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1997-05-15 第140回国会 衆議院 科学技術委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月十五日(木曜日)     午後一時五十分開議  出席委員   委員長 佐藤 敬夫君    理事 小野 晋也君 理事 実川 幸夫君   理事 三ッ林弥太郎君 理事 山口 俊一君    理事 斉藤 鉄夫君 理事 田中 慶秋君    理事 佐々木秀典君 理事 吉井 英勝君       石崎  岳君    江渡 聡徳君       河井 克行君    木村 隆秀君       桜田 義孝君    田中 和徳君       渡辺 具能君    井上 義久君       近江巳記夫君    笹木 竜三君       中西 啓介君    近藤 昭一君       辻  一彦君    鳩山由紀夫君       辻元 清美君    堀込 征雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      近岡理一郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     沖村 憲樹君         科学技術庁長官         官房審議官   興  直孝君         科学技術庁原子         力局長     加藤 康宏君         科学技術庁原子         力安全局長   池田  要君  委員外出席者         原子力安全委員         会委員長    都甲 泰正君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全管         理課長     東郷 洋一君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事長)     近藤 俊幸君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団副         理事長)    植松 邦彦君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事)      中野 啓昌君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事)      岸田 篤彦君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事長)  吉川 允二君         科学技術委員会         調査室長    吉村 晴光君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十五日  辞任         補欠選任   鳩山由紀夫君     辻  一彦君   羽田  孜君     堀込 征雄君  同日  辞任         補欠選任   辻  一彦君     鳩山由紀夫君   堀込 征雄君     羽田  孜君     ――――――――――――― 五月九日  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  八八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十五日  動力炉・核燃料開発事業団東海事業所の再処理  工場爆発事故徹底究明に関する陳情書  (  第二五四号) 五月九日  動力炉・核燃料開発事業団東海事業所アスファ  ルト固化処理施設における火災爆発事故の徹  底究明等に関する陳情書  (第二九三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  八八号)  原子力開発利用とその安全確保に関する件      ――――◇―――――
  2. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 これより会議を開きます。原子力開発利用とその安全確保に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として、動力炉・核燃料開発事業団理事長近藤俊幸君、同副理事長植松邦彦君、同理事中野啓昌君及び同理事岸田篤彦君並びに日本原子力研究所理事長吉川允二君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 佐藤敬夫

  5. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 三月十一日に発生した動燃事業団アスファルト固化処理施設火災爆発事故につきましては、地元方々を初め、国民の皆様に多大な不安と不信を与えるという極めて遺憾な状況を引き起こしました。  今回の事故については、事故調査委員会において、全面公開のもとで、原因究明のための調査検討を鋭意進めてまいりましたが、先般五月八日に、これまでに明らかになった事実関係を整理し、調査状況について中間的な取りまとめを行い、公表いたしました。  本報告書の詳細については、原子力安全局長より後ほど説明させますが、科学技術庁としても、迅速かつ正確な情報入手のための体制ができていなかったことから、状況把握等が十分に行えず、事故重大性判断を誤り、的確に対応できない点がありました。科学技術庁として、これらを重く受けとめ、今後の行政に的確に反映させ、改善策を講じてまいりたいと思います。  事故原因究明については、引き続き、サンプル採取分析実験等を実施し、火災爆発の詳細な原因分析を行っていくこととしております。  さらに、今回の事故を引き起こし、事故後の対応にも不適切な点を露呈した動燃事業団体質及び組織体制については、徹底的に第三者的なチェックを行い、抜本的な改革を図るため、動燃改革検討委員会を開催しており、できる限り早急にその結論を得たいと考えております。  最後に、今後とも事故原因究明徹底的に行うとともに、今回の経験を貴重な教訓として、初心と原点に立ち返って、改善すべき点は改めるという姿勢に徹し、今後とも原子力安全確保に取り組んでまいる決意でありますので、委員長を初め、委員各位の御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。
  6. 佐藤敬夫

  7. 池田要

    池田政府委員 動燃事業団アスファルト固化処理施設におきます火災爆発事故原因調査状況について御説明申し上げます。  事故原因究明につきましては、これまで八回にわたり事故調査委員会を開催し、調査検討を進めてきたところであり、今回の報告書は、その調査状況について中間的な取りまとめを行ったものでございます。  報告書の要旨について御説明申し上げます。  まず、今回の事故に対する基本認識といたしまして、環境への放射性物質放出作業者体内への放射性物質吸入という事態となり、また、情報伝達の不適切な対応虚偽報告等が行われ、国民に多大の不安、不信を与えたことを重く受けとめております。  科学技術庁といたしましても、迅速かつ正確な情報を入手するための体制ができていなかったことから、火災状況放射性物質環境への放出作業者放射性物質の取り込みなどについて状況把握が十分に行えず、事故重大性判断を誤り、的確に対応できない点がございました。  科学技術庁といたしましては、今回の事故経験を貴重な教訓とし、事故徹底的な原因究明と万全の安全対策を講じるとともに、状況把握情報伝達、緊急時の即応体制等に関し、改善策を講ずることとしております。  次に、火災発生原因調査状況について御説明申し上げます。  運転記録作業者からの聞き取り等から、これまでに次のことが判明いたしました。  すなわち、現場運転記録等から推測すると、最初に火柱が上がったとされるドラム缶は、処理されていた給液バッチのうち、二十八及び二十九バッチドラム缶、または二十九バッチのみのドラム缶である可能性が大きい。  運転計画書によれば、事故の数日前から、廃棄物発生量を減少させるため、廃液供給量通常よりも下げて運転しておりました。この運転は、放射性物質濃度が比較的高い廃液では初めてであり、アスファルト廃液混合処理工程において、混合物中における化学反応促進に寄与した可能性がある。  運転記録等によると、混合処理工程で部分的にアスファルト混合物温度の上昇が見られており、同工程で異常な発熱反応が起きていた可能性がある。  作業者からの聞き取りによれば、ドラム缶に充てんした際、混合物がかなりやわらか目であり、ドラム缶から蒸気のようなものが出ていました。このことから、混合物温度、成分が通常と異なり、気体の発生を伴う化学反応が進行していた可能性がある。  そして、着火原因については、可燃性蒸気発生同一事象として考えられる自己発火による着火である可能性が極めて大きい。  また、爆発につきましては、当初火災発生したアスファルト充てん室において着火し、爆発が起こった可能性が大きいと考えております。  その原因につきましては、可燃性ガス発生可燃性粉じんミスト等発生液体状または固体状爆発性物質生成等考えられ、火災との関連を考慮しつつ、今後検討を行ってまいります。  水噴霧による消火につきましては、再発火の防止の観点から、一分間程度では明らかに不十分であったと考えられます。  次に、事故後の動燃事業団対応につきましては、「もんじゅ事故教訓が生かされず、状況把握及び情報伝達をめぐる不適切な対応が繰り返され、国民信頼を失墜する事態を招いたことは極めて遺憾であります。  今後は、このような教訓を踏まえ、正確かつ迅速な状況把握情報伝達のため、ハード、ソフト両面にわたる抜本的な改革教育訓練徹底放射性物質放出に係る状況把握関係機関への連絡における判断等についての検討消火マニュアル人員配置設備等の面から消火対応についての検討などを実施する必要があるとしております。  原子力安全局対応といたしましては、今回の経験を踏まえ、事故に対する即応体制及び現地における状況把握体制強化することとし、原子力施設に対して抜き打ち的な立入調査等を実施すること、事故時の周辺住民への広報体制について、地方自治体と協力しつつ検討を行う必要があること、運転計画の位置づけ、保安規定妥当性等について検討していくこと、また、火災検知消火設備爆発への考慮等に関し、安全審査考え方との関連について検討していくこととしております。  今後の対応につきましては、サンプル採取分析実験等を着実に実施し、得られたデータ等公開で行う事故調査委員会の場で徹底的に吟味することにより、火災及び爆発原因についてさらに十分な検討を進めていくこととしております。  御説明は以上にさせていただきます。     —————————————
  8. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江渡聡徳君。
  9. 江渡聡徳

    江渡委員 自由民主党の江渡聡徳でございます。  常日ごろ、科学技術行政推進のために努力されております近岡大臣並びに科技庁職員方々には敬意を表するところであります。しかし、このたびの動燃東海処理施設アスファルト固化処理施設における火災爆発事故により、環境への放射性物質放出作業者体内への放射性物質吸入という事態となり、また、情報伝達の不適切な対応虚偽報告等が繰り返され、国民に多大の不安、不信を与えたことはまことに遺憾なことであります。  動燃の責任は多大でありまして、今後の原子力平和利用促進にも大きな影響を与えたことは間違いないところでございます。特に、「もんじゅ」の事故反省が生かし切れなかったこと、また、事故後の対応の仕方が余りにもずさんでありまして、動燃自身のそもそもの体質に欠陥があると言って差し支えない、私はかように考えておるところであります。  また、相次ぐ事故のことを考えれば、科学技術庁において指導力不足も否めないところでありまして、動燃だけでなく、科学技術庁にも反省を促すものであります。抜本的な動燃改革を進める前に、動燃における「もんじゅ事故以来、適切に指導あるいは監督できなかった科学技術庁改革を進める資格は果たしてあるのであろうかと問われているところでもあります。この点につきましていかがお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  10. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 お答え申し上げます。  今回の事故におきまして「もんじゅ事故教訓が十分に生かし切れなかった、まことに遺憾でございます。  「もんじゅ事故の後、我々科技庁といたしましては、動燃事業団に対しまして意識改革推進事故対応のための体制整備自主保安強化、それから積極的な情報公開促進地元との連絡強化、そういうことについて指導をしてきたところでございまして、動燃事業団におきましても、安全管理体制あるいは危機管理体制のためのいろいろなチェック整備等を図ってきたところでございますが、このような事故発生いたしまして、加えまして虚偽報告があった、まことに残念でございまして、我々も指導監督は不十分であったことを深く反省している次第でございます。  今後といたしましては、吉川東大総長を座長といたします動燃改革検討委員会、そこに組織経営管理専門家情報伝達とか広報専門家品質管理とか危機管理、そういった面の有識者も集めておりまして、そこで専門のコンサルタントも活用しながら、第三者的チェックによる動燃改革を進めることとしております。  なお、その場におきましても、動燃に対する科技庁監督あり方、それについても御意見をいただくことになっておりまして、改めるべきところは改めるという柔軟な姿勢対応してまいりたいと考えてございます。今、科技庁資格があるのか、こうおっしゃいましたが、我々としてはそういう改革を進める責務があると思っておりますので、一生懸命努力したいと思っております。
  11. 江渡聡徳

    江渡委員 一生懸命科技庁さんとしても努力をしながら、本当に国民方々に理解が得られるような改革を進めていただきたいと思っております。  続きまして、事故調査あり方も含めまして、安全の問題、特にチェック体制というものは大変重要な事柄であります。動燃における情報の非公開あるいは情報隠し体質というものが明らかになってきたわけでありますけれども、今後、原子力界におけるある意味での閉鎖的な体質の弊害というものを解消するためには、チエックシステムというものの再構築というものが必要になってくる、私はこのように思っております。  欧米の安全規制当局活動に見合った相当規模専属職員を擁していることに対しまして、我が国日本では、大学や国の研究者がパートタイムで支えているというような現実がございます。このような状況でありまして、真のチェック機能を果たすことが果たしてできるのでしょうか。原子力安全委員会を独立した組織として位置づけ、より強いチェック機能を持たせるべきであろう、私はかように考えております。そうすることにより、国民信頼を回復するための一助になるというふうに思っておりますけれども、いかがお考えでしょうか。御答弁をお願いします。
  12. 池田要

    池田政府委員 お答え申し上げます。  原子力安全委員会につきましては、昭和五十三年に設置されまして以来、行政庁が行います安全審査をダブルチェックするなど、独自の立場から原子力安全規制活動全般について企画、審議そして決定するという立場から活動をしているところでございます。  他方、動燃事業団の今般の一連の事故によりまして、原子力に対しましての国民の不安、不信が増大しているということは事実でございます。このようなことから、原子力安全委員会責務は御指摘のとおりますます重くなっているものと認識しております。  こうした中で、原子力安全委員会におきましては、数百人に上ります専門家構成しております安全専門審査会等組織を有しております。必要に応じまして、こうした専門家を集めて活用できる柔軟性を持ってございます。こういった仕組みを活用していただく必要があると思っております。  今後とも、国民原子力に対します信頼を回復すべく、原子力安全委員会の持てるこうした機能を最大限に発揮していただきたいと考えておるところでございます。
  13. 江渡聡徳

    江渡委員 今御答弁があったわけでありますけれども、しかし、この辺のところにつきましても、果たして今のような形でやっていくのがよりよいのか、あるいは独立した組織にさせていくのがよりよいのかというのは、今までもいろいろな審議があったと思いますけれども、これから一層この点につきましても検討させていただきながら、委員会での御審議等を踏まえていきたい、そのように思っておるところでございます。  次に、中間報告について御質問させていただきたいと思います。  今回問題になっている部分におきまして、特に鎮火確認が確実に行われたのかどうかという点についてお尋ねしたいと思っておりますけれども、初期消火におきまして、一分間程度水噴霧を行った後、火が見えなくなったことから鎮火したと判断連絡を行っているとしているわけではございますが、動燃の過去における火災実験等におきまして、完全鎮火まで八分間の水噴霧が必要であると報告書がまとめられております。そのような知見等を踏まえれば、明らかに不十分な水噴霧時間であると言えるわけでございます。  また、報告書の中におきましても書かれておりますけれども、換気系のフィルターの目詰まりによりブロワーのダンパーが閉になった、そして、その後汚染拡大を防止するために換気ブロワーを手動で停止したことにより、セル内は火災発生直後からしばらくの間は、いわゆる酸欠状態または窒息状態となっていたことも考えられるというふうに報告はあります。となれば、この酸欠状態あるいは窒息状態がゆえに、一時的に火が見えなくなったとも私自身考えるところでございます。  消火マニュアルの中には、鎮火確認水噴霧をとめるとだけ記載されておりますけれども、放射性廃棄物処理施設現場におきまして、人の目による冷静かつ正確な鎮火確認というのはある意味では不可能に近いのではないか、私はこのように考えております。  また、消火マニュアルに「保安上の措置」の項目がありますけれども、そこには「作業は、未経験者のみの構成とならないように人選する。」このように書かれてあるわけですけれども、このような措置だけで迅速かつ的確な対応が果たしてできるのでしょうか。  では、この点から経験者は果たしてどのようなレベルの方をいうのでしょうか。並びに、動燃さんにおける消火訓練等教育をどのように行ってきたかというところを少し詳しくお聞かせいただきたいと思います。
  14. 中野啓昌

    中野参考人 お答え申し上げます。  消火マニュアルの上では、先生指摘のように、保安上の観点から「未経験者のみの構成とならないように人選する。」ことになってございます。火災が起きた時点でそうするということではございませんで、いわゆる通常運転の場合におきましても火災マニュアルと同じような決めがございまして、それは、運転要領書の中で「このアスファルトドラム缶に詰める作業に従事する作業者は、未経験者のみの構成とならないように人選する。」ということになっております。したがいまして、実際上、火災発生いたしましたときにはこの作業者消火に当たることになりますので、いわゆる経験のある者が消火に当たるということになるわけでございます。  アスファルト施設におきます構成でございますが、従業員全部で四十九名おりますけれども、そのうち経験が十年以上の者が十六名でございます。そのほか六年以上の者が六名ということで、かなり長い経験を有しております。平均の経験年数で申し上げますと、約五年強でございます。  経験者といたしましては、ほかの原子力施設の場合と同様に、消火方法の熟知とか消火装置使用方法並びに消火によるプロセスヘの影響、そういった知識を有しておりまして、こうした作業員はこのプラントに精通した経験年数を有していると考えておるところでございます。  このような者が運転に当たったことによって、火災時においても適切な対応ができるものというふうに思っておりましたが、今回におきましては、例えば班長不在であったとか、必ずしも迅速な対応がとれなかったものと考えておりますので、今後十分にこれらに対応していきたい、そのように考えているところでございます。     〔委員長退席田中(慶)委員長代理着席
  15. 江渡聡徳

    江渡委員 続きまして、さらにアスファルト固化処理施設消火設備作業要領、いわゆるマニュアルでございますけれども、この作業要領におきまして、水噴霧消火設備炭酸ガス消火設備について規定されているわけでございますけれども、この設備操作はいずれも班長指示で行うというふうにされているわけであります。しかし、先ほどのお答えの中にもありましたとおり、今回の事故消火作業におきましては、班長不在であったわけであります。不在時における体制が確立していないと言っても過言ではありません。  最悪のシナリオを想定してこそ真の危機管理と言えるのではないか、あるいは真の消火マニュアルと言えるのではないかと私は考えております。このような対応ができない消火マニュアルそのものが極めて不備のものでありまして、「もんじゅ」の事故反省が生かされていないというふうに考えております。動燃及び科学技術庁は、この点についてどのようにお考えでしょうか。
  16. 植松邦彦

