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1997-04-02 第140回国会 衆議院 外務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月二日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 逢沢 一郎君    理事 鈴木 宗男君 理事 福田 康夫君    理事 牧野 隆守君 理事 森山 眞弓君    理事 青木 宏之君 理事 東  祥三君    理事 玄葉光一郎君 理事 松本 善明君       安倍 晋三君    石崎  岳君       今村 雅弘君    河野 太郎君       櫻内 義雄君    田中 昭一君       田村 憲久君    原田昇左右君       森  英介君    渡辺 具能君       赤羽 一嘉君    坂口  力君       島   聡君    松沢 成文君       丸谷 佳織君    山中 燁子君       井上 一成君    藤田 幸久君       佐々木憲昭君    秋葉 忠利君       平野 博文君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君  出席政府委員         外務政務次官  高村 正彦君         外務大臣官房審         議官      西田 芳弘君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    朝海 和夫君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省経済協力         局長      畠中  篤君         外務省条約局長 林   暘君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   松尾 好將君         法務省刑事局公         安課長     柳  俊夫君         大蔵省関税局監         視課長     鹿戸 丈夫君         文部省教育助成         局施設助成課長 玉井日出夫君         運輸省航空局飛         行場部管理課長 各務 正人君         郵政省郵務局国         際課長     安住  透君         外務委員会調査         室長      野村 忠清君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二日  辞任         補欠選任   柿澤 弘治君     渡辺 具能君   下地 幹郎君     田村 憲久君   新藤 義孝君     今村 雅弘君   若松 謙維君     赤羽 一嘉君   古堅 実吉君     佐々木憲昭君   伊藤  茂君     秋葉 忠利君 同日 辞任       補欠選任   今村 雅弘君     新藤 義孝君   田村 憲久君     下地 幹郎君   渡辺 具能君     柿澤 弘治君   赤羽 一嘉君     若松 謙維君   佐々木憲昭君     古堅 実吉君   秋葉 忠利君     伊藤  茂君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  環境保護に関する南極条約議定書及び環境保護  に関する南極条約議定書附属書V締結につ  いて承認を求めるの件(条約第六号)(参議院  送付)  アジア太平洋郵便連合憲章追加議定書及び  アジア太平洋郵便連合一般規則締結につい  て承認を求めるの件(条約第七号)(参議院送  付)      ――――◇―――――
  2. 逢沢一郎

    逢沢委員長 これより会議を開きます。  環境保護に関する南極条約議定書及び環境保護に関する南極条約議定書附属書V締結について承認を求めるの件及びアジア太平洋郵便連合憲章追加議定書及びアジア太平洋郵便連合一般規則締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石崎岳君。
  3. 石崎岳

    石崎委員 自民党の石崎岳であります。持ち時間が二十分しかありませんので、簡潔に質問をさせていただきます。  議題環境保護に関する南極条約議定書、それからアジア太平洋郵便連合憲章追加議定書ということで、どちらも日本にとって大変重要な条約であり憲章であるというふうに思いますけれども南極条約議定書にちょっと関連しまして、その南極全体の環境保護ということについて包括的な国際的な取り決めがこれまでなかったというのも、やや不思議な感じがいたします。今回の南極条約議定書についての締結意義というものを、大臣、ちょっと説明していただけますでしょうか。
  4. 池田行彦

    池田国務大臣 委員承知のとおり、これまでも南極環境保護なんかにつきましては国際的にも真剣な取り組みがあったところでございますけれども、そういったものにつきましては法的な枠組みをつくってはどうだろうかということでいろいろ協力がなされてきたわけでございます。その結果できたのがこの条約でございまして、この議定書及び附属書Vによりまして、南極環境そして生態系につきまして全般的な、つまり包括的な保護をするということを目的として、そのために具体的に環境影響評価であるとか、あるいは動植物相の保存、あるいは廃棄物の処分等々に関しましていろいろその措置を定めたところでございます。  この議定書附属書締結いたしますと、そういったことでこれまでも国際的に保護が図られておった南極環境等につきましてきちんとした国際的な枠組みができる、こういうことでございますので、環境分野におきまして積極的にこれまで国際協力を進めてきた我が国としてそういった姿勢をさらに明確にし、そして、具体的にも南極環境保護役割を果たすということで、我が国基本的な環境問題に対する姿勢という観点からも非常に有意義なものと考えている次第でございます。
  5. 石崎岳

    石崎委員 南極に行かれる方というのは本当にごく限られた人数だと思います。それから、付随する国内法手続もあるということであります。それから、環境アセスという手続がこれからできてくるということですけれども、そのごく限られた南極に行かれる日本方々、観光で行かれる方も最近はいらっしゃるというふうに聞きましたけれども、今回の議定書国内法を知らしめる、周知徹底させる方法広報方法ということをどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
  6. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 この議定書関連しまして、国内法として南極地域環境保護に関する法律案というのを現在参議院審議中でございますが、そこの二十五条に、国が南極地域において行為をする者等議定書及び法律等の要旨の周知を図る ため、適当な措置をとるということが定められております。  外務省としましても、環境庁を初めとする関係省庁とともに、この規定に基づきまして、南極地域活動を行おうとする者などに対しまして議定書法律周知徹底が図れるように十分な広報、例えばパンフレットの作成などでございますが、十分な広報を行うよう努力してまいりたいと考えております。
  7. 石崎岳

    石崎委員 ちょっと議題がかわりまして、大臣、週末の中国訪問大変御苦労さまでございました。報道等大変中身の濃い二日間だったというふうにお聞きをしておりますけれども日中関係、全般的には、中国核実験に端を発して、尖閣諸島の問題でありますとか日米安保の再定義の問題でありますとか、いろいろぎくしゃくしてきた面がなかったとは言えないと思います。それから、江沢民総書記・国家主席も、日中関係は晴れたり曇ったりだというような表現を会談でされていたというふうにお聞きをしましたけれども、今回の中国訪問、あわただしい日程ではあったと思いますけれども、全体の雰囲気、それから国家主席総理外務大臣との会談成果ですね、まとめて御紹介していただけますでしょうか。
  8. 池田行彦

    池田国務大臣 日中関係は、委員指摘のとおりこれまでもいろいろな経過がございました。それは二〇〇〇年の長い歴史交流歴史、そして国交回復以後でもことしで二十五年を迎えるわけでございますが、その間には、今御指摘になりましたような諸問題も契機にしていろいろ両者の立場の違いが鮮明になったり、そのことがいろいろな、まあ摩擦と言っていいんでしょうか、そういうことを生んだこともあるわけでございますけれども基本においてはやはり日中が友好関係を維持していく、このことが両国にとって大切なだけではなくて、アジア太平洋地域全般なり国際社会のために大切だというこの認識は両方にずっとあったわけでございます。今御指摘になりましたように昨年いろいろなことがあったということを踏まえまして、両国政府の間ではやはりその基本のところを、友好関係を維持し発展させなくてはいかぬというところを非常にまたこの際深く考え、そしてそれを進めていこう、こういった共通認識なりあるいは意欲というものがあったと思うのでございます。そういったことで極めて、いわば同じ方向へ向かっての努力をしていこうじゃないか、そういった雰囲気の中で行われた江沢民国家主席、そして李鵬首相、さらに外相会談であった、こう考えるわけでございます。  そういった中で、具体的にはことしの国交回復二十五周年、共同宣言から二十五周年ですが、来年がまた平和友好条約締結二十周年になるわけでございますが、この間に交流を一層深めていこう、またその中の中心をなすもの、あるいはそのトップに来るものとしての首脳レベル交流をしようということで、その大枠合意に達した、橋本総理とそれから李鵬首相の年内の相互の交流、それから、江沢民主席には明年もということについて大枠合意いたしたということは、一つ成果であったと思います。  また、そういった中で、両国間の関係につきましても懸案となっておるものにつきましていろいろ突っ込んだ議論もいたしまして、その中から、例えば漁業の問題であるとかあるいは遺棄化学兵器問題等について、さらに具体的にその作業を進めていくための手順等についても外相会談合意に達したということは、大変意義があったと思うのでございます。  またそのほかも、例えば国際的な場における協調行動等についてもいろいろ議論いたしましたし、また特に、一つ、これまで余り議論されなかったもので、ある意味での変化といいましょうか、進展と私は思っておりますが、だったのは、中国人権をめぐる問題でございます。この問題につきましては、御承知のとおり、これまで国連人権委員会で五回にわたって決議がなされてきた。それはそれで国際社会の意思を表明するということで意味のあることではあったわけでございますが、しかし、そのことが現実中国人権状況の改善につながったかといいますと、どうもそこのところは実効がなかったのではないか。  それで、これまでも、我が国も含めてこれを共同提案してきた国の中でも、同じような手法を繰り返すだけでいいのだろうかといったような議論もあったわけでございますが、そういった問題についてもいろいろ話をする中で、中国側の方も、決議というのは困るのだけれども人権状況を改善しなければいけないというのはよく認識している、この問題で国際社会と対抗するつもりはないというようなことがございました。  それで、具体的な話をしていく中で、これまでも中国が表明しておりました、国際的な人権規約が二つありますが、それに参加を検討するだけでなく、具体的に参加するためには国内の法令とどういうふうに調整すればいいかとか、あるいは、いろいろな人権をめぐる対話をマルチの場でもあるいは二国間の場でもやる用意がある、こういった具体的な対応を引き出してまいりましたので、それではそれを進めていこうじゃないか、日中間対話もやろう、それから、そのように人権規約との関係国内法の調整をいろいろ進められるならば、そのときにどういう問題があるか、どういうふうに解決をすればいいか、日本なりのいろいろな経験を踏まえた知恵もあるからお手伝いしようじゃないかというので、法律専門家同士のそういった協力をするというような話も進めたわけでございます。  そんなことを踏まえまして、私どもとしては、人権重要性、その普遍性はしっかり踏まえながらも、手法として、これまで人権委員会決議共同提案としてやってきたけれども、それについてはことしはそれにならない方向で検討しようということを私の方から表明した次第でございます。  なお、御承知だと思いますけれども、ヨーロッパにおきましても同じような動きが今出てきているということでございます。  そのほかいろいろな問題がございましたけれども、かいつまんで申し上げました。
  9. 石崎岳

    石崎委員 その人権問題に絡んで、七月に香港中国返還をされるということです。そういう中で、一国二制度ということがずっと言われているわけですけれども、その香港に対して、返還が迫った段階で、中国は、例えば集会、結社あるいはデモといったものに対して許可制にするとか、あるいは人権優先規定といったものを削除するとか、非常に中国流のスタイルを導入しようとする。一国二制度といいながらも、そういう民主主義ルールといったものを抑制しつつあるというふうに伝えられております。  今外務大臣がおっしゃったように、国連決議に対しては提案国にならないという方向性でありますけれども、そういう香港返還に伴うルール変更香港における民主主義人権といったものが抑圧される懸念が感じられるわけですけれども日本政府の見方はどうなっていますか。
  10. 池田行彦

    池田国務大臣 その点につきましては、これまでも我が国として、また私自身も、中国が英国との間で約束した、また香港の人々との間で明らかにしてきたように、これまでの香港状況、法の支配なり自由の保障といったことをきちんと七月一日以降も維持していく、そのことは非常に肝要であるということは機会のあることに言ってきたわけでございますが、今回の一連の会談におきましても、私の方からその提案をまた改めて申し上げたところでございます。  特に、日本から申しました際には、香港方々のためにも現在の香港状況が維持されることが大切である、また中国のためにも大切であろうけれども、それだけにとどまらず、香港国際社会の中で、特に国際経済の中で果たしている役割、担っている役割というものを考えると、これが今後とも維持されるということは国際社会共通関心事項でもあると。そういった役割、つまりは、例えば貿易あるいは金融センターとしての機能を維持するためには、やはりその根底において法の 支配であるとか、いろいろな自由の保障というものが大切であるわけでございますので、そういった点につきまして今回もきちんと申し上げてまいりましたし、それから中国からも、これは一国二制ということで進めていく、そうしてそういった香港の果たしている役割をも、今後とも継続することを考えているということを明確にしたところでございます。  さらに、私の方からは、こういうことは単に宣言するだけではなくて、具体的に、例えば経済関係でいえば、香港で行われるいろいろな経済活動に参画していく経済界方々香港状況というものを信用するかどうか、それにかかっているのだから、そこのところを大切にしていただきたいということもるる申し上げてきたところでございます。
  11. 石崎岳

    石崎委員 それともう一点、日中問題だけではないのですけれども、日中、日韓関連する問題、漁業協定の改定の問題です。  過日の委員会でも鈴木委員から質問がありましたけれども、昨年の与党の一年間という期限はもう過ぎました。北海道の周辺の海域での漁民、漁業者御苦労も大変なもので、死活問題というふうになっております。そういうずるずるとなかなか決着を見ない、その間漁場ではいろいろ問題が起きているという中で、四月下旬に日中ではもう一度事務レベルでやるということでありますけれども、もうそろそろ時期的な解決のめどをぜひ示していただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  12. 池田行彦

    池田国務大臣 この点につきましては、銭其探外相との間の会議におきまして、二国間の懸案の中で最も切迫している問題というのはこの漁業の問題であるということを前置きいたしまして、今おっしゃいました与党あるいは水産業界方々初め、日本国内においてはこの問題についての早期解決を迫る声が非常に強くなっているということを説明し、その上に立って、交渉を促進し、ことしのなるべく早い時期に、例えばこの夏にも合意に至るということを目指して最大限の努力をしなくてはいけないということを申し上げ、そして、次回の会合を四月下旬にも行おうではないかと私の方から提案いたしました。  そして、中国側から、日本側のそういった事情は承った、しかし、これは中国にも、中国として漁業関係者を初めとしていろいろな立場なりあるのだということを踏まえて、しかしこの交渉は精力的にやってまいりましょうということで、四月の下旬に次回の会合をするということで合意いたしたところでございます。
  13. 石崎岳

    石崎委員 ちょっとかわって、駐留軍用地特別措置法についてお聞きしたいのですが、いよいよあす閣議決定がされる、あさって衆議院で趣旨説明がされるというふうに聞いております。来週は特別委員会でいろいろ議論がされるということであります。  大変重要な問題でありまして、政治家は情緒的ではなくて、もっと国家観あるいは国の安全保障というものを突き詰めて考えて対応すべき問題であり、突き詰めて考えていけば、政治家判断、政党の判断というものはおのずから収れんされていくのではないかというふうに私は思いますけれども、いよいよあす閣議決定ということであります。政治的にも大変今問題になっておりますので、仮に五月十五日、駐留軍用地使用権原が切れた場合、喪失した場合、ずばりどういう影響、問題が生じるかということをぜひ国民に明示をしていただきたい。外務大臣からぜひお願いします。
  14. 池田行彦

