運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-06-04 第140回国会 衆議院 外務委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月四日(水曜日)     午後一時十一分開議 出席委員   委員長 逢沢 一郎君    理事 鈴木 宗男君 理事 福田 康夫君    理事 牧野 隆守君 理事 森山 眞弓君    理事 青木 宏之君 理事 東  祥三君    理事 玄葉光一郎君 理事 松本 善明君       安倍 晋三君    石崎  岳君       柿澤 弘治君    櫻内 義雄君       下地 幹郎君    新藤 義孝君       原田昇左右君    森  英介君       渡辺 博道君    坂口  力君       島   聡君    松沢 成文君       丸谷 佳織君    山中 燁子君       若松 謙維君    井上 一成君       近藤 昭一君    伊藤  茂君       平野 博文君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 河村 武和君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省欧亜局長 浦部 和好君         外務省中近東ア         フリカ局長   登 誠一郎君         外務省経済局長 野上 義二君         外務省条約局長 林   暘君  委員外出席者         警察庁警備局外         事課外事調査官 内田 淳一君         防衛庁防衛局国         際企画課長   土屋 龍司君         大蔵省国際金融         局金融業務課長 長尾 和彦君         外務委員会調査         室長      野村 忠清君     ――――――――――――― 委員の異動 六月四日  辞任         補欠選任   田中 昭一君     渡辺 博道君   井上 一成君     近藤 昭一君 同日  辞任         補欠選任   渡辺 博道君     田中 昭一君   近藤 昭一君     井上 一成君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安倍晋三君。
  3. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 私は、ただいま大変大きな問題となっております日本人に対する北朝鮮拉致疑惑について幾つか質問をさせていただきたいと思います。  先般、十六日の当委員会において質問をさせていただきました件から、最初お話伺いたいと思うわけであります。  一九七八年に、日本で起こっていると同様の事件レバノンであったわけでございまして、五人説、四人説それぞれあるわけでございますが、数名のレバノン人が一九七八年に拉致されたわけであります。そのうち二名がベオグラードにおいて独力で脱出をしてクウェート大使館に逃げ込んで、その後レバノンに帰ってきたわけであります。そして、その後レバノンブストロ外務大臣が駐レバノン北朝鮮貿易代表部代表を呼び出して交渉した結果、残りの人たちも帰ってきたという事件であります。このことにつきましては、地元のオリエント紙あるいはアイケ紙において、それぞれ一九七八年の十月三十日付で報道をされているわけであります。  この件は、我が国がこれから拉致をされている人たちを取り戻す上においていい教訓になるのではないかということで、外務省に知っている限りの情報を開示していただくように御質問をしたわけでございますが、十六日当時はまだ外務省にはその情報が入っていなかったということでございます。現在のところ、どれくらいの情報を得ているかどうかについて、まずお伺いしたいと思います。
  4. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 委員指摘の件につきまして、先般来、我が方からレバノン政府に対して照会をいたしておりました。しかし、内戦とか庁舎の移転ということが重なりまして、当時の資料の多くが既に失われており、文書を通じて当時の事実関係を確認することはできないというのが先方の回答であったわけでございます。  そういう中で、私たちの方から、既に退任している者を含む当時のレバノン政府関係者にさらに照会いたしましたところ、事実関係等が必ずしも十分明らかでないところもございますけれどもレバノン人女性誘拐疑惑に関してレバノン政府北朝鮮通商代表部に当時抗議を行いまして、北朝鮮側はこれに対する直接の回答をしなかったということがございましたけれども、その後これらの女性が、委員指摘のような経過をたどって最終的にレバノンに帰国したということであった模様でございます。  そういうことでございまして、いかなる経過が具体的にあったかというのは判然としないのでございますけれども、当時レバノン北朝鮮国交樹立の話が動いていて、一九八一年にその国交は樹立されるわけでございます。そして、一九七九年当時、レバノン北朝鮮との国交がなかったわけでありますけれども北朝鮮とは党の関係などを通じて相当良好な関係にあったということがもしかしたらその背景にあるのかもしれないということが、そのレバノン側関係者から指摘されております。
  5. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 そういう意味では大分いろいろな情報をとっていただいたわけでございますが、このことは本当に参考になっていくのではないか、私はこのように期待しておりますので、今後とも調査をしていただきますように、よろしくお願いしたいと思います。  国会におきましても、拉致疑惑に関する日本人及び日本人の家族に対する支援をする議員連盟が発足いたしまして、大変な数の議員参加をしていただきました。残念ながら、まだまだ自民党、新進党以外の皆さんには、余りたくさんの皆さんには参加をしていただいていないわけでございますが、こうした議連が今後果たしていく役割は大変大きなものがあると思いますし、北朝鮮に対して大きなプレッシャーにもなる、こういうふうに思っております。北朝鮮に早く人道的な支援をしようという心優しい人たち余り参加をしていただいていないという皮肉な現状にあるわけでございますが、今後とも議連を通じて私も頑張っていきたい、このように思っておる次第でございます。  続きまして、警察庁質問をいたしたいと思うわけでありますが、先般十六日も質問をいたしました辛光洙事件であります。  この辛光洙事件というのは、日本人原敕晁さんに北朝鮮の、これはかなり大物スパイと言われておりますが、辛光洙が入れかわって、この原敕晁さんを拉致して、原敕晁さんに成りかわって辛光洙が入ってきて、原敕晁さんの名前パスポートあるいは免許証も取得をして、そして韓国に再入国をしていろいろな活動をしていた中で逮捕をされたということであります。  裁判記録からもいろいろなことがはっきりしてきているわけでございますが、我が国国内北朝鮮系商工団体の会長、理事長が実際にこの原敕晁さんを拉致する謀議に明らかにかかわっていたということも裁判記録ではっきりいたしているわけでございまして、その二人とも特定することができます。一人は、原敕晁さんが勤めていた中華料理店のオーナーであり店長であります。この人がその商工団体理事長だったわけでありますが、彼が、自分のところにいいのがいるからこれを拉致してしまおうということで謀議した結果、原敕晁さんはある日忽然と姿を消すわけであります。そして、この成りかわった辛光洙スパイとして活動したということであります。  皮肉なことに、この辛光洙につきましては、一九八九年七月十四日に、盧泰愚大統領に対して、在日韓国人政治犯の釈放に関する要望というのを出したのですね。これは、衆参超党派の百三十数名の議員皆さんが、この二十九人の政治犯を釈放してくれ、この人たちは無罪だと言って、土井たか子さん、菅直人さんを初め多数の議員皆さんが釈放要求したわけでありますが、なぜかこの二十九人の政治犯の中にこの辛光洙が入っていたのですね。  この辛光洙というのは、まさに原敕晁さんに成りかわって、我が国としては許すことのできないスパイですね、その人を釈放しようということを何と我が国国会議員がやっていたので、私は大変驚いてしまったわけであります。  この辛光洙は今刑務所で服役中であります。この辛光洙については、十六日の当委員会でも私が質問したように、パスポートあるいは免許証、これを公文書偽造している、我が国国内の法律にも違反をしているわけでありますから、当然これは警察もこの辛光洙韓国政府とかけ合って調べるべきである、私はこういうふうに思うわけでございますが、警察庁の御見解を承りたいと思います。
  6. 内田淳一

    内田説明員 委員指摘辛光洙事件でございますけれども、この辛光洙事件も含めまして、一連北朝鮮による拉致疑いのある事件につきましては、今後とも、韓国当局との情報交換を含めまして、関係機関連携をしつつ、所要捜査を継続してまいる所存であります。よろしくお願いします。
  7. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 これはまさに国家による犯罪なのですね。国家による犯罪ですから、これを解決していくためには、やはり国家が強い意思を持って相対していかなければ、決してこれを解決することはできない、このように思うわけであります。まさにその入れかわってしまったスパイが捕まっていて、その人に対してまだ尋問を行っていないとすれば、怠慢のそしりを受けてもしようがないのではないか、私はこういうふうに思っております。  そして、しかも調書の中で謀議に加わった人たちがのうのうとしているわけであります。それで本当に我が国の治安が守られているかどうかというのは、これは本当に耳を疑わざるを得ないようなことが公然と起こっているわけでございます。  その点について外務大臣にお伺いをしたいと思うわけでございますが、この調書をとるべく韓国政府にぜひとも交渉をしていただきたいと私は思うわけでございます。外務省としての御見解をお伺いしたいと思います。
  8. 池田行彦

    池田国務大臣 我が国の法に違反した行為が行われた場合には、当然のこととして、捜査当局中心政府としてもきちんと対応しなくてはいかぬ話だと思います。ましてや、我が国国民の安全にかかわる問題であるならば、外務省も含めまして、政府としても当然大きな関心を持っているところでございますので、いずれにいたしましても、関係省庁ともよく相談をしながら適切に対応してまいりたいと思います。
  9. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 では、もう一度警察にお伺いします。この辛光洙尋問するのですか、しないのですか。答えてください。
  10. 内田淳一

    内田説明員 先ほどもお答え申し上げましたけれども辛光洙事件を含めまして一連北朝鮮拉致疑いのある事件につきましては、韓国当局との情報交換を含めて、関係機関連携をしつつ、所要捜査を実施してまいる所存でございます。  なお、個別の事件捜査の個別具体的な内容につきましては、捜査上の秘密保持というような観点から、答弁を差し控えさせていただきます。
  11. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 当然、その秘密保持というのも必要なのでしょうけれども、我々としては、疑いとしては、本当にやっているのかどうかという疑いを持たざるを得ないのですね。今まで何回かの拉致議連において関係省庁皆さんにお集まりをいただきまして質問をさせていただいたのですが、そういう疑問も本当にわいてくるような答弁ばかりであったわけでございます。  ですから、きょうは厳しく質問をさせていただいているわけでございます。ぜひとも、そこにもうスパイが捕まっているわけですから、しかもこの人は原敕晁さんに入れかわってしまったわけですね。原敕晁さんはいまだに行方不明なのです。ですから、その重要な、容疑者というよりも、これはもう刑が確定している人ですね、確定しているわけですよ、韓国において。ですから、その人に尋問をしないというのは、もう全く捜査当局がやる気がないということ以外にはないと私は思うわけでありますから、これはぜひともやっていただきたい。政府が強い意思を持って韓国側と交渉して、この辛光洙に対する尋問を行っていただきたいと強く要求をいたしたい、このように思う次第であります。  続いて、やはり警察庁にお伺いをしたいわけでございますが、昭和五十八年に、有本恵子さんとIさん、Mさん、この方たち親族方たちの希望で名前を公表しておられませんから名前を申し上げませんが、有本恵子さんとIさん、Mさんがヨーロッパで拉致をされたということが言われております。三人とも手紙等で生存は確認をしているわけでございますが、この人たち拉致するに際して、よど号犯人妻たちがこれを手引きをした、こういう情報があるわけでございます。そのことについて、警察庁、これを把握しているかどうか、お伺いしたいと思います。
  12. 内田淳一

    内田説明員 今委員指摘のような事実関係について報道がなされていることについては承知いたしております。
  13. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 それは報道をしていることはだれだって知っているのですよ。だから、そんなことは警察庁に聞かなくたってわかっていますから、警察庁がそれを把握しているのかどうかをまず答えてください。答えられないのか、知らないのか。
  14. 内田淳一

    内田説明員 恐縮でございます。  個別具体的な捜査内容については、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  15. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 わかりました。これはこれ以上聞いてもしようがないようですから、この件についてはここでやめます。  続きまして、寺越武志さんのケースなのですが、この寺越武志さんは、当時の報道によれば、寺越武志さんを初め三人の方が漁の最中に海難事故によって行方不明になった。そして、北朝鮮で生存しているのが後々わかったわけでございます。しかし実態は、何かを目撃したがために体当たりに遭って拉致をされたということが大体裏づけをされつつあるわけであります。  残念ながら、この三人のうち武志さんしか今生存しておられないわけでございますが、武志さん のお母様と私は会いました。そのときに、このお母さんは、何回か北朝鮮に行って武志さんと面会をしておられます。このことについて拉致と決めるかどうかというのは、これは寺越さんを何とか取り返すということにおいては、むしろ明確にさせない方がいいのかもしれませんが、私がお母さんから聞いた話では、何回か送金をしてくれと言われたので送金をしたという話であります。しかし、送金したお金は、お母さんの話でも、残念ながら恐らく本人が自分のものとはできなかったということでございますが、この送金を必ず足利銀行にしてくれという指定をされるということだったのですね。  そういうような形で、このケースだけではないわけでございますが、一般的に、朝銀大阪信組の問題もそうだったのですが、いろいろなお金足利銀行を経由して北朝鮮に行っている、こう言われているわけでございます。  きょうは国金局にも来ていただいていると思うのですが、果たして年間どれぐらい北朝鮮日本からお金が送られているかどうか、実態把握しているかどうかということについて御質問いたしたいと思います。     〔委員長退席牧野委員長代理着席
  16. 長尾和彦

    長尾説明員 お答え申し上げます。  私どもの持っています現行の外為法上でございますが、平常時におきまして、北朝鮮に限りませんで、海外の特定国との間の資金の流れを把握するということにつきましては、一つには、その特定の国との間の取引にかかわる許可とか、あるいは事前届け出ということを介して行う方法が考えられるわけでございます。  ただ、この方法につきましては、一つ親族送金は既に許可不要になっております。それからもう一つ、寄附、贈与といったものも一千万円相当額までは許可不要ということになっておること等から、これにより送金実態把握するということはちょっと期待できないという仕組みになっております。  それからまた、私ども外為法上、国際収支統計を作成するという観点から報告書をいろいろ徴収しているわけでございますけれども、これにつきましても、その報告の性格上、対象を五百万円相当額を超えるものということにしておるところでございます。  したがいまして、今私ども立場では、御指摘北朝鮮を含めまして各国への送金を日常的に把握するということは行っていないということでございます。御理解賜りたいと思います。
  17. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 日本にとって安全保障上も、かつて核疑惑もあったわけでありますから、ある意味では極めて脅威になっているわけでありますし、また、拉致疑惑等々の問題もあります。また、日本人妻千八百名の問題もあります。また、最近は麻薬の問題もありました。  しかしながら、大蔵省日本北朝鮮とのお金の行き来については――もう一度お伺いします。あるかないかだけでお答えをいただきたいと思うわけでございますが、全く把握できていないということですね。
  18. 長尾和彦

    長尾説明員 そのとおりでございます。
  19. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 ということは、極めてテロ国家と言ってもいいと私は思うのですが、北朝鮮に対して我が国からどれぐらいお金が行っているかということを大蔵省は全く把握ができていないということが明確になったわけでございます。  しかしながら、実は銀行が極めて限られているわけでありまして、信組、朝銀の信組の場合は外国に送金することができないわけでありますから、ほとんど足利銀行が一手にやっていると言っても過言ではないと私は思うわけでございます。銀行に対する監督権をこれから行使をしていただいて、ぜひとも、どれくらいの金が行っているかということは把握をしていく必要が当然あるのではないか、私はこういうふうに思う次第でございます。今、北朝鮮状況がどんな状況にあるのかというのは、これはもう世界じゅうの人がみんな心配している状況にあるわけでありますから、そこはぜひとも大蔵省も真剣に考えていただきたい、こういうふうに思う次第でございます。  もう時間がだんだんなくなってきたわけでございますが、このように北朝鮮との関係においては極めて多岐にわたっているわけでございます。  拉致疑惑一つとってしても、外務省だけでは情報収集が不十分であると私は思います。先般、拉致議連関係省庁皆さんからお話を伺ったところ、省庁間でのみんなが集まって、一堂に会しての情報交換というのは今までやったことがなかったということでございますから、今後こうした問題に対処していく。  少なくとも、警察が認めているだけでも、七件十人が拉致をされた疑いが極めて濃いということになっているのですね。先ほど私がお話をいたしました有本恵子さんとか寺越さんのケースは、この十人の中に入っていません。入っていないのですね。にもかかわらず、私が今言った人数だけで六人もいるわけですから。この十人の中に入っていないのですね。  ですから、まず間違いないだろうという中でも十六人、恐らく三十人近い人たち拉致をされている中にあって、しっかりとした対策本部なり対策室なりを外務省の中に設けて、情報交換を行いながら、この人たちをどうすれば取り返すことができるかというのを協議する対策本部を設けるべきではないかと私は思うわけでございますが、外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  20. 池田行彦

