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1997-05-28 第140回国会 衆議院 運輸委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十八日(水曜日)     午前十時五分開議  出席委員   委員長代理理事 村田 吉隆君    理事 林  幹雄君 理事 細田 博之君    理事 江崎 鐵磨君 理事 北橋 健治君    理事 細川 律夫君 理事 寺前  巖君       関谷 勝嗣君    橘 康太郎君       谷川 和穗君    古屋 圭司君       堀内 光雄君    森田  一君       木村 太郎君    今田 保典君       坂本 剛二君    玉置 一弥君       中田  宏君    松浪健四郎君       川内 博史君    平賀 高成君       濱田 健一君    望月 義夫君       米田 建三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 古賀  誠君  出席政府委員         運輸大臣官房長 土井 勝二君         運輸大臣官房総         務審議官    西村 泰彦君         運輸省運輸政策         局長      相原  力君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         運輸省自動車交         通局長     荒谷 俊昭君         運輸省海上交通         局長      岩田 貞男君         運輸省航空局長 黒野 匡彦君         気象庁長官   小野 俊行君  委員外出席者         警察庁交通局都         市交通対策課長 久保 潤二君         国土庁防災局震         災対策課長   岡山 和生君         厚生大臣官房障         害保健福祉部企         画課長     伍藤 忠春君         運輸省自動車交         通局技術安全部         長       南戸 義博君     ————————————— 委員の異動 五月二十八日  辞任         補欠選任   久保 哲司君     萩野 浩基君   玉置 一弥君     木村 太郎君 同日  辞任         補欠選任   木村 太郎君     玉置 一弥君     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件  港湾に関する件  気象に関する件      ————◇—————
  2. 村田吉隆

    村田(吉)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長所用のため、その指名により、私が委員長の職務を行います。  陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今田保典
  3. 今田保典

    今田委員 私は新進党今田保典でございます。  私に与えられた時間内で、運輸行政あり方と、キャブオーバー型車両安全性についてお尋ねしたいと思います。その前に、私、山形でございますので、地元山形にかかわる問題について二点ほど質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず一つは、山形新幹線新庄延伸事業についてでございます。首都圏と短時間で直結するメリットを最大限生かし、首都圏との交流拡大あるいはターミナルとなる新庄・最土地区沿線活性化と振興を推進するために、この新庄延伸計画されたやに聞いております。五月一日にJR東日本新庄駅で着工式がありまして、私も御招待を受けましたので出席をさせていただきました。大変盛大にイベントも行われまして、地元期待感は高まる一方でございます。  この工事につきましては、工事費二百八十五億円、車両費六十六億円、合計三百五十一億円をJR東日本地元負担で行われるということでありますが、こういったケースは全国では初めてではないのかなというふうに思っています。そういうようなことで、大臣の御所見をお伺いしたい。  また、沿線の駅舎あるいは駐車場整備等で当然地元自治体負担があるわけでありまして、このことについても大臣の御所見をお伺いしたい。この二点をまず御質問させていただきます。
  4. 古賀誠

    古賀国務大臣 お答えをさせていただきます。  先生の御地元山形新幹線新庄延伸スキームについて、まずお尋ねでございます。先生お触れいただきましたように、本件のように、この延伸スキーム関係地方公共団体鉄道事業者間において資金負担合意がなされるということは、初めてのことでございます。私は、先生おっしゃっていただいておりますように、幹線鉄道高速化を図っていくことによって、高速交通のネットワークが形成されるという意味で、非常に寸重要なことだと思っております。そういう意味で、この山形新幹線延伸というのも、地元皆さん方期待も非常に大きいだろうと思っておりますし、またこういう新しい、地方公共団体鉄道事業者、この間において資金負担合意がなされるというのも私は一定の評価ができるのではないか、こういう認識でおります。  また、後段のパーク・アンド・ライド方式を推進するために、駐車場整備等周辺整備をあわせて進めるということも、非常に関係者の方々が熱心でございます。このことによりまして、鉄道利便性向上につながる、鉄道利用の促進を通じまして、沿線活性化が推進される、非常に有効な事業であるというふうに認識をいたしているところでございます。
  5. 今田保典

    今田委員 ありがとうございました。  先ほども言いましたように、沿線自治体財政負担というのは大変なものでございますので、このことについては、各自治体からもいろいろな要望が出ているかと思いますので、ぜひひとつ御配慮をいただければ大変ありがたい、このように思っています。  次に、気象事業についてのお尋ねをさせていただきます。我が国は、火山活動あるいは噴火、地震等によります事故、災害あるいは台風、集中豪雨、そういったものの災害、さらに海や山の遭難、自然災害による被害が毎年のように起こっているわけであります。それだけに、自然現象観測監視情報といったものが大変大事なわけでございまして、そういった情報を提供する測候所気象台などへの国民地域住民期待感は高まっているのではないかというふうに思っています。  その中で、ことし三月一日、防災の第一線であります測候所が五カ所廃止されました。これは、全国に九十二カ所ある測候所のりち、夜間無人化 された三十九カ所の測候所に拡大されると聞いておりますけれども、このことについて、本当に問題はないのかということをお尋ねを申し上げたいというふうに思っています。  さらに、今年度の気象庁予算額は七百十四億円であります。継続的な気象衛星ひまわり」などの予算を除きますと、新規事業費は三十億円程度ということでございまして、果たしてこういう予算で、古くなりました地域気象観測システムアメダスでありますが、そういったものや計測震度計などの更新ができないのではないかというふうに聞いておるわけであります。それに、国民が強く要望している地震火山観測体制充実あるいは気候変動地球環境問題等についての研究体制強化、そういったものができないのではないかというふうに関係者が言われておるわけでありますが、このことについてどう思っておられるか、御所見をお伺いしたい、このように思っています。
  6. 小野俊行

    小野(俊)政府委員 お答え申し上げます。  気象庁は、最新の科学技術の成果を活用いたしまして、常に業務近代化に努めてまいっております。例えば、気象衛星ひまわり」、気象レーダー観測網、それからアメダス、これは約千三百点の自動観測所から構成されております。それから津波地震早期検知網計測震度計、これは約六百点でございます。こういったものの整備強化を図ってまいっておりまして、近年、気象地震監視能力は飛躍的に向上してきております。  こうした背景によりまして、これまで人手によって行ってまいりました一部測候所地上気象観測及び地震観測業務等につきましては、自動化して、無人観測施設整備することによりまして運用可能と判断いたしました。その要員につきましては、当該県防災情報の発表を担当しております地方気象台等へ振りかえまして、地方気象台機能を強化いたしまして、府県全域災害対策中心とした気象業務充実を図りたいと考えております。  次に、気象庁予算につきましては、気象業務の性質上、維持運営費が大きいのが実情でございますし、また、静止気象衛星関係業務の経費の割合が大きいのが実情でございます。その中で、地震火山観測監視につきましては、補正予算も活用いたしまして、計測震度計津波観測施設火山観測機器等充実強化を図るとともに、大学等関係機関の御協力もいただきまして、データの収集に努めております。  また、気候変動等につきましても、今年度は、沖縄県の与那国島での温室効果気体等観測機器整備を行うとともに、地球温暖化予測技術高度化に関する研究を推進しております。
  7. 今田保典

    今田委員 どうもありがとうございました。  ぜひひとつ、そういうことで充実を図っていただきたい。このことをお願いを申し上げまして、次に、運輸行政あり方について御質問をさせていただきます。  まず一つは、中央省庁再編にどのような提案があるのかということで、お伺いをしたいわけであります。政府行政改革会議において中央省庁再編検討されていますが、現在の運輸省がどのようになるのかについては、運輸にかかわる関係者にとっては、多くの注目を浴びておるわけであります。  我が新進党においても、現在二十二ある中央省庁を当面は十五省庁に、将来的には十の省庁にする提案提起しておるわけであります。運輸省国土交通省位置づけをいたしまして、また、自民党の案では十省庁目標として、運輸省国土農水省にするというふうにお聞きしております。  そこで、質問ですが、我が党や自民党のほかに、そのほかの政党の考え方あるいは経済団体などからのいろいろな提案などがあると思うわけでありますが、現在どのような提案があるのか、その概要についてお知らせいただきたい、このように思います。
  8. 土井勝二

    土井政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘の、中央省庁再編議論におきまして、運輸省がどういう位置づけにされているかということでございます。率直に申しまして、私ども報道等によって知っていることが多いわけでございますが、それによりますと、今先生指摘国土交通省それから国土農水省のほかにも、運輸通信省交通省それから国土環境交通省など、さまざまな提案がなされているものと承知しております。  この中央省庁再編については、現在、行政改革会議において幅広い検討が行われているわけでございますが、行政改革会議におきましては、まだ具体的な再編方向性については整理される段階に至っていないというふうに承知しております。
  9. 今田保典

    今田委員 ほどのお答えの中で、いろいろ提案があることにつきましてはわかりました。どの提案が取り上げられるかについてはわかりませんけれども、いずれにしろ、運輸省は大きな変革を迫られているということには変わりないというふうに思います。  現在の運輸省は、昭和二十年に運輸通信省から運輸省になったものであり、以来、五十二年の長きにわたって我が国運輸行政に携わってきたわけでございます。ここで運輸行政がなくなるとは思いませんが、運輸省としての存在感はどうなるのか、大改革は避けられない状況にあるというふうに思います。  こうしたいろいろな提案がなされていますが、それらに対して、運輸大臣としての認識はどのような考え方を持っているのか、お聞きしたいと思います。
  10. 古賀誠

    古賀国務大臣 御論議をいただいております中央省庁再編等行政改革というのは、橋本内閣におきましても最重要課題一つでございます。運輸省におきましても、従来から、経済社会の構造的な変化、また一方、国民ニーズ変化に適切に対応していくために、運輸行政あり方というものをふだんから見直していくということは、大変重要な課題だというふうに認識をいたしております。  私が申すまでもないことでございますが、運輸行政基本的な目標といいますのは、国民に安全にして円滑かつ効率的な交通サービスの提供を行うことによって、質の高い国民生活向上、また我が国経済の発展に資することであります。そういう観点に立ちまして、現在行政改革会議におかれまして、中央省庁再編等に関して、ただいま政府委員が答弁申し上げましたように、幅広い検討が実はなされているところでございます。  現時点でいろいろな再編案について具体的なお答えを申し上げる段階ではございませんけれども、いずれにいたしましても、運輸省としては、今後の政府全体の行政改革方針等を踏まえながら、運輸行政基本的な目標を効果的、効率的に達成する組織体制を確保していくということは、大変重要だというふうに考えております。ぜひひとつ先生にも、それぞれの分野の中での御支援を賜りたいと思っております。
  11. 今田保典

    今田委員 ありがとうございました。  そこで、運輸省許認可行政からの転換というものが迫られているのではないかというふうに思いますけれども運輸省の五十二年間の歴史は、そのまま許認可行政歴史だというふうに私は思っております。許認可行政は、それはそれで必要であるわけでありますが、許認可だけではこの複雑化した交通社会に対応できないのではないかというふうに思っております。運輸省は数年前、許認可官庁から政策官庁への脱皮を図るんだという宣言をされたというふうに記憶しております。その後の具体的な動きを含めて考えてみますと、現状はどう見ても許認可官庁がそのままで来ているのではないかというふうに思っているわけでございます。  そこで、お尋ねしたいわけですが、政策官庁への脱皮ということについてはどうなったのか、あるいは現在はどのようにお考えなのか、お伺いをしたいと思います。
  12. 相原力

    相原政府委員 お答え申し上げます。  先ほどから御議論がございますように、交通というのは、人の移動交流あるいは物の輸送、流通を支える、将来にわたって国民生活、そして経済活動に必要不可欠な基盤でございます。そういう観点で、国民に対して安全、円滑かつ効率的な交通サービスが提供されることを確保するということが、今後とも国に求められる重要な役割である、かつ運輸行政使命であるというふうに考えているところでございます。  今お尋ね許認可官庁から政策官庁への脱皮ということでございますが、先ほど申し上げましたような運輸行政使命を果たすために、許認可中心行政から政策中心とした行政脱皮するということは、運輸行政の長年の一貫した基本的な理念でございます。  例えば、昭和五十八年に臨時行政調査会答申がございましたが、この答申を踏まえまして、昭和五十九年には、運輸行政総合化効率化を積極的に推進しようという観点から、運輸政策局を設置するなどの大幅な組織改正を行いました。これによりまして、政策推進機能を強化したところでございます。  また平成五年度からは、三カ年計画運輸省許認可件数、二千件を超えて非常に多かったわけでございますが、許認可件数を二割削減するという目標で三カ年でこれを達成いたしております。この間政府全体では〇・四%ふえているという状況の中で、運輸省許認可件数は三年間で二割削減したということで、積極的な規制緩和に努めて、許認可中心行政からの脱却を図ってきたところでございます。  こういう中で、特に昨今の交通市場の成長、成熟化あるいは利用者ニーズが非常に高度化多様化しているということ等を踏まえまして、交通を取り巻く時代の変化に適切に対応していく必要があるということから、今般、市場原理自己責任原則の徹底を基本といたしまして、市場監視あるいは情報開示等事後的、補完的に交通市場へ関与する、こういうような政策行政手法転換するという方針を決定したところでございます。こういうことによりまして、許認可官庁から政策官庁への脱皮に向けまして、さらに積極的な行政展開を図っていきたいというふうに考えております。
  13. 今田保典

    今田委員 どうもありがとうございました。  そこで、許認可制度関係で、今規制緩和についていろいろお話がありました。その規制緩和の中で、需給調整規制廃止意味合いについてお尋ねをしたいわけであります。  昨年十二月に、行政改革委員会規制緩和小委員会需給調整規制廃止提起しました。これを受けて、運輸省は、ほぼ同時に需給調整規制廃止をするという方針を打ち出したわけであります。私ども交通運輸産業に携わっている者から言わせれば、そのときの素早い対応については、正直なところ驚いているところであります。  さて、この廃止意味するところでありますが、私は、需給調整規制許認可根幹中の根幹理解しておるわけであります。これは運輸事業免許が許可になることであり、すべての免許をなくすということであります。この需給調整規制廃止せよという意味は、行政改革委員会許認可行政そのものを否定していると受けとめざるを得ないということでございます。今日までの運輸行政は、行政改革委員会からこのような形で否定されるような行政であったのかどうか、そこには運輸行政としてのプライドというものがあるのではないかという意味で、複雑な心境で見守っているところでございます。私の理解は、許認可行政そのものが否定されていると受けとめるわけですが、運輸省はこの意味するところについてどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたい、このように思います。
  14. 西村泰彦

    西村(泰)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の点につきまして、運輸行政基本的な目標ということでございますけれども先ほど運輸大臣からも御答弁申し上げましたように、このあたりを基本に立ち返って考えますと、あくまでも国民に安全で円滑でかつ効率的な交通サービスを提供する、これを確保することが運輸行政基本的な目標である、こういうことになるわけでございます。  要は、こういった基本的な目標を実現するための行政手法をどうするかということでございまして、需給調整規制といいますのも、こういった目標を達成するための行政手法であるというふうに考えられるわけでございます。こういった行政手法につきまして、内外経済社会情勢といったものが変わっていくわけでございますから、こういったものの変化を踏まえまして、最も効果的にこの目標を達成するような措置をしていけばよいというふうに考えるわけでございます。私ども、こういうような考えでやっていきたいと思っております。  そういった中で、運輸省といたしまして、御指摘のように、昨年の十二月に、人流物流の全分野におきまして、原則として、目標期限を定めて需給調整規制廃止する、こういう方針を打ち出したわけでございます。まさに需給調整規制、御指摘のように今までの行政根幹でございまして、この需給調整規制根幹といたしまして免許が行われ、運賃認可が行われ、事業計画変更認可が行われ、こういうふうになってまいっておるわけでございます。こういった需給調整規制廃止方針を打ち出させていただいたわけでございますが、それがことし三月の規制緩和推進計画の再改定の中にも盛り込まれまして、閣議決定されたところになっておるわけでございます。  この背景といたしまして、我が国におきます交通運輸市場成熟段階にある、それから行政改革経済構造改革が焦眉の急である、こういったようなものが、まさに先ほど申し上げましたような経済社会情勢変化ということでございまして、こういうものを踏まえた上で行政をやっていくわけでございます。やはりこういった中では、従来のような需給調整規制に基づくよりは市場原理に基づきまして自由競争を促進していくことによりまして、交通運輸分野における経済活動効率化していく、それによりましてさらにサービス多様化運賃面での利用者負担の軽減を促進していく、そういった行政が必要であると判断をしたわけでございます。  なお、行政改革委員会意見、そういったような観点で、運輸省との間で十分な論議をしてまいって出されたわけでございまして、御指摘のように運輸行政が否定されたというようなことではなくて、あくまでも運輸行政が、経済社会情勢変化に対応しながら変化をしていくんだ、こういうふうにおとらえをいただきたいと思うわけでございます。  以上でございます。
  15. 今田保典

