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1997-03-25 第140回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月二十五日(火曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 草川 昭三君    理事 栗本慎一郎君 理事 高市 早苗君    理事 根本  匠君 理事 浜田 靖一君    理事 上田 清司君 理事 大口 美徳君    理事 辻  一彦君 理事 正森 成二君       熊谷 市雄君    佐藤  勉君       新藤 義孝君    田邉 國男君       滝   実君    原田 義昭君       柳本 卓治君    山口 泰明君       青木 宏之君    西村 章三君       若松 謙維君    生方 幸夫君       渡辺  周君    前田 武志君       武村 正義君  委員外出席者         国立国会図書館         調査及び立法考         査局財政金融調         査室長主任   中川 秀彌君         大蔵省主計局司         計課長     田頭 基典君         会計検査院事務         総長      中島 孝夫君         会計検査院事務         総長官房総務審         議官      牛嶋 博久君         会計検査院事務         総長官房総務課         長       重松 博之君         会計検査院事総         局第一局長   深田 烝治君         会計検査院事務         総局第二局長  諸田 敏朗君         会計検査院事務         総局第三局長  山田 昭郎君         絵計検査院事務         総局第四局長  小川 光吉君         会計検査院事務         総局第五局長  森下 伸昭君         参  考  人         (毎日新聞社編         集局次長)   岸井 成格君         参  考  人         (宮崎産業経営         大学経済学部教         授)         (元参議院決算         委員会調査室         長)      吉田 尭躬君         決算委員会調査         室長      天野  進君     ————————————— 本日の会議に付した案件  歳入歳出実況に関する件(国会における決算  審査あり方等)      ————◇—————
  2. 草川昭三

    草川委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件、特に、国会における決算審査あり方等について調査を進めます。  この際、一言申し上げます。  今日、行財政改革が国政の喫緊の課題とされ、また地方自治体の食糧費の問題や予算における公共事業の配分、執行など、税金の使途に国民の厳しい目が向けられております。この意味で、国の予算使用執行を事後的に審査する決算委員会役割は非常に重大であると存じます。  さらにまた、近時、国会行政監視監督機能が注目され、その中核的役割を担い得る決算委員会に今ほど期待が寄せられているときはないと存じます。  しかるに、これまで決算委員会は、諸先輩委員努力にもかかわらず、迅速かつ充実した決算審査を通じて行政施策監督、事後評価し、その結果を次の予算編成に反映させ、行財政執行の適正を期するというこの委員会特有使命を十分に果たしてきたとは言えません。  本日は、今後の決算審査に資するため、一つの試みとして、民間の有識者方々参考人としてお招きして御意見をお述べいただき、決算委員会審議充実活性化を実現する一助といたしたいと存じます。  ここに、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。  本日御出席いただいております参考人は、毎日新聞社編集局次長岸井成格君及び宮崎産業経営大学経済学部教授吉田堯躬君であります。  この際、両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。両参考人には、国会における決算審査あり方等につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。  本日の議事の順序についてでありますが、まず国会職員及び会計検査院当局より説明を聴取いたしたいと思います。  すなわち、決算審査現状等について決算委員会調査室長天野進君から、次に、諸外国決算審議について国立国会図書館調査及び立法考査局財政金融調査室主任中川秀彌君から、次に、会計検査現状課題並びに主要各国における会計検査院議会関係について会計検査院事務総長中島孝夫君から、順次説明を聴取いたします。  これらの説明が終了いたしましたら、両参考人にそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、次に、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言はすべて着席のままで結構でございます。  それでは、国会職員及び会計検査院当局より順次説明を聴取いたします。まず、決算委員会調査室長天野進君。
  3. 天野進

    天野専門員 決算委員会調査室長天野であります。  それでは、決算委員会における決算審査現状等につきまして御説明いたします。  最初に、現在、本院における決算審査はどのように行われているのかについて申し上げます。  まず、憲法の規定により内閣から決算提出されますと、原則として、本会議におきまして大蔵大臣決算概要について説明し、これに対する質疑が行われた後、決算委員会に付託され、付託後は、大きく分けまして、総括審査、各省庁別審査締めくくり審査議決順序で行われることとなっております。  このうち、総括審査においては、大蔵大臣から決算概要説明会計検査院長から検査報告概要説明をそれぞれ聴取した後、内閣総理大臣等出席のもとに総括質疑が行われております。  各省庁別審査においては、所管大臣から決算概要説明会計検査院からその所管に係る検査報告説明を聴取した後、質疑が行われております。なお、第百二十九回国会から、この所管別審査方法として分科会審査を採用しております。  締めくくり審査においては、内閣総理大臣ほか全大臣出席のもとに締めくくり総括質疑が行われ、質疑終了後、討論、採決が行われております。  この採決に当たりましては、予算の非効率的使用等により所期目的が十分達せられていないと認め改善を求める指摘事項会計検査院指摘した不当事項についての見解、その他の事項については異議がないとの三点を柱とする議決案委員長から提出され、この議決案のとおり議決すべきか否かについて採決しております。  なお、このうち改善を求める指摘事項につきましては、次の常会に、内閣から議長あてに、本院の議決について講じた措置として報告されることとなっております。  次に、決算審査方針等についてでありますが、決算委員会におきましては、新憲法下国会における決算審査あり方等について、戦後数回にわたって参考人等から意見を聴取するなど検討が行われてきておりますが、その後、第三十四回国会においても国会決算審査あり方等について参考人から意見を聴取するなど、その取り扱い等について論議されております。  そして、昭和三十五年七月の決算委員会において、「従来の会計検査院検査報告中心審査方法を改め、国会議決した予算がいかに執行されたかを中心として、決算全般について、予算と対比して審査する。」こととする「決算審査に関する運営方針」及び「決算審査方針」がそれぞれ決定されております。  その後、決算の効率的、迅速な審査により、審査の結果を次の予算編成に反映させ、より適正な財政執行の実現を図るため、第五十八回国会昭和四十三年三月の決算委員会において、「決算審査に関する改善事項」として「決算の効率的かつ重点的な審査を行なっため、各省庁別決算審査重点をおく。」ことや「決算審査は、次年度決算提出されるまでに終了することを常例とすることとする。」等について決定されております。  しかしながら、その後の決算審査実態を顧みますと、国会情勢等諸般の事情により各省庁別審査に相当の期間を要しており、次年度決算提出までに審査を終了するという改善事項趣旨が果たされず、決算提出から本会議における議了までに長期間を要する事態となっておりました。  ちなみに、改善事項決定後の昭和四十一年度決算から平成年度決算までの審査状況を見ますと、国会提出から本会議議了までの審査期間は半数以上が二十カ月以上を要しており、平均二十一カ月となっております。また、その平均審査日数は十八日間という状況であります。  そこで、このような決算審査のおくれを解消して、効率的かつ重点的な審査を通じ、速やかに国の諸施策を検証し、その結果を予算編成執行に迅速に反映させるという本委員会使命が果たされるよう、決算審査の促進、充実を図るために、各省庁別審査方法として分科会審査を採用し集中的に審査する等の、新たな「決算審査に関する運営方針」が平成六年三月の決算委員会決定されております。  その後、この運営方針に基づきまして、平成二年度及び平成三年度並びに平成四年度及び平成五年度の各決算審査が行われました。  現在、本委員会では平成年度決算審査が行われておりますが、平成四年度及び五年度決算審査状況を見ますと、国会提出がそれぞれ平成六年一月三十一日、同七年一月二十日、概要説明が同じく平成六年十月十三日、同七年二月九日に行われ、その後、両年度決算を一括審査することに決し、平成七年四月十三日、村山内閣総理大臣ほか全大臣出席のもとに冒頭総括質疑が行われ、平成八年五月十七日に一般質疑、同月三十、三十一日の両日に四個の分科会による審査が実施されました。その後、六月十三日に、橋本内閣総理大臣出席のもとに締めくくり総括質疑が行われ、同日採決、翌十四日の本会議議決されております。この間、国会提出から本会議議了までに要した期間は、平成年度決算については二十八カ月、五年度決算については十六カ月となっており、その審査日数は九日間であります。  以上述べましたように、決算審査に当たりましては早期議決に大変御努力をいただいているところではありますが、残念ながら、先ほど御説明しました昭和四十三年に当委員会決定しました「決算審査は、次年度決算提出されるまでに終了することを常例とすることとする。」という趣旨が達成されていない現状にあります。  一方において、国の公債残高平成七年度末で二百二十五兆円にも達するなど、国の財政状況は極めて厳しい状況にある中で、決算審査充実活性化が今日ほど、マスコミ等各方面から注目され、国民から大きな期待を受けている時期はないのではないかと思います。  このような中で、委員長を初め委員方々のますますの御活躍によりまして、決算早期議決決算審査充実がより一層図られますよう願いますとともに、私ども調査室としても最大限の努力をさせていただきたいと思っておる次第であります。  以上で私の説明を終わらせていただきます。
  4. 草川昭三