    池田国務大臣 これまでも警察庁初め関係のあるところとは、随時協議はしてきたところでございますけれども委員指摘のように、それが恒常的なものあるいは定期的なものになっているわけではございません。事は国民の安全にかかわる問題でございますから、それをどういうふうに解決していくか、いろいろな手法を使い、またいろいろな配慮もしながら進めていかなくてはいけないと思います。  徹底的にそれを追及していくという手法のみをとるのがいいのか、場合によっては、表現が適切かどうかわかりませんが、硬軟いろいろな手法をないまぜて、要は国民の安全を確保するという目的を達する上から、いろいろなことを考えながらでございますが、いずれにしてもそういったことを進めていく上において、関係する省庁間の情報交換なり連絡というものは密にしなくてはいけないというのは御指摘のとおりだと思いますので、そういった関係省庁間の協議をより緊密化し、きちんと進めていくように、早急にそういったことを相談し、実施してまいりたいと思います。
  21. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 この問題につきましては、日本人の人権、もちろん生命財産がかかっている問題でございます。また外交問題としても大きな問題であると思いますから、私は、この外務委員会において集中審議をぜひともやっていただきたいと御要望申し上げる次第でございます。  もう時間が参りましたが、最後外務大臣に。先般、橋本総理が、日本韓国人記者との懇談の中で、もし韓国から要請があれば米の援助も考えていいというお話がございました。  この横田めぐみさんの拉致報道されるようになってから、横田めぐみさんの問題を含めた拉致疑惑あるいは日本人妻そして麻薬の密輸入の問題、この三つの問題が解決をされなければ難しいという政府としての態度をとってきたわけでございますが、これに重大な変更があったのかどうか。  最後にこれについてお伺いをさせていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  22. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいま御指摘の問題につきましては、これまでも政府はいろいろな要素、いろいろな状況を総合的に勘案しながら、どういうふうに対処していくか検討を進めてきたところでございますが、そういった政府立場変更はございません。  そのことは、今御指摘になりました韓国報道関係者総理懇談の席でも、総理は、日本がそう簡単に食糧支援を決めることができない難しい事情があるということをるる御説明なさった後で、それでは具体的に韓国政府から強い要請が あった場合にどうなのかという質問があったことに対して、いや、そういう御要請があれば、それは政府間の話でございますし、考えますよということをおっしゃったわけでございますから、全体としてごらんいただければ、特にこれまでの方針と変わったことをおっしゃっていることはないというのは御理解賜れると思います。  そして、現に総理御自身が、その翌日でございましたか、翌々日でございましたか、やはり記者質問に答えて、いや、それは変えたわけじゃないということも明らかにしておられると思います。
  23. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  24. 牧野隆守

    牧野委員長代理 引き続いて、島聡君。
  25. 島聡

    島委員 新進党島聡でございます。  本日は、ASEAN加盟に関連しましたミャンマー情勢の問題、そしてアフガニスタン和平への日本の対応の問題、時間がありましたら、日本アメリカにオーストラリアを加えました日米豪間の防衛協力のあり方についてお尋ねをいたします。  まず最初に、ASEAN加盟に関連したミャンマー情勢の問題でございます。先月末のASEAN特別外相会議では、ミャンマー、カンボジア、ラオスがASEANに加盟し、この七月にはASEAN10が実現することが決定されたわけでございます。しかし、軍事政権下にありますミャンマーを取り込むことに対しましては、欧米諸国は強く反発している。ASEAN欧米諸国との中間に立って、日本がどのようなスタンスを打ち出すかが今、改めて問われていると思うわけでございます。ちなみに、例えばインドネシアのアラクス外相は、ミャンマーの現在の状況に対してアメリカが非常に強い態度をとっていることに対して、米国の言いなりになってはならない、と応じたと言われています。それに対しまして、ミャンマー軍事政権が反政府活動に対して強い姿勢をとった、しかも、ことし四月から外国報道陣のミャンマーへの立ち入りを事実上禁止した、こんなような措置に対して、欧米諸国は非常に厳しくミャンマー政府を批判してきたわけであります。  特にアメリカ政府は、ASEAN特別外相会議が間近に迫りました五月二十日でございますが、新規投資を禁じる対ミャンマー経済制裁の発動を発表した。また、軍事政権による野党党員の拘束が始まりますと、ビルマ、いわゆるミャンマーを通常の国家として扱ってはいけないとまで非難している。ミャンマーASEAN加盟に強い反対を示しているわけでございますが、我が日本はどうか。相変わらずよくわからない姿勢に終始しています。  橋本総理がどんなことを語ったか。報道を言いますと、東南アジア諸国連合がミャンマー、ラオス、カンボジアの七月加盟を決めたが、という質問に対しましては、カンボジア、ラオスについてはそれほど問題とは考えていなかったとおっしゃったのですから、ミャンマーは問題だと思っていらっしゃったのかもしれません。ASEANは内政不干渉の看板があるが、このところ軍事政権の動きが活発だから、国際社会の懸念を考慮するよう伝えてあるし、向こうも分かっていると思う、本当にわかっているかどうかはわかりませんが、向こうも分かっていると思う。加盟が免罪符にならなければいいと思っているということを言っているわけであります。  まず質問でございますが、今後の我が国ミャンマーとの関係について、橋本首相は、ASEAN加盟ミャンマーが変貌することを期待するというような考えのようでございます。報道をそのまま言いますと、「軍事政権の免罪符にならないように見守っていきたい」。  一体どういうことを意味しておっしゃっているのかよくわからないわけでございますので、この機会に、日本としては、現SLORC政権、そしてまたミャンマーの民主化勢力との関係改善のためにどのように取り組んでいくのか。結局、今までのように何もしない、傍観のままなのか、それともこれから積極的な働きかけをしていくのかということについてお尋ねをしたいと思います。
  26. 池田行彦

    池田国務大臣 我が国政府はこの問題について傍観をしてきたわけではございませんし、これからも傍観するわけではございません。我が国政府としての立場に立ち、これまでも必要な働きかけなり対応をしてきたつもりでございます。  基本的に申しまして、ミャンマーの民主化なりあるいは人権の保障というものが進むということを強く期待していることは、国際社会全体、欧米とも共通するところでございます。しかしながら、それをいかなる手法によって実現していくかについては、いろいろ考えてみなくてはいけないということでございます。  私どもといたしましては、従来から、ミャンマーの現在のSLORC政権と、それからまたNLDと両方に話をするルートといいましょうか、チャンネルを維持しておりまして、そういうものを通じまして、それぞれの段階において必要な措置もとり、また先ほど申しました民主化の流れが進むように、粘り強く働きかけてきたところでございます。  最近におきましても、現政権によるNLDの集会に対する規制の強化がなされましたり、また、かなりの人数の者が拘束されたということもございましたけれども、そういったときには、現地の大使を通じてミャンマー政府にきちんと遺憾の意を表し、そして、そのような規制措置を解くように申し入れたところでございます。  そうしてまた、ASEAN加盟との関係でございますが、どのような国をASEANのメンバーとするかということは、これはASEANで決めることでございますので、そのこと自体にメンバー外から直接的な評価をしたり、コメントをするということがいいのか悪いのか、そういう点については、日本は米国とはいささか立場を異にするものでございます。  しかし、日本といたしましては、ミャンマーASEANに加盟したことによって、さあ、これでもう今までの自分たちのやり方がいいんだ、そのままでいいんだというふうに現政権が思い、そして民主化の流れが停滞するあるいは逆行するということがあってはならないということは考えております。それを総理は、これが隠れみのになってはいけないという言葉で表現されたのだと思います。  我々といたしましては、ミャンマーASEANに加盟することによって、ASEAN諸国とのいろいろな連携の深まり、それを通じて国内の民主化なり人権保障状況の改善にも、従来以上に努力をしなくてはいけないというような認識を持つようになることを期待しておりますし、そういったことを、ミャンマーに対してはもとよりでございますけれどもASEANの諸国に対しても折に触れて話はしてきております。私自身、ここ一月ぐらいの間に、ASEAN外務大臣、五人ぐらいいましたか、ベトナム、シンガポール、マレーシア、フィリピンというふうにお会いしておりますけれども、そういった機会等をとらえ、この問題についてもきちんと言っているところでございます。  それから、経済制裁の話もございましたけれども我が国の場合は、従来からミャンマーとの間の経済の交流というものは極めて控え目なものになっている、このように認識しております。御承知かと存じますけれども、直接投資につきましては、ミャンマーの現政権に対して非常に強い言葉で臨んでいる欧米の諸国がずっと上位の方におりまして、我が国は、実績で申しますと第九位でございます。たしか、英国が第一位、米国は第四位だったんじゃないかと思います。  いずれにしても、そういうふうに控え目でございますし、経済協力につきましても、草の根無償とかそういうものにつきましてはある程度は継続しておりますけれども、円借款等についても、かねてからの懸案もございますけれども、今、それは実行するかどうか、ずっと様子を見て検討を続 けているという状況でございますので、言葉とか法的な措置によってどうこうということはともかくとして、決して欧米諸国が求めているようなことと違う行動をしているわけじゃない。実質的にはむしろ日本の方が、いろいろな面で、ミャンマーが本当に、国際社会が、日本も含めて期待しているような方向へ向かうように、実効性のある働きかけをしていこうという努力をしているというふうに御理解賜りたいと思います。
  27. 島聡

    島委員 今、日本政府立場としてきちんとやっているという答弁でございましたので、改めて確認の意味でお聞きします。  アメリカの方は、特に手法が違うとおっしゃいましたので、それを確認の意味でお聞きしますが、アメリカは、政府高官の交流や援助の停止のほか、アメリカ企業の新規投資を禁止する、EUは、輸入品への低関税率を認める特恵待遇制度からミャンマーを外すというようなことをやっております。  このような、いわゆる人権抑圧に対する措置としての経済制裁など、欧米の主導する対ミャンマー政策というような手法は、日本はもうとらないというふうに考えてよろしゅうございますか。
  28. 池田行彦

    池田国務大臣 これからの情勢の変化も見ながら、その情勢の中で、一体どういうふうな手法が、我々が望んでいるような状況ミャンマーにもたらすために有効であるかを考えながら対応していくわけでございますから、将来に向かって、断定的にこの手法はとる、とらないということは申し上げない方が適切かと思います。
  29. 島聡

    島委員 ということでございますので、現在いわゆるとまっておりますODAの再開についての質問を申し上げます、将来の状況が変わればあり得るということでございますので。  現在いわゆるミャンマーへのODAの再開がとまっているわけでございますが、一体、この次ODAを再開するためにどのような条件が整えば再開に踏み切るのか、明確なラインを持っているのかということをお聞きしたいと思うわけであります。  例えば、九五年当時のODA再開では、アウン・サン・スー・チーさんを自宅軟禁から解放することを条件としていたということも、私聞いておる一わけでございますが、当のスー・チー氏が、解放後、ODA再開に反対の姿勢をとられた。これは、よくスー・チーさんに伝わっていなかったんじゃないかというような報道もあったわけでございます。  今回、ODA再開についてどのような条件が整えば再開に踏み切るのか、そのような明確なラインというものを今持っているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  30. 池田行彦

    池田国務大臣 いろいろな複雑な要素が絡み合って、あるいは合成されて動くミャンマー国内情勢でございましょう。また、ミャンマーと国際社会との関係でございましょう。そういった中で、特定の数限られた要素を、それを条件とみなして、それがどうなったら経済協力する、しないというふうな立場はとらないところでございます。  やはり、これからの情勢をよく見ながら、全体としてのミャンマーの政治状況なり社会の状況、とりわけその中の民主化の流れがどういうふうになるか、それに対する現政権の姿勢がどうなるか、あるいはNLD初め諸政治勢力がどういうふうになっているか、そういうこともよく見てまいります。そして、そういった中で我が国としての経済協力を進めるのがいいのかどうなのか、あるいは進めるとしてもどういうものが適切であるのか、よく判断してまいりたいと思います。  現在でも、草の根援助、草の根無償あるいはベーシック・ヒューマン・ニーズにかかわるような問題については、これは随時進めていくという基本方針で見ておるわけでございます。  同じ経済協力と申しましても、それがどういうふうな効果を持つか、一部の方々が言われるように、すべての経済協力が特定の政治勢力の基盤を強化するものだというふうな見方、余り問題を単純化し過ぎて割り切るということはいかがかと存ずる次第でございます。
  31. 島聡

    島委員 複雑な状況があるというのは国際政治では当然でございまして、その中で、最もすばらしい国、最も明快な国としての選択をしていくのが外交であるのは当然でございますので。ただ、現実に今我が国がこのように、大臣はきちんとやっているとおっしゃいますが、本当にそうかということなんでございます。  我が国ミャンマー政策につきまして、どのように欧米諸国の理解を得るつもりなのかについて一お尋ねしたいと思うわけでございます。  欧米では、ミャンマーに投資する企業をボイコットする市民運動が結構起きています。インターネットを見ますと、その中では非常にそのような主張の問題が多い。市民運動のみならず、このインターネットだけじゃなくて、アメリカの地方自治体でも同様の動きがあります。例えばカリフォルニア州サンフランシスコ市は、ミャンマー現政権との関係の深い企業の入札を拒否するという条例を施行する。その結果、一億四千万ドルの規模のサンフランシスコ空港連絡鉄道建設プロジェクトでも、日本企業が拒否企業の対象に上がったとされている。  これは、そちらはしっかりやっていると言われますけれども、現実に日本の企業、日本の経済活動というものに対してインパクトを与えている。これは事実であるわけです。幾らそちらがそうおっしゃっても、現実にそういうことが起きている。それならば、それを解消する、それをひとつ理解いただく活動が必要であると思うわけであります。今きちんとやっているとおっしゃったけれども、こういう事態が起きているということは何もやっていないのと同じことでありまして、この対応に対して欧米諸国の理解を得るためにどんな具体策を考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  32. 池田行彦

    池田国務大臣 今一つ例を挙げられましたけれども、そのほかにもいろいろな動きがあるのは我々も承知しております。例えば、米国のある州ではミャンマーに対して投資をしている企業あるいは経済関係を持っている企業に対して入札の面で配慮するとか、いろいろなことをやっておる。そういった行為に対しましては、我が方といたしましては、直ちに、それは不適切である、それはWTOその他の国際的ルールに違反するおそれもあるし、あるいは一国の国内法の域外適用という観点からいっても、それは問題があるのではないかということを指摘して、申し入れをきちんとしているところでございます。  それから、日本の対応、とっている姿勢が欧米に理解されているかどうかという話もございますけれども、私どもは、日本の考えが欧米の諸国にも理解されて、ミャンマーの事態を変化させるために国際社会全体として最も有効な方途が講ぜられるということを望んでいるわけでございまして、すべて欧米のとる手段が正しいんだという見方は、どうかおとりいただかないようにお願いしたいと思います。  例えば、経済制裁という措置につきましても、とめておるじゃないかと言われますけれども、先ほど申しましたように、欧米諸国からのミャンマーに対する直接投資がずっと上位を占めているわけでございますし、今回の経済措置といえども、新規の投資は認めないけれども、既に投資している企業がミャンマーにおける事業活動を拡大することまではとめていないといったようなこともあるわけでございます。  何よりも、先ほども申しましたように、日本は現政権に対してもいろいろ話をするルートを持ち、現実にそういったことを通じて、我々が期待する民主化の進展なり、あるいは人権保障状況の改善なりについて物申しているわけでございます。  それで、きちんとした態度をとると評価されます欧米の諸国は、それはいろいろ経済制裁措置その他、それも先ほど申しましたように、いわば抜け穴もあるものでございますが、そういった措置 はとるかもしれないけれども、それでは具体的にミャンマー政府に対してどういう働きができるのか、また、しているのか、こういったことも総合的にごらんいただきたいと思います。
  33. 島聡

    島委員 決して欧米がすべていいと言っているわけではございませんで、日本の国益の観点から、私は今の対応が国益を損ねているからと思って質問しているわけでございますので、そこは御理解いただきたいと思います。  ビルマ独立に日本は関与しております。ミャンマーの安定に関して非常に歴史的な責務があると私は思っておりますので、今後も積極的な外交努力を期待いたしまして、次の質問に移りたいと思っております。  アフガニスタンの和平への日本の対応があったわけでございますが、報道によりますと、九六年の十月だと思いますが、日本が提唱しました、ラバニ前大統領派、ドスタム将軍派、ハリリ派の三派代表を東京に招いてアフガン和平会議の仲介をする、これは非常によかったことではないかと思っておりますし、日本が世界各地で前向きの役割を果たしているあらわれ、アメリカも真剣に検討するとバーンズ報道官も昨年の十月十七日に述べたというようなことがあったということでございます。これについては、極めていい報道だと私は思うわけでございます。ところが、報道によりますと、先月からこれまで、アフガニスタンの国土の三分の二を制圧したのがイスラム原理主義勢力、タリバンだということでございます。反タリバン連合は事実上崩壊して、アフガニスタン全土をタリバン派が掌握する可能性が高まったと伝えられております。  そこで、今、日本政府にお聞きするわけでございますが、パキスタンとサウジアラビアはタリバンの政権を承認したという報道がございました。日本政府としましては、このような状況に対してどのようなお考えで臨まれるのか、まずお聞きしたいと思います。
  34. 池田行彦