    今田委員 どうもありがとうございました。  そういうことではありますけれども、もう一つ基本的な疑問点お尋ねしたいわけであります。  行政改革委員会の提言では、需給調整規制廃止するとともに、運輸行政基本方針の大転換を図るべきだということになっております。この行政基本方針の大転換ということですが、需給調整規制廃止がまさに大転換だと私は思っておったわけですが、ここで重ねて大転換と言っているのは、何か別の意味合いがあるのかどうか、お伺いしたいというふうに思っています。  考えてみますと、同じ政府行政機関の間で、その一方が行政基本方針の大転換などという、相手方の存在を否定するような提起をすること、これは普通の状態ではないのではないかというふうに思わざるを得ません。もしその提起が正しいとするならば、運輸省五十二年の歴史は何であったのだろうか。運輸関係に長年携わってきた者として、憤慨にたえないところがあるわけであります。この行政基本方針の大転換という意味合いについて、運輸大臣のお考えお尋ねしたいと思います。
  16. 古賀誠

    古賀国務大臣 これからの運輸行政あり方というものは、今も政府委員からも答弁申し上げておりますように、内外経済社会情勢変化等を 踏まえながら、より効果的な運輸行政を展開していくということが求められておりますし、また必要なことだというふうに思います。  今先生がお触れいただきました昨年十二月の行政改革委員会意見に、「行政基本方針の大転換を図るべき」とあるわけでございますが、これは、運輸行政目標をより効果的に達成していくには、従来の需給調整規制中心とした運輸行政手法を大転換していくべきだとの趣旨であるというふうに、実は認識をいたしているところでございます。  運輸省は、行政改革委員会意見等を踏まえまして、本年の三月に、規制緩和推進計画の再改定において、人流物流のすべての分野において原則として需給調整規制廃止する方針閣議決定をいたしているところでございます。これは、我が国交通運輸市場成熟段階にある、こういうことを踏まえまして、交通運輸分野における経済活動の一層の効率化活性化を図るには、需給調整規制廃止いたしまして市場原理のより一層の活用が不可欠であるというふうに判断をしたからであります。このように先生にも御理解をいただきたいというふうに思っております。
  17. 今田保典

    今田委員 今ほど、大転換意味合いについて運輸大臣からお聞きいたしました。  そこで、今後の運輸行政考えるために、その参考として、人の移動実態について私なりに調べさせていただきました。  現在、歩くことや自転車での移動を除いた、つまり交通用具によって人の移動が出てくるものについて調べてみますと、鉄道バス、タクシー、航空などの交通機関がそれぞれ分担をして移動しているわけであります。人キロという単位で見ますと、先ほど言ったように、鉄道バス、タクシ一、航空関係については全体の四〇%であります。半数以上の六〇%は自家用自動車による移動というふうに、私なりに調査をさせていただきました。このことは、人の移動について運輸省事業規制でかかわっているのは四〇%の部分しかないのではないか、あとの六〇%は運輸行政とは直接関係のない分野、つまり交通という分野の問題になっておるのではないかというふうに思っております。  こうした現実の人の移動実態について、私の調べたことが間違っているのかどうか、また運輸省としてのお考えがあれば、お答えをいただきたいというふうに思います。
  18. 相原力

    相原政府委員 先生からただいま御指摘がございましたように、自家用自動車の輸送人キロで申し上げますと、平成七年度で八千二百九十七億人キロでございます。これに対しまして全体の旅客輸送量、これも人キロベースでございますが、一兆三千八百八十億人キロでございますので、全体に占める自家用自動車の輸送人キロの割合は、約六〇%ということになっておるところでございます。
  19. 今田保典

    今田委員 人の移動の多くは、自分による自分のための移動ということになるわけであります。そして、この分野交通という分野であるわけでありまして、運輸行政の直接の対象ではないわけでございます。私がここで申し上げたいことは、運輸行政は、四〇%前後にすぎない運輸事業を監督するだけになっております。山積する交通の諸問題については全く対応できないのではないかという疑問点が出てくるわけでございます。  今我が国が抱えている交通問題は、交通事故の問題、慢性的な交通渋滞の問題、交通が原因の環境問題など、直面する問題点が数多くあるわけであります。さらに大きく目をあければ、我が国交通体系をどうしていくのか、あるいは高齢化社会における交通あり方、過疎地の交通をどう確保していくのか、多くの問題点が山積しているわけであります。そして、これらの問題点は運輸という分野ではなく、すべてが交通という分野の問題であります。したがって、運輸を概念とした運輸行政では基本的には対応できないのではないかということを思っているわけであります。  こうしたことを考えますと、これまでの許認可中心とした運輸行政は、その役割は終わったのではないかという思いをいたしておるところであります。今後の運輸行政あり方、さきに申し上げましたように、半数以上が対象になっていないということでありまして、半分以上、五〇%以上あるいは六〇%以上を対象にした、交通問題に責任を持てる行政でなければならないというふうに思っておるわけでありますが、これについてどうお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  20. 相原力

    相原政府委員 ただいま先生指摘のとおり、我が国交通体系をめぐりましては、都市部においては交通渋滞の問題、地方部におきましては、生活交通の維持問題とか、あるいは基本的に安全で災害に強い交通運輸の確保の問題、環境問題、高齢化社会に対応した交通環境整備等、さまざまな課題があるところでございます。  こういう中で、運輸省といたしましても、経済社会情勢変化に対応して、安全の確保を基本としつつ、二十一世紀に向けまして、陸海空にわたり整合性のとれた交通体系の形成、そして安定的で質の高い運輸サービスの提供を確保するために、関係省庁と緊密な連携をとりながら所要の施策を推進しているところでございます。  特に自家用自動車との関係でございますが、事業では先ほど指摘のとおり四割で、残りの六割は自家用自動車ということではございますが、特に、安全で環境と調和のとれた車社会の実現を目指すことも運輸行政にとって非常に重要な課題一つでございます。  自家用自動車につきましても、排出ガス規制とか安全基準の見直し等、自動車単体対策を適切に推進しているところでございます。また、地域におきまして円滑な交通を確保するために、自家用車から公共交通機関への誘導策というような観点での地域交通あり方に関する地域交通計画の策定なども行っておるところでございます。また、冒頭の御質問にもございましたように、。パーク・アンド・ライドなど利用者サイドに渋滞解消を働きかけるような施策、具体的には交通需要マネジメントという、TDMと言っておりますが、交通需要マネジメントの推進等の諸施策も関係省庁と連携して推進しているところでございます。  今後とも、このような問題につきまして、関係省庁と連携をとりつつ所要の施策の推進に努めてまいりたいというふうに思っております。
  21. 今田保典

    今田委員 どうもありがとうございました。  これまで申し上げたことを整理しますと、我が国には運輸行政はあるが、交通行政はないということになるわけであります。そして、運輸という概念をもとにした運輸行政では、現在の交通諸問題に対応することができないということにもなるわけであります。  ちなみに、交通という分野行政考えてみますと、主管庁がないのは申し上げたとおりですが、総合交通政策経済企画庁、道路整備は建設省、交通安全対策は総務庁、交通規制並びに取り締まりについては警察庁、自動車などの機器については通産省と、全くばらばらの実態にあるわけであります。これでは山積する諸問題に対して、適切に対応することは不可能ではないかというふうに思っておるわけであります。  そこで、今後の運輸行政あり方についてでありますが、時あたかも中央省庁再編という、五十年に一度あるかないかの大変革期にあるわけであります。これは見方によっては、あるべき方向に転換する大きなチャンスでもあるかと思うわけであります。この機会に、分散している交通関係行政機構を集約して、運輸行政から交通行政への大転換を図るべきではないかというふうに思っています。  その名称にはこだわるものではございませんが、私のイメージとしては総合交通省というものがあるわけであります。運輸行政として今後あるべき方向を明確に示すことが必要なのではないかというふうに思っておりますが、これについて運輸大臣のお考えをお聞かせをいただきたいというふうに思っています。
  22. 古賀誠

    古賀国務大臣 先ほど先生に御答弁申し上げましたように、中央省庁再編等に関しましては、行政改革会議において幅広い検討が今まさに行われているところでございます。  先生指摘の総合交通省につきましては、御承知だと思いますけれども、主要先進国では同様の考え方に基づきまして行政組織となっていることが非常に多いわけでございます。先生のお考えの総合交通省考え方というものにつきましては、省庁再編あり方についての一つの参考にさせていただきたいというふうに、私は考えております。  いずれにいたしましても、交通行政の組織のあり方につきましては、今後、行革会議において全体的な省庁再編あり方検討されていくわけでございます。そういった中で総合的な判断が必要であろうかというふうに考えております。
  23. 今田保典

    今田委員 行政あり方について今までお尋ねをしましたけれども、いずれにしろ、今、大転換期を迎えているわけでありますので、いろいろな方々の御意見をお聞き取りいただいて、よりよい交通政策をやっていただきたい、このことをお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、今社会的にいろいろ問題になっておりますキャブオーバー型の車両の安全問題について、お尋ねをしたいと思います。  最近の多重事故の状況についてでございます。ことしの二月十九日でございますが、午前零時四十分ごろ、中央高速道路の中津川下り線で三十五台の多重衝突事故がありました。新聞報道によりますと、事故のきっかけは路面凍結によるスリップということでありますが、死者三名、重軽傷者が二十三名という痛ましい事故であったわけであります。死者の三名は大型トラックの運転者ですが、二名は車外に逃れたところを後続の車にはねられたもので、残る一人は運転席で圧迫死と考えられる状況であります。私は、この事故を通じて、今大きな問題になっておりますトラック、バスキャブオーバー型車両の安全問題について、お尋ねをしたいというふうに思っています。  まず最初に、警察庁に調査をお願いしておりましたので、この中央道中津川事故を初めとする最近の高速道路における多重事故の五件について、どのような事故だったのか、あるいは死傷者数と運転者の死亡状況、それから事故のきっかけとなった天候や道路状況について、簡単で結構でございますので、お答えをいただきたいと思います。
  24. 久保潤二

    久保説明員 御指摘の高速道路におきます最近の多重事故五件につきまして、お答え申し上げます。  まず、一件目でございますが、平成九年二月十九日午前零時四十分ころに、岐阜県中津川市で発生をしました、関係車両三十三台の多重事故でございます。この事故で、大型貨物車の運転手三人が死亡し、そのほか二十六人が負傷しております。事故時の天候は小雪、道路状況につきましては湿潤で一部凍結しておりました。死亡した大型貨物車の運転手三人の状況でございますが、一名は車内で挟まれた状況でございます。それから残りの二名につきましては、車両をおりたところをほかの大型貨物車にひかれたものでございます。  次に、二件目でございますが、平成七年十月二十五日午前零時五十一分ころ、静岡県沼津市で発生した関係車両七台の多重事故でございます。この事故では、大型バスの運転手と大型貨物車の運転手の計二名が死亡しまして、三十七名が負傷しております。事故時の天候は雨、道路状況は湿潤であり、当時、降雨のため八十キロの最高速度規制が行われておりました。死亡した大型バスと大型貨物車の運転手の状況でございますが、両名とも車内に挟まれた状態でございました。  次に、三件目でございますが、平成七年九月十七日午前十一時二十七分ころ、東京都清瀬市で発生した大型バスの事故でございます。この事故では、運転手が死亡、二十八人が負傷しております。事故時の天候は雨でございまして、道路状況は湿潤でございます。当時、降雨のため、五十キロの最高速度規制が行われておりました。死亡した大型バスの運転手は、車外に放出され、橋脚から五メートル落下したものでございます。  次に、四件目でございますが、平成七年三月三十日午後六時十分ころ、静岡県小山町で発生しました関係車両十台の多重事故でございます。普通乗用車の同乗者二名が死亡し、六人が負傷をしております。事故時の天候は雨でございまして、道路状況は湿潤でありまして、当時、降雨によりまして八十キロの最高速度規制が行われておりました。  最後に、五件目ですが、平成七年一月十日午後十時四十分ごろ、滋賀県木之本町で発生した関係車両二十九台の多重事故で、大型バスの運転手が一名及び大型貨物車の運転手二名の計三人が死亡し、二十七人が負傷をしております。事故時の天候は曇りで、道路状況は凍結でございます。その当時、いわゆるチェーン規制及び五十キロの最高速度規制が行われておりました。死亡した三人の状況でございますが、いずれも車内に挟まれた状況でございました。  以上でございます。
  25. 今田保典

    今田委員 どうもありがとうございました。  最近の五件の多重事故について御報告をいただきましたが、全体の死傷者数は百三十五名、このうちの死者数は十一名ということであります。そして、運転者の死者数についても九名、そのうちの六名は圧迫死、いわゆる挟まれてお亡くなりになられたという状態でございます。  そこで、もしもという仮定になりますけれども、このトラックやバスがキャブオーバー型でなかったら、恐らくそういった状況にならずに逃れているのではないかというふうに思います。もしこれがボンネット型であるならば、車は壊れても、死亡までには至らなかったのではないかというふうに思われるわけであります。  さきの中央道中津川の事故ですが、二名のトラック運転者は車外に逃れて後続車にひかれるという悲惨な結果になりましたが、このところを注意深く考えてみる必要があるのではないかということであります。運転者の多くが話しますには、キャブオーバー型車両のキャビンは、キャビンそのものが危険であることから、第一次の衝突で助かった場合でも、運転者は大慌てで車外に逃れるということであります。言ってみれば、車内に残るも、あるいは逃げるも地獄ということになっているわけであります。  そこで、運輸省お尋ねしますが、キャブオーバー型車両について、安全性観点から基本的にどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
  26. 南戸義博

    ○南戸説明員 お答えいたします。  キャブオーバー型のトラックとかバスというのは、運転席から見た場合、非常に大きな視野、視界が得られるということで、こういった点については安全上非常にすぐれているというふうに思います。また、特にバスの場合ですけれども、キャブオーバー型の車両の場合には、低床式なバスをつくるという意味でも、非常に有利な構造であるというふうに思っております。  しかしながら、先生から今御指摘いただきましたように、一たん衝突をいたしますと、ボンネット型の昔ございましたバスとかあるいはトラックに比べますと、どうしても被害を受けやすいというようなこと、それから衝突の対策をとるというような場合でも、ボンネット型に比べますと、対策をとるいろいろなメニューといいますか方法が、大変難しい状況にあるというように認識しております。
  27. 今田保典

    今田委員 どうもありがとうございました。  そこで、事故のきっかけというものを考えてみたいと思いますが、中央道中津川の事故は路面凍結によるスリップがきっかけでありました。御報告いただいたうちの北陸道の滋賀の事故も、路面凍結によるスリップであったわけであります。そのほか三件については雨によるスリップということであります。  こうした状況は、多重事故の多くに共通してい ると言えます。そして、こうした事故は、不可抗力とまでは言いませんけれども、それに近い状態ではないのかなというふうに思っています。スピードと車間距離を守れということだけではないといいますか、たとえ守っても現実には避けられない事故が多いのではないかというふうに思っているところでございます。自分の車だけではなくて、高速では多くの車が流れている実態があるわけであります。こうしたことから、事故に対する考え方ですが、事故はあってはならないということではありますけれども、事故防止に専念することも重要ですが、事故はある面では避けられないという、あらかじめ事故に対応するような車両や環境づくりを行うことが重要なのではないかというふうに思っておるところであります。  こうした考え方については、欧米の自動車先進国では当たり前となっているようであり、ドイツでは事故を前提とした車両や環境整備を行っているというふうにお聞きしております。こうした事故そのものに対する考え方について、運輸省はどのようにお考えでしょうか、お聞かせをいただきたいというふうに思っています。
  28. 南戸義博

    ○南戸説明員 現在は、昔に比べますと高速道路が非常に普及してきておる、あるいは車両が引き続いて増加しておるというような状況から、昔では必ずしも事故に結びつかなかったような、ちょっとした操作ミスでも、最近は、平均的に車間距離も短くなってきたせいもあると思いますが、事故が起こりやすい。事故になった場合、高速道路なんかでは多重事故が、昔は起こっていなかったわけですけれども、最近はやはり次第に起こるようになってきたという現状かと思っております。  それで、その対策についての考え方でございますけれども、やはり衝突をさせないということが対策のうちの基本であるかと思っています。事故を予防するということはこれまでの対策の基本でございましたし、今後の対策を考えるに当たっても、これが基本になるというふうに思っております。ただし、現在の状況からすると、そうはいっても、たくさんの衝突事故が起こっているという実態から、やはり衝突したときでもできるだけ被害を少なくするというような対策も、同時にやっていかなければいけないというような厳しい現実になりつつあるというふうに認識しております。  こういったような状況もありまして、平成四年に運輸技術審議会で、将来の自動車の安全対策のあり方ということについて答申を得ております。その中で、将来の安全性は、予防安全がもちろん基本ではあるけれども、同時に、衝突したときの安全性ということについても、今後充実していくようにというような内容をいただいております。これを受けまして、これまで高速ブレーキ性能の充実、後部の大型反射器の装備とか、今先生から御指摘の衝突安全性向上といった点についての対策に取り組んでいるところでございます。
  29. 今田保典

