運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-04-21 第140回国会 衆議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月二十一日(月曜日)    午後二時開議 出席委員   委員長 草川 昭三君    理事 栗本慎一郎君 理事 高市 早苗君    理事 根本  匠君 理事 浜田 靖一君    理事 上田 清司君 理事 大口 善徳君    理事 辻  一彦君 理事 正森 成二君       大石 秀政君    熊谷 市雄君       佐藤  勉君    田中 和徳君       田邉 國男君    滝   実君       戸井田 徹君    山口 泰明君       野田  毅君    若松 謙維君       生方 幸夫君    渡辺  周君       畑 英次郎君    武村 正義君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         大 蔵 大 臣 三塚  博君         農林水産大臣  藤本 孝雄君         通商産業大臣  佐藤 信二君         国 務 大 臣         (内閣官房長) 梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 武藤 嘉文君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      近岡理一郎君  出席政府委員         内閣参事官   安富 正文君         行政改革会議事         務局参事官   坂野 泰治君         総務庁行政監察         局長      土屋  勲君         科学技術庁長官         官房長     沖村 憲樹君         科学技術庁長官         官房審議官   興  直孝君         科学技術庁原子         力局長     加藤 康宏君         科学技術庁原子         力安全局長   池田  要君         外務省北米局長 折田 正樹君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵大臣官房審         議官      尾原 榮夫君         大蔵省主計局次         長       細川 興一君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省国際金融         局長      榊原 英資君         文部大臣官房総         務審議官    富岡 賢治君         文部省高等教育         局長      雨宮  忠君         厚生大臣官房総         務審議官    中西 明典君         農林水産省構造         改善局長    山本  徹君         林野庁長官   高橋  勲君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         運輸政務次官  衛藤 晟一君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         労働省労働基準         局長      伊藤 庄平君         労働省職業安定         局長      征矢 紀臣君  委員外出席者         大蔵省主計局司         計課長     田頭 基典君         会計検査院長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局次長    平岡 哲也君         会計検査院事務         総長官房総務課         長       重松 博之君         会計検査院事務         総局第一局長  深田 烝治君         会計検査院事務         総局第二局長  諸田 敏朗君         会計検査院事務         総局第四局長  小川 光吉君         会計検査院事務         総局第五局長  森下 伸昭君         決算委員会調査         室長      天野  進君     ───────────── 委員の異動 四月二十一日  辞任         補欠選任   新藤 義孝君     田中 和徳君   滝   実君     戸井田 徹君   柳本 卓治君     大石 秀政君   前田 武志君     畑 英次郎君 同日  辞任         補欠選任   大石 秀政君     柳本 卓治君   田中 和徳君     新藤 義孝君   戸井田 徹君     滝   実君   畑 英次郎君     前田 武志君     ───────────── 本日の会議に付した案件  平成七年度一般会計歳入歳出決算  平成七年度特別会計歳入歳出決算  平成七年度国税収納金整理資金受払計算書  平成七年度政府関係機関決算書  平成七年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成七年度国有財産無償貸付状況計算書      ────◇─────
  2. 草川昭三

    草川委員長 これより会議を開きます。  平成七年度決算外二件を一括して議題といたします。  総括質疑を行います。  質疑に入るに先立ちまして、質疑者各位に申し上げます。質疑時間につきましては、申し合わせの時間を厳守されますようお願いいたします。  また、政府におかれましても、各質疑者の持ち時間は限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜田靖一君。
  3. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 総理並びに大蔵大臣、御苦労さまでございます。自由民主党浜田靖一でございます。  当決算委員会総括質疑をさせていただくわけでございますけれども、今まさに行政改革等財政改革も含めて大変多くの課題があるわけでございまして、その意味において決算というものに対する認識が大変強く求められておるところでございます。その中において、きょうはそれこそ平成七年度の決算冒頭総括審査でございますので、総理並びに大蔵大臣に、決算審査重要性について御所見を伺いたいと思うわけでございます。  当委員会においてもしばしばいろいろな議論がされておるわけでありますけれども、特に決算審査あり方については、つい先般の委員会においても、参考人を招致いたしましていろいろな御意見を伺ったところでございますので、ぜひともここで、総理とそして大蔵大臣に、決算重要性について御意見を伺いたいなと思うわけでございます。どうぞよろしくお願いします。
  4. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 過去にも私は同じようなことを申し上げてまいりましたけれども、国が予算の執行をいたしました結果をこの決算審査チェックをしていただく、そしてそれが所期の政策目的 を十分達しているかどうか、こうした点についての審査、検討をいただくということは極めて大切なことだと私は考えております。そして、政府自身決算重要性というものは十分に認識をし、その審査についてはできるだけの御協力を申し上げていく、そうした姿勢をとってまいったつもりであります。  従来、ややもいたしますと厳しい御指摘を受けたことも何回かございますが、我々として、決算の結果において御注意をいただきましたものは、直近の予算編成時に、当然のこととしてそれを成果に生かしていかなければなりません。そうした意味でも、十分な御審査を賜りますとともに、今後ともの国政運営上の御協力を心からお願いを申し上げます。
  5. 三塚博

    三塚国務大臣 総理大臣から言われました基本論は全くそのとおりでございます。  決算は、予算委員会と並びまして車の両輪でございます。特に政策目的が有効適切に執行されておるかということについて御論議をいただき、御提言をいただく、極めて重要なところでございます。審査に当たりましても、最大限の御協力を申し上げてまいります。     ─────────────
  6. 草川昭三

    草川委員長 議事の途中でございますが、ただいま任善寧香港立法局議員及び麥業成元朗区議員が本委員会の傍聴にお見えになっておられます。この際、御紹介を申し上げます。     〔拍手〕     ─────────────
  7. 草川昭三

  8. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 ありがとうございました。従来のお考えを踏襲されて、また、しっかりとこの決算認識していただいて、今後も御協力を願いたいと思うわけであります。  この委員会等も含めて、残念なことに技術的な部分決算が、要するに資料がおくれているということもありまして、その意味では、直接的に決算審査の結果が予算に反映されるのがちょっとずれてしまっておるところもありまして、その点は確かに考えなければいけない問題だと思います。まさに国会の内部においても、大蔵大臣言われたように、本来予算決算というのは車の両輪でありますので、その辺のところの兼ね合い、また注目度も含めて、同じように扱われるべきものだと私は思うわけでございます。決算ということになるとどうも後々、後手後手のような意識を持たれてしまっていて、とかく近ごろの議論の中にはGAOのような法案もというようなお話もあるわけであります。  しかし、私は、この決算委員会の中でいろいろな議論をさせていただいているわけでありますが、どうもその前に、我々国会議員自身が、検査院等も含めて、多くの資料は出ているわけでありますが、残念なことに、我々の認識もどうもちょっと足りない部分もあるのかなというような気がこのごろ特にしております。その意味では、反省意味も込めて、決算重要性というものを改めて認識すべきではないかなということで、今ちょっと総理また大蔵大臣の御所見をお聞きしたわけでございます。  そこでまた、決算ということになれば当然会計検査院の問題になるわけでありますが、そこにいろいろな時代要請もあって、会計検査院検査機能充実ということが言われておるわけでございます。この点については会計検査院大変努力をされておりまして、いろいろな細かい観点から検査をしながら、そしてまたその成果決算検査報告として作成するという形で、十二分に職責を担っておられると思うわけであります。  さきの決算委員会におきましても、会計検査報告等に係るテーマ審査ということで、草川委員長を初め各委員が活発な質疑をされたところでございます。  その中にもございましたけれども、我が国が厳しい財政事情のもとで行政改革財政構造改革が強く求められている状況下において、会計検査院に対しても、効率的な行財政に寄与し得る検査の実施が求められておると思うわけであります。これに対してまた検査院の方からも、職務を遂行すると大変な決意をいただいたわけでございます。そしてまた、平成四年度及び五年度の決算に対する議決案においても検査機能充実必要性指摘されていまして、これに対して講ぜられた措置報告もあったわけでございます。  そこで、総理にお聞きしたいのですが、会計検査院検査機能充実についてどのような御見解をお持ちか、教えていただきたいと思います。
  9. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 かつて、実は私ども国会注意不足でありましたために、会計検査院に問題を生じたことがございます。それは、特に旅費及び宿泊費について、検査院検査官以下が出張した場合の実際のコストと当時の旅費規程等チェックをすることを怠っていた時期でありました。そしてその結果生じましたことは、要するに、検査官宿泊費で足りる宿舎を検査対象の周辺に得られない、そうした中で、検査対象となる場所から宿泊場所の、まあ直接の提供を受けたわけではございませんけれども、あっせん等を受け、結果として世間から御批判を浴び、国会としても非常にこれを重く見まして、翌年度、検査院旅費あるいは宿泊費等を増額すべく努力をいたしたことがございます。  内閣から独立した財政監督機関でありますだけに、検査機能充実強化というものに努めていくといいながら、ややもすると、そうした点に我々も見落としが出てくることがございます。  今回は、これまでも検査要員増員等措置を講じてまいりましたし、平成九年度の予算におきましても、当然のことながら検査要員増員は行いました。同時に、検査活動充実強化できますように先端的な検査機器を導入いたしますとともに、研修研究体制充実強化を図りますために研修所設置整備等を進めております。  過去の反省も踏まえながら、今後とも、国会等の御論議を踏まえて、検査要員増員その他に対しての充実を図り、検査院機能が低下しない、充実強化方向に向かいますように、十分配慮をしていきたいと考えております。
  10. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 ぜひともそのような形で進めていただきたいと思います。その意味では、決算委員会会計検査院が力を合わせて実行すれば、必ず予算に十二分に影響力を与えることができると私は思っておりますので、ぜひともそのような形でお進めを願いたいと思います。政府におかれましても、決算委員会からいろいろな形で指摘もあろうと思いますし、また決議等政府に対して申し上げることも多いと思いますので、それを反映していただくことがまさに予算効率化につながることだと思いますので、ぜひとも御認識のほどをよろしくお願いをする次第であります。  そこで、総括ということでございますのでいろいろとお聞かせを願いたいわけでありますが、総理は、今回の施政方針の中で六つ改革ということをおっしゃられておるわけであります。教育改革、ほかにも五つの改革財政改革行政改革、いろいろございますけれども、私の場合は教育改革というのに少々興味を持っておりますし、そしてまた、三年前のこの決算委員会分科会において教育関係についてお話を聞いたこともあるわけでございます。その点があるものですから、教育改革について少し総理お話をお聞きしたいと思うわけであります。  いろいろな問題が教育の中でも叫ばれておりますし、必ずしも教育だけが解決すれば済むということではなくて、まさに社会改革というか、子供たちに対する社会的影響も含めた中で教育ということになればまたかなり広くなってしまうわけでございまして、教育問題というのは、なかなか制度だけの問題ではないということを私自身も感じるわけでございます。我々大人が、子供たちに対する認識も含めて教育というものを幅広く理解していかなければならないし、また、我が国が二十一世紀に向けて世界の中においてどのように存在していくかということも含めて、やはり教育の中でしっかりといろいろな考え方を盛り込んでいか なければいけないのではないかなと思うわけでございます。  一点というわけにはまいりませんけれども、将来に向けて、教育行政及びそのあり方について総理にぜひともお考えをお聞きをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  11. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 実は、六つ改革の中で、一番最後まで私自身が取り上げるべきかどうかを迷いながら最後に取り上げましたのが、教育改革でありました。なぜなら、その教育改革というものが間違いなしにすべての社会システムの基盤をなすわけでありますし、それに対して、自分なりの考え整理ができないままにこれを世に問うということもまた礼を失する、そのような思いが私にあったからです。  その上で、第二次世界大戦後、数年、米軍占領下教育現場大変混乱をした時期がありました。まさに私はその時代の小学生でありまして、例えば算数一つでも、くるくるくるくる教えられるテーマが変わるという、おかげで今でも私は算数がだめになりましたが、めちゃめちゃな変更が加えられた時期があります。そして、それが一段落しましたときから今日までの間、日本教育というのは、一つ平等性という言葉、そしてもう一つは、均質均一、いずれが適切かわかりませんけれども、質的に同じ教育ということが一つの合い言葉として進められてきたように思います。そして、私は、これはこれなりに意味のあったことだと思いますし、今日までの日本をつくる上では大きな役割を果たした考え方だと思います。  しかし、今日我々がこれからの時代考えますときに、均質、平等、あるいは等質という言葉で置きかえられるような教育でよいのかといえば、私は、絶対にこれではもうだめな時代が来ていると思っています。それは、登校拒否児の問題にもあるいはあらわれているのかもしれません。そして、個々人の多様な能力を生かし、創造性チャレンジ精神の豊かな子供たちが育ってもらえるような、そうした面を重視した教育がどうすればできるか、これを目指すことが今一番大切なことではないかと私は思います。  現在、例えば週休二日制の定着とか中高一貫教育とか、さまざまな試みが進みつつあります。仕組みの問題としては、まだまだ我々は手探りの部分を持っておりますし、試行錯誤の部分もありますけれども、目指していく方向というものは、いかにして個々人の持つ創造性を生かし、個性を生かした人材を育成し得るか、これを目標として教育改革は進めていきたい、私はそのように思います。
  12. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 ありがとうございました。  まさにそのとおりだと思うわけでございまして、やはりいろいろな意味で、子供たちの権利だとかいろいろなことが叫ばれておるわけでありますが、残念なことに、今のこの状況の中ですと、やはり選択する部分がなくて、どうも、おっしゃられるように均一性だけが突出して、確かに全体のレベルからいけばいいのかもしれませんが、個性という点については少々問題点があろうかとは思うわけでございます。その意味で、選択できる幅を広げていくということも必要だろうと思いますし、教育というものは、決してその時代だけが過ぎれば終わりということではなくて、まさに一生かかって勉強はしなければいけないわけでございますので、その意味からしても、やはり個性ある教育というものをまた標榜していただきたいと思いますし、この時期に教育改革を叫ばれた、その勇気というか、それにはやはり敬意を表したいと思うわけでございます。  特に教育というのは、百人に聞けば百人なりの考え方があるわけで、それを一つにまとめるというのはなかなか大変な努力が要ると思うわけでございます。できるだけ早急に対応しなければいけないのはよくわかるわけでありますが、しかし、コンセンサスを取りつけるにはやはり時間がかかることだと思いますので、ぜひとも粘り強く実行していただきたいなと思うわけでございます。  そこで、決算の話に関連することになれば、先ほど申しましたけれども、三年ほど前に私は、平成二、三年度の決算についての本院の分科会審査において、教育問題等について文部省に対して質問をしたわけでございます。そして、そのときの私の指摘というか主張というか、それに対して、平成六年の六月十六日の平成二、三年度決算に関する本院の議決に、その考えが同じように盛り込まれたわけでございます。  この中身は、「教育研究施設を拡充、強化するとともに、理工系分野学生にとって大きな魅力を有し、十分な人材が集まるようにするための積極的な施策を講ずるべきである。」という旨の指摘内閣に対して行っております。そして、これに対して、平成七年の二月三日に衆議院議長あてに、本院の議決に対して内閣の講じた措置ということで、当時は村山総理大臣でありましたが、内閣総理大臣名回答をいただいておるわけであります。  その回答から二年以上たった現在、政府が約束された、理工系分野の各大学における四年一貫体系的カリキュラム見直しでありますとか、技術革新に対応した教育施設等整備充実といった施策はどのように具体化されて成果を上げているのか、お伺いをしたいと思うわけでございますので、ひとつよろしくお願いいたします。政府委員で結構です。
  13. 雨宮忠