    池田国務大臣 まず、我が国の安全を守るために安保条約は不可欠であるということは、大方の国民の方に御理解いただいておるわけでございますが、その安保条約有効性実効性を確保していくために中核をなすのは日本に駐留する米軍であり、そういった意味で、駐留米軍使用する基地を提供するということは、安保条約上の我が国義務のうちの最大のものであるわけでございます。  そういったことでこれまで来たわけでございますが、そうして沖縄におきましても、地主方々の、もう大多数の方がそれを御承認賜り、御同意いただき、その契約ができておるわけでございます。  しかし、今なお三千名の方々がこれに応じていただけないということで、沖縄県の収用委員会におきましてこれが使用できるように、権原が取得できるようにずっと手続を進めておるわけでございますが、何分数も多うございますし、審議日程も必ずしも連日というわけにはまいらない。ここのところかなり精力的にやってはいただいておるのでございましょうけれども、月に二回とかというペースでございます。今の状況でいきますと、私どもは何とか裁決が間に合うようにずっと願ってきたわけでございますし、今でもそういった希望を持っておりますけれども、どうもこれまでのいろいろな経過から見ますと、五月十四日、最終でございますけれども、そこまでに現在の手続を、手順を踏むだけで権原が取得できるかどうか、これは確信を持てないという状況になりました。政府といたしましても、特別に、現在の特措法という法律でいろいろ手順が決められておりますが、その中で、それを一部を改正いたしまして、この裁決が間に合わなかった際にもここにかかっている案件についてだけ、新しいものをお願いしようというわけじゃございません、この継続の分についてだけ、現在の手続でその権原が認められるという状況ができるまでの期間、経過的に何とかその使用を認めていただきたい、そういったふうな法律案提案を今準備しているところでございます。  もしそういった法律手当てをすることなく、また現在の手続が五月の十四日までに間に合わなかったときにどうなるかということでございますけれども、これは条約上は、日本として土地を提供しなくてはいけないという義務がありまして、そのまま継続しなくてはいかぬわけでございます。しかしながら、国内法的なそういった提供をする根拠、法的な根拠というものが失われた状況になる。だから、それは直ちに違法という状態になるのかどうなのかということにつきましては、法律論的に昨年もいろいろ議論があったところでございますが、しかし、そういった法的な権原がきっちりとしていない形で提供するというのは、やはり非常に問題があろうと思うのでございます。  しかし、そういった法律的な問題だけじゃなくて、現実の問題として、やはり大勢の、三千人近い方々がそういった事態をどうお考えになるか。例えば、昨年の楚辺通信所の例におきましても、自分の土地だからそこへちょっと入ってみたいとおっしゃったときに、それはどうぞということで入っていただきましたけれども、あれはお一人でございましたし、具体的な土地場所関係で、特にそこで物理的あるいはその実態面での大きな問題が生じなかったわけでございますけれども、今回は、普天間飛行場あるいは嘉手納飛行場という大変枢要な基地の、しかも大変大切な場所にそういった地主方々の所有する土地がある。そこへ大勢の方がもしお入りになるということになりますと、これは物理的にも大変困った事態になりますし、不測の事態を招くおそれすらあるわけでございますから、何としてもそこのところは、現在の収用委員会手続手続として進めていただく、しかしその結論が出るまでの間、暫定的に、経過的に使用を認めるという法的な手当てをさせていただきたい、こう考えておる次第でございます。  そういった意味で、これは地主方々の権利を尊重しながらも、経過的にそういったお願いをするというふうなシステムであるということを国民皆様方にもぜひ御理解賜りたいと存じます。
  15. 石崎岳

    石崎委員 極めて暫定的、緊急避難的な法改正ということではありますけれども、やはり国民理解沖縄県民理解というものが得られなければ、強権発動というふうにとらえられかねない法改正でありますので、来週の特別委員会等審議 でも、そういう意味国民理解を得られるような審議政府姿勢というのをぜひ表明していただきたいと思います。終わります。
  16. 逢沢一郎

  17. 山中あき子

    山中(燁)委員 山中燁子でございます。外務委員会で初めて質問をさせていただきます。ふなれでございますが、どうぞよろしくお願いいたします。  本日の与えられました課題は、環境保護に関する南極条約議定書ですので、できるだけそれに沿って質問をいたしたいと思いますが、関連で、地球規模的な環境問題に関する日本政府取り組みについても質問させていただきます。保ただ、その前に、先ほど石崎さんの方から御質問がありましたから多くは省きますが、池田外務大臣中国へ行ってらして、漁業問題がかなり先が見えてきた、四月中に実務者会議ができるのではないかという漁業協定に関するコメントが新聞に載っておりましたので、それはそういう方向としてこちらも認識してよろしいのかどうかということと、関連でございますけれども、韓国が沿岸主義から排他的水域主義の方に少しずつ歩み寄ってきたといういい兆候も見えるということでございますが、それもそういう認識でよろしいのかどうか、簡単に方向を答えていただければありがたいと思います。
  18. 池田行彦

    池田国務大臣 中国との間の漁業問題につきましては、私どもも、新しい国連海洋法条約、これに基づいて新しい漁業協定をつくろうということで、昨年来努力してきたところでございます。  そして、漁業関係者あるいは各党各会派におかれましても、その早期の妥結を強く望んでおられるということは私どもよく承知しております。それを踏まえてこれまでも交渉に当たってきたわけでございますが、今回の銭其シン外相との会談におきましては、日本国内で非常に切迫した空気になっている、これ以上遷延するようであったらもう交渉を打ち切って、場合によっては協定を破棄したらどうかというそこまでの声すらあるんだという状況も御紹介しながら、しかるがゆえに、これまでいろいろ話し合ってきた作業をさらに加速化していかなくてはいけない、こういうことを申し上げ、私は年内の早い時期、例えば夏ぐらいまでに合意に至るように努力をしていこうじゃないかということで、この次の漁業問題の会合を四月の下旬に開くことを提案したわけでございます。  そして、中国側から、中国側には中国側として、漁業関係者を初めとしていろいろな事情もあり、いろいろな声もあるんだ、その困難も指摘しながら、しかし交渉を妥結しなくてはいけないというのはよくわかる、そして真剣に協議を進めていこうということで四月の下旬の次回会合開催に合意がなされた、こういうことでございます。また、交渉事でございますので、お互いの利害も違いますから、すぐにこれで将来に向かって道が開いたとまで楽観していただくわけにはまいらぬわけでござますが、これから鋭意努力をして、早期の妥結に道を開いてまいりたいと思います。  それからまた、韓国との関係におきましても、同じような立場から協議を進めてきておりました。こちらの方も今後一層加速化してまいり、同じように早期合意に達したいものと考えておる次第でございます。
  19. 山中あき子

    山中(燁)委員 できるだけ早く、夏ごろまでに解決していただきたいというふうに思っております。  それでは、続きまして、高村政務次官がペルーからお帰りになりまして、三カ国歴訪なさってまいりました。そして、新聞の報道ですと大変大きな成果が上がったということで、イースター明けにでも、もう解決方向が見えるのではないかというふうに私どもも期待しておりましたけれども、三月三十一日の新聞報道でございますが、フジモリ大統領、それからセルバ容疑者双方とも、まだその最終段階に入っていないというコメントが出てまいりました。  そこで、政務次官が三カ国を歴訪なさって、どういう手ごたえであったか、あるいはどういう成果を御自分としては認識していらっしゃるか、どうなる見通しかということを手短にお教えいただければありがたいと思います。
  20. 高村正彦

    ○高村政府委員 フジモリ大統領との会談では、トロントでの首脳会談合意ができた、テロに屈せず平和的に解決するということを再確認いたしました。また、私の方から対話の加速化の必要性をいろいろお話しして理解を得た、こういうふうに考えております。それから、キューバ、ドミニカ共和国においては、いわゆる出口の問題について協力するという確約がとれた。それなりに事件解決へ向けての環境整備はできたか、こういうふうに思っております。  ただ、ここ数日間のすぐにでも解決するのではないかというマスコミ報道は、これは少しはしゃぎ過ぎではないかと私なりに思っておりまして、これから両当事者が、時間の経過は不測の事態を招くおそれが増大するということを考えていただいて、少しでも対話の加速化を図ってもらいたい、こういう願望を強く持っておりますし、両当事者ともそういう意識はある、こういうふうに考えておりますが、いつ解決するかという見通しまではなかなか言うことが困難である、こういうふうに思っております。
  21. 山中あき子

    山中(燁)委員 ありがとうございました。いろいろ御苦労も多いかと思いますけれども、ペルーの事件に関しましては、まだ人命がかかっているところでございますので、これ以上の質問は控えさせていただきます。  ただ、過去の事件の解決方法から一番ねらわれやすいと言われている日本が、テロの国であるペルーにおいてあれだけたくさんの要人を招く際に、事前の警告もあったようですが、結局は公邸を占拠されてしまったという点において、やはり外務大臣、首相おいでになられましたときにも、本当にその責任というものをきちんとペルーのフジモリ大統領の方におわびをするという、そういう反省点をきちんと出していただけたらばなというふうに私は思っておりました。  関連に関しましてはここで終わらせていただきまして、環境の方に移らせていただきます。よろしゅうございますか。ありがとうございました。  さて、一九九四年に、私まだ大学におりましたが、スウェーデンとドイツの環境研究所を何カ所か訪ねましたときに、異口同音に、日本の国はほとんどの環境会議に出席しているけれども、賛成か反対の意見以外のときは余り意見が出てこない。それで、これは言葉の問題だろうと思っていたら、後のパーティーでは流暢な英語で談笑しているということで、一体どういう考えを持っているのかよくわからないのだ、環境に関して日本の顔が見えないということをかなり指摘されていました。私は、環境の問題は国際問題であり、同時に地球規模の問題、すなわちグローバルな問題であるという認識に立って、日本国際社会の一員として地球の将来に深い関心を持っている国であるということをこれから政策的にますます示していけるような方向に立って、質問をさせていただきたいと思います。  先ほど、池田大臣が前者の質問のときに、積極的に貢献してきたとおっしゃっておりましたけれども、この環境条約に関しましては、実際に五年六カ月という日にちが批准までにたっておりますけれども、このおくれというのはどういう理由によるのでしょうか。
  22. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 この議定書附属書に関しましては、その発効の見通し、ほかの南極条約協議国の動向なども念頭に置きまして検討してきたところでございまして、この議定書附属書の内容あるいはその円滑な実施のための国内法の整備についても、慎重な検討を行ってまいったところでございます。  こうした検討の結果、今般、この議定書附属書の実施のための法律案というものも作成されましたことを踏まえまして、議定書附属書締結をすべく御承認をお願いしているところでござい ます。
  23. 山中あき子

    山中(燁)委員 これも報道でございますけれども、昨年、環境庁が国会へ提出しようとしたけれども外務省国連の海洋法の締結作業で手がいっぱいなので見送りになったという報道がございますけれども、これは事実でしょうか。
  24. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 確かに作業量という面が全くないとは申し上げませんけれども、先ほど申し上げましたとおり、この議定書附属書につきましては、南極条約協議国すべてが締結したときに発効するということになっている事情もございますし、そういったこともあるので、先ほど申しましたとおり、ほかの協議国の動向なども見守っておったところでございます。
  25. 山中あき子

    山中(燁)委員 ほかの二十六カ国の動向を見ているうちに、一番最後の三つの一つになってしまったというふうなことなのでしょうか。  それで、関連いたしまして、一九六四年の南極関連の動物相、植物相の保存に関する合意措置、これも一九六四年に実際には活動を開始できたのに、一九八二年に日本での批准がずれ込んで、一番最後の国として批准されたというのは事実だと思います。同じように見てみますと、一九七二年には世界遺産条約があって、これは締結が二十年後の一九九二年になっております。また、一九七三年のワシントン条約は一九八〇年、これも七年かかっているわけでございます。国際的条約の遅い締結というのが続くということは、国際的にどのような影響を与えるのか、あるいは与えてないとお考えなのか、その辺の御判断はいかがでございましょうか。
  26. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 御指摘のとおり、幾つかの条約につきまして、締結に相当時間がかかっている例が確かにございます。あるいは、中にはいろいろな点について、さらに検討を重ねているというものもございます。ただ、私どもとしては、できる限り速やかに主要な条約締結に向けて作業を進めているところでございまして、確かにある程度時間はかかっておりますけれども、それに伴って外交上大きな問題にはなっていないと考えております。
  27. 山中あき子

    山中(燁)委員 外交上大きな問題になっていないという認識については、後で関連質問させていただくことにいたしますが、できるだけ速やかにということでありましたら、例えば一九九四年六月にパリで採択されました砂漠化防止条約というのがございますけれども、これはもう既に三年になるわけですが、いつごろ国会提出の予定なのでしょうか。予定をお知らせください。
  28. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 砂漠化防止条約に関しましても、現在検討している段階でございまして、なるべく早く国会に提出をしたいと考えております。
  29. 山中あき子

    山中(燁)委員 なるべく早くというのは、大体どのくらいの年限というふうにお考えでいらっしゃいますか。
  30. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 今の段階でいつということは申し上げかねますけれども、それほど遠くない将来にできることを期待しております。
  31. 山中あき子

    山中(燁)委員 私がなぜそういうことをお聞きしたかと申しますと、これは与えられた課題で南極条約を読んでいましたら、第十二条の修正または改正に関してのところに「二年の期間内に批准の通告が受領されなかったものは、その期間の満了の日に、この条約から脱退したものとみなされる。」という項目がありまして、これが決まりではもちろんないわけですけれども、国際的に二年とか三年というのが一つの目安というふうに考えることができるのではないかと私は思っているのですけれども、そういう認識外務省としてはおありになりませんでしょうか。
  32. 西田芳弘

    ○西田(芳)政府委員 国際会議でありますとか国際機関等におきまして種々の分野の条約が作成されますけれども、それらの条約につきましては、それぞれその目的、意義、あるいは関係諸国の動向、それから我が国、それを実施するに当たりましての国内体制等を十分検討しつつ、早期締結すべきものにつきましては、できるだけ早くそれが締結できるよう努めているところでございます。  先ほどちょっと例として引用されました砂漠化防止条約につきましても、その意義につきましては十分認識しておりまして、これを実施するための国内体制のあり方を鋭意検討中でございますので、そういう状況であるということを御理解いただきたいと思います。
  33. 山中あき子

    山中(燁)委員 もしその人手が足りない場合には、外部の専門家の投入などというシステムを構築してでも、やはり速やかに処理できるものはできるだけ速やかに処理をすべきだと思います。と申しますのは、時期を逸して同じ労力、同じ金額を投入しても、評価されるどころか非難さえされ得るという苦い体験は日本が何度もしてきたところだと思います。  今のことに関連いたしまして、まずこの議定書でございますが、これは吉田栄夫氏が一九九二年の「南極条約に対する環境保護議定書及びその付属書」という論文の中で、今後遅くとも二、三年以内に発効が予測されるというふうにおっしゃっております。これは科学者の方が願望としてお書きになったものかもしれませんが、その後に「わが国も遅れないようにしたいものである。」というのがその論文の中にあります。  これを見てまいりますと、どうしても日本のプライオリティーのつけ方の問題もあると思いますけれども、国際的な立場の中で、最後の一つとか、三つのうちの一つとか、そういう形にならない条約の国会への提出の方法、それから陣容、そういったことでこれから工夫をしていただくという、あるいは努力をしていただくということはお願いできますでしょうか。
  34. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 余り時間がかからないよう、行政サイドでできることは、鋭意努力したいと考えております。
  35. 山中あき子

    山中(燁)委員 それでは、条約の中の議定書の八条、附属書のⅠにあります環境影響評価についてお伺いしたいと思います。  まず三つの段階に分ける基準というのは、もちろん議定書にその基準がクリアに載っているというものではありませんけれども、当然議定書を提出なさるにはその三つの基準というのは抱えていらっしゃると思いますので、それをわかりやすく御説明いただきたいと思います。
  36. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 環境影響評価に関しましては、議定書の八条でございますけれども、「軽微な又は一時的な影響を下回る影響」といったような考え方、あるいは「軽微な又は一時的な影響を上回る影響」といったような言い方がございますけれども、どういうものが「軽微な又は一時的な影響」を上回るのか、下回るのかということにつきましては、その活動が実施されます時期や場所ども勘案しながら、個別具体的な活動ごとに判断、検討しなければいけないかと考えております。  ただ、あくまでごく一般論として申し上げれば、「軽微な又は一時的な影響を下回る」活動といったものとしては、例えばでございますけれども、比較的小規模な野営を行うといったことが一般的にはあるのかなと考えております。  「軽微な又は一時的な影響」を及ぼし得る活動というものとしましては、これも一般論、例えばでございますけれども、既存の基地の施設を拡大するとか、既存の基地を除去、撤去するとか、あるいは大規模な氷の深層掘削といったようなことは、一般論としては一時的な影響を及ぼし得る活動かなと考えております。  あるいは「軽微な又は一時的な影響を上回る」活動としては、例えばでございますけれども、新しい基地の建設、新しい滑走路の建設、あるいは大規模な岩盤の掘削、そういった活動は一般的には「軽微な又は一時的な影響を上回る影響」を与える活動であろうかと考えております。
  37. 山中あき子

    山中(燁)委員 ただいまの御説明、非常にわかりやすいのですが、私、イギリスの九五年の環境影響のガイドラインのこの絵の御説明を聞いているような気がいたしました。これとほとんど同じガイドラインが日本では今検討されているというふうに考えてよろしいのでしょうか。
  38. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 先ほど御説明しましたのは、私どもがイギリスであるとかオーストラリアであるとかノルウェーであるとか、そういうところで、どういう考え方に基づいて「軽微な又は一時的な影響」ということを考えているかということを照会したことも踏まえた御説明でございます。  ただ、一般的な考え方としてはそういうことでございますけれども、具体的にどうするかは、先ほども申し上げたとおり、個別具体的な事例に即して検討する必要があろうと考えております。
  39. 山中あき子

