○伊藤(茂)
委員 時間も大分延びているようですから、幾つかかいつまんで御
質問をさせていただきたいと思います。
中身は、ガイドラインはこれから中間
報告が出されるわけですから、具体的なことは抜きにいたします考え方の問題。もう
一つは、朝鮮半島問題。
実は、一言
質問の前に申し上げたいんですが、この二つを並べますと、私の個人的な思い出がございます。それは、九三年でしたか細川内閣、いわゆる
北朝鮮核疑惑、非常に国際的にピークになりまして、国連の方でも制裁措置とかいう議論が
あり、北の方では、そんなことをするなら宣戦布告とみなすとか、非常に大変な事態がございました。ちょうどそのときに私は運輸大臣の仕事を仰せつかっておりまして、海上保安庁を担当しているわけであります。しかも、社会党出身というわけでございまして、この隣どうしたらいいのかということを、あのときに個人的にも深刻にいろいろと考えた時期でございました。
細かに御紹介はいたしませんが、どんなことが起こるだろうか、起こった場合にどうするんだろうか、国政の一員としての責任は持たなければならない、それから、一議会人として、政治家として望ましい方向はこうじゃないかなということは非常に思う、悩み多い時期を過ごしましてという思い出が私はございます。
ただ、その後で、二つ、私なりの教訓といいましょうか、こうしなくちゃならぬなという気持ちがございます。
その
一つは、やはりアジアの情勢その他、まだ複雑な
状況がございますけれ
ども、こういうことが起こらないやはり展望のある外交戦略、ある
意味ではしたたかな、いいものをどうやってやっていくのか。それは経済、政治家のつき合い、あるいはさまざまの幅広い多面的な外交戦略、外交政策、たくさんあるわけでございますけれ
ども、あのときにもカーターさんと亡くなった金日成さんとの会談で収拾をされました。
できれば、やはりヨーロッパのようにいかぬけれ
ども、何とかアジアにも、アジアの枠組みの中でそういうことを話し合ったりなんかするような仕組みが早くできる時代にならぬかな、そういう努力が非常に大事だなということをしみじみと思いました。
もう
一つは、まだ不安定な
状況でございますから、いろいろなこともやはり勉強をしなければなりません。もちろん可能性ゼロのことを物々しく勉強するというのは間違いだと思います。しかし、万一か万々一か、
我が国周辺で何が起こるだろうかというときに、
日本らしい、また
日本のポジションにふさわしい
立場で何ができるんだろうかという勉強はしなくちゃならぬだろうというふうな思いがいたしました。
そういうことがあるものですから、今、朝鮮半島情勢とも関連をいたしまして、ガイドラインの作業と考えますと、いろいろと思うことがございます。詳細なことは抜きにいたしまして、そんな疑問をもちろん持ちながら、三、四点
質問をさせていただきたいと思います。
まず第一には、今申しましたように、私はやはり外交戦略と安保戦略と申しましょうか、外交政策と
安全保障上のさまざまの手配、これは表裏一体だと思いますね。どちらかを抜きにしてどちらかだけみたいなことが前面に出るということでは、これはバランスを失するわけでございまして、簡単に言えば、
国際情勢にも晴れの日、雨の日、あらしの日と考えられる。やはりなるべく晴れの日になるように外交の努力をするというのが、私
どもとしては、平和
国家ですから一番基本でございましょう。また、晴れの展望が強いときに物々しい重武装をするという人はだれもいない。やはりあらしの日に裸でいるわけにはまいらぬということも事実でございまして、そういうことを考えますと、やはり外交戦略と申しましょうか、そういう努力が安保戦略の前にあって、その前提の中でやる。
したがって、その前段の
我が国としてのやるべき外交努力というものの部分を余り議論しないで、それをやる暇がなくて、先ほ
ども話がありましたが、機雷がどうだの、
情報がどうだの、どこに船ができるだの、そんなことばかり議論したら、何かやはり
国民にわからぬ議論になるだろうというふうな気持ちがいたします。
当然のことだと思いますが、大臣のその辺の御理解と、それからもう
一つは、そういう
意味で申しますと、前段の外交戦略の方にさまざま、アジアのマルチの
安全保障という努力はなされているわけでございます。私
どもも、いろいろな資料を読んでみましたら、多国間のアジアでのさまざまな努力、
ASEAN地域フォーラムな
ども中心にしながら、また箱根
会議とか、東京でも何遍もそういうシンポジウムや
会議を持たれているということも拝見をしているわけでございます。
やはりこういう時代ですから、いまいち、大胆にそういう提起をなさるような
日本の姿であってほしいんじゃないか。
池田ドクトリンでも橋本宣言でも結構なんですが、そういうふうな次の展望性、今すぐできなくても、やがては我々はこういう目標で行くんだという国の姿を見せるという努力が必要ではないだろうか。ガイドラインに
関係をいたしまして、総体的にそんな気持ちがいたしますが、いかがでしょうか。
〔
委員長退席、福田
委員長代理着席〕