    今田委員 時間がちょっと迫っておるわけでありますが、取り急ぎ質問したいわけです。車社会の今後についてどう見るかということであります。  車社会の現状をどう見るかということについては、現在の状況については、だれもが過密の高速化という時代に入っているのではないかというふうに言わざるを得ない状況になっております。聞くところによりますと、第二東名高速道路の建設に入っておりますが、この設計速度は百四十キロというふうにお聞きしております。さらなる高速化が進められているということであります。自動車の性能もさらに高速化に向かっていくものと思われます。より速くより快適にというのは、だれもが求める基本的な要求であるわけであります。私は、現在の過密の高速化という状況が今後ますます進展していくのではないか、したがって、これを前提として物事を考えなければならないと思っておるわけであります。  このような車社会の現状と今後の方向について運輸省はどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  30. 南戸義博

    ○南戸説明員 車の安全対策は人、いわゆる運転をする方の安全の意識を高めていくということ、また車それ自体、そして道路、この三つをバランスよく進めていかなければいけないというふうに思っております。  道路については先生今御指摘の、将来の百四十キロというような構想などについては、やはりその速度で走るには道路も、従来の道路設計ではなくてそれに合ったような安全な道路設計が当然必要であろうというふうに思っております。  車についてでございますけれども、運転をされる場合にミスをされることはつきものでございます。しょっちゅうあるわけではないのですけれども、長い間運転されている間には少し気の緩みとか何かでミスをする。車間距離が非常に近くなるとか、レーンを踏み出しそうになるというようなこと、それから操作がおくれるというようなことがあるわけでございます。そういったときに、不可抗力と申しますか人の能力がどうもついていけないような場合に、それを車側で何とか支援をする、アシストするというようなことが将来的には大変重要な課題だと思っております。  そういうような認識のもとに、運輸省ではこれまで民間のメーカーあるいは学識経験者と一緒になって五年間ASV、先進安全自動車、将来の安全な車についての研究をしてまいりました。そして昨年度から第二期目の五年計画に今入っておりまして、二十一世紀にこういった先進技術を十分導入していきたい。この第二期目からはトラック、バスについても一緒に検討するというようなことになって、今具体的に進んでおるところでございます。できるだけこういった先進技術を導入し、将来的には人的なエラーも多少は自動車の方でカバーして大きな事故につながらないように、運輸省としても努力してまいりたいというふうに思っております。
  31. 今田保典

    今田委員 キャブオーバー型車両の問題点について、先ほどいろいろ申し上げました。キャブオーバー型の車両そのものについてはいろいろな問題があるわけでありまして、いわば立方体としての車の制限を目いっぱい使っている。昔のボンネット型と比べますと、経済的には極めて効率のよい設計であるのは事実であります。  しかし問題なのは、運転席が前でなければならないことから、車両の先端から運転席までの間、空間がないということであります。運転者の体の先端はアクセルやブレーキを踏む足ですが、ここから車両先端までわずか数十センチというのが実態でございます。そのわずかな間にあるのは、フロントガラスと薄い鉄板だけであるわけであります。この過密の高速化時代にあって、しかも防ぎ切れない事故があることを考えれば、キャブオーバー型車両の高速走行を許すことは、人命を全く軽視をするものだと言っても過言ではないと言う方もおられるわけでございます。特につけ加えますと、観光バスでお客に大変評判のよい車でありますハイデッカー車両というものがあるわけでありますが、このバスの高速道路走行についても、運転者の仲間からは走る棺おけというようなことも言われております。  このように、キャブオーバー型車両は構造上に安全性基本的な欠陥があるというふうに考えておりますが、これに対して運輸省のお考えお尋ねをいたしたいと思います。
  32. 南戸義博

    ○南戸説明員 先ほども申し上げましたように、また先生も御指摘のように、キャブオーバー型車両安全性でも非常にすぐれた面もある、しかし一たん衝突すると、やはり弱いところがあるということで、この問題をどういうふうに解決していくかということで、運輸省としても関係の方々と一緒になって現在取り組みをしておるところでございます。  具体的には、バスについては平成七年、一昨年でございますが、十一月から対策のための検討委員会を設けて、バスの運転手の方も入っていただいて、事業者の方、メーカーそれから専門の学者の方々も入っていただいて、どういう対策がとり得るのか、特に衝突したときの安全性向上につ いて、今御検討をいただいているところでございます。それで、トラックについては昨年の十二月から同様な対策検討会を別途設けまして、この対策の具体化に向けた取り組みをしております。バスについては昨年の四月に中間的な取りまとめをしております。その中には、車体の前方の強度をどのように強化する方策があるかとか、バスの運転手について、今は二点式でございますが、三点式ベルトをどのように装着していけばいいのかとか、こういった点について幾つかの取りまとめをしたわけでございます。  バス、トラックとも引き続き対策の検討をもっと深めておる最中でございまして、ことしじゅうにはいずれについても対策の取りまとめをしようというようなことで、今予定して取り組んでおるところでございます。
  33. 今田保典

    今田委員 いずれにしろ、運転者にとっては非常に危険な車両構造になっておるわけであります。  そこでお願いなんですが、いろいろな状況を踏まえまして、今後いろいろな場で御検討いただければありがたい、こういうように思っています。時間もございませんので、あえて申し上げませんけれども、トラックやバス関係の労働者からは、最低は一メートルの安全距離というものが必要なんではないか、科学的根拠はございませんけれども、運転者の経験に基づく本能的な叫びと言わざるを得ないものであります。いずれにしろ、そういう状況を踏まえまして、いろいろなところでぜひひとつ安全性について御検討いただければ大変ありがたい、このことをお願いを申し上げまして、同僚の木村太郎先生の方に質問の時間をお譲りしたいと思います。どうもありがとうございました。
  34. 村田吉隆

  35. 木村太郎

    木村(太)委員 時間が大分少なくなったので、早速質問させていただきますが、まず、大臣には不断に交通体系等々に努力されていることに敬意を表したいと思います。私は、整備新幹線一点に絞って質問させていただきますので、それについても大臣の不断の御努力に敬意を表し、また、ただいま委員長席に着かれております村田先生にも敬意を表したいと思います。  早速でありますが、去る二十六日、政府・与党の財政構造改革会議で報告が示され、その中で、整備新幹線については、今後設置される検討委員会において「その取り扱いを厳正に判断することとなっており、拙速に結論を出すことがあってはならない。」とし、また、「新規着工区間の着工は、集中改革期間を設けて財政構造改革を進めようという流れに矛盾しないようにするべきである。」と報告されております。このことについては、きのうの紙面を見ますと、新規着工を実質的に、あるいは集中改革期間中の三年間は凍結という報道が相次いでおります。  そこで、お伺いしたいのですが、二十六日のこの報告について、特にマスコミは凍結というような報道をしておりますので、この点も含めての大臣の御所見をお伺いいたします。  いま一つ、この報告に、新規着工区間の着工については、「財政構造改革を進めようという流れに矛盾しないようにする」と記述されております。この記述は、昨年末の政府・与党合意の新規着工区間についてどう対応することになるのか、大臣としての考えがあればお伺いいたします。
  36. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生の方から御指摘をいただきました企画委員会の報告については、私も承知いたしております。私は、あの報告を素直に受けとめておりまして、着工凍結を意味するというふうには受けとめておりません。  整備新幹線の今後の整備に当たりましては、再三国会の場で、また委員会の場で御答弁を申し上げておりますけれども政府・与党検討委員会におきまして、整備区間ごとに、先生も御承知かと思いますが、収支採算性の見通し、受益の範囲を限度としたJRの貸付料等の負担、用地確保の見通し、並行在来線の経営分離についての沿線地方公共団体の同意の取りつけ、JRの同意等の基本条件を十二分に確認した上で、財政権進改革と矛盾しないように適切に対処していくということで進めてまいりたいと思っております。
  37. 木村太郎

    木村(太)委員 ただいまの御答弁にあった姿勢を持って、ぜひ大臣としての御努力をお願いしたいと思います。  少し細かい点ですが、これから政府・与党による検討委員会というものが設置されると思いますが、この検討委員会というものをいつ発足させて、メンバーとしてはどういうふうな構成を考えておられるのか、また、ただいまの御答弁にもありましたけれども、各線区ごとの収支採算性の見通し、具体的にはどのようにして取り組んでいくのか、お答えいただきたいと思います。
  38. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 政府・与党検討委員会の発足時期あるいはメンバーでございますが、まだ具体的には私ども、案を固めておらない状況でございます。発足の時期につきましては、財政構造改革会議の報告が取りまとめられるということもございますので、そういうことも踏まえまして、私ども事務当局としては、できる限り速やかに発足させていただければ大変ありがたい、このように思っております。  それから、収支採算性でございますけれども、これにつきましては法案の審議の際に再三御答弁申し上げてきたわけでございます。整備新幹線の収支採算性は、新幹線を建設して並行在来線を経営分離した場合のその新幹線区間の収支と関連線区の収支を合計したものから、新幹線が建設されない場合の在来線の収支と関連線区の収支を合計したものを差し引きまして、すなわち収支改善効果というものを算出いたしまして、これによって判断をするということでございます。  具体的な算定に当たりましては、当然、まずどの程度需要があるかということを把握するために、新幹線が建設される場合と建設されない場合とでそれぞれ需要予測を行いまして、この需要予測に従いまして線区のそれぞれの収入、経費を想定いたしまして、収支の予測を行うわけでございます。
  39. 木村太郎

    木村(太)委員 ぜひ適切にそういった具体的な条件を整えるための努力もお願いしたいと思います。  私自身も、危機的状況にあります国の財政再建は重要と考えておりますし、また、公共事業の見直しも否定するものではありません。しかし、最近、一律的削減というのが何か議論の前面に出てきておりまして、この考え方が強く行われるとしたならば、もし一律削減の後でも地域別あるいは事業別に奪い合いとなるならば、私は根本的なことが何も変わらないことにもなると思います。大事なことは、やはりその事業が本当に必要な事業なのか、効果があるのか、また、緊急性、優先性というような視点を持っての見直しが大事であり、その結果において削減ということもあるだろうし、そういう考え方は、私は整備新幹線においてもある面では当てはまるというふうにも思っております。  この考え方あるいはまた国土の均衡ある発展などの考え方をもって、三線五区間という整備新幹線の中で、一例として、大変恐縮ですが、東北新幹線八戸−新青森間を私は取り上げますけれども、この八戸−新青森間フル規格という昨年十二月の合意について、二十六日に財政構造改革会議がありましたので、大臣考え方をいま一度この時点において確認をさせていただきたいと思います。  また、今後、財政構造改革会議や、報道によりますと、二十九日にも臨時の閣僚懇談会を開くということも聞いておりますので、これらに対しての大臣の取り組み、対応というものをお聞かせいただきたいと思います。
  40. 古賀誠

    古賀国務大臣 まさに先生指摘の点は、政府・与党検討委員会の中で十分検討されていく問題であろうというふうに考えております。また、その際に、財政構造改革と矛盾しないように適切に対処してまいりたい、そういう決意でおります。
  41. 木村太郎

    木村(太)委員 時間が来ましたので、もう質問はいたしません。ただ、実は、地元の方でも並行在来線等、地元地元としての一生懸命な努力を続けでおりますので、国においても、運輸省大臣におかれましても、一層の御努力を心から期待し、またお願いして終わりたいと思います。ありがとうございました。
  42. 村田吉隆

    村田(吉)委員長代理 細川律夫君。
  43. 細川律夫

    ○細川(律)委員 民主党の細川律夫でございます。  先ほど今田委員の方から質問がありましたけれども、車社会におきますいわゆる交通事故、先ほど質問交通事故の原因究明の話が専らでございました。私は、事故が起こった場合の被害者の救済の問題について、質問をしたいというふうに思います。  日本には自動車損害賠償責任保険、いわゆる自賠責という制度がございまして、これは自動車事故での被害者を救済するということで、世界的にも誇れる制度だというふうに思っております。こういう強制保険におきまして、国内を走っておりますすべての車について、事故が起きたときには被害者を救済という国はないのでございます。しかし残念ながら、被害者の救済の問題で、いろいろ指摘をされております。  特に、死亡事故に関しまして、遺族の方が自賠責保険を請求をいたしましたならば、ゼロ査定、加害者が過失割合ゼロということで、一銭も保険金がもらえないという例がございます。実際に加害者におきまして過失がないということならば、それはそれで納得もいくわけでありますけれども、しかし、被害者の遺族の方が、残っている事故に遭いました事故車の損傷ぐあいを見てほしいとか、ヘルメットの破損を見てほしい、あるいは現場の説明をしたいとか、そういうようなことを申し出ても実際に見てくれない、こういう不満が大変強いし、また多いようでございます。  私は、自賠責というのは被害者の救済のためにつくられた制度でありますから、きちんとこの制度を十分に生かせる、そういう運用もしていただかなければいけないと思うのでありますけれども、この点について運輸省はどういうように考えているか、お答えいただきたいと思います。
  44. 荒谷俊昭

    ○荒谷政府委員 自賠責保険は、年間百万件ほどの支払いがございまして、非常に数が多いものですから、これを迅速に処理をするということで、警察の捜査が中心になりますけれども、加えて目撃者等からの情報も活用して、迅速な損害調査をして処理をいたしております。この調査につきましては、保険の請求があってからいたします関係で、どうしても警察からの情報に頼らざるを得ないという面が多いわけでございますけれども、この損害調査あり方につきまして、客観的で公平、公正といったことが特に求められているわけでございます。  それで、私どもは、この調査に誤りがあったり、あるいは誤解を生ずるといったことのないように、事故の当事者、それから目撃者からの意見聴取を適時適切に行い、また、先生が今おっしゃいましたように、車の損傷の程度を見てほしい、あるいは実地調査をしてくれ、こういった要請が被害者側から出された場合には、やはりこれに対して真摯に対応するといったことも必要だというふうに思っております。こういった観点で、保険会社ですとか、自動車保険料率算定会の対応が適切なものとなるように、引き続き私どもとしても努力をしてまいりたい、このように考えてございます。
  45. 細川律夫

    ○細川(律)委員 お聞きしますと、警察の実況見分調書が専ら使われているようであります。これはやはり刑事事件での調査でありますから、そういう意味で、特に死亡事故の場合には被害者の言い分というのが全然載らないわけでありますので、そういう点を十分考慮してひとつよろしくお願いをしたいというふうに思います。  もう一つ、保険金を請求しまして、そこで自賠責の算定、それに納得する場合はよろしいのですけれども、実際に納得できなくて、裁判になるような場合がございます。裁判になったときに、ここでもいろいろと問題があるようでございます。  それはどういうことかといいますと、裁判というのはある一定の長い期間もかかりますから、裁判の途中で裁判官の方からいわゆる和解勧告というような、和解の話が出るわけでございます。そのときに、どうも自賠責の方が等級を余りにも形式的に適用して、なかなか互譲の精神で和解が進まない。そういうことで、結局和解不成立、そして長い長い裁判による決着になっていくということが大変多いというふうに聞いております。  これは被害者の方からいたしましても、あるいは加害者の方からしましても、早く決着をつけたい、あるいは救済のためには早くこの問題を終わりたい、こう願っているわけでありますから、できるだけ自賠責の趣旨に沿った形で、和解にも応じていただくようなことにしていただきたいなというふうに私は思うわけでありますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  46. 荒谷俊昭

    ○荒谷政府委員 訴訟になりますと、どうしても時間がかかるということで、被害者の救済という面からは、できるだけ和解で解決を図るといったことも一般的にはあるわけでございます。それで、この裁判所の和解勧告におきまして、実質的に保険会社あるいは自算会の判断が誤りである、こういう内容で和解勧告が出された場合には、これを真摯に受けとめていくべきであろうと私は考えております。  こういった場合も含めての一般論ということでちょっと恐縮でございますが、一方で自賠責保険の支払いの公平性の保持という観点もございまして、すべての場合に裁判所の和解勧告を受け入れることは、必ずしも簡単ではないのかなという気もいたしておりますけれども、この制度の運営に当たりましては、裁判所の和解勧告ですとか判例等の動向も踏まえまして、保険の支払いのあり方について常に見直しをしていくことも必要だというふうに考えてございます。  こうったことで、保険会社及び自算会が硬直的な態度ではなくて適切な対応をとるように、私どもといたしましても引き続き努力をしてまいりたい、このように思っておる次第でございます。
  47. 細川律夫

    ○細川(律)委員 自賠責の立法の趣旨、被害者の救済という点から、ぜひひとつ弾力的に運用をよろしくお願いをしたいというふうに思います。  自賠責におきまして、被害者の救済という、この運用につきまして、大臣はどういうふうにお考えなのか、一言ちょっと簡単にお願いしたいと思います。
  48. 古賀誠

    古賀国務大臣 今御論議いただいております自賠責保険の制度というのは、先生からお触れいただきましたけれども、大変意味のある、意義の深い制度だというふうに評価をいたしております。  ただ、それだけに、この損害調査を含めまして、自賠責保険制度の運用については、何よりも公正公平な運用というものが求められるわけでございます。先生から今何点か具体的な御指摘をいただいたわけでございますが、そうした御指摘を踏まえまして、さらに公正公平な運用がされるように全力を挙げて指導してまいりたいと思います。
  49. 細川律夫