  5. 中川秀彌

    中川国立国会図書館専門調査員 国立国会図書館調査及び立法考査局財政金融調査室主任中川でございます。  それでは、諸外国決算審議について御説明申し上げます。  ここでの御説明は、主要国のうち、米、英、独、仏の四カ国について決算審査はどのように行われているか、特に議会においてどのような決算審議が行われるかを、審議の場となる委員会構成審議手順審議日程などを比較しながら御説明申し上げたいと思います。  まず、アメリカ事例でございますが、端的に申し上げまして、アメリカには我が国のような統一的な決算制度はございません。決算委員会に該当する委員会はないということでございます。アメリカ下院には、主に予算編成で重要な役割を果たします歳出委員会と十九の常任委員会がございますが、この中には決算委員会はございません。  それでは、国の決算はどのように審査されるかということでございますが、議会附属機関たるアメリカ会計検査院GAOと略称されておりますが、ここが議会における決算審議に重要な役割を果たしております。このGAO議会の各委員会からの要請を受けて調査を行い、報告書議会証言の形で調査結果を各委員会報告する、こういうことになっております。これによって、議会の意思が決算審査に反映できるようなシステムが保証されているということでございます。  ちなみに、なぜこのようなシステムになっているかということでございますが、一つには大統領・行政府議会との伝統的な緊張関係が背景にあるかと思われます。  もう一点でございますが、アメリカ予算過程に対応したシステムであるということかと思います。アメリカでは、歳出予算法案がそれぞれ歳出委員会にばらばらでかけられる。ここで作成される、こういう予算システムになっております。  この二点がこのようなシステムに反映されているかと思われます。  統一的な決算制度はないと申し上げましたけれども、それでは合規性審査など、伝統的な会計検査の視点が軽視されているかといいますと、そういうわけではございません。国庫収支等決算状況議会提出義務が定められておりまして、財務省長官は、議会会期初日に、前会計年度歳入歳出会計額等財務諸表議会報告しなければならないことになっております。  また、公機関に係る個別支出検査についてでございますが、各省庁に置かれている監察総監、原語ではインスペクターゼネラル、これを監察総監と訳させていただいておりますが、監察総監がこれを実施して各省庁長官提出し、各省庁長官議会歳出委員会または歳出委員会委員会提出するということになっております。  この各省庁財務監査GAOが点検して、問題のある事例についてはGAO報告書として議会提出されることもございます。  以上がアメリカにおける決算審査の概況でございます。  次に、イギリス事例について御説明申し上げます。  イギリス議会における決算審議は、下院提出される決算書会計検査院報告に基づいて行われます。審議の舞台となるのは下院決算委員会でございますが、これは下院における上席の委員会でございまして、十五名の委員構成されております。  この委員会特徴的な点でございますが、委員長選出方法に見られます。決算委員長は、慣例により、野党大蔵大臣または大蔵政務次官経験者から選出されることになっております。この委員長選任方法からもわかりますように、この決算委員会特徴のもう一点は、その非党派性という点にございます。  イギリスでは、決算審議が行われるのは下院だけでございまして、上院では行われません。下院決算委員会では、提出された決算書会計検査院報告を逐次審議し、委員会独自の決算委員会作成報告書を順次作成していくということになっております。これを下院会議提出いたします。  決算議会への提出についてでございますが、議定費決算提出期限につきましては、翌会計年度中の一定期日が法定されております。以前は、この提出が遅いという実態が見られ批判があったようでございますが、九四会計年度実態を見ますと、大分改善されているようでございます。会計年度終了後、早いものでは八カ月後ぐらいに決算委員会での審議が開始されている実態が見てとれるかと思います。  なお、決算委員会での審議行政府から事務次官が出席して証言いたします。また、本会議での審議は、通常会期末の一日に審議され、決算議決されるのが通例となっているようでございます。  次に、ドイツ事例について簡単に御報告いたします。  ドイツにおける決算審議概要でございますが、決算審議は、大蔵大臣による決算書会計検査院による報告書提出をもって開始されます。  連邦議会、これは衆議院に当たりますが、ここで決算審議が行われるのは予算委員会でございまして、その下に、会計検査委員会が設けてございます。この小委員会で実質的には審議が行われるということになっております。  委員長選出方法特徴的な点は、予算委員長慣例により最大野党から、会計検査委員長最大与党から選出されるということになっております。この選出方法からもわかりますように、非党派性にまた特徴がございまして、決算審議は与野党の政争の圏外にあるものと考えられ、決定全会一致で行われるのが通常でございます。  なお、連邦参議院財政委員会参議院ではここで審議が行われるわけでございますが、構成十六名ということで各州から一名、これは各州大蔵大臣が当たるようでございます。この財政委員会は、十六名で構成されております。  連邦参議院では財政委員会連邦議会では予算委員会にそれぞれ決算が付託されまして、審議を経た後、それぞれの本会議責任解除議決が行われて決算が是認される、こういう手順になっております。  最後に、フランス事例についてごく簡単に御報告申し上げます。  フランス決算審議で一番特徴的点は、国の決算決算法案として議会に提案され、議会決算法審議を通じて事後の監督を行う、こういう点でございます。  議会へは決算法案会計検査院報告提出され、国民議会先議慣例に従いまして、国民議会下院でございますが、ここで審議されます。審議に当たるのは両院とも財政委員会でございまして、委員は各会派の所属議員数に比例して割り当てられます。また委員長は、国民議会においては通常与党から選出されるということになっております。  審議手順といたしましては、国民議会財政委員会から国民議会会議にかけられ、元老院財政委員会を経て元老院本会議で可決されるというのが通例でございます。  決算法案は、通常剰余金の処理といった将来に向かう効力はありますが、過去の事実に関する審議が主で対決法案になる性格のものではなく、部分的に是認しにくい状況がある場合でも野党は棄権することが多いというようでございます。  なお、時間が参りましたが、一点最後につけ加えさせていただきます。  この決算法案が表決において否決されることがあるかという点でございますが、一九七四年度決算法案で一部超過支出を減額修正して可決した例がございます。あるいは、一九八三年度決算法案でも特別会計からの一般予算歳入への納付金繰り入れをめぐる疑義が生じまして、元老院で否決されたというような例がございます。  ちなみに、他の国々においてでございますが、決算を否認するという事例は、イギリスでは、一九六二年以降、調査した範囲ではございません。ドイツでは、七三年度決算につき連邦参議院で部分的に不承認の事例が見られますが、通常予算委員会議決勧告を満場一致で採決しているのが通例でございます。  以上で御報告を終わらせていただきます。
  6. 草川昭三

  7. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 会計検査院事務総長中島でございます。  まず、会計検査現状課題について御説明申し上げます。  最初に、会計検査現状について申し上げたいと思います。  我が国財政は極めて厳しい状況にあり、行財政改革が重要な政策課題一つとなっております。このような状況のもと、監査機関に対する期待が強まっております。国会マスコミなどから会計検査院に対して、重箱の隅をつつくような問題ではなくもつと大きな問題に取り組むべきである、あるいは予算に反映されるような問題、制度改善につながるような問題に取り組むべきであるといった要望があります。また、国の予算執行状況財政状態がどのようになっているかわかりにくいので、会計検査院がもっとこれらの情報国民に提供すべきであるとの意見も出されております。さらに、地方公共団体における情報公開を契機として国民税金に対する関心が高まっており、公的監査機関に対する期待の声も聞かれます。会計検査院は、これらの要望期待にこたえる会計検査を推進するよう努めているところでございます。  会計検査院は、国の収入支出決算等検査を行い、会計経理監督し、その適正を期し、かつ是正を図るものとされております。したがって、会計検査においては、会計経理を離れた業務一般監査対象となるものではありませんが、逆に、会計経理に関するものについてはあらゆる業務監査対象となり得るということであります。このように、会計検査領域はかなり幅の広いものとなっております。  そして、会計検査院は、現在、正確性合規性経済性効率性有効性といった多角的な観点から検査を行っております。その検査結果の検査報告への掲記方法につきましても逐次拡充してきておりまして、参考資料一ページに図解いたしましたが、検査報告掲記事項は、現在では、不当事項処置要求意見表示、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項、特に掲記を要すると認めた事項特定検査対象に関する検査状況と、多彩なものとなっております。  次に、今後の取り組み方針についてでございます。  検査の原点として個々の不適切な問題を取り上げることは今後とも必要であると考えておりますが、あわせて、事業または制度全体の問題についてもより積極的に取り上げてまいりたいと思っております。とりわけ現在も力を入れている有効性検査、これは、事業所期目的を達成し効果を上げているかという観点からの検査でありましく参考資料二ページ以下に有効性に関するこれまでの主な指摘事例を掲げておりますが、この検査をさらに拡充したいと思っております。  また、現在では、従来重点を置いていた工事などのハード検査に加え、予算の増加が著しい社会保障などのソフト検査にも重点を置くようになっておりますが、このように、予算の推移や社会経済情勢の変化に応じた検査を志向し、さらに国民の関心事を積極的に取り上げるなど、新しい検査領域の開拓にも努めたいと思っております。  このような検査を推進するためには、新しい検査手法開発等が必要であり、外国における有効性検査実態調査の強化、外部の有識者や学者との意見交換の場の拡大、職員の研修の充実などを図り、また必要に応じて組織の整備等を検討したいと思っております。  また、国の予算執行状況財政状態に関する情報提供充実するため検査報告の記述を改善するとともに、会計検査院活動状況検査の結果に対する国民理解を深めるため広報活動充実してまいりたいと思っております。  次に、国会との関係についてでございます。  会計検査院決算検査報告内閣提出され、内閣から決算とともに国会提出されます。検査報告は、決算委員会決算審査を初めとして各委員会等審議に供されており、このことが検査実効性を確保する上で有効なものとなっております。このため会計検査院は、これらの審議に当たっては、委員会要請に応じ適宜必要な資料提出し、あるいは説明をしてきております。  決算委員会審議に際しましては、その審議結果を検査に反映させるため、常時、局長等出席させるとともに、検査要請があれば積極的に応じまして、検査を行って検査報告に掲記するなどしております。  例えば、参考資料七ページにありますように、マルコス疑惑に関する国会における論議を端緒として、ODAの検査に本格的に取り組みまして、検査体制を整備し、現地調査を行い、検査結果を検査報告に掲記してまいっております。  国会との関係につきましては、会計検査院としても、検査結果の実効性を確保し、また決算審査に資する観点から緊密な連絡協調体制をとることが重要であり、またその努力をすることも当然のことと認識しております。ただ、今後その関係をより緻密にし、質的にも量的にも拡大しようとする場合、会計検査院の独立性の保持、制度的な条件整備、予算、組織、人員等の体制整備の必要性などの点に留意する要があると考えております。  次に、主要各国における会計検査院議会関係について御説明申し上げます。  ここでは代表的な、アメリカイギリスドイツの例を取り上げてみたいと思います。これら各国における会計検査院議会関係検査報告議会への報告は、各国の制度上の相違等からそれぞれ特徴があります。  まず、アメリカでございます。  会計検査院行政府から独立しており、明文の規定はありませんが、実質的に議会附属機関として機能しております。アメリカは大統領制をとっていて、大統領府及び行政府議会が対立する関係にあることから、対抗勢力として議会と結びついていった経緯がございます。  検査報告議会提出されますが、これには年次報告と個別報告がございます。年次報告議会の常会の前に行われます。個別報告調査を要求した委員会委員長等に対して行われる報告で、随時行われまして、年によって違いはありますが、年間約千件ございます。また、議会での口頭による証言が年間約三百件ございます。  次に、イギリスでございます。  会計検査院行政府から独立しておりまして、院長の人事権や報告義務等の面で議会下院との密接な関係がございます。  検査報告は、決算報告とVFM報告がございます。決算報告は、大蔵省経由で決算書とともに報告されるものであります。VFM報告は、公金である予算がどのような価値を発揮したかというバリュー・フォー・マネーに関する報告で、経済性効率性有効性に関する勧告をするものでございます。これは随時下院に直接提出されまして、決算委員会審議され、委員会報告として公表されます。  次に、ドイツでございます。  会計検査院は連邦政府及び議会から独立し、法律のみに従う最上級連邦官庁でございます。独立組織型という点で、日本の会計検査院と同じタイプに属します。  検査報告連邦議会提出され、年次報告と特別報告がございます。特別報告予算委員会要請に基づくもので、会計検査院要請があった場合には積極的に応じていると言われておりまして、必要と認めたものについては随時報告されております。  これら各国の検査報告事例につきましては、参考資料十一ページ以下に掲記してございます。日本の会計検査院指摘事例と比較することは難しいのですが、類似する事例もあれば全く異なるような事例もあるように思われます。  最後になりますが、会計検査院は、アメリカ会計検査院を含め各国の会計検査院とは従来から国際会議等を通じて相互に意見交換等を行っており、密接な協力関係にありますので、これら各国の例を参考としつつ、検査の内容や手法を改善してまいりたいと思っております。また、国会、特に決算委員会との関係についても、決算審議に資するということはもちろん、検査実効性確保の観点からも、そのよりよいあり方について前向きに検討してまいりたいと考えております。  以上で私の説明を終わらせていただきます。
  8. 草川昭三

    草川委員長 これにて国会職員及び会計検査院当局説明は終了をいたしました。  これより両参考人から御意見を聴取いたします。  まず、岸井参考人にお願いをいたします。
  9. 岸井成格

