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1997-06-13 第140回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十三日(金曜日)     午前九時五十分開議  出席委員   委員長 仲村 正治君    理事 安倍 晋三君 理事 鈴木 宗男君    理事 中谷  元君 理事 浜田 靖一君    理事 白保 台一君 理事 鰐淵 俊之君    理事 池端 清一君 理事 古堅 実吉君       石崎  岳君    嘉数 知賢君       河井 克行君    桜田 義孝君       戸井田 徹君    林  幹雄君       吉川 貴盛君    石田 勝之君       原口 一博君    丸谷 佳織君       三沢  淳君    藤田 幸久君       上原 康助君    岩國 哲人君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 武藤 嘉文君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      稲垣 実男君  出席政府委員         防衛庁長官官房         長       江間 清二君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛庁経理局長 佐藤  謙君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁総務         部長      伊藤 康成君         沖縄開発庁総務         局長      嘉手川 勇君         沖縄開発庁振興         局長      牧  隆壽君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    朝海 和夫君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省欧亜局長 浦部 和好君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵省主計局次         長       溝口善兵衛君  委員外出席者         北方対策本部審         議官      川口  雄君         外務大臣官房外         務報道官    橋本  宏君         外務省中南米局         長       田中 克之君         文部省高等教育         局専門教育課長 梶野 愼一君         運輸省航空局首         席安全監察官  佐野  功君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 横田 和男君         特別委員会第一         調査室長    清水 紀洋君     ───────────── 委員の異動 六月十三日  辞任         補欠選任   新藤 義孝君     戸井田 徹君   松本 惟子君     藤田 幸久君   吉田 公一君     岩國 哲人君 同日  辞任         補欠選任   戸井田 徹君     新藤 義孝君   藤田 幸久君     松本 惟子君   岩國 哲人君     吉田 公一君     ───────────── 六月十一日  北方領土返還促進に関する請願(鈴木宗男君外  五名紹介)(第四五〇〇号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  沖縄及び北方問題に関する件      ────◇─────
  2. 仲村正治

    仲村委員長 これより会議を開きます。沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木宗男君。
  3. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 外務大臣、きのうペルー問題の報告書が出たわけですけれども、この報告書が出て、外務大臣総理報告に行った際、辞意表明をされた、そういうふうに報道で伝わっております。私は外務大臣責任感から当然辞意表明されたと思うのですけれども、きょうのマスコミ論調なんかを見ますと、外務大臣のパフォーマンスとか、どこまで考えて言ったのかとか、すぐ撤回するのはいかがなものだとかさまざまな論評があります。  せっかくの機会ですから、正確に、国民に向けて大臣の真意というもの、同時に、今回盲点があったということは認めているわけでありますけれども、報告書を受けとめての大臣見解もお知らせをいただきたい、こう思います。
  4. 池田行彦

    池田国務大臣 在ペルー日本大使公邸占拠事件につきましては、人質になられた方、あるいは御家族の方々を初め多くの方々大変苦痛を強いる結果になったわけでございますし、また国民皆様、そしてまた世界の各方面の方々にも大変御心配をおかけしました。その点、私ども、本当に申しわけなく思っている次第でございます。  事件決着を見ました直後に、この事件のいろいろな経過あるいはそれに対する我が国政府としての対応ぶり等につきまして調査をするということで調査委員会をつくったわけでございますが、昨日、その調査委員会の結果がまとまったところでございます。  そういうことをその調査報告で明らかにしておりますけれども、具体的に見てまいりまして、今回の事件がなぜ起こったかと調べました場合、我が国の、特に外務省の個別の職員に具体的な職務執行上の落ち度があったということは認められない、こういうふうに考えた次第でございます。  しかしながら、それでは万全であったかと言われますと、情報収集の面でそれなり努力はあれこれしておったわけでございますけれども、後になって振り返ってみますと、相手国政府機関の中でも、この部分にはいろいろコンタクトをして情報をとっていたけれども国家機関のうちの特定の分野については全く接触がなかった、その機関はどうも事前にいろいろ危険度が高いという情報を持っていたようだということも明らかになったわけでございまして、そういった意味で、事前の、また平素からの情報収集に当たって反省点も見られたどころでございます。  また、公邸自身施設面設備面等警備体制はどうかという点につきましても、事後的に振り返ってみますと、隣接する家屋からテロリストたちが侵入してきたわけでございますが、実は、そちらの方が警備上の弱点になる、そこから何らかの者が侵入してくるということは想定していなかった、こういうことでございまして、いわばそこは盲点になっていたということも明らかになったわけでございます。  そういったことがあったということが、それでは大使あるいは個別の職員職務の怠慢であるとか、あるいは落ち度があったかといいますと、そうは言えないわけでございます。しかしながら、ああいうふうな事件が起きたということを踏まえ、こうやって振り返ってみますと、やはり万全とは言えなかった、こんな判断をいたしまして、将来に向かってそのような点も含めていろいろ改善をしていきたい、こういうふうに考えております。  それからいま一点、事件が発生いたしましてから決着に至るまでの日本政府対応はどうであったかにつきましても、いろいろ御批判をちょうだいしております。我々も、すべて批判をいただく余地はない、万全であったとまでは申しませんけれども、大筋で申しますと、我が国人質になられた方々の全員の無事の解放ということを一番大切にいたしまして、また同時に、テロリスト要求に屈してはならないということもきちんと堅持いたしまして対応してきた、そして、ペルー政府と連携をしながら進めてきたということはやはり正しかったと思います。  それから、最終的な決着は、あのようなフジモリ大統領の周到な準備の上に立った果敢な行動によって実現したわけでございますけれども、そのようなことが可能になるためにはいろいろな条件が必要でございました。例えば保証人委員会方々があれだけ粘り強い交渉をしていただいたというのも大きな要素でございますけれども、やはり日本政府の、先ほど申しましたような基本姿勢に立ついろいろな努力というものも、あのような決着が可能になる環境をつくる上で間違っていなかった、こういうような判断をしている次第でございます。  いずれにいたしましても、このような事態が再発しないように、将来に向かって万全の体制で進めてまいりたいというのが調査委員会報告書の基本的な考えでございます。  このようなことを踏まえまして、職員方々国家公務員法上の責任を問うようなことはございませんけれども、このような事件が起きたということ、そして外交信頼が損なわれたという点はございますので、事務次官以下の幹部職員並びに青木前ペルー駐箚大使につきまして、外務省の内規に基づく処分を行ったところでございます。  当然、このような大きな重大な事件が起きたことにつきましては、外交最高責任者でございます外務大臣責任は極めて重大である、このように痛感しております。私も、事件の発生以来、そのことは常に痛感しておりまして、しかし同時に、まずは事件の円満な解決、そして決着後は将来に向かって今回の教訓を踏まえてのいろいろな善後策等をまとめていく、まずその作業を中心的に考えていくべきだということで進めてきたわけでございますが、昨日の調査委員会報告書が出た機会をとらえまして、私といたしましても、外交責任者として、日本外交信頼がこのように大きく損なわれたという点を深刻に考えまして、橋本総理にお目にかかり、この際、外務大臣の職を辞すことをお許しいただきたいということをお願い申し上げたわけでございます。  それは、先ほど申しました、この事件についての一番の責任はだれでもない、外交最高責任者である外務大臣である私にあるということを痛感してきたその気持ち、心情に出るものでございまして、総理にお願いしたわけでございます。  総理からは、外務大臣としての責任の重大さは、それはそのとおりである、日本外交信頼を失ったということはまことに重大なことであるということを改めて御指摘を賜りました。その上で、それならばどうやってその責任をとればいいのか、それは外務大臣をやめればいいのか、そんなことではないだろう、そんな軽いポストではないし、そのような軽い責任ではないぞ、こういうふうなお諭しをいただきました。  そして、まずテロリスト要求には屈しないということで来たわけでございますが、もし外交責任者が、この事件の関連で、そのことのみをもってそのポストを去るということがあれば、これはある意味テロリストに屈したということになる、そういう見方だってあるじゃないか、そこのところも考えなければいけないというお話もいただきました。  それから、現在、我が国外交が当面しておりますもろもろの課題についてもお話をちょうだいいたしました。それにつきましては、おかげさまで今国会に提出いたしました十六の条約案もすべて一昨日御承認賜ったわけでございますが、この懸案も一応片づきました。もとより、今ガイドラインの問題等々そういう重要案件もかかっておりますけれども、これも、今の外務当局のいろいろなスタッフ、あるいは防衛庁長官初めおいでになるわけでございますし、何とか対応できるのではないかというふうなことも申し上げたわけでございますが、総理からは、それだけではないだろう、今の日本を取り巻く国際情勢、その中での課題をよく考えてみろ、そういったことに全力をもって取り組むことがその責任をいささかなりとも果たすゆえんではないかということをじゅんじゅんとお諭しいただいたわけでございます。  私自身は職を辞するということが最も適切な責任のとり方であると考えておりましたけれども、私の考えの及ばなかった点も含めて総理から御指摘を賜り、そして辞職を認めるわけにいかぬ、こういうお話でございましたので、私は職をもう既に辞したつもりで、大時代の表現をとるのは恐縮でございますが、身を捨てたつもりで損なわれた日本外交信頼回復のために従来にも増して全力を尽くしていくということで、許される限り、外交課題を適切に解決し、あるいは将来に向かって我が国の存立、そして我が国国際社会との関係を改善していくために身を挺してまいりたい、このように考えておる次第でございます。  当委員会委員皆様方にも、本件につきましては大変御心配をおかけいたしましたし、また、私自身の至らなさのためにいろいろ御心配をちょうだいいたしましたことをまことに恐縮に存じておりますが、どうかその事情を御賢察の上、よろしくお願い申し上げる次第でございます。
  5. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 質問時間の半分くらい今の大臣答弁で、丁重に伺ったのですけれども、大臣、私は、結果として日本人質も全員無事であったということ、特殊隊員の二人のとうとい犠牲は忘れてはいけませんけれども、結果としてよかったと思っているのです。  ついては、大臣たるもの軽々にやめるなどということはいかがなものか、私はこういう気持ちだから質問させてもらったのです。総理が賢明な判断をされていますからそれでいいのでありますけれども、同時に、大臣の発言というのは外務省全体の士気にも影響しますから。  少なくとも、あの人質解放のとき日本政府は何をしたかというマスコミ批判があったけれども、平和的解決と強く言ってきたがゆえに時間稼ぎもできて、そのときに作戦もとれて、私は結果オーライだったと思っているのです。私が結果オーライとテレビで言ったら、鈴木宗男はのうてんきだと言われたけれども、私は、外務省判断は間違っていなかったし、粘り強い日本政府のアプローチが功を奏したと思っているのですね。  そういった意味でも、これは外務省職員全般士気にも影響しますから、軽々には辞意を、本当にやめるならやめてもらえばいいのですけれども、中途半端な気持ちで言ったら逆にせっかくの善意も余り評価されない、私はこう思ったものですからあえて大臣にお伺いをしたのです。  そこで大臣大臣は何か給与の一部を返納するというようなことをきのう言われておったようでありますが、具体的にはどんな形での態度表明なんでしょうか。
  6. 池田行彦