    雨宮政府委員 お答え申し上げます。  教育研究活動の場としての施設整備でございますが、例えば、平成八年度におきましては、国立大学のいわゆる老朽狭隘施設への対応ということで、本予算それから補正予算合わせまして、事業費総額で一千九百三十二億円を執行したところでございます。ただし、現実の財政状況はなかなか厳しいところでございますし、現在、二十年以上の老朽施設を抱えているところが五一%ということでございますので、これは、引き続きの努力課題だということで、今後とも努力いたしてまいりたいというように考えております。  それから、理工系の問題につきまして、三点だけ、主要な点に限りましてお答え申し上げたいと思います。  第一点は、教育内容の点でございます。  これにつきましては、各大学におきます四年一貫体系的カリキュラム編成による教育課程見直し、あるいは、学生に前もってこういう授業を行いますという、これはシラバスと称しておりますけれども、シラバスの作成などの改善、工夫を促しておるところでございます。また、学生創造性というものをどう開発していくかということについて、いろいろな事例も集めまして、それぞれの大学努力に役立てようというような努力もいたしておるところでございます。  それから二番目に、学部学科の再編成ということでございますが、平成九年度におきましては、香川大学それから弘前大学におきまして工科系学部を創設したというようなことを初めといたしまして、理工系学部学科改組時代要請に即して行っていくことにいたしておるところでございます。  最後に、啓発面ということでございますが、青少年に対してできるだけ科学技術に親しませるということが大変重要なことであるわけでございまして、そのために、従来大学の抱えておりますリソース、大学教員でございますけれども、博物館などでいろいろな講演をしてもらうとか、いろいろな活用の仕方があるわけでございます。サイエンス・ボランティアという形での名簿を整えまして、今約六百人ほど名簿に登載されておるわけでございますが、これの改定作業も進めておるところでございますし、また、子供たちにできるだけ早い機会に、いわば理工系教育も、受けさせるというより、まあ触れさせるというような意味合いで、体験入学授業ということもやっておるわけでございます。  今、三つ申し上げましたけれども、これらのいずれも、これで終わりだということではございませんで、継続的な努力課題でございます。今後ともそのような方向努力いたしてまいりたい、 かように考えておるところでございます。
  14. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 しっかりとそういった形で実現させていただければ、我々もわかりやすいわけでございます。しかしながら、日本における基礎的研究というものに対する評価の現状というのはちょっとお寒いような状況もあるというふうにお聞きをするところでございますので、我が自由民主党も、それこそ科学技術関係予算というものに対する働きかけもかなり一生懸命、各省庁にわたって努力をしておるところでございます。  政府におきましても、ぜひともこれにこたえていただいて、やはり将来に向けて、我が国が存続するためにはそういった基礎的な部分研究等が思い切ってできるような地盤をつくらなければならないと思いますし、まさにそれが個性というか、個性的な教育と言えば聞こえはいいわけでありますが、技術も、そしてまた人間的にも、個性豊かな子供たちをつくり、また、将来それを生かせる場を一貫してつくり上げていくことが我々の使命だと思いますので、総理、ぜひともこの教育改革というものを力いっぱいに進めていっていただきたいなと思うわけでございます。  時間がそろそろなくなってまいりましたので、聞けるものが大分少なくなってきてしまったわけであります。本当ならば、財政構造改革とか行政改革というものを存分に総理お話をしていただきたかったわけでありますが、残念ながら、時間の方が大分迫ってまいりました。財政構造改革行政改革についてはまだ他の委員からも御質問があると思いますので、最後に、きょうは月曜日ということで、総理は二十四日から御訪米をされるわけでございまして、その意味では、今回の訪米の目的及び決意についてもお伺いをしたいわけでございます。  沖縄問題等、大変我々も苦しい選択をしなければならない部分もあったわけでございます。ただ、私が考えるのには、国家としての、政府としての、安全保障というものをしっかりと、我々が責任を持って、御批判は受けても、我が国を存続させるためにはそれなりの決断をしなければならない、そういうことが明確にされていなければ安全保障は語れないし、また、世界の中における日本の存在というものもしっかりと各国に対して理解を求めることはできないと思うわけでございまして、その意味では、日米安保条約というのは大変重要なものであろうと思います。  ただ、我々はおごり高ぶって、我々の理論だけで物事を推し進めようとは思いませんけれども、しかし、我々は、そういうことを踏まえた上で、なおかつ我々の決断をしなければならない、その責めは我々が負えばいいことだと私は思います。  財政改革行政改革についても同じようなことが言えまして、それこそ総理の決断のもとに実行していっていただきたいと思うわけで、まさにその根幹をなすべき安保条約というものを体しながら、日米の関係というのは大変重要な問題だと思うわけでございますので、ぜひとも総理に、今回の訪米目的及び決意についてお話を例えればと思います。よろしくお願いします。
  15. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 けさ、実は、産労懇という産業界、労働界双方のトップのお集まりの会合がありまして、予定されましたごあいさつをしました後、特措法成立後、我々としてどうしても沖縄の振興策に真剣に取り組まなければならない、それについて産業界、労働界双方の協力をというお願いを申し上げたばかりであります。  私は、今回の日米首脳会談、当然のことながら、安保条約というものを土台に置いた、日米関係のより深い、良好な協力、協調関係というものを築いていく、そのための論議をしなければならない場だと考えております。同時に、その中における沖縄県の抱えている負担というものに対し、よりアメリカ側にも理解を求めていく、そうした場でもありましょう。  同時に、そうした二国間の政治、安全保障といった分野だけではなく、今回は、多分アメリカ側からは経済運営についての議論、これは、日米のみではなく世界経済についても含めての議論が多分あろうかと思います。  そして、そうしたこと以外にもまだ、例えばデンバー・サミットに向けて、例えばロシアの位置づけをどう整理をつけるか、これも実は去年までとちょっとさま変わりをする部分がありますので、相当大事な話になります。特に日本にとりましては、北方領土問題というものを持つ以上、ちょっとヨーロッパ勢等とは違う部分を持ちますので、こうした点、議長国としてのアメリカには十分な話をしなければならないと思います。  当然、アジア情勢、アジア・太平洋の情勢といったこともありましょうし、むしろ、日米がコモン・アジェンダとして協力をしております分野をより深めていく、その意味では非常に幅の広いものになるのではないかと今予測をいたしております。  いずれにしましても、それが今後の日米関係のより深い協力、協調に結びついていくような、そのような話し合いにしたいと心から願っております。
  16. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 ありがとうございました。時間が参りましたので、これで終わらせていただきますけれども、まさにこの過渡期、橋本総理の責任というのは大変重いものがあると思うわけでございます。ぜひとも、逡巡することなく思い切って手腕を振るわれることを心から御期待を申し上げて、私からの質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  17. 草川昭三