    岸井参考人 毎日新聞社東京本社編集局次長岸井でございます。よろしくお願いいたします。  私自身は、国会の運営、委員会の機能その他を十分に承知しているわけではございませんが、先ほど、冒頭に草川委員長がおっしゃられたように、国会全体に対して今マスコミがどう見ているか、また、国民世論の政治不信というものの根底に、国会が十分にその機能を果たしているのだろうかという、そういう疑問があるという点を中心にお話をさせていただきたいと思います。かなり一般論になるかもしれませんけれども、またいろいろ御質疑の中でお話し合いをさせていただきたいと思います。  まず、お手元にありますように一応参考人陳述骨子をつくってまいりましたが、重複を避けたいと思いますので一点だけ申し上げますと、やはりこれだけ大きな時代の転換の中で、国民マスコミもあるいは議員の先生方も、皆さんひとしく、どういう大きな変化に先行きなっていくのかということについて、何となく不安感といいますか、不確定なものを感じております。そういう中で、第三の革命とか、あるいは橋本総理がおっしゃられるように、ここで行財政改革をやらなければ日本のあしたはないというような危機感があるならば、私は、やはり国会審議のあり方そのものも、それ相応に大きく変わっていかざるを得ないのではないかなと。  基本的な疑問は、やはり冷戦構造が崩壊したということ、それから高度経済成長が、これ以上右肩上がりの成長が望めないということ、そして高齢・少子化時代を迎えているという中で、我々マスコミあるいは国民の目から見ますと、そういう転換期において国会は、抜本的に今までの行財政の構造、具体的に言えば税金の使い方について非常に大きな関心を持つようになってきているとき、そこへ噴出している盲官接待を中心とする食糧費の問題とか、あるいはばらまき予算と言われるような公共事業中心とする予算編成というものに何ら反省なくやっていいのだろうか、どうも冷戦構造あるいは高度経済成長時代の延長のまま、悪く言えば惰性で予算編成が行われているのではないだろうか、そういう疑問に対して、きちっと回答を示していただきたい。  そういう意味でいいますと、予算委員会決算委員会国会審査の両輪になると思うのですが、現場の声を多少、在京政治部長会、在京社会部長会などの意見も聞きながら聴取をいたしましたけれども、大体各社、データベースを引いておりますと、九四年、九五年、九六年、三年間で予算委員会の記事資料はおよそ平均二千件であります。これに対して、決算委員会はわずか二十件であります。特に、数の問題だけではなくて、その内容、記事の取り上げ方の大きさに非常に大きな差がございます。  御承知のように、予算委員会の方は一種、議員さんにとって中央の晴れ舞台のようなものがございまして、記事も大臣の答弁、そのときの注目される焦点についての答弁が中心になっておりますので、どうしても比較的大きく、そして行数も多く扱われるということがございます。  しかし、それと同時にやはり、先ほどから申し上げているような時代状況の変化の中で、国民期待というのは、一方で両輪の決算委員会への期待というものが非常に高まっていると私は思います。しかし、現在、各社の現場の記者の声を聞いてみますと、これだけ世の中いろいろな事象が起きている中で、これまでの決算委員会のあり方を見ていると、集中的に時間をとって取材する気になかなかなれない、そういう審議結果になっていないというのが一般的な印象のようであります。これは多少御無礼があるかもしれませんけれども、現場の記者あるいは社会部長クラス、政治部長クラスではどうしてもそういう印象を非常に強く持っているようであります。  私個人の経験からいいましても、かつて、もう伝説のようになりましたけれども、決算委員会というと、その前の占領下の退蔵物摘発の特別委員会とか、それに続いて田中彰治委員長時代の疑惑追及というようなことが伝説のように我々教えられたものであります。そして、私自身が駆け出しのころの、もう二十年、三十年近く前でも、なおかつまだ決算委員会に対する関心というのは非常に強くて、先輩からよく、とにかく決算委員会をきちっとフォローするように、例えば予算委員会野党が与党に仮に予算案で押し切られても、最後の決戦場は決算委員会にあるんだ、そこで何が飛び出すかわからないからこれをきちっとカバーするようにとよく言われたものでありましたけれども、昨今はそういう雰囲気もなくなってきているようであります。  あえて取り上げますと、昨年の六月、これは大きな記事になっておりますけれども、「税金不信」企画の一本でありますが、決算委員会の閉会中審査について、当時の自民党の稲垣理事と新進党の前田理事、今太陽党に移られておりますけれども、その記事があります。委員会が開けなくなってしまった。当時、この筆者によれば、自民党も、与野党含めて、どうも解散風の中で、住専も何とか乗り越えたというところから地元に帰られて、委員会が定数充足しないで開けないような状況に陥ってしまった。こういうようなことが昨年でも実際に起きておるということで、こういう現実を見せられると、非常にがっかりしてしまってなかなか取材に力が入らないというようなことが現場にはあるようでございます。  それで、この骨子の中にも触れましたけれども、委員長がおっしゃられるように、ここへ来て、総体的に決算委員会役割に対して国民マスコミの注目が大変集まってきております。  第一は、やはりどうも税金のむだ遣いがあるのではないか。むだ遣いというのは、不正あるいはその他のスキャンダルという意味だけではなくて、時代にそぐわなくなってしまった、今までの延長線でやるのではやはりどうしても非効率、あるいは必要のないところにお金をかけ過ぎているのではないかという疑問があるわけでございます。  そういう点でいうと、例えばマスコミの視点でいえば、公共事業というものが、よく言われるように、かつての景気浮揚策あるいはその他の波及効果というものが現時点ではどういう変化をしているのだろうか、本当に言われるとおりの景気浮揚策、景気効果というものがあらわれているのだろうか。これはもういろいろな方面で言われ続けてきたことでありますけれども、こういうことについて決算委員会がやはり集中的な審議、場合によっては公聴会を開いて各方面の意見を聞き、連日開いてその構造を明らかにするというようなこともこの際必要なのではないかなという気がいたします。  昨年来、選挙を境に行財政改革が、各党一致して旗を掲げておられ、また我々マスコミも、その重要性を十分に認識をしているつもりでございます。しかし、いかに省庁再編とか、あるいは来年度以降マイナス予算に切りかえていく、あるいは配分の見直しをすると言われても、その基本的な構造がどうなっているかというのは——マスコミはこの辺がおかしいなという疑問点は指摘をしてきております。これは各社もう本当に、昨年来いろいろな企画あるいは単発の記事で指摘をしながら、ここに疑問がある、ここに疑惑があるというようなことを書いてはきておりますけれども、どうしてもそれ以上突っ込んだ、本当の構造的な背景、問題点というものが明らかにならない、そういう隔靴掻痒の感を持っております。この点はやはり決算委員会の非常に重要な役割、その解明が役割ではないかな、そうでなければ本当の次の予算への反映というものは期しがたいのではないかなという気がいたします。例えば公共事業ではそういう点であります。  それから、幾つか各社が企画その他で取り上げている問題がございますが、個々の問題については省略したいと思います。  それから、最近注目されているのは、やはり福祉予算であります。これはやはり他の予算と比べても断トツに大きいわけでありますが、その中で、残念ながらあの選挙直後から厚生省汚職事件というものが発覚をいたしました。これはもう国民ひとしく大変な関心を持たざるを得ませんし、また、非常に残念な事件であったと思います。  これも、我々の取材によりますと、八年前の、これは竹下内閣末期でございますけれども、消費税導入という非常に大事なときにリクルート疑惑が噴出をいたしまして、政権としても追い詰められておりました。しかし、何としても消費税を導入しなければならないという至上命題のもとで、野党対策としてこのゴールドプランという福祉政策をスタートさせたと。公明、民社両党を何としても自民党として取り込むために、野党案をある意味では丸のみして、消費税導入に道を開き、そしてスキャンダルを乗り切っていかなければならないという政局的に非常に重要な背景があったと認識をいたしております。  これが今度は、竹下内閣の後の海部内閣において法案化、予算化へ向かっていくわけであります。そのときの大蔵大臣が橋本現総理大臣、そして厚生大臣が戸井田三郎先生、亡くなられましたけれども。そして重要なことは、現場でこのプランを練ったのが、汚職事件で逮捕された厚生省の岡光前次官と、そして二信組事件で退職をいたしました、大蔵省側は中島義雄さん、元主計局次長でいらっしゃいます。  別に、そこで岡光さんと中島さんが二人三脚だったからその後の厚生省汚職の温床が生まれたと申し上げているわけではなくて、少なくともそういう政局及び政治的決断の中でこのゴールドプランがスタートした。プラン自体はあるいはよかったかもしれませんけれども、その後、あの埼玉の彩福祉グループのような形で補助金を得、それをまた丸投げというような形で建設費その他の収益を上げる、我々の言葉で言えば二重、三重に税金を食っているといいますかピンはねをしている、それが汚職事件にまで結びついているというのが、非常に重要な政治的決定の背景となっていると思うのですね。  もしそうした政局などが直接この汚職事件の温床になっていないというなら、それはそれで——私もそう思います。ですから、そういうことをしっかりと解明することと同時に、なぜ、そういう本来よかれと思ってスタートしたゴールドプランがこうした汚職を生む温床になってしまったのか、チェック機能はその聞きかなかったのかということについて、徹底的な審査をしてその実態を解明していただかないと、また、その彩福祉グループのような形態というのは唯一埼玉だけなのかどうか、全国的にそういう問題を抱えていないのかどうか、これは今後の予算編成に対する国民の監視の目からいっても非常に重要な点だろうと思います。  この厚生省汚職、彩福祉グループの問題は例えば一例でありますけれども、そういう問題が出たら、迅速にそういう問題解明のための審査をやっていただきたい。また、それをやるところは、決算審査という中でこの委員会の場で徹底してやっていただく以外にないのではないかなという感じを持っております。  こういう問題は、その他ウルグアイ・ラウンドの予算、先ほど申し上げた公共事業の問題、これは日米の外交問題にもかかわることでありますけれども、国会議員の先生方は、補助金の問題とか外交にかかわるこうした公共事業、ウルグアイ・ラウンド予算の問題というのは非常に御承知のことであろうと思うのですが、一般国民にはなかなかその実態、姿というのは見えてこないのですね。なぜそれだけ巨額な投資をしなければならないのか、予算をつぎ込まなければならないのか、またこれが適正に使われているのだろうかということに対して、非常に最近は疑問が強まってきております。  そういう意味でも、この骨子の最後に書いておりますが、アメリカGAOのような、日本版GAOのような機能を国会に仮に導入するようなことも検討されるのであれば、それと決算委員会との関係、組織、機能、権限、運営というものをやはり国民の目に見えるような、情報公開の時代でもございますので、そういう期待に沿う形で抜本的に考えていただけると大変ありがたいというように思っております。  骨子以外、特につけ加えることはその点でございます。よろしくお願いいたします。
  10. 草川昭三