    池田国務大臣 昨夜一晩いろいろ考えまして、俸給月額の十分の三相当額を国庫に返納させていただく、こういうことにさせていただきたい、こう考えております。
  7. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、今、日本外交も大きな果たすべき役割がふえてきていると私は思います。同時に、例えばきょうの新聞の一面なんかでは、三十五年ぶりに愛知に瀬戸万博が決まった、こういう明るいニュースがありますけれども、私は、そこには外交努力があって圧倒的勝利になったという部分があってもいいと思います。外交関係機関あるいは国にアプローチしているのは、民間の努力もさることながら、在外公館外務省職員が本当に一生懸命やった、状況は厳しいなという雰囲気はあったけれども、結果として最後は見事な成績をおさめた、私はこう思っているのですね。  そういった意味では、日本公務員はどこでも一生懸命やっていますけれども、わけても国益だとか愛国心を持ってやっているのは外務省だということをもっと大臣からもアピールしてもらって、そしてまた、少ない数で一生懸命やっている外務省でもありますから、この点を堂々と天下に公言していってもらいたい、私はこんなふうに思っております。  時間がありませんから、総務庁長官にお尋ねします。  ビザなし交流が始まりまして五年たつのですけれども、総務庁なり外務省職員が同行するそのときの出張扱いが、これは海外出張手当を出しているんですね。日本国有領土といいながら、しかもビザなし交流、お互いの国を害さないということでスタートしているビザなし交流国内出張が当然ではないか、私はこう思っているのです。  総務庁に聞いたら、いや、大蔵省令だから大蔵省判断すればいいと言う。大蔵省は、いや、それは政府がきちっと統一した判断をすればそれに従いますということなんです。  私は、少なくとも北方四島の出張は、今行けるのはビザなし交流しかないわけでありますから、あるいは人道支援で行くときしかないわけでありますから、これはきちっと政府判断して国内出張扱いにすべきだ、こう思います。そのためには大蔵省令を変えなければいけないわけでありますけれども、総務庁長官としての見解、同時に政府見解を示してほしい、こう思います。
  8. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 御承知のとおり、今お話しのとおりで、大蔵省令でこれは決められているわけですが、過去に例えば、きょうこれは沖縄の問題を議論されるわけでありますけれども、沖縄施政権が返還されない前、あるいは小笠原諸島が返還されない前、それはやはり同じような形で外国旅行と同じ手当を実は出していたわけです。役所のやり方ですから、それに準じてということで今の大蔵省令があると私は思います。  しかし、それがいいのかどうかというのは、過去がそうだからといってこれも当然だというふうに割り切っていいのか。今お話しのように、北方領土沖縄固有領土だったから同じではないかといえば同じことですけれども、沖縄も返ってまいりましたし、小笠原も返ってまいりました。戦後五十年もたって、しかも不法占拠でやられた北方領土が今なお残念ながら返ってきていない。こういう点からいけば、沖縄と同じ扱いでいいのか。  もっとはっきりとその辺は、日本政府として、北方領土はあくまで固有領土であるし、しかも戦後五十年たった、当然返ってきているべきものが返ってきていないのはけしからぬ話だという姿勢からいけば、沖縄と同じように扱わなければいけないというのも問題ではないかと私は思っておりまして、正直私もそういう形で大蔵省令でやられていたということを承知していなかったものですから、この間そういうことをお聞きしましたので、今後の問題としては、これはやはり国内並み旅費でいいのじゃないかということは検討し、できれば大蔵省令を変えていくという姿勢が必要ではないかと私は思っております。
  9. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 これは総務庁長官が担当ですからお尋ねするけれども、北方領土については国内出張扱いにするということが一つ、同時に大蔵省省令も変えるということでよろしいですね。
  10. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 当然、私は今申し上げたように、従来役所のやってきたことはそれなりに間違いではなかったと思うのですね。ただ問題は、もう沖縄も返ってきている、こちらは五十年たっても返ってきていない、それを同じに考えていいのかというのは、政府としてはやはり考え直すべきときではないのだろうか、そういう指摘を受けましたから、私としては、できるだけ早くこれは沖縄とは違った形で、国内並みに扱うのがいいのじゃないかというふうに是正していくということで頑張ってまいりたいと思っているわけです。
  11. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大蔵省が来ていますから、大蔵省も、今の大臣答弁をきちっと聞いていると思いますので、速やかにこの省令改正をするという姿勢だけははっきりさせてもらいたい、こう思います。
  12. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 旅費法の規定は昭和三十六年に現行の形になったわけです。そのときは、国会国内法令における北方四島の取り扱いがばらばらじゃないかという議論がございまして、そこで政府関係法令を念査いたしまして、統一的な処理をして現在に至っているわけです。  したがいまして、この問題につきましては、大蔵省だけの判断ではいけませんので、政府として統一的な処理を行う、そういう検討の中で真剣に取り組んでまいりたいと思います。  まだ技術的にどういう問題があるかという検討を終了していませんから、どういう形で適切な処理ができるかというのは現段階では申し上げられませんけれども、御指摘の点を踏まえて真剣に検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  13. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 ちょっと次長、時間がないからそこに立っていて。  今、武藤大臣は明確にやると言ったのだよ。これは省令改正だけで、何も難しい話じゃない。国内出張扱いしなさいということで省令を変えるのが、何で君、難しい答弁になるのだ。ほかの法律のことは言っていない。僕はこの省令のことだけ言っているのだ。税関だとか検疫だとか、そういうのは触れていない、関係法は。
  14. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 私が申し上げましたのは、現在のような形になったのは統一的な処理の過程でなったものですから、例えばこれを変えた場合に、ほかに影響が出ないかとか、問題はないかとか、そういう検討はしなければいかぬということを申し上げているだけでございまして、可能であれば、やることはいささかも変わりないわけでございます。
  15. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 溝口さん、そもそも基本的認識が違っている。大臣が言ったことに君が後退しているような話で、政府一体としておかしいのじゃないか。国内法の問題だよ。これは外国関係する話じゃない。しかも、一省令の話だよ。それを、何に影響があるのだ。日本固有領土と前から宣言しているのだ。しかも、ビザなし交流という新しい展開にもなっているわけだよ。みんなパスポートを持って行っていない場所について、何で国内出張にできないのだ。
  16. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 新しい状況を踏まえまして、適切な処理を、省令改正を含めまして……。
  17. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 やるかやらないかを言えばいいのだよ、省令改正に向かって検討するなら検討すると。
  18. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 省令改正に向かって真剣に検討してまいります。
  19. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 役所の人ですから立場があって慎重だと思いますけれども、大臣から明確にやるならやるということを答弁してもらいたい、こう思います。
  20. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今私が答弁したように、沖縄のときの状況とは違うという判断がなされて、もう一回見直しをすべきだというふうに思っておるわけでありますから、今役所も、役所の仕事もありますから、これはぜひそういう方向へ実現するように努力してまいりたいということを私ははっきり申し上げるわけであります。
  21. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 重ねてよろしくお願いしたいと思います。  外務大臣、デンバー・サミットを間近に控えていますけれども、そこで当然日ロ首脳会談がセットされていると思います。私は、今の日ロ関係にとって一番大事なことは、できることからやっていくことだと思っているのですね。  そのためには、やはり一番大事なのは四島周辺の安全操業問題です。相当いいところまで来ているという認識を私も持っているし、外務省相当努力してくれている、こんなふうに思っていますけれども、次の交渉はいつを予定しておりますか。
  22. 池田行彦

    池田国務大臣 委員指摘のとおり、日ロ関係は、北方領土問題を解決して関係を完全に正常化する、この道を大切にしなくてはいけない、これは当然でございます。それと同時に、そういった状況が開けていくための環境を整備するという観点からいいましても、いろいろな交流、できる交流はしていかなくてはいけない。とりわけ、北方四島周辺の海域における漁業に関する枠組み交渉、これは非常に大切だと私ども考えております。  それで、これも何度も今非公式の折衝をやりまして詰めてきておるわけでございますけれども、私自身も、機会をとらえてロシア側にいろいろ申し入れをしております。先般、モスクワを訪問いたしましたときも、プリマコフ外相との間で、いろいろ問題はあるけれども、当面は、ともかくこの枠組み交渉を早期に決着させるということは、ほかのその後の進展を考えても何よりも大切だということを申しました。そして、プリマコフ外相も、当面の課題として最重要問題とロシアとしても考えているという答えでございました。  そして、その際、ネムツォフ第一副首相にも、これは大切だぞと言いましたら、彼は直接の所管ではなかったようでございますけれども、その重要性認識してくれまして、彼もいろいろ努力しておる、こういうことでございます。  そして、先般、ネムツォフさんが貿易経済に関する政府間委員会のために来られたときも、事柄の性格上、会議の中ではこれは話をしませんでしたが、会議の外で二人で会いましたときに、さらに念を押して、おい、これは早期に決着しなくちゃいけないよ、デンバーで首脳会談が持たれる、何とかそれまでにという話もこちらからしたわけでございます。彼も、それはよくわかるけれども、十日でやれと言われたらちょっと幾ら何でもという話で、しかし、大切なのはそういった意欲だ、そしてそういった意気込みでそれぞれの責任者が真剣にやるように督励していこうじゃないかということで一致したわけでございます。  そういったことで、私どもも可及的速やかに、可及的速やかというのは官庁用語ではなくて、本当にでき得る限り早くこの事案について、双方の領有権にかかわる立場を損なわないという形で、しかも現実的に対応できる道を追求してまいりたいと思います。  おっしゃるとおりかなり近づいてまいりましたけれども、この最後のところが非常に厳しいわけでございますが、頑張ってまいりますので、よろしくお願いします。
  23. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、当然デンバー・サミットでプリマコフ・池田会談もセットされる、あるいは橋本・エリツィン会談もやるということで既にセットされている。私は、少なくとも、池田・プリマコフ会談では、速やかに枠組みだけでもやるべきだというぐらいの踏み込んだ話もしてもらいたい、それですぐまた交渉をやってもらわないと効果的でないと私は思うのです。  そういった意味では、デンバー・サミットが終わった直後に行われるべきだと思いますけれども、局長、これは事務的な話ですから、日程的な話ですから、大臣でも結構ですけれども、ある程度外交的に詰めている話でありますから、踏み込んで、日本としてはこうだという姿勢を見せてもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
  24. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほども申しましたように、先般モスクワにおいてプリマコフ外相に、また、九日には東京でネムツォフさんに、この問題の重要性、そして早期決着がいかに大切であるかということを強く迫ったわけでございます。  そして、先ほども申しましたように、とはいってもデンバー・サミットまでにというのはちょっと難しいという話でございましたが、それでもきちっとやろうということで、デンバー・サミットが二十日から開かれますけれども、その直後にもまた次なる交渉を実務の責任者の間で行うという方向で、今、具体的に日程の最終的な詰めに入っているところでございます。
  25. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、直後というと、二十三日が月曜日ですから、普通これは三日間セットされますから、二十三、二十四、二十五という判断でよろしいですか。
  26. 浦部和好

    ○浦部政府委員 まさに直後は二十三日からの週になるわけでございますが、具体的にいつにするかということを、外交ルートを通じて、二十三、二十四、二十五なのか、二十五、二十六、二十七なのか、その辺のところを今具体的に調整している、そういう状況でございます。
  27. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 二十三の週には間違いなく行われるということでよろしいですね。
  28. 浦部和好

    ○浦部政府委員 我々としてはその準備が十分できているものですから、相手側にぜひそれを受けていただきたいということで今一生懸命やっているということでございます。
  29. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 この十回目の交渉、十回目という区切りでもあるし、本交渉に入ってからちょうど丸三年です。大抵タイムリミットだ。タイムリミットとタイムメリットの両方あると私は思っておりますから、この点は特にお願いしたい、こう思っています。  防衛庁長官、ガイドラインについてお尋ねします。  中間取りまとめがされました。九月の2プラス2で最終的な正式決定がなされるわけでありますけれども、私は中間取りまとめ等を読んでおりますと、これはどうしても法整備が必要だな。  例えば去年通ったACSAにしても、あれは共同訓練はできるけれども、有事のときのACSAにはなっておりませんね。自衛隊法百条の八にしたって、邦人救出一つ見ても、飛行機は使えるとなっているけれども船は入っていませんでしたね。入れようと思ったけれども、船は前回外されましたね。  そういうところから考えると、私は、有事法制というのは何となくおどろおどろした感じがするというけれども、当然、政治に責任ある国家としての姿を示すならば、やはり法整備は必要だと思うのですね。  ついては、九月にまとまると、その法整備は、次期通常国会で審議するのか、あるいは想定される臨時国会で法案を出すのか、大臣見解を聞かせてほしいと思います。
  30. 久間章生

    ○久間国務大臣 秋までにガイドラインの見直しをきちっとしたものにしてまいりまして、それを国内で効果あるものにしていかなければならないわけでございますから、そのときに法的整備、予算措置、いろいろな検討がされると思います。  したがいまして、法的整備はしなければならないとなりましたときには、臨時国会までに全部を詰めるということはできないと思いますので、多分通常国会になるかと思いますけれども、法的整備が必要となれば、通常国会等でやはり議論されるべきものと思っております。
  31. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 防衛庁長官、これは言わずもがなでありますけれども、このガイドラインというのは、同盟国たるアメリカに対し日本として何ができるかという明確な姿勢を示すところに意義のあることでありますから、私は、速やかに法律整備については提案をしてもらって国会で整々と議論をする、これがまた日本の果たすべき役割だと思いますので、今大臣が通常国会でその法案の審議をしてもらうということでありますから、ここで前広の議論をして、日本としてのより明確な姿勢を示していってほしいと思います。
  32. 仲村正治

    仲村委員長 白保台一君。
  33. 白保台一

    ○白保委員 ガイドラインや何かについても種々お聞きしたいと思いますが、その前に、沖縄県内で起きているさまざまな問題について、まず何点かお聞きをしておきたいと思います。  先般、沖縄の新聞に大きく報道されたわけですが、自衛隊機とエアーニッポン、ANKのニアミスの問題が、そろそろ報告書がまとまって出てくるということが新聞に大きく出ておりました。  これは皆さんも御存じだと思いますが、昨年十二月、那覇空港で那覇発石垣行きの四三三便ボーイング737、五十四人の乗客がいましたが、離陸直後に航空自衛隊のF4ファントム二機とニアミスがあったとする報告がなされて、調査が運輸省によって行われておりました。  新聞報道などを見ておりますと、運輸省は管制官の指示にミスがあったというようなことを新聞も報道しているわけでございますが、今月中に報告書が出てくる、こういうふうに報道されておりますが、この辺の事実関係また報告書の問題について、運輸省にまず答弁をお願いします。
  34. 佐野功

    ○佐野説明員 那覇空港におけるニアミスについては、現在、運輸省で安全監察官が調査中であります。内容については、今現在発表できる段階ではありません。  それで、六月八日付の新聞紙上の内容については、安全監察官が発表したものでないということを御了知お願いしたいと思います。  以上です。
  35. 白保台一

    ○白保委員 もう一度確認しておきますが、あれは運輸省から出たものではないのか。
  36. 佐野功

    ○佐野説明員 これは、新聞紙上の内容については運輸省が発表したものではありません。
  37. 白保台一

    ○白保委員 どちらにしても、ニアミスの問題について私が強く申し上げておかなければならないのは、これまでも那覇空港におけるところのさまざまな事故、そういったものがございました。那覇空港というのは、御存じのように、自衛隊と共用、いわゆる軍民共用、こういうふうに言われておるわけです。そういった意味では、那覇空港の危険性が常々指摘されております。  運輸省の調査を見ますと、昨年一年間に自衛隊機や米軍機が民間空港に着陸した回数は、全国七十三空港の合計が三万七千回、こういうふうに運輸省は言っておりますが、その中で、那覇空港においては一万一千四百七回とずば抜けて多い。ここは共用でございますから、当然そういう形になるのだろうと思います。  そこで肝心なことは、新聞報道は運輸省から出たものではないというふうに言っておりますが、管制官のミスということが書かれておりますけれども、管制官も恐らく神経を使っているだろう、また自衛隊機に乗っている人も物すごく神経を使っている。そもそも民間飛行機と自衛隊機では、飛行機のスピードが違いますので、管制をやる方は相当な神経を使ってぴりぴりしながらやっているのだろうと思います。同時にまた、自衛隊機に乗っているパイロットも相当な神経を使っているだろう。これはそもそも無理がある。同じ空港を使っているということはそもそも無理がある。私どもは、これまでも常々民間専用化にすべしということを言ってきたわけです。  特に、本土における空港と違って、本土における空港は他に代替の交通機関があります。ところが、那覇空港の場合は、離島からの便が集中して来る、同時に本土からの便が来る、海外からの便も来る、こういう中で共用していくというのはかなりの無理があって、しかも、それはそこしかないという状況にあるわけです。そういう面では、いわゆる軍民共用と言われていますが、軍民共用を早くやめて、沖合展開するなり新たな形で分離をしていかなければ、この問題はこれからも起こり得る、そのことを私は強く申し上げたいと思うのです。  先般、この委員会で運輸省にそのことを申し上げたら、自衛隊と一緒に使っているところは幾つもあるという話なんですが、先ほど申し上げたように、状態が違う。本土におけるところの共用と沖縄の共用とは交通機関の問題から見たって全く状況が違います。そういう面では分離を早くしていかなければいけない、そういうふうに私は強く訴えたいのですが、運輸省、いかがですか。
  38. 横田和男

