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1997-04-18 第140回国会 衆議院 外務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月十八日(金曜日)     午前十時四分開議 出席委員   委員長 逢沢 一郎君    理事 鈴木 宗男君 理事 福田 康夫君    理事 牧野 隆守君 理事 森山 眞弓君    理事 青木 宏之君 理事 東  祥三君    理事 玄葉光一郎君       安倍 晋三君    石崎  岳君       柿澤 弘治君    河野 太郎君       田中 昭一君    戸井田 徹君       原田昇左右君    森  英介君       坂口  力君    島   聡君       松沢 成文君    丸谷 佳織君       山中 燁子君    若松 謙維君       井上 一成君    藤田 幸久君       古堅 実吉君    伊藤  茂君       平野 博文君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君  出席政府委員         外務大臣官房審         議官      西田 芳弘君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省総合外交         政策局軍備管理         ・科学審議官  河村 武和君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省欧亜局長 浦部 和好君         外務省経済局長 野上 義二君         外務省経済協力         局長      畠中  篤君         外務省条約局長 林   暘君  委員外出席者         警察庁警備局警         備企画課長   小林 武仁君         外務委員会調査         室長      野村 忠清君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   新藤 義孝君     戸井田 徹君 同日  辞任         補欠選任   戸井田 徹君     新藤 義孝君     ――――――――――――― 四月十七日  過度傷害を与え又は無差別効果を及ぼすこ  とがあると認められる通常兵器使用禁止又  は制限に関する条約に附属する千九百九十六年  五月三日に改正された地雷ブービートラップ  及び他の類似装置使用禁止又は制限に関  する議定書(千九百九十六年五月三日に改正さ  れた議定書Ⅱ)の締結について承認を求めるの  件(条約第二号)  過度傷害を与え又は無差別効果を及ぼすこ  とがあると認められる通常兵器使用禁止又  は制限に関する条約追加議定書締結につい  て承認を求めるの件(条約第三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  過度傷害を与え又は無差別効果を及ぼすこ  とがあると認められる通常兵器使用禁止又  は制限に関する条約に附属する千九百九十六年  五月三日に改正された地雷ブービートラップ  及び他の類似装置使用禁止又は制限に関  する議定書(千九百九十六年五月三日に改正さ  れた議定書Ⅱ)の締結について承認を求めるの  件(条約第二号)  過度傷害を与え又は無差別効果を及ぼすこ  とがあると認められる通常兵器使用禁止又  は制限に関する条約追加議定書締結につい  て承認を求めるの件(条約第三号)  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 逢沢一郎

    逢沢委員長 これより会議を開きます。  過度傷害を与え又は無差別効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器使用禁止又は制限に関する条約に附属する千九百九十六年五月三日に改正された地雷ブービートラップ及び他の類似装置使用禁止又は制限に関する議定書(千九百九十六年五月三日に改正された議定書Ⅱ)の締結について承認を求めるの件及び過度傷害を与え又は無差別効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器使用禁止又は制限に関する条約追加議定書締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。  これより政府から順次提案理由説明を聴取いたします。外務大臣池田行彦君。     ―――――――――――――  過度傷害を与え又は無差別効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器使用禁止又は制限に関する条約に附属する千九百九十六年五月三日に改正された地雷ブービートラップ及び他の類似装置使用禁止又は制限に関する議定書(千九百九十六年五月三日に改正された議定書Ⅲ)の締結について承認を求めるの件  過度傷害を与え又は無差別効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器使用禁止又は制限に関する条約追加議定書締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいま議題となりました過度傷害を与え又は無差別効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器使用禁止又は制限に関する条約に附属する千九百九十六年五月三日に改正された地雷ブービートラップ及び他の類似装置使用禁止又は制限に関する議定書(千九百九十六年五月三日に改正された議定書Ⅱ)の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この議定書は、平成八年五月にジュネーブにおいて採択されたものであります。  この議定書は、地雷等使用制限を強化し及び地雷移譲制限すること等により武力紛争における文民等の一層の保護を図ることを目的とするものであります。  我が国がこの議定書締結することは、通常兵器についての軍備管理及び軍備縮小を促進するための国際協力に寄与するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第であります。  次に、過度傷害を与え又は無差別効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器使用禁止又は制限に関する条約追加議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この議定書は、平成七年十月にウィーンにおいて採択されたものであります。  この議定書は、失明をもたらすレーザー兵器使用及び移譲禁止すること等について規定するものであります。  我が国がこの議定書締結することは、通常兵器についての軍備管理及び軍備縮小を促進するための国際協力に寄与するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認ただきますようお願いいたします。
  4. 逢沢一郎

    逢沢委員長 これにて両件に対する提案理由説明は終わりました。      ――――◇―――――
  5. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木宗男君。
  6. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 池田大臣、連日御苦労さまです。また、きのうはいわゆる特措法が成立しまして、大臣もほっと一息かと、こう思うのでありますけれども、しかし一息つく間もなく、ペルー人質問題もまだ解決しておりませんし、さまざまなまた外交課題を抱えていると思いますから、なお一層大臣の頑張りを期待したい、こんなふうに思います。  大臣、最初にこのペルー人質問題ですけれどもキューバ外務大臣も今来られていますけれども、私は一番今心配しているのはやはり人質皆さん方健康状態ですね。同時に、その家族皆さん方の精神的な負担、どういやせるのかという思いもするのですけれども、今、ゲリラとの交渉云々なんというのはこれはまさに、逆に、表にできるものじゃありませんから結構なんですけれども人質皆さん方健康状態、この辺についてできるだけ詳しくお知らせをいただきたい。あるいはどうなっているかということをですね。
  7. 池田行彦

    池田国務大臣 まず冒頭に、今鈴木委員の方からお話がございましたけれども、昨日、いわゆる駐留軍特措法が成立いたしました。これは国会においても、あるいは国民の中でもいろいろな議論がございましたけれども我が国の安全、そうしてその上に立ったこれからの繁栄というものを考えました場合に大変大切な法律であり、また、そのことがこのアジア太平洋地域全体の安定のためにも資するものと考えておりまして、これが成立を見ましたこと、国会皆様方の御見識に改めて敬意を表するものでございます。  しかし、これで終わったわけじゃない、おっしゃるとおりでございます。山の上に山あり山幾重という言葉もございますけれども、これからも我が国外交が帯びておる諸使命について真剣に取り組んでまいりたいと存じます。  さて、ペルー公邸占拠事件でございますが、既に四カ月を経過したわけでございますが、残念ながらまだ解決を見るに至らず、そうして大勢の方々人質状態のままにとどめられておる、こういう状態でございまして、国民皆様方にも大変御心配、御心痛をおかけしているところでございます。一日も早い平和的な解決に向かって、今後とも、ペルー政府初め関係方面協力をしながら努力をしてまいりたいと思います。  キューバロバイナ外相もお見えになりまして、昨日もいろいろお話ししたところでございますが、キューバも、御承知のようにMRTAとペルー政府との間でこの解決についての合意というものが見られたならば、場合により、いわゆる出口としての役割を果たすということで協力していこうという変わらぬ姿勢を表明していただいた次第でございまして、今後ともそういったことも踏まえながら、我が国政府としてベストを尽くしてまいりたいと存じます。  さて、今委員が御指摘になりました人質方々の御健康状態、私どもも大変心配しております。御承知のとおり、赤十字国際委員会ミニグ代表を初めとする方々公邸にも随時入りまして、健康面でのいろいろなチェックといいましょうか、また必要なその措置もしてこられておるわけでございます。また、最近は、そのチームの中へ日本人医療関係方々も入っていただくということでございますので、従来より以上に人質方々、とりわけ日本人人質方々についても細やかな点についてもいろいろお話ができるような状態は一応確保されている、こういう状態になっております。  そういった中で、人質全般についてもそうでございますが、とりわけ日本人方々につきましては、今これといった、特に健康上問題があるという方はございません。それは当然のこととして、平生からある程度の注意をしなくてはいけない点をお持ちの方はございますけれども、そういった方々については例えば平素からお使いになっている薬などを赤十字を通じてお渡しするということも可能になっておりますので、そういった意味で今健康上特に心配だという方はない、こういうふうに御理解賜ってよろしいかと思います。  しかしながら、長期にわたっての拘禁状態でございますから、これは医療的見地からいっていろいろ心配される面が当然あるわけでございますし、とりわけ心理的な面からの圧迫感というのはもう大変なものだと思います。私どももそういったことは非常に心配しておりますし、赤十字の、また医療関係方々も、そういった面にも特に配慮していただきまして、そういった観点からの、何といいましょうか、観察、あるいは必要なときには情報とまではいきませんけれども、いろいろ対話を通じて、人質になっておられる方々の御関心のあることについて適切に対応するというような配慮もちょうだいしている、こんなことでございまして、何しろ全面解決が何よりも大切ではございますが、しかし、それに至るまでの健康状態の確保につきましてもこれからもでき得る限りの手を尽くしてまいりたい、こう考える次第でございます。
  8. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 こういった状況のときにはやはり大事なのは安心感を与えることでありますから、政府が絶えず国を挙げて我々を守ってくれているんだという感じを与えることも大事ですし、また家族皆さん方にもそのアナウンスがきちっと伝わらぬといかぬと思いますから、今後ともなおその面に関しましては努力をいただきたいな、こう思います。  さて、大臣、四月七日、八日、九日と三日間にわたりまして、北方四島周辺水域の例の枠組み交渉が開かれました。今回も妥結に至らなかったのでありますけれども、この交渉が始まって、ちょうどこの六月が来れば丸三年でありますね、水面下交渉を含めてでありますけれども。当時自民党が野党でありまして、あのときは柿澤大臣がこの外務委員会で、日本政府として何ができるか検討しましょうと言ってスタートしたものなのですね。私は、もうそろそろまとめてもいい時期だ、こう思っているのです。  同時に、この問題は、外務省が提案したのではなくて私が持ってきた話でありますから、私は提案者としても、逆に、ただ長くやってまとまらないならばもうやめてもらってもいいぐらいの気持ちを持っているのですね。しかし、少なくとも日ロ関係を考えた場合、この問題をきちっと解決することによって次の展開があると思っているのです。ですから、私は、少々譲ってもこれは妥結すべきだと思っているのですけれども、この交渉の展望についてお尋ねをしたい、こう思います。
  9. 池田行彦

    池田国務大臣 御指摘のとおり、北方四島周辺枠組み交渉につきましては、正式な交渉が始まってからでももう二年近くになります。その前の瀬踏み段階も含めれば、おっしゃるとおりもっと長くなるわけでございます。  それで、七日から九日にかけてモスクワで開かれた第八回の会合でございますけれども、これでも合意には至りませんでしたけれども、随分突っ込んだやりとりがございまして、ある部分については相当な前進が見られたというふうに私ども認識しております。  しかしながら、いまだ重要な問題が残っておりまして、その辺をどうするか、非常に難しいわけでございまして、この交渉を直接担当いたしました責任者の会談直後の感想でおもしろい表現をしておりますけれども、要するに、船でも、海岸へ近づいてまいりますと波も高くなってくるんだ、 そういう面がある、あるいは海岸に近づいてくると水に隠れている君もいろいろ具体的に航行の邪魔になってくる、そういう面がある、ちょうど今そういうふうな状況ではないかと思います。これまで航行しやすい、進みやすいところは大分進んできたけれども、いよいよ近いところへ来て、本当に難しい問題が具体的に浮上してきた、こういう段階でございます。  ただ、そういった大切な問題が残っておりますが、そういった点につきましてもかなりやりとりがありまして、少なくともそれぞれの立場についての理解はかなり深まった、こう思っておりますので、私どもは決して、これだけ時間がかかってもまだ妥結の道が開けないからちょっと見通しが立たないで絶望的だというふうには見ておりません。私どもは、着実にこれまで進んできたな、こう思っておりまして、今後も引き続いて双方立場を害さないという前提に立ちながら、今委員もおっしゃいました、全体として考えて妥結させるためには、場合によっては、お互いに、双方立場を害さないのでございますから、従来の主張ただぶつけ合うのではなくて、具体的な解決に向かって双方歩み寄りをするという決断を求められる時期も来るのだ、こういうふうに考えておりまして、そういったことも踏まえながら、あるいはよく念頭に置きながら、私ども今、次なる交渉に向かっていろいろ検討を進めているところでございます。  次の時期につきましては、具体的な、いつ開くということはまだ決まっておりません。これから外交ルートで調整してまいりますけれども、九日に、今回の交渉が終わりました段階で、ここまで詰めたのだから引き続きやろうよという、そこのところは合意しておりますので、そういったことでまた精力的に取り組んでまいりたい、こう思います。
  10. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、この交渉の経緯の中で、最大の問題は主権にかかわる問題、それは管轄権の問題に尽きるわけですね。ロシアが、ソ連からロシアという自由主義国家体制が変わりました。経済市場経済で、日本と同じ体制に今移行してきたのですね。同時に東京宣言もあるわけですね。しからばこの問題は、東京宣言にのっとっても、ビザなし交流がその前に始まってきた、私は間違いなく日ロ関係はいい方向に動いていると思っているのです。日本も思い切った歩み寄りをしても、東京宣言がある限り、私は担保があると思っているのですよ。この点どうも、この一年間の交渉を見ておっても、そして外務省関係者から聞いても、そのただ一点、これは譲れないというところで、デッドロックでずっと来ているのですけれども、少なくとも、一〇〇のうち九〇まで譲っても心配ないという気を私は持っているのです、東京宣言がある限り。この点、大臣どうですか。
  11. 池田行彦

    池田国務大臣 御指摘のとおり、一番難しいところは、管轄権をどうするか、管理権をどうするか、ここでございます。しかし、そこのところが、交渉がずっと進展していく中でいよいよ表面化してきた、こういう段階でございますけれども、私どもは、おっしゃるとおり東京宣言というのがございまして、領土問題というものがあるということをロシアもきちんと認めているわけでございまして、それを話し合いで解決を目指していこうという根底があるわけでございますから、それを踏まえながら当然その交渉は進めてまいります。  ただ、しかし、あくまで双方立場を害さないということでございます。ということは、日本としても主権そのもの立場というものは、これはきちんと維持していかなくてはいかぬということでございますので、もとよりそれが今、北方領土がああいうふうな状態に置かれており、そうしてまた、一方では東京宣言があるというものも踏まえながらの立場でございますけれども、それを考えながら、先ほども申しました、ここまで煮詰まってまいりますと、どこかで我が国としても決断をしなくてはいけない、そういうことは十分承知しながら行っております。  九九%行ったと言われましたけれども、(鈴木(宗)委員「九〇%ですよ」と呼ぶ)百里の道を行くにも九十九里をもって半ばとすべしという言葉もございますから、最後の一里かもしれません、けれども、これを大切にしながら真剣にそれに取り組んでまいりたいと存じます。
  12. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 欧亜局長さん、担当局長が来ていますから、これは大臣よりも局長さんに細かいお話をお尋ねしたいのですけれども、少なくとも局長さんも認識しているとおり、ただ一点の問題で詰まらぬわけですよ。私は、何もこれは、外交交渉でこの問題はお互いもうわかっている話でありますから、隠すことはないと思っているのです、管轄権をどうするかということは。欧亜局長として、日本として譲れるのはどこまでか、局長としての見解を示していただきたい、こう思います。
  13. 池田行彦