    山中(燁)委員 ちなみにこの一九九五年の英国の環境影響のガイドラインというのは、九一年の当議定書に従って作成したというふうにちゃんと書いてあります。九一年に、同じときに、同じところにいて、そしてこれだけ時間的な差ができたというのは、やはり国際的に優先度が高くはないのではないかという誤解を招くかと思いますので、早急に関連の法案も入れていただきたいと思います。  そして、もちろんこれを御参考になさっているとすれば申し上げるまでもありませんが、モニタリングのことに関しましても、例えばイギリスの場合ですと、科学者の力をかりるというようなこと、そういったことも含めてきちんと書いてありますし、また事前の申請をなしたときにそれを却下したときには、その理由が、そのリーズンズ・ホワイというのがきちっとわかるように文書で書くというふうになっております。  ですからぜひ、口頭の説明ではなくて、あるいは申請したものをどこかでその都度判断するのではなくて、きちんと国内外にわかるような基準を書いて、そしてそれに対してどういう判断をしたかということも情報公開としてきちんとする、そういうガイドラインをおつくりいただきたいと思いますが、そういう方向でお考えいただいていると考えてよろしゅうございますか。
  40. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 御質問一つは、査察をどういう場合、どういう状態で行うかといったことかと思います。あるいはもう一つの点は、具体的に申請があった場合、どういうガイドラインでもって対応するかということかと思いますが、いずれの点も、現在参議院で御審議いただいております関連国内法の実施の細則にかかわることかと思います。御指摘の点も踏まえまして、政府の内部で検討していくことになろうかと考えております。
  41. 山中あき子

    山中(燁)委員 それから、関連いたしまして、この議定書を実際に実行していくためには国内法の整備、そして日本がこれもOECDの加盟二十九カ国中、唯一環境のアセスメント法のない国でございますけれども、これも同時並行的に現在環境庁の方でやられていると思いますけれども、その辺のところも加速をしていくようにぜひ外務省の方からも言っていただきたいと思います。今までこの環境アセスの法案がなくてどうやってやってきたのかなと、OECDなんかの関係で疑問にも感じますが、そのことは別といたしましてといいますかOECDについては改めて時間をとっていただくことにいたしまして、次にツーリズムについて質問をさせていただきたいと思います。  日本人も非常に増加をしているということでございますけれども、ツーリズムについての調査というのはなされているのでしょうか。
  42. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 随時調査はしてございます。委員指摘のとおり、近年、南極への観光がふえておりまして、日本からの観光は九四年から九五年にかけて四百十一名を上回っておりまして、次第に伸びていく傾向にあろうかと考えております。
  43. 山中あき子

    山中(燁)委員 もちろん一番多いのはアメリカでございますけれども日本の場合には、日本の業者が直接するというよりも海外のエージェントに、一緒に行くということが多いということを聞いてはおりますけれども、実際には日本のエージェントが外国の船をチャーターして行くというようなことも起こりつつあるということでございますから、その御認識はおありと思いますけれども、これに関しては、今のところは事前の環境アセスに対する申請ということのみでございますけれども、それで十分きちんと、全体がどういうふうに動いているか、そういう動態を調べられるのでしょうか。どういう方法をお考えでいらっしゃいますか。
  44. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 御質問の点も関連国内法の実施の細目にかかわることかと思いますけれども、観光の場合も事前の環境影響評価という手続がございます。そのほかの手段として例えば査察ということも、観光の場合ですと余り実際問題としては該当しないことの方が多いのかなと思いますけれども、査察といったようなこともございますので、こういった手段を通じて国内法が確実に実施されるよう担保されていくのではなかろうかと考えております。
  45. 山中あき子

    山中(燁)委員 関連でございますけれども、監視員を置くこと、今までもできたわけですが、日本はそういったことはしてまいりましたでしょうか。
  46. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 現在の南極条約のもとでは、査察は日本は行っていないと思います。
  47. 山中あき子

    山中(燁)委員 やはりこういう状況になってまいりまして、なおその査察、監視員というのが重要な役割を果たすようになってきつつあるのではないかと私は思っておりますけれども日本はそれに対して、これは出しても出さなくてもいいということではありますけれども、積極的にイニシアチブをとってシステム化をしていくとかあるいは、例えば南極にその基地を持っている国でありましても発展途上国などはとても監視員まで出すことができないというようなところもございますけれども、そういった意味での国際的な協力、貢献ということについてはどのような認識をお持ちでいらっしゃいましょうか。
  48. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 この議定書にも査察という制度が設けられているわけでございますが、南極環境保護生態系保護といった見地、そもそもこの議定書の遵守の確保という点から、この査察という制度は非常に重要なものだと考えております。
  49. 山中あき子

    山中(燁)委員 重要なもので、実施をするというふうにはまだ決めるところまでいっていないということでしょうか。日本としては、出すか出さないかはまだこの段階では決められないということでしょうか。
  50. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 重要な制度ではございますけれども、いつどういう地域を査察するか、あるいはどういった項目、点について調査をするか、こういった点については、なお検討しなければいけないと考えております。
  51. 山中あき子

    山中(燁)委員 多分、要員の確保ですとか費用とかいろいろ問題があると思いますけれども、国立の極地研究所にはモニタリングセンターというのができておりますから、そういう要員はもういるわけですし、ぜひほかの国よりも率先して、ここで日本南極環境全体をチェックするという意味でそういったシステムをつくり、積極的に人員を送り出していく、そういうことで動いていただきたいと思います。  それから、あわせて観光に関しましては、今のところ、例えば南極に滞在したことのあるような方がインストラクター的な形で個々に動いているわけですけれども、総量規制までは今すぐは必要ないとしても、この増加の状況を見ていきますと、これは船舶にいたしましても、クルーズにいたしましても、それから観光客にいたしましても、大変な勢いでふえておりますので、これから、ぜひきちんと認定したインストラクターを同行させるというようなことを考えてはいかがでしょうか。現実には、実際に鳥などの営巣地に行ってさわったとか、あるいはさまざまな汚染問題、ごみを置いていく、そういったことが、現実にはあるはずのないことが起こっているということも含めまして、そういったこともぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  52. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 御指摘の点も踏まえまして、さらに十分検討させていただきます。
  53. 山中あき子

    山中(燁)委員 それでは、最後になりますけれども、ことしの十二月に日本でCOP3があるわけですが、この準備のイニシアチブをとっていら っしゃるのは外務省でしょうか。
  54. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 十二月に気候変動の関係の締約国会議がございます。大変重要な会議でございまして、外務省としても、関係省庁と協議しつつ、十分対応したいと考えております。
  55. 山中あき子

    山中(燁)委員 先月の二十八日、二十九日ですか、京都市で行われましたNGOの国際会議で、必ずしも客観的と言えないかもしれませんが、環境庁と通産省とでなかなかその主張が折り合わないということが国際的にも散見されるような状況になっているということなのですけれども、そこに関しては外務省はどういう見解をお持ちでいらっしゃいますか。
  56. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 この温暖化防止の問題は、少なくとも二つの側面があろうかと考えております。  一つは、温暖化をできるだけ防止して地球の気候を保全するという側面がございますけれども、同時に、私ども経済活動もそれはそれなりに配慮しなければいけない、その二つの要請をともに満たすような解決関係国と一緒になって現在模索している段階でございます。
  57. 山中あき子

    山中(燁)委員 地球の温暖化のその進みぐあいの速さというのが、北極が一番被害が大きいと言われておりますけれども南極のボーリング地点での観測の結果、二十万年前から見て、今が一番多いというようなことを専門家の方たちがおっしゃっているわけですし、もしこの調子で地球の温暖化が進んでいきますと、例えば六十五センチ海面が上がるという状況になりますと、沖之鳥島も水没するという、日本にとっては非常に現実の利害も出てくるわけで、そうしますと当然のことながら二百海里というか排他的水域も変わってまいりますし、それだけではなくて世界には水没しかねない南太平洋の島、アジアの国々もあるわけです。このCOP3というのは、私は、先ほどから大変厳しいかもしれませんが、指摘させていただいていましたように、今まで日本が国際的な分野で環境に関して非常に積極的に進んで貢献しているというふうには評価されていない、それは例えばWWFのつい二月に出ました「地球の温暖化の防止に向けた取り組みの先進国のスコアカード」でも、一番アメリカがおくれている、その次にカナダと日本ということで、そういった状況になっております中で大変重要な、起死回生といいますか、マイナスをプラスに転じるチャンスだというふうに私は思っております。  ですから、ぜひ思い切った判断をなさって、バランスをとりながらということはもちろん大事ですが、日本経済の発展、全体の経済の発展は大切なことではありますけれども、地球がどういう状況にあるか、そういった地球的な規模で物を考え、そして将来の地球のために今思い切った数量値を出すとか、あるいはいろいろな利害があるものをイニシアチブをとってまとめていくとかということで、日本が地球の未来に対して深い関心を持っている国であるということに対して、各省庁縦割りの弊害がいろいろ言われておりますけれども外務省がぜひイニシアチブをとって成功裏に導いていただきたいと思います。  その全体に関して、最後に外務大臣のそういうことのお気持ちを例えれば幸いでございます。
  58. 池田行彦

    池田国務大臣 日本が国際的に必ずしも環境問題あるいは温暖化の問題について熱心とは思われていないというお話でございましたけれども、それはいろいろあると思うのでございます。人間活動なりあるいは国際的ないろいろな活動の特定の分野を取り上げて、特に熱を入れていくというような国もあるかもしれませんけれども我が国の場合は、世界において占める地位なり果たさなくてはいけない役割ということからかんがみまして、それは政治の分野、経済の分野、文化の分野、そうしてまたこういった環境の分野等々、あらゆる面でそれぞれ一定のまた重要な役割を果たさなくてはいけない、そういう立場にございますので、どうしてもそういった諸分野の間のバランスを考えるという対応をせざるを得ないということは、ひとつ御理解を賜らなくてはいかぬと思います。  しかし、そういった中で、これからの地球、社会全体、とりわけ未来をにらんだ場合に環境の問題が人類の取り組むべき最重要課題の一つであるということは、私どももよく踏まえております。  とりわけこの十二月に開かれます気候変動枠組み条約の締約国会議、第三回の会議でございますが、これは二〇〇〇年以降の地球温暖化対策についての国際的な枠組みを決める大変大切な会議でございます。しかも各国の利害、意見も随分分かれております。それだけになかなか難しいとは思うのでございますけれども、二十一世紀の地球、人類活動とかを考えますと、何としても議定書をまとめ上げなくてはいけないと思っておりまして、ホスト国としてイニシアチブをとってまいりたいと思います。何とか地球温暖化防止の面で効果のあるもの、そうしてまた公平で実行可能なものということで、関係省庁間、まずよく調整いたしまして、それで参加国間の調整に積極的に役割を果たしてまいる所存でございます。
  59. 山中あき子

    山中(燁)委員 九五年十二月十六日のローマのIPCCで、「温暖化の原因は人間の活動である」ということを御承知のように言われております。今までにない時代にいる私たちが、個人のレベルでも、また国のレベルでも、自分たちの生活のあり方そのものを見直すときだと思いますので、公平と同時に優先順位ということもぜひ御考慮いただいて、いい形で運んでいただきたいと思います。  ありがとうございました。
  60. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次に、松沢成文君。
  61. 松沢成文

    ○松沢委員 新進党の松沢成文でございます。  きょう付託されておりますアジア太平洋郵便連合憲章の問題に関連してまず幾つかお伺いをしたいと思います。  このアジア=太平洋郵便連合、APPUというのは万国郵便連合の中に位置づけられた限定連合ということでありますけれども、万国郵便連合の憲章の中にはないAPPU独自の国際郵便業務についての規定があるということだと思います。  その一つとして、平面路によって交換される書状及び郵便はがきには、通常の国際郵便料金より安い低減料金を適用できると定められています、これは百二十条だそうですけれども。この規定は、今回の改正によって一般規則に追加されることになった。条約の方に規定されたものであって、この規定を適用することは加盟国の義務というふうにされていましたけれども、一九九二年に発効した現行の条約においては、任意適用に改正されているわけです。九二年のこの改正の背景というのは、一部加盟国の郵便事業収支の悪化等、財政事情があったと言われている。そして、我が国も一九九四年に同規定の適用を廃止しているわけなのです。  ただ、我が国の郵便事業の収支というのは、平成六年一月の国内郵便料金の値上げで黒字に転換していて、七年には黒字幅も増大しているわけです。この状況を見る限り、我が国が低減料金適用を断念しなければならない合理的な理由は見当たらないと思うのですけれども、まずこの点について政府の御見解をいただきたいと思います。     〔委員長退席、鈴木(宗)委員長代理着席〕
  62. 安住透

    ○安住説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、平成二年にニュージーランドのロトルアで採択された条約におきまして、アジア=太平洋郵便連合加盟国間で交換される船便書状及び船便はがきの低減料金の適用を規定する条文が、従前の義務規定から機能規定へ移行しております。  これを受けまして、我が国は平成六年一月に加盟国あて船便書状及び船便はがきへの低減料金の適用を廃止しております。これは、低減料金を設定いたしました昭和四十二年当時に比べまして、国際郵便のニーズが航空扱いへシフトし、船便書状及び船便はがきの利用が〇・三%へと減少したことによるものでございます。  なお、加盟国の約半数の国も、我が国と同様に低減料金を適用していないものと承知しております。  以上でございます。
  63. 松沢成文

    ○松沢委員 日本の場合は陸続きの国家ではないので、船便が既定になるということで、それは少ないということなのですが。  もう一つ、百十八条の継ぎ越し料の規定についても伺いたいのです。  継ぎ越し料というのは、郵便物が第三国を経由して送達される際、その第三国に支払う料金ということですけれども、一般規則では「加盟国間で交換する郵便物の陸路、河川路又は海路による継越しについては、原則として料金を徴収しない。」と定められている、これが一般規則の第百十八条なのです。しかし、我が国について言えば、従来より継ぎ越し料を徴収しているのが、これも実情だと思うのです。郵便事業については先進国を自負している我が国ですけれども、この継ぎ越し料の徴収も廃止できない理由はどこにあるのか、伺いたいと思います。
  64. 安住透

    ○安住説明員 お答えいたします。  アジア太平洋郵便連合一般規則規定では、原則として継ぎ越し料を徴収しないこととされておりますが、一方では、これを認めることができない場合には料金を徴収することができるとも定められております。  我が国がこの継ぎ越し料を徴収しておりますのは、オーストラリア、中国、インド、韓国、ニュージーランド、タイ等の、継ぎ越し業務を行っている主要加盟国が継ぎ越し料を徴収しているという状況を考慮したものでございます。なお、現在のところ、連合加盟国で継ぎ越し業務を行っている十五カ国のうち、十二カ国が継ぎ越し料を徴収しているというふうに当方で承知しております。  以上でございます。
  65. 松沢成文

    ○松沢委員 加盟国の何カ国中何カ国がこういうことをやっている、やっていないという御説明も今あったのですけれども、そうしますと、一般規則で低減料金の適用だとか継ぎ越し料の原則無料、こういうものが規定されているけれども、ほとんどの加盟国では、ほとんどというか半数近く行われていないという現実ですよね。こういう現実を見ると、この両規定の形骸化、ひいてはAPPU設立の目的まで有名無実化していると判断せざるを得ないのですけれども、この点について政府の見解はいかがでしょうか。
  66. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 低減料金、継ぎ越しについての御議論がございましたけれどもアジア太平洋地域の国々はいろいろな意味で緊密な関係にございます。あるいは、共通の郵便上の問題もございます。そうした問題について、一緒になって協力したり研究したり、できれば問題の解決、改善を図っていくといったことは引き続き重要な課題だろうと考えておりまして、その点において、アジア=太平洋郵便連合、今なお重要な役割を持っていると考えております。  このほかに、アジア=太平洋郵便連合の枠組みの中で、技術協力ということも規定されておるわけでございまして、アジア太平洋地域、いろいろな国がございます。先進国もあれば、多くは先進国でないわけでございまして、こういった国々と日本との技術協力によって、アジア太平洋地域全体としての郵便事情の改善を図るということは、特に重要な意味合いがあることだろうと考えております。
  67. 松沢成文