    池田国務大臣 今委員も御指摘になりましたように、我が国といたしましても、アフガニスタンにおける今の内戦状態が早期に終えんして国民的な和解が実現することを強く期待しておりまして、国連の努力を支えながら、これまでも日本としての役割を果たしてきたところでございます。  しかしながら、現状を見ますと、まだ残念ながら我々が期待するような状況を実現しておりませんし、それからまた、幾つかの国が、ある勢力のつくっている政府を承認しているというのは承知しておりますけれども日本としては、まだそういうふうな状況がアフガニスタンの中にできているとは見ていないところでございます。
  35. 島聡

    島委員 アフガン和平会議の仲介ということで日本が積極的にしておった地域でございますので、いろいろな情勢を掌握していらっしゃると思いますのでちょっとお尋ねするわけでございます。  アフガンの国家統一を難しくしているのは複雑な民族構成、各派に対する他国からの武器や資金の支援があるというふうに伝えられておりますが、これも報道ですが、タリバン支持派はパキスタン、サウジからそのような供与があると報道されております。このような外国からの支援が内戦終結の阻害要因となるわけでございますが、外務省は各国からの武器、資金の支援というものに対して、今どういうような状況であるかということをつかんでおられるかをお聞きいたします。
  36. 登誠一郎

    ○登政府委員 このアフガンの各派に対しての諸外国からの武器支援につきましては、いろいろな情報報道されていることは私どもよく知っております。  例えば、タリバーンに対してはパキスタンからの支援、さらには、それ以外の反タリバーンの各派に対してはロシアあるいはウズベキスタン、さらにはイランなどからの支援があるという報道がございまして、私どもはこういう報道も参考にしつつ関係諸国、このアフガン和平に深く関与しております近隣諸国、さらには西欧諸国、さらには国連等との意見交換情報交換をしております。おおむねその報道に伝えられているようなことが――そういう報道を肯定する情報もございます。  今後とも政府といたしましても、これら諸国との情報交換を重ねていきたいと思っております。先ほど大臣からの答弁にもございましたとおり、今必要なのは国連を中心とした和平努力でございまして、我が国としてもそれを補完する形で種々努力をしていきたいと思っておりますが、その一環として、関係諸国に対して、諸外国からのアフガンへの介入ということがこのアフガン問題の平和的な解決の阻害であるということははっきりいたしておりますので、アフガンの内戦に介入しないで停戦及び和平を進めるということが現在極めて大事であるということを関係各国に話をしておる、そういう状況でございます。
  37. 島聡

    島委員 与党席、だれもいません。
  38. 牧野隆守

    牧野委員長代理 今、間もなく来ますから、ちょっと……。
  39. 島聡

    島委員 与党席、全くだれもいないようですので、お待ちします。
  40. 牧野隆守

    牧野委員長代理 ちょっと待ってください。     〔牧野委員長代理退席、委員長着席〕
  41. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長 島聡君。
  42. 島聡

    島委員 今、与党席、どなたもいなかったので水入りになったものですから、若干緊張が、リズムが狂ってしまいますが、今お話伺いましたけれども、今まで日本がこのアフガニスタン和平に関して努力をされてきた。ところが、どうもいろいろな情勢分析が違っていたのかどうかわかりませんが、タリバン派がこのような状況になってしまった。今後、このアフガン和平会議の継続はどのようにされるおつもりなのか、見通しはあるのか、それについて外務省にお聞きしたいと思います。
  43. 登誠一郎

    ○登政府委員 先ほどの委員の御質問で、先月の下旬におきますタリバーン派の攻勢で、タリバーン派が、アフガンの北部地域も含めて国土の大部分を制圧したということでございましたけれども、それは、まさにその時点ではそのとおりでございました。  しかし、その後の展開といたしまして、タリバーンが北部アフガン全土を席巻するのに非常に貢献をしましたドストム派内の内部分裂、これによりまして、マリク将軍の一派がタリバーンとともに戦ってドストム将軍を遣い出したわけでございますが、その後、マリク将軍が逆に今度はタリバーンに銃を構えるということが行われました。  その結果、反タリバーン派の勢いが増しまして、現在の時点では、アフガニスタンの首都のカブールの北部でございますが、サラン峠というところ、ここは大変な要衝でございますけれども、そこの攻略戦をめぐってタリバーン派と反タリバーン派、その中でも中心のマスード将軍の間で大変な激戦が行われておるという状況でございまして、この時点では、一週間前に比べまして、かなりタリバーンが押し込まれてきているという状況だと思います。この点から見ましても、今後、この戦火、軍事情勢がどう展開するのか、これはなかなか予断を許さないものでございます。  こういう状況におきまして、日本政府といたしましても、引き続きこの和平を呼びかけていくということが大変に重要であるという認識に基づきまして、国連のホル特使の行っております和平工作を支援いたしております。現在、現地の情勢は、雪解けで戦車なども動かしやすい、戦争がしやすい状況になりましたので、多少でも軍事情勢が有利な方はなかなか和平に耳を傾けないという非常に厳しい状況でございますけれども、引き続き、国連を補完して、粘り強く和平の努力を続けていきたいというふうに考えております。
  44. 島聡

    島委員 非常にこの問題、日本は政治的にも中立であると言われております。紛争の解決に向けて積極的な行動をとれる数少ない機会だと存じておりますので、平和創造のためにこれからも積極的にしていっていただきたいと思っておる次第でございます。  最後に、日本アメリカにオーストラリアを加 えました日米豪の間の防衛協力関係についてお尋ねをしたいと思います。  現在、日米間では、日米防衛ガイドラインを通じまして、バイラテラルな防衛関係について、より具体的な協力関係の構築を進めております。それと同時に、日本とオーストラリアの間でも、ことし四月の日本・オーストラリア首脳会談では、日豪間の防衛協力の実績を積み重ねることが合意されたというふうに伝えられております。  実際、オーストラリアの国防白書を見ますと、オーストラリアの防衛ラインの北限といいますのは、台湾とフィリピンの中間領域まで考えておるようでございます。こういった観点から考えますと、日、米、オーストラリアのトライラテラルな防衛協力は非常に、極めて必要だと考えるわけでございます。特に、今後、シーレーン防衛等に関連しましても、オーストラリアとの協力関係をどのように進めるつもりかということは重要な問題になると思いますので、その観点から質問を申し上げます。  まず最初でございますが、平成八年七月の防衛庁の「日本の防衛」、いわゆる防衛白書でございますが、昨年二月から、日本・オーストラリアのポリティコ・ミリタリー協議が開始されているとされております。現在まで二回の協議が実施されたと聞いていますが、この協議状況、目的、今後日指している具体的な成果を防衛庁にお尋ねしたいと思います。
  45. 土屋龍司

    ○土屋説明員 先生御指摘のように、昨年から外務省、防衛庁、オーストラリア側は外務省、国防省になりますが、この事務レベルの、いわゆるポリティコ・ミリタリー協議と言っておるのですが、これが行われております。ついせんだって、五月の上旬に第二回目をオーストラリアで行ったところでありますが、その協議の話の中身というのは、自由な意見交換ということではございますけれども、やはり双方の関心事は、地域の安全保障情勢とかお互いの防衛政策、そういったものを中心に行っております。  現段階ではまだ、こういった自由な意見交換、それから、これまでに積み上げております艦艇の相互訪問、もしくは留学生の交換、こういった防衛交流を踏まえまして、今後さらに交流を深めていく観点で、いろいろな協議を行ってまいりたいと思っております。
  46. 島聡

    島委員 今、まだそういう自由な意見交換であるという状況だそうでございますけれども日本周辺で今後考えられます、例えば台湾海峡の問題、それから南沙諸島の問題とか、先ほど申し上げました台湾、フィリピンまでオーストラリアが考えているということになりますと、非常に重要な問題になると思うわけです。  とりわけ、ANZUS同盟が強化されまして、アメリカとオーストラリアは非常に近い関係を持ってきている、強い関係を持っている、ここに日本がどのように絡んでいくのか、アジア太平洋地域、特にシーレーン防衛を見据えまして、日、米、オーストラリア三国間の協力関係としてトライラテラルな視点、そしてその具体的な展望が今後必要だと私は考えるわけでございますが、今後どのような具体的な展望があるかどうかお聞かせ願いたいと思います。外務省、お願いします。
  47. 池田行彦

    池田国務大臣 豪州もそして我が国も、このアジア太平洋地域の安定に共通の関心を持っておりますし、また、この地域の安定のためには米国、米軍のプレゼンスというものが重要であるという認識も共通でございます。そういったこともございますし、先ほど防衛庁から御答弁しましたように、日豪間におきましてもポリティコ・ミリタリーの対話というものを、これは外務省、防衛庁の局長クラス、そしてまた制服組も入り、その対話も二回にわたり行ったわけでございます。また、そのほかにも、例えばASEAN地域フォーラム等におきましても、この地域の信頼醸成なり地域協力の方途についていろいろ対話を進めております。そういった中でも、オーストラリアともいろいろ対話を深めたり、あるいは協調したりしていこうとしている次第でございます。  しかしながら、今委員が御指摘になりましたように、シーレーンその他も念頭に置きながら、日米豪という三国、三つの国の間で何らかの対話、信頼醸成とか対話といったような段階を超えたより強い関係を築くかどうかということになりますと、これはまだ今の段階でそういったことを検討するような情勢ではないと考える次第でございます。とりわけ、お互いに何らかの権利義務の関係で縛られるような三国関係ということはいかがかなと思います。それぞれが、日米間、豪は米豪間に、かたいきずなを持っていることを前提にしながら、いろいろ対話を深めていくということなのかなと考えている次第でございます。
  48. 島聡

    島委員 大臣がよく、外交というのは総合的、多様に考えるべきだとおっしゃいますので、ぜひとも日本は、アメリカだけでなくてオーストラリアも含めた中で日本安全保障というものを今後とも御検討いただきたいということをお願いしまして、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  49. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長 次に、青木宏之君。
  50. 青木宏之

    ○青木委員 青木宏之です。  幾つかお尋ねしたいと思いますが、初めに、このたび天皇陛下がブラジルを訪問されまして、議会でお言葉を述べられましたけれども、これは今までなかったことでございますので、そのあたり、政府外務省当局の何かお考えがあられるのかどうか、これについての御説明をお聞かせいただければと思います。
  51. 池田行彦

    池田国務大臣 今委員指摘の点は、今回、国賓として天皇、皇后両陛下がブラジル、アルゼンチン両国を御訪問でございますが、ブラジルにおきまして議会を訪問なさるという点についてのお尋ねかと存じます。  これは、私が理解しておりますところでは、ブラジルにおきまして、主要国から元首あるいは君主が国賓としてお見えになった、そういった場合には、ブラジリアにおいて大統領府それから議会、そして最高裁判所、この三カ所をお訪ねになるというのが恒例になっているということでございまして、そういったいわばブラジル国の慣例があるということを踏まえて、今回、陛下も大統領府、最高裁判所とともにブラジルの議会をお訪ねになったというふうに承知している次第でございます。
  52. 青木宏之

    ○青木委員 当然といえば当然かもしれませんけれども、これはその国を代表する皆さんのお集まりになるところでありますから、ぜひ今後とも積極的にこのような機会ができることが望ましいと思います。  次に、前回もお尋ねしたわけでありますが、それから日にちがたっておりますし、最後のホームストレッチに差しかかっております二〇〇五年国際博覧会の件につきまして、再びちょっとお尋ねをさせていただきたいと思います。  前回お尋ねをさせていただきましたときには、大臣から選挙に例えられまして、実際、選挙ですけれども、非常に浸透しておるとか、かなり有望な見通しというような御発言をいただいたと思いますけれども、それから日にちもたっておりますし、もういよいよ八日後でございますので、現時点におきましての状況等をお聞かせいただきたいと思うのであります。  まず初めに、選挙ですので、この間もちょっと触れましたが、いずれにしても有権者、投票国が問題でありますが、仄聞するところによりますと、これがいまだに定かではないということです。といいますのは、カナダも我が国もでありますけれども、どんどん新規加盟を促しておりまして、これがどの程度の数になってくるのか。何か当初の予想を超えまして六十カ国を超えるというような話も聞いておるわけでありますが、そのあたりの見通しをまずお聞かせいただきたいと思います。
  53. 野上義二

    ○野上政府委員 前回、四月十八日だったと思いますけれども、先生に御質問いただいた時点からの変化と申しますと、まず第一に、豪州が正式に立候補を辞退いたしましたので、現時点ではカナダのカルガリーと愛知県との一騎打ちということ でございます。これがまず第一点でございます。  第二点、今先生御照会の新規加盟国の問題でございますが、御承知のように当初のBIEの参加国は四十七カ国であったわけでございますが、その後、最近に至りましてメキシコが復帰いたしましたり十カ国程度が新たに参加して、現在では、私どもが正式にBIEの事務局に問い合わせて、手続がとられたものとしては五十七カ国程度、それ以外に、BIEの方にいろいろな照会が来たり、必ずしも要件を満たしていないけれども、何らかの形で参加の意図表明があったところが幾つかございますので、そういった意味で、選挙までの間にあと数カ国程度加盟国がふえるという可能性はございます。
  54. 青木宏之

    ○青木委員 当初の四十七カ国から現時点でも十カ国増、さらに数カ国ということでありますが、この新規加盟の中で日本側からの働きかけとカナダ側からの働きかけの内訳はどんなものでしょうか。
  55. 野上義二

    ○野上政府委員 BIEへの参加、加盟というのは、基本的には各国の独自の判断で行われているというのが基本的な立場でございますけれども、もちろん我が方も、できればこういった国に入ってほしいなというところに対してはいろいろな声をかけております。特にアジアを中心として、参加を慫慂したケースはございます。  カナダにつきましては、カナダとの関係が深いカリブ海の諸島、諸国、それから一部の中米等についてもいろいろな慫慂があったということは理解しておりますけれども、必ずしもこのうちのどこがすべて参加の手続を下したかということがまだ定かでございませんので、例えば全然関係ない北アフリカの国なんかも新たに参加しておりますので、そういった意味でちょっと色分けというのは難しいかと思います。
  56. 青木宏之

    ○青木委員 色分けが難しいというお答えですけれども日本側からの働きかけは何カ国になるか、お答えいただけますか。
  57. 野上義二

    ○野上政府委員 日本から具体的に何カ国に対してどういった働きかけをしたという形では、必ずしも我々認識していないわけでございますけれども、アジアの大きな国でBIEに入っていない国とか、今後の愛知の万博にいろいろ参加してもらいたいような国に対しては、まずBIEに入って、それから愛知万博への参加を慫慂するというような形でやってきております。  具体的な数という形ではちょっと難しいかと思います。これは政府のレベルでお話をしたものもありますし、愛知の方でいろいろそういった参加を慫慂されているケースもあるかと存じておりますので、具体的な数ということではちょっと差し控えさせていただきたいと思います。  いずれにしましても、まだいろいろな国が入るであろうという話がBIEの事務局等を通じて来ておりますけれども、新たに加わったものとしては、先ほど申し上げたように、四十七カ国以外では十カ国程度でございます。
  58. 青木宏之

    ○青木委員 これは、手続上確定するのはいつの何時になりますか。
  59. 野上義二

    ○野上政府委員 BIEの方の規則がそういう意味では割合と簡単にできておりまして、総会の前までにということでございます。したがいまして、十二日までにということであると理解しております。
  60. 青木宏之

    ○青木委員 国主催のレセプションが、日本は十一日の夜、カナダは十二日の総会直前の昼ということで一部報道されておりますけれども、このあたりの感じは、我が国政府としてはどのように感じてみえるか、考えてみえるか、それについて。
  61. 野上義二

    ○野上政府委員 十一日の夜に我が方政府代表団の主催でレセプションをやりますけれども、そのときまでに参加をしておられる国については当然のことながら御招待することになると思います。  今伝えられておりますいろいろな、特にカリブ海の諸島でございますけれども、現地に大使館がないとかフランスに大使館がないとか、それから、いろいろな単なるファクスがBIEの事務局に流れてきたとか、そういうような形でございますので、実際のところ、十一日にふたをあけてどのくらいの国がそういった代表の形で本当に参加されるかもう一つわからないという点がございます。非常に小さなカリブ海の国も幾つかうわさされておりますので、そういった国々がどういった形で参画するのか、これはちょっと私どもとしては現時点では把握しかねているところでございます。
  62. 青木宏之

    ○青木委員 先ほどのお答えで締め切りが総会の前までということであれば、村有権者ということであれば、総会直前にレセプションを開催した方が有利だという感じもなきにしもあらずですが、その有利、不利という感じはいかがですか。
  63. 野上義二

    ○野上政府委員 先ほどBIE総会、十二日以前にということを申し上げて、これは常識的に考えれば十一日に来ておられるということであろうと思います。投票の日になって、参加した直前にあらわれるということで、これをもって加盟したというかどうかというのは若干疑問のあるところでございますが、この辺は今BIEの方も、それから実際にBIEとこれを共催しておりますフランスも相当いろいろ話し合っているようでございます。  若干変則的な面がございますので、BIE側としてもどこをもって加盟国とするかというような点についてはかなり議論しておるようでございます。それから、一部の国でございますが、参加したという意図表明をしておりますけれども、BIEとしては手続等について不備があり、向こうはそういうファクスを投げてきたけれども、BIEとしては参加をしたとは認めないというような国も出てきているような様子でございます。  そういった意味で、十一日の夜が有利であるか、十二日の昼が有利であるかという点では、やはりしっかり十一日の夜にきちっとしたレセプションをやるということの方が、我々としてはオーソドックスであるというふうに考えて、そういったスケジュールを組んだわけでございます。
  64. 青木宏之

