません。書類の上で不適正であったとか不法であったという指摘ではなくて、税金のあり方について、国会の審議権のあり方について、これが大変大きな問題であるということを申し上げたいと思います。  次に、地方自治体における会計検査のあり方についてお伺いしたいと思います。  平成六年及び平成七年、こうした年はいろいろと空出張、空会議等が各新聞等で報道されております。この中で、会計検査院として、平成六年、平成七年、北海道その他幾つかの限られた自治体を選んで特別検査をされたというふうに聞いておりますけれども、北海道以外にどういうところの自治体を特別検査の対象としてされたのか、都道府県の名前を挙げていただけませんか。都道府県名だけで結構です。
  133. 牛嶋博久

    牛嶋会計検査院説明員 お答えいたします。  先生お尋ねの、北海道以外の県としましては、大阪府、秋田県、茨城県、島根県、沖縄県でございます。(岩國委員「これは六年も七年も両方ですか」と呼ぶ)いえ、今の県は六年度でございます。六年度の食糧費の検査につきまして、以上の各県を検査しております。(岩國委員「七年については」と呼ぶ)  七年につきましては、各地でいわゆる空出張の問題が出てまいりましたので、各都道府県内におきまして内部調査が行われました。それで、その結果を見て検査するという方針を立てましたので、具体的に検査しましたのは北海道だけでございます。
  134. 岩國哲人

    岩國委員 平成年度予算執行について今島根県庁で、地元の新聞等でも大きく報道されておりますけれども、空出張、空会議、そして部門別では農林水産部を筆頭にして、それは外部から検査したのではなくて、自分たちのお手盛りの検査で、二年間で七億八千万円のそうした空出張、空会議、これは東京、大阪では七億八千万というのは大した問題じゃありませんけれども、ああいう小さな県では七億八千万円というのは非常に大きな金額であります。  これについて、会計検査院は立入検査をされたのかどうか。そうした報道はあるにもかかわらず、それ以後、会計検査院はちゃんとした責任者が一回も出張しておらないのかどうか、その点についてお答え願います。
  135. 牛嶋博久

    牛嶋会計検査院説明員 お答えいたします。  今回報道されています島根県の問題でございますが、本院としましては、特別にプロジェクトチームを編成して実地検査を行ったということはございません。しかし、先生御指摘のように、この件につきましては新聞等でたびたび報道されていますので、現在、島根県の担当者を呼んで説明を聞いたり、関係する資料の提出を求めるなどして、事実関係の把握に努めております。  そして、ほかの県はやってないのじゃないかというお話でございますが、私どもの基本方針としまして、今、地方自治体におきまして内部調査が継続して行われております、その結果を待ちまして、その内部調査の結果が妥当であったかどうか、国庫補助金に絡みます問題でありますれば国庫補助金の返還が適切に行われているかどうか、その点を、通常の検査の一環として検査を今後行いたい、そのように考えております。
  136. 岩國哲人

    岩國委員 今御答弁いただきましたけれども、私はそういう、各自治体からの報告を待ってとかいうことではなくて、各地各地で、島根県だけではなくてほかにも随分あるはずです、そうした空出張、空会議。  あるいは、島根県の場合には、平成年度末の、たった年度末の一日に文房具の発注が、わずか一日で半年分を発注しております。逆に言うと、三百六十四日間はずっと、文房具の半分に相当するものを発注しておらなかった。三月二十九日は金曜日、三十日は土曜日、三十一日は日曜日であります。中には日曜日の日付の発注書さえあった。私は、島根県庁がいつの間にか土日出勤をやっておるということは知っておりませんでした。恐らく年度末ということで、慌てて三十一日にやったと思います。こういうことについても、本当に出勤して三十一日の注文を出しておったのか、出勤もしないでそういうことが出ておったのか、こういった点も検査院としてはお調べになりましたか。
  137. 牛嶋博久

    牛嶋会計検査院説明員 お答えいたします。  島根県におきます年度末における事務用品の大量購入ということにつきまして新聞報道がなされておることは、私どもも承知しております。  ただ、それが国庫補助金に絡むものなのか、そうでないものなのか。単独のものですと、私どもの検査権限は及びません。しかし、そういう報道がなされておりますので、今後の島根県の実地検査に当たりましては、今先生が御指摘の点も十分踏まえまして検査を行ってまいりたい、そのように考えております。
  138. 岩國哲人