    草川委員長 どうもありがとうございました。  次に、吉田参考人にお願いをいたします。
  11. 吉田尭躬

    吉田参考人 御紹介いただきました吉田堯躬と申します。宮崎産業経営大学で財政学を担当しておる者であります。  本日は、決算審査のあり方をめぐる決算委員会意見を述べる機会を与えていただきまして、ありがとうございます。この問題につきまして、五点申し上げたいというふうに思います。  まず最初ですが、決算を規範性のあるものにしたらという点でございます。決算が重視されていないというのは、今のお話の中や何かにも出てきているところでありますが、それはなぜかということを考えますと、決算議決するということによっては物事が変わらないという事実があります。否決すれば過去の取引がこれは無効になるとか、そういうことならば、この予算執行した側が緊張することになりますけれども、今は、議決されてもされなくてもそれは影響されません。ですから、決算について行政府側が、多分先生方のところへも御説明には行かないのではないか。予算だとか法案だとか条約だったら、多分審議にかかるとなれば説明に行きますけれども、決算説明に行かないですね。それは、決算は事実が変わらないから説明する必要がないと思っておられるのだろうと思います。ですから、決算を重要視するには、決算によって物事が決まるという形にすることが必要ではないかなというふうに考えます。  決算になじむ、規範性のあるといいますか、それによって物事が決まるということはどういうものならあり得るかということを考えますと、実は剰余金の処理ということが決算にふさわしい、その規範性のあるものではないかなというふうに思います。  現在は、一般会計においては、自動的に予算処理の方に入っていってしまうということになっております。特別会計も、そのまま繰り越して使える、あるいは積立金にしてしまう、自動的になるということになっておりますから、決算の処理ということにはならない。しかし、これは法律でそういうふうになっているだけですから、法律を変えて、決算剰余金の処理については決算委員会審議後でなければ処理できないという形に変更すれば、決算そのものが規範性のあるものに変わるのではないかというふうに考えます。先ほどフランスの例がありましたけれども、フランスの中のあれはそういうものが入っているということが、先ほどのお話の中にもあったように思います。  そのようにすることは、逆に言いますと、今までの行政の対応を難しくしますし、いろいろな点から、例えば財政の硬直性、制度が硬直化するというような反論があり得るとは思うのですけれども、実は財政が弾力的であるというのは、制度が厳格になっている方が、財政は弾力的に行えるもの、弾力化するというふうに考えるのです。  制度が非常にリジッド、例えば公債は絶対に発行できないということになっていれば、財政が現在みたいに公債で動きがつかないというような事態にまでは陥らないうちに対策がとられるのですね。ところが、その発行しないでということを取りやめて、発行してもいい、公共事業費の範囲ならいいというようなことになりますと、今度は、ぎりぎりまでは財政というものは悪化していくというふうに、制度が厳格であるということと財政自身が弾力的、硬直化しないということとは別問題です。ですから、剰余金の処理が別個に処理されるというふうになって、それは財政制度とすれば弾力性がないことになりますけれども、財政自身がそれによって弾力性がなくなるということはないというふうに考えます。  それからもう一つ、一般には、決算議決案件でないからという点を尊重されない理由の一つに挙げて、議決案件にしろということが言われることがあります。しかし、この考えは、実は予備費は議決案件ですけれども、衆参異なる議決をしたとしても、現在何らそれが影響を持たないということからしまして、議決案件にするかどうかではないのですね。議決案件の中にその規範性のあるものがあるかないかがポイントだというふうに考えます。それが一点目でございます。  二点目は、決算内容を歳入歳出に限定しないで、予算と対比する形でということに制度を変える必要があるのではないかという点であります。  憲法で、決算については、歳入歳出決算というふうに言っておりますが、予算はそういうふうには限定されておりませんで、現実的に財政法で、予算には予算総則とか継続費とか国庫債務負担行為とかそのほかがございます。それに対して、決算の方は歳入歳出決算だけになっております。ですから、予算と対比するためには、決算予算と比較したような形で提出される、あるいはそのように内容を変えていくということが必要だろうと思います。  ただ、歳入歳出以外のもの予算で決めていることは、基本的にはどうしても予算歳入歳出にかかわってきますから、そういう意味では、決算書方々洗っていけば大体のことはわかるようにはできております。しかし、全然出ていないものもないわけではありません。現在、予算の中に予算定員俸給額表というものがありまして、これに従って各省庁は運営しなさいということになっている。これについては、どういうふうに運営されたかというのは決算書のどこにも出ておりませんので、そういう事例もありまして、予算で決められたことの中で決算にわからないことも中にはあるんだ、そういう形で、予算で決めたことが決算にそのままわかるようにされることが必要ではないかなということです。  それから第三番目としては、余り大所高所からではなくて、決算というものをもう少し実態的に考えたときに、財政資金の処分というか財政資金の配分という面はやはり予算委員会の問題であろうというふうに私は思います。その執行段階の問題が決算だろうというふうに考えておりますので、そうしますと、不正だとかそういう問題がありますが、不正はこれは議会というところがなかなか直接取り扱えるものではないと思います。これは、専門的にやっておられる会計検査院とか、あるいは逆に、ジャーナリズムさんがやっていただくのを取り上げることは可能ですけれども、議会自体がそれを独自に調べてきてというのは、それが好ましいと言われれば好ましいかもわかりませんけれども、現実的に、私も決算調査室というところにおりましたけれども、そういうところでそれを要求されましても、それのサポートというのは実はなかなか難しいというふうに考えております。  むしろ決算委員会は、そういう財政資金の配分ではなくて、配分が長期的にどこかで変わってきておるのではないかということの指摘ならできるのではないかというふうに考えております。そういう意味で、特別会計とか政府出資法人なんかについては、これはっくるときに大体において資源配分というのはもう決まっているというふうに考えていいわけです。それがその後の事態にどういうふうに変化しておるかということを財務諸表そのほかからフォローするというのが、決算委員会にはあっていいのではないかなというふうに考えております。  例えば一例を挙げますと、外国為替資金特別会計というのがありますが、これは固定レートの時代につくられた制度でございます。それですから、今みたいに変動レートのもとではなかなかうまくいっていないといいますか、違う制度になっているのだろうと思います。それでは現実には何をやっているかといいますと、これは、評価損が出た以降、この特別会計は日銀に外為証券を発行して、それによって外貨で運用するという形で、そこで利益を上げるという形をとっております。それを一般会計に計上する、入れ込むという、要するに外貨運用で金もうけをやっている特別会計に変わってきてしまっているというふうに思います。それがいいか悪いかの判断はまた別なのですけれども、そのように内容が変わるということがわかってきますので、そういう点は、決算委員会などで実態を見ていくということがいいのではないかというふうに思っております。  四番目は、もう少し実際的な面でございますが、先ほども決算委員会が流れてしまったということが岸井参考人の方から話が出ておりましたけれども、決算制度自体は、常会に出すということになっておりますから、開会中の審議ということを前提としているはずでございます。ところが実際的には、これが閉会中にならないとなかなかできない。開会中は、法案の審議あるいは予算審議が優先されるというのが現実であります。決算審議を重要だと言われている各政党さんの中でも、いざとなりますと、予算委員会をつぶして決算委員会をやるということに賛成はなかなかしていただけないというのが実際であります。  一番いいのは、予算提出国会法が改正されて十二月じゃなくなって一月になってしまって、予算決算が同時に提出ということになってしまいましたので、予算の前に決算審議するということからすれば、秋に臨時国会を開いて決算提出してもらうというのが最もふさわしい。そこで審議した上で予算審議に入るということが好ましいと思うのですが、もしそれができないということであれば、予算委員会審議中に、週一日だけでも決算審議の日を設けて、衆参交互なら衆参交互に決算委員会をやるという慣習をつくっていただきたいというふうに思います。  それからもう一つは、決算委員会がつぶれるのはそれだけではございませんで、実は政治的な問題によって、決算委員会がセットされていても、全部の委員会審議ストップだということで決算委員会自体が流れてしまうということがあります。しかし、先ほど御説明の中にもありましたけれども、決算委員会というのは、本来与野党の対決すべきものではないというのがイギリスだとかそういうところの例にも出ておりましたように、そういう政治的な対立に巻き込まれてストップすることはむしろない方がいいと思います。  それから現実において、審議ストップするというのは、野党が法案あるいはそういうもののストップをするためでありますから、その戦術の一つとして行われているわけですけれども、決算をやったからといって、決算審議をおくらせたら政府の方が困って法案審議のために何か譲歩するというようなことはあり得ないわけでございますので、そういうことからすると、決算委員会は災害委員会と同じように、全体的な委員会運営の中でストップしないで行える委員会にしていただいたらどうかなというふうに考えております。審議拒否をすれば、それは行政官庁が喜ぶとまでは言いませんけれども、決して行政官庁にとって、ああ困ったなということにはならないわけですので、拒否をする理由がないというふうに私は考えております。  最後ですけれども、決算については、実は財政を担当している者でもほとんど取り扱いません。それは、決算のことを書いても雑誌は載せてくれませんし、決算の論文を書いて博士号を取るとか、あるいは助教授から教授になれるとか、そういうようなことには多分ならないのだろうというふうに思います。というふうに、学会の中でも決算というのはそんなに重視されないというふうになっています。それですから、決算を分析するというか、それを奨励するようなあれが全くございません。  それで、決算委員会がそれをやってくださらないとなかなかそういう刺激を受けることがないわけでございますので、決算委員会が、参考人でなくて、公聴会を必ず開くというようなことをやっていただいて、そこにそれぞれ問題を見つけた人が出てきていただいて、こういう問題がある、ことしの決算を分析したところこういうところがどうも問題点になり得るのではないかというようなことを、そういう分析能力がある人が公述できるようなふうにしていただいたらいいのではないか。もしそういうことができますと、現在地方議会や何かであれしております市民オンブズマンの人たちや何かも活用する余地があるのではないかなというふうに考えております。  以上、五点を私なりに考えてまいりましたが、参考になりましたでしょうかどうか。どうもありがとうございました。
  12. 草川昭三

    草川委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  13. 草川昭三

    草川委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  この際、質疑方法について一言申し上げます。  本日の参考人に対する質疑は、理事会の協議により、まず、あらかじめ申し出のございました委員が順次質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。  なお、会計検査院当局に対し質疑のある場合には、これも許可することといたします。  また、念のため両参考人に申し上げますが、御発言は、すべてその都度委員長の許可を待てお願いいたします。また、委員に対しては質疑ができないこととなっておりますので、あらかじめ御了承願います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。根本匠君。
  14. 根本匠

    ○根本委員 自由民主党の根本匠です。  ただいまは大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。全体像が大体把握されたわけですが、私は、決算委員会活性化という観点から両参考人にお伺いしたいと思います。  本格的な行政改革の時代を迎えまして、国会の行政監視あるいは評価機能の評価の必要性、重要性、これが高まっております。行政実績を検証、評価する監視制度の提言や、あるいは日本版GAO、こんな意見も出てきております。私は、基本的には、日本の場合、決算委員会活性化して、決算審議を通じて政策を評価、点検、検証して政策決定に反映する、この機能、役割を強化することが何よりも重要だと思っております。  日本版GAOをとの意見がありますが、これは、先ほどもお話がありましたけれども、アメリカと日本の政治システムの違い、特に米国は、大統領制のもとで、大統領のもとにある行政府との対抗上、議会に強力なチェック機能が必要なため、いわば議会の番犬としてGAOが設置されておりますから、当然アメリカには決算委員会はない。したがって、こういう大統領制か議院内閣制かという、この背景を考慮すべきだろうと思います。議院内閣制をとっている日本では、その意味では、この決算委員会活性化を図ることが基本だと私は思います。  行政の監視という点では、国政調査権の十分な活用、あるいは監察のノウハウを持つ総務庁の行政監察局との連携、これが大事だと思います。アメリカ監察総監制度という話がありました。  もう一点は、行政の監視、特に政策の評価という観点から会計検査院の活用が必要だと思います。各国の制度も、決算委員会会計検査院の機能、役割分担、これの連携がなされておりますから、この観点から、私は、やはり決算委員会活性化の大きな手段は、会計検査院、これを活用することが大事だと思います。  先ほど税金のむだ遣いの話もありましたが、税金のむだ遣いの観点から、現行の不正、不当事項を非常に重視しているわけでありますが、議会、我々のテーマでいえばやはり政策の評価、これはいろいろ参考人からもありましたけれども、政策の評価を重点にすべきだと思います。各国の制度を見ても、この点では、アメリカの個別報告、あるいはイギリスのVFM報告ドイツの特別報告、これも恐らくこういう観点なんだろうと思います。  特に、新規予算予算の場合は新規政策が予算ということで反映されますから、これは相当な議論がなされるわけでありますが、予算あるいは制度、政策、これは、一たん成立しますと、どうしてもその後の点検、フォローが甘くなりますから、スクラップ・アンド・ビルドという発想もありますが、政策効果、事業効果のチェック、政策の評価、やはりこれを決算委員会がしていくということが重要だし、これが行革の観点からも大変重要だろうと思います。  現行の検査院では、合規性検査が七五%、有効性、これが四%ぐらいになっておりますから、個々の政策評価を非常に重点を置いてやる、これが必要だと思います。それで、検査院が政策の評価と国会への効果的な情報提供を強化して、一連の流れでいえば、予算や政策が、計画・構想、予算化、執行、そして事後の点検、評価、この事後の点検、評価を決算委員がやって、政策をブラッシュアップして、具体的な政策のさらなる展開を図る、こういうメカニズムが大事だ、私はこう思います。  決算委員会のテーマとしては、先ほどもお話がありましたけれども、これからの行革の時代を考えますと、事件物よりも政策物をきちんとやる、こういうことが必要だと私は思います。  そこで質問をしたいと思いますが、私は今のような意見を持っているわけでありますが、こういう私の意見に対しての意見、具体的な提言、例えば、先ほども出ておりましたが、どういうテーマを考えるか。公共事業、福祉予算、いろいろありました。もう一つ方法論。先ほども委員会をストップしないという提言もありましたし、あるいは学者の意見を聞くべきだ、こんな意見もありましたが、この方法論、この点について御意見があればお二人の参考人にお伺いしたいと思います。
  15. 岸井成格

    岸井参考人 一点は日本版GAOですけれども、根本理事は、基本的に大統領制と議院内閣制の違いから日本の議会にはなじまないのではないかという御見解ですけれども、私は、一概に完全に否定することなく、やはり、日本の議会、議院内閣制の中でもGAOのやれる道があるのかどうか、これは徹底的に探っていただいた方がいいのではないかな、それがまた国民や何かの——それで結論としてだめでも結構なのですけれども、そういう議論のプロセスをぜひ知りたいなという気はいたします。  それからもう一点の、先ほども申し上げましたけれども、やはり政策課題、とりわけこれだけ大きな変化の時代ですので、補助金一つでも、この補助金制度の持つこれまでの歴史的評価、そして今日の変化、今後これをどこまでやっていけるのかという問題について、我々マスコミでいうと連続公聴会のようなものを集中的にやっていただけると、マスコミの関心も高まるし、また、国民もそこから得るものは非常に大きいのではないかなという気がいたしております。
  16. 吉田尭躬