    ○細川(律)委員 ありがとうございました。  続きまして、規制緩和の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。  タクシーの規制緩和、これは既に料金の多様化などが進んで、効果もあらわれているところでございます。このタクシーの規制緩和につきましては、一方で大変心配な点もございます。業界に新規参入がふえまして値下げ競争になった。そういう値下げ競争になりますと、会社の経営の問題、運転手さんの質の問題あるいは安全性の問題などが心配でございます。  労働省のタクシー労働者の賃金の調査があるわけなんですけれども、この賃金構造基本統計調査によりますと、平成七年度で、ハイタクの運転手さんの賃金は全産業平均と比べますと百五十六万円も安い、しかも労働時間は二百五十時間も多い、こういうふうになっております。この業界と いうのは、人件費率が八〇%という大変労働集約型の産業でもございます。そういうことから、料金の値下げということが賃金コストの削減に結びつきまして、運転手の質を下げたり、あるいは安全性を低下をさせる可能性がある、大変心配でございます。都内の渋滞などを見ますと、私は、値下げにより需要増が見込めるという保証もないだろうというふうにも思います。  現在、私もタクシーなども利用していますし、サービスも前から比べますと、大変向上もしてきている、一般の評価もそういうことだろうというふうに思います。現在は、良質な運転手に支えられて公共交通としてのタクシーの存在というものがあるわけなんですけれども、これらが崩れていってはいけないと私は心配もするわけでございます。  そこで、お伺いをするわけなんですけれども、私も、いろいろ運輸省の方あるいは国の方の、この問題についてどういう方向なのかということを調べてみますと、昨年の十二月十六日の行政改革委員会の報告には、「量的規制である需給調整規制廃止し、これと併せて、タクシー運転手の資格要件の規制、事業者の資質の確保・向上のための具体的方策を講ずることとし、そのための体制の整備を図るべきである。」こういうふうに書かれております。  しかし、三月に政府によります規制緩和推進計画の再改定があったわけなんですけれども、そこでは、需給調整基準の段階的緩和を進めるとともに、安全確保、消費者保護等の措置を確立した上で、遅くとも平成十三年度までに需給調整規制廃止、こういうことが書いてあるだけでございます。環境整備の方策の具体的な中身については、運政審に諮問中であるということで、一切具体的にはなっていないわけでございます。  私は、規制緩和については、環境整備というものをきちっと、本来の需給調整規制の撤廃の先か、あるいは少なくとも同時並行でやっていかなければいけないのじゃないかというふうに考えております。混乱が起こってからでは遅いわけでありまして、この点、運輸省としてはどういうふうに考えているのか。環境整備の具体的な方策についても、その内容について御説明をいただきたいと思います。
  50. 荒谷俊昭

    ○荒谷政府委員 タクシーの需給調整規制廃止に際しましては、先生がおっしゃいますように、安全の確保、消費者保護といった点で問題が生じないように、環境条件の整備が必要だというふうに私ども考えております。  この関係で、ことしの四月に運輸政策審議会に、「交通運輸における需給調整規制廃止に向けて必要となる環境整備方策等について」諮問をさせていただきまして、自動車交通部会を設置をし、その中で審議が始められているところでございます。  具体的に、需給調整規制廃止に向けて必要となる環境整備方策として、事業規制あり方をどうするのか、現在は、事業の参入につきましてはいわゆる免許制でございますが、これを安全確保というものを土台にした許可制とすべきかどうか、そして、仮に許可制として、許可を受けて参入してきた事業者の中に、例えば悪質な事業者がいるとした場合に、こういった事業者をどのような手段で排除をしていくか、行政処分の徹底といったことで、事業者の資質の確保策をどう担保していくのか、こういったあたりが検討課題になると思っております。  また、もう一つ、安全運行という観点から、運転者の資格要件をどうするのか、そしてまた、運行管理制度、これは現在でもございますけれども、この運行管理制度が今のままでよいのか、あるいはもっと充実を図っていく必要があるのかどうか、このあたりが主な検討事項になるのではないかなというふうに考えてございます。  それから、先生お尋ねの、こういった環境整備方策をいつまでに、あるいはいつからやるのか、こういうことでございますが、私ども運輸政策審議会からの御答申をいただいた上で必要な措置を講じることにいたしておりますけれども基本的に、需給調整規制廃止をするのにあわせて実施をするのが適当だというふうに考えてございます。廃止をして混乱が生じてから手当てをするのではなくて、廃止の際にあわせて措置をするというのが基本的な考え方でございます。
  51. 細川律夫

    ○細川(律)委員 日本では昔、神風タクシーという有名な言葉がありまして、世界的にも有名になったりしたわけなんですけれども、ああいう事態に返らないように、スピード違反をしたりあるいは乗車拒否をするなどの、そういう運転手がふえないようにぜひしていかなければいけないし、結局困るのは利用する国民でありますから、タクシーの安全輸送がきちんと確保できるように、ぜひ早急に対策を具体化して、実行に移してもらいたいというふうに思います。  次に、乗り合いバスの問題も同じような問題があります。これについては、バスについて生活路線の確立ということをうたっておりますけれども、これをどう具体化していくのか。過疎地域の路線あるいは病院などがあるところに行くバス、いわゆる公共的な路線はきちんと維持をしていくことが大事だというふうに思います。単なる市場原理だけでは果たせない公共交通としての役割をきちっと確認する必要があろうかと思います。競争によって生活の足が失われることがないように、行政としては、どうしてもやっていただかなければならない問題でございます。これも、やはり需給調整規制廃止の前提として、きちっとやっていただかなければいけないと思いますが、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  52. 荒谷俊昭

    ○荒谷政府委員 乗り合いバスにつきまして、需給調整規制廃止をするということは、参入の自由を認めるということでございまして、これと裏腹の関係で、撤退の自由も認めるということに相なるわけです。そういたしますと、今先生指摘のように、採算はとれないけれども、どうしても必要な路線、こういったところがどうなるのかという問題になってくるわけでございます。この問題につきましては、昨年十二月の行政改革委員会の報告書の中でも、生活路線の維持方策というのは極めて大切なことであるという認識のもとに、文言は今ちょっと正確に覚えておりませんが、私どもは、この需給調整規制廃止の前提として、生活路線の維持方策の確立策を考えなければならないというふうに受けとめてございます。  そういったことで、この問題につきましても、先ほど御答弁いたしました運輸政策審議会での審議、自動車交通部会を設置をいたしまして、今後本格的な議論をしていただこうということで、その審議結果を踏まえまして、適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。
  53. 細川律夫

    ○細川(律)委員 私は、経済的な規制緩和につきましては、一般的には推進をすべきだというふうに思っております。しかし、公共交通の場合、今までお話ししてまいりましたけれども、いわゆる交通弱者といいますか、そういう人たちの保護、そして特に、公共交通において大事なのはやはり安全性だろうというふうに思います。そういう安全性の確保などの観点から、ぜひ、社会的な規制はしっかりとやっていっていただきたいというふうに思っているところでございます。  そこで、交通弱者と言われております障害者のことについても、お伺いをしたいというふうに思います。  社会的な交通弱者に対して、優しい町づくりということで、運輸省もそれを目指していろいろと推進をしていただいているというふうに思います。特に、私がきょう取り上げたいのは、視覚障害者、目の不自由な方についてお伺いをしたいと思います。視覚障害者にとって、盲導犬というものは大変大事でありますし、視覚障害者が社会参加をする上で大変重要なものでございます。  最近イギリスでも、全盲のブランケット教育雇用相が誕生をいたしまして、盲導犬とともにこの仕事を始められた。それが今いろいろと話題になって、報道などもされております。人口が日本 の半分ぐらいのイギリスにおきましては、盲導犬の数が四千頭いるそうでございます。ところが、我が国は八百頭、少しそれを下回るような数字が続いておると聞いております。日本の全盲の人は十四万人おられるそうでありまして、潜在的な盲導犬希望者というものは、八千人から一万人という話を聞いておるわけでございます。  まず最初に、厚生省の方にお聞きをいたしますけれども、今後厚生省としては、この盲導犬をどの程度育成をしていくのか、どういう計画があるのか、ちょっとお尋ねしたい。
  54. 伍藤忠春

    伍藤説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、視覚障害者、特に中途失明者といいますか、途中で失明した人にとっては、盲導犬というのは大変有効な移動手段になっております。我が国におきまして現在約八百頭ということで、御指摘のとおりでございます。この盲導犬の育成ということに、私ども、都道府県を通じて、明るい暮らし促進事業というのがございますが、そういう中で、障害者の社会参加のための盲導犬育成というのを一つの柱にしておりますので、ことしの予算でも充実を図ったところでございまして、今年度末には、一千頭を上回る頭数を確保できるというふうに見込んでおります。  当面の目標といたしましては、これを二千頭程度までにはぜひふやしていきたいということで、今後計画を立てておるところでございます。
  55. 細川律夫

    ○細川(律)委員 盲導犬により全盲の方々がホテルを利用したり、飲食店を利用したり、あるいはいわゆる公共交通機関をいろいろ利用される、そういうときに、拒否をされるといいますか、そういう問題がございます。  運輸省さんの指導もありまして、ホテルの利用などについては大変理解が進んで、拒否というのが、もうごくごく少なくなったというふうに聞いております。ただ、飲食店とか交通関係、タクシーなどはよく利用するそうなんですけれども、タクシーについて、拒否が多いというふうに聞いております。  ちょっと古い調査の結果でありますけれども、一九九二年の日本盲人社会福祉施設協議会というところの資料でありますけれども、これには乗車拒否率が五六%というふうになっておりまして、今でも乗車拒否があるということを聞いております。運輸省の方としては、乗用自動車一般に対しては、この件についていろいろ通達をされているというふうに聞いておりますけれども、タクシーに対しては個別に指導をしていないということも聞いております。この問題については、ぜひ運輸省の方としては指導もしていただかなければいけないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  56. 荒谷俊昭

    ○荒谷政府委員 乗り合いバスにつきましては、昭和六十一年に、先生がおっしゃいましたように、私どもの方から日本バス協会に通達を出しまして、加盟の会社に周知徹底をお願いをいたしておりますが、タクシーにつきましては、確かに今までやっておりませんでした。タクシーの場合に、盲導犬を連れているお客さんは、これはもうそのことだけを理由に運送の拒絶をしてはならないということでありまして、拒絶をいたしますと、いわゆる乗車拒否ということになるわけでございます。こういった乗車拒否がなされているということでありますれば、私ども、注意喚起のために事業者を適切に今後指導してまいりたいというふうに考えております。
  57. 細川律夫

    ○細川(律)委員 ぜひこの点の指導も強力にやってもらいたいと思いますし、また、飲食店などについても拒否がまだまだあるというふうに聞いておりますので、この点については厚生省の方もひとつよろしくお願いをしたいというふうに思います。  続きまして、首都圏交通についてお伺いをしたいというふうに思います。  首都圏の通勤通学のラッシュというものはなかなか解消をしないところであります。私は埼玉県の東部の方に住んでおりまして、こちらの方に来る場合には、いつも今は電車を利用いたしまして国会まで通っております。特に埼玉県というのは人口の増加率が全国一でありまして、なかなか交通インフラというのが追いつかないという傾向がずっと続いてまいりました。  ぜひ大臣も、機会がありましたら、一番のラッシュのときに地下鉄あるいはJRなど、いろいろな混雑をしているところを体験もしていただきまして、ラッシュで三十分、一時間、この混雑のところに乗っておりますと、本当にそれだけで大変な体力の消耗といいますかストレスもたまるということで、これだけでも大変な損失じゃないかというふうに思います。運輸省が目指しております、通勤のときに新聞を読める程度の混雑率ということを運輸省はずっと言っておられるわけですけれども、とても今はそういう状況でない電車がたくさんあるわけですから、ぜひひとつその点をよろしくお願いをしたいというふうに思います。  そこで、具体的にお聞きをいたしますけれども、さきの運政審の答申の中でいろいろ新線が、着々と進んでいるところもありますけれども、しかし、そうでないところもございます。運政審の答申の中で構想しておりました高速鉄道東京八号線、これは有楽町線とも言うようでありますが、この東京八号線の豊洲−住吉間、押上−亀有間の建設は一体どうなっているのか。それから、この路線は運政審の答申の中では、亀有駅のところから武蔵野線方面ということで新線の構想が答申で出されているわけなんですけれども、この点については一体どういうふうになっているのか、お聞きをいたしたいと思います。
  58. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ただいま御指摘の、運輸政策審議会で位置づけられました東京八号線の状況でございますが、この路線は、六十年七月の運政審答申におきまして、整備すべき路線として位置づけられたものでございます。  現在の状況でございますけれども、十一号線の水天宮−押上、これは今工事中でございまして、この間の住吉−押上が、ただいま御指摘の八号線の豊洲−亀有と共用されるということで、今、具体的には十一号線の共用部分ということで整備が進められているわけでございます。この共用部分以外の豊洲−住吉、それから押上−亀有間、これにつきましては今の十一号線ができました後の問題という位置づけでございます。この点につきましては、採算性の問題等々あるいは営団地下鉄の民営化の問題とも関連いたしまして、今具体的な着手の時期というのを明確にできる状態にないということでございます。私どもといたしましては、この民営化の問題とも絡めまして、この問題は今後十分検討していきたいと思っております。  それから、亀有から武蔵野線方面の延伸でございますけれども、これは先ほど申し上げました運輸政策審議会答申におきまして、今後新設を検討すべき方向ということで、御承知のとおり位置づけられておるわけでございます。これを具体的にどうするかは、今、新たな東京圏の鉄道整備計画につきまして勉強しているところでございます。近い将来、運輸政策審議会で新たな東京圏におきます鉄道整備計画あり方が審議される際には、当然この問題につきましても取り扱いを検討していきたい、このように思っております。
  59. 細川律夫

    ○細川(律)委員 もう一点、新線のことについてお伺いをいたします。  日暮里から足立区にかけての舎人新線というのが計画をされております。これは新交通システムという形で進められているようでありますけれども、この進捗状況につきまして、一体どういうふうな状況なのか、これについても詳しく御説明いただきたいと思います。
  60. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 日暮里−舎人線でございますが、平成七年の十二月に、東京都地下鉄建設株式会社におきまして軌道法上の特許が取得されました。それ以来、工事施行認可申請に向けまして関係者間で調整協議が図られておりましたが、昨年十二月に、申請の経由機関でございます東京都にこの工事施行認可の申請がなされた、こういう状況でございます。  この東京都地下鉄建設株式会社におきましては、日暮里と見沼代親水公園間九・七キロにつき まして工事施行認可を取得いたしました後に、本年度中に工事に着手したい、それから平成十四年度中に完成をしたい、こういうことで事業の進捗を図っていきたいという意向でございます。  私どもといたしましては、申請中の工事施行認可申請につきまして、今後所要の手続に従いまして審査を行いまして、適切に対処したい、このように思っております。
  61. 細川律夫

    ○細川(律)委員 地域の住民の人たちが大変期待をいたしておりますので、ひとつよろしくお願いしたいというふうに思います。  それから、もう一つ伺いいたします。  これも新線の問題でありますけれども、高速鉄道東京七号線の問題でございます。  この高速鉄道七号線というのは、地下鉄の南北線、それから埼玉の方に入りましては埼玉高速鉄道線という線でありまして、これを高速鉄道東京七号線というふうに呼んでいるようであります。これは南北線の方も着々と進んでいるようでありますし、また埼玉高速鉄道線の埼玉の部分についても既に着工し、工事も進んでおりまして、埼玉の方は二〇〇〇年には浦和大門まで開業というふうに聞いているところでございます。  この南北線、そして埼玉高速鉄道線の進捗状況はどういうぐあいなのか、そして、この浦和大門から北に向けましての延伸については、どういうふうに運輸省の方は考えているのか、これについてお伺いをしたいというふうに思います。特に、浦和大門から北へ向けての延伸につきましては、自治体の岩槻市等、たくさんの北の方々がこの延伸を心待ちにいたしておりまして、強い住民の延伸要求もあるところでございます。ぜひそういう北に向けての延伸についてもお願いをしたいわけでありますけれども、これについてどういうことになっているのか、お伺いをしたいと思います。
  62. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 南北線の進捗状況でございますが、今年の九月に四ツ谷−溜池が開業予定でございまして、現在、溜池と目黒の間についても鋭意工事中でございます。平成十一年度完成、開業という目標でございますが、それに向けて鋭意努力をしているところでございます。  それから、浦和大門以北への延伸の問題でございますが、私ども地元から大変強い要望があることは十分承知いたしております。これにつきましても、先ほどお答え申し上げましたとおり、今後新たな東京圏の鉄道整備計画をどうするか、ただいま勉強しているところでございます。運輸政策審議会でこの問題について審議がされる際には、この取り扱いをどうするか当然検討し、判断をしてまいりたい、このように思っております。
  63. 細川律夫