    岩國委員 地方分権の時代ということが言われ、国会全体としてもそういうことを一日も早く実現しようとしているときに、自治体においてこのような不正な支出あるいは適当でない支出が行われ、税金の使い方に対する不信感が、公共事業だけではなくて、役所の日常的な業務の中からも発生しているということは、これからの財政改革をやっていこうというときに大きな障害になるのじゃないかと思います。会計検査院というのは、国民の、税に対する、役所に対する不信感の一掃のためにも全力を挙げて立ち上がり、今こそ出番だという気持ちを持ってしっかりとやっていただきたいと私は思います。  現に、この島根県の場合には、他の自治体でもそうですけれども、市民オンブズマンが告発さえしております。市民が告発している問題について会計検査院がいまだに腰を上げない、積極的に出ていかない、新聞の隅っこにコメントさえも載らない。会計検査院という役所は一体何のために存在しているのか、そして、この決算委員会でそういうことが本当にきちっと審議されているのかどうか、国民の不信は満ち満ちておるということを申し上げておきます。  残念ながら、質疑時間がもう終了したようでありますので、ここで私の質問は終わらせていただきます。  御答弁ありがとうございました。
  139. 草川昭三

    草川委員長 これにて平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件についての質疑は終局いたしました。  大蔵大臣及び指摘事項に関係する国務大臣以外の大臣は、御退席いただいて結構でございます。     ─────────────
  140. 草川昭三

    草川委員長 平成年度決算についての議決案及び平成年度決算についての議決案は、おのおの理事会の協議に基づき、委員長において作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。  まず、平成年度決算についての議決案を朗読いたします。     議 決 案   平成年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につき、左のごとく議決すべきものと議決する。   本院は、平成年度決算について、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、次のとおり改善を要するものが認められるのは遺憾である。  一 予算の執行状況などからみて、所期の目的が十分達成されるようなお一層の努力を要する事項などが見受けられる。   次の事項がその主なものであるが、政府は、これらについて特に留意して適切な措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。   1 会計検査院の検査機能の充実については、昨年、本院において議決を行ったところであるが、会計検査院の検査及び調査の一層の充実を図り、本来の機能を発揮させるよう広汎な検討をなすべきである。   2 補助金の使用状況の的確な把握及びその目的の継続的有効性の点検の一層の充実を図り、補助金見直しを行うなど財政構造改革を強力に推進し、財政健全化に向けて早急に対策を講じるべきである。   3 三十八の特別会計については、一般会計と同様に効率化等の視点から厳しく予算査定を行うことにより、その見直しを行うべきである。   4 近年、厚生省に対する会計検査院指摘事項が第一位であることに鑑み、保険料の徴収や補助金の交付等については、適正及び効率性等の観点から厳重に注意すべきである。   5 今後の原子力行政に当たっては、特に動力炉・核燃料開発事業団の高速増殖原型炉もんじゅナトリウム漏えい事故、東海事業所火災・爆発事故及び新型転換炉原型炉ふげん重水漏えい事故等における教訓を踏まえ、情報を広く公開し失われた国民の信頼回復に向けて最大限の努力を払うべきである。  二 会計検査院が検査報告で指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。    政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講ずるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。  決算のうち、前記以外の事項については異議がない。   政府は、今後予算の作成並びに執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、行財政改革を強力に推進し、財政運営の健全化、行政の活性化・効率化を図るとともに決算の審査を通じて行政施策を監督、事後評価し、行財政執行の適正を期するという決算委員会の重要性に鑑み、本委員会の審査に一層配慮し、もって国民の信託にこたえるべきである。以上が平成年度決算についての議決案の内容であります。  次に、平成年度決算についての議決案でありますが、これは、平成年度決算についての議決案と同一内容でありますので、朗読を省略いたします。     ─────────────     議 決 案   平成年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につき、左のごとく議決すべきものと議決する。   本院は、平成年度決算について、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、次のとおり改善を要するものが認められるのは遺憾である。  一 予算の執行状況などからみて、所期の目的が十分達成されるようなお一層の努力を要する事項などが見受けられる。    次の事項がその生なものであるが、政府は、これらについて特に留意して適切な措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。   1 会計検査院の検査機能の充実については、昨年、本院において議決を行ったところであるが、会計検査院の検査及び調査の一層の充実を図り、本来の機能を発揮させるよう広汎な検討をなすべきである。   2 補助金の使用状況の的確な把握及びその目的の継続的有効性の点検の一層の充実を図り、補助金見直しを行うなど財政構造改革を強力に推進し、財政健全化に向けて早急に対策を講じるべきである。   3 三十八の特別会計については、一般会計と同様に効率化等の視点から厳しく予算査定を行うことにより、その見直しを行うべきである。   4 近年、厚生省に対する会計検査院指摘事項が第一位であることに鑑み、保険料の徴収や補助金の交付等については、適正及び効率性等の観点から厳重に注意すべきである。   5 今後の原子力行政に当たっては、特に動力炉・核燃料開発事業団の高速増殖原型炉もんじゅナトリウム漏えい事故、東海事業所火災・爆発事故及び新型転換炉原型炉ふげん重水漏えい事故等における教訓を踏まえ、情報を広く公開し失われた国民の信頼回復に向けて最大限の努力を払うべきである。  二 会計検査院が検査報告で指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。    政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講ずるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。  決算のうち、前記以外の事項については異議がない。   政府は、今後予算の作成並びに執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、行財政改革を強力に推進し、財政運営の健全化、行政の活性化・効率化を図るとともに決算の審査を通じて行政施策を監督、事後評価し、行財政執行の適正を期するという決算委員会の重要性に鑑み、本委員会の審査に一層配慮し、もって国民の信託にこたえるべきである。     ─────────────
  141. 草川昭三