    ○松沢委員 この一九九五年のシンガポール大会議というのでは、将来的に各国の協力計画を行う際の財源として任意拠出を受け入れるための受け皿、特別活動基金というものの設置が決議されているのですね。ところが、この決議から既に一年半たっているわけですけれども、現在のところ具体的な計画も拠出もなくて、何も動いていないというふうに聞いているのです。  私は、先ほど挙げました規定の問題も考えますと、今、技術協力という意見も出ましたけれども、このAPPUの存在意義というのが何かわからなくなってきている。こういう活動基金をつくってもほとんどお金は集まってこない。こういう中で、日本は郵便先進国というのであれば、このAPPUの設立の目的ですとか新たな協力について考え直す、新しい提案を逆にする必要があると私は思うのですけれども、このあたりについてはいかがでしょうか。
  68. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 九五年のシンガポール大会議で特別活動基金をつくることになりまして、御指摘のとおり、ただいま現在のところお金が集まっておりません。しかし、アジア太平洋地域における新しい種類の郵便のやり方についていろいろ研究してみようではないかという、発想においてはよいものだと考えておりまして、今後もこういったアジア太平洋地域独自の、よりこの地域の新しいニーズも踏まえた活動に向けてこの機関が動いていくように考えてまいりたいと思っております。
  69. 松沢成文

    ○松沢委員 そこで、少し話を広げて、APPUだけじゃなくて、万国郵便連合、世界全体の郵便業務の協調、発展のための連合ですけれども、ここにちょっと話を持っていきたいと思うのですが、今世界各国で郵便事業を行っている事業主体、経営形態というのはさまざまですね。恐らく途上国においては国営でやっているところが多いと思うのですが、最近、郵便事業の方の民営化等々がヨーロッパあるいはニュージーランド等でかなり進んでいる。それで、例えばドイツなんかも、すべて特殊会社という会社の経営でやっている。オランダもそうです。ニュージーランドもそういう形になってきている。また、アジアの中でも、韓国も特殊会社、国営から特殊会社の経営に移そうという話が始まっている。そういう中で、先進国において郵便事業を国営でやっているのは日本だけなんですね、ヨーロッパ、アメリカ、日本の中で。  この万国郵便連合に加盟している先進国の中で、国営を守り通している日本と、特殊会社、公社あるいは民営ということに進んでいる先進国の諸外国、この中で、今後万国郵便連合をうまく機能させていくために、この経営主体の違いが障害になる可能性があるんじゃないかと素人の推測をするのですが、そういうことはあり得ないでしょうか。
  70. 安住透

    ○安住説明員 お答えします。  欧州諸国におきましてもスイス等が国営であるのを初めといたしまして、公社、特殊会社などの国または国に準ずる機関がサービスを提供しておりまして、また、いずれの事業体もUPU条約を遵守する義務を負っていることから、UPU加盟国相互間におきましても共同歩調をとっていくことについて問題は生じないものであると考えております。
  71. 松沢成文

    ○松沢委員 次に、リメーリングの問題についてお伺いをしたいのですけれども、国と国が行き交う郵便物の共通ルールを定めているのが万国郵便条約、これは明治十年に施行された最も古い条約らしいのですが、この第二十五条に「外国における通常郵便物の差出し」という条文がありまして、簡単に言うと、自国の高い郵便料金を嫌って海外から自国に郵便物が差し出された場合、その国はその郵便物を配達しなくてもよいし、さらにそれを返送したりまたは国内料金を請求でき、もし従わない場合にはその郵便物を処分できるというような規定があります。要するにリメーリングは国際条約違反だという規定だと思うのですけれども、このリメーリングの我が国における実態はどのように把握されているのか、まずお伺いしたいと思います。
  72. 安住透

    ○安住説明員 お答えします。  リメーリングと申しますのは、国際郵便物の差し出し国からその配達国に支払われる配達手数料、これを到着料と呼んでおりますけれども、これが、開発途上国の利用者が国際郵便を利用しやすくするため、条約上世界一律に極めて低く設定されているということを巧妙に利用して、その本来の趣旨とは異なった形で国際郵便物を差し出す行為でございます。これは配達郵政庁に経済的負担の不公平を増大させるものでございますから、万国郵便条約により規制されているところでございます。  平成八年一月一日から施行されましたUPUソウル条約では、リメール郵便物に対して差し出し 郵政庁からも国内料金を徴収できるということになったこと、及び同一差出人から大量に差し出される郵便物については、配達国のコストに見合った特別な到着料が徴収できることになったことなど、リメール対策が強化されております。その結果、リメール郵便物数は、平成五年度約七十九万通に対しまして平成八年度では約十八万通となっておりまして、減少傾向にございます。  我が国といたしましては、今後もリメール対策として、万国郵便条約規定に従い、差出人または差し出し郵政庁から国内料金等を徴収する一方で、大量に差し出される郵便物に対する特別な到着料の厳格な適用等により対処していく所存でございます。
  73. 松沢成文

    ○松沢委員 日本から海外に向けて発送される郵便物数、これは差し出し物数というのですか、それと海外から日本に届く郵便物数、これは到着物数ですね。私の調べでは、二十年前ぐらいから十年前ぐらいまではずっと同数で来ていた。ところが、この十年間ぐらいは海外から日本に到着する郵便物がどんどんふえて、ちょっと古い数字ですが、平成六年度では日本から発送される郵便物の二倍になっている。かなりこのリメーリングがふえているということだと思うのですね。それに対応していろいろなことがあったのでしょう、平成八年度ではまた減っているという報告が今ありましたけれども。  それでは、大体予想はつくのですが、なぜこのリメーリングが、平成八年度あたりから減っているかもしれませんが、日本において過去十年間、ふえたのか、その辺についてはどう解釈されているのでしょうか。
  74. 安住透

    ○安住説明員 お答えいたします。  到着する郵便物が確かに先生御指摘のとおりふえておりますが、この理由といたしまして私ども理解しているところは、国際化が非常に進展いたしまして、経済活動が個人レベルで国際化しております。その結果、国際間でのダイレクトマーケティングあるいは通信販売などがふえまして、その関連の郵便物が大量に流入しているというふうに解釈しております。     〔鈴木(宗)委員長代理退席、委員長着席〕
  75. 松沢成文

    ○松沢委員 日本の郵便物の個人と法人企業の割合、これは約八割近くが企業関係の郵便物だと聞いているのですけれども、今言うダイレクトメールなんかが最近非常に多くなってきた。このリメーリングが日本でふえている実態、恐らく正確な数字はないかもしれませんが、その背景には、端的に言うと一日本の郵便料金が高いからというのが私は一つの大きな理由だと思うのですね。  例えば、よく書物でも取り上げられている日本香港関係の問題ですけれども日本国内郵便よりも香港から日本に国際郵便を出した方が半分の値段で行く。そこに目をつけた企業は、最初は段ボールか何かで一回香港に空輸して、香港のポストで日本向けに入れていたのですが、それも面倒くさくなって、最近では香港の印刷会社に頼んで、香港で印刷してそこで投函をして日本の消費者に対するDMを送っているとか、こういうことも随分指摘されているわけですね。  私は、やはり最大の理由は、日本の郵便料金が国際的な比較において高いので、それを利用した企業の郵便物がリメーリングの最大の原因だと思うのですが、この認識については、郵政省はいかがお考えでしょうか。
  76. 安住透

    ○安住説明員 お答えいたします。  日本の郵便料金が諸外国と比較して高いのではないかという先生の御質問でございますけれども、手紙は、物価水準で比較いたしますと、欧州諸国と同じか割安でございます。はがきは、為替レートで比較しても欧州諸国よりも割安でございます。  また、合理化、効率化努力を重ねまして、諸外国に比べて値上げ率、値上げ回数とも低い水準に据え置いているところでございます。  平成九年四月の消費税率改定に際しましても、郵便料金を据え置いたり、各種割引サービスを充実させるなど、これからも利用者の皆様になるべく安い郵便サービスを提供するよう努力してまいりたいと考えております。
  77. 松沢成文

    ○松沢委員 欧米諸国との比較でしたけれども香港と比較するとこの数字はまた合っていると思いますから、香港を利用したリメーリングというのは多分私はあるのだとは思います。  そこで、やはりこの企業郵便のリメーリングがどんどんふえてしまいますと、国際郵便の方が国内郵便より安ければ、半分だったら、企業にとっては郵便コストが恐らく半分になってくるわけですね。企業にしてみれば相当なメリットなんですけれども、郵政省にしてみれば、結局、手紙は八十円、はがきは五十円で配達しなければならないので赤字要因になってきますよね。私はそう思います。赤字要因になってくる。  それで、今は、郵便料金を値上げしてここ何年かは黒字を続けることができると思うのですが、こうした事態が続けば当然赤字要因になってきて、また郵便料金を値上げするという循環にはまってしまうのじゃないか。そうなると、国民がそれを負担しなければいけない。と同時に、郵便料金が上がるとますますリメーリングがふえてしまう。こういうビシャスサークルというのでしょうか、最悪な循環に陥ることも素人でも想像できるのですが、こういう考え方についてはいかがでしょうか。
  78. 安住透

    ○安住説明員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたとおり、UPUの新しい条約においては、同一差出人から大量に差し出される郵便物については特別の高い到着料を設定できることになっております。この結果、リメール郵便物は減っているというふうに認識しておりまして、そういう問題は現在のところ、当方では発生しないものというふうに考えております。
  79. 松沢成文

    ○松沢委員 日本の郵便料金ができるだけ低く抑えられるということは消費者にとってもメリットですし、また国際化の時代の中で、こういう国際郵便の発展のためにも大変必要なことだと思いますので、郵政省におかれましては、ぜひとも今後そういう形が実現できるように御努力をいただきたいと思います。  以上でAPPU関係質問を終わりますけれども、この際ですから、一月に橋本総理がASEAN歴訪をされましたので、この件について質問をさせていただきたいと思います。  橋本総理がこのASEAN歴訪の中の演説で、我が国とASEANの今後の新たな関係を対等な協力関係と位置づけて、アジア太平洋地域の平和と安定に加えて、環境や人口などの地球環境の課題に協調して取り組むことを呼びかけだという報道もありました。この演説で、我が国とASEANの関係というのが、これまでの日本からの協力ということから、ASEAN諸国との協調に向けて方向転換したろうというふうにも判断できるわけです。  日本はこれまでASEAN諸国に対する我が国役割を、欧米との橋渡し役と位置づけてきましたけれども、こうしたASEAN地域の諸国に対する我が国役割というのも今後変化をしていくのか、まず伺いたいと思います。
  80. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 日本とASEANの関係というのも、時代とともにそれは変化をしていくものであろうと思います。委員指摘のとおり、経済協力なんかを中核とした日本からの協力というものから、画本とASEANとの協調という方向へ進んでいくということもその一つだろうと思います。  私たちといたしましては、ASEANとの関係で、いわば欧米との橋渡しをするということは、若干人によってはこれを尊大な言い方だと受け取る向きもあるようでございます。しかし、昨年の二月、マハティール首相が初めて来日されて総理会談をいたしましたときに、ASEMという会合アジア欧州会合、これはASEANのいわばイニシアチブで始まったものでございますが、この件につきマハティール首相の方から、ASEANだけでヨーロッパとの対話を行おうとすると、せいぜい閣僚どまりの対話になってしまう、 それを今度アジア欧州会合日本中国や韓国と一緒に入ることによって首脳レベルでの会合ということが実現されるので、そういう意味での何と申しますか、意味が大きいということを言っておられました。  その意味で、日本からのそういう協力が絶無になるということではないと思いますけれども、今後は、今おっしゃられましたとおり、ASEANの経済成長とか、ASEANリージョナルフォーラム、アジア欧州会合といったそういう外交上のイニシアチブを積極的にとってきているASEANということで、むしろパートナーとして、日本との関係は、幅において広く、深さにおいてより深いというものになっていくべきであろうと思っています。
  81. 松沢成文

    ○松沢委員 橋本総理はこの訪問の際に、日本のASEAN重視の方針を裏づける具体的な提案として、日本・ASEAN間の定期首脳協議開催というのを提案しました。そして先日、三月二十六日ですか、マハティール・マレーシア首相が日本を訪問した。橋本総理との会談で、日本とマレーシアはこの提案を具体化することで一致したというふうに報道されていますけれども、現時点での日本・ASEAN定期首脳会議に対する、マレーシアは賛成だということですが、ASEAN各国の反応はいかがなものと政府は把握しているか、それと、定期首脳会談は具体的にいつから開催されるのか、また年に一回開催をしていくのか、その辺の具体的な方法について伺いたいと思います。
  82. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 本年一月、橋本総理がASEAN訪問の際に、各国の首脳に対しまして、日本とASEANの首脳レベル対話を、公式でもよいし、非公式でもよいし、あらゆる可能な機会をとらえて行いたいということを提案した段階において、既に先方各首脳の反応は大変前向きでございました。また、同じような前向きの反応が、総理が今回訪問されなかったタイ及びフィリピンからも参っておりました。  そして、委員指摘のように、三月二十六日に行われました日本とマレーシアの首脳会談において、マレーシアのマハティール首相が、マレーシアのみならずASEAN諸国すべての首脳が、首脳会談の開催を日本とASEANの関係の緊密化に向けたイニシアチブとして歓迎しているということを申し述べておられます。  それから、それでは具体的にどういうことになるかということでございますが、実は、どういう手続で、手順で、タイミングで進めるかということを現在ASEAN内部で検討中でございます。そういうわけでございますので、我が方としては、基本的に柔軟に対応いたしたいというふうに思っております。
  83. 松沢成文

    ○松沢委員 これからだということですけれども、現在、アジアあるいはアジア太平洋地域にさまざまな国際的な枠組みが既にあるわけですね。例えば、アジア太平洋を全体としてAPECの存在、あるいは先ほどのアジア欧州会議、ASEM、それからASEANの会合をやるときには必ずASEAN拡大外相会議というのもやっています。それと、安全保障対話ということでASEAN地域フォーラム、ARFですね。  こういう地域間、地域における多国間のさまざまな枠組みがある中で、今後、この日本・ASEAN定期首脳会議というのは、こういうさまざまな枠組みの中でどういう特徴を持ってどう位置づけられるのかということについて伺いたいと思います。
  84. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 日本は一貫してASEANとの間で、バイ、マルチ双方を含めて重層的な対話を進めていくという方向を志向しているわけでございます。ASEAN各国との二国間、バイの関係、バイの首脳会談というのは、その意味で非常に重要でございます。それからまた、委員が御指摘になられましたような、マルチと申しますかリージョナルな対話というものも重要だと思います。  他方、ASEAN自体は、いまだ発展を続けている組織ということでありまして、東南アジア地域全体を包含するある種の協力体制のシンボルとしての実体的な意味も持った存在になりつつあるということだろうと思います。  したがって、ASEAN各国との間の二国間、バイの首脳会談ということに加えて、集合体としてのASEANと日本とのいわばバイの会談というものがあってよろしいのではないか。それはいろいろな国際場裏における案件への対応ということに当たって、そのような形で、つまり、こちら側は日本一人で先方がASEANの集合体という形での会談を持つことにそれなりの独自の意義があるであろうというふうに考えているわけでございます。
  85. 松沢成文

    ○松沢委員 今の御発言、理解はできるのですけれども、東南アジアあるいは東アジアの平和、安定あるいは発展ということを考えますと、やはりこの地域において政治、経済、軍事、すべての面で今大国となりつつある中国、この中国の存在をどう考えるかということも大変重要だと思うのですね。  私は、あえてこの日本とASEANの定期首脳会議をつくるのであれば、むしろ中国、韓国も含めた東アジア三国とASEAN、これを含めた定期首脳会議にした方が、まあ中国はさまざまな面で今日本と、外務大臣も行ってこられましたけれども、難しい問題も抱えていますし、逆に中国をこのアジアの国際的枠組みに常に引き出す、常に内包する形の努力をする方が、日本アジア外交にとってもメリットがあると私は思うのですね。  そういう意味で、なぜこの日本・ASEAN定期首脳会議提案になったのか、私はそれよりも、韓国、日本中国プラスASEANの、東アジア、東南アジア共同で協議を持てる場をつくった方がむしろベターなのではないかと思うのですが、この考えについてはいかがでしょうか。
  86. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 大変御示唆に富むポイントを御指摘いただいたと思うのでございます。  報道などにも、つとに、ASEAN側において、ASEAN七カ国と日中韓、この三国の間の首脳レベル会合というのがあってもいいのではないかというふうな構想があるということが報ぜられております。私は、日本とASEANとの首脳会談というものと、ASEANと今おっしゃられた日韓中三カ国の間の首脳会談というものが二律背反のものだというふうには思っておりません。まさに違った役割があり得るのだろうと思っております。  したがいまして、七プラス三という構想が出てきた場合に、日本がこれに前向きに対応するという余地は当然あるわけでございますし、他方それとは別に、日本がG7の中のメンバーとしてアジアで唯一の国であるというような観点なども踏まえて考えますと、日本とASEANの七カ国首脳との間だけで会合を持つということも、いろいろな意味での意思疎通の一環として有用、必要なことではないのかというふうに思っております。
  87. 松沢成文