    草川委員長 次に、若松謙維君
  18. 若松謙維

    ○若松委員 新進党の若松謙維でございます。  総理には四回目の質問になります。どうぞよろしくお願いいたします。  平成七年度決算の審議の始まりということで、会計検査院の方が大変御努力をされてつくられたこの会計検査の要約、この中に、国民の関心が高い問題ということで食糧費の指摘もなされました。  済みません、これは質問通告していないのですけれども、週末を越えた話ですので……。  総理にお聞きしたいのですけれども、この食糧費に関してをやはり争点の一つとして秋田県知事選挙が行われました。それに対します結果の感想と、並びにその政局に対する影響、これについてコメントをいただきたいと思います。
  19. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私自身が特定の候補の御支援を申し上げ、結果としてその候補が当選をいたさなかった、その意味では大変残念な結果に終わった選挙でありました。  その上で、もし選挙に参りました時点で私が県民に訴えていたことをお聞きをいただきましたのならば、私が訴えておりましたのは、その食糧費問題、これで厳しい批判を浴びた県の中でその立て直しに努力をしていた人間、今まで外から見ていた方々、どちらが一体いいだろう、私は中にいて立て直しに努力をしていた方の方が望ましい、そう思うのですということを訴えておりました。  秋田県民は、そうではなく、やはり県の中にいた人では自分たちは任せられないという選択をされたわけでありまして、これは県民が選択をされた結果として、厳粛に我々が受けとめるべきことだと思います。  その上で、ほかのところでも今まで知事選は幾つもありまして、私が応援させていただいて当選をした候補者について政局に関係があるかという御質問は受けたことがございません。というようなものではないでしょうか。
  20. 若松謙維

    ○若松委員 これは質問通告にございませんので、この程度にさせていただきたいと思います。  いずれにしても、やはり食糧費の外部チェックというのでしょうか、これは日本の大きな流れではないかと思います。そういう意味で、草川委員長を初めとしてこの決算委員会の大変活発な審議、今それをしているところでございまして、今コメントしていただいた分類の一つの結果というものを、私どもはさらに決算委員会に生かしていきたいと思っております。  その上に立ちまして、今度は会計検査院の同意大事なんですけれども、先月大変話題となりました。そしてまた、現在、七月の二十七日に参議院の 事務局から来られた方が定年退職の予定となっております。そうしますと、早急にも再度国会に対する同意人事というものが求められるわけですけれども、前回の総務庁の方の同意大事に関しまして、与党三党でしょうか、特に次回は民間人を起用する、そのような合意になったと私どもは新聞記事等を見ながら理解しておりますけれども、次のこの会計検査院検査官の大事に関しまして、総理の意向がありましたらお聞きしたいと思います。  同意人事といいますと、いつも直前になってレジュメ一枚だけで同意してくれということなので、早目にこういう質問をさせていただきました。よろしくお願いします。
  21. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 本年の二月にも議員から同様の御質問をいただきまして、そして私は、そのときにお答えをしたポイントとしては、検査官になられる方が過去にどういう閲歴を持っておられるかが問題なのではないと思います、むしろ適性のある方、ない方、そうした判断から国会でもその同意大事についての賛否をいただいたのではないでしょうか、そうした趣旨の御答弁を申し上げております。  その上で改めてお答えを申し上げますならば、私は、本当に会計検査院というものが憲法上の財政監督機関として、国の予算が適切かつ有効に執行されたかどうか、これを検査する機関であって、その検査官の任命に当たっては、その職責にふさわしい能力や人格を有する方を選任することがまず基本条件であると考えております。  その上で、本年七月二十七日に定年を迎える佐伯検査官の後任人事というものは、前回の同意大事に関しまして、次回の人選に当たっては民間人も含めて検討するという与党合意がなされましたことも踏まえながら、内閣としてこの職にふさわしい、幅広い人材からの起用、選任に努めていきたいと考えております。
  22. 若松謙維

    ○若松委員 ぜひとも、行政の一部でありますこの会計検査院に、国民から大変期待の多い民の風の導入、そういったところもお含みいただいて、賢明な御判断をよろしくお願いいたします。続きまして、特にこれから質問いたします二点に関しましては、大変厳しいというか、平成七年度の会計検査院報告には、特に指摘すべき事項、たしかそのようなタイトルで二点ほど挙がりました。一つが国有林事業で、もう一つが国鉄清算事業団、この二点ですけれども、まず国有林事業について、この会計検査院指摘に基づいて質問をさせていただきます。  最近、先週でしたか、林業白書におきまして、この国有林事業について政府は初めてその事業の破綻を認めた内容の白書が出されました。それに先立ちまして平成三年七月、国有林野事業の改善に関する計画という形の案が出されまして、その案では、平成十二年度までに経常事業部門で借入金依存から脱却、こういうことで、あと三年間しかない。そして、この国有林事業について、会計検査院が過去において、今回の指摘も含めて三回も指摘をされておりまして、かつそれだけではなくて、各方面からも破綻の構造を指摘されておりましたけれども、結局政府は長年、合理化による再建は可能、このように説明されてまいりました。  しかし、今白書で明らかになりましたように自力による再建不能となれば、じゃ、どこからか援助を仰ぐしかありませんので、これは当事者としての農水省の責任は非常に重いと思うのですけれども、農水大臣、いらっしゃいましたら、この破綻宣言をするに至った責任をどう考えているのか、御答弁をお願いします。
  23. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 委員が今御指摘になられましたように、この国有林野事業、今まで数回にわたりまして改善計画を立て、それにつきまして自主的に努力をしてきたわけでございますが、残念ながら、この改善計画が成功をおさめておりません。  そのことについてはいろいろ理由はございますけれども、一番大きな理由は、何といっても木材の価格が低迷をしておる。これは今、輸入材が八割、そういう現状でございまして、国産材が価格が低迷しておる、収入が少ない、それから伐採の問題についてはいろいろな制約がございまして、十分に量的に伐採ができない。つまり、収入の面が計画よりも大幅に落ち込んできておる。例えば価格につきましても、当初計画いたしました約半分に価格は下落しておる、こういうことでございます。一方、支出の方も、リストラという問題、随分努力をいたしまして、今三万人が一万人体制、こういうことでその点は随分努力しておりますけれども、収支が残念ながら合わないというところが一番大きな原因でございます。  このままいきますと、国有林野も含めまして、森林が持つ公益的な機能、地すべりの問題であるとか水源林の涵養の問題であるとか、こういうことが損なわれる。ひいては国民的に見て非常に大きなマイナスになるわけでございますから、何としても我々はこの国有林野事業の抜本的な改善を目指して努力していかなければならぬ、こういう考え方で、今、過去の延長線上ではない抜本的な改革をこれから立てていく、かように考えておるわけでございます。
  24. 若松謙維

    ○若松委員 抜本的な改革はわかりますけれども、やはり原因、結果の明確な解明というのですか、これは責任とも関係するわけですけれども、それがはっきりしないと本当の抜本的改革はできないと思います。  いわゆる外部要因という面が今大臣の方から説明されましたけれども、もっと林野事業の内部的な要因もかなりあって、ここまで──先ほどの改善計画が出て七年たって、いまだに抜本計画が出ていないという状況ですね。さらに、六月に林政審から一つの答申が出るのでしょうけれども、そういった審議会に任せてはもう間に合わない状況だと思います。そういった面から含めて、原因の厳格な見きわめもした上で、抜本的改革、もっと突っ込んで御説明いただけますか。
  25. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 先ほどの答弁の中で多少落ちておりましたので。  原因のもう一つの大きな点は、財投の問題がございます。今、三兆三千億の財政状況の悪化の中で財投の金利が非常に大きい、そういう面もあります。  それから、抜本的な改善ということになりますと、これはやはり、昨年の暮れに出されておりますけれども、行革プログラムに沿いまして、さらに、今御審議いただいております林政審の答申、これは中間的な方向はことしの六月ごろに出ますので、それを踏まえて抜本的な改革をしていこう、これはやはり大勢の方々の意見を聞いた上で、そして政府として抜本的な改善をしていくということが一番ベターではないか。  いずれにいたしましても、九年中にその解決策を立てまして、来年の一月以降法律として国会に御提案申し上げる、こういうスケジュールを考えております。(発言する者あり)
  26. 若松謙維

    ○若松委員 同僚代議士から大変厳しいコメントをいただいていますけれども、今、いわゆる財投からの借り入れという話もございました。やはり財投改革もしっかり進めないと、この問題は本当の意味での抜本改革にはならないと思います。といいますのも、やはり郵便貯金または簡保、そういったところから低い、安い金利で調達して、それを高い金利で貸し付けている。そんなところの負担が、結果的にそれぞれの特別会計なり、そういったところに来る。  それも含めてなんですけれども、やはりこれから本当に林野事業、累積損で一兆数千億ですか、さらには借入金で三兆数千億、これだけのお金をやはり国民の皆様に説明または負担を求めるときが来るかもしれません。そういうことを考えると、本当に厳しい姿勢でこの問題をとらえないと、大きな国民の反発となって返ってくると私は思うのです。  そういった観点から再度聞きますけれども、ぜひともこの問題を早急に私はしていただきたいと思います。改めて大臣並びに総理のこの問題に対します取り組みの姿勢を聞きたいと思います。
  27. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 財投につきましては、今、平均 金利が五・四%の金利でございます。この金利は、今の財投の一番安い金利の三%に比べますと二・四%の差があるわけでございまして、五・四%掛ける三兆三千億ということになりますと、毎年一千八百億の金利を払っておる、こういうことになります。収入の方はそれを下回っておるわけでございまして、そのこと一つ見ましても、この再建というのは極めて厳しいということがわかるわけでございます。  我々としては、国有林野が持つ公益的な機能、つまり水源涵養林であるとか、それから自然保護であるとか環境保全であるとか、こういうものを国が受け持たせていただいて、民間にお任せをするところはどの程度お任せすることができるか。つまり、今度の抜本改善の中で、守備範囲を決めるということが一番大きな問題だというふうに考えております。
  28. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 現時点において、私は、農林水産大臣からお答えを申し上げたこと、これが政府としての答えとしてお聞きをいただきたいと存じます。  その上で、実は私自身山登り屋でありまして、随分昔からあちこちでさまざまな林野行政の足跡を見てまいりました。そして、振り返ってみますと、本質的に、やはり第二次世界大戦の後半から戦後の一時期、住宅のため及び燃料のために手当たり次第に我々の先輩たちが山の木を切った、そして、これに対して気づいて慌てて植え始めて、まだその木が育ち切らない間に木材価格の低迷という時代に入ってしまった、しかも比較的単層林を多くつくったために樹種が限定されてしまったといったような問題があるということを、前から林野の労使の諸君と私は議論をしてまいりました。  同時に、私は、やはり国土保全という観点から考えるとき、切ることのできない山というものがあるのではないか、それは、例えば伐採の対象としない、言いかえれば収入を生まない山として国民に認知をしていただくことによって、むしろそうしたところを守っていくことを考えた方がよいのではないか、しばしばそのような議論をいたしてまいりました。  残念ながら、今まで常に少数意見でありましたし、林野庁あるいは労働組合としての全林野の皆さんにも必ずしもこの主張は理解をしていただけませんでした。  しかし、今日、地球環境というものを議論する時代になりますと、私は、議員が御指摘をいただいておりますような国有林野特会からの視点と違った意味で、やはり採算を考えてはいけないそうした自然、あるいは採算を考えずに残しておくことによってより大きな環境上のプラスを生み得る森林というものをそろそろ考えてよい時期に来たのではないかという思いは、強く持っております。
  29. 若松謙維