    植松参考人 ただいま先生から御指摘をいただきましたように、消火マニュアルそのものが十分ではなかったのではないかということにつきましては、「もんじゅ」の事故反省を踏まえまして、全社的に規程マニュアルの総点検を実は実施をいたしております。  しかしながら、今回の火災爆発事故考えますと、御指摘のとおりに「もんじゅ事故反省が十分にはこういった規程マニュアルに生かされていなかったと考えざるを得ないというふうに思っております。  特に、消火マニュアルにつきましては、水噴霧時間が記載されていない、それから消火確認方法が不明確である、また発見者が直ちに消火できないで、班長指示を仰いでから消火するといったような不備があったものというふうに考えております。  今回の反省を踏まえまして、このような事故を繰り返すことがないように、ただいま再度全社的に総点検を実施しておるところでございます。それによって安全の確保に努めてまいりたいと考えております。東海事業所は、今週、今その総点検をやっておるところでございます。
  17. 池田要

    池田政府委員 ただいま先生の御質問につきましては、動燃事業団からもお答えがありましたけれども、今回の報告書にも、消火に当たりまして、班長不在であったために、現場におりました作業員が別の建屋にいた職員から指示を受けて消火を行った、この消火の開始までに六分ほどの時間を費やしてしまったといったことがございました。それから、動燃が過去に行いました実験から得ておったはずの知見に照らしましても、一分間程度水噴霧では不十分であったこと、これを報告書の中でも明らかとさせていただいたところでございます。こういった点につきましては、作業要領との関係におきましても問題があったと考えております。「もんじゅ事故反省が生かされていなかったと申し上げざるを得ません。  今後、報告書にも書かせていただきましたけれども、このような消火判断消火操作などについて、作業要領でございますとか人員配置設備等の点から十分に検討を進めてまいる必要があると考えております。
  18. 江渡聡徳

    江渡委員 今のお答えの中で、再度総点検を今実施しているところだというふうにお答えいただいたわけでございますけれども、先ほど私が指摘をさせていただいたような、本当の意味での、国民にも理解していただき、そして原子力政策を進めていく上においても確実なるマニュアルをつくっていただきたいと思っておるわけでございます。  続きまして、今回の事故により、原子力の安全に対して、地元住民のみならず国民に多大な不安あるいは不信を与えたことになっていることは重大な問題であると私は思っておるわけでございますけれども、原子力開発利用を進めていく上で、原子力安全について国民の理解を得るということはどうしても必要不可欠な点であります。広報といったソフト面での対応が特に重要であると私は考えておるわけでございます。原子力安全に対する重要な事項についての説明会の開催や、広く国民から意見を聞くための公聴会を開催するなど、原子力安全についての国民との直接対話を行う努力を、今までもしておりましたでしょうけれども、もっともっとする必要があると考えております。科学技術庁としては今後どのように対応していくおつもりなのか、お答えいただきたいと思います。
  19. 池田要

    池田政府委員 お答え申し上げます。  原子力安全につきましては、先生指摘のように、国民の理解を得てまいりますためには、まず事故を起こさないこと、安全確保に万全を期すことが最も大事なことはもちろんでございますけれども、積極的に情報公開等を行いまして、国民にわかりやすく説明していくことが重要と考えております。  科学技術庁といたしましても、「もんじゅ」の事故を踏まえまして、原子力安全に関します積極的な情報公開推進等を図ることといたしまして、トラブル情報の迅速な公表でございますとか原子力公開資料センターの設置などに取り組んできたところでございます。  また、原子力安全委員会におきましても、公開ヒアリングの開催によります地元住民からの意見聴取、こういったことに加えまして、会議公開、それから報告書案に対する国民からの意見募集など、透明性の向上に取り組んでおるところでございます。  今後とも、今回の事故教訓を踏まえまして、安全確保に万全を期しますとともに、積極的な情報公開を行い、地元方々を初めとしまして国民の皆様の不安と不信を払拭し得るよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  20. 江渡聡徳

    江渡委員 続きまして、通報体制のことについてお聞かせいただきたいと思うわけでございます。  事故時の通報体制のお粗末さ、この点は、「もんじゅ」そして今回の東海処理工場の火災爆発事故で明らかにされたわけでございますけれども、広報体制整備し、連絡体制のおくれを急速に改めるべきだと思っております。通報のおくれは防災指針の趣旨にさえ反しているわけでございます。例えばドイツにおきまして、自国内の各州だけでなくて近隣諸国にも通報するという、そういうシステムをある意味では見習うべきではないでしょうか。その点について、いかがお考えでしょうか。     〔田中(慶)委員長代理退席、委員長着席〕
  21. 池田要

    池田政府委員 先生指摘のとおり、原子力施設事故発生しましたような場合、その拡大防止策が適切かつ迅速に講じられますとともに、事故に関する情報が迅速かつ的確に地元自治体それから関係機関に通報、連絡されることが重要と考えております。  今回の事故に際しましても、動燃から迅速かつ正確な通報、連絡が行われず、科学技術庁といたしましても、現地から迅速かつ正確な情報を入手する上で十分な体制ができていなかったことなどから、関係機関への連絡や住民への広報等の十分な対応が行われなかった次第でございます。  今後、科学技術庁といたしましても、動燃はもとより、原子力事業者が事故に際しまして正確な情報関係機関に対して迅速に連絡するように、指導徹底してまいりたいと考えております。  また、原子力施設におきまして放射性物質環境放出されるような事故発生しました場合におきまして、周辺住民への広報体制整備といった点につきましても、関係自治体の参加もいただいて開催しております原子力防災検討会などでの検討を踏まえまして、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  22. 江渡聡徳

    江渡委員 この広報体制の充実というのは、どうしても、国民方々あるいは地域の方々に理解を得るためには重要な点でありますので、なお一層充実をお願いしたいと思っております。  続きまして、いただきました中間報告によりますと、エクストルーダーへの廃液供給量の変更というものを行っております。いただきましたこの資料の参考資料でございますけれども、この二十一ページに、九七−M四六−一キャンペーン運転計画書というのがあるわけでございます。この運転計画書を作成し、このキャンペーンを実施したわけでありますけれども、このような計画を一課長が作成し実施していること自体、問題とも私は考えております。なぜ廃棄物の容量を少なくするための計画を立てなければならないのか、あるいはならなかったのか、疑問があるところであります。  そこで、アスファルト固化体の貯蔵能力について資料をいただきました。この資料によりますと、残り容量がドラム缶で一万四千五十本分、約七年間分の貯蔵量しかない、しかも貯蔵場においてプラスチック固化体とともに貯蔵されるというのが現状であります。となれば、そろそろ新規の貯蔵施設の計画を進めなければならないというふうに考えられるのではないでしょうか。特に、施設の建設においては、地元の県、自治体との調整というものが不可欠でありまして、そのためにも調整、そして建設、運用までの期間をできるだけ長くとりたいという考え方のもとで本キャンペーンを実施したとも考えることができるわけです。  となれば、総合的な観点から、このキャンペーンを行うことに対して、一課長の判断で実施したとは到底考えられません。もっと上の方の方々判断というものがあったと私は考えるわけでございます。この私の指摘に対しまして、動燃はいかがお考えなのでしょうか。並びに、キャンペーンを行うことを一課長の判断で行っていたことに対しての科学技術庁の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  23. 植松邦彦

    植松参考人 先生指摘のとおり、アスファルト固化体貯蔵庫の貯蔵能力は、あと一万四千本余りでございますので、もうあと七年間ぐらいの貯蔵能力しかない、したがってその次のことをぼつぼつ考えるべきではないかという御指摘でございます。  廃棄物管理の原則として我々が考えておりますのは、廃棄物発生元での発生量を少なくするということが一つ、それからまた、発生した廃棄物の減容化をするということ、それから、処分をにらんだ安定化、まあ固化ということですが、安定化をするということが基本の原則でございます。  そして、アスファルトの固化施設におきましても、そういう基本的な考え方の流れの中で、当該課長の裁量の中で、可能な限り廃棄物量を低減化するための試験を具体的に計画したものだというふうに聞いております。  なお、現在廃棄物の貯蔵能力につきましては、先ほど申し上げたとおりで、低放射性廃棄物処理技術開発施設の建設計画を進めておるところでございまして、これによって貯蔵の余裕度を確保していきたいというふうに考えております。  それから、運転計画書が課長一人の判断でつくられたのではないかという点でございますが、基本原則は、先ほど申し上げましたように、低減化するということがございます。そして、運転開始に先立って、保安規定に従いまして四半期ごとに運転計画というのを作成して、動燃内の再処理施設安全専門委員会審議を経て、再処理施設保安統括者というのがおりますが、それの承認を得ることにしております。  それは計画書でございまして、そのほかに、具体的な運転条件などはキャンペーン運転計画書というのが別途ございます。これについては、その運転計画に定められている範囲内で、これを所管する一課長が課長の決裁でやれるようにしてございます。  しかしながら、今回の事故が、原因究明の結果、キャンペーン運転計画書という一課長が決めたことが原因となっておるとすれば、キャンペーン運転計画書の作成、取り扱いに問題があったことになると思われますので、その点は今後ともよく注意をしてまいりたいと思っております。
  24. 池田要

    池田政府委員 動燃事業団の再処理施設の運転、保守などに関します重要事項につきましては、国が認可いたしますところの保安規定に基づいて、理事長が任命する保安統括者、この場合は副所長になるようでございますけれども、その諮問に応じまして、動燃事業団内に設置された再処理施設安全専門委員会において審議されることとなってございます。  しかしながら、このアスファルト固化処理施設の詳細な運転計画書につきましては、ただいまも御説明ございましたけれども、環境施設部の処理一課長の決裁で定められております。この再処理施設安全専門委員会におきましては、四半期にわたる廃液処理予定量といったことだけが審議されておりまして、具体的な運転条件等は審議されていなかった状況にございました。  今後の原因究明の過程におきまして、この運転計画書事故原因との関係がより明確になってまいりますれば、保安規定等に照らしまして、その作成、取り扱い等について厳正に検討する必要があると考えております。
  25. 江渡聡徳

    江渡委員 今お答えをいただいたわけでございますけれども、私自身としては、まだまだ納得できないところが多々ございます。しかし、まだ今のところ中間報告の段階でございますので、最終的な報告書が出ましてからその辺のところも検討させていただきたいと思っておるわけでございます。  時間ももう残り少ないわけでございまして、最後になりますけれども、電力供給量の三分の一を現在原子力で賄っているわけでございます。そういうことにかんがみまして、原子力安全教育徹底というものが最重要であると思っております。特に、国民考えと遊離している、そのように思われる原子力関係者に対しての安全に対する考え方の徹底というものをもっともっと図っていかなければならないと思っております。  この点に対して大臣はいかがお考えでしょうか。また、他省庁との連携のもとにおける原子力安全教育あり方について、科学技術庁のお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  26. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 原子力施設運転に当たっては、まず何といいましても、常に安全確保を第一としなければならないと私は思います。  そこで、先ほど来委員の質問を聞いておりまして、私は、今回のアスファルト固化施設の事故というものは、やはり「もんじゅ」の教訓というものが生かされていないのではないかというふうに率直に認めざるを得ないと思っているのは、特に今も局長から答弁ありました、運転計画を策定するに当たって、安全の確認というものが本当に安全規制上からも行われたかどうかという、私はそういった非常にわかり切ったようなことすら完全に行われたかどうかという疑問を持っております。  そういった意味で、これから安全確保に対しましては、動燃はもちろんでございますが、私たち指導監督官庁の科学技術庁としましても、今動燃改革検討委員会でいろいろ検討しておりますし、改める点があるならば本当に改めて、先ほども委員が御指摘のとおり、いろいろマニュアルその他たくさんあるわけであります。そういったものが現実的に行われるかどうかということを訓練しなければ、幾らそういったものを決めておっても、私は、いざというときに役に立たないのではないかというふうに思うのは、ちょっと長くなりますけれども、昭和五十七年ですか、せっかくあの火災実験をやっているんですね。何分間消火活動をやって、何分後にまた火がついて燃えるという実験をやっているわけですよ。このフィルムはあるわけですよ。そういうものを現場作業員に対して見せておけば、ある程度、現在、ああ、そうなのかなというのは単純にわかり切った話になるんじゃないかというふうに考えます。  やはり今御指摘のとおり、この原子力行政というのは国民の協力がなければ進めることができません。したがって、今回の教訓というものを、原点に立ち返って、そして初心に返って、そして日本の将来のためのエネルギー問題に対しまして、私どもは本当に徹底的に、反省の上に立って、これからも究明し、また国民に対して、不信感を取り除くため、最大限の努力をしてまいらなきゃならぬ、このように思います。
  27. 江渡聡徳

    江渡委員 時間になりました。大臣の指導力を発揮されまして、真に国民に理解され得るような科学技術行政を行うことを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  28. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 斉藤鉄夫君。
  29. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 新進党の斉藤鉄夫でございます。  まず最初に、資源エネルギー庁の方にお聞きいたします。  去る五月十三日火曜日、今週の火曜日ですが、午後、鹿児島県川内市を中心とする地域で、震度六の強い地震がございました。川内市には九州電力の原子力発電所がございます。原子力発電所のある地域で震度六の地震があったのは初めてではないかと思いますが、発電所地点の揺ればどの程度だったのか、建物の地震応答は設計値どおりだったか、また、運転に支障はなかったかについてお聞きいたします。
  30. 東郷洋一

    ○東郷説明員 五月十三日に発生しました鹿児島県薩摩地方を震源とする地震では、川内原子力発電所におきまして営業運転中でありました一、二号機とも地震による運転への影響はなく、通常どおり運転を継続しております。  ちなみに、この川内原子力発電所の自動停止の設定値は百六十ガルでございますが、南北五十八ガル、東西七十一ガルの測定結果となっております。  また、その後九州電力が行いました自主点検におきましても、異常ないことを確認しております。
  31. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 わかりました。  ちょうど地震当日の毎日新聞朝刊に、地震で核反応が急に進み、出力が急上昇する場合がある、したがって核燃料集合体の構造を改良するようにということで、資源エネルギー庁が電力会社に指導したと新聞にございます。地震で核反応が進むということは初めて得られた知見でしょうか。また、現在運転されている原子炉について設計をし直す必要があるのかどうか、その点についてお伺いします。
  32. 東郷洋一

    ○東郷説明員 原子力発電所は、敷地で想定される最大の地震動に対しましても安全機能を失わないように、十分な耐震設計がされております。  地震時の中性子束上昇事象につきましては、一部の沸騰水型原子炉発生する可能性があることが過去報告されておりました。これにつきましては、原子力発電所におきましては、何らかの理由により、こういったことも含めまして、中性子束が上昇した場合にも、地震強度とかかわりなく停止するように設計されておりまして、安全上の問題はございません。  ただ、今回の研究、これは電力が自主研究で行ったわけでございますが、電気事業者におきまして、中性子束の上昇による不要な原子炉停止を回避する観点から、自主的に対策の検討を進めてきたものでありまして、対象プラントにつきましては、今後とも実証を重ねた上で、平成十年度から順次対策を講じていくというふうに聞いております。
  33. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 新聞で、地震で核反応が進むというふうな報道がされますと、国民としては非常に不安になりますので、その点十分国民に対して、こういう措置をとっていく、安全であるということの周知徹底をお願いしたいと思います。  次に、動燃処理施設火災爆発事故中間報告について、ひとつお聞きいたします。  前回の委員会におきまして、私は次のような質問をいたしました。つまり、十時二十二分消火確認との虚偽報告が結果的に完全消火の行為の妨げになって、午後八時の爆発の遠因になったのではないか。つまり、十時二十二分消火確認したということが、実際されていないのに報告されたことによって、その後の消火確認の行為が完全でなくなって、それが爆発の遠因になったのではないかという質問に対しまして、植松参考人の方から次のような答弁がありました。「確かに、消火をしたという事実ができ上がってしまいましたものですから、それが十時間後の爆発につながる遠因になったのではないかというふうに私どもも勘案いたしております。」つまり、この虚偽報告が、虚偽報告をしたという、その報告上の問題点だけではなく、実際に爆発の遠因になったというふうに動燃は認識をしているというお答えでございましたが、今回の中間報告には、この点につきまして一行の記載もありませんけれども、これはどうしてでしょうか。
  34. 植松邦彦

