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池田国務大臣 私
ども、もとより、現在の
我が国の財政
状況から考えまして、聖域なしに見直さなくてはいけない、その事情はよくわかっているところでございます。ODAも、私
どもは聖域とは考えておりません。
しかしながら、ODAの必要性というものは、
委員おっしゃるとおり、現在においても、いや現在から将来に向かってこそ、より大きくなるのではないか、こう考えております。これだけグローバリゼーションが進む世界の中でございます。そして、
我が国自身の存立と繁栄のためにも、国際社会全体の安定と繁栄が必要である。そういった中で、やはりODAが果たす役割というのは大きいのだ、こう思っております。
とりわけ、世界に対するそういった役割を果たしていくというのは、今も申しましたように
我が国の存立にかかわるわけでございますから、
我が国自身の国益でもあるわけでございますけれ
ども、世界に役割を果たしていくという観点から申しますと、我々、
経済面あるいは
経済協力面以外でもいろいろな役割を果たしております、それは安保理での活動であるとか、あるいはPKOであるとか。
しかしながら、総体として見ますと、私
どもはそういった安全保障面で、あるいはすぐれて
政治的な面で果たす役割よりも、やはり
経済協力も含めた
経済面で果たしてきた役割は大きいし、これからもそういう趨勢は続くのだと思います。そして、そういった観点から申しまして、我々は、ODAは今後ともきちんとやっていかなくてはいけないと思っている次第でございます。
聖域でないという点から申しますと、もう既に今年度の予算は、円レートの関係もございまして、実質で申しますと三%ぐらいのマイナスになっておる。そういう
意味では聖域ではございません。
それから、先般発表いたしましたけれ
ども、九六年度でしたか、DACの指標で見ますと、
我が国のODA供与額は、ディスバースメントベースで三五%落ちまして百億を切った、対GNP比で申しますと、これまで〇・二八でございまして、これはDACの諸国の中でもそんなに胸を張れるパーセンテージではなかったのですが、それが〇・二一になりまして、他の国の計数は出ておりませんけれ
ども、もし出てくれば、恐らく二十一カ国のうちびりから三番になるのではないかと思います。実額としては確かに大きゅうございますけれ
ども、持っている力に比較してどれだけ役割を果たしていくかという観点、GNP比でございますが、それから見るとそういったところになってしまうということでございますので、どんどん削ればいいという話ではないと思います。しかし、それにいたしましても、やはりいろいろ工夫はしなくてはいけないと思うわけでございます。
そういった観点から見ますと、量から質へという御
指摘ともかかわってくるわけでございますが、今までODAで役割を果たしていたものの中でも、ODA以外の、オフィシャルな資金の流れであるとか民間の流れだとか、そういったもので代替し得るものもあるのではないか、こういうところも見ていかなくてはいけないと思います。例えば、有償の借款で行われている部分、これはやはりソフトなローンでなくてはどうにもならないものもありますけれ
ども、よく見直してみれば、そうではない、民間の直接投資であるとか民間での融資、あるいは
日本の資本市場の中を整備する中で、開発途上国なり企業なりが起債をしていくというような格好での資金調達、そういったもので代替できるものもあるかもしれない、そんなことも考えなくてはいけないと思います。
そういった中で、質という観点からいいますと、大きく分けて、今言いました有償、いわゆる円借款でございますね、返してもらう
意味のODAと、それから無償の資金供与、それから技術
協力と三つあるわけでございますが、やはり無償の資金
協力、そして技術
協力という面は、今申しましたようなほかの手段で代替するといいましてもなかなか難しい面があるんだと思います。だから、そういったところは大切にしていく、しかしそういったことをやる以上は、本当にODA本来の目的に沿って活用されているのだろうか、効率性はどうだろうかというようなところも、従来以上に事前にも、また事後にも点検しながら進めていかなければいけない、こういうふうに考える次第でございます。