    ○松沢委員 最後に、ちょっと外務大臣の見解を伺いたいと思うのですが、日本アジア諸国、さまざまな交渉の場がありますけれども、最近よく言われているのが、アジアの価値観と欧米の価値観のある意味での対立があると思うのですね。マハティール首相なんかもそういうことを言われます。  確かに、欧米流の人権あるいは個人主義に基づいた民主主義、これをアジアの諸国に強制するように押しつけても、それはうまくいかない。アジアにはアジアの価値観、すなわち共同体を大切にする、まあファミリーバリューというかコミュニティーバリューみたいなものがあるので、それは欧米のやり方と一緒ではうまくいかないのだ。今後、欧米とアジアの国々がさまざまなチャネルを持っていますけれども、当然価値観の対立ということがある意味で起こってくると思うのです。  そこで、日本としては、欧米諸国とも先進国の中で大変共通点もあります。しかし、日本アジアの一員でもあります。このアジアの価値観と欧米の価値観に日本が今後どのように対応をしていくべきなのか、外務大臣としてその辺についてどのようにお考えなのか、最後にお聞かせいただきたいと思います。
  88. 池田行彦

    池田国務大臣 確かに世界のそれぞれの国、あるいはそれぞれの地域、これまでみずからの長い歴史を歩んできたわけでございまして、いろいろと考え方に違ったところがあります。  しかし、一方におきまして、今日急速に地球は狭くなっているわけでございまして、あらゆる面での人間活動の相互依存の関係が深まっていると思います。  そういった中で、あえてこれまでのそれぞれの地域なり国なりの相違というものを強調し、そしてそれを対比して、どういうふうに処していくかというふうなとらえ方がいいのか。あるいは逆に、もう全体としての大きな同一化の流れがある中で、基本的には価値観にしても物の考え方もむしろ一緒になる方向にあって、その中で具体的な取り組みとしてどういう手法でやるかというふうな、いわばディデールについていろいろ調整していくことがいいのか、その辺はいろいろあると思います。  本委員会でもちょっと申し上げましたけれども、例えば人権の問題につきましても、中国あるいはアジアの国々と欧米との間でいろいろな立場の違いが鮮明になり、いろいろなことがあったりする場がございましたけれども、そういった場で、私ども日本は、それぞれの主張のよってもってくるゆえん、社会の状況なりあるいは歴史的な経過なりというものもわかっていますので、それはこういうことじゃないですかということをよく説明する。どちらがいい、こちらがいいということではなくて、そういったことで、例えば人権の問題も、これは保障されなくてはいけないんだというのはこれはみんな認めているんだ、そういった意味では普遍性があるんだということですね。先ほど申しました中国でも、今回の会合において、決して欧米あたりと対抗するものではないんだということを明確におっしゃっている。ただ、それをどういうふうに具体化していくか、進めていくか、そういったことだと思います。  したがいまして、私はあえて、アジアと欧米というふうに対比し、それを取り持つ日本であるという言い方ではなくて、お互いに人権はしっかり守らなくてはいけない、あるいは環境も大切にしなくてはいけない、また最近では市場経済という原理もますます普遍性を持ってきていると思いますが、そういったものは同一の方向へ向かっているんだという前提で、具体的にそれを進める手法についての調整を図っていくべきものと考える次第でございます。
  89. 松沢成文

    ○松沢委員 終わります。ありがとうございました。
  90. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次に、藤田幸久君。
  91. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございます。  南極条約と郵便連合憲章については既に重複した質問もございましたので、ちょっと別の観点からお伺いしたいと思いますが、まず、私自身、カンボジア和平に民間の立場でかかわってきた立場から、カンボジアの最近の状況について御質問申し上げたいと思います。  最近、三月三十日でございますけれども、非常に大きな政治テロの事件が起きたわけであります。日本の民主党は菅直人、鳩山由紀夫の二人代表制でうまくいっているのに、カンボジアのラナリット、フン・セン二人首相制はうまくいっていないというような、笑い話で済まされないような状況になってきているような気がするわけです。  御承知のとおりクメール国民党のサム・レンシー、前の経済財政大臣でございますが、日本経済協力局を初めとした外務省の方でも、和平後の復興という、ある意味では和平を包括的に成立させる非常に重要な受け皿の役割を果たせる人物として評価があったわけでございますが、彼が先頭に立っておりましたデモ、しかもアメリカのその後の国務省の評価におきましても、平和裏でかつ合法的なデモを国会前で行っておった。その国会前において四発の手りゅう弾が投げられ、しかもその一個が国会の中から投げられたという状況でございます。  最近までの数字でございましても、十六名が死亡し、百十八名が負傷したということでございますけれども、これは単に死傷者が何人になるかということ以上に、カンボジアそのものの民主主義、あるいは法治国家、さらにはカンボジアの和平に非常に大きな貢献をした日本国連外交といいますか、そういったものに対する大変な脅威ではなかったかという気がいたします。  たまたまその死傷者の中に共同通信と朝日新聞の現地の通信員もいたということでございますが、もしこの近辺に、それは国会の前でございますから、私ども会議員がたまたまその近くに行って巻き込まれてということも起こり得たという、非常に潜在的には大きな意味を持っておる事件だと思います。  これに関しましては、さっそくアメリカの国務省の方が非難声明を出したり、それから国連のアナン事務総長の方も非常に憂慮して、選挙監視に関して再び国連が関与をするというようなこともおっしゃっておられるようでございます。  日本の内藤大使の方も徹底調査を指示したというようなお話も聞いております。今カンボジアにおきましては第一首相、第二首相に続きまして内藤大使が第三首相というふうに言われているというくらいに、非常に日本影響が大きいと言われておるわけですけれども日本政府として、まずこの事件に対してどういう対応といいますか、メッセージをカンボジア政府の方にお伝えになったのか、対応をとられたのかということについてお伺いしたいと思います。
  92. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 内藤大使からウン・フォット外務大臣に対しまして、今回の流血の惨事は大変に悲しい、犠牲者や遺族にとって悲しみであることは言うまでもないが、それにとどまらず、カンボジア全体にとっての悲しい出来事である、今回の事件につき迅速かつ徹底的な捜査が行われ、殺人者は法に従い処罰されるべきであると考える、こういう趣旨のメッセージを伝達いたしております。
  93. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 カンボジアの和平は日本が大変尽力をしたわけですが、UNTACがかかわった和平で、やはり積み残しがいくつかあったと思います。その最大は、ポル・ポト派の武装解除ができなかったということ、それから二つ目は、かつてのプノンペン政権と言われておりました、軍あるいは警察に対して力を持っておる勢力のこういう政治テロというようなことが相変わらず続いておるということかと思います。  ここ数年をとってみましても、私の記憶ですけれども、選挙中を含めまして、いわゆる新聞の編集者を含めましたジャーナリストが四、五名、たしか殺されていると思います。それに対して逮捕者といいますか、あるいはその容疑者としてカンボジアの司法当局の方でこういった方を逮捕したとか、あるいは裁判に持っていったというような事例はないように私の記憶ではあるわけです。ということは、残念ではございますが、法及び法を実行する体制がまだ整っていないというような気がするわけであります。  それに関しまして、確かに選挙監視ということを来年の選挙に対しては言われておるわけですが、選挙が始まる前に、つまり公正で自由な選挙が行われる前段階で、こういったテロに対する監視体制、きょうの新聞でも国際的な監視体制といったものが必要だというようなことも出ております。こういったテロ事件が続かないような体制について日本政府の方で、もちろんある意味では内政干渉までいきたくないということはあると思いますが、ただ、この場合には、非常に普遍的な価値あるいはプロセスに対する侵害ということでございますので、別の次元での対応があり得るのではないか。それがUNTACにおける和平の成功というものが、また内戦状態に来年の選挙で戻らないためにも必要かと思うのですが、そういった対応の可能性がないか、あるいはそういうお考えがないか、お聞きしたいと思います。
  94. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 日本といたしましても、今委員が御指摘になられましたとおり、カンボジアの和平及びその後の復興に我が国として積極的に協力してきておりますし、そしてそれは、先ほどもお触れになられました、多大なとうとい犠牲の上に達成されたカンボジア和平を後戻りさせないことが重要だという考えに基づくものであるということでございます。私たちとして、今後もそういう面での協力は進めてまいりたいと思います。  そして、先ほど申し上げましたとおり、内藤大使からもウン・フォット外務大臣に対しまして事件の徹底捜査を求めたところでございます。まだ現実に事件の実態がどういうものであるかというのがつまびらかにされておりません。  したがいまして、私たちとして、今委員からの御質問の点に対して、具体的にかくかくしかじかの行動をとるということを明確にお答えすることは困難なのでございますが、しかし、主要国の中で、日本はカンボジアとの間でハイレベルにおける対話のチャネルも含めて、いろいろコミュニケーションのレベルがございますので、そういうものを活用して意見交換というふうなものを逐次進めてまいりたいと思います。
  95. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございます。  その捜査面での対応が一つでございますが、もう一つ、このカンボジアの数年間のテロ事件に関しまして感じますことは、指導者におけるところの言葉の暴力とでもいいますか、つまりテロそのものも非常にゆゆしきことでございますが、そのテロをめぐる言葉のやりとり自体が私はやはりゆゆしきことではないかと思うわけでございます。  思い返しますと、例えば、九一年十一月でしょうか、いわゆるポル・ポト派のキュー・サムファンという指導者がプノンペンに戻る直前に、やはりプノンペン側が、キュー・サムファンがプノンペンに戻ってくれば、これは治安状態が、安全が保証できないというような言い方をしていて、実際にキュー・サムファンがプノンペンのど真ん中で攻撃をされた。あるいは一昨年だと思いますが、仏教自由民主党という党が党大会を開こうという動きをしましたところ、そういった党大会を強行すれば治安が保たれるか定かじゃないということをやはり政府の高官がおっしゃって、また手投げ弾が投げ込まれて、たしか現在副議長をしているような議員の方も負傷をされておる。  今回に関しては、これだけの犠牲者が国会前で死傷されたという翌日に、これまたフン・セン首相が、デモを強行した方が悪いのだ、したがってそのデモを指導した人間も逮捕すべきだというようなお話をされておるように伝わっております。  ということは、今三つ挙げた例はいわゆる政党指導者、あるいは党大会、あるいは合法的なデモに対するテロでございますが、そういったものが起こる直前に言葉でもってそういったことが起こり得るかのような発言があったり、あるいは起こった後で、そもそもそういった行動をすることが間違っているのではないかというような言い方をしていること、その言葉自体が、私はこれからASEANにも入る可能性のある国とすれば、いわゆる捜査ということと別の次元でゆゆしきことではないかという気がするわけです。  こういった点について、日本外務大臣もできればお答えをいただきたいわけですが、そういう政治家の言動がテロ事件の前後に頻繁に出てくる。これはラナリット首相なんかもそういった発言をしたというようなこともお互いにあるようでございまして、特にどの派がというわけではございませんけれども影響力のある日本としてそういった状況に対する何か対応がないのかということを、これはアジア全体の問題としても必要かと思うのでございますけれども、その辺についてお答えをいただければ幸いでございます。
  96. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 今御指摘になられました九一年十一月でございますか、のキュー・サムファンの事件、九五年十月のソン・サン派分裂の際の事件、それから今回、いずれも事件の予告ないし予兆みたいなものが政府関係者によってなされて、現実に事件が発生した、こういう御指摘でございますが、今回の場合もまだ犯人がだれであるかということがわかっていない。例えば、フン・セン首相のそのような発言というのがあったことは事実だといたしましても、それだからといって人民党が企てたプロットであるという証拠はまだ何にもないんだということなのだと思うのでございます。したがいまして、その予告ないし予兆というものと実行犯というものとが結びつくということ自体も全く不透明であるという実情なのだろうと思うのでございます。  そしてまた、先ほども委員がお触れになったかと思いますが、カンボジアが今度、民主化の過程で、ことしの十一月には地方選挙、来年の恐らく年末ごろには国政選挙というものを行う重大な節目になっている。日本はカンボジアとの間で相当緊密な対話のチャネルを持っていることは前にも申し上げましたけれども、今のような状況のもとで、今委員が御指摘になられたような点について第三国が物を申しますときは、そういうことも踏まえて、非常に慎重にあるべきだという側面も私はあると思います。
  97. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございます。  確かに予告、予兆と実行犯の裏づけを特定するというのは、外国でのことでございますから非常に難しいと思いますが、ただ、これだけ続いてまいりますと、例えば過去に起きたことについての少なくとも状況証拠といいますか、恐らくこういった可能性があったということについては、外務省のいろいろなチャンネルを通しておわかりになっているのではないか、認識はあるのではないかと思いますので、そういった認識を生かしていただきたいということ。  それからもう一つは、大臣にぜひ、これは国連中心外交として日本政府がなしてこられた近年では非常に画期的な業績でございますので、そういったことに対してダメージが起こって後戻りしないような対応を、今加藤局長がおっしゃったような地方選挙、そして来年の十一月には国政選挙がおありのようでございますけれども、それに対して日本としてどういう対応をされていかれるおつもりなのかについて、お答えをいただければ幸いです。
  98. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 今年末の地方選挙、来年の国政選挙、こういう節目を通りましてカンボジアの民主化が達成されていくという非常に重要な、そしてその重要性も趨勢としての重要性を持つ、その重要な時期であろうと思います、したがって、私たちといたしましては、現時点のみならず中長期的な視点、全般的な視点というものを踏まえて、たまたま幸いにして享受しておりますカンボジア・ハイレベルとのコミュニケーションラインというものを通じ、日本側の考え方、意見というものは適時適切に伝えてまいります。  今、一般的に以上のことを申し上げるにとどめさせていただきたいと存じます。
  99. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございました。  それでは、時間の関係で、ちょっと別の課題に移りたいと思います。  きょうの中心になっております二つの条約にも若干関係をするわけですが、その二つの条約以上に関係のあることが、最近のペルーの人質事件との関連でございます。  今から申し上げますのは、通常、赤十字条約と言われておりますジュネーブ条約というのがございます。これはサンフランシスコ講和条約締結するに当たって、日本が加入をするようにと義務づけられた一九四九年のジュネーブ条約がございまして、その議定書が今から約二十年前の一九七七年に締結をされておるわけです。  これは要するに、戦争中に被害を受ける一般の市民といいますか文民がどんな被害を受けるか、 それに対するプロテクションのような条約でございまして、例えば陸上とか海上の傷病者あるいは捕虜、それから戦争に巻き込まれた文民に対する対応の条約でございます。これは、まさに当時は第二次大戦というような大きな大戦後の状況でございまして、日本がさかのぼって一九二九年の捕虜条約に入っていなかったことが、第二次大戦において捕虜虐待のかどで処刑されるというような人が非常にたくさん出た遠因だというふうにも言われております。  ただ、昨今のペルー問題、あるいはオウム事件というようなものを見てみますと、日本人が人質になるとかあるいは紛争の巻き添えになるというケースがふえてくるわけです。そういった捕虜あるいは人質となったときの対応というものが、捕虜になった、あるいは人質になった人自身の知識あるいは啓蒙ということも含めて非常に大切なわけでございます。これは百日以上外務省の皆さんが苦労されておられる中でも、恐らく関係したような事例があったのではないか。それから、ペルーにおいて、実際にいろいろな仲介をされている方がまさに国際赤十字の方であるという観点からいいましても、こういった条約に二十年間も日本が加入をしていなかったということは、これは見過ごせないという気がするわけですが、なぜ二十年間日本が加入をしていないのかということについて、まずお尋ねをしたいと思います。
  100. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 委員指摘議定書は、戦時における文民の保護に関する千九百四十九年のジュネーブ条約に関するいわゆる追加議定書と呼ばれるものでございますが、御指摘のとおり、これは戦時におきます戦闘員の扱い、捕虜の扱い、文民の扱い、そういった点について規定したものでございまして、私どもも全体として見れば一定の意義のある追加議定書であると考えております。  ただ、この議定書締結するかどうかにつきましては、その内容をさらに慎重に吟味する必要があると考えているわけでございます。
  101. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 内容をさらに吟味ということは、二十年間吟味はされてこられなかったのかということにもなりますが、いかがでしょうか。
  102. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 これまでも吟味をしてまいったところでございますけれども、最近と申しましょうか、一時期の国家間の武力紛争ということだけにとどまらずいろいろな形の、内乱のような武力衝突なども起きておりまして、そういった状況も含めて、この追加議定書規定しているところがどういう意義があるのかといった点について研究を続けてまいったということでございます。
  103. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 四九年の四つの条約には加入をしておるわけですが、であるならば、その四九年の条約とそれから七七年の議定書の違いはどういう点でございますか。
  104. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 ジュネーブ四条約といわゆる追加議定書との間では、戦闘員についての定義が若干異なっております。
  105. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 であるならば、例えば、ちょっと先ほどの話にも出ましたけれども、PKOで日本の自衛隊の方がカンボジアに出たというケース、あるいは最近もPKOで外国に出ていらっしゃるわけです。  最近のお話でございますが、国連の平和維持軍にこのジュネーブ条約を適用することについて国連と国際赤十字の間で協定が結ばれたというようなことも聞いておりますけれども日本は自衛隊を初め、あるいは民間の方も含めまして国際的な平和維持活動に実際に活躍をしておるわけですから、むしろ、そういう観点からももっと早目に締結をすべきではなかったのかという気もいたしますが、その辺はいかがでございますでしょうか。
  106. 西田芳弘