    植松参考人 この前の先生の御質問に対して、私から、それが遠因になっておったんじゃないかと考えておるということを申し上げました。  確かに、十時十三分に消火報告があったということ、それから、虚偽であったことが後でわかりましたけれども、十時二十二分の消火報告があったということ、このことから、関係者の間には消火し終わったものだという意識が非常に強く残ってしまったということがありました。このことから爆発の危険予知ができなかった、これが遠因であるというふうに思って、私申し上げたところでございます。  ただ、一義的には、一分間の水噴霧では消火するはずがないんですが消火したと思い込んだことや、その火災爆発につながる可能性についてまで意識が回らなかったということが、事前に危険を防止できなかったことと考えております。  それから、中間報告の方でございますが、これは私の方で作成したわけではございませんが、よく読ませていただきますと、中に、爆発に先立って発生した火災との関連を踏まえて検討する必要があると書いていらっしゃいますし、今後、全体の事故調査の流れの中でいろいろと御検討いただけるものだというふうに思っております。
  35. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 非常に重要な点だと思います。虚偽報告自体が、原子力信頼性を損なうという意味で大変大きな問題であると同時に、これが実際の爆発の遠因になったとすれば、これも重要な問題でございますので、この点についていま一度調査を進めていただきたい、このように思います。  この動燃事故、そしてそれに対する動燃対応、今回の動燃問題ですけれども、これは二つの大きな影響を今もたらしていると私は思います。一つは、原子力行政が非常に不透明になった。これからの原子力行政、高速増殖炉、プルトニウムリサイクルという路線を基本的立場としてきた日本の原子力行政ですが、これが揺らいできたという影響。それからもう一つは、原子力関連のほかの基礎研究にも非常に風当たりが強くなってきている、影響が出てきている。この二点でございます。  その最初の点につきましては何度かこれまでも議論をさせていただきましたので、きょうは、この動燃の問題が引き起こした他の原子力関連の基礎研究への風当たりの問題について、特に核融合の問題について質問をさせていただきたい、議論させていただきたいと思います。  これは五月十五日の新聞報道ですけれども、日刊工業新聞ですが、「熱冷める熱核融合炉.ITER」という記事がございます。この中に、「「核融合より核燃料サイクルの確立」、「原子力開発の根本が揺らいでいるのにITERなんてとんでもない」、「高速増殖炉の技術でエネルギーが確保できる。ITERはその後」」、「原子力開発を推進する科学技術庁内はITER誘致よりも「もんじゅ」、「プルトニウム利用サイクル」の確立に必死だ。もんじゅアスファルト固化処理施設と相次ぐ事故影響を受けた核燃料サイクルの立て直しを優先する庁内の意見はITERに厳しく、核融合開発の苦悩は続く。」こういう記事が出ているわけですが、科学技術庁内の雰囲気というのはこういう雰囲気なのでしょうか。大臣、いかがでございましょうか。
  36. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 ITERにつきましては、現在、原子力委員会にITER計画懇談会を設置いたしまして、幅広い観点から調査審議を進めているところでございます。したがって、同懇談会におきまして、財政的な状況も十分踏まえまして今後の進め方を検討してまいる所存でございます。  最近の新聞等にも出ておりますとおり、ITERそれ自体の本部の方でも、実験の場所並びに実験に着手したいというようなことを三年ほど延ばしたいということが出ておりまして、私どもにもそれが入っておるわけであります。しかしながら、日本の将来というものを長く考えてみますと、やはり熱核融合エネルギーというものは、非常にクリーンなエネルギーになり得る、そういった十分な素質を持っているエネルギーでございますから、将来我が国にとっても、前向きにこれに取り組んでいくという姿勢は変えるべきではない、このように私は思っております。
  37. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 そうしますと、この新聞記事、つまり科学技術庁内で、とにかく「もんじゅ」やプルトニウムリサイクルの確立が先だ、ITERはもういい、こういうことを言う幹部がいるという記事がありますけれども、それは一部の意見であって、科学技術庁としてはそんなことは考えていない、こういうお答えというふうに理解してよろしいでしょうか。
  38. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 今現在の、事故並びにこれからどういうふうに改革するかという問題とこのITERの問題は、関連がないと言えばうそになるかもしれませんが、やはりこの問題はこの問題として、日本の将来、少資源国として見た場合に、今までも長年それに取り組んできたわけでありますから、今ここで何も中止するとかなんとかという必要性はなくて、将来に向かって前向きに進んでいくのが順当ではないか。したがって、現在の問題は現在の問題、将来の問題は将来の問題と割り切って考えて結構じゃないか、そう私は思っております。
  39. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 私も大臣のお考えに基本的に同感でございます。これまで積み上げてきた研究を一時的にでもストップすれば、それは将来に対して大変な禍根を残すことになりますので、その点については慎重にしなくてはいけないと思います。  また、自民党の中の財政構造改革会議の中で、「もんじゅ」やITERについては凍結だというふうな意見も出たやに聞いておりますが、それは結論ではないというふうに私は認識しておりますけれども、科学技術基本法を超党派でつくったその精神からしても、日本の将来のエネルギーの二本柱として、高速増殖炉、そして核融合というこの線は崩してはいけないのではないかというふうに認識する次第でございます。  その観点から、きょうは原子力研究所の理事長吉川允二先生に来ていただいておりますので、ちょっと核融合の研究の現状についてお伺いしたいと思います。  吉川理事長は、ITER理事会の共同議長ということで、このITER研究のトップでいらっしゃるわけですけれども、核融合研究の経緯と現状、世界と日本、どうなっているのか、わかりやすくお話しいただけますでしょうか。
  40. 吉川允二

    吉川参考人 それでは、世界の核融合の現状について御報告を申し上げたい、御説明申し上げたいと思います。  核融合研究は、一九五〇年ぐらいにさかのぼるわけでありまして、当時、アメリカ、英国、ソ連におきまして研究が始められました。一九五五年に、国際会議において、核融合エネルギーの利用の可能性指摘されたわけでありまして、それ以降、国際協力が非常に活発に行われて現在に至っておるわけであります。  私ども日本におきましては、ややおくれまして、一九六一年、昭和三十六年に、私ども原研それから名古屋大学におきまして、核融合研究開発が本格化したという経緯があるわけでございます。これまで、私ども原研あるいは大学におきまして、世界的にも新しい研究成果がたくさん上がってきておるわけでありまして、まさに世界をリードする国の一つというふうになっているところでございます。  特に、その一つの例として原研における成果を申し上げますと、JT60という、アメリカのTFTR、それからヨーロッパのJETと並ぶ三大トカマクという施設がございます。ここにおきましては、大型のコイル、磁石でありますが、その技術とか、あるいは超高真空技術とか、大電流、大型の電源の制御技術とか、将来の核融合炉につながる技術が着実に開発されたわけでございます。  また、昨年、平成八年には、臨界プラズマ条件という条件が科学的に達成されたわけであります。これは将来の核融合炉で達成すべき条件の一歩手前であります。炉心の超高温をつくるのに必要だった入力エネルギーと、それから核融合反応で出てくるエネルギーが等しい、そういうプラズマの条件、これが臨界プラズマ条件でありますが、それを達成するということで、世界最高水準の成果が記録として得られております。  科学的内容に関しましても、今世界の大型装置が競って実験を行っているような運転の方式、これは、将来ITERなり、将来の核融合炉で有力な方法になるのではないかというふうに期待している方式も私どもが考案したということもあります。  核融合の分野におきましては、申し上げましたように、原研、大学が長い間協力して、連携して進めてまいりました。外国との非常に密接な協力とともに熾烈なる競争を行ってきた、それが核融合のこれまでの非常に目覚ましい進展の原動力であったというふうに思っております。核融合の進展は半導体の集積度の進歩よりも速いというふうに言われておるわけでありまして、今後とも、国内、国外の英知を集めて核融合炉の実現を図っていきたいというふうに思っているわけでございます。  以上でございます。
  41. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 入力したエネルギーと同等の出力エネルギーが出るところまで来たということだと思います。  そういう中で、この国際熱核融合炉、ITER、一兆円を超える建設費がかかるとも言われておりますが、この国際熱核融合炉の研究上の意味と、それを実際につくることの意味、核融合炉を実現するための意味、こういうふうなITERの意味についてお伺いします。
  42. 吉川允二

    吉川参考人 核融合は、御承知のように、いろいろ原理的にすぐれている点があり、人類にとりまして恒久的なエネルギーとなり得るものであります。一方、御承知のように、これは非常な超高温が必要であり、その超高温の、プラズマと呼んでおりますが、それを閉じ込めたり、それを制御したり、それに必要ないろいろな工学技術というものの開発を必要とするわけであります。ということで、これは国の政策であり、私どももそう思っておりますが、これは段階的に研究開発を進める必要がある。そのためにチェック・アンド・レビューを行って進めていくべき、そういう性質のものであろうかというふうに思っております。  具体的に申し上げますと、先ほど申しましたJT60のような大型の実験装置における科学的実証、それに次いで実験炉、ITERもそうでありますけれども、実験炉における工学的実証、それに続きまして、実際のエネルギーを取り出します原型炉の開発に進む、そういう段階が考えられておるわけであります。  ITERでは、重水素と三重水素、トリチウムとも言いますが、それの混合ガスを高温に上げて核融合反応を実際に起こすわけであります。それで、いろんな特性試験を起こすわけであります。それが私どもの日本の原子力委員会が規定しておられます実験炉として位置づけられるというのが、国の開発計画における位置づけになっておるわけであります。  さらに、ITERにおきましては、大型の強い磁場を出すような超電導磁石の技術とか、プラズマの加熱に使います非常に強力な粒子ビームの技術とか、放射線が強いところで使えるような遠隔操作のロボット技術、そういういろんな先端技術の開発も行いますし、その全体を運転する知見なり、あるいはノウハウなり、あるいは安全性に必要ないろいろな知見なり、全体システムとしての運用における経験など、実際、非常に重要なデータが得られるわけであります。  こういう段階的な開発について、ITERのような実験炉の開発によって次の段階に初めて進めるわけであり、ITERの建設を実際に行って、そこから知見を得るということが不可欠なステップであるというふうに考えております。  以上でございます。
  43. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 ITERの建設の意味について、わかりました。  その建設が、本来であれば来年の七月までに工学設計活動を終えて建設に着手をするということであったわけですが、三年程度延期されたという新聞報道がございます。その理由についてお伺いします。
  44. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 工学設計研究、来年の七月まで予定されておりまして、それまでに建設するかどうかを各極で決めよう、そういうスケジュールであったわけでございますが、ヨーロッパを含めて、アメリカ、ロシアとも、やはり今の段階で建設というものを決めるという状況にない。  それからもう一点、これは政府間の協定を結んで活動しているわけでございますが、来年七月までの協定の期間を例えば一年ずつずらす、そういうようなことをしますと、それぞれの国でそれぞれの内部のプロセスがございまして、特にアメリカとかロシアは一年ずつ延ばすというのはやめたい、そういうようなことで、延ばすのはなるべく一回で済むようにということで三年間ということだろうと思っております。  理由としましては、そのようにまだ少し時期に至っていない、そういうことと、何度も延ばすよりは一度にある程度延ばして、その間しっかりやろう、そういうことで三年ということになったのだろうと考えております。  なお、これにつきましては、まだ中間的なあれでございまして、正式には、来年、政府間のきちっとした書簡交換とか、そういう格好によって延期されるときに正式に決まるということでございます。
  45. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 当初は、アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、日本、四極と言われておりますが、四極とも、ロシアはちょっと違うのかもしれませんが、建設地にぜひ我が国をということで積極的だったというふうなことを聞いております。先ほどのお話を聞きますと、どこも、やはりうちは厳しいというふうな感じにだんだんなってきたのかなと思いますけれども、各極の、建設誘致に向けたといいましょうか、建設についての考え方について、どのようになっておりますでしょうか。
  46. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 御指摘のように、アメリカとロシアにつきましては主要な役割はなかなか果たせない、日本とかヨーロッパに期待しているということでございますが、ヨーロッパの方では核融合を将来のエネルギー源の選択肢として重要視しておりまして、とりあえず、ITERをEU、ヨーロッパの域内に立地することを目指しまして、いろいろな検討をしております。また、カナダに置くというようなことにつきましても、ヨーロッパでは検討をされているようでございます。  なお、ヨーロッパでは現在、一九九八年、来年から二〇〇二年までの研究計画であります第五次研究開発フレームワーク、これはEUの研究開発計画でございますが、そういうものを策定中でございますが、その中で核融合は最重要課題として位置づけております。そして、ITERの建設につきましては、そのフレームワークの後半、すなわち二〇〇一年ごろになれば建設についての判断が可能だろう、こういうようなことを言っております。  アメリカにつきましては、今申しましたように、国際協力によって核融合をやっていこうということでございますが、イニシアチブはヨーロッパとか日本がとることを期待しているということでございます。  以上でございます。
  47. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 各国がヘジテートを始めた今の時期というのは、日本が手を挙げればぱっと日本に来るのではないか、ある意味ではチャンスとも考えられますので、私は、一つの選択肢として科技庁で論議をされる必要があるかと思います。それについては、また後ほど大臣にお聞きいたしますけれども。  核融合について、研究者としての吉川理事長にお伺いするのですが、本当に核融合でエネルギーが得られるようになるのだろうかという素朴な疑問が国民の間にございます。研究者の遊びなんじゃないかというふうな指摘もございます。その点についての研究者としての理事長のお考えと、本当にそれで電気をつくって、我々が生活に利用するのはいつごろになるのか、お考えをお聞かせ願えればと思います。
  48. 吉川允二

    吉川参考人 まず、ITERレベルの研究について申し上げますと、私は非常に強い確信を持っております。つまり、皆様のお聞きになりたいと思われることは、まず炉心をつくることができるのかという御質問であろうかと思います。ただ、炉心温度何億度というものをつくる技術に関しましては、私どもは既に大体四、五けたの進歩を遂げてきたわけであります。JT60をつくるときには一気に三けた性能を向上させたわけでありますが、現在のJT60とITERとの差は一けたでありますので、炉心ができてエネルギーが出ることに関しては、私は非常に強い自信を持っているところであります。  それからもう一つは、必要な工学技術でありますが、これはITERの工学設計の中で必要に応じて、必要なものは実機大でやるし、必要でないものは三分の一とか五分の一と小さくやっておりますけれども、とにかくそれを確認して、できるということを確認してからつくるわけでありますから、ITERレベルの実証、つまり工学的にエネルギーを取り出すことができるということの実証に関しては、強い自信を持っているというふうに申し上げたいと思います。  それ以降、これが人類のいわば究極の長期的なエネルギーになるかということになりますと、やはりどうしても、経済性を含んだ、あるいは運転しやすさを含めたような、よりレベルの高い判断基準が入ってくると思います。それに関しましては、私は、ITERと並行しながら、あるいはそれに続く形で、経済性を高めるような技術開発あるいは科学的な研究を行って、それ以降の原型炉あるいはそれ以上の実証炉の段階で、経済的にもコンペティティブ、競争力のあるようなエネルギーに仕上げていくことができるというふうに思っております。  具体的な科学的研究に関しましても、並行して進めております研究で、年々、高い、さらによりいい成績が生まれてきておりますので、五十年先を眺めて、絶対確実ということは申し上げられないかと思いますけれども、非常に強い信頼性を持って将来の核融合炉の実現ができるというふうに私は思っております。
  49. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 続けて努力をしていくということが大事なのではないかと思います。  今の原子力発電所の設計、建設の現場ではどういうことが起きているかといいますと、実際は発電所の発注がない、技術者は、遊んで給料をもちうわけにいきませんので、ほかの仕事にどんどん回っている。日本がこれまで培ってきた原子力発電所の設計、建設の技術が今どんどんなくなってきている。将来の日本のエネルギー情勢を考えれば、徹底した省エネと新エネルギーの開発を行ったとしても、やはり原子力に頼らざるを得ないのは必然でございました。そういう意味では、現場では大変なことが起きている。そういう意味で、これまで培ってきたプルトニウムリサイクルの研究それから核融合の研究、もちろん徹底した情報公開と自主、民主、公開、その基本ラインに沿っての原子力開発であるのは当然ですけれども、一時的な感情でこの優秀な技術、培ってきた技術を途絶えさすことがあってはいけない、このように感じております。  今の御議論をお聞きになって、大臣、これからのプルトニウムリサイクルの研究、そして核融合の研究についてどのような御決意を持っていちつしゃいますでしょうか、最後にお聞きいたします。
  50. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 今現在、政府の財政構造改革会議におきましていろいろ、去る四月十五日もその企画委員会で、私もその席上におきまして、何といっても今財政構造改革というのは政府にとっても最大の課題でもございますし、したがって、聖域を設けないで見直していただくことは結構だというようなことは申し上げてはきております。しかし、今も斉藤委員指摘のとおり、私は、これから原子力委員会の懇談会の意見というものを、十分に討議を踏まえたその意見を尊重しながら、やはり将来の日本のエネルギーのためにその計画等を進めていく必要があるのではないか。  そこで、原子力のリサイクル問題につきましても、過般原子力委員会を開きまして、私、各委員意見を聞いてみました。どうしても日本の場合は、三割も占めるこの現況を見まして、リサイクルの原子力利用というのは今まで同様に進めるべきだという全員の意見の再確認をさせていただいたところでございます。そういった意味で、私どもも、この問題は日本の将来のために、この中の意見を聞きながら進めていく必要があるというふうに、くどいようでございますが、変わりないお答えをさせていただきたいと思います。
  51. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 終わります。
  52. 佐藤敬夫

