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1997-04-15 第140回国会 衆議院 環境委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月十五日(火曜日)    午前九時三十一分開議  出席委員   委員長 佐藤謙一郎君    理事 杉浦 正健君 理事 萩山 教嚴君    理事 村上誠一郎君 理事 持永 和見君    理事 長内 順一君 理事 田端 正広君    理事 小林  守君 理事 藤木 洋子君       大野 松茂君    桜井 郁三君       桜田 義孝君    鈴木 恒夫君       砂田 圭佑君    園田 修光君       目片  信君    大野由利子君       武山百合子君    中村 鋭一君       並木 正芳君    西川 知雄君       松崎 公昭君    桑原  豊君       辻元 清美君    土井たか子君       岩國 哲人君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石井 道子君  出席政府委員         環境政務次官  鈴木 恒夫君         環境庁長官官房         長       岡田 康彦君         環境庁企画調整         局長      田中 健次君         環境庁自然保護         局長      澤村  宏君         環境庁水質保全         局長      渡辺 好明君  委員外出席者         資源エネルギー         庁公益事業部発         電課長     真木 浩之君         環境委員会調査         室長      鳥越 善弘君     ————————————— 委員の異動 四月十五日  辞任         補欠選任   中村 鋭一君     西川 知雄君   土井たか子君     辻元 清美君 同日  辞任         補欠選任   西川 知雄君     中村 鋭一君   辻元 清美君     土井たか子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  環境影響評価法案内閣提出第七八号)      ————◇—————
  2. 佐藤謙一郎

    ○佐藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出環境影響評価法案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。目片信君。
  3. 目片信

    目片委員 おはようございます。私は、自由民主党の目片信でございます。  早速でございますが、質問をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。  先日、私の地元の琵琶湖が、地球生態系保全していく上で特に重要な地域として、米国の世界野生生物基金による「グローバル二〇〇」に選定されました。琵琶湖は世界的にも有数の古い湖であり、多様な生物生息をいたしておりますが、人口の増加や周辺開発等により水質の汚染が進んでいると指摘をされております。そうしたことから、琵琶湖とその周辺地域において水質自然環境などの総合保全が今後ますます重要となってまいります。私は、今般政府により提出されました環境影響評価法案が、このような課題にも適切に対応できるものであってほしいと願っておる次第でございます。  本法案で具体的にどのようなアセスが行われるのかという点について、法案を読ませていただいても、なかなかわからない点がたくさんございます。そこで、実効ある環境影響評価が本法案確保されるかどうかという観点から質問をさせていただきたい、このように思います。  まず、法案では、アセス対象事業実施する事業者環境影響評価方法書を作成するとございます。この方法書作成手続は従来なかったものでありますけれども、これを導入された趣旨についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
  4. 田中健次

    田中(健)政府委員 方法書手続は、事業者環境影響評価手続にかかわります調査を開始するに当たりまして、事業内容や、あるいは地域環境状況に応じまして、より適切に、なおかつ効率的に調査等を行えるように、あらかじめ事業概要や、あるいは実施しようといたします調査等に関します情報を公表をいたしまして、地方公共団体あるいは環境保全の見地の意見を有する者の意見を幅広く聴取する、こういうことでございます。いわゆるスコーピング手続でございます。  このようなスコーピング手続の導入によりまして、論点が絞られためり張りのきいた効率的な予測評価や、あるいは関係者の理解の促進、それから作業手戻り防止等の効果が期待されますとともに、この手続により提供されました有益な環境情報を活用することによりまして、事業計画早期段階での環境配慮に資することが期待をされておるわけでございます。
  5. 目片信

    目片委員 次に、方法書では環境影響評価項目並びに調査予測及び評価手法を記述することとされておりますけれども、調査予測及び評価手法については、これらが決定されていない場合には記述をしなくてもよいということになっております。これはどのようなお考え趣旨調査予測及び評価手法方法書記載しなくてもよい、どのような意味を持つのか、お尋ねしたいと思います。
  6. 田中健次

    田中(健)政府委員 方法書内容といたしましては、適切な環境情報を収集するために事業者として必要と判断する内容と、それから程度記載することが基本になるわけでございます。  一方、方法書の作成される段階は、事業計画熟度事業種によりましてさまざまでございますが、事業者として環境影響評価項目については一応決定がなされているものと考えられますために、項目についてはすべて記載をしていただく、こういうことにしております。  一方、事業熟度を高めていく過程事業種によりまして異なりまして、それぞれの項目に対する調査予測評価の具体的な手法まで必ず記載をさせるということにいたしますと、事業種によりましては方法手続事業計画熟度が高まるまで待たなくてはならなくなる、こういうことが起こることなど、結果といたしまして方法書手続の開始をおくらせまして、早期段階での環境配慮に資するという方法書手続趣旨にそぐわないものとなる場合があるわけでございます。こうしたことのために、事業者判断により、手法が固まっていない場合には記載しなくてもよいということにしたものでございます。
  7. 目片信

    目片委員 従来、事業者は国の指針に従って調査等項目手法をみずから決めてまいったわけでありますけれども、方法書手続を導入することによりまして地域意見を聞きつつ、これらを定めることになっております。この点は重要な改善であると思うわけであります。  しかし、同時に、国は環境影響評価項目等選定指針を示すことになっておりますが、もしこの指針柔軟性を持たないものとなりますと、せっかく方法書手続を導入して地域意見を聞いても、国の指針に沿わない場合にはその意見が十分に反映されないものとなる可能性があると思います。  そこで、第十一条の国の指針はどのような内容になるのか、地域の合理的な意見を受け入れることができるものになるのかどうか、この点についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
  8. 田中健次

    田中(健)政府委員 調査等に際しましては、項目手法事業特性あるいは地域環境特性に応じて適切かつ合理的に設定される必要があると考えておりまして、このため、指針におきましては、各事業種類ごとの標準的な特性に応じました標準的な調査等項目手法示しますとともに、個別の事業特性や、あるいは地域環境状況を考慮いたしまして、どのように項目を追加をするかとか、また、どの項目を重点化するか、あるいは簡略化するか、こういった考え方も示すことといたしております。  それで、事業者は、この考え方に基づきまして、地方公共団体意見を踏まえますとともに、住民等意見内容検討を加えまして、科学的かつ合理的な範囲意見を取り入れまして項目等選定をいたすこととなります。こうしたことから、先生の御懸念のようなことには及ばないのではないかというふうに考えております。
  9. 目片信

    目片委員 方法書手続におきまして、環境団体からも意見が出されることになっております。合理的な意見は取り入れられる必要があると思いますが、科学的知見もなく、事業者が、調査予測することが不可能な項目まで調査等を要求されることとなりますと、これは避けられない、そんな問題になろうかというふうに思います。このための歯どめはお考えになっているのかどうか、この点についてお尋ねをしたい、このように思います。
  10. 田中健次

    田中(健)政府委員 科学的な知見等を踏まえまして可能な範囲調査等が行われるべきである旨、これは指針において規定をされることになります。それで、事業者は、この指針に基づきまして、住民等意見内容検討を加えて、科学的かつ合理的な範囲でこれを取り入れまして項目選定すればよいということになるわけでございまして、事業者の方で、いろいろと今申しましたような視点から選定をするということになろうかと思います。  それで、事業者判断に迷うというときのことを想定をいたしまして、事業者が、そうした場合、必要と認めるときには主務大臣の助言を受けられるという規定も置いておりますので、こういうこととあわせまして、歯どめになろうかというふうに思っております。
  11. 目片信

    目片委員 また、方法書手続で、住民知事等から意見を聞くことになっておりますが、結局は事業者調査等項目選定をするわけであります。事業者任せとの問題が生じるのではないかとの意見が聞かれるわけでありますけれども、この点について問題はないのかどうか、確認のためにお聞きをいたしたい、このように思います。
  12. 田中健次

    田中(健)政府委員 調査等項目等選定が適切に行われるためには、調査等項目等選定のための指針主務省庁より事業種ごとに示されまして、事業者は、これに基づき項目等選定する必要があるわけでございます。この事業種ごと指針が考慮すべき基本的な事項を私ども、環境庁長官がお示しをするということになっております。こういう手順になっております。  また、スコーピング手続では、一般人々あるいは地方公共団体から意見が述べられまして、事業者は、準備書におきましてこれらに対する見解を明らかにすることが義務づけられておりまして、準備書から評価書に至る過程でも同様の仕組みが設けられまして、さらに評価書につきまして、環境庁長官意見を述べまして、主務大臣等によりまして許認可に反映させるプロセスが控えておるわけでございます。  このようなことから、事業者としては真摯な対応をしなければ手戻りが生ずるということになりますので、決して事業者任せということではなく、御懸念には及ばないのではないか、こういうふうに考えております。
  13. 目片信

    目片委員 次に、調査項目についてでございますが、地方公共団体の条例、要綱では、閣議アセス対象としている範囲より、地方では、より広い範囲内容対象としてきている例が多くございます。例えば、私の滋賀県では、水象そしてまた文化財日照障害、風害等々、閣議決定要綱対象となっていない項目評価対象としておるわけでございます。今回の制度調査項目をあらかじめ限定列挙することとなれば、地方公共団体がとってきましたこれまでの取り組みが質的に後退することになるのではないか、こういうことでございます。  そこで、新しい制度の国の指針では調査項目についてどのようにお示しをされるのか、その辺のお考え方お尋ねをしたい、このように思います。
  14. 田中健次

    田中(健)政府委員 新たな制度におきましては、アセス項目選定に当たりまして環境要素を限定列挙するということは考えておりませんで、環境基本法十四条におきます考え方枠組みといたしまして、事業特性それから地域環境特性に照らして適切に行うことを基本として考えております。  環境基本法十四条におきましては、確保を旨とすべき対象といたしまして、大気、水等自然的構成要素、それから生物多様性、人と自然との豊かな触れ合い等を掲げておるところでございまして、この考え方枠組みに合致する項目は、環境基本法に基づく環境範囲内としてアセス項目になるものと考えております。  それで、個別事業ごとアセスメント項目につきましては、スコーピング手続によりまして、地方公共団体一般人々意見を聞きながら選定されるということから、地域状況に即したアセスメントが行われまして、これまで取り組んでいた地方取り組みが後退することにはならないのではないかというふうに考えております。  それで、今お話がございました、滋賀県でいろいろと閣議アセス対象以外の項目をやっておられるというお話でございますが、今先生が例に挙げられました中で、文化財関係以外はアセス項目になろうかと思います。文化財につきましては、これは自然と一体となったものは対象に含まれると思いますけれども、文化財そのものとしてはアセス項目にはならないというふうに考えております。
  15. 目片信

    目片委員 さらに、冒頭で御紹介を申し上げましたように、「グローバル二〇〇」の例にもございますように、生態系保全は世界的な関心事となっておるわけでございます。生物多様性保全のための条約も一九九二年に締結をされているところでございますし、我が国は、この分野においても国際的なリーダーシップを発揮していくべきであると思っております。  また、地球温暖化の問題につきましても、我が国は、ことし十二月に京都で開催されます第三回の締約国会議、COP3をホストすることとなっておるわけでございますが、この分野でもリーダーシップをとっていくべきである、このように思います。さらに、廃棄物排出量の問題は今や国家的な課題となっております。産業廃棄物を初めとして、その処分場はまさに枯渇寸前であると聞いております。環境影響評価に当たっても、これらの分野について適切に取り扱うことが必要であると思っております。  しかし、従来の閣議決定要綱では、これらの重要な分野については対象の外に置かれていたように思うわけでありますが、今般の法案では、生態系保全地球温暖化防止廃棄物発生抑制等々について対象とすべきと考えますが、いかがでしょうか、お尋ねをいたします。
  16. 田中健次

    田中(健)政府委員 環境基本法の制定によりまして、公害と自然という区分を超えました統一的な環境行政枠組みが形成されたことを踏まえまして、調査等項目につきましても必要な見直しが必要であると思っております。そのため、法案におきましては、先ほど御説明いたしましたが、環境基本法第十四条各号に掲げる事項確保を旨として定められます指針に基づきまして、評価項目等選定することといたしておるわけでございます。  具体的な項目は、事業特性を踏まえまして、各事業ごと指針として定められることになるわけでございますが、環境庁といたしましては、先生指摘ございました生態系保全、それから地球温暖化防止廃棄物発生抑制につきましても、評価対象とし得るものと考えております。
  17. 目片信

    目片委員 個別の事業について、生態系保全を図っていくという段階になりますと、具体的に何を事業者に求めていくのかという点については慎重な検討が必要と考えております。専門家でないと何の生物なのかわからないようなものがたくさんございます。事業者にあらゆる生物種調査させるわけにはいかないからであります。  生態系保全を図るために事業者にどのような調査をさせるのかについて、どのようなお考えをお持ちなのかお尋ねをしたい、このように思います。
  18. 田中健次

    田中(健)政府委員 先生から御指摘ございましたように、生物種といたしましては、動物、植物あるいは菌類等、多種多様にわたっておりまして、これらをすべて調査することは不可能でございます。また、生態系生物多様性そのもの調査して評価をするという手法現時点では未確立てございます。  したがいまして、生物多様性という枠組みの中で、科学的に実施可能な範囲で、かつ合理的な調査等を行うことが必要と考えておりまして、現時点でできるところから取り組むということとともに、科学的知見を踏まえ、手法確立に努めていきたい、こういうふうに考えております。  現時点におきましては、現行制度でも実施をしております主要な動植物の生息・生育種、どんな種類があるかということと、それらの分布状況調査、これらの調査等に加えまして、スコーピング手続等によります環境情報を踏まえまして、干潟あるいはサンゴ礁等の多様な生態系構成要素として重要な場所、あるいは生態系の上位に位置をいたしております猛禽類等の種につきまして、それらの生態に係る調査等を行うことが基本になるというふうに想定をいたしております。
  19. 目片信

    目片委員 地球温暖化廃棄物発生抑制評価対象とする際も工夫が求められるはずでございます。一つ事業からどの程度二酸化炭素廃棄物が出されるのかは予測できると思いますけれども、例えば、ある事業から出される二酸化炭素地球の気温をどの程度上昇させるかなどについてはわかるわけではありません。  そこで、地球温暖化廃棄物発生抑制についてどのように評価すべきとお考えなのか、お尋ねをさせていただきます。
  20. 田中健次

    田中(健)政府委員 お話にございました地球温暖化の問題あるいは廃棄物の問題は、いずれも、不特定多数の主体の活動による環境への負荷により、長時間かけて環境保全上の支障に至る性質の問題、こういうふうに位置づけられまして、一つ事業原因となり、どの程度影響が生じるのかを定量的に評価をすることは困難でございます。おっしゃるとおりでございます。  したがいまして、環境庁といたしましては、環境への影響を可能な限り低減するという観点に立ちまして、地球温暖化原因物質、例えば二酸化炭素それから廃棄物発生量につきまして把握をいたしまして、その負荷量を削減するための措置検討によりまして、どこまでそれを検討したかということによりまして評価をしていくということ、そういう手法検討していきたいというふうに考えております。
  21. 目片信

    目片委員 これまでお聞きしてまいりました事項は、それぞれ非常に重要な事項にもかかわらず、法案には明確に規定がされておりません。国が定める基本的事項指針にゆだねることとなっておるわけでございます。したがって、実効ある環境影響評価実施するためには、国の指針内容が重要でございます。  国が基本的事項示し指針を作成する際には、広く意見を聞いて、これまでの地方公共団体取り組みを十分に踏まえるべきと私は考えますけれども、その辺の御所見をお伺いしたい、このように思います。
  22. 田中健次

    田中(健)政府委員 この環境影響評価に係ります国内外の制度実施状況等に関しましては、関係省庁一体となりまして、平成六年度から二年間にわたりまして、学識経験者等から構成されます環境影響評価制度総合研究会という研究会を設置いたしまして、調査研究を進めてまいりました。それで、昨年の六月に公表いたしましたこの研究会成果には、地方公共団体取り組みについてのレビューも含まれておりまして、こうした成果は、中央環境審議会審議やあるいはこの法案検討にも活用をされてきたところでございます。  それから、御指摘基本的事項策定に当たりましては、こうした成果を活用するほか、その後の新たな情報等把握をいたしまして、さらに、必要に応じまして専門家等の知識を活用することなどによりまして、閣議決定要綱に基づくアセスメントやあるいは地方公共団体取り組み等も踏まえながら、科学的かつ合理的なものになるように、基本的事項策定に努めてまいりたいと考えております。  また、主務大臣が定めます指針につきましても、基本的事項を踏まえ、適切に定められるように環境庁としても努力をしていきたいというふうに思っております。
  23. 目片信

    目片委員 環境庁基本的事項示し、各省が技術指針を定めることとされておりますけれども、環境影響評価予測手法は日進月歩している状況でございます。実効ある環境影響評価が行われるためには、日ごろから科学的知見の蓄積を行い、これを踏まえて基本的事項技術指針について随時見直しを行うこととすべきである、このように私は思いますが、いかがでしょうか。
  24. 田中健次

    田中(健)政府委員 技術的な内容につきましては、今後とも高度化複雑化をいたします環境影響評価を取り巻く要請に効果的に対応いたしますとともに、予測の不確実性をできるだけ低減するということや、信頼性向上、あるいは利用性効率性向上、ごうしたことを図っていくことが必要でございます。  こうしたことから、法案の五十一条にも定められておりますとおり、環境影響評価を支えます技術手法レビュー作業や、あるいは新しい関連技術手法開発などを継続的に行うよう努めてまいりたいと思っておりますが、これとともに、内外の科学的知見集積状況等を踏まえまして、必要に応じまして指針が見直されるように、基本的事項においてそうしたことを示すなどの措置を講じてまいりたいと思っております。
  25. 目片信

    目片委員 さらに、法案では、調査事業者が行うこととされております。この点について、やはり事業者任せでよいのかという声もございます。事業実施しようとする者が調査の負担を負うことは当然でありますけれども、第三者機関などほかの者が肩がわりをして調査を行うことは適切ではない、事業者調査を行うことでよいと私は思っております。  しかしながら、事業者による環境影響評価内容信頼性確保するために、調査等への住民の参加を進めまして、逐次情報を公開することも必要ではないか、こういうふうに思っておりますが、この点についての御見解お尋ねをしたい、このように思います。
  26. 田中健次

    田中(健)政府委員 本案におきましては、スコーピング手続段階、それから準備書に関します手続段階におきまして、幅広く有益な環境情報を収集、形成するために、住民専門家等事業者に対しまして環境保全上の見地かちの意見を述べることができることとしておりまして、この手続によりまして、住民等が保有をいたします環境情報を適切に事業者に提供していただくということを期待をいたしておるわけでございます。  また、その意見概要や、それに対する事業者見解は公表されることになっております。そのほかに事業者調査等を委託して行った場合には、その者の氏名や住所を準備書記載しなければならないこととしておりまして、信頼性向上や、あるいは透明性確保が図られているところでございます。  さらに、環境影響評価に係ります調査結果の信頼性確保するという観点から、準備書等におきまして、データの出典等調査予測評価の基礎となりました技術情報につきましても適切に記載されるように対処をしてまいりたいと思っております。  なお、お話にございました調査住民を参加させるという御指摘でございますけれども、環境影響評価は、基本的に事業者がみずからの責任におきまして、事業に関する環境影響につきまして関係機関住民等意見も求めつつ実施をするものと考えておりまして、こうした住民を参加させること、こうした仕組み一般的なルールとすることはやはりこの制度にはなじまないのではないかというふうに考えております。
  27. 目片信

    目片委員 次に、法案では、事業者調査予測評価の結果を準備書に取りまとめることとされております。この準備書記載事項は、どのような環境影響評価を行わせるかを決めることに非常に重要なものであるというふうに考えております。  そこで、まず閣議決定要綱と比較をして、準備書記載事項がどのように変わるのか、この辺についてお尋ねをいたしたい、このように思います。
  28. 田中健次

    田中(健)政府委員 現行閣議アセス準備書におきましては、事業内容等基本的な事項のほかに、調査予測の結果、それから環境保全対策環境影響評価結果を記載する、こういうことにされております。  これに比べまして、この法案におきましてはへ準備書記載事項に、まずスコーピング手続が導入されたことに伴いまして、方法書に対して提出された意見とそれに対する事業者見解記載をすることにしております。それから、予測の不確実性に関します事項記載するということにいたしております。.それから、複数案の比較検討、あるいは実行可能なよりよい技術の導入の検討などを促すために、環境保全対策検討の経過を記載するということにいたしました。さらに、事後フォローアップに関する記述といたしまして、評価後の調査とこれに基づく対策を記載することといたしました。それから、調査等を委託した場合には、その受託者の氏名等を記載することといたしたところでございます。  以上、申しましたとおり、現行閣議アセスと比較をいたしまして、この法案準備書記載事項は格段に充実したものとなっておると思っております。
  29. 目片信

    目片委員 準備書については、従来、環境保全目標を達成しているから環境への影響は軽微であるといったような記述のものが横行いたしました。アセスメント制度が時にアワセメントであるとやゆされる一因ともなっているところであります。環境への著しい影響のおそれがある事業対象としているにもかかわりませず、環境への影響は軽微であるという結論は全くもっておかしなものである、こういうふうに思うわけであります。  そこで、従来の環境保全目標の達成による評価が新しい制度によってどのように変わるのか、この点についてお尋ねをさせていただきます。
  30. 田中健次

    田中(健)政府委員 現行閣議決定要綱に基づきます環境影響評価におきましては、一般的に公害の防止自然環境保全のための措置検討を加えた調査予測の結果等を踏まえまして、あらかじめ事業者環境基準等を環境保全目標として設定をいたしまして、これを達成するかどうかについて評価をしてきた、これが現行の閣議に基づく環境影響評価でございます。先生今おっしゃったとおりでございます。  中央環境審議会の答申におきましては、この評価手法に一定の評価を与えつつも、今後は「複数案を比較検討したり、」あるいは「実行可能なより良い技術が取り入れられているかどうかを検討する手法を、わが国の状況に応じて導入していくことが適当」、こういう方向性が示されました。これが中央環境審議会の答申でございます。  本法案におきましては、この答申の考え方を受けまして、環境への負荷をできる限り回避をして低減することを視点といたしまして、環境保全のための措置を講ずることとするに至った検討状況等、こうした検討状況等を準備書等記載事項とする、こうすることにしたわけでございます。  具体的には、各種の環境保全施策におきます基準や目標を考慮しながら、当該事業に伴います環境影響程度を客観的に取りまとめますとともに、環境保全対策として複数案の比較検討あるいは実行可能なよりよい技術の導入の検討等の手法により評価をする^こういうことを想定いたしております。
  31. 目片信

    目片委員 事業影響評価はマイナスの効果のみではないと考えております。例えば、バイパス道路をつくることは局地的な汚染を改善することの効果になりますし、また最近では、大規模な事業を行うに当たっては、生態系のつながりに配慮して緑を創出することの事例もたくさんございます。  そこで、事業環境影響評価に当たりましては、環境の改善効果や創造等のプラス面も一方ではやはり評価をしていかなければならないのじゃなかろうか、このように考えておりますが、どのようにお考えなのか、お聞きいたしたいと思います。
  32. 田中健次

    田中(健)政府委員 先生指摘がございましたとおり、事業実施によります環境の改善あるいは環境の創造、こうしたことにつきましても評価に組み込むことが事業実施によります環境影響全体を評価するために重要なことであるというふうに認識をいたしておりまして、これらも含めて適切に評価がされます僕うに、基本的事項あるいは指針等により示してまいりたいというふうに考えておるところでございます。  特に、これらのうちで、損なわれる環境をほかの場所や対策で埋め合わせるという代償的措置と申しますが、ミティゲーションでございますけれども、こうした損なわれる環境をほかの場所や対策で埋め合わせる代償的措置につきましては、環境への影響を回避する等のほかの優先すべき対策が困難であるということを明らかにした上で一その保全または回復すべき価値に照らして、損なわれる環境と代償的措置により創造される環境とを比較いたしまして、これを適切に評価をするということが必要でございまして、こうしたことにつきましても、あわせて基本的事項あるいは指針によって示していきたいということを考えております。
  33. 目片信

    目片委員 中央環境審議会の答申は、複数の案の比較検討が行われることが重要との内容であったと認識をいたしております。しかしながら、法案では代替案もしくは複数案という文言が出てきておりません。これは答申からの後退ではないかという声も聞かれるわけでありますけれども、複数の案の比較検討を行うことが重要との中央環境審議会答申をこの法案はどのように受けとめておられるのかお尋ねをいたしたい、このように思います。
  34. 田中健次

    田中(健)政府委員 お話中央環境審議会の答申におきましては、「複数案を比較検討したり、実行可能なより良い技術が取り入れられているかどうかを検討する手法を、わが国の状況に応じて導入していくことが適当」ということでございまして、複数案の比較検討を含む「環境保全対策検討の経過を明らかにする枠組みとすることが適当」、こういうふうに提言をされておるところでございます。  この法案におきましては、準備書におきまして、環境保全のための措置ということともにその措置を講ずることとするに至った検討状況、これの記載を義務づけておりまして、こうしたことで、中央環境審議会の答申を踏まえてこの中に複数案等の考え方が入っておる、こういうふうに認識をいたしております。  したがいまして、複数案の比較検討あるいは実施可能なよりよい技術の導入の検討によります環境保全対策検討事業者によって行われまして、その検討経過が準備書等記載をされることになるというふうに考えておりまして、こうした形で複数案の比較検討等もここに触れられるというふうに考えておる次第でございます。
  35. 目片信