    ○西田(芳)政府委員 追加議定書は二本ございますけれども、その中身につきまして、全体として見れば一定の意義を有しているということは、先ほど答弁があったとおりでございます。  実際、第一議定書につきましては、ジュネーブの一九四九年の諸条約に追加するいろいろな諸措置、文民の保護でありますとか戦闘の手段あるいは方法の規制等の点で追加し、その結果国際人道法を発展拡充したものであるという点、それから第二議定書につきましては、ジュネーブ諸条約においては一条にのみ規定されておりますところの国際的な性格を有しない武力紛争につきましても、戦争犠牲者の保護のための基本的な規制を追加しているといったような意義があるわけでございます。  ただ、問題点がないわけではございません。この議定書の中身につきましては、長年にわたる交渉の結果合意されたものでございまして、ある意味では妥協の産物であるといったような点もございます。そういう観点から、長年にわたる論争点に十分な解決を与えていないというような面がある。  これまで政府の方から御説明してまいりました点といたしましては、例えば、捕虜の待遇を得るための条件に関する規定が従来のジュネーブ条約よりも緩和されている、その結果文民と戦闘員の識別が明確に行われない場合も生じせしめる可能性でございますとか、あるいは第二の議定書につきましては、日本国の法制の中でどのように取り入れられるべきかということにつきましてはなお種々検討すべき点があるという点につきまして、従来から政府の方から御説明している次第でございます。
  107. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 今、語尾が余りに小さいのでよく聞き取れなかったのですが、文民と戦闘員の識別がはっきりしていないという言い方かと思ったのですが、国連のPKOなどに日本の方がどんどん出ていかれる可能性も出てきたし、それからこの百日間のペルー事件その他、それからハイジャック等も含めまして、最近の状況を見ておりますと、むしろこの議定書に加盟していないことの方が、何かいろいろな事件が起こった場合に日本の文民を守るという観点から、あるいは海外の協力活動に出た人間、日本方々を守るという点で、例えば赤十字とのいろいろな共同行動、あるいは国際機関との共同行動において、むしろマイナスになる点が多いのではないか。  たまたまそういったことに該当する事件がなかっただけで、むしろ加入していないことの方が国際的なイメージといいますか、日本がそういったことに加入をしていないということ自体の重さも含めて、むしろマイナス点が多いのではないかという気もいたしますが、いかがでしょうか。
  108. 西田芳弘

    ○西田(芳)政府委員 御指摘の点も含めまして、この議定書が一定の意義を有していることを勘案しつつ、他方また、締約国数がふえてきているという事実もございます。一方におきましては、議定書にもよりますけれども、例えばイギリスでありますとかアメリカ、フランス等においてはまだ締結していないという点もございます。そういった各種の事情、それから各国の動向も勘案しつつ、その締結につきましては引き続き検討していきたいと思っております。     〔委員長退席、森山委員長代理着席〕
  109. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 追加議定書に関して二十年間やってこられて、引き続きとおっしゃっておられるのですが、大体いつごろまで、あるいはどういったプロセスで、つまり、今たまたまペルーの件は早く解決してほしいと願っておりますけれども、残念でございますが、またいろいろな可能性がある中で、ことしはたまたま議定書ができてから二十年ということでもございます。それから国際人道法あるいはジュネーブ四条約から考えましても、多分再来年が五十周年というようなことでもございますし、やはりこれは国際社会において必要な条約ではないかという気がするわけですが、大体どのくらいのプロセス、どういった見通しでお考えなのかということについて、できればお伺いをしたいと思います。
  110. 西田芳弘

    ○西田(芳)政府委員 先ほども少し触れましたけれども、この議定書の内容面についての十分な吟味、それから我が国の法制の中においてどのように位置づけるかといったような問題もございます。検討すべき点は種々ございまして、現時点におきましていつまでにというふうな見通しを申し上げるような段階にはないところでございます。
  111. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 できるだけ早くお願いをしたいと思います。それが恐らくいろいろな意味日本の国益にかなう議定書ではないかと思っておりますので、次回またどなたかの委員が御質問をされる際に、さらに検討中というふうな答弁にならないようなことをぜひお願い申し上げたいと思います。  それでは、残された時間が少なくなりましたが、環境保護に関する南極議定書についてお伺いをしたいと思います。  環境保護に関する南極議定書関連した条約として、一九八八年に採択された鉱物資源活動禁止条約というものがあるというふうに聞いていますけれども、これはある意味では今回の議定書以上に環境問題に対する取り組みがよりシビアな内容であるというふうに聞いておりまして、例えばフランスとかオーストラリアといった国は鉱物資源活動禁止条約については署名を拒否している。ところが、今度の南極議定書に関しては両国も賛成をしておる。これは本議定書の第七条に、鉱物資源の活動は科学的調査を除くほかは禁止すると、一定の規制を行っているということが理由かと思いますけれども、フランス、オーストラリアが鉱物資源活動禁止条約においては拒否をしておる。それがなぜであり、それで今度の議定書の方には賛成をしておった。その辺がどういう判断で今度の議定書には賛成をしておるのか、その辺の事情についてお伺いをしたいと思います。
  112. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 南極鉱物資源活動規制条約でございますけれども、フランスとオーストラリアはこの条約では南極環境保護のために十分でない、そういう理由からこの条約には署名しなかったものと承知しております。他方、今回の南極に関します環境保護に関します議定書附属書につきましては、より環境保護の手段が充実しているということから、フランスもオーストラリアも今回の議定書については支持することとしたというふうに承知しております。
  113. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 その辺の内容をお伺いしたかったのですが、これに関しまして科学調査が例外つけになっておるのですが、科学調査といわゆるコマーシャルなといいますか、目的で鉱物資源活動をする、その区別というものがどんな基準にあるのか。科学調査というのが英語でどうなっておるかちょっと見ておりませんけれども、その定義づけがどういうふうになっておるのか。  かつて調査捕鯨なんというのがありましたけれども、この科学調査というものの定義がはっきりしておりませんと、鉱物資源活動がなぜ重要かというと、これはある意味では領土権にかかわる、ある意味では領土権が凍結された形で南極条約ができているというふうに伺っておりますけれども、そういった意味でもこの区分け、定義づけというものを、玉虫色でなく定義づけをはっきりしておくことが必要かと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
  114. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 議定書第七条に規定されております科学的調査ということは、科学的目的を持って行われる調査活動であってかつ調査結果が公表されるものを指す、そのように解釈しております。  先ほどの御質問でございますが、フランスとホーストラリアの件でございますけれども南極鉱物資源活動規制条約でもあるいは今回の議定書でも、科学的調査にかかわる活動は適用除外でございますけれども、鉱物資源活動規制条約の方では、そのほかにも一定の場合は鉱物資源活動が行い得るような規定ぶりとなっておりました。今回の議定書では、そのようになっておりません。フランス、オーストラリアは、あるいはそういった点も踏まえて、前回の条約には署名しなかったものの、今回の議定書には賛成した、そういうことではなかろうかと考えております。
  115. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 前の質問に対する説明、ありがとうございました。  今の科学的調査ということについて、科学的という言葉の形容詞の定義づけをお聞きしたいと思います。
  116. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 どのような活動をもって科学的と言えるかどうかは、詳しい具体的な定義をすることは困難かと思いますけれども、一般的な意味において科学的ということを指すのであろうと考えております。
  117. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 つまり、科学的という内容についてそれぞれの国が主観的に、ある意味では科学的という定義づけといいますか、イメージを持って科学的というふうに解釈をしてしまって、ある国が科学的と思う事柄と別の国が科学的と思う事柄とが異なることがあり得るというふうに承ったのですが、その辺の危険性はございませんでしょうか。
  118. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 科学的ということの解釈、多少の幅があり得るかと思いますけれども、いずれにせよこの条約議定書の運用に関しましては、あるいは南極条約そのものの運用に関しましては、協議国会議あるいは環境に関する委員会等がございますものですから、要すればそういった場で仮に立場が分かれた場合、解釈が分かれた場合、そういった場で意見を交換することは大いにあり得ると考えております。
  119. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 それでは、そういった場を通して、締約国間同士でそういった共通認識といいますか、科学的という内容についてできるだけ早目に共通認識に至って、予防外交的なといいますか、あらかじめそういった内容について、解釈が分かれて対立の種にならないように努力をしていただきたいということを申し上げたいと思います。  と申しますのは、鉱物資源そのものが、やがて南極条約というものの期限が切れた場合に、いわゆる領土権の問題にかかわる可能性がございますし、まだ発見されておらない、いろいろな鉱物資源というものがあり得る可能性もあると思いますので、そういったことをお願い申し上げたいと思います。  それから、それに関連しまして、いわゆる領土権が今凍結されておるわけですけれども、ある意味では冷戦時代に、中ソ対立の中ではございましたけれども、一定の均衡の中で南極条約というものが合意をされたというふうに聞いております。今の鉱物資源に関しまして明らかでもございますように、やがて領土権の問題というものが、まだ侵されていない南極大陸の潜在性をめぐって繰り広げられるというようなこともあり得ないと思いますので、そういった意味で、長期的に南極条約の将来も含めた取り組み方につきまして、きょう一度は大臣の方からもお話を例えれば幸いです。
  120. 池田行彦

    池田国務大臣 御承知のとおり我が国は、従来も南極条約に定められております領土権の凍結、こういった原則を厳格に守ってきたわけでございます。今後ともそういった方針でまいりたいと思いますし、また、今回御審議をお願いしております議定書に定める環境の保全のための諸施策につきましても、積極的にそれを推進していくようにしてまいりたい、こう考える次第でございます。
  121. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございました。
  122. 森山眞弓

    ○森山委員長代理 松本善明君。
  123. 松本善明

    ○松本(善)委員 南極条約議定書の実施の問題についてまず質問をいたします。  この実施の問題では、観測基地で出る汚水をどうするかとか、垂れ流しはもちろん許されないわけですが、浄化装置を持ち込んできれいにした上で流すことも必要になりますし、航空燃料が漏れたり、あるいは雪上車のオイルが漏れたり、これをどう除去するのか、関係者にどう徹底させるかも重要でありますし、観光や探検で南極に行く人たちが自分の食べ物を動物のえさとしてやるようなことも規制しないと、生態系を崩す原因にもなります。こういうツアーや個人に対する実効のある措置も必要になると思います。  環境庁が国内法を準備しようとしているということでもありますが、今申しましたような問題で、政府議定書を実行する対策をどういうふうに考えているか、お答えをいただきたい。
  124. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 委員指摘のとおり、この議定書では、廃棄物について一定の処理の仕方の義務 などを定めておるわけでございます。具体的にどのようにこうした義務を担保していくかということが御質問の趣旨かと思いますけれども、その点につきましては、現在、別途御審議いただいておりますところのこの議定書及び附属書の実施に関する国内法の方で担保してまいることになると考えております。
  125. 松本善明

    ○松本(善)委員 青森県の三沢のアメリカ兵が八戸市で婦女暴行事件を犯して女性に傷害を与えたという事件についてお聞きしますが、これは参議院の予算委員会で我が党の議員が質問をいたしました。青森県議会が全会一致で抗議文を提出する、県知事も遺憾の意を表する、本人は自供し、基地司令官も陳謝をしているということでありますが、重大な問題でありますので、事実関係について聞きます。  三月二十日の午前三時過ぎに、八戸市内の駐車場でアメリカ兵が日本の婦人を押し倒して殴って傷害を与えた。広く報道は婦女暴行ということで報道されていますが、質問はきちっと法律上の言葉でお聞きしたいと思いますが、法律上は、要するに強姦をしようとして女性にけがをさせたということでしょうか。事実関係について御報告をいただきたいと思います。
  126. 松尾好將

    ○松尾説明員 お尋ねの事案につきましては、本年三月二十日午前三時過ぎに青森県八戸市内の駐車場におきまして、自分の車に乗ろうとした女性がいきなり男に突き飛ばされて顔面を殴打され、傷害を受けたという事案であります。  この事件につきましては、被害者からの届け出を受けた八戸警察署が、逃走車両のナンバーですとか、あるいは同署の要請による米軍三沢基地憲兵隊の迅速な活動等によりまして、同日午前四時過ぎに被疑者を割り出しまして、憲兵隊の協力を得まして被疑者を取り調べた結果、自供したものであります。その後、米軍当局の全面的な協力を得まして被疑者の取り調べ、裏づけ捜査等所要の捜査を推進し、昨日青森県地方検察庁八戸支部に送致したものであります。
  127. 松本善明

    ○松本(善)委員 私どもの調査では、犯人は厚手の手袋のようなもので口をふさごうとしたり、二度にわたってガムテープのようなもので口をふさごうとした。女性は殺されるかと思った。後から殴られた顔を警察で鏡で見ますと、自分の顔はこんな顔かというような状態になったということであります。  全体の状況を見ますと、やはり強姦しようとして、抵抗を抑圧しようということで数回ということですから、顔がどういう状態になったのか。抵抗をなくすためのものですから相当激しい殴り方であるだろうと思いますが、これは強姦は未遂ということで考えて捜査をしているのですか。
  128. 松尾好將

    ○松尾説明員 本事件につきましては、捜査の結果、顔面に与えた傷害は強姦目的であったということが判明をいたしましたために、委員指摘のとおり、強姦致傷罪ということで送致したものであります。
  129. 松本善明

    ○松本(善)委員 強姦致傷罪というのは刑法百八十一条でありますが、これは既遂、未遂を問わず強姦致死傷罪ということになります。短期三年、無期懲役まで科せられる犯罪でありますし、親告罪でもありません。強姦の既遂は二年以上の有期懲役なのでありますが、強姦致死傷罪というのはこれよりも重い。短期が三年でありますから強姦の既遂より重いものです。殺人罪と比べまして死刑がないだけという非常に重大な犯罪であります。  この事件についての捜査の見通し、起訴の見通し、身柄についてどうするか等について、送検をされたということでありますので、法務省に伺いたいと思います。
  130. 柳俊夫