  53. 田中慶秋

    田中(慶)委員 新進党の田中慶秋です。  私は、原子力の平和利用、さらには日本のエネルギーの自給という観点考えたときに、原子力の政策は資源のない日本にとって大変重要である政策、こんなふうに考えているわけであります。  しかし、この政策に求められているものはより確かな安全性の確保であるにもかかわらず、「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故や先般の東海事業所における火災爆発事故といった、国民の生活を脅かしかねない重大な事故が立て続けに起こったことは全く遺憾だろうと思っております。  それにもまして、総理自身動燃という言葉も聞きたくないとまでおっしゃったようでありますけれども、こういう言葉を行政のトップの人間が述べられるということは甚だ無責任じゃないかな、私はそんなふうに考えて、本来ならばその真意を総理自身からこの場で聞きたかったわけでありますが、残念なことに、総理、この委員会に御出席できないということでありますので、このことは具体的に御指摘を申し上げておきます。  かつまた、科学技術庁長官も、科学技術庁原子力に振り回されている、こんなことを嘆いているようでありますけれども、科学技術庁というのは日本の根幹をなす大変重要な仕事をされているわけでありますし、科学技術全般にわたっての総合的な監督という立場もあろうかと思います。この一連の問題というものは、少なくともその責任というものを十分長官自身が受けとめて、このような言葉が報道されるようなことであっては、原子力あるいは科学技術に対する国民の不安というものが募るわけでありますから、これらについて長官の真意を明確にしていただきたいと思います。
  54. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 原子力を含めたエネルギーの問題は、資源小国である我が国にとりまして、国の存亡にかかわる、内閣を挙げて取り組むべき最重要課題であると認識をいたしております。特に原子力の問題は、立地地域だけの問題ではなくて、国民一人一人が自分の問題としてとらえ、今後のエネルギーの確保にどう取り組んでいくか、関心を持ってもらうような状況を構築していくことが非常に重要だと認識いたしております。  動燃における一連の事故及び不適切な対応は、地域住民を初め国民の間に原子力に対する大変な不安、不信を与えてしまったことは、原子力行政を預かる者として大変重く受けとめておりますし、私みずから先頭に立ってこの問題の解決に全力を尽くさなければならない、このように覚悟いたしております。  そのためには、政府が一体となった取り組みも不可欠でありますし、私は、閣僚懇談会あるいは総合エネルギー対策推進閣僚会議を初め、機会あるごとに、エネルギー問題については政府が一体となって取り組むことが不可欠であるということを強く主張もしてまいりました。  また、先般の原子力委員会におきましても、我が国の置かれている資源的な制約や、あるいは地球環境観点から、原子力発電及びこれを支える核燃料サイクルの円滑な展開は今後とも重要であることが再確認されたわけであります。  今後とも、原子力に対する国民信頼を回復するため、積極的な情報公開のもとに、まず事故原因徹底的な究明と万全の再発防止対策を講じながら、動燃体質及び組織体制について抜本的な改革を図ることはもちろんでございますし、また、核燃料サイクルの意義、経済性、安全性について地元との一層の対話の促進等に全力で取り組んでまいりたいと思います。  今先生指摘の、私の発言で不適当な点がありましたならば、深くおわび申し上げて、取り消させていただきたいと思います。
  55. 田中慶秋

    田中(慶)委員 何といっても、この原子力政策を推進するためには、当然国民の理解と協力がなければいけないわけであります。しかし、動燃の今回の火災爆発事故あるいは新型転換炉「ふげん」での放射能漏れの通報のおくれ等々は、組織の形態をなしてない、まして一番大切にしなければいけない危機管理という問題について、私は、動燃もさることながら、科学技術庁として危機管理というものに対しての考え方が軽薄であったのではないか、こんなふうに思われて仕方ないわけであります。  この危機管理について、どのように受けとめ、これからどのようにしていくのか、動燃及び科学技術庁の見解を明らかにしていただきたいと思います。
  56. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 御指摘のように、危機管理の問題は、組織的問題、それから実際の対応の問題を含んでおりまして、動燃の今回の対応は非常にまずかった点があったわけでございます。科技庁につきましても同様な点があったかと思いますが、まず動燃の問題につきましては、動燃事業団を抜本的に改革する、そういう中で危機管理の問題も対応していきたいと考えております。  現在、科技庁長官のもとに動燃改革検討委員会というものを開いておりますが、その中でも、第三者的チェックを行っていただきながら、危機管理体制がどうあるべきかということについても御議論いただき、まとめていただきたいと考えております。科技庁の問題につきましては、その改革検討委員会で、動燃事業団監督するという立場科技庁に対しましても御意見があるかと思いますが、科技庁自身危機管理につきましても、先般、二十四時間連絡通報体制整備するとか、それ以外に現地に人を常駐させるとか、諸般の施策を打っているところでございます。  いずれにせよ、七月末には改革検討委員会の結論をいただくわけでございますので、そういうものを踏まえながら適切に対応してまいりたいと考えている次第でございます。
  57. 中野啓昌

    中野参考人 動燃としての危機管理に対する取り組みについて、お答え申し上げたいと思います。  先生指摘のように「もんじゅ」以降、私どもこの危機管理について取り組んできておりましたが、その取り組みの最中にとでも申しましょうか、途中に、今回アスファルト事故を起こしてしまったわけでございます。  「もんじゅ」の事故反省いたしまして、私ども事業団の中で自己改革推進運動というものを始め、その中で危機管理意識の徹底という運動を進めてまいりました。今年に入りまして、その具体策もつくりまして、各事業所の末端に至るまでそれを浸透させつつ運動を展開していこうとしておったところでございます。今後も、それにつきましては続けていきたいというふうに思っております。  また、具体的には、私どものいわゆる保安教育とかそういったものの一つに、危機管理教育という講座を昨年来つくっておりまして、現在のところ、特に管理職者を対象に教育いたしておりますが、今後は第一線の人たちにも聞いていただけるような講座を持って、こうした運動を展開していきたいと思っておるところでございます。
  58. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私ども、現地調査を初めとして、この爆発事故について委員会として動燃に対してのいろいろな質問もさせていただきました。そのときの動燃姿勢やあるいはまた初期消火の問題等々含めて、具体的なマニュアルあるいは現場教育徹底、そして職員そのものが外注職員が多い等々がわかって、特にこういう問題についてはより安全教育徹底をしなければいけない、こんなことを指摘をしたわけでありますけれども、現実には、あのとき私どもに御報告された回答、答弁と現況とは全く違っていた部分もたくさん出てきているわけであります。  こういうことを含めて、まずみずからがそういう問題について反省をしていただきたい、このように考えておりますし、特にこれまで動燃を初めとして、この研究に約三兆円もかかっているわけであります。この血税をむだにしないためにも、動燃改革もさることながら、科学技術庁みずからが動燃改革する、その前に、私は、その担当部署である科学技術庁の責任、もう少し言うならば、科学技術庁そのものが自己改革をする必要があるだろう、こんなふうに考えているわけでありますけれども、その見解をお伺いしたいと思います。
  59. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 今回の動燃事故につきまして、科技庁としてもその責任がございました。したがいまして、今の御指摘、深く受けとめておる次第でございまして、先ほど申しましたように、とりあえず緊急時の問題等、当面できることにつきましては既に実施しておりますし、順次進めます。  それからさらに、動燃事業団監督との関係におきましては、先ほど申しましたように、動燃改革検討委員会におきましても、科技庁の問題につきましても御意見をいただけるということでございますので、そういうものをいただきながら、直すべきところは直していくということで努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  60. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今まで過去に行政側がこのような事故を起こしても、責任をとった例は何もない。ですから今回も、このような事故を起こしていてもその責任というものを明確にされていない。  ましてや、この科学技術庁動燃を告発し、そして告発したそのこと自体が科学技術庁への批判を、ある面では動燃を告発することによって避ける、こんなことまで言われているのです。ですから私は、親が子供を告発するようなやり方、こういうことは決してその責任を科学技術庁がとったということにはならぬと思います。ある面では、もっとみずからの責任を明確にして、科学技術庁動燃を告発するならば、自分たちの責任も具体的にしてやることが、国民行政全般に対する信頼の受けとめになっていくのではないかな。ところが、みずからの責任は何もとってないで動燃の人間だけを告発するというのは、私は納得いかない、こんなふうに思うのですけれども、その辺をどう受けとめているのですか。
  61. 池田要

    池田政府委員 今般の事故関連しまして、科学技術庁がどのようにその責任を認識しているかという点でございますけれども、まず冒頭に、先生から今御指摘がございました告発という点でございますけれども、この点につきましては、動燃事業団から事故の十日後に提出されました法令に基づきます報告書の中に虚偽の記載があったわけでございます。こうした事実がございますと、これは法律上、私どもこういう虚偽報告があった場合には告発をしなければいけないといったことでございまして、これはむしろ、私ども原子炉規制法を所管します立場から義務としてさせていただいた次第でございます。科学技術庁といたしましては、別途に動燃事業団法によりましてこの法人を監督するという関係はございますけれども、むしろ、原子炉規制法上の規定によりまして義務としてとった措置であるという点は御理解いただきたいと思います。  また、今般のこの中間的な取りまとめをいたしました報告書におきましても、私ども科学技術庁につきましては、この事故に至りました過程で、その運転管理につきまして、現場においての事細かな監視あるいは指導といった点で必ずしも十分ではなかった。また、事故が起こりました後でも、迅速かつ正確な状況の把握といった点におきましても、私ども十分に行えなかった点があった、おくれをとったといった点につきましても、正直に報告書にも記載していただきましたし、この点につきましては、科学技術庁としての反省につきましても明らかにさせていただいた次第でございます。  こういった点につきましては、今後の改善措置等につきましても報告書に書かせていただいておりますけれども、この事故原因調査の過程におきまして、より具体的にその原因が明らかになりますと、先ほどもございましたような、原因に即して役所自身がどうあるべきだったのか、事業団に対しましてもどういう規制をすべきだったかといった点につきましても明らかにできると考えておりますから、先生指摘の点については、むしろ現在よりも明確にお答えできる点もあろうかと思っています。  ただし、これまでに科学技術庁自身がその責任を明らかにしていないんじゃないかといった点につきましては、今回の事故対応につきましては、科学技術庁の中におきまして、大臣御自身もそういうけじめをつける措置をとっておりますし、私ども自身監督するという立場から処分をいただいておりますし、こうした措置につきましては大変厳しく受けとめているといったことにつきましてもぜひ御理解をいただきたいと思っております。
  62. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私はなぜそういうことを申し上げるかというと、日本の感覚として、今日まで原子力エネルギーというものと原爆というものと、原爆は世界の中の唯一の被害者なんです、そんなことを考えて、リンクされてそれぞれ国民の中に理解されるととんでもないことになってしまう。そういう点では危機管理マニュアルというものを一なぜあのとき、例えば局長もいたと思いますよ、消火が一分でできた、こういうことを報告されて本当に消えたのか、過去に実験をされていたことを全然しないで、そして、その一分の報告で、それを受けとめて、消えたという、こんなことをまともに受けとめること自体が私はおかしいと思うのです。そういう一連のことを含めて、やはり科学技術庁として、原子力行政を預かる立場なんですから、全部そういうことをチェックをしておく必要があるわけであります。  例えば、新しいトライアルをするときに、すべてそういうものがチェックをされて、動燃にこのことをすべてお任せをするにしても、監督庁としてそういうものをチェックをされて、万が一あってはいけないことを想定しながら、そういう問題はマニュアルとして、問答として当然やるべきである。そのことをしないでいて、現実に今度こういう問題が出てきたからといって原子炉規制法に基づく告発だけをすればいい、こんな問題ではないと思う。  ですから、私はそのことを指摘をしているんです。ただ法律にあるから指摘をして告発をすればいい、そんなものではない。やはりこれから私たちはまた新しいエネルギーを求めて、原子力エネルギーというものを大切にしていかなきゃいけない、そしてこれからもずっと続けていっていただくためにも、そういうことを監督官庁としてやっていただかなければ、やはり国民の中の不信というものは解けていかないだろう、こんなことを考えているから申し上げているんです。ですから、そのための、責任なりそういうことを含めてどう考えているかということを申し上げているんですから、もう一度答弁してください。
  63. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 そういう安全規制上の責任、それから事業団の監督をする立場の責任といろいろございますが、先生指摘のように、原子力開発というのは日本の将来にとって非常に重要なものでございます。したがいまして、核燃料サイクル事業を推進しまして日本のエネルギー問題の解決の一助とする、そういうことをすることも非常に大きな我々の責任だと思っております。もちろん、そのためには国民信頼を得なければいけない。そのためには、今回の一連の事故で非常に我々の信用も地に落ちているわけでございますけれども、さまざまな手段を講じながら、地道にそういう信頼の回復のためにも努力してまいりたいと考えている次第でございます。
  64. 田中慶秋

    田中(慶)委員 ぜひこれからもその努力をしていただきたい。少なくとも今の日本の現状で、私たちの日常生活の中で、原子力エネルギーなくしての生活は考えられないわけであります。そんなことを考えるときに、やはり国民に理解をされるエネルギー政策として、その安全性やあらゆることを国民にもっとわかりやすく身近な政策としてぜひこれからも努力をしていただきたいと思っております。  特に、動燃について、この一連の中で虚偽報告をしたり隠ぺい工作をしたり、まして組織ぐるみでしたということは絶対に許されない、こんなふうに思っております。今までもこの委員会で何回となくお話も出たと思いますが、少なくともこの委員会にうその報告をする、国会にうその報告をしているということは、委員会軽視であり、国会軽視、こんなことを言われても過言ではないと思うのです。そのことをどのように受けとめ、そして反省を生かして今後どう取り組んでいかれるのか、理事長初め動燃関係者、皆さん方にお答えをいただきたいと思います。
  65. 近藤俊幸

    近藤参考人 お答えします。  御指摘のように、一昨年の「もんじゅ事故以来、私は、安全に徹する動燃、開かれた動燃地元重視の動燃、これを目指して信頼の回復に努力してきましたけれども、その途上で、東海事業所火災爆発事故、それからまた「ふげん」発電所の重水漏れ、またその後の不適切な情報伝達、こういうことを起こしまして、まことにざんきにたえません。私みずから経営改革本部をつくり、その長となって、今問題点の徹底的な洗い出し及び抜本的な経営改革を行うということで全力を挙げて取り組んでいる次第でございます。  そこで、やはり動燃の一番体質的なもの、これが、まことに申しわけございませんがおくれております。情報を、できるだけ事故を小さく見せるとか、できれば外に言いたくないとか、そういった傾向、そういう動きというのは、私がかつて身を置いた電力会社にもかつてはございました。ところが、電力会社は、その後幾多のトラブルを経て、時代の流れ、社会の要請に適応するようになっております。残念なことに、動燃はまだそういった古い体質を引きずっているというのが実態でございます。それは、動燃の本来的に持っています、技術集団としてどうしても持っている閉鎖的な体質の上に加えまして、やはり生の社会に接触する機会が非常に少ないという性格もあろうかと思います。  しかし、この機会にぜひともその体質を直し、ぜひ皆さんに理解していただく透明性の高い事業体につくり上げていくということで全力を挙げて取り組みますので、よろしく御指導のほどお願いいたします。
  66. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 動燃事業団でもみずからそのような努力をされるわけでございますが、科学技術庁といたしましても、現在、改革検討委員会に産業医といいますか、医者と申しますか、心理面にも強い先生に入っていただいております。そういう先生意見もいただきながら、その体質の改善に努めてまいりたいと考えている次第でございます。
  67. 田中慶秋

    田中(慶)委員 ちゃんと答えてほしい。私はそんなことを申し上げたんじゃないんです。要するに、委員会軽視、国会軽視というものを科学技術庁はどう考えているかということを申し上げているんです。ちゃんと質問に答えなければだめだ。  少なくとも、技術屋集団であることも事実、そして三万本もやったからなれということも事実、そういうものからこういうものが発生しているわけです。理事長はかわったばかりで大変努力をされている、しかし科学技術庁にその努力の姿が見えないから私は言っているわけです。この委員会、国会軽視というものを謙虚に受けとめながら、ちゃんと質問に答えるようなことをしないとだめじゃないですか。もう一回答えてください。
  68. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 もう一度お答えさせていただきます。  今回のこの虚偽報告をするような、そういうようなことは決してあってはならないわけでございますので、科技庁といたしましても、そのように十分指導してまいりたいと考える次第でございます。
  69. 池田要

    池田政府委員 先ほど先生から御指摘虚偽報告があったといった点は、むしろ原子炉規制法に基づきます報告関連しますことでございますから、規制立場からも御説明させていただきます。  今回のような規制法に基づきます報告の中に虚偽の記載があったといったことは、大変私ども残念に思っております。今般、東海の事業所におきましてこの事故発生しました際には、私ども、「もんじゅ」の経験がまず念頭にございました。そうした意味では、現状の事故のありようにつきましての報告も、責任者から速やかに正確なものが届けられるという前提でおりましたし、かつ、その後の情報の伝達につきましても、その中に誤りでございますとか虚偽、そういったものがあってはならないと考えておりました。しかるに、今回の火災を発見し消火をし、それを火が消えたと確認したくだりの非常に明らかなところで偽りがあったといったことは、大変残念に思っておりますし、関係者の注意深い措置があったと思っておりましたところ、私どもに提出されました正式の報告書の中にもそれが偽りのまま残ったといったことにつきましては、大変私ども重く受けとめてございます。  そうした意味で、先ほど先生からも御指摘ございましたように、規制法上の措置としまして、関係者の告発、それからこういった事態を防ぎ得なかったということで、事業団自身も告発の対象にさせていただきました。  こういったことにつきましては、私ども規制法を預かる立場からいたしましても大変残念なことでございますし、これがひいては、この委員会におきます私どもの事情の説明、それから先生方の御質問に対するお答えにつきましてもそういう偽りがあったといったことにつきましても、大変私ども深く重く受けとめておりますし、二度とあってはならないことと思っております。
  70. 田中慶秋