    吉田参考人 確かに、GAOのような機関というのは日本の制度のもとでどうかなという疑問は感ぜざるを得ない点がございます。ただ、例えば、衆議院は常に政権党が多数ということになってあれですけれども、参議院の場合は必ずしもそうではないので、そういう場合どうかとか、それから、二大政党制ができて政権交代が始終行われている中でしたらあるいは可能性があるかなとは思いますが、そういういろいろな政治問題を前提としなければ有効に活用できる制度ができ上がるとはなかなか言えない、非常に疑問を持っております。  それから、テーマあるいは方法ということでしたけれども、その点からいいますと、今お話の中にありましたように、新政策が何年かたったときにする、現在は行政省庁別にやっておられますけれども、例えば五年たった経費なら経費について、ことしはどういうことでどれだけある、それについての評価を委員会として取り上げようというようなことを決定されていかれれば、それは、理事会等でもってお決めになってそれに集中してやれというようなことでやられれば可能かなとは思います。  一応、私の考えとしてはその程度でございます。
  17. 根本匠

    ○根本委員 私、時間がありませんのでもう終わりますが、GAOについても、私もGAOを否定しているのではなくて、むしろ、GAOで何を目的に、何をねらいとしてやるのかということ、この魂は生かすべきだと思います。ただ、それは、大統領制なのか議院内閣制なのか、個々の前提で考えるべきだということを申し上げたかったということだけ補足して、終わります。
  18. 草川昭三

    草川委員長 次に、上田清司君。
  19. 上田清司

    ○上田(清)委員 本日は、岸井先生、吉田先生、ありがとうございます。また、それぞれ関係機関の皆様もありがとうございます。  私は、参考人の先生方の意見と全く一緒なもので、逆に、会計検査院中島事務総長や、あるいは中川室長にちょっとお尋ねしたいような気もありますが、とりあえず、私の基本的な考え方として、とにかく審査期間が長く審議時間が短いという、この決定的な決算委員会のあり方について大変疑問を持っている者の一人であります。  膨大な決算の中身が、この平成四年、平成五年でわずか九日間という短い審議の日程。それから、毎年御指摘されておられますところの例えば不当支出、不当事項、この指摘額がなぜ毎年同じぐらいの金額で推移するのか。あるいは、厚生省の不当事項などは六年間トップであり続けて、なぜ年度によって少しは変化しないのだろうかとか、こういう同じことが何度も何度も繰り返される原因は一体どこにあるのか。あるいは、この審査体制というのがそういう枠の中までないのかどうか。実は要員が足りないのですよ、こういうお話があるのかどうか。それからまた、次年度の予算検査した部分と対比をさせておられるのかどうか。もし対比されておられるのであれば、相当それがプレッシャーになって毎年厚生省がトップということはあり得ないのではないかな、私は率直に言ってそんな疑問を持っておりますので、この問題について、両先生からちょっと御意見を伺いたいと思います。  また、大変恐縮ですが、委員長の御了解をいただければ、中島事務総長にもこの件についてお話を承りたいと思います。  とりあえず以上です。
  20. 岸井成格

    岸井参考人 もし誤解があれば、その誤解を解いていただきたいと思いますが、会計検査院については、長い間、マスコミも信頼をしてきて、また審査の根拠として重視をしてきた経緯があるのですが、最近、昨今の今理事の御指摘のような問題が非常にクローズアップされてまいっております。  そういう中で、人手の問題なのか予算の問題なのかわかりませんけれども、いずれにしろ、我々の認識からすると、各省庁との長い間の関係から、思い切ってここもというものにどうしても切り込めない。しかも、これは毎日新聞が一度指摘しておしかりも受けたのですが、会計検査院予算とほぼ同額の摘発額、これはどういうことだろうかという疑問を持ちまして、それで額としても推移をしている、どうもここには何か、疑問といいますか、からくりがあるのではないかなという感じを率直に持っております。
  21. 吉田尭躬

    吉田参考人 検査院さんの方からお答えはあるとは思いますけれども、厚生省が最近多いということは、そういうソフトの予算について重点的にされるというふうに私どもはお聞きをして、その結果が実ってきたというふうに私どもは受け取っておりました。  しかし、今の岸井参考人からのような御批判もあるということは聞いておりますけれども、私自身は、そういうことを信じたくもないですし、また現実に、検査院の検査された方々から検査報告が出た際に詳細にヒアリングを、決算調査室におりましたときに聞いておりまして、その熱心さには感心させられておりますので、御疑問はないことはないのでございましょうけれども、基本的には信頼していいというふうに思っております。  ただ、この問題はなぜかというのを聞いたときに、現在の制度上ではそこまではできないというような場合があるということなどは、まあ漏らされたことはなきにしもあらずですので、そこら辺は、検査院さんの方がどこまで乗り越えられるか、今後の問題ではないかなというふうに思います。  はっきりした御返事ができなくて大変申しわけないのですけれども……。
  22. 草川昭三

    草川委員長 では、会計検査院中島事務総長からも御答弁願います。
  23. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 ただいま、会計検査院予算額と検査報告指摘額がほぼ同額で推移しているではないか、こういう御指摘でございましたけれども、過去において、数年間、確かにそのような数字が出たことがございます。ただ、これはたまたまほぼ同額の数字になったということでございまして、過去には非常に大きな金額の指摘をしたこともございますし、それから、この二年間につきましては、やはりかなり予算額を上回った金額の指摘をしてきております。  これは、別に作為をしているわけでも何でもございませんで、たまたま結果がそういうふうになったということでございます。昨年あるいは一昨年出しました検査報告につきましては、たまたま一件当たりの指摘額が非常に大きなものがあったというようなことがありまして、これは金額的には大きくなっておりますけれども、今後どうなるかということについては、私どもも検査の結果を見てみないとわからないという状況でございます。  それから、指摘が毎年繰り返されるではないかという御指摘でございました。これは、厚生省の行政のあり方にも問題がないというわけではございませんけれども、一方で、私どもの指摘の多くが、保険料等を納付する側の人たちが本来納付すべきなのに納付していないとか、あるいは受給権のない者が受給をしているとかいったような、そういった指摘なども多いわけでございます。これは一朝一夕にはなかなか改められないものではないかということで、私どもとしては、根気よく指摘をしつつ、また、厚生省の方の制度改善ができないものかというようなことについて検討しまして、いろいろと意見表示をしたり処置要求をしたりもしているということでございます。  それから、私どもの検査につきましては、決して毎年同じことを繰り返しているということではありませんで、いろいろと工夫をしまして目先を変えていくというようなことをやっております。ある指摘をいたしまして、それが何年間か続きますと、しばしば、その指摘を受けて是正がされていくというようなことがございます。そうなりますと、私どもといたしましては、やはり目先を変えて、ほかの何か別の問題がないかというようなことで新たにいろいろ検討して、新しい検査分野を開拓していくというようなことをやっているということでございます。
  24. 上田清司

    ○上田(清)委員 検査体制の問題はいかがですか。スタッフ。
  25. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 検査体制の問題というのは、これは甚だ難しい問題でございまして、検査に要する人員をどの程度にするかということにつきましてはなかなか答えが出ないものでございますけれども、現在、私どもとしましては、毎年、わずかではございますが増員をしていただいているというようなことでございまして、何とかこの現在のスタッフの中で最善の努力をしていきたいと考えているところでございます。
  26. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございました。
  27. 草川昭三

    草川委員長 次に、渡辺周君。
  28. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 民主党の渡辺周でございます。  それでは、限られた時間でございますので、お尋ねをさせていただきますが、まず初めに中島会計検査院事務総長にお尋ねをしたいと思います。  今、岸井参考人からもお話がちょっと触れられましたけれども、会計検査院の信頼性という点につきまして、一つには、我が党はこれは同意をしませんでしたけれども、人事で、官庁のOBの方が検査官として来られる。そしてもう一つは、これはぜひここで事実かどうか御確認をしたいと思いますが、その会計検査院のスタッフの方がその後どういうところに職を得られるか。今言われているのは、会計検査院の方も天下りをされる、これまで検査をしているところに、対象側に下ることもあるのではないかと言われていますが、ここの点につきましてお尋ねをしたいと思います。
  29. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 検査官の人事の問題につきましては、これは内閣が任命するものでございまして、私どもの方の承知するところではございませんので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。  それから、天下りの問題でございますけれども、私どもの受検対象になっている機関に私どものOBが再就職をするというようなケースは、確かにございます。数は決して多くないと思っておりますけれども、そういうケースはございます。  ただ、これは一般に、受検庁の側に天下りいたしましても、いわゆる監査の部門に従事するわけでございまして、私どものやれないところを十分監査していただくというようなことでございまして、私どもの方の検査がそれによって支障を来すというようなことはないと思っております。
  30. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 確かに前段の部分のお尋ねはあえてしたわけですし、また後段、あるというふうにお答えになった。もちろん、よく官庁のOBの方が系列のところに天下る、それによって利益を図られることはないのだというふうに、確かにこれはそういうことが前提であろうと我々も信じたいところでありますが、一つには、やはりこの会計検査院の独立性あるいは信頼性がだんだん揺らいできているというような参考人の御指摘も先ほどありましたが、現実問題としてやはりそういう独立性がどうも損なわれているのではないかということを考えますと、我々としても非常に、この決算委員会の必要性あるいは我々が主張しているこの日本版GAOの重要性というものがそこにこそあるのではないかというふうなことを思います。  この点につきまして、岸井吉田参考人に、今の私どものこのやりとりを聞きまして、率直な御意見を聞かせていただきたい。そしてまた、会計検査院のあり方あるいは現状にどのようなお考えを持っていらっしゃるか、お尋ねをしたいと思います。
  31. 岸井成格

    岸井参考人 今お尋ねの、会計検査院の信頼性が失われてきたから、だからこそ決算委員会が必要だという対比でもし仮におっしゃられるとすると、それにそうですと言うわけにもなかなかまいらないのですが、基本的に、やはり天下りの問題も我々としては関心を持っております。  一言申し上げさせていただければ、我々としてもそういう疑問を持ちながらも、現在も会計検査院に対しては、マスコミからすると、取材源としてはやはり一定の信頼感を持って、また、ここにしっかりしてもらわなければという気持ちを持ち続けていることは事実でございますので、そこはあえてつけ加えさせていただきます。  その上で、やはり天下りというような形は、仮にそれが監査部門であって会計検査院の仕事の足らざるところを補充してもらっている、相まって公平を期しているのだ、公正を期しているのだとおっしゃられますけれども、そこはやはりなかなか通じない部分ではないかなと。やはり独立性、信頼性という意味からいえば、今のこの時期ですからなおさらですけれども、徹底的にそういう点は自粛をしていただきたいと願うのが我々の気持ちでございます。
  32. 吉田尭躬