    ○青木委員 そこでちょっとお尋ねしますが、日本と開催国のモナコとは国交がありますか。
  65. 野上義二

    ○野上政府委員 私、経済の方のあれで、専門ではございませんけれども、モナコの外交というのは基本的にフランスが代行しているというふうに理解しておりますので、日本とモナコの間の外交関係というのはないということになっております。
  66. 青木宏之

    ○青木委員 そうすると、日本は、大使館も領事館も、いわゆる在外公館はモナコにはないということですね。
  67. 野上義二

    ○野上政府委員 フランス大使が兼轄しているということでございます。
  68. 青木宏之

    ○青木委員 カナダはいかがでしょうか。
  69. 野上義二

    ○野上政府委員 基本的には我が国と同様であると思いますが、今調査しておりますけれども、カナダにおいてモナコが一部の領事事務を何か独立てやっているというような話も伺っております。
  70. 青木宏之

    ○青木委員 私、きょうはびっくりしたのですが、こんなものなのですかね。実は、カナダとモナコの関係についてきょうの朝外務省にお尋ねしたのですが、いまだに正式に返事が来ない。今の答弁でもはっきりしない。こういう状態でしょうか、日本外務省というのは。今はっきりできますか、できませんか。
  71. 野上義二

    ○野上政府委員 モナコがカナダでどういった業務を行っているかについてけさ先生からの御照会を受けて、今照会しておりますけれども、先ほど申し上げたように、領事事務の一部等は行われているということなのですが、それにつきましてもカナダ側も正式に必ずしも十分把握していないようでございまして、我々としても、例えば名誉領事とかそういったような形でやっているのか、ちょっとまだ今調べているところでございます。
  72. 青木宏之

    ○青木委員 私は、実はこんなことをいろいろお聞きするのは、先般大臣から非常にいい情報をお聞きしたものですから、非常に気分をよくしておりまして、しかし、ここへ至りまして、もろもろ我々の耳に入ってくる状況は、非常に厳しいという情報ばかりが入ってくるわけでして、一応主務省は通産省でありますから、通産省から総理に報 告があったのではないでしょうか。
  73. 野上義二

    ○野上政府委員 昨日、通産省の事務次官と私が総理のところに伺いまして、現状の報告はさせていただきました。
  74. 青木宏之

    ○青木委員 どういう御報告をされましたか。
  75. 野上義二

    ○野上政府委員 現在のところ、既に加盟している従来の四十七カ国については我が方は相当の善戦をしておりますけれども、今後新規加盟国の動向がどうなるかによっては、かなりの接戦となり得るということを申し上げました。
  76. 青木宏之

    ○青木委員 ということは、総合して予断を許さない、厳しいという言葉に表現されると思いますが、そうしますと、四十七カ国について、先般の大臣の御答弁だったのか知りませんが、いずれにしても非常に予断を許さない厳しい現時点での状況だ。  そこで、我々の選挙でもそうですけれども、とにかく投票日までの最後の段階、そして投票箱のふたが閉まるまでという我々の言葉がありますけれども、これは選挙ですし、また御案内のとおり、国がオーケーと言っても実際に投票する人が果たして国の指示どおり投票するかどうか、これは一〇〇%そのようになるという保証はない。無記名ですから入れてしまえばわからないということからすると、やはり現地での本人をつかまえての、投票者本人との接触が最後のぎりぎりの段階での詰めになってくると思うのであります。  当然、その辺はお考えをいただいて対応はなされていくであろうと期待をしておりますけれども、その総会ぎりぎりまで、投票ぎりぎりまでの政府、きょうは外務委員会ですから外務省、この方針といいますか、いま一度お考えをお聞かせいただければと思います。
  77. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど来委員政府委員との間でいろいろ状況についてのお話があったとおりでございます。  なお、十二日の投票日までまだ時間がございますので、これからしっかりしなくてはいけないというのか、あるいは気を抜いてはいけないというのか、いろいろございますけれども、いかなる選挙もそうでございますけれども最後最後まで日本として尽くせる手を尽くし、そして目的を達成したい、こういう気構えでいるところでございます。
  78. 青木宏之

    ○青木委員 とにかく最後の努力をお願いしたいと思います。  これはずっと、私も地元のことでもありますし、関心を持ち、私自身もできる範囲でいろいろ努力をしてきたつもりでありますが、名古屋でオリンピックも失敗したわけでありますけれども、今回は、立候補は地方自治体ではなくして国であるはずですね。にもかかわらず、もちろん準備段階等は地元が中心にということはわかるのでありますけれども、正式に国が決定して進み出した以上は、もっとやはり国が最前線に出て、そして最大の努力を国がする、そういう姿が国民の目に見えるということが大事なのではないかと思うのであります。私の個人的な印象かもしれませんが、ややそういうところに欠ける感じが印象的にするわけであります。  これは具体的に俗っぽい話をしますと、わかりませんけれども、もし誘致が失敗をすれば地元の知事の首が飛ぶということは、ちまたでよく言われておるわけでありますね。しかし、そのほかに例えば、主務大臣の通産大臣の首が飛ぶとか総理の首が飛ぶとか、もちろんそんな大げさなことではないかもしれません、国政の一部ですから。ないかもしれませんが、そういうような責任ということは全然触れられない。ただひとり地元の知事が云々されるということは、これは国が立候補している以上、まあ人のうわさと言ってしまえばそれまででありますけれども、裏返していえば、やはりそこに国の姿がもうひとつ前面に出ていないということではなかろうかと思います。  途中から、いろいろと通産あるいは外務等々、御努力をいただいているという点については、私も確かに、だんだんあちらこちらで見聞きするようにはなってきました。まだ日にちがあるわけでありますから、厳しい現状認識のもとに、絶対にこれは引かない、負けないという、選挙ですから勝たなければいかぬということでありますので、ぜひひとつ最大の御努力を、最善の御努力を御期待したいということを申し上げて、次に移りたいと思います。  時間が大分これでとられてしまいました、たくさんあったわけですけれども。  先ほども少し出ました件でありますが、先日、私も取り上げました北鮮の問題であります。一に食糧支援ということにかかわってきます、この間も私が申し上げたわけでありますが。  その前に一つお尋ねをしておきたいことは、北朝鮮の食糧事情というものがここに至っていろいろなことが言われておる。例えば国際赤十字の方では、援助対象者を相当、七十万人ですかに拡大する計画ということでありますし、一方、アメリカからの発言とか中国からの発言によりますと、それほどのことはないとかいうものが、ここへ来て出ております。したがって、いま一度、我が国としては北朝鮮の食糧事情をどの程度とお考えになってみえるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  79. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 北朝鮮の食糧事情をめぐっては、委員がただいま御指摘になられましたようないろいろな報道もあるということを承知いたしております。  ですが、北朝鮮はこれまでも、食糧、エネルギーの不足といったようなもろもろの困難を抱えている状況にあるということは変わっていないのだろうと思います。したがいまして、その動向については細心の注意を引き続き払っていく必要があるという見方が一般的であろうと思います。  日本韓国と米国、この三国は、北朝鮮の情勢に関して引き続き緊密に意見と情報交換を行っておりまして、食糧事情を含む北朝鮮情勢については今後とも一層注視する必要があるということで、その点、意見の一致が引き続き見られておるわけでございます。  北朝鮮の食糧事情については、最近、この時点での米高官の発言と伝えられるものやら韓国政府高官の発言やら中国のスポークスマンの発言やら、いろいろあって、短期的な局面からすれば、もともと言われているよりは多少余裕があるのではないかというようなことも報ぜられている次第ではございますけれども、自然災害ということ以前に、やはり構造的要因を抱える北朝鮮の食糧事情ということで、国際機関なんかにおいてもいろいろ報告がなされているわけでございます。  とにかく私どもとしては、極めて大きな困難は基本的にはあるという前提のもとに、事態を注視してまいりたいと思っております。
  80. 青木宏之

    ○青木委員 前に国連あるいは食糧計画等々から支援要請我が国にも来ておったわけでありますが、最近、我が国の判断としては、相当困難な状況にあるとの判断から、今アメリカや中国あたりから出ているような、それほどでもないというような判断に若干変わっているのか、あるいは変わっていないのか。日本政府としては、食糧危機の状況はずっと同じ判断をしているかどうかということについてはいかがでしょうか、変化があるかどうか。
  81. 池田行彦

    池田国務大臣 北朝鮮の食糧事情につきましては、ほかの面でもそうでございますが、何しろ情報の非常に入りにくいところでございますので、きちんとした計数的なものはどこの国あるいはどこの国際機関でも持っているというわけではないということが一つ、前提にございます。  そういった中でいろいろな見方があったわけでございますが、基本的に申しまして、日本の見方というのが一番ぶれが少なかった部類の一つである、こう考えております。
  82. 青木宏之

    ○青木委員 もう一つお尋ねをしますが、今の北鮮の状況国内状況、政治支配状況、それからいわゆる戦争を起こすような機運、能力、意欲、そのあたりはいかが認識をされてみえるか、お尋ねをしたいと思います。
  83. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 北朝鮮におきましては、引 き続き金正日書記がいわば国務を総括しているという状況に変化がないという見方は一般的であろうと思います。  そして、経済の状況でありますとかあるいは軍の動向でありますとか、それから軍事的な体制でございますとか、そういったものの動向についていろいろな情報が、いわば乱れ飛んでいるということも事実でございます。  客観的な側面からまいりますと、このような経済状況にもかかわらず、百万を超える地上軍、その三分の二以上を軍事境界線沿いに展開して、これを支援する航空勢力もそこに置いている。国民総生産の二五%から三〇%に当たる軍事費というものを引き続き維持しているというような意味での資源配分がそこに行われているということも事実でございます。  そして、先ほど申し上げましたとおり、そういう体制の上で、食糧の問題ですとかエネルギーの問題とかについては、単に偶然の要素、一回性の要素によるものではなく、構造的な意味での困難を抱えた国であるということは事実であろうと思いますので、私どもとしては、予断をするということなく、日韓米での情報、意見交換を含めて、関係国との接触をも密にしながら、情勢を注意深く見守っていかなければならない、こういうふうに考えております。
  84. 青木宏之

    ○青木委員 そこで、国内状況が、支配体制がしっかりしていて、そして食糧、エネルギー危機が同時に存在するということは、一つには、戦争という手段に訴えて一か八か外へ出るという可能性があるというふうにそれを認識していいかどうか。  一方は、いわゆる暴力的に統治をする能力はきちっとしているけれども、食糧危機、エネルギー危機からすると、あるいは経済破綻からすると、この支配が瓦解する。両面あると思うのですが、そのあたりの危険の度合いとか、あるいは政府としてどちらを予想するか。その辺は現時点でどうお考えになってみえるか、お聞かせいただければと思います。
  85. 池田行彦

    池田国務大臣 どのような体制であっても、よほどのことがない限りは他国との戦闘状態は避けたいと考えるのは当然の話でございます。そしてまた、国内の統治も継続したいということを考えるのは当然だと思います。  しかしながら、非常にいろいろな面で急迫した状態、追い込まれた状態になったときに、通常の合理的な思考からは出てこないような行動に出たり、あるいは意図せざるにもかかわらず非常に混乱した状況、事態に陥る、こういうことは歴史の上ではあったわけでございますので、そういったことも考えながら、もちろん当事国自体、そして当事者自体も考えるでございましょうし、またその地域、その国の動向に大きな関心を持たざるを得ない国際社会としても、そういった非常に好ましからざる事態が起きないようにいろいろ配慮しながら対応をしていくべきこと、こういうことかと思います。
  86. 青木宏之

    ○青木委員 先般のお尋ねの機会のときに、この食糧、エネルギー危機からいわゆる瓦解をする可能性がある、戦争よりも瓦解をする心配があるということを私は申し上げたと思うのであります。そのときに大臣は、見解を異にすると御答弁されたと思います。私と見解を異にする。ということは、瓦解よりも戦争の危険性が高い。瓦解よりもですよ、比較の問題として。瓦解はそれほど心配じゃないというふうに考えていいのか。そのあたりはいかがでしょう。
  87. 池田行彦

    池田国務大臣 私が事態という言葉を使いましたのは、外に向かってのいろいろな状況が変わってくるということもそれはあり得ましょうが、内部における状況がいろいろ変わる、そういったことも念頭に置きながら事態という言い方をしたつもりでございます。  しかし、一般的に今申しますと、先ほど政府委員からも御答弁申し上げましたけれども、経済的には大変厳しい状況にはございますけれども、しかし、政治的にと申しましょうか、国民を掌握し、それを統治するという観点から申しますと、現在の体制、極めて早い時期に今おっしゃるような内部的に瓦解する、崩壊するという兆候を示しておるとは見られないんじゃないかと思う次第でございます。
  88. 青木宏之

    ○青木委員 それではお尋ねしますが、我が国としては、北朝鮮が核武装をしているとお考えか、していないとお考えか。お聞かせをいただきたいと思います。
  89. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 委員指摘の点については、いろいろな報道、また情報があるということでございますが、政府として把握しております情報を精査いたしますと、北朝鮮の核の能力については、これが確かなことであると言えるような確たる情報というものがないというのが現実であろうと思います。  そういう状況にあるものでございますから、先ほどの御質問とも関連いたしますが、北がたまたま米国との関係ということの維持に非常に重点を置いて国策を進めているということがあり、その一つの結果としてKEDOの合意というものがある。そして、このKEDOというものが、現在この世の中にある限りにおいては、北のあり得べき核開発というものを一番ぎりぎりのところまで抑え込む具体的な方途であるということで、例えば、日本も軽水炉との関係意味のある貢献を行う用意があるという態度をとってきているところでございます。日米韓それぞれの政府を通じてそのような基本的な認識はあるのではないかと思います。
  90. 青木宏之

    ○青木委員 それでは、ノドンは射程距離からすると大体、周辺を見たところ、いわゆる矛先は我が国としか考えられないわけですが、それはいかがお考えでしょうか。
  91. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 御指摘になられましたノドン、それからまた時々質問に出されることがあります核及び化学兵器の能力、こういったことが北朝鮮についてはいろいろ言われるわけでございます。私どもも、ミサイルの長射程化ということはこの地域に不安定性をもたらす大きな要因であるという認識のもとに、事態の推移を注意深く見守り、また、できるだけの情報を入手するように努めているわけでございまして、その観点から、米国などを含む友好国、関係国との間に緊密な連絡をとってきているところでございます。しかし、現在この時点において、ノドンというものはかくかくしかじかの性能で、かくかくしかじかの展開をされているとかなんとかということを明確に申し上げられるような段階ではないように思います。
  92. 青木宏之

    ○青木委員 そこで、もとへ戻りますが、食糧支援の問題でありますけれども日本は前に災害で緊急支援、さっと、あっという間に決定をされてなされた。しかし、今回はなかなか、国際機関やらアメリカ等からの要請にもまだ応じられない。その理由として、余り時間がありませんのでこれは私の方から言いますが、理由として、先ほど来の拉致事件あるいは日本人妻の問題等々、人道問題があり、食糧支援も人道問題、こちらの人道問題にこたえてくれない、だから食糧支援には応じられないという政府のお考えと理解していいのかどうかということ。  それから、前回は確かに自然災害があったわけで、それについてあっという間に支援を決めて実行された。そのときと今回と、どう整合性を持って考えたらいいのかという点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  93. 池田行彦

    池田国務大臣 まず、食糧支援になかなか踏み切らない理由はこれこれかとお挙げになりましたけれども、私ども直接にリークしているわけじゃないということは、私はいろいろな機会に申し上げてきたところでございます。  しかしながら、人道的な観点から支援をしろと言われましても、一方において、今挙げられましたような人道にかかわる問題が未解決のままあるということになると、日本国民としてなかなか簡単に割り切れない、釈然としないものがあるというのは事実であろう。したがって、そういうと ころに変化がもたらされるような北側の姿勢が出てくるならば、いわばそういった食糧支援の問題についても検討を進める、あるいは決定をする環境がよくなろうというぐらいの感じでございます。直接条件だとかリンクだというたぐいのものじゃございません。  それから、去年までの支援との整合性という点でございますけれども、これはやはりこれまでも、そのときそのときのいろいろな事情を勘案して判断してきたわけでございます。やはり最初は、ああいった天候異変に伴う大水害があった、そうして緊急な、しかも一時的な災害である、食糧不足である、こういうふうな要素が大きく前面に出ていたと思うのでございます。そういうことで、人道的な観点からの緊急な支援だということで踏み切ったわけでございましょうけれども、それが二回、三回と続いてまいりますと、これは本当に一過性の緊急なものなのかどうなのか、むしろ構造的な要素が大きいんじゃないか、そうなると、そちらの方も考慮せざるを得ないという要素も出てまいるのだと思います。  もとより、今出されているアピールが人道的な観点のアピールであっても、それだけで済むものでもないだろう、食糧問題というのはもう少し構造的な問題としてとらえなくてはいかぬということになるならば、そちらの方がどうかということも念頭に置きながら、人道的な問題、支援にも対応しなくてはいかぬという点もある、そういう違いはあろうかと思います。  それからさらに、先ほど挙げられました要素からして、我が国国民の世論の中に、やはり食糧支援問題について見る目も変わってきている、その辺をどうするかということも、どう考えるかということも必要であろうということでございます。
  94. 青木宏之