    池田国務大臣 欧亜局長を信用しないわけではないのでございますが、まだそこについてまで判断し、決定をするまでの権限を付与しておりませんので、局長にかわって私から答弁させていただきたいと存じますけれども先ほども申しましたように、本当にこれは一番難しい問題であると同時に大切な問題でございます。そこのところをどうするかによってこの枠組み交渉がまとまるかどうかが左右されるのは、そのとおりでございますが、それと同時に、これから日ロ関係全般を、とりわけ領土をめぐる問題を、東京宣言の基礎の上に立って進めてまいらなくてはいけません。その際に、この枠組み交渉をどういうふうな形で決着をつけるかということがやはり影響する面もございますので、したがいまして、欧亜局長が判断しかねるだけではなくて、私自身も、今真剣にそこを考えながら、この交渉自体も円満に解決妥結に持っていきたいし、また、それがこれからの日ロ関係全体を進めていく上においてプラスの方向に作用するように持っていきたい、こう思っております。それからまた、委員も御高承のとおりで、特に、御承知のとおり事は外交交渉であり、今、仲よく交渉はしていると申しましても、やはり対立する利害をお互いに調整していくところでございますので、おい、今どちらの道をとるんだ、どの道をとるんだということは、しばらく答弁を差し控えさせていただきたいということでお願い申し上げる次第でございます。
  14. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 せっかく局長に答弁願おうと思ったのですけれども大臣が出てきましたから、ここは私は大臣の人柄を買って質問はしませんけれども。  大臣、少なくとも政経不可分から拡大均衡に来ました。ことし、重層的アプローチというまた新しいラインが引かれたと私は思っているのですね。しからば、今までの発想では、やはり日ロ関係というのはダイナミックには変わっていきません。少なくともロシアが、国内でもまだ共産ロシアみたいな感情を持っている人はおりますけれども、間違いなくロシアは今自由主義国家なんですから、大胆に変わったのです。ロシア側から見れば、日本は変わってないぞと思っている人はたくさんいますね、モスクワへ行きますと。我々は全く左ボックスから右ボックスに変わったんだ、しかし、日本はまだ政経不可分なんというのを引いているのではないかみたいなことを相当なレベルの人でも言ってくるのですね。しからば、私は、日本も変わったということを見せるためにも、まずはこの枠組み交渉を成功させなければいけない。  しからば、外交というのは、日本主張が通っただけで私は成功とは言えないと思います。外交というのは、お互いがよかった、お互いが一致したという認識を持って初めて私は成功した外交になる、こう思うのです。そういった意味で、私は、ぜひとも外務省も踏み込んだ判断をしてもらいたい。私は、今外交ルートで次回の交渉を調整しているというけれども、少なくとも五月にやってもらいたい。同時に、五月に第九回目の交渉をやってもらって、五月の末ぐらいには大臣がモス クワに行ってまとめるんだぐらいの基本的な認識を持って私は次の交渉に当たってもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
  15. 池田行彦

    池田国務大臣 まず、ロシア体制が大きく変わった、そのとおりでございます。それは今、少なくとも経済の面においても市場経済へ向かっての努力を積み重ねておりますし、それから政治の面におきましても、かつてのような特定のイデオロギーに凝り固まり、また、いわゆるすべてを統制していくといったやり方ではなくて、我々がやっておりますようないわゆる民主的な政治方向へ目指してのプロセスを進めているということは十分認識しながら、我々も外交を進めていかなくてはいけないと思います。  それから、第二点として、外交というのは我が方の主張ばかりを押し通す、貫き通すことはできないものだ、あるいは、それがいいか悪いかとよく考えなくてはいけない、そのとおりでございます。かつて、外交交渉というのは百点はおろか八十点をとっても落第なんだ、一番理想的なのは五十点、あるいは五十一点かな、こういうことを言った人がいますけれども、そういうこともよく考えながらやってまいりたいと思います。  そして交渉の時期、そうして妥結のめどにつきましても、私どもも、今まだ、先ほど申しましたように次回交渉の具体的な日程は確定はしておりませんけれども、今委員がおっしゃいましたようなことも十分、我々も認識しておりますが、今重ねての委員からのお話でございますから、そういうことを踏まえながら精力的に進めてまいりたい、こう思います。
  16. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 私は、大臣、これは時間との闘いもあるわけでありますから、少なくとも次の交渉、その次の交渉はもう来月にもやってもらって、日本としても最大限、日本の国益を害さない程度できちっと、譲るものは譲るというスタンスはとってもらいたいと思いますが、いま一度それを大臣として、これは条約局長から欧亜局長おりますから、大臣のその一言によってまた事務方の対応も違ってくるわけでありますから、この点、この交渉に取り組む大臣の決意も含めて、私は次の交渉は最後の交渉だと。逆に私は、次の交渉がだめならばもうやめろという運動を起こしたいぐらいの気持ちを持っておりますから、この点もいま一度大臣に確認したい、こう思います。
  17. 池田行彦

    池田国務大臣 タイミングについても急がなくてはいけない、こう考えております。  それから、これを妥結に持っていくためには、それは日本としても、我が国のその基本的な立場、ぎりぎりどういうことなのかということをよく検討しながら決断すべきところは決断しなくてはいけない、こう考えております。先ほども申しました、最優秀の成績というのは決して百点ではなくて五十一点だと申し上げました。
  18. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、私は、結果的に十点でも、五年たち十年たって二十年たって、いや、あの十点のおかげで今日あるぞという結果も、私は考えられると思っているのです。五十一点にこだわらぬで、私は逆に、十点でもいい、五点でもいい、しかし、日本のとにかく国益は守れたんだという中で、私はこの問題をぜひとも早期に解決をしていただきたいな、こう思います。  次に大臣、ことしもう予算も通りましたから、平成九年の北方四島の住民支援、人道支援といいますか、これについて具体的に、ことしはどういうことをする予定なのか、お示しをいただきたい、こう思います。
  19. 池田行彦

    池田国務大臣 北方四島住民に対する緊急人道支援につきましては、これまでも進めてまいりましたけれども、とりわけ、あれは平成六年の十月でございましたか、あの地域に大きな地震がございました。その後の生活環境、依然として厳しい状態にございますので、本年度につきましても、現地のニーズを踏まえながらしっかりやってまいりたい、こう考えている次第でございます。  特に、具体的内容、これは前回の国会でのこの外務委員会での御質疑だったと思いますが、鈴木委員からお話がございまして、外務委員会でございましたかあるいは沖縄北方委員会でございましたか、どちらかでございましたが、人道的見地ということを踏まえながら、あえて施設の整備も含んで具体的に何ができるかを検討したいと御答弁申し上げたことは、私覚えております。  そんなことも踏まえましていろいろ検討を進めておるわけでございますが、従来は医薬品等の支援物資供与、これが実態であったわけでございますが、本年度はそれに加えまして若干のそういった施設整備をやろうということで、具体的に申しますと、国後島に古釜布というところがございます。そこの船着き場を補修するためのいろいろな事前の調査を進めたいと思っておりますし、それから、やはり国後島のはしけあるいは荷役用の小型フォークリフトの供与、これは、はしけやフォークリフトを機材として供与するということができないだろうかということを考えております。  さらに、択捉島につきましては、紗那というところに、プレハブでございますが、医療施設を建設、こんなことができないかということで、今現地の事情もよく見ながら具体的な検討を進めているところでございます。
  20. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、私は、日本の国会議員で初めて戦後四島に行ったんですね、ビザなし交流であれはおととしでした。そのとき、地震から半年後の色丹島というのはもう悲惨な状態で、何が欲しいかと言ったら診療所が欲しい、こう言われたものですから、そこで私は、よしわかった、すぐこれはやらぬといかぬということで、外務省にお願いして、外務省もこれはまたすぐ立ち上げてくれて、これまた私はその秋にもう一回色丹島に行ってオープンのテープカットもしてきたのですけれども、大変な評価なんですね。  同時に、そのことは国後なんかの学校整備支援だとかあるいは車の提供だとかということにもつながって喜ばれているのですけれども、今、大臣の話を聞きますと、船着き場の補修だとかあるいはそのための調査、ボーリングをする、あるいははしけのための小型フォークリフトも供与するという話ですけれども、今までは人道支援で、医療だとかあるいは日用品だとか食料品の支援だったのですけれども、今、少なくとも大臣の話を聞くと、いわゆるインフラ整備までことしは踏み込んでくれたということは高く私は評価したいし、逆に、この流れをもっともっと加速させなければいけないと思っているのですが、今の大臣のこの答弁は、インフラ整備も含めてこれからできるものはやっていくというスタートだという受けとめ方でよろしいですか。
  21. 池田行彦

    池田国務大臣 ことし具体的に検討しておりますのは、あくまで緊急人道支援という枠内でも何かインフラ的なものができないかということでいろいろ検討して、ここまで、先ほど御答弁申し上げましたことを具体化しようとしているわけでございます。  将来の方向といたしましては、日ロ間の交渉をいろいろ進めていかなくてはいけません。もとより、東京宣言に基づいて北方四島の基本的な問題を、領有権の問題を、帰属の問題をどうするかという、この交渉を進めなくてはいけないわけでございますが、それと並行しながら、この帰属の問題を決めるための環境を整備するための努力も日ロ間で進めていこうじゃないか、こういう基本的な認識なり意見の一致を見ております、昨年、外相間だけでも五回やりましたそういった中で。そういった環境整備をどういうふうに具体的に進めていくか、そういうことを検討する中で、今おっしゃるような問題も十分検討の俎上にのってくることはあり得るのだ、このように考えております。
  22. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、私の認識では、外務省も一歩踏み込んで、四島支援、人道支援という大きな枠の中ではあるけれども、その中でもインフラ整備までの、私はこれは問題をきちっと外務省は受けとめてやってくれているんだという認識なんですけれども、それでよろしいですね。
  23. 池田行彦

    池田国務大臣 さようでございます。緊急人道支援の枠内でもできるものがある、それはやろうということで、今具体的に検討を進めていると御答弁申し上げました。  それから、さらに、そういった枠内に入り切らないものは十分あり得るわけでございます。それをどうするかという話は、帰属の問題と車の両輪の関係で進めていく環境整備の話の進展する中でどう考えていくか、こういうことでございます。その両方があります。
  24. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 私は、この判断は高く評価したいし、逆に、わかりやすい、日本も変わってきたぞという意味では理解される決定だと思いますから、同時に、この予算の執行は速やかにやっていただきたい、こう思っております。  時間がありませんから、次に大臣、日中、日韓の漁業協定の問題、これも日本全国の漁民が、何をやっているんだということで非常に今不満を持っております。外交ですから、先ほどロシアの問題も一緒ですけれども、相手がありますから、これは相手があるんだよと説明しても、なかなか漁民の皆さん方も、時間がかかっているものですから、極めてだんだん批判が、というか不満が高まってきておりますので、首脳会議、さらには外相会談でも、大臣は相当強く言ってくれておりますから、それはそれで私は多とするのでありますけれども大臣、今回の日韓外相会談で、この漁業協定は夏までに何とかまとめたいというような大臣の言い方があるのですね。  ところが、一月、二月の外相会談では、与党の中では三月までがタイムリミットですよ、それまでまとめられないならば破棄も辞さずだという声がありますよと大臣は相当強く言ってくれたのですけれども、この期に及んで夏までというのは何を基準にしての話なのか。私は、少なくとも、三月に海洋法を批准した、もう一年たっているわけですから、政府をつくっている与党としては、三月いっぱいですよということは強く何回も言ってきたわけでありますから、この点、夏までというのはちょっと私は話としては、何でそういうことに飛んでしまうのかな、こう思うのですけれども
  25. 池田行彦

    池田国務大臣 中国並びに韓国との漁業交渉につきましても、私ども真剣に進めておりまして、中国との関係では、二月の十八、十九日に行いまして、かなり突っ込んだ議論を行い、進展があったというふうに認識しております。そういったことを踏まえまして、次回は四月の二十一日、二十二日に東京で開催される、こういうふうに合意しているところでございます。  具体的には、むしろ韓国の方について今御指摘でございましたが、韓国につきましては、三月の六日、七日に漁業実務者の協議をソウルで行いまして、一定の進展は見られましたけれども、また一方において、問題の難しさもまた浮き彫りにされてきた側面もございます。  そういったことも踏まえまして、先般、柳宗夏外務部長官との間で外相会談を持ったわけでございます。私は、もとより与党を初め関係者方々の、この交渉を早くやれ、そして交渉妥結しないならば大きな決意を持ってということをおっしゃっていることは十分に認識しております。そういったことも十分念頭に置きながら交渉に当たっておるわけでございますが、先ほど申しましたように、三月ということを一つの目途としながらずっと進んできたわけでございますが、具体的に、三月の六日、七日に行いました交渉の結果で、先ほども言いましたように、一定の進展が見られたものの、まだ幅がございました。  そういったことでございますので、現実的に考えますならば、やはりなお精力的に進めても若干の時間は必要なのかなということで、次回の交渉を具体的に四月三十日並びに五月一日にすることで外相会談で合意いたしましたので、そういうものも踏まえながら、それはやはりいつまでもやるわけにいかぬじゃないか、夏までにはという決意でやろうじゃないかと私の方から申しました。  ただ、柳宗夏さんの方も、早期妥結という点については基本的には同感を示しつつも、韓国としての困難さも指摘しながら、いろいろ難しい点も指摘しておった、そのような状態でございます。  いずれにしても、次回交渉の日程も確定しているということでございますから、さらに努力を重ねてまいりたいと思います。
  26. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 日中は四月二十一、二十二日、日韓は四月三十、五月一日と、いずれもこれは東京において開催されますけれども、私は、大臣が夏までにと言ったのは、例えば海洋法の発効が七月二十日ですね、関連国内法も七月二十日スタートだから、それを頭に入れての夏までかな、こう思っておったのですが、それを踏まえての話ですね。
  27. 池田行彦

    池田国務大臣 もとよりそうでございます。海洋法の発効ということも踏まえながら、それで一方におきましては、交渉の進展ぐあい、その内容あるいはそのスケジュール、そういったものも踏まえながら、夏までにはまとめようという決意でいこうよ、こういうことを申し上げたわけでございます。
  28. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、七月二十日が一つのタイムリミットとするならば、私はやはりその時点でまとまっていないときは、これは重大な決意をすべきだと思っているのです。大臣いかがお考えですか。
  29. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほども申し上げましたように、非常に難しい問題があり、また双方立場はまだかなりの隔たりがございますけれども、しかし、何とかこれをまとめていこう、しかも早期にという点も含めまして、基本的に共通の認識があるわけでございます。そういったことで、外交交渉を今進めているさなかでございますので、どうかいましばらく私ども交渉を見守っていただきたいと存じます。  しかし、委員を初めこの国会においても、あるいは関係方面におきましても、非常に強いお考え、お気持ちがあるということは私ども十分承知しておりますし、それからまたそのことは先方にも伝えておるわけでございます。
  30. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、今交渉中でありますから、初めからだめになるなんということは私自身も考えて言っているわけじゃないのです。ただ交渉ですし、相手もある。同時に、日韓、日中もあれば韓中もあるわけでありますから、言ってみればトライアングルの中でどううまくまとめるかですから、簡単なことじゃないことはわかっているのです。  しかし、これとても相当議論はしてきている話でありますから、私は、日本の姿勢としては、七月二十日が一つのタイムリミットとするならば、それまでにまとまらぬときはやはり日本としての何がしかの決断が必要でないか、こう思うのですよ。その認識について私は大臣と変わりないと思いますが、いかがですか。
  31. 池田行彦

    池田国務大臣 委員のおっしゃっているその背景も含めて、よく認識はしております。ただ先ほどロシアについての枠組み交渉の場合でございますと、かなり進んでいると申しました。そういった意味では、かなり機も熟して来、どこかで大きな決断をしなくちゃいけない時期が来るだろうということを申し上げましたけれども、こちらの日韓あるいは日中の交渉につきましては、今それを熟させていくそのまたプロセスにあるのだということもひとつ御理解いただきたいと思います。委員のおっしゃいましたことはよくわかっております。
  32. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 友好は友好でこれは絶対必要なことでありますから、しかも隣国との関係ですから、このことは絶えず頭に入れて交渉するのは当たり前でありますけれども、同時に、日本の名誉と尊厳もあれば日本の国益ということもあるわけでありますから、特に漁民の皆さん方はもう何十年と苦労してきている問題です、特に日韓の関係なんかでは。ここら辺も踏まえて、やはり国民の声というものをしっかり受けとめて、これは精力的に交渉をやっていただきたい。  質問を終わります。
  33. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次に、松沢成文君。
  34. 松沢成文

    ○松沢委員 新進党の松沢成文でございます。  私は、北朝鮮による日本人の拉致疑惑の関連について、政府並びに外務大臣の考え方を質問させていただきたいと思います。  まず、二月に我が党の西村眞悟議員が、政府に対して質問主意書という形で、横田めぐみさんを含んだ拉致疑惑について政府の考え方をただしたわけですが、政府の答弁書を私も見ましたけれども、正直言って非常にわかりにくい部分があったのですが、私なりに要約しますと、横田めぐみさんの失踪が拉致か否かはまだ調査中で結論は出ていない。それで、これまでに拉致されたと確認されるのは六組、九人であること。また、一般的にはという前書きがあるけれども主権侵害に対しては、「主権国家として自国民保護の観点も含め所要の措置を講ずる」、こういうような回答であったと思います。  そこで、まず伺いたいのですけれども政府によって確認されているという六組、九人の事件捜査並びにこの六組、九人以外に、横田めぐみさんも含めて幾つか案件が出ておりますけれども、その後の捜査の進捗状況についてどのようになっているのか、まずお伺いします。
  35. 小林武仁