    ○横田説明員 お尋ねの軍民分離のお話でございますけれども、一般論から言えば、軍民が分離しているというのは非常に望ましい姿であるわけですけれども、現在の日本の国土の狭い状況等を考えますと、やはり軍と民が一つの飛行場を使っていくというのはやむを得ないものではないかなというふうに思っております。  そういうことで那覇空港も現在軍と民が共用しているわけでございまして、那覇空港のいろいろな構想、先生が先ほどおっしゃいました沖合展開の構想というのも我々もよく承知しております。  私どもとしましては、そういう軍民共用、軍民分離というような意味ではなくて、那覇空港が将来とも需要に対応していけるかどうか、そういう航空需要の態様から那覇空港のさらなる整備が必要かどうかというのを検討していきたい、こういうふうに思っております。
  39. 白保台一

    ○白保委員 恐らく運輸省はそういうふうな需要の問題で来られるだろうと思うのですが、確かに、まだ余裕があるというお考えのようだと思いますが、現実に県民生活の問題からいって、どう安全性を確保するかという問題も一つあるのです。  現に既に分離したところもありますね。そういう意味では、先ほどから申し上げているように、県民生活において、一番県民生活の足を確保しなければならない、そういうところですよ。そういう意味では、私は、この需要の問題で判断をされますと県民生活の安全というのは確保できない、そういう面では真剣な検討がなされるべきだ、こう思っています。もう一度答弁をお願いします。
  40. 横田和男

    ○横田説明員 私どもとしましては、当然、共用に当たって、安全の確保というのは最優先に考えておるわけでございまして、そういう安全を確保しながらいかに運用していくか、その中で、いろいろな航空需要に対応ができなくなったら、新たな措置というのですか、新たに滑走路をつくっていくとか、そういうことを考えていく、こういうふうに思っております。
  41. 白保台一

    ○白保委員 確かに、安全を確保することが第一だ、このことを当然考えておる、こういうふうに運輸省はおっしゃるわけですけれども、現実に幾度となくこういった事故が起きて県民生活に大変支障を来しておる、このことをしっかりと念頭に置いていただきたい。これ以上議論しても今のところ前へ進まないと思いますかち、これ以上は申し上げませんが、地元の方ではもう既に民間専用に移行してもらいたいという声は常に出ておるところでございますので、強く申し上げておきたいと思います。  次に移りますが、先月の三十日ですか、嘉手納飛行場内で起きたF15イーグル戦闘機の風防ガラスの落下事故というものがありました。この事実関係について、外務省
  42. 折田正樹

    ○折田政府委員 委員指摘のように、五月三十日の正午ごろでございますが、嘉手納飛行場所属のF15が離陸しようとした際に風防ガラスが飛行場内に落下し、同飛行機は一たん飛び上がった後、直ちに同飛行場に帰還したということでございます。  それで、本件に関する通報につきましては、三十日午後四時二十分ごろ、在那覇総領事館より外務省沖縄事務所を通じ通報がございまして、外務省としては直ちに県に対し通報したものでございます。
  43. 白保台一

    ○白保委員 これは事故ですか、局長
  44. 折田正樹

    ○折田政府委員 三月三十一日に私ども取りまとめた通報手続というのがあるわけでございます。その中で、米軍の施設・区域内において起こったものであっても、「公共の安全又は環境影響を及ぼす可能性がある事件・事故が発生した場合」には通報の対象になるということでございまして、私どもとしては、本件のようなケースであれば、周辺住民の安全に影響を及ぼす可能性があるものとして、そういう手続の対象になるべきものであるという判断をしているわけでございます。
  45. 白保台一

    ○白保委員 これは外務省見解ですね。米軍の方はこれを事故というふうに扱っていますか。
  46. 折田正樹

    ○折田政府委員 先ほど申し上げましたのは私ども外務省見解でございますが、米側は、これは施設・区域の中で起きて、周辺住民の安全に影響を及ぼす可能性があるとは当初思っていなかった ということで、そういう判断をしていたわけでございます。
  47. 白保台一

    ○白保委員 その後、いわゆる嘉手納飛行場の横の方にある安保の丘という、その辺から見ていた人が、風防ガラスが落ちて、それでそのまま飛び立っていく、そうすると機首が非常に揺れてそのまま飛んでいった、非常に危険を感じた、こういうようなことを新聞報道などでも目撃者は言っておるわけです。  ところが、今、外務省は事故というふうに受けとめているにもかかわらず、当初米軍は事故というような受けとめ方をしていない。現実には、これはそのまま飛び立っていって、何かあったときには、墜落したり事故につながりかねない問題が起きているにもかかわらず、アメリカ側は非常に甘い受けとめ方をしているということです。  したがって、地元では事件事故についての定義の問題を明確にすべしということでかなり議論になっておるわけでございますが、原島さんもそういった中で大変御苦労なさっているようですけれども、この定義の問題について明確にすべしという声が強いわけですけれども、その点についていかがでしょうか。
  48. 折田正樹

    ○折田政府委員 定義としては、その時々のケースによるわけでございますが、「公共の安全又は環境影響を及ぼす可能性がある事件・事故が発生した場合」ということになっているわけでございますが、今のように日米で少なくとも当初は食い違いがあったわけでございますので、日米間の合同委員会等の協議を通じて、日米間で食い違いがないように私どもとしても努力をしたいと思います。
  49. 白保台一

    ○白保委員 大臣、今のお話のように、三月に事件事故が起きたときの通報体制の問題が結ばれて、これからうまくいくということで我々も非常に期待をしておったわけです。事故があったらいけませんけれども。  ところが、米軍側の受けとめ方によって通報をする必要はないのじゃないか、こういうようなことがあったり、そういうことで今定義の問題がかなり議論をされているわけです。そういった面では、しっかりとその辺の問題についても通報がすぐなされるような体制をつくり上げていかなきゃいけないのじゃないか、私どもは強くこのことを訴えておきたい、こう思っています。  もう一つは、この問題について、沖縄県議会がきょう臨時議会を開いて決議をするようです。  私が申し上げたいことは、この間まで何度も申し上げておりますが、なぜそういった事件や事故が起きたのかという原因究明、そして公表──きょうの決議ではそういったことがなされます。同時にまた、F15の飛行中止ということも決議されるようです。再発防止の徹底とか通報基準に基づくそういった事件事故の定義を明確化する、こういうことがきょう決議をされるというふうに報道を見ていますと出ておりますが、一番問題なのは、前々から申し上げておるように、問題が起きた、この問題の原因究明がなされるまでは、これはやはり飛行中止すべきですよ。練度という問題を言いますけれども、しかし、その下には、その周辺には県民が生活をしているわけですから、この原因究明がはっきりしない中で上空を飛ばれていたら県民生活は非常に不安です。  そういう面で、私は、この決議というのは、きょうなされるようですが、非常に重要な問題だと思っています。この原因究明、その間におけるところの同種の訓練の問題について中止すべしという決議がなされますが、どのように受けとめられますか、大臣
  50. 池田行彦

    池田国務大臣 三月末につくりました通報システムがより適切に行われるように、米側ともよく協議しながらその努力をしてまいりたいと思いますし、また、こういったトラブルの原因の究明、そして再発の防止にも最善を尽くしてまいりたい、このように考えております。  なお、今白保委員、かねてからの御主張でございますいわゆるペナルティーとしての訓練等の一時中止という御主張でございますが、この件につきましては、これまでも当委員会あるいは他の委員会でも御答弁申し上げてきたところでございますが、私ども政府といたしましては、委員の御主張には残念ながらにわかに首肯できないところでございます。
  51. 白保台一

    ○白保委員 国の立場としてそういうことだと思いますが、県議会、まさに県民生活を預かっているそういう立場の皆さん方は、自分たちの県民生活の中で現実にそういった事故が起きて、その原因究明がはっきりされない、こういう状況の中で同種の訓練が行われているというのは、その地域における県民の生活においては大きな不安ですから、私は常々このことを申し上げてきているところでございます。しかし、私たちとしては、現場の立場からいったならばこれが当然である、こういうふうに思っております。  次にお聞きしたいと思いますが、ガイドラインについて外務委員会や安保委員会でも議論がなされたと思いますが、沖縄側の受けとめ方の問題です。  県首脳の受けとめ方は、これで常時駐留しない駐留なき安保という形になっていく議論のきっかけになるのではないか、こういうような期待感というものを持っておると報じられますが、どのように受けとめられますか。
  52. 池田行彦

    池田国務大臣 今回、中間取りまとめとしてお示しいたしましたガイドラインでございますが、これは今秋に取りまとめるものでございますから、今の段階でそれがどういうふうな効果を持つかを明確に申し上げることはできませんけれども、基本的に申しまして、このガイドラインの性格というのは、いろいろな事態における日米の協力、とりわけ、その中でも米軍が我が方が提供しております施設・区域を利用しましていろいろ活動する、それに対する日本側の各種の協力についても規定しているところでございます。  それは、安保条約その他で行いますいろいろな活動がより円滑にいくように、いろいろな手法として、方法としての連絡のあり方を改善していこうという内容でございまして、そのこと自身が直ちに、日本の安全を守っていく上での米軍のプレゼンスの量がどうなるか、あるいはどうするかということを念頭に置きながら作業しているわけではございませんので、そこのところはまた別途の立場で考えてまいらなくてはいけないと思います。  これは、これまでもいろいろ御議論がございましたけれども、昨年の日米共同宣言あるいは2プラス2における合意等におきましても、将来に向かって国際情勢等々につきまして緊密に両国で協議してまいりますし、そのときに、そういった情勢に対してどのような防衛の態勢、それは米軍のプレゼンスの問題も含めてでございますが、それが適切であるかということも相談していく。そういった中で、今おっしゃったような問題が基本的に論議もされ、その方向も出されるという性格の問題だと思います。  しかし、あえて申しますならば、そういったことを考える上において、今回策定されるガイドラインでいろいろ進められます協力態勢の充実なり強化ということは、米軍の機能なり役割というものを従来以上に円滑に運ぶことを可能にするという要素は勘案されることはあるかと思いますけれども、しかし、ガイドラインそのものは、今申しましたような米軍のプレゼンスのあり方に直接影響するという性格のものではないと思います。
  53. 白保台一

    ○白保委員 そうしますと、大臣、基地の整理縮小や、あるいは沖縄の基地を見直して全国にきちっと配備をして沖縄の基地を削減していく、こういった話がきちっとしていない中で日米協力のこういう指針が出てきたら、固定化、長期化につながっていくんじゃないかという懸念もまた一方では出てくるのです。このことについていかがですか。
  54. 池田行彦

    池田国務大臣 そちらの方向についても基本的に直接は関係しない話だ、こういうふうに思います。  先ほども申しましたように、米軍のプレゼンスのありようがいかにあるべきかということは、基本的に国際情勢等々を勘案して話し合うことでございますので、このガイドラインが策定されたからといって、そのことをもって基地の固定化ということにつながるという話ではないと存じます。
  55. 白保台一

    ○白保委員 我々は、特借法の改正ができた、そして今度はそれを受けて、基地の整理縮小、沖縄振興の国会決議をやったわけです。そういった意味では、基地の整理縮小が着々と進まなければいけない。このことがまだまだはっきりと見えてこない。  そういう中で、県民は、十月には最終報告が出てどこどこの空港だとか指定してくるんじゃないか、現実にはそういう不安を持っています。そうすると、固定化していくだろう、こういうこともみんな不安として持っているわけです。見えてこない中で、この問題については関係なしというふうに言われてもなかなか納得がいかない、こういうことなんですよ。いかがですか。
  56. 池田行彦

    池田国務大臣 施設・区域の整理、統合、縮小の努力につきましては、現在、まず我々はSACOの最終報告に盛られましたところを着実に実施していく、これに全力を傾けておりますし、また将来ともこの面での努力はしていくということは、先ほどの国会決議でも示され、我々もそういった姿勢でいるところでございます。  それからいま一つ、ガイドラインができましても、これはあくまでこれからの日米の協力を進めていく上での方向性なり大枠を示すものでございまして、それを具体的にどうするかということは、ガイドラインが策定された後に、またそれぞれ相互協力計画であるとかそういったものをいろいろつくっていく。  しかも、そういったものもまずは仕組みの話でございまして、今委員がおっしゃいましたように、この協力を進めていくために、具体的に例えばどこの地域のどういう施設に今後新たにどういうふうな役割を担ってもらう、そのことでその地域の住民にどういう影響が及ぶかどうかという話は、これはまた大分先の、またそのことについては別個の判断なり行為が存在する、そういう性格のものでございますので、今おっしゃったような懸念は、ことしの秋のガイドラインの取りまとめですぐに現実化するというような性格のものではないということは明確に申し上げておきます。
  57. 白保台一

    ○白保委員 終わります。
  58. 仲村正治

    仲村委員長 原口一博君。
  59. 原口一博

    ○原口委員 新進党の原口一博でございます。  本日は、二点について、大臣並びに政府の御見解をただしていきたいというふうに思います。  昨日の池田外務大臣の突然の辞意表明、正直言って驚きでありました。私は、今、日本に求められているのは一体何なんだろうか、それは危機管理の意識を広げていくことだというふうに思います。外務大臣ペルー事件で痛切にその責任をお感じになって辞意を表明されたのだというふうに思いますが、先ほどの御答弁にありましたように、身を捨ててという強い御決意でぜひこれからの北方の問題沖縄の問題、日本の安全の問題に取り組んでいただきたい、そのように私は考えています。  湾岸に掃海艇を派遣される御英断をされたのも外務大臣でありますし、そういう御経験をぜひ生かして、これからの日本の安全の枠組み防衛庁長官と一緒につくっていただきたい、そのように考えます。  国会の方も余り大きなことを言えた義理ではないだろうというふうに思います。私は九段の宿舎に住んでおりますが、私と同じ宿舎に官房長官がお住まいであります。夜はだれでも入ることができるような宿舎であります。  ペルー事件が起こって、危機管理が叫ばれ、この国会でも議論がされておりますが、肝心かなめの我が国内の危機管理といったこともきっちり進めていかなければいけない。そのためにも大臣の席にとどまっていただいて、この経験を糧として前に進んでいただきたいというふうに思います。何も外交について外務省は、ディスアドバンテージだけではない、失点だけではないというふうに思います。  これからお話しする北方問題については、この数年の御努力によって大変な明るい兆しが出てきています。エリツィン大統領がまだ大統領になられる前に、北方領土問題の五段階解決論というのを発表されました。私たちの領土北方四島のロシアにおける軍事的な役割というものは急速になくなってきて、そこにおけるロシアの軍隊というのも減っている。今こそ私たちは、今世紀中に起こったこの領土問題というのは今世紀中に解決する、そういう立場で、一方で総務庁の皆さんには啓蒙活動、そして外務省には一刻も早い返還をお願いしたいというふうに思います。  外務大臣は、四月、五月と活発な活動をされて一定の成果を得られているというふうに思いますが、その外務大臣の今までの御成果について御披瀝をいただきたいというふうに思います。
  60. 池田行彦