    ○青木委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、この拉致事件等は昭和五十二年からのことのようで、五十二年、五十三年、そのころが頻発しておるようですが、それから国会でも六十三年あるいは平成元年等々、前々から取り上げられておるケースで、当然我が国政府は承知をしておることであります。  にもかかわらず、いかに自然災害とはいえ、いかに緊急性があるとはいえ、あのときはほとんど議論なしにさっと決定をされた、今回は国連機関あるいはアメリカ等々から強い要請があるにもかかわらず、いまだにこれに応じない、その辺には、ちょっと御説明、お話がありましたけれども、少し整合性に欠けるという印象を持っております。  私は、いろいろありましょうが、これは先般も申し上げましたように、もう素直に人道援助ということで、まず我が国が先に人道援助をする、それから外交交渉を展開する、こういう方針が妥当であるということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  95. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長 次に、近藤昭一君。
  96. 近藤昭一

    近藤委員 民主党の近藤昭一でございます。  北朝鮮の問題について幾つか質問させていただきたいと思います。  質問するに当たりまして、私も北朝鮮の問題について随分と勉強を、研究をさせていただいておるわけでありますが、研究すればするほど、なかなか難しい問題だなということは感じております。感じながら質問をさせていただきますので、民主党の考えというよりも個人的な見解が多くなるかもしれませんが、その辺は御了承をいただきたいと思います。  私は、北朝鮮の問題についてはやはり平和的に解決していかなくてはならない。戦後五十一年がたったと思いますが、戦後が五十一年たった中でも依然としてまだ残っている大きな問題、その問題の一つがやはり朝鮮半島の統一の問題でもあると思うわけであります。  そういった意味で、これだけの経済力を持った日本、やはり積極的に平和的な解決のために貢献していく、アジア、ひいては世界の平和のために貢献していくべきだというふうに考えております。  そこで、この北朝鮮の情勢、緊張緩和をしていくために、私たち日本も積極的に進める。政府として、国として貢献していくべき。そしてまた私自身も、個人としても、今回の朝鮮半島の食糧危機の問題につきましては、地元におきまして、朝鮮の大水害被害を支援する愛知の会というのがございまして、そこでも個人的に応援をしておるわけでありますが、この朝鮮半島の問題につきまして、平和的統一を実現するために、政府としてはどういうような展望を持っていらっしゃるのかお伺いをしたいと思います。
  97. 池田行彦

    池田国務大臣 我が国といたしましては、当然のこととして、朝鮮半島の平和と安定、これを強く望んでいるものでございます。しかし、それを実現するためには、それはどうするかということがございますが、それはまず一義的には、何と申しましても、当事者である韓国北朝鮮の間の南北対話を通じて朝鮮半島全体の安定が、安定度が高まっていき、そうしてその先に、今おっしゃいました平和的統一という姿ができるのかどうなのか、そういう話だと思います。  国際社会全体としても、とりわけ近隣でございます日本は、そういった朝鮮半島の安定を望む立場から、そういった南北対話を通じての安定への努力、それを当面、今の段階で考えますと、まずいわゆる四者協議が進むということが一つの大きな進展でございましょうし、さらにこれは核開発疑惑への対処という面もあるわけでございますが、いわゆるKEDOのプロセスに米国、韓国とともに大きな役割を果たしてきておるのもそういった朝鮮半島の安定を求める日本立場から出たところでございます。  もとより、我が国といたしましては、北朝鮮との間で正常な国交関係を持っておりませんから、この国交の正常化も図らなくちゃいけないと思っていますが、これにつきましても、やはり朝鮮半島全体の安定に資するということを大切にしながら、そういった意味でも韓国とはよく連絡をしながら進めていきたいな、こう考えている次第でございます。
  98. 近藤昭一

    近藤委員 もちろん、今お話しになったように、我が国としても平和的統一のためにいろいろ他国との協力関係を考えながらやられていくということだと思いますが、私はその中で、やはり冒頭にも申し上げましたように、戦後五十一年たった中でこの経済力を持った日本が、日本がという視点でやはり積極的に貢献していくべきではないかと思うわけであります。  もちろんその間に、その過程におきまして、朝鮮半島の当事者、韓国北朝鮮が当事者であるわけですが、その動向を見守ってということになるのかもしれませんし、日韓の関係、あるいは日本と、朝鮮問題をめぐる日中あるいは日米という関係が重要だと思います。  しかしながら、この関係という面におきまして、じゃ日本韓国、新聞等々の報道を見ておりますと、日本韓国が相談してやっていくというよりも、どちらかというと、大変失礼な言い方かもしれませんが、韓国の動きを気にしながらというか、韓国がこう言ったから日本もこうするんだというようなところがあるのではないかな。つまり、日韓が話し合う、じゃ日本北朝鮮の問題についてはこうしますから韓国はどう思いますかというような主体的なところが少々見えにくいと思うのでありますが、そんな中で、先般、韓国の新聞社の政治部の部長さんたちとの会談というか懇談の席上で、橋本総理が、今回、北朝鮮の食糧事情の問題に関連して、韓国要請があれば米の支援をしてもよいというような発言をされたようでありますが、この発言の真意についてお伺いをしたいと思います。
  99. 池田行彦

    池田国務大臣 韓国報道界の方とそれから総理との懇談の中で出た話でございますけれども、今委員は、その懇談の中での朝鮮半島問題、北朝鮮問題に関するかなり長いやりとりの中の最後の部分だけを取り上げて姿勢云々と言われました。確かに、この件を報じたマスコミの報道ぶりにもそういう取り上げ方が多かったかとは思いますけ れども、しかし、全体をごらんいただきますと、この北朝鮮に対する食糧支援についてもなかなか簡単に踏み切れない事情はいろいろあるのだということを総理はいろいろ御説明なさっている。そう言った後で、それで韓国政府の方から強い要請があったらどうだろうかという質問が、韓国報道界の方々が提起され、そのコンテクストの中で、いや、それは韓国の方から話があれば、それは政府間同士の話でございますからというふうなやりとりになっているのでございますね。  だから、これは決して韓国の言いなりになるというような話ではないわけでございます。政府間、政府同士の話でございますから、それは当然でございますし、政府の間で、ましてや友好国であれば、そしてその両国が非常に関心の深い問題について話があれば、それは真剣に受けとめて検討するのは当然ということでございます。  そうしてまた、いろいろ検討した結果、これまで決めかねていたことについて何らかの決定がなされるということは、それは一般論としては当然あり得るわけでございますから、そういったいわば当然のことを言われただけの話でございまして、決してそのことをもって韓国の言いなりになるとか、日本としての主体性が欠如しているということではないというふうに御理解いただきたいと思います。
  100. 近藤昭一

    近藤委員 もちろん、韓国からの要請があったから出す、それは言いなりになって出すということではないと理解しております。ただ、本来でありましたならば、北朝鮮の問題でありますし、北朝鮮から米の支援要請があったらそれに対して日本が行動するというのが本筋ではないかと思いますが、いかがでありましょうか。
  101. 池田行彦

    池田国務大臣 申し上げておきますけれども北朝鮮日本とは正常な外交関係がないわけでございます。それは、国交関係を正常化しようというのでいろいろ努力してまいりました。八回ほどそういった正常化のための会談を持ったわけでございますが、八回目の会談を始める前の予備会談において、先方が、御承知の李恩恵の問題を理由にしまして一方的に席を立って、その後、正常化の話が進展していない、こういう状況にある。今、何とかまたその話ができないかということも我々も考えて、努力はしたいとは思っていますけれども、そういう状況にあるということをまず前提に考えていただきたいと思います。  それで、経済力があるから、それで経済協力だと言われますけれども、一般的に申しまして、経済協力というのは国交関係のある国の間において行うものでございます。もちろん、そうでないものもございます。国際機関を通じてやるものあるいは余り規模の大きくないもので、純粋に人道的見地から出る、しかも緊急的なものであるならば、国交関係がなくても行われることはございますけれども、かなり大規模な経済協力というのは、国交関係が前提になるということをお考えいただきたい、こう思います。
  102. 近藤昭一

    近藤委員 なるほど、国交関係がないということですから直接依頼はないだろう、別の外交ルートということなのかもしれませんが。  そういたしますと、では、国交関係がない、経済交流がない国なので直接の依頼はないだろう、直接の関係で対応する、そうおっしゃったかどうかはわかりませんが、必要はないだろうということであります。そうしますと、政府はこの朝鮮半島の問題をどういうふうにおとらえになっているのか。つまり、国交がない国だから直接は関係がないというふうにおとらえになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  103. 池田行彦

    池田国務大臣 それは委員が、日本は経済力はあるのだし、北朝鮮から求めがあればどんどん経済協力をすべきではないかとおっしゃるから、私としては一般論として、北朝鮮に対してだけじゃございません、一般論として、我が国が経済協力を進める場合には、これまでも国交関係にあるということを前提にして進めてきている。  国交関係がない国あるいは地域に対する援助というものは、小規模な、人道的、緊急なものは例はございます、あるいは国際機関を通ずるものはございますけれども、一般的に経済協力というものはそういうものだということを申し上げた次第でございます。  もとより、北朝鮮関係はそれですべてほっておいていいなんということは毛頭思っておりませんし、そういったことを申し上げたつもりはございません。正常化の交渉も日本としてはしなくちゃいけない、こう考えていると申しましたし、それから半島全体の安定を図るために、我々もできる努力はしなくてはいけない。  そういった意味で、いわゆる四者協議が当面実現するために、我々としてもその努力を支援しておりますし、あるいはKEDOのプロセスでも一定の役割を果たしている。そのほかいろいろな場におきましても我々としてのできる努力はしているところでございます。
  104. 近藤昭一

    近藤委員 よくわかりました。  そうしますと、北朝鮮の問題については、大きな問題であるので、いろいろな情勢をかんがみながら対処していくということだと理解いたします。それでは、今の北朝鮮状況、大変な食糧危機にある、韓国からも要請があるということでありますが、今の段階では、そうすると、米の支援はするとお考えになっているのか、あるいはこれはまだまだ検討する余地があるとお考えになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  105. 池田行彦

    池田国務大臣 そこを考えているところでございます。検討しているところでございます、いろいろな要素を。  まず、しかし委員にも先ほども申しましたけれども、今の北朝鮮の食糧不足というのは必ずしも一時的なものではない、構造的な要素が非常に大きいだろうということがございます。そうするならば、やはりその解決のためにはどうするかいろいろ考えなくちゃいけないのだと思います。それをまず考えるのは、それは当然のこととして北朝鮮の為政者でございます。経済的に大変困窮したといいながら、現在のように冷戦が終えんしてもう何年もたった国際社会の中で、百万を超える兵力を維持しながら、GDPの四分の一以上をそういった軍事関係に充当するといったその資源配分のやり方、そういった中で出てきている食糧困難だということをまず考えなくてはいかぬと思います。これは、まず北朝鮮の為政者自身がお考えになる問題だと思う。  しかしながら、国際社会としても、やはりその北朝鮮の食糧問題というものがこの朝鮮半島あるいはこの地域の安定にいかなる影響を及ぼすか、そのことも当然考えなくてはいけないわけでございます。  そうしてまた、同時に、たちまちの問題として、現実に非常に食糧難のために飢えておられる方があるとするならば、人道的な観点から、ある程度のものは国際社会としても支援しようじゃないかということで、今いろいろ国際的な支援が行われている。我が国としても、それにどうするかということは今検討しているということでございます。
  106. 近藤昭一

    近藤委員 もちろん、当事国であります北朝鮮が解決をしなくてはならない問題でありましょうし、国というのはやはり自国の民を守るためにあるわけでありますから、まず為政者である北朝鮮政府が取り組むべき問題だとは思います。しかしながら、今大臣もおっしゃったように、それでも現実の問題として食糧危機に陥っている。だからこそ、人道的な立場から随分と世界の各国が支援をし始めているということだと思います。  ところで、そうしますと、お聞きしたいのでありますが、北朝鮮の為政者がまずなすべきこと、この北朝鮮の為政者というのはだれを指されるのか、ちょっとお聞きしたいのであります。
  107. 池田行彦

    池田国務大臣 今の北朝鮮政府でございます。
  108. 近藤昭一

    近藤委員 北朝鮮政府。そうしますと、北朝鮮政府というのはいまだに、言われるところの、金正日さんが、国家主席ですか、党総書記、軍事委員長、中央人民委員長には就任なさっていない ようでありますが、この点はどういうふうに見ていらっしゃるのか。
  109. 池田行彦

    池田国務大臣 それは、日本政府としてあれこれ申し上げる必要のある話とは必ずしも思いませんが、現実に北朝鮮で政治を行う、機能を掌握し、現実に政治を行い、国民の生活をちゃんと面倒を見ていく責めに任じている、そういった方々のことでございます。
  110. 近藤昭一

    近藤委員 その国のことを掌握していくというか、行政を行っていく任にある方ということなのだと思いますが、ただ、その方がどなたかというのがちょっとはっきりしないような気がいたすのです。よくちまたに言われるように、金正日さんが喪が明ければそれにつくだろう。間もなく金日成さんが亡くなられて三周忌になるわけでありますが、その三周忌になった時点でやはり金正日さんがその座に着くというふうに予想は今なさっているわけでしょうか。
  111. 池田行彦

    池田国務大臣 そういう見方もあることは承知しておりますけれども、今問題なのは、そういう形がどうであれ、現実にだれが権力を掌握しているかといえば、それは金正日氏であり、あるいはその周辺にある人でしょう。そういった人が現在北朝鮮の政治を担当し、国民生活全体を左右し得る地位にあるわけでございますから、先ほど食糧問題との関係で申し上げたのは、そういった方々のつくる現在の北朝鮮における統治機構がまず第一義的に責任を持って事に当たるべし、こういうことを申し上げたわけです。
  112. 近藤昭一

    近藤委員 実質的に金正日さんが、三周年のときに国家主席の地位につくかどうかは別として、政権を掌握して、北朝鮮の政権を担っているということだと私も理解しております。  ただ、私は、今回の食糧の問題に関連して心配いたしますのがやはり人道的なことでありまして、少々心配しておりますのが、金正日さんが主席につくことと関連しているのかどうかわかりませんが、北朝鮮という国がなかなか情報が出てこないので、どういう国家か非常に難しいところがあるのかもしれませんが、聞くところによりますと、二年以上にわたって国会が開かれていない、国家予算が組まれていないというふうに聞いておるのですが、この件はどうでありましょうか。
  113. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 御指摘の点については、私どもも同様の情報を得ております。
  114. 近藤昭一

    近藤委員 済みません、もう一度お願いします。
  115. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 そのとおりと思います。
  116. 近藤昭一

    近藤委員 今おっしゃったとおり、どうも二年以上にわたって国会が開かれていない、予算が組まれていないということらしいのですけれども、そうしますと、今大臣がおっしゃられた、北朝鮮における為政者というのは今どこにあるのかなというふうに思ってしまうわけでありますが、いかがでありましょうか。
  117. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもの国のような、いわゆる憲法がきちんとあって、そのもとで三権分立が確立しており、そして議会制民主主義がある、そういった中での政治がどう行われているか、行政がどういうふうに運営されているかというものと同じように見ていいのだろうかどうだろうかという問題があるわけでございます。それは確かに議会という名のものがあったとしても、それが果たして我が国における国会と同じような機能を持ち、また同じような役割を果たしているかどうなのかということも考えなくてはいけないのではないでしょうか。  そして、仮に、今国会が開かれない、そして予算もできていないと言われましたけれども、しかし、現実にそういった状況の中でもいろいろなことは行われており、そして百万を超える軍隊は維持され、いろいろな活動をしておるわけでございます。だから、やはりそこには、現在あそこの国を統治する集団もあれば、あるいは仕組みや機構もあれば、そういうことも行われているのだということじゃないでしょうか。
  118. 近藤昭一