    目片委員 次に、事業開始後のフォローアップについて質問をさせていただきます。  私は、環境保全を図っていく上で、ある事業の事前の評価とともに、実際に事業が開始された後にいかに環境保全上の措置を講じていくかが極めて重要であるというふうに思っております。  私の出身の滋賀県では、事業の例で申し上げて恐縮でございますが、第二名神高速道路のアセスでは騒音や大気汚染の問題が、そして丹生ダムのアセスではダム湖の富栄養化の問題が、金居原水力発電所のアセスではイヌワシやクマタカなどの猛禽類の生息環境への問題がアセスの主要な課題となっております。こうした事業につきましては、事業着手後もしっかりとフォローアップを行い、万一問題があれば保全対策を検討することが求められていると聞いているところでございます。  こうした観点から、今般の法案事業開始後の事後フォローアップに関する規定が設けられている点は高く評価をしておるところでございますが、フォローアップの結果に基づく指導や勧告の仕組みや、また罰則などによって対策の実施を担保することなども法律上明記する必要があるのではないか、こんなふうに思うわけでございます。その辺のお考え方お尋ねいたします。
  36. 田中健次

    田中(健)政府委員 新規あるいは未検証の技術や手法を用いるような場合等には、予測の不確実性が伴うことになるわけでございまして、そうしたことにかんがみまして、影響の重大性あるいは不確実性程度に応じましてその影響ないしは効果を評価後に把握をいたしまして、その結果により適切に対策を講じる、いわゆる事後のフォローアップを実施するということは、おっしゃるとおり非常に重要なことでございます。  この法案におきましては、事後のフォローアップ措置準備書それから評価書記載をさせるということにいたしておるところでございます。  具体的には、準備書に「環境保全のための措置が将来判明すべき環境状況に応じて講ずるものである場合には、当該環境状況把握のための措置」を記載する、こういうふうに定めておるところでございます。  この事後のフォローアップの実施に関して法案では、三十八条におきまして、「事業者は、評価書記載されているところにより、環境保全についての適正な配慮をして」事業実施するということにいたしております。  こういうことで、準備書あるいは評価書記載をいたしました事柄につきまして、事業実施するために適切な配慮をして、その確保が図られるということを措置をしておりますので、事業者がこのように実施をいたすということを考えておるところでございます。  さらに、法の三十三条におきましては、個別法におきます条件に関する規定の有無やあるいは免許等の処分の性格にかかわらず、環境保全上の必要な条件を付することができる、許認可に当たって環境保全上必要な条件を付することができる旨の規定を定めておりまして、こうした許認可に当たり付款をつけるということによりまして、必要な場合には事後のフォローアップをさらに一層適切に図るというふうなことが担保ができるというふうに考えております。
  37. 目片信

    目片委員 具体的な開発事業には、地域の経済を助け、そこに住んでいる人々の生活を支えるという効果がございます。環境影響評価を行うことの効果が地域の経済を時に衰退させ、過疎を促進させる方向にのみ働くことになれば大変な問題である、こういうふうに思うわけであります。環境保全することはもちろん重要でありますけれども、人々の生活もまた重要である。こういう点についてどのようにお考えをいただいているのか、環境庁長官に御見解お尋ねしたい、このように思います。.
  38. 石井道子

    ○石井国務大臣 目片委員にお答え申し上げます。  環境基本法第三条においてうたわれておりますことを申し上げたいと思いますが、それは、環境保全は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことができないものであることにかんがみ、適切に行わなければならないと示されております。  この基本認識のもとに、地域の振興という側面の重要性についても認識をしながら、持続的発展が可能な社会の構築及び環境保全上の支障の未然防止を目指すことが必要であると考えます。本法案によりますアセスメントは、これに資する重要な施策として位置づけられるものと考えております。
  39. 目片信

    目片委員 最後に、今般の環境影響評価法案は、非常に長きにわたった政府における検討作業や国民の意見聴取作業成果であり、私といたしましても、本法案が国際的にも高く評価され、また国内の自治体、事業者、そして国民の理解と協力のもとに制定され、円滑に施行されていくよう、強く期待するものでございます。  法案策定作業においては政府部内で意見の対立も多かったように聞いておりますが、環境保全の最高責任者である長官がリーダーシップを発揮して、関係省庁を積極的に引っ張っていっていただくことが最も重要であると考えております。ぜひ環境庁長官法案成立に向けた決意を最後にお聞きをさせていただきたい、このように思います。
  40. 石井道子

    ○石井国務大臣 環境アセスメント制度につきましては、環境保全上の支障を未然に防止し総合的な環境保全を図る上で極めて重要な施策であることから、その的確な推進を図る必要があると認識をしております。  我が国におきましては、これまで閣議決定等に基づき着実に実績を積み重ねてまいったところでありますが、環境基本法に盛り込まれた新たな課題等に対応するため、昨年六月に、総理から中央環境審議会へ今後の環境影響評価制度のあり方についての諮問がなされました。そして、国民や関係団体のヒアリングや本年二月の中央環境審議会の答申を踏まえまして、また関係省庁との検討作業を経まして、今般、この環境影響評価法案を提案するに至ったものでございます。大変長い間の経過があるわけでございますが、この法案は、現行制度を改善すべき点は改善し、諸外国の制度と比較しても遜色のない内容のものであると思っておりますし、これによって実効ある環境影響評価実施確保されて、そして環境保全取り組みが飛躍的に促進されるものと確信をしているところでございます。  また、我が国環境政策の長い間の課題でありましたアセスメントの法制化を図るということは、環境問題がますます重要となるであろう二十一世紀に向けて、我が国環境政策の基盤を確立して、そして環境保全に積極的に取り組む姿勢を内外に示す上でも重要な意義があるというふうに考えております。
  41. 目片信

    目片委員 大変明瞭な御答弁を賜りました。どうもありがとうございました。私の質問を終わらせていただきます。
  42. 佐藤謙一郎

    ○佐藤委員長 桜井郁三君。
  43. 桜井郁三

    ○桜井(郁)委員 自民党の桜井郁三でございます。  ただいま提案されております環境影響評価法案につきまして、御質問をさせていただきます。  環境アセスメントは、環境保全上、重大な支障を未然に防止する上で極めて重要な政策であります。我が国では、昭和五十六年に国会に提案されました旧法案が昭和五十八年に廃案となった後は、行政指導ペースの閣議アセスで実績を積み重ねてきました。そして今般、ようやく新たな法案が取りまとめられたわけであります。旧法案検討段階から数えまして実に二十年の歳月が流れているわけでございます。リオ・サミットや環境基本法の制定など、この間に環境問題を取り巻く内外の状況と、経済界を含めて我が国環境問題への取り組みの姿勢が構造的に大きく動いてきたことを実感するものでございます。  こうした環境問題をめぐる大きな流れを振り返って、今回の環境影響評価法案提出に至ったことについて、環境庁長官の御感想をまずお伺いをしたいというふうに思います。
  44. 石井道子

    ○石井国務大臣 環境アセスメント制度の法制化をめぐりましては、御指摘のように、大変長い経緯がございます。そして、昭和五十八年の衆議院解散によって廃案になりました後の当面の実効ある措置といたしまして、昭和五十九年より閣議アセスがスタートしたわけでありますが、その後、十数年が経過しておりまして、環境問題は最近は持続可能性の問題、そして地球環境問題など、時間的、空間的、そして社会的にその広がりが拡大をしているところでございます。  そうした中で、国際的にそれを確認して、また各国が協調して取り組んでいく枠組みをつくり上げたのがリオ・サミットでありまして、我が国としては、環境問題への総合的な取り組みを体系づけたのが、平成五年の環境基本法の制定と翌年の環境基本計画の閣議決定であったと認識をしております。  環境アセスメント制度は、基本法及び基本計画において環境保全上の基本的施策としての重要性と見直しの必要性が確認されまして、政府として、法制化を含めた見直し検討を進め、中央環境審議会の御答申をいただいて、今回の法案提出に至ることとなったわけでございます。.議員御指摘のように、環境問題を取り巻く状況が大きく変わっているわけでありまして、環境アセスメントが国民の中で定着をするということとともに、その重要性が広く認識をされるようになった結果と考えておりまして、今後の適切な運用が期待されているところであると思います。
  45. 桜井郁三

    ○桜井(郁)委員 今回の法案は、スクリーニングやスコーピングなどの事前手続の導入やフォローアップ措置の位置づけ、アセス結果を確実に許認可等に反映させるためのいわゆる横断条項の整備など、充実した内容どなっているわけでありますが、こうした法案を多くの関係省庁との調整を乗り切っておまとめになった環境庁の御努力、そして法案が備えるべき内容基本をお示しになった中央環境審議会の精力的な御審議に敬意を表する次第でございます。  私は、この法案が適切に運用されていく上で、法の施行に責任のある環境庁長官の役割が極めて重要であると思います。  そこで、この法案の施行において環境庁がどのような役割を担うことになるのか、具体的に御説明いただきたいと思います。
  46. 田中健次

    田中(健)政府委員 本法案におきましては、法の施行に関する環境庁長官の役割といたしまして、まず、主務大臣が第二種事業の判定にかかわります基準、それから環境影響評価項目等選定指針、それから環境保全のための措置に関する指針を定めるに当たりまして、その踏まえるべき基本的事項環境庁長官が定めるということになっております。  それから、主務大臣が、ただいま申しました基準、指針、それから関係地域の設定に関する基準、これらの策定を行うに当たりましてその協議を受けるという立場になりまして、協議を受けて、いろいろと相談しながら主務大臣指針づくり等に参画をする。  それからさらに、評価書につきまして、免許等を行う者に対しまして必要に応じて意見を述べるということでございます。この環境庁長官意見につきましては、閣議アセスでは、評価書の確定後主務大臣の求めに応じて述べるということにされておりましたけれども、この法案におきましては、評価書の確定前に必要に応じて意見を述べることができるということになっておりまして、その位置づけが格段に増しているところでございます。  このように、環境庁は、本法の施行上、環境保全観点から必要な役割と権限が与えられておりまして、これによりまして適切な環境配慮確保されるように努めていく所存でございます。
  47. 桜井郁三

    ○桜井(郁)委員 ここで、法案の中身について確認をしていきたいと思うわけであります。  法第二条の第二項第一号では、法の対象となる事業として、道路、ダム、鉄道、飛行場などの多様な事業種規定されているわけであります。法案においては、これらの事業種に応じ、その実施や許認可などを所管する省庁が主務大臣として位置づけられております。そして、これら主務大臣アセスを行うための技術的なガイドラインを定めるとされているなど、事業実施を担当する側の省庁に相当の権限が与えられているわけであります。  昭和四十七年発足と歴史も浅く、また、そもそもが調整官庁として発足した環境庁でありますから、現在の法の枠組みでは限界も多いことでありましょう。しかし、そもそも環境行政はこれからの日本にとって大変重要な問題でもあります。環境庁は、単なる調整官庁ではなく、総合的な環境保全を担当する官庁として、予算にしろ組織、権限にしろ、もっと拡大されるべきであると考えているわけであります。そうした意味でも、本法案についてアセスのガイドラインを主務大臣策定するとしたのでは、十分な環境配慮確保できるのかという心配があるわけでございます。  そこで、なぜ法案では事業実施を担当する主務大臣技術指針策定を任せるのか、また、環境保全に支障はないのか、環境庁考え方を確認しておきたいと思うわけであります。
  48. 田中健次

    田中(健)政府委員 本法では、主務大臣指針を定める際に考慮すべき全対象事業に横断的な基本的な考え方や視点を環境庁長官基本的事項として定めまして、この基本的事項に基づいて主務大臣環境庁長官に協議をして指針を定めるということにしているわけでございます。  この指針主務大臣が定めることとした理由でございますけれども、多様な対象事業種がある中で、指針が適切に策定され、あるいはその事業者に対して有効に機能するということのためには、当該事業種についてその特性等に十分知見を有し、事業者を指導し得る立場にある主務大臣がこれを策定するということが適当ではないか、こういうふうに判断したものでございまして、指針内容は、環境庁長官が定めます基本的事項、それから策定に当たっての環境庁長官との協議によりまして、適切かつ円滑な環境影響評価確保されるものというふうに考えておる次第でございます。
  49. 桜井郁三

    ○桜井(郁)委員 お答えを伺って、環境庁長官の定める基本的事項が、主務大臣策定するガイドラインがよって立つべき、いわば憲法として位置づけられているものと理解いたしました。そのように重要な位置を占める基本的事項ですから、最新の科学的知見に基づいて充実した内容のものとしていただきたいと思うわけであります。  そこで、基本的事項は法の公布から六カ月以内に定めるとされております。六カ月といえば決して長い期間ではないわけでありまして、仮に法案が今国会で成立した場合には、ことしの末には基本的事項ができなければならないと思います。環境庁は相当精力的に取り組んでもらわないといけないと思っておりますが、環境庁として、基本的事項策定など新たな制度の施行のために十分な体制が確保されているのか、気になるところであります。  そこで、基本的事項策定など新たなアセスメント制度の推進のために今年度どのような予算を確保しておられるのか、具体的に確認をしておきたいと思うわけであります。
  50. 田中健次

    田中(健)政府委員 本年度の予算におきましては、新たな環境影響評価制度の運用のためのガイドラインの策定、それから環境影響評価に係ります情報ネットワークの整備、それから制度の普及啓発等新たな制度の円滑かつ効率的な運用を図るという目的で、環境影響評価制度充実推進費ということで一億八千六百万円の予算を計上をいたしているところでございます。  基本的事項は、新たな制度のガイドラインの基本となるものでございまして、環境庁といたしましては、これが充実したものとなるように、本法案が成立の暁には作業を鋭意進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  51. 桜井郁三

    ○桜井(郁)委員 次にお伺いすることは、法の施行後、制度が動き始めてからの環境庁の役割、すなわち環境庁長官意見についてであります。  法案では、住民意見地方公共団体意見、許認可等を行う主務大臣意見とともに、主務大臣に対する環境庁長官意見が位置づけられております。これらの意見はどれも、環境保全のための有益な情報を適切に集約するというこの法の趣旨が達成されるために大切な意味合いを持つものであると考えますが、私は、中でも環境行政の責任者としての環境庁長官意見は重要であろうと考えております。  そこでまず、環境庁長官意見はどのような視点で述べられることになるのか、言葉をかえれば環境庁はどのような視点で審査を行うことになるのか、お伺いをしたいと思います。
  52. 田中健次

    田中(健)政府委員 環境庁といたしましては、環境保全に関する行政の総合的推進に責任を持って、関係行政機関の環境保全に関する事務の総合調整を所掌する立場から審査を行うものでございます。中央環境審議会の答申におきましても、信頼性確保観点から、主務大臣等による審査のほか、環境庁長官が必要に応じて意見を述べることの重要性というものが指摘をされているところでございます。  具体的には、事業者の行います環境影響評価書につきまして、環境情報について十分なデータ、分析等が記載をされているかどうか、さらに環境保全について適切な配慮がなされるものであるかどうか、こうした視点から慎重かつ適切に審査をしてまいりたいというふうに考えております。  また、これらの審査の過程で、必要に応じまして行政外部の専門家の知識や経験を活用するなど、一層の審査の充実を図っていきたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、環境庁長官意見主務大臣等に重みを持って受けとめられまして、適正な環境配慮確保されるように万全を期してまいりたいというふうに思っております。
  53. 桜井郁三

    ○桜井(郁)委員 次に、今までの閣議アセスでは、環境庁長官意見主務大臣から求めがあった場合に限って述べることができたとされていたのに対し、今回はそのような制約がなく、環境庁長官が必要に応じ、すなわちみずから必要と認めた場合には意見を述べることができるようになっておるのであります。この点は非常に大きな前進であると評価しております。  他方、こうなりますと、環境庁が審査すべき案件が相当数増加することにより、審査が十分にできなくなるのではないかと懸念するものであります。  そこでまず、閣議アセスと比べ、法の施行によって環境庁が審査すべき案件がどの程度増加する見込みなのか、お伺いをしたいと思います。
  54. 田中健次

    田中(健)政府委員 審査案件、すなわち対象事象の件数でございますけれども、法案の二条二項の対象事業の規模等に関する政令をどのように定めるのか、また、第二種事業のスクリーニング判定によりましてどの程度法案対象事業になるのかということに依拠するわけでございまして、こうした点は法律成立後の政令で定まっていくということでございます。  現段階では明確には把握をできないところでございますけれども、大ざっぱな話をさせていただきますと、これまでの閣議アセスの実績、それから従来から環境庁が審査を行ってまいりました閣議アセス以外の、発電所の省議アセス等の実績などから見まして、仮に現行閣議アセス等の規模要件と同じ程度で見た場合には、審査をいたします案件は二倍程度の件数になるのではないかというふうに考えております。  このほかに、先ほど申しましたスクリーニングによりまして対象となる事業、あるいは新たに対象事業をふやします関係から新たな対象事業業種となるものが加わることを考えてみますと、審査案件は二倍から三倍の件数になるのではないかというふうに考えております。
  55. 桜井郁三

    ○桜井(郁)委員 そういたしますと、環境庁が審査すべき案件が大幅に増加することになるわけであります。そもそも現在、環境庁における審査体制はどのようになっているのか、御説明をいただきたいと思います。
  56. 田中健次

    田中(健)政府委員 環境庁におきましては、私ども企画調整局にございます実員十一名の環境影響審査室におきまして審査に当たっておりますとともに、関係分野が多岐にわたるということを踏まえまして関係各局にも審査官を配置をいたしまして、これを核として全庁的な審査体制をとっているところでございます。それからまた、これまでも審査に際しまして、必要に応じまして外部の専門家の知見も活用してきたところでございます。  ただいま申しましたように、環境影響審査室の十一名とそれから関係各部局の審査官等を中心に審査を行っている、こういう状況でございます。
  57. 桜井郁三

    ○桜井(郁)委員 今御説明いただきました審査体制では、二倍から三倍にも増加しようという案件すべてについて十分な審査が行われるとはとても思えないのであります。特に、今回の法案では事業種がふえるとともに、スクリーニングの対象となる第二種事業が加わってくるわけであります。  新たな制度の施行までに二年あるわけでありますが、ぜひそれまでの間に審査体制の充実強化を図っていただきたい。この点について環境庁のお考え方をお伺いしたいと思います。
  58. 田中健次

    田中(健)政府委員 本法案の制定によりまして今後ますます環境庁の審査の重要性が高まる、先生のおっしゃるとおりでございます。私どももそういうふうに認識をしておりまして、審査体制の充実強化は極めて重要な事項というふうに考えております。  環境庁といたしましては、今後この審査体制の充実を、いろいろな部内の体制の見直しを図りますとともに、やはり定員もふやしていただかなければならないということで、非常に定員事情も厳しいところでございますけれども、増員要求も含めまして審査人員の的確な配置に努めていきたいというふうに思っております。
  59. 桜井郁三

    ○桜井(郁)委員 今の職員の増加というようなこともあるわけでありますが、行財政改革が大変厳しい折でございますので、増員一つとりましても政府全体の組織や定員を激しく絞り込んでいただきたいというふうに考えるわけでございます。  さて、環境庁長官の役割について確認をさせていただいたわけでありますが、本法に魂を入れる上で環境庁長官意見は重要であります。環境行政を総合的に推進する立場の大臣として、今回の法案で長官の立場も強化されるわけであります。そこで、法の実効を上げる上で環境庁長官の果たす役割は極めて重要であることを踏まえて、長官にも御決意を伺っておきたいと思うわけであります。
  60. 石井道子

    ○石井国務大臣 この環境アセスメント制度は、環境保全上の支障を未然に防止して、そして総合的な環境保全を図る上で極めて重要な施策でありますので、その的確な推進を図る必要があると十分認識をしております。  この法案におきまして、環境庁長官は、環境行政を総合的に推進することを任務とする国の機関の長となるわけでございまして、その点では、環境影響評価項目等選定とか、あるいは環境影響評価実施などに関しまして基本的な事項を定めるという立場があります。そして、事業者が取りまとめた環境影響評価の結果について、主務大臣に対して意見を述べるという極めて重要な役割を担う立場にもなるわけでございます。  このような立場において、実効ある環境影響評価が行われ、対象事業に係る環境保全について適正な配慮がなされることが確保されるようにしなければなりませんので、これらの役割を適切に果たしてまいりたいと思っております。
  61. 桜井郁三

    ○桜井(郁)委員 時間も余りございませんので、あと一問か二問質問させていただきたいと思います。  まず、今回の法案のポイントの一つである早期段階からの環境配慮のための仕組みについてお尋ねを申し上げます一、現行閣議アセスでは、事業者が各種の調査等を経て関連情報準備書の形にまとめ、これが公表される段階で初めて事業に関する情報が表に出ることになっていますが、このような仕組みでは、公開の手続が開始される時点では往々にして事業内容が事実上決められてしまっており、外部の意見を聞いて事業計画によりよい環境配慮実施していくというアセスメント手続の意義が薄れてしまうのではないかという指摘もあるところであります。  こうした指摘にこたえるものとして、第五条以下の環境影響評価方法書の作成や公開というスコーピング手続が位置づけられ、準備書よりも早い段階で外部に情報を提供する仕組みとされていることは高く評価したいと思います。  しかし他方では、このような早期に事業情報を公表する手続を導入することによって、事業種によっては用地取得に影響を与え、手続に時間を要することになる、たとえ環境に十分配慮した事業内容を計画していたとしても、事業の進捗に影響を及ぼすことになるのではないかという懸念の声も聞こえてまいります。このような懸念についてどのように対応していくのか、お伺いをいたしたいと思います。
  62. 田中健次

    田中(健)政府委員 方法書に係ります手続は、論点が絞られた効率的な予測評価やあるいは関係者の理解の促進、作業手戻り防止などの効果が期待され、事業者にとりましてもメリットのあるものと考えられますが、今先生から御指摘がございましたような懸念もあるわけでございまして、こうしたことから、いろいろと法案に配慮を払っておるところでございます。  まず一つは、方法書を作成し公表する時期やあるいは記載程度につきましては、事業種に応じて柔軟な対応が可能な仕組みとなっております。これは、事業熟度を高めていく過程の中で用地取得という問題もございますし、これらに配慮をして適切な時期に方法書を作成、公表すればよい、それから方法書をどの程度の詳しさで作成すればよいかについて、事業種ごと主務大臣が定める、こういうことになっております。  二番目に、地方公共団体一般人々意見を求める期間といいますか、期限を定めております。  それから三番目に、調査等項目それから手法選定指針をあらかじめ示すこととしている。  それから事業者主務大臣に技術的な助言を求めることができる、こういう配慮をいたしております。  以上申しましたように、環境保全上必要な範囲を超えていたずらに事業の進捗に影響を与えることのない仕組みになっておるものと考えておりまして、御指摘のような事業者懸念を払拭できるように、制度の運用に当たりましても万全を期してまいりたいと思っておりますが、さらに、こうした制度趣旨につきましても周知を図っていきたいというふうに考えております。
  63. 桜井郁三

    ○桜井(郁)委員 時間もなくなりましたので最後の質問をさせていただきたいと思いますが、地方と国との問題でございます。  国がこのように充実した内容制度を整備することになる一方、既に五十一の都道府県、政令指定都市が条例等によって環境影響評価制度を整備しているところであります。  今般、国の制度制度化するに当たり、法案では、法律の対象となる事業について、国と地方制度が重複して適用されることを避けるため、地方条例の対象とはされないこととなっております。このこと自体は、制度の効率的な運用を図る観点から当を得たものと思います。ただ、これまで地方公共団体制度が実績を積み重ねていることにかんがみ、法律の制度によって地方公共団体アセスメント制度取り組みが後退することになるのではないかという懸念が示されております。  法案は、このような懸念が当たる内容のものなのでしょうか、環境庁見解をお伺いしたいというふうに思います。
  64. 田中健次

    田中(健)政府委員 本法案は、既に地方公共団体で広範に環境影響評価に関する施策が実施されているということにかんがみまして、国と地方の適切な役割分担を図るという観点から、規模が大きく環境影響程度が著しいものとなるおそれがあり、かつ国が関与する事業対象を限定いたしておりまして、それ以外の事業につきまして環境影響評価を行わせるかどうかにつきましては、地方公共団体判断にゆだねるということといたしております。  また、本法の対象となる事業につきましても、手続の各段階できめ細かく地方公共団体意見が反映される仕組みをとっておりまして、また地方公共団体意見形成の過程におきます審査会の意見聴取とかあるいは公聴会の開催など、この法律の規定に反しない限りにおいて地方公共団体における手続を設けることが可能となっておりまして、地域の実情に応じた環境影響評価が行われる仕組みとなっておるところでございます。  さらに、本法が定める手続内容も、スクリーニングあるいはスコーピング手続、事後のフォローアップ措置の導入など、現行制度と比較いたしましても飛躍的に充実をしておりまして、既存の地方公共団体制度に比較しても充実した内容となっておるところでございます。  なお、多くの地方公共団体制度では、現行閣議アセス対象となる事業や国の直轄事業について対象から除外しているケースが多いという現状でございます。  こうしたことから、本法の制定によりまして、現行地方公共団体環境影響評価取り組みが後退をするということはないのではないか、こういうふうに思っております。
  65. 桜井郁三