    池田国務大臣 私ども、対ロ外交では非常に重大な課題を抱えております。何といいましても、北方領土の問題を解決して、そして平和条約を結んで関係の正常化を図らなくちゃいけない、こういった大きな課題でございます。  それと同時に、一方におきまして、ロシアもあのような大きな変革がございまして、旧ソ連とは全く違った道、我々が歩んでいるのと同じ方向の道を目指して今改革の努力をしているわけでございます。そういったこともにらみながら、いろいろな面での交流の強化もしていかなくちゃいけないと思っております。  そのような観点から我々も今対ロ外交に取り組んでおるところでございますけれども、私どもといたしましては、この領土の問題と同時に、領土の問題を解決するために好ましい環境、条件を整備していくという問題を車の両輪のごとく進めていかなくちゃいけないという考えを持っております。  具体的には、昨年の十一月に東京で開きましたプリマコフ外相と私との間で、そういった考えをこちらから強調したわけでございます。それに対してプリマコフさんの方も、日本考え方はわかるけれども、ロシア側としては、環境整備をまず先行させて、それから帰属の問題をという言い方をしたわけでございます。しかし、日本の言うように、それを先送りしたり棚上げにしたりしてはいけない、ましてや帰属の問題に関する作業にブレーキをかけるものであってはいけない、そんなことはするつもりはないということはロシア側も明確に申したわけでございます。  そんなことを踏まえましてずっと交渉を進めてまいりまして、先般、私がまたモスクワへ行きまして、エリツィン大統領にもお会いし、またプリマコフ外相とも会談をしてまいりました。そういった中で、この問題の関係についてさらに我が方の基本的立場を述べましたけれども、ロシア側は、それはわかるけれども、まずは経済面の交流等々、いわば環境整備の話がまずというような立場は依然として崩さなかったわけでございます。  しかしながら、基本的に、先方も領土の問題が重要であるということは、これは九三年の東京宣言に四島の名前をすべて明記し、この問題の解決のために努力しなくちゃいかぬということをうたっているわけでございますから、それを土台にして双方で努力していこうということは向こうも認めております。  その上で、先ほど委員も御指摘になりましたが、私どもの方からは、今世紀中に起きた問題だから今世紀中に何としても解決する、いや、最終的な解決に至らないにしても、その方向があるいはめどが明確になる、それを求めて全力を傾けなくちゃならないじゃないかということも繰り返し主張しております。先方も、そのことは意欲的に、積極的に、精力的に取り組まなくちゃいかぬという必要性はあれしておりますけれども、時期を明定することにつきましてはなかなかうんと言わないというのが現状でございます。  しかし、政府間じゃございませんけれども、ロシアの世論に非常に大きな影響力を持つ、いわばオピニオンリーダーズといいましょうか、言論界の方々と今回もモスクワで話しましたときには、おもしろいことを言う人間もおりまして、私が何としても今世紀中に起きた問題は今世紀中にと申しましたら、うーんと言いながら、二〇〇五年というのはどうだろうということを言ったことがございます。二〇〇五年とは一体何かと申しますと、ちょうど日本海で日露が、かつてのロシア帝国と日本が戦ってから百年ということなんですね。  これは政府じゃございませんからなんでございますけれども、ともかく我々も、ただこの問題は大切ですよ、解決しなくちゃいけませんよという確認を繰り返すだけではなくて、一歩でも二歩でもその方向へ向かってきちんと進めなくちゃいけない、こういうことを考えておるわけでございます。  それと同時に、環境整備の観点で、先ほども議論がございましたが、北方領土関係の、例えばビザなし交流の枠の拡大だとかそういったこともしておりますし、それから、漁業の関係枠組み交渉につきましては、今、本当に早期の決着に向けて最終的な段階という、その決意を持って最善の努力をしている次第でございます。  それからさらに申しますと、両国の経済交流関係を促進するために、この九日にネムツォフ第一副首相を迎えまして貿易経済に関する政府間委員会を開きましたが、そこでも大分いろいろな進展が見られました。  具体的に申しますと、極東の地域に重点を置いて我が国の経済協力を進展させていこう、そのためのロシア側の税制とか法制とかいろいろな環境の整備が必要である、あるいは日本の方からは市場経済移行に対するいろいろなテクニカルな面も含めた技術協力が必要である、そういったものを強化していこうという話もいたしました。  そういった中で、具体的に、例えばサハリンで行われております天然ガスとかあるいは石油の開発のプロジェクトについての環境整備が進み、さらに進展する明るい展望があるなということも確認し合いましたり、輸銀の融資の関係で、四億ドルか五億ドルの二つの枠があるわけでございますが、その五億ドルの枠の関係で三件、それで百六億円相当の合意をしまして、輸銀と先方の担当銀行との間の署名も了したというふうな進展もあったというようなことでございます。  今後、ロシアのマクロ経済が一応安定を取り戻し、将来へ向かって発展の段階を迎えるという中で、ロシアの内外からの投資というものが非常に大きな役割を果たすという観点から、日本からの対ロ投資の促進もやっていこう、あるいはそういった内外からのロシアにおける投資が上がっていくために必要ないろいろな環境、条件を整備する上において日本が協力していこうというようなことも話し合いまして、そういった問題について考え方の大枠が固まりましたら、デンバーで開かれます日ロ首脳会談において、その面での具体的な進展を図るような話し合いを首脳間でやってもらおうじゃないかというような話もしたところでございます。  そういったことでございまして、ほかにも政治や安全保障の問題も含めてのいろいろな対話もここのところ緊密に進めておりますが、あくまで領土問題を解決して正常化を図るというこの課題を着実に進めるということを忘れずに、一方において各分野での交流を深めてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  61. 原口一博

    ○原口委員 非公式にとはいえ、二〇〇五年という数字が出てきたことは、私たち北方領土返還に携わってきた人間としては大変な喜びだというふうに思います。  今大臣お話しになりましたように、期限を区切って、そして、エリツィン大統領が五段階解決論の中でおっしゃった、まず北方の私どもの領土の非軍事化、そういったものもきっちりいついつまでには求めていくんだ、そして、サハリン・プロジェクトを含むエネルギー開発問題についても思い切った施策をやっていただいて、高校生を対象にした調査でも大変な数の人たちが、子供たちでさえも領土の問題について関心を持っているという状況でございますので、前向きに進めていただきますようにお願いをしたいというふうに思います。  限られた時間でございますので、ガイドラインのことについて。  中間報告を出していただいたこの手法については、非常にオープンにしながら、そして近隣諸国あるいは国内の世論の動向を見ながらという形で、私はこのやり方については大変評価をしておるところでございます。今後どういったことに気をつけながらこのガイドラインの見直し作業をお進めになるのか、そのことについて基本的な御認識を両大臣にお尋ねしたいというふうに思います。
  62. 久間章生

    ○久間国務大臣 我が国の平和と安全に非常に大事なことでございますから、憲法上の議論もできるだけしていただきながら、憲法九条との関係でいろいろできることとできないことをきちっとしながら、できることについてはできるだけのことをしなければならない、そういう姿勢のもとで議論をオープンにしていただく、それを通じて外国との関係でも透明性を確保していくことによって誤解を招かないようにする、そういうような趣旨から今回中間取りまとめを出させていただいたわけでございます。
  63. 池田行彦

    池田国務大臣 このガイドラインの作業を進めるさらに根底には、日米の非常に深い関係がございます。特に安全保障の関係では、日米安保体制、そして昨年の首脳会談で確認されました、日米安保共同宣言で確認されました新しい国際情勢のもとにおけるいわば日米同盟関係重要性、それを実際に担保できるような両国の協力の具体的なあり方についての指針あるいは大枠、方向性を示すものがこのガイドラインでございますので、今防衛庁長官からもお話がございましたように、憲法その他我が国の基本的なあり方との関係考えながらいかに効率的に日米の協力を進めていくか、精力的に取り組んでいくか、そういう性格のものだと思っております。  他方におきまして、透明性のお話もございましたけれども、当然、我が国の安全保障にかかわる重要問題でございますから、国民皆様方のできる限りの御理解と御支持をちょうだいしながら進めなくてはいけない、こう思っております。また、日米安保体制がこのアジア・太平洋の地域においてどういうふうな意味合いを持っているか、当然近隣諸国も大きな関心を持っております。そういったことから、対外的にも透明性を持ち、我々の、そして日米両国が本当に意図するところを正確に、誤りのないように近隣諸国にも理解をしてもらいながらこの作業を進めてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  64. 原口一博

    ○原口委員 今の御答弁、大変前向きに私は受け取らせていただきますが、その際、近隣諸国にも御説明に行かれて、そして透明性を確保されると。  私どもは、この間の特措法の合意のときも、沖縄の米軍基地、在沖米軍基地をきっちり変数の中に入れてほしい、在沖米軍基地は今のままではだめなんだ、これは減らすんだと。  安保委で、ここにおられます上原先生だったと思いますが、こういうことをおっしゃっています。このガイドラインの見直しの中で、沖縄なら沖縄県の意向を聞くとか那覇市の意向、そういうものをお聞きになるおつもりなのか、そういうお尋ねを上原先生はなさっています。また、この日米防衛協力を新たに決めることによって、米軍施設・区域をたくさん持っている地域とか自衛隊基地を有しているところはもっと負担がふえることは間違いないのですよという御指摘もなさっています。このことにしっかりと答えを出していかなければいけない。  日米のガイドラインをやる、これはある意味ではウオーマニュアルですね。戦争が起こったときに、どういうシミュレーションをしてどういう協力ができるのか。それを実効性のあるものにするためには、私たちがもう一方で求めてきた在沖米軍のプレゼンスの問題、日本全体のプレゼンスを今減らすことができないということは私もよくわかります。しかし、その七五%が沖縄に集中をしている、この現実を皆さんで変えましようということを言っているわけですから、日米の大枠をお決めになる中に沖縄の問題を変数として入れないというのは、これはおかしなことではないかというふうに思うのですが、明確な答弁をお願いしたいというふうに思います。
  65. 久間章生

    ○久間国務大臣 日本の米軍基地の七五%が沖縄に集中しているということは大変なことであるということで、それについては、先般来、SACOの最終報告で一つの方針を出しまして、とにかく今一生懸命取り組んでおるところでございます。  したがいまして、この問題はこの問題としてやらなければなりませんが、それと同時に、日米の協力のあり方についての大枠ないし方向性についてはまた別途の角度から決めていかなければならないので、それをガイドラインとしてまとめようとしているわけでございます。これをやることによって先ほどの沖縄の問題をないがしろにするということではございませんから、これはこれとして、SACOの最終報告にありますものをまずとにかくなし遂げるということが大事だと思って一生懸命取り組んでおるところでございますので、どうぞひとつその辺については御理解賜りたいと思います。
  66. 原口一博

    ○原口委員 私は、このガイドラインのインタリムレポートが出たときに海外の世論を拾ってみました。ガイドラインの大きな転換によって、もちろん日本国憲法の枠の中でございますが、日本の国は東南アジアのあらゆる紛争についていろいろなフリーハンドを持つことができるんだ、こういう懸念を持つような国──いや、持ってもらっては困るんですよ。持ってもらわないようにするためには、このガイドラインについて、政府間だけで御議論をされるのではなくて、きょうも国会の中でこうやって御審議の時間をおつくりいただいていますが、国会の中で、ここは憲法に抵触するのかしないのか、あるいは大枠については国権の最高機関たる国会がどのように判断をするのか、その判断もきっちり求めなければいけない、私はそのように考えます。  ガイドライン全体について、さまざまな今までの委員会の議論を聞いておりますと、自衛隊法なりなんなり個々の法令のときに議論するから国会の承認なんというのは要らないんだというようなお答えをなさっているようでありますが、大枠について、立法府が行政府をしっかりとコントロールできるということを担保することが近隣諸国に対する無用な杞憂と申しましょうか、そういったものを払拭する一番の方法ではないかというふうに私たちも思いますが、ガイドラインについて国会承認をお求めになる気があるのかないのか、これは政治家としての判断だというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  67. 池田行彦

    池田国務大臣 今委員がおっしゃるようないろいろな御懸念あるいは配慮すべき事柄、視点ということもございます。  であればこそ、私どもが今進めておりますがイドライン策定の作業の、まだ途中の段階でございますが、今こういったことが議論されていますよというこれまでの経過、現在検討の対象になるような項目というものをできるだけ詳細にお示しして、文字どおりこの国会を中心として国民の中でもお考えいただき御論議をいただきたい、また、近隣諸国の方々にも正確な御理解をちょうだいしたいと思っているわけでございます。もとより、そういった御論議を通じて出されましたいろいろなお考えというものをこれからのガイドラインの策定に向かっての作業の中にも我々は反映をさせていただく、当然のことでございます。  また、それにしても、ガイドラインそのものを国会の承認に係らしめるべきではないかというお話でございますけれども、中間取りまとめの中にも明確に述べておりますように、このガイドライン自体によって両国政府に特定の具体的な立法措置、予算上の措置あるいは行政上の措置を義務づけるものではない、こういうことが明定されております。もとより、この努力の成果を将来的に両国政府がそれぞれの判断によってそれぞれ政策に反映していくことが期待されるということは言われておりますけれども、何らの義務づけがないわけでございます。  そういう性格のものでございますから、ガイドライ自身については、作業の過程でこういうふうに御論議はちょうだいしていますけれども、承認という法律上の一定の意味合いを持つ行為に係らしめるかどうかという観点から申しますと、これは性格上なじまないのじゃないのかな。  ガイドラインができた後に、いろいろ検討の結果必要になった立法措置がございますならば、それは当然のこととして国会の御判断を仰ぐわけでございますし、予算上の措置についても同様でございます。そういったことでございますので、国会の御論議あるいは御意思というものは我々も十分大切にしておりますけれども、いわば要式行為としての承認ということにはこのガイドラインはなじまないということを申し上げている次第でございます。
  68. 原口一博