    ○小林説明員 お答えいたします。  御指摘のとおり、北朝鮮による拉致の疑いのある事件はこれまでに六件、九名であります。また、拉致が未遂であったと思われる事件が一件、二名でございます。これらの事件につきましては、現在でも、新たな関連情報の収集、各事件相互の関連性の調査など、関係機関と連携しつつ所要の捜査を継続して実施しているところであります。  また、この六件、九名の拉致事件の疑いのある事案以外につきましても、例えば昭和五十二年十一月に新潟県で発生いたしました少女行方不明事案のように、拉致の可能性を含めまして、所要の捜査を継続しておるものもございます。  なお、具体的な捜査の中身については、性格上答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  36. 松沢成文

    ○松沢委員 横田めぐみさんの事件については、北朝鮮の元工作員が韓国に亡命して、そこでいろいろなことをしゃべった、その中に日本人のこういう人がいたということで明らかになったのですけれども、韓国政府から何回か、そういうことがあったけれども日本政府として把握されていますかというような照会があったと聞くのですけれども、そういう事実があったのか。また、もし警察庁の方でその照会を受けたとしたら、横田さんの事件は新潟県警で捜査をしていたのですけれども、新潟県警の方にすぐに照会をしたのか。警察庁が全国の各都道府県警に、こういう事件について韓国から来たけれどもどうかということをすぐにやったのかどうか。  また、もう一点は、警察当局がその後、韓国に亡命したこの工作員に接触していろいろと話を聞いたという報道もされていますけれども、その事実があったか、またその内容についてはどうか。この辺をまずお聞きしたいと思います。
  37. 小林武仁

    ○小林説明員 横田めぐみさん事件についての韓国からの照会があったかという御質問でございますが、警察は、犯罪の国際化という現状の中で、治安の責務を果たすという任務に基づき、必要な範囲内で所要の国内外の関係機関と各種の情報交換等を行っております。しかしながら、個別具体的な情報交換の有無なり、その中身については、原則的にはコメントを差し控えさせていただくということにしております。よろしく御理解のほどをお願いしたいと思います。  なお、新潟県警に対する捜査の指示といいますか、それにつきましては、こういった情報に基づきまして、警察庁といたしましても、必要な調整なりという観点から指示を行っております。
  38. 松沢成文

    ○松沢委員 私が調べたところによりますと、韓国から照会があって、それが横田めぐみさんの事件だというふうにわかるのが、大分ここで時間がたってしまっているのですね。これが一つ、私は好ましい状況をつくっていないというふうに思うのです。  また、もう一点、日本の警察当局がこの亡命した北朝鮮工作員に接触した事実ということも答えられないですか。
  39. 小林武仁

    ○小林説明員 先ほど申し上げましたように、個別具体的な捜査の中身につきましては、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  40. 松沢成文

    ○松沢委員 それでは、政府の方が確認したこの六組、九人の中に横田めぐみさんの事件は、今集まっている情報ではほぼ北朝鮮による拉致の可能性が強いというふうに思われますけれども、この六組、九人に含まれていないんですが、拉致疑惑事件として、この六組、九人に含めるだけのもう情報はそろっていると思うんですけれども、その点についてはいかがですか。
  41. 小林武仁

    ○小林説明員 先ほど申し上げましたように、横田めぐみさん事件につきましては、現在までのところ、同人が拉致されたか否かについては確認されておりませんが、いずれにせよ、本件につきましては、拉致の可能性ということも含めまして、所要の捜査をしておるということでございまして、先生御指摘の、いわゆる拉致の疑いのある六件、九名という観点とは若干異なった今の状況ではございます。
  42. 松沢成文

    ○松沢委員 私の得ました情報では、この幾つかの政府が確認している拉致疑惑事件の中に、事件の現場に日本で製造されていないロープというのが遺留されていて、その後の調査で、これは北朝鮮で製造、使用されているものだというふうに韓国側からの発表があったというふうに聞いておりますけれども、その後、警察当局では、このロープを含めた遺留品の関連捜査状況はどうなっているんでしょうか。
  43. 小林武仁

    ○小林説明員 今先生御指摘のような遺留品のロープ、多分これは昭和五十三年の八月の富山のアベック拉致未遂事件のことを指摘されておられると思いますが、御指摘のような遺留品につきましては、当方としては把握しておりません。  なお、当該事件におきまして、現場にゴム製の猿くつわ、それから手錠、タオル等が遺留されておりまして、そのうちのタオルの一本が大阪府下で製造されたものであることが判明しております。しかしながら、他のものはいずれも極めて粗悪品である、製造場所、販売ルートとも不明ということに、その当時の捜査ではなっております。
  44. 松沢成文

    ○松沢委員 もう一点お聞きしたいんですが、私の得た情報では、昭和六十二、三年ごろ、兵庫県警で、恐らく対日の工作員であると思われるある男が、これはスパイとして逮捕されて捜査をされたのではないかという情報が入っているんです。この捜査結果によって、日本国内に北朝鮮のスパイ組織というか、こういう対日工作組織のようなものが存在するということが明らかになったというふうに思われますけれども、当局はどう把握されていますでしょうか。
  45. 小林武仁

    ○小林説明員 御指摘の事件は、兵庫県警察が、昭和六十三年の五月七日に、御指摘の人物を、公正証書原本不実記載同行使で逮捕した事件と考えております。  なお、この事件では、弟の日本の戸籍を盗用しまして、昭和六十一年に弟名義の日本旅券を不正に取得した人物を昭和六十三年五月六日に旅券法違反で逮捕しましたところ、「よど号」ハイジャック事件犯人の一人であるということが判明しております。  こういった事件でありますが、この当時、先生御指摘のようないわゆるスパイ組織と申しますか、そういう支援組織というものについてのかかわりについて、いろいろ捜査はしたと思いますが、御指摘のような具体的な中身については把握しておりません。
  46. 松沢成文

    ○松沢委員 他にも幾つか対日工作員と思われるような事件があったと思うんですけれども、警察当局は、北朝鮮による日本人拉致事件に絡む北朝鮮の日本での工作員活動の実態、私はかなり活発に行われているんではないかと推測をしますけれども、警察当局では、この工作員の活動実態というのはどのように把握されていますでしょうか。
  47. 小林武仁

    ○小林説明員 拉致事件につきましては、もちろん個別の具体的な被疑者がかかわっておるわけでありますが、先生御指摘のように我が国におきましても、過去北朝鮮が関与した、かかわったと見られるスパイ事件等、多く発生しておりますし、そういう面では、いわゆるインフラと申しますか、いろいろな支援というものは当然考えられる。拉致事件についてもそういうものを視野に入れて、当然警察としては関心を持って捜査をしているところであります。
  48. 松沢成文

    ○松沢委員 確かにこれ、いろいろ捜査がずっと継続しますから、大変言いにくい部分だと思いますが、例えば一つの提案として、韓国には北から相当亡命者がいるわけですね。その中には元工作員であったという方もたくさんおられるわけで、日本として日本人の安全、人命を守るというのは政府の一番大きな務めでありますから、韓国とある意味で共同して、韓国に亡命してきた北朝鮮人、特に元工作員も含めて、徹底的に、日本での対日工作活動の情報を集めるために韓国と共同してこういう捜査に当たるという方向も考えられると思いますが、そういう方向性は持っているんでしょうか。
  49. 小林武仁

    ○小林説明員 犯罪の国際化ということで、御指摘のように韓国との捜査協力、もちろん韓国以外、各国すべてそうでございまして、必要な状況があれば当然捜査の連携、また情報段階におきましても連携の強化ということは当然だと思います。
  50. 松沢成文

    ○松沢委員 先月、この拉致疑惑日本人の当事者の御家族の皆さんが被害者家族連絡会というのをつくりまして、発足以来、その会のもとに私の家族も拉致されたのではないかとか、こういう情報もかなり寄せられているらしいんですね。それで、家族の多くが地方に住んでいて、いろいろとそういう問題を訴える場もないということで、私はこの六組、九人以外にも、もしかしたらかなり可能性のある方がいると思うんですね。  そういう情報を一元的に収集する意味でも、政府が何らかの形でこういうものに対応する機関を用意すべきてはないかというふうに思いますけれども、その辺について政府のお考えはどうでしょうか。
  51. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 我々といたしましては、一般的にこの種の問題の解決、それが困難であっても、どうしたら効果的に前進させられるかということから、いろいろ考えてまいりたいと思っておるわけでございます。  それが基本でございますが、今現在、委員指摘の機構という面につきましては、外務省、警察庁、その他つかさつかさの任務を担っている機関が既に存在しておりますので、当面、政府として新たな機関をつくるということが今申し上げた目的に合致するというふうには、現時点で必ずしも考えておりません。
  52. 松沢成文

    ○松沢委員 今まで警察当局の御答弁で、日本にもかなりの対日工作機関あるいはスパイ組織というものがあった可能性は強いと私は思いますし、また、警察当局では鋭意それを捜査しているということであります。  そこで、外務大臣並びに外務省の方にお尋ねをしたいのですけれども、北朝鮮による日本人拉致、これは疑惑といってもほぼ確実なものが幾つか出ておりまして、なぜ北朝鮮が日本人の拉致をするのか、その動機、目的、それは何だとお考えなのか、この点についてお聞きしたいと思います。
  53. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど来、警察庁あるいはアジア局長からも御答弁申し上げておりますけれども、この問題につきましては、私どもも細心の注意を持って取り組んできているところでございます。捜査当局としては、先ほどから御答弁ございますように、当然所要の捜査はやっておりますし、外務省といたしましてもそういう情勢を見ながら一必要な情報の収集には努める等、努力はしておるところでございます。  しかし今、北朝鮮がどういう意図でと、こういう御質問でございますけれども、今までの答弁からも御理解いただけると思いますけれども、これは北朝鮮によるものであるという疑惑はございますけれども、そういう断定できるような状況にはないわけでございますし、ましてや、さらにその先へ進んで、そういった北朝鮮による行為であるということをまず前提にして、今度はその意図は何なのかということを一般的にお答えできるような状況にはない、このように思う次第でございます。
  54. 松沢成文

    ○松沢委員 幾つかの事件を追っかけてみますと、まず動機の一つと思われるのは、やはり日本人を拉致して北朝鮮に連れていって、その人の戸籍だとかパスポートを使って、その日本人に成り済まして日本国内でスパイ活動をする、あるいは朝鮮にも韓国にも出入りが自由になりますから、そういう形でスパイ活動をするために戸籍、パスポートを奪うというのが一つのパターンですね。  もう一つは、金賢姫の教育係、李恩恵さんに代表されるように、その本によりますと田口八重子さんという名前もしっかり出てきておりまして、その拉致した日本人を使って工作員の養成、教育に当たらせる、そして日本の社会あるいは日本語等も教えて、こういう教育係にするというような幾つかの事例、パターンがあるわけですね。  そういうことから考えますと、全く日本の国が無防備で危機管理ができていないので、もう北朝鮮にある意味でいいようにスパイ活動され、また日本人まで拉致されて北朝鮮のスパイ養成に使われている、こういう事実がかなり確実になってきていると私は思うのですね。  そこで、お尋ねしたいのですが、こうした事件は、私は、北朝鮮の国家ぐるみで緻密な計算のもとに、組織的、計画的に行われている可能性が強いと思うのですけれども外務大臣はいかがお考えでしょうか。
  55. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど来御答弁申し上げていますとおり、委員は確実だとおっしゃいますけれども、そういうふうなことをきちっと確定する、あるいは断定するといった前提であれこれ物を申し上げられるような状況にはない、こういうことでございます。  それでもあえて聞くんだ、こうおっしゃるならば、私もあえて純粋な、特定の国を念頭に置いての答弁ではなくて、純粋に一般論、国際法上あるいは国内法上どうかということでお答えするならば、特定の外国が、あるいはその機関が我が国において、我が国政府の同意を得ることなくある種の活動をするということがありますならば、これは我が国主権の侵害になるわけでございますし、また、そういった行動を通じて個別の我が国の実定法、法律に違反する行為があれば、それはそれとしてまたその法律に照らして判断しなくてはならないということは言えると思います。  これはしかし、先ほど申しましたように、あくまで、どこかの国を念頭に置いたわけじゃない、全く国際法的あるいは国内法的にどう考えるかということでお答えさせていただいたわけでございます。
  56. 松沢成文

    ○松沢委員 外務大臣の答弁の趣旨はわかりますけれども、そういう疑惑があって、もしそれが本当であったとしたらやはり政府として迅速に対応していかないと、最悪の事態を迎えるということも私は想定ができると思うんですよ。万が一、今後北朝鮮が、近隣国の努力もむなしく最悪の事態として崩壊のようになった場合、この国家ぐるみによる犯罪の証拠隠滅のために、拉致された日本人の方が消されるという最悪の事態も私は想定をしなければいけないと思うのです。今大臣の答弁のように、これはあくまでも疑惑であって、調査中だからどうこう言えないというお立場だと思うのですが、それがもし本当であったならば、これは外務省なり日本政府がしっかり態度を持って対処をしていかなければ、最悪の事態を迎える可能性も私は否定できないと思うんですね。  今後、外務省並びに外務大臣として、確かにまだ疑惑であって確定はしていないけれども、じゃ、この疑惑事件に対してどういう対応で臨まれるのか、その考え方をお聞きしたいと思います。
  57. 池田行彦

    池田国務大臣 もとよりこの疑惑の持たれている事件、あるいはその可能性を否定し切れない事件あるいは事態、そういったものは国民の安全にかかわる問題でございますから、私ども政府の関係機関、外務省も含めまして、これは重大な事柄と、こう受けとめ、そして対処していくのに非常に難しい状況ではございますけれども、そういった状況の中でとり得る最善の道を模索しながら対処してきているところでございます。これからも関係機関、その連携をとりながらきちっとやってまいりたい、こう思っております。  ただ、今委員が御質問の中で、幾つかのことを、仮定の上にさらに仮定を乗っけ、前提の上にさらに前提を積み上げていろいろ御指摘になっておられましたけれども、私は、仮定だとしても、やはり事国民の安全にかかわる問題でございますから、そこのところは、事に当たるに当たってもそうでございますが、事についての考えを表現するに当たっても、よほど細心の注意を求められる事柄ではないかな、こう考える次第でございます。
  58. 松沢成文

    ○松沢委員 疑惑事件であります、まだ事件ではありません、疑惑事件でありますが、ただ、その疑惑がある以上、それを解明していかなければいけない。日本国内での捜査も大変重要でありますけれども、当然これ北朝鮮に対して、どうなんだということを聞いていくことも一つの方法だと思います。そして、北朝鮮はこういうことを言っても全面否定でありますから、それはなかなか進んでいきません。  そこで、もう一つの方法として、やはりこういう疑惑は国際社会に訴えて、国際社会のある意味でのプレッシャーも使って、北朝鮮に対してその情報を公開させる、こういう方向に持っていくのが一つの方法だと思うんですね。そこで、今、例えば国際機関の雄であります国連、国連の人道問題局では、北朝鮮が崩壊しないように、水害の被害もあって飢餓にあえいでいる北朝鮮に食糧を支援していこうというアピール、要請を出しているわけでありますけれども、私は、この国連人道問題局をある意味で逆に使って、北朝鮮で日本人の拉致疑惑、人権が侵害されている、これがかなり高い確率として調査されている。ぜひとも国連が国際横関として、北朝鮮で日本人が拉致されているとしたら、疑惑があるのだから、その情報を公開するように国際機関を通じてやることが当然考えられると思います。  また、これも可能かどうかわかりませんが、国連総会のような立場で、北朝鮮も当然国連のメンバーですから、そういうところで決議案なりのアピールも考えられる。疑惑があるのであればそれを解明するために国際機関をもっとしっかり利用する、こういう方向が考えられると思いますが、いかがお考えでしょうか。
  59. 池田行彦