    ○桜井(郁)委員 どうもありがとうございました。以上で質問を終わらせていただきます。
  66. 佐藤謙一郎

    ○佐藤委員長 砂田圭佑君。
  67. 砂田圭佑

    ○砂田委員 自由民主党の砂田圭佑でございます。  大変難しい法律の話が続いて、皆さんも、お答えになる方も大変でありますし、伺っている方も大変じゃないかという気がいたしますが、私はまず自分の経験から少し環境のことを申し上げたいと思います。  私は、神戸の中でも須磨、垂水、舞子という白砂青松の地で育ちました。子供のころは戦争中でありましたから、空襲警報の合間に海岸で日々暮らす、そういう生活をして大きくなりました。年がら年じゅう海に入って、我々は五月から十月ぐらい海に入っておる、そういう子供でありましたから、海の中へ潜っても水は本当に透明で、海岸に立っていましても足の先に魚が寄ってくるのが見えるという、そんな時代でありました。また、舞子の松並みはすばらしい自然の松並みでありましたし、六甲山の山々の緑も大変我々の自然環境としてすばらしいものを提供してくれておりました。  大きくなって灘区というところに移り住みましたけれども、ここは自宅から一キロぐらい南側に神戸製鋼の工場がありまして、そこから毎日もくもくと煙が立ち上って、ベランダに干した洗濯物はすぐに黒ずんでしまう、そういうような中で育ちました。  したがって、環境の変化とか悪化とかいうことを、特別意識はしませんけれども、子供心にも、少年、青年になってからも身をもって体験をしてきた、そういう一人でございます。それだけに、新しい法律ができて、そしてそこで我々市民の生活のために環境アセスをやろうということはまことにありがたいことでありますし、もう一度あのきれいな空と海の水を取り戻したい、そんな思いからもこの法案の成立にもろ手を挙げて賛成をするものでございます。  そういうような地球環境地球全体、これはもう私ども神戸の空、海だけではなくて、世界じゅうの海や山がだんだんとそういうふうに、あるいは空気も変わってくる。そういうものが人々を苦しめていくという環境の中で、次に来る二十一世紀は環境の世紀だとも言われている今日でございます。二十一世紀が環境の世紀ということは、二十世紀は環境が非常に悪化をして悪い世紀であったということも言えるわけでございます。今世紀の後半は、世界の人々が文明の発達とともに生活の向上と豊かさを求めて一生懸命努力した、その結果が地球環境を破壊をするという、まことに皮肉な状況を生んでいるわけでございます。  政治の目的が、多くの人々、人類のすべてが平等に豊かになることを実現しようというのが目的であるとするならば、何としても人々の生活を向上させる、その反作用としての公害をなくさなければならないのは、それは人類の努力として英知を傾けてもやらなきゃならない、そんな気がするわけでございます。  もし世界じゅうの人々が欧米並みの生活水準に達する、世界じゅうでなくても、例えばお隣の中国、私は中国が発展をすることを望む者の一人でありますけれども、中国に十三億という人がいて、その方々が欧米並みの生活水準に達するとすれば、地球環境あるいは地球の資源はどんなことになるのか、そら恐ろしい気がするわけでございます。まさに世界の資源は枯渇する方向に向かっていくでありましょうし、例えば尖閣列島あるいは南沙諸島を中国の領土だと強く主張するのも、やはり石油の資源を求めてのことではないかという気がいたします。  中国の工業がどんどん発達すればするほど、そこで起こるばい煙は偏西風に乗って恐らく日本を覆うことになるでありましょう。そして、発生する炭酸ガスはますます地球温暖化に拍車をかけることになるという気がいたします。これらのことが、あるいは時には国際紛争の種にならないとも限らない。今や環境という問題は、国際間の問題あるいは大きな政治問題として世界じゅうで取り上げていかなければならない問題ではないかという気がいたします。  特にアジアの国々が大変急成長を遂げている今日、日本はその先進国としても、環境問題でアジアの中でリーダーシップを発揮して国際間の協調を図っていかなきゃならない、そんな気がするわけでございます。  また、日本の国内においても、環境影響評価に関しては、地方の方が先取りをして国の施策をリードしたことはまず間違いのないところではないかという気がいたします。大都市がやむにやまれない我が身の問題としていち早く環境アセスに取り組んできたことは、今までの経過から見ても事実ではないかという気がいたします。  この環境アセスメント法案ができるのを機会に、環境庁が主導権を持って日本の環境行政を一元化をして、二十一世紀に向けてぜひともリーダーシップを発揮していただきたいと心から願うものであります。  そこで長官にお伺いいたしますけれども、前段申し上げた地球全体の環境問題に対する御所見、日本の環境行政を担当する長官の御所見を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。
  68. 石井道子

    ○石井国務大臣 砂田委員にお答え申し上げます。  我が国は、戦後五十数年たちまして、その間とにかく経済産業対策を優先して発展を遂げてまいりました。そして、大量生産、大量消費、大量廃棄というようなライフスタイルが定着をしてきてしまったところでございますが、今やはり日本におきましても、五年前の地球サミット以来、環境基本法が二年前に制定され、そしてその基本計画に沿って活動が始められてきたという我が国の実情でございます。  この環境問題につきましては、我が国状況のみならず、地球規模におきますさまざまな問題があるわけでございます。地球温暖化の問題、またオゾン層の破壊、海洋汚染、さまざまな課題がありまして、このために、やはり現在、地球規模で環境問題に取り組まなければならないというコンセンサスができてまいりました。社会の持続性の確保の問題でありますとか、地球環境問題とか、そして事業者や国民の日常の活動に起因する環境負荷の集積の問題などについて、今、時間的また空間的、社会的な広がりを有するものに環境問題はなっているわけでございます。  このような環境問題のさまざまな変化に対応できますように平成五年に環境基本法ができたわけでございますし、この基本的な施策の総合的な枠組みが示されたところでありますので、この環境基本法におきまして、健全で恵み豊かな環境を維持しながら、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会を構築していくということが重要になっているところでございます。  基本理念がそこで明らかにされているわけでございまして、環境影響評価制度につきましては、そのもとで具体的にそれらの理念を実現するための手段を提供するものであると考えておりますし、これから国が講ずべき施策の一つといたしまして環境基本法第二十条に定められているところでもあります。  私といたしましても、この環境基本法枠組みに沿ってこれからもその理念の実現に向けて環境行政を推進してまいりたいと思っておりますし、今度の環境アセスメント法案につきましては、本当に長い間の我が国の悲願ともいうべき法案としてこれを速やかに成立をさせていただいて、そして先進国として立派な環境行政が進められるようにということを期待しているところでございます。
  69. 砂田圭佑

    ○砂田委員 長官の立派な御信念を伺って大変うれしい気がするのでありますけれども、余計なことでありますけれども、今度の京都会議では、長官はどんな、既にそういうことが検討されているのかどうかわかりませんからそこのところはいいんですけれども、どんなおつもりで臨まれるか、御所見の一端を例えればと思います。お願いいたします。
  70. 石井道子

    ○石井国務大臣 このたびの地球温暖化防止京都会議におきましては、我が国が主催をするということでありまして、大変重要な会議でございます。世界から百六十カ国ぐらいの参加者があると見込まれておりますし、そういう意味では、我が国リーダーシップをとってこれからの温暖化対策を進めていかなければならない、そういう会議でございます。  それについては、我が国が主催国ということ、議長国となるべき我が国といたしましては、各国際間の調整を図るという重大な責任もありますが、同時に、我が国の国内における状況をやはり改善していかなければなりません。そういう点では、地球温暖化原因であります二酸化炭素の排量を、またその他温暖化原因となる物質の排出について適切に処理をしていかなければなりませんので、その炭酸ガスの排出抑制については、今いろいろと各省庁間、また国民レベルでの具体的な進め方について取り組んでいるところでもございます。  今後もこのCOP3の成功のために、あと八カ月ぐらいでしょうか、そのために全力を挙げて今取り組んでいるところでございますので、どうかまた御協力、御指導を賜りますようにお願い申し上げます。
  71. 砂田圭佑

    ○砂田委員 それでは、少し法案についてお伺いをいたしたいと思います。  私は、さっきも申し上げたように、かつての自分が経験したきれいな海がよみがえり、きれいな空気がよみがえることが一番の念願でありますから、そのためにこの法律が、生き生きとして国民のためになるという法律であってほしいとひたすらそれを願うわけでもありますし、この法律そのものも、環境の悪化を未然に防止するというようなことが一番の眼目になっているわけでございます。  前段申し上げたように、地方の公共団体が先取りをしてこのアセスメントをやってきた経過の中で、本来なら国がもっと先取りをして、そして地方をリードしていくという姿であるべきであったはずのことでありますけれども、いろいろな諸般の情勢から地方の方がやむにやまれず先取りをしたという形に相なりました。少なくとも、法律の中身もさることながら、何としても環境をよくするという、そのための一助になればいいという、そんな法律であってほしいと願ってやまないところでございます。  昭和五十八年に古い、旧の法案が廃案になって以来、十四年もかかって国会に上程することに相なりました。なぜこんなに長い時間かかったのか。もっともっと、環境について全く今までに関心がなかったわけでもなく、いっぱい国内にも問題があったにもかかわらず、こんなにおくれて上程されることになった、そのことについてお聞かせをいただきたいと思います。
  72. 田中健次

    田中(健)政府委員 政府といたしましては、ただいまお話ございました旧法案の廃案、昭和五十八年でございますけれども、廃案のやむなきに至ったその経緯を受けまして、環境影響評価制度を閣議決定をいたしまして、いわゆる閣議アセスによってやってきたわけでございますが、まずその行政指導による実績を積み重ねるということで、これまで十数年実績を積み重ねてまいりました。それが一点でございます。  それから、この間に地球温暖化問題等もますます重要になってまいりまして、要するに、従来の公害対策から環境問題というのを前面に出した。そういうことで、環境基本法平成五年に制定されたわけでございますが、その環境基本法により策定されました環境基本計画に基づきまして、この行政指導による閣議アセスを法制化も含めて見直す、こういう議論が環境基本法の国会審議でもいろいろ出ておりました。これらを踏まえまして、私どもといたしましては、内外の環境影響評価制度実施状況につきましても、とりあえず調査研究を進めて、慎重に対応するということで、これは非常に精力的に調査研究を進めてまいりました。  政府といたしましては、この調査研究成果を踏まえまして、中央環境審議会アセス制度のあり方について諮問をいたしまして、御審議をいただいたということでございます。この法案は、この審議会の答申を受けまして、これまでの実績を踏まえて作成をしてきておりまして、政府が着実に環境影響評価制度を推進してきた成果ということで御認識をいただけるとありがたいと思います。
  73. 砂田圭佑

    ○砂田委員 法案の中身でありますけれども、旧法に比べれば、先ほども質問がありましたように、スクリーニングの手続あるいはスコーピング手続等非常に充実されて、その面で大変評価されているところでありますけれども、そのような手続をずっと重ねていくことは当然時間のかかることでございます。事業者事業の進捗をしていく上にそのことが支障にならないかということを危惧いたしますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  74. 田中健次

    田中(健)政府委員 今お話ございましたように、スクリーニングの手続あるいはスコーピング手続等も導入をいたしておりまして、いろいろとプラス効果を期待しているところでございますけれども、今御指摘がございましたような、かえって時間がかかって事業の進捗に影響を与えるのではないかという御懸念もございます。こうしたことから、私どもとしては、法案の中にいろいろと配慮をしておるつもりでございます。  一つは、スクリーニング手続について、届け出を受けてから判定を行うまでの期間を設けております。第四条第三項に六十日ということを規定いたしております。  それから、スコーピング手続につきましては、方法書の作成時期あるいは記載程度につきまして、事業種に応じて柔軟な対応が可能な仕組みとなっております。これは五条一項でございます。  それから、地方公共団体一般人々意見を求める期間も定めております。それから、調査等項目手法選定指針をあらかじめお示しをするということにいたしております。それから、事業者主務大臣に技術的な助言を求めることができるということにいたしております。  以上のように、環境保全上必要な範囲を超えていたずらに事業の進捗に影響を与えることのない仕組みとなっているものと考えておりまして、御指摘のような懸念が払拭できるように、制度の運用に万全を期しますとともに、制度趣旨の周知も重要でございますので、この点につきましても努力を払ってまいりたいというふうに思っております。
  75. 砂田圭佑

    ○砂田委員 調査項目など、住民意見を十分に聞くということは大変すぐれた部分でありますけれども、住民の方がさまざまな要求を出して、事業者の方がその対応に困るというようなことは、その辺のことはいかがでしょうか。
  76. 田中健次

    田中(健)政府委員 事業者調査項目とか手法選定を行うに当たりましては、あらかじめ主務大臣主務省庁によりまして調査項目等選定指針が示され、これに基づきまして項目等選定されるというふうな運びになります。これが第一点でございます。  それから、この事業種ごと指針におきまして、科学的な知見等を踏まえまして可能な範囲調査が行われるべき旨規定されるということになろうと思いますので、事業者は、住民等意見内容検討を加えまして、科学的かつ合理的な範囲でこれを取り入れて項目選定すればよいということになるものと思われます。  それから、事業者判断に迷うときは、主務大臣の助言を受けられるということでございまして、こういうことで、事業者が適切に判断ができるものというふうに思っております。
  77. 砂田圭佑

    ○砂田委員 次に、意見提出者の範囲の限定についてでありますけれども、この法律では、意見の提出者の範囲を限定していないのであります。その場合、これによって際限のない要求が出される懸念はないのか、あるいは意見提出者の範囲の限定を外した意図、そういう際限のない要求が出された場合どうするかという点についての見解を伺いたいと思います。
  78. 田中健次

    田中(健)政府委員 一般意見の聴取は、有益な環境情報の提供をいただくということで、環境保全の見地からの意見の提出を期待いたすものでございます。  有益な環境情報といいますのは、その地域住民に限りませんで、環境保全に関する調査研究を行っている専門家や学識経験者、あるいはまたその地域に勤務する方々、自然保護等の環境保全に関心を持つ人々等によって広範に保有をされている、そういうことから、中央環境審議会の答申も踏まえまして、意見を述べることができる者の範囲を限定しないということにしたものでございます。  それで、意見提出者の範囲を限定しないことによりまして際限のない要求が出されるのではないかという御懸念でございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、事業者項目等選定するに当たってのよりどころとなる指針主務大臣の方であらかじめつくるということと、事業者は必要に応じ主務大臣に助言を受けられるというふうにもなっておりまして、こういう配慮も行っておるところでございます。
  79. 砂田圭佑

    ○砂田委員 次に、本法案では、代替案と申しますか、かわりの案を出すことの検討が盛り込まれているそうでありますけれども、用地の取得に関する情報など、あるいは科学的知見などの情報その他を明らかにすることによって問題が生じてくる、そういう場合も起こり得るのではないかという気がいたしますけれども、その辺のところはいかがでしょうか。
  80. 田中健次

    田中(健)政府委員 本法案では、環境への影響をできる限り回避し低減する、こういう視点から、幅広い環境保全対策検討の経過を明らかにする枠組みが適当という、これは中環審の提言も踏まえまして、環境保全のための措置を講ずることとするに至った検討状況、これを準備書記載をさせるということにいたしております。  具体的な記載内容につきましては事業者判断することになるわけでございますが、御指摘のように、用地の問題等を明らかにすることで問題が生じる情報まで詳細に記載することを義務づけるということは考えておりませんので、御理解をいただきたいと思います。
  81. 砂田圭佑

    ○砂田委員 事業者アセスメントを適切に行うために、過去の実績などの情報を提供することが必要ではないかという気がいたしますが、どのようにお考えでしょうか。
  82. 田中健次

    田中(健)政府委員 アセスメントが円滑、適切に行われるためには、調査等の技術的手法に関する情報あるいは環境の現況に関する情報が体系的に整備されまして、かつこれを関係者が容易に情報を入手することが可能、こうするための基盤整備が非常に重要である、おっしゃるとおりでございます。このことは中央環境審議会の答申においても指摘をされております。  こうしたことで、今後は、過去のアセスメント事例、あるいは民間等も含めた幅広い主体が所有をいたしております技術的な情報、さらには地域環境の現況に関する情報、こうしたことが広く活用されるよう必要な取り組みを進めてまいる所存でございます。  環境庁におきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、平成九年度から環境影響評価情報支援ネットワーク事業というのを開始をいたしまして、過去の環境影響評価事例や調査の技術的手法に関する情報、あるいは地域環境の現況に関する調査結果等の情報をインターネットを通じまして提供できるように、その着手をいたしたいというふうに考えております。
  83. 砂田圭佑

    ○砂田委員 次に、先ほどもちょっと申し上げました地方公共団体との関係について、地方制度と今度の新しい法案との関係についてお伺いをいたしたいと思います。  環境アセスメントの推進は、国の環境行政の重要な施策であることはもう前段申し上げたとおりでございますし、それは地方公共団体においても大変重要な問題であります。環境問題は、地域住民の生活を守るという意味で、地方公共団体が大きな役割を果たすことが求められているということもまた御承知のとおりであります。  高度成長期に全国的に公害が多発をして、公害問題の解決は大変困難な課題でありましたけれども、大都市の自治体はみずからの問題として、国の施策を待たずに自分の努力で解決に取り組んで、国の施策をリードしてきたところであります。このことが多くの環境施策に大きな貢献をしたことは、もう自明のことであります。このたびの法案ができることによって、今まで一生懸命努力してきた地方制度が後退をするというようなことがあってはならないと懸念をするものであります。  そこでお伺いをいたしますが、環境アセスメント対象開発事業であります。大小さまざまな事業を同法がすべて包括するという考え方もありますけれども、法案対象とする事業について、特に国と地方観点からお答えを願いたいと思います。
  84. 田中健次

    田中(健)政府委員 本法案におきましては、国が対象といたします事業といたしまして、規模が大きく環境影響程度が著しいものとなるおそれがあり、かつ国が実施し、または許認可を行う事業というふうに対象事業選定することといたしております。  これは、中央環境審議会の答申におきまして、「地方公共団体においても地域環境保全観点から環境影響評価実施されていることに鑑み、国の制度においては、国の立場からみて一定の水準が確保された環境影響評価実施することにより環境保全上の配慮をする必要があり、かつ、そのような配慮を国として確保できる事業対象とすることが適当」、こういうふうに審議会で答申されたことを受けまして、こういう法案で整理をしたものでございまして、国と地方が適切な役割分担をするという考え方に立っておるわけでございます。  なお、法の対象事業以外の事業につきまして、地域環境保全観点から環境影響評価を行わせるかどうか、これにつきましてはそれぞれの地方公共団体判断にゆだねられている、こういうこ  とになっております。
  85. 砂田圭佑

    ○砂田委員 地方制度の現状についてお尋ねをいたします。  国が閣議決定という行政指導によってアセスメントにとどまっている間に、地方公共団体では広範にアセスメント制度化が進められております。これまで地方公共団体におけるアセスメント制度化はどのように進み、現状はどのようになっているのかについてお伺いいたします。  特に地方では厳しい制度が適用されていると聞いておりますけれども、拘束性のある条例と、行政指導による要綱とを区別をして答弁をお願いを申し上げます。
  86. 田中健次

    田中(健)政府委員 地方公共団体におきます条例、要綱等の制定の状況でございますが、昭和四十年代の後半から制定の動きが始まりまして、昭和五十一年に川崎市、それから五十三年に北海道、五十五年に東京都と神奈川県が条例を制定をいたしますなど、それぞれ独自の制度の制定が始まったわけでございます。  それで、昭和五十九年の閣議決定を経まして、その後も逐次制度化が進められましたが、平成元年以降、制度化が急速に進展をいたしまして、平成五年に制定をされました環境基本法におきまして環境影響評価が位置づけられた。こうしたことと相まちまして、平成六年に埼玉県、平成七年に岐阜県、それから、つい最近でございますが、兵庫県でも条例が制定をされたところでございます。  こういうことで、都道府県、政令市が合わせまして五十九あるわけでございますが、その中で現在条例の制定団体が七団体でございます。それから、行政指導による要綱等の制定団体が四十四団体でございまして、合計五十一団体が独自の環境影響評価制度を有するに至っている、こんな状況でございます。
  87. 砂田圭佑

    ○砂田委員 条例の制定団体が七団体にとどまっているというのは大変意外な感じがいたしますけれども、それにしても、都道府県、政令都市の合わせて五十九団体のうち、五十一団体がアセスメント制度を有しているという現状は、地方取り組みを無視できないことを示しているという気がいたします。  次に、法案対象とする事業以外のアセスメントについて、地方公共団体判断にゆだねられるわけでありますから、問題は、地方制度が国の対象事業対象としている場合に、法律ができることによってどのような影響が生ずるかという点に絞られることになると思います。そこで、現行閣議アセス対象事業について、地方制度はどのように扱っているかについてお尋ねをいたします。
  88. 田中健次

    田中(健)政府委員 ただいま申し上げました条例あるいは要綱を制定している五十一の団体のうちで、二十五の団体の制度が、閣議アセス対象事業につきまして、これらの条例または要綱等が適用されない制度となっております。  それから、こうした二十五団体以外の制度におきましても、事業者との協議の結果、地方公共団体制度を適用していない場合が相当多数存在をしているものと承知をいたしております。  したがいまして、実態上は、現行閣議アセス対象事業について、地方公共団体制度が重複して適用されている例はかなり少ないのではないかというふうに考えております。
  89. 砂田圭佑

    ○砂田委員 この法案のいわば目玉でもありますスクリーニングあるいはスコーピング手続について、既にその仕組みを先取りして実行している自治体はどれくらいあるんでしょうか。そして、その成果はいかがでしょうか。
  90. 田中健次

    田中(健)政府委員 まず、スクリーニングでございますけれども、ただいま御提案を申し上げておりますようなスクリーニングのような仕組みが設けられている地方制度はございません。  それから、スコーピングについてでございますけれども、これにつきましては、事前に調査計画等の届け出等を求めている制度を有している例は十制度存在をいたしますけれども、本法案のように、都道府県知事のみならず一般人々意見の提出を認める仕組みを設けているスコーピング制度は埼玉県の条例と、先般でき上がりました兵庫県の条例のみでございまして、それから都道府県知事等意見提出を認める仕組みを設けているものは岐阜県の条例等五制度でございます。  したがいまして、私どもが御提案をいたしております制度と同一の仕組みは埼玉県と兵庫県、こういうことでございまして、兵庫県についてはまだ実例はございません。埼玉県については適正にやられておるのではないかというふうに推測をいたしております。
  91. 砂田圭佑

    ○砂田委員 現在の地方公共団体制度において、代替案の検討に関し何らかの規定を設けているところはどの程度ありますか。
  92. 田中健次

    田中(健)政府委員 代替案の検討に関して何らかの規定を設けておりますのは、代替案という用語を用いないものも含めますと、東京都条例、神奈川県条例を含めまして十六の制度となっておりますが、そのうちで、これを準備書記載事項としておりますのは十制度でございます。
  93. 砂田圭佑

    ○砂田委員 現在の地方公共団体制度で、意見提出者の範囲を限定していないところは幾つかありますか。
  94. 田中健次

    田中(健)政府委員 現在の地方制度におきまして、意見提出者の範囲を限っておりませんのは、神奈川県、滋賀県、大阪府、兵庫県、横浜市、川崎市、大阪市、神戸市、以上の八団体でございます。  それで、そのほか、東京都と岐阜県につきましては、当該地方公共団体住民に限ってだれでも意見を提出することができるということで、都県内の住民に限ってだれでもいい、こういうふうなことが規定をされております。
  95. 砂田圭佑

    ○砂田委員 いろいろお伺いをいたしましたけれども、地方制度は国の制度に比べて厳しいという評価について、環境庁の御見解はどうでしょうか。
  96. 田中健次

    田中(健)政府委員 本法案におきましては、いろいろ御説明してまいりますけれども、新たにスクリーニング手続あるいはスコーピング手続といった事前手続を導入をいたしております。これとともに、代替案の検討に関する規定や、あるいは意見提出者の範囲を限定しないということなど、先進的な地方公共団体制度と同等もしくはそれより充実した内容が盛り込まれているものと私どもは考えております。  また、環境影響評価の結果を許認可等に反映をさせます、いわゆる横断条項を設けることにつきましては、法律によってこれは初めて可能になるものでございまして、これによって環境保全上の適正な配慮が行われることが制度上も確実に担保をされるということになるわけでございます。  したがいまして、総合的に見た場合には、本法案規定をされました内容は、地方公共団体制度と比較をいたしましても決して遜色はなく、むしろ充実をした内容となっているのではないかというふうに考えております。
  97. 砂田圭佑

    ○砂田委員 今までお伺いをしました地方制度の現状を踏まえた上で、法案における地方制度の扱いについてお尋ねをいたします。  一つ事業について国の制度地方制度が二重にかかるのは不合理であるという気がいたします。法案では、そこのところをどのように扱われているでしょうか。
  98. 田中健次

    田中(健)政府委員 同一の事業につきまして国の制度地方制度が二重に適用されるということは、事業者に過大な負担を課することになりますし、また国民が適切に手続に参加するということがいろいろ難しくなってくるというおそれがございます。こうしたことのために二重に課するのは適切とは考えられないところでございまして、手続の重複を避けるべきという考えに立っておりまして、中央環境審議会の答申でもこういうふうな指摘がなされているところでございます。  このために、法案では、その対象となる事業につきましては、地方公共団体環境影響評価について条例で法案に定める手続に抵触するような手続を定めることはできないというふうに規定をしているところでございます。これは六十条にそうした規定を置かせていただいております。
  99. 砂田圭佑