    ○柳説明員 委員お尋ねの事件につきましては、ただいま警察庁から御説明がございましたように、昨日青森地方検察庁八戸支部におきまして強姦致傷の事実で送致を受けております。今後、所要の捜査を遂げまして、適切な処分をするものと承知しております。  それから、被疑者の身柄の問題につきましては、検察当局におきまして事案の悪質性、結果の重大性、捜査の必要性等を総合的に勘案した上で判断すべきものと承知しております。
  131. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務大臣に伺いますが、一九九五年、要するに十月二十五日の沖縄の少女暴行事件の後の日米合同委員会合意では、殺人または強姦という凶悪な犯罪については起訴前の身柄引き渡しを決めております。今申しましたふうに、強姦致死傷罪といいますのは強姦の既遂よりも重いわけです。まさに合意で言います殺人、強姦という凶悪な犯罪に当たるものであります。  これは女性が非常に気丈な人で、すぐタクシーで警察へ行って被害を訴えたわけですが、普通なら日本人なら、その場でナンバーがわかっているわけですから緊急手配、当然逮捕です。  こういう重大な事件について、日米合同委員会合意でも、この合意の中に入るような重大事件について日本側が逮捕し身柄を拘束して調べる、これは当然日本の主権の問題でありまして、逮捕状を請求しないでいまだに身柄がアメリカ側にあるということは、権利の上に眠る者は権利を失うと言われていますけれども、本来は地位協定を見直すべきですけれども、この合意で認められている範囲でもない。これはやはり初めから逮捕状を請求して、日本側に身柄を置いて捜査をすべきような重大事件だと思いますが、この事件の重大性について外務大臣はどのようにお考えでしょうか。     〔森山委員長代理退席、委員長着席〕
  132. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど警察並びに法務両当局から答弁がありましたように、本件は警察当局において捜査をし、調査をし、そして昨日送検されたものと承知しております。今後とも適正に捜査が行われるものと考えますし、身柄拘束の点につきましては、やはり捜査に当たる当局において捜査上の必要性等々総合的に勘案して適切に対処されるもの、こう考える次第でございます。  外務省としましては、そういうところを見守りながら、もし何らかの対応をする必要が出てくれば適切に対応してまいりたい、こう思います。
  133. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務大臣とすれば、もちろん捜査の、身柄引き渡しその他については今の程度になるかもしれませんが、私のお聞きしましたのは、先ほど強姦致傷罪ということで処理をしているという捜査当局のお話がありました。これは私が解説しましたが、法律で決まっておることで、もう動かすことのできない重大な犯罪なのですね。この問題についてどうお考えかということを、言うならば、手続というよりは閣僚として、政治家としてどうお考えかということを伺いたいのであります。
  134. 池田行彦

    池田国務大臣 御質問の趣旨はよくわかりますけれども、現に捜査が進んでいる進行中の事案でございます。そういったことでございますから、その事件の内容あるいはそれについてどういうふうに考えるかということは、閣僚の立場といえども、今はその御答弁を申し上げるのは必ずしも適切ではないと考える次第でございます。  いずれにいたしましても、先ほども申しましたように、捜査当局においていろいろ御判断なさる、そういったものを踏まえて、もし外務省として、米側との間において何らかの対応をしなければいけないという場面ができてまいりますならば、そのときは適切に対処してまいる所存でございます。
  135. 松本善明

    ○松本(善)委員 法務省にちょっと伺いますが、起訴をされるということになると、身柄はどうなりますか。また、逮捕状をとるということの可能性があるかどうか、この点を聞きたいと思います。
  136. 柳俊夫

    ○柳説明員 先ほどもお答え申し上げましたけれども、被疑者の身柄の引き渡しの問題につきましては、検察当局におきまして、先ほど申し上げましたように、捜査上の必要性等を総合的に勘案した上で判断すべき事柄である、こういうふうに考えております。  また、処分につきましては、今後所要の捜査を遂げまして、適切に処分をするということになる ものと承知しております。
  137. 松本善明

    ○松本(善)委員 これは、日本の国土の上で起こった凶悪犯罪について日本側の捜査官憲が身柄を拘束して調べられるかどうかという、やはり基本問題で、捜査をした現場の警察官にしては、まさに切歯扼腕だと私は思いますね。こういう凶悪事件について、自分のもとに置いて捜査ができない、こういうような事態をいつまでも放置するわけにいかない。これは女性が気丈な人でしたからこういうふうになりましたけれども、こういうことについて非常に厳しい態度をとらないと、沖縄の少女暴行事件のようなことが基地ある限り、全国で起こらないという保証はないのですね。そういう点で厳しい態度をとるべきだし、地位協定の見直し問題も含めて今後の課題になっているということを指摘して、次の問題を質問したいと思います。  子どもの権利条約の問題、これは批准をされまして、第一回の報告書が国連の児童権利委員会に提出をされて、近くその審議が行われるということであります。これは条約の四十二条で、この条約の原則、規定を成人及び児童に広く知らせることを約束し、そしてその進捗状況を審査するために委員会をつくり、そこに報告書を出す、こういう仕組みになって、条約の実施を保証しよう、こういうことであります。四十二条から四十三条、四十四条にかけて。  第一回の報告書は、拝見をいたしましたが、かなり形式的で、実態が十分反映をされていないように思います。この条約の趣旨からしますと、やはり現状のリアルな実態を把握して改善する努力をしている、そういうことを報告するのがやはり大事なのではないかというふうに思うのです。  一例を挙げますが、外務大臣のところへ事前に届いておるかどうか、岩手県の千厩町というところで、この条約違反の問題が起こっております。中学校を統合するということで、統合される中学校の地域では圧倒的な住民が反対の意思を表明して、その周辺では、岩手県では大きな問題になっているところです。  その過程で、統合される奥玉中学校というところの生徒が町議会に請願をいたしました。請願の中身は、「痛んでいる校舎・講堂の耐力度をすみやかに診断し、公表して下さい。」これは二十年ぐらい、危険だから直せというふうに言われているけれども、そのままになっている中学校なのです。「母校奥玉中学校を絶対なくさないでください。」というこの請願に中学校の生徒が参加をしたのですね。  ところが、町の教育委員会がこの生徒たちの身元調査をしたということになりました。岩手県の弁護士会が、これは人権侵害で、子どもの権利条約の十二条の意見表明権の侵害だというふうにしたわけです。これは一つの大きな実例と私は思います。  きょうは外務大臣にも改めてNGOの方が陳情されるという機会がありますが、NGOの報告書はこんなに五冊も、子供の権利が日本で守られていないということが非常に詳細にNGOによって調査をされている。この岩手県の弁護士会が町の教育委員会に対して指摘をした問題など、こういうような現状をリアルに把握して、それを改善するという努力をして、そういうものを第二回の報告書では出すというのがやはり本来ではないだろうか、そういうような努力政府はすべきではないだろうか、こういうふうに私は思いますが、外務大臣の御見解を伺いたいと思うのでございます。
  138. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 児童の権利条約は、委員承知のとおり、児童の基本人権保護という観点から意義のあるものだと外務省でも考えております。この条約が遵守されることは当然のことでございますけれども外務省としても大きな関心を持っているところでございまして、これまでもそういう線でもって関係省庁協力してまいったところでございます。そこで、もしこの条約の趣旨に沿わない事例が国内に存在する場合は、関係省庁とも協議の上、その是正を促していくということになろうかと考えております。  御指摘の岩手県の事例につきましては、まず関係省庁においてその正確な事実関係を把握していただく必要があって、その上でのことかと考えております。  なお、定期的に国連の方に出しております政府の報告書に関しましては、前回の報告書でもこの条約の履行状況について、日本国内で、例えばいじめの問題とか幾つかの問題もあるわけでございますので、そういう問題点も含めまして、真摯な内容の報告書としたわけでございますけれども、今後とも十分内容のある、内容のあるといいますか、真剣な内容の報告書にしてまいりたいと考えております。
  139. 松本善明

    ○松本(善)委員 おおむね真剣に次の報告書をつくるという方向ですが、外務大臣にやはり一言伺っておきたいと思うのです。  やはりこういう民間の努力とか一つ一つの問題の当否というのは、それはここですぐには言えないかもしれません。しかし、やはりそういうリアルな実態をNGOでもいろいろな形で報告をしているわけですから、それらを検討して、第二回の報告のときには万全を期すということでいいかどうか、見解を伺いたいと思います。
  140. 池田行彦

    池田国務大臣 報告書は、なるべくその条約の趣旨に沿ったものになるようには努力をしてまいりたいと思います。具体的にどういうふうにするかということは、またいろいろ検討はしなくてはならぬと思いますけれども
  141. 松本善明

    ○松本(善)委員 これとの関係で文部省にちょっと伺っておきます。  千厩町では、統合される側は圧倒的に反対をしているんですが、町議会ではこれは強行的に採決をされて、それも大きく報道をされていました。子供たちまでこうやって反対しているのに議会で強行するということになりますと、小さな町で子供たちがいがみ合って、それでもう集団でけんかになったりしても大変なことになりますし、いじめの原因にもなりかねない。私はまことに教育的でない事態が進行しているように思うわけでございます。  そういう憂慮をしているんですが、これはこうすると、補助金その他についての申請もあるかもしれませんが、こういうような問題について、極めて非教育的な事態の進行について文部省はどういうふうな対応をされるんでしょうか、伺いたいと思います。
  142. 玉井日出夫

    ○玉井説明員 学校統合についての御指摘にお答えを申し上げます。  私ども、学校統合を行う場合には、やはり十分に地域住民の方々理解協力を得ながら行うことが望ましいというふうに考えておりますけれども、しかしながら、最終的にどうなされるかは、これは当該設置者である市町村みずからがお考えになることだというふうに思っております。  これは学校統合の場合には、学校の設置条例の改正という形で最終的には意思決定が行われるわけでございますので、それに基づいて今後申請がなされる。まだ申請があるわけじゃございませんけれども、そういう意思決定をした上で申請をなされれば、私どもはその申請の内容に応じて適切に対処していく、補助を行っていくという形になろうかと考えております。
  143. 松本善明

    ○松本(善)委員 問題のないところが補助金を求めてくるところもたくさんあります。私は、今財政のなかなか厳しい中で、いろいろそういうもめているところについては、これはよく検討してやるべきことではないかということを申し上げておきたいと思います。  政府は、沖縄の特別措置法の提出をするという意向でありますが、これにつきましては、本来土地所有者に返還すべきものを法を変えて不法占拠を避けるという暴挙で、半永久的に土地使用が続けられるようなことになる。これは財産権保障という点でも、地域特別法に関する住民投票、憲法上の問題でも、平和条項の問題だけでない重要な無法を重ねるものだと思います。法治国としての根本問題でありますが、これを厳しく指摘をし て、五・一五メモについて若干伺いたいと思うのであります。  これは公表されて、私どもにも政府の方からいただきました。これは性格なんですが、地位協定第二条第一項(a)には、「個個の施設及び区域に関する協定は、第二十五条に定める合同委員会を通じて両政府締結しなければならない。」と規定しています。この公表されました文書は、日米合同委員会合意というだけではなくて、地位協定第二条に言う日米の協定ということになるのでしょうか。
  144. 折田正樹

    ○折田政府委員 五・一五メモというのは特に定義があるわけではございませんが、国会等で御論議いただいている五・一五メモというのは、施設・区域の提供に係る合同委員会合意のことを指しているということでございます。  そして、今回公表いたしましたのは、合同委員会におきますまず議事録がございます。その議事録の部分は合同委員会合意そのものではございませんが、施設・区域の提供に係る合同委員会合意の部分は、日米両政府間で合意されたものでございまして、地位協定二条1(a)に言う個々の施設・区域に関する協定に当たるものでございます。
  145. 松本善明

    ○松本(善)委員 この協定だといたしますと、外務省からいただいたものには仮釈となっております。防衛施設庁の文書で出したもので言いますと、もっとはっきりと、正文は英文で仮釈が和文、こういうふうに書いてございます。協定ということならば、英文も和文も当然に正文にしなければならない。もめたときには、英文が正文だということは極めて従属的なやり方ではないかと思いますが、外務大臣、いかがお考えでしょう。
  146. 折田正樹

    ○折田政府委員 従来、合同委員会の場でつくっております合同委員会合意は、英語のみでつくっていたわけでございます。そして、今回公表するに当たりまして、それを訳したものを皆様方にお渡ししたということでございます。  日米間で合意されている文書というのは英文でございます。
  147. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務大臣、私は今経過を話しただけの話です。正文が英文だけというのは極めて従属的ではないか。これは、英文もそれから和文も両方を正文としてやるべきことではないかと思いますが、外務大臣は、これはこのままでいいと思いますか。
  148. 池田行彦

    池田国務大臣 我が国が各国と結びます、あるいは国際機関等との間で結びますいろいろな国際約束というようなものがあると思います。それは法形式としてもいろいろでございましょうし、それをどういうふうな文書の形態にするか、いろいろな種類のものがございますが、そういったものの種類によりましては、日本語以外の言語によってなされているものもこれはあるわけでございまして、やはりそれは事柄の性格にもよるのだと思います。  そして、今問題になっております五・一五メモと申しますのは、先ほど政府委員が御答弁申しましたように、地位協定で設置されました、地位協定のもとで合同委員会がいろいろ相談をしていく、そういった合同委員会での合意でございますから、これは従来から、スタートのときから英文で行われておる、議事そのものも英語で行われておるわけでございますし、その議事録というものも英文になっていく、そこでなされた合意というものも英文で行われるということは、必ずしも問題があるというふうには私は考えません。  ただ、それを国内でどういうふうに御説明するかという点につきましては、それは当然のこととして日本語でその内容を的確に説明するようにはしなくてはいけない、こう思うわけでございます。  そして、委員承知のとおり、合同委員会の議事というのはずっと非公開の原則でやってまいりました。そういうことを考えれば、これまでは英文で、要するに英語で行われる会議、その議事録が、あるいは合意事項も含めて英文で残るというのは当然のことでございまして、そのことは特に問題がなかったのだと思います。  今回は五・一五メモにつきましては公開することになりましたので、あくまでその正文は、今申しましたような経緯で英文ではあるけれども国民皆様方に御理解いただくためには、やはりそれを適切に日本語に置きかえたものにしなくてはいけないということで仮訳をおつけしたような次第でございます。
  149. 松本善明

    ○松本(善)委員 長々とお話しになりましたが、結局肯定的に言われたわけで、やはりこれは明白に従属的です。私は、沖縄の特借法自体がアメリカ絶対、安保絶対という立場からつくられている、それがこういう形でもあらわれているのだと思います。今沖縄の問題は、日本の主権の回復の問題として提起されてきていると思います。  もう一つ聞いて終わりにしたいと思いますが、外務省や防衛施設庁が三月二十五日につくった「合同委員会関係文書について」というのでは、二十五日に公表したものと、それから「数カ月以内の公表に向けて米側と調整中」という十点の説明がございます。この十点以外はすべて公表されたのでしょうか。仮釈として提出された議事録その他の中に、隠されていると言うと語弊があるかな、明らかにされていない部分があるのかどうか、全部公表したのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  150. 折田正樹

    ○折田政府委員 施設・区域の提供にかかわる部分、それから公海上の訓練区域の指定にかかわる部分の合同委員会合意は、附属文書も含めてすべて今回公表をしたわけでございます。言いかえれば、その十点以外のものは全部公表いたしまして、隠しているものはございません。
  151. 松本善明

    ○松本(善)委員 これで終わりますが、例えば、覚書の九四三が欠如をしているとか、弾薬庫については全く、通常弾薬かどうかとか、取扱量もないし安全対策もないし、嘉手納や普天間の飛行場については飛行ルートや低空飛行についての取り決めもない。もし、隠されていない、明らかにされていない部分がないのだということになると、これは勝手に使ってもいいんだということにもなる。私は、極めて重大な問題点があるということを指摘をいたしまして、時間になりましたので質問を終わります。
  152. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次に、秋葉忠利君。
  153. 秋葉忠利

    秋葉委員 本日審議されている条約は、南極条約環境議定書、それからアジア太平洋郵便連合憲章ですが、その条約についての質問に入る前に、時期的に非常に重要な政治課題がありますので、それについて何点か質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、沖縄に駐留しているアメリカの海兵隊ですけれども、この人員と、それからその任務、目的、これは安保条約に沿ってとかそういうことではなくて、これは軍事ユニットですから、空軍ではなくてなぜ海兵隊なのかというような、かなり具体的な軍事的な目標があるはずですので、それについてまずお答えをいただきたいと思います。
  154. 折田正樹

    ○折田政府委員 沖縄にいる海兵隊の人数でございますが、大体一万七千から一万八千の間ぐらいだろうと思います。それから、海兵隊の具体的な任務ということでございますけれども、私の記憶によれば、国防報告等によりますと、まず抑止である、紛争が発生しないようにまず抑止の効力がある。それから次に、同盟国、友邦国にもし事があればその防衛に努める。それから一般的に、地域的な紛争が起きないように、また起きた場合には直ちに対応するという具体的な任務を負っているというふうに承知しております。
  155. 秋葉忠利