    草川委員長 これより平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、これを許します。佐々木憲昭君。
  142. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、一九九四年度決算及び一九九五年度決算に関する議決案に対し、反対の討論を行います。  反対する理由の第一は、消費税の定着、継続を図りつつ、国民の切実な減税要求に対して、高所得者に厚く低所得者に薄い一律二割方式で赤字国債を財源とする臨時措置の所得税減税しか行わず、不公平な大企業優遇税制を温存した上、大企業優先の公共事業や大銀行、大企業の不良債権を買い取る公共用地の取得などのむだと浪費を上積みし、庶民に対する将来の大増税に大きく道を開いたことです。  第二に、年金大改悪、病院給食費の保険外し、私立高校助成の大幅カット、国立大学授業料値上げなど、国民負担増を押しつけて国民の消費購買力を奪い、深刻な不況に一層の拍車をかけるとともに、戦後最悪の大惨事である阪神大震災の救援、復興と防災対策強化について全く不十分である一方、国民の思想信条の自由を踏みにじる憲法違反の政党助成を九五年度から実施しているからです。  第三に、既に世界第三位となっている我が国の軍事費を、世界的な軍縮の流れに逆らって一層拡大していることです。その内容も、AWACSやパトリオットなど最新鋭正面装備の新規発注、在日米軍への思いやり予算の引き続く急増など、日本の防衛という政府の建前からも説明し得ない経費の急増が柱となっており、まさにアメリカの世界戦略に奉仕するためだけの大軍拡であることが明白だからです。  第四に、巨額の財源不足を国債の大量発行と債務返還の繰り延べなどの隠れ借金で埋め合わせ、九五年度末の国債発行残高は二百二十五兆円となり、財政危機を一層深刻化したことです。  以上の理由により、ごく限られた指摘事項のほかは異議がないとする本議決案には、到底賛成することはできません。  次に、国有財産増減及び現在額総計算書について申し上げます。  国有財産の総増加額のうち、政府出資等を除くと、九四年度で二八・三%、九千億円が、また九五年度では二七%、約四兆円が、主として防衛庁、防衛施設庁が占める総理府所管の増加であり、九五年度所有物品の五二%、五兆八千億円が防衛関係物品で、九四年度比三千六百四十億円増と、軍事費の顕著な突出ぶりを示しており、このような国有財産管理のあり方を示す本計算書を是認することはできません。  なお、国有財産無償貸付状況計算書につきましては、無償貸し付けされた国有地の中に過去の侵略戦争を賛美する碑が一九八二年七月から建立されるなど、管理運用の一部に重大な疑義が残されたままとなっているなどの問題があり、この点についてまで賛成するものではありませんが、国有財産を公園、緑地等に使用する目的で地方公共団体に無償で貸し付ける制度の意義を高く評価して、全体としては賛成するものです。  以上で、私の討論を終わります。(拍手)
  143. 草川昭三