    ○砂田委員 一つ事業について一つ手続がかかるということは妥当と考えますけれども、国の制度に乗った途端に地域状況に即したアセスメントが行えなくなるというのでは問題があるような気がいたします。この点について、法案では、対象事業アセスメント地域状況に即して行われるよう、どのような配慮がなされているのか、お伺いをいたします。
  100. 田中健次

    田中(健)政府委員 法案におきましては、対象となる事業につきまして、まず第二種事業の判定、それから方法書にかかわります手続準備書にかかわります手続の各段階におきまして、地方団体の意見がきめ細かく反映される仕組みとしているところでございます。  また、地方公共団体意見形成の過程におきます審査会の意見聴取やあるいは公聴会の開催など、法律の規定に反しない限りにおいて、地方公共団体におきます手続を設けることが可能となっておるところでございまして、私どもといたしましては、地域状況に即した環境影響評価が行われる仕組みとなっているものと考えております。
  101. 砂田圭佑

    ○砂田委員 ただいまの答弁では、法の対象事業については、一定の手続については付加が認められるとのことでありますけれども、全く自由というわけでもないようであります。自由に上乗せを認めるべきとの主張がありますけれども、どのようにお考えでしょうか。
  102. 田中健次

    田中(健)政府委員 国が関与をいたします大規模事業につきましては、全国どこでも同じ手続環境影響評価が行われることが適当でございまして、地域によって手続内容が異なる場合には、隣接県での手続の進行が異なる事態が生ずるおそれがあります。こうしたことで、弊害が大きいものと考えております。  このために、条例によってどのような手続を付加することができるか、これは国の対象としている事業についてでございますが、条例でどのような手続を付加することができるかにつきましては、法案では、統一的な手続について条例で自由に手続の付加ができることとはいたしておりませんで、法律の規定に反しないもの、すなわち、法律の手続を変更したり法律に定める手続の進行を妨げたり、または瑕疵を生じさせるようなものでないものに限り条例で必要な規定を定めることができる、こういうことにしているところでございます。
  103. 砂田圭佑

    ○砂田委員 地方自治法で、条例は、法令に違反しない限りにおいて制定できるということになっておりますけれども、この場合、法律に抵触するケースが出てくるという懸念があるのではないかという気がいたします。  そこで、具体的にどのような規定を定めた場合に法の規定に反するか、また法にのっとった条例の場合、改正の必要があるのか、お伺いをいたします。
  104. 田中健次

    田中(健)政府委員 一般的に申しまして、条例の規定が法律の規定に反するかどうかにつきましては、それぞれの趣旨、目的あるいは内容、効果等を比較いたしまして、両者の間に矛盾、抵触があるかどうかを判断する必要があるわけでございます。  例を挙げて申し上げますと、例えば、公告縦覧等の手続の主体を法律で定めている者以外の者でなければならないものとしたり、あるいは準備書等につきましての一般意見の提出期間を法律の定める期間より延長させるようなものにつきましては、これは条例で定めることができないものではないかというふうに考えております。  それで、このような法律の規定に反する条例について、これをどのようにするのかというお尋ねでございますけれども、具体的には地方公共団体自身が判断することになるわけでございますが、私どもといたしましては、法律の趣旨については地方公共団体の方にも十分説明をいたしまして、連絡をとりながら適切に対処をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  105. 砂田圭佑

    ○砂田委員 法案質問の締めくくりとして長官にお伺いをいたしますが、地方制度取り組みが後退することはないと言えるのか、この辺のことを、長官の明快な御答弁をお願いをいたします。
  106. 石井道子

    ○石井国務大臣 ただいま本法案地方制度との問題の御懸念について御質問がございました。  局長の方からも御答弁申し上げたところでございますが、既に地方公共団体で広範に環境影響評価に関する施策が実施されております。そして、国と地方の適切な役割分担を図る観点から、法案対象となる事業を一定のものに限定するということになっております。それ以外の事業について、環境影響評価を行わせるかどうかの判断地方公共団体にゆだねているということになっております。  また、本法案対象となる事業については、地域の実情に応じた環境影響評価が行われる仕組みとするとともに、スクリーニングやスコーピング手続の導入などをいたしまして、既存の地方公共団体制度に比較しても充実した内容を盛り込んでいるものと認識をしております。  したがいまして、本法案の制定によりまして、現行地方公共団体環境影響評価取り組みが後退することはないと考えているところでございます。
  107. 砂田圭佑

    ○砂田委員 時間になりましたので、最後に、私は神戸の出身でありますので、今計画をされております神戸沖空港、大変関心を持っているものでございます。  環境庁は、先般、港湾審議会において、埋め立てに関しては了解をしていただいたのでありますけれども、その経過、それから今度の新しい法案によって何か影響があるのかないのか、この法案が成立すれば何か影響があるのかないのか、その辺のことも少しお伺いさせていただいて、最後にしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  108. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 お尋ねの神戸空港の計画につきましては、これまで幾つかアセスメント実施をされてきておりまして、それぞれバーをクリアいたしております。  ごく最近の状況でございますが、先ごろ、三月二十七日に中央港湾審議会が開かれまして、そこで、神戸空港計画に伴う港湾計画の変更が審議をされました。  御案内のとおり、瀬戸内海は、瀬戸内法によりまして埋め立てを厳に抑制する海域とされておりまして、やむを得ず埋め立てが認められる場合にも、環境保全上の配慮が必要というふうになっております。  環境庁といたしましては、こうした観点から、この神戸空港計画に伴う埋め立てがこのやむを得ないというところに当たるかどうかについて検討いたしました。  この中央港湾審議会の際に、埋め立ての必要性につきまして、当然のことながら、神戸都市圏の航空需要に対応するという点が示されましたが、それにとどまりませず幾つか、例えば神戸都市圏の災害時における防災拠点としての役割を果たす、それから中長期的観点に立ちますと、震災の復興に資するという点、それからさらに、今後の話でございますけれども、この空港を建設する島にとどまらず、神戸の海域全体を対象といたしまして、何といいますか、先導的かつモデル的な環境改善対策を計画的に進めるという御提案がございました。  そういう状況を踏まえまして、環境庁といたしましては、総合的にこれらの事情を勘案した結果、瀬戸内法に基づくこの埋め立ての計画はやむを得ないという判断に至ったわけでございます。  ただ、幾つかのアセスを経まして、これからまださらに先に公有水面埋立免許の手続というプロセスがございます。そのプロセスにおきまして環境影響評価がなされますから、その時点でまた私ども必要な意見を申し上げたいと考えております。
  109. 砂田圭佑

    ○砂田委員 以上で質問を終わります。  ありがとうございました。
  110. 佐藤謙一郎

    ○佐藤委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議
  111. 佐藤謙一郎

    ○佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大野由利子さん。
  112. 大野由利子

    大野(由)委員 大野でございます。  環境アセスメント法の法制化につきましては、環境庁を初め、長年環境問題に携わってまいりました議員や市民にとって本当に悲願であったわけですが、ようやくというか、やっとこの法案審議にこぎつけたなという何とも言えない感無量の思いがするわけでございます。でも、どうしてこんなに遅くなったのかな、そういう思いもいたしますし、いろいろこれには事情があった。OECD二十九カ国中日本が最後になってしまったということで、環境庁は一九七六年ですか、初めてアセス法を国会に提出する努力をなされて以来、何度も失敗を重ねてこられた、こういうこともございます。  初めに、環境庁の長官にお尋ねしたいのですが、日本の環境行政考えたときに、公害対策という面では私は非常に公害対策先進国になったと思うのですが、その後の環境面ではどうかと考えたら、もうとても環境先進国と言えないのじゃないか。今回の法案もそれこそOECD最後になりましたし、例の南極保護条約、これも最後にアメリカ、ロシア、日本が残って、本当に最後になつてしまったという状況もございます。いろいろな面で日本は、安全保障の面で世界に貢献できるというふうになっていないわけですから、環境の面で世界にしっかりと貢献をできる環境先進国を目指さなければいけない、こう思うわけですが、残念ながらちょっとそうなっていないんじゃないか。そのことについて、長官はどのように思っていらっしゃるか。  それとまた、こうしておくれてアセスメント法が成立するようになれば、やはりおくれて、後発でつくる法案というものはぜひ中身のしっかりした、早くからできているところよりも数段内容の面でもすぐれた法律ができたな、すぐれたものが施行されるようになったというふうにしていかなければいけない、こんなように思っているわけですが、その辺の長官の御感想と御決意を伺いたいと思います。
  113. 石井道子

    ○石井国務大臣 大野議員御指摘のとおり、今回ようやく長年の悲願であります環境アセスメント法案が提出されることになりました。これまでに至る日本の環境行政、また環境問題に対する取り組みの経過を見ますと、さまざまな経緯がございます。  もともと、環境庁ができましたのが、公害対策として昭和四十六年にできたということでございまして、日本が経済発展をする中で、公害問題をまず解決しなければということで環境庁ができたわけでございますが、その公害対策をいろいろと処理する中で日本はさまざまな経験をしたわけでございますし、その解決方法につきましても非常に苦労をしながら取り組んできたという経緯があります。最近は多くの公害問題が解決されつつある、されてきたわけでございますが、現在は、やはり環境問題は、まさに公害を防止するという予防的な立場に立って、先見性を持って臨まなければならない、そういう時代になってまいりました。  そして、ちょうど日本が環境問題に取り組み始めましたきっかけは地球サミットではないかと思いますし、その後ようやく環境基本法ができて、そして環境基本計画に沿って、日本の環境行政は非常に目覚ましい動きを見せてきたというふうに思っております。  そういう点では、日本も公害問題をいろいろ解決してまいりましていろいろな経験がありますから、その点では環境先進国であるということが言えると思いますし、そのことをこれから開発途上国に対してやはり生かしていかなければならないという使命もあるのではないかと思います。  ですから、最近の日本のさまざまな産業界、経済界の取り組みについては、随分環境に配慮した施策を決定し、実行していただいておりますし、そのことはまた、特にことしのCOP3の成功に向けてさまざまな分野での取り組みが始められているというふうに感じております。日本もおくればせながらそのような環境行政の充実と、そして産業界また国民の皆様方の環境問題への関心の高まりと同時に、これから立派に実績をつくっていかなければならないと思うわけでございます。・そういう点で、これからも持続発展が可能な社会の構築に向けて、地球環境保全考えながら具体的な取り組みをしていかなければならぬと思いますので、ぜひいろいろな面での御指導、御鞭撻を賜りますようにお願い申し上げます。
  114. 大野由利子

    大野(由)委員 環境庁の役割はますます重大になる、このように思いますので、ぜひ頑張っていただきたい、応援部隊として私たちも頑張ってまいりたい、このように思っております。  法案審議の中身に入らせていただきます。  今回の環境アセスメント法の対象事業でございますが、中環審の答申でも、現在の閣議決定要綱によるアセスより対象を拡大することが望ましい、こういう答申になっているわけでございます。一応今、閣議アセスの十一事業に発電所が加わりまして十二事業、そして一定規模以上のものが第一種、それに準ずるものが第二種、こういうことで、あと政令レベルで検討されるということでございます。この政令レベルは大規模林道及び在来線鉄道が追加されると伺っておりますが、それ以外に政令規模で想定されているものを伺いたいと思います。
  115. 田中健次

    田中(健)政府委員 今お話ございましたように、法案では十二の業種を掲げております。この詳細な事業種あるいは具体的な規模等については政令でこれから定めていくということになります。  事業種につきまして、政令内容を今後関係省庁とも調整をして適切に定めていきたい、こう思っておりますが、現時点では、閣議アセス対象事業からさらに拡大するのは、今先生お話ございました発電所と大規模林道とそれから在来線鉄道、この三つでございまして、今後また関係省庁との調整にもなりますが、このほかの事業種想定をしておりません。
  116. 大野由利子

    大野(由)委員 開発事業に関しまして、住民との紛争のベストスリーは、ゴルフ場と廃棄物処理施設とスキー場等のリゾート施設、この三つが常に紛争のベストスリーだそうでございます。そういう意味では、この紛争の重立った対象になり得るこういうものをアセス対象事業にすることが必要ではないか、このように思いますが、御見解を伺いたいと思います。
  117. 田中健次

    田中(健)政府委員 この法案では、国の立場から見て一定の水準が確保された環境影響評価実施することによって、環境保全上の配慮をする必要があり、なおかつ、国が実施をしまたは許認可等を行う事業対象といたしておるわけでございます。  それで、今お話がございましたゴルフ場あるいはリゾート施設につきましては、事業そのものを直接とらえる許認可法がございません。それから、環境影響評価制度を有します地方公共団体の大部分におきまして既に対象事業として扱われておりまして、地域環境保全を図る立場から配慮がなされている、こういう実態にもございます。そういうことで、今回、対象事業とすることにはいたしておりません。そういう判断でございます。  それから、三番目の廃棄物処理施設でございますけれども、廃棄物処理施設につきましては、この法案で、一定規模以上の最終処分場以外のものは対象にいたしておりませんが、これは、一般的に廃棄物の焼却施設等の処理施設は、どちらかといいますと、点的な事業として類似をいたします発電所に比べまして敷地面積が非常に小さい、それから大気汚染につながる排ガスを発生させる施設の能力の規模も大幅に小さいということで、対象事業としての要件に合致しにくいということで、私ども、国の制度対象事業にはいたしておらないということでございます。
  118. 大野由利子

    大野(由)委員 地方自治体でやっていただくようになることが地方分権の精神からいっても一番望ましいということはよくわかるわけですが、しかし、現在、都道府県また政令指定都市で条例を持っているのは五十九団体中七カ所にしかすぎない、そう思いますし、また、今の御答弁の中に、地方自治体で大半がやっているというような答弁があったわけですが、リゾート施設に関しては、条例を持っていても条例の対象にしているのは二五%以下という状況ではないか、このように思うのですね。ですから、今の御答弁はちょっと正確じゃないのじゃないか。  私は、現状では、大変国民の皆さんの悲願であったアセスメント法が成立をして、そして、長い裁判にかけるのではなくて、やはりきちっとした立法でもって、こういう紛争が少なくなるために貢献できる立法でなくてはいけないのじゃないか、このように思うわけです。しっかりした条例ができてくるとか、そういうふうになれば全部それは地方でやっていただくようにするとか、また、地方でやるか国でやるかは調整をきちんとするとか、何らかの形でアセスをきちっと対象にするということをするべきではないか、こういうふうに思うのですね。  要するに、条例で全部やっているわけじゃないし、やっていないところも多いし、今回せっかく法律ができるのに、この問題の解決にならないということであってはならないので、政令できちっと対象事業として一時期であってもやるべきではないか。もう一回答弁をお願いします。
  119. 田中健次

    田中(健)政府委員 レジャー施設に対します地方制度でございますけれども、先生お話にございました条例を持っているのは七つでございますが、そのほか要綱でやっておるところが四十四あるわけでございまして、合わせて地方公共団体五十一がその条例または要綱アセスメントをやっておる、こういうことでございます。  この五十一の中でゴルフ場を対象としております制度があるのは、五十一のうちの五十はゴルフ場を対象にしてアセスメントを行っております。それから、レジャー施設のうちのスキー場を対象としておりますのは二十一ございます。これは、気候等によりましてこういう数になっていると思います。  それから、ゴルフ場あるいはスキー場以外のレクリエーション施設を対象としている制度が五十一のうち四十三ございまして、大体地方の方でも相当程度対象にしてやられている、こういう実態にあるわけでございまして、この点は御理解を賜りたいと思います。
  120. 大野由利子

    大野(由)委員 地方でそれぞれ努力はしていただいておりますが、まだまだ不十分ではないか、このように思っておりますので、ぜひこの辺は御検討していただきたいと思います。  それから、代替案について伺いたいのですが、我が国現行閣議アセス等々は、環境基準の数値目標を達成できるかどうかというものが評価基本になっておりまして、予定した事業環境に与える影響は軽微であるという決まり文句で終わっている、そういう状況でございます。環境基準や指針値を達成できればそれでよし、それ以上環境負荷を減らそうという努力がなされていない、そういう意味で、ある面では大変な問題もあるわけでございます。  諸外国では、A案、B案、C案、幾つかあって、環境影響をいかにして回避、避けるか、そして最小化できるか、そういう評価に力点が置かれている。そういう意味で代替案の比較検討を取り入れている諸国というもの、アメリカやカナダやEC指令の改正案、オランダ等々が代替案を義務づけているわけでございます。  今回、中環審の答申の中にも、複数案の比較検討を導入することが適当である、このような答申が出ているにもかかわらず、今回の法案の中には明示されていないのではないか、このように思いますが、どのようにこの中環審の答申は生かされているのか、伺いたいと思います。
  121. 田中健次

    田中(健)政府委員 先生おっしゃるように、諸外国におきましては、環境への影響をできるだけ回避して低減するという観点から複数の案を比較検討する手法が用いられておるところがかなりございまして、これが代替案の検討というものでございますけれども、この場合の代替案というのは、立地の代替だけではなくて、建造物の構造とか配置のあり方、あるいは環境保全設備、工事の方法等を含みます幅広いもので考えておられるわけでございます。  今お話ございました中環審の答申におきまして「複数案を比較検討したり、実行可能なより良い技術が取り入れられているかどうかを検討する手法を、わが国の状況に応じて導入していくことが適当」とされておるのは事実でございまして、「複数案の比較検討」を含みます「環境保全対策検討の経過を明らかにする枠組みとすることが適当」、こういうふうにも審議会から提言をされております。「検討の経過を明らかにする枠組みとすることが適当」ということにされておるわけでございまして、本法案では、これを受けまして、準備書に「環境保全のための措置」それから環境保全措置を「講ずることとするに至った検討状況」、これを記載させることとしたものでございます。  こういうものを含んでこういう措置をとったということでございますけれども、先生お話のございました代替案が立地の代替を意味するというものでございますと、我が国におきましては、地域の利害対立を誘発するおそれがある等の観点から考えまして、こうしたことを義務づけるのは現実的ではないのではないか、こういう感じがする次第でございます。
  122. 大野由利子

    大野(由)委員 私は、もちろん、立地の代替案だけじゃなくて、建造物の構造とかいろいろこの答申に書かれていることを含めて言っているわけでございますが、今回の法案の第十四条に、環境アセスの「準備書の作成」という項目の中で、七のロに「環境保全のための措置」というのが書かれております。「当該措置を講ずることとするに至った検討状況を含む。」こう書いてあるわけです。でも、この文章からどうして複数案の比較検討ということが読み取れるか。これはもうとても読み取れないわけですよね。  それは、よっぽど詳しく勉強してきた人にとっては、ああ、こういうことちょっと何か少しにおってくるなというようなことはあるかもしれませんが、法律を読んで中身がよくわかるような法律でなければ意味がないわけでございますから、そういう意味で私は、十四条の七のロ、この「当該措置」の前に「複数案の比較検討を行い、」を追加をいたしまして、「複数案の比較検討を行い、当該措置を講ずることとするに至った検討状況を含む。」と、少なくともそう書いていただかないと、とてもじゃないけれどもこの法律を読んで読み取れない。A案、B案、C案とそこまで書かなくても、少なくともそれは書かないと——この中環審の答申からは大きく後退をした法律になってしまった。本当に残念だ。  この中環審の答申は、最後はいろんな省庁からの圧力もあったようでございますけれども、公開で行われて、かなりいい中環審の答申ができ上がったと喜んでいたわけでございますが、実質、法律を見るとこの答申から大きく後退をしている、これが実情ではないかな。少なくとも答申に沿った内容にしていただきたい、少なくとも今のところはこういうふうに修正をお願いしたい、このように思いますが、御見解を伺いたいと思います。
  123. 田中健次

    田中(健)政府委員 環境保全措置を「講ずることとするに至った検討状況」、十四条一項七号ロでございますけれども、ここの文言で「検討状況」というところが、これがあれこれいろいろと検討したという状況ということで代替案になるわけでございまして、こういう意味でございまして、この法律の条文の表現からぜひ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  124. 大野由利子

    大野(由)委員 アセス項目について伺いたいと思いますが、今回、スコーピング制度が導入されたのは一歩前進かと思います。今までは、典型七公害と自然環境保全に係る五要素に限定してアセス項目が行われてきたわけですが、今回、これをもっと拡大をしようと。主務省令でこれが書かれるようでございます。どういう観点からの新しい要素を入れようとされているのか。  また、主務省令で大体書かれるにしても、地域特性等を見て、主務省令に書かれていないことでも、必要としてこれが住民なり地方自治体が要求されればスコーピング対象になり得るんだということだと思うんですが、その辺を明快なお答えをお願いします。
  125. 田中健次

    田中(健)政府委員 環境基本法の制定によりまして公害と自然という区分を超えました統一的な環境行政枠組みが形成をされたことを踏まえまして、調査等項目についても必要な見直しをやっていく、こういうことでございます。  法案におきましては、「環境基本法第十四条各号に掲げる事項確保を旨として、」これを旨として定められる指針に基づきまして環境影響評価項目等選定することにいたすわけでございますが、指針はいずれにいたしましても標準ということでございまして、確かに弾力的な考えをできるようにいたしたいと思っております。  具体的に申しますと、事業特性を踏まえまして各指針選定考え方が定められることになるわけでございますけれども、全般的には、生物多様性、あるいは地球環境の問題、廃棄物発生抑制、それから、人と自然との触れ合い、アメニティー、これらのよりよい環境状況確保など、環境基本法環境保全施策の対象評価対象とし得るようになるものと思っております。
  126. 大野由利子

    大野(由)委員 今の御答弁に加えまして、地球環境保全みたいな観点からの項目もぜひ検討に入れていただくべきではないか。  それともう一つ、せんだっても北海道の二風谷ダムの判決で、先住民の文化というものもアセス対象となる、こういうこともありました。こういう観点の、アセススコーピング対象になり得るというこの辺についてもぜひお願いをしたいと思います。
  127. 田中健次

    田中(健)政府委員 具体的な環境影響評価項目につきましては、ただいま申し上げましたように、環境基本法の十四条に掲げられました事項確保を旨として指針を定めまして、その指針に基づいて、事業特性やあるいは地域環境特性に照らして適切に選定されるわけでございます。今御指摘のございました文化的な面についてでございますけれども、具体的には個別に判断をされる必要があるわけでございますけれども、環境自然的構成要素一体のものとして認識できる場合には、環境の範疇のものとしてとらえられるものと考えられるわけでございます。  それから、地域社会への影響については、環境を介しての影響であればともかく、一般的には環境の範疇としてはとらえにくいものではないかというふうに考えております。自然的構成要素一体となっておれば、文化的なものも環境の一端と認識できる、こういう考えでございます。
  128. 大野由利子

    大野(由)委員 環境というものを、自然環境だけじゃなくて、幅広い環境というような観点のとらえ方というものも必要ではないかへこのように思っております。  スコーピング手続についてでございますが、事業者が都道府県の知事や住民専門家等々の意見を聞く、住民意見書の提出によって意見を述べることができる、こういう法案になっているわけですが、意見書が出されても、ただ聞きおくだけというふうになるおそれがないわけではないわけです。事業者住民の間で合意ができなかった場合、これは一体どういうふうになるのか、伺いたいと思います。
  129. 田中健次

    田中(健)政府委員 住民意見は、あくまでも環境保全の見地から環境に関する意見を幅広く収集をするということでございまして、事業者におきましては、そうした住民意見につきまして、都道府県知事にその概要を伝えますし、また、準備書あるいは評価書にも書いていくということでございます。  また、準備書には事業者見解も載せるということでございまして、科学的、合理的な住民環境に関する情報につきましては事業者の方で適切に取り入れられる、こういう仕組みでございまして、そういうふうになろうと私どもは考えております。
  130. 大野由利子

    大野(由)委員 今回の法律の一番心配な点がその辺にあるわけでございまして、合意ができないときにどうするか。やはりこれは第三者機関なりこういったところがきちっと意見を聞いて、相談ができて、そして合意が図れる、こういうものが必要じゃないか。事業者住民の間で合意できない場合は、地方自治体の中に第三者機関をつくるという場合もあるでしょうし、また、環境庁の中環審の中にアセス部会のような部門をつくってそこでやるとか、そういうものがないと、一方的に事業を進める方向にのみ、都合のいい意見は採用されるけれども、そうじゃないのは切り捨てられていく。  今、中海の干拓の調査、農水省予算で今年度三億三千万円の調査費がついたわけですけれども、住民が要望しておりました堤防の試験的一部開削、これが認められない。要するに、それであれば予算がつかないということで、結局認められなくて、事業が進む方向での調査というような感じになってしまう。最終的に、妥協策として、堤防の中にパイプを通して水の流れを見ましようというふうなところに落ちついたようでございますけれども、私は、そういう第三者機関、合意できなかったところの第三者機関というものがはっきりなければ、これからこの環境アセスメント法が本当に有効に働くというふうにならないのではないか、このように思うわけです。  今、スコーピングの問題でちょっとこの話になったわけですが、スコーピングだけではございませんで、環境アセス準備書ができ上がって一その審査をする段階がこれまた大変重要になってくるわけです。これも、審査の段階にも公聴会とか審査会という手続が全くないわけですよね。地方自治体は九割までが審査会等の第三者機関を設けているわけですが、どのように審査の信頼性が担保されるのかどうかをちょっと伺いたいと思います。
  131. 田中健次