    ○原口委員 防衛庁長官も同じ御意見ですか。
  69. 久間章生

    ○久間国務大臣 今、外務大臣が申されたとおりでございまして、ガイドラインというのはあくまで大枠ないし方向性を示すものでございますから、政府間でお互いに相協議して、こういうふうにやりましようということを言うわけでございまして、別に条約でもなければ協定でもないわけでございますから、これは国会の承認ということにはなじまないのじゃないかと思っております。
  70. 原口一博

    ○原口委員 私は、その考えを一歩進めていただきたい。日本国民の命と安全を守る、財産を守る、このことのためにはこのガイドラインを実効あらしめるということが必要である。国権の最高機関たるものの意思がこれでいいのだということをはっきり示して、今おっしゃったように「立法上、予算上又は行政上の措置をとることを義務づけるものではない。」というふうに明確に書いてありますけれども、その後に「しかしながら、」云々、「各々の判断に従い、このような努力の結果を各々の具体的な政策や措置に適切な形で反映することが期待される。」わけです。期待されるためにも、このガイドラインというものについて国民はどう考えるのか、国民の代表者たる我々国会議員一人一人がどう考えるのか、今大きな転換期に来ている。  私たちは、憲法の議論についても、これからの議論の中で、憲法の中でここまでは許される、だけれどもここから先は許されない、そうすれば憲法そのものについても議論をしていかなければいけない。そういう時代の転換点に立っているということで、小手先の技術上のことだけで進んでいってもらうと、私たちが求めている在沖米軍のことや、あるいは本当に──予算化してくださいよ、法制化してくださいよとこの後両大臣から言われる。しかし、そのガイドラインそのものを私たちは認めていないのだと言われてしまえば、それでおしまいじゃないか。実効あらしめるためにも、私はぜひ前向きにお考えをいただきたいと思いますが、お考えに変わりはないですか。
  71. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもも、このガイドラインに盛り込まれる内容が重要でないとは思っておりません。これは、我が国の安全保障をしっかりと守っていく上において大切なことを含むことになろうと思います。であればこそ、国会でもこうやって御論議をいただき、国民の御理解も得ようとしているわけでございます。  しかしながら、特に国際約束として国会の承認を求める必要があるものかどうかということになりますと、これは法律的な観点からのチェックが要るのだと思います。そういった意味では、このガイドラインそのものは、先ほども申しましたように、国際法的に見ましてもいかなる権利義務関係も新たに生ずるわけではございませんので、条約、協定の承認というような意味合いにおいての国会承認ということには事柄の性質上なじまないのだと思います。  重要な国際的な合意でございましても、すべてが国会の承認に係るものではございません。これに割に近い例で申しますと、昨年の首脳会談で行われました日米安保共同宣言も非常に大切な意味合いを持つわけでございますけれども、これも事柄の性格上、国会の御承認ということになじまないものでございます。  そういった考えを基礎にいたしまして、具体的に条約を締結していくあるいは立法措置を講じていく、そういった段階において国会の御判断を仰ぐということだと存じます。
  72. 原口一博

    ○原口委員 これで質疑時間が終わりましたので終わりにしますが、これからの国会論戦を通じてこのことについては明らかにしていきたいというふうに思います。  ありがとうございます。
  73. 仲村正治

  74. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 私は、まず沖縄の米軍基地等に関しまして今回のガイドラインとの関係でいいますと、ガイドラインといいますのは、現在の実体的に存在しております日米安全保障体制というものをできるだけ透明化し、そして国内からもあるいは周辺諸国からも信頼されるような、なかんずく沖縄方々にとっても信頼を得られるような形にしていく必要があるのではないかというふうに思っております。  今の委員からの質問にもありましたが、ガイドラインというのがウオーマニュアルというような言い方もされておりますが、このガイドラインを見ておりましても、日本語の用語に関しまして、英語との対応におきましてもう少しわかりやすい言葉にされたらよろしいのではないかと気がつくところも幾つかございます。  例えば平素という言葉がありますが、これは英語で言うとノーマル・サーカムスタンシーズとなっていますが、むしろ平時というような意味の方がよろしいのかなという気もいたします。それから政府の方から、ガイドラインにかかわらず安全保障に関する用語の中で、例えば有事という言葉もありますが、もっと端的に言いますと、戦時とかいった意味の方がよりわかりやすいのかな。それから、例えば自衛権の行使などに関しては、武力と言わずに実力の行使というような表現も使っておるのですが、これもやはり武力の行使という方がよりはっきりするのではないかというような気もいたします。それから、同じような関連で、よく言われます武力行使との一体化ということがございますが、これは英語でどういうふうに説明されておられるのか。  今、幾つか用語を申し上げましたけれども、こういった用語について御説明をいただければ幸いです。
  75. 池田行彦

    池田国務大臣 私ども、なるべく平易な表現をもって、しかも、事柄を正確にあらわす表現を通じて国民の御理解が得られるように工夫をしていかなければいけない、こう思っております。しかしながら、平易を目指す余りに正確さが犠牲になるということも避けなければならないのだと思います。  ただいま委員のおっしゃいました中でも、これはウオーマニュアルだとおっしゃいましたけれども、決してそうじゃない。これはいろいろな、日本が武力侵攻を受けた場合にどうするか、あるいは周辺事態と言っておりますような我が国の安全に重大な影響を及ぼす事態が起きた場合、それに対応するというのですから、英語でもウオーがわかりやすいからといってウオーと言われては困るのでございまして、コンティンジェンシーであるとか、あるいはグレイブシチュエーションであるとか、いろいろな言い方があるのだと思います。  そういった意味から申しますと、日本語で言われた、中でも有事ではなくて戦時を使えということもおっしゃいましたけれども、これもかえって事柄の内容を正確に伝えるという面では非常に偏りを免じ、有事という言葉の中で想定されている事態の一部分しかあらわさない、しかも、必要以上にいわばおどろおどろしい表現になり、かえって物事の正確な理解を妨げるおそれすらあるのではないかと思います。
  76. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 武力行使との一体化というのは、今まで随分アメリカ側とも協議をされてこられた中で、こういった概念というのは非常に重要な意味があると思いますけれども、仮に一語であらわせないにしても、あるいはコンセプトでも結構でございますけれども、どういうコンセプトでアメリカ側と交渉されてこられたのか、お答えいただければ幸いです。
  77. 折田正樹

    ○折田政府委員 一体化云々という表現をこの中間報告の中に取り入れているということは特にはないわけでございますが、私ども、日本国憲法のもとで、日本でどういう議論が行われているか、政府の解釈はどうであるかということをいろいろ事細かに説明しているわけでございますが、その際に、一体化というのは、例えばインテグレーションとかインコーポレーションとかいうような表現を使いながら説明しております。  一言で、それだけで説明し尽くせるものではございませんので、いろいろ具体的な例、国会における議論などを踏まえながら説明しているわけでございます。
  78. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 以前、安保委員会かあるいは外務委員会でも御質問したことですけれども、いわゆる国連軍のことでございますが、外務大臣の方は、いわゆる国連憲章第七章に基づく国連軍というものは編成されたことがないということでございますが、いわゆる在韓国連軍というのがございまして、これは国連決議でできた、一九五〇年、昭和二十五年にできた国連軍でございます。沖縄の三つの基地の中にも国連軍の司令部の基地として存在するわけですけれども、もともとは在韓あるいは在日の国連軍の地位協定があるわけですが、その国連軍の地位協定は在日米軍の地位協定によって規定されることになっておるということなのです。それが交換公文でそういうふうになったということになっているのですが、日米安保条約の一条、七条、十条等で国連の優位を認めておりながら、交換公文だけでもって規定されておるというその根拠をお聞きしたいと思います。
  79. 川島裕

    ○川島政府委員 まず、国連軍と在韓国連軍と言われていますものについてちょっと御説明を申し上げたいと思います。  今先生言われましたとおり、朝鮮戦争時に構成されて、俗称朝鮮国連軍でございますけれども、これは実体的には、安保理の決議に基づいて国連加盟国が、必要な軍事援助を韓国に提供するように勧告したのに対して、幾つかの国が兵力の提供を行った。そして、もう一つ決議が通りまして、その各国が提供した軍を米軍の指揮下に入れて、かつ、これを国連の旗のもとに統一するという決議ができまして、これが国連軍と呼ばれたわけですけれども、御承知のとおり、国連憲章第七章の四十二条に安保理が決定する軍事的措置というのがございまして、これは、要は各国が特別協定で兵力を提供して、安保理のもとで動く国連軍でございます。これは国連成立以来できたことがないし、朝鮮戦争のときも、今申しましたとおり、勧告に基づいて各国が提供したということで、四十三条に言う、国連憲章に言ういわゆる国連軍とちょっと違うということでございます。  ただ、その後、朝鮮に派遣されたこの国連の旗のもとに戦う軍を、いわば俗称というか、在韓国連軍というふうに言われて、長きにわたって機能してきたというのが背景でございます。  権利義務関係については、北米局長の方から御説明申し上げます。
  80. 折田正樹

    ○折田政府委員 在日国連軍につきましては、昭和三十五年一月十九日に、岸総理とハーター国務長官との間で署名されました交換公文がございます。これは、吉田・アチソン交換公文に関連するものでございまして、国連続一司令部のもとにある合衆国軍隊による施設・区域の使用並びに同軍隊の日本国における地位は、日米安全保障条約に従って行われる取り決めにより規律されるということでございまして、国連軍地位協定の規定は国連続一司令部のもとにある米軍には適用されませんで、安保条約並びにその関連取り決めにより規律されるということになるわけでございます。  安保条約第七条の国連憲章との関係もちょっと委員指摘になったわけでございますが、第七条におきましては「この条約は、国際連合憲章に基づく締約国の権利及び義務又は国際の平和及び安全を維持する国際連合の責任に対しては、どのような影響も及ぼすものではなく、また、及ぼすものと解釈してはならない。」旨規定されておりますが、日米間で、先ほど私が申し上げました岸・ハーター交換書簡のような取り決めを締結することが国連憲章に基づく権利義務関係に何らかの意味で背馳しているというふうには私どもは考えておらないところでございます。
  81. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ちょっと背馳されているという意味がわかりませんが、きょう私が特にお聞きしたいと思っておりましたのは、在韓国連軍あるいは朝鮮国連軍の司令官を在韓米軍の司令官が兼ねておるのだろうと思うのです。したがって、このガイドラインの場合に、特に周辺事態に対する対応あるいは臨検なんかに関してでございますけれども、いわゆる安保理決議にない臨検はできないというような答弁が先ほど来出てきておりますけれども、一方、在韓国連軍というのは決議によってできた軍でございますので、結局、臨検というものも法理論上は可能であるのではないかということが一つです。その点についてはいかがでしょうか。
  82. 池田行彦

    池田国務大臣 例えば経済封鎖措置等を実効あらしめるために臨検等の措置をとる、そういったことに関する御質疑でございますが、それについて、私どもこれまで答弁しておりますのは、そういった経済封鎖などにつきまして、安保理決議に基づくものとあるいはそれ以外のものと、その双方があり得るのだと思います。  しかし、我々が今いろいろ議論しております中で考えております臨検等の措置というのは、現在のところ、安保理決議に基づかない経済封鎖の関連で行うようなものは具体的に想定していない、こういうことを申し上げておるわけでございまして、理論的にあるいは実際の可能性としてどういうものがあり得るかということからいえば、それは安保理の決議に基づかないものもあるわけでございます。
  83. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 想定していないというお話がございましたが、先日も安保委員会で、たしか平田議員の質問だろうと思いますが、韓国軍と米軍が日本に相談なく三十八度線を越えた場合に後方支援を続けるのかというような質問に対して、そういう仮定の質問には答えられないというような話がございましたが、マニュアルと呼ぶかあるいはガイドラインと呼ぶかは別にしまして、このガイドラインというものは、いろいろな仮定といいますか、想定、こういったことが起こり得るというものに対してつくるものがガイドラインではないかと思うのです。  私は、自衛隊あるいは日米安保条約というものを肯定した立場から、より現実に近い形でガイドラインというものが活用されればいいという立場で御質問するわけです。  したがいまして、できるだけいろいろな仮定、ケース、想定というものに対してどう対応するのかということをより具体的に透明にしていく方が信頼度を高めるのではないかと思うのです。そういった意味で、どういったことを仮定し、どういったことを想定して実はガイドラインというものがあるのだというふうにされた方がベターではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  84. 久間章生

    ○久間国務大臣 どうもちょっと誤解されているのじゃないかと思いますけれども、いわゆるガイドラインの見直し、今回やっておりますのは大枠ないし方向性を定めるものでございまして、だから、具体的なマニュアルというような、そういう形にならないわけでございます。  むしろ、今度の指針の見直しが行われた後に、共同作業として、共同作戦計画なりあるいは相互協力計画といいますか、そういうようなものをつくっていく段階で、それよりもさらに一歩踏み込む。従来行われました共同作戦計画といいますか、ああいう研究の場合では一つ、二つケーススタディーを考えながらやっておりましたけれども、ガイドラインそのものについては、今言いましたように、大枠ないし方向性を決めるものでございますから、その先の段階になってきたときにどこまで具体性を帯びるか。その場合でも、今言われましたような特定の地域を想定しての、それほど具体的なものについては、研究の、あるいは今度は検討と言っておりますけれども、検討の過程でも多分出てこないのじゃないかというふうに理解しております。
  85. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 私が在韓国連軍あるいは在日国連軍の司令部のお話等を前々から申し上げておりますのは、これから実際的にこういったガイドラインというものを進めていくに当たりまして、そういう国連軍の存在あるいは今までの協定というものが足かせにならないような交通整理をしていった方がいいのではないか、あるいは、一部形骸化したものもあるので、そういったものも活性化していった方がいいのではないかということで質問申し上げたわけですが、国連軍関係はまた改めて時間をとらせていただきたいと思います。  もう一つ、足かせになり得る可能性があって、これも整理しておいたらいいのではないかと思いますのが、いわゆる憲法で認められていない交戦権の問題です。これに関しては、きのうの参議院の委員会の方で、交戦規定の策定についての質問に対して、交戦規定とは言わなくても部隊間の作戦行動のルールに関するものを、実施要綱を検討していきたいという答弁があったようですが、この場合に、交戦権との関係でクリアされるのかということが一つ。  それからもう一つ、これも仮定の話になるかもしれませんけれども、例えば自衛隊が不審な船舶を強制的に臨検をする、その場合に、自衛官がそういった船に乗り込んで、逆に相手に捕まって捕虜になるというような可能性もあるわけです。ところが一方、憲法で我が国は交戦権を認めていないわけですから、例えば相手に捕らえられてしまった自衛官が捕虜としての扱いを受けずに、つまり犯罪者だとかというような扱いを受けることもあり得るのだろうと思うのです。これは、交戦権の問題もそうですし、それから日本の場合にはいわゆるジュネーブ条約といいますか赤十字条約にも入っておりませんので、そういった意味でも捕虜の扱いを受けないということが起こり得るわけです。  二つの例を申し上げましたけれども、交戦権の欠如ということが、実際に自衛隊の方々が具体的な活動にかかわるに当たってむしろ足かせになってしまうのではないか。この辺も整理をしておいた方がよろしいのではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
  86. 秋山昌廣