    草川委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  144. 草川昭三

    草川委員長 これより順次採決いたします。  まず、平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成年度政府関係機関決算書は、これを議決案のとおり決定するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  145. 草川昭三

    草川委員長 起立多数。よって、議決案のとおり決定いたしました。  次に、平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成年度政府関係機関決算書は、これを議決案のとおり決定するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  146. 草川昭三

    草川委員長 起立多数。よって、議決案のとおり決定いたしました。  次に、平成年度国有財産増減及び現在額総計算書平成年度国有財産増減及び現在額総計算書の両件は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  147. 草川昭三

    草川委員長 起立多数。よって、両件は是認すべきものと決定いたしました。  次に、平成年度国有財産無償貸付状況計算書平成年度国有財産無償貸付状況計算書の両件は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  148. 草川昭三

    草川委員長 起立総員。よって、両件は是認すべきものと決定いたしました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 草川昭三

    草川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  150. 草川昭三

    草川委員長 この際、各国務大臣から順次発言を求めます。梶山内閣官房長官
  151. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 ただいま御決議のありました会計検査院の検査機能の充実、発揮につきましては、政府といたしまして、会計検査の実が上がるよう今後も協力をしてまいりたいと存じます。
  152. 草川昭三

    草川委員長 次に、三塚大蔵大臣
  153. 三塚博

    ○三塚国務大臣 ただいま御決議のありました、財政構造改革を強力に推進財政健全化に向けて対策を講じること及び三十八の特別会計について効率化等の視点から厳しく予算査定を行うことによりその見直しを行うことにつきましては、従来から努力を重ねてきたところでありますが、財政の危機的状況にかんがみ、先般、財政構造改革推進についての閣議決定を行ったところであり、御決議の趣旨を踏まえ、努力してまいりたいと存じます。
  154. 草川昭三

    草川委員長 次に、小泉厚生大臣
  155. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 ただいま御決議のありました保険料の徴収や補助金の交付等につきましては、適正及び効率性等の観点から、御決議の趣旨を踏まえ、一層努力してまいります。
  156. 草川昭三

    草川委員長 次に、近岡科学技術庁長官
  157. 近岡理一郎

    ○近岡国務大臣 ただいま御決議のありました原子力行政に関する国民の信頼回復につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、より一層の情報の公開に努め、信頼回復に向けて努力してまいる所存でございます。
  158. 草川昭三

    草川委員長 以上をもちまして各国務大臣からの発言は終わりました。  次に、疋田会計検査院長から発言を求めます。
  159. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 ただいま御決議のありました会計検査院の検査機能の充実、発揮につきましては、会計検査院といたしましても、御決議の趣旨を十分踏まえまして、検査体制や検査手法に工夫を重ねつつ、その充実に努めますとともに、財政が健全かつ効率的に執行されますよう会計検査の一層の徹底を図り、本院の使命と職責を果たしてまいる所存でございます。      ────◇─────
  160. 草川昭三

    草川委員長 この際、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、決算の適正を期するため、お手元の印刷物にありますとおり  平成年度一般会計予備費使用総調書及び各省   各庁所管使用調書外一件の承諾を求めるの件  歳入歳出の実況に関する件外四件以上の各件について、議長に対し、閉会中審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 草川昭三

    草川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。  閉会中、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請を行うこととし、派遣委員、派遣期間、派遣地等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 草川昭三

    草川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  閉会中審査におきまして、参考人より意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 草川昭三

    草川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  本日をもちまして平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件の審査はすべて終了いたしました。皆様の御協力に感謝いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十七分散会