    ○若松委員 きょうは総括ですので、さらに具体的なところは分科会でいろいろ質問させていただきたいと思います。  それでは続きまして、同じく会計検査院平成七年度の指摘事項であります国鉄清算事業団、これについて質問をさせていただきます。  これも、先ほどの国有林事業の指摘事項、あわせてこの二点は、会計検査院報告のタイトルですと「現状のまま推移すると更に事態の悪化につながるおそれのある事項」ということで、この二大事項を非常に重要事項として会計検査院指摘されました。もう一つの国鉄清算事業団につきまして、この報告書の中身を見ながら質問させていただきます。  まず、清算事業団の未処分の土地ですけれども、七年度末で三千四百九十万二千平米という時価推定額約三兆円、これだけ未処分の土地がある、こう報告されております。そして、この未処分の処理目標は平成九年度なんですね。ですから、来年三月でいわゆる時効となります。会計検査院はどういうふうに指摘しているかというと、このようなさまざまな理由で売却の見通しが難しい、こうはっきり言っております。そうしますと、来年三月までに迫っているこの土地の処分、これが実際に実現しない、そうすると九年度末の目標も実現しない、結果的に清算事業団の事業そのものも整理できないということで、この土地の処分ということが非常に重要だと理解しております。  運輸大臣は何かきょうお出かけですので、政務次官ぜひ、どういう現状の認識を持っているのか、お答えいただきたいと思います。
  30. 衛藤晟一

    ○衛藤政府委員 お話ございましたように、約三千五百ヘクタール、当時の推計として三兆円を見込んでおりましたけれども、会計検査院の御指摘のとおり、平成九年度までに全体の処分については大変難しいというような見通しを持っております。それにつきましても会計検査院からも指摘され、また閣議でもそのことを決定いたしましたが、関係の自治体とやはり協議をしよう、それから都市計画決定が必要な分については鋭意これについては協議をしたい、そういうようなことをちゃんとやっていきたいというように思っているところでございます。  さらに、平成八年度におきましては、そのうち一千ヘクタールを売却いたしまして、一兆五百億円を売り上げたところでございます。これは事業団発足以来最高の売り上げというぐあいになったところでございます。  私どもといたしましては、一部、平成九年度までに処分できないものにつきましても、早急にそれに対する検討を今申し上げましたようにやらせていただきまして、これを早期処分を図りたいというように考えている次第でございます。
  31. 若松謙維

    ○若松委員 今、やはり九年度末までに実質的に難しい、そういうお答えでした。さらに、これは十六日ですか、千ヘクタールが売却がずれ込む、このようなコメントを事業団理事長がなされました。これの理由なんですけれども、結局先ほどの期限以降に売却の見通しが立っていない、そういうこととも関係しているのでしょうか、御説明願います。
  32. 衛藤晟一

    ○衛藤政府委員 平成十年度以降にずれ込むというぐあいに見込まれますものは、地元との調整が整っていないもの、それから処分の前提として必要な都市計画事業が終了していないもの、あるいは立ち退きの訴訟中のもの等が一応想定されるところでございます。  なお、平成九年度につきましては、残りました二千四百ヘクタールのうち、土地処分といたしましては七千五百億円程度を計上したい、売却したいというふうに思っております。そういうことで、金額といたしますと、ほぼ用地の大半について処分が終了するということになりますが、面積でいきますと、まだ相当残るということに相なる次第でございます。
  33. 若松謙維

    ○若松委員 また別の観点からですけれども、ちょうど国鉄改革当時の昭和六十二年度首ですか、当時、いわゆる長期債務が約二十五兆、二十六兆ぐらいありました。そして、いろいろと処分して最終的に国民負担分は十三・八兆円、このように見込まれておりました。  それでは、この事業団の整理に当たって果たしてどのくらい国民負担増になるのかというところが国民の皆様の大変な関心だと思います。自分たちの運賃に乗せられるのか、また、JRとしては改めてまたこういう負担分を押しつけられるのかと。これは平成九年度末で、もし可能でしたら、見込みで結構ですので、最終的な国民負担分は幾らになるか、お答えいただけますでしょうか。
  34. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 国鉄長期債務につきましては、先生御指摘のとおり、国鉄改革時に二十五・五兆円という負担を国鉄清算事業団が負担いたしましたが、これが平成九年度首におきましては約二十八兆一千億円になっております。  これに対しまして、清算事業団が保有いたしております土地、それからJR株式などの売却などによりまして今後どれくらい収入が上げられるかでございますけれども、これにつきましては、地価の動向であるとか株式の市況であるとか、こういったことに影響されるものでございますので、見込み額を確定的に申し上げることはできません けれども、昨年の十一月時点におきまして一定の前提を置きまして試算を行っております。それによりますと、平成九年度以降、資産処分等の収入でおおむね六ないし七兆円の収入を上げるにとどまる、こういう見通しでございます。  このような状況でございますので、資産処分終了後に最終的に残る債務、これをまた確定的にお示しすることも困難でございますが、いずれにいたしましても二十兆円を超えるものというぐあいに見込んでおります。
  35. 若松謙維

    ○若松委員 そうしますと、昭和六十二年初めで十三・八兆円、約十四兆円。そうすると、七、八兆円この間にふえた、ふえる見込みがほぼわかっている、そういう状況ですね。それだけに、土地処分を早くやっておけばよかったなと。なかなかこればっかりは難しい問題もあると思いますけれども、いずれにしても、これは中途半端な決意じゃなかなか乗り越えられない問題だと思います。これはぜひ総理に決意としてお聞きしたいのですけれども、この大変大きな問題、どのような決意で臨まれるのか、お聞きしたいと思います。
  36. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今回、私自身から内閣に対しましても、また与党に対しましても、財政構造改革に向けて当面の目標、いわゆる五原則というものを示し、これに加えて、その目標に向けての歳出の改革と縮減の具体的な方策を議論するに当たって、基本的な考え方として十三ほどのテーマを、それぞれに考え方を述べながら示してまいりました。その中で、国鉄清算事業団債務につきましては、   残高が二十八兆円にのぼる国鉄清算事業団長期債務については、平成八年末の閣議決定において、「平成十年度より、国鉄長期債務等の本格的処理を実施する」ため、「その具体的処理方策の検討を進め、平成九年度中にその成案を得る」とされているところである。   本問題は財政構造改革の見地からも極めて重要であり、避けては通れない課題である。現在、この問題については、与党内で検討が開始されているところであるが、その検討状況を見極めつつ、将来世代への負担の単なるつけまわしとならないよう、あらゆる選択肢を精力的に検討する。 このように示しております。  まさにこのとおりの状況でありまして、議員からも今御指摘がありましたが、当時の関係者の一人として、もしあの当時不動産の処分に踏み切ることを許されておりましたなら状況は変わっていたであろうという思いも、内心ございます。しかし、それは言って返らぬことですし、私どもとしてはあらゆる選択肢を死に物狂いで検討していきたい、そのように思っております。
  37. 若松謙維

    ○若松委員 これは本当に早急にやらなければいけない、ある意味で年内の最大課題一つではないかと思いますので、私ども新進党としてもさまざまな改革提言をぶつけて、ぜひ国民のための積極的な議論につなげていきたいと思います。  次の項目に移らせていただきます。  先ほど総理財政構造改革というお話に触れられましたけれども、やはり今日本政府債務、かなりの巨額に上っております。これは私なりの理解でつくらせた資料で、皆様にお配りさせていただきました。ぜひ見ていただきたいのです。  本年二月六日の予算委員会で、ちょうどそちらにいらっしゃいます上田清司代議士の大蔵省に対する現在の政府債務は幾らかという質問に対して、ちょうど翌日の読売新聞で「借金残高、GDP上回る 国と地方計五百二十兆円」、こういうような数字を出されました。ここまでは皆様の認識にあるところなのです。  また、海外からもよく指摘されるのが、これも平成九年度の予算書にも出ております短期証券、これは、普通国債の中にもいわゆる一年未満の償還予定の国債もございます。これは上の長期債務残高に入れて、この短期証券は財政資金ではなくて、いわゆる資金調整のための借り入れだということで、どちらかというと政府債務にいつも載ってきません。しかし、予算書のどこかの方にぼっと載っているということで、なかなか素人の方が読んでも、短期証券というのはどこかに埋没してしまう。  でも、一応この短期証券はちゃんと予算書に載っておりまして、特にこの四十兆円ですけれども、これは一つの枠という、ファシリティーとでもいうのでしょうか、証券枠、特にそのほとんどが外為介入のための資金調達の三十九兆円、この枠がございます。私が調べたところ、その四十兆円の枠の中で、ことしの二月末で二十五兆円、実際に発行しております。  そうしますと、金額は違うのですけれども、その二月の予算委員会で出されました大蔵省のこの四十兆円というものを含めますと、十年三月末の政府債務残高は五百六十兆前後になるという御理解で見ていただきたいと思います。  そして、さらに次、それから下の数字は予算書には出ておりませんので、決算から出すしかございません。平成七年度決算書の一般会計と特別会計画方見ましたら、歳出予算の繰越債務負担額三・九兆円、いわゆるこれは企業で言う未払い金というか未払い費用、支払いが確定しているものでございます。さらには、継続費による債務負担額〇・四兆円、国庫債務負担行為七・三兆円、あと、さらに細かいものがいっぱいあったわけですけれども、そのほとんどが住宅金融公庫交付金未払い金〇・五兆円。こういういわゆる普通の企業で言うと未払い金または未払い費用、いわゆる債務、これが先ほどの五百六十一兆のほかに十二兆ございまして、こういうような形を考えますと、政府債務総額、長期とか短期とか分けないで、いわゆ  る支払うべき債務の合計額が五百七十三兆円ある、この理解でよろしいですか。大蔵省の方、いらっしゃいますか。
  38. 細川興一