    吉田参考人 先ほども申しましたように、アメリカGAO式にするということについては、政治の形との関係がどうなるかということを抜きに判断することは非常に難しいことであるというふうに考えます。政権交代が自由に始終行われていて、新しくできたGAOに圧力をかけたらかけたところがおかしいということがすぐはっきりする、そういうような事態にならないでGAO国会附属機関というふうにした場合、その任命権とかいうことはすべて議会で多数党によって行われるということになりますので、それだけではアメリカ型の方がいいということにはならないというふうに私自身は考えます。  ただ、政権交代が始終行われて、そういうような弊害が生ずるおそれが全くないということであれば、そういう事態のときに国会行政府に対する純粋なそういう手足を持ちたいということも十分理解できるところではあります。  私の今のあれでは、まず自分のところの決算委員会調査室とかそういうところを強化されて対応されて、すべての書類を見る権限を持っているのは検査院で、調査室の方はそれだけの権限はもちろん持っていませんが、逆に言うと、法規違反とかそういう厳しいあれではなくて、もう少し政策的なものは、調査室のスタッフで意見表示なりそういうことの協力ができるというふうに考えておりますので、私の現在のあれで言えば、GAO型よりも現在のスタッフを強化する方がいいのではないかなという、これは全く個人的なあれでございますけれども、そういう感じを持っております。  それから、検査院に対する不信ということですけれども、確かに、バブルの時代等の検査院の方々の行動の中にはほかの行政官庁と類似するようなことが若干あったやに、あるいはそういうようなことを聞いたこともありますけれども、しかし、そういうあれは例外ですし、それから、そういう問題に対しては会計検査院は直ちに対応されたというふうに聞いております。  それから、天下り自体は、憲法に定められた職業の自由の問題もありますし、それから定年後のその人の生き方、その専門性をすべて否定されるということについては、やはりどうかなという感じを持ちます。
  33. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 それでは、もうあと数十秒しかございませんが、最後に一点お尋ねをしたいのですけれども、これは岸井参考人にお尋ねをします。  今、地方の監査体制の問題が非常に言われております。特に中央紙の方にしてみると、地方支局にいろいろ垂れ込み等があると思うのですが、このような地方の監査体制、今外部監査が導入されようとしておりますけれども、やはり中央と違った地方の監査体制のあり方、いろいろ取材の現場の中で、オンブズマンの活用、この言葉は吉田参考人が言われたわけですが、ジャーナリストの視点から地方が抱えている問題、今とにかくオール与党体制、監査機能が非常に発揮できない、しかも地方自治体ならば知事部局の中から、結局はオール与党の中から監査委員が選ばれる、こういう点について、地方の今後の監査のあり方について、何か御意見がございましたらお答えいただきたいと思います。
  34. 岸井成格

    岸井参考人 全く予想していなかった御質問でございますけれども、我々、中央、地方と分けるのは難しいのですけれども、マスコミの最近の、時代の変化ということでいうと大きな変化が、一つ情報公開へ非常に大きく動いてきておる。国民意識も非常にそこが変わってきている。もう一点、情報公開と裏表になるのだと思いますけれども、政治、経済、社会、その目線といいますか、その物の見方が市民レベルの目線で、これは日本ではなかなか根づかなかったと言われた納税者意識、タックスペイヤーとしての意識というものをやはり市民感覚でとらえていく、これは今、マスコミもそういう観点に十分立ってきたかどうかというのを強く反省させられている時期でもございます。  そういう意味でいいますと、市民オンブズマン、それから情報公開、それぞれの条例というものが今ようやく動き出しているところで、その対象の中に監査制度の矛盾とか限界というものがようやく見えてきたという段階ではないかな、これはやはり変えていかなければならない、そういうときが来ているのかなという実感は持っております。
  35. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 ありがとうございました。
  36. 草川昭三

    草川委員長 次に、正森成二君。
  37. 正森成二

    ○正森委員 では、私はまず吉田堯躬参考人に伺います。  お願いでございますが、なるべくマイクに口を近づけて大きな声で言ってください、聞こえないときがありますので。  あなたは、この決算委員会で五つの問題提起をなさっております。その一番初めに、決算を規範性のある内容に変更するというのがあります。その理由として、決算が重要視されないのは過去の実績のみの内容であり変更の余地がないためであると言われまして、それに規範性を持たせる必要がある、こう言っておられました。  それに関係して、私は参考人に敬意を表しまして、あなたがお書きになった「日本財政の諸相」という著書を読ませていただきました。それについて、参議院で四、五年決算が承認されませんでしたが、それにも触れて、決算が是認されないということについての意味、それをお書きになって、憲法学者の宮澤俊義さんの「議決はそれらの収入・支出が適法に、または正当に行われたかどうかの判断であるに過ぎず、それらの効力にはもちろん関係はない。」というところを引用されております。あるいは、さらに二人ほど学者を引用されて、「仮に、承認しないという議決が行われたとしても、政治的責任の問題であり、既に実行されている行為については、法律上何ら影響を受けるものではない。」というのを述べて、「私の調べた限り、特に異論はないようである。」つまり、学説等にですね。  こういうことを言われた上で、「決算否認の持つ政治的責任とは何か。」という問題提起をされ、小林俊之氏の「決算の否認は、当該年度の国政運営について、政府の説明ないし弁明を納得できないものとして、責任の問題をさらに一段進め、政府を非難ないし政府を制裁を受けるべき地位に立たせるもの」という見解を引用をされた上、若干拡大解釈の気味があるが卓見である、このように評価されております。  それにつきまして、これは、新憲法制定の際に金森国務大臣が質問に答えてこう言っているのですね。「国会二於テ其ノ決算書ヲ厳重二批判サレマスレバ、結局国会監督権が政府二影響致シマシテ、政府ハ其レニ対スル責任ヲ、其ノ程度二応ジテ取ラナケレバナラヌ、究極二於キマシテハ総辞職ト云フヤウナ場面ニマデ及ブ」云々というように書いておられます。  その後、それから二十年余りたちまして、佐藤内閣のときに、他の議員が同様の質問をいたしましたら、この点を肯定した上で、さらにつけ加えて、「万が一そのような事態があったとすれば、その場合の方策としては、御勧告の総辞職だけでなく、国会の解散ということも当然あり得ることと考えております。」ちょっとドスをきかせて、やるならやってみろ、解散するぞということを言っておられるのですね。  これは非常におもしろい見解であります。あなたの著書を勝手に引用して、著作権侵害で申しわけないのですが、それを前提にした上で、あなたのおっしゃる規範性を持たせる必要があるという規範性とはどういうことを言っておられるのかということを、我々議員に御説明を願いたいと思います。
  38. 吉田尭躬

    吉田参考人 政治的責任ということの追及としてはそのとおりです。その論文を書いたときと同じに考えておりますので、現在でも、もし衆議院においてそういう事態が生ずれば、解散もしくは総辞職という、不信任案と同じようなものなのかなというふうには感じております。  ただ、参議院の方は解散がございませんし、総理大臣に対しては総辞職を要求する権限もございませんので、若干違っております。そういう政治的責任に相当する決算の否認といいますか、参議院はちょっと形が違いますが、それを私がいますとき、五年間ですか、いたしましたけれども、逆に、否認するとすれば、それは全体が否認されているから警告することはできないということになりまして、警告が行えないという事態になりました。  そうしますと、決算委員会は否認するだけで本当にその役割を果たし得ただろうかという点は、やはりちょっと疑問に感じております。やはり警告して実際に行政に反省を求めなければ、否認するのは、政治的な意味はありましても行政的には何ら効果が及びませんので、それだけでは余り意味がなかったのではないかなというふうに感じております。  そういうことから、御質問の趣旨は、規範性を持たせるということを私が言いました点についてですが、私としては、規範性を持たせるのに、過去の行為につきまして、その過去の支出行為の一部をストップして取り戻すとか取り消すようなことは多分難しいだろうというふうに、その引用されました諸先生方の本を読んでもそう思います。  それで、どういうものなら可能性があるかということですが、決算の中には実は剰余金がありまして、この剰余金が現在は自動的にそれぞれ翌年度予算あるいは本年度予算に入っていってそのまま使えるという事態になっております。その部分は、民間会社でありますと、剰余金部分は剰余金処分ということでもって、案件として株主総会、そういうところで議決されるわけでございます。普通の団体においてもそうだろうと思います。  そういうことからしまして、剰余金を現在のように行政府がそのまま自由に使えるということではなくて、決算委員会議決に従って、あるいは行政府が案を出してきてもよろしいのですが、これは来年度予算に使うとかあるいは国債の償還に使うとか、そういうようなものを処分案として出してきて、それを決算議決にかかわらしめれば、それによって、その案件が通らない限りにおいてはその剰余金部分は使えないということになりますので、決算に規範性を持たせることができるのではないかなと。私なりにない知恵を絞ってそういうことを考えた次第であります。
  39. 正森成二

    ○正森委員 時間がございませんので質問だけ、あるいは後でお答え願うかもしれませんが、両参考人岸井さんにも伺います。  吉田さんは、第三番目の問題提起で、「一般会計は財政資源の配分であるから、政治的な決定であり、不正その他は別として政治的な当否になるため、決算審議としては実りが少ない。」こう指摘されて、特別会計とか政府関係機関に重点を置くべきではないかという問題提起をされております。しかし、これは極端に言うと、決算委員会会計検査院のコピーにしてしまうようなもので、その独自の意義をある意味では否定してしまうおそれなしとしない。  そうしますと、岸井さんの今の御意見で、例えばむだ遣いにお触れになりました。それで、食糧費などを挙げまして、私の言葉で言いますと狭義のむだ遣いですね。それに対して、私が仮に広義のむだ遣いと名をつけるとすれば、岸井参考人は、時代にそぐわない、必要がないところに使われている、例えば公共事業でも波及効果や景気浮揚に役立つかどうか、あるいは福祉予算のゴールドプランあるいはウルグアイ・ラウンド予算というようなものについてお触れになりました。これは、明らかに政治的な判断あるいは政治的な効果も見ておられて、しかもそれこそが決算委員会が重視すべきことだと言っておられるわけで、そういう点からいえば、両参考人のこの部分についての意見は、私は、ある意味では真っ向から対立するものであるというように思うのですね。それで非常に楽しみでありますが、時間が参りましたので、次のフリートーキングのときに続きを伺わせていただきます。
  40. 草川昭三

    草川委員長 それでは、前田委員に御質問していただいてから、また後ほど正森理事へのお答えをお願いしたい、こういうように思います。  それでは、前田武志君。
  41. 前田武志

    ○前田(武)委員 この決算委員会審議が、各省が予算をもってその政策を遂行していくわけですが、その効率的な執行に反映されればいいというのが一つの、一番大きな目的であろうかと思います。実際にそうなっていない、そこに問題があるわけですが、非常に興味のあるお話を承っておりました。  そこで、そういう観点からいいますと、各省、各局、各課ごとに、政策をやっていく単位というのはそういうところで法律をもって執行していくわけですが、やはり毎年毎年新しい政策を立て、予算がふえていく、そういう装置になっているわけであります。当初、新しい政策を立てたときにはまことにすばらしい政策であるかのような感じがするわけですが、年を経て、実はそういうものがそれほど効果を上げない、しかし、それをきっちりと国会の場で議論して、その効率性なりを指摘して変えていくようなことがどこで総体的にやられているか、やはり決算委員会しかないと思います。  まず中島事務総長には、御指摘もありましたが、予算決算とで対比が非常にしづらい、そういった観点から、予算決算の経年的な、決算を通じてその予算がどういうふうに効果が上げられたかということをもっと我々素人にもわかるような対比の仕方というものがあるのかないのか、その辺のところをまずお聞きいたします。  それから吉田参考人には、外為の具体的な例が出ておりましたが、実は私も調査室を頼って相当勉強させていただきましたが、やはり調査室にも、政府がなかなか資料等を出さない、限界がございます。そういったことを含めて、情報公開とそれから調査機能、あるいはそういった意味ではGAO的な機能が国会にあって強力に調査をしてもらえるような装置があってもいいのじゃないかという感じもいたしますが、その辺のこと。  それから岸井参考人には、総括的なマスコミから見た見方ということになりますが、特に情報公開ですね。マスコミは各社ともデータベースをきっちり持っておられるのに比べて、我々国会の方は、そういった行政府情報というものが、膨大なものは出てくるのですが、まことに扱いづらいような形になっております。もっとデジタル化して、本当に必要なものを公開すべきだ。情報公開法がいよいよ今議論されているわけですが、その辺のところを踏まえて御質問をいたします。  まず中島事務総長に、予算書の場合には実態的には細目まで出ておりますが、決算の場合には、項それから目まででしょうか、原則的に。しかし、それがなかなか予算と対比しづらいものですから、どうしても我々見にくいわけでございます。そういった意味において、個別財政情報をどういうふうに情報公開して決算の場に使いやすく提供すべきであるか、お考えをお述べ願います。
  42. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 予算決算の数字の対比がしづらいということでございますけれども、決算書の方は大蔵省の方で作成するものでございまして、これについてどういうふうにあるべきかということについては、私ども必ずしも十分検討したことがございませんので、ちょっと十分なお答えはしかねるわけでございます。私どもとしましては、検査報告の中で一章設けまして、決算の数字を、極めて概括的なものではございますけれども、示すようにしまして、あるいは業務実績といったようなものについてもいろいろ工夫して記載するというようなこともやってきておるところでございます。  委員の御指摘の点につきましては、あるいは私どもの方で何かできることがあるかもしれませんので、必要とあればこれは検討させていただきたいと思っております。
  43. 前田武志