    ○秋山(昌)政府委員 昨日、私が答弁をいたしましたROEといいましょうか、そういうものについての答弁は、中間取りまとめのⅤの「新たな指針策定後の取組み」の「1.共同作業」の(3)のところに書いてあるところでございます。  そこを読んでいただければおわかりいただけると思いますが、「日米両国政府は、日本の防衛のために必要な共通の実施要領等を予め準備しておく。この実施要領等には、作戦、情報及び後方支援に関する事項並びに日米の部隊間の相撃を防止するための調整要領に関する事項とともに、各々の部隊の活動を適切に律するための基準が含まれる。」ということを申し上げたわけで、最後のところを私はきのう引用しながら御説明したところでございますが、ここに書いてありますように、この共通の実施要領というのは、日本の防衛のために必要な共通の実施要領ということで、周辺事態の問題に関与しているわけではございません。  したがいまして、我が国の防衛に当たりまして、当然我が国は必要があれば防衛出動のもとで武力行使をするということは憲法上認められているわけでございまして、御質問の点とちょっと合っていないようなところが感じられます。     〔委員長退席、白保委員長代理着席〕  それから、臨検等について、捕虜になったときにという御質問がございました。  国連による経済制裁の実効性を確保するための船舶の検査等の活動への我が国の参加のあり方につきましては、これは率直に申し上げまして、憲法との関係を含めまして今後さらに検討を重ねる必要があると考えておりますので、海上自衛隊の船が参加するのかしないのか、し得るのか、どういう形があり得るのか、そういう中でこれから議論をしていくわけでございまして、御質問の点について今答弁ができる状況ではございません。  なお、御指摘の捕虜の待遇に関するジュネーブ条約について、一般論を申し上げれば、これは一九五三年に国会の御承認を得た上で締結しているところでございまして、自衛隊は同条約上の軍隊、自衛官は軍隊の構成員として取り扱われていると考えております。
  87. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 今のジュネーブ条約に関していえば、その後、七七年に議定書というものができまして、議定書には加入をしていないということがあると思いますが、ちょっと時間がないので、今のお答えいただけなかった点について、これからぜひ御検討いただきたいと思います。  それからもう一つ、今秋山局長がお答えになった調整メカニズムというところで、調整というのはコーディネーションということになっておりますが、いわゆるいつも言われます事前協議、プライアーコンサルテーションですか、協議というのは、多分、コーディネーション、調整の一部ではないかな、つまり、いろいろと協議をし相談をしていく上でいろいろな調整を図っていくということだろうと思うのです。  したがって、調整メカニズムというものがあって、非常に細かく、両国の関係機関の関与を得て平素から構築しておくということは、そういう意味でのコンサルテーションといいますか、協議をより頻繁にやり、情報交換をし、そしてコーディネーション、つまり調整をしていくというふうに理解したいと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  88. 折田正樹

    ○折田政府委員 事前協議に関する御質問は何度かいただいているわけでございますが、私どもは、安保条約の権利義務関係というのは今度の指針見直しては変更しないという立場をとっているわけでございます。  今、委員、コンサルテーションの意味、確かにあれはプライアーコンサルテーションということになっております。コンサルテーションという意味は、いろいろなそれぞれの文脈で用いられているわけでございますけれども、今度、私どもは、平素から両国間で調整のための、まさしくコーディネーションのための体制整備に努めるわけでございますが、このようなメカニズムを通じましてコンサルテーション、事前協議のいわゆるプライアーコンサルテーションではございませんけれども、そういった一般的な意味での協議をすることは当然のことでございますし、それを踏まえて、また意見調整をし、関係機関間の個別の調整だとか、あるいは場合によっては共同作業的なこともあろうかと思います。そういうさまざまな形でのコーディネーション、調整をやっていこうということで考えておるわけでございます。  では具体的にどうするかということは、今後、日米間、それから日本の国内でいろいろ検討していくべき課題であるというふうに考えております。
  89. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 質問通告で直接的形では出しておりませんが、それをお許しいただいて、今の関連でお聞きしたいと思います。  沖縄に関連してでございますが、前も外務委員会、安保委員会等で質問をいたしましたが、いわゆるブラックバードといいますか、通称ハブと言われております戦略偵察機が嘉手納からイランとかあるいは北朝鮮に飛び立ったという質問を前に申し上げたことがございますが、偵察機は事前協議の対象にならないということであります。それから、湾岸戦争の際にいろいろな出撃があったわけですが、出撃に関しては、出撃をする際の目的あるいは指令が得られていなければその対象にならないということであったわけです。  実際にそういった事実があったということが文献等々で明らかになって、飛び立つ際には別の目的であったけれども、飛び立った後に例えば攻撃を受けた、それで沖縄なりから出撃をした飛行機が帰ってきたということがわかった場合に、これは極めて具体的な協議──実際にどうであったか、例えばミサイルの攻撃を受けたという事例もあるわけですけれども、そういったことがわかった段階で、事後になるわけですけれども、将来にかけてどう協力をするかというまさにコーディネーションの観点からいいますと、そういったことについて協議というのか調整というのかわかりませんが、情報交換をして認識をしていくことが、その後の対応のまさにガイドラインに不可欠ではないかと思います。  呼び方は別にしまして、在日あるいは在沖米軍基地から出ている、あるいはインディペンデンスの件もきのうどなたかの質問にあったようですけれども、そういったことについてどういう情報交換等をこの調整メカニズムの中でされるのか、お聞きをしたいと思います。     〔白保委員長代理退席、委員長着席〕
  90. 折田正樹

    ○折田政府委員 事前協議制度のもとでの事前協議の対象になる戦闘作戦行動というのは「わが国の施設・区域から発進する際の任務、態様が」ということでございますので、その際の任務・態様がいわゆる直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動でない場合には事前協議の対象にならないというのは、かねて申し上げているとおりでございます。  今、委員、湾岸のお話をされました。湾岸へ航空機、艦船、乗員等が一時的な移動をしているということについては、この事前協議の対象ということではございませんけれども、私どもは、米側との連絡を通じてそれなりに承知しているわけでございます。他方、米軍の運用の事細かな一々のものについては、その詳細については承知しているわけではございません。  今度、新しいガイドラインのもとでいわゆる調整メカニズムというものができた場合に、これは何のためにやるかというと、日米間で整合性のとれた対応をするということでやるわけでございますから、そうした観点から、必要な限りの情報の交換ということはあり得ることだろうと思います。他方、具体的にどこまでかということについては、これからいろいろ検討していかなければならない問題であると思います。
  91. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ありがとうございました。  最後に、この偵察機の観点に関しましても、これもアメリカの国防長官を歴任された方が本の中で書かれていることでもございますし、それから、先日もたしか上原議員の質問の中で、佐藤栄作総理の日記の件とか若泉敬さんの本のこととかございましたけれども、結局、歴代の総理大臣外務大臣等が否定されているということでございますけれども、こういう歴史的なことについては、文献証拠ということが政府の中で取り上げられているようでございますので、そういった事実がないということを何かしらの形で裏づける、文献その他の方法でされることが、特に沖縄方々にとっては、こういったガイドライン、日米安全保障条約その他に対する信頼を高める上でも必要ではないかという気がいたしますが、それについて一言お伺いできれば幸いです。
  92. 池田行彦

    池田国務大臣 見解を異にします。
  93. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ちょうど時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。
  94. 仲村正治

    仲村委員長 古堅実吉君。
  95. 古堅実吉

    ○古堅委員 「日米防衛協力のための指針」、すなわちガイドラインの見直しに関して、外務大臣にお尋ねしたいと思います。  この指針の見直しに関する中間報告は、周辺事態という口実のもとで日本全体をアメリカの戦争に巻き込むものであるが、その場合、米軍専用基地の七五%を占める沖縄はその最大拠点とされる仕組みになっておって、危険きわまりないものとなります。  かつてのベトナム侵略戦争のときも、米軍は沖縄から連日出撃し、県民は、その戦争協力にやりきれない痛恨の思いをいたしました。今度は、米軍の出撃基地にとどまらないで、自治体や民間も動員し、空港、港湾に至るまであらゆる戦争協力を強制しようというものです。米軍用地特措法の大改悪による基地の押しつけの怒りとともに、県民はガイドラインの見直しの中間報告に強い拒否反応を示しています。当然です。  そこで、沖縄の立場から、以下の質問をいたします。  最初に、米軍の活動に対する日本の支援として、「日本は、施設・区域の追加提供を適時かつ適切に行う」とありますが、公有地及び民有地の新規提供もあり得るのか。
  96. 折田正樹

    ○折田政府委員 指針見直しの作業で、施設・区域として追加提供する可能性が検討されているのは、自衛隊施設及び民間の空港、港湾並びにこれらにおける人員、物資の積みおろしに必要な場所及び保管施設でございます。  追加提供を行う施設・区域に民公有地が含まれるか否かというのは事案によって異なるものでございますけれども、いずれにせよ、具体的な事態が生じた場合には、提供する施設や土地の管理者や所有者との関係に適切な配慮を行う必要があることは当然でございます。そのためにいかなる調整を図るかといった点を含め、今後の新指針の作成、その後の日米共同作業を行う中で、関係省庁とも協議をしつつ検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  97. 古堅実吉

    ○古堅委員 私が尋ねているのは、あり得るのかということについてです。もう一度お答えください。
  98. 折田正樹

    ○折田政府委員 民間の空港、港湾ということが協力検討対象項目に入っているというのは、そのとおりでございます。
  99. 古堅実吉

    ○古堅委員 あなたは私の質問を聞いておるのか。公有地及び民有地の新規提供もあり得るのか。追加提供を適時適切に行うとあるのだが、民有地や公有地の提供もあり得るのか。もう一度お答えください。時間をとらせないでください。
  100. 折田正樹

    ○折田政府委員 民間の空港、港湾というのが検討対象項目に挙がっていると私は申し上げました。
  101. 古堅実吉

    ○古堅委員 委員をばかにするんじゃないですよ。なぜ質問に答えないのですか。あなた方が中間報告の中で、「日本は、施設・区域の追加提供を適時かつ適切に行う」。  じゃ、質問を変えていきますが、公有地や民有地の新規提供はないと言えますか。
  102. 折田正樹

    ○折田政府委員 検討項目にそういう項目が入っているということを申し上げているわけでございます。
  103. 古堅実吉

    ○古堅委員 なぜ質問に答えないのですか。ないと言い得るのですか。もう一度答えてください。
  104. 折田正樹

    ○折田政府委員 検討項目に入っているというふうに申し上げているわけでございます。
  105. 古堅実吉

    ○古堅委員 ないとは言えないということで、検討項目に入っているということは、あり得るということを意味するものであります。  米軍基地の縮小、撤去が叫ばれている今、全く逆方向の約束を政府がアメリカに対して行う、こういう中間報告が今提起されているということを意味するのですね。大臣、お答えください。
  106. 池田行彦

    池田国務大臣 我が国の安全を確保していく上において必要な日米間の協力について、いろいろな事態の場合にどういうふうにするかということをこのガイドラインの中でいろいろ検討しているわけでございます。  そういった中で、おっしゃるように、民有地あるいは公有地等の提供ということがその協力との関連においてあり得るということは、確かに検討項目として挙がっております。しかし、それは枠組みの話でございまして、このガイドラインをもって基地の追加提供を進めていこうということじゃございません。  当然のことでございますが、新たな施設や区域の提供を行う場合には、地位協定に基づいて、日米合同委員会において一つ一つチェックされていくわけでございますし、そういった意味で、このガイドラインによって何らかの具体的な提供があるというわけじゃない。それはまた、別途のいろいろな事情を勘案し、具体的にこういう協力が必要だ、そしてこういった面での追加提供が必要だということはあるということでございます。  しかし、逆のケースもあるわけでございまして、この協力の枠組みができる、そして、これまでになかったようないろいろな協力のありようを定める。その関係で、従来必要だと考えられておった基地がなくても済ませ得るという面もあり得る。これは、先ほどの御審議の中でもそういった面もあるのじゃないかという御指摘がございましたが、現実問題としてそういうこともあるでありましょう。しかし、それはガイドラインの直接の効果あるいは結果として出るものではないということでございます。
  107. 古堅実吉

    ○古堅委員 外務大臣までごまかしの答弁をされるので、時間がないですから前へ進みます。  「民間空港・港湾の一時的使用を確保する。」とあるが、周辺事態における那覇港の使用については、港湾管理者である親泊市長がさきの市議会で反対を表明しておられます。地方自治というのは憲法の原則の一つであり、自治体の意思を政府が尊重することは当然のことであります。そのことを確認できますか。大臣、お答えください。
  108. 池田行彦

    池田国務大臣 憲法の定めるいろいろな原則というものは、我々は当然大切にしなくちゃいけないと思います。しかし、そういった中で、我々政府として果たさなくちゃいけない役割がいろいろあるわけでございまして、国民の安全、国の安全を守っていくということも政府としての大変大きな使命でございます。そのために地方公共団体の御理解を得る必要がある場合には、その御理解を得るようにいろいろ努力をしながら進めてまいりたいと思っております。
  109. 古堅実吉

    ○古堅委員 憲法の地方自治の原則にのっとって自治体の長が反対を表明しておられる、それを覆そうというもので、とんでもないことです。できるとすれば、何を根拠にそういうことができるのですか。
  110. 池田行彦