    ○細川政府委員 今いただきました表、数字をそれぞれ押さえてみますと、長期債務残高は二百六十兆と八十四兆、三百四十四兆でございます。それから、地方につきましては百四十七兆ですが、国と地方との重複額が十五兆あります。それから、その次の欄でございますが、これは隠れ借金という定義が明確ではありませんけれども、大蔵省として「今後処理を要する措置」ということで国会にお出ししておる資料から引用されているものだと思いますが、国鉄の長期債務が二十八兆、その他のものが十七兆ございます。それから、先ほど申されました、いわゆる資金繰り債としての短期証券が四十兆。一番最後に挙げられました決算書で、これは「国の債務に関する計算書」という中から引用されているのだと思いますが、これは履行期限が到来しないなどの理由によりまして、まだ支払い義務の発生に至っていないものでございます。  そこで、これらは、今申し上げましたようにそれぞれ長短、あるいは国鉄債務のように、先ほど議論もありましたように、債務として金額がどれぐらいになるか、株式あるいは土地の処分等がございますので、まだ確定していないもの、あるいは先ほど申し上げましたように支払い義務の発生に至っていないもの、さまざまな性格のものがございます。したがいまして、これらを一まとめにして債務残高というふうな形で総合計額ということに一挙にまとめ上げること、単純にまとめ上げることについては、それぞれ債務に従って議論していかなければならないのではないかと思います。
  39. 若松謙維

    ○若松委員 事実はどうですか。この数字は合っていますか。
  40. 細川興一

    ○細川政府委員 数字は合っております。
  41. 若松謙維

    ○若松委員 なかなか大蔵省はまとめないのですよ、数字を。  これはアメリカの決算書、ちゃんと貸借対照表でまとまっているのです。これは日本決算書、収支だけで、本当にばらばらにやって、マスコミの方も御苦労されていると思います。ですから、私があえてこうやって確認せざるを得ない状況にあるということ自体、日本決算制度の乏しさを物語っているわけなのですね。  それは置いておいて、そのほかに、保証債務ま たは政府補償債務負担額も平成七年度末で四十七兆ございますし、実際に、これには郵貯、簡保資金、いわゆる運用資金も入っておりません。そういうことを考えますと、例えば、今EUで九九年までの通貨統合のために必要な、いわゆるGDP対六〇%の国の債務、さらには赤字三%以内。これに対して、日本はもう一二〇%を超えています。倍ですね。非常に厳しい状況だと思います。  こういう状況において、与党でしょうか、それとも政府でしょうか、たしか六月に財政再建に関する法案が出されると聞いておりますけれども、済みません、勉強不足ですが、総理にお聞きしたいのですけれども、財政再建、難しいというか本当に厳しいと思います。政府歳出を本当に抑えなければ不可能だと思います。そういった点も含めて、ちょっと総理の決意をお聞きしたいのです。
  42. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほどの、私大蔵省の言い方がちょっと引っかかりましたのは、数字は合っておりますというのはちょっと失礼な言い方だと私は思うので、あれは私からおわびをします。  その上で、ただ私ちょっと、本当に議員がまとめられた数字の中に、まさに債務が発生していないもの、例えば国庫債務負担その他が入っておりますのは、これはちょっと金銭債務として確定していないものだけに、この表として拝見をした場合に多少問題があるのかな、そういう気はいたします。  しかし、その上で、間違いなしに、国の一般会計だけ見ても、九年度末二百五十四兆円という債務残高です。国債残高です。これは容易なことで解決できるものではないということは御指摘のとおりでありますし、私どもは今、政府・与党一体になりまして、財政構造改革会議で、まず、来年度の概算要求のルールをつくる時点でこの数字を本年度予算よりマイナスで抑え込みたいという目標を立て、先ほど国鉄清算事業団の部分で申し上げましたのも、その目標に向けて各項目を十三ほどの大きな山に積みまして議論をしております中に書いた文句そのままでありますが、我々としては、まずこれに向けて全力を投球をいたしたいと考えております。  もしこれを完成することができましたなら、平成十年度予算の概算要求は、そこでまとめました九年度予算に対してマイナスの枠組みの中で要求をさせるということになるわけであります。しかも、年金の受給者が毎年百万人近くふえている。社会保障関係費は、ほっておけば一兆円近くふえるわけでありますから、それだけをカウントしても、マイナスの予算編成というのは容易なことではありません。しかし、私どもは、これを何としても貫徹をしたい、国会にも御協力を得たい、心からそう願いながら、目下、作業に取り組んでおります。
  43. 若松謙維

    ○若松委員 時間が来ましたのでこれで終わりにさせていただきますけれども、最近、九州産業大学の吉田寛教授という方が大変すばらしい本を出しまして、特にEUにおきまして通貨統合のために、今、国のいわゆる決算数値の算出の仕方について統一の動きがございます。日本決算制度もぜひ諸国におくれないように、かつ、こういったさまざまなデータをばらばらじゃなくて少なくとも一つの表に、貸借対照表にならなくても表にまとめていただくように努力もしていただき、国民にわかりやすい国の財政状態をぜひ示していただくように御努力をいただきたいと思います。  時間があれば、障害者雇用の件、予算委員会で北側氏が質問された点もさせていただきたかったわけですが、職業安定局長並びに労働基準局長、お越しいただきましたけれども、また別の機会に質問させていただきますので、御答弁、大変ありがとうございました。
  44. 草川昭三

    草川委員長 次に、辻一彦君。──この際、橋本内閣総理大臣から発言を求められておりますので、これを許します。橋本内閣総理大臣
  45. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ただいま、私の手元に、動燃東海再処理施設の管理区域からの退出者の靴底から放射性物質を検出したという報告が参りました。委員長のお許しをいただきまして、冒頭、その状況の御報告を申し上げます。  四月二十一日月曜日十一時五十二分ごろ、動燃東海事業所再処理施設の管理区域から退出した作業者の右足靴底から、放射性物質(アルファ線)が検出された。その表面密度は約〇・一四ベクレルである。そして、参考として、管理区域内の床等の放射性物質の表面密度の限度、アルファ線四ベクレル、管理区域からの退出時の衣服等や持ち出し物に係る表面密度の限度、アルファ線〇・四ベクレルという数字が置いてございます。その他の身体における放射線計測の結果には、異常は認められていない。また、施設内の放射性物質の測定装置には、これまでのところ異常は認められていない。  二番。原因調査等の状況。靴底からの放射性物質の検出の原因については、作業者の作業内容、入域した区域等の調査を行うとともに、通路等の汚染をチェック中。なお、周辺環境には影響はない。  こうした報告が、ちょうどこの御審議のさなかに入りました。冒頭、御報告を申し上げます。
  46. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今、急にお伺いしましたが、今回の動燃の事故を振り返ると、閉じ込めておくべき放射能が外に出たという、これは、量のいかんを問わず非常に重大な問題があります。それから、被曝した方がやはり内部被曝、吸い込んで体内に残っているという、そういう意味の放射能の大きな問題があります。  今のこの発言につきましては、資料等をひとつ後でまたいただいて、なお次の機会に十分論議をいたしたいと思います。くれぐれも、外に出てはならない放射能が出たということは、量のいかんを問わず非常に重大な問題である、こういう上に立って、放射能に対する対策はこれからひとつぜひ万全を期してほしい、まず冒頭に要望しておきます。  そこで、限られた時間でありますが、私の出身地の福井県の若狭湾は、「もんじゅ」「ふげん」を初め、十五の原子力発電所、千二百万キロワットの容量を持って、恐らく世界一の原発の発電基地であると思っておりますが、十五ありますと、だんだんいろいろな、古くなれば故障、事故、トラブル等々が順次出てまいりまして、なかなか大変であって、私もこれには二十数年、深い関心を持ってまいりました。そういう観点から私はきょう、失われていく日本の原子力行政に対する信頼をいかにして回復するか、安全を確保するか、そういう立場から、二、三の質問をいたしたいと思います。  まず第一に、動燃は、一人一人は非常にすぐれた高度の技術を持つ人の集まり、集団であると思いますが、組織としての管理であるとかには非常に問題があるように思います。  一昨年十二月の「もんじゅ」のときの、ビデオを、情報を隠したこと、あるいはまた、最近におけるこの東海動燃の虚偽報告あるいは隠ぺい工作、そしてまた、「ふげん」におけるところの地元への情報が三十時間も放置されておって、まさにそういう点では、自治体と結んだ安全協定の違反になる。こういう状況を重ねているのを見ますと、一人一人はすぐれていたとしても、体質的にやはり今日の日本の原子力の非常に重要なこと、安全上の確保と並んで、まず第一に情報を開示をし、公開をして広く国民、住民の理解を受けるということが原子力政策を支える根本である、こういう理念が理解されていないように思うのでありますが、そういう体質的欠陥を大きく変える必要があるのではないか。  そういう点で、私は、動燃の解体もしくは解体的大改革をやらなければならない、このように思いますが、政府のこれについての考え方をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  47. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 議員のおしかりは私はもっともだと思いますし、そのお気持ちがわからないではございません。殊に私自身「もんじゅ」の事故が起こりましてから円卓会議等でようやく国民の信頼を多少ともに取り戻しかけてきたかと思いましたやさきの、東海村の一連の事態でありました。 そして、その後におきまして、その東海村の問題が解明されております間に、「ふげん」の通報おくれといった問題が生じ、しかも、それを過去にさかのぼりましたときに、報告未到着といったものが存在したことまで問題となっております。そして、今議員に御報告をいたしましたように、また放射性物質が、ごく微量とはいいながら外に出たということは、おわびをする以外にありません。  そして、現在、科学技術庁は、科学技術庁が動燃を検査するだけではなく、第三者のチェックを受けるといった決意のもとに、ゼロから出直す覚悟で、組織論、大型プラント管理、品質管理等の有識者から成ります動燃改革検討委員会を設けて、去る十八日に第一回の会合を行い、検討を開始いたしました。私は、これにまず全力を挙げてこの事態の解明をしていただきたいと思っております。  議員から例えば、解体しろ、あるいは民営化してしまえ──こんな危ないままでは、私はとても民営化する勇気はありません。どういう体制にするにせよ、まずこの問題を徹底的に掘り下げ、体質の問題点をえぐり出した上でその姿は決めていきたいと思いますが、それは、当然のことながら国民の信頼を得て今後の原子力行政を行っていかなければならない。エネルギーの制約があります日本として、原子力の平和利用という研究開発、利用を行えるだけの信頼を取り戻すために必要な措置を、それこそ聖域を設けて行うのではなく、取り組んでまいりたい。しかし、まずとにかくこの徹底的なチェック、根本的な検討をしていただき、その結論を早期に待ちたいと私は願っております。
  48. 辻一彦