    秋葉委員 そういう答えが出てくると思ったので、例えば空軍とどこが違うのかということを最初に質問の中で申し上げたつもりなんですが、今のお答えだと、空軍でも海軍でも陸軍でも全く同じ任務を持っていると言っても通る話で、そういう答えを望んでいるわけではありません。  海兵隊の任務は非常に具体的なものがあります。有事の場合と言ったらいいのでしょうか、ともかく紛争がある場合、紛争地にどの部隊よりも早く到達をして、そして上陸を行い、敵前上陸を 行って作戦のための橋頭堡を築くというのが海兵隊の一番重要な任務であります。そのことは当然御存じだと思いますけれども、改めてそういった海兵隊の任務について確認をしたいと思います。
  156. 折田正樹

    ○折田政府委員 今委員が言われたのは、私、当たっているというふうに思います。機動性、即応性を有した、陸、空の能力をあわせて使える、そういう能力を持っている部隊でございます。
  157. 秋葉忠利

    秋葉委員 とりあえずそれが海兵隊の役割ですが、現在沖縄に駐屯しているアメリカの海兵隊を、これは仮にの話ですけれども沖縄周辺あるいは日本周辺の他地域、日本国内を含めてもいいですけれども、それよりは少し視野を広げて、例えば朝鮮半島に米海兵隊を移す、あるいはその他の地域に米海兵隊、日本の国外に同じ組織を移して同様な任務を遂行することができるのか、それについて何か問題があるのかどうかを次に伺いたいと思います。これは仮定の話ですから、政治的な問題は抜きにして、陸軍という一つの軍事組織として、軍としての目的を達成することができるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  158. 折田正樹

    ○折田政府委員 沖縄におります海兵隊というのは、それなりの自己完結性を持った海外展開部隊でございます。戦闘部隊のみならずその補給部隊も含めまして、自己完結的な形を持ってあそこに駐留しているわけでございまして、例えば訓練場の問題、それから補給施設の問題等々を考えますと、にわかに今沖縄にある海兵隊をとこか違うところに持っていっても、そのまま軍事的な能力が果たせるのではないかということにはならないのではないかというふうに思います。
  159. 秋葉忠利

    秋葉委員 その評価にはちょっと意見がありますが、それはおいておいて、今自己完結的というふうにおっしゃいました。自己完結的というのは、実は海兵隊なら海兵隊の部隊そのもので完結しているということですから、それをそのままどこかほかのところに移せば自己完結性も一緒に移るはずなので、そういう意味で申し上げているので、ここのところはまた別の機会に議論をしたいと思います。  今おっしゃった自己完結性、実は沖縄の海兵隊は持っていないというところが重要な問題であります。仮に紛争がどこかで起こった場合に、それでは伺いますけれども沖縄の一万八千の海兵隊マイナス補給といいますか、支援的な仕事をしている兵士を除いて、その主要部分が一体どのような輸送手段で紛争地まで移動するのか、そしてどのような装置で上陸をし橋頭堡を築くのか、それだけの輸送手段が沖縄に確保されているのかどうか、伺いたいと思います。
  160. 折田正樹

    ○折田政府委員 具体的な事態が生じたときに米軍また米海兵隊が具体的にどのように対応するかということは、まさしくアメリカの、米軍の運用上の問題なものでございますから、私どもとして仮定に基づいて議論をするのはなかなか難しいわけでございます。どういう手段があるかということで申し上げますと、一つは、海軍が持っております揚陸艦、佐世保にございますが、それが運搬の手段になり得まずし、それから戦略空輸ということも可能性としてはございますし、それから、場所とかそういうことにもよりますけれども、ヘリコプターによる移動というものもあり得るわけでございます。
  161. 秋葉忠利

    秋葉委員 海兵隊が使う船は強襲揚陸艦というふうに呼ばれますけれども、通常はそれにヘリコプターが搭載されております。今おっしゃったヘリコプターというのはそれに附属しているヘリコプターだと思いますけれども沖縄にはその強襲揚陸艦が一隻もないというお答えですね、今のは。
  162. 折田正樹

    ○折田政府委員 強襲揚陸艦は佐世保にございます。
  163. 秋葉忠利

    秋葉委員 だから、沖縄にはないですね。ないと言ってください。
  164. 折田正樹

    ○折田政府委員 具体的にいろいろなところへ展開しておりますので、沖縄にないとまでは申し上げることはできませんが、佐世保にふだんは入れておる、こういうことでございます。
  165. 秋葉忠利

    秋葉委員 佐世保にあるんだったら、沖縄にあるはずないじゃないですか、一隻の船がいっときに二カ所にということはないわけですから。  それで、佐世保にある、あるというふうに随分自慢げにおっしゃいますが、それだけでは米海兵隊の強襲揚陸艦すべて装備を満たしているとは言えません。サンディエゴには、それでは強襲揚陸艦は何隻ありますか。
  166. 折田正樹

    ○折田政府委員 ちょっと手元に資料がないものですから、ちょっと正確なことは記憶しておりません。申しわけございません。
  167. 秋葉忠利

    秋葉委員 これは公開資料で恐らく御存じだと思いますが、サンディエゴには最低三隻ございます。それから、その他の強襲艦というのがありますから、ともかく佐世保にある、しかも沖縄にはない、その佐世保にある海兵隊が使用できる艦船というのは、本来の、この規模の海兵隊であれば当然持つべき手段の三分の一以下であるということがはっきりいたしました。つまり、急の場には間に合わないということだと思います。  したがって、先ほどおっしゃったうちの幾つかの目的は達成できない。例えば何か紛争があった際に、真っ先にこの部隊が紛争地に到着するということは不可能である、そして具体的に行動をとるということが不可能だということが証明されたというふうに私は思います。となると、一体なぜアメリカの海兵隊を沖縄に置いておかなくてはいけないのか、その疑問が生じますけれども、それについては、実はアメリカの議会がかなり明確な意思表示をしてくれております。  そこで伺いますけれども、アメリカの上院と下院で日米安保条約並びに沖縄に対する感謝決議が採択されておりますけれども、その趣旨、決議案そのものも大事なんですけれども、一体、上下両院でどんな議論が行われたのか。その主な議論について、当然外務省は御存じだと思いますので、内容を要約して教えていただきたい。
  168. 折田正樹

    ○折田政府委員 私ども承知しております限り、議論が行われたのは下院でございます。上院でも決議の動きがございますが、まだ議論には至っていないというふうに承知しております。  そして、三月十一日に米下院本会議におきまして採択に付されまして、賛成四百三、反対十六で可決されたというふうに承知しております。  その決議案の内容でございますが、まず第一に、アメリカ合衆国と日本国との間の相互協力及び安全保障条約が米国、日本及びアジア太平洋地域諸国の安全保障に係る利益に不可欠であり、一として、日本、特に沖縄の人々がこの条約の実施の確保並びに地域の平和及び安全のために行っている貢献は、特別の承認及び謝意を受けるに値するという決議の内容でございます。  そして、決議案の採択に当たりまして下院の本会議議論がなされまして、ビーライダー下院国際関係委員会アジア太平洋小委員長ほか四名が支持演説を行い、一名の議員が反対の意見を述べたというふうに承知しております。  支持した人の演説の中身でございますが、各議員とも、日米安保体制がアメリカの安全にとっても重要であるとともに、アジア太平洋地域の安定に寄与していること、それから沖縄の人々が地域の平和と安定を維持するために貢献していること、それから日本政府によります接受国支援、いわゆるホスト・ネーション・サポートは米軍日本における駐留を効果的にしていること等々の議論があったと承知しております。  そして、反対の議論をされた方はフランク下院議員一名でございますが、彼の議論は、沖縄の人々については称賛に値するということを述べた上で、議会の中には日米間の協力、特に財政面における協力が一方的であることについて不満があるということを、ミサイル防衛に参加することについてのニューヨーク・タイムズの記事を引用いたしまして、日本がミサイル防衛に参加することにちゅうちょしているようだけれども、米側だけが一方的に負担をするということはおかしいというような議論をされた上で、反対だという議論をされたというふうに承知しております。
  169. 秋葉忠利

    秋葉委員 大体そのとおりなんですけれども、もうちょっと詳しく議論の内容を読んでみますと、大体決議案の案文とほとんど同じような言葉で日米安保重要性並びに沖縄に対する感謝という言葉が出てくるのに対して、ホスト・ネーション・サポート、要するに日本がお金を出してくれるというところについては、賛成者は非常に個人的な、要するに自分の意思がはっきりとあらわれるような形で、経済的に日本は金を出しているからこれは重要なんだという説明が加えられております。ということは、この決議案に賛成したアメリカの国会議員たちの頭の中には、海兵隊が例えば日本にいるのは要するに日本が金を出しているからだと、平たく言ってしまえばそういうものが非常に強いということですし、反対をしたバーニー・フランク、これは民主党のマサチューセッツ州選出議員ですけれども、彼の言い分も、日本がお金を出しているけれども、こんなものじゃ足りないのだという、要するに経済的な要求です。  したがって、先ほど申し上げましたように、アメリカの海兵隊が日本に存在をしている理由、軍事的には意味がないということは先ほどの答弁を通しておわかりいただけたと思いますけれども経済的な目的だけでアメリカが海兵隊を駐留させておきたい、少し単純化するとそういう形になる状態をこれ以上続けるべきかどうかということに関して、我が国としてはもう一度抜本的な見直しをする必要があるのではないかという問題提起をして、次の質問に移りたいと思います。  米軍のさまざまな行動があるわけですが、最近、日本国内各地の民間の飛行場、非軍用の飛行場に米軍機並びに自衛隊機が頻繁に着陸をしている。着陸するのですから当然離陸もしていますけれども、非常に頻度がふえているという新聞記事がございました。  これに対して、日米の地位協定の間で米軍機に関しては空港使用料というものを取らなくていいことになっているわけですけれども、その際に、空港使用料を取るか取らないかという判断をするに際しては当然この――例えば広島西飛行場というのがあるわけですけれども、ここに飛んでくる米軍の飛行機、これはもうほとんどがセスナなんですけれども安保条約の六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定、この中に定められている、五条を見ますと、公の目的で運航されるものについては空港使用料を取らなくていいということが書いてあります。  こういうふうにセスナ機、例えば広島西飛行場に飛んでくるセスナ機に対して空港使用料を取らない場合、公の目的であるかどうかということはどのように判定をしているのか、伺いたいと思います。これは運輸省ですか。
  170. 各務正人

    ○各務説明員 お答えいたします。  米軍機が民間の飛行場に着陸いたします場合には原則として、こういった場合、特段の都合がなければ公の目的であるというふうに理解をしているところでございます。
  171. 秋葉忠利

    秋葉委員 要するに、アメリカの飛行機だったら全部公用だというふうに考えるということだと思いますけれども、それについては少し別の問題提起をしたいと思いますが、それでは、それによって大体どの程度の損失があるのか。例えば広島西飛行場の場合、どのくらいの頻度で飛行機が飛んできているのか、そして、それによって仮に失われる金額はどのくらいになるのか、概算で結構ですから教えていただけますでしょうか。
  172. 各務正人

    ○各務説明員 機材の大きさ等にもよりますけれども、仮に軽飛行機だといたしますと、現在の値段で一回七百円でございます。昨年一年間で六十二回の着陸でございますので、概算で申しますと四万円くらいの着陸料になるかと思います。
  173. 秋葉忠利

    秋葉委員 先にそれを言っていただくと非常によくわかるのですけれども、つまり、仮にここで空港使用料を取ったとしても、公の目的かどうかを判断するためには当然人手がかかるわけですし、それで、そういう煩雑な事務を行って一年間に数万円の空港使用料を取る、それは経済的にコストとして合わないから、とりあえずアメリカ軍の一応軍に登録されている飛行機については公用とみなすというのは、それなりに理屈の通る議論だと思いますが、それを先にそういう形で説明をしていただいた方が納得がいったのではないかと思います。ただ、主権の問題にかかわる部分があるとこれは大問題ですので、それはまた別の機会に取り上げたいと思います。  本題の条約について簡単に二つほど伺いたいと思いますけれども、まず最初に、南極条約議定書ですけれども、最近、南極へのエコツアー、つまり環境についての勉強をするために、あるいは南極の自然を楽しむためにという目的のエコツアーが行われておりますし、こういった数が世界的にもふえつつあるという報告もあります。そのこと自体は私は結構なことだと思いますけれども、ただ、人がどこかに行くと必ずそれは環境とぶつかるということもまた事実ですから、この議定書が調印されて発効するのを機に、観光国として世界じゅうに観光客をたくさん送り出している我が国として、特に南極の観光については我が国のリーダーシップで、世界じゅうの国々に呼びかけて、それなりのきちんとしたガイドラインを設けて、こういった観光によって南極環境的にこうむる損失を、しかもできるだけコストあるいは手間をかけないで行うといったようなことをすべきだと思いますけれども、それについていかがお考えでしょうか。
  174. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 委員指摘のとおり、南極への観光は国際的にもますます盛んになっておもわけでございます。ただ、この議定書は、南極環境保護生態系の保全のために、事前の環境影響評価であるとか、外部からの動植物の持ち込みを禁止するとか、向こうにあります独特の動植物は保全するとかいった十分な具体的な措置を既に規定していると思います。その意味では、観光が盛んになっているとはいえ、基本的にはこの議定書のいろいろな措置を利用すれば十分対応可能であろうと考えております。  ただ、この議定書の運用、施行を一層確実なものにするために、御指摘のような点も踏まえまして、関係南極協議国とも協力しながら適切な措置は講じてまいりたいと考えております。
  175. 秋葉忠利

    秋葉委員 私が提案をしておりますのは、確かに適切なことをやっていただくのは結構なんですが、やはりどこかで日本の存在感というものをもうちょっとPRする必要があるのではないか。南極における例えば観光といったようなところで、それほどこれは大きな国際的な紛争になる問題でもありませんけれども日本としてリーダーシップを発揮すれば、それなりに世界に評価される面だと思います。そういった積極的な何か施策を日本で打ち出すことが大事なのではないか、そういう提案をしているつもりですので、その方向でぜひ御検討いただければと思います。  最後に、郵便関連のことなんですけれども、最近麻薬の密輸が随分ふえているという、これまたマスコミの報道がありますけれども、その中で最も手軽に使われているのが国際郵便であるという報告もまたございます。やはり一番手軽にだれでも使えるというところが、逆にこういった問題については一つの手段になるということだと思うのですけれども、その実態について簡単にお教えいただきたい、それと同時に、こういった非常に急激な増加に対してどのような対策をお持ちになっているのか、これは税関の方からお願いいたします。
  176. 鹿戸丈夫

    ○鹿戸説明員 お答え申し上げます。  税関といたしましては、従来より、不正薬物を含みますいわゆる社会悪物品の水際取り締まりを最重要課題の一つとして取り組んでまいったわけでございます。とりわけ覚せい剤、麻薬等につきましては、昨今青少年層への浸透が非常に大きな深刻な問題となってきておりまして、本年一月には、橋本総理を本部長といたしまして薬物乱用対策推進本部を設置するなど、政府全体といたしまして取り組んでおるわけでございます。  御案内のとおり、こういった薬物はほとんどが 海外から入ってまいりますので、例えば、税関におきます薬物の摘発量は、国内におきます全摘発量の約六割を占めるというような形で、税関の役割が極めて大きいということを我々認識しておる次第でございます。  お尋ねの国際郵便物を通じました麻薬の密輸につきましても、先生の御指摘のとおり、私ども非常に重要な問題ということで取り組んでおるわけでございまして、実際、昨年の不正薬物の摘発件数のうちの五割以上がこうした国際郵便物に隠匿された形で入ってきた麻薬でございます。  私ども、郵政省の御理解あるいは御協力をいただきながら、例えばエックス線検査機やあるいは麻薬犬などを使いまして、怪しい郵便物等につきまして絞り込みを行う形によりまして、重点的、また実効ある取り締まり検査に努力しておるところでございます。引き続きこういった形での対応を強化してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  177. 秋葉忠利

    秋葉委員 時間が参りましたので、これで質問を終わります。どうもありがとうございました。
  178. 逢沢一郎

    逢沢委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  179. 逢沢一郎

    逢沢委員長 これより両件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、環境保護に関する南極条約議定書及び環境保護に関する南極条約議定書附属書V締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  180. 逢沢一郎

    逢沢委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、アジア太平洋郵便連合憲章追加議定書及びアジア太平洋郵便連合一般規則締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  181. 逢沢一郎

    逢沢委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  182. 逢沢一郎

    逢沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  183. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十分散会