    田中(健)政府委員 環境影響評価制度信頼性を高めるためには、中央環境審議会の答申においても提言をされておりますように、許認可等を行う主務大臣等の審査に加えまして、第三者が審査のプロセスに意見の提出を通じて参画をするということが必要でございます。  このために、この法案におきましては、環境庁長官が第三者として意見を述べるということとしておりまして、客観的なおかつ公正な審査が確保されるようにしているところでございます。私どもといたしましては、その際には、必要に応じまして専門家の知識や経験も活用して、さらに適切な意見の形成に努めまして、審査の信頼性を高めていきたいというふうに考えておるところでございます。  それから、住民意見につきましては、その概要事業者見解とともに準備書あるいは評価書記載をされまして、これをもとに審査が行われるわけでございます。そのために、住民意見につきましても適切に反映されることになるものというふうに考えております。
  132. 大野由利子

    大野(由)委員 審査会やそういうものがないかわりに、今回、環境庁長官が発言をできる、意見を述べることができるようになった、こういう御答弁だったかと思います。  今までは環境庁長官意見を求められたときしか意見が述べられなかったのが、意見を述べることができるようになったということは、確かにそういった意味では前進かと思うのですけれども、私は、決してこれは十分ではないのではないか、このように思うわけです。  一つは、環境庁の審査判断の能力はどこまであるのかという疑問がございます。こう言うと非常に失礼な言い方になるかと思うのですが、環境庁も常にやはり二年とか三年ごとに部署が交代をされて新しい方が新しい部署につかれるわけでございますし、例の薬害エイズ事件でもめたときに、皆さん覚えていらっしゃると思いますが、あれはだれが責任をとるべきかという問題になったときに、役所の一番の認定をした生物製剤課の方が、私たちは専門家ではありません、それを最終決断をできる場所にありませんでしたということで、専門家である、あのときの安部英教授とかそういう方々の意見を聞いてそうしたんだというような、私たちは専門家ではない、専門家ではないということを、あのとき、生物製剤課の、役所の方が何度も言われたのを記憶をしております。  そういったことから考えて、今回、環境庁意見を述べられるといっても、どこまで責任がとれるのか、審査能力が本当に担保できるのか、この辺、私は非常に疑問がある、このように思うわけでございますが、御意見を伺いたいと思います。
  133. 田中健次

    田中(健)政府委員 環境庁の審査判断能力についての御質問でございます。  確かに、私ども審査に当たっております体制は、午前中お答えを申し上げましたが、実質十数名ということでやっておりますし、おっしゃるように専門官制度にはなってはいないわけでございますけれども、それでもこの閣議要綱ができまして十数年経過をいたしております。閣議要綱についても意見を述べてまいりましたし、そのほか発電所アセスあるいは港湾法等につきましてもそれぞれ意見を述べておりまして、組織としては相当技術的な蓄積があるわけでございます。そうしたことで、審査室を中心に各局の専門家等も横断をいたしまして全庁的に審査を行っておりますし、また案件に応じまして必要な専門家知見等も個別に活用しながらこれまでもやってまいりました。  そういう工夫もしながらやってまいりましたのぐ私どもといたしましては、審査能力は十分備えておる、こういうふうに思っておりますが、非常に重要な問題でございますので、今後ともその能力の向上等には努めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  134. 大野由利子

    大野(由)委員 また、環境庁意見を述べられましても、許認可権限を持つ省庁との間の調整経緯というものが明らかにされない限り、わからないことが余りにも多過ぎるわけですね。  今回も、環境アセスメント法の問題にいたしましても、当初、発電所が対象になるかならないか、発電所は例の通産の方の法律でやるのだとか、いろいろなことがあって、すったもんだして結論が出てきたわけですけれども、この結論にも、私はこれでよかったのかなという感じがしております。ひとまず環境アセスメント法ですべてのものが対象になったのはなったわけですけれども、相当通産大臣の権限が強められておりますし、こういう省庁間のやりとりというものを明らかにしていただかないと、透明性確保されないのじゃないか。  また、環境庁の長官が意見を書面で述べられるにいたしましても、各専門家から意見を聞いて、そしてこういうふうなプロセスがあって、判断の根拠があってこうなったというような、そういうものを明らかにしていただかないと、これは信頼できないのじゃないか、このように思いますが、こういう省庁間のやりとりとかそういうものをぜひオープンにしていただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。
  135. 田中健次

    田中(健)政府委員 ただいまの環境庁長官意見の形成の過程について、各省とのやりとりその他についても公表してはどうか、こういうお話でございましたけれども、行政の意思決定過程でもございまして、それを公表するということはおのずと一定の限界があるものというふうに認識をしておりますけれども、結果の透明性確保するという観点から、環境庁長官意見につきましてはこれまでも案件ごとにその都度公表をしてきておるところでございます。  今後とも、長官意見はその都度その結果は公表をすることといたしたいと思いますが、また意見を述べるに際しましては、先ほどから申し上げておりますように、必要に応じまして専門家の知識や経験等も活用して、さらに適切な意見の形成に努めまして、審査の信頼性を高めていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  136. 大野由利子

    大野(由)委員 アメリカは、日本の環境庁に相当いたしますEPA以外に、大統領の直属機関でありますCEQ、環境諮問委員会等々があって、大統領や行政機関に対して助言や勧告をすることができる、そういうような機関があるわけです。今環境庁というのは、意見を述べることができるようになったというのは前進には違いないわけですが、いかにせん、やはり通産省だとか建設省だとか、いろいろなそういう開発省庁に比べて、何というか、何とも言えない、歯がゆいような、小さな、本当に弱小省庁だなという、私はそういう思いがするわけですね。  一生懸命やってくださっている方には何か申しわけない思いがいたしますが、それは私は機関としてそうなっているということを感じるのです。一生懸命やっていらっしゃるのだけれども、日本の省庁の中の位置づけというものが非常に、予算も少ないし、人も少ないし、いろいろな面で本当に発言力が弱い、そういう状況になっております。今回もこの環境アセスメント法の連合審査を我が党はそれぞれの部会で要求したわけですが、何か自民党さんが賛成してもらえなくて実現できなかったりとかというふうなこともございます。  今いろいろ、廃棄物処理法も環境から物を言いたいと思っても、賛成してもらえなければ連合審査にならないとか、ちょっと外れた話かもしれませんが、私は、もっと本当に環境というものを強くするにはどうすればいいかということで、本当に同じ、共通の基盤で悩みもし、そして一生懸命努力をしていかなきゃいけないのじゃないか、このように思うわけです。ですから、環境庁意見を述べるのは述べるけれども、許認可の決定に当たって環境庁意見がどこまで重視をされるのか、その辺がやはりきちっと、今のシステムだと非常に不安があるなという、そういう感じがするわけです。  具体例を一つ挙げますと、今神戸空港の問題がございます。  環境庁は、瀬戸内海の環境保全特別措置法の観点から反対をされていた。環境庁水質保全局とか大気保全局とか企画調整局、いろいろ全部、共同歩調で反対をされていたわけですけれども、昨年の十月ごろ、一転して、急に環境庁内の空気が一変をした、このように聞いておりまして、今環境庁も神戸空港を認める。その神戸空港を認めるのも、本来は上物だけを認めたはずなのですね。これから公有水面埋立法でアセスをやるというのですが、完全に神戸空港はゴーサインだというような受けとめ方がされているわけです。空港本体と埋立計画というのは、本来なら一体アセスをしなければいけないのに、上物である空港の環境審査だけ先行してアセスをして結論を出して、埋め立ての公有水面埋立法のアセスはこれからやる。でも、もうどんどん後戻りはできないというような状況になっているわけです。  そういう意味で、環境庁の空気が一変をした、これもやはり開発省庁のいろいろなこと、また政治的にもいろいろな圧力があった、前環境庁長官のころにいろいろな強力なアプローチがあって、そして一転、反対から賛成に変わったというようなことも言われております。私も神戸新聞等々随分読んでみましたけれども、環境庁が一転して態度を変えたというのは、もうどのマスコミもそういうふうに報道をしているわけでございます。  こういった、環境アセスメント法が成立する前で、駆け込みに一生懸命いろいろなことが行われているのを非常に危惧するわけですが、私は、環境庁がそういったいろいろな政治的圧力とか開発省庁の圧力に屈しないで、しっかりと発言を担保できるにはどうすればいいのか、今の法律では不備ではないか、このように思っているわけですが、御見解を伺いたいと思います。
  137. 田中健次

    田中(健)政府委員 ただいまお話ございましたけれども、私ども環境庁といたしましては、最近の地球環境の重要性等々も踏まえまして、平成五年には環境基本法を成立をさせていただきまして、環境万般から、その基本法の所管官庁として各般の環境保全施策を進めていくという立場にもなったわけでございますし、また、設置法から見ましても、環境の総合調整官庁としての重要な役割を担っておるわけでございます。  この法律におきまして、許認可大臣に対しまして、従来とは違って、必要に応じて環境保全上からの意見を述べられるという強い権限も持つわけでございまして、そうしたことで、その意見の中身につきましても、今後ともいろいろな知見を活用しまして、公正、適正な内容にしてまいりたいと思いますし、そうした立場でございますので、関係省庁においても、私どもの意見はこれまで以上に重みを持って受けとめてもらえる、こういうふうに思っております。
  138. 大野由利子

    大野(由)委員 法案の十四条に、環境アセス準備書の作成をしなければならない、その七番のところに、調査の結果の概要云々というものを出さなければいけない、そういう法律になっているわけですが、この法律の調査結果の概要の基礎になります基礎データとか資料とか、こういうものも要望があれば開示しなければならない。また、膨大な、電話帳のような基礎データだけ見せられてもなかなか判断ができない面がありますから、いろいろ、スクリーニング手続とかスコーピング手続とか、その基礎データを読み取って、そしてこういう判断にしたというような判断の根拠、そういうものも全部明らかにする。  環境アセスは、住民参加と情報公開が必要不可欠な条件だと思いますけれども、このような、すべての手続とか、調査判断のもとになる基礎データとか、そういうものも全部情報公開はされる、このように思ってよろしいでしょうか。
  139. 田中健次

    田中(健)政府委員 アセスメント内容を理解をいたしますために必要な調査結果やその基本的なデータにつきましては、準備書記載することによりまして公表するということが基本であるというふうに考えております。このほか、非常に詳細な基礎データ等につきましては、その出典等についても必要に応じて適切に記載をされるように対処をしていきたいというふうに思っております。  なお、データの中には、例えば希少生物生息あるいは生育に関する情報など、公表することによりまして密猟等を誘発する懸念のあるようなものもございますから、すべてのデータについて公開を義務づけるということは困難でございますけれども、基本的なデータにつきまして、公表するのが基本という考えで進めていきたいというふうに思っております。
  140. 大野由利子

    大野(由)委員 まだいろいろ伺いたいことがございますが、時間が来ましたので、以上で終わらせていただきます。
  141. 佐藤謙一郎

    ○佐藤委員長 西川知雄君。
  142. 西川知雄

    西川(知)委員 西川知雄でございます。  私は、きょうは、法律と条例という一点に絞りまして質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず最初に長官にお答え願いたいのですけれども、私、弁護士も、法律の専門家として二十年ばかりやってきて、多少、普通の人よりは法文を見ても理解の仕方は早いんじゃないかというふうに実は思っておるのですけれども、六十条と六十一条、特に六十条を見てもさっぱり何が書いてあるかよくわからないというのが、まず私の第一の感想なんです。国と条例との関係において、六十条は、第二種事業それから対象事業、これ以外のものについては条例で定めることができる、第二種と対象事業、この中については、法律の規定に違反しない限り、条例で手続を定めることができる、こういうふうに書いてあります。ところが、書いてあることは易しいのですけれども、実際の適用においてどうなるかということは、これは非常に難しい議論なんです。  長官、必要かつ十分という理論があるのは御存じだと思いますし、ナショナルミニマムという議論もあるのは御存じだと思います。すなわち、地方状況をずっと把握して、そして国の法律でのスタンダードが必要かつ十分であれば、条例において新たにそれを拘束するような、また制限するような、またそれと違ったような規定を設けることができない、これが必要かつ十分論で、もう一つ、ナショナルミニマム論というのは、法律で決めてあるのが、それが最低限度の基準であって、条例で基準の上乗せ等をすることができる、こういうことなんですけれども、果たして、その法律が必要かつ十分か、またナショナルミニマムかということについては、いろいろな法律の趣旨にかんがみというふうに、判例では、また学者も判断して、そして、上乗せができるかとか、そのほかの措置ができるかということを実は判断しているわけです。  しかしながら、最高裁まで行った判例とか、それから学者の説を待っていては、その形成を待っていては、十年、二十年の月日が流れてしまって、法の趣旨というのは一体何なんだろうかということを将来考えないといけないということになると思うのです。今、こうやって国会の委員会で審査をしています。今、法の趣旨が何かということは、ここで私ははっきりすることができるんじゃないかというふうに実は思っているのです。  特に、今までは、手続法というのと実体法というのがあるのは御存じだと思うのですが、実体法に関してのいわゆる論争、論議、これで、必要かつ十分か、ナショナルミニマムかという話があったのです。今度はアセス法という、主として手続、そういう手続に関して条例と法律の関係がどうなるかということを今度十分に検討しないといけないということなのです。  例えば、実体法では、御存じのように、大気汚染防止法とか水質汚濁防止法では、これについては特別の立法があります。しかしながら、その中でも非常にややこしいのは、例えばばい煙、このうち硫黄酸化物、これの上乗せ規制は、実は許容されていないのです。何で許容されていないかといいますと、それはいろいろな他の地域との整合性をとるためにそれについては許容されていないというふうになっているのです。  私、さっき申しましたように、法律家で、専門にずっとやってきたのですが、それでも私は、どの部分が上乗せしていいものか、どの部分は上乗せしたらだめなのか、横出ししていいだとか、そういうことがさつばり、その基準が明確にわからない。これは環境庁長官も全く同じような御意見ではないか、こう思うのです。  そこで、やはりこういう重要な法案であって、日本で最初の手続法に関する法案であって、しかも法律と条例との間が非常に難しい最初の話である。やはりこういうときに、単に六十条で、この法律の規定に違反しないものについては条例で手続を決めてよろしいというようなあいまいなやり方ではだめで、例えば、さっき申し上げましたような、大気汚染防止法とか水質汚濁防止法のような特別の規定をつくるとか、どういう場合許されて、どういう場合許されないかというのを、判例の解釈とか法制局の解釈に任す、また学説に任すのではなくて、今のこの審議段階でもっと明確に規定すべきである、私はそう思いますので、長官の、政治家としての御意見お尋ねしたいと思います。
  143. 石井道子

    ○石井国務大臣 このたびの法案につきましては、国と地方制度関係につきまして、第六十条において、法律の対象とならない事業についての環境影響評価に関する所要の手続や、法律の対象となる事業についての法律に抵触しない手続地方公共団体が条例で定めることができるというふうに規定をしております。  そして、今回、国と地方の適切な役割分担を図るという観点から、法案対象となる事業、国が関与するものは大規模であるものというふうに限定しておりますし、それ以外の事業について、環境影響評価を行わせるかどうかの判断地方公共団体にゆだねているところでございます。  この法案対象となる事業につきましては、手続の各段階地方公共団体が関与して、地域の実情に応じた環境影響評価が行われる仕組みとすることになっておりまして、スクリーニングやスコーピング手続の導入が行われまして、既存の地方公共団体制度に比較しても充実した内容になっているというふうに思っております。  今回の第六十条においての手続と、そしてまた第六十一条においての、国と地方制度に著しい違いがあるということは望ましくないということから、地方公共団体環境影響評価に関する施策を講じる場合に、この法律の趣旨を尊重するように規定をしているわけでございまして、施策の方向として整合性あるものを要請している中身になっているわけでございます。  あと具体的な問題、今後の問題につきましては、政府委員から答弁させていただきたいと思います。
  144. 西川知雄

    西川(知)委員 長官も御答弁なさって、法の趣旨とかそういうことで、抽象的にはわかるけれども、実際はよくおわかりにならないと思うのです。それが正直なところだと思います。  そこで、長官にはその具体的な内容お尋ねしてもなんなんで、ちょっと具体的に例を挙げて、政府の方から御答弁をしていただきたいと思うのです。  例えば、神奈川県の例によりますと、準備書に相当するものとして予測評価書案というのがございます。これを知事に提出するわけですが、そのときに、同時に周知計画書、すなわち、どういうところでどのように説明会を開催するのか、そういうことについての報告を知事に提出しないといけないのです。これは具体的に、法律の規定に違反するのでしょうか、どうでしょうか。——政府質問しているのですけれども。
  145. 田中健次

    田中(健)政府委員 ただいま先生がおっしゃられました周知計画書につきまして、もう少し詳細に検討をしなければならないと思いますけれども、事業者に国の手続以上に新たに義務を課するということであれば、国の制度に抵触をするのではないか、こういう感じがいたします。
  146. 西川知雄

    西川(知)委員 ですから、そういうふうに政府の方でもわからないことを、法律の趣旨、この規定に違反しないものに限るとか、そういうことを言っていては、はっきり国民がわからないのも当たり前だと私は思うのです。  次に、事例を挙げますから、それについてお答えください。今度は少し易しいですから。  やはり神奈川県の例なんですけれども、説明会があって、説明会の報告書があって、見解書を事業者が出します。それを知事が、見解書提出の事実、これを縦覧場所等を公告しまして、それに対しての再意見住民から求めるということになつていまして、その後、知事が公聴会をやりまして、審査会の答申を得て審査書をつくるということになっているのですけれども、これは国の制度にはないのですけれども、これは法律に違反しますか、どうですか。
  147. 田中健次

    田中(健)政府委員 一般的に申しますと、(西川(知)委員「個別の、そのお答えをしてください」と呼ぶ)知事意見の形成に際しまして、事業者見解について住民が知事に対して再意見書を提出するということでございまして、これは本法案規定に反するものではないのではないかというふうに考えます。
  148. 西川知雄

    西川(知)委員 反するものではないという御見解ですけれども、これに類似する規定が第二十条に法案で定められております。「関係都道府県知事は、」その意見書の「送付を受けたときは、政令で定める期間内に、事業者に対し、準備書について環境保全の見地からの意見を書面により述べるものとする。」としています。ですから、仕組みとしては、知事が意見を形成するためにいろいろな公聴会を開いて、そして意見を聞いたり、そういうことをするのはオーケーです、こういうことで、それが政令で定める期間内にできれば、これは法体系としてもオーケーです、こういうことだと私は理解しているのです。  ところで、「政令で定める期間内に、」というのは、一体何日くらいを予定されておるのでしょうか。というのは、閣議決定要綱では九十日とされているのですけれども、これはどういうふうにお考えなのでしょうか。  といいますのも、この期間内で、今私が申し上げました、見解書に関する縦覧場所等の公告とか、再意見書の提出とか、公聴会とか、審査会の答申、これは九十日以内でできればこの政令で定める範囲内に入るわけですけれども、しかしながら、現実はもっと、九十日ではとてもできないというのが現実なので、もし「政令で定める期間」というのが九十日であれば、この手続は法律に反するのでしょうか、反しないのでしょうか。
  149. 田中健次

    田中(健)政府委員 知事意見の提出期間でございますけれども、これまでの閣議決定要綱の運用実態、閣議要綱では、先生今おっしゃいましたように九十日ということでございます。実際、現実に、地方意見の形成、知事意見の形成は、これまでこの要綱に従って、この期間で運用をされてきたわけでございます。  そのほか、今お話ございましたように、各地方公共団体制度の運用実態等もございますので、これを考慮しまして、御指摘の点も踏まえまして、政令において適切な期間をこれから検討していきたいということで、政令を決定する過程でいろいろ考えていきたい、こういうふうに思っております。
  150. 西川知雄

    西川(知)委員 答えはイエスかノー、それで結構でございますので、そういうふうに答えていただきたいと思うのです。  私の質問をもう一回言いますので、答えてください。  政令で定める期間内に、例えばここの神奈川県の例で、その手続が終わらなかった場合、そういう場合には、その手続は途中でやめないといけないのでしょうか、それとも継続しないといけないのでしょうか。
  151. 田中健次

    田中(健)政府委員 政令でどういう期間を定めるかは別にいたしまして、その定まった期間内に提出されなければ、知事意見は出なかった、こういうことになると思います。
  152. 西川知雄

    西川(知)委員 次に、東京都の例を挙げますと、東京都で見解書が作成されます。その後、見解書に対する説明会というのを行うということになっております。これは法律にはないのですが、この条例は法律違反ですか、法律違反ではないですか。
  153. 田中健次

    田中(健)政府委員 事業者見解書の説明会を事業者に義務づけるという御趣旨でございましたら、これは法案規定に反するのではないかと考えております。
  154. 西川知雄

    西川(知)委員 岐阜県の例ですけれども、岐阜県は国の対象事業については条例で外しているのですけれども、そういう同じような例がこれからあったというふうに仮定しますと、これは見解書の作成をいたしまして、見解書の公告縦覧をいたしまして、住民の再意見書、これを聴取して、そして事業者住民意見概要書の作成というのをやらないといけないことになっているのです。これも法律にないのですけれども、この条例は法律違反でしょうか、法律違反ではないのですか。
  155. 田中健次

    田中(健)政府委員 事業者見解について住民事業者に再意見を提出して、事業者にその概要を作成する義務を課するというお尋ねでございますが、これは法案規定に反するのではないかというふうに考えます。
  156. 西川知雄

    西川(知)委員 できたてほやほやの兵庫県の例についてお尋ねをいたします。  兵庫県はスコーピングの概念を採用いたしまして、第一次見解書の作成というものを事業者がやるということになっております。これは法律違反でしょうか、法律違反ではないのでしょうか。
  157. 田中健次

    田中(健)政府委員 ただいまのケースも法案規定に反するのではないかというふうに考えます。
  158. 西川知雄

    西川(知)委員 ちょっと、法案規定に反するのではないかということについて、もう一度確認のためにお尋ねします。  これは反するのではないかではなくて、反するのですね。その辺を明確にお答え願いたいと思います。
  159. 田中健次

    田中(健)政府委員 個別具体の条例の規定と本法案関係につきましては、事案に即して慎重な検討を要するところでございますけれども、今お聞きした範囲につきましては、私どもとしては、反するというふうに考えます。
  160. 西川知雄

    西川(知)委員 次に、私の見解では、多分環境庁の、政府見解としては反しないのではないかという事例を、私なりに挙げさせていただきますので、私の見解が間違いかどうか、チェックをお願いいたしたいと思います。  例えば、いろいろな県、岐阜県もそうですし、東京都もそうですし、たしか神奈川県もそうなのですけれども、この評価が終わった後、いろいろな事後手続、例えば事後調査計画書の作成とか工事の着手の届け出等々がいろいろな県でそういう条例等に入っておりますが、これはいいという御見解ではないかと私は思います。  次に、知事の意見を形成するために公聴会の開催、これは岐阜県でもありますし、それからさっき申しました神奈川県でもございますが、また兵庫県でもある。これもいいのではないかというふうな御回答ではないかと思います。  それから住民の方から公聴会の開催要請をする、これは川崎市にケースがありますが、それもいいというお答えではないかと思います。  また、環境影響評価審議会、この議を経るということもいいのではないかというふうに考えております。  今三つか四つぐらい挙げましたけれども、そういう考え方で間違いがないかどうか、考え方というか、そういうような考え方であろうと思うのですけれども、その辺をお答え願いたいと思います。
  161. 田中健次

    田中(健)政府委員 今四点ございましたが、念のため確認させていただきます。  評価後の事後手続、これはそのとおりでございます。  それから知事意見の形成で公聴会を開く、これもオーケーでございます。  それから住民が、ただいまの知事意見形成の公聴会の開催を要請する、こういうことであればオーケーでございます。  それから知事意見審議会の議を経るということも結構でございます。
  162. 西川知雄

    西川(知)委員 基本的な考え方というのは、事業者に法律よりも手続の事務等々を多く課す、これはだめである、そういう条例はだめである、しかし、知事等が自分たちの意見の形成をするに当たっていろいろな意見を聞く、そういうような新しい手続を条例で決める、これはいいというふうに私は今理解をいたしましたけれども、政府案はその考え方で間違いがないかどうかということをお答え願いたいと思います。
  163. 田中健次

    田中(健)政府委員 基本的には先生今おっしゃいましたようなことでよろしいかと思います。
  164. 西川知雄

    西川(知)委員 ということがやっとわかったわけです。ということは、この法律は非常に、長官、私の今の説明で大分事例がおわかりいただけたと思うのですけれども、この法律の規定に反しないものに限るなんというのは、日本国憲法に反しなければよろしいというのと同じように、とても普通の人では理解できないのです。そしてこれを、内閣法制局、これも、法律を解する者として、今はできますけれども、将来はこれはできないようになるのが当たり前だと思うのです。ですから、こういう基準を本当に明確にして、法律に書いておくのが私は当たり前のことだと思うのですね。  それと最後に、長官にお尋ねしたいのですけれども、果たして今まで地方意見を十二分に聞かれてきたのか、これが必要かつ十分の議論の一番重要なところになると思うのですね。私が、法案作成過程における地方公共団体からの意見聴取等について環境庁から聞いたところ、実際に、その評価の総合研究会において、地方団体から実施状況を聞いたのは、東京都と埼玉県と長野県と滋賀県の四団体、それからあとちょこちょこっといろいろな団体があるのですが、これで果たして、地方意見を全部聞いて、必要かつ十分な制度をつくった、こういうふうに御認識でしょうか。長官、答えだけで結構ですので。
  165. 石井道子