    田中(慶)委員 時間も参りましたけれども、この科学技術委員会のメンバーの人たちというのは科学技術に対する大変な理解者なんです。非常に前向きなんです。ところが、皆さんから出てくるのは、次々と、ぼろぼろとうそが報告をされたり、  いろいろなことがあってはいけないし、まして、これから二十一世紀、より豊かさを享受するということで、やはりエネルギーというのは欠かすことができないわけですから、そのことをみんな憂いながら、この問題に関心を持っているわけです。ですから、真剣にこういう問題に対している。その答えに重みも持ってやっていただきたい。最後に長官の考え方をお伺いします。
  71. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 今回の処理の仕方、あるいはまた、今も御指摘ありましたとおり、第一回目にああいった火災発生して消火したというのが、ああいう動作で消火したと思うこと自体が、やはり科学技術庁指導監督の点においてしっかり実践的にそういったものを察知できなかった責任といいますか、そういったふうなことに対しては、これからもやはり一体となって現場の方と、そういった問題に対する日ごろの訓練といいますか、そういうものを今回の改革検討委員会で、動燃と同様に私ども役所自体の、そういったようなものを告発しなくても済むような、やはりこの事故報告だ何だのが処理できるという実践的な体制というものをこの機会に確立する必要があるということで、非常に責任を痛感いたしております。
  72. 田中慶秋

    田中(慶)委員 終わります。
  73. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 辻一彦君。
  74. 辻一彦

    ○辻(一)委員 きょうは、前回に続いて動燃東海の再処理工場の爆発事故の問題でしばらく質問したいと思います。  いろいろな事実がだんだんと明らかになって、実態はかなり解明されつつあると思います。我々が調査に行ったとき等は、新しい実験をやっているというようなことはそのとき聞くことができなかったのですね。  新しい実験をやるときに非常に大事なことは、私は昭和六十二年に旧ソ連のチェルノブイリ、現地の原発を見てきましたが、あのときに、制御棒を引き抜いて、そして実験をやった。自動車でいうとブレーキを外してアクセルを踏んだようなもので、発車とともに暴走したということになったわけです。これはとんでもないことですが、新しい実験等をやるときには非常な細心の注意が要る。  ところが、もう既に明らかなように、当初の運転計画のそういう変更のときにも十分な検討がされていないという第一出発点に問題がありますね。それから、出されている報告書の資料を見ると、三月八日に、明らかにアラームが百九十度を超えて鳴っているのですね。それから、三日間ほど非常な変化がある。そうなったときに、なぜもっと注意をして対応できなかったか、こういう問題があります。  そこで、まず私は、三月の九日、十日、十一日の朝会における、いわゆる参考資料がありますが、皆さんにも差し上げてありますが、これを見ると、異常のあった場合には朝全部口頭で報告する、こういうように書いてあるのです。三月九日、十日、十一日の朝会における報告事項は動燃職員のスタッフにどうなされたかということで、十日、十一日は報告が来ていますが、九日の朝は報告がないのです。九日の朝にどういう報告があったのか、簡潔でいいからちょっとお伺いしたい。
  75. 中野啓昌

    中野参考人 私、今手持ちの資料で申し上げますと、九日は休みでございましたので、十日の日に七、八、九とまとめて朝会で報告させていただいております。
  76. 辻一彦

    ○辻(一)委員 そこに配付したように温度表の変化がありますが、これを見ると、三月八日の、これは時間では朝方になりますか、百九十度の温度高のアラームが、警報が鳴っておるのですね。そうして、これを見ると、随分と、百八十度を超えてはならないというか、アスファルトは百八十度以下に温度を保たなければいかぬとなっている、その百八十度をこれは皆超えておるのですね。非常な変化が起きている、温度の面を見ても。  そういうふうな状況が、なぜ九日の朝にきちっと異常として報告をされていないのか。どんな報告があったのか。三日間まとめて報告したというけれども、その報告の中身を見ると、十日の朝、七、八、九の三日間は、これまでもこのようなことがあったから現状の運転状態を継続し、様子を見ることにした、こう報告されておりますが、これは前の日には温度高のアラームが鳴って、しかもこの一覧表を見ると百八十度というところを随分温度が上下をしている。これは明らかに異常が起きておるのですよ。それを三日間まとめてこんな状況報告して、事態に全然合っていない。どういう報告をしたのか明らかにしてほしい。
  77. 中野啓昌

    中野参考人 先生お配りいただきました資料にもございますように、七日は金曜日でございまして、八、九と土、日となっております。したがいまして、土曜の朝にはその前の日の報告があるわけでございますが、金曜日以降についてはまとめて十日の日になされたわけでございます。  今先生、百八十度近辺を超しているがという御質問でございましたが、先生のお配りいただきました資料にもございますように、百九十度が設定アラームでございまして、また先ほど先生がおっしゃいましたように、その百九十度を一度超えたということでアラームが発報したというのも先生の資料にございますとおりでございます。  こういうことで、百九十度の設定を超したものですから、十日の朝、先生おっしゃいましたように、こういった状況があったという報告がございまして、処理一課長は、こういうことについては過去にもあったようでございますので、ちょっと様子を見ようということで処理をいたしたようでございます。先生の御指摘のとおりでございます。
  78. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ちょっと様子を見るような状況じゃないのじゃないですか。  この「参考三」というプリント、これは科技庁の五月八日の報告書ですね。これを見ると、温度が上がったが、冷やしたけれども冷えないということ、それから、普通はかた目のが出るのが普通なんですが、それがみんなやわらかくなって、下品だけれども下痢状に飛び散るような状況になっている。それから、ドラム缶に詰めるのに、八五%詰めて、あと一五%を残して二回に詰めているのだけれども、普通は十分か十五分ぐらい二回目を詰めるのにかかるのが、もう五分ぐらいでいっぱいになってしまって、ほとんど入らなかった、こういうふうに報告されておるのですね、聞き取りの中で。  こんな状況がずっと続いているのに、様子をしばらく見ましようというような事態ではないと私は思う。この間の答弁のように、専門で十何年もやっているのがいるのなら、目は節穴かと言わざるを得ないわけですね。何をやっていたかということをちょっと聞かせてほしい。簡単で結構です。
  79. 中野啓昌

    中野参考人 先生指摘の、お配りいただきました資料に、確かに八五%充てんから一〇〇%充てんまでの時間が後の方のバッチでは非常に短い時間でなされたと、おっしゃるとおりでございます。  これに関しまして、従来もそういった似たような現象があったということから、中の気体を放出させるような措置をとったりしておるわけでございます。いずれにいたしましても、こうしたことを十分現象を調べまして、今後の対応にしていきたいというふうに考えております。
  80. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今後の対応じゃないのです。そのときどうしたかということを聞いておるのですから。  この数字の一覧表がありますね、そこに差し上げているように。これを見ると、下の欄の「充てん時間帯」という真ん中のところの「八五〜一〇〇%充てん」に、三月十日の十七時二十二分が十六分、あとは九分、七分、七分、六分、五分とか、十一分というのがありますが、急激に下がっているということは、そういう事態がずっと続いておったということをあらわしておるのですね。  こういうふうな状況を、これは後で記入したのでしょうが、現にこの資料は、明確に異常な事態が起こっているということをあらわしておるのですね。そのときに、しばらく様子を見て考えましようというような状況ではなかったはずなんだけれども、そんなものも、新しい実験をやろうとしたら細心の注意を払って見守らなければならぬときに、それができていないのですね。ソ連のチェルノブイリはけたが違った事故ですが、やはり大事な新しい実験をやるときに、全く心構えができていないというか、対応がされていなかったと思いますが、どうなんですか。
  81. 中野啓昌

    中野参考人 先生指摘のところは、翌日といいましょうか、十日にそういうことでしばらく様子を見よう、それから十一日にもまだそういうことで、多少このときには操作の準備に入ってはおりますけれども、入ろうとしたところにこの事故が起きた。ちょうどその際に、何といいましょうか、発泡現象とか、あるいは非常に出てくるものがやわらかいという現象とか、そういったものが起きたというふうに見ております。  先生指摘のように、確かにこういうような状況のときには、それなりに、すぐにとめるとか、そういった判断をすべきであったかと思いますが、このときの担当役の判断では、今までの状況からいくと、あるいは温度をもうちょっと下げていけば、加熱スチームを下げていけば対応できるのではないかということで、様子を見たいというふうにしたものと思っております。
  82. 辻一彦

    ○辻(一)委員 前回私は、新しい実験をやるときには専門の人がちゃんと目を配っていなければいかぬが、目配りのきく人がおったのかどうかと言ったら、十数年経験のある人もおったと言うけれども、それはやはり、十数年たっておったかわからないが、こういう大事な実験をきちっとチェックできる、監視をする、新しいことが起きたら対応できる、そういう人員配置をきちっとやっておかなければいかないわけですよ。その対応が、何かこの処理一課長は十一日に出張しておるのでしょう。全然この問題の事態の重要さということが、起こりつつある異常ということが理解されていなかったと言わざるを得ないが、いかがですか。
  83. 中野啓昌

    中野参考人 私ども、今、事故原因調査、あるいはこのときの措置の仕方についていろいろ反省しておるわけでございますが、当日は処理一課長にかわりまして、処理一課の担当役がその中心になってこの後の運転計画指導をしておったわけでございます。したがいまして、例えばこの際に出張中の運転課長にすぐ電話連絡をし、こういう状況になっているがという相談をしていれば、あるいは避けられたことかもしれません。しかしながら、全体として、皆さんの、経験者の相談の中で、もう少し蒸気圧を落とせばこの状態が回復できるのではないかというふうに判断したと聞いております。
  84. 辻一彦

    ○辻(一)委員 大体、その処理第一課長というのがここの責任者だけれども、化学反応等が場合によったら起こるということを——これはもう動燃が前にみんな実験したことですよね。硝酸の試薬を入れれば硝酸ナトリウムができる、そんなものの変化の中でアスファルトと反応する可能性が強いとか、燐酸トリブチルなんかが入ってくる心配、燐酸の廃液が入っているとか、言うならば火薬のいろいろなものをまぜ合わせて、爆発するかどうかわからぬ、そういうことをやっているわけですよ。だから、開発ですから、動燃が新しい実験をやって、そういうのは結構だけれども、それはやらなければいかぬことでしょう。しかし、わかる人がちゃんと配置されて対応するような体制でなければだめだと思うのだけれども、その第一課長は、大体化学的にこういう問題を理解しておったのかどうか、いかがですか。簡単で結構です。
  85. 中野啓昌

    中野参考人 お答えをいたします。  第一課長は、国立の大学の原子核工学を卒業しております。
  86. 辻一彦

    ○辻(一)委員 原子工学を卒業しておったって、いなければ話にならないのだし、こういうときにいないということは、問題の重要性がわかっていなかった、理解されていなかったと言わざるを得ないと思うのですね。  そういうことを考えると、動燃の今回のような問題は、第一に動燃に責任がある、これはもう言うまでもないわけですね。これは今いろいろ追及されている。しかし、科学技術庁はそういうようなものを監督指導しなければいかぬですね、一体どうなんだということを。それからもう一つ、後ろには原子力安全委員会があって、目配りをしなくてはいけない。現場動燃行政監督庁の科学技術庁と安全に責任を持つ原子力安全委員会、この三者はこの問題について、動燃の責任はもちろんだけれども、科技庁にまず行政監督の大きな責任がある。「もんじゅ」の後、本当に現場チェックがきちっとされているかということを調べてこそ監督官庁で、そんなものを全部お任せにしておいて監督官庁とは言えないと思うのですが、これはいかがですか。
  87. 池田要

    池田政府委員 ただいま先生の御指摘に対して事業団からのお答えもございましたけれども、今回の運転計画、三月の六日ごろから行っておりました運転計画につきましては、担当の課長の決裁でつくった内容に基づいて作業されていた。それが、私ども、この事故調査の過程で、作業員からの事情聴取等によりますと、現場ではふだんとは違った状況が観察されておった、そういったことについて、報告は受けながらもさほど重要視していなかったといったこともわかってきた次第でございます。  こうしたことを考えますと、私ども、この事業所におきまして、保安規定といったものを認可し、その約束に従って、重要事項についてはしかるべく審査された上で取り扱われているというふうに考えておったわけでございますけれども、実際は、その課長限りにおきます計画、これが実際の現場においてはそういったような問題を起こしておったといったこともわかってまいりました。  そうしたことを考えますと、こういう事業所の運転管理のあり方につきましても、これまでとは違った、事業所におきまして、果たして実際に現場からその管理の立場にある者までしかるべき情報が共有されておるのかどうか、あるいは問題意識というものが日ごろから的確に伝わるようなことになっているかどうかといったことにつきましても、規制のありようとして、私ども、つぶさに把握するような規制の仕方を考えなければいけないといったことで、今般の報告書にも、これまでとは考え方をむしろ相当変えることになるわけでございますけれども、状況の把握それから常時監視できるような体制づくりといったことにつきましても書かせていただきまして、できることから早々に取り組もうといったことでも考えさせていただくということで取り組んでいるところでございます。
  88. 辻一彦

    ○辻(一)委員 長官にちょっとお尋ねしますけれども、動燃も「もんじゅ」があるのですね。それから再処理工場、また敦賀の「ふげん」がある。幾つかの大事な事業所があり、そこには今言ったような問題、心配がいろいろあると私は思うのですよ。だから、これ以上たくさん、幾つか出てきたら、全くもう原子力に対する信頼はがたがたになってしまうと思うのですね。だから、よっぽど厳しくこれはチェック点検をしないといけないと思うのです。動燃はこの間聞きましたから、やってもらわなければいかぬが、科技庁としても行政監督庁らしい厳しい点検を、そんな通達を流したりというくらいではだめですよ。それはやりとりはいろいろあると思いますけれども、きちっとやっているのか、やる用意があるのか、そこらはどうなんですか。
  89. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 ただいま御指摘のとおり、「もんじゅ」以来の教訓は、はっきり申し上げまして生かされていなかったという結論になってしまうのではないかと私は思います。  と申しますのは、今先生も御指摘のとおり、いろいろな作業の計画の変更あるいはまた火災処理の仕方、そういったふうなことはすべて、今までにおいても安全規制面とかさまざまにあったわけですよね。あったにもかかわらず、それが確実に確認されまた行われていなかったということになりますと、これはやはり指導監督官庁としても、ただ単に報告を受けるだけではだめだと私は思います。  やはり、場合によっては抜き打ち的に立入調査をやってみる。場合によっては、法律で定める立入検査もやらなければならぬ場合もあるかもしれません。いずれにしても、監督官庁も現場に足を運んで、そして現地の作業現場方々と常に現場の安全性を確認しながら作業をしていくということと同時に、情報公開というのは微に入り細に入り国民に対してするんだ、徹底してやるんだというふうに、不信感というのを除いていかないと。したがって、結論から申し上げますと、いろいろな規制とかさまざまなことあるいはまたいろいろなマニュアルとかがあるのでしょうが、それが実践的に行われているという確認をお互いに四六時中やるということが大事ではないでしょうか。  私は、そういった意味で、今回のこの事故反省というものを重く受けとめて、本当に実践的に末端まで——特に動燃の場合に、先ほどもだれか先生も御指摘があったとおり、委託している従業員が多いのですね、半分以上。こういったようなことも、最初はそうではなかったのですよ、出発した時点では。途中から、先生が御指摘のとおり、だんだん委託の業者が疎くなってしまって、従業員が疎くなってしまって、そういったふうなこと等も考えますと、常に指導監督官庁も現場と一体となってやっていくんだというこの姿勢が大事じゃないかな、私はこのように思います。
  90. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この間、科学技術庁長官をうちの鳩山代表と一緒にお部屋をお訪ねして、申し入れをしましたね。不信任案には我々は今度は同調しません、しかし、科学技術庁が、長官が何をやるか、それを見ているのですよ、こう申し上げたとおりで、今のことを実際厳しくきっちりとやっていただきたい。同じことが繰り返されないようにやってほしいと思いますね。  そこで、原子力安全委員長にお尋ねするのですが、この前も私はちょっと申し上げたが、「もんじゅ」にしても、ナトリウム漏れ事故、これは第二配管の、必ずしも安全上はそれほど重要視されていなかったところで起きたのですね。今度の東海の再処理工場にしても、いわゆる高レベルの廃棄物処理場じゃなしに低レベルの、低レベルといったって、動燃の場合の低レベルは発電所の低レベルと全然違いますが、それにしても、必ずしも従来は安全上余り重要視されていなかった、そこに事故が起きて、そして今、日本の原子力行政原子力の長年築かれた信頼を根元から崩しかねない事態になっておるわけですね。  そうしますと、安全審査は、一番大事なところだけをやって、あとはそっちへ任せていますよというようなやり方でいいのかどうか。今までの再処理工場の安全審査というか申請書等をずっと見ると、動燃が放射能等が漏れるかなりな事故を想定してそれに対応するものを出したにもかかわらず、当時の原子力委員会安全審査専門部会は何かそれを必ずしもまともに受けとめていない後の処置になっているように感じますが、こういうことを見ると、現在の安全委員会が守備範囲で持っているところの安全審査で、これだけたくさん、五十の原子力発電所がある、それから世界有数の研究施設を持っている、こんな中で、従来の守備範囲というかそこだけでこれからの安全行政というものがきちっとやれるかどうかということですね。  それからまた、原子力安全審査と同時に、安全の管理体制という観点からいっても、今回の幾つかの一連の事故は多くのものを示しておると思うのですが、それらについて、日本の原子力安全行政の安全委員会委員長から、どういう見解をお持ちなのかお伺いしたい。
  91. 都甲泰正