    ○辻(一)委員 科学技術庁長官にちょっと伺いますが、これは、動燃が全部の仕事を抱え込んでこのままいっても大変無理だと思います。そういう中で、国がどうしてもやらなくてはならない仕事と、民間に移してもやれる仕事というようなものがあるわけでありますが、改革考えれば、そういう問題を考えなくてはならないと思います。簡潔で結構でありますが、国がどうしてもやらなくてはならないものは何であるか、民間に移してもいいのは何か、ちょっと明らかにして、考え方を伺いたい。
  49. 近岡理一郎

    ○近岡国務大臣 ただいま総理から御答弁申し上げたことに、基本的には私も全く同じ考え方に立っておるわけであります。  そこで、ずっとこの問題発生以来、動燃並びに庁内をいろいろ詳細に検討してみますと、やはり長年の間のなれといいますか、そういったものがあるなと。これではいかぬというようなことで、今総理から申されたとおり、聖域を設けずにやはりゼロから出発するつもりでやらなければならぬ、したがって第三者的なチェックもやらなければならぬというので、先ほど答弁ありましたとおり、第一回目の会合をやったわけであります。  そこで私は、この問題のためには三つのケースがあるのではないかな、こう思うわけであります。本当に動燃そのものを、特殊法人にしろこれを改革するために努力はするのだけれども、本当にやっていけるのかどうか、存廃あるいは移管、そういったものをすべて含めて、どうやって日本の原子力というものの開発利用を進めていかなければならぬのかということを、ここに通産大臣もいるわけでありますが、エネルギー問題と切っても切れない、あるいは環境問題も絡んでいるわけでありますから、この機会に、日本の原子力行政というものを一遍本当に初心に返って、原点に返って見直してみた方がいいというふうに私は思っております。  一科学技術庁だけの問題でなく、政府全体から見て、この問題に対しては、何がより一層国民に理解され推進していくことができるかということを含めて、選択もやはり考えていかなければならぬ時期に来たなというふうに思っておりまして、差し当たっては、原因究明並びに改革のための体制、組織づくりのために全力を奮って取り組んでまいりたい、このように思っております。
  50. 辻一彦

    ○辻(一)委員 日本の原子力の安全性の確保はダブルチェック制であって、御承知のとおりですが、第一に試験炉や実験炉は行政庁である科学技術庁、営業炉については通産省がチェックをする、そしてそれを総理を中心とした原子力安全委員会がさらにダブルチェックを行う、こういうシステムになっております。動燃の今日の状況は、動燃自体にも随分と批判される点がある。時間の点から多くは申し上げませんが、しかし、それを見過ごしておいた科技庁、行政庁の第一義的責任、チェックの責任があるのですけれども、これについて私は、動燃を告発して済み、あるいは科技庁の次官や局長を減俸処分にする、そういうことで責任が終わるものではないと思うのですが、どういう責任を感じ、とろうとしているのか。それをひとつ長官からお伺いしたい。
  51. 近岡理一郎

    ○近岡国務大臣 今御指摘のとおり、告発、並びに私みずからも当然最高責任者として、局長を初め次官、そういった処分をやったわけでありますが、私はこれだけで済む問題とは理解しておりません。したがって、まず差し当たって、先ほど申し上げたとおり、この現況あるいは将来に向かっての、私の現在責任を負っているこの立場に立って、まず国民にやはりこの問題をどうすれば、またどのように私の名において改革することが責任者としての現在の責任を果たすことになるのかということを、やはりこの機会に、先ほど申し上げたとおり、まず第一に取り組んでいくことが大事ではないか。  今私は、聞くところによりますと、あす本会議で不信任案が提出されるようでありますが、これも私は、それなりの当然の責任と深く、重く受けとめておりますし、いずれにしましても、現在、私は全力をもってこの問題の解決に、あるいはまた将来に向かっての方向づけのために身を挺して頑張ることだ、このように思っております。
  52. 辻一彦

    ○辻(一)委員 総理科学技術庁長官も通産大臣も、皆さんいらっしゃるところでありますが、今、科学技術庁長官の決意は一応伺いました。問題は、それを実際にやれるかどうかということにある。そういう意味で私たちはひとつ、科技庁長官の言明された具体化をいかにするかを見守ってまいりたい、その上で改めてその責任を問い直したい、このように思っております。総理を初め、ひとつしっかりこの問題はぜひ取り組んでいただきたいと思います。  そこで、二つ目の大きな問題として、プルサーマルの問題があります。この新型転換炉、敦賀の「ふげん」ですね、これはかなりな成果を上げたものの、商業炉の道は経費が高くつくというので開発が断念をされている。そしてまた、高速増殖炉の「もんじゅ」も、御存じのとおりの状況でとまったまま。これではずっと高速増殖炉の開発は大幅におくれて、プルトニウムはなかなか使う道がない。余剰になってくる。  そこで、今まで余り論議をされなかったプルサーマルというので、軽水炉の中にプルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料を使ってやろうという計画が進められている。これは従来の経緯からいうと、新型転換炉、高速増殖炉が中心であって、そんなに表に出ていなかった。今は急速に、これが閣議了解という形をとって、実際にかなり無理に推し進めようとされておるのです。しかし、私は、国民の合意形成、理解というものは、これについては最近論議されているのでは極めて少ないと思うのですね。  したがって、福井、福島、新潟の、日本の原子力発電所の大部分を持っている三県の知事が連名でもって、このプルサーマルの論議を、国民合意が得られるような論議をあらゆる場でやってもらいたいということを、これは強く、総理ほか科学技術庁長官、通産大臣に要請をしている。しかし、どうも今までの答弁等を聞くと、そういうものは説明は幾らでもしますが、もう国民論議の場はつくらないというような考えのように思いますが、これは私は非常に問題があると思うのです。三県知事の要請にこたえて、広く国民論議の場を設けるべきであると思いますが、総理、ひとつこの点についてはいかがですか。
  53. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 この原子力問題は、辻委員はも う昔から、参議院時代から権威であるからよく存じ上げていますが、もうこれは委員御存じのように、プルサーマル、今御説明のように、燃したものをやはりどうするかということで、平和的利用、こうしたことでありました。  これは、もともと昨年の一月に、「もんじゅ」の事故を契機に、三県の知事から、原子力政策に対する国民的合意の形成及び核燃料サイクルの全体像の明確化、こうしたものを求める提言がございまして、これを踏まえて、今後の核燃料サイクル政策について、総合エネルギー調査会原子力部会及び原子力委員会においての審議を経て、先般、政府としてはその方針を閣議了解、これは二月四日でございました、明確にいたしました。これを受けて、二月の十四日に、三県知事に私と科学技術庁長官の方から、プルサーマル計画を中心とする核燃料サイクルの推進についての閣議了解、この内容を御説明し、同時に、協力要請をするとともに、国として引き続き国民の理解を得る努力を行う旨を明らかにしたところであります。  また、電気事業者は、これを踏まえて全電力のプルサーマル計画、これの公表を二月の二十一日にいたしました。先行的にこのプルサーマルを実施する予定の東京電力と関西電力、東京電力の場合は福島と新潟でございまして、関西電力の方が福井ということで、三月に入ってから三県知事の方に計画の概要を説明いたしました。なお、細かいことを申しますと、三月十一日の動燃の事故の後に、福井の場合には関電が、そのような申し入れというか計画を説明したということでございます。  通産省としては、今委員指摘のように、やはり非常に動燃事故後の厳しい状況にはございますが、この核燃料サイクルの重要性というものを踏まえて、引き続き地元の議会だとかシンポジウムあるいはフォーラム等の場を通じて、立地地域を初めとして、国民に全体に広く理解してもらえるような、さまざまな形でもって積極的に努力してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  54. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ドイツもプルサーマルにはかなり慎重であるというように、最近の情報で私も聞いております。余ったからプルトニウムをプルサーマルにしたというわけにはなかなかいかないと思うのですが、少なくも通産省エネルギー庁にはエネルギー懇談会、外部で意見論議をやっている。科学技術庁にはFBR、高速増殖炉の懇談会を持っている。そういうようなあらゆる場を生かして、広範なプルサーマルについての国民論議をぜひやるべきであると思いますが、これは総理、そういうふうにぜひひとつ指導し、進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  55. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、今議員が幾つか述べられましたような場を初め、本当に国民を代表する委員の方々に真剣な御論議をいただく場は、当然のことながらあって不思議はないと思います。例えば本年三月、通産省、科技庁、そして電力の代表から成ります使用済燃料貯蔵対策検討会といったものも出ています。またあるいは、「もんじゅ」の後行いましたような円卓会議、そうした形でいろいろ多くの方々の意見を伺う方法もあると思います。  ただ、私はこの点だけはぜひ御理解をいただきたいと思うのでありますけれども、本来資源に乏しい日本として、原子力エネルギーというものは、やはり将来を考えますとき、我が国のエネルギー政策の中に欠くことはできません。そして、原子力発電というものを主軸に考えますと、どうやっても使用済み燃料は発生するわけであります。そして、その使用済み燃料が発生いたしますなら、直接処分をするか再処理をするか、いずれかの道しかないわけでありますが、我が国の場合、将来にわたるエネルギーの安定確保という点からも、あるいは放射性廃棄物の環境への負荷の低減という観点からも、発生いたしました使用済み燃料を再処理していく、そして回収されましたプルトニウムなどを再びMOX燃料として活用していく、有効利用する、こうした方針をとることは、私は基本的に間違った方向ではないと考えております。  しかし、そうした議論の前に、今、原子力行政というものに対する信頼をいかにして取り戻すかという問題が立ちはだかることになりました。それだけに、私は、議員の今御提起になりましたようなさまざまな角度での議論、さらには一般の方々に対しても問題点を知っていただいた上で御協力をいただけるような方法というものは、今後ともに考えていかなければならないと思います。  しかし、もしこの再処理を行わなければ、直接処分をどうするかという、今度は廃棄物としての問題を生ずるわけでありまして、核燃料再使用という点についてはさまざまな角度から議論をする必要性のある課題であるということだけは、議員はよく御承知でありますけれども、我々自身、今国民各位にどのように改めて申し上げ、御理解を願えばいいのか苦慮している状況でありまして、ぜひお力添えを心からお願い申し上げます。
  56. 辻一彦