    池田国務大臣 繰り返し答弁申し上げておりますけれども国民の安全にかかわる問題でございます。私どもも重大に考えておりまして、この疑惑を解明する、あるいはその事柄を解きほぐしていき、国民の安全を確保する、そういったことのために一体何ができるか、そして何が有効であるか、限られた条件の中であれこれ模索をし、そうして我々として有効性があり得ると考える手段はいろいろ講じてまいっておりますし、これからもやってまいります。  ただ一それが具体的に一体何かという点につきましては、いろいろ考え方もあるんだと思いますし、我々が現に考え、模索している手法につきましても、その手法の有効性を確保するという観点からも、そして何よりも国民の安全にかかわる問題ですから、そういったところへ配慮しながら、あえて表へ明らかにすることは差し控えさせていただくことが適当だということも少なくないんだ、こう考える次第でございます。
  60. 松沢成文

    ○松沢委員 先ほども申し上げましたけれども、今国連の人道問題局あるいはWFPの方からも北朝鮮の食糧難、飢餓に対して国際社会が援助をしてほしいという要請を出しております。この局面でこの日本人の拉致疑惑の問題も日本国内では大きくなってきているわけなんですけれども、二、三日前にアジア局長の方もある会合で、この食糧支援について、この拉致事件もあるのでそう簡単には応じられない、また北朝鮮は軍部独裁で、食糧を援助しても満遍なく一般人に行き渡るかどうかの保証もないし、なかなかそこは今考えているところだということをおっしゃったそうでありますけれども外務大臣、現時点でこの食糧支援の要請にどのような形で応じていくのか、そのお考えをまずお聞かせいただきたいと思います。
  61. 池田行彦

    池田国務大臣 もろもろの要素を総合勘案しながら、どうするか、慎重にかつ真剣に検討している過程でございます。
  62. 松沢成文

    ○松沢委員 米韓が、この四者協議に北朝鮮を引き出す、出席させたいという思惑を持っていて、その中で、人道支援ではありますけれども、この食糧援助に積極的に応じている。私は、確かにこれは人道援助でありますけれども、ある意味で四者協議の席に着かせるという戦略的な意図を持った援助であると見ることもできると思うのですね。  片や、日本もこの拉致日本人の疑惑、これは日本人の人命がかかっている大変大きな人権問題でありまして、この件を日本国としてしっかりと解明をしていく、これは私は日本政府に課せられた大変大きな課題だと思うのですね。そういう意味で、北朝鮮は今大変な食糧難で、確かに国民は飢餓にあえいでいると思いますけれども日本人の人権もかかったこの拉致疑惑をあえて食糧問題にリンクさせて、日本が毅然とした態度で、この問題に対する北朝鮮の情報公開がなされなければ残念ながら食糧援助に応じることはできないというぐらいにはっきりと物を言って、ある意味でこの食糧援助を、戦略援助という言い方は言い方が悪いですけれども外交交渉のためにあるいは拉致疑惑を解決するために使っていく、そういう毅然とした態度も私は求められると思いますけれども外務大臣、御見解いかがでしょうか。
  63. 池田行彦

    池田国務大臣 この問題に限らず、外交問題、それはいろいろな要素が複雑に絡み合う中で、いかにして日本の国益をしっかりと守っていくかということでございますので、当然のこととしていろいろな要素を、それは戦略的な観点も含めながら総合的に勘案しながらそれに最も適切な道を模索し対処していく、そういう心構えでやっております。そういったときには、それは毅然とすることも大切でございますが、場合によっては柔軟性を発揮することも必要である、こういうことも指摘しておきたいと思います。
  64. 松沢成文

    ○松沢委員 時間ですので、終わります。
  65. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次に、青木宏之君。
  66. 青木宏之

    ○青木委員 青木宏之です。  時間も限られておりますが、せっかくの機会ですのでいろいろとお尋ねをしたいことがたくさんございます。どこまでお聞きできるかわかりませんけれども、御答弁の方もひとつ簡潔にお願いを申し上げたいと思います。  まず初めに、二〇〇五年の国際博覧会の件でありますけれども、来る六月十二日、モナコでのBIEの総会が開催をされるわけでして、間もなくでありますが、現時点での見通しといいますか状況、外国相手のことですからなかなかすべてをというわけにはいかないかとも思いますけれどもお話しいただける範囲内で、例えば全有権国数の中でどんなような状況にあるのか、正式に支持回答が来ている国も、もう既に表明をされている国もあると思いますけれども、それらを含めましてどんな状況かお聞かせをいただければと思います。
  67. 池田行彦

    池田国務大臣 事柄が選挙にかかわる問題でございますから、お互いに選挙を経験している政治家同士でお話しした方がいいと思いますので、私から答弁させていただきます。  六月にBIEが開かれるわけでございます。そこで投票ということになるわけでございますが、それに向かいまして、政府はもとより各機関、そうしてまたその関係の民間の方々あるいはその地元の地方公共団体も含めまして、今その投票に参和する各国の支持の取りつけに積極的に働きかけておるわけでございまして、現在の状況を全体で申しますと、決して悲観をしなければいけないという状態ではない。選挙情勢についてのいわゆる報道ぶりなんかでの表現をかりますと、まあまあどんどん浸透をしておるとか、あるいはいい線で戦いを進めているとか、そういうことになるのではないかと思います。  しかし、選挙でございますから、この国の御支持はちょうだいできると思っておりましても、まだ現実に投票していただくまではこれはわかりません。それからまた、現在の段階でいろいろ見通しを明らかにすることが、とりわけ当事者である我が国政府からそういうことについて明らかにすることは、現在の支持情勢に変化をもたらす可能性もありますし、あるいは現在いろいろなことで支持を約束しておられる国の立場も苦しくする、それがまた選挙結果に影響を及ぼすこともございますので、具体についてはちょっと御答弁を差し控えさせていただきまして、でき得るならば、委員もいろいろ、場面がございましたら、関係諸国にさらに支持を固めるように、広げるように、お働きかけをいただければと存ずる次第でございます。
  68. 青木宏之

    ○青木委員 ありがとうございます。大変有利な戦いという御答弁でありましたので、お言葉のように選挙でありますから、投票直前まで気を許さないように、ひとつぜひ全力投球をお願い申し上げたいと思います。  一つだけ、その点に関しましてですが、ペルー人質事件でカナダにちょっと世話になった、なっているという部分があるものですから、若干何か、何となく気が引けるなというか、そんなことがちょっと漏れ聞こえてくるのですが、それはそれとして、これは別件でありますから、その辺は遠慮のないように、ひとつ全力を尽くしていただきたいと思います。これは要望をしておきたいと思います。  さて、次の問題でありますが、今のペルー人質事件とも絡みまして、キューバ、今外相がお見えですが、無償援助を再開といいますか、されるやに聞いております。これは、解決をしてキューバが現実に犯人グループを受け入れたという事実が前提なのか、解決がどういう形になるかまだわかりませんけれども、それが前提なのかどうかという点について、お尋ねをしたいと思います。
  69. 池田行彦

    池田国務大臣 この問題は、いわゆる草の根無償というものでございますけれども、これはペルーの事件、あるいはそれについてキューバが一定の役割を果たそう、こう言っていただいているということとかかわりが、直接関係があるわけではございません。  実はこれはもう一年以上も前、私の記憶ではたしか一昨年の暮れだったと思いますが、そのくらいから話が出てまいりまして、NGOを通じまして草の根無償をいろいろな国にやっておりますが、そういうことをやろうという話がずっと進んできておるわけでございます。それを昨日、ロバイナ・キューバ外相と私がお会いしましたときに、もとよりペルーの事件についてもお話はしますが、それ以外の話題もございます。そういった中で、かねてから進んでいる草の根無償の話もかなり煮詰まってきているようだし、それは関係方面とさらに詰めの作業を急がせますよということを申し上げた、そういうことでございまして、特に大使公邸占拠事件と結びつけたものではございません。
  70. 青木宏之

    ○青木委員 今の草の根の援助ということは、これは別件で進められておることでありましたが、キューバ立場、あるいは我が国立場からして、当然そういう大臣のお答えになろうかと思いますけれども、これは、やがて結果が目に見えることだと思います。  それでは、一応関係なくしてという前提に立ちまして、この無償援助再開といいますか、そんなことが、間もない今後に可能性ありやなしやということにつきましてはいかがでございましょうか。
  71. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど申しましたように、いわゆる草の根無償というものでございますから、金額的にもある程度限られたものでございますし、それから、これまでもその国との関係がいろいろございましても、人道的な観点からだとかいうことでいろいろ進めてきている、そういう性格のものでございます。  確かに、同じ無償援助ではございますけれども、草の根というあれがついておりますので、いわゆる一般に言われる無償援助とは我々は区別して考えているものでございます。したがいまして、実際の、何といいましょうか援助活動の主体にいたしましても、あるいは援助受け入れ団体にいたしましても、NGOであることが多いわけでございまして、このキューバの件につきましても、そういったことでこれまで作業を進められているわけでございます。  だから、キューバに対するものではございますけれども、厳密な意味での政府の間のいわゆる無償援助とは性格は違うものだというふうに御理解いただければと思います。
  72. 青木宏之

    ○青木委員 なかなか御答弁は難しいかもしれませんが、一応今までは、債務が大変焦げついておりまして、とてもじゃないが、その返済等、見通しがある程度立たなければ再開ということは難しいという立場であったと思います。ならば、この延滞債務の仮に一部でもキューバの方から返済という申し出があった場合、再開が検討されるかどうかという点についてはいかがでしょうか。
  73. 池田行彦

    池田国務大臣 今おっしゃいます延滞している債務の問題というのは、これは基本的に、民間の債務が延滞している、その話だと思います。もとよりそのことが、貿易保険なりあるいは、例えば輸銀融資等の関係で政府にもかかわりは持ってきますけれども、基本的には、民間の直接投資なりなんなりが行われるかどうかという、そういう話ではないかと思います。  いずれにいたしましても、それは基本的に個別企業の判断でございますが、これまでの滞っておりますキューバからの債務というものが、段階的にであってもこれが返済されるというような動きが出てくるならば、そういった民間ベースでの経済交流、それは貿易もあるいは直接投資も含めてでございますが、そういうことが伸びてくる条件を整備することにはなろうかと思いますけれども
  74. 青木宏之

    ○青木委員 ほかにもたくさんございますので、この件はそれにとどめたいと思います。  先ほどお話が出ておりましたが、ロシアとの関係についてであります。  いずれにしても、これは隣国のことでありますし、それから、先ほど来の北方領土の関係もありますし、国交正常化等の問題もあって、我が国からして重要な国に位置づけられると思います。したがって、我が国外交におきましても、対ロシアというものについては相当精力的に展開をしていかなければならないというふうに思いますが、いろいろあるのですけれども、時間が限られておりますので、私、大変気になっておりますこと一、二について、お尋ねをしたいと思います。  一つは、ソ連崩壊、そして現在のロシアになりまして、現段階では、国内のいろいろな統治機能が十分でないという部分があるやに聞いております。そういったことから、原発を有し、そしてまた、もちろん原水爆も有しているわけでありますが、この原子力関係というものについて相当広範囲にいろいろ扱っていた国でありますから、現在も扱っておりますけれども、しかし、その辺の管理がどうも十分ではなさそうだというようなことがいろいろと聞こえてくるわけであります。  隣国でもありますし、また日本海という海で接しているわけでもありますので、汚染とかそういった問題も大変重要な問題であろうと思います。  例えば原子力潜水艦が海の底に沈んでいる、その原子炉が腐食をして放射能が漏れ出すおそれがあるのではないか。  さらにはまた、直接海にすぐ影響があるかどうかわかりませんけれども、あのチェルノブイリの原発事故後、あれが封鎖をされているわけであります。ところが、地上は封鎖をされておるわけですけれども、いかんせん地下へどうも現在相当放射性物質が漏れ出しているのではないかというようなことも聞いておりまして、これが地下水へつながる。地下水はほとんどこれ相当長距離、広範囲に、まあ実態はよくわからないというようなことから、そういったものが当然河川へ流れ出る。そうすれば、最終的にはこれは日本海へたどり着くわけであります。そんなようなこと、そしてまた、シベリアの方には放射性廃棄物を投棄をしておる問題が出ております。  事ほどさように、あちらこちらいろいろなところに、放射性物質の管理というものがどうも不十分ではないのかというような情報が非常に多いわけでありますが、そういった点について、我が国としては当然影響を受けるわけでありますので、ロシアに対してどのような外交策を講じてみえるのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  75. 浦部和好

    ○浦部政府委員 御指摘のように、ロシアにおける環境問題等につきましては、我が方としても当然十分な関心を持っておるわけでございまして、汚染の状況にかんがみて協力の必要性が高いと判断される場合には、当然、ロシアあるいは関係国際機関等とも協力をしながら対応していく必要があるというふうに考えてございます。  幾つかの御指摘がございました。例えばチェルノブイリのお話がございました。確かに、これは大変重要な、かつ広範囲な影響のあった事故でございます。御案内のように、これにつきましては二〇〇〇年までの閉鎖ということが決まっておりまして、これについて我が国としても当然国際的なレベルで協力をするということが決まっておるわけでございます。また、このチェルノブイリにつきましては、それだけではなくて、例えば被災者に対する人道支援であるとかあるいは技術支援というような面についても協力をやっているという状況がございます。  また、旧ソ連あるいはロシアの原子力潜水艦、これから生ずるいろいろな問題ということも、おっしゃるとおりございます。このロシアの原子力潜水艦の解体によって生じます液体放射性廃棄物の処理施設の建設ということについても我々協力をしておりまして、この夏までには必要な施設ができ上がるということになっております。これができ上がれば、現在極東にございます液体性放射性廃棄物並びに極東にある廃棄された原子力船の解体から生ずる同様な物質、それを十分この施設で処理、貯蔵できるという格好に今なって、我々が協力をしているところでございます。  それから、もちろん、そういういろいろな放射性廃棄物、特に御指摘がございました海洋投棄の問題は確かにございます。これについては、今申し上げたような施設の整備と同時に、具体的に現場を調査するというようなこともIAEA等と一緒になりましてやっておるわけでございます。例えば九四年、九五年、これは日ロ韓及び今申し上げたIAEA等で調査をいたしまして、とりあえずの海洋投棄の影響は日本海ではないという結果が出ておる。  以上のような状況でございます。
  76. 青木宏之