    ○前田(武)委員 それでは次に、吉田参考人には、特別会計みたいなものを決算で分析していく、これは一つ方法じゃないかというのも、私もなかなか御卓見だろうと思います。  実は、外為特会を調査したことがございます。調査室で随分調べていただいた。吉田参考人は、これは固定レート制のときの制度であって、今やそれを外為証券にかえて運用してもうけるためにと。ところが、もうけるためならいいのですが、実はこれは大損を食っているわけでございまして、国の富という意味では何兆円という、今国会挙げて所得税の減税継続だとか言っている、そのオーダー以上のものをどうも損をしているのに、ほとんどこれが、分析されないものですから、議論もできないということなんですね。大分調査室ではやっていただきましたが、やはり限界がございます。  さて、そういった意味で、私どもは調査室を一番頼っていろいろ勉強させてもらうわけですが、その先もう少し突っ込もうとすると、やはりGAO的な調査能力というものが必要じゃないかというふうに考えますが、いかがですか。
  44. 吉田尭躬

    吉田参考人 外為特会につきましては、現在は、売買の……
  45. 前田武志

    ○前田(武)委員 いや、一例でございますから、もうそのことにこだわらずに。
  46. 吉田尭躬

    吉田参考人 はい。損失と、それから評価損の問題とを峻別する、もう完全に分けるという形でできている。それで、評価損の方で今おっしゃられたような赤字が大量に出ました。もっとも、ことしは大分円が安くなりましてドルが高くなりましたので、評価損が大分減るのではないかなとは思います。  それとは別個に、売買あるいは利差益といいますか、そういうものが生まれているわけです。外為で損失が発生する以前においてはそういう利差益を生むような運用の仕方はしていなかったのが、損失が発生してからその利差益を生むような運用をし始めて、積立金も相当持っております。ところが、そうやってもうけた利差益の部分から一般会計が徴収するという形になっているというのは、財務諸表を分析していきますとわかります。そこら辺までの分析は現在の財務諸表を見ていけばわかるところでありまして、個別の取引がどうかということになりますと、これはもちろんわかりませんけれども、そうでない限りにおいてはわかるように、現在の予算書、決算書はなっております。  それで、予算書の情報というのは、今年度予算と前年度予算とそれの増減という、一つの費目についてそれだけしかありませんけれども、決算情報というのは、予算の費目それから予算現額と言われる繰り越しや何かを含んだ数字、それから使用額、繰越額、不用額そのほか、情報の量は同じ一冊の決算書でもって数倍あれしますので、もしそれぞれの比率を計算するとかそういうことをやって分析していこうとしますと、情報過多といいますか、情報量が多くてどこを見ていいかがわからないというのが決算書特徴でございます。予算書に比べるとずっとわからない。  それで、特別会計などはある程度わかるのですが、一般会計などについては、何でことしがふえたのか減ったのかなんということは全然、私なんか財政を担当している専門家のつもりですけれども、それでも一般会計についてはわからないという感じがいたします。特別会計目的や何かがはっきりしておりますので、そういう点はわかりやすいということでございます。  それで、情報公開をするということは、情報公開がないからできないというより、国会議員なら多分要求すれば相当のところの資料は出てくると思いますけれども、あのオンブズマンの人たちのような分析ができるかということの方が問題でして、決して情報の量だけの問題ではない。公開したからといっても、何をとっていいかすらなかなかわからないのが現状でございますので。  私は公開制度を否定するわけではもちろんありませんで、そういうことを分析する人が出てきたことが今後に非常にプラスだろうと思いますけれども、分析する能力がある人がふえてくるかどうかが問題だろうと。公開の方はかなり進んできましたので、そちらの方、分析する能力のある人を養成するということが必要なのではないかなというふうに考えております。
  47. 前田武志

    ○前田(武)委員 最後岸井参考人に。  今の吉田さんは、なかなか厳しい。分析の能力ということなんですが、なかなか我々にはないわけです。これはどの議論を通じても、行政情報をいかにデジタル化して公開するか。それがあれば、分析する能力なんというのは民間にもいっぱいおられるわけで、それこそNPOにも期待もできる。そういった意味も含めまして、財政情報なんかを中心にして行政情報の開示、デジタル化、そういった観点から、情報公開についてお伺いをいたします。
  48. 岸井成格

    岸井参考人 結論から申し上げますと、マスコミ各社は、条件その他で多少温度差はありますけれども、情報公開法の早期制定では一致をいたしていると思います。これは、先ほどから申し上げているような一つの時代の流れであろうと思います。  それに関連して、委員会調査スタッフ、調査室の拡充という問題についても、これは今我々の中でも非常に議論のあるところでありますけれども、私個人、また今だんだん多数になっているのは、やはり国会改革との絡みで、決算委員会に限らず委員会全体について言えることですけれども、とりわけ決算委員会についてはそういう調査能力、分析能力の拡充を図っていただきたいというのが一つ希望でございます。  これは、国会改革に絡んで土井前議長がしきりにおっしゃっていた議会スタッフの強化の問題に関連するのです。例えば、土井さんが外務委員会のときに、これは会計検査院の問題とも絡みますけれども、私も取材したことがありますが、ODAの中身についてになると、これは外国、相手のあることだということで、非常に隔靴掻痒でありまして、なかなか会計検査の実を上げにくい分野であります。外務委員会もそういう点がある。それじゃ調査に行こうといったけれども、調査予算もない、スタッフもいない。また最大の問題は、各省庁にまたがる。こういうことになると、外務委員会に限らず、ほかの省庁の立場からいっても同じようなことになってしまいますね。  そういうような調査権限あるいは分析能力というものが非常に国会に足りないのではないかな、不足しているのではないかなという感じを持っておりますので、その点の強化をぜひお願いしたいというふうに感じます。  それから情報のデジタル化の問題ですが、これも、目下大議論中であります。この委員会の後も新聞協会でその種の委員会がございます、私も出てやるのですけれども。  情報公開が進み、それからまた行政の情報がどんどん出てきて、取材という形で収集をしますと、これは共通のものになってくる。それがまたさらにデジタル化されて、データベースというものが拡充していきますと、これの扱い、マスメディアあるいはジャーナリズム全体でどう扱うかというのが今大きな問題です。それに伴って、電子メディアの発達というのが日進月歩でありまして、これも本当にあしたのことがわからないくらいの状況に今入っております。  マスコミにとっても、情報公開と電子メディアを中心とする情報の処理、データベース化の問題というのは、今直面している非常に大きな課題でございます。
  49. 草川昭三

    草川委員長 以上で、あらかじめ申し出のありました質疑は終了をいたしました。  これより、参考人に対し、各委員が自由に質疑を行います。  この際、委員各位に申し上げます。  議事整理のため、質疑の際は、挙手の上、委員長の指名により発言されますようお願いをいたします。また、所属会派及び氏名を述べた上、お答えいただく参考人のお名前をお告げいただきたいと存じます。なお、一人一回の発言は三分以内にまとめていただくようお願いをいたします。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。  若松委員
  50. 正森成二

    ○正森委員 先ほど私が申しましたことを簡潔に……
  51. 若松謙維

    ○若松委員 私……
  52. 草川昭三

    草川委員長 ではちょっと、若松委員の質問にそれぞれ、吉田参考人岸井参考人、お答えになるときに、前回の正森理事の質問を一緒に御答弁願いたいと思います。
  53. 若松謙維

    ○若松委員 新進党の若松でございます。  本日のこの公聴会、画期的な開催に対しまして、まず草川委員長の御努力に敬意を表します。そして、時間三分の間で四点ほど質問させていただきたいと思います。  まず一点は、両参考人に聞きたいわけですが、会計検査院検査官の同意人事ということで、最終的に今回総務庁からのOBということになりましたけれども、検査をされる側から検査官を出すというのはやはり自己矛盾だと思いますので、その点についてお二人から意見を聞きたいと思います。  続きまして、中島事務総長に聞きたいのですけれども、いわゆる会計検査院の活用、国会側からの活用が少ないのではないかと私は実感しております。具体的に国会からの検査依頼とかそういったものがどの程度あるのか、多いか少ないか、これを御答弁いただきたいと思います。  そして三点目ですけれども、これは調査室にお聞きしたいと思います。といいますのも、先ほど前田委員から、何度か調査室の方にいろいろ問い合わせしたということですけれども、私ももう二、三度やらせていただきました。しかし、印象といたしまして、率直に申し上げますと、まず会計検査、また決算等に関する日ごろの問題意識が少ないと認識しております。そして、結果的に調査室の機能が委員会の記録係程度にしか感じられない。そういったところから、その調査能力自体に大きな問題があるのではないかという疑問を持っておりまして、調査室長から御答弁をいただきたいと思います。  そして四点目ですけれども、やはりアメリカの先ほどの、決算委員会はありませんけれども、それに相当するいわゆる政府評価委員会とでもいうのでしょうか、この審議内容を直接委員長に聞きましたところ、これは毎週やっている、一年間やっている、こういったことでございます。やはりこの委員会の開催の量をふやさなければ、いずれにしても審議改善は図れない。  そういった発想から、かつ今の国会法を見ますと、やはり一月からの通常国会ということであれば、少なくともこの決算審議というのは、今、会計検査院のこの報告が出るのが十二月ですから、やはり十二月しかないわけなんですね。そういう形で、ぜひこの委員会委員長並びに理事の御努力で何らか、毎年の決算予算委員会が始まる前にするような決議をぜひしていただきたい。その際にも、これは大蔵省来ているかわかりませんけれども、まず決算書を、今半年かかっているのを、やはり企業並みに三カ月ぐらいで出す努力をしていただきたい。それとあわせて会計検査院検査報告書も、十二月に出さないでもっと、十月、九月、そこら辺で出せるような御努力もいただきたい。  以上四点、ちょうど三分になりました。
  54. 草川昭三

    草川委員長 では、会計検査院の事務総長の方から。
  55. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 会計検査院の活用をどのくらいやっているかというお尋ねでございますが、手元には細かい数字はございませんけれども、過去においても、審議を通じて検査要請等があったものというものがかなりございます。  先ほど御説明申し上げた際にも、いわゆるODAに対する検査につきまして申し上げたところでございますけれども、そのほかにも、昭和六十二年には例えば青森県の粗悪な石材の問題だとか、昭和六十三年にはリクルート社の問題でスーパーコンピューターの導入に関する問題についての検査要請があったとか、あるいは平成元年ですと関西国際空港の建設土砂の談合問題がございます。平成二年ですと湾岸資金協力関係あるいはJR御徒町のトンネル薬液注入工事の問題、そして平成三年には証券損失の補てん問題平成四年ですとシール談合、あるいは平成七年の阪神・淡路の大震災あるいは東京共同銀行の問題、官有接待・食糧費の問題、こういったようなものがございます。本年には、例の社会福祉法人の問題もございます。  こういうことで、検査要請というものは、その都度いろいろいただいているところでございます。
  56. 草川昭三