    ○細川(律)委員 ぜひ沿線といいますか北の方の住民の皆さんの意向を酌んでいただいて、北への延伸もよろしくお願いをしたいというふうに思います。  最後の質問を申し上げたいと思います。  首都圏におきます二十世紀最後の最大のプロジェクトというふうに言われておりました常磐新線の問題であります。この常磐新線、秋葉原から筑波学園都市までの六十キロメートルですか、この沿線の人は二〇〇〇年開通を大変待っていたわけなんですが、残念ながらその二〇〇〇年開通が実現をしないということで、二〇〇五年の開通だという、五年という長い期間先に延ばされるというか、大変失望もいたしているところであります。一体どうしてこういうふうな延長になったのか、では間違いなく二〇〇五年には完成するのか、そこのあたりを含めてひとつお願いしたいと思います。
  64. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 常磐新線、ただいま先生から御指摘がございましたとおり、首都圏におきます鉄道のビッグプロジェクトでございます。私ども中央省庁では建設省、自治省とも御協力しながら、沿線自治体の多大な御協力もいただいて進めておるわけでございますが、具体的に工事に着手して以来、一つは都市計画決定に向けての手続が相当程度おくれたという事情がございます。それから、想定しておらなかったような埋設物がございまして、この対策によりまして工事自体がおくれている、こういうことでございます。  昨年、このような実態を踏まえまして、これを明確にした上で今後の施策も講ずるということで、開業時期を、ただいま御指摘がございましたとおり、平成十二年度から十七年度にするという見直しを行いました。あわせまして工事費の、全体の事業費の増額も行いまして、それに対する対応策につきましても、政府部内で調整をいたしまして新たなスキームをつくったところでございます。私ども、これによりまして、今後、関係自治体あるいは住民の方々の御協力もさらにいただきながら、工事にとにかくできるだけ早く着手して、新たに決めました平成十七年度完成という目標がおくれることがないように、全力を挙げていきたいと考えております。
  65. 細川律夫

    ○細川(律)委員 ぜひ二〇〇五年には間違いなく完成するように、場合によっては何も二〇〇五年まででなくて事前に完成してもらっても結構なわけですから、よろしくお願いをしたいというふうに思います。  整備新幹線の問題を、この委員会でいろいろと以前議論をいたしました。そのときに、公共事業でも、むだな公共事業もあるし、どうしてもやらなければいけない公共事業もあると、いろいろ議論もされたわけであります。しかし、先ほど私が申し上げました新線というのは、さきの運政審におきまして、どうしてもやはり必要な、早くやらなければいけない、そういう新線でございます。そういう意味で、公共事業の中でもとりわけ優先順位の高い公共事業だと思いますので、ぜひ運輸省としても積極的に取り組んでいただくことを心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わりにいたします。
  66. 村田吉隆

    村田(吉)委員長代理 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  67. 村田吉隆

    村田(吉)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。坂本剛二君。
  68. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 きょうは、地震の中でも特に津波について、非常に心配なものですから、一度、国民の一人として、このことについて若干お聞きしたいと思っていましたが、まず最初に、先般の整備新幹線法の審議のときに、私もちょっと触れておいたわけでございましたが、例の貨物の問題でございます。  大臣の懇談会としてJR貨物の民営化のための懇談会というものがあって、来月の半ばごろ報告書が提出される、こう伺っております。この中には、貨物の線路使用料を安くすることであるとか、旅客列車とのダイヤの調整あるいはまた在来線が廃止される今後の整備新幹線の貨物ルートの確保をするようにという報告がされるようであります。これは、大変重要なことでありますから、ぜひこの報告書を尊重していただきたいなと思っております。  近年、トラック輸送が、大気汚染の問題だとか交通渋滞だとかさまざまなことで、それに鉄道や海上輸送が取ってかわろうということが言われております。ましてや、鉄道貨物が流通コスト高になって、外国との競争力が弱まってくるなんということになったのでは大変でありますので、そんな意味でも、ぜひこの報告書は尊重していただきたいと思う。また、農林省なんかでも、盛んに中山間農業の振興あるいは構造改善事業を進めておりますけれども、これも地域地域でとれる優良な農産物、そういったものが大消費地へ安く運搬できるということが大事だと思うんですね。あのブロッコリーなんかは国内でもかなりあれしていますが、やはり安いというので海外に依存している。これは、いろいろな面で危険なんですよね。  そういう意味で、健康上の問題、衛生上の問題、さまざま。ですから、例えば週末に大消費地からそういう産地に出ていって、家族ぐるみでヘルシーな食を楽しむ、こういったようなことも必 要だ。そのための運送コスト、人を運ぶコストも大事なんじゃないか。このことについて、本当は大臣なんでございましょうが、事務局は運輸省でありましょうから、局長からひとつお伺いしたいと思います。
  69. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ただいま御指摘がございましたJR貨物の完全民営化のための基本問題懇談会は、JR貨物、平成八年度も入れますと、四年連続経常欠損であるという状況でございまして、なかなか完全民営化の道筋が見えないというところから、昨年十月に運輸大臣の懇談会といたしまして、完全民営化に向けました道筋を明らかにするという観点から設けたものでございます。  今までこの懇談会におきまして、JR貨物そのものの経営改善施策をどうするか、それから、先生もお触れになりましたが、線路使用料をどうするか、今アボイダブルコスト、回避可能経費という考え方に従ってやっておりますけれども、こういったような考え方をどうするか、ダイヤ調整をどうするか、インフラ整備についてはどのように考えるか、この問題の一環として、整備新幹線を整備した場合の貨物輸送のルートをどうするかということも、課題に入ってくるわけでございます。それから株主構成などをどう考えるか、こういったような課題につきまして、精力的に検討が進められてきております。  六月中旬には、この懇談会の意見をまとめていただきまして、私どもとしましては、これを踏まえて、まずはJR貨物自身が徹底した経営努力を行う。その上で、利用者ニーズに対応した良質な輸送サービスが提供されますように、私どもとしても適切に対処していきたいと考えております。鉄道貨物輸送は、御指摘がございましたとおり、私どもも大変重要な問題だと思っております。
  70. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 ありがとうございました。  それでは、津波のことについてお聞きしたいと思います。  これまで地震と津波による被害、災害は、我が国有史以来たびたびあったと思うんですが、古くは明治のころに起こった三陸津波では、二万人を超える人がその犠牲になっている。  近くは、あれはいつでしたか、平成五年の夏だったですね、北海道南西沖地震で、奥尻島やその他で死者が二百二名、行方不明二十八人、これなどは、地震が発生してからわずか四分で津波が来た。しかも、夜間だったということであります。この地震のときも、そら、津波だと警戒して高台に登った方は助かったらしいですけれども、うっかりというか安閑とした人は、そのまま波にのまれた、こんなふうに伺っております。  また、昭和五十八年には日本海中部地震というのがあって、秋田県だったと思うんですが、海岸に学童が、何か遊びか研修かで行っていた、これも、うっかりしていて被害が出てしまったのですね、津波が速くて。  そんなこともあったし、それから十勝沖地震では、青森県の八戸港の港の中で遊んでいた方々が、これまた津波で持っていかれた。防波堤の上で釣りをやっていたり、昼飯を食った後で横になっていたとかという話も伺ったけれども、わっと来た。引いていくとき、もう逃げようがなくて連れていかれた。そんなこともあった。  これほど地震列島、火山列島であって、しかもプレートが日本海あるいは太平洋岸に横たわっている。こういうプレート地震というのが非常に多いというのがわかっていても、一般国民は余りそのことにとんちゃくしてないのかな、こんな感じもいたします。  私は、国会議員になってから、一昨年の阪神・淡路もそうでありますが、ここ数年、さまざまな地震も起こっているし、鹿児島では随分と川内市を中心に相当の地震が頻発している。そんなことを考えましたときに、もう少し地震、そして津波、特に津波問題について、もっと行政はアピ——ルする必要があるだろうし、国民、住民もまた、それを毎日のことのように受けとめて生活する必要があるのではないのか、そんな感じから、以下いろいろ質問をさせていただきたいと思っております。  まず、津波対策ですけれども、これはまことに重要な問題だろうと思っているのです。津波の観測について、我が国では気象庁中心に、六十六カ所の検潮所を持って、あるいは新たに超音波式津波計が十カ所ほど整備された、そして、南鳥島には遠地津波観測点も設けられて、全国七十七カ所で津波を観測していると聞いています。果たしてこれで十分なのかという感じを実は受けるわけでございます。  先ほども言ったように、北海道南西沖地震ではわずか四分ということ。この津波がどういう形で押し寄せてくるのか。多分、北海道とかプレートが海岸線に近いところはかなり早く津波というものがやってくるのではないかと思うし、同時に一方では、陸地では大した揺れではなかったんだけれども、発生する津波が非常に大きい、こんなものもあるのではないか。そのときに、相当私は、観測というものが詳細に把握できる状況にないと、なかなか容易ではないのではないのか、こんなふうにも実は思っているわけでございます。したがって、現在気象庁が行っている津波対策の取り組み方と今後の計画はどんなふうになっているのか、まずお伺いしたいと思います。
  71. 小野俊行

    小野(俊)政府委員 津波災害の防止の対策といたしましては、国といたしまして、津波警報の発表と伝達、それに伴う避難、海岸堤防の整備あるいは日ごろの津波に関しましての知識の普及啓蒙とかいろいろございますけれども気象庁の主な役割は、津波防災基本的な部分でございます津波警報の迅速な発表、伝達でございます。このための観測システムの整備等を行っております。  津波は海の下で発生いたしました地震によって引き起こされるものでございまして、気象庁は、地震が発生した際に、その地震の発生場所、深さ、規模、そういったものを即時に推定いたしまして、津波の発生と沿岸での津波の高さ、津波の到達時刻を予想いたしまして、津波警報として発表しております。このため、主要な観測設備といたしましては、全国の約百八十カ所に設置いたしました地震計のデータを、気象庁の本庁を初めとする全国六カ所の津波予報中枢にリアルタイムで伝送いたしまして、そのデータを常時監視しております。近年の観測技術と解析の手法の改善によりまして、近海の地震につきましては、地震発生後約三分を目標に津波警報を発表することとしております。  また、津波警報を迅速に関係防災機関や報道機関等に伝達するため、コンピューター通信によりますオンライン伝達を積極的に推進するとともに、気象衛星ひまわり」を用いました緊急情報衛星同報システムによりまして、迅速に津波警報を受けることができるように伝達システムの充実に努めているところでございます。  さらに今後の計画といたしまして、いつ、どこに、どの程度の津波が来襲するかについて、定量的に津波予報を行うための技術開発を進めているところでございます。
  72. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 今のお話で大体現在の気象庁観測状況については理解いたしました。ただ、正確な津波の予測というのが、例えば海底地震が発生した、瞬時にこれはどのぐらいの津波が来るぞ、そういうものをまだなかなか掌握し切っていないのではないのか。  先般、国会等移転特別委員会で参考人として出席いただいた溝上東大名誉教授が、このことについて言及しておりました。沖合に、沖合というか、大体津波の発生するような地震が起こる箇所はもうわかるわけだから、その地震発生地点に計測器、観測器を置いておく、そうすればその時点で津波がどのような状況で陸地へ来るか、あるいはどの方面へ行くか、これが瞬時にしてわかるのではないか、そうするとその対応もすぐできる。これはもう住民の方は本当に安閑としているわけで、おもしろいテレビがあればまずそれを見てからだなということも考えるような日本人でありますから、警報、津波の速報は一番大事ではないか、私はこう思うのです。  今のはどうでしょうか。何カ所かの震源あるいは地震の規模、波の速さ等々で津波を予想しているというお話でございますが、それを実質的に日本列島全海域にそういう計測器を網羅しておいて、瞬時に津波というものに対応策がとれるような方法、こんなことは考えられないのかどうか、この現状と今後の考え方についてお伺いしたいと思います。
  73. 小野俊行

    小野(俊)政府委員 海底部分に水圧計を設置いたしまして津波計として活用しようという試みが、現在、東海沖それから房総沖、三陸沖等で行われております。これらは、先生指摘のように、沖合におきまして津波による波高の変化を水圧の変化として観測することによりまして、その海域での津波の波高を把握いたしまして、さらに、沿岸に到達いたしました時点での津波の高さや到達時刻を、より精度よく予想するという目的のものでございまして、現在、調査研究として行われているものでございます。  こういった水圧計につきましては、気象庁自身も一部設置してございますけれども大学等関係機関の設置しております海底地震計、これに津波計もついておりますけれども、こういったものを、私ども御協力をいただきまして、気象庁にリアルタイムでテレメーター化する計画を進めているところでございます。
  74. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 津波が起こってからどう災害から逃れるかという課題も、また大きいと思うんですね。今もってぞっとするのは、阪神・淡路の大震災のときに、誘発されて同時に海底プレートが動いて津波が発生しておったら、あの瓦れきの下敷きになって三日ないし四日にわたって生存して後に救出された方々はまず全滅だったろうな、こう思いますね。一方では、火災の方は免れたかもしれませんけれども、ほとんど瓦れきの中から救出された方が多い、即日のうちに。その方々は全滅したのではないかという思いがいたしております。  そういう意味では、まさに起こった後、市街地の方々をどう守っていくか、この対応策というものがとられていなければならない。前にもこの話をどこかでしたような気がするのですけれども、ある一定規模の面積を持っている市街地で、ある一定以上の人口を有しているところに津波が押し寄せたときに、まずお年寄りとか学童、子供たちは完全にのまれてしまうのではないのか。  地方の町村に行くとそう遠くないところに必ず高台があります、必ずありますから、そういうところを緊急避難地として指定されているようであります。しかし、大きな市街地のど真ん中に一体どんなような対策が立てられているのか。私はこれも、ここの議論にはなりませんけれども、建築基準法なんかで、例えばそういう三階建て、五階建ての学校、病院あるいは公団、アパート等々の屋上はそういうときの避難場所として、最初からそのような設計を織り込んでいくという必要があるのではないのか、こんなふうな思いもしているのです。  特に、先ほども言ったかもしれませんが、津波のときに集中豪雨がたまたまあったり、あるいは、津波というと川を物すごい勢いで波がさかのぼって、それが完全に冠水して両側の市街地にあふれるわけです。それはもう、一時間以上の時間差があるならいざ知らず、早いうちにそういうものが来るということになると、すぐ近くに避難する場所というのが常時用意されていなければならぬ。こんなことを考えながら、国、特に災害救助、防災対策の方は国土庁になるのでしょうけれども、悪条件が、満潮になった、集中豪雨があった、もうどうしようもない、津波の来る時間が短過ぎた、いろいろなことがあると、三千人、五千人、ある一定面積で一万人から二万人以上のところを一地区にして考えたときに、神戸だとか名古屋だとか、そういう大きなところなんかは万単位の被害者が出てしまうのではないかと実は思うわけですね。  そういう方々が、例えば学校の子供たちは、夜中でも自分の学んだ学校へは、通学している学校へは上っていける、お年寄りの方々にもしょっちゅうそういう訓練をしていく、そんな対応が必要なんではないのか。私ども地元でも、NHKの津波警報が出ますと、マイクで言って歩きますね、時間帯はいつでも。しかし、それを聞いている人は余りいないようです。また、聞いた人でも、どこが避難所なのかわからないで右往左往するような人もおるようでございます。もっと日ごろからそういう対応策というのも必要なのではないかな、こう思うのです。  津波災害軽減のために、沿岸地域における避難場所の確保とその機能充実が非常に大きな課題になっておりますけれども、本件に関する国の取り組み方をひとつお聞きしたいと思います。
  75. 岡山和生