    ○青木委員 御努力をされてみえるということでありますが、いずれにしても地球規模でも世界規模でも重要なことでありますし、我が国としては、日本海そして近隣ということから非常に国民心配するところでありますので、今後十分な接触、そしてまた対策を期待したいと思います。  先ほども、放射能とは違いますが、何か報道によりますと、日本の天然記念物であるオオワシの死骸にPCBが大量に含まれていた。釧路での調査と比較してたしか二十四倍でしたかね。とてもではないが、これが個体数を減少せしめるに十分な値が出ておるというような報道もありまして、事ほどさように、その辺大変心配がございますので、ぜひ、関係当局とも協力しながら積極的な対策をお進めいただきたいと思います。  もう一点でありますが、北方領土の問題が先ほども出ましたが、それとともにシベリア地区を初め極東ロシア経済情勢、まあロシア全体の経済情勢もしかりではありますが、この極東ロシア状況というのは悲惨といってもいいような状況と漏れ聞いております。給料の遅配等もありますし、あるいはこの間テレビを見たときには、本当かうそかよくわかりませんが、一カ月の給料のかわりにちょっと大きな食パン四つと、まあ四つといってもかなり大きいのですけれども、そんなような報道があったように思います。こんな状況で、何とかしなければならない。  もちろん国内問題でありますから、これはロシア政治にかかわることでありますけれども、やはり貧困、そしてそういった劣悪な経済状況というものは日本のためにも改善をしていかなければならない。ということになりますと、やはり日本が、民間レベルも合わせましてロシア経済に対しての協力支援等々はしていかなければならないし、どうしていくべきかという問題があろうかと思います。  そこで、いろいろロシア側からの話も聞きますと、やはり根底に領土問題が横たわっておりまして、どうしてもその辺が経済協力といいますか、の支障になってくる。先ほど来の話もありますように政経一致というようなこと等もありますが、やはりそれを乗り越えて、相当劣悪な経済情勢でありますから、これを改善した方が両国の関係にも将来いいのではないか、こういうふうに私は思うわけでありますので、ぜひ、何らかの協力支援等が今後さらに力強く進展されていくような対策が講じられなければならないと思いますが、大臣はどうお考えでしょうか。
  77. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもも、先ほどこの委員会でも議論がございましたけれどもロシアも旧ソ連の時代とは政治的にもあるいは経済的にもがらりとその体制を変えました。あるいは、変えようと努力をしている過程にございます。そういったことを踏まえながら、隣国でございます、とりわけ今御指摘の極東地域ということになりますと我が国と一番近い地域でもございますので、そのあたりが安定し、そして経済交流も進んでいき、また我が国にとっては資源の面でもいろいろ相互に協力できる分野が多いわけでございますから、いろいろ進めてまいりたいと存じます。  しかしながら、それは国交関係がどうだから我が国協力に限界がある云々という話の前に、まずやはりロシア側として整備すべき面も少なくないわけでございます。  例えば、民間の直接投資をしたりする場合に、民間企業の活動がどのようにスムーズに行われるかということ、あるいはそういったときに利益がどういうふうに保証されるのか、あるいはその送金がどうなのかとか、あるいは税制面がどうなのかというような、ロシアにおけるいろいろな制度面での整備も必要でございます、もとよりインフラその他の整備は必要でございますが。そういった点につきましても、私どももいろいろノウハウであるとかテクニカルな面での協力も今進めております。  そんなことで、例えばPS法、プロダクトシェアリングの法律がございますけれども、そういったものにつきましても、最近、さらにそれが実際にワークするための細やかな規定の整備をロシア側も進めている、こんなことも大切なのだと思います。  そういったことを踏まえた上で、我が方としても、現在最終的な平和条約締結というのは、御承知のとおり北方領土の問題がございますので、まだ至っておりませんから、その努力努力として進めなくちゃいけませんけれども、その間にもできることはやってまいりたいと思っております。  現実に、例えば輸銀融資なども最初は四億ドル相当の輸銀融資の枠があり、そうして昨年新たに五億ドル相当の円借の枠を決めたわけでございます。またそういった中で具体化しているものもございますし、それからまた民間ベースで話が進んでいるのでは、いわゆるサハリン1、サハリン2なんというプロジェクトもいろいろ進められているところでございますので、我々も現在の日ロの関係を踏まえながら、そうしてロシア側のいろいろな条件整備を促しながら、必要な経済面での協力なり共同事業というものもこれからは進めなくてはいけない、こう考えている次第でございます。
  78. 青木宏之

    ○青木委員 もう時間が差し迫ってきておりますので、いろいろとあるのですけれども、今度は中国、中華人民共和国でありますが、これもたくさんあるのです。  ちょっと絞りまして、李副首相が、ほんの最近ですが、国交正常化二十五周年になるわけですけれども日本における軍国主義台頭が懸念される、こういう発言をなさっておるようなのであります。我々からすれば、どこに軍国主義の台頭があるのかなと思うのですけれども、一応、外に向かって中国の副首相がそういう発言をされておるということから、そして同時に、何か過去の戦争を踏まえた歴史教育に日本はしっかり取り組んでほしい、こういう要請もされたようでありますけれども、私どもの感覚からすると、これがちょっと思い過ごしといいますか、失礼かもしれませんが、被害妄想といいますか、そんな感じを受けるわけであります。  しかし、いずれにしてもこういうことを言われるということについては余りいいことではないわけでありますので、そのあたりの中国の日本に対するそういう感じというか思いということにつきましては、現在どのように認識、把握をされておられるか、お尋ねします。
  79. 池田行彦

    池田国務大臣 その前に、先ほど私、四億ドルそして五億ドルの輸銀融資、その枠の、円借という言い方をしました。失礼しました。円借という場合はOECFなのでございます。これは輸銀融資でございます。訂正しておきます。  それから、今の御質問についてでございますが、私どもは基本的に日中の関係、ことし二十五周年という節目を迎えるわけでございますが、これまでの非常に長い歴史、また国交回復になってからも、二十五年間の歩みというものをずっと振り返り、そして将来に向かって友好関係をさらに増進していかなくてはいけないと思っております。  その際に、我々日本あるいは日本国民として大切なことは、やはり過去というものを逃げずにしっかりととらえ、その真摯な反省の上に立って、そうして未来志向で関係を進めていくこと、この基本的なスタンスというものが大切だと思います。そうしてまた、将来を展望しました場合には、日本にとっても、あるいは中国にとっても、それぞれの国の安定と発展のためには、当然のこととして両国関係を友好裏に推移させるということが極めて重要だ、こういう事実がございます。  しかも、それは単にその両国にとって大切であるというだけではなくて、いろいろな分野で両国が国際社会、とりわけアジア太平洋社会において占める地位あるいは果たさなくてはいけない役割ということを考えますと、この両国関係を一層進めていく、友好裏に進めていくということは、国際社会に対する両国あるいは両国民のある意味の責務であろうかとも考えるわけでございます。  そういった基本的な認識を持ちながら、私ども、両国の国民はもとよりでございますが、とりわけ政府関係者あるいは政治指導者というものは、対処していくべきものと考えます。そういった基本は中国も共通の認識を持っておると思います。  ただ、そういった中で、最近いろいろな世論調査に見られますように、中国においてもあるいは日本においても、お互いに親しみを感ずるパーセンテージがかなり落ちてきたなという事実がある。ここのところを私ども真剣に考えなくてはいけないと思うのでございます。やはり二十五年前に国交回復をしたときに、両国でどれだけ真剣にこれが大切だということで考え、取り組み、そういった国交回復をなし遂げたかということをいま一度この節目の年に思い起こして努力をしなくてはいかぬ、こういうことだと思います。  中国の指導者の方もいろいろな日本の姿勢について発言されることもございますけれども、その一つ一つに余り、何といいましょうか、鋭敏過ぎるといいましょうか、場合によっては過敏と言っていいような反応をすることなく、その基本のところの認識が一致しているかどうかというところを見ながら進めていけばよろしいのじゃないかと思います。  もとより、今委員がおっしゃいました、我が国に現在軍国主義というものとかあるいはそういった流れというものが出ておるとは私は思っておりませんし、私どもも、どの会議等においてということは申しませんけれども、中国側と話をします場合に、時としてそういう言葉が出てくることがございましたら、誤解のないように、そんなことは全くございませんということは明確に申し上げてきておるところでございます。  いずれにいたしましても、私ども先ほど申しましたような基本的認識に立ちまして、日中の友好関係を一層促進してまいりたい、こう考える次第でございます。
  80. 青木宏之

    ○青木委員 国と国との外交ですから、あるいは世界に向けての発言とかいろいろあるわけでありまして、もちろん今おっしゃいましたように、過剰反応等々をする必要はありませんけれども、いずれにしても隣国、備えは備えとして、そしてまた外交外交としてしっかり進めて、平和な、友好な関係をやはりつくっていくということにしなければならないと思います。  私から言わせれば、日本のことをそうおっしゃる前に、自分の国のことをいかがですかとむしろお伺いをしたいわけであります。最近の中国は相当な急ピッチな軍拡であるというふうにいろいろな情報が出てきております。ロシア先ほどのような状況であり、そして軍備はどんどんそれが中国に売却をされている、特に海軍力の増強というものが大変目覚ましいというようなことだそうであります。  いずれにしても、これから日米ガイドラインの問題も出てまいりますし、それぞれの国、国防は国防として備えはしっかりしなければいけませんが、それだけに、その一方ではやはり相当熱心な外交努力、これは官民合わせての外交努力というものが望まれると思います。  時間がもう余りありませんので、先ほど来の北朝鮮の問題をお尋ねしたいと思いますが、先ほど、同じ党ではありますけれども、松沢議員の方からは、拉致問題を絡めて食糧支援をしないという立場だと思いますけれども、私は全く逆でありまして、それはそれとして食糧支援はすべきだ。これはやがてアメリカからも、やがてといいますかアメリカからも相当日本に対して要請されておると思います。やはり私は、時間がありませんので私の方から申し上げますけれども、この北朝鮮の状況というのは非常に危機的な状況だという認識を抱いております。危機的というのは文字どおり危機的でありまして、そんなことはないといろいろな資料では出ておりますけれども、生のいろいろな情報を集めますと、これはもう数カ月先という単位で危機だ、崩壊の危機だということも言われておるやに伺っております。これが今の時点で、もちろん政治体制として隣国の共産主義国あるいは社会主義体制国というものが崩壊をする。ソ連のように崩壊をして自由主義国、民主主義国になっていくということについてはそれは喜ばしいことかもしれませんが、現実問題として、これは大量の難民発生という問題が当然出てくるわけでありまして、とてもじゃないが現状で日本がこれを受け入れる体制はほとんどゼロと言ってもいいかと思います。  そんなことにならぬように望むわけでありますけれども、そのためにもやはり今は食べること、これは最低のことでありますから、食糧がないということはこれは危機を生む最大の条件になってきますから、やはり最低の食糧は支援するということの方が外交的にはむしろ日本のとるべき道だ、こんなふうに私は思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
  81. 池田行彦

    池田国務大臣 北朝鮮の状況につきましては、今委員がこれからどうなるかということについてまで踏み込んでいろいろおっしゃいました。そういった点についての見方は必ずしも私は一致するわけではございませんけれども、現状は極めて厳しい、特に経済状態、その中でも食糧問題は切迫した状態であるということは、十分承知をしております。そういった状況を踏まえながら、我が国としていろいろな観点から考えていかなくてはいけない。  委員御自身もおっしゃいましたように、御見の中においても具体的にどうするかという点について全く逆のお考えがおありのようでございますが、そのように国民の中でもいろいろな考えがあるんだと思います。その影響するいろいろな要素というものを私ども慎重にかつ真剣に分析もし、また総合的に判断してまいり、日本としてこの朝鮮半島の安定化を望むという立場、そうしてまたもちろん人道的な見地での国際機関、国連のアピールということもございます。そういうことも勘案しなくてはいけない。それからまた、直接リンクするわけではございませんけれども、この問題にどう対応するかについて国民皆様方のお気持ちの中では、大きな影響といいましょうか、そういったものを持たれても不思議ではないいろいろ別個の人道的な観点からする事柄等々も総合的に考えながら検討してまいりたい、こう思います。
  82. 青木宏之

    ○青木委員 一分ぐらいあると思いますけれども日本がこれは相当間髪を入れない対応、決断というものがやがて求められてくると思います。台湾は中国との駆け引きの中で相当な急ピッチで北鮮食糧援助を含めて経済協力を進めております。中国も負けじということでもありますし、そういった経済のこれからの北朝鮮との関係においても非常にこれは大事な決断がターニングポイントになるという感じもいたしますので、ぜひ過ちなき決断をされますよう期待をさせていただいて、質問を終わります。
  83. 逢沢一郎

    逢沢委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十六分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十分開議
  84. 逢沢一郎

    逢沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井上一成君。
  85. 井上一成

    ○井上(一)委員 今、人類が背負っている課題を一言で言えば安全と繁栄である、私はそう認識するのです。安全、平和というのでしょうか、戦争のない、紛争のない世界をつくること、それは平和の維持でもあります。災害、病気、飢餓、あるいは地球環境を守っていく、そしてテロを撲滅する、そういう政治の果たす役割をしっかりと認識した上に立って質問をします。  まず最初に、許しがたい行為であり、大変外務省も御努力は、関係各位の御努力は、私はそれは一定の敬意と、多とするところはやぶさかではありません。しかし、今回のペルー大使館の公邸占拠事件で、外務省としてこの事件発生に関してどういう認識を持っているか、このことをまず最初に尋ねたいと思います。
  86. 池田行彦

    池田国務大臣 私ども、既に四カ月を超えましたこの事件の、何とか平和的な解決を早く実現したいと今全力を傾注しているところでございますが、それと同時に、このような事件が起きたということにつきまして、外務省としてもやはり抜かりがあったのじゃないか、あるいは将来に向かって、今回の事件の反省の上に立って教訓としてなすべきことがあるのではないか、こういうことは今真剣に考えておりまして、それのための委員会を省内に設置いたしまして、いろいろ検討を進めているところでございます。  もとより、今回の事件そのものの解明については、大使を初め関係者が依然として人質状態にございますので、解決を待って進めるところが多うございますけれども、将来に向かってなすべきことは、いろいろ検討は進めております。
  87. 井上一成

    ○井上(一)委員 昨日、キューバ外務大臣と会われたわけですが、会談の成果についてどう御認識をされているのか、そのことについても聞かせていただきたいと思います。
  88. 池田行彦

    池田国務大臣 ロバイナ・キューバ外相、昨日来日されまして、橋本総理にカストロ議長の親書を渡されると同時に、会談をされました。そしてまた私、また高村政務次官もお会いしたところでございます。  その会談におきまして、日本側からは、今回のペルー事件を解決するためにキューバ政府が御承知のとおりの役割を果たそう、こういうことを御決定いただいておることに対しまして謝意を表するとともに、引き続きよろしくお願い申し上げた次第でございます。  これに対しまして、ロバイナ外相の方からは、キューバ政府としてはあくまで人道的な観点から立って、この事件の解決のためにお約束したような役割を果たしていこうと思っている、これからもいろいろと協力していく、こういう御返事がございました。  さらに、私との会談におきましては、二国間の関係につきましても、文化交流の問題であるとか草の根無償の問題等につきましても話し合ったところでございます。
  89. 井上一成

    ○井上(一)委員 私はさらに、今回のカストロ議長の親書を持って訪問されたロバイナ外相との会談の成果が今お答えがあったわけですけれどもキューバのとった対応、人道的立場に立ってという、そのことはアメリカとキューバ関係にも好影響を与えているのではないだろうか、そういう認識政府は持っていらっしゃるのかどうか、そのことについて尋ねたいと思います。
  90. 池田行彦

    池田国務大臣 そこのところは、私どもといたしましても、米国がどういうふうに考えるか、あるいはそれが米国とキューバとの関係にどういうふうに影響をするかという点につきましては、必ずしも正確に現時点で評価はできないところでございます。少なくとも、私ども日本政府といたしましては、今回のキューバ政府の好意的な措置というのはあくまで人道的な見地に立つものでありまして、テロリズムに屈してはいけないという国際社会のルールというものは当然堅持する、そういったものでございますので、私は、その点についてはアメリカ政府も理解はしているというふうに考えております。  しかし、具体的にどうなるかは、これから事件についてペルー政府とMRTAの側で話がついた後行われる措置にかかわるものでございますから、それがどういうふうに影響するかは今の段階ではあれこれ申しにくいところもございますが、しかし、一般論として申しますならば、私どもも米国とキューバとの間にございますいろいろな問題につきましても改善の方向に進み、その関係が改善の道をたどっていくということを当然のことながら期待しているところでございます。
  91. 井上一成

    ○井上(一)委員 アメリカはEUとの間でキューバに投資する外国企業への制裁で合意したわけなんですが、これは日本へも適用されるのかどうか、どういう認識ですか。
  92. 池田行彦

    池田国務大臣 いわゆるヘルムズ・バートン法にかかわる問題についての御質疑だと存じますけれども、この問題につきましては私どもは、まず事柄の性格上、米国の国内法の域外への適用という点で非常に問題がある、また、WTO等国際ルールとの関係でもどうなるのかということで、私どもはその点の問題点を指摘しながら、米国に対しまして善処されるべきであるということを申し入れてきたところでございます。
  93. 井上一成