    ○都甲説明員 お答え申し上げます。  今回の一連の事故に関しまして、現在、事故原因、再発防止対策等、行政庁事故調査委員会調査審議中でございますが、原子力安全委員会といたしましても、今回の事故の直接的な原因が何であったか、なぜ火災が起こり爆発が起こったかということ、さらに、事故発生した背景どいたしまして、設計に問題があったのか、設計といいましても、基本設計と具体的な詳細設計に分けることができますが、そういった設計に問題があったのか、あるいは運転管理上問題があったのか、さらには事故時あるいは事故後の対応に問題があったのかということ等について詳細な調査を進めていく必要があると考えておるところでございます。  今後、その調査審議の進捗を踏まえまして、当時の安全審査の内容、安全審査というのは基本設計の内容についてその妥当性を審査するわけでございますが、その安全審査の内容も含めまして検討を行うことが必要であると考えております。この過程で安全審査の妥当性についても明らかにしていきたいと考えております。  さらに、原子力安全委員会といたしましては、今回の事故から最大限の教訓を引き出すべく、先ほど申しました設計あるいは安全規制、安全規制と申しますのは、基本設計の安全審査とそれに続きます後続のいろいろな規制段階がございます。そのどの段階で問題があったかということを明確にいたしまして、それぞれの段階に対しまして適切な改善策を講じることが必要であると考えておるところでございます。
  92. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私も、アメリカのNRC、原子力規制委員会を、スリーマイルを、昭和六十二年にチェルノブイリの後、すぐ見に行って、ゼックさんという委員長とも二回ほど会って、いろいろな様子を聞いたことがありますし、最近フランスに行って、原子力庁と並んで規制当局であるフランスの原子力施設安全局とも意見交換をしてきました。  アメリカは、かつての推進規制を一緒にやっておった機関から、NRC、原子力規制委員会を分離独立させて、三千名の行政委員会として強力なスタッフを持って、調査もやれば審査もやる、規制もやる、これは非常に強力な機関になっておりますね。フランスはそれほどではないのですが、やはり二つに分かれている。  日本の場合は、私が思うに、アメリカにならった形で一時原子力安全委員会は独立をさせたのですね。しかし、今日は科学技術庁の安全局の調査室の上に乗っているのであって、委員の皆さんは専門の皆さんがしつかりおりますが、その手足となるスタッフ、そんなものは実際のところないですね。確かに百人ほどサポートする人はいらっしゃる。大学や研究所の方をパートで頼んで手伝ってもらっている。それは結構ですね。しかし、これだけ世界有数の原子力発電所を持ち、多くの研究施設を持つ中で、原子力の安全性を規制する機関としては弱体と言わざるを得ないのですが、そういうことを原子力安全委員長としてもっと強化すべきではないかと私は思っております。  例えば、科学技術庁原子力安全局、それから通産省のエネルギー庁の公益事業部の安全関係、あるいは国土庁の防災関係、こういうものを一括して一元化を図って、我が国に強力な原子力規制機関を設けるべきであると考えておりますが、そこらについて、なかなか今科学技術庁長官委員長にそれをお尋ねしても難しいことですが、御専門ですから、ちょっとお考えをお伺いしたい。
  93. 都甲泰正

    ○都甲説明員 お答えいたします。  原子力安全委員会は、独自の立場に立ちまして、行政庁安全審査のダブルチェックを行う、さらにまた、安全審査のための指針の整備等でございますとか、あるいは原子力安全確保のための重要事項について審議検討するということで、今までも我が国における原子力の平和利用の安全確保の面で十分その機能を果たしてきたと考えておるところでございます。  しかしながら、動燃の一連の事故でございますが、これは原子力の安全性に対する国民の不安感とか不信感を増大させたわけでございまして、このような状況下で、原子力安全確保を担う原子力安全委員会の果たすべき役割、これがさらに重要になってきているという認識を持っておるところでございます。  それで、現在の安全委員会のスタッフは確かに二十名足らずかと思うのでございますが、ただ、そのほかに、今御指摘いただきましたように、研究所ですとか大学の、それぞれの広い分野の専門家の方に御協力いただいておりまして、今後ともこのような組織を最大限に活用することによりまして原子力の安全性に対する信頼を回復してまいりたいと考えておるところでございます。
  94. 辻一彦

    ○辻(一)委員 時間が来ましたが、もう一問だけお願いしたいと思います。  私は、独立機関をつくって、強力な規制機関を設けるべきであるということを主張して、後日またこの論議をいたしたいと思います。  長官、最後にお尋ねしますが、ちょっと問題が違いますが、今、我が方の渡辺議員が諌早の干拓問題について質問主意書を出して、内閣の答弁を要請しているのです。内閣の一人一人の御意見が反映されるのですが、閣僚として長官は、この諌早の問題、水門を上げて海水を入れてほしいということですが、どうお考えか、それだけちょっとお伺いしたい。
  95. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 大変申しわけありませんが、私、現地を見たこともないものですから、国民の大事な税金をお使いになった事業でもありますし、今後いろいろな面から勉強させていただいて、そしてそれ以降にお答えさせていただくということで、それで勘弁してください。
  96. 辻一彦

    ○辻(一)委員 閣議があって、黙っているわけにはいかないと思うのですね。賛成か反対か、どうなのかということを言わなければ、閣議は決定できないと思うのですね。だから、そのときにこの質問主意書の趣旨を十分酌んで御判断をいただきたい。このことを要請して、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  97. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 吉井英勝君。
  98. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、きょうは、三月十一日の動燃東海処理工場の二十時四分の爆発があったわけですが、それ以降の問題について伺っていきたいと思います。  それで、私は、事故の後、二日後、三日後と続けて現場の方へ寄せていただきましたけれども、あの事故の二日後に調査に入っだときに、爆発で壊れた窓をよく見ると、上の方に少しすすけた色が、破れたところがよく見られるものですから、これはやはり爆発に引き続いて火災があったのではないのかということを現場で伺いました。たしかあのとき樫原副所長さんらから伺ったのは、その可能性も含めて今後事故調で調べられていくでありましようということであったわけです。  それが、最近、フィジカルプロテクションのためのモニタテレビで映されていた映像が公開され、それは新聞等でも紹介されておりますが、明らかに破れた窓から大変煙が噴き出している。そこへ職員の方が二人、放射線量の調査に入られて、足早に出ていくとか、いろいろな映像も映っているということでありました。  五月一日に、東海処理施設アスファルト固化処理施設における火災爆発事故調査委員会田中さんと自治省消防庁消防研究所第二研究部長の長谷川和俊さん、この方が現場へ行かれて、その後の消防の専門家の長谷川さんの記者会見というのが紹介されておりましたが、その中では、この黒煙というのは、ビデオに映っているあの黒煙ですね、これは明らかに火災によるものだと、それから、その火災は三時間続いておったということを明らかにしておられます。  そこで、この三時間の火災が続いたということについてですけれども、どんな態様の火災であったのかとか、あるいはどれぐらいの規模の火災があの施設の中で起こっていたのかとか、これは、今後も管理区域の中へ入っての調査によってさらに明らかになるでありましょうが、まず、この三時間火災が続いていたというのが、これは消防の専門家指摘なんですが、このことが事実であるのかどうか、そこのところをまず伺いたいと思います。
  99. 植松邦彦

    植松参考人 PPカメラ、核物質防護カメラの様子からもごらんいただきましたように、非常に黒い煙が吹き出しておるという状況が映っておりました。したがって、火災爆発の後に起こっておったのではないかという推定ができるわけでございますけれども。  爆発が起こりましたのは二十時四分、これはもう多くの人が確認をしておる時間帯でございます。その後確かに煙が出ておりましたが、中の状況を把握するために直ちに入域することはもちろん不可能でございましたので、状況を見ながら動燃職員が中に入って見るということをやっております。その入域が二十三時十分ごろでございますので、約三時間後には、爆発の三時間後には入域できるようにまでなっておった。確かにまだ域内には煙が漂っておったということを聞いておりますが、三時間後には入域ができる程度にはなっておった。すなわち、大きな火災が三時間続いておったかどうかわかりませんが、爆発直後にはある意味火災発生しておったというふうに考えないといけないというふうに思っております。
  100. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、これまではあの二十時四分は爆発だけであって、その後三時間火災が続いていたということについては、やはり長谷川さんのあの調査によってそれが一般的に明らかにされたということであって、この問題が改めて今考えられなきゃいけないんじゃないかというふうに私は思っているのです。  当時、東海消防本部の人たちも動燃の中で待機していたと言われているわけです。それで、消防の人たちにはモニターの映像は見せられていないわけです、PPのカメラによるものですから。しかし、火災発生しているという報告は受けていたわけですよね。だから、この火災に対して消防本部はどういう指示を出していたのか。火災であっても火は消さなくてもよろしいという指示なのか。その点はどんな指示があったのか、この点を伺いたいと思います。
  101. 植松邦彦

    植松参考人 爆発の後のことを主に質問されるということでございますので、前の火災のときに消防がおいでになったことはちょっと省かせていただきますが、爆発が起こった直後に通報いたしまして、東海村の消防署、これは、我々の記録によりますと二十一時ちょっと過ぎに消防車でもって事業所の中に来ておられます。しかしながら、アスファルト施設内の放射線のレベル及び可燃性ガス発生状況等が確認できませんでしたので、再度爆発が起こる可能性もなきにしもあらずということで、構内で待機していただくということをお願いいたしました。もちろん、消防車でおいでになっておられまして、いつでも即出動できる態勢にはなっておられたわけでございます。  また、我々の自衛消防も、村の消防の方と同じ場所ではございませんが、車庫に消防車がございますので、その動燃の消防車の近傍で待機をしておったという状態でございました。
  102. 吉井英勝

    ○吉井委員 その爆発の後火災があったのですが、この三月二十一日にいただいた近藤理事長から長官あての報告書の中でも、二十時四十一分ごろ東海村の消防署へ爆発があり火災発生していることを連絡しているわけですね。それで、今おっしゃったように二十一時過ぎに消防が行った。同時に、しかし消防本部の方は別にそのころも中に待機はしていたわけですよね、消防車が駆けつけてくるだけじゃなくて。それで、消防の方が消火について指示をする前に皆さんの方の判断があったようなんですが。  そこで伺っておきたいのは、三時間火災があった、それはほっておいたらいっかは自然鎮火するにしても、本来、火災があるとまず消防への即時通報義務というのがあって、火災を確認したら直ちに通報しなきゃいけない。四分から四十一分では随分おくれているということもありますが、同時に、消火の義務というのがあるんですね。そういう中で、動燃としてはこの火災消火しようとしていたのかどうか、この点はどうなんでしょうかね。
  103. 植松邦彦

    植松参考人 申し上げましたように、動燃の自衛消防隊も、命令が出まして自衛消防隊の消防車のところで待機をしておりました。ただし、先ほど申し上げましたように、アスファルト施設内の放射線のレベルその他が確認できる状態にはございませんでしたので、村の消防の方と同様、自衛消防隊も待機をするということでございました。
  104. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、今回の事故というのは消火活動もできないぐらい本当に深刻な事故であったというふうに理解していいんじゃないか、あるいはまた、それぐらい深刻なものであったというふうに理解するべきじゃないかと思うのですが、この点はどうなんでしょうか。
  105. 植松邦彦

    植松参考人 もちろん、爆発直後のいろいろな放射線レベルの、周辺のモニタリングポストの結果を見ますと、放射線レベルとしては、周辺においてはそう大きな問題が起こるような状況にはなかったということは言えます。また、PPカメラの写真でもごらんいただきましたように、当方の放射線管理の関係者がサーベイメーターを持って建屋の周辺をサーベイして回るということもやっておりますので、施設外での放射線のレベルについては把握はされておりましたが、何さまああいう爆発でございましたので、施設内がどのような状況かということは全くよくわからぬ状態でございました。  したがって、何らの処置がとれなかったということでございまして、決して、ほっといたらいいというふうに判断したわけではございませんが、消防の方も、中にすぐ入れるような状況であるというふうには判断できなかったということだと思います。
  106. 吉井英勝

    ○吉井委員 先ほどもお答えありましたように、一つ、被曝の可能性がある、それからもう一つ、可燃性ガス発生で再爆発可能性がある、だから今回の事故というのは直ちに消火活動に移るわけにはいかないという状態だったと。それだけ深刻であったわけですが、原子力施設火災発生した場合には当然放射能汚染の問題が一つ発生します。ですから、遠隔操作消火機器ですね、あるいは、石油化学工場などではよく見られるのですが、炭酸ガスの泡をぽんと吹きつけるような砲筒つきの、しかも耐爆構造の消防車両がありますが、ああいうふうな放射線防護機能のついた特殊車両がないと消火活動ができないというのが今回のあの事態を見ていると特に感じられるのですが、大体、今回のあれは、本当に消火活動をやろうと思ったらそういうのが必要であったという判断ですね。
  107. 植松邦彦

    植松参考人 先ほど申し上げましたように、本当の意味消火活動をやろうと思うとそういう装置類も必要であったかもしれませんが、振り返ってみますと、安全審査の段階でも火災は起こらないようにするんだということが基本の考え方でございましたので、したがって、火災が起こらなければそういう非常に特殊な消防機器まで備える必要はなかろうということで、我々としてはそういうものは準備はしていなかったという結果になっております。
  108. 吉井英勝

    ○吉井委員 これはある意味ではおっしゃるとおりで、世の中、火災がなければ消防署も消防車も要らないわけですから。  あわせて念のために伺っておきますが、「もんじゅ」や「ふげん」に、今言いましたような遠隔操作の消防機器なりあるいは砲筒つき耐爆化学消防車に近いような、放射線防護の機能を持ったそういう消防車両等は配置されていますか。
  109. 岸田篤彦

    岸田参考人 管理区域内の火災に関して言えば、どういう可燃物があるかによっていろいろ規模が異なってくると思います。そういう意味では、プラントには、「ふげん」にはアスファルト固化装置がございますけれども、「もんじゅ」ではナトリウム、別のものがございますけれども、放射線の防護機能を持った車両等、そういう大きな設備は持っておりません。
  110. 吉井英勝

    ○吉井委員 「もんじゅ」などの場合、ナトリウムを使っているところですから、非常に大量に漏れた場合のナトリウムコンクリート反応による建屋の爆発というのは、これはスーパーフェニックスの教訓の中から最大限の注意を払えという指示も出ているわけです。そういう点では、これは一般の原発にしても、チェルノブイリなりあるいはスリーマイルの例などを考えていった場合に、炉心溶融に及んだ場合、もともとそれは起こらないというのを前提にして考えているのです。起こらないことを前提にしておれば、先ほども出ておりましたような危機管理というような話は最初から出てこないわけで、そのあらゆる可能性に対していかに地域住民の安全を守るか、また施設に働いている皆さんの安全を守るかという観点で、やはりそういう防災機器というのが必要になってくるわけです。  そこで、科学技術庁の方にもちょっとこの機会にお聞きしておきたいのですが、全国の原発施設に、原子力安全委員会指示なりあるいは科学技術庁指示として、そういう防災機器を配置しなさいというふうな指示は何か出していらっしゃいますか。
  111. 池田要

    池田政府委員 原子力施設につきましては、安全審査の過程で事故の想定はしてございます。ただし、事故が起こっても周囲に対する災害は起こさないという考え方で、そのための必要な措置、設計、あるいは運転管理等の基本的な要素を決めるわけでございますから、今御指摘のように、防災のための特段の措置があるかと言われれば、そういった点までは必要がないという状況にしているのが現状でございます。
  112. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、今までは想定していなかったわけですから、それをつけなさい、そういう指示はもちろんなかったわけなんです。  ところで、科学技術庁の方は、現地にも入って、当日の爆発の直後に、爆発による飛散物が散乱し、窓が割れて、外のシャッターも壊れ、火災は続いている、煙が三時間も出ているという事実は知っていらっしゃったというふうに伺っているわけですが、そういう状況の中で消火活動科学技術庁の方はされたのか、あるいは科学技術庁の方はあれは消火活動はできないほど深刻な事故であるという認識をしていらっしゃったのか。今度はちょっと科学技術庁の方の認識を聞いておきたいと思います。
  113. 池田要