    ○岡山説明員 委員指摘のように、沿岸地域の津波軽減対策というのは重大な課題でございます。そういう意味で、国といたしましては、防災基本計画におきまして、国と地方公共団体が連携を図りまして海岸保全施設の整備あるいは避難場所、避難路等の防災施設の整備をいたしますとともに、迅速な津波予報の伝達のための体制や通信施設の充実を図ることといたしております。  このうち、避難場所や避難路につきましては、地域の特性に応じまして、地方公共団体地域防災計画の中で定めております。高台や公共施設のビルなど安全な施設も含めまして地方公共団体が決めておるわけでございますが、これらの施設の整備地域実情を踏まえて進めておるわけでございます。また、日ごろから案内板の設置を行うなど、避難誘導体制の整備にも努めておるところでございます。  国土庁といたしましては、関係省庁関係地方公共団体と密接な連携のもとに、過去の津波災害の教訓を生かしまして、今後とも津波対策のより一層の充実強化に努めてまいる所存でございます。
  76. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 今おっしゃったとおりだと思うのですね。それがどれだけ、いざというときに機能するかというのも私、また疑問なのですね。確かに自治体昭和五十二、三年でしたか、全国的に避難袋なんというのが、消防団とか公民館を通して、婦人会とかいろいろな団体を通して末端家庭に売られた時期がありました。あのころはみんな一生懸命買ったようですが、津波でさえ、逃げるときの非常食、水、医薬品とかいろいろなものが入っている袋なんかは、もう全然今は、恐らくとんちゃくないのではないかなと思うのです。  先ほども言ったように、そういう非常事態が来たときに、では、どこへ逃げるんだというと、実際に、逃げる場所、避難する場所をどれだけ知っているのか。自治体や公共団体は、きちんと書いて張っておきますから、街角、街角にあるのでわからないはずがないと言うけれども、私は恐らくわからないだろう、こう思うんですね。だから、これを、しょっちゅうわかっていただくような自治体の行動を、ぜひ国の方からも訴えて指導していただきたい、こんなふうに私は思っているところでございます。  津波対策と並んで重要なことは地震対策であります。地震の予知について、何かテレビとか雑誌では、中国とかギリシャですか、予知に成功したとかしないとか、予知学が完成すればノーベル賞物だとか、いろいろ聞いておりますけれども、ただ、我が国でも、太平洋プレートが毎年九センチずつ日本列島の方へ寄ってきている、日本列島の下に潜っている、あるいはフィリピンプレートも三センチずつ日本列島の方に押し込んできている、百年から百五十年周期でマグニチュード八クラスのずれが実は起こっているのだ、こんなことが、予測可能なものとされているわけですね。  そのほか、南関東直下型の地震が起こる可能性もある。これは関東大震災のときよりも、あの関東大震災のときは、関東地域でマグニチュード六からマグニチュード七の地震が群発した。近年も、一九八〇年、千葉県中部地震はマグニチュード六、八二年は山梨東部でマグニチュード六、房総でもマグニチュード六の地震が発生した。一九七〇年代はマグニチュード四から五、八〇年代で マグニチュード六となってきた。これはもう完全に、ここに関東大震災型の、直下型の地震が起こる可能性あり、こんなことも言われているんですね。しかしそれは、本当なのかどうかはわからないけれども、そう言われておる。  それから東南海、名古屋と紀伊半島ですね、これはもう海底地震なら大津波が発生する、内陸部なら直下型の大揺れの被害が間違いなく出ると予測されているんですね。東北・三陸地区も津波地震の可能性が大きいとかいろいろ言われているのですけれども、阪神・淡路が、一番安心だなんて言われていて、あのような直下型のでっかい地震災害が起こってしまったわけです。今こう言われていることが果たして実際、本当に予知されているのかどうか、どの辺までいっているのか。特に、東海地震は危険である、これは予知が可能なんだ、こんなことも言われているわけでございますが、気象庁として東海地震の予知の実現、その取り組みをちょっと、もし答えられればお聞きしたいと思います。
  77. 小野俊行

    小野(俊)政府委員 まず、東海地震の予知でございますけれども、大規模地震対策特別措置法によりまして、気象庁長官は、東海地域における大規模な地震が発生するおそれがあると認めた場合には、内閣総理大臣地震予知情報を御報告申し上げる、こういう責務を負っております。  このために、気象庁は、東海地域及びその周辺に地震計や体積ひずみ計などを設置いたしまして、常時監視を行っております。さらにそのほかに、科学技術庁の防災科学技術研究所、東京大学、名古屋大学あるいは国土地理院、地質調査所等、他機関の地震あるいは地殻変動、地下水等の観測データをオンラインリアルタイムで収集しておりまして、同じく二十四時間監視しております。  これらの観測データに異常があらわれました場合には、地震防災対策強化地域判定会を開催いたしまして、東海地震との関係検討することとしております。  なお、現在、東海地震として想定されております震源域の西側に隣り合う場所で、昭和十九年に東南海地震が発生いたしましたけれども、その東南海地震に際しまして、その直前に前兆現象として顕著な地殻変動が発生したことが知られております。気象庁は、このような地殻変動が発生した場合に、私ども観測網にどういった変化があらわれるか、そういったシミュレーションを重ねております。その結果によりますと、同様の地殻変動があらわれた場合には、それを現在の観測網によって捕捉することが可能になっているということが明らかになっておるわけでございます。今後とも、東海地震の前兆現象をとらえるための努力をしてまいりたいと考えております。
  78. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 しっかりとその予知、できるだけ事前に把握できれば、あそこは大変な人口密集地帯でもありますので、よろしくお願いしたいと思います。  そもそも、予知というのは将来とも可能なのかどうかですね。全力を挙げてお取り組みいただいているのだろうと思うのですけれども、どんな研究がなされているのか、ちょっとお伺いしたいと思うのです。
  79. 小野俊行

    小野(俊)政府委員 地震予知につきましては、一般的には現在まだ研究段階にあるとされております。東海地震以外につきましては、時期と規模と場所、三要素といっておりますけれども、それを特定した地震予知は現在では困難な状況考えております。  東海地震につきましては、先ほども御説明いたしましたが、昭和十九年に起きました東南海地震の実例あるいは近年の地震学の知見等に照らしまして、前兆現象が、ある程度の規模のものがあらわれる可能性がある、このように考えられておりまして、この前兆現象があらわれました場合には、それを捕捉して直前の予知ができる、このように考えております。  地震予知の研究一般でございますけれども気象庁におきましては、いわゆる地震の空白域における地殻変動観測研究あるいは南関東におきます応力場と地震活動予測に関する研究地震に伴う地磁気、地電流の変化に関する観測研究等を実施しておりまして、理論それから観測の両面から地震予知研究を推進しているところでございます。
  80. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 とにかく、安心して日常生活をしていくためにも、地震の発生後さまざまな情報を集約して、報道機関を通してそれを国民に瞬時に発表していく、こういう体制が必要なわけであります。  気象庁としては、さらに地震観測について充実強化すべきであるということは論をまたないと思うのですが、またさまざまな関係機関、先ほど来からお話が出ておりますけれども観測データとか研究成果を気象庁が掌握して分析し、公表していくべきだと思うのですね。自治体もやっている、それから国土地理院、工業技術院、防災科学技術研究所、海上保安庁、東大地震研究所とか、いろいろなところでやっているのですが、これはみんなばらばらにやっておっていいのですかね。どこかが窓口になって、私は、気象庁あたりが、こういうものに運輸省が全力を挙げて、責任を持ってやっていくということが必要なのではいかなと思うのですけれども気象庁の見解をちょっとお伺いします。
  81. 小野俊行

    小野(俊)政府委員 気象庁といたしましては、地震災害の防止、軽減のために、基本的な施設といたしまして、全国約百八十カ所に地震計を置きまして、また約六百カ所に震度計を設置いたしております。例えば東海地域などにつきましては、関係機関と協力いたしまして、さまざまな観測データを気象庁に集中いたしまして監視を行っているところでございます。今後とも、より防災に資するために、関係機関の観測データの活用に努めてまいりたいと思っております。  先般成立いたしました地震防災対策特別措置法の趣旨に基づきまして、気象庁は、大学あるいは研究機関等の地震に関するデータや調査結果を収集することと法律によってされております。この収集いたしましたデータを解析、処理いたしまして、地震調査研究推進本部に報告することとなっております。気象庁といたしましては、これらのデータを活用しつつ、より詳細な地震活動地震の発生過程を調査することによりまして、その成果を随時、私ども、日常発表しております地震情報へ反映いたしたい、このように考えております。
  82. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 話を伺っていると、予知は本当に難しいし、なかなか大変だということでございます。起こった後の災害をできるだけ軽減する、こういうことがやはり考えられなければならぬと思うのですけれども気象庁における地震災害軽減に向けた取り組み方、これからの課題等々についてお伺いしたいと思います。
  83. 小野俊行

    小野(俊)政府委員 地震予知そのものが一般的には困難な現状でございます。そういう現状におきましては、地震発生直後の適切な対応が地震災害の軽減にとりまして極めて重要でありまして、そのための防災情報としての地震情報充実が非常に重要だと考えております。このため、防災官庁である気象庁といたしましては、この地震情報充実に努めることが極めて重要な責務であると認識しております。  例えば、防災対応として、その防災対応のための初動体制と直結しております震度につきましては、その震度の階級につきまして、従来八つの階級がございましたのを十の階級に分割する等含めまして、その改定を進めるというようなことをやっておりまして、防災情報充実に取り組んできております。  現在、気象庁は、地震発生後大体二分程度で震度の速報を発表するようにしております。その後三分程度で、震源や地震の規模、各地の詳細な震度等に関します情報を発表しております。  一方、またやや別の問題といたしまして、大きな地震が発生した後、余震活動が通常ございます。その余震につきまして、最大余震の規模、余 震活動の時間的な推移などにつきましての情報が、防災関係機関あるいは一般の国民の皆様方から求められておりまして、現在、その方向に向けまして技術開発を進めておるところでございます。  今後、引き続きまして地震災害軽減のための調査研究を進めまして、また一方で、地震予知につきましても、その実用化に向けて調査研究を進めてまいりたいと存じております。
  84. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 ちょっと先ほどの津波のところで質問を漏らしてしまったのがあるのですが、昭和三十五年にチリ地震による津波というのがありました。かなり日本列島は広範に被害を受けたわけでございますが、太平洋諸国における津波対策、特に予報に関係した対策をどんなふうに行われているのか、これもお聞きしたいと思うのです。
  85. 小野俊行

    小野(俊)政府委員 昭和三十五年にチリ地震による津波が発生いたしました。そのときの経験に照らしまして、太平洋を囲む各国で津波に関する情報を迅速に交換するための津波警報に関する国際的な調整グループという組織がございます。ハワイに太平洋津波警報センターが設置されておりまして、太平洋全域における地震の発生、津波の状況について監視しております。  気象庁は、この太平洋津波警報センターと連携を密にいたしまして、太平洋各地の地震や津波の発生状況につきまして情報を入手することによりまして、我が国への津波の影響について予測し、的確な津波予報に努めているところでございます。また、我が国とその周辺域で発生した地震や津波の状況につきましては、太平洋津波警報センターあるいは周辺の各国に情報を提供しております。  近年、人工衛星等を通信手段として用いまして、アラスカ、アリューシャン、南太平洋におきます津波観測データの迅速な入手を進めますとともに、南鳥島への津波観測施設整備によりまして、南米等大変遠方の太平洋域で発生いたしました津波につきましてもいち早くキャッチすることによりまして、予報精度の向上に努めてまいりたい、このように考えております。
  86. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 また、津波で一つ質問しますけれども、予知というか津波予測をする上で、津波の発生する地震のメカニズムですか、こういったことを把握しておくことは大変重要だなと思うのです。世界で発生しております地震のメカニズム、その特徴、それから我が国で発生する地震のメカニズムと特徴等々についてお話をお聞かせいただきたいと思います。
  87. 小野俊行

    小野(俊)政府委員 やや専門的な内容でちょっと恐縮でございます。地球の表面はプレートと呼ばれます十数個程度のブロックに分かれておりまして、それぞれのブロックは厚さは約百キロ程度でございますけれども、そのプレートが地球表面を主として水平方向に動く、その間プレート相互間にさまざまな力がかかってひずみが蓄えられる、こういったことが地震発生の原因であるというふうに一般的に考えられております。  我が国を含めまして世界で発生する地震は、これらのプレートの境界域で発生いたします地震と、プレートの内部で発生する地震の二つに大きく分けられます。プレートの境界付近では、プレートが相互にぶつかりましたり、離れたり、あるいはこすれ合ったりということによりまして地震が発生いたします。このような地震をプレート境界地震と呼んでおります。例えば三陸沖におきましては、太平洋プレートがユーラシアプレートないし北米プレートにぶつかりまして、その下に沈み込むことによりまして大きな地震が発生するということでございます。その大きな地震に伴いまして津波もしばしば発生すると考えられております。  また、プレートのぶつかり合う影響はプレートの中まで及びまして、岩石の中のひずみを蓄積させまして、その結果地震が発生いたします。このような地震をプレート内地震と呼んでいます。このプレート内地震が陸域の浅い場所で発生して、マグニチュードが七を超えるようなある程度の規模になりますと、その破壊場所といいますか断層が地表にあらわれまして、この断層を活断層と呼んでおります。  津波についてちょっと御説明申し上げますと、津波は主にプレートが潜り込む場所、海溝沿いのプレート境界地震に伴いまして発生いたします。地震によりまして海底の地形の変動が生じます。海底の地形が隆起する、あるいは陥没するということで地形の上下の変動が生じまして、このときに海水が持ち上げられたり、あるいは沈み込んだりすることで津波が発生するわけでございます。  なお、海溝沿いで大規模な海底の地すべりが発生したり、あるいは非常にゆっくりとしたプレート境界での断層の滑りによって非常に大きな津波が発生することもあります。このような場合には、地震による揺れが微弱な割に津波が大きくなることから津波地震と呼ばれております。また、海底の火山や山の崩壊、地すべりによりましても津波が発生した例が知られております。
  88. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 最後に、大臣にお聞きいたしますけれども地震とか津波対策というのは、まさに国民生活の危機管理上、最優先されなければならぬだろうと思うのですね。これは国防もそうです。もう国防その他に匹敵するぐらいに重要なものでなければならぬのですが、どうも我が国国民は国の平和とか地震災害なんというのには、とんちゃくなしで困ります。  ところが、今ずっと聞いておりますと、気象庁、私は地震の大元締めだと思っているのですが、気象庁がどれほどの役割を果たしているのか。この問題について、地震や津波やその他の災害に対しては一〇〇%運輸省所管で、もしできれば気象省、気象災害省ぐらいまでもう相当大きな、行革のときですけれども、しかし防衛庁があるのですから、地震災害の対策省みたいなものも、しかも、今お話を聞くと、通産省の中にも地震対策をやっているところがあるし、それからいろいろありましたな、さっき話が出た、とにかく各省庁にわたっているのですね。これでは、一体本当に予知なんかで科学的な分析や何かできるのかどうか、どうも不安です。  我が国の役所というのは、どうも自分のところの秘密は守りたがって、なかなか情報を出しませんからね。通り一遍のものは機会があればどんどん出しますけれども、本当に持っているものはなかなか出さない。あのオウム事件なんかも、公安と刑事でもっとうまくやっていれば、あそこまでいかなかったとか盛んに言われますし、いろいろなことが、例えば内閣官房の安全保障室ですか、あそこに各省庁から審議官クラスに来てもらっているのだけれども全然出さない、全然協力してくれないと初代の室長は嘆いていましたよね、国会のある委員会の参考人に来て。全く日本の役所というのはだめだ、全然役所自体危機管理がなっていない、盛んにそんなことを言っておりました。  こんなことを考えますと、これほど重要な人命にかかわる大きな役割を負っている地震関係災害関係の仕事を、こんなにばらばらに各省庁でやっていでいいものかどうか。しかも、大学は大学、民間は民間、自治体自治体、全くそれぞれ別個にやっているでしょう。果たしてこんなことでいいのか。この件について大臣は、一本化して運輸省がやる、そういう考え方をお持ちになるかどうか、まず一点お聞きしたいと思います。  それから、先ほど地震の発生地帯、発生地に計測器を置けという話をしましたけれども、津波計という言葉でのお答えがございました。これを、今もお話がありましたように、やはり地震発生のメカニズムがわかっているわけですから、特に津波地震の発生しそうなプレートあるいは地盤沈下とか予測できるいろいろなところにずっと敷き詰めるという、これもかなりの予算措置も必要でしょう。これだって、これを国家予算にして、こういうたぐいの産業が興る、工業が興るということは、大いに経済国家、工業国家として私はあるべき姿だと思うのですね。そんな意味も含めまして、最後に大臣の決意、お考えをお聞かせいただ きたいと思います。
  89. 古賀誠

    古賀国務大臣 気象庁というのは、災害防止という観点から考えてみましても、大変地味ではございますけれども、重要な責任を負っているわけでございます。きょうはそういう気象庁の視点に立って、先生の方からいろいろな角度から御論議をいただいたということで、私も、政府委員の答弁、気象庁長官の答弁を聞きながら、大変有意義な御論議をしていただいたと思って感謝をいたしているところでございます。  御指摘の一元化の問題でございますけれども地震、津波災害の防止、軽減のためには、先生から御指摘いただいておりますように、政府が一丸となって取り組んでいくという認識は、私も全く認識を同じくするところでございます。今日、地震、津波対策に当たりましては、中央防災会議、また津波警報関係省庁連絡会議、こういった場を利用いたしまして、今後とも関係省庁との連携をとりながら、先生から御指摘いただいたような一元化につきましても積極的に議論を進めてまいりたい、そういう考えでおります。  また、後段の海底津波計についてでございますけれども、現在まさに調査研究の真っただ中にあるわけでございまして、まずは技術開発に努めていくということが先決だろうと考えているところでございます。海底津波計の技術開発について、さらに努力を重ねてまいりたいというふうに考えておりますので、御支援をお願いしたいと思っております。
  90. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 いろいろありがとうございました。まだまだ至らない質問でございましたが、いずれまた機会があったら、地震のことについていろいろお聞かせいただきたいと思います。ありがとうございました。
  91. 村田吉隆