    ○石井国務大臣 このたびの法案の作成につきましては、環境庁担当者すべて、総力を挙げて取り組んだところでございます。  その法文がなかなかわかりにくいという御指摘がございました。今いろいろと、意見を聞いた県のことを具体的に挙げられましたけれども、もっと、さらにたくさん聞いているというふうに言っておりますが、この作成過程にありましては、条例を有する団体のみを集めて一回開いて聞いている、そして、条例を有する団体を含め、すべての都道府県、政令指定都市を四ブロックに分けて各一回、総計五回にわたり意見交換会を行って、この法案を作成しているそうでございます。  非常に難しい、わかりづらいというふうな御指摘がありましたけれども、今後もこのような意味が、目的がよく徹底するように、そしてこの法案を十分理解をしていただいて実効を上げていただくことが今後のまた役割であろうというふうに思っております。
  166. 西川知雄

    西川(知)委員 最後に申し上げておきたいことがございます。  今の長官等の御答弁で、地方の事情を必要かつ十分に勘案されてこの法案をつくられたということなのですが、という意味はどういうことかと申しますと、もし、実態がそうでなかった、十分に各地域の事情をそんたくして、必要かつ十分な調査をせずに法案をつくったということになりますと、この六十条の規定というのは、むしろナショナルミニマムを決めたものであって、今ノーと言われたことも、実は決めていいという結果になるのです。ですから、そこのところの実態については、私もどれぐらいされたかということをまた後で検証してみたいと思うのですが、それが法的な実態になる、結論になるということをぜひ御理解いただきたいと思います。  これで私の質問を終わりたいと思います。
  167. 佐藤謙一郎

    ○佐藤委員長 松崎公昭君。
  168. 松崎公昭

    ○松崎委員 新進党の松崎でございます。きょうは、アセスメント法という重要な審議の場に立たせていただきまして、大変ありがとうございます。  冒頭に私は、入り方がちょっと変わりまして申しわけございませんが、実は私の県でございます千葉県で、最近、公共工事にまつわりまして、絶滅種のトンボがいたのを無視して工事をしてしまったという、大分大きな問題になりました件に関しまして、これは非常にアセスメント法のいろいろな部分に示唆を与えるような内容なものですから、今回はあえて取り上げさせていただいたわけであります。これは、私もずっと千葉県議会におりましたので、非常に取り上げにくい問題でございますが、今回のアセス法に関して、行政のあり方あるいは環境に対するあり方の問題が非常に含まれているということでございます。  簡単に御説明をいたしますと、千葉県と茨城県にまたがります水郷国定公園がございます。水郷筑波国定公園の中に、利根川を渡ります橋を今つくっております。千九十八メートルの橋で、百五十億円、茨城県、千葉県、そして千葉県道路公社が関与しているわけでありますけれども、この許可の問題に関しまして、これは機関委任事務でありますので、千葉県の方に自然公園法の中で移管されております。事業主体が千葉県の土木部でございまして、これを許可をする、つまり環境調査生態調査をするのも千葉県でございます。  実は、この橋の両側の橋台に当たる場所に絶滅危惧種のヒヌマイトトンボというのがおりまして、これは、ヨシ原、あるいは真水と塩水のまじるような河口近くにいるわけでありますけれども、全国で十五地域ぐらいある。しかし、今、環境汚染が進みまして、非常に少なくなっている。そういう絶滅種のトンボが発見されたのでありますけれども、県の方はそれを、いないという報告をまともに受けまして許可を出してしまった。そして、着工してからその調査をして、もう壊しちゃってから——これがヒヌマイトトンボというのですけれども、三センチぐらいの、これが現物であります。非常にかわいらしいトンボなんです。要するに、ここからやはり問題がいろいろあるのではないかと思います。  まず、よくアワセメントと言われておりますけれども、これは、実は今回の問題もそうでありますけれども、コンサルタントにも非常に問題があった。業界は、事業者の言いなりになって、責任を持った調査をしないで、そのまま事業者のいいような内容を出してしまうことが多い。やはりこれは、これからの環境アセスメントにも関係する調査の問題に関しまして、こういう業者を、コンサルタントをどうするか、こういう問題にもなるわけであります。特に今回のコンサルは、八回連続五年間受注をしております。同じ問題で六千百五十四万円も受注している。この辺も大きな問題があるわけでございます。  さて、この問題、茨城県側にもまだイトトンボの場所は残っておりますが、今工事がとまっております。こういう問題に関しまして、私は千葉県を責める気はありませんが、環境庁長官は、最近起こった環境に対する行政側が非常に問題になるようなこの問題に関してどんなふうにお感じになっているか、御感想をお願いしたいと思います。
  169. 石井道子

    ○石井国務大臣 今御指摘になりました件は、水郷筑波国定公園内の橋の建設に伴う希少生物の保護に関する問題でございまして、ヒヌマイトトンボの生息についてのことであるわけでございますが、その保護策につきましては、茨城県において検討がなされまして、保護策が実施されることになったと聞いております。  千葉県側の問題につきましては、今委員が御指摘になったような事情もあるわけでございますが、今後も、国定公園の自然の保全及び生物多様性保全観点から、関係県を適切に指導してまいりたいと思っております。
  170. 松崎公昭

    ○松崎委員 この問題をどうしだこうしたということを、私は千葉県の人間でもありますので言いづらいこともありますので、余り深くは言いません。しかし、こういう問題から環境庁長官がどういうふうなことを反省材料とされているかということが本当は聞きたかったわけであります。  特に、今、分権推進委員会が、環境庁も審査中だと思いますが、私も実は分権推進の人間でございまして、分権を推進する立場で今まできたわけでございますけれども、少々この問題に関しましては、つまり、国立・国定公園の許認可の権限移譲、今やっていると思いますけれども、私も分権を進める立場であっても、この環境問題というのはやはり簡単にはいかない。  特に、ナショナルの、国全体の問題でありますとか、こういう絶滅種でありますとか、こういう大きな問題に関して、果たして分権の波だけでやっていいかどうか非常に心配をしておりますが、この辺は、環境庁として、この分権推進委員会との関係見解はいかがでしょうか。
  171. 澤村宏

    ○澤村政府委員 お答え申し上げます。  今、地方分権推進委員会との関係でのお尋ねでございますが、現在、機関委任事務廃止後の国定公園の許可事務のあり方につきましては、推進委員会におきまして鋭意検討が進められているところでございます。今後、委員会におきまして、今議題となっております国定公園の自然というものにつきまして、適正に保全されるような内容の勧告がなされるように私どもとしてもいろいろ御意見を申し上げている、そういう状況にございます。
  172. 松崎公昭

    ○松崎委員 推進委員会とのやりとりは大変なようでありますので、ここでなかなかお答えは出てこないのではないか、そうは思います。  実は、千葉県はこの問題で、擁護するわけではありませんけれども、決して環境後進県ではないのですね。普通のアセスメント要綱を持ちまして、しっかりとやっております。特に、国の大きな問題に関しましては、国と同時に千葉県も、県としてのアセス法にのっとってしっかりとやっておる。また、環境会議も持っておりまして、大規模な開発に対しては環境会議で非常に大きく検討する。ですから、特に私はこういう問題に関しまして、それだけ一生懸命やっている県でもこういう問題が起こってしまう、そのくらい環境に対する自治体の認識がまだまだ弱いのではないか、そういうふうに思っているわけであります。  ですから、これは評価の審査の問題にもつながっていく問題ではないかな、そんなふうに思っております。スコーピング段階でありますとか準備書段階でも公共団体の意見は聞くわけでありますから十分と皆さんはおっしゃっておるわけでありますけれども、私は、知事さんとか市町村長の段階でもっともっとしっかり聞かなきゃならないのではないか。  特に、各団体は審議会等を持っております。ですから、これを義務づける必要があるのではないか。スコーピング段階ですとか、こういう市町村長、知事の意見を聞くときに、各地方審議会等も生かして、それを意見に入れていく、こういうことが義務づけられたらどうであろうか、そんなふうに思うのであります。  また、二十三条の、長官の意見を聞く際に、環境庁内に審議会だとか第三者の意見を聞く機関も設けたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。
  173. 田中健次

    田中(健)政府委員 知事の意見形成の過程で公聴会なり審議会を設けて知事が意見を聞くという制度、これは先ほどから御議論になっておりますけれども、そういう制度を仕組むということは、この法律に抵触するわけでもございませんし、そういうことでやっていただければと思います。これまでこの制度は、閣議要綱制度に従いまして、それをベースにして法案化を図ってきたということもこれございますし、私どもといたしましては、知事意見を聴取をするということで十分ではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから、環境庁長官意見の形成でございますけれども、環境庁長官は許認可大臣に対しまして、第三者ということで環境保全の見地から意見を述べることにしております。これにつきましても、必要に応じまして専門家の知識や経験も活用して、適切な意見の形成に努めて信頼性を高めていくということに資してまいりたいというふうに考えております。
  174. 松崎公昭

    ○松崎委員 今の「必要に応じ、」は、何度も今回の議論にも出ておりますけれども、二十三条の長官の意見です。今までの方法では、求められたときということでやっていたわけですけれども、現行の、意見を求められたときというのはどのくらいの件数があったか、教えていただけますか。
  175. 田中健次

    田中(健)政府委員 閣議要綱に基づきましてこれまで意見を求められたケースで、意見を述べたケースは二十一件でございます。
  176. 松崎公昭

    ○松崎委員 全体の数がはっきりつかめておりませんけれども、私の持っている範囲では、二百七十九件中十六件であった。多分、これはベースも違うのかもしれませんけれども、私のデータではそういうことであります。  どちらにしても一割に満たないということでございますが、この「必要に応じ、」私は先ほどの先生みたいに法律家でもありませんのでわかりませんが、「必要に応じ、」というのは常にということなのか、どのくらいの頻度に見ていらっしゃいますか。
  177. 田中健次

    田中(健)政府委員 申しわけございませんが、先ほどの数字、刻々と数字がふえております。今、二十三件ということで御訂正をいただきたいと思います。  それから、「必要に応じ、」というのは必要があればいつでもということでございまして、結果といたしまして多分すべてに意見を出すのではないか、こういうことになろうかと思います。
  178. 松崎公昭

    ○松崎委員 それでは大変よろしいわけでありまして、これはもう環境庁長官、一生懸命頑張っていただかなければいけません。  と同時に、第三者機関というのは、先ほどから何人もの方からも意見が出ておりますので、やはり住民意見を聞きっ放しのように我々この法案を見ていますと聞こえますので、その辺のことをしっかり担保していただきたいな、そんなふうに思います。  また、先ほど審査能力が十分あるんだというお話がありましたけれども、審査室というのは十一人ですか、少ないですね。それから技術系の方も少ないということ。年じゅうかわる。ですから、私は、国立環境研究所とか専門家もしっかりそういうところに活用すべきだと思いますけれども、いかがなものでしょうか。
  179. 田中健次

    田中(健)政府委員 審査体制は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、必要に応じて専門家意見も徴しておりまして、その中に先生お話しになりました国立環境研究所の研究者も当然含まれまして、そうした研究者の意見も活用しながらやっております。
  180. 松崎公昭

    ○松崎委員 このトンボに関しての話は最後にいたしますが、実は、先ほど言いました茨城県側にまだ残っているのですね、ヒヌマイトトンボが。これも最初、千葉県側がコンサルタントが出したものをそのままうのみにして、コンサルタントが非常に間違いを起こしておりまして、実際あの橋台の部分にいるのですけれども、百メーター上流にいるという報告をしたものですから、もう工事が始まってしまいました。  しかし、ここで、茨城県側の昆虫の関係の同好会の方や、それから石田さんという国際トンボ学会の方、それから国際トンボ学会日本支部の井上支部長さん、こういう方々が、移植をしては無理なんだと。移植でやろうという案が最近出ていたわけでありますけれども、これは無理なんだ、そんなふうなことも言っておりまして、ぎりぎりのところまで追い詰められたこのトンボの問題を、今工事はとまっておりますけれども、環境庁として指導ができるかどうかわかりません。しかし、機関委任事務だからといって、これはやはり重要な問題でありますから、これに関して長官は何か考えられますか。
  181. 澤村宏

    ○澤村政府委員 ただいま御指摘にあります銚子新大橋にかかわります問題でございますが、確かにこれは機関委任事務といたしまして都道府県知事が行うこととなっております。個別の案件につきまして環境庁は直接的にはタッチしてないわけでございますが、このヒヌマイトトンボの調査報告に誤りがあったというような新聞報道等があった後、私どもも、国定公園の許可事務の適正化を期するという視点に立ちまして、いろいろと千葉県に対しまして事情の聴取等を行ってきたわけでございます。  そういう過程の中で、このヒヌマイトトンボの保護対策というようなことも議題になってまいりました。先ほど長官からも御答弁申し上げましたが、なかなか、このヒヌマイトトンボの生態系生息状況、そういったことを考えますと、技術的には難しいものもあるというような話もお伺いしているところでございます。  環境庁といたしましても、今後、こうした茨城県、千葉県等で行われますこの保護対策につきまして慎重に推移を見守っていきたい、そういうような気持ちでおります。
  182. 松崎公昭

    ○松崎委員 今回のその問題から、ぜひ、これから迫りくる環境アセスのたくさんの問題、いろいろ重要な時代が来ると思うのですけれども、まだまだ環境に対しては、自治体も含めて残念ながらこういうずさんなことになる場合もあるわけでありますから、しっかりと環境庁は指導し、監視をしていただきたい、そんなふうに思えるわけでございます。  次に、アセス法案一般的な問題について触れてまいりたいと思います。  もう今さら私が申すまでもなく、OECDの中で一番最後に日本がこの法案をつくる。また、ことしは京都で温暖化防止会議もあるわけでありまして、これは、そういう議長国としてもアセス法がないというのは許されない、そんなことも背景にはあったのかな、そんなふうに思います。また、規制の緩和の流れもある。そして、時代が大きく変わっていく。行政指導、今までの閣議アセス等では、透明性の拡大、住民関与、情報公開、そういったものがうまくいかない。そこへまた、行政手続法という時代の要求が出てきた。  そういうことで、今回はしっかりとした法案をつくっていくわけでありますけれども、いろいろ検討しますと、不備やらあるいは問題点が相当あるわけであります。特に、中環審の答申からかなり取り入れられて、基本的にはよろしいと思うのでありますけれども、いろいろなところでまだまだ、先ほども幾つかありました、代替案の問題でありますとか、相当問題点が指摘されるところでございます。  先ほど、代替案、うちの大野議員さんからもありました、複数案を比較検討する手法の導入ということで、十四条の準備書のところは確かに、わかりづらいと先ほども法案の問題がありましたが、大変本当にわかりづらいわけでありまして、この辺はもっと、西川先生指摘じゃありませんけれども、何かもう少しわかりやすくできないものか。  それから、代替案に関して、やはり大野議員からも御指摘がありましたけれども、アメリカなんかでは、もちろんここは一番最初に環境アセスメントを導入したところでありますから進んでいるわけですけれども、代替案を比較検討することで必ず問題を明らかにしていくんだということでございまして、シアトル市の橋梁の再開発なんかでは十九種類の代替案が評価書案の中に書かれて、そして最終的には五つの案になり、絞られて最終案になった。それにはもう、事業による立ち退きの数だとか工期、工費だとか、いろいろな角度で、経済面のことも含まれて、代替案が出てくる。  これは、やはり住民の側からいたしますと、確かに自民党さんからの御指摘もありました、時間がかかり過ぎるのではないか、あるいは住民の要求が過度に出過ぎないかとか、いろいろありましたけれども、私は、急がば回れではないか。むしろいろいろな形をしっかり出した上で、そして皆さんに最初から代替案も含めて明確に出しながら、その中で選んでいく。日本の行政の失敗は、私の千葉県の成田空港もそうでありますけれども、物事を隠して、事業者が隠して、そして小出しにしていったりして失敗する。外環道の問題もございます。そういう問題があるわけでありますから、むしろ代替案、複数案を出して、しっかりやっていくべきだ。であれば、あんなわかりづらい文書じゃなくて、もっとはっきりと書き直したらどうか、そんなふうに思いますが、いかがでしょうか。
  183. 田中健次

    田中(健)政府委員 先般来御説明をしてまいりましたけれども、この代替案といいますのも非常に広い概念でございます。そういうことで、中央環境審議会の答申等にも、「わが国の状況に応じて導入していくことが適当」ということでございまして、そうしたことで、複数案の比較検討を含むそういう法案上の表現になったわけでございます。そういうことで、これも代替案を含めた考えであるということを御理解を賜りたいと思います。  先ほどから申し上げておりますように、我が国におきましては、代替案が立地の代替ということまで含むということになりますと、地域の利害対立を誘発するおそれがございます。アメリカ等とは土地の事情等も違いますので、そういうことも御理解を賜りたいと思います。
  184. 松崎公昭

    ○松崎委員 次に、住民関与の問題でございます。  先ほどもちょっと触れましたけれども、方法書段階評価書の作成段階の二回あるわけでありますけれども、評価方法書は一回ですね、意見を有する者は意見書の提出により意見を述べることができる。これは、住民関与は環境に配慮した合理的な意思決定のために情報交流を促す手段である。住民等への十分な情報提供が不可欠でありますので、環境庁として、基礎データの収集、情報の提供、そういった基盤の整備についてどのように考えていらっしゃいますか、お答えを願いたいと思います。
  185. 田中健次

    田中(健)政府委員 アセスメントが円滑、適切に行われるためには、お話がございましたように、調査等の技術的手法に関する情報だとか、あるいは環境状況に関する情報が体系的に整備をされまして、また関係者が容易にこの情報を入手することを可能とする、そうした基盤を整備することが非常に重要でございます。審議会からも御指摘を受けております。  私どもといたしましては、過去のアセスメントの事例や、民間等も含めましたいろんなところが所有をしております技術的な情報、さらには地域環境の現況に関する情報が広く活用されますように必要な取り組みを推進してまいりたいと思います。  先般も御答弁申し上げましたが、九年度から、これらに関する予算も確保をいたしておりまして、そうした情報をインターネットを通じて提供するということに着手をしていきたいというふうに考えております。
  186. 松崎公昭

    ○松崎委員 次に、具体的な質問も交えまして、お願いを申し上げます。  実は、大規模事業というものが、複数が同時的に行われるということがあるわけです。私のおります千葉県柏市というところに常磐新線という電車を今通そうとしておりまして、なかなかこれが環境問題も含めて反対運動が大変強いわけであります。それからへその地域に約九百数十ヘクタールという土地区画整理をやっております。これは両方がクロスをしてこれから事業が始まるわけでございますけれども、この両方の環境アセスが始まるような、そういう場合に、片方では鉄道のアセスで、片方は土地区画整理のアセスである。非常にそれは総合的、複合的にいろいろな問題が起こるのではないかな。  そういうことはたくさんあちらこちらにあると思いますけれども、そういう場合にどのような形で今回のアセス法のもとで、二つあるいは三つ、そういう累積的、複合的な場合のアセスはどのようになるのか、お教えをいただきたいと思います。
  187. 田中健次

    田中(健)政府委員 法律の五条二項がございまして、相互に関連する二以上の対象事業実施する場合には、「当該対象事業に係る事業者は、これらの対象事業について、併せて方法書を作成することができる。」こういう条文がございまして、複数の対象事業が相互に関連をして行われる場合には、法案では、アセスメント手続をあわせて行うことができる、こういう規定でございまして、こうした形で一つは累積的な影響評価することを考えております。  それから、アセスメントが行われる場合に、その事業以外のほかの事業も既にその辺でやっておりまして、そうした当該事業以外による環境影響もあわせて判断をしなければならないということがあるわけでございまして、そうした場合には、一般的にその事業のバックグラウンドとして位置づけられまして、評価に反映をするようなことになる、そういう評価の仕方をいたしております。  いずれにいたしましても、今申しましたように、事業が重なって行われるということも含めまして、累積的影響を含めまして適切な評価が行われるためには、いろいろと情報基盤の整備等も必要だと思っておりますけれども、申しましたように、現実に二つの事業が進んでおるという場合には、あわせてアセスを行うことができる、こういうことになっております。
  188. 松崎公昭

    ○松崎委員 実際の問題としてはなかなか事業主体が違ったりして、「併せて」という、法文ではそうかもしれませんけれども、大変難しい問題かなと私ども地元としては思っておりますので、その辺、よろしく御指導をお願いをしたいと思っております。  次に、フォローアップの問題でございます。  着手後の調査、事後調査、これも何度か出ておりましたが、十四条の第一項七号のハですか、これも非常にわかりづらいんですね。具体的に簡明に説明をしていただきたい。事業内容の変更や長期間未着工の場合、こういう場合にはどのように扱われるのか、お聞きをしたいと思います。
  189. 田中健次

    田中(健)政府委員 まず、事後のフォローアップの関係でございますけれども、これは、技術や手法が新しい場合、あるいは未検証の場合等、非常に予測に不確実性が伴うわけでございます。それでも予測をする必要があるわけでございまして、そうしたことで、事後のフォローアップをかくかくしかじかやっていくということを準備書なり評価書に書かせまして、それを守らせていく、こういうことでございます。  それから、アセスメントを行った後、かなり時間がたった場合どうなるかということでございますが、これにつきましては三十二条がございまして、アセスが終わった後に、対象事業実施区域あるいはその周辺環境状況の変化、あるいは特別の事情によりましてさらにいろいろな事項の変更をする必要がある場合には、さらに改めてアセスメントを行うことができる、こういうことになっておりまして、ケースによっては事業者判断でさらにアセスメントを行う、こういう規定も用意をいたしておるところでございます。
  190. 松崎公昭

    ○松崎委員 いろいろ答弁をありがとうございました。  今回のアセスメントの新しい制度は、法律は確かに前の閣議アセスよりも進んだ。しかし、これは、先ほども私千葉県の例でお話ししましたように、地方にどこまで徹底できるか。そして、やはり行政が、担う側がそういう認識をしっかり持たないと、あのトンボのような問題が起こるわけでありますので、これからの、環境庁の今までの御苦労は十分わかりますが、全国の自治体にもしっかりとこの精神を植えつけ、そしてまた環境庁の方でも、この法律もいろいろまだまだ不備な点があるわけであります。しっかりと長官に指導をお願いをしたい、そんなふうに思っております。  特に地方に対する徹底と、今回のトンボのような問題は二度と起こらないようにということで、最後に長官の決意をお願いをしたいと思います。
  191. 石井道子

    ○石井国務大臣 大変長い間かかったこの環境影響評価法案でございます。これが、国と地方の連携を持ちながら十分に適切に運用されますように、今後も連携を図り、指導してまいりたいと思っております。
  192. 松崎公昭

    ○松崎委員 どうもありがとうございました。
  193. 佐藤謙一郎

    ○佐藤委員長 桑原豊君。
  194. 桑原豊

    ○桑原委員 桑原でございます。  今まで相当いろいろな議論が出ておりまして、私もいろいろな質問を予定しておりましたけれども、かなりダブるところもございますので、できるだけダブらないようにお尋ねをしたいと思います。  長年、閣議アセスということで実績を積んできた上に立って、今度は法制化ということになったわけでございますが、要綱から法になったということの違いはもちろんございますけれども、そういった形式といいますか、そういうことだけではなしに、中身的に、まず閣議アセスとどこがどう違って充実をしているのかということにつきまして、長官の方から、今度はここに大変な力を入れたということで、かいつまんで簡潔にお答えいただきたいと思います。
  195. 石井道子

    ○石井国務大臣 このたびの法案につきましては、中央環境審議会の答申に示されました基本原則に従って、閣議アセス内容を改善し、充実したものでございます。  具体的には、法律による制度とするとともに、対象事業の拡大、環境影響評価実施の必要性を個別に判定する仕組み、いわゆるスクリーニング、それの導入です。そして、調査方法について意見を求める仕組みとして、スコーピングの導入をいたしました。さらに、国民、地方公共団体意見提出機会の拡大をいたしましたし、準備書記載事項の充実を図り、さらに環境庁長官の関与の充実を図ったところでございます。また、事後の調査の位置づけをはっきりといたし、そして環境影響評価の再実施仕組みの導入などの各般の事項について制度の充実を図ったものでございます。
  196. 桑原豊

    ○桑原委員 アセスの開始の時期を今回は早めていく、相当早い構想の段階からアセスを開始していくということで、今言われた中ではスクリーニングというような制度もそういったことで取り入れたのかなというふうに思うのですが、まず、第一種事業につきましてはスコーピング段階からがアセスの始まりだ、それから二種事業はスクリーニングということなのですが、このアセスの開始の時期というのはどんな時期なのか。  と申しますのは、この時期は、今から事業が緒につく本当の始まりでありまして、この段階でその開発行為を中止をしたり、あるいは変更したりするようなことが可能な段階なのかどうか。もう事業をやるということだけははっきりしておって、そういうことに変更を加えることはなかなかできない時期なのか。そのどちらなのかということをまずお聞きをしたいと思います。
  197. 田中健次