    ○井上(一)委員 先ほど、昨日のロバイナ外務大臣との会談で、人道的見地からの協力に対して一定の謝意というか評価をされた。そういう会談の成果、今回の受け入れに対して私は、日本キューバ両国の関係がより信頼を深めることができ、かつまたそれは次への問題として両国間の経済協力、そこにつながっていくという理解をしたいのですが、大臣はいかがですか。
  94. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど申しましたように、私との会談におきましては、ペルーの事件以外に二国間の関係についてもお話をいたしました。その中では、我が国からキューバへの移民が参りましてから百周年という節目を迎えております。そういった関係で、キューバにおいてもいろいろ事業をしようとしておられる、それに対しまして私ども、これまでいろいろ文化事業なんかにつきまして日本としても協力していこうという姿勢でおりましたので、そういったことについても触れたところでございます。  また、今おっしゃいました経済協力の関係につきましても、従来もいわゆる技術協力、研修員の受け入れであるとかあるいは専門家の派遣ということをある程度数年前から行っておりますが、さらに、いわゆる草の根無償という人道的観点からの経済協力を進めようということで、これはもうペルーの事件が起こりますずっと前からでございますけれども、話を進めておりましたので、これはこれとして早急に実施できるように作業を急いでいきたいと思っているということを私から申し上げた次第でございます。  いずれにいたしましても、直接このペルー問題とかかわるわけではございませんけれども、こういうふうにキューバ日本との間で対話の機会が持たれるということは、いろいろ相互の理解を深めることにもつながるわけでございます。そして、国際社会あるいは日本の国内でもキューバのあり方についていろいろな見方がございますけれども、対話が進む中でそういった点についての変化もあり得るわけでございますから、そういったことの延長線において、委員が今おっしゃいましたような、今でもある程度行われている、そういった経済協力なんかが将来的にさらに広がっていくような条件と申しましょうか、環境が整備されるということはこれはあり得るだろう、こういうふうに思っております。
  95. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣、草の根無償については今回の件とは切り離した問題であるということをあなたはこの委員会で答えていらっしゃるのですよ。私は、それはリンクさせない、キューバの今回の対応について、両国の信頼関係はより深まった、それを確認し合った、そしてその結果として今後の経済協力は当然そこに生まれてくるという私の認識を持って、大臣はどういう御認識を持っていらっしゃるのですかと聞いているのです。どうなんですか。小規模無償、草の根無償と一緒にしちゃだめですよ。
  96. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど御答弁したつもりでございましたけれども、こういった対話が持たれることにより、相互の理解が深まっていくだろう。そういったことがいろいろ環境の整備につながり、その上に、委員の御指摘になりましたような状況も生まれてくるということは十分考えられるし、それは望ましいものだ、こう考えている次第でございます。
  97. 井上一成

    ○井上(一)委員 もう一点、ペルーの事件が解決されない、今平和的解決のために努力されているということは私も十分承知しているし、私たちも含めて、その問題の平和的解決に全力を挙げていかなければいけない。そういう解決がなされていない今日、天皇皇后両陛下がブラジルを訪問されるということが発表されたわけですが、これは外務省としてはどう受けとめ、どう考えていらっしゃるのか、このことについても聞かせていただきたい。
  98. 池田行彦

    池田国務大臣 ペルーの事件が起きたこと、そうしていまだに解決がされず、大勢の方々人質状態にとどめられておるということ、こういうことにつきましては、両陛下におかせられましてもお心を痛めておられる、このように拝察申し上げているところでございます。  しかし、一方におきまして、ブラジル、アルゼンチンの両陛下による御訪問につきましては、ブラジルにつきましては、昨年の八月だと思いましたが、昨年の夏から、正式にぜひ国賓としてお迎えしたいという招請が来ておりますし、アルゼンチンにつきましても、かねてから国賓としての両陛下の御訪問をという話があったわけでございます。そして、御承知のとおり、両国との関係は非常に長うございますし、特にブラジルにつきましては長い移民の歴史、そして現在も日系人が非常に大きな役割をあの国でも果たしておるということもございます。アルゼンチンにつきましても、非常に親日的でもあり、友好関係にあるわけでございますので、そういったこともいろいろ勘案いたしまして、五月の末から両国を国賓として御訪問いただく、こういうふうなことを先般の閣議で決定したわけでございます。
  99. 井上一成

    ○井上(一)委員 ブラジルにおける、あるいはアルゼンチンにおける邦人の待ち焦がれている気持ちは私は十分わかる、それは十分理解をしている。しかし、今日的な状況の中での御訪問に、これは宮内庁の関係だとおっしゃられるかもわからないけれども外務省としての見解、今の外務大臣のお答えでは十分ではないけれども、まあ限られた時間だから先に進みましょう。  私はさらに、先ほども安定と繁栄という、人類の背負う課題という――二十一世紀まであと千三百五十四日ですね。私は、まさに次の世代は相互理解、そして文化と文明の融合である。しかし、それが崩れてはいけない、調和が大事である。文明が文化を崩す、突き破るときにそこに何が起こるか。それぞれの固有の文化というものを大事にしなければいけないし、そういう意味では二十一世紀は、共有する価値観というのは寛容の精神ではないのか。  とりわけアジア太平洋に位置する我が国の果たす役割、こういうことも、それぞれの尺度の変化というのは何を意味していくのだろうか、いろいろ私はそのときそのときの状況があろうと思います。そういう意味から、ひとつ沖縄の問題も含めて、今、北東アジアにおける緊張状況、あるいは具体的に長距離ミサイルの配備等をどういうふうに外務省は把握しているのか、この点についてまず聞きましょう。
  100. 池田行彦

    池田国務大臣 おっしゃるとおり、全体としてグローバリゼーションが進む、そういった中でいかにこれまでの伝統なり固有の文化を維持していくか、そういったことは二十一世紀にとって大きな課題だと思います。ましてや、長い歴史がありながら、また多様性という面でも特徴づけられるアジア太平洋地域の将来にとって、今委員の御指摘になったような観点は非常に大切だと感ずる次第でございます。  さて、そのためにもこの地域の安定が望まれるわけでございまして、とりわけ北東アジアの安定というのは、我が国にとりましても最大のプライオリティーを持って考えるべき情勢だと思います。そして、具体的に長距離ミサイルの配備についてどういうふうに外務省として把握しておるかという御質問でございましたが、先般来いろいろ報道されておりますいわゆるノドンと言われる長距離ミサイルの射程のより長距離化であるとか、あるいはそれがある程度配備されたのではないかというふうな報道もなされております。  私どもも、当然のこととしていろいろなチャンネルから、いろいろなルートから情報は収集しております。そういった情報の中に、そのような報道と流れを等しくするような情報もあることはございます。しかし、そうではない報道も、情報もあるわけでございまして、私どもといたしまして、現段階でまだこの点につきまして確認をする、それがあるともあるいはないとも確認するには至っていないという状況でございます。
  101. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣の方から話があったから、ノドン一号については、アメリカから何ら我が国に対して関連も含めて説明なり報告がなかったということですか。
  102. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもが情報収集いたしますのは、いろいろなルート、チャンネルがございます。そういった中には、確度につきましてもいろいろなものがあるわけでございますので、友好国との間、ましてやある意味では米国は同盟国でございますから、そういった中ではいろいろな情報の交換、当然のこととしてやりとりしておりますけれども先ほどこの問題についての多くの情報がある中で、新聞報道されているような方向と流れを一つにするものもあるし、そうでないものもあると申しました。  そういったことでございますので、どこの情報が何であるかという点につきましては、恐縮でございますが、ちょっと答弁は控えさせていただきたいと存じます。
  103. 井上一成

    ○井上(一)委員 では、具体的に私の方から、ノドン一号の配備ということはアメリカから通報があったのかなかったのか、これは簡単にお答えください。
  104. 池田行彦

    池田国務大臣 そこが簡単に御答弁申し上げられないところが難しいところでございまして、いろいろ集めている情報の、個々の情報についてどうこうということは答弁は差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。
  105. 井上一成

    ○井上(一)委員 駐留軍の特別措置法の審議に当たっても、やはり極東、北東アジア、とりわけ近隣諸国との緊張関係を緩和していこう、それが外交努力によって平和をつくり出すことなのでしょう。それに情報も十分に国会の場で言えないというようなことはおかしいじゃないか。新聞に報道されているのですよ。そして国会の場でそういうことすら言えないというのは、外務省だけ知っておって、それでいいのですか。
  106. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、情報をいろいろ集めている中に、報道と流れを等しくするようなものもあるし、そうでもないものもあると申しました。それから、いろいろなソースから、いろいろなチャネルを通って情報が参りますけれども、そういったものにつきましても、ある一定の国から来る情報につきましても、相手の発信元は必ずしも一つじゃない、いろいろあるわけでございますね。そうしてまた、そういった発信する元においても、その情報をどのような程度で掌握しているか、これについても多様でございます。そもそも発信する方が確度を持っているかどうかということもあります。そういったことでございますので、正式にこんなことがございましたということを通告してくるという意味におきましては、そのようなものはどこの政府からも受けていないと申し上げられます。
  107. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣、大変何というか、誠意を持って答えようという気持ちは理解するのですけれどもペルー事件でもいろいろな報道が、時には誤った報道が発信されたら、それは受け手の側はそれを信頼しますね。それは問題の解決から遠のかす場合もある。近づける場合もあるけれども、遠のかす場合もある。  私は、あえてここで沖縄の駐留軍基地の特措法審議の後に、やはり緊張を、外交努力によって平和をつくり上げていこう、その中でノドン一号の問題を具体的に出したのですよ。だから、それはそういう情報はない。アメリカからもそういう情報は受けていないなら受けていないでいいのですよ。受けたなら受けた。  しかし、それを我が方が確認したかどうかは別な問題だ。どうなのですか。イエス、ノーが言いにくいなんて、それではどこで言うのですか。だれにそういうことを言うのですか。あなただけが、外務省だけが知っておっていいのですか。あの報道が間違いなら間違いだということをどうして外務省はコメントしないのですか。
  108. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど申しましたように、そもそも情報を発信するソースにおいても、それをどの程度の確度を持って位置づけているかというのも、千差万別でございます。それから、情報の伝達につきましても、きちんとこういうことを確認したからということで通告するものもあれば、こういったこともあり得るという、それこそ発信元でも、情報もあるからということで御連絡しますよというたぐいのものもあるわけでございまして、そういった意味からいいますと、きちんとこういうことが確認された、一〇〇%確認されたという形での通告がどこかからあったということはございません。
  109. 井上一成

    ○井上(一)委員 私はノドン一号の問題を具体的に出して、あの報道のとおりであるのかどうかということを申し上げている。これは先に進みますが、今の大臣の答えでは、私としては、少し質疑という中では、これでは終えません。委員長の配慮を私はお願いしておきましょう。  なぜこういうことを私が申し上げるかということは、沖縄における海兵隊の削減の環境をつくっていかなければいけないという、私たちはそういう役割を担っているということです。これは日米の間でも、基地の縮小、整理、統合へ向けて努力をしよう。段階的な、一挙にというわけにいかなくても、そういうことを前提に私は聞いているわけなのです。  それでは、沖縄の海兵隊削減の環境整備として、中国は日本にとって脅威となると認識をしているかどうか、大臣の答えを聞きたい。
  110. 池田行彦

    池田国務大臣 今我が国はいかなる国も脅威とは考えておりません。とりわけ中国につきましては、これからも友好関係をますます増進していかなくちゃいけない、そういう国であると考えております。
  111. 井上一成

    ○井上(一)委員 それでは、沖縄の空の管制問題は今日どうなっているのですか。
  112. 池田行彦

    池田国務大臣 管制の問題につきましては、昭和四十七年の沖縄復帰の時点におきましていろいろその調整がなされまして、嘉手納飛行場と那覇空港は地理的に非常に近いものでございますから、安全を確保するという観点から、これは一本で、一つの管制のもとにオペレートしなくてはいけない、こういうことがございましたので、その四十七年の申し合わせによりまして、暫定的に米国がその管制を行うという合意がなされました。  そして、それ以来どうするかという話がございまして、いつまでも暫定ではいかぬじゃないかということで、日本側からその問題を提起して、合同委員会のもとにたしか分科会をつくりまして、何度か議論してまいりました。  しかし、これまでの議論では、米側から、運用上のいろいろなニーズから考えて、まだ今、現在行われている米軍による管制というやり方を変えるということは難しい、これは管制上の安全の観点からちょっと難しいという態度が表明されているところでございまして、今これについて何らかの変更を加えるかどうか、いつ加えられるかという点について、めどは立っていない状態でございます。
  113. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣、私の聞いていることをわかっているのですか、あなた。(池田国務大臣「管制でしょう」と呼ぶ)アルトラブ、沖縄の空の管制問題、いわゆるアルトラブですね。そのことについて、今日的にはどうなっていっているのかと。  だから空域、主権の問題にかかわる問題だけれども、日米安保条約の枠の中で、日米合同委員会の話し合いの中で、このアルトラブ、空域の問題が、アメリカに優先されているわけなのですよ。御存じでしょう。今日それはどういう状況になっているのか、こういうことを聞いているのですよ。大臣がわからなければ、担当の局長でもいいですよ。答えてください。
  114. 池田行彦

    池田国務大臣 失礼いたしました。  管制とおっしゃいましたので、私は、具体的にあそこの航空管制の、着陸のときの管制の話かと思って御答弁申し上げましたけれども、今のお話でございますと、ちょっと全体的な一般論としてはともかく、具体につきましては今突然の、私にとりましては突然の御質問でございますので、詳細は承知しておりませんので、あるいは政府委員で答弁できる者が――申しわけございませんが、ちょっと今ここにおりませんので、場合によりまして、また機会を改めて御質疑いただければ、お答えしたいと思います。
  115. 井上一成

    ○井上(一)委員 私も時間を厳守したい。しかし、もっと政府側もちゃんとした対応をしなければいけない。国会の場で質疑というのは、真剣なものですよ。質疑を通して、沖縄問題にしたって、アジア太平洋の問題にしたって、世界の問題にしたって、そこでお互いの意見をしっかりと……。  こんな答弁が――後で議事録を見てごらん。もう情けない質疑だよ。三十分終えたらもうおしまいですと言われるのなら、これは委員長、私は我慢がならぬね、こういう答弁で。これは外務委員会の権威にもかかわりますよ。委員長、こんな質疑で、外務委員会が一般質問、国際情勢に、とりわけ特措法の、昨日参議院を可決した、そういう中で、私自身は、もっと真剣に、どのように環境整備を平和安定のためにつくっていくかという、そういうことを議論する、外務委員会の役割というのはそういうところでしょう。  じゃ、もう一件聞きましょう。  経済協力、ODAですね。経済協力をしているその国が武器を輸出した、その武器で日本国民が命を捨てた、そういうことがもしあったとしたら、いや、事実あったわけですよ。大臣、御承知ですか。大臣承知していますか。
  116. 池田行彦

    池田国務大臣 ODAにつきましては、私どもは、ODA四原則、ODAの原則もしんしゃくしながら進めておるところでございまして、これが、御承知のとおり国際紛争を助長するようなことがあってはいけませんし、また、その国が軍備を増強しているとか、あるいは武器の取引についてどうなっているか、そういったところも勘案しながら、しかし、二国間関係その他を総合勘案して進めるということでやってきておるところでございます。  そして、確かに過去において我が国経済協力を供与した国が、その後のいろいろな推移の中で極めて危険な行動をすることになり、そのことによって我が国国民の安全に影響があったということは、残念ながら、それはなかったわけではございません。  しかし、我々としては、あくまでODAというものは、世界全体の安定とそして繁栄に資するもの、そういったことを考えながら進めてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  117. 井上一成

    ○井上(一)委員 いや、我が国国民がODAを、いわゆる経済協力をしたその相手国の武器によって殺された、それは承知しているんですかということをまず聞いているんです。ODAの必要性を云々する前に、大臣はそれは御承知ですかと。それを聞いているんですよ、知っていらっしゃるならおっしゃってくださいと。
  118. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど申しましたように、我が国がODAを供与したことがある国が、その後のいろいろな動きの中で国際的に非難さるべき行動に走り、そうしてそのために日本人の安全にかかわる状態になったということはなかったとは申しませんが、ただ、それが、我が国経済協力を行った、そのことが直接それに結びついたということはなかった、こう思います。
  119. 井上一成

    ○井上(一)委員 後の方の質問の時間を邪魔してもいかぬし、私は委員長にぜひお願いをしたいのは、やはり答弁は質問に対して的確に答えていただけるように、十分これからの議事について御配慮いただきたい。  池田大臣、私が申し上げたいことは、例えばカンボジアでのPKOに、あるいはそこで参加した、御苦労をいただいた高田さんにしたってそうなんですよ。僕は機種まで言わぬですよ。それは我が国経済協力をした国からその武器が渡っているわけなんです。だから、私の申し上げたいのは、ODAのあり方というのは根本的に見直さなきゃいけないんではないでしょうかと。  外交青書にも四原則というのはちゃんと決まって、言葉としては、何というか三項目目に書かれているけれども、私は、実態はそうじゃないので、武器を輸出する国に対して経済協力をする必要があるのか。むしろ、もっともっと人道的な面からの、我が国の果たす国際的役割というのは大きいんではないだろうか、人権の問題も含めて。  もう五分過ぎましたから後の方に迷惑だけれども、あえて私、これはやはりODAの今指摘したことについて、委員長ぜひ実情を、私は、当委員会でひとつ詳しく説明を、書面で結構ですからいただけるように、理事会でお計らいをいただきたい、このように思います。  そして大臣、今申し上げたように、ODAの抜本的な見直しというものを私は検討すべきである、こういうことを提言します。大臣の御意見を聞かせていただきます。
  120. 池田行彦