    村田(吉)委員長代理 寺前巖君。
  92. 寺前巖

    ○寺前委員 きょうは二つの問題について聞きたいと思います。  この間うち少し聞いておりましたけれども、気になりますので、笹川平和財団問題について聞きたいと思います。それからもう一つは、海上の運送の問題について、規制緩和なりいろいろ話が出ておりますが、同時に日米間の海運協議がなされていますので、この問題についての若干の質問をしたいというふうに思います。  まず最初の笹川平和財団の問題ですが、きょう、参議院の予算委員会に、野村証券の田淵節也取締役相談役が来ています心野村問題をめぐっていろいろ質問を受けるということになっているわけですが、この人が笹川平和財団の会長さんを創設以来ずっとおやりになってきた。だから、そういう意味では、どういうことになってきているんだろうかなということが気になるわけです。  八六年九月一日にこの平和財団は設立されています。八六年度から九六年度の間に、この財団の基金は一体どういうふうにしてできているんだろうかと見ると、特別競走による拠出金で三百三十四億四千七百万円、船舶振興会からの交付金で百六十億円、その他日本造船振興財団などから五億円ということで、十年間の特別競走による拠出金と船舶振興会からの交付金などで、四百九十九億四千七百万円が基本財産となってここに入っています。ざっと五百億円です。  私は、九二年一月末現在の平和財団の「基本財産及び基金運用状況」という内部文書をたまたま見ることができたのです。この内部文書を見ますと、基本財産三百三十億七千六百万円のうち、特定金銭信託、いわゆる特金で運用している金額が二百三十億円にも上っている。この金額は基本財産の六九・五%を占めている。  特金というものは、私が今さら言うまでもないことですが、信託業法九条でこう書いてありますね、元本補てん及び利益補足契約が禁止されるものだと。だから、資産運用としては非常にリスクが伴うところのものなんです。失敗したらえらいことになるし、うまいこといったら大もうけするだろうし、特定金銭信託というものはそういうものだ。この特金の運用先として、内部文書を見ていると、野村投資顧問が百四十億円、大和投資顧問が四十五億円、長銀投資顧問が四十五億円という数字が出てくる。財団の会長さんが野村の方で、田淵さんがやっているのだから、この田淵さんが、おい、おれのところへ持ってこいということで、こういうふうにリスクの非常に大きいことを平和財団の金を使ってやったのかな、そう私は勘ぐらざるを得ないわけです。  野村投資顧問は、野村証券、野村総合研究所、野村土地建物など、野村証券グループが出資をしてつくった会社です。同社の田窪忠司社長は、九五年三月まで野村証券の取締役副社長をしていた。同社は、資本も人材も野村証券グループ丸抱えと言ってもいい会社でしょう。野村証券のドンと言われる田淵節也氏が笹川平和財団の会長に就任したのが八六年九月一日で、翌年の八七年四月二十日に野村投資顧問を通じて、基本財産三十億円を特金で運用する。六月二日に基本財産百十億円を回顧問会社を通じて特金で運用している。運用先別の金額を見れば、野村投資顧問会社が断トツで、これは会長からの指示があったからそうなったのかな。  それでは、そのときの結果として特金の評価損はどうかといえば、二十億七千三百万円という数字が出てくるわけです。危険なことをやって、動かして、その大きな部分は野村を通じてやって、これだけの評価損を出していく。こういうことについて、運輸省として所管の局長さんは知っていたのだろうか。野村に左右されたのか、いや、そうとは言えぬとおっしゃるのか。しかも、これだけのことが起こっていて、知っていて何も手を打たなかったのだろうか、いや、そこで打ちましたと言うのか。ちょっと事情を聞かせてほしいと思う。
  93. 相原力

    相原政府委員 ただいま先生の御指摘のように、笹川平和財団におきましては、特定金銭信託で運用をしていたことにつきましては事実でございます。昭和六十一年度に設立されたわけでございますが、当時におきましては、一般的に公益法人の運営に関する指導監督基準というのがございましたけれども、株式を含めた運用が不適当であるということにはなっておりませんで、一部であれば運用も可能であるということが、これは各省共通して行われたという実態がございます。なお、これにつきましては、平成五年六月に、公益法人の運営に関する指導監督基準の中で、株式による運用は適当でないという旨明記されておりますので、それ以降は、新たなものは行わないということが徹底されているところでございます。‘  なお、御指摘の、会長と投資の顧問先の会社との関係でございますが、一般的に運用面で重要な事項を決定するに当たりましては、経理規程というのもございますけれども、その経理規程と別途に資産運用委員会というものをこの財団の中に設置いたしております。その資産運用委員会の中で、このような重要な資産の運用の方法等につきましては、委託先も含めまして審議して、その答申に基づいて理事会の方で決定がなされた、そういうものであるというふうに聞いております。したがいまして、そういう顧問の会社を選定するに当たりまして、公明正大な手続、透明性のある手続でなされたものである、こういうふうに承知しているところでございます。
  94. 寺前巖

    ○寺前委員 ちょっと念のために聞いておきます。  九二年には、科学技術庁が、特金を使っての問題で一定の処理がされております。九二年の段階において、先ほど言いましたような二十億からの評価損を出しているわけだけれども、この二十億七千三百万円は、特金運用の約一割に当たるお金です。大きなお金です。  この九二年一月で、特金の運用対象になっている有価証券のうち、株式に投資していたのは一体どのぐらいだったのだろうか、わかりますか。
  95. 相原力

    相原政府委員 具体的な運用の中身については、これは個別の問題でございますので、私どもといたしましては承知いたしておりません。  なお、平成五年の段階で、先生指摘のように、二十一億という含み損が発生しているという ことを運輸省も承知したわけでございます。これについては、先ほど申し上げましたように、平成五年六月の段階で、新たな公益法人の運営に関する指導監督基準で、株式による運用は適当でない旨明確にされたということもありまして、運輸省の方から、平和財団に対しまして指導を行ったところでございます。  ただ、これは特定金銭信託という性格上、当該契約を直ちに解約することになりますと、いわゆる含み損があるわけでございますが、その含み損が含みではなくなって顕在化するということになるわけでございます。そういうことでございますので、運輸省といたしましては、平成五年十月の段階におきまして、時期を見きわめて速やかに解約してくれ、そして、元本が回収できる方法で運用するよう強く指導したところでございます。  なお、今後積み増す基本財産につきましては、先ほど来申し上げておりますように、新たな基準で、株式による運用は適当でないということが明確化されておりますので、株式による運用ではなくて、定期預金とか国債などで運用するよう指導しているところでございます。
  96. 寺前巖

    ○寺前委員 先ほどから、公益法人等の指導監督の話が、九三年でしたか、指示の話が出ておりました。私は、この公益法人等の指導監督の問題については、早い段階から、政府としてはやっていたと思うのです。  八五年六月十日の事務次官等会議申し合わせにより、連絡会議が設置されます。これは、公益法人についてどうしなさいという、総理府次長が議長で、各省庁局長で構成され、運輸省からは運輸政策局長が構成員に名を連ねていますよ。この笹川平和財団を所管する局長は、運輸政策局長でしょう。その連絡会議が、八六年七月二十二日に、公益法人の運営に関する指導監督基準というのを決めて、資産の管理運用について、基本資産の管理運用は安全確実な方法で行う必要があり、特に、価値の変動が著しい財産及び客観的評価が困難な財産で管理運用することは適当でないと、ちゃんとこの八六年の段階指摘しているわけでしょう。局長も参加して、そういう連絡会議の指針が決まっているのです。  それから、九三年六月二十五日には、先ほどから言われる幹事会の申し合わせ。この取扱指針は、八六年七月二十二日に決定した公益法人の運営に関する指導監督基準などの運用に当たっての具体的、統一的な指針として決められている。同指針の解説を見ると、基本財産の管理運用について、財団法人の基本財産は、財団法人の人格の基礎であり、公益活動を行うための収入の基本となる重要な財産であることから、その管理運用に当たっては、これが減少することは厳に避ける必要があると述べ、基本財産の管理運用は、安全、確実な方法、すなわち元本が確実に回収できるものとし、金等の価値の変動が著しい財産、あるいは投資、出資等、回収が困難になるおそれのある方法で行ってはならないと書いてある。そして、取扱指針を見ると、価値の変動が著しい財産として、株式とか株式投資信託、金等を例示をしている。  こうやってくるわけだから、改めて出したのか知らないけれども、最初から参加していながら、ここまで書かれたときに何でここに対してメスを入れなかったのだろうか。  その間に評価損が出てくる。一年ごとの更新で特金を運用するということになっているけれども、九五年度末現在でも、特金運用が二百七十五億円と相変わらずふえていっておる、そして、評価損が十六億三千三百万円も依然として残ってきているのです。  これは、もともとのお金の出どころが、わざわざ特別競走をやって、一般的にはやれないことを、この財団のためにだったらやるぞといって金を集める方法をあの賭博でやって、それでいて片一方で損失を出すようなことを、そういうところに特金のやり方をやっていっている。これは、わざわざ内閣で相談までずっとやりながら、一体何で長年にわたって放置してきていたのだろうか。  私は、ちょうど九二年、何かやっていることはなかったのかなと思って調べてみたら、先ほど言ったように、科学技術庁のつくば科学万博記念財団、ここが、ファンドトラストというのですか、金銭信託以外の信託、それでの運用をして十四億円の評価損を出した、この結果、記念財団の理事長、会長、一部理事が責任をとって辞任をせざるを得ないという、監督官庁としての行政指導もやられているということが、その年の新聞を見たらばんと出てくるわけです。  そうすると、科学技術庁は、断片的にぱっとやったことでさえもそれほど責任を感じていたのに、運輸省ではそれまで責任は感じてこなかった、慌ててそこで指導しましただけで済む話だったんだろうか、何で平和財団にメスを入れることができなかったんだろう、ここの責任問題というのは、私ははっきりしておかないかぬと思う。  あなたは当時は局長ではないんだから、この際に改めて、運輸省の体質上どこに問題があったのか、私は明らかにしてほしいと思うのです。特に、基金をつくったもとが特別競走にあっただけに、一層社会的責任は私は大きいと思うので、明らかにしてほしいと思うのです。
  97. 相原力

    相原政府委員 お答え申し上げます。  先生から御指摘がございます公益法人の運営に関する指導監督基準、昭和六十一年、一九八六年の部分でございますが、これは先生の御指摘のとおりの表現で決定されているわけでございます。当時といたしましては、抽象的な表現ということでもあり、株式運用について、その一部の運用であれば認められるというのが実際上の解釈でございまして、先ほど来御指摘がございますように、他省庁の所管の公益法人におきましても、一部株式の運用等が行われていたという実態がございます。  そういう意味で、本件の笹川平和財団におきましても、当初は特定金銭信託という形で一部の株式運用がなされていたというのが実態でございますが、先ほども御説明申し上げましたように、平成五年六月の段階に至りまして、先ほど来御指摘がございますような含み損が出てきているような状況が、いわゆるバブル経済の崩壊等に伴って顕在化してきたことによるものとも思いますが、この公益法人の設立及び指導監督基準の運用についてというのをもっと具体的に明確化しようということで、具体例を書いてはっきりさせたわけでございます。  したがいまして、例えば価値の変動が著しい財産というのは、株式、これは寄附されたものを除いておりますが、株式と株式投資信託、それから金、こういうものを例示いたしまして、これらについては適当ではないということが明確化されたわけでございます。そういう意味におきまして、平成五年六月以降におきましては、運輸省といたしましても笹川平和財団に十分の指導をしているところでございます。  ただ、先ほどお答え申し上げましたが、その契約を直ちに解約することになりますと、いわゆるその時点であります含み損が一挙に顕在化してしまいますので、時期を見きわめて速やかに解約してくれ、それで元本が回収できる方法で運用するよう強く指導をしているところでございます。  また、今後積み増す基本財産については、株式による運用は一切行わずに、定期預金、国債等で運用するように強く指導しているところでございます。  御指摘のように、特別競走等のお金が使われている団体でございますので、運輸省としても一層厳重な指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  98. 寺前巖

    ○寺前委員 この問題についての大臣の御見解を私は聞きたいと思います。
  99. 古賀誠

    古賀国務大臣 笹川平和財団でございますかにかかわらず、運輸省が所管いたします公益法人にあって、今先生から御指摘いただいているような運営の健全性というものを欠くような、疑念を招くというようなことがあるとすれば、それはまことに遺憾なことだというふうに思っております。  いずれにいたしましても、今後、こうした公益法人の公平、公正な運営につきましては、さらに監督指導を強化してまいりたいというふうに思っております。
  100. 寺前巖

    ○寺前委員 第二の問題についてお聞きをしたいと思います。  全国港湾労働組合協議会等の港湾で働く労働者は、政府規制緩和政策や産別協定への不当介入に対して、運輸省に対する抗議、全国的なストライキ行動を既に第三次まで行い、さらに六月にもストライキを予定していると聞いています。このような中で運輸省は、四月十二日の日米海運協議に基づく覚書を取り交わし、五月十四日には日曜荷役の再開申し入れというのを業界にやっています。港湾で働く労働者に大きく危惧を抱かせています。  そこで、お聞きしますが、日米覚書では、米国船社に港湾運送事業免許の付与という問題、日本港運協会への加盟を義務づけないなどを決めているようです。特に今まで、特定の国の船社に港湾運送事業免許を与えることはかつてないことでありましたが、こういうことがわざわざ文書に出てくる。しかも、港湾運送業界団体である日本港運協会にも入るということについて義務づけない、わざわざ公文書に出てくる。これは非常に異例なことだから、不信が生まれるのは当然であろうと思うのです。  日本港運協会の加盟を前提として、全国港湾労働協議会の産別協議が成り立っている。この覚書によって産別協議がないがしろにされないのか、非常に心配をするわけです。特に、ないがしろにされる結果として、既存業者やそこで働いた労働者の雇用対策については、運輸省はどのように対策を考えておられるのか。私は、これからの雇用問題、あるいは事業問題について大きな混乱をつくらすようなことになりかねないと思うので、運輸省自身がどういうふうに出られるのか、お聞きしたいと思います。
  101. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 先生の御質問、いろいろな中身がありますのであれなんですが、まず、日米海運協議の覚書の中にいろいろなことが記載をしていたというお話でございます。  日米海運協議を四月の初めにやったわけですけれども、向こう側では国務省の方々も御出席がありまして、関係者が大変多うございました。したがいまして、日本の港湾の実情や、その他周辺の、例えば海運実情などを御説明をして、相当時間がかかったわけでございます。  そして、協議の後半になりまして、そういった協議のやりとりを、覚書ということで書き物に残すという段階になりまして、その協議の中で米国から質問があったものにつきまして記載がされているわけでございます。それが今お尋ねがございました二点でございます。  一つは、免許の状態はどうなのか。恐らく米国の船社におきましてそういう関心があるから、そういう質問があったのだろうと思いますが、日本の港湾運送事業における免許の現状の制度につきましては、内外無差別でございます、基準に合っているものにつきましては、外国の船社であろうと、あるいはその子会社であろうと一緒に、日本におけるのと同様でございますということを申し上げました。  それから、米国側がなぜ港湾運送協会に入らなくてもいいのかということを質問をしたかどうか、ちょっと私、その真意がよくわからないのですが、確かにそういう質問がございました。これにつきましては、日本の今の実情におきましても、日本港運協会に入っていない事業者もございまして、民法の任意団体である港運協会に入ることを必ずしも法律上義務づけられているものではないという説明をいたしました。それが協議会における最後のまとめのときに議事録として覚書の形で残されたものでございます。
  102. 寺前巖

    ○寺前委員 今の話を聞いておったら、ようわからぬと、特段のこともないから書いておいたのだ、簡単に言うたらそういうことになるわけですが、だから労働者の皆さんよ、心配ないように、産別協議がこれからもきちんとなるように見守る一役を運輸省としても担いますよと、御安心ください、こういう意味と解釈していいのですか、今の御答弁は。
  103. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 事前協議の問題あるいは免許制の問題もそうかもしれませんが、いずれにしましても、これは労働問題が絡まざるを得ません、労働問題に関係が多いということで、その旨私どももアメリカ側に言っております。  それは同じようにこの協議の議事録の中にございまして、事前協議のところなんですが、私どもとして申し述べたものが記載をされています。運輸省は、運輸省というのは私どもですが、日本の運輸省という意味ですが、「産別労使協定への政府不介入の原則を尊重しつつ、」ということで、協議の覚書の中に記載がなされております。
  104. 寺前巖