    田中(健)政府委員 現行制度、閣議要綱制度におきましては、事業計画概要がほぼ固まった段階で、準備書の提出によりまして手続が開始されておりまして、これにつきましては、環境影響評価の結果が事業内容の変更に反映されにくい、こういう指摘がなされておったところでございます。  この法案におきましては、今先生からお話がございましたように、スコーピング手続をやりまして、効率的で手戻りがないアセスメントを目指すということとともに、事業計画のできるだけ早期の段階から環境の配慮に資することを目的といたしておるわけでございます。  なお、スコーピング手続の開始時には、立地場所がおおむね決まっていることが必要となるのじゃないかというふうな感じがいたします。しかしながら、事業によりましては、複数の候補が存在する場合に、一定の地域的な広がりの中から、その後の調査等によりまして具体的な場所が固まっていく場合もあるものと考えますが、事業種によって違うと思いますけれども、一般的に申しまして、やはり立地場所がある程度おおむね固まっている段階ということが考えられます。
  198. 桑原豊

    ○桑原委員 そうしますと、事業によっても相当いろいろなケースがあるというふうに考えられるとは思います。  それでは、少し個別にお聞きしたいのですが、例えば、スクリーニングの際には知事の意見を聞いて判定の材料にしていく、こういうことになっております。この段階で、万が一、立地の場所がある程度は固まっている、その場合は、当該の市町村長、立地をするということになれば大変強い影響を受けるわけですけれども、この市町村長さんの意見を聞くということはスクリーニングの手続の中に入っていないわけです。そういった場合に、私は、そんなある程度決まっているということであれば、当該自治体の長の意見ぐらいは何らかの形で聞くべきだというふうに思うのですけれども、具体的な運用の中でそういったことが図られていくのかどうか、そこを少しお聞きしたいと思います。
  199. 田中健次

    田中(健)政府委員 スクリーニングの判定でございますけれども、事業種類、その規模、あるいは事業実施予定地とその周辺環境状況等から方法書以降の手続の要否を判断する手続でございますが、できる限り客観的な基準をあらかじめ定めることによりまして、相当程度類型化して判断することが可能になるものと考えております。  このスクリーニングの判定基準につきましては、環境庁長官基本的な事項を定めますとともに、主務大臣がこれを定めるに当たりまして私どもの長官との協議を要することとしておりまして、まず基準の客観化を図る、こういうことにしております。  こうした基準に基づく判定に必要な情報でございますけれども、例えば自然環境の復元が著しく困難な地域があるかどうか、あるいは生活環境保全上特に配慮を要する地域があるかどうか、こうした地域基本的な情報を私どもは想定をしておるわけでございまして、都道府県知事が有しております地域の主要な情報がありますと、これによって判定は十分適正になされるというふうに考えております。  したがいまして、市町村長の意見等を聞く必要性は薄いのではないか、こういうふうな考え方で、知事の意見を徴すればこれで十分であろう、こういう制度にいたしておるわけでございます。
  200. 桑原豊

    ○桑原委員 そこら辺、一番影響を強く受けるであろうところの当該の市町村長の意見よりも知事意見が優先をされるというところがもう一つ私はわかりませんけれども、ただ、知事意見の中でそんなふうなものが含まれているんだということかなとも思うのですが、それはまたの機会にしたいと思います。  それから、私は、今度の制度では、環境庁長官評価後の補正というような形に反映をするというようなことで必要に応じて意見を述べることができるということは大きな前進であろう、こういうふうに思っております。ただ、私は、できればそういった最終段階だけではなしに、スコーピング準備書段階でも長官の意見が述べられてしかるべきではなかろうか、こんなふうにも思うわけです。  また、特に私は後でも少しお聞きしたいと思いますが、例えばスコーピング準備書段階で市町村長の意見というものが直接事業者に反映せずに、知事の意見という形でまとめられて、知事を経由して意見反映がなされるという形になっておるわけですけれども、例えば往々にして知事と関係市町村長の意見が対立をする、違うというようなことがよくあるわけです。そういった場合に、その段階環境庁長官も何らかの意見が述べられるというようなことがあれば、私は一つのそういった調整の役割も果たせるのではないかな、こういうふうに思います。  そういったことで、最後の段階に至って環境庁長官意見というふうなことになったのはなぜか。その前の段階意見が述べられるという制度にはならなかったのか、そこら辺の経緯をちょっと教えてください。
  201. 田中健次

    田中(健)政府委員 法案では、評価書に対しまして環境庁長官意見を言うということはそのとおりでございますけれども、しかし環境庁長官スコーピング段階におきましては環境影響評価項目等選定に当たっての主務大臣指針基本となるべき事項を定めるということにしておりまして、長官はその辺に関与をいたしておりますし、さらに準備書につきましても指針づくりに関与をしておるわけでございます。  ということで、個別の事業に関しましては、環境庁事業者によりまして環境影響評価の結果が取りまとめられた段階意見を述べるのが適当で、そういうことで評価書段階意見を述べるということにしたわけでございます。このような仕組みによりまして、私どもとしては、適切な環境影響評価実施確保することに関します総合調整官庁としての環境庁の責務を果たすことができる、このように考えておるわけでございます。  お話にございました、知事と市町村の意見が異なるような場合、環境庁意見が必要ではないかという点につきましては、都道府県は市町村が行います環境保全に関する施策の総合調整を行うという立場にあるわけでございまして、私どもといたしましては、各都道府県知事におきまして適切にその調整が図られるものというふうに考えておる次第でございます。
  202. 桑原豊

    ○桑原委員 例えば、徳島県のある村のダムの問題ですね。村長さんは絶対にダム建設は反対だ、しかし県は促進だ、こういったことで、関係自治体と県が真っ二つに割れたような場合、これがアセス対象になるかどうか。今のケースが対象になるかどうかは別にしまして、私はしょっちゅうそういったケースがこれからは惹起されるのではないか、そういう懸念をするわけですけれども、そういった場合にどう対応するのか、もう一回お聞きしたいと思います。
  203. 田中健次

    田中(健)政府委員 知事意見をまとめる際に市町村の意見も当然聞くわけでございまして、スコーピング以降はそういうことになっておりまして、スクリーニングはアセスにかけるかどうかの判断でございますので、これは都道府県知事の意見でいいのではないか、私どもはこう思っております。  それ以後の手順になりますと、市町村の意見を聞いて知事がその意見をまとめる、こういうふうになっておりまして、そのまとめた意見準備書なり評価書記載をいたしましてそれを公表する、こういうことになっておるわけでございます。  知事の意見と市町村長の意見が異なったというふうな場合、それでどうしても調整がつかないという場合には、知事が市町村長のそうした意見も添付をして事業者意見を出す、こういうふうになるのではないか、こう思われるわけでございまして、そうしたことが公表されますので世間にも一般に知られるということになりまして、知事が市町村長の意見を無視するということはできないのではないかと思います。  また、市町村長は知事に提出した意見を市町村長独自で公表する、こういう手もあるわけでございまして、市町村長の意見が世間の目に触れないということはないのではないか、こういうふうに思っております。
  204. 桑原豊

    ○桑原委員 そういうケースが想定をされるとすれば、私は、そういった知事の段階意見をまとめて一本化をするというようなことではなしに、直接自治体の意見事業者に反映をするような仕組みをつくって、その中から総合的に判断をしていくということをやった方がいいのではないかと思いますけれども、それは意見として申し上げておきたいと思います。  環境庁長官意見が、本法の中では主務大臣によって勘案されるということになっております。本法では、意見が、勘案されるとか配意されるとかというふうに、いろいろなケースで使い分けられておりますけれども、この勘案と配意の意味、使い分けの意味ですね、これを教えていただきたいと思います一
  205. 田中健次

    田中(健)政府委員 本法案におきましては、確かに勘案と配意というのを同じ条文の中で使っております。  まず、配意でございますが、法律で使った意味といたしましては、配意は、環境保全の見地からの意見を有する者の意見のように、さまざまな内容のものが多数あることが想定されるもののそれぞれについて意を配って考慮する。さまざまな内容意見がある中で、それぞれについて意を配って考慮する、こういうのが配意でございます。  勘案は、地方公共団体の長や環境庁長官意見のところで使っておりますように、それぞれの行政分野において責任を有する立場から述べられる意見を受けとめて考慮する、こういう意味に使っておるところでございます。
  206. 桑原豊

    ○桑原委員 そういう言葉の使い分けは、この法の条文の中を見る限りではそうかなとも思いますが、現在の閣議アセスでは、環境庁長官意見というのは配意をされる、こういうふうになっているようです。それから、電事法あたりにも、あれはどこでしたかな、そういうさまざまな意見に、意を配るというようなところでないところに配意というようなことも規定をされておったようには思いますけれども、どうも配意と勘案の使い分けが判然としないところがございます。  何か、配意の方が少し軽んぜられるのではないか、勘案なら少し重く見られるのかなというような気もするわけですけれども、ともかく、この勘案ということで、長官の意見主務大臣で勘案される、主務大臣意見事業者によって勘案をされます。そして免許を行う者は、その勘案された結果によって補正された評価書というものと、それから、主務大臣事業者意見を出すわけですけれども、この意見書面に基づいて環境審査を行う。最終的には、この環境審査と免許等の法令の基準に関する審査の結果とをあわせて判断をしてこの事業を許認可する、どういう条件をつけるか、そういうことが判断をされるわけです。  私は、環境庁長官意見も、勘案の上に勘案をし、最終的にはあわせ判断という形で、時を経るに従って、手続を経るに従って、だんだん環境庁長官意見というものが薄まっていくのではないかというような懸念を覚えるわけでございます。  電事法の場合は、逆にこの評価書内容というものが最終的な許認可をする際の要件になる、こういうふうにかなり強く、要件化ということで、それをクリアしなかったら許可されない、こういう形になっていくわけです。それ以外のアセスについては、だんだん、勘案、勘案、最終的にはあわせ判断というふうな形で、私は、評価書内容が本当に担保をされていくのかどうか、大変危惧を、懸念も感じるわけですけれども、アセスでありながらなぜそういった違いが出てくるのか、そこをちょっとお聞きしたいと思います。
  207. 田中健次

    田中(健)政府委員 電気事業法につきましては、民間の事業でありながら国の電源開発基本的な計画に入りまして、重要なエネルギー供給の位置を占めているということで、今回、国の関与を従来以上に強くする、こういう事情があったわけでございますけれども、そのほかの事業につきましては、従来なかった規定といたしまして、横断条項によりまして、環境上の配慮からも許認可に当たってあわせて審査をする、こういう条文が入りまして、環境保全の担保になったわけでございます。  条文の仕組みにおきましては、先生が今おっしゃいましたような仕組みになっておるわけでございますけれども、何度も申しておりますように、環境庁長官は、環境保全に関する行政を総合的に推進することを任務といたしておりますし、また、関係行政機関の環境保全に関する事務を総合調整する、こういう機関の長でございまして、こうした立場からの私ども長官の意見は、免許等を行う者が意見を述べるに当たって、相当の重みを持って受けとめられるものと考えておるところでございます。  それから、免許等の審査に際しましての環境保全に関する審査は、評価書記載事項のほかに、私どもの環境庁長官意見を勘案して述べられた免許を行う者の意見に基づいて行われるものでございまして、長官が述べました意見内容は、私どもとしては、十分その審査の結果に生かされるものと考えております。  したがいまして、環境庁長官意見が軽視されるということはないものと私どもは考えておるところでございます。
  208. 桑原豊

    ○桑原委員 そこまで確信をされておるなら、私は、逆にそれを独立の要件として考えて、最終的に許認可の判断をしていけるような仕組みにした方がむしろいいのではないかというふうに思うのですが、なぜなのかということをお聞きしたいと思います。
  209. 田中健次

    田中(健)政府委員 私どもといたしましては、ただいま申し上げましたように、いろいろな国の事業等を行います場合に、その主管の、主務の大臣がそれぞれの事業法に基づきます要件で判断をいたしますとともに、今回はこの環境要件も考慮して判断するということになったわけでございまして、それぞれの事業につきましては、それぞれの特殊性がございます。公益性もございます。したがいまして、今回の政府の中の調整では、環境に相当の重きを置いて、新たな視点から横断条項で判断をしてもらう、こういうふうな形になったわけでございまして、私どもとしては、これによりまして、環境保全上の効果は十分担保をされるということを考えておりますし、また、その前提となります私どもの長官の意見も重視をされるというふうに考えております。
  210. 桑原豊

    ○桑原委員 アセス時代よりは格段の前進だと思います。そういう意味では私も評価をいたしますけれども、ぜひ、今後の課題として、さらに環境庁が総合的な調整官庁、あるいは環境改善のための推進の官庁として発展をしていくというか充実をしていくためにも、私は、そういった方向での、権限の強化というか意見の権威というか、そういうものをつけていただくことが大事ではなかろうか、こういうふうに思います。  次に、この制度では、先ほど長官もおっしゃいましたように、自治体の意見住民意見というものが大変意義を持ったものとして組み込まれているわけでございますけれども、この自治体参加あるいは住民参加の意義についてどのように考えておいでになるのか、長官にお伺いしたいと思います。
  211. 石井道子

    ○石井国務大臣 今度の環境影響評価制度につきましては、事業環境影響は、大変多岐にわたっている環境項目について評価される必要があります。そのためには、広く意見を聞いて多種多様な情報を集めることが必要であると考えたところでございます。また、身近な自然を初めといたしまして、そこに住む人の評価を聞かずに評価できないものも存在しております。したがって、適正な環境影響評価を行うためには、有益な環境情報を幅広く収集する手続が必要でございます。  中央環境審議会答申においては、「環境影響評価制度における住民等の関与は、事業者事業に関する情報を提供し、これに対して住民等環境保全の見地からの意見を述べ、その意見に対応して事業者環境配慮を行う過程を通じて、事業に係る意思決定に反映させるべき環境情報の形成に住民等が参加するものとして位置づけるべき」と述べられております。  そして、この法案では、そのような趣旨を踏まえまして、住民を初めとする一般からの環境保全の見地からの意見を求めることにしたところでございます。
  212. 桑原豊

    ○桑原委員 この意義については、かなり今まで議論をされてきたわけですけれども、政府側の見解としては、有益な環境情報の形成への参加だ、政府の意思決定への参加ということではないのだというような考え方ではなかろうかと思うのですが、私は、そんな区分けをするのではなしに、結局、有益な環境情報への参加というものが意思決定に非常に有効なわけですから、いい影響を与えていくということですから、むしろ一連のものとして、一体のものとして考えていくべきではないかというふうに思うのです。この点についてはどうでしょうか。
  213. 田中健次

    田中(健)政府委員 ただいま大臣からも御説明いたした、このとおりの趣旨でございまして、住民からの意見聴取というものは、幅広い環境情報を収集するというものでございます。したがいまして、本法案におきます一般の方々による意見の提出は、事業の意思決定に反映させるべき環境情報の形成への参加として位置づけられるものでございまして、事業の賛否の表明として、事業実施に係る政府の意思決定への参加を意味するものではない、そうしたことはこの環境影響評価制度趣旨に沿わないというふうに私どもは考えておるところでございまして、あくまでも有益な環境情報を幅広く収集するという趣旨で御理解をいただきたいと思います。
  214. 桑原豊

    ○桑原委員 環境に与えるいろいろな影響考えて、これではとても事業そのものを認めることはできないというような意見も、私は、ある意味では環境情報一つになるだろうというふうに思うのです。頭から、そういった賛否とか立地のいかんとかというのは環境情報とは違うのだというようなことで切って捨ててしまいますと、私は、かなりいろいろな意味での選別、摩擦、そういったものが逆に起きてくるのではないかという懸念もするのですが、そういう意味でどうでしょうか。
  215. 田中健次

    田中(健)政府委員 先生今おっしゃいましたように、そうした環境情報で非常に重大な環境に関する情報がございましてそれが事業の成否に結びついていくということはあろうかと思います。したがいまして、環境情報の中身については幅広く意見を提出していただくというのが重要でございまして、住所地等も限らずにそういう意見情報を集めるというシステムにしたわけでございます。  したがいまして、有益な環境情報であれば、事業者の方で積極的にそれを取り入れていくということになるものでございます。
  216. 桑原豊

    ○桑原委員 先ほども少しお話ししましたが、スコーピングあるいは準備書段階で市町村長の意見が直接事業者に伝わらないのはおかしい、こういうふうに述べたわけです。私は、本来、市町村に住んでいる住民の皆さん方にしても、一体我が町の首長は我々の意向を酌んでどんな意見をこの問題について出しているのかということを知る由がないわけですね。結局、知事の意見ということでまとめられて、調整をされて、そして、知事意見としてはいろいろな形で公表されるわけですけれども、市町村長がどう述べたのかということはわからないということになるわけですね。  そこで、何か運用といいますか、具体的に知事意見を公表する段階では、市町村長の意見というものが、ずばりそのままそっくり公表されるかどうかということは別にしても、できるだけそういった、市町村長はこんな意見を持っていたのだということがわかるような仕組みにして、その上で知事意見というような、そんな公表の仕方ができないのか。その点、どうでしょうか。
  217. 田中健次

    田中(健)政府委員 まず、地方公共団体意見を都道府県知事に集約する仕組みをとっている理由でございますけれども、これは、事業者側から見ますと、行政の意見はできるだけ集約されて述べられることが望ましいということがございます。それから、法案対象といたします事業は広域的な環境影響懸念されるものでございまして、広域的な環境行政に責任を有する都道府県知事が地方公共団体意見を取りまとめることが適当である。  こういうふうな判断のもとに、こうした都道府県知事が集約する仕組みをとったわけでございますけれども、先生お話にございましたように、地方公共団体意見の形成に際しまして、市町村長の意見が埋没するというふうな御懸念でございますが、現行の閣議要綱によりますアセスの運用におきましても同じようなシステムになっておるわけでございまして、市町村意見は知事が集約をして出してくる、こういうふうになっておりまして、運用におきましては、市町村長の意見を知事意見にそのままつけて出してくるというのが相当程度あるわけでございます。  そうしたことで、実態的には市町村長の意見が埋没するということはないわけでございますし、かつまた市町村サイドにおきましても、その意見が重要でございますと、何らかの方法でその意見を市町村独自で公表をする、こういう手もあるわけでございまして、市町村長の意見が埋没をするということは、実態的に見ても方法論としてもないのではないか、こういうふうに思っております。
  218. 桑原豊

    ○桑原委員 私は、地方におった経験もあって、今局長が言われたのとは逆に、市町村長さんの意見を聞きたい、教えてくれと言っても、県の段階ではなかなかそれを公表しない、見せない、そういうのが通例ではないかというふうに思いますので、ぜひそういったことがオープンに公表されるような仕掛けをつくってほしいと思うのです。  特に環境庁は、それぞれの段階で、いわゆる主務省令をつくるに際しても協議をするわけですし、あるいは基本的な事項環境庁がつくるということですから、そういう意味での、まとめ上げていくという一つの基準、ルールというようなものは既にあるわけでして、私は、できればやはり生の市町村長の声がどうであったのかということなどもしっかり受けとめて、その上で調整をしていくというルールがあるわけですから、それを活用していった方がオープンで、わかりやすくて、みんな納得がいくということになるのではないかというふうに思いますので、この点は法律でそうなって今提案されていますから、かなり難しいところもございますけれども、できるだけ運用の中でそれを改善をしていくということを考えていただきたいと思います。どうでしょうか。
  219. 田中健次

    田中(健)政府委員 これから法律が成立した暁には、いろいろとガイドラインあるいは運用通達等を考えてつくってまいることになるわけでございまして、今先生お話しになられましたような点も含めまして、運用で工夫ができるか、ひとつ考えてみたいと思います。
  220. 桑原豊

    ○桑原委員 アセス対象地域をどこにするのかという選定基準についてですが、これは主務省令で定めるということになっております。  私は、ぜひこの段階で、選定基準に基づいて定めていくわけですけれども、当該地域意見、それを何らかの形で酌み取っていく方法考えていくべきではないかというふうに思うのです。  これは、実際のアセスをやっていくときに、どこまでが含まれるのか、どこに影響があるのか、ここが非常に議論になるわけでして、ぜひそこら辺に地域の声というものをできるだけ反映するようにしていった方が、先ほど急がば回れの話もございましたけれども、私は後々に問題を引きずらない一つ方法ではなかろうかと思いますので、そこがこの制度からちょっと見えてこないものですから、そこら辺はどう考えておいでなのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  221. 田中健次

    田中(健)政府委員 関係地域の設定でございますけれども、この関係地域は、準備書の送付先でありますとかあるいは縦覧地域を定めるものでございまして、意見提出ができる住民範囲を限定する意味では決してないわけでございます。そのために、関係の都道府県や関係市町村に抜け落ちが生じないように、事業種類に応じまして幅広い市町村単位で定められるように主務省令で定めることといたしたいと思っております。  関係地域は主として事業種類に基づき定められることから、環境庁長官と協議の上定められる主務省令におきまして、事業者が適切に行えばいいというふうに考えておるところでございます。
  222. 桑原豊

    ○桑原委員 それでは次に、発電所のアセスについてお伺いをしたいと思います。  発電所の問題につきましては電気事業法にゆだねられる部分がかなり多いわけでございまして、主務大臣である通産大臣の関与が強く認められている、こういう仕組みになっておりますけれども、改めてその理由についてお伺いをしたいと思います。
  223. 田中健次

    田中(健)政府委員 発電所につきましては、過去二十年間、電源立地の円滑化のために、通商産業省の省議アセス制度におきまして、手続の各段階から国が指導し、監督をいたしまして、十分な実績を上げてきておるというのが一つございます。それから、先ほども申し上げましたが、民間事業者の個別事業が電力の安定供給という国の施策と強いかかわりを持つという特殊な性格を有するものでございます。  こうしたことから、私どもといたしましては、今回の法案整理に当たりまして、基本的な手順はアセスメント法の手順に従う。まず、対象事業になりまして、アセスメント法の手順に従ってスクリーニング、スコーピングから始めるということでございますが、ただいま申し上げましたような電力の特殊な事情とこれまでの経緯等を踏まえまして、電気事業法も改正をいたしまして、手続の各段階から国が関与する特例を設ける、こういうことで調整を図ったものでございます。
  224. 桑原豊

    ○桑原委員 個別の段階で少しお聞きしたいのですが、ほかのアセスと違いまして、スコーピングの際に、通産大臣に対する知事意見というのが出されます。その際に、住民等意見に対する事業者見解、これが出されるわけですが、知事はこの事業者見解に配意するという、普通のアセスにはない規定が加えられております。これは事業者見解も主務官庁の方に直接見解として出されるわけですから、特に知事がそういったものに配慮するまでもなく、事業者見解は直接通産大臣に出されることになっておるわけですけれども、改めてそういったことに知事が配意をしなければならぬという特別な理由というのは何でしょうか。
  225. 真木浩之

    ○真木説明員 発電所のアセスメントにおきましては、事業者に対しまして、方法書調査項目だけではなくて、調査予測評価手法を必ず記載させることといたしております。都道府県知事が方法書について環境保全の見地から意見を述べるわけでございますが、それに当たりましては、環境影響評価項目手法について事業者見解を正確に把握し、これを検討することが重要であると考えております。  こうした観点から、方法書についての住民等意見に対する事業者見解に配意をするということとしたものでございます。  なお、環境影響評価法案におきましても、準備書段階で都道府県知事が意見を述べる際には、同様に住民などの意見に対する事業者見解に配意をすることとなっています。
  226. 桑原豊

    ○桑原委員 ちょっと私の勉強不足ですけれども、ほかのアセスについても、知事は事業者見解、そういうものに配意するというふうに規定をされておりましたでしょうか。
  227. 田中健次

    田中(健)政府委員 本法におきましては、準備書段階事業者見解に知事は配意をする、こういうふうになっております。
  228. 桑原豊

    ○桑原委員 スコーピング準備書作成の段階での通産大臣の勧告、あるいは評価書の作成段階での変更命令、大変強い権限を通産大臣は与えられております。それ以外の普通のアセスは、その段階では一般的には事業者主務大臣の助言を求めることができる、そういう関係になっているかと思いますけれども、そういった助言とかというレベルではとてもだめなんだ、強い権限をどうしても必要とするのだという理由づけを少し教えていただきたいと思います。
  229. 真木浩之

    ○真木説明員 今回の法制化に当たりまして、発電所につきましてはこれまでやってまいりました省議アセスを踏襲するという考え方でいるわけでございますが、現行の省議アセスにつきましても、通産省は審査をし、その結果、必要に応じて所要の指導を行いまして、事業者が提出をいたしました準備書を修正させるということをいたしているところでございます。また、環境影響調査書に記載されている環境保全対策について、工事計画に反映をさせますために工事計画の認可要件にもしているところでございます。  このように通産大臣が関与をするというこれまでの手続によりまして、過去二十年間、百二十件の実績を積み重ねてきておりまして、発電所の立地に際して十分な環境保全が図られてきているものと考えております。  今般の法制化に当たりまして、今後とも発電所の立地に際して、環境保全に万全を期すために、現行の省議アセス基本といたしまして、通産大臣の勧告や評価書についての変更命令の手続を設けるとともに、工事計画が評価書に従っているということを工事計画の認可要件としたものでございます。  今後とも環境保全に万全を期すとの観点から、環境審査顧問など第三者の意見を踏まえつつ、通産省といたしまして事業者準備書評価書などを厳格に審査をしてまいりたいというふうに考えております。
  230. 桑原豊