    近藤委員 今大臣がおっしゃられたとおり、冒頭にも申し上げましたように、大変に不思議なというか未知のことがまだまだ多い国であるようでありますし、北朝鮮に限らず中国の政治制度におきましても、なかなか日本と同じにとらえてはいけない、日本国会に当たるものが何かというのは非常に難しい状況でありましょうし、実際問題として、北朝鮮は、まだ国会は開かれていないかもしれないけれども国家として動いているわけでありますから、どこかにそういった、実質的には金正日さんがそういった政権を担っているのだ、そういう政権があるのだと思います。  そういった非常に不可思議、わかりにくい状況がたくさんあるという北朝鮮でありますが、この北朝鮮について、あるいは北朝鮮だけでなく世界的な情勢について、我が国情報収集というのはどういうふうに行われているのか、お聞かせいただける範囲でお願いしたいと思います。
  119. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 これは非常に広範にわたりますけれども、また同時に、とっぴなことは一つもないということだろうと思います。  まず、日米それから韓国、この三者間の連携というものはこれを緊密に保たなければいけないと思っておりますし、また、現に緊密にってまいっておるつもりでございます。そのほかにも、例えば中国のような朝鮮半島、北朝鮮についていろいろよく物事を知っている国もあるわけでございまして、そういう友好国との間の意見交換情報交換というのを進めております。  そして、これはたまさか外務省政府の中の一機関として行っているところを申し上げたわけでございまして、その他いろいろなレベル、いろいろな分野において今御指摘のような点についての情報収集というのが行われていると承知いたします。
  120. 近藤昭一

    近藤委員 北朝鮮について非常に詳しい諸外国とも協力をしながらということでありますが、具体的にはどこのどういった部門が情報収集をされているのでしょうか。
  121. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 例えば外務省の中において、具体的にどの部分がどのような頻度で、どこの国のだれと話をしているかというふうなことにつきましては、ちょっと事柄の性質上、私から詳細を申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども外務省といわばカウンターパートに当たる部局を含め、できるだけ広範に情報収集は行うというふうに努めておるつもりでございます。
  122. 近藤昭一

    近藤委員 そういった情報収集でありますので、なかなか機密に属する部分も多いのだと思いますが、観念的な部分で、そういった情報、いろいろな部署が集めている情報、それを最終的に統合、調整するような部署はあるのでありましょうか。
  123. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 日本のいわば関係法令、行政組織法を含めまして、それによって政府の中でいろいろ所掌分担が行われているわけでございます。そういう関係で、俗に言いますところの外交ということについては、情報収集も含めて外務省がその責任を負うという体制になっているわけでございます。  したがいまして、外務省は、本省もそうでございますし、在外公館も含めて、できるだけ広範な情報収集活動というものを行って、これを大臣に報告するというシステムをとっているわけでございます。もちろん、政府の部内に、また、それぞれのつかさつかさに応じてと申しますか、所掌分担に応じていろいろな対外関係情報を収集、把握する部分もあるわけでございますけれども、このあたりのところは、当然のことながら、総合的にまとめられて総理官邸に届けられる、大ざっぱに言えばそういう仕組みになっていると思います。
  124. 近藤昭一

    近藤委員 いろいろなところの情報を最終的に調整しながら政策決定に反映されていくということだと思います。  そんな中で、これもお聞かせいただければというふうに思うわけでありますが、北朝鮮については、日本と仕組みが違うわけでありますので簡単な比較はできないと思いますが、統一戦線部第一副部長という方がいらっしゃるそうであります が、かなりの長きにわたって、二十年でしょうか、何十年にわたって日本の問題のスペシャリストとして対日政策に取り組んでいる。  日本におきましては、北朝鮮に限らず、やはりそういったほかの国の情報についてずっと一貫して担当している方がいらっしゃるのでありましょうか。
  125. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 直接的なお答えというのはなかなかしにくい感じがいたしますけれども、外交政策というものは非常に総合的なものであるし、またあるべきであろうと思っております。  したがいまして、外務省は、組織として、例えば朝鮮半島を含むアジアにつきましても、一貫してこれを、情報収集を含めて分担、所掌してきているという事実がございます。人はかわりますけれども、倣えば、私が所属しておりますアジア局にいたしましても、従来から一貫して、その朝鮮半島の問題ということは、主要任務の中心の一つとしてこれを見てきているわけでございます。  そういうわけで、日本外務省、これはほかの国の同じような役所と比べるということは、私としてはできないところでございますけれども、いろいろな国の例に照らしましても、そういう意味での一貫性と申しますか、継続性はある組織だという評価はあるのではないかと思っております。
  126. 近藤昭一

    近藤委員 もちろん組織として一貫性がとられていることが大事だとは思うのですが、私は、北朝鮮の例を挙げて今申し上げましたのは、人として一貫してやる必要があるのではないか。今質問させていただいても、本当に北朝鮮という国がなかなかわかりにくいというところもある。そういった意味で、一貫して同じ人物が当たるべきことも必要ではないかと思うわけですが、その点についてはいかがでありましょうか。
  127. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 あらゆる組織が完璧であるということはあり得ないと思いますけれども外務省の場合でまいりますと、例えば、地域局と機能局という二つの異なった性格の局があるわけでございます。国際情報局というふうに情報分析を主たる任務とする部局もあるわけでございます。  そのようなことで、縦横いろいろな糸が織りなされるように、省内においても深みのあり、かつ幅の広い情報収集に心がけているというのが現実でございます。  人員の不足とか、その辺の問題はあるかもしれませんけれども、なるべく人事配置その他の面を総合的に勘案して、組織として、十分な知識というものが縦にも伝わる、そして幅広く情報収集活動を行い得る体制を築く、こういうことを一応目標として、外務省はこれまで朝鮮半島を含めていろいろな事務を担当してきたと思います。
  128. 近藤昭一

    近藤委員 とにかく、組織として一貫性を持たせて、総合的な力をもってやられていることだと思います。質問にお答えいただいたのか、そういった人がずっとやり続けることがいいのかどうかということについてはちょっとお答えいただけなかったような気がいたしますけれども、私は、そういった人も必要ではないかということだけ申し上げたいと思います。  それで、冒頭から申し上げましたように、非常にいろいろな問題がある。ところが、現実の問題として食糧危機がある。食糧危機に対して、我が国として対応については国際的な情勢を見ながら――また北朝鮮の出方といいましょうか、北朝鮮の国のあり方、つまり、韓国から要請はあるけれども北朝鮮の情勢を考えると、拉致の問題、あるいは食糧危機にあるといいながら、いまだもって膨大な軍事予算を使っているということ、あるいは支援された食糧がどこへ行ってしまうかわからないといった疑いもある。いわゆる北朝鮮に対する不信なのかもしれませんが、そういうことはあるかもしれません。  しかしながら、私は、そういう不信があるからこそ、北朝鮮との関係におきましては人道的な面を第一に考えて、とにかく積極的に日本として素早い食糧援助をすべきではないかと考えるわけであります。  ただ、北朝鮮の人民の人権もさることながら、私たちの国の国民の人権問題も大切でありますので、拉致事件について少々お伺いしたいと思います。拉致事件については、北朝鮮が行ったのではないかと、疑いの段階だと思いますが、厳然として拉致事件の問題がある。このことについてはどう解決していかれるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  129. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 今御指摘北朝鮮による拉致疑いが持たれている事件というものにつきましては、捜査当局において所要捜査が進められているわけでございます。外務省としても、関係機関連携しながら関連情報の収集に努めているということも国会の御審議等を通じて申し上げてきているところでございます。  我々としては、これらの問題の解決と申しますか、少なくとも前進ということのためにいかなる方法、方途が効果的であるかという観点から、何物も排除することなく真剣に考えてまいりたいと思っておりますけれども、まず、我が国国民の安全にかかわる重要な問題であるという認識に立って、関係省庁との間に一層緊密な連携を保ちながら、決して各省庁自分の縄張りの中でばらばらに仕事をしているということではない、そういう御批判を受けないような体制で進めてまいりたいというふうに思っております。
  130. 近藤昭一

    近藤委員 大変に難しい問題であるので、具体的なお答えがなかなか出てこないのかもしれませんけれども、私たちの国の人が我が国から拉致されてどこへ行ったかわからないというような状況が出ているようでありますので、しっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。  これが北朝鮮によって行われたのかどうかはわかりませんけれども、私は、諸問題を解決するにおいて、繰り返しますが、やはり日本が主体的に行動していくべきだと思いますし、北朝鮮の問題に関して申し上げますならば、よく例えに言われますイソップ物語の北風か太陽かということで申し上げますならば、やはり太陽の行動をとって、時間をかけてその不信を取り除いて取り組んでいくべき課題だというふうに思っております。  どうもありがとうございました。
  131. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長 次に、松本善明君。
  132. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務大臣伺います。  五月三十日の当委員会で、ガイドラインの見直し作業に関連をいたしまして、攻撃目標を米軍に提供することは憲法上許されないのではないかということを質問したのでありますが、外務大臣の御答弁は、これを是認するような答弁だったと思います。まもなく中間報告が発表されるということでありますが、憲法に違反する問題を盛り込むようなことが許されないのは当然のことであります。  そこで、中間報告前ではありますが、改めてこの問題をきちっと質問しておきたいというふうに思います。  私が質問いたしましたのは、日本は平和で、防衛出動など全く問題にならないときに、日本の周辺では米軍がどこかの国と戦争をしている。そうしたときに、米軍の相手国の部隊や潜水艦あるいは航空機の正確な位置を知らせることは、米軍の武力攻撃を支援することになるのではないか。それは憲法違反ではないかということでありました。外務大臣は、これに対して、偵察行動は実力行使ではないというふうに述べて、是認したかのような答弁をされましたので、改めて聞くわけであります。  自衛隊が収集した情報が米軍の攻撃を可能にし、米軍の敵である部隊や潜水艦、航空機が撃破される。こうした攻撃目標情報を提供することは一切問題がないというのかどうか、御答弁をいただきたいと思います。
  133. 池田行彦

    池田国務大臣 私が先般御答弁申し上げましたのは、通常、偵察行動というのは実力行使を伴うものではございませんということで、偵察行動自体が憲法上の問題になるということはないだろう、そういう趣旨の御答弁を申し上げた次第でございます。
  134. 松本善明

    ○松本(善)委員 それでは、ちょっとはっきりさ せるために伺おうと思いますが、四月二十四日の参議院の内閣委員会で、秋山防衛局長が、八八年四月十三日の衆議院安保特別委員会における西廣防衛局長の答弁を引き合いに出しながら、次のように答弁をいたしました。  情報というのにも非常に種類がある、あるぎりぎりの段階になって、例えばある目標、何度何分、角度何度で撃て、こういうふうなことがあるとしますと、これも一種の情報の伝達になるわけてありますが、これは果たして通常我々が考えている憲法上の問題もない情報の提供になるのかどうかというあたりの問題はあるという答弁はしているわけでございまして、我々としても情報交換が一〇〇%全く問題がないということを申し上げているわけではございません こういう答弁でありました。  この防衛庁の見解外務大臣見解は違いますか。
  135. 池田行彦

    池田国務大臣 今御披露のございました防衛局長の答弁あるいは過去における西廣政府委員答弁でございますけれども、撃てという言葉が入っている。これはもう指示でございますね。それはむしろ情報提供ということなのかどうなのか、そこにも問題がある、そこにもちょっと考えなくてはいかぬ点があるのではないかと思います。  防衛局長の答弁も、一般に情報の提供は憲法上問題ないということは言っているのだと、答弁しておるのだというふうに承知しております。今例に挙げられましたものが通常の情報提供でないことは明らかでございますし、果たして、そもそも情報提供というカテゴリーで練るべきものなのか、あるいは別の角度から考えるべきものかという感じがいたしますが。
  136. 松本善明

    ○松本(善)委員 これはとても大事な問題なので、秋山防衛局長が引き合いに出した西廣防衛局長の答弁も紹介しながら質問をしたいと思います。  情報というのにも非常に種類がございまして、あるぎりぎりの段階になって、例えばある目標、何度何分、角度何度で撃て、こういうふうなことがあるとしますと、これも一種の情報の伝達になるわけです。 こう言うのですね。  それはしかし最後の、例えば大砲なら大砲を発射するための情報といいますか、そういったものを言うことになると、これは果たして情報の提供になるのか、武力行使とも密接不可分のものになるのかというようなものもあろうかと思います。そういう点で、すべてのものが情報であれば提供可能であるというふうに私は申し上げておりません。 というものでありまして、外務大臣の今の御答弁はこれらの答弁を頭に置いての御答弁だと思いますけれども、この答弁でも、撃てというのはやはり情報でない。今、外務大臣は指示、これは指示ではないかというふうに言われました。しかし、この指示、撃てというのが、もちろんこれは指揮命令で軍事行動だと思います。米軍に対して自衛隊がそういうことを言ったりすることができないのはこれはもう当たり前のことでありまして、言わずもがなであります。  問題は、この米軍に提供する情報が攻撃目標、その提供を受けて米軍が攻撃する相手部隊等を撃滅する、この撃てという直前までの情報ですね、その提供が憲法上許されるのかどうか、攻撃目標を全部知らせる、あとは米軍が撃つかどうかというだけですね。そこまで情報を提供することが許される、これが憲法上許されるというふうに外務大臣はお考えかどうか、この点を伺っておこうと思います。
  137. 池田行彦

    池田国務大臣 それは、それこそガイドラインにつきまして近々我々として論点の整理をしまして、いろいろな角度から御議論を賜りたいと思っています。我々としてどういうふうなことを論点として提供するか、まだまとめ切っておりませんので、余り現段階で議論に深入りするのはいかがかと存じますが、しかし、一般論といたしまして、情報の提供そのものは実力の行使とは全然異なるわけでございますから、一般論として情報提供は憲法と抵触することはないのだ、こう考えております。  それでまた、例示されましたケースでございますが、やはり情報提供の例示として出されるのは必ずしも適切、適当なものかどうかということも考えなくてはいけないと思います。確かに、過去にそういった例は政府委員の方から提示されて、いろいろ議論されたことは承知しておりますけれども、やはりこれは、我々がこれからその中間報告を取りまとめた段階で、情報提供というものをどういうふうに観念しているかというのをごらんいただいて、御議論いただくべきだと思います。
  138. 松本善明

    ○松本(善)委員 ガイドラインの見直しの報告のちょっと前に申し上げるのは、そういう憲法違反のものが入ると困りますので言っておるわけでございます。  それで、一般的な情報提供は問題ないのだということで済まない、ハイテク技術の向上というのが現実の問題として出てきているのですね。だから問題として聞いておるわけでありますが、ここで法制局に伺いたいと思います。  自衛隊が掌握した米軍の攻撃目標情報を米軍に提供すること、米軍はこの目標情報に基づいて攻撃し、撃滅する。そういう情報はまさしく武力の行使と一体になる情報提供になるのではないかというふうに考えますが、法制局はどう考えておりますか。
  139. 池田行彦

    池田国務大臣 その前に一言よろしいでしょうか。  今委員の示されたケースでございますけれども、攻撃目標とおっしゃいましたけれども、攻撃目標という言葉の中にはもう一定の価値判断が含まれておると思いますね。例えば、それがどういう艦船であるとかどういう航空機が飛んでいるということならともかくとして、攻撃目標、こういうことになりますと、これはもう既に単なる情報の提供ではなくて、それこそ撃てというものと同じように攻撃の対象になるという判断が入っているのではないでしょうか。だから、ただいまのケースというのは必ずしも情報提供の例示としてはどうかなという感じがいたしますが。
  140. 松本善明

    ○松本(善)委員 ちょっと正確に言っておきましょう。私が今前提として言っておりますのは、日本は平時ですね、防衛出動など全然問題にならない。米軍はほかで戦闘行動をやっている。その相手国の航空機でありますとか、潜水艦とか、そういうもので、そういう前提で法制局の答弁を求めます。
  141. 秋山收

    ○秋山(收)政府委員 自衛隊とアメリカ軍が行っております情報交換につきまして、具体的にどういうものがあるかということを、私ども法制局としては承知する立場ではございませんけれども、米軍への情報の提供につきまして私ども立場で一般論を申し上げますと、日米安保体制下におきまして、日米両国が平素から軍事情報を含め相互に必要な情報交換を行うことは当然のことでございまして、自衛隊が常日ごろから行っている情報収集活動や警戒監視活動を通じまして収集した情報を、一般的な情報交換の一環として米軍に提供することは、これは実力の行使には当たらず、憲法九条との関係で問題を生ずるものではないというふうに考えております。
  142. 松本善明