    池田国務大臣 ODAのあり方につきましては、委員の御指摘されたような観点、あるいはこれだけ変化の激しい世界の情勢、また我が国の財政的な問題もあります。いろいろな観点をいろいろ総合的に勘案しながら、これからどういうふうに進めていくか、よく検討してまいりたいと思います。
  121. 井上一成

    ○井上(一)委員 それじゃ委員長、時間が参りましたので、一応これで私の質問は終えます。
  122. 逢沢一郎

    逢沢委員長 委員から御指摘をいただきました件につきましては、後刻、所属政党からの申し出に従い、理事会において協議をいたしたいと存じます。  次に、古堅実吉君。
  123. 古堅実吉

    ○古堅委員 米軍用地特措法の大改悪案が、残念ながらきのうの参議院でも可決が強行されました。  四月二十四日の総理の訪米をにらんで早期成立を図った総理や外務大臣立場からは、ほっとした御気分かもしれませんが、沖縄県民の立場からは、新たに大きなおもしをかけられたようなものでありまして、まことに耐えがたい仕打ちにほかならない、こう考えております。私は、この屈辱的な沖縄への悪法の押しつけに対して、改めて、抑えがたい憤りを込めて、厳しく抗議を表明するものであります。  同時に私は、沖縄県民の切実な願いである米軍基地の縮小、撤去、核も基地もない平和な沖縄を目指す闘いは何物にもねじ伏せられるものではない、やがては必ず実現されるであろうことを確信を持って強調しておきたい、こう考えます。  沖縄基地問題の根本は、米軍兵力の削減、撤退ができるかどうかにあります。ところが、去る三月二十三日、来日したゴア副大統領が、具体的な削減について考える段階でない、このようにアメリカ側の意向を表明すると同時に、総理も外務大臣も、削減を持ち出すこと自体があたかも許されない問題かのような態度、こういう形になってしまって、アメリカに向かっては削減を要求することをやめた、こういうことになってしまいました。ここに、沖縄問題が県民の願いにこたえて一歩も前進しようとしていない現在における大問題があります。  そこで、大臣に改めてお聞きしたいんですが、沖縄県民の基地からの苦しみを解決する方法は、米軍兵力をなくすること以外にない、このように思われるかどうか。基地がなくなれば県民は平和的に暮らせるのだというふうに思われるのか。それとも、米兵が沖縄にいることが県民のためだというふうに思われるのか。そのいずれかは、沖縄問題解決への接近の仕方の根本にかかわる問題です。沖縄基地問題の根本について、外務大臣がどうお考えか、お聞かせいただきたい。
  124. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもは、この日本の安全を守り、そして周辺地域の安定、平和を維持していくという観点から、沖縄に駐留するものも含めまして米軍の存在というものは大切な役割を果たしておる、こう考えております。  しかし、一方におきまして、基地の所在する地域の方々、とりわけ米軍基地の全体の七五%が集中している、しかも県土の面積は全国のわずか〇・六%と、非常に狭隘な沖縄県の県民の方々に耐え忍んでいただいている御負担がいかに大きいものかということは十分承知しておりまして、その御負担をあとう限り軽減するための努力は払わなくちゃならないと思っておりますし、これまでも払ってまいりました。  とりわけ昨年、いわゆるSACOというプロセスの中で、現在の状況の中で可能な限りの知恵を出し、協議をいたしまして最終合意に至りました。これが達成されるならば、現在沖縄にございます基地のうちの、面積において約二〇%を超える面積一五千ヘクタール余りの基地が返還されるわけでございますので、私どもは、まずこのSACOにおける合意を実現するために今後全力を尽くしてまいりたい、こう考える次第でございます。
  125. 古堅実吉

    ○古堅委員 あとう限り縮小などということもおっしゃっておられますが、そういうおっしゃっていることの流れからしますというと、米軍兵力がないことが県民にとっては最善だというふうなお考えではありますか。
  126. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほども御答弁で申し上げましたが、国の安全を守るという観点から米軍の駐留は必要なんだ、こういう前提も申し上げました。しかし、そういった前提も置きながら、そして現状でのいろいろな状況を考えながら、御負担を軽減するためにあとう限りの努力をしていく、こういうことを申し上げたわけでございます。  もとより、これは参議院において総理が答弁されたところでございますが、全く白紙の状態で、何もない状態の中で基地があることがいいのか悪いのか、こういうことになれば、それは沖縄県民の皆様方のお気持ちとして、ぜひ基地が来てほしいとおっしゃる方はそれはないだろうということは我々も承知しております。  しかし、こういった現実の日本が置かれた状況の中で、国の安全をどういうふうに維持していくかということを考え、いろいろな状況を判断する中で、私どもは今の、現時点においては少なくとも現在規模の米軍の駐留というものが、沖縄におけるものも含めまして必要である、こう考えておりまして、そういった前提を置きながらも御負担の軽減がどれだけできるかということで最善を尽くしてまいりましたし、これからも尽くしてまいる、こういうことを申し上げた次第でございます。
  127. 古堅実吉

    ○古堅委員 現時点における米軍基地が沖縄にあることは必要だということもおっしゃるわけなんですが、大臣はこれまでの国会論議でも、繰り返し、現時点で在日米軍の兵力削減を論じることは不適切、このように述べてこられました。日本政府が、沖縄にある海兵隊を削減してもらいたい、このようにアメリカに対して要求することが間違っている、許されない、そういうことでもあるかのように聞こえます。そういうことなのか。交渉の結果で削減は困難だというのであれば、まあ話はわかります。削減してほしいと言うこと自体が不適切だというふうなことでは、本当に納得できません。お聞かせください。
  128. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもが申し上げておりますのは、現時点で、いろいろな我が国周辺国際情勢等々を勘案いたしまして、我が国の安全を確保していくといった目的を達成するために、沖縄にございますものも含めまして今日本に駐留している米軍の兵力構成、これは海兵隊も含めてでございますが、あるいはこの水準、規模と言いかえてもよろしゅうございますが、そういったものが適切である、こう考えておるわけでございます。これは、これまでもいろいろな情勢認識等につきましては日米間でもいろいろな機会に話をしてまいりました。  具体的に申しますと、昨年四月の日米首脳会談でも、それまでのいろいろな協議といいましょうか話し合い、そして認識をすり合わせるといった作業の上に立ちまして、現時点では日本に駐留するものも含めましてアジア太平洋地域に十万人の米軍のプレゼンスが存在することが適切である、そういう認識の一致を見たわけでございます。そして、そのことはまた、十二月の初めに開かれましたいわゆる2プラス2という閣僚レベルの会合においても確認されたわけでございます。  そういったことでございますので、現時点でこれを変えるということを日本側から提起するというのはふさわしくない、こう言っておるわけでございまして、中長期的に見まして、国際情勢が大きく変化して、また兵力構成も含めました軍事態勢に変化があり得ることは当然でございまして、そういったことについては今後も両国間で協議していこうということは、昨年四月の日米安保共同宣言にも書いてございます。そして、そういうことは我々も米側との話し合いの場できちんと言っておるわけでございます。
  129. 古堅実吉

    ○古堅委員 かつてソ連の脅威を云々して安保が必要だ、基地が必要だ、こう言った時代がありました。このソ連がなくなりました。本当は安保が必要だと言っている根本的な理由が、安保を必要としている立場からもなくなったということを意味するものであります。しかし、やれ北朝鮮だ、やれ中国だ、台湾だなどと言って際限なく安保を必要とし、基地を認めさせなくちゃいかぬという理由をつくっていって、いつまでも、いつまでにどうこうするなどということさえも言えない。とんでもない話です。  そういう状況を見ながら、沖縄は、海兵隊を撤退させるということを含めて基地の縮小、撤去をから取らない限り救われぬというふうな気持ちで訴え続けているわけです。  去る三月二十六日、沖縄県議会は「在沖米軍の兵力削減と基地の整理・縮小及び返還軍用地の跡利用のための特別措置を求める要請決議」を全会一致で可決しております。その決議の中で「なお一層の米軍基地の整理・縮小を図るには、特にその主力を占める米海兵隊の段階的な整理・縮小が是非とも必要である。」このように述べています。御存じのように、四月十一日から大田知事が訪米し、海兵隊の撤退を含む兵力の削減問題を訴えております。それは沖縄県民の切実な願いに根差すものでありますし、県民世論の圧倒的な支持を得ています。  海兵隊の撤退を含む削減をアメリカに要求することは適切ではない、このように言い続けますけれども、県議会の決議や知事の訪米での訴えなど、外務大臣は間違っておるとでもおっしゃるんですか。
  130. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもこれまでも沖縄県としての御要望、いろいろな形で直接にあるいは間接に承ってまいりました。そして、沖縄県の知事初め行政当局が、あるいは県議会がそのお立場でいろいろなことをお考えになり、また要望され、意見を表明されるということ、そのことは私どもとしても理解できないわけじゃございません。  私どもといたしましては、そういった沖縄県の御要望というものは十分それはしんしゃくしながらも、しかし一方におきまして、国としての立場、国の安全を確保していく、そしてそのために大切な安保条約上の義務である基地を提供していく、そういったこととの兼ね合いにおいて御要望の中のどういう部分がかなえられるか。そしてどの部分の御要望が――沖縄県の地元のお気持ちとしては理解できないわけではないけれども、しかし、政府としての立場でそれを具体的に実現することができないというものもあるということだということは、御理解いただきたいと思います。
  131. 古堅実吉

    ○古堅委員 県民の切実な願いに対してそうではないんだという何の論証もなしに、アメリカの世界戦略に追従するような立場からこれは適切ではないんだなどというふうなことを幾ら繰り返し述べられても、納得できないですよ。沖縄県民だけじゃない、国民レベルから見ますというと、北朝鮮が攻めてくるかもしらぬ、中国がどうなるかもしらぬ、だれもそういうことを心配している者はいませんよ。それは口実にされているとみんな考えている。ですから、それは許されぬ。なぜそういう口実のもとに、国土の〇・六%でしかない沖縄に米軍基地、七五%の専用基地を押しつけるのか、その基地を押しつけるために特措法を大改悪してまでそういう仕打ちをするのか。憤りに泣けてくることは当然ではありませんか。  日米首脳会談において正面から沖縄米軍の削減を公式に求めたら、一体どういうことが起きるというのですか。何が心配されるというのですか。なぜそれができないのですか。そのできない理由を県民、国民が納得できるようにおっしゃってください。
  132. 池田行彦

    池田国務大臣 もう先ほどから何度か御答弁いたしましたし、この国会において、いろいろな場におきまして政府からは繰り返し繰り返し御説明申し上げておりますが、現在の我が国を取り巻く国際情勢等々を勘案いたしまして、我が国の安全を確保していくためには、やはりみずから節度ある防衛力を整備していくということとあわせて、日米安保体制をきちんと維持していくことが大切でございます。そしてその日米安保体制を有効に機能せしめる上において、沖縄にございますものも含めて現在程度の規模、そして現在のような兵力構成による米軍の駐留ということは大切である、現時点でこのような認識に立っております。  したがいまして、私どもは、近く行われる予定の日米首脳会談におきましても、そのことを提起してなぜ悪いんだ、どうだという話の前に、今申しましたような認識我が国政府も立っておりますので、これは今持ち出すことは考えていない、こういうことでございます。
  133. 古堅実吉

    ○古堅委員 まことに許しがたい御答弁だと思います。私は、アメリカに現在提供している基地を返してほしいとアメリカに要求すること自体、安保条約に基づく地位協定で規定された日本の持っている権利でもあるというふうに思います。  北米局長、お答えをいただきたいのですけれども、地位協定第二条第二項は、既にアメリカに提供している施設・区域であっても、いずれか一方の要請があれば再検討しなければならない、このように明記されています。この規定によれば、既に米軍基地となっているものでも日本からアメリカに再検討を要求できる、つまり、それは日本のそういうことができるという権利であるというふうに思いますが、いかがですか。
  134. 池田行彦

    池田国務大臣 地位協定二条三項には確かにそういうことが書いてございます。そして、これまでもやってまいりました。いろいろ合同委員会の場等におきまして、現実に区域・施設として提供されているものの返還を求め、そしてそれが実現したものもございます。沖縄に関するものにつきましても、御承知のとおり、昭和四十七年の復帰時点から今日までに、決して多いとは申しませんが、総面積で返還時の一六%に当たる四千三百へクタールが返還されたわけでございます。  さらに、それにしても沖縄の県民の方々に御負担いただいているところは余りにも大きい、何とかそれを、さらに御負担を軽減することはできないのであろうかということでSACOが設置され、そこの問題に集中的に取り組んで、今回、五千二ヘクタールの返還を図ろうじゃないかという最終合意が昨年の十二月に出されたわけでございます。  このSACOの作業そのものも、今おっしゃいました地位協定二条三項で言われておりますような、我が方からもその返還を求めていくといった、そういったことを踏まえながらなされた作業でございますので、私どもはそういったことで、日米間でも合意がなされましたこのSACOの最終合意を着実に実施していくためにこれからも全力を傾けてまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  135. 古堅実吉

    ○古堅委員 地位協定二条第二項に基づく日本側の権利もあるのだということは確認されるわけですね。
  136. 池田行彦

    池田国務大臣 そうでございます。  だから、これまでも合同委員会で、日本側から何度も基地として提供されている部分を返還してほしいということを提起し、そしてそれが実現しているわけでございます。それから一方において、米側においても、常に見直しながら、基地として使用する必要がないものについてはこれを返還しなくちゃいけない、これもたしか条項があったと思いますけれども、その米側からの返還の申し入れ、あるいはまた日本側からの返還の要請、そういうものが合同委員会で討議されて、これまで返還が実現したものがあるわけでございます。  SACOの作業というものも、そういった日本側としての返還の要望、そして米側において軍のニーズの観点からどれだけ、とこはどうしても使用しなくちゃいけない、しかし、この部分についてはいろいろな条件が整備されるならば返還が可能だというようなことがある、そういった日米間の両方の話を積み上げた上で、あのSACOの合意ができたわけでございます。
  137. 古堅実吉

    ○古堅委員 そういう理解に立てば一層許しがたいものがあります。  今回の特措法の大改悪に当たっては、日米安保条約に基づく基地提供の義務がある、この義務が履行できないようなことになったのじゃ大変だというふうな立場を踏まえてあのような大改悪に強引に突き進んでいきました。あたかも、日本の側から基地について返せという提案をする何物もないかのごとき、そういう流れのいろいろなやりとりが一月間もございました。しかし今、この二条二項に基づく確認をしています。それなのに、それができるのに、一方的にアメリカの要求にのみ屈するような形で、アメリカの意向に沿うように、県民の願いを踏みにじる、そういう方向に大きな流れとしてつくっていったということは本当に許しがたいものがあります。  戦後五十年たっていますよ、この期に及んでなお沖縄はそのために基地を抱えろ、基地との共存二十一世紀まで続けろ、こんなことが許せるのか。地位協定の二条二項に基づいて提案するということができるのであれば、もう少しは沖縄県民が納得できるような提案の仕方でもあろうものを、このように一層憤りにつながるものであります。  次に進みます。  SACO最終報告は、米軍の事故通報体制の整備を目指すということになりました。三月中に日米合意ということを政府も言っておったのであります、しかし、四月に入ってもう半ば過ぎました。なぜそれがおくれたのか、いつ公表になるのか、お答えください。
  138. 池田行彦

    池田国務大臣 SACOの最終報告でもうたわれておりました連絡通報体制の整備、それはその後、大変残念なことでございましたけれども、いわゆる劣化ウラン弾の誤使用問題が浮上したこともございまして、私ども、何としてもこれをきちん土やらなくてはいけないということで作業を急いでまいりました。そして、三月の末に、三十一日でございますが、日米間で合意をし、そして沖縄県にも御連絡申し上げ、また公表もさせていただいたところでございます。
  139. 古堅実吉