    ○桑原委員 通産省の今までの実績、それから環境保全に関する適切な対応をしたいということで、そういった強い権限を持ってそれに臨みたい、その気持ちは私はよくわかります。わかりますけれども、環境保全観点からそういった対応をしていくということであれば、むしろ私は今度は環境庁にお聞きしたいのです。  これはある意味では、過去の今までやってきたのはこうだったからということではなしに、これからを展望したときに、勧告であるとかあるいはそういった変更命令であるとか、そういうものを環境庁がやるんだというようなことの方がむしろ適切なように思えるのですけれども、それはどうですか。
  231. 田中健次

    田中(健)政府委員 この環境影響評価制度と申しますものは、まず事業者のセルフコントロールでやっていただくというのが考え方基本でございます。これは環境基本法にもそういうふうにうたわれております。事業者みずからが自分の責任と負担において環境への配慮をやっていくというのが基本的な考え方でございまして、その上に立ちまして、私どもが必要なシステムをつくって必要な関与をやっていくということでございます。  そうした点を踏まえまして、私どもといたしましては、事業者環境影響評価を行います基本となる指針をつくりまして事業者にそうしたことをやっていただくということでございまして、環境影響評価に十分配慮をしていただく、それに資することを必要に応じて意見として事業者に申し上げる、こういうシステムにいたしておるところでございます。  主要諸国におきましても大体こういう考え方制度が構築をされておりまして、電気事業法に基づく発電所につきましては、電力の特殊性ということで通産省の方におきまして国の関与を強めている、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
  232. 桑原豊

    ○桑原委員 このアセスメント制度の体系の中で一番強い権限といいますか、そういうものを環境保全観点から環境庁というものがしつかり保持をしておるというのが外から見て大変自然なように思えるのですけれども、実際にはそういう従来からの実績などを踏まえて、事業官庁に対してどうするのかというのが環境庁の構えなんだ、こういうことでございます。  ぜひこれも、やはり本当の意味でこのアセスメント制度をトータルな体系のものにしていくときには、私はいつまでもそういった形で、電事法についてはこうなんだというようなことにはなかなかならないのだろうとは思いますし、また将来的には環境庁の権限も強めて、そういった勧告やあるいは変更命令なども含めたようなものがすべてのアセスについて環境庁が担保できるような、そんなことをむしろ目指していくべきではないかと思いますので、これは私の意見として申し上げておきたいと思います。  それから、通産大臣は準備書の審査をするときに環境庁長官意見を聞かなければならない、こういうふうになっております。しかし、私もちょっと条文全体を見ておりませんのであれですが、この意見がどんなふうに配慮されていくのか、勘案されていくのか、そういった条文がどこにあるのか、どこにひっかかってくるのかちょっとわからないのですが、これはどうなんでしょうか。
  233. 真木浩之

    ○真木説明員 電気事業法改正案の四十六条の十四第二項の規定によりまして、通産大臣は準備書の審査を行うときは環境庁長官環境保全の見地からの意見を聞くことが法律上義務づけられております。先ほど環境庁からも御答弁がございましたが、環境庁長官環境行政を総合的に推進することを任務とする国の機関の長でございまして、その環境保全の見地からの意見については、通産大臣が審査、勧告の際に勘案し、重みを持って受けとめるべきものであると考えております。  したがいまして、環境庁長官意見は、通産大臣の審査あるいは事業者に対します勧告に十分反映され、事業者が行う環境影響評価にも反映されるものと考えているところでございます。
  234. 桑原豊

    ○桑原委員 その内容がどの条文の中で勘案をされていくということになるのかというのが少しわからないものですから、電事法の中でそういう規定がないとすれば、それはアセスメント法の中でどんなふうにひっかかっていくのか、そこをちょっと教えてください。
  235. 真木浩之

    ○真木説明員 電気事業法の中で、先ほど御説明いたしました改正案の四十六条のところで、通産大臣が準備書の審査を行うときに環境庁長官環境保全の見地からの意見を聞くことが義務づけられているということでございます。
  236. 桑原豊

    ○桑原委員 意見を聞くことが義務づけられることはわかったのですけれども、それがどんなふうに勘案をされて反映されていくのかというのが明確な条文になっているのかいないのかということをお聞きしたわけです。
  237. 真木浩之

    ○真木説明員 条文上はただいま御説明しましたような書き方でございますが、その意見の取り扱いについては、通産大臣が審査、勧告の際に勘案をしているということでございます。これまでの二十年間、百二十件の省議アセス段階でも環境庁長官意見をお聞きしておりますけれども、環境庁意見調整の整わなかった発電所については、実際に工事計画の認可をしていないわけでございます。  法制化後も、環境庁長官意見の取り扱いにつきましては引き続き十分に尊重してまいりたいと考えております。
  238. 桑原豊

    ○桑原委員 通産省の方の御意見はわかりましたけれども、そこら辺がどの条項で、明確に審査の際に環境庁長官意見というものが勘案されていくのか、そこら辺を少し、ここでこう読めるのだというようなことを、もう少し説得力のある根拠をぜひ示していただきたいと思います。これは今お答えできなければいいのですけれども、その条文ですべて読めるのだということで考えておられるということですか。
  239. 真木浩之

    ○真木説明員 電気事業法の環境庁長官意見を聞く条文につきましては、今御説明したとおりでございます。  なお、他の事業についても、これは環境影響評価法案の方に条文がございますけれども、同じような取り扱いになっております。
  240. 桑原豊

    ○桑原委員 以上で終わらせていただきますが、私も、先ほど来意見がたくさん出ておりましたけれども、何とか、環境行政をつかさどる環境庁が本当にこの法案を見事に成立をさせて、そしてそのことによって日本の環境全般に、しっかりした調整はもちろん環境改善の大方向を示して、それを推進していく、そういう官庁として大きく発展、脱皮をしていっていただきたい、そういう願いでいろいろな質問をさせていただいたということで、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  241. 佐藤謙一郎

    ○佐藤委員長 辻元清美さん。
  242. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党の辻元清美です。この環境アセスメント法案につきましては三回目の質問になります。  先ほど質問なさった方が御自分の小さいころの環境との触れ合いなどにも言及されておりましたが、私の場合は一九六〇年に生まれておりまして、私が生まれたときから高度経済成長というのが始まりまして、都会の大阪で育ちましたので、こんな言い方おかしいかもしれないのですが、川といったら真っ黒け、どぶ川というか、残念ながら大好きな道頓堀の川もえらい真っ黒けなのです。周りも高速道路がどんどん建ち始め、そして小学校のときの環境の思い出といえば、光化学スモッグではたばたと体育の授業で倒れていくとか、そして体育の授業がなくなるとか、そういう時代を子供時代に送ったわけなのです。  自然との触れ合いといえば、私たち都会に住んでいた子供は、お金を出してどこかに自然を見に行くというような、そういう体験でございました。自然とともに生きるという子供時代にとってはとても大事なことが、残念ながらやはり開発開発というあらしの中で育ったもので、なかなか体験ができなかったということを非常に残念に思っております。  そういう意味では、今回のこの法案が成立し、きっちりこれが遂行されていくということは、そういう子供たちの健康や、それから自然を破壊するということだけではなくて、精神的な発達過程においても非常に重要な意味を持つのじゃないかということで、特に関心を持っております。  さて、そういうことで幾つか質問させていただきます。いよいよ私が最後の質問ということになりますが、今までお聞きした中でちょっと疑問に思った点も含めまして御質問させていただきます。  まず、今まで環境庁がそういう事業の審査に意見を申し述べたのは二十三件であるというふうに先ほど田中さんの方でしょうか、お答えいただいたのですが、これはどのぐらいの期間に二十三件なのでしょうね。それと、今までどのような意見を言われたのか、二、三御紹介していただけないでしょうか。
  243. 田中健次

    田中(健)政府委員 閣議アセス意見を申し上げましたのは、求められたときだけでございますので、二十三件で、これは制度が昭和五十九年にできまして、それ以来の数でございます。対象となった事業はたしかその十倍以上あろうと思いますが、私どもの意見を求められたのは今申し上げた二十三件、これが制度ができて以来の数でございます。  重立った点を申し上げますと、東京湾横断道路でございますけれども、川崎と木更津の間のほどなく完成する道路につきまして意見を申し上げております。それから……(「中身」と呼ぶ者あり)中身ですか。いろいろございますけれども、まず、東京湾横断道路が接続をいたします川崎側の陸上部、ここで二酸化窒素あるいは浮遊粒子状物質の環境基準が未達成でございますので、種々の対策を環境庁としても講じておるところでありますが、こうした状況にかんがみまして、実施に当たっては換気その他汚染物質の除去に最善の努力を尽くしてくれということでございます。  そのほか、まず、どういう事項で申し上げているかということを申し上げますと、首都高速の都市高速道路中央環状新宿線目黒−豊島区間、それから川崎縦貫道路、第二東名・名神高速道路、大阪都市計画道路淀川左岸線、堺・松原都市計画道路大和川線、第二名神自動車道等々でございます。  環境庁長官意見概要として、個別ケースじゃなくて大体どういうことで意見を言っているかということでよろしゅうございましょうか、細かくなるものですから。一つは、道路供用後の大気汚染あるいは騒音の防止対策、それから工事中の騒音とか濁水の防止対策、発生する残土の適切な処理対策、それから自然保護、自然環境のいろいろな保全対策、それから工事中及び供用後の環境監視、サーベイランス等でございます。それから、地方公共団体等との調整ぐあい等につきましていろいろな角度から意見を申し上げている、こういう状況でございます。
  244. 辻元清美

    辻元委員 今までの閣議アセスでそういう意見を述べられたということなんですけれども、今回、新しい法律を制定しようということは、やはり今まででは不十分であったとか、環境庁としての反省点とか、こういう点について問題が多かったのでここはしっかり法律として規定しておこうというようなことが内部で話し合われたのではないかと思うのですね。その点についてお聞きしたいのですが、どういう点を不十分と見て、そしてそれを改善するために今回どういう点を留意しながらつくられたのか、いかがでしょうか。
  245. 田中健次

    田中(健)政府委員 意見としてはこれまでもいろいろ申してまいりましたが、私どもといたしましては、制度仕組みといたしまして、先ほど来申し上げておりますように、これまでの要綱アセスでは、相当程度事業が固まった後にこのアセスメント制度が、手続が始まるということでございましたので、できるだけ早い段階から環境に配慮をした仕組みにしたいということで、先般来御説明しておりますようにスクリーニングとかスコーピング制度も導入をいたしました。  それから、私ども環境庁長官が求められたときだけしか意見が述べられなかったという点が非常にやはり大きな制約でございまして、必要に応じいつでも意見が申し上げられるということでございます。  それから、環境影響評価の結果をその事業の許認可に反映をさせるということで、事業者に対します重みも非常に増してまいります。そういうことで、今回は横断条項という条項を設けまして、許認可の場合に環境への配慮もあわせて判断をするというふうな環境影響評価制度にしたということ等々でございます。
  246. 辻元清美

    辻元委員 わかりました。  ということは、先ほどの御答弁の中に、スクリーニングを行うのは立地場所がほぼ固まってからという御答弁があったかと思うのですね。ここでちょっと一点だけ確認しておきたいのですけれども、今回、意見を長官を含めまして環境庁がお出しになるというのは、その事業の中止もしくははっきりとした変更ということも言う可能性があるということを確認させていただいてよろしいですか。というのは、よくあるのは、もう固まっているから、場所も決まっているからとずるずる行くんですね。そうじゃないということをはっきり確認したいと思うのです。
  247. 田中健次

    田中(健)政府委員 先ほど申しましたように、事業種によっていろいろ違うと思いますけれども、スクリーニングをやるときの段階で立地場所等はおおむね固まっているものが多い、こういうふうに御説明をしたわけでございますが、要するに、今度の手続によりまして、早目早目に情報が公開をされまして、いろんな人の意見を聞いていくということで、その間に環境に対していろんな配慮の措置が講じられる、準備書あるいは評価書でその辺が煮詰まってくるということでございます。私ども環境庁長官が、評価書ができた段階でそれに意見を申し上げますけれども、その段階におきましても、非常に大きな環境への影響が憂慮される、こういうことでございますと、私どもの意見によりまして、あるいは事業の中止にまでなるというケースもあることは想定をされます。
  248. 辻元清美

    辻元委員 そうなってきますと、先ほどから何回も話には出ておりますが、スクリーニングの段階というのが非常に大事だと思うのですね、ここをやるのかやらないのかと決定すると。ところが、残念ながら、先ほどの話にもありましたが、この段階だけは知事のみになっているのですよ。このときに、ほかは市町村の意見もかんがみるというふうになっておるわけですが、ここだけが知事のみになっているというのは、今回のこの制度、先ほど重要性をおっしゃった点から見れば、そここそ一番地域と密着している人たちの意見を吸い上げるということが大事だと思うのですね。ここを改めてもう一度お伺いしたいと思います、どうしてここだけが外れているのか。
  249. 田中健次

    田中(健)政府委員 スクリーニングの判定でございますけれども、この判定は、その事業特性であるとかあるいは地域特性を考慮をいたしましてやるかどうかの判定をいたすわけでございますし、その判定の基準につきましては、私ども長官が基本的事項を定めまして、それに基づきまして主務大臣がその指針を定める、判定の基準を定めるということでございます。おおむねその判定の基準に基づきまして、その地域特性なり事業特性を考慮して判断をしていくということでございます。  そうしたことで、その地域環境特性等につきまして、地域基本的な情報は都道府県知事が十分に承知をしているであろう、広域的な環境行政をやる立場の都道府県知事がそういうことの知見等、知識等を十分有しておるであろうということで、判定に当たりましては都道府県知事に意見を聞けばそれで十分であろう、こういう判断によるものでございます。
  250. 辻元清美

    辻元委員 それはさっきから何回も聞いた答えなのですが、そうしますと、例えば政令指定都市というのがありますけれども、これをつけ加えるなり、例えば神奈川でいえば七百万の人口で横浜はほぼ半分ぐらいいるわけですね。やはりそういうできるだけ小さい枠で意見を吸い上げるというのは大事なのですが、そういうおつもりも一切ないということなのでしょうか。
  251. 田中健次

    田中(健)政府委員 スクリーニングはアセス対象にするかどうかという判定をするものでございます。そうしたことで、対象になるものは私どもの国の制度に乗ってくるわけでございますし、対象にならないと判定されたものは、あるいは地方自治体のアセスメント制度に乗ってくる、こういうことになろうかと思います。  これはスクリーニングの段階でございまして、スクリーニングを終わりましてどういう調査項目を調べるかということのスコーピング以降につきましては、幅広く環境情報を集約する、こういうことで幅広く市町村長あるいは知事、それから一般環境意見を有する者の意向も徴するということにしております。  そういうことで、そのプロセスとして、スクリーニングはアセスの有無の判断でございますので、基準によりまして相当客観的に判断ができるということとともに、幅広く地域情報も持っておる知事の意見を聞けば十分だ、こういうことでございまして、スコーピング以降、市町村を外しておるということではございませんので、御理解をいただきたいと思います。
  252. 辻元清美

    辻元委員 私の意見は反対で、最初が肝心だというふうに思うのですね。そこからスタートしてしまったら、こういうものはかなり今までも既成事実が積み重ねられていくわけですね。ですから、最初が大事だから申し上げているのですけれども、再考いただきたいと思います。各党の方、大体この辺に触れられているのですよ。これだけみんなが言っている意見というのは非常に耳を傾けられてもいいのではないかと思います。  さて、先ほどから何名かの方もおっしゃっていますけれども、そうしますと、地方自治体との関係です。自治体でアセスをやっているところが既にあるという中で、自治体の中には、うちのところのアセスの方が厳しいのをやっておるから、国が今回法律をつくってやるとしても自分のところの意見も十分反映させたいと言っておるところもあるように聞いております。私は、これは自治体の選択制というのを導入したらどうかと思うのですね。というのは、国のアセスでやりたい、もしくは、両方を考慮に入れてうちは独自のもやりたいから話をしたいというのを自治体そのものが決めるというのはいかがなものかというふうに考えております。  といいますのは、幾つかの理由があるのですが、先ほど二十三件で、この三倍か四倍の数にふえる、環境庁の方も十一人のスタッフで、それに何人かも手伝う、庁を挙げてやるとおっしゃっているわけなのですが、全国のことをやらなあかんのです。自治体というのは、事業があったとしてもそこのところに一件や二件ですわ。物すごく集中してやれるわけですね。  東京で見ていて、沖縄で行われることについて、やはり環境判断していくというのはそのところの文化であったりイメージであったり、書面だけで、積まれている書面を見て、そこに行ったこともない人が判断していくというのはどう考えても私はぴんとこないというか、正確な判断ができないのではないかというふうに思うのですね。  そういうところを補完する意味において、自治体で環境アセスをやっているところは、それぞれの県とか地域、そんな何十件も来ませんので、そこに住んでいる人たちはそこのことを一番よく知っている人なんですね。ですから、これは自治体の自主性に任せて選択制を導入されることを提言したいのですけれども、いかがでしょうか。  といいますのは、これは見ていると、どんどん大きいところ大きいところで決定していこうというように見えてしようがないのです。こういうものは小さいところ小さいところに行かないと実行力がないと思うのですね。ですから、いかがでしょうか、選択制というのは。
  253. 田中健次

    田中(健)政府委員 本法案アセスメントを行います対象事業でございますけれども、これは中央環境審議会の答申等にも言われておりますように、非常に大規模な事業環境に著しい影響を及ぼすおそれがあるものについて、国が国の立場で一定の水準の環境影響評価確保する、やる必要があるというものにつきまして対象事業といたしまして、さらにそれは国が環境への配慮を考慮できるような、すなわち国が許認可権限を持っているような事業につきまして国の立場でアセスメントを行う、こういうことで整理をいたしておるわけでございます。  既存の閣議要綱におきましてもそういう考えで整理をされておるわけでございますけれども、これはあくまでも要綱でございまして、行政指導の範囲でございます。したがいまして、私どもの国の制度と、それが対象にしております事業地方の条例あるいは要綱で行われておりますアセスメント制度対象事業と重複をするということがあったわけでございますが、今回はこれを法律制度にするということでございます。そうしたことで、先ほどから申し上げておりますように、国の立場から見て一定の水準を確保する必要があるアセスメント事業実施するということでございます。  私どもといたしましては、そうしたことで法律を仕組んでおりまして、国の事業実施する場合には、法律の整理といたしましても、やはり六十条に書いておりますように、法律の制度と条例の制度で国民に同時に負担がかかるということはどうしても避けるということによりまして、法律の整理といたしまして国の事業につきましては地方公共団体の方ではこれをやれない、こういうふうな整理にしたわけでございます。そういうことで、その制度趣旨から見ましてそういう整理になっておりますのを御理解いただきたいと思います。
  254. 辻元清美

    辻元委員 何回聞いても理解できないのですけれども。  といいますのは、私、実際のことを申し上げているのですね。制度はそうかもしれないのですけれども、書類を積まれてこれを審査していくわけなんですが、自治体がやりたい場合はそこでもおやりになってその意見も聞く、協議する。何もそれを国の方が優位に立つというふうに決めてしまうことはないのではないかと申し上げているわけですよ。その自治体の方だけをやれとかと言っているわけではなくて、そういう余裕を持たして幅広くやった方がいいのではないかというふうに申し上げているのですね。そういうことです。  これはちょっと先ほどから何回も押し問答になっておりまして、回答が長いですので、時間がありませんから、そこは再考なさってもいいのではないかというふうに思うのですが、強くそこは申し述べておきたいと思います。  それからもう一つ、長官の意見の形成について幾つか御質問したいと思います。  先ほど田中局長が、相当の重みを持つという御発言をなさいました。相当の重みというのは、重みをつけないと重みは勝手についてこないと思うのですね。これは重みはっけるものだと思うのですが、では重みをどうやってつけるかというのは具体的に何をするかということだと思います。  その中で幾つか申し上げたいことがあるんですが、一つは、この重みをつけるときに、第三者機関の設置については、各所から言われておりますけれども、再考される余地はないのか。それともう一つは、立ち入りということはお考えでないのか。これはアクションなんですけれども、重みがあるというのは何か。これはちゃんとよく聞いておかないと、もしくは、最後の発言はいろいろな調査を独自にする、マル査じゃありませんけれども、そういうものがあって初めて重みを持つわけですね。書類審査だけではなくて、環境庁は独自に調査もするかもしれないということを持ち、初めて重みを持ってくると思うんです。それがお伺いしたい点。  それともう一つは、市町村と知事、先ほど、知事の意見の中には、市町村と対立した場合も、その対立した意見をつけて環境庁に書類として上がってくるという話がございました。この対立している場合には、これもアクションです。書類だけを見るのではなくて、例えば知事の意見を直接聞く、対立している場合です。市町村長の意見等を直接、こっそりでも公でもいいんですけれども、聞くというような、そういうアクションはとられるおつもりがあるのか。それが全くないとすれば、これは書類が上がってきて、それを見て審査するだけで重みが果たして本当につくのかしらというふうに心配するんですが、そういう計画や実際の実務の進め方、いかがでしょうか。
  255. 田中健次

    田中(健)政府委員 まず、環境庁長官意見の形成に際して、第三者機関を設置をしてやったらどうか、こういうことでございます。環境庁長官等を含めまして、この審査は事業の許認可大臣がやるわけでございまして、したがいまして、知事意見なり、あるいは私ども環境庁長官意見、すなわち第三者が審査のプロセスに意見を提出して参画をするというのは非常に大事でございます。  そういうことで、環境庁長官が第三者として意見を述べる、評価書に対しまして意見を述べるということといたしておるわけでございますが、これが先生おっしゃいますように、客観的かつ公正な審査ができるように、その中身も本当にきちんとしたものでないといけない、これはおっしゃるとおりでございます。  そういうことで、環境庁長官意見を述べるに際しましては、私ども担当スタッフが十分に審査を行っておりますけれども、必要に応じまして専門家の知識あるいは経験も活用いたしまして、さらに意見の形成に努めて、審査の信頼性を高めていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。必要に応じまして、専門家意見を活用していきたい、こういうことでございます。  それから、環境庁職員が現場に立ち入って調査をするようにしたらどうかということでございますが、これはアセスが終わった後の事後調査事業実施後の対応でございますけれども、これは地域環境保全観点から、地方公共団体もいろいろやっておられるところでございますし、また、その事業の主務官庁ということで、許認可大臣がその後もいろいろ指導監督に当たられるということの立場にあるわけでございます心・  それぞれの立場あるいは制度において適切に対応がされるものと思いますが、環境庁といたしましても、事後に環境上の問題が生じるかということもございます。そうしたことのために大気汚染防止法なりあるいは水質汚濁防止法その他法律がございまして、その各種の法規の適正な運用に努めてまいりたいというふうに思っております。  それから、市町村意見と知事意見でございます。これは、先ほども申し上げましたけれども、知事意見に市町村意見を聞いて知事意見として出してくる、こういうことでございますけれども、先ほどお話ございました両者の間で調整がつかない、こういう場合には、私どものこれまでの運用から見まして、知事意見に市町村意見をそのままつけまして意見として提出をされる、それが準備書なり評価書に登載をされるということでございまして、そのプロセスでも調整がつかずに、評価書の中でも調整がつかないということで私どもの方に意見が提出をされてまいりますと、私どもといたしましても、実態的に、もし必要があればその市町村意見あるいは知事意見を実際上聞いてみるということも、プロセスとして行うということは考えられると思います。
  256. 辻元清美

    辻元委員 そうしましたら、その長官の意見の重みということなんですが、もう一点だけ伺います。  そうしますと、先ほどから、専門家の方も含めてお話を聞かれるというふうに、第三者機関は設定しないが個別案件については専門家意見を聞く、この専門家意見を聞かれた方のお名前の公表などを含めまして、長官がどのように意見を形成されたか。例えば、こっちの知事さんとこっちの市町村さん、意見調整できてないけれども、こういうことにかんがみてこういうふうに形成して申し上げたというようなそのプロセスを、そういう実際にかかわった人の名前も含めて情報公開されることが、私はこの環境庁長官意見に非常に重みをつけることになると思いますが、そういう御予定はあるかどうか、長官にお聞きしてもいいんですが、いかがでしょうか。
  257. 石井道子

    ○石井国務大臣 環境庁長官意見形成の過程につきましては、先ほども御答弁を申し上げたところでございますが、それを公表するということについてはおのずと一定の限界があるものと認識をしておりますが、結果の透明性確保する観点から、環境庁長官意見についてはこれまでも案件ごとにその都度公表してまいりました。今後も、環境庁長官意見はその都度公表することといたしますが、また、意見を述べるに際しましては、必要に応じて専門家の知識や経験も活用して適切な意見形成に努めて、審査の信頼性を高めていきたいと考えております。
  258. 辻元清美

    辻元委員 その内容の公表の仕方ということを御質問したつもりなんですけれども、そういう人の名前も公表していくということが、これは重みをつけることになるかと思います。ですから、ぜひそれは、単にこういう意見を申し述べたということだけではなくて、そのプロセスを公開していくということが一番大事なのではないかと私は思いますので、残り時間、もう時間が超過しておりますので、質問はこれで終わりますが、まだまだこの後審議されていきますので、その点については、きょうの皆さんの審議を踏まえまして考えていただきたいというふうに思うんです。じゃ、終わります。どうも。     —————————————
  259. 佐藤謙一郎

    ○佐藤委員長 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。  本案につきまして、審査の参考に資するため、委員を派遣することとし、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  260. 佐藤謙一郎

    ○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  なお、派遣委員の人選、派遣の期間、派遣地等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  261. 佐藤謙一郎

    ○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十分散会