    池田政府委員 当該施設で爆発が起こりましてから、これがちょうど八時過ぎでございましたけれども、この直後に私どもからの職員も実際に現地におりました。そして、先ほど先生からは、五月一日になって火災が起きていたことについて改めて指摘があったのではないかといったことがございましたけれども、当該施設で爆発後に煙が出ているといった状況については、これはもう既にその時点でよく現状としては認識されておりました。プレスもいわんやでございますけれども、私どもの職員もその煙の流出等につきましては確認をし、その後、対外的にも、九時半ぐらいの段階でも煙が窓から出ておるといったことも、科学技術庁からそういった公表もしたような次第でございます。  私どもは何をやったかという点につきましては、煙の流出等が明らかになった直後から、この施設周辺におきましての放射性物質の漏出といったものについての注意を払っておった、施設周辺におきますモニタリングポストの指示値の確認でございますとか、それから風速その他を踏まえましての環境影響につきましての状況をつぶさに把握しておった。これは科学技術庁だけではございませんで、地元の県とも連絡をしながらやっておりました。  煙、火災につきましては、先ほど事業団からの説明もございましたけれども、施設の中の状況が明らかでない状況では、その火の、煙の状況等についてむしろ様子を見ておった。それが、十一時過ぎになりましてから煙がおさまるのを見て、そういった内容につきましても、ちょうど十二時ぐらいの段階でございましたけれども、煙がほぼおさまって一カ所から出ている状況だといったことにつきましても、現状を認識すると同時に、対外的にも発表したといったことでございます。  御質問のような、直接、消火等について私どもその段階で判断したかといった点につきましては、事業団が先ほども答えましたように、様子がわからずに消火活動をするよりは、むしろそういった意味で外から煙の様子、そうしたものを監視し状況の推移を見守っていたといった状況にございました。
  114. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、長いこといろいろおっしゃっていただいたのだけれども、要するに、煙が出ておったのを知っておった、煙をずっと眺めておったということであって、全部動燃の方の判断に任せておった、消火に当たりなさいという指示をしたわけでもないということ、よくわかりました。  問題は、消火活動を行うのが非常に困難なほどこれは非常に深刻な事態であったというふうには見ていらっしゃったのですか。この点は、もう一言でいいですからね。
  115. 池田要

    池田政府委員 御指摘のように、爆発後には職員も現地におりましたから、そうした意味では動燃事業団も現状の把握に努めておりましたし、私どもの職員もその現状におきましてどういう処置が必要かといりたことは考えておりましたし、その判断に基づいて、ただいま申しましたような状況を見守っていたということでございます。
  116. 吉井英勝

    ○吉井委員 三時間火災が続いておって、ずっと眺めておったという科学技術庁のとってこられた態度だけはよくわかりました。  そこで、全国の原子力施設で大きな爆発火災発生した場合に、現在所有する機器、少し見てみると、全国並べておったのでは時間がかかりますが、茨城県の場合で、通常のポンプ車三台、化学消防車、これも通常のもので一台、その他三台というのが機器としてはありますが、防護服としては、耐熱服が二着、通常の防火衣が四十五着、呼吸保護具が十八という状況なんですね。それから、福井県の「もんじゅ」「ふげん」のあるところですね。これは公設消防の敦賀・三万消防本部ですが、通常のポンプ車が八両、はしご自動車が一両、化学消防車が三両、救助工作車が一両、その他が八両。それでここも、耐熱服が五着に、通常の防火衣が百二十四着、防護服で呼吸器内蔵が三着という状況ですから、およそ、本当にはなからスリーマイルやチェルノブイリのような事故はもともと起こらないんだから心配ないというふうに決めつけてしまったら論外なんですが、今回の東海処理工場におけるようなあれぐらいの規模の事故であっても対応できないということが現実の姿だと思うのですね。  そこで、私は今度は大臣に伺っておきたいのですが、やはり原子力施設で直ちに防災機器を設置するように指示するべきだ。先ほど出ておりました危機管理体制というのは、連絡とかいろいろあるでしょう。しかし、一番の危機管理というのは、やはり住民の安全を守ることじゃないでしょうか。私は、そういう点では大臣に、これは消防関係は自治省だから自治大臣だとか、いろいろなあれはあるかもしれないけれども、専門の担当している大臣としては、それはやはり内部で検討し、指示をするということを考えていかなければいけないのじゃないかと思いますが、これは大臣に伺っておきたいと思います。
  117. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 安全ということを大前提に考えなければならないことは当然でありますが、そこで私はこの前の参議院のこの特別委員会で申し上げてきたのですが、絶対にそういったトラブル、事故がないというふうな前提だけで、今委員がおっしゃるようなことで、果たして今後将来いいかどうかということには問題があるのじゃないかな、このように私実際は考えます。  ですから、今も答弁あったとおり、これは大丈夫だろうというようなことで、三時間ずっと待つていたとか見ていたとかというようなことがありますが、やはりそういったことを考えますと、そういった絶対ということだけで、これから幾ら国民の皆さんに信頼してくれとだけ言ったって、私は、いざこういったことが起きたときには遅過ぎるのじゃないか、対応できなくなってしまうのじゃないかと考えますと、やはりこれは重要な検討課題だし、ひとつ十分に検討させてみてください。
  118. 吉井英勝

    ○吉井委員 大臣、検討されるということですが、要するに再処理工場のあの三時間の火災の間も、あれで終わったからある意味では不幸中の幸いなんですよ。どういう事態が起こるかというのは、これはいろいろな問題もあり得るわけですから、そういう点では、本当にこういう防災機器の設置などを真剣に検討してもらって、対応というものを生み出していただきたいというふうに思います。  次に、残る時間のところで伺っておきたいのは、事故の予兆という問題なんです。事故というのは一遍に起こるものじゃなくて、必ず前兆となる現象を見出すことができるわけですね。  それで、先ほども少しありましたが、いただいております五月八日の参考資料の三十九ページのところ、原因調査状況についてという報告書のここの「エクストルーダ第七ゾーンの温度変化」というのを見ると、事故の四日前の三月七日の日付が変わる前ごろから三月十日の明け方まで、定常運転のときとは全く異なる温度上昇を示しているわけですね。動燃現場責任者とか工場長ら幹部の方、本社の幹部の方は、この変動を見てどんな評価をして、どんな指示をしたのかというのが問題だと思います。  念のために、私は資料をきょうも持ってきていただいたのですが、資料全体の中の二十一ページ目にある分なんですが、「エクストルーダ温度の変化」、これを見ると、明らかにこのバッチナンバー二十六ないしは二十七のところから異常を読み取ることができるわけですね。  ですから問題は、そういう異常を、ちゃんとペンレコーダーで出てくる記録だし、チャート紙はこれは毎日、宿直、当直、二十四時間体制だったらそうなりますが、いずれにしても連続運転のことですから、そうするとその半日分ずつのデータをもって、これは担当の方も評価をまずしなければいけない。なぜこうなるんだ、これを考えるのは当たり前の話で、自分の頭でわからなければ、さらに幹部の方と相談されるのは当たり前だと思うのですが、一体どんな評価をして、どんな指示を出されたのか、これを伺いたいのです。
  119. 中野啓昌

    中野参考人 先ほど辻先生の方からも類似の御質問がございましたので、あわせてお答えさせていただきますが、先生指摘のように、三月の十日近くになりましてから温度の変化が見られております。それからまた、三月のその以前あたりから、製品として出てきておりますアスファルトの混合体が非常にやわらかい形になっている、そういうこともございまして、特に三月七日から九日の運転状況につきましては、十日の朝会でそういったことが、今申し上げたようなことが報告されております。  それから、エクストルーダーの加熱条件が廃液供給流量に対して過大だと思われるといったようなことも、処理課長や担当役、主査に報告されております。ただ、先ほども申し上げましたが、こういったような現象というのは従来もあったということで、十日の場合は、一応もうちょっと様子を見ようということにしたわけでございます。  そこで、十一日でございますけれども、十一日の朝会におきまして、変動その他、それからやわらかくなったことも報告されましたことから、当日、課長がいませんでしたので、本来、課長にちゃんと相談をしてきちっとした対応をとればよかったのですが、私どもの調べたところによりますと、やはり全体として温度が高く設定されているのじゃなかろうかということで、正確に申し上げますと、ゾーン四のところの温度を下げる準備を始めるように、そういう指示を担当役はいたしておりまして、その準備が始まったところで今回の事故が起きたというような状況でございました。
  120. 吉井英勝

    ○吉井委員 先ほども、三時間の火災もずっと様子を見ておって、今回も、朝会でももうちょっと様子を見ておってとか、大体、こういうふうなものは定常運転が一番安全なんですよ。定常運転から外れたときを一番気をつけなければいけないのです。そのとき、なぜ、何が起こったのかということを追求しなかったら、問題の解明には至らないわけですよ。  実は「ふげん」の方も調査に参りまして、あちらで、四月十四日の午前五時三十三分に重水装置の排気筒のトリチウムモニターの警報が発報して、午前六時十分に停止したとなっておりますが、あそこでやはりペンレコーダーで描き出されるチャートというのを、チャート紙をいただいて見てみますと、何とこれは午前三時から明白に異常なデータが、委員長も、ちょっと見にくいかもしれませんが、ここが午前五時三十三分のところなんです。これは午前三時から急速に立ち上がっているのですね。  ですから、こういうデータを見ておれば、直ちに対応するのは当たり前の話であって、大体、航空機事故のように、事故をやってからボイスレコーダーで原因究明というのでは、そのためにこれをとっているのだったら、全然意味ないのですよ。なぜ記録をとっているかといったら、異常を早く、定常運転とは違う事態を早く見つけて対策をとるためにやっているはずなんですね。  「もんじゅ」の場合も、私はあれはチャート紙を見せていただきまして、約一時間ぐらい前だったと思いますが、Cループの液位が変わってきているのです。ですから、このなぜという追求がやはり動燃の皆さんの場合は非常に甘いのじゃないか。  ただ、動燃の皆さんの問題だけじゃなくて、これは現地に運転管理専門官を科学技術庁は出しているわけですよ。その科学技術庁が、これらの事態を掌握してなぜ適切な指示をしなかったか。だから、それは動燃の問題だから知らないとか、体制が弱かったとか、そんな言いわけは成り立たないと思うのです。  というのは、動燃事業団法によって、最高の管理監督の責任者は総理大臣ですよ。国が管理監督の責任者なんですよ。その一部委任を受けて科学技術庁長官がやっていらっしゃるのだから、それがこういう事態を見過ごしにしておったとなれば、これは大臣、決してあなたに個人的に何かがあって嫌なことを言うわけじゃないけれども、やはりこれは科学技術庁長官の資質や資格が問われてくる問題なんですよ、この問題は。それだけ重要な問題なんです。ですから私は、この点で、今回のこの異常事態について、さっきのような動燃答弁とか、それから科学技術庁の方の言いわけ的な話ではもう通用しないと思うのです。  最後に、大臣として、こういうふうな問題の責任をどう厳しく受けとめて、そして今後、現場運転管理専門官の体制強化を含めて、どんなふうに進めていこうとしていらっしゃるのか、これを伺って、時間が参りましたので、終わりにしたいと思います。
  121. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 今回の事故対応の不手際、あるいはまた地元を初め国民の皆様に大変な不信、不安感を与えたことに対しまして、ただいま御指摘のとおり、原子力行政を預かる私としましても本当に大変重く受けとめておりますし、私みずからがこの問題の解決に全力を尽くさなければならない、こんな覚悟をいたしております。  そのために、私の直轄で開催している動燃改革検討委員会におきまして、動燃体質組織体制等につきまして第三者のチェックを受けつつ抜本的な改革を断行するとともに、改めて原子力基本法の精神に立ち返って動燃指導監督徹底してまいらなければならぬというふうに思っておりますし、今回のこの事故を、私は動燃のみならず監督官庁としても責任の重大さを深く反省したい、このように思っております。全力を尽くして解決に努力してみたいと思います。
  122. 吉井英勝

    ○吉井委員 終わります。
  123. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 辻元清美君。
  124. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党・市民連合の辻元清美です。早速質問させていただきます。  まず、今回のアスファルト固化処理施設運転条件の変更ということについてなんですが、この変更が今回の事故の一因になった可能性が高いというふうに言われております。動燃の再処理施設保安規定二百五条によりますと、「環境施設部長は、四半期ごとに環境施設運転計画を作成し、保安統括者の承認を受けなければならない。」「保安統括者は、前項の承認をする場合は、再処理施設安全専門委員会に諮問しなければならない。また、前項の承認をした場合は所長に報告しなければならない。」というふうになっているのです。  さて、今回のこの変更につきましては、運転計画書によると、計画を立てたのは同施設を担当する下請会社の社員の方であったというふうに聞いているのですが、それが事実かどうか。そして、承認は主査と課長のみであったというふうに聞いているのですが、これが事実かどうかだけお答えください。
  125. 植松邦彦

    植松参考人 先ほども運転計画とキャンペーン運転計画書の二つの違いについて御答弁しておるわけでございますが、運転計画というのは、御指摘のように、保安規定に基づいて四半期ごとに承認を得る、検討の上保安統括者から承認を得るということになっております。その中身を変更するときは、おっしゃるように同じ手続をずっとたどっていかなければいけないわけでございますが、その運転計画の範囲内であればキャンペーン運転計画書は課長の判断でやってもいいということになっておりますので、今回のような変更はキャンペーン運転計画書の範囲内という判断で課長が決裁をした形になっております。  もちろん、その計画を最初に立案しましたのは、現場の方で全体の仕事を職員の方から協力会社の方に指示をしてございますので、協力会社の方で案をつくってきたということは事実でございますが、しかし、下請がそういう案をつくって実際にそれを承認したというわけではありませんで、案を出していただいたのを課長が検討した上で承認をしたということでございます。     〔委員長退席、斉藤(鉄)委員長代理着席
  126. 辻元清美

    辻元委員 今そういう御答弁なんですけれども、これが事故の大きな原因であるとすれば大問題なんです。これは運転にかかわる重要事項を安全専門委員会審議するというふうになっているのですけれども、私はこれに違反するというふうに言わざるを得ない事態が待ち受けているのではないかと思うのです。科学技術庁はどのようにお考えでしょうか。
  127. 池田要

    池田政府委員 私どもの現在の考え方は、五月八日付で公表させていただきました報告書にありますように、ただいままでの事実関係を確かめましたところでは、火災原因についてほぼ見通しを得た。その内容につきましては、今先生からも御指摘がありましたように、運転計画がこの間変えられたことによって現場での作業も相当違っておった、アスファルトの固化の状況というものも違っていたといったことまでは見きわめをしてきてございます。  これから実際に、この原因につきましては、さらにどんな化学反応が中心であったのかといったような点につきましても見きわめをしたいと思っておりますし、そうしたことによって運転上の異常な反応といったようなところがより明らかになってまいりました場合には、この運転計画上の措置というのは、今御指摘のように保安規定に定めますような重要な事項に当たっていためではないかといったような点も検討の対象になると思いますし、そうしたときに事業団の現場におきます判断というものが妥当なものであったかどうかといったところまで私どもは厳正に考えなければいけないと考えております。
  128. 辻元清美

    辻元委員 わかりました。  それでは次に、がらっと話は変わりまして、動燃のお金の使い方というのは、私は何回かこの場でも指摘させていただきました。きょうも、一部それについて触れさせていただきたいと思うのです。  まず、「もんじゅ」の事故のときは大石理事長でいらっしゃったかと思うのです。今回、東海村のこの事故は今近藤理事長が取り仕切っていらっしゃるのですが、この両者がそれぞれの事故についての最高責任者であるという了解でよろしいのでしょうか。     〔斉藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕
  129. 近藤俊幸

    近藤参考人 当然最高の責任者でございます。
  130. 辻元清美

    辻元委員 はい、わかりました。  それでは、四月の二十六日だったのですけれども、前最高責任者の大石理事長に対して、おやめになった後も、更迭された後も非常勤の相談役として残っていらっしゃって、現在も月額五十万円ずつの給与というかそういうものを払っていらっしゃるというふうに聞きました。それと、あと退職金も約三千五百万円相当をお払いになったというのですが、これは事実でしょうか。
  131. 植松邦彦

    植松参考人 前の大石理事長動燃の特別相談役として残っていただいておるということは事実でございます。そして、おっしゃったような金額を従来お払いしておったということも事実でございますが、これはできるだけ早期に中止したいということで、現在手続をとりつつあるところでございます。
  132. 辻元清美

    辻元委員 わかりました。  今本当に特殊法人のあり方とか税金の使われ方がいろいろ問題点を指摘されていますし、財政構造改革というのを私らも必死で考えておるわけなんですけれども、このお金の使い方は私はおかしいと思いますので、早急に打ち切っていただきたいと思います。  さて、そういう中で、今度ちょっとまた話題が変わるのですが、今回は科学技術庁が告発した。その後いろいろな調査が今進んでいると思います。その中で、原子炉規制法の六十七条に違反して告発したということなんですが、この違反、虚偽が立証された場合は罰則はどうなっているのでしょうか。
  133. 池田要

    池田政府委員 規制法には、その場合には罰金二十万円という規定になっているかと思います。
  134. 辻元清美

    辻元委員 罰金二十万円と聞いて、私はもう愕然としてしまったのです。これだけ、言ってみれば国民的に批判そして不安、動揺をこの虚偽報告は与えていると思うのですけれども、罰金が二十万円以下だったと思いますね。その一方で、最高責任者、「もんじゅ」の事故を起こしてからおやめになった後も、相談役で毎月五十万円ずつ払っていたのですよ。この落差、ここを私は本当に指摘したいと思うのですね。これは恥ずかしいことだと思います。  実際には、この罰則については、原子力関係についての虚偽でありますから、ほかのものの虚偽とは大違いです。人の生命にかかわるような、そのようなものを取り締まっている法律ですので、この罰則については今後もう少し厳しくしていく、少しどころか厳しくするような検討をしてもいいのではないかというふうに思うのですけれども、大臣、いかがですか。
  135. 池田要