    ○寺前委員 それでは、後で大臣、その点について労働者にわかるようなお話をひとつしてもらいたいと思います。  第二番目に、また、日曜荷役の再開について運輸省は、日本港運協会への申し入れ文書では、日曜荷役の実施は、我が国の港湾の国際競争力の確保や利用者ニーズに対応した荷役サービス向上観点から、極めて重要な意義を有しているところから、その再開に向けて、貴協会として尽力されるように強く要請するとしています。  全国港湾労働組合協議会や港湾運送事業者も三百六十五日稼働、日曜荷役の再開を実施したとしているが、問題なのは、それを実施する条件づくりが労使間だけでは困難であるところにあります。日曜荷役の再開を可能にするためには、港湾労使を含めた関係者間の協議をする場づくりに、今こそ運輸省がイニシアを発揮しないと、通達だけ出しておってそれが進むという問題ではなかろうと思うのです。この点について一体どういうふうにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  105. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 今先生が読まれました再開の要請に尽きるわけでございますが、三月の十六日から日曜荷役がストップしてございます。労使の間で、春闘の期間もあわせまして御協議をされているところでございますが、なかなか解決に至らないというところでございます。  私どもとしては、今先生が読まれた内容でございますが、周辺の港湾との国際競争力あるいは荷主の皆様方や船会社の必要性その他もあるものですから、そういうことを紙に書きまして団体にお願いをしたわけでございます。  さらに、これはちょっと前後しますが、その当時、経済構造の変革と創造のための行動計画というものがその後二日過ぎに、五月十六日に閣議決定をされたのですが、その中にも関係者間の取り組みを促すという記述がされております。政府の中でそういう協議が進められているという状況も踏まえまして、そういうお願いをしたわけでございます。  ただ、そのお願いをするに当たりまして、これは当然のことながら、日曜に働いてもらう方々への労働の強化あるいはそういった負担がどのように解消されるか、スムーズにやっていけるのか、それで働く給与等がどうなるのかということが、当然先生のおっしゃったようにあるわけでございますが、そこにまず私どもが入ってどうのこうのという我々の知識も、そういう判断能力もないわけでございまして、そもそもこういった問題については、初め労使間で真摯な形で、荷主のニーズを踏まえながら、あるいは船社の必要性を踏まえながら、払っていただく船会社あるいは荷主さんとも話し合いながら、労使の関係で解決をしていただきたい、こういう趣旨でございます。
  106. 寺前巖

    ○寺前委員 例えば船が入ってくる、ガイドをしていく、そういう料金とか港湾の施設の料金とかいうような問題はあるでしょう。これは実際に業者の方が経営をやっていくということになるならば、労使間で話をつげることのできる内容と、それ以外の分野の話と、総合的に経営というのは考えていかなければならぬことになるでしょう。そうなると、労使間の賃金問題だけでは済まない要因というのが他の分野にあるから、その分野を含めて運輸省としても一役買っていくということを考えないと、三百六十五日問題というのは、あるいは日曜荷役の問題というのは、解決しないという要素を持つのではないでしょうか。  だから、そこのところの分野まで突っ込んで、あえて文書を出されるんだったら、そこの分野でもう一役買うさかいに、労使間でうまくいくようにひとつ協議してくれよという態度を、運輸省としてお持ちにならないといかぬのではないだろうか。そこらはどう考えておられますか。
  107. 岩田貞男

    ○岩田(貞)政府委員 日曜荷役を再開するに当たっては、港湾の料金とかいろいろ今お話がございましたけれども、それはそれで一応枠組みは決まっているということで理解をしております。その日曜荷役を再開するに当たっては、賃金をどう払うかというのもありますが、勤務体制をどうするとか、人の数をどうするとか、それからそれぞれ港、季節によりましてどのぐらいお客さんというか船が来るか、荷役の作業があるかという問題がございます。そういったいろいろの個々の問題があると思いますので、そこはやはりそういう実情に応じまして労使で真剣なお取り組みを願いたい、こういうふうに私どもは思っております。
  108. 寺前巖

    ○寺前委員 あえて運輸省の買って出なければならない問題はどこにあるのか整理していただいて、取り組んでほしいという要望を申し上げておきたいわけです。大臣は、この問題についてどういう御見解をお持ちなのだろうか、さきの問題とあわせてお聞かせください。
  109. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生も御承知のとおり、我が国の港湾の利便性向上を図っていくという観点、また我が国の港湾の国際競争力の確保の観点、こういったことで、今御論議があっております事前協議制の改善だとか日曜荷役の実施等、国際水準に沿って稼働を実現していくということは重要なことだろうというふうに思います。  しかし、御論議をいただいておりますように、こういった課題というものは、あくまでも港湾労使間の調整を経て実現されるものでありますけれども、その中で運輸省としてどういう役割を果たさなければいけないのか、また果たせるのか、こういったことは真剣に考えていく必要があろうと思っております。労働者の方々にだけ負担のしわ寄せがあるというようなことにはならないようにすることは、肝要なことだろうというふうに思っております。  いずれにいたしましても、我が国の港湾の利便性向上というのは、日本経済の構造改革にとっても非常に不可欠な分野であります。それだけに、関係者間でお互いに協議を重ねられる中で、いい方向に向かった結論を見出すための運輸省の役割というものを、今先生の御論議の中で御指摘いただいている点を十分踏まえながら、検討してみたいと思っております。
  110. 寺前巖

    ○寺前委員 ありがとうございました。
  111. 村田吉隆

    村田(吉)委員長代理 濱田健一君。
  112. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 平成八年度の運輸白書を読ませていただきました。いろいろ丁寧に記載をされておりまして、運輸省がいわゆる旅客の安全性や、その他所管の部分について一生懸命取り組まれておられることを認識したところでございます。  この中で、JR各社は当然運輸としての安全性の確保に努力をし、鉄道の事故件数や死傷者数が減少傾向にあるというふうに記載をされているわけです。安全確保がされる中で、具体的にどのように年次ごとにその数値が減ってきているのかという部分は、ちょっと私、JRの部分について見つけることができなかったものですから、その認識実態を教えていただきたいと思います。
  113. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 JRにおきます事故の発生の状況でございますが、趨勢的に見まして、運転の事故件数、それから死傷者数ともに減少傾向にございます。分割・民営化されました昭和六十二年度の数字を見ますと、旅客六社とJR貨物合計の数字でございますが、運転事故が九百二十七件発生いたしておりますが、平成七年度にはこれが五百八十七件となっておりまして、三七%の減少ということでございます。それから死傷者数でございますが、昭和六十二年度に六百六十六人でございましたものが、七年度には五百十人、百五十六人、二四%の減少、こんなような実績になっております。
  114. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 数字の上でそういうふうに減っているということは、各社の御努力に敬意を表したいというふうに思うのですが、いわゆる在来線の中で、地方の住民の皆さん方の足の確保としての地方路線、本当に採算のとれないところがほとんどなんですが、その運営に努力をされているということについては、しっかりと認識を持っているところでございます。それなるがゆえに、ワンマン運転体制というものがどんどんふえていることに対して、住民の皆さん方利便性安全性に対するさまざまな御意見というものを伺う機会があったわけでございますけれども、このワンマン運転体制の実態というのはどのようになってきているのか。
  115. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ワンマン運転の状況、これを行っております営業キロで申し上げますと、旅客六社の合計でございますが、昭和六十二年四月には七キロでございましたけれども平成八年三月末現在では約八千キロとなっております。ワンマン化率は各社によってちょっと違いがございますけれども、全体の営業キロのうちの四一%、旅客六社全体で四一%という状況になってきております。
  116. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 一人で運転をされるということで、運転への配慮、そして乗客とのやりとりといいますか、運賃の受け渡し等々、非常に肉体的にも精神的にも当然大きな負担がかかる可能性があるというふうに思うのですけれども、運転上での乗客の安全性の確保という点で問題点はないのか、トラブルが起きていないのか、そういう点はいかがでしょうか。
  117. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 JRにおきましては、経営の改善を図るということ、それから低廉な輸送サービスの提供ということから、安全の確保に努めながら業務体制の効率化を進めていくということが必要でございます。  そういう観点から、このワンマン化というのを進めているわけでございますけれども、ワンマン運転化に当たりましては、線区の状況あるいは列車の運行状況、列車の編成などを考慮いたしまして、車掌がいなくとも、列車防護に当たる係員を乗務させなくとも、問題がないと判断し得る場合に限り実施しております。また、これを行う場合には、運輸省令で定めております一定の条件を満たしました車両を使用するということでございまして、そういった点を配慮しながら、すなわち安全の確保ということを配慮しながら、ワンマン運転化を進めてきているわけでございます。  なお、旅客の利便ということで考えますと、確かに、運賃を払うとかどいったようなことで、払うためにちょっと遠回りしていただく等々といったような問題もあるわけでございますけれども、これに関しましても、利用客に対しまして周知徹底を図りまして、御理解をいただいた上で実施してきている、このような状況でございます。
  118. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 ワンマンのさまざまな注意すべき点、局長の方から今お話がありましたが、例えば料金の、運賃箱ですね、それが使用する電車によってちょっと場所が違うとか、ドアの開閉が全車両やる場合と先頭の車両だけしかやらない。それに基づいて、運転士の操作の戸惑い等々のトラブルといいますか、ミスが出ているのではないかというふうに言われているわけです。その点を含めて、車両等についてもっと改善をする余地はないのか。会社の方からその辺について聞いていらっしゃる点といいますか、努力した方がいいよというようなこと等がありましたら、お答えいただきたいと思います。
  119. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ワンマン運転化に当たりましては、従業員に対しましても十分教育訓練を行うと ともに、先ほど申し上げましたように、利用者にも御理解をいただいた上で実施をするということでやってきております。  それから、車両につきましては、基本的に具備すべき要件は運輸省の省令で定めておるわけでございます。ただいま先生から御指摘がございました、車両が統一されておらないことによります、それぞれの車両に対応した措置を運転士の方でやらなければいけないといったようなことにつきまして、確かに若干のふぐあいがあるということは、統一された場合に比べますと違いがあろうかと存じますけれども、私ども、その点に関しましては、教育訓練というようなことで、統一しなくとも特に問題となるようなふぐあいではないというぐあいに会社側から聞いております。我々といたしましては、こういったような問題に関しましては、従業員に対する十分な教育訓練を行っていただくということが必要ではなかろうかと考えております。
  120. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 とにかく一人で何役もこなす運転士さんの仕事上の激務といいますか、朝夕はワンマンではない場合が多いということを認識しておりますが、それと乗客の皆さん方安全性というのを考慮したときには、今局長から出ましたように、問題とされる点が見つかるたびに、ぜひ運輸省としても御指導いただきたい、またJR各社ともそこは十分気をつけて運行されていくだろうというふうに思っていますけれども、要望として、そこをお伝えしておきたいというふうに思います。  次に、航空運賃の幅運賃制度が導入されて約一年たつと思います。白書を読んでみますと、この幅運賃制度というのは、「公平感の確保という国民の要請にも応えることができる。」というふうに書かれているわけですが、ここで言っている「公平感の確保」というのはどういう意味なのか、教えていただきたいと思います。
  121. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 先生指摘のとおり、おととしの暮れに各路線ごとの標準原価を発表いたしまして、それに基づいた運賃がその翌年度から導入されました。  実は、この運賃制度を変える前はどうなっていたかを申し上げますと、各路線ごとに共通経費も含めて原価計算をし、それを認可するというやり方でやってまいったわけでございますが、どうしても周りのほぼ同じような性格の路線、その辺に引っ張られるとか、あるいは観光地につきまして、そこに到達する幾つかの航空路線があったときに、それぞれの会社の事情で申請を出してまいってきたわけでございます、その段階では、先生も御存じかと思いますが、南北格差という問題がありまして、南の運賃が比較的安い、それから北の方は高い、こういう傾向が若干ございまして、こういう場でも時々御指摘を受けていたわけであります。  それに対しまして、今度の幅運賃制度は、地域のことは一切捨てまして、路線の長さに応じて標準的な原価をつくりまして、その原価の直線と、  その下に二五%下げた直線、その間で事業者の方々がそれぞれの経営判断で運賃を設定する、こういうことにしたわけでございます。システムとしては完全なオープンでありますし、先ほど申し上げましたように、制度そのものが持っている不公平が出やすいといいましょうか、出るおそれがあるものではなくて、皆さんの目の前で示す原価によって新しい運賃をつくるということになったものですから、さような意味で、私どもといたしましては、利用者の方から見れば公平感という利点もあるのではないかと考えておるところでございます。もちろん、これによりまして競争促進ということも、あわせて実現を願ったわけでございます。
  122. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 私も鹿児島と東京を往復するのに当然利用するわけでございますが、頻繁に利用する職業といいますか、そういう皆さんと、それと期日を指定して、いわゆる大幅な割引を使える皆さんには、ある意味で都合のいい運賃制度のように思うのですけれども、家族で旅行をして、ファミリーで、一定の割安の航空券を購入できるとか、期日は設定できないのだけれども、一定の、例えば月に一回とか二月に一回ぐらい旅行をする皆さんにとっては、割高な感じがするという話を聞くのですよ。  ですから、これは民間の航空会社がそれぞれの会社のよって立つ経営の思いの中で、いろいろな運賃の中身というのを決めていかれるわけですけれども、やはりこの幅運賃制度が設定される以前にあった仕組みというものも、さまざまな角度から考えていただくようにぜひ御指導いただけないか。  それは、この白書を見ていて、国内のホテルとか旅館の稼働率といいますか利用率等々は年々減ってきている。これはやはり多くの皆さんが、団体旅行はどうなっているのかわかりませんけれども、家族旅行を、国内旅行は高いという意味も含めて、出足をとどめているのではないかというふうな感じも持つものですから、御要望として言っておきたいというふうに思います。  もう一点は、航空関係ですが、九四年に導入されましたアルバイトスチュワーデスの問題です。  しょっちゅう乗っておりますと、その方がアルバイトの方であるかないかはわからないのですけれども、例えば子供が飛行機の中を走り回っていて、最終着陸態勢のベルトを締めてくださいと言っても、自分の仕事に一生懸命になっていて、その走り回っている子供に席に着くように指示が出せなかったりとか、これはちょっとやばいなという経験をしたことがあるのですよ。その方が決して仕事をサボっているということではないのですけれども、賃金の問題や雇用の形態が有期雇用という形になっていて、会社によっては三年たったら正式社員にするとかいうような方向性もつくられているようなのですが、安全を第一にする運輸業、運送業の中で、有期雇用という方向性、日経が出しました「二十一世紀の雇用について」という部分でも、そういう方向性がどの分野にも強まっているのですけれども、安全第一のこの業界で有期雇用というものはどういうことだろうか、本当にいいのかなという思いがあるものですから、ひとつお答え願いたいと思います。
  123. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 今先生が御指摘の件でございますが、実はアルバイトスチュワーデスという表現は若干誤解を生むものですから、契約制客室乗務員、私ども、そういう言葉で呼ばせていただいております。三年間についてそういう方を導入しておりまして、各社ともある程度今や定着した制度になっております。ただ、三年たった後にどうするかという問題がございます。これにつきまして、原則といたしましては本人の希望、適性、勤務成績等を踏まえまして、正規職員へ切りかえるという道をきちんと設けてございます。  先ほどの子供が走ったという問題、これは確かに大問題でありますが、この契約制客室乗務員も、本来のスチュワーデスが受けるのと同じレベルの保安教育を受けておりまして、契約スチュワーデスであるから安全上問題があるんだということは、私どもは全くないと考えております。
  124. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 私も、有期契約だから問題があると申し上げているわけではなくて、やはり働く皆さん方が、賃金や労働条件を含めて、安全性をよく高められる環境にこの業界はあるべきだということでの、有期雇用のこれからの展開を十分考えていただきたいということで、質問させていただいたところでございます。  時間が来ましたので、最後に大臣に、いわゆる国労問題でございますが、地労委、中労委のあっせん案等々、いろいろな問題がまだ解決をしておりません。聞くところによると、きょうが結審の日ではないかというふうに思っているわけでございます。千四十七名の皆さん方、それぞれいろいろな形で、生きていくために、飯を食うために頑張っておられます。そのすべての皆さん方が改めて鉄道労働者にということでもないのですけれども、意識としては、そういう思いが、より終局の段階に近づいてきて高まっていらっしゃるという ふうに私は認識をしております。この問題の解決に向けて、前にもお聞きいたしましたけれども大臣の御所見を賜れれば幸いだというふうに思います。
  125. 古賀誠

    古賀国務大臣 JRの発足時の職員の不採用問題につきましては、先生を初め多くの先生方から大変御心配をいただいている点でございます。先生もお触れいただきましたが、現在、東京地方裁判所において係争中でありますけれども、本件につきまして、過去に運輸大臣または労働大臣が、何とか政治決着に向けて労使双方の協力を得ることはできないかということで、大変な御努力をいただいたという経過があることも承知をいたしております。  しかし、残念ながら、関係者間においてなお大きな意見の隔たりがあるということでございます。経営者側は、特に裁判で決着させるという方針を堅持しておる、こういう状況の中にあるわけでございます。先生も今おっしゃっておりましたけれども、実は、東京地方裁判所の、中央労働委員会の命令を取り消すべく起こしております行政訴訟、これが本日結審されるという予定だと聞いております。  私といたしましては、今までの経過というものも十分認識をしております。しかし、そういう経過を踏まえながら、また裁判の動向等を見守りつつ、労使の対応がどういうことになっていくのか、問題の解決のために、私としてどういうことが考えられるのか、ない知恵でございますけれども、何とかひとつ問題解決の糸口がつかめないかというようなことを考えながら、最善の努力をしてみたいというふうに考えているところでございます。
  126. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 ありがとうございました。
  127. 村田吉隆

    村田(吉)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十三分散会