    池田国務大臣 これは安全保障、防衛の問題だけじゃなくて、いろいろな国の仕事がございます。そういったことを進めようといたしますときに、地方公共団体の御協力を得なくちゃいけないケースは幾らでもあるわけでございます。  しかし、そのときに、常に当初から地方公共団体においてもそのことに同意されるかどうかという点は担保されないわけでございまして、それは立場の違うケースは幾らもあるのだろうと思います。そういった際にも、国として、政府としては、御理解を得るべくいろいろ努力をしていく、そして必要な行政の責任を果たしていくということはむしろ当然のことでございまして、そういう御理解を得るための努力をすることが地方自治の本旨にもとるとか憲法違反であるという御主張には、私はどう考えましても納得がいかないところでございます。
  111. 古堅実吉

    ○古堅委員 自治体の長が、既に、ガイドラインの中間報告を見て大変だということで反対だという意思表示をしていることに対する質問なんですよ。  次に進みます。  ここで言う民間空港には、那覇空港あるいは宮古空港、石垣空港など、沖縄の離島にある民間空港も含まれますか。
  112. 折田正樹

    ○折田政府委員 先ほど来政府側から御答弁しているところでございますけれども、今度のガイドラインは一般的な大枠、方向性を示すということでございまして、具体的な、より詳細な日米協力のあり方というのはガイドラインが作成された以降の話でございます。現時点において、特定の港、空港の使用について何がしか想定しているということはございません。
  113. 古堅実吉

    ○古堅委員 明確にどの空港ということを否定しているものではない、ということを裏返せば、どの空港についても否定されないという意味合いも持つということですか。念を押しておきます。
  114. 池田行彦

    池田国務大臣 ガイドラインの性格は大枠なり方向性を定めるものでございますから、このガイドラインが具体的に特定するものでないという御答弁を申し上げたわけでございます。そのことをもって、それをひっくり返して、それじゃ全部対象になる可能性があるじゃないかとおっしゃるのは、そこのところに論理の飛躍があり過ぎるのではないかと存じます。
  115. 古堅実吉

    ○古堅委員 論理の飛躍ではない。政府のごまかしというものなんです。  大変重大な問題だと思うのでさらにお聞きしますが、周辺有事という事態では、増強される米軍機はまず沖縄に集中的に飛来することが想定されます。それは数百機とも言われております。とても嘉手納基地などでおさまらないものであります。そのあふれた米軍機が一番近い大きな民間空港、那覇空港を使用するということになりましょう。民間機の運航に重大な支障が生ずる危険があると思うけれども、どうですか。
  116. 折田正樹

    ○折田政府委員 先ほど来申し上げているように、今度は一般的な枠組みを定めるガイドラインをつくっているわけでございまして、個別具体的な空港等を念頭に置いて今作業をやっているわけではございませんけれども、一般論から申し上げまして、民間航空機との関係というのは当然調整していかなければならない項目だろうと思います。
  117. 古堅実吉

    ○古堅委員 具体的になかなかかみ合った答えになってくれないので前に進みますけれども、その場合にも重大な支障が起きないと言えないことを政府はしようということだろうと思います。  もう一つ、お聞きします。  別表の検討項目例の最後に「日本周辺空域での航空交通管制及び空域調整」ということが書かれております。日本周辺で米軍が戦えば、沖縄周辺の空域は戦闘機や空中警戒管制機などへの空中給油等の場所となると考えられます。こうした空中給油などを行う空域は、民間航空機は通航禁止の措置がとられることになるのではないかと思いますが、いかがですか。
  118. 折田正樹

    ○折田政府委員 先ほど来申し上げましたように、一般的な枠組み検討をやっているわけでございまして、まだ具体的にどういう形でどういう調整をするかということはこれからの検討課題でございます。当然、民間航空機との調整というのは重要な要素であろうと思います。
  119. 古堅実吉

    ○古堅委員 念を押してお聞きしますけれども、通航禁止ということもあり得る、そういうことも想定していますか。
  120. 折田正樹

    ○折田政府委員 まだ具体的にどういうことについてどうしようかというところまで、現在のところ検討しておりません。
  121. 古堅実吉

    ○古堅委員 前に進みます。  ガイドライン見直しの中間報告は、米軍基地が集中する沖縄にとって極めて重大な事態をつくり出す、いわば危険な戦争教範をつくっているようなものだというふうに受けとめています。  最後にお聞きしますけれども、日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合、簡略して周辺事態と言っておりますが、これはどういうことを意味するのか、抽象的でさっぱりわかりません。  そこで聞きますが、アメリカが戦っている相手が攻撃の矛先を日本に向け、日本領土、領域を攻撃するかもしれないという事態を重要な影響を与える事態というのか、もっと広げて、米軍と第三国の戦闘の結果、例えばペルシャ湾からの石油輸送が困難になるようなことまで含めるのか、あるいはまた、アメリカが日本周辺地域の第三国と戦闘に入ったということだけでは重要な影響を与えるとは言えないという見解なのか、明確にお答えください。
  122. 折田正樹

    ○折田政府委員 日本周辺地域において発生する事態が我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼしているかどうかというときは、そういう事態が発生しましたときに、その事態の態様、規模等を総合的に勘案して判断するということになろうかというふうに思います。  今、議員、いろいろな例を出されましたけれども、具体的な実態を踏まえて判断すべきものであると思います。
  123. 古堅実吉

    ○古堅委員 念を押してお聞きします。  領土への攻撃が差し迫っているときだけではなしに、石油輸送などの確保も含まれる、そのように理解しておるのですか。
  124. 折田正樹

    ○折田政府委員 日本の平和と安全に重要な影響を与えるということでございまして、これは総合的に判断しなければなりませんけれども、単に経済的な側面のみならず、日本の安全保障の面にとっても重要な影響を与えるというような事態を念頭に置いているわけでございます。
  125. 古堅実吉

    ○古堅委員 単なる経済的な問題だけの場合は含まれないということになりますか。
  126. 折田正樹

    ○折田政府委員 先ほどと答弁は同じになりますけれども、経済面だけでなく、総合的に勘案して、日本の平和と安全に重大な影響を及ぼしているかどうかという判断をするわけでございます。
  127. 古堅実吉

    ○古堅委員 時間が参りましたから終わりますが、日米安保体制そのものが憲法の平和原則をじゅうりんする重大な問題だと考えます。  今回のガイドライン見直し中間報告は、政府自身が憲法上許されないとしてきた領域に踏み込むもので、日本みずからが日本をアメリカの戦争に駆り立てるものと申さねばなりません。それを推進するための有事立法を云々するなど言語道断の話です。憲法の平和原則の原点に立ち返ることこそが、今日求められている政治の根本だと思います。見直し作業は直ちにやめるべきであることを厳しく指摘して、終わります。
  128. 仲村正治

    仲村委員長 上原康助君。
  129. 上原康助

    ○上原委員 三大臣、御苦労さまです。  きょうは、易しくてやわらかい問題でお尋ねさせていただきたいと思います。時間が二十分しかありませんから、私もできるだけ要領よくお尋ねしますので、御答弁も簡潔にお願いをします。  まず、防衛庁長官あるいは施設庁になるかもしれませんが、かねがね私も、県道一〇四号線については、新年度に入ってから沖縄でやらないようにぜひ御努力を願いたいということを強く取り上げてまいりました。政府、防衛庁、外務省等々の御努力があってそのような方向に、今、日米間で合意されているか、あるいはされつつあるように思うのですが、その点、改めて明確にしていただきたいと思います。
  130. 久間章生

    ○久間国務大臣 先般来、本土における五カ所の地区でそれぞれ引き受けていただきたいということでお願いしてまいりまして、一応合意いただいたわけでございます。  しかしながら、細部の詰めができていなかったものですから、本年度に入りましてからどうなるかということで危惧されておりましたが、先般、山梨の方に、北富士の方にお願いをいたしまして、従来、あそこも七月からは原則として射撃をしないということでございましたが、特に七月の十八日以降は大変困るというふうなことでございましたので、また米軍の方と調整いたしまして、一応、七月の三日から十二日までの間ということで大体話が今煮詰まりましたので、そういう方向で、沖縄ではやらずに北富士の方で第一回目をやる、その後、北海道の方で九月以降ということで今調整をしているところでございますから、一〇四号線越えにつきましては本土の方で実施するようなことになろうかと思います。
  131. 上原康助

    ○上原委員 この点は、私、せんだって地元の原島大使にも表敬かたがたお目にかかって、意見交換いたしました。防衛施設局の嶋口局長を初め非常な努力を、現地の海兵隊の方々あるいはまた総領事ともやったという報告を受けましたので、わずかなというか一つでもいい方向に持っていく努力がなされたことに敬意を表して、さらに海兵隊の縮減というものを我々は主張しているわけですから、外務大臣、今すぐとは言いませんが、行ったり来たりせぬで本土に駐留してやるように、外交努力を要望しておきます。  それともう一つは、ガイドラインとの関係もあるわけですが、先ほど白保先生のお尋ねにもあったのですが、もう少し確かめます。昨年十二月十二日のいわゆる那覇空港におけるニアミス事件、これは運輸省の報道でないからということで見過ごすわけにはいかない。まかり間違えば大変な惨事になる。報告書はいつまでに出るのか、どういう調査をしているのか、その点についてもう一度明確にしてください。-防衛庁、これは自衛隊機とANKとのニアミスですから、調査をして、運輸省と協議の上、その事実関係を明確にしていただけますね。
  132. 久間章生

    ○久間国務大臣 運輸省の方で今事故調査がされているというふうに伺っておりますけれども、私どもの方は、むしろこちらから何ら干渉することなく、事故調査を見せていただきたいとは思っておりますが、今のところ事前に連絡を受けておりません。
  133. 上原康助

    ○上原委員 これは、私は那覇空港で飛行機を利用する方々は経験がおありと思うのですが、自衛隊の戦闘機は二つずつで離着陸するのですよね、優先的に。だから、大変なウエーティングタイムもあるし、民間空港でありながら飛行に支障を来している。場合によると、三十分も待たされることがあるのですよ。だからいろいろ不満が出る。  そういう状況の中に、さらに有事の際というか非常時の事態になれば米軍も共用するということになると、ますます問題が起きるので、せんだっての安保委員会でも少し要望を兼ねて指摘をいたしましたが、基地の運用、ガイドラインの仕上げに当たっては、そういった過密な基地については極力配慮をすると言うくらいの姿勢は示してもらわなければいかぬと思うのですが、この点については両大臣から、外務と防衛庁の方から御答弁願います。
  134. 池田行彦

    池田国務大臣 御高承のとおり、このガイドライン自体は方向性とか大枠とかそういう性格のものでございますから、これによって直接具体的な基地のあり方に変化が起こるというものではございません。しかしながら、先ほどからの御論議の中にもございましたけれども、一般的に言いましても、日米協力をいろいろ進めていく上において運用が一層効率的になる、その効果として、基地の縮小という方向で一定の効果があるという可能性も排除されない、それはそのとおりに考えております。  いずれにいたしましても、ガイドラインそのものでどうこうということではございませんけれども、基地の負担、とりわけ沖縄の今御負担になっておられますものがいかに大きいかということは政府も重々承知しておりまして、まずは現在SACOの最終報告の着実な実施ということで努力をしておりますが、将来ともにこの基地の負担軽減の問題については真剣に取り組んでまいりたいと思います。
  135. 久間章生

    ○久間国務大臣 共用空港における運航につきましては、両者の利用状況を十分調整してもらいながら支障のないようにしていかなければならないというふうに思っておりますので、これから先も運輸省ともよく協議しながら、とにかく運航に当たってもそつのないようにしなければなりませんし、特に事故の発生のないように努めていかなければならないものと思っております。
  136. 上原康助

    ○上原委員 ちょっと私が尋ねていることとは御答弁はすれ違いがありますけれども、要は、那覇空港は大変過密な状況に現在もある。さらにガイドラインでいろいろ使用されるというようなことになると、余計に使用状況が過密になり危険になる。そういうことはよく配慮されるように考えてもらいたい、考えるべきだということを申し上げているわけです。  次に、施設庁長官が来ておりますので、あなたはやがて勇退するというから、答弁機会がもうないかもしらぬから聞いておきましょうね。  この島田懇談会で米側に要求すべき事項が挙げられていますよね。米軍による植栽であるとか基地内通行であるとか制限水域、基地内水源の利用、地元との良好な関係維持、こういうことについては外務省でやっているのか、施設庁でやっているのか。せっかく指摘をして、政府にやりなさいと島田懇談会で言っているわけだから、その点についてどうなっているのか。簡潔に。
  137. 折田正樹

    ○折田政府委員 外務省、防衛施設庁、協力しながらやっているところでございますけれども、我々、提言の実施に最大限努力していきたいということでございまして、提言の内容の一つ一つについて、今地元の具体的な計画や要望を沖縄大使、防衛施設局を通じて聴取しておりまして、日米合同委員会枠組みの中で米側との調整に既に入っておるところでございます。
  138. 上原康助

    ○上原委員 諸富長官は答弁はないのですか。あなた、やりなさい。
  139. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 島田懇の実施に向けては、防衛施設局が地元の要望の窓口ということで取りまとめをさせていただいております。  今先生御指摘のいろいろな事案につきまして、現在、最優先事項として、今外務省からも御答弁がございましたように、原島大使、それから私どもの防衛施設局長を中心に米側とも既に折衝に入っておりまして、近々実行できるように取りまとめを急いでおる、こういう状況でございます。
  140. 上原康助

    ○上原委員 これは外務大臣防衛庁長官、もちろん稲垣大臣もそうですが、私は要望しておきますけれども、せっかく沖縄大使を置くように御努力なさった、もちろん今懸命に努力しておられると私は思う。だが、かれこれ四、五カ月、やがて半年になろうとするわけですから、もたついている三者協議の立ち上げとか、あるいは今私が指摘をしたこういう問題について、従前とは変わった形で関係市町村や地元あるいは沖縄県、沖縄県民の期待にこたえていただかないと、大使を置いても意味がないのではないか、ちっとも問題解決しないのではないかという不満が出てくる可能性がないとは言えない。そうならないように期待をしておりますので、この点については大臣の方からちょっと決意をお願いします。
  141. 池田行彦

    池田国務大臣 私も、委員指摘の点はそのとおりに考えております。沖縄の県民の方々に、なるほどこれまでとは違って政府も真剣に取り組み、問題の早期解決全力を尽くしているなと言っていただけるように、今後一層努力をしてまいりたいと思います。
  142. 上原康助

    ○上原委員 次に、沖縄振興策について若干お尋ねさせていただきたいと思います。  特措法が済んで、国会における沖縄論議が冷めてきたのじゃないかという指摘があって心配もしているのですが、この振興策が具体的にどう固まろうとしているのか、どうも余り見えてこないのですね。現在の状況と、今県とどういうような問題点を詰めておるのか、要点だけでいいですから、重要な項目だけでいいですから、ひとつ説明してください。
  143. 嘉手川勇