    ○辻(一)委員 アメリカとロシアは、使用済み燃料は水の中に、プールにつけて、三、四十年様子を見よう、こうしておるわけですね。だから、経費のかかる、しかも後の処理が大変な再処理だけが唯一の道ではない。これは、やはりプルトニウムを残さないためにはどうするかという点からいえば、なお検討をする必要があると思いますが、この論議はとてもきょうはやっている時間がありませんから、またの機会に移したいと思います。  最後に、私は防災問題について伺いたいのです。  この間、三月二十四日に東海の再処理工場を調査に行き、東海村の村長さんに会いました。この村長さんには今までは防災のことについてはどういう御発言があったか知らないのでありますが、今回は、台風ならば家が倒れる、洪水ならば水かさが上がって、災害をどう対策するかということが市町村長の判断でわかるけれども、目にも見えない、体にも感じられない、五感に感じられない放射能の災害というものは自分らで判断ができない、国の方できちっと法律によってこういうことを処理をしてほしい、こういう強い御要請があり、したがって、原子力防災特別措置法の制定を強く要望いただきました。  また、御承知のとおりですが、福井、新潟、富山の三県知事もかねてからこの要請を、「もんじゅ」事件後、防災法の制定を強く求めている。三十五の全国にある立地市町村も同様にこの要請をしている。のみならず、十七日には、茨城県の橋本知事が、新聞の報道するところでありますが、福井県と連携をとって、そして原子力防災対策、防災法の制定を目指したい、こういうことを新聞報道はされておりますが、こういうような状況を見ると、私はこの原子力防災法を制定すべきときに来ておるのじゃないかと思います。  梶山官房長官は、前、自治大臣のとき予算分科会で随分論議をしましたが、当時は、避難訓練等を含むところの防災訓練、住民の避難訓練等に大変積極的な御意見を持っていらっしゃったと思います。官房長官になるとその状況はどうなったか私はわかりませんが、ここで、危機管理の、内閣の、背負っていらっしゃるわけでありますから、原子力防災法制定の今日の状況についての必要性についてどうお考えであるか、お伺いいたしたい。
  57. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 私は今、行政の責任を負う政府の一員でございますから、その一面と、それから、委員と同様に原子力所在の市町村、県、私の十二キロのわきに原子力発電所もありますし、動燃もございます。そういう意味では、被害者というか、大変な危惧の念を持つ一人でもございます。  多分もう八、九年前に、議員とそういう議論をしたことがございますが、議員はどちらかというと慎重派、私はどちらかというと日本のエネルギー前進のための推進論者であったわけでありますが、しかし、それぞれの市町村やそれぞれの県が独自の防災対策を決められるわけではございません。一つのガイドラインがあったとしても、これは国の責任においてやるべきだという基本認識は私も同じであります。ただ、どの中にどう組み入れてやるべきか。これは、法をつくってみても 実際にどうなるかということを考えますと、私も今はかつての辻委員と同じような慎重派に、やや変心しつつございます。  しかし、将来の日本のエネルギー政策を考えますと、アメリカやロシアのようにただ単にほかのエネルギーがあるから大丈夫だという国とは、おのずからよって立つ基盤が違います。どういうことがあってもこの安全確保をしながら有効利用をするための手段、方法を開発し、なおかつ住民、国民に不安のない、委員おっしゃるような防災、それが原子力だけで済むものなのかどうなのかは別個といたしまして、積極的に開発のために研究をし、その実現に努力をしてまいりたい気持ちでございます。
  58. 辻一彦

    ○辻(一)委員 もう二、三分になったのですが、限りなき安全性の追求と万が一に備えた防災対策というものは、これは私は両立し得ると思いますから、努力をいただきたいと思います。  最後に、一番伺いたいのでありますが、日本の原子力安全委員会あり方であります。  御承知のように、アメリカは原子力規制委員会という三千名の、けさ前中川長官に聞くと、いや、もっと人数は多い、こう言っていましたが、私の調査はかなり、六十三年ごろに行ってのあれでありますから数字は変わっておると思いますが、別個の強力な行政委員会を持って、これでもって原子力の規制をきちっとやっております。かつては、住民訓練が計画がなされないところの場合には営業運転を認めないということで、百万キロワット、五千億の投資をした原子力発電所を二年間にわたって営業運転を認可しなかった。だから、物すごい赤字を出して会社はとうとうつぶれてしまったわけです。そこまで厳しさがある規制当局がある。私はこの一月にフランスも行って調べてみましたが、原子力庁と並んで、もう一つ原子力施設安全局という規制機関を別個にきちっと持ってやっておるのですね。  日本の場合は、なるほど形は総理直属の原子力安全委員会になっておりますが、事務局は科学技術庁の、行政庁の上に乗っており、独自のスタッフ、独自の調査権限等々もほとんどないと言わざるを得ない。これでは、もう五十の原発を持ち、アメリカ、フランスと並ぶ原子力大国になっている我が国の安全性についてきちっと目配りができない。今回のあれを見ても、ナトリウム、「もんじゅ」では一番大事な第一次の系統じゃなしにやや安全を重視をしていなかった第二次系統に、それから再処理工場の方も高レベルの廃棄物じゃなしに低レベルの廃棄物から事故が起きて、しかも日本の原子力政策を根元から両方で揺さぶっているという状況。これらに対する目配りが、現在の状況ではなかなかできない。  そういう意味で、この原子力安全委員会の強化は何としても原子力の安全性のためにやらなくてはならない問題だと思いますが、この論議はもうする余裕はありませんので、総理からひとつこれについての感じを一言伺って終わりたいと思います。
  59. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私も委員論議をいたす気はありません。その上で私は、原子力安全委員会は、むしろ今の専門部会等を活用していく、事務局ではありません、専門家集団として専門部会等を活用していく今のやり方の方が、より幅の広い、しかも全く新しい、ばりばりの人たちを迎え入れることができるという意味ではいい仕組みだと思います。  今、たまたま議員はアメリカの例、三千何名、それからフランスの原子力安全局、たしか百九十名ぐらいだったと思います。日本の場合、事務局は科学技術庁のそれぞれの所掌が行うわけでありますけれども、逆に、委員五人の下に、必要に応じてどういう仕組みでも専門家を集められる仕掛けになっている。私は、基本的にはこのやり方はいいやり方だと思っています。そして、そう数が多いとは言えない専門家を必要なときいつでも使えるという意味では、非常によい仕組みだと思っています。  その上で、事務局を行う行政組織の体制が今でよいかと言われる御指摘でありますなら、この問題全体を、先ほど科学技術庁長官からも御答弁を申し上げましたように、今第三者チェックという厳しい目で見直している、その中の一環としてこれは受けとめていきたい、そのように思います。
  60. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この問題はまた後日、非常に重要でありますから、十分論議をしたいと思います。  これで終わります。ありがとうございました。
  61. 草川昭三

    草川委員長 次に、正森成二君。
  62. 正森成二

    ○正森委員 私は、当決算委員会に関係のある問題で、橋本内閣の閣僚の意見が微妙に、もしくは明白に異なっている問題について二、三お伺いして、関係閣僚並びに総理の御見解を承りたいと思います。  まず第一に、去る二月に大規模な農業基盤整備事業に関する行政監察結果の報告書が出たことは、これは総務庁長官御承知のとおりであります。それを見ますと、いろいろございますが、問題を絞らせていただきますと、例えば中海、宍道湖などの休止中の事業ですね、「休止中の事業については、社会経済情勢の変化を踏まえ、環境に十分配慮しつつ、農地利用の見込み、営農の確実性等について、慎重に検討し取扱いを決めること。」というように報告をされました。  この問題につきまして、三月七日に参議院の予算委員会におきまして質問がございました。これにつきまして、総務庁長官武藤国務大臣が、「今御指摘の中海の問題」「私は場合によればやめるという方向ももっとはっきり打ち出していいんじゃないかと言ったのでございます。」こう言われた上で、「もう少しすっきりした形にしたがったのが残念ながらすっきりした形にはならなかったのでございますが、よく読んでいただければ、その目的がなかなかうまくいかない場合には事業を中止するということもあり得るという表現はあの文書の中に入っておるはずでございます。」という答弁をされております。  ところが、ここには藤本農水大臣もお見えいただきましたが、その後、三月十四日の閣議の後の記者会見で、行政監察について、勧告は中止を盛り込んでいない、こういうぐあいに述べられたそうであります。これは新聞に報道されております。  これにはいきさつがありまして、前日の十三日に、高橋農水事務次官が行政監察結果について、干拓事業の中止を求められたとは思っていない、素直に読めば土地利用計画などを適切にということだと思っている云々と言われたのを受けて言われた発言のようで、農水省の事務方は正論を言っている、食糧自給率が低下する中で、やる気のある農家の育成と優良な農地の確保は今後の農政の基本である云々と述べられたと報道されております。これは、お二人の意見が微妙にあるいは明白に近い形で異なっていると言わざるを得ないと思います。  それで、まず武藤総務庁長官から行政監察結果の報告について簡潔に意見をお述べいただいて、その後、農水大臣の見解を承りたいと思います。
  63. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 これはやはり難しいのは、私いつも答弁しておりますけれども、我々の行政監察の勧告というのが、正直、なかなか強制力がないわけでございますね。まず第一にこれを申し上げなければならぬと思っております。私はかねがね、もう少し何か高い立場に立って行政監察ができるような工夫をしなければいけないんじゃなかろうかということを申し上げておるわけでございます。私どもはそういう立場でございますから、その勧告が必ずしも受け入れられない場合が多々あるわけでございます。前に委員会でも、厚生省のことを予算委員会指摘を受けました。残念でございますが、いずれにしても今のところは、役所の機構上そういうことになっているわけでございます。  この勧告文についても、私は先ほど御指摘のような答弁をいたしました。非常に残念に、もう少しすかっとした形で言えれば一番いいと私は思っておりますが、なかなか、今お話しのように、勧告文になりますと回りくどい表現で実は勧告をいたしているわけでございます。これはしかし、私は、 いろいろ我々議論をした中で、当然、営農目的からいってもおかしい、あるいは環境からいってもおかしい、社会情勢も非常に変わってきたという点から考えれば、場合によると中止ということもあり得るというふうに私は考えておるわけでございます。
  64. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 武藤さんとこの件でよく話を実はしておりまして、私は、正森委員、この二人の考え方は決して食い違っていないと思っておるのです。  それで、この行政監察の勧告につきましては、農林水産省としてもその勧告の趣旨を真摯に受けとめました。それで、地元島根県からは、ぜひこの干拓事業をやりたい、しかも、この場所を島根県の農業の中心に持っていきたい、ぜひそういってこにしたい、こういうことで熱心に御要望がございます、地元の御要望が。しかし、この監察の趣旨を真摯に受けとめますと、そういう地元の要望もございますけれども、我々としては、この事業の目的を総合的に判断する意味で二年間中立的な調査をして、その結果で事業をどうするかということを決めよう、こういうことでございまして、これは全く、二人の考え方は食い違いしておるわけ  ではございません。
  65. 正森成二