    草川委員長 では、吉田参考人。先ほどの正森理事の答弁を含めてお願いしたいと思います。
  57. 吉田尭躬

    吉田参考人 今の若松委員で私がお答えするのは、検査官の同意人事、これは、私は人によるというふうに思っております。大蔵省出身の方で会計検査院長あるいは検査官をされた人でも、非常にそのときに活発化したという事例も知っておりますので、特に財政だとかそういう資料を見たことがない人でも、もちろんそういう専門家でない方でも立派な人もおられるだろうと思いますが、逆に、そういうことを知っている人の中にも検査院の意義とかそういうことを十分認識されて対応される方もいらっしゃるわけですので、それは人によるというふうにしか申し上げられないと思います。  アメリカ審議について、毎週やっている、これは私も、さきの公述のときに申し上げましたように、週一回決算委員会の日を、予算委員会中といえども開いていただくのが決算のためにはいいのではないかなというふうに思います。  ただ一つアメリカの場合だと、公聴会といって、政府から呼ぶ場合もありますでしょうが、政府側を呼ばないで中でやるということもある。それを前提としないと、毎週審議を常にということは難しい面もあるかなと察するところです。そこは、私、結論としてはどうか——呼ばないでやってもいいということは、なかなか言いにくいところでございます。  それから、正森委員に言われた点は、岸井参考人と少し意見が違うという御指摘でしたけれども、私もそういう重要な問題を決算委員会で取り上げること自体を否定しているわけではありません。そういうことが決算審議の中で十分解明されることは期待したいと思います。  ただ、そういう、例えば例に挙げられましたラウンドの農政費の問題や何かにつきましては、それは農村側の委員とそうでない委員との間の対立点といいますか、政治的な意見の違いが非常に大きい問題ですので、それを決算委員会審議しても、要するに行政に警告することにはならない問題だろうと思うのです。決算委員会は、やはり行政に対して警告する方でして、政治的に何々予算をつける、つけない、それは農村側からは必要だと言われている、いや大都会の人間は必要ないと思っているとか、そういうことは決算審議にはなかなかなじまない。  それに、最終的にその審議では、決算の最終段階において警告とかそういうところへ持っていけることがほとんどないのではないかなというふうに思われます。まあ若干、こういう点を注意しろというような点をその審議している中で見つけるということは可能性があると思いますので、そうすれば警告にもつながるわけです。そういう点からいって、政治的に意見が対立しているような問題、あるいはジャーナリズムがとらえているような問題の場合、なかなか決算通常ベースの審議には難しかろうと思うのです。それがいけないというか、そういうことを言っているわけではない。  そうすると、日常のものの中で、むしろそういうふうに過去に決めていて現在は事情が異なってきているもの、しかもそれが制度的にでき上がってしまっておりますから、そこに注目されるといいのではないかという程度でございます。完全に意見が対立しているというわけではないわけでございます。
  58. 岸井成格

    岸井参考人 まず、先ほどから申し上げたもの、それから骨子にも書いてある趣旨から申し上げますと、やはり予算決算国会審議の両輪という意識と、それから、何といっても本当に時代は今大きく変わっているんだという意味で申し上げれば、公共事業についてもウルグアイ・ラウンドの事業費についても、単にいわゆる都会と農村の利害対立とか政治的判断の違いということではなくて、その時代的背景や環境や、今本当にこれが必要なのかどうかという審査は、やはり徹底的にやっていただく必要があるんではないかな、そのための委員会スタッフの充実も必要なんではないかなと。確かに国会議員の皆様にとって、吉田参考人もいろいろ触れられたように、制度がありますし、なかなかなじみにくい難しい面があるかもしれませんけれども、やはりそこは大胆に踏み込んでやっていただかないと、国民の不信払拭とか疑問にこたえることはできないんではないかなという気がいたしております。  私もワシントン特派員経験がございまして、アメリカというのは本当によく公聴会を毎日毎日やるなと、ある意味ではうんざりするくらいあちこちの委員会で公聴会、公聴会とやっておりましたけれども、やはりそういう機動性、迅速性では非常に学ぶ点が多かったですね。何か問題があると本当に関係者ざっと、日本のように証人喚問で何カ月も時間をかけるとかエネルギーを使い果たすということじゃなくて、まさにそうした背景なんかを専門家や関係者にとにかくただして、少しでも専門的知識を共有しようという、それは議会マスコミも、そして国民も、そういう基本的な意識があったように私は思います。  それに触発されてやはり、今ABCがずっと一年以上続けていますけれども、ニュースの後に、特集だと最後に、イッツ・ユア・マネーと言って、むだや何か、これもあなたのお金ですよ、税金ですよということを必ずつけ加える、毎日やっていますよね。ああいうことでタックスペイヤー意識というのがやはり高まって、これは、議会マスコミのやはり相補う部分ではないのかなという気がいたしております。  それから、会計検査官の大事については、あの当時、特に大蔵省からOBを起用するというのは、あれだけ大蔵省の問題が騒がれ、まさに監督権限の分離問題という議論の真っ最中にそういう人事任命を発令するということ自体が、ちょっと政治的には不用意だったという点が一つと、やはり基本的には、会計検査院の独立性、信頼性からいえば、官僚OBの起用は慎むべきであるというのが基本的立場です。
  59. 草川昭三

    草川委員長 では、調査室の充実について大分意見が出ておりますので天野室長から、ついでに、私から年間予算と人数がどうなっているか、あわせてお答え願いたいと思います。
  60. 天野進

    天野専門員 若松先生から、決算調査室の充実ということで大変いい御質問をいただいて、感謝申し上げたいと思っております。  これから私が申し上げますのは、個人的な見解ということで、ひとつお許しいただきたいと思います。  現在、私を含めまして、決算委員会調査室のスタッフは十一名でございます。  予算、正確にはちょっと申し上げられませんが、調査旅費等の関係につきましても年間百万円以下、こういうような実情でございまして、若松先生おっしゃるように、どうもこれでは十分でないというふうには私自身も重々思っております。  現在、国会改革というようなお話が出ておりまして、調査室等の機能の充実、拡充ということで今議論されているということでございますので、その際にひとつ充実方お願いできるように、私自身も頑張っていきたいと考えておりますので、今後ともその面でも応援方をひとつよろしくお願いしたいということで、私の答弁にさせていただきたいと思います。  ひとつよろしくお願いいたします。
  61. 草川昭三

    草川委員長 高市早苗委員
  62. 高市早苗

    ○高市委員 自由民主党の高市早苗でございます。本日は、どうもありがとうございます。  吉田さんにお伺いしたいんですけれども、確かに、先ほど来話が出ておりますアメリカGAO、それからCBOもございますね、コングレショナル・バジェット・オフィスで、大統領予算案の経済効果等も分析できるということで、私たち日本の国会議員も納税者の代表ですから、こういった独立した機関には魅力を感じるんですが、私自身の私的意見といたしましては、GAOなんかの新設よりは、やはり調査室の機能強化ということを考えます。  ただ、懸念されますのは、調査室の独立性、行政からの独立性の維持が可能かどうかということと、もう一点は、与野党に対して政治的な中立を保てるかどうかの二点なんです。  これは決算委員会調査室のことではございませんが、ほかの委員会調査室の方が営業に来られまして、委員会質問のときにはぜひ調査室のスタッフを御利用くださいと言ってこられたので、私も当時野党でしたから喜んで、ではちょっと自分の中で質問を練ろうと思って、調査室に一回お願いしたんですよ。三分後には役所に筒抜け。結局は中央官庁の方が飛んでこられて、代議士、調査室なんかに頼まないでくださいよ、結局こっちに回ってきてしまうんだからと。それで私は、行政からの独立性には大いに疑問を持って、以後お願いをしていないんですけれども。  そういった意味では、調査室の機能強化ということで会計検査のチェック機能を持たせましても疑問が残るんですが、これまでの御経験上、この辺はどうなっているかということをお伺いしたいと思います。  あと一点、岸井さんにもお願いしたいんですが、吉田さんの提言の中で、決算分析に市民オンブズマンの利用という御提言があったんですが、取材等されている中で、現在の市民オンブズマンの成熟度、それから、政治的な中立性というのはどんな感じなのか、もし御存じでしたら、お願いいたします。  以上です。
  63. 吉田尭躬

    吉田参考人 調査室は委員長附属機関というふうになっておりますので、委員長の許可を得ればできるわけでございますので、一般的には日本の委員長は、アメリカ委員長のように与野党を鮮明にして運営するというようなやり方はやられませんので、委員長が与党の先生の場合でも、野党側の問題提起について拒否されることはなかったというのが私の経験でございます。私のときは、野党委員長が多かったですけれども、与党の方からもいつも御利用いただいていたというふうに思っております。  行政からの独立の問題は、参議院と衆議院とは若干違いがあります。ただ、現実の問題としますと、予算書、決算書に載っている範囲内で質問をつくるだけでしたら、行政府に知らせることは全くなかったというのが経験でございますが、ただ、それだけでは済まない問題というものがありまして、そうすると、情報をもらわないといけないという問題があります。そのときには、依頼の議員さんの許可なしにそういうことはしないというのが原則ですので、もしそうでなかったとすれば、それはおかしいなという感じはいたします。
  64. 岸井成格

    岸井参考人 一点、調査室その他の強化、GAOとの関係とかということでいうと、やはり、戦後五十年続いてきた組織や人間関係というものができ上がって、定着して、これはなかなか牢固なものだという感じがするのですね、これはマスコミの世界も同じですけれども。やはりそれが一気には、この三年半、四年の大きな政界の流動化においても、なかなかそこの切りかえはまだできていないという感じがいたします。そういう意味では、やはり先ほど聞いた、年間百万とか十人ぐらいで独立しろとか、それだけの調査能力を持てと言っても、私は、やはり無理なんだな、順序があるんだろうなという気がいたします。  それから、市民オンブズマンについてですけれども、これは御指摘のとおり、党派性が全くないとは思いません。思いませんけれども、その党派性を持って今の活動をやっている、それを鮮明にすることによって、何らか党派の利益を得るためにやっているというようには、私は、またマスコミ一般も受け取っておりませんし、それから、やっている活動そのものは、今の時代に非常に合った先駆的なことをいろいろやっている、今後への非常に大事な役割を今果たしているなという感じで見ております。
  65. 高市早苗

    ○高市委員 ありがとうございます。
  66. 草川昭三

    草川委員長 では、時間の関係もございますので、最後に、生方委員の方から御質問を願いたいと思います。
  67. 生方幸夫

    ○生方委員 民主党の生方でございます。  本日は、大変貴重な意見を聞かせていただきまして、ありがとうございました。  一点だけ、私の方から中島参考人にお伺いしたいのですが、私、予算委員会に所属しておりまして、予算審議をいたしまして、その中で、予算執行段階における節約というのですか、そちらをどのぐらいしておるのかというようなことで、今回の予算では、執行段階においてできるだけ多くの節約をしくそれを国民負担の軽減に回そうではないかという与野党合意もございました。  実際問題として、会計検査院は、むだ遣いの指摘というのを事細かにおやりになっておるのです。執行段階での節約が何か、大体毎年一千億円強出ているというふうに私聞いておるのですが、もちろんむだ遣いを指摘することも大事なんですけれども、それと同時に、財政再建という立場からいえば、節減をしたということを、けなすばかりではなくて、逆に言えば褒めるような指摘というのも、これからは大事になってくる。一千億円単位ではなくて、公共事業等の額でいえば、もっと大きな額の節減が可能ではないかと。そういう意味で、節減をしたものもこれから積極的に取り上げて、同時に、発表していけば、各省庁もむだ遣いをしないで、我々のところはこれだけ節減できましたよというようなことを誇れるようになるのではないかと思うのですが、その辺で参考人の御意見をお伺いしたいのですが。
  68. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 私どもの最終的に公表いたしますのは検査報告ということなのでございますけれども、検査報告というのは、一般的に言いますといわゆる批難をするということでございまして、検査報告で褒めるということは基本的にはやらないということになっております。  したがいまして、そのようなことからしますと、検査報告の中でそういう記述をするのが果たして適当なのかどうかという問題はあろうかと思っております。そのような節減額というものを何らかの形で書けるかどうかということは、考えられるのかもしれませんが、これは予算執行の過程のものでございますので、予算執行の段階では、いろいろな予算の数字が変わることがあります。そのようなものをすべて検査報告に書くというのはなかなか難しいということもありまして、果たしてうまくいくのかどうかということは、ちょっと今の時点では疑問に思っておるところでございます。
  69. 草川昭三

    草川委員長 どうもありがとうございました。  予定した時間も参りましたので、本日の参考人に対する質疑は、この程度で終了することといたします。  参考人方々におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して、厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。  次回は、来る四月三日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時三十一分散会