    ○松本(善)委員 それは今までも一般的に答えている答弁なんです。  それで、リアルな実態を申し上げて、重ねて答弁を聞こうと思います。  前回の質問でも紹介をいたしましたけれども、元米国の国防長官の対日特別補佐官であって、国防総省の日本部長として日米共同作戦の推進の任に当たってきましたジェームス・アワーというバンダービルト大学の教授が、世界週報の九六年十二月三日の掲載論文で、中曽根内閣時代の日米軍事協力について触れて、日米のP3C対潜哨戒機は一日交代で警戒任務についていたが、「収集したすべての情報は互いの航空機に積載されたコンピューターを通じて直接交換された」というふうに述べています。コンピューターを通じて垂れ流 しの状態になるわけです。  五月三十日付の朝日新聞でも、これは航空自衛隊の航空機についてでありますが、  現代においては情報の流れを任意に止めたり、送る側の意思で選別したりすることは難しい。たとえば台湾周辺で情報収集した自衛隊機には「データリンクシステム」と呼ばれる日米の軍事情報がリアルタイムで交換できるハイテク機器が搭載されており、米軍は周波数と暗号を合わせれば瞬時に情報を共有できる。 こういうふうに言っております。  一般的な、四月の十日に内閣法制局が文書で、武力の行使と一体となる場合は、これは憲法違反になるという趣旨の、偵察行動を伴う情報収集についての見解を発表した。先ほどの法制局の答弁はこれを一歩も出るものではありません。だけれども、それで済まない事態が起こっている。そういう問題について、ガイドラインで米軍の武力行使と一体になるような情報提供が可能になるようなことになってはよくない。  それで、そういうハイテク機器の進歩、現実の情報というのはそういうことになってきているのですね。そういう場合に、アメリカ軍は戦闘行動をしている、日本は平時、そういう情報提供が憲法違反になるかどうか。非常に具体的なんです。一般的なことを答えていれば済むというような性質のものではないのです。はっきりお答えをいただきたいと思います。
  143. 池田行彦

    池田国務大臣 これは委員、こういうことじゃないでしょうか。もとより、軍事技術だけじゃなくていろいろな技術が進歩してまいりますので、特に情報関係などでも、かつては考えられなかったようないろいろな流れ方だとかやりとりもできるようになるのだと思います。  しかし、そういったものを前提としながら、例えば、この問題では、いろいろな自衛隊としての行動が、米軍との間の協力行動が憲法に触れることがあってはいけないわけでございますから、そういうことを、憲法に触れてはいけないということを考えながらきちんと対応していく、行動していくということなんじゃないでしょうか。技術的にどういうことが可能だからといいましても、一方、そういった技術の上に乗っかってどういうふうに行動するかというのは、やはり人間の方で選択できるわけでございますから。
  144. 松本善明

    ○松本(善)委員 今の答弁、ちょっと問題がありますのでまた後で申しますけれども、法制局の答弁をきちっと伺っておきたいと思います。
  145. 秋山收

    ○秋山(收)政府委員 本年四月十日付で私どもが出しました文書につきましての御質問がございましたので、その点につきまして、まず簡単に御説明しておきます。  これは、東先生からの御質問に対して私どもで文書で回答したものでございまして、関連の部分をちょっと引用しますと、「例えば、特定の国の武力行使を直接支援するために、偵察行動を伴うような情報収集を行い、これを提供するようなことについては、他の者による武力の行使と一体となると判断される可能性があると考えられる。」と述べているところでございます。  これは、情報提供は一般的には実力の行使には当たりませんで憲法上の問題は生じませんが、特定の行動を伴うことによって例外的に一体化の問題が生ずるおそれがあるということを指摘したものでございまして、一般論としましては、情報の提供につきましては憲法九条との関係で問題を生ずることはないというふうに考えております。  それで、今御指摘のような、具体的な状況を設定しての御質問がございましたが、このような問題につきましては、情報の相手方の行動あるいは我が国情報提供の内容その他の具体的な事態に照らしまして考える必要がありまして、一概に申し上げることはできないと考えておりますけれども、一般論としては、情報の提供は、その内容も含め、一般的な情報交換の一環として行われるものであれば憲法上の問題はないというふうに考えているところでございます。
  146. 松本善明

    ○松本(善)委員 かなり一般的な問題になって、ハイテク機器が搭載されているわけですよ。いつでもリアルタイムに情報アメリカ軍に行くようになっている、アメリカ軍が一方で戦闘行動を始める、そうすると、戦闘行動と、武力行使と一体になるのじゃないですか、そのことを聞いているのですよ。具体的に判断しなければ、そのとおりですよ。具体的な問題が既に明らかになってきているし、その問題についてのガイドラインの見直しも行われようとしておるから、法制局の見解を聞いておるわけです。
  147. 秋山收

    ○秋山(收)政府委員 繰り返しの答弁になって恐縮でございますけれども、安保体制下におきまして、日米両国が平素から軍事情報も含めまして必要な情報交換を行うことは当然のことであると考えておりまして、自衛隊が常日ごろ行っております情報収集活動あるいは警戒監視活動を通じて収集した情報を、一般的な情報交換の一環として米軍に提供すること、これは実力の行使に当たりません。  したがいまして、仮に米軍に自衛隊の収集した情報が直ちに流れるというようなシステムになっていたとしましても、憲法上の問題を生ずることはないというふうに考えております。
  148. 松本善明

    ○松本(善)委員 これでいきますと、これはなかなか重大なことで、米軍が戦闘行動に入っている場合でもその情報が提供されるということになりますと、先ほど言いましたような、攻撃目標を自衛隊の情報として提供する、米軍に提供するということが可能だということになる可能性があるのです。  外務大臣、ちょっと首を振っておられましたが、どういう場合は提供することになるのですか。先ほどはそのときの状況に基づいて行動するのだとおっしゃいましたが、もうリアルに問題が提起をされているのですよ。そういうハイテク機器が搭載された航空機が情報を掌握しているわけですね。どういうふうに外務大臣、お考えですか。今昔を振られたのはどういう意味でしょう。
  149. 池田行彦

    池田国務大臣 首を振りましたのは、委員が今、攻撃目標として、こうおっしゃいましたので、攻撃目標というのは、これは攻撃するのだ、攻撃の対象にするのだという判断が入っておるのだと思います。幾ら映像でとらえましても、その情報の中にそのような攻撃目標にするという判断は入っていないのだと思います。そこのところはやはり基本的に違うんだろうなということで、私は首を振ったわけでございます。
  150. 松本善明

    ○松本(善)委員 もちろん、攻撃というのは評価があります。だけれども、一方、米軍は戦闘行動をやっている。その相手方、戦闘行動をやっていれば、いわゆる敵というのが特定されますね。その戦闘地域での情報、これは客観的には、実際上、攻撃目標になる。攻撃目標というと外務大臣はひっかかるかもしれませんけれども、現実にはそういう情報ですよ。  米軍が戦闘行動をやっておる、その地域における米軍の相手方の潜水艦とか航空機とか部隊とかの情報を提供するということが憲法に抵触しないのか、こういうことですね、いかがでしょう、外務大臣
  151. 池田行彦

    池田国務大臣 逆に申しますと、委員が前提にされました米軍が戦闘活動に入っているとき、それでは、その周辺地域のいろいろな情報、これはいわゆる軍事目標でなくてもいろいろな、交通事情がどうであるとか気象状況がどうであるとか、そういった情報が提供された場合、これもある意味では、場合によっては、米軍が戦闘活動をするときのいろいろな判断をするに際しての資料になり得るんだと思いますね。  ただ、そういうことがあるんだということで、情報についても憲法とのかかわりがあるというふうにずっと広げてまいりますと、これはまた大変おかしなことになるんじゃないのかなと。だから、そこのところは、やはり情報活動というのは通常、実力の行使というものではないんだということで、情報提供自体は原則的に憲法問題になることはないということじゃないかと思います。
  152. 松本善明

    ○松本(善)委員 今の御答弁だと、私はやはり非 常に危険で、事実上の攻撃目標を米軍に情報として提供するということが可能になると思います。  押し問答をしてもしようがありませんので、角度を変えて伺いたいと思います。  外務大臣は、日本周辺有事における日米の軍事協力の根拠につきまして、我が国の周辺が非常に危険な状態になったら、これは将来可能性として我が国自体の危険状態につながるおそれがあるから、どういう対応をとるか考えなければならぬ、その際米軍に協力することができるのだというふうな説明をしてこられたわけでありますが、自衛隊は日本防衛、つまり武力の攻撃があり、あるいはそのおそれがあるときに行動ができるというのが自衛隊法の建前であります。  朝鮮半島だとか台湾あるいはアジアのどこかで紛争が起きた場合に、日本の安全に重大な影響があるからという理由を立てれば動けるということにはならない。  一九五九年三月十七日の参議院予算委員会において、当時の林修三法制局長官は、  日本の自衛隊は日本が直接にあるいは間接に侵略された場合にしか動き得ないわけでございます。それ以外に米軍がよそに出て行くことを応援するということは、いわゆる米軍の一環として米軍に協力して、これを応援するということは、日本の憲法あるいは自衛隊法からできないことだ、 かように考えております。外務大臣は、これは政府見解だということを御承知でありましょうね。
  153. 池田行彦

    池田国務大臣 それはその当時の政府内閣法制局長官が答弁されたものだと承知しております。  基本的に今、私も、委員が御披露なさいましたのをお聞きしておりまして、これは自衛隊が外へ出ていって米軍と協力して実力を行使することはない、そういう趣旨だというふうにそれを理解いたしました。
  154. 松本善明

    ○松本(善)委員 ただ、この当時と今のハイテク機器の発展が大分違ってきているわけですよ。  私はもう一度質問したいと思います、同じ趣旨になりますが。  日本周辺で起こったことが日本の平和と安全に重大な影響を与えるというだけで、自衛隊が遠く離れた周辺地域に出動できるというのは、憲法と自衛隊法から許されない、これは今外務大臣も述べられました。ガイドライン見直しで米軍に協力しようという自衛隊の出動は、ちょっと様子を見に行くというのとわけが違うわけであります。  外務大臣が、私が今読み上げました五九年の法制局長官の答弁をもし維持するというのであれば、日本防衛と関係のない米軍の戦争を、林長官の言葉をかりれば、応援してはならないというのが日本政府立場ではないか。先ほど来私の申し上げております情報提供、攻撃目標を撃てという直前までの情報を提供するということは、米軍を応援することになるのではないか。この点はいかがでしょう。
  155. 池田行彦

    池田国務大臣 林法制局長官の答弁で言われている応援という意味は、これは先ほど申しましたが、米軍の活動を応援するために自衛隊が出ていって自衛隊が実力を行使する、こういう趣旨であると思います。
  156. 松本善明

    ○松本(善)委員 それは大分昔の話ですよ。今は、行かなくても情報提供で実際上応援するという事態になっているから、問題なんです。  私はもう一度、角度を変えて聞きたいと思います。  五月十一日に放映されましたテレビ朝日系の報道番組「二十一世紀への伝言」の中で、これは私、そのときは見ませんでしたが、ビデオで全部見たのですけれども、一九八三年のソ連による大韓航空機撃墜事件のときに、日本の自衛隊が傍受したソ連機の交信記録が、日本政府首脳も知らないうちに自動的にアメリカに伝わる仕組みになっており、日本政府の意向を無視して、アメリカによって国連で同交信記録が公開されたということが、非常にリアルにずっと報道をされておりました。  後藤田正晴氏、当時の官房長官は、一体日本の国というものは本当の意味で独立しているのかといった気がしましたね、こう言っている。要するに、日本の自衛隊の掌握した情報日本政府首脳が知らないうちに外国に提供される、これは先ほど来、議論しておりますハイテクによる情報提供も同じ性質です。  日本の自衛隊が掌握した情報日本政府の首脳が知らないうちにリアルタイムで米軍に提供する、こういうようなやり方を日本政府は認めるのですか。伺いたいと思います。
  157. 池田行彦

    池田国務大臣 それは情報の提供である限り、少なくとも憲法上の問題が生ずるものではないと思っております。  恐らく、今御披露ございました後藤田氏のコメントというものも、憲法上の問題というよりは、妥当かどうかという、いわば政策判断としての御発言であったのではないかと思います。
  158. 松本善明

    ○松本(善)委員 もちろん、二つのことを聞いているのです。憲法上の問題と、それから後藤田氏が言ったいわゆる独立国かと。  要するに、もっと砕いて言えば、日本政府の知らない情報提供があっていいのかという問題と、それから、先ほど来問題にしていた憲法上の問題、二つのことを伺っているのであります。最後でありますので、この二つについて明確にお答えをいただきたい。
  159. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたとおり、まず憲法上の問題にはならないという点でございます。  それから二つ目の、政策的に妥当かどうかという点につきましては、これは情報の流れ、しかも、この一つケースについての情報のやりとりの点だけをとらえて米国と我が国との関係がどうかという評価をするのは、いかがかな。これは、やはり日米関係全体、とりわけ日米安保体制のもとでの両国関係が全体としてどういうふうな運営をされているかという中で妥当かどうかを判断すべきものだと思います。  情報にしても、それは、今例示されたケースじゃなくてもいろいろな形で米国との間で協力が行われているわけでございまして、そういったものがすべて内閣の首脳のチェックを受けなくては提供されないものとは考えません。それは日本からもそうでございましょうし、米側から提供される情一報についても、やはりそれぞれの事柄の性格によっていろいろなレベルでやりとりされるということはあるわけでございます。独立国家がどうかという点は、これは日本は厳然とした独立国家でございますし、それは全体としての日米関係のあり方の中で判断されるべきものと思います。
  160. 松本善明

    ○松本(善)委員 時間でありますので終わりますけれども、私は、外務大臣の御答弁、非常に危険な方向へ行っているというふうに感じます。  集団自衛権の行使というのは、政府も憲法違反だと言ってきた。そうすると、今の答弁でいきますと、日本が攻撃をされていない日本周辺有事の場合でも、事実上米軍と一体の武力行動に情報提供という形でならざるを得ない。  それから、日本政府の首脳が知らない形で情報提供が常時行われるのが当然であるかのような答弁ですけれども、これは後藤田さんが心配するような、やはり日本の主権の問題であろうかと思います。  時間がありませんので、どれ以上質問はいたしませんけれども、非常に重大な御答弁であったということを指摘して、質問を終わります。
  161. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長 次に、伊藤茂君。
  162. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 時間も大分延びているようですから、幾つかかいつまんで御質問をさせていただきたいと思います。  中身は、ガイドラインはこれから中間報告が出されるわけですから、具体的なことは抜きにいたします考え方の問題。もう一つは、朝鮮半島問題。  実は、一言質問の前に申し上げたいんですが、この二つを並べますと、私の個人的な思い出がございます。それは、九三年でしたか細川内閣、いわゆる北朝鮮核疑惑、非常に国際的にピークになりまして、国連の方でも制裁措置とかいう議論が あり、北の方では、そんなことをするなら宣戦布告とみなすとか、非常に大変な事態がございました。ちょうどそのときに私は運輸大臣の仕事を仰せつかっておりまして、海上保安庁を担当しているわけであります。しかも、社会党出身というわけでございまして、この隣どうしたらいいのかということを、あのときに個人的にも深刻にいろいろと考えた時期でございました。  細かに御紹介はいたしませんが、どんなことが起こるだろうか、起こった場合にどうするんだろうか、国政の一員としての責任は持たなければならない、それから、一議会人として、政治家として望ましい方向はこうじゃないかなということは非常に思う、悩み多い時期を過ごしましてという思い出が私はございます。  ただ、その後で、二つ、私なりの教訓といいましょうか、こうしなくちゃならぬなという気持ちがございます。  その一つは、やはりアジアの情勢その他、まだ複雑な状況がございますけれども、こういうことが起こらないやはり展望のある外交戦略、ある意味ではしたたかな、いいものをどうやってやっていくのか。それは経済、政治家のつき合い、あるいはさまざまの幅広い多面的な外交戦略、外交政策、たくさんあるわけでございますけれども、あのときにもカーターさんと亡くなった金日成さんとの会談で収拾をされました。  できれば、やはりヨーロッパのようにいかぬけれども、何とかアジアにも、アジアの枠組みの中でそういうことを話し合ったりなんかするような仕組みが早くできる時代にならぬかな、そういう努力が非常に大事だなということをしみじみと思いました。  もう一つは、まだ不安定な状況でございますから、いろいろなこともやはり勉強をしなければなりません。もちろん可能性ゼロのことを物々しく勉強するというのは間違いだと思います。しかし、万一か万々一か、我が国周辺で何が起こるだろうかというときに、日本らしい、また日本のポジションにふさわしい立場で何ができるんだろうかという勉強はしなくちゃならぬだろうというふうな思いがいたしました。  そういうことがあるものですから、今、朝鮮半島情勢とも関連をいたしまして、ガイドラインの作業と考えますと、いろいろと思うことがございます。詳細なことは抜きにいたしまして、そんな疑問をもちろん持ちながら、三、四点質問をさせていただきたいと思います。  まず第一には、今申しましたように、私はやはり外交戦略と安保戦略と申しましょうか、外交政策と安全保障上のさまざまの手配、これは表裏一体だと思いますね。どちらかを抜きにしてどちらかだけみたいなことが前面に出るということでは、これはバランスを失するわけでございまして、簡単に言えば、国際情勢にも晴れの日、雨の日、あらしの日と考えられる。やはりなるべく晴れの日になるように外交の努力をするというのが、私どもとしては、平和国家ですから一番基本でございましょう。また、晴れの展望が強いときに物々しい重武装をするという人はだれもいない。やはりあらしの日に裸でいるわけにはまいらぬということも事実でございまして、そういうことを考えますと、やはり外交戦略と申しましょうか、そういう努力が安保戦略の前にあって、その前提の中でやる。  したがって、その前段の我が国としてのやるべき外交努力というものの部分を余り議論しないで、それをやる暇がなくて、先ほども話がありましたが、機雷がどうだの、情報がどうだの、どこに船ができるだの、そんなことばかり議論したら、何かやはり国民にわからぬ議論になるだろうというふうな気持ちがいたします。  当然のことだと思いますが、大臣のその辺の御理解と、それからもう一つは、そういう意味で申しますと、前段の外交戦略の方にさまざま、アジアのマルチの安全保障という努力はなされているわけでございます。私どもも、いろいろな資料を読んでみましたら、多国間のアジアでのさまざまな努力、ASEAN地域フォーラムなども中心にしながら、また箱根会議とか、東京でも何遍もそういうシンポジウムや会議を持たれているということも拝見をしているわけでございます。  やはりこういう時代ですから、いまいち、大胆にそういう提起をなさるような日本の姿であってほしいんじゃないか。池田ドクトリンでも橋本宣言でも結構なんですが、そういうふうな次の展望性、今すぐできなくても、やがては我々はこういう目標で行くんだという国の姿を見せるという努力が必要ではないだろうか。ガイドラインに関係をいたしまして、総体的にそんな気持ちがいたしますが、いかがでしょうか。     〔委員長退席、福田委員長代理着席〕
  163. 池田行彦