    嘉手川政府委員 御答弁を申し上げます。  先生御案内のとおりかと存じますが、現在、沖縄政策協議会のもとに十個のプロジェクトチームがセットされておりまして、その中で、三十四の具体的なプロジェクトについて検討が行われているところでございます。この検討につきましては、もちろん沖縄県にも御参加をいただいているところでございます。  この取りまとめを、次回の沖縄政策協議会、七月の中旬以降というふうに伺っておりますが、その場において、政府として取りまとめて政策協議会に報告をする、このような状況になっているところでございます。
  144. 上原康助

    ○上原委員 それは私も、経過とか今のおっしゃる三十四項目についてはわかるわけですが、ぜひスピードを少し上げるように、県側にも、いろいろ検討が多岐にわたるのでなかなか作業も大変だという説明を受けているわけですが、稲垣長官、やっていただきたいと思います。  そごで、一つは、前から言う一国二制度的振興策ということはぜひ実現をしていただきたいと思いますし、この件については開発庁は今どういうふうなことをやっているのですか。
  145. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 委員指摘のとおり、今県のサイドにおきましても、自由貿易地域におきまして、税制や関税面を中心としまして、いわゆる特別措置の導入等規制緩和による拡充強化が強く要望されておるところでございます。最近の新聞の紙面を見ましても、県の要望と委員との間にもいろいろな差異が生じておりまして、一定地域にしようと思ったら、いや、全島的にしろとかいろいろな論議が行われて、錯綜しておるような状況でございます。  私どもといたしましては、昨年、御承知のとおり、総理の談話におきましても、この拡充強化が産業や貿易の振興に、沖縄県とともに検討を加えていければいいものになるだろうということで、ただいま沖縄政策協議会の国際貿易・物流基地の形成プロジェクトチームにおいて、鋭意この拡充強化について幅広くまた検討を進めておるところでございます。  そこで、委員御承知のとおり、本年度、自由貿易地域の拡充強化に関する調査に四千二百万円、いよいよ本格的に調査を始めつつあるところでございますので、開始をしているところでございますことを御承知おきを願いたいと思います。
  146. 上原康助

    ○上原委員 私も、きょう送られたファクスを見てちょっと奇異に思うのですが、これは県が設置させた規制緩和委員会のようですから、このことについて今私の方でコメントするのは控えたいと思うのですが、いずれにしても、沖縄の二十一世紀の産業経済を活性化というか元気を出させるためには、この国際都市形成構想の中における自由貿易問題というのは重大な位置を占めておりますので、そのことには特段の御配慮をお願いしたいと思います。  総務庁長官、お見えでございますが、最後に聞きますから。  そこで、もう一つ。私は、ことしの四月十日、安保土地特別委員会で、総理にも一国二制度の問題と北部振興ということでいろいろお尋ねをいたしました。その際に、橋本総理の御答弁として、   また、きょう名護の市長さんと知事がお会いをいただきました中に、北部地域に国立高専をつくりたいという私どもの持っております夢も、お二方のお話の中で出ておりましたようであります。私どもは、そうしたものは、国立高専はもうしばらくつくっておりませんでしたけれども、改めてまた私は、県の皆さんが喜んでくださり、地域の皆さんが喜んでくださる、そういうものであるなら、我々はこれを復活させて  つくっていこうと思っております。こう明確に国立高専のことを答弁なさったのです。もうおわかりと思うのですが、名護市の方から具体的にこのことについて要望が出ていると思うのですが、これはどのように今進めておられるのか。開発庁かな、どこか……。
  147. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 委員御承知のとおり、過日、名護の市長さんほか地元からも大勢この問題について御要望を承ったところでございます。  全国的に見ましても、沖縄県だけが国立高専設置が今までなかったわけでありますので、これは、この際ぜひということで私からも文部省に強く要望いたしたところであります。  何にしましても、これから沖縄県の問題、これからの振興策、特に振興開発をやるには人材育成が基礎でありますし、とりわけ理工系の人材を養成することが極めて大切であります。しかし、この設置、整備については文部省が所管でございますので、今どのような中身にするかという協議を進めておるところでございますが、私ども開発庁としても真剣に助力をしたいというところでございます。
  148. 上原康助

    ○上原委員 次に文部省にも、来てもらって聞きますから、開発庁もひとつ……。開発庁、こういうことをやらないと、本当に開発庁はなくなるよ。  最後に総務庁長官に。  行財政改革の中で、余りこういうお尋ねをするのははばかるのですが、沖縄の基地問題あるいは振興策等々をいろいろ考えておりますと、やはり沖縄開発庁の存在、存置というものは当面必要だと私は思うのです。そういう面で、大変御苦労なさっていると思うのですが、これは総務庁長官に聞いてまたやぶ蛇になってもいけませんが、いい答弁をしていただきたいと思います。
  149. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 実は、この間、行革会議沖縄開発庁からヒアリングをいたしました。正直、沖縄開発庁は行政改革には大変前向きでございまして、必ずしも現在の開発庁のままの姿で残してもらいたいとは思っていない、ただ、沖縄の問題というのは大変大切なので、どういう形になろうとも、沖縄に対する政策、施策が十分行われるような形だけは考えていただきたいということでございます。  私ども政府全体としても、この沖縄の問題については橋本総理を初め特別扱いという考え方でおりますので、どういう形にしろ、新しい役所ができるときには、沖縄の問題については十分施策が円滑に行われるような役所がなければならないということだけは考えております。
  150. 上原康助

    ○上原委員 終わります。
  151. 仲村正治

  152. 岩國哲人

    岩國委員 太陽党を代表いたしまして、質問させていただきます。  まず最初に、北方領土問題につきまして、学校教育の中でどのような教育がなされているか、そういった点をお伺いいたしたいと思います。  これは、本委員会において、二月二十日、鰐淵委員からもこの問題の指摘がございますけれども、小さいときから学校教育の中でこうした国土、領土の問題について教育をするということが大変大切なことだろうと思います。  その中でお伺いしたい点は、これは世界的な地図の会社、地球儀の会社でありますけれども、リプルーグル社、大抵のところに入っているのはそこの製品だろうと思いますけれども、このリプルーグル社のものが世界各国で使われている。  ところで、この北方領土はどのような色で塗られているのか、日本領土とはっきりなっているのか、ロシア領土として世界じゅう全部同じものが売られているのか、あるいは日本で売られているものもそうしたロシア領土として塗られているものが学校で使われているのか、その点について総務庁長官にお伺いしたいと思います。
  153. 川口雄

    ○川口説明員 お答えいたします。  私ども北方対策本部では国内広報、国内啓発ということを担当しておりますので、外国の事情は私どもではありませんけれども、国内の関係について申し上げます。  まず学校教育ですけれども、これは、文部省の方におきまして学習指導要領の中で北方領土問題を扱えということを記載しております。現在は、小学校四年生、それから中学校の社会科についてはちゃんと北方領土を教えなさいということになっておりまして、これに基づきまして、小学校四年生、それから中学校の社会科のすべての教科書につきまして北方領土の記載がなされているところでございます。  それから、地図等の問題につきましては、国土地理院の方で地図をつくっておりますけれども、それにつきましては、四十三年以前はちょっと北方領土がなかったりということで、四十四年以降は順次北方領土の地図も追加して記載しております。  それから、民間の地図業者でございますけれども、昭和五十三年に、私ども北方対策本部としまして、民間の地図業者に対しまして、北方領土についてはちゃんと我が国領土の一部であるということを明確にしてくださいということをお願いいたしまして、日本の方でございますけれども、民間で作成している地図につきましては適正化が図られているというふうに承知しております。  以上でございます。
  154. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私も、この間新聞報道で見まして、実はびっくりしておるわけであります。  これは、きょうは外務大臣がいらっしゃるから、本当は外務大臣の方からお答えいただくべき問題かと思うのでございますが、北方領土問題は私の方で担当させていただいておりますので。  私は、これは在外公館を通じて、それぞれの国でどうしてああいうことになっているのか、事実関係を確かめてみなければいけないのではなかろうか、そしてまた、もしロシア領土として赤に塗られているとすればなぜそういうことになっているのか、その辺も在外公館でお調べをいただきたい、こう思っております。
  155. 岩國哲人

    岩國委員 武藤長官が的確な認識を持っていただいているので、大変うれしく思います。ぜひそうしたことを徹底していただくこと、先ほど御答弁いただいた民間業者という場合も、外国の民間業者に対してもそうしたことの趣旨徹底をお願いするということが必要だと思います。  結果的に、リプルーグル社の地球儀というのは世界のマーケットシェアのほとんど大半を持っておりますから、そこで使われているものは、世界各国の子供たちがこの北方領土を見るたびに、これはロシア領土の色で塗られているということは、大変重要な問題ではないかと思います。国の予算を使って国内で一生懸命広報されることも大切ですけれども、そうした国際的な広報というものが必要ではないかと思います。  次にお伺いします。  北方領土以外に領土問題がないかのごとき教育、教科書の記載がなされていることは問題ではないかと思います。先ほど、北方領土の問題については、小学校四年生の教科書に確かに書かれてあります。しかし、要するにそれ以外にないという印象を結果的に与えてしまう。子供たちもお母さんも、尖閣の問題竹島の問題が新聞、テレビで、むしろそちらの方ににぎやかに登場してくるときに、それについて一言も学校では教えようとしない、教科書に書いていないということについて、おかしいのではないかと思います。  現に、けさほど、私は国土地理院の方に、教科書で日本の西の端は与那国島、このような記載がありますので、私はそうかなと思って問い合わせました、尖閣諸島とどちらが西ですかと。尖閣の方が西でございますと。もしそれが事実であるとすれば、日本じゅうの教科書は全部間違いを子供たちに教えている。西の端は与那国で、それよりも尖閣諸島の方が西ということであれば。尖閣列島は教科書の中で切り捨ててある。これは大変なことだなと。  再度確かめましたら、いや、間違いでございました、途端に二回目の質問で尖閣は今度東の方に移動するわけです。これは国土地理院の職員です。この程度の意識しかない。ということは、子供の段階に至っては、まして地図にさえも尖閣も竹島も書いていないわけです。  こうした点について、教科書の上でもこういった──一般社会人、特にお母さんたちを教育するのは、ごみ、環境対策でもそうですけれども、大人の教育のための一番いい教育媒体は子供だと思います。子供たちが正確な知識を持ってお母さんと話をするから、そういうことに対して正確な知識を持つわけでありまして、このような教科書のあり方についても私は再考すべきであるということを申し上げておきたいと思います。  次に、地方分権ということを盛んに言われておりますけれども、この地方分権の時代に領土問題はどのような意識をもってそれぞれの自治体において受けとめられておるのか。  例えば、問題になっております西の端、南の端、いろいろありますけれども、そういった各自治体の管轄する、最北端は択捉島、東は南鳥島、あるいは南は沖ノ鳥島、西は与那国島、こういうところにそれぞれの責任のある知事あるいは県庁の担当者が一番最近いつ行ったのか。二年前に行ったのか、二十年前に行ったのか、全然行っていないのか。こういうことについて総務庁として何かお調べになったことが一遍でもあるのかどうか。  さらに、こうした西の端、南の端というだけではなくて、竹島には島根県知事はいつお行きになったのか、あるいは尖閣諸島にはその知事はいつおいでになったのか。これについて正確に答弁していただきたいと思います。
  156. 川口雄

    ○川口説明員 私どもは北方対策本部ということで北方領土だけを担当しておりますけれども、北方領土につきましては、北海道の知事さんが、先月ですか、北方四島の交流という格好で北方四島を訪問しております。  それ以外の尖閣等につきましては私ども所掌してございませんので、ちょっとわかりません。
  157. 岩國哲人

    岩國委員 竹島はどうですか。
  158. 川口雄

    ○川口説明員 竹島につきましても、私どもは北方領土だけの担当でございますので、北海道知事さんが北方領土に行かれたということは承知しておりますけれども、それ以外のことについては承知しておりません。
  159. 岩國哲人

    岩國委員 ここは北方あるいは沖縄だけの委員会であるかもしれませんけれども、委員長の方から、ぜひともこうしたデータを、資料請求をお願いしていただきたいと思います。  次の点に移らせていただきます。  沖縄に関連いたしまして、先ほど原口委員からも沖縄の米軍戦力のプレゼンスの問題について質問がありました。私も同じように予算委員会でこの点を質問させていただきましたけれども、こうした米軍戦力の七五%が非常に限定された地域にあるということは、その地域に大災害があった場合に、我が国を防衛する非常に大事な戦力であるものが危機にさらされる、つまり、戦争という一つの危機管理のために大切な戦力の危機管理、言ってみれば危機管理の危機管理はどうなっているのか。  橋本総理答弁は、私はそういう災害によって大被害を受けるような事態を想定したくはございませんと。私は、一国の総理として、これは大変大きな問題ではないかと思います。危機管理の危機管理ができていないということではないでしょうか。  だれも、沖縄に被害が来るというようなことは考えたくないという気持ちはあります。しかし、それは一国民の、我々程度の気持ちであって、我が国の防衛を担当する一国の総理大臣が一こうした七五%をそこに、見方を変えれば、七五%もあるということは、七五%の戦力が一地域に閉じ込められているという考え方をしなければならないと思います。  そういう観点から、私は外務大臣に、沖縄に七五%あるということは、裏を返して言えば危機管理の危機管理ができていないということで、こういった意識は、恐らくペルーの間違いにもつながっておったのではないかと思いますし、外務大臣としての所見をお願いいたします。
  160. 池田行彦

    池田国務大臣 我が国の安全保障を確保していく上において、日本に駐在いたします米軍、そうしてまた我が国の自衛隊、それぞれが十分にその役割を果たすように常々心がけ、対応をしていかなくちゃいけないと思います。  そういった中で、今委員が御指摘になりました点も念頭に入れまして、基地が集中していることによってどうなのかという点もございましょうが、また現実に現在そうなっていることは認めざるを得ない。そのもとで、そういった御指摘のようなケースが生じた場合にいかに対応することが可能であるかはいろいろ考えておかなくちゃいけないと思います。
  161. 岩國哲人

    岩國委員 どうもありがとうございました。
  162. 仲村正治

    仲村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十一分散会