    ○古堅委員 三月二十八日付の朝日新聞の夕刊は、アメリカ側から、米軍事故の通報と引きかえに、日本の事故、事件の通報を求めてきた、このように報道しています。その中で、米軍施設・区域周辺で起き、米軍の運用に影響しそうな日本側の事件、事故などの情報を提供してほしいとの交換条件を提示してきたと言っています。米軍基地に対する反対デモなどの予定も含まれているものと見られるとも指摘しています。そういうことがあったのかどうか、お答えください。
  140. 折田正樹

    ○折田政府委員 今大臣がお答えになりましたように、三月三十一日に合同委員会合意で、事件、事故通報手続について取りまとめたわけでございます。その際に、通報する事件、事故を明確にしたり、それから通報経路を明確にしたりしているわけでございますが、あわせまして、在日米軍に影響を及ぼすおそれのある事件、事故が発生したときには、外務省または防衛施設庁が担当の関係当局から情報の提供を受けたときにはできるだけ速やかに米側に通報するということもあわせて取り決めたわけでございます。
  141. 古堅実吉

    ○古堅委員 実際には、三月に日米合意が発表されるというふうになっておったのは、いつになるのですか。
  142. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたが、三月三十一日に合意が成り、そして沖縄県にも御連絡申し上げ、また同日公表もいたしました。各種報道機関でも報ぜられたところだと承知しております。
  143. 古堅実吉

    ○古堅委員 もう時間が過ぎました。終わります。
  144. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次に、伊藤茂君。
  145. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 ODAにつきまして幾つか質問をさせていただきたいと思います。  平和国家として日本が貢献をする、非軍事の協力という意味では、ODAの意味合いというものは非常に大きいということも、私もそう思います。ただ、今当面する問題が二つ生まれていると思います。  一つは財政構造改革。今政府・与党で鋭意作業を進められているわけでありますけれども、財政再建という国家的、国民的な大きな課題がある。そういうものの中で、いわゆる橋本総理の財政構造改革五原則というものが出されております。  いずれにしても、厳しいさまざまな努力をしばらくの年月、私どもはしなければならない、次の世代に幸せを残せるように努力をしなければならないというふうに思います。そういう中で、どういう姿勢で努力をしていくのか。これは外務省も大変だと思いますが、みんなで知恵を絞らなくてはならぬという問題でございます。やはりODAの持っている日本の平和国家としての大きな意味合い並びにその目標というものを踏まえながら、どういう新たな努力をするのかということが迫られておりますし、短い期間のうちに方向づけを出さなければならないというわけでございます。  もう一つは、額をふやしていくということもあるわけですが、質的な努力をどうしていくのかということもいろいろと話題にされております。では、質的な改革努力、質的な努力とは一体何だろうか。これも幾つか柱が成り立つわけでございまして、私ども外務大臣ともいろいろな議論をさせていただいておりますけれども、その辺の柱をどう認識されて御努力をなさるか。お考え方の基本のところをまず伺いたいと思います。     〔委員長退席、森山委員長代理着席〕
  146. 池田行彦

    池田国務大臣 私ども、もとより、現在の我が国の財政状況から考えまして、聖域なしに見直さなくてはいけない、その事情はよくわかっているところでございます。ODAも、私どもは聖域とは考えておりません。  しかしながら、ODAの必要性というものは、委員おっしゃるとおり、現在においても、いや現在から将来に向かってこそ、より大きくなるのではないか、こう考えております。これだけグローバリゼーションが進む世界の中でございます。そして、我が国自身の存立と繁栄のためにも、国際社会全体の安定と繁栄が必要である。そういった中で、やはりODAが果たす役割というのは大きいのだ、こう思っております。  とりわけ、世界に対するそういった役割を果たしていくというのは、今も申しましたように我が国の存立にかかわるわけでございますから、我が国自身の国益でもあるわけでございますけれども、世界に役割を果たしていくという観点から申しますと、我々、経済面あるいは経済協力面以外でもいろいろな役割を果たしております、それは安保理での活動であるとか、あるいはPKOであるとか。  しかしながら、総体として見ますと、私どもはそういった安全保障面で、あるいはすぐれて政治的な面で果たす役割よりも、やはり経済協力も含めた経済面で果たしてきた役割は大きいし、これからもそういう趨勢は続くのだと思います。そして、そういった観点から申しまして、我々は、ODAは今後ともきちんとやっていかなくてはいけないと思っている次第でございます。  聖域でないという点から申しますと、もう既に今年度の予算は、円レートの関係もございまして、実質で申しますと三%ぐらいのマイナスになっておる。そういう意味では聖域ではございません。  それから、先般発表いたしましたけれども、九六年度でしたか、DACの指標で見ますと、我が国のODA供与額は、ディスバースメントベースで三五%落ちまして百億を切った、対GNP比で申しますと、これまで〇・二八でございまして、これはDACの諸国の中でもそんなに胸を張れるパーセンテージではなかったのですが、それが〇・二一になりまして、他の国の計数は出ておりませんけれども、もし出てくれば、恐らく二十一カ国のうちびりから三番になるのではないかと思います。実額としては確かに大きゅうございますけれども、持っている力に比較してどれだけ役割を果たしていくかという観点、GNP比でございますが、それから見るとそういったところになってしまうということでございますので、どんどん削ればいいという話ではないと思います。しかし、それにいたしましても、やはりいろいろ工夫はしなくてはいけないと思うわけでございます。  そういった観点から見ますと、量から質へという御指摘ともかかわってくるわけでございますが、今までODAで役割を果たしていたものの中でも、ODA以外の、オフィシャルな資金の流れであるとか民間の流れだとか、そういったもので代替し得るものもあるのではないか、こういうところも見ていかなくてはいけないと思います。例えば、有償の借款で行われている部分、これはやはりソフトなローンでなくてはどうにもならないものもありますけれども、よく見直してみれば、そうではない、民間の直接投資であるとか民間での融資、あるいは日本の資本市場の中を整備する中で、開発途上国なり企業なりが起債をしていくというような格好での資金調達、そういったもので代替できるものもあるかもしれない、そんなことも考えなくてはいけないと思います。  そういった中で、質という観点からいいますと、大きく分けて、今言いました有償、いわゆる円借款でございますね、返してもらう意味のODAと、それから無償の資金供与、それから技術協力と三つあるわけでございますが、やはり無償の資金協力、そして技術協力という面は、今申しましたようなほかの手段で代替するといいましてもなかなか難しい面があるんだと思います。だから、そういったところは大切にしていく、しかしそういったことをやる以上は、本当にODA本来の目的に沿って活用されているのだろうか、効率性はどうだろうかというようなところも、従来以上に事前にも、また事後にも点検しながら進めていかなければいけない、こういうふうに考える次第でございます。
  147. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 大臣お話にありましたように、昨年のシーリングからことしの現予算、今度の予算を含めまして厳しい風が吹いているということは事実でございます。私どももそういういろいろな議論の中で、今後どうしたらいいかなということをいろいろと考えさせられます。政策的に我が国の持つ対外政策の中の重要な柱だということは当然でありますし、さまざまな努力をしなければなりません。あるいは最近の経済動向で為替レートからくる影響も結構大きいものがありますし、またDAC平均の数字でいいますと、そうレベルの高いものでもないということも事実でございます。また、ほかの大きな西欧諸国にいたしますと、こういうODAの部面だけでないさまざまな分野の大きな負担もあるということもございますから、総合的な判断をまたなければならないというふうにも思います。  しかしそのためにも、やはり内外から、日本のそういう活動が非常に大事なんだ、また非常に効果を上げて歓迎されているんだ、努力をますますしなければならない。そういうことがやはり国内でも国民的な認識になって、ああそういう努力によって我々の国も誇りあるいい国なんだという認識が生まれるような努力をしなければならないというふうに思うわけでございます。そういうことを考えますと、幾つか私も思うのですが、努力がさらに必要だろうという気がいたします。  ほかの財政改革に関連をいたしまして、公共事業初めさまざまな議論の中でも、あれもこれもたくさんやるということはなかなかできない。やはり重点化といいますか、優先順位をつけて大事なものから重点的にやっていく。ある意味で私は超重点化ぐらいしなくてはならぬ時期だろうという気がしているのですが、そういうふうな感じもいたします。  そういうものを一体どういう視点からやっていくのか。この間、経団連からもODAについての意見書が出されておりましたが、それを見ましても、やはり総合メニューといいますか、相手の国といろいろな意味で社会全体の発展のためにそれそれ単発ではなくて総合的なプランに基づいて協力をするというふうなことが必要ではないかということもございました。それから、今大臣もおっしゃいましたが、民間の参加というものがスムーズに拡大をするように、民間活力という意味でやはりお互いに貢献し合うものが参加をするように。  私のところ、地元は神奈川県なんですが、数年前から神奈川県と韓国の京畿道、中国の遼寧省と三者で友好トライアングルをつくっておりまして、最近話題のローカルレベルODA、若干資金的には悪いレベルの地域ではございませんから、ローカルレベルODAというふうな協力のプランを組んでお互いにやろうではないかという話を今いろいろとやっておりまして、これもこれから地方の国際化というのが非常に進むということになると思います。ですから、そういうものがうまく発展をすれば、それぞれのローカルの技術それから知恵など、それから資金力も生かしてやっていく、総合的な日本の貢献ということになり得るのではないだろうかというふうな気もしているわけであります。  いずれにいたしましても、やはりそういう重点化とか民間の参加とか含めました努力というのが、これからの質的な改革への有力な一つの柱ではないだろうかと思いますが、大臣、この点いかがでしょう。
  148. 池田行彦

    池田国務大臣 私も、ただいま委員のおっしゃったこと、全く同感でございます。そういうおっしゃいました中で、ある特定の国に対する経済協力を考えた場合に、個別にどんどんとやるのではなくて、もう少し全体的に総合的に見てやるべきではないか、そのとおりだと思います。日本経済協力は伝統的に要請主義、先方からの要請を待ってそれにこたえて出していくということでやってまいりました。  これからも基本はそうかもしれませんけれども、やはりそれだけでは、本当の意味我が国からの経済協力はその国の安定なり発展に役立つのかどうなのかというところがおぼつかないところがある。さらに、効率的に使ってほしいという観点もございますので、そういった意味で、いろいろな技術協力の手法を生かしまして、その国の開発のためにどうしたらいいのかというノウハウを伝授していく、あるいは一緒になって考えていく。それから、もちろん向こうの国の主権もありますから、余りこちらが手とり足とり指図するというのは避けなければいけませんけれども経済運営全体についても向こうから求められるいろいろなアドバイスなどをしていくということで、その中に我が国からの経済協力も組み込んでいくということになれば本当に有効になると思いますので、ある程度進めておりますけれども、そういった観点も将来発展させていくべき分野かと存じます。  それから今、一つ御指摘になりました地方レベルのいろいろな協力というものも本当に大切だと思います。日本の場合、どちらかといいますと経済協力というのは文字どおり政府ベースのウエートが大きいわけでございますが、国によりましては地方あるいはいわゆるNGOなんというものが果たす役割が非常に大きいという国もございます。  NGOなんかにつきましても、我が国平成に入りましてから力を注ごうという方針を打ち出しまして、私の記憶では、最初はたしか一億一千万か何かからスタートしましたけれども、今年度はたしか十二億にまでなっていると思います。これは事柄の性質上、金目をただふやせばいいというものではございませんし、ふやすといいましてもやはり執行の能力その他で限界はあるとは存じます。やはりそういった分野も、委員の御指摘になりました地方のイニシアチブによる協力等々あわせまして、今後全体として厳しいODAの中でも重点的に考えていく必要があるのかな、こう考えている次第でございます。     〔森山委員長代理退席、委員長着席〕
  149. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 今の大臣の御答弁の中にも、ODAについてのNGOベースの話がございました。一昨年コペンでしたか社会開発サミット、あのときにゴア副大統領がスピーチをされまして、アメリカのODAの約半分はNGOベースにしたいというふうな発言がございました。  それもありましたので、昨年の外交白書でしたか、世界主要国のNGOの現状か何かが整理して紹介されておりまして、貴重な資料ですから私も読ませていただきましたが、アメリカなんかの場合はこれは非常に大きなスケールで、それからアメリカの社会にふさわしいのでしょうか、アメリカ流のシステムを持っている。日本の場合にはサイズからいっても能力からいっても、まだまだ非常に小さいのだということを思いましたが、私どもの国も先進国ですから、NGOの分野あるいはNPOの分野、そういう分野でも将来日本らしい日本スタイルか何かの相当大きな発展をすべきだろうというふうに思います。  したがいまして、今後のより効果的なあるいは質的な努力を進めましたODAの展開あるいはもっと大きく発展すべきさまざまのNGOの努力と相伴って、本当の意味でやはり国境を越えた市民の連携があり、またさまざまな社会開発についての知恵とあるいは学術的なレベルも含めましたさまざまな交流があり、そういうものの上に、より効果的で安定した協力が行われるというような姿、大臣もおっしゃいましたが、非常に大事だと私は思います。  ということを考えますと、前から言われていることなんですが、今ODAに関する仕事というのは十六省庁にまたがっているとか言われております。十九か。十九省庁ですから、担当している課長さんから課まで数えたら大変な量になるでありましょう。そういうことで、効果的なまた質的な改革を含めましたことになりますと、やはり政策面でも統合性、一元化、政策の目標についてもやはり統合性なり一元化が必要でありますし、執行の面でも相伴うということになると思います。そういうものがどう効果を発揮しているのかというふうなことを含めました責任体制と申しましょうか、あるいはフォローする体制などでも、いろいろ含めましてそういう努力が必要であろうと長らく各界から指摘をされてまいったわけでございますけれども日本の社会、特にこういう今までの行政機構の経過ですから、なかなか簡単にはいかないという経過があったと思います。  私は、こういう分野は、経団連の出した意見書を見ましたら、開発庁のような、何かそういう新しい役所をつくったらどうかという提言もございました。新しい役所を新設する必要があれば結構なんですが、それが効果的なら結構なんですが、やはり行革はどうしても必要ですから、その意味で申しますと、私はこの際、内容的にもっと大胆に、外務大臣外務省がイニシアチブを発揮してそういう方向づけを出すというようなこともあわせて、今の行革あるいは財政改革という季節の中で必要ではないだろうかなと思うのですが、いかがでしょうか。
  150. 池田行彦

    池田国務大臣 ODAの重なり質的な面の見直しを進めると同時に、それの執行のあり方あるいは機関についてもいろいろ検討しなくてはいけないというのは、御指摘のとおりだと思います。その執行機関の問題につきましては、これはまた行政改革その他の観点からもいろいろ検討はされるのでございましょうが、当然、外務省としてもそのようなことも含めて真剣に考えなければいけないと思っております。  実は、そういった意識もございまして、今回、外務大臣の私的な諮問の機関といいましょうか、機関と言ってはいけない、むしろ私的な懇談会でございますから、そういった作業についていろいろ御意見をちょうだいする機関をつくりまして、実は、来週の月曜日二十一日に初会合を持とうと思っております。  御承知かと存じますけれども、河合三良氏、国際開発センターの理事長をしておられますが、かつては文字どおり行政改革の方の中心的な役割も果たされた方でございます。この方に会長さんといいましょうか、まとめ役をお願いいたしまして、先ほどから御議論のございました、これからのODAのあり方についてもいろいろお知恵をちょうだいしたいと思いますし、当然のこととして、それをどういうふうに執行していくか、それは機構の問題も含めて、いろいろ御意見がちょうだいできればと考えている次第でございます。
  151. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 時間ですから質問を終わりますが、今御答弁になったこととか含めまして、やはりこれからの中期計画、今までは国際的なお約束その他ございまして、金額の面で、現及び次の中期計画の金額は何ぼというのが非常に象徴的にみんなに見られるということでございました。財政改革にいたしましても、それからその他の状況にいたしましても、これから三年、五年、七年、中期の展望を持って厳しい努力をしなければならない。そうなりますと、今大臣がおっしゃったようなことも含めまして、やはりこれからの中期目標とか中期計画の立て方というのはどうなんだろうかということも非常に大事な点になると思います。何か大臣を中心に審議会をおつくりになってお始めになるということですから、それらも含めまして、成果のある議論が展開されますように期待をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  152. 逢沢一郎

    逢沢委員長 これにて質疑は終局いたしました。  次回は、来る四月二十二日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十三分散会      ――――◇―――――