    池田政府委員 ただいま罰則についてのお尋ねでございましたけれども、私ども、今回の虚偽報告といったことにつきまして告発という措置をとらせていただいたわけでございますけれども、その間におきまして、その当該者につきましては、これまででも社会的な制裁といったものは相当に受けておるわけでございます。そうした意味で、これから捜査当局がどういう結論を出すかといったところも私ども見守る必要があると思っておりますけれども、この金額だけでその罰則の厳しさが妥当かどうかといった議論をするのは必ずしも適当でないかと思います。  また、先ほど先生は人の命にかかわるようなといったようなことを御指摘ございましたけれども、これが原子力施設に、その運転その他に支障があって災害を及ぼした場合には、もちろん刑法その他のほかの罰則がしっかりとかかることになっておりますから、これだけで問題が済む状況にはないといったことも御理解いただきたいと思います。
  136. 辻元清美

    辻元委員 私は、今の御説明を受けてもこの罰則は緩いのではないかと思います。  さて、そういう中で、原子力安全委員会責務が大きくなってきているときよう池田局長が一番最初の方の御答弁でおっしゃったり、中間報告でも五つのポイントに絞られて、そのポイントについて安全審査考え方との関連でこれから検討を進めていきたいというようなこともあります。  こういう中で、原子力安全委員会の位置づけをもう一度確認したいのですが、科学技術庁としてはこの委員会科学技術庁から独立していると考えていらっしゃるのかどうなのか、お聞かせください。
  137. 池田要

    池田政府委員 安全委員会は、行政庁であります私どもからは独立した存在であると考えております。
  138. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、安全委員会委員長はだれで事務局はだれがやっているのか、教えてください。
  139. 池田要

    池田政府委員 現在、安全委員会は、五名の安全委員はすべて学識経験者から構成されておりまして、委員長は都甲泰正先生です。  事務局は、直接の事務局と申しますと私ども原子力安全局の中に安全調査室という二十名ほどの世帯を持っておりますけれども、私どもの立場から申しますと、行政庁であります科学技術庁原子力安全局、それから通産省の資源エネルギー庁の安全管理部局、こういったところが広い意味では事務局機能を務めておるといったことでございまして、私自身も事務局の、むしろそれを代表した役割を担っていると考えております。
  140. 辻元清美

    辻元委員 ですから、私は完全に独立しているとは言えないと思うのですね。実際に池田局長もその事務局を担っていらっしゃるわけですから、重複しているわけですね。私は、ここを切り離していくという方向で検討を進めていくことがいいのではないか、そうでないと今回の抜本的改革ということが達成できないのではないかというふうに考えております。  もう一つ、「もんじゅ」の事故の後、原子力委員会原子力政策円卓会議というのを十一回にわたって開かれて、こういう会議があったことは評価されておりました。この会議は実際どういう位置づけで行われたのか、それからまた、この会議を今後も、こういう事故がございましたので開いていく見通しなのかどうか、いかがでしょうか。
  141. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 原子力委員会は、いろいろなものを審議をするために下部にいろいろな部会等を持つことになっておりまして、その名称といたしましては、専門部会と言ったり懇談会と言ったり何とか会議と言ったりするわけでございまして、そういう中の一つとしまして円卓会議というものを開いたということでございます。  それからもう一点は、円卓会議自身は、「もんじゅ」の後、三県知事から原子力に対する国民的な合意形成に努めてくれという話がございまして、そういうことをするために、幅広い方々から参加していただきまして御意見をいただくということで開かせていただきました。
  142. 辻元清美

    辻元委員 この円卓会議に招聘を受けて参加した人の中から、昨年の七月十六日付で原子力委員会に対して申し入れがされている、その文書を私は持っております。これは、実際に各界各層の市民の代表者も入れて円卓会議を開こうとして行われていたわけなんですけれども、途中でこういうふうに申し入れている。円卓会議で表明された原子力政策そのものに対する反対意見や疑問は結果的にただ聞きおくということにとどめられているのではないか、円卓会議そのものの位置づけや表明意見をどのように活用していくのか全くわからないという、せっかく円卓会議を開いたにもかかわらず、その原子力政策に疑問を持っている人もしくは市民の代表のような人たち十七名がこういう申し入れをしているのですね。ということは、国民的合意を、コンセンサスを得ていく過程として、原子力安全委員会の位置づけ、こういうところで意見を吸い上げていこうという試みはあったにもかかわらず、しっかりした独立機関がない。また、この円卓会議そのものも、これは参加した人のかなりの割合の人ですけれども、そういう意見が出ている。  こういう中で、最後に大臣に伺いたいのですが、現在、核燃料サイクルやプルサーマルの計画など、報道もされていますし、国民的関心は高まっておりますが、この全般的なプルトニウム政策について国民的合意が形成されているとお考えなのかどうか。いやちょっと、今回のこともあったし、なかなかこれは合意に至るのは難しいぞと思っていらっしゃるのか。率直なところを語っていただくことがまず第一歩だと思いますので、いかがでしょうか。
  143. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 私から申し上げるまでもなく、やはり我が国におきまして、将来にわたってエネルギーの安定供給、その中において原子力が重要なエネルギーであるという問題に対しまして、一つ問題があるのは、原子力というのは絶対安全だということを前提にしてすべてのものが今日まで来ているのですね。私は、絶対安全でしかるべきと思いますけれども、ただし、その裏には必ずいろいろなトラブルや事故は、率直に申し上げまして、絶対に起こり得ないかというと、これはなかなか言い切れない問題ではないか。これが一点。  それから、立地の地域の方々だけでなくして、日本人、国民一人一人が本当に、みずからのエネルギーだということに対して、我々監督官庁ももちろんでございますが、これが国民の末端まで、今委員指摘のとおり、みんながこのエネルギー問題と原子力開発利用というものに対して本当に合意形成ができているかといいますと、現況を見ますと、何といいますか、私はそう簡単なものではない。  特に、今回の事故等を見まして、原子力というと、何か、子供が学校に行く場合でも、原子力関係の学科に行くということになってくると、そんなところに行くなと言う親御さんもいるというぐらいの話が聞こえてくるのですね。これは、やはり科学立国を表明している我が国におきましても大変な重大なことだと思いますよ。ですからある大学では、大学の名前は私は知りませんが、原子力という名前をっけずに学科を設定している大学もあるのですね、はっきり申し上げて。  こういったふうなことになりますと、私たち、国会で原子力行政云々と言う前に、やはり国民にもっとわかりやすいように、今言った円卓会議を含めて、エネルギーの必要性並びにこのサイクルの、我が国の原子力行政というものを国民一人一人の問題として、やはり、余りにも神がかり的なことだけを申し上げて、絶対大丈夫だ、ついてこいなんという態度ではいかぬと思う。やはりこれは、私たちも裸になるときはなって真実を述べて、そして国民から信頼を得るということが前提になければ、私はこの行政は進まない、このように思っておりますので、委員指摘のとおり、私は、これから進める場合にこれは簡単な問題ではないということで重く重く受けとめております。
  144. 辻元清美

    辻元委員 私の時間が来ましたので、これで終わります。
  145. 佐藤敬夫

  146. 堀込征雄

    堀込委員 最後になりましたので、いろいろ重複する質問もあるかと思いますが、御容赦をいただきたいと思います。  事故の問題につきまして、きょうの議論、そして先日の議論、いろいろ議論されてきました。そして、この原因調査状況報告もいただいておるわけであります。素人目に見て、要するにどういう原因なのか、だんだん見えてはきたけれども、どうもまだしっくりこないという感じを持つわけであります。  先ほどもありましたように、この調査状況を見ますと、廃液供給量通常より下げて運転していた、これが何か影響したのではないかというようなこと、あるいは、混合物温度が異常に上昇していたというようなことやら、混合物が数日間非常にやわらか目であったというようなことがあるわけでありまして、そういう状況があった。しかし、今までもそれはあったことであって、少し様子を見てみようということだった、三月十一日は課長がいなかったので少し様子を見ておったというような答弁が、先ほど来あったというふうに思うわけであります。  いろいろ調査中なのでありましょうが、先ほど何人かの先生からも御指摘がありましたように、アスファルト固化による実績というのはもうドラム缶三万本にも上っている、いわば完成された技術であったわけでありまして、そういう意味では、起こり得るはずのないような、想定し得ない事故であったのではないか。あるいは、アスファルト充てん後二十時間も経過したドラム缶が燃えたのはなぜか、どうも、そういうことも想定しにくかったのだろうというふうに思うわけであります。  あらゆる事故、あるいは、あらゆる災害もそうでありますが、起こるはずのない、想定し得ないような、そういう事故なり災害が起きるわけであります。私は、そういう意味で、技術の粋を集めたというようなところではなしに、この完成されたはずの技術、起こるはずのない場所に火災が起き、爆発が起きているという意味で、末端技術というか、かなり一般化された技術についての点検などについて、やはり研究者特有の、何というか、点検保守あるいはそういうものに対する手抜きみたいなことがあったのではないかという印象を実は素人目に持つわけでありまして、そういう意味では、「もんじゅ」のナトリウム事故も同じような印象を持たざるを得ないわけであります。  そういう起こり得るはずのない場所で、しかも完成されたと思われる技術の場所で起きているので、そういう研究姿勢安全確保という面で、何か技術者特有の、あるいは選ばれた研究者特有の、皆さんのそういう意識があったのではないかという印象を私は持つわけでありますが、その辺の印象はいかがですか。
  147. 近藤俊幸

    近藤参考人 お答えします。  御指摘のような状況は確かにあったと思います。それで私は、今後、運営をやっていくに当たりまして、やはり組織的な対応も何かここで考えなければならぬと思っております。  といいますのは、やはり研究開発部門とそれから運転保守の部門の間に緊張感をつくりまして、それで、新しく研究開発をやるというときには、まず運転部門の了解を求めて、運転部門が安全だということを確認した上で進める。今までは研究開発優先でやってきたと思いますが、今後は考え方を逆にしまして、まずは安全運転に徹するという、そこの立場に立った上で、言うなればその範囲で研究開発を進めていくというふうに、安全優先に徹してやっていこうと思います。
  148. 堀込征雄

    堀込委員 そういうことで、ぜひ、何といいますか、全般的な、末端技術に至るまで目配りをしながら配慮をしてもらいたいものだ、こう思うわけであります。  そこで、ちょっと伺っておきたいわけでありますが、アスファルト固化にかわる処理技術というようなものが大分研究が進んでいるというふうにお聞きもしているわけであります。低レベル放射性廃棄物処理技術開発施設ですか、これはどんなような研究段階なのか。そしてまた、この技術が完成すれば、廃棄量なんか大分減らすことができたり、あるいは、今度起きたような、アスファルト固化施設における事故発生の要因というものはかなり取り除かれる技術だというふうに見ていいのかどうか、その辺の研究段階を含めて、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  149. 加藤康宏

    加藤(康)政府委員 そのアスファルト固化にかわる方式でございますけれども、これは平成元年ごろからいろいろな設計を進めてまいりまして、詳細設計、準備等始めておるわけでございます。  内容的には、再処理工場から出ます低レベル放射性廃液の中の放射性核種を化学薬品で取り除いて固化をする、そういう方式でございまして、アスファルトを使わないわけでございますので、アスファルト火災考えられないわけでございます。  その特色といたしましては、アスファルト固化に比べまして、はるかに残る廃棄物の量が少ないということでございます。江渡議員から最初に御質問ございました、そういう最終の廃棄物ドラム缶の本数も減らせる方法でございますし、処理の手順が簡単でございまして、実用規模で実施できるとなれば、非常に安価に処理できるということが期待されているということでございます。  これまで準備が進んでいまして、これからいよいよ建設にかかりたいと考えておりますが、それでもまだ四、五年はかかるようなスケジュールになっておりますので、今回の事故を踏まえまして、現在の施設の復旧の見通し、そういうことも勘案しながら対処していきたいと考えている次第でございます。
  150. 堀込征雄

    堀込委員 そこで、今回の事故は、原子力政策全般に対する国民の不安というものを大きくしたわけでありまして、これに対応する決意も、委員の皆さんの質問に答えて、近岡長官初め皆さんから答弁がございました。ぜひそういうことで対応をいただきたいと思うわけであります。  やはり情報公開行政全体もそうでありますが、特に原子力政策について情報公開がどう行われていくのか、しかもそれは、今事故が起きて議論になっているから考え方や決意で言うのではなくて、今情報公開のシステムをどうやって確立をするのかというのがやはり大事なのではないかという感じがするわけであります。  今回の事故は、虚偽報告だとかいろいろあったわけでありまして、事故原因調査結果を発表しても、国民には、本当に信じていいんですかという疑問がわかざるを得ないですね、これだけ経過を踏んでしまっているわけでありますから。そういうものに対する不信を取り除いて信頼を取り戻さなければいけない、さらには原子力政策全体について信頼を取り戻さなければいけない。  私は、どう見ても、これは動燃だけの話じゃないのですが、政府と特殊法人という関係、それから科学技術庁動燃というようなことになりますと、この関係だけじゃなくて、何か国民は今、ちょっと怪しいよという、天下りはしているし、うまくやっているんじゃないかという感情が実際にあることは事実だと思う。どうせ都合の悪いことは何か少し隠しているんじゃないのとか、どうも信用できないというのが国民感情だろうというふうに思うのです。その辺をどういうふうに改革していくのかというのも、特に原子力政策においては国民の理解が必要ですから、私は重要なことなんだろうというふうに思います。  先日、多分うちの小坂議員も質問したと思うのですけれども、情報公開法の要綱案が今出ていまして、これは特殊法人とか政府認可法人は政府案では外してあるわけであります。私は、この辺も少し検討しなければいけない、この問題に限らずやらなければいけないなとは思っていますが、それとは別に、国民の安全、生命にかかわる課題だけに、情報公開法ができるまでということを考えることなく、やはり独自のシステム、さっきの答弁を聞いておりますと、長官は大変な決意で、現場へ行って、査察システムなんかも検討しなければいけないというような決意、大変私は頼もしく聞いておったわけでありますが、やはり情報公開のシステムというのを原子力政策についてはきちんとつくり上げていく必要があるのではないか、こういうふうに思うわけであります。上から一方的なことじゃなくて、下からといいますか、市町村団体や市民団体からの要求に対しての公開を含めて、どういうシステムをつくり上げたらいいか検討して、早期につくり上げるべきではないか、こういうふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  151. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 原子力政策の基本というものは、何といってもやはり国民の理解と信頼を得なければならぬことは今委員指摘のとおりでございまして、そのために、今現在、核物質の防護等に係るもの以外は原則全面公開ということをいたしております。  この公開あり方なんですが、今も御指摘があったとおり、やはり国民にわかりやすいように公開しなければいけない。そこで私は、むしろどんなささいなことでもどんどん公開した方がいい。公開した結果、結局人体被害があったのか、環境汚染まで実際にあったのかどうか、いやなかったのだどうだというところまで国民判断して、ああこれならば、情報公開していただいたんだけれどもやはり真実なんだなというところまで信頼性を高めていかないと、今までのようなあり方では、何か公開すると、いやまたあそこは事故だ、これはだめだ、隠した、うそついたというようなことだけを繰り返しておったんじゃ、いつまでたったって私はだめだと思います。  だから、逆にどんどん、どんなささいなことでも公開しろと。ですから、原子力委員会も、今回の動燃事故調査委員会も、それから改革委員会も全部公開公開して初めて、国民がその結果を見て、ああこれならば日本の原子力を任せておいても大丈夫だというところにいくのは、その真実を知ったときなんですよ。知らない間は絶対信頼することはしません。私は、そこに原子力行政をこれから立て直していく基本があるんじゃないかな、こんな気がしておりますので、この公開の仕方については、まず国民に対してわかりやすく、その結果もあわせて国民が理解されるような情報公開あり方というものを基本にして考えていくべきだ、このように思います。
  152. 堀込征雄

    堀込委員 終わります。
  153. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  154. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 次に、内閣提出核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。近岡国務大臣。     —————————————  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関   する法律の一部を改正する法律案      〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  155. 近岡理一郎

    近岡国務大臣 核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  本法律案は、包括的核実験禁止条約を実施するために、所要の規定の整備を図るものであります。  この条約は、核兵器の拡散の防止、核軍備の縮小等に効果的に貢献するため、あらゆる場所において核兵器の実験爆発及び他の核爆発を禁止するとともに、あわせて、条約上の義務の実施を確保するための検証措置として、現地査察の実施等について規定するものであります。  我が国がこの条約を率先して締結することは、核兵器のない世界を目指した現実的かつ着実な核軍縮のための努力を積み重ねていくための国際協力に寄与し有意義であることから、今国会において条約締結の御承認とともに、この条約の的確な実施を確保するため、報告徴収、立入調査及び罰則等について所要の規定の整備を行う本法律案の御審議をお願いするものであります。  次に、本法律案の要旨について御説明申し上げます。  第一に、条約により設立される包括的核実験禁止条約機関等から条約の定めるところにより要請があった場合等に、我が国が説明を行うため、報告徴収に係る規定を整備することとしております。  第二に、条約上の義務の実施を確保するための検証措置である現地査察を受け入れるため、包括的核実験禁止条約機関の指定する者による立入調査等に係る規定を整備することとしております。  第三に、条約により、あらゆる場所における核兵器の実験爆発及び他の核爆発が禁止されることに伴い、核爆発を生じさせた者に対する罰則に係る規定を整備することとしております。  以上が、本法律案を提案する理由及び要旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  156. 佐藤敬夫

    佐藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。  次回は、来る二十日火曜日午前九時三十分理事会、午前九時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十八分散会