    池田国務大臣 外交努力と安全保障面への努力は表裏一体だとおっしゃいました。そのとおりでございまして、むしろ私ども、不可分の一体をなしているんじゃないかと思っております。そして、委員も御指摘になりましたように、全体として安定度が高まり、国際社会が平和の方向へ向かうようにできる限りの努力をしながら、しかし、一方においてはやはり可能性があるものを考えて、それなりの備えをしなくてはいけない、こういうことでやってまいりたいと思います。  全体として見ますと、冷戦が終えんしたということで、世界全体としてもこれだけの軍縮が可能になったわけでございます。やはり、これだけ可能になったについては、世界全体としての平和に向かっての大きな外交努力が根底にあったということでございます。日本の外交、日本安全保障をとらえましても、そしてまた、今のこれからのガイドラインの作業を考えましても、当然そのことは考えていかなくてはいけない、こう思っております。  とりわけアジアの諸国との間で、本当に信頼醸成を図り、胸襟を開いた対話を重ねていくということによって、全体としての安全保障環境が改善していくように努力していかなくてはいけない、こう思っております。それは、ARF等のマルチの枠組みはもとよりでございますが、バイの対話の中でも、本当に胸襟を開いた対話というものをそういった中でどんどん進めていく。ガイドラインについても、内外に対する透明性を確保していくと申しておりますけれども、私ども、そういった心構えで対応してまいりたいと思います。
  164. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 ぜひそういう努力をお願いしたいと思います。  外務大臣は私よりはちょっとお若いかと思うのですが、私が小学校の子供のときには「亜細亜の曙」という少年倶楽部の連載長編がございまして、胸躍らせて読んだわけでございます。あれはまだ戦時中でしたからそういう背景がございますが、やはり新時代、二十一世紀のアジアのあけぼのか何かを、威張る意味ではない立場で、日本にふさわしい、内外に大きく聞こえるような、宣言をするぐらい積極的な提言、御活動をお願いしたいというふうに思います。  そういうことを前提としまして、ガイドラインの考え方の問題、これは私どもの小さな党も党議で決めているわけでは何もございませんで、私の考えなんですが、三原則というと大げさなんですけれども、三つぐらい発想の基準があっていいんじゃないだろうかという気持ちがいたします。  その一つは、今も外務大臣の御答弁がございましたが、やはり冷戦時代の発想を超えた議論をしようということではないだろうかというふうに思います。それは、国内外で、どうしても長年の癖ですから、冷戦時代のように、安保、自衛隊、ガイドラインやなんや聞くとかっとくるみたいな、それから、やる方もやるぞみたいなそういう関係もないわけではありませんが、昔の対ソ脅威、戦略の時代というものは終わったんですから、また、朝鮮半島などやはり若干の深刻な問題が地域にある。それをどうやって解決をするのかというのが基本になっている時代でございますから、冷戦時代の発想、対応型とは違った取り組みも議論もなされるべきであり、国民的にもやはりそういう議論がなされるべきである。  私どもは、できましたら、やはり冷戦時代の与野党対決と申しましょうか、そういう議論みたいな形を超えた、もっと突っ込んだ議論がだんだんに醸し出されるべき時代であろうというふうな気持ちもいたします。  今申し上げましたような、平和戦略の努力を前面に掲げながらこういう問題も議論していく。言うならば、冷戦時代の発想を超えた努力ということをベースにしてやっていくということが、やはり一つプリンシプルではないだろうかという気持ちがいたします。  それから二つ目には、これは従来も与野党間の合意でもあり、総理外務大臣もいつも言われていることでございますけれども、やはり日本立場日本のポジションあるいは日本の国のアイデンティティーにふさわしい協力をどうしていくのかということをしっかり踏まえ、鮮明にして、協議をしていくというふうなことではないだろうかというふうに思います。  憲法の枠内あるいは憲法の解釈、集団自衛権問題なども変えませんとか、それから近隣諸国の関係に十分配慮するとかというようなことが今までも確認をされています。公式文書にも表現をされております。そういうことを何か、ネガティブあるいは防衛戦的な発想ではなくて、そういう立場の中でやはり日本がこれからのアジア、世界の中で果たすべき、また果たし得る役割というのは非常に大きい面があるわけでありまして、そういうことを基本にした構図を描いていく、そういうこともきちんと踏まえるべきであろうというふうに思います。  それから三つ目には、やはり国民的良識か常識が、広く国民多数の皆さんから、ああそれはそうだなと言われるようなこと。私はいきなり有事を想定するのはどうかと思いますし、有事であるよりも無事である方が大事だというふうには思いますけれども、何かあった場合に、やはり邦人救出などなどのことというのは国民的な理解を得てやるべきことだろうというふうに思いますし、また、新聞を見ますと機雷とかございますけれども、まさか戦闘中に、戦争をする前の掃海をするとかあるいは戦闘地に飛び込むとかということはないので、ただ、そういう不幸な戦争とがあった場合の、終わった後の掃海とかいうふうなことは既に湾岸でもやられている。国民世論調査をしても、大体そうだなというふうなベースでもって、言うならば、アメリカと交渉するのでも、日本国民の大方の気持ちはこうですよという形で交渉もなされ、結論が形成される、そういうことが必要ではないだろうか。  したがいまして、断固拒絶型とかあるいはまた逆に何でも受け入れましょうとかいう形ではない、そういう何かプリンシプルたり得たガイドラインの検討というものが必要ではないだろうか。  恐らく出てまいりましたら、これは与野党ともそうかもしれませんが、いろいろなテーマについては、これはいいよとか、いや、これはバツとか、いろんな議論が自由になされるということだと思います。そういう場が形成されることも私はふさわしいと思いますし、私個人では、そんなことを国民皆さんの前に存分に議論するという場をつくるようなことも提唱したいものだなというふうに思っておりますが、ガイドラインについての考え方の一半を申しましたが、いかがでしょうか。     〔福田委員長代理退席、委員長着席〕
  165. 池田行彦

    池田国務大臣 今伊藤委員が個人としての考え方だと断りながらお挙げになりました三原則、私もおおむね共通の認識を持つところでございます。  当然のこととして、冷戦が終えんした現在の世界情勢、そしてまた将来に向かって我々が、特にアジア太平洋地域でより一層の安定した状態を実現するために努力していく、そういった前提の上に立って、我々は日本の安全も、あるいはその中でのガイドラインのあり方も考えなくてはいけないと思います。  それから、二つ目におっしゃいました、やはり日本がこれまでの憲法あるいは基本的な解釈などを前提としながらガイドラインを考えていくのはそのとおりでございますし、また今日のような情勢の中で、日本として、日本の国柄というものを前提にしながら、どういうふうな面で地域の安定のために役に立っていこうか、そういう観点から物を考えるべきだと思います。  それから、最後におっしゃいましたやはり国民の良識と申しましょうかコモンセンス、そういったものが一番大切なんだと思います。  掃海艇という例を挙げられましたけれども、私もたまたま、湾岸戦争が終わった後に自衛隊の掃海部隊をペルシャ湾へ派遣しましたとき防衛庁長官をしておりまして、その衝にあったわけでございますが、あのときもいろいろな議論がございました。しかし、現実にあのような状況の中であのような作業が行われ、それを国民の皆様方に見ていただきましたら、今あのような形での国際的な貢献というものは、これは当然じゃないかということがもう国民の大多数の皆様方に認められておるのだと思います。  そういった意味でも、やはり本当にいろいろなケースをオープンにして御議論いただきまして、コモンセンスにのっとった適正な日米協力のガイドラインをつくってまいりたい、こう考えている次第でございます。
  166. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 朝鮮半島問題、特に北朝鮮対応についてお伺いしたいと思います。  先ほどの三原則でありませんが、非常にデリケートな、また難しいことの多い中をどうやって打開していくのか。大臣もそうでしょうし、外務省皆さんも含めまして、みんなでこれは頭を悩ませている問題でもございます。しかしまた、現状のままですべてとまっているわけにはまいらぬ、何とかしなくてはならぬということも多くの方々の共通の気持ちということだろうと思います。  私はこれも、プリンシプルではありませんが、大まかな考え方、問題を打開する考え方というのは次の三つではないだろうか。  一つは、やはり北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国の皆さんが、今提唱されているいわゆる四者会談、当面は予備会談というものもあると思いますが、四者会談あるいは予備会談の方向に前向きに対応していただきたい。ほぼ前向きのような状況ではないだろうかというような気持ちもいたしますけれども、これから考えて、北朝鮮が主張している、停戦協定を平和協定に変えるとかいう問題にいたしましても、これはその形しかないわけでありまして、それから、私ども、これは自民党の皆さんも含めまして、ソウルへ行ったりなんかするときに向こうの方に申し上げるのですが、やがてはやはりその四者が円滑に機能して、日本も含めた六者とかいう形で発展をして、それがアジアの信頼醸成措置とかの一つのベースか何かになり得れば非常にいいというような展望を持ってやりたい。いずれにいたしましても、四者会談への進行あるいは予備会談への進展というものが一つ。  それから二つ目には、先ほどの質疑の中にございましたが、やはり南北対話、南北交流の進展という問題だと思います。これは、金日成さんが亡くなって三周忌というわけでありますけれども、亡くなる直前には、遺言と言われているように、トップで話し合いましょうという時代もあったわけでございますけれども、その後は非常に難しい状況を経ている。しかし、何かこれは、韓国の大統領選挙ということも現実ございますけれども、やはり少なくとも意思表示は前向きにやってもらって、そしてまた何らかの形でそれを積み上げていって、やがてはハイレベルに及ぶというふうな努力をぜひともこれはやっていただきたい。朝鮮民主主義人民共和国、韓国、これは当事者でございますから、そういうことを我々は促進し、支援する役割を果たしたい。  それから三つ目には、そういうものと並行しながら日朝国交正常化の交渉、今○○課長さんとかやっているとか新聞に出て、関係者はいろいろ御苦労なさるのでしょうが、そういうものが進展すれば、やはり審議官クラスでも局長クラスでも、 責任ある政府政府でやりましょうと。向こうの方は偉大なる党が指導するという建前の国ではございますけれども日本はやはり民主主義の国ですから、与党は政府をサポートし、執行権は政府が持つということですから、その関係もきちんと踏まえ、あるいはまた、こういう複雑な問題ですから、やはり周辺国、当然ですが韓国の方、それから中国とかアメリカとか、いろいろな意見交換もしながらやるというふうなことをどうやっていくのか。  そんな姿勢を、何かなるべく共通に我が国として持ちながら、何らかの打開を、できたらなるべく早い時期にきっかけをつかみたいものだと。これは政府の役割もございます。同時に、他の国でも議会あるいは政治家の役割とも並行してさまざまやるわけでありまして、それも含めまして、そういう基本方向への打開、姿勢というものがベースかなというふうに思うのですが、いかがでしょう。
  167. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもも、おおむね今委員お話しになったような枠組みといいましょうか、そういった要素を前提にしながら北朝鮮の問題を考えているところでございます。何と申しましても、やはり半島の安定には南北間の対話が大切だと思います。委員は二番目に挙げられましたが、私は、日本立場ではなくて朝鮮半島の安定という観点からいうと、やはり南北対話の進展というのを第一に考えるべきかなと。これを進めるように、我々としてもできる役割を果たさなくてはいけないと思います。  それから二つ目に、やはり四者協議でございます。当面、南北対話を進めるためにも、まず四者協議を進めなくてはいけないんだと思います。委員は、北朝鮮側も基本的にこれは前向きだとおっしゃいましたけれども、前向きにしてはなかなか具体的な動きになってこないな、何とかもう少しスピーディーにいかぬものかなというのがお互いの思いではないかと存じます。私ども、辺者協議は当面大切だと思っております。しかし、将来的には、やはりこの地域の安定を図る場合には、日本あるいはロシア等も含めた六者といいましょうか、そういった北東アジアの間での協力関係というものが大切だと思っておりまして、この関係はいろいろなところで言っております。私自身も、例えば韓国とかロシアとか、あるいは中国あたりの最近行われました外相会談の中でも、将来的にはそういうことも考えるんだという話もしているところでございます。  それから、三つ目の日朝関係正常化、これは当然のこととして我々は進めなければいけないわけでございまして、我々も、中断されたままになっております正常化交渉が例えば軌道に乗るように念願しながら、その方向に向かっていろいろな努力はしているところでございます。そのときに、当然政府だけではなくて、政治の世界全体で、議会あるいは与党でもというお話がございました。  私どもも、外交は何もすべて政府でやるんだとまでは申しませんし、政治の世界全体としての努力が大切だと思います。しかし、事柄が国交の正常化ということになりますと、これはすぐれて、何といいましょうか政府の責任において、あるいは外務省の責任において進めなくては申しわけない、こういうこともございますので、まず我々の責任でできる限りのことをやってまいりたい、こう考える次第でございます。
  168. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 時間ですから、一言だけ御質問をしたいと思うのですが、この間、いわゆる日本人妻という問題がございました。正確には在朝鮮日本人と言った方が正確なんですがとかというお話伺いますが、まあ「いわゆる」でありますね。人道問題に関連をして、日本の少女の不幸な事件ども幾つかございますが、その中の一つにカウントされている。それについて何とかしましょうというサインが出ているということだろうと思います。  私は、こういう問題はなるべくお互いにうまく受けとめて、そういうことがあるのならば、どういう規模で、どういうやり方で、どういう方法でできるでしょうかということを、これこそまさに外務省を通して、窓口で実務的に、あるいは責任あると申しましょうか、プロジェクトチームをつくるのかどうか知りませんが、そういうような形で実務的に、いい方向に処理していく。何か出たときに、余りこじらせないでいい方向に打開していくということが望ましいのではないだろうかというふうに思います。  それから、食糧支援の問題もマルチで、国際的なアピールに基づいて人道的にやっていくことは、何らかの条件が整えば、やはり我が国韓国アメリカと同様にやるというふうに大臣はお考えでしょうし、そのタイミングをうまく、早くつかめるようにと思っております。  それから、後の本格的な協力、食糧問題とかあるいは農業構造問題を含めましては、さっき申し上げたような三つの柱の基本的な国交関係、あるいは諸外国との関係、南北などを含めた中でやはり打開をされていくということかなというふうに思いますが、最後に一言。
  169. 池田行彦

    池田国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、日本人妻の問題につきましては、過去にもこの問題に前向きに対応しようという北側の姿勢、そういう兆しが見られたことが何度かあったわけでございますけれども、実現を見ないまま今日に至っている次第でございます。  今御推測いただいておりますようないろいろな動きの中で、北朝鮮側も原則的にはこれを考慮しようというところまで来ておりますので、それが具体的に実現するように、きちんとその枠組み等も含めて、そちらへ持っていけるように努力をしてまいりたい、こう考えております。  それからまた、それを踏まえてと申しましょうか、その次におっしゃいましたのは食糧の問題等々もございましたけれども、そちらもお互いにいろいろなことがあって、余りいろいろなことにわだかまりを感じ、あちらもこちらも動かないという状態にならないように考えていかなければいけない。  根本的な問題については、これはきちんといろいろな要素を考えながら、要求するものは要求しながらやらなければいけませんけれども、できるものはお互いに比較的弾力的に、柔軟に考えていくという中から全体がいい方向に向かうということを目指したいな、こう思います。
  170. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 終わります。ありがとうございました。
  171. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十九分散会