    ○正森委員 それでは、総理に伺いたいと思います。  今農水大臣から、地元島根県からも干拓について要望があると言われましたが、私の存じている限りでは、県当局はそういう要望を出したかもしれませんが、地元の県民の署名がございまして、地元の住民、県民は圧倒的に、環境を守り、そして干拓事業には反対であるというように思っております。  総理に答弁していただくために、マスコミがどう言っているか、御存じだと思いますが、一応御紹介した上で御見解を承りたいと思います。  これは二月二十八日の読売新聞でありますが、   効率的な農政を求める声が強まる中で、総務庁が「大規模な農業基盤整備事業」と「畜産」に関する行政監察の結果を、相次いで発表した。そこから浮き彫りにされるのは、壮大な税金の無駄遣いだ。   農水省の責任は重い。総務庁の勧告に対し、小手先の対応ですますことなく、廃止すべき事業は直ちに廃止するなど、農政全体を徹底的に見直すべきだ。そうしなければ農政不信は一段と高まるに違いない。 読売の社説はこう言っております。  あるいは日本経済新聞の社説も、   総務庁が大規模な農業基盤整備事業を対象に行った行政監察の報告書と勧告を読むと、農業関連公共事業の税金の無駄遣いは目に余る。   とりわけ、減反政策を進める一方で新しい農地を造成する干拓と農地開発は、事業そのものの必要性に大きな疑問符をつけざるを得ない。 次いで、   減反下の農地造成は本当に農家のためなのだろうか。農家のニーズより土建業者や、役所の農業土木技官の仕事確保のために税金がつぎ込まれていると考えざるを得ない。   こうした行政監察結果をまとめながら総務庁が、例えば中海干拓に、明確な中止勧告を出さないのは理解に苦しむ。 云々、こういうぐあいになっているわけであります。  今、公共事業の効率的な使用、あるいは余りにも多額な公共投資の総額削減というようなことが行政改革で言われておりますが、総理の、両大臣の御見解を含めての率直な御意見を承りたいと思います。
  66. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 多少、その新聞の社説につきまして私どもの考え方を簡単に申し上げてみたいと思うのです。  その中海の干拓の後、つまり二年先どうするかを決めるわけですが、米をつくるという前提に立った議論がその社説にあるわけですが、我々はそういうことを考えていないわけなんです。今、農政上の基本の一番大事な点は食糧の安全供給でございまして、今、日本の食糧自給率がどんどん下がっておる。それに対して、例えば野菜の自給率を上げるとか、それから畜産関係の飼料をつくって自給率を上げるとか、そういうことを今真剣に考えておるわけでございまして、干拓事業でできた農地はそういう用途に使おう、こういうことを考えておるわけですね。  それから、一方では、六百万ヘクタールありました農地が今五百万ヘクタールに減ってきておる。だから、自給率を上げるためには、農地をこれからも確保していくということ、これまた非常に大事なことでございまして、そこら辺がどうも議論としてはこんがらがっているように思いますので、御理解いただきたいと思います。
  67. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほど議員自身が引用されましたように、「休止中の事業については、社会経済情勢の変化を踏まえ、環境に十分配慮しつつ、農地利用の見込み、営農の確実性等について、慎重に検討し取扱いを決める」、これが勧告本文でありますけれども、私は、それを受けて二年間中立的な調査を行うということは、非常に妥当な結論を得たものと思います。ただ単に放てきするのでもない、そしてごり押しをするのでもない、むしろ、この中立的な調査の結果、よりよい方向が生まれることを私としては願います。
  68. 正森成二

    ○正森委員 今農水大臣が追加答弁されましたが、確かに、アメリカのワールド・ウォッチ研究所のレスター・ブラウン所長などが、二十一世紀、食糧は非常に緊迫するというようにも言っておられますから、農業は非常に大切で、我々も、自給率は高めなければならない、こういう党の政策を持っております。しかし、一方では、現在減反政策で、本年度は六十七万七千ヘクタールの減反をしようか、あるいは、高齢化のために農地が放棄されているという問題もある。あるいは、五十万トンからミニマムアクセスで輸入をしている。また、米の政府買い上げ価格が生産費を三千数百億円も下回っているということでの農民の非常な苦難の声もあります。そういう問題を解決しないで、何千億円という国費を出して農業用地を造成することが果たして政策的整合性を持っているのかという点については、非常に問題だと思います。  しかし、総理からもそういう中立的な立場という御答弁がございましたので、今問題になっているのは、北部承水路に一定の水通しをやりまして、そして潮を通して、漁業や環境の変化がどうなるかというのを見るようにすると伺っております。それが、たまたま二メートルの導管を三つほど入れるというようなことですが、地元の要望は、これでは潮の流れる深さが一定になってしまうので、できれば五、六メートルの大きなものを一本でもいいから入れてもらって影響を見てほしいという声があることを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。  もう一点、私が伺いたいのは、財政投融資の問題でございます。  これは、伏屋理財局長、多分来ていると思いますが、報道によりますと、二月の十四日に理財局長が小泉厚生大臣のところへ行きまして、預託金利を引き下げる点について報告をし要請をしたところ、厚相として引き下げは了承しない、大臣、次官とよく相談してくれ、財政制度の根幹にかかわる問題だぞ、こう言って色よい返事が得られなかったというのが新聞で報道されております。  ところで、質問の前提として数字を申し上げますと、一九九五年に住宅金融公庫では九兆八千七百億円、九六年度は上期だけで二兆数千億円も資金逆流、つまり返済を受けた。それはなぜかといいますと、これは全体で公庫の貸出残高の六分の一に当たるそうですが、民間の融資が三%を切るというような非常に低い金利なのに、財投の金利が高どまりであるというところから返還ということが起こった。同様のことは中小企業金融公庫でも起きまして、繰り上げ返済が貸出残高の約七分の一、一兆二千億円に達したというように報道されております。不用額も増大しております。  ところで、年五%を超える金利を免除するということを政府は景気対策で打ち出したことは御承 知のとおりですが、これに対しまして、中小企業金融公庫は、この点を借り受けた人に周知徹底させたのですね。そうすると、五%超の残高を持つ利用者の実に八七・二%がこの制度を利用して借りかえ等を行った。ところが、国民金融公庫は、利息を引き下げる措置は顧客への個別周知は行わない、ただし顧客から照会があった場合には回答する、こういうぐあいに隠すという措置をとった。その結果どういうことが起こったかといいますと、国民金融公庫では、対象の五十七万七千件のうち〇・四%、わずか二千二百五十件に利用されただけであるというように報道されております。  なぜこういうことが起こるかといえば、大蔵大臣、財投の貸出金利が高どまりをしているというところに大きな問題があります。この点について、借りかえの要求がしばしば出ておりますが、それに対して、私の承知しているところでは、二月十八日でありますが、私もその本会議の会場におりましたが、三塚大蔵大臣はこう答弁しております。   金利の低下を理由とする低利借りかえあるいは繰り上げ償還は、借り手が負担の軽減を受けるかわりに、資金運用部にそのコストをツケ回すことに相なります。すなわち、資金運用部は、できるだけ低利の資金を供給するために貸付金利と預託金利を同一とし、利ざやを取らずに長期固定の貸し付けを行いながら収支相償うように運営されておりまして、このようなコストの  ツケ回しを受け入れる余地がございません云々というように答弁をされております。  私は、この答弁に関する限りは誤りはなくて、預託金利とそれから貸付金利との間に大きな差はないというのは御指摘のとおりだと思います。しかし、問題は、預託金利の今の現状が果たしてこの低金利政策のもとで妥当かどうかというところに問題があるのですね。そして、大蔵省でさえ、さえなんと言ったら失礼ですが、預託金利を下げようというのに、厚生大臣は、そうすると年金運用に差し支えると言ってがえんじない。  ところが、総理、これも報道で広く言われているところなんですが、堀之内郵政相は、郵貯は資金運用部への預託金利をもっと下げられると私は今も言っていると言って、もっと下げられる、こう言っているのです。それもそのはずで、郵貯の一番人気のある十年物の定額貯金、これの金利は〇・八%だ。これは去年私が決算委員会で明らかにしたところですが、そうすると、預託金利が二・八で、この間下がっても知れているのでしょう、二・七かぐらいでしょう。そうしたら、もうかり過ぎるぐらいもうかるということになっているわけで、郵政大臣がもっと下げられる余地があると言うのは当然であります。  ですから、厚生大臣が、年金の運用に差し支えるから下げることまかりならぬと言って意見が対立しているというのは、これはある意味では一方的な言い方で、私は、ここに厚生大臣が来ておりませんから欠席裁判で余り言いたくはありませんが、厚生大臣が年金の運用について考える余りこういう要求を政治家として主張されるのは無理からぬことだと思いますが、それは、日銀の公定歩合が〇・五%で民間の金利が非常に安いというような状況をそのままにして、いたずらに伏屋さんをちょっといじめてみたり、それから郵政大臣と意見を対立するというだけでは解決しない問題ではないかというように思うのですが、総理の御見解を承りたいと思います。
  69. 三塚博

    三塚国務大臣 もう既に正森議員すべて御承知の中で、仕組みも全部おわかりの中で御質問であります。小泉厚生大臣を援護するわけではございませんが、年金担当主管大臣として、年金、百二十兆の積み立てになりますでしょうか、これの有利かつ確実な運用により年金制度がさらに順調に伸びるようにということで強く主張された、郵政大臣は、全体を見て少額の貯金をということでありますから、二・七でも、時に二・六でもと、こういうことで意見がいませんでした。よって、財政投融資資金運用という基本でありますから、ひとつそこは折り合ってほしいということで、最終的に小泉厚生大臣と小生話をしまして、決着をいたしたところでございます。今後財投のあり方については御研究をという一言がございましたが、全体の流れはそういうことであります。
  70. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 おかげさまで決着をいたしましたので、その報告を聞いていただけばと思ったのですが、ちょっと私、申し上げにくいのは、日銀の専管である公定歩合の数字に触れられ、その上で答えを求められましたので、大変申しわけありません、これは私がお答えすべきことではありませんので、お許しをいただきたいと思います。
  71. 正森成二

    ○正森委員 多分そういう答弁があると思いましたが、きょうはわざわざ、従前はお呼びしたのですが日銀松下総裁をお呼びしませんでした。というのは、公定歩合という微妙な問題について公のこういう委員会で日銀総裁が発言をするということは、恐らく不可能であろうというように思ったからであります。  もう時間がなくなりましたからやめますが、しかし、これもまた閣内で意見が違うようですが、例えば「公定歩合で持論披露」と大きく新聞に出ているのですね。それに対して武藤総務庁長官は、金融自由化、特に外国為替管理法の改正で資金が出ていくから金利の引き上げが必要だという意見を述べる、あるいは三塚大蔵大臣は、景気浮揚のための精いっぱいの施策だ、預貯金者にはしばらく御辛抱をというように言われたと出ているのです。  両方とも金利を決める影響力は非常に大きいでしょうが、直接の当事者でないからこう言われたと思うのですが、既にこういう発言をされている以上、この問題についても十分に議論をいたしたい、こう思って質問通告もしておりましたが、残念ながら時間が参りましたので、私の質問は終わらせていただきます。
  72. 草川昭三

    草川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時九分散会